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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:04:30
『星見駅』からバスで一時間、『H湖』の周囲に広がるレジャーゾーン。
海浜公園やサイクリングロード、ゴルフ場からバーベキューまで様々。
豊富な湿地帯や森林区域など、人の手の届かぬ自然を満喫出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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294伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/20(木) 23:29:40
「はぁ……」
湖畔のほとりで、やや憂鬱そうな様子で
一人の少女が湖を覗き込んでいる。

光が反射して鮮明にその顔が映る。

「第二の人生…
 なーんて、どうすりゃいいんスかね……」
自分の頬をぱちぱち叩く。

まるで漂白剤を頭からかぶったかのように
自分の姿は全身蒼白だ。

自分の体に「黒」という色は殆ど全く見られない。
過去の自分の姿を思い起こして

「とりあえず……
 学校に行って大丈夫なのかなぁー……」
自分の制服も色落ちしたかのような雰囲気である。

命を落としたショックよりも
これからどうすりゃいいのか、そんな思いで彼女は悩んでいるのであった。

295小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/21(金) 23:57:36
>>294

人影もまばらな、静かな湖畔のほとり。
そして、湖の傍で思い悩む全身に白みを帯びた少女。
そこから少し離れた所に、一人の女が座っていた。

年の頃は二十台後半。
すらりとした細身の体型で、女性にしては背が高い。
楚々とした喪服に身を包み、つばの広い黒い帽子を被っている。

少女とは対照的に、その姿には『黒』が際立っていた。
ただ、左腕にはギプスが付けられ、三角巾で腕が吊られている。
そのため、そこだけは『白』が目立っていた。

  ――……『第二の人生』?

少女の発した言葉が耳に入り、不思議に思った。
年若い少女が口にする言葉にしては不釣合いだ。
まるで、既に『第一の人生』が終わっているかのような……。
そんなことを考えながら、つい少女の方を見つめてしまっていた。
もしかすると、こちらの視線に気付かれるしれない。

296伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/22(土) 10:23:31
>>295
「とりあえず染めてみるかなぁー…」
などと悩みながら、湖に映る自分の姿をずっと見ていたが、

「おや…
 誰かに見られている気配がスるっス…」
ハッとして、顔を上げる。
蘇ったから感覚が鋭敏になっているのかは定かではないが
とにかく、じっと見られているような感覚を覚えたのである。

(いやー、この格好は目立ってしょうがないスからねー…
 興味津々なヒトもいるのかも……)
と、周囲を見渡していると

「…おんなじ白いのが…!」
と、文子の腕を保護しているギプスを指差して驚いている。
この時同時に二人の目があった。

彼女、梨央奈の姿は
『真っ白』という言葉がふさわしいくらい
全身白ずくめであった。
かなり特異なのは、文字通り
肌から髪の毛、僅かな濃淡で判別できるものの
眼球まで、まさしく『全身が』白ずくめなことであった。

297小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/22(土) 21:40:51
>>296

  「――あ……ごめんなさい……。つい、見つめてしまって……。   
   気に障ったのなら謝ります」

少女に近寄っていき、頭を深く下げて謝罪する。
自分の骨折した左腕に対して、少女は驚いているようだ。
どちらかというと、ギプスよりも『色』に反応しているのが気にかかったが……。

実際の所は、こちらの方が内心よほど驚いていた。
ただし、表情には出さないようにしている。
あからさまに驚いた顔をしてしまっては相手に失礼だ。

けれども――確かに不思議な姿だとは思う。
肌が色白だというなら分かる。
自分も肌の色は白い方だ。

しかし、ここまで全身が真っ白というのは見たことがない。
そういえば『アルビノ』という言葉を聞いたことがある。
遺伝子や色素の問題で身体全体が白くなるらしい。
もしかすると、彼女もそうなのだろうか?

  「……隣に座っても構いませんか?」

了承が得られたなら、彼女の隣に静かに腰を下ろす。

298伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/22(土) 22:14:36
>>297
「えーあ、気にしないデも大丈夫スからー…
 白いのが見えてちょっとびっくりしただけっスー」
と、随分と元気そうに答える。
そういう自分なんて真っ白なのにだ。

「あ、隣デスか?
 私は別に構わないスけど……」
不思議そうにしながらも返す。

「あー、えっと…
 怪我大丈夫スかね…?」
ギプスとかが気になってしょうがないようだ。

299小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/22(土) 22:53:10
>>298

  「ありがとうございます」

お礼を言って梨央奈の隣に座る。
その顔に浮かぶのは柔らかい微笑み。
しかし、どこか陰のある微笑だった。

  「これは――道で転んで、手をついた拍子に腕を折ってしまったんです」

これは嘘だ。
実際は、ある事件に巻き込まれて負った怪我だった。
とはいえ、初めて会った人にする話でもないと判断した。

  「全治一ヶ月だそうですけど……。
   でも、もうすぐ治りますから大丈夫です」

これは本当だった。
あれから、もうすぐ一月が経過する。
もうじきギプスも外れるだろう。

ギプスが付いているのは左腕。
それを目で追っていたなら、左手の薬指に指輪がはまっているのが見えたかもしれない。
位置を考えれば、それが何か分かるだろう。

  ――『白』が気になるのかしら……。

この少女の真っ白な姿と関係しているのだろうか?
確かに、気にかかることではあった。
しかし、それを直接尋ねてもいいものかどうか……。
そんな時、二人の間を一匹の蝶が横切った。
その色は――『白』だ。

300伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/22(土) 23:24:41
>>299
「まぁー、誰かがいると
 なぜだかちょっとだけ安心してたりスるんス…」
何か不安だったのかもしれない。
自分の姿を見てもあんまり動揺してなさそうなのが
安心したのだろうか

「へー、それは大変スね…
 でも大変なことにはならなくて何よりデスよー」
骨折で済むならまだいいなーなどと考えながら、
そのギプスをじっと見る。

と、そこに横切るのは一匹の『白』い蝶
「んぁ!?何時の間に……ん?」
ひどく驚いた様子で蝶の姿をじっと見る。
なんだか妙なことを口走っているようにみえる

「…何だただの蝶だった……
 はぁびっくりした…」
(…無意識に能力を使ったのかと思ってしまった…)
白い蝶、白い生物に妙に反応するようになった
そんな自分を思い返しているようだ。

文子から見るとそれはどう映るのだろうか……

301小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/22(土) 23:54:27
>>300

梨央奈から見ると動揺していないように見えたかもしれない。
しかし、実際には少なからず動揺はしていた。
それを表に出していなかったというだけのことだ。

けれども、今は既に落ち着きを取り戻していた。
それなりに人生経験を積んでいるがゆえだった。
それでも、目の前の少女のような姿をした人間には出会ったことがない。

  「――『何時の間に』……?」

梨央奈の反応を見て、小さく呟く。
ただの蝶に対する反応にしては大げさだった。
蝶が苦手という感じでもない。

今までのことから考えると、やはり『白』に反応しているのだろう。
なぜ彼女は『白』に過剰な反応を示すのだろうか?
それが気にかかる。

  「あの――失礼ですけれど、高校生の方ですか?
   それとも中学生でしょうか……?」

気にはなるが――いきなり訊くのは躊躇われた。
まずは答えやすい所を尋ねた方がいいだろう。
そう思い、とりあえず無難な質問をしてみることにした。

302伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 00:12:00
>>301
「ん…ん?」
ちょっと何かつぶやいたらしい文子のことを軽く見つめる。
(もしかして、変に思われてる…?)
なんだか心配そうである。

「あ、在学はってことっスね?」
と、話題が変わったのに安堵している。

「あー、一応中学生デス…
 確か中学3年位スかねー
 14、うん、14歳スからねー」
そう言ってウンウン頷く。

「と、そういうあんた…じゃなくて、
 あなたはどのくらいの学年なんスかね?」

303小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 00:47:46
>>302

  「ふふッ――」

梨央奈の質問を聞いて、帽子の陰で思わずクスリと笑う。
まさか今になって、そんな質問をされるとは思わなかった。
なぜなら、自分が学生だったのは昔の話なのだから。

  「ごめんなさい、笑ってしまって。
   あんまりにも意外だったものだから」

  「もう学校は卒業しているの。
   今は28歳。ちょうど、あなたの『倍』ね」

やや砕けた言い方で訂正するが、特に気を悪くした様子はない。
若く見てもらえたと解釈すれば悪い気はしなかった。

  ――それにしても……。

『一応』、『確か』という言い方が妙に引っかかる気がした。
自分のことを話している割には、妙に客観的な印象だ。
まるで、『本当にそうだったか』確認しながら話しているような……。

  「私は、よくここへ散歩に来ているの。今日も、ね……」

  「――あなたは?」

そういえば、彼女は何かしら思い悩んでいた様子だった。
『第二の人生』という言葉のこともある。
この真っ白な少女が抱えているのは、何かとても大きな悩みであることが察せられた。

304伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 01:00:51
>>303
「あ、そうだったんデスか?
 じゃあチョー後輩じゃないスか!
 びっくりしたなー!みえないっス!」
取り繕うように慌てた様子で答える。
ちょっと失礼だったかなと思っているんだろうか


「へー、じゃ先輩はココの常連なんスねー!
 私?あー私は……」
と言って少し湖を覗き込んでいた。

「まーその、色々と
 今後の進路についてかんがえて…おりましてスねー…」
ちょっと悩んだ表情をしている。

305小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 01:24:52
>>304

  「進路……。学校のこと?」

中学三年生で進路といえば、まず思いつくのは進学のことだ。
それは自分にも経験がある。
しかし、彼女の様子を見ていると、単に進学で悩んでいるとも思えなかった。

もっと何か別のことのような気がする。
それが何かまでは分からないが……。
彼女の真っ白な姿のことも含めると、少なくとも普通の悩みではなさそうに思えた。

  「もし――嫌じゃなければだけど……。
   良かったら、聞かせてもらえないかしら……」

  「ほんの少しだけでも、あなたの手助けができるかもしれないから」

  「もちろん、無理にとは言わないけれど……」

そう言って、慎重に話を切り出す。
梨央奈の素性が気にならないと言えば嘘になる。
だけど今はそれよりも、目の前で悩んでいる少女の苦しみを、
少しでも軽くしてあげたいという気持ちの方が強かった。

306伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 01:36:47
>>305
「あー、まぁそっちでもありまスがねー…
 もっとこう……大きな…」
と探るように答えるが…
暫く考える。

「ん…そうスか?
 言ってもいいスけど…
 信じられない話だと思うっスよ?」
と言ってからしばらく考え…
口を開いた。

「まぁその…
 あれはちょうど一昨日くらい…」
と言って彼女は語りだした。

いつもの学校の帰り
普段通りの帰り道だったのだが

その日、一台の車が信号を無視して高速で
横断歩道を渡る自分に接近して……

「…ココで記憶が途切れたんスよねー…
 それで…気がついたらこんな感じに…」
と言って自分を指差した。

(えーっと…
 此処から先は…)
「なんて言ったかなー…
 そうそう『音仙』!
 悩みを聞いてくれるっていう噂があった
 あの人のところに行ったんス!」

307小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 08:36:41
>>306

  「……」

真剣な表情で、黙って梨央奈の話に耳を傾ける。
その内容は、確かに信じられないくらい不思議で奇妙なものだった。
普通なら、とても信じられなかったかもしれない。

しかし、自分は信じる気になれた。
奇妙な現象を現実に起こし得る可能性に心当たりがあったからだ。
そうした類の能力は自分の中にも存在している。

  「――『音仙』。そう、あなたも……」

思い出すように、ぽつりと静かに言った。
自分も、そこへ行ったことがある。
梨央奈と同じように、胸の内にある悩みを聞いてもらうためだった。

その結果、自分の中に眠っていた異能の存在を知らされることになった。
おそらくは梨央奈も同じなのだろうと思った。
そう思うと、なんとなく彼女に対して親近感を覚えた。

  「それで――その後はどうしたの?」

穏やかな口調で先を促す。
今この時――湖の水面に映っているのは、
漂白されたかのように真っ白な少女と、喪服と黒い帽子を身に纏った黒尽くめの女。
対照的な白と黒のコントラストが、そこにあった。

308伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 11:16:15
>>307
「はぁーえっと…
 その後はどうしたんだっけな…」
と、少し考えるが…
文子の『音仙』を知るらしき発言に耳を傾ける。

「知ってるんスか?
 それじゃぁー…
 先輩も何か相談を…?」
と興味津々に彼女の言葉を聞いている。
そういえば自分はそれで自分の能力を自覚したのだった、と思い出し、

「あー、あの人の言うことにゃーね…
 私は一度死んで生き返った…とか言う話らしいんス…
 そして何か…『能力』?そういうものを持っていると
 教えてもらったんスよね…」
ふう、とため息を付いて顔を上げる。

「試しに出してみたらまさしくその通りの『モノ』が
 現れたんで信じるしかなかったっスねー…
 それで今後どうしようかな〜とお悩み中なんスね……」
と、湖に映るのは黒と白の2つの姿。
対極の色であった。

309小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 18:47:50
>>308

  「……ええ。
   私も相談に行ったことがあるわ。
   今のあなたと同じように『進路』についての相談を……」

やや曖昧な返事を返しながら、視線を手元に落とす。
右手の薬指には、左手の薬指と同じ指輪がはまっている。
左手の指輪は自分のもの、右手の指輪は夫の形見だった。

生きるべきか死ぬべきか。
それが自分の抱えている悩みだ。
今も消えてはいないし、おそらく生涯に渡って消えることはないだろう。

夫が死んだ時、後を追って命を絶つつもりでいた。
しかし、彼は『自分の分まで生きてくれ』と言い残した。
だから、死にたいという衝動を抑えて生きてきた。

しかし、いつまで抑えていられるか不安を感じていた。
自分の中にある死を望む気持ちが高まっていくことが怖かった。
『音仙』に行ったのは、ちょうどそんな時だったと思う。

  「――『死んだ』……?」

梨央奈の言葉に、今までとは少し違う反応を見せる。
哀れみの中に、ほんの少しの羨みが混じっているような、複雑なニュアンスがあった。
そんなことを思ってはいけないと思いながらも、それを止めることができなかった。

ともかく――梨央奈が言った『第二の人生』という言葉の意味が、これで分かった。
事故で命を落としながらも、彼女は新たな姿で蘇った。
それはつまり、梨央奈自身が生きることを強く望んでいたということだろう。

なんという偶然だろうか――。
生きることを願いながら死んでしまった彼女と、死ぬことを望みながら生きている自分が、
こうして同じ場所にいる。
そのことに対して、奇妙な縁を感じていた。

  「私は、あなたのように死んで生き返るという経験をしたことがないから……。
   だから、そういう時にどうすればいいか――
   その助言をしてあげることは、とても難しいことかもしれないわ……」

     スッ・・・・・・

そう言いながら、おもむろに左手を開く。
その中には何もない。
ただ空っぽの手があるだけだ。

  「でも……私もあなたと『同じもの』を持っているの」

唐突に、左手の中に一本の『ナイフ』が現れ、次の瞬間には幻のように消えてしまった。
多くの人間には見えないが、梨央奈には見えたはずだ。
形は違えど、彼女が持つ『能力』と同質のものなのだから。

  「だから――もし良かったら、お友達になってもらえないかしら……?
   私にできることは、それくらいだから……」

梨央奈の悩みは特異かつ深刻であり、簡単に解決できるものではないだろう。
けれど、同じ『能力』を持つ者が近くにいれば、少しは心強いかもしれない。
そう考えた上での提案だった。

310伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 21:01:03
>>309
「へー…
 やっぱあそこは人生相談…みたいなところなんスねー・・・」
と感心するように答える。

「あはは、そのー…
 びっくりしちゃったっスかねー?
 自分もわけわかんなかったんスけどね…はぁ」
そう言ってまたため息を付いた。
見れば彼女も、文子も
互いに悩みを持つかのような表情に見えた。

「まぁ、そんな体験できる人なんて
 めったにいないスからねー…
 助言は無理かも…デス」
と、空っぽの手があるのみの
文子の手を見る。

「ん…なにか…」
と思ってじっと手のひらを見ていると
突然ナイフが現れ、消える。
「うおっ!
 これってあれっスか?!
不思議な力ってやつ!」
やけに興奮した様子で答えている。

「あーえっと…いいっス!
 おんなじ能力なんて私にとって
 とても嬉しいことスよ!!」
とても嬉しそうに彼女のお友達になってほしいという
提案に笑顔で答えた。

311小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 22:06:27
>>310

  「――ありがとう」

そう言って微笑を浮かべる。
少しでも梨央奈の悩みを軽くすることができたなら幸いだ。
自分にとっても、同じような能力を持つ友人が増えるのは嬉しい。

自分自身の悩みが何なのかは――今は黙っておくことにした。
相手のことを聞いておいて自分のことは話さないのは失礼かもしれない。
ただ、今はやめておこうと思った。

別に秘密にしているわけではない。
ただ、梨央奈は彼女自身のことについて悩んでいる最中だ。
今話したとしても、余計に混乱させてしまうだろう。

  「私の名前は小石川……。小石川文子よ」

  「あなたは?」

自分の名前を名乗り、同時に少女の名前を尋ねる。
友達になった記念といったところだ。

312伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 23:54:18
>>311
「はぁー、こちらこそっスねー。
 能力を持ってる人が一人じゃない…
 って思うとなんだかやってけそうだなーと
 思えてきましたス!」
と、ニカニカと笑ってみせる。
友人というのは素晴らしいもんだなーと考えていた。
今の友人のことをきにしながらもそう思った。

「あー、文子先輩どうもよろしくっス!
あーえっとうちの名前は伊須河…伊須河梨央奈(いすかわれおな)ともうしまスっス!
 こ、これからよろしくっす!」
そう言って深々と頭を下げた。
まるで舎弟みたいである。

313小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/24(月) 00:46:36
>>312

  「そう――良かったわ。少しでも力になれたなら、私も嬉しいから……」

屈託なく笑う梨央奈を見て、こちらも微笑んでみせる。
誰かが救われるのを見るのは好きだ。
自分も希望を失わずに生きていこうと思えるから。

  「こちらこそ。どうぞ、よろしく」

大げさな梨央奈の様子を見て、思わずクスリと笑う。
そして、こちらも頭を下げる。
年の離れた友人が、これで一人増えた。

それからしばらくの間、梨央奈と二人で色々なことを話し合った。
大体は客観的に見れば他愛のない内容だった。
けれど、少なくとも自分にとっては、とても有意義な時間を過ごすことが出来た。

その後、梨央奈と別れ、帰っていく彼女を見送った。
やがて、自分も湖畔から立ち去っていく。
湖面から白と黒の人影は消え去り、透明な水をたたえた湖だけが後に残された――。


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