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デジモンアドベンチャー T・T・E 〜D-Generation's War〜

1たらこ:2007/02/23(金) 19:14:25
前スレ『デジモンアドベンチャー The Third Evolution』の続スレ
です。
ちなみに、タイトルの『T・T・E』は『The Third Evolution』の略で
す・・・これからも、応援よろしくお願いします。

93薙埜:2007/04/19(木) 19:01:00
はじめまして・・・と言っておきますね。
薙埜(ちや)です。 よろしくお願いします。

オメガドラモンが暴走したり、大輔が生命の危機にあったり・・・
色々と驚く内容です。
続きを楽しみにしてますので、頑張ってください。
それでは。

94デジロル:2007/04/19(木) 19:42:11
オメガドラモンの暴走も大輔の説得のお陰でやっと終わり。
さすが大輔ですねぇ、オメガドラモンの暴走も収まり、チコモンに退化。
と安心した所に、大輔が生命の危機に!!
呼びかけても、大輔は全くうんともすんとも返事しないとは……!!
かなりの重傷であるな。一体どうなるのか……!?
次回も頑張ってください!!

95ユッケ:2007/04/19(木) 19:56:32
オメガドラモンの暴走も大輔の説得で終了しましたね。
一時はどうなる事やら……と思いきや、今度は大輔が!!
過ぎたピンチにまたピンチが!!
一体どうなる!?そして太一の気持ちは変わったのか!?
次回も頑張って下さい!

96たらこ:2007/04/20(金) 23:20:51
感想ありがとうございます、みなさん。

>>薙埜
散々迷った末・・・結局呼び捨てだ(汗)
でも、別にいいよな?勝手知ったる仲なワケだし・・・多分。

>>デジロルさん
オメガドラモンの暴走も、遂に止まりました。
が、今度は大輔が生命の危機に・・・!!
オメガドラモンに斬り裂かれたので、かなりの重傷です。どうなるのかは・・・
次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
オメガドラモンの暴走も、遂に終わりました。
しかし、大輔が倒れてしまいました・・・まさに泣き面に蜂です(いや、それであ
ってるかどうかはわかりませんが)
どうなってしまうのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

97たらこ:2007/04/21(土) 01:03:06
『勇気編』・第四十一話

Evolution.129 『大きい影と小さい影』

「大輔・・・!!大輔・・・ッ!!」

オメガドラモンの爪撃により、遂に倒れてしまった大輔。チコモンの必死の呼
びかけにも答えることなく、虚ろな目を開き、唯地に伏し続けていた。

未だ止めることのない鮮血は、紅き水溜まりを大きく、更に大きくしていって
いた。

「おい!!起きろ、大輔!!」

太一が大輔の体を揺すって、大声で呼びかけても、何の反応も示さない。大輔
の体がどんどん冷たくなっていくのが、大輔の肩を掴んでいる太一の右手を通
して、伝わってくる。

―――クソッ!!まずいな・・・このままじゃあ・・・

『死ぬ』。この一つの単語が、太一の頭をよぎった。

「コロモン!!ウィザーモンを呼んできてくれ!!あいつ、確か治癒の呪文が使え
たはずだ!!」

頭に浮かんだ一つの方法を、すぐさま行動へと移す。・・・・・・だが・・・

「分かった!!・・・でも、間に合うかな・・・?」

そう。ただ一つ気がかりなのは、そのことだ。大輔の血液は、急速に失われて
しまっている。進行形、でだ。今もまだ、傷口からとどめなく鮮血が流れ出て
きている。

何か、もっと早い方法はないのだろうか・・・もっと身近に・・・

―――クソッ・・・!!一体、どうすれば・・・

太一が絶望に打ちひしがれていたその時。遠くの方から、影が近づいてきてい
た。人の形をした、二つの影。大きい方は大地から少しだけ浮かび、軽やかに
低空を飛行を。小さい方は、大きい影の右肩にぶら下がるような形で近づいて
きていた。

声が・・・どんどん、大きくなっていく・・・そう、まさに・・・先ほど太一が望んだ、
希望の声が・・・

「大輔ー!!太一さーん!!」

二つの影―――京とシルフモンが、どんどんこちらへと近づいてきていた。

「京・・・!!それに、シルフモン!!」

京とシルフモンが、静かに地へと降り立つ。残っていた草むらが、僅かな風に
吹かれて撓んでいた。

「どうしてここが・・・?」

「ホークモン―――シルフモンが巨大な力を感じるって言うから、来てみたん
ですけど・・・」

太一の質問に、簡潔に答えを述べ、辺りを見渡し始めた。そして・・・倒れてい
る大輔が、その視界に映ることとなった。

「!!・・・大輔ッ・・・!?」

悲鳴じみた声を漏らし、急ぎ足で大輔の元へと駆け寄っていった。昼間の戦い
でボロボロになった革靴が、紅い水溜まりに入り、大きく振動させ、紅い雫を
そこら中へと飛び散らせた。

「・・・太一さん、一体何が・・・?」

京の問いに、太一は唯首を左右に振るばかりだった。

「・・・・・・その話は後にしてくれ・・・シルフモン、今から急いでウィザーモンの
ことを呼んできてくれないか?」

シルフモンの方へと向き直り、懇願するかのように頼んだ。・・・今は、これし
かない・・・シルフモンが、最後の希望だった。今こうしている間にも、大輔の
生命力は少しずつ削られている。急がなければ・・・間に合わない。

「・・・いえ、その必要はありません。」

至って冷静にそう言い放ち、シルフモンはゆったりとした足取りで、大輔の方
へと歩み寄っていった。

98デジロル:2007/04/21(土) 18:33:53
ウィザーモンが間に合うかどうか、とその時に京とシルフモンが。
しかしその必要がないとは一体どういうことでしょうか……!?
次回も頑張ってください!

99ユッケ:2007/04/21(土) 18:36:28
大輔の命の危機に太一は咄嗟にウィザーモンを呼ぼうと提案しましたね。
しかし、そこに京とシルフモンが登場。
シルフモンが必要ないと言うが……一体何を?
次回も頑張って下さい!

100たらこ:2007/04/21(土) 21:29:35
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

ウィザーモンが間に合うかどうか。そんな時、京とシルフモンが現れ
ました。

シルフモンの言葉の真意、それは、次回のお楽しみです。

応援、ありがとうございます!!

101カイザー ◆H42n/6LUpI:2007/04/21(土) 22:29:45
久しぶりに全部通してみました。
オメガドラモンの『不』快進撃がおさまったようですね!
果たしてウィザーモンは間に合うのか?
頑張ってください!!
100レスおめでとうございます!!

102たらこ:2007/04/22(日) 22:38:37
感想ありがとうございます、カイザーさん。100レス到達です。
全部読みましたか!!書いてあるとおり、オメガドラモンの『不』快進撃―――
暴走は治まりました。
ウィザーモンが間に合うか、というか、ウィザーモンが出てくるかどうかは・・・
次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

103たらこ:2007/04/22(日) 22:57:07
『勇気編』・第四十二話

Evolution.130 『I am a chicken』

「・・・!!どういう・・・ことだよ!!」

思わず熱くなり、ギリリと拳を握りしめる。そんな太一の様子など気にも留め
ず、シルフモンは大輔の傍らで地面に跪いた。

「・・・私も、少しならば治癒の技が使えます。だから、多分このくらいの傷なら
・・・今ここで治すことが出来ます。」

「ほ、本当か?なら、今すぐ頼む!!早くしないと、こいつ・・・!!」

「お、落ち着いてください!!ちゃんと始めますから!!」

慌てる太一をなだめつつ、シルフモンは胸の前で両手を組んだ。まるで、神に
祈りを捧げるかのように。

「・・・・・・聖者の涙・・・」

詠唱が始まり、大輔が倒れている地面に、円に囲まれた六芒星が浮かび上がり、
エメラルド色の光を放ち始めた。―――魔法陣だ。

「束縛の鐘 響き渡る壮麗たる歌声 深淵深き命樹の根 地より出で、自費なる風
吹かん・・・!!」

詠唱が完成し、魔法陣がひときわ強い輝きを放つ。同時に、シルフモンは両手の
平を地面にたたきつけた。すると、六芒星の六つの頂点から、六本の根が生えて
きた。

「ネイチャー・メディバリー!!」

六本の根の先端にエメラルド色の光が灯り、光線となって大輔の胸へと一斉に放
たれた。光の波が大輔の体の表面を駆けめぐり、傷付いた大輔の体を癒やしてい
った。

大きく開いた谷間―――傷口の両壁から、紅い琴線がシュルリと伸びていき、谷
間の真ん中で繋がっていった。続いて、両壁から白い壁が迫り出していき、また
もや真ん中でぶつかり合い、止まった。そして、ピンク色の地面が盛り上がって
いき、紅い筋―――血管と白い壁―――骨を埋めていき、他の皮膚と同じ高さま
で上がったところで、肌色の皮膚が再構築されていき、ピンク色の地面―――肉
を隠していった。

傷が治り、流血は止まった。大輔の顔色も、明るい色へと戻りつつあった。

「う・・・ううん・・・」

「・・・だ、大輔?」

重苦しい空気の中、大輔が遂に目を覚ました。まだぼんやりとした目で、シルフ
モン、京、太一、コロモン、チコモンを順番に見渡していった。

「よ、よかった・・・―――ったく、心配かけやがって・・・」

太一が、ため息混じりの安堵の息を漏らす。

「大輔ェ・・・」

「悪いな、チコモン。心配かけて・・・」

眦に雫を溜、涙声になりながら駆け寄ってくるチコモンに、大輔は優しく語り
かけた。そして、上半身を起こそうとする。だが・・・

「よっ・・・と・・・ん?頭がくらくらする・・・?」

上半身だけ起きあがった大輔が、半分目を回した状態になる。

「・・・まだあまり動かないでくださいよ・・・これだけ大量に血を失ったんですから。」

「ん・・・そうだな。」

シルフモンの忠告をおとなしく聞き、大輔は静かに横になった。

「大丈夫か?大輔。」

「大丈夫ッスよ、太一先輩。もう平気ッス。」

心配そうな太一の言葉に、大輔は元気に応答してみせた。そんな大輔の様子を見
て、太一はふっと笑みを零した。

「そうか・・・それじゃあ、オレはもう帰るぞ・・・」

そう言い残して、太一はコロモンを抱え上げた。そして、大輔達に背を向け、公
園の出口へと向かって歩き出す。

「太一先輩・・・!!」

大輔の声に、太一は歩みを止めた。

「・・・オレは・・・諦めませんからね。だって・・・」

そう言いながら、親指で大輔は額を指差した。そこには、ずっと憧れてきた先輩
から受け継いだ、『勇気の証』があった。

「このゴーグルを・・・『勇気の証』を、太一先輩から受け継いだんですから・・・!!」

大輔の言葉を聞いても、太一は無言のまま再び歩き出した。そして・・・心の中で、
静かに呟く。

―――悪いな、大輔・・・オレはもう、戦えそうにない・・・

だってオレはもう・・・『勇気』も何もない・・・

ただの・・・『臆病者』だから・・・

心の中で淡く浮かんだ、その情けない想いは口から出ることなく、そのまま潮風
に吹かれ・・・ぬぐい去られていった・・・

104たらこ:2007/04/22(日) 23:04:15
微妙なミスを発見・・・

×自費なる風吹かん

○慈悲なる息吹吹かせん

です。連続で同じ漢字が続いてますが、これが正しい詠唱でございます・・・はい。

105デジロル:2007/04/22(日) 23:09:12
京とシルフモンのお陰で大輔の重傷も治りましたね。
これで一安心です。
ですが折角大輔が勇気を見せたものの、まだ太一には勇気が戻らず。
自分をただの臆病者呼ばわりしてますね……。
これから一体どうなってしまうのか……? 次回も頑張ってください!!

106シン:2007/04/23(月) 20:20:34
結構久しぶりの感想すみません。
大輔の大怪我も狂獣化もプクモンも解決されましたね。
残る問題は太一のみ!!
この問題を解決するのは誰か!?
そして敵のこれからの動きはどうなるのか!?
これからも頑張ってください!!

107ユッケ:2007/04/23(月) 22:12:09
大輔はシルフモンのお陰で奇跡の復活を遂げましたね。
しかし、問題は太一ですか…。彼の折れた心を治す者はいるのか?
次回も頑張って下さい!

108たらこ:2007/04/23(月) 23:47:10
感想ありがとうございます、デジロルさん、シンさん、ユッケさん。

>>デジロルさん
大輔の怪我も、京・シルフモンのおかげで無事治りました!!
しかし、大輔が勇気を見せたものの、太一は自分を臆病者呼ばわりして去って
しまいました。
一体どうなるのか、それはお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>シンさん
久しぶり、といっても、大して進んでませんので大丈夫です(何がだ)。
プクモン戦で発生した問題は、今のところ全て解決しました!!
しかし、まだ太一が残っています。
太一の『勇気』を取り戻すのは誰か、そして、これから敵がどう動くのかは・・・お
楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
シルフモンの治癒のおかげで、大輔は奇跡的に復活しました!!シルフモンが来
てなかったら、死んでたかもしれません(何
しかし、残る問題は太一。太一の折れた心を治すことが出来る者はいるのかは
・・・お楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

109たらこ:2007/09/27(木) 22:44:08
『勇気編』・第四十三話

Evolution.131 『タケルとエレキモン』

お台場海浜公園より少し離れている『潮風公園』――その海辺で、茶髪に碧眼
の少年が一人海を見つめていた。

――あんまり、『キレイな海』とは言えないよね……

少年――高石タケルは心の中で苦笑した。帽子を外し、地べたに座り込んでい
た。

「……人間界の海はくせえな。デジタルワールドとは大違いだぜ。」

突然、背後から誰かの声が聞こえてきて、ビクリと首をすくめた。月はもうか
なり高い位置まで昇っている。普通はこんな時間に人はいないはず……多分。

おそるおそる、といった感じで、ゆっくりと後ろを振り返った。後ろに十歩分
ほどの所に、猫を平べったくして厚みを少し付けたような赤毛の動物――否、
デジモンがいた。

「……エレキモン?」

周りが暗くてよくは見えないので、自信はない。だが、その赤毛のデジモンの
声には聞き覚えがあった。鶏冠みたいな尾もついてるし、静電気でバチバチい
ってるし。

「……何面食らった顔してんだ?」
「だ、だって、いきなり声が聞こえたらびっくりするじゃないか!」

赤毛のデジモン――エレキモンの呆れたような声に、タケルは頬を少し赤らめ
て反論した。まだ心臓がバクバクいっている。本当にびっくりしたのだ。

「何で、ここが……」
「『何でここが分かった』かって? 家とは全然違う方に歩いてくもんだから、
心配してついてきてやったんだよ。」

タケルの言葉をひったくって、エレキモンが淡々と述べる。半分、呆れたよう
な感じではあったが。

「何しに来たのかと思ったら、座り込んで海眺めて黄昏れちゃってよ……った
く、海に飛び込むのかと思ってヒヤヒヤしたぜ。」
「……ふふっ……心配してくれたのかい?」
「そ、そんなこといいだろ別に!!」

からかうようなタケルの言葉に、エレキモンがサッと頬を赤らめた。元々赤い
ので、違いはよく分からなかったが……

「それに……」

突然、エレキモンが遠くを見るような目つきになる。

「お前に何かあったら、『アイツ』に会わせる顔がないからな…」

『アイツ』――おそらくは、パタモンのことだろう。タケルには大体見当がつ
いた。ついた途端に、ズシリと心が重くなった。今頃、どうなっているのだろ
うか…不安が重くのしかかってくる。

「ボクってさ……パートナー失格だよね……」

不意に、うつむきながらタケルが話し出した。

「あの時…トコモン――パタモンを助けることが出来なかった…ボクがしっか
りしてなかったから…」

段々と、声の調子が萎んでいっている。次第に、声が震えてきているような気
もしてきた。

「……ったく、何くだらねえことで悩んでるんだよ?」
「……え?」

今まで黙って話を聞いていたエレキモンがタケルの話を遮るかのように声を上
げた。

「上手くは言えねえけどよ…… アイツはお前を守るために戦った。危険は承
知の上でな。戦いってのは、そういうもんだ。常に危険と隣り合わせなんだ。」

そこで一旦言葉を切り、息をついた。

「……お前さ、何でアイツは命をかけてまで戦ってると思う? アイツがお前
を信じてるからだろ? だから、お前も信じろよ。アイツは絶対無事だって、さ。」
「エレキモン……」

遠い目つきになりながら、エレキモンが呟いた。その目には多分、連れ去られ
た友人の姿が映っているのだろう。
少なくとも、彼は信じているのだ。パタモンが無事であることを。

「……元気、出たか?」
「うん、少しね……ありがとう、エレキモン。」
「なっ……何言ってやがる!? 別に、んなこと言われても嬉しくもなんともね
えぞ!!」

お礼を言われて、わかりやすいぐらい照れていた。照れ隠しの言葉が、より一
層照れていることをわかりやすくしていた。
その様子を見ながら、タケルは思わず頬が緩んでいた。パタモンが連れ去られ
てからずっと浮かぶことの無かった表情――笑顔が浮かぶようになっていた。
自分でも、気が付かない内に。

だが――彼にはまだ、もう一つ気付いていないことがあった。彼ら二人に敵意
を向けた者が、少しずつ、彼らに忍び寄っていることに……

110ユッケ ◆h8PPKSmgM6:2007/09/27(木) 23:19:35
お久しぶりです!!
タケル君は一人でぶらりと訪れた潮風公園。
一人で哀愁漂わせていると、後ろからエレキモンに声を掛けられましたね。
エレキモンもタケルの事を心配して付いて来たようですが、自分から心配だったとは言いませんね。やはり意地っ張りな部分は変わってませんね。
しかし、そんな彼等に忍び寄る影とは……?
次回も頑張って下さい!!

111たらこ:2007/09/29(土) 16:38:44
感想ありがとうございます、ユッケさん!! お久しぶりです。
エレキモンはタケルのことを心配していますが、その性格からか、自分から心
配だったとは言えませんでした。意地っ張りな部分は変わってません。で、お
礼言われると照れます(笑
タケル達に忍び寄る影が何なのか、それは次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

112たらこ:2007/09/29(土) 16:40:24
『勇気編』・第四十四話

Evolution.132 『輝き』

「さて、と……んじゃ、帰っとするか。アイツを助けるんなら、体力蓄えとか
ないとな。」
「そうだね。」

立ち上がって、ズボンに付いた土やら砂埃をはたき落とした、その時だった。
何となく、寒気を感じたのだ。
只の直感だった。だが、彼の脳は明らかに危険信号を出していた。

「危ない!!」

エレキモンを抱え、十歩ほど先の地面へと転がるように飛びついた。
その、瞬間。

「ファイアーブラスト!!」

ドス黒い炎の塊が、先ほどまでタケルとエレキモンがいた地面を撃った。衝撃
が土を吹き飛ばし、飛んできた小石がタケルとエレキモンをピシピシと撲つ。

「グルル……避けられた……次、外さない……」

迫力のある超低音の声と共に、暗闇の中から真っ黒な肌に複数の傷跡のような
模様を持つ恐竜――はいないから――型デジモンがぬっと姿を現した。

「こ、こいつは……」
「ダークティラノモン、か……」

その姿を見るなり、タケルとエレキモンが呟いた。
夜の暗闇にとけ込む、真っ黒な身体。だから、近くに来るまで気が付かなかっ
たのだ。

迂闊だった。何時間か前まで、暗黒デジモンの軍勢が東京を襲っていたのだ。
新たな刺客が来たっておかしくはない。

(クッ……兎に角隙をみて逃げないと……)

傍らにいるエレキモンは成長期。それに対して、今タケル達を睨み付けている
ダークティラノモンは成熟期。奇跡が起こらない限りは、おそらく勝てない。

「グルアアァァァ!!」
(!? しまっ……!!)

考え事をしている内に、ダークティラノモンは右腕を振り上げ、こっちに向か
って突進してきていた。振り上げられた右手の先には、鋭い爪が月の光を返し
て輝いている。

慌てて駆け出そうとする。だが……間に、合わない。
ダークティラノモンの右腕が、振り下ろされた!!

「タケル、危ねえ!!」
「なっ……エレキモ……!?」

ダークティラノモンが右腕を振り下ろした、その瞬間。タケルよりも一拍早く
攻撃に反応していたエレキモンが、タケルのことを突き飛ばした。
刹那。振り下ろされた爪は、エレキモンの背中を深く抉った。

「グッ…………!!」

口から出そうになった叫び声を呑み込み、痛みをこらえようとする。だが、や
はり痛い。動こうとするたびに、全身に激痛が走った。

「エレキモン!! ゴメン、ボクがボーっとしてた所為で……」
「気にすんな!! いいから、早く逃げろ!!」
「で、でもそんなことしたら、キミが……」
「いいから、行け!! オレのことは心配すんな!!」

躊躇するタケルに、エレキモンは力を振り絞って叫んだ。だが、言葉とは裏腹
に、傷付いた身体で叫んだ衝撃でか、深く咳き込んだと同時に、エレキモンの
口から血が吐き出された。

「ゴホッ、ゴホッ!! グ……」
「止めてくれ、エレキモン!! でないと、キミが死んじゃう!!」
「大丈夫、だ……オレはまだ死なねえ……アイツのことを助け出すまでは……
まだ、死ねねえ!!」

痛む身体に鞭を打ち、ダークティラノモンに向かって飛びだしていった。同時
に、尾がバチバチと電気を帯び始める。

「スパークリング……サンダー!!」

尾から放たれた雷が、ダークティラノモンを捉えた。だが……やはり、効果が
薄い。

「そんなの、効かない。……死ね!!」

ダークティラノモンが身体を捻り、太く強靱な尾でエレキモンを打った。エレ
キモンの身体が大きく舞い上がり、ドサッと地面へ落ちた。

「クソ……負けねえ……オレは……絶対にアイツを助けるんだ!!」

咆吼をあげ、再びダークティラノモンへと向かって突進していった。背中の傷
から、血が噴き出す。

(ダメだ……エレキモンが死んじゃう……ボクはまた、何も出来ないのか? こ
のままエレキモンが殺されるのを黙って見てなきゃダメなのか……?)

エレキモンの姿を見ながら、タケルは呆然と考えていた。

「違う……そんなの、違う!! エレキモンは絶対に死なせない!!」

タケルが叫んだ、その瞬間。突然、タケルのD−3が輝きだした。
急いで画面を見てみると、画面には『希望の紋章』が浮かび上がっていた。

そして――輝きは次第に強くなっていき、タケルを、エレキモンを、ダークテ
ィラノモンを包み込んでいった……

113たらこ:2007/09/29(土) 20:09:52
『勇気編』・第四十五話

Evolution.133 『<ホープス>』

目が、覚めた。ここは何処だろうか。確か、さっきまで潮風公園にいたはずだ。
エレキモンに励まされて、ダークティラノモンが現れて、エレキモンが怪我を
して……

「そうだ!! エレキモンは……?」

ハッとなって、辺りを見回した。すると、10m程先にエレキモンが倒れてい
るのが見えた。
急いで駆け寄って、エレキモンの身体を抱き上げた。

「エレキモン!! 大丈夫かい!?」
「ん……うーん……タケルか……大丈夫だ……それより、一体ここは……?」

エレキモンに訊かれて、改めて今自分たちがいる場所を見渡した。何もない。
唯白い。真っ白な世界だ。
よくよく考えてみたら、匂いも感じられない。ひたすらに謎な世界だった。

「そういえば、エレキモン。傷は?」
「ん? そういや、無くなってるな……」

先ほどダークティラノモンに抉られた背中の傷がキレイさっぱり無くなってい
る。傷が付く前と何ら変わりがなかった。痛みの、痺れもなくなっている。

「一体、どうなってんだ……?」

全くもって、タケルも同感だった。分からないことが多すぎて、まるで理解で
きなかった。

『汝ら……力を欲するか……?』
「!?」

突然、頭に直接響くような声が聞こえた。それと同時に、黄色い光がタケル達
の目の前で集束しだし、大きな光の玉となった。

「な、何なんだ一体……?」
「わ、分からないよ……」

二人で呟いていると、再びさっきと同じ声が頭に響いてきた。

『……高石タケルよ……』
「!? 何で、ボクの名前を……それに、キミは一体……?」
『我に名はない。だが、みなは我のことを<ホープス>と呼んでいる……』
「<ホープス>……?」
『そうだ……して、高石タケルよ、汝は今パートナーを失っているな?』

<ホープス>にそう言われて、ハッとなる。そして再び悲しみと自責の念の波が
彼の心に押し寄せてきた。

「そうだ……ボクの所為だ……ボクの所為で、パタモンは連れ去られたんだ……」
『そうだ、汝の所為だ。』
「!! テメッ……!!」

エレキモンが<ホープス>を怒りに満ちた目で睨み付けたが、<ホープス>は構わ
ず話を続けた。

『だが……汝の所為ならば、汝自身の手で責任を取らねばなるまい。』
「……?」
『汝には、汝のパートナーを助ける意志があるか?』

助ける意志。訊かれるまでもない。<ホープス>の言ったとおり、パタモンが連
れ去られたのは自分の所為だ。
ならば……

「……はい、勿論。ボクが必ずパタモンを……」
「オイオイオイ。誰か一人忘れてないか、お前?」
「え……?」

足元を見ると、エレキモンが真剣な眼差しでこちらを見上げていた。

「オレも一緒にアイツのこと助け出してやるよ。お前一人じゃ、心配――じゃ
なくて、どうせダメだろうからな!!」
「エレキモン……」

ニッと笑いながら、エレキモンはそう言った。"心配"とは言えないところが、
実に彼らしかった。

「……多分、とても危険な事だと思う……それでも、一緒に戦ってくれるかい?」
「ヘッ、何言ってやがる。危険なのは最初っから分かり切ってることだろ?」
「うん……ありがとう、エレキモン。」

最後に、本人に聞こえるか聞こえないか位の声で呟き、<ホープス>の方へと向
き直った。

「ボクが……いや、ボクら二人で、必ずパタモンを助け出す。――絶対に!!」
「おうよ!!」
『……よくぞ言った。』

さっきまでの厳しい声とはうって変わった和やかな声が返ってきた。<ホープ
ス>に表情があるならば、多分微笑んでいるのだろう。

「だけど……一体どうやってやつらと戦えばいいんだろう? ボクにはパート
ナーがいないし、エレキモンは進化できないし……」
『一つだけ、方法はある。』
「ホントかい!?」
『……ああ。エレキモンが一時的に汝のパートナーとなるのだ。』

パタモンを助け出すための、唯一つの方法。その方法を、<ホープス>はタケル
とエレキモンに言い放ったのだった……

114たらこ:2007/09/29(土) 20:20:39
『勇気編』・第四十六話

Evolution.134 『パートナー』

「エレキモンが……ボクのパートナーに?」

そんな方法があるのかと、にわかには信じられない話だった。だが、さっきか
ら聞いていて、<ホープス>の言葉には一つ一つ納得するのもがある。今言って
いることだって、嘘ではないのだろう。

『そうだ。汝のD−3の力を受けて、成熟期くらいまでならば進化できるよう
にもなる。本当のパートナーではないから、紋章の力を受けて完全体以上に進
化するのは無理だが……』
「それでも……戦えないよりはずっといい。 だろ、タケル?」
「……うん!!」
『……覚悟は決まったようだな。』

<ホープス>の言葉に、タケルとエレキモンは同時にこくりと頷いた。覚悟は決
めた。パタモンを助け出す――絶対に!!

『よし……ならば、お互いの手を重ねるのだ。』

言われたとおりに、タケルは中腰になって、エレキモンと手を重ね合わせた。
エレキモンの体温が、手を通してタケルに伝わってきた。

『そのままだ……』

そう言うと、<ホープス>は一際強く輝きだした。それに呼応するように、タケ
ルとエレキモンの手が重なっている部分が輝き始めた。徐々に光は大きくなっ
ていき、黄色い光が二人を包み込んだ。

やがて、光は徐々に強くなっていった。段々と、周りの世界が見えなくなって
いく。

『さあ、行くのだ……そういえば、一つだけ答えていない質問があったな……
何故、汝の名を知っているのか……我は汝が生まれる前より、汝のことを見守
ってきた……そして、これからも……永遠に我は……』

<ホープス>の言葉を最後に、光は消えた。だが、二人の目の前に広がったのは
先ほどまでいた何もない世界ではなく、ダークティラノモンの待つ潮風公園だ
った。

「グルル……何だ、今の光は……? 一体何をした……?」
「……さあ、行くぞ、エレキモン!!」
「ああ!!」

戸惑うダークティラノモンを尻目に、D−3を取り出した。D−3から光が放
たれ、エレキモンを包み込む。
光の中で、エレキモンのデータは組変わっていった。新たな姿へと変わるため
――進化するために。

「エレキモン、進化――!!」

光輝く、その向こうに……エレキモンが進化した、新たな姿の影が映し出され
た――

115ユッケ ◆h8PPKSmgM6:2007/09/29(土) 21:32:56
何とエレキモンがタケルの相棒にー!!?
これには驚きましたよ……。いやいや、たらこ様のお考え万歳ですね。
ダークティラノモン相手に、エレキモンが進化する……!!
希望の力で進化するエレキモンは一体どんなデジモンなのか!?
次回も頑張って下さい!

116J坊:2007/10/12(金) 20:32:49
こんばんわ!!ここでは始めましてのJ坊です。
たらこさんの小説は最初から拝見させて頂きました。
いや〜、文章を書くのがうまいですね。私も見習わなくては。
タケルの臨時パートナーとしてエレキモンが参戦しましたね。
果たして何に進化するのか?
続きが楽しみです。
次回も頑張ってください!!

P・S
良ければ、私の小説も読んでみてください。

117たらこ:2007/10/21(日) 21:12:15
感想ありがとうございます、ユッケさん、J坊さん。

>>ユッケさん
エレキモンがタケルのパートナーとなりました。
エレキモンを登場させてから百数十話……やっとこの設定を実現できました。長かった……
エレキモンがどんなデジモンに進化するのか、それは次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>J坊さん
エレキモンがやっと参戦しました。ここまで来るのが長かったです(汗
パートナーなのはあくまで臨時なので、一時的なものなんですけどね。
エレキモンが何モンに進化するのかは、次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

118たらこ:2007/10/21(日) 22:18:28
――光が消えていく。エレキモンを包み込んでいた、進化の光が。
光が消え、進化したエレキモンの新たな姿が露わになった。

鍛え上げられた、逞しい盛り上がった筋肉に覆われた四肢に、橙の身体。
脚の先端では鋭く強靱な爪が黒光りし、その頭は焦茶の鬣に覆われている。

闇夜の中で爛々と輝く、一種の『誇り』の様なものを含んだ眼。
そう――その姿、まるで……

「エレキモン、進化――」

『勇気編』・第四十七話
Evolution.135 『百獣の王』

「――ライアモン!!」

普通のライオンよりは一回りは大きい巨大な獅子が光を裂いて現れた。
その凛とした立ち様は、その姿に恥じない『王の風格』を漂わせていた。

「進化、した……」
「……どうやら、本当にパートナーになったみてえだな……」

未だに信じられないような目で、エレキモン――否、ライアモンは進化した自
身の体を眺めていた。

「ま、まさか……ライアモンだと? 生存個体の少ない『幻のデジモン』じゃな
いか……」

譫言のようにそう呟きながら、ダークティラノモンは只呆然とライアモンを眺
めていた。
その表情には、明らかに焦りの色が浮かんでいる。

「さて、と……これでお互い公平になったわけだ。……いくぞ!!」
「グ……やれるものならやってみろ。返り討ちにしてやる……!!」

ライアモンの後ろ脚の脹脛が膨らみ始めた。少しずつ、少しずつ力をためてい
き――一気に、溜めた力を解放した。両後ろ足が地面を勢いよく蹴り、ダーク
ティラノモンへと飛びかかっていった。そして――右前脚を振り上げる。

「な……」

想像以上の速度に、ダークティラノモンは全く反応できなかった。無論、防御
することなど到底不可能だった。

「オラァ!!」

ライアモンの蹄が弧を描き、ダークティラノモンの体を左肩から右脇腹に懸け
て袈裟懸けに斬り裂き、その巨体を吹っ飛ばした。ダークティラノモンは海に
落ち、大きな水しぶきを跳ね上げた。

「グオオオオオ!! お前、倒す……ファイアーブラスト!!」

黒炎がダークティラノモンの口内からライアモンに向けて放たれた。しかし、
もう既にライアモンは次の攻撃準備に入っていた。
鬣が、バチバチと静電気を帯び始める。やがて、静電気は巨大な電気の塊とな
り、ライアモンの鬣を包み込んだ。

「スパークリングサンダー!!」

進化したことによりパワーアップした雷が放たれ、ファイアーブラストの黒炎
とぶつかり合い――うち砕き、そのままダークティラノモンに衝突し、炸裂し
た。

「グルアアアアァァァ!!」

ダークティラノモンの身体からブスブスと黒煙が上がる。強い痺れの所為で、
両腕は動かせなくなっていた。

「お前、倒せないなら……パートナー、倒す!!」

そう言って、ダークティラノモンは頭の向きを変え、タケルの方へと顔を向け
た。閉じた口の隙間から、ちりちりと火の粉が漏れ出し始める。

「ファイアーブラ……」
「ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!」

ダークティラノモンが炎を放とうとした、その瞬間。ライアモンが大きく咆吼
を上げた。振動が空気を震わせ、ダークティラノモンは恐怖で身体を弛緩させ
てしまい、攻撃を中断してしまった。

その一瞬が、致命的となった。

「止めだ!!」

声に空を見上げると、月を背にして宙に飛びあがったライアモンの姿が目に映
った。その鬣を、先ほどとは比べものにならないほど巨大な雷が包み込み、バ
チバチと音を立てていた。

「サンダーオブキング!!」

雷鳴と共に巨大な雷が放たれ、ダークティラノモンに落ち、炸裂した。電撃が
奔り、辺りを雷光で照らし出した。

「ガアアアアアアアアアァァァァァァ!!」

断末魔の叫び声を上げて、ダークティラノモンの身体はデータの粒子となり――
消えていった。

「か……勝った、のか……?」
「うん……勝ったんだ……勝ったんだよ、ライアモン!!」

緊張が解けたのか。ライアモンはその場にへたり込むと、エレキモンへと退化
していった。

「つ、疲れた……」
「うん、そうだね……さ、もう帰ろう。」
「おう……」
「……これからもよろしくね、エレキモン。」
「ヘヘッ……任せとけよ。」

ぐったりとしたエレキモンを抱え上げて、タケルは歩き出した。心地よい潮風
が吹き、静かにタケルの頬をなでていった――


こうして、子供達の運命を大きく変えた長い一日が幕を下ろしたのだった……

119ユッケ ◆h8PPKSmgM6:2007/10/23(火) 21:26:15
ライアモンに進化したエレキモン!見事に敵を撃破しましたね!
しかも、幻のデジモンに進化出来るだなんて……エレキモンも捨てたものではないですな(何)
一先ず一日の長い戦いの幕はこれで下がりましたが……これから何が起こるのか?
次回も頑張って下さい!!

120たらこ:2007/10/28(日) 04:22:07
感想ありがとうございます、ユッケさん。

エレキモンがライアモンに進化し、見事ダークティラノモンを撃破しました!!
幻のデジモンに進化できるので、エレキモンは強いですよ。

で、この話でやっと1日が終わりました。いやほんと、長い1日でした……百話
以上にも及ぶとても長い1日でした……

これから何が起こるのかは、お楽しみです。

応援、ありがとうございます!!

121たらこ:2007/10/28(日) 04:31:48
『勇気編』・第四十八話
Evolution.136 『朝の静寂』

目が覚めた。そして驚いた。信じられないような光景に、満は思わず我が目を疑った。
――直っている。東京が。それも、元通り、完璧に。

一晩でここまで完璧に直したのだから、ゲンナイ達エージェントの仕事の手際は相当
良かったのだろう。満は心の中で、そっとエージェント達に感謝した。

今日は日曜日。これだけ街が元通りになっているのだから、どこかでドリモンとキャ
ッチボールでも出来るはずだ。
クラブの練習は恐らく無いだろう。というか、あの惨劇からまだ1日しか経っていな
いのに、ある方が呑気すぎておかしい。

一方、ドリモンはというと、まだ布団の中でスヤスヤと寝息をたてて熟睡していた。
あれだけの戦いの後だから、無理もない。疲れているのだろう。

「仕方ないか……もう少し寝かせてあげておこ。」

そう言って、ふと窓の外を見た。雲一つない、いい天気だ。不気味過ぎるくらいに。

――これが、嵐の前の静けさじゃないといいんだけど。

浮かんでしまった不安を心の奥底に押し込め、布団から出た。途端に、胃の辺りがキ
ューッと音をたてた。腹が空いて堪らない。

急いで着替えて、リビングへと走った。扉の向こうでは、出来立ての朝食が湯気を立
てて待っていた。



その頃、菓子のゴミやら投げ出された教科書類、更には五人にも及ぶ雑魚寝でごった
返しになっている大輔の部屋では、大輔のD-ターミナルが新着メールを
示すアラー
ムをピッピッと鳴らしていた。

「う、うーん……ったく、誰だよこんな時間に……」

こんな時間、とはいっても、既に9時を回っている。世間の人々は、起きていてもお
かしくない時間である。

のそのそと布団から這い出て、机の上に投げ出されているD-ターミナルを取って、蓋
を開いた。

「ん……お、ヒカリちゃんからだ!! ――太一先輩、ちゃんと家に戻ってたのか……
よかった……」

取り敢えずホッと胸をなで下ろし、再び布団へと這っていった。

「さて、安心したところで……また寝るか……」

外では、信天翁が鳴き声を上げながらゆっくりと空を飛んでいた。



一方、子ども達が静かな朝――一部は間抜けな朝――を過ごしているその頃、ヘルガ
ダレムの城門前では、未だ城に入らずに『トール』とトウテンモンが立
ち続けてい
た――いや、トウテンモンは座り込んでいたが。

二人とも、宙に浮かぶ電子モニターを見続けていた。モニターには、現実世界の様子
がリアルタイムで映し出されている。

「おいおい……もう二体やられちまったさ……一体、何体現実世界に送り込んだんだ?」

ため息をこぼしながら、トウテンモンが言った。心なしか、ため息に混じって欠伸ま
で出ていた。

「三体だ。」

視線はモニターに注いだまま、『トール』が淡々と質問に答えた。真紅のフードから
モニターを覗くその目は、冷酷な光を宿していた。

「てことは、あと一体か……一体いつ向こうに着くさ?」
「さあな……まあ、まだ少しかかるだろう。さっきの二体は容量がそこまで重くない
からすんなり送り込めたが、アイツは超究極体だからな。」
「超究極体!? えげつないことするさ……」
「当然だ……なぜなら……」

一旦言葉を切り、『トール』はモニターから視線を剥がし、トウテンモンの方へと顔
を向けた。

「この方が、面白いからな……」

冷酷さを剥き出しにして――『トール』は残忍な笑みを顔一杯に浮かべたのだった……

122デジロル:2007/10/28(日) 08:48:45
お久しぶりです、たらこさん。
って、おお!! なんかタケルとエレキモンが仮パートナーになっている!
パタモンが連れ去られた代わりにエレキモンが仮のパートナーですか。
仲間を救うべく、自分のパートナーを救うべく!
エレキモンとタケルが一時的にパートナー同士になりましたね。
ライアモンに進化して、ダークティラノモンに勝利!
ですが今度は超究極体……かなりヤバイ!!!
次回も頑張ってください!!

123J坊:2007/10/28(日) 12:36:54
再び動き出した敵陣営。
現在の戦力で太刀打ちできるか分かりませんが、刺客のうちの1体は超究極体!!
……果たして勝てるのでしょうか?
次回も頑張ってください!!
P・S:トウテンモンは語尾に「さ」とつけますが、あれは口癖なのですか?

124たらこ:2007/10/29(月) 22:27:32
感想ありがとうございます、デジロルさん、J坊さん。

>>デジロルさん
お久しぶりです!! テストとかで大変だったそうで……
で、エレキモンがタケルの一時的なパートナーとなりました。
これで、パタモンや仲間を助けるためにタケルも戦線へと復帰し、エレキモン
が新たに戦線へと参加することとなりました!!
そして次の敵は、超究極体です。デジロルさんの言うとおり、かなりやばいで
す……!!
応援、ありがとうございます!!

>>J坊さん
一夜明けて、敵が再び動き出しました。
プクモン、ダークティラノモンとまでは退けましたが、最後の一体は超究極体
です。
現在の戦力で太刀打ちできるかは、微妙なところです。勝てるかどうかは……
これからのお楽しみです。
で、トウテンモンが語尾に付けてる『さ』。あれは口癖ですね。トウテンモン
のキャラの元ネタになっている光○化の口癖がそうなので……
応援、ありがとうございます!!

125たらこ:2007/10/29(月) 22:28:07
『勇気編』・第四十九話
         Evolution.137 『快晴の暗雲』

4月11日(日) 午後12時30分

「あれ……? 何処行くの、お兄ちゃん?」

昼食が終わった八神家の玄関では、太一が座り込んで靴を履こうとしていた。
その後ろには、太一に付いていこうとアグモンが立っていた。

「ああ……ちょっと散歩行って来る。」

顔だけヒカリの方を振り返って言った。その声には、どこか気落ちしたような
ものがあった。

「お兄ちゃん……大丈夫?」

太一の声から何かを察知して、ヒカリが心配そうな声をかけた。

「ん? 何がだ?」
「お兄ちゃん……なんか変だよ。昨日、光子郎さんの家に行ったときから。」

昨日から太一の様子はどこかおかしかった。いつもなら、あんな些細なことで
太一は怒鳴ったりなんかしない。そんな太一の様子は、夜中に帰ってきたとき
も、今日も変わらない。
何でおかしいのはヒカリには分からない。だが、やはり心配ではあったのだ。

「別に……何でもないよ。オレはいつも通りだよ。」
「お兄ちゃん……」
「……心配してくれてアリガトな、ヒカリ。」

そう言いながら太一は立ち上がり、ヒカリの頭を軽くポンと叩いてドアを開け
た。涼やかな風邪が、開いた玄関から入り込んでくる。

「それじゃあ……行って来る。」

外へと出て行った太一の後に続いて、アグモンも外へと出て行った。後には、
ヒカリだけが玄関に残された。

「お兄ちゃん……」

ヒカリの呟きだけが、未だ閉じきっていないドアの隙間から、風に乗って流さ
れていった――



――午後一時。満はドリモンを肩に乗せてキャッチボールを終えてビル街を歩
いていた。いつもは休日でも家族連れで混み合っているはずなのだが、今日は
全く人の気配がしない。

「人、全然いないねー」
「仕方ないよ。昨日あんな事があったばかりだし。」

『あんな事』と言いながら、満は苦笑いした。世間の人達は昨日の出来事を恐
れて、家から出てこないのだろう。出てきているのは、恐らくとても少ないだ
ろう。満だって、選ばれし子供じゃなかったら多分家に籠もってる。

「ま、兎に角、早く家に帰ろう。」
「そだね。」

そう言って、満は再び歩き出した。

「それにしても、満ってキャッチボール上手いよね。」
「そ、そう?」

満としては、キャッチボールではなく野球が上手いと言って欲しかった。まあ、
下手なのは自分でも分かっていたから、何も言わなかったが。

「だって、ボクが変なとこに投げちゃったボールも、一球も零さないで全部捕
ってたじゃん。」
「まあ、動体視力と反射神経だけはいいからね。キャッチボールだけは昔から
上手いよ。」
「へーえ……」

動体視力と反射神経はいいのだが、スポーツのセンスはないらしく、昔からス
ポーツは苦手だった。野球だけはとても好きなのでずっと続けている。

「……それにしても、ホントに静かだなぁ……不気味なくらいだよ……」

満がそう零したその時。突然、何か強大な力を感じ、力を感じた方角――南の
空を見上げた。

「……? どうしたの、満?」
「何か……何かが来る……あっちだ!!」

言った瞬間には、もう走り出していた。強大な力を感じた、その場所へと向か
って――

一方その頃、泉家では、光子郎のノートPCにインストールされている『デジタ
ルセンサー』が大きな反応を示していた。

「こ、これは……一体なんでっか!?」
「わ、分かりません……兎に角分かっているのは、途轍もなく巨大な力を持つ
デジモンがリアライズしてこようとしている、ということです……!!」

センサーの画面が映し出されたノートPCの画面は、とても明るい赤い光で覆わ
れていた。明らかに異常だ。こんな反応は初めて見た。

「兎に角――みんなに連絡しないと!!」

光子郎は急いでD-ターミナルを引っ張り出し、大急ぎでメールを打ち始めた。
その間にも、謎のデジモンのリアライズ完了数値は刻々と100%に近くなって
いた――

126ユッケ ◆h8PPKSmgM6:2007/11/01(木) 13:29:59
太一は未だ心に問題や心配をぶら下げて沈みがちな表情ですね。
そして満はのんびりとドルモンと一緒にキャッチボール。彼の動体視力と運動神経はかなりのものですね。
そんな彼の目の前に送り込まれてきた超究極体!!!
果たして、この相手の前に彼等はどう立ち向うのか!?
次回も頑張って下さい!!

127デジロル:2007/11/12(月) 23:22:54
ドリモンとキャッチボールですか。
しかしまあ人型ではないドリモンが投げるからかなり変な所いっちょうんでしょうけどね。
てか、届くのかなぁ……と思ったり。
しかしこれから途轍もなく巨大なデジモンが現れる。
どうなるのか気になりますね。
次回も頑張ってください!

128たらこ:2007/11/20(火) 18:27:25
感想ありがとうございます、ユッケさん、デジロルさん。

>>ユッケさん
太一は昨日から未だに悩み続けています。いつものような調子を取り戻せてな
いんです。
で、満はドリモンとキャッチボールをしていました。満は動体視力と反射神経
、要は運動神経はいいのですが、スポーツのセンスは無いのでスポーツは苦手
なんです。
そして、超究極体が遂に姿を現わそうとしています。どう立ち向かうかは、こ
れからのお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>デジロルさん
話に書いたのは帰りだったのでドリモンでしたが、キャッチボールしてたとき
はドルモンに進化してたんです。どちらにしろ、人型とは言えないので変なと
ころに飛んでいきそうですけどね(汗
ドリモンは届かなさそうですが、ドルモンならきっと届きます……多分……(おい
そして、巨大な力を持つデジモンが現れようとしています。どうなるのかは、
これからのお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

129たらこ:2007/11/20(火) 18:41:09
『勇気編』・第五十話
         Evolution.138 『ひび割れの空』

光子郎が送信したメールは、一斉に子供達のD-ターミナルへと届いた。勿論、
満の元にもだ。

受信と同時に、満のD-ターミナルがポケットの中で鳴り出す。走りながらポ
ケットの中を探り、D-ターミナルを引っ張り出し、開いて届いたメールの内
容を呼んだ。

「光子郎さんから……やっぱり、何かがリアライズしようとしてるんだ……」

メールには地図も添付されてあり、赤い印が付けられたところに『今すぐこ
こに集合』と書かれていた。
その場所は――丁度満が力を感じ、向かっている辺りだった。

「兎に角、急がないと……ドリモン!!」
「うん、わかってる!!」

満のデジヴァイスが輝き始め、光を放つ。光はドリモンの身体を包み、デー
タを書き換え始めた。

「ドリモン、進化――ドルモン!! ドルモン、進化――ドルガモン!!」

成熟期へと一気に進化したところで、一旦走るスピードを落とし、ドルガモ
ンの背中へと飛びなる。
満の両脇でドルガモンの翼が打ち広げられ、宙へと駆け上がり始める。相変
わらず心地よい感覚だとは言えないが、今は我慢だ。

「さあ、行こう!!」
「うん!!」

普通に走っているのとは比べものにならないほどのスピードを出し、リアラ
イズ地点を目指す。

「何なんだ、アレは……!?」

空を見上げると、空のある一点に引き込まれるかのようにして雲とその周り
の空が集まり始めていた。空間が急激に変化し、歪んでいるのだ。
空がまるで布になったかのように歪み、撓んでいた。ハッキリ言って、もう
無茶苦茶だった。

一体、どれ程の力を持つデジモンがリアライズしてこようとしているのだろ
うか。トウテンモンや『トール』の時といい、強大な力を持つやつが現れる
ときは、いつもこう無茶苦茶なのだろうか。いつもこう、世界が荒らされる
のだろうか。

満の脳裏に、破壊された始まりの町の光景がよぎる。崩れた建物、抉られた
地面、真っ赤な炎……

この現実世界も、ああなってしまうのだろうか。始まりの町のような、死の
世界へと。

――そんな事……絶対にさせない!!

もう、これ以上破壊させてたまるか!!

この現実世界も……デジタルワールドも!!

新しい『選ばれし子供』として……

……絶対に――!!

130たらこ:2007/11/20(火) 18:41:40
数分飛んでいたところで、背後から何かの気配を感じた。誰のものなのかは、
直ぐに分かった。

「ほら、早く行くわよ!!」
「わかってるよ、ミエ!!」

そう、ミエだ。自分と同じく、新しい『選ばれし子供』の。
この世界を守りたいのは、自分と同じハズだ。

「ミエ……」
「……何よ?」

満の声に、ミエは顔だけ振り向けた。

「……守り抜こう……絶対に!!」
「……今更何言ってんのよ。そんなの、当たり前でしょ。それに、私達だけ
じゃない……先輩達だってついてるんだから。」

言われてみて、初めて思い出した。太一や大輔達の事を。もしかしたら、自
分一人で悩みすぎていたのかもしれない。考え方が狭くなっていた。別に、
一人で戦っているわけではないのだ。

「……うん、そうだね!!」
「さ、無駄話はこれくらいにして、急ぐわよ!!」

ドルガモンとギンリュウモンは更に速度を上げていき、リアライズ地点を目
指して駆けていった。
数分経ったところで、目的の場所へと辿り着いた。

「地図によると、ここね……」
「うん……地図を見なくても分かる……ほら。」

空を見上げ、頭上を指差す。指差した場所は……先ほどから見えていた、歪
みの中心だった。さっき見たときよりも、空の『撓み』が大きくなっていた。

「おーい!!」

声がした方を見ると、藍の鎧に身を固めた四足獣と、その背に乗った赤い髪
の少年の姿が見えた。
ライドラモンと大輔。二人とも、自分たちよりも経験豊富だ。随分と落ち着
いているように見えた。

その後少ししてから、子供達は続々と集まってきた。デジモン達は皆、移動
に特化している、あるいは進化レベルの高いデジモンに進化していた。

「ふー……やっと着いたぜ……」

何処か聞き覚えはあるのだが、初めて耳にする声に全員が振り返る。そこに
は、橙の皮膚を持つ巨大な獅子と、その背に乗った金髪碧眼の少年がいた。

「タ、タケル……? そのデジモンは一体……?」
「ライアモンだよ。エレキモンが進化したんだ。」

呆気にとられたようなヤマトの質問に、タケルが簡潔に答える。詳しく説明
している暇など、今はない。
これで子供達は全員集まった事になる。

だが、あと二人――あと二人、ここにはいない人物がいた。

そう――太一とアグモンがだ。

「太一先輩が……いない……」
「やっぱり来なかったか……」

大輔とヤマトが落胆したような声を出す。

「どちらにしろ……もう、太一さんの話をしている場合じゃないみたいです
よ……」

ノートPCの画面を覗き込んでいる光子郎が、緊張の所為か、か細い声でそう
言った。

全員が空を見上げる。歪みの中心に、ヒビが入り始めていた。少しずつ、少
しずつ……蜘蛛の巣のように広がっていく。

そして――一気に吸い寄せられた空間が弾けた!!
歪みの中心が割れ、ゲートがそこに開いた。そしてその奥から、新たな刺客
が姿を現した――

131たらこ:2007/11/20(火) 18:52:58
上の>>129-130なのですが、削っても良さそうなところを削っても文字数オーバ
ーになってしまったので、二つに分けて投稿しました。二レス分合わせて第138
話です。
それにしても、僕がこの小説板で小説を書き始めてから今日で早いものでもう一
年……ここまでこれたのも、皆さんの応援のおかげです!!
至らぬ者ですが、改めてこれからもよろしくお願いします!!

あ、あと、サイトを作りました。まあ、もう開設してから余裕で二ヶ月くらい
経ってるんですけどね(爆
ttp://ancientphantom.web.fc2.com/
(h抜きになってます)
訪問してくださると嬉しいです。まだデジモンの小説は二つしかないのですが、
これから増やしていきます。

132デジロル:2007/11/20(火) 21:34:43
遂に出ますね、超究極体デジモンが。
だがまだ太一は来ず……。
超究極体、どれほどえげつない化け物が出てくるんでしょう!?
これからも頑張ってください!!

133ユッケ ◆h8PPKSmgM6:2007/11/20(火) 21:48:31
超究極体が再び登場ですね。
しかし、太一は前に見た強さの前に立ち直れず……来れませんでしたか。
そしてゲートの向こうからやって来る新たな刺客は!?
次回も頑張って下さい!!

134たらこ:2008/01/13(日) 01:18:50
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

>>デジロルさん
遂に新たな超究極体が登場します。
そして、太一はまだ現れていません……
どれ程のやつが出てくるのかは、次回のお楽しみです。
応援ありがとうございます!!

>>ユッケさん
超究極体が再び登場します。
で、太一はまだ立ち直れてません。その強さを恐れて来れないんです。
どんなやつが現れるのかは、次回のお楽しみです。
応援ありがとうございます!!

135たらこ:2008/01/13(日) 01:30:12
『勇気編』・第五十一話
         Evolution.139 『The Dancing Monkey 1-Ouverture』

子供達が見つめる中、空に開いた穴の奥から、一つの影が飛び出してきた。
白い布で出来たスーツで全身を包み、淵の四角いサングラスをかけた奇妙な風
貌。どことなく、猿に見えなくもない。

一つだけ、猿とは決定的に違うのは……臍の辺りから、恐らく布で出来ている
と思われる白鳥の頭が伸びている点だ。
どこからどう見ても奇妙としか思えない風貌のそのデジモンは、片膝と両手を
地に付けて、着地した。

そして――立ち上がったその姿を見て、ヤマト達1999年の選ばれし子供達はハ
ッと息をのんだ。
ありえないからだ。そんなはずはないと、誰もが目を疑った。何故なら、子供
達の目の前に現れたのは……

「久しぶりね、選ばれし子供達。あちきのこと、覚えてるでしょ?」
「……エテモン……!!」

絞り出すような声で、ヤマトが言った。
そう――エテモンだ。スーツの色は全く違うが、以前メタルグレイモンに倒さ
れ、究極体・メタルエテモンとして復活したときは丈達に敗れて消えたはずの。

よく見ると、黒い結晶の付いた首飾りが提げられていた。禍々しい気配を感じ
て、アレは何だと、光子郎は一瞬考えた。
だが――今は深く考え込んでいる余裕など無かった。気持ちを切替えて、目の
前の敵へと集中する。

「その通り! アンタ達に復讐するために、再び地獄から舞い戻ってきたのよ。
……超究極体・スワンエテモンとしてね!!」
「ス、スワンエテモン……?」

――なんてダサイ名前なんだッ……!!

重い空気にもかかわらず、ヤマトは一瞬そんな事を考えてしまった。
だが……いくら名前がダサかろうと、相手は超究極体。侮る事は出来ない。
姿形もかなりダサイが、きっと強いに違いない。力を込めて、スワンエテモン
を睨み付ける。

「……どうやら、何しに来たかまでは説明しなくてもよかったみたいね。」
「……行くぞ、皆!!」

今はいない太一に代わって、ヤマトが声を張り上げる。その声を合図に、大輔、
賢、伊織のD-3が光を放った。未だ自身の最強の形態へと進化していないデジ
モン達のパートナーだ。

ライドラモン、ジュエルビーモンはそれぞれ成長期、成熟期へと退化し、アル
マジモンはそのまま、進化の輝きに包まれた。

「ブイモン、進化――エクスブイモン!!」
「「ジョグレス進化――パイルドラモン!! 究極進化――インペリアルドラモ
ン!! モードチェンジ――ファイターフォーム!!」」
「アルマジモン、デュアルアーマー進化――ベースモン!!」

皇帝の称号を冠す黒き鎧の竜と全身兵器の巨大獣が地に降り立つ。
これで、究極体七体・完全体九体・成熟期三体の総勢十九体。
数でいえば、かなり有利な立場だ。だが……たとえ一体とはいえ、超究極体と
いう謎の領域が相手。どんな能力があるかも分からないのだ。

「さあ、早く来なさいよ。少しくらいならガードもしないであげるから。」
「なめやがって……メタルガルルモン!!」
「おう!!」

ヤマトが声を張り上げると同時に、メタルガルルモンⅩが10m程の高さまで飛
びあがって全身の砲口をスワンエテモンへと向け、構えた。冷気が砲口から漏
れだし、周りの空気が白く見えた。

「コキュートスブレスFIRE!!」

冷凍弾が次々と撃ち出され、スワンエテモンに突撃していった。弾丸が弾ける
瞬間、一瞬のうちに周囲の水分が冷却され、スワンエテモンを包み込んで凍り
ついた。白い空気がその周りを包み、スワンエテモンの姿を覆い隠す。

「ギガデス!!」

その隙をついて、インペリアルドラモンがギガデスを放った。今ならば、例え
氷が砕かれてもスワンエテモンは視界が塞がれている。避ける事は容易ではな
いはずだ。
ギガデスが着弾し、爆発を起こす。爆音と爆風が轟き、渦を巻いていった……

136カイザー ◆W1bwfJDcQU:2008/01/13(日) 10:24:27
あけましてオメデトウございます!!(遅)
今年もよろしくお願いします(ペコリ)

もう51話ですか。羨ましいです。
僕も小説再UPしてるんでお互い頑張りましょう!!
これからもよろしくお願いします!!

エテモンは・強い敵だが・憎めない
すみません。(俳句になった)

137J坊:2008/01/13(日) 12:16:56
まさかエテモンが出現するとは……。
しかも、スワンて、あんたバレリーナですかいな。
(予想ではキングだと思ったんだけどなぁ……。)
しかし、子供達が始めて苦戦した完全体デジモンの生まれ変わり!!
超究極体の彼とどう闘う?
次回も頑張ってください!!

……まさか、歌もヴァージョンアップしてるのか……?(しつこい)

138デジロル:2008/01/13(日) 13:43:06
エテモン復活で選ばれし子供達に復讐するために現れましたね。
おそらくスワンはバレーとかでスワンなんでしょうが……。
見た目や名前からしてものすごいダサそうですね。
だがスワンエテモンに冷気の弾丸とギガデスによる連携攻撃!!
普通ならばこれだけでも大ダメージなはずですが!!
どうなるのでしょうか、気になります!!
次回も頑張ってください!!

139ユッケ ◆h8PPKSmgM6:2008/01/13(日) 23:19:57
エテモン復活!悪役ながら独特のキャラで、お笑いにも悪人にも使える多用キャラ(そんな説明いらん
そしてスワンが付いてスワンエテモン!多分、ヤマトの心情は場違いではないと信じています(笑
早速二体の必殺技をエテモンにぶつけますが……果たして!?
次回も頑張って下さい!

140楸木スズヤ:2008/01/14(月) 09:33:20
此方では初めまして。先日は私めの小説に感想有難う御座います、楸木スズヤです^^!
小説読ませていただきました。物語は更なる展開を迎えてますね……何とエテモンが来るとは!
しかもスワンて……!更にイロモノ度が進化しましたな!(笑)
しかし超究極体と言えばDWに影響を及ぼしかねない実力とも言われているゆえ、危険ですね。
勢い良く攻撃を加える子供達、果たしてこれで無事相手は倒れてくれるでしょうか……!?
次回も頑張ってくださいませ^^!

141優月:2013/07/12(金) 11:01:46
え何よすぎでしょ、

途中で止めちゃったのでしょうか

楽しみにしてます。

142颯大:2018/08/11(土) 17:39:04
続きは、まだですか


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