- 1 :管理人 ◆HF/rUAjdsg :2013/01/09(水) 00:06:38 ID:zbnzpDMo0
- 雑談およびSS投下用にお使い下さい。
要は本スレ同様に使って頂ければおk。
- 296 :玄米茶 :2020/05/09(土) 05:13:49 ID:rqT4Q1HM0
- そしてネオン街を歩きながら、弥生は徹の肩に頭を寄せて言った。
「ねえ… 今の私達って、傍から見るとカップルに見えちゃったりするのかな。」 「おいおい酔ってるのか?」 「それもあるかもしれい。 でもそれだけじゃないよ。 実は私、中学の時、徹君にちょっと興味あったの。」 「え?ホントかよそれ。」 「うん。 だから今こうして一緒にいられるのがすごく嬉しい。」 「おいおい参ったな。」 「せっかくだから誰もいないところで 二人っきりで話がしたいな。」 「おう。」 「ありがとう。じゃあ着いてきて。」 「知ってる店でもあるのか?」 弥生は徹を連れてどんどん歩いた。 そして大きな通りを外れて細い路地に入り、弥生は足を止めた。 「おいおい、ここって…」 徹はポカンとしてしまった。 そこは、男女が肉体関係を欲して入るホテルだったからである。 「心配しないで。少し静かな場所を借りたいだけだから。ね?お願い。」 徹は弥生の懇願されてホテルの中へ入った。 部屋で徹が立ち尽くしていると、弥生が背中から抱き着いてきた。 「おっ、おい、弥生…?」 「私、徹君のこと好きだったの。 いろんな不安なこと、忘れさせて欲しい。 刹那的で身勝手なお願いだってことは分かってる。 でも、だけど、今私は、徹君に抱かれたいの。お願い…」 徹の背中に押し付けられる弥生の柔らかい肉体の感触。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 297 :玄米茶 :2020/05/09(土) 05:14:12 ID:rqT4Q1HM0
- 情事の後。
弥生は服を着ながら背中越しに徹に言った。 「徹君、すごくよかったよ。ありがとう。」 「ああ。」 「でも、やっぱりこういうの、まずかったよね。 徹君は親方の娘さんとの結婚を控えてるのに。 私のワガママで本当にごめんなさい。」 「気にすんなって。」 「うん。私と徹君だけの秘密。 私と徹君が誰にも言いさえしなければ、それで済むんだもの。 そう、私と徹君さえ誰にも言わなければ。」 弥生は少し俯いた。 「ねえ、徹君… 少し言いにくいんだけど、私、今日は危険日だったの…」 「え…」 徹は息を呑んだ。 「子供できちゃったら…さすがにまずいでしょ? だから…だからね、 もしもの時のために、堕ろすお金を私に預けて欲しいの。 20万円くらいあれば大丈夫だと思う。 避妊薬は体質が合わなくて飲めないから。 だから… お願い。20万円私に預けて欲しい。」 「…分かった、なんとかするよ。」 「ありがとう。助かるわ。今、キャッシュカードとか持ってる?」 「一応ある。」 「よかった。 じゃあ近くのコンビニへ行って、お金を降ろしてくれないかな。」 「おう。」 「それからお願いついでに言うんだけど… これからも継続的に募金してくれると助かる。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 298 :玄米茶 :2020/05/09(土) 05:14:30 ID:rqT4Q1HM0
- 同夜。
シャッターを降ろした不動産屋の事務所の一室に 若い女二人の姿があった。 一人は携帯電話で話しをしている。 「…うんうん。うんうん。 え?前に紹介したあの仕事のお金?ちゃんと振り込んであるでしょ? なに?もっと多くてもいいんじゃないかって? あたしはこれでバランス取れてると思ってるんだけど。 うんうん。うんうん。 うーん、あのさぁ~ こっちも割と汗かいてるんだよ? 金を持ってて稼げそうなカモ、 厳選してあんたに紹介してやってんだから。 今あんたが稼げてるのって、 あたしがお膳立てしてあげてるからだよね? こっちもリスク負いながら見えないとこでいろいろ動いてんだからさ。 そこんとこ分かってくんない? うん。うんうん。 分かってくれればいいの。 はいはい。じゃーねー」 女は電話を切った。 もう一人の女はその仕草を見ながら小さく微笑む。 『商売熱心ね。 昼は不動産の仲介、夜はさて、何を仲介してるのかしら?』 「さてね。 言うなれば人材派遣ってとこ?」 女はそう言いながら煙草に火を点けた。
- 299 :玄米茶 :2020/05/09(土) 05:14:55 ID:rqT4Q1HM0
- 「あ~おいしい。仕事の後の一服は最高。」
『相変わらず煙草が好きね。』 「だって美味しいんだもん。あんたもいる?」 『私、煙草はやらないの。 ところでその美味しいという快感は、 どうやって生み出されているか知ってる?』 「さあ?」 『その快感はね、脳が感じているの。神経伝達物質、ドーパミンによってね。』 「ドーパミンねぇ」 『脳の神経細胞が“快感オン”の状態になると、 その神経細胞の末端から、溜め込んでいたドーパミンが噴射されるわ。 隣り合った神経細胞の先端に向けてね。 その先端にはドーパミンをキャッチする受容体が無数にあって、 キャッチが行われると、その神経細胞もまた快楽オンの状態になる。 続けてその隣の神経細胞へもドーパミンの噴射がなされて… そんな、数珠つなぎの伝達で、脳は快感を得ている。 でもその快感は永続しない。 ドーパミンは、受容体にキャッチされたものも、 そしてキャッチされずに神経細胞の間に漂ったドーパミンも、 すぐに神経細胞に再吸収されて、快感オンから快感オフになる。 神経細胞の末端に無数にあるドーパミンを再吸収する穴は トランスポーターと呼ばれているわ。』
- 300 :玄米茶 :2020/05/09(土) 05:15:13 ID:rqT4Q1HM0
- 心に話す女にもう一人の女は煙草を吹かしながら聞いた。
「あのさ、ドーパミンが快感をくれるって言うけどさ、 煙草を吸った時以外では、どんな時にドーパミンって出るわけ?」 『たくさんあるわよ。 好きなことをしているとき、成功したとき、褒められたとき、 やる気が出ているとき、美味しいものを食べたとき、 恋愛しているとき、セックスしているとき、それから…」 「そんなに!?もう人間なんて、 ドーパミンっていうご褒美をもらうために生きてるようなものね。 ん?ということは? もしドーパミンを脳に溢れさせるクスリがあったら… いろいろしなくてもハッピーになれるってこと?」 『ある意味そうね。 人間のなすことの多くがドーパミンによる快感のため。 だとするなら、 ドーパミンを出すクスリが人生の優先順位の1位になっても、 何の不思議もないわ。 モラルよりも、名誉や財産よりも、友達よりも、家族よりも。 高邁な勉学や達成のための努力なんて、ゴミクズみたいに思えるかも。 なぜならクスリが、 それらを上回る幸福を与えてくれるんだから。』 「けはははは!」 聞いていた女はケタケタと笑った。 「なるほどね。 あたし、知ってるかも。そういうクスリ、そういう連中!」 『でもそれは幸福の前借り。行く手にあるのは… そうそう、脳は一度覚えた強い快感を決して忘れはしない。 覚えた快感を得る術を反復できないとストレスにすらなる。 だから、また欲しくなるの。 強烈な幸福を生むクスリならなおさらでしょうね。』 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 301 :玄米茶 :2020/05/09(土) 05:15:36 ID:rqT4Q1HM0
- プスリ
皮膚にステンレスの切っ先が突き刺さる。 人間を細菌などの感染から強固に防衛している皮膚。 その皮膚に容易に穴を開け、さらに皮下の奥へと沈み込んでいく。 先端は血管壁を破り、有害物に暴露されてはならない血管の中に顔を出した。
グググ…
シリンダーが押され、筒状の容器の内容液が針の先端から血流に乗る。 もはや回収できない。 放出された液体は血液に乗って心臓を経由し脳へと至った。 快の伝達物質であるドーパミン。 それは脳神経細胞抹消に存在する放出用の調整弁と回収用の調整弁、 すなわちトランスポーターと呼ばれる器官によって、 正常な噴射量が維持されている。 投与された物質の標的器官はまさにそれであり、 早々にそれらの器官の正常な動作は阻害された。 放出を担うトランスポーターはその調節機能を失い、 壊れた蛇口と化して、ドーパミンの異常な放出を始める。 回収を担うトランスポーターに至っては、 大きくこじ開けられてもはや回収の用をなさず、 逆にドーパミンを大量に漏洩させる放出口へと変貌する。 脳神経細胞の間隙に異常に噴射され、そして回収されずに充満するドーパミン。 受容体は通常の量を遥かに超えるドーパミンに暴露され、 脳神経細胞は途絶えることのない悲鳴のように快を連呼し続けた。 狂った量の快、狂った回数の快。 まるでオモチャのスイッチが、子供に壊れるまで押されるように。
… アア シアワセ … (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 302 :玄米茶 :2020/05/09(土) 20:31:47 ID:EaZDP6EA0
- 【追加 295と296の間に投下漏れがありましたので投下します】
それから数日後の夜。 バーで会話をする男女の姿があった。 徹と弥生である。 「メールをもらったときは驚いたよ。 まさか俺と話しがしたいだなんて。」 「成人式でみんなと会っているうちに、徹君とも話しがしたいって思ったの。 連絡先、友達にこそっと教えてもらっちゃった。」 「全然構わねぇさ。 それにしてもすごかったぜ、成人式でのお前の演説。 よく決意したよな、あんなこと話すの。」 「そう言ってもらえると嬉しい。 でもみんなの晴れの成人式であんな暗いこと話してごめんなさい。」 「謝ることなんかねぇさ。 どうしても伝えたかったんだろ?聞いてて伝わって来たぜ。」 「うん、ありがとう。 私なんかのことより、徹君のこと聞きたいな。 建設の現場で働いてるの?稼ぎもすごいとか。 「おうよ!仕事はキツイけど、他のやつよりいい稼ぎしてぜ。 親分も俺のこと気に入ってくれてて。」 「へぇ~そうなんだ! それで募金もたくさん振込んでくれたのね。 すごい金額でびっくりしちゃった。ありがとう。」 「大したことねぇって。」 「これも噂で聞いたんだけど、結婚するの?」 「よく知ってんな。 うちの親分に娘をもらってくれと言われてよ、 トントン拍子に話しが進んじまってる。」 「すごいね、人生がどんどん先へ進んでる。」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
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