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ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅢ Lv6

1521哀しみのとき/哀しみを胸に ◆2UPLrrGWK6:2024/04/29(月) 02:59:47 ID:chZJ0etU0

「ターニアに言いたかったことも言えなかった」

誰もに優しくあろうと、常に溌剌とあろうとした兄の隠し通した本音。
現実の自分がどうであろうと、"このレックにとって"たったひとりの肉親への再会。
取り返しのつかない悔恨となって、震える声で零れ落ちた。

「ティアちゃんも、こんなに泣かせて……」
「レック……」
「後悔しても、仕方、ないのになぁ」

伸ばしていた手が、力なく下がる。

キーファがその身体を支えようとした手は残る痛みからか届かず、空を切った。
前のめりに倒れたレックは、横たわりながらぼんやりと傷ついた瞼を開く。
見えていないであろうその視線の先に居たのは、再会することが叶わなかった仲間たちか。
求めてやまなかったターニアの姿か。
その最期まで命がけで向き合い、救いを求めていたティアか。
レックの血で汚してしまったその顔を見ていると、すっかり赤で塗りつぶされていて、最期の意思すら読み取り難い。

「駄目な兄ちゃんだったよ、俺」
「……違ぇよ、お前は……」

キーファは、這いずるように近づき、回復呪文の効力でようやく動かせる用になった手を伸ばす。
汚れた手袋を口で引っ張り、素手で彼女の顔へ触れる。
彼女の目元に広がる血の汚れを、どうにか、優しい指先で拭い去った。
その表情は、これまでと変わらず傷だらけには違いない。
けれども、先ほどまでよりも少しだけ安らいで見えた。



「お前は、俺より……よっぽど立派な兄貴だよ」


レックの口元も、小さな少女の表情を知る術は無いであろうに、わずかに綻んだ。
そんな風に思えた。


「……」

砂利を踏む音が聞こえた。
おずおず、と歩み出た人物に、キーファは痛む身体を動かして視線を向けた。
彼女のその手に握られていたのは刃ではない。


「また会ったな、ポーラ」
「キーファ……」

死者を悼む彼が要るだろうと、汚れていない布を見繕い、キーファに向けて差し出していた。



【ティア@DQ2(サマルトリアの王女)死亡】
【レック@DQ6 死亡】


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