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6thgin yats\etaF 1 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/17(日) 07:43:591.表現を逆にする 2.肯定文を否定文(またはその逆)にする 3.名詞を入れ替える 4.話している奴と聞いている奴を入れ替える ※名前欄に入れ代わったキャラ、メール欄に元ネタの場面をいれる事。 前スレ 5thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1115519595/ 過去スレ 4thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1109402588 3thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1105058355/ 2thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1100704160/ 1thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1092275302 参考スレ ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1079123562/ 関連スレ 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ あと、原文を探すのに役に立ったり立たなかったりするスレとして お気に入りの台詞を上げるスレ ※ネタバレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062860575/ 例文 「キノコにも負けないモノを作れ、常に原作のイメージを想え。誰をも騙し、自分さえ騙しうる、最高の改変ネタを想像しろ。 難しい筈はない。不可能なことでもない。もとよりこの脳は、それだけに特化した妄想機関!」 「判らぬか、下郎。そのような物より、私は極上のネタが欲しいと言ったのだ」 「―――命を賭けろ。 或いは、過去の神たちに届くかもしれん―――!」
2 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/17(日) 08:38:51「―――教えてやる。 これが、一乙っていうことだ」
3 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/17(日) 10:38:31バイセー
4 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/17(日) 11:37:29>>1 02彼
5 名前: アーチャー⇒金ぴか 士郎⇒キャスター 投稿日: 2005/07/17(日) 18:12:54 私は駆け足でヤツから離れようとし、結局避けられない未来の自分を解ってしまった。 「あ――――ぐ――――!」 眼球が痺れる。 剣が放たれるたび、身体を貫く度に、失明しかねないほどの閃光が視界を浚う。 戦闘では及ばず、一撃毎に視界が真紅に染まる。 それだけなら構わない。 体はとっくにズタズタだ。 頭痛なんてものは、傷ついた宗一郎様の姿を見ることに比べれば軽い。 問題は、蔵からいまだ引き出している宝具があるから、この攻撃が止まないという事―――― 「――――都合五本目だな。エーテルによる実体ではそろそろ限界か。おまえの魔力量はとうに知れている。その様では残り三本。……わざわざ我が出向いてやったというのに、未だそんな無様な姿を晒すとはな」 嘲る声には失望が混じっている。 勘違い……? そんなモノ、言われたところで知ったコトですか。 それより今は、この頭痛を。 過去から流れる、その―――― 「ともあれ、至ったところで不可能ではあるか。下賎な魔女が生成できる魔力では足りぬ。 そう、どちらにせよ――――」 頭痛が強まる。 ヤツは、勝負を決めようと大きくその手を振り上げ、 「―――雑種に、勝算など一分たりともなかったという事だ!」 十字に交差するように、剣群へ命じた。 「っっ――――!」 防ぎに入った障壁が砕かれる。 体は鉄杭を打ちこまれたように痺れ、頭痛はついに、眼球だけでなく脳まで焦がした。 ――――流れてくる 走馬灯。 だから、 苦痛なんかより、 コレのほうが、 恐ろしい。 それは私の記憶だ。 私がここまで変わった理由。 これまで、メディアという人間が味わってきた出来事が、断片的に視えてしまう。 それが正しいのか正しくないのか、私には判らない。 きっと判断のつく人間はいない。 美しいものが醜く、醜いものは美しかった。 客観的に見ればおぞましいモノなどない。 なのに、どうしてそんな偏りが生じるのか。 詭弁、詐称、奸計(かんけい)、自己愛。 見てきたものの大部分は、そういったモノだった。 ――――私は、彼を愛している。 ……それでも。 それでも、構わなかったらしい。 誓った言葉と偽りの恋人があった。 その為なら何を失っても構わなかった。 人に裏切られても、自分さえ裏切らなければ次があると信じ。 嘆く事もなく、傷つく素振りも見せないのなら。 ――――血潮は鉄で、心は硝子。 他人(ひと)から見れば、血の通わない機械と同じ。 都合のいい存在だから、いいように使われた。 周りから見ればそれだけの道具。 けれど、機械にだって守るべき恋心があったから、都合のいい道具でもいいと受け入れた。 ――――幾たびの戦場を越えて不敗。 ただの一度も敗走はなく、 ただの一度も理解されない。 誰に言うべき事でもない。 その手で救えず、その手で殺めた者が多くなればなるほど、愛を口にする事は出来なくなる。 残された道は、ただ頑(かたく)なに、最期まで守り通す事だけだった。 その結果が。 メディアが夢見ていた幸せなど一度も果たせず、 はた迷惑なだけの、道化の戯言だと知ってしまった。 ――――彼の女は常に独り 暗き丘で裏切りに狂う。 見ろ これが魔女の末路。 見ろ これが裏切り者の結末だ。 「――――――――」 心が、折れる。 後悔しかない。 後悔しかない。 後悔しかない。 後悔しかない、だから。 これまでその道を、この足が歩いてきたかと思うと、心が欠けそうになる。 ――――故に、その生涯に意味はなく。 おまえが愛したもの。 おまえが愛するもの。 その正体が嘘で塗りたくられた夢物語だと見せつけられて、まだ―――― 「――――!」 剣群が迫る。 双剣ではない、尖った角のような剣が心臓を貫きに来る……! 「ぐ、っ――――――――!」 間合いを離す。 手にあるのは、咄嗟に構えた歪な短剣。 「は――――はあ、はあ、はあ、は――――!」 吐き気を堪える。 今、何を――――見ていた、のか。 忘れてしまえ。 過去の事なんて忘れてしまえ。 今はマスターを護るだけ。それ以外の事にかまっている余裕なんてない筈よ…………!
6 名前: スパークスライナーハイ 投稿日: 2005/07/18(月) 14:59:34二つの曲線。 引かれあう陰と陽。 連続投影。 剣術自体は基本を守る。 即ち、 鶴翼欠落不 心技泰山至 心技黄河渡 唯名別天納 両雄共命別 「――――――――」 ―――届いた。 アーチャーという騎士の必殺、干将莫耶の真意に届いた。 今から行うのはオレの限界。 その先は無い最後の三手。 こちらの覚悟を感じ取ったのか、敵はわずかに腰を落とす。 ……アレは、誰だったか。 もう誰の名前も砕けて消えたのに、あの敵の名前は、まだ、 「―――――――」 思い返している暇はない。 オレは、まだ体が動く内に、 「―――鶴翼、欠落ヲ不ラズ」 あの敵を、この攻防で超えなければならない。 投げる。 左右から同時に、それぞれ最大の魔力を篭めて一投する。 狙いは敵の首。 弧を描く二つの刃は、敵上で交差するように飛翔する。 鶴翼は美しい十字を象る。 鉄塊をも撃ち砕く宝具の一刀を左右同時に見舞われては、いかな豪傑であろうと無傷では済まされない。 それを、 当然のように敵は喰らった。 まったく同時に、左右から襲いかかる干将と莫耶は直撃し、その軌道を容易くずらした。 ―――当たってしまった 防がれて弧を描いて戻ってくるハズの双剣は、軌道を狂わされて敵の体に突き刺さっていた ……双剣にかかる重みが消える。 黒い剣士は最期まで口を閉ざし、俺をぼんやりと見上げたまま、黒い影に沈んでいった。
7 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 15:09:39いやおまいちょっとそれ台無しw
8 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 15:34:41>>6 早ッ!! …………以下、何事も無かったかのようにNormal Endへ。
9 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 17:00:54>>6 うははw 腹いてーーw
10 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 17:42:10>>6 黒セイバーYOEEEEEEEEEEEE
11 名前: 女の人+ナイフ 投稿日: 2005/07/18(月) 19:28:17彼女はただ走っていただけだ。 いつもの道は、そっちに行くと取り返しがつかなくなると思った。 だから安全な方、安全な方へと道を変えて、ついに、 「は。あははは、あはははははははははははははは!」 ―――ようやく。 初めから、逃げ場なんてなかったと気付いてしまった。 蟲。蟲。蟲。蟲。 草の陰から飛び出してくるモノがあれば、 木の枝から降ってくるモノもある。 それは最初に、ボタリ、と彼女の右目に落ちて、 彼女の眼球より大きい吻(フン)で、彼女の眼孔へと潜り込んだ。 「■■■■■■■■■■■■…………!!!!」 悲鳴が聞こえない。 体が背中から地面に倒れる。 足首に激痛が走った。冗談みたいに痛い。まるで斧でカカトから先を分断されたみたいに痛い。 「■■■■■■■■■■■■」 そんなハズはないので指先を動かそうとしたら、感覚そのものがなかった。 そのかわり、ブッた斬られた足首の断面から、ずふずぶと新しいモノが入ってくる。 それが何なのか、血に塗れた残る左目で確認する。 なんであるか、彼女にはもう見えなかった。 ただ、ワケのわからないものが自分の体に集っているだけ。 「――――――あは、食べてる」 ああ、ひたすらに憎かった。 怖いとか痛いとか、そんな余分なものなんてなかったぐらいに。 そうだ。私は、ただ、ひたすらに憎かった。 ならばやる事は決まっている。 ―――オマエが、ワタシを、殺すというのなら。 全身はとうに麻痺している。 残ったものは、未だナイフを離さない右手の感触だけ。 殺される―――殺される? 誰が。 何に? 「はは、は―――――――」 笑いが零れる。 ああ、たしかにその通りだ。 絶対に逃げられない。 絶対に逃がさない。 やるべき事は、ただひとつだけなんだから。 殺される。 殺される。 きっと、間違いなく殺される。 他の何にでもなく、 他の誰にでもなく。 ――――――ヤツは、この私に、殺される。 「あははははははははは!」 裂帛の気合のかわりに、白痴のごとき笑い声をあげた。 おかしい。 おかしくて、笑いがとまらない。 ザンザンザンザンザン、と音をたててムシたちは次々と死んでいく。 脳髄が痛い。 体じゅうの神経血管細胞血液、全てがどうかしちまった。 ―――黒いドームはなくなった。 この身をついばんでいた蟲どものうち七十匹ばかりを、とりあえずブチ殺した。 「貴様―――なにを」 「―――ああ、おまえの気持ちはよくわかったよ、魔術師」 脳髄には火の感触。 似てる―――サーヴァントを殺した時と同じで、まともに呼吸ができやしない。 イッちまいそうなほどの頭痛と熱と引き換えに、 吐き気がするほど、 セカイに死が満ちている―――。 「私を殺したいんだな、化け物」 なら、私たちは似たもの同士だ。 「いいだろう。―――殺しあおうぜ、マキリ・ゾウケン……!」
12 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 19:30:50いくつか前の山瀬舞子ネタを思い出したww 通りすがりのOL強ぇぇぇぇぇぇ
13 名前: 或る結末。+遠い背中 投稿日: 2005/07/18(月) 19:31:05 ―――じき、雨が降るのだろうか。 濁った乳色の空。 曇っていながら雨上がりの匂いを含んだ空(そ)の下に、その男は立っていた。 「やはり来たか。君の性格は把握している。必ず、何らかの策を持って戻ってくると思っていた」 涼しげに遠坂を見つめる。 「悪いわねアーチャー、その期待には応えられないわ。 わたしたち、見ての通り徒手空拳だもの。一日考えたけど、なぁーんにも策は思いつかなかったわ」 「――――なに?」 「信じられないでしょうけど、今日は玉砕に来たの。 ……けど、少しぐらいの運は残ってたみたいね。貴方がここにいるってコトは、セイバーはまだキャスターに逆らってるってコトだもの」 なら、相手は四人。 門番であるアーチャーを突破すれば、キャスターとアサシンと直接戦える。 予定では二人でアーチャーを突破し、キャスターたちと対峙する。 ……それが表向きの、遠坂の立てた嘘だった。 「―――そうか。キャスターと衛宮士郎。天秤は、キャスターに傾いたのだな凛」 重苦しいアーチャーの問い。 「ええ。自分でも自分の性格がイヤになるけど、生まれつきだから変えられなかったみたい。結局ここ一番で、わたしは非人間だった」 感情のない声で答えて、遠坂は前に出る。 「―――士郎。アーチャーは貴方だけを襲ってくる。フォローはしないわ。わたしは、貴方が殺されている間にキャスターと戦ってみる」 自らの戦友に“死ね”と言った。 「――――――」 俺は何も答えない。 「馬鹿な……! 正気か凛、衛宮士郎一人では私には敵わない……!」 「わたしはその隙に教会に駆け込む。士郎には、わたしがキャスターに迫るまで時間を稼いでもらうわ」 アーチャーの言葉に耳を貸さず、遠坂は指示を続ける。 それは冷徹な、感情を殺した声だった。 「――――――――」 アーチャーを見据えたまま、ただ黙っていた俺は僅かに頷くと、 「遠坂、勝ち目のないコトはしない主義だろ。だから判っていた。……たしかにこれぐらいしか、勝つ方法はないもんな」 一歩、遠坂を庇うように前に出た。 アーチャーは動かない。 眼前からは、クククとアーチャーの嘲笑う声だけが聞こえてくる。 「これは驚いた。そんな未熟な魔術使いがサーヴァントである私を止めると言うのか。 なんだ、あんがいかわいい所が残っていたのだな、凛」 「――――――――」 遠坂にも俺にも反論する余裕はない。 そんな事は、誰より遠坂と俺自身が判っている。 ずい、と前に出る俺。 その姿は、相変わらずの徒手空拳。 「………………」 遠坂は俺の背中を見つめている。 ……かける言葉などないのだろう。 遠坂も、自分の作戦が無茶だと解っている筈だ。 自分がキャスターに対峙するために、俺に死ね、と言ったのだから。 「……………士郎、わたし」 何かを言いかける遠坂。 それを。 「ところで遠坂。一つ確認していいかな」 場違いなほど平然とした声で、俺の言葉が遮った。 「………いいわ。なに」 伏目で俺の背中を見る遠坂。 俺はアーチャーを見据えたまま、 「ああ。時間を稼ぐのはいいけど――― 別に、アレを倒してしまっても構わないだろう?」 そんな、ナンデモナイ事を口にした。 「士郎、アンタ―――――ええ、遠慮はいらないわ。 がつんと痛い目にあわせてやって、士郎」 「そうか。それじゃ、期待に応えるとするか」
14 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 19:36:49限定解除OLハゲワロスwww
15 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 19:48:29OLワロタwwwwwww何者だwwwwwwwwwww
16 名前: セイバー→ネロカオス 投稿日: 2005/07/18(月) 19:59:40「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 凛とした声で、そう言った。 「え……マス……ター……?」 問われた言葉を口にするだけ。 彼女が何を言っているのか、何者なのかも判らない。 今の自分に判る事と言えば―――この小さな、華奢な体をした少女も、外の男と同じ存在という事だけ。 「……………………」 少女は何も言わず、静かに俺を見つめてくる。 ―――その姿を、なんと言えばいいのか。 この状況、外ではあの男が隙あらば襲いかかってくる状況を忘れてしまうほど、目の前の相手は特別だった。 自分だけ時間が止まったかのよう。 先ほどまで体を占めていた死の恐怖はどこぞに消え、今はただ、目前の少女だけが視界にある――― 「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。 マスター、指示を」 二度目の声。 その、マスターという言葉と、セイバーという響きを耳にした瞬間、 「――――っ」 左手に痛みが走った。 熱い、焼きごてを押されたような、そんな痛み。 思わず左手の甲を押さえつける。 それが合図だったのか、少女は静かに、可憐な顔を頷かせた。 「―――これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。 ――――ここに、契約は完了した、おまえは生きたまま、少しずつ、高熱で熔かすように咀嚼すると」」
17 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 20:04:20ちょwwwwwwwいきなり死刑宣告wwwwwwwww
18 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 20:37:35ひでぇwww
19 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 20:41:36いいね、GJ。
20 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 23:21:54>>13 >「ああ。時間を稼ぐのはいいけど――― 別に、アレを倒してしまっても構わないだろう?」 >そんな、ナンデモナイ事を口にした。 ナンデモナイノカ! Σ(゚д゚lll)
21 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 23:25:07「いいだろう。――――話しあおうぜ、ネロ・カオス……!」
22 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/18(月) 23:56:26>>21 なんかヘタレっぽいなw
23 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 00:00:48きっと顔は冷静でも、足は可哀相なぐらいガタガタ震えてると見たw
24 名前: アーチャーVSランサー→凛VS士郎 投稿日: 2005/07/19(火) 00:48:35身を削った力作。下品ですまん。 「たしか貴方は床上手よ。その貴方がとった体位なら、せいぜい上手く感じさせるでしょう。 ―――でも、それは王道じゃない。貴方のセックスには、決定的に粘りが欠けてるわ」 叩きつけられた皮肉。 それを前にして、早漏の男はなお愉快げに笑っていた。 「ああ、あいにく粘りなんてない身だからな。 けどそれがどうした。セックスの時間が短くなる? は、笑わせないでくれ遠坂。早まった時間なんて、成果で洗い流せる。 そこで時間が稼げるから、あそこにいる桜にも食らわせてやれる」 「―――――――――」 瞬間。 ひそかに視姦していた桜の顔色が一変した。 ――――大気が凍り付く。 ベッドの調律を乱す快楽、女を狂わせる巨根が鎌首を起こしていく。 放たれる殺気は今までの比ではない。 その、呼吸さえ困難な緊迫の中、 「桜と言ったわね、士郎」 扉の向こうの桜に向けた声で、あかいあくまは言い放った。 「事実だよ、遠坂。女としての余裕なんて持っているのなら、今の内に出しておいてくれ」 「――――言ったわね。なら、貴方が先にイきなさい」 大きくのけぞる凛。 男根を突き出す、どころの話ではない。 一瞬にして振られた腰の回転は十回以上。 凛はこのベッドの端まで転がって、そこで、獣のように大地に四肢をつく。 「―――――――――」 士郎の五感が凍る。 恐怖か、快楽か。 そのどちらであれ、彼は即座に理解した。 凛の乱れ方の意味。 凛の打ち出すであろう次の攻めが、文字通りの必殺であるということを。 「―――――俺の槍(アレ)のサイズは知ってるだろ、遠坂」 地面に四肢をついた凛の腰があがる。 その姿は、交尾を待つ雌犬のようだった。 「―――――――――」 士郎に答える余裕などない。 衛宮士郎は両手を凛の腰にあて、最速で凛に腰を打ち付ける。 だが間に合うか。 凛のあの姿勢。 凛の自信が真実をなぞるなら、防ぐコンドームは生半可な物では済まされまい――――
25 名前: アーチャーVSランサー→凛VS士郎 投稿日: 2005/07/19(火) 00:49:33 コンドームの厚みは0.05ミリ。 その程度の厚みを以って、士郎は腰を突き出しているのではない。 士郎の男根が沈む。 0.05ミリの厚型を付けている早漏は、あろうことか、それを二枚重ねていた。 前後に動かされる腰。 大きく上げた嬌声は”放てば必ず絶頂に達する”魔女の声。 ぎしり、とベッドが軋みをあげる。 ―――四十八手に曰く。 その体位は、男に放てば無数の精子をまき散らしたという。 つまり、それは。 「――――後」 つむがれる言葉に士郎の息子が呼応する。 あかいあくまは弓を引き絞るように上体を反らし 「背位――――!!!!!」 嬌声と共に、その最萌の体位の名前を叫んだ―――― それは、もとより避妊する為の宝具(モノ)だった。 包めば必ず孕まないゴム。 孕ませることなどできず、出し続ける度に中に精液を溜め続ける呪いの宝具。 それがコンドーム、生涯一度も敗北しなかった早漏の持つ避妊のゴム。 士郎の全財力で二枚重ねられたソレが、破れることなどあるまい。性病に悩むこともなく、孕ませることもない。 ―――故に安泰。 このゴムに包まれた男根に、心配ごとなどあり得ない……!! だが、快楽が迫る。 一秒にも満たぬその間、衛宮士郎は射精を受け入れるように目蓋を閉じ、 「――――I am defended by my condom.(息子はゴムに包まれている)」 衝突する肉の音。 ベッドの端より飛来した快楽の腰が、士郎の息子を爆発させる刹那、 「”ピュアロング”――――!」 全身を震わせ、真名が展開された。
26 名前: アーチャーVSランサー→凛VS士郎 投稿日: 2005/07/19(火) 00:50:26 激突するアレとアレ。 あらゆるゴム、あらゆる緩衝材を突破する凛の腰。 それが、ここに停止していた。 嬌声と愛液を残骸として撒き散らしながら、必殺の体位は士郎の”宝具”によって食い止められる。 薬局にて購入した二枚のゴムは士郎を守護し、精液を飲みつくそうとする快楽に対抗する――――! 誰が知ろう。 このゴムこそピュアロング。作者の幾度かのセックスにおいて、痛恨の早漏を唯一防いだという早漏対策のゴムである。 神の如きゴムを二つ、その一枚一枚は古の城壁に匹敵する。 後背位、自身から攻めぬ体位に対してならば無敵とされる固有結界。 このゴムの前には、後背位など一枚破るにも届かず敗退するは必定だった。 少なくとも使用者である作者が知る限り、この守りを突破する膣など有り得ない。 だが。 それを、凛の名器は苦もなく貫いていく。 「―――っ……!!!!!」 外側のゴムが破れる。 残るは一枚。 その腰は決して破れなかったと言われる二枚目に到達し、なおその勢いを緩めない。 殺し切れぬ快楽の波。 それを直前にし、 「ぬ――――ぬあああああああああ……!!!!」 裂帛の気合を以って、士郎は全理性を己が息子に注ぎ込む――――! 「―――――――――」 腰を止めた凛は、ただ、目前のアレを凝視する。 ……士郎は満身創痍だ。 突き出していた腰はかろうじて砕けていない程度。 無様に歪む貌は腰の砕けだけでなく、想像を絶する快楽に耐えてのものだった。 「――――驚いた。ピュアロングを貫通できる女の子がこの世にいるなんて。 遠坂のアレは、桜(いもうと)の”かずのこ天井”を上回ってる」 士郎は心からあかいあくまに賛辞を送る。 「―――――――――」 そのようなもの、凛に届く筈がない。 最萌の体位。 自らを上手たらしめていた体位を防がれたのだ。
27 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 00:56:52下品なだけで大して面白くもないが、 なにより、改変と反転は違うって事はわかるよね?
28 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 00:58:05>>24-26 ちょwwwおまwwww 桜ともヤリ済みですか、早漏士郎はw >作者の幾度かのセックスにおいて、痛恨の早漏を唯一防いだという早漏対策のゴムである。 しかも、これ実体験かよwwww
29 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 01:01:07というか、扉の向こうに桜いるのかw 最低スレで盛り上がってたスクイズ風なFateって感じだ。
30 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 01:01:27実体験か('A`)
31 名前: MB さっちん勝利 投稿日: 2005/07/19(火) 01:55:06「熱い、熱いよ。遠野君……」 反転させただけでエロっぽいのは何故に?
32 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 02:15:23資質があるから
33 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 03:34:21>>13 やべえ、これイイ! SSで使えそうだ・・・
34 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 08:12:40台詞改造スレより 「はは、は―――――――」 笑いが零れる。 ああ、たしかにその通りだ。 絶対に逃げられない。 絶対に逃がさない。 やるべき事は、ただひとつだけなんだから。 食べられる。 食べられる。 きっと、間違いなく食べられる。 他の何にでもなく、 他の誰にでもなく。 ――――――コレは、この俺達に、食べられる。 「あははははははははは!」 裂帛の気合のかわりに、白痴のごとき笑い声をあげた。 おかしい。 おかしくて、笑いがとまらない。 バチパチバチパチバチン、と音をたてて薪たちは次々と燃えていく。 脳髄が痛い。 体じゅうの神経血管細胞血液、全てがどうかしちまった。 ―――担いでいた薪はなくなった。 この身を酷使して向こうから持ってきた薪のうち七十本ばかりを、とりあえずブチこんだ。 「貴様―――なにを」 「―――ああ、おまえの気持ちはよくわかったよ、魔術師」 脳髄には火の感触。 似てる―――アルクェイドを殺した時と同じで、まともに呼吸ができやしない。 イッちまいそうなほどの頭痛と熱と引き換えに、 吐き気がするほど、 セカイに死が満ちている―――。 「コレを食べたいんだな、化け物」 なら、俺たちは似たもの同士だ。 「いいだろう。―――お餅焼こうぜ、ネロ・カオス……!」
35 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 09:18:55>>34 笑っちまった。
36 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 12:37:35平和すぎてワロス
37 名前: 切嗣 投稿日: 2005/07/19(火) 13:38:07「――――うん。 最後に言っておくけどね、僕は魔法使いじゃないのだ」
38 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 14:21:42第八のサーヴァント+色々 「――――。まだ雑種が残っていたか」 不愉快げに言って、男は屋敷へと視線を向ける。 「?」 その先―――居間に続く縁側には、イリヤと遠坂の姿があった。 「…………なに、あれ」 お化けでも見るように、イリヤは男を見上げている。 イリヤは必死に目を凝らした後、信じられない、とかぶりを振った。 「うそ―――あなた、誰なの」 「ふん? たわけ、見て判らぬか。この身はお前が良く知る英霊の一人であろう」 「――――うそ!」 イリヤは縁側から飛び出すと、挑むように男を睨む。 「知らない。わたし、あなたなんて知らない。わたしが知らないサーヴァントなんて、 存在しちゃいけないんだから……………!」 「な――――待て、イリヤ……!」 制止の声も間に合わない。 イリヤから放たれた魔力の塊は、一直線に男へと炸裂した。 男の胸が開く。 ざらりと。 魔力に貫かれた傷から、砂礫のように崩れていく。 「――――――――」 驚きはなかったと思う。 そんな気がしていたのだ。 撃破は。 ヤツが倒れる時は、きっとこんなんじゃないかと思っていた。
39 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 14:23:58HF以上にあっさりだなオイw
40 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 16:32:38最近のムーブメントはサーヴァント弱体化に在りかw アーチャーはへなちょこだし、セイバーは凛に撃退されるし、 ギルまでこれとはw
41 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 17:39:35士郎のポスターにやられて剣ルートの場坂の様に死んで行く槍ってのを思いついたがめんどくさいので書かない
42 名前: 凛プロローグ+志貴ネロ戦(志貴→スーパーRIN ネロ→アーチャー) 投稿日: 2005/07/19(火) 21:48:52「・・・わたし、遠坂凛よ。あなたの好きなように呼んでいいわ」 素直になれず、ぶっきらぼうに返答する。 まあ、それでもマスターとか君とか、そういった他人行儀に呼ばれたほうが楽ではあるし、こいつはきっとそう呼ぶだろう だっていうのに。 アーチャーは噛み締めるように「凛」と呟いた後。 「それではあかいあくま、と。……ああ、この響きは実に君に似合っている」. なんてトンデモナイ事を口にした ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「―――ああ、あなたの気持ちはよくわかったわ、サーヴァント」 脳髄には火の感触。 似てる―――ワカメを殺した時と同じで、まともに呼吸ができやしない。 イッちまいそうなほどの頭痛と熱と引き換えに、 吐き気がするほど、 セカイに死が満ちている―――。 「わたしをあかいあくまと呼んだわね、サーヴァント」 「いいわ。―――殺してあげるわ、アーチャー!」 中略 アーチャーの背後から、一際大きい剣が現れる。 どうやら大物を出してきてくれたらしい。 「――――――」 だが、あまり長くは保たなかった。 どんなに巨大で迅速で強暴でも、剣は基本的に直接触れなければ私を殺せない。 直接こちらに触れようとするのなら。 その触れようとする部分をガントで破壊するする。 結局は、黒犬もライオンもトラもあまり変わらなかった。 二匹の大剣が砕けて、塵も残さず消えていく。 アーチャーまでは――まだいくらか距離が開いているか。 「―――馬鹿な。私の世界にある剣が―――ことごとく、無に帰している」 なにか、言ってる。 「―――不理解だ。貴様、何をした」 「……………!」 ギリ、と歯を噛んだ。 恨み言を口にする余裕はない。 あいにく動くだけで精一杯だ。アーチャーの口上に付き合っている余裕はない。 ―――否 そんな余裕があるのなら、一秒でも早く――・ 「―――いいだろう。おまえを、我がマスターと認識する」 ―――このハモノ臭いサーヴァントの息の根を止めたほうが、幾分はましだろう。 ごっ、と赤い外套が大きくはだけた。 品のないハモノの臭い。 危機感は、今までの比ではない。 外套の中から、どこか、子供のころに一度は見た覚えがあるようなハモノが飛び出してくる。 柄にやたら大きいルビーのついた剣だの、理解しがたい形状のナイフだの。 それらは、たしかに厄介だった。 とても簡単には壊せない。 なにしろ『壊れ易い部分』がとても少ない。 だから―――よけい、真剣になる。 壊す、と言葉にしたせいだろうか。 血の流れが痛い。 神経がグラインドする。 体中のあらゆるものが、あの障害を排除するために連結していく。 ルビーのついた剣は、そのルビーごと、真っ二つにした。 ナイフは、枝分かれしている刃先に残らずガントを叩き込む。 「――――あり得ん」 障害の声が聞こえる。 あいにく、こっちはもうまともに視界が働かない。 視えているのは、ただ赤い外套とあたりに浮かぶハモノだけ。 「おのれ―――なぜ私が、たかだかマスター風情に渾身でかからねばならぬのだ―――!」
43 名前: 凛プロローグ+志貴ネロ戦(志貴→スーパーRIN ネロ→アーチャー) 投稿日: 2005/07/19(火) 21:49:49 びゅるん、という音。 半分しか見えて無かったアーチャーの周りの剣たちが、一斉にこちらに刃先を向ける。 「―――殺す。我が内なる世界には、貴様らの域を凌駕する剣が有ると知れ―――」 アーチャーの両腕が、自らの胸を掻きむしる。 闇を裂くように。 アーチャーは、自分の周囲から煌めく光の鋼を呼び出した。 アーチャーの周囲から。 何か、奇怪なモノが這い出てくる――― 一言で表現するなら、山のような大剣。 大きさ的には、学校よりやや大きめ。 「―――――」 視界が赤くてよく見えない。ただ、奇怪なシルエットと『死』だけがみえる。 指先が冷たい。 血を流しすぎたのか、体中が冷えきっている。 それでも―――まだ体は悲鳴をあげてない。 そんな余力があるのなら、一秒でも早くアイツを殺せと命令してくる。 ―――背骨がいたい。 体がさむい。 指先が凍てついていく。 なのに、脳髄だけが火のように熱く。 どのような伝説があるのかしれないハモノは次々とアーチャーの周囲から這い出てくる。 アーチャーまではあともう少し。 アーチャーの近づくためには、この刃たちは邪魔だった。 とりあえず三本。 出てきた分の剣は、ことごとく壊した。 「――――有り得ん」 アーチャーは眩暈でもおこしたように、よろりと後ずさる。 「―――私の世界にある剣が消されるなど、そのような事実が有り得るはずがない……! 私の世界には剣しかないのに。 私が呼び出すたびに何度でも現れるハモノたちが―――なぜ、貴様のガントだけで、元の無に戻ってしまうのだ―――!」 アーチャーは後ろに引こうとして、かろうじて、後退することを押しとめた。 「―――無様」 機械のようだった目に、赤い憎しみの感情が、ようやく燈った。 アーチャーのココロは理解できる。 ―――おそらく。 世界の守護者としてのアーチャーは己に撤退を命じている。 しかしサーヴァントとしてのアーチャーは、自らがただの人間に敗退することを認めない。 理解しない。 撤退することさえ許さない。 だから、それ以上後退することを可能としない。 その精神、自身が無力だと悟るも認めぬ頑なさ。 さらに一歩。 これで、あとは跳びかかればガントでアーチャーの体を打ちぬけるところにきた。 「―――否、断じて否―――! 我が名はエミヤシロウ、数知れぬ戦場において、なおただの一度の敗走もなしとする掃除屋だ! それがこのような無様を見せるなぞ、断じてありえぬ……!」 ―――アーチャーの周囲の空間が、カタチをもっていく。 今まで闇でしかなかった空間は、明らかに刃として変化していく。 「この体は世界と契約した身だ。 死など、とうの昔に経験した―――!」 アーチャーの体が跳ねる。 ハモノたちではない。 アーチャーは、残っているハモノたちを極限まで凝縮し、自らを最高のハモノと成して、こちらの息の根を止めに来た。 その速度、英霊最速を誇るだろうランサーにも劣らない。 触れればその場で首を粉砕されかねない腕が伸びてくる。 それをかわして、すれ違いざまにアーチャーの腕にガントを放った。
44 名前: 凛プロローグ+志貴ネロ戦(志貴→スーパーRIN ネロ→アーチャー) 投稿日: 2005/07/19(火) 21:51:01 ざざざ、という音。 速すぎる速度が制御できないのか、アーチャーはすぐに止まれずに通りすぎていく。 ―――また、距離が開いてしまった。 「―――――なんだ、これは」 切られた腕を見て、アーチャーは愕然としている。 「なんなのだ、これは―――! 何故――何故切られた個所が再生しない!? こんなたわけた話があるものか……! アレは世界の敵でもなければこの世全ての悪でもないというのに、何故、ただガントで打たれただけで私が滅びねばならんのだ―――!?」 中略 左手を右手にそえて、ガントを連射できる姿勢にする。 アーチャーの体が低くなる。 それは、獲物に跳びかかる時の、狩猟動物の予備動作。 「そうそう、ひとつ言い忘れていたわ、アーチャー」 その前に、風のような私の声が流れた。 「今さら遅いかもしれないけど。私はね、私をあかいあくまと呼ぶものは、そのことごとくを殺しているのよ」 「な―――に?」 今度こそ、本当に。 愕然とするあまり、アーチャーは自身を見失った。 その間隙。 忘我するアーチャーの思考が、それこそ呪いのように、私の意識に流れてくる。 ―――それは、悪夢か。 自らをあかいあくまと呼ぶものを殺す? その、悪口などという言葉さえ生ぬるいイヤミで、呼ぶものすべてを殺したというのか? いや、それこそ否だ。 だがもし。仮釈、それが真実だとするならば。 ―――果たして。 思いあがっていたのは、一体どちらだったのか。 「そういうコト。思いあがっていたのはあなたのほうだったみたいね、アーチャー」 「く――――ふふ、はははははははは!」 憎悪と混乱の果てに。 アーチャーは、心底愉快そうに、声をあげて嗤った。 ―――もう待てない。 動かない標的に向かって走り始める。 「そうか、私を殺すのか、マスターよ――――!」 ―――ハモノが唸る。 片腕で、 一直線に私の心臓を貫こうと疾走してくる。 その速さは文句のつけようがないほど、 単純で、 余分なものがない、 この私を殺そうとするだけの、 綺麗すぎる活動だった。 「―――――」 伸ばされた腕を打ち砕く。 アーチャーは、世界との契約によりその死後が世界にこき使われている。 けれど、そんなモノより。 無限にある平行世界のひとつ、アーチャーが世界と契約する直前が、確かに視えた。 ――――世界と契約していようが、関係ない。 私が殺すのは、私をあの名で呼んだ『存在』のみだ。 だから、世界の守護者を殺すのではない。 この男が世界と契約する前の生きている世界を探し。 この男の存在を抹殺する―――――― 正面からぶつかりあう。 ドン、という重い音。 ――――ガントは、確実に契約前のエミヤの最中を貫通する。 にやりと口の端をつりあげて、アーチャーは声も無く笑った。 「まさか、な」 じくり、と。 指先からバラバラと一つ一つに崩れていく黒い黒いハモノの躯。 「―――――いきなり望みがかなうのか」 体温が、急速に霧散していく。 終わりは幕を引くように一瞬だった。 この一撃のもと。 世界の守護者になってしまった後悔とともに、アーチャーは死滅した。
45 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 21:58:49いきなり何同士討ち始めてんだこいつらはw
46 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:04:42アーチャーhappy endおめでとう
47 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:11:05答えは得た、と
48 名前: 士郎→ヘタレ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:17:00「―――おまえには勝てない。誰かに負けるのはいい。 けど、自分には勝てない―――!」
49 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:23:34>>42-44 ツボったwwwwアーチャーマスターって認めたのに殺そうとするのかよwwwwwww スパリンもすげえな、直死持ちの上ガントで平行世界攻撃かよw
50 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:29:49>>48 ちょwwwwwww
51 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:37:15>>42-44 ワケワカラン
52 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 22:53:06ひでぇwwwwww こんな凛が相手なら、 このスレ的士郎が発狂するまで執事生活に耐えるのも分るな。
53 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 23:02:12>>42-44 ちょっと待て。 > 似てる―――ワカメを殺した時と同じで、まともに呼吸ができやしない。 さらっと流しそうになったが、慎二死んでるのかよっ! だとしたら臓硯も死んでるだろうし、桜もHappyEnd迎えてそう。
54 名前: セイバー⇒桜 士郎⇒凛 投稿日: 2005/07/19(火) 23:15:43ほのエロ?なネタは好きですか? ………その、別にそっち方面がマンネリになっている訳ではないのだが。 なんかこう、それを覚えるだけでやっていけそうな必殺技とかあると、士郎とのアレにも気合が入りそうな気がしたり。 「桜、相談があるんだけど」 「え、なんでしょう姉さん……? 心なしか、とても期待に満ちた目を向けられている気がするのですが」 「そうかな? んー、まあ頼みゴトって言えば頼みゴトだし、期待してるって言えば期待してて、率直に言って教えてもらいたいコトがあるんだけど」 「……はあ。その、姉さんの言いたい事はよく分かりませんが、私に出来る事でしたらお教えしますが」 真剣な話だと思ったのか、桜は居を正して私の前に正座する。 「それで、どのような事を知りたいのです? やっぱり聖杯の事ですか?」 ずい、と真面目に見つめてくる桜。 「―――――――む」 なんか、十秒後の展開が読めてしまった気もするが、ダメで元々、一応訊いてみよう、うん。 「ええっと。別にふざけているワケじゃないんで、怒らないで聞いてほしいんだけど」 「ええ、ですから真剣に聞いています。どうぞ、遠慮せず訊ねてください」 「それじゃお言葉に甘えて訊くけど。 ―――その、ね。私でも士郎を倒せるような、簡単なエッチのテクとかあったら教えてくれない? 使えばセイバーもイかせられるようなのなら文句なしなんだけど」 「――――――――」 ピタリ、と桜の呼吸が止まる。 「――――――――」 桜は眉一つ動かさない。 「―――や、やっぱりそんな都合のいいモノなんてないよね……! 悪い、悪かった、悪すぎた……! 今のは冗談で本気にあらず聞かなかったコトにしてもらえると個人的に助かるんだ、けど――――」 ―――って。 くすくす、なんて擬音が似合いそうな笑みを浮かべる桜さん。 「さ、桜……? 気のせいかもしれないけど、その、なんかえらくあんたに似合わない邪悪な笑みをしてるわよ、今」 「気のせいではありません。今の私の心境は、アンリ・マユを凌駕するほど邪悪に染まっていますから」 「っ…………!!!!」 ぞ、ぞわってきた、ぞわって……! 「う、わ、う」 「何を慌てているのです姉さん。私はまだ質問に答えていません。たしか、私の聞き違いでなければ、サーヴァントを一撃でイかせる程の絶技を所望とか?」 思わず後じさるも、桜はずい、と身を乗り出して逃がしてくれない。 「あ――――いや、その、あのね…………桜、怒ってる?」 「はい、とても」 ―――死んだ。 これが実戦なら、間違いなく桜に殺されてる。 「ぅ――――落ち着いて、落ち着きましょう桜。 反省してる。桜が怒った理由だって、なんとなく分かってます」 「そうですか。では、そこに正座してください。姉さんにはキチンと説明して差し上げねば気がすみません」 立ち上がる桜。 はい、と迅速に、セイバーみたいに背筋を正して覚悟を決める。 「――――――――」 すう、と大きく深呼吸をする桜。 で。 「―――ふざけているのですか姉さんは……! 一撃で相手をイかす性技など、そのような邪道を欲しがってどうするのですっっっっっ!!!!」 「あ――――う」 三半規管が大パニック。 よもや、怒声だけで足腰立たなくなるとは思わなかった。 今のは人間のレベルを超えている。 猛獣に迫るというか、黒バーサーカーなみの発声量ではあるまいか。 「ご、ごめん……だから、反省してるって。 桜、私より経験豊富でしょ。だからもしかしたら、素人でも使えるエッチの技とか知っていると、思ったんだ」 「そのような都合のいい物などありませんっ! 意表を突く技など倦怠期でマンネリな者に使うものであって、姉さん達のような初心者は丁寧に肌を重ねるべきなのですっ!」 「そも、相手をイかす、などと考えないように言ったではないですかっ! 姉さんは身を委ねる事を第一に考えてくださいっ! 姉さんにとって必殺技があるとしたら、それは“自分がツンからデレになる状況”に戦局を導く判断力でしょう!」 「う……わかった、わかってる、から―――もうちょっと声、落として」 うう、反省してますと手を合わせてジェスチャーする。 「……まったく、見込みがあるかと思えば不安定なんですから。これでは危なかしくて、先輩と一緒にするなど出来ないではないですか」 桜のお叱りは続く。 「………………はあ」 黒化のスイッチを押したのは自分だし。 ここは大人しく、桜の気が済むまでお小言に付き合うとしよう……。
55 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 23:36:23>>54 >>これが実戦なら、間違いなく桜に殺されてる。 ちょwwwwwワロスwwwww実戦ってwwww
56 名前: 夜・帰宅/ステイナイト 投稿日: 2005/07/19(火) 23:46:05「―――拍子抜けだ。やはりすぐに死ねよ、坊主」 男は打ち上げられた槍を構え直す。 「勝手に――――」 その、あるかないかの余分な動作に。 「言ってろ間抜け――――!」 後ろも見ず、背中から窓へと跳び退いた……! 「はっ、はぁ、は――――」 背中で窓をブチ割って庭へと転がり出る。 そのまま、数回転がった後、立ち上がりざま―――― 「は、あ――――!」 何の確証もなく、 体ごとひねって背後へと一撃する―――! 「“恋のラブリーレンジャーランド――――”」 「坊主ぅぅううううう――――!!!!!」 青い男の絶叫。 それを目前にし、 「“いいから来てくれ自衛隊”――――!」 渾身の一撃を以って、ポスターは全身タイツの男を両断した。 振り抜かれた自衛隊のポスター。 体勢を立て直す力も、今は無いのか。 士郎はポスターを下げたまま顔を上げず、 男は斬り裂かれたまま、自身を打倒した少年の姿だけを見た。 「――――――――」 風の音だけが、庭に響いている。 竜巻のようだった男の槍は、その面影さえない。 二人の男は何の言霊も口はしに乗せず、ただ、決着という別離に身を置いた。 「――――――――、」 そうして、男は息を漏らした。 だらりと下げた腕をあげ、目前の少年を確かめるように、彼の頬を指でなぞる。 「―――憎らしい坊主だ。最後まで、この俺より生きあがくか」 青い全身タイツが薄れていく。 血を流し、肉の感触を持っていた槍兵の存在が消えていく。 「だが許そう。赤黒いのを喰わされたからこそ、やる気の失せる時もある」 指が滑る。 上がっていた腕が、力無く地に落ちる。 「ふん―――ならばこそ、俺がおまえに敗れるは必定だったか」 不機嫌に舌を鳴らす。 そうして、最後に。 「じゃあな坊主。―――いや、中々に愉しかったぞ」 口元に皮肉げな笑みを作り、青い男はかき消えた。 ごめんよ兄貴。
57 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 23:49:39>>54 テラエロスwwwwwwwww
58 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 23:50:31>>56 おまwwwwwwwwwwつーか何だこの流れwwwwww GJwwww
59 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 23:50:46>「だが許そう。赤黒いのを喰わされたからこそ、やる気の失せる時もある」 > > 指が滑る。 > 上がっていた腕が、力無く地に落ちる。 >「ふん―――ならばこそ、俺がおまえに敗れるは必定だったか」 マーボーの所為で兄貴は負けたのかよ!w
60 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/19(火) 23:56:03キャスターとアサシンと真アサとバサカ編に期待だなw
61 名前: 白純→ギルガメッシュ 式→IRIYA 投稿日: 2005/07/20(水) 00:00:22「ぁ――――」 愕然とする少女の声。 ……………………終わった。 今度こそ、本当に終わった。 鎖に繋がれ、無防備なままに宝具を受けること二十二回。 もはや奇怪なオブジェにしかとれない形になって、黒い巨人は沈黙した。 ……息があるかなど見るまでもない。 十の死を乗り越えた大英雄であろうと、それを越える二十の死を受けては立ち上がれまい。 ……そう。 たとえ生きているとしても、巨人には呼吸をする力すら、もはや残されてはいないだろう。 「やだ――――やだよぅ、バーサーカー……!」 墓標となった黒い巨体に、白い少女が駆け寄っていく。 / わたしはバーサーカーの所まで歩いて、石畳に膝をついた。 床に落ちた彼の斧剣の柄はまだ暖かい。……この斧剣を取り落として力尽きたのは、時間にしてほんの数秒前の事。 ――ああ。 こんな身近な場所で、こんな近くの時間で。 わたしは、バーサーカーを失ったんだ。 「……ばか。だから戻りなさいって言ったじゃない。死に方までまぬけなんて、ほんと、頭の中身も筋肉だけだったのね」 〝―――バーサーカーは強いね〟 わたしが信じたヘラクレスは、わたしを守って、殺された。 ……どうしてだろう。 コレはわたしの物だったのに。 バーサーカーのいのちは、わたしだけのものだったのに。 「――絶対に」 斧剣を手に取る。 両手で握って、わたしは立ち上がった。 俯いたまま、柄をぎゅっと握りしめて立ち尽くす。 下を向いたまま、わたしは口を開けた。 「――いいわ、来なさい」 相手を見ないで、俯いたまま。 顔をあげても仕方がない。 だって、わたしにはさっきから――あの男の姿が見えていないんだから。 「――わたしの心臓。持っていけるのなら、持っていってみなさい」 宝具の矢が、飛んでくる。 わたしは俯いたまま、それを無視した。 殺し合いの相手なんか、あとでいい。 今はまだ――噛み締めていたいんだ。 この胸《て》に、彼の暖かさが残留している束の間は。 / ギルガメッシュの指が鳴る。 一直線に襲いかかってくる宝具を前にして、それでも彼女は動かなかった。 ざくりと、飛来するが刃が腕の肉を削ぐ。 血が流れて、宝具が真横を走り抜けても、イリヤスフィールは俯いたままだった。 彼女の両手は、優しく斧剣にそえられている。 かけがえのない宝物のように、大切に、大切に。 / 覚えていた熱が薄れていく。 自分の体温とか、触れあった時の肌の温かさとか。 こんなわたしにも少しはあったんだと思えていたココロとか、彼が信じていたわたしのココロとかが。 血が流れて、傷を負って、体はどんどん冷たくなる。 けど、痛みはあまりなかった。 痛みなら、もっとつらい痛みを知っていたから。 ……凍える冬の森の中、わたし達は何度も何度も地獄に放り込まれたっけ。 ――そう。凍えた吐息だけが熱を帯びて。 お互い切れそうな呼吸をみてた。
62 名前: 白純→ギルガメッシュ 式→IRIYA 投稿日: 2005/07/20(水) 00:02:25 ざん、とまた肉が削ぎ落とされた。 敵は狩りを楽しむように、動かないわたしをいたぶっている。 目にも留まらぬスピードで放たれる宝具が、なぶるように肉を抉っていっている。 ……外の雨は、まだやまない。 思えばなんでもないことが、わたしにとっては喜ばしい事だった。 ――たとえば雨。 霧のように降りしきる森のなか、あなたが側でかばってくれていた。 三度目、足を抉られた。 ざば、と音をたてて石畳が濡れていく。 骨まで食い込んだ爪は足と床を血塗れにして、立っている事さえ苦痛にさせた。 ……そう、立っている事さえ、息苦しかった。 でもたまには笑いあえた時だってあったと思う。 わたしは、あなたが好きだったから。 ――たとえば夕暮れ。 燃えるような景色のお城の部屋で、あなたとわたしは語り合った。 敵の能力は、他のどのサーヴァントでも相手にならない。背後に浮かぶ無数の宝具、どれもが一流の幻想。 対して、わたしはがらくただ。心も凍ったまま、体もじきに動かなくなるだろう。 だっていうのに、わたしはその事実を愉しんでいるから救いがない。 まだ腕は動くから。次に指を鳴らした所を、確実に仕留めよう。 ――たとえ通じあわせる言葉はなくても、あなたがいるだけで、幸せだった。 四度目、宝具が撃ちだされる。 敵の狙いは右腕だ。 それがわかっているのに、わたしは動けなかった。 ……だって人殺しはいけないことだから。 ――あなたがいて、あるいているだけで、嬉しかった。 血を流しすぎて、気が遠くなる。 体はすぐにでも倒れてしまうだろう。 だっていうのに、わたしはまだ立っている。 ……あの金色のサーヴァントを殺す。 たとえ死んでしまっても、わたしの中で、彼のおもいでは生きているから。 ……あの暖かさを、ずっと守っていたいから。 ――ほんのひととき。 木漏れ日が暖かそうで、立ち止まっただけ。 でも、嬉しかった。 わたしの叫びに応えてくれたあなたが。 いつだって守ってくれた。怖かったけど、本当に優しかった。 口になんかしてやらないけど。 おっきな体はお父さんみたいで、ほんとは一度ぐらい抱きあげてほしかった。 ――ずっと、あなたと一緒にいられるといいねと笑った。 五度目の矢がやってくる。 それがきっと、わたしの最期だ。 刃は腹を穿つだろう。 もう放っておいても出血で死ぬわたしの息の根を止めるには、それは十分すぎる。 ――あの狭く冷たい城の中、生き延びることができたのは、あなたがいてくれたから。 ……死が迫ってくる。 振り返ってみれば、わたしの今までは楽しかったことばかりで、つい顔がほころんでしまう。 たったの二ヶ月の昔と、たった二週間の今まで。 駆け抜ける時間は速くて、掴みとる事もできなかった。けど、感謝してる。嘘みたいにしあわせだった。 かわりばえのしない孤独な雪の森。 ふたりで生きた、穏やかな日々の名残。 ――それはほんとうに。 夢のような、日々でした。
63 名前: 白純→ギルガメッシュ 式→IRIYA 投稿日: 2005/07/20(水) 00:03:33 ごめんなさい。今まで、ありがとう。 ……わたしは顔をあげてあなたを殺したアイツを視る。 なんにもならないのはわかってる。 アイツを殺したって、あなたは決して戻ってこないこと。 わかっていても、わたしはアイツを殺すことにした。 聖杯なんかどうでもよくて、あなたが傍にいないなら死ぬことだってどうでもいい。 それでも――それでもわたしは、あなたを殺したアイツが許せない――。 / ――走りよる敵を彼女は見つめる。 そうなってしまえばことは易しい。 みなもを発つ白い鳥のように鮮やかに。 結末までは、ほんの一瞬だったから。 / 終わりは、ひどくあっけなかった。 迫り来るギルガメッシュの宝具を、彼女は全て叩き落とした。 そのまま敵の上腕 鎖骨 喉笛 脳天 鳩尾 肋骨 睾丸 大腿、その八点に狙いを定め、撃ちだされる音速を神速で凌駕する。 全身を撃ち抜かれたギルガメッシュの体に向かって大剣を胸元まで持ち上げ、容赦なく槍の様に叩き込んだ。 斧剣は、墓標のように胸を貫いている。 がは、と彼は一度だけ息を吐いて、終わった。 ギルガメッシュの顔は、驚いたままで止まっている。 あまりの早業に自分が殺された事も気付かないまま、ギルガメッシュは生命活動を停止した。 / 斧剣は墓標のようにギルガメッシュの胸に突き立てられている。 両手で斧剣を握った彼女は、ずっと、膝をついたまま動かなかった。 窓から入り込む陽射しは斜光。 灰色の明かりに照らされた姿は、死者を送別する神父のように、色というものがなかった。 ギルガメッシュの屍に出血はない。 倉庫に散らばる鮮烈な朱色は、すべて彼女自身の肉体から流れたものだ。 腕を、足を、体を引き裂かれた彼女の命は、おそらくは数分と保つまい。 ……いや、アインツベルンであるのなら数分の命を何倍も保たせて、治療を受ける事で回復できるだろう。 けれど、彼女はそれをしなかった。 斧剣から手を離して、背中から床に倒れこむ。 あぁ、と唇が吐息を漏らした。 「バーサーカー……どこ?」 少女は、血の跡をつけて進む。 両目の機能も停止し、手探りで黒い巨人の骸へと這う。 ……最後の時こそは、その手に触れていたいのか。 血に濡れた手は、彼の存在を確かめようと空を掴む。 ……そうして、少女は辿り着いた。 空を切るばかりだった指先が、たしかな感触に包まれる。 「あ―――」 こふ、と赤く咳き込みながら、少女は硬い体にすがりついた。 ……もう目は見えないが、彼女にはキチンと伝わってくる。 「暗くてもこわくないよ。バーサーカーは強いんだもん。 こうしていてくれれば、わたしはあんしんできるから―――」 体を預ける。 頭に、硬くておっきなてのひらが乗せられるような気がした。 きっとそれは本当だ。 目を開ければ、もう頭を撫でられているに違いない。 「……ん……ちょっと、寒いね」 体が冷たい。 少しだけいつかの森を思い出して、少女は笑った。 もうずっと前のこと。 傷つきながらも自分を守ってくれた巨人の姿を思い出して、彼女は幸せに意識を閉じた。
64 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 00:07:12>>61-63 全米が泣いた。
65 名前: アインツベルン城にて 投稿日: 2005/07/20(水) 00:07:47「……………アーチャー、わたし」 「ところで凛。一つ確認していいかな」 何かを言いかけるアーチャー。 それを。 場違いなほど平然とした声で、凛が遮った。 「………だめよ」
66 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 00:08:47>>65 ちょwwwwwwwwおまwwwwwwwwww名台詞きけねーじゃんかよww
67 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 00:10:47>>65 ひでえw
68 名前: ライダーのスキル(メドューサ→絶倫超人) 投稿日: 2005/07/20(水) 00:24:57【クラス別能力】 騎乗:A+ 騎乗の才能。女性であるのならば夢魔・精霊のものまで乗りこなせる。 ただし、老婆は該当しない。 【保有スキル】 絶倫:A+ 最高レベルの男根、ウタマロを所有。 性別が女性の者は無条件でマグロ化。 ふたなりの者でもセーブ判定次第でマグロ化。 ホモセクシャルの者にはマグロ化判定は無いが、 全能力をスリーランク下げる“不能”がライダー自身にかかる。 単独行動:C マスターからの金銭供給を断っても しばらくは自立できる能力。 ランクCならば、無一文でも一ヶ月間自活可能。
69 名前: ライダー対セイバー 投稿日: 2005/07/20(水) 00:45:03 輝く聖剣。 見据える彼女の目には、もはや何の感情もない。 「───この場所ならば人目につかないと言いましたね、セイバー」 血が迸っていく。 彼女を中心に吹き上がる鮮血は、赤い魔術陣を描いていく。 「同感です。ここならば、地上を焼き払う杞憂もない───!」 道が開かれる。 幾重もの光を纏い。 彼女の愛馬は、その姿を現した。 ───光が、目の前を覆い尽くしていた。 振り上げられる輝く剣。 その標的にされながらもライダーは動かない。 「ライ、ダー────?」 眩いばかりの閃光は、彼女から走っていた。 いや、ライダーからではなく、彼女が跨る何かからだ。 「────え?」 我が目を疑う。 有り得ない筈のその姿が、確かに見える。 少しずつ、包帯を解いていくかのように、彼女の愛馬が現れ始める──── 「白い────天馬?」 舞い散る鮮血。 道を作るかのように展開していく幾重もの魔術陣。 血の赤は大気に消え。 露わになった愛馬に跨り、彼女は大上段へ構えられた聖剣へと向き直る。 光の奔流となった剣が振り下ろされる。 屋上を包み込むほどに成長した“約束された勝利の剣”は、僕たちはおろかビルそのものを破壊しようと輝きを増す。
70 名前: ライダー対セイバー 投稿日: 2005/07/20(水) 00:45:53“約束された勝利の剣”の白光が屋上を照らし上げる。 「────────」 ……時間が止まる。 逃れられない破滅を前にして、思考が停止する。 だが、それは。 決して、“約束された勝利の剣”による物ではなかった。 収束する光。 その純度は、星の光を集めた最強の聖剣には及び付かない。 しかし彼女の後ろにあるモノは。 仮初めのマスターと交わされた、絶対の約束である。 「────騎英の手綱────!!!」 ───それは、文字通り光の線だった。 前方にある物を例外なく撃滅する騎兵の特攻。 セイバーを一撃のもとに粉砕し、夜空を翔け、どうにかこの屋上に帰り着いた。 ……おそらく。 アレが地上で使われたのなら、街には永遠に消えない傷痕が残っただろう。 (中略) 「うちに連れて行くからな……! マスターに手間かけさせやがって……!」 倒れたライダーを抱き上げる。 ……軽い。 以前も軽かったけど、今はそれ以上に軽い。 いや、それ以上に、なんていうか──── 「……熱い。ちゃんと、生きてる」 ライダーは、やっぱりライダーだ。 戸惑っていた自分が頭にくる。 ……くそ、怪物だからなんだって言うんだよ。 ライダーが何であれ、こいつは僕のサーヴァントで、僕に相応しく優秀だった。 なのに恐怖を感じるなんて、なんて愚かだったのか。 「───すぐに帰るからな。また戦ってもらうぞライダー……!」 ライダーを抱えたまま走り出す。 勝利の余韻など何処にもない。 考えるのは聖杯を手に入れた時、ライダーの背を縮めてやるという約束の事だけだった。
71 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 00:52:52なんてささやかな願いなんだライダー(ノд`)
72 名前: 槍→ワカメ 弓→凛 投稿日: 2005/07/20(水) 01:20:46「確かにお前は魔術師だ。そのお前が取った手段なら、せいぜい上手く立ち回れるだろうさ。 ―――けど、それでいて人の甘さも捨てていない。お前の術には、魔術師に徹しきれない甘さがある」 立ち上る闘気。 それを前にして、あかいあくまはなお愉快げに笑っていた。 「ええ、あいにく金銭とは縁のない身だからね。 だけど、それがどうしたの。非情に徹さなきゃ魔術師として失格? は、笑わせないで慎二。わたしは自分の道を間違いだとは思わない。 そんな古臭い根性はね、ワカメと一緒に味噌汁の具にしてしまいなさい」 「――――――――」 瞬間。 わずかに弛緩していた空気が一変した。 ――――大気が凍り付く。 一切の魔術回路を持たずとも、魔術師で在ろうとしたワカメが鎌首を起こしていく。 放たれる殺気は今までの比ではない。 その、呼吸さえ困難な緊迫の中、 「ワカメといったな、遠坂」 ハラペコのセイバーすら退ける声で、ワカメは言いはなった。 「事実よ、慎二。その髪型に誇りなど持っているのなら、後で直毛にしてあげるわ」 「――――言ってくれたな。なら、お前のツインテールを解いてやる」 大きく後退する慎二。 術を放つ、どころの間合いではない。 一瞬にして離された距離は五センチメートル以上。 慎二はこの廊下の横幅まで跳び退き、そこで、見下すように本を開く。 「――――――――」 遠坂の五感が凍る。 寒さか、怒りか。 そのどちらであれ、彼女は即座に理解した。 慎二の後退の意味。 敵が打ち出すであろう次の攻撃が、文字通り必殺の一撃であるという事を。 「――――僕の魔術(ワカメ)については聞いてるよな、遠坂」 両手に本を開いた慎二の腕があがる。 その姿は、演劇の裏で作業する大道具係のようだった。 「――――――――」 凛に答える余裕などない。 あかいあくまは両手に持った宝石をしまい、最速で自己の裡(うち)に埋没する。 だが間に合うか。 慎二のあの姿勢。 彼の魔術がワカメをなぞるのなら、防ぐ宝石は生半可な物では済まされまい―――― 「―――行くぞ。この一撃、告白として受け取ってくれ……!」 青いワカメが走る。 残像さえ遙か、慎二は養殖ワカメとなって凛へ疾駆する。 両者の距離は2〜3メートル。 それほどの助走を以って慎二は髪を振るうのではない。 青いワカメが増える。 2〜3メートルもの距離を一息で走り抜けた慎二は、あろうことか、そのまま大きく『首を反らした』。 風圧になびくワカメ。 大きく揺れ動いたワカメは“乾燥し、増殖する”ワカメ。 ぬるり、と空間へ飛び散っていく。 ―――業者に曰く。 そのワカメは、水に少し浸せば何倍にも増えたと言う。 つまり、それは。
73 名前: 槍→ワカメ 弓→凛 投稿日: 2005/07/20(水) 01:22:01「――――水中の(増殖する)」 紡がれる言葉に頭のワカメが呼応する。 間桐慎二は弓を引き絞るように上体を反らし 「乾燥ワカメ(無限のワカメ)――――!!!!!」 怒号と共に、その頭を振り下ろした――――。 それは、もとより日本沿岸の干潮線下に生じた海藻を乾燥させた食品だった。 調理の前に水に浸す具材。 水に戻さずに食す事など出来ず、戻せば少し不気味なほど増え続ける少しホラーな食物。 それが乾燥ワカメ、生涯何度か口にするであろう日本沿岸地域の乾物屋名物。 慎二の全魔力で打ち出されたソレは残す事さえ許されまい。食す事も出来ず、残す事も出来ない。 ―――故に断食でござる。 このワカメに狙われた者に、生きる術などあり得ない……!! 胞子葉が迫る。 一秒にも満たぬその間、あかいあくまは死を受け入れるように目蓋を閉じ、 「――――Neun(九番)!」 衝突する薄暗いワカメ。 真横より飛来した慎二の一撃が、あかいあくまへ直撃する刹那、 「Acht, Sieben(八番、七番)――――!」 大気を震わせ、宝石魔術が放たれた。 激突する海産物と鉱石。 あらゆる空腹、あらゆる満腹を磨耗させる波打ち海藻。 それが、ここに消滅されていた。 輝きを失った小石と凛の家計を代償として巻き散らしながら、断食のワカメは凛の“宝石”によって食い止められる。 デルタ地帯より出現した3つの宝石は凛を守護し、主をぬとぬとぬるぬるにしようとするワカメに対抗する――――! 誰が知ろう。 この宝石こそ変化魔術。遠坂の家の唯一無二の財産・宝石が触媒にする魔術。 金ぴかの如き宝石は十、そのひとつひとつは八桁の負債に匹敵する。 単純に魔力をぶつけるだけの魔術ならば、確実に相殺する凛の切り札。 この護りの前には、ワカメなど一つ目の宝石もだけで退けられるは必定だった。 少なくとも使用者である凛が知る限り、この守りを突破する魔術など片手で足りるほど。 だが。 それを、慎二のワカメは苦もなく乾燥させていく。 「―――っ…………!!!!!」 九個目の宝石が枯渇する。 残るはひとつ。 ワカメは凛の十年間である十個目に到達し、なおその勢いを緩めない。 殺しきれぬワカメの増殖。 それを直前にし、 「く――――くああああああああ…………!!!!」 裂帛の気合いを以って、遠坂凛は全魔力を己が宝石に叩き込む――――!
74 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 01:29:22なにこのキモワカメはw
75 名前: 桜→ライダー 凛→慎二 投稿日: 2005/07/20(水) 01:35:06「……ひどい。シンジはいつもそう。そうやって極め付けて、わたしを馬鹿にするんです。 自分はチビだからって、少し上背があるだけの私を見上げている。 ……ほんとうにいやな人。ねえ、シンジ。私、そんなにノッポさんですか?」 感情のない声。 それ故に寒気のする質問に、 「あったりまえじゃないか。僕より7cmも背が高い時点で救いきれないデカ女だよ。 お前は桜に調べてこさせた平均身長のデータを、最後まで信じてなかったんだから」 きっぱりと、間桐慎二は断言する。
76 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 01:41:58>>73 変化じゃなくて流動じゃね?
77 名前: セイバー→ハラペコ 投稿日: 2005/07/20(水) 01:44:27「―――士郎は欲しい。けれど、ご飯は渡せない」 箸をうつわに向けて、偽りのない心で言った。 「な――――に?」 「判らぬか、下郎。そのような者より、私は美食が欲しいと言ったのだ」
78 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 01:56:24>>72-73 エヌマ・ワロシュwwwwwwwww
79 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 03:08:44ワカメネタはもうお腹一杯('A`)
80 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 03:12:49>事実よ、慎二。その髪型に誇りなど持っているのなら、後で直毛にしてあげるわ >行くぞ。この一撃、告白として受け取ってくれ……! >生涯何度か口にするであろう日本沿岸地域の乾物屋名物 >デルタ地帯より出現した3つの宝石 笑いどころが多すぎて何処から突っ込みいれればいいか判断がつかんw
81 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 03:47:34>慎二の全魔力で打ち出されたソレは残す事さえ許されまい。食す事も出来ず、残す事も出来ない。 >―――故に断食でござる。 >このワカメに狙われた者に、生きる術などあり得ない……!! 吹いた。
82 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 06:45:11>>61-63 くそ、泣いたじゃねーか。
83 名前: 士郎・凛・ライダー → 士郎・慎二・一成 投稿日: 2005/07/20(水) 11:14:33 空洞には彼女しかいない。 桜も、臓硯もアサシンも姿がない。 立ち塞がっているのは、黒く変貌した彼女だけだ。 「──────セイバー」 「──────────」 呼びかけても答えはない。 ……当然だ。 セイバーの役割は侵入者の排除に他ならない。 彼女はここの門番であり、処刑人だった。 桜を守る最強のサーヴァントであるセイバーなら、一人きりで俺たち三人の相手が出来る。 「……ふん。話し合いで通してくれる、という雰囲気ではないな」 姿勢を低くしながら、一成は腰の後ろに隠した概念武装に手を伸ばす。 ───一成は正面から戦る気だ。 柳洞寺から持ってきた剣がどれ程のものかは知らないが、セイバーとまともに斬り合うハラらしい。 だが、それは上手くない。 手の内が判っているセイバーなら、こっちにも対抗策がある。 まだ臓硯とアサシンが控えている状況で、唯一“秘密”である一成の武器を使うのは──── 「セイバー待て! 俺達は────」 「シンジ。私には貴方と争う理由はない。くれぐれも自分の実力を弁えるように。───貴方をここで殺してしまっては、桜の命令に背いてしまう」 「……!」 セイバーは静かな、以前と同じ声で、既にビビリ入ってる慎二に告げる。 それが何を意味するのか、俺も慎二も、訊くまでもなく分かってしまった。 「ハッ、どういうつもり? お前はここの門番だろ、セイバー」 「はい。相手が何者であれ、ここを通る者は消去する。それが桜の命令です。ですが───」 「僕は例外。桜の方から会いたがってるってワケ?」 セイバーは無言で頷く。 「……フン。生意気だね、桜」 短い呟き。 ……大きく息を吸った後、慎二はセイバーへと歩き出した。 「慎二」 「悪いね。そういう訳だから、先に行かせてもらうよ」 慎二は堂々と歩を進め、セイバーの横を通りすぎていく。 その姿が洞窟の闇に溶け込む寸前。 「衛宮。お前がどうなるかは知らないけど、いちおう僕の親友やらせてるんだ。ちゃんと期待に応えろよ」 「は?」 ……いや。 この局面で目的語抜きで文句を言われても、うまく頭が働かないのだが。 「だ、だから、ケリがついた後に来られて文句言われるのも迷惑だってコトだよ! 桜を助けたいってんなら、さっさと来いよ馬鹿!」 いつものように喚き散らして、振り返らずに慎二は奥へと消えていった。 「────────」 ……ヘタレ、慎二。 今のはなかなか笑えた。 要するにあいつは、自分が桜に殺されないうちに来いと、遠まわしに救助要請をしたのだ。 「それは不可能です。貴方はここで死ぬのですから、シロウ」 「……!」 セイバーの殺気が膨れ上がる。 慎二が奥に進み、残されたのは俺と一成だけだ。 この状況なら───もう殺気を抑える必要はないという事か。 「殺す、とは聞き捨てならぬな。お前が手にかけるのはこの道を通る者のみ。衛宮がこの場に留まるのなら、お前に襲われる事はない筈ではないか」 「留まるのならばそうしよう。 だが、その男はどうあっても先に進む。私には勝てないと理解していながら、先に進むしかない。 違いますか、イッセイ」 「ふむ。お前は俺よりも長く衛宮と聖杯戦争を戦っていたからな。こやつの性格、知っていて当然か」 ……セイバーの視線が細まる。 その手には黒く染まった聖剣が握られている。 ───来る。 俺か一成。 どちらかが一歩でも踏み込めば、セイバーは全力を以って、一撃で俺たちを仕留めにかかるだろう。
84 名前: 幹也→言峰 投稿日: 2005/07/20(水) 21:57:35……ランサー、少し自害しろ
85 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/20(水) 23:34:51「っ――――、――――」 ……からダが動かない。 生きているなど気休めだ。 俺は、もう。 「いいえ、簡単には死なせないわ。貴方にはもっと傷ついてもらって、今までの時間がどれだけ恵まれていたのか、教えてあげるんだから」 黒色の髪をした神父が、俺の頭を押さえつける。 太い、冷たい指先が頭蓋(ずがい)を凍らせていく。 その、もう元の自分に戻れなくなる中、 「―――ふふ。自分じゃ決して死ねない、醜い人形にしてあげる。お兄ちゃんは今日から、キリツグの代わりになるの」 遠坂とセイバーが無事であるようにと、最後の理性で祈っていた。
86 名前: 右 → 左 投稿日: 2005/07/21(木) 00:09:44目眩がする。 体はもう踏ん張っていられない。 ・・・死ぬ。 最後の最後で、耐えられなかった。 なら、どうせ耐えられないのなら、力を抜くべきか。 そうすれば少なくとも、ヤツをもう一度あの孔にたたき込め――― 「―――って、舐めるな・・・!こんなコトで道連れになんてされてたまるか・・・!」 萎えかけた手足を奮い立たせる。 この腕が千切れるのが先か、ヤツの鎖が千切れるのが先か、それとも、ヤツが這い出てくるのが先か。 どっちだっていい。こうなったら最後の最後まで全力で抗って、派手に散ってやろうじゃないか・・・・・・! ”・・・・・・ふん。お前の勝手だが、その前に右に避けろ” 「え?」 咄嗟に振り向く。 視線は遠く、荒野となった境内へ向けられる ―――瞬間、何かが俺の体を貫いてギルガメッシュに突き刺さった。 「お前―――――――――アー、チャー」 ・・・力が抜ける。 俺は、最後に。 ギルガメッシュに引きずられるようにして、孔の中に落ちていった。 DEAD END この先はタイガー道場です。アドバイスを受けますか? 1.はい 2.いいえ
87 名前: 月姫アルクルートホテルにて 投稿日: 2005/07/21(木) 02:09:53 廊下に人影はない。 ……部屋の中では聞こえなかったけれど、廊下はがやがやと騒がしかった。 このフロアが騒がしい、のではない。 騒音は足元から。 下の階はごちゃごちゃと騒がしくて、なにやら何人もの人の話し声が響いてきてる。 おそらく、さっきのゆれで泊まっていた客たちが 目を覚まして、ホテル側に苦情でも言っているのだろう。 「…………異常は、ないよな」 廊下を歩いていく。 下の階からのざわめきは、海の波の音に似ている。 騒がしいのに――――ひどく孤独だと感じる、閑散 とした騒音。 「―――――つ」 ナイフを持つ指先がかじかむ。 ぶるりと首のうしろが寒い。 なにか、こめかみのあたり。 眼球の奥から、痛みがやってきているよう。 堪えながら、さざなみのする廊下を歩いていく。 「――――――――」 いた、い。 目が、いたい。 あたまが重くなって、そのまま倒れてしまいそうな浮遊感。 ああ、知っている。これは間違いなく貧血で倒れる直前の感覚だ。 「はあ――――――あ」 いたい。 いたいから、耐え切れなくなって、メガネを外した。 エレベーターが見えてきた。 長い廊下だ。 ここからエレベーターまで、あと十メートル以上はあるかもしれない。 ――――と。 キンコン、と音をたててエレベーターが十一階にあがってきた。 「――――」 エレベーターの扉に『線』が見える。 いや、それは。 濃密すぎて、もう真っ黒と思えるぐらい。
88 名前: 月姫アルクルートホテルにて 投稿日: 2005/07/21(木) 02:10:41 扉が開く。 狭い、鉄の箱が開く。 箱の中には。 あふれかえるほどの、混沌の塊が。 エレベーターという鉄の箱。 混沌の黒い塊が圧縮されて押し込まれている。 その中で、二人の人間がガツガツと何かを毟り取っている。 「な――――――」 呼吸が止まった。脳が思考を拒否するように、肺もその活動を拒絶した。 息が出来ない。けど、そんなことはどうでもいい。 視界が、真っ黒になる。 ごぽ、と音をたててエレベーターから混沌があふれだす。 混沌と、混沌と、混沌と、混沌と、混沌と、混沌と、混沌と、混沌の海のなか。 二人の姉妹だけが、生きている生命だった。 「――――――」 理性が、この光景を受け入れる事を拒んでいる。 廊下の先、エレベーターの中では二人の姉妹が黒犬 の体をちぎっている。 耳をすませば、まだ下の階から音がしていた。 それは、よく聞いてみれば。 ゴリゴリという肉を咀嚼される音とか、タスケテ といった悲鳴とか、もう人語でさえない吸血鬼の断末 魔とかだったりした。 ……なんてコトだろう。 見えてもないのに、俺の目には。 何十人という客たちに生きたまま殺される、混 沌中の獣の姿がイメージできた。 廊下を走って逃げる豹。でも天井から落ちてき た人間の爪が、鼻から後頭部までゼリーみたいに 切りとってしまったり。 部屋に閉じこもって鳴き崩れるライオン。でも部屋 の扉は女の子にしてみれば紙より脆くて、それこそ 数秒とかからずにワケノワカラナイ形にされてしまったり。 我先にとエレベーターに駆け寄った犬たち。でも エレベーターの中には何十人という人間が待って いて、エレベーターが開いた瞬間に全員が首をなくしてしまったり。 とにかく、何一匹として例外はない。 この足の下の、ホテルという大きな箱の中。 そこが、肌で感じ取れるほど身近な地獄絵図だった。
89 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/21(木) 02:28:26>>87-88 タスケテ、ってネロかわいそすぎるw
90 名前: 志貴→士郎 秋葉→桜 秋葉の回想より 投稿日: 2005/07/21(木) 03:28:55 夏の暑い日。 具合が悪そうな人を見かけた。 その人は苦しそうに、はあはあと息をはいて、地面にうずくまっている。 なにか、厭な風がしていた。 蝉の声が耳について、ぐらりと地面が傾いていく。 平衡感覚がゆらゆらになっていく気分に酔いながら、その人に声をかけた。 振り向いた人は、『人』ではなかった。 なにか醜いケモノに変わってしまった人を見て、わたしは何もできなくなって しまった。 いつか、自分もああなってしまうのだろうかという嫌悪に、体が凍りついてし まって。 血に飢えたケモノはわたしに襲いかかってくる。 わたしは逃げることができない。 その時、手がひかれた。 振り向いた先にいたのは、先輩だった。 彼は手をひいてわたしを走らせる。 …怖くないのだろうか。 あんな、醜いケモノを前にして、先輩は、わたしをかばうようにケモノの前に たちはだかった。 けれど、ケモノはわたししか見ていなかった。 逃げるわたしに襲いかかってくるケモノと、その間に割ってはいる先輩。 ぴしゃりと。 自分の頬に熱い血がとびちった瞬間の涙を、覚えている。 …先輩はわたしの体を抱いて、ケモノからわたしを守ってくれた。 体を貫かれて、血だらけになっても、彼はわたしの体を抱きしめたままだ った。わたしの体を守って、決して手を離さない。 見上げれば、彼は泣いていた。 それは痛みからではなく、後悔で涙するような、とても悲しい泣き顔だった。 ――――ごめん、と先輩は言った。 死にいたる直前。 せめて自分が死んでしまった後も、自分の体が、わたしをかばってくれます ようにと、強くだきしめて。 ごめん、先輩は繰り返す。 おれが、ほんとうの正義の味方だったら、きっと、桜を守れるのに。 くやしいな――――おれは、正義の味方になれなかった。 桜を、みんなを守るって誓ったのに。 …そんな呟きを懺悔のように残して、彼は逝った。 自らの命が尽きた後も、わたしの身を案じつづけてくれた、誰よりも、 正義の味方であろうとした先輩。 …その言葉だけで、十分だった。 もう、それ以上のものなんて何も望めない。 ああ――このひとは裏切らないひとなんだ、とわたしは泣いた。 不謹慎かも知れないけれど、自分をかばって死んだ先輩の体を抱き返して、 嬉しくて泣いていた。 この先何があっても、自分にはこの相手しかいないんだって思えることが、 なによりも幸せに思えて。
91 名前: らっきょ 俯瞰風景 投稿日: 2005/07/21(木) 03:47:47 うちの学校は私服オッケーていう進学校だったので、みなそれぞれの 服装で自分を表現していたと思う。そんな中、校内での式の姿はとても 目立ってた。 なにしろ、いつも裸エプロンなのだ。 ………………………………ごめん俺には想像できない。
92 名前: アルバ→主人公 投稿日: 2005/07/21(木) 03:50:08「……なぜだ。私が、君に何かしたか?」 「別に何も。生きていく以上、憎み憎まれるのは覚悟の上だ。 実を言うとね、学院時代からのおまえの憎しみもも悪くはなかった。 それは蒼崎橙子という私が優れてる証だから」 「ならば、なぜ」 「簡単だ。おまえは、私をあの名で呼んだ」 ばたん、と音がした。 橙子の足元の鞄が開いた音である。 大きな鞄の中身は、それこそ闇だ。 電灯の光も届かない固体としての闇が、鞄の中につまっている。 その中に、二つ、ある。 「学院時代からの決まりでね。私を傷んだ赤色と呼んだものは、例外なくブチ殺している」 鞄の中には、光る、 ――――――二つの、目が。 なるほど、とアルバは頷いた。先程この鞄を見て、自分は何かに似ていると思った。 実にシンプルだ。どうして、それに気がつかなかったのか。 鞄というには大きすぎる立方体。 それは神話に出てくる、魔物を封じ込めた匣そのものの姿ではないか。 かくして、匣から現れたエタイの知れない黒い生き物は 茨のような触手を伸ばして、コルネリウス・アルバを摑まえた。 そのまま匣に引き込まれ、足から何千という小さな口に咀嚼されていく。 ばりばりと生きたまま食べられていく。消滅の直前、首だけになった彼は 超然と見下ろす人形師と目があった。 この、おぞましい死を迎える私を見て、彼女の瞳は嗤っていた。 それだけで、彼は適うはずがなかったのだ、と後悔した。 アラヤと交わした最後の言葉が思い出される。 ヤツは、コルネリウス・アルバがこうなる事を予期していたのだろう。 脳髄の最後の欠片が咀嚼される。 ……自分は失敗した。 こんな怪物どもと、関わるべきではなかったのだ。 ―――それが、赤いコートの魔術師の最後の思考だった。 DEAD END この先はタイガー道場です。アドバイスを受けますか? →1.はい 2.いいえ
93 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/21(木) 10:01:43>>87 怖! 人間の群れ怖すぎ!! GJ!!>>92 アイディアは名作レベル、ただ味付けが足りなかった。豪華なディナーでもご飯だけみたいな。 道場の部分も書いたほうが良かったかも。 >茨のような触手を伸ばして、コルネリウス・アルバをx_曚泙┐拭〽br> 何が起こった・・・!?
94 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/21(木) 15:32:16>>87-88 宿泊客Sugeeeeeeee!!
95 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/21(木) 19:38:24>>87-88 上であったOLといい、宿泊客といい一般人強すぎw
96 名前: セイバー→アルク(セイバーエンド改変) 投稿日: 2005/07/21(木) 21:18:38「―――ごめんね爺。 今度の眠りは、少し、永く――――」 ゆっくりと眠るように。 彼女は、その瞳を閉じていった。 ……満月の月明かりが零れる。 千年城は静かに佇み、白の姫君は眠りについた。 「――――――――」 魔法使いはその姿を見守り続ける。 彼が望んだ姫の姿。 たった一人の魔法使いに看取られた孤独な姫。 だが―――その顔は、彼が望んだものだった。 穏やかな眠り。 姫は最期に、今まで得られなかった安らぎを得られたのだ。 それが、ただひたすらに嬉しかった。 魔法使いはその安らぎを与えてくれた誰かに感謝し、誇らしい気持ちのまま姫を見守る。 天は遠く、空に架かる月は丸い。 戦いは、これで本当に終わったのだ。 「――――見ておるのか、アルクェイド」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた姫は、果てのない夜に沈むように。 「夢の、続きを――――」 遠い、遠い夢を見た。
97 名前: sage 投稿日: 2005/07/21(木) 23:20:38泣けた>96 ゼル爺渋いっす
98 名前: アルク→ゾウケン 投稿日: 2005/07/22(金) 00:06:06「儂を殺した責任とってもらうからの♪」
99 名前: アルク→アーチャ−(士郎) 志貴→ランサー 投稿日: 2005/07/22(金) 02:10:05「私を殺した責任、とってもらうからな」
100 名前: わたくし→志貴 投稿日: 2005/07/22(金) 02:15:06「いいだろう。―――殺しあおうぜ、>>98 >>99 ……!」
101 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 02:28:48>>99 なんかエロイな
102 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 03:03:57>>101 ちょ、お前、早くこっちに戻って来い!
103 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 03:05:49>>102 ハッ!お…俺は一体…!?
104 名前: 士郎→言峰 一成→ギルガメッシュ 投稿日: 2005/07/22(金) 11:14:41「は――――!?」 しまった、気が付けば聖杯戦争もあと二組を残すのみ―――! 「? どうした言峰。何かひらめいたか?」 「ひらめきはしないが、思い出した。呑気に麻婆を食っている場合ではなかった」 「?」 いそいそと自分の分の麻婆をラップでくるみ、じろり、とギルガメッシュに向き直る。 「……む、不穏な空気。言っておくがセイバーはやらんぞ。あれは我の物だ」 ……時間もない。 はあ、と深呼吸をして、一言。 「アーチャー。何も訊かずに麻婆を食え」 きっぱりと、用件だけを口にした。 「な、なんですとーーーーーー!!!!????」 「だから麻婆を食え。そんじょそこらのではなく泰山のをだ。あの店のでないと意味がない」 「っ―――ななななな何を言いだすかと思えば正気か貴様っ!? あれか、新手の勧誘行為か!? アナタハカミヲシンジマスカーなのか!?」 「そう、布教布教。いいから食え。聖杯戦争が終わっては手遅れなのだからっ!」 ええい、とギルガメッシュに掴みかかる。 「うわあ――――! ええい、止めぬかたわけ、貴様それでも神に仕える神pギャー!」
105 名前: 士郎→言峰 言峰→セイバー 投稿日: 2005/07/22(金) 21:23:48「食うか――――?」 「食う――――!」 ………… 言葉がない。 なんで衛宮士郎がセイバーを連れてきたのか。 なんでこんな煮立った釜みたいな麻婆豆腐を食っているのか。 それもすごい勢いで。 額に汗を滲ませて、水などいらぬ、一度手を止めれば二度とさじが動かぬわ、という修羅の如き気迫。 というか意地になってないかこいつ、食べる量が尋常ではないぞ。 もしかしてまだ食うのか。あのラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくオレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理をまだ食うというのか。 だとしたらまずい、セイバーもまずいが私の財布の中身もまずい。 コレ、絶対やばげな代金になっている。そうでなくても理解したくない。 「どうしました、立っていては話にならないでしょう。座ったらどうです」 食べながらセイバーは言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら財布の残金を確認する。 「――――――――」 じっとセイバーの動きを観察する。 ……凄い。マーボー、これで27皿完食だ。 こいつ、本気で私を素寒貧にする気か……と、喉を鳴らした時、不意にセイバーの手が止まった。 「――――――――」 「――――――――」 視線が合う。 セイバーはいつもの宝石のような瞳で、何の感情もなく私を見据えた後、 「デザートは――――?」 「食わせるか――――!」
106 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 22:07:52「―――問おう。貴方が、私の鞘か」
107 名前: 志貴→凛、秋葉→桜、琥珀→アンリマユ 投稿日: 2005/07/22(金) 22:11:34「やっぱり無理よー! あんなのかないっこないでしょフツー!」 ぱっくり、と影の巨人に呑み込まれるわたし。 大空洞をゆるがして迫る黒桜。 「そこまでのようですね姉さん。 ――――ふ。ふふ。ふふふふふ!やった、 ついに姉さんをうち負かしました!ええ、この際手段に関しては目を瞑りましょう!」 「オメデトウ桜、ツイニ遠坂凛ニ勝ツコトガデキタナ! 方法ハあれダガ、(裏るーと)ひろいんニ相応シイあれヨウダッタ!」 「当然です。ヒロインたる者、勝つ時は手段を選びません。 結果よければ全てよし、悪もここまで徹底すれば許しましょう。 ええもう、なんだか気分もいいですし、貴方の誕生だって見逃しちゃうんだから」 「ヤッタ、のりのりダナ桜! あんりまゆハソンナ桜ガ大好キダー!」 やんややんや、と黒桜を褒め称えるアンリマユ。 ……気が付け妹よ。 アンタ、完全にアンリマユに騙されてるわよ…… 「あ、きた」 ノリにのった黒桜がやってくる。 ……もういまさらどうしようもないんで、観念して目を閉じた。 ――――はあ。 結局、これでファム・ファタール行きは間違いない。 もはや暴走した二人を止める術はないし。 そんな訳で、影に呑み込まれる冬木市に黙祷した。 ……みんなごめん。 わたしも努力はしたのよ、努力は。
108 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 22:40:49何だその緊張感の無さはw
109 名前: 凛→凛、桜→桜 投稿日: 2005/07/22(金) 23:21:22「桜」 声をかけて、投げた。 彼女にとって最大の武器。 何物にも替えがたい魔法使いの遺産を、ぽーん、とキャッチボールのように投げて、 「――――Welt、Ende(事象崩壊)」 大空洞は、一面の光に包まれた。 爆散する。 人の手では届かぬ奇跡を体現した宝石の剣は、崩壊の際において全ての影を打ち消していく。 そこを走った。 一直線に、間桐桜目指して走り抜けた。 桜は光に怯んで動けない。 いかに強大な力を得ようと、彼女は戦闘経験がまったくない素人だ。 だから、その気になれば倒す事は簡単だった。 遠坂凛はあっさりと間合いをつめる。 走り抜ける中、背中に隠したもう一本の短剣を握り締める。 「――――」 桜は反応できない。 殺される、と気がついたようだが、あまりにも遅すぎる。 ……確実に殺(と)った。 これでおしまい、と彼女は短剣を突き出し――――
110 名前: 凛→凛、桜→桜 投稿日: 2005/07/22(金) 23:22:18 疾走。停止。一撃。 彼女の切り札である筈の宝石剣を囮にした、真逆の奇襲。敵に対抗する隙を与えず、遠坂凛は勝負を決した。 踏み込む速度、大地に落とした足捌き、迷いなく突き出した剣に是非はない。 彼女の短剣は敵を一突きにした。 最高の機を窺っての奇襲である。 刺突は鋼鉄板すら打ち抜くほどの会心さで、仕損じる事なく間桐桜を貫いた。 いや―――貫く、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 剣を突き出した姿勢のまま、遠坂凛は呆然と目の前の敵を見た。 「―――――――嘘、でしょ」 彼女でさえ事態が掴めていない。 セイバーもかくやという必殺の一撃。 それが止まっている。 敵の胴体を串刺しにする直前に、何かに刀身を挟まれて停止している。 「――――足と、腕?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼女の剣は、敵である間桐桜によって止められていた。 膝と肘。 高速で放たれたソレを、女は片足の膝と肘で、挟み込むように止めていたのだ。 「―――侮りましたね、姉さん」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」
111 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 23:34:21久々だw
112 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/22(金) 23:45:12このネタを見る度、夢枕獏っぽい格闘戦を妄想してしまう
113 名前: 時間稼ぎ⇔勝利 投稿日: 2005/07/23(土) 15:04:02「……………アーチャー、わたし」 何かを言いかける遠坂。 それを。 「ところで凛。一つ確認していいかな」 場違いなほど平然とした声で、アーチャーが遮った。 「………いいわ。なに」 伏目でアーチャーを見る遠坂。 アーチャーはバーサーカーを見据えたまま、 「ああ、ヤツを倒すのはいいが――― 別に、時間を稼ぐだけでも構わんのだろう?」 そんな、トンデモナイ事を口にした。
114 名前: 志貴→士郎 シオン→セイバー 投稿日: 2005/07/23(土) 16:47:30「―――っ……!ハァ、ァ、ア……!」 「ぁ、ぐ―――っ……!はぁ、あ……わた、し、飢えて、る―――?」 「……………………」 「……なんで……?どうし、て……ごはんを作ってくれないの……ですか、シロウ……」 「俺は食事を必要とする者に料理を作るだけだ。セイバーには必要ないだろうから、作る必要はない」 「―――っな!……シロウ。 私は剣の鍛錬でカロリーを消費している。腹の虫まで鳴った。 貴方はそれを知っている筈なのに……!」 「―――――――――」 「シロウ、早く食事を……! 体が動かなくなれば、箸を持つことは出来ません。 その前、早く――」 「―――うるせえ! 都合のいい事ばかり言うな、この馬鹿野郎……!」 「え、シロウ……?」 「その前に早く、だと?なんだよそれ。早くってなんだ。早く何しろってんだよ。俺に作れっていうのか。これ以上食費を増やした方がいいって言うのか。 なんだよ、俺に―――遠坂みたいに破産した方がいいっていうのか、おまえは……!!」 「あ―――」 「お断りだ。そんな事、誰がやってやるもんか。 俺は彼女みたいにならない。 セイバーがハラペコでいるうちは、絶対に料理なんて作らない―――!」 「―――違う。シロウ、わた、私は、破産するほど食事を必要としているわけじゃない。私はタイガのように必要以上に求めているわけじゃない。ただ、空腹で倒れる前に貴方の料理を―――」 「そんな事言ってもセイバーはいっぱい食うんだ!それとな、軽々しく藤ねえの事を口にするな。彼女とセイバーは違う。藤ねえは、食い物が無いと生きていけない体だ。 でもセイバーは違うだろう。 他のサーヴァントは栄養摂取なんて必要なかった。ならセイバーだって必要じゃない。 それがなんだ。マスターを守って聖杯を手に入れるのがサーヴァントじゃなかったのかよ、セイバー……!!」 「―――――――――――――――」 「だというのに今はただごはんが欲しい、だ!? そんなの我慢しろ! サーヴァントは食事を必要としないんだろう、ならそんな空腹、気合でねじ伏せろ!」 「な……気合などと、そんな根拠のない事で抑えられるものではありません……!この、今にも胃袋が蒸発しそうな地獄を知りもしないクセに、貴方は……!」 「そうかよ。それじゃあ空腹が消えるまで付き合うだけだ。……いいぜ、飯が食いたくて気が立ってんだろ?ならこいよ。おまえが本来のサーヴァントの在り方を思い出すまで、何度でもぶっ倒してやる……!」 「よく言った、ならば覚悟しろ!シロォォォォオオオオオオオオオオオオウゥゥゥゥーーーーーーーーー!!」
115 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 16:51:35>>114 久々にかなりワロタwww GJ!!!!
116 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 17:03:37>>114 士郎がかっこよく見えるぜ!
117 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 17:46:55何でこんなにセイバーに萌えれるんだw
118 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 17:48:40>>114 (勝手に続き) 「よく言った、ならば覚悟しろ!シロォォォォオオオオオオオオオオオオウゥゥゥゥーーーーーーーーー!!」 刃は横に。 収束し、回転し、臨界に達する星の光。 黄金の太陽は、そのフレアを両手に携え。 「“約束された(エクス)――――勝利の剣(カリバー)!!!!!”」 怒号と共に、その一撃を叩き下ろす――――! 瞬間、時間を止めた。 衛宮士郎の内部を総加速させ、刹那を永遠に偽装する。 「――――投影、開始」 シロウ、ご飯はまだですか。まだですか。まだですか。まだですか。 もううんざりだ。 三度の食事。 生活を削る食費。 だが逆に言えば食費を削れば破産はしない。 セイバーの食事量を以てすれば、衛宮家に必要な費用を食い潰すことは容易い。 それは判りきっていた事だ。 ―――――だから、俺が食わせない。 サーヴァントが本来食事を必要としないというのなら、セイバーの食費をこの俺が削ぎ落とす……!!!! 「―――I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)」 使うべきもの、選び出すものは決定している。 投影は一瞬で成る。 弓兵(ヤツ)が知る中で最大の守り、セイバーを止める宝具を、 「“熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)――――!”」 その真名を以って、この瞬間真実と成す――――! 「ガ――――!」 突き出した左腕がブレる。 腕中の神経筋肉血管が踊り狂う。 弾け散りかねない左腕の痙攣を右手で必死に押さえつける。 「づ……! あ、あ、あ――――!」 耐えろ。 まだ投影は止められない。 両者の光は未だ拮抗している。 ここで守り(アイアス)を失えば、 俺は一瞬で消滅する――――! 「ぎ――――ア、 、 ――――!」 跳ね回る左腕と、左肩から体内に撃ち出される弾丸。 抑えきれない魔力はザクザクと体内で兆弾し、 消しゴムをかけるように、 エミヤシロウの中身を白く変えていく。 「 、―――― 、 !!!!」 吼える。 体内の痛み、自分が失われていく恐怖を追い返さんと絶叫する。 叩きつけられる剥き出しの魔力。 それは、完全に両者の力を拮抗させ、 「あ、あア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――!!!!」 暴風と高熱を残骸として巻き散らしながら、 光刃を、 眩いばかりの閃光の中で相殺した。
119 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 17:50:22 セイバーは剣を振るった姿勢のまま、崩れ落ちるように倒れ込んだ。 だがセイバーは―――死に体ではあるが、まだ充分に余力があった。 「――――――――、つ」 宝具による対決は、わずかに俺に分があったにすぎない。 エクスカリバーの光はその九割を、俺のアイアスによって相殺された。 「――――――――、あ」 走った。 自分が何をするべきなのか、理解できずに走った。 走りながら、干将莫耶を投影した。 「――――セイ、バー」 駆け寄る。 駆け寄って――――セイバーに駆け寄って、その、無抵抗な体に圧しかかった。 「ぁ――――シロ、ウ――――?」 空腹が限界に達したのか。 セイバーはぼんやりと、俺を見上げている。 「――――――――、あ」 セイバーにはどう映っただろう。 俺は馬乗りになって、短剣を振り上げて、セイバーを見下ろしている。 「――――――――」 セイバーの自己回復は半端じゃない。 ここでトドメを刺さなければすぐに復帰する。 ここでトドメを。 傷つき、抵抗できず、立ち上がる事もできないセイバーを、ここで殺さなければ、俺が殺される。 「あ――――、あ」 あれだけ消えそうだった意識が、今はひどくクリアだ。 「――――――――」 ……意識が戻ったのか。 セイバーは冷たい瞳のまま、目前の俺(し)を見つめている。 躊躇いはない。 セイバーの目を見つめたまま、彼女の視線に応えて、重い腕を振り下ろした。 抵抗はなかった。 きっかりと一撃で、セイバーの命を止めた。
120 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 18:33:39>>118 で止めておいたほうが良かった気が。 ていうか殺してどーする、殺してw
121 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 18:41:33…また他の、答え。 「食費は得た。大丈夫だよセイバー。」
122 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 19:10:08殺さずに躊躇う方の選択肢で話を作った方が面白かっただろうに
123 名前: 110を変えてみた 投稿日: 2005/07/23(土) 19:17:43疾走。停止。一撃。 彼女の切り札である筈の宝石剣を囮にした、真逆の奇襲。敵に対抗する隙を与えず、遠坂凛は勝負を決した。 踏み込む速度、大地に落とした足捌き、迷いなく突き出した剣に是非はない。 彼女の短剣は敵を一突きにした。 最高の機を窺っての奇襲である。 刺突は鋼鉄板すら打ち抜くほどの会心さで、仕損じる事なく間桐桜を貫いた。 いや―――貫く、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 剣を突き出した姿勢のまま、遠坂凛は呆然と目の前の敵を見た。 「―――――――嘘、でしょ」 彼女でさえ事態が掴めていない。 セイバーもかくやという必殺の一撃。 それが止まっている。 敵の胸を串刺しにする直前に、何かに刀身を挟まれて停止している。 「――――お、おっぱい?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼女の剣は、敵である間桐桜によって止められていた。 二つの乳房。 高速で放たれたソレを、女は左右の乳房で、挟み込むように止めていたのだ。 「―――侮りましたね、姉さん」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」 正直スマンかった
124 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 19:22:58「……随分と厚かましいんだなセイバー。お前は働かざる者食うべからず、ていう言葉を知っているか」 「シロウ、なにを言っているのです。 そんなもの、私が知っている筈ないでしょうが───!」
125 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/23(土) 19:23:17>>123 _ ∩ ( ゚∀゚)彡 ぉぱ〜ぃ! ぉぱ〜ぃ! ぉぱ〜ぃ! ( ⊂彡Σ(;◎Д○) オイ!ヤメッ!イテッ
126 名前: 士郎→キャス子 剣→教師 投稿日: 2005/07/23(土) 20:15:54 走る銀光。 私の心臓に吸い込まれるように進む穂先。 一秒後には血が出るだろう。 それを想像できる。 体に埋まる鉄の感触も、 喉にせり上がってくる血の味も、 世界が消えていく感覚も、 間も無く味わうことになるだろう。 ……それが確定した未来? 本当に? 理解できない。なんでそんな目に遭わなくてはいけないのか。 ……ふざけてる。 そんなのは認められない。こんな所で意味もなく死ぬ訳にはいかない。 マスターすら殺したのだ。なら、そこまでしたからには簡単には死ねない。 私は生きて聖杯を手に入れなければいけないのに、死んでは聖杯が手に入らない。 それでも、槍が胸に刺さる。 穂先は肉を裂き、そのまま肋を破り心臓を穿つだろう。 「────」 頭に来た。 そんな簡単に私を殺すなんてふざけてる。 そんな簡単に私が死ぬなんてふざけてる。 自分でマスターを殺して弱っている間に殺されるなんて、そんなバカな話もふざけてる。 ああもう、本当に何もかもふざけていて、大人しく怯えてさえいられず、 「ふざけないで、私は────」 こんなところで意味もなく、 おまえみたいなヤツに、 殺されてやるものか────!!!!!!
127 名前: 士郎→キャス子 剣→教師 投稿日: 2005/07/23(土) 20:17:26 「え──────?」 それは、本当に。 「なに………!?」 魔法のように、現れた。 漆黒の闇の中、それは、私の背後から現れた。 思考が停止している。 現れたそれが、男の姿をしている事しか判らない。 ぱん、という音。 それは現れるなり、私の胸を貫こうとした槍を打ち弾き、戸惑う事なくランサーへと踏み込んだ。 「───本気か、生身の拳だと……!?」 弾かれた槍を構えるランサーと、何も持たぬその“手”を一閃する男。 二度音が鳴った。 剛拳一閃。 現れた男の一撃を受けて、たたらをふむランサー。 「く────!」 不利と悟ったのか、ランサーは獣のような俊敏さで遠く間合いを離し─── 退避するランサーを体で威嚇しながら、それは静かに、こちらへ振り返った。 風の強い日だ。 雲が流れ、わずかな時間だけ月が出ていた。 木々の間から指し込む銀色の月光が、この時代の衣服を着た男を照らしあげる。 「────」 声が出ない。 突然の出来事に混乱していた訳でもない。 ただ、目前の男の姿があまりにも素適すぎて、言葉を失った。 「────────」 男は石のような瞳で、何の感情もなく私とランサーを見据えた後。 「───問おう。あなた方は、何者だ」 低い声で、そう言った。
128 名前: 夏祭り シエル⇒セイバー 投稿日: 2005/07/24(日) 00:25:15 虫の声が聞こえる。 日中目が眩むほどだった暑さは、夜になる事で幾分涼しくなってくれた。 夏もじき終わりなのか。 夕暮れ頃から吹き始めた風は穏やかで涼しく、華やかでありながら、どこか寂しい趣きを運んでいた。 ――――お祭りに行きましょう、とセイバーは言った。 八月後半、今日は花火大会がある日だ。 街はずれにある神社では花火に合わせてお祭りが開かれる。 そこに足を運ぼう、と提案するのはそう意外な事ではないと思う。 この街に住んでいる人なら夏の締めは神社のお祭りと決まっているようなものなのだし、花火大会は誰からも好かれる夏の風物詩なんだから。 ただ、それがセイバーからのお誘いとなると意味合いが違ってくる。 セイバーは外国人?なわけで日本のお祭りというのに馴染みがないし、何より―――・ 「あ、笛の音が聞こえてきますね。賑やかで楽しそう」 こう、違和感なく浴衣を着こなされるとは思ってもいなかったから。 「シロウ? どうしました、さっきから元気がないようですけど」 「え―――――? いや、元気はあり余ってるよ。ただセイバーの浴衣姿があんまりにもキレイなもんで、ちょっと緊張してるのさ」 「ありがとうシロウ。そう言ってもらえると凛に無理を言って用意してもらった甲斐があります」 にこり、と柔らかな笑みをうかべるセイバー。 「―――――――う」 大人だ。そんな風に答えられるとますます緊張してしまう。 「あ、そうだ。セイバー、日本の、っていうかお祭りは初めて?」 「そうですね。話には聞いてましたけど実際に体験するのは初めてです。兄が一度所用で出掛けた事があって、その時に五月祭を見たらしいんです。兄のお土産話を聞いてですね、子供の頃は五月柱を踊りながら廻ってみたいと思っていました」 「――――うわ、踊りかあ。けど残念、ここの神社は盆踊りはやってないんだ。露店は多いんだけど櫓を作るほどスペースがとれないらしくて」 「そうですか。それはちょっと残念ですね」 またもにこりと笑うセイバー。 ……浴衣を着ているせいだろうか、いつもより数段大人っぽく見えてしまう。 「あ、けど露店のメシは美味いよ。イカ焼きとか焼きそばとか絶品だ」 「ええ、もちろんチェック済みです。この街で一番おいしい出店が集まるのはここだって評判ですからね」 ふふ、とまたも大人スマイルを浮かべるセイバー。 「――――――」 ……そうか、流石はセイバーだ。 どんなに大人っぽい格好をしていたって、自分の好みを優先するあたり隙がない。 階段とはうってかわって、境内は人で溢れていた。 所狭しと並んだ四十もの屋台、隙間なく流れていく人々の流れ、飛びかう祭囃子といくつもの食べ物の匂い。 そして――――― 「―――ごちそうさまでした。聞きしに勝る味と量に大満足です」 無限の胃袋を持つ魔人が一人。 「けどあともう一押しというか、食後の満足感がイマイチなのはソースの味が薄かったからでしょうか」 野球のミットぐらいあるお好み焼きをペロリと平らげ、次のターゲットである焼きそば屋を見つめるセイバー。 帯を締めてるっていうのに恐るべき消化器官だ。 「セ、セイバー、そろそろ食べ物を止めてフツーの娯楽に走らないか。……う」 やば、さっき食べたたこ焼きが戻ってきた。 「いやですねシロウ、さっきから走ってるじゃないですか。食事も娯楽の一つですから」 「ね? なんて笑顔で言ってもダメだぞ。ほら、そろそろ花火の時間なんだから場所を変えないと。今日は花火を観に来たんだろ、俺たちは」 「むっ……それは、そうなんですけど」 セイバーは難しい顔をして屋台と俺を見比べる。 「……ははあ。予想以上に露店の食べ物がおいしかった、と」 「そうなんです! さすがシロウ、言わなくてもちゃんと分かってくれてたんですね!」 にぱっ、と喜ぶセイバー。 「――――却下。ぜんぜん分からないから強引に連れて行く」 セイバーの袖を掴んで歩き始める。 「あーーーーーー! まだ、まだ上昇の焼きそばもオー・イェイの焼きとうもろこしも涅炉堂のどうぶつ焼きも食べてないのにー!」 「はいはい、そんな怪しい名前をした店のモノなんて食べなくていいから、あっちに行くぞ」 ずるずるとセイバーを引きずって、食いしん坊を誘惑する食べ物スペースから離脱した。
129 名前: 夏祭り シエル⇒セイバー 投稿日: 2005/07/24(日) 00:26:49「…………大帝都の串焼き………翔裸のイチゴクレープ…………機関誌トマスのりんご飴………」 呪文のように露店名を呟くセイバー。 「大丈夫だってば、花火が終わりそうになったら戻るから。食べたい物はその時食べればオッケーだろ。食べ物は逃げないけど花火は逃げるんだから、今はこっちが優先事項だよ」 「……うう、屋台のお店にだって脂が乗ってる時間帯があるんですけどねえ……」 ……ありゃ、しゃがみこんで地面になにやらラクガキしだした。 まずいな、こりゃあ根が深いと考え込んだ時。 一際大きく、夜空に轟音が響き渡った。 「――――あ」 俺とセイバー二人の声がハモる。 揃って夜空を見上げると、そこには―――・ 色とりどりに咲く、火薬で作られた花々があった。 ぱん、ぱん、ぱん。 ここが高台だからだろうか、花火はとても近くに感じられた。 閃く散華。 火薬の匂いも、飛び散る破片さえも届きそうな炎の花。 夜空は煙で白み、その中で次々と咲いては散っていく赤く青く、オレンジ色に広がる紋様。 「――――――きれい、ですね」 気がつけば、傍らからセイバーの声が聞こえた。 「――――――だな」 つまらない返答しかできず、絶え間なく点滅する夜空を見上げる。 次々と現れては消える光。 それを美しいと感じながら、不意に。 この一日が、とても得がたいものに感じてしまった。 ……花火は休みなく打ち上げられる。 それを遥かに望む地上で、一瞬だけの瞬きに永遠を見る。 「あ、いまのすごい。四連、ううん五連花火です」 隣から聞こえる声。 セイバーは夜空を染める花火を見上げている。 その横顔を見つめがら、一体いつまでこうしていられるのか、なんてコトを考える。 「――――――――はは」 けど、そんなコトはこの瞬間には関係がない。 俺たちの前には色々な問題が山積みで、ずっとこうしていられるんだ、なんて希望的観測を持つ事すら難しい。 けど、それと今は無関係。 天に瞬く花火が一瞬で消えるように、永遠に続く物などありえない。 けれどその輝きに永遠を見る。 かけがえのない、戻りようのない瞬間を心に残してただ明日へ明日へと走っていくだけ。 ……この花火が終われば祭りは終わる。 そして祭りが終われば、それは。 「―――――夏も終わりだな、セイバー」 彼女と過ごした、一番初めの夏の終わりだった。 「え? なにか言いました、シロウ?」 「――――いや、何も。今の六連花火、すごかったなって」 「はい! やっぱり花火はこうでなくては!」 楽しそうに声をあげるセイバー。 それに笑顔を返して、もう一度夜空を見上げた。 夜空には咲き誇る火の大輪。 イヤというほど汗をかいた夏の日を吹き飛ばすような祭りの終わり。 もうじき花は消えて、夜はもとの静けさを取り戻すだろう。 ―――日々は、ただ過ぎていくだけの煌きだ。 けれどその火で何度も何度も焦がされた胸は、いつになっても傷跡を残してくれるだろう。 「―――あ、八連! 今の八連でしたよシロウ!」 傍らには大切な人の笑顔がある。 花火は途絶え、祭りがはねて、夏が終わって。 ふと気がつけば、今年も沢山のモノと沢山のアトを両手に抱えているに違いない。 「―――おっ、そろそろラストだぞセイバー。最後は十連どころか二十連ぐらいいくっぽい」 だから、今は暗いコトなんて考えずに走っていく。 季節が過ぎて年をとって終わりが来ても、その時まで繰り返しで進んでいくのが人生だ。 だから、いつか星になっても。 大切な人と、持ちきれない程の思い出を作るのが今の目的。 それではまた。 来年の夏、どうかとびっきりの暑い季節が来ますように―――― ☆偽セイバーグッドアフターです ☆意外なほどほとんど手を加えなくてもしっくりきましたw ☆で、他のキャラは他の職人さんにお任せします
130 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 02:20:42GJ! その一言につきる。
131 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 02:51:32浴衣セイバー(;´Д`)ハアハア
132 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 12:58:16GJ! というか今までこのシーンの改変が無かったのは不思議だ。
133 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 13:04:44>>123 正直、負けた。 巨乳真剣白羽取り(ttp://jado-soft.com/index2.htm)を知っていてなお、 その境地に踏み込めなかった己の不覚――――
134 名前: 荒耶>>住人 投稿日: 2005/07/24(日) 14:02:28「>>133 ―――おしいな。一歩踏み込んでいれば、君は神だったのに」
135 名前: 葛木⇒凛 セイバー⇒葛木 投稿日: 2005/07/24(日) 15:24:02 葛木の脇をすり抜けながら木刀を一閃する。 「ぐ、く――――!?」 ―――問題にもならない。 木刀は容易く粉砕され、返す拳は俺の左足を根元から吹き飛ばし、 わずか一瞬で、遠坂に踏み込んでいた。 ―――時間が止まる。 愕然としながら、それでも咄嗟に手のひらを葛木に向ける遠坂。 その胸の中心に、ガン、と。 あの、セイバーの首を貫こうとした右手が打たれていた。 「あ――――ぐ…………!」 胸を打たれ、呼吸を止められる遠坂。 そこへ、 城壁を穿つ槌(つち)めいた一撃が、容赦なく顔面に食い込んだ。 いや―――食い込む、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 拳撃を放った姿勢のまま、葛木宗一郎は呆然と目の前の敵を見た。 「―――――――ばか、な」 彼でさえ事態が掴めていない。 一直線に突き穿つ必殺の一撃。 それが止まっている。 敵の顔面を吹き飛ばす直前に、何かに拳を挟まれて停止している。 「――――髪の、毛?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼の拳は、敵である遠坂凛によって止められていた。 ツインテール。 高速で突き放たれるソレを、少女は両側のツインテールで、挟み込むように止めていたのだ。 「―――侮ったわね、葛木先生」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」
136 名前: 葛木⇔セイバー 投稿日: 2005/07/24(日) 16:00:32「ぐっ……!」 肩口に落ちる衝撃。 左肩は完全に破壊された、と敵を睨んだ瞬間、彼女の背筋は凍り付いた。 ぐるん、と男の体が半身を引く。 今まで一度も使われなかった右腕。 常に彼女の喉の高さに位置されていたソレは、それこそ、砲弾のように放たれた。 「――――――――」 今まで線でしかなかった敵の攻撃は、ここにきて点だった。 正面にいるセイバーに対して、一直線に放たれる打突の拳。 その威力、針の穴ほども通す精密さを持つこの男なら、貫ける。 溜めに溜めた渾身の一撃ならば、セイバーの喉を貫き骨を断ち、完膚無きまでに頭を飛ばすに容易すぎる――――! いや―――吹き飛ばす、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 拳撃を放った姿勢のまま、葛木宗一郎は呆然と目の前の敵を見た。 「―――――――ばか、な」 彼でさえ事態が掴めていない。 一直線に突き穿つ必殺の一撃。 それが止まっている。 敵の顔面を吹き飛ばす直前に、何かに拳を絡まれて停止している。 「――――髪の、毛?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼の拳は、敵であるセイバーによって止められていた。 アホ毛。 高速で突き放たれるソレを、少女は一房だけピンとはねたアホ毛で、絡み込むように止めていたのだ。 「―――侮りましたね、クズキ」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」
137 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 16:25:43「ぐっ……!」 肩口に落ちる衝撃。 左肩は完全に破壊された、と敵を睨んだ瞬間、彼女の背筋は凍り付いた。 ぐるん、と男の体が半身を引く。 今まで一度も使われなかった右腕。 常に彼女の喉の高さに位置されていたソレは、それこそ、砲弾のように放たれた。 「――――――――」 今まで線でしかなかった敵の攻撃は、ここにきて点だった。 正面にいるセイバーに対して、一直線に放たれる打突の拳。 その威力、針の穴ほども通す精密さを持つこの男なら、貫ける。 溜めに溜めた渾身の一撃ならば、セイバーの喉を貫き骨を断ち、完膚無きまでに頭を飛ばすに容易すぎる――――! いや―――吹き飛ばす、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 拳撃を放った姿勢のまま、葛木宗一郎は呆然と目の前の敵を見た。 「―――――――ばか、な」 彼でさえ事態が掴めていない。 一直線に突き穿つ必殺の一撃。 それが止まっている。 敵の顔面を吹き飛ばす直前に、何かに拳を絡まれて停止している。 「――――口、だと?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼の拳は、敵であるセイバーによって止められていた。 口。 高速で突き放たれるソレを、少女は大きく開けた口で、咥え込むように止めていたのだ。 「―――あはほいわひはへ、クフヒ(侮りましたね、クズキ)」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」
138 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 16:55:05同じのばっかりは飽きちゃうぜ。
139 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 17:52:45連投する事に意義があるんだろう、多分 ツインテールだけは笑った。 次のセイバーネタは容易に想像できたが。
140 名前: 士郎→SHIROU 投稿日: 2005/07/24(日) 17:56:17「……いいぜ。やってやろうじゃないか」 難しい事を悩むのは止めだ。 今はただ、来たヤツを叩き出すだけ。 「……まずは、武器をどうにかしないと」 魔術師といっても、俺に出来る事は武器になりそうな物を"強化"する事だけだ。 戦うには武器がいる。 土蔵なら武器になりそうな物は山ほどあるが、ここから土蔵までは遠い。 このまま居間を出た時に襲われるとしたら、丸腰ではさっきの繰り返しになる。 ……難しいが、武器はここで調達しなければならない。 出来れば細長い棒状の物が望ましい。相手の得物は槍だ。ナイフや包丁では話にならない。 木刀なんてものがあれば言うことはないのだが、そんなものは当然ない。 この居間で武器になりそうな物と言えば―――― 「うわ……藤ねえが置いていったポスターしかねえ……」 がくり、と肩の力が抜ける。 が、この絶対的にどうしようもない状況に、むしろ腹が据わった。 ここまで最悪の状況なら、これ以下に落ちる事はない。 なら―――後はもう、力尽きるまで前進するだけだ。 「――――同調(トレース)、開始(オン)」 自己を作り替える暗示の言葉とともに、長さ六十センチ程度のポスターに魔力を通す。 あの槍をどうにかしようというモノに仕上げるのだから、ポスター全てに魔力を通し、固定化させなければ武器としては使えないだろう。 「――――構成材質、解明」 意識を細く。 皮膚ごしに、自らの血をポスターに染み込ませていくように、魔力という触覚を浸透させる。 「――――構成材質、補強」 こん、と底に当たる感触。 ポスターの隅々まで魔力が行き渡り、溢れる直前、 「――――全工程(トレース)、完了(オフ)」 ザン、とポスターと自身の接触を断ち、成功の感触に身震いした。 収束し、回転し、臨界に達する魔力の燐光。 「巧く、いった―――」 強化の魔術が成功したのは何年ぶりだろう。 切嗣が亡くなってから一度も形にならなかった魔術が、こんな状況で巧くいくなんて皮肉な話だ。 「ともあれ、これで――――」 なんとかなるかもしれない。 剣を扱う事なら、こっちだってそれなりに心得はある。 両手でポスターを握り締め、居間のただ中に立った。 どのみちここに留まっても殺されるし、屋敷から出たところで逃げきれるとも思えない。 なら、あとはこのまま居間に残って、襲い来る敵を迎撃するだけだ―――― 「――――――ふう」 来るなら来やがれ、さっきのようにはいくもんか、と身構えた瞬間。 「―――――――!」 ぞくん、と背筋が総毛立った。 何時の間にやってきていたのか。 天井から現れたソレは、一直線に俺へと落下した。 「な………え――――?」 頭上から滑り落ちてくる銀光。 天井から透けて来たとしか思えないソイツは、脳天から俺を串刺しにせんと降下し――― ……時間が止まる。 逃れられない破滅を前にして、思考が停止する。 だが、それは。 決して、襲撃者への恐怖による物ではなかった。 収束する光。 その純度は、禍々しいだけの襲撃者の殺気とは比べるべくもない。 俺の手にあるモノは。 星の光を集めた、最強のポスターである。 「――――恋のラブリーレンジャーランド――――!!!」 ―――それは、ありえない剣戟だった。 「ぬっ――――!?」 触れる物を例外なく切断する光の刃。 襲撃者を一刀のもとに両断し、暗闇の居間を翔け、屋根を断ち切って消えていく。 ……おそらく。 コレを上方ではなく前方に撃っていたのなら、街には永遠に消えない大断層が残っただろう。
141 名前: Rebirth→Death 投稿日: 2005/07/24(日) 21:47:45小さな火事が起きたのだろう。 見慣れた町は一面の廃墟に変わる事もなく、映画で見る戦場跡の様でもなかった。 ―――それも、長くは続かない。 夜が明けたころ、火の勢いは弱くなった。 あれほど低かった火の壁はさらに低くなって、建物はほとんどが無事だった。 ……その中で、原型を留めていないのが自分だけ、というのは不思議な気分だった。 この周辺で、死んでいるのは自分だけ。 よほど運が悪かったのか、それとも運の悪い場所に家が建っていたのか。 どちらかは判らないけど、ともかく、自分だけが死んでいた。
142 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 22:40:12過去最速のエンドか?w
143 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 23:08:35> 141 死ぬはずがない火災で死ぬ その、ただの人間では成し得ない行為により、SHIROUは英霊に。
144 名前: きのこ名作実験場 投稿日: 2005/07/24(日) 23:29:09 いち。 に。 さん。 はじまらないっ!
145 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 23:31:46>>142 前あった「その日、運命に出会わない」より速いなw
146 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/24(日) 23:49:41>>141 ……なあ。 これって「火事」って言うより、 むしろ「人体自然発火現象」なんじゃ?
147 名前: プロローグ 投稿日: 2005/07/24(日) 23:58:21 それは、稲妻のような切っ先だった。 心臓を串刺しにせんと繰り出される槍の穂先。 躱そうとする試みは無意味だろう。 それが稲妻である以上、人の目では捉えられない。 だから。 この身を貫こうとする稲妻は、 この身を救おうとする月光に弾かれ…ることなく俺を貫いた。
148 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 00:01:52「興がそがれた。責任を取って貰うぞ、人間」 ネロは変わらない。 あくまでアルクェイドを包み込んだ半身をそのままにして、 そんな半分だけの体でいるらしい。 「契約しよう、人間――私は貴様を、一生許(はな)さない」 The worst dead end 「知得留先生の授業」を受けますか? →1,はい 2,いいえ メルシー! もうだめですねー、遠野くんは。 いくらなんでもこんな終わり方はあんまりでしょう? 今回の失敗点はズバリ、 体内動物園の好感度をひたすらあげてしまったことにあります。 遠野くんがいくら超人でも、彼は攻略できないので素直に諦めましょう。 それではみなさん、さようならー!
149 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 00:09:09>>147 最速記録更新!! ゲーム的にねw
150 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 00:16:57最速エンドを目指すスレ
151 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 01:34:47>>146 パラサイトイブを思い出した
152 名前: 士郎→凛 投稿日: 2005/07/25(月) 03:44:50思考は冴えている。 自身の財産は把握している。 就職活動、労働、労働、労働、労働、労働の報酬による賃金収入、 投資理論・高い卵による財テク世界の具現、 日本銀行券に刻まれた「紙幣番号」をめくり返す偽造犯罪。 アーチャーが蓄えてきたヘソクリ、預金、有価証券の継承。 訂正、クレジットカードの読み込みは失敗。浪費すれば破産するのは以前のまま。 固有結界・「無限の金製」使用不可。 アーチャーの業界と私の業界は異なっている。転職はできない。 複製できるものは遠坂凛が直接盗んだデータか、ヤツが記録した個人情報のみ。 口座から預金を引き出す場合、 使用目的に最も適した小切手を「無限の金製」から検索し複製する。 だが注意せよ。 投資は諸刃の剣。 一度でも行使すれば、それは自らの―――――
153 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 18:25:46>>151 1はクリアしたけど2をやる気がどうしても起きなかった。 洋画だか邦画だか覚えてないけど確か映画にもなったんだよなアレ。
154 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 18:45:58映画化されたのは原作の小説のほうだな。 ゲームの方はまた別のオリジナルストーリー。
155 名前: 惨劇の跡 投稿日: 2005/07/25(月) 21:03:37「は、はぁ、はぁ、は――――!」 甲高い足音が闇に響く。 電灯の消えたフロアを、間桐慎二は逃げるように走っていく。 「くそ――――なんだよ、なんなんだよあの女、あんなデタラメあっていいのかよ……! ライダーの宝具は一番強いんだろう、なのにどうして負けるんだよ……! セイバーのクセにあんな宝具持ちやがって、不公平だ、不公平だ、不公平だ……!」 階段を転がり落ち、壁に衝突し、地面を這いながら間桐慎二は地上を目指す。 彼の脳裏には、ライダーを両断した光が焼きついて離れない。 彼が罵倒するように、あの宝具は規格外の存在だ。 味方になら神々しく映るであろう聖剣は、敵対する者から見れば悪魔の産物に他ならない。 「ふ、ふあ、あ――――!」 故に、暗闇であろうと走る。 立ち止まればあの光がやってくる。 振り返ればライダーのように影も形もなく蒸発させられる。 サーヴァントを失った事より、令呪を失いマスターでなくなった事より、彼は自分の命を優先する。 「はっ――――くそ、くそくそくそくそ……! 何が私の宝具は無敵です、だ……! あの口だけ女、よくも僕を騙してくれたな……! 余裕ぶっていたぶってるから寝首をかかれるんだよ間抜けがっ……!」 もっとも、それは間桐慎二が命じた事だ。 簡単には殺すな、と。 宝具を使用するからには一撃で仕留めるべきだ、というライダーの忠告を蹴りつけて彼はセイバーを追い詰めたのである。 「は――――あ、ひゃあ…………!?」 何度目かの転倒。 もうすぐこの暗闇から抜けるというのに、何か大きな壁にぶつかった。 「っ、こんなところに壁なんか作りやがって……!」 ガン、と激情に任せて殴りつける。 「――――は?」 これ以上は望めないという至近距離からの拳打は、(壁だと思っていた)褐色の狂戦士の息の根を止めていた。 いや。 それは豪快に、文句のつけようもなく、『命を弾き飛ばしていた』。 バーサーカーの腹を叩き潰したのか。 びちゃり、と、まだ数メートルは離れたイリヤにまで血が飛んでいった。 ……えっと、臓物かな、アレ。 あきらかに血でないものまで混ざっているのは、どうにも手放しで喜べないというか。
156 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 21:10:15SHINJIつえええええええ
157 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 21:11:11うはwwwwwwwそうきたかwwwwwwww 俺はてっきりスーパーシンジ再びかと思ったよ
158 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 21:13:31Aランク相当の駄々っ子パンチ、流石だなw
159 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 21:16:35イリヤに顔射wwww
160 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 21:17:23慎二が強過ぎるのか バサカが豆腐で出来てるのか
161 名前: ネロ→アルク アルク→ネロ 投稿日: 2005/07/25(月) 21:25:28 真祖は全神経をネロに向けている。 無関係である自分にもわかるぐらいに、真祖は前しか見ていない。 背後から走り込んでくる俺に、あと数秒で解体されるなんて夢にも思っていない、無防備すぎるその背中。 ――行ける。 直感。 間違いなく、このまま殺せる。 「―――」 あと一歩。 それで終わり。 「―――――え?」 足が、止まった。 なんだ。 なんだ、コイツの体――――!? 「な―――い」 ない。 ない、ない、ないないないないないない……! 一本たりとも死の『線』がない! そんな馬鹿な、そんな『命』があるはずが――― ―――ずき、ん。 頭痛が走る。 ナイフを持った指が震える。 ぎり、という頭が潰されるような痛みのあと。 「―――人間!」 ……ネロの、声。 ああ、迷っている暇なんてない。 もう真祖の背中は目の前なんだ。とにかく、首か心臓、どこでもいいから急所をつけば終わる。 「―――そこ!」 声をあげて、ナイフを落とす。 けれど、その前に。 真祖の後ろ姿が、急にブレた。 どすっ。 まるで鉄球を受けたような衝撃で、真祖の裏拳が腹部にめり込む。 「ごっ―――」 どぶ、と。 拳は衝撃をともなって、こちらの腹めがけて飛び込んできた。 「―――ぐっ!」 なんて力。 軽く何メートルも吹き飛ばされて、俺は地面に叩きつけられた。 「―――!?」 全身が痛くて、立ち上がれない。 「こ―――の」 体が、動かない。 地面に縫いつけてしまったみたいに、動けない。 「―――あら。ただの人間?」 真祖の声が聞こえる。 地面に張りついたまま、真祖とネロへ視線を向けた。 「あなたの使い魔?残念だったわね。昼間ならともかく、今のわたしはほぼ無敵に近い。 もとより、夜のわたしに奇襲は通用しない」 「……そのようだな。私以外のモノを一切見ていなかったいうのに、 咄嗟の背後の危険に反応できるとは。 それが朱い月の後継の強み、というところか、真祖の姫」 ネロは僅かに片目を細めた後、ゆらりと真祖に向かって歩き出した。 「――へえ。一介の死徒に劣るほど衰退している貴方が、そのままわたしに挑むつもり?」 「いらぬ。たかだか真祖相手に全力を使っても仕方なかろう。 貴様程度――この身の獣のみで十分だ。アルクェイド・ブリュンスタッド」 アハハ、と一見無邪気な、短い笑い声があがる。 「―――たわけるな。その身を痴れ、ネロ・カオス―――!」 真祖の片腕が上がる。 スカートがはためくのを確認することもできず、轟音を上げて、弾丸のような速さで、ネロめがけて真祖が走る。 「―――」 ネロは動けない。 白の真祖は、ただ、地面を駆けて行くだけでレンガ作りの地面にヒビをいれていく。 逃げようとするネロより、真祖のほうが何倍も速い。 ―――真祖がネロに爪を振り下ろす。 あっさりと、終わった。 一瞬にして。 真祖は、黒い獣に突き飛ばされて、地面に転がった。 「―――な、に?」 真祖の声が響く。 ネロは何も言わない。 そのまま、アルクェイド本体へと次々と獣を放つ。 「―――!」 真祖が咄嗟に回避しようとする。 立ち上がろうとした瞬間に、獅子が追撃を加え、さらに吹き飛ばした。 なんとか体勢を整えた真祖が襲いかかろうとした瞬間、豹が顔面に噛みついた。 さらに、虎が胴体そのものにむしゃぶりつく。 そのあとに続くものは、みな次々と追撃を加えた。 「―――な」 真祖が逃げる。 無数の大蛇が真祖を襲う。 どぼり。 真祖は大蛇に纏わりつかれ、蛇たちはそのままもとの黒い濁流に戻っていく。 今の俺と同じように、正確には俺の何百倍という質量に圧迫されて、真祖は地面にくぎ付けにされてしまった。 「―――――」 勝負に、なってない。 ……ネロのヤツ、なにが動くだけで精一杯だ。 真祖の突進や爪の一撃は決して弱いものじゃない。 それぞれ一撃で自動車をまたたくまにスクラップに出来るほどの威力なんだ。 そんな真祖が、なす術もなくネロの獣に阻まれ、自身もすでに身動きがとれない状態になっている。 「は―――――」 なんだかバカみたいだ。 これなら、俺なんて初めからいなかったほうが良かったんじゃないだろうか―――
162 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 22:14:32どこで仲良くなったんだ二人とも。 ・・・そうか、一緒にお餅を焼いたんだな!?(ちょっと前のネタ)
163 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/25(月) 23:01:50>>155 うはwwwSHINJIツヨスwwwwwwwwww
164 名前: HF柳洞寺の戦い 投稿日: 2005/07/25(月) 23:26:19「ワシを仕留めるか、サーヴァントの後を追うか。 どちらにせよ、足を動かさねば始まるまいて」 そう語る老魔術師の周囲には、キイキイと蠢くものがある。 いや、蠢いているのは臓硯の周りだけではない。 暗い影、月光を遮断する闇そのものが移動している。 「―――――猫」 見えなくとも判る。 闇の正体は細かく、おぞましいほど密集した猫の群れだ。 このお堂の四隅、壁という壁に、闇より黒いモノが敷き詰められている。 この空間は、ニャーニャーと鳴く小猫の声と、妖しく光る目で支配されていた。 「どうした?なにを躊躇う?先日、ワシの腹を断ってくれたのはおぬしたち であろう。遠坂の小娘と組んで、ワシを始末する腹ではなかったのか?」 ……猫遣いは明らかに愉しんでいる。 響策一本で、部屋中に集まった何万という猫を払うことなどできない。 臓硯が命令を下せば、何をやっても猫の波に飲まれるだろう。 ―――いや、それとも。 全力で外に逃げ出せば窮地は脱せるかもしれない。 多いといっても所詮は猫だ。 そんな、秒単位で人間一人をどうにかできるとは思えない。 「よいぞ、ワシは幾らでも待とう。セイバーの帰還を信じて待ち続けるか、 その武器でワシを仕留めるか、それとも我が猫どもを振り払い外にでるか。 好きな死に方を選ぶがよい」
165 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 03:09:53>>164 猫好きには苦痛
166 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 10:01:23だがそれがいい。
167 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 10:08:48え、天国じゃないか。何万もの猫ハァハァ
168 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 10:42:44ネコさん(;´Д`)ハアハア
169 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 11:08:33「ワシを仕留めるか、サーヴァントの後を追うか。 どちらにせよ、足を動かさねば始まるまいて」 そう語る老魔術師の周囲には、キイキイと蠢くものがある。 いや、蠢いているのは臓硯の周りだけではない。 暗い影、月光を遮断する闇そのものが移動している。 「―――――戦車」 見えなくとも判る。 闇の正体は細かく、おぞましいほど密集した戦車の群れだ。 このお堂の四隅、壁という壁に、闇より黒いモノが敷き詰められている。 この空間は、ごーっという機械音と、オイルの匂いで支配されていた。 「どうした?なにを躊躇う?先日、ワシの腹を断ってくれたのはおぬしたち であろう。遠坂の小娘と組んで、ワシを始末する腹ではなかったのか?」 ……戦車遣いは明らかに愉しんでいる。 響策一本で、部屋中に集まった何万という戦車を払うことなどできない。 臓硯が命令を下せば、何をやっても戦車の波に飲まれるだろう。 ―――いや、それとも。 全力で外に逃げ出せば窮地は脱せるかもしれない。 多いといっても所詮は戦車だ。 そんな、秒単位で人間一人をどうにかできるとは思えない。 「よいぞ、ワシは幾らでも待とう。セイバーの帰還を信じて待ち続けるか、 その武器でワシを仕留めるか、それとも我が戦車どもを振り払い外にでるか。 好きな死に方を選ぶがよい」
170 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 11:15:34>>169 >多いといっても所詮は戦車だ。 >そんな、秒単位で人間一人をどうにかできるとは思えない。 人間TUEEEEEEEEEEEEEEEE!
171 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 11:26:38エミヤ(←何故か理解されない)
172 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 12:05:09ランデル伍長を呼んでこい
173 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 12:53:38確か、間桐は中東出身だっけか?すると・・・・
174 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 13:00:39>>169 JOJOにそんなスタンド居たな
175 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 13:11:58多分バッドカンパニーなんだろうけど あれの主力は歩兵部隊 戦車は数台
176 名前: 蒼い鬼人:Fateメンツ変換 投稿日: 2005/07/26(火) 13:36:24―――それを、彼は最も近い位置で見てしまった。 彼は893の家と関わりのある、ある魔術師の養子だった。 だが彼は義父とは異なり、魔術師では無く魔術使いだった。 彼にとっては魔術師の栄誉なぞより家族の安全の方が何倍も大事だったからである。 中略 「あ――――――」 だらしなく声をあげて、彼は自身がひどく危うい所にいるのだと気が付いた。 「あは、は――――」 壊れた人形のように声をあげる。 それも、絶え間なく響く快音にかき消される。 かちゃ。ぱく。こくこく。はむはむ。 問答無用というのはコレか。 彼は、その様を笑いながら見ていた。 見ているしかなかった。 嵐がそのまま部屋に押し入ったかのような傍若無人ぶりで、従者は食卓の団欒を消滅させた。 ……襖が開いて従者が現れた時、彼は喉を鳴らしたものだ。 虎がどう反応するのか。 完全に暴食魔としての血を覚醒させている■■■に対して正面から挑むなど、 食料を一トン用意しても勝利できる方法ではない。 噂に聞く最強の剣使いがどう出るのかと思考した矢先、それは起きた。 居間には漆塗りの台がある。 従者は現れるなり、その下に滑りこんだ。 「む?」 と、彼も■■■も意表を突かれた。 なにしろ台の下だ。そんな所に滑りこんで何を、と思った瞬間、数多の料理達は皿を掴まれ台の下に引きずり込まれた。 ―――そうしてコレだ。 皿の上の料理をこぼす間もなかった。 台の下に引きずり込まれた途端、まず、海老の天麩羅と呼ばれた料理の尻尾が畳の上を転がってきた。 あとはカチャカチャと空の皿が転がってくる。 あの台の下。 人間一人がうつぶせになってようやく入れる程度の空間で世にも凄惨な咀嚼作業が行われ、そして―― 口周りに食べかすをつけて、従者が這い出てきた。 「あ―――あはは、は――――」 「―――――――――――――」 セイバーは笑い呆けている彼へと歩み寄る。 感情のない眼が、料理人である彼を見据えていた。 「はは―――――ははははははは」 殺される、間違いなく殺される、と彼は直感した。 指をさしてデタラメな剣使いを笑う。 片手に箸を持った剣使いは彼の前に立ち、その足元に転がっている茶碗を拾った。 ずっ、という重い音。 剣使いは茶碗を持って、そのまま、あらゆる食料を食べつくすように 「おかわり」 笑い続ける彼に、茶碗を差し出した。
177 名前: HF君を忘れる>逆襲の士郎 投稿日: 2005/07/26(火) 13:47:03士郎そのまま セイバー>外道凛 躊躇いはない。 遠坂の目を見つめたまま、彼女の視線を無視して、借用書の束を叩き付けた。 俺の行動を予想さえしていなかったのだろう。 天文学的数値の借金はきっかりと一撃で、遠坂を卒倒させた。 「――――――――――、―――」 いろいろ嫌な思い出があった。 ちゃんと、今も酷使された体の疲労があった。 忘れようのない、過酷な労働の記憶ばかりがあった。 その記憶ごと遠坂を捨てた。 自分の記憶を抉り、手の届かないところに全力で投げ捨てた。 もう、二度と入金する事はない。 二度と、彼女のために働く事はない。 ―――そんな苦行は、もう絶対に勘弁だ。 俺はこの道を選んだ。 過労死しない為に遠坂を見捨てた。 無軌道に借金しまくった浪費者の少女に、正当なツケを払わせた。 後悔も懺悔もない。 ……正義の味方をするという事。 ただ一つの尊い理想の為、全てを切り捨てる。 たとえその先に。 求めたものが、何一つないとしても。 「――――それじゃ、遠坂」 叶えられない理想でも、一生涯求め続ける。 もとより届かないユメ、はや辿り着けぬ理想郷。 衛宮士郎が偽物だとしても―――そこにある物だけは、紛れもない本物だろう。 正義などこの世にはない、と。 現実とは無価値に人が死に続けるものだと。 そんな悟ったような諦め(言葉)が、正しいとは思えない……! 「――――頑張って返済してくれ。もう面倒みきれない」 ……俺の家計簿から重みが消える。 あかいあくまは最期まで口を閉ざし、俺をぼんやりと見上げたまま、借金の海に沈んでいった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 衛宮士郎大勝利! 摩耗の未来へ投影開始!!
178 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 14:21:25>>177 何でラストがGガ○ダム風なんだよ!
179 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 18:08:04「ワシを仕留めるか、サーヴァントの後を追うか。 どちらにせよ、足を動かさねば始まるまいて」 そう語る老魔術師の周囲には、キイキイと蠢くものがある。 いや、蠢いているのは臓硯の周りだけではない。 暗い影、月光を遮断する闇そのものが移動している。 「―――――小人」 見えなくとも判る。 闇の正体は細かく、おぞましいほど密集した臓硯そっくりの小人の群れだ。 このお堂の四隅、壁という壁に、闇より黒いモノが敷き詰められている。 この空間は、カラカラと笑う臓硯の声と、妖しく光る目で支配されていた。 「どうした?なにを躊躇う?先日、ワシの腹を断ってくれたのはおぬしたち であろう。遠坂の小娘と組んで、ワシを始末する腹ではなかったのか?」 ……小人遣いは明らかに愉しんでいる。 響策一本で、部屋中に集まった何万という小人を払うことなど気持ち悪い。 臓硯が命令を下せば、何をやっても小人の波に飲まれるだろう。 ―――いや、それとも。 全力で外に逃げ出せば窮地は脱せるかもしれない。 多いといっても所詮は小人だ。 そんな、秒単位で人間一人をどうにかできるとは思えない。 「よいぞ、ワシは幾らでも待とう。セイバーの帰還を信じて待ち続けるか、 その武器でワシを仕留めるか、それとも我が小人さんを振り払い外にでるか。 好きな死に方を選ぶがよい」
180 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 18:13:17あんまり同じネタ使われると萎える。 が、 >おぞましいほど密集した臓硯そっくりの小人の群れ ここで刻印虫噴いた。
181 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 18:15:52我もバビロン吹いた
182 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 19:29:34>我が小人さん ここで「俺のエクスカリバー」を連想した私はダメだと思った。
183 名前: vs 学校渡り廊下 投稿日: 2005/07/26(火) 20:19:29 一歩、踏み込む。 「おまえ―――なにを」 「……物事の『死』が視えるという事は、この世界すべてがあやふやで脆いという事実に投げ込まれることだ。 地面なんて無いに等しいし、空なんて今にも落ちてきそう」 「なにを―――何の事を言っているんだ、おまえ」 ロアの声が、動揺している。 ……それはそうだろう。 だって、俺が言っていることを、あいつは一ミリだって理解できない。 それはつまり―――ヤツと俺の目は、よく似ているだけでまったくの別物だという事だから。 「―――やめろ。その目で―――その目で私を見るな」 ロアの声に恐れが交じる。 いみじくもヤツ自身が言っていた。 ヒトは、未知なるものを本能的に恐れる生き物だって。 「……一秒先にも世界すべてが死んでしまいそうな錯覚を、おまえは知らない。 ―――それが、死を視るという事なんだ。 この目はさ、おまえみたいに得意げに語れる力なんかじゃない」 そう、歩くことさえ、恐ろしかったあの頃。 俺だって―――あの人に出会っていなければ、とうの昔にどうかしていた。 「それがおまえの勘違いだ、吸血鬼。 命と死は背中合わせでいるだけで、永遠に、顔を合わせることはないものだろ」 「だから―――その目で私を見るなと言っているだろう……!」 走ってくる足音。 けど、俺のほうが何倍も早い。 「―――教えてやる。 これが、モノを殺すっていうことだ」 告げて。 右手のナイフが、廊下の『点』へと走っていく。 「――――――え?」 その直前。 廊下の死の点が、急速な勢いで増えていった。 一つ。二つ。三つ。四つ。五つ、八つ、九つ、十、二十―――― 八十、百、二百、三百、四百―――――! 「―――――!?」 ……なにか、違う。 これは廊下の『死』じゃない気がする。 これはもっと異質なものの集合体だ。 ここは――――この学校の廊下は、いったい何がどうなって――― 「―――――! 志貴、逃げて!」 冷静なロアの声。 「………え?」 だが、俺はソレを瞬時に理解できなかった。 ぬめり、と足元が沈む。 あれほど確かだった床が、ぬかるみのようになっている。 「あ――――――」 足元は、真っ黒い何かに満ちていた。 ぐらりと体が倒れる。 黒い水たまりに沈んだ俺の足首は、そこから先がなかった。 「――――――」 ばしゃん、と音をたてて水たまりに倒れこむ。 ……水たまりには底がない。 黒い水たまりは、そのまま巨大な動物の口にかわって、俺の体を圧搾した――――
184 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 20:21:37>「―――――! 志貴、逃げて!」 >冷静なロアの声。 いや、ちょっと待てw
185 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 20:22:19ちょwwwwwwwwロアwwwwwwwwwww
186 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 20:23:31廊下やるな!
187 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 20:35:51>>184 そこの部分、直し間違いじゃなくてわざとだろうなw 爆笑したわ。
188 名前: 士郎⇔凛 桜⇔慎二 投稿日: 2005/07/26(火) 21:10:34「兄さん!」 「あ……桜」 びくり、と体を震わせる慎二。 桜はわたしたちの事など目に入っていないのか、早足で一直線に慎二まで近寄った。 「どうして道場に来ないんです! 兄さん、わたしに断りもなく休むなんてそれでも副主将なんですか!?」 桜の手があがる。 それを、 「おはよう、桜。朝練ご苦労さま」 掴んで止めて挨拶をした。 「え、遠坂先輩……!? ―――そう、また遠坂先輩の家に行ってたんですね、兄さん!」 「……ああ。遠坂の所に手伝いに行っていた。けど、それは」 「同級生としての義務ですって? まったく未練がましいですね。自分を振った相手にかまうコトなんてないでしょう。いいから、兄さんはわたしの言う通りにしていればいいんです」 ふん、と捕まれた腕を戻す桜。 ……慎二に手をあげなければ握っている理由もないし、こっちも何もせずに手を離した。 「しかしなんですね、そこまでうちの邪魔をして楽しいんですか先輩? 兄さんは弓道部の副主将なんですから、無理矢理朝練をサボらせるような真似はしないでくれませんか」 「――――む」 それを言われるとこっちは反論できない。 慎二の、うちに朝食を作りにくる等の奉仕行動を止めていない時点で、わたしは慎二の朝を拘束しているコトになる。 「そんなコトないっ……! 僕は好きで遠坂の手伝いをしているだけなんだ。桜、今のは言い過ぎなんじゃないか」 「は、言い過ぎですって? それはあなたの方です兄さん。先輩が家族なしだからなんだって言うんですか。別に一人でいいっていうんですから、一人にしておけばいいんです。先輩みたいな人はそっちの方が居心地がいいんですから」 「桜……! ……おい、今のはひどい、ぞ……」 「―――ふん。まあいいです、今日で先輩の家に行くのは止めてください兄さん。わたしが来るよう言ったのに部活に来なかったんです。そのくらいの罰は受ける覚悟があったんでしょう?」 「――――――――」 慎二は息を呑んで固まってしまった。 桜はそんな慎二を強引に連れて行こうとし、 「おはよう桜。黙って聞いていたけど、なかなか面白い話だったな、今の」 「え――――衛宮、先輩? 先輩、どうして遠坂先輩といるんですか」 「別に意外でもなんでもないだろ。 慎二は遠坂と知り合いで、俺は遠坂と知り合い。だから今朝は三人で一緒に登校してきたんだが、気づかなかったのか?」 「な――――と、遠坂先輩と、知り合い……!?」 「ああ。きっとこれからも一緒に学校に来て、一緒に下校するぐらいの知り合いだ。だから親友の慎二とも更に深く付き合っていこうかなって思ってる」 「遠坂先輩と、ですって…………!!!!!」 ぎっ、とこっちを睨む桜。 ……そこに、敵意を通り越した殺意を感じたのは気のせいか。 そりゃここんところ桜とはうまくいってなかったけど、そこまで一方的に恨まれるコトはしてないわよ、わたし。
189 名前: 士郎⇔凛 桜⇔慎二 投稿日: 2005/07/26(火) 21:11:32「はは、そんなバカな。冗談がきついですよ先輩。衛宮先輩が遠坂先輩とつき合う訳ないじゃないですか。 ……ああ、そうですか。先輩、勘違いしてるんでしょう。それは確かに11年前まで遠坂先輩とは姉妹でしたけど、今は違うんです。もう遠坂先輩とわたしは無関係だから、あまりメリットはないんですよ?」 「そうなのか? 良かった、それを聞いて安心した。俺、桜の事なんて、ちっとも興味なかったから」 「――――うわ」 桜に同情する。 わたしだったら、しばらく立ち直れないトラウマになるわよ、今の。 「――――先輩」 「それと桜? さっきの話だが、弓道部の朝練は自由参加の筈だろ。欠席の許可が必要だなんて話は聞いたことないぞ。そんな規則、俺はもちろん藤ねえや、美綴も聞いてないだろうなぁ」 「う―――うるさいですね、次期当主が出来損ないの兄に何をしようが勝手でしょう! いちいち人の家の事情に首をつっこまないでください!」 「ああ、それは同感だ。だから桜も―――遠坂の家の事をあれこれ言うのは筋違いじゃないか? まったく、こんな朝から校庭で騒がしいぞ、桜」 「っ――――――――!」 じり、と桜は後退すると、忌々しそうにわたしと慎二を睨み付ける。 「―――分かりました、今朝の件は許しましょう。 けど兄さん、次はありませんからね。今度なにかあったら、その時は自分の立場ってものをよく思い知らせてあげます」 言いたい放題言って、桜は早足で校舎へ逃げていった。 うん。アレはどう見ても、士郎に貫禄負けして撤退したのだ。 「……すまん、遠坂。桜がその……朝から失礼な事を言っちまって」 申し訳なさそうに頭を下げる慎二。 慎二はわたしだけではなく、士郎にも謝っているのだろう。 「いや、朝からいい運動になった。頭のギアがスパッと上がったし、ようやく調子が出てきたからな。揉め事の仲裁好きなんだよなー、俺。 それに謝るのは俺の方だ。ちょっとやりすぎだったよな、今の。桜だって立場があるんだし、ほら、みんなの前でああいうのはしちゃ駄目だって言うし。 桜が落ち込んでたら後でフォローしてやってくれ。これに懲りずに、またつっかかってきてもいいって」 「あ―――ああ。桜が懲りてなかったらまた相手をしてやってくれ、衛宮」 安心したのか、嬉しそうに微笑む慎二。 士郎は照れくさそうにそっぽを向いていたりする。 「遠坂も。その、出来れば怒らないでやってくれ。桜、遠坂しか血縁いないから」 「分かってるわよ。怒るなっていうのは無理だけど、桜はああいうヤツだってのは生まれた時から知ってる。 ま、何かの拍子でまた姉妹に戻るのは目に見えてるもの。気長にやっていくわ、桜とは」 「ああ――――よろしく頼む、遠坂」 ぺこり、と軽く頭を下げる慎二。 ……そうね。 わたしが桜に対して本気で怒るっていったら、こんないい兄貴がいるのに何が不満なんだって所かもしれない。
190 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 21:21:16弱いな、慎二…
191 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 21:31:29桜と慎二がえらいことになってる件について
192 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 21:31:38この士郎、なんか言峰士郎な感じがするな
193 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 21:35:12というか、次期当主としてきたわけだから、桜がこういう性格になってもおかしくないような・・・。
194 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 21:38:33なんか、「月姫とジョジョのキャラが同じ学校にいたら」スレで出てきた DIOな桜と「なにするだぁーっ」な慎二がそのまま成長したらこうなりそうだなw
195 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 21:43:15慎二風桜に激しく萌えた俺は異端ですかそうですか
196 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 22:05:47>>188-189 を見て 凛→士郎 桜→慎二 「けど衛宮は死んでなんかいない。いまもこうやって、僕のなかで苦しんでるよ。 ……ははっ。衛宮、未開発だったんだな。僕がされたコトを一から体験させてやってるんだけど、一日目で泣き崩れてる」 (ファム・ファタール) なんて事が浮かんだ俺はもうダメだ。
197 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 22:24:37どんな事されたんだ慎二……w
198 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 22:35:46僕がされたコト(見てきたコト)を一から体験させてやってるんだけど(幼い桜に萌えて)一日目で泣き崩れてる」 これなら、辻褄があう。w
199 名前: 桜→慎二 投稿日: 2005/07/26(火) 23:03:56 「でも────それでも、魔術師になりたかった……! 自分の価値を、認められるようになりたかった……! 僕は、僕にとってはそれだけが、意味のあることだったのに、どうして……!」 他の誰が許さなくても、俺が、慎二の代わりに慎二を許し続けるだけだ。 「あ────────」 冷え切った体を抱きとめる。 ……回した腕は、ひどく頼りなかった。 強く抱きしめる事もできず、慎二を抱き寄せる事もできない。 ……俺には慎二を救う事はできない。 ただこうして、傍にいてほしくて、傍にいてやる事しかできない。 ……ぎこちなく慎二を抱く腕。 今はそうする事しか出来ないとしても、決心したものだけは、揺るぎのない本物だった。 「衛宮、僕は────」 「もう泣くな。慎二が悪いヤツだってコトは、よくわかったから」 「────────」 息を呑む音。 罪悪と後悔が混ざった慎二の戸惑い。 それを否定するように、精一杯の気持ちを告げる。 「────だから、俺が守る。どんな事になっても、慎二自身が慎二を殺そうとしても────俺が、慎二を守るよ」 「え、みや」 「約束する。俺は、慎二だけの正義の味方になる」 ……抱きしめる腕に、少しだけ力を込めた。 今はただ触れ合うだけでも。 この誓いは、何よりも堅いものであると告げるように。
200 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 23:05:04書いてて自分でもすげーキモいwww
201 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 23:05:06>>198 未開発ってのはロリコンとして未開発ってことかw
202 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 23:11:50>>199 腐女子ネタだけは、マジ勘弁。死ねる。
203 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 23:39:08腐女子っつーか慎二ヒロイン化だなw
204 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/26(火) 23:52:20ワカメで色んなネタになったり、スパシン(SHINJI)化したり、良い兄貴になったり、熱血展開の主役張ったり…… 様々な紆余曲折を経て、ついにはヒロイン化かよ慎二w
205 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 00:00:26ツンデレだからな
206 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 00:07:22相変わらず混沌だな、このスレw
207 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 00:08:28俺の中ではスーパーシンジってぇと未だに零距離からの攻撃すら膝と肘で防ぐあれが…
208 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 00:10:55使徒相手に日本刀一本で立ち向かう碇シンジよんで以来、 大抵のDQNキャラに耐性がついた…
209 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 00:21:41スパシンってーとやっぱ「俺をシンジと呼ぶな」だよなwwww いやシンジ違いだけど。
210 名前: fate最終決戦 言峰⇔士郎 投稿日: 2005/07/27(水) 00:22:02目前に広がるのは殺風景な荒野。 鋭く光った剣の海。 ―――そして――― 世界に穿たれた『心象風景』と、捧げられた店長の姿。 「――――衛、宮…………!」 冷静を演じてきた思考が、一瞬にして通常値を振り切る。 駆けて来た足を止め敵を凝視する 「よく来たな言峰綺礼。最後まで残った、ただ一人の監督者よ」 皮肉でに口元をゆがめ、ヤツは両手を広げて私を出迎える。 ……ここが、決着の場所。 今回の商店街戦争における、調理の厨房だった。 「―――跋さんを降ろせ。おまえをぶちのめすのはその後だ」 目前の衛宮を睨む。 ……ヤツまでの距離は十メートルほど。 これ以上先に踏み込めば、戦いが始まるだろう。 戦いになれば、最短距離でヤツへと走り、その胸を断つしかない。 その前に、跋さんをなんとかしてやらないと―――― 「おい。きこえなかったのか。跋さんを降ろせっていったんだ。 いい歳して、料理人をいじめて何が楽しい」 「気持ちは分かるが、それはできない相談だな。麻婆は現れたが、 その「味」は未だ不安定だ。接点である彼女には 命の続く限り耐えてもらわねば、俺の願いは叶わない」 命の続く限り――――じゃあ、跋さんはまだ生きている……! 「……そうか。おまえに降ろす気がないってんなら、力ずくで降ろすだけだ。 おまえの願い―――その満漢全席を、今すぐにとめてやる」 「……ほう。なるほど、おまえにはコレが俺の望みに見える訳か。 ――流石は切嗣の仇敵だな。よもや、二代に渡って思い違いを続けるとは」 「な―――んだと?」 「料理を理解し得ぬ者に、わざわざ説いてやる真理はない。 その思い違いを抱いたまま、最後の監督者として責務を果たすがいい」 「っ――――!」
211 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 00:41:35>>208 木刀じゃね?
212 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 01:33:13>商店街戦争 規模ちいせーw
213 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 02:09:14>>211 知らなくて…いいんだ。 あんたは、知らなくてもいい世界の話なんだよ。 だからもう……これ以上は、聞くな。
214 名前: 幕間−冬の森 投稿日: 2005/07/27(水) 02:17:52奔る魔槍。 巨人の胸に心臓破りの槍が入る。 「――――――――」 それで終わった。 男は何事もなかったように槍を引き抜き、巨人に残された力は 完全に消滅した。 体が消える。 この身を受肉させていた力はすべて途絶えた。 ならば、あとは消え去るのみ。 すべての魔力をなくしたサーヴァントに、これ以上現界する力 はない。 ぐらりと足元から倒れこむ。 だが、その最期。 彼は網膜に、自分の主であった少女を見た。 「――――――――」 ―――まだ消える事はできない。 倒れゆく足に力が戻る。 彼を作り上げた魔術法則、 矛盾を嫌う世界からの粛清、 砂と化して崩れていく岩の体。 その、自身をここで消そうとするあらゆる力を意志の力で押し のけた。 少女が口を開くまでは。 「―――バーサーカーは弱いね」 ―――もう消えちゃってもいいかもしんない。 その瞬間、彼はその身を塵一つ残さずこの世を去った。
215 名前: HF大空洞 言峰→空気読んでない言峰 投稿日: 2005/07/27(水) 02:20:19「――――、――――、――――」 ……熱い。 体の中から、数百の刃が生えてくる。 逃げ場のない串刺し刑。 体は剣でできている。 けどそれは、とうに判っていたコトだ。 ■■は言った。 投影をすれば最後、時限爆弾のスイッチが入ると。 だから、この終わりはもう決められていた事だ。 「――――、――――、――――」 ……足が重い。 ……自分が何をしているのか判らない。 痛みと疲労と空虚で心臓が破裂しそうだ。 でもあともう少し。 アイツを消せば全てが終わる。 邪魔をするヤツはいない。 もう誰も邪魔をするヤツはいない。 ――――だと言うのに。 なんか、神父がマーボー喰ってる。 「――――――――」 言葉がない。 なんでこの場所に言峰がいるのか。 なんであんな煮立った釜みたいな麻婆豆腐を喰っているのか。 それもすごい勢いで。 額に汗を滲ませて、水などいらぬ、一度手を止めれば二度とさじは動かぬわ、 という修羅の如き気迫。 というか意地になってないかあいつ、食べるスピードが尋常じゃないぞ。 もしかして美味いのか。あのラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故 のあげくオレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理が美味いというのか。 だとしたらまずい、言峰もまずいが俺もまずい。 アレ、絶対今が最終決戦だって判ってない。そうでなくちゃ俺の活躍が台無しになる。
216 名前: ブラウニーチョコケーキ コペンハーゲン⇒教会 投稿日: 2005/07/27(水) 02:41:04今日のバイト先の教会に住むギルガメッシュさんの『王の財宝』は 宝物庫兼武器庫みたいな所で整頓作業には何人もの人手が必要になる。 少なくとも百人、あとはいればいるだけ楽になるという一大作業だ。 だと言うのにギルガメッシュさんはいつもの調子で、 『我が集まれと言うのだ。愚民共が集まるのは当然であろう。』 なんて、知り合い全員に声をかけて安心しきっていたらしい。 で、フタを開けてみれば手伝いに来たアルバイトは俺一人で、 あとはギルガメッシュさんと神父の言峰さんだけという地獄ぶりだった。 「愚かな。それでは誰も集まるはずがあるまい。」 ギルガメッシュさんを慰める言峰さんだったのだが、 その予想に反して顔を出した生贄一人。 “おおー”と二人は緊張感のない拍手をして俺を迎えてくれて、 仕方ないから出来る範囲で『王の財宝』を整理しよう、 という運びになった。 ――――で。 気が付けば二時間後、整頓作業は予定通り終わっていた。 「驚いたぞ。雑種はアレか、ブラウニーか何かか?」 作業後の一服、赤黒い麻婆豆腐を食べながら ギルガメッシュさんは感心していた。 「違いますっ。力仕事には慣れてるし、ここのバイトも長いし、 『王の財宝』の何処に何があるかぐらいは把握してるからですっ! 伊達にガキの頃からここで働かせてもらってません!」 「そうか。む、雑種はもう十年か?」 「それぐらいですね。大火事で両親亡くなってからすぐに雇ってくれたの、 言峰さんのトコだけだったし」 「ふむ。我は歳を取らぬ故、実感は沸かんが」 カチャカチャと危険そうな調味料入りの麻婆豆腐を頬ばるギルガメッシュさん。 言峰さんはとなりでワインを嗜んでいる。 ここの教会の人達は神父が激辛党で居候も激辛党という、恐ろしいバランス の嗜好をしていらっしゃる。 で。 「しかし助かったぞ。 これだけやって駄賃が現物支給(宝具)だけというのも、 王の器が知れるというもの。それ、王の慈悲だ、受け取るがいい。」 バサリと渡されたのが万札三束。 一年間フルに働いても届かない、三時間程度の労働には 見合わない報酬だった。 「あ、ども」 さすがに戸惑ったが、貰えるからには貰っておいた。 そうして教会を後にしようとしたおり、 「いや、少し待て。衛宮士郎、今日の話誰から聞いた?」 疲れた、と暖炉の前に座っていた言峰さんに呼び止められた。 「えーと、たしか遠坂ですけど」 「・・・ふ、いつも面倒を見てくれている師の頼みを 他人に押し付けるとはな。随分と嫌われたものだ。 まあそれはいい。今日の整頓は又聞きだというのに来たのか」 「あー・・・まあ、暇でも行かない方がいいわよって感じで」 「―――凛も恩知らずだが、おまえも相当歪んでいるようだな まあいいが、おまえは人の頼みを断った事が無いだろう。 前に私とギルガメッシュがアンリマユで寝込んだ時も、 神父代行をしていたな」 「? 別にそんな事はないですけど。 俺、無理な注文は受けませんもん。 自分で出来る事で、出来る場合だけ引き受けますから」 「・・・そうか。あの時はおまえもアンリマユに汚染されていたのだが。 まあいい、私が言いたいのはおまえは善人だが、相当に歪で、 そのあたり私としては心配なのでな今度切継に少しは顔を見せろ偽善者 と伝えておいてほしいだけだ」 くい、とワインを煽りながら言峰さんは令呪をちらつかせる。 俺をサーヴァントか何かと勘違いしてるっぽい。 「はあ。・・・えーと、とにかくじいさんに伝言?」 「そうだ。ではさらばだ、衛宮士郎。いずれその傷私が切開してやろう」 偽ほのぼの?
217 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 03:04:37>万札三束。 枚ではなく束か、さすが我様。
218 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 03:04:46蝶和んだ
219 名前: 言峰→違う意味で外道な言峰 投稿日: 2005/07/27(水) 03:14:36「では命じよう――――他人に知られたくない秘密を告白しろ、ランサー」
220 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 03:26:53>>219 秘密を告白しながら無理矢理自害しそうだなw
221 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 07:15:25>>216 しかしそのバイト代を知っていれば絶対自分が行っただろうな、遠坂w
222 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 07:30:57>>215 笑った。 言峰自重しろ。
223 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 12:47:44良作ラッシュだな〜 返信おいつかねぇ とりあえず、ROUKAワラタw
224 名前: アルク → 月姫 志貴 → アニメ 投稿日: 2005/07/27(水) 13:28:00「私(月姫)を穢した責任、とってもらうからね」
225 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 13:28:35 届く。 必ず届く。 壊れているなら壊れていないところを使えばいい。 有るモノ全てが壊れたのなら無い部分を総動員しろ。 体(オレ)がまだ負けていないというのなら、その奥、まだ手つかずの領域に手を伸ばす――――! ぶつん、という頭痛。 コンマの刹那。おそらく最後になるだろう、ヤツの風景を見た。 理解には至らなかった。 だが、痛みだけは教訓として知れたと思う。 ……自らを表す呪文に、自らを律する韻を持たせた英雄。 そこに込められた真意を、今は判らずとも。 おまえに代わって、その言葉を貰っていく。 「―――――――、体は」 自らに胸を張る為に、その呪文を口にする。 エミヤの言葉はエミヤを傷つける。 それを承知で、おまえは俺を殺す事を望んだ。 長い繰り返しの果てに、そんな事しか望めなくなった。 なら。 おまえが俺を否定するように。 俺も、死力を尽くして、おまえという自分をうち負かす――――! 「――――I am the bone of my sword.」 知らず、呟いた。 顔をあげる。 死にかけの体を奮い立たせる。 ごくん、と、喉につまった血の塊を飲み下す。 存在が稀薄だった陽剣干将が確かな実像を帯びていく。 「貴様、まだ」 「―――そうだ。こんなのが夢だなんて、そんな事」 とっくの昔から知っていた。 それでも、それが正しいと思うから信じ続けた。 叶わない夢、有り得ない理想だからこそ、切嗣は追い続けた。 たとえ叶わなくとも。 走り続ければ、いつか、その地点に近づけると。 「そうか、彼女の鞘……! 契約が切れたところで、その守護は続いている……!」 剣を構える。 そんなのは知らない。 俺は、ただ、 「―――おまえには負けない。誰かに負けるのはいい。 けど、自分には負けられない―――!」 最後まで、衛宮士郎を張り続ける――――! ―――それは、ありえない剣戟だった。 「ぬっ――――!?」 斬りかかる体は満身創痍。 指は折れ、手足は裂かれ、本人は気づいてさえいないが、呼吸はとうに停止している。 踏み込む速度も取るに足りなければ、繰り出す一撃も凡庸だ。 彼の知識を吸収し、戦闘に耐えうる域まであがったというのに、その様は元の少年に戻っている。 出鱈目に振るわれた、あまりにも凡庸な一撃。 ……だというのに。 その初撃は、今までのどの一撃よりも重かった。 「な――――に?」 放心は、秒を持たずに驚愕へと変わった。 奮われる剣は狂ったように。 彼の想像を遙かに超えた速度で、長剣を軋ませた。 ―――何処にこれだけの力があるのか。 鬩ぎ合う剣戟の激しさは今までの非ではない。 「貴様――――!」 受けになど回れない。 この一撃ならば確実に首を跳ばす。 軽んじられる状況ではないと判断し、彼は己が剣を走らせる。 上下左右。 一息で放つ四撃は、手足を切断し胴を四散するに有り余る――! 「……………………!」 それを、防いだ。 膝と肘。 高速で切り払われるソレを、片足の膝と肘で、『挟み込むように止めた』。 「がっ――――!?」 否、必殺の四撃を上回り、彼の後頭部に正体不明の衝撃が炸裂する―――!
226 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 15:07:22>>199 を巨乳コンプレックス持ちのツンデレボクっ娘ヒロイン「慎」に変換しろとのお告げがあった
227 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 16:47:19HIJI&HIZAは近接戦最強の防具だな。
228 名前: 英雄の結末 害⇒爆 投稿日: 2005/07/27(水) 18:19:30 「では命じよう――――自爆しろ、ランサー」 「―――な、に?」 己がマスターが何を言っているのか理解する間もなく ランサーの身体が眩い光に包まれる。 ―――瞬間。あらゆる音が、失われた。 これはただの爆弾だ。 “英霊”という火薬のつまった爆弾を、目の前で破裂させただけ。 それがどれほど破格であるかは言うまでもない。 これは最強の幻想である英霊を使用した、 ただ一度きりの魔力の炸裂だった。 そんなものを前に対抗できる人間はいない。 私も慎二も綺礼でさえも炸裂したランサーと運命を共にした。 ―――せめて下に居るお人好しとひねくれ者だけは助かりますようにと 信じてもいない神様に祈りながら意識は途絶えた。 自爆は男の浪漫なのでつい・・・。
229 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 18:23:11>>224 ちょwwwwwwそれシャレになってないからwwwwwwww
230 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 18:25:28>>228 アホすぎだぁぁ!
231 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 18:28:27>>228 言峰アホスw
232 名前: 英雄の結末 害⇒慰 投稿日: 2005/07/27(水) 19:27:09「では命じよう――――自慰しろ、ランサー」 「―――な、に?」 己がマスターが何を言っているのか理解する間もなく ランサーの腕が股間に伸びる。 ―――瞬間。あらゆる音が、失われた。
233 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 19:29:53>>232 それはありがちな…そういう同人誌もあった希ガス
234 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 19:38:13なにその同人誌
235 名前: 英雄の結末 害⇒慢 投稿日: 2005/07/27(水) 19:41:54「では命じよう――――自慢しろ、ランサー」 「―――な、に?」 己がマスターが何を言っているのか理解する間もなく ランサーの口が勝手に言葉を紡ぐ。 「俺 の 股 間 は ゲ イ ボ ル グ !」 ―――瞬間。あらゆる音が、失われた。
236 名前: フォールダウン、ユアマインド 弓⇒極道・藤ねぇ 投稿日: 2005/07/27(水) 19:43:27 「さらばだ。コンクリを抱えて溺死しろ」
237 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 19:56:08>>236 ワロスwww
238 名前: 夜明け―ステイ・アウェイ 投稿日: 2005/07/27(水) 20:16:21「っ……、――――」 目眩がする。 体はもう踏ん張っていられない。 ……死ぬ。 最後の最後で、耐えられなかった。 なら、どうせ耐えられないのなら、力を抜くべきか。 そうすれば少なくとも、ヤツをもう一度あの孔に叩き込め―――― 「―――って、舐めるな……!こんなコトで道連れになんてされてたまるか……!」 萎えかけた手足を奮い立たせる。 この腕が千切れるのが先か、ヤツの鎖が千切れるのが先か、 それとも、ヤツが這い出てくるのが先か。どっちだっていい。 こうなったら最後の最後まで全力で抗って、派手に散ってやろうじゃないか……! “……ふん。おまえの勝手だが、その前に右に避けろ” 「え?」 咄嗟に振り向く。 視線は遠く、荒野となった境内へと向けられる。 ――――すれ違うように、何かが通り過ぎた。 いや───通り過ぎる、筈だった。 「な───────」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 剣を全力投球した姿勢のまま、アーチャーは呆然と目の前の士郎を見た。 「───────ばか、な」 彼でさえ事態が掴めていない。 投影した剣の必殺の投擲。 それが止まっている。 ギルガメッシュの頭に刺さる直前に、何かに刀身を挟まれて停止している。 「────足と、腕?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼の剣は、味方である衛宮士郎によって止められていた。 ―――――――――以下省略―――――――――― 「がっ―――――!?」 彼の後頭部に、正体不明の衝撃が炸裂した。
239 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 20:25:39>>238 なんでそこで止めちゃうかな士郎w
240 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 20:43:04>238 ワロッシュwwww
241 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 20:50:47>>238 ワロスwwwwwwwwwその距離で一撃入れるとは流石HIZAとHIJIだ
242 名前: 士郎→ランサー 投稿日: 2005/07/27(水) 20:54:52 ………その、別にこれからの言峰のサーヴァント生活に不満があるわけではもちろんあるんだが。 なんかこう、それを思うだけでやっていけそうな目標とかあると、偵察をやるにも気合が入りそうな気がしたり。 「言峰、相談があるんだが」 「む、なんだランサー……? 心なしか、とても期待に満ちた目を向けられている気がするのだが」 「そうか? んー、まあ頼みゴトって言えば頼みゴトだし、期待してるって言えば期待してて、率直に言って頼みたいコトがあるんだけどよ」 「……ふむ。貴様の言いたい事はよく分からんが、悩める子羊の話を聞くのも神父の務め。私でよければ話を聞こう」 真剣な話だと思ったのか、言峰は居を正して俺の前に正座する。 「それで、何が望みだ? やはり今晩の食事か? メニューはマーボーで決定済みだが」 ずい、と真面目に見つめてくる言峰。 「―――――――む」 なんか、十秒後の展開が読めてしまった気もするが、ダメで元々、一応言ってみよう、うん。 「ああっと。別にふざけているワケじゃないんで、怒らないで聞いてほしいんだが」 「ああ、だから真剣に聞いている。マスターとサーヴァントの仲だ、遠慮せず言ってみるがいい」 「それじゃお言葉に甘えて言うぞ。 ―――その、な。血沸き肉踊るような、死力を尽くした闘いがしたいんだ。できれば相手は最優だっていうセイバーなら文句なしなんだが」 「――――――――」 ピタリ、と言峰の呼吸が止まる。 「――――――――」 言峰は眉一つ動かさない。 「―――や、やっぱりそんな都合のいい偵察なんてないよな……! 悪い、悪かった、悪すぎた……! 今のは冗談で本気にあらず聞かなかったコトにしてもらえると個人的に助かるんだ、けど――――」 ―――って。 ぎたり、なんて擬音が似合いそうな笑みを浮かべる言峰さん。 「コ、言峰……? 気のせいかもしれないけどよ、その、なんかえらくおまえに似合いまくりの邪悪な笑みをしてるぞ、今」 「気のせいではない。今の私の心境は、凛などでは比べ物にならないほど邪悪に染まっているのだから」 「っ…………!!!!」 ぞ、ぞわってきた、ぞわって……! 「う、わ、う」 「何を慌てているのだランサー。私はまだ返事をしていない。たしか、私の聞き違いでなければ、サーヴァントとの真剣勝負を所望だとか?」 思わず後じさるも、言峰はずい、と身を乗り出して逃がしてくれない。 「あ――――いや、その、だな…………言峰、怒ってるだろ?」 「ああ、とてもな」 ―――死んだ。 サーヴァントの身だというのに、人間に殺されると思った。 「ぅ――――落ち着け、落ち着こう言峰。 反省してる。言峰が怒った理由だって、なんとなく分かってます」 「そうか。では、そこに正座しろ。貴様にはみっちりと説教してやらねば気がすまぬ」 立ち上がる言峰。 はい、と迅速に、言峰みたいに背筋を正して覚悟を決める。 「――――――――」 すう、と大きく深呼吸をする言峰。 で。 「―――ふざけているかおまえは……! 偵察役のくせに真剣勝負など、そんな夢のようなことを望んでどうするのだっっっっっ!!!!」 「あ――――う」 三半規管が大パニック。 よもや、怒声だけで足腰立たなくなるとは思わなかった。 今のは人間のレベルを超えている。 しかしサーヴァントというか、英霊ってたいしたことないんじゃあるまいか。 「す、すまん……だから、反省してるって。 だがよ、オレが召喚に応じたのは死力を尽くした闘いのためだぜ? 聖杯戦争に参加したからには他のサーヴァントと思い切りやりあってみたいって」 「おまえの都合になど興味はないっ! サーヴァントを倒すのはこのために十年間養ってきたギルガメッシュの担当であって、おまえのようなかませ犬は偵察だけやって目晦ましになっているべきなのだっ!」 「そもそも、令呪まで使ったではないかっ! 絶対命令権まで行使したのに文句を言うとは、どれだけ不屈の闘志の持ち主なのだおまえは!」 「う……わかった、わかってる、から―――もうちょっと声、落としてくれ」 うう、反省してますと手を合わせてジェスチャーする。 「……まったく、与えられた任務をこなせない使い魔など不快そのもの。これでは危なかしくて、自害を命じてしまいそうになるではないか」 言峰のお叱りは続く。っていうかギルガメッシュって誰よ? 「………………はあ」 このド外道に頼みごとなんて馬鹿な真似をしたのは自分だし。 ここは大人しく、言峰の気が済むまでお小言に付き合うとしよう……。
243 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 20:57:38>かませ犬 言っちゃったよwwwwwwww
244 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 21:12:49葛木の改変は色々幅を持たせられるぜ。以下例 ―――――体は剣で出来ている。 いや、出来ている、筈だった。 大きな火事が起きたらしい。 いや、起きた、筈だった。 彼女の後頭部に、正体不明の衝撃が炸裂した。 いや、炸裂した、筈だった。 「―――教えてやる。 これが、モノを殺すっていうことだ」 いや、教える、筈だった。 「―――バーサーカーは強いね」 いや、強い、筈だった。 なんか、神父がマーボー喰ってる。 いや、喰う、筈だった。 「ああ、その通りだシキ。秋葉は俺にとって妹じゃない」 いや、俺の女な、筈だった。 「答えは得た。大丈夫だよ遠坂。オレも、これから頑張っていくから」 いや、頑張る、筈だった。
245 名前: 駄目人間アーチャー 投稿日: 2005/07/27(水) 21:16:40「答えは得た。大丈夫だよ遠坂。オレも、そのうち頑張っていくから」
246 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 21:18:22>>245 どっかで見たことある希ガス
247 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 21:23:11VIPの某スレに投下したことならあるが。
248 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 21:28:04なら、多分俺が見たのもそっちだ。 最近、この手のネタはどっちで見たかワケワカメになってしまう。
249 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 21:43:23自分のネタなら両方に投下すればいいじゃない そうでないならちょっとヤなかんじだけど。
250 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 22:01:48>>235 やべ、ワロタ。 つうか最近ネタが団体で来てるな。
251 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 22:05:30一人で複数投下しているのではないかと邪推
252 名前: クレイジートレイン ライダー⇒うっかりライダー 投稿日: 2005/07/27(水) 22:42:16 「―――下がりなさいマスター。この場から離脱します」 「シロウ、下がって・・・!ライダーは結界維持に使っていた 魔力を全て解放するつもりです・・・!」 「・・・!? 魔力を解放する・・・!?」 見れば、確かにライダーの様子はおかしい。 セイバーと対峙していた筈の彼女が突如ここに現れた事といい、 全身から放たれる冷気といい、今までのライダーとは 威圧感が段違いだ。 「ラ、ライダー・・・!? なに考えてるんだおまえ、 衛宮のサーヴァントにさえ勝てないクセに 勝手なコトしてんじゃない・・・!」 「はい。確かに私ではセイバーに及びません。 ですがご安心を。我が宝具は他のサーヴァントを 凌駕しています。たとえ相手が何者であろうと、 我が疾走を妨げるコトはできない。」 ライダーの短刀が上がる。 「な―――」 居合わせた者、全てが驚きで声を漏らした。 あろうことか、ライダーは自らの首筋に 短刀を押し当て―――― それを、一気に切り裂いた。 ・・・飛び散る鮮血。 黒い装束に身を包んだライダーの白い首筋から 夥しい量の血が噴き出していく。 「な―――なに、を」 マスターである慎二でさえ、ライダーの行動に息を呑んでいた。 「・・・すみません、マスター。少し力を入れすぎたようです」 そう言い終るとライダーは自ら作り出した血溜りの中に 沈み込むように倒れ、そのまま幻であったかのように消滅した。 >>251 それってやっぱりまずい事ですか? 人前で作品発表する度胸を付けようとしていたので、 まずいならペースを落とします。
253 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 22:49:06立て続けに大量に出すのはちょっと… 2〜3個位なら俺は気にならない
254 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 22:50:26つーかマジで連投だったのかよw
255 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 22:56:52>>253 ,254 昨日の深夜から今日までで小ネタ含めて4個投下してます。 どうやら多めですね。
256 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 23:01:24投下しなければそれはそれでスレが寂れてしまう
257 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 23:02:44>>252 今のクオリティを保ってくれれば、いいんじゃないかと 書くたびにネタのクオリティがあがっていけば・・・ 「ネタにかけろ、さすれば“神”に届くやもしれん」
258 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/27(水) 23:31:24同じネタの改変とかでないのなら連投多投も気にならない。
259 名前: ゲイボルグの説明を反転 投稿日: 2005/07/27(水) 23:42:04刺し穿つ死棘の槍 対人宝具。 最大補足・1人。 槍を放つという過程の後に相手の心臓に命中するという宝具。 因果正転と呼ばれる物の一つらしい。 燕返さないとは違った意味で、回避可能の不殺技である。 初投下なんだが、もしかして激しくガイシュツ? そうだったらすまん…
260 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:10:29あー、なんつーか、ただたんに正否逆転させただけだと つまんないことこの上ないな。 ぶっちゃけ、ゴミ。 あんた、自分でおもしろいとおもったの?
261 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:10:55求められるのは意外性
262 名前: 志貴→士郎 有彦→慎二 投稿日: 2005/07/28(木) 00:19:18 ――――と。 そんなとき、昇降口のほうからすごい勢いで見知った顔が走ってきた。 「兄さんですね」 桜は冷静な発言をする。 「うん、あれは慎二だな」 こっちも冷静に言ってみた。 俺も桜も、この時間帯にわざわざ校舎から出てきて、おまけにこっちに向かって爆走してくる慎二の奇行をおかしいとも思ってない。 というか、もう慣れた。 「衛宮ーーーーーっ!」 慎二は砂煙をあげて走ってくる。 止まらない。 俺たちが目の前にいるっていうのに止まらず、慎二は俺に向かって豪快な飛び蹴りをかましてきた。 どん、がらがらがら、とたん。 「……………」 信じ、られない。 この男、人にライダーキックをかましただけでは飽き足らず、衝突したまま地面に三回も転がってくれた。 「……………」 とりあえず立ち上がって服についた砂を払う。 慎二も立ち上がって、ぱんぱんと服をはたいていた。 「衛宮」 「慎二」 三秒のインターバルののち、俺たちはまっすぐに向かい合った。 せーの、 「いったい何するんだ、オマエ!」 「おまえ、実は魔術師だろう!」 で、お互いに怒鳴りあった。 ―――――――って、なに? 「……ちょっと待って。俺が魔術師だって、なんでそんなコト知ってるんだオマエ」 「うわああ、魔術師だっていうのかー!」 おう、と頭を抱えて身をよじる慎二。 ……なんていうか、たとえコイツに百万円ほど貸していても、他人ですと言いたくなるぐらい愉快なパフォーマンスだと思う。 「おい、やめろ慎二。っていうかやめてくれ。このままじゃ学校じゅうの笑いもんだぞ、俺たち」 「ええい、知ったコトか!」 ぎり、と慎二は睨んでくる。 「うらぎりものめっ、いまにお師匠様と呼んでやるぜ!」 わけのわからない言葉を残して慎二は走り去っていった。 その、校舎のほうではなく、校門のほうへ。 「……なんなんだ、アイツ」 ホームルーム開始まであと五分もない。 何もかも理解不能だが、とにかく今日一日は慎二と顔を合わす事はなさそうだった。
263 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:21:03>>260 ごめん、ぶっちゃけこれでいけると思った
264 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:25:36あっそ。 このスレを読んできた上で、それでもいけると思った君にはもっと良いスレがあるよ。 つttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1121873539/ ガイシュツとかそれ以前の問題だな。 もう書き込むな。読むだけで気に障る。 前に死徒の正否逆転しただけのレスをだらだら書き込んでた奴と同レベルか。
265 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:32:02>>264 くだらんネタを投下したのは謝る。 ここのレベルを見誤ったのも謝る。 でもここは去らないっつーの! ネタのレベル上げて絶対テメーだけは笑わせてやるからな。 覚えとけよこの野郎!!
266 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:33:58ま、がんばってくれ。 良い作品できたら腹かかえて笑ってやるよ。 それこそ、モニターの前でペプシでも吹き出してな。
267 名前: 士郎→シオン 投稿日: 2005/07/28(木) 00:36:44たまには燃えもいっとけっと。で教授。 「私を仕留めるか、姫君の後を追うか。 どちらにせよ、足を動かさねば始まるまい」 そう語る吸血鬼の周囲には、雑々と蠢くものがある。 いや、蠢いているのはネロの周りだけではない。 暗い影、月光を遮断する闇そのものが移動している。 「―――――獣」 見えなくとも判る。 闇の正体は広く、おぞましいほど密集した獣の群れだ。 この路地裏の四隅、壁という壁に、闇より黒いモノが敷き詰められている。 この空間は、沈黙による圧迫感と、獣の匂いで支配されていた。 「どうした。なにを躊躇う。先日、我が思索に終止符を打ったのは貴様 であろう。穴倉の小娘と組んで、タタリを終結させる腹ではなかったのか?」 ……混沌は恐らく愉しんでいる。 ナイフ一本で、路地裏中に集まった何百という獣を払うことなどできない。 ネロが私たちを殺すと思えば、何をやっても混沌の波に飲まれるだろう。 ―――いや、それとも。 全力で外に逃げ出せば窮地は脱せるかもしれない。 多いといっても所詮は獣だ。 そんな、秒単位で私と志貴の二人をどうにかできるとは思えない。 「構わん、私は幾らでも待とう。姫君の来訪を信じて待ち続けるか、 その魔眼で再び私を仕留めるか、それとも我が混沌を振り払い外にでるか。 好きな死に方を選ぶがよい」
268 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 00:42:04ネロって志貴の直死の魔眼について知ってたっけ?
269 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 01:09:19知る前に殺されたしな。 タタリネロなら知ってるかも。
270 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 01:21:36目眩がする。 体はもう踏ん張っていられない。 ・・・死ぬ。 最後の最後で、耐えられなかった。 なら、どうせ耐えられないのなら、力を抜くべきか。 そうすれば少なくとも、ヤツをもう一度あの孔にたたき込め――― 「―――って、舐めるな・・・!こんなコトで道連れになんてされてたまるか・・・!」 萎えかけた手足を奮い立たせる。 この腕が千切れるのが先か、ヤツの鎖が千切れるのが先か、それとも、ヤツが這い出てくるのが先か。 どっちだっていい。こうなったら最後の最後まで全力で抗って、派手に散ってやろうじゃないか・・・・・・! ”・・・・・・ふん。お前の勝手だが、その前に右に動け” 「え?」 咄嗟に振り向く。 ――――すれ違うように、何かが通り過ぎた。 いや───通り過ぎる、筈だった。 ―――瞬間、何かが俺の体を貫いてギルガメッシュに突き刺さった。 「お前―――――――――アー、チャー」 (中略) 「トドメは刺した。大丈夫だよ遠坂。オレも、これから頑張っていくから」
271 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 01:59:52「では命じよう――――――狂え、ランサー」 「■■■■■―――!!」
272 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 02:15:31 ∧_∧ ( ´∀`)< ぬるぽ 「がっ―――――!?」 彼の後頭部に、正体不明の衝撃が炸裂した。
273 名前: 272 投稿日: 2005/07/28(木) 02:16:36ごめん、スレ違いだった
274 名前: 五日目・朝 切嗣⇒ギルガメッシュ 子士郎⇒マセ士郎 1/2 投稿日: 2005/07/28(木) 02:22:22月の綺麗な夜だった。 自分は何をするでもなく、 居候であるギルガメッシュと月見をしている。 この頃、ギルガメッシュは外出が少なくなっていた。 あまり外に出ず、家に引きこもってゲームをしている事が多くなった。 ・・・今でも、思い出せば後悔する。 それが引き篭もりの初期段階の症例だと、 どうして気が付かなかったのかと。 「我はセイバーと結ばれる事を夢見ていた」 ふと。 自分から見ても王としての威厳を失なっていた居候は 懐かしむように、そんな事を呟いた。 「なんだよそれ。夢見てたって、諦めたのかよ」 むっとして言い返す。 かつての英雄王なら諦めの言葉なんて死んでも吐かない。 尊大な奴だがその在りようは尊敬に値する男だった。 ギルガメッシュは哀しそうに笑って、遠い月を仰いだ。 「うむ、非常に残念な事ではあるが。我はセイバーに これ以上どうしようもないほど嫌われているようだ。 そんなコト、前回の聖杯戦争の時に気が付けば良かったのだ」 言われて納得した。 何でそんなに嫌われているか分からなかったが、 セイバーがギルガメッシュに言っていたことだから間違いないと思ったのだ。 「うわ、それじゃどうしようもないな」 「・・・ああ、そうだな。どうしようもない」 悲痛な声で相づちをうつギルガメッシュ。 だから当然、俺の台詞なんて決まっていた。 「うん、しょうがないから俺が代わりに セイバーの花婿になってやるよ。 ギルガメッシュはもう望み無いけど、俺なら大丈夫だろ。 まかせろって、セイバーは」 “――――俺が、ちゃんと貰ってやるから”
275 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 02:22:31>>265 おまいさんの姿勢に萌えた
276 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 02:36:02だが、スレの使い分けも出来ないDQNの時点で、 いくらネタのレベル上げても斜め上に突き抜けるのは、想像に難くない。
277 名前: 五日目・朝 切嗣⇒ギルガメッシュ 子士郎⇒マセ士郎 2/2 投稿日: 2005/07/28(木) 03:07:10 そう言い切る前にギルガメッシュは嘲笑った。 続きなど聞く耳持たんっていう恐ろしい笑いだった。 そうか、と小さく呟きながら懐から何かを取り出す。 ――身の危険を感じて庭の方に飛び込む。 「我を笑い殺す気か、雑種。」 ギルガメッシュの宝具が展開される。 空から降り注いだ宝具の軍団がさっきまで座っていた縁側を 粉微塵に破壊し尽くし墓標のように突き立てられていく。 「うわあ、ギルガメッシュめちゃくちゃだー!」 不意打ちどころか人間しかも子供相手に宝具連発 それでも英霊かギルガメッシュー! 「待った、ちょっと待って! 少し落ち着いて・・・」 「ふっ、我が雑種の戯言ぐらいで本気になるとでも思ったか?」 本気だーーーー!! 鎧!? 鎧に乖離剣!? 明らかに完全武装!? 「雑種の分際で我のものに手を出そうなど不届き千万。 王自ら断罪してくれる。そこに直れ!」 そこに先程までの弱弱しさなど欠片も無かった。 彼はかつての自分を取り戻したのだ、 雄雄しく尊大で王者の威厳に溢れた英雄王の姿を。 ―――その代償が自分の命というのは余りにも理不尽なのだが。 今度こそ獲物を逃すまいと唸りを上げる究極剣を前に 何でこんな事になってしまったのか、士郎は後悔していた。
278 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 03:38:55>>276 いい加減にしろ。いつまでも文句言っている時点で、お前のほうがよほどDQNであり不快だ。
279 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 04:15:23オマエモナ( ´,_ゝ`)プッ
280 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 06:10:05つまんねーネタに文句つけるだけならともかく、自分がこのスレの主であるかのような態度のでかさは鼻に付くな。
281 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 09:45:56こればっかりは夏だからな
282 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 11:14:07この手のタイプは夏季限定じゃなく年中無休なのが辛いところだ
283 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 13:10:38>>278 自らDQNになるの(・A・)イクナイ!!
284 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 13:32:56「では命じよう――――自害しろ、DQN」
285 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 14:34:36何卒(なにとぞ)……何卒……!! 命だけはお救いください あ奴には懸絶した「反転の才」があります 私はそれが真に開花する様を見たい!! 何卒…!!! 何卒 手折られる事なきよう…
286 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 14:47:39>>285 それはマスターチャペルか?
287 名前: 帰り道 さっちんそのまま 志貴⇒正義の味方を目指さない士郎 投稿日: 2005/07/28(木) 15:04:11 「わたしがピンチになっちゃったら、その時は助けてくれるよね?」 弓塚は笑顔で告げてくる。 「なんでさ」 ああ、反転ですらないし、既出かな?
288 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 15:52:55どうやら粘着とラインドがいるようだがとりあえずヲチ対象になりたくなかったらしばらく黙っとけ。 荒らしたいならもっとやれ。
289 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 16:24:06世に馬鹿たるべく定められた人がいて、彼ら自身が進んで馬鹿なことをするだけでなく、 運命そのものが否応なしに彼らに馬鹿なことをさせるのである。 ら・ろしゅふこー
290 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 17:29:11俺に便乗して粘着した阿呆がいたようですね。いらん火種を持ち込んですまんかった。
291 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 19:09:57それは、実際に交わしたかどうかさえ曖昧な話。 月の綺麗な夜だった。 俺は何をするでもなく、己の半身だった男と月見をしている。 冬だというのに、気温はそう低くはなかった。 その広場はわずかに肌寒いだけで、月を肴にするにはいい夜だった。 「遠い昔、私は真祖の姫に憧れていました」 ふと。 八百年も転生を続けてきた男は、懐かしむように、そんな事を呟いた。 「なんだ。憧れてたってことは、諦めたのか?」 不思議に思って言い返す。 男は悲しそうに笑って、遠い月を仰いだ。 「ええ、残念ながら。私はその感情を間違って捉えてしまい、 憧れたからこそ望んだ永遠も、転生してしまえばそれはもう私ではなかったんです。 そんなコト、もっと早くに気が付けば良かったのに」 言われて納得した。 何故そうなるのかは分からないが、本人の言うことだから間違いないと思ったのだ。 「そうか。なら、しょうがないな」 「そうですね。本当に、しょうがない」 相づちをうつ金髪の男。 だから当然、俺の台詞なんて決まっていた。 「ああ、だったら、俺がアンタの分まで愛するよ。 アンタはもう存在しないから不可能だろうけど、俺なら問題ない。 任せてくれ、アンタの憧れた女は」 “――――この俺が、ちゃんと幸せにしてみせるから” そう言い切る前に、男は微笑った。 続きなんて聞くまでもないっていう顔だった。 かつてミハイル・ロア・バルダムヨォンだった男はそうですか、と長く息を吸って、 「ああ――――安心した」 静かに目蓋を閉じて、その永遠を終えていた。 それが、二度と目覚めない終わりだったことを理解っていたため、俺は騒ぎ立てなかった。 死というものを見慣れていた事もあったのだろう。 何をするでもなく、冬の月と、永遠の眠りに入った、誰よりも純粋だった男を見上げていた。 既出でないことを祈る
292 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 20:49:34一スレ目から見ているが既出ではないと思う。 歌月あたりに本当に出てきそうな雰囲気でGJ。
293 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:13:59>>291 ああ。 なんか、いいな。
294 名前: 凛の魔術講座〜スイッチ編 士郎⇒慎二 投稿日: 2005/07/28(木) 22:24:08 「なんだおまえ、僕にケンカ売ってるのかよ」 今なら買ってもいいぞ、ハンデくれるなら。 「―――それも間違いだ。間桐慎二は格闘には向かない。 おまえの戦いは精神の戦い、己のプライドとの戦いであるべきだからだ」 「は。魔術師の戦いは精神戦だなんて分かりきった事じゃないか」 「―――まったく。これではライダーも苦労しよう」 心底こちらを見下げるアーチャー。 その目には今までになかった、本気の落胆と怒りが混ざっていた。 「一度しか言わんからよく聞け。 いいか、戦いになれば間桐慎二に勝ち目などない。 おまえのスキルでは何をやっても、誰とやっても通じない」 「・・・・・・っ」 「ならば、せめて生き汚く生き残れ。 地面にへばりつくように土下座をして命乞いをしろ、 あまりの憐れさについ見逃したくなるほどにだ。 ・・・それが間桐慎二に許された唯一の魔術だ。 ―――所詮、おまえに出来る事など、それぐらいしかないのだからな」 「な―――」 なぜかは分からない。 ただアーチャーの言葉は、どうしようもなく素直に、 この胸に落ちた気がした。 忘れるな、と。 この男の言っている事は、 決して忘れてはならない事だと、 誰より僕自身が思っている―――。 長いの書いても 感想が付く間もなく沈んで・・・シクシク。
295 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:27:26うっとおしい。男は黙ってネタを張れ。
296 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:39:21感想が付かないと不満かね?
297 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:41:06じゃぁ張らなければ良い。
298 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:42:30で、中の人女だったらどうするん?
299 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:42:47だからって空気無視してageるのはどうよ? 板の住人なんてほとんど変動無いんだから、 上にあろうが下にあろうが覗きに来る香具師は毎日でも来る、 感想がつかないのはつまりそういうことだ。
300 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:45:25>294 感想ってのは面白ければ嫌でもついてくる物だよ。 自分から感想を求めるのちょっとね・・・・。 ネタを書きたくてどうしようもないから書き込んでるのか、 感想や反応が欲しいから書き込んでるのか。 そこを間違えないようにしないとね。
301 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:48:50>>294 君は実にキモいなぁ
302 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:49:07>>294 感想とか反応とか無いと確かに寂しいよな。 がんばってくれ。でもsageしとこうな。
303 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:50:00まあネタ自体は結構面白かったけどなw 慎二似合いすぎ
304 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:50:12ここ2〜3日張り付いてる変な香具師、 出来たら同一人物であって欲しいな。 2匹も3匹も湧かれたら迷惑だし。
305 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:50:18>>298 女よりもむしろネカマの臭いが・・・
306 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 22:54:04>>304 多分一匹だね。誰かに便乗してばかりのヘタレのようだけど。
307 名前: 士郎→セイバー 投稿日: 2005/07/28(木) 23:00:29―――これは食べない。何かを食べるのはいい。 けど、このマーボ−は食べられない―――!
308 名前: 志貴→ワカメ 投稿日: 2005/07/28(木) 23:11:06「僕をヘタレって言うんだな、赤ザコ」 なら、僕たちは似たもの同士だ。 「いいだろう。―――ヘタレあおうぜ、コルネリウス・アルバ……!」
309 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/28(木) 23:13:07>>308 なんか素敵空間ができてるw
310 名前: UBWセイバー⇒Fateセイバー UBW士郎⇒Fate士郎 UBW凛⇒UBW凛 投稿日: 2005/07/28(木) 23:38:41「おーい。なにしてるんだ、セイバー」 「空を見ていました。それと、この家を」 応える声は、あまりにも穏やかだ。 彼女は出会った時とは違う顔で屋敷を眺めている。 「色々ありましたから。ずっと覚えていられるように、心に焼き付けておきたかった」 「―――――――――」 それは。 俺以上に、ここには戻ってこられないと覚悟している声だった。 「そっか。……うん、出来ればずっと覚えていてくれ」 縁側から、そんな拙い願いを口にする。 「はい。ではワタシからもお願いします。貴方たちは私が守る。ですから必ず、二人でこの家に 戻ってください」 「――――ああ。必ず戻るよ、ここに」 今はそう答える事しかできない。 俺たちは聖杯を壊しに行く。それは同時に、サーヴァントであるセイバーの帰還の時でもある。 俺がセイバーにいてほしいと思い、セイバーがこの屋敷に愛着を持ってくれていても。 彼女がサーヴァントである限り、その法則に逆らう事は出来ない。 「ちょっと、そこなにしてんのよー! 時間がないんだから急ぎなさいよねっ……!」 玄関から急かす声がする。 遠坂は準備を済ませて、もう門の前にいるようだ。 「――――では、シロウ――――貴方を、愛している」 「ああ。未練なんて、きっと無い」 ――――静かな夜。 星空の下にある中庭には、まだ、星を見上げている少女の幻が残っていた。
311 名前: 赤セイバー爆誕 投稿日: 2005/07/28(木) 23:43:55「あは、は―――――――」 笑いが零れる。 ああ、たしかにその通りだ。 絶対に逃げられない。 絶対に逃がさない。 やるべき事は、ただひとつだけなんだから。 食べれない。 食べれない。 きっと、間違いなく食べれない。 他の何にでもなく、 他の誰にでもなく。 ――――――コレは、言峰綺礼には、食べれない。 「あははははははははは!」 裂帛の気合のかわりに、白痴のごとき笑い声をあげた。 おかしい。 おかしくて、笑いがとまらない。 かちかちかちかちかちん、と音をたててマーボーたちは次々と消えていく。 脳髄が痛い。 体じゅうの神経血管細胞血液、全てがどうかしてしまった。 ―――漂っていた香気はなくなった。 この身を酷使して向こうからやってきたマーボーのうち七十皿ばかりを、とりあえず飲み込んだ。 「貴様―――なにを」 「―――ああ、貴方の気持ちはよくわかった、言峰」 口内には火の感触。 似てる―――断食を宣言された時と同じで、まともに呼吸ができやしない。 イッてしまいそうなほどの頭痛と舌と引き換えに、 吐き気がするほど、 セカイに食べ物が満ちている―――。 「マーボーを食べたいのか、神父」 なら、私たちは似たもの同士だ。 「いいだろう。―――奪い合おう、言峰綺礼……!」
312 名前: ランサー→シエル先輩 アーチャー→山瀬 凛→通りすがりのさっちん 投稿日: 2005/07/29(金) 02:31:17 「……二十七。それだけ殺しつくしてもまだ有るとは」 苛立ち、呟くシエル先輩。 いや、アレは苛立ちというより困惑だ。 ……その気持ちはわたしも同じ。 シオンの話では、吸血鬼が持てる使い魔はせいぜい一桁。 それ自体が絶大な力を持つ彼らの武器は、山瀬舞子さん のように次から次へと繰り出す物じゃない。 「どうしたんですか先輩、様子見とは先輩らしくないですね。 さっきの勢いは何処にいったんです」 「……クッ、狸ですね。減らず口を」 シエル先輩の苛立ちはもっともだ。 先輩は代行者として戦ったというのに、山瀬さんは吸血鬼として戦い、これを凌いだ。 いわば女生徒としての手の内をまったく見せていない状態である。 シエル先輩に鬼気が迫るのも当然だろう。 「……いいでしょう、訊いてあげます。あなた何処の死徒です。 それだけの使い魔を持つ女生徒なんて聞いた事がありません」 「そういう先輩は判りやすいですね。埋葬機関には最高の 処刑人が選ばれると聞きますが、あなたはその中でも選りすぐりだ。 これほどの火葬式典の使い手は世界に三人といないでしょう。加えて 弓の如き鉄甲作用と言えば恐らく一人」 「―――へえ、よく言いました山瀬さん」 途端。 あまりの殺気に、呼吸を忘れた。 先輩の腕が動く。 今までとは違う、一分の侮りもないその構え。 鉄塊の先端は地上を穿つかのように下がり、ただ、 先輩の双眸だけが山瀬さんを貫いている――― 「―――なら食らいなさい、第七聖典の一撃を」 「止めはしません。いずれは超えねばならない敵です」
313 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 05:34:41山瀬さんなにしてんのw
314 名前: アルクェイド→セイバー 志貴→士郎 投稿日: 2005/07/29(金) 09:40:50 ――抱きとめた瞬間、ぞっとした。 セイバーの体は、ひどく冷たい。 かろうじて残っている熱は、蝋燭の火に似ている。 目の前にはまだギルガメッシュがいる。 けれど、そんなコトどうでもよかった。 今はただ――セイバーを、助けたかった。 「セイバー――!」 呼びかける。 閉じられた目蓋は、眠りから覚めた時みたいに、元気よく開かれた。 「ふふ――かっこわるいところを、見られまし、たね」 ツギハギだらけの明るさで。 セイバーは、うっとりとした笑顔をうかべた。 「この……なにばかなこと言ってるんだ、おまえ。 どうして――どうして、こんな――」 ――言葉がうかばない。 もっと、もっといい言葉を言ってやりたいのに、あたまがどうかしてしまっている。 だって、とても冷静じゃいられない。 抱いているセイバーの体温は、もう絶望的だ。 今冷静になってしまえば――もっと絶望的なモノに、気付いてしまうに違いない。 ――そんなのは。そんなのは、絶対に気付きたくない。 「どうして――どうして、どうして――」 そんな言葉しか言えない。 自分自身に苛だたしくなって、ぐっ、と。 今までで一番強く、セイバーを抱きしめた。 ……抱き返してくる力はない。 セイバーの体には、もうどんな力だって残ってない。 彼女はただ、嬉しそうに、笑みをうかべるだけだった。 「うそだ――!」 そう。こんなのは、うそだ。 「――どうして――どうしてこんな――どうして一人で、コトするんだよ……! 俺たちは仲間だろ、協力するって――最後まで助けてやるって、ちゃんと言ったのに……!」 「……そう……そういえば、そうでしたね。なんだか……忘れちゃってました」 「忘れるなよそんなコト……! これじゃ――これじゃ俺は最低じゃないか。 おまえを助けるって、言ったのに。 ちゃんと助けるって言ったのに――ただの少しも、助けて、やれなかった」 「……いえ、そんなコトはないですシロウ。わたしは、貴方にたくさん助けてもらった。 ……だから助けてもらうのは……もう、いい、んです」 こふ、と。 唇から血をこぼして、彼女は苦しげに笑った。 「だから、お礼に、これぐらいは、しなければ、と。最後に、英雄王からシロウを守れて、良かった」 息を飲んだ。 ……セイバーの目は、何も見てない。 自分の傷口のことも、ギルガメッシュがまだ生きているということも。 ……彼女の時間は。 さっきの聖剣を放った時点で、もう終わりを告げていたんだ。 「あ――あ、あ。ありがと、う。助かっ、た、」 なんてコト。 そんな嘘さえ、俺は、うまく言えない。 ……セイバーの目の色が薄れていく。 体温が、段々とゼロになっていく。 ――失う。 このまま彼女を喪うのか。 「……セイ、バー」 「――なん、です?」 「……俺の魂を食え。そうすれば力が戻るんだろう、おまえは……!」 ……何も考えず。ただ、そんな事を叫んでいた。 「……」 セイバーは答えない。 ただ、見落としてしまいそうなほど微かに。 首を、横にふった。 「――なんで!? まさか、まだ義務感とかそんなモノにこだわってるのか!? いいか、よく聞けよ。俺は食うぞ。どうしても食わなきゃ生きていけなのなら、俺は食うぞ! 人が生きるために何かを犠牲にすることは、世界じゃ当たり前のことなんだろう……!」 何かを守るために、何かを犠牲にする。 それは、かつて騎士王が常としてやってきた事。
315 名前: アルクェイド→セイバー 志貴→士郎 投稿日: 2005/07/29(金) 09:42:07 なのに。 彼女は哀しい目をして、首をふった。 「わたしは、何かを犠牲にするなんて、できない」 拒絶の台詞。 それは――俺の、口癖だったのに。 セイバーは言っていたのに。 何かを守るためなら、何かを犠牲にすることはしょうがないって。 「――そう、か? おれ、俺はしょうがないと思うぞ。 確かに何かを切り捨てるのは、哀しいことだけど。 それで、何かを救えるような、気が」 するじゃないか、と言いたかった。 けど、喉がふるえて。 うまく発音することが、できなかった。 「……そうでしょうか……けど、今はそれより、もっと欲しいものが、あるんです」 なんだ、とふるえる声で尋ねた。 「ええ……シロウに、キスして、ほしい」 ――なんだ。 そんな簡単なことで、いいのか。 唇を重ねる。 それは、いつかのように甘いものでもなかったし、優しいものでもなかった。 ただ。 冷たい唇に、自分の唇を合わせただけの、何の温かみもない、口づけ。 そのあとに。 本当に嬉しそうに、彼女はわらった。 「……よかった。憧れていましたから、こういうのに」 「……そっか。ヘンなものに憧れてたんだな、おまえ」 「……ええ、なんだか嬉しいです。たったそれだけのことなのに、すごく気持ちが良かった。 長い時を、ずっと渡ってきましたが、今ぐらいに幸せな時間はなかった」 ――だから 「このまま聖杯が手に入らなくても、いいかなって、思えたんです」 そんなコトを、呟いて。 それきり、彼女の体温はなくなった。 「セイ……バー……?」 返事はない。 体は、あるのに。 まだこんなにも柔らかいのに。 鼓膜は、ちゃんとセイバーの声を覚えているのに。 ――もう、二度と。 それらが、繰り返されるコトがなくなったのか。 「あ――」 何をしていたんだろう、俺は。 ……こいつを、幸せにしてやりたかったのに。 色々な事を教えてやりたかったのに。 色々な場所に連れまわしたかったのに。 ずっと、一緒にいたかったのに。 それは、永遠に叶わない。 「――」 やられた。 いくらなんでも、今のはない。 唐突に、何の気の利いた言葉も言えずに、一人で勝手に逝かれてしまった。 こんなんじゃ―― 一生、自分は忘れられない。 この死を。 気が狂ってしまったのかもしれないぐらいの、この静かな気持ちを。 俺は、一生忘れられない。 かつん、と。 今まで静観していた男の足音が聞こえた。 「終わったか、雑種?」 「ああ、終わっちまった」 ――答えて。 俺は、自らの敵へと振りかえった。
316 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 10:27:32>>314-315 なんて――――GJ くそうこんな良作の後には投下しづらいぜw
317 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 10:45:25ただ見ていた英雄王が男前だと思いました。 この後の展開が気になるようわぁん!
318 名前: 凛→桜 投稿日: 2005/07/29(金) 11:21:24 それは、今から十年前の話。 ……懐かしい人を見ている。 背が高くて、彫りの深い顔立ちで、わたしが知るかぎり一度 も冗談なんて口にしなかった人が、わたしの頭を撫でている。 いや、ちょっと違うか。 力加減が分からないのか、撫でているというより頭を鷲掴み にしてグリグリとまわしている、という表現の方が正しい。 それも当然だと思う。 なにしろ、この人がわたしの頭を撫でたのは、この時が初めてだったのだから。 「それでは行ってこい。後の事は解っているな」 重い声に、行儀良くはい、と答えた。 わたしの頭を撫でていた人は一度だけ頷くと、手を離して立ち上がった。 ……だから、それだけ。 あの時これが最後だと知っていたのなら、とっておきの冗談で笑わせてやったのに。 いつかこの人の仏頂面を崩してやろうと、二人で何度も何度も笑い話を練習していた。 それが結局、一度も披露できなかったのが、悲しいと言えば悲しかった。 「成人するまではマキリに籍を作置いておけ。それ以後の判断はおまえに任せる。 おまえたちならば、独りでもやっていけるだろう」 なんて言いながらも、一応は心配だったのだろう。 遠坂の遺伝の事とか、大師父が伝えていた真祖の事とか、架空元素の行使の仕方とか。 今まで教えてくれなかった事を矢継ぎ早に話す姿を見て、子供心に気づいたのだ。 ―――たぶん。 この人とは、もう会えないだろうと。 ……戦争が起きるのだ。 国と国が争う戦争ではなく、人と人が戦う戦争。 といっても、いがみ合うのはたったの七人だけだ。 それなら戦争なんてお題目は似合わないのだけれど、 その戦う人々が魔術師であるなら話は別である。 派閥の違う七人の魔術師はよくわからない理由で競 い始め、よくわからない方法で殺し合う。 そのうちの一人が、わたしの目の前にいる人だった。 だから、この人も殺し、いつかは殺される立場にある。 その時が近い事は、わたしなんかよりこの人の方がはっきりと感じていたはずだ。 「桜、いずれ聖杯は現れる。アレを手に入れるのは三家の義 務であり、何より―――魔術師であろうとするのなら、避けては通れない道だ」 もう一度。 くしゃり、とわたしの頭を撫でて、その人は去っていった。 それが最後。 マスターの一人として聖杯戦争に参加し、帰らぬ人となった、父であった人の最期の姿。 「いってきます、お父さま」 行儀良く歩き出した。 自分が泣きそうな事は判っていたけれど、涙は決して流さなかった。 あの人の事が好きだった。 父親として優れ、魔術師としても優れた人物。 魔術師というのは偏屈者しかいない。 その世界において、あの人ほど優れた人格者はいなかっただろう。 彼は師として教え、父として愛してくれた。 だから、決めていたのだ。 あの人が最後に何を遺すかで、わたしは自らの道を決めようと。 ――――桜、いずれ聖杯は現れる。 アレを手に入れるのは三家の義務でもあり、魔術師であろ うとするのなら、避けては通れない道だ―――― 彼は最後の最後で、父親としてではなく魔術師として言葉を遺した。 だから、その瞬間にわたしの往く道は決定した。 「――――よし。それじゃあひとつ、気合を入れて一人前になりますか―――」 娘が父の言葉に応えるのは当然のコト。 それから色々、紆余曲折あってわたしこと間桐桜は成長した。 なんか桜が前向きになちゃったな……
319 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 11:47:07>>318 7歳の凛を第四次聖杯戦争に送り出す話かと思った…
320 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 11:48:00>>318 7歳の凛を第四次聖杯戦争に送り出す話かと思った…
321 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 11:58:21>>318 7歳の凛を第一次性杯戦争に送り出す話かと思った…
322 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 12:00:01>>321 荒らしなら消えてください
323 名前: 桜ルートラスト・スパークスリミックス 投稿日: 2005/07/29(金) 12:16:24>>322 こーいう時はスルーかネタ振りだ ……投影、開始。 思い浮かべるモノは一つだけ。 衛宮士郎に残った魔力を、全てその複製に注ぎ込む。 最後の投影。 契約破りの短剣を振り上げる。 桜の顔が、よく見えない。 「先、輩」 「おしおきだ。きついのいくから、歯を食いしばれ」 「―――――――――」 必死に息を呑む音がする。 そうして。 はい、と短く応えて、桜は自ら胸を差し出し――― これが、桜に下される罰になるように。 「桜。―――そんなヤツとは縁を切れ」 一息で、彼女の心臓を突き刺した。 躊躇いはない。 桜の目を見つめたまま、彼女の視線に応えて、重い腕を振り下ろした。 抵抗はなかった。 きっかりと一撃で、桜の命を止めた。 「――――――――――、―――」 思い出があった。 ちゃんと、今でも生きている温かさがあった。 忘れようのない、彼女の体温がすぐ近くにあってくれた。 その記憶ごと彼女を殺めた。 自分の記憶を抉り、手の届かないところに投げ捨てた。 もう、二度と蘇る事はない。 二度と、彼女を思い出す事はない。 ―――そんな事は、絶対に許されない。 俺はこの道を選んだ。 他人を助ける為に桜を殺した。 親しい人を、最期まで俺を慕ってくれた少女を、この手で殺めた。 後悔も懺悔も許されない。 ……誰かの味方をするという事。 ただ一つ貫く思想(エゴ)の為、大切なものを奪い続ける。 その先に。 喪ったものに見合う輝きなど在りはしない。 「――――でも、桜」 喪ったものに見合う幸せを、一生涯求め続ける。 ツケは溜まっていく一方で、いつか動けなくなるのは目に見えている。 それでも―――みっともなく、滑稽で無価値なまま、奪い続けた責任を果たしてみせる。 幸福が何処にあるのかは判らない。 ただ、終わりが見えなくても、諦める事だけはしないと誓う。 「――――ありがとう。おまえに、何度も助けられた」 ……短剣にかかる重みが消える。 黒い少女は最期まで口を閉ざし、俺をぼんやりと見上げたまま、黒い影に沈んでいった。
324 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 14:10:15『―――君を忘れる』でのセイバー→桜改変なら前にあったな。
325 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 14:24:03む、そうか、スマンカッタ。 命を止めた。だけで終わらしといたほうがギャグっぽくなったかな。
326 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 15:44:20こういうときはスールかネタ振りだ
327 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 15:52:23妹にしてどうする
328 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 16:01:40>>326 >>327 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1118463323/151 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1118463323/176 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1118463323/192
329 名前: 志貴→士郎 シエル→セイバー 投稿日: 2005/07/29(金) 17:30:46投影した剣を強く握って、立ちあがる。 足音が大きくなっていく。 敵が近づいてくる確かな気配。 その度に頭の中に響いてくる、誰かの声。 バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ 「っ――――」 バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラせ バラ―――・ 「黙れ」 強く意思を保って、頭の中を黙らせた。 「これは、俺が決めた事だ」 バ―――・ 「オマエに指図される謂れはない」 ラ―――・ 「セイバーに殺されたくないのなら」 せ―――・ 「終わるまで黙ってろ、アーチャー」 ――――・ 声は完全に消えた。 かつん、という足音と、伸びてくる影。 ―――セイバーが、俺の前に現れた。 「―――ようやく戦う気になったんですね」 なぜか、安堵するような声で彼女は言った。 「良かった。これでお互いに罪はありません。 互いに殺し合うという条件なら、わたしたちの罪は相殺されます。 あとは、生き残った者に罰が残るだけです」 ……お互いが殺しあおうというのなら罪はないというのか。 それは、俺には理解できない世界の話だ。 「そう。なら、残ったほうの罰っていうのは、償えるものなのか」 「ええ。果たすことのできる代償行為を罰というんです。 罰と名のつくものなら償えない道理はない。 消えさってくれないものは罪だけです。 ですから―――お互いそんなもの、いまさら背負いたくはないでしょう?」 言って。 一歩、彼女は踏みこんでくる。 「――それじゃあ、ここでセイバーを殺す事は罪じゃないのか」 「はい。わたしはシロウを殺します。だからシロウもわたしを殺していい。条件は同じです」 さらに、一歩。 「――――――――」 それは、違う。 たしかに俺は殺されようとしていて、自分の命を守るために殺し返そうとしている。 それに罪がないというのなら―――セイバーはどうなるのか。 彼女は初めから片思いの殺人意思を持ってやってきた。 それは――― 「さよなら。これで、くだらなかった芝居に幕を下ろしましょう」 最後の一歩。 彼女の剣が構えられて、そのきっさきが俺の心臓に向けられる。 その前に。 ただ無造作に前に乗り出して、彼女の右肺を狙った。 ―――殺せるとは、思っていなかった。 こちらの剣が届く間合いに踏みこむより先に、彼女の剣が俺の心臓を貫くのは道理だ。 だから、驚いた。 俺はあっさりと剣をかわして、トン、とあっけなく彼女の胸を刺せたから。 「――――セイバー」 セイバーはわざと、俺の剣を受け入れたように、見えた。 「シロウに、わたしを殺させて、しまった」 死に至る前の、弱々しい声。 「それが、一番大きな、わたしの罪でした」 泣くような声をあげて、彼女は最後の力をふりしぼって、俺の胸に、剣をつきたてた。
330 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 17:39:00>>329 んー、ちょっとキャラにかみ合ってなかったかなと。
331 名前: アルク>ギル 志貴>言峰 ネロ>士郎 投稿日: 2005/07/29(金) 19:30:14「そうだ、ひとつ言い忘れていたぞ、雑種」 その前に、高らかに吼えるようなギルガメッシュの声が響いた。 「いまさらかもしれぬが―――そやつはな、泰山の麻婆を主食としているのだ」 「な―――に?」 今度こそ、本当に。 愕然とする余り、衛宮士郎は自身を見失った。 その間隙。 忘我するヤツの思考が、それこそ呪いのように、私の意識に流れてくる。 ―――それは、悪夢か。 泰山の麻婆を食す? あの、毒物などという言葉さえ生ぬるい悪を、この神父は食したというのか? いや、それこそ否だ。 だがもし。仮釈、それが真実だとするならば。 ―――果たして。 思いあがっていたのは、一体どちらだったのか。 「理解したようだな。そう、思いあがっていたのは貴様のほうだ、雑種」 「く―――ふふ、ははははははは!」 恐怖と混乱の果てに。 衛宮士郎は、心底愉快そうに、声をあげて嗤った。
332 名前: vs 投稿日: 2005/07/29(金) 20:30:31「■■■、■■■■■■■■■――――!!!!!!」 大きく上空を薙ぎ払う斧剣の軌跡。 バーサーカーはセイバーに圧されながら、とっさに片手に構え直した斧剣で、三つ の氷塊を砕いていた。 ――――零れる鮮血。 片腕で払った故か、氷塊は壊しきれず、バーサーカーの片腕を切り裂いた。 そればかりではない。 氷は巨人の片腕で再凍結し、その動きを完全に封じていた。 しかし、それでも潰したのは腕一本のみ。 「な――――」 遠坂が声を上げる。 ――――当然だ。 もう一本のバーサーカーの腕は、そのまま、落下してきた遠坂の体を掴むことなく、 遠坂は地面に叩きつけられたのだから。 「っ……!」 遠坂の顔が苦痛に歪む。 バーサーカーの力ならば、遠坂を掴むコトなど容易だと思ったのだろう。 「と、遠坂――――!」 駆けた。 足手まといでもいい。 何が出来なくとも関係ない。 このまま、遠坂を地面にめり込ませておくものか――――! 「凛……!」 もう立つ力もないだろうに、セイバーも体を起こす。 「………………」 全身を強打して苦しいのだろう、遠坂は俯いたまま腕を伸ばす。 ―――と。 「―――くっ、こんなコトになるなんて」 心の底から悔しそうに呟いた。 「!」 誰もが息を飲んだ。 俺も、セイバーも、おそらくはバーサーカーすら凍り付いたに違いない。 ―――頭が悪いにもほどがある。 あいつ、初めからこうなるコトを予想できなかったのだろうか? 「でも、これで――――」 遠坂が反撃しようとする。 だが、それは一秒の差で遅すぎた。 「■■■■■■■■■■■■――――!」 振り下ろされる斧剣。 放った斬撃の数は一つ。 これ以上はあり得ないという至近距離からの一撃は、今度こそ本当に、あかいあくま の息の根を止めた。 いや。 それは豪快に、文句のつけようもなく、命を弾き飛ばしていた。 「……うそ。遠坂、死んじゃったのか……?」
333 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 20:35:44>>332 うわ、名前がおかしな事になっちまった。 正しくは vsバーサーカー 掴む→掴まない ってことで。
334 名前: バーサーカーだらけ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:00:31「■■■、■■■■■――! ■■■■■■■、■―!!!!!」 昼休みになった瞬間、教室の中心で雄叫びが上がる。 ああいう物騒な言い回しをする活発なバーサーカーたちを、そうでないバーサーカーが避けるように机を四隅に寄せていく。 『■■■、■■■■■■■■■■――!!』 『■■■■。■■■――!!』 『■■■■。……■■■■、■■■。■、■■■■――――!!!』 『■■■――――!? ■■■■■■――!? ■■■■■■――!?』 『■―、■■■■。■■■■■■―!』 『■■■―? ■■■■―!。■■■■――!』 『■■、■■■■――? ■■■■■――――!!!』 『■■■■■■■――――!!!!! ■■■■■■■――――!!!!! ■■■■■■■■■――――!!!!!!!!』 『■■■■■■■■■――――!!!!!!!!?』 「……■■■■■■■■■――――!!!!!!!! ■■■■■■■■■――――!!!!!!!!」 『『『『■■■■■■■■■■■■■■■――――!!!!!!!!!!!!!』』』』 学食組と購買組がそろって口をとがらせる。 こんな時だけ抜群のコンビネーションなんだよね、うちのクラス。 バーサーカーグループでお肉の味がするミックス定食を完食し、エビフライまでミートテイストなのはどうかと口論しながら戻ってきた。
335 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:07:44最近、マジで低レベルだね。 チラシの裏に書いてろ。
336 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:11:52>>334 いや、これはワロタ
337 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:20:22低レベルだと思ったなら見なきゃいいじゃなーい
338 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:26:37ここが高尚なスレで、自分がその高尚なネタを楽しむ高尚な人間と 勘違いしている手合いが増えているようだな。ここはネタスレだ。 つまんねーネタは「つまんね」で流すのが吉。
339 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:28:48まさかとは思うが、自分らが「高尚とはいえない」レベルだと思っているのか? だとしたらその勘違いは正したまえ。 「すこぶる低レベル」なのだよ。
340 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:35:31面白いか面白くないか、大事なのはそこだ。
341 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:36:20>339 そうそう。原作のネタの尻馬にのってるだけのすこぶる低レベルなスレだ、ここは。 そしてそういうとこの住人である俺や君もすこぶる低レベル。
342 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:37:49おっとネット弁慶のオナニートが1人登場〜〜 無視して次にいきましょう↓
343 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:38:41>>334 ワラタ 何かバーサーカーだらけって別の場面で作っても面白そうだなw
344 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:39:05つまんねって言うと黙れと言い、 スルーするとつまんねえのが増殖。
345 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/29(金) 23:51:15最低SSが増殖するわけだね。 うすうす気づいてはいたが、この板はそいつらに乗っ取られかけてるんだな。
346 名前: 切嗣→慎二 投稿日: 2005/07/29(金) 23:52:47空気読まずに投下。 月の綺麗な夜だった。 自分は何をするでもなく、中学からの友達である慎二と月見をしている。 冬だというのに、気温はそう低くはなかった。 縁側はわずかに肌寒いだけで、月を肴にするにはいい夜だった。 今日は、慎二はやけに口数が少なくなっていた。 あまり学校でも喋らずに女子生徒の誘いすら断って、突然衛宮家に来ると言い出したのだ。 ・・・・・・今でも、思い出すと胸が痛む。 慎二が命がけで挑んだ最後の賭けに失敗してそのうえで俺に後事を託そうと決めたのだと、分かったから。 「子供の頃から、僕は魔術師として生きる事に憧れてた」 ふと。 自分から見たら欠点も多いが何処か憎めない少年は、懐かしむように、そんな事を呟いた。 「どうしたんだよ、憧れてたって。もう諦めたのか」 なんとなく不思議に思って言い返す。 慎二は儚げに笑って、遠い月を仰いだ。 「うん、なんていうかさ。僕は魔術師の家系に生まれたのに回路が一本もない出来損ないだったんだよ。 それが堪らなく嫌で、無理矢理回路をこじ開けようと無茶をしたんだけどさ。おかげで体がもうぼろぼろなんだよ」 言われて納得した。 使っていない回路を働かせるだけでも極大の苦痛に襲われるのに、慎二は開いてさえいない回路をこじ開けるなんて無謀に挑んだのだ。 「そうなのか。それじゃあもうお前の体は手の施しようがないのか」 「そうなんだよ。本当に、しょうがない。 折角魔術が使える体に成ったのに、数日も保たないなんてさ。せめて聖杯戦争が始まるまでは生きたかったんだけどな」 なんでもないような口調で呟く慎二。 だから当然、俺の台詞なんて決まっていた。 「しょうがないな。なら代わりにお前の生きた証は俺が残してやるよ。 俺の体は頑丈さだけは人一倍だからな。 だから安心して任しておけ。お前が参加するはずだった聖杯戦争は」 “――――俺が絶対に勝ち抜いて見せるから” そう言い切る前に友は微笑った。 衛宮士郎の言う事なんて良く分かっているっていう顔だった。 間桐慎二は、そうか、と長く息を吸って 「しくじるなよ――――親友」 ニヤリと笑って静かに目蓋を閉じて、眠りについた。 それが、朝になれば目覚めるような穏やかさだったから、あの時自分は騒ぎ立てなかった。 高慢な態度とは裏腹に常に歯を食いしばって影で努力を重ねていた慎二が初めて見せた穏やかな顔だったからだろう。 何をするでもなく、冬の月と、かつてそれとなく自分を手助けしてくれていた友と認めた少年を見ていた。 庭には虫の声も無く、あたりはただ静かだった。 明るい闇の中、両目だけが熱かったのを覚えている。 泣き声もあげず悲しいと思うこともない。 月が落ちるまで、ただ、涙だけが止まらなかった。
347 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 03:55:17……こ、この流れは。 この流れはあの宝具の出番か!?
348 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 04:16:43どうせ暇つぶしだし、どうなってもいい。がんばれ。
349 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 09:42:24>>346 >高慢な態度とは裏腹に常に歯を食いしばって影で努力を重ねていた 本編でもそのへんが書かれていればなあ。 ファンディスクで補完……難しいか。
350 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 09:47:24 廊下に出る。 玄関から外に出ようとした矢先、ガラガラと玄関が開いて、コート姿の遠坂が帰ってきた。 「遠坂」 「ただいま。なに、エプロン姿でお出迎え? わりと似合ってるじゃない、そういうの」 眉一つ動かさず、遠坂は冗談めいたことを言う。 ・・・怖い。 人間、冗談を口にしてるクセに顔が真顔っていうのが、一番怖い。 「遠坂、おまえ――――」 何かあったのか、と訊ねようとして、彼女の手についた血の跡に気が付いた。 ・・・・・・わずかな血の跡と、腫れている人差し指。 それって、もしかして。 「遠坂。とてつもなく悪い予感を口にするんだが」 「なによ。つまんない事なら聞かないわよ」 「いや。お前さ、もしかして誰か殴ってきたんじゃないのか」 「ご名答。何かとやかましい慎二にナックルパートお見舞いしてきたわ」 ふん、と鼻を鳴らして通り過ぎていく遠坂。 「………………」 そっか、慎二にナックルパートか。 それなら手についてる血の跡も、指の痣も納得がいく―――って、ちょっと待てー――――っっっ!!! 「待て待て待て待て! 慎二を殴ったってどういう事だ遠坂!?」 「えへへ。KILL、しちゃった」 「っっっっ……!!!? とと遠坂……!」 いたずらに、これ以上ないって仕草で笑って、こっちの頭をグラグラにしてくれた―――― ベアナックラーリンと、凛の提案(致死量)を継ぎ接ぎにして台詞改変。
351 名前: サイドマテリアル 遠坂→遠野 投稿日: 2005/07/30(土) 12:09:43■遠野家 古くは城下町として栄えた三咲町には、 早くから極東の鬼種たちが根を張っていた。 その代表とも言えるのが遠野グループの各家を支配する 当主の家系、遠野家である。
352 名前: 翡翠ルートEND 投稿日: 2005/07/30(土) 15:41:04「えっと、それで何か必要な物はありますか? 食べたい ものとか、欲しいものとか」 突然かけられた翡翠の言葉に、琥珀さんははい、とまっすぐな瞳でうな ずく。 「……食べたいものはないけど、ほしいものがあるんです。 お願いしてもいいでしょうか?」 琥珀さんは翡翠だけでなく、壁際に座っている俺にまで視線を向けて くる。 「はい。なんですか、姉さん」 「……わたし、コハクという名前をずっと嫌っていたみたいな んです。だから―――わたし、名前がほしくて」 「……………………名前」 どうしてだろう。 そう言われて、一つの名前が頭に浮かんだ。 それはとっくに捨てられて、もう記憶にしか残ってないふるい単語。 「……………志貴さま」 翡翠が降りかえる。 ……彼女にも同じようなイメージがあったのか、同意を求めるように見つ めてきた。 「……………ん」 うなずいて答える。 翡翠はコハクさんに振り返って、 「槇久、というのはどうでしょうか」 そう、伝えた。 「――――!?な、なにを言ってる‥、ひ‥」 「――!ま、槇久…‥」 あからさまに嫌悪するように琥珀さんは呟く。 そうしてる琥珀さんに、翡翠は何かを刷り込むように指先を動かしていた。 ぐるぐるぐるgるrgるるr―――――――――――…。 「‥――――はい!わたし、その響きは好きみたいです。なんだ か、すごく懐かしくて」 「…………」 ―――――憧れていた青空の下。 屈託のない彼女の笑顔を、名残りの花のように、最後に一度だけ幻視した――――――
353 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 15:46:28翡翠マジ外道w
354 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 16:00:11>>351 ……いや、別に厳しい事を言うつもりはないが、 上でも言っていたように、そういった改変が本当に面白いと思っているのだろうか。 それだったら何でも良いから、とりあえずどうでもいいような場面を選んで 「────足と、腕?」 をやった方がいいと思う。
355 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 16:00:46外道翡翠ここに爆誕
356 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 16:33:19>>354 このスレではもう否定意見を書いたら作者への叩き行為と認定されるんだぜ? 悪い事言わないから黙っとこうゼ、俺もお前も。
357 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 16:41:42馬鹿話して面白がるだけのスレの雰囲気悪くしてもつまらんだろ。 目に余る連投などは別として。
358 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 16:43:11ヒ、ヒッスィー!?
359 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 17:19:54>>352 げ、外道だ…
360 名前: セイバー⇒アサシン 葛木⇒セイバー 投稿日: 2005/07/30(土) 17:29:51「――――――――いざ」 そうして、剣士はその業物を構えた。 構えらしき物を持たぬアサシンの唯一の構え。 異なる円を描く刃を同時に放ち、敵を四散させる必殺剣。 それを彼女は体験している。 ……以前放たれた刃は、敵を囲む円と縦軸しかなかった。 だからこそ彼女は避け、こうして命を繋いでいる。 だが、真のソレは三つの軌跡を持つという。 円を描く線と頭上から股下までを断つ縦の線。……そして恐らくは、左右に逃げる敵を捉える横の線。 この三つが同時に放たれるのならば逃げ場などない。 間合いに入ったが最後、一つの軌跡を受けた瞬間に二つの軌跡が体を四散させる。 左右にも逃れられず、後退したところで長刀は苦もなく逃げる胴を薙ぐだろう。 ―――魔剣、燕返し。 サーヴァントすら凌駕する神域の技。 無名の剣士が、その存在全てを懸けて練り上げた究極の一が、ここにある。 長刀が揺れる。 その体が、一足で間合いを詰める。 セイバーを断ち切る距離、 あらゆる守りを許さぬ間合いから、牢獄の如き軌跡が繰り出される――――! 斬撃は立木を断つほどの会心さで、仕損じる事なくセイバーを四つに断ち切る。 いや―――断ち切る、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 剣を振るった姿勢のまま、アサシンは呆然と目の前の敵を見た。 「―――――――ばか、な」 彼でさえ事態が掴めていない。 弧を描いて襲撃する必殺の一撃。 真っ向から両断する必殺の一撃。 横一線になぎ払った必殺の一撃。 それが止まっている。 敵の胴体を四散する直前に、何かに刀身を挟まれて停止している。 「――――足と、腕?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼の剣は、敵であるセイバーによって止められていた。 右手と左手と右足。 高速で切り払われるソレラを、少女は両手片足の指と足趾で、挟み込むように止めていたのだ。 「――――――――」 無論、彼は知っている。 素手で相手の武器――――刃を受け止める武術がある事も、それを実現する達人の事も。 それでも、これが通常の戦いなら放心する事などなかっただろう。 だが事はサーヴァント戦。 敵は見目麗しき女剣士。 それが必殺の一撃、神速の刀身を捉え、かつこんな不格好な体勢で押し止めたなど、もはや正気の沙汰ではない……! 「―――侮りましたね、アサシン」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」 アサシンの体が流れる。 止められた剣を全力で引き戻そうとする。 その瞬間。 「がっ――――!?」 彼の後頭部に、すでに上空に投じていた聖剣が落下した。
361 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 17:34:53>>360 ブーツ脱いだんかいw
362 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 17:46:54どんな姿勢なんだw
363 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 19:18:18 廃墟となった大広間。 朝靄にけぶるこの場所が、お互いの死地となる。 「来ましたか。随分と遅い到着ですね、遠坂凛」 冷め切った声が響く。 聞き慣れた声は二階から。 崩れた階段の上、朝日差す踊り場に、その女の姿があった。 黒いドレスは遠く、女の姿は白い情景に霞んでいる。 だけど見える。 その細部にいたるまで敵の姿を確認できる。 それは、暗い目を持ったあの子とて同じだろう。 キャスターの役割を与えられたサーヴァント。 サーヴァントでありながら魔術でなく、もう一人の英霊を持ち、惜しげも なくそれを行使した矛盾した存在。 手の内の英霊は全て黒化し、無限に影を伸ばす事があの女の宝具だった。 ……その真名に、自分だけ気づかなかった。 英霊はあらゆる時代から召喚される。 過去に該当する者がいないのなら、その英霊は未だ誕生していない未来のモノだ。 「ようやく気づいた。あのリボンが二つある筈がない。 アレは、元々」 「そう、アレは遠坂家を出た桜が生涯持ち続けた物。 この世に二つとない、遠坂凛の形見です」 それが二つあるという事自体が、矛盾だった。 彼女の言う通り、間桐桜があのペンダントを生涯持ち続けたというのなら、それは。 「―――英霊の召喚には必ず触媒が必要となります。 先輩がセイバーを召喚したように、召喚者と英霊には繋がりがなくてはならない」 「遠坂凛には、英霊を呼び出す為の触媒がなかった。 故に、彼女は呼び出したサーヴァントに何の縁もないと思い込んだ。 ―――ですが、偶然で呼び出される英霊などいません。召喚者と英霊には、必ず物質的な縁が必要となる」 「――――――――」 それが正しいのなら、答えは一つだけ。 私がキャスターに縁の触媒を持っていなかったというの なら、それは―――― 「そう。召喚者ではなく、呼び出された英霊そのものが、召喚 者に縁のある触媒を持っていた場合のみです」 「――――――――っ」 それは一つしかない、小さな宝石。 命を奪い、その相手が誰か知りながら、ただ姉の物で あった、リボンを持ちつづけた。 ……だから、それが答えだ。 彼女が桜のリボンを持っている以上、その正体は一つだけ。 ――――反英霊マトウ 未来の桜。 未熟なマキリの聖杯が暴走し、この世全ての悪を生み出した 女が、目の前にいる英霊の真名だった。
364 名前: ネロ戦後 投稿日: 2005/07/30(土) 19:35:47「志貴、大丈夫?」 何事もなかったように歩み寄ってくるアルクェイド。 「・・・この、バカヤロウ・・・これで大丈夫だったら、人間じゃない」 息も絶え絶えで返答した。 ―――意識が遠のく。 「だめよ。そんな傷で眠っちゃったら、間違いなく死ぬわ。 眠るのはその傷を塞いでからにしなさい」 「―――あんまり無茶いうな、このばか女」 ばたん、と地面に倒れこんだ。 「志貴、眠っちゃだめだって―――!せめて傷口を塞いで・・・」 ―――ああ、うるさいな。 俺は眠るからやりたかったらすきにしてくれ。 「え、いいのわたしが治しちゃって? なんだ、そういうコトなら早く言ってくれれば良かったのに」 明るい声が聞こえたあと。 冷たい、今の自分の身体より冷たい指先が、 いたわるように肌に触れていくのを感じた。 「ま、他人の使い魔を受け入れるのはイヤだけど、この際仕方ないかな」 何かを塗られているような感触。 わけがわからないけれどただ、ひどく心地いい――。 「さすがは原初の海とも言われた吸血鬼ね。 大本であるネロが消滅しても使い魔は蘇生可能域にまだ残ってる。 これだけあれば――傷の治療に使っても相当余裕が出来るわね」 ・・・声はそれきり聞こえない。 今度こそ誰にも邪魔されずに、遠野志貴の意識は深い眠りに落ちていった。 眼が覚めるとそこは先輩の家だった。 「あれ? 先輩、どうして?」 それに俺のこの格好、身体全体を覆うダボダボの病院服。 いや、これは病院服というよりまるで拘束着だ。 「・・・色々と言いたい事はあるんですがまずは状況から説明します」 先輩が拘束着のベルトを解いて俺を裸にする。 「・・・な」 そこにある腕は遠野志貴の腕ではなかった。 これは本来在ってはならないモノ、 摂理を捻じ曲げて取り付けられた“異物”だった。 「先輩、これは・・・」 「ネロ・カオスの左腕です。 調子に乗ったあーぱー吸血鬼がくっつけちゃったみたいです」 頭にハンマーで殴られたような衝撃がはしる。 頭が混乱していて言葉が出ない。 「遠野君が人の忠告を聞かないからですよ。 自業自得です、悪い女に捕まったと諦めてください」 ソンナコトを言う先輩の笑顔はどこか乾いたものだった。
365 名前: 士郎→桜 一成→凜 エンディングの裏側 投稿日: 2005/07/30(土) 20:03:55 しまった、気が付けばもうすぐ先輩が来てしまう―――! 「? どうしたの桜。何かひらめいた?」 「ひらめきはしませんが、思い出しました。呑気に勝利の余韻に浸っている場合じゃありません」 「?」 いそいそと黒い影を出現させて、にやり、と姉さんに向き直る。 「……む、不穏な空気。言っておくけど宝石剣はあれ一本よ。警戒されても無いものは無いわ」 ぞわ、と姉さんに向かって影をのばす。 ……時間もない。 はあ、と深呼吸をして、一言。 「姉さん。何も言わずに私の記憶を追体験してください」 きっぱりと、用件だけを口にした。 「な、なんですってーーーーーー!!!!????」 「だから私と同じように陵辱されてください。間桐に行ったその日からです。一日目からみっちりやらないと意味がない」 「っ―――ななななな何を言いだすかと思えば正気なの桜ーっ!? あれなの、今までの復讐なの!? 八つ当たりなの!?」 「ええ、色々と恨み辛みがいっぱいあるんです。いいから観念してください、先輩が来ちゃうじゃないですかっ!」 ええい、と姉さんを飲み込みにかかる。 「うわあ――――! ちょっと、勘弁して桜! 後の人気投票で泣きを見るわよー!」 ……どうにもオチが弱いなぁ。
366 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:08:42>364 アルク酷すぎwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
367 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:14:46>>364 つまり左腕の封印を解くと鹿や熊や兎が出てきたりするわけだな
368 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:24:20>>364 ちょっとずつ左手に咀嚼されていくのか。かなりエグイな
369 名前: レン→ライダー 猫→蛇 志貴→士郎 投稿日: 2005/07/30(土) 21:24:52公園に足を運ぶ。 まだ午前中とはいえ公園は様々な人で賑わっている。 その中でも特に目を惹くのは、しゅるしゅると波うちながら奥へ奥へと進んで行く蛇の群れだ。 「―――――あ」 ピンと来た。 あの蛇たちが向かって行った先は、きっと―――― 「やっぱり」 蛇たちは目的地に辿りつくと、それぞれ思い思いの場所に散開していく。 そこは木の下だったり時計台の裏だったりと様々だが、彼らには一つだけ共通する事項がある。 まあ、ようするに…… ……みんながみんな、このベンチを眺められる所にいるというコトだ。 「や。また会ったね」 「…………………………」 女の人はこくん、とうなずく。 ……こっちはやっぱりよく覚えていないんだけど、女の人はこっちのコトを覚えてくれているようだ。 「今日はまた賑やかだね。ああ、ところでここに座っていいかな」 彼女の座っている隣のベンチを指差す。 「…………………………」 女の人は無言。その手に巻き付いた蛇が威嚇の音をあげない所を見ると、座ってもいいらしい。 「それじゃ失礼。……けどまあ随分と集まったもんだ。この公園、こんなに蛇がいるとは思わなかった」 「…………………………」 女の人は照れたように俯いて、手の中の蛇を撫でている。 「あっ、コブラ」 「……………?」 「あ、いや、別にどうってコトないんだ。最近ちょっと縁がある後輩も黒いから、つい」 「…………………………」 じー、と見つめてくる瞳。 ……何をいいたいのか分からないけど、そう真剣に見つめられるとちょっと照れる。 「そっちは白蛇だね。色がきれいでお姫様みたいだ」 「―――――――――」 「……? いや、別にコブラを悪く言ってるわけじゃないんだけど」 「…………………………」 女の人の視線がちょっとだけ意固地になる。 ……うーん、白蛇だけ持ち上げるようなコトを言ったから怒ったんだろうか? 「そっちのアナコンダもいいんじゃないかな。やっぱり蛇は大きさが第一だし」 緑のアナコンダも誉めてみる。 「…………………………」 ……あ。なんか、ますます不機嫌そうな感じ。 「あ、いや、そういうんじゃなくて! みんな均等に可愛いと思うよ、うん!」 「…………………………」 じー、とまだ疑わしい眼差しを向けてくる。 ……これは、ようするにアレだ。不公平な扱いが許せないほど、全ての蛇が気に入っている、というコトなんだ。 「そっか。蛇、好きなの?」 「…………………………」 ん、と首をかしげる。 好きなのか嫌いなのか、これまたはっきりとしない。 「うん、俺も好きだよ。……まあ下手の横好きっていうか、蛇たちには嫌われてるみたいなんだけど」 とくにあのコブラなんて何回会っても触らせてもくれやしないし。 「…………………………」 「え? そんなコトないって?」 「…………………………」 ん、と首をかしげる。 ……嫌われてるのかそうでないのか、またも判別がつかない曖昧な答えだった。 時計の針が十二時にさしかかって、女の人は席を立った。 「……………………………」 この時間になると何処かへ行ってしまうのも、言葉もなく見つめてくるのもいつも通りだ。 「ああ、もうお出かけの時間? なんだかあっというまだったな」 だからさして驚くことなく、自然にそんな言葉が口に出た。 「そうか、それじゃまた。……ああ、それとも一緒についていこうか? 一人きりだと危ないだろ」 どこか悲しそうに首をふる。 そんな顔をされると無理強いはできないし、昼間ならさして危ないというコトもないだろう。 そうして彼女は蛇たちと一緒に去っていった。 「――――――さて」 もう昼だ。 ベンチを立って、あてもなく歩く事にした。
370 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:33:45>>369 シュールすぎるw
371 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:48:41>とくにあのコブラなんて何回会っても触らせてもくれやしないし。 ちょっと待て、士郎ww
372 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:51:12うわぁ…
373 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 21:52:40>最近ちょっと縁がある後輩も黒いから、つい ここが妙にツボったw
374 名前: 切り貼り 投稿日: 2005/07/30(土) 22:29:02「――――そう。けど貴方は無力。話はここまでよ。」 背中を向けて歩み去る遠坂。 「――――待て遠坂、それでも――――」 「っ――――!」 吹き上がるビル風の中。 なんの躊躇いもなく、遠坂は地面を蹴っていた。 必死に腕を伸ばす。 「っ――――」 風圧と重圧が体を絞る。 地上まで約十五メートル、着地まで一.七秒――――じゃ遅い、きっとあいつに追いつかれる……! 「vox(戒律引用、) Gott Es A(重葬は地に還る……!)tlas――――! アーチャー、着地任せた……!」 「――――、は――――!」 着地の衝撃をアーチャーに殺させて、地面に足がついたと同時に走り出す。 ―――とにかく場所を変えないといけない。 屋上なんて狭い場所ではなく、もっと自由に動き回れるところ。 わたしとアーチャーの長所を生かせる、遮蔽物のない広い場所(フィールド)に移動しないと……! 「はっ、は――――!」 屋上から道路まで、七秒かからず走り抜ける。 距離にして百メートル以上、常人なら残像しか見えない速度。 けど、そんなものは、 「いや、本気でいい脚だ。ここで仕留めるには、いささか勿体なさすぎるか」 士郎相手には、何の意味もあり得なかった。 「アーチャー――――!」
375 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 22:32:37ちょwSHIROUw
376 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 22:38:54何で殺る気マンマンなんだwwwwwwwwww
377 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 23:01:23ちょwwSIROUバロスwwwwwwww
378 名前: VSアサシン2 魔剣 剣→胸 投稿日: 2005/07/30(土) 23:17:51「―――当たりだ!」 自信を持って振り上げられた剣は、 アサシンが僅かに動いただけで空を切った。 あたかも見えないはずの剣が見えているかのように。 「な・・・」 まさか今までの打ち合いの中で見切ったとで言うのか。 「ふむ、胸回りは73cm、形は・・・成程、典型的な貧乳か」 「―――は? ああああ、貴方は何を・・・?」 その言葉に慌てて胸を隠すセイバー。 言うまでもなくセイバーの胸は鎧に包まれている。 仮に鎧が無かったとしてもセイバーの動きは視認することすら困難。 加えて一瞬の隙が即、命に関わる斬り合いの中で、 何の魔術も使わずにこの男は自分の胸のサイズを測ったというのか。 「なに、驚く事はない。 直に女子に触れる機会がない故身に付いた、ただの大道芸だ」 「・・・よく理解できました、貴方は私を侮辱しているのですね?」 この言葉を契機にセイバーの剣を中心に嵐が巻き起こる。 「ふ、小さきモノを愛でるのは風流というもの。 さあ、共に存分に語り合おうぞ、貧乳について!」 「約束された――――勝利の剣!!」 返答は最強の一撃。 ―――閃光が世界を包む。 不愉快極まりない門番は守るべき山門と共にこの世から消滅した。 だが――― 「・・・どうやら力を使い果たしたようだ。 すまないシロウ、貴方の剣になる事はもうかないそうにない」
379 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 23:21:40>>378 ちょwwwwwwwwwアサジロウGJwwwwwwwwwwwwww
380 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 23:56:49>>378 師匠と呼ばせてくれアサ次郎wwwwwwwwww
381 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/30(土) 23:59:14> 「なに、驚く事はない。 > 直に女子に触れる機会がない故身に付いた、ただの大道芸だ」 この台詞に、全米が泣いた。 アサ次郎。・゚・(ノД`)・゚・。
382 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 00:04:17EXCALIBERと同じか?>73cm
383 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 00:34:35嘘だ! こんな素敵アサジロウが女子に触れたことが無いはずが無い!
384 名前: 志貴→士郎 投稿日: 2005/07/31(日) 00:40:53 ────で。 気が付けば俺は虎の巣…… どこかわからぬデッドエンドの果て、 ブルマが住まうタイガー道場にいた……!!!!! 「ああ……それにしてもセイバーグッドエンドが欲しいっ……!!」 ゴメン、面白くないねorz
385 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 00:48:01最後まで黙っていれば少し笑えたのに
386 名前: 志貴→384 投稿日: 2005/07/31(日) 01:06:16「教えてやる。これが、ネタを殺すっていうことだ」 ゴメン、面白くないねorz
387 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 01:07:15「○○は○○なり!」 真名を口にする。 瞬間。 何もかもが砕け、あらゆる物が再生した。 ――――炎が走る。 燃えさかる火は壁となって境界を造り、世界を一変させる。 後には荒野。 無数の心臓が蠢動する、心臓の丘だけが広がっていた。 「――――――――」 その光景は、ヤツにはどう見えたのか。 黒衣の代行者は鬼気迫る形相で、目前の敵と対峙する。 「……そうだ。擬似心臓を作るんじゃない。 私は、無限に心臓を内包した世界を作る。 それだけが、アサシンに許された宝具だった」 荒涼とした世界。 生き物のいない、心臓だけが脈動する処刑場。 反鏡存在から心臓を作成するこの世界において、存在しない心臓などない。 それが、アサシンの世界だった。 固有結界。 術者の心象世界を具現化する最大の禁呪。 英霊アサシンの宝具であり、この身が持つただ一つの武器。 ここには全てがあり、おそらくは何もない。 故に、その名を“無限の心製”(アンリミテッドハートワークス) 生涯を暗殺者として生きたモノが手に入れた、唯一つの確かな答え――― 「―――固有結界。それが貴様の能力か……!」 一歩踏み出す。 左右の手には、ヤツの魔術で編まれた黒鍵が握られている。 「驚く事はない。これは全て偽物だ。 おまえの言う、取るに足らない無価値な存在だ」 両手を伸ばす。 地面で蠢く心臓は、担い手と認めるように容易く手の内に収まった。 「だがな、かりそめの心臓に偽物、などと言われる道理はない。 おまえの心臓が呪いに強いというなら、悉くを凌駕して、その心臓を握り潰そう」 前に出る。 目前には、黒い聖杯に侵された代行者。 「いくぞ異教の導師――――黒鍵の貯蔵は十分か」 「は――――思い上がったな、亡霊――――!」 敵は“秘門”を駆使し、無数の黒鍵を展開する。 荒野を駆ける。 異なる二人の執行者は、ここに、最後の激突を開始した。
388 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 01:07:29>>386 いやいやいや、あんたそれ自殺だから
389 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 01:13:19「ごめんなさい、わたしがぼうっとしたたからぶつかっちゃって。おでこ、大丈夫?」 申し訳なさそうに、女生徒は俺の顔を覗きこんでくる。 親しげな口調から同級生かなって思ったんだけど、リボンの色からするとこの人は二年生――やっぱり同級生だ。 「いや―――いいんだ。悪いのは俺のほうなんだから。こっちこそ君にぶつかってしまって、悪かった」 ぺこり、と頭を下げる。 「あ、そういえばそうだね。もう、ダメだよ廊下を走っちゃ。わたしみたいにぼーっと中庭を眺めていたりする人が いたりするんだから」 「ああ、以後気をつけるよ。……それで君のほうは、その、ケガとかなかった?」 「うん、おかげで転んだだけで済んだよ。遠野くん、わたしを避けようとして壁にぶつかってくれたから」 「―――そうなのか。どうりでこう、いつまでたってもお星さまが飛んでるなって思った」 ……というか、あの勢いで壁に頭をぶつけて、たんこぶで済んだのはむしろラッキーだろう。 「……どうも、済まなかった。でも、君も廊下でぼんりしてちゃ危ないよ」 「うん、これからは気をつけるね」 にっこり、と女生徒は笑顔でうなずく。 「……………………」 なんていうか、すごくまっすぐな笑顔をする人だ。 「……えっと、それじゃあ、俺はこれで」 ズボンの裾をはたきながら、事務室へ歩き出そうとする。 けれどツインテールの女生徒はじーっと俺を見つめてきた。 「……………………」 はて。そういえばこの女の子は誰だろう。 ぶつかってしまった事で混乱していたけど、冷静になってみるとこの娘はカワイイと思う。 これほどの美人なら、男子生徒の間で『二年にツインテールの似合うカワイイ娘がいる』なんて話が流れてきそう だけど。 「あの―――俺、行くから。君も教室に戻った方がいいと思うよ。 あ、もし体がどっか痛むようだったらうちの教室にきてくれ。二年三組の遠野って言うから。その、ケガの責任ぐ らいはとるから」 うん、と彼女は素直にうなずく。 ……同級生なのに、なんだか後輩を相手にしているみたいだった。 「それじゃあ、もし何かあったらお昼休みにお邪魔するね。けど志貴くん、急いでるからって廊下を走っちゃダメだ よ」 「ああ、わかったよ。けど君も廊下でぼんりしてちゃダメだよ」 そう返答して、手をあげて立ち去る。 ――――って、待った。 志貴くんって、俺は名前まで教えてない。 それに―――さっき、この子は俺の名前を当然のように口にしなかったっけ……? 「……あれ?俺、君と前にあったこと会ったっけ?」 女生徒はええ!と驚いてからものすごくいじけたように顔を曇らせる。 「ひどいよっ!遠野くん、わたしのこと覚えてないの!」 「――――?」 覚えてないって、いや、そんなコトはないと思う。これだけの美人と何かあったら、忘れる方がどうかしてると思 うんだけど……。 「………えっと………」 彼女はうつむきながらなにかブツブツ呟いている。 その素振りには、たしかに覚えがあった……よう……、な。 ……そういえば一度か二度、どこかで挨拶をかわしたことがあった……っけ? 「――――弓塚さん、だっけ?」 恐る恐る 彼女の名前を口にした。 弓塚さんは涙に濡れた瞳で俺をキッと見上げる。 ……その瞳が赤く見えるのは、泣いていたため、だと思いたい。 そして―――― 「…………遠野くんの、バカ――――!!!!」 渾身の右ストレートが、俺の意識をキレイに断ち切った。
390 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 01:51:00>>387 なんつーかさ コロ助だと思って読み始めた俺がいる
391 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:00:15>>387 心臓の丘……マラソンとかの心臓破りの坂が脳裏に浮かんだ。
392 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:21:52「スレイマンは偉大なり!」 って速攻で読んだ俺はどうすれば
393 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:22:08「スレイマンは偉大なり!」 って速攻で読んだ俺はどうすれば
394 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:25:06二重&ageすまん
395 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:51:42>「○○は○○なり!」 字足らずじゃまいか? せめて「○○ーは偉大なり」じゃないと、刺してもらえないぞ?
396 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:57:04アラーアクバルぐらい誰でも知ってるだろ
397 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 02:59:35君は、大人の事情というものを知った方がいい。
398 名前: 秋葉との再会 メイド→サーヴァント 投稿日: 2005/07/31(日) 03:14:47「ああもう、いいから私の心配なんかしなくていいの! 兄さんはこれからのご自分の生活を気に病んでください。 色々大変になるって目に見えてるんだから」 秋葉は少しだけ俺から視線を逸らして不機嫌そうにそう言った。 「それじゃあ、これからは分からない事があったら この男にいいつけて。―――アーチャー」 秋葉は傍らに立っていた男に目配せをする。 アーチャー、と呼ばれた男は憮然とした表情でこちらを見ている。 「この男はアーチャー。これから兄さん付きのサーヴァントに しますけど、よろしいですね?」 ―――――え? 「ちょっ、サーヴァントって、つまり、その」 「分かりやすくいうと奴隷、という事です」 秋葉は当たり前のようにきっぱりと言い切った。 「・・・直訳すればあながち間違いではないのだが、 せめて使い魔あるいは英霊、と紹介してほしいものだな」 ため息交じりに男が呟く。 ・・・信じられない。 日常とは程遠い戦闘服を着込んだ男は秋葉同様、 そうしているのが当然のように立っていた。 「―――ちょっと待ってくれ。子供じゃあるまいし サーヴァントなんて必要ないよ。自分の身ぐらい自分で守れるよ」 「真祖や埋葬機関を相手にしてもですか?」 うっ。 秋葉の指摘は、カナリ鋭い。 「ともかくこの屋敷に戻ってこられた以上は私の指示に 従ってもらいます。有間の家ではどう暮らしていたのか知りませんが、 これからは遠野の家で暮らすんです。 遠野家の者である以上、常に最強の装備を身に着けるのは当然。 それ相応の護衛は当然と受け止めてください」 「う・・・」 言葉もなく、アーチャーに視線を泳がす。 アーチャーは憮然とした表情を変えずに見下すように、 こちらを見つめている。 「それじゃあ、アーチャー。兄さんを・・・」 「待ってくれ。秋葉」 秋葉の言葉を遮るように声をかけた。 「何ですか、兄さん。拒否権なんてありませんよ?」 「ここに来る前にいた子もサーヴァントなんだよな?」 「ええ、あの子は私付きのサーヴァントでセイバーといいます。 セイバー、紹介するからこちらに来なさい」 秋葉が何回か手を叩くと玄関口からあの少女が現れた。 少女と男が肩を並べるように立つ。 同じサーヴァントでもこうも違うものなのか。 「秋葉」 覚悟は決めた。 例え怒られたとしてもこれだけは譲れない。 「兄さん、何ですか?」 「―――チェンジだ」
399 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 04:38:39>>398 最後の一言にペプシ吹いたwwwww 流石絶倫超人wwwwwwターゲットは譲れないwwwww
400 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 07:29:39>>398 チェンジってw
401 名前: 志貴→384 投稿日: 2005/07/31(日) 10:32:01ちょwwwwwwチェンジてwwwwww
402 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 10:33:02名前欄…やってもうた('A`) 樹海|λ...
403 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 12:41:44レンたんどぞー ノ〓
404 名前: ラストフライト 士郎→凛 ギルガメッシュ→セイバー 投稿日: 2005/07/31(日) 13:46:18黒い孔。 人間一人を飲み込めるほどの丸い孔が、 私の目前―――セイバーの胃袋に、現れていた。 「待―――」 待ってくれ、と言いたかったのか。 孔は容赦なくセイバーを飲み込んだ。 「今のは・・・?」 ・・・これが何かは分からないけれど、 士郎は聖杯を壊せたみたいだ。 その影響で黒い孔が現れて、セイバーを消し去ったとしか考えられない。 「・・・・はあ。ともかく、これで」 アンリマユと融合して世界を食べ尽くそうとしたセイバーの野望も 全て終わった。 宝石剣が手から滑り落ちる。 身体を占めていた魔力も急速に薄れていく。 もう休んでもいいかもしれない。 そうして、ほう、と大きく呼吸した瞬間。 「なっ――――!?」 一本のアホ毛が、私の腕に巻き付いた。 「くっ、道連れにするつもり?」 「まさか、美食を極めるまでは死ぬつもりはありません。 踏み止まってください、リン。私がそこに戻るまで」 「この・・・」 この状況でまだ言うか、この腹ペコらいおん! あ、ヤバイ、もう体力が・・・。 「・・・って諦められるか!」 萎えかけた手足を奮い立たせる。 こうなったら根気の勝負。 セイバーが孔から出て来ようが関係ない、 セイバーが諦めるまで戦ってやろうじゃないの! “その心意気は勇ましいのだが、その前に右に避けてくれ” 「え?」 聞き馴染んだ声に咄嗟に振り向く。 視線は遠く、荒野となった境内へと向けられる。 ――――すれ違うように、茶色の丸い何かが通り過ぎた。 「・・・・どら焼き?」 「――――アレは、江戸前屋の・・・!!」 ・・・アホ毛が外れる。 セイバーは、最後に。 心の底から嬉しそうな顔で、アホ毛を離して、 ―――そのどら焼きに飛びついた。 セイバーの身体が孔の中に沈んでいく、 コクコク、ハムハムという残響音を残して―――。 「今のは・・・」 セイバーが孔に落ちる。 もう、現界する魔力も尽きた。 思い起こすのは、かつて、そして今の彼女の姿。 大切な思い出があった。 ―――少なくとも彼女はあそこまで意地汚くなかった・・・はずだ。 常に彼女の温もりが傍にあった。 ―――あの姿を見ると・・・幻覚のような気がしてくる。 大切な記憶は粉々に打ち砕かれた。 誓いは折れ、弓兵は自らの原点を足場から失った。 「大丈夫だよ、遠坂。 答えなんかもうどうでも良くなった。 ―――もう俺に磨耗する部分なんて残ってないから・・・」 そういって朝日に消えていく彼の笑顔はどこか悟りを開いたものであった。
405 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 13:56:35解脱した――――!?
406 名前: 前フリ 投稿日: 2005/07/31(日) 14:49:24「――――さて。状況説明の前に、先ほどの疑問に答えておこう。あまり驚くなよ、衛宮士郎」 言峰の腕が伸びる。 神父は拘束着のベルトを解いて、あっさりと俺を裸にした。 「な――――」 そこにある腕(もの)は、衛宮士郎の腕(もの)ではなかった。 何重にも巻かれた布の上からでも判る。 ……いま右腕になっているものは、自分以外の何か。 それは本来有ってはならないモノ、自然の摂理を押し曲げてまで取り付けた“異物”だった。 「言峰、これ、は」 「アサシンの右腕だ。アサシン本人の意思を尊重し、彼の遺体からおまえに移植した」 「アサシンの意思を尊重……? いや、それより遺体って、あいつは」 「移植が済んだ後、消滅した。ここに運ばれた時点で死に体だったのだが、よくも終わるまで保ったものだ。 アサシンの人格に影響を与えた者の持つ戦闘続行(おうじょうぎわのわるさ)故だろうか」 「………………」 アサシンが、消滅した。 じゃあ、これで残るサーヴァントは遠坂のアーチャーと、桜のライダーと…… ……いや。 ああなってしまった彼女を、サーヴァントと呼ぶのは違う気がする。 「……待て。アサシンは消えたんだろう。なら、あいつの腕が残っているのはおかしくないか」 「移植が終わる前に消滅したのなら、その右腕も消えていただろう。だがおまえのソレはアサシンが現世に留まっているうちに切り離し、 おまえの体に植え付けたものだ。 衛宮士郎の魔術回路と繋げ、おまえ自身の魔力で現世に受肉させている呪いの腕。 ……その手術が成った時点で、ソレはおまえの肉体となった。その後ならばアサシンが消えようと右腕は残る。その右腕は既におまえの腕なのだからな」 「じゃあ本当に……これは、あいつの腕なのか」 「そうだ。あのままではおまえもアサシンも長くはなかった。アサシンはこの世に留まる霊核を壊されており、おまえも片腕を失い、傷口より生命活動に必要な中身を損ねていた。 幸い、アサシンの体に傷は少なかったからな。彼はおまえに唯一無事な肉体を提供する事で、死にゆくおまえを生かしたのだ」 「――――――――」 ……溶けてしまった右腕。 精神を侵していった熱と、こうして他人のモノとしか思えない右腕。 その全てが、あの出来事が本当だったのだと告げている。 ――――俺はあの森で倒れ。 その後、アサシンに救われたのか。
407 名前: オチ 投稿日: 2005/07/31(日) 14:51:01 贖(あがな)いはここに。 己を裏切り、多くの命を犠牲にした。 譲れないモノは変わらず、その為に在り続ける。 黒い罰に力を篭める。 生きるか死ぬか。 立ち向かうための深呼吸をして、引き裂くように左腕を―――― 瞬間。 世界が崩壊した。 (中略) 地上に踏み上がる。 風は途絶えた。 黒い巨人まで、距離にして三十メートル。 ヤツなら三秒とかからず詰める。 ―――故に。 勝敗は、この三秒で決せられる。 思考は冴えている。 自身の戦力は把握している。 身体観念、基本遺伝子、構成体質、生活環境、既往歴、現年齢の再現による臓器投影、 呪術理論・世界卵による心象世界の具現、魂に刻まれた『世界図』をめくり返す固有結界。 歴代アサシンが蓄えてきた戦闘技術、経験、肉体強度の継承。訂正、肉体強度は大した事はない。斬られれば殺されるのは以前のまま。 固有結界・“無限の臓製”使用不可。 アサシンの世界と俺の世界は異なっている。再現はできない。 複製できるものは衛宮士郎が直接学んだものか、ヤツが記録した臓器のみ。 右腕から臓器を引き出す場合、使用目的に最も適した臓器を“無限の臓製”から検索し複製する。 だが注意せよ。 投影は諸刃の剣。 一度でも行使すれば、それは自らの―――― 「――――――――」 呼吸を止め、全魔力を右腕に叩き込む。 把握するのは使える武装だけでいい。 注意事項など先刻承知。 もっと前へ。 あの風を越えて、俺は、俺自身を打倒する―――― 「――――投影(トレース)、開始(オン)」 凝視する。 ヤツの心臓を寸分違わず透視する。 右手を広げ、まだ現れぬ架空の臓器を握り締める。 桁外れの巨塊。 衛宮士郎ではこの心臓を潰せない。 だが―――この右腕ならば、無敵の怪力をもって確実に渥撃しよう。 「――――――――、ぁ」 壊れた。 パシ、と音をたてて脳の一部が破裂する。 骨格は流出する魔力に耐え切れず瓦解。リンゴの皮みたいにみっともない。 「――――――――行くぞ」 心配など無用。 壊れた個所は が補強する。 我が専心はヤツの絶殺にのみ向けられる。 「!」 気付かれた。 収束する殺意。 こちらの呪術行使を敵と見なし、黒い巨人の眼が動く。 黒い、凶(まが)つ星のようだ。 巨人は断末魔をあげながら、自らの敵を討ちに走る。 ―――狂戦士。 狂ったまま、巨人は変わってはいなかった。 アレは、未だセイバーとの戦いの中にいるのだ。 目は見えず、正気を失い、二度の死を迎え全身を腐敗させながら、尚、イリヤを守ろうと戦っている。 ――――――――――、一秒。 「――――――――」 走りくる巨人は一撃では止まらず、通常の投影など通じまい。 妄想心音(ザバーニーヤ)では届かない。 限界を超えた投影でなければ、あの巨人は倒せない。 故に――― 「――――投影、装填(トリガー・オフ)」 脳裏に九つ。 体内に眠る二十七の魔術回路その全てを動員して、一撃の下に叩き伏せる―――― ――――――――――、二秒。 目前に迫る。振り上げられる大剣。 激流と渦巻く気勢。 踏み込まれる一足を一足で迎え撃ち。 心臓 肝臓 肺臓 腎臓 脾臓 脳髄 睾丸 脊椎、 その八点を同時に複製し、 「全工程投影完了(セット)――――是、終末葬曲(イスラーフィール)」 振り下ろされる音速よりも速く、神速を以って全てを圧潰する―――!
408 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 14:53:25>404 すさまじい執念だなセイバーw
409 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 14:53:30はいはいわろすわろす
410 名前: sage 投稿日: 2005/07/31(日) 16:38:25「判らぬか、シロウ。そのような物より、私は下郎が欲しいと言ったのだ」
411 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 16:39:10ツマンネ あとメル欄
412 名前: 410 投稿日: 2005/07/31(日) 16:39:32目欄間違えたぁぁぁ
413 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 16:51:35なんかあれだ、もうちょっとマッタリ逝きましょうよ。 近頃皆さんギスギスしすぎですよ。
414 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 16:51:55>404 アーさんがすっげぇカワイソス(´・ω・`)
415 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 17:33:54>>413 約一名が荒らしてるだけだからスルーで。某スレで恥さらしてこっちに戻ってきてる。
416 名前: リアリティマーブル 投稿日: 2005/07/31(日) 17:39:02「リンを連れて行くのは人質ですか?」 教会の地下、凛を人質に取ったアーチャーと俺達は対峙している。 「違うな。これは交換条件だ。 コレがオレの手元にある限り、そこの小僧はオレを追わざるをえまい。 そして、オマエがいかに小僧を守ろうとも、マスターの命には代えられまい」 「くっ・・・」 セイバーが悔しそうに視線を落とした・・・かに見えた瞬間。 「・・・クククク、クハハハハハッ!!」 狂ったように高笑いをあげはじめた。 「何が可笑しい、セイバー!?」 「戯け。その女がマスター? 笑わせるな、アーチャー。 私が剣を預けたのは唯一人、シロウだけだ。 そのような、ましてや学校でシロウの命を狙ったメス豚と シロウを交換すると本気で思っているのか?」 唖然とする俺とアーチャーを無視してセイバーが俺を抱き上げ、 頭上の出口目指して駆け上がった。 「私の見立てではもって2日。その間、シロウを土蔵にでも閉じ込めておけば 戦わずして私の勝ちだ、アーチャー」 「待ってくれ!!セイバー、君はそれでも・・・」 ・・・聞き取れない、アーチャーの声が遠ざかっていく。 セイバーは家までの道を疾風のように駆け抜けた。 家に着いた直後、セイバーは宣言通り、俺を土蔵に放り込んだ。 ・・・なんとかしてセイバーを説得、あるいは目を盗んで救出に行かないと。 でも、今日はもう無理だ。魔力も体力も底を尽いている。 ―――寝床に入ろうとして 「なんだ、これ?」 ―――掛け布団の下から身に覚えのない紙切れを発掘した。 『明日 郊外の森 アインツベルン城 教会の事 怒ってないから 来るべし 来なかったら凛(を殺す)にいたずらします』 ―――声が出ない。 「これ、アーチャーだよな・・・?」 見なかった事にしたいが最後の一文が気になりすぎる。 「アイツ、遠坂にイタズラって・・・」 一体、どんな事をするつもりなんだろう・・・? その夜は決闘を前にして興奮が収まらず、結局眠ることは出来なかった。 ・・・うん、俺が眠れないのは戦いの緊張感のせいだよ。 そう、自分に全力で言い聞かせた。
417 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 18:05:39>>416 セイバーヒドスwww
418 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 18:27:28セイバー、学校で凛が士郎を襲ったことずっと根に持ってたんだな…
419 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 18:58:04「えっと、それで何か必要な物はありますか? 食べたい ものとか、欲しいものとか」 突然かけられた翡翠の言葉に、琥珀さんははい、とまっすぐな瞳でうな ずく。 「……欲しいものはないけど、食べたいものがあるんです。 お願いしてもいいでしょうか?」 琥珀さんは翡翠だけでなく、壁際に座っている俺にまで視線を向けて くる。 「はい。なんですか、姉さん」 「……わたし、カレーという食べ物をずっと食べていなかったみたいなんです。 だから―――わたし、カレーがほしくて」 「……………………カレー」 どうしてだろう。 そう言われて、一つの名前が頭に浮かんだ。 それはとっくに捨てられて、もう記憶にしか残ってないふるい単語。 「……………志貴さま」 翡翠が降りかえる。 ……彼女にも同じようなイメージがあったのか、同意を求めるように見つ めてきた。 「……………ん」 うなずいて答える。 翡翠はコハクさんに振り返って、 「シエルさまを呼ぶ、というのはどうでしょうか」 そう、伝えた。 「…………シエル」 吟味するように琥珀さんは呟く。 そうした後、何かを思い出したように顔をあげた。 「―――はい。わたし、その響きは好きみたいです。なんだか、すごくカレーっぽくて」 そう言って、彼女は笑った。 それはいつも彼女にあった、花のような笑顔。 ―――――憧れていた青空の下。 屈託のない先輩の笑顔を、名残りの花のように、最後に一度だけ幻視した――――――
420 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 19:31:50>>419 ( ´∀`)σ)Д`)
421 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 20:06:03>>419 ( ´∀`)σ)Д`) σ)Д`)
422 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 20:07:33>>419 ( ´∀`)σ)Д`)σ)Д`)σ)Д`)
423 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 20:11:11>>419 ( ´∀`)σ)Д`)σ)Д`)σ)Д`)σ)Д`)
424 名前: 切り貼り へたれなギルとバサカ 投稿日: 2005/07/31(日) 20:11:31「――――天の鎖よ――――!」 現れた無数の鎖によって、黒い雄牛は捕らえられた。 突如空中より現れた鎖は、空間そのものを束縛するようにバーサーカーを封じている。 「■■■■■■■■■■■■」 鎖はバーサーカーの両腕を締め上げ、あらぬ方向へとねじ曲げていく。 全身に巻き付いた鎖は際限なく絞られていき、岩のような首でさえ、その張力で絞り切ろうとしている。 「―――ち、これでも死なぬか。 かつて天の雄牛すら束縛した鎖だが、おまえを仕留めるには至らぬらしい」 広間には鎖の軋む音が充満している。 バーサーカーの力だろう。 空間そのものを制圧する鎖を断ち切ろうとする巨人。 本来不可能な筈のそれも、あの巨人ならば成し得るに違いない。 「■■■■■■■■■――――!!!!」 鎖を断ちきり、黒い巨人が我へと襲いかかる。 「は――――あ――――………!!!!!」 踏み込む。 左手には心臓を穿つ魔槍。 こちらが速い。 「■■■■■■■■■■■■■■■■――――!!!!」 だが、負けた。 後先も何もなく。 与えられた反則級の特権を臆面もなしに全開投入して、なお負けた。 バーサーカーの一撃が迫る。 旋風を伴って振り下ろされる。 「――――――――」 体をひねる。 全能力を回避に費やす。 気付いたのは早かった。 だから躱せる。 バーサーカーの一撃はギリギリのところでこめかみを掠(かす)めていくだけだ。 ――――だがそれで即死。 大剣の先端、わずか数ミリが掠っただけで死ぬ。 直撃ならば大地をも殺しかねない一撃だ。 我の頭など、切っ先が掠っただけで豆腐のように吹き飛んでしまう。 大剣が迫る。 自分の頭が吹き飛ばされる瞬間に視界が凍る。 ―――だが。 脅威的なスピードで繰り出された大剣は、 脅威的なスピードで止められた。 「――――――――え?」 死の一撃は標的まで落とされない。 「――――――――」 黒い巨人は、前を見ていた。 懐にいる我ではない。 つい駆けつけてきていた白い少女を、理性のない眼で見つめていた。 貫いた。 躊躇わず、微塵も情を零さず、バーサーカーの心臓に魔槍を叩き込む。 反撃はない。 巨人は残る命を使いきり、今度こそ塵に帰っていく。 ……その刹那。 消えていく赤い眼が、少女を見つめたまま、おまえが守れと告げていた。
425 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 20:24:56>>407 >心臓 肝臓 肺臓 腎臓 脾臓 脳髄 睾丸 脊椎、 >睾丸 ひでぇw
426 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/07/31(日) 21:00:04>420-423 なに調子に乗ってるんだお前らは。
427 名前: 剣→弓 ベティ→凛(セイバーエンド改変) 投稿日: 2005/07/31(日) 21:05:04 ―――全ては終わったと。 この先、彼女らの世界の動乱は続くだろう。戦いは終わらず、いずれは滅びの日がやってくる。 だが、騎士の戦いはこれで終わりだ。 彼―――いや、正義の味方はその役目を、最後まで果したのだから。 ……光が消える。 事を為し遂げ、彼を保っていた最後の力が失われたのか。 「―――すまないな凛。 今度の眠りは、少し、永く――――」 ゆっくりと眠るように。 彼は、その瞳を閉じていった。 ……夕焼けの陽射しが照らす。 丘は静寂に包まれ、彼の騎士は眠りについた。 「――――――――」 少女はその姿を見守り続ける。 彼女が望んだ騎士の姿。 たった一人の主に看取られた孤独な騎士。 だが―――その顔は、彼女が望んだものだった。 穏やかな眠り。 騎士は最期に、今まで得られなかった安らぎを得られたのだ。 それが、ただひたすらに嬉しかった。 彼女はその安らぎを与えることができた自分らを誇り、清々しい気持ちのまま騎士を見守る。 天は遠く、燃えるような空は朱い。 戦いは、これで本当に終わったのだ。 「――――見ているの、アーチャー」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた騎士は、果てのない朱に沈むように。 「夢の、続きを――――」 遠い、遠い夢を見た。
428 名前: 志貴→秋葉 アルクェイド→志貴 投稿日: 2005/07/31(日) 21:07:04「兄さん――――!」 呼びかける。 閉じられた目蓋は、眠りから覚めた時みたいに、元気よく開かれた。 「ああ―――かっこわるいとこ、見せちゃっ、たな」 ツギハギだらけの明るさで。 兄さんは、うっとりとした笑顔をうかべた。 「この……なにばかなこと言ってるんですか、兄さん。どうして―――どうして、こんな―――」 ……言葉がうかばない。 もっと、もっといい言葉を言ってあげたいのに、あたまがどうかしてしまっている。 だって、とても冷静じゃいられない。 抱いている兄さんの体温は、もう絶望的だ。 今この体を直視すれば―――もっと絶望的なモノが、見えてしまうに違いない。 ―――そんなのは。 そんなのは、絶対に視たくない。 「どうして―――どうして、どうして―――」 そんな言葉しか言えない。 自分自身に苛だたしくなって、ぐっ、と。 今までで一番強く、兄さんを抱きしめた。 ……抱き返してくる力はない。 兄さんの体には、もうどんな力だって残ってない。 彼はただ、嬉しそうに、笑みをうかべるだけだった。 「うそよ―――――!」 そう。こんなのは、うそだ。 「―――どうして―――どうしてこんな―――どうして一人で、コトするんですか……! 私たちは兄妹でしょう、協力するって―――最後まで助けてあげますって、ちゃんと言ったのに……!」 「……そっか……そういえば、そうだったな。なんか……忘れちゃったな」 「忘れないで下さいそんなコト……! これじゃ――これじゃ私は最低じゃないですか。 貴方を助けるって、言ったのに。ちゃんと助けるって言ったのに―――ただの少しも、助けて、あげられなかった」 「……いいや、そんなコトないよ秋葉。俺、おまえにいっぱい助けてもらったから。 ……だから助けてもらうのは……もう、いい、んだ」 こふ、と。 唇から血をこぼして、彼は苦しげに笑った。 「……だから、お礼に、これぐらいは、しなくちゃって。最後に、四季から秋葉を守れて、良かった」 「―――――――」 息を飲んだ。 ……兄さんの目は、何も見てない。 自分の傷口のことも、四季がまだ生きているということも。 ……彼の時間は。 さっきの一撃を行った時点で、もう終わりを告げていたんだ。 「あ―――あ、あ。ありがと、う。助かりまし、た、」 なんてコト。 そんな嘘さえ、私は、うまく言えない。 ……兄さんの目の色が薄れていく。 体温が、段々とゼロになっていく。 ―――失う。 このまま彼を喪うのか。 「……にい、さん」 「―――な、に?」 「……私の命を貰ってください。そうすれば力が戻るんですから、貴方は……!」 ……何も考えず。ただ、そんな事を叫んでいた。 「…………」 兄さんは答えない。 ただ、見落としてしまいそうなほど微かに。 首を、横にふった。 「―――なんで!? まさか、まだ悪い気がするとか言ってるんですか!? いいですか、よく聞いてください。 前に言ってましたよね、命を奪っていないから血を吸うのは構わない――そんな言い分、間違ってるって。 私はそれでも血を吸いますよ。貴方が居なければ生きていけないから。 貴方だって、生きるために何かを奪うことは、自然界じゃ当たり前のことなんですから……!」 彼は哀しい目をして、首をふった。
429 名前: 志貴→秋葉 アルクェイド→志貴 投稿日: 2005/07/31(日) 21:08:01「俺、もしもの話って、好きじゃ、ない」 拒絶の台詞。 それは―――兄さんの、口癖だった。 兄さんは言っていた。 イフは。もしもの話は好きじゃないって。 「―――そうです、か? わたし、私は好きですよ。 たとえ詭弁っぽくても。それなりに、どこか――救いがあるような、気が」 するじゃありませんか、と、言いたかった。 けど、喉がふるえて。 うまく発音することが、できなかった。 「……そうだったな……けど、今はそれより、もっと欲しいものが、あるんだ」 なんですか、とふるえる声で尋ねた。 「うん……秋葉にな、キスして、ほしい」 ―――なんだ。 そんな簡単なことで、いいのか。 唇を重ねる。 それは、いつかのように甘いものでもなかったし、優しいものでもなかった。 ただ。 冷たい唇に、自分の唇を合わせただけの、何の温かみもない、口づけ。 そのあとに。 本当に嬉しそうに、彼はわらった。 「……よかった。憧れてたから、こうゆうの」 「……そっか。ヘンなものに憧れてたんですね、にいさん」 「……ああ、なんだか嬉しい。たったそれだけのことなのに、すごく気持ち良かった。 そんなに長い人生じゃなかったけど、今ぐらい幸せに時間はなかったよ」 ――――だから 「このまま消えてなくなっても、いいかなって、思えた」 そんなコトを、呟いて。 それきり、兄さんの体温はなくなった。 「にい……さん……?」 返事はない。 体は、あるのに。 まだこんなにも柔らかいのに。 鼓膜は、ちゃんと兄さんの声を覚えているのに。 ―――もう、二度と。 それらが、繰り返されるコトがなくなったのか。 「あ―――――――――」 何をしていたんだろう、私は。 ……兄さんを、幸せにしてあげたかったのに。 色々なことを教えてもらいたかったのに。 色々な場所に連れまわしてほしかったのに。 ずっと、一緒にいたかったのに。 それは、永遠に叶わない。 「―――――――――」 やられた。 いくらなんでも、今のはない。 唐突に、何の気の利いた言葉も言えずに、ひとりで勝手に逝かれてしまった。 こんなんじゃ―――――一生、自分は忘れられない。 この死を。 気が狂ってしまったのかもしれないぐらいの、この静かな気持ちを。 私は、一生忘れられない。 かつん、と。 今まで静観していた男の足音が聞こえた。 「終わったかい、秋葉?」 「ええ、終わってしまいました」 ――――答えて。 私は、自らの敵(シキ)へと振りかえった。
430 名前: 314-315 投稿日: 2005/07/31(日) 21:41:51>>428 ->>429 ああ、いいなぁ……グルービーだ。 俺の改変なんかより全然うまい。
431 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/01(月) 09:20:26>>428 ->>429 良い!!
432 名前: 宝具→おっぱい 投稿日: 2005/08/01(月) 10:47:17「――――!」 号令一下、神速を以って放たれるおっぱいの雨。 それぞれが必殺の威力を秘めるそれを、 「っ…………!」 舞い散る木の葉のように、悉くを受け流す――――! 正面からのおっぱい、 左翼からのおっぱい、 下方、および頭上同時によるおっぱい、 弧を描いて揺れながら奇襲するおっぱい、 凛を上回るほど巨大なおっぱいの挟み込み――――! 受け、弾き、躱し、最後に迫った一撃から身をひねる……! 「は――――ぁ、ア――――!」 呼吸を乱しながら、無理矢理に崩した体勢を立て直す士郎。 ―――その瞬間。 彼は、敵の脳裏にあるソレを見た。 桜の脳裏、 既に準備された体位、その数実に四十八―――! 「く――――、つっ…………!」 全力で跳ぶ。 推進剤でも使ったかのような跳躍を逃がすまいと、無数のおっぱいが布団に突き刺さっていく。 おっぱいの雨の中、次々と被弾していく。 腰は砕かれ、精液を絞られ、理想を目指す信念さえ骨抜きになっていく。 その窮地においてなおギブアップを避ける士郎の目に、最悪の光景が飛び込んでくる。 おっぱいの雨の向こう。 逃げ惑う獲物にトドメを刺すように、桜は己がサーヴァントを呼び出している――――! "ライダー――――!" 跳躍を止める。 即座に着地し、息子に魔力を叩き込む。 だが間に合うか。 風が鳴る。剛直と化した息子を露わにし、強化が完成するのも待たずに腰を振り上げる。 「"トレース――――"」 降り注ぐ快楽の雨に我慢もせず、全速で息子を挿入する。 「"おっぱい――――!"」 だが遅い。 4つものおっぱいで挟み込んで、桜は士郎を篭絡した―――
433 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/01(月) 10:49:10 _ ∩ ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい! ⊂彡 とかやって貰いたかったのか>432?
434 名前: 殺人考察+俯瞰風景 投稿日: 2005/08/01(月) 11:16:17 黒瞳に感情はない。 ただ、本気だった。 ナイフの切っ先が幹也の喉に触れる。 少女は雨に濡れているせいか、泣いているように見えた。 表情はない。 仮面めいた泣き顔は恐ろしく、同時に憐れだった。 「コクトー、何か言ってよ」 式は言った。 遺言を聞いてあげる、と。 「式。君、今日も学校をさぼっただろう。 成績なんてどうでもいいけど、出席日数だけは確保しとかないと進級できないぞ。 一緒に大学に行くって約束、忘れたのか?」 「学校の事でオレに指図する権利、おまえにあるか? そもそもそんな約束は覚えてないし、おまえは大学辞めちまったじゃないか」 「……う。権利なんて言われると、そんな物はなんにだって無いんだけどね」 こいつは自分が不利になると地が出る傾向にあるらしい。
435 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/01(月) 16:53:05はいはいわろすわろす
436 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/01(月) 17:32:01↑はいはいわろすわろす
437 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/01(月) 18:05:25↓はいはいわろすわろす
438 名前: 戦闘開始 ランサー→アサシン 1/3 投稿日: 2005/08/01(月) 19:29:18曇天の空の下、教会の前にその男は立っていた。 「君の事だ。必ず来ると思っていた」 遠坂を見つめる。 その態度は裏切る前と何一つ変わっていない。 「―――――」 遠坂は何も言わず、アーチャーの視線をまっすぐ受け止めていた。 「それで、用意した策はなんだ。 何の手立ても無しで勝負を挑む君ではあるまい」 愉しむような言葉。 それに、 「なに、策というほど大したものではない」 遠坂の隣に現れた剣士が涼しげに答えた。 「―――アサシン・・・だと」 終始余裕があったアーチャーの表情に初めて動揺が見て取れる。 「別におかしな事ではあるまい。 マスターの交換は既にその身で体験しているはずだが?」 口元に笑みを浮かべながらアサシンが俺達の前に出る。 「・・・成る程。そういう事か、合点がいった。 まさか敵を味方に引き込むとは大したタマだな、君も。 しかし数日と経たずに新しいサーヴァントと契約するとは君の移り気も 相当なものだな。これは袂を分かって正解だったかな?」 「―――――」 「・・・構わないわ士郎。あいつの挑発なんかに乗らないで」 アーチャーを見据えたまま俺を止める。 ・・・だが、その顔を見れば瞭然だ。 挑発と分かっていようが 遠坂にとって今の台詞が苦痛であることに変わりはない。 「初めて会った時から無粋と思っていたが ――――まさかこれほど下らぬ男だったとはな」 落胆の色を隠そうとしないアサシン。 「ほう、裏切ったのはお互い様だというのに 随分な言われようだな」 「愚かな。信頼があってこその裏切りであろう? 元より駒扱いの私に信頼があろうはずもない。 それにな・・・別に少年達の味方になった訳ではない。 これは単なる意趣返しのようなもの、 全てがあの女狐の思い通りになっては面白くあるまい?」 「それこそ下らん。 明確な復讐や策略ならともかく、ただ面白くないという理由で 敵を見逃したり、裏切ったりするとは正気とは思えん。 私には理解できんな」 「理解せずとも良い。元より無粋な輩に雅など分からぬ」 ――――両者の間に言葉が消える。 残ったものは文字通り刃物のようなアサシンの殺気と それを平然と受けるアーチャーの殺気だけだ。 「お主らは先に行け。私も後で行こう、ここを片付けてからな」 「・・・分かってる。けどアサシン、アーチャーは」 「ふむ、私としてもあのような輩の首などいらぬ。 だが手足の一本や二本は構わぬだろう?」 振り返らずにアーチャーを見据え唇を歪ませる。 「――――ありがとう。仲間にしたのが貴方でよかった」 アーチャーはあっさりと俺達を通した。 いや、通さざるを得なかった。 何故ならアーチャーが一瞬でも俺達に意識を向ければ、 その瞬間にアサシンに首を切り落とされるだろう。 アサシンのサーヴァントと魔術師2人。 どちらが通してはいけない存在かを考えれば奴が動かないのも当然だ。 俺達は2人を残して教会の中に押し入った。
439 名前: 戦闘開始 ランサー→アサシン 2/3 投稿日: 2005/08/01(月) 22:54:22 「奇妙なものよな、アーチャー」 「何がだ、アサシン」 「我々の他にあるまい。あの夜はお主が侵入者で 私が門番にしてキャスターの駒。それが今は立場が全く逆とは」 「ああ、確かに。こればかりは私も予想がつかなかった。 それで自由になった気分はどうだね? アサシン」 「悪くない、と言いたいところだがそうもいくまい。 あのような顔で頼まれてはおいそれと破る事もできん」 「難儀な男だ」 「死んでも変わらぬ性分なのでな――――」 交差する2つの凶器。 日本刀と中華刀の違いはあれど得物は両者共に刀、 互いに首を討とうと繰り出される。 そこに間断はなく、容赦はない。 放つ一撃は全て必殺の意思によるもの。 規格外の長刀が大きく弧を描き、弓兵の首を落とさんと振るわれる。 「ぬっ――――!」 アーチャーの口から苦悶が漏れる。 アサシンの剣技はまるで流水。 バーサーカーの瀑布のような威力はないが、いくら塞き止めようとしても その合間をすり抜けるように刀が容赦なく襲ってくる。 故に、弓兵には自ら水の抜ける合間を作り上げるより他に道はなかった。 赤い外套の騎士は自ら致命的な隙を作り上げ攻撃を限定させた。 これは一度アサシンの剣技を目にしているからこそ出来る芸当、 しかし読まれれば一刀の下に両断される事は間違いないだろう。 それでも何の手もなく追い詰められるよりはマシと判断した。 「くっーーーー!」 「づっーーーー!」 一際高い剣戟。 舞い散る火花と共に両者の身体が後退する。 崩れた体勢を立て直そうと構え直すアーチャーを前に 「――――解せん」 ぽつり、とアサシンが呟いた。 「これほどの腕ならばあの女狐を前に裏切る必要などあるまい。 いや、そもそも殺すつもりであればあの夜に出来ていたであろう、 お主、何を考えている?」 その言葉にアーチャーが口元を歪めた。 「何を言い出すかと思えばそんな事か。 私は勝率が高い手段を取っただけだ。それ以外に理由などない」 自信に満ちた声に罪悪感などない。 赤い騎士は真実、主を裏切った事を悔いてはいなかった。 「そうか、買いかぶった私が愚かだったようだ」 まったくだ、とアーチャーは同意する。 「策士としては女狐より優秀―――― しかし雅がない。ただ勝つだけでは意味もなかろう」 立ち上る闘気。 それを前にしてなおも赤い弓兵は愉快げに笑う。 「架空の英雄の殻を被った亡霊がよく囀るものだ。 亡者が気取るほど憐れなものはないぞ、アサシン」 瞬間。 弛緩しかけていた空気が一変した。 ――――大気が凍りつく。 「亡者といったか、アーチャー」 「事実だ、英雄気取りで誇りなど持っているのなら今のうちに捨てろ」 「―――ならば受けるか、その亡者の太刀を」 型を持たないアサシンが初めて構えを見せる。 「――――」 アーチャーの五感が凍る。 恐怖か、畏怖か そのどちらであれ、彼は即座に理解した。 あの構えから繰り出されるのは必殺。 「秘剣――――燕返し」 ―――多重次元屈折現象。 全く同時に3つの軌跡を描く剣の牢獄。 ただの人間が生み出した魔法と同格の剣技。 避ける事も出来ない死を前に、 弓兵は覚悟を決めるかのように眼を閉じ 「I am the bone of my sword」 急速に自己に埋没し、最強の守りを引きずり出した。 「全て遠き―――――理想郷!!」
440 名前: 戦闘開始 ランサー→アサシン 3/3 投稿日: 2005/08/01(月) 23:32:04赤い騎士の右手から現れた鞘。 それは防御と呼べるものではなかった。 ―――遮断。 世界のあらゆる干渉から断絶する最強の守り。 だが、太刀をなおもそれを抜こうとする。 殺しきれぬ魔剣の勢いを前に 「ぬ―――ぬあああああ・・・!!!」 裂帛の気合を持って己が宝具に全魔力を注ぎ込む――――。 「――――」 刀を振り切ったアサシンがただ目前のサーヴァントを凝視する。 アーチャーの右腕がどさり、と音を立てて地面に落ちる。 苦痛に歪む顔は腕を切られた痛みだけではなく 想像を絶する頭痛を堪えてのものだった。 「完全に再現できれば平行世界からの干渉も防げたのだが・・・・ それを差し引いても君の剣は実在の『佐々木小次郎』を凌駕している」 赤い騎士は心からの賛辞を英雄ですらない男に送る。 「―――――」 そんなものがアサシンに届くはずがない。 自身が人生をかけて編み出した絶対の剣が破られたのだ。 「お主・・・何者だ・・・?」 戦う相手と剣で語り合えばいいと信じた男が 初めて目前のサーヴァントの正体に興味を示した。 「ただの下らぬ男だ、君の見立てで間違っていない。 それより気付いたかアサシン。キャスターめ、存外に苦戦していると見える。 こちらに向けられていた監視が止まった」 残った片手を上げて降参するようにアーチャーは付け足した。 「・・・やはりな。元からそのつもりであったか」 「無論だ。言ったはずだ。勝率の高い手段だけを取る、と」 「――――あの女が女狐ならばお主は狸といったところだな」 呆れるように言ってアサシンはアーチャーに背を向ける。 ・・・彼の仕事は終わった。 そして、そのまま立ち去――――る事なくその場に留まった。 約束は果たした。 だからここから先は自分の思うようにやらせてもらう。 彼が望むのは、セイバーとの再戦。 キャスターの手に落ちれば二度と叶わなくなる唯一の願い。 「まるで恋焦がれた相手を待つ気分だ。悪くない」
441 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/01(月) 23:46:32表現を入れ替えるなんてもんじゃない。 こんなスレに書いておくのがもったいないほどの名作だ。 続きをちゃんとしたところでお願いします!
442 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/02(火) 00:42:20元の場面もUBW篇屈指の場面なのに同じくらい燃えるなおい! アインツベルン城までアサシンverで書ききって欲しいくらいだな。
443 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/02(火) 00:59:39「絶対に、チョンマゲなんかじゃないんだから・・・!」 とか言い出すシロウを幻視した。我ながら訳が分からない 雅なコジコジGJ!
444 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/02(火) 14:20:52>>437 に殺意が沸くぐらい名作だな。 考えてみればアチャVS小次郎は実現してないんだな。 このまま最後まで書ききってもらいたいものだ。
445 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/02(火) 14:37:03>>444 > 考えてみればアチャVS小次郎は実現してないんだな。 戦闘描写はされてませんがUBWでやってますよ?
446 名前: 438 投稿日: 2005/08/02(火) 15:20:42>>441-444 これは>>378 でいじりたおしたアサ次郎先生への贖罪にと作成したもので、 「これは・・・表現の入れ替えって趣旨から逸脱してSSの範疇かもしれない」 と思いここで終わりとしましたが、教会地下の戦いまでは完成していますので 後ほど、それを上げます。 追伸:>>398 の志貴については何の贖罪もしません、事実ですから。
447 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/02(火) 15:33:48体は夏だなあで出来ている 血潮は夏で、心は士郎 幾たびの夏を越えて厨 ただ一度の敗走もなく ただ一度のの勝利もなし 担い手はここに独り夏だなあ 夏の丘で秋を待つ ならば、我が夏に意味は不要ず この体は、無限の夏だなあで出来ていた ホロウまだー?
448 名前: セイバー⇔ギル様 投稿日: 2005/08/02(火) 19:52:51「女子の足蹴に!? おのれ、どうやら本格的に躾られたようですねギルガメッシュ─────…………!!」
449 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/02(火) 19:57:54一瞬つまんねとか思ったが、そのCGを想像したら吹いた。 Mなギル様(;´Д`)ハァハァ
450 名前: 桜道解放 投稿日: 2005/08/03(水) 00:15:25 契約破りの短剣を振り上げる。 桜の顔が、よく見えない。 「先、輩」 「おしおきだ。きついのいくから、歯を食いしばれ」 「―――――――――」 必死に息を呑む音がする。 そうして。 いやです、と短く応えて、桜は自ら影を打ち出し―――
451 名前: 戦闘開始の続き ランサー→アサシン 1/3 投稿日: 2005/08/03(水) 00:35:26 教会の地下に剣戟が響き渡る。 それも数合、音は止み残響音だけが虚しく響き渡る。 ―――この結果は分かりきっていた。 アーチャーが隻腕だったとしてもセイバーに勝てるわけがなかった。 魔力を使い果たしたセイバーの姿には 以前の輝かしいばかりの力強さも凛々しさも 何一つ感じられないのだから。 「諦めろ。今の君ではオレは倒せん」 膝を屈し剣を失ったセイバーにアーチャーがゆっくりと歩み寄る。 「・・・・それでも私は――――」 すでにセイバーは限界だ。 傷があろうがなかろうが関係ない。 彼女の鎧もその姿を保ちきれずに薄らいでいる。 そこには誇り高き騎士王の面影なんてないというのに――― 「―――この誓いを捨てる事は出来ない」 その眼はまだ輝きを失っていない。 「そうか。残念だ」 そう言いながらもその表情は変わらない。 何の感情も表に出さないまま隻腕の処刑人が彼女に一歩ずつ近づいていく。 その歩みを――― 「そこまでよアーチャー」 ―――遠坂の一言が止めた。 アーチャーが振り向くその先、 そこには令呪をかざす遠坂の姿があった。 「やめておけ凛。それは下策だ」 「状況が分かってないみたいねアーチャー。 この場を支配しているのは私よ」 確かに令呪でアサシンを呼べば形勢は逆転する。 アイツにアサシンと戦えるだけの力が残っているとは思えない。 それを一番分かっているはずの男は余裕の表情を崩そうとしない。 「君こそ状況が分かっていないようだな。 いいか、それは最後の令呪だ。 確かに令呪を使えばアサシンを呼び出せるだろう、 だがその後はどうする? 奴が君の言う事に大人しく従うとでも思っているのか」 遠坂はアーチャーを見据えたまま動かない。 もし、遠坂が一瞬でも動揺したそぶりを見せれば、 またアイツの独壇場に舞い戻ってしまう。 遠坂は戦っている。 人の力の及ばぬ英霊を相手に、 一歩も引かず、 勇敢に―――。 ――――俺は何をしている。 彼女の支えにすらなってやれないのか。 「令呪の縛りがなくなった英霊は野生の獣と同じだ。 それがどれほど危険かは言うまでもあるまい。 あの夜に言ったはずだぞ凛、 『君はそれがどれほど重要な意味を持っているのか、分かっているのか』、と」 「遠坂、令呪を使え!」 アーチャーの言葉を遮るように士郎が声を掛ける。 「貴様、人の話を聞いてなかったのか。アサシンを呼べば貴様だけでなく セイバーや凛まで危険にさらす事になるのだぞ!」 「そんな事分かってる!!」 士郎の叫びにアーチャーの言葉が詰まる。 「・・・・それでも誰かを犠牲にして生き延びるより、 ―――セイバーと、遠坂と一緒に生き残る事に賭けたいんだ」 その言葉には何の論理性もない。 そこにあるのはただのまっすぐな力強さだけ。 でも、それで十分。 アーチャーの言葉はもう私には届かない。 「―――Anfang…!」 そして私は最後の令呪を行使した。
452 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 02:01:08教えてやる。これが、息を殺すということだ。
453 名前: 戦闘開始の続き ランサー→アサシン 2/3 投稿日: 2005/08/03(水) 02:05:44 空間が歪む。 そして重みを持った歪みの中から一人の剣士が現れた。 アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。 「ふむ。キャスターは倒したようだがこれはどういう事だ」 令呪の縛りを失っている今のあいつは危険だ、とアーチャーは言っていた。 だが俺にはあの男がそんな風には見えない。 「君には関係のない事だ。セイバーとの闘い以外、君には興味がないはずだ。 こちらも君に用はない。失せろ」 その言葉に 「その通りだ。私が望むのはセイバーとの死闘それのみ。 令呪を失った以上マスターに従う理由もない」 アサシンはこちらが想像し得る最悪の答えを返した。 「な―――!?」 アサシンはアーチャーへ背を向ける。 アーチャーの唇がつりあがる。 「―――だからといってお主の言葉に従う理由もない」 振り返りざまに一閃。 首を落とすかと思われた一撃は、 咄嗟に飛び退いたアーチャーの前髪を数本切るに留まった。 「――――貴様」 「任せると言われた以上、お主の好き勝手にさせては面目が立たんのでな」 アーチャーの髪がはらり、と床に舞い落ちる。 「その言葉、返そう―――失せるのはお主だアーチャー」 突きつけた長刀の切っ先の向こうには隻腕の弓兵。 「―――フン。先程の闘いで勝ったつもりかアサシン」 片腕のアーチャーが接近戦でアサシンに勝てるわけなどない、 そんな事分かりきっているはずのアイツは有無を言わさず アサシンへと突進した。 衝突する2つの剣戟。 アーチャーが全身の力を込めて放った一撃は、 アサシンに事も無げに打ち払われた。 「ぬっ―――!」 崩れた体勢を立て直すべく引き下がったアーチャーを 突風じみたアサシンの剣が追撃する。 凄まじい。 アサシンの剣もそうだが何よりも凄まじいのはアイツだ。 あの剣を前にして片腕でなおも防ぎきろうとしている。 ―――その執念は一体何処から来るというのか。 アーチャーの干将が弾かれて宙を舞う。 ここまで防げただけでも奇跡。 アサシンが止めの一撃を振り下ろす。 それを瞬時に投影した莫耶で受け止める。 だが力はアサシンの方が上、ましてやアーチャーは片腕だ。 ジリジリと長刀がアーチャーを追い詰めていく。 「これで幕だアーチャー」 「待ってアサシン。そいつは・・・」 誰もがアサシンとアーチャーに目を向けたその時、 俺は宙に舞ったアーチャーの剣を見ていた。 ―――知っている、あの剣が何か俺は知っている。 投影の連続で割れそうな頭が警告を出す。 今、追い込まれているのはアーチャーじゃなくて――― 「避けろ―――アサシン!!」 それに呼応するかのように宙を舞っていた剣がアサシン目掛けて飛来する。 アサシンの反応は早かった。 地面を大きく蹴りアーチャーから離れる。 その目前を飛来した剣が飛び去りアーチャーの足元に突き刺さった。 「あと少しだったものを余計なマネを・・・」 アーチャーが苛立ち混じりに呟く。 「面白い芸だが次は通用せん。もう策もあるまい。 依り代も魔力も無しの今のお主に何が出来る?」 「確かに剣では及ぶべくもないか」 アーチャーの手から剣が消滅する。 「・・・アーチャー。剣を納めたという事はもう戦うつもりは――」 「まさか。思い違いはよせ。オレはアーチャーだぞ? 元より剣で戦う者ではない」 安堵したセイバーの言葉を遮り、 「弓か。だがその腕で弓が引けるとは思えんがな」 アサシンの言葉に笑みを浮かべ、 “I am the bone of my sword” ヤツはそんな呪文を口にした。
454 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 04:56:59何この焦らしプレイ
455 名前: 戦闘開始の続き ランサー→アサシン 3/3上 投稿日: 2005/08/03(水) 12:29:07「止めろアーチャー!」 “Unknown to Death.Nor known to Life ” セイバーの制止の声も届かず聖堂に呪文が響き渡る。 あれだけの長い詠唱にもかかわらず外界には何の変化もない。 当然だ。アイツの呪文は外界に働きかけるものではなく―――。 左腕が上がる。それでヤツの呪文は完成し――― “■■■――unlimited blade works.” その瞬間、世界が変貌した。 一言で言えばそこは製鉄場だった。 燃え盛る炎と空間に回る歯車。 赤い荒野に突き立つ無数の剣、そのどれもが名立たる名剣。 その瓦礫の王国に赤い騎士は君臨していた。 「ぬっ――――」 当惑の声はアサシンのもの。無理もない。 魔術に造詣のない彼にはこれが何かを理解できない。 「―――固有結界。心象世界を具現化して現実を侵食する大禁呪。 つまりアンタは剣士でも弓兵でもなく」 「そう。オレの生前、英霊となる前は魔術師だったという事だ」 遠坂の声は淡々としている。 ひょっとしてアイツはとっくにアーチャーの正体に気が付いていたのか。 「オレには宝具と呼ばれる物はない。オレが持ち得るのはこの世界だけだ。 だが宝具が英霊のシンボルとされるものならこの固有結界こそオレの宝具。 そう、アサシン。オマエのシンボルが燕返しであるのと同じようにな」 「――――」 アサシンに声はない。ただこの世界を食い入るように見つめているだけだ。 アーチャーの左腕が上がる。 ヤツの背後に立つ剣が次々に浮遊する。 「―――アーチャー・・・」 「どうした命乞いか。ならばこの場からすぐに失せろ」 オマエには用がない、と言わんばかりにアーチャーが告げる。 「私を亡者と呼んだな?だがそれはお主自身の事ではないのか」 「――――」 今度はアーチャーが声を失う。 その左腕を振り下ろせば決着が付くというのに下ろせない。 「なに、この世界を見れば分かる。 担い手も鞘もなく大地に突き立つ剣はお主の作りあげし墓標。 己の大切なものを全て殺し、最後は自分まで殺すか。 ―――それが亡者の所業でなくて何とする」 その言葉にアーチャーは答えない。 ただ指先でアサシンを示す。 無数の剣の切っ先が全てアサシンへと向けられる。 「受けきれると思うな。君には出来ない」 「出来ぬ、か。生前よく耳にした言葉だ。 燕を斬るなど人には出来ぬ、と」 アサシンはそれを前にしても変わらなかった。 「最後は誰も口にする事はなかったがな。 出来ぬかどうかは所詮自分で決める事よ」 「―――たわけ。燕とは比べ物にならんぞ」 そうしてヤツは号令を下した。
456 名前: 戦闘開始の続き ランサー→アサシン 3/3下 投稿日: 2005/08/03(水) 13:13:44―――出来ない。 アサシンはああ言っていたがそれは出来ない。 アサシンに全ての剣を打ち落とす技量や速度があっても、 その長刀は宝具ではない、普通の刀だ。 ―――だからいずれ折れる。 避けなければアサシンは死ぬ。なのに――― ―――彼はそこに立っていた、俺とセイバーの前に。 「――――投影、開始」 頭は断線しかけ、中身は既に溶解しかかっている。 だからどうした。 目障りな剣群を凝視し、その全てを解析 感覚は暴走し最高速を超えて更に速く。 「ふざけ―――」 左腕を突き出す。今までも散々真似してきたんだ。 「―――てんじゃねぇ、テメェ・・・・!」 アイツが俺だというのなら同じ事ができないはずがない―――。 ・・・・破片が舞っていく。 目を開けた時にはヤツの固有結界とやらは消滅していた。 あるのは目の前に立つアサシンとその見据える先にいるアーチャーと その腕に抱えられた意識のない遠坂の姿だった。 「何処へ行く? その娘は人質のつもりか、つくづく無粋な男め」 「邪魔の入らない場所に移るだけだ。私の今の魔力では君は殺せん。 コレは単なる交換条件だ、コレがある限りその男はオレを追わざるをえまい。 貴様はどうか知らんがな」 「言ったはずだ。お主の首に興味はない。 それに決闘の邪魔をするのを雅とは言わん」 「・・・・公園だ」 「なに?」 「―――だから新都の公園だ。あそこなら誰にも迷惑が掛からない」 「そうか、前回の聖杯戦争の決着の地か。 それにエミヤシロウに決着を付けるのにあそこほど相応しい場所はあるまい。 いい覚悟だ、衛宮士郎」 「うるさい、それよりも―――」 震える喉から声を絞り出す。 「分かっている。一日は安全を保証してやる。 だが急げよ、遅れたら人質に何をするか私にも分からんぞ」 癇に障る笑い声を残して弓兵は消え去った。 それを見届けることも出来ず俺は膝から崩れ落ちる。 「――――シロウ、無茶を・・・」 「いいからそれより遠坂を―――」 ふらつく足取りで出口に向かう俺の前に誰かがいた。 「――――アサシン」 「助けられたな。これはほんの礼だ」 首筋に軽い衝撃が走る。 ―――それで急速に意識は闇の中に落ちていった。 「―――アサシン、一体何を・・・」 「案ずるな。ただの当身だ。こうでもせねばおまえのマスターは止まるまい」 飄々としたアサシンの態度にセイバーが抗議し続ける。 それを何処吹く風で聞き流しならアサシンは去っていく。 「セイバー。心配事は今のうちに片付けておけ。 何の憂いも無く互いに全力を出し尽くす、真剣勝負とはそういうものだ」 そんな言葉をセイバーに残して。
457 名前: 451 投稿日: 2005/08/03(水) 13:18:06お詫び:申し訳ありません。 最後の文が長文過ぎて消滅。次に短くしたのを上げたら、 やはり長文で消滅で、時間が無くなりここまで遅れてしまいました。 この場を借りてお詫び申し上げます。
458 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 13:19:31これからは一旦メモ帳に書いてコピペとかしような。
459 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 13:41:25でもGJ
460 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 13:57:51というか 理想郷あたりに投稿しろよと思った俺は変か? 内容はGJだが 少なくともこのスレの趣旨からは離れすぎだろ
461 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 14:41:27一発ネタ投稿してどうする
462 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 15:15:08直書するようなやつは、理想郷がぴったりだね♪
463 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 16:33:30これ以上展開させる予定がないなら投稿するほうがむしろ筋違い。 一発ネタ荒らしを作り出してどうする。
464 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 16:38:21今の理想郷に書いても、 それこそ亡者どもの餌食になるべ。
465 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 17:49:081.表現を逆にする 2.肯定文を否定文(またはその逆)にする 3.名詞を入れ替える 4.話している奴と聞いている奴を入れ替える
466 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 18:01:30面白けりゃいいと思うけどね。今更だし。 既にそれから外れたものも何スレも前からある。 1スレ目からそのルール変わってないんだし、 そろそろ追加したり変更したりするべきだと思うよ。
467 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 18:33:40外れたものは極少数だろ。
468 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 18:42:08いや、結構あると思うぞ。 面白いから、別段気にしてないだけで。
469 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 18:58:47ワカメとか膝と肘とか。「入れ替え」ではないだろ
470 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 19:31:57コルキス神拳なんてもう何なんだって感じだしな
471 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 19:37:09Ahhh---unnn???KOYU-KEKKAI!!!とかもなw いや、面白かったけど。
472 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 20:43:09じゃあそういうの書いた奴は処刑
473 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 20:51:57お前皆が雑談してるところに空気読めてない発言して場を白けさせるタイプだろうw
474 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 21:17:07事実上の改変スレ それでいいじゃん
475 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 21:18:58大方はそれでいいと思ってるんだが一部うるさいのがいるので テンプレをいじることを考えておいたほうがいいかもしれん
476 名前: 472→七夜 投稿日: 2005/08/03(水) 21:23:35じゃあそういうの書いた奴は斬刑に処す
477 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 21:39:57お前白けた場を取り繕うとして更に白けさせるタイプだろうw
478 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 21:45:23>>476-477 この流れにワロタw
479 名前: 逃走開始〜森へ/言峰→ギル、桜→慎二 投稿日: 2005/08/03(水) 21:55:46「―――雑種。助けた者が友ならば殺すな。 目の前で死なれるのは、中々に堪えるぞ」
480 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 21:57:24>>479 叙事詩を知っていると泣ける…。
481 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 22:58:12友がじわじわ死んでいくのを涙を流して見送ってるからなあ、ギル様。 あのギル様の泣いてるトコなんて想像できねえぜ。
482 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:02:11|∧ ∧ そ〜〜… |・ω・`) |оGJо |─-u'  ̄ ̄ ̄ ̄ | ∧ ∧ |( ・ω・`) |о ヾ コトッ |─-u' GJ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | サッ |ミ | GJ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
483 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:03:43面白い作品で、それほど大きく外れまくっているわけでもないのにケチをつける奴がいるのが俺には信じられん。
484 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:23:26>>483 夏だから仕方ないかも そういう場合はそいつに文句をいうのではなく ネタにGJという方がスレの空気にもいいと思う
485 名前: 志貴→セイバー シエル→士郎 1/2 投稿日: 2005/08/03(水) 23:39:23 衛宮邸の厨房に到着しました。 この時間だとシロウは買い物に出かけている確率の方が高いですが、まあ当たって砕けろというコトで チャレンジしてみましょう。 「……って、いやシロウ。結界かけ忘れていますよ……」 シロウも正体が思いっきり家事に命を懸ける主夫だというのに、すさまじいまでにお人よしですね。 「もしタイガに入られたらどうするつもりですか、シロウ」 ぷんぷん、と凛みたく、腹をたててみたりします。 で。 そうは言いつつ、アルトリアはこれからどうするつもりなのでしょう? 1、……大人しく帰る。 2、……ちょっとだけお邪魔する。 3、……冷蔵庫の中身が気になるガオー! >3 ほう、冷蔵庫の中身ですか。 それはもちろん冷蔵庫にしまわれた麦茶が目当て、なんていう当たり障りのない オチではなく、もっと冷蔵庫の本質に迫る中身が目当てなのですね。 「――――フン、魔力に溺れたか」 冷蔵庫を前にして、口が独りでに動いた。 それは邪なる気配を察知し、脳髄の隙間を塗って正常なる人格を変貌させる毒に 他ならない。 古では啓示。 理では契約。 所によっては電波とも呼ばれる世界との契り。 ソレを成した人間は、他者の運命をねじまげるほどの力をもつという。 故に、それは英霊と呼ばれる。 「……というわけなので、失礼します」 パンパン、と手を叩いてから取っ手を引いた。 「おお――――!?」 ピカー、とか光らないのが不思議なぐらい、冷蔵庫の中は素晴らしかった。 さすがシロウ、この下準備の済んだ料理群はちょっと普通じゃないですね。 オーソドックスなオードブルからはじまってメインディッシュで終わるまで、微妙な下味変化とソースの選択を 加えて、実に一段十種類を超える幅広さ! ちゃんとデザートまで用意されているのが 高ポイントです。 ぱっと見、古今東西あらゆる種類の美味なごちそうがいくつも並んだおとぎ話の食卓を連想させます。 「――――――――ウマー」 くらり、と眩暈をおこしそうな意識を支える。 ヘヴンです。厨房の奥には天国があるって伝説は本当だったんですね! ありがとう、ありがとうマーリン!そして目の前の理想郷よこんにちは! それでは改めまして。――――『約束された完食の箸』(いただきます)。
486 名前: 志貴→セイバー シエル→士郎 2/2 +おまけ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:41:12 「うわ、このローストビーフなんか松坂牛ですよ松坂牛! ……そっか、パーティーの時は安物を使わないでこういうお肉を使うのですかー なんとなくいつものグラムいくらのお肉なのかなー、と思ってたんですが、 なかなかどうしてシロウも奮発しますねー」 ふむふむ、とさらに下の段を覗いてみる。 下は野菜系が基本で、さっきの段ほど一目でくらっと来るものはない。 「意外です。わりと洋風メニュー少ないんですね」 「ふぅん。なんで意外なんだ、セイバー」 「いえ、ですから。パーティーといえば、てっきり洋風メニュー重視かと思ってたのですが」 「へえ。なんで洋風メニュー重視なんだ、セイバー」 「でーすーかーらー、パーティーといったら、立食形式でしょう。 話しながら気軽に食べられるように、洋風の一品物を中心とするのが普通ではないですか。 得意だからといって和食ばかり作っていると、ますますサクラにおいていかれてしまいますよ」 「あはは、そんなの巨大なお世話だ」 「そうですか、巨大なお世話ですかー」 あはは、と一緒になって笑う。 ――――さて。 そろそろ、この絶体絶命のピンチを切り抜けるきっかけを作らないと命に関わります。 「………………」 ギチギチギチ、と音をたてて首だけを後ろに向けます。 ……そこには怒れる主夫、というかなんというか。マッドシェフがいました。 「――――それで。そろそろいいかな、セイバー」 シロウ。それはそろそろドーピングコンソメスープを使いますよ、という意味ですか。 「まあ、待ってください。何も悪気があったわけでは、ないんです」 そろそろと隣の食器棚の中に両手を入れる。 「彼の者は大食い王であり、はらぺこライオンであり、つまみ食いにその生を懸けた、か。 墓碑銘に刻むには悪くないな」 「うわー、シロウったら本気だー。シロウ短気、シロウおとなげなーい!」 「っ!ふ、藤ねえかアンタは!」 ぐわっ、と火を吐くシロウ。 ちゃんす! 「てや!」 食器棚に突っ込んでいた両手を目一杯広げて万歳をする。 ぶわさ、と撒き散らされる食器の束。 「――――――――!」 「隙あり――――♪」 しゃっ、と素早く主夫魂から全ての食器を受け止めるシロウの横をすり抜け、 そのまま階段を転がるように下りて、玄関を突破、外へと脱出します。 「待て、セイバーっ――――――――!」 ものすごい剣幕で台所から出てくるシロウ。 が、このアドバンテージを渡す訳にはいかないのです。 「あはは、待ちません。食事の時間にまた会いましょう!」 「こ、このぉ……!」 「では命じよう。――――断食しろ、セイバー」 「ご――――」 吐血する。 口元からこぼれる血液は、そのまなこから流れる涙に比べれば、遙かに微量だった。 「シロウ、貴方――――」 漏れる声すら、もはや聞き取れない。
487 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:51:46>>483 文句を言いまくってる粘着は入れ替え以外のネタをやってつまらなかった奴なのではないかと。いわゆる僻み
488 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:54:05>>485-486 ちょ、オチがwwwwwwwwww
489 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/03(水) 23:58:55ありふれた改変かと思ったらオチで吹いたw
490 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 00:15:41やべえ>>479 はまさかの慎二共闘ルート、ギル燃えイベントじゃないか!?
491 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 01:59:55>>486 このままセイバールートED 「シロウ。あなたを、憎んでる」 これじゃあ Hete/stay night かな?
492 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 02:13:34I hate youとか言っているどっかの暗黒卿みたいだ
493 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 13:33:18「ああ、あいにく世辞などとは無関係な身でね。 だが、それがどうした。まだ未来がある? は、笑わせないでくれよマスター。その体型はすでに呪いの域にある。 そんな余分な希望は、貧乳の名のもとに捨ててしまえ」 「―――――」 瞬間。 わずかに弛緩していた空気が一変した。 放たれる殺気は今までの比ではない。 その呼吸さえ困難な緊迫の中、 「貧乳と言ったわね、アーチャー」 戦場の鴉をもなぎ払う声で、魔術師は言いはなった。 「事実だよマスター。 巨乳になるなどという夢があるならば、今の内に捨てておけ」 「──よく言った。なら、貴方が先に逝きなさい」 大きく後退する凛。 宝石を投げつける、どころの間合いではない。 一瞬にして離された距離は百メートル以上。 凛は公園の入り口まで跳び退き、そこで、右腕を前方に突き出した。 「──────」 弓兵の五感が凍る。 恐怖か、畏怖か。 そのどちらであれ、彼は即座に理解した。 マスターの後退の意味。 敵が打ち出すであろう次の攻撃が、文字通り必殺であるという事を。 「──私の立場は知っているわね、アーチャー」 凛が右手を構える。 その姿は、無慈悲に命令を下す指揮官のようだった。 「──────」 アーチャーに答える余裕などない。 赤の弓兵は手に持つ双剣を捨て、それに気づき最速で自己の裡に埋没する。 だが間に合うか。 凛のあの姿勢。 彼女の魔術が伝説をなぞるのなら、防ぐ魔術は生半可な物では済まされまい─── 「――行くわよ。―――自害しろ、アーチャー」
494 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 14:25:10>>491 ちょっとウマイと思ってしまった漏れガイル。>>493 ちょwwwwwww貧乳wwwwwwwwww
495 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 15:11:38>>493 も、もう我慢できん!(*´Д`) _ ⊂ヽ ゚∀゚)ヽ ひんっ! `ヽ ヽ' )) ノ ノ し' ⌒J _ ( ゚∀゚) ミ ぬー! γ 二つ つ { ( ヽ,_)ヽ,_)
496 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 15:39:06 ⊂ヽ ゚∀゚)ヽ ひんっ! `ヽ ヽ' )) ノ ノ し' ⌒J ( ゚∀゚) ミ ぬ !… γ 二つ つ Σ { ( グキッ ヽ,_)ヽ,_) う〜ん う〜ん _______ / ('A`)/ /⌒⌒ ̄/ / / (___/
497 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 15:56:25遠坂凛がゆっくりと現れた。 士郎は自分の目を疑う。 こんな真正面、距離もずいぶんと離れているのに、と。 士郎本人は気付かない。彼の体は、すでに内側から引き裂かれている。 時折襲う激痛が『ある魔術の代償』によるものだと、最後まで気付かない。 「……やっぱり、おまえ、正気じゃないんだな」 そうとしか士郎には思えなかった。 彼は凛を見つめて、剣を投影する。 視界が歪む。凛の頭と心臓に向けて剣が放たれ―――凛の肉体を、薄紙のように貫く。 貫く、筈だった。 凛は血をこぼす左腕はそのまま、右手で持った奇妙な剣を振るっただけで 士郎の“投影”を無効化した。 いや、破壊した。 「……最初は理解できなかったのだけどね。 あんた、乱発しすぎよ。おかげでやっと理解できた。 あんたの魔術は投影とは全くの別物。 ほんとうに―――なんて、異端」 士郎には凛の言う意味が解らなかった。 理解できるのは、自分は間違いなく凛に殺されるという事実だけ。 士郎は繰り返し投影した。 ダーク、干将、莫耶、偽・螺旋剣。繰り返す投影を凛は悉く打ち砕く。 士郎の頭痛は、臨界を超えようとしていた。 「―――何で」 「万物には全て従うべき理がある。人間は言うにおよばず、大気にも意志にも、時間にもよ。 理があるのなら捻じ曲げる方法があるのも当然。 遠坂の家はね、二百年にも渡って魔術を修めてきたの。 だから―――それが魔術であるのなら、一代限りの異端くらい軽く凌駕してみせる」 走った。 歩くような優雅さだった。 士郎に近寄って彼を殴り倒す。その上にかぶさるように乗りかかった。 触れられるほどの“死”を前にして、士郎は目を閉じた。 「俺を―――殺すのか」 凛は答えない。 「どうして邪魔をするんだ。俺は、セイギノミカタとして必要なことをしているだけなのに」 凛は、眦を吊り上げた。 「それは嘘よ。それならどうして―――あなたは泣いているの。あの時も、今も、 どうしてそんなに悲しそうなの?」 馬鹿な、と士郎は言いよどむ。 静かに、彼は自らの口元に手をあてた。 ―――それは。 例えようも無く、歪んでいた。
498 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 15:57:59やべ、入れ換え書くの忘れてた 藤乃→士郎 式→凛 空の境界「痛覚残留より」
499 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 16:00:26一瞬どこかわからなかったけど途中でわかった。GJ
500 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 17:24:00凛が喋るまで分からんかった。超GJ
501 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 20:20:52最後までわからんかったけどGJ
502 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 20:54:17>>485-486 凄い墓碑銘刻もうとしてるな士郎wwwwww>>497 シリアスGJ!
503 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 21:08:39 殺される。 あの赤いヤツは殺される。 あれだけの魔力を使って放たれる一撃だ。それが防げる筈がない。 死ぬ。 ヒトではないけれど、ヒトの形をしたモノが死ぬ。 それは。 それは。 それは、見過ごして、いい事なのか。 その迷いのおかげで、意識がソレから外れてくれた。 金縛りが解け、はあ、と大きく呼吸をした瞬間。 「誰だ――――!」 青い男が、じろりと、隠れている俺を凝視した。 「………っっ!!」 青い男の体が沈む。 それだけで、ソレの標的は自分に切り替わったと理解できた。 「殺し合いなんてくだらねぇぜ!俺の話を聞けぇぇぇぇぇ!5分だけでもイイィィィ!」 口が勝手に歌い出す。 それが死を回避する行為なのだとようやく気づいて、体の全てを、熱唱する事に注ぎ込んだ。 なにをどう歌ったのか、気が付けば校舎のガラスが全部割れていた。
504 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 21:19:46ボンバー!
505 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/04(木) 21:45:25>>485 >>486 素晴らしい。 ・・・ふむ、歌月十夜の改変というのはなかなかに良い手なのかもしれないな。
506 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/05(金) 22:23:33>>503 それってネタ総合じゃ?
507 名前: プロローグ改変 投稿日: 2005/08/06(土) 08:09:32 それは、今から十年前の話。 ……懐かしい人を見ている。 背が高くて、彫りの深い顔立ちで、わたしが知るかぎり一度 も眼鏡を外さなかった人が、わたしの頭を撫でている。 いや、ちょっと違うか。 力加減が分からないのか、撫でているというより頭を鷲掴み にしてグリグリとまわしている、という表現の方が正しい。 それも当然だと思う。 なにしろ、この人がわたしの頭を撫でたのは、この時が初 めてだったのだから。 「それではいってきます。桜の事はまかせます」 優しい声に、行儀良くはい、と答えた。 わたしの頭を撫でていた人は一度だけ頷くと、手を離して 立ち上がった。 ……だから、それだけ。 あの時これが最後だと知っていたのなら、とっておきの冗談で笑わせてやったのに。 いつかこの人の細面を崩してやろうと、一人で何度も何度も笑い話を練習していた。 それが結局、一度も披露できなかったのが、悲しいと言えば悲しかった。 「成人するまでは凛に貸しを作っておきなさい。それ以後の 判断はあなたに任せます。あなたならば、独りでもやっていけるでしょう」 なんて言いながらも、一応は心配だったのだろう。 先生の過去の事とか、母さんが隠したへそくりの事とか、厨房の管理の仕方とか。 今まで教えてくれなかった事を矢継ぎ早に話す姿を見て、子供心に気づいたのだ。 ―――たぶん。 この人には、もう会えないだろうと。 ……戦争が終わったから。 国と国が争う戦争ではなく、人と人が戦う戦争。 といっても、いがみ合っていたのはたったの七人だけだ。 それなら戦争なんてお題目は似合わないのだけれど、その戦う人々が英霊であるなら話は別である。 主人の違う七人の英霊はよくわからない理由で競い始め、よくわからない方法で殺し合った。 そのうちの一人が、わたしの目の前にいる人だった。 だから、この人も殺し、いつかは殺される立場にあった。 その時が過ぎた事は、わたしなんかよりこの人の方がはっきりと感じていたはずだ。 「■、もう聖杯は現れません。アレを手に入れるのは遠坂の義務でした、 ですが―――魔術師であろうとするのなら、避けては通れない道だ」 もう一度。 くしゃり、とわたしの頭を撫でて、その人は消え去った。 それが最後。 サーヴァントの一人として聖杯戦争に参加し、役目を終えた、姉であり親友であった人の最期の姿。 「いってらっしゃい、ライダー」 行儀良く送り出した。 自分が泣きそうな事は判っていたけれど、涙は決して流さなかった。 あの人の事が好きだった。 英霊として優れ、家族としても優れた人物。 英霊というのは頑固者しかいない。 その世界において、あの人ほど優れた人格者はいなかっただろう。 彼女は友としてわたしと遊び、姉として愛してくれた。 だから、決めていたのだ。 あの人が最後に何を遺すかで、わたしは自らの道を決めようと。 ―――桜の事はまかせます 彼女は最後の最後で、従者としてではなく家族として言葉を遺した。 だから、その瞬間にわたしの往く道は決定した。 「――――よし。それじゃあひとつ、気合を入れて一人前になりますか―――」 妹が姉の言葉に応えるのは当然のコト。 それから色々、紆余曲折あってわたしこと遠坂■は成長した。
508 名前: Fate最終戦>ギル様と地雷女(叙事詩ネタ) 投稿日: 2005/08/06(土) 11:59:26ギル様>そのまま セイバー>イシュタル 「さあ、いらっしゃい、ギルガメシュ、御身は夫になるべきお方…… あなたに富と権力を与えることを約束しましょう」 「何を言うかと思えば! 笑わせるな女神よ。 ……お前の連れ合いの誰がながく続いた? お前の勇者の誰が天に上った? 富? 権力? そんなものはもう持っている。 そもそも――――イシュタルよ。我は自分から言い寄ってくる安っぽい女に興味はないのだ」 ダメ女を嘲笑う黄金の騎士。 「――――――――」 ……それで、彼女の心は固まった。 「ええ、その通りです。―――ですが英雄王よ。 今にみてらっしゃい後悔させてやる―――っ!」 ヒステリー全開で猛る気合。 イシュタルは全身をバネにして天に昇り、父たるアヌ神に泣きつく―――! 「な――――!?」 ギルガメッシュの顎が落ちる。 イシュタルは天牛の手綱をひいて戻り、地上を恐怖のズンドコに叩き込んだ。 「フラれて逆ギレ!? おのれ、どうやら無理にでも賢明淑徳を躾られたいらしいなイシュタル…………!!」
509 名前: 508 投稿日: 2005/08/06(土) 12:02:21たぶん、こーゆー経験をしたので清楚なセイバーに惚れたに違いない。
510 名前: アルクとの再会 志貴→士郎 アルク→凛 投稿日: 2005/08/06(土) 12:35:27「――――な」 そこにいたのは遠坂だった。 彼女に密かな憧れを抱いていた俺が、その姿を見間違うはずがない。 けど、そんなはずはない。 遠坂はサーヴァントを失って教会に保護されてるはずなのだから。 彼女はガードレールに腰掛けて足をブラブラさせている。 ―――誰かを待っているんだろうか。 その笑顔はいつもと変わらないはずなのに ―――イヤな予感がする。 「―――あ」 遠坂がこちらを見た。 ―――ただの偶然だ。 こちらに向かって笑みを浮かべて歩いてくる。 ―――偶然、のはずだ。 俺は脇目も振らずに遠坂から全力で逃げた。 逃げ切ったはずの俺の前に遠坂が立っている。 「あれ、追いかけっこはもう終わりなの?衛宮君。 昨夜は本当に世話になったわね」 カツンと足音を立てて遠坂が路地裏に入ってくる。 「そんな、アーチャーは死んだはずなのに・・・」 「ええ、死んだわ。セイバーに一刀両断にされて」 なんでもない事のように彼女は語る。 「なら、なんでここに・・・」 「別に驚くことじゃないわよ。たんにまだ聖杯戦争に参加してるだけよ」 「バカな事言うな!そんなの普通、無理に決まって・・・」 「私は遠坂凛よ。普通の魔術師と一緒にしないで。 サーヴァントを失ったから何? 私はマスターの資格まで失った訳じゃないわ。 それに――――」 高らかに名乗りを上げその右手をゆっくりと伸ばす。 「―――協力してくれるでしょ?」 「ダメだ。それは・・・出来ない。 セイバーは普通の女の子なんだ、そんな子に戦わせる訳にはいかない」 「アンタねえ!何処の世界にアーチャー真っ二つに出来る 普通の女の子がいるのよ!」 突然の大噴火。二次災害に注意して言葉を選ぼう。 「それでも・・・」 「ああもう、うるさい!! こうなったらアーチャーを殺した責任、意地でも取ってもらうんだから!!」
511 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/06(土) 23:34:53意味ワカラナス
512 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/06(土) 23:51:03 もはや執念だけの存在と化した思念。 肉体の崩壊の音も耳に入らず、ただより多くの人を救う事のみを望んで正義の味方はあがく。 その、この世ならざる意思に、 「――――もう休んでもいいんだよ、士郎」 温かく、懐かしい声をかける者がいた。 「な、に?」 視線をあげる。 揺れる視界の中。 そこには、一人の男の姿があった。 「――――――――」 意思のあがきが止まる。 心を剣と化した正義の味方は、唖然としたまま男を見上げる。 ………彼が見たものは正義の味方であり、正義に味方ではない。 それは、遠い昔に見た姿。 感情を失い、思い出を凍らせた今でさえも心にいた、空っぽの衛宮士郎に夢を与えてくれた男。 ――――まだ幼い頃、少年時代の彼がずっと憧れていた男。 あの大火事から彼を救い、養父として彼を支えた、正義の味方の衛宮切嗣。 「――――――――」 月が綺麗だったあの晩より些かも変わっていない。 切嗣は、彼が憧れていた頃と同じ純粋な瞳のまま、 「ねえ、士郎。どうしてそこまで無理をするんだい?」 ただ一度、懐かしい声をあげた。 「――――――――」 純粋な問いに、救わなければ、という思考が止まる。 何故。 何故。 何故。 言われてみればおかしい。 何故正義の味方に憧れたのか。 何故正義に味方になりたかったのか。 一緒に暮らそうと彼に差し伸べてくれた女性もいたのに、 それに背を向けてまで正義の味方という夢に縋りついて、心身に鋼を纏ったのは何の為か。 「あ――――ああ、ああああ」 思い出す。 そう。最初に、ただ純粋な憧れがあった。 自分を救ってくれた切嗣の幸せそうな笑顔に。 そして彼の夢であった、誰もが幸せでいられるように頑張る正義の味方に。 そうすれば自分も幸せになれると信じて、不可能という現実を知り、それでも助けようとあがき続ける。 人間という種。 憎しみ合い、互いに殺しあう人の性を超えて果てへ。 あらゆる不幸、あらゆる嘆き、それのない平和な世界を見るために。 ――――思い出す。 この理想が叶うことがないと知った悲嘆のあと。 叶わないのならば、全てを救うことができないのならば、せめてできるだけ多くの人を救おうと奮い立った。 一人の人間ができることなどたかが知れていることを悟り、それでも諦めずに戦い続けた。 「あ――――、あ」 ……そうだ。 見上げるばかりだった父の姿、その憧れだった父の後を継ごうと願い、 何度でも立ち上がり、何人も苦しまない世界、いつか迎える理想郷へと到達しようと試み続けて。 ――――その為に。 だから正義の味方を貫いた。 ただ純粋に、みんなの笑顔が見たかった。 幸せそうに笑う人を見た時に己の心に湧き上がる幸福感にも似た感情が誇らしかった。 幾たび狙われ、何度この身を傷つけられようとも、生きている限りは足掻き続けた。 ――――そう、ユメみたモノはただ一つ。 この世で、苦しんでいる人を救うため。 俺は、剣を手にとって決して叶わぬ現実に立ち向かった。
513 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/06(土) 23:51:49「――――――――あ」 けれど世界は容赦なくこの体を叩きのめした。まだ全ての人が救えると信じて日本を飛び出した彼を迎えたのは、残酷な現実の嵐。 救う者と切り捨てる者を選択せざるをえなくなった時、挫折を感じてしまった。 救いたかった者を切り捨てた瞬間、溢れ出す涙と座り込みたくなるほどの無力感で、立ち上がれなくなりそうになった。 だから己の浮沈する心を憎み、感情を磨耗させて消し去ろうと思った。 どんな時でも動揺せずに成すべき事を成す正義の味方になるために。 だけど、思い出す。 この身は、不可能だと知りながらも、全てを救いたくて戦い続けた。 ヒトが、あらゆるものが笑顔でいられる世界が、実現することを信じて。 だから足掻き続けたのだ。 感情が薄れ、磨耗してしまっても諦める訳にはいかなかった。 幾たび絶望を見せ付けられても、彼が受け継いだ養父の夢を叶えたかった。 それが自身の生き方であり、己が出した答えではなかったのか。 ……そう。 たとえ永遠に。それが実現しないと知っていたとしても。 「あ――――ああ、あ…………!」 それが、最初の願いだった。 切嗣の理想と歩んだ道。 叶わぬ望みに挑み続けて聖杯戦争に参加して、 アンリ・マユの齎す苦痛に耐えながら衛宮士郎に幸福を感じさせてくれた彼に比べれば、 感情を磨耗させてきた絶望を凌ごうとした自分などなんとちっぽけな事か……! 「――――そうか。そうだったよな、切嗣」 ………自分の体を見下ろす。 不可避の死が、衛宮士郎の体を覆い尽くそうとしている。 そこから生じた虚無感は、致命的な喪失を伴って己の意思に広がっていく。 自身の存在がどんどん希薄になっていくのを感じた。 ――――その事実が。 もう、自分にはどうしようもない出来事だと受け入れた。 「これで終わり、か。でも俺が切嗣を目指したように、きっと後に続く人が現れて、いつか俺達が夢見た世界を───」 それは初めから決まっていたこと。 人が集まれば戦いもまた起こる。幸せがあれば、不幸もまた、ある。 故に、正義の味方の戦いは終わらない。 「は――――はは、ははは」 だが。 それは長い苦痛の果ての、惨めな終焉などでは断じてない。 きっと正義の味方を志す誰かが現れて、これからも続くのだ。 衛宮の理想、そのための戦いはこれからも。 ただの一度も勝利も理解もない絶望など取るに足らない。 たったそれだけの絶望でどうしてこの理想を消し去れるというのか。 彼が望んだものは遥かに眩く尊く、遠く果てすら存在しない。 これより幾星霜の時間を超え、千の年月、万の年月の末の、更に先まで挑み続ける、人間という種がもつ終生までの目標だ。 ならば、このような瑣末事など始まる為のちっぽけな、けれど必ず意味がある要素にすぎない。 彼の理想は、これで終わるのではない。 旅はここから始まる。 ここから、ずっとずっと――――また長い長い、正義の味方の戦いが、1人の男の終わりと共に回っていく。 「――――大丈夫だよ。爺さんの夢は形に出来なかったけど、俺が選んだ道は間違ってなんかいなかったんだから」 その言葉は、やはり衛宮士郎そのものだ。 どのような境遇にあろうと、彼は正義の味方を貫いた魔術使いである。 それを最後まで捨てずに、彼は瞳を閉じた。 果てのない戦いを終えて、正義の味方であり続けた一人の青年が滅びていく。 「誰もが笑っていられる世界―――─いつかきっと誰かがそこに辿り着く」 そして消える際に、彼はふと思い立つ。 ――――もしかしたら、俺が見た切嗣は幻なんかじゃなくて―――― 答えが出るよりも先に。 衛宮士郎の意思は跡形もなく、死という虚無に飲み込まれた。 何度も現実に絶望して血の涙を流した正義の味方。 魔術使いにして赤い外套を羽織った青年は、養父との邂逅の直後に、静かにその生涯を終えた。
514 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 00:03:40どこをどう改変したのかくらい書けうんち野郎
515 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 00:36:50バグ爺の最期のシーン、自分も似たネタを考えていたが・・・ 何はともあれGJ
516 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 00:50:46>514 いきなり罵倒をかます方も十分ウンチ野郎であることも理解しておきたまい
517 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 01:09:47GJ! イリヤ(ユスティーツア)→切嗣 臓硯→士郎か
518 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 01:25:08正直、臓硯の最後は綺麗すぎてイヤ
519 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 01:29:36うん、良かった。 だけど出来れば原文から改変して欲しかったかも。 このスレのネタから改変すると、このシーンで好きな文章が微妙に変わってしまうからな〜。
520 名前: HFライダー>プロローグ弓 投稿日: 2005/08/07(日) 05:58:22「要望があるんだけど、聞いてくれるか」 「え、ええ。私にできる範囲でなら聞き届けますが」 「シロウって発音は遠慮してくれないか。呼ぶ時は正しく士郎って言ってくれ。士郎。最後のうを小さくするんじゃなくて、全文字はっきりと」 「それでは死蝋と。……ああ、この響きは実に貴方に似合っている」 なんて、トンデモナイ事を口にした。
521 名前: 士郎→武内 切嗣→奈須 投稿日: 2005/08/07(日) 13:02:53 月の綺麗な夜だった。 自分は何をするでもなく、友人である奈須きのこと月見をしている。 冬だというのに、気温はそう低くはなかった。 縁側はわずかに肌寒いだけで、月を肴にするにはいい夜だった。 この頃、きのこは口数が少なくなっていた。 あまり自分の書いた作品の感想を求めてこようともせず、気分転換と称して話を書かない日が続いていた。 ・・・・・・今でも、思い出すと安堵する。 今思えばそれが限界を悟ったライターの姿に似ていると気がついたから。 「子供の頃から、僕は自分の書いた作品を人に読んでもらう事に憧れてた」 ふと。 自分から見たら細かい設定で長い物語を書いている友人は、懐かしむように、そんな事を呟いた。 「どうしたんだよ、憧れてたって。もう諦めたのか」 なんとなく不思議に思って言い返す。 きのこは儚げに笑って、遠い月を仰いだ。 「うん、残念ながらね。僕の書いた『空の境界』は全然売れなくてさ。 今更作風を変えるのも嫌だしせめて完結までは出品しようと決めてたんだけど、流石にもう止めようかなって」 言われて納得した。 確かにきのこが書いた空の境界の売り上げは散々な数字だった。 「そうなのか。それじゃあしょうがないな」 「そうなんだよ。本当に、しょうがない」 相槌を打つきのこ。 だから当然、俺の台詞なんて決まっていた。 「うん、しょうがないから俺が手伝ってやるよ。 小説なら無理でも他の媒体なら絶対に売れるって。 まかせろって、お前が書いたお話は」 “――――俺が絶対に売れるようにプロデュースしてやるから” そう言い切る前に友は微笑った。 続きなんて聞くまでもないって顔だった。 きのこはそうか、と長く息を吸って 「ああ――――安心した」 静かに右手を差し出して、握手を求めてきた。
522 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 13:40:03何このTYPE-MOON秘話
523 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 14:49:55いけないのか。 セイバーさんは客人だから、譲るべきなのか。 譲るべきだから、食べてはいけないのか。 ―――違う。それはきっと、違うと思う。 「あ――――――ぁ」 あつかましくてもいい。 食べてはいけないどら焼きでも食べるだけ。 もとより届かないユメ、はや辿り着けぬ理想郷。 ―――なら、間桐桜が太ったとしても。 そこにあるどら焼きだけは、紛れも無い本物だろう。 「―――そうだ。そんなこと、とっくに」 全てを食べる事はできないと。 食事制限をせずにやせることは出来ないと、解っている。 大人になったから、それが現実なのだと理解してる。 その上で、そんなものが理想にすぎないと知った上で、なお理想を求め続けた。 やせて終わり、ではなく。 少しでもやせる為に我慢して、それが最善であっても、それでも―――好きなだけ食べる幸福を求め続ける。 甘いものなど食べてはいけない、と。 現実とは無価値に体重が増え続けるものだと。 そんな悟ったような諦めが、正しいとは思えない・・・・・・! その果てに、先輩はここに辿り着いた。 お前が食べた昼食。 己が食べた昼食。 しばらく腹は減らないと先輩は言った。 それでも、そう言った先輩こそがどら焼きを勧めてくれたのだ。 ・・・・・・なら食べていける。 太っても、はしたないと思われても構わない。 だいたい、そんな事を気にするほど貧相なスタイルはもっちゃいない。 そう、お茶の間で独り思った。 自分に見えるどら焼きだけでも食べれるのなら、その為に戦おうと。 こんなこと、考えるまでもなかったんだ。 狭窄な自分のお腹。 もとより自分が食べたいのは、この小さな”お菓子”だけなんだから――― ―――そう。 好物は、甘いお菓子で出来ている。 ・・・・・・ああ、だから多少の事には耐えていける。 間桐桜は、最後までこのユメを張り続けられる。 ・・・・・・磨耗しきる長い年月。 たとえその先に。 恐怖の体重計が、待ち構えていたとしても。
524 名前: 523 投稿日: 2005/08/07(日) 14:51:07忘れてた。 元ネタは「このセイバー容赦せん!」。
525 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 15:51:06イリヤを間近にして、慌てていた意識が凍る。 これは好意を向けられている、なんて生やさしいものじゃない。 イリヤの問いは、死ぬか生きるかを問う審問に等しい。 「考えるまでもないでしょう? シロウにはもうセイバーはいないんだもの。 戦う手段なんてないわ。なら、いつまでもマスターでいてもしょうがないじゃない」 「―――違う。セイバーはまだ消えていない。そんなコト、させるもんか」 イリヤは体をすり寄せてくる。 それをはねのけるだけの自由も、今の自分には許されていない。 ……逆らえばどうなるかは判らない。 それでも、今はイリヤの言葉には頷けない。 「……駄目だ。離れるんだ、イリヤ。どんなに言われても、俺は」 言いかけた唇に、イリヤの指が触れた。 少女はクスリと愉快そうに笑って、戸惑う俺を見上げてくる。 「もう、判ってないんだから。いい、今のシロウは籠の中の小鳥なのよ? 生かすも殺すもわたしの自由なんだから、あんまりわたしを怒らせるようなコトは言っちゃダメ。 ……十年も待ったんだもの。 ここでシロウを簡単に殺しちゃうなんて、そんなのつまらないでしょう?」 「な――――――――」 玩具をせがむような少女の声。 そこに、背筋が凍るほどの残酷さを感じて、ただ息を飲んだ。 「これで最後だよお兄ちゃん。もう一度だけ訊いてあげる。」 気体に満ちた目で俺を見上げ。 「シロウ――――わたしの物になりなさい」 拒否を許さない妖艶さで、イリヤは言った。 1.……今は、頷くしかない。 2.……それは、出来ない。 3.メイドがほしい。3Pとか、いいね。
526 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 15:59:04無難に3で
527 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 16:20:593以外ありえんな
528 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 19:19:20>>525 3pってことは士郎は見てるだけなんだな。
529 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 19:41:21>>528 あ……
530 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 20:26:27>>528 バーサーカーが相手してくれるよ
531 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 20:46:15ちょwwww何だこのネタラッシュwwwwwwwwwwww
532 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 20:52:09>気体に満ちた目で俺を見上げ。 イリアの目はピンポン球かw
533 名前: プロローグ 令呪使用 投稿日: 2005/08/07(日) 22:38:21「どうせ君には令呪を使えまい。 まあ、後のことはわたしに任せて、君は自分の身の安全、 を…………!? 「あったまきたぁーーーーー。 いいわ、そんなに言うなら使ってやろうじゃない!」 「――――セット……!」 もう容赦なしだ、こんな捻くれもの相手にかけてやる情けなんてあるものかっ……! 「なっ―――――――――まさか……!?」 「そのまさかよこの礼儀知らず!令呪に告げる……!聖杯の規律に従い、この者、我がサーヴァントの掃除の法を磨き給え!」 「ば…………!?待てマスター正気かー!?そんなことで令呪を使うやつが……!」 「うるさーい! いい、あんたはわたしのサーヴァント!なら、わたしの言い分には絶対服従ってもんでしょうーーー!?」 「な、なんだとーーーーーー!?」 「考えなしか君は……!こ、こんな大雑把なことに令呪を使うなど……!」 ふん、怒鳴られても後の祭りよ。 ……大体わたしだって予想外だ。 自己嫌悪で死にたくなる。 まさかこんなことで、大事な令呪をあっさりと使うハメになるなんて―――! 中略 「ああ。誤算というのはそれだ。 先ほどの状態ではわたしの掃除ランクはA。散らかった洋室の一部屋程度なら難きれいに片付けられる程度だ。 だが、今の私の掃除ランクはEX。戦闘によりぼろぼろとなった洋館をも完全に元の状態へと修復できるレベルだ。もはや掃除において今の私を上回る英霊などおそらく存在するまい。掃除屋は掃除がお上手か、フンしゃれにもならん。」 「――――えっと」 ……って事は、さっきの令呪は無駄じゃなくて、むしろプラスに働いたんだろうか? 「そんなわけ無いだろう。完全に無駄だ。」
534 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/07(日) 22:42:28アチャ夫ナイスツッコミw
535 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/08(月) 01:55:43>この者、我がサーヴァントの掃除の法を磨き給え!」 しれっとこんなこと書いてあるのが笑えた。
536 名前: 夢の続き改変 投稿日: 2005/08/08(月) 13:26:55UBW数年後風 ………意識が薄れる。 事を為し遂げて、張り詰めていた集中力が失われたのか。 「───ごめん、遠坂。少しだけ、眠らせて」 ゆっくりと眠るように衛宮士郎は、その瞳を閉じていった。 ………朝焼けの日差しが零れる。 森は静かに佇み、彼女の恋人は眠りについた。 「幸せそうな顔しちゃって」 座りながら彼に膝枕すると凛はその寝顔を見守り続ける。 彼女が抱いた野望。 誰にも理解されずとも戦い続ける正義の味方に幸福を。 そして───目の前にある彼の寝顔は彼女が望んだものだった。 穏やかな眠り。 厳しい顔で戦い続けた士郎は、戦いを終えてようやく彼女の腕の中で安らぎを得られたのだ。 それが、ただひたすら嬉しかった。 凛は己が衛宮士郎に安らぎを与えられた事に誇らしい誇らしい気持ちのまま士郎を見守る。 天は高く、晴れかかった空は青い。 今回の戦いは、これで本当に終わったのだ。 「───見ているの、士郎」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた正義の味方は、果てのない青に沈むように。 「誰もが笑っていられる世界の夢を───」 遠い遠い夢を見た。
537 名前: 雨に走る改変 投稿日: 2005/08/08(月) 21:38:53責任の所在、善悪の有無。 それに追われることよりも、秋葉を失うことの方が重い。 ………決意なんてするまでもなかった。 俺はただ、秋葉を守りたいだけなんだから。 「ええ。大事な妹を守るのは当然です。そんなの、俺にだってわかってます、先輩」 「そうですね。志貴くんがそんな人だから、私もついつい貴方を助けたくなってしまう」 うれしそうに先輩は笑う。 「───」 彼女の言葉に勇気付けられる。 この選択が間違っているかどうかなんて分からない。 ただ、絶対に後悔はしないと。 「ごめん先輩。俺、そろそろ行かないと」 「ふふ、そんな顔しているのを見たらとても引き止められはしませんよ。また今度会いましょう」 「はい、先輩。それと、ありがとうございます」 公園を後にする。迷いを振り払うかのように屋敷へと走り出した。 「────」 答えは決まった。 昔、屋敷に引き取られてから今まで、秋葉の存在がどれだけ支えになってくれたか分からない。 ずっと妹だと思いこんで、異性とは意識していなかった女の子。 傍にいたかったから、曖昧な記憶をいい事にそんな風に自分を騙していた。 だが、もうそんな誤魔化しが通じる状況じゃない。 ───遠野志貴は、遠野秋葉を失いたくない。 今はそれだけ。 何も考えられないなら唯一確かな気持ちを信じるだけだ。 ………ただ、そう覚悟した意識の片隅で。 ”反転した遠野家の方々は───” 予言めいた琥珀さんの言葉だけはどうしても拭えなかった。
538 名前: 続き レイン改変 投稿日: 2005/08/08(月) 21:39:51「───秋葉」 足が止まった。 見覚えのある大樹の下。 暗い、人気のない森の中で、秋葉は1人佇んでいた。 森に入る。 ………俺に気がついているのか。、 秋葉は俯いたまま凍える雨に体を晒していた。 「────」 かける言葉なんて思いつかない。 今の自分に出来ることは、秋葉を連れて帰ることだけだ。 「秋葉」 声をかけて歩み寄る。 「駄目です。来ないでください………」 それを。 今まで聞いた事がないほど弱々しい声で秋葉は拒絶した。 「───」 足を止める。 秋葉は顔を上げず、ぎゅっと服の裾を握り締めている。 その姿は、己を恥じる罪人のようで辛かった。 ………これ以上は近づけない。 秋葉が自分から顔を上げるまで、決して、近付いてはいけないと感じ取った。 「───秋葉」 「………戻ってください。いま近付かれると、わたし───何をするか分からない。」 声は震えている。 雨の冷たさと隠し事をしていた罪悪感から秋葉は震えている。 ………それを払拭することは俺には出来ない。 俺に出来る言は、ただ。 「───帰ろう、秋葉。お前、まだ体調が戻ってないんだろ」 ここから秋葉に手を差し伸べることだけだった。 「………兄さん」 雨を吸った秋葉の赤く染まった髪が揺れる。 秋葉は、僅かに唇を噛み締めた後、 「私はもう戻れません。だから屋敷へは………」 憎しみの混じった声で、はっきり言い捨てた。 「───秋葉」 「いいんです兄さん。本来遠野家とは関係のない貴方が私に構う必要なんかありません。 だって、兄さんももう知っているんでしょう?私達が本当の兄弟なんかじゃないって。 父が反転した兄が治るまでの身代わりとして、兄さんに暗示をかけた上で有馬の家に預けたって。 なら───もう、これで」 今までの関係は、全て、終わりだと。 声にならない言葉を、白い吐息が告げていた。 「馬鹿を言うな。過去の経緯なんて俺には大したことじゃない。 俺が知ってるのは、今まで一緒に秋葉とあの屋敷で過ごした日々だけだ。 それがどうして、こんなコトで終わったりするんだよ」 「………だって、終わりです。 兄さん。私、反転した人間の末路は何度も見た事があるんですよ? 兄さんと仲良しだった兄は突然獣のように私に襲い掛かって兄さんの胸に大穴を空けました。 それだけじゃなくて、父はまだ初潮も迎えてないような琥珀を反転を抑えるためだけに散々嬲り者にしてきました」 秋葉は自らの肘に爪を立てる。 ………体に流れる遠野の血を罰するような自虐的な行為だった。 「───」 「それだけじゃないです。父が兄さんの本当の家族を殺した事を私はずっと隠していました。 ………兄さんがこの家に戻ってくれてからも父の所業を黙っていて、 四季が再び暴れだして兄さんの体調が悪くなってからも知らん顔で騙していたんです。 ほら。だって真実を知らない限り兄さんはこの屋敷を出る理由がありませんから」 「───秋葉」 「でも、本当に馬鹿ですね。そんなので誤魔化せるはずがないのに、それでもうまくいけばって思ったんですよ? 四季が暴れだしたとしても直ぐに対処すれば何とかなるって思い込んで、あっさりやられちゃました。 ………あの時、四季に負けただけじゃなくて遠野に流れる異形の血を活性化させられたんです。 ただそれだけで、かつて兄さんの命を奪った存在と同じものになってしまいそうになったんです」
539 名前: 続き レイン改変 投稿日: 2005/08/08(月) 21:40:44 「あ───」 冷え切った体を抱きとめる。 ………回した腕はひどく頼りなかった。 強く抱きしめることも出来ず、秋葉を抱き寄せることも出来ない。 ………俺には秋葉を救うことは出来ない。 ただ、こうして傍にいて欲しくて、傍にいてやることしか出来ない。 ………ぎこちなく桜を抱く腕。 今はそれしか出来ないとしても、決心した物だけは、ゆるぎのない本物だった。 「兄さん、私───」 「もう泣くな。秋葉が悪い妹だって事は、良く分かったから」 「───」 息を呑む音。 罪悪と後悔が混じった秋葉の戸惑い。 それを否定するように、精一杯の気持ちで告げる。 「だから、俺が守る。どんな事になっても、秋葉自身が俺を殺そうとしても───俺が、秋葉を守るよ」 「にい、さん」 「約束する。俺は、秋葉だけの味方になる」 ………抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。 今はただ触れ合うだけでも。 この誓いは何よりも堅いものであると告げるように。 「………」 それにどれだけの効果があったのか。 あれだけ冷たく、頑なだった秋葉の肩から力が抜けていた。 ………秋葉は、秋葉が何を言ったってやっぱり何も変わらない秋葉だった。 抱きとめた感触も、肌の熱さも変わらない。 お互いの吐息は白く、降りしきる雨は、いつしかその勢いを止めていた。 その、凍えた夜の中で、 「だめです、兄さん───それじゃきっと兄さんを傷つける」 懺悔するように秋葉は言った。 「───」 雨がやんでいく。 夜は真冬のように冷たく、秋葉は抱きとめた腕を振り解かない。 ………そうして。 「私の傍にいれば、兄さんを傷つけてしまうのに───」 ───ずっとこうしていたい 一筋頬を濡らして、秋葉は言った。 ───それでひとつの選択が終わった。 おそらく、決定的なものが終わったのだ。 これが恋というものか、愛というものなのかは知らない。 ただ───この恋の終わりは報われるものではないと。 そんな確信めいた予感が、胸の裡から離れなかった。
540 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/08(月) 21:53:59一箇所桜を秋葉と変換し忘れた部分があったのが惜しいが、それでもすんごくGJ。
541 名前: 式→士郎 幹也→凛(一部分配役入れ替わり有り) 投稿日: 2005/08/09(火) 18:36:56「……まったく。結局一度も見舞いに来させなかったな、おまえは」 不満そうに顔をしかめて、俺はそう言った。 「桜に怒られたのよ。病室に顔を出させたら食べちゃいますとまで言われたら、呼ぶ気もなくすわ」 遠坂も不機嫌そうな表情で言い返す。 俺はなら仕方ないか、とやっぱり不満そうに頷く。 「じゃ、行こうか。タクシーにでも乗るか?」 「駅までたいした距離じゃないでしょ。歩いていきましょ」 「……まあ、それもいいけど」 病み上がりには厳しいかもしれないぞ、と付け足して俺は歩き出す。 遠坂もそれに並んで歩き出した。 その後はいつも通り。とりとめのない事を話しながら、駅に向かうなだらかな坂道を下っていった。 ちらりと、遠坂の横顔を眺める。 ……彼女は、髪を伸ばしていた。 といっても左の前髪だけで、他のところは以前と変わらぬ長さだ。ちょうど左目が隠れるよう伸ばした髪のせいで、よけいに魔女っぽい人影になっている。 「左目」 ぽつりと呟くと、ああ、と遠坂はなんでもない事のように駄目だったわ、と答えた。 「アーチャーの言うとおりになっちゃったわね。ほら、覚えてる? 聖杯戦争の時にさ、数日間だけ相棒だった男のことだけど」 「未来の俺の可能性のことだろ。忘れるわけない」 「うん。あいつがさ、言ってたのよ。衛宮士郎に関わるとひどい目にあうぞって。予言的中。ほんと、ひどい目になったわ」 どんな神経をしているのか、遠坂は楽しげに笑ってそんな事を言う。 ……俺は、少しだけカチンときた。 こんな時、一体俺にどんな顔をしろって言うんだ、ばか。 「でも右目に支障はないって。だから大した事じゃないわよ。ちょっと遠近感がズレてるだけ。……そういうわけだから、左に寄ってくれない? 慣れてないから、まだそっち側が不安なのよ」 言うより早く、遠坂は俺を左側に寄せて、あまつさえ寄りかかってきた。 「な、何するんだ、突然」 少し驚いて、頬を赤く染めながら言い返す。 遠坂は不満そうな顔に戻って、俺をじい、と見つめてきた。 「何って、松葉杖の代わりよ。慣れるまでの一週間は士郎に任せるからよろしく」 何がよろしくなのか、当然のように遠坂は言う。 俺は赤い顔のまま言い返した。 「なんだそれ。どうして俺を松葉杖代わりなんかにしようとするんだ」 「して欲しいから。士郎が嫌だって言うなら、いいけど」 ……病院で何かあったのか、いつになく遠坂はあくまな事を言う。 じっ、と俺を見つめる瞳は濁りっていうものがない。 俺は真っ赤な顔を隠すため、視線をそらした。 「……別に、嫌いじゃ、ないけど」 ぼそぼそと答えると、遠坂は嬉しそうに笑った。 ……あいかわらずとんでもないヤツ。まったく、なんだか俺まで幸せな気分になってくるじゃないか。
542 名前: 式→士郎 幹也→凛 投稿日: 2005/08/09(火) 18:38:02「でも俺、明日からバイトがあるんだけど」 「そんなのさぼっちゃいなさい。どうせ人手は十分にあるんだから、ルヴィアだって許してくれるわよ」 「―――おまえな」 普段から少しでも金を稼げって説教するクセに、遠坂は無責任な事を口走る。 ……ほんと、この強引さは病院で何かあったに違いない。後で訊き出してやろう、と思ったところで、俺はくすりと苦笑してしまった。 「どうしたのよ、士郎」 「いや、そういえばおまえは昔から勝手なヤツだったなって」 遠坂はきょとんとしてから、にやりとした笑みをうかべた。 「そうね。もう何年も前から、わたしは勝手にあんたが好きだった。今もそう。士郎が嫌がっても、勝手に世話を焼くって決めたんだから」 そうして、臆面もなくこんなとんでもない台詞を口にするんだ。 俺はお決まりの文句を言ってやろうとしたが、ま、いいか。 「あれ? どうしたのよ、士郎。こういう台詞ってだめなんでしょ。今まで散々苦手だって言ってたじゃない」 拍子抜けしたのか、遠坂は自分で墓穴を掘る。 俺は黙っていようと思ってたんだが、気が変わった。……うん、まあたまには、ほんとの気持ちを口にしないといけないから。 「そうでも、ないぞ」 え、と驚く遠坂。 彼女の顔を見ないようにそっぽを向いて、俺はさらりと口にした。 「だからさ、凛。今の俺は、そういうのは嫌いじゃないって言ったんだ」 ……くそ。やっぱり恥ずかしい。こんなこと、二度と口にするもんか。 ちら、と。とおさ…凛の様子を覗き見る。 どうも精神的なダメージはあっちの方が大きかったらしく、凛は空とぶクジラでも見たように呆然としていた。 それがおかしくて、俺は凛の手を握る。 ゆっくりと歩いてる彼女を引っ張るように、足を速めて坂道を下っていく。 さあ、駅はもうすぐそこだ。 俺は早く帰りたくて、凛の腕を引いていく。 握った手のひらは、いつか俺より確かな力で握り返してきた。 ―――そんな些細な出来事が、なぜか嬉しい。 俺は頬のにやつきをなんとか抑えながら、坂道を下っていく。 やがて駅に辿り着いて、俺たちはもはや馴染みとなった、倫敦の街へと帰っていった。
543 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/09(火) 21:19:56―――そうして。 正面から、秋葉の体を抱きしめた。 ―――殺せるはずが、ない。 「……生きていてほしいんだ」 不思議そうに首をかしげる秋葉。 「どんな姿になっても―――俺はおまえに生きていてほしいんだ、秋葉」 涙は止まってくれない。 秋葉は嬉しそうに抱き返して―――俺の首筋に、がちりと歯をつきつけた。 「っ―――――」 痛い。 それは、血を吸うためのものじゃない。 ただ噛みきるだけの、原始的な行為。 「あ―――あき、は」 秋葉はただ、一心不乱に噛みついてくる。 がり、と肉が裂かれて骨が削られる。 秋葉に理性はない。 抱きしめている相手が誰であるかも、抱きしめるという行為の意味さえもわからない。 秋葉は、ヒトのカタチをしたケモノと変わらない。 けど、それでも―――― 「―――それでも……生きていて、ほしいんだ」 ……そう願うことはいけないのか。 たとえ秋葉が人を殺してまわるようなモノになってしまっても、それでも生きていてほしいと思うのは罪なのか。 秋葉が。そんな自分には耐えられないといっても、俺は、それに耐えて欲しい。 だが。 そんなものは―――俺の、かってな、願い。 「―――けど、約束だもんな」 秋葉は離れない。 抱きしめたまま、秋葉の『線』にナイフを当てる。 ―――いずれ、おまえが誰かに殺されるなら。 「誰にも、傷つけさせない」 ―――ナイフは音もなく。 おそらくは痛みさえなく。 「俺が、おまえの唯一人の相手だから、さ」 ―――優しく、秋葉の命を止めた。 紅葉が散っていく。 赤い地面。そこに、秋葉は横になっている。 地面に広がる髪は黒。鮮やかに、赤い葉っぱの中でうねっている。 死に顔は穏やかで、まるで幸せな夢を見ているように、思えた。 「―――――――――」 或る、一つの出来事が、終わった。 子供の頃。 ここで待ち合わせて、中庭をかけまわった時の嬉しさも。 二人きりで言葉もなく星の空を見上げ続けた時の眩しさも。 つい、数日前。 ここで、話した出来事も、全て。 ――――兄さん。秋葉は兄さんが帰ってきてくれただけで嬉しいんです。 ……その事を、心の何処かに覚えていてくださいね。 いつのまにか、月を見上げていた。 ……体が冷たい。 意識が眠りに落ちる時のように、くらくらと揺らいでいく。 ……眠い。 もしこのまま眠りについてしまえば、全ては元通りになっているかもしれないなんていう、ゆめをみた。 けどそれはゆめで、結局はいつか醒めてしまう。 こうしてまどろんでいる自分さえ、一つのユメのように思える。 それともすべては、はじめから邯鄲の夢だったのか。 それなら、どうか。 この夢のまま醒めることなく、眠り続けてくれれば良かったのに。 「―――――――は、は」 空には青い青い硝子の月。 高い木々のカーテンと、ふりしきる、拍手のような紅葉の群れ。 「はは、は――――――」 ただ哀しくて、涙よりは笑いがこぼれた。 夜は深く。 あたりは静謐としていて、その静けさが、喝采のように鼓膜に響く。 視界が歪んで、狭くなっていく。 ……閉幕の時間らしい。 木々のカーテンがくるくると回っていく。 まるで。 全てが作り物のような、 サーカスの中に、いるようだった。
544 名前: イリヤ→琥珀 大河→アルク 投稿日: 2005/08/09(火) 21:20:58はーい。いまさら言うまでもないと思うけど、バッドエンドで苦しむ貴方を慰める砂漠の一滴、アンバー農場ですよ。 今回は記念すべきラッキーナンバー第七回。 なんと、志貴さんがわたしたちのものになった記念日なのでしたー! はい、皆さん拍手で迎えて迎えてー! わーい。おめでとう琥珀ー。 って、迎えるかこの魔女っ子! まったく貴方って人は! 前回、無理やり志貴を洗脳しちゃって落ち込んでるって話はどうなったのよう! えー? べっつにぃ、志貴さんも幸せに決まってます。 これからはぁ、わたしと翡翠ちゃん、三人で仲良く暮らしていくんだもの。 む。言われてみればそこはかとなくパライソ。 双子の和洋メイドに囲われるっていうのも耽美でいい感じ? ええ。アルクェイドさんやシエルさんや秋葉様にはどうあっても出来ない、わたしたちの特権です。 そういう訳でぇ、志貴さんはわたしたちと堕落した蜜月を過ごすのでしたー!
545 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/09(火) 21:56:26>>537-539 GJだなぁ・・・泣けるよ・゚・(ノД`)・゚・。。
546 名前: 痛覚残留 投稿日: 2005/08/09(火) 22:12:25……>>543 、少し捻れ。
547 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 01:00:25>>543 どう改変したのかわかんないのだが
548 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 01:58:57>>547 大丈夫?病院行った方がいいよ?
549 名前: 紹介 投稿日: 2005/08/10(水) 01:59:24 界境の空 ストーリー 自分の祖父を殺してしまった結果から、倫敦へと留学―――「時計塔」へ入学することと決めた主人公、蒼崎橙子。 入学から数年、研究を行っていた学院から封印指定で追われ、橙子は遥か東の地日本へ戻る事となる。 そこで彼女を待っていたのは、あらゆる物の死を視ることができる少女と黒桐兄妹だった。 構えた廃ビル事務所での趣味三昧の生活に逼迫しながら、橙子と彼ら達の新しい生活が始まる。 時を同じくして多発する数々の怪異達。その事件にはある一人の男が係わっていた。 ある出来事がきっかけとなり、橙子は「超越者」達の壮絶な戦いに巻き込まれていく事となる――― 赤いコートの魔術師は微笑む。 「私を殺した責任、とってもらうからね」 ゲーム概要 「界境の空」は文章を読み進め、途中現れる選択肢を選んでいく事によってストーリーが展開するビジュアルノベル形式のゲームです。 メインヒロインは五人。 ゲーム開始時には一部のヒロインを攻略する事が出来ませんが、 他のヒロインを攻略する事によって新たなシナリオへの選択肢が出現する仕様となっています。 それぞれにバッドエンド、金欠エンド、仙人エンドなどの様々な結末が待っていますので、 様々な選択肢を試しながらゲームを進めてみてください。 ※ちなみに、推奨プレイ順はアルバ→両義式→黒桐幹也→黒桐鮮花の順番となっています。 (秋巳ルートはどの段階でプレイいただいてもお楽しみいただけます) キャラクター紹介 コルネリウス・アルバ 界境の空における正ヒロイン。シュポンハイム修道院の次期院長と噂される魔術師。 ある目的で主人公の住む街にやってくるが、予想外のトラブルによって何千という小さな口に食い殺されるという薄幸の(?)ヒロイン。 赤い色が似合って金髪碧眼、かつての学友・蒼崎橙子が嫌いというよくワカラナイ魔術師。 橙子を殺すことのみを追求していたが魔術は超一流な犬好き。見た目は二十代の青年のように見えるが、実年齢は五十歳を超えている。 秋巳大輔 主人公につきまとう三十代の男性。わりと刑事。 一言でいうと黒桐幹也の従兄。 幹也によく平気で捜査状況をもらす刑事で、主人公にとっても情報提供者でありよくデートの申し込みをされる相手でもある。 警視庁捜査一課随一の物好きな為か、普通の事件以外にも様々な事件に興味を持つ。 結果いつも忙しそうに街中を走りまわっているため未だ独身。 橙子にとっては本当にただの情報提供者な人物。 両儀式 主人公のアシスタント。橙子の裏の仕事を請け負っている。 橙子のなにが気に食わないのか、いつも不機嫌そうにしている黒髪の少女。 高校入学までは和服一偏等だったが、黒桐との掛け合いからジャケットに和服という姿になって行動し始めた。 橙子に礼園の制服を誉められたことになにかと不満があるらしく、なにかと複雑な感情表現をして橙子を悩ませる。 黒桐幹也/鮮花 事務所の社員と弟子。社員が幹也、弟子が鮮花。 隣のおじいさんが死んだおり、実の兄に恋した鮮花の打算によって鮮花は叔父の家に引き取られ幼い頃から別々に暮らしてきた。 妹の鮮花は橙子の元で魔術師のたまごをしているが、兄の幹也は誰の特別なものにもならないように生活を送っている。
550 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 02:56:30>>549 ……(゚Д゚)ハァ?
551 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 07:17:25アルバェド・コゥネリウスタッド ワロス
552 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 12:07:12>>549 これは耽美なシナリオですね
553 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 13:14:41アルバルートは食い殺された時点でもう終わりだと思うのだが…
554 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 13:23:34>>553 つ 『匣の中で失楽』
555 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 15:27:52姉妹相克ルートは?
556 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 20:15:54荒耶ルートは?
557 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/10(水) 20:58:54荒耶ルートはさっちんルートとある意味同じで存在したならば、 ごく全うな微妙な関係の大人の恋愛悲劇になってしまいそうだから無いんだよ。
558 名前: 最古の王 ギル→うっかりギル 投稿日: 2005/08/11(木) 00:47:57「よかろう―――では来るがいいセイバー。 その剣に免じ、我の全てを見せてやる」 男が笑う。 「ならば―――!」 臆する事無く駆けるセイバー。 ―――今度こそセイバーの剣が鎧を断つ。 そう確信した瞬間。 「―――“王の財宝”」 ―――男の背後に無数の武具が展開された。 その威圧するような存在感は間違いなく宝具。 それも十や二十ではきかない。 その姿はまるで装填された魔弾そのもの。 ――それがキャスターを屠りセイバーを追い詰めた黄金の騎士の宝具だった。 ―――拙い。 あの位置ではどうやっても避けられない。 しかもアイツはその事に気が付いてすらいない。 「止めろ―――!!」 「バカめ。もう遅い」 喉が張り裂けんばかりに出した声を塗り潰すように、 冷酷な声で男は自らの魔弾に死刑執行の開始を告げた。 撃ち出された魔剣が一直線に ―――その前方に立つ黄金の騎士の後頭部に突き刺さった。 それで終わりではなかった。 放たれた剣が脚を貫き、槍が鎧を貫通し脇腹を抉り、 戦鎚が側頭部を打ちつけ、剥き出しの首には鎌が突き立てられた。 「―――だから言ったのに止めろって」 男の眼は既に焦点を失って、その身体は奇怪なオブジェと化している。 「流石は我のコレクション。この身を七度滅ぼすとは」 男はそのまま夜の闇に融けるように消えていった。 「えーと、セイバーの知り合い?」 「ええ、認めたくはありませんが・・・。前回の聖杯戦争でアーチャーだった男です。 あの頃から得体の知れない人物でしたが、この十年で更に磨きがかかったようです」 セイバーはため息をつきながらそんな事を溢した。
559 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 00:53:27>>558 ちょwwww コイツ前回はどうやって生き残ったんだ?
560 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 00:59:18>558 死ぬほど笑った。ギル様素敵w
561 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 01:02:46>>558 また何事もなかったように再登場するんですね そして猫アルクと並ぶ型月最凶最悪の変態キャラとして君臨すると
562 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 01:17:05宝具を沢村のバレットのように打ち出す二頭身ギルの誕生か。
563 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 01:39:06で、2頭身の方が強いと。
564 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 02:03:58>>558 なんですか、この激しくクオリティ高すぎるギル様は
565 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 03:44:29>>558 ギル様古すぎて呆けがきたかねwwwwwwww
566 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 07:07:47>>558 ちょwwwギル様wwwテラアホスwwwww
567 名前: ネタが被った気もしないでもないが 投稿日: 2005/08/11(木) 14:42:16「よかろう―――では来るがいいセイバー。 その剣に免じ、我の全てを見せてやる」 男が笑う。 「ならば―――!」 臆する事無く駆けるセイバー。 ―――今度こそセイバーの剣が鎧を断つ。 そう確信した瞬間。 「―――“王の財宝”」 ―――男の背後に無数の武具が展開された。 その威圧するような存在感は間違いなく宝具。 それも十や二十ではきかない。 その姿はまるで装填された魔弾そのもの。 ――それがキャスターを屠りセイバーを追い詰めた黄金の騎士の宝具だった。 ―――拙い。 あの位置ではどうやっても避けられない。 しかもアイツはその事に気が付いてすらいない。 「止めろ―――!!」 「バカめ。もう遅い」 喉が張り裂けんばかりに出した声を塗り潰すように、 冷酷な声で男は自らの魔弾に死刑執行の開始を告げた。 なんか、英雄王が困ってる。 「――――――――」 言葉がない。 なんでこんな格好つけて現れたのに困っているのか。 塀の上に立ったまま、ちょこちょこと指を動かして悪戦苦闘。 それもすごい勢いで。 口を真っ赤にして頬張って、今やるぞ、今でなければ出番が無くなる、という修羅の如き気迫。 というか意地になってないか英雄王、指のスピードが尋常じゃないぞ。 もしかして鳴らせなかったのか。あれだけ格好良く登場したはずの英雄王は、指を鳴らせなかったというのか。 だとしたらまずい、今の雰囲気ももまずいがこれからの展開もまずい。 絶対シリアスがぶち壊れる。それで確実にギャグになる。寺での決戦も無くなる。猫アルクも来る。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら睨みつける。 「――――――――」 じっと英雄王の動きを観察する。 ……凄い。ゆうに30分は続けても、一回も鳴らせていない。 こいつ、ホントに鳴らせないのかか……と、唾を飲んだ時、不意に英雄王の手が止まった。 「――――――――」 「――――――――」 視線が合う。 ギルガメッシュはまっすぐな瞳で俺を眺めて、 「教えろ――――!」 「教えろ―――?!」
568 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 14:58:25バカだ、最古の英雄、真性のバカだwwwwww
569 名前: 歌月 体育祭 志貴→士郎 シエル&秋葉→凛&桜 1/4 投稿日: 2005/08/11(木) 15:09:43「・・・っと考え事してる場合じゃないか」 ぼけた頭を切り替えて第一トラックへ向かう。 「あ、先輩!」 とその前に桜に呼び止められた。 「桜、なにか用・・・」 そうして振り向いた瞬間、ぼけた頭がさらにぼけてしまった。 ・・・反則だ。 桜の体操服姿は健康的なお色気というレベルを逸脱している。 「桜、きつきつだな。サイズ合ってないんじゃないのか?」 震える喉を押さえて努めて冷静な感想を口にする。 「え? サイズ的には合ってますけど、そんなにヘンですか?」 不安そうに体操服を見る桜。 これはこれで正解のような気もするのだがあえて何も言うまい。 「いや、そういう意味じゃないんだ。うん。 それより桜、急に呼び止めてどうしたの?」 「あ、そうでした。先輩、お昼休みに挟む競技は取ってないですよね?」 「うん、一応」 「良かった。それならお昼は一緒に取りませんか?」 じっ、とこちらの目を覗き込むように桜は提案してくる。 「桜の頼みじゃ断れないよな。分かった、お昼は一緒に食べよう」 「はい、約束ですよ。それじゃあ失礼します、先輩がんばってください」 手を振って自分の応援席に駆け込む桜。 「さて応援された以上、頑張んないと」 というか早く行かないと参加すら出来ない。 「あ、待って。士郎」 ―――と、今度は遠坂に呼び止められた。 「何だよ遠坂。見ての通り、こっちは急いで・・・」 振り返って言葉に詰まる。 ――――――。 いや、これはこれで。 「どうしたの士郎。日射病で頭でもやられたの?」 桜とは正反対の魅力というか、まっとうな体操服姿もいいなあ。 普段はニーソックスに隠れた健康的な脚が何とも。 「―――うん、これはこれで」 「ほんとうに大丈夫なの? 一緒に保健室に行く?」 いつもは気が強い遠坂が心配そうにこちらを見つめる。 ・・・その仕草は反則だ。というか、さっきから反則のオンパレードだ。 正にルール無用のデスマッチ、・・・ちょっと違うか。 「大丈夫だよ、遠坂。俺はもう答えを見つけたから」 「・・・全然大丈夫じゃないわね。 まあいいわ、それより今日は私がお弁当作ってきてあげたから 一緒にお昼食べましょ」 「遠坂が弁当作ってくるなんて珍しいな。 よし、美味しく食べられるように全力で走ってくるか」 ・・・なんかどこかにひっかかるけど遠坂の弁当は本当に嬉しい。 「それじゃあまたあとでね。 それと仮にも私の弟子なんだから一位以外は認めないわよ」 最後に遠坂らしい台詞を残して遠坂も応援席へと戻っていった。
570 名前: 歌月 体育祭 志貴→士郎 シエル&秋葉→凛&桜 2/4 投稿日: 2005/08/11(木) 15:11:39「・・・・・」 しばし休憩。 桜と遠坂の姿を思い返して、 こういう展開もありだな、とかみさまに感謝する。 「確かに神の愛は万人に等しく注がれるものだが 人の身でその願いは叶わんぞ、衛宮士郎。 おまえに出来るのは選んだ人間を救い、選ばれなかった人間を見捨てる、 それだけだ。それを違えればその代償を己の身で支払うことになるだろう」 「うわ、何でここにいるんだよ言峰! バレたら遠坂に殺されるぞ、今度こそ確実に」 「ふむ、師匠兼後見人として愛弟子の姿を見学に来る事が不自然かね。 私はアレがまだ純粋無垢であかいあくまと呼ばれる片鱗すら見せない頃 から記録を撮り続けているのだ。その程度で揺るぎはせん。 それにセイバーのブルマ姿を撮って帰らねば、留守番をしている ギルガメッシュが何をしでかすか私にも予想がつかん」 「・・・セイバーなら参加しないで応援団の団長してるぞ、学ラン着て」 その言葉に言峰は唇を僅かに歪め答えた。 「―――それはそれで」 「・・・・・」 「ではな衛宮士郎。私も色々と忙しい身でな。 それと最後に忠告してやろう。 ―――二兎追う者は二匹の首刎ね兎に囲まれて死に逝く事になるぞ」 そのままゆらり、と観客席の中に融けこむように消える言峰。 「二兎を追う者、って何だろ?」 呟いて先程遠坂と話していた時に感じた違和感が蘇ってきた。 「―――? なんだ、なんか冷や汗が出てるぞ」 というか背筋が妙に冷たい。 まるでこの先に待つ危険を察知したかのように体が震えていた。 「武者震いかな?」 あはは、と笑って自分をごまかしたりする。 さて、それじゃあ第一トラックへ向かうとしますか。 ――んで、自分の間抜けさ加減に呆れた。 こういう展開になるって考えつきそうな物だったのに どうしてその時になるまで考えもしなかったんだろう? ゴゴゴゴゴゴ! はた迷惑にも大地を鳴動させるこの緊張感! 危険を察知したのか中庭からは小鳥たちが一斉に空へ羽ばたき、 嫉妬と羨望の眼で見つめていた男子生徒達は急用を思い出したとばかり に教室に逃げ帰ってしまった。 ―――その光景に固有結界じみたあの公園を幻視した。 ・・・二人はただ無言で対峙しているだけなのに。
571 名前: 歌月 体育祭 志貴→士郎 シエル&秋葉→凛&桜 3/4 投稿日: 2005/08/11(木) 15:12:37「それで遠坂先輩。そのみすぼらしい包みは何ですか? 私、これから先輩とお昼を取るんですけど」 「あら間桐に引き取られて頭に蛆でも湧いたの、桜。 お弁当箱も分からなくなってるなんて。 それとアナタとじゃなくて私と食事するのよ、士郎は」 「ごめんなさい遠坂先輩。 先輩の住むような世界では麻婆豆腐の事をお弁当って言うんですね。 出来れば臭いが私のお弁当にうつらないうちに どこか目の届かない所にでも消えてもらえませんか?」 「中身も見ないで適当なコト言わないで! ―――それに朝は弱くてサンドイッチぐらいしか作れなくて」 その言葉に鬼の首を取ったかのように高笑いを上げる桜。 「うふふふふふふ。サンドイッチですか。 そんな物で昨日の夜から仕込みを続けた桜スペシャルに勝とうだなんて 可笑しくて笑い殺されちゃいますね」 「はっ。ただ時間と技術を掛ければ良いってもんじゃないわよ! 第一あんたの料理なんて士郎は食べ飽きてるんだから。 それに・・・愛情じゃ私の方が上なんだから!」 「愛情?愛情ですか、何年も想い続けてきた私の横から トンビよろしくかっさらって何が愛情ですか!」 「もういいです、これ以上遠坂先輩と問答しても時間の無駄です。 私はこれから先輩と食事するんですから遠坂先輩は いつもみたいに高い所に登って一人で食事してください、 何とかと煙は高い所が好きと言いますし」 「あら、アナタこそ。都合のいい事に校舎の中は生徒だらけよ。 今日だけは邪魔しないであげるから無理に人間様の食事しなくていいのよ」 「―――そうですか。 遠坂先輩とは一度決着を付ける必要がありそうですね」 「いいわ。姉より優れた妹など存在しないという事を教えてあげる」 あわわわわわわ。
572 名前: 歌月 体育祭 志貴→士郎 シエル&秋葉→凛&桜 4/4 投稿日: 2005/08/11(木) 15:13:58「では勝負形式を決めましょう。後腐れがないように 第三者にジャッジしてもらうというのはどうですか?」 「奇遇ね、桜。私も同じ事考えていたのよ」 「はい。つまり先輩が選んだお弁当箱の持ち主が勝者ということで。 これならお互いの能力はあまり関係ないですから 純粋に勝敗の責任は全てそこの先輩にいきます」 ちらり、と意味ありげに俺を流し見る黒桜。 あわわわわわわ! 「ちょっと待った!その形式は極めて俺に不公平じゃないか?」 「そんな事ないですよ、先輩。 先輩はただ黙ってお好きな方のお弁当を選べばいいんですよ。 それで昼食は円満に始められますし遠坂先輩との決着も付けられます。 こんな合理的な形式なんてないと思いますけど」 「そう。文字通り一石二鳥ってわけ。 まあこの勝負形式の唯一の問題点は選ばれなかった方がが勝者ではなく 選んだジャッジを恨む、というところかな」 ちらり、と意味ありげにこちらを流し見るあかいあくま。 「話は決まりましたね。 それじゃあ、先輩。潔くどちらにするのか決めてください」 ずいとお弁当を差し出してくる桜。 「ええ。どっちも選べないとかどっちも食べたい、だとか ぬかしたらタダじゃおかないわよ」 ずいとお弁当を差し出してくる遠坂。 ―――俺は・・・ 「ごめん、どちらも選べない」 その言葉に二人の殺気が俺へと向けられる。 「だって・・・俺も弁当を持ってきたから」 シロウに呼ばれた私が目にしたのは その場にあった計十人前相当のお弁当箱。 「な・・・なんですか、これは?祭り、何かのお祭りですか!?」 ご馳走の山を前に混乱気味のセイバーに声を掛ける。 「違うぞ、セイバー。 これはいつもセイバーが頑張ってるからその・・・ご褒美だ」 「・・・! 騎士としての働きが認められた。これほど嬉しい事はない。 食べていいのですねリン? あとでテーブルチャージ込みの食費を請求したりしませんね?」 「そんな事したんですか、先輩?」 「してないわよ・・・たまにしか」 「食べていいのですねサクラ? 怪しいホレ薬の実験台とかそういうものじゃないのですね?」 「したの?桜」 「うふふふふ・・・秘密です」 「いただきます!」 嬉しそうにお弁当箱にかじりつくセイバーを見て 俺は初めてセイバーのありがたみが身に染みた
573 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 15:15:59GJ! すげー全然違和感neeeeeeee!!! クオリティテラタカス
574 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 15:27:51>>569-572 綺麗にオチててGJ!
575 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 15:34:33GJ!
576 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 17:10:07セイバーの食いしん坊がこう来るとは思わなかった! 実にGJだな!
577 名前: 569-572 投稿日: 2005/08/11(木) 17:56:37しまったタイトルに久我峰→言峰を入れ忘れてた。
578 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 19:03:40うおっ マジ違和感ないw ホロウでぜひ見てみたいな
579 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 20:08:17GJ! 見事にオチてる。 しかし、 >それにセイバーのブルマ姿を撮って帰らねば、留守番をしている >ギルガメッシュが何をしでかすか私にも予想がつかん このスレは、ギル様を萌え化しなければいけないという 暗黙のルールでもできたんだろうか?
580 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 20:32:50全員違和感全く無いな。超GJ
581 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 20:49:37なにこの良作ラッシュ。ホロゥを前にしてみんなハッスルしすぎw
582 名前: 誇りの代償 士郎→さっちん 凛→シエル 投稿日: 2005/08/11(木) 20:56:58階段の手すりに手をかけたその時、かたん、と頭上で物音がした。 「?」 顔をあげる。 と、そこには――― 上の階に続く踊り場で仁王立ちしている、シエル先輩の姿があった。 「シエル・・・先輩」 「――――ハァ」 先輩は呆れたようにため息を溢しながら 「日が沈まないうちから学校に現れるなんて正気ですか?弓塚さん」 そう感情のない声で呟いた。 「―――でも・・・・」 「こんな所にのこのこ現れるなんて 殺してください、と言ってるようなものですよ」 「バカ言わないで!いくら先輩でもこんな人目のある所で・・・」 「人目?一体何処にそんなものがあるんです?」 「え――――?」 なんでだろ。 都合のいい事に周りには誰もいなかった。 多分、上の階にも下の階にも誰もいない。 「ようやく分かったみたいですね。 あれだけ教えてあげたのにどうして自分から殺されに来るのか、 私には理解できません」 凍りつくような口調で先輩は両手の裾を捲り上げる。 そこから引っ張り出されたのは柄2つ。 「―――?」 その柄に、ぼう、と刀身のようなモノが浮かび上がった。 それは実体として形作られ、2本の剣となった。 「あ――――」 それは間違いなく―――シエル先輩が愛用する黒鍵と呼ばれるモノではないのか。 「説明するまでもありませんね? 魔力で編み上げさえすればいつでも使用できる、これはそういう代物です」 「他の武装は持ってきていません。アナタを滅ぼすだけならこの2本で十分です」 言い捨てるよう声にも感情はない。 「―――――――」 それで、目の前の相手が本気なのだと、思い知った。 「抵抗してもいいですが辛くなるだけですよ。 どう足掻いてもアナタはここで滅びるんですから」 ―――どうしてこんな時に ―――どうしてこんな場所で ―――なんでよりによってシエル先輩と戦わなくちゃいけないの? 「待ってってば!こんなところで戦ったら人が来ちゃうよ?」 「来たところで記憶を操作すれば問題ありません。 それにこれ以上アナタに情けをかければ私の方がおかしくなるでしょう」 「私は先輩と戦うつもりなんて・・・」 「アナタには無くても私にはあります。それに・・・」 “本気で戦いになると思っているんですか?” シエル先輩が宙を舞う。 翼のように広げられたその両手には一本づつ黒鍵が握られている。 「――――――」 背筋が凍りついた。 全力で床を蹴って防火扉の裏に隠れ――― ―――そして終わった。 空気を切り裂きながら飛来したソレは障害など無いかのように防火扉を貫き そのまま私の身体に突き刺さった。 それでも勢いは止まらない。 そのまま私の身体は人形みたいに簡単に吹き飛ばされて壁に串刺しにされた。 「謝っておきます。初めて出会った時にこうしておくべきでした。 そうすればただの敵同士で終われたはずですから」 先輩が剣を手にゆっくりと歩み寄ってくる。 「―――さよなら。アナタの姿は見ているだけでも私には辛すぎる、 心まで人間の頃のままの吸血鬼なんて」 心臓に冷たい感触が食い込んでくる。 そして、そのままスイッチを切るように意識は途絶えた。 interlude 日が沈むか沈まないかの境目、人々がが“逢魔ヶ刻”と呼ぶ時間。 その時彼女、弓塚さつきは学校にいた。 吸血鬼である彼女にとって太陽の下は文字通りの地獄。 それでもおっかなびっくり学校に来たのには理由があった。 ―――遠野君に会いたい。 遠野志貴は日中は学校、その後は屋敷の中。 顔をあわせるどころかその姿さえ拝むことも出来ない。 記憶の中の遠野志貴は時と共に色褪せていく。 ―――ならせめて一目だけでもいい。 それを最後に私は彼の前から消えよう。 そして彼女は学校へと至る、その悲痛な覚悟を胸に。
583 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 21:02:05>>572 セイバーカワイイ…
584 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 21:09:38全旭川が泣いた
585 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 21:12:00>>582 GJ! だけど悲し過ぎるよ、さっちん……。
586 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 21:22:50「――――足と、腕?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼女の黒鍵は、敵であるさっちんによって止められていた。 「―――侮りましたね、シエル先輩」
587 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 21:45:09は・さ・み・受・け…。 なんと見事な。
588 名前: フェイト/ステイナイト(II) 投稿日: 2005/08/11(木) 22:26:39「ギルガメッシュ、貴様――――!」 「なんだ、手荒く扱われるのは趣味ではないか? ならば馴れておけ。女と食事に出し惜しみはしない主義でな。気の向くままに奪い、食らうだけだ」 「っ――――!」 逆さ吊りにされたまま、セイバーはギルガメッシュを凝視する。 「……ふん。サーヴァントとしてマスターに操を立てているワケか。 くだらんな。たかが令呪の縛りで、この体をくれてやっていたとは」 「―――それは違う。勘違いをするなギルガメッシュ。 私は誰にも従わない。初めから、この体にそんな自由はないのだ」 「……ほう。では、どうあっても我の物にはならないと言うのか」 赤い瞳がセイバーを射抜く。 そこに、人間らしい感情は一切ない。 逆らえば殺す。どれほど執着した物であろうと、従わぬのなら殺すだけ。 それがこの英霊の本心、ギルガメッシュという男の真実だ。 「――――――――」 その視線から逃れる事なく、セイバーはギルガメッシュを敵視する。 「―――ギルガメッシュ。私は誰のモノにもならない。 私は既に国の物だ。この身は、女である前に王なのだから」 誰に言い聞かせるでもなく。 ただ、まだ胸に灯っている小さな温かさを抱きながら、彼女は言った。 「は、何を言うかと思えば! 笑わせるなセイバー。王にとって、国とは己の物にすぎない。 何もかも支配できぬのならば、王などという超越者は不要なのだ。 まったく――――アーサー王よ。そんなだから、オマエは国によって滅ぼされたのだ」 未熟さを嘲笑う黄金の騎士。 「――――――――」 ……それで、彼女の心は固まった。 「ああ、その通りだ。―――だが英雄王よ。 そんなだから、貴様は自らの国を滅ぼしたのだ―――!」 猛る気合。 セイバーは全身をバネにして、残った片足でギルガメッシュの顔面を蹴り飛ばす―――! 「ギルガ――――メッシュ」 ……その、無残な姿を見て、自分の勝利を確信してしまった。 ……顔が無い。 ギルガメッシュの首から上は、どんなに探しても、この世の何処にも在りはしなかった。
589 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 22:39:29脆い、脆いよギルガメッシュw
590 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/11(木) 23:00:51>>567 今頃で何だがハゲワロタww 明日からの3日間でこういうギル様の本が売っていないものだろうか…
591 名前: 幹也→時臣パパ 式→凛 橙子→言峰 投稿日: 2005/08/11(木) 23:03:38……そういえば、と、うろんなまどろみの中で思った。 教会にいくということは凛が制服を着るということで、そんな娘の姿を見るのが、ちょっとした楽しみだった。 けれど、結局凛は最後まで自分にその姿を見せてはくれなかった。 原因は簡単で、教会の制服に着替えた凛を見て、綺礼が一言、 「――――素晴らしい」 と感想を漏らしたからなんだそうだ。 ……何が素晴らしいのかは本当に分からないのだが、そのおかげで凛は教会の制服を仕舞い込んでしまったのだ。 *セイバーの着てた服が言峰から凛の誕生日ごとに送られてくるようになった原因のエピソードとでも思いねえ。
592 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 00:00:48>>590 つまり、あれか 武具を撃ち出すと自分に命中したり 武具を撃ち出そうとすると指パッチンできなかったり 頭蹴られただけで消滅しちゃったり そんなギル様をお望みか
593 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 01:57:33>>590 喜べ少年、君の願いは(ry
594 名前: 月姫→途中からFate 投稿日: 2005/08/12(金) 08:04:45「あ――――」 消えていく。 体に残った微かな熱が、急速に力を失っていく。 静かな。 とても静かな、死。 今さら彼女を引き離す力もない。 この目に見えている『線』も、じき、消えてくれるだろう。 ――――これで終わり。 じき遠野志貴は消えて、それで何もかもが終わりになる。 「――――――――ぁ」 終わり……終わって、いいん、だろう、か。 ……戻って、きますよね……? そんなセリフを、秋葉は言った。 八年間も放っておいた自分の妹。 何一つ、兄貴らしいことなんてしてやれなかった、黒髪の少女。 ――――ずっと、 あの拾い屋敷で一人きりだった遠野秋葉。 「――――――――」 さっき、俺は死が救いになる事がある、と弓塚にナイフを向けた。 そうして今も、死が救いになるならとこの命を投げ出している。 けど、それは。 はたして、誰にとっての救いになるんだろうか。 少なくとも遠野志貴という自分にとって、一番大切な人に対する救いには、決してなっていない気がする―――― 「あき――――は」 ……死ねない。 間違っても、今は死ねない。 「弓、塚――――」 ナイフが動く。 ……彼女の胸にある『線』。 自分を信じきって、最後の救いにすがっている彼女の心臓にある線。 ……そこに、ナイフは深々と突き刺さった。 いや―――突き刺さる、筈だった。
595 名前: 月姫→途中からFate 投稿日: 2005/08/12(金) 08:06:24「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 ナイフを突いた姿勢のまま、彼は呆然と目の前の少女を見た。 「―――――――ばか、な」 彼でさえ事態が掴めていない。 一直線に突き通した必殺の一撃。 それが止まっている。 少女の心臓の線を突き穿つ直前に、何かにナイフを挟まれて停止している。 「――――足と、腕?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 彼のナイフは、ヒロインとも認識していなかった弓塚さつきによって止められていた。 膝と肘。 高速で突き通されるソレを、少女は片足の膝と肘で、挟み込むように止めていたのだ。 「――――――――」 封じられた、彼の記憶は知っていた。 素手で相手の武器――――刃を受け止める武術がある事も、それを実現する達人の事も。 それでも、これが通常の戦いなら放心する事などなかっただろう。 だが今は死んでこそおいしい中盤の山場。 相手はメインキャラなどには遠く及ばない、ただのサブキャラだ。 それが必殺の一撃、飛び出しナイフの一閃を捉え、かつ素手で押し止めたなど、もはや正気の沙汰ではない……! 「―――侮ったね、志貴くん」 それは、地の底から響いてくるような声だった。 「…………っっっ!!!!」 遠野志貴の体が流れる。 止められたナイフを全力で引き戻そうとする。 その瞬間。 「がっ――――!?」 彼の後頭部に、正体不明の衝撃が炸裂した。
596 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 08:39:16台無しだw
597 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 09:09:45>>相手はメインキャラなどには遠く及ばない、ただのサブキャラだ。 (つД`)
598 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 13:37:46志貴ヒドスwwwwwww
599 名前: UBWラスト 凛→士郎 弓→切嗣 1/2 投稿日: 2005/08/12(金) 13:49:43 “よく頑張ったね士郎。後は僕がやるから右に避けて” 「え?」 どこかで聞いたような声に振り向く。 すれ違うように通り過ぎる弾丸。 「貴様――――アサ、シン」 ・・・鎖が外れる。 ヤツは最後に意外なものを見たような顔で天の鎖を手放していた。 「今、のは―――」 立ち上がる事も出来ず、背後の荒野に視線を移す。 ―――夜明けが近い。 昇りかけた日を背にしているのは、外套をまとった一人の男だった。 それを見てがむしゃらに走った。 身体は酸素を求めて浅い呼吸を絶え間なく繰り返す。 頭は限界を超えてブレーカーを落とすようにオレの意識を絶とうとする。 ―――それがどうした。 じいさんがいってしまう――。 俺を助けるために世界と契約してまで戦ってくれたというのに。 何も言えずに終わってしまうぐらいならこんな身体壊れても構うものか。 聖杯を巡る戦いは終幕が過ぎ、彼の戦いもまたここで終わろうとしていた。 それがどのくらい長かったのかなど、彼にはわからない。 終わりはただ速やかに浸透し、この時代に現れた彼の体を透かしてゆく。 「じいさん・・・・!」 呼びかける声に視線を向ける。 走る余力などないだろうに、その少年は息を乱して駆けてくる。 それを、彼は黙って見守った。 「じい、さん」 彼の元まで走り寄った少年は、乱れた呼吸のまま男を見上げる。 ―――風になびく外套に、見る影はなかった。 外套は所々が裂け、その身体には癒えぬ傷が深く刻まれている。 存在すら希薄。 それでも養父であった頃と変わらぬ笑顔で佇む切嗣の体は、 その足元から消え始めていた。 遠くには夜明け。 地平線には、うっすらと黄金の日が昇っている。 「残念だけどそういう訳なんだ、お別れだよ士郎。 二度目だからもう悲しくなんてないよね」 特別言うべき事もないのか。 切嗣はそんな言葉を口にした。 「――――――」 それが、少年には何より堪えた。 今にも消えようとするその体で、切嗣は昔のままの切嗣だったのだ。 命を助けられ、自分の生き方を示し、冗談を言い合いながら引き取ってくれた養父。 振り返らずとも「楽しかった」と断言できる日々の記憶。 ――――それが、変わらず目の前にあってくれた。 この時、自分を助けるために世界と契約してまで来てくれたのだ。 英雄ですらなくまともに戦うことさえ不可能な実力で、 それでもみんなを守ろうと戦い続けた。 その終わりが、こうして目の前にある。 「じいさん」 何を言うべきか、少年には思いつかない。 言うべき言葉は既に決まっている。 だがあの時言った言葉、誓いを口にすればそれだけで全て終わってしまう気がした。 「ん」 伸ばした切嗣の手が士郎の頭を優しくなでる。 切嗣の口元にかすかな笑みが浮かぶ。 士郎が何を考えているのかなんてとうに察していた。 切嗣にとって士郎のそういう性格こそ、何よりも懐かしい思い出だったのだから。 「―――な、なんだよ。子供扱いするなよ、じいさん」 むっと、上目遣いで切嗣を見上げる。 「ごめんごめん。つい、懐かしくなっちゃってね。 ・・・本当にごめんね。僕がもう少し強ければ士郎に危険な真似させなくても済んだのに」 返してくる軽口に悲しい響きが混じる。 「だから!子供扱いするな、って言ったろ! 俺とじいさんは一緒に戦うパートナーだろ? 守られるだけなんて俺は嫌だ」 だからそんな言葉を吹き飛ばすように力強く反論した。 「―――ああ、そうか士郎はもう大人なんだね」 「―――――――」 その、未練なんて何もない、という顔に胸を詰まらされた。 いいのか、と。 このまま消えてしまって本当にいいのか、と思った瞬間、 「じいさん。もう一度俺と契約してくれ。 俺一人じゃ無理だろうけど遠坂やイリヤに協力してもらえば」 そう、言うべきではない言葉を口にした。
600 名前: UBWラスト 凛→士郎 弓→切嗣 2/2 投稿日: 2005/08/12(金) 13:51:18「それはダメだよ。僕にはその権利はない。 それに女の子に負担をかけたりしちゃダメだよ」 口調こそおどけて見せてるが、その答えには迷いがなく意思は潔白だった。 晴れ晴れとした顔はかつての夜と同じで、それを前に、 どうして無理強いする事ができるだろう。 「・・・だけど! だけど、それじゃあ。 じいさんは、いつまでたっても――――」 救われないじゃないか、と。 言葉を飲み込んで、少年は俯いた。 それは彼が言うべき事ではなく、仮に切嗣をこの世に留めたところで 与えられる物ではないのだから。 「――――まいったな。士郎のわがままはこれで二度目だけど」 士郎に泣かれるのは、困る。 彼が思い浮かべるのは、 どんな辛い事があっっても決して挫けずにいつだって前に突き進む姿、 その姿にどれほど勇気付けられたことか。 「違うよ士郎。僕はもう救われたんだ、君に」 「え――――?」 ただ誰の悲しむ顔も見たくなかった。 今は無理でもいつか全ての人を救えると信じて戦って、 自分の心までも殺して戦って、 自分では届かないと知って奇跡にすがろうと聖杯を求めて戦って、 そして最後には誰も救えないと目の前に突きつけられて絶望した。 ―――そして、少年と出会った。 大災害の中で自分が助けたたった一人の少年。 ―――自分の人生は無駄ではなかった。 少年と過ごした日々は短くとも一生に匹敵するほど充実した時間だった。 そして自分が守ろうとしていた幸せの意味を初めて知った。 守れたのはたった一人だけど最後までこの子を守ろうと誓った。 「士郎には何度も助けられたから今度は僕が助けよう、って思ったんだ。 だからこれは僕の最後のわがままなんだ」 「じいさん・・・」 「後を頼むね、士郎。僕は士郎しか助けられなかったけど、 君ならきっと周りのみんなを助けられるから。 ――――君が支えてあげて」 それはこの上ない別れの言葉だった。 そう承知した上で、少年は頷いた。 何も与えられないからこそ、最後に満面の笑みを返すのだ。 後を頼む、と。 そう言ってくれた切嗣の信頼に、精一杯応えるように。 「うん、わかってる。俺、頑張るから。遠坂もイリヤも藤ねぇも 桜も・・・みんな、俺が守るから。だからじいさんは―――」 ――――もう戦わなくてもいいんだ。 言葉にはせず。 万感の思いを込めて、士郎は消えていく切嗣を見上げる。 ―――――それがどれほどの救いになったのか。 切嗣は誇らしげに少年の姿を記憶に留めたあと。 「あ、そうだ。お別れは済んだはずだったんだけど 前の時に言い忘れてた事があるんだ」 そんな軽口で、 「じいさん、なんだ?」 「士郎。君を愛している」 最後の別れを告げた。 ざあという音。 切嗣は少年の答えを待たず、ようやく、傷ついたその身体を休ませたのだ。 ・・・・やられた。 いくら不意打ちが得意だからってそれはないだろ。 一方的に自分の言いたい事だけ言って人の答えも聞かずに行っちまうなんて。 ああ、本当に昔のままの切嗣だ。 「俺もだよ、じいさん」 ぐい、とこみ上げた涙を拭って、もういない養父に答えを返した。 ―――黄金に似た朝焼けの光の中。 消えていった彼の笑顔は、かつてと変わらぬ穏やかさだった。
601 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 14:23:35黄金の別離風味な台詞もあるね。GJ!
602 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 17:50:09ええと、その愛って言うのは親子愛だよな。 親は子を守り、それに支えられて子は成長する。そういう愛のことだよな。
603 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 17:56:08無粋なつっこみは入れるなよ(つД`)
604 名前: 600の別バージョン 投稿日: 2005/08/12(金) 18:11:58 「後を頼むね、士郎。僕は士郎しか助けられなかったけど、 君ならきっと周りのみんなを助けられるから。 ――――君が支えてあげて」 それはこの上ない別れの言葉だった。 そう承知した上で、少年は頷いた。 何も与えられないからこそ、最後に満面の笑みを返すのだ。 後を頼む、と。 そう言ってくれた切嗣の信頼に、精一杯応えるように。 「うん、わかってる。俺、頑張るから。遠坂もイリヤも藤ねぇも 桜も・・・みんな、俺が守るから。だからじいさんは―――」 「・・・なんで女の子ばかりなんだい、士郎?」 「―――――」 「・・・・士郎、やっぱり僕は残るよ。 なんだかシロウを放っておくとロクな大人になりそうにないからね」 そういう切嗣の目は見たこともないほど冷めたものだった。 オチをつけるかどうかで悩んで没に。
605 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 18:14:32ちょ、気まずい
606 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 18:49:26> なんで女の子ばかり〜 立派に親父の後を継いだな、士郎。
607 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 20:12:01 ネロ・カオスさんの柩に到着しました。 この時間だと教授は寝ている確率の方が高いですが、まあ当たって砕けろというコトで チャレンジしてみましょう。 「……って、いや教授。鍵かけ忘れていますよ……」 教授も正体がすっげぇ吸血鬼だというのに、意外とうっかりさんですね。 「もし真祖の人とか埋葬者に見つかっちゃったらどうするつもりですか、教授」 ぷんぷん、とすやすやと寝ている教授に腹をたててみたりします。 で。 そうは言いつつ、わたし、山瀬舞子はこれからどうするつもりなのでしょう? 1、……大人しく帰る。 2、……ちょっとだけお邪魔する。 3、……教授の中身が気になるワン! >3 ほう、教授の中身ですか。 それはもちろん『獣王の巣』の仕組みの解明、なんていう当たり障りのない オチではなく、もっと教授の本質に迫る中身が目当てなのですね。 「――――フン、混沌に溺れたか」 教授を前にして、口が独りでに動きます。 それは邪なる気配を察知し、脳髄の隙間を塗って正常なる人格を変貌させる毒に 他ならない。 古では啓示。 理では契約。 所によっては電波とも呼ばれる世界との契り。 ソレを成した人間は、他者の運命をねじまげるほどの力をもつという。 故に、それは英雄と呼ばれる。 「……というわけなので、失礼します」 パンパン、と手を叩いてから教授の中に滑り込んだ。 「おお――――!?」 ピカー、とか光らないのが不思議なぐらい、教授の中は素晴らしいかった。 さすがネロ・カオス、この獣の種類はちょっと普通じゃないですね。 オーソドックスな犬からはじまって蟹みたいな蜘蛛で終わるまで、陸空海への対応と種族変化を 加えて、実に一段十種類を超える幅広さ! 惜しむらくは形状が固定化されていないことですが、それ故の原初の海!我が内なる系統樹には、 貴様らの域を凌駕する生命が有ると知れ! ……思慮のある者は獣の数字を解くがいい。それは人間を表す数字、すなわち666である。素晴らしいです、教授! 「――――――――やば」 くらり、と眩暈をおこしそうな意識を支える。 ヘヴンです。混沌の体内には666の獣が内包されてるって噂は本当だったんですね! ありがとう、ありがとうロワイン!そして目の前の動物園よこんにちは! それでは改めまして。――――浸食開始。
608 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 20:13:05きっとあれだな、切嗣と親子フラグを上げると599のトゥルーエンドに、周りのおなごにばかり構ってると604のノーマルエンドになるんだw
609 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 20:14:15「うわ、これなんてドラゴンですよドラゴン! ……そっか、私なんて虎で一撃だったから知らなかったけど、 こういう幻想種も居るんだー。犬とか鴉ばっかりだと思ってたけど、なかなかどうして教授もネオテニーですなー。 うわわ、こ、これはぞくにいう勝負……」 ふむふむ、とさらに下の方を覗いてみる。 下は地面を泳ぐ鮫が基本で、さっきの段ほど一目でくらっと来るものはない。 「意外です。わりと草食動物も多いんですね」 「ふむ。何故意外なのだ、人間」 「いえ、だって。教授は大食いだから、てっきり肉食ばっかりだと思ってました」 「ほう。何故肉食ばかりなのだ、人間」 「でーすーかーらー、教授はホテルの人間食べ尽くすような大食いなんですから。 効率よく短時間で沢山食べられるように、肉を食べるのに適している肉食動物のほうがいいじゃないですか。 喋る鹿とかで和んでると、弱肉強食の自然界では淘汰されてしまいますよ?」 「フハハハハ、そのような事、よっっけいなお世話だ」 「そうですか、よっっけいなお世話ですかー」 ふはははは、と一緒になって笑う。 ――――さて。 そろそろ、この絶体絶命のピンチを切り抜けるきっかけを作らないと命に関わります。 「………………」 ギチギチギチ、と音をたてて首だけを後ろに向けました。 ……そこには怒れる二十七祖十位、というかなんというか。混沌がいました。 「――――それで。そろそろいいかね、人間」 教授。それはそろそろ食べてやる、という意味ですか。 「まあ、待ってください。何も悪気があったわけでは、ないんです」 ――ただ、またあの中を見てみたかっただけなんです。 心の中で独白し、そろそろと混沌の中に両手を入れる。 「彼女が悪ではなく、彼女は悪魔ではなく、彼女は罪人ではない。だが、許される事はなかった、か。 ふむ。墓碑銘に刻むには悪くないな」 「うわー、教授ったら本気だー。教授短気、教授おとなげなーい!」 「っ!ろ、ロア助か、貴様は!」 ぐわっ、と火を吐く教授。 ちゃんす! 「てや!」 混沌に突っ込んでいた両手を目一杯広げて万歳をする。 ぶわさ、と撒き散らされる獣の群れ。紛れ込む戦車をスクラップにするグリズリー。 「――――――――!」 「隙あり――――♪」 しゃっ、と素早く全ての獣を助けようとしている博愛の教授の横をすり抜け、 そのまま蛇の群れをやり過ごし、ペガサスを撃破、外へと脱出します。 「待たぬか、人間――――――――!」 ものすごい剣幕で追ってくる教授。 が、このアドバンテージを渡す訳にはいきません。 「あはは、待てません。また夜の公園で会いましょう!」 「こ、このぉ……!出口などない、ここが貴様の終着だっっっっ!」 背中にかけられる罵詈雑言を振り払って教授の柩を後にします。 そして数十メートルほど走り、安全圏に突入したと同時に振り返る。 これだけは言っておかねばならないのです。 「教授――――――――っ!!」 視線の先には黒い獣の群れ。…うわぁまじで怒ってらっしゃいますというか獣を固めて自分を最高の獣にしつつ武装999 この身は閉じた楽園なりなんですけどみててくださいお父さん私勇気をだしていいますから! 「服なんて意味ないのかも知れませんけど、さすがに裸コートはやめてお――ぐふおぅっ!!!」 「――――さあ、生を謳歌しろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!」
610 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 20:20:08はっちゃけ舞子さんに萌えた
611 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 21:05:17舞子さんにいいようにあしらわれるネロ造にも萌えた
612 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/12(金) 22:11:06博愛の教授に萌えた
613 名前: 白レン→マキリの蟲翁 投稿日: 2005/08/12(金) 23:58:12「初めましてかの遠坂の末裔。会えて光栄じゃよ、孫娘の姉よ」 「コレがマキリの末路、ね。なるほど、永く続いた魔術師の家系ってのは往生際が悪いわ」 「それはお互い様じゃろ? サーヴァントを失ったマスターはお呼びで無いのでな。 一つの聖杯に所有者は二人もいらぬ。ここであっけなく、騒がしくひっそり消えてもらえんかの?」 「無論ね。この場で徹底的に、惨めに独りで消えていきなさい」
614 名前: プロローグ アーチャー召喚 投稿日: 2005/08/13(土) 01:11:53 「はい・・・?」 ないものはない。 変化なんてこれっぽっちもない。 あれだけ派手にエーテルを乱舞させておいて、 実体化しているモノが欠片もない。 加えて。 何か居間の方で爆発音がしてるし。 「なんでよーーーーー!?」 走った。 もう頭んなか空っぽにして走った。 地下室の階段を駆け上がって居間へ急ぐ。 「扉、壊れてる!?」 居間の扉は歪んでいた。 取っ手を回しても意味がない。 押しても引いても開かないので、 「――――ああもう、邪魔だこのおっ・・・!」 どっかーんと、蹴破って中に入った。 「・・・・・」 で。 居間に入った瞬間、私は全てを理解した。 居間はメチャクチャになっていた。 何が天井から落ちてきたのか、部屋は瓦礫にまみれており、 首をあさっての方向に向けて倒れてる男が一人。 「・・・・・・」 アレ、間違いなく死んでいる。 「・・・・・・」 けど、そんなことより大事な事が一つ。 つまり・・・遠坂凛の聖杯戦争はここで終わりという事だ。 現実にフタをするかのように蹴破ったドアを力技ではめ込んで、 自室に戻ってベッドの上に倒れこんだ。 「――――そうだ。明日にでも綺礼に連絡とって保護してもらわないと」
615 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/13(土) 01:20:27どこが入れ替え?
616 名前: 翡翠True改変 投稿日: 2005/08/13(土) 01:21:14「カ───!」 泣き声とも笑い声ともつかない声を上げて、臓硯が突っ込む。 それこそ火花の速度の如く跳ねる、黒い影。 「っ───!」 桜と慎二が振り返る。 だが、もう絶望的なまでに間に合わない。 黒い影は桜には行かない。 臓硯は、桜にではなく、その横にいる慎二に向かって跳ねたのだ。 ────アイツは知っている。 今の俺がこうして動けるのが遠坂のラインから流れる魔力のおかげあるように。 桜の圧倒的な力が、慎二の持っている魔具の助けによるものだっていう事を。 「兄さん………!」 桜の制止の声も間に合わない。 「カカカカカカカ───!」 臓硯は声をあげて、槍のような形の蟲の塊を、慎二の心臓に向かって突き出した。 どっ、という肉を貫く音が、確かにした。 「───」 声が、出ない。 びちゃびちゃと小気味のいい音を立ててこぼれる赤い血。 慎二の頬を濡らす、桜の、赤い、血液。 「………さく、ら?……?」 「あ───っ」 ごぶっ、と。 何かを言おうとして、桜は口から血を吐いた。 おそらくは。 血管の大部分を失ったために、血液が、逆流してしまっているのか。 「───」 声が出ない。 頭の中が真っ白だ。 それは。 慎二の胸を貫いた臓硯も、同じよう、だった 「───カ」 ずぶり、と蟲が零れる。 「なに?」 どさり、と。 慎二の上に倒れこむ、桜の躯。 「なんだと!?」 血に染まった自らの腕を振り回す臓硯。 その度に、びちゃ、びちゃと泥を撒き散らすかのように、桜の血に塗れた蟲が床や天井に跳ねていく。 「聖杯の依り代が!?」 ぶんぶんと腕を振り回す臓硯。 「不肖の孫が。これでわしの悲願が水の泡じゃ!!」 ぴたり、と臓硯の動きが止まる。 臓硯は血に染まった慎二と桜を凝視すると、茫然自失している俺達を見て、忌々しそうに舌打ちすると逃げるように駆け出した。 カンカン、と階段を駆け上がっていく音。 臓硯は屋上に逃げた。 ───そんなもの。 そんなもの、どうだって、いい。 「桜………桜───!」 何も考えられないまま、桜に駆け寄った。 慎二はぼんやりと立ち尽くしていて、本当に黒い瞳が虚無に飲み込まれてしまったかのように、意思というものがない。───
617 名前: 翡翠True改変2 投稿日: 2005/08/13(土) 01:22:04 そのまま何とか桜の胸の傷口を塞ごうと縛った。 血は、上着を瞬く間に染めていく。 効果なんてただの1つすらありえない。 それでも、泣きそうになる自分の感情を抑えるように、傷口を押さえた。 ───押える事しか、出来なかった。 「ねえ、答えて」 ぼんやりと。 必死に傷口を押さえる俺が見えていないように、桜は言った。 「先輩、そうして、ここに? 気になって、しょうがないです。私が、先輩のことで解らないことがあると、すごく知りたくなるって、知っているでしょう?」 「────っ」 ああ、そういえばそうだったな、と頷いた。 傷口は血を流し続ける。上着はとっくに血に塗れて、止血さえ出来なくなっている。 くそ───この安物。なんだってすぐ血で濡れてちまうんだ。 頭にくる。 何の役にもたたない上着にも、何の役にも立たない自分にも、本当に、本当に、こんな傷口1つ塞げないなんて、何て、俺は─── 「………ばか。どうしてって、ここは俺の学校だぞ。こんな夜更けでも、何かの間違いでやってくることぐらいあるかもしれないだろ」 涙をこらえて。ただ自分に出来る事を、答えた。 「あ、そうでした───全然考えてませんでした。先輩が土蔵で鍛練する時間を、慎重に吟味して、きたんですけど」 満足したように、桜は言った。 桜は苦しい素振りも見せない。 ただ、体温が消えていく。 真っ白い氷が、日の光の前に音もなく融けていくように。 桜は自分の体のことが分かっていないのか、それとも解っているからそうするのか─── まるで何気ない昼休みの雑談のように、つまらなそうに、話をする。 「ねえ、お爺様の言葉は聞いていましたか?」 「───ああ。悪いけど、聞こえた」 「そう、ですか。知られ、たんですか。………ずっと隠してきた相手に、聞かれるなんて、馬鹿みたい」 「しゃべるな………!いいから、いいからゆっくりしろよ。頼む───頼む、から」 腕の部分を紐にして上着をぎゅっと桜の体に縛りつける。 無駄だっていうのは解っている。 けど、本当にそうしなければ、とても正気でなんかいられなかった。 「───ごめんなさい。私、ずっと先輩を騙していました。色んな事を、黙って、いたんです」 「………いい。そんな事は、もうどうでもいいんだ。だから───」 「私は───遠坂先輩の妹で、間桐とは血が繋がっていないんです。 私は魔術師で、先輩が魔術師だって事も知っていました。 でもずっと何も知らない振りを、してきました。先輩には、何も、知らせようとも、しませんでした」 だからきっと天罰なんですね。 震えてうまく動かない唇で。 私が魔術師であることもは、その言葉だけを、はっきりと発音した。 血は、止まらない。 俺は、このまま、気が狂うかと、思った。 「………少し前に遠坂から聞いた。 それに詳しい事情は知らないけどお前が苦しんで何を隠していたコトはずっと知ってたんだ。 だから、気にしなくていい」 桜の手を握って、そういった。 わずか、大きく息を吐いてから。 なあんだ、と桜はおかしそうに笑った。 「………先輩は、知ってたんですか………それじゃあ、無理に隠す必要なんて、なかった、んだ」 ───ほんと。馬鹿みたい。 桜の唇が、そう動く。 口にだせばいいのに。 声に出せばいいのに。 桜は、言葉に、しなかった。 「………さくら?」 返事はない。 今、自分が抱いているものは呼吸をしていない。 「おい」 返事はない。 今、自分が抱いているものは間桐慎二だったもの。 「なにか、言えよ」 返事など、永久に、ない。 いま自分が抱いているものは、安らかに瞳を閉じてしまっている───
618 名前: 翡翠True改変3 投稿日: 2005/08/13(土) 01:23:04 ニヤリと笑って、彼は話を終えた。 「………」 俺には、適切な言葉が浮かばない。 全ての元凶が間桐臓硯にあったとしても。 この顛末、この結果を望んで、筋書きを作ったのは目の前にいる友だ。 「でも衛宮。 俺は桜が憎くもなかったし、お爺様も憎くはなかった。 こんなことをしたくなかった、というのも本当の気持ちなんだぜ」 「───」 ………何を、いまさら。 「でも役立たずの烙印を押された僕にはそうする以外にやる事がなかった。 そんな目的を持たないと生きていけなかった。 魔術師になれないなら間桐の家系なんか滅びてしまえってね」 「だからって───」 ………許されるはずがない 「心から思惑通りに成って欲しい、と思ったことはあんまりなかったよ。でもな。みんな、僕の言葉を真に受けてしまう。 魔術を使えない愚者のつまらない囁きにその気になるんだよ。全く魔術師って人種はどこか抜けてるんじゃないのか?」 笑う桜。 「───満足か、慎二」 「当たり前だろ。家族を死に追いやるような悪人は計画が達成したあとは高笑いするのが相場なんだぜ」 だろうな、と慎二を見る。 ここにいるのは限りなく魔術師に近い人間だ。 物心がついた頃から魔術師に焦がれた人間、己の努力だけではどうすることの出来ない壁故に魔術師の家系を滅ぼそうと決めた人間。 自分は痛みを感じない極悪非道の悪人だって自分に言い聞かせることで、本当に自分が痛みを感じないと半分以上信じ込んでいる。 だから傷つけられても痛まない。 臓硯が死んでも、桜が死んでも、眉一つ動かさない。 ただ。 自己暗示による思い込みが命ずるままに動いていた、虚ろな人間。 「でも───」 「え?」 「でも、1つだけ、不可解なことがあった」 ほんの少し。 わずか遠い目をして、彼は言った。 「桜は、最後に僕を庇った。 半分ぐらいの確率でそうなることは解っていた。そうなるようにある時期から桜に接していたんだから。 お爺様の虐待からさり気なく庇って、体調が悪い時もお爺様に言い訳してあいつをお前の家に行かせたり。 ───そうだな、僕が死んでお爺様が生き残る未来を恐れた桜が確実に僕を庇って死んでくれる、と解っていた」 その笑顔は。 笑っているのにひどく悲しそうで、今にも─── 「なのに───僕は、あの時驚いてしまったんだよ。 なんでこのグズは僕を助けるのかと、自分が死んでしまうのに、何で僕を助けるのかってね」 ───今にも、泣きだしそう、だった。 「実は今でも良く分からない。あの時桜が死んで、僕は本当に悲しんだのか喜んだのか。 でも、今でも朝に目が覚めると、もういないってわかっているのに、 僕は、なんで起こさなかったと文句を言うためにあいつの部屋に行くんだ。 おかしいだろ?あの家には、もう誰もいないっていうのに」
619 名前: 翡翠True改変4 投稿日: 2005/08/13(土) 01:24:59慎二の腕が細い包みを取り出す。 しゅる、という衣擦れの音。 布に包まれた細長い物を取り出すと、彼は自分の胸に向けた。 きらりと、日光の光を反射するナイフ。 「し───!」 走る。 けれど、あいつの方が早い。 ───コトリ、という、何かが刺さる音が響いて。 慎二は、地面に倒れこんだ。 彼はナイフで胸を貫いて、そのまま倒れこんだ。 駆け寄っても、遅すぎる。 ナイフは、確実に彼女の心臓を貫いていた。 どくん、と意識が揺らぐ。 ───理由もなく。 「ば───なんで………!」 抱きかかえる。 胸には赤い牡丹のような、鮮血。 彼の笑いはそれでも崩れない。 ───それが、逆に。 例えようも泣く、哀れに、思えた。 「しっかりしろ………!なんだって、なんだってこんなこと………!」 「だってな、復讐しかやる事がなかったから───終わってしまえば何もかも虚しいだけだよ。 色々新しい目的を見つけようとしたけれど、結局見つからずに時間切れってコトさ ニヤリと笑う。 それが理由もなく─── 「なんだよそれ、おまえなに言ってんだよ………!」 桜の時と同じように、慎二の傷を見る。 ───助からない。 これは確実に、心臓を貫いてしまっている。 「………っ」 どうしてだろう。 理由もなく、ただ───悲しくて、こらえ、きれなかった。 ………彼は目を細めて青空を見ている。 太陽に照らされた花壇。 数年前、衛宮士郎が初めて間桐慎二と出会った時のような陽気。 それは。 全てを憎んでいた間桐慎二が見つけた世界一番の大馬鹿な友人。 「お前が正義の味方になりたいって本気で言った時、僕は少しだけ応援してたんだぜ?」 ポツリと呟く。 「だから正義の味方の衛宮は、いつか僕を止めるんじゃないかって思ったよ」 「でも───お前は何も」 それは、臓硯に狙われているのは桜で慎二は大丈夫だと思って注目してなかったから。 「1つだけ賭けをしたんだよ、僕は。 もし衛宮がこの事に気がついて僕の前に立ちはだかるのなら───こんな事、もう止めようって」 「ば───なんだよそれ。最後になって俺に責任を押し付けようって言うのか、お前は………!」 怒鳴りながら、手は必死に傷口の止血をしようとする。 けれど死は無残だ。 無慈悲に、正確に、一部の狂いも遅れもなく。 彼女の命の針を、かちかちとゼロの位置まで進ませていっている。
620 名前: 翡翠True改変ラスト 投稿日: 2005/08/13(土) 01:25:46 「くそ───ふざけやがって!何が1つ賭けをした、だ!おまえのせいで桜は、桜は───」 必死に止血する。 理由もなく、悲しくて。 涙が、瞳からあふれていた。 「おい?泣いているのか、衛宮」 「───悪いかよ!ちくしょう、慎二が悪いって解っているのに、それでも俺はお前を」 そう、こんなにも─── 「慎二に死んでなんか欲しくないんだ、お前を救いたいんだ、くそぉ………!」 ぼろぼろと涙がこぼれる。 あいつは、くすりと笑った 「やっぱりお前は馬鹿だよ、衛宮。でも気にするな。僕は”悪人”だぜ。正義の味方が倒さなければいけない”悪人”なんだよ」 「またそれか───おまえは、なんでそんな───」 「だってそのほうがすごく楽なんだよ?魔術師にもなれず、唯の人として生きるには余計な事を知りすぎてお爺様の監視を受けていたからな。 だから何も出来ず、気持ちの悪いお爺様の所業を見ているしかなかった。どこにも出口なんてなかった」 そう、と小さく息を吐いて。 彼は、目を瞑って思い出す。 「思い出してきた。 間桐の魔術を初めて見たとき、僕は怖くて痛くて、でも死ぬのはもっと嫌だった。 臓硯は最早人間とは思えない化け物だった。間桐の蟲倉は暗くておばけ屋敷みたいだった。 桜はいつも犯されていて、泣き叫ぶのが日課だった。 けど何かいえばお爺様は嬉々として僕を甚振るから、ずっと我慢してるしかなかった」 「なのに桜は魔術を嫌った。僕がどんなに苦しんでも、魔術が使えないのに桜は魔術を塵のように忌み嫌っていた。 ………なんだか、みんなむかつくことだらけだった。 だから。いっそ、間桐の家系が絶えてしまえばいいと思ったんだ」 出血は止まらない。 慎二は瞳を閉じたままで、痛みしかなかった揺り籠の記憶を懐かしむ。 「僕には何の責任もないのに回路を持たない出来損ないと見られるのには我慢できなかった。 それなら、僕をこんな風にしかできなかった衰えた間桐を滅ぼす悪魔になれと思ったんだ」 「しん………じ?」 「そうして、僕の心は驚くほど静かになったよ。 血管は一本ずつチューブになって。 血液は蒸気のように消えていって。 心臓も何もかく形だけの細工になる。 そうすれば、良心なんて跡形もなく消えるだろ?」 「な………」 俺は、何もいえない。 自分を悪だと思い込んだ慎二。 自分を悪なんだと思い込まなければ生きていけなかった慎二。 そうして自分が本当に悪なんだと錯覚してしまうほど、そんな事以外に救いというものがなかった慎二。 「だから、お前が正義の味方として僕を救えなかったとしても泣かなくていいん。 正義の味方には倒すべき悪が必要なんだろ?」 慎二は目を閉じたままだ。 ───それは、違う。 手を握って、いや、と首を振った。 「違う………!慎二は人間だ。悪になんかなれない! 慎二はちゃんと生きている。生きている人間じゃないか………! その証拠にこうやって、今も赤い血を流してるだろ」 「あ。それは、たしかにそうだ」 目を瞑ったまま、あはは、と彼は笑った。 「………だろ?遠坂のことが好きで、桜の事を気にかけていて、俺と馬鹿な話をしてた、普通の人間なんだ。 だから───」 彼がそう望んで、結果として桜が死んでしまって、臓硯が狂ってしまった結末を迎えたとしても。 「───慎二、お前に生きて欲しかった」 握った掌に力を込めて、本心からそんな言葉を搾り出した。 「………はははは。衛宮は、相変わらず、大馬鹿野朗、だよ。でも僕は………お前、みたいに、なりたかった、のかもな」 どくん、と。 いっそう高く、最後に一度だけというように。 大きく、彼の胸が上下した。 ………閉じられていた瞳が開く。 彼は、最後に。 高い高い、青空を見た。 「そう───やっぱり、ただの思い込みだったのか」 こふっ、と口から血がこぼれる。 ───イヤだ、と。 小さく、彼は呟いた。 「回路が、一本でもあれば、よかったのに」 そうして彼は息を引き取った。 虚ろな瞳のまま、永遠に青い空を見上げている。 それは作り物の皮肉な笑いではなく、静かな、とても悲しそうな、顔だった。
621 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/13(土) 02:01:43ハッピーバージョンだとアヴァロンで助けるのかな
622 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/13(土) 02:03:28投影で武器を作って体の一部を植えつけて剣で補完するとか
623 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/13(土) 02:04:25投影して武器を作って体の一部を切除して植えつけて、だった
624 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/13(土) 08:25:13「彼女」のままの部分がああって惜しかった
625 名前: ラスト・ボーイ・ミーツ・ガール+黄金の別離 投稿日: 2005/08/13(土) 08:25:44 町は静かだった。 昨日と同じ、人の気配というものが完全に絶えた世界。 それを不審に思う余裕も、今はない。 セイバーが帰ってこない。 ……考えてみれば、それは当然だ。 あれだけの言い合いをした。 一人でも戦うと言った。 なら―――あいつの性格から言って、本当に一人で戦うだろう。 セイバーは何処にもいない。 捜し出す事は出来ず、今頃、最後のサーヴァントである ランサーと戦っている可能性だってある。 ……だというのに、真っ先にここに来た。 川縁の空気は冷たい。 一段と冷え込む夜、公園は霜を敷き詰めたように冷たかった。 息は真白で、頬や耳は引きつって痛い。 ここでさえそうなのだから、川からの風が吹く橋は、どれほ ど凍えているだろう。 そこに、彼女の姿がなかった。 「――――っ」 左手が痛む。 最後の令呪が消えていく。 ―――それで。 本当に、幕は下りたのだと受け入れた。
626 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/13(土) 11:14:36なにこのBADEND。本気で悲しくなってくるorz
627 名前: ファニーライオン 士郎→志貴 タイガー→ネロ・カオス 投稿日: 2005/08/13(土) 13:55:16『遠野家のコンゲーム』の景品持ち寄り場面より。 「では、私はこの第七聖典を景品として出します」 「そうか。なら次はネロの番だ。いいからシエル先輩以上の品を出せ」 「?品とは冥土の土産か?」 「・・・どうしてそういう結論になるのかは聞かないぞ。 俺はただ、オマエの用意した景品を出せと言ってるんだ。 手紙に書いてあった事を忘れたワケじゃあるまいな」 「無礼な。忘れてなどおらん。ここにちゃんと用意してある」 どん、と怪しげな混沌をテーブルに置くと、 どざざー、とその中身をぶちまけるネロ・カオス。 「――――――」 意外だ。 コイツが人間のルールを守るなんて、ネロ・カオスとは思えない。 「けどそれなんだよ。俺には、その」 どう控えめに見ても、対軍レベルの猛獣の動物園 ―――もとい、猛獣の山にしか見えないのだが。 「・・・ネロ。これ、ひょっとして」 「そうだ。貴様と戦って破れた我が一部だ。再生するのに苦労してな。 何ヶ月もかけて、最後には姫君の力で復元させてもらった」 くく、と含み笑いしているが、それがどれほど血に濡れたエピソードなのか、 考えるだに恐ろしい。 「ふむ、まずはイヌとカラスとシカとサイとワニとグリズリーとパンサーと カニと、トツゲキホヘイと・・・・」 ネロ・カオスは山と積まれた猛獣を楽しげに分けている。 だだー、っとテーブルから何匹かの猛獣が逃げ出して、 居間はあっという間に地獄に変わっていく。 いくのだが・・・まあ、ネロは楽しそうなので止めを刺すのもなんだろうし。 「――――もういい。さっさと片付けろ」 「すまん・・・・・無理」 その言葉を聞き終わる前に俺はネロの点を正確に突き刺し、止めを刺した。
628 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 19:13:13>どん、と怪しげな混沌をテーブルに置くと 想像出来NEEEEEEEEEEEEEEEE!
629 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 20:27:55ドン☆と怪しげな混沌をテーブルに置くと にすると遊戯王っぽい
630 名前: 前スレ764に敬意を払いつつ 投稿日: 2005/08/14(日) 20:53:40「――――この人生は一人きりの」 真名を口にする。 瞬間。 何もかもが壊れ、あらゆる物が再生した。 ――――炎が走る。 燃えさかる炎は壁となって境界を造り、世界を一変させる。 後には孤独。 かすかにも他人の痕跡の無い、一人ぼっちの世界が広がっていた。 「――――」 その光景は、宝具にはどう見えたのか。 宝具は鬼気迫る形相で、目前の敵と対峙する。 「・・・・・・そうだ、エミヤシロウを作るんじゃない。 俺は、無数のエミヤシロウが存在する世界を作る。 それだけが、衛宮士郎に許された魔術だった」 広々とした世界。 無数のエミヤシロウが逆さまで大地に突き刺さっている エミヤシロウしか存在しないこの世界において、それ以外のものが立ち向かえるわけなどない。 それが、衛宮士郎の世界だった。 ここにはエミヤシロウ以外何もなく、そして全てがエミヤシロウである。 故に、その名を“無限の自分” 生涯を一人ぼっちで過ごす者として手に入れた、唯一つの確かな答え――― 「―――固有結界。それが貴様の能力か・・・・・・!」 一歩踏み出す。 左右には、宝具が俺目掛けて打ち出したギルガメッシュが突き刺さる。 「驚く事はない。ここにいる俺は全て偽物だ。 結局はおまえの言う、取るに足らない独り者に過ぎない」 両手を伸ばす。 硬く握ったエミヤシロウは、確かな存在感を俺に返す。 「だがな、エミヤシロウがギルガメッシュに敵わない、なんて道理はない。 おまえがギルガメッシュを打ち出すなら、悉くをエミヤシロウで迎撃する」 前に出る。 目前には、暴君たる宝具。 「いくぞ宝具――――ギルガメッシュの貯蔵は十分か」
631 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 20:55:31>>630 二番煎じかと思いきや、巧いなw
632 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 21:03:47巧いんだが>>764 の前には全てが霞んでしまう
633 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 21:06:54まあ、>>764 の前では全てが霞むよな。
634 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 21:14:11ああ、>>764 は次元が違い過ぎるな
635 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 21:29:36>>764 は神だからな
636 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 21:44:01おまいら、そんなに犬神家の一族が好きかw
637 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 21:57:09のったけど流石に>>764 は長いなww まぁ、>>764 にはブルマ装備イリヤが来ると信じてる
638 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 23:06:55スレ違いだテメーラキックか。あれはクソワロタ。 あれもある種の宝具だそうだから、>>630 のネタを引き継ぐならうってつけではあるか。 期待してるぞ>>764 。
639 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/14(日) 23:40:47>>638 いや前スレって言ってるからアレだろ、原型の代わりにギルガメ打ち出してくる改変 テメーラキックは二回も蹴られた思い出深いワロスではあるがw
640 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/15(月) 03:40:08過去散々笑わさせてもらったこのスレだが あの宝具は桁違いだったな 久しぶりに呼吸困難になりかけるくらい笑った まあ、アレは過去スレの話しだし、764は別に無理せんでいいぞ?w
641 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/15(月) 19:22:18いやいや、俺は764に期待するぜw
642 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/16(火) 21:03:04 学校に近付くにつれ、学生服姿の生徒たちを多く見かけるようになってくる。 今日は土曜日ということもあって、たいていの生徒は笑顔で道を歩いていっている。 この交差点を抜けてしばらくすれば正門だ。 時刻はまだ七時半ごろ。 今日は余裕をもって登校できそうだ。 信号器が赤になって、横断歩道の前で立ち止まる。 この歩道の向こうはすでに学校の塀がある。 通学路だから歩道はガードレールに守られていて、今も我先にと生徒たちが校門へと向かっていた。 この時間、向かいの歩道にはうちの学校の生徒しかいない。 しかいない筈だ。 なのに、車がせわしなく走っていく合間に、ツインテールを見た気がした。 「─────な」 そこにいたのは、彼女だった。 ふつーとしか言いようの無い笑顔に制服姿。 特徴を挙げてといわれると「──────ツインテール?」としか答えようの無い姿と可愛いと評判なはずなのにどこか地味な姿。 何度か見ているはずなので、俺がその姿を見間違えるはずがない。 「──────」 けど、そんな筈はないんだ。 だって彼女のルートは、昨日俺の手によって、死点を貫かれたのだから。 「な────」 いや、それさえ嘘だ。 だってさっちんルートは夢の中の出来事だったって、胞子生物が言ってくれ―――― 「―――――」 言ってくれてなんか、ない。 それは。自分自身で、そう思い込みたかっただけの話だ。 だからアレは夢なんかじゃなくてホントの話。 けど、それなら。 どうして、どうしてアレが、あんなところで、現実として存在しているんだろう―――? 信号が青にかわる。 まわりの生徒たちは向こう側へと歩いていく。 その中で、自分だけが立ち止まったまま呆然としていた。 彼女はガードレールに腰をかけて、足をぶらぶらとゆらしている。 まるで何か、誰かを待っているような様子。 どれくらい待っているのかは見当もつかないけれど、彼女の表情に険しいものはない。 ───誰を待っているのだろう。 まるで恋人と待ち合わせをしているふうに、彼女はそわそわして落ち着いていない。 ───イヤな、予感がする。 「あ―――――」 ツインテールがこっちを見た。 たぶん、そんなのはただの偶然。 アレはただ似ているだけの他人で、彼女は別の誰かを待っているに決まってる。 そうでなければ、この瞬間こそ悪い夢だ。 だって、彼女のルートはこの手で、完膚なきまでに殺したはずなんだから―――― けれど、女はこっちを見て笑っていた。 『やっと来たわね』と自分のルートを殺した相手を見付けて、心の底から満足そうに―――・ 女は親しげに手をあげて笑みをむけると、ガードレールから腰をあげた。 さらり、と髪をなびかせてこっちに向かってくる。 「───────来る、な」 悪い、夢だ。 信号が赤になる。 「―――――――来るな、よ」 彼女は気にした風もなく、車が行き交う道路を一直線に横断してくる。 あと、ほんの数メートルも距離はない。 「……来るなって言ってるのに――――!!!」 大声をあげても目の前の現実は変わらない。 そのまま、俺は自分でもよくわからない声をあげて、ツインテールから逃げ出していた。 中略 「約束守れなかった責任、取ってもらうんだから」 アルクを殺した翌日 アルク→さっちんルート さすがの志貴も存在しないさっちんルートを殺すことなどできはしないというのはどうだろう?
643 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/16(火) 22:25:40>さすがの志貴も存在しないさっちんルートを殺すことなどできはしないというのはどうだろう? なるほど。つまりこういうことか。 無 い も の は 殺 せ な い
644 名前: アーチャーvsランサー→セイギノミカタvs殺人貴1/2 投稿日: 2005/08/16(火) 23:20:53「くっ――――!」 「づっ――――!」 一際高い剣戟。 舞い散る火花と共に、両者の体が後退する。 自身に叩きつけるような殺人貴渾身の一撃は、同じくエミヤ渾身の一撃によって相殺された。 離れた距離は五メートル弱。 殺人貴ならば一息で攻め込める間合いで、 「―――わからない」 ぽつりと、死神が呟いた。 「お前、どうしてアルクェイドを狙う。あいつが一体何をした」 殺意こそ途絶えたものの、殺人貴の構えには一分の隙もない。 それを前にして、エミヤは口元をわずかに歪めた。 「―――驚いたな。何を言い出すかと思えば、そんな事を口にするのか。 殺人貴、私は少しでも多くの人を救う手段をとるだけだ。堕ちる前に殺す、私はこれ以外の手段はないと判断した」 「そうか。聞いた俺が馬鹿だったよ」 まったくだ、とエミヤは同意する。 殺人貴はふぅ、とつまらなげに息をもらし、静かに短刀の切っ先を上げた。 「たしかにオマエは戦上手だ。そのオマエが取る手段なら、多くの人を救うだろう。 ―――だが、それは王道じゃない。お前の方法は、決定的に間違っている」 立ち上る殺気。 それを前にして、赤い騎士はなお愉快げに笑っていた。 「ふん、それはこちらの台詞だ。姫君の守り手? は、笑わせないでくれよ殺人貴。真祖など堕ちて人の血を吸うだけだろう。 そんな生きる価値のないモノなどはな、初めからいなければよかったのだ」 「―――――――」 瞬間。 わずかに遅延していた空気が一変した。 ――――大気が凍りつく。 世界の調律を乱し、死を顕現する眼が開放されていく。 放たれる殺気は今までの比ではない。 その、呼吸さえ困難な緊迫の中。 「生きる価値がないと言ったな、エミヤ」 戦場の鴉をも払う声で、死神は言い放った。 「事実だ、遠野志貴。いつか魔王に成り果てるのだ、今のうちに殺しておけ」 「――――よく言った。ならば、お前がここで死ね」 大きく後退する殺人貴。 短刀を振るう、どころの間合いではない。 一瞬にして離れた距離は数十メートル。 殺人貴は奇怪な足捌きで滑るように移動し、そこで、獣のように大地に四肢をつく。 「―――――――」 エミヤの五感が凍る。 恐怖か、畏怖か。 そのどちらであれ、彼は即座に理解した。 殺人貴の後退の意味。 敵が次に仕掛けてくるであろう攻撃が、文字通り必殺であることを。 「――――俺の眼の能力は聞いているな、エミヤ」 殺人貴は地面に四肢をついたまま。 その姿は、獣などではなく蜘蛛のそれであった。 「―――――――」 エミヤに応える余裕などない。 赤い騎士は両手に持った双剣を捨て、最速で自己の裡に埋没する。 だが間に合うか。 彼の魔眼が伝説どおりなら、防げるものなどあり得ない―――――― 「―――行くぞ。この一撃、手向けとして受け取るがいい……!」 黒い姿が沈む。 地面に四肢をついたままの殺人貴は、あろうことか、そのまま大きく「跳躍」した。 弾ける体。 その眼は“あらゆる物の死を視る”眼。 ぎしり、と空間が軋みをあげる。 「――――これが」 放たれる殺意に魔眼が呼応する。 その眼は鮮やかな青へと色を変え 「モノを殺すということだ――――!!!!」 怒号と共に、赤い騎士へと疾駆する―――― それは、もとは「見えざるもの」を視るためのモノだった。 二度の死を体験した彼が死を理解し、得た魔眼。 対象を外的要因や魔術的要因も無視して「死」を与えることが出来る。 それが直死の魔眼、誰も殺しえなかった真祖の姫君を唯一殺した能力。 殺人貴の全力で打ち出される一撃は躱す事さえ許されまい。 防ぐことも出来ず、躱す事もできない。 ――――故に必殺。 この魔眼に狙われたものに、生きる術などあり得ない……!! 死神が迫る。 一秒にも満たぬその間、赤い騎士は死を受け入れるように目蓋を閉じ、 「――――I am the bone of my sword.」 衝突する閃光。 地上を弾ける様に疾駆した死の一撃が、赤い騎士へ直撃する刹那、 「“全て遠き理想郷”――――!」 大気を震わせ、真名が展開された。
645 名前: アーチャーvsランサー→セイギノミカタvs殺人貴1/2 投稿日: 2005/08/16(火) 23:22:00 激突する両者。 あらゆる物質、あらゆる概念を殺す死の一撃。 それが、ここに停止していた。 必殺の一撃はエミヤの“鞘”によって食い止められる。 何処かより出現した鞘はエミヤを守護し主を殺そうとする一撃に対抗する――――! 誰が知ろう。 この守りこそアヴァロン。かのアーサー王伝説において、王が所有した聖剣の鞘である。 数百のパーツに分解し、所有者をあらゆる干渉から守りきる。 魔法のひとつであり、物質干渉はもとより平行世界、多次元からの干渉さえ防ぎきる結界宝具。 この鞘の前には、「攻撃」という概念など意味など存在しないに等しかった。 エミヤ、彼のアーサー王でさえこの守りを突破するものなど知るまい。 だが。 それを、直死の斬撃は苦もなく切り裂いていく。 「―――っ…………!!!!!」 結界が切断される。 短刀は決して踏み入れられなかったといわれる理想郷に到達し、なお勢いを緩めない。 防ぎきれぬ直死の斬撃。 それを直前にし、 「ぬ――――ぬああああああああ…………!!!!」 裂ぱくの気合を以って、エミヤは全魔力を己が宝具へ注ぎ込む―――! 「―――――ぐっ………!!」 崩れ落ちた殺人貴は、ただ、目前の赤い騎士を凝視する。 ……殺人貴は満身創痍だ。 宝具の死を見ていた眼からは血が流れている。 苦痛にゆがむ顔は眼からの出血だけでなく、想像を絶する頭痛に耐えているものだった。 「――――驚いたな。アヴァロンの死さえ読み取ることが出来ようとは。 君のそれは、魔法の神秘をも上回っている」 赤い騎士は心から死神へ賛辞を送る。 「お前―――― 一体…」 「ただの魔術使いだが。君の知っている通りだよ」 「嘘をつけ。魔術師が魔法など持つものか」 「場合によっては持つだろう。 それもこの様だ。魔力の大部分を消費したというのにアヴァロンを完全に殺された。 ……まったく、おそらくこの世で最強の守りであったであろうにな」 「―――――――」 軽口を叩くエミヤを、殺人貴はただ睨み続ける。 そこへ、 「だが、弱った真祖を殺すぐらいの魔力はある。 そこで寝ていればお前の命は助けてやるが?」 と、言い放った。 「―――――――」 殺人貴は無言で構える。 今の状態でエミヤに勝てるはずはない。 それは殺人貴自身がよくわかっていた。 ――――それでも。 それでも立たないわけにはいかなかった。 「そうか、続けるというのなら止めはしない」 双剣を構えるエミヤ。 両者の間にはすでに戦闘が成立している。 これは戦いの名を借りた敗兵処理だ。 戦いが始まれば一瞬で勝負がつくだろう。 エミヤは目的を果たそうとそのまま―――― 殺人貴に背を向け、歩き出した。 「―――――どういう、つもりだ」 殺人貴は歩くエミヤに問う。 「いや。お前は私と同類だ。その結末がどうなるか見たくなったのでね」 「―――――わからないな。 俺はアイツ一人のために多くを切り捨て、お前は多くのために一人を切り捨てる。 それのどこが同類だっていうんだ」 「……確かに私たちのあり方は真逆だ。だが―――」 エミヤは足を止め 「救えぬものを救おうとしている点は同じだろう?」 そう言った。 「せいぜい努力することだ、殺人貴。 もしお前の望みがかなったというのなら、私にも希望が見えるというものだ」 「言われるまでもない。絶対アイツを救ってみせる」 ――――そうして、両者は帰るべき場所へ戻っていく。 愛するものを守るために。 自分の理想を叶えるために。 さて。その先に救いが来たかどうかは、また別の話ということで。
646 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/16(火) 23:42:19アヴァロンが魔法になってるのはワザとか? なんか考察かどっかでのスレでそんなこと言ってた人を思い出したw
647 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 04:55:41志貴が魔法の定義を誤解している可能性あり。 アヴァロンは間違いなく魔法レベルの神秘ではあるからな。
648 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 05:09:36> 魔法のひとつであり、物質干渉はもとより平行世界、多次元からの干渉さえ防ぎきる結界宝具。 いや、この地の文からしても、アヴァロンが魔法のひとつである、としか読み取れなくない? ……ってまあ、ネタにぐだぐだ言うのもアレか。
649 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 07:30:59「ユスティーツァ……」 呼びかける声に視線を向ける。 話す暇などないだろうに、その老人は息を乱して駆けてくる。 それを、彼の者は黙って見守った。 「はあ、はあ、はあ、は…………!」 走り寄った老人は、乱れた呼吸のまま少女を見上げる。 ―――風になびく金の衣装に、見る影はなかった。 衣装の袖は所々が解れ、その金環も所々が欠けている。 存在は希薄。 以前のまま、出会った時と変わらない尊大さで佇む聖女の体は、 その足下から消え始めていた。 「ユステーツァ」 頭上には夜明け。 地平線には、うっすらと黄金の日が昇っているだろう。 「残念でしたね。そういう訳です、今回の聖杯は諦めましょう臓硯」」 特別言うべき事もないのか。 冬の聖女はそんな、どうでもいい言葉を口にした。 「――――――」 それが、正気を取り戻した老人には何より堪えた。 泥に汚染された聖杯の中心で、彼女は以前のままの彼女だったのだ。 信頼し、共に国を立ち、皮肉を言い合いながら聖杯を作った協力者。 振り返れば「悪くはない」と断言できる日々の記憶。 ―――それが、変わらず目の前にあった。 この時、最後の瞬間に自分でケジメをつける為に、残っていた。 自身を失い、大聖杯の回路となった。 意思の行使などとうに不可能な身体で、誰に助けを求めることなく、 同胞たちの戦いを見守り続けた。 その終わりが、こうして目の前にある。 「ユスティーツァ」 何を言うべきか、老人にも思いつかない。 肝心な時はいつだってそうなのだ。 ここ一番、何よりも大切な時に、この老人は機転を失う。 「ふふ――――――」 聖女の口元に、かすかな笑みが浮かぶ。 そんな事は、初めから知っていた。 冬の聖女にとって、老人のその不器用さこそが、何よりも愛おしい 思い出だったのだから。 「―――な、なんじゃ。こんな時だというのに、笑い事ではあるまい」 むっと、眉をひそめて少女を見上げる。 「いえ、失礼しました。貴方の姿があまりにもアレなもので。 お互い、よくもここまでボロボロになったと呆れたのですよ」 返してくる軽口には、まだ笑みが残っている。 「――――――」 その、何の後悔もない、という声音に胸を詰まらされた。 いいのか、と。 このまま消えてしまって本当にいいのか、と思った瞬間。 「ユスティーツァ。もう一度、大聖杯を作らんか」 そう、言うべきではない言葉を口にした。
650 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 07:31:56「それは出来ません。もう聖杯はないわ。私の役目は、ここでお終い」 答えには迷いがなく、その意思は潔白だった。 晴れ晴れとした声音は澄みきった空そのもので、 それを前に、どうして話を続ける事ができるだろう。 「……しかし! しかし、それでは。 おぬしは、いつまでたっても――――」 むくわれない、と。 言葉を飲み込んで、老人は瞑目した。 「―――まいりましたね、聖杯に未練はありませんけど」 盟友に悔恨を抱かれるのは、困る。 彼女にとって老人は恐ろしいほど狡猾で、打算的で、とことん前向きで無くては協力した甲斐がない。 己が身を蟲に堕としてまで究極の正義を求めた姿には歪だが敬意を払う。 だから、老人には最後まで、理想を目指してほしかった。 「―――――臓硯」 呼びかける声に、老人は目を見開く。 苦悶の表情には、未だに迷いが浮かんでいる。 胸に湧いた僅かな未練をおくびにも出さず、 遠くに倒れている少女に視線を投げ、 「彼女を頼みます。知っての通り猫が嫌いですから。 ――――貴方が、支えてください」 母親のように、冬の聖女は呟いた。 それは、この上ない別れの言葉だった。 「――――――――っ」 ……もう、この者に与えられる救いはない。 それを承知した上で、老人は頷いた。 何も与えられないからこそ、最後は、彼の者を知る主として見送るのだ。 一切を救え、と。 そう言ってくれた盟友の期待を、裏切らないように。 「うむ、任せておけ。もはや迷わぬ。 これより先は視界に映る全ての悪を排除し、若き日より焦がれた理想を目指そう。 償いなど適わぬが、イリヤはアインツベルンから解放し、あの連中の元へ返す。 だから、おぬしも――――」 ――――諦めず、理想を探求し続けよ。 言葉にはせず。 万感の思いを込めて、とうに光を失った眼差しで老人は消えいくユスティーツァを見上げる。 ――――それが、どれほどの救いであったのか。 聖女は、誇らしげに老人の姿を記憶にとどめたあと。 「答えは得れる。大丈夫です臓硯。彼らが引き継いでくれる」」 ざぁ、という音。 聖女は答えを待たず、ようやく、回路と化したその体を休ませたのだ。 「――――ふむ。結局、礼を言いそびれてしまったわい」 こみ上げる感情を飲み下し、二度と会えない盟友に話しかける。 だがその声は強く、老人はかつての覇気を取り戻していた。 それも当然。 あんな顔されては落ち込んでいる暇などない。 少女が立っていた大聖杯に別れを告げて、老人は倒れた少女の元へ歩いていく。 ――――黄金に似た朝焼けの光の中。 消えていった聖女の笑顔は、出会った頃の少女のようだった。
651 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 10:49:31 「は――――!?」 そうだ、人気の無い屋上で昼食を食べようなんて実は彼も魔術にかかわるものじゃないかしら―――! 「? どうした遠坂。何か思い出したか?」 「思い出しはしないけど、ひらめいた。こりゃ呑気に弁当食ってる場合じゃないわね」 「?」 いそいそと弁当箱を布巾でくるみ、じろり、と衛宮君に向き直る。 「……む、不穏な空気。言っておくが金の無心はするな。ねだられても無いものは無い」 がたん、とベンチから腰を上げる。 ……時間もない。 はあ、と深呼吸をして、一言。 「衛宮君。何も聞かずに服を脱いでくれるかしら」 きっぱりと、用件だけを口にした。 「な、なんですとーーーーーー!!!!????」 「だから制服を脱げ。上着だけじゃなくてシャツもよ。裸じゃないと意味がないの」 「っ―――ななななな何を言いだすかと思えば正気か遠坂っ!? あれか、新手の押し問答か!? そもさんなのか!?」 「そう、せっぱせっぱ。いいから脱げ、早くしないと昼休みが終わるんだからっ!」 ええい、と衛宮君につかみかかる。 「うわあ――――! ええい、止めろよ、このあくまー、遠坂それでも優等生かー!」 まあこの後体中(性器含む)をくまなくじっくり探したつもりでうっかり手の甲を見落としていたというオチで。
652 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 11:43:14どこをどううっかりすればそこを見落とすw
653 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 15:33:17>>651 おいおいw精機に令呪があったらどうするんだw バッサリ?ギャー
654 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 19:28:13たしか令呪を発動する時痛みがはしったよな? もし股間にあったら大変なことに
655 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/17(水) 20:34:50>>654 中途半端に片方の玉だけとかそういうオチだったり。
656 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/18(木) 00:07:17アインツベルンやマキリの令呪は見逃しそうだ。 だって令呪にみえねぇもん。
657 名前: 無限の剣→一人の剣 投稿日: 2005/08/18(木) 00:45:28「―――英霊召喚。それが貴様の能力か」 一歩踏み出す。 傍らには、青と黄金の剣を持つ少女騎士が控えている。 「驚く事はない。これは理想郷で復活を待つ王の写し身だ。 お前の言う、取るに足らない幻想だ」 片手を伸ばす。 控えていた英霊は、マスターと認めるように頭を垂れた。 「だがな、幻想が英雄に敵わない、なんて道理はない。 セイバー おまえが本物だというなら、俺が知る最優の“剣”で、その存在を叩き堕とそう」 二人で前に出る。 目前には、千の財を持つサーヴァント。 「いくぞ英雄王―――」 「―――宝具の貯蔵は十分か」
658 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/18(木) 01:46:48どっかのSSみたいな設定だなw
659 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/18(木) 16:28:22てことはUBWルートなのに鉄心な士郎なのか…
660 名前: 657 投稿日: 2005/08/18(木) 21:58:09>658 そんな判りきった感想は無用! イイかツマンネかの感想ぷりーず。 (大体どっかのSSにしようと思ってたネタですからー) その日、帰り道に大通りを選んだ。 自分にしては珍しい、ほんの気紛れである。 見飽きたビル街を呆と歩いていると、 ほどなくして人が落ちてきた。 あまり聞く機会の無い、ぐしゃりという音。 人がビルから落ちて死んだのは明白だった。 (中略) 「今の、遠坂だったのかな」 確証は持てないが、まず間違いはあるまい。
661 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/18(木) 22:02:38>>660 興ざめだ
662 名前: 644,645 投稿日: 2005/08/18(木) 22:08:19>>646 ,647,648 ステータス画面で魔法のひとつって書かれてたのを勘違いした。 ちゃんと読め自分。その魔法のひとつってのは平行世界からの攻撃の事を指してたんだ。 orz
663 名前: 660 投稿日: 2005/08/18(木) 22:19:45orz
664 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/18(木) 22:51:52>>662 ちょwwwwwおまwwwwwwww二代目出現wwwwwwwwwwww>>663 知ってるかもしれんが一応言っておくけど 「剣繋がりでセイバーを投影する」という設定のSSは既にある、語らんかのテンプレ作品に 多分>>658 はそれを踏まえて発言したんじゃないかと思う
665 名前: 人物そのまま 投稿日: 2005/08/18(木) 22:56:27「……振り返ると、そんななんでもないコトが、わたしの一日、でした。 翡翠ちゃんと、志貴さんと、秋葉さまが、いて。 それは、とてもキレイな空をしていたん、です」 「うん……うまく、思い出せない。楽しかったコトとか、段々……薄れて、いく、みたい」 ……力が抜ける。 かろうじて残された瞳の光が消えていく。 それを。 放っておける筈なんて、なかった。 ナイフを取り出す。 メガネはとっくに外してある。 あとは――― 「志貴さま、何を――――!」 翡翠が抱き付いてくる。 「――――琥珀さんを助ける。今はだまって、俺を信じてくれ」 翡翠を引き離して、彼女の身体を凝視する。 ……弓塚の時と同じだ。 あの時、自分の体内に混ざった弓塚の血液を“殺せた”のなら。 彼女が飲んだ毒だって、殺せる筈だ。 「―――――――――――く」 頭痛が激しい。 ギチギチと音をたてて、こめかみからカッターの刃が刺しこんでくるような頭痛。 それは、痛みで目を開けていられないほど。 「―――――――――――っ」 ……他人の体内から異物を視るのは難しいのか。 明らかに自身の能力を超えていると、脳髄は痛みを警告にして伝えてくる。 「あ――――――は、あ」 呼吸が発狂する。 だらしなく開けられた口から、ぼこぼこと泡が零れていく。 視界は赤く。 体中の体液が消毒液に変わってしまったかのような、灼熱の痛覚が迸る。 「き―――――ギギ、ギ―――――」 ああ。だが、それでも――――― 「く―――――――あ、あ―――――――!」 このまま、失明しても構わないとソレを視つめた。 ――――――断線していく意識の束。 世界が白くなったような光景。 ばちん、ばちん、と血管が焼き切れる音のなか、速やかに、遠野志貴が稼働不可能になる前に、彼女の体内の異物を抹殺した。 いや―――抹殺する、筈だった。 「な―――――――」 当惑で息が漏れる。 一体どうなっているのか、と。 ナイフを突いた姿勢のまま、俺は呆然と目の前の少女を見た。 「―――――――姉、さん」 翡翠でさえ事態が掴めていない。 一直線に突き通した必殺の一撃。 それが止まっている。 少女の心臓の線を突き穿つ直前に、何かにナイフを挟まれて停止している。 「――――足と、腕?」 そんな奇蹟が起こりえるのか。 俺のナイフは、瀕死の重傷のはずの琥珀によって止められていた。 膝と肘。 高速で突き通されるソレを、彼女は片足の膝と肘で、挟み込むように止めていたのだ。 「―――侮りましたね、志貴さん」 それは、地下王国の底から響いてくるような声だった。
666 名前: もしルールブレイカーがもっと強力だったら 投稿日: 2005/08/18(木) 23:32:32 セイバーの動きが止まる。 令呪という絶対命令権によって行動を封じられたセイバー。 そこへ。 とすん、と。 雪に足跡を付けるような容易さで、短刀が突き立てられた。 「な――――」 時間が止まったような錯覚。 セイバーは自らの胸を見下ろしている。 「キャスター、貴様」 「そう。これが私の宝具よセイバー。何の殺傷能力もない、儀礼用の鍵に過ぎない けれど――――これはね、あらゆる契約を覆す裏切りの刃。貴女もこれで私と同じ。 主を裏切り、その剣を私に預けなさい」 「っ――――!?」 赤い光が漏れる。 まがまがしい魔力の奔流。 それはセイバーの全身に行き渡り、彼女を律していたあらゆる法式を破壊しつくし―――― その存在を霧散させた。 今の一撃で彼女を縛っていた何かが解けたのだろう。 ……別れを告げられなかったのは悔しいが、彼女が聖杯への束縛から解放されたのなら、それは喜ぶべきことだ。 いつか―――本当にいつか、彼女に再開できることがあるのなら、そのときは出来る限りの感謝を示したい。
667 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/18(木) 23:43:45>>666 士郎が現実逃避してるw
668 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 00:05:47>>665 おい、ちょっと待て! 台無しだよKOHAKUさん!w
669 名前: 663 投稿日: 2005/08/19(金) 00:06:26>664 知らなかったよママン・・・呼んでたら書き込んだりしなかったのにorz しいて言えば、私のネタ元は色々な属性のセイバーを生み出す固有結界持ちの士郎だったりするのだが。
670 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 00:58:29>>669 >しいて言えば〜〜 その類の発言が余分なんだよ。無意味じゃないけど、沈黙も勇気
671 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 01:21:56>>669 しつこい 後書きや感想への返信も含めネタ以外の一切が不粋だと知れ
672 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 01:24:46>>666 元シーンどこだっけ
673 名前: うっかり強力な奇襲 投稿日: 2005/08/19(金) 02:20:14「仕掛けるわよ――――!」 スッ、と短く息を吸う音。 その直後、耳を刺すような音をたてて、黒いモノが放出された。 「――――――――」 おそらく、音をたてたのはワザとだろう。 放たれたガンドのスピードも遅く、黒いモヤはスローボールのように葛木へと飛んで行く。 「――――――――」 受ければ二日は寝込む病の風。 だがマスターにとって、二日の行動不能は致命的だ。 葛木先生がマスターであるのなら、絶対に何らかのリアクションがある筈だが――― 「やば――――!」 遠坂が体を起こす。 ……道を行く葛木は何の反応もしない。 遠坂のガンドは容赦なく、葛木宗一郎の頭部に直撃し―――― きっかりと一撃で、葛木の命をとめた。
674 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 14:07:34>672 最初がUBWのキャスター強襲。 最後の方がUBWトゥルーのセイバー消滅への士郎の語り。
675 名前: 炎のクロス 志貴⇒士郎 シエル⇒桜 アルク⇒イリヤ 1/4 投稿日: 2005/08/19(金) 21:52:32 「お、桜もう来てるな」 弓道場の鍵は開いている。桜以外に鍵を管理してる弓道部の部員は いないので、練習時間外に開いているという事は桜が中に居るというコトだ。 「邪魔するよ」 声をかけて弓道場へ入る。 「はい、先輩どうぞ。今日はここでお昼ですか?」 「うん。クラス連中のたかりが日ごとに悪化してきたから、 ここで桜と一緒に昼食を取ろうと思って」 ひょい、と自宅で用意したお弁当箱を差し出す。 片一方は自分用、もう片一方は桜用だ。 「あれ、今日は二箱も食べるんですか?」 「いや、これは桜用。今日はおひつにご飯が残ってなかったから いつも桜がお弁当と一緒に食べるおむすびがないと思って、その穴埋め」 「―――――はぁ、先輩は気が利きすぎです。 必死で食べる量を隠そうとしてる私がバカみたいじゃないですか」 「あ、ごめん」 「もういいです。それじゃあお茶を淹れてきますから待っててください」 桜はきびきびした動作でお茶を淹れに行く。 こっちはこっちで反省の意味を込めて正座して待った。 そんなこんなで昼食が始まった。 桜のお弁当は小さく見えても中に三段に収納できる優れもので、 藤ねえにつまみ食いされても一人前、といった量だ。 それでいて俺の持ってきたお弁当までぺろりと平らげるんだから 桜の胃袋はどうかしてる。 「食欲の秋ですね・・・・・・」 はあ、と体重計に乗る自分を想像して、ため息をつきながらもごはんを食べる桜。 ・・・・けどな桜、そんなのはオマエの食欲と関係ないと思うんだけど それは言わぬが華だろう。 「そんなの関係ないと思うなー、でぶサクラ」 「――――ぶっ!」 思わず弁当箱を落としそうになった。 「・・・・・何か言いました、先輩。 小さくてよく聞き取れなかったんですけど」 「い、いや、俺は何も言ってないっ・・・・!」 「あ、そうですよね。よかった、もし今のが空耳じゃなかったら どうしたものかって思ったところです」 桜はいつもの笑みを浮かべてはいるが、心なしか 顔の半分が影で覆われている気がする。 「それより先輩、お弁当の方はもういいんですか? おなかが空いているんでしたら、遠慮しないで私の分もどうぞ」 「あ、いや、そんなに俺は食べないぞ。桜の方こそ、足りてないんじゃないか?」 「そんなコトないですよ。先輩に貰ったお弁当もありますし、 食べきれなくなる事はあっても足りなくなるなんて事はありません」 ・・・・ふうん。そのわりには箸が休むような事はないけど、 それこそ言わぬが華だろう。 「そんな見栄はっちゃっても仕方ないのにねー。 大食いサクラが二人前ぐらいで満足するわけないじゃない」 ―――――ビキ! 桜の湯呑みに亀裂が走った。 「あはは。先輩、今度はなんて言いました? やっぱり小さくて全然聞き取れなかったんですけど」 「いいい、言ってないっ! 俺は何も言ってないってば!」 「栄養が全部胸にいくわけじゃないのにバクバクバクバクとよく食べるコト。 こんなんじゃ春には六十の大台に突入するわねー」 ビキビキビキ。 桜は笑顔を崩さないまま、木っ端微塵になりそうな湯飲みを置いた。
676 名前: 炎のクロス 志貴⇒士郎 シエル⇒桜 アルク⇒イリヤ 2/4 投稿日: 2005/08/19(金) 21:54:17「・・・・・・・・・・・・・・・・」 無言で立ち上がる桜。 「あ――――あの、桜?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 返事はない。 桜はツカツカとまっすぐに俺の前に立つと、 「もしもーし。そうゆう悪いコト言う口はこの口ですかー?」 そのまま真顔で、俺のほっぺたをぐいぐいと広げてきた。 「ひ、ひひゃい! さくら、いひゃいって・・・・!」 「はーい、どうして先輩がわたしの体重知ってるんですかー? ちゃんと答えないとタイヘンですよー」 「ひらないっ! そんなのひらないってば!」 必死に抗議するも、桜には聞こえていないようだ。 「あんまりあてずっぽうで女の子の体重を口にしちゃいけませんよー、先輩。 もし、万が一にも当たってたりしたら女の子が可哀相でしょうー?」 ぎゅるり。ぐいぐいと引っ張る指にひねりが加わった。 「いっ・・・・! さくら、さける、口がさけるってば・・・・!」 「はい。うそつきさんの口は裂けてたほうがちょうどいいですから。 人の体重が六十近いだなんてそんなデタラメ言う先輩はこうです」 ぎりりり。 ますます力が籠っていく桜の指。 そこへ。 「あはは、サクラの体重なんて一目で判るに決まってるじゃない。 デタラメ言ってるのはどっちだっていうのよー。 まったく、うそつきはどこかなー?」 なんて、明らかに第三者の声が響き渡った。 「・・・・・・・先輩」 ぴたり、と止まる桜の指。 「・・・・・うん。聞こえた、確かに」 「・・・・・・なるほど。弓道場にロリブルマーが出る、という噂話 は本当だったんですね」 桜は目を伏せて呼吸を整える。 そうして、はあ、と一際大きく息を吸った後。 「出てきなさい、この性格最悪ロリっ子あくま・・・・!!」 鼓膜を塞ぎたくなるぐらいの大声が弓道場を蹂躙した。 「きゃー」 ぽてん、と音をたてて落下してくる謎の物体。 「・・・っ、油断したわ・・・まさかそんな魔術師らしからぬ方法で くるなんて予想外よ」 ・・・・頭が痛いのか、こめかみの辺りを指で押さえながらイリヤは立ち上がる。 「何のつもりですか? ここは私と先輩の学校です。 弓道部はもちろん、学校の関係者でもない貴女の居ていい場所じゃありません」 「ふーんだ、サクラに言われるまでもないわ。 わたしだってこんなサクラの巣みたいな場所に来るのは願い下げよ」 「そうですか。なら無理しないでさっさと出て行ってください。 もちろん弓道場だけでなく、学校の敷地内はおろか冬木市からも離れて、 故郷のドイツの片田舎へ失せてください、と私は言っているんです」 「へぇ、ライダーもいないのに随分と強気ね、サクラ」 「それはお互い様でしょう。子供を躾けるのにそんなものは不要です」 バチバチと火花を散らして睨み合う二人。 ――――ヤバイ。 何だってイリヤが弓道場に現れたか知らないけど、こんな所で二人に 本気でケンカをされるとタイヘンまずい。 「ちょっと待った。二人ともここが学校だって分かってる?」 一応、やんわりとドクターストップをかけてみる。 「私は分かってます。でも森の中で非文化的な生活をしてた子に まっとうな常識があるとは思えませんけど」 「あ、それなら大丈夫。わたしはサクラと殺し合いにきたわけじゃないもの」 「・・・・・?」 首をかしげる俺と桜。 その瞬間、イリヤは俺の唇に優しく触れるように口付けをした。 「な、何するんですか貴女っ!」 「シロウ、げっとー♪」 呆然とする桜をよそに、俺の首にしがみつくイリヤ。 「あ、あ、あ、あ・・・・!」 ふるふると震える桜。 イリヤは俺の胸元でごろごろと猫のように懐いている。 「き、キスしましたね・・・私もまだしてないのに・・・!」 ごおお、と桜の背中に気炎が昇る。うわあ、今までにない程の怒りっぷりだ。 一方イリヤはと言うと・・・ 「クスクス、嫉妬みっともなーい」 などと火にガソリンを注ぐような事を言って頬をすり寄せてたりする。 「し、嫉妬ですって・・・!? 私が何年想い続けたと思っているん ですか? それを横から盗むようなマネをして、何ですか貴女は!」 がおー、と叫ぶ桜、さすが藤ねえの弟子。 「・・・・・・・・・・」 ・・・・こうなっては俺に出来る事なんて一つぐらいだ。 こっそりとイリヤから離れ、いそいそと隅に移動して、 事の顛末を眺めることにする。 正義の味方を目指していても現実は厳しい。
677 名前: 炎のクロス 志貴⇒士郎 シエル⇒桜 アルク⇒イリヤ 3/4 投稿日: 2005/08/19(金) 21:55:33「いいシロウ? サクラには二度と近寄らないで。 あんまり近くに寄るとヘンな寄生虫とか移っちゃうんだから」 「あ―――はは。あははははははははははははは!」 あ、桜が壊れた。 「この、居候の分際で、どっちが寄生虫ですか」 豪腕一閃、桜の右ストレートがイリヤの顔面へと炸裂―――― 「ちょっ、ちょっと本気!?」 びっくりして後ろに跳ぶイリヤ。 桜のストレートは避けられたが、桜は依然としてやる気満々だった。 「学校で地を出すなんてそれでもレディのつもりサクラ?」 「聞く耳持ちません。今日という今日こそ決着をつけて先輩をこの手に 奪り返します、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」 「うわ、サクラったら本気だー。告白もしてないのにシロウを 自分のもの気取りだなんてサイテー」 「―――こ、このロリっ子ぉ・・・!!」 桜の左ジャブが繰り出される。 「きゃっ」 「サクラあまーい」 「サクラはっずれー」 「サクラへたくそー」 ひょいひょいと軽いステップで桜を翻弄するイリヤ。 「―――――フッ、そこです!」 だがそれも長くは続かなかった。 ぱん、という軽い音。 桜のジャブが確実にイリヤの腕にヒットした音だ。 「・・・・・つっ。やるわね、サクラ」 「いつまでも貴女に遊ばれる私ではありません。 そのお人形顔、今度こそ潰れたまんじゅうに変えてあげます」 おお、あれはヒットマンスタイル! 桜、確実に殺る気だなあ。 ヒュンヒュンと左手を振り子のように揺らす桜。 あそこから左手がムチのようにしなってイリヤを襲うのだ。 ―――ああ、あんないかにも悪役な構えが似合うなんて、 桜も本性が透けてきたなあ。 「んー、しょうがないなー。 それじゃあこっちも奥の手を出して対抗しようかな」 イリヤが桜へと踏み込む。 「・・・・殺りました!」 勝利を確信してパンチを繰り出す桜。 ムチのようにしなる左拳が無慈悲にイリヤの顔面を貫く―――。 「クス」 が。それは、あっけなくイリヤにかわされた。 「!?」 驚きつつ、すばやく第二撃を放つ桜。 パンチをかわして隙だらけのイリヤの顔面を、 今度こそ死神のカマが襲う! 「クスクス」 「―――――っ!」 さらに三撃、矢のように繰り出される桜の拳。 「クスクスクス」 さらにかわすイリヤの怪しい動き。 「こ、このぉ・・・・!」 ヒュンヒュンヒュン。 マシンガンのように繰り出される桜のパンチパンチパンチ。 「クスクスクスクスクスクス・・・・!」 それをどこかで見たような円運動でかわすイリヤ。
678 名前: 炎のクロス 志貴⇒士郎 シエル⇒桜 アルク⇒イリヤ 4/4 投稿日: 2005/08/19(金) 21:56:22「くっ―――!」 ザッ、と咄嗟に間合いを離す桜。 イリヤは深追いせず、ステップワークを繰り返して様子を見ている。 「・・・・・・・・」 忌々しげにイリヤを睨む桜。 イリヤはじりじりと桜へと近寄っている。 「うふふふ、そのフリッカーは見切ったわ。 じゃあそろそろ決着をつけてシロウと遊びにいかせてもらうんだからー」 「・・・・・・」 桜には言葉がない。 イリヤの変幻自在の動きを捉えられず、自身の敗北を悟ったのだろうか。 「トドメよ! 死になさい、うしちちサクラ」 突進するイリヤ。 「―――――――――シッ・・・・!」 走る桜のジャブ。 が、イリヤは回ったり回ったり回ったり止まったりする動作で それをかわした。 が。 瞬間、桜の口がにやりと釣りあがり―――― 「知ってます、止まるんでしょう・・・!」 振り上げた右拳が、無防備なイリヤの顔面へと炸裂する・・・・! ごぎゃ、という激しい打撃音が響き渡る。 全く同じタイミングで繰り出された両者の拳。 明暗を分けたのは圧倒的なリーチの差だった。 チョッピングライトを受けてイリヤはそのままマット・・・ではなく 地面に倒れこんだ。 「うふふふふふ・・・・。勝った、ついに勝ちましたよ先輩。 やはりいくら人気があろうともこれが正ヒロインと準ヒロインの差です。 ええ、もう青銅聖闘士と黄金聖闘士ぐらい」 両腕を高らかにあげて勝ち誇る桜。 そこに 「いえ、やっぱり貴女の負けよ、サクラ」 倒れたはずのイリヤから声をかけられた。 その姿にダメージはない。一体誰が知ろう、 この少女がインパクトの瞬間に首を捻じる高等技術を体得している事を。 「うわぁーーーーん。このお姉ちゃんがいきなりぶったぁー!」 突然泣き出すイリヤ。 その姿に遠巻きに見ていた野次馬と俺、 さらには止めを刺そうと拳を振り落とした桜まで動きが止まった。 「――――ぐすっ、お兄ちゃんのお弁当を届けに来ただけなのに 部外者は出て行け、っていきなり襲ってきて・・・・」 しゃがみこんで上目遣いに周りの人に助けを求める視線を送る。 辺りがざわざわと騒ぎ始める。 「本当か? あんなに小さくて可愛い子なのに・・・」 「俺は見たぞ。フリッカーであの子を追い詰める死神のような姿を」 「なにやってるんですか!? 間桐新部長」 形勢逆転。 人の波に飲み込まれた桜が最後に目にしたのは、 嬉しそうにシロウを引っ張って学校から抜け出す元気なイリヤの姿だった。
679 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 21:58:53↑をブルマイリヤ好きの>>637 に贈る。
680 名前: 『必中の槍、無敗の盾』より 投稿日: 2005/08/19(金) 22:46:26>670-671 「ネタ師はネタを持って語るのみ」 忘れかけていた基本を思い出させてくれてありがとう。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「――――――――」 アーチャーの五感が凍る。 恐怖か、畏怖か。 そのどちらであれ、彼は即座に理解した。 ランサーの後退の意味。 敵が打ち出すであろう次の攻撃が、文字通り必殺であるという事を。 「――――オレの槍の能力は聞いているな、アーチャー」 「――――知らない」 真顔で、力の限り返答した。
681 名前: 痛覚残留 投稿日: 2005/08/19(金) 22:56:59>>680 ちょwwwwwアーチャーwwwwwww
682 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 22:58:04↑しまった…名前欄が… orz
683 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/19(金) 23:02:56まさしく残留w
684 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/20(土) 11:09:23ああ、痛いだろうしな・・・>>680 真顔ワロス
685 名前: フェイトステイナイト(Ⅰ) 言峰⇒一成 士郎⇒蒔時 投稿日: 2005/08/20(土) 14:11:38 校舎の奥。 穂群原学園の中には小さな生徒会があった。 人の手が入った、平等を重んじた、小さくとも立派な組織だ。 澄んだ理想は清らかで、濁りのない優秀な生徒会だった。 だが、それは昨日までの話。 生徒会は、もはや見る影もない。 目前に広がるのは新型のストーブの群れ。 濁った目をした群集の海。 ―――そして――― 中空に掲げられた『学校旗』と、その下に座る少女の姿。 「――――柳、洞・・・・・!」 冷静を演じてきた思考が、一瞬にして通常値を振り切る。 駆けてきた足を止め、敵を凝視する。 「よく来たな蒔寺楓。最後まで残った、ただ一人の運動部員よ」 皮肉げに口を歪め、ヤツは両手を広げてアタシを出迎える。 ・・・・ここが決着の場所。 前回の生徒会総選挙における、投票の会場だった。 「由紀っちを放せ。おまえをぶちのめすのはその後だ」 目前の柳洞を睨む。 ・・・ヤツまでの距離は10メートルほど。 これ以上先に踏み込めば、戦いが始まるだろう。 柳洞がどんな人間かは知らないが恐らくは遠坂と同じで 性格最悪に違いない。 「おい。聞こえなかったのか。由紀っちを放せって言ったんだ。 生徒会長のクセして、由紀っちをいじめて何が楽しい」 「気持ちはわかるが、それは出来ない相談だな。 生徒会は強大になったが、その『組織』は未だ不安定だ。 人寄せのマスコットである彼女には命の続く限り耐えてもらわねば、 私の望みは叶わない」 そうして会長は満足そうに笑った。
686 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/20(土) 20:18:39柳胴が邪悪だw 穂群原戦争?
687 名前: 志貴→士郎 琥珀→三枝 翡翠→蒔寺 ネロ→臓硯 投稿日: 2005/08/20(土) 20:39:49俺は蟲たちの眼を忍んで、木の陰に身を潜めていた。 不意に俺の腹が、くぅ……と鳴った。 時計を確認すると十一時半。 そうか、そろそろお昼の時間なんだよな。 ……とはいえ、今動くのも得策じゃないだろうし。 俺は少しでもエネルギーの消費を防ぐ為に、木の幹に背中を預けて力を抜いた。 その時だった。 ザッ……。 俺はそのノイズ音に危うく慌てて立ち上がり掛けた。 ……三人目か? 『三人目の鬼が生まれたぞ――』 さっきと同じ調子の蒔寺の声。 今度は……誰だ? 「そろそろお昼ご飯の時間だね、蒔ちゃん」 「でも今日は衛宮も遠坂もいないし……由紀っち、どうする気?」 「運動した後はお腹が空くものだから、簡単な物を作っておこうと思うの。今日はお客さんも多いし――」 「鍋?」 「惜しい、蒔ちゃん! 今日のお昼は辛口麻婆豆腐だよ!」 「ところで、間桐の爺さんはどこに行ったの?」 「あ、臓硯さんならさっき、一人隠れている人を発見したからって外に向かったみたい。戻って来るまでに麻婆豆腐完成させとこ、蒔ちゃん」 俺はトランシーバーのイヤホンを自分の耳から引っ張り抜いた。 誰が捕まったかは聞くまでもなかったからだ。
688 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/20(土) 22:46:41心の底から嫌そうな士郎の顔が思い浮かぶなw
689 名前: 弓→志貴英霊化Ver 投稿日: 2005/08/21(日) 01:12:10「つまんない話だけどね。アサシンも、アンタと似たような事を言ってたわ」 「……は? アサシンって、あのアサシン?」 「そ。わたしもね、あいつに訊いたのよ。アンタの望みはなんなのかって。 そうしたらアイツ、なんて言ったと思う?」 「え……う、アイツの望みって言われても、困る」 俺はアイツの事は何も知らない。 いずれ敵になる、と公言していたアサシンは、努めて俺やセイバーとは接触しなかった。 ……ただ、それでも。 アイツは皮肉ばっかり口にしていたけど、馬鹿げた目的を 持つようなヤツじゃないとは判っているが。 「これがね、聞いたら笑うわよ。望みはなによ、と訊いたら、アイツったらこう言ったの。 “そうだな。争いの無いハーレムというのはどうだ?” もう呆れを通り越して爆笑したわけ。 そうしたらアイツ、“やはり笑われたか。まあ自己主張の無い女性を集めようなど意味は無い。 今のは笑い話にしておこう”なんて言っていじけちゃってさ。 ……なんかね、ああいうヤツだから間違って英霊になんてなっちゃっても、 わたしみたいな小娘に使役されちゃうんだなー、とか思ったわ」 「――――――――」 ……そうか。 とてもそうは見えなかったけど、アイツはアイツで駄目な騎士だったんだ。 「けどね、間違わないで。聖杯が本当に全ての願いを叶えるのなら、 争いの無いハーレムなんて最悪の願いよ。 ようするにそれって大して好かれてない事でしょ? 鞘当てのない世界なんて 死んでるだけよ。物事は動いてないと腐るだけなんだから」 「……はあ。それ、アサシンにも言ったのか」 「言ったわよ。そしたらアイツ、“それこそが賢者の考えだ。 私も同意見だが―――今でもこれだけは、愚者の夢を守っているのだ”だってさ」 「ま、それはいいから、それじゃ他の望みはあるのかって言ったら、 “有るには有るが、聖杯で叶えるほどの物でもなし、私の分は君に譲ろう”とかなんとか。 キザでしょ? あいつ、きっと生前は女ったらしだったに違いないわ」
690 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/21(日) 02:01:12切嗣サンでもなりたちそうですね 彼の人だと人数どうなることやら (脳内設定では3桁切りをたっせいしているはず)
691 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/21(日) 09:22:52>>687 つまりあれだな、臓硯は秘蔵の蟲を景品として出してるんだ。 背中を撫でると悦ぶんだな。 三枝さんはそれにタッチして捕まえたんだな。
692 名前: 士郎→慎二 切嗣→間桐パパ 投稿日: 2005/08/21(日) 09:26:15 それは、五年前の冬の話。 月の見えない夜だった。 自分は何をする事も出来ずに、ただ瀕死の父の手を握っている。 冬だというのに、気温はそう低くはなかった。 蟲倉には温く腐った大気が充満しており、爺の手により蟲喰いだらけの父と合わせて、まるで生ゴミ置き場のようだと思ってしまった。 この頃、父は外出が少なくなっていた。 あまり外に出ず、家にこもって考え事をしていることが多くなった。 …………今でも、思い出せば後悔する。 それが死に場所を定めた動物に似ていたのだと、どうして気がつかなかったのか。 「……子供の頃、私は魔法使いに憧れてた」 ふと。 自分から見たら憧れそのものの父は、懐かしむように、そんな事を呟いた。 「な――んだよ、それ。憧れてたって、諦めちゃったのかよ」 声を詰まらせながら、言い返す。 父はすまなそうに笑って、昏い天井を仰いだ。 「ああ、残念だが……な。魔法使いになる、なんて理想は期間限定で、現実を知ると名乗るのが、む、難しく……なる。 そんな事、もっと早くに気が付くべきだった」 言われて納得した。 なんでそうなのかは分からなかったが、父の言うことだから間違いないと思ったのだ。 「そっ――か。それじゃ、しょうがない……な」 「そうだな。本当に、しょうが……な……い」 相づちをうつ父。 だから当然、僕の台詞なんて決まっていた。 「ああ、しょうがないから僕が代わりになってやるよ! 父さんは現実とやらを知ってしまったからもう無理だけど、僕なら大丈夫だろ!? まかせろって、父さんの夢は――――!!」 “――――僕が、ちゃんと形にしてやっから…………!!” 「ああ――――安心した」 静かに目蓋を閉じて、その人生を終えていた。 それが、朝になれば目覚めるような穏やかさだったから、幼い自分は騒ぎ立てなかった。 残酷な現実を見慣れていた事もあったのだろう。 何をするでもなく、ぬめり腐った床と、長い眠りに入った、父親だった人を見下ろしていた。 倉には蟲と糞爺の声が充満していたが、最早恐怖は湧き上がらない。 昏い闇の中、両目だけが熱かったのを覚えている。 泣き声もあげず、悲しいと思う事もない。 父の手から温もりが消えるまで、ただ、涙だけが止まらなかった。 それが五年前の冬の話。 むこう十年分ぐらい泣いたおかげか、その後はサッパリしたものだった。 子が父の後を継ぐのは当然のこと。 間桐慎二は魔法使いにならなくてはならない。 幼い頃にそう誓った。 誰よりも憧れた父の代わりに、彼の夢を果たすのだと。 …………そうと決まれば、やる事は唯一つ。 父の言っていた魔法使いになるために、魔術抜きで聖杯を手に入れ魔術回路を手に入れる。 足りないものは他所から持ってくるのが魔術師だ。 不足した己の戦力は策と外道と近代兵器で補い、本来召喚しえない参加資格(サーヴァント)は妹を介して手に入れる。 ――――そう、聖杯を手に入れることは、己がのし上がるために無くてはならぬもの。回路を手に入れ、爺を殺し、時計塔にて原色の称号を得る。マキリをしゃぶり尽くした上でそいつを踏み台にし…………天下の間桐慎二となる!! 全く…………やる事が多すぎて、体が幾つあっても足りないよ、ホント――――
693 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/21(日) 10:28:44なんか途中から変わってるんだが… あ〜かいまがくしさいた
694 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/21(日) 10:41:25ヤベ、WAKAMEスゴス 正直泣いた
695 名前: OP 剣⇒アサシン 投稿日: 2005/08/21(日) 12:05:09 「問おう。お主が私のマスターか?」 「・・・・・・・・・・」 へんじがない、ただの山門のようだ。
696 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/21(日) 16:11:28「シロウ、貴方――――」 漏れる声すら、もはや聞き取れない。 シークタイムゼロセコンド、脊髄反射に等しい一瞬で。 彼は、わたしから食事を奪り上げたんだ。 「朝はハンバーグだったし、昼抜いてもいいかなって。 せっかくセイバーと竹刀を合わせるんだから、もう少し鍛練を続けたいしさ。 そんな訳で試合を続けよう。ほら、竹刀構えてくれセイバー」 〝だめでござる。今日は断食するでござる〟 そうわたしから希望を略奪した男は、竹刀を構えてわたしへと向き合う。 ……どうしてだろう。 アレはわたしの夢だったのに。 昼が近づくにつれて、まちどおしくてたまらなかったお昼ご飯だったのに。 「――絶対に」 竹刀を投げ捨てる。 代わりに愛剣を握って、わたしはシロウと対峙する。 俯いたまま、刃を握って立ち尽くす。 下を向いたまま、わたしは口を開けた。 「――マスターの意気込みはわかりました、ではもっと真剣にやりましょう」 相手を見ないで、俯いたまま。 顔をあげても仕方がない。 だって、わたしにはさっきから――あのケダモノの姿が見えていないんだから。 「――わたしは貴方のサーヴァントだ。貴方が強くなりたいというのなら、わたしも全力を以て協力しましょう、シロウ」 ケダモノが、なんか抗議してる。 わたしは俯いたまま、それを無視した。 殺し合いの相手なんか、あとでいい。 今はまだ――噛み締めていたいんだ。 この胸に、あのおいしさが残留している束の間は。
697 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/21(日) 21:05:08逃げてー早く逃げて士郎ww
698 名前: 式⇔橙子 投稿日: 2005/08/22(月) 12:58:54 ……そういえば、と、うろんなまどろみの中で思った。 礼園に行くという事は橙子さんが変装するという事で、 そんなものすごいミスマッチな彼女を見るのが、ちょっとした楽しみだった。 けれど、結局橙子さんは最後まで自分にその姿を見せてはくれなかった。 原因は簡単で、礼園の制服に着替えた橙子さんを見て、式が一言、 「―――――無理」 と感想を漏らしたからなんだそうだ。 ……何が無理なのかはホントに解らないけれど、 そのおかげで橙子さんは礼園の制服を仕舞いこんでしまったのだ。 僕はその日から式の姿を見ていない。
699 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/22(月) 13:02:23> 僕はその日から式の姿を見ていない。 おいおいおいおいおいw
700 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/22(月) 13:27:07消されたか・・・
701 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/22(月) 13:27:17>>698 いやちょっとまてコラw
702 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/22(月) 15:14:21「―――たわけ。口にしてはならぬ事を口にしたな、式」
703 名前: ホロウは10月28日発売予定でちゅよ、と誰かが言った 投稿日: 2005/08/22(月) 18:35:13「――たわけ。口にしてはならない事を口にしたな、きのこ」 「なんでちゅ?」 言葉の魔術師は言い淀む。それを無視して、武内は『あやかしびと』に手を伸ばした。 「持っていけ。確かにこれはお前のモノだ。どう扱おうが私に文句はない」 武内はすんなりと『あやかしびと』を言葉の魔術師に譲った。 ソフトの箱を両手で持ち、言葉の魔術師は戸惑ったかと思うと―――にやり、と不気味な笑みをもらす。 「たしかに受け取ったでちゅ。これはもうボクのものでちゅ。どう扱っても構わないのでちゅね、武内?」 「好きにしろ。どの道締め切りまでの運命は決まっている」 静かに、けれど重く語る武内の声も言葉の魔術師には届かない。 彼は愉しげに笑いをかみ殺すと、満足そうな足取りでこの部屋から立ち去っていった。
704 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 00:08:58>>703 縁起でもねーw
705 名前: 志貴⇒イリヤ シエル⇒バーサーカー ロア⇒金ぴか 1/2 投稿日: 2005/08/23(火) 02:26:54私は今までどんな状態であのサーヴァントの話を聞いていたのか、 アイツが今まで何に座っていたのか、ようやく把握した。 「―――チ、また蘇生したか」 英雄王の足が止まる。 ヤツはそのまま、バーサーカーへ振り向いた。 「大人しく死んでいろと言ったはずだ。先程から見苦しいぞ貴様」 ざく、と。 龍殺しの剣が、ギルガメッシュの手で、バーサーカーの体に突き刺さる。 「■■■■■・・・・!!」 苦悶の雄叫び。 がり、とバーサーカーの爪が大理石の床を削り取る。 がり、がり。 その爪は剥がれかけていて、 バーサーカーの呼吸は壊れたエンジンみたいに乱れている。 なのに。 「・・・■■■、■■・・・!!」 がりがりと。 人形みたいに倒れている私に向かって、必死に呼びかけ続けていた。 「・・・・うるさい獣だ。何度呼びかけても聞こえないと 理解できないのか。そいつはな、もう生きる死体だ。 かろうじて聖杯の保存の為に最低限の生命活動しか行なわれていない というのが、何故解らん。・・・・まあ所詮獣には無理な話か」 ざく、ざく。 無造作に、剣がバーサーカーの体に刺さる。 「■■―――!!」 びくん、とバーサーカーの体が跳ねる。 それでも―――バーサーカーは、本当にバカみたいに、 私に向かって名前を呼び続けていた。 イリヤ イリヤ イリヤ、って。 言葉にならない声で。 「―――――――」 聞こえてた。 ・・・・ちゃんと、さっきから聞こえてた。 でも、きっとバーサーカーが言ってくれた半分も 聞いてあげられなかった。 そんな、血を吐きながらも。 こんなガラクタの人形みたいになった私を ずっと呼びかけ続けてくれてたのに。 「――――死ねない体、か。 愚か者め、これほどの能力を有しているのならば、 あるいは我とて倒しえただろうに」 ざく。 「それが、こんな小娘のために自ら行動を制限するとはな。 見下げ果てたぞヘラクレス。こんな無様なモノが 我と同じ半神かと思うと吐き気がする・・・!」 ざく、ざくざく。 ギルガメッシュは気が狂ったように、バーサーカーの体を 滅多刺しにしていく。 無防備な背中を。肩を。足を。喉を。 私に向かって伸ばされた、血まみれの腕を。 ざくり、と容赦なく刺していく。 それでも。 それでもなお、バーサーカーは雄叫びをあげようとする。
706 名前: 志貴⇒イリヤ シエル⇒バーサーカー ロア⇒金ぴか 2/2 投稿日: 2005/08/23(火) 02:28:03 ・・・・・聞こえない。 もう、聞こえない。 私の耳がおかしいんじゃなくて、 バーサーカーの喉が、もう死んでいる。 なのに、私に向かって叫び続けている。 そうすれば、いつかは私が動けるようになるんじゃないか って願っているみたいに。 「――――」 正直。 私には、何でバーサーカーがそこまでしてくれるのか、 わからなかった。 「―――――や」 気が狂いそうで。 私なんかのために傷ついているバーサーカーを見て、 気が、狂いそう。 「―――――メ」 けど、動かない。 悔しいぐらいに動かない。 どうやっても―――どうやっても、この体は動いてくれない・・・! 「―――ほう、素晴らしい。さすがは腐っても大英雄。 致死性を持つほど純粋な憎悪だ。瞬間だが貴様の意思は 天の鎖に迫るものがあるが――これはそう激怒するほどのものではない」 ギルガメッシュが私の髪を掴んで、引きずりあげる。 「理解できるとも思えぬが一つ教えてやろう。 この小娘に生きてて欲しいようだが、それは不可能だ。 コイツが勝ち残り聖杯として機能すれば、それは人として死んだも同然。 仮に運良く生き残ったところで人造生命の寿命などたかが知れている。 あるいは聖杯の力ならば延命も可能だったろうが、今はそれも叶うまい」 ブン、とギルガメッシュが腕を振るう。 そのまま、本当にゴミのように私の体が壁に叩きつけられた。 それが決定的だった。 ぐしゃ、という音。 それが合図。 バーサーカーに残っていた理性が、それで焼き切れた。 逃れる事も出来ぬ鎖が理解を超えた力で引き千切られる。 「■■■■■■■――――!!!」 雄叫びをあげて大英雄が立ち上がる。 「―――貴様、何故・・・」 語るまでもない。 バーサーカーの本当の強さは神性でも宝具でも力でもない。 幾多の試練を乗り越えた英雄としての意志の力。 バーサーカーがまだ戦うというのなら ―――私はマスターとしての最後の務めを果たすだけ。 私は今までこんなに強く、一つの事を思ったことはない。 その思いに令呪が反応する。 ―――― 狂いなさい、バーサーカー ―――
707 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 09:20:17「……やめてよね。なんだって、アンタが」 ぎり、と歯を噛む。 震えを抑える為じゃない。 わたしは、本当に頭にきている。 なんだってコイツなんだろう。 よりにもよってコイツなんだっての。 まったく完璧に、サーヴァントらしく鮮やかに目撃者を仕留めたランサーに腹は立たない。 ただもう、こんな日、こんな時間に学校に残ってたコイツが、憎たらしくて仕方ない……! 桜の顔を思い浮かべる。 きっとあの子は泣くだろう。 ついでに、わりと昔の、赤い放課後なんかを思い返してしまう。 ……遠い夕焼け。 一人でいつまでも走っていた誰か。 それを遠くから、ただぼんやりと眺めていたつまらない女の子。 そして、目の前には巻き込まれた誰かの死体。 ……手はある。 失敗して切り札を失うかもしれないけど、手はある。 ああいや、失敗しようが成功しようがどのみち切り札はなくなるんだから、 わたしにとっての結果は変わらないんだけど。 それは間違ってる。 コイツが死のうとしているのは、ある意味終わった事だ。 周囲の気配に気づかなかったわたしの責任と、 運悪く学校に残っていたコイツの責任。 「……行こ。死んだ事は死んだ事。コイツが発見される前に帰らないと」 そうだそうだ、こんなところに長居は無用。 アーチャーはランサーを尾行しているだろうし、もう一人で帰ってしまえ。
708 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 18:06:39>>705 うん、うまいうまい 状況的には入れ替えても全然違和感無いな
709 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 18:11:03うわおぅ。あかいあくま降臨。
710 名前: 志貴⇒桜 シエル⇒凛 投稿日: 2005/08/23(火) 19:11:18 ・・・・結局、私はなんだったんだろう。 自分のやりたい事なんて何一つ出来ないまま、あげくには、 自分そのものがなくなろうとしているなんて、馬鹿げている。 何もかもがぼんやりしていて、馬鹿げている。 影に見える世界。 影が見える視界。 四年前のあの日。 私は先輩に出会えて、こうしてマトモに生きてこられた。 アレは正しい出会いだったと、今でも断言できる。 「・・・・・けど先輩。私、生きてちゃいけない、人間 だったみたい、です」 ・・・・まだそう思える自分がいるうちに自らの命を絶つべき なんだろう。 でも出来ない。 自殺なんか出来ない。 たとえ無様でも、間違っていても、生きていたいんです。 死んだら何もかも嘘になる。 生きていたい。 どんなに間違っていて、色々なものをなくしてしまうとしても、 生きていたい。 あの人さえ。 衛宮先輩さえいてくれれば、あとは、何をなくしたって かまわなかったのに。 かつん、かつん、という足音が聞こえてくる。 ・・・姉さんがやってくる。 「・・・・闘うしか、ないの」 呟いて、ゾッとした。 私には姉さんと戦うことなんてできない。 呟いたのだって、なんとなく口にしただけ。 なのに、喰らえ、と。 頭の中、脳髄の芯から、脳漿に染み渡るように、 同じコトバが繰り返される。 喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。 生き残りたいのなら喰らえ。 死にたくないのなら喰らえ。 おまえを見捨てたヤツを喰らえ。 おまえを殺そうとするヤツを喰らえ。 いいからともかく―――誕生の邪魔をするヤツを 喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。 喰らえ、喰らえ、クラエクラエクラクラクラクラ――――! 「黙ってぇぇぇぇぇ!!!!」 ―――はあ、はあ、はあ。 「うる・・・さいですよ、さっきからアナタは・・・!」 ―――はあ・・・はあ、はあ。 ・・・・頭痛が薄れる。 声が聞こえなくなる。 けど、そのかわりに。 今の絶叫で、姉さんは私がここにいるって気が付いただろう。 「・・・・・・・・」 ぎゅっ、とスカートの裾を強く握り締める。 ――戦うのか。 あの人と殺シ合ウのか。 ・・・・よく、考えがまとまらない。 私の神経は、もうとっくに磨耗して焼き切れようとしている。 金色のサーヴァントに襲われて、その人の首を切断して。 何とか逃げ出してみれば、そこには姉さんが待っていた。 「は・・・はは、は」 少し、呆れる。 いくらなんでも、こんなのはない。 逃げても逃げても、その先で最悪の状況が待っているなんて、 理不尽を通り越して笑い話だ。 私はいつから―――こんな救いのない道に迷い込んで しまったのだろう。 「あ―――ぐ・・・!」 ナイフを突き刺すような、頭痛。 「は・・・・ぁ、あ―――」 うまく呼吸が出来ない。 視界がぐらぐらとゆらいでいく。 ・・・本当に、私はここまでみたいです。 また頭の中がぐちゃぐちゃになりはじめた。 それでも私は死にたくない。 死にたくないなら―――やる事は一つだけ。 カツン、カツンと足音が大きくなってくる。 姉さんの影が伸びてくる。 ――――食事、摂らないの。 それが何を意味するのか分かっていながら あの人はそう言っていた。 なら。 ――――すべて。 みんな、幻になってしまえば、いい。
711 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 20:39:51目の前が真っ白になる。 ……たった一言。 それだけの言葉で、ガツンと、頭の中をキレイさっぱり洗われた。 「俺の、味方?」 「そうよ。好きな子のことを守るのは当たり前でしょ。 そんなの、わたしだって知ってるんだから」 誰かの味方。 何かの味方をするという事の動機を、あっさりとイリヤは言った。 ……それが正しいのかどうか、本当は判っている。 今まで守ってきたモノと、今守りたいもの。 そのどちらが正しくて、どちらが間違っているのか判断ぐらいはつく。 それを承知した上で、俺は 1. ・・・・・・正義の味方を、張り通す。 2. 遠坂の味方になりたいんだ。 3. セイバーを忘れない。 4. イリヤでござる。今日はロリっ娘でござる。 5. ライダーがほしい。メガネとか、いいね。
712 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 20:56:53>>711 桜が無いのは仕様ですか(´・ω・`)ショボーン
713 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:00:276. 藤ねえ、卒業したら結婚しよう。
714 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:01:36おまえのルートなぞプロット段階からないが。
715 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:01:52>>713 だから、なんで桜が無いんだよう。・゚・(ノД`)・゚・。
716 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:09:546. うほっ慎二、やらないか?
717 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:16:076.実は一成の事が……
718 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:28:51>>715 しょうがないなあ 6. 桜、世界中の誰より愛していたよ。
719 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 21:33:21>>718 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! って、なんで別れ言葉なんだようバカーヾ(゚д゚)ノ゛
720 名前: 凛の提案(致死量) 士郎⇒殺人貴 凛⇒四季 投稿日: 2005/08/23(火) 21:56:41秋葉ルート・クライマックス 「―――――違う。嫌がってたんじゃない」 息もできないぐらい追い詰められているのに、きっぱりと訂正した。 「あ・・・?」 「だから、違う。俺はオマエを殺したくて、絶対に嫌がってなんかいない。 逆に嬉しすぎて息が出来ない。こんなの、それこそユメみたいだ」 「――――――――――」 「けど―――だからこそ、これが秋葉の為とか、復讐の為とか、 そういうものの為っていうのが、嫌だ」 体が熱い。 実は燃え上がるんじゃないかっていうぐらい熱いけど、 なんでか、頭は言葉を紡ぐ。 「・・・っ、それは」 「ああ、俺はオマエとはそういうの抜きで殺し合いたかった。 だから、こういうのは反則だ」 言った。 グツグツに煮立った頭で言った。 まともに理性がないクセに、それだけは本当だ、と 目の前にいる男に告げていた。 「―――――――――」 ・・・・四季の目が痛い。 「・・・・・・・・・」 気まずくなって、四季から目を逸らしてナイフを取り出す。 ―――と。 「な――――」 不意に、首筋に冷たい何かが触れた。 「ククク。逃しちまった」 「っっっっ・・・!! 四季・・・!」 あわてて首を引く。 俺の慌てっぷりがおかしかったのか、軽く追い討ちをかけてきた 四季は、 「―――ああ。それじゃあ、そういうの抜きで殺ろうぜ」 いたずらに、これ以上ないって醜悪な顔で笑って、こっちの頭を グラグラにしてくれた―――
721 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 22:02:09なんて、殺し愛
722 名前: 言峰⇒凛 士郎⇒士郎 衝撃のマーボー+ざぶーんへの道 投稿日: 2005/08/23(火) 22:15:04「ふん、むしろ遅すぎるぐらいよ。 水着も新調したばかりだしちょうどいいわ。まだ誰にも見せてないから、士郎に初お披露目してあげる」 なんか、遠坂がわくわくざぶーんに連れてくわよと言ってる。 「ぬっ……!?」 言葉がない。 ランサーにゲイボルクで心臓を貫かれたような衝撃。 なんであのバラエティに富んだ常夏の楽園で心も体も分解されなさい!と言っているのか。 それもすごい勢いで。 額に汗を滲ませて、これからは士郎以外などうちの敷地に入れぬ、一度衛宮家の面々を招けば二度と衛宮くんだけ招待できぬわ、という修羅の如き気迫。 というか意地になってないかあいつ、説明するスピードが尋常じゃないぞ。 もしかして楽しいのか。あの私服でさえ時たま息を止めるのに、遠坂の水着(そんな)姿見せられたら即死して英霊化した上にオレ遠坂の下僕(サーヴァント)化決定今後トモヨロシクみたいなデートが楽しいというのか。 だとしたらまずい、遠坂もまずいがこの新都駅前もまずい。 アレ、絶対やばげな量の直射日光が射してる。そうでなくちゃ説明できない。 「……ね。これだけ言っても、わたしとはデートしたくないの?」 しおらしく目を伏せながら遠坂は言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら口に溜まった唾をゴクリと嚥下(えんか)する。 「――――――――」 じっと遠坂の演技を見破ろうと目を凝らす。 ……凄い。遠坂とのデートの対価なんて巨額すぎて、きっと一生かかっても払いきれないぞ……? こいつ、ホントに俺をおもいっきり振り回す気か……と、喉を鳴らした時、不意に遠坂の目が留まった。 「――――――――」 「――――――――」 視線が合う。 遠坂はいつものむっ、と何か言いたげな目でこっちを見たあと、 「わたしじゃイヤ――――?」 「そんなワケあるかっ――――!」 全力で否定する。
723 名前: 722←→711 投稿日: 2005/08/23(火) 22:55:13「わたしじゃイヤ――――?」 「お前じゃイヤだ――――!」 イリヤでござる。水着ははロリっ娘でござる。
724 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/23(火) 23:14:50――――顔をあげる。 眼は機能していない。 眼球は敵を写さず、ただ、彼の記憶だけを流してくる。 ……その中で。 繰り返される絶望の果てに、狂気に染まった男がいた。 ……聞こえるのは爪の響きだけじゃない。 彼は。 その一撃の度に、自らを罵倒する。 「そうだ、世界を救うという理想のために計算した!」 繰り出される爪を受ける。 エーテライトが切断された。すかさず次を紡ぐ。 「故に、この身を死徒に、挙げ句は現象にまで貶めた。 これを独善と言わずなんという!」 黒い銃身も灼きつき、弾倉は既に空っぽだ。 ……胸が、痛い。 瀑布の如き彼の爪牙ではなく、その言葉が、シオン・エルトナムの心を裂く。 「滅びのない世界を運営するため、ただひたすらに未来を計算した。 それが新たな破滅を導いても、この身が狂気に冒されても、ただ予測し続けた!」 ―――繰り返される否定。 それが届くたび、心は戦闘を放棄しかける。 体はとっくに、重撃に耐えられずリタイヤしたがっている。 だというのに。 そのリタイヤしたがっている体は、なお必死になって、彼を否定し続ける。 「だが結局は世界を救えなかった。 否、世界どころか、それを成すべき自分すら救いようがない―――!」 「が――――!」 弾き飛ばされる。 真祖の姫君もかくやという一撃は、たやすくシオン・エルトナムの体を弾き飛ばす。 「―――――――」 なのに、踏みとどまった。 無様に背中から瓦礫に落ちる一撃を、懸命に耐え切った。 倒れれば。 倒れれば起きあがれないと、体が頑なに転倒を拒否していた。 「ぁ――――はあ、あ、げ――――ぅ…………!」 肉体の損傷をエーテライトで修復し、体を支える。 体は前のめりになったままで、起こす事さえできない。 「は――――あ、はぁ、は――――…………!!」 エーテライトで体を無理矢理拘束して、前に倒れ込む体を両手で押さえる。 その姿は、たとえようもなく無様だ。 端から見れば、彼に土下座しているようにもとれるだろう。 「―――だが、この理想は必ず果たしてみせる。 終わりのない世界など、第六法にでも頼らねば無理な話だ。 故に私はそれに挑み、手に入れるためならばいかなる代償をも払うことを覚悟しよう……!」
725 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/24(水) 00:53:04全英が泣いた
726 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/24(水) 13:16:32全埃も泣いた
727 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/24(水) 13:36:24エジプトか…
728 名前: 一成への疑惑⇒黄金の別離 投稿日: 2005/08/24(水) 14:58:09 「は―――!?」 しまった、気が付けば現界終了五秒前―――! 「? どうしたセイバー。どこか痛む?」 「痛みはしないですが、思い出しました。こんな事してる場合ではなかった」 「?」 いそいそと前髪を整えて、ちらり、とシロウに向き直る。 「・・・・む、不穏な空気。言っておくが弁当はないぞ。 ねだられても無い物は無い」 すたすた、とシロウに近づく。 ・・・・時間も無い。 はあ、と深呼吸をして、一言。 「シロウ。貴方を愛しています」 きっぱりと、用件だけを口にした。 「な、なんですと――――!!!??」 「だから貴方はどうなんですか? 体だけじゃなくて心もです。 両方でないと意味がありませんから」 「っ―――ななな何を言い出すかと思えば正気かセイバー!? あれか、新手の押し問答か!?そもさんなのか!?」 「そう、せっぱせっぱ。いいから答えなさい、現界出来なくなったら 手遅れなんですからっ!」 ええい、とシロウに掴みかかる。 「うわあ――――! ええい止めろセイバー、 オマエそれでも騎士王かー!」 「―――――あ」 惜しい、時間切れ。 ―――遠い、朝焼けの大地。 私が駆け抜けた、黄金の草原に似た。
729 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/24(水) 16:11:14最後の最後でこいつらは……w
730 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/24(水) 16:17:38エピローグ直前の選択肢でGOOD分岐だな 押し倒せば感動のEDへ…?ww
731 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/24(水) 19:17:50「黒桐くん。わたしもね、あなたに尋ねたい事があるの。 少し残念だけど、お話はそれでおしまいにしましょう。 わたしはそのために出てきたんだから」 彼女は見かけより何倍も大人びた瞳で彼を見つめる。 「あなたの欲しいものは、なに?」 質問は漠然としすぎていて、彼には答えられない。 彼女は感情のない機械のような表情。 「願いを言って、黒桐くん。わたしは人の望むものなら大抵のことを叶えてあげられるわ。 式はあなたが好きみたいだから、わたしの権利はあなたのものだもの。 ―――さあ、あなたは何を望むの?」 手を差しのべた彼女の瞳は透明で、どこまでも深い。 果てまで見渡せてしまえそうな瞳には人間性というものが欠けていて、 なんだか神さまを相手にしているみたいだった。 そうだね、とわずかに思案して彼は彼女の眼差しに答える。 無欲というのでもなく、信用していないというわけでもなく。 いらないよ、と彼は答えた。 ……その時、「両儀式」が感じた感情は畏れだ。 この男は権利がいらない、とこたえたのではない。 なにもいらない事。 この世に一切の、自己の存在すら望んでいない事。 完璧な死の世界を黒桐幹也は望んでいる。 だからこそ、彼の望みはいらない事なのだ。
732 名前: 式→キノコ 投稿日: 2005/08/24(水) 20:22:12「黒桐くん。わたしもね、あなたに尋ねたい事があるのでちゅ。 少し残念だけど、お話はそれでおしまいにするでちゅ。 わたしはそのために出てきたんでちゅから」 彼女は見かけより何倍も大人びた瞳で彼を見つめる。 「あなたの欲しいものは、なんでちゅ?」 質問は漠然としすぎていて、彼には答えられない。 彼女は感情のない機械のような表情。 「願いを言うでちゅ、黒桐くん。わたしは人の望むものなら大抵のを叶えてあげられるでちゅ。 式はあなたが好きみたいだから、わたしの権利はあなたのものでちゅよ。 ―――さあ、きみは何を望みまちゅか?」 手を差しのべたき彼女の瞳は透明で、どこまでも深い。 果てまで見渡せてしまえそうな瞳には人間性というものが欠けていて、 なんだか神さまを相手にしているみたいだった。 そうだね、とわずかに思案して彼は彼女の眼差しに答える。 無欲というのでもなく、信用していないというわけでもなく。 その語尾をやめてくれ、と彼は答えた。
733 名前: 便乗(キャスター→キノコ/アルバ→幹也) 投稿日: 2005/08/24(水) 22:26:59「それは無理でちゅね。なぜなら、君の望みは」 ―――さっきまで、叶っていたのでちゅから。 なるほどでちゅね、と幹也は頷いた。 先程この菌糸類を見て、何かに似ていると思った。実にシンプルだ。 どうして、それに気がつかなかったのでちゅか。 胞子というには大きすぎる綿。それは悪夢に出てくる、 人間に感染する際の病そのものの姿ではないでちゅか。 かくして、撒き散らされた胞子の塊は鈍い癒着音を伴って、黒桐幹也の脳を捉えた。 そのまま頭蓋を砕かれ、頭頂から真っ二つに叩き伸ばされていく。バキバキと生きたまま キノコになっていく。分断の直前、半分だけになった頭(かれ)は超然と見下ろす菌糸類と目が合った。 この、おぞましい変成を迎える僕を見て、キノコの目は嗤っていた。 それだけで、彼は相手にすべきではなかったのだ、と後悔した。 作務衣と交わした最後の言葉が思い出される。アイツは黒桐幹也がこうなる事を 予期していたのだろう。 体が完全にキノコに変わる。 ……自分は失敗したのでちゅ。 こんな菌糸類と、関わるべきではなかったのでちゅ。 ―――それが、人間としてのの最後の思考だった。
734 名前: キャスター来襲 凛T⇔キャスターT 投稿日: 2005/08/24(水) 22:34:07 ――――ぞぶり、と音がした。 玄関を開けた途端、空気の淀みが感じられる。 何者かが侵入した後。 結界に守られていた分、空気はわずかな汚れだけで 真綿のように重くなっている。 土足で走る。 靴を脱いでる暇などないし、そんなことさえ考えられなかった。 背後には駆けつけてくる宗一郎様とアサシンの足音。 それさえ視界に納めず、一心に居間へ向かう。 居間に入る。 電気はついていない。 灰色の空、薄暗い室内には、 「あら、このまま連れ去ろうと思ったのに、いいタイミングで 現れるのね、キャスター」 意識を失った一成君と、遠坂凛とかいうマスターがいた。 「遠坂・・・・!」 背後で宗一郎様の声がした。 駆けつけた二人は、遠坂凛を見るなり足を止めた。 一成君が人質に取られているからだろう。 少しでも宗一郎様とアサシンが仕掛けようとすれば、遠坂凛は アゾット剣を喉元に突き刺す。 それは誰よりも早い。 アサシンが斬りかかろうと、 私が魔術を放とうと、 それより先に遠坂凛の刃先が食い込む。 あの位置関係だ。 そうすれば、きっと、トマトみたいに、 の血が飛び散る。 「不用心ねキャスター。魔術師だからって結界にばかり 気を取られるなんて」 くすくすと笑う。 それさえも、ただ他人事のように受け止めるだけ。 「殊勝な心がけねお嬢さん。自分からこっちの陣営にやって くるなんて、降伏宣言のつもり?」 「ええ、似たような用件よ。もっとも許しを請うのは 貴女達の方でしょうけど」 声だけで火花が散る。 宗一郎様は遠坂凛を睨み付けたまま何もしない。 動けば の命はない。 万が一にも動くというのなら、宗一郎様の前に私が 遠坂凛を いる。 「―――それで。人質を取って何をするっていうのよ、貴女」 「貴女には用はないわ。関心があるのはそこのアサシンよ。 貴女は面白いわアサシン。聖杯戦争は今回で五回目。 そのいずれも貴方のようなケースはなかったはずよ。 殺してしまうのは簡単。けれどせっかくの貴重な第二魔法のサンプル だもの、出来れば殺さずに手に入れたい。 分かる? こんな無粋な真似をするのも、貴方を生きたまま 仲間にしたいからなのよ」 それは。 断れば、 を殺 という事だ。 「私は仲間もアーチャーも連れずにここまで来た。 そこまで貴方を評価しているんだから、こちらの熱意も信用できるんじゃない?」 「何を勝手な事を・・・! 仲間に黙って好き勝手やってるクセに――!」 「あら、嫉妬? でも残念ね、悪いけど貴女に興味はないの。 魔術師としては最優でも、魔法には到底届かないわ。 私が欲しいのは完成した魔術師じゃなくて、不完全な手がかりだけ。 ・・・・その点では、そこのアサシンは理想的ね。 魔術師ではないもの、御するのも容易いし」 艶めく冷笑。 遠坂凛は の首筋に刃を食い込ませながら、さあ、と返答を 迫ってきた。
735 名前: 便乗 投稿日: 2005/08/25(木) 00:46:58「―――主は替えたい。しかし、お主には仕えられぬ」 物干し竿を敵に向けて、偽りのない心で言った。 「な――――に?」 「判らぬか、下郎。お主のような無粋極まる輩よりは、私は魔女の方がましと言ったのだ」 ……だから、私の役割は決まっている。 魔女の剣となり、遮るものを只斬る。 故に――――今更迷う事など有ろうはずもない。 「一成の命は要らないというのね、アサシン」 「ああ。小僧の首を狩るのは良いが――― 別に、それを邪魔してしまっても構わんのだろう?」 そんな、トンデモナイ事を口にした。
736 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/25(木) 00:53:50アサシンって、お主なんて言わなくね?
737 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/25(木) 01:18:30>>736 言わないけどネタスレにツッコミは無用かと。 というか、この便乗続出の流れは一体・・・
738 名前: 士郎→志貴 凛→秋葉 言峰→琥珀 投稿日: 2005/08/25(木) 01:53:41Heavens Feel 九日目『正義の味方』 ―――扉を開く。 とっくに来ていたらしく、秋葉は地下室の隅に立っていた。 椅子に座らず、じっと壁際に立っている秋葉の姿はある決意を感じさせる。 それは、シキが元に戻っていなければ敵とみなす、冷徹な当主の顔だ。 「………………」 秋葉は俺を見ず、俺もいうべき言葉はない。 ―――長く、何の音もしない地下室。 それがどれくらい続いたのか。 「手術は終わりました。これ以上、私に出来ることはありません」 息の詰まるような静寂を破って、琥珀さんが現れた。 「…………それで琥珀、シキは?」 「手は尽くしました。私に言えるのはそれだけです」 結果は予想通りだった。 シキを救う手段は、初めから何処にもなかった。 「シキさまは眠っています。目覚めるのは明日の朝でしょう。 遠野の当主として、貴女は何をするのです秋葉さま」 「――――言うまでもないでしょう。外道に落ちた混血を排斥するのが当主の役目よ。それが身内だって言うのなら尚更です」 地下室の奥。 おそらくシキが眠っているであろう部屋へ、秋葉は歩いていく。 「―――止めないのですか、兄さん」 扉に手をかけて、秋葉は振り返った。 無言で返答する。 「ならいいんですね。私が、シキを殺しても」 「意見はない。ただ―――代わっていいのなら。代わる。」 「いいえ。これは私の役目です。貴方には譲ってあげられません」 秋葉はドアを開けて、地下室の奥へと消えていった。 「驚きました。貴方は止めるものだと思っていたのですが」 「―――――――」 「くす。覚悟は決めたというところですか。 これでこの吸血鬼騒動は終わりです。すこし拍子抜けですが、これはこれで楽しみな結末です」 「……楽しみって、何が面白いんだ琥珀さん。誰が生き残るか、予想でも立ててるんですか」 「予想?そんなのは立てるまでもありません。 ―――勝つのは貴方です。 昔の親友を殺した以上、貴方はあらゆる手段を尽くして吸血鬼たちを殺し、弓塚さんを殺し、秋葉さまを殺します。その結末が楽しみだと言ったのです」 「……なんで。俺は秋葉とは戦わない。あいつと殺しあう理由なんかない」 「いえ、戦います。いずれ自分の正体を知った貴方は、秋葉さまとも戦わざるを得なくなる。秋葉さまもシキさまを手にかけた以上、いずれ堕ちるでしょう 秋葉さまは自らの欲求のまま血を求め、貴方は自ら欲求のまま混血を殺す。 もう貴方たちは相容れない存在です。この騒動の終幕は、貴方たちが担うでしょう」 琥珀さんも地下室を後にする。 ……秋葉とシキがいる部屋。 そこで行われる行為が、すでに終わったと悟ったからだ。 「俺が最後まで残るって言うんですか、琥珀さんは」 「もちろん。今の貴方は七夜志貴です。それが勝てないはずがありません。」 ……琥珀さんは去った。 地下室には、心が闇に染まった遠野志貴が残されている。 「――――――――」 琥珀さんの予言は真実だ。 俺はこのまま夜を歩き続け、吸血鬼たちと弓塚を殺し、秋葉を殺して、そのまま誰かを殺し続ける。 それがこの戦いの結末だ。 判りきった結末を語ることはない。 遠野志貴は心を闇に染めたまま、 殺人鬼となるだろう。
739 名前: 士郎⇒琥珀 ギルガメ⇒志貴 投稿日: 2005/08/25(木) 02:25:21「―――満足か、琥珀」 「わかりません。わたしは楽しいとも悲しいとも感じなくなってしまった人形ですから」 彼女は片手を中空に差し出す。 「え――――?」 「……勘違いしていました。人形は、自分では動けない。そもそもわたしには、自分の意思は無かったんです」 そう。 彼女は言っていた。こんな事をしたくなかった、というのも本当の気持ちだと。 「……そうです。わたしに出来る事は一つだけ。わたしが動いていい理由を探すことだけだったんですよ」 ゆらり、と 彼女は前に伸ばした右腕を左手で握りしめ、俺を凝視する。 わたしは 人形になっている 「―――I am the bone of the doll.」 その呪文を口にする。 詠唱とは自己を変革させる暗示にすぎない。 この言葉は、当然のように在った、琥珀を繋げるモノ。 「琥……珀?」 血液は蒸気で 心臓は細工 「―――vapor is my blood ,and work is my heart」 導く先は一点のみ。 堰を切って溢れ出す力は、瞬時に琥珀の限度を満たす。 「な…………………」 俺は、何もいえない。 自分を人形だと思いこんだ少女。 自分を人形なんだと思いこまなければ生きていけなかった少女。 そうして、本当に自分が人形なんだと錯覚してしまうほど、そんな事以外に救いというものがなかった琥珀。 幾たびの陵辱を越えて磨耗 「―――I have had sex over a thousand times. ただ一度の苦痛もなく、 Unaware of pain. ただ一度の幸福もなし Nor aware of gain」 壊れる。 溢れ出す魔力は、もはや抑えが効かない。 一の回路に満ちた十の魔力は、その逃げ場を求めて基盤を壊し―――― 「……………」 ああ、やっぱり―――そういう事か。 だからあの夢は現実だったんだ。 俺が翡翠や琥珀さんを陵辱しているという願望を持っていたわけじゃない。 アレは、現実に。 シキが、彼女を―――― 血が逆流する。 彼女の体は、もう所々虫食いだらけだ。 今までヤツの陵辱が届かなかったにせよ、その時点で琥珀の体は欠けている。 それでも―――― 人形はここに孤り。 「―――With stood pain to look through glass. 窓から庭を眺める waiting for one's arrival」 魔力は猛り狂う。 だが構わない。 もとより彼女の身は『ある魔術』を成し得る為だけの回路。 ならば先がある筈だ。 この回路で作れないのなら、その先は必ずある。 ……いや、今だってそれはある。 ただ見えないだけ。 回路の限度など、初めからなかったのだ。 せき止めるものが壁ではなく闇ならば。 その闇の先に、彼女の身体の限度がある――――
740 名前: 士郎⇒琥珀 ギルガメ⇒志貴 投稿日: 2005/08/25(木) 02:26:13 ならば、 我が生涯に意味は要らず 「――――I have no regrets. This is the only path」 一の回路に満ちた十の魔力は、その逃げ場を求めて基盤を壊し―――百の回路をもって、千の魔力を引き入れる。 この体は、 無限の人形で出来ていた 「――――My whole life was "unlimited doll works"」 真名を口にする。 瞬間。 何もかもが砕け、あらゆる物が再生した。 ――――炎が走る。 燃えさかる火は壁となって境界を造り、世界を一変させる。 後には荒野。 無数の人形が横たわった、人形の丘だけが広がっていた。 「――――――――」 その光景は、俺にはどう見えたのか。 俺は鬼気迫る形相で、目前の敵と対峙する。 「……そう。操られるんじゃない。 わたしは、わたしが動いていい理由を探す。 それだけが、琥珀に許された魔術だった」 荒涼とした世界。 生き物のいない、人形だけが眠る墓場。 直視しただけで人形を操るこの世界において、動いていけない人形などない。 それが、琥珀の世界だった。 固有結界。 術者の心象世界を具現化する最大の禁呪。 英霊コハクの宝具であり、この身が持つただ一つの武器。 ここには全てがあり、おそらくは何もない。 アンリミテッドドールワークス 故に、その名を”無限の剣製” 生涯を人形として生きたモノが手に入れた、唯一つの確かな答え――― 「―――固有結界。それがおまえの能力か……!」 一歩踏み出す。 左右には、彼女の背後に横たわる人形が眠っている。 「驚く事はありません。これは全て人形です。 志貴さんの言う、人間ではありません」 眼鏡をはずす。 琥珀の身には、死の線が容易に認められる。 「けれど、人形が人間に敵わない、なんて道理はありません。 志貴さんが人間だというなら、悉くを凌駕して、その存在を叩き堕としましょう」 前に出る。 彼女の目前には、直死の魔眼を持つ暗殺者。 「いくぞ七夜―――武器の準備は十分か」 「は――――思い上がったな、人形――――!」
741 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/25(木) 11:45:37>>738 凄いしっくり来る改変だ。GJ。>>739-740 哀しい詠唱なのに、情景はシュールだな……。
742 名前: 桜ルートep 桜⇒秋葉 士郎⇒志貴 投稿日: 2005/08/25(木) 14:41:51 そうして、私は目覚めた。 気だるさはなく、意識も体も、別人のように清々しい。 「――――あれ、兄さん?」 一緒に眠っていた筈なのに、布団にあの人の姿がない。 時計を見ると、もう朝の十時だった。 「あ、朝ごはんを食べにいったんですね」 そっか、と納得したフリをして起き上がる。 その軽さにびっくりしてしまった。 本当にどうしたんだろう。 あの人に抱いてもらっただけで、手足に染み付いた鎖が外れたみたいだ。 「ぁ――――えっと、そっか」 思い出して体がぼう、と熱くなった。 昨日の夜、私は兄さんと一緒に眠って、体を重ねた。 ・・・・四季が帰ってきて、兄さんは全てを思い出してしまったけど、 これからはきっとうまくいく。 私の調子はいいし、これなら琥珀に頑張ってもらう必要もない。 悪いコトはもう起きない。 ここには兄さんも琥珀も翡翠もいる。私たちはきっとうまくやって、 「あ――――、っ」 ・・・・悪い夢。 どうしてこんな、一番悪い出来事を、ユメに見てしまったんだろう。 「兄さん?」 入り込んでくる風が気持ちいい。 玄関は光に包まれていて、歩いているだけで心が弾む。 体は本当に軽い。 もしかしたら眠ってる間にバストのサイズが減ったのかもしれない。 ・・・ちょっとだけホントのコトを言うと、私はわりと小さい方で、 毎夜牛乳と戦っています。 そのわりには成果はなく、兄さんに 『秋葉、オマエわりと着太りするタイプなんだな』 なんて言われたら卒倒しかねないので、軽くなった分には 大恐慌、じゃなくて大反対なのです。 「兄さん――――?」 本当に、体はものすごく楽になっていて、歩くだけで 世界が変わって見えています。 ――――体がこんなにも軽い。 空気がこんなにも美味しい。 鼓動が、こんなにも温かい。 それはまるで、体に染み込んだ枷が外れたような開放感。 遠野家に代々受け継がれた穢れた血の衝動も、 琥珀に依存するしかなかった黒い業も、 脳裏に張り付いていたイヤな夢も、嘘だったみたいになくなって――― 「ねえ、兄さん?」 誰もいない。 廊下はとても静か。 「兄さん・・・・兄さん・・・・?」 誰もいない。 温かな陽射し。 「兄さん―――兄、さん・・・? あ、もしかして昔みたいに かくれんぼですか・・・?」 誰もいない。 清涼な空気。 「は―――あれ、おかしい、な・・・兄さんは、隠れてる、だけなのに」 そんなはずはない。 誰もいないなんてない。 だって、あれは悪いユメで、 けど、最後に見たあの人の姿は。 体中壊れきって、もう、二度と会えないと。 「違う―――うそ、うそですよね、兄さん?」 そう、嘘に決まっている。 もう人間でさえなくなっていたカラダ。 あんなカラダでシキと戦えるハズなんてないんだから、 あの人はちゃんとここに残って、 私が帰ってくるのをどこかで待って―――― 「兄さん―――兄、さん――――」 でも。 ロビーで見かけた日付は、もうあれから十日以上も経った、 十一月の始めだった。 「あ――――、ゃ・・・・」 膝から落ちた。 全部、判ってしまった。 違う、眼が覚めた時から判っていたのに、判らないフリをしていたんだ。 「やだ―――出てきて、出てきてください兄さん・・・! わた、わたしだけ、私だけなんてできない、兄さん、兄さんといっしょ じゃないとダメなんです、にいさん、にいさん、にいさぁんっ・・!!」 当主として作り上げた人格が、真っ白になる。 気が違いそうなのに狂えないコトが苦しく、泣く事しかできなかった。 本当にそれだけ。 わたしは弱虫で、泣き虫で、他に償う方法を知らなくて、 自分が生きている事を感謝さえできなかった。 それが、この長かった初恋の終わり。 私は、八年間私を縛り付けたモノから解放されて、 唯一の心の拠り所を失ったのだ。
743 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/25(木) 20:41:28全人類が泣いた
744 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/25(木) 22:41:11全国貧乳協会も泣いた
745 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/25(木) 22:44:46全農協だって泣いた
746 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/26(金) 11:05:30ならば、全千葉県民も泣いた
747 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/26(金) 11:37:40首都圏全域が泣いた
748 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/26(金) 12:52:58全国のニートすら泣いた
749 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/26(金) 15:10:18666匹の獣も啼いた。
750 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/26(金) 15:25:09>>739 ,740 てっきり無限の人形ってメカヒスイだと思ってたよw
751 名前: シネマ〜イリヤ(Ⅲ) イリヤ⇒英雄王 投稿日: 2005/08/26(金) 21:57:05 「はい、とうちゃーく! セイバーと雑種は最果ての駅に着きました。 はい、そんなワケで雑種はここで終わりです。今までお疲れ様でした」 柳桐寺に辿り着いた俺達を待っていたのは金色のサーヴァントの 底抜けに明るい死刑宣告だった。
752 名前: 桜の手当て 要⇒欲 投稿日: 2005/08/27(土) 01:25:31 「けど先輩。ほどほどにしないとダメですっ。 突き指でもタイヘンなのに、指の骨が折れかかるなんて 普通じゃないと思います」 「いつ・・・! さ、桜、もうちょっとゆっくり包帯巻いてくれ、たのむ」 「痛いのは当たり前です。こんな怪我してるのに放っておいたら 腫れるに決まってるじゃないですかっ。 これも天罰と思って諦めてください」 「っ・・・!」 ぐるぐるぐる、と中指をテーピングしてくれる桜。 突き指の手当ては弓道部で慣れてるのか、実に手際いい。 手際いいんだけど、桜にしてはかなり荒っぽいのではなかろうか。 「それにセイバーさんもセイバーさんです。 先輩より上手ならもう少しやりようがあるんじゃないですか? 先輩、体のところどころが腫れあがってて、これじゃお風呂にも入れません」 「桜。言葉を返しますが、それはシロウが望んだ事です。 私はシロウの欲求に応えたにすぎない」 じろり、と不満げにこっちを見るセイバー。 一文字変えただけでMな士郎に。 読み直すと話してる内容が全部そっち方面に聞こえる。 追記:ここの『自作SSを晒すスレ』で色々と波紋を呼んだ ランサー⇔アサシンSSを掲載予定してます、 興味のある方は ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1074693014/l100 へ、どうぞ。
753 名前: ライオンvsトラ 投稿日: 2005/08/27(土) 02:58:21「うわぁぁぁぁぁあああい! ヘンなのが士郎もらってくれちゃったーーーー!」 回りにいる俺たちが目眩を起こすぐらいの大声で、わーいとはしゃぎ出してしまった。 認めるどころかセイバーは素性すら明かしてないじゃんか、それでも保護者かタイガー!
754 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/27(土) 20:41:14走る。 頭の中には遠坂の言葉しかない。 教会。この坂道の上、教会まで行かなければ。 教会にいって、言峰神父に助けを求める。 そうしなければいけない。 そうしなければ遠坂が死ぬ。 そうしなければセイバーも死ぬ。 そうしなければ二人を助けられず、俺も! 背後に一撃。 剣じゃない。 巨人は玄翁じみた素手で、俺の背中を打ち上げた。 あ、 「もう、この役立たず……! 簡単に殺すなって言ったのにそんなコトも出来ないの……!? 力だけの出来そこない、今度わたしの言い付けを守れなかったら最後の一回になるまで殺すからね……!」 「……君、少し黙れ」
755 名前: セイバールート 三日目+同ルートギル様登場編 投稿日: 2005/08/27(土) 23:20:17 「ア−チャー、悪いけどしばらく霊体になっててもらえる? わたし、ちょっと頭にきたから」 「それは構わないが……頭にきたとは、どういう意味だ」 「言葉通りよ。腹いせに現状を思い知らせてやらないと気が 済まなくなったの。それまで貴方の出番はないから消えていて。 貴方がいたらセイバーだって剣を納められないでしょ」 「ふう、また難儀な事を。まぁ命令とあらば従うだけだが…… 一つ忠告すると、君は余分な事をしようとしているぞ」 男は、それこそ幻のように消え去った。 「と、遠坂、いまの……!」 「いいから話は中でしましょう。どうせ何も解ってないんでしょ、 衛宮くんは。安心して、イヤだって言っても全部教えてあげるから」 さらりと言って、遠坂はずんずん門へと歩いてく。 「え―――待て遠坂、なに考えてんだおまえ……!」 思わず呼び止める。 と――― 振り向いた遠坂の顔は、さっきの笑顔とは別物だった。 「バカね、いろいろ考えているわよ。だから話をしようって言ってるんじゃない。 衛宮くん、突然の事態に驚くのもいいけど、素直に認めないと命取りって時もあるのよ。 ちなみに、今がその時だって分かって?」 「っ――――う」 「わかればよろしい。それじゃ行こっか、衛宮くんのおうちにね。 貴女もそれでいいでしょうセイバー? 見逃してもらったお礼に、貴女のマスターに色々教えてあげるんだから」 「……いいでしょう。何のつもりかは知りませんが、 貴方がマスターの助けになるかぎりは控えます」 遠坂は衛宮邸の門をくぐっていく。 「え、誰――――!?」 遠坂が視線をあげる。 「――――――――」 セイバーは既に気が付いていたのか。 彼女は遠坂よりも早く、屋根の上にいる“ソレ”を、呆然と見上げていた。 「――――――――」 そこに、予想外のモノがいた。 月を背にした姿は黄金。 金色の甲冑で武装したその男は、酷薄な笑みを浮かべて俺たちを見下ろしていた――――
756 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/27(土) 23:24:19ギル様出てくるの早過ぎーwww
757 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/27(土) 23:54:35なーもわからんうちにゲームオーバーでねーかww
758 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 00:26:27うまいw>>755
759 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 00:39:15>>757 天敵のアーチャーが健在なので逆に英雄王ピンチかもw
760 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 00:50:04そういやそろそろ764だな。宝具出すのか?
761 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 00:51:27興醒めもいいとこだからやめてくれ
762 名前: 『シネマ〜イリヤ(Ⅲ)』 買い物⇒? 投稿日: 2005/08/28(日) 02:34:18 「ああ、けど必ず守る。契約もないし実際令呪を使うワケじゃないけど、 ちゃんと令呪として受け止める。イリヤはマスターで、俺もマスターだ。 自分の刻印に誓って、令呪と認めた言葉は裏切らない」 背をかがめて、まっすぐにイリヤを見て誓う。 銀の髪の少女は静かに息を呑んで、 「・・・・ほんとに、何でも聞いてくれるの?」 そう、不安そうに視線を返した。 「もちろん。だって令呪だぞ? それが俺に出来る範囲の事なら、 何だって言うコト聞くぞ」 不安げな視線を、心からの笑顔で受け止める。 「・・・・・・・・・・」 長い沈黙。 イリヤは目を逸らして、ぎゅっと両手を握り締める。 「・・・・・わかった。それじゃあ、・・・・に連れていって」 「え・・・・?」 聞き違い、だろうか。 令呪扱いであるはずの言葉は、何か、どこかで聞いたような台詞だった。 「イリヤ・・・? ちょっと待った。令呪だぞ? 絶対言う事聞くんだぞ? なのに、ホントにそんなコトでいいのか?」 「・・・・・・・・・」 「他になんかないのか? いくら何でもそんなの難しすぎる」 「シロウのウソつき、何だって聞いてくれるって言ったじゃない!」 「あ、いや、聞くけど。けど、今のでホントにいいのかイリヤ・・・!? だってそんなの、ほら」 頑張っても叶うかどうかなんか判らないのに。 「・・・・そんなコト、じゃないよ。 わたし、ずっとそういうのに 憧れてたわ。 だからそれが、一番シロウにしてほしいコトなんだもの」 顔を真っ赤にして、断られる事を恐れて、身を震わせながらイリヤは言う。 「――――イリヤ」 そのありったけの勇気に、つまらない疑問なんて挟める筈がない。 どんなに困難な事でも、それはイリヤの一番の願いだった。 なら―――俺はイリヤの騎士として、精一杯彼女を守らないといけない。 「分かった。バカなこと言ってごめんな。 ―――それじゃ行こうイリヤ。辛く険しい道のりだけど二人なら楽しめる」 自分の言い回しが照れくさくて、つい顔が熱くなる。 赤面する自分の顔。 それを隠さないで、まっすぐイリヤに手を差し出した。 イリヤの願いは、本当に困難なコトだった。 “イリヤを甲子園に連れてって” 容易な願いなんかじゃない。 望んでも叶うかどうか分からない、汗と青春の日常をこそイリヤは望んだ。 ・・・・それにどれほどの意味が込められていたのか、俺には理解できない。
763 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 02:45:27ちょ、ゲームの主旨変わっちゃうからwwwwwwwwww
764 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 03:01:25南を甲子園に連れて行ってか?w
765 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 03:13:19「……最後になるかもしれないから、これ」 手を差し出して、かつては白かったリボンを見せた。 「遅くなったけど、返すよ。ごめんな。せっかく借りたのに、 結局、週に一度しか使わなかった」
766 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 03:44:47>>765 何に使ってたキサマwwwwwwwww
767 名前: 子⇔爺さん 投稿日: 2005/08/28(日) 09:42:52 アンリ・マユがとれて自分でご飯が食べれるようになった日に、その子はやってきた。 凛々しい眼にくせのある赤い髪。 成人にはほど遠いように見えるその子は、子供というより孫という感じだった。 「こんにちは。爺さんが衛宮キリツグだな」 白い陽射しを受けた素顔。 それはたまらなく平凡で、とんでもなくなにもない声だったと思う。 「率直に訊くけど。コトミネに預けられるのと、初めて会った男の子に引き取られるの、どっちがいい?」 その子は自分を引き取ってもいい、と言う。 親戚なのか、と訊いてみれば、紛れもなく赤の他人だよ、なんて返答した。 ……それは、とにかく優しそうでいて、危なげな子だった。 けどコトミネとその子、どっちが危ないかは判っている。 それなら、とその子のところに行こうと決めた。 「そう、良かった。なら早く身支度をすませないとな。新しい家に、一日でも早く馴れなくちゃいけないし」 その子は慌ただしく荷物をまとめだす。 その手際は、片付けベタな自分から見たら神業だった。 で、速やかに荷物をまとめた後。 「あ、大切なコトを言い忘れてた。うちに来る前に、一つだけ教えなくちゃいけないことがある」 いいかな、と。 これから何処に行く?なんて気軽さで振り向いて、 「―――――うん。初めに言ってくとね、俺は死んじゃったみたいなんだ」 ホントに本気で、感情の無い顔を浮かべてその子は言った。 一瞬のコトである。 今にして思うと自分も子供の様なコトを言ったものだ。 俺はその、本人が本気で言った言葉を当たり前のように信じて、 「――――――小さい頃、僕は正義の味方になりたかった」 思わず、理想を託したらしい。 その時、僕は抑止力と話の都合によりその場で死んでしまった。 その後のやりとりなんて、もちろん覚えてない。
768 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 10:32:11何だこの不思議空間
769 名前: 臓硯→慎二 ユスティーツア→アーチャー 投稿日: 2005/08/28(日) 23:35:28>>692 のずっと後 もはや執念だけの怪物と化した思念。 精神の崩壊の音も耳に入らず、ただ滅亡を回避することのみを望んでソレはあがく。 その、この世ならざる意思に、 「――――そこまで変貌したか、慎二」 鋼のごとき、硬質の声をかける者が、いた。 「な、に?」 視線をあげる。 揺れる視界の中。 そこには、一人の男の姿があった。 「――――――――」 意思のあがきが止まる。 ソレは、呆然と男を見上げる。 ……魔術師が見たものは彼であり、彼ではない。 それは、遠い昔に見た姿。 いつの時も色褪せずに心に焼きついていた、錬鉄の紅き魔術使い。 ――――座へと至る遥か前。 この身が魔法に至る為、時に協力し、時に戦った、純粋であった我が宿敵。 「――――――――」 あの日より些かも衰えない。 錬鉄の英霊は、彼が人であった頃と同じ純粋な瞳のまま、 「問おう、我が仇敵よ。貴様は、なぜ第三を目指そうと思った」 ただ一度、懐かしい声をあげた。 「――――――――」 純粋な問いに、苦しい、という思考が止まる。 何故。 何故。 何故。 言われてみればおかしい。 何故魔法に固執するのか。 何故聖杯を求めたのか。 魔術師として栄光を目指す方法は幾らでもあるのに、第三法という手段にこだわり、結果、世界と契約すらしたのは何の為か。 「お――――おお、おおおおお」 思い出す。 そう。最初に、ただ崇高な目的があった。 万物をこの手に。 あらゆる真理を知り、 誰も届かない地点に行く。 生命という有限を超え、魂という無限に至る。 人間という種。 あらかじめ限界を定められ、いつか終わりを迎えるだろうモノの、果てへ。 あらゆる生、あらゆる死の、その先を見るために。 ――――思い出す。 聖杯が砕かれ、この身は第三に至れぬと知った悲嘆のあと。 この世に無いのならば、その機会に巡りあう事がが許されぬのなら、せめて間桐慎二という存在の終焉まで第三に挑もうと奮い立った。 一人の人間として生き続けてただの魔術師として安寧を得るのではなく、守護者という器のなかで永遠に挑み続ける地獄を選ぶのだと。 「お――――、お」 ……そうだ。 見上げるばかりの宙へ、その果てへ、 幾度だろうと召喚され、先人たちが求め続けた地平、 マキリが焦がれ続けた場所へと到達する。 ――――その為に。 その為に世界と契約した。 ただ純粋に、魔法を求めた。 至るまで消える訳にはいかなかった。 幾たび滅ぼされ、何度地獄を彷徨うとも、在り続ける限りは望み続けた。 ――――そう、ユメみたモノはただ一つ。 この世、全ての生命を超越するため。 僕は、まばゆい理想に生命を賭した。
770 名前: 臓硯→慎二 ユスティーツア→アーチャー 投稿日: 2005/08/28(日) 23:36:14「――――――――お」 だから憎かった。第三に至る道具にしか過ぎなかった魔術使いである彼を、一目見た瞬間。 その在り方を、美しいと感じてしまった。 生涯においてただ一度、魔法という理想以外のものに、憧れを抱いてしまったのだ。 だから彼を憎み、消し去ろうと思った。自身の信念を守るために。 だけど、思い出す。 この身は、あらゆる魔術師たちが無価値な挑戦の繰り返しを望むなかで、ただ魔法のみを求め続けた。 第三が、魂が具現した究極の存在こそが、真の終着だと信じて。 だから在り続けたのだ。 記憶が磨耗し、不変の現象に成り果てても滅びる訳にはいかなかった。 幾たび召喚を重ねたとしても、私が私であるときに見た未熟な信念を守りたかった。 それが自身の生き方であり、己が出した答えではなかったのか。 ……そう。 たとえ第三へと。辿り着けないと知っていたとしても。 「お――――おお、お…………!」 それが、最初の願いだった。 その苦痛。 叶わぬ望みに挑み続けることに比べれば、彼に固執することのなんとちっぽけな事か……! 「――――そうか。そうだったな、衛宮」 ……自分の体を見下ろす。 無数の剣が、己が身体を串刺しにしている。 そこから生じた虚無感は、致命的な喪失を伴って私の意思に広がっていく。 自身が、大海にたらしたインクのように薄れていくのを感じた。 ――――その事実が。 もう、彼にはどうしようもない出来事だと受け入れた。 「終わりか。 僕の宿願も、僕の信念も、僕の生も――――こんなところで、終わるんだな」 それは初めから決まっていたこと。 死んだからこそ、英霊と呼ばれる。終わってしまった現象が、変化することは最早、ない。 故に、何かを手にするなどありえない。 「は――――はは、ははは」 だが。 それは長い苦痛の果ての、惨めな終焉などでは断じてない。 きっと、まだ始まったばかりなのだ。 彼の試み、その旅は始まったばかり。 永遠など取るに足らぬ。 たったそれだけの苦しみでどうして魔法に届こうか。 彼が望んだものは遥かに眩く尊く、遠く果てすら存在しない。 これより幾星霜の時間を超え、千の年月、万の年月の末の、更に先まで挑み続ける、魔術師という種がもつ終生までの目標だ。 ならば、このような瑣末事など始まる為のちっぽけな、けれど必ず意味がある要素にすぎない。 彼の宿願は、これで終わるのではない。 旅はここから始まる。 ここから、ずっとずっと――――また長い長い、魔法へと挑む歴史が、ユメの終わりと共に回っていく。 「――――でも残念だ。いや、あと一歩だったんだけどなあ」 諦める言葉は、やはり魔術師そのものだ。 どのような光を目指そうと、彼は悪行を良しとした外道である。 それを最後まで覆さず、彼は生への執着を断った。 魔法を求めたマキリ最後の末裔、守護者という現象と化してなお奇跡を求め続けた探求者が滅びていく。 「二週間――――ふ、永遠に比べれば、瞬きほどの夢だった」 そして今わの際に、彼はふと思い立つ。 ――――もしかしたら、僕が彼に抱いていたのは憎悪ではなく―――― 答えが出るよりも先に。 英霊マキリの意思は跡形もなく、死という虚無に飲み込まれた。 現象と化しながら求め続けたモノ。 英霊にして魔術師は、目指し続けた悲願の崩壊と共に、この世から完全に消滅した。
771 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/28(日) 23:42:55全スレ住人が泣いた
772 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 00:10:50すばらしい
773 名前: シエル→凛 秋葉→外道ルヴィア 投稿日: 2005/08/29(月) 01:01:28「わたしからっ……!? うーん、そうねぇ ……魔術には全く関係ないんだけど、士郎の お給料について聞きたいかな。 士郎は時々別のバイトしたいってこぼすんだけど 彼は月どれくらいのお給料を貰っているの?」 「与えていません」
774 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 08:14:14RUVIAヒドスwwww
775 名前: UBW ep2 凛そのまま 士郎⇒? 投稿日: 2005/08/29(月) 13:43:50 「・・・・ちょっと。人の話聞いてる?」 「え? 何か言ってたのか遠坂?」 「・・・・・・・・・」 むっと顔を曇らせて黙り込む遠坂。 ――――で。 ふう、と大きく深呼吸をしてから、遠坂は真面目な顔で、 「言い忘れてたんだけど、私は遠坂の後継者として招かれてるの。 つまり、一人前の魔術師としてちゃんとした一人部屋を貰えるってコト」 なんて、よく分からないコトを口にした。 「?」 「だから、一人前の魔術師として認められているの。 そうなると弟子の一人や二人はいて当然でしょ? ほら、向こうじゃ派閥争いもあるっていうし、 一人ぐらいは弟子を連れて行ってもいいんだって」 ちらり、と僕の顔を盗み見る遠坂。 「――――えっと、それは」 鋭い僕は、遠坂が何を言いたいのか分かった。 つまり、その。 「そうよ。世話係としてなら、身内一人ぐらいは無条件で連れて行けるみたい。 それなら試験を受ける必要もないし、学費も何もかも免除になるわ」 「―――――――」 真っ白になっていた頭に色が戻る。 いや、無理矢理にでも色を戻して総動員させる。 遠坂の言っている事。 一年後のコトと、その選択を秤にかけて、知恵の全てを絞って熱をあげる。 そんな僕の狼狽振りが楽しいのか、遠坂はくすくすと笑ってやがる。 「な、なんだよ。僕は別に、おまえの言葉に踊らされてるんじゃなくてだな」 「言いたいコトはそれだけ。私は―――― ――――士郎とロンドンに行くの。 お土産を期待しててね、一般人の間桐クン」 ・・・・・・踊らされてた、しかも道化みたいに滑稽に。 コイツは本物の悪魔だ。本物のあかいあくまだ。 人を高みに持ち上げて、優越感を感じた所で手を放す。 本当にコイツにフラレて良かったと心の奥底から思った。
776 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 14:56:33>775 こんなにも熱い涙ッ!!
777 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 16:47:22>>775 全米が泣いた
778 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 17:53:56>>775 マキリが泣いた
779 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 18:07:26>>775 これ食らったらツライな・・・。
780 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 18:25:41>>775 今日の夕食なんにしようか
781 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 22:04:53>775 世界中の赤鬼が泣いた
782 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 22:26:47>>775 こういう反転もありかw うまいGJ
783 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 23:15:12>>775 ・・・南下、アーチャーの敗退は無しという言葉が浮かんだ。 男の子は最後まで捨てちゃいけないプライドってものがあるんだお!
784 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 23:18:24敗北だと突っ込む俺月厨?
785 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/29(月) 23:54:54>>784 なんとなく調べた見たところ"敗走”だった・・・。
786 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/30(火) 00:01:56(´・ω・`)あれ?……吊ってきますorz 士郎版も「敗走」?
787 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/30(火) 08:44:55 アイツ―――― 俺が初めて遭遇したサーヴァント、ランサーについて訊いてみよう。 セイバーはアイツと戦ったし、その正体に気が付いた節もあるし。 「なあセイバー。ランサーの事なんだけど、アイツは何者なのか判るか?」 「は? ランサーの事、ですか?」 「ああ。セイバーがアイツを追い返してくれた時、なにか言っていたじゃないか。青い髪のなんとかとか。 だからもしかして、セイバーはアイツの正体に気づいているのかなって」 「ああ、そういう事ですか。……驚きました、シロウが敵のサーヴァントの正体を知りたがるとは思っていなかったもので」 「知らなくちゃやっていけないって話だからな。……けど、なんでそこで嬉しそうなんだよ、セイバーは」 「シロウが戦う気になっているからです。正体を知った相手ならば対策が立てられる。まず弱点が判った相手から仕留めるのは、戦いの常道ですから」 「………………む」 何もしてこないヤツにこっちから戦いに行く気なんてないが、ここで注意しても話の腰を折るだけだ。 「いいから、ランサーの正体。今の口振りだと知ってるんだな、セイバー」 「はい。あの紅槍と青い髪、くわえて戦いではなく"生き延びる"事に特化した能力からいって間違いはないでしょう。 彼の真名は間桐慎二。水を繰る、マキリの魔術師です」 髪の色ネタ。正直すまん。
788 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/30(火) 09:05:35>>787 正直、最初でオチが読めてた。
789 名前: セイバーへの質問 3択⇒4択 投稿日: 2005/08/30(火) 17:30:06 「あとは・・・そうか、そいつがどんなサーヴァント を連れているか、っていう問題か」 いや、そればかりは実際に遭ってみないと判らないか。 それなら考えるべきは既に遭遇しているサーヴァントについてだろう。 今はセイバーも起きているし、訊いてみるには丁度いい。 よし、それじゃあ――― 「なあセイバー、今まで遭遇したサーヴァントについて教えて欲しい」 「え?サーヴァントについてですか? 驚きました、 士郎がそんな事を言い出すなんて。ようやく戦う気になったんですね。 ではまず誰について話しましょうか」 「セイバー」 「へ?」 「だからセイバーだ。今まで出会ったサーヴァントだったらセイバーも有りだろ。 ああ、勿論素性については問わない。素性とも聖杯戦争とも無関係な所で、 主にセイバーのスリーサイズ、男性経験の有無、体洗う時は何処から、とか。 さあ、教えてくれ! 包み隠さず全て!」 この先はタイガー道場です。アドバイスを受けますか? 1、はい 2、いいえ
790 名前: 凛トゥルー後 式⇒士郎 白純⇒凛 投稿日: 2005/08/30(火) 20:34:50 「さぁ――――続けましょう士郎。今度はきっと第二魔法に届くわ」 誘蛾灯に誘われる虫のように、遠坂は俺に歩み寄る。 俺は、遠坂を見もしなかった。 「他をあたれ。俺はもうやらない」 仕方なく口にしてやる。 遠坂は俺の言葉の意味もわからず、立ち止まって目をしばたたいた。 「……なん、ですって」 「遠坂に付き合っている暇はないって言ったんだ」 そう、魔術師なんて肩書きはいらない。 そんなものは必要なかった。 目指すものは、正義の味方だって思い出したから。 胸の穴。遠坂に満たされていた心は空っぽのまま。 俺の想いはもう消えてしまうけど、きっとそれに耐えていける。 「うそよね、士郎?」 「じゃあな、遠坂」 そうして俺は歩き出した。 労働基準法を無視して働いてボロボロになった体もそのままで、見知らぬ他人とすれ違うように、遠坂凛の傍らを通り過ぎていく。 遠坂は立ち尽くしたまま、吐く息だけを激しくさせて、俺の背中を見つめている。 「……士郎まで、私を置いていくっていうの?」 呟きは、雨の音に消えていく。 俺はただ、雨の音を聴いていた。 「……そんなことは、許さない。あなたを絶対にアイツみたいにさせない。 私だけがあなたを幸せに出来るんだから!」 ふらつく足をこらえて歩く。 俺は振り返らず、この工房を立ち去る事にした。 ――――次の、言葉を聞いてしまうまでは。 「……そう、預金を下ろしに行くのね、士郎」 掠れるような笑い声とともに、ソレはそう呟いた。 ――――足が、止まる。 「なら出ていく必要はないわ。預金はちゃんとここにあるんだから」 吐き気が、した。 目の前が揺らいで、倒れそうだ。 何も、考えられなくなった。 ……だっていうのに、なんだって。 俺はそんな台詞だけで、すべてが理解できてしまったんだろう…………? 「とお、さか――」 声に、ならない。 振り返らないと決めたのに、俺は振り返っていた。 もう誰にも――――お金を借りずに、生きていこうとしていたのに。 「あなたが悪いのよ、士郎。こっそりと貯金なんかしていたから、私が代わりに使ってあげたわ」 ……何を言ってるか、聞き取れない。俺の耳はどうかしてしまったみたいだ。 「そうだ、これは通帳とおつり。これだけは返してあげる」 ちゃりん、と小銭が床に落ち、それを追うようにぱさり、通帳が落ちた。 それが誰のものか、俺はよくわかってる。 「……ああ。使い果たしたのか、遠坂」 呟いて、俺は前に出た。 「そうよ、使ったわ。あなたは、最後まで私を信じてくれなかった。 そうでしょう? こんなにお金を貯めておきながら、私には一言の相談もしないなんて!」 ……雨の音が、うるさい。 俺は通帳のところまで歩いて、床に膝をついた。 引き落とされた日付はまだ新しい。……この通帳が紙切れになったのは、日にちにしてほんの数日前の事だ。 ――――ああ。 こんな身近な場所で、こんな近くの時間で。 俺は、全財産を失ったんだ。 「……ばか。だから金庫に預けろってルヴィアに言われたんじゃないか。 最後にこんなミスするなんて、なんて俺はバカなんだ」 小銭を手に取る。 拳に握り込んで、俺は立ち上がった。 「――いいぜ、やろう」 相手も見ないで、俯いたまま。 「――俺を幸せにするといったな。たしかにその一点だけ叶うさ、遠坂。 ・・・・お前を倒して金を取り戻す、それが俺のハッピーエンドだ」
791 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/30(火) 21:15:23RIN!!!!!!!!!
792 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/30(火) 21:16:13途中までシリアスだと思ったのに…ッ! 外道RINワロスw
793 名前: 凛⇔士郎 アーチャー⇔セイバー 投稿日: 2005/08/30(火) 22:21:30「お喋りはおしまい? それじゃ始めよっか、バーサーカー」 白い少女は何かの儀式のように片手をあげ、眼下にいる俺たちを見下ろして、 「――――誓うわ。今日は、料理はおろか、この家の食材すら何一つ残さない」 そう、空腹と歓喜の入り交じった宣言をした。 バーサーカーの眼に光がともる。 ……今までイリヤに従っていただけだったサーヴァントは、その食欲を一時的に解放され、目前の料理を認めたのだ。 「――――――――」 ぎり、という音。 「……士郎……?」 一歩前に出た士郎は、まるで悔いるように、強く歯を鳴らした。 「……セイバー、聞こえるか?」 静かな声で、振り向かずにそう呟いて。 「―――イリヤたちが滞在している間だけでいい。我が家の家計のために、一人で断食してくれ」 自らのサーヴァントに“死ね”と言った。
794 名前: 士郎→弓兵 投稿日: 2005/08/30(火) 22:50:23 躊躇いはない。 セイバーの目を見つめたまま、彼女の視線に応えて、重い 腕を振り下ろした。 抵抗はなかった。 きっかりと一撃で、セイバーの命を止めた。 「――――――――――、―――」 思い出があった。 ちゃんと、今でも生きている温かさがあった。 忘れようのない、彼女の体温がすぐ近くにあってくれた。 その記憶ごと彼女を殺めた。 自身の記憶を抉り、手の届かないところに投げ捨てた。 もう、二度と蘇る事はない。 二度と、彼女を思い出す事はない。 ―――そんな事は、絶対に許されない。 私はこの道を選んだ。 世界を守る為にセイバーを殺した。 愛おしい人を、最後まで俺の騎士だった少女を、この手で殺めた。 後悔も懺悔も許されない。 ……世界の守護者になるという事。 ただ一つの世界の為、大切なものを奪い続ける。 その先に。 喪ったものに見合う輝きなど在りはしない。 「――――だが、セイバー」 喪ったものに見合うものを、一生涯求め続ける。 ツケは溜まっていく一方で、いつかは動けなくなるのは目に見えている。 それでも―――みっともなく、滑稽で無価値なまま、奪い続 ける責任を果たしてみせる。 幸福が何処にあるのかは判らない。 ただ、終わりが見えなくても、諦める事だけはしないと誓う。 「――――ありがとう。君に、何度も助けられた」 ……短剣にかかる重みが消える。 黒い剣士は最後まで口を閉ざし、私を悲しげに見上 げたまま黒い影に沈んでいった。
795 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 02:54:13>>790 すげぇw よくもこんなの思いつくよなーw
796 名前: 十二日目 ハンバーグ争奪戦 投稿日: 2005/08/31(水) 04:40:23 ――――と。 イリヤはにっこりといつもの笑顔をすると、 「なーんてね。 うん、やっぱりシロウはお兄ちゃんだー!」 一直線に、俺の首ったまに抱きついてきた。 「ごふっ……!?」 不意打ちにむせる俺。 「な、なにもの――――――――――!?」 ぶっ、と飲んだ牛乳にむせている遠坂。 「――――――――――――――――!」 びきり、と真顔でこめかみのあたりに効果音を鳴らすセイバー。 「は、離れなさいこの無礼者……っ!」 だーと駆け寄るセイバー。 「…………?」 が、イリヤは動きを止めたまま、自らの腕を見ていた。 その腕は真紅に染まっている。 「厄介な体ね。抱きつく方が命がけなんて」 それは、 刃の塊に素手で抱きつこうとした代償だった。
797 名前: VSライダー⇒ギルガメッシュ叙事詩 投稿日: 2005/08/31(水) 15:48:04 セイバー⇒ギルガメッシュ ライダー&慎二⇒イシュタル 士郎⇒エンキドゥ 「は―――――あ、はあ―――はあ、は―――!」 全力で階段を駆け上がっていく。 ギルガメッシュと別れてどのくらい時間が経ったのか。 十分―――は経っていないと思うが、それでも時間は長すぎる。 戦いなんて、どんな弾みで終わるか判らない。 ギルガメッシュだって完璧って訳じゃないんだ。 なにか、とんでもないミスをして窮地に立つ事だってある。 だからその前に―――女神イシュタルを見つけて説得すれば 戦う必要はなくなる筈だ。 「くっ―――は、は・・・!」 ・・・病み上がりの体は、階段を駆け上がれば駆け上がるほど キリキリと痛んでくる。 塔の入り口を探して階段まで走った事で息もあがっている。 それでもスピードは緩まず、逆に上がっていく一方だ。 イヤな予感がする。 どうしてそんな気がするのかは分からないが、心臓が苦しい。 それは体の痛みではなく、危険を報せる類のものだ。 ・・・・ギルガメッシュは勝てない。 屋上には、相手にしてはならないモノがある。 不吉な予感を振り払うように、ただ懸命に階段を駆け上がる。 ―――風が強い。 屋上に着いた途端、街の夜景が視界に飛び込んでくる。 石の地面は、所々が焼け焦げていた。 じゅうじゅうと音をたてるソレは肉を焼く鉄板のようでもある。 その中心。 焦げ付き、削られている屋上の真ん中に、膝をつく彼の姿があった。 「ギルガメッシュ・・・・!」 「エンキドゥ・・・・!? 何故ここに―――!」 肩を上下させるギルガメッシュに余裕はない。 そこに駆け寄ろうとした瞬間――――何か異質なモノが浮いている 事に気が付いた。 否。 それは圧倒的なまでの魔力をもって、認識を強制したのだ。 「な――――」 視線が空を仰ぐ。 雷鳴の轟く音。 神罰にも似た恐ろしい何かがいる。 ・・・・それは。 天上にしか存在しえない、文字通りの『神秘』だった。 「――――天の、牡牛・・・?」
798 名前: VSライダー⇒ギルガメッシュ叙事詩 投稿日: 2005/08/31(水) 15:48:52 「ハァ―――、ハァ、ア―――」 倒れそうな体を剣で支え、顔を上げる。 休みなく駆け抜けてくる白い光。 蔵に納めてある宝具の大半を展開し、迎撃する。 吹き飛ぶ体。 本来ならあらゆるモノを悉く破壊する筈のソレは、天の牡牛の速度を 緩める事さえ出来なかった。 「ぐっ・・・・!」 吹き飛ばされ、受身も取れずに地面を転がる。 ――――倒れている暇などない。 天の牡牛は空中で旋回し、息つく間もなく滑空を再開する。 「驚きました。見かけに寄らず頑丈ですね、貴方」 頭上からの声。 彼は剣を構えたまま空を仰ぐ。 「ですが、それに意味はありますか? 貴方には勝ち目などない。 散るしかないのなら、潔く消えなさい」 イシュタルの声は冷徹だ。 その陰にはかすかな愉悦が感じられる。 「・・・・ふん。イタイ女だとは睨んでいたが。まさかそんなモノを 天上から持ち出してくるとは思わなかったぞ、イシュタル」 「―――せいぜい後悔なさい、貴方ではこの仔に傷一つ付けることは 出来ないのだから」 「――――――」 この窮地において、ギルガメッシュは自身の敗北など考えていなかった。 むしろイシュタルがその気になった後にこそ、勝機があると踏まえている。 最後の一撃は、間違いなく全速力。 そうなればギルガメッシュに避ける術はない。 ・・・・そして、それはイシュタル自身もしかり。 今は守りに徹し凌ぎきり、最後の一撃を己の持つ最高の剣で迎え撃つ。 「どうやら邪魔が入ったようですね。 余興はここまでです、ギルガメッシュ」 クス、という笑い声。 イシュタルはさらに天の牡牛を高みへと駆け上がらせる。 それは助走距離を稼ぐ為、すなわち最後の一撃のための移動。 「この仔は強力過ぎて、適度に神罰を与えるには適していません。 使えば貴方の領民だけでなく、無関係な人間まで巻き込みかねない。 けれど、ここなら確実に貴方達だけを消し飛ばせる。 貴方をここに誘い込んだのは、ここなら都合がいいと分かりましたか?」 忍び笑いは下卑た嘲笑へと変わっていた。 「やれ! まずはその傲慢男だ、手足一本残すな・・・!」 耳障りな声が聞こえる。 同時に天の牡牛はなおも上空へと駆け上がる。 一瞬で視界から消失する。 月を射抜けとばかりに上昇したソレは、そのまま弧を描いて 地上へと舞い戻る。 舞い降りてくる彗星。 それはまさしく、神なる雷そのものだった。 ソレを見据える彼の眼に何の感情もない。 「この場所に誘い込んだと言ったな」 彼の持つ剣が回転する。 円柱のような刀身を中心に巻き起こる風は、疾く嵐へと化けていく。 「たわけ。誘い込んだのは我だ。ここは貴様の墓標代わりに我が建てた塔。 ここならば、国ごと切り裂く杞憂もない―――!」
799 名前: VSライダー⇒ギルガメッシュ叙事詩 投稿日: 2005/08/31(水) 15:49:44 ――――嵐が目の前で巻き起こっていた。 落下してくる白い光。 その標的にされながらもギルガメッシュは動じない。 「ギルガ、メッシュ――――」 吹き荒れる暴風は、彼から発していた。 いや、ギルガメッシュではなく、彼が持つ剣からだ。 「乖離―――剣」 だが、それでは天の牡牛の速度には敵わない。 剣を振り切る間もなく、吹き飛ばされる。 ―――なら、俺が勝たせる。 ギルガメッシュの乖離剣が速度で劣るのならば、その足りない時間を この俺が補充する・・・!!! 「――――天の鎖よ――――!!」 空中から現れた鎖が空間をも束縛するように天の牡牛を封じる。 どんな妨害をも意に介さなかった怪物が初めてその動きを止めた。 「この程度の足止めで・・・!」 イシュタルがその神の力で鎖を解き放つ。 「―――――!」 だが遅い。 わずか二秒の間隙だったが、それでもギルガメッシュには充分すぎる。 ・・・時間が止まる。 逃げられない破滅を前にして、思考が停止する。 だが、それは。 決して、天の牡牛によるものではなかった。 一閃する光。 その純度は、巨大なだけの天の牡牛の騎影と比べるべくもない。 彼の手にあるモノは。 世界を切り裂いた、最強の剣である。 「――――天地乖離す開闢の星――――!!!」 ―――それは、文字通り光の線だった。 触れる物を例外なく、たとえ世界であったとしても切断する光の刃。 天の牡牛を一刀のもとに両断し、夜空を翔け、雲を断ち切って消えていく。 ・・・・おそらく。 アレが地上で使われたのなら、国には永遠に消えない大断層が 残っただろう。 「ひっ・・・!」 「――――誰だ!」 聞こえた悲鳴に視線を移す。 そこには、 「あ――あ、ああ・・・! 天の牡牛が・・・、お父様からお預かりした 牡牛が・・・!」 ひきつりながら、呆然とするイシュタルの姿があった。 「――――イシュタル」 「ひ・・・! は、あは――――」 天の牡牛が倒され、自分の不利を悟ったのか。 イシュタルは俺の目から逃れるように背を向け、逃げ出した。 「待て、イシュタル――――!!」 ここで彼女を逃がす訳にはいかない。 だが、急いでイシュタルの後を追おうとした瞬間。 視界の隅で。 崩れ落ちるように、ギルガメッシュが倒れこんだ。 「くっ・・・・!」 ――――ギルガメッシュを放っておく訳にはいかない。 天の牡牛は死に、イシュタルも反省したはずだ。 決着はついたと見ていいだろう。 なら今は、倒れたギルガメッシュの事が最優先だ。 「ギルガメッシュ・・・!」 駆け寄る。 倒れた彼に意識はない。 体は焼けるように熱く、呼吸も浅い。 「―――ダメだ。君はここで死んではならない! 国の為、民の為、そして友である俺の為にも生きてくれ! ギルガメッシュ!!」 彼を抱きかかえたまま王宮へ走り出す。 勝利の余韻など何処にもない。 有るのは、天の牡牛によって荒廃した国土と、 傷つき倒れた友である王の姿だけだった。
800 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 17:18:00力作に泣いた!
801 名前: 慎二とライダー 投稿日: 2005/08/31(水) 18:56:04 「衛宮、こっちだ」 声がする方向に視線を投げる。 そこには椅子に座った女性と──── 恐縮し、怯えた様子で突っ立っている、慎二の姿があった。 「初めまして。慎二のサーヴァント、ライダーです」 「────────」 悪寒が走る。 あまりの寒気に、首の後ろが斬りつけられたみたいに痛む。 「……二人だけで話をするんじゃなかったのか、慎二」 わずかに後退して、なんとかそう口にした。 「いえ、用心です。あなたが襲いかかってきたら大変ですからね。マスターのすぐ近くにいてあげないと」 手を伸ばして己のマスター───慎二に触れるライダー。 横腹から太ももまで、舐めるようになぞっていく。 「────────」 慎二はビクビクと震えている。 子犬のように怯え、涙を貯めた目でこちらに視線を送っている。 ……それが俺に助けを求めている気がするのは、錯覚じゃないだろう。
802 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 18:58:03>>796 ワロタ。
803 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 20:40:04>801 某せいちんの慎二に見えたw
804 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 21:17:11>>801 不覚にも萌えた
805 名前: 英雄の結末 投稿日: 2005/08/31(水) 21:23:56 「最期に何か言い残す事はあるか。遺言ぐらいは聞こう」 簡潔な言葉。 「・・・・ふん。こういう時のわたしが何を考えているか、 アンタなら知ってる筈でしょ」 いつも通りの口調で、遠坂凛は返答する。 「そうだな。最後まで諦めないのがおまえだ、凛。 同時に覆らない現実を瞬時に認めるのもおまえの素晴らしさだ。 ―――いいぞ。その矛盾は、なかなかに芳醇だ」 躊躇いなどない。 神父の右手は無遠慮に少女の胸、心臓の上を 鷲づかみにしようとして―――。 「――――――」 言葉がない。 一体、綺礼は何をしているのか。 何で人の胸を引っかくように指を動かしているのか。 それもすごい勢いで。 額に汗を滲ませて、休息などいらぬ、一度手を止めれば 二度と指が動かぬわ、という修羅のごとき気迫。 というか意地になってないあいつ、指の動きが尋常じゃないわよ。 じっと神父の動きを観察していた時、不意に綺礼の手が止まった。 「・・・・やはりダメか。あまりにも平坦すぎて胸が掴めん」 ―――イマ、コイツハナンテイッタ? 「凛、今更言うのもなんだが牛乳を飲むといいらしいぞ」 「―――――――」 もう何をいっているのかも聞こえない。 思った事は唯一つ。 ―――コイツを殺す。 それは一瞬の出来事だった。 唯一自由な頭で頭突きをかまし、 怒りに任せてロープを引きちぎり、 落ちていたランサーの槍で確実に止めを刺した。 「―――――」 神父には何の感情もない。 唇を血に濡らしたまま、目前に立つ私を見上げる。 「凛。貴様」 「―――生憎だったわね綺礼。その程度で胸が大きくなるんだったら、 私は・・・貧乳なんて呼ばれてないわ」 目からは血の涙。 それはまるで魂の奥底から絞り出したかのような声だった。
806 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 21:29:10やべ禿ワラタw
807 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/08/31(水) 22:01:21つ、強っ!?
808 名前: 凛→一成 投稿日: 2005/09/01(木) 00:05:33「な――――」 不意に、唇に何かが触れた。 「えへへ。キス、しちゃった」 「っっっっ……!!!? いい一成……!」 あわてて首を引く。 俺の慌てっぷりがおかしかったのか、軽く唇を重ねてきた一成は、 「―――うん。それじゃ、そういうのを抜きで や ら な い か」 いたずらに、これ以上ないって仕草で笑って、こっちの頭をグラグラにしてくれた―――
809 名前: 切嗣の願いを受け継いだ混沌 投稿日: 2005/09/01(木) 00:32:015スレ目 >>179 を勝手に補完? 「あ―――――」 視界を覆い尽くす呪いの泥。 それらは全てを殺す闇の塊だ。 じゅっ。皮が裂かれる。 ――――死ね。 ざくっ。肉が抉られる。 ――――死ネ。 ごりっ。骨を削っていく。 ――――シネ。 じゅくじゅくと、呪われていく。 おかしな話―――これだけの呪いに襲われたら、一分で肉片も残らぬはずなのに、これらは少しずつ私の体を侵喰していく。 ―――シネ。 血が、流れすぎてる。 体ジュウ、もう血で、べとべとだ。 すごく――――気持ち、ワルイ。 ―――シネ。 外が見えない。 ただ、ひたすらに、熱い。 ―――シネ。 何億という呪いが言っている。 本当に少しずつ肉を蝕みながら、言っている。 喋れないかわりに、くらぐらと蠢く泥だけで、コイツらは呟いている。 ―――シネ。 いいかげん死んで償え、と。 泥と影を作る呪いの群が、みな、その言葉を合唱している。 ああ、ひたすらに呪い続けている。 憎しみとか怨みとか、そんな余分なものなんてなかったぐらいに。 そうだ。あれは、ただ、ひたすらに呪い続ける。 ならばやる事は決まっている。 ―――貴様が、全ての、悪だというのなら。 全身はとうに侵喰(のろ)われている。 残ったものは、未だ答えを見出せない己が命題だけ。 侵喰(くら)われる―――侵喰(くら)われる? 誰が。 何に? 「ふ、ふはは、は―――――――」 笑いが零れる。 ああ、たしかにその通りだ。 絶対に逃げられない。 絶対に逃がさない。 やるべき事は、ただひとつだけ故に。 侵喰(くら)われる。 侵喰(くら)われる。 きっと、間違いなく侵喰(くら)われる。 他の何にでもなく、 他の誰にでもなく。 ――――――ヤツは、この私に、侵喰(くら)われる。 「ふ…はははっ ハハハハハハハハハハハハッ」 「混沌、開放」 裂帛の気合のかわりに、固有結界を展開する。 生まれ出でる。 666の混沌は解き放たれ、獣と化す。 ぐしゃりぐしゃり、と音をたてて影の巨人が暴食されていく。 脳髄が滾る。 体じゅうの神経血管細胞血液、全てが全てを蹂躙する。 ―――呪いの泥はなくなった。 この身を侵していたこの世全ての悪は、尽く混沌に沈んだ。 「ナ―――――二?」 アンリ・マユが声を発した。 では―――立ちあがらないと、これ以上は喰らい尽くせない。 「貴様―――ナニヲ」 「―――うむ、おまえの存在意義は理解できた、アンリ・マユ」 脳髄には獣の本能。 似てる―――初めて混沌をこの身に宿した時と同じで、まともに呼吸ができやしない。 狂いそうなほどの混沌への知的欲求と共に、 吐き気がするほど、 飢えと渇きに苛まされる―――。 「…くくっ 全てを侵喰(くら)いたいのだな貴様は」 ならば私達は似たモノ同士… 「…よいだろう」 「さあ 侵喰(くら)いあおうか、アンリ・マユ」 混沌とした世界。 「何になるか解らないモノ」が渦巻く原初の秩序(セカイ)。 その内なる系統樹において、世界の域を凌駕した生命があると知れ。 それが、フォアブロ・ロワインの世界だった。 固有結界。 術者の心象世界を具現化する最大の禁呪。 ネロ・カオスの命題であり、その身が持つただ一つの武器。 そこには全てがあり、おそらくは何もない。 故に、その名を“獣王の巣”生涯を混沌の果てに捧げたモノが手に入れた、唯一つ求める答え――― 「―――固有結界。これが私の能力だ……!」 一歩踏み出す。 左右には、獣たちが猛り狂っている。 「驚く事はない。これは全て我が一部だ。 おまえの呪う、取るに足らない生命だ」 右手を伸ばす。 雄々しき鹿が、主と認めるように頭を垂れた。 「だがな、生命が死に敵わない、なんて道理はない。 おまえが死を願うというなら、悉(ことごと)くを喰らい尽くし、我が混沌に取り込もう」 前に出る。 目前には、この世全ての悪。 「いくぞ『この世全ての悪』、私がお前の死だ」
810 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 02:48:38勝手に>>793 の続き 「………………」 俺はセイバーの背中を見つめている。 ……かける言葉などない。 俺自身、自分の命令が無茶だと解っていた。 自分たちが食べれるように、セイバーに死ね、といったのだから。 「…………セイバー、俺」 何かを言いかけようとする。 それを。 「ところでシロウ、一つ確認してもいいですか」 場違いなほど平然とした声で、セイバーが遮った。 「………いいよ、なんだ」 伏目でセイバーを見つめる俺。 セイバーはバーサーカーを見据えたまま、 「ええ、断食するのはいいのですが――― 別に、アレを食べてしまっても構いませんね?」 そんな、トンデモナイ事を口にした。
811 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 06:57:31>>810 11回おかわりせんと食べきれんぞセイバー
812 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 12:03:19「侮るな。あの程度のモノ、完食できなくて何が英雄か。 十二の試練? は、わたしにゲップさせたければその三倍は持ってこいというのだ。 よいか>>811 。英雄とはな、己が矜持に賭けて何者にも譲らぬ者。 ―――はらぺこネタなぞ、とうの昔に極めている」
813 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 12:21:17>>812 で、大英雄ヘラクレスのちんぽ12回食べた感想は?
814 名前: セイバーエンド⇒翡翠トゥルー後 セイバー⇒志貴 ぺディ⇒翡翠 投稿日: 2005/09/01(木) 12:29:25 「志貴様、すぐに医者を呼んでまいります」 ベッドに身を預けた志貴を後に部屋を出ようとした。 事態は一刻を争う。 果たして医者を呼んだくらいでどうにかなるものなのか。 その迷いを振り払うように頭を振る。 「どうかそれまでご辛抱を。必ず医者を連れて戻ります」 もはや意識のない志貴に礼をし、彼女はドアノブに手をかける。 「――――翡翠」 その前に。 意識のない筈の志貴が、彼女の名を口にした。 「志貴様!? 意識が戻られたのですね・・・!?」 「・・・ああ。少し、夢を見てたみたいだ」 朦朧とした声。 ただ、その声がひどく―――彼女には温かな物に聞こえた。 「夢、ですか・・・?」 探るように声をかける。 志貴の意識は確かではない。 こうして聞き返さなければ、また闇の中に落ちるだろう。 「うん。だけどどんな夢だったか思い出せないんだ。 とても懐かしくて、温かい夢だった気がするんだけど」 「・・・・そうですか。ではどうぞお気遣いなくお休みください。 その間に私は医者を呼んでまいります」 「ああ。でももう同じ夢は見れないだろうけどね」 「――――いいえ。強く思えば同じ夢を見続けることも出来るでしょう。 私にも経験があります」 そのような事はない。 願った夢を見るなどという事はどう考えても不可能だ。 それでも彼女は偽った。 これが最初で最後の、彼に対する不正と詫びて。 「そっか。博識なんだね、翡翠は」 志貴は感心するように呟いて、 もはやしている事さえ判らない小さな息遣いのまま静かに、 「翡翠。これを七夜の森に捨ててきてくれないか」 掠れた声で、最後の頼みを口にした。 「――――! 志貴様、それは・・・!」 それがどういう事なのか、彼女には判っていた。 七夜の守り刀。 今まで志貴を守り、志貴の生まれの証でもあった短刀を手放すという事は 彼の終わりを意味するのだから。 「―――本当は眼鏡も返したいんだけど、あの人は何処にいるのか 全然分からないから・・・」 彼の表情は穏やかなまま変わらない。 彼女は短刀を手に、迷いを断ち切れぬまま部屋を後にした。 彼女が戻って来た時、志貴は瞑っていた目蓋を開き、何も聞かずに 「・・・・ありがとう」 と口にした。 死を迎えたその声に、彼女は静かに頷いた。 ――――全ては終わった 「――――すまない翡翠。 今度の眠りは、少し、永く―――」 ゆっくりと眠るように。 彼は、その瞳を閉じていった。 ・・・朝焼けの陽射しがカーテンの隙間から零れる。 部屋は静かに、彼女の主は眠りについた。 穏やか寝顔にそっと手を触れる。 「――――見ているのですか、志貴様」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた彼は、果てのない青に沈むように。 「夢の、続きを―――」 彼が見た、そして見たいと思った夢。 それは何も知らない子供達が遊ぶ、揺り籠のような、箱庭のような、 もう失われた過去の楽園。 「遊び疲れたら私を呼んでください、志貴様。 その時は私がいつものように起こしますから」 翡翠はそのままベッドの脇の椅子に腰掛けた。 「―――だからそれまではお傍にいさせてください」 それは彼と別れた時間を埋めるように。 いつまでも―――彼が目覚めるその時まで。
815 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 12:31:20 くっ、ここでらっきょの白純先輩→セイバーでヘラクレスを食べる改変ネタを 投下したいのに、らっきょは実家においてきてしまって今手元にない。無念。
816 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 14:30:53>>814 俺は泣いた。
817 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 18:37:59>>814 俺も泣いた
818 名前: UBWクライマックス 投稿日: 2005/09/01(木) 18:40:05 「―――Mywholelifewas“unlimited blade works”」 ―――炎が走る。 燃え盛る火は壁となって境界を造り、世界を一変させる。 後には剣群のみ。 無数の剣で埋め尽くされて出来た剣の丘だけが広がっていた。 「―――――」 その光景は、ヤツにはどう見えたのか。 黄金のサーヴァントは鬼気迫る表情で目前の敵と対峙する。 「・・・そうだ。質を競うんじゃない。 おまえが多数を持って他のサーヴァントを凌駕するなら 俺は圧倒的多数を持っておまえを凌駕しよう」 荒涼とした世界。 全てが剣で構成された、剣の世界。 それが衛宮士郎の世界だった。 ここには剣があり、恐らく剣以外の何もない。 故に、その名を“無限の剣製” 生涯を剣として生きたモノが辿り着いた、唯一つの確かな答え――― 「―――固有結界。それが貴様の能力か」 互いに前に出ることは出来ない。 ここから一歩先は全て剣に埋め尽くされている。 「驚く事はない。これらは全て何の神秘も通わぬナマクラだ。 おまえの言う、取るに足りない存在だ。宝具と比べるべくもない」 左手を高く上げる。 目前の剣群がそれに呼応するように浮かび上がっていく。 その数、概算で三千あまり。 「だが有象無象の大軍が英雄一人に敵わない、なんて道理はない。 それが神秘というのなら万の剣をもって駆逐しその存在を地に堕とそう」 剣が抜けて出来た道を歩く。 目前には千の財を持つサーヴァント。 「さあ、最弱の大軍団がオマエの元に行くぞ英雄王。 ――――武器の貯蔵は十分か」
819 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 18:40:53>>814 翡翠トゥルー後か…… この場合は翡翠を称えるべきだろうな。
820 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 19:55:24>>819 いや、やはりそこはご主人様あってのメイド。 兄のいない妹が存在しないように、互いに切っても切れない関係なのですよ。
821 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 21:37:28>714 全ての並行世界の俺が泣いた
822 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 21:40:37>>821 ワロス
823 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/01(木) 22:22:10>>809 ちょ、教授テラカッコヨス
824 名前: スパイラル・ラダー 士郎そのまま 言峰⇒藤ねぇ 槍⇒剣 投稿日: 2005/09/02(金) 01:09:09 いつものように台所に入ると、そこは異界と化していた。 具現化した呪いの様な物体が所狭しと並べられている。 「―――――――」 気が、狂いそうだ。 この光景にも、この惨状にも。 ただ、どうして。 見覚えが、あるのだろう。 見たこともないのに、怪しげな物体はどれも見覚えがある。 初めて見るのに。 知るはずもない物体なのに。 自分とは関わりのない物なのに、何故。 見つめてしまうのか―――― ―――と。 「いや―――よく帰ってきたわね、士郎」 突然。 背後から、親しい友人に挨拶するかのように、バン、と 両肩を叩かれた。 「―――――!」 あまりのコトに体が硬直し、振り向く事さえ出来ない。 だが、背後に立つ人物が何者なのか見るまでもなかった。 藤村大河。 冬木の虎、目の前の地獄を作った女、 そして――――今、最も出会ってはいけない悪魔。 「まったく間が悪いわね。いつまでも帰って来なかったから、 食事の準備をしたのが拙かったの。 ほら、前回はろくな料理出せなかったでしょ? 私なりに気を使ったんだけど、入れ違いになっちゃったわね」 「―――――」 声が出ない。 両肩にはずっしりと重く、藤ねぇの手が置かれている。 ―――いや、それよりもこれが料理だと? 「う―――――」 臭いを嗅ぐだけで肺の中まで汚染されそうな異臭を我慢して、 自称・料理を捨てようとして――― 「なによそれ、酷いじゃない。せっかく料理作ってあげたのに。たとえ 不味くても、そんな事はないって言ってあげるのが愛情でしょ。 それに高級食材を使ったんだから、そんな事したら勿体無いわよ」 「―――――え?」 ―――手が止まる。 今。 この虎は、何を口にしたのか? 「―――――藤ねぇ。今、なんて」 「この料理は高級食材で作った、って言ったのだ。 カタチはどうあれ、これは高級食材で出来ているから、 技術はなくとも、素材の味だけで十分いけると思うんだけど、どうかな」 「――――――」 そうか。見覚えがあると思ったのは、そういう事か。 これは大事に取っておいた高級食材で、 ここは、食材の墓場だった。 ――――頭が回る。 雷画爺さんから貰った贈り物。 中身はフカヒレ、干しアワビ、ツバメの巣、キャビア等の高級食材。 いつかお祝いするような事があった時に腕を振るおうと大事に取っておいた。 今まで料理した事のない食材だから本を読んで勉強した。 だが、その時はもう来ない。今、それが失われたのだから。 「―――――藤、ねぇ」 「そうだ士郎。士郎ならきっとこの料理を元通りに出来るわよ。 ねえ、そう思わない? 元通りに出来たら遅刻してきた事も許しちゃう。 だから―――後はよろしくね」 「―――――テメェ・・・・っ!!!!」 その言葉で、全ての戒めを吹き飛ばした。 金縛りにあっていた体を動かす。 両肩に置かれた腕を振り払い、前へ飛び退き、 すぐさま藤ねぇへと振り返る―――――! 「藤ねぇ、アンタが――――!」 十分な距離をとって対峙する。 瞬間。 藤ねぇの胸から鋭い角のようなものが生えた。 角はどう見ても剣先だった。 よく見れば、 藤ねぇの後ろには剣を突き刺すセイバーの姿。 セイバーの血の涙が頬を伝う。 「―――タイガ。初めてアナタを憎んだ・・・・」
825 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/02(金) 02:08:55>>824 むーざんむざんー そりゃいくら藤ねえでもここまでやっちったら刺されても文句は言えんわなw
826 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/02(金) 11:49:24 >>824 セイバー!!!
827 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/02(金) 15:22:07>>824 ふ、藤ねえ…
828 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/02(金) 22:51:42saber……
829 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/02(金) 23:05:15>>824 血の涙と一緒によだれもたれてそうだな。 「シロウが料理したらすごく美味しかったんだろうなあ」とか想像して。
830 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/02(金) 23:07:50そろそろ上げる?
831 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/03(土) 00:29:48sageておくには勿体ないけどageる必要は無いんじゃない?
832 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/03(土) 02:00:10>>813 「………………………………………………雑でした」
833 名前: らっきょ 殺人考察(後)より 1/2 投稿日: 2005/09/03(土) 23:11:33「――――ふ、ふふ、ふ」 ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトは、笑った。 「――――リンは、最高です」 ……笑い声が、癪に障る。 「――――最高の、ライバルです」 喉を震わせて、芝居めいてる。 「さぁ――――始めましょうリン。リンだけが、わたしを満たしてくれます」 誘蛾灯に誘われる虫のように、ルヴィアはわたしに歩み寄る。 わたしは、彼女を見もしなかった。 「他をあたって。わたしはやらない」 ゆっくりと口にする。 ルヴィアはわたしの言葉の意味もわからず、立ち止まって目をしばたたいた。 「……なん、ですって」 「貴女に付き合っている暇はないって言ったの」 そう、時計塔の首席なんて肩書きはいらない。 そんなものは彼女にくれてやる。必要なものを、わたしはとっくの昔に手に入れたって思い知ったから。 「うそでしょう、リン?」 「じゃあね、ルヴィア」 そうしてわたしは歩き出した。 ガンドで麻痺した体、軋みをあげる骨もそのままで、ルヴィアの傍らを通り過ぎていく。 ルヴィアは立ち尽くしたまま、吐く息だけを激しくさせて、わたしの背中を見つめていた。 「……このまま、勝ち逃げする気ですか」 呟きは、雨の音に消えていく。 わたしはただ、雨の音を聴いていた。 「……そんなことは、許しません。リンの猫の皮をはがされ、リンに名門のプライドをずたずたにされたわたしを見捨てるんですか。なら、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトはどこにもいません。今ではもうリンを地にひれ伏させることだけが、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトを繋ぎ止めてくれるというのに!」 ふらつく足をこらえて歩く。 わたしは振り返らず、この屋敷を立ち去る事にした。 ――――次の、言葉を聞いてしまうまでは。 「……そう、シロウのところに帰るんですね、リン」 掠れるような笑い声とともに、ソレはそう呟いた。 ――――足が、止まる。 「なら出ていく必要はありません。シロウはちゃんとここにいるんですから」 吐き気が、した。 目の前が揺らいで、倒れそうだ。 何も、考えられなくなった。 ……だっていうのに、なんだって。 わたしはそんな台詞だけで、すべてが理解できてしまったんだろう…………? 「ルヴィ、ア―――」 声に、ならない。 振り返らないと決めたのに、わたしは振り返っていた。 もう二度と―――士郎を労働基準法を無視してまでこき使わさずに済むように、生きていこうとしていたのに。
834 名前: らっきょ 殺人考察(後)より 1/2 投稿日: 2005/09/03(土) 23:12:38「貴方が悪いんですよ、リン。いつまでもぐずぐずしていましたから、わたしがかわりにいただいてしまいました」 ……何を言ってるか、聞き取れない。わたしの耳はどうかしてしまったみたいだ。 「そうでした、これはシロウの永久雇用契約の代金です。お渡しします。事後承諾ですみませんが」 ばさり、と札束が床に落ちる。 大量の紙幣は、真っ赤な吐血で汚れていた。 それが誰のものか、わたしはよくわかってる。……間違えてなんかやるものか。あいつの吐血の臭いなんか、ずっと忘れていなかったんだから。 「……ああ。ルヴィアに捕まっちゃったの、士郎」 呟いて、わたしは前に出た。 地面の上に転がる札束を、取らなくてはいけないから。 「そうです、エーデルフェルト家の奴隷にしました、永遠にこき使ってあげるために……! シロウはね、最後まで説教を続けました。なんでも、わたしとリンは似たもの同士なんですって! 笑わせるでしょう、わたしたちはこんなにもいがみ合ってるというのに……!」 ……雨の音が、うるさい。 わたしは札束のところまで歩いて、地面に膝をついた。 札束に付着した血液はまだ新しい。……この紙幣が過労による喀血を吸ったのは、時間にしてほんの数分前の事だろう。 ――――ああ。こんな身近な場所で、こんな近くの時間で。 わたしは、あいつを失ったんだ。 ……どうしてだろう。 士郎はわたしのモノだったのに。 あいつをいいようにこき使って良いのは、わたしだけのはずだったのに。 「―――絶対に」 札束を握り締めて、わたしは立ち上がった。 下を向いたまま、わたしは口を開けた。 「―――いいわ、やりましょう」 相手を見ないで、俯いたまま。 「―――わたしを許せないといったわね、ルヴィア。それは同感。……あんたをブチのめして士郎を取り戻す、それがわたしたちのハッピーエンドよ」 *式→外道凛 白純→外道ルヴィア
835 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 00:07:05士郎カワイソス
836 名前: ななこSOS 有彦⇒慎二 志貴⇒士郎 投稿日: 2005/09/04(日) 00:17:31 初めてそいつを見た時、一目で分かった。 アイツは壊れてる。 何か枠の中からはみ出してしまった人間だって。 魔術師の家系に生まれて以来、僕は一般人に融け込めない。 上手く立ち振る舞ってはいるけれども、それを楽しむ事がない。 どんな見た目が同じ人間でも魔術師はまったく別の存在だ。 クラスメートの連中をTVの向こう側から見ている気分だった。 それは絶対に越えられない境界線。 それを知っている僕だからこそ同類が判った。 無邪気なガキどもにまぎれて教室にいた、 おいおいコイツどっかの病院に隔離した方がいいんじゃないか、って ぐらい壊れたそいつが。 いつだったか、バカな車の事故現場に遭遇したことがあった。 ガソリンが水溜りみたいに流れて、いつ引火してもおかしくないって 状態の中、そいつは運転手を引っ張り出してきやがった。 他の連中はもちろん僕も一歩も動けなかった。 その時、判ってしまった。 コイツは正義感があるんじゃなくて、自分が恐ろしく嫌いなんだって。 ――――最悪の気分だった。 他と違うって事をプライドにしていた僕をただの人間に貶めるほどに、 そいつは異様だった。 それがきっかけで、本気でアイツととことんケンカしなくてはいけない、 と思い立った。 言ってみれば、存在理由のための闘争ってヤツだ。 まあ、どっちが勝ったかは名誉のために言わないでやる。 そいつは何で自分がケンカ売られたのか判らない様だった。 当たり前だ、異常な奴にとってそれは普通の事なんだから。 一人で空回りしていたような気分でバカらしくなって笑った。 こんな歪んだ奴と友達になれるのは、きっと自分くらいなものだと 心の中でそう思った。 自分が勘違いしてた唯の人間って思い知らされる前の、 僕が何も知らないガキだった頃の話だ。
837 名前: 790 投稿日: 2005/09/04(日) 00:25:58>>833-844 元ネタに合わせた台詞の改変が上手い・・・・。 ま、負けた・・・、外道さにおいても・・・完敗だ。
838 名前: 俯瞰風景→Fateプロローグ 投稿日: 2005/09/04(日) 01:12:00 その日のバイトの帰り道は大通りをつかう事にした。 自分にしては珍しい、ほんの気紛れだ。 見飽きたビル街に記憶をふりわける事なく歩いていくと、 ほどなくして人が落ちてきた。 あまり聞く機会のない、ぐしゃりという音。 ビルから降ちて死んだのは明白だった。 アスファルトには朱色が流れていく。 その中で原型を留めるのは二つに分けた黒髪と。 そして貌の亡い、潰れた顔。 その一連の映像は、古びた頁に挟まれ、 書に取り込まれて平面となった押し花を幻想させた。 ――――おそらくは。 首だけを胎児のように曲げたその亡骸が、 自分には密かに憧れていた遠坂凛に似て見えたからだろう。 Fate/Stay Night 了 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
839 名前: 空の境界(上) 折り返し 投稿日: 2005/09/04(日) 01:17:40――三月の終わり。 雪の夜。 僕は誰とも会わなかった。 空の境界 了
840 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 01:35:10幼い頃の事故の後遺症から、モノの壊れやすい線―――「死の線」を見る能力を持った主人公、遠野志貴。 事故から八年の間預けられていた親類の家を離れ、志貴は実家へと戻る事となる。 そこで彼を待っていたのは、すでに他人のような妹と二人の使用人だった。 古びた洋館での慣れない暮らしに戸惑いながら、志貴と少女達の新しい生活が始まる。 時を同じくして多発する猟奇殺人事件。その被害者は一様に全身の血液を抜かれていた。 ある出来事がきっかけとなり、志貴は「吸血鬼」達の壮絶な戦いに巻き込まれていく事となる――― 純白の吸血鬼は微笑む。 「私を殺した責任、今この場でとってもらうからね」 月姫 了
841 名前: 虎→弓、イリヤ→リン 投稿日: 2005/09/04(日) 01:50:04リン「はあ。……前から疑問だったんだけど、アーチャーってどうして士郎に拘るの? 理想を抱いて溺死しろとか言うクセに、投影魔術は教えてるし。士郎、好きなの嫌いなの?」 アーチャー「うむ。深く憎み、同時に深く愛している。」
842 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 01:53:04>>841 愛ー――――――−――――!?
843 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 01:58:26式→セイバー がしゃり、と一際大きい金属音がした。 幹也がそちらに視線を向けると、そこには黒の鎧が立っていた。 鎧を着た少女はしとどに濡れている。 雨に当たるはずのない地下で、少女は暗い泥の底からあがってきたように、闇に染まっていた。 後ろで括った銀髪が頬に張りついている。冑に隠れた瞳はどこか虚ろだった。 「・・・セイバー」 驚いて士郎がかけよる。 突然あらわれた少女は、どれほどの時間泥に沈んでいたのだろう。 美しい金髪は白く染まり、その鎧は闇を映したように黒くなっていた。 分っていながらつい、差し出される腕。 その無防備さを、彼女は嗤った。 「・・・・・・え?」 気がつくより千倍早い。 差し出した腕に熱い感覚がして、士郎は咄嗟にとびのいた。 ぼたりと何か温かいものが腕を伝う。 切られた? 腕を? いつ? 動かない? 鋭利すぎる痛みゆえに、それが普段感じる痛みと同じ物と理解できない。 あまりの痛みに、痛覚さえ麻痺している。 士郎に考える余裕はなかった。 セイバーと思っていた黒い鎧の少女が動く。 心のどこかで覚悟していたためか、 あくまで冷静にとびのいて、ここから距離を取ろうとした。 ・・・・・否。離れられる筈がなかった。 士郎がとびのいた瞬間、彼女は彼の懐に走りよる。 その速さはヒトとヒトを超えたものの違いだった。 ザン、という音を士郎は自分の足から聞いた。 洞窟の壁に赤いものが飛ぶ。 それは石だたみに流れる己の血だとわかって・・・士郎は仰向けに倒れこんだ。 「あ・・・・」 背中を地面に打ち付けて喘いだ。 倒れこむ士郎の上に、黒い鎧の少女がのしかかる。 そこに迷いはない。 少女は手にした聖剣を士郎の喉元に突き付けた。 士郎はその光景を見上げる。 そこに在るのは闇と・・・・彼女だ。 黒瞳に感情はない。 ただ、本気だった。 大剣の切っ先が士郎の喉に触れる。 少女は闇に濡れているせいか、泣いているように見えた。 表情はない。 仮面めいた泣き顔は恐ろしく、同時に憐れだった。 「シロウ、何か言ってくれませんか」 セイバーは言った。 遺言を聞こう、と。 士郎は震えながら、セイバーから目を離さないで言う。 「俺は…死ぬ…わけにはいかない……」 それはセイバーにあてた言葉かもあやしい。士郎はセイバーにではなく、自分が裏切った自身そのものに言ったのだ。 セイバーは微笑う。 コロ 「私は、シロウを犯したい」 それは、とても優しい笑いだった。
844 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 14:32:45>>818 才能無き者がその意思で辿り着いた世界カコイイ GJ
845 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 19:59:35>833,834 凛、吐血まみれの金拾うんだ・・・ そうだよな、お金に良い悪いはないもんな。
846 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 21:06:35いつもと何も変わらない、変わるはずのない病室のベッドの上で、彼女は衰弱した体をびくんと震わせた。 面会人など迎えるはずのない扉が開く。 足音も立てずに、どこか軽い雰囲気を漂わせながら、その人物はやってきた。 来訪者は男性だった。長身で、がっしりとした体格をしている。その表情は緩いが、どこか無理をしているようにも見えた。 おそらく────それはこの男が珍しいことに緊張していたことを示すのだろう。 男はベッドのわきまでやってくると、優しい眼差しで彼女を見据える。 その、どこか気まずい様な感覚。 病室がサウナになったのではないか、と錯覚するほどの息苦しさ。 死ではなく束の間の生だけを恐れる彼女でさえ、その空気にどこか申し訳なく感じてしまうほどの。 「きみがが巫条霧絵ちゃんか」 その声は、やはりどこか緊の響きがあった。 彼女───巫条霧絵は視力のない瞳で男に応える。 「あなたが、父の友人ですか」 男は頷きもしなかったが、巫条霧絵には確信があった。 家族が一人もいない自分の、入院の手続きをとったのはこの人物に違いない、と。 「何をしにきたの? わたしは何もできないのに」 震えながら霧絵は言う。男は眉さえ動かさない。 「君に一つ聞くことがあるんだ。あったばかりの男に引き取られるのと、このまま病院で過ごすのとどっちがいい?」 その、あったばかりの子供を引き取るだなんて、ひどく現実性からかけ離れた言葉には魔力が篭もっていた。少なくとも、巫条霧絵にはそう感じられた。 何故なら何の抵抗もなく、この男は本気なのだと受けいれてしまったのだから。 わずかな沈黙の後、喉をふるわせて彼女は頷いた。 男は頷く。その右手が差し出される。 この役立たずの体しか持たない自分は、 きっとこの男性にとてもとても迷惑をかけるだろう。 だからその腕に手を伸ばす前に───彼女はひとつだけ問うた。 「あなた、なに?」、と。 その質問の答えを、男は楽しげに言った。 ――――僕はね、魔法使いなんだ。 衛宮霧絵爆誕!
847 名前: 秋葉ルート 志貴⇒士郎 四季⇒慎二 秋葉⇒桜 投稿日: 2005/09/04(日) 22:32:52 「おい、なに黙ってやがるんだよおまえは・・・・! くそ、一人で善人面しやがって、おまえの方が僕なんかより よっぽど狂ってるじゃないか・・・!」 「――――――」 双剣を強く握って、喚いている慎二へ歩き出す。 「はっ、僕なんかとは話す気もないってワケか。 ああ、全く同感だね。僕だって今のおまえと話すのなんて 願い下げだね。僕は確かに人殺しだけど、おまえみたいな 機械ってワケじゃないからな・・・!」 「――――――」 床を踏みしめて、歩いていく。 「いいか、僕だって好きでこんな事をしているワケじゃない。 だから、これが他人にとって悪い事だというのは十分に理解している。 それを覚悟した上でやっているんだよ・・・! だけどな、自分の意思さえ持たないで正義なんていう曖昧なモノに 動かされてるおまえは何なんだって聞いてるんだ、衛宮士郎・・!!!」 「――――――」 歩く。アイツを殺すために、自分の信じる正義を貫くために――――。 「ふざけやがって・・・・! 今のおまえがどんな目をしているのか 解っているのか? おまえは生き物ですらない。意思のない機械と 同じで、それが悪であるなら無条件で殺そうとする唯の道具じゃないか! ああ、お爺様が衛宮の家に監視をつけたのも当然だ。 だっておまえらは正義に扱われるだけの剣そのものなんだからな・・・!」 「――――――」 最後の一歩。 これで、確実に。 慎二を、殺すコトができる――――。 「―――――ほら、おまえはそういう奴なんだよ衛宮! 相手が悪なら、どんなに親しい人間でも殺すんだろう? なら。おまえは僕を殺した後、桜も同じように殺すっていうんだな?」 「―――――、」 なに、を。 そんな、こと、は―――― 「ないって言いきれるのか? 言っておくけどな、 桜は僕なんかよりよっぽど悪だぜ? そんなモノを前にしておまえが見過ごせる筈がない。 ・・・ほら、まだおまえに桜への気持ちが残ってるなら おまえはここで桜に殺されるか、それとも―――自分で自分を殺した方が まだ救いがあるってものだろ―――!!」 それだけ言うと慎二は背を向けて走り出した。 「―――――!」 慎二を追う。 なんて甘さだ。あいつが最後に桜のところに逃げ込むなんて、 そんなのは考えればすぐに解る事だったのに・・・! 桜の部屋に踏み込む。 「起きろ、桜! 僕を守るんだ!」 慎二はうつろな表情をした桜に手を伸ばそうとしていた。 「―――――」 そんな事はさせない。 その前に、慎二を――― 「え―――?」 驚きは、俺と慎二の口から同時にもれた。 ふ、ふふ。 無邪気な笑い声が、した。 「ひぎぃやあああぁぁ!!」 腕を切り落とされて、慎二が叫ぶ。 その足元にはあの泥が―――。 あは、あはは、あははは 楽しくて仕方ないという、笑い声。 「や、やめ、やめろ、さく、桜ぁあああああ!」 慎二の叫びは、そこで終わった。 その体が丸ごと泥の中に沈んでしまったから。 「さく――――ら」 俺の呟きに、桜は反応しない。 ・・・恐らく自分がそんな名前だったなんていう事が分かっていない。 「桜――――」 答えはない。 理性というものが壊れてしまった桜を前にして、 俺は―――ただ、そんな事しか、言えなかった。 彼女は子供のように無邪気に笑っている、その両手を血に染めながら。 ・・・・わかってる。 もう何もかも、契約破りの短剣も手遅れなんだって解っている。 壊れてしまった桜を元に戻す事はもう誰にも出来ない。 ―――先輩、私を殺してください 俺に今出来ることは、彼女との、約束を果たす事、だけなのか。 「――――投影開始」 残された魔力は投影一回分。 そして俺は、 1、ルールブレイカーを投影してわずかな望みに賭ける。 2、彼女の聖剣を投影して約束を果たす。
848 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 23:21:09>>846 なんかそのシチュエーションがツボにはまった 固有結界「無限の飛翔(アンリミテッド・フライングハイ)」?!
849 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/04(日) 23:56:31>>847 きれいな慎二が多発する中、実に慎二らしい慎二だ
850 名前: オルターエゴ+最強の敵 投稿日: 2005/09/05(月) 01:51:35 「安心しなさい、相手がどんなヤツだろうと ちょっかいなんて出してこないわ。衛宮くんは忘れてるみたいだけど、 そこにいるセイバーはとんでもなくお強いんだから」 「あ」 そういえばそうだ。 痴漢だろうがなんだろうが、 セイバーに手を出したらそれこそ返り討ちだろう。 「凛。シロウは今、何を言いたかったのでしょう。 私には理解できなかったのですが」 「え? いえ、大した勘違いぷりっていうか、大間抜けっていうか。 なんでも私たちが痴漢に襲われたら衛宮くんが助けてくれるんだって」 「そんな、シロウは私のマスターだ。 それでは立場が逆ではないですか」 「そういうの考えてないんじゃない? 魔術師とかサーヴァントとかどうでもいいって感じ。 あいつの頭の中、一度見てみたくなったわねー」 「・・・・・・・・」 「ねぇ、お話は終わり?」 幼い声が夜に響く。 ―――そこには、昨夜の少女と在ってはならない異形。 セイバーが俺達をかばうように立つ。 見れば遠坂の顔から血の気が引いていた。 そして震える喉からようやく遠坂は声を出した。 「なんて・・・・大胆な―――痴漢」 ・・・・遠坂、子供連れで痴漢をする人はいないと思うぞ。
851 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 07:14:05>>847 違和感なさすぎGJ!>>850 ちょwwっおまwwwwww まあ、実際ちょっとでも本編のタイミングがずれたらこうなる可能性あったわけだがw
852 名前: 悪夢→目覚め 桜⇒セイバー ギル⇒凛 投稿日: 2005/09/05(月) 13:10:35 「――――精が出るわね。今夜に限っていつもの倍か」 怖い夢より、もっと怖い人に、出会ってしまった。 逃げた。 今まで怯えることなんてなかった“何か”が、怯えながら その人から逃げ出した。 二つに結んだ髪に赤い服。 宝石と同じ匂いのする人。 以前、一度。 「食事量を減らすわよセイバー。今の量に馴染んだら家計が持たなくなるわ」 わたしに自殺しろと命令した、わたしのマスター。 「 」 逃げた。 何から? 逃げた。 誰が? 逃げた。 どうして? 私の夢は終わらない。 “何か”は見ていて可哀相なほど取り乱して、部屋に逃げ込んでいく。 でも、それで終わり。 「魔力の補給が十分だから食事は必要ないと期待したんだけど、 まさか寝ながら冷蔵庫を漁るなんてね。凄いと言えば凄いんだけど、」 「家計簿は私がつける。豊かな食文化に適応しすぎた己が身を呪うがいい」 “何か”は、一瞬のうちに、たくさんの魔術で滅多撃ちにされてしまった。 ・・・・あれ? おかしいですね、痛い。 撃たれているのはあの子なのに、どうして後ろから見ている 私が痛いのか。 倒れているのはあの子なのに、どうして私も倒れているのか。 夢見ていているのは私なのにどうして―――― わたしの体がボロボロになっているんでしょうか? 「あ――――れ?」 いたい。 夢なのに痛いです、シロウ。 「まだ起きないの? 意地汚いわね、セイバー」 ―――容赦なんてない。 あかいあくまはブンと自分の身長よりも高く足を上げて、 私の頭にかかとを落としにきた。 「―――――あ」 悪い夢。 こんなのは悪い夢だ。 こんなのは今までの夢と同じ。 本当はこんなコト起きていなくて、目が覚めれば自分の部屋にいるんだ。 ・・・ほら、だからそろそろ目を覚まさないと。 だって痛い。 死にそうなぐらい痛いんだから、目が覚めないと、本当にこのまま―― でも覚めない。 夢が覚めない。 夢から。 夢から出られないんです、シロウ―――― かかとが落ちる。 夢は終わった。 セイバーの意識は、覚める事なく、消え去った。 「え――――?」 振り向いたときには遅かった。 「――――セイバー、まさかそこま、ガ――――!!!??」 頭から飲み込まれていく。 逃げ場などない。 いつもより、少しだけ時間がかかった。 「・・・・いたい。少ないから、治らない」 歩き出す。 おなかがクウクウと悲しい悲鳴をあげている。 思考を占める行動理由は『空腹』のみ。 魔力量、実に魔術師十数人分に該当する凛を飲み込んで なお満ち足りないのか。 「・・・・足りない。こんなのでは、足りない」 それは熱に魘されるように。 夢などではなく、 初めて自分の意思で、冷蔵庫へと歩き出した。
853 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 15:02:45…… めっちゃシュールだな(・・;
854 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 15:16:18まさか、衛宮を倫敦に連れて行く理由って…
855 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 17:14:50いやまさかそんなこと・・・
856 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 17:24:50馬鹿だなあ、そんなことあるわけ・・・いやまさか・・・
857 名前: 852 投稿日: 2005/09/05(月) 17:35:31おかしい・・・ただ単に断食を命じられたセイバーが 夢遊病者となって冷蔵庫を漁って、そこを凛に見つかって怒られる という内容のギャグだったはずなのに・・・書き上がってみれば 何故こんなシュールに!?
858 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 19:44:06それだけ、Sがすごいということでしょ。
859 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 19:46:40>>858 ネタスレにアンチが涌くと趣も何もあったもんじゃないから消えろ
860 名前: セイバー→士郎 投稿日: 2005/09/05(月) 20:15:53「“天地乖離す開闢の星”――――!」 空間に断層が走る。 目を潰す閃光、耳を覆う暴風を伴って、エアの作り出す破壊の渦が放たれる。 「っ、く――――!」 それを前にして、士郎は自らの“投影(つるぎ)”を使う事さえままならなかった。 振り上げた剣を下げ、倒れ込むように前方へと体を倒す。 ――――閃光が迫る。 傷ついた足では避ける事も出来ず、エアを防ぐ盾などこの世には存在しない。 巻き込まれれば跡形もなく消滅する光と風の乱舞。 エアの真名に対抗する手段などない。 それは両者に共通した確信だった。 ―――そう。 たった、数時間前までは。 「――――!?」 驚愕を漏らしたのは士郎ではなく、エアの担い手たる黄金の騎士だった。 エアは未だ魔力を放ち続け、容赦ない破壊を行っている。 だというのに、士郎は光の奔流の中へ、自ら足を踏み入れていた。 「――――!」 アイアスが悲鳴をあげる。 彼を守る七枚の防壁に亀裂が走る。 一秒すら保つまいというその合間、彼はギルガメッシュへと間合いを詰め、 「“勝利すべき黄金の剣”――――!」 許された最大出力で、エアの破壊に対抗する――――! 荒れ狂う閃光と灼熱。 頂点に位置する剣の激突は、互いを力のみで押し合い、空間に境界線を作り上げる。 だが―――それは無駄ではないのか。 カリバーンではエアには敵わない。 いかに捨て身で間合いを詰めたところで、押し返せるのはわずか一足。 天秤は容易くエアへと傾き、カリバーンの光は士郎もろとも弾き返される。 「――――そうか、血迷ったか雑種……!」 エアを振り抜き、無謀にも走り寄ろうとした敵を見据え、黄金の騎士はなおエアに魔力を込める。 もはやこの後はない。 ここで完全に、全ての力を以って士郎を消滅させるのみ。 エアの回転が臨界に達し、士郎を包む閃光はカリバーンを薙ぎ伏せる。 ――――その直前。 士郎の体が駆けた。 カリバーンによってわずかに圧した空間、もう一足だけ踏み込める位置。 そこに、士郎が到達した瞬間。 エアの断層を前にして、 彼の"投影"が、その真価を発揮した。 「な――――に――――!?」 ギルガメッシュの目前にはっきりと具現したものは、紛れもなくただのタンスだった。 如何なる概念で編まれたものか、タンスの角はギルの小指をクリティカルに痛打する。 否、痛打などというレベルではない。 それは拷問。 外界の汚れを寄せ付けないタンスの角、王にも庶民にも、公平に振る舞われるひとつの痛み。 タンスの角に小指をぶつけた英雄王は、この一瞬のみ、この世の全てを忘れてうずくまる。 この世界における最強の一撃。 五つの魔法すら寄せ付けぬ、何者にも侵害されぬ究極の一。 故に、その名は“タンスの角”。 アーサー王が死後に味わうとされる、彼の王が夢見た、はや辿り着けぬ悶絶地獄―――― 「――――――――」 背筋に走る死神を、ギルガメッシュは確かに見た。 だが間に合わない。 振り下げたエアは回転を止めず、涙目のギルガメッシュ自身、激痛で跳び退く事すらままならない。 当然である。 よもや―――よもやこれほどの全力、これほどの魔力を放った一撃を覆されようなどと誰が思おう……! 「ぬぅぅぅ……!! おのれ、そのような、小細工で…………!」
861 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 20:50:53いや、ちょっと待て我様w
862 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 20:57:39小指の爪が内出血で真っ黒になるんだよな! ……畜生、痛ぇ。
863 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 22:17:14なるほどこれならアヴァロンすら貫く一撃だwwwwwwwwwww
864 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 22:33:26>アーサー王が死後に味わうとされる、彼の王が夢見た、はや辿り着けぬ悶絶地獄―――― 死後にアレを味わうことが確定してるのかセイバーw
865 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/05(月) 23:48:07激しく藁田 呼吸困難で死にそうだw
866 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/06(火) 00:39:19相手のうっかり属性を利用したいいカウンターだw
867 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/06(火) 00:46:00>>864 そりゃあ聖杯を手に入れんほうがいいな
868 名前: 秋葉ルート⇒UBW最終決戦 志貴⇒士郎 四季⇒ギル 秋葉⇒剣 投稿日: 2005/09/06(火) 01:56:25 「雑種、それは何の冗談だ? もうセイバーのマスターですらなくなった 貴様などに出番はない。早々に失せるがいい」 興味など欠片もないという目でこちらを見やる。 ―――もう、これ以上交わす言葉はない。 双剣を構えて、一歩前に踏み出す。 「ああ、その通りだ英雄王。セイバーは俺にとってサーヴァントじゃない」 「なに・・・・・?」 「セイバーは、俺の女だからな」 「き――――!」 「この、浮気者ーーーー!!」 これ以上ないというぐらいに良い角度で遠坂の蹴りが俺の脇腹に決まった。 「がっ・・・!!」 鈍い痛みが体を駆け巡る。 ガクガク震える脚を抑えて何とか声を搾り出す。 「て・・・・訂正しよう・・・英雄王」 「ああ、それはいいが大丈夫か貴様?」 心配そうな顔でこちらを見つめるギルガメッシュを右手で制し、 改めて告げる。 「・・・・セイバーも俺の女だ」 「き―――――!」 「この、不埒者がーーーー!!!」 階段を駆け上がってきたセイバーの腕には極光を放つ聖剣。 何の躊躇いもなく、振り下ろされたそれは、 ギルガメッシュもろとも俺を吹き飛ばした。 親父、アンタの後を継ぐのは難しそうだ。
869 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/06(火) 02:28:36>>868 心配するギル様に萌えた
870 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/06(火) 13:03:20ギル様ってなんでこうもおちょくりやすいんだろう……w
871 名前: 琥珀ルート 秋葉⇒桜 志貴&琥珀⇒士郎&騎 投稿日: 2005/09/06(火) 16:28:03 「どうして――? ライダーにはそんな魔力残っていない筈なのに――」 呆然とそう呟いたあと。 「ま・・・さか」 桜は、その唇をわなわなと振るわせた。 「ライダー、貴女―――先輩と、契約を、したの」 桜の声は震えている。 それは憎悪というより、どこか悲哀に近い、声のように聞こえた。 「・・・・・・・・」 「・・・・うそ。それじゃあ先輩は、私を・・・」 がくん、と桜の体がよろめく。 桜は愕然とした瞳のまま窓によりかかる。 その顔は蒼白で、今にも吐きそう―― 「うっ・・・・あ、え―――ぐ」 ―――いや、耐えきれずに吐き出した。 「あ――――っ、ぐ・・・・!」 桜は泣くように嘔吐をする。 長い髪を揺らして、桜は苦しげに顔を隠して、ただ吐いた。 口元までせりあがった悲鳴を吐き出すかのように。 「――――泥棒猫。殺しておけば良かった」 そう、立ちはだかるライダーを睨んだあと。 桜は、心底おかしそうに笑った。 「そう。そういうつもりなんだ、先輩。 先輩は私を裏切ったくせに、さらに追い討ちをかけに来たんですね。 ・・・酷いなあ。私を一度裏切っただけじゃ飽き足らず、 わざわざライダーの助けを借りてまで殺しにくるなんて徹底してますね」 桜の笑い声が洞窟に満ちていく。 それに応じて周囲の影が蠢いた。
872 名前: 殺人貴VSセイギノミカタ 投稿日: 2005/09/06(火) 16:48:15「いくぞ殺人貴――――魔眼の準備は出来てるか」 「―――教えてやるセイギノミカタ。これが、モノを殺すっていうことだ」
873 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/06(火) 16:54:39>魔眼の準備は ダサッ! >教えてやるセイギノミカタ 語呂悪ッ!
874 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/06(火) 22:11:06>>871 ライダールートとかあったら、こんな感じだったんだろうか。 つーか、色々嵌まり過ぎだw てなわけで、出来れば続きよろしく。
875 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/07(水) 01:01:58>>871 まったく違和感無えw だけど俺の脳内に秋葉補正が掛かってる所為か、なんかさっぱりしてて 桜特有のオドロオドロしさが微妙に欠けるかもとも思った。
876 名前: よろしくされたので871の続き 投稿日: 2005/09/08(木) 02:55:10 「―――サクラ。契約が切れた今でも、私は貴女の味方です。 貴女を殺すつもりはありません」 「嘘よ! だってライダーは先輩と寝たんでしょう? だったら私の助けなんて要らないじゃない! なのにここまで来たって事は、そういうことなんでしょう?」 「・・・・私がここへ来たのは貴女を止めるため、そして助けるためです。 アヴェンジャーとの契約を断ち切りさえすれば、もうこんな事はせずに 済むんです。だからもう止めてくださいサクラ。貴女はこんな事を望んで いないのでしょう? なら――」 「つまり私の居場所は何処にもないんですね? あはは・・・ほんと、私ってバカみたいですよね。 こんなに先輩の事を愛しているのに――先輩は気付いてさえくれなかった」 「居場所が無いだなんてそんなバカな事口にするな! ・・・俺だって桜の事を大事に思ってる。おまえが―――おまえが望む なら、どこへだって居――」 居てもいいんだ、とは言えなかった。 桜の望んでいるのは俺の傍だ。 でも今そこにはライダーがいる。 それだけは聞けない。俺はもう二度と彼女を傷つけさせないと誓ったから。 「―――嘘吐き。そんな優しいだけの嘘なんて聞きたくない」 ギシリ、と洞窟が悲鳴をあげる。 空気が濁っていく。桜の黒い影が際限なく広がっていく。 それは。圧倒的なまでの、力の差だった。 「ぁ―――――」 体がよろめく。 無意識に足が後ろに下がる。 「言ったはずよライダー。私は主人に逆らうような犬なんて要らないの。 せっかくセイバーと同じにしてあげようとしたのに逆らうなんて」 ―――否。 下がるわけにはいかない。 今でもマスターだと思っている桜から蔑まれ、罵倒され、 それでも目前に立ち、戦う意思を失っていない彼女を 前に引くわけにはいかない。 下がった足を全力で元の位置に引き戻す。 「・・・・先輩。私にとって先輩は一番大切な人です。 けどそれも終わりです。手に入らなくても見てるだけで良かったのに、 でも今はもうそれじゃあ我慢できないんです」 俯いた桜の口元が醜悪に歪む。 「―――だから、取り込んであげますね先輩。 そうすればずっと一緒にいられます。一番大切なモノだから、 先輩は他の誰にも触らせません」
877 名前: ランサー→ギルガメッシュ 投稿日: 2005/09/08(木) 15:50:25「止めておけ。オマエたち二人だけで裏をかく? そんなもの通用するわけないだろう、間抜け」 呆れかえった声が、正面玄関から響いてきた。 「!?」 すぐさま立ち上がって正門に振り向く。 「いつぞやの夜以来だな、雑種ども。しぶとく生き残っているようで何よりだ」 「ギルガメッシュ……!?」 「遠坂、走るぞ……! アイツはおまえが引きつけるから、その間に俺は二階に……!」 「士郎、走って……! あいつはアンタがくい止める。わたしはいったん外に!」 「ちょっと待った。アンタ、わたしを大切にしろってさっきの話、ぜんっぜん聞いてなかったみたいね」 ぴたり、とギルガメッシュに向けた左手を下げ、あまつさえ俺の鼻先に向けてくる遠坂。 が、そんな脅しをされても、こっちだって文句はあるっ。 「馬鹿言うな、忠告は聞かないってちゃんと断っただろう。撃ち合いは遠坂の役目だ。 あいつとは初対面だし、ここは俺より遠坂の方が向いている」 「そんなワケないじゃないっ! 相手は弓兵よ、飛び道具相手に飛び道具であるわたしが戦ってどうすんのよ!」 「だからこそだろ! 懐になんて入れないって判らないか!? いいから、遠坂は遠くから吹っ飛ばしてくれればいいんだよ!」 「ばかっ、吹っ飛ばすなんてできるかっ! あいにくそんな大雑把な魔術なんて知らないわよ。やるならアンタだけ狙うに決まってんじゃない!」 「っ! 自分のケチっぷりを開き直るな! だいたいどうしてそう、なんでもかんでも節約でいこうってんだおまえは! たまにはもっと派手にやってみろ。キャスターが遠坂は要らないもーんって言ってたの、あんまり無視できないぞほんと」 「な、なんですってこのぉ!」 ……そうして、お互いがお互いを押しのけようと言い争うコト数分間。 どうしてこんな事になったのか、といい加減疲れたころ、はた、と。 城の入り口で、にやにやと俺たちを観察しているギルガメッシュに気が付いた。
878 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 16:26:50こいつら何言ってるんだwwwwwwwwww外道すぎるwwwwwwwwwwwww
879 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 17:43:14素晴らしい反転だw
880 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 18:03:22仲悪すぎだなw
881 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 20:02:58ちょwwwwww台無しwwwwwwwwwwwwww
882 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 20:10:38>877 何で会ったことあるのに初対面なんだ、でもワロスwwww
883 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 21:15:29キャスターが遠坂は要らないもーんw warota
884 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 23:03:29>>883 そこは原作通りじゃね?
885 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 23:38:17「――――、――――、――――」 ……熱い。 体の中から、数百の刃が生えてくる。 逃げ様のない串刺し刑。 体は剣で出来ている。 けどそれは、とうに判っていたコトだ。 は言った。 投影をすれば最後、時限爆弾のスイッチが入ると。 だから、この終わりはもう決められていた事だ。 「――――、――――、――――」 ……足が重い。 ……自分が何をしているのか判らない。 痛みと疲労と空虚で心臓が破裂しそうだ。 でもあともう少し。 アイツを消せば全てが終わる。 邪魔をするヤツはいない。 もう誰も邪魔をするヤツはいない。 ――――だと言うのに。 「お互い、かろうじて生き延びているようだな、衛宮士郎」 なんか、神父が立ちはだかってる。 「――――――――」 言葉がない。 なんでこの場所に言峰がいるのか。 なんであんな煮立った釜みたいな大聖杯を守っているのか。 それもすごい勢いで。 死の色を滲ませて、私は誕生するモノを祝福する、生誕の邪魔はさせぬわ、という修羅の如き気迫。 というか意地になってないかあいつ、エセ説法の勢いが尋常じゃないぞ。 もしかしてそれが望みなのか。あの悪意と憎悪を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくオレ外道マユたん今後トモヨロシクみたいな絶対悪の生誕が望みだと言うのか。 初めから殺す為だけのモノ。外に出る事で多くの人間が死ぬと判っている、人間が創り上げた悪しか持たぬ純粋な単一神も、生まれ出でるその瞬間まで、罰を受ける謂れはないというのか。 だとしたらまずい、言峰もまずいがあの大聖杯もまずい。 アレ、絶対やばげな量の呪いが入ってる。そうでなくちゃ説明できない。 「―――それが私の目的だ衛宮士郎。自身に還る望みを持たぬおまえと対極に位置する、同質の願望だ」 エセ拳法の構えを取りながら神父は言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら対峙する。 「――――――――」 じっと神父の動きを観察する。 ……凄い。これは秘門(ごくじょう)。見様見真似で出来る動きじゃない。 こいつ、ホントにアレを守りきる気か……と、喉を鳴らした時、不意に言峰の手が止まった。 「――――――――」 「――――――――」 視線が合う。 言峰はいつもの重苦しい目で俺を眺めて、 「――――私は、おまえたちを羨んでいる。その鬱積を、ここで帳消しにするのみだ」 「八つ当たり――――!?」 *HFラスト+衝撃のマーボー
886 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/08(木) 23:49:18>>876 ㌧、本当に続きが来るとは。 ここで調子に乗って 「士郎がアーチャーよろしく桜を挑発してバトるまでよろしく」 とか言ってみたり…… 駄目?>>885 鼻から吹いた、色々と。 GJ!
887 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 00:10:27>>885 最後の最後でなんだこの空気はw
888 名前: 矛盾螺旋 投稿日: 2005/09/09(金) 00:21:34 だが解らない。青崎橙子は、殺された事による恨みはないと言っている。 そして彼らの実験を邪魔する意志もない、と。 なら―――一体どんな理由で、この女は自分にこんなにも冷たい殺意を向 けるのだろう? 「……なぜだ。私が、君に何かしたか?」 「セクハラに覗き。昼間の住居不法侵入は大目に見るとしても、他にも色々 あっただろ。いつだったか勝手に人形のモデルにした事があったらしいな」 「うっ……」思わず身を竦ませるアルバ。 「風呂を覗いてたのもおまえか?」 「いや、それはアラヤだ」 即答するアルバに対してか、橙子は思わず顔をしかめた。 「そうか。相変わらず恐ろしいまでに正確に調べたものだな。――ああ、私の アパートの前に毎朝犬の糞を置いていたのもお前だったらしいな」 「馬鹿な……どうして知っている、アオザキ」
889 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 00:24:40>>888 幹也sgeeeeeee!
890 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 00:40:58いや最近の流れだと、MIKIYAsgeeeeeee! になるんジャマイカ?
891 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 03:59:35MIKIYAも似たようなもんじゃねえかwwwwwwwwwwww
892 名前: ランサーの提案⇒ゆずれぬとが 士郎⇒槍 凛⇒ギル 投稿日: 2005/09/09(金) 04:14:03 「―――ではお別れだ。 ゴミを始末しろ。ランサーは小僧を、アーチャーはセイバーだ」 言峰は背を向け、一度たりとも振り返らずに階段を上っていく。 足音が聞こえなくなるのを合図に互いに戦闘態勢を取る。 「ランサー、離れてろ・・・! セイバーは我が相手する、その間に貴様 は雑種の掃除でも・・・!」 「ギルガメッシュ、下がってろ・・・! セイバーは俺の獲物だ。 おまえはいったん後ろに―――!」 「――――ちょっと待て。 貴様、言峰のしていた話、ぜんっぜん聞いてなかったようだな」 ぴたり、とセイバーに向けていた刀剣を全て下げ、あまつさえ俺の鼻先 に向けてくるギルガメッシュ。 が、そんな脅しをされても、こっちだって文句はあるっ。 「馬鹿言うな、令呪による命令以外は聞く必要ないだろう。 殴り合いの戦いは男の華だ。ちまちま撃つしか能のない奴の出番じゃねぇ。 それにあいつとは二度目だし、ここはおまえより俺のほうが向いている」 「そんなワケあるかっ! 相手は剣士だぞ、飛び道具がない相手に 飛び道具を持つ我が最も有利だと何故分からん!?」 「だからこそだろうが! 懐に入られたらおしまいって判らないか!? いいから、おまえは遠くから小僧でも狙い撃ちしていればいいんだよ!」 「バカがっ、狙い撃ちなどできるかっ! あいにくそんな器用な技術など 持ち合わせておらぬわ。やるなら雑種もセイバーも貴様もまとめて 吹き飛ばすに決まっていよう!」 「っ――――! 自分の壊し屋っぷりを開き直るな! だいたいどうしてそう、何でもかんでも派手目でいこうってんだおまえは! たまにはもっと慎ましいコトやってみろ。言峰がギルガメッシュに偵察 なんて出来ないもーんって言ってたの、あんまり無視できないぞほんと」 「な、なんだとこのぉ――――!」 ・・・・そうしてお互いがお互いを押しのけようと言い争うコト数分間。 どうしてこんな事になったのか、といい加減疲れたころ、はた、と。 地下の小部屋から、小僧とセイバーがいなくなっている事に気が付いた。
893 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 04:25:49>>892 GGGGGGGJJJJJJJ 何だこのなんとも言いようがない会話はw ヤバイ、これ凄い気に入ったぞw
894 名前: 桜ルート ランサーVSアサシン より 投稿日: 2005/09/09(金) 07:49:08「ドウした、ラんサー。動かねば、呑まれルぞ」 水面に浮かぶ蜘蛛(アサシン)が嘲笑(あざわら)った。 しかし、その嘲笑(わら)う水蜘蛛とて例外ではない。 この黒い足は誰であろうと侵食するのか、水蜘蛛は決して黒水に近寄ろうとはしない。 近寄れば―――この黒い足は、即座に新しい獲物に関心を持つと知っているのだ。 「ダガそうはイかん。オマエを仕留メるのは私ダ。イマだ経験ガ足りナいノデな。オマエヲ打倒シ、タリナい知能ヲ、補ワネバ」 水蜘蛛の短剣が煌く。 動けぬランサーに向けて放つ凶器は、しかし投擲にすぎない。 それでは無意味だ。 いかに周囲が奇っ怪な妖手に囲まれようと、ランサーに投擲武器は通用しない。 「―――懲りないヤツだ。まあ、強気になるのは分かるんだが」 ランサーは周囲の妖手を観察する。 誘われて随分奥まで来てしまったが、対岸までは三十メートル。 この程度なら―――容易く、一息で跳躍できる……! 「そこで動かなかったオマエの負けだ。様子見も済んだ、ここらで引き上げさせてもらおうか」 ランサーの体が沈み、その槍が大きくたわむ。 槍を支えにして一気に跳躍するランサー。 そこへ。 「な――――に?」 シンプルと言えば、実にシンプルな“一撃”が放たれた。 ランサーの股間から、偽りの睾丸がつかみ出される。 あり得ない間合い、遠く離れた水面から、アサシンは直接、 槍兵の股間を抉(えぐ)り出した。 最も純粋な魔術、最も単純化された呪い。 男を呪う、という事においてのみ特化した、中東魔術の“呪いの手”。 ――――アサシンの宝具、“妄想睾丸(ザバーニーヤ)”。 それは確実にランサーの睾丸を破壊し、そのまま―――力を失った槍兵の体は、黒い水面に落ちていく。 水面が踊る。 それはせわしなく、獰猛であり、はしたなかった。 飢えきった猛獣の檻に肉を投げ入れたとしても、これほど凄惨な食事はあり得まい。 ―――無数の、黒い手足だけのモノが、オトコを失った英霊を消していく。 それを愉快げに眺めながら、ぐびり、と。 黒い湖面に浮かぶ無貌のサーヴァントは、抉り出した獲物の睾丸を、満足げに飲み込んだ。
895 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 08:50:40>>894 ランサーは股間で考えていると・・・
896 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 09:41:28アサシンの英霊阿部定?
897 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 09:54:14女性のサーヴァントには効果なし?
898 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/09(金) 09:58:21そして絶倫超人が誕生する訳だな。
899 名前: 言峰→桜 麻婆→慎二 投稿日: 2005/09/09(金) 14:07:47 ────て。 「あれ? 遅いですよ先輩。時間があったから、ちょっと遊んでるんですよ」 なんか、桜が慎二犯してる。 「────────」 言葉がない。 なんでこの場所に桜がいるのか。 なんであんな萎びた海草みたいな自分の兄を犯しているのか。 それもすごい勢いで。 額に汗を滲ませて、休憩などとらぬ、一度動きをやめれば二度と気がいかぬわ、という修羅の如き気迫。 というか意地になってないかあいつ、腰のスピードが尋常じゃないぞ。 もしかして気持ちいいのか。あの虚勢と劣等感を百年間ぐらい似込んで合体事故のあげくぼく外道ワカメ今度トモヨロシクみたいな兄貴がイイというのか。 だとしたらまずい、桜もまずいがこの屋敷もまずい。 アレ、絶対やばげな程の数をこなしている、そうでなくちゃ説明できない。 「どうしたんですか、立ってたら話しにくいじゃないですか。座ってください」 挿みながら桜は言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながらソファに座る。 「────────」 じっと二人の動きを観察する。 ……凄い。慎二、もうミイラ同然だ。 こいつ、ホントに兄貴を完食する気か……と、喉を鳴らした時、不意に桜の腰が止まった。 「────────」 「────────」 視線が合う。 桜はいつもの優しい目で俺を眺めて、 「犯りますか────?」 「犯るか────!」 全力で返答する。 桜はわずかに眉を寄せて、さっくりと間桐慎二を片付けてしまった。 ……って。 もしかして桜のヤツ、俺の返答にがっかりしたんだろうか?
900 名前: 殺人考察(後) 投稿日: 2005/09/09(金) 20:55:29「おーい、幹也。聞き忘れてたけどよ、これって両方一緒に やったらどうなるんだ?」 「あんまりお勧めはしないよ。サムソンとアドンの気分が味 わえるだけだから」 そんな答えを返して、ボクは友人のアパートを後にした。 ……そう。僕の顔色が病人のようだというのなら、それは きっとその気分のせいだと思う。なにしろ学人が愛らしく思 えてしまって、一晩中性欲を抑えるのに必死だったんだから。
901 名前: 悲願の果て⇒桜ノーマル後 臓硯⇒桜 イリヤ⇒凛 投稿日: 2005/09/09(金) 21:38:06 「――――そこまで変貌したの、桜」 凛とした、美しい声をかける者が、いた。 「な、に?」 視線をあげる。揺れる視界の中。そこには一人の少女の姿があった。 「――――――」 肉塊の前進が止まる。それは陶然と少女を見上げる。 ・・・老魔術師が見たものは少女ではない。 それは、遠い記憶にある姉。いつの時も色褪せずに心にいた、 遠坂の宝石の魔女。 「―――――」 あの日よりも些かも衰えない。 宝石の魔女は、彼女が憧れていた頃と同じ瞳のまま、 「聞くわ、桜。貴女はどうして死にたくないと思ったの」 ただ一度、懐かしい声をあげた。 「――――――」 純粋な問いに、苦しい、という思考が止まる。 何故。言われてみればおかしい。何故死ぬわけにはいかないのか。 終わってしまえばこの苦痛から解放されるというのに、あらゆる苦しみを 抱いたまま、なお生にしがみついたのは何の為か。 「あ―――ああ、あああああ」 思い出す。 そう。最初に、大事な人と交わした約束があった。 いつか冬が過ぎて。 新しい春になったら、二人で櫻を見に行こう――― でも、あの人は帰ってこなかった。 待った、そして次の春、次の次の春、さらにその次の春・・・、 永劫とも思える四季の繰り返しの中、それでも待った。 いつか必ず帰ってくるあの人を。 ―――そしてもう自分に時間が残されていない事を知った。 もはや再会は叶わないと解った悲嘆のあと。 人の身で叶わぬなら、と不死を求めた。 ・・・そう。 いつの日か、手を振りながらあの時と変わらぬ笑顔で、 待っている私の元に駆けてくる彼の姿を思い描いた。 ――――その為に。 その為に聖杯を求めた。 人の手に余る奇跡を求めた。 約束を果たすまで消える訳にはいかなかった。 幾たび罪の意識に苛まれようと生きている限りは諦められなかった。 ―――そう、ユメみたモノはただ一つ。 大切なあの人との再会と果たされるべき約束。 私は、そんな叶わない夢に生命を賭した。 だから生き続けた。苦しいと知りながら死ぬ訳にはいかなかった。 それが自身の生き方であり、私の出した答えではなかったのか。 ・・・そう。 たとえその先に。約束が、果たされなかったとしても。 「―――――ああ、そうか。そうでしたね、姉さん。 ・・・もう終わりですね。私の願いも、私の苦痛も―――こんなところで 終わってしまうんですね」 それは初めから覚悟していた事。 伸ばした腕を地面に下ろした時、チクリと腕に何かが刺さった。 「あ、ああ―――!!」 腕に刺さったモノ、それは砕け散った剣の欠片。 そして彼であったものの一部。 「・・・先輩。遅いですよ、待ちくたびれたじゃないですか」 それを愛しむように抱きしめる。 「―――でも許してあげます。先輩はこうして約束を守ってくれたから」 死に逝く彼女の顔は醜悪な老魔術師のものではなく、 彼の後輩であったあの頃と変わらぬ優しい笑顔だった。
902 名前: たとえ困難でもそれに挑む! 876 の続き 投稿日: 2005/09/10(土) 16:36:05 「―――――――!」 影が跳ねあがる。 呪いじみた黒いモノが俺達を飲み込もうと覆い被さってきた。 「――――――」 タン、と着地する音が空洞に響いた。 「――――――、今のライダーが?」 あの影に飲み込まれそうになった瞬間、危険を察知し俺を抱えて ライダーが跳んでいた。 後ろに大きく跳んで、着地してからもう一度だけ地面を蹴った。 それだけで、ここまで引いた。 今のスピードは尋常じゃない。 なにしろ一瞬にして、桜の視界から消え去ったぐらいの速さだ。 そうでなければ、あの影から逃げられる道理がない。 ・・・・だが俺とライダーの状況は不利だ。 無尽蔵の魔力を誇る桜と、限られた魔力で近づかなければならない俺達では 戦力が違いすぎる。 「・・・・・・・」 ライダーが俺を地面に立たせる。 そして自身は桜に向かって駆け出した。 ―――いけない。 どうして桜の前に出る。どうしてこのまま俺と一緒に戦ってくれないのか。 「――――サクラ」 目前からの声に桜が顔を向ける。 ―――最悪だ、と直感した。 「もう、止めてください。こんな事をしても苦しいだけでしょう。 貴女は何もかも判らなくなる程狂う事さえ出来ないのだから」 すたすたと。 何の警戒も感じられない足取りで桜へと歩み寄る。 「もう遅いわライダー。楽にならない、ですって? この感覚を知らない くせに知った口をきかないで。私ね今とっても愉しいの。何でも自由に 出来る力があるの。兄さんの気持ちもわかるわ、力づくで言う事聞かせる 気分なんて想像しただけで昂ぶって来ちゃう。こんなに自由で愉快なのは 生まれて初めて。今さら戻る事なんて出来る訳ない」 「違います、貴女はそう思い込もうとしているだけです。 シンジを手にかけ、士郎に全てを知られて、それを真正面から受け止める 勇気がないから逃げているだけでしょう? 貴女が強くなった? いいえ、貴女は何一つ変わっていない、私と出会った頃のままです。 ・・・・今の貴女の苦しみは私がよく知っている。 身体を怪物にされても心は人のまま、狂う事も許されないという苦しみを」 ・・・・そうだ。何故こんな事を忘れていたんだ、俺は。 彼女の真名はメドゥーサ。嫉妬した女神アテナによって魔物に堕とされた女。 サーヴァントはマスターに似た者が召喚される。 魔眼も持たない桜がライダーを召喚したのはそういう事か。 「うるさい・・・・・! 貴女なんかに、何も言わずに兄さんの玩具 になった貴女なんかにそんな事言われたくない!」 「っ――――――」 ライダーの言葉が途切れる。 「そっか、先輩は知らないんだ。兄さんがライダーにしてた事」 桜は勝ち誇ったように、俺に視線を投げかけてくる。 「兄さんはね、私がライダーの命令権を譲渡してから毎日のように、 ライダーの身体を・・・」 「・・・それがどうした。そんな事は関係ないんだ、桜」 「え・・・?」 不思議そうな声。それは果たして、誰があげたものだったのだろう。 「慎二がそういう奴なのは知ってる、だから想像もついた。 ・・・・けど、そんな事は関係ないんだ。俺はライダーを愛している。 だからライダーが何をされていようと、この気持ちは変わらない」 「―――――――」 息を飲む音。 彼女は、本当に呆然と、もはや届かない故郷を眺めるような目で俺を見た。 「――は。あはは、は」 乾いた、人形のような桜の笑い声。 「・・・・なんですか、それは。私がどれほどその言葉を聞きたい と思っていたか、先輩には分からないでしょうね。 それが自分の使い魔に奪われるなんて―――ふざけないでよライダー!」 「ライダー・・・・・!」 桜の影がたなびく。 ―――走った。 桜に近づけば殺されるとか、そんな余分な思考は排除して走った。 大丈夫だ、まだ間に合う。 彼女の脚なら、絶対に、逃げ切れる
903 名前: たとえ困難でもそれに挑む! 876 の続き 投稿日: 2005/09/10(土) 16:38:05 とす、という軽い音。 桜の影は刃物のような鋭さで、彼女の胸を貫いた。 ライダーは動かなかった。 まるでそれを受け入れるように避ける事さえしなかった。 倒れる。長い髪が揺れている。なんていうスローモーション。 それを認めたくない思考が、時間の流れを遅くしているのか。 ―――サクラを助けたい。 ふと、そんな言葉を思い出した。 ―――誰かに利用されるのではなく、自分の意思で決めた事です。 神々に運命を弄ばれ、そしてサーヴァントとなった今も道具として 扱われ、何一つとして自由のなかった彼女の願い。 だが、それすら叶わず、その果てにこんな結末しかないなんて。 崩れ落ちる体。 その間際に。 悲しい顔のまま、それでも――ライダーは俺を見て微笑んだように見えた。 「―――――――」 足が止まる。声もなく、呼吸もない。剣を刺されるような苦痛があるだけ。 「――――ふん。泥棒猫には相応しい最後ね」 「・・・・俺を取り込むんじゃなかったのか。 ライダーじゃなくて―――俺を殺すんじゃなかったのか、桜」 左腕の拘束に手をかける。 苦痛。苦痛。苦痛。苦痛。 頭にくる。 彼女を救えなかった自分。のうのうと生きている自分。 彼女を救えなかった桜。のうのうと生きている桜。 「そんなに焦らなくてもすぐに取り込んであげますよ、先輩。 本当はライダーに死んでもらう必要ないんですけど。 でも彼女、ただの道具のクセに私に意見するんだもの。 そんな壊れた道具、誰も要らないから処分してあげただけですよ。 それも本人のためだったんじゃないかな」 ――――そうか。 壊れたのなら、処分した方が本人のためなのか。 なら―――おまえはどうなんだ。 「・・・・おまえは、桜じゃない」 もう、俺の知っている桜じゃない。 俺が認めようとしなかっただけで、すでにあの黒い影に獲り殺されてる。 「ああ、そうか。なら、桜とライダーの仇をとらなくちゃな」 聖骸布を引き裂いて左腕を解放する。 「――――始めようか、本気の殺し合いを」 苦痛が、消えた。 衛宮士郎は死に。俺は悪を殺すだけの剣に、アーチャーに作り変えられる。 自身と敵の間合いを目測する。 現在、使用可能な剣を検索。 敵の攻撃方法を想定し、いくつかの戦術を構築。 ―――何も問題は無い、確実に敵の息の根を止める。 「―――そう。先輩も抵抗するんですね、無駄なのに。 せいぜい足掻いて、私を楽しませてくださいね」 一歩、桜が歩み寄る。 さらに一歩。 敵の足が止まる。 「・・・・・・」 桜の目が細まる。 すでに命を握った相手が、未だ余裕を保っているのが気に入らないのか。 ・・・・それとも、たったそれだけの事で躊躇したのか。 どちらにしても―――想定した通り、あれはまだ殺し合いというものを 理解していない。 「――――なにか企んでいますね、先輩」 当然の事を訊く。答える義務はない。 「―――――馬鹿な事を」 呟いて双剣を出す。 あとは――― 「―――無様だな。今になって何を怖がっている」 「わ――――私は怖がってなんかいません・・・! そこで震えて動けないのは先輩の方じゃないですかっ!」 「・・・・まあいい。いつでもこちらを殺せるんだろう? ならさっさと始めた方がいい。このまま何もしないのなら、 次に無駄口を叩いた瞬間にその首を切り落とす。 ―――いいかげん、顔も見飽きた事だしな」 「――――――」
904 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 17:40:57男子を朝餉に!?
905 名前: 衛宮家⇒言峰教会 士郎⇒言峰 桜⇒槍 虎⇒ギル 投稿日: 2005/09/10(土) 17:46:51 一日目・夕食 『言峰教会の夕餉』 このシーンをスキップしますか? YES/NO テーブルに夕食が並んでいく。 麻婆豆腐に麻婆豆腐、麻婆豆腐、麻婆豆腐、ついでに麻婆豆腐まで完備、 という文句なしの献立だ。 「いただきます」 「・・・・いただきます」 ランサーと二人、きちんと椅子に座って祈りを捧げ、静かに食事を始める。 カチャカチャと蓮華の音だけが響く。 基本的にはランサーは私を嫌っているので話しかけてこないし、 こっちもメシ時に話ができるほど多芸ではない。 自然、食事時は静かになる。 普段はもうちょっと喧しいのだが、今朝に限ってその喧しい奴は、 昨夜セイバーの夢でも見たのか、セイバーのプロマイドを眺めて ため息をついていた。 「ギルガメッシュ、辛気臭いからその顔こっちに向けるな。 ただでさえ不味いメシがよけい不味くなる」 「・・・・・・・」 明らかにケンカ腰に話しかけるランサーを無視するギルガメッシュ。 あまりにも怪しいが、ギルガメッシュが挙動不審なのはいつもの事だ。 ランサーも慣れているのか、とりわけ気にした様子もなく、 自分の皿のマーボーを容赦なくギルガメッシュの皿に移していく。 ランサーはどちらかというと肉を丸のまま焼くとかワイルドな食事を作る。 マトモな料理を覚えたのはこの教会に来てからだ。 私がとことん辛党な舌だったので、ランサーもせめて朝ぐらいはマトモな メシを食わせろ、と軽い料理を覚えてくれたのだ。 だが師匠である私に迫るほどの腕前はない。 特に今日の麻婆豆腐の辛さ加減は神域に入ってるっぽい。 味も上品だし、最近では豆板醤を自作するほどの余裕を見せている。 というか、奴の料理には辛さが足りなすぎる。 「すまない。ランサー、鍋を取ってくれ」 「・・・ああ。おかわりするのか?」 鍋を受け取り、おたま一杯に掬い取り―― 「いや、これはおまえの分だ、ランサー」 ―――そのままランサーの皿に流し込んだ。 師匠として弟子の成長を期待して・・・。
906 名前: 衛宮家⇒言峰教会 士郎⇒言峰 桜⇒槍 虎⇒ギル 投稿日: 2005/09/10(土) 17:48:32>>904 スレ違い。 それは台詞改変の方でやるべきネタ。
907 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 17:49:37↑の名前・・・消し忘れた
908 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 17:50:05んなどうでもいい突っ込みしなければ素直に褒めたのに
909 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 18:33:26まったくもって興ざめだ
910 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 20:05:44>>871 >>876 >>902-903 いやもうホント、何とお礼を言うべきか………… 我儘三昧に付き合ってもらってマジ感謝。 ともあれ、いいもん見せて貰いました。ごっそさん。
911 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 20:46:37>>906 >>904 は>>900 に対するレスでは?
912 名前: イリヤ→ギル 藤ねえ→言峰 投稿日: 2005/09/10(土) 20:57:22はい、こんにちは。 ちょっとした手違いで命を終えたおまえを祝福して昇天させる心霊ワールド、コトミネ教会だ。 助手の死後の天使一号だ。 しっかし、人生注意一秒怪我一生。 冗談の通じない相手をからかう時は、死を覚悟してからかうべきだな。 そのようだな。だが雑種、セイバーの一突きで魂吐き出すなど脆いな、まったく。 と、それはいいとして、今回のホトケはわりかしキレイだな。原形が残ってるなど珍しくないか? そうだな。なにか物足りない感じだ。 …………いじるか? …………いじるか? よし、これより改造手術を行う! 何かの手違いで蘇らないように、まずは左腕をアーチャーの腕に改造するのだ! サー、イエッサー! よし、インスタントにオペ終了! どうかね本○剛くん! 全身を改造された気分は! だが君の意思を尊重し、最後の改造、脳手術は止めておいた! おいた! さあ、このまま自主的に我ら峰ッカーの一員となるか、 洗脳されてマシンとなるか! 君の意思で決めたまえ! ドガガガガガガ た、たいへんです総統! 実験体が移植された左腕を使って、宝具を投影しました! ぎゃー、おお暴れです! 教会が破壊されます! わ、我々は自らの手で最強の敵を生んでしまったのではないでしょーか! しまったぁーーーーー! まずは脳改造からしておくべきだったかー! ぎゃー! フツーはまず脳改造から始めると思いまーす! 「はっ……!?」 なんか、すごいユメを見たっていうか、今のはまさか死後の世界……!?
913 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 20:59:24>>912 ちと改変が中途半端すぎるな もっとそのキャラらしさを出した方が良い
914 名前: 志貴→士郎 秋葉→慎二 投稿日: 2005/09/10(土) 21:29:07「さあ―――本気で、正義の味方を行使しよう」 頭痛が、止まった。 衛宮士郎は死に。俺は九を救うために一を切り捨てる、エミヤに切り替わった。 自身と敵との間合いを目測する。 距離にして十メートル。双剣が届く範囲に飛び込むだけなら二足。 確実に仕留めるなら三足が必要になる間合いだ。 廊下には遮蔽物もなく、大きく動いて身を隠すほどの広さもない。 壁と天井を足場にしたところで、慎二の視界から逃れることは難しい。 状況は以上だ。このまま一息に間合いを詰めたところで、 一呼吸の差でこちらが先に死ぬことになる。 「―――そうか。ようやくその気になったってわけだね。衛宮」 一歩、慎二が歩み寄る。 あと一歩。慎二が一度歩み寄れば、それが合図になる。 殺すか、引くか。 判断を誤れば、あの時と同じようにエミヤという人体が慎二のワカメに呑まれるだけだ。 ―――かつん、という足音。 「――――」
915 名前: 志貴→士郎 秋葉→慎二 投稿日: 2005/09/10(土) 21:30:02―――その、足音が消える前に、地面を蹴った。 「来たね――――――!」 敵意と興奮が入り交じった慎二の声。 慎二は手に入れた異能に酔いしれ、にやりと、俺の姿を視認する。 「――――」 その余分さ俺にとってたったひとつの有利であり、慎二にとっての敗因に他ならない。 「ダメだよ衛宮、いくら速くても近づけば近づくほどはっきり見えるんだから―――!」 歓喜するような声。 慎二の瞳がはっきりとこちらの姿を捉える。 俺は慎二に近寄ることもできず、ここでワカメまみれになり、その臭いで悶絶し床に転がる。 ―――まあ。 それも、俺がワカメに呑み殺される最期まで、慎二が俺の姿を見ていられればの話だが。 ぐるん、と視界が反転する。 「―――え?」 間の抜けた慎二の声。 手足を拘束しようとしていたワカメは、瞬時に消えた。 直進するしかない、という前提を信じ切った慎二には、 壁を足がかりにして天井を跳ねる俺の姿を視認できない。 間合いは十分。 体が落下する前に天井を蹴った。 「う、え―――?」 慎二の視界が上がり、手足のワカメが再開された。 どちらかの足と腕に違和感。 おそらくはもうワカメ臭が染みついてしまっただろう。 だが、もうそんなモノに要はない。 体は必要な推力を得ている。 そのまま――― 「うわっ――――!?」 慎二の体に衝突した。 「こ、のォ―――!」 倒れた慎二が顔を起こす。 慎二と密接したこの距離で視認されれば、 それこそコンマの誤差もなく体がワカメに汚染されるだろう。 だから。 その前に、分けた。 細い首。ドクドクと血を流す血管ごと、横一文字に線を引いた。
916 名前: 遠坂魔術→間桐魔術 投稿日: 2005/09/10(土) 21:32:57朝食を済ませて、鞄を手に取る。 「そうだ。蟲籠、持っていかないと」 学校にあんなモノを持っていくのは気が引けるけど、置いていくのも勿体ない。 「なにしろ百年物の蟲だものね。うちにいる蟲の中じゃダントツで最強だし」 いや、むしろ次元違い、と言ってもいいだろう。 昨夜父の蟲倉を探索して手に入れたコレは、今のわたし十年分の魔力を秘めている。 遠坂の家には古くから伝わる家宝があるというけど、あるいはコレがそうなのかも。 それ以外に父から継いだ物と言えば、左腕に住んでいる遠坂の刻印虫ぐらいだ。 刻印虫は簡単に言って後継者の証で、遠坂家が伝えてきた魔術を凝縮した寄生虫みたいなものである。 「……まだ始まった訳じゃないけど、用心に越したコトはないか」 今となっては父の形見といえる蟲籠をカバンに仕舞う。 「切り札だものね。コレに秘められた魔力なら、出来ないコトはないぐらいなんだし」 時刻は七時半。 そろそろ出ないと学校に間に合わない。 「Schlieung. Verfahren,Drei」 短く、魔力を込めて言葉を紡ぐ。 魔術師たる者、自分の根城を留守にする時は警戒を怠ってはならない。 たとえ、今まで一度も泥棒とか迷い子とか野良猫とか、 そういった類の闖入者がなかったとしてもだ。 ……否、そればかりかお隣さんが挨拶にきた事もないような。
917 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/10(土) 21:33:25「シロウが何したってシロウの味方をしてあげる。わたしだけは、最後まで、ずっと」 わたしはシロウが好きだから、とイリヤは微笑った。呆然とする俺の唇に、何か温かいものが触れて、また離れていった。 「イリ……ヤ……?」 「さよならシロウ。またね」 微笑うイリヤが別れを告げた。頬にはまだ柔らかな感触が残っている。思わず手で触れると、そこは熱く濡れていた。涙。イリヤの涙。まっすぐにイリヤを見つめ返すと、イリヤは視線を彷徨わせて身を翻し、夜の闇へと消えていった。 唐突に理解する。 何が正しいのかは判っていた。 俺は正しい道を選んだ。その選択は間違いではない。ただ――俺は必ず後悔するだろう。そして同時に、俺が衛宮士郎(けん)で在り続ける限り、決して後悔に溺れはしないと。 打ち捨てられたような公園には俺以外の誰も居なかった。じっとベンチに座り続けていると、冷たく重い雨が降り始めた。その激しさが今は心地よかった。雨よ、降れ。弱い俺を打ち砕け。心の剣を鍛え撃て。せめてこの涙が、涙と知れなくなるまでは。 そうして、どれくらい経っただろう。 そろそろ結果が出ているだろう、と立ち上がった時やっと気付いた。 唇に触れて離れていった温かいもの。 それが、バーサーカーの唇だったという事に。 それが、バーサーカーの優しいキスだったという事に。
918 名前: 体験版プロローグ+凛ルート三日目 投稿日: 2005/09/10(土) 22:09:07 アーチャーは反応していた。けれど、わたしは反応できなかった。 それが失点。一秒にも満たないその隙で戦いは終わった。 わたしにとっては一秒でも、あのサーヴァントにとっては度し難い隙だったのだ。 踏み込んでくる剣風。 「え、アーチャー……?」 わたしを突き飛ばすアーチャーと、アーチャーを切り伏せるサーヴァント。 本当に一瞬。ランサーの猛攻をあんなにも華麗に捌いていたアーチャーが、 ものの一撃で倒されたのか――― 「―――アーチャー、自爆して……!」 ――――瞬間。 あらゆる音が、失われた。 「――――――――!」 地面に伏せ、ただ耐えた。聴覚が麻痺したのか、何も聞こえない。 判るのは体を震わせる大気の振動と、肌を焦がす熱さ。 烈風で弾き飛ばされた様々な破片は四方に跳ね飛ばされ、 ごっ、と重い音をたてて、私の背中にも突き刺さった。
919 名前: 体験版プロローグ+凛ルート三日目 投稿日: 2005/09/10(土) 22:09:53「っ………………!」 歯を食いしばって耐える。 白い閃光は、その実一瞬だったのだろう。 体はなんとか致命傷を受けずに、その破壊をやり過ごせた。 「な――――」 ぼやけた頭で、私は呆然とソレを見ていた。 ……それはサーヴァントも同じだ。 何が起きたのかは判らない。 ただ、アーチャー自身が放った“閃光”によって衛宮家が一瞬にして炎上しただけ。 爆心地であったろう地面は抉れ、クレーター状になっている。 それほどの破壊をアーチャーは巻き起こし。 それほどの破壊を以ってしても、あの少年は健在だった。 「……衛宮君……ランクAに該当する宝具を受けて、なお無傷なんて――――」 私の声には力がない。 火の粉が夜の闇に溶けていく中。 赤い少年は微動だにせず炎の中に佇み、居合わせた者は声もなく惨状を見据えている。
920 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/10(土) 22:10:52アーチャーは宝具扱いかよ!
921 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/10(土) 22:24:37>>917 最後でもう台無しだwww
922 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/10(土) 23:28:37>自爆して ちょっと待てぇーーーーッツ!? でも、令呪使ったら爆発すんのかな、鯖。 「自害しろ」より確実に死ねると思うが。
923 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/11(日) 00:11:38士郎スゴスwwwww
924 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/11(日) 00:28:00ドリフのコントみたく、服ボロボロでアフロになった士郎を幻視した。
925 名前: もういちど⇒ハンバーグ争奪戦 槍⇒虎 士郎⇒剣 投稿日: 2005/09/11(日) 00:49:45 「――――――!」 ぞくん、と背筋が総毛立った。 何時の間にやってきていたのか。 真上から現れた箸は、一直線に私のハンバーグへと落下した。 「な・・・え――――?」 頭上から滑り落ちる箸。 人の動きとは思えないソレは、皿ごとハンバーグを串刺しにせんと 落下し――― 「こ―――のぉ・・・!!」 ただ夢中で、皿を抱えて転がるように前へと身をかわした。 たん、という軽い衝撃音と、ごろごろとだらしなく転がる自分。 それもすぐさま止めて、箸を構えたまま立ち上がる。 「・・・余計な手間を。見えていれば悔しかろうと、私なりの配慮 だったのに」 大河の顔から表情が消えた。 先程までの油断は微塵と消え、獣じみた眼光が、 こちらの動きとハンバーグを観察している。 「ぁ―――――」 しくじった。 ―――今目の前にいるには、常識から外れた猛獣だ。 それを前にして少しでも気を緩ませた自分の愚かさを痛感する。 ・・・そう。 本当に死に物狂いだったのなら、頭上からの一撃をやり過ごせた後、 脇目も振らずに口の中にハンバーグを放り込むべきだったのだ・・・! 「――――その余ったハンバーグは、士郎が年長者である私の為に用意 したものよ、セイバーちゃん」 大河が箸を再び構え直す。 「勝手に―――」 その、あるかないかの余分な動作に。 「言っていろタイガー――――!」 後ろも見ず、背中から窓へと飛び退いた・・・・! ガラスが音を立てて砕け散る。 「うがーーー!! タイガーって言うなー!!」 後ろを振り返る事無く皿を抱えて走るセイバーを、 窓から裸足のまま飛び出して追いかける冬木の虎。 そしてその姿を見送る人間が二人。 「・・・・ねえ、シロウの家っていつもこんな食事風景なの?」 「今日はちょっと喧しい方だけどね」 俺の返答にイリヤは盛大なため息をついた。
926 名前: 凛→士郎 投稿日: 2005/09/11(日) 12:23:00……戦争が起きたのだ。 国と国が戦う戦争ではなく、人と人とが戦う戦争。 といっても、いがみ合っていたのはたったの七人だけだ。 それなら戦争なんてお題目は似合わないのだけれど、その戦う人々が魔術師であるなら話は別である。 派閥の違う七人の魔術師達はよくわからない理由で競い始め、よくわからない方法で殺し合った。 そのうちの一人が、俺の目の前にいる人だった。 だから、この人も殺し、いつかは殺される立場にある。 その時が近い事は、俺なんかよりこの人の方がはっきりと感じていたはずだ。 「士郎、いずれ聖杯は現れる。アレを破壊するのは衛宮の義務であり、 何より正義の味方であろうとするのなら、避けては通れない道だ」 もう一度。 くしゃり、と俺の頭を撫でて、その人は去っていった。 それが最後。 マスターの一人として聖杯戦争に参加し、帰らぬ人となった、師であり父であった人の最後の姿。 「行ってらっしゃい、キリツグ」 行儀良く送り出した。 自分が泣きそうな事は判っていたけれど、涙は決して流さなかった。 あの人の事が好きだった。 父親として優れ、魔術師としても優れた人物。 彼は師として俺を教え、父として愛してくれた。 だから、決めていたのだ。 あの人が最期に何を遺すかで、俺は自らの道を決めようと。 士郎、いずれ聖杯は現れる。 アレを破壊するのは衛宮の義務でもあり、正義の味方であろうとするのなら避けては通れない道だ 彼は最後の最後で、父親としてではなく正義の味方として言葉を遺した。 だから、その瞬間に俺の往く道は決定した。 「よし。それじゃあひとつ、気合い入れて正義の味方になるか」 弟子が師の言葉に応えるのは当然のコト。 それから色々、紆余曲折あって俺こと衛宮士郎は成長した。 父が戦いに赴いた冬の日から、はや十年。 この時を待ちこがれていた訳ではないけれど、気持ちは知らず逸っている。 それも当然。 十年間片時として忘れなかったそのイベントは、あと少しで始まろうとしているのだから。
927 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/11(日) 16:50:16……言峰士郎よりも面白そうじゃないか。
928 名前: 慎二の蛮行 桜⇒ライダー 士郎⇒桜 投稿日: 2005/09/11(日) 18:06:36 「―――――と、ちょっと待ってライダー」 「はい? なんですかサクラ?」 ライダーはいつも通りだ。 昨日と何も変わらない。 愚図な兄が仮マスターで、間桐の家が没落寸前の魔術師の家系だとしても、 それはライダーには関係ない話。 ライダーが弄ばれる事はない。 そんな事はあってはならないのに、 「ライダー。右の首筋、見せなさい」 ライダーの右首筋―――長い髪に隠れて見えなかったが、たしかに、 キスマークのような痕があった。 「あ・・・違うんですサクラ。これはその、階段で転んじゃって、それで」 「――――――」 ・・・ライダーがこうやって誤魔化す相手は一人しかいない。 前からそうだった。 妙に元気があったり落ち込んでいたり、ライダーは不自然に 躁鬱な時がある。 それがあのワカメに嬲られての事だと気付いて、あいつを殴り殺しかけた 事もあった。 ・・・・それでも、今までこんな事はなかった。 数日前、ワカメが唇の端に口紅をつけてやってきた事があった。 それがライダーのものと気付いて、カッとなってワカメを足蹴にした のだが、あの時だってこんな―――女の子の肌に痕が残るまで吸い付ける なんて、変態行為はしなかったのに―――! 「――――あのワカメ」 「サ、サクラ―――」 バキ、という音。 手にしていた菜箸が折れたらしい。 「いい加減あたまにきた。二度とライダーにヘンな真似するなって言った のに、そんな当たり前の事も守れなかったのかあのワカメは・・・!」 「違いますサクラ。本当にそんなじゃないんです。これ、わたしが倒れた だけなんです。・・・シンジがわたしにぶつかっただけで、わたしが勝手 に倒れたんです」 「――――ライダー」 「本当にそれだけなんですサクラ。 ・・・それより、今はシンジに関わらないでください。 シンジ、昨日の夜からおかしいんです、常におかしいんですけど、 最近、気が立っているようなので、サクラにもおかしな事を 言ってしまうかもしれない」 「――――――」 ライダーはワカメを庇っている。 抱かれたライダーがそう言う以上、私が文句を言う事はできない。 ・・・・それに、ワカメがおかしい理由を私は知っている。 昨夜のワカメは常軌を逸していた。 偽臣の書を燃やされ、蟲ジジイと私に夜通し罵倒されたんだ。 その後、自室に戻ったワカメは、部屋にいたライダーを押し倒して 憤りを静めたのか。 「―――――く」 ライダーは何の関係もない。 魔術師でもないワカメに使われて実力が発揮できるワケがない。 なら―――あんな状態にあるワカメと一緒にいる事は安全なのか。 ワカメは意地汚くも諦めていない。 その凶行が、サーヴァントであるライダーに及ぶ事だって 十分ありえてしまう。 「・・・・あの、サクラ? すみません、迷惑をかけてしまって」 「―――――ばか。迷惑なんて、そんなこと言わないで」 ・・・・迷惑をかけたとしたらこっちだ。 昨夜、ワカメを貶した時点でこれぐらい予想しておくべきだった。 ライダーが今まで通りに過ごせる方法。 今まで通りに笑顔でいられる方法を、きちんと考え出さないと――― 「・・・とりあえず、タマでも潰しておくか」
929 名前: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 投稿日: 2005/09/11(日) 18:23:24桜がこんなだったら、慎二も大人しくなってたんだろうな
930 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/11(日) 22:05:52桜が慎二にライダー渡したのは何でだろう? あと玉潰すより陰茎切除のほうがより有効ではなかろうか。
931 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/11(日) 22:17:18>>930 自分は戦いたくない。でも爺はそれを許さない。ってことで代理人としてワカメ
932 名前: セイバー→士郎 ベディヴィエール→凛 投稿日: 2005/09/11(日) 22:32:19 理想(ユメ)の終わり。 その、あまりに長かった道程が、ここにこうして終わったのだと。 三度に渡り丘を越えた頃、森は朝日に煙っていた。 戦場跡は遠く。 血塗られた戦いの面影などない、清らかな薄靄(うすもや)の中。 「―――見届けてきた。街の住人たちは一人残らず、無事よ」 師であり、友人であり、相棒であった魔術師の言葉に、男は瞑っていた目蓋を開けた。 「……そうか。ありがとうな、遠坂。ホント、迷惑かけ通しだった」 死を迎えたその声に、魔術師は静かに頷いた。 ―――全ては終わったと。 この先、災厄の種は尽きないだろう。悲劇は終わらず、理不尽は人々の命を奪い続ける。 だが、衛宮士郎の戦いはこれで終わりだ。 魔術使い―――いや、正義の味方はその役目を、最後まで果したのだから。 ……光が消える。 事を為し遂げ、彼を保っていた最後の力が失われたのか。 「―――ゴメンな遠坂。 今度の眠りは、少し、永く――――」 ゆっくりと眠るように。 彼は、その瞳を閉じていった。 ……朝焼けの陽射しが零れる。 森は静かに佇み、正義の味方は眠りについた。 「――――――――」 魔術師はその姿を見守り続ける。 彼女が望んだ彼の姿。 たった一人の魔術師に看取られた一人ぼっちの正義の味方。 だが―――その顔は、彼女が望んだものだった。 穏やかな眠り。 彼は最期に、今まで得られなかった安らぎを得られたのだ。 それが、ただひたすらに嬉しかった。 魔術師はその安らぎを与えてくれた誰かに感謝し、誇らしい気持ちのまま彼を見守る。 天は遠く、晴れかかった空は青い。 戦いは、これで本当に終わったのだ。 「――――見ているんでしょう、士郎」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた正義の味方は、果てのない青に沈むように。 「理想(ユメ)の、続きを――――」 遠い、遠い理想(ユメ)を見た。
933 名前: 大阪Fate 投稿日: 2005/09/11(日) 23:04:19「――――、――――、――――」 意識が断線する。 たった百メートルが、永遠に到達でけへん長さになっとる。 「――――、――――、――――」 大空洞の崩壊は、時間の問題やった。 天蓋はトコどころが崩れ、荒野のようやった地上は、瓦礫の山になりつつある。 「――――、――――、――――」 関節が硬い。 手足を曲げると痛い。 気を抜くと呼吸をしておらへんので、喉にナイフを突き立てるぐらいの覚悟で、ようやっと数回だけ呼吸ができた。 そないな思いまでして息を吸うのは、酸素をとりこまないと人間は動けへんからや。 やけど、もしかすると、酸素なんてなくても今のオノレは動けるし、酸素をいっぱいとったトコで、もうじき動けなくな 「――――、――――、――――」 ……熱い。 体の中から、数百の刃が生えてくる。 逃げ様のない串刺し刑。 体は剣で出来とる。 けどそれは、とうに判っとったコトや。 は言った。 投影をすれば最後、時限爆弾のスイッチが入ると。 やから、この終わりはもう決められとった事や。 「――――、――――、――――」 ……足が重い。 ……オノレが何をしとるのか判りまへん。 痛みと疲労と空虚で心臓が破裂しそうや。 でもあともうちびっと。 アイツを消せばみなが終わる。 邪魔をするヤツはおらへん。 もうどなたはんも邪魔をするヤツはおらへん。 ――――だっちゅうのに。 「は――――――、あ――――」 影が揺らめく。 大聖杯と呼ばれるクレーターの前。 赤黒い炎に照らされて、が立っとる。 「――――言峰、綺礼」 「ああ。お互い、かろうじて生き延びとるようだな、衛宮士郎」 強い意志に満ちた声。 生きとるモノのおらへん世界で、その男は、宿命のように俺の前に立ちはだかった。 「―――何のつもりや。 今更、おまえの出る幕なんかない」 生きとったのか、なんてことは訊かない。 あの男は、死に体や。 魔力の波を感じさせへん体。 心臓の位置にある黒い染み。 ……俺と同じ、返された砂時計のように、短い炎。 言峰の心音は聞こえへん。 あの男は余命幾ばくもない。 憶測ではなく、これは断定や。 言峰綺礼は、何をしなくとも、あと数分後に死亡する。 「何をする、などとは判りきった事を訊くな。 わいの目的はただ一つ、この呪いを誕生させる事のみだ」 「――――何を。おまえにそないな事はでけへん。そいつはおまえの物になんてならへん」 「当然や。わいはこれに干渉する事はできんし、これに干渉する気もない。 やけど言った筈だぞ。わいは誕生するモノを祝福すると。 コレは今まさに産まれようとしとる。ならば、その誕生を阻む外敵から守ってやるのは当然ではおまへんかな」 「……正気か言峰、そないな今にも死にそうな体でなにを言ってやがるんや。仮に、おまえの望み通りソレを外に出したトコで、おまえは――――」 「それはおまえも同じやろうが。正気やらなんやらとうにない。目的を果たしたトコで、うちらの末路は同じや。 おまえはコレを滅ぼし、わいはコレを守る。 やけど、どちらが目的を果たそうと、結果を得る者はおらへん。それを承知でおまえはここまで来た。 ―――無意味な争いや。そないなものをする時点で、わいもおまえも正気ではおまへんやろう」 「――――――――」 ……言峰は退かない。 あいつはあの場から退かず、ヤツがいる限り、俺は最後の投影を試みる事さえでけへん。 投影には時間を要する。 そないな隙を見せれば、セイバーの剣を作る前に頭蓋を砕かれとる。 「……なんでや。なんでそこまでソイツを守る。 ソイツが出て来たトコで、アンタに返るものなんてないやろ。なのに、どうして」 死の淵においてまで。 人間の敵である“この世みなの悪”なんていうモノを容認するのか。 「何故も何もない。わいにとっては、これが唯一の娯楽やからや。 ――――衛宮士郎。 おまえが他人の幸福に至福を感じるように。 わいは、他人の不幸に至福を感じるだけだ」 「――――」 「そもそも何故殺す。生まれる前から悪と決めつけるのは傲慢ではおまへんか。孵りたがっとる命ならば、羽化させてやるのが愛ではおまへんのか」 「何が愛や、屁理屈言うな。アレはもうようけの人間を殺してきた。このまんま外に出す事はでけへん」 「ほうか。では訊こう。おまえの言う善悪とはなんや。人を殺す事が絶対の悪だと、おまえはそう言うのか?」 「……それ、は」 ……そないなもの、答えられる筈がない。 今の俺には善悪がない。 桜を救うと決めた時点で、俺には、衛宮士郎が信じとった正義はなくなってしもた。
934 名前: 大阪Fate 投稿日: 2005/09/11(日) 23:07:22「―――それでええ。もとより答えなどない。人間とはそういうものや。明確な答えなどなく、変動する真実を良しとする。 うちらには、初めから真実となる事柄なぞない。 人間は善悪をいっぺんに兼ね備え、その属性を分けるのはあくまで自身の選択による。 始まりはゼロであり、生まれ出る事に罪はないと、おまえには教えた筈やけど」 「―――ああ。たとえそれが悪であろうと、赤ん坊に、罪はない、と」 「そうや。人間は生まれ、学習によって善か悪か、そのどちらかに偏るモノや。 とある聖典にはこうある。人間は天使より優れた存在だと。何故か。それは悪を知りながらも、悪に走らぬ者がおるからだと。 生まれながら善しか知らぬ天使とはちゃう。 人間とは、悪を持ちながら善と生きられる存在故に、善しか知らぬ天使より優れたモノだと」 ――――然り。 吐き気を催すような悪人が、戯れに見せる善意がある。 ようけの人間を救った聖人が、気紛れに犯す悪意がある。 この矛盾。両立する善意と悪意こそが、人を人たらしめる聖灰や。 生きるちう事が罪であり、生きておるからこその罰がある。生あってこその善であり、生あってこその悪や。 故に――――」 ――――生まれ出でぬモノに罪科は問えへん。 何者にも望まれぬモノ、生まれながらに悪であるモノなどやない。 アレは誕生するその瞬間まで、罰を受ける謂れはない」 それが、言峰ちう名の神父の答えやった。 あの男はホンマに―――そないな理由で、人間が望みあげてしもた“全ての悪”を赦そうとしとる―――。 「―――やからって許すのか。コイツは初めから殺す為だけのモノや。外に出る事でようけの人間が死ぬと判っとるのなら、 それは、俺たちにとって紛れもない悪やろう……!」 「そうや。これは存在自体が悪や。なにしろそのように創られた。初めから悪であるようにと生まれたのや。 人間とはちゃうわ。これは悪しか持たぬ、人々が創り上げた純粋な単一神や。 やけど―――その行為が悪だとしても、アレ本人がそれをどう思うかはまだ判るまい」 「え……?」 本人……“この世みなの悪(アンリマユ)”が、オノレをどう思うか、だって……? 「そうや。 “この世全ての悪”本人が自らの行動を“悪し”と嘆くか、“善し”と笑うか。それはうちらの計るトコではおまへん。 もしアレに人に近い意思があり、自らの存在を嘆くのであれば、それは悪やろう。 やけど自らの存在に何の疑問も持たなければ、アレは善や。なにしろそのように望まれたモノ。 自らの機能に疑いを持たぬのであれば、それが悪である筈がない」 「な――――」 「そう。 生まれながらにして持ち得ぬもの。 初めからこの世に望まれなかったもの。 それが誕生する意味、価値のないモノが存在する価値を、アレは見せてくれるやろう」 「何もかも無くし何もかも壊したあと、ただ一人残ったモノが、果たして自身を許せるのか。 わいはそれが知りたい。 外界との隔たりをもったモノが、孤独(ありのまんま)に生き続ける事に罪科があるのかどうか、その是非を問う。 その為におまえの父を殺し、その為に間桐桜を生かした。わいでは答えは出せへん。故に、答えを出せるモノの誕生を願った」 ―――それがわいの目的や衛宮士郎。 自身に還る望みを持たぬおまえと対極に位置する、同質の願望や」 「―――――――」 ……俺には理解でけへん。 この男の望み、求めたものは俺には遠すぎる。 ……やから、判るのは一つだけや。 こいつは――――そないな事の為に、桜を。 「桜を。そないな事のために、桜を利用したんか」 おぼろがかった視界を振り絞って、満身の敵意を込めて神父を睨む。 ヤツは。 「そうやな。そないな事の為に、わいはようけのモノを殺してきた。故に今更降りる事やらなどできん。 言ったやろ。わいはそのように生きてきた。 その疑問を解く為だけにここにあった。 それは、死を前にして変わるものでもないわ」 僅かにも目を逸らさず、死に行く体で断言した。
935 名前: 大阪Fate 投稿日: 2005/09/11(日) 23:08:09「――――――――」 堂々としたその言葉。 オノレには後悔も間違いもないと、当然のように語る姿。 「………………ああ、そうか」 それで、分かった。 あの男とは相容れへん。初めて会った時から認めるものかと反発しとった。 ……その正体が、分かってしもた。 認めたくないが。 どうも俺は、言峰綺礼ちう男が好きやったらしい。 それを否定する為に、最後まで気付かないまんまでいる為に、必死にヤツを敵視した。 ヤツは俺に、オノレたちは似とると言った。 今なら解る。 共に自身を罪人と思い。 その枷(かせ)を振り払う為に、一つの生き方を貫き続けた。 ―――その方法では振り払えへんと判っていながら、それこそが正しい贖(あがな)いだと信じて、与えられへん救いを求め続けた。 「―――――退かんわな、そりゃ」 同じなら、退くはずがない。 ヤツは死に行く体やから、最後に望みを叶えようとしとるんやない。 ……そうわ。最後やからこそ誓いを守る、ではおまへん。 あいつはそういう風に生きてきた。 今までそれ以外の道を歩かなかった。 やから、一分後にオノレが死ぬとしても―――それ以外の、ホンマに正しい生き方を知らないだけ。 「……ふん。それにな、告白すれば八つ当たりでもある。 以前からよもや、とは思っとったが、事ここに至ってようやっと気が付いた」 踏み出してくる。 俺もあいつも動ける時間は残り少ない。 やから、決着は迅速に。 オノレの炎が尽きる前に、相手の炎を根絶やしにする。 「――――わいは、おまえたちを羨んでいる。 求めても得られなかったもの。手に入れたちうのに手に入らなかったもの。どのような戒律をもってしても、指の隙間から零れ落ちた無数の澱(おり)」 “おまえたちが幸福と感じるものが――――” 「その鬱積を、ここで帳消しにするのみや」 “――――わいには、幸福と感じられなかった” ……ああ。何をしても得られなかったこの男こそが、空っぽや。 求めて求めて、何一つ幸福を得られなかった。 そうして得たものは死を運ぶっちゅう生き方のみ。 なら―――その、たった一つだけ在った生き(モノ)方を、どうしてここで放棄(すて)る事が出来るやろう。 「―――そうか。無駄な時間を使わせたな、言峰」 忘れとった呼吸を再開する。 肺に空気を送り込み、体を戦闘用に切り替える。 「構わん。時間がないのはお互いさまや」 言峰の筋肉(からだ)に力が篭る。 魔術戦にやらなんやらなる訳がない。 俺たちは互いに死に体。 出来る事やらなんやらこの拳を相手に叩きつける事だけ。 残されたものは技術も駆け引きもない、残った命を潰しあう殴り合いや。 ヤツは俺を殺し、その望みを叶え。 俺はヤツを倒し、その望みを破壊する。 賭けるものは互いの命。 その刻限がくる前にヤツを倒し、あの影を消去する。 地を蹴り、一直線に“敵”は敵を討ちに迫る。 「、は――――」 こっちにはそれだけの足がない。 腰を落とし、正面から襲いくる敵の胸元を見据え、 「、あああああああ――――!」 躱しようのないタイミングで、渾身の一撃を見舞わせる……! やけど、突き出した右拳は宙を切り、衝撃を受けたのはウチの胸元。 「ぐ、っ――――!?」 言峰の姿がない。 あの速度。あの勢いで襲撃した敵は、一瞬で視界から消え去り、 長身を折り畳むよう俺の左横に身を屈め、掌で腹を殴りつけ、 迸る稲妻めいた左右の脚で、俺の体を容赦なく蹴り上げた。
936 名前: 大阪Fate 投稿日: 2005/09/11(日) 23:08:55「は――――ず…………!」 火を吐くような左右の蹴り上げ。 傷つけられた痛みで意識がトブやらなんやら、ここ数時間忘れとった。 「ぎ、っ――――」 何メートル突き上げられたのか。 胴から首を引っこ抜かれてもおかしくない衝撃。 いや、それを言うなら腹を叩いた二撃目ですら、内臓を破壊する威力があった。 「お、まえ――――」 知ってんねん。 初動作のない最短の軌跡。円でありながら線、外部はもとより内部へのダメージを考慮したそれは、 「神父のクセに、中国拳法、なんて」 それも秘門(ごくじょう)。 今のは、見様見真似で出来る動きやない……! 「そうでもない。わいのコレは真似事や。師の套路(とうろ)を真似ただけの、内になあんも宿らぬ物やけど―――死に損ないの相手には十分のようやな」 吹き飛ばされた俺へと振り返る。 「っ…………!」 追撃が来る。 固まった関節を力ずくで曲げ、体を起こす。 「…………?」 が、言峰は動きを止めたまんま、自らの拳を見とった。 その手は真紅に染まっとる。 「厄介な体だな。打つ方が命がけとは」 それは、 刃の塊を素手で砕こうとした代償やった。 「は――――あ」 ……飛びそうな意識をかき集めて敵に向き合う。 そないなものは関係ない。 あいつは、たとえ相手が死の棘やろうと手を止める事はせん。 「やけどええ条件(ハンデ)や。 つまるトコ、わいとおまえの戦いは」 「っ――――」 言峰の腰(からだ)が沈む。 鍛えぬかれた肉体が、一秒後の爆発に備えとる。 「外敵との戦いではなく、自身を賭ける戦いっちゅう事や――――!」 ――――敵が迫る。 格闘技術において、言峰は俺を遥かに上回っとる。 ヤツの拳は砕けまい。 このまんまでいけば、砂時計が空っぽになる前に砂時計(うつわ)ごと破壊される。 「は――――」 目を背けず、火花じみた速度で迫る敵を迎え入れる。 やるべき事は唯一つ。 前回より迅く、躱されてもより迅く、この拳を打ち込むだけや。 ――――耳朶(じだ)に響くものは己の心音のみ。 止まない落盤の音も、雨のように降り注ぐ土塊も目に入りまへん。 倒すべきモノは目の前にいる。 何百年と続いた妄執、一つの世界の崩壊に関心はない。 衛宮士郎にとって。 この“敵”に打ち克つ事だけが、残された最後の意味やった。
937 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/11(日) 23:11:35単なる方言変換だけでクソ長いの貼るなよ
938 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/11(日) 23:16:23これだけの量をやったのは評価に値すると思う。 ただ、このネタに、このシーン、かつこの長さは合わなかったかもしれない。 せめて、もっと短い単発ネタの方が映えたかもなあ。 あと所々、大阪弁ではないような…… 方言の中では言語学的にも段違いの難易度らしいので、下手に手は出さない方が無難かも。
939 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/11(日) 23:17:29スレ終了直前に無駄な浪費するのやめてくれ ここが2chのエロパロならえらい事になってたぞ
940 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 00:46:06ネタ自体は悪くないと思う。 最初は笑った。んでも2レス目で飽きた。
941 名前: アルクとのデート⇒イリヤとのデート 投稿日: 2005/09/12(月) 01:31:02 「なに? どうかしたの、シロウ?」 「いや、いつもと様子が違うから、戸惑ってるだけ」 「?」 イリヤはかすかに首をかしげる。 ・・・どうも、本人は全く気が付いていないようだ。 率直にいうと、ものすごく視線を感じる。 道を歩いているだけで周りの人たちからチラチラと視線を送られている。 ・・・・その、言うまでもなくイリヤが外国の可愛らしい少女で、 その手を明らかに親類じゃない男が引いているせいだろう。 いわゆる、あらぬ疑いというヤツだ。 自分でも少しは意識していたけど、まわりからこうあからさまな反応を されると余計に意識してしまって、困る。 イリヤが今までとなんら変わることなく接してきているのに、 こっちだけが周りを意識してしまってるものだから、 さっきから会話が全く上の空だ。 「ねえ、聞いてるのシロウ? これからどこに行くのかって 聞いてるんだけど、わたし」 「ああ、もうすぐだから我慢してくれ。 イリヤが落ちつける所へ向かってるから」 ――――というわけで、路地裏に到着した。 「待たせたな。ここなら人気もないし、イリヤも落ちつける―――」 「・・・・・・・・・・・・」 あれ―――? 心なしか、イリヤの視線に、殺気がこもっているような気が、する。 「イリヤ・・・・? もしかして、ここは気に入らないのか・・・?」 「・・・・・・・・・・・・」 ・・・・よっぽど気に入らないのか、イリヤは口さえ利いてくれない。 「おかしいな・・・イリヤは魔術師だから人込みよりこういう所の方が 好みかなって思ったんだけど――――」 「――――――!」 ぎらり、とイリヤの眼光が鋭くなる。 ・・・まずい。なんか、ここまで怒っているイリヤを見るのは 初めてかもしれない。 はあ、と大きくため息をついて、イリヤは顔をあげた。 「ね、シロウ。これ、何の冗談?」 「あ――――う」 怖い。何が怖いって、これ以上怖いことはないっていうぐらい、 イリヤの笑顔は怖い。 「いや、あの・・・もうしわけ、ございません。 完全にこっちの手違いだった」 両手を合わせて拝み倒す。 イリヤは笑顔のままだ。 「そうだよね、こんなところに来ても遊ぶものなんてないし、 出来る事っていったらシロウがセイバーを呼び出した夜の やり直しぐらいだもの」 俺がセイバーを呼んだ夜って、その――― 「うん、今ならあの時とはちょっと違った展開になるかも。 それはそれで楽しいかな。 ね、シロウ?」 ―――これは、脅迫だ。 イリヤのヤツ、笑顔で逆襲をしてきている。 「・・・・だから悪かったって。反省してるから、その笑顔だけは やめてくれ。次はもっとマシなところに連れて行くから」 「そう? 結構その気になってたんだけどな、わたし」 残念そうに首をかしげるイリヤ。 ・・・本当に反省しよう。 いくらイリヤがマスターだからって、デート先に路地裏を選ぶなんて どうかしていたとしか思えない・・・・。 そうして路地裏から出てきた俺達を待っていたのは、警棒を手に とてもいい笑顔をした派出所勤務のお巡りさんだった。
942 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 01:51:50>>940 俺なんか3行で飽きた。 トライガンの彼を思い出したぜ
943 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 01:59:07方言は文章で読むもんじゃないな
944 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 03:18:14>>941 そりゃあ通報されるなw
945 名前: 翡翠END 投稿日: 2005/09/12(月) 03:43:30「志貴さま」 「え――――ああ、先にどうぞ。俺より翡翠が先に 入ったほうがいいと思う」 はい、と答えて翡翠は病室のドアをノックする。 どうぞ、という返事がして、俺たちは病院に入った。 ―――――病室には琥珀さんしかいない。 彼女はベッドに横たわったまま上半身だけを起こして、 俺と翡翠を見た。 「……………」 ……琥珀さんに笑顔はない。 不安そうな瞳が、入ってきた来客を見つめるだけ。 「――那个哪边先生呢?」 その言葉に、翡翠の肩が少しだけ震えた。 「お見舞いにきたんです。失礼しますね、姉さん」 姉さん、と呼ばれて琥珀さんは意外そうに翡翠を 見る。 翡翠は琥珀さんの傍らに座った。 自分は邪魔だな、と思いつつ、目立たないように壁際の 椅子に座る。 琥珀さんは相変わらず、元気のない顔をして翡翠と俺とを 見比べた。 「那个……请原谅。我,是是什么不正常。 弦二人也憶因为海湾的心做透明土,那曾海湾什么样憶 回忆背区域人」 申し訳なさそうに琥珀さんは言う。 それは冗談や何かの例えではなく、本当に、琥珀さんから出た言葉だった。 ――――――言語には障害がある。 そう聞かされたのは、たぶん俺の方が先だったと思う。 琥珀さんは以前の琥珀さんではなくなっていた。 ……いや、その言い方には語弊がある。 なんでも琥珀さんの言語システムには日本、中国、露西亜、フィリピンと いう四大のものに区別できて、琥珀さんはそのうちの中国以外の 言語が異常をきたしてしまったという。 医師の話では他人が話す言語を理解することはできるが、 喋る……以前話せた言語の大半を使えなくなっている、との コトだった。 ……それは使うことの出来ない、というよりすでに失われてしまった もの。 致死性の毒物のショックでそうなったのか、それとも琥珀さん本 人の意志で閉じてしまったのかは分からない。 ただ、こうして目の前にいる琥珀さんは、体も心も琥珀さんの ままで、ただ、日本露西亜フィリピン等々の発音、単語、文法の全てを 忘れてしまっているだけだった。
946 名前: 翡翠END 投稿日: 2005/09/12(月) 03:44:20「那个……」 上目遣いで琥珀さんは翡翠を見つめる。 はい? と答える翡翠に、琥珀さんは遠慮がちに話しかける。 「和我赞成作了脸的你是谁吧」 「――――――――」 翡翠の体は、凍りついたように停止する。 けれどそれも一瞬。 翡翠は少し考えたあと、淡く微笑んで、琥珀さんの手を握った。 「………わたしは…あなたの妹です…。…ヒスイ…というんですよ」 是、と琥珀さんはどこか間の抜けた返答をする。 しかしそれは翡翠にとって喜ばしいモノだった。 翡翠が中国語を勉強しだしたのは、琥珀の障害を聞いてからなのだ。 それがまがりなりにもきちんとリスニングすることが出来たのだから。 「翠鸟……爸爸、出去巢」 すると、琥珀さんがさも相談したそうに翡翠を見上げた。 それは、”自分の言葉が通じる”という達成感に酔っている翡翠にとって なんと魅力的な言葉だったんだろう。 まるで自分に任せて置け、とばかりに自信満々に微笑んで、はい、と力いっぱいに答えた。 それを見て琥珀さんは安心したように頷き、翡翠に対して少し早口で喋りだした。 「那样,只顾煮憎恨了, 可怕痛那样的剩余胜左右跟随我仅只顾煮憎恨了那么马和事决定如果 你俺杀有鸬鹚的奈良全身老早麻痹胜负未定,还不离开小刀的右手的感觉堕样子杀杀? 谁什么? 母亲和刃―笑洒那样、确切那个通过急忙笑洒那样、确切那个通过。绝对不被逃跑。绝对不放跑。 做事、仅一个向变化,来裂帛的心合的白痴的语举起了笑声不正常。不正常,笑不停止――…‥」 病院を出た後。 唐突に翡翠に連れ出された先は、街外れにある草原だった。 さわさわと揺れる草と頬を撫でる風が、沈みかけていた心を流してくれるような、そんな光景。 翡翠は俺のほうにふり向き、微笑みながらそう口にした。 「――正直、何言ってるか全然わかりませんでした――」 うん、わかってた ―――――憧れていた青空の下。 屈託のない彼女の笑顔を、名残りの花のように、最後に一度だけ幻視した――――――
947 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 08:56:00つまらん
948 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 13:41:55大阪弁の奴と同じ奴か? 自分で面白いと思って書いたんだろうか。
949 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:20:28キノコ作品に中国語しか喋れないキャラとか、 大阪弁使ってばっかのキャラがいれば入れ替え・交換ということでスレの許容範囲だけど、 キノコ作品と何の関係も無いんじゃセリフ改造スレ行きのネタだよ。
950 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:27:03いつぞやの頭悪いアーチャーは神クラスだったなあ。
951 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:27:52せめてエセ中国語だったら少しはマシだったかもしれないアルヨ
952 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:31:16正直、ここ数スレは>>1 を守ればスレ違いがほとんどな気がするが、 そんなでもそこそこ読めるのは突っ込みは入らないけど、 結局こうやって突っ込みはいるのは、素で面白くないからなんだよな。
953 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:36:35ここらでテンプレちょっと変えてみた。 1.表現を逆にする 2.肯定文を否定文(またはその逆)にする 3.名詞を入れ替える 4.キャラを入れ替える 5.突然場面を切り替える ※注意!※ 名前欄に入れ代わったキャラ、メール欄に元ネタの場面をいれる事。 前スレ 6thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1121553839/ 関連スレ 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ あと、原文を探すのに役に立ったり立たなかったりするスレとして お気に入りの台詞を上げるスレ ※ネタバレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062860575/
954 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:44:10>953 ついでにこういうのはどうよ? 関連スレ 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ (型月と関係ないキャラとの入れ替えはこっちで) 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ (UBWの呪文だけを改変する場合はこっちで)
955 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/12(月) 14:49:05関係ない改変はネタスレの方が良くないかな? だから、こんな感じで。 関連スレ 月姫ネタ総合スレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062166843/ (型月と関係ないキャラとの入れ替えはこっちで) 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ (セリフだけを改変する場合はこっちで) 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ (UBWの呪文だけを改変する場合はこっちで)
956 名前: 士郎→ギル 言峰→士郎 投稿日: 2005/09/12(月) 16:34:27>※注意!※ 名前欄に入れ代わったキャラ、メール欄に元ネタの場面をいれる事。 ※名前欄かメール欄に入れ替わったキャラ、あるいは元ネタの場面のどちらかを入れる事 でいいんじゃね? 片方あれば大体分かるんだし。 あとそれだけじゃなんなのでネタも。 「―――――――」 ……我(オレ)には理解できない。 この願作者の望み、求めたものは我には遠すぎる。 ……だから、判るのは一つだけだ。 こいつは――――自らの理想の為のみに、我と。 「我と。平等という綺麗事の為に、我と戦うというのか」 炎に揺れる視界を振り絞って、満身の殺意を込めて雑種を睨む。 ヤツは。 「そうだな。そんな事の為に、俺は多くの痛みを引き受けてきた。だから今更降りる事なんて出来ない。 言っただろう。俺はそのように生きてきた。 その理想が綺麗だったからここにあった。 それは、死を前にして変わるものでもない」 僅かにも目を逸らさず、傷付いた体で断言した。 「――――――――」 堂々としたその言葉。 この想いは間違ってなんかいないと、当然のように語る姿。 「………………ああ、そうか」 それで、分かった。 あの男とは相容れない。初めて会った時から認めるものかと反発していた。 ……その正体が、分かってしまった。 認めたくないが。 どうも我は、衛宮士郎という男が好きだったらしい。 それを否定する為に、最後まで気付かないままでいる為に、必死に奴を敵視した。 奴は我に、自分たちは似ていると言った。 今なら解る。 共に自身を伽藍と思い。 その虚(うろ)を埋める為に、他者の生き様を詰め込み続けた。 ―――その方法では満たされないと判っていながら、それこそが正しい欲望だと信じて、与えられない救いを乗り越えていく。 「―――――ああ、退かなかろうな」 同じなら、退くはずがない。 奴は我に殺される前だから、最後に望みを叶えようとしているんじゃない。 ……そう。最後だからこそ誓いを守る、ではない。 雑種はそういう風に生きてきた。 今までそれ以外の道を歩かなかった。 だから、一分後に我に殺されるとしても―――それ以外の、本当に正しい生き方を知らない。 「……ふん。それにさ、告白すれば憧れかもしれない。 以前からもしかして、とは思ってたが、今更になって気が付いた」 踏み出してくる。 雑種の世界が保つ時間は残り少ない。 だから、決着は迅速に。 自分の偽物(けん)が尽きる前に、相手の本物(けん)を根絶やしにする。 「――――俺は、おまえを羨んでいた。 たった今まで得られなかったもの。すぐ傍にあったのに手に入らなかったもの。どれほど信念を握り締めても、あっさりと露呈する心の罅(ひび)」 “担い手はここに孤り。剣の丘で鉄を鍛つ――――” 「ようやく得られた強さを、お前にぶつけるだけだ」 “――――ならば、我が生涯に意味は要らず” ……ああ。何をしても得られなかったこの男こそが、空っぽだ。 求めて求めて、何一つ幸福を得られなかった。 そうして得たものはこの小さな世界のみ。 なら―――その、たった一つだけ作られた硬い剣を、どうしてここで壊す事が出来るだろう。 「―――そうか。無駄な時間を使わせたな、士郎」 惜しんでいた愛剣を解き放つ。 鍵剣に魔力を送り込み、霊体を戦闘用に切り替える。 「いいや。後がないのはお互いさまだ」 魔術師が荒野を駆け抜ける。 奴は我を倒し、その理想を叶え。 我は奴を殺し、その理想を破壊する。 「いくぞ英雄王――――武器の貯蔵は十分か」
957 名前: DDDなセイバーたん 投稿日: 2005/09/12(月) 22:55:33>>956 金ぴかかっこよすぎ 燃えますた GJ!! 久々に電波受信したんで書きなぐります 4スレ目>>125 の続きとして読めば二倍美味しい? 目の前の料理を喰らい尽す。 噛み締める顎(あぎと)。私の願いに従い駆け巡る右腕はテーブルの上を駆け巡り、容赦なく皿に盛られた料理を蹂躙する。瞬食500ハラペコ、至近距離で放たれる芳香、200キロはあるローストビーフが、面白いように胃袋に収められていく。 「――――、はむっ」 臓腑からは歓喜が溢れ出す。感情は脳からではなく胃腸から発生する。だって頭は幸福(しあわせ)でもはや『全て遠き理想郷(アヴァロン)』にご招待、まともに機能する筈がない。命令系統(脳)の回復まであと二分三十秒、口と箸は残像を描(えが)いて疾走する。 だが食べている以上、味覚は機能する。聖杯なんて知った事ですか、舌の上では美味が味蕾(みらい)を串刺しにする。まるで、この世でただひとつ理想を叶える第六魔法。感動はA10神経を一時間あたり300キロで疾駆する。 「はむはむ、こくこく、美味しい、美味しいです美味しいです、すごく美味しいです!!」 駆け巡る電流血液脳内麻薬、私は美味しさにのた打ち回り、食欲が暴走する。 途端、ぎちん、と何かが切れる。剣を抜いてからこれっぽっちも求めなかった己の幸せが、幾壮年溜め込んだ『はらぺ娘』を甦らせる。 「はむ、はむはむこくこく、はむはむこくこく!!」 食べる。箸で摘まんで、口の中に入れる。噴出する旨みが、津波の様に口の中に注ぎこまれる。天上の食べ物のようだ。料理の群はコースとなって私とテーブルとを繋ぎ止める。 幸せです。幸せです。幸せです。今まで押さえ込んでいた欲求が、びくんびくんと呼応する。この私が捨て去った少女の私が、カタチを持って蘇生する。いい。もう何もかもどうなってもいいってぐらいのご馳走です、さすがシロウは私の鞘です!剣の誓いを!私はシロウの剣となります! 「シロウ、もっと早く作って下さい!さあ、次のメニューがあるなら今すぐに、貴方のレシピをここで吐き出してください。食材を残したままだと未練が残ってしまいます、シロウのような方がマスターであって本当に良かった!」 ふふふと微笑む。すごく、美味しすぎです。ご飯を食べているだけなのになぜかとても幸せですよ? 「なんだ? セイバーは、まだ食べたりないのか」 再び調理を再開するマスター。下拵え、火にかけられた鍋から湯気が流れている。宝具で袈裟斬りにしたような断面は、さすが料理の鉄人といったところ。 が。同時に、せっかく自由に使えるはずの食材は大半が無くなっていた 「けど、限られて取るに足らない食材でも。それでも絶対セイバーを満足させる!!」 台所に美味しい匂いが満ちる。それを嗅いで興奮したのか、セイバーは茶碗を箸でチンチンと。あれはお行儀悪い。きっちりテーブルマナーをコーチされてたはずなのに、我慢しても我慢してももはや限界に近いらしい。どうしたって言うんだアーサー王。 「でも、美味しい。私が食べたどの料理よりも。私の郷土料理など、これに比べれば『雑』です」 激しく調理が繰り広げられる。セイバーはまだテーブルから動けない。ソレを衛宮士郎は正確に把握している。 「すごく嬉しい。なぜなら――――今まで、イギリス料理以外を、食べた事がなかったから」 騎士王――――アルトリアは思い出したかのように背筋を正して、料理を運ぶ士郎を凝視している。お行儀悪かった事なんて忘れている。すげえ、とにかく食べる事に夢中なんだはらぺこさんは! 「先程、なにか言っていたみたいですが。戦うのは、私の役目です。同じサーバントでなければ対抗できない――――私は貴方の剣なのだから」 ――――きりりとしてた頬が緩む。口の中から唾液を溢れさせ、セイバーはパタパタ尻尾を振っている。 しかし、士郎もすごい料理技能ですね。 テーブルに並べられた料理が香る テーブルに広げられた料理に眩む 「はぅっ……?」 騎士道や王の誓いなどがあっては料理を味わえない。僅か数刻だけ、今まで守りに守り通してきた理想を棚の上にのせる。 ――――さあ、はらぺこライオン(アルトリア)ちゃん。待たせましたね、ゴハンの時間ですよ。
958 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/13(火) 00:07:02はらぺこライオン、GJ!
959 名前: プロローグ⇒凛トゥルー後 凛⇒士郎 時臣⇒凛 投稿日: 2005/09/13(火) 02:22:10 「それじゃあ行くけど。後の事は解っているわね」 重い声に、軽くああ、と答えた。 俺の頭を撫でていた人は一度だけ頷くと、手を離して立ち上がった。 ・・・だから、それだけ。 あの時これが最後だと知っていたのなら、とっておきの毒舌で 怒らせてやっていたのに。 いつかこいつの化けの皮を剥がしてやろうと、一人で何度も何度も 毒舌を練習していた。 それが結局、一度も披露できなかったのが、悲しいといえば悲しかった。 「一人前になるまでの間は協会に貸しを作っておきなさい。それ以後の 判断はあなたに任せるわ。あなたなら独りでもやっていけるでしょ」 なんて言いながらも、一応は心配だったのだろう。 今まで隠してきた借金の事とか、積み重なった莫大な利子の事とか、 当面の軍資金の隠し場所とか。 今まで俺に隠していた事を 矢継ぎ早に話す姿を見て、なんとなく気付いたのだ。 ―――たぶん。 こいつは、もう帰ってはこないだろうと。 「士郎、いずれ借金取りがここにも現れる。アレを追い払うのは あなたの義務であり、何より―――魔術師であろうとするのなら 避けては通れない道なのよ」 もう一度。 くしゃり、と俺の頭を撫でて、トランクを片手にそいつは去っていった。 それが最後。 マスターの一人として聖杯戦争に参加し、最後まで勝ち残った、 師であり恋人でもあった人の最後の姿。 「行ってらっしゃい、遠坂」 快く送り出した。 自分が泣きそうな事は判っていたけれど、涙は決して流さなかった。 あいつの事が好きだった。 女性としても優れ、魔術師としても優れた人物。 魔術師というのは偏屈者しかいない。 その世界において、あいつほどの優れた人格者はいなかっただろう。 彼女は師として俺を教え、恋人として俺を愛してくれた。 だから、決めていたのだ。 あいつが最後に何を遺すかで、俺は自らの道を決めようと。 ――――士郎、いずれ借金取りがここにも現れる。アレを追い払うのは あなたの義務であり、何より―――魔術師であろうとするのなら 避けては通れない道なのよ―――― 彼女は最後の最後で、魔術師ではなく債務者として言葉を残した。 だから、その瞬間に俺の往く道は決定した。 「――――よし。それじゃあひとつ、 気合入れて一般人になりますか―――」 弟子が師の過ちを繰り返さないのは当然の事。 それから色々、紆余曲折あって俺こと衛宮士郎は成長した。 遠坂が夜逃げした日から、はや十年。 この時を待ち焦がれていた訳ではないけれど、気持ちは知らず逸っている。 それも当然。 十年間片時として離れられなかった借金が、あと少しで完済されようと しているのだから――――
960 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/13(火) 02:26:05借金ネタは飽きた
961 名前: 王女メディア+プロローグ 投稿日: 2005/09/13(火) 03:48:03 「―――それとキャスター、一つ忠告しよう。 あらゆるサーヴァントが君と同じだと思わない事だ。 少なくともセイバーとバーサーカーは主に不満を抱いてはいなかった。 正しい英雄という者はね、正しい人間にしか使役できない者なんだ」 「・・・ふん、何を今更。捻じ曲がったマスターだからこそ、 捻じ曲がった英霊を呼ぶ。そのような事、貴方に言われるまでもないわ」 ・・・そう、サーヴァントの質は召喚者によって変動する。 心に暗い陰を持つ召喚者は、光側である英霊を呼ぶ事はできない。 「それであなたはどうなの?」 「ふっ、私か・・・」 私の問いに弓兵は皮肉げに笑って、 「何を言う。私はあかいあくまが呼び出したサーヴァントだ。 それが反英雄でないはずがない」 まっすぐに。 前のマスターが聞いていたら自害させられかねない返答をした。
962 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/13(火) 09:28:52>>957 なんかエロス
963 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/13(火) 12:38:34>>956 なんか、士郎かっこいいな。
964 名前: ラストピース⇒琥珀ルート 桜⇒秋葉 臓硯⇒琥珀 投稿日: 2005/09/13(火) 15:21:28 「はは! あはは、はははははははは!」 おかしくておなかが痛い。 笑えば笑うほど馬鹿になっていくみたい。 でもそれがとても楽で、とてもとても自然に映る。 ああ、何てバカらしいバカらしい愚かな自分・・・! 「――――ふ―――ふふ、あ」 狂笑でひきつった顔。 もう影も形もない兄に代わって、少女は可憐に、クスクスと 硝子のような声を零す。 ・・・そうして、兄の体が消滅したのを確認した後、少女はその場から 歩き出した。 返り血一つ浴びていない姿で姿見の前に立つ。 ――――その髪の色は、シキの血で染まったかのように紅かった。 自分の髪。 もう何十回と琥珀の血を啜ってきた自分自身。 いつかシキのようになってしまわないようにと必死に自分を抑えて、 嫌われないようにと傍にいた誰かを騙している自分自身。 笑ってしまう。 そんなもの、初めから全部無駄だった。 「――――なんだ。少しずつおかしくなってたんじゃないんだ」 くるり、と姿見の前で回る。 少女は誇らしげな笑みを浮かべ、 「―――見てください兄さん。わたし、最初から狂ってたんです」 そう、ダンスを求めるように語りかけた。 少女の意識はそこで終わった。 いや、正確に言えば代わった。 今までフタをし続けた無意識が、ただ表層に浮かび上がっただけの話。 その少女に語りかけるものがある。 少女の背後。 闇は闇のまま、気配だけを現して少女を見つめる。 「――――シキ様を殺しましたね、秋葉様」 少女は答えない。 そんな事は、もう頷くまでもない。 「――――秋葉様は、もう人として生きていけませんね」 少女は答えない。 そんな事は、もう言われるまでもない。 「―――さあ、遠野の血を受け入れましょう。秋葉様を止められる者は 誰もいません。そこら中の人間を襲い、血を手に入れましょう。 もはや、それ以外に志貴さんに生きる術はありません」 「――――ええ。貴女の言うとおりよ、琥珀」 静かに頷く。 それが楽しそうだから頷いたのか、 それともただ逃げたかっただけなのか。 少女には、もう自分の心も分からない。 ただ、受け入れた途端、あれだけ苦しかった体が嘘のように楽になった。 ・・・這い上がってくる。 体の芯から、朱い血が髪を塗りたくっていく。 痛みは炎となって、少女の髪を焦がしていく。 それは呪いのように。 少女の黒い髪を、違うモノへと変えていく。 「――――ああ、これなら」 きっと、誰にも負けない。 もう誰にも邪魔されない。 断言できる。この世界において、一番強いのは自分だと。 その絶対性は性的な昂揚に近かった。 少女は自らを慕うモノたちを想像の中で殺していく。 逃げ惑う足を焼き、抵抗する腕をブチブチと引きちぎり、 助けを請う口を縫って、痛いと涙する目玉を噛み砕いて、 最後に笑いながら心臓を抉り出し、その血を啜るのだ。 「ん――――」 ぶるり、と体が震える。 そのイメージ、想像上の行為だけでイきそうになる。 ・・・・その中で。 何度も何度も現れたのは、瀬尾あきらという名の最も彼女の嗜虐心を 昂ぶらせる後輩だった。
965 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/13(火) 18:31:03む、UBWでキャスターについて語ってる凛とセイバーが、 キャスターは追い詰められたら最悪自爆しかねない、と言ってるな。 という訳で誰か自爆ネタキボンヌ
966 名前: 英雄王VS大英雄+ディストレーション(Ⅱ) 投稿日: 2005/09/13(火) 20:35:45それは周りの人間巻き込んでの自滅と言う意味で、 文字通りではないような気が。 それはさておき、ご希望通りに。 「―――ち、これでも死なぬか。 かつて天の雄牛すら束縛した鎖だが、おまえを仕留めるには至らぬらしい」 男の声。 広場には鎖が軋む音が充満している。 バーサーカーの力だろう。 空間そのものを制圧する鎖を断ち切ろうとする巨人。 本来不可能な筈のそれも、あの巨人ならば成し得るに違いない。 そして当然、男もそれを承知していた。 「やだ――――戻って、バーサーカー・・・!」 少女の悲鳴があがる。 令呪を用いて、イリヤスフィールはバーサーカーに強制撤去を命じる。 だが、巨人は鎖に捕えられたまま、一歩たりとも動く事は出来なかった。 「なんで・・・? 私の中に帰れって言ったのに、どうして」 「無駄だ人形。この鎖に繋がれた物は、たとえ神であろうと 逃れる事はできん。否、神性が高ければ高いほど餌食となる。 元より神を律する為だけに作られたもの。令呪による空間転移など、 この我が許すものか」 「ぁ――――」 その言葉に愕然とするように少女は俯き、 「じゃあ、もういらない。バーサーカー、そいつを道連れに自爆しなさい」 ―――自分のサーヴァントに死ねと命令した。 その表情は離別の悲しみなど欠片もなく、冷徹な魔術師のものだった。 大気のマナが巨人へと収束し、解放の瞬間を待つ。 「しょ、正気か!? バーサーカーは貴様の大切な家族じゃなかったのか、 それでも人間か、貴様!?」 「魔術師に人間性を期待するなんてバカじゃないの。 サーヴァントはサーヴァント、それ以上でもそれ以下でもないわ。 それにわたしを人形と呼んだのは貴方でしょ?」 バーサーカーの体が光に包まれる。 ―――瞬間。 あらゆる音が失われた。 世界を震わせる大気の振動はさながら巨人の断末魔。 あるいは、裏切られた事への慟哭のように聞こえた。 爆心地であった地面は抉れ、クレーター状になっている。 それほどの破壊をバーサーカーは巻き起こし。 それほどの破壊を以ってしても、あの少女は健在だった。 「・・・イリヤスフィール・・・ランクAに該当する爆風を受けて なお無傷なんて―――」 遠坂の声には力がない。 火の粉が城中に広がっていく中。 白い少女は微動だにせず、炎の中に佇み、居合わせた者は 声もなく惨状を見据えている。
967 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/13(火) 21:08:40>>961 ちょwwwwアーチャーwwwwwww何故誇らしげwwwwwwww
968 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 00:18:05「さようなら宗一郎さま…どうか死なないで」 「ま…まさか… お…おまえ…」 「やめろ――っ!!!!キャスタ――っ!!!!」 ドゥグオーン ズズズズ----ン 「………キャ…」 「キャ……ス……タ」 「キャスタ―――――っ!!!!!」 とか、そんなか アサ次郎「自爆して相打ちとはな…おもいきったこと(ry」 セイバー「くっくっく……くだらねえことしやがって(ry」 そして竜骨兵に殺されたギルガメッシュ?
969 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 00:29:59>>968 君は勘違いをしているよ…
970 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 00:34:37>>968 …………………………で?
971 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 01:09:19最低SSは最低SSスレへどうぞ
972 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 01:18:09最低SSスレは最低SSを投稿するところではないよ。
973 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 01:22:00>>968 ほれ 自作SS・絵晒しスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1074693014/
974 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 02:24:54 目の前の料理が喰われていく。 噛み締める歯。奴の願いに従い駆け巡る右腕はテーブルの上を駆け巡り、容赦なく皿に盛られた料理を蹂躙する。瞬食五百キロ、至近距離で放たれるナイフとフォークと箸、二百キロはある白米が、面白いように胃袋に収められていく。 「――――、は」 臓腑からは歓喜が溢れ出す。感情は脳からではなく心臓から発生する。だって頭は召還の影響で機能停止中、まともに機能する筈がない。命令系統(脳)の回復まであと二分三十秒、手足はピクリとも動かない。 だが包丁を握っている以上、味覚は機能する。脳なんざ知った事か、目の前では奴が料理をを串刺しにする。まるで、この世で食うことしか知らない大食らい。魔力はサーキットを一時間あたり三百キロで疾駆する。 「はは、ははは、凄ぇ、凄ぇ凄ぇ凄ぇすごい食いっぷりだ!!」 駆け巡る電流魔力脳内麻薬、俺は嬉しさにのた打ち回り、感情が暴走する。 途端、ぎちん、と包丁落下。磨耗し果てた心の中に、数え切れない年月の間溜め込んだ「想い」を叩きこむ。 「はは、はははははははははははははは!!」 繋がる。断面が溶け、世界と一体化する。噴出する魔力が、津波の様に心の中に注ぎこまれる。まるで契約のようだ。心象風景は鎖となって俺と包丁とを繋ぎ止める。 生きてる。生きている。生きている。今まで空っぽだった心が、びくんびくんと鼓動する。この世から無くなった俺の欲求が、カタチを持って顕現する。いい。もう何もかもどうなってもいいってぐらいゴキゲンだ、やっぱり料理サイコーじゃん!生きてるね俺!今凄ェ生きてる! 「オーケー、てっとり早く済ませよう! さあ、リクエストがあるなら今のうちだ、食欲はここで吐き出せ! 未練があると『座』に戻れないからな、テメェみたいなのに残られたらこっちはいい迷惑だ!」」 ケタケタ笑う。やべえ、楽しすぎ。料理しかできねえクセになんかすごく楽しいですよ? 「ア゛――ハ……ハ? ……ナンダ、アナタモ、英雄、ダッタノデスカ」」 のっそりと立ちあがるアーサー王。噛み砕き、飲み下した口の周りにはソースがついてる。エクスカリバーでもぶっ放したような食卓の上は、さすが腹ペコ娘といったところ。 が。同時に、せっかく自由になったはずの包丁はまな板に突き刺さったままだ。 「ゲレド、弱クテ小ッチャイ英雄。ソレジャ全然マンゾクデギナイ」」 室内に魔力が満ちる。飯食って興奮したのか、アーサー王は身体中べとべとだ。あれが涎か。 ぴっちり身体をコーティングしてるんで、食わせても食わせても一方的に搾取されるらしい。どうなってんだよあいつの身体。 「デモ、嬉シイ。ワダシノ方ガ強イ。ワダジノ方ガ、アナタヨリ優レテイル」 ゆっくりと近付いて来る。こっちはまだ台所から離れられない。それを、あの腹ペコ娘は正確に把握している。 「ズゴグ嬉シイ。ダッテ――マダ、英雄ハ、食ベタコトナカッタカラ」 腹ペコ娘――アーサー王は思い出したかのようにナイフとフォークを握って、動けない俺に近付いて来る。礼儀作法なんざ忘れてる。すげえ、とにかく食うことしか頭にないんだあの肉ダルマ! 「先程、何カ言ッテイタミダイデズガ、座ニ戻ルノハ、ワダジジャナイ。同ジ英雄ダモノ――ワダジガアナタヲ、助ゲデアゲル」 ソースの跳ねた金髪が揺れる。口の中に涎を溜めて、アーサー王はにんまりと笑った。 しかし、こいつも学習能力無いね。 涎にまみれた腕が伸びる。 ソースに汚れた腕が上がる。 「エ゛……?」 理性や意識があっては英雄は動けない。わずか数秒だけ、今まで耐えに耐えていた意識を失わせる。 ――さあ掃除屋(仮名)ちゃん。待たせたね、ゴハンの時間だよ。
975 名前: DDD:ユキオ→セイバー 所在→アーチャー 投稿日: 2005/09/14(水) 02:56:14 一瞬、暗転。 咆哮をあげて、包丁が爆散した、目前のアーサー王に固体として散らばり液体として降り掛かり気体として纏わりつく。 「エ――――イエ、ウ、ア……!?」 燃え上がるように蠢く、黒い剣のシルエット。鼓膜ではなく脳を破る、人間には聞き取れない奇怪な詠唱。 英霊エミヤのあらゆるモノが、一瞬で世界へと持っていかれる。 過去の自分を殺そうと決めた時のようだ。全身の感覚が途絶え、心象風景に自身が凝縮されるこの錯覚。 「ア……痛イ、痛イイイイイイイイイイィィィィィィx……!!!!」 喚声があがる。悲鳴とも咆哮ともつかない声に瞼を開けると、そこは見なれた食事の風景だった。 つい五分前と同じ状況。ただ、料理するモノと食われるモノが違うだけ。 「ィィィィィイイイ……!!! ナンダゴレ ナンダゴレ ナンダゴレ ナンダゴレ……!!」 足元から食われていく。否、刻まれていく。無限の剣が、アーサー王を刻んでいく。剣は海苔のように薄っぺらい。 ぺたりと肉ダルマに張りつき、張りついた個所からゴリゴリと良い音がする。 「ナンデ……!? 痛イ、痛イ、痛イ……!! 料理されでる、わだじりょうりざれでる……!」 手足の先、末端から微塵切りだ。無限の剣は次々と食材の身体に突き刺さっていく。 アーサー王はまるっきり無抵抗で夥しい涎をたらす。本来なら、その涎だけで触れるモノは食われていく。だが―― 「ナンデヨゥ! アナタナンカ、ワダジノ食べ物デジカナイクセニ……!」 元から存在しないものを、どうやって食えるのか。 抵抗など無意味だ。 歯で噛み砕こうと、それは元から砕けている。力で破壊しようと、ソレはもとより崩れていくモノ。 騎士王なんて、所詮少しばかり面白おかしいだけの人間に過ぎない。 小さな島国で戦って王国を築き負けた程度で”英雄”を冠するから、そもそもの定義を間違える。 曰く、世界が完全無欠にして全知全能であるのなら。 英雄とは、荒唐無稽にして人知無能の現象である。 「ナンデ、ナンデナンデナンデ……!? コレ違う、同じ英雄なのに全然ワダジたち違う……!」 「一緒にすんな。お前は、英雄っていう単なるトンデモ人間。で、俺は」 黒衣の吸血姫は語る。 ”世界の危機は、同じ『危機を齎すだろう存在』を許容する。素晴らしいよ衛宮士郎。キミの存在は、理想的な――” 「なんでも、”世界の守護者”とからしい」 無限の剣。俺の心から放たれた、英雄すら殺す架空の武器。ほぼ全身を刻まれたアーサー王だが、実際、剣は肉など切り裂かない。 存在しないモノが、存在するモノを殺すのはできないからだ。 だが、微塵切りなら話は別だ。”有る”部分が全て無に塗り潰されれば、それは無と同位になる。量子論の猫を思い出す。 身体の九割を微塵切りされたアルトリア・ペンドラゴンは間違いなく料理された上対だが、一割でもまだ”有る”以上、生きている状態といえるだろう、とか何とか。 ま、その一割もあれじゃ時間の問題だが。 「ヤダ、ダスゲデ、ダズゲデ……!!イダイイダイ、ナンデコンナニ苦シイノ、ワダジのセイジャナイノニ、王サマナンカジャナイノニ、英雄になったのはワダジのセイジャナイノニ、カミサマガ、カミサマがワダジヲ選んだダケナノニ……!」 ああ――その断末魔と似た台詞を、いつか、夢の中で聞いた気がする。 「忘れてるんだけど、俺、アンタに会ったコトある?」 「アル゛!アル゛……!ズット前ニ、ズット!ワタシヲ召喚ジデグレダ……!」 昔のコトか。悪いがそれじゃ磨耗している。 右手に力を込める。なんとか動けるようになってきた。 「そっか。じゃあ一応、答えてやんねえとまずいよな」 包丁は――ラッキー、まだまな板の上だ。 「どうしようもないんだが、おまえは助からない。叶わない理想を抱いた奴の末路なんて最初から決まってる。 人間はは無能だから人を助けようとするけど、全部を救うことなんて到底不可能。 一を捨てて九救ったって、捨てられた一からは恨まれるし、九にしたって良い気はしない。。 当たり前だろ、英雄は『一人』なんだから。一が十を救うなんてどう足掻いても無理だってコト。 叶わない理想を抱いた時点で、お前は絶対助からない。それから、そんな奴に送る言葉は、昔っから一つしかない」 鼻先まで微塵切りにされたアルトリアが、哀願するように俺をみつめる。 包丁を握って、最期の一言。 「つまり――――”理想を抱いて溺死しろ”」 「―――、ア――――」 小さな瞳が、呆然と此方を見る。 無限の剣が最後の一割を微塵切りする前に、じくっと包丁を振り下ろした。
976 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 18:26:27そろそろこのスレで、どのネタが一番良かったか、振り返る?
977 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 20:18:39俺的には本命が>>698 の式失踪事件、番外が974-975の士郎vs嫌セイバー。 ↓次スレはこんな感じか? 7thgin yats\etaF 1.表現を逆にする 2.肯定文を否定文(またはその逆)にする 3.名詞を入れ替える 4.キャラを入れ替える 5.突然場面を切り替える ※名前欄かメール欄に入れ替わったキャラ、あるいは元ネタの場面のどちらかを入れる事 前スレ 6thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1121553839/ 過去スレ 5thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1115519595/ 4thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1109402588 3thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1105058355/ 2thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1100704160/ 1thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1092275302 関連スレ 月姫ネタ総合スレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062166843/ (型月と関係ないキャラとの入れ替えはこっちで) 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ (セリフだけを改変する場合はこっちで) 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ (UBWの呪文だけを改変する場合はこっちで) 自作SS・絵晒しスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1074693014/ (文章の多くをオリジナルが占める場合はこっちで) あと、原文を探すのに役に立ったり立たなかったりするスレとして お気に入りの台詞を上げるスレ ※ネタバレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062860575/ 例文 「キノコにも負けないモノを作れ、常に原作のイメージを想え。誰をも騙し、自分さえ騙しうる、最高の改変ネタを想像しろ。 難しい筈はない。不可能なことでもない。もとよりこの脳は、それだけに特化した妄想機関!」 「判らぬか、下郎。そのような物より、私は極上のネタが欲しいと言ったのだ」 「―――命を賭けろ。 或いは、過去の神たちに届くかもしれん―――!」
978 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 20:24:39これだけ過去ログがあるんだし、例文はもういらないんじゃないかな。
979 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 20:44:03でもこの文章自体は結構好きだなあ。 特に最後の。
980 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 21:40:24「? なんだよ言峰。何か思い出したか?」 「思い出しはしないが、ひらめいた。これは呑気にマーボーを食ってる場合ではないな」 「?」 いそいそとマーボーをラップでくるみ、じろり、と衛宮士郎に向き直る。 「……む、不穏な空気。言っておくが一成はやらないからな。ねだられてもあいつは親友なんだ。」 すぅ、とギルガメッシュから腰を上げる。 ……時間もない。 はあ、と深呼吸をして、一言。 「衛宮士郎―――何も聞かずに服を脱げ」 きっぱりと、用件だけを口にした。 「な、なんですとーーーーーー!!!!????」 「だから制服を脱げ。上着だけじゃなくてシャツもよ。裸じゃないと意味がないの」 「っ―――ななななな何を言いだすかと思えば正気か遠坂っ!? あれか、新手の押し問答か!? そもさんなのか!?」 「そう、お前達が欲情するものが―――私には、欲情出来なかった。いいから脱げ、この身は男の菊座を食べて生きている!」 ええい、と衛宮ちゃんにつかみかかる。 「うわあ――――! ええい、止めろよ、この外道神父コンゴトモヨロシクぅー!」
981 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 21:55:54毎回スレのMVPを決めて乗っけるのはどうだろう。 雰囲気を掴むには最適だと思うのだが。 でも確かに最後の文章はいい感じなので残したい気がする。
982 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 22:36:44それは反対。総意を取るのは難しいしそれでレス番重ねるのも無駄の極みだ。
983 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 22:43:54スレ立てる人が好みでやったら良いじゃん。例文にしろ紹介にしろ あんまり長くなると面倒だが
984 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 23:02:57>>61 と>>860 が好きかな
985 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/14(水) 23:25:35どっちも我様がいるなw
986 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 00:07:03全部、ギャグだけど 87−88の宿泊客>獣 114の断食宣言の男らしい士郎 183の最強の廊下 696のフルアーマーダブルセイバー 860のタンスの角 877の外道コンビ が個人的には順不同でベスト5かな。
987 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 00:27:18>>974-975 かなあ やっぱり、DDD改変ネタは面白いね
988 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 02:50:18既に挙がっているのと重複しないのから選んだらこうなった。>>352 外道翡翠>>378 素敵なアサ次郎>>404 解脱アチャ この中では…アサ次郎かな、次点が外道翡翠で。
989 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 15:39:12>>314-315 >>485-486 >>569-572 >>607-609 (除く608) このへんが好き
990 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 15:50:20やっぱり感動系よりギャグ系の方がインパクトが強いのか、 あまり感動系のネタは出てこないな。
991 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 19:18:45ギャグではないやつなら>>291 >>314-315 >>537-539 辺りが好きだなぁ まあ、個人的には自分の宝具で自分を貫いちゃう我様が一番好きだがw
992 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 20:51:31・・・流れをつかめていないかもしれないが 次スレはどうなる
993 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 22:28:14俺が独断で立てようか?
994 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 22:45:467thgin yats\etaFhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1126791828
995 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 23:01:44乙。
996 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 23:19:44乙 ……なんか過去スレがえらくズレれて見えるのは俺だけ?
997 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/15(木) 23:20:47あはっ、埋めちゃえ
998 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/16(金) 00:37:52――教えてやる。 これが、スレを埋めるってことだ。
999 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/16(金) 00:44:53埋めサンド
1000 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/09/16(金) 00:51:50おまいも職人になれ
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