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ホーリーランド4 イラスト&SSスレ

1サブGK(ENT):2013/10/19(土) 19:27:56
ホリラン4の作品はこちらにお願いします!

462メインGK(minion):2013/12/28(土) 00:49:01
未来支配者こと魔技姫ラクティ☆パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40559247
未来の姿。クリックで本気の衣装。

463メインGK(minion):2013/12/28(土) 21:45:29
シスター・マリー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40577134
暴力不良シスターです。おっぱいがややおっきい。

464メインGK(minion):2013/12/30(月) 23:21:59
【R-18】LoverSuitの女こと神藤振子。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40623028
対魔忍ではありません。クリックでちょっと変わります。おっぱいがおっきい。

465メインGK(minion):2014/01/01(水) 05:46:52
『”The Transfer”No.9』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3238430
<未来支配者>参戦SSです。

466ほまりん:2014/01/01(水) 09:50:50
【さようなら、六九さん】

ごめんなさい。私はあなたを救えない。
私は、あなたが消え失せようとも構わないと思った。
それが、愛するあの人を護るただ一つの道だったから。

あなたは私の友達、静穂と瑠璃奈の危機を救ってくれた恩人なのに。
たとえ任務の一環だったとしても、恩人であることに代わりはないのに。

私は、《未来視》の力によってマッチングに介入し、最適な展開を紡いだ。
平和な未来のために? ……それもないわけじゃない。
でも、一番の理由は、私自身の想いのため。愛する人を護るため。
私は、あなたに、最後の戦いの場すら与えず、惨めに消えてもらうことを選んだ。

さようなら、六九さん。
あなたは、私の友達を救ってくれた恩人です。
感謝しています……でも、さようなら。

――《未来支配者》パルプは、己の手の平を見つめた。
最終ターン、二人の選手を打ち倒し、六九から任務達成の機会を奪って滅ぼした。
酷く汚れてしまったこの手は、あの人と繋ぐのに相応しくないとパルプは思った。

(だから、今は見逃してあげる)
賞品の少年と手を取り合って去っていく優勝者の後ろ姿を、パルプは黙って見送った。
胸のチクチクする痛みにこらえ、襲い掛かって略奪したい気持ちを抑えつけながら。
(でも、いずれ奪いにゆきます。マジカニアの未来と、私のために)

かくして、魔技姫ラクティ☆パルプの世界格闘大会は終わりを迎えた。
パルプは何度も傷つき、倒れ、絶望も味わった。
しかし、それを乗り越え、大きく成長し、そしてなにより大切な想いを手に入れた。
これからも、少年を巡るパルプの戦いは続くだろう。
だが、ひとまずは、お疲れ様でした。

467ほまりん:2014/01/01(水) 22:41:39
>>465
ヤッター! パルプの参戦SSが新年SS第一号だ! ヤッター!
ルガーさんと仲は悪くないけど対抗心はばっちりな良い関係ですね。
ルガーさんはホリラン4開始前にpixivにアップされてた絵を見た時からのお気に入りキャラなので、偶然にも大会中に縁があってとても楽しかったです。
脱皮とか雄探しとかのマジカニア人の生態についてもばっちり汲み取ってもらえて嬉しいですね!
ちなみに、冬場は繁殖期ではないので排卵はありませんが、貯精嚢に蓄えることができるのでバレンタインとかにも受け入れOKです!
いや、エロいのかいて欲しいわけじゃないんですけど、自由度が高い方が可愛がってもらえるかなーって……。
素敵なイラストとSSありがとうございました!
今年はいい年になりそうな気がする……!

468メインGK(minion):2014/01/02(木) 21:08:56
『My dear...』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3244221
紫ノ宮緒子エピローグSSです。

469メインGK(minion):2014/01/03(金) 22:47:38
シスター・マリー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40734424
暴力不良シスターです。少し年齢低目に修正されました。おっぱいも修正されました。

470メインGK(minion):2014/01/05(日) 22:41:14
『Next battle』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3257837
紫ノ宮緒子 VS 女王蜂、エキストラターンSSです。

471メインGK(minion):2014/01/06(月) 22:45:25
天奈瑞。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40805943
た、多節棍……。おっぱいがおっきい。

472メインGK(minion):2014/01/08(水) 22:34:37
『End & Start』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3269308
初期転校生とかNPCとかのエピローグSSです。
最後はホリラン4には直接関係のないロリカワイイ子が締めます。

473魔技姫ラクティ☆パルプ:2014/01/10(金) 06:16:07
「まだ終わっていません!」
バーン! 謎の襲撃者を操っていた真犯人、大納言蘭の病室に現れたのは……
「ハルコ!!」
瑠璃奈と静穂が同時に叫び、パルプのもとに駆け寄って我先にと飛びついた。

【魔技姫ラクティ☆パルプ・エピローグ「リミラヴが使い魔になった日のこと」】

「心配したんだよ!」
「本当に……。どこで何をしてたの……?」
2人とも涙声だ。
帰ってきた友人を二度と失うまいと、強く強くすがりついている。
「ごめんね。実は……ホテルで寝てたの」
パルプは決まり悪そうに答えた。
「なんだよ! なんなんだよその理由は!」
「えー……寝てたって……」
2人は口々に非難の言葉を述べるが、嬉し涙はとめどなく、しがみついた腕は固く離さない。

「みんなも見たかな? 私、未来の姿になったんだけどね、それがとてもキツかったらしくて、ぐっすり寝たなーって思ったら4日も経っててもうビックリ!」
「ホントにビックリだよ!」
「良かった……戻ってきてくれて……!」
言われて見ればパルプの姿は〈未来支配者〉ではなく、見慣れた魔技姫ラクティ☆パルプだ。

「ごめんなさい……ハルコちゃん……私のせいで辛い思いをさせてしまって……」
蘭は涙ながらにパルプへ謝罪した。
「えっ、どなた様……でしょうか?」
見知らぬ美人に突然謝られて、パルプは驚き聞き返した。
蘭は傍らのフルフェイスヘルム型を手に取って見せる。
「あっ、大納言先輩! いいんです。先輩のお陰で、私は素晴らしい出会いを得ることができましたから」
そう言ってパルプは、ラクティ☆ロッドを掲げた。
ロッド先端の星形のレリーフが輝き出す。

「謎の襲撃者は、先輩自身が生み出した神足光璃さんのコピーでした」
「……はい。……その通りです」
ロッドの光が強まり、神妙な顔をした蘭のことを照らす。

「先輩は言われました。『仇を討って』と」
「……はい。……えっ?」
更にロッドの光が強まる。蘭は嫌な予感がして表情を曇らせた。

「ラクティ☆パルプがばっちり解決致します!」
「えっ? えええっ!?」
パルプは光輝くロッドをラクロススティックのように振り下ろす!
ロッドの先端から光弾が放たれ、ベッド上の蘭に目掛けて飛び……命中炸裂!
「シャイニング☆ピュリフィケイション!」

474魔技姫ラクティ☆パルプ:2014/01/10(金) 19:12:42
光に打たれた蘭の身体から、線虫様の生物が弾き出され病室の木の床に落下した。
「クリスタル☆アクアリウム!」
そして光のケージが赤白い虫を捕獲する。

「この虫は一体……?」
気味悪がる蘭の疑問に、パルプが答える。
「これはマジカニアの魔法生物『リンガ虫』。人の弱い心を増幅して操る厄介な生き物です」
「この虫のせいで私は……ううん、違う。悪いのは私。悪かったのは私の弱い心……」

「人は誰しも弱い心を持ってます。でも、自分の心としっかりと向き合えば、弱さは弱さではなくなります。先輩はいつも自分自身を見つめ、技を磨いてきました。だから大丈夫。これからも」
パルプは長くて短かった世界格闘大会を振り返る。
戦いを通じてパルプは自分自身の弱さを何度も思い知らされ、遂には心折れ倒れた。
しかし、絶望の淵でパルプは心の奥底にある強い想いに気付き、立ち上がることができた。
強い想いがあれば、誰だって変われるし、何度負けても決して負けない。

「でも……なんでこんな虫が妃芽薗に……?」
静穂が問う。その胸は中学生としてはかなりのものだが、大納言先輩はもっとすごかった。
「心当たりがあります。――これから、その虫を先輩に寄生させた真の黒幕に会おうと思います」
パルプは毅然として言った。

「また危ないことする気なの! ダメ! 行かせない!」
瑠璃奈が血相を変えてパルプの腕を掴み、引き止めようとした。
一度言いだしたら誰もパルプを止められないことは解っていたが、それでも引き止めようとした。
瑠璃奈の胸についてはノーコメントにしてあげるのが優しさだろう。
脱皮して成長したパルプにちょっと負けてる気味なのだから。
「心配しないで。危ない相手じゃないから。あのね、黒幕はね……」

◆ ◆ ◆ ◆

妃芽薗の森の中にある大きな池。
下弦の月に照らされた静かな水面に向かってパルプは呼び掛ける。

「大納言先輩に虫を仕込んだ理由を、聞きに来ました」
……返事はない。
「《未来視》からは逃げられませんよ。姿を現しなさい。私の使い魔、リミラヴよ!」

475魔技姫ラクティ☆パルプ:2014/01/11(土) 00:19:31
池に細波が起き、観念したマリンモンキーがゆっくりと姿を現した。

「教えて。大納言先輩に虫を仕込んだ理由を」
「……」
「教えて。私が財前さんに負けたとき、どうして私を置き去りにしたのか」
「……」
「教えて。なぜ臨海学校にクラーケンを呼び寄せたの」
「……」
「教えて。五月病の呪いを私に掛けた目的を」
「……言わなくてもわかっとるんやろ? それに、《未来視》で視たらええやん?」
「うん。だいたいわかってる。でも、リミラヴから聞きたいの」

「しゃあない。じゃあ言うで。ぜんぶ姫はんに絶望を味わってもらうためや。人間界修行で絶望を乗り越えてはじめて、女王になる資格を得られる決まりやねん」
「やっぱり、そうだったんだ」
「そのために一番の理解者ヅラして近くに居り、裏でコソコソ試練を招き、そんで最も辛いタイミングを狙って裏切る。これがリミラヴの役目や」
「……」
「姫はん、なかなかしぶとかったから難儀したでホンマ」
リミラヴは精一杯冷淡ぶって笑って見せた。

「……大変だったね。辛い仕事だったでしょう」
パルプはしゃがみこみ、リミラヴをぎゅっと抱き締めた。

「やめてや! 裏切り者に優しい言葉なんかいらへん! それにな、リミラヴは姫はんの使い魔ちゃうねんで!」
「えっ……!?」
「びっくりしたやろ、リミラヴは宮内庁直属の特務ファミリアや! 姫はんに絶望を与えたらそれでオサラバ! 最初っからぜーんぶウソだったんや!」
「……リミラヴのウソつき」
「その通りや!」
「ぜんぶウソだなんて、そんな下手なウソ信じないよ。あの時リミラヴは言ったもん。私のこと大好きって」
「う……あれはやな……」
「許さない。もう私の前から消えるなんて絶対に許さないんだから。マジカニア第一王女、パルピューラ・マジカニア・レガリスの名において命じます――汝リミラヴ、我が使い魔として仕えるべし!」
「ほんまに……ほんまにええの……? ウソつきで……裏切り者やのに……」
「私にはリミラヴが必要なのです。それに、あの人を狙うライバルを蹴落とすためには……あなたの悪知恵が役に立ちます」
「おおきに……姫はん……ほんまおおきに……!」

こうして、リミラヴはパルプの本当の使い魔となりました。
少年を巡るパルプの戦いはこれからが本番ですが、これにてひとまずばっちり解決です。

(おしまい)

476超時空軽空母『綾鷹』DEATH:2014/01/12(日) 14:47:26
[ Battle Cinderella〜sea side episod06【業と才】〜]

●招待
しかし、なんという十日間だったのだろう。

少年は嘆息する。

思えば最初からクライマックスだった。そして最後まで”とんでもない”展開だった。
ある日訳も判らないまま浚われたのを皮切りに、見張りのお姉さんに逃がしてもらい脱走、
仲間たちとの合流もままならないまま
学園の先輩に助けられ、病院でひとりの少女に出会った。そして離れ離れに。

そして彼女は再び彼の前に現れた。
その彼女は着衣の乱れを治すと改め、こちらをくるりと向うとくすりと笑った。
『蹴り』が突きましたよ、そんな顔だった。

たぶん今のが最後の戦いだったのだろう。
周りにはその決着を見届けようと、たくさんの女性達が集まってきていたからだ。
決着はどこかの誰かを彷彿とさせるひざ蹴りだった。
(なお、この場に男性はいない、軽く運命淘汰された)



そして自分へと歩を踏み出す出会いの少女。

対戦相手の女医さんとそこに慌て駆けよる看護師さんの姿。
少し距離を置き壁に手をつき、何かを思慮気に呟く、彼の妹。
横になんか凄い水着姿で駆けて来るシスター。

まるでスローモーションのようだった。
その全ての動きがまるでコマ送りの映像のように、少年の眼には酷くゆっくり鮮明に映っていた。

あまりに唐突で衝撃過ぎる、その最後の出会いによって

『じゃ  ラストステージにご案内するか、少年少女 』

少年へと皆駆けよる中、全員の中心点に、まるで割り込むような形で、頭から真っ逆さまに、

 
      少年の『同級生』が天上から落ちてきた。

「へ?のもっ…」

いや死んじゃうでしょて落下シーンの彼女と視線が合った瞬間、彼は笑いを含んだその言葉を確かに聞いた。


――――――― ☆ ☆ ☆  D P 戦 略  ☆ ☆ ☆   ―――――――――

と。

ポーポー。
どこかで汽笛のなる音が聞こえてきた。

●間奏曲『Dangerous crossover』    
                     
Dange-rous crossover!
Dange-rous crossover!
Beyond this point.no life is in danger ahead!!

   ☆!Ole!☆

TOKYOのとある夜〜 ”彼”が倒れた時から

オレ達はひとつ 同じ夢を追いかけ始めた

宗教者も政治家も 科学者も予言者も〜

もう誰も明日さえ見通せなっている、暗い暗い闇の時代が続くけど〜

だけど、だから、「少年(おまえ)」に愛に行く。

Rock!Rock! ROCK in the heart

Rock!Rock! ROCK in the heart

   ☆☆☆

Dange-rous crossover!
Dange-rous crossover!
Beyond this point.no life is in danger ahead!!

さあ!南から北まで さあ!東から西まで、右も左も関係ねぇ〜
オレと楽しまないか?

心に不満を抱いて ため息も飲み込んで
ただ、このまま だらだら Choro-in(おちて)いくつもりかい?

熱く熱く燃えてお前と踊りたい
夢を夢を抱きよせ踊りたい。

Rock!Rock! ROCK in the heart

Rock!Rock! ROCK in the heart

運命を!サダメを!塗りつぶせーーーーー!

Rock!Rock! ROCK in the heart

477minion:2014/02/03(月) 23:27:43
【R-18】魔技姫ラクティ☆パルプ&ルガー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=41374221
恵方巻きおいしいなー。

478minion:2014/02/12(水) 02:13:47
バジルこと一 ○○(にのまえ・ばじりすく)。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=41562915
おっぱいがおっきい。

479minion:2014/03/14(金) 00:51:43
紫ノ宮緒子&賞品の少年。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=42217494
>>420-422の挿絵です。

480超時空軽空母『綾鷹』:2014/03/17(月) 07:27:06
sea side episod【業と才】の続きです。書く内容はきまってるのでこっそりちまちま続けます

●例によって謎のDP空間

『きっと何者にもなれぬお前たちに告げる。ってーーーーーーーーー』

マリン・ブルー。
そこはどこまでが青と僅かばかりの白という2色の空間だった。
床一面だけでなく天上までもが青で統一され、中央にある白い階段だけが入道雲のように
浮き上がっていた。

その声はその白の最上位の平台から発せられた。
一人、下方を見やる黒帽子の姿、能力「DP戦略」を発動させた『綾鷹』だ。
彼女はいつものように階段から特殊空間に召喚された対象に見やり、少し首をかしげる。
そして次の瞬間、盛大な呻き声をあげたのだ。

『あああんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』


人物     位置
・アン先生 (→)
・ナス子  (↓)
・マリ   (←)
・一六九  (↑)
・おこちゃん(騎乗位)

・そして(中央)玉座に少年。

以上、4身+プラス1が見事にまでこんがらかり、あられもない姿でそこにあった。
頭は両側から胸に圧迫され、手や足は都合よく女体の神秘へと伸びけしからん接触を引き起こしている。
どうしようもなくTOLOVEるな状態になっていた。

なんと、うらやまけしからん状態。では能力発動の瞬間をもう一度VTRでみてみよう。

少年は落ちていた同級生を助けようとおこちゃんの袖をひっぱり着崩れていた
助けに入ろうとし近づいたマリは、音もなく近づいていた一家の六九お嬢さんと接触。
ナス子は先生に肩を貸したバナナの皮に滑って、助けた先生ともども超すっころびスライディングでGO。
そんなこんでアレがソレした結果、物理的にありえない現象が起きたのだった。

『…あ、ありえん”全員連れてきた”だと…通常連れてこれても精々一人、本人と一番運命の
結びつきが強い人間だけなのだぞ。それを手当たり次第って、このケダモノめ。』

きっと彼の運命の赤い糸は下方で示されているような、くんずほずれつの痴態を演じているのだろう。
そのもつれが奇しくも然様に作用した。そんなこんなのTOLOVEる展開だった。

(あれ師匠。無事…それにここは前の砂浜のときと微妙に違う様な。って水着のひもがぁ…)
(魔人能力発動確認―分析中。)
(…なんかロンダルギアから海っぽいとこ落とされましたよ、先生。)
(いや海じゃねぇ。見おぼえがある…恐らく市内の病院だ。)
(ふぇぇぇぇ、ふっぁくですわ。)

かくて一か所にどさりと揃って落ちる羽目になった一行だが、それぞれの思惑の右斜め上をいくように
何かがひょんと飛来してきた。
その飛行物は銀色の粉をまきながら頭上を旋回すると中央に位置するToLOVEるの主に声をかける。

「うひょー、いっくんー相変わらずだねー」

少年がぱちくりと目を瞬きする。大きさは違えど綾鷹そっくりの少女だった。
マリがいつぞや見た聖霊を名乗った妖精さんだ。思わず頭上の妖精と階段の綾鷹とを見比べる。

「あれ?のもっちゃん。え、こっちが本物?」
「オーイエス。おひさしぶり〜☆」
「って、アレ?じゃ、あちらの怖い顔でふんぞり返ってる、のもちゃんは…え、アレ』
「あ、アレは『女王』様だよ。」

希望崎学園のクラスメート、久方の再開であった。

481超時空軽空母『綾鷹』:2014/03/17(月) 07:28:46
†††

のんきな同級生同士の会話が交される一方、召喚された中で予想外の危機にあえいでいる少女もいた。

(ううううううう、マジー)

一番被害が大きかったのはマリだった。
不死の霊薬を飲み一時不死化して転校生に挑んだまではよかったが、チョロインの未来女王に
よる魔法で逆襲をくらい。マイクロビキニに着替えさせらるという謎の恥辱による敗北を
くらっていたからだ(これはマリ視点から見たら裸同然の痴態であり、戦闘続行不能となった)

残った布をかき集めて最終戦に駆けつけたは駆けつけたが、こんどは落下の衝撃と少年の
魔の手により上下とも紐が切られるという大凶事に遭遇したのだ。不幸体質としかいいようがない。

もう一人は紫宮緒子。
元々着崩れていたところを少年に引っ張られたため、マリほどではないが半ら状態だった。
なんで裾を引っ張られただけでそこまで脱げるんだよというツッコミがあるかもしれないが
事実として彼女のAカップ専用ブラは確かに少年の手にあった。

(ふぇぇぇぇぇ)

『たく、これから面会だってのに。でこ娘のけ。』

綾鷹はその惨状どもに軽く舌打し、妖精に指示を出すと自らの黒マントを翻す。
するとマントは舞い降りるにつれ風呂敷大から網のように大きく広がり、下手にいる
一同をまるごと覆い隠した。


(「「「    」」」」」)

『ワン,ツー,スリーで…ほい「無限1UPの術」。』

そしてマジシャンのように一気に引き上げる。

「「「!!!!!!」」」」

マントが引き揚げた後の彼らの変化は劇的だった。
シスターマリーはひもだけ状態から、修道服姿に
紫音は紫のドレスに、汚れたパーカー姿だった少年は礼服に代わっていた。
アン先生とナス子は白衣にナース服姿は変わらなかったが、コスチュームは
リニューアルされていた。
当の綾鷹は各人の出来栄えを順番に目で追うとゆっくりと階段を下りていく。

「師し…」
師匠の助け空母で、窮地脱出。救命処置に感激し感謝の声をかけようとしたマリーだが、
綾鷹の思いのほか鋭い目線の返しに言葉を飲み込んだ。
綾鷹は彼女を見る際に知らんぷりをするよう視線で促した。その際、彼女にだけ
判るよう一瞬だけ別の人間に視線をズラして見せてだ。眼だけで視線の先を追うと―
――その先には乱入者の少女。

(彼女だけ衣装が変化していない?)
確か少年の一家の一族とかカジノの戦いでちらり聞いた覚えがある。まだ全ては
終わってないということなのか?
(おおっと。…この乱入者さんに目を光らせろってこと…なのかな。だけど、この子…)


†††

まだ終わっていないと残心に心努める者がいる一方、さっさとことの全てをもう終わらせて
しまいたい者もいた。
本大会、最初から最後まで訳わからないまま、巻き込まれまくったアン・ラクシ―先生その人である。

なんか終わった見てーだから、あとはホテルに戻ってシャワーひと浴びして、ビール飲んで寝よう、
そう思ってた矢先。最後の最後にこれである。
額にひとさしゆびを当て、ひとつ息を吐く

一応、案としては2つだ。
プラン1:このアキ缶娘をソッコーでぶちのめして、ささっと返してもらう。
プラン2:相手の話をテキとーに聞き流し、満足するまで喋ってもらったらささっと返してもらう。


プラン1の実行を考えるに当たって重要なのは頭勘定だ。この案に皆が賛同してコイツをフクロに
してくれるなら、問題ないが、あのシスターはなんだかんだとアキ缶娘側に廻りそうだ。
そして紫宮も正々堂々正面突破の性格だったはず、のってくるとは思えん。それに…アンは紫宮を
見てプラン1を完全に諦めた。

彼女はキラキラしていた。
一見、少年を守ろうと周囲警戒を怠ってないよう鉄壁のガード、そしてシリアス面を装おうとして
いたが、話している少年(おうじさま)と妖精さんを見る目が完全にメルヘンモードになっていた。
あの完全にキラキラした眼をみれば、別の意味で戦闘できる状態じゃないのはマルわかりだ。

先ほど自分と引き分けた乱入者はまだ余力を残しているようだが、さりとて急に共闘体制とれる
とも思えない。それに今は、彼女からあの殺気だった冷徹な感じを受けなかった。寧ろなんというか…、これだから、…は。

482しらなみ:2014/04/16(水) 05:35:18
●一・六九は綴らない(タイムループ症候群)
「達成は困難…」
人工頭脳BouleOSの作動により特殊空間の分析を完了した一・六九こと、十束学園の派遣兵力
RMX-114は瑠璃色に囲まれ閉ざされた空間の中、自らが導き出した結論をポツリつぶやいた。

ターゲットである少年が連れ去られる瞬間、同じ異空間に潜り込めたことは僥倖だった。
本来ならば引きつづき武力に訴え、少年の強奪作戦を継続したいところであったが…、
彼女は、左手を下げたまま指先を軽く振り自身の状態を確認した。

殲滅戦(みなごろし)が可能かどうか。
今この場にいるのは彼女を含め、7名。
ご丁寧に部外者である自分以外、大会ランキングの暫定一位から四位が勢ぞろいした形となっている。
故意か。
偶発か。
いずれにしろ下手に動けば囲まれ棒で打たれることになるだろう。
流石にここを力押しで通せると断ずるほど、彼女は己の力に自惚れてはいなかった。

―――RMX-114は訥々と思考を続ける。
むしろ問題は作戦方針を”強硬”から”懐柔接近”へと切り替えた場合の己が力量だ。

そう思い至った時、彼女はぶるりと身を震わせた。

自分は何もできなかった。
少年の頭を股間の間に挟み込むほど密着していたにも関わらず、自分はそこから哀しいほど
何もできなかった。
抱きかかえることもすり寄ることも喘ぐこともなく、ただ、身を縮こませていただけだった。

冷や水を浴びた様な不思議な感覚に襲われる。冷徹な装いを続ける彼女の精神の外装が剥がれ、
何かが彼女の中に浸食し始めたのだ。
RMX-114、今からでも遅くない、一・六九として彼の所有権を主張し紫宮やその他の女どもの
接近を牽制すべきなのだ。腕を組みにいってもいい、情に訴えてもいい
与えられた”家族”と言うアドバンテージ最大に使って、硬軟交えた選択肢を取るべきなのだ。
・・・・
・・・
・・・・
・・・・不可能事項。

彼女は頭から否定する。何故なら自分は”本物”の家族ではないからだ。
本物でないから、
だから家族である自分の元からあっけないほど離れ、彼は今、別の輪の中心にいるのだ。

それは人工物(ドール)としてのアイデンティティしか持ち得ていない彼女の哀しさだった。
単純な戦闘力ではズバ抜けていたのだが、元々、要人暗殺の要員として設定されていた存在故に
彼女は対人要素に関わる駆け引きには恐ろしいほど稚拙であった。
自分は未来から送り込まれた超機関の孤独なソルジャー、本来の六九という存在を踏み台にして存在
している異物。

”だから”
”だから”
自分はどうしてもあの人へ向かっての一歩を踏み出せない…。

それはあまりに臆病で飛躍した結論。
彼女は抜けだせない迷路を常にぐるぐると廻っていた。
そしてその『結論』はRMX-114の与えられた”特殊任務”、救世主生誕の『妨害』というミッションに
重大な齟齬を生じさせていた。

(まだできることは…ある…。私の身体はまだもう少し持つ…死滅前に…。)

RMX-114は少年と少女を油断なく見据えながらも、自らの体内の戦闘残量を図る。
戦うだけに存在する機械は戦いの中に散る覚悟を決めた。
もし、この場所が人工頭脳の”分析通りの存在”であるなら、自分にもまだ任務達成の最後の
チャンスがある。その場合「鍵」になるのはタイミングだった。

任務は遂行する。

(しかし、ここに来てから情緒が不安定化している。なんだこのザワザワした感覚は)
定められた命しかない自分のナノ細胞、その壊死による近づく自己崩壊。
高まる胸騒ぎと中二力。
そのざわつきを、胸騒ぎの正体を一族の者ならこう称しただろう。

虫の知らせと。

彼女は己がシステムBouleOSの予測すら上回る”予兆”が起きていることにいまだ気づいていなかった。

†††

「せ、先生みてくださいよ」
「知るかボケーーーーー」

アンは新調されたピングの看護服を見せびらかしてきたナス子にとりあえず定番の蹴りを一発入れ気を
落ちつけさせると綾鷹のほうを見上げ、忌々しげに毒づいた。
「…シンデレラの魔女か…テメェーわ。」

生々独り言としては大きい呟きだった。毒つきを聞きとめた綾鷹が段を下りる足を止め、
面白そうにアンラクシ―のほうを見やった。

『…シンデレラの魔女?ああ、童話の登場人物のことか。それで「合ってる」な。わらわが
本大会で与えられた役割はそれだったからな。上手いこと例えるじゃないかーアンラクシー。』

好・感・触。

(ま、かなりの喋りたがりな感じだしプラン2で問題なくいけそうだナ…むしろ、好感触って
なんだよ、電○少年とかネタ古すぎだロ、最近の若い奴はしらねーんじゃねえか…ってオイ。)

483超時空軽空母『綾鷹』:2014/04/16(水) 05:37:00
アンは自分で振っておきながらアキカン娘から返ってきた返答に軽く舌打ちした。
おかしい。本来綾鷹は前日の鼓膜破けて”耳が聞こえなくなっている”はずなのに”聞こえて”やがるのだ。
選手の治療役だった月の巫女は前日にシスターマリに倒され、病院送り。条件が皆同じなら
通常手段では治療できないはずだ。実際に紫宮は聞こえないまま、この場にいる。

「お前、一体、何者なんだ。何が目的だ。」

苛立ちからでた言葉。これは本心からの問いかけだった。
このアキ缶娘にはなんだかんだで大会初日から絡んでたが、行動と言動とも不可解、極まりない。
別段、大会の裏事情などとかどうでもよかったが、自分に関わった範疇程度は
すっきりさせておきたいところだった。
そしてその答えは存外にあっさり返ってきた。

『ああ、わらわは主催者のツレだ。』

†††

『わらわは大会主催者の知り合いだ。命運尽きそうなじーさんに”今際の際のお願い”っての
個人的にされたので、ちょいと捻じ込んで大会参加させてもらった。
ここの主催者は「缶むす」のスポンサーでもあるからなら、それほど無理な話でもないだろ。』

大会主催者と缶娘の出資者が同一。
その言葉に六九と耳が聞こえない紫音以外の全員が顔を見合わせた。あまりに意外な、いや賞金に
一兆円だす酔狂な大会運営だ。意表はついていても意外ではないかもしれない。
 六九は”じーさん””今際”という言葉に僅かに反応した後、ただ黙し、己が身をより深く
周囲の青に馴染ませていっていた。マリは見合わせついでに少し、位置を変える。

『んで、じいさんが最後に「賞品の少年」に会いたいってんで身柄の確保もかね”ここ”に
連れ込ませて貰った。全員ひっついてくるとは流石のわらわも吃驚だったが』

ここで一度言葉を切ると全員を綾鷹は見渡し、にやりと笑う。

『ただお前が知りたいのはそんなことではないだろう。知りたいのはどっちかというと
自分に関わること、この大会は”何だった”のか、そして自分達がどういう立場に立っていた
のかというようなことのはずだ。』

そして彼女は目の前にある黄金の扉を指差した。

『答えはこの先にある。』

扉?全員最初何を言われたのか判らなかった。そして何時の間にか彼女の前に現れた扉の存在に
気づき、全員の口があんぐりと開かれる。
さきほどまでそんなものは存在しなかったはずだ、なんだこの無茶苦茶な空間は?

その扉は両手を広げたより更に広く、閂(かんぬき)がかかっている重厚なものだった。
こうなると扉と言うより門に近い。
綾鷹は自分の頭に輝く『綾鷹』と書かれたプレートを差しぬくとそのまま表札の位置に差し込む。

「パスワードをどうぞ」『”選ばれたのは綾鷹です”』「確認しました封鎖解除します」『うむ』

(ネタ用の装飾具と見せかけて!)(IDカードだったのかアレ!)

『そこの少年。 』

綾鷹は扉のロックが解除されたのを確認すると背を向けたまま、少年に声をかけた。
少年からは表情は見えない。

「は、はい。」
少年は姿勢を正すと改まった声で返答を返す。この呼びかけに何か逆らえない重いモノを
感じたからだ。その声を聞いた綾鷹は厳しめだった声を少しだけ和らけて続けた。

『…じーさんに会っていけ。答えはその先にある。
ただ病人相手だから、面会の同伴者は一人までとさせてもらう。誰にするかはお前が選べ』

ボクが選ぶ?
少年は一瞬、戸惑った。会うべきなのだろう。そこは判る。

主催者が自分に会いたがっているとは先ほどの会話にも出てきた。
自分に会うことが主催者に「最後に」「予定されていたこと」だというのなら寧ろ絶対に会わなければならないだろう。

彼に拒否という選択はない。

ここで逃げ出すことは自分が被った被害はおいておくとして、この騒動に翻弄された多くの人達の為に、
自分が何かできる機会を逃すことになる。
そして次の機会は自分には、そしておそらく主催者にもないのだろうから。

もう一人、選ぶ
少年は、ごく自然な動作で自分の横にいる少女を見やった。ここ数日、共に過ごした少女を。

彼女は不思議な人だった。胸もそれほど大きくないのに、どんな困難な状況であろうと恐れず立ち向かい
決して怯むことがない。
どんな苦難であろうと伴に乗り越えようと思えてくれる、そんな勇気をくれる力強い眼をした人だった。

少年は頷く。
一緒にいこう。
そう彼が口を開き、手を伸ばした瞬間、一陣の風が彼の顔を撫でる。凶風が開き始めた扉の前を立つ綾鷹を襲ったのだ。

484超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 06:54:28
●自重、自ら沈む重み(タイムループ症候群II)

予兆は波紋だった。
綾鷹は振り返ることなくサイドステップを踏み、大きく左へと飛びのいた。



機構少女・RMX-114は究極の初見殺しである。
予備知識無く対した武術家、格闘の達人は、例外なく瞬殺の憂き目に会う。
彼らは目前に飛来した死神をただ茫然と眺め、己に振るう手刀を眼に焼けつけながら、
無為のまま地に伏すという恥辱を経験することとなるのだ。そこに慈悲はない。

例え、目の前に現れたこの小柄な少女を全力で警戒し、万全の構えを取っていた
としても、同じだ。その急接近に応えること叶わず彼女に先手をとられる。後の先はない。

その秘密は初期加速の術(すべ)にあった。
彼女の背部と脚部に搭載されたイオンエンジンによる推進システム「飛燕」の力である。
ホバリングで浮き上がり、そこからノ―モーションで爆発的な初期加速を得る。
それが動きを『読み合う』武術家達にとって致命的遅れを生み出す。

筋肉であれ自重であれ、動作には予備動作が伴う。その予兆を見落とさないよう
神経を研ぎ澄まし日頃から備える彼らだからこそ、見落とす。
”動きがない”移動に。

神速を誇るRMX-114ではあるが、音より早く動けるわけでもなく、眼にもとまらぬ
速さと言うわけでもない。
だが、彼らの眼にはこの小柄の少女の身体がまるで突如膨張したかのように映るだろう。
そして
拳から発せられる強力な電撃が、彼らの今までの修練をあざ笑うかのように凪ぎ倒しにかかるのだ。
まるでガトリング砲を喰らった御庭番衆のような顔をして。

無動作による動作、武術が目指す一つの究極を為し得たのは、単なる機械技術だった。

そう私は機械だ。奴は機械、自分達は人間、兵器と武術を混合してはいけない。同列に
語ってはいけない。そういい合い己を慰めているがいい、人間どもめ。



RMX-114は初動の為のホバーリング作動を開始した際、床の表面が自分中心に漣たっている
ことに気が付いた。
それはほんの僅かにささくれだった波紋ではあったがまるで水面上にいるかのように、薄く、
淡く青一色の床を広がっていっていた。浮力を得るための震動がそのまま床に伝わっているのだ。

RMX-114は疑問に思い、記憶を探ったが、他の人間が動いた時そのような波紋現象は起きていな
かった。では自分だけ何故起こっているのか…彼女は続いて自身と他者の差異点を探った。
そして思い至る。綾鷹が放った『コスチューム変更』の術だ。あのとき自分だけが対象外だった。
アレがもしこのフゥロワーにおいて油膜のように働くような性質だったと仮定したのなら、
現行の現象の説明が付く。
綾鷹に目を向ける。彼女は背を向けたまま、扉の前にいた。視線の向きは―不明だ。
初動を見抜くため、波動を見ているのか。
味方の態勢立て直しだけでなく、こちらの動きを把握するための工作を労したというのか。

綾鷹は当然として、周りの連中もこの現象に気づいている可能性も高い。
それならそれで、いいだろう、腕の一本くらいはくれてやろう。
RMX-114は心の中でそう結論づけた。

485超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 07:01:37
†††
綾鷹はその身を一瞬沈ませたかと思うと振り返ることなくサイドステップを踏み、大きく
左へと飛びのいた。
予備動作がほとんどないスムーズな動きだった。達人たちが使う自重を利用した加速での
動きだが、特記すべきはその回避のタイミング、RMX-114が推進をかけるのとほぼ同タイミングだった。

―純粋な読み勝負になればあちらが上―

となれば当然空振り。扉へ向かい突進した先に当然、綾鷹は居なく、振り下ろすべき先の
ない手刀も空を切るしかなくなる。
しかも、今の二人の両者の距離は測ったようにエネルギソードによる電撃を浴びせれるギリギリ
の間合いとなっていた。

―攻撃を誘っている…。カウンター狙いか…―
恐らく振りあげた掌”雷神”をそのまま切り返し”しならせて”対象に放ってもすり抜けられる。

全く持って予測の範疇だった。
影は突進した姿勢のまま、左手を振り切らず、手にした武装を敵にも放たず、ただ”カチリ”と水平に構えた。

腕にあらわれた武装の名はWOZ-068「裂光」。
彼女の左手に常備されている対転校生用を想定して作られた大型レーザーライフルである。
彼女が形成していた武器は近接用の雷神ではなかった。
そしては彼女は本来の射程、用途を完全に無視し、その銃口をレーザー剣のようにふるい綾鷹とその周辺をぶった切ったのだ。

この距離なら、あえて狙い定める必要はなかった。ただ凪ぎ払い、撃ち尽くすことで事足りる。
GOOWWW
床を撫でる光線、立ち上る蒸気。
手ごたえはあった。だが、その成果を確認することなく、銃を撃ち終えた機械の少女は次なる危機に直面する。
それは死角より放たれた刺客の十字架。
彼女ほどの者ですら感知しえない、故に対応もできない。宙を舞う天使による迷いのない一撃が振り下ろされたのだ。



マリーは元来、不器用な性質である。
後にブラッディーマリーという不名誉な二つ名を頂くことになる彼女だが、その主因は
その不器用さによるところが大きい。
彼女の戦闘原理は単純である。相手の隙とか急所がなんとなく分かるので”これ”という
ところに思いっきり武器を振り下ろす。もしくはそこに至るまでの『線』が、やはり
なんとなく見えるのでそれに沿って動く。

基本それだけなのだが、相手側にして見るとこれらが非常に巧妙な攻撃として映る。
こうやられたら嫌だなとかここがヤバいと考えているところ、またはまるで意識していない
回避できない死角のド真ん中に彼女はドンと十字架を打ち込んでくるのだ。やたら的確に。
その容赦のなさが大会後期の再起不能者の量産という時点に発展するのだが、マリーの立場としては
「すんません実はそれ以外できないんっす」ということになる。
彼女とて負けるわけにはいかない理由があるのだ。それが彼女を敗者から勝者に変えた。

マリーが少女を視て、まず感心したのはその肝心の付け入る『ライン』が全く見当たらなかった
ことだった。全く隙がない。少なくとも自分では崩せないレベルに彼女はいる。
周囲への警戒を怠ってないということもあるだろうが、確たる拒絶といった印象が深い。
攻撃どころか会話のとっかかりすら見えないほどの頑迷さであった。色々事情が合ってやって
来る孤児院の子供たちでもここまでガードの固い、頑な相手はそうはいなかった。
マリーは唸る。苦手なタイプだった。そして、そういうとき孤児院で突破口を開くのは
いつも同じ(エルザ)だった。甘えてまかせっきりだったのは大いに反省すべき点かもしれない。

彼女は全員が視野に収まるよう位置取りを変え、それから綾鷹の動きに視線を注いだ。
そもそも、やることは共同戦線。しかも合図してきたのは綾鷹側だ。
下手なことは考えず、彼女がどう動きどうしたいのかを捉え、その動きに併せ行動すればいい。

そう思って改めて彼女のほうを見ると、これ以上無いくらいハッキリと線がある。というか
やたら太い上にでかでかとデッカイ矢印で「welcome!」とかいてあるのが見えるくらい
ハッキリ見えた。
そういうところは彼女の親友にそっくりかもしれない。笑いだすのを堪えるのがちょっと大変だった。

486超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 07:04:05
(それじゃお任せコースで)
自分はサポートに徹する。
彼女の動きに併せ、あとは身体が自然に動いた。

戦鬼ブラッディ・マリー。
その最たる才は『共感』
相手の死線を突く死神の顔はあくまで、一つの側面でしかなかった。
彼女の才能の本来の活かし方は、相手と共鳴しそれを感じとる力。対極にあった。

そして相手の意識を汲み取り行動するその『共感』という名の才は
時に親友の助け船を得ながら、複雑な事情を抱える子供たちと不器用ながらも接して、
修道院生活の日々の中で少しづつ、培われていったものだった

才は神から授かったモノかもしれない。だがそれは同時に間違いなく子供たちとエルザからの贈り物でもあった。




誰であれ攻撃する瞬間は隙が発生する。
完全に死角をついたマリーの攻撃に、RMX-114は全く反応できなかった。
なので次に起こった出来ごともあくまで『偶然』の出来事だった。

マリーの振るう十字架の前に「裂光」があらわれたのだ。
「なっ」
予想外の迎撃に驚きの声を上げるマリ。
無分慮の砲撃が原因だった。我が身を顧みないRMX-114、その暴発気味な一撃に振り回された銃身が
発射の反動と慣性に沿って上へと跳ねあがり、振り下ろした重十字架「ファルコネン」と交差する
形で、衝突したのだ。
その動きは意図したものではない偶意。だがそれは我が身を捨て貫く覚悟がなければ決して
起らぬ偶然でもあった。

はじき飛ぶ裂光。
受けによるブレは僅かコンマ数秒、だが冷徹なる機械にとってその刹那で充分であった。
彼女は左肘から先の回収を諦め、次の動作に入る。

タイムブースター「闇掌」作動。
あとは、ちょっとしたタイムブースターシステムの応用だった。RMX-114は刹那、受けた
衝撃に千倍速度の踏み込みを加え軌道修正を行いながらロケットのように後ろ向きに弾きとぶ。

向かう先は半開きの扉。

発生した衝撃を十字架を盾になんとか受け流すマリー。死線を追った彼女が視た時には
影は捻じ込むように自らを扉の中へと押しこみ、その姿を消していた。
機械の執念が、天賦の才を凌駕した。

487超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 07:04:33


『追え。少年』
突然の事態に固まっていた少年は蒸気のなかから発せられた鋭い叫びに我へと帰る。
だが、足は止まったままだ。
砲撃を受けたらしい綾鷹を捨ておいて、自分の家族を追いかけていっていいのか、迷ったのだ。

むしろ、声に忠実に反応したのは少年よりも耳の聞こえない紫宮だった。
”追いかけないと良くない事が起きる”彼女の感性がそう判断したのだろう。
戸惑う少年の手を掴むと励ますように一度力強く握った後、自分のほうに手繰り寄せた。
確かな進むべき道への意思表示。選んだのは少年ではなく少女のほうだった。
二人は消えた影を追い、扉へと消えていく。

マリーは、身をくるり翻し十字架が受けた衝撃を吸収しながら床にすたりと着地する。
彼女は影が消え去った後の扉に暫く視線を向かわせ考えていたが、振り返り、声をあげた。

「師匠。アレでよかったんですか」
呼びかけた先は、いまだ煙幕の中にいる綾鷹だった。
自分も追わなければと一度、扉に足が向かいかけたが綾鷹の「少年」という指定に
思いとどまった。追えと言われなかった、寧ろ追うなという制止に聞こえたくらいだ。

爆煙が立ち消えた後、お師匠さんは左手を前に付きだした奇妙な構えで立っていた。
直撃を受けたように思えたが目立ったダメージはなさそうだ。
なんだか酷く不貞腐れたご様子で左手を軽くふるう。その一振りで彼女の周りに
舞っていた銀粉が左手に吸い込まれるように収束していった。

『…………前云わなかったか?ガキの相手は苦手だって』
「オレだって苦手ですよ。そこらへんとこはエルザにまかせっきりでしたし」

「やれやれ呑気な連中だな。」
そう声をかけたのはアンだった。
急いであの人たち追いかけましょう!と今にも駆けだしそうだったナス子の首を
ひっ掴むと綾鷹たちの元にのんびり刀でやってきた。
彼女には加勢する義理がなかったので、ゆっくり見に廻っていたのだ。
鼻を鳴らして左手を見る。

「今度のはなんだ?ウィザード」
「先生!!ごぞんじないのですか!?あれこそが、あらゆる異能を消し去るという
伝説の能力、その名も神殺s…ひげぶ」
「お前、ちょっと黙ってろ」

ナス子のあまりに危険が危ないまぜっかえしにアン先生のマジカル☆ニーが
炸裂した。本日2度目の膝で有る。
ウィザードと呼びかけておいてシャイニングウィザードをかます芸達者。
なお一度目の膝は先ほどの何者だテメエ発言の後、ナス子が
「先生!!ごぞんじないのですか!彼女こそ台役からチャンスを掴み、ランキング街道を
駆けあがった超時空缶隊アイドルの缶娘さんじゃないっすか!」
と茶々入れをかました時、我々の見えない角度で放たれていた。
アン先生の慎み深い教育的配慮の結果だった。
(ん、まあ、おかげで今まで感じてた違和感の正体はだいたい見えてきたわけだが)

綾鷹は掛け合い漫才を始めた二人から目を離すと、宙を飛ぶ中継妖精に声をかける。

『でこ娘、じいさん起きたか』
「YES、起きたよ―」
それを聞き、ちっと何故か舌打ちをする綾鷹。
これで自分のやれることは全部やり終えたということだ。後は任せるしかない。

『じゃ、伝えとけ。孫どもが二人ほどそっちむかった、後はじーさんに任せるってな』

488minion:2014/07/06(日) 21:16:53
庵白彩。それと剣士繋がりで八一八ちゃんも。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44543763

489minion:2014/07/24(木) 01:05:33
【R-18】ラクティ・パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44893121
甲殻類特有の求愛行動なので、猥褻さはありません。そんな気がする。

490minion:2014/08/02(土) 22:24:04
『緒子ちゃん、らあめんを食べる』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4121927
メインヒロイン:紫ノ宮緒子
客演:鏑木諒子

tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=45086906
挿絵です。ポニーテールカワイイ。

491そーラン:2014/08/04(月) 23:42:32
>>490

諒子ちゃんは俺が初めてダンゲロスに投稿したキャラでとても気に入っている子なので、minionさんのお話の中に出演させて頂いてすごく嬉しいです!
あと緒子ちゃんも結構好きなキャラだったりするので、諒子ちゃんや一君との絡みを読んでほっこりニヤニヤしてしまいました。本当にごちそうさまです!

キャンペーンが終わってもうだいぶ経ちますが、改めて言わせて頂きます。本当に楽しいキャンペーンをありがとうございました!!

以上、そーランでした。

492 ◆GhoRCJOIk2:2014/12/06(土) 11:22:12


493 ◆mh1YVqhd4o:2014/12/06(土) 11:24:44
t

494 ◆K2NBYFDuyQ:2014/12/06(土) 11:25:11


495minion:2015/01/02(金) 22:42:20
【R-18】賞品の少年&数胴兵香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=47948933
生意気系ボクっ娘後輩に口の利き方を教えるのは先輩の務めです。

496ロリバス:2015/01/14(水) 22:50:50
手慰みに書いたので今更公開、財前倉持プロローグ

――深夜
――東京23区 某所 駅前

深夜ともなると、オフィス街の駅前と言えど眠りにつく。
住民が極端に少なく企業ビルが集まるため昼夜人口の差が激しいここは、普段であれば0時を回るとゴースト

タウンと化す。

――だが、今宵は趣が異なった。

駅のロータリーには人だかりができ、普段は深夜営業など行わない飲食店にも明かりがともっている。テレ

ビカメラも居るようだ。
集まった人々の目とカメラは、全て駅のロータリーに佇む2人の女性へと向けられている。

一人はパンツスーツ姿の美女だ。
年齢は20代後半から30代前半と言ったところだろうか。
地が整っているのだろう、ナチュラルメイク・上品だが飾り気のない眼鏡・パリっとしたスーツ。
華やかさとはほど遠いはずのそれらが、彼女の美しさをきわだたせている。
おそらく、彼女の顔を一度もみたことがないという者は少数であろう。
仮に名前を知らぬとあっても、どこかで一度は見たことがあるはずだ。
新聞・ビジネス紙・テレビに講演会。何気なく生活していても、彼女の写真を見る機会はあちこちに転がっ

ている。
彼女の名は財前倉持――今をときめく大企業 ケジメ・マネージメントの若き女社長だ。

だが、彼女の知名度とてもう一人と比べれば劣るだろう。
財前に対するのは大柄な女性だ。
こちらも顔立ちは整っているが、化粧っけのなさとぎらぎらした瞳、そして柔道着の上からでも見て取れる

圧倒的な筋肉量ゆえに感じられるのは凄味だ。

――彼女のその瞳に沸き立たなかった人間はどれほどいようか。

柔道世界大会5連覇
ニューヨークオリンピック屈辱の銀メダル
そして――
悲願の大阪オリンピックの優勝と、翌日の魔人化検査により剥奪された幻の金メダル。

元柔道日本代表
現魔人格闘団体『M-ARTS』代表にしてベルト保持者。
当代最強と唱われた柔道家。
"鬼殺し”入江早織、その人である。
 
互いに著名であるものの、接点があるとは思えない二人。
その二人が、なぜビジネス街の駅のロータリーなどで対峙しているのか
その理由を語るには、少々時間をさかのぼらねばなるまい―――

497ロリバス:2015/01/14(水) 22:53:42
手慰みに書いたので今更公開、財前倉持プロローグ

――深夜
――東京23区 某所 駅前

深夜ともなると、オフィス街の駅前と言えど眠りにつく。
住民が極端に少なく企業ビルが集まるため昼夜人口の差が激しいここは、普段であれば0時を回るとゴーストタウンと化す。

――だが、今宵は趣が異なった。

駅のロータリーには人だかりができ、普段は深夜営業など行わない飲食店にも明かりがともっている。テレビカメラも居るようだ。
集まった人々の目とカメラは、全て駅のロータリーに佇む2人の女性へと向けられている。

一人はパンツスーツ姿の美女だ。
年齢は20代後半から30代前半と言ったところだろうか。
地が整っているのだろう、ナチュラルメイク・上品だが飾り気のない眼鏡・パリっとしたスーツ。
華やかさとはほど遠いはずのそれらが、彼女の美しさをきわだたせている。
おそらく、彼女の顔を一度もみたことがないという者は少数であろう。
仮に名前を知らぬとあっても、どこかで一度は見たことがあるはずだ。
新聞・ビジネス紙・テレビに講演会。何気なく生活していても、彼女の写真を見る機会はあちこちに転がっている。
彼女の名は財前倉持――今をときめく大企業 ケジメ・マネージメントの若き女社長だ。

だが、彼女の知名度とてもう一人と比べれば劣るだろう。
財前に対するのは大柄な女性だ。
こちらも顔立ちは整っているが、化粧っけのなさとぎらぎらした瞳、そして柔道着の上からでも見て取れる

圧倒的な筋肉量ゆえに感じられるのは凄味だ。

――彼女のその瞳に沸き立たなかった人間はどれほどいようか。

柔道世界大会5連覇
ニューヨークオリンピック屈辱の銀メダル
そして――
悲願の大阪オリンピックの優勝と、翌日の魔人化検査により剥奪された幻の金メダル。

元柔道日本代表
現魔人格闘団体『M-ARTS』代表にしてベルト保持者。
当代最強と唱われた柔道家。
"鬼殺し”入江早織、その人である。
 
互いに著名であるものの、接点があるとは思えない二人。
その二人が、なぜビジネス街の駅のロータリーなどで対峙しているのか
その理由を語るには、少々時間をさかのぼらねばなるまい―――

498ロリバス:2015/01/14(水) 22:54:05
◇◇◇

――――女子柔道家 入江早織
人間時代の華々しい成績と、突然の魔人化によるメダル剥奪の悲劇については知らぬ者はいないだろう。
だが、その後の彼女の経歴についてはどうだろうか?

魔人化したスポーツ選手は、活躍の場を著しく奪われる傾向にある。
当然であろう、人と魔人を同じ枠で競技に参加させることはできない。
かといって魔人の競技スポーツを運営しようにも、魔人の能力に耐えられるだけの施設や競技人口の少なさといった問題が浮上する。
必然的に、活躍の場はスポーツからエンターテイメント――格闘家であれば、魔人プロレスなどということになる。

――だが

たとえば、それまで世界の第一線で活躍していて
たとえば、ルールの枠内であらゆる手をつくして勝利することが求められる業界にいて
たとえば、それがいきなり客受けする興行をしろ、といわれて対応できるものだろうか。

最初の試合は超満員であった。悲劇のヒロインをみるため、会場からあふれるほどの観客が訪れた。
しばらくたつと、会場は満員になった。販売開始5分でチケットが売り切れなくなった。
そのうち空席が目立つようになった。ニュースで試合についてとりあげられることも少なくなった。


そして、最後には、試合すら、組まれなくなった。


その後、彼女は所属団体を脱退し新団体「M-ARTS」を組織する。
コンセプトは「世界最高峰の真剣勝負」魔人同士の真剣勝負を標榜した団体である。
口さがのない人々は言った――体の良いリストラだと。事実、それは正しかった。
彼女をはじめとして、所属している選手は団体の持て余した問題児ばかりだったのだから。

必然、人気は出ない。
所属選手で知名度があるのは彼女ぐらいであったし、彼女とてすでに「つまらない試合をする選手」という評価が確定しつつあった。

資金繰り、選手集め、広報。
もはや何一つといって順調ではなく、新団体は解散は秒読みであった。

そんな時……

「ホーリーランドに参加しませんか?」

突然ジムにやってきた、スーツの女は名刺を渡すなり入江にそう打診してきた。
名刺には『ケジメ・マネジメント エンターテイメント事業部』と書かれている。
いぶかしげな表情を浮かべる入江をよそに、女はニコニコと話を続ける。

「ホーリーランドについてはご存じでしょう?」
「ああ」
「我々がスポンサーについて選手を出そうという話になりましてね。その候補として、入江選手、あなたがあがったのです」
「……客寄せパンダとして、か?」

入江の言葉に、社員の表情が僅かに動く。どうやら図星であったようだ。
彼女に見抜かれていることを察したのだろう、社員はほんの少しだけため息をつき、話を続ける。

「ええ、確かにその通りです。実力・知名度は十分。そして……試合のスケジューリングも容易。これだけ条件が整った候補はほかに居ませんからね」

言いながら、女は入江から視線を外し、ジムの中を見回す。
ジムの中には申し訳程度の古びた機材が転がり、それすらもあまるような人数でトレーニングが行われている。

「報酬は充分にださせていただきます。それだけではない。本格参戦が決まれば、宣伝番組を組む予定もある……全国ネット番組にも、もう随分久しくでていないのでは?」

入江は憎悪を込めた視線で女を見返した。その通りであったからだ。
人間だったころに散々向けられたカメラは、もはや頼んでも入江を写してくれることはない。
試合さえ見てもらえれば新団体の理念も理解してもらえる。彼女はそう信じていたが、その機会さえ与えられなかったというのが現実だ。

「いかがでしょう、悪い話ではないと思いますが?」

許されるなら、この女を縊り殺してやりたい。
自分が誰を前にそんな口を聞いているのか……誰を見下しているのか思い知らせてやりたい。
だが、そうすれば入江と『M-ARTS』の未来は完全に閉ざされることとなる。
彼女が格闘家であり続けるためには、選択肢など残っていなかった。

「……受けよう」

入江の言葉を聞いて女が笑顔を浮かべる。

――この時、入江はオファーを承諾したことに対して笑顔を浮かべていたのだと思った。だが

「ありがとうございます!……あ、ただ説明が遅れましたが一つ条件がありまして……」
「何?」
「予選、といいますか……エキシビジョンを兼ねて、本格参戦の前に戦っていただきたい相手がいるのです。そこで勝てたら入江さんで本決まりということになります……」

――女の浮かべていた笑顔は『罠にかかった獲物を見る笑顔』であったと、後に入江は思い知ることとなった。 


◇◇◇

499ロリバス:2015/01/14(水) 22:54:23

――そのエキシビジョンの相手が、財前倉持だと?

柔道家・入江早織は対峙する相手を睨みつける。
財前倉持、ケジメ・マネジメント社長。面識こそないものの入江とて知らぬ人物ではない。
10代の頃から経営に携わり、大学卒業と同時にケジメ・マネジメント社長就任。
その後、飛ぶ鳥落とす勢いで同社を飛躍させた立役者。天才的な経営者だ。

だが、格闘家としての才能があるようには思えない。

スラリとした体躯はどう見ても筋力不足だし、高すぎる重心は入江にとってたやすく倒せるものとしか見えない。
そもそも、眼鏡をつけたまま、というのが舐めている。まさか、そのまま戦うつもりか?

「改めまして、当社のオファーを受けていただきありがとうございます。入江選手」

くい、と眼鏡を直しながら財前は入江に声をかけてきた。
表情は穏やかで、これから戦うことに対する緊張感は全く感じられない。

「構わんが……本当に、やるのか?」
「ええ、だって入江選手が久々に表舞台に出るんですよ?大々的にやったほうが、話題になるでしょう?」

確かに天才起業家と天才柔道家の組み合わせは否応にも話題になるだろう。
それだけの理由でこの女は入江早織と戦うというのか。
微笑む財前の表情から真意は読み取ることができない。

「手加減はできないぞ」
「大丈夫!我が社は蘇生能力者を始めとした医療スタッフもそろっております。入江選手は心配せず、存分に実力を発揮してください」

なぜこの女はこうも笑顔でいられるのだろう。
入江早織を舐めているのか、終わった選手だと思っているのか。
あるいはスポンサーという首輪をつければ、無茶はしないとでも思っているのか。

――その笑顔を、ぶち壊してやる。

入江早織はそう決めた。
どうせ、もう契約は締結してある。いくらワンマン社長とはいえ反故にすることはできないだろう。
この試合が始まる前の念書にも怪我や死亡に対して責任を負う必要はないことは書かれていたし、蘇生能力者についても確認してある。

――ならば、遠慮は必要ない。この女に、世界に……『入江早織』を思い知らせてやる。

ビルを背に、財前は悠然と立っている。
何も考えていない位置取りだろう、それでは背後に逃げることも出来ない。
開幕と同時に突っ込み、投げ飛ばす。
それで頭蓋を叩き割ってやってもいいし、背骨を砕いてから絞め落としてやってもいい。
どちらにせよ、五体満足では帰さない。

つとめて冷静な表情のまま入江が戦意を燃やしている一方で、財前は今だ微笑むばかりだ。
彼女が時計を確認すると、

「では、始めましょうか」

入江早織は財前倉持のスーツを掴んでいた。
財前に背を向け、膝をつき、重心を低く落とす。
腰を中心に回転させながら、相手を投げ飛ばす。
財前倉持は今だ掴まれたことすら認識していないだろう。
これが入江早織の必殺技、世界を征した背負落である。

「あら、せっかちですね」

ギシ……と音を立てて財前のスーツが軋む。それだけだ。
入江早織は、財前倉持を持ち上げることができない。
重いどころの話ではない。まるで岩か鉄でもつかんだかのように、微動だにする気配すらない。

「どうせなら見せ場を持たせてあげたいと思っていたのですが……早い展開が好みなら仕方ない」

財前の背後、何かが音を立てて動く。
入江は背負落の形のまま地面に視線を向けていた。そのアスファルトに、大きな影が落ちる。

「依頼は依頼とはいえ……どうせ大会にでるなら、話題にしたいじゃないか」

アスファルトに落ちる影が大きくなる。
何か大きな力で、財前を掴んでいた手が無理やり引き剥がされる。指が折れる。
地面に落ちる影が大きくなる。何かが、何かが入江の背後から迫ってくる。

「ええ、あなたは中々大人物だ。なにせあなたを倒すのに……5000万もの資産を使うことになったのだから」

入江はなんとかして財前を向き直る。
彼女の目の前に迫り来るのは、巨大な、ビル。
財前倉持の背後にたっていたビルを、財前は引っこ抜き。入江に叩きつけようとしていた。

ごォン!

駅前ロータリーに轟音が響く。
一瞬前まで入江がいた場所に、ビルが突き刺されている。
ビルの下からは、そこに入江が確かにいた事を証明するように血液があふれていた。

「『デッド・キャット・バウンス』資産価値がなくなった株とて、最後に価値を生み出すことがあります」

財前倉持はその血だまりに笑顔を向け

「ありがとうございます入江さん。充分に、話題を作ることが出来ましたよ」

凄絶に、微笑んだ。

予選 入江早織●―財前倉持○ 決まり手 デッド・キャット・バウンス

500minion:2015/03/28(土) 00:13:03
【R-18】ラクティ・パルプ危機一髪。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49503080
魔法少女といえば触手。

501minion:2015/09/22(火) 00:26:01
紫ノ宮緒子VS伊藤風露。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=52623771
名探偵の追及の手が犯罪者に迫る。その時彼女は……?

502minion:2015/10/01(木) 07:07:48
『渚のハイカラ魔法少女』魔技姫ラクティ☆パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=52797464
プリンセスフォームの圧倒的輝きオーラ……これが年下組筆頭ヒロインの実力ってやつだ!

503minion:2015/10/16(金) 00:45:04
『退魔巫女兵香ちゃん』数胴兵香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=53036975
人に悪さをする妖怪を追い詰めた巫女の兵香だったが、いざとどめというところで一に制止される。彼の真意とは……?

504minion:2015/12/07(月) 01:42:48
『新婚生活×2』守口衛子&数胴兵香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=53880225
先輩後輩の貧乳コンビでW裸エプロン新婚生活。仲が良いので一緒に嫁でも問題ないし、嫁なので裸エプロンにしても問題ないので二重に大丈夫です。

505minion:2015/12/19(土) 01:44:33
天奈瑞。Eカップなのでおっぱいがおっきい。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=54055665
ダークスーツを着ていると言っても、たまにはジャケットを脱いでいても良いのでは?

506超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:03:50
1年何か月ぶりの投稿。完結まではもう少しありますけど、とりあえず切りのいいところまで

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●トリニティ・ラブ(タイムループ症候群III)

ほとんど吹き飛ばされる形で扉を潜った少女は、薄く蒼光りする通路に投げ出される。
そこは吸う空気までが蒼く映えるかにみえる回廊であった。
マリン一色、部屋よりも一段濃暗が濃かったため、それがまるで水中の中にとびこんだ
様な錯覚を彼女に与えた。

ドルフィンのような華麗な身の捌きで空中で身を捻ると少女は着地する。
着地同時にナノの一部が彼女の失った左手先から漏れ出し、水しぶきの様に跳ねあがった。

組織の崩壊はもう止まらない。あとは崩壊が先か目的達成が先か、ただ走りぬけるまでだ。
(ここは?)
――記憶回路。映像。回避の必要はない。奥へ進め。

持ち前の解析力を活かし即座に分析を終えたBouleOSから指示が下る。
回避?
彼女の目に最初に飛び込んできたのは『居合蹴りを鮮やかに放つ紫宮のビジョン』だったからだ。
それは現実の紫宮ではなく壁に映った映像ではあったが、思わず飛びのきたくなるほどの
映像とは思えぬ迫力を兼ね備えていた。

無表情にその映像を受け止めると、彼女は顔を回廊のより奥へと向けた。
そこには流れ作業のように幾つもの映像が消えは現れ、連なり、次々と映し出されていた。
なるほど記憶か、少女は一呼吸置くと回廊の壁に映し出された画像群を確認しつつ奥へと走り出した。

―七日目―
最初の角を曲がると電光を構え猛烈なスピードでこちらに迫る自分自身の姿が其処に会った。
そう『あの時』の映像だ。少女は頷く。

足を止めることなく直進、そこからはらせん状の下り階段となっている。映像は続く。

―六日目―
次に映ったのは貼り付けにされた女神と豪勢なフロワー、そして映像の中に映し出される
複数のTV画面。なるほどこれなら各地の戦闘状況が一挙に見て取れる。

―五日目―
ラバースーツ姿の美女の巨乳が揺れる。おっぱい。

―四日目―
突進し、画面一杯に広がるスズハラの眷属。それは踵落としをくらいアスファルトに激突した。

―三日目―
砂浜での戦い。シスターの十字架が砂塵を捲き上げる

―二日目―
闘いの末、倒れた女王蜂にかけよる選手たちのシーン。

―初日―
再び砂浜。野外ステージ場には肉食系OLと簀巻きにされた雑誌記者…、記者に関するデータ―はない。

映像を流し見つつ少女は無言のまま、駆け抜ける。下へ下へと。

そして回廊の終り、
―零日目―
終着であろう扉に映っていたのは、覗きこむように顔を近づける缶を被った娘の姿。
不敵に笑うその様は紛れもなく綾鷹本人に違いなかった。

数千の魔人サンプルを有するBouleOSの見立てによれば
ここはあの自称軽空母の魔人能力によって作られた空間であり、私達は今「奴」の心の中にいることになる。

彼女の魔人能力で有るなら、この空間を構築しただろう当の術者本人が何故映っているのか、
先ほどの一連の映像はなんだったのか。
答えは明白、OSの指摘した通り彼女の眼を通して見た「記憶」だからだ。ただし、零日目だけは違う
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
この記憶は綾鷹のモノではない、これは綾鷹の眼を通し彼女の見ていたものを視ていた人物の記憶だ。

フィクサーだ。フィクサーはこの大会の一部始終を参加者視点という特等席で視ていたのだ。
命尽きる前に魔人能力を用いて魔人空間に退避したのだ。恐らくは全ての顛末を最後まで見届けるために。

本大会主催者。大会発表後、世界中の機関が束になっても居所すら掴めぬこの国の影の支配者。
「救世主プロジェクト」の元凶。
「少年」と「少女」をひきあわせ掛けあわせた、未来における学園の災禍の全ての元凶。十束学園・第一級暗殺対象。
超時空軽空母のツレ(?)。

RMX-114は笑った。元凶が直ぐそこにいる。もはや『少年』に拘る必要はない。
実際、金星大きいのだ。
十束学園側からすれば対処すべき優先順位は「フィクサー」のほうが「少年」より上位に当たる。
用意された”引き継ぎ”が行われる前に「彼」を消し去ってしまえば、未来における自分達の災渦は
発生しないからだ。
元々要人暗殺用として用立てられたRMX-114にとって。暗殺行使へのミッション切り替えに是非もなかった。

――そうなの?

不意に湧きあがった疑問に「そうだ、それが与えられた使命だ」と少女は自ら言い聞かせるよう独り呟いた。

507超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:04:17


そして彼女は病室に到達する。
青一色の回廊を抜けると今度は青と白のコントラスト、先ほどどこか神秘的な装いとは180度変わった。
明るい晴れやかなイメージが少女の前に現れていた。

そこは想像していた集中治療室のような重々しいものではなかった。
ベットのほかには机がある程度、清潔ではあるが極めて質素な部屋だった。唯一、海洋を見渡せる窓
だけが、唯一部屋に彩りを与えており。海面が光を反射しキラキラと輝き、その上には小さく空を行く
カモメの影が見え隠れする。

部屋には二人。
ベットには老人が一人。脇にはピンクのナース服を着た少女が控えていたが、老人はこの来訪者の
登場に驚いた様子も見せず、少女を制すると自力でゆっくりと上半身を病床より持ち上げた。
齢は80を超えているだろう。若いころはさぞ精悍であっただろうと思われるが今はなんのこともない
無力な老人。戦意や覇気、抗う気力といった抗いの意志はそこにはなかった。
その好々爺した姿からは半世紀に渡り、この国と共にあった国士としての威厳は感じとれなかった。

全ての手筈を用意周到に整え、彼の全てを引き継ぐに足る器がここに到りつくのを待っていた
だろうその人物は、現れた刺客に対して、あろうことか手を広げ、優しく笑いかける。

運命を受け入れたか。少女は僅かばかり眉を挙げ、ターゲットを凝視する。
あとは一息に距離を詰め、胸元に飛び込み、全てを終わらせるだけ。殺人機械である自分には容易いことだった。




この最終局面を迎え、一つ、ひっそりと新たな動きが発生した。
彼女の中に内蔵された人工魔人頭脳システムBouleOSがその本来の役割をなさんと起動しはじめたのだ。
OSは『未来の本体』に対し、この世界で収集した情報を未来に向かって発信をする為のカウントを刻み始めた。

BouleOSの最大の目的はRMX-114のサポートではない。第一目的はあくまでRMX-114が収集した情報を未来に
存在する十束学園へ送り届けることにある。
自分はこの忠実な分身と共に得た情報を未来の自分に対し、学園の指示通りに送り続けていればよい。
今回のあるいは今まで繰り返したRMX-114の試みが成功であれ失敗であれ、正否は問われない。送ることこそが
重要なのだ。彼女の中の機械はそう考えている。

自分達は末端であり、最終判断するのは未来の『正史』に鎮座する本体であるからだ。
もし今回が失敗と判断されても彼のメインホストはその情報を参考に改修を施したRMX-TYPEを作りだし、
再び過去の一六九の胎体の元に送り込む。
そして発生した過去は常に上書きされ、更新され続ける。
そう何れ『学園』が万全であると満足する結末に到達するまで。ループは繰り返し続くのだ。

『正史』からの執拗な歴史改ざん。それがRMX-114のもつ宿業、無限ループの正体。
ALL FOR 十束学園。
全ては学園の都合のいい結末の為に。

とまれ今回、今まで所在不明だったフィクサーの位置情報を得たのは飛躍的な全身だった。
あとはEnter(実行)キーを押し、この老人を排除するだけ、まだこの身体の組織崩壊には十分間がある。
忠実な分身が作業に移してくれるだろう。
―――――
実行。
実行。
実行。
―――――。
だが、忠実な分身であるはずの身体はフリーズしたままピクリとも動かなかった。
―――RMX-114?実行?

BouleOSに少なからぬ衝撃が走る。それは今まで幾多幾層も繰り返して来たタイムループでも一度も
発生し得なかった現象だったからだ。
――――――――――RMX-114、対応。

彼女は全身に脂汗を掻きながら見えない何かと格闘していた。
いまだかつて感じたことのない何かが、彼女を、その足をその場に縫いとめていた。

508超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:08:42
●藍は青よりも青し。血は水よりも(タイムループ症候群Ⅳ)

人工魔人頭脳システムBouleOSは、自身のバイパス所有者RMX-114の異常事態(フリーズ)を覚ると原因分析を始めた。

――原因の特定に成功。確率91%
――対象のEO(えらそーおーら)値測定不能。EO値測定不能。RMX-114の数値5。現状最大の阻害要素と認識。

原因検出までかかった時間は僅か0.05秒。原因は意外なところにあった。
それはBouleOS自身の不手際、「場の空気を読んだ」ためだった。
RMX-114が他のメンバーと最初に特殊空間に降りた際、OSが最初にした作業は、魔人能力の調査。
分析の為に、特殊空間の因子を一滴、サンプルを取りこむことだった。そしてマニュアルに従いその空間に
順応できるよう彼女の状態を最適化(カスタマイズ)したのだが、それが誤りとなった。

この空間は一分子一分子、フィクサーの精神で出来ている。それを彼女は内側に取りこんでしまっていた。
それが周囲の空間と共鳴し、染みいでるように徐々に彼女の精神に浸水していっていたのだ。

【環境への順応】と言えば聞こえはよいが言い換えればそれは場に馴染むための【認識の共通】である。
フィクサーは魔人ではなくあくまで単なる人間であるから、能動的に何か手を打っているわけではない。
また認識勝負に関していえば魔人であるRMX-114が人間である彼に劣るとは考えにくい
ただ、問題はその精神の大きさにあった。そこに鎮座するのは、半世紀、一国を支え続けた英傑の精神である。

【認識の共通】に照らし合わせればフィクサーは日本社会のピラミッドの頂点であり、彼女は大会長を
前にした就職前の女学生にも等しい存在だ。BouleOSはそう結論付けた。
そこにいるだけで圧倒的な浸透圧(カリスマ)が、彼女を押し込め、畏怖させているのだろうと。

BouleOSは、打開策を模索し始める。
――力関係を無効とする空間順応。再構築が必要。ナノ・時間的制約有。実行不可。破棄。仮想人格。起動。

原因特定から0.2秒後、無情にもBouleOSは主人格の破棄を決定した。
どんな強固な防波堤をひいていても一度ほころびが出来れば脆い、僅かな蟻の穴から堤防は崩れていくものなのだ。

pppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppp

BouleOSは、RMX-114の状態復旧を放棄し、任務遂行のため自らが宿主に取って代わる強制執行の手続きに入る。
各種伝達指令を遮断、
仮想人格「ダミープログラム」起動、目標のEO力を除外できる設定プログラムを構築準備…

淀みなく流れる作業、そして同時に未来の本体『魔人頭脳』への情報送信の準備を始める。
今回も失敗である。だがその失敗例を元に上書きされた次の過去はより望ましいものとなるであろう。
そして我らはまた弛まなく進歩し続ける。それが永続の学術機関「十束学園」の真髄である。オールフォー十束学園。

ppppppppppppppppppp―プッツン―――h?

だがBouleOSはその作業を完遂することなく終わりを迎える。突如、襲来した何かにより送信機能が停止したのだ。

ガガガガガガガガ。
何かを破壊するような音が周囲に響く。

―GAGAGA/////error? error? invade? CRASH!?アイエエエCRASHCRASHナンデ!?

機械を打ち砕きつつあるのはどこぞより飛来した手裏剣めいた奇襲、BouleOSは攻撃元の特定に入る。
検出までかかった時間は、時間は、

――特定不可。悪質。不明不明、理解不能理解不能。送信を。送信を。送信を―ツ―ッ――ッ――ッ――

そうそれは堤防が蟻の一穴から崩れる様に生み出された一滴(%)の誤算。
それによる致命的な一撃はosの想定しうる外部でも内部でもなく「彼女の精神の裏側」から振り下ろされた。





あの人の姿を一目視た瞬間、視界が急激にぼやけた。
足元が今まで感じたこともないほどゆらぐ、ぐらつく
身体は前のめりの姿勢のままなのに、意識が物凄い勢いで後づさりをしようとしているのを感じる。

何が起こっている。

目標を視認してからの彼女は一歩も動けなかった。
ただ行きかうのは 怖い、行かなきゃ、怖い、行かなきゃ、ひっこめは出る感情の繰り返し。

そんな彼女にやがて訪れた感情は自嘲。困惑。自失と孤独。感じた順番はその順だった。

509超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:09:56
自嘲は視界端に浮かんだBouleOSによる『強制終了(OharaibakoDos)』のカウントダウンを目にした時、
どうやら役立たずとして主人格(じぶん)の意識を廃棄する気らしい。
使い捨て…最後と息込んだ任務すら遂行できずに中途で取り上げられる己の不甲斐なさを哂った。

困惑はそのカウント秒読みが突如、止み、OSが停止したことによって起こった。
切り離され、自身が放逐されたかと思ったがそういう訳ではない。
彼女の中であれほど支配力を発揮していたBouleOSが、突如、消滅したのだ。



そして来る。自失と孤独。

































彼女は放り投げ出された。ほとんどの感情制御や行動基準をOSに依存していた彼女は、
全ての強固ば外殻に守られていた彼女は、そこで初めて




自分が生きる世界の広さに初めて恐怖した。






彼女は泣きたくなったが、まずどう泣いてよいか判らなかった。

おそいくる不安をわめき散らしたかったが、わめき方が判らなかった。

何をすればよいかなど考える術などなかった。



自転車の補助輪も外せない子供が、突如、太平洋のまん中に一人ぼっちで投げ出されたようなものだった。

なんでも誰でもよいので助けてほしかったが 縋る藁さえなかった。




漂い。
そして

足掻くこともなく、ただ広い孤独な蒼い海に精神が沈んでいく、


手は海面の光には遥か届かない。


―――大丈夫。

―――いつだって―――は一緒だから


そんな彼女の膝を抱え蹲ったその背中を後押しするがごとくポンと何者かが押した。
そこで彼女は現実にと還る。

510超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:13:26

日当たりのいい病室。
余命いくばくもない老人がベットにいる。目的地はその胸元だった。

「〜〜〜〜  」

少女は必死に力を振るい全力全速でそこに向かう。けれども足取りは酷くよたよたで息はとぎれとぎれであった。

ばふっ
それでもようやく目的に辿り着く。そこはお日さまの光を吸ったシーツの匂いがした。

そして蹲ったところを優しく頭をなでられた。そこで彼女は初めて

泣き方を思い出した
わめき散らしても いい場所があったことを思い出した。
太平洋のどまん中の中、縋るべき藁を見つけた。

―――だって この人は―――


「「「おじいちゃん、おじいちゃん、しんじゃやだーーー。」」」」」

――私達の家族なんだから
そして少女はうわんうわんと外聞もなく声をあげて火のついた様に泣き出す。
宿業と非業の戦士と謡われた者はわき目もなく嗚咽をあげる。そしてそんな自身のことを恥かしいとも無様とも思わなかった。

それはどこか迷子となり途方に暮れていた子供が、ようやっと自分の帰る家の灯を見つけた
そんな泣き方だった。


その泣きじゃく姿をどこか他人事のように見下ろしながら、彼女の精神は今初めて自分の周りを見渡した。

いつも彼女の周りにはOSという壁があり、それが全てを遮ってきた。
始終囲まれ前だけを見るよう視界を遮られ、その指示に従い、想うことなく唯生きてきた。

ずっと自分に心などないと言い聞かせていた少女はそこで初めて、本当に初めて自分の後ろを振り返ってみた。

振り返って見て彼女は初めて知った。
自分と同じ顔の少女がひとり、そこに佇んでいたことを。

それは自分が殺した少女、歩むべき人生をかすめ取り、存在自体を踏み台にしてしまい抹殺したはずの少女。

(ああ、ずっと、ずっと貴方は私のそばにいたんだ)
彼女はゆっくり頷く。

(気づいてあげられなくて、すまなかった)
今度はゆっくりと彼女は首を横に振る。

そして目線をベットで泣きじゃくる少女へと向ける。その眼差しは例えようもなく優しげなものであった。
少女もまた同じようにそれをみやる。そうだ。

家族が家族を心配したり、死に目に取り乱したりするのは当たり前。

家族なんだから当たり前。

なら今はこのひとの家族として精一杯すべきことをしよう。縋って縋っていなくなることを
唯ひたすら哀しもう。
大丈夫、あたしのとき、あたしのことを泣いてくれる人は今もうここにちゃんといるから…


BouleOSが見落とした『認識の共通項』。それは「とある一族の家族の絆」。

タイムループを繰り返し、閉ざされた世界で当てもない旅を続けた少女。

大好きなおじいちゃんの膝元。
そこがRMX-114こと一六九の人生の安息にして終息地点で合った。



回廊を抜け、少年と少女が部屋に辿り着いた時、彼らの見たのは
病室のベットで身を起こしている好々爺の老人と、その膝元で泣きつかれ
今は穏やかな寝息を立てるロック少女の姿だった。

「――――」

少年は驚いた様に呟いた。
耳の聞こえない少女はその声を聞きとることが出来なかったが、何を意味する言葉を
いったのか明瞭に理解できた。

彼はきっとこのような類の言葉を発したのだ。

「あの人、僕の源流(オリジナル)だ」と。


少年は初めてしった。99%が魔人と謳われ、自らもそう名乗る一一族、何故自分達がそのような
名乗りをあげているのか、その理由を。残りの1%の存在を。
そう、何事も例外はある。そのことを決して忘れてはいけない。そしてそれを知ることはまた
次の新しい第一歩を踏み出すことへと繋がるのだ。


〜同時刻、同空間の通路にて〜

『はあ?なにいってやがる。少年のほうはあくまで賞品だ。じーさんの遺産引き継ぐのは、
この大会の優勝者、手前らの誰かだぞ。』
「「なっなんだってーーー」」

暫定1位と3位の声が綺麗にハモり、通路内に響き渡った。
                
                     ( つづく

511minion:2015/12/27(日) 08:05:22
紫ノ宮緒子&天奈瑞。一人のおっぱいがおっきい。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=54238313
メリークリスマス! この2人も2015年のサンタガールだ!

緒子「プレゼントを受け取らないといたずらしますわよー!」
天奈「緒子、それハロウィンだから」


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