■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■
宮崎県延岡市の「危険な大規模盛土造成事業と 偽りの議会答弁」- 1 :延岡太郎:2007/12/21(金) 00:03:03
-
延岡市は、田園地帯である五ヶ瀬川流域30haを盛土する。盛土崩落の目安とされる0.3haの実に100倍に相当する大規模な盛土宅地造成事業である。(盛土高 2〜4m)
これに関して、9月の市議会における、「『岡富古川区画整理では30haの大面積が盛土される。大変危険である』との意見がある。当局の正式な見解を聞かせてほしい」との質問に対して都市建設部長は次のように答弁をしている。
①盛土の崩落は、盛土の面積の大小には関係はない。
②当地の場合、おわん の中にご飯を盛るような造成。滑動崩落は起こらない。
③(むしろ)堤防の強化につながると考えている。
これらはすべて、この事業の正当化を意図する行政本位の偽りの答弁である。住民の立場から反論したい。
①に対する反論
阪神及び中越地震で大面積の盛土造成地に滑動崩落が続発したことは周知の事実である。国は、こうした事実を受けて盛土造成地、とりわけ大規模盛土宅地造成地への規制強化を打ち出している。 理論的にも盛土面積が大きいほど、地震の揺れによる変動・変位幅が大きくなる。これは物理学上の原理である。大面積盛土ほど崩落の危険性が高いのである。
「盛土の崩落は、盛土の面積の大小には関係はない」との答弁は明らかに間違いである。
盛土は軟弱地盤の母体であり、それ自体危険だが大型化することで危険度がさらに高まる。
②に対する反論
滑動崩落とは盛土と元の地盤の境界に存在する地下水が潤滑剤となり、盛土全体が元の地盤の上を滑り盛土が崩れたり、塑性変形する現象である。大面積で盛土量が大きければ、大きな滑動エネルギーが蓄えられ不安定になる。当地の場合、五ヶ瀬川の堤防が擁壁の役目を果たすので地すべり的な崩壊はないが、滑りやすい大きな盛土の塊が、元の地盤の上に不安定な状態で置かれることになる。地震によって盛土全体が揺れ、塑性変形したり、地形によっては想定外の滑動崩落も起こり得る。
次に、これは重要なことだが、当地の盛土計画は水平にご飯を盛る形の造成ではない。堤防と鉄道側の両側が高く、それぞれ内側へ低く階段状の傾斜がつく造成である。したがって、地震によって傾斜沿いの崩落や塑性変形が発生する。
サンデー毎日(2004.11.21号)は震災特集記事の中で、専門家のアドバイスとして「階段状に造成した宅地では、山側の土砂を削って谷川を埋め立てますが、削られた側の地盤は良好でも、盛土をした側は、ほぼ間違いなく軟弱地盤。そうゆう土地は避けたほうがいい」との記事を掲載している。岡富古川区画整理では、まさに、そうゆう宅地が造成される。
「お椀の中にご飯を盛るような造成。崩落は起こらない(心配ない)」 との延岡市の見解は、問題を意図的に小さくしている。
③に対する反論
堤防は、国道218号が兼ねている。その内側が盛土造成されるので、堤防幅が広がり、強化につながると言う理屈である。だが、この理屈は通用しない。
現在の国道218号(堤防)は、盛土造成に先立って3倍近くまで拡幅されることになっており、堤防強度は格段に向上する。もはや、盛土による堤防強化の意義は消滅している。にもかかわらず、「不都合な真実」である国道の拡幅に触れない、あるいは、隠すことによって主張を理論化・正当化する、姑息な答弁である。
〖最後に〗
民間業者の盛土造成地に住むかどうかは自由だが、岡富古川の住民には大規模盛土造成地への居住が強制される。それだけに住民への安全確保が最大の責務だが、今回の答弁からは、そうした問題意識や責任感は感じられない。さらに、市長は3月議会で、「(大規模盛土)岡富古川区画整理は災害に強い街づくり事業」と主張しておられるが、これは黒を白と言い繕う悪質なウソである。市民協働を謳う延岡市。その金看板が泣いている。
いずれにせよ、市長以下に偽りの説明を強制する元凶は、大規模盛土・岡富古川区画整理事業であり、今のままでは、将来に災いを残すのは必至である。
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■