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FFDQかっこいい男コンテスト 〜なんでもあり部門〜

1名無しの勇者:2006/07/12(水) 21:32:41
FFDQなんでもあり部門の小説専用スレです。
シリーズ、作品の枠を超えた作品を投稿する時はこちらで。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。

*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*

ネタスレについては>>2以降(テンプレ考案中)

9502/2 484:2015/03/04(水) 18:52:25

「お前、何がしたい?」
「何でもしたいですよ。だってもう、ラスボスも裏ボスもスキルタネ集めて各スキルカンストも錬金レシピコンプリートも全称号獲得も、全部ぜーんぶやっちゃったんです。
僕、兵士ながらに生粋の冒険者気質でしてね。常に冒険していたいんです。わくわくしたいんです。
でも、僕の世界はもう全部終わっちゃいました。だってもう10年、10年以上ですからね。そりゃとっくに遊びつくしちゃいましたよ」
「だから俺で遊ぼうと?」
「ええ。ここに来たのも10年前ですが、まったく飽きませんよ。終わりが無いでしょう。
終わりが無いって素晴らしいことですよ、本当に。僕は2主さんや9主君が羨ましい。
だって、ずっとずっと楽しい仲間たちとスリル満点の洞窟を攻略できるんでしょ。まだ終わりを見てない。
あの何にも代えがたい達成感と、全てをやりきったという恐ろしい空虚をまだ知らない。うらやましいことです」
「じゃあお前ロンダルキア行ってこい。それでブリザードにザラキ食らって死んで来い」
「僕寒がりなんです。この、あったかくて楽しくてにぎやかで終わりのない、楽園が大好きなんですよ。
ついでに4主さんのことも大好きです。あなたといると退屈しませんからね」
「俺はお前が大嫌いだ」
「そんなこと言って、本当は僕と喧嘩するの楽しいんでしょ?知ってますよ」
「くたばれ」
「ええ、くたばらせてみてくださいよ、さあ。どうせ教会に送られるだけですけどね。
だからこんなに退屈で仕方ないんでしょう。嫌になっちゃいますよ」
「お前、何か趣味見つけろよ。昼寝でもPCでも。錬金以外な」
「冒険が僕の趣味で、人生であるんです。退屈だと、僕、死んじゃうんです。お願いです4主さん、僕を楽しませてください」
「夕飯の支度の途中だ。手を離せ。宝の地図にでももぐってこい」
「なるほど、僕に勝てる自信がないから逃げるんですね。ははあ。
意外と臆病ですねえ、天空の勇者様も。まさにチキン」
「よし、表に出ろ」
「そうこなくっちゃ!」

輝くような笑顔になり、俺から手を離す。

「さすが4主さんです。覚悟してくださいね、今日こそ僕のブーメランの錆にしてさしあげますから!」
「こっちの台詞だ」

切っていた野菜にラップをかけて、楽しげに宿舎の庭へ向かうあいつを追いかける。
平凡な日常の中の、かつての冒険を思い出す血沸き肉躍るあいつとの喧嘩。
ほんの少しだけ楽しんでいるなんて、絶対に言ってやらない。

うきうきと弾んでいる、目に痛い色のあいつの背中。
自分の世界に飽きてしまって、英雄たちの集まるこの宿舎さえも退屈と感じてしまったその時は、自称生粋の冒険者のこいつはいったいどこへ行くのだろうか。
せいぜい極寒の地に行って凍死すればいいと思った。

951名無しの勇者:2015/03/06(金) 09:57:28
いいなあこの距離感

95264エロ 0/5:2015/03/23(月) 00:29:56
64の甘エロ投下
がっつりやってるので苦手な人は注意

95364エロ 1/5:2015/03/23(月) 00:30:29



もうとっくに日付も変わった時間帯、寝所に突然何者かがやって来たと思ったら唇を塞がれ、
そのまま息苦しさに咳き込むまでずっと胸元をまさぐられつつディープキスをされていたというのは
強姦として取り扱っても充分許される案件ではないだろうか。
馬乗りになって覆い被さり、鎖骨のあたりまで寝間着をたくし上げて好き勝手に振る舞っていた相手をぎろりと睨みつけると、
枕元の燭台のみが照らす薄闇の中で「ははは」と笑う気配があった。
「……何の真似だ、6主」
「うーん、何て言うか……夜這い?」
「疑問形かよ」
「いや最初はこんなことするつもり無かったんだけどさ。4主の寝顔見てたらムラっときて、つい」
「つい、で人を襲うのかお前は。色魔か」
「別に誰でもいいって訳じゃないぞ? 4主だから襲ったんだ」
「んなきっぱり宣言されても……っておいコラ。その手はなんだ」
「4主ってわりと着痩せするタイプだよな。服の上からだと分かんないけど、直に触るとちゃんと筋肉ついてる」
「話を聞け! って、あ……っ」
奔放に動いていた指が胸の先を掠めた途端、4主は思わず高い声を上げてしまった。その反応に気を良くしたのか、
6主はそこを重点的に責め始めた。くりくりと摘むように擦られては、指の腹でやわく押し潰される。
時折戯れるように強く爪先で弾かれて、その度に身体を震わせながら、4主はやがて自分の奥に
抗い難い熱が灯っていくのを感じていた。
「……ろく、しゅ」
「ん〜?」
「……ゆび、ばっか、嫌だ」
「足りない?」
「足りない……、舐めて」

95464エロ 2/5:2015/03/23(月) 00:31:07
今度は声に出さずにニッと笑うと、6主は請われた通りに舌を這わせた。
突起の周りを円を描くようになぞり、舌先を使って執拗にねぶる。ちゅくちゅくとわざとらしく音を立てて吸っては
揶揄うように甘噛みした。
「んあっ……、あ、あぁ」
「何だかんだで4主っていつもノッてくれるよな。そゆとこ好きだぜ」
「だ、って……お前、嫌だっつっても聞かないだろ……、っあ」
「それそれ。最終的には俺のこと甘やかしてくれんの。お返しに、今日はいっぱい気持ち良くしてやるから」
「……ん」
ちゅ、と触れるだけのキスが落とされ、それに応えるように4主の腕が首に回った。
次第に深くなる口付けの中、6主の手が下着の中へと侵入していく。
「あ……6主、ちょっと待て」
「うん? どした」
「……脱ぐ、から。服」
「ワオ積極的。でも俺的には自分で脱がしたいとこなんだけど」
「お前がやると伸びんだよ……引っ張るから。この間も俺のトランクス一枚駄目にしただろ」
「あーあれな! いや、あの時は失敗だった。悪い悪い」
「……別にいいけどさ。新しいの買ってもらったし」
「下着を贈るのってなんか意味深だよな」
「バーカ」
下らない掛け合いをしている間に身に纏っていたものをすべて脱ぎ捨てた二人は、改めてシーツの上にもたれた。
6主の硬い髪先が4主の耳朶をくすぐり、少しかさついた唇が首筋を辿る。むず痒さに身体を捩ると
その反応を面白がるように益々肌を暴かれた。

95564エロ 3/5:2015/03/23(月) 00:31:39
「あんま気付かなかったけど、こうして見ると結構日焼けしてんのな、肌」
「ん……、まあ、日中は農作業とかしてるし。っあ、」
「胸とか、脇とか、臍とか……日に当たらない部分は他のとこより白いから、暗いとかえって目立ってる。……ここも」
「ひあっ!」
唐突に触れられた4主の中心は未だ柔らかいままだったが、6主の掌がもたらす温度と摩擦にすぐに硬度を増していった。
一見武骨なようでいて意外に繊細な動きをする指先は、付け根の袋からくびれにかけてを幾度も往復し、
やがて鈴口からとろりとした液体が溢れ始めると今度はそこを中心に弄り出した。
4主が嬌声を上げるたびにふわりと目を細め、或いは舌を絡めて吐息を奪い、空いた手でまだ先程の余韻に浸る乳首を再び苛める。
やがてすっかり快楽にとろけ、性器からだらだらと涎のように蜜を垂らして喘いでいる4主の手を自分の牡へと導くと、
6主は眦に浮いた涙を拭うようにくちづけた。
「っあ、あぅ、ん……あっ」
「な、4主も俺の、さわって」
「ふ、ぁ?」
「お前の手さあ、普段から鍬とか握ったり水桶運んだりしてるから、マメできてるだろ?
 それで擦られると、すっげ、きもちいーんだ……、っく」
「は、なんか、ヘンタイくさ……」
「っ、いいじゃん、4主もきもちいーこと、スキだろ?」
「ん、すき……」
身体を起こして向かい合い、舌を重ねながら相手の性器を扱いていく。
その倒錯的な状況に、ひとつまたひとつと理性がゆっくり麻痺していった。
やがて6主の手が4主の後ろに伸び、つぷ、と孔に侵入した。既に互いの精でねらねらと濡れていた指先は
容易く内部に受け入れられ、熱く蠢く襞に飲まれていく。

95664エロ 4/5:2015/03/23(月) 00:32:10
「迎える準備万端、ってカンジ……、かな」
「あぅ! っく、うあ……!」
勝手知ったるとばかりに胎内を動き回る6主の指に、4主はひくひくと震えながら身悶えた。
やがてゆっくりと指が抜かれ、未練がましく糸を引いて惜しむそこを恥じる間もなく
内壁は次いで訪れた熱い楔に即座に食らいついていく。
ぽっかりと空いていた虚が満たされるような感覚に、4主は思わず恍惚とした息を吐いた。
「あ……ん、ああ……」
「っは、やっぱ、いつ入っても良いな、4主の中。俺用に誂えてあるみたいだ」
「っそりゃ、今まで何回ヤッてきたと思ってんだよ……。いい加減、んっ、カタチ覚えるって……あ、」
「まじで? じゃあ、こんなのも、覚えてんの……っ」
「あッ!? ぅあ、ひっ、ああぁ……!」
6主は4主の両腿を抱え込んでより深くまで穿つと、ずぽずぽと泡立つほどに激しく律動した。
固く張り詰めた牡が内側を抉るたびに四肢が跳ね、堪えきれずに溢れた飛沫が腹の上を白く汚す。
「は、ほんとだ。突くたびきゅんきゅん締まってくる……! 型でも、取られてるみたい、だ……っ」
「ふあっ、だから、そう言った……んっ、ふ、んぅ……!」
「ん……4主の中、上も下もあっついな……。最高……ッ」
「んっん、う、んー……!」
咥内を舌で、胎内を陰茎でそれぞれ犯しながら、6主は4主の身体を強くかき抱いた。
背中に回る手が爪痕を刻み、抱えていた脚が腰に絡む。
そのまま二人揃って我を忘れる程に貪り合い、やっと解放の瞬間を迎える頃には、相手の骨を折ってしまうかと思うくらい
力一杯にしがみついていた。

95764エロ 5/5:2015/03/23(月) 00:32:37
「あっあ、あぁ、あーっ……!」
「っく、ぅあ……!」
どくどくと放たれる劣情を、4主は自らも射精しながら受け入れた。恐ろしいまでの愉悦が全身を駆け巡っている。
二、三度腰を揺すられて奥の奥まで注がれてから、未だ繋がったままの相手の頬にゆるりと手を伸ばして汗を拭った。
「……抜かない、のか」
「……抜いてほしい?」
言外にまだこうしていたいと意志を示され、4主は小さく微笑んでからきゅう、と後ろを締めることで応えた。
すぐに硬さを取り戻した剛直が自分の中で膨らんでいく。その快感に酔いしれながら、降りてきた唇を迎えて食んだ。
「な、このまま抜かずに何回出来るか試してみないか?」
「……いいけど、そしたら明日一日分の掃除とか洗濯とか食事当番、全部代われよ。絶対立てなくなる」
「おっけーおっけー。とりあえずは二回目、な……っ!」
「あ……! ちょっと、急すぎ……あ、あぁっ」
再び勢い良く腰を振られ、今度はしがみつく力もなく4主はただ流されるままに喘いだ。
吐き出された精液が潤滑剤代わりになり、より深くまでを貫かれる。


その日は結局朝まで啼かされ続け、一日どころか丸二日は動けなくなった4主によって、6主は向こう一カ月の家事全般を命じられたのだった。

958名無しの勇者:2015/03/23(月) 21:22:11
甘々ごちそうさまです!
なんか4主がふわふわしててかわいいな

95984 0/3:2015/08/04(火) 00:07:44
84の日おめでとう!
ひさびさだけど投下

96084 1/3:2015/08/04(火) 00:08:57
とりあえず一番は顔です、と言われた時には、正直ぶん殴ってやろうかこの野郎、と思った。

そもそも訊いた自分も馬鹿だったのだ。恋に浮かれる町娘でもあるまいに、お前は俺のどこが好きなんだ、だなんて。本当に何とはなしに口をついて出た問いだったが、今にして思えば頭が沸いていたとしか考えられない。
けれど女々しいことだと自覚しつつも、気になるのもまた事実だった。別に相手の口からそれを言わせて愉悦を得ようなどとは思っていない。単純に疑問だったのだ。
顔を合わせれば悪態をつき合い、時には物理的に交戦し、お互い犬猿の仲もとい鳥竜の仲――この呼称は自分達の様子を見た第三者から勝手に名付けられたものであり、断じて自称している訳ではない――でありながら、ふとした瞬間には周囲の目を盗んで唇を重ね、身を寄せ合い、そのまま夜を共にすることもある。
いつからこんな間柄になっていたのか、もうはっきりとは覚えてはいないが、それでも4主は8主とのこの関係が嫌いではなかった。

それなのに、返ってきた答えがそんな身も蓋もないものだったら、思わず渋面を作るのも仕方のないことだろう。
「うわ、4主さん今の顔すっごいブサイクですよ。せっかくの美形が台無しじゃないですか。アイデンティティの崩壊です」
「俺のアイデンティティそこかよ。殴るぞ。つうか殴らせろこの野郎」
「暴力はんたーい。ヤですねえ、これだから単細胞のトリ頭さんは。顔が好みだって言って何が悪いんですか。むしろ褒めてるでしょう」
「悪いとこしかねえよ!」
「どこがですか? 赤が好きとか黄色が一番とか思うのと同じで、4主さんの顔が好きだと思うことは悪いことだと言うんですか。人の好みにケチつける気ですか? まあ確かに貴方は世間一般で言うところの美形で、だからこそ僕もその顔立ちが好きなんですが、それを悪だと責め立てるのはちゃんちゃら可笑しいってもんですよ。だいたい余程の特殊性癖でもない限り誰だって醜いよりは綺麗なものを好むでしょう。貴方はこの世に生まれ落ちてからただの一度も見た目で物事を判断したことがないとはっきり言い切れますか。世の中の人間全てを相手に美醜を以て嗜好を決めるなと糾弾して回るつもりですか?」

96184 2/3:2015/08/04(火) 00:10:33
一分の隙も挟む余裕もなくそうまくし立てられて、4主はただ目を白黒させることしか出来なかった。
そりゃあ確かに歪なものよりは整っている方がいいし、くすんで土気色のものよりは色艶がよい方を選ぶ。
傷がついたものより無傷のがいい。なるほど確かに自分も美醜で物事を判断しているのかもしれない、野菜とか。4主は軽く混乱していた。
「そもそも貴方、人の話ちゃんと聞いてないでしょう。そんなんでよく大所帯のリーダーなんて務まりますね。
 どうせ散々迷惑掛けまくってたんじゃないですか」
「んだとテメ、」
「僕は『一番は』と言ったんです。顔以外にもちゃんとありますよ、好きなとこ」
「は、」
「体つきとか」
「やっぱ殴る」
「あとその外観と噛み合わない口の悪さとか、理知的に振舞っているように見せかけて実は直情的だとか、
 からかわれると怒るくせに構われないとこっそり落ち込む寂しがり屋だとか」
不意にさらりと髪に触れた手に、思わず肩が跳ねてしまったのは不覚としか言いようがなかった。
8主はこうして時折4主の隙をついてはスキンシップを図り、それに動揺する様を見て愉しむという質の悪い趣味がある。
髪をかき分ける指がそのまま頬に触れ、やがて掌全体で包み込んできた。掠めたスライムピアスがちりり、と硬質な音を立て、
親指だけが下唇へと移動する。そのまま幾度も往復されて、どんどんと上昇する体温を止める術を、4主は持ち合わせてはいなかった。
「そうやって今みたく僕の挙動の一つ一つに反応して赤面してるとこ、思春期迎えたオンナノコみたいで
 似合わなすぎてチョーウケるんで大好きです!」
「この野郎!」
放った拳は難なく躱され、代わりに口を塞がれた。どのみち当てる気もなければ避ける気もなかったのだから自分も相当悪趣味だ。
こんな男にまんまと絆されてしまっているのだから。
指の腹とは違った柔らかさに唇を食まれながら、4主は嘆息したい気持ちを誤魔化すように、バンダナの結び目が揺らめく首の後ろへと
手を回した。もしかしなくても今夜はきっとこのまま朝までコースだろう。
やられっぱなしは癪である。せめて逢瀬が終わるまでの間に一回くらい、いや十回くらいは何かやり返してやろう。
4主はそう心に固く誓ったのであった。

96284 3/3:2015/08/04(火) 00:11:15

***


「それで、4主さんの方、こそ、どうなんです……?」
「っ、あ? なに、がっ」
「貴方は、僕の……、どんなとこが好きかって、聞いてんです……よっ」
「ぅあっ!? んな、きゅうに……あ、そだ、」
「?」
「8、主が……俺に、キスする、とき。身長足りないせいで、いつも下から背伸びするみたくなってるとこ……
 かわいくて、けっこう、好きだな、」
「……っぶん殴りますよ、この野郎!」
「はは、これで一回……ん、ああっ!」


果たして朝を迎えるまでに、4主が自らに科した誓いを全うすることが出来たのか否かは、
本人のみぞ知るところである。

963名無しの勇者:2015/08/04(火) 00:11:55
ちょっと1/3のとこ改行失敗しました、すみません

964名無しの勇者:2015/08/04(火) 02:30:45
84の日おめ!&投下乙!
背が低いではなく身長が足りないと表現する4主になんか萌えた
背伸びしてキスする8主もかわいいー

965名無しの勇者:2015/08/04(火) 06:14:55
8/4おめ!素直じゃないからこその饒舌8主かわいいなぁ

966名無しの勇者:2015/12/15(火) 21:43:49
しばらく巡回してない間に投稿キテター
皆さん乙です楽しかったです

967名無しの勇者:2016/04/12(火) 08:50:42
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968名無しの勇者:2016/04/22(金) 19:03:42
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970名無しの勇者:2016/05/06(金) 05:48:52
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971名無しの勇者:2016/05/08(日) 22:45:37
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97384(エロあり) 0/2:2016/08/04(木) 23:52:18
もう一年経ったとかシンジラレナイ
懲りずに今年も84投下 84の日おめでとう
エロありなので注意

97484(エロあり) 1/2:2016/08/04(木) 23:54:28

「っあ、う、は……っ」

 寝台の上で獣のように四つん這いになり、揺れる身体を捕らえて更に奥へとねじ込んでいく。
 翠髪が振動に合わせて躍り、普段は隠されている項が露わになった。

「……4主さん、」
「ぅあっ!?」

 其処へ口づけようと身を寄せれば、繋がりがより深くなる。仰け反る背が綺麗な弧を描き、ひときわ高い嬌声が響いた。
 陽に晒されることのない首筋は他の部位に比べて色が白い。ちゅ、ちゅ、と音を立てて啄む度、組み敷いた肢体がびくびくと震え、収斂する内壁が雄を締め付けた。
 それだけで意識を持って行かれそうになるのを腹に力を入れて堪え、更に唇を落とし続ける。

「ひ、ぁあ……!」
「ほーんとココ、弱いですよね。そんなに敏感で大丈夫ですか? 髪の毛が当たるだけでも、感じちゃうんじゃ、ないですか……っ」
「っさい、なわけ……るかっ、あ!」
「どうだか、」

 悔しそうにシーツにしがみつく様を嗤いながらかぷりと歯を立ててやれば、いっそう中の締め付けが増した。
 その快感に煽られるように抱えた腰をより高く持ち上げ、突き刺すように内部を穿つ。ぱん、ぱん、と肉と肉とがぶつかり合う音が部屋に響いた。

「あぅっ、ぁ、ああぁああぁ!」
「く、っあ……!」

 襞がひときわ大きく蠢き、雄を呑み込む圧が増す。4主が達してからいくらも経たずに、8主もまた溢れる熱を放出した。

「ふ、ぁ……」

 どくどくと劣情が自分の中に注がれるのを感じ、4主が甘い声を漏らす。その口端にはたらりと涎が伝い、快楽の軌跡をまざまざと残していた。
 8主は徐に手を伸ばし、今にも滴り落ちそうなその雫を拭った。そのまま腔内まで指を入れると、噛みつかれるかという予想に反してぬめる舌に迎えられる。
 ぴちゃりぴちゃりと、まるで口淫をしているかのようないやらしい水音の合間に、互いの熱い吐息が零れ落ちた。

「ぅ、ふ」
「……指、好きなんですか?」
「んんっ」

 違うとばかりにかぶりを振っておきながら、ねぶる動きは一向に止む気配はない。
 こんな時でも意地を張るかと喉の奥だけでちいさく笑い、ちゅぷ、と生々しい音と共にふやけた指を引き抜いた。

「んぅ……っ」
「はは、糸引いてる」

 しとどに濡れた指先をゆっくりと舐める。単なる唾液でしかない筈のそれも、好いた相手のものだと思うと途端に甘く感じられるから不思議だ。
 どんな甘露よりも癖になる。
 そうして8主が極上の馳走を味わっている間、漸く責め立てから解放された4主はと言えば、倒れ込むようにシーツに身を沈め、上がった呼吸を整えるように深く息を吐いていた。

97584(エロあり) 2/3 ←ミスった:2016/08/04(木) 23:56:30
「……おい、馬鹿竜」
「何ですか阿呆鳥さん」
「イッたんなら一度抜けよ。そんで退け、重い」
「え、まだ嫌ですよ。あと三回くらいはシてからじゃないと」
「殺す気か」
「平気でしょう、枯れてる訳でもあるまいに。……それに」
「ぅあっ!?」

 横たわっていた身体を強引に起こすと、そのまま背後から抱えるような体勢を取る。
 繋がったままの局部がぐちゅりと鳴り、しなやかな太腿が大きく跳ねた。

「や、待っ、まだ」
「知ってます? イッた直後の4主さんの中って、最高に具合が良いんですよ。すごく熱くて、トロットロで……すぐ抜いちゃうなんて勿体無い」
「あ、ゆす、るな、っひ!」

 一度は萎えた筈の雄が胎内でむくむくと膨れ上がっていく。
 これ以上ないほどダイレクトに突きつけられた情欲に、只でさえ敏感になっていた下肢は制止の声とは裏腹に嬉々として自分を貫く楔に食らいついた。

「はぁっ、ぁんッ! あっあ、あぁ!」
「っあー、ほんっと、きもちい……堪んない」

 蠢く肉が、内部にずっぷりと埋め込んだ楔の根元から先端まですべてにいやらしく絡みついて離さない。少し身じろぎするだけで擦れた箇所から熱が弾け、眩暈がするほどの快感を生み出す。
 頭がとろけそうなこの感覚をもっと堪能したくて、胸部に抱き込んだ相手の肌をゆるゆると撫でさする。
 ツンと尖った先端を掠める度に爪先で引っ掻いてやると、啼声にいっそう艶が増した。

「っや、ぁあ……は、しゅ、……それ、嫌だっ」
「ど、して? ココいじられるの、好きでしょう……っ」
「すき、だけど……! そうじゃなくてっ、あ!」

 親指と人差し指で摘みあげ、くりくりと捻ってやれば4主の身体は面白いくらいに反応する。すっかり硬さを取り戻した8主の砲身を、まるで射精を促すようにきゅうきゅうと収縮しながら食んでくるのだ。
 どんなに意地を張ろうとも4主自身が悦んでいるという何よりの証拠だった。
 そんな様子に気を良くした8主がそのままゆすゆすと揺さぶりをかけながら内部の熱を愉しんでいると、それまで嬌声を紡ぐばかりだった口が不意に何事かを呟いた。

「……らを、」
「っ、え?」
「……っ」
「4主さ――うわっ!?」

 聞き返した途端にしかめ面で舌打ちされ、唐突に頭を引き寄せられる。
 無理な体勢に文句を言う前に、熟れた唇が押し付けられた。
 入り込んだ舌が歯列をなぞり、咎めるように此方の舌を噛んでいく。

「……うし、ろから、ばっかじゃなく、少しはそのツラ見せろってんだ、よ……!!」

 この馬鹿竜。
 酸欠なのか羞恥なのか判別のつけかねる状況で顔を赤らめながら罵倒する4主の姿は、8主の心臓を壊すのには充分だった。

「……ああ、もう!」
「っひぁ!?」

 どんなに身体を蹂躙し、思うままに貪っても、こんなたったの一言で敵わないと思い知らされる。惚れた弱みとはよく言ったものだ。
 弱みを握られた側の8主に出来ることと言ったら、せいぜい彼が望んだ通りに動くくらいだ。
 好き勝手に振る舞っているようで、その実彼の掌中で踊らされているだけだ。

「あ――あァ……!」
「こ……して、欲しかったんで、しょう……っ!」
「んっ、あ、ぁあああぁっ!」

 無理矢理に身体を捻って真正面から向き合い、奥の奥まで押し入っていく。しなやかな両脚を肩に引っ掛け、押し潰すように暴いてやれば、紫電の目に隠しようのない欲が浮かんだ。
 もっと欲しいとねだる獣の欲望。
 いくら特殊な血が混じろうと本能の前には逆らえないケダモノだ。
 それなら獣は獣らしく、もう余計なことは考えずに目の前の贄を余すところなく貪り尽くそう。8主はべろりと舌なめずりをし、口元にまで降りてきた汗の雫を舐めとった。

「は……っしゅ、8主、も、いく……ッ!」
「4主さん……っ」

 律動を更に速め、小刻みに揺れる肢体をつよく抱きすくめる。
 やがて8主が限界を迎えた熱を胎内に叩きつけた頃、4主もまた放った飛沫で腹部を白く汚した。

97684(エロあり) 3/3:2016/08/04(木) 23:57:09


* * *

「やっぱり結局は、そういうことなんですよね」
「……何が」
「僕と貴方が。半分違う血が流れていようが、お腹は空くし眠くもなるしセックスだってしたくなるでしょう。そこらへんは普通の人間と変わんないんだよなあと」

 額に貼りついた翠の房を、8主のやや武骨な指が緩やかに梳いていく。その感触がもたらす心地良さを瞼を閉じて享受しながら、4主は確かにな、と囁き返した。

「けど、一応カミサマ連中には貴重な存在らしいからな。あんまり好き放題サカってたらそのうち説教食らうかも知れないぞ」
「んなモン腹の足しにもなりませんね。連中が何と言おうと僕は自分が食べたいときに貴方を食べて、寝たいときに貴方と寝て、抱きたいときに貴方を抱きます」
「……全部俺かよ」
「当たり前でしょう」

 言い捨てる様はやたら豪気で、触れる唇の柔らかさとはまるで正反対なのが面白い。
 4主はくつくつと笑いながら、大嫌いな竜の血を宿す青年の背に腕を回した。


 なあ、見てるかい神様共。
 こんな自分勝手なケダモノ二匹、飼い慣らそうとするだけ無駄だよ。

977名無しの勇者:2016/08/05(金) 05:04:57
おおー!84だありがたや

978名無しの勇者:2016/08/05(金) 21:12:18
今年も84読めて嬉しいよ
ありがとう
えろいなあ……

979名無しの勇者:2016/08/28(日) 14:53:57
素敵でエロい84をありがとうございます…!!
やっぱり84はいいものだ…

98084 1/2:2016/11/05(土) 21:34:42
 単なる身体上の一器官でしかない。
 食事、呼吸、それから会話。日常生活に欠かせないものだとは理解しているが、けれどやっぱりそれだけのものだ。
 それだけなのに、どうしてこうも目が離せないのか。



「4主さん」
「あ?」
「4主さんの唇って薄いですよね」
「どこ見てんだお前」

 家計簿に向かう真剣な表情から瞬く間に呆れ顔へと変貌した4主さんは、電卓を叩く手を止めて胡乱な眼差しを僕に寄越した。

「実際そうじゃないですか。薄くてのぺっとしてて、ついでに血色もあんま良くない」
「へえ」
「おまけにカサついてる」
「ふーん」
「ちなみに僕の唇は張りがあって小振りでふっくら、此方のアスカンタ産高級リップクリームのお陰でいつでもつやつやに潤ってます」
「この世で一番どうでもいい情報をありがとよ。そのまま消え失せろ」
「失敬な。大事なことですよ」
「どこが――」

 胸倉を掴んで強引に引き寄せ、続く言葉を無理矢理に封じる。
 何回か角度を変えながらじっくりとその感触を味わった後、駄目押しにぺろりと舐め上げてから徐に顔を離した。

「ほら。柔らかくって気持ちいいでしょ?」
「…………っ」

 4主さんは何も言わない。けれど、その表情だけで返答は明確だ。
 目元を微かに紅潮させ、瞬きに合わせて紫の瞳に透ける睫毛がしなる様子はまるで絵画で、目つきを緩めて黙ってさえいればぱっと見は本当に非の打ち所のない人なんだよなあとつくづく思う。まあ黙っていなくても美形には変わりないのだけれど、如何せんガラが悪すぎる。

「全く、僕の方はこんなに気を遣ってお手入れしてるってのに、貴方ときたらまるで身嗜みに無頓着なんですから。いくら元がいいからって、あんまりほったらかしだといつかその顔劣化しますよ」
「ほっとけ! ……てかお前、まさかさっきみたいなことする為にわざわざリップクリームだなんて女々しいもん付けてるんじゃないだろうな」
「ジイシキカジョー。歴とした旅の知恵ですよ。唇が荒れてたせいで細菌に感染、なんて事になったら笑い話にもならないでしょう」

 それの予防です、と舌を出して嗤ったら、4主さんは片眉をぴくりと跳ね上げるとああそうかい、と吐き捨てて再び家計簿へと意識を戻してしまった。その横顔がさっきより不機嫌そうに見えるのは、きっと気のせいではないだろう。本当に分かりやすい人だ。

 別段、今言ったことは嘘じゃない。様々な気候の土地を飛び回る上、時にはパルミドのような不衛生な街や、はたまた闇の世界のような別次元にまで足を運ぶのだ。傷口からの感染を防ぐため、僕らの旅では少しでも怪我をすればすぐに薬草を貼るし、乾燥した地域などでは必ずリップクリームを付けるようにしている。あのヤンガスですら(ゲルダさんに脅されて仕方なくとは言え)律儀にやっていたのだ。
 けれども4主さんがほんの僅かに――僕じゃなきゃ気付きもしないレベルで気恥ずかしそうに訊いたさっきの言葉も、理由の一つでない訳ではないのだ。

98184 2/2:2016/11/05(土) 21:35:31
 この人に口付けたいがために、自分の身なりを整える。

 唇に限らず、手や指も。荒れたり掠れてたりしていないか確認して、髪も念入りに洗髪して。服装も――僕と彼とのセンスの差異は置いとくとして、皺が寄ったり汚れがついてたりなんて以ての外だ。体臭にだって気を配っている。
 そうやってこの人を惹き付ける自分を形作ることで、ほんの少しでも「もっと触れたい」とこの人に思わせることが出来たなら、それだけでもう僕の人生の一勝ってものだろう。

「ねえ4主さん。僕ってこう見えて結構負けず嫌いなんですよ」
「は? ……知ってるけど」
「だから勝負と名の付くことには必ず勝ちたいんです。そりゃもう意地でもね」
「何の話を――んっ」

 言い終わる前にまた口を塞いだ。呼吸に合わせて唇をゆるゆると動かし、4主さんのそれを食むようになぞる。翠色の髪を梳いて後頭に手をやり、もう一方の手で逃げられないように肩を抱くと、微かに身じろぎをしたのが伝わってきた。
 いつもみたく立った状態だと上を向かなければいけないが、今みたいに4主さんが座っていれば僕の方から覆い被さってのキスができる。いっそ常にそうしてて欲しい。上向いたままキスし続けるのって結構首が疲れるのだ。長ければ長いほど苦しくなるし、かと言って短く済ませる気もないし。

「ん、う……」
「は……っ、……ん」

 抱き寄せた身体の厚みに少しだけ笑う。確かに身長は一歩及ばないかも知れないが、単純な体格としてならそう負けてはいない。どころか肩や胸板の厚さに関してはこの分なら僕の勝ちだ。ざまあみろ。
 ちゅぷ、と音を立てて顔を離すと、表情こそなんとか取り繕っているものの、4主さんの瞳はすっかり熱に蕩けてしまっていた。けどまあそこに映りこんでいる自分の顔も似たようなものだったのでここは引き分けだ。

「物足りない、って顔してますねえ」
「そりゃお前だろ。馬ー鹿」


 単なる身体上の一器官でしかない。
 それでもこうして磨き上げれば、この人に対する唯一絶対の武器になる。

 さながら銃弾のような、唇という存在。

982名無しの勇者:2016/11/05(土) 23:59:11
84投下乙!
4主を惹き付けるために身なりを整える8主に萌えた

983名無しの勇者:2016/11/06(日) 06:25:34
8主健気だなぁ……

984名無しの勇者:2016/11/08(火) 16:12:53
ところでここって次スレってどうしたらいいんだろう
まだ早い?

985名無しの勇者:2016/11/10(木) 19:40:43
気になってたんだよね
まだ他のスレ動いてるのかな
そもそもスレ立て出来るんだろうか

98684 0/2:2017/08/04(金) 00:49:09
世間は11で賑わってるけど懲りずに今年も84投下に来ました
ここもまた活性化してほしいなあ

98784 1/2:2017/08/04(金) 00:49:51
 目の前がぐるぐると暗くなっていく。
 思わずその場にうずくまると、珍しく焦ったように僕の名を呼ぶ声がどこか遠くからぼやけて聞こえた。


* * *


「……あれ」

 生ぬるい雫がこめかみを伝う感覚で目が覚めた。

 気が付けば仰向けでベッドに寝転がっていて、現状を把握しきれずに暫し茫然とする。
 視界に映るのはよく見慣れた天井の壁紙だけれど、自室のそれとはだいぶ違っていた。まず煤けたりひび割れたりしていないし、人の顔に似た謎のシミもついてない。端的に言って綺麗な、ごくふつうの天井だ。
 視線だけで横を向くと、読書灯のついた小さなキャビネットの上に読みかけの本が一冊置いてあって、「夏野菜のすすめ」というタイトルと一緒にトマトやキュウリなどの野菜の写真が表紙を飾っていた。
 ここは、やはり。どう考えても。

「お、気がついたか」

 ガチャ、と扉が開くとともに掛けられた声で、誰の部屋であるかを確信した。

「……4主さん」
「具合は? 吐き気したり、頭痛かったりとかは」
「いえ、別に……」

 起き上がろうと力を入れたところでくらりと眩暈がした。咄嗟に肩を支えられ、翠色の髪がほんの微かに頬を撫でる。

「っ、」
「バカ、いきなり起きようとするやつがあるか」

 普段よく言われる「バカ」とは全然違う柔らかな声音。例えるならそう、子供に言い聞かせるような。
 一瞬だけ髪の毛が触れ合うくらいに近かった顔はすぐに遠ざかってしまい、なんとも勿体無い気分になった。出来るならもう少し匂いとか温度とかを感じていたかった。

(…………、…………は?)

 一拍おいて、瞬間的に頭を過ぎった思考のあまりの有り得なさに思わず真顔になった。いくらなんでも今のはひどい。何考えてんだ僕は。

「……気持ち悪、」
「ああほら、言わんこっちゃない。とりあえずポカリ持ってきたからこれ飲んで、あと塩飴舐めとけ。ここに置いとくから」

 思わず零れた本音を、目の前の人はうまい具合に勘違いしてくれたようだった。畑仕事に荒れた手がキャビネットの上の本を退かし、空いたスペースにペットボトルと飴の袋が置かれる。ボトルのキャップが一度開封されてからゆるめに締め直される様子を、再び寝台に横たわった僕はフィルムを覗くような心地で眺めていた。
 キャップをわざわざ開けたのは、恐らく未だ手に力の入らない僕への配慮だろう。気が回りすぎていて逆に引く。何この人。なんでこんなに、

「……優しいん、ですね」
「そうでもないだろ。ていうか、いくらなんでも病人相手にいつもみたくやり合うようなことはしねぇよ」

 それだけだ。
 その言葉にほっとしたと同時に、なんとも言えないモヤモヤが胸の内に巣くう。裏を返せば、病気でもなければこの人が僕に優しく接してくれることなどありえないということなのだから。日頃の行いを棚に上げて、心の中でだけケチんぼ、と小さく毒づいた。

「ていうか、何でまた室内で熱中症になんかなったんだよ」
「あー……何か、錬金? 新しいレシピ、試してて……気づいたら、水分取るの、忘れてました」

 程よく冷えたポカリをひとくち飲み下す。独特の甘味がすうっと身体に染み入るようだ。

98884 2/2:2017/08/04(金) 00:50:24
「……試してたって、あの部屋でか?」
「はい」

 釜にアイテムを入れては吐き出され、うまくいきそうな兆しが見えたら抱えながら壁に向かってひと走り。現代科学のアレとかコレで僕んとこの錬金も走らず出来るようになったらしいけれど、長年慣れ親しんだ手法のほうが馴染みが良い。全く悪びれずに即答すると、4主さんは呆れを隠そうともせずに溜め息をついた。

「あんな空調も効かなくて換気もできないような部屋で水も飲まずに走り続けりゃ、そりゃぶっ倒れもするだろうよ」
「……僕も、そう思って水分補給しに行ったんですけど……、時既に遅し、でした」

 階段を降りているときに一瞬ふらっときて、まあ気のせいかとそのまま食堂に向かったら、冷蔵庫へと辿り着く直前に急に目の前が暗くなった。丁度洗い物をしていた4主さんがその場に居たのは僥倖だったと思うべきなんだろう。……それがこの何とも言い難い状況を導いたのだとしても。

「……4女さんは、」
「他の女主とシンシア連れて買い物に行っちまったよ。サマーバーゲンなんだと」
「……さいで」

 間が持たない。
 下手に口を開こうとしたところで、熱にやられた今の頭じゃ碌な言葉を紡げないし、そもそもあまり喋るなと牽制されるだろう。勿論怒りからではなく心配から。
 不快な訳じゃない。落ち着かないのだ。
 こんな風にこの人から優しくされることなんて滅多にないから、どうしていいか分からなくなる。いつもは息をするように湧き出る嫌味も皮肉も、今に限って枯渇中だ。困る。本当に困る。

「そうだ、ちょっとタオル替えるぞ。冷えピタ丁度切らしててな」

 額の汗を軽く拭いてから、ぬるくなったタオルが除けられ、代わりにキンキンに冷えた新しいタオルがそっと置かれる。一瞬だけ触れた指先が同じくらいに冷たくて、恐らく氷水に漬けたのを手ずから絞ってくれたことに思い当たってしまい、落ち着いていた筈の呼吸が一気に苦しくなってしまった。この人は、本当に。

「……めてください、」
「あ?」

 もどかしさをやり過ごそうと瞼を下ろした途端、ゆるゆると溶けるような眠気が思考を侵食してきた。
 4主さんの匂いに満ちた寝台で、4主さんの看病を受けながら眠りに就く。照れ臭いのも恥ずかしいのもあるけれど、それ以上に湧き上がる嬉しさが勝ってしまうのは、きっと身体が弱ってしまっているからだ。そうに違いない。

「……んな風に、優しくされたら……、惚れ直しちゃうでしょう……」

 再び暗転する視界の向こうで、4主さんがどんな表情をしていたのかなんて、僕には知る術のひとつもなかった。


* * *


「……ばか」

 声が上擦りそうになっているのに気付き、相手が眠ってしまったと知りつつも咄嗟に口元を手で抑える。頬が熱を持っているのが嫌でも分かった。
 普段はあれだけつっかかってくる癖に、狡い。卑怯だ。言葉に出来ない非難が湧き出ては沈み、胸の奥にもどかしい澱を堆積させる。
 年上とは思えない8主の童顔にかかる焦茶の髪を払い、4主はいくらか血の気の戻った頬にそっと唇を寄せた。

 こんなときでなければ素直にもなれない、お互いの頑なさを誤魔化すように。

989名無しの勇者:2017/08/06(日) 18:20:17
84投下おつ!
氷水でも手でタオル絞る4主とそこに気付く8主に萌えた

11発売でここも賑わうといいねえ

990名無しの勇者:2017/08/13(日) 00:56:54
今年も84が見れて嬉しい
投下おつです!

991名無しの勇者:2017/08/15(火) 04:00:16
投下乙です!
萌えたよ!

992名無しの勇者:2017/10/15(日) 11:33:38
投下乙!
次スレ立ててもいいかな?テンプレはこのままでいい?

993名無しの勇者:2017/11/22(水) 14:24:14
>>992 お願いします〜!!

994名無しの勇者:2017/11/23(木) 04:22:55
次スレ立てました
テンプレ追加あればお願いします
jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/3012/1511378489/

995名無しの勇者:2017/11/23(木) 05:49:25
スレ立ておつです!

996名無しの勇者:2017/11/24(金) 01:03:21
スレ立て乙!うめうめ

997名無しの勇者:2019/08/05(月) 21:34:00
埋めとく

998名無しの勇者:2020/08/04(火) 12:00:42
うめ

999名無しの勇者:2020/08/12(水) 09:48:11
うめ


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