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ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅢ Lv6
1520
:
哀しみのとき/哀しみを胸に
◆2UPLrrGWK6
:2024/04/29(月) 02:59:25 ID:chZJ0etU0
途中まで言葉を投げかけた姿勢のまま硬直するキーファ。
己に回復呪文をかける青年のその姿はあまりにも痛々しいものであった。
膝立ちになる自分の足元には、まるで湧き水のように血溜まりが広がり続けている。
ベホマを紡ぐ唇は辿々しく、そもそも一呼吸ごとに喀血が止む様子がない。
こちらに視線を向けているつもりの瞳に光は無い。
片方の眼はもはや開くことはなく、見るも無惨に切り刻まれている。
掌は開いているだけで精一杯なのか両腕の震えが収まらない。
そんな大怪我人が、自分の身を擲ち、命を削って自分を癒やしていた。
キーファの頭は即座に冷え切って手を伸ばしかけ、やがてぴたりと動きを止める。
彼に触れればそこで、不安定な硝子細工のように崩れ落ちてしまいそうに見えた。
「魔法の聖水があってよかった……呪文のね。効きがどうも、よくなくて」
「そ、んなの……お前、俺なんかより、ティアのッ」
続く言葉が、口から出てこなかった。
キーファも徐々に悟る。
「生きて、キーファ」
その言葉は、できることならば"彼女"に投げかけたかったのだろう。
傍らに転がる小さき体。
直視するのも憚られるほどの首の傷口は、かろうじて皮膚だけで繋がっているように見える。
もうすでに、生命のすべてを流し尽くしてしまったであろう血だまり。
その量を見てしまっては、もう。
「っ!!」
声にならない怒りが溢れ出しそうになるが、レックの手前何も言えない。
嘘だと思いたくて、ティアの顔をもう一度見やる。
涙を流していた瞳がかろうじて閉じられて居たのは、彼の手によるものと容易に想像できた。
瞼の周りが血で汚しつつも懸命に瞳を閉じようとしたのが見て取れる。
レックの全身を見ればわかる。
ティアの顔を拭えるところが、彼の身体に見当たらない。
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