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DQBR一時投下スレ
762
:
転がり込んだ幸運
◆EJXQFOy1D6
:2019/12/23(月) 23:12:43 ID:RUDAQ9iE0
エイトは疑念の発端である例の混戦が起きたややこしい事情は伏せつつ、ターニアとその前に別れた
アルスについて二人に話して置いた。どちらも東に居たのだから早晩会えるかもしれない。甚だ
投げっぱなしで申し訳ないが、レックに付きまとう色々の事はキーファや彼らの知己に任せる事にした。
これでもう、良い。脱出出来ようが出来まいが、最後までミーティア姫を守り続けられれば私は───
「エイト。顔を上げて聞いてください」
静かな声にエイトの思考は中断された。
「長年の友人としてお願いします。どうか私に彼らの後を追わせて下さい」
「姫!ですが…」
言葉と共にエイトは息を飲んだ。姫君の手にはそこに有るまじき物、両刃の短剣が携えられていた為だ。
「私、ようやく解りましたわ。王族としての矜持と責任──それは安全なお部屋に飾られて、起きる事をただ
眺めるお人形では決して成し得ません」
エイトは黙ってミーティアの顔を見ているしかなかった。その表情は悲しそうでもあり、どこか清々した
様子でもあった。
「確かに危険も有るでしょう。貴方が私を一人にはしない事も、そして貴方を危険に晒す事も承知で言います。
私は人の尊厳を踏みにじるエビルプリーストと名乗る者を許せません。父の名誉にかけて抵抗します。その為に
ここを脱出すると言う希望を持ちながら人任せになど出来るでしょうか。
聞き入れて貰えないのなら、エイト、貴方と一戦交えてでもミーティアは行きます」
「本気……なのですか」
問うまでもなくミーティアの目は決意を物語っていた。
「…解りました。姫、お供します」
折れるしかなかった。馬の姿にされ馬車を引かされ、それでも文句ひとつ言わなかったミーティアが
全存在をかけて拒否しているのだ。どうあっても彼女の身を守りたいと言う自分の矮小な願望を押し付ける
事は、彼女の言う通り王族の矜持を汚す事と同じだ。
「それでもどうか約束して下さい。御身の安全を最優先に行動すると」
「ええ。貴方の判断に従いますわ」
エイトはほっとしたように肩を落とした。そして預かったままのミーティアの袋を背中に下げ直すと、
「では失礼を」と一声かけてミーティアを抱え上げた。
「きゃっ…待って下さいエイト、自分で歩けますから!」
いわゆるお姫様抱っこにされ、ミーティアは慌てて言い募る。
「お言葉ですが、彼らに追いつくならこの方が速いですから」
ミーティアは何か言いたげに口を開きかけたが、すたすたと歩いていくエイトの腕にやがて身を預けた。
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