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グノーシス主義に基づいたゼーレの思想
1【管理人】セラフィエル:2007/08/06(月) 21:46:37 ID:dnxZ8GyY0
キュアさん、私はあれからキュアさんが仰ることをよく吟味し、グノーシス主義に基づいた考えを考え直して見ました。
私の中でも、あれ、なんか自分で言ってて何かおかしいなと思いまして。
グノーシス主義の考え方自体は間違っていなくても、なにかエヴァの世界で合致するものに相違があるのではないかと。
考え直したこの考えだと、もしかするとキュアさんの考えが実はグノーシスと大体の一致を見るかもしれないと考えまして、私自身もすっきりするところがありました。
我々のリアルの世界を目指す、と言うのとは違うかもしれませんが
それは第一始祖民族を造物主(創造神)とみなす考え方です。
どうやら私は、人を作った造物主、という観点において、リリスがそれだ、という観点に囚われすぎていたようです。
そして造物主にいたっても、別に具象化されているわけではない、ということで、説明ができるかもしれません。
なので、私は考えを改め、もう一度最初からやり直し、ということでよろしいでしょうか?

もう一度キリスト教グノーシスを例にとって説明します。
キリスト教グノーシスの考えによれば、この世界、或いは宇宙は、ユダヤの創造神(造物主)ヤハウェによって作られたものというところは変わりません。
しかしグノーシスの考えからすれば、このヤハウェは悪神なのです。
キリスト教グノーシスの認識の対象は以下の通り。

1.イエス=キリストが宣教した神(=至高神)とこのユダヤの創造神ヤハウェは違う、ということ。
2.創造神ヤハウェの所産であるこの世界は唾棄すべき低質なもの(すなわち過ちと争いの絶えぬ悪の世界)。
3.人間もまた創造神ヤハウェの作品であるが、その中にごく一部だけ、至高神に由来する要素(神的本質=本来的自己)が含まれているということ。
4.救済とは、その神的本質が創造神ヤハウェが作った世界から解き放たれて、至高神の元(光の地)に戻ること。

これを基にもう一度図式を書いてみます。

エヴァの世界の創造神=第一始祖民族
創造神の作ったもの=リリス、アダム、白い月、黒い月などこの世界のもの全て
創造神の世界から至高神の光の地へ戻ろうとするもの=リリス、ヒト
創造神に従順でヒトが至高神の光の地へ戻ることを邪魔するもの=アダムと使徒(その名の通り、創造神の使い)
人間の内にある神的本質(光)=知恵の実+創造神の作った心と肉体のしがらみ(ATフィールド)に囚われている魂(≒霊)
人間の内にある神的本質の集大成にして、光の地を目指すために創造神の使いに対抗する手段=エヴァ
光の地=補完された世界(不要な肉体を捨てた神的実体へと帰化)
神的実体=アダム・カドモン(至高神の移し身である神人)
至高神=「???」(つまり劇中で説明されていない)

こう考えると、リリスもヒトも「創造神」から造られた者であり、この「創造神」からして見れば、自分の作った世界の悪こそが「正義」ということになり、その悪の世界から脱却しようとするリリスとリリンは、まさしく、創造神の「正義」に反するものたちということ。
故に悪魔の名がつけられている。アダムと使徒は、まさしく創造神の使い、ということで、説明がつくと思います。
また、後ほどカバラについてそれがどういったものなのか、書き記したいと思います。
いかがだったでしょうか?
これだとキュアさんの考えに近くなると思うのですが。
そしてこちらの考えだと、極東博士殿が仰るようにルシファーこそが創造神に戦いを挑む「自由と革命の闘士」となり、人間が神的実体に帰するための秘伝に関する秘密を握る「光を与える者」となるのです。
これはミルトンの失楽園の考え方にも響いてくるものになると考えます。

2【管理人】セラフィエル:2007/08/06(月) 23:40:31 ID:dnxZ8GyY0
そして、グノーシスの考え方には「月」の概念が深く関わってきます。
創造神の悪の世界から脱却する上で最初の通過点になるのが「月」です。
そしてそのあと惑星を経由して創造神の作った世界(宇宙)から脱却することを考えていたわけなのです。

また、月は満ちては欠けてなくなり、そしてまた復活するというイメージから、永遠の命の象徴とされます。
月が満ち欠けを繰り返すように、死んで月へ還った人間の魂はまた月から生まれる・・・。
これとエヴァの世界のガフの部屋である「黒き月」が深く関わっていると考えられます。
魂が生まれ、また還る場所であるガフの部屋が「月」と称される所以です。
一言で言えば月は「死と新生」の象徴であり、月の象徴ともされるリリスと、背景に月の映像を控えているレイの描写を見ても、その考えが促されます。

3【管理人】セラフィエル:2007/08/06(月) 23:46:23 ID:dnxZ8GyY0
大幅に考え直した結果、キュアさんには大変ご迷惑をおかけしてしまいました。
この場を借りてお詫び申し上げたいと思います。

4キュア:2007/08/07(火) 00:04:04 ID:DliBOHA20
なるほど、セラフィエルさんのグノーシス主義による見解は、
完成したと、見ていいんではないでしょうか
ぜひ、発展させていくべきだと、思います。

これで、セラフィエルさんの見解を「私的な理解」をする目的は
達成しましたね

セラフィエルさん、お詫びする必要なんてありませんよ
1番のレスから読み直してみてください、お互いの意見が、刺激しあって
どんどん、詳細に面白くなっていったと思いますせんか?
だから、私も、セラフィエルさんと対論していて面白かったです
で、今回思ったんですよ、私の解釈の進む道といいますか・・
宗教的見解ではセラフィエルさんに、意見できるほど知識はありませんので
今度から、なるべく宗教観を絡めない解釈を主にしていこうかなと思います

私の考えは「ゼーレの目的」で書いた通りですが、これからも
お互いの為になるような、対論にしたいですね、よろしくお願いします。

5【管理人】セラフィエル:2007/08/07(火) 00:41:06 ID:dnxZ8GyY0
>>4 キュアさん
ありがとうございます。
仰るとおりだと思います。
キュアさんの考えていることがどんなものなのかを考えているうちに、色々と発見もありました。
私の考えの中に頭で考えていることと、言葉にして書いていることにかなり食い違ってしまっていたのもあったのですが、おかげできちんと整理しなおすことが出来てよかったです。

>だから、私も、セラフィエルさんと対論していて面白かったです

それは私も面白いと思いましたよ。
特にシンジが裁判官になったという観点については面白いと(^^;)。

>で、今回思ったんですよ、私の解釈の進む道といいますか・・
>宗教的見解ではセラフィエルさんに、意見できるほど知識はありませんので今度から、なるべく宗教観を絡めない解釈を主にしていこうかなと思います
いえ、私などよりもっと詳しい人はいるものですよ。例えばここにこられている極東博士殿はもっと凄いですからね。
彼から意見を聞いたりしてたりもするんです。
キュアさんが思ったことを私が私なりの解釈で置き換えて見たりして、そのあとで私が私の解釈を提示する、逆にキュアさんもそうしていた、そんな感覚でやることが出来ていた感じがします。
ただ、ちょっと私が誤解している所があったりしましたが・・・。
私も面白かったです。
また、カバラについて今考察中なので、その時はまたご覧ください。
また、私は、ゼーレの考え方には宗教の教義を持ち込みますが、作品全体を通しては、テーマも重々からめて解釈します。
カバラの考えには、人間は全体で完全であっても一個体では不完全だという考えがあって、人が個として生きていく上ではお互いの長所を生かし、欠点を補って生きなくてはならないという考えがあって、その上でまさに人の持っている「愛」こそが、神が残した希望だ、という教えが含まれているのです。
人類補完計画はこれをはきちがえた解釈のもと、ただ人々の心を全て一つにすることで補完しようとしただけであり、「愛」という概念を損ねているので失敗して当然だった、といえないでしょうか?
また、カバラを人に授けるといわれるウリエルが掌に持っている炎はまさにカバラと同じく「愛」の概念があるそうで。
まあ、私は、人間は人間、そういうものなのだから、完全と不完全の概念に分けるのはちと抵抗がありますが、それなりになるほどと思わせるものはあるんですよね。

ではまた何かありましたらどうぞ。
こちらこそよろしくお願いいたしますね。

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