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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ドラゴンクエスト7部門〜

1名無しの勇者:2002/10/18(金) 20:18
DQ7の小説専用スレです。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。

*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*

2MOMO</b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>:2003/02/22(土) 08:08
|Д`*) キーアルをコソーリ書いてみる……珠玉のへぼん要素満載でお贈りします

3艶やかな石版:2003/02/22(土) 08:09
1
 少年は待っていた。
 打ち寄せては引く潮の流れ。岩に砕け、泡立つフィッシュベルの紺碧の海を眺めながら。
 いつもよりずっと長く感じられる、一人ぼっちの時間。
 砂浜から少し外れた人気のない岩陰。
 二人の人間が並んで座れる位の狭い空間――そこが彼らの秘密の逢瀬の場所だった。

 アルスは深く溜息をついた。約束の時間は、とうに過ぎている。
 待つのは慣れている。大方、城の人達を撒くのに苦労しているのだろう。なにしろ彼は自分と違って、自由に行動できる身ではないのだ。
 グランエスタードの王子、キーファ・グラン。それが彼の名前だ。
 暫くアルスがぼうっと沖を見つめていると、砂を蹴る馬の蹄の音が聞こえた。
「どうっ!」
 彼の声が聞こえる……。
「悪かったな、遅くなって」
 馬を船陰に隠すと、キーファが金色の髪を掻きながらアルスの横に座り込んだ。
 汗びっしょりになって、息をはずませている。ずっと走って来たのだろう。
 アルスは、にっこりと微笑んだ。
「ううん、僕も今来たとこ」
 こんなに必死に走って来た彼を前に、一時間も前から待っていたなんて言えやしない。
「キーファ、それより大事な用って何?」
「コレだよ」
 キーファは懐から石版片を取り出す。
「石版? この間見つけたやつが、どうかしたの?」
「それがさぁ」
 彼は片膝を立てた姿勢で頬杖をつく。
「俺の部屋の掃除係のメイドが、崩れた石壁のかけらだと勘違いしてコイツを捨てようとしたんだよ。いやぁ〜アセったぜ!」
「石版をゴミだと思ったんだね、その人!」
 アルスは大声で笑った。
 キーファのアセる顔を想像すると、可笑しくてたまらない。
「笑い事じゃないだろ! コイツは大事な冒険の要なのに」
「あはは……ごめん、ごめん……でも、可笑しくって……」

4艶やかな石版:2003/02/22(土) 08:11
2
「よくも笑ったな〜。よーし、お仕置きだ!!」
「ああっ! ごめん。ごめんってば!」
 キーファの手がアルスの下肢に伸びる。
「こら、まだ笑うか」
 敏感な部分をキーファの指が意地悪気に這い、こねくりまわす。
「うっ……あん……キーファ、誰かに見られちゃうよ……はぁ……ん……」
 みるみる硬度を増すアルスのそれを愛しげに眺め、キーファがニヤリと笑う。
「溜まってるな。こんなに直ぐにピンピンになっちまうなんて」
「……ああ……ん……キーファのせい……だろ……っ」
「大丈夫だって。こんな岩場、誰も来るもんか。もっと声出せよ……楽しもうぜ」
 キーファは言うが早いか、さっさとアルスの服を脱がしにかかった。
 アルスの白いシャツ越しに、二つの赤い実が主張し始めている。
 シャツの上からその実をキュッとつまむと、アルスが啼いた。
「キーファ……だめ……だよ……んんっ」
 アルスが潤んだ瞳をキーファに向ける。その行為が、余計彼を燃え立たせるとも知らず。
「面倒くさい、それっ!」
 キーファはアルスのズボンを下着ごと取っ払ってしまった。
「わぁッ!」
 恥ずかしさのあまり、真っ赤になって懸命にアルスは足を閉じ、隠そうとする。
 だが、そうはさせじとばかりにキーファの手が股を割り、それを掴んだ。
「――ココを触った時のお前の声……もっと聞きたいぜ」
 彼のそれを上下に扱きあげるキーファの手の動きに合わせ、アルスは喘ぎ声をあげる。
「……はっぁぁん……っぅ……キーファ……出……ちゃうよぉっ……!!」
「俺も……アルスの中に出したい……いいだろ?」
 キーファが彼の首筋や胸に唇を押し当てると、アルスは震え、切なげに身を捩じらせる。

5艶やかな石版:2003/02/22(土) 08:12
3
 二人の先端に溢れる雫を集め、キーファは指でアルスの入口をゆっくりと攪拌した。
「くふっ……ふ……ぅぅ……っん」
 アルスが腰を浮かせ、瞼を閉じる。
「よっし、いいかな」
 悪戯っ子のような笑みを浮かべ、キーファがアルスの腰を引き寄せ、自分の膝に乗せる。
「あぁ――ッ!」
 キーファト深々と接合したアルスが声をあげる。
「んッ……アルスのここは最高だぜ」
「……キ……キーファのも……すごい……」
「動くぞ、アルス……俺がイクまで我慢しろよ」
 ゆっくりと、そして段階的に律動のピッチを上げてゆくキーファに、たまらずアルスが喘ぎ声を漏らす。
「……イきそっ……イきそうだよぉ、キーファァァ……あん!……はっ!……うぅっっ!」
「まだっ……ダメだっ!…ガマン……しろっ!」
「そんな……んんっ……キーファのいじわ……るぅっ!」
「すぐにイっちまったら……その分早く……お前と……離れなきゃならない………だろ」
「キーファ……」
「一秒でも長く……俺は……お前と一緒にいたいんだ……それでもダメ……か?」
 はっとしてアルスが振り返ると、キーファの唇が彼の唇を捉えた。
 とろけるような甘美な囁きと共に、彼の舌が進入し、アルスの腔内まで熱くさせる。
 キーファの右手はアルスのそれを、左手はアルスの指をからめる。

 キーファは体のすべてを使って自分を愛してくれる――――。

「うっ……アルスッ……も……オ…レ……!」
「……ああっ! ……ボク……も…………!」
 二人は同時に精を放った。激しい呼吸を繰り返す。
「あーあ……アルスの濃いので俺の手、ヌルヌルだよ」
 キーファは何を思ったのか、傍らに置いてあった石版のカケラに、ごしごしと手をこすりつけた。
「ちょ……ちょっとキーファ、何てことするんだよ! 神聖な石版で手を拭くなんてっ」
「いいじゃないか。乾いてるから、よく吸い取るぜ」
「……あきれた……」

6艶やかな石版:2003/02/22(土) 08:13
4
「ところで結局の所、キーファの大事な用って何だったの?」
「そうだった。ついエッチになだれ込んで話してなかったな。要は、この石版をお前んちで預かってくれって言いたかったんだ」
「捨てられそうになったからだね」
「そういうこと!」
 二人はアルスの母、マーレが弁当にと持たせてくれたアンチョビサンドをほおばった。
「うまい!お前の母さんは本当に料理上手だな」
「キーファには、お城の立派な料理人が大勢いるじゃないか」
「……おふくろの味っていうのがいいんだよ……」
 キーファは随分前に王妃である母を亡くしている。
「キーファが美味しいって言ってたって話したら、母さん喜ぶよ」
「そしたらお前の母さん、もっと沢山うまい弁当食わしてくれるかな」
「うん。きっとキーファの分も作ってくれるよ」
「じゃあ、うまさの余り感激して泣いてたって伝えておいてくれな」
「はいはい、そう伝えときます」

 フィッシュベルの夕焼け。
 赤に紫に黄色にオレンジ。様々な色に染まった雲たちのハーモニー。
 美しくも、哀しい色……。

「今度は……いつ会える?」
 馬に跨ったキーファを、アルスは見上げる。
「二週間後かな……例の場所で……な。それまでしっかり石版のこと、頼むぜ!」
「うん、わかった」
「じゃ!!」
 手綱を握り締め、馬の腹を蹴ると、キーファは城に向け走り去った。
「キーファ……」
 馬の蹄の跡だけが、砂浜に残されていた――。

7艶やかな石版:2003/02/22(土) 08:17
5
 二週間後。
 アルス・キーファ・マリベルの三人は冒険の間にいた。
 マリベルがこれからの冒険を思い、うきうきした口調で話し出した。
「さーあ、この間見つけた石版のパーツをはめ込むわよ!」
「うっ、うん……」
 アルスは懐から石版を取り出し、マリベルに渡した。
 彼女はパズルを完成させるべく、カケラの向きを確かめようとしていたが、やがて怪訝な顔をした。
「……あら……?やけにこの石版、テカテカしてるわねえ……」
 ギクッとしたのはアルスとキーファだ。
「ききき気のせいだと思うよっ」
 ひどく動揺したせいか、アルスの声がひっくり返る。
「アルス、何でアンタ赤くなってんのよ?」
 硬直したアルスを後ろに隠すと同時に、キーファはずいっとマリベルに歩み寄る。
「マリベル、そんなことより、早いトコそいつをセットして冒険に行こうぜ!」
「それもそうね」
 マリベルが、最後の石版のカケラを台座にピシリと置く。
 途端に不思議な光が満ち、異世界への扉が開かれた。
「行くわよ、二人とも!」
 逸る心を抑えきれず、マリベルがスカートの裾をたくし上げ、さっさと先に光に飛び込む。
 キーファが振り返る。その視線の先には、アルスがいる。
「キーファ!」
 アルスがキーファに向かい、手を伸ばす。
 キーファは微笑むと、しっかりとアルスの手を掴んだ。
「アルス、俺たちも早く行こう!」
「うん!」

 ――――なぁ、アルス。あの光の先には、どんな冒険が俺たちを待っているんだろうな?

 キーファの問いに、アルスが困ったように首を傾げると、彼は笑って肩を組んだ。     < 完 >

8名無しの勇者:2003/02/22(土) 17:07
某お絵書き所から飛んできました。いつの間に…っ。
アルスが可愛いですね。
こういう場面の絵はあそこじゃ描けないから臭わす程度でいつか描いてみたいです。
またコソーリと言わずに書いてください〜。

9名無しの勇者:2003/02/23(日) 00:10
すんごい好きです、キーアル。
いいものを読ませていただきました。くぅ…っ!

ゲームをやっていて、アルスは王様のお稚児でもあるから
城への出入りを黙認されているのだと思った私は逝ってよしですか。

10MOMO</b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>:2003/03/01(土) 17:35
レスありがとうございます〜。

>8様 では、萌え絵は専用板、801絵はボーンタンの絵板ってことで是非w
>9様 お城はハッテン場、アルスたんはフケ専?! Σ(゜Д ゜;)
   ……そっ、そうだったのかっ!……メモメモ(;´Д`)φ

11名無しの勇者:2003/11/14(金) 05:01
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)初めましての者です…。
途中まででスマソですが、よろしくおねがいしまつ。

12名無しの勇者:2003/11/14(金) 05:03
1
アルスはキーファのうなじが好きだった。

幼き頃から、その後姿を追いかけるばかりだった。
背が低かったアルスは、キーファと並ぶとその表情を見上げるばかりになってしまう。
だから自然に首筋の白さが目に入った。
少し長めの後ろ髪に隠されて、他の肌より日にさらされてなかったからかもしれない。

キーファの、冬の星を溶かしたような輝きを放つ金髪。
その合間から覗く白さに、幼いアルスはただ漠然と綺麗だな、と思っていた。
照れると少しだけ朱に染まるその肌の白さを、知っているのは自分だけだと思っていた。

いつか、触れてみたい。
そう願うようになっていた。

13名無しの勇者:2003/11/14(金) 05:04
2
「ぼくって変なのかなあ」
空を見つめたまま意味不明のため息をつく幼なじみに、マリベルはただ眉をしかめるばかり。
夜半いきなり浜辺に呼び出され、何事かと夕食のデザートのプリンも食べないで駆けつけてあげたのに、煮え切らない幼なじみは前置きなしでため息ばかりついている。
…こんなんじゃ、誰だって機嫌は急降下よ。

目の前の波は、マリベルの心の内とは裏腹に穏やかだった。
満月の夜。凛と澄んだ空気の中に染みるように、
月光は静かに降ってくる。

「あんたが変なのはずっとでしょ」
「…うん…」
「聞いちゃいないし」
やってらんないわ、とマリベルが踵を返そうとすると、すかさずスカートの裾をしっかりと捕まれ、マリベルはあやうく転びそうになる。
「な…何すんのよ!」
「ひ、ひとりにしないでよマリベル!」
「いい加減にしてよ!」


とうとうマリベルは大声を出した。
「どうせ、キーファのことなんでしょ!」
「な! なんで分かっ……」
「あーもう、じれったいわね! だったらさっさと行けば? あたしのとこじゃなくて、キーファのとこに!!」
「呼んだか?」

14名無しの勇者:2003/11/14(金) 05:04
3
聞きなれた声。
二人が振り向くと、視線に気づいたキーファが手を軽く振ってみせた。
さく、さくと砂を踏みしめながらゆっくりと歩み寄ってくる。
「ここにいたのかアルス、探しちまったよ。いないってこと気づくのに時間かかって、ずっと窓に小石投げ続けてたんだぜ?」
窓が割れてたらカンベンな、とキーファは明るく笑う。
「よう、マリベルもいたのか」
「ちょーどいい所に来てくれたわ。お守り、よろしくね」
「は?」
どん、と強く押され、アルスはよろけた。
その体を慌ててキーファが支え、アルスの体はすっぽりとキーファの体の中に納まった。
「じゃ、よろしくね」
「よろしくって…おい、マリベル!」
「詳しくはそいつに聞いて。…全く、いきなり呼び出された
あたしが一番みじめじゃないの」

後半の呟きは小さく、キーファの耳には届かなかった。

15名無しの勇者:2003/11/14(金) 05:05
4
「おい、どうしたんだアルス」
キーファは、腕の中で縮こまるアルスに視線を向けた。
まるで寒いかの様に、アルスはキーファに身をよせかたかたと震えている。
「アルス?」
と、意を決したようにアルスは顔を上げた。
「キーファ…一つお願いがあるんだ」
言葉の意味と向けられる強い視線を持て余して、キーファは無言で戸惑う。
「触っても…イイ?」
「…え…?」
「その…だからっ…!」
月光の下でもそれと分かるくらい、アルスの頬は赤く上気している。
「触りたいんだ…その…うなじのとこ…。ずっと、ずっとキーファのそこ、キレイだなって思ってて…」
「なあんだ、そんなことか」
キーファは軽く腰をかがめ、目の高さをアルスと同じにするとアルスに向かってニッっと笑ってみせた。
「ほら、触れよ」
「え…いいの?」
「当たり前だろ、な? ほら」

安心したのか、少しだけはにかむように笑ったアルスは、おずおずとその手を伸ばす。
と、キーファはアルスの耳に口を寄せ、囁いた。
「なあアルス、触るだけでいいのか?」

16触れた傷あと:2003/11/16(日) 20:36
5
アルスがその言葉の真意を図りかねている間に、腰に回されていたキーファの腕に力が込められる。
体は密着し、瞬間アルスの鼓動は大きく跳ね上がった。
耳たぶにふっ、と小さく息を吹きかけられて、アルスはようやく意味に気づく。
「き、キーファ! 待ってってば!」
「待てない」
「だ、だってこんなところで…」
「その気にさせたのはお前だぜ?」
キーファの手はするりと肌着の下にもぐりこみ、アルスの肌の上をゆっくりと滑っていく。
わき腹の稜線をそっとなでられて、アルスはくすぐったさに身をよじった。
「や、止めてってば…キーファ…」
 …ああ、だけど。
言葉とは裏腹なこの早くなるばかりの鼓動は、キーファに聞こえてしまっているんじゃないだろうか。
「止めていいのか? だってほら」
「あっ!」
キーファの手はやがて下半身の方へと下りていき、そしてアルスの屹立へと伸びた。
すでに立ち上がりかけているそれをそっとつままれて、思わずアルスは小さく声を漏らしてしまう。
「…もうこんなになってるぜ? お前ってうそつきなのな」
「や、やだ…やめてってばキーファ…! ぼくもう」
何か言いかけようとしたアルスの唇は、キーファのそれにふさがれる。
その柔らかさに、気持ちよさに。アルスは非難することも忘れ、まぶたを閉じてしまう。
その長い長いキスに…酸素を求め、軽く唇を開いたアルスの口腔の中にキーファの舌が滑り込み、蹂躙する。

アルス自身に回されている手は、緩急つけてアルスを責め上げる。
徐々に立ち上がっていく先端から蜜は少しずつあふれ出し、下着とキーファの手を濡らしていく。
ひたひたと身中を満たす、今だ体験したことのなかった快楽の波にアルスはおぼれ、次第に自意識をかすませていった。
ただ、己の欲のみ忠実になっていく少年たち。

17触れた傷あと:2003/11/16(日) 20:37
6(ageちゃった…スマソ)

「な、なんかヤダ…も、もう出ちゃうよ…」
「イかせてほしい?」
「ち、違…」
「自分で言ってみろよ、『イかせてください』って」
「や、ヤダってば…お、お願い…」
「違うのか? じゃあまだお預けだな」
「やだ…やだよぉ…やめてってばきーふぁ…」
キーファはわざと意地悪くささやき、アルス自身の先端を強くつまむ。
痛そうにアルスはギュッと目を閉じ、首を振るが、その後はもはや何も言葉にならなかった。
何がいやなのか、何を求めているのか。アルス自身にも分からなくて、ただただ頭を振り続ける。
だが月明かりの下それと分かるほど紅く染まった頬が、何よりもアルスの胸のうちを語っていた。

「…強情だな、アルスは。もうオレ我慢できないや」
少しだけ悔しそうに呟いてから、キーファは背中に回していた左腕でアルスの頭を自分の肩口に抱き寄せた。
下半身に伸ばされた右手は再び屹立への愛撫を開始する。
今度の容赦ない責め上げに、アルスは思わず声を漏らす。
「ぁ…き、キーファ…あっ…やぁっ……」
「…感じやすいのな、アルスは。もうこんなになってるぜ」
「そ、そんなこと…あっ…はあ、はぁ…」
キーファがアルス自身をギュッと握りこむ。電撃のようなしびれる感覚に、アルスは思わずいっそうキーファに身を寄せた。
頂点に達し、意識がはじけそうになる。アルスは声を出すまいと、歯を食いしばろうとした。
そして…。

18触れた傷あと:2003/11/16(日) 20:39
7(ラスト)

「おはよ。キーファとうまくいった?」
「お、おはようマリベル」
翌朝。月の代わりに空に昇った太陽の下。
同じ浜辺で声をかけたマリベルは、アルスのどこかホッとしたような顔に軽く怒りを覚える。
「…うまくいったみたいね。全く、嬉しそうな顔しちゃって」
「え?! そ、そんなことないってば!」
「…あーあ。ヤマかけただけなのに当たっちゃってた? やっぱあたしってすごーい」
「……」
「よ、二人とも、早いじゃん」
後からキーファもやってきた。聞きなれたはずの声なのに、アルスは一瞬飛び上がりそうになるほど驚いてしまった。
「お、おはよぉ! キーふァ!」
「…どうしたの? あんた声が裏返ってるわよ」
不審そうな視線をよこすマリベルに、返事する余裕すらアルスにはない。
そんなアルスを、キーファは可笑しそうに見やる。
「こいつさー、昨日オレに噛み付いたんだぜ?」
「え?! 何それ!」
「き、キーファってば! 黙っててってお願いしたじゃないか」
「へへーん、昨日嘘ついた罰!」
顔を真っ赤にするアルス。思わずくりあげたパンチを身軽くかわしてキーファは走り出した。
「お前なんかに捕まるか、鬼さんこーちらっ!」
「待てよ! もう! キーファのばか!」
「ちょっと待ちなさいよ! あんたたち、何があったわけー!」



…追いかけるアルスの前に、キーファがいる。
彼のうなじには、赤い小さな傷跡。
あの絶頂の瞬間、アルスは思わずキーファに歯を立ててしまったのだ。

その瞬間のことを思い出してアルスは思わず赤面したが…
それと同時に、憧れの人の体に己のしるしをつけられたような気がして、
少しだけ、喜びも感じてしまったのだった。

19保管人 </b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>:2003/11/16(日) 20:58
ageても大丈夫ですよ〜!

新人さん、とても(・∀・)イイ!感じです。
また書いてくらさいね!

20名無しの勇者:2006/03/15(水) 03:25:38
投下します。サイードとアルス、ED後。

211/8:2006/03/15(水) 03:27:14

「お前は不思議な目をしているな」
 そう言った彼のほうが、よほど変わり者だと、アルスは思った。

―――

 その日も、世界は平和だった。
風は柔らかく、潮は凪ぎ、空は青い。小さな島の内陸、うっそうと茂る森をかきわけ進みながら、
アルスはふと空を見上げた。時折出くわす魔物たちも、以前に比べれば数はぐんと減った。
これが当たり前なのだ、と思った瞬間、背負った武器の重みに心が疼いた。数多の命を奪ってきた剣は、
目の前に広がる穏やかな世界には、あまりにも不釣合いだった。
その剣を凶大な敵に振りかざした日から、もう半年が経つ。世界は急速に変わっていった。
ほんの数年前まで、己が暮らす小さな孤島が世界の全てだと信じていたことが、まるで嘘のようだった。
十数年のあいだ、培い、守ってきた当たり前は、もう何の意味もなさない。
火を噴く山が、風止まぬ深い谷が、そして暑く渇いた砂漠がそこにはあった。初めて見るものにばかり溢れた
世界はどこまでも広く、それがアルスにはとても不思議だった。
けれど、それももう昔の話だ。歳若い旅人として世界中をさすらった身である。故郷とは似ても似つかぬ
旅先の光景に、感動を覚えることはあっても初見の驚きはもはや無い。
見慣れた空を仰いだ。雲が形を変えながら流れていく。

222/8:2006/03/15(水) 03:28:01

時代を巡り、世界を繋ぎ、ふと立ち止まったとき、彼は勇者だった。ちょっとした子どもの冒険は、
壮大な旅に姿を変えた。
多くの人と出会い、多くの人をなくした。共に寄り添ってきた朋友をなくした。決していなくなることは無いと
思っていた父をも失いかけた。そして、新しい仲間に出会い、遠い時代のもう一人の父に出会い、そして。
そして。
 ――やめよう。……もう過ぎたことだ。
たがを外れてにじみ出る過去の記憶を無理やりに封じ、アルスは上へやっていた目線を進路へと戻した。
もう立ち止まらない。黙々と足を前へと進めていく。
アルスが目指すのは、小さな島の中心、そこにひっそりと佇む神殿跡。彼にとって、そして世界にとってもまた、
すべてがはじまった場所だった。
あの時、もしも。最近になって、アルスはよく思う。
あの時、もしキーファがこの遺跡に目をつけなかったら。あの時、もし謎解きを出来ずに終わっていたら。
あの時、もし石版を見つけられずにいたら。
そうすれば、世界はずっと変わらなかった。そうすれば、今頃、キーファはグランエスタードの王位を継承していて、
アルス自身はようやく船の下っ端くらいをさせてもらえるようになっていて、マリベルは相変らず普通の、
ちょっと気が強いだけのお嬢様のままで。
けれどもしもそうならば、天真爛漫で人懐こいガボにも、お茶目な好々爺の英雄メルビンにも、
大人びている割に好奇心ばかり強いアイラにも、出会うことは決してなかった。
皆、苦楽を共にした大切な人たちだった。
そしてアルスの脳裏にもうひとり、「大切な人」の顔が浮かんで、消える。背が高くて、よく日に焼けていて、
嫌味っぽいのに、笑うと意外に人好きのする顔。
アルスは今から、彼に会いにいく。

233/8:2006/03/15(水) 03:28:38

『旅をしよう。共に』
そう綴られた文がアルスのもとに届けられたのは、数日前のことだ。
平和な日々の中、サイードの手なずけた魔物を通して二人は手紙を交わしていた。日記にしたためるような
他愛ないことや、些細な日常の変化などを告げる、ささやかなやりとりだ。穏やかな漁村の青年と、
草枕の気ままな旅人と。話題は尽きることを知らなかった。
そうしてある日、フライングデビルの運んできた手紙には、たった一言、上のように書かれていた。いずれ
サイードがそう告げることを、アルスは根拠も無いままに薄々予感していた。
だからアルスは悩まなかった。快諾の意志を記した、やはり一言だけ書かれた紙切れを魔物に渡すと、
彼はすぐに荷支度を始めた。手に馴染んだ至高の剣と盾を背に、最低限度の日用品や非常食、着替えを袋に。
両親や仲間たちへの言い訳は必要なかった。生まれ持っての風来坊である自分と理解ある周囲の人々たちに、
アルスは心から感謝した。

――あいつに会ったら、何て言ってやろうかな。
近道をするために通る草むらで、進路を掻き分けながら、アルスはそんなことを思う。形どおりの挨拶なんて、
手紙の中で書きつくしてきた。
開け放たれた古代神殿の扉をくぐり、トントンと軽快に地下へ続くハシゴを下りながら、アルスはふと
彼に初めて出会ったときのことを思い出していた。

244/8:2006/03/15(水) 03:29:16

砂漠に住むその青年の目は、不思議にアルスへと既視感を与えた。遠くばかりを見つめる、少し寂しげな眼差し。
「ふん、お前がスクイヌシサマとやらか。とてもそうは見えないな」
アルス達を一目見るなり、彼はそう言った。
無関心を装った瞳には未知なるものへの好奇心が輝いていて、その光はアルスの心をかすかに揺らした。
マリベルがすぐ隣できいきいと腹を立てていたことにも、アルスは気づかなかった。
「あの、君は?」
思わず口をついて出たが、その問いかけに返ってきたのは、無愛想な一言だけ。
「お前には関係のない者さ」
結局、彼の名を本人から聞きだすことが出来たのは、二度目にあったときだ。
「俺の名は、サイード。誇り高き砂漠の民だ」
凛と張ったその声を、アルスは今も鮮明に覚えている。

ひんやりした地下の匂いがアルスを包んで、彼は小さくくしゃみをした。その音が石造りの壁にこだまして、
空気を震わせる。しばらくぶりの地下神殿は、いつにもまして静まり返っているようだった。
鼻を擦り、旅荷を背負いなおして、アルスは旅の扉の間へと向かう。
待ち合わせ場所は砂漠のオアシス、世界をまたにかけたアルスならば転移呪文で容易く辿り着けるはず
だったが、彼はそれをしようとはしなかった。
――だって、つまらないもんな。
数年前、世界を変えてしまった冒険は、この遺跡から始まった。己の足で、歩いて、迷って。
旅とはそういうものだ、とアルスは考える。だから新しい旅に出るにあたり、その魔法は封じることに決めていた。
やがて辿り着いた部屋には、石室が四つ、静かに鎮座ましましている。消えること無い精霊の炎が、
ぼんやりと床に描かれた世界図を照らしていた。アルスは迷うことなく、黄色い炎を掲げた祠、
その中で輝く光の渦に入っていく。それは遠い地へと繋がる、旅の扉だ。
遠い地へと。彼を待つ人のいる地へと。

255/8:2006/03/15(水) 03:29:53

次に目を開けたとき、彼は砂塵に巻かれて尻餅をついていた。
「あたた……」
相変らず、旅の扉の衝撃には慣れない。アルスは思い切り打ち付けた腰をさすった。あっという間もなく
砂まみれになってしまった荷物の汚れを掃うことも忘れない。
「ははは、世界の勇者も砂嵐には勝てないか」
しゃがみこんでいるアルスに、ふと手が差し伸べられた。日に焼け骨ばった、そして懐かしい手だった。
「そういう君も随分砂まみれだね」
アルスはにやりと笑い、伸ばされた手を取る。そうして引き起こされるのにまかせ、立ち上がった。
「久しぶり。……背、ちょっと伸びたんじゃないか?」
「そうか? そうかもしれないな」
見上げた顔が、記憶にあるよりほんの少し高いところで笑っている。
「半年、ずっと旅してたんだろ? どうだった」
「世界は広いんだな。知らないものばかりだった」
放っておけば一人で喋りだしそうな口ぶりに、アルスは短く「そう」とだけ返した。
「……ところで、それ、もうひとつ無いの?」
それ、とは砂漠の民が常用している丈夫な布地の外套のことだ。日照りや砂埃、延いては夜分の極寒から
身を守るもので、目の前の青年も衣服と荷を隠すように羽織っている。おいおい必要になるだろうことはアルスにも
分かっていたが、まさかのっけから砂嵐に見舞われるなど、彼にも予想は出来なかった。
砂の混じる風に顔をしかめるアルスをよそに、砂漠育ちの青年は外套の下の麻袋から、自らの羽織と
同じものを取り出す。そしてそれをアルスに放った。
「ああ、もちろんお前の分も持ってきた。何しろこれからは二人旅になるからな」
サイードの一言に、アルスはにこりと微笑む。

266/8:2006/03/15(水) 03:30:53

「これから、どうする?」
サイードから受け取った外套を羽織って、アルスが尋ねた。ここは砂漠の真中だ。どこへ行くにもまずは
交通の便のいいところに出る必要がある。
「とりあえず砂漠を抜けるのが先決だろうな。だがこれでは動きようもない。砂嵐が止むのを待つか」
「待つって……一体どこで、いつまでだい?」
過去に仲間達と砂漠を旅したころのことを、アルスはふいに思い出す。砂嵐にも何度か遭遇した。
空を覆いつくす砂風に、ガボははしゃぎ回り、メルビンは岩陰から一歩も動かず、アイラは物珍しそうに
辺りを眺めて戦いを忘れ、マリベルに至っては転移呪文でひとりフィッシュベルへと戻ろうとした。
そんな状態が、三日三晩。
そういうお世辞にも楽しいとは言えない記憶しかないものだから、嵐が止むまで待とうというサイードの
意見には一も二もなく賛成だった。が、辺りには舞い踊る砂を防げるようなものは何もない。
子どもっぽく頬を膨らましたアルスをよそに、サイードはくすりと笑った。
「忘れたわけじゃないだろう。この近くには、砂漠の民の村がある。これでは着くまでに時間がかかるだろうが、
歩いて一刻もないはずだ」
「あ」
「では行こうか。俺の生家もある。大したことは出来ないが歓迎するぞ、救い主どの」
サイードの笑顔がいたずら好きの悪童のように歪んで、それを見てアルスはやれやれと溜息を一つ吐いた。
砂漠の村の歓迎ぶりは、よく身に沁みている。

277/8:2006/03/15(水) 03:31:35

ますます激しく吹きすさぶ風と砂に行く手を阻まれながら、二人は砂の海を歩いていく。
「なあ、アルス」
外套を奪おうとする突風に耐えつつ、サイードは口を割った。「何?」うまく聞き取ることができず、
アルスは聞き返す。
「初めてお前を見たときから、ずっと思っていたことがあるんだ」
アルスの疑問符など気にも留めず、サイードは続ける。聞こえていようが聞こえていまいが構わない、とでも
思っているようだった。
「アルス。お前は、不思議な目をしている」
「……」
今度ははっきりと聞こえたが、アルスは何も言い返さなかった。
「不思議で、変わり者で、おかしな奴だ」
そう言うサイードのほうがよほど変わり者だ、とアルスは思う。立派な屋敷からわざわざ独り立ちして
猫と暮らしていたり、族長の裕福な家柄に生まれついたのにちっとも欲を持っていなかったり。
何より、それら全てを捨てて選んだのが、こんな自分との二人旅だ。その彼を変わり者と呼ばずして
何と呼べばいいのか。アルスは胸中で苦笑をもらした。
「だがな、俺はそんなお前が嫌いじゃない。だからこうして共に旅が出来て、心から嬉しい。感謝している」
「……あのね、サイード」
喋るたびに砂が舌に纏わりつく。その感覚に辟易しながら、アルスは言葉を続けた。
「そういうことは、普通もっと落ち着いたところで言うもんだよ」
何もこんな聞き取りにくいところで言わなくてもいいだろう。そうアルスが言うと、サイードは笑って切り返した。
「分かっているさ。だが今どうしても伝えたかったんだ」
「恥ずかしい奴だなぁ」
つられてアルスも笑って、そしてもう一度口を開く。「でもね、」
「僕も嬉しいよ、君と旅が出来て。誘ってくれて、ありがとう」

288/8:2006/03/15(水) 03:32:22

「それでさ、砂嵐が止んだら、どこへ行こうか」
大声を張り上げながら、アルスが尋ねた。歩けども、歩けども、村は未だ見えてこない。
「お前に任せるよ。まだ行ったことのないところが、俺には沢山ある」
「そっか」
「だからな、もしよければ、……」
そこで突風が巻き起こって、サイードの声を遮った。
「え? 何?」
「もし、よかったら。お前の旅でお前が出会ってきた、美しいものも、醜いものも、すべてこの目で、この手で、
確かめてみたい。構わないだろうか」
「……」
アルスは口元が緩むのを感じていた。本当に、この砂漠の青年は、気障ったらしい奴と言うべきか、
明け透けな男と言うべきか。けれどその言葉は、アルスの心を強く、強く揺さぶった。
「構うわけないよ。ちっとも構うもんか」

初めてサイードに出会った日、何故だか、彼に初めて会った気がしなかった。
そして今、その理由に、アルスはふと思い当る。
「あ、そうか。似てるんだ」
「……何か言ったか?」
「ううん。何でも」
似ている。その好奇心にばかり満ち溢れた瞳は、似ているのだ。かつての親友に、仲間に、
――そして何よりも、他の誰でもない、アルス自身に。
「じゃ、どこに行くかはとにかく村についてから決めよう。君を連れて行きたい場所が、たくさんあるんだ」

二人の旅は、まだ、これから始まる。

29名無しの勇者:2006/05/20(土) 11:41:15
久々に見に来たら萌えが
(;´ρ`)ハァハァ
GJです!


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