- 1 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:33:35
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「やっちまった・・・」
わかってた。わかってたはずだった。 仕事中とはいえ、親が自宅に来ることをメールで受け取った時に こうなることは予想できていた。 でもさすがに仕事中に帰宅するなんて そのまま二度と会社の玄関をくぐれなくなるのも予想できて、 どっちを取るかと問われたら ほとんどの人が俺と同じ選択をしていたはずだ・・・
だけど・・・悔しいなぁ・・・
- 33 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:42:23
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「良い?前も言ったけど、私も”代価”を支払うの。 生半可な気持ちで提案したわけじゃないってこと。 ちゃんと受け止めなさいよね」 「・・・一つ聞いて良いかな?」 「・・・内容はもうわかるけど・・・あえてその声で聞くわ。何?」 「俺のこと・・・」 「前も言ったでしょ?『あなたが気に入ったの』って」 「それって・・・」 「朴念仁」 「え」 「なんでもない。とにかく来週よ!来週にはちゃんと結論を聞かせなさいよ!」 「わ、わかった」 「次忘れたらそれでおしまい!わかった?」 「わかった」 「じゃあ、とりあえずバイバイ!」 「――」
ここで目が覚めた。 前回より短いやり取りだったせいか、時計はまだ2時台を示していた。 ・・・もう一回眠れるな・・・ そう思いながら目を閉じる。 当然ながら、その時にはあの子は出てこなかった。
- 34 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:42:39
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そうして。 仕事と楽しさの中、一週間という日々はすぐに過ぎていった。 結論は・・・もう出ている。 今日はそれを伝えるだけ。 俺は・・・
「・・・いつの間に寝てたんだろう・・・」
見渡す限りの花畑。 3回目ともなると慣れてしまった。 茶色い一角へと早速向かっていく。
「来たわね」 「うん。こんばんは」 「はい、こんばんは。 さて・・・結論は出たようね」 「うん・・・ごめんね」 「謝るのは違くない?あなた自身の性欲もかかってたのよ?」 「そうだけど・・・」 「それにね。私は夢魔なの。あなたから離れれば次の人のとこへ行くだけよ」
- 35 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:42:53
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「次の人・・・」 「ふふ、大丈夫よ。この顔や姿は次の人には映らないわ。 その人の好きな姿に変わるんだから。 ま、その次の人もこの凛って子が好きな場合は同じ顔になっちゃうかもだけど」 「えっ?」 「何を驚くことがあるの?あなたの好きな凛って子は あなた以外には好かれない子なの?」 「そ、そんなことっ!」 「無いのでしょう?それじゃあその可能性は低くないじゃない。 現に私はこうしてこの顔であなたの前にいるのよ? あなた以外にこの子が好きな人がいれば、この子の顔で現れるわ。 きっとその人は・・・」 「・・・その人は?」 「こんなに小さい姿にはしないでしょうけど。 等身大?っていうのかな。少なくとももっと大きくなるでしょうね。 そうなれば、私も楽ってものよね。いくらでもこの夢魔の力でイかせてあげられるわ」 「・・・」 「妬いてるの?」 「・・・・・・」 「答えられないっか・・・そうだよね。そんなこと、想像すらしてなかったみたいだしね。 でもね、私以外にも夢魔はいるの。 私がこれから先に相手していく人たちがさ、凛の姿を望むことがなかったとしてもね、 他の夢魔のところにはそういう人がいるかも知れないの。 つまり、この顔で相手のソレを奪っていく夢魔がいたとしても、 全然ありえないことじゃないわ」
- 36 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:43:11
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「・・・そうなのか」 「そう。ほら、聞いたことない? 好きな人とシちゃう夢を見たって話。それで夢精しちゃったって話とか。 その大半が私達の仕業ね」 「・・・そういえば、あいつは杏ちゃんが夢に・・・」 「身近にもいたみたいね。要はそういうことよ。 男が思い描く姿で現れる。そうすればソレを奪いやすくなる。 そうやって、私達はやってきたの。 これまでも。そして、これからも」 「・・・」 「ま、さすがに?こんなに小さい姿で現れることは無かったけどね。 だからこそ・・・あなたに同情しちゃったのかな。 夢魔失格ね、私。人間なんかにこんな感情を持っちゃうなんて・・・」 「・・・あの」 「だーめ。結論は出たの。今更『やっぱなし』なんて許さない」 「・・・・・・」 「・・・これで本当に終わり。もう私があなたの夢に出ることはないわ。 ま・・・他の夢魔が来てくれる可能性は否定できないけどね?」 「でもこのままじゃ・・・」 「気持ちの整理がつかない? でもごめんね。これ以上あなたの夢には出られないの。 これは規定。同じ人の夢には3回までしか出られないの。 前も言ったかもだけど、あまり出すぎちゃうと対象を死にいたらしめちゃう。 そんなの私達の望みではないわ。 だからこそ、この3回でいただくものをいただいていくわけ。 っていうか、普通1回で終わるんだけどね。あはははは」
彼女は笑う。 少し寂しそうに見えるのは、俺の思い違いなのか・・・
- 37 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:43:30
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「・・・さぁてと。それじゃあ私、行くね。 凛って子のこと、ずっと大事にしなさいよ?」 「・・・わかってる」 「よし!じゃあ・・・今度こそ、バイバイ」 「まっ・・・」
目が覚めそうになる・・・嫌だ・・・このまま別れたく・・・
とっさに手を伸ばす。 何か・・・何かをつかんだ気がした。
「ちょっ・・・・・・」
彼女の声が・・・聞こえて・・・・・・
目が覚めた。 時計は6時を指していた。 今日は休みの日。だからこの時間でも驚きはなかった。 ただ・・・自分の手の熱さに驚いていた。
恐る恐る開くと、手の中には白い光があった。 ふわふわとして・・・綿みたいな・・・ そのまま捨てるのは気が引ける。 いや、捨ててはいけないものだと認識していた。 すると――
- 38 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:43:44
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「・・・やってくれたわね・・・」 「えっ!」
その光から声が聞こえた。 その声はほんの数分前に聞いたそれと全く同じだった。
「もしかして・・・夢魔?」 「私以外に何があるっていうのよ!思いっきりつかんでくれちゃって!」 「ご、ごめん」 「あぁもう・・・これじゃあ帰るに帰れないじゃない・・・」 「ど、どういうこと?」 「あのね、私達はこうして夢の外に出ることは一応できるの。 ただ、この姿限定ね。そして、この姿になった場合、 3日間は帰ることができないの。」 「3日間?」 「そ。3日経てばこのまま私達の世界へ自動的に帰れて、 また夢魔の姿に戻るってわけ」 「面白い生き方してるんだね・・・」 「大きなお世話よ!全く・・・・・・責任」 「え?」 「責任取りなさいよ!」 「えっ、でも3日経てば自動的に帰れるんだろ?」 「あのね!この姿って見ればわかると思うけど、 ちょっとした風とかでいくらでも吹き飛んじゃうわけ。 だから・・・3日間ずっとどっかに隠れなきゃいけないの!」 「どっかって・・・どういうところが良いの?」
- 39 :Lovely-Ring :2019/06/15(土) 16:44:48
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「そうね・・・あっ、良いこと考えたわ!」 「良いこと?」 「そ!あの子の中に入れさせて!」 「どういう意味!?」 「そういう意味じゃないわ!容れ物としてあの子を貸してって言ってるの!」 「あの子って・・・凛!?」 「そうよ。あなたの中の私の顔なんでしょ。あの子。 確かに可愛い子じゃないの。心の中と寸分変わらないわね」 「でも・・・動かないよ?」 「・・・なーに考えているのかなー?」 「いや!いやいや!!」
そんな感じで。 今日から3日間、夢魔が凛の中に入っている。 もう、何が何だかわからないが――
「ちょっとー!もうちょっとテレビが見られる角度にしてよー」 「あ、はいはい」
・・・正直楽しい。
I.F ~イマジナリーフレンド~
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