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DQBR一時投下スレ

1ただ一匹の名無しだ:2012/05/01(火) 18:33:27 ID:???0
規制にあって代理投下を依頼したい場合や
問題ありそうな作品を試験的に投下する場所です。

前スレ
投下用SS一時置き場
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/30317/1147272106/

489渇望1/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 15:31:08 ID:5745YWtY0

暗い闇の中をわたしは漂っていた。
そこには何もない。光も、熱も、魂すら……。

わたしは漂っていた。
そう過去形だ。
なぜならわたしは何者かによってその暗闇の海から引きずり出されたからだ。

誰かはわからない。
気づけばわたしは玉座の間と思わしき場所に佇んでいて、そこにはわたし以外誰一人として存在していなかったからだ。
いや、思わしき場所ではない。ここは玉座の間だ。
忘れもしないわたしの居城となるはずだったデスパレス。魔族の長たるわたしエビルプリーストが座る場所だ。
そしてこの場でわたしはあの勇者を名乗る下賎な人間とあろうことかそやつらと手を組んだ憎き裏切り者のピサロと相対し敗れた。
思い出すとわたしの魂の奥底からドス黒い憎悪がこみ上げて来る。
奴らはわたしの悲願を、踏みにじった。進化の秘法で究極の存在となったはずの私を打ち砕いて滅ぼした。
何故だ、わたしは最強の存在となったはずではなかったのか。
あの伝説の帝王エスタークをも超越した至高へと辿り着いたのではなかったのか。

わたしは叫んだ。

なぜわたしがここに居るのかわからない。ただ無性にわたしを殺した全てのものにこの憎しみを伝えたかった。
そんなことができるわけがない。ただそれでも我が内から溢れる憎悪を形にして吐き出したかった。
そうしなければ壊れてしまいそうなほど私は昂ぶっていた。

だがその行動は恐るべき結果をもたらす。
このわたしを中心とした破壊の衝撃によってデスパレスが粉々に砕け散ったのだ。
わたしは変身していない。わたしの中にある進化の力はいまだに眠っていることが感じられる。
そう進化の力は失くしていない。なのに未だ秘法を使用しない状態で城を粉々にするほどの魔力を放出できたことがわからない。
進化後ならばまだしもそうでないわたし自身がここまでの力を発揮することはできなかった筈だ。
ふと吹きさらしになった玉座の間の外を見る。
そこは見知った世界の景色ではなかった。虹色と鈍色が斑になったような奇妙な空間。
得体の知れぬ場所にこのデスパレスは浮遊していたのだ。

490渇望2/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 15:32:06 ID:5745YWtY0

ここは何処なのだ?

なぜこのような異常な場所にデスパレスが存在していたのか。
死んだはずのわたしが何故このような場所にいるのか。
わたしはまだ死んでいてここは死後の世界とでもいうのか。

では先ほど放出した魔力の津波はなんだというのか。
これこそわたしが生きている証ではないのか。
再び魔力を、今度は意識して高める。わたしの身体が変化を――いや、進化を始める。
我が皮膚は白く染まり硬質化していき、筋繊維は赤く露出し巨大化していく。
古き四肢は新生し強靭な魔王の腕が現れる。
そしてわたしの首はグズグズに融解し、それらは新たな魔王の貌を形作る。
わたしはエビルプリースト。至高にして唯一の存在。

そしてわたしは理解した。

わたしは神となった。
このデスパレスは神として新生するわたしの卵の殻だったのだ。
その象徴としてわたしが死したデスパレスを模してわたしの魂の新生を包みこんでいた。
誰がそうしたのかはどうでもいい。いや、わたしは元々そうなる運命だったのだろう。
進化の秘法は神へと至る秘法であり、奴らに破れ死することもその道程のひとつだったのだ。

だがまだわたしには足りないものがあることを理解する。
このまま元の世界へ還りすべてを支配する――ということはできない。
わたしは言わばまだ未完成の神でありこのゆりかごの空間から出ることはできないのだ。

生贄が要る。

わたしの器を満たすための餌が。それも極上のものが。
ただ強いだけの者ではだめだ。数多の選ばれし魂をぶつけ合い、磨きぬかれた器となった生贄が。

491渇望3/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 15:32:42 ID:5745YWtY0
粉々になったデスパレスを復元し、造りかえる。わたしに相応しい居城となるように。
次にわたしは奴らによって殺されてしまった手駒たちを蘇生させ我が前に跪かせる。
奴らは神となったわたしの力を理解したのだろう。わたしを主と認め平伏した。

魔性と野性の理想形ヘルバトラー。
剛力無双ギガデーモン。
増殖する魔竜アンドレアル。
獅子王キングレオ。
錬金術師の成れの果てバルザック。

彼らにあることを命じ、わたしはこの牢獄の空に箱庭世界を創世する。
元居た神々が創り上げた世界とは比べるべくもない小さなものであるが、
神として産声を上げたばかりのわたしとしては仕方のないことだ。
真の神として覚醒した後はかの世界を破壊してわたし好みの新たな世界を創世してやろう。

わたしは生贄に相応しいものたちを検索する。
資格ある魂の格を持つものたちは過去未来異次元全て含めて十ほどの世界から感じ取れた。


わたしに備わった新たな力を使いその資格ある者たちをこのゆりかごの世界へと引き寄せる。
誤算なことに魂の格が見合わぬ弱き者も幾人か混じってしまったようだが問題はないだろう。
まかり間違ってそれらが勝ち抜いたとしてもそうなることで魂の格が磨き上げられて相応しいステージへと至っている筈だ。
この大規模召喚は神となったわたしを持ってしても困難を極め、78の贄をこの城へと召喚し終えた頃にはほぼ全ての力を使い果たしていた。
だがそれでも問題ない。生贄たちには飼い主たつわたしに逆らえぬように首輪を付けている。文字通り行動を縛る鎖として。


突如召喚されて混乱しているのであろう。ざわめいている彼らをしばらく面白く眺めていたが、いつまでもそうしていても始まらない。
わたしは挨拶をしてやることにした。
パチンと指を鳴らすと薄暗かった広間をわたしの魔力が明るく照らし出し、互いの姿と一際高い殿堂にいるわたしの姿をあらわにする。
効果は会ったようで一同に会した生贄たちの視線をわたしへと集めることに成功した。

492渇望4/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 15:33:32 ID:5745YWtY0


「ようこそ、わたしの居城へ。さっそくだが目的を伝えよう。


  ―― 君たちには 『殺し合い』 をしてもらう ――」


動揺の気配が広がっていくのがわかる。
彼らは勇者だ魔王だとかつて己のいた世界では名をはせた連中なのだろう。
そんな彼らをわたしが翻弄しているかと思うと愉悦を感じざるを得ない。

「いわばバトルロワイアルとして残り一人となるまで殺しあうゲームだ。
 生き残った一人にはわたしの名にかけて望みを叶えてやろう。わたしは――」

そこでふと言葉を止める。
わたしはエビルプリースト。魔界の神を崇めし司祭であり、本当の名は神へと捧げてそれこそがわたしの洗礼名だった。
しかしながら神となったわたしには相応しくないように思える。
神の名を考えねばならない。

「わたしはかつてエビルプリーストと名乗っていたものだ。我が真名は再びわたしの前に立った者に教えてやろう」

「貴様! 生きていたのか!?」

金切り声をあげるねずみの一匹へと視線をやるとそこには薄汚い裏切り者ピサロの姿があった。

「黙ってわたしの話を聞いておれ、ネズミ。いや首輪に繋がれた犬、か」
「何?」

自分の首に付けられた金属塊には気がついていたのだろう。
不穏な空気を感じ取ったのか奴は動きを止め首輪に触れながらわたしを睨み付けるにとどまった。

493渇望5/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 15:34:17 ID:5745YWtY0
舌打ちする。ここで見せしめとしてみじめに殺すのも復讐としてひとつの道だったが……まぁいい。
わたしを完成させるための生贄として悲惨な殺し合いの坩堝へと叩き込むほうが楽しめると思おう。

「ひとつ伝えておこう。諸君らには首輪を付けさせてもらった。それはわたしの任意で爆破することができる。
 例え魔王であろうとその死の呪縛からは逃れられないと思っていただこう」

「調子に乗るなよ小童」

底冷えのする冷気とともに威圧のこもった声が響く。
見やるとそこには強大な魔力を秘めた巨躯の老魔族がいた。
大魔王。彼の姿を見たもの全てがそんな言葉を思い浮かべる。
事実彼は幾人もの魔王の上に立つ大魔王という存在だった。

「我はゾーマ……大魔王ゾーマよ。貴様ごとき矮小な存在に縛られると思うたか」

「ほう。ならば試してみるがいい小魔王よ」

「ほざけ! 貴様は我が腕の中で眠る価値すらない、千々に砕け散るがいい!!」

わたしは指を鳴らしてゾーマの首輪を発動させる。
だが自身の首から鳴り始めた警告音を無視してゾーマは凍える吹雪をわたしへと放った。

さすがは大魔王を名乗るだけのことはある――しかし
凍える吹雪はわたしに届くことなく途中で雲散霧消する。

「何ィ!?」

「調子に乗っていたのはそちらのようだな、ゾーマよ。そら、わたしに跪くならばその首輪を止めてやるぞ?

「おの――」

ゾーマは最後まで言葉を発することはできず、首輪が爆発した。

494渇望6/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 15:35:06 ID:5745YWtY0
ボンッとしけった火薬のような気の抜けた音。
だがそれは確実に大魔王の首を切断し宙へと舞い踊らせた。

「バ…カな――」

それが大魔王ゾーマの最後の言葉となった。
驚愕に顔を歪めたままゾーマの首は地に落ちてゴロゴロと転がった。

誰も言葉を発しない。
当然だろう。ゾーマは誰の目にも明らかなほど巨大な力を持っていた。
それが虫けらのように殺されたとなればわたしの力がどれほどか想像できぬほど高みにいると誰でも予想できよう。
実際にはそうでもないのだがな。さすがに大魔王と名乗るだけあってそれに見合うパワーはあった。
召喚にほぼ力を使い果たし、魔力が残り少なかったこともあるが神となったわたしがギリギリ防ぐことができたほどの力だった。
だがそれは誰にも気取られてはいない。これ以上反逆されては負けはしないまでも面倒なことにはなるだろう。
さっさと進行するべくわたしは指を鳴らして77の袋をそれぞれの足元へと現出させる。

「お前たちにはわたしからの餞別としてその袋を与える。そこには生存に必要な物資や武器が入っている。
 このゲームにおけるルールが書かれた冊子もな。文字が読めぬものにも理解できる術式を込めてあるので魔物も心配は要らぬ」

ここまでする必要はなかったかもしれないが、まぁいずれわたしの力となる者たちへのサービスだ。
彼らをここへ召喚した際に彼らに因縁深きアイテムもいくつか一緒に引き寄せられた。それらも無差別に袋に入れ込んである。
どうせ神へと完全覚醒を果たせばいかに伝説の武器とてわたしには敵わぬ。
それよりもそれらを殺し合いの武器として貶めたほうがより愉悦を感じられそうであった。

「それでは諸君らの健闘を祈る――さぁ、それでは殺し合いを始めよう――」

わたしは立ち上がり、両腕を広げる。
広間をわたしの魔力が包み込み、全てを箱庭世界へと転移させた。

「さぁ踊れ、わが生贄たちよ!! わたしが真の神へとなるためにっ!

 フゥーハッハッハッハッ!!」

【ドラゴンクエスト・バトルロワイアルIII GAME START】
【大魔王ゾーマ 死亡】
【残り77名】

495渇望6/6 ◆S0i4l3vvG2:2015/10/29(木) 16:15:05 ID:5745YWtY0
【主催者:エビルプリースト】
目的:神として完全覚醒するための器の選別としてバトルロワイアルを成功させる。

思考:1 殺し合いを見物して愉悦を楽しもう。
思考:2 神となったわたしの名前を考えよう。
思考:3 大魔道あたりを召喚して以降の運営進行を任せようかな。


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