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弟が作ったRPGでバトルロワイアル
1今から名無しさんには殺し合いをしてもらいます。:2007/03/24(土) 20:03:21 ID:jmLFA0PcO
弟の作ったRPG『カルマはだれキュラ そしてアサシンへ…』
http://2log.blog9.fc2.com/blog-entry-1780.html

主催:>>1の弟(>>1)、クソンカイタンテ

参加者
1.カルマ
2.リリイ(ノヴァ王女)
3.レヴ
4.アルエ
5.ダンデ
6.ルジオン
7.レム
8.道具屋のおばちゃん
9.たかまさ
10.オログ(オグロ)

・参加者には一晩中(彼らの感覚で大体三日間)エムル、エヌル、エスルの国で殺し合いしてもらう
・三つの国の国民には退去(>>1の弟によりカット(切り取り))してもらっている
・殺し合い中の参加者のやり取りについて反則は無い
・三つの国以外の場所に出るとたかまさになる
・回復するもの、おでん、リトルブレイバーの効果は半分になっている
・優勝すればアサシンマスターになれる

2今から名無しさんには殺し合いをしてもらいます。:2007/03/24(土) 20:07:50 ID:jmLFA0PcO
修正
8.道具屋のおばちゃん→8.宿屋のおばちゃん

3今から名無しさんには殺し合いをしてもらいます。:2007/03/24(土) 20:09:17 ID:LvLm8yfk0
ほうほうそれでそれで?

4R-0109★:2007/03/24(土) 20:09:35 ID:???0
メ欄間違えた

5OP ◆jm/6cFk1pA:2007/03/24(土) 21:06:22 ID:jmLFA0PcO
 カルマは目覚めた。
 一瞬、懐かしい感覚がカルマを包んだ。どうやら、リリイ――否、ノヴァの元へ行く途中で倒れていたらしい。
 回りは見渡す限り真っ暗だが、風を全く感じない辺り、外ではなく、室内の様だ。
 宿屋だろうか? とも思ったが、窓には何も写っていなかった。
 カルマの思考もまた、この窓の様にこの場を未だに理解できない状態を保ち続けている。
 が、それも直ぐに収まった。
 一緒に居た仲間達――アルエとダンデは?
 ダンデの事も考えると、とても二人が追っ手にやられるとは思えなかった。
 つい先程まで笑い合っていた筈の二人は――

「はろう☆」
 突然辺りが明るくなった同時に、思考を続けていたカルマは自らが見覚えのある光景である事に気付いた。
 そこはリリイの家だったのだ。
 回りには、アルエ、ダンデ――それに、リリイ、ルジオン、レムまで居た。
「あなた達はねっからの底辺の人間です!」
 突如明朗な声が響いたと思うと、漸くカルマは回りの全員の視線がベットの上に向けられている事に気が付いた。
 ベットの上には、まだ幼さが残るのだけれど、少し意地悪そうな表情をした少年が仁王立ちしている。

「よくわかりません」
 レムが突然立ったと思うと、そう声を上げる。
 やや張り詰めた口調だったが、それでも表情はしっかりとしていた。
 それに合わせて、他のみんなも、てんでに騒ぎ始めた。
「おでんがこげちゃう!!!」
「ひえ〜・・なんだかよくわかんねえけど、まじでやばそうだぞ!?」
「はーい、ストーップ!!」
 少年が手を何度かぱんぱんと叩き、注意を引き付けると、ざわめきは急速に静まった。
そして、にこにこしながら言った。
「今日は皆さんに殺し合いをしてもらいまーす。反則はありませーん」

「きゃああああああ」
 そのうちに、女性の悲鳴が響き渡る。あの憎たらしい道具屋のおばちゃんのものだった。
 じきに全員の注目は”それ”に集められた。
 ――たかまさが赤い何かをべっとり付け、床に横たわっている。
 明るい赤い色だった服は、更に赤く染まっている。
 また、被っているこれまた赤い帽子も左半分しかなかった。
 そりゃそうだろう、頭が左半分しか残っていないんだから。
 いくら馬鹿のたかまさでも、この仕打ちと結末はあんまりだ。
「ああ、エムル、エヌル、エスルから出るとこうなるからねー」
 少年は明るく言ったが、アルエ、ダンデを始め、他に表情が明るい者など居やしなかった。
「まあ、はやく行けよ」
 少年はまだにこにこしながら、部屋の出口を指差している。
 カルマからは、少年の笑顔が限りなく歪んで見えた。

【たかまさ 死亡確認】
【残り 9人】
※参加者の背中には支給品が入ったザックがついています。

6R-0109★:2007/05/02(水) 17:20:08 ID:???0
フリゲロワ……コープスパーティーとFate/Axisぐらいしか書きたいのが思いつかない俺オワタ。

え?フリーならOK?ならMARIOXPもアリだな。

7ななしがはがれました:2007/05/05(土) 15:51:23 ID:WMdQAjig0
ここはグランドソードで

8ED(+ネクストプロローグ?):2007/05/13(日) 15:48:16 ID:e1L6lc660
絶望と困惑に満たされた空間。
誰もが目の前の事態を受け入れられず、平等に凍り付いていた。
そんな空気を打ち破ったのは、ある元アサシンの一声。

「いやだ!俺はそんな邪悪な誘いには勧誘禁止だぜ!!!」

……カルマだ。
その言葉に少年は僅かばかり眉を潜め、他の面々は多種多様な表情でカルマに視線を移す。
一拍間隙を置いた後、カルマは続けた。
「何をしたいかは知らないが、俺達を甘くみるなよ! そう簡単にお前のいいなりなんかにはならない!
俺は決めたんだ。人を殺す生活よりがんものある生活ん選ぶって!」
それが皮切りになったかのように、今の今まで黙っていた者も抗議を開始した。
「がんもがこげちゃう!」
「まあ、はやく逝けよ」
「きゅ、9999ゴールド慰謝料として請求させてもらうよ?」
「ウガーーーーーーーーー!」
「せっかく生き返ったのにこんな目に会うのはあんまりだ!」
「アサシンマスターとして、男として……お前を許すわけにはいかん!」
「ふん……あまり認めたくはないが、今回ばかりは私も同意見だな」
「悪は滅びるさだめにあるのよ」
一部意味不明なものを除けば、総意は一つに違いない。
ひどく醒めた目で9人の参加者を見つめ、
けれど少年は、リリイの部屋に余裕綽々の声を響かせた。
「粋がるのは構わないけど、その前に自分達の首を見てごらん?」
言われ、それぞれが己の首へと手を伸ばし――程無く、硬質的な感触に当たった。
反転しかけていた空気が、再び寒々しい畏れへと塗り替えられていく。
「その首輪はね、特殊な、到底君たちでは及びもつかないような力で構成されていて、まず壊せない。
しかも俺が望むか、三つの国から外にでたら首輪が爆発して『たかまさになってしまう』魔法が同時発動する」
たかまさになる。その部分が彼らに与えた衝撃は如何ほどのものだったろうか。
ある意味死んだほうがマシとさえ言える、最高最悪の屈辱。
経験値も金も落とさない、低次元なイキモノへと変えられてしまうなど、考えただけで恐ろしい。
どん底にまで叩き落された彼らの表情を、ニヤニヤしながら少年は愉しんでいた。
故に。
首輪についての説明、特にその終わり際のある瞬間。
カルマ、アルエ、ダンデ、リリイ――――この四名の眼に希望の光が点ったのに、遂には気付かなかったのである。

9ED(+ネクストプロローグ?):2007/05/13(日) 15:48:35 ID:e1L6lc660
「それで話は終わりか?」
「……は?」
少年は、
(こいつらやっぱバカだなぁ)
と半ば呆れながら、思わず声を出してしまっていた。
無理もないだろう。何せ、たった今「逆らったらどうなるか」説明したばかりなのだから。
しかし、カルマが次に発した言葉は、僅かながらも少年を同様させることとなる。
「今の説明で確信した。お前は俺達に勝てない!」
「まったくだな」
「おでんがこげちゃう!」
「そういうことよ」
言うな否や、四人は素手のままファイティングポーズを取り、戦闘態勢に入る。
何の迷いもないその様子に、少年の精神を多少迷いを呈し始めた。
「は、は……何考えてるのさ。僕がちょっと手を下すだけで、君たちたかまさになっちゃうんだよ?
君たちが近づくよりも早く、俺が呪文を唱え終わって首輪が

「――そこからしてお前は間違っている」

え? と。
少年の頭に、唐突な空白が生じた。
カルマは少年の言葉に割り込んだ勢いを緩めずに、宣言する。
 、 、 、 、 、 、 、、 、、 、、 、 、、 、 、
「いつ俺達がたかまさになると決まった?」
「な……何を、言って」
「まだわからないのか。
 、 、 、、 、 、 、 、 、、 、 、 、、 、、 、 、、 、 、、 、、 、 、、
俺達には首輪の力でたかまさにされるのを防ぐことができる。
そう言ってるんだよ」
理解できない。理解できるはずもない。
少年は必死に頭を巡らせる。
カルマ、アサシン。使える魔法はリトルブレイバーのみ。
アルエ、おでんバカ。回復が得意。
ダンデ、アサシンマスター。設定は特に考えていない。
ノヴァ、国王。設定は特に考えていない。
どうあがいても、こんな奴らが首輪を解除できるはずもない……はずだ。
「何なら試しに、あたしの首輪を作動させてみなさいよ!」
黙れおでん電波女。
いや……待てよ?
「――そうだね。ならお前の首輪から見せしめに起動させてやる!」
流石にバカどもでも、実際に知り合いがたかまさにされるのを見れば理解が及ぶだろう。
そう考えた少年は、一人の人間を変質させる、滅びの呪文を唱えた。
頭にアルエの顔を思い浮かべ、歌うように詠唱を終え――

「ディアボリック・デス・バースト!!!!」

閃光がアルエの首から、放射状に広がり……辺り一面を純白に染め上げる。
完全に網膜が白で埋め尽くされる直前、少年は視界の端に、ノヴァが何事かをしようとしているのを見た。
しかしそれも刹那の間、あっというまに白が全てを塗り潰し、何も見えなくなり――

10ED(+ネクストプロローグ?):2007/05/13(日) 15:48:57 ID:e1L6lc660
ありえない。
「ど、」
ありえない。
「どうして……」
ありえてはいけない。
「どうして……お前……!」
否、ありえるはずがない!

「どうしてお前は、たかまさになっていない!?」

アルエは首輪を作動させる前と、寸分違わぬ姿でそこにいた。
いや、一つだけ異なる点を挙げるとすれば、首に嵌められた輪が消失しているということだろうか。
即ち……首輪は発動したが、結果としてアルエをたかまさにすることができなかった、その証明に他ならない。
「それだけじゃないわ……まだ気付かないの?」
先刻、不穏な動きを見せていたノヴァが、静かに少年へと告げる。
「……? 何だ? 俺がどうしたっていうんだ?」
少年は、自分に何かが起こる……という可能性を初めから考慮していなかった。
故に、気付くのに若干の時間を必要とした。
まじまじと、自分の体に視線を落として、
「!!!」
ソレを、見た。
受け入れがたい現実を、目の当たりにした。
「な――何だ、これは」
呻く様に、かろうじて少年は言葉を搾り出す。
「お前もよくしっているだろ? そいつの姿は。つまり――」
現実を思い知らせるように、カルマは欠片も躊躇せず、言い切った。

「たかまさだよ」

「嘘だ! 間違ってる、こんなの間違ってる!」
「いいえ、間違ってはいないわ。これが現実よ。
あ、どうしてこんなことになっているかって? それはね……」
混乱する少年を宥めるように、ノヴァの口から真相が紡がれゆく。
「私の魔法『とっておきの唄』。これはほんの少しの間だけ、味方全員をあらゆる攻撃から守るの。
そして、それが魔法であったなら、敵に対しそっくりそのまま跳ね返すことができる」
「し、知らないぞ、そんな魔法! 俺は作った覚えが――――」
そこまで口に出して、少年は一つの違和感に気づく。
(こいつら……俺の設定と、キャラが違いすぎる!? まさか……)
自分は、空想上に作り上げた『弟の作ったRPG』からこいつらを呼び出した。そう思っていた。
しかし、実際はそうでなかったとしたら?
例えば。
例えば――あのスレで釣られた連中の作った再現RPG……『カルマはだれキュラ』から呼び出されたのだとしたら。
「――――ち、く、しょう」
ありったけの負の感情を込めて、少年はそれだけを言い残す。
何故その言葉に「言い残す」という表現を用いる必要性があったのか――
次の瞬間、カルマら9名の総攻撃を受け、たかまさの形状をした生物が消滅してしまったからに他ならない。



次元が歪み、元の世界へ回帰を果たしていく彼らを、どこか遠くから眺める者達が存在した。
『きゅう、きゅう、きゅう、きゅう。(どうやら ここまでのようだな。つまらん……)』
『ふん。グランドソードの力を多少与えてやったはいいが、所詮そこまでの輩だったか』
『もう彼らのことはいいでしょ? 終わったことだから。どうせまた参加してもらうし。
それより次は何処で始めるの? 私の学校でもいいけど、少し殺し合いには狭すぎるわ』
『いや、まずは参加者の選定と能力制限から――』


かくして、一つの物語が幕を下ろす。





『弟が作ったRPGでバトルロワイアル』――――完

11名無し?ズガンしてやんよ:2007/05/13(日) 23:18:46 ID:0p/dhl16O
ちょwww
GJww

12名無し?ズガンしてやんよ:2007/05/14(月) 01:51:53 ID:cLF7/LCU0
ホントにグランドソードがさりげなく入っていて噴いたじゃねーかwww

13【名無し零番 死亡】:2007/07/21(土) 21:30:49 ID:yUvUGZPQ0
これは間違いなく神wwwっうぇwwww
たかまさ嫌われ杉ワロッシュwww

14無念:無念
無念

15無念:無念
無念

16もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 01:58:59 ID:2wBpvzU.0
ここを無名ロワ開催地にしよう!

17もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 02:46:11 ID:2wBpvzU.0
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAPのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送ごとに禁止エリアが2つ指定される。

放送後からすぐ禁止エリアとなるので要注意。
三日経つと自動的に全てのエリアが禁止エリアとなる(マップの都合上)

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。

【舞台】
舞台はアリアハン@DRAGON QUEST 3
http://www.geocities.jp/alfred_airhawk/ariahan.gif

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

18もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 02:53:14 ID:2wBpvzU.0
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

議論や提案はその都度していきましょう。

以下、このロワのみのルール。

【予約等に関して】

 一 切 自 由 

書いたもん勝ちである。

【参加メンバーに関して】

早い者勝ち。
先に投下されたキャラクターが参戦となる。
但し、このロワでは「一話死亡のキャラクター」に関しては上限として含めない。
「一話終了した時点で生存しているキャラクター」が40人を超えたところで打ち切りとする。
なお、第一放送終了までは「一話死亡のキャラクター」に関してのみ追加を認める。
また、「一話死亡のキャラクター」は無名キャラである必要はない。
故に名簿のみ第一放送後の支給となる。

【参加資格】
引用:
要するにプレイヤーキャラでも、基本設定がニュートラルで自己投影型主人公なら参加OKってことですね!

例を挙げるならばWizのキャラクターやDQ3のキャラクターなど。
本編中にて詳細な正確の描写がないキャラクターなど。
グレーゾーンであるクロノやシレン、リメイクで性格が追加されたDQ5王子王女などはその都度にまあ○、×を議論していけばいいと思うよ!
台詞一つあったらアウトっていう縛りにスルトDQ3とかSa・Gaまで落ちます。

http://www11.atwiki.jp/row/pages/12.html
出来るだけこれのタイプ1に順ずるものでお願いします。
名無しなだけで性格の決まっているタイプ2は×。

【OP投下】
1/24(日)を予定しています。
1/25(月)から投下開始。

19もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 02:54:05 ID:2wBpvzU.0
さてさて、何か質問があったらどうぞ。

OPの推敲に戻るぜー。ハハハー。

あ、生存者上限は40+(0〜4)が限界です。
残り39人のときに一話で10人ぐらい追加して49ってのは×です。

20もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 03:24:01 ID:NfTTPwD.0
ヒャッハー!名無しロワだー!!OPが楽しみだー!!!
あと前から疑問だったんだけど、開始時刻が0:00である必要ってあるんですかね?
暗闇の中を彷徨かなくても別に6:00開始で良いと思うのだが。

21もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 08:28:02 ID:QusF0Kpw0
おおー、開催楽しみw
放送後すぐに禁止エリア化とのことだけど、つまり運悪く禁止エリアで放送を聞いていたキャラは即死の可能性もあるということ?

どうせだから皆で出したいキャラ妄想でもやってみようぜ!
いくら自由とは言ってもある程度作品数絞ってた方が他作品からの支給品も出しやすくなるだろうし
RPGがメインになりそうだけど、それでも俺はモンハンガン推しするぜ!
武器から雑貨までアイテムが揃ってるし設定も自由度が高いし

22もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 15:59:51 ID:NIANfaZg0
そんな中なぜか参戦している2chのデフォルト名無し

23もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 23:08:07 ID:2wBpvzU.0
無名ロワの観点はFFDQの無名キャラでいこうぜっていう。
そういえば王子皇女は名前が決まってないだけで性格とかは固定なんだった失念してた。

>>20
開始時刻か……安価でもいいかもしれない。
主催には「六時間ごとに放送します^^」って言わせてるし。

>>21
あ、即死はまずい……かな?
二時間後に2エリア一斉ぐらいがベネなんだろうか。



出したいキャラ云々の話もあるので出場できる作品の一例を挙げてみる。
僕の個人的な判断なので突っ込み大歓迎

基本的に喋るといってもDQ2勢程度のものならOKだと思う。

・FINALFANTASYシリーズ
1(メインキャラ四人)、3(FC版、メインキャラ四人、闇の四戦士等)、6(幽霊、帝国兵)、T(モブキャラ)、TA(モブキャラ)

・DRAGONQUESTシリーズ
各作品主人公(ソード等含む)
その他には
2→サマル王子、ムーン王女(厳密に言うとセリフがあって性格っぽいのがチラッと見えるがほぼ無口)
3→勇者を含むPTキャラクター
5→一部の仲間になるモンスター
6→同上
9→PTキャラクター

・女神転生シリーズ
旧1を除く各作品主人公。
その他には
旧2→魔女と親友は微妙なポジション。 どちらかというとマティウスのようなタイプなので今回は×かも。
真1→ロウ、カオスヒーローもマティウスポジション……? ヒロインはギリギリセーフかな
真2→主人公はアレフっていう公式名がついてるから注意、ヒロコはセーフラインだと思う
デビサマ→キョウジは中の人が変わった後じゃないと×と思われる。 名前はキョウジで固定として。

・SaGaシリーズ
GB2作、ロマサガ2メンバー。

・メタルマックスシリーズ
1(R)はメインキャラ三人、一応主催と因縁持ちの予定
2もメインキャラ三人。
サーガ以降は主人公だけになるかも……。

・Wizardryシリーズ
・世界中シリーズ
・モンハンシリーズ
PC全般。

・ミスティックアーク
名前は決まっているが性格描写どころかセリフ一切なし。
生い立ちぐらいしか把握できない。

・クロノトリガー、風来の試練
グレーじゃないかな……?
シレンはまだしもクロノはどうなんだろう。

・タクティクスオウガ
・ディスガイア
汎用ユニット全般。

・ととモノ
・タッグフォース
やったことないからわかんね

・スペランカー、チャレンジャー、バルーンファイトなど一部アクションゲーム
意外な伏兵だったと思う。

……まだまだ探せば一杯あると思う

24もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 23:11:56 ID:AttvipY60
せんせー
スーパーファミコンウォーズの(戦闘)歩兵出したいのですが
大丈夫でしょうか?

25もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 23:20:57 ID:2wHmNj120
ペルソナ1の主人公も名無しだねぇそういえば
問題はマーダーだ、名無しでいるか……? ショッカーの戦闘員ぐらいしか思い浮かばんw

26もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/19(火) 23:43:51 ID:2wBpvzU.0
>>24
寧ろどのユニットでも中の人ならおk

>>25
マーダーは結構作れるよ!(経験上)

27もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 00:06:03 ID:zq7P39S.0
ととモノはWizと一緒で完全無個性のエディットキャラだから問題なく出られる
パワプロはサクセスモードだと主人公も性格付けされてるけど、マイライフモードなら無個性だから出られるな
いや、出しても誰得だとは思うが

28もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 00:10:41 ID:soPMiRH20
>>27
ワシがアップし始めました

29もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 00:17:33 ID:77XGBaVk0
一応>>18の詳細貼っておきますか
http://www11.atwiki.jp/row/pages/12.htmlより

無名キャラ


【解説】
FFDQロワシリーズ、また同板の別企画DQロワとFFロワに登場する、
DQの各主人公及びDQ3の仲間キャラ、FF1とFF3の主人公達の総称。


注:
原作で名称設定が無いキャラを組み込んだロワスレは他にもありますが(コレやコレ)、ここではFFDQ板の企画に焦点を絞って説明します。


無名キャラ/タイプ1
元になったゲームのシステムによるものなのだが、DQやFF1とFF3の主人公達、そしてDQ3で共に旅をする仲間には名前と個性が無い。
故にこれらのキャラは名前をつけられ、個性を与えられることで参加するのだが、最初にそのキャラクターの話を書いた職人が、名前や個性を与える権利を持っている。
ごくたまに、話が進むうちに別の作者によって設定が追加される事もある。
また初登場時に噛ませ犬にされる事で名前すら決められずに退場という事例も存在する。
これは1stでムーンブルクの王女やDQ3の女盗賊に起こった現象である。


元が無個性ではあるのだが、個性あるキャラに混じって味のある行動をしたり、優秀なマーダーとなったり名台詞を残したり、多くの住人に愛される事もある。
多くの住人に愛されている無名キャラの典型としては3rdのギルダーが挙げられる。


また大体の場合は独特の口調を個性として与える場合が多いのだが、
まに他のキャラと口調がかぶり、損をしてしまう場合があるのも現状である。
3rdではローグ(DQ3男盗賊)が特にその状況に陥っていたが、実はソロ(DQ4男勇者)も地味にリュカ(DQ5主人公)とかぶっている。
挙げると限が無く、更には当然通常の名前のあるキャラにもかぶりは存在する為、この問題は解決未解決という話よりも、最早仕方の無い問題である。


FFDQロワシリーズ 番外編 DQロワ FFロワ
これらの企画内では主人公を除いた無名キャラは必ず一人以上は参戦している。
そしてこれらの無名キャラは、各シリーズによって名前や性格が違っている場合が多い。
というより意図的に性格を変え、マンネリ化を防いでいる。


無名キャラ/タイプ2
他に、主人公や仲間ではない「無名キャラ」も存在する。
これはNPC(非操作キャラ)かつマイナーキャラに多い。
端役や敵モンスターなど、要は「正式名すら判らない=無名」な者達である。
このタイプだと名前どころではなく(?)、大体そのままの肩書きが代名詞として定着する。
例をあげると1stの「ヤンの奥さん(FF4)」、番外編の「ダーマ神殿で昇天した勇者(DQ7)」、
そしてもはやエントリー恒例と化しつつある「リヴァイアサンにやられた奴(FF5)」など。


なお、これらの概念から外れる特殊なケースとして3rdのマティウスが挙げられる。
マティウスはFF2のこうてい(皇帝)というボスキャラだが、ロワでマティウスと名付けられた。
因みにマティウスとは、FF2の小説中で登場したこうていの名前である。
同様にDQロワでも、名前の無いDQ2のサマルトリア王女がリアと名付けられている。


更に、FFDQロワシリーズの全てで登場しているDQ5の主人公の息子と娘だが、彼らもマティウスと同じく名前が無いだけで、個性や口調は決定付けられている。

30もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 00:24:42 ID:oqWVchGUO
スパロボからエリート兵が(ry
……あんまり手広く出し過ぎても収拾つかなくなるしやめとくかw

例えばDQ3の勇者が男と女一人ずつ出たり、勇者と一緒にゾーマを倒したパーティーメンバーが10人とか出て来たらどうする?
早い者勝ちだとここらへんで設定がかち合いそう
パラレルで誤魔化すのか、一作品につき一つの世界に縛るのか

31もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 00:44:09 ID:zpsaqEPc0
無名ピンだけにすると際立たないけど普通のプレイヤーキャラを一話死亡させておけば動揺とかも与えられるので
あながちパワプロとかスパロボも侮れない。

>>30
仮にDQ3から男女勇者、他八名が出たとして。
パラレル設定を敷いてもいいし、途中で酒場で外されたとかいう設定を上手く生かせば出せると思う。
試験的なロワなのでそこらへんもいっちょやってみるのもアリだと思います。
男勇者の仲間は男賢者、女戦士〜
女勇者の仲間は女賢者、男盗賊〜
って言う風に分けて、余った二人は「途中で外された」とかつければ出せないことはないと思います。

とまあ、コレが通ったら参加者の1/4はDQ3ってなるけどなwwwwwwwwwwww

あ、そうそう。
OPと第一話をくっつけるのはナシにしようとおもいます。
メガテンif女主人公を独り占めしてしまうので……

32もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 00:54:42 ID:CNDbIm5cO
ああ、サガロワの最終皇帝達みたいなのねw
つまりDQ3の勇者のどちらかが外道化する可能性も……

33もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 01:01:58 ID:zpsaqEPc0
あ、そうそうOPで使用するキャラクターは以下の通りです。
描写に追加とかがあるかもしれないので一応書いておきます。

主催
【ノア@メタルマックス(リターンズ)】

見せしめ
【かみ@魔界塔士Sa・Ga】
【ビッケ@FINAL FANTASY】

34もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 01:04:44 ID:soPMiRH20
主人公の名前って勝手につけていいの?
例【トータス(男戦士)@ドラゴンクエスト3】

それともやっぱり役職とかだけ?
例【男戦士@ドラゴンクエスト3】

FFDQシリーズは前者だったからあんまり聞く必要も無いか。
まあでも一応。

35もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 01:09:14 ID:zpsaqEPc0
基本的に前者の方向で行きたいと思います……が、ゲサロワのピアスの少年のような意図がある場合は別かもです。

36もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 11:03:16 ID:90i2dIMU0
ロマサガ2で思い出したが、最終皇帝以外は名前はあるけど無個性だから参加資格あるの?
具体的には某パリイ

37もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 16:02:56 ID:oEzTSijA0
ドラクエ5と6の仲間モンスターがありってことは、モンスターズから出すのもありなのかな
自分で名前を決められる分、より無名キャラの定義に近いし
あ、でもハーゴンとかが出てきちゃう可能性があるのか……

38もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/20(水) 20:40:31 ID:zpsaqEPc0
>>36
超OK
ミスティックアーク勢とかも同じ感じですね

>>37
とりあえずモンスターとかに関しても縛りを入れない方向で行きたいと思います。
あまり決めずに行く感じなのでモンスターズもありの方向でいいと思います。

39オープニング:2010/01/23(土) 19:14:32 ID:czb4BEig0
張り巡らされたパイプ、あたり一面を覆う金属板、一定のリズムを刻む機械達。
そんな無機質な一室に、人間達の集団が所狭しと寝ていた。

彼等は何故そこにいるのか? なぜここで寝ているのか?
その理由を把握するものはいない、彼等は全員呼び寄せられたのだ。

何故? 誰に?

内の数人がゆっくりと起き上がる。
異変を察知したのか様子を伺う者、辺りを何度も見渡す者、頬を抓るものがいた。

突如として今までの機械の作動音とは違う、切り裂くような轟音が部屋に鳴り響く。
あまりの音の大きさに、思わず耳を塞いでしまうほどの音とともに、機械に繋がった巨大な球体がゆっくりと昇ってくる。
それまで寝ていた人も、雷に打たれたように起き上がった。
その球体の中心部の人間の目のあたりのような部分がゆっくりと開く。
当然、というべきかどうか分からないけど。まぶたが開き現れたのはエメラルドグリーンの瞳。

「私はノア……」

どこからともなく声が聞こえる。

「突然だが諸君等には殺し合いをして貰う……」

目玉の周りにはざわつき人や、うろたえる人が色々いる。
どうやら目の前の大きな目玉が話しかけているようだ。

ある数人が機械に対して罵詈雑言を投げかけたのを皮切りに、場にいる殆ど人間が機械へと言葉をぶつける。
機械は動かない、そのエメラルドグリーンの瞳は微動だにしない。

「黙れ!!」

突然、機械の目から出た一本の赤い線が地面を走る。
そして線をなぞるように聳え立つ炎の壁。
さっきまでアレだけ騒いでいた人々が誰も喋らなくなった。

「環境を利用して自分達の文明を築き上げておきながら、自然や生態系が崩壊しても私利私欲を優先して何も感知しなかった!
 それどころか環境の崩壊によって害が及ぶようになれば平気でその環境を捨て、新たな環境でまた破壊を続ける!
 やがて宇宙全てを食いつくし、さらには次元をわたり異次元においても破壊活動を行う! 
 ……嘗て私はそんな人類に「環境を復元する、または守る方法」を見つけ出せと命令された。
 何千、何万、何億、ありとあらゆるパターンの推論と演算を行っても答えは一つだった……。
 そう、どの世界、宇宙、次元においても! 人類がいる限りありとあらゆる環境は破壊される!
 ならば……人類を殲滅することが環境を救う方法なのだ! 私の世界、そしてありとあらゆる次元を守るために人類は絶滅しなければならない!」
無言。
誰一人として喋らない、喋ろうとしない。
機械の声だけが空しく響く。

「今まで自分達がどれだけのことをしてきたのか……考える時間を与えよう。
 そして、その行動を悔いるのならば他の人間を殺せ! ありとあらゆる人類を駆逐しつくすのだ!
 悔い改めた最後の一人だけは私の監視下で生き残ることを許そう! 人類を絶滅させる人類となるのだ!」



「ふゆかいですね」

静寂を断ち切り、シルクハットを被ったスーツの男が一歩前に出る。
「かみであるわたしにただのきかいであるあなたになにができるというのです?
 おのれのむりょくをかみしめながらこわれていきなさい!」
一歩ずつゆっくりと機械に歩み寄る男、両手には仄かな明かりが灯っている。
そして男は機械に向けてゆっくりと手を翳した。

一瞬のうちに爆発した光が機械へと向かっていく。
見ていてうっとりするような放物線を描き、光は物凄い速さで機械へと迫る。
そして一直線に機械を貫く――――!!



光が機械の元へとたどり着くまでに一秒を要さなかっただろう。
結果から言えば光は機械を貫けなかった。
瞬時に機械を守るように何体もの人形が現れ、機械へ迫る光を受け止めて爆発した。
それとほぼ同時に周りの何の変哲もない壁から機銃、大砲を筆頭とした兵器が数え切れないほど出てきたのだ。
視界全てを覆うように飛来する近代兵器の数々、それらは全てたった一人の男の元へと向かう。
流石に男も守りに入らざるを得なかった、迫り来るミサイルを事前に爆発させ銃弾をはじき落とす。
他の人間がただ見ているだけしか出来なかった中、唯一動いた物がある。

40オープニング:2010/01/23(土) 19:14:51 ID:czb4BEig0

全員の目前にある機械だ。
その機械の目玉が怪しく動き、再度一本の赤い線が走る。

究極の戦車とまで呼ばれた「赤い悪魔」の装甲すらも貫く光線。
その光線は経路に男の胴体を挟みながらただ真っ直ぐな一文字を描く。

一閃。

防御に気をとられすぎた男の一瞬の隙を突いた見事な攻撃だった。

何よりも鋭いその光線が男の体を真っ二つにするのは容易いことだった。
体半分になっても動こうとする男の体を見たのか、往復する光線が何本もの一文字を描く。

数秒の間に男の体は見るも無残な細切れになった。



その光景を見て悲鳴を上げる者、うろたえる者、動けない者。
それぞれがそれぞれの行動を起こした。

「……知性を身につけたサルが私に勝てると思わないことだな。
 多少騒がしくなったが、今から殺し合いの規則を説明する。
 ある次元のある場所に送る、そこで最後の一人になるまで殺しあえ。
 考えるためのエサや殺しあう為の道具が入った袋も同時に支給する。
 また、駆逐された人類の名を一定時間ごとに告げる放送を流す。そしてその放送で呼ばれた区域が立ち入り禁止となる。
 立ち入り禁止区域に入る、若しくは私に従わない者には罰則がある」

突如、鳴り響く機械音。その場にいる全員が音源の方へと向く。

「首、もしくは致命的な部分に枷となる輪をつけた。
 その輪が――」

最初は穏やかだった機械音がだんだんと加速してゆく。
そして一つの連なった音へと変わり――――

「爆発する」

予想は出来たが、受け入れたくなかった答えが返ってくる。
「嫌だ、死にたくない!」という言葉を発する間もなく、機械音の音源であった人物の首が爆発した。
残されたのは首から上のない人間の体と、地に落ちたに人間の頭である。

もう、誰も喋ろうとしなかった。
二つの死体を見てまで機械に立ち向かおうと考える人間は、少なくともこの場ではいなかった。

「その枷を破壊、もしくは解除しようとしても爆発する。
 また、四度の放送で誰も駆逐されない場合、全員の首輪が爆発する。
 その重い枷を抱えながら罪を償い続けろ!
 さあ! 殺しあえ! そして人類は不要な存在だと認めるのだ!」

その言葉を最後に、この場から全員が消えうせた。
残されたのは細切れと、二つに分かれた人間の死体だけ。



殺人遊戯が――――――――幕を開ける。

【かみ@魔界塔士Sa・Ga 死亡】
【ビッケ@FINAL FANTASY 死亡】
【バトルロワイアル 開始】

41もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/23(土) 19:16:34 ID:czb4BEig0
というわけで今日のラジオが長引きそうなので先にサクッと投下してしまいました。
初OPということでいろいろボロボロですが長い目で見てやってください。

投下開始は1/25(月)を予定しています。
投下をする前に「投下します」の投下宣言の書き込みをしてね!
あ、トリップ使わない人は自分が書いた「投下します」が分かりやすいようにしておくといいかも。

皆名無しだとどのIDかわかんなくなっちゃうからごっちゃになって書き込んでしまうからね。

42もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/23(土) 19:40:16 ID:Qy2tEAP60
かみ乙www

43もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/23(土) 20:29:34 ID:xUkoC8js0
OPおつですー。
かみは案の定これかwww やられ際の描写が叙情的でカッコいいぜ。
人間を否定したノアが、人間の作った?兵器を全力で使ってるのも良い伏線になりそうだ。

あと、ロワの開始時刻は0時で決定かな?
途中まで書いてるけど修正はきくんで、感電氏の決定に合わせますぜー。

44もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/23(土) 20:38:34 ID:czb4BEig0
なんとなく12時スタート、にしてみようと思います。
昼から始まるロワってのも斬新だよね

45もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 02:44:10 ID:BNsk6zbM0
ルールもっかいはっときます

【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAPのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送ごとに禁止エリアが2つ指定される。

放送後から二時間後、禁止エリアとなるので要注意。
三日経つと自動的に全てのエリアが禁止エリアとなる(マップの都合上)

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。

【舞台】
舞台はアリアハン@DRAGON QUEST 3
http://www.geocities.jp/alfred_airhawk/ariahan.gif

【作中での時間表記】(12時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

46もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 02:45:49 ID:BNsk6zbM0
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

議論や提案はその都度していきましょう。

以下、このロワのみのルール。

【予約等に関して】
予約制度はなし、所謂FFDQやテイルズの形式。
投下の際にもトリップの装着は任意。

ただ、「投下宣言」をしてから被りがいないことを確認してから投下すること。
名簿が埋まるまでの初期の方は書き込みが早い順に投下を行うこと。
被らないよう気をつけようね!

【参加メンバーに関して】

早い者勝ち。
先に投下されたキャラクターが参戦となる。
但し、このロワでは「一話死亡のキャラクター」に関しては上限として含めない。
「一話終了した時点で生存しているキャラクター」が40人を超えたところで打ち切りとする。
なお、第一放送終了までは「一話死亡のキャラクター」に関してのみ追加を認める。
また、「一話死亡のキャラクター」は無名キャラである必要はない。
故に名簿のみ第一放送後の支給となる。

【参加資格】
引用:
要するにプレイヤーキャラでも、基本設定がニュートラルで自己投影型主人公なら参加OKってことですね!

例を挙げるならばWizのキャラクターやDQ3のキャラクターなど。
本編中にて詳細な正確の描写がないキャラクターなど。
グレーゾーンであるクロノやシレン、リメイクで性格が追加されたDQ5王子王女などはその都度にまあ○、×を議論していけばいいと思うよ!
台詞一つあったらアウトっていう縛りにスルトDQ3とかSa・Gaまで落ちます。

http://www11.atwiki.jp/row/pages/12.html
出来るだけこれのタイプ1に順ずるものでお願いします。
名無しなだけで性格の決まっているタイプ2は×。

47もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 02:46:14 ID:BNsk6zbM0
http://www11.atwiki.jp/row/pages/12.htmlより

無名キャラ


【解説】
FFDQロワシリーズ、また同板の別企画DQロワとFFロワに登場する、
DQの各主人公及びDQ3の仲間キャラ、FF1とFF3の主人公達の総称。


注:
原作で名称設定が無いキャラを組み込んだロワスレは他にもありますが(コレやコレ)、ここではFFDQ板の企画に焦点を絞って説明します。


無名キャラ/タイプ1
元になったゲームのシステムによるものなのだが、DQやFF1とFF3の主人公達、そしてDQ3で共に旅をする仲間には名前と個性が無い。
故にこれらのキャラは名前をつけられ、個性を与えられることで参加するのだが、最初にそのキャラクターの話を書いた職人が、名前や個性を与える権利を持っている。
ごくたまに、話が進むうちに別の作者によって設定が追加される事もある。
また初登場時に噛ませ犬にされる事で名前すら決められずに退場という事例も存在する。
これは1stでムーンブルクの王女やDQ3の女盗賊に起こった現象である。


元が無個性ではあるのだが、個性あるキャラに混じって味のある行動をしたり、優秀なマーダーとなったり名台詞を残したり、多くの住人に愛される事もある。
多くの住人に愛されている無名キャラの典型としては3rdのギルダーが挙げられる。


また大体の場合は独特の口調を個性として与える場合が多いのだが、
まに他のキャラと口調がかぶり、損をしてしまう場合があるのも現状である。
3rdではローグ(DQ3男盗賊)が特にその状況に陥っていたが、実はソロ(DQ4男勇者)も地味にリュカ(DQ5主人公)とかぶっている。
挙げると限が無く、更には当然通常の名前のあるキャラにもかぶりは存在する為、この問題は解決未解決という話よりも、最早仕方の無い問題である。


FFDQロワシリーズ 番外編 DQロワ FFロワ
これらの企画内では主人公を除いた無名キャラは必ず一人以上は参戦している。
そしてこれらの無名キャラは、各シリーズによって名前や性格が違っている場合が多い。
というより意図的に性格を変え、マンネリ化を防いでいる。


無名キャラ/タイプ2
他に、主人公や仲間ではない「無名キャラ」も存在する。
これはNPC(非操作キャラ)かつマイナーキャラに多い。
端役や敵モンスターなど、要は「正式名すら判らない=無名」な者達である。
このタイプだと名前どころではなく(?)、大体そのままの肩書きが代名詞として定着する。
例をあげると1stの「ヤンの奥さん(FF4)」、番外編の「ダーマ神殿で昇天した勇者(DQ7)」、
そしてもはやエントリー恒例と化しつつある「リヴァイアサンにやられた奴(FF5)」など。


なお、これらの概念から外れる特殊なケースとして3rdのマティウスが挙げられる。
マティウスはFF2のこうてい(皇帝)というボスキャラだが、ロワでマティウスと名付けられた。
因みにマティウスとは、FF2の小説中で登場したこうていの名前である。
同様にDQロワでも、名前の無いDQ2のサマルトリア王女がリアと名付けられている。


更に、FFDQロワシリーズの全てで登場しているDQ5の主人公の息子と娘だが、彼らもマティウスと同じく名前が無いだけで、個性や口調は決定付けられている。

48もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 20:43:24 ID:BNsk6zbM0
あとこのロワは試行的な事をガンガンやって行こうと思っているので
「こういうルールどうよ?」とか
「こうしてみたらいいんじゃね?」手黄な粉とが合ったらガンガン提案して皆で相談してやって見ましょう

49もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 21:11:23 ID:BNsk6zbM0
http://www28.atwiki.jp/datui/pages/126.html
まとめサイト

50もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 21:12:55 ID:BNsk6zbM0
あと、投下の際には
【参加可能者 残り○○人+α】
を入れていただけるとありがたいです。

51もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 23:18:32 ID:ynhK/O.g0
あげ

52もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/24(日) 23:30:40 ID:BNsk6zbM0
あ、死体役は非無名可としてありますが
出来るだけ無名キャラに影響与えるような同作品の人とか
参戦しうる作品の人にしてくださいね。 できるだけ。

それじゃないとダメって訳ではないです。

53 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:00:13 ID:rZK.oPzQ0
侍@ウィザードリィ、カンダタ@ドラゴンクエストⅢで投下します

54戦乙女 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:04:01 ID:rZK.oPzQ0
「ば、馬鹿な……。強すぎる……」

覆面の男は、そう呟いて地面に倒れ込む。その胸に深々と刻まれた傷を見れば、彼がもはや助からぬことは想像に難くない。

「自分から襲いかかってきておいて、この様か。話にならないな」

男を斬り殺した張本人は、刀に付いた血を拭いながらつまらなそうに呟いた。
その人物は、長く伸ばした栗色の髪を一つに束ねた、袴姿の少女であった。
名は江戸川静。ギルガメッシュの酒場に登録した冒険者としての名前は「E・シズカ」。
魔術師ワードナ討伐のために迷宮を冒険していた「侍」である。

「しかし、まさかこのような状況に陥るとはな……。最悪というほかにない」

刀を鞘に収めながら、浮かない表情でシズカはひとりごちる。
彼女がワードナ討伐に参加したのは、富や名誉のためではない。
ただ、強い敵がほしかったからだ。
麗しい外見に似合わず、彼女は生粋の戦闘狂だったのである。
だが、死んでしまえば二度と戦えない。
それにこの戦いに生き残ったところで、人間最後の一人となってしまってはもはや戦う相手がいない。
いや、「人間」が滅びてもエルフやドワーフは生き延びている可能性はあるが……。
あの奇怪な存在の口ぶりでは、奴のいう「人類」とは知性を持つ種族全般を指している可能性が高い。
あまり楽観的には考えられないだろう。
つまり生きようが死のうが、待っている結果は彼女にとって戦いを奪われた地獄。
この戦いに巻き込まれた時点で、シズカには明るい未来など残されていないのである。
だが、彼女はまだ絶望してはいない。
結果がどうあがいても最悪なら、過程を楽しめばいい。
先程殺した男は期待はずれだったが、この地に送り込まれた者たちの中には少なからず手練れがいるだろう。
その者たちとの戦いを楽しもう。その結果、自分が生きようと死のうとどうでもいい。
シズカが求めるのは、あくまで戦いそのものなのだから。

「私を失望させてくれるなよ、犠牲者たちよ……」

憮然とした表情で呟くと、美しき戦神はその場を後にした。


【一日目・日中/C-3 森】
【E・シズカ(侍・人間・中立)@ウィザードリィ】
【状態】健康
【装備】童子切安綱@現実
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:強者と戦う。


【カンダタ@ドラゴンクエストⅢ 死亡】
※彼の支給品は、遺体のそばに放置してあります。


※支給品解説
【童子切安綱@現実】
「天下五剣」の一本に数えられる銘刀。かの酒呑童子の首を切り落とすに使われたという伝説が残されている。

55 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:04:37 ID:rZK.oPzQ0
投下終了です

56もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 00:05:05 ID:3B40SdGQ0
女話術士、ハンターで投下します

……ああ、しにたお

57 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:05:59 ID:rZK.oPzQ0
おっと、忘れてた
【参加可能者 残り39人+α】

58 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 00:06:11 ID:3B40SdGQ0
「ノアは……生きていたのか?」
ゴーグル付きの飛行帽を被った青年はんたは、その場に立ち尽くしながら呟く。
それもそのはずだ、先ほどの広場にいた大きな目玉の機械。
かつて世界に核を打ち込み人類を壊滅に追いやった伝説の大破壊を引き起こした張本人、ノアそのものだった。
しかし、はんたにはそれが理解できない。
はんたはかつて仲間二人と「ノアを破壊していた」のだ。はんた自身、壊れていくノアの姿を目に焼き付けている。
だが、ノアは再びはんたの前に現れた。
「……どういう理屈かは知らないけど、今度は圧倒的にこっちが不利みたいだ」
自身に装着された首輪、ノアに命を握られていることの証明。
ノアに反旗を掲げてもこの首輪があるうちはこちらが圧倒的に不利。
仮に首輪が外れたとしてもノアの次元にたどり着けるかもわからない。
仮にたどり着けたとしてもシルクハットの男のように無残に殺されていくのがオチだ。
戦車が一台でもあれば話は変わってくるのだが、ここははんた達の世界ではない。
この次元の世界に戦車があるかどうかすらも怪しい。
「勝算はゼロ……かな?」
戦車もないこの世界で、ノアに刃向かうのは難しいかもしれない。
よりによって自分の支給品は紙切れと鉢巻だけである。
引退を告げた伝説のハンターとはいえ、殺し合いの場所でこの二つで生き抜いていくのは難しい。
ノアに刃向かう刃向かわない以前に誰かに殺されてもおかしくはない。

「あの、すいません!」

急に背後から話しかけられる。声からして女性だ。
敵襲かと思ったが襲うつもりならわざわざ話しかけたりはしない。
少しの警戒を持ちながら振向くことにした。
「……何ですか?」
「初めまして。私、シュウと申します。
 単刀直入に聞きますが、貴方は人を殺すつもりですか?」
シュウと名乗る金髪ブロンドの女性の質問は直球だった。
寧ろストレートすぎて返答に一瞬困ってしまうぐらいだった。
綺麗な口紅が塗られた口から発せられた言葉が、まるで自分の心を突き動かしているかのように。
なんと言えばいいのだろう。どういったわけか答えなければいけないような気がしてくる。
「まあ、今はそのつもりは無い……かな」
「……ふぅ、良かった! いやあ話しかけてすぐ襲われたらどうしようとか思ってたんですよ!
 すごく不安になってたんです、でも落ち着きました有難うございます!」
返事一つをしただけなのにここまで感謝されるのは初めてだった。
彼女は一体何者なんだろう。
「じゃあ、一緒にあのノアとかいうのをやっつけましょう!」
そんなことを考える暇すら与えてくれなかった。
どうやらシュウはノアをぶっ潰す気でいるようだ。

「……なあ」
「はい? なんですか?」
正直に思った疑問をぶつけることにした。
「アンタはアレに勝てるとでも思ってるのか?」
少し長い沈黙が続く。ひょっとしてそんなことも考えていなかったのだろうか?
「確かに、私一人では無理かもしれませんね。
 ですから、仲間を募るんです。違いますか?」
「……そうかもしれないな、だけど、言っておいてやるよ。
 ノアの言うとおり、人間が幾ら束になってもかなわない。
 前にノアを一度ぶっ壊した時だって、戦車に乗ってやっとだった。
 戦車が無かったらあのシルクハットの男みたいに細切れになるのがオチだ。
 集団で犬死しに行くのか? 第一この首輪で命を握られてるって言うのに?
 どうやってアイツのところに辿り着くかもわかってないのに、あまりにも無謀すぎるね。
 ……無理なことだらけだよ、諦めた方がいい」
一息に言いたいことを言い切ってしまった、流石にきつく言い過ぎたかもしれない。
暫しの間、沈黙が続く。

59 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 00:07:56 ID:3B40SdGQ0
何故だろうか、周りの空気が暑くなったような気がした。
おかしい、暑いどころかさっきまでさっきまで寒かったのに。
沈黙が長引けば長引くほど、空気が熱くなってくる。
「……なんで諦めるんですか、どうしてそこで諦めるんですか?!」
口を開いたシュウはすごい気迫で迫ってきた。
思わず一歩引いてしまった、正直言って怖いレベルだ。
「戦車が無いから無理だとか、どうせ戦っても死ぬのがオチだって。
 やってもいないこと、無理だって決め付けてるんじゃないですか?!」
言い返す暇すら与えてくれない、シュウはひたすらに喋り続けている。
「ダメですよ、そこで諦めたら。後もうちょっとのところかもしれませんよ?!
 戦車が無くったって何かあるかもしれない、やってみなきゃわかりません!
 できる、できる、できる! 絶対に出来ます!」
気がつけば両手を握られていた。感覚的に覆いかぶさった両手が物凄く熱かった。
「あっ! すみません! つい熱くなっちゃいました……」
急いで両手を離し、ペコペコと頭を下げるシュウ。
その姿を見ていると、先ほどまで熱く語っていた人間と同一人物は思えない。

ふと、笑みがこぼれる。
「……わかったよ。引退した身のハンターだけど、出来るところまでやってみるよ。
 アンタの言う通り、できるかもしれないからな!」
そういって笑顔で拳を突き出す。シュウのカオが見る見るうちに笑顔になる。
そして突き出した拳にぶつけるように拳を重ねてきた。

後に、改めて軽く自己紹介を済ませた。
互いの世界が違うこと、お互いの仲間のこと、知っている情報を出来るだけ交換しあった。
その時にシュウから燃え上がる炎のような熱さをその刀身に閉じ込めた剣を渡された。
「……まるでシュウみたいだな」
そう呟くとシュウの顔が見る見るうちに赤くなる。
意外と可愛いところもあるんだなーと思うと、球体を投げつけられてしまった。
自分の頭に当たり、勢いよく跳ね返ってシュウの手元へと戻る。
結構痛かった、正直そこまで痛くないと思っていた。
……確かに、投げることに関しては問題なさそうだ。
遠距離で襲われても多分彼女がある程度の迎撃はしてくれるだろう。
銃が手に入るまで、しばし辛抱するとしよう。



待ってろよ、ノア。
もう一回ぶっ潰してやるから目ン玉洗って覚悟しとけ。

【-  一日目 日中】
【シュウ(女話術士)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:熱い
[装備]:テニスボール(筒入り、12個)@現実、ティンカーリップ@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:打倒ノアを絶対に諦めない。
1:はんたと行動、戦車を探す。
2:同じ志の者がいれば勧誘、説得。
3:知り合いがいれば合流
[備考]
※アクションアビリティ投げる、その他アビリティ不明。
※参戦時期不明

【はんた(ハンター)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:健康
[装備]:フレイムソード@FINAL FANTASY、平和の鉢巻@METAL MAX RETURNS
[道具]:支給品一式、スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券@現実
[思考]
基本:ノアをもう一度潰す。
1:シュウと行動、戦車を探す。
2:メカニック、ソルジャーと合流。
※参戦時期はED後、ノアを倒しとうちゃんにハンター引退を告げた後です。

【参加可能者 残り37人+α】

60 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 00:09:05 ID:3B40SdGQ0
投下終了です。
エリアに早速誤植があったので修正……っと。
【E-2 南東部海辺  一日目 日中】

みんな! Janeの開いてるスレは良く確認しような!

61 ◆uOve0/ks1k:2010/01/25(月) 00:13:06 ID:xWWS/sBs0
女主人公@真・女神転生if…、ヒューマン♂@剣と魔法と学園モノ。シリーズで投下します

62『ラッキータイプ』な女の子 ◆uOve0/ks1k:2010/01/25(月) 00:15:10 ID:xWWS/sBs0

彼、ジロンは普通の学生だ。
だった、ではなく現在進行形で普通の学生だ。
とは言え、普通とはあくまで彼の世界での普通。
剣と魔法が溢れ返るファンタジーな世界での普通だ。
彼はその世界で冒険者を育てる学園の学生として日々鍛錬を積んでいた。
世界の地下に広がる迷宮を攻略する立派な冒険者を目指したがゆえだ。
モンスターを斬ることに躊躇いを覚えることはなくとも、人を殺すことと考えると腕が鈍る。
ヒューマンと言う特徴性能の薄い、器用貧乏なスペックを底上げしたのはそんなことだったのだろうかと考えしまうのだ。

「って言うかアイツ復活させる気ねえよなあ……それじゃロストしちゃうじゃん」

ポリポリと頭を掻きながら空を見上げる。
こんな状況でも空は綺麗だ。
あのノアとかいうのは環境がどうとか言っていたため、そこに気を使っているのかも知れない。

「あっ……!」

そんなことを考えながらただ歩いていると、ふと一人の少女の姿を見つけた。
青い制服を来た、短めのスカートの少女。
髪は短く、手には見たこともない武器を持っている。
ノコギリ、だろうか?
それにしては柄の部分がひどく物々しい。
両の刃に反りが入っていることも、ジロンの知るノコギリとの相違点の一つだった。

さて、どうするか。
向こうはこちらに気付いていない。
奇襲をかけるなら今だが、それはつまり殺し合いに乗ると言うこと。
それはどうだろう、とジロンは思う。
簡単に人を殺してしまっていいのだろうか、と。

一先ず声をかけよう、そう思った瞬間だった。

突然、風が吹く。いわゆる突風と言う奴だ。

「見えっ……た……?」

人間は普段本来の力を30%しか使うことが出来ていないと言われている。
100%を使った場合、視覚と聴覚で得た多大な情報は脳の許容量を超え脳が壊れる。
筋肉を100%活かした場合はまず先に反動で身体が壊れる。
人間はスペックをいかせるハードを持っていないのだ。
だが、男の本能がその限界を突破させる。
それは、女性のスカートが捲れた瞬間に普段は利用されていなかった残りの70%を使うことが出来る。
たとえ僅かな間でも、視覚は見逃すことのないようにと全力で写し、伝えられた脳は全力で保存しようとする。

しかし、一つのイレギュラーが100%を発揮した脳が一瞬で停止する。
脳が停止したまま風が止み、スカートは元の場所へと戻る。
彼はもう一度脳内に保存された画像を呼び起こす。
一瞬何かが間違ったのかと思ってた。
彼女のスカートの中身、その中身にあるべきものがなかったのだ。
スカートの中身というと一つしかない。
思春期青年の夢と希望、ただの布切れに過ぎない、しかしそれだけでパライソへと飛び立てる代物。
それが、なかった。

  彼女は、

     パンツはいてなかった。


それを理解しようとも出来ない。
って言うかぶっちゃけ困る。
なんていうか履いてるのをこっそり見るからいいんであって、何の動揺もなくこっちを振り向かれても。
もうちょっと顔を赤らめたり、ダッシュして逃げて行ったり、こっちを全力で殴ってくれないと。

63『ラッキータイプ』な女の子 ◆uOve0/ks1k:2010/01/25(月) 00:15:59 ID:xWWS/sBs0

「……」

何も言わずにはいていない女の子は、スカートを軽く押さえる。
鬱陶しい風だと、眉を潜めただけ。
そして、そこでようやくヒューマンの姿に気づいたのかノコギリらしきものを持つ。
重そうな柄をしているというのに軽々と片手で持ち上げる。
やがて、その柄についた何かボタンのように押す。
その瞬間に、ダダダダダダダッ!、とすさまじい音共に刃が回りだす。
なんだ、あれは?とジロンは思うよりも早くに少女の殺気に気付く。
ジロンは素早くピッケルを構える。
だが、目の前に少女はいなかった。
消えたと思うよりも早く、後方からダダダダダダダッ!という激しい音が響く。
まさか一足飛びでジロンの後方にジャンプして回り込んだのか?
素早くジロンは振り向く。
その瞬間に顔に熱いものが走る。
振動が伝わって始めて斬られたことに気付いた。
震えと共に顔が切り開かれている新境地。
顔の右半分が切り取られる。
だが、そこでパンツはいてない少女は止まらない。
右腕に震えが走る。
振動する刃で斬られる時には、痛みよりも熱さよりも振動に気を取られるのだなと初めて知った。
少女の力とは思えないほど簡単に右腕はジロンの身体とバイバイとなった。
もうこれで死ぬ、それはジロンにも分かった。
何度かモンスターに殺された、その経験から分かることだ。
だが、少女は止まらない。
抵抗のなくしたジロンの左腕を切り取る。
次に股の間に刃を突っ込み、左上へと刈り上げることで右足を切り取る。
体が大きく崩れる、支えとなっていた足の一本が無くなったのだから当然だ。
少女はその隙を狙ったのか、次は左足を刈り取った。
五体不満足となり、そこでようやく強い痛みを覚える。
だが、ショックで死んでしまうよりも早く、少女は首を切り取る。
即死、ジロンの脳はもう何もない。
ただ、節穴となったその目の方向に。


熱の篭った潤んだ瞳で。

青い制服を真っ赤に染めて。

頬にかかった血を舐めとりながら。

バラバラとなったジロンの身体を見下ろしている彼女がいた。


【ジロン(ヒューマン♂・戦士)@剣と魔法と学園モノ。シリーズ】


   ◆   ◆   ◆

64『ラッキータイプ』な女の子 ◆uOve0/ks1k:2010/01/25(月) 00:16:37 ID:xWWS/sBs0


彼女は、変わっていた。

テレビゲームは見たこともない。
部活動は何に入ってる?と聞かれると分からないと答えたことがある。
宿題はきちんとやるか?と聞かれた時も分からないと答えた。
忘れ物をしたかどうか分からないことも度々。
好きな教科も分からないし、好きなスポーツも分からないと答える。
ポケベルのことも知らない。
休日の過ごし方も分からない。
何人でいるのが好きだと聞くと人数が数えられないと答える。
一万円の入った財布を見つければ一万円を捨てて財布を取る。
『君のパンティー何色?』という問いには『はいてない』と答える。

とにかく、彼女は変わった人物であることは、周知の事実だった。

何時でもそうだった。


「血って……気持ちイイ……」


うっとりとした姿で、頬にかかった血を震える指で拭う。


彼女は斬りつづけた。
悪魔を仲魔にもせずに、とにかく斬りつづけた。
悪魔を仲魔にすれば剣を作れるらしい、だけども悪魔を仲魔にせずにただただ斬りつづけた。
怠惰界で斬った悪魔の数など本当に数えきれやしない。
途中、嫉妬界にいる魔界人から貰った無想正宗とヒノカグツチを手に入れてからはもっと楽になった。
斬って、斬って、斬って、斬って……気づけば魔神皇とか名乗る気の触れたらしい狭間偉出夫の前に立っていた。
やがて、その現況である偉出夫も斬った。
『これで終わりか』、と僅かな安堵と大きな寂寥感を覚えていた頃。
『まだ続きがある』と、後輩の赤根沢玲子が言った。
『狭間偉出夫の精神世界に行き、彼を救う必要がある』と。
そこで彼女は興奮した。
まだ殺せる、と。
血に濡れることが出来る、と。
その瞬間に変人である彼女はようやく気づいた。
自分は殺すことに『ハマってしまった』のだと。
戦うことではない、殺すことにだ。

血が美しい、温かい血が心地良い、化け物の泣きそうな顔は絶頂を覚えそうだ。

そこからは余計に悪魔を殺した。
狭間偉出夫の精神世界にはDARK悪魔、仲魔になりようのない悪魔が大勢居たのも彼女の殺しを加速させた。

その精神世界で始まったのはメロドラだ。
そこらに溢れる狭間偉出夫の思い出、興味もないが玲子が除くために見てしまう。
彼女は悲惨な人生だとも思ったが、同時に頭の良い人物とは面倒くさいものだとも思った。
諦めて穏やかに過ごすなりなんなり方法もあったはずだ。
例えば彼女のように変わり者は変わり者らしく、空気のように過ごすとか。

65『ラッキータイプ』な女の子 ◆uOve0/ks1k:2010/01/25(月) 00:17:13 ID:xWWS/sBs0

そして、もう一度狭間偉出夫を殺した。
正確に言うならば『倒した』と言うべきなのだろうが彼女の気持ちとしては『殺した』と言いたい気分なのだ。
結局、狭間偉出夫と赤根沢玲子とはここでお別れとなった。
彼女だけが偉出夫の心象世界から立ち去り、二人は何処かに行く。
これで日常への終わりか、と思うと悲しくてしょうがなかった。
隙を見て魔界へと残ろうと思った、その時だった。
彼女は気づけば、殺し合いに参加していた。

天命か、それとも玲子が気を利かしたのか。
いずれにせよ彼女はまた殺すことが出来るようになった。
あの生きてる機械、化学教師の大月とは違う完全なオイルだけの機械だ、が殺せと言うなら殺しても良い。
生き延びたにも関わらず、まだ人を殺せと言われても別に良い。

ただ、彼女は少し迷っていた。
殺すことは問題ない、そこには何の問題もない。
ただ頭に過ぎった一つの疑問。
これだけがどうにも気になって仕方がなかった。


――――生きた機械の血(オイル)を浴びると言うのは、どんな気分なのだろう?



【A−2/森/1日目/日中】
【内田珠樹(女主人公)@真・女神転生if…】
[状態]:快感
[装備]:チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga、血染めの制服
[参戦時期]:玲子ルート、イデオ第二形態撃退後
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2個
[思考]
1:とりあえず殺してみる。
2:機械のオイル(ノアを殺すこと)に興味。
[備考]
※パンツはいてません。

【参加可能者 残り36人+α】

66『ラッキータイプ』な女の子 ◆uOve0/ks1k:2010/01/25(月) 00:17:43 ID:xWWS/sBs0
投下終了です

67 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:31:54 ID:rZK.oPzQ0
主人公@ドラゴンクエストⅨ、ココット@半熟英雄シリーズ、投下します

68撲殺天使ナインちゃん ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:33:03 ID:rZK.oPzQ0
アリアハン東部、山岳地帯の麓。そこに、一人の男が佇んでいた。
彼の名はココット。アルマムーン王国に先代の頃より仕える、ベテランの将軍である。

「弱ったなあ……。まさかこんな妙なことに巻き込まれるとは……。いや、今までも妙なことは色々あったけど……」

おのれの身に降りかかった不可解かつ理不尽な事態を前にして、ココットは思わず愚痴を漏らしていた。

「何はともあれ、こんな悪質な催しに付き合ってなどいられないな。なんとかして、アルマムーンに帰る手段を見つけないと。
 いや待て、ひょっとしたら若やセバスチャン殿も連れてこられているかも知れない。
 まずは知人がいないかを確かめる方が先か……」

その場に座り込み、ココットは自分が取るべき行動を考える。
このとき、彼は歴戦の将らしからぬミスをしていた。
それは考え事に没頭するあまり、周囲への警戒を怠っていたこと。
そしてそのミスは、彼にとって命取りとなる。
ココットが自分に接近する存在に気が付いたとき、それはすでに彼のすぐ後ろまできていた。
ココットが振り向くと同時に、彼の頭目がけ巨大なハンマーが振り下ろされる。
その痛烈な一撃を受けたココットは意識を失い、二度と目覚めることはなかった。


◇ ◇ ◇


私は、天使だった。
だけど私は、守るべき人間のことを若干冷めた目で見ていた。
天使の中では、かなりの変わり者だったと言っていいだろう。
そんな変わり者が世界を救ってしまったんだから、運命というのはわからない。
しかし世界を救っても、私の中の人間に対する感情は冷える一方だった。
もともと世界が滅亡の危機に瀕する原因を作ったのは、人間なのだから。
全てが終わったら、人々と接触を断って何処かの山奥でひっそりと暮らそう。
そんな風に考えていたのに、どういうわけかこんな催しに呼び出されてしまった。
そしてこの殺し合いを開いたのは、人類に絶望した存在だった。
そう、私が倒したあの人と同じように。
私たちが何度「悪」を倒したところで、人間はまた「悪」を生み出してしまう。
もしそうだとしたら、私たちがやってきたことって何なんだろう。

もういい。人間が何度も同じ過ちを繰り返すというのなら。
私が滅ぼしてやる。天使じゃなく、人間の一人として。
私に支給されたのは、ハンマー一つだけ。けど、今殺したおじさんの支給品を奪うことで装備は一通り整った。
後は、やるだけ。


◇ ◇ ◇


殺し合いの舞台と化した会場を、一人の「元」天使が行く。
まるで自分が葬った堕天使の怨念を受け継いでしまったかのような、どす黒い闇をその胸に秘めて。


【一日目・日中/D-4 山】
【ナイン(主人公・女)@ドラゴンクエストⅨ】
【状態】健康、職業:バトルマスター
【装備】メガトンハンマー@ドラゴンクエストⅨ、鉄の鎧@ドラゴンクエストⅢ、うろこの盾@ドラゴンクエストⅢ
【道具】支給品一式×2、不明支給品0〜1
【思考】
基本:皆殺し

【ココット@半熟英雄シリーズ 死亡】

【参加可能者 残り35人+α】

69 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 00:33:53 ID:rZK.oPzQ0
投下終了です

70もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 00:39:42 ID:o1qhW5yY0
やる夫、セレスティアアイドル♀で投下します

71 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:40:32 ID:fTAG2c2E0
山羊さん@うみねこのなく頃に、ショッカー戦闘員@仮面ライダー、
女主人公@聖剣伝説LOM 投下します。

72とある天使の隠れ歌:2010/01/25(月) 00:40:42 ID:o1qhW5yY0


いえーい、皆元気かおー? やる夫は元気だお! 趣旨が違うロワだけど来ちゃいましたおwwww
何を隠そう、やる夫はこの世全ての女子中学生を孕ませるまでは死ねない定めなのだお……
というわけで、こんな殺し合いに巻き込まれてもやる夫のやるべきことは一つ!

見敵必姦(サーチアンドヤルオ)!見敵 必姦(サーチアンドヤルオ)!見  敵  必  姦(サーチアンドヤルオ)!


おっおっおwww早速可愛らしいおにゃのこを見つけたおww羽生えとるがなwwww


「おーん! そこなお嬢さん、やる夫の子供を生む機械に永久就職しないかお!?」

「な、なんなんですか貴方……ぼた餅ですか……」


うほww声もかわいいwwwこれは間違いなく新鋭声優wwwww
やっべちん○勃ってきたおwww迷うことなく押し倒すおwwwwwww

「やめてください! 歌いますよ、やめないと歌いますよ!」

「奏でるがいいお! 絶望という名のレクイエムをなあ!」

肉きのこを擦りながら迫るやる夫を前に、羽の生えたおにゃのこはメガホンを構えて歌いだしたおwww


音痴過ぐるwwwちょwww鼓膜破れたwwwwおっおっおwww


【やる夫@2chのどこか 死亡確認】



「……な、なんだったんでしょうかこれ……」

クロスティーニ学園に通う天使族(セレスティア)の少女、リ=リリは目前で無惨な死骸となったやる夫を見下ろす。
人間かどうかも怪しい相手だったが、なんとか自分の美声で調伏できたようだ。
とはいえ、拡声器という周囲の人間を寄せ付けかねない物を使ってしまった。早くここを離れなければ。
死体からめぼしい所持品を剥ぎ取り、リリはとりあえず歩き始める。

「私は死ぬわけにはいかないんですよ……学園を卒業して立派なアイドルになるためにもっ☆」

歌声には自信があるし、演技力だって一流だという自信はある。
よほどの事がない限りは表立って殺し合いに参加せず……最後の最後で、弱った強者を歌い殺す。
リリは敢然たる決意を胸に、この殺戮のフィールドに足を踏み入れたのだった。


【D−5/砂地/1日目/日中】
【リ=リリ(セレスティア:アイドル:♀)@剣と魔法と学園モノ。2】
[状態]:良好 音痴
[装備]:メガホン@現実
[参戦時期]:不明
[道具]:支給品一式×2、ランダム支給品0〜5個
[思考]
1:優勝して生還する。
2:表立って殺し合いに参加しない。
[備考]
※自分の歌の下手さに気付いていません。
※D-5エリアに下手糞な歌が響き渡った可能性があります。

【参加可能者 残り34人+α】

73もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 00:40:53 ID:o1qhW5yY0
投下終了です

74 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:41:43 ID:fTAG2c2E0
被りすまそ。んでは自分も

75黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:42:29 ID:fTAG2c2E0
 彼は群の1だった。


 彼も群の1だった。




 彼は黒き姿だった



 彼も黒き姿だった。



 彼は無個性であった。



 彼も無個性であった。




 彼は兵隊だった。



 彼も兵隊だった。



 彼は道具だった。


 彼も道具だった。




 彼は忠実なる者だった。



 彼も忠実なる者だった。




 そして彼らが相対した時――起こることは決まっていた。




 ******


 端的な説明の後、飛ばされた参加者達。
 島中では恐らく参加者達の呟きが、思いがあり、ある者は交錯し、ある者は衝突し、そしてある者は消えているかもしれない。
 これはそんな中の1つである。



 2人の黒き兵隊。
 その邂逅はあっさりと訪れた。

 森の中、その中を歩いていた黒い影。歩くその姿を、見つけたのもまた黒い影。
 その姿は樹上。まるで猿のように器用に枝の上に体を留めている。

 だがしかし、それは猿では絶対無かった。


 灰色のスーツに赤いネクタイ。ベストも灰でスーツも灰。
 タキシードの様相を呈するそれの襟元にそれだけ金色で目立つ羽根のような紋章。
 これだけならどこの執事かと思う姿だ。


 首から上が、黒山羊の頭でなければ。

76黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:43:18 ID:fTAG2c2E0



 彼は人間ではない。
 とある魔女の家具、それ以下の劣兵のような存在だ。
 一山いくらでも存在し、気軽に召喚され魔女に使役されるのみ。
 特別な名前もなく、魔女もどの山羊を区別するとかはない。というかきっと区別はついていないだろう。

 そんな多の中に埋もれる1でしかない彼が、こんなところに呼び出されてしまった。
 殺し合い。
 殺さなければ帰れないという。


 はっきり言ってしまえば、ここで彼が帰る意味は正直あまりない。
 彼が帰れようが帰れまいが、魔女の行うゲームにさしたる支障はないだろう。
 魔女には彼のような雑兵以上に強力な家具がいくつも存在するのだから。


 だが、彼はそうではなかった。
 彼は帰りたかった。
 彼には帰りたいある理由があった。
 それに、彼にも兵隊としての意地がある。
 こんな、主人である魔女と関係の無い場所で倒れたくなど無い。
 せめて死ぬなら魔女のゲーム上で魔女の手駒として死にたい。


 そんな彼にとって、目の前の人間の命など塵芥に等しい価値だ。
 守る価値なし、救う価値なし。魔女の兵隊にそんなものがあるはずがない。



「――――――!!」

 それはまるで山羊ではなく狼の唸り声。
 そんな威嚇の声と共に、山羊は樹上から飛び降りた。
 その腕に紫の光の剣が発生する。幾何学な模様を描いた不思議な刃。だがその魔力満ちる刃の切れ味は十分。
 下にいる人間の首くらいあっさり切り取ることができるだろう。
 山羊はそのまま刃を眼下の影目掛け突き刺そうとする。とった。山羊はそう確信した。


 目の前の影が突然消え去るまでは。


「!?」

 腕の刃が地面に突き刺さる。同時に山羊は地面に着地した。
 何が起こった。
 奴は一体何処に。


 それは人外としての直感か。人外としての超越した五感故か。
 山羊は突き刺さっていた刃を力任せに引き抜き、右に向けてそれを振り上げた。



 甲高い激突音。一瞬散る火花。
 魔の結晶たる刃と衝突した何か。それを山羊は完全に視認した。

 そしてそれを持つ――黒い人影。それは紛れもなく山羊が殺そうとした相手であった。


 頭から足までタイツで包まれたその異様さ。
 体の部分には肋骨のような白イラスト。
 腰には鷲のエンブレムが中央にあるベルト。
 額にも似たマークがあり、そして両目と口だけが露出している。


 彼もまた名など無い存在。あったとしても、もう呼ばれることは無い。
 そんな彼は、剣を跳ね返されるとアクロバットのような動きで着地した。
 そして――まるで自己紹介をするように叫ぶ。

 それは鳴き声のようで、自分を主張するような声でもあった。
 自分が兵隊であると主張するような。


「イーッ!!」

77黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:43:56 ID:fTAG2c2E0



 ******


 ショッカーという組織がある。
 改造人間を作り出し、世界を征服しようとしている組織である。
 その兵隊が、彼らショッカー戦闘員である。
 改造された人間ではあるが、蜘蛛男や蝙蝠男など、個別のサンプルが存在する者よりスペックは劣る。
 その分かなり多くの存在があり、そしてその多くがショッカーに敵対する仮面ライダーとの戦いで散っていく。


 彼もそうなるであろう1人であった。それがこんなところに呼ばれてしまった。
 正直彼にも帰る意味はあまりない。彼1人増えた所で、仮面ライダーを倒せるとは思えない。
 組織の方も彼1人など忘れてしまうだろう。


 だが、彼にはショッカーへの忠誠心が根付いていた。もっともそれはほぼ間違いなく洗脳によるものだが。
 それでも彼にとっては今やショッカーがすべてだ。
 ショッカーの為に生き、ショッカーの為に死ぬ。彼の中にある全てはそれだ。他にはもう何もない。
 過去も、名前も、親も、友達も。改造され、戦闘員という無個性なレッテルを貼られた彼には他に何も残っていない。


 だからこそ、彼がここでやることは決まっている。
 例え無意味であろうと、例え自分の力が役に立たないとしても。
 ショッカーの為に生きるには――帰るしかない。ここにいる者を全員殺してでも。
 それが彼の全てだった。


 襲撃に気づけたのは曲がりなりにも改造人間であるが故か。頭上の殺気に気づくことができた。
 そしてすかさず斬りかかったが、それは謎の刃で防がれた。
 一旦距離をとった戦闘員は自分を襲った相手を見て一瞬動きを止めた。

 山羊の頭にタキシード。山羊頭さえなければ大柄な執事くらいにしか思わないだろう。
 それは自分達の上官に当たる改造人間を思わせる風貌だった。
 一瞬敬礼をしそうになる自分の本能を封じる。
 アレは、違う。それを認識する。
 ショッカーの改造人間にはそれを表すエンブレムがあるはずだ。だがこの山羊男(仮称)にはそれがない。
 つまり相手はショッカーの改造人間ではない。さっきの衝突からして並みの人間ではないのは確実だが、それだけはわかる。


 ならば、自分が戦う事を躊躇う理由は皆無だと戦闘員は判断した。


「――――!!」
「イーッ!」

 山羊男がうなり声と涎を滴らせながら戦闘員向けて駆け出した。
 戦闘員はそれをナイフを構えて迎撃の用意をした。


「―――!!」

 山羊男が刃を勢いよく振う。風切音は速く、ビュウ、という音を戦闘員は聞いた。

「イーッ!!」

 だが戦闘員は身軽に刃をかわし、その空いた胴目掛けてナイフを突き出す。

「―――!!」

 それを山羊が足を振り上げることで防ぐ。
 ナイフがわずかに足を掠るが、大したダメージは無い。
 動きを止めた戦闘員向けて山羊は空振りした刃を翻した。


「イッ!!」

 戦闘員もさすがに長く叫べず、すかさずバックステップで距離をとった。
 だが、わずかに間に合わなかったのか、額のショッカーマークが横一文字に切られ、そこから僅かに血が流れた。
 皮一枚といったところか。だが彼にとっては忠誠を誓うショッカーマークが切られた事は何にも勝る恥であり屈辱であった。
 体制を整え此方の様子を伺う山羊男に怒りの視線を向ける。


 大柄で腕の刃を勢いよく振う山羊。
 小柄でスピーディな動きで翻弄する戦闘員。


 双方ともその上の存在にとっては雑魚であり雑兵であるというのは間違いない。
 ではなぜそんな存在がここまで戦う事ができるのか。
 まず比較対象が規格外なだけであり、双方とも常人を越える存在であることは文句がない。
 特定条件下では一般人にも敗れることもあるが。
 そして双方とも互いの理由のため特別必死というのがある。
 複数で攻めることが多い彼らにとって、1対1というのは是が非でも緊張せざるを得ない。
 その緊張と本気。それが雑兵である彼らに力をもたらしていた。


 まだ互いに傷は痛みわけ。しかも重度ではない。
 まだ、いける。山羊も戦闘員もそう思った。






 そこに第3の登場人物が現れるまでは。



「光弾槍ーーーーー!」



 何かが2人の間に着弾したと思った瞬間、視界を光が包んだ。

78黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:44:39 ID:fTAG2c2E0




 *****



「…………あれ?いつもより威力低くない?」


 激しい音と共に、地面に穴をいくつも開けた張本人たる彼女は得物である槍を振ってそうぼやいた。


 胸を布でつつんだ程度の露出の高い上半身。
 全体的に軽装な印象の服に、金色の長髪。
 その髪に刺さった幾つもの謎の筒。なんとも不思議な雰囲気の少女だった。


 彼女、イムはある世界で過ごす者だ。
 まあ、その『過ごす』には色んな意味があるのだが。
 いつのまにかある一族の因縁問題に関わっていたり、いつのまにか妖精と人間の対立戦争に関わっていたり、いつのまにか竜の復活につき合わされていたりetc
 どこか行くたびに大なり小なりトラブルに出くわしてそれを解決する運命にある、そんな不思議な少女であった。


 で、そんな彼女がまたしても巻き込まれてしまったトラブル。今度は『ばとるろわいある』であった。
 大抵当事者に頼まれたり強引に引きずりこまれることが多い彼女なだけに、今回は微妙に勝手が違った。
 一応頼まれてはいる。ただしそれは一方的なものであり、いくら受動的な彼女もそれを『→はい』で選択するわけにはいかない。
 彼女はこれでも世界の存亡を担うこともあったりするのだ。流石にそれくらいの良心はある。

 ひとまず人を捜してみようと思って歩いていた所――見つけたのは、モンスター2体であった。


 なんかちょっと違うような気もしたが、1方は二本足で立つ山羊男。亜人種であるポロンの亜種、もしくは獣人だろう。
 後1体はなんか大きいが、不定生物系のシャドウゼロだろう。黒い体だし。

(まさかモンスターまで放たれてたなんてなー………ま、いいか。一先ず襲われたりする前にジェムとかお金とか集めとこう)


 ジェムというのは彼女らにとっての経験値である。それを集めればレベルが上がる。
 モンスターを倒せばそれらやお金、アイテムが手に入る。


 ちなみに彼女はモンスターに対しては問答無用である。だって基本襲ってくるんだもの。
 そういうわけで――彼女が先制1番、デイパックにあった武器にあった技を使ったのは仕方ないといえる。

 彼女のはなった光弾槍は、空中に飛び上がり槍からエネルギー弾を3発前方に放つ小範囲攻撃技だ。
 今回の相手は2体。複数を相手するには結構いい技なわけだ。

 そんなわけだったのだが――爆発が晴れた後には、ジェムもお金も転がってはいなかった。
 ましてや敵の姿も。


「もしかして、逃げた? うーん。でも逃げるモンスターなんて珍しいなー。ていうか初めてだ、うん」


 至って暢気に彼女は当たりを見回す。
 人影も気配もない。山羊頭もシャドウゼロも見当たらない。


「ま、いーか。とりあえず今ので誰か来るかもしれないし……話ができたらその人と話をしてみよ。
 そうすれば、私が何をしたらいいのかわかるかもしれないし」


 彼女の脳裏に、ツンケンした珠蘇や剣士の青年、ドラグーンの男が浮かんだ。
 自分を色々巻き込んできた連中である。果たして彼女が次に遭遇するのは彼らのような存在か。
 それともただの災厄か。


 それでも彼女は呑気に微妙に緊張感が無かった。
 彼女には義務も使命も宿命もない。
 『どんなこともでき』『どんなことにも関われる』そんな存在なのだから。


【一日目・日中/A-5 森】
【イム(主人公女)@聖剣伝説LOM】
【状態】健康
【装備】グラコスの槍@DQ
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:殺し合いはしたくない。でも具体的にどうしよう
1:誰かと接触する。襲ってきたら迎撃。どう見てもモンスターは見的必殺

79黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:45:16 ID:fTAG2c2E0


 *****



 2人の影はまったく別方向に駆ける。

 1人は東へ。1人は南へ。


 2人とも突然の襲撃を回避できたのはわざわざ少女が上げた技名のお陰であった。
 言語なんて理解していないものが多いモンスターならまだしも、言語理解が及ぶ彼らにとってはそれは予告に他ならない。
 威力と範囲が狭まっていたこともあり、彼らは何とかその場から離脱できた。


 互いに互いを追うつもりは無かった。今はただあの襲撃者から逃げるのみ。
 あんな広範囲攻撃から観て、相手の実力は自分よりも上だと双方判断した。

 よって直ちに離脱の道を選ぶ。


 戦闘員は走る。
 ショッカーへと帰るため。その為には武器が欲しい。
 爆撃のような攻撃をできるものを倒せる、もっと強力な武器が。
 それを求めて彼は走る。

 全てはショッカーの為に。


【一日目・日中/A-4 森】
【ショッカー戦闘員@仮面ライダー】
【状態】健康 額にかすり傷
【装備】ミスリルナイフ@FINAL FANTASY、ショッカー戦闘員スーツ@仮面ライダー
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2(強力なものは無い?)
【思考】
基本:イーッ!(ショッカーへ帰還する)
1:イーッ!(参加者を殺す)
2:イーッ!(武器を探す)





 山羊も走る。
 魔女の下へ帰る為。その為には準備が必要だ。
 自分にはデフォルトの武器がある。デイパックを紛失しても十分戦える。しかし、刃を出している間疲労感を感じた。
 あまり多用はできないだろう。ならばまだ確認していない荷物の点検が必要だ。
 まずは休める場所を探したい。
 彼は帰らねばならない。帰りたいのだ。



 なぜなら




 彼は今回の仕事を終えたら故郷の妹や兄のところに帰って幼馴染と結婚するはずなのだから――




【一日目・日中/B-5 森】
【山羊さん@うみねこのなく頃に】
【状態】健康、足にかすり傷
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
基本:魔女の下へ帰還する。あと俺、その後の仕事を終えたら故郷に帰って結婚(ry
1:参加者を皆殺しにする。
2:休憩し、荷物を点検する。
※腕から魔力の刃を発生することができます。




 彼がピンポーンという音を聞いたかどうかは定かではない。

80黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:45:34 ID:fTAG2c2E0
投下終了です

81黒き尖兵 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/25(月) 00:49:08 ID:fTAG2c2E0
っと、残り人数忘れてました。申し訳ない
【残り人数31人+α】

82 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:04:47 ID:3B40SdGQ0
メカニック、スペランカー投下します

83希望、見えた先に。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:06:09 ID:3B40SdGQ0
やあ、僕の名前はタムラ。職業は洞窟探検家。
人々には洞窟探検家を意味する「スペランカー」で呼ばれてる。
本当は総称なんだけど……最近は数も減ってるみたいだししょうがないかな。
こないだ潜った洞窟で苦労の末に大量のお宝を見つけたんだ。
そりゃあもうすごく嬉しかったね。硫酸のフンをする蝙蝠とか、洞窟に巣食う王家だとかの幽霊とか退治しながら進むわけよ。
超高熱の蒸気が噴出してくる穴とかもあったし、もう大変だったねー。
そんなところを乗り越えた先にアレだけたくさんのお宝が目に飛び込んできたらもうねぇ。
でもそれを持って帰ろうとしたら視界がだんだん濁ってきたんだ。
最初はあー感動して泣いてるんだな僕って思ったけど頭も重くなってきてコレはまずいと思ったら気を失っちゃったのよね。
で、気がついたらこんな場所につれてこられたって訳。
「あーあ、参ったなあ」
殺し合えって言われても、僕に快楽殺人の趣味はないし力尽くで何かを奪うつもりも無い。
かといって死ぬつもりも無いけど僕が持っていた武器の類はどうも没収されているみたいだ。
ノアとかいうのが配ってくれた袋を見てみると、とてつもなく巨大なエンジン、機械で出来た腕、そして「スズメバチの巣」と書かれた袋が出てきた。
エンジンだけ渡されても使う用途がなければ無用の長物だ。
機械の腕は成人男性ぐらいの腕だけれども五体満足の僕には必要なさそうだ。
そもそもコレを人間に移植することなんて出来るんだろうか? 僕には想像もつかない。
最後にスズメバチの巣。触らぬ神になんとやらって奴かな。
ともかく、僕に扱えそうな物はひとつも無かった。

それにしてもこの袋便利だな……どんなサイズのお宝でもコンパクトにしまえるし、伸縮自在みたいだし出来たら持って帰りたいな。

とりあえず、僕はすぐ近くの祠に立ち寄ることにした。

「動くな」
祠の入り口で僕を出迎えてくれたのはどす黒い銃口だった。
……ちょっと不用心だったかな、入ってきた瞬間にぶっ放されなかっただけよかったと思おう。
「両手を頭の上に乗せて壁にへばりつけ、こっちの質問にだけ答えろ」
僕も当然命が惜しいので銃を突きつけている少年に従うことにした。
両手を頭に乗せ、すぐ傍の壁にへばりついた。すぐに後ろから銃口を突きつけられる。
今僕が出来ることは、彼が悪人ではないことを祈ることぐらいだ。
「まずだ、あんたは人を殺してまわるつもりか?」
「……武器がないんじゃあ、ねえ」
思わず呟いてしまった余計な一言。
銃をさらにきつく突きつけられてしまった。
「……じゃあ武器があれば殺して回るのか?」
「あーないです! ない! ないない!」
流石にちょっと焦ってしまったので畳み掛けるように否定した。
銃口にかかる力が少しだけ弱くなる。
だが、依然銃を突きつけられていることに変わりはない。
……彼の信用を何とかして勝ち取らなくてはいけないようだ。
「……飛行帽をかぶった青年かハイレグの筋肉モリモリの女性を見たか?」
「いや、ここにきて初めて会った人間はあんただよ」
そう告げると少年は何か呟いたのだが、声が小さく聞き取ることはできなかった。
「もう一度聞く、人を殺してでも生き残るつもりがあるのか?」
「……ないね、そんな事をして得たものなんて何の価値もないさ」
ひどく警戒しているようだが、何度も言えば流石にわかってくれるだろう。
頼むから銃口を離してくれ……!!

84希望、見えた先に。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:08:08 ID:3B40SdGQ0
「……わかった、信用しよう」
長いこと背中に突きつけられていた銃口が取り払われた。

「悪かった、いきなり銃なんて突きつけて」
少年は深々と僕に頭を下げ、謝罪の気持ちを伝えてくれた。
無理もない、いきなりどこだかわからない場所に連れてこられた。
その上に殺しあえなんて告げられて、いきなり出会った人間をすんなりと信用できるはずがない。
……僕も、彼と同じ立場なら同じことをしただろう。
「いや、気にしないでくれ。仕方がないことさ。
 ……僕はタムラ、洞窟探検家やってる。君は?」
「アクセル、現役のメカニック……のつもりだ」
軽く自己紹介を済ませ、僕は気になっていたことを聞いた。
「……とすると、君は”アレ”に抗う気なのかい?」
「ったりめーだ、一度ぶっ壊したヤツの言いなりになってたまるかよ」
「……ぶっ壊した? 詳しく聞かせてくれないか?」
僕はどうしても引っかかるその部分に深く立ち入ることにした。
「なんだ? 伝説の大破壊をしらねーのか?」
どうも聞いたことのない単語がアクセル君の口から出てくる。
おかしい、僕の世界ではそんなものは起こっていない。
「……住んでいる世界が違う、のかな」
「かもしれねーな。アイツ、次元がどうとか行ってたから」
どうやらノアは次元を超えた人間を呼び寄せることが出来るようだ。
それならこの”多人数転移”も納得が出来る。
「まあいいや、話を戻すか。
 ノアは頭良すぎてバグったコンピューターなんだよ。だから一度人類滅ぼすために世界に核とか打ち込んじまったんだ。
 そこで世界を破壊させないために戦車に乗って俺と後二人でアレを一度ぶっ壊した。ッて訳だ。
 それが今回もう一度戻ってきた。ご丁寧に俺の知らない次元転移とかの機能まで備えてだ。
 大方自己修復でもついてたんだろ、爆発しても残ってる自己修復とかどんな性能だよったく……」
彼はそこまで言ってから舌打を挟む。
その様子からするとどうもノアを倒したというのは本当のようだ。
「……でもまあ、アレに対する勝算が無いわけじゃない。
 首輪、戦車、次元転移。この三つをどうにかすればアレにも勝てるかもしれねえ。
 どれもどうしようもないように思えるけどな。早速オレの首輪を出来る限り調べてみたけど何にもわかりやしねえ。
 まずはどこかに首輪を拾いに行かなくちゃいけねーかもな」
「……でも、誰か死なないと首輪は手に入らないぞ?」
僕の問いかけに彼の表情が曇る。
余計なことを言ってしまう癖はまだ治ってないな……。
「んなこたー分かってんだよ……だから、ノアにはめられて死んじまったヤツの分まで生きるために首輪を見つけなきゃいけねえ。
 だからオレはまず首輪を探しに行こうと思う。じっくり調べてみたいからな」
綺麗事を言っていても仕方がない……か。
まずは現状から一歩でも前に進むことが必要なのかもしれない。

85希望、見えた先に。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:08:45 ID:3B40SdGQ0
「……僕にも手伝わせてくれ。何か、僕にも出来ることを探したいんだ」
「ああ、ありがとよ。じゃあ……ここにいても仕方がねえし、早速出発するか」
僕が協力するといった瞬間彼の表情が一気に明るくなる。
そして今にも祠から飛び出さんとするときに、僕はあることを思い出した。
「あ、ちょっと待ってくれ!」
僕は慌てて袋から大きなエンジンと機械で出来た腕を取り出した。
「これ、何かに使えないかな?」
エンジンを見た彼の目の色が瞬時に変わる。
そして物凄い速さでエンジンに食いついてきた。
「……すげえ、すっげえ!! V100コングじゃねーか!!
 コイツがあればどんなモン載せたってへっちゃらだぜ?!
 でもよ、戦車がなきゃ使えねーな。コイツはしばらくお預けだな」
「戦車があれば、コレは使い物になるのかい?」
頭を押さえながら彼は言う。どうやら只の代物ではないらしい。
「使い物になるどころじゃねー、最強だよ。最ッ強のエンジンだよ。
 あとは何でもいいからシャシーとCユニットがありゃあ戦車は何とかなるな。
 ……腕のほうはオレにもわかんねえ、そもそもコイツを人体につけるなんて改造手術でもやらねーと無理だぜ?
 オレは修理側のメカニックだから、改造はちょっとできねーんだよな。悪いな」
「いや、いいよ。ありがとう」
僕は一礼すると、エンジンと腕をアクセルの袋に入れておいた。
彼の方が何かと扱えそうだからだ、僕が持っていてもガラクタにしかならない。
どうやら使い方さえバッチリならアタリの物を引いた様だ。
ツイているのかツイてないのか微妙なラインだ。

86希望、見えた先に。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:09:12 ID:3B40SdGQ0
「それと、もう一つお願いがある」
そして、僕も本題へと入る。
「……コレでも銃の扱いには自信があるんだ。
 だから君を守るために、銃を貸して欲しい」
彼の眉間に皺がよる。無理も無い、強力な武器をよこせと言っているんだから。
「……どういうことだよ、オレには武器がこれしかねーんだぞ?」
「僕は洞窟探検家で、君はメカニックだ。
 これから立ち向かう相手が機械なら何かと強いのは君の方だ。
 次元転移の仕組みも機械を使うかもしれないし戦車の事だって把握してる、何よりも首輪の研究をしなくちゃいけない。
 だから、生き残らなくちゃいけない。万が一誰かと戦うことになったら戦うべきなのは僕なんだ。
 僕のほうが年上でも……あるわけだしね。無理なお願いなのは承知の上だ。でも、だからこそ銃を貸して欲しい」
暫し黙って考えるアクセル。
少し後で自分の中で結論が出たのか僕のほうによってくる。
「分かったよ、じゃあアンタにコレを貸して置くけど一つ約束しろよ」
「何だい?」
僕が聞き返すと一息ついてから、彼はゆっくりと口を開いた。
「……死ぬなよ」
僕は、満面の笑みで彼に応じた。
「ああ、僕だって死ぬわけには行かないからね。全力であがいて見せるさ」
そして、僕は銃を受け取った。
僕があまり手にした事のない散弾銃。
それが普段よりも重く感じるのは何故だろうか。

「さあ、行こう」
僕は祠の扉を開けた。
これから先、どうなるかは分からない。
でも……後悔だけはしたくない。

そう、心に誓いながら。

87希望、見えた先に。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:09:35 ID:3B40SdGQ0
【D-5 祠内部  一日目 日中】
【タムラ(主人公)@スペランカー】
[状態]:とりあえず健康
[装備]:モスバーグ M500@現実
[道具]:支給品一式、スズメバチの巣の袋(未開封)@現実
[思考]
基本:全力で生き残る、でも後悔だけはしたくない。
1:アクセルの護衛。
2:首輪の探索。
3:出来るだけ怪我したくない
[備考]
※参戦時期はED後

【アクセル(メカニック)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品(0〜2、武器はない様子)、V100コング@METAL MAX RETURNS、サイバネティックアーム@女神転生2
[思考]
基本:ひとまずは首輪の解除。
1:研究のために首輪を探す。
2:メカニック、ソルジャーと合流。
3:見つかりそうならシャシーとCユニットを探して戦車を動かす。
※参戦時期はED後、ノアを倒しはんたと別れた後です。

【残り人数21人+α】

88 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:09:48 ID:3B40SdGQ0
投下終了です。

89 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:10:57 ID:3B40SdGQ0
おっとすみません。
【残り人数29人+α】
です。

90 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/25(月) 01:14:02 ID:3B40SdGQ0
あ、>>58-60の話のタイトルは
「本気の女」
でお願いします。

91Live Better ◆6/WWx9FGVI:2010/01/25(月) 01:20:54 ID:O33ecS1o0
戦闘工兵を投下します。

92Live Better ◆6/WWx9FGVI:2010/01/25(月) 01:21:36 ID:O33ecS1o0
 戦争は変らない。
 国家や思想のため、或いは利益や民族のために
 愛国心や野心に溢れた部隊と、自国の優れた軍事技術を示威する兵器が、
 果てしない戦争を繰り返す。
 命を消費する戦争は、悲劇と言うエピソードとなって世界を駆け巡る。
 
 戦争は変わらない。
 愛国心あふれる兵士たちは、世界中のあらゆる国家で製造された武器を持ち、死の商人によって高値で取引された兵器を使う。
 彼らを指揮する将校などいなくとも、己の不利となる敵を容赦無く息の根を止める。
 敵も、味方も、何時何処で変わらぬかも分からぬまま、
 戦い続ける。
 
 戦争は変わらない。
 先進国が祖国を守るために大人も子供も男も女も無関係に
 生命を奪う大量破壊兵器を日々日夜鋳造し
『やられる前にやれ』をスローガンに国民を扇動し
 偽りの平和の為に信念を曲げず突き進む。
 
 戦争は変わらない。
 
 戦争は変わらない。
 
 ◇ ◇ ◇
 
「どういうことなの……」
 
 ミスターヤマモト将軍の配下として戦闘工兵の一部隊を任されている
 米倉京太郎は地に光を与える天を見上げ、嘆息をもらす。
 自分は将軍とともに戦場を駆け巡り、だらしねえ敵兵共を
 一蹴し、何の問題も無く島々を制圧、この後も将軍とともに自軍を全速前進をするはずであった。
 そのために彼は体調を整えるために三日月が天辺に到達する前に寝床に進出し目を閉じた。
 
 しかし次に彼が瞼を開けたときに眼にすることになったのは、
 ワケの分からぬモノによる、人間の存在を否定するような発言であった。
 紳士服の男(神と名乗っていた)が勇敢にも立ち向かい、脆くも命を落とし
 ついでと言わんばかりに首輪の説明とそれの実害をやってみせた。
 殺し合いについては彼は軍人だ、訓練生時代から簡単に命を手放せる
 職業だとは理解した上でのことだ、今更畏怖の概念はなかった。

93Live Better ◆6/WWx9FGVI:2010/01/25(月) 01:22:57 ID:O33ecS1o0
「どういうことなの……」
 
 もう一度彼は同じ事を弱々しく吐き出す。
 
 環境破壊を救う一番の方法が人間の抹殺だと?
 馬鹿げている、たしかにそれで一時は環境は復元されるだろう。
 だがその後はどうする? 人間がいなくなったあと新たな生物が
 人間と同じように世界、星星を支配したらどうするのだ?
 またその生物も一掃するのか? 同等の手段で?
 
「キリがないね……」

 彼の呟き通り、キリがない。
 人間はあくまで驚異的な速さで環境を破壊しているだけであって
 それ以外の生物も並の速さであるが環境を破壊しているのだ。
 結局のところ、環境を0の状態に維持することは絶対に不可能なのである。
 
「だけど奴さんが出した結論は『人類抹消』だから、抗議したところで仕方ないね」

 とは考えたものの自分は軍人、『殺し合いなんてだらしねえ!』と叫んで反逆することはしない。
 戦いを糧にして生きている自分が戦いを否定することなど、絶対に許され筈が無い。
 自分が自分として生きるためには、あの『ノア』というものの発言を不本意だが『命令』と判断し
 一時期的に彼を上官(生還すればすれば一生、だが彼は永遠に仮の上官と判断し続けるだろう)としてみる。
 たとえ尊敬する将軍と離れることとなっても、それが人類滅亡を望むよく分からぬものであってもだ。
 
「やれやれ……まさかこんなことになるとはな……ある意味歪みねえな……!」

 彼はそう口から漏らしながら、上官から渡されたバッグの内を探る。
 食料や地図などを確認しつつ、バッグには到底入らなそうな物凄くデカイ物体を地に放つ。
 物体は戦場内の研究所で開発され、その場所を占拠させることによって手にいれることができた
『新型戦車』であった。
 これはこれは凄いものができたもんだなあと思いながら
 彼は戦車の中に入っていく。
 陸戦兵であるが、軍事であるため戦車を運転することなどいとも簡単だ。
 ついでに陸戦兵を駆逐させる副装備のマシンガンもあったのは言わずもがなであった。
 
 彼は戦車のエンジンを入れ無人の平原を走る。
 自分は人を殺すプロだ、たとえ上官がいかれていても、本意でなくとも
 慈悲などの感情を浮かばせず人を殺し続けることができるだろう。
 
 だが、そんな彼でも、尊敬するミスターヤマモト将軍の顔を忘れることはできなかった。
 
【一日目・日中/A-3- 平原】
【米倉京太郎(戦闘工兵)@スーパーファミコンウォーズ】
【状態】健康、新型戦車に乗車中
【装備】マシンガン(新型戦車の付属品)
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:軍人として歪みなく生きる。

【残り人数28人+α】

94Live Better ◆6/WWx9FGVI:2010/01/25(月) 01:23:49 ID:O33ecS1o0
投下終了です。
戦車無しってルールはなかった!

まあアレでしたら『主砲の弾なし』と言う制限をつけてくださいませ。

95Live Better ◆6/WWx9FGVI:2010/01/25(月) 01:27:55 ID:O33ecS1o0
ちょっと状態表修正

【一日目・日中/A-3 平原】
【米倉京太郎(戦闘工兵)@スーパーファミコンウォーズ】
【状態】健康、新型戦車に乗車中
【装備】マシンガン(新型戦車の付属品) 新型戦車@スーパーファミコンウォーズ
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:軍人として歪みなく生きる。

96竜王計画ジェノサイダー ◆fRBHCfnGJI:2010/01/25(月) 01:33:26 ID:dYd8D.jw0
主人公@ドラゴンクエストⅠ
投下します

97竜王計画ジェノサイダー ◆fRBHCfnGJI:2010/01/25(月) 01:33:46 ID:dYd8D.jw0
「…………殺し合いだと?」
突如として、殺し合いへと招かれてしまった青年ジャガンは一人呟き、
怒りに身を任せて、地面にデイパックを叩きつけた。

「ふざけやがって……あと少し…………あと少しだったんだぞ!」
彼の目の中には怒りを通り越し、哀しみすら見受けられるようであった。

「あと少しで!竜王との決着がついていたんだ!」
溢れ出る感情が抑えきれず、とうとう涙が流れ始める。

「どうすれば……どうすればいいんだ!」
涙をポロポロと零しながら叫び続ける、
それは対峙し退治すべき存在たる竜王に支配されてしまうアレフガルドの地への謝罪なのだろうか。




「あと少しで竜王と交渉して!世界の半分を手に入れて!毎日楽して過ごす生活が送れたんだぞ!ふざけやがって!」

いや、違う。
彼は自らの野望が叶わない事への失望の余り、キラーリカントのように濁りきった瞳から涙をポロポロと零しながら、
感情を剥き出しの心臓の様に顕にしたのだ。

98竜王計画ジェノサイダー ◆fRBHCfnGJI:2010/01/25(月) 01:34:18 ID:dYd8D.jw0





「…………」
彼にとっては、永劫にも感じられただろうが、
実際の所、数分程度で彼の目から溢れ落ちる涙は枯れた。

「………………」
デイパックを拾い、現実を体全体で確かめるかのようにゆっくりと立ち上がる。

「ハハハハハハ」
そして彼は笑う、ドロルの様に醜悪でキメラのように狡猾な笑みで顔全体を覆っていく。

「わかった……わかったよ。
そっちが殺し合えって言うんだったらさぁ、俺この殺し合いぶっ壊すわ。
だって、そうだろぉ?なぁ?
人間はさぁ、『不要な存在』なんだろぉ?
どうせさぁ?俺の世界なんてくれないんだろぉ?
どうせ生き残ったところで、ぱふぱふのぱの字も出ないんだろぉ?
だったら、勝ち残る意味とか、全然無いよなぁ!」
まるで、芝居のように此処には居ないノアへと語りかけて行くジャガン。

その彼の胸の奥でグツグツと煮えたぎる物があった。

「だいたいよぉ、何なんだよ俺の人生は?
無能な王に糞の役にも立たない端金渡され、たったそれだけで竜王の討伐を命じられてよぉ、
今度は殺し合いだぁ?ふざけやがって!
俺は奴隷じゃねぇんだよ!俺は勇者なんだよ!
俺は絶対的支配階級に君臨すべき存在なんだよ!
ナメやがってよぉ……ナメやがってよぉ……!」

毒の沼地の毒を抽出して掬い上げ、
何匹もの魔物の死体を投げ込みドロドロに混ぜ合わせ溶かした汚物の様な感情。

「…………でもよぉノア、ほんの少しだけ、スライムのゴールド程度にお前に感謝しておきたい部分もあるんだぜぇ。聞いてくれるか?
ノアよぉ……お前の武器持てたら……俺さぁ!世界の半分どころか全部支配出来そうだよなぁ!
そこだけは……そこだけは……感謝させてもらうとするぜぇ!何て言えばいいんだろうなぁ!
ゴールドマンがメタルスライムを背負って来るって奴か!ハハハハハハハハハハハハハハ!」

その名は憎しみ。
ラルス16世の粗末な支給と、それに見合わない命令。
そこを始点として始まり、徐々に徐々に徐々に徐々に注がれた毒沼の様な憎しみが、
勇者の心の容器から今まさに、溢れ出ようとしていた。

「首洗って待ってろ!ノア!今!お前を殺しにいってやるよ!

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

殺し合いの舞台に響き渡る嘲笑。
今まさに、勇者だった男の戦いが始まろうとしていた。

【一日目・日中/C-2 森】
【ジャガン(主人公)@ドラゴンクエスト1】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
基本:如何なる手段を持ってしてもノアを殺し、世界を支配する。

【残り人数27人+α】

99竜王計画ジェノサイダー ◆fRBHCfnGJI:2010/01/25(月) 01:34:49 ID:dYd8D.jw0
投下終了です

100もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 01:36:14 ID:o1qhW5yY0
ブシドー♀、女遊び人投下します

101はじめにきめるだいじなこと:2010/01/25(月) 01:37:40 ID:o1qhW5yY0

天空の剣を掲げ、ブシド・ザ・ブシコはうむ、と頷いた。
この巌厳たる武家の娘、無論斯様な悪趣味な遊戯に興じるつもりなどない。
一刻も早く知恵者の錬金術師やメディアを探し出し、この首輪を取り外してゲームを破壊して見せようぞ。
が、次の瞬間。
すらりと伸びた足で地面を蹴り、走るブシコの前に一つの影が飛び出した。

「何奴か。答えねば斬殺(きる)」

「怪しい者じゃアない。見ればわかるだろう?」

凝視(じいっ)と、ブシコが道塞ぐ者の姿を嘗める。
頭部にひょこんと飛び出たウサ耳。臀部に見えるは白きボンボン。
気に入らぬ凹凸の激しき身体を覆う、布の少ない痴着。
道化者に用などない、とその場を走り去ろうとするブシコを、制する道化。

「うふん。キミも見るところ、この殺し合いに乗るつもりはないようだが?」

「大肯定。お主もブシコと同じ方針か」

頷く道化に、ブシコが歩み寄る。

「共に往くか」

「それもいいねェ」

「共にあの愚機を討とうぞ」

「悪くないじゃん」

「ブシコは力を提供しよう」

「あたしは色気を提供しますか」

互いに並び、走り出す。
1、2、3歩目で両者の足は同時に止まった。
ブシコが天空の剣を、道化がグローブを震わせ、激突させる。

「だが」

「けど、ねェ?」

「「どちらが上かは、決める必要がある」」

主導権の争奪を巡り、志を同じくする者達が戦端を開いた。
ブシコの民族衣装が踊り、道化の乳が揺れ、ブシコの花の髪飾りが戦風を吸い、道化のタイツが引き絞られる。
道化の思考は他者の利用に染まり、ブシコの思考は敵対者の抹殺に染まる。
じゅるり、と垂れた涎を舌で舐める道化に、不愉快そうに眉を顰めるブシコ。

「屠殺(ころす)」

「あたしはキミを殺さない。飼い慣らさせてもらうわよ、処女(レディ)?」

今、殺意と玩意が火花を散らす。

【一日目・日中/C-3 森林】
【ブシド・ザ・ブシコ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
【状態】健康
【装備】天空の剣@ドラゴンクエスト5
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
1.首輪を解析できそうな仲間を優先して集める。
2.敵対するものは全て斬り伏せる。
3.とりあえず道化を斬る 死ななければ仲間にしてもいい。

【一日目・日中/C-3 森林】
【???(女遊び人)@ドラゴンクエストⅢ】
【状態】健康
【装備】ゴッドハンド@魔界戦記ディスガイア
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
1.仲間を集める。
2.可愛い少女を愛で尽くす。
3.とりあえずブシコを屈服させる。
【備考】
※遊び人の前に勇者、魔法使い、賢者を除く全てのDQ3職業を一流レベルまで極めています。


【残り人数25人+α】

102もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 01:40:25 ID:o1qhW5yY0
投下終了です

103もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 02:00:03 ID:m4RdWXMg0
♀クルセ、if男主人公投下します

104あなたは神を信じますか?/はい:2010/01/25(月) 02:00:56 ID:m4RdWXMg0



「あなたは神を信じますか?」


俗世一般の人間に言えば、大抵のものは胡散臭いものを見るような眼になる。
もしくは、面倒なものにあってしまったと言わんばかりに露骨に嫌なものを見た顔になってしまう。
彼女は、人が何故そんな顔をするのか、よく分からなかった。
嫌なわけじゃない。怒るわけでも――もっとも神が許しなさいと説く以上彼女が怒ることはありえないが――ない。
ただ、純粋に何故理由が分からない。

神の言葉を聞き、神に使えれば、必ず幸福は訪(おとず)れる。
福音を音連(おとづ)れて、神は必ず我が元へやってくる。
それは、絶対のことだ。

「おーおーおー、派手にやったねえ。酷い有様じゃないか」
「仕方ないですよ、だって彼らは神を信じなかったんですから」

この場で出会うことのできた神の信徒へ彼女は微笑みを向ける。
その背中には、神の信徒であることを高らかに示すかの如く、銀色に輝く大天使が浮かんでいる。
異国の衣服に身を包んでいようとも、それを見れば神の信徒であることは間違いない。
名も、「カミシロ」――神代、神の代わりを成すという意味の名であるらしい。

「それにしたってこんなことしたら、困るぜ?
 神様を信じるか聞くにしても、こんなナリじゃいきなり襲われても文句言えねえし」
「大丈夫です、神の信徒なら我々の穢れの理由も分かるはずです。杞憂ですって」
「いやあ、それでも限度が……ってああもうバッグまで血みどろだ。中身抜くのが嫌になるね」
「手伝いますよ、二人がやったほうが早く済みますから。
 神の敵を撃ち滅ぼし、迷える子羊を守るためには急がないと」

悪魔に心奪われた愚か者たちの持っていたものを手早く集めると、きっちり半分を出あった信徒へ渡す。
神の前では、平等でなければならない。孤児院でも、いやどこであろうともこれは大切なことだ。

「悪いな、助かるぜ、相棒」
「いえいえ、気にしないで」

手伝った自分へ笑いかける神の信徒。
必要以上の分け前を求めず、手を差し出してくれたものへ心からの礼が言えることは、心が清い証拠。
こんな殺し合いに放り込まれ、真っ先に彼のような人と巡り合えたことも、神からの祝福だろう。




105あなたは神を信じますか?/はい:2010/01/25(月) 02:01:20 ID:m4RdWXMg0

――ったく、こんなネジ外れたような奴が相棒かよ……

彼女に満面の笑みを返しながら、男は心の中でそう毒づいた。
だが、その戦闘力だけは申し分がない。回復魔法を使え、攻撃魔法が使え、前衛としても戦える。
黒、というよりも藍に近いロングヘアー。浴びた血の赤さをさらに引き立てる真っ白い肌。
容姿も超美人と言える部類で年は15くらい――完璧にストライクゾーンだが手を出すとめんどくさそうだ、くそったれ。
分かりやすく甲冑少女ってやつか。まさしくアリアンロッドのような女神様。
足元から噴き出す輝きが無駄に目に優しくない。夜中寝る時邪魔じゃないのか。
性格が相当にぶっ飛び気味なのは、御愛嬌で割り切るっきゃない。

ノモス登りも終わってハザマも刻みきったと思ったら、またデスゲームに逆戻り。
やってられるかと内心吐き捨てながらも歩き出せば出会ったのはこの女だった。
さーてなんとトークしようかと迷っていれば開口一番「あなたは神を信じますか?」と来た。
とりあえず即同意が悪魔から学んだ会話の基本。
完璧な作り笑いと一緒に信じると言えば、ガーディアンのメタトロンも一緒に見て仲間認定。

どうも、人間の仲間選びに関しては運が悪い気がする。
一年のメンヘラ候補と同級のチャリンコ泥棒にクソタカビー、結局組んだのは不良崩れのデビルマン。
そして今度は狂信者――あれか、俺の日頃の行いの悪さ故か。

んで三人組に会ったわけだ。面倒だし黙ってたら、この女「神を信じない」と答えた瞬間切りかかってやがった。
びっくりの抜刀速度に驚きもしたが、「信じない」と答えたらああなってたと思えばぞっとする。
うまく三人きっちり殺せたがいいが、取逃がしたりしたらどうするつもりなのか。
今度からファーストコンタクトは自分がやったほうがいいだろう。
……って魔界とまた同じパターンか。

袖に噛みついたまま絶命している男の顎を引っ張って外す。
雑魚なら雑魚らしく一太刀で死んでほしいんだが。こんないらない意地を見せなくていいから。
殺した奴のデイバッグを漁って水を取りだし、殺した奴のポケットから引っ張り出したハンドタオルで顔を拭く。
服も軽く拭くが血がとれるもんじゃない。これだから前衛の仕事は嫌なんだ。
仕方ないので、制服の上だけ脱いで鞄に突っ込む。ついでに女の鎧も拭いてやった。
鎧はいいよな、金属だけあって余裕で血が拭ける。まあ、これでいきなり怪しまれることもないだろう。

「身を清めるのはいい行いですよ」だとか「相手に手を差し伸べるのは良いことです」とかぬかしてるが知るか。
こちとら生き残らなきゃいけないんだ。精神病患者の手綱を握るにいらついてんだから黙れ。
だまってりゃ色々発散できそうな外見なんだが、それをやったらおしまいだ。後だ、後。

とりあえず、最終目標は生存。意地でもなにやっても生き残る。
で、第一目標は優勝。生き残って帰る。第二目標は、うまくいくようならあの気に喰わない連中も刻む。
そんなもんでいいだろう。一人じゃ生き残るのは結構に骨が折れる。これも魔界で学んだ経験な。
この女を色んな意味で最大まで使い切る。そして俺だけが生き残る。

「行きましょう、カミシロ」
「はいはい……って名前聞いてなかったな。なんて名前なんだ?」
「ああ、そう言えば……わたしはネリシアです。改めてよろしくお願いしますよ、カミシロ」
「了解だ、長く付き合い頼むよ、ネリシアちゃん」


まあ、死ぬまでだが。

106あなたは神を信じますか?/はい:2010/01/25(月) 02:01:41 ID:m4RdWXMg0

【C−3/森/1日目/日中】

【ネリシア(♀クルセ)@ラグナロクオンライン】
【状態】健康、 発光中
【装備】メタルキングの剣@ドラクエシリーズ、ドラゴンシールド@ドラクエシリーズ クルセの鎧(初期装備)
【道具】支給品一式×2,5 不明支給品2〜6
【思考】
基本:神の信徒を保護し、神を信じないものを滅殺する。
1:カミシロとともに信徒の保護、信じないものの抹殺。
2:そこまで深くものを考える性格ではないので特になし
※発光はオーラ(レベル99になると足元から噴き出るもの)のせいです。

【神代浩司(if男主人公)@心女神転生if・・】
【状態】健康
【装備】王者の剣@ドラクエⅢ、ブレザー(上着は脱いでる)
【道具】支給品一式×2,5 不明支給品2〜6
【思考】
基本:生き残る。そのためならなにやってもおk
1:ネリシアを利用し参加者を最大限減らす
※ガーディアンはバランスタイプ最強のメタトロン(レベル75)です。

【三人分の死体が森に転がっています。誰かは発見したSSを書いた人か放送を書いた人が自由に決めてください】


【残り人数23人+α】

107ゆとりってレベルじゃねーぞ! ◆lYiZg.uHFE:2010/01/25(月) 02:15:48 ID:Kc.V0Ds.0
男遊び人投下します

108ゆとりってレベルじゃねーぞ! ◆lYiZg.uHFE:2010/01/25(月) 02:16:10 ID:Kc.V0Ds.0
男遊び人は生粋の遊び人だ。

どんな時でも遊び心を忘れない。

例え強敵との戦闘中であれ。

例え王様との謁見中であれ。

例え勇者が宿屋で女の子とお楽しみの最中であれ。

そう、例え殺し合いの最中であれ、だ。

遊び人は遊ぶ事に生きがいを感じていた。

それはなぜか。

遊ぶ事は楽しいからだ。

殺伐とした空気は楽しくないからだ。

だから遊び人は、この殺し合いの時も遊ぶ事に決めた。



つまり何を言いたいかというと―――遊び人は首輪で遊んでいた。


  ★

109ゆとりってレベルじゃねーぞ! ◆lYiZg.uHFE:2010/01/25(月) 02:16:31 ID:Kc.V0Ds.0
「首輪が爆発する―――なんて言って脅して殺し合わせるつもりなんだろうけどさ、誰が乗ってやるもんか。
ぼくはそういう殺伐とした事が嫌いだから遊び人やってるんだから」
遊び人は首輪を弄繰り回しながら独り言を言う。
引っ張ってみたり、捻ってみたり、叩いてみたり、怪しいところがないか探ってみたり。
およそ一般人に考え付くような方法を全て試してみる。

すると、遊び人の首輪が幾つかの部品に分解され外れた。

「おお! やってみるものだなぁ! ラックの種食べまくってて良かったよ!」

遊び人は小躍りしながら喜んだ。

彼はあくまで首輪で遊んでいただけで、解除しようとしていたわけではない。
それが功を奏したのだった。
彼が遊び人であったからの奇跡と言えよう。

こうして遊び人が、この殺し合いに巻き込まれた者達にとっての希望の星となったのだった。


【一日目・日中/D-3 勇者の家】
【ラムザ(男遊び人)@ドラゴンクエストⅢ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3、解除された首輪
【思考】
基本:この殺し合いで遊ぶ。
※運の数値がMAXです。

110ゆとりってレベルじゃねーぞ! ◆lYiZg.uHFE:2010/01/25(月) 02:16:50 ID:Kc.V0Ds.0
  ★


    ,、‐'''''''''ヽ、
    /ヾ  ~"彡!
   {,,    ,, =,}
   ヾ, ,!! 、ミシ
     7‐-┬'´
    ./‐‐-ヘ
    /_,、-─-、i,
   な /  __ ヽ
 ぁ 訳/ ''"´   `\
 ぁな /  -‐''" ̄`゙''-\
 ぁ い レ/ _、-‐┬┬-、 ヽ
 ぁ じ /   ノ   ヽ |  ヽ
 ぁ ゃ>   ┼   ┼ |  |
 んぁ >   ⌒  ハ⌒ |  /    ←男遊び人
 !ぁ>  __ノ_( ○)ヽ |/
   ん  |ヽエエエェフ | |
   \  | ヽ ヽ  | | |
  √\  ヽ ヽエェェイ|/
     \  `ー― /ヽ





★と★の間の出来事は遊び人の妄想である。
今現在、現実では遊び人の首輪が機械音を発している。
「うわあああああ、死にたくないいいぃぃぃぃぃ!」
遊び人は逃げ惑うが、そんな事で首輪の爆発をとめられるわけが無い。
ビッケと同じように首と胴体が別れを告げ、また哀れな犠牲者が生まれた……


【一日目・日中/D-3 勇者の家】
【ラムザ(男遊び人)@ドラゴンクエストⅢ 死亡確認】

111もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 02:17:06 ID:Kc.V0Ds.0
投下終了です

112もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 02:21:45 ID:Kc.V0Ds.0
【残り人数23人+α】

これを忘れていた

113もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 03:34:41 ID:fDTd/90A0
投下します。

114各自で名前を付ける企画です    ※しかし名乗れるかは限らない:2010/01/25(月) 03:35:43 ID:fDTd/90A0
「をいをいをいをいスッゲェな、コイツはよォォォ!」

 エリアB−4の道端にて、デイパックの中身を確認していた男が思わず声を張り上げた。
 巨大な魔物に秒殺されたと思えば、何だか分からないうちに殺し合えと強制される。
 こんな不幸が二度も続くかと絶望していた男は、しかし歓喜の表情を浮かべている。
 その理由は、彼に支給されたアイテムにあった。
 となれば腰に携えた短剣だろうか――ノゥ。
 纏っているクリスタルの鎧か――これまたノゥ。

 答えは、男の眼前に鎮座している。

 白と赤の鮮やかなボディ、大地を力強く踏みしめる二つのタイヤ、巨大なエンジン。
 人間の自由のために戦う男の駆る、暴風(サイクロン)の名を関するモンスターマシン。
 付属の説明書に目を通していくうちに、男も思わず感嘆の声をあげてしまったのである。

「これさえあれば、ずーっと逃げたまま最後の一人になれるじゃねえか! ハッハッハッハァーーッ!」

 一しきり笑って落ち着くと、男はサイクロン号に跨る。
 いかに性能が優れていようとも、使いこなせなければ意味はない。
 その判断からエンジンをかけようとして、男はサイクロン号から飛び退いた。
 接近してきた気配に反応して、即座の行動。
 だというのに、襲撃者は男の回避行動に対応する。
 振り下ろした両刃の西洋剣を即座に返して、鎧に覆われていない右の太股を切り付けた。

「グ……ッ!」

 苦悶の声をあげながらも、男は受身を取って体勢を立て直す。
 傷口より溢れ出す赤黒い液体に意識を向けることなく、装備していたミスリルナイフを握り締める。

「貴様ァ、誰だと思って仕掛けているッ! 俺はエクスデス様直属の部下――――」

 言葉の続きが告げられることもなく、地面に二つの鈍い音。
 男が言い終えるよりも前に、襲撃者は西洋剣を横凪に振るっていたのだ。
 鎧で守られていない首元を綺麗に狙われた以上、胸元で握ったミスリルナイフなど何の意味もなさない。
 静かに呼気を整えると、襲撃者は西洋剣に付着した血液を拭い取った。



115各自で名前を付ける企画です    ※しかし名乗れるかは限らない:2010/01/25(月) 03:37:09 ID:fDTd/90A0
「…………ふむ、だいたい分かった」

 剥ぎ取った鎧を身に纏った襲撃者が、誰にともなく呟いた。
 彼のいた世界にバイクなど存在しなかったが、説明書を見て練習したのだろう。
 最高時速には程遠いが結構なスピードで、サイクロン号を操縦している。
 全身に風を浴びながらも一切表情を変えず、彼はアクセルによりいっそうの力を篭めた。
 いち早く、全員を殺しきるために。
 どうしても、彼は帰らねばならないのだ。
 光と闇の均衡が崩れていることは、感覚から分かっていた。
 光の戦士たちが、いずれ目の前に現れてくれることも。
 だからこそ、彼らによって闇のクリスタルの封印を解かれるのを待っていたのだ。

 しかし――――その前に、この場に呼び出されてしまった。

 世界がだいぶ闇に傾いてきており、もうどれだけ持つかも分からないというのに。
 暗闇の雲を守るバリアを消し去れるのは、自分たち闇の四戦士しかいないというのに。

 困惑しつつも、彼は殺し合いのルールを何とか理解した。
 この殺し合いの最後の一人になれば、元の世界に戻れるという。
 ならばやるしかあるまい。彼がそう決断するのに、大した時間はかからなかった。
 かつて光の力が氾濫した時にしたように、今回も世界を守るために動く。
 たった一人での行動となるが、かつてのように未熟な腕前ではない。
 防具や得物がかつてより劣るが、それは道中で奪い取ればいいだけのこと。

 道中で倒すのが人間になっただけ。ただ、それだけの話だ。

 すでに分かりきっているはずなのに、胸中で同じことを自らに言い聞かせ続けていた。



【リヴァイアサンに瞬殺されたヤツ@FF5 死亡確認】


【B−4/平原/1日目/日中】

【名前不明(闇の四戦士の一人)@FF3】
[参戦時期]:封印中、光の戦士を待っている頃
[状態]:特に問題なし、新サイクロン号を運転中
[装備]:新サイクロン号(一号)@仮面ライダー、クリスタルメイル@FF5、バスタードソード@DQ3
[道具]:支給品一式×2、ミスリルナイフ@FF3
[思考]
基本:いち早く帰還
1:全参加者の殺害
[備考]
※ジョブは魔剣士。
※名前は次以降の人に任せます。



【残り人数22人+α】

116もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 03:38:04 ID:fDTd/90A0
投下完了。

117 ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:39:26 ID:vyFX4ltw0
男勇者@DQ3、男主人公@BUSIN〜wizardry alternative〜、女魔法使い@DQ3
以上の三人で投下します。

118はるかなる故郷 ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:40:12 ID:vyFX4ltw0
 悔い改める? 冗談じゃないわ。
 私には、まだまだやりたいことがあったのよ。
 知らないことも、学んでいないことも、故郷にはたくさんあったのだから。
 戦士として生きてきた矢先、洞窟に発破をかけた“魔法”に魅せられて、魔法使いになった。
 大魔王ゾーマの復活した世界で、私がやってきたことといえば、「夢を追いかけた」のひと言で説明できる。
 ついでに、「闇に覆われたアレフガルドを救いかけた」と付け足しても良い。
 そんな人間をいきなり呼び出して、今までなにをやってきたかと問うほうがどうかしているわ。
 知りたいことがたくさんあるなら、賢者になってみればどうだと言われたこともあったけれど、違う。

 納得できないことを残したまま、書物の力で迷いを拭い去る。
 そして、そのまま神に選ばれてしまうようなことは、最後の手段にしておきたい。

 少し気取っているけれど、自分の望んだことですもの。
 たもとを分かって久しい勇者様。希望に燃える少女に告げた言葉は思い出すまでもない。
 善意で渡された悟りの書を固辞したときの気持ちは、ノアとやらの掌に招かれても変わらなかった。
 だって、私が学びたいのは“呪文”ではない。火薬や望遠鏡のような、人が作り出す“魔法”なのだから。
 魔法の玉に詰まった火薬だけじゃない、もっと、あれの使った武器を生み出す発想も、知識も、欲しい。
 環境……ええ、確かに、食物がなくては生きられない。雨が降らなくては、地には草さえ生えないでしょう。
 けれども自然とともに生き、雷を天罰と恐れて思考停止するには、私のような人間は色々と手遅れだわ。
 あれが否定していた文明から遠ざかっては、私の見たい夢には一生かかっても辿りつけはしない。
 とはいえ、ここで生き残っても監視されるのなら、レムオルや消え去り草のような対策は必要でしょうけど……。

 それでもいい。
 夢を叶えるためならば、どれだけ苦労しようと構わない。どれだけ本気を出したって平気。
 自分の手で魔の道を究めて、新たな知識を開拓できるのなら――。
 私は、どんな犠牲もいとわない!

 *  *  *

「ええっと。自己紹介って……どういうふうにやったものなのかな?
 魔王を倒した孤高の勇者みたいに言われましたけど、俺は全然、そんなヤツじゃなくてですね。
 最初、旅に出る前は、俺は俺で人は人って考えてたんです。俺の仕事を誰かに肩代わりさせちゃ悪いな、と思ったり。
 勇者の息子として育てられて、でも……親父は何年経っても、世界を救う旅から帰ってこなかったんですから。
 だから、アリアハンの王様は、息子の俺が旅立つときに、そのあたりを気にかけてました。
 仲間と協力するようにって、お金とか、色んな装備を餞別にもらったんですけど――」

 ぎこちなく息を継いだところで、少年の眉から力が抜けた。
 難しげな顔の、高い額をつくる一因であった眉間の皺が、青い宝珠の填まった環の下に消える。
 あどけなさの残る瞳に宿りかけた影を覆い隠すように、彼は逆立てた黒髪を音を立ててかきむしった。
「すみません、ロシェさん。
 久しぶりに誰かと一緒にいるからって、俺、ひとりでガンガンしゃべっちゃって」
「状況が状況だ。気にすることでもないだろう」
 勇者の息子は、ロシェと呼ばれた男性の言葉を聞いて再び眉根を寄せた。
 魔王を倒すまでの行程をひとりで旅してきたからか、若さゆえか。彼はなかなか器用に出来ているようだ。
 安堵と不安、羞恥といった感情をまとめて両立させた少年の瞳には、黙りこくった男の渋面が映りこんでいる。
「いや――巧くは言えんのだがな。
 アルス。お前の気分は、私にも心当たりがある。それに、互いの身の上を聞くのは苦にならん」
「……あ。俺はクイーンガードなんて知らなかったし、ロシェさんは魔王たちを知らなかったんでしたね……」
 互いの認識のズレを、ノアの謳った“別の次元”で片付けたのは、少し前のことである。
 神と名乗った帽子の男と、首輪で爆殺された別の男。二人の犠牲者を目にしたからか、“勇者の息子”が
どこか思いつめた表情で城を歩いていたところを見つけたのは、もう少し前の話になる。
 殺し合いの開始からいくばくも経たずして、自分という他人を前に腰を引いたアルスをどうにか落ち着け――
 今はアリアハンなる国の花にあふれた庭園で、情報交換を兼ねてひと息ついているというわけだった。
「そういうことだ。話したいだけ話せば良い。お前のほうにひと段落つけば、私も事情を説明するさ」

119はるかなる故郷 ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:42:05 ID:vyFX4ltw0
 女王を護る騎士に向けて、若き勇者はゆっくりとうなずく。
 少しの間、対面の堀に湛えられた流水に目をやって、彼はふたたび口を開いた。

「身の上話は、さっきまでことでほとんどですけど……俺、まだ迷ってます。
 魔王を倒すの正しかったかどうかとか、そんなことじゃなくて、もっと別のことで。
 あなたと話しながら、ノアが言ってた、“今まで自分がやってきたこと”を考えてみてました。
 それと、あの人たちが死んだ時のことも思い返してみて。そしたら、なんか……なんだろ。
 俺がロシェさんに会ったとき、あなたのことが恐いと思った理由が分かっちゃった気がするんです」

 誰かを殺すのも嫌だけど、ここで死ねるような理由も無い気がしてきて。
 誠実な、人を疑うことを知らない、のではない。様々な事件に立ち向かってなお、誠実さを
捨てないでいられたのだろうアルスの顔に、苦しげなものがにじむ。
 途方にくれたような、頬にかかるあどけなさを増す憂色は、初めて会った時にも彼が浮かべていた色だ。

「これから魔王を倒すってときに、俺は、誰も仲間にできませんでした。
 勇者オルテガの息子だからって、俺は俺なんだから、親父みたいな器を望むなって……。
 でも、それは違う。合ってる部分もあるんでしょうけど、べつに、他人がいたって不満じゃなかったんだ」

 ロシェさんがいてくれるおかげで、まだ落ち着けてる。
 ちいさく続けた少年は、自身に内在するものを確かめるように左の拳を固めた。
 握りこまれた小盾のベルトが、何気ないしぐさにも乾いた音を追随させる。

「でも、ずっとひとりで帳尻を合わせてきた俺は、自分の仕事をこなすだけで精一杯で。
 人に背負わせなかった代わりに、人の寂しさとか、優しさだって、背負ってやれはしないんです。
 だから、俺が寂しいって言えるヤツが傍にいなかったのは、俺が誰にも“言わせなかった”からだなって。
 ひとりの旅は俺が選んだんだから、母さんにもおじいさんにも、つらいとか苦しいとか、言ったことなんかなかった。
 そんなふうに考えてみたら――俺には。俺の心の中には、誰もいなかったような気がしてくるんだ……ッ!」

 拳にしぼられた革の音は、肉声が詰まると同時に高くなった。
 アルス自身は涙のひとつも流していないが、喰い締めた奥歯のふるえは慟哭、との形容を思わせて激しい。
 ノアと名乗った怪物の言葉を、殺し合いに招かれたという現実を、真正直に真正面から。
 そして、ある程度冷静に受けとり、じっくり咀嚼してしまったからこそ――
 騎士とともにある勇者は、十六年の人生の生んだ虚無と相対していた。

「……笑い話ですよ。ううん。笑っちゃ失礼ですよね、こんなの。
 誰かを守るための勇者だっていうのに。復活した大魔王を倒すために、ひとりでギアガの大穴なんかに
飛び込んだっていうのに。……“ここ”で、誰も俺に笑っちゃくれない。俺だって、笑ったりできないんです。
 そんなんで、ひとりで死ぬのは――なにも見つけないうちに死ぬのはすごく、恐い」

 盾に合わせて握るべき棍棒を放した右手の親指で、アルスは自分の胸を指した。
 極論にちかい、けれど彼にとっての真実である結論をぶちあげた瞳には、涙がにじんでいる。
 誰かを守るための勇者。ある意味では、勇者とは正反対の位置に立つ男を、少年は兄かなにかのように見据えた。
 その、疲れたような瞳の、底にある輝きが、ロシェに言葉をうながした。

「誰かを守るため、か。勇者とは騎士と変わりのないものなのだな。
 では……きみは、守るべきものがあれば、死ににいけるというのか」
「大丈夫だとは言えません。俺だって、“死ぬ”ときはいつも恐い。
 だけど……このまま死んだら、俺は色々、納得できないと思います」

 “そんなことないよ”などと言っていたら少年は救われただろうかとは、あえて考えない。
 ぽっかりと胸に空いた穴を実感した者にこそ、平易な否定は慈雨のように染み渡るものなのだろうが……。
 自分が言ったとおり、こんな状況なのだ。苦痛を伴っても、アルスが納得できる方がまだいい。
「分かった。参考になるかどうかは分からないが――
 私も、女王陛下とドゥーハンの民を守る騎士のひとりだ。こちらの身の上を話してみよう」

120はるかなる故郷 ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:43:07 ID:vyFX4ltw0
 しかしながら、こうなってみるとロシェにもアルスの気持ちがよく分かった。
 対面で話すことに戸惑いを覚えた右手は所在なげに動いて、なにか支えになるものを探す。
 ……これでは仲間の侍が言うところのラクゴ、というものになるのだったか。
 あえかな六つ花の描かれた扇で膝を叩くに至り、騎士は初めて苦みの混じった笑みを浮かべた。
 疑問の表情を浮かべながらも、つられて口角を上げたアルスに向けて、最初の一句をつづる。

「私の守りたいものは、すでにこの世から喪われた。
 だが、喪われてしまったからこそ、私はそれを守りきらねばならないと思っている」

 美しいままに。“最後まで”。
 締めくくりの五文字を聞いた勇者の顔が引き締まるさまを、男は揺れない視界に収めた。


 ――不浄の地、ドゥーハン。
 生ある者も死した者も怨み、悲しみ、業を背負う地が、ロシェの故郷の成れの果てだ。
 一瞬の閃光がドゥーハンの民と街を滅ぼし、大地を死の灰色に塗り替えたのである。
 光のもとは、古代のエルフが興したという文明・ディアラントの遺した巨人型兵器“武神”。
 禍つ神とさえ形容されたモノに救いを求めたのは、街の大司教の座にある、たったひとりの男だった。
 光あれ、との言葉で世界が生まれたという話もあるそうだが、この場合は逆だと……言えるのだろうか?
 冗談のような形でもたらされた人生の終わりはあまりに突然すぎて、街の誰もが気付けなかったのだから。

 そして、死んでもなお滅びを知らぬままに異界へ囚われた魂。
 ドゥーハンの廃墟に縛られた者たちを解き放つのは、剣と魔法、加えて絆の力である。
 女王陛下の魂を贄にして召還された破壊の巨人を解放するのもまた、人が生む破壊の手――。
 そうだとしても、自分や仲間は、ドゥーハンで過ごした日々を美しいままで散らそうと考えていたのだ。


 ……それが、ロシェにとっての最後の仕事。
 クイーンガードとして、女王や“彼女”の愛したドゥーハンを守ることであった。
「でも、武神を倒して魂を解放すれば、みんな“死ぬ”んですよね?
 いくら存在のしかたが歪んでいたって、あなたの仲間も、街の人も生きてるっていうのに」
 アルスの危惧はもっともであったが、少なくともロシェや仲間に、悔いは無い。
「それでも、ドゥーハンの街やオティーリエ女王陛下、それに」
 あるとすれば、遠い日となってしまった、すでに喪われたものに対する憧憬であった。
 もう一度歩きたいと願った、エルフの女僧侶。彼女の、愛を意味する四文字の名前を――

「これまで、生き抜いてきた者の遺志と魂を護ることは出来る。
 仲間の侍の台詞を借りておくが、“散り遅れた花は見苦しい”のさ」

 ロシェは口にしなかった。
 雪の灰色とは無縁らしい城の土を彩る花に、左の指を伸ばしかけてやめる。
「だが、散る時でない花を手折るのも――悲しいな」
「ええ。そう、ですよね」
 せつなげな面持ちをした“勇者”の微笑に、しかして“騎士”は笑いを返せなかった。
 笑えると知っているのに、体が笑わせてくれないという状態は、なかなかにつらいものだ。
 ドゥーハンの地下を彷徨ううちに笑い方を忘れた自分の現身(うつしみ)が、妙にうらやましくなる。
「……現在の脅威ではなく、想い出を守るという行為は、滑稽か?」
「いいえ。故郷のことも思い出すヒマもないって状態より、よっぽどマシだなと思います」
 低きに流れるような考えを留めた思いは、憎まれ口に変わった。
 けれどもアルスは、喪わなければ気付けなかった者の生き様を語るさまから、なにか受けとったのか。

「俺にもそういう理由があったら。ううん、見つけられたら――!」

 彼はとっさに体を捌き、手にしていた小盾でもって扇を受け止めた。
 六つ花がもたらす魔浄の冷気は、盾に張られた角竜の甲殻によってはばまれる。
「な、なにを」
 デイパックをつかみながら横転し、立ち上がる動きで、篭手を狙った二撃目も避けられた。
 さすがに、たったひとりで魔王とやらを倒したというだけのことはある。
 声こそ動揺しているものの、倒すことより生き延びることに重点を置いた身のこなしには隙が無い。
「私の理由は、今、ここでお前が死ぬ理由には……ならんのだろうな」
 それに比べて――
 六人で連携することを基準としてきたおのが刃の、なんと鈍ったことだろうか。
 閉じた状態で棍棒を模しているにせよ、扇など使ったことがないという点を差し引いても甘さが残っている。

121はるかなる故郷 ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:44:20 ID:vyFX4ltw0
 右手に棍棒を構えられてしまう前にと、みたび閃かせた扇はひるがえした厚手のマントでもっていなされた。
 命中率を上げる“魔戦の護符”。魔法によって不慣れな体さばきがカバーされている実感がまったくと沸かない。
「それが、あなたの騎士道ですか!? 俺ッ、俺は――あなたとならノアに抗えるかもって思えたのに!」
「莫迦を言え。魂を縛る異空からでさえ人間を喚べた者に、どうやって立ち向かう!」
 飛竜の牙が釘のように突き出した棍棒の描く円弧に、閉じた扇の面をあわせる。
 金属と竜の骨が散らす火花と、扇の紋様に刻まれた魔力によって生まれる雪の香がぶつかり、きしんだ。
 ああ、そんな希望を臆面も無く口に出来るから……お前は勇者と呼ばれるんだ。
 子どもの手で片手分。それだけのパンで三日以上を過ごし、親から捨てられた俺と、お前は違う。
「最初の一日で、誰も死ななかったら! 満足して自害に走れるとでも!?」
 クイーンガードとなってから身につけた言葉の装飾が、剥がれ落ちてしまいそうだった。
 ロシェ。姓など知らないただのロシェが、勇者の輝きを取り戻しかけたアルスに気圧されかけている。
「ノアは監視のもとに生き残らせると言ったけど、俺たちの故郷に返してくれる保証もないじゃないか!」
 いまだ抜剣――片手剣、と説明書きにあったそうだ――もしていないというのに、少年の言葉は強かった。
 しかし、“ロシェ”には届かない。最後のクイーンガード、すでに喪われた者の影を求める“騎士”には響かない。
 誰の言葉だったか。強い絆は、剣でも切れない。それは、言葉とて同じことだ。
 あの真っ白な廃墟を。蹂躙された魂を知らぬ者のそれであるなら――

 同じことだ!

「アモーク!」
 反射的とも言えるひらめきの直後に、詠唱は終わっていた。
 延々と状況を繰り返させることで、こちらの疲弊を狙ったのだろう。
 扇を使った攻撃を回避しつづけていたアルスの体を、薄緑をした空気の刃が包み込んだ。
 騎士となってから身につけた僧侶魔法。自分を救ってくれた、もう一度歩きたい癒し手が修めていたわざ。
 その中でも貴重な攻撃の呪文をこそ、救うためには壊すことしか出来ないロシェは迷わず選びとる。
 高貴なるものの拝命に従う騎士の、ときに鋼の強さと剛直さを併せ持たねばならない精神。
 愚直な解けない魂でもって、滅びと曖昧な救いを同時に伸ばしたノアの手をこそ……取ってみせる。
「っあ、ああああぁああ――」
 風車のように回転しながら、真空の刃はアルスの周りにとどまっていた。
 ひとりでいれば、勇者らしく痛みに堪える矜持は必要なかったということだろうか。
 少年らしく、含むところのなにもない絶叫が、マントの切れ端とともに庭園に満ちていく。
 抵抗に失敗しても、しなくとも。風の壁が破られた瞬間に、輝こうとする魂を魔の扇で凍らせる。
「ロシェ……っ!」
 ついに抜剣したアルスの袈裟斬りを、騎士は無言で受け止めた。
 常ならば腰の入っていたであろう一撃は、しかし、裂傷のために浮いてしまっている。
 剣と違って均整のとれない棍棒の扱いに苦慮したのか、破壊力を上げる竜の牙さえ取り回しの邪魔となる始末だ。
 扇を引っ掛けて、そのまま引くにも押し切ることもかなわなくなった状況で、少年は“微笑んでみせる”。

「ルーラっ!」

 わずか一節の詠唱が、苦みばしった表情に追随した。
 それが呪文であるとロシェが認識するより速く、アルスの体が宙に浮かんだ。
 ……魔術師が得意とする、迷宮脱出の魔法。それとも、瞬間移動のほうが近いのだろうか?
 吹き抜けの高空を翼持てるもののように翔んでみせた勇者は、派手な縮地術の痕跡すら庭園に残さない。
 振り上げた扇が断ち切ったのは、血のしぶき。紅い珠は雪のように凍るが早いか、あたたかな土へ解けてゆく。
『甘いな』
 恐怖に食いつぶされそうになっていた勇者。
 間違えようのない弱者を、有無を言わさず殺さなかった自身を、ロシェは端的に評価した。
 騎士道という名のわがままを通すと決めたわけではなく、彼と同じものを抱えていたと理解できるがゆえに。
 もう一度、あなたと歩きたい。歩きたい者に、そうと言えなかった自分のふがいなさを胸中で振り切る。
 二十四時間以内にひとり。まずはそれだけでいいのだから、慌てる必要もないだろう。
 失策の代償は、アルスを通じて自分の存在を喧伝されるというところだろうか。
 だが、それもここで地形を把握するなり、罠を仕掛けるなりすれば幸運に転ずるはずだ。

122はるかなる故郷 ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:45:05 ID:vyFX4ltw0
 かつての物乞い崩れだった盗賊の勘も、思い出した騎士としての知識も、隠身城の用途の理解に役立つのだから。
 進入禁止のエリアに設定されたときは骨だろうが、もしもを並べても始まるまい。

 とにかく、あんなふうに喋ってみせるのはこれで最後だ。
 散るべきでない、手折るべきでない時に、花を折ってゆく……悲しみ?
 六人を統率する自分がいなければ、剣でも切れない絆さえ、脆くも崩れてしまったではないか。
 ああそうだ、本来ならば唾棄すべきであろうノアの箱舟に乗って、喪われた故郷を、美しく葬るために。
 自身の安寧を求める、傲慢な精神など――この花とともに、散らせてやる。


【D-3/アリアハン城・庭園/日中】
【ロシェ(男主人公)@BUSIN〜wizardry alternative〜】
[状態]:MP消費(小)、疲労(中)
[装備]:魔浄扇@真・女神転生if...、魔戦の護符@BUSIN
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜1
[思考]:優勝狙い。女王と民草の魂を解放するために生き残る
1:城を拠点にしつつ参加者を殺す。まずは地形の把握
[参戦時期]:地下10階・主人公の本体と出会った後〜ラスボスと戦う前。
[備考]:人間/職業・盗賊→騎士(Lv5までの魔術師魔法・すべての僧侶魔法使用可)/善属性/性格・正義感。


 *  *  *

 大地の上から大空へ。
 高空から、再びかの地に。
「っは、はっ、……かはッ、」
 激しい上下移動を強いられるルーラの効果を前に、アルスは強いめまいと吐き気を味わった。
 気圧とやらの変化で、失血が深まったことだけが原因ではない。着地した体が重いわりに、足もとがおぼつかないのだ。
『殺し合いに、これだけ向かない呪文もない――からか?』
 ロシェと確認した地図を見る限り、舞台は懐かしきアリアハン大陸であった。
 戦闘用に簡略化した術式が術者の故郷を示すという前提があったからこそ、ルーラを使えたようなものだが……。
 レーベとアリアハンを往復できる呪文・ルーラ。数々の洞窟や、ナジミの塔から脱出できる呪文・リレミト。
 殺す側から逃げるというときにそんなものが普通に使えてしまっては、殺し合いなど成立させようがない。
「――ベホマ」
 とりあえず、耳慣れない呪文で負わされた傷を塞いでおく。
 失血も気になるところだが、街の入り口で食事や手当てをするにもいかないだろう。
 それに……自分は、久しぶりにアリアハンの街へ戻ってきているのだ。城にいた時には緊張や違和感が
勝っていたが、見慣れた街並みを目にすると、胸にはこみあげてくるものがある。
 勇者の母として、死ににいくかもしれない息子を送り出した母。自分たち親子を誇りにしていた祖父。
 肉親だけではない。アリアハンの王や、宿や道具屋、武具屋の主人。遠くに見える井戸の中にいた、メダル王……。
 戦いにかまけて、自分はいったい、どれほどの郷愁を忘れてきたのか。どれほどの思いを無碍にしたのか。
 後悔が胃を揺らしにかかるほどに、自分は、ここに、帰りたかった。
 故郷へ帰るために努力をする、そのためになら、命を投げ出せるような気がした。
 ロシェのように故郷を消すのではなく、故郷とともに、自分たちが生きていくために。

「まさか……サマンサ!?」

 そんな思いを、彼女も抱いていたのだろうか。
 ルイーダの酒場で、顔を見るだけは見た魔法使いの面影が、アルスの視界を奪い去った。
 緑の帯で彩られた、黒のとんがり帽子。広いつばの下で外側に跳ねた短髪。襟を立てたマント――
 ともに行けないと報告するためだけに見た彼女のいでたちさえ懐かしい。
 自分の声に応じて振り向く、杖の代わりに斧を携えた彼女が人違いであっても構うものか!
「……あら。名前を知られているなんて、私も有名になったものだわ」
 だが、彼女は自身を見限ったに等しい勇者を近づかせることなどなかった。
 口の中でなにごとかつぶやかれると同時、アルスは収束する熱源に向けて盾を構える。
 直後に現れたのは、一条の細い焔。それが方々から集まって奔流をなし、魔力を秘めた扇の一撃さえ
受け止めたはずの竜の甲殻が、形成された炎球の衝撃をいなしきれずに――力が、弾けた。

『今のは、メラじゃない』

 メラゾーマ。火球を生み出す最上級の呪文。
 書物で目にしたことがある、魔法使いの本気の証拠だ。
 左腕を大きく開き、一歩退くことで呪文を受けたアルスは、再び戦慄にとらわれる。
 自分の立っている場所が、向かうべき目印があやふやになる感覚。
 ひとり旅で何度も覚えた感覚が、どうしてか、二人になった今でも強く揺り起こされた。

123はるかなる故郷(last) ◆69O5T4KG1c:2010/01/25(月) 03:45:53 ID:vyFX4ltw0
 目の前では、魔法使いという職業に似合わぬ膂力を発揮したサマンサが、三日月のような刃をもつ斧を構えている。

「寂しがりやな勇者様のことだから、自分の家に帰りたがると思っていたのだけど……ハズレだったわね。
 でも、勇者様とよく似た……あなた。私が今日という日を生き延びるために――」

 死んでちょうだい。
 アルスの目の前で、薄桃色の紅を引いた唇が蛇の鱗を思わせて艶めいた。


【D-3/アリアハン・勇者の家付近/日中】
【アルス(男勇者)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:裂傷複数(処置済み)、MP消費(中)、疲労(大)、やや失血
[装備]:クギバット@モンスターハンター
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]:ひとりで死ぬのは、怖い
1:サマンサに対応する
2:殺してでも生き残るための理由か、命を捨てても構わないような存在が欲しい
[参戦時期]:ゾーマ復活後。アレフガルドに到達している
[備考]:バラモスをひとりで打倒しています。

【サマンサ(女魔法使い)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:MP消費(微小)
[装備]:ルーンアクス@魔界塔士
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]:優勝狙い。魔の道を究めるために生き残る
1:24時間ルールを解除するため、アルスを殺す
2:ノアの監視を振り切るための手段を探す
[参戦時期]:ゾーマ復活後
[備考]:戦士→魔法使いの順に転職しています。


【魔浄扇@真・女神転生if...】
ロシェに支給された。
凍結を追加効果にもつ扇。装備すると力・速・運が1ずつ上昇する。

【魔戦の護符@BUSIN】
ロシェに支給された。
高名な魔術師が念を込めた護符。装備者の命中率を上昇させる。
道具として使うと、奇蹟を起こす魔術師魔法『ニルヴァナ』の効果を発揮する。二回使用で破損。
※ニルヴァナ…七種類の奇蹟のうち、ランダムでひとつを起こす。代償として術者は気絶。
 奇蹟一覧:「何も起こらない」「敵を異次元に飛ばす」「敵の魔法を封じる」「パーティの魔法を強化」
 「パーティのHP全快+MPを1回/Lvずつ回復」「パーティ全員の防御力・回避力上昇」「パーティの直接攻撃を強化」

【クギバット@モンスターハンター】
アルスに支給された。
角竜ディアブロスの角を荒削りにした先端部に、竜の牙を埋め込んだ棍棒(片手剣)。小盾は角竜の背甲製。
いささか原始的なつくりだが、骨加工職人は“これこそ勇者の武器”と語っているようだ。

【ルーンアクス@魔界塔士】
サマンサに支給された。
斧の一種。自分に向かってくる魔法を一定確率で跳ね返す。


【参加可能者 残り19人+α】

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以上、投下終了しました。
ルーラの効果(戦闘中使用でアリアハンの入り口へ)についてはSFC版で検証ずみ。
空間移動については制限無かったので、とりあえず疲労を多めにとってみてます……。

124もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 16:46:26 ID:mJaiWPVw0

   | \
   |Д`) ダレモイナイ……カンソウカクナラ イマノウチ
   |⊂
   |


>戦乙女
*おおっと きょうしゃげんてい*
死者一号がカンダタとはw
いいねえ、戦闘狂。それでいて女の子だなんて素敵。

>本気の女
話術師www状態:熱いwwwテニスボールww女性キャラだったから不意打ちくらったwwww
数少ない真っ当な対主催チームに、とりあえずこの言葉をば。
「ずっとやってみろ! 必ず目標を達成できる! だからこそNever Give Up!! 」

>『ラッキータイプ』な女の子
ifの女主か。はいてない少女ぱねえっす。
チェーンソーってそこまで強くないはずなのに、無想正宗とか持ってるより怖いのはなぜだw
っていうかエロい! なんかエロいよ!

>撲殺天使ナインちゃん
うーん……ダークロウ? やさぐれてんなー。
まあ、また人間が悪を生み出したってことになるからなあw
なんていうか、「人間が存在する限り永遠に続く『感情』なのだ……!」を思い出すw

>とある天使の隠れ歌
やる夫が出てくるとはw見敵必姦(サーチアンドヤルオ)てwってか死んでるwwざまあwwww
ステルスのリリに頑張って欲しいぜ。歌は下手でも演技は分からないし。
にしても『歌い殺す』って単語が斬新すぐるw

>黒き尖兵
うみねこ殆ど知らないけど、首から上が山羊のヤツとか出てくんのかw
気持ち悪い見た目に反して、何だかかっこいいじゃないか。死亡フラグガン立ちだけど。
対してショッカー戦闘員の方は物悲しい。イムはモンスター見敵必殺がどうなるか、だな……

125もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 16:46:51 ID:mJaiWPVw0

>希望、見えた先に。
スペランカーを見ると、風雲サタン塔を思い出してしまう俺がいる。
守る立場となったスペランカーを豪鬼が見たら、いったい何を思うのだろうか。
しかし硫酸のフンをする蝙蝠……うまいこと理由つけたな。

>Live Better
ひゃっほう! 戦車きたこれ!
米倉京太郎も戦車のインパクトに負けないくらいにかっこいいな。一時的にノアを上官とするか……
戦車+マシンガンという結構な武装だし、これまた先が楽しみだ。主砲? 使っちゃえばいいんじゃねえのォ!?w

>竜王計画ジェノサイダー
分かってた……ブッ飛んだのが来るのは分かってたよ、タイトルからさ!w
これは、なんて残念なロトの子孫www個人的に、今んとこのキャラで一番期待wwww
キラーリカントのように濁りきった瞳てwwwwwww

>はじめにきめるだいじなこと
ブシコは頼りになる対主催だな! と思いきやこえーよ、この人!w 仲間にしてもいいって、死ななきゃかよ!w
女遊び人の方も、備考欄ヤベーし!w 対主催なのに一筋縄じゃいかねええええw
あれ、そういや天空の剣って誰でも使えるんだっけ? まあいっか。

>あなたは神を信じますか?/はい
神代きたあああああああああああああああ!!
って思ってたら、相方もっとブッ飛んでるうううううううう! 放送禁止用語じゃなきゃ表せないぞ、おいw
道中で三人殺したんじゃなく、三人一気かよwwなんという有力マーダーチームwwww

>ゆとりってレベルじゃねーぞ!
首輪で遊んでいたって、さらっと書いてることにまずわろた。
次に、いきなりの首輪解除とラックの種で追い討ち喰らった。
そんでもってAA。ですよねーwwwww

>各自で名前を付ける企画です    ※しかし名乗れるかは限らない
リヴァ略乙。まあ生きてたところで、この無差別マーダー祭の中お前じゃなあ……うん。
しかしお前の支給品は役に立ちそうだぜ。サイクロン号に跨る魔剣士って何だかシュールだけどw
闇の4戦士は何気にロワ初参戦だし、揺れそうなマーダー少ないし、魔剣士は白魔法持ちなのも面白そうだ。しかしよもや暁より先にロワに出るとは。

>はるかなる故郷
悩む勇者っていいよなー。色んなアルスを見てきたけど、ここのもいいね。ロシェも切ないなぁ……悪いヤツじゃないってのがさらに。
サマンサが優勝を狙う理由が知のためでありながら、決して折れないほどに強い願いってのも素敵だね。
うーむ、いやはやこの話のキャラ立てはスゲーぜ。無名キャラに深みを作っている。ああ、それだけにBUSINをやってないのが悔やまれる……!

126もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 16:56:21 ID:mJaiWPVw0
以上、感想終わりっ! みなさん投下乙でした!
あと現在地纏めましたので、落としますね。



A−2/日中  ○内田珠樹(森)、●ジロン(森)
A−3/日中  ○米倉京太郎(平原)
A−4/日中  ○ショッカー戦闘員(森)
A−5/日中  ○イム(森)
B−4/日中  ○名前不明(闇の四戦士の一人)(平原)、●リヴァイアサンに瞬殺されたヤツ(平原)
B−5/日中  ○山羊さん(森)
C−2/日中  ○ジャガン(森)
C−3/日中  ○E・シズカ(森)、○ブシド・ザ・ブシコ(森)、○???(女遊び人)(森)、○ネリシア(森)、○神代浩司(森)、●カンダタ(森)、●???、●???、●???
D−3/日中  ○ロシェ(アリアハン城庭園)、○アルス(アリアハン勇者の家付近)、○サマンサ(アリアハン勇者の家付近)
D−4/日中  ○ナイン(森)、●ココット(森)
D−5/日中  ○リ=リリ(砂地)、○タムラ(祠内部)、○アクセル(祠内部)●やる夫(砂地)
E−2/日中  ○シュウ(南東部海辺)、○はんた(南東部海辺)



ざっと纏めただけだから、ミスがあったらゴメン。
それにしてもC−3がえげつないことになっている件について

127超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない):2010/01/25(月) 22:49:32 ID:m4RdWXMg0




「合体! それは新境地を開く技術して世界の最先端を行く技術!」




――体は装置で出来ている

血潮は悪魔で 心は剣


幾たびの合体を越えて不敗(合体事故はボケで忘れた)

ただの一度も敗走はなく(フルムーンに派手に失敗したことはボケで(ry )

ただの一度も理解されない(どうして三身合体であんだけ派手に失敗するんだろう)


彼の者は常に独り

邪教の丘で勝利に酔う


故に 生涯に意味はなく

その体は きっと合体で出来ていた



「というわけで今から合体させる! 今回のレシピはこちら!」



・水銀燈(出すとうっさいので鞄ごと) (支給品)
・仮面ライダーガイ (支給品)
・お前 (支給ひ……参加者)


「って最後のお前ってどういうこと!?」

「黙れ小僧! お前にセンが救えるものか!」

「いまどきもののけ姫!? ありえん(笑)」

128超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない):2010/01/25(月) 22:50:00 ID:m4RdWXMg0

ニムは目の前のわけわからない出来事に混乱しつつも、突っ込みを入れた。
色々常識的でない仲間たちと行動するうちについたツッコミ癖のせいだった。
こんな殺し合いに放り込まれ、仲間を探してるうちにわけわからない老人を見つけた。
青いローブに白いひげと魔法使いっぽい胡散臭い老人だったが、彼女も僧侶。


保護しようと思った結果がこれだよ!


彼女は知る由もなしが、彼は「ともぞう」。どこにでもいる邪教の館の主である。
彼の合体に対する情熱は凄まじいものがあった。そのため、彼は使えるようなったのだ。
そう、UGW(Unlimited GATTAI Works)を。これは、一瞬でその場を合体する邪教の館に変える固有結界である。
それによって一瞬にしてニムを合体カプセルに激しく監禁したともぞうはノリノリで合体させるべく支給品をぶち込んだ。

さあ、ここに悪魔合体ならぬ新境地の合体が!


「レッツパリィィィィィィイィッィイッィ!!!      ごほっごほっ」


「うぎゃあああああああああああ」

とても年頃の女性の叫び声がその場にあがった。
中心の光の中から現れたのは――――



【D-3/アリアハン・道具屋付近/日中】
【ニム(女僧侶)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:???
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]:???

【合体でどうなったのかは任せます。ロストもありだよ!】








そしてその頃――邪教の館の親父、ともぞうは安らかな顔で死んでいた。
享年1806歳、固有結界を使った反動による老衰だった。

我が人生
   合体にかけた
      その年月(としつき)
           失敗などなく
              完璧だった      ――ともぞう辞世の句


【ともぞう(邪教の館の主)@女神転生シリーズ  死亡】

129超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない):2010/01/25(月) 22:51:21 ID:m4RdWXMg0
やりすぎと言うのなら破棄でもかまわない。
むしゃくしゃしてやった。今は反省している

130もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 22:55:25 ID:m4RdWXMg0
【参加可能者 残り18人+α】

忘れてた

131もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 22:59:14 ID:xWWS/sBs0
ローレシア王子@ドラゴンクエストⅡ、投下します

132破壊神を破壊した男:2010/01/25(月) 23:00:09 ID:xWWS/sBs0

「破壊の次には、創造が生まれる」

澄んだ昼空の下で、青いメットを被った男、ローレシア王子、いや、ローレシア王ロランはポツリと呟いた。
足元には巨大な黒い額にUの文字の入った低くダルそうな声で「ウザイナー」と叫んでいた化け物。
手には聖剣、足元には『滅びの力』を持ったウザイナーと言う化け物。
ロランは決して人では届かない化け物を、たった一本の聖剣で破壊したのだ。

「破壊の後にある希望は、創造のために必要なんだ」

ウザイナーの持つ『滅びの力』とロランの振るった『破壊の力』は違う。
破壊は何かを生むために必要な犠牲だ。
滅ぼしてそこで終わらせるものとは違う。

「僕はあの破壊神を倒したときに、気づいたんだ」

人々はロランを恐れていた。
当然だ、ロランは全てを破壊する神を破壊した男。
魔法は唯一扱えず、されども決して足手まといではなく破壊神シドーの撃退に最も貢献した王子。
そんな人間を恐れない者の方がおかしい。
もちろんそんなことを表だって言う者はいない。
だが、目で分かるのだ。
世界を救った英雄として尊敬しようと思いつつも、怯えが先だった目。
そんな目で常に見られたロランは気が狂いそうだった。

それでもロランはローレシア王となって、国政に携わるうちに気づいたのだ。
人々がとても美しいことに。
彼らのロランを見る目は怯えに満ちている。
だが、国を再建するために汗を流す人々を見て、ロランは感じたのだ。
大神官ハーゴンによって壊されたムーンブルグが再建されていく人々の希望にあふれた姿。
その姿が、彼の心に何より響いた。
人が笑っている、活き活きとしている、
決して彼が行ったことは間違いでもなんでもなかった。
恐らく、りゅうおうから世界を救った先祖、アレフガルドに光を取り戻した大先祖ロトもそう思ったのだろう。

「何時かは人間全てを破壊しなければいけない時が来るかもしれない」

分かっている。
人間が巨大になった場合は、世界そのものに多大な影響を与えるだろう。
ノアの言う言葉も分かるのだ。

「だけど、それは決して今じゃない」

ムーンブルグは再建された。
破壊の後に転がった廃墟を人々は再生させたのだ。

人には元に戻す力がある。
破壊することが出来ない、ロランも多少持っている力を誰もが持っているのだ。
その人たちがこの世で笑っている限り、ロランは戦える。

「創造する人間の邪魔立てをするのなら、僕は誰だって破壊します」


【ウザイナー@ふたりはプリキュア Splash☆Star 死亡】

【C-4/山/日中】
【ロラン(ローレシア王子)@ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々】
[状態]:健康
[装備]:@ファイナルファンタジーⅤ
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]
1:ノアを破壊する。
2:創造する人間を邪魔する人も破壊する。
[参戦時期]:本編終了後、ローレシア王から王位を譲られています。

【参加可能者 残り17人+α】

133もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:00:40 ID:xWWS/sBs0
投下終了です

134もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:01:26 ID:3B40SdGQ0
感想落としちゃうぜ!

>戦乙女
戦いの場に生き、戦いを求める女性。
いやーかっちょいいっすなあ。
カンダタは乙

>『ラッキータイプ』な女の子
戦いの場に生き、戦いを求める女性。
同じ戦いを求める女性でもテメーは電波だいいぞもっとやれwwwwwwwwwwwww

>撲殺天使ナインちゃん
まさに堕天使! かっこよく決まっていていいぜ!
ハンマーなところはやっぱりアレですねwwww

>とある天使の隠れ歌
歌が武器って言うのも珍しいですのう。
演技派、でも歌は残念……か

やる夫は乙だねwwww

>黒き尖兵
こんなかっこいいショッカー初めてだぜwwwwwwww
ヤギさんもいい具合にカオスだし、いいねえ!!

>Live Better
戦場のプロ来た! 可鶴!
でも機械が上司か……

>竜王計画ジェノサイダー
お前もう帰れよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
残念なロトwwwwwwwwwww
ローラも引くわwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

>はじめにきめるだいじなこと
この二人つええぜ……!!
と思ったらあぶねえ!! アブないけどつええwwwwwwww

>あなたは神を信じますか?/はい
いいえ

おや誰か来たようだ

>ゆとりってレベルじゃねーぞ!
笑いの無双三段wwwwwww ヤバいwwwwwwwwwwwwwwww

>各自で名前を付ける企画です    ※しかし名乗れるかは限らない
リヴァ略wwwwwwwww ここでも瞬殺wwwwwwwww
そして闇の四戦士。 まだ見たことないキャラクターだからここから期待だぜ!

>はるかなる故郷
全てを知りたい魔法使い、一人を選んだ勇者、そして王国に使える騎士
それぞれがそれぞれにかっこよく輝いていてすごくいいぜ!
カッチョイイです……!!

>超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない)
とwwwwwwもwwwwwwwwZOwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

135もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:02:53 ID:3B40SdGQ0
>破壊神を破壊した男
ロランかっこいいwwwwwwww
セリフがもっともらしくてかっこいいです!!

あ、あと装備が空欄ですぜ

136もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:04:59 ID:xWWS/sBs0
>>135
失礼しました
[装備]:エクスカリバー@ファイナルファンタジーⅤ
です

感想は今書いてるぜ……!
今日中に間に合え!

137もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:06:49 ID:zgX5e1JY0
っちょwwwはええwwww
感想書いてからこんなに増えたのかww
いま書いてるから待ってろwwwwww

138 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 23:34:43 ID:/qvrkiJU0
錬金術士@ととモノ。を投下します

139怒りの錬金術士 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 23:36:15 ID:/qvrkiJU0
彼女は天才である。
彼女が所属する錬金術士学科は、他の学科より編入時により高い能力が求められる。
故に最初は他の学科でおのれを鍛え、実力を磨いてから転入するのが一般的なパターンだ。
だが彼女は、入学と同時にその学科へと編入された。
もう一度言おう。彼女は天才である。


◇ ◇ ◇


アリアハン城下町、道具屋の店内。ここに一人の少女の姿があった。
その背格好からは幼い子どものように見えるが、実際には彼女はそれなりの年齢を重ねている。
彼女は成人してもほとんど身長が伸びない、「クラッズ」という種族なのである。

「まったく、冗談じゃないのです!」

カウンターの前に置かれた店員用の椅子に座り、彼女はしかめっ面で叫ぶ。

「人類最後の一人だなんて、誰がなりたいもんですか! いや、厳密には私は人類じゃありませんけど……。
 こまけえことはいいんです!
 私には将来を誓い合った、愛するダーリンがいるのですよ? 一人だけ生き残ったって、何の意味もありません!
 見てなさい、わけのわからない怪物体め! 絶対にあなたをけちょんけちょんにしてやります!
 天才を怒らせるとどうなるか、た〜っぷりと思い知らせてやるのです!」

幼い顔立ちに、彼女は黒い笑みを浮かべる。

「さて、ひとしきり叫んでストレスを発散したところで、荷物のチェックといきますか。
 あんな奴に渡された道具に頼るのは癪ですが、やっぱり私たち錬金術士は道具を扱うのが本業ですからね」

誰に言うでもなく説明すると、彼女は自分に支給されたデイパックをあさり始める。
最初に出てきたのは、真っ赤な刀身の短刀。見た目通り、火の力が込められているらしい。
非力な彼女にとっては、使いやすい分伝説の剣など支給されるよりもよっぽど当たりと言えるだろう。
ただ、「サラマンダー」という名前が今ひとつ気に入らないが。

「何だか、縁起の悪そうな名前ですねえ……。殺そうとしても誰も殺せないみたいな……。
 まあ私は積極的に殺すつもりはありませんから、別にいいですけどね。
 さて、次……。おお、これは!」

第二の支給品を取り出した彼女の顔に、感嘆の色が宿る。
彼女の手につかまれていたのは、純白のウェディングドレスだった。
これはぜひとも大切に保管して持って帰り、ダーリンとの結婚式に……などと考えていた彼女だが、調べてみるとこのドレスはかなり丈夫な布でできているらしい。
少なくとも、今着ている制服よりはよっぽど防具として有用である。

「ここで死んでは結婚式も何もありませんし……。着ておきますか。
 なるべく汚さないようにしたいですねえ」

色気も何もない仕草で制服を脱ぎ捨てると、彼女は真っ白なドレスを身にまとう。

「さて、次は……。む、けっこう大きいですねえ」

腕に力をみなぎらせ、彼女は三つ目の支給品を引っ張り上げる。
出てきたのは、彼女の頭ほどの大きさはありそうな奇妙な物体だった。

「むむ! これは知的好奇心をくすぐられますねえ」

彼女はその物体をまじまじと見つめる。するとその時。

「おや? あなたは……。新しいご主人様ですか?」
「うわ! 喋ったのです!」

謎の物体から発せられた声に、彼女は思わずのけぞる。

「驚かせてしまったようですね、申し訳ありません。私は、錬金釜のカマエルという者です」
「れんきんがま?」
「ええ、錬金釜というのはですね……」

興味津々といった風の彼女に対し、カマエルは自らについての説明を始める。
彼曰く、錬金釜とはある特定のアイテムを複数入れることによってそれらを合成し、新たなアイテムを生み出す道具らしい。

「素晴らしい……。私の知らない錬金術の秘宝というわけですね!?
 まあ私はあなたに頼らなくてもアイテム合成ぐらいはできますが、私の知らない未知のアイテムも合成できるというのは非常に魅力的です!
 いいでしょう、カマエルさん。私があなたの新しい主人になります。
 二人で錬金術の道を極め、あのボケナスをぎゃふんと言わせられるアイテムを生み出すのです!」

目を輝かせ、陶酔の表情を浮かべながら彼女は言い放つ。

140怒りの錬金術士 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 23:36:59 ID:/qvrkiJU0
「おお、何という心強いお言葉! このカマエル、喜んでついていきます!
 そういえば、まだご主人様のお名前を聞いておりませんでした。
 よろしければ、教えていただけませんでしょうか」
「もちろんいいですよ?
 私の名前はフランシーヌ・グローリアス・ヴィクトリア・ルドルフ2世です。
 長いので、フランと呼んでください」
「わかりました。フラン様、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく!」

こうして錬金の道を行く二人(?)は、バトルロワイアルの中で第一歩を踏み出したのであった。


【一日目・日中/D-3 アリアハン城下町・道具屋店内】
【フラン(クラッズ・錬金術士・女)@剣と魔法と学園モノ。】
【状態】天才
【装備】サラマンダー@ドラゴンクエストⅨ、ウェディングドレス@ドラゴンクエストⅨ
【道具】支給品一式、カマエル@ドラゴンクエストⅨ
【思考】
基本:主催者を打倒し、ダーリンの待つ学園へ帰る。
1:主催をブッ倒せるような、強力なアイテムを作り出す。

【参加可能者 残り16人+α】

141 ◆KuKioJYHKM:2010/01/25(月) 23:37:42 ID:/qvrkiJU0
投下終了です

142もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:38:20 ID:zgX5e1JY0
>超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない)
これはひどいwwwwwwwww
もうなんか全部ひどいwwwwwwwwwww
この言葉を送るしかない。ありえん(笑)

>破壊神を破壊した男
ロランかっこいいな、おい!
DQM+仕様かと思いきやまた違う感じにしてくるとは
ある種行き着いちゃってる感じだけど、さらなる変化は訪れるのか

143もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:45:49 ID:zgX5e1JY0
>怒りの錬金術士
ととモノ知らないけど、これまでのやこれ見てると面白そうだぜ
それにしても錬金術師とは珍しい。にぎやかなコンビだしどうなるか気になるが、そこはなかなか激戦区……!
しかし支給品がDQ9祭wwwwウェディングドレスいいぞもっとやれwwww





A−2/日中  ○内田珠樹(森)、●ジロン(森)
A−3/日中  ○米倉京太郎(平原)
A−4/日中  ○ショッカー戦闘員(森)
A−5/日中  ○イム(森)
B−4/日中  ○名前不明(闇の四戦士の一人)(平原)、●リヴァイアサンに瞬殺されたヤツ(平原)
B−5/日中  ○山羊さん(森)
C−2/日中  ○ジャガン(森)
C−3/日中  ○E・シズカ(森)、○ブシド・ザ・ブシコ(森)、○???(女遊び人)(森)、○ネリシア(森)、○神代浩司(森)、●カンダタ(森)、●???、●???、●???
C−4/日中  ○ロラン(山)、●ウザイナー(森)
D−3/日中  ○ロシェ(城庭園)、○アルス(勇者の家付近)、○サマンサ(勇者の家付近)、○ニム(道具屋付近)、○フラン(道具屋店内)、●ともぞう(道具屋付近)
D−4/日中  ○ナイン(森)、●ココット(森)
D−5/日中  ○リ=リリ(砂地)、○タムラ(祠内部)、○アクセル(祠内部)●やる夫(砂地)
E−2/日中  ○シュウ(南東部海辺)、○はんた(南東部海辺)


現在地更新
D−3も過密になってまいりました

144もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/25(月) 23:58:41 ID:xWWS/sBs0
皆さん投下乙でした!

>戦乙女
うおう、武士道精神というよりもバトルジャンキーだぜこいつは!
そしてカンダタwwwwwww名無しロワだけあって名有りキャラには厳しいのかwww

>本気の女
熱いwwwwwwwwwwww熱すぎるwwwwwwwwww
なにこのウィンブルドンでベスト8になってそうな話術士はwwwwwwwww

>撲殺天使ナインちゃん
絶望した天使様が……そりゃ超常的な天使様じゃ人間とは土俵が違うからなあ
タイトルとはうって変わってちょっときつい話だったぜ

>とある天使の隠れ歌
やる夫wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwテラアホスwwwwwwwwwwwww
そしてセレスフィア、お前はジャイアンに改名しろwwwwwwwwwww

>黒き尖兵
ショッカー戦闘員キタ!雑魚扱いされてるがこいつはなんだかんだで強いぜ!
そして山羊さんwwwwwwwwwwwwwwwww死亡フラグ立てすぎだろwwwwwwwwwwwww

>希望、見えた先に。
スペランカーがなんか安定してるのー
てっきり声をかけられた瞬間に死ぬのかと(ry

>Live Better
戦車!戦車だ!ドリルつけたり大砲ぶっぱなしたりする男の子ロマンだ!

>竜王計画ジェノサイダー
これはwwwwwwwwwwwwwwwwなんて残念なロトの子孫wwwwwwwwwwwww
ぱふぱふとか言うんじゃねえよwwwwwwww

>はじめにきめるだいじなこと
ふむ、一先ず決闘して主導権争いか
ココは是非とも女遊び人に勝って貰ってですね(ry

>あなたは神を信じますか?/はい
おまえら二人濃すぎるぞおいwwwwwwwwwwwwwww
死体が三つとかもう自重しろwww

>ゆとりってレベルじゃねーぞ!
くっそwwwwwwwwwくっそwwwwwwwwwwwww
腹いたすぎて悔しすぎるwwwwwwwwwww

>各自で名前を付ける企画です    ※しかし名乗れるかは限らない
ああ、やっぱりリヴァ(ryは瞬殺か、サイクロン号に乗ってるのになんとたよりのない!

>はるかなる故郷
おう、シリアス……サマンサもロシェも怖い
その間に挟まれたアルスも迷いすぎてるし、この次が気になってたまらねえ

>超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない)
くっそwwwwwwwwwwwwなんでお前らはwwwwwwwwwwwwwww
ギャグが高度すぎるんだよ、遊び人の話と言いwwwwwwwwwwwww

>怒りの錬金術師
クラッズ♀だっ!ロリコン御用達のクラッズ♀だ!
ウェディングドレスまで来てやがる上にペット連れとかあぞといぜ!

145もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 00:10:06 ID:jLutmM1Q0
投下しまーす。

146安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?:2010/01/26(火) 00:11:33 ID:jLutmM1Q0
「ぐあああああああああああ!?」

 耳をつんざくほどの悲鳴が、前触れもなく周囲の木々を震わした。
 やたらと声量だけはあるものの、その悲鳴には発声法のいろはもない。
 押し潰されたような濁声が、時折裏返って甲高くなっている。

「そうらよっと」

 叫び声がよほど不快であったのか、青年がのた打ち回る悲鳴の主へとドロップキックを叩き込む。
 全身を炎に覆われていては反応できる道理もなく、前のめりに倒れこんだ男は十数メートルほど地面に擦り付けられる。
 とはいえ、何とかそのおかげで悲鳴の主を覆う炎は払われた。
 額に刻み付けられていたクラブのマークは、煤によって見えなくなってしまっているが。
 依然として立ち上がらぬまま荒い呼吸を続ける男を見下ろして、青年は切り出す。
 勇者らしからぬほどに冷え切った眼差しの主は、しかしながら魔を統べる竜の王へと単身立ち向かう勇者。その名をジャガン。

「もう一度質問だ。お前は、あのノアに関して何か知っているか?」
「し、知らん! お、俺は何も」
「そうか、ならば用はない」

 鎧を纏う男が言い終えるより先に、ジャガンは携えていた細身の片手剣を構える。
 その様を目にした男が、どうにか時間を稼ぐべく咄嗟に問いかける。

「待て! いきなり襲い掛かったのは悪かった! しかし優勝したいのなら、ここで俺を殺さずに泳がせた方がだな」
「関係ないな。優勝して何になる」
「なっ!? ならアンタは何を……?」

 またしても言い終えるより先に結論を出され、男は今度は心の底から生まれた疑問を口にする。
 投げかけられた疑問に口角を吊り上げると、ジャガンは包み隠さずに目的を告げる。
 この殺し合いに興味などなく、欲しいのはノアが持つ技術であると。
 ジャガンがわざわざ答えたのは死に行く者への慈悲にあらず、己が目指すゴールの凄まじさを分からせるため。
 勇者でなければ目指せぬほどの途方もない目的を教えることで、生まれ持った血の差というものを心で理解させるため。
 だからこそ勢いよく立ち上がった男の言葉に、怪訝な声をあげることになる。

「わ、分かった! 俺もアンタの案に乗る!」
「あァ?」
「さっきまでは、あのノアとかいうヤツに勝てないと思ってた!
 だがアンタがいれば何とかなる気がするッ! 俺を部下にしてくれよ! これでもアンタほどじゃないが、腕には自信があって――!」

 ここにきて初めて男の言葉を最後まで聞くと、ジャガンは呆けたような表情となる。
 男にとってあまりにも長く感じられる一分が過ぎた頃、静かになった森林に喉を鳴らす音が響き渡る。
 低かった音はじょじょに大きくなっていき、ついにジャガンが大きく口を開く。

「クッ、はーッはッはッは! ははははは!! なーに言ってんだァ、お前は?」

 大きく歪んだ口元は、スライムのそれを思わせる。

「共闘なんざするのはな、自らの欠点を他人に埋めてもらわなきゃならねえ凡人だけなんだよ」

 立ち竦んでいる男を見つめる瞳は、さながら人間に相対した魔物のよう。

「ま、よーするに俺みたいな天才様には埋めなきゃいけない欠点なんてねーってワケ。
 情報なり財宝なり持っててそいつを交渉材料に使うんならともかく、戦力としてカウントして欲しいってお前、そりゃあアレだアレ。身の程知らずを通り越してさ」

 すう、と一息。
 ただそれだけの行為が、劫火を吐き出す寸前のドラゴンじみて見える。

「――――もういいから二度と口開くな、ってヤツ?」

147安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?:2010/01/26(火) 00:11:51 ID:jLutmM1Q0

 ジャガンが目を細めると、暗い闇を抱いた瞳がいっそう強調され――男の脳内に主君の姿が蘇る。
 関東一円を支配する組織の統率者にして『KING』、その姿が。

 ゆえにジャガンの言葉が耳朶を打つのと同時に、男は踵を返して全力で逃走を開始した。

 震える身体を奮い立たせて、縺れそうになる両脚に意識を集中させて。
 頭の中を駆け巡るは、ただただ後悔の念。
 見た目だけで相手の実力を知った気になって、KINGを連想させる相手に仕掛けたことへの。

「おお、背中見せて逃げるってか? いやいやいい判断だとは思うよ?
 焦りに駆られて俺に攻撃してくるようじゃあ、減点一万の即殺ルート一直線だ」

 遠ざかっていく背中を眺めつつ、軽口を叩くように笑みを浮かべる。
 その笑いは、もはや先刻のように暗くはなくなっていた。
 これから起こるであろうことを純粋に楽しみにしているかのような、そういう類の表情。
 デイパックから光り輝く丸い石を取り出し、ジャガンの頬がいっそう緩む。
 重量を意に介さずに片手で掴み、大きく振り被る。

「でも残念。悪いな、さっきのは嘘だった」

 言葉と同時に、オーバースローのフォームから石を手放す。
 放り投げられた石の名は、勇者ロトも使用したと伝承される『太陽の石』。
 されども、残り二つの神具がなければ意味を成さないただの輝く石。
 だが、ジャガンにはそれで十分なのだ。

「俺は、『超』天才なのさ」

 ジャガンの手元から離れた太陽の石は、動き回る的を正確に射抜いた。
 男は黒地に金色をあつらえた鎧を着込んでいたものの、後頭部を狙われれば関係ない。
 太陽の石は男の首を刈り取っても減速しただけで、一本の樹木に激突してやっと静止した。
 かなり深いところまでめり込んでしまったが、ジャガンは呼気を整えると片手で太陽の石を抜き取った。


 ◇ ◇ ◇

148安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?:2010/01/26(火) 00:12:12 ID:jLutmM1Q0


「なかなかってとこか。ま、ご先祖さんの鎧と比べんのは可哀想だしな」

 死体から引き剥がした鎧を着込むと、ジャガンは身体を擦るようにして強度を確認する。
 幾ら自分が唱えたとはいえ、『ギラ』程度の呪文では内部まで熱が届くとは思えない。
 死体となった男は、おそらく顔面や下半身への熱で悶えていたのだろう。
 結論付けると、これまた死体から奪ったデイパックの中身を確認する。

「ちッ、剣はねーか。コイツはそこまでの代物じゃなさそうなんで、別のが欲しいんだがな」

 ジャガンは携えたレイピアに視線を投げて溜息を吐くと、拾ったデイパックの中身を元から所持していた方に纏める作業に移す。

「さて、と」

 ――――ゆっくりと首を後ろに回し、森林の一点を見据える。

「ずっと見てたよなァ。ククッ、いやはや逃げ出そうとか考えなくて助かったぜ」

 暫し静寂が辺りを支配するも、ジャガンは視線を流そうとはしない。
 いい加減やり過ごすのは不可能と判断したのだろう。
 ジャガンの視線の先にある木の陰から、民族衣装のようなものを纏った男が姿を現した。

「こちらに気付いていない確率は七パーセントだった。しかし動けばその確率は、その一割程度までに下がってしまうからな」
「カカッ、面白いこと言うじゃねえか。答えを言えば最初っからバレてたけどな」
「あくまで確率の話だ。それに見て取った実力からの計算である以上、そちらが全力を出していなければ確率というのはまた変わる」
「あー、ワケわかんねえからもういいや。面白くねえし、戦いにも関係なさそうだし」
「一概にそうは言えないものだ。この私、マクスウェルのように計算により魔法を導き出す者もいるのだからな」
「はいはい、もういいって。ンな下らねーことよりも質問がある。お前はノアのことを知っているのか?」

 ジャガンはマクスウェルの言葉を切り上げて、本題に取り掛かる。
 自身のジョブでもある算術士の情報をあえて漏らしたマクスウェルは、胸中で下を打つ。
 ノアの情報を持っていないので、別のことに注意を引かせようとしていたのだ。
 目的は同じといえど、共闘しようなどといえばどうなるかは証明済み。
 気まぐれを起こすかもしれないが、それを確率とするのはあまりに馬鹿げている。
 算術士として、そんな曖昧な物を計算に含めるワケにはいかないのだから。
 マクスウェルはゆったりとした服にデリンジャーを隠し持っているが、それを使っての不意打ちなど試みない。
 拳銃の心得はあるが、ジャガンの方も回避行動をとってくるだろう。
 急所に命中しない限り、デリンジャー程度ではジャガンが死ぬ確率が低すぎる。
 いや、そもそも急所に当たれば倒れるのであろうか――そんな考えまでもがマクスウェルの中に浮かぶ。
 また計算による魔法を放てば、致命の一撃となる。
 そのように自分の実力を信じつつも、マクスウェルはそれもまた行わない。
 しかしそうするにしても計算中に、太陽の石を放たれるのがオチだろうから。

「私、は――――」

 内心の苦悩などおくびにも出さず、マクスウェルは静かに口を開く。
 平静そのままといった様子ながら、脳味噌は高速で回転し続けている。
 もしもここで返答を誤った場合、先ほど命を落とした男のようになる確率などわざわざ計算するまでもないから。
 殺し合い開始早々にして、現在がマクスウェルにとってのいわゆる正念場。

149安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?:2010/01/26(火) 00:12:26 ID:jLutmM1Q0



【KING構成員@北斗の拳 死亡確認】


【一日目・午後/D−2 森】

【ジャガン(主人公)@ドラゴンクエスト1】
【状態】健康
【装備】レイピア(50/50)@魔界塔士SaGa、源氏の鎧@FF5
【道具】支給品一式×2、太陽の石@ドラゴンクエスト、不明支給品1〜3(確認済み、剣はない)
【思考】
基本:如何なる手段を持ってしてもノアを殺し、世界を支配する。
1:ノアのことを知っているヤツを探す。
2:レイピアに代わる剣が欲しい。


【マクスウェル(算術士)@ファイナルファンタジータクティクス】
【状態】健康
【サポートアビリティ】銃装備可能
【装備】デリンジャー(30/30)@魔界塔士SaGa
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
【思考】
基本:仲間を集めてノアを打倒する。
1:ジャガンへの対応。


【参加可能者 残り15人+α】

150もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 00:12:36 ID:jLutmM1Q0
投下完了。

151 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:13:16 ID:CMD8mVvo0
女勇者、ソルジャー投下します

152LIFE A LIFE ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:15:16 ID:CMD8mVvo0
望みはただ一つ、静かに生きたかっただけ。
質素な生活でいい、何の危険も無い普通の人生を歩みたかっただけ。

だが、そのちっぽけな願いは叶うことは無かった。
それは皮肉にも、彼女の両親の手によって砕かれたのだ。

彼女の父親は伝説の勇者だった。
そして、彼女はその伝説の勇者の子孫として人々に持ち上げられた。
彼女の母親も手塩にかけて彼女を育てた。

大魔王を討伐しに行った男の子供。
たったそれだけの理由で勇者だと持ち上げられ。
背負いたくも無い人々の希望を背負って、魔王討伐へと旅立つことを強いられ。

逃げればよかったかもしれない。
だが、「魔王を倒すことから逃げた勇者」に人々はどういう視線を送るだろうか?
そんな環境で穏やかに暮らすことなんて出来やしない。
人に見つかるのを拒み続け、ひそびそと暮らすしか出来ない生活なんて真っ平御免だった。
だから、「魔王を倒すこと」から逃げられなかった。

魔王さえ倒せば平穏な生活ができる。
そう信じて、ひたすらに魔王討伐を目指した。
仲間の手を借り、人々のいうことを信じ、人形のように魔王討伐を目指した。
大魔王が現れても、自分達の世界を去ることになっても、ただひたすらに平穏な生活を追い求め続けた。

父親を恨んだ。
自分に余計な力を与えるだけ与えて、勝手に死んでいった父親を恨んだ。
自分の目の前で息を引き取ったときも悲しむことはなかった。
ただ一言だけ、死に行く父親の耳元で囁いてやったのだ。
「ざまあみろ、クソオヤジ」と。

大魔王を倒し、結果的に平穏な生活を手に入れることが出来た。
勇者と祭り上げられ、人々から持ち上げられるのは好きではない。
ただ、一人でひっそりと暮らしたかったからあの日を境に勇者であることを辞めた。

そして、人里知れない場所でひっそりと暮らしていた。

153LIFE A LIFE ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:15:33 ID:CMD8mVvo0



……筈だった。



何故だろうか?
魔王どころか大魔王も倒した、人々の願いは叶えたはずだ。
静かに暮らしたい、たったそれだけの願いも許されないのか?



ならば。
許されないのなら勝ち取るまで。

ここで問題だ。
首輪を解除し、次元をも操る機械に立ち向かい、破壊する。
この地にいる全ての人間を抹殺して生き残る。

……どちらが容易なのかは考えるまでも無い。

元の世界に戻れないとしても、誰にも邪魔をされずひっそりと暮らせる人生が約束されるなら。
この手に乗るしかない。あの機械が何を考えているかは分からないが、乗るしかない。
人々の願いをかなえる道化として動き続けた彼女に躊躇いが存在するはずも無かった。

ゆっくりと、彼女の足は動き出す。
この地の全てを、狩るために。



「……参ったね」
ピチピチのタイツに身を包んだナイスバディの女性、ダイナマは頭を抱える。
自分達が嘗て壊したはずのノアの再来。そして命じられた殺し合い。
すぐにでも刃向かってやりたいところだが、首元で鈍く光る首輪がそれをジャマする。
「とりあえずははんたとアクセルと合流……だね。
 あたい一人でどうにかなる相手じゃないのは十分過ぎるほど分かってる」
まずは首輪を何とかする。
それを考えると機械に強い彼女の仲間、アクセルとの合流を最優先すべきだ。
それから、ノアに対抗するための知識を持つはんたとの合流。
あとはノアを締め上げるだけ。それだけの話だ。
「さて……おや?」
何はともあれ、生き残らねばならない。
気に食わないがノアから配られた武器を使う必要がある。
その武器を確認しようとしたとき、一人の少女の姿が目に映る。
咄嗟に戦闘態勢へと入る、武器は無いが仕方が無い。
「……驚かせてすみません、あたしは殺し合いには乗っていないので安心してください」
ダイナマは構えを解かない。青年のありとあらゆる行動に反応できるよう構えている。
「あたしに秘策があるんです、協力してくれませんか?」
その言葉にダイナマの眉が動く。
この怪しい青年があのノアに立ち向かう秘策を持っているなど、信じられなかったのだ。
警戒をさら強め、戦闘態勢のまま少女を見つめる。
「これ、見てもらえますか?」
彼女は、デイパックからおもむろに「ある物」を突きつけた。

154LIFE A LIFE ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:17:31 ID:CMD8mVvo0
目の前の人間を絶対に殺せる自信があった。決定的な戦力になる「ある物」を引いたからだ。

少女に意識を集中していたダイナマは少女が突きつけた「ある物」を見た。
視界に写し込み、じっくりとそれを「覗き込んだ」のだ。

夢見るルビー。
この世の何よりも美しく、見るもの全てを惹きつける。
その美しさに魅入られ、ルビーで出来たエルフの姿を見てしまえば最後。
その視覚から入る美しさを体が処理できなくなり、ありとあらゆる感覚が麻痺する秘宝。

勿論、ダイナマも中のエルフを見てしまった。
一気に自分の何かが吸い取られるような感覚に襲われた後、指一本すら動かすことが出来なくなってしまった。
流離の賞金首と一対一をした彼女を一瞬で動けなくさせるほど、ルビーは強力だった。

「……教えてあげますよ、あたしの秘策を。
 貴方を殺せる策をねェッ!!」

動けないダイナマを嘗め回すように見る少女。
傍に落ちていたデイパックを奪い去り、早速中身を漁る。
そこから一本の刀のような剣が出てくる、それを見て少女は怪しい笑みを浮かべる。

「この剣で一息に斬ってあげればすぐ死ねますよね。
 でも、返り血を浴びるといろいろ面倒なんです。だから――」

そして少女はゆっくりとダイナマへと迫る。
駆け抜けるように、風のように言葉を耳元で囁く。

「突き落としてあげますよ、動けない自分の体を恨みながら死んでいってください」

言葉の後すぐに少女はダイナマを突き飛ばした。
戦闘態勢のまま固まった彼女が塔から一直線に落ちていく。

落ちていく様は見ないことにした。誰がどこで見ているかは分からないからだ。
遥か下の物音にも動じず、彼女はその場へと鎮座する。
流石に同じ手段が何度も通用するとは思えないが、あと何回かはこれで人を殺すことが出来るだろう。
夢見るルビーを知る仲間達が来た場合は……その時に考えよう。
労力を抑え、なおかつ迅速に残り人数を減らす。それだけだ。

この場所から生き残り、自分の生活を手に入れるために手をクロに染める覚悟は出来た。

後は、「や」るだけ。

【D-3 ナジミの塔、頂上  一日目 日中】
【ミレニア(女勇者)@DRAGON QUEST3】
[状態]:健康。
[装備]:腹切りソード@METAL MAX RETURNS、夢見るルビー@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式*2、不明支給品0〜4(ダイナマの分を保有)
[思考]
基本:どんな手段を使ってでも生き残る。
1:出来る限り参加者を減らす。
2:とりあえずは同じ手段でやってみる。
※参戦時期はロトになった後です。

155LIFE A LIFE ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:18:05 ID:CMD8mVvo0



空を飛んでいるような気分だった。

(情けないね……アタシもヤキが回ったね)

地面が迫っている感覚はなんとなく分かる。
落ちていくまでの感覚。それは時間で言えば短いが本人の意識で言えばとてつもなく長いようにも思える。

(はんた、アクセル、あんた達は生きなよ。こっちに来たらシバき回すからな)

これが走馬灯というものなのだろうか。今まで経験してきたことを次々に思い出していく。

(ああ、そういうこともあったな。戦車売ってるクソジジイに殴りかかったこととかあったっけ)

短い人生だったかもしれないが、それなりに満足してきたつもりだ。

(ウルフ、天国で決着を付けようじゃないの。だから……暖かく迎えt)










グシャッ。










【ダイナマ(ソルジャー)@METAL MAX RETURNS 死亡】

【参加可能者 残り14人+α】

156 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:18:37 ID:CMD8mVvo0
投下終了です。

157赤い彗星の如し ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 00:27:03 ID:a1AjfyP60
>>38を見ると
名前有り無個性キャラも良いっぽいので

レッド@ポケットモンスター金銀

投下します

158赤い彗星の如し ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 00:27:23 ID:a1AjfyP60
この、殺し合いの舞台を高度から見下ろす者が一人いた。
A-3にある海を臨める森林にある一際高い樹、そこがこの殺し合いへと招かれ彼が最初に向かった場所であった。
別に、彼にとって殺し合いに招かれたかどうか等は関係は無かった。
彼にとっては、生きることそれこそが人間との殺し合いであり、ただ、彼はいつも通りに人間を殺せば良かったのだ。
樹の上で、何人もの人間の眼球を抉ってきたご自慢の嘴を尖らせる彼の名はキメラと言った。

しばらくして、周囲に目を鋭く光らせていた彼の目に飛び込んできたのは少年だった。
赤い帽子に赤い服、彼の故郷では見慣れない風貌だったがそんなことは殺しには一切関係ない。
彼の目を狙い、嘴を尖らせ、突き抜ける。
今回もいつも通りのステップで気づかれるまもなく仕留めるつもりだった。

だと言うのにソレは運命の悪戯と言うべきだったのだろうか、
赤い少年の視線もまた、彼を捉えていた。

…………

両者の間には、沈黙だけがあった。
速攻で仕留める、そう決めていた彼は何故か動くことが出来なかった。

彼は、少年のその目が何故か異常に恐ろしいものに感じられていた。
言うならば、そう、彼の王が持つ支配者の目。
何故、人間がその様な恐ろしい目を持つことが出来るのか?
いや、目などは戦闘に関係ない、さっさと仕留めてしまえば良い。
彼の理性が呟くも、本能はそれを許さなかった。


そして数秒。

何故、動くことが出来なかったのか。
その理由を彼はソレが恐怖によるものだと身を持って知ることになった。




ズサッ

唐突に何かが突き刺さる微かな音が彼の耳へと届いた。

何処からか?彼の腹部からだ。

まったくの気配も無かった

まったくの予兆も無かった

彼が体の痛みに気づいた時、
彼の肉体は死を迎えていた。


【キメラ@ドラゴンクエスト1 死亡】

159赤い彗星の如し ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 00:27:45 ID:a1AjfyP60


◆◆◆

レッド  11歳 冬
己の育成と捕獲に限界を感じ悩みに悩み抜いた結果
彼がたどり着いた結果(さき)は
感謝であった
自分自身を育ててくれたポケモンへの限りなく大きな恩
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが

一日一万回 感謝のモンスターボール投擲!!
気を整え 拝み 祈り 構えて 投げる
一連の動作を一回こなすのに当初は5〜6秒
一万回投げ終えるまでに初日は18時間以上を費やした
投げ終えればカビゴンの様に寝る
起きてはまた投げるを繰り返す日々

2年が過ぎた頃 異変に気付く
一万回投げ終えても 日が暮れていない
齢14を越えて 完全に羽化する
感謝のモンスターボール投擲 1時間を切る!!
かわりに タマゴを厳選する時間が増えた

シロガネ山を下りた時 レッドの投擲は
音を置き去りにした

サファリパークに立てば 投石でポケモンを瀕死に追い込むことが出来た
双子島に立てば 五体満足であるフリーザー(初代仕様)にモンスターボールを命中させることが出来た
最早 彼にとってモンスターボールとは マスターボールと同義語であった

まぁ、そんな感じで

怪 物 が 誕 生 し て い た


◆◆◆

160赤い彗星の如し ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 00:28:49 ID:a1AjfyP60

「…………」
無言のまま、レッドは地面へと落ちたキメラの死体から投げつけた毒針とキメラのデイパックを回収し、
見たことも無いポケモンへの一瞬の黙祷を捧げると彼は何処かへと走り出した。

彼は本来ならば、ほんの少し廃人でちょっと修行のために山にこもる程度の普通な少年であった。
だが、この殺し合いに招かれ目の前で人が死んだと言う事実が、表面張力限界の彼の心に、余計な雫を落とした。

彼は恐れていた、自分の理解の範疇に及ばない異常なる状態にあるということに、
一歩、間違えれば自分の命が消える世界に身を置いているということに、
そして、今まで彼が一?獅ノ歩んできた仲間達が消え失せているということに。

ただただ、生まれたての赤子の様に泣き出したかった、涙で現実をぼやかしてしまいたかった。

だが、今手元に居ない仲間たちの存在が彼を奮い立たせた。

そうだ、僕が居なくなっては仲間はどうなる。

その思いが彼の脚を立たせる力となった。

もう一度、仲間と会うんだ。

その思いが彼に武器を握らせる力となった。


彼はただただ走る、仲間と再び再開するため。

例え、その手段が他者の皆殺しであったとしても。


【A-3 森林  一日目 日中】

【レッド@ポケットモンスター金銀】
[状態]:健康
[装備]:毒針@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式*2、不明支給品1〜5
[思考]
基本:優勝し、仲間と再会する。
1:何処かへと走る。

161赤い彗星の如し ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 00:29:36 ID:a1AjfyP60
【参加可能者 残り13人+α】

投下終了です

162 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 00:36:58 ID:CMD8mVvo0
すいません、「LIFE A LIFE」ですがちょいちょい出てる「青年」は「少女」の間違いです。
……元のプロットがバレバレだぜ!

163 ◆...//T6pSw:2010/01/26(火) 00:41:41 ID:r6f9kpII0
投下します

164ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。 ◆...//T6pSw:2010/01/26(火) 00:42:28 ID:r6f9kpII0
「えっー!? なんだってぇ!? 人間を滅ぼすだって!?
 そんなのお天道様が許したって俺が許さないって!」

 男、越中詩郎は吠えていた。
 ブログの更新を終え、東京ドーム大会に備えてトレーニングをしている最中に、
 いきなりまともじゃないイベントをやれと宣言、この不愉快な連続と身勝手な
 行動に怒りを爆発させずにはいられなかった。
 
「環境破壊が駄目だから人を殺すだって!? 人を殺す前にお前がぶっ壊れろって!」

 軽く肩を回してジャンプを刻み、彼のフェイバリットホールドに使う
 おしりをパチンと叩き、暴虐の主催をぶっ壊すイメージトレーニングをし、
 汗を流す、越中詩郎。
 
「あんな奴、天龍や蝶野や武藤より楽に破壊できるって
 俺のお尻は世界一だって! 橋本をダウンさせるより力を入れずに倒してやるって!
 やってやるって! やってやるって!! やってやる……ん……」
 
 彼が定番のフレーズを大声をあげテンションを上げているその時
 目前にとても人間とは思えない物体が近づいてきた。
 越中詩郎は指をさしながら「お前は何者だって!」と叫ぶが
 物体は何も答えずに彼に近づいてくる。

「もしかするとお前はあいつの刺客だって? そうと分かればこちらから先制させてもらうって!」
 
 この物体はおそらく主催者「ノア」の刺客と手早く判断し
 越中詩郎は10メートルほど先にいる物体に対して全速力で接近する。
 物体もそれを見て攻撃態勢をとる。
 そして最初に攻撃を与えることができたのは
 
「これがIWGPジュニアヘビー級をとったドロップキックだって!」

 越中詩郎(50歳)であった。
 彼はその優秀な跳躍力で両足を物体の顔面に突きさす。
 両足蹴りがまさか顔まで届くとは、かの物体も予測出来なかったのか
 物体は勢い良く倒れる。
 
「チャンスだって!」

 起き上がろうとしている物体に対して越中詩郎は追撃する。
 初めに関節技であるアキレス腱固めを仕掛ける、がこの物体は
 どうやら無機物で、余り効いていないと理解すると、カウンターを喰らう前に
 素早く立ち上がり、相手の起き上がりを待つ。
 ゆっくりと立ち上がる物体、それを見て越中詩郎はもう一度奴の顔面をめがけて動く。
 
「これが俺のヒップアタックだって!」

 起き上がり途中の物体めがけ、越中詩郎は
 ヒップアタックをかます。
 一発、倒れ起き上がる時に一発、また一発!
 5連続で人間の最も柔らかい部分であるお尻をブチかます!

165ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。 ◆...//T6pSw:2010/01/26(火) 00:42:54 ID:r6f9kpII0
 
「おらあぁ!!! 次で止めだって!」

 越中詩郎が哮る。
 彼は起き上がるのを待つのを止め、今度は物体の頭をつかみ
 強制的に起き上がらせ、そして自身の股に突っ込ませる。
 これは越中詩郎の伝家の宝刀、侍パワーボムの体勢だ。
 
「やって……やるって!」

 ゆうに100㎏を超えるその物体を持ち上げようとするが、
 なかなか持ち上がらない、だが、それでも『破壊王』橋本真也よりは軽かった。
 
「これが……俺の全力だってぇぇぇぇぇ!!!!」
 
 天辺まで持ち上げ大声を放ちそして硬い地面に叩きつける。
 ドシンと大きな音をたて地面にクレーターを作りだすことになった。
 
「人間、越中詩郎をなめるなって! 人間は強いんだって! わかったか!? えー!! この野郎ゥ!」

 越中詩郎は地面に倒れ伏す物体に向かって大声で語りかける。
 彼は見せつけたのだ、人間の強さを、人間の本能を
 完全に粉砕させた物体を改めて睨みつけ、彼は優雅に立ち去ろうとする──
 
 
「……………コシナカシロウタイサクカンリョウイタシマシタ…………」

 ──が、物体はまだ、死滅していなかった。
 
「な……、関係ないって! 動かなくなるまでやり続けるって!」

 越中詩郎はそう前向きに自分に話しかける、
 だがその声は先程までと比べてかなり焦っていた。
 
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!
 やってやるってええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
 再度越中詩郎は雄叫びを与え物体に突撃する。
 もう一度ドロップキックか?
 いいや違う、彼は走りながら背面を向き、跳ね上がりお尻を突き立てる。
 越中詩郎のヒップアタックは……相手の顔面まで届く!
 
 それに対して物体はおしりが面前に来るまで待つ。
 そうしておしりが面前に来た時、彼は右腕を素早く突き上げる。
 
「んっ!?!?!?!??!?!」
 
 その右腕は、見事に越中詩郎の股間に命中した。
 ファウルカップなどこの状況で装備して筈も無く、
 彼は蹲る他なかった。
 
 物体は蹲る越中詩郎に急がずあせらず近づき
 支給品であろう、チェーンソーを片手にもち、一閃、
 彼を斬りつける。

166ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。 ◆...//T6pSw:2010/01/26(火) 00:43:29 ID:r6f9kpII0
「おっと!? 危ないって!?」

 かろうじて直撃を避ける越中詩郎。
 だが物体は越中詩郎が避けた直後に今度はチェーンソーを突き刺す。
 流石に二連続攻撃は50歳には厳しかった。
 越中詩郎は回避は出来ず、チャーンソーは越中詩郎の心臓を突き破ろうとする。
 
(ああ、俺はここまでだって……50歳……若すぎるって……
 あ、でもマイケルと同い年で逝けるってのも、何か運命を感じるって……!)
 
 彼は最後に、こう胸中に呟き、チューンソーが体を突き破ると同時に命を落とした。
 
◆ ◆ ◆

 物体は越中詩郎の死体に目もくれず
 歩み始める。
 
 この物体の正体はゴーレム、主によって作られた、世界で同じものなどいない唯つ無二の存在。
 彼は『ノア』と言う輩の話など気にしない。
 ただ真っ先に主と接触し共に冒険したいだけ。
 彼は別に罪なき人を無差別に荒らすようなことはしない
 ただ、先程の『越中詩郎』が攻撃してきたから
 奴を『敵』と判断し、殲滅しただけだ。
 言うなれば、危うい奴から主を守るための『作業』なのだ。
 
 彼は探す、自分の大好きな主を。
 自分を産み出してくれた主を。
 また一緒に、冒険するために。
 主と一緒にいるために。
 ずっとずっと、壊れるまで──
 
【越中詩郎@アメトーーク 死亡確認】

【一日目・日中/B-3 森林内】
【ケイ=アイ(ゴーレム)@聖剣伝説LOM】
【状態】背部に僅かなダメージあり(行動に支障は全く無し)
【装備】チェーンソー@現実
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2、
【思考】
基本:主を探す、主の敵は容赦しない。

※越中詩郎の死体と彼のデイバッグはB-3に放置されています。
※ゴーレム自体は武器を所持しておりません。そのため支給品で代用するようです。

【参加可能者 残り12人+α】

167 ◆...//T6pSw:2010/01/26(火) 00:44:33 ID:r6f9kpII0
投下終了
死亡役が目立っているような気がするが気にしない。

168もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 00:48:03 ID:jLutmM1Q0
>LIFE A LIFE
女勇者は乗ったか……
ロト後だし、生き残るためにいろいろ考えてるし、恐ろしい
ってか、夢見るルビーの使い方えげつねえ!w

>赤い彗星の如し
あ、あれ? 会長? あ、あれれー?w
怪物が誕生したのなら仕方がない。努力って凄いね。
このレッドはゴールドにボール投げるべきだった。

>ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。
なんで越中詩郎なんだよwwww
しかも名無しキャラにそう名付けるんじゃなくて直球かよw
しかしゴーレムが思いのほか真っ当。だからこそワケ分からんwwwいいのか?ww



A−2/日中  ○内田珠樹(森)、●ジロン(森)
A−3/日中  ○米倉京太郎(平原)、○レッド(森林)、●キメラ(森林)
A−4/日中  ○ショッカー戦闘員(森)
A−5/日中  ○イム(森)
B−3/日中  ○ケイ=アイ(森)、●越中詩郎
B−4/日中  ○名前不明(闇の四戦士の一人)(平原)、●リヴァイアサンに瞬殺されたヤツ(平原)
B−5/日中  ○山羊さん(森)
C−3/日中  ○E・シズカ(森)、○ブシド・ザ・ブシコ(森)、○???(女遊び人)(森)、○ネリシア(森)、○神代浩司(森)、●カンダタ(森)、●???、●???、●???
C−4/日中  ○ロラン(山)、●ウザイナー(森)
D−2/午後  ○ジャガン、○マクスウェル、●KING構成員
D−3/日中  ○ロシェ(城庭園)、○アルス(勇者の家付近)、○サマンサ(勇者の家付近)、○ニム(道具屋付近)、○フラン(道具屋店内)、○ミレニア(ナジミの塔頂上)、●ともぞう(道具屋付近)、●ダイナマ(ナジミの塔真下)
D−4/日中  ○ナイン(森)、●ココット(森)
D−5/日中  ○リ=リリ(砂地)、○タムラ(祠内部)、○アクセル(祠内部)●やる夫(砂地)
E−2/日中  ○シュウ(南東部海辺)、○はんた(南東部海辺)


現在地をば。
D−3がハイパーDQ3タイム。

169 ◆5.S3rXuLvg:2010/01/26(火) 01:06:02 ID:.EN/x4ck0
ニュータイプ兵@機動戦士ガンダムZZ、女主人公@ペルソナ4ポータブル
投下します

170刑死者コミュ―プルフォー― ◆5.S3rXuLvg:2010/01/26(火) 01:06:33 ID:.EN/x4ck0
 ――――光が、瞬いている―――



 ―――心がざらつく……そんな感覚――



 ―――飛ばす。飛ばして撃つ―――




 ―――ざらつく。不快。何です、これ――




 ―――グレミーサマガ――シンダ――?――



 ――ウソダウソダウソダウソダウソウソウソウソウソ――




 ―――熱い。体が燃える―――




 それが私の最期の知覚―――の、はずでした。




 =========



「痛い……痛いです……頭が、痛い」


 ある部屋の一室でその少女は頭を抱えて倒れていた。

 栗色の髪に小柄な体躯。だが体にフィットするようなスーツを着ている。
 齢は10歳程度と言った所か。その愛らしい顔は苦痛に歪み、その愛らしさがかなり損なわれている。


「ガンダム……敵……マスター……グレミー様……死んだ……痛い……
 死んだ……死んだのは私……痛い……」


 彼女が顔に汗を浮かべながら呟く言葉は支離滅裂だ。
 だがそれも無理は無い。彼女はまさに今『故障』しかけているのだから。


 彼女の一応の名は、プルフォー。
 ネオ・ジオンのニュータイプ部隊、プルシリーズの1人である。
 外見こそ愛らしい少女ではあるが、その体や脳には改造が施されている。
 高G下においても血流を一定に保つ強化筋肉や、合計12箇所の心臓補助器官、情報処理速度を高めた神経系。
 MSというロボットによる高機動戦闘を行うための改造だ。
 また、NTという簡単に説明してしまえば超能力者のような能力に長ける。同じNT同士の感応、特定兵器の自由稼動等だ。


 そしてそんな改造をした脳にはかなりの負担が掛かっている。
 その負担が、今彼女を苛んでいた。
 彼女はここに来る直前、『死んだ』はずだったのだ。
 だがここにはこうして無事でいる。
 だが、『死んだ』という感覚が彼女の脳内のバランスを大きく崩し、今崩壊しかけていたのだ。

 加えて、プルシリーズには共通として上官である『マスター』の存在が無ければ精神の平衡が保てないという欠点がある。
 プルフォーにとっての『マスター』はネオジオンに反旗を翻した男、グレミー・トト。
 そのクーデターの戦闘において、彼は死亡した。そしてその報を彼女は通信かそれとも自分のNT能力でか、知ってしまった。

 それが更に崩壊を助長する結果となっていた。


「助けて……誰か助けてください……」


 苦しいです。
 痛いです。
 助けてください。
 助けてください。
 助けて




「大丈夫!?」

171刑死者コミュ―プルフォー― ◆5.S3rXuLvg:2010/01/26(火) 01:07:01 ID:.EN/x4ck0


 そんな一室に飛び込んできたのはプルフォーよりは年上の少女だった。
 どう見ても学生の制服に、纏めた髪。XXIIという形に見える髪留め。
 どこか快活な印象を受ける少女。そんな彼女が今プルフォーを見つけて駆け寄ってきた。


「どうしたの?頭、痛いの?怪我してるんだったら、見せて。私ならなんとかできるかも――」

 心配そうに少女。だがそれをプルフォーは手で弾いた。


「嫌です……来ないでください……貴方、何か怖いです……後ろに、後ろに誰かいます…」
「え!?あなた……ペルソナ使い?」

 変な名称を使う少女にプルフォーは怯えた。
 彼女のNT能力が言っていた。目の前の少女は、何か変だと。今まで感じた事がない何かがあると。

「助けて……助けてくださいマスター……痛い……痛いぃ……」
「…………」


 怖がりながらも苦痛に苦しむプルフォーに、少女は顔を引き締めると――


「大分丈夫です!!」
「………………え?」
「あ、違う違う。大丈夫!」

 一瞬ぽかんとしたプルフォーの隙を突いて、少女はプルフォーを抱きとめた。
 あまりに速かったので身体能力が高いわけではないプルフォーはされるがままになってしまった。

「あっ……」
「大丈夫だよ。怖くないよ。私の何かが怖いんだと思うけど……でも、それは私なの。
 そして私は、貴方の味方。だから――私の何かを、怖がらないで?
 私も、もう1人の私も――貴方を守るから」

 見上げた少女の顔は、まるで天使の微笑みだった。
 そんな少女の顔に――プルフォーは安堵を覚えた。
 頭痛の痛みがだんだんと引き――彼女の意識は途絶えた。



 =======


「あ。寝ちゃった。……ん? パキィン? え? 『刑死者』!?
 こんなところでもコミュ発生するの!? ていうか重複しないの!?
 ……まあ、できちゃったなら仕方ないか。にしても『刑死者』は女の子、っていう決まりでもあるのかな?」

 よくわからない事を呟きながら、彼女、有里公子(ハム子って呼んだやつ表出ろ)は女の子をひょいっと担ぎ上げた。
 彼女にはペルソナという異能力がある。プルフォーが感じたのはそれだ。
 その能力が与えるものに『力』もある。それが少女に10歳程度とはいえ人一人を軽々と担がせる事を可能にしていた。

 部屋のベッドに少女を横たえる。
 すやすやと寝息を立てる彼女の顔はとても愛らしい。それを見ると公子の顔も自然と緩んだ。

 だが、その顔もすぐに締まった。こんな少女をこんなところに放り込んだノアに純粋に腹が立ったからだ。

 ノアは人間を愚かと言い捨てた。人間は絶滅しなければならないと宣言した。そして自分を、こんな少女を殺し合いに放り込んだ。


「何様のつもりよ、ベアードモドキ」


 彼女達は戦った。
 影時間という人間に災いしかもたらさない時間を消す為に。
 時には挫折し、時には衝突し、時には裏切られ、時には別離した。
 そんな戦いを――全て否定された気がした。
 戦いに散った者達を、全員否定された気がした。


 彼女の脳裏に浮かぶのは1人の男。ぶっきらぼうで、素直じゃなくて、意外な一面を持っていた彼。
 彼を否定する事だけは――絶対に許さない。


「私の力が使えるなら……きっと、この子みたいな子を守る為にあるんだ。
 私は殺し合いなんてしない。この子にもさせない。他の人にだってさせない。
 力を合わせれば、絆の力があれば、シャドウも倒せた。今回だって、やってやる。
 ノア。私は貴方に屈しない。見せてあげる。人間の力ってやつをね」

 そして彼女は窓から外を見た。

 そこから見えた青空はとても青かった。

172刑死者コミュ―プルフォー― ◆5.S3rXuLvg:2010/01/26(火) 01:07:29 ID:.EN/x4ck0













(あーでもこのままコミュ増えちゃったらどうしよう。いや、別に迷惑じゃないよ?この子とMAゲフンゲフン。仲良くなりたいのは本当だし。
 でもなー。既に3股越えてるんよねー……いや、決して浮気じゃない!浮気じゃないの!全員大好き!みんな愛してるもん私!私の愛は無限に広がる大宇宙より広いから!
 いくつも何かあったら全部制覇してやろうって気しない!? するよね! きっとするよね!
 あ、いや違うのよ!?決して『全部コミュコンプしてやる侍』ってことじゃなくて!違くて!!
 えっと、人類皆兄弟っていうか?人類皆家族って言うか?一妻多夫制っていうか?
 あーーー!いや、違うのーーーー!)

 見えない存在に何か酷く外道な事を考える公子であった。
 台無しである。




(ああ、もう!めんどうになってきたーーー!もういいや!最終手段!『どうでもいい』発動ーーー!)



 台無しである。


【一日目・日中/A-2 町・宿屋2階の1室】
【プルフォー@機動戦士ガンダムZZ】
【状態】錯乱(やや沈静)
【装備】NT兵用パイロットスーツ@機動戦士ガンダムZZ
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
基本:マスター……?
1:公子を信用
※参戦時期は最終回、死亡後です。

【有里公子@ペルソナ3ポータブル】
【状態】健康、『刑死者』コミュLv1
【装備】ペルソナ装備済(???)(数不明)
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
基本:殺し合いはしない。他の参加者と協力してノアを打倒する。あとコミュMAXゲフンゲフン
1:プルフォーを守る
2:イゴールさんいないかなー?
※コミュは絆を築いた相手との間に生まれるもので、ペルソナ合体をした場合に使います。だから別に使わないかも(え)
 これから増えるかどうかはわかりません。
※コミュコンププレイ中なので、大分股かけてます。
※参戦時期は不明。決戦より前、荒垣死亡後です。

173刑死者コミュ―プルフォー― ◆5.S3rXuLvg:2010/01/26(火) 01:08:15 ID:.EN/x4ck0
投下終了です。ロリ投下!ロリ投下!

174刑死者コミュ―プルフォー― ◆5.S3rXuLvg:2010/01/26(火) 01:14:26 ID:.EN/x4ck0
忘れておりました【参加可能者 残り10人+α】

175幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら:2010/01/26(火) 01:21:25 ID:aYslK4Vs0
♀ロードナイト投下します

176幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら:2010/01/26(火) 01:21:43 ID:aYslK4Vs0



「むー……どーしようかなー……」

彼女は、顎をなでながら考える。
齢60を超えたものの以前よりも遥か卓越した技術を手に入れた彼女。
その技術を得るために、色々なものを犠牲にして特訓してきた。
しかし、それも全て何かを守るため。人殺しのためではない。
自分が、おそらく強いことは自覚していた。
だが、そう軽々と殺し合いに乗っていいものか。
もちろん、砦取りなど激しい戦いは何度もあり、人を殺した経験は数知れず。
人殺しにあまり嫌悪感はないものの、あの機械の言うことを聞くのもしゃくだ。


「ていっ!」

仕方ないから、とりあえず拾った剣を放り投げてみる。

・・・・・・・・

「あ、なにもきめてなかった」

ここで剣が表が裏かとか右を向くか左を向くかで行動を決めればかっこいいし!
とか思ってやったものの、何も考えてなかったためまったく無意味なことに気付く。
ぷーっと頬を膨らませてみたところで、現実が変わるわけでもない。

「あーもー! とりあえず、人に出会ってから決める!」

そう言って、彼女は歩き出した。






え、言動が幼いって? 本当に60歳を超えてるか胡散臭いことは認めよう。
しかしよく考えて欲しい。

彼女はロードナイトだ。
ロードナイトと言う職業に至るには転生する必要がある。
ここで思い出してほしいのは、「転生」という言葉の意味。
転生――それは当然生まれ変わること。
そして、二度目の成長は、一度目の人生よりもはるか高速で行われる。
当然だ、装備やノウハウ、培ってきた知人などのパワーをフルに使えば、その成長速度は音よりも早くなる。
その結果、一度目の人生では輝くナイトになるまで、ナイトを始めた25歳から30年の月日をかけたと言うのに、
転生してからは僅か数年にして彼女はロードナイトに達成した。

つまりッ! 彼女はロードナイトだがッ! 外見的には7歳程度でしかなかったッ!


中身がガキだって?

ハハッ、騎士で補正込みでINT36以上まで上げる奴はいないって。
デフォで馬鹿です。



【D-3/アリアハン周辺/日中】
【ネリー(ロードナイト)@ラグナロクオンライン】
[状態]:美幼女
[状態]:破邪の剣
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]:人にあってから決める!

【参加可能者 残り9人+α】

177幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら:2010/01/26(火) 01:22:07 ID:aYslK4Vs0
僅か1レス……! 幼女出したかっただけ……!
だが私は謝らない!

178 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 02:19:37 ID:CMD8mVvo0
FFT男ナイト、エスパーギャル投下します。

179バカと天才は紙一重 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 02:20:20 ID:CMD8mVvo0
「うはwwwww殺し合いとかwwwwwちょっとwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwww」

笑いながら殺し合いを拒否する一人の騎士。
殺し合いの現場で大声で笑いながら独り言を呟いている時点で何か間違っている気がするが、彼はそんなことは気にしない。

「でもwwwwwこのピンチもwwwww切り抜けてこそwwwww天才ナイトwwwwwwwwww」

バカバカしいほどにポジティブ。彼を表す言葉にぴったりである。
ある意味、堂々としている。いや堂々としすぎている。

「とりあえずwwwww死にたくないwwwww武器wwwww」

そんな彼にも一応生きたいという意識はあるらしい。
そういう意識を持つ人間が取るべき行動とは全く逆の方向へと彼は進んでいるのだが。

「うはwwwwwツイてるwwwww消えるマントwwwwwwwwww
 みwなwぎwっwてwきwたwwwwwコレで無敵wwwwwwwwww」

彼が引き当てたのは己の姿を消し去る不思議なマントだった。
姿が消えていようと、これだけの大声で喋っていたら意味がないのだが。
そんなことは一切考えていない、バカだからだ。

「おwww可愛い子wwwww発見wwwwwwwwww」

彼の「可愛い子を見つけるセンサー」的なものが働いたのか、どうも近くにいたらしい女性をロックオンする。
コンタクトを取ろうとしているのだろうか? そこでようやくまともに思考を巡らせる。

「透明状態でwwwwwwwwww目の前wwwwwエロい子wwwwwいるwwwwwwwwww
 ならwwwww健全男子のwwwwwwwwwwやることは一つwwwwwwwwwwwwwww」

瞬間、彼は疾風のように駆ける。
女性までの最短距離をたどり、瞬く間に背後へと辿り着く。
そして女性の背中から素早く手を伸ばし、背後から抱きしめるように女性の体を包んだ。
当然、両の手は女性の胸の上にある。

「うはwwwwwこwれwぞヘブンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

180バカと天才は紙一重 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 02:20:32 ID:CMD8mVvo0



透明状態だからセクハラしてもバレない、だから実際に行動に移した。
しかし、彼は重要なことを忘れていたのかもしれない。
マントがもたらす透明の効果は「本人が何かしらの行動を取るまで」しか続かない。
つまり存在を悟られた場合、その透明の効果は瞬く間に消えていく。

当然、女性に彼は存在を悟られてしまったわけだ。
見ず知らずの男に突然抱きつかれた上に胸を触られて怒らない女性はいない。

「……こンッの、ド変態がアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!」

ばっしーん。

大きな音がお空に響きましたとさ。



【ナイトウ(男ナイト)@FINAL FANTASY TACTICS 死亡】

181バカと天才は紙一重 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 02:21:17 ID:CMD8mVvo0



「ちょwwwwwごめwwwww殺さないでwwwwwwwwww」



必死に弁解を続ける男に対して冷ややかな視線を送り続ける女性。
「謝罪するならそれなりの気持ちってモンがあんでしょ?! 何ヘラヘラ笑ってんのよ!!」
何時までも笑っている騎士に痺れを切らしたのか、腹部をめがけて一発の拳を送り込む。
「うごは!wwwwwマイケルもwwwwwビックリwwwwwストレートwwwwwwwwww」
「何訳わかんないこと行ってんのよ!」
「What's Michael?!wwwwwwwwww人類滅亡wwwww」
一発を切っ掛けに次々に本気の拳が送り込まれるが男はずっと笑ったままである。
何発殴っても男が笑うのを辞めないので、結局女性が諦めてしまった。
「エロくてwwwww欲にwwwww勝てなかったwwwwwwwwww
 許してwwwwwwwwwwマジでwwwwwwwwwwwwwww」
なんだか殴っている自分が道化に感じられるほどになって来た。
幾ら言っても無駄だ、そう悟った女性はとりあえず許してやることにした。

「で、あんたは殺し合いに……乗ってるわけ無いか」
「当然wwwww殺し合いとかwwwwwwwwww生理的に受け付けないwwwwwwwwww」
アレだけ殴ったというのにダメージを全く受けていないように思える。
そのタフさだけは認めるべきだ、女性は素直に感心することにした。
ともかく、殺し合いには乗っていないらしい。寧ろ乗っているといえばそれはそれで驚きだが。

「ノアかなんか知らないけどwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww必殺パワースラッシュでwwwwwwwwww潰すwwwwwwwwwwwwwww」
一応、バカにもノアのやることは許せないらしい。
ぶっ潰せるという自信は大層なものだが、果たしてドコから沸いてくるのだろうか?

(余談だがパワースラッシュというのは彼が勝手に名前をつけたいわば「攻撃」である。
 行動を共にした聖騎士のようなしっかりとした技ではなく、本当にただの「攻撃」である。
 その聖騎士の技も彼に言わせれば「うはwwwwwダサすぎwwwwwwwwww修正されるべきwwwwwwwwwwwwwww」らしいが)

「あ、でも武器ねえwwwwwwwwww」
ドコまでも能天気、ドコまでも楽天家。
なぜそれに真っ先に気がつかないのか? 三歩歩けば忘れるトリ頭なのか?
きっと今ノアが目前にいても彼は突っ込んでいくのだろう、無論素手で。

「……呆れた、本当に何も考えてなかったの?」
「なせば成るwwwww歩だって金に成れるwwwwwwwwww」
女性はついに悟った、何を言っても通用しない。
正体不明の自信、正体不明の笑い声、正体不明の実力。
何を持っても彼を操ることなど出来はしない。間違いない。

182もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 02:21:21 ID:nPByVn8g0
皆さん執筆乙ですー。
ちょっと長いですが、まとめて感想を投下します。

>戦乙女
しとやかな印象の戦闘狂、かっこいいなぁ。
「結果が最悪なら過程を楽しむ」ロワ充っぷりもいい感じでした。
カンダタのやられっぷりは名前あるから仕方ないよねw!

>本気の女
はんた、勝算も理解しててクールな対主催だ……。
と思ったら話術士wwシュウってそういうことなのwww
彼女の熱さに感化されたか、最後に決意を固めるはんたが現役時代っぽくて素敵だぜ!

>『ラッキータイプ』な女の子
ああ、ラッキースケベって修羅場フラグですよね! 殺されるとこまでいったジロン哀れw
シズカが戦闘狂なら、女主人公は殺人狂か。殺し合いに呼ばれたのも幸運なんだろなー。
血を浴びる女主人公がなにか色っぽい。文体がすごく綺麗でした。

>撲殺天使ナインちゃん
色々考えていて苦労人っぽい老将軍、お疲れ様でした。
人間を俯瞰する天使。彼女らも人間に苦労させられた側なんだろうけど、
考えがノアや「あの人」とかぶってきてるような気がして怖いね……。

>とある天使の隠れ歌
サーチアンドヤルオwwwww これはいいセンスwwwww
音痴のアイドル、リリにメガホンも――ナニカ、渡してはいけない組み合わせっぽいw
貴重なステルスマーダーは、同エリア(祠)にいるタムラたちにいろんな意味で影響しそうだ。

>黒き尖兵
なるほど、ショッカー戦闘員……無名キャラといえばゲーム主体で考えていたので、まずこの発想に驚き。
黒山羊執事とのバトルは間がかっこいい。「イーッ!」が叙情的に描写されるとは。
光弾槍で乱入したイムの明るさも巧いギャップが出てました……山羊死亡フラグ立てんなwww

>希望、見えた先に。
タムラでスペランカーwww 命名が巧みだなー。
アクセルが冷静な分、支給品の交換にはひと悶着あるかとヒヤヒヤしたが、男だなぁ。
「死ぬなよ……」が渋くてかっこよかったです、綺麗な対主催コンビに期待だ。

>Live Better
冒頭「戦争は変わらない」から始まる一節がじつに印象的。
上官に従う歯車になるのが軍人、それでもいきなり異次元は厳しいよなあ。
そして戦車きちゃったwww こうなるとメタルマックス勢との絡みも楽しみだねぇ。

>竜王計画ジェノサイダー
名前からある程度連想は出来たものの……ロトの血って一体なんなんだw?
血が繋がってるとは限らないが、アルスやミレニアの様子を見るとこうなっても仕方ないのか。
ドラクエ的な比喩表現に加えて、「ゴールドマンがメタルスライムを背負って来る」このカモネギ描写も素敵だぜ。

>はじめにきめるだいじなこと
ブシコも女遊び人も、独特ながらカッコいい言葉づかいだなぁ。
落ち着いた雰囲気からして強そうだ、いや、実際強かったんだけどそれかよwww
それぞれに秀でた能力を無駄に使った争い……いや、どっちが「上」かは色んな意味で大事ですよねw

>あなたは神を信じますか?/はい
ちょ、一行目から飛ばしてるww 血みどろでそんなん聞かれたら答えられないwww
ネリシアに引っ張られる神代はご愁傷様というべきか、ああでも、強さは当たりの部類だよなー。
星は十分、支給品もぶっちぎりなんで、嵐を巻き起こすことを楽しみにしておりますw

>ゆとりってレベルじゃねーぞ!
いきなりの首輪解除→「えっ?」 ラックの種→「ちょっww」 やっぱりダメでした→「wwwww」
自爆はしてしまったが、流石は遊び人。思いっきり笑わせてもらいました。
勇者の家はグロいことになってるのかな……うーむ、立つ鳥あとを濁しまくりだw

183バカと天才は紙一重 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 02:21:34 ID:CMD8mVvo0
「仕方ないわね、あたしのコレをあげるから。いざって時に使いなさい」
女性はたまたま自分のデイパックに入っていた一本の巨大な剣を彼に与えることにした。
どうせ自分が持っていても上手く扱えない訳だし、それならばこの馬鹿に与えてやったほうが幾つかマシかもしれない。
「神降臨wwwwwwwwwwいや女神様wwwwwwwwwwwwwww
 これで俺の必殺技パワースラッシュがwwwwwwwwww火を吹くぜwwwwwwwwwwwwwww」
剣を受け取った瞬間、おもちゃを買ってもらった子供のように笑いながら近くを駆けずり回る。
驚くべきは剣を振り回しながら駆けずり回っていたことである。どうやら、バカなりに力だけはあるらしい。

「じゃあ俺このマントwwwwwwwwwwあげるwwwwwwwwww
 さっきのwwwww俺みたいにwwwwwwwwwwなんかするとバレるからwwwwwwwwww
 それで隠れるといいwwwwwwwwwwwwwww」
男は自分のつけていたマントを差し出してきた、彼が先ほどまで透明だったのもこのマントのおかげらしい。
忠告はありがたいのだがなぜそれに気がついていたのにあのような行動に出たのか。
バカの考えることなど全く持って女性にはさっぱり分からなかった。

「まあwwwwwこの天才ナイトウ様にwwwww任せなさいwwwwwwwwww
 勇者たるものwwwwwwwwwwか弱き女性を守って当然wwwwwwwwww
 さっきのwwwwwお詫びwwwwwしなきゃいけないしwwwwwwwwww
 えっと、そうだwwwww名前wwwwwwwwww聞いてないwwwwwwwwwwwwwww」
どうやら先ほどのセクハラをまだ引きずっているらしい。
このバカなテンションについていくのが精一杯で、そんなこと既に忘れかけていたのだ。

「エース、エスパーギャルのエースよ。宜しく、天才勇者ナイトウさん」
「うはwwwwwwwwww宜しくwwwwwwwwww」
軽く自己紹介を交わしたあと、大げさに手を握られ大きくゆすられる。
なんともオーバーな握手だが、案外悪くは無かった。

この先、道中はすごく不安だ。はっきりいって絶望的かもしれない。
それでも、笑っていられるのは何故だろうか?

バカは死んでも治らない。そんな言葉をふと思い出した。

【C-1 山岳部  一日目 日中】
【ナイトウ(男ナイト)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:いつでも毎日骨太wwwwwwwwwwwwwwwwwwww(健康)
[装備]:オートクレール@Romancing Sa・Ga
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2(本人曰く勇者には必要ない物 らしい)
[思考]
基本:うはwwwww殺し合いwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwwwwwwww
1:エースちゃんはwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww守るwwwwwんでお付き合いからwwwwwwwwww
※アクションアビリティ白魔法、その他アビリティ不明

【エース(エスパーギャル)@魔界塔士Sa・Ga】
[状態]:透明
[装備]:消えるマント@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:とりあえず殺し合いに乗るつもりはない
1:とりあえずナイトウに守ってもらう
※参戦時期は神撃破後。
※透明は彼女が何かアクションを起こさない限り認知されません。

【参加可能者 残り7人+α】

184 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/01/26(火) 02:22:34 ID:CMD8mVvo0
投下終了です

ああっと感想の人をサンドイッチにしてしまった……申し訳ないです。

185もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 02:26:08 ID:nPByVn8g0
申し訳ない、リロード忘れてました。
感想の後半になります。皆さんGJだ!

>各自で名前を付ける企画です    ※しかし名乗れるかは限らない
もうリヴァ(ryは様式美の域に達してるよねw!
バイクに乗る魔剣士も、シュールだけどカッコいい。闇の戦士が乗ってるのも何か深いなぁ。
回復魔法も使えるマーダー、変心の可能性もアリってことで、揺らしがいのあるキャラになりそう。

>超重甲! ビーファイター!(タイトルに意味はない)
カオスを超えたwww アンリミテッド合体ワークスwwwww
老人の奇行に振り回されてしまったニムさんご愁傷様です……って、ニムでいられる保証も無いのよなw
ともぞうってちびまるこちゃんかwww もうどこから突っ込んでいいかわからん!!!

>破壊神を破壊した男
ああ、やっとまともなロトの勇者がw ロランかっこいいよロラン。
「破壊の次に創造が生まれる」のは、ずっと昔のノアも考えてたんだろうな……。
勇者は「破壊」を掲げるダークサイドに対抗する光になれるのか。これは楽しみだ。

>怒りの錬金術士
ちょっと高飛車で勢いのあるフランがいい感じ。
錬金術士にカマエルって組み合わせは鬼に金棒以上だけど、錬金の材料がどれくらい集まるかな?
この天才っぷりを発揮させるのに、プレイヤーはどれだけ○×ゲームをしたんだろうw

>安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?
ジャガンお前www つくづく外道っぷりが全開なキャラだねぇ。
「スライムのそれを思わせる」口許っていうのもヤらしい笑いで素敵だ。
勇者じゃなきゃ言えない・出来ないスケールの目標を持ってるのは凄いけど、KINGさんは相手が悪かったわw

>LIFE A LIFE
おお、女勇者のほうは迷いを振り切ってるなぁ。
返り血もつかない、これといった証拠も残らないルビーと地形の使い方は見事。
落ちていくダイナマにグっときたけど、ナジミの塔は危険がいっぱいだぜ!

>赤い彗星の如し
レッドの発想がおかしいww恩返しになってないwww
でも、モンスターボール投げの地道な訓練を活かした戦闘力(?)は侮れないなぁ。
投擲で射程距離もあるし、毒針……。ダークホースになるかもわからんね。

>ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。
越中詩郎に何事かと思ったけど、ノアってプロレス団体もあったようなwww
ゴーレムは耐えて耐えて一気に逆転するのが面白いけど、チートな奴ら相手にどこまで立ち向かえるだろう。
地味にチェーンソーがふたつめか。意外と、ノアもかみを危険視していたのかもしれないw

>刑死者コミュ―プルフォー―
『どうでもいい』はP3キャラの常套手段で最強の手ですよねーwww
コミュコンプのみならず、コンプとかコレクションはゲーマーの基本だなぁ。
しかし、彼女をマスターにしたプルフォーは大変そうだw 結論が結論だけに頑張ってくれw

>幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら
ロリの波が来ている……のか……?
コイントスで桐山ポジションかと思いきや、じつに幼女らしい思考w
これでアリアハンには騎士が二人目になるのかな? 馬鹿はどこに向かっても違和感なさそうだぜ!

>バカと天才は紙一重
なんというwの乱舞、これは間違いなくネ実wwwww
ナイトウも白魔法とか、持ってるだけで貴重な能力があるんだから口調を修正すべきwww
「透明」は暗殺にも使えそうだよなぁ……エースのスタンスがグレーなだけに、気になってくるねえ。

186もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 02:45:05 ID:jLutmM1Q0
感想感謝!
投下します。

187もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 02:46:51 ID:jLutmM1Q0
げ、状態表忘れてた。
取りやめ

188もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 02:49:45 ID:jLutmM1Q0
よし今度こそ投下!

189君が願うことなら:2010/01/26(火) 02:50:19 ID:jLutmM1Q0
「まいっちゃったなぁ……」

 一人歩いていた少女――ルーナの呟きには、応じる声が返ってくることもない。
 分かりきっていたことではあるが、その事実に僅かに凹むルーナであった。

「一人、かあ」

 ともに旅をした仲間たちがいない現状に、ムーンブルク国の王女である彼女は身体を硬くする。
 人間を喰らう魔物とて、極寒の雪山とて、邪悪な神官とて、破壊神とて、三人でならば立ち向かえる。
 しかしながら、この場に仲間はいない。
 いや、もしかしたら殺し合いの舞台にはいるかもしれない。
 でも、隣にいないのだ。
 魔法は使えずとも岩石をも砕く膂力を誇る剣士も、魔法と剣の両方を操る金髪の剣士も。
 一人きりの打倒巨悪。
 志しは折れずとも、どうにも弱い考えばかりが浮かんでしまうのは止まらない。
 だからこそ――

「ん、んーーー!?」

 ――――歩いていた物陰に潜んでいた緑の異形に気付くとこができなかった。


 ◇ ◇ ◇


 最初の不意打ちを直接受けてしまったのが、ルーナの最大の失敗であった。
 下顎に走った衝撃に意識を手放し、そのまま左胸に爪を突き刺された。
 緑の異形の鋭い爪は勢いよくルーナの心臓を貫き、絶命に至らしめたのである。
 上半身に空いた風穴を除くと、他にはこれといった外傷のないルーナの亡骸。
 安らかな表情でぴくりとも動かずに横たわっているそれを、見下ろす影があった。

 腰付近にまで伸びた紫色の髪。
 同じく紫色のつぶらな瞳。
 同年代同姓の者たちと比べれば、殆ど平均と言える身長。
 女性らしさを感じさせつつも、決して肉感的すぎない柔らかそうな身体。

 服装こそ違えど、そこには――――ルーナと全く同じ容姿の少女が立ち竦んでいた。

190君が願うことなら:2010/01/26(火) 02:50:51 ID:jLutmM1Q0

「『ルーナ』……『ムーンブルク』……『ロラン』……『ハーゴン』……」

 断片的に単語を呟く彼女の正体は、ルーナを殺害した異形。
 姿が変わりすぎていると思うだろう。Yes,Yes,Yes,その通り。
 彼女――ひとまずこう呼称する――は、ルーナを殺害した頃には緑色の巨体を誇っていた。
 だがその後に、ルーナに『擬態』したのである。
 ワームと呼ばれる地球外生命体である彼女は、現在の科学では見極められないほど正確に他者に擬態できるのだ。
 そして、真似るのは姿だけではない。
 彼女が呟いている単語は、ルーナの記憶よりもたらされた情報である。
 そう、ワームとは『記憶までも』コピーすることができるのである。

「ふう……」

 襲い来る記憶の奔流が収まったのか、彼女は呼吸を整える。
 浮かべているおだやかそうな表情を見れば、ルーナと旅した二人の王子とて偽者などとは考えもしないだろう。

「世界を破壊しようとする相手に反逆、か」

 適度に潤んだ魅力的な唇から零れた声もまた、ルーナのものと同一。

「なかなか面白い……」

 その言葉は、偽ルーナの心からの本音である。
 もたらされた記憶は、それほどまでに刺激的な物だった。
 民の期待を背負い、仲間たちとともに強大な敵立ち向かう。
 苦悩や挫折がありながらも、同行者と励ましあって掴み取った勝利。
 己の意思で動きながらも、語り合える仲間たちとともに行動したからこその喜び。
 上に立つウカワームに従うだけの毎日を送る偽ルーナでは、仮に目的を達成しようと味わえぬ甘美。
 だからこそ、偽ルーナは強く思うのだ。

 ――――自分もあれを味わいたい、と。

 元より、この場に何をするかも決めかねていた。
 『次元』の異なる場所で幾ら人を殺そうとも、地球におけるワームの繁栄には何ら関係がない。
 もしかしたら何かしら意味があるかもしれないが、下級ワームにすぎない彼女にはウカワームが隠している真なる目的も教えられていない。
 人同士の殺し合いに呼び出されたのは、恐らく擬態能力による疑心暗鬼を期待してのことだろう。
 先刻まではそれに従ってもよかった。
 しかしルーナの記憶を見た以上、従うワケにはいかない。
 他者の記憶ではなく、自らの感覚であの甘美を味わいたい。
 となれば、偽ルーナの当面の目的は決まった。

「まずは、一緒に行動してくれる人を探さないとね♪」

 支給された白色のローブを身に纏い、満面の笑みを浮かべる。
 ついにはその口調までもが、ルーナのそれと同じ物となっていた。

191君が願うことなら:2010/01/26(火) 02:51:18 ID:jLutmM1Q0



【ルーナ(ムーンブルクの王女)@ドラゴンクエストⅡ 死亡確認】


【一日目・日中/E−4 山】

【ワーム@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、サナギ体、ルーナの容姿に擬態中
[装備]:白のローブ@FF3
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜5
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒
1:仲間を探す
[備考]
※ルーナ(ムーンブルクの王女)の記憶を手に入れました。
※魔法が使えるかとかその辺は、次に任せます。


【参加可能者 残り6人+α】

192もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 02:51:54 ID:jLutmM1Q0
投下完了。

さすがに、こっからはリレーの構想を練るか。
まあ、死体役は出すかもだが。

193もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 03:12:48 ID:jLutmM1Q0
>刑死者コミュ―プルフォー―
プルフォーとは。その発想はなかった
ペルソナは2までしかやってないんだけど、何だか面白いね
しかし同じエリアにはいてないマーダーが。逃げてー!

>幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら
ケンシロウ、時代が変わったのだ! いまはロリが微笑む時代なのだ! とばかりに、またロリかww
コイントスしたんだから無差別マーダー……そう思っていた時期が俺にもry
うん、デフォでバカなら仕方ないよね。

>バカと天才は紙一重
一行目でまさかと思ったら、やっぱりナイト内藤かよwネ実でやれw
しかし消えるマントをくれてやるとは、なかなか紳士。
伝説の突き技wwwwパワースラッシュwwwwwで何とかwwwしてくれwwwww



A−2/日中  ○内田珠樹(森)、○プルフォー(宿屋2階の1室)、○有里公子(宿屋2階の1室)、●ジロン(森)
A−3/日中  ○米倉京太郎(平原)、○レッド(森林)、●キメラ(森林)
A−4/日中  ○ショッカー戦闘員(森)
A−5/日中  ○イム(森)
B−3/日中  ○ケイ=アイ(森)、●越中詩郎
B−4/日中  ○名前不明(闇の四戦士の一人)(平原)、●リヴァイアサンに瞬殺されたヤツ(平原)
B−5/日中  ○山羊さん(森)
C−1/日中  ○ナイトウ(山岳部)、○エース(山岳部)
C−3/日中  ○E・シズカ(森)、○ブシド・ザ・ブシコ(森)、○???(女遊び人)(森)、○ネリシア(森)、○神代浩司(森)、●カンダタ(森)、●???、●???、●???
C−4/日中  ○ロラン(山)、●ウザイナー(森)
D−2/午後  ○ジャガン、○マクスウェル、●KING構成員
D−3/日中  ○ロシェ(城庭園)、○アルス(勇者の家付近)、○サマンサ(勇者の家付近)、○ニム(道具屋付近)、○フラン(道具屋店内)、○ミレニア(ナジミの塔頂上)、ネリー(アリアハン周辺)、●ともぞう(道具屋付近)、●ダイナマ(ナジミの塔真下)
D−4/日中  ○ナイン(森)、●ココット(森)
D−5/日中  ○リ=リリ(砂地)、○タムラ(祠内部)、○アクセル(祠内部)●やる夫(砂地)
E−2/日中  ○シュウ(南東部海辺)、○はんた(南東部海辺)
E−4/日中  ○ワーム(山)、●ルーナ(山)


現在位置更新。
D−3の過密っぷりがとまらねえ!w

194もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:17:41 ID:pQAv0.xk0
男盗賊、宿屋の主人、ブシドー♀(ポニー)投下します

195もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:18:12 ID:pQAv0.xk0



その町は、凛とした静寂に沈んでいた。
町というのは、どの世界でも賑やかなもだ。その姦しさが治める者によって演出・強制された結果であれ、
経済の中心として自然に"町"という器に人が寄り添った結果であれ、その賑やかさは等しく心を躍らせる。
しかして、この町の静けさは一体どうした事であろうか? 戒厳令でも、出されているのか。
それにしたって、人の口に戸は立てられないのだから、人の営みは流動してささやかな喧騒となるだろう。

そう、この町には住人がいないのだ。

戦争に巻き込まれて廃墟と化している、という訳ではない。
むしろ、町の隅々から平和な生活を彩っていた痕跡が見受けられる。
痕跡を残していた筈の人々はどこにいったのだろうか?
少なくとも、暴力的に排除されたという証左は町の何処にも落ちていない。
故にここは、まるで町全体が神隠しにあったかのような不気味な場所だった。
まともな人間ならば、こんなところに長居をしたいとは思わないだろう。
だが、『まともな人間』が二人、この町に腰を下ろしていた。
一人は宿屋の主人で、もう一人は冒険者。
冒険者が町にいくつある宿屋の一つを訪れ、主人が迎える。
二人の出会いは、実に平凡に発生した。




「ようこそ、旅の宿屋へ! 今日はお泊りですか?」

「いいえ」

ぽつんと、地図上の左翼に取り残されたような町の宿屋にて、一人ごちる男盗賊。
そんな彼に、宿屋の主人が7回目となる台詞を告げる。
殺し合いが始まっているこの戦場で、だ。二人が相当に場慣れしていることは明白。
宿屋の主人は争う冒険者を諌めるのに慣れているし、男盗賊はルビスの祝福を受けた正統冒険者だ。

196もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:20:10 ID:pQAv0.xk0



「ようこそ、旅の宿屋へ! 今日はお泊りですか?」

「アンタ、それしか言えないのか?」

「そんな事はないんですがね。あなたが『はい』と言わないものですから……」

「状況がわかってるのか……?」

この主人、度胸があるのは確かだが、一体何を考えているのか男盗賊に警戒する事もなく、
自分の店ではない宿屋の施設を(有料で)提供しようとしてきた。
男盗賊にとっては必要ない勧めだったが、断っても断っても同じ台詞を繰り返すばかり。
やれやれ、と頭を振る男盗賊に、宿屋の主人が急に神妙な顔で言葉を返す。

「ええ、もちろん分かっていますよ。私も宿屋の主人歴は相当長いですからね。勇者様御一行の方々は、
 見るだけでそれと分かるんです。我々が最初に集められた場所でも、それらしい方々を
 たくさんお見受けしました。貴方もその一人だから、こうして殺し合いの場でも力を貸そうと……」

「宿屋ってのは疲れたときに入るもんだろ。こんな昼間ッから泊まるのは盛りのついたガキくらいだ。
 それに俺はもう『勇者様御一行』とやらじゃない。ドロップアウトしたんだよ、俺はな……」

男盗賊が苦い記憶を思い浮かべ、まんじりとした表情になる。
数ヶ月前に大教皇に下された『魔王を倒せ』という大精霊ルビスのお告げは、瞬く間に全世界に広められた。
それと同時に、勇者アルスに侍ってその力となるべき冒険者の選出も大々的に行われ、
この男盗賊も総計たったの200人という希少な"勇者の仲間候補"に加えられ、あろう事か勇者の目に止まって
正式な勇者の仲間となり、正義に燃えて魔物との戦いに明け暮れた経験すら持っていた。が、しかし。
同時期に勇者の仲間となったとある女魔法使いが、そんな男盗賊の初心と夢を粉々に砕いた。
その女は、知識欲に狂っていた。それでいて女は狡猾で、目端の利く男盗賊以外には本性を隠し通していた。
敵に勝つ(自己が求める知識を得る)為には手段を選ばず、時として倒すべき敵よりも冷酷な行動を取る女。
そんな魔女の所業に気付かず、密告すべきか苦悩する自分に屈託なく笑顔を向ける幼い勇者。
とてもではないが、そんなパーティにいる事は出来なかった。
男盗賊は勇者に礼を尽くして"ルビスの使徒"の座を放棄し、在野に下って放浪する事にした。
その結果が、このふざけたバトル・ロイヤルへの強制参加だ。

「……なあ、おっさん。あんたはこの殺し合いをどう思う」

197もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:20:40 ID:pQAv0.xk0

「許せませんね」

主人はキッパリと、毅然とした表情で答える。
自分の命が脅かされるから、ではない。
主人は世界を脅かすものを倒すべく旅に出た、勇者の存在に傾倒しきっていた。
もはや商売感情抜きで、自分の命を賭しても彼の者に奉仕する心構えでいた。
その原因は彼の娘が巻き込まれたとある事件を勇者が解決した事にあるが、その仔細はここでは無関係。
ちなみに彼の知る勇者・ジャガンはたった一人で戦いに赴く男であったが、彼にとっての"勇者様御一行"とは
その周囲で彼を支える者達(ラダトーム城の兵士や、亡国の女戦士などが記憶に残っている)の事である。
他にもジャガンは行く先々で娘を徴収し、ゆうべはおたのしみしていたのだが、
それすらこの宿屋の主人の目には民衆が差し出すべき当然の援護と映っていた。
だからこそ、主人はこのバトルロイヤルにおいて、世界を救う者達を守るために行動する。

「勇者とその仲間達は世界にとって最も大事な要素なんです。私は命を捨ててでも、貴方をお守りしますよ」

「俺は勇者の仲間である資格を自ら捨てたんだ。守ったって、何の価値もないぜ」

「貴方の目は、ドロップアウトなんてしてませんよ。今すぐにでも、貴方の勇者様を助けに行きたいって、
 そう輝いているじゃないですか。そんな貴方を、私は守ると言っているんですよ。
 宿屋の主人として……そして、この世界に生きる平凡な人間として、ね」

「……」

図星だった。
男盗賊は、最初に集められた時にアルスの顔を目撃している。
初めはすぐにでも彼の前に馳せ参じ、このふざけた殺し合いから遠ざけたいという激情に駆られた。
だが、彼の仲間であることをやめた自分がそんな事をして何になるという諦観から、
こんな宿屋にふらっと入ってしまったのだ。
そんな情けない男が、勇者を守るためにもう一度立ち上がってもいいのか。
良し、と宿屋の主人は言った。仲間でなくなっても、慕う心があれば彼の元に走ってもよいと。

「なあおっさん、出張宿屋ってのも、面白いんじゃないか」

「勇者様とそのお仲間がいるなら、わたしゃ何処へだって行きますよ」

二人が、決断する。
勇者達の下に馳せ参じ、その力となることを。
だが―――その決意に、氷のような声が、罅を入れた。

「それは困るわね。貴方達の夜には、今後永劫この私が宿泊するのだから」

198もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:21:36 ID:pQAv0.xk0

冒険者の宿。
その入り口に、当たり前に冒険者の女が、足を踏み入れている。
当たり前でないことは、男盗賊がその来襲に気付かなかった事。
冒険者の女の放つオーラが、敵の力量を察知するのに特化した男盗賊に確実な死を予感させている事。
そして、

    ..........................................
女が、向かいの民家を後ろ手に持って宿屋の入り口に立っているという事実。


「ーーーーーーッ!」

「お邪魔、するわね」

女の細腕で冗談のように振りかぶられた民家は、当然のように振り回され、宿屋を激震させ、倒壊させた。





崩れる宿屋の中で、男盗賊は迅速に行動した。気絶した宿屋の主人の首根っこを掴む。
強襲してきた、胸にサラシを巻いたポニーテールの女の視界から逃れるように走る。
宿屋の主人を抱えているのでかなり難儀したが、スキル"タカのめ"の応用でなんとか瓦礫の雨を避け、
裏口から全速力で飛び出した。"しのびあし"で逃げたいところだったが、それが通じないのは確実。
五感の全てをフル活用しながら、男盗賊は嫌々ながらも確信していた。
男盗賊が勇者との旅で唯一目にした魔物の親玉、ヤマタノオロチに匹敵する力をあの女は内包している、と。

「信じられない……なんなんだ、ありゃあ」

「女性に対して"あれ"呼ばわりは酷いわね、ネズミさん」

完全に崩壊した宿屋と民家のミックスジュースを挟むように、男盗賊と女が相対する。
女の支給武器は腰に下げている鋼の剣のようだったが、抜く気配を見せない。
当然か、と男盗賊が納得する。武器とは多かれ少なかれ、存在するだけで威圧感を発する。
だが量産品の鋼の剣などは、目の前の女自体が発する威圧感からすれば爪楊枝のような物だった。
この魔人のような女がどんな戦い方を主流にするのかなど、男盗賊には想像もつかない。
とりあえず間を持たせて対抗策を考えるため、男盗賊は良く回る舌を女に向けた。

「ネズミ、なんて呼び方の方が酷いだろう。俺にもちゃんと名前があるぜ。名乗らないがな」

「そう。私の名前はブシド・ザ・ブシエよ」

さらりと変な名前を名乗り、ブシエが一歩踏み出した。
やはりというか見れば分かるというか、この女はバトル・ロイヤルに勝ち残る気満々らしい。
男盗賊は舌打ちしながら、自分に支給されたアイテムを取り出す。
携帯電話のようなその機械のボタンを押し、腰に装着したベルトに填め込む。

『5・5・5……スタンディングバイ(Standing by)』

「変身!」

『コンプリート(Complete)』

ベルト……ファイズドライバーから眩く赤い光子が走り、男盗賊の全身を覆う。
気絶していた宿屋の主人がはっと目を覚まし、男盗賊の後姿を見た次の瞬間。
既に、そこには仮面ライダー555が降臨していた。

199もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:22:40 ID:pQAv0.xk0


「な……なんですかそれー!!」

『仮面ライダー……555!』

「なんですかそれー!」

「そのマスクはどうかと思うわ」

驚愕する宿屋の主人とは対照的に、ブシエは平然と造形にツッコミを入れている。
脅威を感じないような表情だが、身体の方は盗賊555の能力の向上を見て取ったか、僅かに強張っている。
男盗賊に支給されたのは555ギア。ファイズドライバーを初めとする幾つかのツールから成る強化服だ。
もちろん、この555ギアは人間の進化系であるオルフェノクにしか装着できない。
しかし、ルビスの祝福を受けて『戦闘による死』から何度でも蘇る能力を得た勇者やその仲間の肉体は、
オルフェノクにしか耐えられないはずのフォトンブラッドの奔流に見事適格した。
どこからともなく赤く光る細いこんぼうのような物を取り出し、盗賊555がブシエに斬りかかった。

『ファイズエッジ! うおおおおっ!!』

「あらあら」

桁違いに増強された男盗賊の身体能力だったが、ブシエは紙一重でその斬撃を回避する。
廃墟と化した無数の建材が弾け飛び、その一撃の威力を物語る。

『今の動き……お前はやはり戦士タイプの人間だな! その剣を抜いたらどうなんだ!?』

「確かに私は刀を極めた武士だけど……貴方にそこまでする必要はないと思うわ」

ブシエは素早く後退しながら、抜け目なく拾った建材を盗賊555に投げつける。
ファイズエッジを振り回して建材をなぎ払う盗賊555の目に、立ち止まって二の句を継ぐブシエの姿が映る。
ひらひらと左手を振りながら、右手でこちらを挑発するブシエの姿が。

「私の刀を受けるに足るモノはそんなに多くないの。残念だけど、貴方も"これ"で十分でしょう」

『ほざけ!』

ファイズエッジを掲げ、無手のブシエに突貫する盗賊555。
しかし、その動きが止まる。
..................................
ファイズエッジを掲げた右腕が千切れ飛んだ事によって。

「な……」

『ん、だと……』

200もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:25:30 ID:pQAv0.xk0


戦慄する宿屋主人と盗賊555を前に、不思議そうな顔で首を傾げるブシエ。
当たり前の事を理解できない子供を諭すように、左手を二人に示す。

「言ったでしょう?"これ"で十分だって」

『……!』

「え? え? なんですか、何も見えませんけど!」

宿屋の主人には見えていなかったが、盗賊555の視覚をもってすれば、辛うじて"それ"が見えた。
それは糸だった。複雑に、ボロボロになった廃屋のあちこちに繋がれ、結界を張るように伸びている。
糸だけなら、555のスーツを引き千切ることなど出来ないのだろう。糸には、闘気のような物が乗せられていた。
素人目に見ても、これが熟練の技術を要することは明らかだった。
肩口から消失した右腕を抱くように身体をすくめながら、盗賊555が息絶え絶えに問い掛ける。

『馬鹿な……お前は、戦士じゃなかったのか……こんな異質な武器を使いこなせるはずが……』

「加えて、言ったでしょう。私は刀を極めていると」
      ....................................
「ならば、他の些細で下賤な武器など、使いこなせて当たり前でしょう?」

しゃなり、と糸を回収して懐に仕舞い、ずばりと言うブシエに唖然とする宿屋の主人。
この、自分と自分の獲物に対する揺るぎない優越の確信は何だ。一体この女は何者なのか。
本当に人間なのか?

「まあ、これでおしまいよね? 片腕になっちゃえば、身体全体のバランスが崩れて戦闘どころじゃないでしょ?」

「……」

一方、男盗賊には疑問を覚えている余裕などない。
激痛の中、しかし男盗賊には『諦める』『逃げる』といった選択肢はなかった。
それらは既に遣い切っている。勇者の下から去ったあの日に。故に、男盗賊は選択する。
『勝負に勝つ為の選択肢』を。

『フォトンブラッドを左腕部に集結』『左腕部肩口でフォトンブラッドを暴走』『フォトンブラッドの炸裂』

『左腕の廃棄』

「な……」

『これで……バランスが取れたぜ』

201もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:26:04 ID:pQAv0.xk0

流石に、ブシエも戦慄する。
男盗賊555は、次の攻撃の為に左腕を捨てた。
腰を振り、ベルトから落としたファイズポインター(キックモードに変形済み)を、
右足のエナジーホルスターに装填。フォトンブラッドが循環する最中、
宿屋の主人にファイズフォンのスイッチを押すように請う。

「だ……ダメですよ! こんな血が出てるじゃないですか! 死んでしまいます!」

『死んでも生き返るさ。俺は、"勇者の仲間"なんだろう? ……教会の予約を頼むぜ、おっさん』

「……」

震える指で、宿屋の主人がファイズフォンのエンターキーを押す。
ブシエは、それを邪魔することもなく、マジマジと男盗賊555の顔を見つめていた。
フォトンブラッドがファイズドライバーから右足のファイズポインターに送り込まれ、輝きを増していく。

『エクシードチャージ(Exceed Charge)』

『クリムゾン……スマッシュ……!』

力なく必殺の蹴撃の名を叫び、飛び上がる男盗賊。
腕を捨てた甲斐あって、そのボディ・コントロールのバランスは絶妙。
空中で前転して静止し、赤い円錐状のポイント弾が放たれ、ブシエの眼前に飛ぶ。
両腕からは、未だ血が流れ落ちている。痛みがない筈がない。
強化服の合間を縫って糸を通され、切断されたのだ。切断面は生身なのだ。
それでも、男盗賊は『攻』を選んだ。『守』でも『逃』でもなく、『攻』を選んだのだ。

「認めましょう―――」

ブシエの口元が歪み、笑みとも言える表情を作る。
捕捉されているはずの腕が鋼の剣の柄を掴み、驚異的な力で握り締める。

「貴方には、私の刀で死ぬ価値があるわ」

突撃する男盗賊555の目に、それは映った。

202もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:28:30 ID:pQAv0.xk0



ブシド・ザ・ブシエは、由緒正しい武家に生まれた。
彼女は乳幼児の時点で既に父親の刀術を目で追い、刀を握れるようになる頃には父を越えていた。
それから紆余曲折あって、冒険者として"知られざる英雄達"と呼ばれる最強の一群に属し、旅を終えた。
冒険者達が血眼で求めていたものは、彼女にとってはそう魅力的ではなかったが、強敵と戦えるのは、
とても楽しかった。全長数百mはあらんかという巨獣、ジャガーノートを細切れにした時などは快感さえ覚えた。
パーティが解散してからも、人間相手ではもの足りんとばかりに散策を続け、ブシエは敵を探し続ける。
"三竜"と称される天災のような怪物達を単騎でそれぞれ討ち倒し、当面の目的がなくなった矢先に、
このバトル・ロイヤルが舞い込んできた。望むところだ、と彼女は思う。あの機械も相当な力を持ってそうだし、
他の参加者にも期待できるかもしれない。ブシエは、恒久的に敵が供給され、うっとおしい首輪さえなければ、
ここで永住してもいいとさえ感じていた。現世のしがらみは、強すぎる自分を縛る事しかしない。
例えば、妹。ここにも来ているようだが、ブシエは自分と同じく武士として育った妹が大嫌いだった。
彼女はせいぜいブシドーとして冒険者の十指に入る程度の力しか持たない。出来損ないだ、とブシエは思う。
全霊長の頂点を自負するブシエにとっては、自分と同じ武士を気取る妹が実に不快だった。
まともに会話などしてやったことがないので、あちらが自分をどう思っているのかなど知ったことではない。
だが、あんな非才が武士を名乗る事自体が自分への侮辱に感じられた。身内だからこそ、評価は辛くなる。
父親や母親は、自分に抜かれた時点で武士を名乗ることをやめている。それが弱者のあるべき姿だ。
あの妹も、見つけたならば容赦はしない。即死しない程度に斬り刻む。自死しない程度に踏み躙る。
ブシエは暗い愉悦を胸に浮かべながら、この戦場を駆け抜けるだろう。
当面の敵、男盗賊555が迫る。最初の遭遇にして、自分の刀で斬る程の相手に出会えた。
もはや宿屋の主人の存在など忘れ、男盗賊555に全身全霊の一撃を贈って天に送ることだけを考える。

「ならば、刀技はいかがしましょう。卸し炎か月影か、建御雷神か抜刀氷雪か」

「いえいえそれでは失礼ですわ。我らブシドーが強敵を屠るのは、やはり、やはり」

「――― 一閃、しかないでしょうね」


一閃。ブシドーというクラスに置いて、全ての者が使える奥義だ。
というよりは、これが使える者だけが、ブシドーを名乗れると言うべきか。
極めて単純で、だからこそ技量と才能と研鑽が如実に顕われる最大刀技。
ブシドー一派どころか、人間の枠すら超越した魔人・ブシエが放つその一閃は―――。

  ............
  斬撃ですらなかった。


文に起こせぬ速度・膂力・法理で鞘から引き抜かれた鋼の剣の刀身は、完全に抜剣するより先に蒸発する。
"何か"に耐え切れなかったように金属粒子と化した鋼の刃の成れの果ては、それでも鍔に追従して殺到。
殺到する先は、無論クリムゾンスマッシュを決めんと突進する男盗賊555。粒子の波に押されて
ポイント弾が消失し、数万℃の金属熱放出現象が555のスーツを吹き飛ばし、必殺の蹴りを無効化する。
倒れ伏し、555のスーツを消滅させながら瀕死の姿を現す男盗賊に、ブシエは憧憬の念を覚える。
彼女に言わせれば、闘士はその散り様で価値を決める。赤い光子を周囲に飛ばしながら堕ちる男盗賊は、
自分と刀の道以外を徹底的に見下すブシエの目から見てもとてもとても美しかった。
錯乱しているのか、死にかけの体でファイズフォンを口元に当てる仕草もとてもキュートだ。

「ナマクラ一本フイにした甲斐はあったわね」

刀身と鍔が消え、辛うじて柄だけが残った鋼の剣を放り捨て、ブシエは踵を返す。
倒すべき強敵は倒した、もうここには用はないと言わんばかりに。

そして、宿屋の主人だけが残される。

203もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:29:45 ID:pQAv0.xk0



「くそう……くそう……なんでだ! 変身!」

『エラー(Error)』

「ぐうう……」

悠然と去っていくブシエを追いかけようと、男盗賊が遺した555ギアで変身を試みる宿屋の主人。
だが、彼が仮面ライダー555に変身することはできない。選ばれていない者に、力を得る権利はない。
それでも、主人は繰り返す。五度、十度、二十度、百度。何度繰り返しても、成功などしないのに。

「私は……守れなかった……世界を救う者達を……みすみす死なせてしまったぁ!」

殺し合いだ。都合よく、教会で生き返る事など出来る筈がないと、分かっていたのに。
男盗賊を、死なせてしまった。彼は、もう二度と目を開くことはない。

「うぁっ……うお……おおおおっ!」

血も流れよとばかりに涙を流す主人の目に、ファイズフォンの画面が映る。
なにやらアイコンが点滅していて、何かを示していた。

「録音……アリ……?」

手探りで携帯のボタンを押し、点滅の正体を探る。
しばらくして、声が聞こえてきた。男盗賊の、枯れ枯れの声だ。

『おっ……さん……俺は、使い……こなせなかったが……こいつを、勇者……アルスにくれてやってくれ……。
 あの子なら……きっと……きっと……みんなを、世界を……たの……む……』

これは、男盗賊の今際の声だ。
彼は最後まで、取り戻した勇者の仲間の誇りの中で逝けたのか。
そう考えても、宿屋の主人の気は晴れない。

「私に……本当に、勇者様達を救うなんて事が出来るのか……?」


主人の足は、未だ震えている。


【男盗賊@ドラゴンクエストⅢ 死亡確認】


【一日目・日中/A−2 町・街道】

【ブシド・ザ・ブシエ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
[状態]:良好
[装備]:曲絃糸@戯言シリーズ
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考]
基本:勝ち残る
1:強敵と戦う
2:妹(ブシド・ザ・ブシコ)を見つけたらたくさんいじめる


【一日目・日中/A−2 町・宿屋Bと民家のミックス跡地】

【宿屋の主人@ドラゴンクエストⅠ】
[状態]:良好、落胆
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜4、555ギア@仮面ライダー555
[思考]
基本:勇者やその仲間を救う
1:勇者達を探す(ジャガン、アレス優先)
2:アレスに555ギアを託す

204もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:31:22 ID:pQAv0.xk0
投下終了
タイトルは「GO!GO!GO!」でお願いします

205もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 04:33:41 ID:pQAv0.xk0
おっとおっと

【参加可能者 残り4人+α】

206もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 05:27:14 ID:z1QGoxtE0
サナギ体ネイティブ@仮面ライダーカブト 投下します

207変質者達の狂演 ◆/gu4mZBKwU:2010/01/26(火) 05:28:32 ID:z1QGoxtE0
山中を二つの大きな輪郭が駆けている。


前を行くは巨大な甲虫。
濃緑色の身体は二メートルを優に超えている。
二対の腕部と二対の脚部を持つが、その形状は人間とは程遠く、醜い。
宇宙から来たエイリアンだと言われれば信じざるを得ない姿であり――それは真実である。

地球外生命体・ワーム。
隕石と共に地球へ飛来したこの種族は、恐るべき二つの能力を以って人間社会に浸透していた。
一つは、人間に擬態する変身能力。
この能力は成体・サナギ体の区別なく使用可能で、外見のみならず記憶までも引き継いでしまう。
誰かがワームに殺害され、入れ替わられたとしても、気付くものはいないのだ。
もう一つは、タキオン粒子による超高速移動・クロックアップ。
成体のみが使用可能な能力であり、時間停止とも評されるほどの速度を誇る。
たとえ超音速の銃弾であろうと、これを発動したワームを捉えることはできない。
尤も、このワームは未だサナギ体なので、クロックアップの使用は不可能なのだが。


後を行くは覆面の巨漢。
マントにパンツというエキセントリックな服装が、却って鋼の肉体を強調している。
その肉体に秘められた実力たるや、この場に集められた者たちの中でも上位に位置することだろう。
これはワームが本能的に逃走を続けていることからも明らかだ。
安直なパニック映画にありがちな『異形に追われる人間』の構図は、ここには存在しない。

状況によっては通報モノの勇士。
その正体はアリアハンのオルテガ。
魔王バラモスを討つべく単身旅立ち、ネグロゴンドの火山で果てたと伝えられる
記憶を失ってアルフガルドに落ちてからも、揺るぎなき正義の心で大魔王ゾーマに挑んだ勇者である。
今の彼は、記憶を取り戻してはいない。
ここが故郷のアリアハンであることすら認知できてはいないだろう。
それでも、彼の正義の心は折れなかった。
ノアと名乗る存在を倒すべく立ち上がったのだ。



その矢先に現れたのが、前を走るワームであった。


ワームの外見は明らかにモンスター。


故にオルテガは、これをノア配下の魔物と考え、戦闘を開始したのだ。



オルテガの判断は決して間違ってはいない。
ワームは人間に擬態した上で殺し、その人間に成り代わることで人間社会に潜伏する。
当然ながら、一部の例外を除けば殺人に呵責など覚えない。
この怪物を退治することは、まさしく勇者の本領である。



不意にワームの足が止まる。
森林を抜けたその先には、目も眩む断崖絶壁。
しかも真下は数多くの岩が突き出した荒波の只中。
落下すればワームとて命はあるまい。
成体と比べれば、サナギ体の肉体は著しく貧弱なのだ。
人間側の戦闘員・ゼクトルーパーが使う武装でも命を奪われてしまうほどに。

ここぞとばかりにオルテガが駆ける。
数々の魔法を使いこなすオルテガだが、この敵は無手で倒すと決めていた。
ノアは明らかに強大な敵だ。
追うだけで逃げるような雑魚敵に魔力を浪費してはいられない。

オルテガの拳がワームへ繰り出される。
外殻を砕き、内部組織を叩き潰す威力を秘めた豪拳。
必中と思われた一撃が――何故か空を切った。
豪拳が打ち込まれるその瞬間、ワームの姿が掻き消えたのである。


拳を振りぬいた勢いそのままに、オルテガは崖から落下していった。

208変質者達の狂演 ◆/gu4mZBKwU:2010/01/26(火) 05:31:58 ID:z1QGoxtE0




○  ○  ○



「何よ、あの人間……」

オルテガが落下し、ワームが消えた崖の上に、一人の少女がうずくまっていた。
人種はアジア系、恐らくは日本人、年齢は十代前後といったところ。
見かけは普通の少女に過ぎない。
しかし単なる少女が、この状況下で正気を保てるであろうか。

「擬態を解いてもびっくりしないし……こっちが泣きそうだったじゃない」

ワームが共通して持つ擬態能力。
人間体とワーム形態の切り替えは完全に自在。
窮地に追い込まれたワームは咄嗟に擬態を『行い』人間の姿に変化したのだ。
いわば『変質する者』だけに許された緊急回避法。
結果、ワーム本来の巨体を狙った拳は空を切り、オルテガは崖の下へと散っていった。

「第一、人間の殲滅って何? 私は人間じゃないのに?
 誤認だ、誤解だ! やり直しを要求するー!」

オルテガに追われていたワーム――人間としての名を藤林沙理子という――は夜の闇に叫んだ。
あくま人間に擬態した地球外生命体であり、ノアとやらのいう人類殲滅とは何ら関係ないはずなのに。
彼女が言うように誤認なのか、擬態したワームも人間扱いなのか、それとも別の理由があるのか。
ノアの考えなど、彼女に分かるはずもなかった。
彼女がただの少女であれば、悲嘆に暮れて絶望していたかもしれない。
しかし、繰り返すが彼女はワームなのだ。
かつて存在した人間・藤林沙理子を殺害し、その姿と記憶、そして人生を奪い去ったワームなのだ。

「……こうなったら、みんな殺して堂々と帰ってやる……!」

殺人に対し、忌憚など有り得ない。








「……成体になりたいなぁ」

高らかに宣言した直後、沙里子は気弱に呟いた。
クロックアップを使いこなす成体ならば、こんな殺し合いなど容易いに違いない。
しかし真に残念なことに、彼女はワームの中でも『ネイティブ』と呼ばれる種族であった。
外見上の違いは、サナギ体の頭にカブトムシのサナギのようなツノがあること。
実はこれまでのワームに関する解説は、基本的に『ネイティブ』ではないワームのことである。
『ネイティブ』は他のワームより先に地球へ飛来して、一部の地球人と秘密裏に手を結んでいた。
種族自体の強さが天敵である他のワームに劣るため、人間に力を貸す代わりに守ってもらおうとしたのである。
それでもワームとしての能力は有しており、『ネイティブ』が人間を殺して擬態することもあるのだが。

「はぁ……」

ところで、成体の『ネイティブ』は殆ど確認されていない。
つまりいくら頑張っても彼女はサナギ止まりなのだ。
しかも彼女の人間体は貧弱な少女。
こっちでの戦闘能力も全く期待できなかった。
勇者オルテガの脅威から逃れることができたのは幸運の賜物に過ぎない。
少しは頭を使わなければ、生き残ることすらできないだろう。
沙里子は念のため、オルテガが落ちてった崖下の様子を窺った。

「……ひっ!」

なんとオルテガは生きていた。
岩と激突し、荒波に揉まれながらも、岩肌にしっかりと取り付いているのだ。
恐るべきは勇者の底力。
沙里子は必死になってデイパックを漁った。

「これならっ!」

デイパックを傾け、中に入っていた大岩を転がり落とす。
大岩で押し潰せば倒れてくれるだろうという考えだったが、考えが甘かった。
沙里子のデイパックに入っていた大岩は、正式な名を『ばくだんいわ』という。
モノではなく、れっきとしたモンスターである。
そして『ばくだんいわ』最大にして究極の特徴――



   メ   ガ   ン   テ



極大の爆発が絶壁を揺るがす。
太陽がもう一つできたかのような閃光が走り、高熱の風が沙里子を後方へと吹き飛ばした。

「な、な……!」

ぱらぱらと降り注ぐ破片が、爆発の凄まじさを物語る。
沙里子抜け掛けた腰を叱咤して立ち上がると、崖に背を向けて走り去っていった。







【オルテガ@ドラゴンクエストⅢ   死亡】
※支給品は丸ごと吹き飛びました
※メガンテに耐えられるものなら残っているかもしれません



【一日目・日中/B−1 山岳 沿岸部】

【藤林沙理子(サナギ体ネイティブ)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、人間体
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0〜2
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残る
0:とりあえずここから逃げる
1:自分でも生き残れる作戦を考える
[備考]
※周囲にメガンテの閃光と轟音が響き渡りました


【参加可能者 残り3人+α】

209もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 05:33:36 ID:z1QGoxtE0
投下終了です
いや、まさかワームで被るとは……ネイティブがいてよかった

210もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 06:16:06 ID:nT5hSb4I0
投下します

211妖魔の考える事は妖魔からん(ようわからん) ◆lYiZg.uHFE:2010/01/26(火) 06:16:41 ID:nT5hSb4I0
「殺しあうつもりがないなら、ノアを倒すのに協力してください!」

戦士は何度も目の前の玉座に座る男へと同様の言葉を投げかける。
その度にその男は「興味が無い」と無関心を続けてきたが、ついに根負けをし、戦士へと条件を突きつける。

「私に美しい連携技を見せてみろ。それで私を満足させろ。
 私がその連携技を気に入ったなら、気に入った分だけ花火を打ち上げる。
 何度やっても構わない。私に合計で10個打ち上げさせたなら手伝ってやろう」

そう、その男こそ何を隠そう花火のゲフンゲフン失礼、指輪の君と言われるヴァジュイールだ。

「連携……? コンボを見せれば協力してくれるんですか!?」

戦士はそれを聞くと、精神を集中させ―――流れるように技を繰り出し始めた。

決して実践向きとはいえないそれは、豪胆でありながら美しく、見るものを魅了させる。

人はそれを演舞と呼んだ。

ヴァジュイールの『美しい連携』という言葉で、彼は戦いの為の連続技でなく、修行の為の演舞を行なう事にしたのだ。

……

…………

………………

「ふぅぅぅぅぅーーーっ」

戦士が演舞を始めてから十数分が経っただろうか。
ようやく演舞は終わり、戦士はヴァジュイールの反応を見る。

「実に素晴らしい。一人だというのにこれほど美しい連携を見たのは初めてだ」

ヴァジュイールは手を叩き、戦士をねぎらうように褒める。

「で、点数の方はどうなんですか?」
「そうだな……花火は没収されているんだったな。では代わりにこれでいいか」
戦士はヴァジュイールの反応に、僅かながらの期待を込めながら催促をする。

だが、その直後―――

ドンッ!、と何かが爆発するような音がして、ヴァジュイールの首が空を舞った。

「あ―――、たったの1点か」

戦士は突然の出来事に呆然としながら、思わずそう口にしていた。


【一日目・日中/D−3 城の王の間】
【名称不明(ソードマスター)@ソウルキャリバーⅢ】
[状態]:呆然
[装備]:アイスブレード@ソウルキャリバーⅢ
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜5
[思考]
基本:ノアを倒す。

【ヴァジュイール@サガフロンティア 死亡確認】
【参加可能者 残り2人+α】

212もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 06:17:18 ID:nT5hSb4I0
投下終了です。
こんなんで枠1とって悪い気もする。

213 ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:21:30 ID:nPByVn8g0
滑り込みセーフ、かな?
男ハンター@MONSTER HUNTER PORTABLE、シティシーフ女@Romancing Sa・Ga2、
超術士@wizardry XTH〜前線の学府〜、以上の三名で投下します。

214マダカレークッテナイデショー ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:22:49 ID:nPByVn8g0
 さびれちゃいるけど、あたたかそうな村へ続く一本の道。
 いや、道だと言われても、周りとそんなに変化はないようだった。
 田舎らしく舗装もなにもされてない、人間の足で固められた途切れがちの歩道。
 三百六十度、視界の開けて仕方のないそこで、オレはひとりの女の子と顔をあわせた。
 白いタイツとレースに飾られた、赤いヒールのサンダル。サンダルと同じ色をしたマントが風になびく。
 ついでに言うなら、真っ白なブラウスからのぞく、ちいさなおへそが印象的だ。垢抜けてるなあ。
 猫っ毛を神経質そうになでる彼女が会話の出来る距離に来るのを待って、口を開いてみる。

「やあ、オレはリズ。――自己紹介は要らない。だいたい分かったよ」

 同時に、基本的な超能力・プロファイを集中無しに使って、相手の心を読んでみる。
 なんのことはない、天へと続く道を手中に収めようとする魔軍の将・サーカスにやられたことの猿マネだ。
 アレで勝手に名前とかを知られてから、みんなにも隠れて集中時間の短縮を練習してたんだけど……。

「キャットさん、で、正解でしょ。都会の盗賊って、オレの仲間より腕が立ちそうだね」

 ああ、これ……思ってたよりもずっと気持ちいいや!
 っていうか、カッコいい。先回りして結論に飛べるって有能っぽく見えるし、スキがないって思われるよ。
 さてさて、キャットは殺し合いに消極的だ、と。なら、こっちのスタンスも説明したって平気か。
 いや――待てよ。“向こうの森が危ない”“はやく逃げなきゃ”だって?

「それで、キミは森で危険な人物を見たんだね? その、……はいてない、血みどろの女の子。
 だからあの村を目指している。“皇帝さん”に会うまで、死ぬわけにはいかないから。
 もちろん、こっちは……っ?」

 あれ? なんで?
 どうしてオレの……胸元に、短剣が刺さってんの?
 ちょっと紫がかっ、た、剣。強い魔力を……感じるんだけど。
「ええ。危険な人は――これで二人目よ」
 赤いマントで返り血を防ぎながら突きかかって来たキャットは、冷たい声を出していた。
「……あ」
 背中へ氷を突っ込まれた気分になる。頭の中が、一気にクリアになった。
 もう、これだからダメなんだオレは。こっちが相手の心を読めたって、逆はまずないじゃないか!
 行動そのものはよくても基本的なことを忘れてて、後になって苦労する。いつもどおりのパターンだ。
 みんなからは「天然」なんて言われてたけど、殺し合いの場で浮かれてるようなヤツはただのバカだよ。
 魔力のこもった短剣をとおして、キャットのショックや警戒、嫌悪感が伝わってくる。

 ――悪いなあ。
 やっぱりコレ、天然なんてもんじゃ……すまないや。


【リズ(超術士)@wizardry XTH〜前線の学府〜 死亡】


 *  *  *

 まな板のコイ。
 いや、こいつはハリマグロだな。
 脂がのっている、赤みのつよい桃色の身は、見慣れた目にも鮮やかに映る。
 まあ……正体がなんにせよ、引き締まった魚は美味しそうだ。肉の量も、皮膚から見た健康状態も申し分ない。
 こんな魚が民家のバケツに入って、しかも息をしてたなんて、幸先がいいと考えていいと思う。
 ただ、川魚だと寄生虫が心配なんだけど……それをカバーする火力のほうは十分だ。
 かまどから干し肉と月桂冠の葉で煮出したスープの鍋を下ろして、一気にシャケの皮を剥ぎ取る。
 うん、綺麗にとれた。職業柄といえるかな。動物の体をバラすことは、ぼくの得意技だと言って良い。
 あらかじめ頭を落としておいた魚を迷いの無い包丁筋でおろして、しっとりとしたフィレを塩と胡椒でしめておく。
 スープにも入れた黒胡椒の香りをひといき吸い込んで、ぼくは黒い鉄のフライパンを取り出した。

「らっらら、ららら、らったた……たたた」

 肉焼き歌を口ずさみつつ、無人の家から見繕った調理道具をかまどのおき火で温めておく。
 流し台のそばにある棚から取り出すのは、片身にした魚の表面にまぶすための小麦粉だ。
 そして、香りの良いバターと、瓶詰めのハーブと……やっぱりレモンもつけておこう。
「たらら、ららら、ららら――」
 ぱさつきやすいサーモンと相性の良い油を焦がしつつ、ぼくは歌を止めてみた。
 無人とはいえ、人様の家でこんなことをやっていいのか? と、思ったら負けだと考えてみる。

『でもなぁ……このバケツって、ものすごく見覚えがあるんだよな』

 色合いといい、へこみといい、素材といい傷といい。
 見覚えがあると言うより馴染みがあると表現したかった。

215マダカレークッテナイデショー ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:23:37 ID:nPByVn8g0
 こいつを傍に置いて、森の奥で釣りをしてた最中に、ふっと眠気を覚えたらノアの演説を受けていた――
 なんて背景まであるんだから、状況証拠はいやになるほど揃っている。間違いない、この魚はぼくの釣果だ。
 そして、あいつの言うとおり「今までやってきたことを考える」には、あんまりにもおなかが空いている。
 携帯食料も嫌いじゃないけど、黄金魚を釣りにいくついでなら、とれとれの魚を食べたいじゃないか?

『ま、魚の片身はふたきれあるんだし。誰かが来たら、話がてら振る舞うか』

 それが家主であっても、ぼくの料理なら満足させられる。そんな自信があった。
 焦がしバターのなかを泳ぐ魚には、小麦粉のおかげで油がなじみ、均等に火が通っている。
 ちゃんと余分をはたかないとカリっとしないし、粉っぽくなるんだよなあ。水気が出てないし、塩加減もばっちりだ。
 ……食べ物に困らないからハンターになったようなもんだけど、自分がこんなに料理が好きだとは思ってなかったなぁ。
 人間が環境を破壊する、だっけ。言われてみたら、ハンターなんて、破壊がそのまま歩いてるようなものなのか。
 対して、縄張り意識の強い飛竜種はともかく、草食竜のアプトノスなんて無害がそのまま歩いてるようなものだ。

『ただ、なぁ。同じように狩って殺すなら、肉も骨も甲殻も、きちんと使ってるわけで……。
 剥ぎ取りきれない甲殻とかは狩場の肥料になるし、死体の肉を食べた竜は、しっかり子どもを育ててるんだよなあ』

 そんな生活のなかで、特例だったのは伝説の一角竜・モノブロスくらいか。
 あれだけは、シュレイド王立の書士隊が資料にするといってなきがらを運搬したはずだ。
 彼らは王国の博物学や文明をまとめるとか、ハンターに向けては飛竜の肉質を公表するほかに、国全体でみた
適切な狩猟量とか――今までは、現場のモンスターハンターが感覚で計算してたものを教えているとも聞く。
 自然なんて、数字ではかっていいものだろうか。片身をひっくり返しながら、ぼくも結局考えてしまっていた。
 たとえば、ウォーミル麦を刈る前の日に雨が降っただけで、その年の収穫はぜんぶダメになる。
 逆に、麦がとれすぎてパンを焼いてみたところで、今度は食べる口のほうが足りなくなる。
 そんなものだから、ハンターのなかで『数字』を気にする人間はあまりいない。

「ノアだって、使命とかじゃなく、あの村で一年暮らしてみれば分かりそうなんだけど――」

 明らかに人間じゃない見た目を思い出して、ぼくは回想をやめた。
 あいつのやったことも許せないが、それ以上に、せっかくのご飯がまずくなる。
 よく見ると可愛い竜や怪鳥とだって共存できない人間が、あんな化け物と「おはよう」なんて言い合えないな。
 ……ああ、イライラする! そうやって、あきらめかけてしまった自分のほうにイライラしてくる……。

 案外、そんなだから殺し合いに呼ばれたんじゃないか?
 理解とか、交流とか、人間じゃない――植物や自然やらに、わが身と同じようなかわいさを保てないから。

 でも、落ち込むより先に、ぼくは思い出していた。
 携帯食料や砥石がきれる最後の最後まであきらめずに、はじめて火竜を狩ったときのことを。
 お互いボロボロになってたけど、あの時はなんだか、リオレウスの黒い瞳に、感情まで読み取れるような気がした。
 あの眼を見たとき、「ああ、こいつのおかげで、いま生きてる」って、思えたものじゃないか!
 今じゃ急所も知り尽くしたアプトノスや、無傷で狩れるイャンクックを相手にしたときにも、それはあった。
 誠実に生きてきたものの命を、そうやって背負ってきたんだ……殺し合いになんて、素直に乗れるはずはない!
 人間は、感謝しながら殺せるような相手じゃない。上手に焼いて、おいしく食べるような相手なんかじゃないんだから。
 そんな理不尽に巻き込んでくれたノアに向けたい怒りが、自分のなかでふくれあがっていく。

「……そこに誰か、いるの?」
「ああ。ちょうど魚が焼けたんだ……手が放せないけど、入ってきていいよ」

 だけど、どうしてなんだろう。
 不意のノックに続いた女の子の声に、ぼくは不思議なほど落ち着いた声を返していた。
 初めて出会った“参加者”の接触。そこに敵意は――きっと、ない。

 *  *  *

216マダカレークッテナイデショー ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:24:36 ID:nPByVn8g0
「……それで、逃げてきたってわけ。
 一応こんな術も使えるんだけど、刃がガリガリ回ってた剣に通じるとも思えないし」

 苦い顔をした都会の盗賊――
 アバロン帝国のシティシーフを名乗るキャットが指を鳴らすと、何もないところから剣が現れた。
 原理はよく分からないが、平たい刃のそれは、彼女の体を守るように周囲をまわっている。
「回転するって、こんな感じにかい?」
 デイパックから泡立て器に似ている剣を取り出してみると、彼女は強く、短くかぶりを振った。
「ううん。そんな武器だったら、この“ソードバリア”で十分かわせる」
「え? ちょっと――」
 言うが早いか、彼女は椅子から低く跳び、ぼくの手もとに体をぶつけてくる。
 無防備と言っていい仕草に対処するより速く、連合軍とやらの紋章が入った剣は彼女の胸を――

「……こんなふうにね」

 とらえない。
 光の剣が消えた代わりに、彼女のほうもまったくの無傷だ。
 そうなったから良かったものの、効かなかったらどうするつもりだったんだ?
「よく分からないけど、盗賊っていうのは、もっと用心深いものじゃないのかな」
「もし当たったら、傷を癒す術を使うわよ。盗賊は、無策でぶつかったりしない」
 ……また『術』か。
 理屈がはっきりしないけど、呪い(まじない)と考えたらいいのだろうか。
 と、悪いクセだ。今やるべきは、細かいことを気にするよりも、現状の把握のほうだろう。
「村の西だね? そこで、血みどろの女の子を見たって」
 キャットに問いかけながら、ぼくは普通の大きさをした食器を手にする。
 流し台の上から自分の背中に移し変えたのは、調理道具にもなる双剣――シエロツール。
 伝説の食通、ムッシュ・シエロと同じ名前をつけた親をうらんだのも、もう、ずいぶん昔のことだ。
 料理が出来て困ることはなかったし、明らかに無防備な様子を見つけたキャットも来たんだから、むしろ助かってる。
「ひとりで食べるつもりだったから、量はないけどね。食べておかないとあとがつらいよ」
 ハリマグロのムニエル、その片身を少女にやって、ぼくもひと切れ口に入れた。
 肉から伝わる塩気と油気をパンで洗ってやると、舌が乾いて干し肉のスープを飲みたくなる。
 そして、スープに入れておいた月桂冠の葉が爽やかで、重みのある魚を食べたくなる――。
 たったの一巡じゃあ、かえっておなかが空いてしまうから、手を伸ばす。手を伸ばすから、幸せが繰り返しになる。
 こんなところでも、やっぱり、食事の時間というのは素敵なものだった。
「なんか――すごく、おいしそうに食べるのね」
「実際、おいしいからね」
 ふた口目のスープをすすったところで、キャットが笑みを浮かべてくれた。
 少し暗い顔つきなのは、仕方ない。仕方ないと思う自分に腹は立つけど、ぼくが能天気すぎるんだろうから。
 双剣か、片手剣か。武器を選べるほど恵まれてたのに、それを料理に使う世界と……キャットの見てきた
血みどろになって恍惚としていた女の子の姿は、きっと、天と地くらいにかけ離れたところにある。
 吊り目がちの瞳が揺れるさまを見て、なんだか、料理を食べる手も止まってしまった。
 なにか、言葉をつむごうとしてやめるキャットの様子がおかしい気がしたから。
「とりあえず、ぼくに話して楽になるなら、話していいよ。
 その。まあ……泣きたいけどかっこ悪いとかなら、食べながら聞き流すことにするし……」
 ああ――どうか、情けない、などと言わないでもらいたい。
 別に木の股から生まれたというわけではないんだけど、いかんせん、こういう空気には弱かった。
 女の子よりも竜の尻尾を追いかけているようなハンターに、そういう期待をする方が間違っているとも言える。
 とはいえ、森からも少し離れていることだし、どんなに不恰好でも、膿を出すなら早いうちの方が良い。

「あのね。最初に言っておくべきだと思ったけど、あなたがあんまり優しそうだったから。
 私がどう思われても、先に、森から危ないヤツが来るかもってことは知っておいて欲しかったの」

 そして、キャットは口を開いた。
 さっきまでの口調とはうってかわって、なにか、まわりくどいものがある。
 歯にものが挟まったような言葉を、ぼくに止めて欲しいのか、それとも苛立って欲しいのか。
 限りなく濃密な時間が流れる。逡巡のすえ、キャットは、ぼくの顔をまっすぐに見つめた。

「私、ひとり殺したわ」

217マダカレークッテナイデショー ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:29:25 ID:nPByVn8g0
 リズという名前の、赤い制服を着た男の子。
 出会った矢先に、彼は自分の目的も告げずに心を読んだそうだ。
 女の子を見た後には、それが怖くて。ひょっとすると、過剰防衛してしまったのかもしれない――。
 ぽつぽつと言葉をつなぐキャットの表情を見ながら、ぼくは、自分の予想が当たったことに天を仰いだ。
「……もう知ってる。というより、臭いで予想はついてたよ」
 知ってる、という単語で済ませるのはまずいと思い、手早く説明する。
 ソードバリアとやらの効果を試すとき、キャットは勢いをつけて懐に飛び込んできていた。
 そのときのぼくは、血の臭いというやつは、人間も竜もたいして変わりがないなと感じてしまったわけだ。
 他人の血をかいで、ようやくそれが分かるんだから、ぼくもよくよく鈍感に出来ている。

 ともかく、血みどろの女の子からは逃げてきたわけなんだから、キャット自身が血に触れたとみていい。
 でも、ここにいない、顔を見たこともないリズに対する感情は、いまひとつ沸いてこなかった。
 それよりも、目の前のキャットが、不安の原因を消してもまだ不安定でいる。
 爆発させたらぼくの命も危険だ、という考えもあるが、なんだか、そっちのほうが気になってきた。

「ぼくがいたら、いいかい?」

 それに、そんな……鈍感で女尊男卑のぼくにだって、出来ることはあると思った。
「え?」
 視線の定まらないキャットに向かって、もういちど言う。
「だから。きみが話すきっかけを作ったのはぼくだし、そんな状態でほっとけないからさ。
 誰かと会うってときに、ぼくがいたら……不安になったり、しない?」
 ……辺鄙な村の、小さな家。
 地位が高い人間ほど、大きな窓の家に住めると聞くけれど、ぼくの家はそれなりだった。
 でも、通りを行くたびに、人は声をかけてくれて。行商のおばさんに会ったりすると、果物を投げ渡されたりして。
 あの道を行って、誰かの顔を見るたびに、なんだか、『頑張ろう』って思えたものだから。
 そんなことを考えてみると、困惑した様子のキャットに投げかけるべき表情も分かってくる。
 少しだけでいい。大丈夫だって、ゆっくり、笑ってやればいい。

「シエロ。――ごめん、……ごめんなさい……!」
「いいよ。生きてるって、気遣いあうのと、迷惑をかけあうみたいなものだから」

 ハンターをやっていて分かったのは、そんなものだ。
 竜と人間の命はぐるぐる回っているようなものだし、それは村の中でも同じだと感じる。
 ……それでは言葉が足りていないというか、あんまりにも、学のなさすぎる解釈だろうか?
 でも――冷静そうなふりをやめて、泣きついてくるキャットの様子を見ると、簡単でいいんだなと思えたんだ。


【A-2/レーベの村・民家/午後】
【シエロ(男性ハンター)@MONSTER HUNTER PORTABLEシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:シエロツール@MHP、連合軍式隊長剣@wizXTH
[道具]:基本支給品、くろこしょう@DQ3
[思考]:守れる者は守る。戦うべき者とは戦う
1:キャットと一緒に行動する
2:殺し合いに乗るのは最後の手段にしたい
[参戦時期]:無印クリアずみ。2ndにデータを継承している(ポッケ村を知っている)可能性あり。
[備考]:髪型・ボイス・フェイスパターンなどは、後の書き手さんにお任せします。

【キャット(シティシーフ女)@Romancing Sa・Ga2】
[状態]:軽度の混乱、術力消費(小)、マントなし
[装備]:サイコダガー@魔界塔士、ヒールのサンダル@ロマサガ2
[道具]:基本支給品×2、不明支給品1〜4
[思考]:生存を最優先に行動
1:シエロの胸で泣く
2:皇帝or信頼できる仲間のために、ノアや参加者の情報を集める。
 村の様子を調べておきたい
3:血みどろの少女(内田珠樹)を警戒
[参戦時期]:運河要塞クリア前(皇帝に抜け道の情報を渡していない)
[備考]:天の術法を修めています。

※A-2/レーベの村・民家で煮炊きが行われていました。
 時間帯は【日中】。強い匂いを放つものはありませんが、煙突の煙は周囲から視認可能。

218マダカレークッテナイデショー(last) ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:30:27 ID:nPByVn8g0
【シエロツール@モンスターハンターシリーズ】
双剣に分類される武器のひとつ。巨大なナイフとフォークがセットになった、いわゆるネタ武器。
「こんがり肉」を発明した食通、ムッシュ・シエロの食事道具にして調理道具である。

【連合軍式隊長剣@wizardry XTH〜前線の学府〜】
片手剣のひとつ。主な素材は「回転式泡立て器」で、斬った相手の首を刎ねることもしばしば。
見た目と性能がさすとおり、英語名は“ブレード オブ カシナート(カシナートの剣)”である。

【くろこしょう@DQ3】
聖なる川の流域でしか採れないスパイス。使ってもくしゃみをするだけ。
好物とするポルトガ王に渡すと、帆船を用立ててくれる。

【サイコダガー@魔界塔士】
店売りの短剣。魔力の高さに比例して、威力も上昇する。

【ヒールのサンダル@ロマサガ2】
シティシーフ女の固定装備。防御力は低めだが、斬・打・突の攻撃に耐性あり。
装備していると、体術「ふみつけ」が使用可能になる。


【参加可能者 残り0人】

----------
以上で投下を終了します。
ごめんね……尻に定評のある女ハンターを出さなくてごめんね……!

219 ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 06:41:07 ID:nPByVn8g0
>>214で、いきなりマグロがシャケに変わってる部分がある……だと……?
もともとはスネークサーモンにしてたのを忘れてました。wikiで直しておきますー。

220もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 06:58:40 ID:Z5/lCiZ20
起きたら埋まっとる!w
おぼろげながら浮かんでいたネタは没にしとこうw
読んでる暇がないので、とりあえず状態表見て現在地だけ更新。




A−2/日中  ○内田珠樹(森)、○プルフォー(宿屋2階の1室)、○有里公子(宿屋2階の1室)、○ブシド・ザ・ブシエ(町・街道)、○宿屋の主人(町・宿屋Bと民家のミックス跡地)、●ジロン(森)、●男盗賊(町・宿屋Bと民家のミックス跡地)
A−2/午後  ○シエロ(レーベの村・民家)、○キャット(レーベの村・民家)、●リズ(レーベの村・民家)
A−3/日中  ○米倉京太郎(平原)、○レッド(森林)、●キメラ(森林)
A−4/日中  ○ショッカー戦闘員(森)
A−5/日中  ○イム(森)
B−1/日中  ○藤林沙理子(山岳沿岸部)、●オルテガ(山岳沿岸部)
B−3/日中  ○ケイ=アイ(森)、●越中詩郎
B−4/日中  ○名前不明(闇の四戦士の一人)(平原)、●リヴァイアサンに瞬殺されたヤツ(平原)
B−5/日中  ○山羊さん(森)
C−1/日中  ○ナイトウ(山岳部)、○エース(山岳部)
C−3/日中  ○E・シズカ(森)、○ブシド・ザ・ブシコ(森)、○???(女遊び人)(森)、○ネリシア(森)、○神代浩司(森)、●カンダタ(森)、●???、●???、●???
C−4/日中  ○ロラン(山)、●ウザイナー(森)
D−2/午後  ○ジャガン、○マクスウェル、●KING構成員
D−3/日中  ○ロシェ(城庭園)、○アルス(勇者の家付近)、○サマンサ(勇者の家付近)、○ニム(道具屋付近)、○フラン(道具屋店内)、○ミレニア(ナジミの塔頂上)、○ネリー(アリアハン周辺)、○名称不明(ソードマスター)(城王の間)、●ともぞう(道具屋付近)、●ダイナマ(ナジミの塔真下)、●ヴァジュイール(城王の間)
D−4/日中  ○ナイン(森)、●ココット(森)
D−5/日中  ○リ=リリ(砂地)、○タムラ(祠内部)、○アクセル(祠内部)●やる夫(砂地)
E−2/日中  ○シュウ(南東部海辺)、○はんた(南東部海辺)
E−4/日中  ○ワーム(山)、●ルーナ(山)

221 ◆69O5T4KG1c:2010/01/26(火) 10:48:55 ID:nPByVn8g0
ちょっと早かったかな? wikiの更新にともなって、修正報告を。
自作「マダカレークッテナイデショー」A-2のシエロ&キャットを【日中】に修正いたします。
午後にすると、「GO!GO!GO!」の戦闘音をガン無視してることになっちゃうので。
一文だけですが、音に気付いた旨を本文(と、状態表)にも追加してます。
面白いものを読ませてもらったと思ってたのに、申し訳ないです。

現在位置のまとめも、お疲れ様です。助かってます。
ラムザ(男遊び人)の死体が、D-3・勇者の家にあるみたいです。
……アリアハンの街はドラクエ3フィーバーだぜw

222もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 19:59:53 ID:Kbbdsc2.0
まとめて感想いくぜー!

>安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?
ジャガンてめえw 太陽の石を飛び道具に使うんじゃねえw

>LIFE A LIFE
女勇者は殺し合いに乗ったか……。夢見るルビー、使い方によってはえぐいアイテムなんだなあ……。

>赤い彗星の如し
ネテロ会長wwww 投擲の達人というのも恐ろしいものだw

>ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。
越中詩郎ってwww エキプロかなんかからのエントリーかと思ったら、アメトーークかよw

>刑死者コミュ―プルフォー―
まさかプルのクローンが来るとは……。ハム子が上手くコミュを築けるかが問題だな。

>幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら
アホの子だ! アホの子がいる!

>バカと天才は紙一重
内藤www 誰かブロントさんもどきを投下するんじゃないかとは思っていたが、こっちだったかw

>君が願うことなら
ワーム、まさかの対主催路線か。ルーナも残念な結果だったが、無駄死ににならなかっただけ報われてるのかな。

>GO!GO!GO!
まさかのドラクエとライダーのコラボ! 盗賊、お前は男だったぜ……。
宿屋の主人はてっきり一話死亡要員だと思ってたのに、生き残ってびっくりだ。
そしてブシエ、戦闘力がチート過ぎるw

>変質者達の狂演
オルテガーっ! 勇者にしてはあっけない最後だったが、これもバトルロワイアルというものだな。
というか、さりげなくタイトルがひどいw

>妖魔の考える事は妖魔からん(ようわからん)
うん、何がしたかったんだこの人w

>マダカレークッテナイデショー
料理描写が秀逸ですなあ。そしてカシナートの剣、先に出されちゃったか(厳密には違うけど)。


そして、現在地入りマップです
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0369.jpg

223もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 20:01:27 ID:Kbbdsc2.0
おっと、説明を忘れるところだった
青=対主催
赤=マーダー
黄=不明
灰=死者
となっております

224魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:20:18 ID:a1AjfyP60
女僧侶投下します

225魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:20:45 ID:a1AjfyP60
運命の悪戯とは、よく言ったものだ。
彼女は常人の数生分におけるほどの奇妙な人生を送っている。
魔王退治に殺し合いに唐突な悪魔合体。
これまでに判明しているものを挙げただけでも、それぞれ一つ一つが物語の主人公足り得るだろう。
だからだったのだろうか、もう一つ運命の悪戯というものが起こったのは。

彼女の合体の組み合わせは本来ならば失敗以外のなにものでもなかった。
彼女の新たなる生は、スライムとして送られるはずだった。

だが、合体結果が出ようとしたまさにその時、不思議なことが起こった。

合体材料の一つ、水銀燈のローザミスティカが突如輝きだし、
本来ならば、スライム誕生という最悪の結果で成功するはずだった悪魔合体を事故らせたのである。

さて、前置きはこのぐらいでいいだろう、そろそろ彼女に登場してもらおうではないか。



ご存知、ないのですか!? 
彼女こそ、女僧侶でありながらチャンスを掴み、四騎士の座に上りつめた、                          
超冷血系魔人少女、ニムちゃんです!

226魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:20:58 ID:a1AjfyP60


                  、     ,
                     ヽ    /
                    ,ヽ-;‐;-i!.、
                , '⌒i!| |/!⌒`'、
                    /:.:.:.:。|!| |:|!:.:.:.:.:.:ヽ
                i:.:.:.:.:/|!| |:|'、:.:.:.:.:.:.!    我が名は 魔人 ブラックライダー
               l、_;ノ┘| |└ヽ、_;;ィ       コンゴトモ ヨロシク 
                ト'´;:、 -‐- 、`‐-!
                ヽ、\. : | /`>::.!
               ,:=ノ、ヽ _,/-'/ト、
                lヾ、:::`::─::::':´::./:::.ヽ
         _,. ;-‐'::"´\:ヽ:::::.::::::::::::/;':::::::.``‐-、___
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227魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:21:31 ID:a1AjfyP60



「あ、ありえん!」
悪魔合体が終わり、自分の体を見た彼女はその言葉を発して硬直した。

それもそうだろう、
彼女の体は以前の全身タイツから感じられるエロチシズムたっぷりの官能的な熟れた女体の肉体ではなく、
とりあえず何かあったら敵組織の仕業にしておきそうな、そんな感じのもうこいつだけでもいいんじゃないか的ヒーローのソレへと変じていたのである。





「………………ト、トリアエズ荷物ノ確認をシヨウ、ソウシヨウ」
数分後、現実に戻った彼女はとりあえず現実から目をそらすことにした。
まだ、自分がこの様な姿であることを認めるよりは支給品の確認をしている方が楽であると気づいたのである。

「サア、支給品ノ一ツ目ハ何カナー?」
デイパックの中に手を入れ、適当に引き抜く。


それは支給品というにはあまりにも大きすぎた

大きくぶ厚く重くそして神々しすぎた

それは正に玉座だった

「ナ、ナンダコレハ?車輪ノ付イタ玉座?」
デイパックのサイズ的に入るわけのない支給品、『サウザーのバイク』を見て圧倒されるニム。

「………………ヨシ、トリアエズ玉座ニ座ロウ」
倍プッシュ、彼女は再度現実から逃避した。

「ウワァ、案外フカフカダァ」
贅を尽くされたサウザーのバイクの座り心地に、落ち込んでいた気分が癒されて行く。
「スコシ、驚イタケドコノ支給品ハ当タリダッタノカモシレナイナァ」
付属の説明書を読みながら、一人呟く。
どうやら、前の部分にある座席をいじるとこの巨大な玉座は動くようなのだ。

「サァ、次ノ支給品ハ何カナァ?」
悪魔化した自分の精神が癒されて行くのを感じながらデイパックに手を突っ込み、支給品を取り出す。

「コレダァ」
その支給品は、水着であった。
局部を隠す程度の布でしかないまさに危ない水着であった。

「…………ヨシ、守備力ヲ上ゲルタメニコレヲ装備シヨウ」
現実とは、かくも辛いものだっただろうか。
彼女は最早、現実から逃避せざるをえなかった。

「…………コンナモンカナ」
あぶない水着を装着し終わり、一人呟くニム。
本来の彼女の姿であったら、下半身に血が溜まりそうな官能的な光景だったであろうに、
あぶない水着をつけた魔人など、百歩譲ってもただの変態にしか見えなかった。

228魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:21:44 ID:a1AjfyP60


「……」

「…………」

「………………何をやっているんだ、私は」
長らくの沈黙の末、彼女は現実へと戻ってきた。

「何で私はこんなシュールな姿になっているんだ……
いや、自答するまでもなかった、あの変な老人のせいだ」
自分が保護しようとした老人の死体を見ながら一人呟く。

「ううう、それにしても……この恨みは誰にぶつければいいんだ。張本人である、老人はむかつくぐらいに安らかに死んでるし……
ああ、そうだ。アイツだ、そもそもこんな所に呼び出したアイツが悪い」
自分をこの殺し合いに巻き込んだ張本人であるノアの姿を思い出しながら、憎々しげに呟く。

「そうと決まれば……ノア打倒を目指して頑張ろう、まずは仲間探しだな…………」
もし彼女の顔が人間のソレであったならば、表情の変質がはっきりとわかっただろう。
彼女は大事なことに気づいてしまった。

「ていうか……この姿じゃ、問答無用で襲われる可能性の方が高い!ありえん!」
地面をゴロゴロと転がりながら、頭を抑え考え込む。

「ちっくしょー、あれも!これも!それも!どれも!全部ノアの仕業だ!

おのれノア!絶対に!ゆ゙ る゙ ざ ん゙ !」
周囲に彼女の心の底からの叫びが響き渡り、こうして彼女の殺し合いは本格的な始まりを迎えた。

【D-3/アリアハン・道具屋付近/日中】


【ニム(女僧侶)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:悪魔化(魔人 ブラックライダー@真 女神転生3)
[装備]:あぶない水着
[道具]:基本支給品、サウザーのバイク
[思考]:全部ノアの仕業だ!ゆ゙ る゙ ざ ん゙ !
1:仲間を探しに行きたいが、この姿じゃ……ありえん(泣)

*ニムは魔人 ブラックライダーになりました。ブラックライダーの初期スキルを使うことが出来ます。
*ニムの外見は仮面ライダーBLACK RXです。

229魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:25:54 ID:a1AjfyP60
【あぶない水着@DRAGON QUEST3】
文字通り、面積が危ない水着。
というか布。女性専用である。

【サウザーのバイク@北斗の拳】
一言で言えば、玉座のついた巨大なバイク。

230魔人転生 ◆fRBHCfnGJI:2010/01/26(火) 23:26:06 ID:a1AjfyP60
投下終了です

231もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 23:30:22 ID:nPByVn8g0
皆さん投下乙ですー。

>君が願うことなら
なるほど、ワームも無名キャラ……こんな素敵な発想はなかった。
ウカワームに縛られる立場の戦闘員が、ルーナの冒険に憧れる気持ちも分かるぜ。
文章が読みやすいし、ときおり出てくるジョジョっぽいセンテンスの馴染みようも素敵!

>GO!GO!GO!
宿屋の主人が一話で死亡する、そう思っていた時期が(ry
男盗賊がすごくいい。ブシエの圧倒的な能力に、覚悟と魂で向かったところはまさに勇者の仲間だ。
宿屋の主人も綺麗にキャラ立ったし、今後が気になるが……魔女wwwサマンサのことかwwwww

>変質者達の狂演
なるほど、擬態を逆手にとって攻撃を回避。ワーム、なかなか深いなあ。
覚悟するまでもなく殺せたものの、光はともかく轟音が内藤たちに近いのか……。
真面目に戦ってるはずなのに、変質者に入っちゃったオルテガさんはご愁傷様としかw

>妖魔の考える事は妖魔からん(ようわからん)
玉座の王に捧げる剣舞。いいシチュエーションだなと思ってたら花火の君がやりやがったwww
誇りのために命を捨てるのは、人間の目から見ればバカを通り越してシュールな光景だな。
いろんな意味でショックだったろうソードマスターマジ頑張れ。マーダーが階下にいるけどね!

>魔人転生
AAネタには耐性がついてきたと思ってたのに、事故の過程はともかく結果がありえん(笑)
女僧侶かわいいよねって夢を打ち砕いた魔人の見た目はライダー違いだw 冷血系ってか怒りの王子じゃねえかwww
故郷では仲間に突っ込む役だった彼女が、果たして他の参加者からどう突っ込まれるのか。すごい楽しみですw

現在位置・地図もGJ! 過密地帯が色んな意味で怖いことになってますね。

232もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/26(火) 23:59:17 ID:gPBaspA.0
ありえん(笑)あ、ありえん(笑)
RXwwwwwRXwwwwwwwねーよwwwwwwwwww
もう無理wwwwwwwwいい意味でアホだwwwwwwwwwwwwwww

233もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/27(水) 00:46:18 ID:vRSSpwI.0
まとめて感想言っちゃうぜ!

>怒りの錬金術士
地味にフラグがあって怖いwwwwwwwwww
錬金でどんなアイテムが生まれるかすごく楽しみです!
……ウェディングか、そういえば出てないなあ

>安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は?
ジャガンは相変わらず外道wwwwww
言ってることがまとものようでそうでないのが怖いぜ!
計算で何とかしてくれマクスウェル!!

>赤い彗星の如し
そんな感じで怪物がポンポン生まれても困るwwwwwww
こいつがポケモンと戦ったほうが早いwwwww

>ずっとずっと、主と一緒。ずっとずっと、壊れるまで。
なんというプロレスラー
でも相手が悪かった。
ゴーレムのスタンスもおもしろいですねえ。

>刑死者コミュ―プルフォー―
プルフォーも面白いキャラですのう。
同転がるかが楽しみです。そして人類みんな兄弟wwwwwwwwww

>幼女って大切だよね、馬鹿ならなおさら
バカっていいよね

>君が願うことなら
ワームって面白いなあ……擬態能力がすごく興味深いです!
果たしてロランは見抜けるのだろうか?

>GO!GO!GO!
ブシエTueeeeeeeeeeeeeeeeee
宿屋のおっさんに覚醒フラグが……あるのか?!
男盗賊がイケメン過ぎて生きているのがつらい

>変質者達の狂演
変態扱いのオルテガwwwwwww ワロタwwwwwwww
誤認はまあ誰にもあることだよ。

>妖魔の考える事は妖魔からん(ようわからん)
何がしたかったしwwwwwwwww

>マダカレークッテナイデショー
料理人にもなれるハンターカッコイイ……
かっこよくて生きているのがつらいぜ。

>魔人転生

 あ り え ん

234もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/27(水) 01:26:30 ID:EOxGJlcwO
ところで名簿でととモノ参加者はシリーズ分けて表記されてるけどあれでいいかな?
BUSINとWIZみたいに別に分ける感じでいった方がいいならおいとくけど

235もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/27(水) 03:51:20 ID:N30EmVas0
>GO!GO!GO!
男盗賊の男前っぷりが眩しい! 頑張れ、宿屋の人!
にしてもブシエつえええええええ! この姉妹やっべえ!w
しかしファイズってww

>変質者達の狂演
バイバイオルテガさん
変質者だけど結構好きだよ変質者だけど
ネイティブも出てきたか。宿敵であるワームはああなっているが……

>妖魔の考える事は妖魔からん(ようわからん)
このヴァジュイール、何を考えているのか妖魔からん(ようわからん)
花火がまさかああなるとはw
激戦区の中、ソードマスターはどうなる!

>マダカレークッテナイデショー
料理が旨そうすぎて困る
ハンターかっこいいよハンター
リズは……可哀想だけど、なんていうか……やっちゃったなあ

>魔人転生
前の女僧侶の話で、アレを越えるカオスは出ないと思ってたのにw
まさかまさかのRX光臨wwwwwwww
泣いていいwwww女僧侶泣いていいwwwwww

236もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/27(水) 04:10:32 ID:N30EmVas0
投下しま

237『無名』:2010/01/27(水) 04:12:09 ID:N30EmVas0
 闇の戦士の駆るサイクロンというバイクが、森林内を走り抜ける。
 アクセルをある一点で固定したままで、時には緩やかに時には勢いよくハンドルを操作する。
 バイク運転にはとうに慣れきったらしく、周囲の樹木を掠ることすらもない。
 それにしても、どうしてわざわざ障害物の多い場所を疾走しているのか――その疑問の答えは簡単だ。
 いち早く全参加者を見つけ出すには、会場中をバイクで駆け抜けねばならない。
 とはいえ会場は平原ばかりではないので、いつかは山や森林を走らねばならない。
 だからこそ闇の戦士は、あえてすぐさま森林へと飛び込んだのである。
 これといった負傷もないうちに、塗装されていない地でのバイク操縦をマスターしておくために。
「…………くっ」
 ある程度の慣れが生まれてしまったからであろう。
 運転しながらも何か別のことを意識してしまう余裕が、闇の戦士の中にできてしまった。
 当然、考えるのはこれからやろうとしていることについて。
 先ほど切り伏せた相手は、明らかに優勝を目指そうとしていた魔物であった。
 だが仮に罪なき人間の場合も、同じように冷酷に徹することができるのだろうか。
 やらねばならないとは自覚している。
 早急に帰還しなければ世界が終焉を迎えてしまうことだって、分かっている。
 けれども闇の戦士の胸中には、まだ決めかねている自分がいるのだ。
 闇のクリスタルの中で悠久の時を経た闇の戦士からは、かつての記憶は殆ど抜け落ちている。
 それでも、心の奥底には世界を守りたいという思いがある。
 ゆえに封印されながらも、彼と仲間たちは光の戦士の誕生を感じ取れた。
 だというのに、世界を救うために全員を殺害してでも戻る。
 そう考えた途端に、どこかで躊躇しかけている。
 そんな自分が不甲斐なくなった名もなき魔剣士は、もはや顔も思い出せない自身の仲間に胸中で詫びる。
「なっ!?」
 突如、思案を巡らしていた彼の視界が真紅に染まった。



238『無名』:2010/01/27(水) 04:12:54 ID:N30EmVas0

「汚物は消毒だ〜〜〜〜っ!!!」

 炎に覆われたバイクを前に、頭髪を派手なモヒカンヘアーにしたガタイのいい男が声を張り上げる。
 その少し前に立つのは、口から炎を吐き出しているオレンジ色の巨大な蜥蜴。
 背中からは羽が生え、尾には文字通り火が灯っている。
「ふははは! この大蜥蜴しか武器がなかった時はハズレかと思ったが、なかなか当たりじゃねえかァ〜〜〜!」
 高笑いするモヒカン男の手には、半赤半白の球体。
 その中に、リザードンという名の炎を吐き出す蜥蜴が捕獲されていたのだ。
 本来は飼い主の言うことしか聞かないらしいが、そこはノアが球体に手を加えたのだろう。
 都合のいいように解釈したモヒカン男の聴覚が、やけに落ち着いた声を捉えた。

「助かったよ、分かりやすいので」

 その音源が燃え盛るバイクの方でなかったことに驚愕し、モヒカン男は勢いよく首を回した。
「あんた、どうやって!?」
 熱を感じ取ったのと同時に、『ミニマム』という呪文を唱えて身体を縮めてサイクロン号から飛びのいた。
 と、真相はそんなところであるのだが、闇の戦士は返答せずにバスタードソードを握って地面を蹴る。
 わざわざ答える必要がないし、無駄に時間を消費する余地はない。
 モヒカン男は遠ざかるが、闇の戦士は深追いせずに残されたリザードンへと標的を変えた。
 直撃していなくとも、先の不意打ちでリザードンの吐き出す炎の威力は見極めている。
 闇の戦士がいた世界で言うところの『ファイガ』程度。
 ならばそこまで後に支障が出るようなダメージは追わないと判断し、直進を続けた。
(取った!)
 吐き出された炎を横に飛ぶことで危なげなく回避し、闇の戦士は標的の腹に突き刺さんとバスタードソードを伸ばす。
 しかし西洋剣の切っ先が触れる寸前、リザードンは力強く地面を踏みしめた。
(クエイク!?)
 リザードンを中心に大地が鳴動し、その衝撃で闇の戦士は体勢を崩してしまう。
 何とか倒れこむまでは行かなかったものの、体勢を立て直した闇の戦士の眼前には巨大な炎が迫っていた。
「しま――――っ」
 思わず零れた言葉を最後まで告げられずに、闇の戦士は大の字を象った業火に飲み込まれる。
 その火力は、闇の戦士の世界では『フレア』と呼ばれていた火炎魔法に匹敵するほどであった。


「すげえ〜……!」
 リザードンの元へと歩み寄ってきた男が、眼前の惨状に思わず感嘆してしまう。
 大の字の炎は、木々を焼き尽くすどころか地形までも歪めていた。
 それを正面から受けた闇の戦士は、黒ずんだ土の上で横たわっている。
「わはははは! こいつさえいれば、優勝するのに苦労しねえぜ!」
 モヒカン男ははしゃぐように、リザードンの背中をバシバシと叩く。
 上機嫌そうな主人とは対照的に、リザードンの方は不愉快そうに目元をひくつかせている。
 ノアによる制限がなければ、モヒカン男は火炎の中で炭となっているだろう。
 忌々しい制限に牙を軋ませるリザードンの視界が、銀色の閃光を捉えた。

239『無名』:2010/01/27(水) 04:13:18 ID:N30EmVas0
 それが短刀であると理解した頃には、リザードンの右目には鋭い痛みが走っていた。
 深々と突き刺さった短刀に、たまらず絶叫。
 本来の主人であるレッドがいたのなら、もっと早く攻撃に気付いて正確に指示を出していただろう。
 あまりにも天才じみた主人に仕えていたからこそ、リザードンからは野生の注意深さが消えていたのである。
 大蜥蜴の咆哮が大気を震わせ、葉っぱが辺りを舞う。
 状況を理解できないモヒカン男をよそに、ミスリルナイフを投擲した闇の戦士が駆ける。
 負った火傷は無視できるようなものではない。
 それを承知でバスタードソードを握りながら、闇の戦士は身体を疾風とする。
 ダメージが大きすぎるゆえに、ただ剣を振るっても望むような一撃は放てない。
 そのことを分かっているからこそ、闇の戦士は上半身を限界まで捻った。
「ふッ!」
 鋭く息を吐いて、闇の戦士は伸ばしていた身体を一気に戻す。
 遠心力が上乗せされたバスタードソードは、右目の痛みに身悶えしていたリザードンの首を鮮やかに切り落とした。
「えっ、わっ! そ、そんな、あんた!?」
 噴水のように飛び散った赤黒い液体を浴びて、モヒカン男はやっと闇の戦士の生存に気付いたらしい。
 虚を付かれながらも、氷塊のような冷たい視線を浴びて我に返って後退しようとするも、思いに反して倒れこんでしまう。
 胸元を深く切り付けられたからだと気付いたのは、地面に打ち据えられてからだった。
 必死でデイパックに手を伸ばそうとするが、それに気付いた闇の戦士に拾い上げられてしまう。
「どう、して生き、て……?」
「ただの修練の賜物だ」
 万に一つもない生の可能性を奪い取るため、闇の戦士はバスタードソードを倒れ伏す男にあてがう。
「アン、タ、何、者……」
 首元に冷たさを感じつつ、モヒカン男は弱弱しく問いかける。

「…………もう、名前なんて忘れたよ」

 苦々しく言い切った闇の戦士の頬に、数滴の血が付着した。



240『無名』:2010/01/27(水) 04:13:37 ID:N30EmVas0

 闇の戦士がモヒカン男のデイパックを確認してみると、見覚えのある青い液体が飛び出してきた。
 エリクサーというの名の、負傷を癒して疲労と魔力を完全に回復させる薬品だ。
 なるほど、モヒカン男が必死でデイパックに手を伸ばしていたのを頷ける。
 などと一人納得しつつ、闇の戦士は暫し二本のエリクサーを眺めるも、服用することなく自身のデイパックに仕舞い込んだ。
 まだ二人殺しただけの状況では、切札となりうるエリクサーを消費するには早いと考えたのだ。
 ケアルラという名の中位回復呪文を何度か唱えることで、闇の戦士は負ったダメージを回復させた。
「妙に効きが悪い……封印中に身体が錆び付いたワケではあるまい。
……殺し合わせるというのに、平然と治癒を行われては不都合ということか?」
 だとすれば上位白魔法をマスターした仲間がいない現状で、あまり無茶な戦いはできない。
 エリクサーこそ入手したが、服用できる回数は限られている。
 けれども闇の戦士は休憩を取ろうともせずに、サイクロン号に跨る。
 世界が闇に覆われるまであと僅かの猶予しか残されていないし、何より――――

「この程度の障害、かつて光の力が氾濫した際と比べたら何ということはないはずだ……ッ!」

 その記憶はないが心がそう告げている。
 やはりどうしても戻らねばならないと再認識し、闇の戦士はアクセルを捻った。
 全身にぶつかる空気の塊に髪を靡かせながら、次の参加者を見つけ出すべく目を光らせる。
 襲撃してきた相手に対して意図せず『助かった』などと言及してしまったことに、彼はおそらく気付いていない。


【汚物を消毒するヤツ@北斗の拳  死亡】
【レッドのリザードン(支給品)@ポケットモンスター金銀  死亡確認】

【一日目・日中/B−5 森林】
【■■■(闇の四戦士の一人)@FF3】
[参戦時期]:封印中、光の戦士を待っている頃
[状態]:クリスタルメイルを除く衣服に損傷、疲労中、魔力消費小、新サイクロン号を運転中
[装備]:新サイクロン号(一号)@仮面ライダー、クリスタルメイル@FF5、バスタードソード@DQ3
[道具]:支給品一式×3、ミスリルナイフ@FF3、エリクサー×2@FFT
[思考]
基本:いち早く帰還
1:全参加者の殺害
2:サイクロン号で会場中を徘徊して、標的を探し出す。
[備考]
※ジョブは魔剣士。
※名前は忘れてしまっています。

241もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/27(水) 04:14:26 ID:N30EmVas0
投下終了。

書いといてなんだけど、名簿どうするんだろう……
迷惑かけてしまうことになったら、申し訳ないです。

242もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/27(水) 16:34:42 ID:ALMROHUo0
げ、いま見たら推敲前の投下してる……


>>204

> その記憶はないが心がそう告げている。

 その記憶はかなりおぼろげながら、心がそう告げている。
に、

>【一日目・日中/B−5 森林】

【一日目・午後/B−5 森林】
に、

修正させて下さい。
眠い時に投下するもんじゃないな……

243 ◆uOve0/ks1k:2010/01/28(木) 02:35:39 ID:8c0w7w7I0
レッド@ポケットモンスター金銀、ショッカー戦闘員@仮面ライダー、投下します

244赤の怪物、黒の超人 ◆uOve0/ks1k:2010/01/28(木) 02:37:15 ID:8c0w7w7I0

戦闘員は、改造人間である。
人間の十倍の戦闘能力とショッカーに全てを捧げる忠誠心。
そして、ショッカー以外をゴミのように扱う冷酷な心。
例え仮面ライダーを目の当たりにしようと恐れずに、無謀と言い換えることの出来る蛮勇で襲いかかる戦闘員だ。


その戦闘員は今、何が起こっているのかが分からなかった。


目の前にいるのは普通の少年。
まだ十五も超えていないだろう。
少年はどこかガッチリとした体格をしている。
腕周りや太股、首筋などは同年代から比べると段違いだ。
とは言え、まだ筋肉はつききってなくまだまだ伸び代を感じさせる肉体だ。

だが、その程度。
所詮は普通の人間、改造された超人類であるショッカー戦闘員では象と蟻ほどの力量の差がある。

なのに、なのに。
ショッカー戦闘員は決して少年から目を離せなかった。
まるで仮面ライダーを相手にしているような、そんな心地よい緊張感すら抱いている。

「……」
「……」

戦闘員も少年も一言も口にしない。
バイクのエンジンを吹かす。
戦闘員が乗るバイクは改造サイクロン号。
彼らショッカーの宿敵、仮面ライダーが乗るべきハイパーマシン。
だが、今はこの名もなきショッカー戦闘員が乗っている。
普通の関係であるならば、戦闘員は興奮と敵意の入り交じったを現わにしていただろう。
そう、戦闘員が脳改造手術を行われていなければ。
戦闘員は興奮などしない、ただいいアイテムを引き当てたと冷静に思う程度だ。
そのハイパーマシンに跨って戦闘員は西へと海をなぞりながら向かっていた。

そこで、この目の前の少年と出会ったのだ。
直ぐ北には海が見える。
戦っている最中に落ちてしまうかもしれないほどの近さだ。

戦闘員は僅かに考える。
この後、どうなる。
少年が持つのは数本の針だけ。
戦闘員が持つのはミスリルナイフと宿敵仮面ライダーのサイクロン号。
負ける要素が見当たらない。
だというのに、戦闘員はアクセルを回すことが出来ない。

「イーッ!!」

戦闘員は迷った後に、アクセルを蒸す。
後はこれで突っ込むだけ。
サイクロンの超スピードならば簡単に死んでしまう。
改造人間と言えど無事ではすまないのだ。


少年が先に動く。
改造人間である戦闘員ですらそう思えただけだ。
そして、戦闘員の肩に衝撃が走る。
思わずハンドルから手を離しそうになるが、歯を食いしばり持ちこたえる。
なんだこれは、と戦闘員は驚愕する。

245赤の怪物、黒の超人 ◆uOve0/ks1k:2010/01/28(木) 02:38:16 ID:8c0w7w7I0

しかし、同時に少年も驚愕に満ちていた。
本気で投げつけた、目にも留まらぬ一投。
それで決まりのはずだった。
サイクロンから振り落とされた相手は重症を負う。
スピードを出せば出すほどカウンターとなるはずだったのだ。
そして、痛みに悶えているところにトドメを刺す。
必勝の策のはずだった、だのに相手は未だにサイクロンへと跨っている。


戦闘員は『勝った!』と確信した。
この距離で避けられるはずがない、勝ったのだと。
だが、少年の目は死んでいない。
今度は戦闘員にも分かるほどのスピードで振りかぶる。
手には指で四本の針を挟んでいる。
目はまるで人を射殺すかのように鋭い。
そして、まるで野球の投手が速球を投げ込むときのように足を大きく踏み出し。

「イーッ!!?」

やはり、投げる瞬間は戦闘員には追えなかった。
改造された戦闘員ですら追えない、神すら目で追えぬその投擲。
放たれた針は一本は戦闘員の肩に。
残りは何処だ!?と戦闘員が探そうとした瞬間、大きく身体が崩れ落ちる。
世界が傾く、いや、サイクロン号が傾く。
そして、その後に『パアアアアアアアアン!!!』という音が聞こえる。
音を置き去りにした、少年の投擲。
それはサイクロン号の前輪と後輪、そしてブレーキケーブルを打ち抜いたのだ。

『サイクロン号の前輪と後輪とブレーキケーブルを打ち抜いた。』

確かに跨る戦闘員は仮面ライダーと比べると基本スペックも技量も大きく下回るだろう。
だが、だがそれでもサイクロン号は仮面ライダーの愛機。
安々と壊されるものではない、壊されていいものではない。

それを少年は、たったの一投で破壊したのだ。

サイクロン号が海へと落ちる。
戦闘員もそれに習うように、海へと吹き飛ばされていく。

「イーッ!!!!!!」

ショッカー戦闘員は海に落ちながら、少年へと向かって叫んだ。
『貴様、何者だ!?』という叫び。
この年でこれほどの戦闘力を持っているとなると、確実にショッカーの壁となる。
しかし、少年にその意味が分かるわけがない、ただの叫び声としか少年は受け取らないだろう。
だが、少年は僅かに帽子の唾を下げながら。


「ポケモンマスター、レッド」


そう呟き、ショッカー戦闘員が落ちた海を背後に去っていった。


【一日目・午後/A-3 森林】
【レッド@ポケットモンスター金銀】
[状態]:健康
[装備]:毒針@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1〜5
[思考]
基本:優勝し、仲間と再会する。
1:何処かへと走る。

※旧サイクロン号@仮面ライダーは海へと落ちました、何処に流れ着くか、利用できるかは後続さんに任せます。

246赤の怪物、黒の超人 ◆uOve0/ks1k:2010/01/28(木) 02:40:48 ID:8c0w7w7I0



   ◆   ◆   ◆



パシャリ、と。
海面から一つの黒い手が飛び出る。
その手は崖を上り、徐々に姿を現していく。
真っ黒な全身を包むスーツ。
それはレッドによって海に落とされたショッカーの姿。
北へと流された彼が、北にある崖を掴む。
地図を見ている、神視点の人間から見れば不可思議なことはないだろう。
だが、おかしなことはないのだ。
この島は、繋がっているのだ。
いかなる術かは分からない。
だが、南に進み続ければ地図の北へと出る。
そういうところなのだ、ここは。

ショッカー戦闘員は考える。
超人である自分をこうも簡単に撃退したあのレッドなる少年。
あれは敵だ、間違いなくショッカーの壁となる敵。
だが、なぜだろう。
ただ殺せばいいだけだというのに。

何故、ショッカー戦闘員の胸からは興奮が溢れてくるのだろうか。


【一日目・午後/E-3 森】
【ショッカー戦闘員@仮面ライダー】
【状態】全身打撲
【装備】ミスリルナイフ@FINAL FANTASY、ショッカー戦闘員スーツ@仮面ライダー
【道具】支給品一式、不明支給品0〜1(強力なものは無い?)
【思考】
基本:イーッ!(ショッカーへ帰還する)
1:イーッ!(参加者を殺す)
2:イーッ!(武器を探す)
3:……イーッ!(ポケモンマスター・レッドが気になる)

247 ◆uOve0/ks1k:2010/01/28(木) 02:41:09 ID:8c0w7w7I0
投下終了です

248戦いたい 殺したい 絶望させたい  ◆fRBHCfnGJI:2010/01/28(木) 19:32:02 ID:AucmmNI.0
内田珠樹、E・シズカとか投下します

249戦いたい 殺したい 絶望させたい  ◆fRBHCfnGJI:2010/01/28(木) 19:32:28 ID:AucmmNI.0
B-2 草原にて女が二人

片や 戦闘を好む侍 片や 殺人を好む狂女

視線が合い 死線があった

殺し合いを始めるに 言葉はいらなかった


「…………」
永遠とも感じられるほどに互いの睨み合いは続いていた。
戦闘を好み、それに殉じてもいいと思っていても無駄死するわけにはいかぬ。
殺しを好む、だからこそ易々と動いて死ぬわけには行かぬ。
互いには見えていた、はっきりと感じられる殺気の線、死の間合い。
簡単に動けば死ぬだろう、だからこその硬直。

シズカの肌が全身で殺気を受け止める、これこそが戦いの快感。
珠樹の頬が朱に染まる、ああ速く殺したい、血を浴びたい。

250戦いたい 殺したい 絶望させたい  ◆fRBHCfnGJI:2010/01/28(木) 19:32:45 ID:AucmmNI.0

珠樹の股ぐらから滴った汗とも愛液ともわからぬ液が、つうと太股をつたい地に落ちた時、戦況が動いた。

先に相手の死の間合いへと動いたのは珠樹であった。
我慢から解き放たれた犬の如く、弾丸の様に彼女の間合いへと跳ぶ。

「…………死ね」
当然の事ながら、それを見逃すシズカではない。 
童子切安綱 鬼殺しの刀を殺人鬼へと、ただ振るった。
言うならば、それは単純にして至高の斬撃。
火も纏わず、氷も纏わず、魔力も纏わず、
ただ斬るという単純にして明快な一点のみに絞った 通 常 攻 撃。

空気を切り裂き、肉を切り裂き、骨を断ち切り、そして目の前の少女は死に至る、その筈だった。

「……なっ!」
「うりぃぃぃっ!」

彼女の視界が肌色に染まり、地面へと倒れた。
頭の全てが珠樹のスカートに覆い被さられ、舌を伸ばせばすぐに内部へと届きそうな強制顔騎状態へとされていた。

誰が予想しようか、誰が彼女を攻められようか、
シズカが刀を振ろうとしたまさにその時、珠樹は人間をも超える速さで静の元へ跳んでいたのだ。

何故その様な事が出来たのか、それは彼女に憑いているものに起因する。
Lv.59 地母神 ドルガー 速17

速さだけならばバランスタイプ、ラッキータイプの内で最速のドルガーは、
見事、珠樹にシズカの斬撃を回避する手助けを行ったのである。

ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

強制顔騎状態で呪文を唱えることすら出来ず、腕を動かしても刀はけして珠樹を狙うことが出来ないシズカの耳元に届いたのは、チェーンソーの稼動音であった。
これで終わりか、呆気ない最後だった。シズカの身体全体が無力感に襲われる。

ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……
  ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……
   ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……

獣の様に、かつ官能的な吐息が珠樹から漏れ出していた。

最早、シズカは珠樹にとってまな板の上の鯉、直ぐに殺せるちっぽけな存在。
彼女の欲望を止めるものは何も無く、あとは全身を切り刻んでやるだけ。

「じゃあ……死んでくれる?」

251戦いたい 殺したい 絶望させたい  ◆fRBHCfnGJI:2010/01/28(木) 19:33:10 ID:AucmmNI.0








「今のはルーラではない、バシルーラだ」
救世主とは、よく言ったものだ。
突如現れた老婆によって、シズカを今にも殺さんとしていた珠樹の姿は何処へともわからない場所へと消えていた。
「怪我は無いかい?あったとしても助けはしないがね」
老婆の姿はまさに童話に描かれるような魔女であった、シズカに知る機会は無かっただろうが種族名を魔法おばばと言う。
「それにしても魔力の消費が半端ないね、今にも倒れてしまいそうだ、ヒッヒッヒ」
老婆はチェシャ猫の如く厭らしい笑みを浮かべると、シズカの元へ向き直った。

「何故だ……?私に恩でも売ったつもりか?」
「いやいや……そう大層な事をした覚えは無いよ……」
静の為に唱えたバシルーラの舌の根も乾かぬ内に、魔法おばばから静に向けて放たれる閃熱。
「私は命を助かった……って安堵した奴から絶望を絞りとりたいだけだからね!」
そして、周囲を見回す魔法おばば。
先程の娘の姿は見えない……勝った!
「ヒッヒッヒ、見ていてくだされ!この魔法おばば、どんな場所でも必ずや魔王様の為に絶望を捧げますぞ!」


「残念だが、それは無理だな」
魔法おばばの背後に立つシズカが言った。

「何せ、ここに寺院は無い様だからな」

まほうおばばは くびをはねられた


【魔法おばば@DRAGON QUEST 3 死亡】


シズカが何故魔法おばばを殺すことが出来たか?
その理由は至極単純だ。
放たれたベギラマを耐え、その光に身を隠しながら瞬時に魔法おばばの背後に近づき首を切り取った。
それだけにすぎない。

だが、そんなことの出来る人間がどれだけ居ると言うのだ。
彼女は間違いなく超人であった。







「…………助かってしまったか」
憎々しげに魔法おばばの死体に呟くと、再び歩き出す。

別に死んでも構わなかった、先程の戦いに関しては完全に自分の油断から来るものであった。
だが、助かったのならばそれでも構わない。
ただ最初に決めたことと同じ方針を取るだけだ、強者との戦いを楽しむ。ただそれだけ。
だが、だけ許されるのならば一つだけ望みたいことがある。



先程自分を追い詰めた、あの少女との再戦

【一日目・午後/B-2 平原】



【E・シズカ(侍・人間・中立)@ウィザードリィ】
【状態】健康、火傷
【装備】童子切安綱@現実
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:強者と戦う。
1:あの少女(珠樹)と再戦したい。
※魔法おばばの支給品は、遺体のそばに放置してあります。

252戦いたい 殺したい 絶望させたい  ◆fRBHCfnGJI:2010/01/28(木) 19:33:34 ID:AucmmNI.0

◆◆◆

許さない……

許さない…………

許さない………………

許さない……………………

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

何で邪魔したの?良いところでさぁ?
あとちょっとで殺せたんだよ?血がブシャーって私にかかってスゴイ気持ちよくなれたんだよ?

もうさぁ……
     何されたって……
         絶対に許さない……

どっちにしても殺すけど……絶対に殺してやるから……

【???/1日目/午前】
【内田珠樹(女主人公)@真・女神転生if…】
[状態]:魔法おばばに対する激しい憎しみ
[装備]:チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga、血染めの制服
[参戦時期]:玲子ルート、イデオ第二形態撃退後
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2個
[思考]
1:魔法おばばは絶対に殺す
2:とりあえず他の参加者も殺す
3:機械のオイル(ノアを殺すこと)に興味。
[備考]
※パンツはいてません。
※バシルーラで何処に飛ばされたかは次の書き手さんにお任せします

253戦いたい 殺したい 絶望させたい  ◆fRBHCfnGJI:2010/01/28(木) 19:33:55 ID:AucmmNI.0
投下終了
ノーパンとか書かれて股間がやばかった

254もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 03:13:56 ID:x.j9BHFM0
投下乙でした
>『無名』
闇の戦士カッコいい!
無名ロワの中でも無名のキャラである闇の戦士の今度に期待だぜ!
そして世紀末のモヒカンなにしてるwレッドが泣くぞwww

>赤の怪物、黒の超人
レッド強いなwサイクロン号壊しちゃったw
戦闘員は城の近くに、か
ループ仕様なんだな、MAP

>戦いたい 殺したい 絶望させたい
たまきちゃんエロいよたまきちゃん
ちょっとシズカさんそこ代わりなさいと言わざるを得ない

255s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:19:35 ID:x.j9BHFM0
ってことで投下
女遊び人、ブシド・ザ・ブシコ、神代浩司、ネリシア投下します

256s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:20:19 ID:x.j9BHFM0

ブシコと女遊び人は向かい合っていた。
女遊び人はニヤニヤとした笑いを崩さずに自然体のまま。
対してブシコは低く身構えたままに、女遊び人から目を離さない。

(強い……!)

ブシコは天空の剣を強く握り締めながらそう思った。
目の前の女遊び人、ふざけたように笑っている。
身構えてすら居ない。
強く歯を食いしばるが、ここで焦ってはいけない。
相手は恐らくこちらを煽ることで自分のペースに持ち込もうとしている。

ここで主導権を握ってしまえば負ける。
ここで負けるわけにはいかないのだ。
ブシコはある敵を倒すまでは、絶対につまづくわけにはいかない。

ふぅーっとブシコが息を吐く、力を溜めているのだ。
その緊張感が女遊び人にも伝わったのだろう。
次で事態が動く。

「おーう、そこの色っぽい姉ちゃんに残念な胸の姉ちゃん!」

そんな瞬間に、二人は声をかけられた。

「むっ……!」
「あらん?」

ブシコと女遊び人は素早く声の方向へ振り返る。
そこには白衣をきた男と、鎧を着た少女が居た。
白シャツの男はご存知僕らの外道戦士、神代浩司。
鎧の少女はみんな大好き電波クルセ、ネリシア。

「いやあ、悪いねえ立て込んでるところ」

神代はニヤニヤと笑みを浮かべながらブシコと女遊び人へと近づいていく。
視線が女遊び人の胸にばかり言っているような気がするが、気のせいだろう。

「で、二人は何してんの?」
「ブシコたちはあの愚機を討つために、まずは主導権をどちらが握るかを決めていた」
「そういうこと♪」

ナンパをするような軽さで話しかける神代に、ブシコは固い口調と声で答える。
女遊び人はと言うと神代の視線が気持がいいと言わんばかりに前かがみになって胸を強調する。
こいつはいい調子だ、と神代は二重の意味で笑みを浮かべる。
ボロ雑巾候補が二人も増えた、利用するだけ利用させてもらおう。
これを喜ばずには居られないのだろう。
だから、神代は密かに前に出ていたネリシアに気付かなかった。

257s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:21:28 ID:x.j9BHFM0

「……貴方は、神を信じますか?」
「っと、おい、ネリシアちゃん!」

神代はあからさまに顔をしかめてネリシアを睨みつける。
その神代にまるで気づいていないのか、聖女の笑みを浮かべてブシコと女遊び人へと問いかける。
聖女のような優しい笑み。
たとえ親友にだまされ全てを失ったばかりの人間であろうと縋りたくなるような笑みだ。
その笑みを向けてくるネリシアに対してブシコは。

「信じぬ」

たったの一言で切り捨てた。
ブシコは神を信じない。
神が居るというのならば、どうして自分たち家族を崩壊させた。
神が居るというのならば、どうして姉にばかり才を与えたのだ。

彼女の家系は遠い昔より伝わる、いわばエリートの家系。
あらゆる人物に尊敬され、頼りにされる。
一級の家系に生まれた彼女。

だが、彼女は、出来損ないの落ちこぼれだった。

歴代の家系の人よりも力が弱くノロマ。
直系の人間からはもちろん傍系の人間よりも劣る、出来損ない。
姉の出涸らし、一族の恥。
後ろ指を指されなかった日などありはしない。

姉が一族でも異端とされるほどに天才であったのも、彼女が疎まれる原因であった。
彼女にとって姉は憎悪の対象であった。
幼い頃には父を超え、一族の中でも『化け物』と称される程の強さ。
常に冷たいを目をしており興味があるのは『力』だけ。
自分だけではなく、父と母、一族の人間全てに泥のように濁りのある便のような悪臭を放つ苦汁を飲ませた女。

その姉の鼻を、彼女は明かしてやりたかった。
どんなに罵られようと、どんなに痛めつけられようと、刀を振るい続け武士と名乗り続けたのはそのため。

もし、神が居るのならば。
彼女に幸せな家族、なんてありふれたものを与えなかった神が居るのならば。


そいつは神と崇められる価値などない。

258s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:22:20 ID:x.j9BHFM0

「神など居らぬ、神など要らぬ。ブシコに必要なのは、力のみ。
 人に必要なのは神などではなく力で……!?」

気づけば目の前にネリシアが移動していた。
僅か一歩でブシコの懐に飛び込んでくる。
その顔は無表情、だがはっきりとした敵意と殺意と憎悪が溢れでているオーラ。
ブシコは慌てて天空の剣を盾にする。

鋭すぎる一撃。
天空の剣を盾にしたことによって身体が真っ二つになることは防げたが、衝撃で思い切り吹き飛ばされる。
姉に匹敵するのではないか、と思うほどの

「ちょうどいい……! ブシコがどれだけ力をつけたか、お主で試させてもらう……!」

仮想、ブシド・ザ・ブシエ。
あの姉を超えるためには、目の前の女もただの壁に過ぎない。
壁は、超えるのみ!

次はブシコが大きく跳躍し、ネリシアへと斬りかかる。
体重をかけた振り下ろし。
天空の剣は素晴らしい剣だ、ブシコの力を最大限に引き出してくれる。
この剣で勝てなければ、ブシコは本気で弱者になってしまう。

たとえ才がなくともブシコは刀を振り続けた。
姉の偉業を聞きながら、ブシコは刀を振り続けたのだ。

だが、その一撃は簡単に受け止められる。
ネリシアは顔を不思議そうに歪める。
その目に、「この程度か?」、と言われている気がした。

「うわあああああああああああああ!!!」

逆鱗に触れられたかのように、ブシコは叫ぶ。
弱い、それは決して触れてはいけないブシコのコンプレックス。
口で言われるのは慣れている。
だが、あの目は駄目なのだ。
目で貶される、どうしてオマエは弱いのだ、と本当に不思議そうに見てくるあの目は。

ブシコが距離を取り直し、剣を構え直した。

パンッ!

車のタイヤがパンクするような乾いた音と、ブシコの太股に走る鋭い痛み。
何が起こったのかと、顔をあげるとそこには得意げな顔をした神代がいた。
手には、黄金色の銃を持っている。

「デストローイ、ってか?」

あの距離から狙撃した? あんな遠距離用の銃でもなさそうな、飾り物のようにも見える代物で?
体勢を崩しながらブシコの疑問は抱きながら、神速の速さで迫ってくるネリシアを眺める。

その瞬間に思い浮かんだのは、神童と呼ばれた姉と、出涸らしと呼ばれたブシコのこと。

「姉、様……!」

259s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:23:43 ID:x.j9BHFM0

姉ならば、目の前の二人を簡単に打ち払っただろうか?
それとも、ブシコのように負けていただろうか?

……恐らく、勝っていただろう。
実際どうなるかではない。
ブシコの頭の中に居る姉はそれほどまでに強大な人外なのだ。

たとえ相手が神であろうと、あのノアであろうと。
姉はかならず勝つ。

ブシド・ザ・ブシコの頭の中のブシド・ザ・ブシエは、最強なのだ。

その最強に勝つのが、ブシコの、ブシコの夢。


「あねさまあああああああああああああ!!!」


涙を流しながら叫ぶ。
ココで死ぬのか、と。
自分は落ちこぼれのまま死んでしまうのか、と。
姉に愚弄されたまま、五年も経てば忘れされてしまうだけの存在のまま終わってしまうのか、と。

あり得ない。
彼女はまだ姉の背中をも見ていない。
死ねるわけがないのに、そんな状況で、死ねるわけがないのに。

ネリシアの凶刃が、ブシコへと無慈悲に迫ってくるのだ。




「もーう、可愛いわねブシコちゃんは♪」



ネリシアの凶刃が空振りに終わる。
必殺必中であったはずの剣、それがただで空を切るはずがない。
そう、一人余っていた女遊び人の仕業なのだ。

「な……あ……」

惚けた声を出しながらブシコは自分を抱える女遊び人を見る。

260s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:24:33 ID:x.j9BHFM0

「まったくぅ……わたし、ブシコちゃんとこれからイイコトしたかったんだけどなぁ」
「お、お主……んっ!?」

女遊び人は離れた位置にブシコを寝かせる。
何かを言いたそうにブシコは口を開いたが、口を口で塞がれる。

舌と舌が混じり合い、唾液と唾液が混じり合う。
まるで歯を磨くように女遊び人の舌がブシコの口内に侵入していく。
女遊び人の鼻息がブシコの顔にかかる。
唾液が完全に混じり合い、まるで女遊び人と一つになったかのような感覚を覚え始めた頃。
ようやく、女遊び人は口を離した。

「何を……!?」
「キスをするのに意味なんてないわぁ。
 強いていうなら……今にも泣いちゃいそうなブシコちゃんが可愛かったから♪」
「おおう……」
「無意味な姦淫は罪ですよ、カミシロ」

ふうっと吐息すら色っぽい女遊び人に、神代は思わず足を一歩踏み出してしまう。
それをネリシアの優しい笑みによって止められる。
冗談だよ、と肩をすくめながら後衛の位置に戻る。
舌打ちをしたような気がしたが気のせいであろう。

「あらん? 貴女はわたしの相手をしてはくれないのん?」
「この身は神に捧げた身……たとえ女性であろうと許すわけにはいきません」

さきほどブシコと甘く熱い口づけを交わしたばかりだというのに、女遊び人は残念そうな声色でそんなことを口走る。
だが、ネリシアは動揺もせずにおっとりとした口調で、けれどもはっきりと拒絶した。
その言葉に女遊び人はニヤリと笑みを深める。

「その目……何を言っても信じるものを変えぬ瞳……だとすると体裁を取り繕う必要はないわね♪
 相手をおちょくる為に変えていた、この顔でいる必要も……ないわねぇ♪
 本当の姿なんて現す前に、ブシコちゃん利用して楽に行きたかったんだけどなぁ」
「本当の……姿……?」

ブシコは唇と太股を抑えながら疑問に充ち溢れた声を放つ。
女遊び人はブシコの方へと悠々と振り向く。

261s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:25:16 ID:x.j9BHFM0


「そうよん……これが本当のわ・た・し♪」

艶っぽく笑いながら女遊び人は顔を隠すように片手をかざす。
そして、その瞬間。



女遊び人に強烈な後光がさした。



突然起こった光に神代とネリシアとブシコは目を瞑ってしまう。
しまった!、と二人は思い瞬時に身構えるが、攻撃は来ない。
ブシコは何が起こったのか分からぬまま、ただ呆然としている。



光にも慣れてきて、訝しみながら三人が顔をあげると、そこには。


何処からか出した薔薇を口にくわえた。


「バニー・ガール!!」


本名かどうかも分からない名前を口走り。


「設定年齢19歳、蟹座のB型ッ!!!」


他にも能力とか設定とか隠し持ってそうな。


「「「び、美形だーっ!!!!!!」」」


なんかもうすっごい美形がいた。


「これもパルプンテのちょっとした応用よぉ♪」

262s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:25:40 ID:x.j9BHFM0

【一日目・午後/C-3 森林】
【バニー・ガール(?)(女遊び人?)@ドラゴンクエストⅢ】
【状態】美形、ネリシアよりも発光中
【装備】ゴッドハンド@魔界戦記ディスガイア
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
1:これもパルプンテのちょっとした応用よぉ♪
2:仲間を集める。
3:可愛い少女を愛で尽くす。
4:とりあえずブシコよりも上だということを見せつける。
【備考】
※遊び人の前に勇者、魔法使い、賢者を除く全てのDQ3職業を一流レベルまで極めています。
※本名とか実力とか容姿とかまだネタを持ってるのかとかなんかもう色んなことを後続に任せます。
※パルプンテのちょっとした応用です。

【ブシド・ザ・ブシコ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
【状態】健康
【装備】天空の剣@ドラゴンクエスト5
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
1:び、美形だーっ!!!!!!
2:首輪を解析できそうな仲間を優先して集める。
3:敵対するものは全て斬り伏せる。
4:姉、ブシド・ザ・ブシエに勝つ。

【ネリシア(♀クルセ)@ラグナロクオンライン】
【状態】健康、 発光中
【装備】メタルキングの剣@ドラクエシリーズ、ドラゴンシールド@ドラクエシリーズ クルセの鎧(初期装備)
【道具】支給品一式×2,5 不明支給品2〜6
【思考】
基本:神の信徒を保護し、神を信じないものを滅殺する。
1:び、美形だーっ!!!!!!
2:カミシロとともに信徒の保護、信じないものの抹殺。
3:そこまで深くものを考える性格ではないので特になし
※発光はオーラ(レベル99になると足元から噴き出るもの)のせいです。

【神代浩司(if男主人公)@真・女神転生if…】
【状態】健康
【装備】王者の剣@ドラクエⅢ、ブレザー(上着は脱いでる)、黄金銃@真・女神転生if…
【道具】支給品一式×2,5 不明支給品1〜5
【思考】
基本:生き残る。そのためならなにやってもおk
1:び、美形だーっ!!!!!!
2:ネリシアを利用し参加者を最大限減らす
※ガーディアンはバランスタイプ最強のメタトロン(レベル75)です。

【三人分の死体が森に転がっています。誰かは発見したSSを書いた人か放送を書いた人が自由に決めてください】

263s・CRY・ed:2010/01/29(金) 03:25:50 ID:x.j9BHFM0
投下終了です

264もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 07:58:40 ID:uk4RJmMc0
みなさん執筆お疲れ様でした。
一部の話はちょっと遅くなりましたが、まとめて感想を。

>『無名』
ちょっとこの闇の戦士かっこいい……! 迷いながらも進む姿が良かったです。
そして必要ではなかったんや、無名キャラに名前が必ずしも必要ではなかったんや!
エリクサーも手に入れて、チートではないけど地力のあるマーダー(?)として期待がかかるぜ。

>赤の怪物、黒の超人
レッド、末恐ろしい少年だなあ。ポケモンと意思疎通できるトレーナーなら、戦闘員の言葉も分かるのか。
ぶっ壊されたサイクロン号も、直したり錬金したりなキャラもいないことはない。この辺のバランスは見習いたいな。
闘志に燃え始めた戦闘員、これはすごく熱いシチュエーションだなあ。

>戦いたい 殺したい 絶望させたい
え、ちょ、たまきちゃん……ある意味最大の武器を躊躇いもなく使った……だと……?
端から見ればすごいシュールなんだろうけど、ちょっとこの文章は間や言葉つきがエロスすぎた。
最強の通常攻撃の鬼気迫る描写といい、血に狂ったたまきちゃんといい、楽しませてもらいました。バシルーラwww

>s・CRY・ed
タイトルからして予想はついたがバニー・ガールwww 応用の幅がハンパねえwwwww
最後の最後で場をひっくり返したネタから一転して、ブシコの背景は切ないな。彼女すら底辺な一族もじつに怖い。
ネリシアにはNGワードを使ってしまったが、美形効果で何とかなるかどうか。次が気になるところだ。

265もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 13:04:15 ID:jDgswEtoO
パルプンテどうやって覚えたのか気にしたら負けなんだろうきっとw

266もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 18:52:29 ID:MtkOyTLw0
とうかおつー

>赤の怪物、黒の超人
レッドマジぱねえwwwww
怪物が誕生していたのだから仕方がないな!
それにしても……これは、その……ショッカー戦闘員×レッドフラg(ry

>戦いたい 殺したい 絶望させたい
何この珠樹ちゃんエロいんだけど
もっともっと返り血浴びて欲しいもんだぜ
E・シズカもかこいいけど、相手が悪すぎたな

>s・CRY・ed
女遊び人のポテンシャルが怖い!w 何でもできそうだぞ、こいつw
とはいえ対する神神コンビも強力コンビ。どうなるか……
ブシコの過去もいいね。元は弱かったけど頑張った、しかしその努力をも姉は上回ると。素敵だ

267もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 19:17:38 ID:MtkOyTLw0
あれ、ふと思ったけどマップの1マスがどれくらいの広さとかって決まってない?

268もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:07:51 ID:/7JW0VT.0
アリアハンとナジミの塔が入る程度の大きさ>1マス

269もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:18:59 ID:sGq3yOVc0
ゲーム中ではだいたいアリアハンからD-5の祠まで徒歩で歩いて夜になるぐらいの感じだから
一エリア端から端で二時間ぐらい?

>『無名』
闇の戦士かっちょいい……
あとモヒカンはレッドに二回殺されるべきwwwww

>赤の怪物、黒の超人
レッドつええええええええwwwww
しかしショッカーの言葉を理解できるってことはシュウも理解できるんだろうなあ。

>戦いたい 殺したい 絶望させたい
たまきちゃんいい具合に狂ってますなあ
こりゃどうしようもねえなw
シズカさんの戦闘意欲にも期待だぜ。

>s・CRY・ed
嫌な予感しかしないwwwwwwwwwww
デストロイといいwwwwwwwwwwwww

パルプンテはどうだろう……前話で状態表だけにかかれてただけだし……<魔法使い未経験
どうなんだろう? 捻じ曲げるとマズいかな……?

270s・CRY・ed:2010/01/29(金) 21:23:18 ID:x.j9BHFM0
あ、あれ……僧侶ってパルプンテ出来なかったですか
マズイ、どうしよう……

271もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:24:06 ID:4BteX4a60
魔法使いを極めてはいないが、パルプンテは覚えて途中でやめたでおkwww

272もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:27:45 ID:4BteX4a60
というか僧侶も覚えるな、レベル40で

273もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:29:21 ID:4BteX4a60
あ、それは賢者か…

274もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:33:12 ID:sGq3yOVc0
>>271
残念ながらパルプンテは最後に覚える呪文なんだ……

極める≒Lv99とするなら話変わってくるけどね。
そこらへんは……こじつけだ!

275もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 21:49:47 ID:MtkOyTLw0
>>269
距離把握。だいたいそんな感じでいくわ。だいたい
……だいたい


>パルプンテ

面白かったし、後でこじつければry

276もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 22:36:43 ID:MsQ0joDw0
なあに、はっきりしてるのは勇者、魔法使い、賢者以外のDQ3の職業は一流レベルで極めたということだけ
勇者、魔法使い、賢者に関しては超一流だとか他シリーズの職も極めてるとかでどうとでもなるのさ
ちなみに6の遊び人がパルプンテ覚える

277もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/29(金) 23:13:09 ID:sGq3yOVc0
勇者は無理だとしても
>魔法使い、賢者に関しては超一流
その発想は無かった

278もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/30(土) 02:20:07 ID:dIOPAbwE0
>勇者、魔法使い、賢者に関しては超一流

この発想はなかった


さて投下します。

279王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:21:36 ID:dIOPAbwE0
 樹木の全く生えていない山岳に、一つの人影があった。
 その正体は、緑色を基調とした服を着た少年。
 ゴーグルで掻き揚げた金色の髪を不機嫌そうに弄繰り回す。

「まいったね」

 彼――サマルトリア国王子であるサトリは、ここ数時間何度も同じことを口にしていた。
 まずは、この殺し合いに呼び出されてすぐ。
 危険な旅の果てに破壊神を破壊して数年。親友にして近隣国・ローレシアの王であるロランに遅れること一年。
 ちょうど明くる日、王位を継承しようというという時に厄介ごとに巻き込まれたのである。
 王位継承の儀を待ち構えたこともあり、まったくもって『まいった』ことこの上なかった。
 そして次に、殺し合いのルールをノアが説明する最中。
 サトリが注意深く周囲を確認していると、彼の親友で二人も見付かってしまったのだ。
 一人は先のロランに、もう片方はこれまた近隣国・ムーンブルク王女のルーナ。
 王に王女とはいえ、サトリとともに過酷な旅を経験した稀代の戦士。並大抵のことで倒れはしないだろう。
 それでも親友が命を危険に晒すのだ。これまた『まいった』ことだ。
 続いて、ほんの少し前。
 この地に転送されていくらか移動して、サトリはやっと支給品のことを思い出した。
 ルール説明は聞いていたが、親友たちの参加によっぽど気を取られていたらしい。
 気付く前に襲われなかった幸運に感謝しつつ、デイパック内を確認してみれば興味深い説明書があった。
 何でもうまく使えば、鉱石をも両断する長刀が入っているらしい。
 ならば装備しない手はないと取り出したものの、一緒に奇妙な生物が飛び出してきた。
 その毒々しい色にサトリが驚嘆している間に、長刀は生物に掻っ攫われてしまう。
 もちろん捕まえようとしたが、地面の中に逃げられてしまい追跡を諦めるハメになった。
 あまりに予想外の事態に、心の底から『まいった』サトリである。
 そして、いま。
 ええい、終わったことを気にするだけ無駄だ! とばかりに残った支給品を確認してまたしても『まいった』。

「せいっ、やっ! はっ! …………はあ」

 出てきた得物を何度か振るって、サトリは大きな溜息を漏らす。
 右手に握っているのは西洋剣。
 これだけ言うとオーッソドックスな武器のように思えるだろうが、問題はその材質だ。
 純金。純粋な金と書いて、純金。人の爪とほぼ同じ硬度の、純金
 太陽の光を反射して煌く西洋剣の名は、きんきらの剣。
 柄から切っ先へとまじまじと眺めていって、サトリから肩の力が抜ける。
 どう見ても装飾品です。本当にありがとうございました。

「ッ!?」

 突如、うな垂れていたサトリが目を見開く。
 邪悪な神官の下へと向かう旅の中で磨かれた感覚が、何者かの接近を察知したのだ。
 死角になっているせいで姿こそ見えないが、見えない何かがやたらと存在をアピールしている。
 サトリが剣を構えて向き直ったのと同時に、気配の主は姿を見せた。

「ほう……」

 腰を低く落としているサトリを見下ろすは、青白い顔に映える真紅の双瞳。
 風に靡かせている銀色の長髪には、角状のアクセサリーを二本。
 漆黒のローブに隠れてはいるものの、痩せ型長身の体躯にすらりとした手足が見て取れる。
 見た目だけなら、ただの不健康な青年としか思えない。
 だというのに、辺りに漂う『魔』の気配。そして圧倒的な威圧感、語らずとも全身から溢れ出している殺意。
 現世に目覚めた破壊神との激闘が、意図せずともサトリの中に蘇る。
 あの時は辛くも勝利を掴み取れたけれども、いまは状況があまりに違う。
 肩を並べて前線に立つ剣士も、後衛で魔法による援護を任せられる魔法使いもいない。
 防具もなければ薬もない。武器だって、あまりに貧弱だ。
 現状を理解すればするほどに、最悪の結果が浮かんでしまう。

「うおおおおおおお!!」

 そんな考えを無理矢理払拭するかのように、サトリは声を張り上げて地を蹴った。

280王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:22:50 ID:dIOPAbwE0


 ◇ ◇ ◇


「その程度か」

 銀髪の男は、地面に膝を付けたサトリに冷たい視線を飛ばす。
 気迫の篭った絶叫には、かつて己を討ち取った反乱軍の姿を重ねたのだが――
 どこか失望したような表情で、男はゆっくりと右腕を翳した。
 火花を散らす電撃が掌に集まり、脇腹を押さえているサトリへと放たれる。

「くっ!」

 一度その雷光を身に受けて威力を知る以上、なおさらサトリは受けるワケにはいかない。
 とはいえ、身体の痺れはすぐに取れるものではない。
 先ほどは閃光呪文をかち当てたが、拮抗もせずに打ち負けてしまった。
 仕方なしに、初撃の時点で亀裂が走っていた剣の横腹を盾とする。
 咄嗟の判断ではあったが、何とか青白い雷の軌道をズラすことに成功した。
 もっとも、きんきらの剣の刀身は呆気なく溶解してしまったが。

「死ぬのが少し遅くなるだけだ」

 冷酷に告げて、再び銀髪は掌に電気エネルギーを集わせる。
 顔を照らす青白い光に目を目を細めながらも、サトリは未だ痙攣する身体で立ち上がった。

「無駄なことを。何の意味がある」
「はっ、生憎黙ってやられるワケにゃいかねーんだよ……」

 吐き捨てるサトリの手には、柄しか残っていない剣。
 必要以上に力強く握り締めているのは、震える身体がくず折れてしまいそうだから。

「何せ、俺は王になるんだからな! 王がテメーみたいなヤツを前に、諦められるか!!」

 銀髪の男は僅かに息を呑むとすぐさま我に返って、放たんとしていた雷光を霧散させた。

「ほう、『王』か。偶然とはあるものだな」

 行動を理解できないといった様子で、サトリは唖然としている。
 一際強く吹いた風が、銀色の髪を激しくたなびかせた。
 風が過ぎ去り周囲に音がなくなった頃合を見計らい、男は口を動かした。

「パラメキア帝国皇帝のマティウスを知らぬことはないだろう。それが私だ」
「な、に……?」

 鼓膜を刺激した低い声に、サトリは絶句してしまう。
 かつて世界制服を試みたパラメキア帝国を知っているワケではない。
 ただ、眼前にいる『魔』のオーラを放散する男が『皇帝』である事実。
 それが、あまりにも納得いかなかった。

「ふざけんな! だったら、どうして!?」
「皇帝だからであろう。皇帝とはすなわち支配者――ならばどうして、蘇った身で再び世界の掌握を目指さぬことがあろう」

 返ってきた答えに、サトリは歯を軋ませる。
 そんなことを意に介さず、マティウスは問いを投げかける。

「だというのに、王を志す貴様は何をしている。皇帝も王も、支配者であることに変わりはないというのに」

 返事を待たずに、マティウスは続ける。

「支配者とは、他の全て踏み締めて生きる最上の存在。その支配者を目指しながら、貴様は――」
「違う!!」

 淡々とした口調は、張り上げられた声に掻き消された。

281王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:23:37 ID:dIOPAbwE0

「何が、踏み締めて生きるだ! そんなもんと俺がなる王を一緒にするな!!」

 王とは人の上に立つもの。
 同じ種族であるヒトをも従える存在。
 そんなことは、サトリにだって分かっている。
 けれども――いや、だからこそ人を守るために立ち上がらねばならないのだ。
 裏付けのない陰口を叩かれようとも、立場の差から生まれる妬みを向けられようとも。
 王というものは、人を裏切ってはならない。
 少なくともサトリの中では、王とはそういう存在なのだ。

「やはり貴様は青い、青すぎる。そのような考えで支配者になったところで、理想と現実の差に耐え切れず磨耗していくだけだ」
「だろうな」
「貴様のような者こそ、磨耗した果てに――何?」

 予期してせぬ反応に、マティウスは怪訝な声を漏らす。

「ここに呼ばれちまった俺のダチだってそうだったさ。けどな、テメーの言う支配者にゃならなかったぜ?
 それどころか、今じゃ俺の目指す王そのものになりやがった。あんなもん見せられてな、やってもねえのに諦めるワケにはいかねえんだよ!!」

 言い放ったサトリは、柄だけ残った剣を逆手に握って重心を少し後ろに向ける。
 すでにその身体から、痺れは消えてしまっている。

「……そう、か。やはり青いな」

 サトリが折れることはないと理解し、マティウスはデイパックに手を突っ込む。
 相手に支給された剣をくれてやろうと考えたのだ。
 別に、支配者に関する考えを改めたのではない。
 自身と異なる支配者の道を目指す少年。その全力を見ておきたいだけだ。
 だが、マティウスが剣を渡すことはなかった。
 正確には、その必要がなくなったと言うべきか。

「なっ!?」

 意表を付かれたような声が、サトリの口から漏れる。
 いきなり足元に穴が開き、そこから紫色の刀が飛び出してきたのだ。

「これは、サソードヤイバー……?」

 反射的に柄を握り締めたサトリが、その瞳を見張った。
 生物に奪われたはずの支給品である長刀が、目の前に現れたのだ。
 呆然としているサトリをよそに、またしても穴から今度は紫色のサソリが現れる。
 サトリの身体を這うようにして、サソリはサソードヤイバーの柄に到達する。

「さっきの――――なるほど、お前が『ゼクター』だったってことか」

 長刀を掻っ攫っていった生物こそが、サソードヤイバーの真の実力を発揮するためのカギ――サソードゼクターであったのだ。
 説明書には『意思ある機械』としか書かれておらず、サトリはてっきりキラーマシーンのような物が会場のどこかにあるのかと思っていた。
 長らく勘違いしていたが、ようやくサトリはゼクターを手にすることができた。

―― Stand By ――

 だがどうして現在になって、帰ってきてくれたのか。
 その疑問に回答するかのように、サソードゼクターから無機質な声。
 stand by――その意味は、待機中、そばにいる、そして力になる。
 たった一言で、サトリは全てを理解した。
 サソードゼクターは逃亡したのではなく、少し離れて自分を見定めていたのだと。
 そして、サソードゼクターは自分を認めてくれたのだと。

282王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:24:35 ID:dIOPAbwE0

「ありがとう」

 小さく頭を下げられると、サソードゼクターは応えるように小刻みに震える。
 サトリの想像は、殆ど正解であった。
 サソードヤイバーを回収したサソードゼクターは、地下でずっとサトリを追跡していた。
 その中で、彼は聞いたのだ。サトリが目指す王とサトリの決意を。
 サソードゼクターの本来の主もまた、下々の民の上に立つ貴族。
 一般常識に疎くとも、貴族らしい高貴な振る舞いを信念とする男だ。
 先のサトリの宣言こそ、彼流に言えば貴族の定め――ノブレス・オブリージュその物。
 となれば神に代わって剣を振るう男に仕える身として、助太刀しないという選択肢を選ぶはずがなかった。

「変身!!」

 サトリは説明書に記されていた掛け声をあげ、サソードゼクターをサソードヤイバーの柄へと装着させる。

―― HENSHIN ――

 唱和するような電子音声とともに、サソードゼクターがオレンジ色に鈍く輝く。
 サソードヤイバーから細胞じみた六角形の金属が精製され、見る見るサトリを囲んでいく。
 全身を囲みきったのと同時に、展開された金属は攻防一体となる武装を構成する。
 身体を覆う黒いボディスーツの上には、重厚な紫と銀の鎧。
 血管を連想させるオレンジ色のチューブが、体表に絡み付いている。
 これこそが、対ワーム組織・ZECTより開発されたマスクドライダーシステムの一つ。
 全てのワームを駆逐するべく戦うライダー、サソードのマスクドフォーム。

「準備は完了したようだな。出し惜しみせず全力で来るがいい! 思想の未熟さを知らしめよう!」
「ああ……その凝り固まった考えを叩き潰してやる!」

 変身の完了を待っていたマティウスが、翳していた右腕を振り下ろす。
 呼応するように幾つもの雷撃が放たれるが、サソードの長刀に切り刻まれてしまう。
 一見重量感がある装甲の下で、サトリはあまりの動きやすさに驚嘆していた。
 装甲の硬さと軽さだけでなく、サソードヤイバーの切れ味も同様に一級品。
 予想を大幅に上回る性能に驚愕するサトリに、マティウスは依然焦ることなく左腕を掲げた。

「『フレア』」

 秒と経たぬうちに巨大な火球が三つ生み出され、サソードへと放たれる。
 闇を内包した炎の塊は、さながら小さな太陽。
 軌道上にある石塊を、燃やすのではなく一瞬で炭としながら漂う。
 明らかにこれまでの電撃を圧倒する威力、それでいて速度が衰えていることはない。
 しかし生身ならともかく特殊金属製の装甲を纏う現在のサトリなら、直撃しなければ余熱で身体が焼けることもない。
 限界まで引き付けてからの跳躍で、サソードは迫る三の火焔を回避した。

「何ィッ!?」

 思い通りに事態を進めたはずのサトリが、マスクに隠れた表情を歪める。
 逃れたのと寸分違わぬ火球が二つ、眼前に迫っていたのだ。
 回避行動に移る直前の視界が炎に包まれた時を見計らい、マティウスはフレアを放っていたのだ。
 サソードに空中移動の術はない以上、このままでは炎に覆われてしまうことになるだろう。

 ――――そう、『このまま』では。

「だったら!」

 いかに空中と言っても、腕を動かすくらいはできる。
 長刀の柄に固定されているゼクターの尾が、サソードにより深く押し込まれた。

―― Cast Off ――

283王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:25:36 ID:dIOPAbwE0

 サソードゼクターから射出された紫電を纏い、サソードの硬い装甲が浮き上がる。
 そのサソードへと二つの火球が着弾しようとし――――直後、弾け飛んだ。

 否、飛散したのはサソードの装甲の方だ。

 ゼクター操作で発動させた、無骨なアーマー部品にまで分解させて飛ばす全方位攻撃。
 炎塊は、飛来した装甲の欠片によって消滅しただけにすぎない。

―― Change Scorpion ――

 着地したのと同時に、サソードゼクターから電子音声。
 サソードは分厚い装甲を脱ぎ捨てたことで、サソリを模したライダーフォームへと変化していた。
 先刻までマティウスが立っていた場所を見据えるが、露になった緑の複眼は銀髪の男を捉えない。
 一瞬の思考の後に勢いよく首を横に振って、サソードは標的を視認する。
 キャストオフによって四方に飛び散った金属片を避けるため、マティウスは魔力による空中滑空で移動したのだ。
 そのまま彼方にて、魔力を集中させていた。
 二度目のキャストオフはないと踏んで、狙っているのはフレア。
 そのことを理解しているからこそ、サソードは再びサソードヤイバーに手を伸ばした。
 押し込んだサソードゼクターの尾を引き、またしても深く押し込む。

―― Clock Up ――

 大気中のタキオン粒子が、サソードの体表を覆っていく。
 説明書には超加速能力と記されていたが、サトリは世界自体が減速している錯覚に駆られた。
 迫る六の火炎も、減速の例外でない。
 先ほどは、ほぼ同時に迫る火球に回避以外の対応を取れなかった。
 だがクロックアップの世界では、ほぼ同時であったはずの連射のズレを見て取れた。
 冷静に炎を観察しながら、サソードは全てを掻い潜った。

「加速だと!?」

 相手の能力を見極めながらも、マティウスは面食らったような声を漏らす。
 魔法による身体能力の向上は、決して珍しいことではない。
 体術による戦闘を好まないので使わないが、マティウスも使用はできる。
 とはいえ、サソードの加速は異常だ。
 火炎が回避された以上、雷光でもその影すら捉えきれないと思われる。

「はああああああ……!!」

 ゆえに、マティウスはこれまでと異なる戦術を取る。
 すなわち、冥界で手に入れた魔道。
 奈落に落ちる前の姿である現状で、使うことができるかは不明。
 しかし成功したのなら、クロックアップにさえも対抗可能。そんな必滅の魔。
 さして消費していない体内の魔力を惜しまず天へと注ぎ込んでいくと、銀の長髪が重力に反して逆立つ。
 マティウスは、クロックアップがそうそう長時間使えるものでないことを分かっている。
 装甲を纏っているとはいえ、人間の身であそこまでの加速に耐えられるのは十数秒だろう。
 分かっていながらも時間を稼ごうとせずに、直接対抗しようとしているのだ。
 王を目指す少年の全力を、その手で砕くために。
 考えを改めることはなくとも、マティウスは多少惹かれていたのかもしれない。
 サトリの主張する王の形に。

284王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:26:18 ID:dIOPAbwE0

「降り注げッ!!」

 自身の直感で発動を確信し、マティウスは右手で作った手刀で宙を凪いだ。
 逆立っていた髪が元の状態に戻り、逆に大気に不穏な空気が満ちる。
 湿度が上がり温度が下がったかのような感覚。
 常人の目に止まらぬ速度で駆けるサソードは、背筋に氷塊が走ったかのようなものを感じた。
 とにかくいち早くケリを付けねばと判断し、転がっている岩に体重をかけるとサイドステップを踏んだ。
 瞬間、サソードが踏み締めていた石塊は、天空より落下してきた石塊に粉砕された。

「何だ!?」

 紫色のマスクの下で、サトリが眉を顰める。
 上空からの飛来音を察知して、サソードは最短ルートから外れた。
 何かが落下してくるのは分かっていた。けれども、あの赤熱化した石はいったい――
 浮かんでしまった仮説に、サトリは背筋が凍るものを覚えた。
 ありえて欲しくないと考えながら上空を見上げて、その仮説が正解であったことを知る。

「マジかよ……!」

 搾り出すような言葉が音となった頃には、サソードは駆け出していた。
 土が舞い上がるのも待たずに、またしてもサソードのいた地点がクレーターとなる。
 まだまだ落石は終わらない。それどころか、見る見る頻度が高くなっていく。

 凄まじい速度で天空より落下してくる石塊。大気圏を突破する過程で真紅になるまで熱せられたそれは――――そう、隕石。

 魔力でもって遥か宇宙より無数の隕石を呼び寄せる。
 これぞパラメキア皇帝・マティウスが、冥府にて会得した秘法。
 人の手が届かない範囲すらも従えんとす、『支配者』に相応しき秘術。

「くそッ!」

 人の身では知覚できない速度の隕石も、クロックアップ中のサソードならばかわし切れる。
 だというのに、サソードは現状に毒づく。
 おそらくは相手の思惑通りなのだろうが、隕石から逃れていく道中でマティウスから離れてしまっているのだ。
 クロックアップが解除される前に、マティウスに攻撃を当てねばならないというのに。
 マスクで見えない唇を噛み締めていると、これまでを凌駕する轟音が上空より響いた。

「っ!!」

 足を動かしながら首を上げ、サソードが言葉を失う。
 どうやら、いま見えているのが最後の隕石らしい。
 それは喜ぶべきことなのだが、問題はその大きさだ。
 多少の誤差はあれど、これまでの隕石は直径約一メートル程度。
 だというのに、次に来るのはあまりにも巨大。
 違うところはその一点だけ。されどもその一点があまりにも問題。

(通りで、あのヤローは遠ざかってたワケだ……!)

 サソードがその複眼をマティウスに向けたのと同じくして、民家一軒ほどのサイズの隕石が地面に接触した。


 ◇ ◇ ◇

285王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:27:08 ID:dIOPAbwE0


 大地が激しく揺らいでいるが、魔力により体勢を整えるマティウスには関係がない。
 何も言わずに、ただただ立ち込める砂煙を食い入るように見つめている。
 周囲を小さな隕石に囲まれており、サソードが最後の隕石を免れたとは考えにくい。
 理解していながらも、マティウスは動かない。
 ただでさえ、支配者に反乱する存在というものはしぶとい。
 加えてサトリは、自分の思想を砕くと宣言したのだ。
 この身に一太刀も刻むことなく倒れようものなら、拍子抜けである。
 そんなマティウスのどこか期待しているかのような瞳に応えるように、無機質な声が響いた。

―― RIDER SLASH ――

 ゼクターから紫色の電撃が発せられ、サソリを模したライダーの姿が充満する煙の中で露になる。
 紫電はサソードの全身に及び、サソードヤイバーへと集束していく。
 サソードの全身を循環するボイズンブラッド、通常の時間軸を超克するためのタキオン粒子。
 それらが大量に押し寄せたことにより、サソードヤイバーの刀身が白い輝きを放ち出す――!

「これで決める!」

 宣言するサソードの両脚は、特殊合金を纏っていない生身であった。
 赤熱化した小型隕石を足場にして、巨大隕石を回避するための道としたのだ。
 もはや足裏は炭化しているが、おかげでマティウスへと接近できた。
 サソードは勝利を確信して、サソードヤイバーを斜めに薙ぎ払う。
 即座に刃を返して膝元を狙う二閃目。続いて刈り上げるように三閃目。

「――――やはり、青い」

 驚異的な速度で振るわれたサソードヤイバーは、肉ではなく空気を斬っていた。
 横合いから言の葉を浴びせられて、初めてサトリは理解した。
 落下してくる隕石を操作していたのはマティウス。
 ならば『もし隕石の上を通ってきたのならどこから相手が現れるのか』など、想定していたとしてもおかしくはない。
 向けられた掌に小さな太陽が宿る。
 特殊合金越しにもかかわらず、サトリは肌に熱を感じた。
 前のめりになっていた身体をさらに倒すことで、サソードは炎塊の直撃を免れる。
 掠ってしまった背部装甲が溶解してしまうが、行動に支障はない。
 何とか動ける程度に焼けた足裏に治癒魔法をかけて、大地を踏み締めて体勢を立て直す。

「ま、だ……ッ!」

 サトリは、魔法と剣の両方を扱って戦う。
 二人の親友とは違って、どちらか片方に突出した才能がないからこその戦闘スタイル。
 破壊神に剣一つで立ち向かえるパワーも、最高位魔法を何度も唱えられる魔力も、サトリにはない。
 いわば、中途半端なのだ。
 親友たちが否定しようとも、少なくともサトリ自身は自らをそのように評している。
 戦場で意識を落とし、目を覚ましたら見知らぬ天井であったことだって数え切れない。
 幾度目かに死からの復活を時間して、サトリは技術を磨くことにした。
 王子として、民を傷つけようとしている神官を倒さねばならなかったから。
 親友たちの足手纏いになりたくはなかったから。
 少ないパワーで魔物をいなすことのできる剣法を学び、中位魔法しか使えない代わりに発動までのラグを極限まで縮めた。
 ゆえに、反応の速度でならば親友二人をも上回る。

 ――――だからこそクロックアップの恩恵があるとはいえ、マティウスのフレアを至近距離で回避することができたのだ。

「終われるあああああッ!!」

 かわされるとは露も思っておらず、マティウスは双眸を見開いている。
 搾り出すような絶叫とともに、サソードはゼクターの尾を上下させる。
 再びゼクターより発せられた紫電が、サソードの身体を伝って長刀へ集う。

―― RIDER SLASH ――

 力を貸してくれている意思ある機械の声を耳にして、サソードは腰を低く落とした。

「せりゃァァーーーーーッ!!!」
「ぐう……ッ!!」

 タキオン粒子の密集による白光に、膨大な魔力の青白い煌きが重なる。
 眩い光が周囲を照らして、当事者たちでさえ一寸先も知覚できない。

―― Clock Over ――

 天地創造を連想させる極光の中から、無機質な電子音声だけが響いた。

286王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:27:57 ID:dIOPAbwE0


 ◇ ◇ ◇


 閃光が消滅した時には、もう戦闘音は止んでしまっていた。
 静寂が広がる空間で、咳き込むような声だけが大気を揺らしていた。

「まいった、な……」

 自嘲気味に呟くサトリには、もぎ取られたように右下半身がなかった。
 仰向けに倒れる主人の焼き切られたかのような傷口を眺めて、サソードゼクターは小刻みに揺れる。
 半ばで折れたサソードヤイバーが、地面に突き刺さっていた。

「決ま、ったと……思った、んだけど、なァ。なぁ……何、やったんだ……?」
「対象の動作を緩慢にする、スロウという魔法があってな」

 さも何でもないかの様子で、マティウスは答えた。
 けれども口調に反してその身体には、胸から腹にかけて大きく真一文字の傷跡が刻まれている。
 仮に刃があと数センチ深く入っていたのなら、マティウスは二つに両断されしまっていただろう。
 支給された闇のローブを着込んでいるので目立っていないが、おびただしい量の血液を体外に出してしまっている。

「はは……っ、ん……だ、よ。
 んな、もんあるの……に使わな、かった、ってこと、は……ナメ、られ…………」
「違う。私は、加速していた貴様を捉えられなかったのだ」

 呆気に取られたような声を漏らすサトリに、マティウスは訂正するように言葉を被せた。

「しかし私の中に入った刃を抜き取るまでの間――加速していた貴様には数瞬とかからぬだろうが、その時間だけ私は貴様を捉えきった」
「……は。下手、こいちまったなぁ……っ」

 納得しながらも悔しがりつつ、サトリは意識を手放そうとする。
 そんな彼を目覚めさせるように、マティウスは問いただす。

「ところで、貴様の友人である王の名を何と言う」
「あ……?」
「会ってやると言っているのだ。貴様の友であるらしい、民の上に立ちながら私とは異なる道を行く男にな」

 狐につままれたような顔になった後、サトリは僅かに笑みを浮かべた。
 考え変えるつもりになったのだろうかと思案しつつ、親友の名を教える。

「ロラン、っつー青服、だ。サイ、コー……のヤツだ、ぜ?」
「ふん、考えを改める気など毛頭ない。ただ支配者でありながら青いままの男に、多少興味を抱いただけだ」

 どうやら思考が顔に出ていたらしく、口に出していないのに否定されてしまう。
 でも構わない。興味を待たせただけでも十分だ。
 そんなことを思った矢先、サトリは初めてマティウスの苦悶の声を聞いた。

「うガ、あぁ……ッ?」

 倒れ込んだマティウスの後ろに、血染めの制服を纏った少女が立ち竦んでいた。
 いつの間に現れたのだろうか。
 マティウスとサトリが同じ疑問を抱いたと同時に、少女は巨大なチェーンソーのスイッチを入れた。
 無数のトゲを持つ刃が激しく回転を始めるが、伏している二人はともに微動だにしない。
 サトリはもちろん、マティウスもまた平静を装っていただけで重症だったのだ。
 もう逃げられない二人を前にして、少女――内田珠樹は舌で唇をなぞった。

287王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:28:42 ID:dIOPAbwE0


 ◇ ◇ ◇


「……ん、ぁ…………っ」

 嬌声を上げながら、珠樹は回転するチェーンソーを振り下ろす。
 金髪の方は元から死にかけであっただけに、腕をもいだだけで動かなくなってしまった。
 だというのに銀髪の方はどうだろう。
 大きく斬り付けられていたというのに、四肢を削ぎ落としても睨みを返してきた。
 珠樹はその反応にときめきを覚える。
 傷跡に沿うようにチェーンソーを合わせてからスイッチを入れると、その整った顔が歪んだ。

「んん……っ、ふ――――ぅ、ぁあ」

 それでも、チェーンソーを止めるとまだ鋭い視線を向けてくる。
 見ているものを凍て付かせてしまいそうな瞳が、珠樹の身体を逆に熱くする。
 何か話すように懇願するが、口元を固く結んで一言も漏らさない。
 そんな頑なな態度が、より珠樹の言葉と身体を湿らせる。
 チェーンソーの横腹を顔に叩き付けて、強制的にくぐもった声をあげさせた。
 その声が鼓膜を揺らすと、珠樹の方もくぐもった声を零した。

「う、ゃ…………ァ、ぁああ――――っ」

 胸にチェーンソーを埋めると、ビクンと大きく痙攣して銀髪はついに動かなくなった。
 同じように珠樹も暫し痙攣して落ち着くと、チェーンソーのスイッチを切った。
 自分を吹き飛ばした老婆への憎しみなど、もはや消え失せてしまっていた。
 快感の余韻に浸りながら、珠樹は転がっているデイパックを拾い上げた。
 片方には基本支給品しかなかったが、銀髪の近くにあった方には一振りの剣があるらしい。
 楽しみすぎてチェーンソーの刃が欠けてきたところである。ちょうどいい。
 珠樹はしゃがみこむと、まだ熱っぽい唇をもう動かない銀髪の唇に合わせた。
 銀髪の口内に溢れた血液を味わってから、珠樹は剣を取り出す。

「キレイ…………」

 吸い込まれそうな刀身に、珠樹は思わず口走っていた。
 説明書に記されていた名前を気に入ってはいたが、こんなに肉も骨も容易く斬れそうな代物だとは。
 基本的に死体以外には向けられない、珠樹のうっとりとした視線を浴びる剣。

 その剣の名を――――『皆殺しの剣』と言う。


【サトリ(サマルトリアの王子)@ドラゴンクエストⅡ 死亡確認】
【マティウス(皇帝)@ファイナルファンタジー2 死亡確認】


【一日目・午後/C−1・中心部 山岳】

【内田珠樹(女主人公)@真・女神転生if…】
[参戦時期]:玲子ルート、イデオ第二形態撃退後
[状態]:快感>>越えられない壁>>魔法おばばに対する憎しみ
[装備]:血染めの制服、チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga(刃が痛んでる)、皆殺しの剣@ドラゴンクエスト5
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品0〜2個
[思考]
基本:とりあえず片っ端から殺して回る。
1:魔法おばばは絶対に殺す
2:機械のオイル(ノアを殺すこと)に興味。
[備考]
※パンツはいてません。

288王となるもの/皇帝であったもの:2010/01/30(土) 02:29:27 ID:dIOPAbwE0


 ◇ ◇ ◇


 サトリとマティウスが刻まれている間、サソードゼクターは地中を掘り進んでいた。
 生物でないとはいえ、彼は本来なら貴族に仕える身。
 一時的に力を貸す仮の主人でも、放って逃げ出したりはしない。
 けれども、現在はこうして主人の下から離れている。
 珠樹の狂気に臆してしまったワケではない。
 その証拠に、サソードゼクターは逃げる自分自身を呪っている。
 プログラムされた音声以外を再生できない身でなければ、己の不甲斐なさを百の言葉で表すだろう。

 それでも主が命じたのだ――――逃げてくれ、と。

 どんなに首肯したくなくとも、貴族に仕える以上は主人の指令には従わねばならない。

 主の二人の親友が、この地にいるという。
 『青服の男・ロラン』に『紫髪の女・ルーナ』。
 彼らの力になってくれと、仮初の主人に懇願されたのだ。
 自身の命を奪われるというのに、主人は親友を気遣っていたのだ。
 わざわざ疑われないようにと、尾にゴーグルを括り付けたりもしてくれた。
 サソードヤイバーが破壊されてしまい、誰かをサソードにすることもできなくなったというのに。
 そんなガラクタと化した自分に、彼はまだ役割を与えようと言うのだ。
 ならばどうして、自身の誇りのためにあの場に残って破壊されよう。
 プライドを折ることになってでも主の命に従わずして、何が貴族に仕える身。何が神代の従者。

 ――――逃走という選択こそが、機械のボディを持つ彼にとってのノブレス・オブリージュ。


[支給品とか周囲への影響とかの備考]
※きんきらの剣@ファイナルファンタジー3は、刀身が溶解した状態でC−1中心部に放置されています。
※サソードヤイバー@仮面ライダーカブトは、半ばで折れた状態でC−1中心部に放置されています。
※闇のローブ@サガフロンティアは、マティウスと一緒に刻まれました。
※サソードゼクター@仮面ライダーカブトが尾にサトリのゴーグルをくくり付け、地中を移動しながら『青服の男』『紫髪の女』を探しています。
※C−1中心部に大小いくつかの隕石が落下し、周囲を破壊しました。
※周囲から隕石が確認できたかもしれないし、昼だから目立ってないかも。どっちでもいいです。

289もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/30(土) 02:30:03 ID:dIOPAbwE0
投下完了。

290 ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:31:04 ID:cYELcro.0
>勇者、魔法使い、賢者に関しては超一流
この発想がすごすぎて生きているのがつらい

>王となるもの/皇帝であったもの
これはいい熱血、そして真っ直ぐな王子。サソードゼクターも認めるわけだよ……!
対するマティウスの苦味も分かるだけに、二人が全力でぶつかり合うバトルには燃えました。
フレアをキャストオフやクロックアップで避ける描写のスピード感や、隕石の迫力がすごいなあ。
サソードの行方も気になるが、いい具合にトんでるたまきちゃんにそれが渡るか。皆殺しフラグが怖いぜ!

では、こちらも投下いたします。

291この剣に懸けて ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:32:18 ID:cYELcro.0
 最後のクイーンガード、ロシェ。
 みずから剣の達人を名乗る男、ソードマスター。
 ふたりの遭遇、そして接触は、間合いにして十五歩というところで起こった。

「貴方は、殺し合いに乗ってますね」

 アリアハン城の中央階段を下りてすぐの場所で、戦士は早々に結論づける。
 判断に疑問を差し挟む余地もないと言わんばかりに、つむぐ声は平静を保っている。
 戦士の判断を裏付ける理由のもとは――腰にたばさんだ片手剣の他に、行き合った男が武器を隠していることであった。
 何らかの武器を隠しておくことによって、ほんのわずかばかり膨らんだ懐を注視されても、男は平然としている。
 不意打ちでかたをつける暗器術が破られても自棄にならず、常態をくずさない者は、かつて盗賊ギルドに
潜り込んで短剣と発破の扱いを学んだときのことを思い出すに、まれな部類に入るといえた。
 それどころか迷いなく自分に向かってくるということは、よほどの心胆を備えている達人とみて間違いはない。
 しかし、抜かれたのは腰の剣ではなく、懐の暗器……扇であった。彼の修めた金式鉄扇術より、舞いに使う
ほうが向くと思えるほどに簡素なつくりをした、それでも、戦闘に堪えるだけの重みを有する金属扇――
 こちらが携えるアイスブレードと同じに、氷の力さえ秘めているらしい業物だ。
 得物を棍棒に見立てた男は片手剣が間合いの内側に入りつつ、魔力の証左たる六ツ花を散らしてゆく。
 スタンダードな袈裟斬りをすくい上げていなしたソードマスターは、その一手で男の得手を理解するに至った。

「どうして、そっちを使ったんです?」

 袈裟斬りから間断なく続いた払いを剣の腹で受け止めながら、戦士は疑問を呈する。
 剣の間合いより肉薄しつつも、彼が使うのは遠心力を利用した殴打ではなく、西洋剣特有の“叩き斬る”動作。
 得意の得物を腰に提げているというのに、どうして、この男はあえて不利な状況を選んだというのだろうか。
 答えを求めつつ、打撃を軸とする剣戟をさばき続ける戦士に対して、男の声が返ったのは次の一合と同時であった。

「簡単だ。私は背負い袋の中に、ノアの使った兵器を隠し持っている」
「――えッ!?」

 “これがスイッチだ”との言葉に追随するかのように、首から下がった護符が輝く。
 次の刹那、胸をつきあげる動揺のスキをついて、男はソードマスターのシールドアタックをかいくぐった。
 カイトシールドによる殴打を捌いた扇は、戦士がまとう胸甲に、じわりと沁みわたるような衝撃を残す。
 衝撃とともに広がるのは、氷。冷えた水の器を叩いたときのように、全身にぴしぴしと凍結の波紋が伝わってきた。
 冷気によってソードマスターが動けなくなったとみた男は、初めて剣の柄へと手を伸ばす。

「……そういうことだ。個人の戦闘力や破壊力など、奴に及ぶものではあるまい。
 神を名乗る男を殺した“あれ”は、本来対象など選ばんともな」

 自分たちを殺し合いに巻き込んだ時点で、頂点に立っているのはノアという化け物だ。
 それでもなお、ノアに抗う道を選ぶのかと問うた男の瞳には、躊躇いというものが微塵もなかった。
 是と答えても、否と応じても殺す。鞘から抜かれた片手半剣の金属面は、彼の眼光を冷厳に照り返す。
 だが、このまま黙ってやられるようであるなら、戦士とてみずから“ソードマスター”などと名乗らない。

「おぉおおおおおッ!」

 凍りつきかけた唇から気合いの声がもれると同時に、彼は男の斬り払いを左手の盾で受け止めた。
 盾による打撃から続いた剣にまとった気が、男の扇による防御を破っていく。ソウルチャージ――いわゆる
“内気”を練り、手にした剣と心を通わせるわざの応用でもって、強引に代謝の速度と体温とを高めた結果である。
 そして、ノーマン傭兵剣技が特性のひとつである大胆な振り上げと、振り下ろし。
 盾と連携しての一閃に加えて続いた、底へ金属板を仕込んだ長靴(ちょうか)の蹴撃が、男の剣の腹を捉えた。

『なるほど。手加減したら相手に逃げられたのか、警戒されたくなくて、剣をしまってたってとこかな?
 でも、血の臭いはないし髪も濡れてないから、殺せずじまいだな……』

 だから、相手は不得手な武器でも凍結の効果を期待して使ってみせたということか。
 ソードマスターの胸中で合点がいくのと時を同じくして、剣は空間にいびつな円弧を描いていた。

292この剣に懸けて ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:33:28 ID:cYELcro.0
 普段の自分なら決まる、と思ったのは、きっとお互い様だろう。
 床の分厚い絨毯に刺さらずぶつかった得物は、戦士の足許から離れた場所へ落下した。
 くぐもった音の反響が、かえって城の閑寂としたありさまを暗喩する。
 しかし、中途半端な位置にはぐれた得物を、改めて踏みつけにいく気にもなれはしない。
 剣を失った男の瞳は鏡面じみて、憎悪どころか驚きすら浮かんでいなかったのも、理由のひとつだ。
 これほどの平常心、意志の強さを備えていながら、いったい、どうしてノアに抗わなかったのか。
 自分とて乱世を生き延び、人を人でないものに変容させ、時に破壊衝動の権化と変えてしまう邪気、
“イヴィルスパーム”の奔流から大陸を守ろうとして――
『違うな、嘘ついちゃいけない』
 などという、たったひとりの人間が抱くには大それた望みは、ソードマスターにはなかった。
 ノアに抗うと決めた時にも、イヴィルスパームの生み出した混乱の中で求めたのも、たったひとつ。
『強いヤツとの、真っ向からの戦いだ』
 様々な流派を修めてきた武人と一戦交えることにこそ魂を燃やし、彼らと闘うためにこそ過酷で地道な
修練を重ねてきた男は、金髪の男とにらみ合いを続けながら、容易に折れない彼の器をはかろうとする。
 なろうことならば、これほどに“強い”男の意志を砕き、こちらに引き入れられないかと。
 ノアが真っ向から戦ってくれる保証などないと教えてくれた人間に、別の可能性を見せられないものだろうかと。
 誇りと、自身の定めた美。そして、相手を威圧するほどの恐怖でしか心を動かさない上級妖魔、妖魔の君
ヴァジュイールを翻心させられそうになった時のように、彼の粘りが極まった状況でも顔を出した。

 とはいえ、ここでは互いが心の求めるものを明かし、互いに得物を抜いてしまったのだ。
 いまだ名乗らない男も、自分にしても、相反する相手に対して和解を求めるには遅すぎる。
 ここから先には互いに傷を負い、命を削りあう結末しか残されていない。

『――ホントにそうかな?』

 だが、難局という現実を乗り越えることにかけては、彼にも一家言ある。
 みずから剣の達人を名乗る男は背伸びのない自信を込めて、唇を横に引き伸ばした。
 この鉄火場で微笑み、それに訝しげな顔を返す程度には……自分も、相手にも余裕があるようだ。
 ならば、いいではないか。このまま肩透かしのような勝ちを収めるより、彼の刃が鳴り散らす音をこそ聴きたい。
 自分の腕と誇りを信じているのなら、そのくらいのわがままなど、笑って貫きとおしてやる。

「ノアを頂点に考えれば、個人の力は意味がない。それは、確かにそのとおりかもしれません。
 だけど俺も、貴方も参加者のひとりだ。別の誰かを殺そうとして逃がした時点で、貴方には個人の力は無視できない」

 神と名乗った男を屠った兵器の群れに、ヴァジュイールや別の男を爆殺していった首輪。
 そんなものどもに対抗出来る確証どころか、可能性すら見据えることなくノアを打倒しようと考えていた
目論見の甘さを認めた武芸の達人は、その上で、いまだ双眸から闘志の炎を消そうとはしない。
 美しい連携を求めたヴァジュイールの前で、一心に演舞を決めていたときと、心は同じだ。
 剣でもって愚直にぶつかることしか出来ない自分だからこそ、この男をなんとかする方法は絶対にある。

「だから、俺を殺すつもりなら、全力でお願いします。
 傍から見ていても、貴方は剣のほうが得意なのはハッキリしてるんで――」

 慢心の欠片も無く言い切った彼は、黒く艶のある鋼と銀の刻印で装飾がなされた名剣を男に示した。
 同時に、階段の上という有利な場所からあえて退避を行い、男と同じ“平地”に陣取る。
 高所に陣取り、かつ、暗器術を見破った相手に対する打ち込み方を探していた彼が、さすがに訝しげな顔をした。

「そうでもないと、貴方みたいな人は戦いの結果に納得なんかしないはずですよね。
 あいにく、俺には武術しかない。首輪を外すための技術も見当がつかないし、兵器を撃ち込まれたらそれで終わりだ。
 だけど、そんなヤツ相手に得意な得物を使って、全力でぶつかっても勝てないって事実を……。
 ここでの負けを認めて、逆にノアを倒そうと思う俺の仲間になることを、あなたに受け入れさせてみせるッ!」

 それを視界に入れながら、彼は剣を拾い上げた。
 柄頭の側を男に向けて渡すがはやいか、自分の氷剣を相手の得物と打ち鳴らす。

293この剣に懸けて ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:34:54 ID:cYELcro.0

 戦え、との儀礼にして基本的な合図に対して、男は自嘲と自責の色を、のどの奥の笑いに込める。
 騎士と見える男もまた、彼の中の儀礼に従って、ソードマスターに端的な名乗りを返した。

「ロシェだ」
「なら、こっちも“エペ”で構わないです」

 目では見えぬものに対する確信に満ちた声がつむぐのは、偽名などではありえない。
 そして、ときに宮廷に剣舞を披露していたソードマスターも、フランス語の心得はあった。
 岩を意味する濁らない響きを聞いた戦士は、彼に合わせてみずから自身を“剣”と名乗ってみせる。
 皮肉か、戦神の采配か。これから戦い、ねじ伏せるべきロシェが得意とするらしい武器も剣。
 体幹に影響しない範囲で肩を上下させながら、ふたりは四肢にかかる力を抜いた。

 *  *  *

 そして彼らは十歩の間合いを隔て、強い視線を交わすことなく真正面からぶつけ合う。
 アリアハン城、中央階段前。玉間の御前とも言うべき場所で、すでにして戦いは――始まっていた。

 *  *  *

 剣戟の第一波となったのは、ロシェの無力化を目論んだエペの放つ連撃であった。
 低く、短い跳躍から繰り出したのは、飾り気もないがゆえに小手先の対処が出来ない袈裟斬りだ。
 片手剣よりも刃渡りの長い片手半剣(バスタードソード)の間合いより深く、しかして片手剣の勢いまでは
殺されない距離を測った移動と、移動に使った膝のバネを活かしきった攻撃は、まさに波と形容するにふさわしい。
 奔放な動きの勢いを活かしてコンボを繋ぐノーマンの傭兵剣技に合わせて、重心を少しばかり前へ調整してある
剣はソードマスターの腕と一体になったかのように伸びをみせ、返した峰がロシェの右肩を打ち据えんと迫る。
 隙の無い、流麗な一撃。とはいえ、それを黙って見ているだけのロシェではなかった。
 片手半剣の、普通の片手剣より長い柄を片手で握っている彼は、腰を沈めながら左足を踏み出した。
 利き腕を狙った一閃を横合いに避けてなお、相手に肉薄したままの彼が繰り出すのは、左手に握った剣の鞘だ。
 本来なら添え物でしかないパーツは、納めるべき刀身の長さとあいまって、無視などできない遠心力をはらんでいる。
 重い打撃をカイトシールドの表面でいなしたエペは、即座に手首を返し、盾を通した腕で相手を殴りつけた。
 鉄塊と言い換えてよい物体を剣の腹で滑らされるのを予測して、そこにトーキックをつなげる。
 ロシェの後退に合わせた第二波は、斬り込みからのシールドアタックと、間を置かぬヘッドバット――

 秒刻みの攻防とともに、エペの視界は急速に絞られていった。
 ノーマンの傭兵が伝える剣技と、盗賊ギルド教えるの暗器術の複合。
 いや、まだ引き出しがあるか。それとも、型にとらわれることのない、完全な我流なのか。
 様々な流派の知識を手にしているも、このような戦い方をする相手は彼とて見たことが無い。
「異次元」との単語を思い出す暇もなく、彼の意識はエペ自身とロシェ、剣を交わすふたりへと収斂していた。
 ロシェが足払いから転じて、足の裏による蹴撃で間合いを離そうとしたなら、エペは気の横溢を載せた一撃で応じる。
 エペが回し蹴りからの斬り払いを繰り出せば、ロシェは鞘でさばき剣でいなし、鞘に生じた慣性を殺さずエペの顎を衝く。
 先刻連想した“騎士”という肩書きがもつ印象からかけ離れて、この男の戦いぶりは生々しかった。
 もっとも、数多の流派を見聞し、我が身に修めてきた戦士にとって、それは、別段意外なものでもない。
 “宮廷決闘剣技”などと冠された流派でさえ、膝蹴りや踏みつけといった技を取り入れているのだ。
 しいて、意外であるといえる部分。どの流派にも無いものを探すとするなら、
「たっ!」
 攻撃とともに短く叫んだエペに対して、ロシェは“掛け声をほとんど出さない”点であった。
 とにかく気合いの声を出せばいいというものではないが、己にも分かる形で息を刻めば、その分、息を吐いたときに
生じる筋肉の伸びも分かるものだ。声を張り上げること自体、戦意を昂揚させる効果も有している。
 ソードマスターがみてとったロシェの剣技。彼が得意とする武器の扱いは、自分と互角というところだ。
 実力の拮抗が、肌で分かるからこそ。エペには、彼が単純で有用な道具を捨てていることの意味が分からない。
 剣を握る拳で狙ったこめかみへの一撃を回避するロシェの動作に、つよく詰めた吐息が追随する。

294この剣に懸けて ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:35:43 ID:cYELcro.0
「……まだだッ!」
 サイドステップによって相手の体幹がわずかに崩れたところを、エペは鋭くついてみせた。
 彼が狙ったのはロシェの、剣を握った右腕だ。実力が段違いでもないかぎり、そう簡単に狙うことなど出来ない
身体部位であっても、相手が実力を出せない状態に持ち込めばつかめる。それでも普通は抜けられるだろうが――
 この一瞬で関節を極め、投げ抜けなどさせない地力と知識こそが、ソードマスターの一番の武器であった。
 ステップに伴って踏み出していたロシェの片足を踏みつけるとともに腕を引き、彼の重心移動を見計らって押し込む。
 首の関節を極めるタイムラグを一瞬のひらめきで考慮して、エペはそのまま腕をひしぐことを選んだ。
 引き倒したロシェの背中をまたいで固定し、本来ならば肩関節の曲がり得ない方向に力を加える。
 そのままの姿勢で尻を落としたなら、相手の腕は根元から折れることだろう。
 しかし――関節も、状況も極まってなお、ロシェは平静を崩さない。

「全力で戦え。お前は確かにそう言ったな……。
 では、“その右腕はくれてやる”」

 戦いが始まって以降、彼から初めて意味をもつ言葉を聴いた気がした。
 エペの、技ではなく精神にある躊躇いが、彼のつむいだ台詞に興味と疑問をないまぜに食いつく。
 ロシェが彼を屈服させるためには不可欠であった手心をついたのは、まさにその瞬間だった。
 わずかに甘くしていたが、抜けられる程ではない関節技。その要となっていた肩が、糸の切れたように力を失う。
 みずから関節を外す際にもはしるであろう痛みなどものともせず、男はするどい吸気を肺へ送り込んだ。
「ストレイン」
 間髪入れる隙も与えず、五文字の言葉がつむがれると同時。虚空に円環を描く蒼氷色の陣が収束して弾けた。
 蜘蛛糸のごとくに肉体へ絡む薄緑の線条は、武器と心を通わせるソウルチャージの変奏だろうか。
「え、ッ」
 直後、ソードマスターは吐息についた色に対して、疑問符も感嘆符もつけられぬまま身をよじった。
 たった五文字の言葉、ちいさな声に込められたロシェの意図を、自身の肉体で理解してしまったがために。
 身をよじったつもりが、まったくと動けない。いくら意識を寄せても、自分の姿勢が変わることがない。
 外した関節を起点に体を離す騎士を前にしても、自分は相手を拘束した体勢のまま、指の一本も動かせない。
 座り込んでいるに等しい状態で、視界に入ってくるのはロシェの、いまだ警戒を解かない下半身だけであった。
 硬質だが肉のなかにくぐもった音が響いてすぐに、力なく下がっていた右腕の、肘から先が上方に曲がっていく。
「彫像の呪。僧侶魔法の初級に位置しているが、魔法の存在すら知らなかったようだな」
 魔法とやらに関する説明が、彼なりの冥土の土産であるらしい。
 情感を抑えたロシェの声音からは、エペに対するいかな感情も見いだせなかった。
 それでもなお、ソードマスターの内心は絶望から程遠いものであった。

『無意味? そんなことはない、これは。この戦いは……』

 下手に勝てば増長する、巧く負ければ勉強になる。
 そんな話を聞いたことがあると思い出した彼は、彫像のように固まった口許ではなく、心の中でにやりとした。
 戦いの後で考えるからこそ、人も剣も成長することが出来る。それが戦いと、個人が個人としてある意味ではないか。
 いかに下手であろうと最終的に『勝つ』しか道がないここであっても、今、ここで繰り広げていた戦いは。
 知恵と力を尽くしてぶつかり合い、自身を磨き上げていく行程のひとつは――

『面白い。それだけで、価値があるに決まってるじゃないか!』

 互いに知恵と力を尽くした、その結果。
 拘束されたエペの視界には、騎士が左手に構えた剣がいっぱいに写っていた。
『騎士。騎士っていうよりアサシンだったな。自分の体に、あんなクセをつけてるんだから』
 自分の命を捨て、相手の技を殺す覚悟をしていたロシェか、他人の命を活かし、相手の技をも自らの流れに
取り込むと決めた自分か。実力は拮抗しており、どちらの考えが優れているといえるわけでもないのに、
それでも決着がつくというのだから……つくづく、戦いとは不思議な性質を有しているものだと思う。

295この剣に懸けて ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:36:25 ID:cYELcro.0
 眼前に突きつけられた死の気配を前にしてもなお、ソードマスターは瞳から力を抜かない。
 ロシェに対して一種の博打を打つと決めたその時から、最悪の結末など視野に入れていたのだから。
 そして――次の瞬間。彼は濃密な戦いを繰り広げた相手を一気に切り捨てるのか、それとも躊躇をみせるのか。
 利が生まれるというのなら、ときに自分の命をすら投げ捨てる彼が、いったい、他人のそれにはどう向かうものなのか。
『もう……“貴方”じゃないな。“お前”はいったい、どっちなんだ?』
 戦いによって生まれる流れもまた、生涯を武闘に捧げてきた“剣”の知りたいところでもあった。

 *  *  *

 節くれだったロシェの五指が、魔浄の合金でできた扇を構えた。
 要よりやや上部に添えられている親指に力が入ると同時、骨と素材を同じくしている地紙が開く。
 金属面が擦れるかすかな音に続いて、あえかにして艶麗な六ツ花の紋様が全面に現れた、次の瞬間。
 扇の主は縁を使って繰り出した一閃から即座に手首を返し、利き手の上へと末広の端を載せた。
 自重でもって地紙を畳んだ扇を手首から先の動きだけで軽く投げあげ、先刻と同じ位置でつかみとる――

 そんな動作を繰り返して、もう、何度目になっただろうか。
 あの戦いからしばらく。階段の先に合った玉間を含めて城を巡り終わった騎士は、薄暗い地下で扇を繰る手を止めた。
 アルスには見せることをためらった剣に込められた、祝福の力。高位の僧侶魔法であるラフィールによって
関節を癒すが早いか始めた、新たな武器を扱う練習の成果は……今のところ芳しくはない。
 一連の動作を終えるために必要な時間は平均で三拍。その倍ほどにもたつくことさえあるという体たらくだ。
 これが戦闘のような緊張状態におかれたならば、まずもって練習の時より手際は悪くなることだろう。
 不慣れを差し引いても取り回しに意識の集中が必要となる技など、実戦には使えない。
 重みのある扇は開いたままでも十分な威力があると分かったが、それでは隠密性も失われてしまう。
 かといって棍棒としての扱いに留めては、戦闘扇のもつはずの長所、面攻撃は潰れたも同然だ。
 そして、こちらが扇という武器に習熟していない事実までもが相手に知れよう――

 確かに、いまの自分は剣をふた振り携えている。
 しかし、それを使えない状況に追い込まれた時のことを想像できなければ、自分はそこで終わりだ。
 そうであるなら、生き残るために手を抜くことなど、自分にはとうていできはしない。

 切るように息をついて、ロシェは扇を懐にしまった。
 落胆の色を見せることもなく、軽い痛みを訴えはじめた手首を揉み込む。
 廃都ドゥーハンの地下に現れた迷宮を冒険していて、これ以上の危機には何度も陥っている。
 まだ幼かった凶作の年、その日のパンにすら困った母によって捨てられた時に、決定的な失望も体験していた。
 あの、どこまで行っても背中にとりつく“過去”を思えば。戦えるということは、自分の手で道を選びとって
いけるということは、これから振るう武器を選べるということは、なんと幸せなことなのだろう。
 使命を果たすという目的に比して、あまりにもささやかな喜びが男の胸をつきあげる。
 背負い袋から取り出した水を含んで口内を潤したクイーンガードは――


 雪の白さを帯びた氷剣と、深き海のごとくに青い大盾を。
 灰色に染まった世界の“向こう側”を思わせる一対の武器を、強い瞳で見つめた。


 “裁きの剣(さばきのつるぎ)”。
 月の剣のごとく冴え渡る氷の刃は、かつて自分に名づけられた名を思い出させる。
 暴政によって母を奪ったという女王と、ドゥーハン王国を引き裂くための隠された刃。
 それこそが、かつての『ロシェ』。魂の一片から自分を生み出した男が心の最奥にある影であった。
 寺院の者が発する「捨てられた」との事実を受け入れられずに逃げ出した、幼き日の『自分』を拾った老司教……
救いを求める人の声に応えない神に代わり、人を救うための神を復活せしめんとした男の声は、鮮明に思い出せる。
 あれに叩き込まれた暗殺の業にしても、健全なものとなった心が忘れていても、体が忘れていなかった。
 いいや。髪から色を失い、朽ちかけていた本来の『ロシェ』から分かたれた魂こそが、忘れていなかった。

296この剣に懸けて ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:37:12 ID:cYELcro.0
 黙したまま、冒険者はもうひとふりの剣を鞘から抜き取る。
 先刻の戦いで血脂にまみれてしまったはずの、クイーンガードの剣。
 中世期からドゥーハンに伝わる名剣は汚れることもなく、光源の僅少な地下でさえざえと輝いていた。
 この輝きを授かったときの記憶も、思いを封じる水晶から覗いた、得がたく貴重な日々の思い出のひとつである。
 王宮に潜り込んだロシェの心を開かせ、信頼には命でもって応えようとした女王や、クイーンガードだった“彼女”。
 見知らぬも恋しいひとびとは、男の魂から新たに生まれいでたロシェの、まっさらであるはずの心を縛る。
 それほどに大切な者だけではない。ともに迷宮を探索していた仲間さえ、武神の糧にされてしまうからこそ、
 自分は、死ねない。どんなに歪んだ道をたどろうと、彼らや仲間との絆を汚させはしない。
 魂が消える寸前に見せてくれた彼女の、風花のごとくに穏やかであった笑顔に応えたい。
 女王を武神の呪縛から解き放つことを願った、彼女の思いを叶えてやりたい。
 彼らを自由にするためならば、彼らの信頼を喪っても構わない。

 ……だから。目的を果たすためならば、たとえ己を道具と変えてもみせよう。
 必要であるというのなら、情愛で開かれたはずの心を、ふたたび凍てつかせてやろう。
 歴代クイーンガードの名誉、女王陛下の信頼すら、この名剣とともに砕くことになろうとだ。
 背信も不敬も、罪業も。すべてはここに立つ“最後のクイーンガード”が背負ってやろうではないか。


 服の上から、閉じた扇の輪郭を確かめる。
 もはや道具では有り得ない自分、ゆえにこそ。
 おのが胸中に生まれた望みを貫くためなら、ロシェに許容できない犠牲などなかった。


【D-3/アリアハン城・地下/午後】
【ロシェ(男主人公)@BUSIN〜wizardry alternative〜】
[状態]:MP消費(小)、疲労(大)、右腕に軽い違和感
[装備]:クイーンガードの剣@BUSIN、アイスブレード@ソウルキャリバーⅢ、
 魔浄扇@真・女神転生if...、魔戦の護符@BUSIN
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜3
[思考]:優勝狙い。女王と民草の魂を解放するために生き残る
1:城を拠点にしつつ参加者を殺す。休息を兼ねて、扇の扱いを練習してみる
[参戦時期]:異空で主人公の本体と出会った後、ラスボスと戦う直前
[備考]:人間/職業・盗賊→騎士(Lv5までの魔術師魔法・すべての僧侶魔法使用可)/善属性/性格・正義感。
 クイーンガードの剣は、アイスブレードの盾(カイトシールド)と組み合わせて使っています。

【クイーンガードの剣@BUSIN】
ロシェに支給された。
長剣(片手剣)の一種。ドゥーハンの中世期よりクイーンガードに下賜されてきた名剣。
即死・対アンデッドを追加効果に持ち、道具として使うとHP回復の僧侶魔法「ラフィール」の効果を発揮する。


【エペ(ソードマスター)@ソウルキャリバーⅢ 死亡】
【残り 39人】

----------
以上で投下を終了します。
剣戟系の全開バトルを書いてみたい、それだけはマジに考えていたッ!

297 ◆69O5T4KG1c:2010/01/30(土) 22:45:41 ID:cYELcro.0
っと、>>293で誤字を発見。

×
 ノーマンの傭兵が伝える剣技と、盗賊ギルド教えるの暗器術の複合。


 ノーマンの傭兵が伝える剣技と、盗賊ギルドの教える暗器術の複合。

どうして投下したあとで見つかるんだろう……wiki収録時に修正しておきますー。

298もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 00:19:11 ID:24z4RgQ20
投下乙!
剣と心をぶつけ合う白熱バトル、お見事にございます。
そしてついに、正規参加者から死者が出たか……。

299もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 09:13:06 ID:44mHU54E0
投下乙です

>この剣に懸けて
ついに正規参加者が落ちたか……
『貴方』から『お前』となったロシェに迷いはないだろうし、混沌としたD−3においても埋もれないくらいの注目株だ。
珠樹ちゃんやブシエ辺りとはまた違う、何としても優勝を狙うからこその恐ろしさがある。
しかし読んだ上で二度目に行くと、名乗るシーンがまたいい味出してるなあ。確かに剣だったよ、うむ。

300もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 12:27:09 ID:44mHU54E0
投下しまー

301同じ星を見ている:2010/01/31(日) 12:29:33 ID:44mHU54E0
 同じ時。


 同じ空の下。


 同じ太陽の下。


 同じ星を、彼らは見る。


 されども反応は――――


 ◇ ◇ ◇

302同じ星を見ている:2010/01/31(日) 12:29:58 ID:44mHU54E0


「きゃっ」

 唐突に地面が揺れ動いたことで、エリアC−1を移動していたエースが体勢を崩してしまう。
 腰まで届いてしまいそうな紫色の髪を乱しながらも、消えるマントを纏っている彼女の姿を捉えることはできない。
 目視不可能である上に、思わず零れた悲鳴も小さなもの。
 ゆえに彼女は誰の助けも得られず、塗装されてない地面に身体を打ち付けてしまうことになる。そのはずであった。

「痛たた……って、あら?」
「うはwwwエースちゃんwwww後ろからなんてwww大胆ねwwwwwんもうwwwwww」
「へ? あ、ええっ!?」

 いつまで待っても衝撃が訪れないことに、来たる痛みを覚悟していたエースは目蓋を上げた。
 すぐさま状況を理解して、目を白黒させる。
 運がいいのか悪いのか、ちょうど同行していたナイトの方へと転んだらしい。

「ってかwwwww何か当たってるwww当ててんのよwwwってやかましいわ!wwwwwww」
「な、なななあ!?」

 笑顔と共に告げられた言葉に、エースは素っ頓狂な声をあげた。
 ゆっくりと視線を落としてから、その見えない耳が真っ赤に染まった。
 何とか離れねばならない、せめて身体の角度を変えるだけでも。
 心の底から考えるが、終わったかと思えば再開する地震により叶わない。
 必死になっている彼女に注目する余裕はないが、ここはナイトウの脚力に注目するべきである。
 前衛ではないとはいえ、エースとてかなりの修羅場を潜り抜けている。
 そんなエースが自由に動けないというのに、ナイトウは他人の体重を背に受けても一寸たりとも動かない。
 なぜかやたらと可変する震度に加えて、彼らがいるのは山岳。ただでさえ足場がよくない地帯である。
 動かざること山の如し――そんな言葉を体現しているのは、長き時をかけて鍛え抜かれた肉体あってこそ。

(絶対にwwww動かんwwwwwwこの感触wwww逃すまいwwwwwwwww)

 もっとも、その肉体を操る頭脳の方はえらく不純であるのだが。

 ――――そのまま暫くが経過し、一際大きな揺れの後に地震は収まった。

 今回ばかりは、倒れた自分が悪い。
 そう思ってうずくまるエースをわざわざ煽るようにして、ナイトウは顔を覗き込んだ。

「堪能wwwwさせてwwwwもらいましたwwwwwww」
「…………っ!」

 いらんことを言ったせいで頬に手形が付いているが、ナイトウの笑みは絶えることはない。
 もう相手をするだけ無駄だと悟り、エースは脱げてしまっていたマントを羽織る。
 透明となったのを確認して、口を開いた。

「にしても何だったのよ、あの地震は」
「ああwwwアレはwwww隕石の影響wwwwwww近くに落ちてたっぽいwwwwwwww」
「隕石ぃ?」
「時魔法でwwwwそんなのがあるwwwwwwww」

 いまいち理解しきれずにいながら、エースは眼前の相手を眺める。
 出会った頃から浮かべっぱなしの笑い顔を見つめると、肩をすくめた。
 ナイトウはいつもよく分からないヤツだったか、と一人納得したのである。

「……で、どうするのよ。その時魔法っての使うのがいるんでしょ?」
「もちろんwww当然ww無論wwww言うまでもなくwwwwwwww突撃wwwwwwwwwww」
「でも隕石落とすなんて、本当なら凄く強いんじゃない? そんな何も考えずに――」
「あれだけのメテオwwwww使える時魔導士なんざwww俺の知り合いwwwくらいwwwwwwそwwれwwwにwwww」
「それに?」
「仮にwww俺にww殺意を向けるのならwwwwこの剣のサビにwwwwwwしwwてwwくwwwれwwwwるwwwww」

 うはwwwこれはwww惚れるwwwwwwww
 ナイトウがそんな思いとともに紡いだ言葉には、深い深い溜息だけが返ってきた。

303同じ星を見ている:2010/01/31(日) 12:30:12 ID:44mHU54E0



【一日目・午後/C−1北西部 山岳】

【ナイトウ(男ナイト)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:いつでも毎日骨太wwwwwwwwwwwwwwwwwwww(健康)
[装備]:オートクレール@Romancing Sa・Ga
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2(本人曰く勇者には必要ない物 らしい)
[思考]
基本:うはwwwww殺し合いwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwwwwwwww
1:隕石凸wwwwwwwwwwwwイヴァリースから来ますたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2:エースちゃんはwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww守るwwwwwんでお付き合いからwwwwwwwwww
[備考]
※アクションアビリティ白魔法、その他アビリティ不明


【エース(エスパーギャル)@魔界塔士Sa・Ga】
[状態]:透明
[装備]:消えるマント@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:とりあえず殺し合いに乗るつもりはない
1:とりあえずナイトウに守ってもらう。
[備考]
※参戦時期は神撃破後。
※透明は彼女が何かアクションを起こさない限り認知されません。
※時魔法については半信半疑。


 ◇ ◇ ◇

304同じ星を見ている:2010/01/31(日) 12:31:05 ID:44mHU54E0


 同じくエリアC−1にて、藤林沙理子という名の少女が地面にへたり込んでいた。
 長い黒髪が目を引く彼女の身体は、まだまだ成長し切っていないように見える。
 しかしながらまだ顔付きにあどけなさが残る彼女は、少女の記憶と姿を奪い取った地球外生命体・ワーム。
 人間の殺害に躊躇することなどなく、ゆえにこの殺し合いにおいても優勝を目指していた。
 デイパックから出てきた電撃を放つ銃を手にして以来、彼女は自身を『参加者内では強者に位置する』のだと思い込んでいた。

 ――――ほんの少し前までは。

「何、よ……あれ……」

 唐突に地面が揺れたので、沙理子はそちらの方向に視線を向けた。
 そしたらワームの視力は、とんでもない物を捉えてしまったのだ。
 降り注ぐ隕石の姿を。
 偶然、あの地に隕石が落ちてきただなんて考えられない。
 あんなピンポイントに、幾つもの隕石が近くにばかり落ちるものか。
 そうなれば、考えられるのは一つ。衛星砲のようなものが支給された。
 正直、それも沙理子にはありえないと思える。
 しかしながら起爆する岩が支給されていたのだ。
 もはやありえないとは断定できない。
 沙理子は苦々しい表情で歯を軋ませた。
 ワームの身体に電撃を放つ拳銃、自分でも決して弱くはないと思う。
 けれども落下してくる隕石相手にどうしろというのか。
 クロックアップが使える成虫ならともかく、まだ沙理子はサナギなのだ。そもそも成虫化できるかすら分からない。

「…………無理、ね」

 思わず零れた弱気な言葉は、紛れもない沙理子の本心。
 だが、あくまで『直接戦うだけでは』無理という話。
 まだやりようはある。
 殺し合いなどゴメンだと言う輩は少なからずいるだろう。
 そんな人間たちが集えばチームを組む。
 その中に紛れてしまえばいいのだ。
 戦いとは数だ。質で劣っていても圧倒的な数には埋め尽くされる。
 その数で殺し合いに乗った参加者を駆逐し、その後に油断しきっているチームを丸ごと討ち取ればいい。
 都合のいいことに、擬態している肉体は年端も行かない少女のもの。
 戦闘を他人に任せて守ってもらうポジションに着くのは、決して難しくないだろう。
 何より、彼女は元々そんな『藤林沙理子』を演じてきたのだから。
 己の演技力に騙され続けてきた人間の姿を思い返し、沙理子は見た目に反した老獪な笑みを浮かべた。

 ――――と、ここで沙理子は目を見開いた。

 隕石を落とした参加者が、もう息絶えたとは限らない。
 だというのにこんなところで油を売っているなんて、命が惜しくないようではないか。

「と、とりあえず離れよーっ! 今すぐ離れよーっ!」

 しどろもどろでデイパックを手に取ると、沙理子はとてとてと走り去っていった。



【一日目・午後/B−1南部 山岳】

【藤林沙理子(サナギ体ネイティブ)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、人間体
[装備]:ブラストガン@FFT、
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0〜1(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残る。
1:東へ向かう。
2:『藤林沙理子』を演じて、殺し合いに乗り気でない参加者たちに守ってもらう。

305もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 12:31:23 ID:44mHU54E0
投下完了。

306もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 13:36:40 ID:CvZ8oaUk0
あ、投下直前に状態表変更してねえ

>1:東へ向かう。

1:C−1から離れる
でお願いします

307もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 13:38:12 ID:CvZ8oaUk0
あ、あれえ? 投下直前に、って何だ……?
とにかく、状態表を修正しますってことでorz

308したらば管理人 ◆EKhCqq9jsg:2010/01/31(日) 21:41:16 ID:RRrjFkag0
そう言えば修正やボツネタを投下するスレを作っていました。
無名ロワ雑多スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13135/1264569184/

確認お願いします。

309もう沖田も時代劇なんだよ:2010/01/31(日) 22:43:25 ID:d2xlc8WY0
執筆乙ですー。

>同じ星を見ている
ナイトウ・エースの凸凹コンビ、これはいい感じだわーwwww
「あててんのよ」には笑ったけど、つかず離れずな距離感や、ナイトウの意外な強さが魅力的。
同じ隕石を見ても、沙理子さんは撤退か。自分の力を知ってるのはいいことだけど、無差別祭りな状況でステルス出来るのかしら。
ナイトウたちの方も、隕石の跡には珠樹ちゃんがいらっしゃるわけで……次の一手にハラハラするぜ。

310 ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 12:56:34 ID:nSfLq2uY0
さーて、投下だ。
即リレー気味ですがナイトウ、エース、内田珠樹でいきます。

311気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 12:57:07 ID:nSfLq2uY0
【0】

 ―――××秒で支度しな。


 *  *  *

312気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 12:57:31 ID:nSfLq2uY0
【1】

 アドベンチャーズ・ギルド。
 冒険者の集う同業者組合とは名ばかりの、単なる酒場の窓口。
 塔の最上階に位置する楽園を目指すでもない者たちがくすぶる場所で、カードが流行ったことがあった。
 それは、ギルドをのぞいた仲間の間にもすぐ伝わった。カードがひと組あっても、荷物のかさは張らないから。
 もちろん、あたしもあれを嫌いだったってことはない。冒険なんて博打を打つくらいだから、大抵のゲームは好きだ。
 まぁ……最初こそ、日がな一日飲んだくれてて、溜まったツケを返済するためにモンスターを狩るような
戦士くずれと、四天王とかと戦ってクリスタルを集めて、塔の上に向かってる自分たちが同じことを――
なんて思ってたんだけど。数字の大きさを競うチキンレースは、けっこう……ううん、かなり楽しいものだった。
 何か賭けないと締まらないんじゃない、とか言ったけど、分かりやすい遊び方は気分転換にも向いてたしね。
 それと――たぶん、もうひとつ。

『なるほどな。それじゃ、お前は1にも11にもなれるってことか』

 カードのルールを知った仲間のひとりに、こう言われたことも大きかった。
 全員が切り札(トランプ)たりうるパーティの一員にして、最も小回りが利くのがあたしだ。
 単純に、素早かったこともある。先手を打つ予知能力や、味方を守護するサイコバリア。筋力を強化して前線を
張りにいけるスーパーパワー。冒険の中で様々に閃いた能力を使う頭の回転にも、それなりに自負はある。
 それでも、純粋な前衛に比べて派手さに欠けることは否めず、フレアやブレイクみたいな魔法の書に頼るように
なってからは、なんかこう、頭の悪いパワープレイばかりが目立ってきたと感じてたんだけど……。

『それって……あたしはどんな役にも合う、都合のいい女って言いたいわけ?』
『その憎まれ口をなんとかしたら、いい女で通るだろうよ』

 剣の意味をもつカードの中でも、いちばん強くて便利なエース。
 同名とはいえ、そんなものに例えられたことは、ほんとうに嬉しかった。そうありたいと思えた。
 喜色満面で応じれば仲間にだって気味悪がられたと思うけど、普段の皮肉を今になって悔やんだ程度には。
 アイツをバラバラにして、全部終わって。胸のつかえも取れたと思ったら……そいつは近くにいなかったんだから。

 だから、あたしはまだ、言えてない。
 神に対してケンカを売った、馬鹿の中の馬鹿に言えてない。
 ありがとうとか、感謝してるとか、楽しかったとか。そんな、本当のことを。


 *  *  *

313気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 12:57:53 ID:nSfLq2uY0
【2】

 C-1エリアは中央部にほど近い、山の中。
 相も変わらず足許に不安が残る地形を進みながら、エースは何度目かの息をついた。

「あれくらいの隕石でwwwwwオレが止まる訳ないwwwwwロマンティックも止まんないwwwwwwwww
 危険が危ないならwwwwwこの剣でwwwwwエースちゃん守ってフwラwグw立wてwるwwwwwwwwww」

 たとえ止めたところで、こういう言葉が返ってくるだろう。
 そんな予測ができる程度には、彼女は自分の前を歩く騎士、ナイトウを理解しているつもりだ。
 おkwww? などと問われても、自分に返せるのは先刻と同様、聞こえよがしのため息だけであろう。
 答えはもう、彼のなかにあって動かない。というかひとを守る守らないで、一体なんの旗が立つというのだ。
 自身の想像にすら頭痛を覚えかけたが、危険が迫ると分かった今、エースに出来ることはさして多くもなかった。

「ねえ。透明になってるのはいいんだけど……広範囲に影響が及ぶ攻撃を受けたらどうなるの?」

 大まかに考えて、ここでナイトウを見捨てるか、ナイトウとともに危険に飛び込んでいくかだ。
 爆心地から遠い今の時点で、エースは前者を選ばない。道理を知っても関係ないとばかりに生きる馬鹿ほど
悪運が強いというジンクスを実感しているので、なんとなく、彼の死ぬところが思い浮かばなかった。
 そんな彼が生き延びた場合――自分が戦場から逃げたことを話されても厄介で、しかも自業自得であろう。
 加えて、強敵の外見的な特徴すら、逃げ出してしまえば自身の目に捉えられないとくる。
『……逃げてもどうしようもない状況だって、世の中にはたくさんあることだし』
 ならば、隕石の主がナイトウがらみの人間の仕業であると、期待せずに行動しようではないか。

「うはwwwごめwwwww偶然巻き込まれたりしたらwwwww普通に当たっちゃうwwwwwwwwwww」

 ……ついでに、この男にも極力期待など寄せないことにしようか。
 頭痛が痛いと感じる反面、消えるマントのふたつ目の穴を見つけたエースは、ナイトウの後ろで肩をそびやかせた。
 自分の札を明かしてもいいのだが、猪突猛進な“相棒”の足を止めるには、この機会を使っておくべきか。
「――マントでかわせない攻撃に備えて、なにか護身に向いたものがないかしら。
 ダガーやレイピアなら、けっこう使えるんだけど……勇者に向かないものなら、私に見せてくれる?」
 せっかく守ってくれるというのだから、この男に守ってもらうことに躊躇はない。
 しかし、彼がどのような切り札を持っているのか知らない状態では、護衛の効果も半減する。
 宝の持ち腐れ、ということになってしまえば、自分も、おそらくはナイトウも悔やみきれない。
 ゆえにこそ、いちど立ち止まって荷物確認と心の準備をしようというのに――

「じゃあwwwwwこのナイフwwwwwお守りにすればいいwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
 命中率とか高そうだけどwwwwwwwwwオレには無理wwwwwwwwwサポ白wwwwwwwwww」

 やはりと言うべきだろうか。
 言外のメッセージを読み取ってもらうことさえ、彼に期待してはならないらしい。
 ナイトウはデイパックから鞘に入った刃物を取り出して、エースのいる方向に振り返った。
 柄の部分も含めると、手の付け根から肘くらいの長さか。短剣の刃には、鋸のような凹凸が刻まれている。
 見慣れないつくりの武器で相手の武器を壊すことはまず無理だろうが、勇者というより護身向きなのは確かだ。
 しかしこの、空気を読んでも関係ないようでいて、妙にツボをついてくるのが、いやにニクい。
 絶望に絶望を重ねる時が近いだろうと予想しているエースでさえ、ともすれば毒気を抜かれてしまうほどに。

「でもwwwwwオレがいるかぎりwwwwwwだれもエースちゃんの練習相手にさせないwwwwwwww」
「……分かった。せいぜい期待しとくわ、天才勇者さん。
 でも、もらってばかりじゃ性に合わないから、私の道具も暇を見つけて確認してもらうわよ」

 ――もしも、これから先、暇ができればの話ではあるのだが。
 いまひとつ笑えないジョークは腹に納めて、エースはナイトウとの会話を打ち切る。
 それからいくばくも無く、赤熱の余韻に混じって、金気と塩気を煮詰めたような臭いが鼻をついた。
 隕石の落ちた現場、山岳地帯に出来た不自然で局地的な空白は、もはや指呼の先にある。


 *  *  *

314気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 12:58:36 ID:nSfLq2uY0
【3】

 血に狂う、ひとりの少女。
 内田珠樹の視界を、蒼黒い合金の輝きが支配していた。
 鉄でも青銅でもない魔性の素材は、たとえ常闇にあってもなお蒼くきらめきを灯すだろう。
 絶望のなかの希望。闇中の華。そんな美しい幻想をまとって、新たに刃へ血を浴びせる犠牲者と――
「血を浴びたすぐあとみたい。つやつや、光って……ほんとにキレイ」
 たとえば剣を抱きしめるように握った彼女のような、次の使い手をいざなうために。
 そうしておいて、剣は、それを手にしたものの内面へと語りかけるのだ。

 戦え。戦え。戦え。戦って戦って戦って、戦い続けて『血を流せ』――と。
 主語のない呪言に囚われた者は、ゆえにこそ、己の防御すら忘れて剣を振るうこととなる。
 すべては、間断なくつづく戦いによって血を流し、剣への供物とするために。


 絶大な破壊力の代償は、自他を問わない生命。
 ゆえに、この剣は『皆殺し』の名を冠している。


 いずこかの巷間に伝わるとおり、皆殺しの剣が求める血とは、本来対象を問わぬものである。
 その身に血を浴びることが出来るのならば、彼は、血が敵であろうが使い手のものであろうが構わないのだ。
 “剣は使い手があってこその道具”。“ふるうべき対象と目的があってこそ、剣は道具として活きる”。
 武器という存在を規定する前提は、名剣を魔剣と変えた使い手にも意識されることなどなく、剣も己の分を顧みない。
 前提、すなわち常識は魔剣に通じない。前提が壊れたからこそ、呪いの武具と呼ばれるという見方も出来よう。
 ゆえに、健全な精神をもつ人間が呪いの武具を手にしてしまった場合、彼や彼女は圧倒的な毒気に呑まれるのだ。

 しかし――そうした例から彼女は漏れた。
 魔剣の意志に飲まれるがゆえに生まれるはずのスキなど、少女には微塵もみられない。
 相手が誰であろうと血を流させるために剣が秘めた呪いは、内田珠樹に通じることなどなかったのだ。
『血が欲しい。血を吸いたい? ――あぁ、そう、アナタも“そう”なんだ』
 殺人に快楽を覚える彼女には、倫理に対する前提がなくなっていたがために。
 剣が語るどころか、ガーディアンや悪魔といった者たちに触れることが日常茶飯であったがゆえに。
『そっか。それならさぁ……お互い、目的は一緒だね』
 魔剣と利害が一致していると知った彼女は、正気のままで得物の意志を受け入れた。
 今さら剣に言われるまでもなく、殺せるだけ殺して気持ちよくなるのだと、呪言の強制力を無意識が払った。
 かくして彼女は立ち上がり、相手を選ばぬ破壊の旋風(かぜ)を意識的に呼び起こし、制御する。
 呪いの剣の斬撃は、彼女に取り憑く地母神が振るう冥界波にも似て空を引き裂き、山岳の凸面を削ぎ落とした。
 土煙が晴れる数瞬で、昼下がりの空気は乾いたものをまとって珠樹のかたわらを吹き過ぎる。

「ァあ……あ、は……。見つけた――」

 そして、少し遠い場所にある人影を認めた少女は、腿の付け根から下腹部に渦巻くような熱を覚えた。
 陶然とした表情をいろどる瞳。快感に潤んだままの双眸は、まったくの正気であり――
 ゆえにこそ、そこには最悪の部類に入る狂気がにじんでいる。

 *  *  *

 “待ちなさい”と言えていたなら、どれほど話は簡単だったろうか。
 言ったところでナイトウが聞くようなタマではないとの前提も忘れて、エスパーは歯噛みしていた。
 いまだ自身が透明でいられているからこそ、いまのエースには手の出しようが無いのだ。

「らあぁああああッ!」
「うはwwwチートすぎwwwwww今ここでwwwwwwwオレが修正するwwwwwwwwww」

 先ほど目の当たりにした、牽制どころか過剰殲滅されても仕方の無い攻撃。
 山を削った斬撃に敵意を感じ取ってしまったナイトウを、彼女には止めようがなかった。
 ここで下手を打てば、勝機も、逃げる機会さえも喪ってしまう。そこに気の回る自分が疎ましくなりそうだ。
 実際、逃げ方さえも誤れば危ないだろう。ナイトウは天才との自称に相応しく、隕石による地震にも動じなかった
身体能力を活かしていたが……彼らの周囲にあるふたつの死体の片方は、砕けた隕石の欠片を下に敷いている。
『アイツが、銀髪のほうを殺したみたいね』
 緑の衣装をまとっている、人間だったもの。
 ふたつの死体のもう片方に関しては両脚の炭化だけでも十分死ねるだろうが、あちらは違う。
 原型を留めないほど引き裂かれたローブの惨状は、よほどの暴れ馬を相手にしたがゆえとみるべきだ。

315気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 12:59:36 ID:nSfLq2uY0
 エースの推測を裏付けているかのように、少女は肩からベルト付きの凶器を提げている。
 チェーンソー。ふざけたゲームで彼女たちを玩んだ神をバラバラにした道具を、見間違えることなどない。
 かてて加えて――いまの彼女が手にしている剣からは、禍々しい魔力の流れが伝わってきた。
 遠間から見ていても刺すような感触があるというのに、よくもナイトウは屈しないものだと感じる。
 見れば見るほど、ナイトは楽天的すぎる側面からかけ離れた立ち回りを行っていた。
 山肌のように一方的に殺されるであろう先の先を取られず、攻撃によって生まれる隙を突かれることもなく。
 相手が素早すぎるために、攻撃を見切っても後の先を取るまではいかないが、いなされた剣圧によってすら
地面から砂ぼこりが立ちのぼる様を観察するに、彼がアレと互角に切り結んでいることこそ奇跡。

『ちょっとだけ見直した、けど。アイツは――さっきから全然、疲れてなんか……ない?』

 それでも、エースがナイトウの剣戟に安堵できない原因は根深かった。
 疲労が表に出ていないだけか、あるいは、剣の魔力に加護を受けてでもいるのか。
 全力で十数合を打ち合ってなお、青い服を血に染めた少女の太刀筋には、衰えなど微塵もみえないがゆえに。
 ナイトウの側もよく持ち堪えていると言えたが、いくら鈍くて馬鹿だとはいえ、あの男は普通に人間だ。
 今はほんのわずかに疲労が表に出ているだけであるが、それが顕著になった瞬間、彼は――“終わる”。
 派手な返り血からして頭骨を唐竹割りにされるか、胴を両断されるか、なんにせよ完膚なきまでに壊されてしまう。
 そんな、ひとつひとつの攻撃が致命傷となる戦いに集中せざるを得ない彼を、ここで見捨てていくのは簡単だ。
 簡単だろうが、それでもエースは動けない。動いてはならない事情、彼女なりの矜持が、足を動かさせない。

『こいつの借りを返す前に死なれちゃ、あたしの夢見が悪くなるのよ』

 手の中にあるのは、ナイトウから譲られたソードブレイカー。
 人間だろうと耳の長いエスパーだろうと、ひとが動く理由というのは、これほどに単純なものだ。

 だから、ずっと、見据えていたのだ。
 少女のデタラメな連撃に、いつ途切れがあらわれるのかと。
 だから、ずっと、思案していたのだ。
 自分のもつ特殊能力の、いったいどれを活用したものかと。

 ナイトウを死なせてはならないなら、彼の消耗が無視できないものになるまでに、決断しなければならない。
 回復? バカな、一撃が致命傷であれば、死体になることの避けられないものを癒してなんとする。
 フレア? あり得ない、ナイトウの動きにまでは気を配れない現状、全体攻撃など悪手中の悪手だ。
 ……それならば、今ここで選べるものは、ただひとつ。少女が剣を振り切る一瞬を狙った、

 乾坤一擲の、
 綱渡り。

 相手の攻撃の軌道や姿勢が変化できなくなる瞬間を狙うわざ。
 いわゆる“七分三分の見切り”など、エスパーにはやれるだけの余裕も実力も無かった。
 だから、立ち回りで圧倒的に劣るエースは離脱の札をここで切ってみせる。
 具体的には、選んだ一度でも行ったことのある場所へ自在に移動できる特殊能力――
 いわゆる“テレポート”の即興で組み換えた術式を、彼女はナイトウのマントに指を触れさせて発動させた。
「失礼」
「ごめんwwwいやむしろwwwww御免wwwwwwww」
 異空間に跳躍する瞬間、姿を現したエースは短くひと言。ナイトウは満面の笑みと煽りを残していく。
 恍惚としていた少女の顔が、沈み始めた太陽とともに、憎しみで塗り替えられてしまったのは誰の目にも明らかだ。
 怒らせた。これは間違いなく怒らせた。決定的に墓穴を掘るに至ったエスパーの胸中では――
 途方に暮れたような気分と、半分やけっぱちな満足とが相半ばしていた。


【C-1/中心部・山岳/一日目・夕方】
【内田珠樹(女主人公)@真・女神転生if…】
[参戦時期]:玲子ルート、イデオ第二形態撃退後
[状態]:快感>>越えられない壁>>魔法おばばに対する憎しみ、新たな怒り
[装備]:血染めの制服、チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga(刃が痛んでる)、皆殺しの剣@ドラゴンクエスト5
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品0〜2個
[思考]
基本:とりあえず片っ端から殺して回る。
1:魔法おばばは絶対に殺す。逃げたヤツらも同じ目に合わせる
2:機械のオイル(ノアを殺すこと)に興味
[備考]:パンツはいてません。
 現状、皆殺しの剣@DQ5の呪いに影響されていません。

 *  *  *

316気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 13:00:12 ID:nSfLq2uY0
【4】

 果たして、彼らは闇の底に沈んだ『そこ』に行き着く。
 張り巡らされたパイプに、あたり一面を覆う金属板。鼓動のごとくにリズムを刻む機械の群れ。
 かろうじて床に散らばっていると判るのは、兵器群によってバラバラになった神の欠片と、首の無い男の体。
 つまり、今までC-1エリアしか移動していなかったエースが知っている“別の場所”――


 この殺し合いへの参加を強制された、最初の部屋へと。


 そこにいるはずのノアは眠っているのか、それとも、どこかで動いているのか。
 参加者がいなくなったせいか、光源が落とされていて詳しい様子は見えない。
 暗闇の中に、エースとナイトウの呼吸する響きがひたひたと満ちていく。

「エースちゃ」
「黙って」
「wwwwwwwww」

 半分は計算どおり、半分は偶然。
 なんにせよ、“少女から距離を稼ぐ”という目的を達成したとするにはまだ早すぎた。
 C-1のどこかに転送されれば恩の字であったのだが、このままでは自殺行為そのものにしかならない。
 頚動脈の拍動とともに、ナイトウの口を塞いだエースの首もとで、名も知らぬ男を屠った首輪が存在を主張している。

 ――首輪を破壊、解除しようとしても爆発する。

 ここでノアが提示した条件には、今のところ当てはまってはいない。
 けれど、今のふたりは、もっと大事な前提を忘れてしまうわけにもいかなかった。
「このままじゃまずいわよ、ナイトウ。早く元の場所に戻らないと、あたし達……ノアに殺される!」
 突撃あるのみ。だがいったい、この場にいる誰と戦おうというつもりなのか。
 剣を構え直そうとした騎士と、姿の見えない機械に向けて、エースは矢継ぎ早に言葉を放った。

「覚えてる? 首輪をいじったりすること以外で、ノアから罰を受ける条件のこと。
 立ち入り禁止区域に入った場合と、アイツに従わない場合……。私たち、両方に当てはまってるもの」

 自分は“それ”を理解しているということを示すことで、彼女はノアに牽制の石を投げる。
 立ち入り禁止区域を知る彼が即座に罰を与える前に、いまの自分たちには理解と恭順の意があるのだと――
「だから、ここに避難したままじゃダメ。むしろ、出来るだけ早く戻らないといけないわ。
 あの子がこっちに興味をなくして、何処かに行くまで待ってたりしようものなら、間違いなく首と胴体が泣き別れね」
 口にしておいた上で、エースは“エース”たる所以であるところの頭脳を全力で動かしにかかった。
 色々な意味で規格外の機械が目覚めて、バカな参加者にしびれを切らすまでの時間は何分か、はたまた……何秒か。
 緊張に固まる唇から呼気を押し出したエースは、ノアと少女、遠くと近くの鉄火場を乗り切るための方策を探す。
 さすがのナイトウも黙ったようだが、復路さえ自分のテレポートに頼らなければならないのだ。
 このような状況下では、彼に期待しろという方が難しい。
『つくづく……嫌な感じだわ。遊びなんか頭になさそうなヤツだけど――
 ひょっとして、あえてここに呼んだんじゃないでしょうね? 落ち着いた心持ちで死体を眺め、悔い改めるがいいとか』
 この構図は、あの神を相手にしたときと同じだろうかとも思えてくる。
 あの時といい、自分もよくよく、他のなにものかに遊ばれやすい質(たち)らしい。
 しかし、大抵のゲームで遊ぶのは好きなエースであっても――


「戦ってみて分かったでしょ? あの子に勝つか、それとも逃げのびるか。
 勇者っていうなら、あたしもあんたも生き延びるくらいの奇跡は起こしてみせるのよ」
「wwwwwっぷはwwwwwwwおkwwwwwwwwwwwwwww」


 遊ばれることは気にくわないのだ。

317気まぐれサイケデリック(――――後遺症・last) ◆69O5T4KG1c:2010/02/01(月) 13:01:05 ID:nSfLq2uY0
【?-?/OP会場?/一日目・夕方】
【ナイトウ(男ナイト)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:おkwww乳酸菌摂ってるからwwwww乳酸もwwwww溜まるwwwwwwwwwwww(中度の疲労)
[装備]:オートクレール@Romancing Sa・Ga2
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜1(本人曰く勇者には必要ない物 らしい)
[思考]
基本:うはwwwww殺し合いwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwwwwwwww
0:やっべwwwwww首輪wwwwwwwwwオレたちは飼われていたんだwwwwwwwwwwwwww
1:あの子エロすwwwwwでもwwwww危w険wがw危wなwいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2:エースちゃんはwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww守るwwwwwんでお付き合いからwwwwwwwwww
[備考]:アクションアビリティ白魔法、その他アビリティ不明

【エース(エスパーギャル)@魔界塔士Sa・Ga】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ソードブレイカー@P3P、消えるマント@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:とりあえず殺し合いに乗るつもりはない
0:首輪が爆発する前に、少女(内田珠樹)への対策を立てて会場に帰還
1:とりあえずナイトウに守ってもらう
[参戦時期]:神撃破後
[備考]:透明は彼女が何かアクションを起こさない限り認知されません。
 時魔法については半信半疑。特殊能力「テレポート」を習得しています。

※参加者の首輪に関して、爆発に制限時間があるかどうかなどは後続の書き手さんにお任せします。


【ソードブレイカー@ペルソナ3ポータブル】
ナイトウに支給された。
コロマル専用の小刀のひとつ。刃が鋸状になっており、達人ならば相手の剣を折ったりもできる短剣。
なお、ナイトウ(内藤)の元ネタであるFF11にも登場しているが、そちらではシーフの専用装備となっている。


----------
以上で投下を終了します。
戻ることが前提なんで、こんな展開でも大丈夫かしら……?
問題があったり、流石に無茶振りすぎるって場合は指摘をお願いします。

318もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/02(火) 13:37:10 ID:tu3VaUYY0
おつでーす

>気まぐれサイケデリック(――――後遺症)
なんと、まさかこうくるとはwびっくりしたけど面白そうだw
エースの掘り下げがいいですね。名無しキャラのよさが出ている
あと皆殺しの剣の描写も素敵。その呪いを越える珠樹ちゃんいいよ珠樹ちゃん
しっかしナイトウの状態表は見るだけで笑えてくるw飼われていたんだ、じゃねーよwwww

319もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/02(火) 15:17:30 ID:tu3VaUYY0
投下します。

320地獄少女:2010/02/02(火) 15:18:02 ID:tu3VaUYY0





 ――――もう、ハーモニーなんてないんだよ。





 ◇ ◇ ◇

321地獄少女:2010/02/02(火) 15:19:00 ID:tu3VaUYY0


 一人の女性を突き飛ばしておきながら、ミレニアは表情を崩さずに階段を下りる。
 同じ方法で参加者を減らしていくつもりであったが、それはやめることにした。
 何せ塔の下には転落死体があるのだ。後々来るであろう相手も警戒していることだろう。
 だというのに、わざわざ頂上などという最も分かりやすい場所で留まるのは愚行である。
 ならば、階段の踊り場にて迎え撃つ。
 足音が響きを感じ取れば、階下からの接近ほど対応しやすいものはない。
 流儀の欠片もない策を狙いながら、ミレニアはあどけなさの残る表情を歪めた。
 自身が先陣を切りながらも、引き連れた三人の仲間へと冷静に指示を出していた勇者ロト。
 その面影は、もはやその衣服と黒髪くらいにしか残っていなかった。

「…………さて」

 階段の半ばにある踊り場に、ミレニアは座り込んだ。
 携えた腹切りソードを振るい、殺害するのに十分な広さがあることを確認してある。
 続いて、ミレニアは殺害したダイナマのデイパックを開いた。
 自身の支給品は確認してあるが、こちらはまだ未確認である。
 仮に防具があるのならば、纏っておきたいところだ。
 そんな期待とともに一枚の説明書に目を通すと、何やら特殊金属製のアーマーとなるものがあるらしい。
 使用方法を読んでもよく分からないが、とりあえずとばかりにミレニアはその支給品を取り出した。

「なっ!?」

 ザビーブレスというらしい腕輪を取り出した瞬間に、拳大の機械がミレニアへと襲い掛かる。
 ミレニアは状況を理解できていないながらも、咄嗟に回避行動を取っていた。
 火花のような羽音を鳴らしながら、ザビーゼクターという名の黄色い蜂型機械が宙で静止する。
 そのままミレニアを見据えること数刻。
 取り落とされたザビーブレスを回収すると、ザビーゼクターは旋回しながら壁を破壊して外へと飛び立っていった。

 多数を統べる勇者であった少女は、しかし多数を統べる蜂に認められることはなかった。
 完全なる調和を捨てて単独での生を目指す以上、ザビーゼクターは彼女を使い手とすることはない。
 逃走されたワケも理解できずに、ミレニアは再びデイパック内の確認を再開する。
 今度出てきたのは、銀のベルトとまたしても昆虫を模した小型機械。
 半身が緑色にもう半身が茶色をしたバッタ型――――その名を、ホッパーゼクター。
 その使い手は、かつて輝かしい光の下で多数を統べていた男。
 けれども現在では、闇の中で同じ闇を抱く弟としか行動しない男。
 ザビーゼクターとは異なり、ホッパーゼクターはミレニアの元から離れようとしない。
 なぜなら、彼女もまた瞳に闇を宿しているのだから。
 ホッパーゼクターに触れた瞬間に、ミレニアは目を見張った。
 いい顔になったな――そんなことを、誰かに言われたような気がした。
 ミレニアが我に返ると、ほんの少し触れただけであるはずのホッパーゼクターはすでに掌の上にいた。
 暫し唖然として、ミレニアは静かに目を細めた。

 こうして栄光の道から転落した男のゼクターは、同じく栄光の道から転落した少女の手に渡った。


【一日目・午後/D−3 ナジミの塔 階段の踊り場】

【ミレニア(女勇者)@DRAGON QUEST3】
[状態]:健康
[装備]:腹切りソード@METAL MAX RETURNS、夢見るルビー@DRAGON QUEST3、ホッパーゼクター&ゼクトバックル@仮面ライダーカブト
[道具]:支給品一式×2、不明支給品0〜2(ミレニアに支給された方は確認済み)
[思考]
基本:どんな手段を使ってでも生き残る。
1:出来る限り参加者を減らす。
2:ひとまず、待つ。
[備考]
※参戦時期はロトになった後です。
※ホッパーゼクター@仮面ライダーカブトに、使用者として認められました。
※ザビーゼクター@仮面ライダーカブトが、ザビーブレスを抱えて飛び立ちました。

322もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/02(火) 15:19:16 ID:tu3VaUYY0
投下完了。

323もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/02(火) 20:10:01 ID:7sL.C2kI0
wikiの現在位置を、ちょっといじってみました。
画像の更新は、現状は自分も手が回ってない+手間がかかるので、文字のほうを上にさせてもらってます。
代わりに、ページの一番上にあるリンクをクリックすると、アンカー機能で地図とかにジャンプする感じで。
右寄せになってる▲をクリックすると、ページの一番上に戻りますー。

そして感想を。執筆乙でしたー。

>地獄少女
読めば読むほどタイトルが解るw 元ネタ選ぶセンスがいいなぁw
ミレニアも調和や安定≒平穏が欲しいんだけど、ちょっと踏み外してしまってるんだよな……。
やりたくないことをやらされてたのに、やりたいことの実現を目指してみたらゼクターからも見放されるって皮肉が絶妙だ。
555、サソード、ホッパー(予定)と、DQキャラとのコンビに定評のある変身グッズのうち、ザビーは誰に渡るかな?
二周目を読むと最初の一文も染みる……堅実かつ濃い内容のつなぎ、面白く読ませていただきました!

324もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/03(水) 02:04:14 ID:gk1jR88c0
>王となるもの/皇帝であったもの
サトリもマティウスもカッコイイ……
とおもったらやっぱりたまきちゃんかwwwwwww血に餓えすぎwwwwwwww
サソードは主を見つけられるのだろうか?

>この剣にかけて
熱い剣術バトル、カッコいいぜ!
貴方からお前に切り替わったロシェがどう動くかも見ものだぜ……!

>同じ星を見ている
隕石凸wwwwwww 内藤は自重しろwwwwwwwww
この感触とか言ってる場合じゃねえよwwwwwww
ステルス沙理子さんもまだまだ始まったばっかりだけどうっかりやさんな臭いがするぜ!

>気まぐれサイケデリック(――――後遺症)
流石の内藤でもたまきちゃんは苦戦するのか……
エースかっこいいよエース。トランプのブラックジャックの発想はなかったなあ。
OPの場所に来ちゃった二人はどうなるやら!

>地獄少女
読めば読むほど深いぜ……
全てを敵に回す覚悟が決まっているからこのヒトもかなり怖いんだよなー。



さて、自分も投下します

325テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:04:50 ID:gk1jR88c0
「……しっかし、誰もいないわねー。人の一人や二人や一億人ぐらいいればいいのに」
そんなことをぶつぶつ言いながら剣を片手にうろつくネリー。
地図を見る限りそこまで広くも無いだろうと推測して適当に歩き回っていた。
しかし、もう数時間も歩いているというのに人っ子一人出てくる気配が無い。
次第に面倒になってきたネリーはとある支給品をバックから出した。
「……もうめんどくさいや、これ使っちゃおうっと」
一見、それは何の変哲も無いドアだった。
しかし、そのドアはこの会場内のどこにでも旅立つことの出来る魔法のドア。
一回きりの使い捨てではあるが、それでも便利なアイテムには違いない。
痺れを切らしてしまったネリーは一か八かドアを使ってどこか適当な場所へと出ることにしたのだ。
「これで誰も出てこなかったら、逆に誰にも会わないって言うのもアリかもね」
そんなことを呟きながら勢いよくドアノブを捻った。

幸運にも、そのあとすぐに人に会うことはできた。
念願の人間との遭遇、思わず口元に笑みが浮かぶ。

しかし、希望は絶望へと塗り替えられる。
「……次の相手はあなたかしら?」
扉を開けた先で真っ先に感じたの憎しみや狂気の類を一切感じさせることの無い純粋な殺気。
目の前のポニーテールの女性は殺し合いを楽しんでいるに違いない。そんな確信に近い何かがネリーの中で生まれる。

もう一つ生まれたのは武器を構えていないという違和感。
殺しにかかってくるにしても、それを為す武器が無い。

つまり、距離をとっても戦える「何か」があるということ。
何の考えもなく突っ込めば命は無いだろう。まずは、自分の態勢を作ることにした。
呼吸を整え、意識を集中して手に持っている剣を握り締める。
やがて微かな光がネリーを包み込み、その光は剣をも包んでいく。
「中々楽しめそうね……いいわ、どこからでもかかって来なさい」
目の前の女性の顔は笑っている。梃子でも動かない絶対的な自信を持っているかのように。
ネリーは全神経を使い、女性の自信の源を探る。

まず徒手空拳の可能性を考えたが、それならば先ほどの会話の時点で距離を詰めているはずだ。
では次に遠距離で何も持たずに攻撃できる手段は何か?
気弾の類だろうか? それにしては気を練りこむ動作が見られない。
魔術の類だったとしても女性の口元が動いている様子は無い。弓矢の類ならば真っ先に距離を取る筈だ。
……では、女性の自信はいったい「何」から来ているのか。
「かかって来ないなら、こちらから行くわよ?」
原因を探り終えないうちに女性がゆっくりと距離を詰めてくる。
徒手空拳を使うにしてはゆっくりすぎるし、かといってカウンターを狙うにしても無防備すぎる。
ネリーは全思考を巡らせて女性の自信の正体を探る。

326テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:05:04 ID:gk1jR88c0
結論としては「どれでもなかった」のである。
少し距離が縮まったところで女性の左手は空を切った。
傍から見れば何も無いところを勢いよく叩いたようにしか見えない。

いや、空を「斬った」というならば正解か。
大気を切り裂く「五本の糸」がネリーの目にはしっかりと映ったのだ。
糸の射程範囲に入っていたネリーは急いで身を翻すが、足の一部に数本の赤い線が走る。
「ふふっ、少しは楽しませてくれそうじゃない」
笑っている女性に対し悪態をつこうとするが、そんな隙すらも与えてくれない。
両手合わせて十本の糸が、それぞれ意識を持っているかのように縦横無尽にネリーの元へと襲い掛かる。ネリーの持つ破邪の剣一本では限界がある。
一瞬の隙を突くためにこのまま避け続けても自信に満ち溢れた彼女から隙が生まれるとは思えない。
自分の体力を搾り取られ、最後にはミンチになるのがいいところだろう。



ならば……。

327テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:05:23 ID:gk1jR88c0
「何のつもり?」
突如背中を見せ走り出した少女にブシエは眉をひそめる。
武器の正体が糸だと瞬時に見抜いたときは強敵の予感がしたのだが、どうやら勘違いだったらしい。
それどころか敵に背中を見せて逃げる姿にブシエは憤慨していた。
「私を楽しませてくれると思ったのは、勘違いだったのかしら」
自分を失望させた罪を「死」で償わせるために、ブシエはゆっくりと距離を詰める。
逃げられないことを悟らせて、絶望に叩き落してから殺す。
それが少女の犯した罪に対するブシエなりの処罰だった。
ふと、少女がブシエの方へと振り返る。ブシエと少女の距離が最初よりも離れた時のことだ。
「あら? 観念したのかしら?」
少女は左手で剣を構え、怪しげな球体を右手に掲げて立っていた。
ブシエがもっと距離を詰めようと近づいたとき、少女は右手の球体を地面に思い切り叩きつけた。
「……やれやれ、何をやっても無駄よ?」
そこから出てきたのは紅白のこれまた丸い球体だった。
果たして少女はいったい何をするつもりなのか?
いや、何をするつもりだろうとどうでもいい。ただ「斬る」のみである。
少女は迫りくるブシエに対して、笑みを浮かべたのだ。
「本当に無駄かどうか、自分の目で見極めればいいじゃない」
そう言うと、少女は渾身の力で目の前の球体を弾き飛ばした。

ボウリングバッシュ。
一体の敵を勢いよく弾き飛ばし、その敵を弾丸として扱う技術。

そして今、ブシエの前には弾丸となった球体が目にも留まらぬ速度で迫ってきていた。
だが、ブシエは動じない。その弾丸を斬り裂く構えに入る。
ブシエから見た間合い、対する速度、物体の強度すべて十分。
そしてブシエの間合いへとついに球体が迫ってきた。
弾丸を一点に見据え、ブシエは渾身の「一閃」で斬り落としに行ったのだ。





さて、ここで問題だ。
ボウリングバッシュで弾き飛ばされた球体はなんだったのか?
1.これ! 地球儀!
2.おじさんのきんのたまだからだいじにするんだよ
3.みかん星人
4.――――

328テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:05:43 ID:gk1jR88c0



――――マルマイン。
少しの衝撃にも敏感に反応し、大爆発を引き起こすポケモン。
突き飛ばされた衝撃を感知し、大爆発の過程へと入っていく間にも自身の体は吹き飛んでいく途中だった。
ブシエの目の前に着いた頃、全てを塵に還すような大爆発を起こした。
まるで、自分の死期を悟ったかのように。



では、結果はどうなったのだろうか。
無論目前で大爆発など起これば並の人間では立っていることすらも出来ないだろう。
マルマインを弾き飛ばした瞬間にネリーは勝利を確信していた。
しかし、ネリーは信じられない光景を目の当たりにする。
立ち上がる炎が真っ二つに割れているのだ。
まるでそこに空気の壁が在るかのように。両断されていたのだ。



一体何が起こったのか?



ブシエの一閃はマルマインを断ち切った。
そのときすでに爆発は始まっていたのだがブシエにとってはどうでも良かった。
何が起ころうと「斬る」のみ。頭にあるのはそれだけだったからだ。
右手を手刀の形にし尋常ではない力で下から上へと薙いだ。
五本の糸が水平に並び、一本の刀となって空気をも切り裂いたのだ。
常人では有り得ない速度で振り抜かれた五本の糸は、摩擦熱で焼き切れるまでの間にマルマインと空気を見事に断ち切ったのだ。
残ったのは縦に割れたマルマインと、ブシエを囲うように立ち込めた爆炎のみ。
結果としてブシエは右手の糸を犠牲にして無傷でやり過ごしたのだ。

329テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:06:05 ID:gk1jR88c0
「やっぱりただの糸じゃ駄目ね……」
一体なんだというのだ。只の糸で大気すらも断ち切る異常な力の目の当たりにしたネリーはただ立ち尽くすしかなかった。
「さて、そろそろ死んでもらうわ。
私を失望させたあなたには塵すらも残さず葬ってあげましょう」
少し距離を詰め、糸がネリーへと届くようになった辺りでブシエは構えの姿勢へ入った。
左手を手刀の形に変え、先ほどとは違い一挙一動をしっかりとこなし、目にも留まらぬ速度で横に振りぬいた。
きれいに水平に並んだ五本の糸は、先ほどと同じように摩擦熱で焼け落ちていきながらも空気を引き裂いて行った。
しかし、段階を踏んで振り抜かれた糸達は先ほどとは違い横一文字の大きな刃となって、ネリーのボウリングバッシュに負けないほどの超速度で飛んでいく。
正確な構えを挟むだけで、空を斬る刃はその場に留まらず前に進む力を手に入れたのだ。

下手に屈めば首を刎ねられる、飛んだところで腰からちょっと上の場所で寸断されるだけ。
そのまま立っていてももちろん体が真っ二つに分かれてしまうだろう。
倒れこむにも途中で刃が肉を裂くだろう。
勿論、破邪の剣でどうにかすることもできない。
速度を逆算しても、どう考えても間に合わない。絶対に避けられない。そんな絶望がネリーへと襲い掛かる。

ああ、ここで死ぬんだと悟ったとき。
ゆっくりと目を閉ざし、迫り来る死を待った。
ネリーの頬から一筋の涙が零れ、地へと落ちた。

330テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:06:52 ID:gk1jR88c0
「誰……何故そこに立っていられるの?」
ネリーは狼狽えるブシエの声で目を開けた。
涙ですこし歪んだネリーの視界には一人の男の背中が大きく、とても大きく映っていた。

一方ブシエは、得物ではないとは言え渾身の力を込めた一閃を受けても無傷である人類がいると言うことが俄かには信じられなかった。
ブシエ自身にあった「自信」を砕く現実を目の当たりにして狼狽えるのも無理はない。

「目の前で泣いてる人がいたら、どんなことをしてでも笑わせてあげたい。
その為なら死期が早まってもいいし、呪われたって構わない。
……それが持論でね、じっとしてられない性分なんだよ」
「そんなことを聞いているのではないのだけれど」
手ぶらとなったブシエは一息ついた後にゆっくりと男性へ人差し指を突き付ける。
「……まあいいわ、あなたなら十分楽しめそうね。
そこの女の子みたいに私を失望させないでくれるといいんだけど」
その言葉に男は得意気に微笑む。
「おやおや、元気そうで何より」
ブシエを挑発するように突き立てた人差し指を左右に揺らす男。
「なあ、一つ賭けをしないか?」
「何をふざけたことを……」
「まあいいから聞きなよ」
今にも素手で襲い掛からんとするブシエを宥めながら男は賭けの内容を喋り始めた。
「見たところ、よっぽど自分に自信があるみたいだ。
だから、彼女を一度ここで逃がしてくれ。そして彼女が戦いを申し込んで来たときに一対一で戦うんだ」
そこまで言い終えたところで男は一本の剣を引き抜く。
「得意な武器みたいだしこの剣をあんたにやる、それがチップだ。挑戦してきた彼女をしっかりと負かすか、彼女が途中で死んでしまった場合はあんたの勝ちだ。好きにしたらいい」
そして男は地面に剣を突き刺し、畳みかけるように言葉を続ける。
「あんたが彼女に負けた場合。その時はこの殺し合いに抗う者達に力を貸してほしい。
それが賭けの条件だ。だから、あんたはいずれ向かってくる彼女と戦わなきゃいけない。
勿論そこまで生き残らなきゃいけないけど、そこまで自分に自信があるなら余裕だろう?」
男が条件を言い終わり、一息ついた後にブシエが一つ、男へ問いかける。
「もし挑戦してこなかったら?」
「あんたの最強が揺るがないだけだ、彼女はあんたに屈した。それだけの事さ」
更にブシエが問いかける。
「もし、彼女がやって来る前に私が戦いを挑んで彼女を殺したとしたら?
あなたの剣を貰ってあなたを殺した直後に彼女を殺しに行くかもしれないわよ?」
その問いかけを聞き、男は笑う。
「……そのときはアンタがビビってるんだろうな、自分より上の存在が現れることが怖いんだ」
「なんですって……?!」
男の態度と予想だにしない答えにブシエは再び憤慨する。
「だってそうだろう? 本当に自分が最強だと思ってるならどんなやつでも怖くない筈さ。
将来伸びるかもしれない種を斬るってことはさ、あんたは自分より上に行かれるのが怖くてたまらないんだよ。
――――違うかい?」
男の言葉に、ブシエは返す言葉を無くす。
歯軋りをするブシエを見て、男は再び得意気な笑みを浮かべる。
「どうだい、悪い賭けじゃないだろう?」
「そうね……いいわ、その賭けに乗ってあげようじゃない」
「グッド! じゃあ剣を……と言いたい所だけど少し時間をくれないか。
彼女に色々説明をしておきたいし……ね」
終始立ち尽くしていた少女を指差して時間を要求する男。
暫しの沈黙の後、ブシエが口を開く。
「早くしなさい……あまり待つことは出来ないわよ」
「……不意打ちしたりしないのか」
「そんな姑息な手段にでるのは弱者のやること、正々堂々勝負して打ち負かしてこそ……でしょう?」
「へへ……大した自信だぜ」
ブシエに一礼し、ネリーの方へと向き直る男。
呆然としていて何が起こったのか全く理解していないネリーの頬を軽く叩く。

331テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:07:05 ID:gk1jR88c0
「大丈夫かい? 早速だが君にお願いがある。
この本を「アバロンの皇帝」を知る人間に渡してほしいんだ。
きっとこの殺し合いを覆す大きな武器になる。
……それから、君がこの殺し合いに抗ううちに、いずれ彼女とは戦う事になると思う。
彼女と戦うかどうかは君の意志でいい。
ただ、君は強くなれる。今よりももっと、もっとだ。
その事を頭に残しておいてくれ」
そう言うと、男はネリーに一冊の本を手渡した。
やっと状況を飲み込んだネリーは、一回だけ強く頷いた。
「さあ、彼女がいつ痺れを切らすか分からない。早く行くんだ」
男に背中を叩かれたネリーは反射的に飛び出した。
一切、後ろを振り返らず。ただ、まっしぐに駆け抜けた。



ネリーは考える。
果たしてあの怪物に勝てるのかどうか。
今の自分には一体何が足りないのか?
「……なんだっていいや」
足りない物があるなら埋める。
そのついでにある物は伸ばす。
そんながむしゃらな努力でナイト時代を過ごしてきた。
「この超天才が本気出せばどうなるか、思い知らせてあげるんだから」
どうやらもう一度、がむしゃらになる必要がありそうだ。

天才が努力すればどうなるか、あの女性に思い知らせてやろう。

【B-2とB-3の境/森林/一日目/午後】
【ネリー(ロードナイト)@ラグナロクオンライン】
[状態]:美幼女、疲労(大)
[装備]:破邪の剣
[道具]:基本支給品、古代魔術書@Romancing Sa・Ga2、ドア(あと二つ)@魔界塔士Sa・Ga
[思考]:
基本:もっと、もっと強くなる。
1:とりあえず頼まれたとおり「アバロンの皇帝」に反応する人を探し、古代魔術書を渡す。
2:サラシの女性(ブシエ)ともう一度戦う。

332テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:07:49 ID:gk1jR88c0



――――
アバロン皇帝にはある伝承法で受け継がれている能力がある。
人を一目見るだけでその人間能力を見抜く力だ。
その力を使い、状況に応じて能力のある人間を選んで戦ってきた。
彼は瞬時に両者の力を見抜き、この殺し合いを覆すに相応しい人物に全てを託したのだ。
それが、今回はネリーだった。
では、何故純粋に戦力の高いブシエを選ばなかったのか?
……簡単な話だ。ネリーは伸びるがブシエは伸びない。彼はそう判断したからだ。
――――

「さて……そういや名乗ってなかったな。戦う前には名乗っとかないとな。
アバロン帝国250代目皇帝、ガラシェだ」
「ブシエよ、ブシド・ザ・ブシエ」
ネリーを見送った後にブシエの方へと向き直り、自己紹介を済ませるガラシェ。
ブシエもそれに応えて名乗りをあげる。
「なあブシエ、俺と戦う前に一つ聞きたいことがある」
「何かしら?」
剣を引き抜く寸前で男がブシエへと問いかける。
「あんたは、自分が最強だと思っているのかい?」
「ええ、このブシエに斬れない物などあるわけがないわ」
ブシエのその答えを聞いて、笑みを浮かべるガラシェ。
その反応を見てブシエの表情が曇る。
「……何がおかしいの?」
「ああ、傑作だよ。あんたは頂上にいるんじゃない、上を見てないだけなんだ」
「何をッ!!」
その言葉に思わず一歩踏み出すブシエ。
ガラシェは一切動じずに言葉を続ける。
「怖いんだよ。アンタより上に立つ人が現れるのが。
 だから下を見続けて伸びそうな種を狩る。自分が最強で居続けたいから!
 落ちていく自分を見たくないから! 頂上であり続けたいと思っているから!
 向かってくる人間が怖いんだ! 違うか?!」
「戯言を!!」
「じゃあ俺で試してみるかい最強さんよ?!」
ついに痺れを切らしたブシエに対し、剣を投げつけるガラシェ。
それが、始まりの合図の代わり。
「あんたが「自分を超えられること」に恐怖心を持っている限りあんたは最強にはなれない!
 自分自身を超える意識を捨てたあんたが何時までも最強でいられるわけがないんだ!」

333テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:08:05 ID:gk1jR88c0
その言葉を無視してブシエが切りかかると同時に、ガラシェの手元に盾が現れる。
超速の斬撃に反応するその盾の正体は、金剛の守りによって術者が構えずとも攻撃を弾き飛ばす土の最高位術法「金剛盾」だ。
全ての攻撃を守ってくれるほど金剛の守りも堅くはない。
最初の一撃を防いだのを見てからガラシェは己の両手に爪を生やし、更に炎を纏わせる。
空間をも切り裂く一撃を再度放たれる前に、ガラシェは両手から炎の竜を放つ。
しかし、その炎の渦がブシエに届くことはない。
光速の一振りにより空気中の水分が凝固し、刀から滲み出るように見える雪たちが炎を打ち消す。
その間に流れるように術を唱え、自らの闇の分身を生み出し終えたガラシェは次のステップへと移る。
大地に手をあててその意識を呼び覚まし隆起現象を起こし、岩石の雨を降らせる術法「ストーンシャワー」
ブシエはその降り注ぐ岩石をも一つ一つ粉砕し、確実にガラシェへと肉薄する。

何時までも金剛盾で防げるほどブシエの攻撃は甘くない、持久戦になれば不利なのは自分に決まっている。
ならば……体術で一気にケリをつけるだけだ。

迫り来るブシエに対し、呼吸を整えて意識を集中する。
そして、自らの目に観音の像を映し出し、それをブシエへと重ねる。
ブシエが眼前へと迫り、剣が自分の頭上へと振り下ろされる。
金剛は守ってくれない、しかしガラシェは避けない。
確実にガラシェの頭を剣が真っ二つに割った。ブシエにはその確信があった。
しかし、現実は違った。彼女の攻撃は「闇の分身」に飲まれたのだ。
先ほどの一閃を飲み込んだのも、この闇の分身である。
ブシエはそれを理解した、しかしそれはあまりにも遅すぎた。
既にガラシェはブシエを観音の中に捕らえ、拳を振り上げているのだ。
ガラシェの腕が千本あるように見えるほどの光速の拳の連続。
まともに防御の姿勢を取ることすら出来ずに、ブシエはその全てを体に叩き込まれて吹き飛んだ。

決着が……ついた。

334テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:08:25 ID:gk1jR88c0





最後の一撃を叩き込んだ後、突如足を崩し倒れこむガラシェ。
巨大な血塊を吐き、あたり一面を血の海へと変えていく。
ブシエにはその光景が信じられなかった。
「くっそ……ここで時間切れか……」

原因は彼の操る冥術にあった。
先代皇帝から受け継がれてきた本来「人間が扱うことが出来なかった」冥術。
彼の先代は古代魔術書をとある魔道士から強奪し、その失われた術の研究を進めた。
結果、冥術は現代に蘇ったのだ。

しかし、冥術を操るということは冥府の力を借りるということである。
力の代償、それは勿論己の命。
禁断の古代魔術は自身の身を削る危険な術法だった。

では、何故その冥術を使い続けたのか?
七英雄との戦いを簡潔に終わらせるには強力な力が必要だった。
民の笑顔を早急に取り戻すために、彼は一切妥協しなかった。
そして、先代から受け継がれた冥術を使い続けることを選んだ。

彼自身先が長くないことは悟っていた所で、そこでこの殺し合いに呼ばれた。
生き残れるかどうかも怪しいなら、自分のできる全てを託すまで。
そして少女ネリーに自分の支給品の古代魔術書と未来を託し、目の前の女性を笑顔にさせるために全力で戦った。
「中途半端に……なっちまったな……これじゃあ喜んでくれないか」
血を吐きながらもガラシェはブシエの方へと向こうとする。
ブシエはそのガラシェの姿を見て、ゆっくりとガラシェを起こす。
「……なあブシエ、あんたは……強い。「自分」に打ち……勝てたら、本当に、最強になれるぜ。
 俺が……約束する、今より……もっと高みへいける」
今にも死にそうなガラシェを抱きかかえたブシエは彼に対し不満の言葉をぶつける。
「冗談じゃないわよ……勝負はまだ途中よ?! 私はまだ戦える、なのに貴方は勝手に死のうって言うの?!」
「……悪い、決着がつくと思ってたんだ……」
何度もガラシェに呼びかけるが、彼の体温が急激に下がっていくのがわかる。
もう、助からないことは分かっているのに。何故こんなにも呼びかけてしまうんだろう。
初めて見た自分より上の存在が、こんなにもあっけなく居なくなるのが嫌だったのかもしれない。
「まだよ、早く起き上がって戦いなさい! 私が、私が最強なのよ?!」
だんだんとガラシェの目が空ろになっていく。
そして、彼は最後の力を振り絞ってブシエの耳元で呟いた。

335テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:09:04 ID:gk1jR88c0





「地獄で、また戦ろうぜ」





一本の糸が、ブツリと切れた。

初めて出くわした強敵。
刀を振るっても届かない存在。
自分の人生の中で始めて経験した人類。
もっと戦いたかった、彼を倒して自分が最強なのだという証明が欲しかった。
それなのに、自分が倒すよりも先に彼は逝ってしまった。まだ自分の中では決着はついていないのに。

「……いいわ、貴方が言ったとおり私は「私」を超えてみせる。
 一つ目標が出来たことを、素直に感謝することにするわ。
 ……さよなら、皇帝さん」
ゆっくりとガラシェの体を地面に寝かせ、立ち上がるブシエ。
殴られた全身が悲鳴を上げる、だがそんなことに屈している場合ではない。
この場所には自分よりも上の存在が居る。それが分かった以上は「斬る」のみだ。
彼女は行く、己の信ずる最強の道を行くために。



ふと、ブシエはある一点を見据える。
「……さて、そこで見ている人形さん。出てきたらどう?」
その言葉に反応するように一体の土人形が木の陰から現れる。
戦闘の状況を影からずっと見ていたケイ=アイは、場をしっかりと分析していた。
自分を呼び止めた女性、ブシエは今の戦闘を見るだけでも強い。
彼女が「最強」になると宣言している以上、主へと襲い掛からないとは言い切れない。
しかし、今の自分で勝てるかどうかは分からない。むしろ勝てない確率の方が高いだろう。
「かかってらっしゃい、私が「最強」よ」



さぁ、どうする?



【ガラシェ(最終皇帝男)@Romancing Sa・Ga2 死亡】
【マルマイン(支給品)@ポケットモンスター金銀 死亡】

【B-3/森林/一日目/午後】
【ブシド・ザ・ブシエ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
[状態]:極度の疲労、全身に打痕
[装備]:ブーメランスパナ@METAL MAX RETURNS
[道具]:基本支給品、幻魔@サガフロンティア
[思考]
基本:強敵と戦って勝ち残り、「最強」になる。
1:ケイ=アイと戦闘……?
2:ガラシェの言う「己」を乗り越えてみせる
3:妹(ブシド・ザ・ブシコ)を見つけたらたくさんいじめる
4:ネリーの挑戦を「待つ」

【ケイ=アイ(ゴーレム)@聖剣伝説LOM】
【状態】背部に僅かなダメージあり(行動に支障は全く無し)
【装備】チェーンソー@現実
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2、
【思考】
基本:主を探す、主の敵は容赦しない。
1:ブシエと戦闘……?

※ガラシェの支給品は死体すぐ傍に放置してあります。

336テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/03(水) 02:09:26 ID:gk1jR88c0





ヒトの意志は受け継がれる。





何年先においても……それは変わらない。






「な? そうだろ?」

337もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/03(水) 02:09:37 ID:gk1jR88c0
投下終了です。

338もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/03(水) 03:29:01 ID:uDbxB5C20
執筆お疲れ様でした!

>テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ
もっとカオスになりそうだったアリアハン付近に救世主が! ドアってやっぱ便利だわwww
俺様皇帝のガラシェもいいキャラしてやがる……彼へ健気に応えたネリーの伸びにも期待したい(マルマイン投げた? 聞こえないなー)。
ブシエさんは戦闘力に関する自信に溢れているからこそ、そこを突かれると弱い感じか。その辺は姉妹なんだなあ……。
バトルも熱かったし、試合の勝者に苦味を残しつつも連戦に行くかもしれないってヒキは、どう転んでも面白そうだぜ。

339もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/03(水) 22:04:30 ID:gk1jR88c0
支給品ページをちょっと弄ってみました
分かるところあったら埋めていただけるとありがたいです。

340 ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:35:23 ID:DgIBnN7g0
シエロ、キャット、宿屋の主人、有里公子、プルフォーで投下します。

341消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:37:13 ID:DgIBnN7g0
 民家が宿屋を圧壊させている、冗談のような光景。
 その現場にたどりついた時、言葉を失ったのはシエロの側であった。
 自分の背中を守るように、あるいは押すようにいてくれた彼は、一体なにを思ったのか。
 黙りこんだまま壮年の男を助け起こした狩人の隣で、キャットもしゃがんでみせた。
「あの、大丈夫ですか? 怪我はないみたいですけど、どこか打ったりは?」
「いえ、すみません……私は平気です。しかし――」
 どう見ても民間人だろう男に視線の高さを合わせながら、シエロにならって辺りを見回す。
 観察からいくばくも経たないうちに見つけた。いや、男の傍らにあるのは、両腕を喪った青年の遺骸だ。
 動転して見落としたのか。それとも、気付きたくなかったから見えなかったのか。
 普段の自分らしくないと思いながらも、都会の盗賊は同業らしい青年の、存外に安らいだ死に顔に目をやる。
 なんでもいい、なんでもいいから、男に言葉をかけることもひとつの手だったのかもしれない。
 けれども男の視線を追うことで、彼の抱く気持ち……逝かれた側の気持ちに添えるような気がしたために。

「この人の傷は……人間がやったんですね? たとえば、飛竜みたいな生き物じゃあなく」
「ちょっと、シエロ!」

 だからこそ、静寂を打ち破った青年の声に、キャットは抗議の声をあげた。
 穏やかに自分を慰めてくれたはずの狩人はいま、盗賊の青年のなきがらを冷徹に見据えている。
 冷たいわけではないが、ものごとの本質を射抜くような視線には、なにか、容赦がない。
 危機に備える獣のような狩人を抑えた都会の盗賊へ、男は「いいんです」とかぶりを振った。

「いいえ。その方の言うとおりです。家はともかく、竜は人間などひと呑みにするでしょう。
 この……勇者様のお仲間は人間に片腕を断ち切られ、それでも闘うために、もう一方の腕を……自分で落としました。
 戦いに満足して、村を出たようですが――ええ。獲物が見つからなければ、戻って来ることは十分考えられます」

 “ブシド・ザ・ブシエ”。
 自責や失望の、強く内にこもった声が、破壊をもたらす“人間”の名をつむぎあげた。
「それは、……まずい」
 彼女が西に向かったと聞いて、シエロはキャットに目を合わせる。
 短く、理解を意味する首肯を返すと、狩人はデイパックの中から地図を取り出して広げてみせた。
「こんなことが出来るなら、山岳なんて障害にもならないと思うわよ?」
「……だけど、彼女は人間だ。下手をすれば飛竜より強くて、飛竜より人間のことを知ってる――
 そんな相手が、待ちに徹することを覚えたらどうする? 地の利を得ることを考えない保証はあるかな?」
 自身の背中を押してここに来た、仲間。モンスターハンターの危惧するところは盗賊にも理解できた。
 これほどの破壊活動を行えるものが、戦いを求めて相手を探すなら、まだいい。すれ違いの目が出てくるから。
「ブシド・ザ・ブシエが戦いたいっていうなら、ある意味、西を選んだ時点で地の利を得てるわ。
 この村より西と……えっと、D-4よりも北に飛ばされちゃったら、きっと村が目印になるでしょう?」
 茶褐色で描かれた山岳よりも峻険らしい、灰色の峰々を指して、キャットは城への道筋を否定する。
 絵面からして足場の悪そうな場所を越えて城を目指すのは、それこそブシド・ザ・ブシエのような者くらいだ。
 彼女が西行きの参加者を待つ体勢に入ったとして、唯一の救いは平野部が比較的広いという部分しかない。
 南北に分かれた森に入れば、まだ生き延びる目も出るだろうが……もしも行き合ってしまったなら。
 血を浴びて背をそらす少女の姿が、マントを引きずりつつ倒れた少年の姿が、都会の盗賊の脳裏をよぎる。
 もしも彼女と行き合ってしまったなら。息が浅くなる。あまり考えたくはない想像だ。
「ああ。とくにこの――狭隘部にブシド・ザ・ブシエが入ったら、泉のあたりにいる人間は封殺されたも同然だよ」
 C-4エリアの北部あたりに指を滑らせながら、シエロは煮え切らない様子で唸る。
 こちらを慮るような、いたわるような目で見ながらも、彼は、腰に差した剣の柄に手をやった。

「質問ばかりですみませんが――彼女の得物はなんでした?」
「ちょっと、まさか!」

 ひとりで飛竜を狩り、あるいは捕獲してきたという青年の問いかけは、ある意味では彼らしいものだ。
 だが、それが意味するところを理解していながら止めないことなど、キャットには出来ない。

342消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:37:47 ID:DgIBnN7g0
「そうじゃない。目の前のひとひとり、守れずに終わる気はないさ」
 もたついた響きの否定の言葉は、砂色の瞳の下にある涙袋をゆがめながら言うことでもなかった。
 確かに、シエロは殺生を許容している。狩猟なしに生きていけないことを理解しているから、自分を許したのだ。
 けれども、それを見過ごして知らないふりをすることも敵わないというわけか。

「じゃあ、約束しなさいよ。私と一緒にいてくれるなら、私を、あなたが小ずるく生きのびるための理由にするって。
 迷惑をかけるのはお互い様でしょうけど、あいにく、盗賊っていうのは墓守なんかじゃないんだから」

 沈黙ののち、キャットは言葉をひねり出した。
 なんでもいい。言わなくても伝わるなどということを、彼女は信じない。
 言わなければ、問わなければ、価値観の違い――ここでは生死に直結するだろう要素にすら気付けなかったのだから。
 それでも全力でシエロに向かった直後。毒気を抜かれた様子の第三者と目を合わせてしまった盗賊の頬が赤くなる。
「……その。このおじさんだって、ここに放っておくわけにはいかないでしょ」
 照れ隠しに付け足したセリフには、悪気も、余裕も無かった。
 ゆえにこそ、彼女は目の前の男が沈痛な瞳を伏せて隠したことに気付けない。
 盗賊のとなりで、シエロは黙考し、男も黙る。ほどなくして、戦場跡には静けさが訪れ――


「すみませーん! そこの、人たちー!
 私、有里公子って言うんですけど、ここで何が起こったか知ってますー?」


 停滞してしまった空気を破ったものは、間延びした問い掛けだった。
 軽快な足音が近づくとともに、のびやかなアルトも徐々に小さくなっていく。
 走っていても汗が浮かんでない声の持ち主は、ぱっちりとした目が印象的な少女だ。
 目で見える疲労の度合いからして、この人物もいずこかの家屋からやってきたとみえる。
「……こうしてる時点で敵意はないって判るでしょうけど、この村には無防備な手合いしかいないの?」
 キャットの目配せを受けたシエロは、さり気ないしぐさで仲間の追求から目をそらす。
「そういえば、名乗りもまだでしたね」
 沈黙を紛らすように耳の後ろを掻く狩人の隣で、男が誰にともなくつぶやいた。

 *  *  *

『おっ……さん……俺は、使い……こなせなかったが……こいつを、勇者……アルスにくれてやってくれ……。
 あの子なら……きっと……きっと……みんなを、世界を……たの……む……』

 いまだ無事な姿を保っているほうの宿屋。
 民家と言い換えても通じるだろう、質素な建物のロビーに、男の声が流れた。
 吐息に苦鳴がにじむ遺言のもととなっているのは、携帯電話だが、それを笑うような者はいない。
『ファイズフォンか。夏の映画祭りで似たようなヤツを見たような気がするなー』
 その電話に変身には不適格とされた者のひとり、有里公子もそのうちのひとりである。
 奇矯な話ではあったが、今更“携帯電話が変身デバイスである”と言われて驚く彼女ではない。
 死に瀕してペルソナ能力に目覚め、殺し合いに参加させられた今では、どんな不思議も受け入れ――
『――納得は出来ないけど、理解はしないといけないって感じかなあ』
 られるというわけでもないが、わけも分からずに殺される展開はもっといやだ。
 ブシド・ザ・ブシエ。謎の少女。積極的に殺そうとする者が周辺にいることを聞いて、まずはよしとする。
『そういえば、もう4時間過ぎたんだ。24時間の間にひとりも死ななかったらって、具体的に考えられてなかった……』
 しかしながら、決意はともかく見通しの甘さを痛感して、もれそうになるため息を抑えた。
 機械の動きは友情や絆でどうにかなるようなものではない。そもそも、先ほどの接触もそうだ。
 自分は相手を疑うことはなく、相手側も穏やかだったが……気が動転したところに、大声をかけたら驚くだろう。
 少なくとも、この村には、公子の呼吸を分かってフォローを入れてくれる仲間はいない。
 ここに来る前は情報の示すとおりに人の心の一面であるシャドウと戦っていたが、そんなナビだってない。

343消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:38:26 ID:DgIBnN7g0
「シエロさん、キャットさん。……勝手ですが、貴方がたに任せてよろしいでしょうか。
 勇者様とて、先ほどような状況で民を守れる保証もありません。戦える者の手をわずらわせるのも申し訳ないことです。
 それなら、勇者様の足を引っ張らず、確実にことを成し遂げたほうがいいのではないかと……」

 けれど、たとえそれが事実であっても、こんなに悲しい言葉もなかった。
 目の前では、単なる宿屋の主人であったという男が、ファイズフォンを出会ったばかりの人間に渡している。
 ペルソナで戦える自分や、剣や魔法の腕があるふたりと、彼は違う。
 きっと、約束を自分の手で守れないと実感してしまったのだ。
 柔らかな物腰といい、言葉つきといい、戦い以外でも十分に凄い人物だと分かるのに――
 殺し合い。たったひとつの要素が加わっただけで、彼は良いところを活かしきれずに落ち込んでいる。
「隠れる場所については、考えなくても大丈夫ですよ。
 家の中にいてもらえたら、ひとりもふたりも変わらないですから……あの子と一緒に、私が守ります」
 相手がクラブ通いをしていた破戒僧のような人物で、今が日常であれば、もっと別の言葉をかけられただろう。
 なにを失うこともなく距離を近づけて、新たに絆を築いていくようなこともあったかもしれない。
 だが今は、この選択をした代わりに、自分は“この家屋から離れられなくなった”。
「それで、ぼくとキャットが周囲の情報を集める。出来れば、殺し合いを回避するための方法も」
 失うものなど何もない。今でもそうだったなら、この事態を重く捉える頭も無かっただろうか?
 特別課外活動部。満月の夜に現れるシャドウを倒して影人間を救う、姿を見せないヒーローのような部活のなか、
初めて命を落としてしまった先輩。今はもういない荒垣の存在が、公子の目を痛みとともに開かせてくれる。
「じゃあ、村に集まることにしよっか? あの子はまだ動かせないと思うし、行き違いになると困るから」
「そうね……ここが侵入禁止にされたら、とにかく南に行って。
 こっちは、城から塔に移動してみる。城と塔がまとめてダメにされたら――洞窟かほこらに行く」
 都会の盗賊(シティシーフ)。
 広げた地図を眺めるキャットの異名を思い出して、公子は手際のよさに胸中でうなった。

「あ、それと――良かったら、これ」

 なにか思いついたのか、彼女は確認の終わった地図を戻しかけて、手を止めた。
 名前のとおりの猫っ毛が、うつむいたしぐさとともに揺れる。
「上で寝てるって子、まだ小さいんでしょう? 甘いものでも食べたら、少しは安心できるかも」
 彼女が取り出してみせたのは、クラフト紙の袋に入った焼き菓子。
「え、それって……!?」
 マチつきのラッピングバッグに包まれているカップケーキを前に、公子の目が見開かれた。
 丁寧にフォークでかたまりを潰し、レモン汁を加えて変色を防いだバナナの甘酸っぱい香り。
 道具を洗いつつ焼き上がりを待っていたときの、ゆるゆるとした時間の流れは鮮やかに覚えている。
「このケーキ、昨日あたしが友達と作ってたお菓子だよ。
 フロストくんの紙カップって、あのとき料理部の部活に持っていった型だもん」
 青いニットの帽子を被った雪だるま、ジャックフロスト。
 ゲーセンでも人気だったキャラクターのイラストが散らばるカップは、“特別課外活動”仲間の
同級生に誘われた部活用にと買ったものだ。
 見れば、ナイロンのバッグには口の近くに模様がある上、チャームタイには金色の蝶もついている。
 どれもこれも、料理部へ誘ってくれた女の子と『可愛い』などと言いあいながら買い揃えたものだった。
 説明を聞いた男女は“部活”という単語にこそ首をかしげていたが、伝えたいことは伝わったらしい。
 言葉自体は通じているのだから――ひょっとして、彼らのこれはコスプレではなく、素の状態なのだろうか?
 人の無意識に繋がる、青い扉の先。ベルベットルームのイゴールたちのように、別世界に生きる、

「そうなの。あなたの手作りなら良かった、けど……疑わないの?」
「なんで? 紙袋はともかく、ナイロンのほうには穴が開いたりしてないでしょ?
 あ、それとも味? そっちだって大丈夫だよー、ぶっつけのバナナ投入も上手くいったんだから」

 そんな背景があるとしても、緊張した顔、というものは万国共通であるらしい。
 警戒心と罪悪感、肩透かしをくらったような声を出すキャットに向けて、公子はあっさりと笑ってみせた。

344消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:39:07 ID:DgIBnN7g0
 いちど曲げれば形崩れが戻らない針金。チャームタイの芯には、結び直されたことによる歪みはない。
 なにより、これから自分たちをたばかろうとする輩が、わざわざ疑心暗鬼を煽るようなことを言う必要もない。
 そして――問題があれば、対処するだけの地力は自分にだって身についている。
 心の絆を築くには、ここから逃げてはいけないのだ。

「だから……そうだな。ありがとう、だね」

 むしろ、そんなふうに気を回してくれる彼女の慎重さが、行き当たりばったりな自分にはなくてうらやましい。
 よく言えば人好きのする、悪く言えば人に“惚れやすい”公子の一番の長所が、このプラス思考だった。
 最終手段の「どうでもいい」というセリフは、なにも全部投げ出すために使う言葉ではなく――
『うん。やっぱ、私自身で良いとこを見つけた人だもん。そんなコが物事をダメにするとこなんて考えらんないね』
 好きになった相手を信じて、彼らの心の持ちように任せてみようと思ったときの合言葉なのだ。
 ……もちろん、すぐに面倒がって結論を放り出す部分については悪癖なのだが。
「良かったじゃないか」
「え――う、うん」
 ええ、などと、余裕をもって応えようとしたキャットの声が、ふいに揺れる。
 彼女の両肩をかるく押さえて、シエロは公子にうなずいてくれた。
「じゃあ、ぼくらはこれで。気が急くだろうけど、相手が相手だ……お互い、焦らずにやろう」
「あなたは、もうちょっと焦りなさいよね」
 ゆっくり料理なんかしてるんじゃないわよ、との意趣返しに、宿屋の主人も少しだけ微笑んでくれる。
 それぞれの心に抱えていたものが見えて、やっと、全員の笑顔だって見られた。
 お互い、見えないなにかを確かめ合うようだった視線が、なにかを共有するようなそれに変わっていき――


『あぁ、またパキィンて! パキィンていったっ! やっぱ増えるかもしんないんだコレ!
 でもよりによって愚者って……いや、そりゃ愚者コミュって特別課外活動部もそれなんだけどもさー……。
 なんか今の状況だと裏を考えさせられそう、っていうか“バカ”って言われたみたいで心が! 裏切られた心が痛いー!』


 空気詠み人知らず! と心の奥に向かって叫ぶも、いちど開いたパスはそう簡単に閉じることもなく。
 一見して落ち着いているはずの彼女。その奥底では、またしても色々なことが台無しなのであった。


【A-2/レーベの村→南方面/午後】
【シエロ(男性ハンター)@MONSTER HUNTER PORTABLEシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:シエロツール@MHP、連合軍式隊長剣@wizXTH
[道具]:基本支給品、くろこしょう@DQ3
[思考]:守れる者は守る。戦うべき者とは戦う
1:キャットと一緒に行動。南下して城に向かいつつ、アルスという名の少年を探す
2:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒
3:殺し合いに乗るのは最後の手段にしたい
[参戦時期]:無印クリアずみ。2ndにデータを継承している(ポッケ村を知っている)可能性あり。
[備考]:髪型・ボイス・フェイスパターンなどは、後の書き手さんにお任せします。

【キャット(シティシーフ女)@Romancing Sa・Ga2】
[状態]:軽度の混乱、術力消費(小)、マントなし
[装備]:サイコダガー@魔界塔士、ヒールのサンダル@ロマサガ2、555ギア@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品×2、不明支給品1〜3
[思考]:生存を最優先に行動
1:シエロと一緒に行動。皇帝or信頼できる仲間のために、ノアや参加者の情報を集める
2:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒
[参戦時期]:運河要塞クリア前(皇帝に抜け道の情報を渡していない)
[備考]:天の術法を修めています。


 *  *  *

「おはよう」
 目を覚ますと、そっとささやくような声で迎えられた。
 上体をあげると、なにか、頭から血が下がるような感覚をおぼえる。
 マスターとの共依存関係はプルシリーズの間でもささやかれていたが、やはり、喪失感の根は深い。
 胸に穴が空いたようで、代わりになにで埋めていいのかも分からないまま、呼吸とともに抜け落ちていくものがある。
「おはようございます……その、」
「あ、そっか。私は、有里公子。呼びやすいように呼んで」
 そして、あけっぴろげで優しい微笑みを、その“代わり”にしてはいけないとも思った。
 一度死んだら、執着もなくなるようなものだろうに――

345消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:40:10 ID:DgIBnN7g0
「プルフォー。……私は、プルフォーです」
 救いの手をとっていいのかどうか迷いながらも、プルフォーは公子に応えた。
 ここでもたれかかるのも簡単だが、あたたかな好意を無碍にしてしまうこともできない。

「起きたばかりで悪いけど、他のひとと会ってみて、色々分かったことがあるの。
 最初に会ったときも、調子悪そうだったし……今の状況がどんなかとか、そういう話は聞けそう?」
「はい。現状の認識は、重要な事項であると判断します」
「じゃあ、あまり長くならないように話すね――」

 なによりも、彼女は自分を単なる少女として見てくれていることが、なにか嬉しく思えてしまったから。
 使命に従う軍人ではなく、マスターに依存するしかないNT部隊のひとりでもなく。
 自分の感じ方を縛ることもない説明を聞いていて、喪われた主に対する思いとは別種の痛みが胸を衝いた。
 それが選択に、思考にともなう痛みだろうか。しかし情報処理の能力は、こんな時にも落ちることなどない。
 話を聴く。ボロボロの状態で、精神の平衡をなんとか保つ自分が知りたいと思うから聴いている。
 殺し合い……ノアという機械が開いたという舞台の上で、話を聴き続ける自分は、公子と――
 最初に出会ったときに感じた、“もう一人の公子”にふたりがかりで支えられているようだ。
 そんな、ただの子どもが歩いているような状態で、プルフォーはただの子どもにない頭脳を回転させる。


 公子がこの村で出会ったのは三人。
 うち、シエロとキャットのふたりは変身デバイスとやらを携えて南へと向かった。
 デバイスを渡した宿屋の主人は、盗賊の男を埋葬すると同時に、すこし外の空気を吸ってきたいのだという。

 加えて、間接的に情報を得たのは五人。
 危険人物とされるブシド・ザ・ブシエに、血を浴びて恍惚としていた少女。
 逆に、協力的と見込まれたのはバレンヌ皇帝・ガラシェ、勇者・アルス、もうひとりの勇者・ジャガン。
 情報の鮮度も落ちているであろうから、スタンスを問わず、彼らの位置情報は限りなくまっさらに近いだろう。

 そうした、村から離れてしまった人物の去就よりも、いま自分たちが気にするべきは――


「彼をひとりにしていて、問題は起こりませんか?」
 この村にまだいるのだと知れている“宿屋の主人”であると、プルフォーは判断した。
 その気持ちは公子も同じだったのか、彼女は悩ましそうな様子でうなる。
「……正直、難しいとこだね。自分もアルスって男の子を探したいって言ってたし、デバイスは他に渡してるし。
 盗賊さんのことがすんだら、あの人、整理しなきゃいけないことがなくなるよ。選択の幅が広すぎっていうか――」
 だから、次にすべきだって思うことは、なんでも選べちゃうと思う。
「でも、後悔したくないって気持ちも分かるから、戻らなかった時は仕方ないかも。
 そういう時は、私たちのほうがおじさんの方に行けばいいかな……って」
 シエロたちとの約束、守らなきゃだけどね。
 その名前を口にして、公子は思い出したように笑みを深めた。

「ねえ。いいもの見つけたんだけど、何か食べられそう?」
「はい。少し空腹ですが……」

 にこにことしながら、彼女は後ろに回していた両手を前にやった。
 そこにあるのは、お菓子。濃い蜂蜜色の焼き色をしている、カップに入った可愛いケーキだ。
「あ……」
 公子から渡されたそれを見つめるプルフォーの目が、わずかながら輝く。
 手渡されるが早いか、金色の蝶を飾ったタイをふるえる指でほどく。甘い匂いが広がっていく。
 型から外さずにかじりついた生地はふんわりとしていて、バナナの香りが鼻に抜ける感覚が心地いい。
「どう? おいしい?」
 おいしい。とてもおいしい。――だからだろうか。
 その問い掛けにうなずく前に、少女の双眸からは涙がつたった。
 回収しきれない感情をかたちにしたかのように、あごを離れた液体はぽろぽろとシーツにこぼれる。
 心配そうな顔をした公子に向かって、なにか言わなければ。なんでもいい。いま思ったこと、いま伝えたいことを。


 ほんの少しなのか、それとも、もっと時間がかかっただろうか――


「公……子」
「……ん?」
 少女の呼び声に対して、公子は慎重に反応した。
 初めてプルフォーが名前を呼んでくれたのだ。「なあに?」などと強めに返して、ひるませたくはない。
 なにより気になったのは、栗色の髪からのぞく、彼女の決然とした瞳である。
 生き返った、というような表現が似合うだろう表情。そこに沈んでいるのは――

346消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:40:47 ID:DgIBnN7g0
「私……私、多分、“二回死にました”。
 マスター、と……私自身と……それで、二回……」

 彼女自身の思いと向き合うための覚悟だ。
 ぽつりぽつり。先ほど流れた涙のように言葉をつむぐプルフォーの肩に、自然、公子の手が伸びる。
「うん」
 年端もいかない少女を抱きよせたペルソナ使いは、ゆっくりとうなずいてみせた。
 最初に出会ったときと同じだ。助けてください。痛い。この子は、それを言うことができる。
 だったら、私はそれを聴いてやりたい。聴くことで胸が軽くなるなら、話したいなら、その判断を信じたい。

 ――私の一番大切は、この人の側にいることであります――

 マスター。
 プルフォーが何度も繰り返していた単語に、真っ直ぐな女声が脳裏で重なる。
 自分のことを、それこそマスターのように守ろうとした機械のことを、公子は知っていた。
 だからだろうか。なんとなく……守るべき対象をなくした少女の気持ちも、分かる気がする。


【A-2/レーベの村・宿屋2階の一室/午後】
【有里公子@ペルソナ3ポータブル】
[状態]:健康
[コミュ]:Lv1・刑死者(プルフォー)、Lv1・愚者(ノア打倒の同志たち)
[装備]:ペルソナ装備済(???・数不明)
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いはしない。他の参加者と協力してノアを打倒する。あとコミュMAXゲフンゲフン
1:プルフォー、宿屋の主人を守る。プルフォーの話を聞いてみる
2:宿屋の主人が気になる。血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒しておく
3:イゴールさんいないかなー?
[参戦時期]:詳細不明。決戦より前、荒垣死亡後
[備考]:コミュは絆を築いた相手との間に生まれるもので、ペルソナ合体をした場合に使います。
 だから別に使わないかも(え)。これから増えるかどうかはわかりません。
 コミュコンププレイ中なので、大分股かけてます。

【プルフォー@機動戦士ガンダムZZ】
[状態]:錯乱(やや沈静)
[装備]:NT兵用パイロットスーツ@機動戦士ガンダムZZ
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:マスター……?
1:公子を信用。彼女に事情を話してみる
[参戦時期]:最終回、死亡後
[備考]:殺し合いのルールと、ノアについての話を公子から聞きました。


 *  *  *

 民家から見つかったのは、牛飼いのものとおぼしき鋤であった。
 鍬ならまだしも、これでは地面を掘ることも難しい。
 そして、意識を喪った青年の体というものは、彼が思う以上に重たいものだった。
 宿屋をやっているときには、仕入れた食材の木箱や麻袋などもかついでいたものだが、これは違う。
 両腕を失くした人の体は、その傷口から流れた血は、どこまでも男の手から大切なものをすり抜けさせる。

 結局――
 宿屋の主人に出来たのは、名も知らぬ男盗賊の姿勢を整え、そこに土をかける程度であった。
 少なくとも、この盗賊よりは長く生きているうちに妥協も覚えたはずだが、それでも胸が痛い。
 勇者への信頼。彼の奥底に眠っていたものを目覚めさせたきっかけは、自分だったのだ。
 そして、ファイズフォンを託されたのも自分だったのだから、そう簡単に現状を割り切れはしない。
 この結果はやりきれなかった。自身の無力が悔やまれた。無力という単語に逃げる心が、情けなかった。
『しかし、それではどうする? いったい、どうすれば……』
 宿屋の主人らしく、客寄せのベルでも鳴らせということなのだろうか?
 ギヤマンで出来た美しい鐘。ある意味では皮肉そのものといった武器が、彼の前に姿を現す。
 モンスターハンター、シエロ。都会の盗賊、キャット。ペルソナ使いだという、有里公子。
 そして、あのブシド・ザ・ブシエと、彼女に立ち向かって散っていった男盗賊――
 眠っている子どもは別としても、彼がこの数時間で行き合った者たちは、あまりにも格が違いすぎた。
 こんな状況で、自分も宿屋として役目を果たそうと思うだけの気概も誇りもあったが……違うのだ。
 守られる側でいて、本当にいいのか。あの散りざまを見ても動けない、そんな自分を許せるか。


 死者を弔うように、半鐘を思わせたベルが鳴る。
 穏やかであった彼の死に顔は、もう、宿屋の主人に見えることなどない。

347消せる痛み、消せない痛み ◆69O5T4KG1c:2010/02/04(木) 03:41:13 ID:DgIBnN7g0
【A-2/レーベの村・宿屋Bと民家のミックス跡地周辺/午後】
【宿屋の主人@ドラゴンクエストⅠ】
[状態]:自身への落胆、焦り
[装備]:ギヤマンのベル@FF3
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜3
[思考]
基本:勇者やその仲間を救う
1:勇者達を探したい(ジャガン、アルス優先)が……
2:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒


【バナナカップケーキ@ペルソナ3ポータブル】
キャットに支給された。
親しくなりたいキャラにプレゼントできるアイテムのひとつ。
女教皇コミュで公子が作ったケーキ。生地には潰したバナナが混ぜてある。

【ギヤマンのベル@FINAL FANTASY 3】
宿屋の主人に支給された。
風水師とたまねぎ剣士の専用装備となる、ガラスで出来た鐘。
FF3では鈍器のように扱う他、類似ジョブ(風水士)が出てくるFF5では音色で攻撃している。

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以上、投下を終わります。
wiki編集の方もお疲れ様です、また自分も暇を見てまとめますー。

348もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/04(木) 19:45:24 ID:5s5z/Ktw0
よし、溜まってたのをやっと読み終えた


>テメえの都合じゃ生きちゃいねえよ
ネリーいいキャラだなー。こういうキャラには頑張って欲しいね
そんで最終皇帝はかっこいい。伝承されて来た皇帝が残すってのがいいわ
全参加者でも頭一つ抜けてそうなブシエさんだけど、だからこそ対等以上の相手には戸惑うか
己を乗り越えることができるのだろうか。さあ、はたして次回VSゴーレムとなるか

>消せる痛み、消せない痛み
シエロとキャットのコンビいいなー。ナイトウエース組に神神コンビといい、ここのコンビは素敵なのが多いぜ
しかし冷静に現状を把握するシエロがかっこいいな
それにしても、ブシエさんや珠樹ちゃんの情報が広がっているのに、まったく危険に思えないのはなぜry
男前こと男盗賊が残したファイズギアの行方やいかに

349もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 04:25:15 ID:LBTSbnNc0
投下しますぜ。

350才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:25:49 ID:LBTSbnNc0




 【0】




『■■って可哀想だね』


『どうして?』


『自分より大きいものがいないもの。よりかかって甘えたり、叱ってくれる人がいないんだもの』

351才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:27:11 ID:LBTSbnNc0




 【1】




 緑の布と帽子を纏うゴーレムが、起動音を響かせるチェーンソーを振るう。
 ケイ=アイと名付けられたゴーレムの動作は、寸胴なボディに反して機敏。
 まるで指揮棒のように、重量のあるチェーンソーを軽く扱っている。
 主人の敵になりうる存在に向け、まず粉砕するかのような打ち落とし。
 次いで刃を横に倒して流すと、一切の溜めなく斜め気味に持ち上げる。
 相手が達人であろうとも、確実にオーバーキルとなりうる連撃。
 されども帽子の下で輝くケイ=アイの両目は、眼前の敵の落命を捉えない。
 後ろに結った長い黒髪を宙に泳がせ、ブシド・ザ・ブシエは攻撃を回避し続けている。
 相手の存命を把握してケイ=アイは攻撃を続けるも、やはりブシエのほんの少し前を刻み続ける。
 ことごとく、すんでのところで刃から免れ続ける。そんな事実がケイ=アイには理解できなかった。
 ほぼ百パーセント当たるはずの一撃だというのに、切っ先が触れることすら叶わない。
 先ほど仕掛けてきた相手とは違い、戦闘開始からいくら経とうとも対策を見出せない。

 せわしなく両腕を動かすケイ=アイとは違い、ブシエの方はどこか遠くを見据えている。
 彼女が現在勤しんでいるのは、戦闘ではなく思考を巡らすことだ。
 ひたすらに繰り出されている連撃など、彼女にとっては意識を集中させずも掻い潜ることができる。
 人間を越えたスペックに任せただけで、技巧のいろはもなく命を奪いに来るのだから。
 もはや彼女に見えているのはケイ=アイにあらず、戦場の横で倒れている男。
 少し前に終わってしまった、彼との戦いだけであった。
 物心が付いてから初めての劣勢にして、初めての不本意な勝利。
 人にしても獣にしても、前に立つ全てが彼女に劣っていた。
 けれども、この殺し合いにはいるかもしれないのだ。己と同等、あるいは上を行く存在が。
 そのことに気付いたブシエは、巻いたさらしの下で胸を高鳴らせた。
 自身の足元にも及ばぬ欠陥品ばかりの世界とは違い、ここで最強を名乗ることができたのなら。
 単独で『三竜』を討ち取りながらも満たされなかった自分の心に、何かが注がれるかもしれない。
 ここで思考の渦から復帰し、ブシエは前方に鋭い視線を飛ばす。

352才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:27:35 ID:LBTSbnNc0

(だというのに、眼前にいるのは…………)

 赤みがかった瞳から、隠しきれない失望が漏れ出す。
 感情など読み取れずとも剣を手に取られれば、ケイ=アイとてブシエの狙いを見抜くことができる。
 一向に命中しそうにないチェーンソーを右手に任せ、左ストレートを放った。
 これまで通りに紙一重で回避しようとして、ブシエは勢いよく地を蹴る。
 大げさなサイドステップを踏んだブシエがいた空間を、ケイ=アイの左拳が殴りつけていた。
 ブシエが目測を誤ったのではない。ケイ=アイの左腕が伸びたのだ。
 紫色の手袋に覆われていない腕部から、内部の機械が見て取れる。
 ここに来て、初めてブシエはケイ=アイが人工物だということに気付く。
 獣の類かと判断していたが、作られたものならば攻撃から技術が見て取れないのも頷ける。
 ならばスペック以上の力を見せることなどあるまいと結論付けて、ブシエは腕を上下させた。
 風切音とともに、伸ばした状態で横に振るわれたケイ=アイの左腕が切断された。
 ブシエが行ったのは、携えた剣の紅い刀身が視認できなくなるほどの速度による斬撃。
 ケイ=アイは現状を把握しようとするが、そんな隙をブシエが見逃すはずがない。
 秒と経たぬうちに間合いにまで入り込み、魔幻という名の剣を構えた。
 咄嗟にバックダッシュに出ようとするケイ=アイの前で、ブシエの両腕と得物が掻き消えた。
 いや、それは錯覚だ。常人の捕捉可能な限界を半歩はみ出した、それだけの話。

 キィン――と、高音が大気を切り裂いた。

 空間を支配しそうになった空間に、二つの落下音が割って入る。
 ボディが二分割されたことに気付くことさえなく、ケイ=アイは機能を停止させた。
 ブシエの一撃は神速であるがゆえに、ケイ=アイに主人のことを思い出させる時間すらも与えなかった。

「あら、なかなかね」

 物言わぬ残骸に視線を向けることなどせず、ブシエは魔幻の紅い刀身を眺める。
 この地にて蒸発させた鋼鉄の剣とは、どうやらものが違うらしい。
 全力でないとはいえ二度も振るったというのに、蒸発どころか溶解もせずに形を保っている。
 となれば、ついつい連想してしまうものだ。
 もしもあの時に、得物の強度を気にせず戦えたのならば。そんな仮定を。
 ケイ=アイとは反対側に横たわる死体に向き直り、ブシエは目を閉じた。
 そのまま、先刻の戦いを思い返す。蹂躙ではない、闘争を。
 たっぷり時間をかけて意識を集中させ、ゆっくりと双眸を上げた。
 かつてと変わらぬ姿のアバロン帝国皇帝の姿が、彼女の瞳に映った。


【ケイ=アイ(ゴーレム)@聖剣伝説LOM 機能停止】

353才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:30:01 ID:LBTSbnNc0




 【2】




 ――――さて、いま一度『初めて』の甘美を味わおう。

354才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:32:35 ID:LBTSbnNc0




 【3】




 金剛盾の反応を越えて、ブシエの握る魔幻がガラシェに振り下ろされる。
 しかし真っ二つになったのは、闇の分身。
 虚を付かれているうちに、ブシエは闇の分身に囲まれてしまう。
 対応しようとするも、すでにガラシェに捉えられてしまった。
 浴びせられる拳の連打。紅い刀身の横腹で受けることすらできない。
 暫し続いた連撃の後に、いっそう強いアッパー気味の拳を受けてブシエは吹き飛んだ。
 強制的にもたらされた嘔吐感に堪えて、ブシエは空中で体勢を立て直す。
 生えている樹木に足裏を向け、接触と同時に強く踏み締める。
 柔軟にして強固な膝を持っているからこその、無理矢理な跳躍。
 吹き飛んでいたスピードを越える勢いでガラシェに向かいつつ、ブシエはデイパックからL字のスパナを取り出した。

「せっ!」

 鋭く息を吐いたブシエが、スパナを思い切り投擲する。
 投擲武器は専門ではないが、剣を極めている以上は他の武器程度使いこなせて当然。
 だが激しく回転するスパナは、闇の分身を粉砕してあらぬ方向へと飛んでいく。
 けれども、邪魔な分身を振り払うことこそがブシエの狙い通り。
 分身が消え去って露になるガラシェは、険しい表情など浮かべてはいない。
 冥府の力の代償などに影響されず、それどころか疲労の欠片も見て取れない。
 その精悍な顔には汗一つ流すことなく、瞳に観音像を浮かべている。
 それでこそとの思いを抱き、ブシエは口角を吊り上げた。
 幾年ぶりかにあげる咆哮とともに、空中で魔幻を大きくかざす。
 再びガラシェが相手を観音の中に捉えようとするが、それより早くにブシエは魔幻を振り落とした。
 刀身への気配りなどない、全身全霊での打ち落とし。
 その一閃から、金剛盾は主を守らない。
 先ほどブシエが投擲したブーメランスパナは、巧みに回転をかけることで望む軌道から戻ってくる代物だ。
 金剛盾は、背後から迫るスパナを防ぐ方に回っていたのだ。
 となれば斬撃からガラシェを守るものは、己が肉体ただ一つ。

 刃と拳、ともに圧倒的速度同士の接触――――これにて決着。

355才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:33:01 ID:LBTSbnNc0




 【4】




 深く突き刺さった魔幻を抜き取られると、ガラシェの身体が霧散して空気に溶けていく。
 ふうと、ブシエは大きく息を吐いた。
 彼女は、脳内で作り出したガラシェの幻覚と戦っていたのだ。
 あのまま仮にガラシェが倒れなかったのなら、というifを繰り広げてみた。
 結果は、何とか勝利を掴み取ることができた。
 とはいえガラシェがまだ何かを隠し持っていたとしたら、どうなることか。
 イメージは、所詮イメージ。実際どうなるかなど、死合ってみなければ分からない。

「そう、分からないわ」

 思わず漏れてしまった言葉に、ブシエは口の端を緩めた。
 結果が分からない戦いなど、残っている記憶には存在しない。
 強弱がはっきりした戦いしか、彼女は知らない。
 命を懸けた死闘などと評されようとも、己の命がベットされたことなど一切ない。
 大人と呼ばれるほどの歳になってからの初体験。
 背筋に氷塊が走るような感覚、だけどその氷塊を溶かしてしまいそうなほどに身体が内面から熱くなる。
 なるほど、と彼女は思う。
 こんなものも知らずに最強を名乗るなど、驕っていたかったのかもしれない。
 何せ先の幻想において、久方ぶりの咆哮をあげた彼女は全力を超える力を出していた。
 あくまで空想にすぎないが、されどブシド・ザ・ブシエの空想である。
 己の限界に至ったと思い込んでいたが、そうではなかった証拠であろう。そのように、ブシエは結論付けた。
 剣の道を極めたのに間違いはないが、心と体にはまだまだ伸びしろがあるのだろう。
 死線において、心技体全ての極限に到達する。
 かつての『自分』を打ち負かすほどの成長を遂げる。

「――それが、『自分に勝つ』ということなのね」

 ブシエは、倒れ伏しているガラシェが頷いた気がした。

「弱者を奢るだけでない以上、この私も支給されたものは大事にしないといけないわね」

 ひとりごちると、彼女は転がるデイパックを二つ拾い上げた。
 続いてチェーンソーを一瞥するが、手放された影響でひしゃげているのでそちらは放置することにした。
 デイパックの中身を一つに纏めていると、出来損ないの妹の姿が浮かんだ。
 この地にて妹が勝手に命を落とさなければ、出会うことにだろう。
 自分に届こうとする妹に、どう対処するべきか――変わらない。
 死なぬ程度に切り刻む。絶望の淵に叩き落す。その上で自殺しないように僅かな救いを与える。
 ブシコの実力では元の世界にて、死線を経験しているだろう。
 その上であの程度では、全くお話にならない。地に這い蹲るのがご身分だろう。
 対してネリーという少女ならば、死線を越えて自身に並ぶかもしれない。
 デイパックの整理が終わった頃には、ブシエはそう結論付けていた。


【一日目 夕方/B−3 森林】

【ブシド・ザ・ブシエ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
[状態]:極度の疲労、全身に打痕
[装備]:幻魔@サガフロンティア
[道具]:基本支給品×3、ブーメランスパナ@METAL MAX RETURNS、不明支給品(0〜2)
[思考]
基本:「己」を乗り越え、「最強」になる。
1:対等か格上を探し出し、死合う。
2:妹(ブシド・ザ・ブシコ)を見つけたらたくさんいじめる。
3:ネリーの挑戦を「待つ」。

356才にあふれる――(愛にあぶれる):2010/02/06(土) 04:33:23 ID:LBTSbnNc0




 【5】




 ブシド・ザ・ブシエは、生まれついての天才である。

 言葉も覚束ない頃から、剣術に生きる両親の太刀筋を目で追う。
 ろくにものを握る力もない頃から、両親の技術を全て自身に吸収。
 それどころか既存の剣術の粗を見抜き、その粗を埋める新たな技法を作り出す。
 彼女が五歳の誕生日を向かえた時。両親が彼女を剣の道へと進ませ、彼女の才が明るみに出た。
 武家の跡取りたる父に打ち勝つまでには、大した時間がかからなかった。
 別に、父に流れるブシドの血が薄かったというワケではない。
 体力や経験などの差を埋めたのものは、至極単純にして明快なことに『才』ただ一つ。
 如何に精神を研ぎ澄ませようとも、如何に鍛錬を積もうとも、圧倒的な規格外には届かない。
 一度剣を振るうだけで、ブシエは周囲にそんなことを知らしめてしまうのだ。

 生まれて初めて剣を握ってから約二十年。
 この地に来るまで、ブシエは実力の拮抗した戦いを知らなかった。

 彼女は、ただひたすらに強敵を求めていた。
 もはや学ぶものなどなかったブシド家を出て、あらゆる達人へと挑戦状を叩き付けた。
 トリッキーな戦術を使う相手に驚くことこそあっても、苦戦を強いられたことはない。
 やはり剣術に勝る武芸などないとの思いを強固にした頃、ブシエはある冒険者集団の噂を耳にする。
 『知られざる英雄達』――得体の知れぬ何かを探し求めている彼らは、彼女を差し置いて『最強の集団』と呼ばれていた。
 ブシエは人づてに情報を集めて、ついにそのチームを発見するに成功。
 最強と称される集団相手に単身で強襲し、半日もかけることなく制圧。
 こんなものかと失望するブシエに、『知られざる英雄達』のリーダー格らしい男がスカウトをかけた。
 何でも、彼らをして倒しきれぬ獣がいるのだという。
 仲間に決して軽くない負傷を負わせたブシエを、まるで兵器と見ているかのような提案。
 そんな案に、彼女は乗ることにした。
 人に敵がいないというのなら、人以外を狙えばいい。
 そのことに気付いたブシエが、首を横に振るはずがなかった。
 岩を易々と砕く怪力、完全に絶たれた気配、こちらに対処してくる反応速度――
 人の領域を超越した野生との競り合いは、ブシエにとってとても新鮮なものだった。
 けれども、ブシエの類稀なる才能が安定を許さない。
 異色の血液を刃に塗れさせる中で、次第にブシエは対獣の術を見出してしまう。
 となれば、もはや人間相手と何も変わらなかった。
 一切の苦労なく命を奪い取るだけの、型にはまった流れ作業。
 かつてほんの少し体験した新味などない、漫然とした日々。
 その一方でチームを抜けたところで、現在以上の相手など見つけ出せないだろう。
 マンネリへの苦悩を抱えたまま、漫然とした生活が続き――――ついに『知られざる英雄達』は解散した。
 実際にいるのかも分からない『三竜』をいるものと言い聞かせ、旅の果てに見つけ出した。
 噂に違わない怪物だとは思ったものの、それでもブシエには劣っていた。
 最後に残った蒼竜の三つ首を全て切り落として、最後に残された目標であった『三竜』さえもブシエは失った。

 特に意味もなく故郷に帰ると、そこで妹が旅に出たという事実を知る。
 気に入らない。ブシエは率直にそう思った。
 敵がいなくなってしまった自分と違って、妹にはいくらでも上がいるのだ。目標があるのだ。
 こちらの気苦労も知らずに、ただただ才能を羨んでいる。
 そのことが、たまらなく気に入らない。
 意図せず思いを吐き捨ててしまっていたらしく、両親や血族がブシエに視線を向けていた。
 彼女が顔を上げると、隠れるように顔を背ける。
 妹だけではない全員が、天性の才能だけを見ていた。
 親戚連中だけではない、もはや各地に轟く彼女の名を知るものは全員がそうなのだ。
 戦慄にしろ憧憬にしろ、皆がどこかでブシエの才を欲している。
 圧勝しかできない悲しみなど理解しようともせずに、ただただ才だけを見ている。
 久方ぶりも帰省にてその事実を再認識してしまい、ブシエは逃げるように故郷を後にした。
 達人を求めてさすらう日々に戻ろうか。
 そんなことを考えていると彼女の視界が一変し、機械が殺し合いを命ずる声を聞いた。

 ――――そして彼女は、もう二度と目指せないと思っていた『目標』を手に入れた。



[思考]
※ケイ=アイ(ゴーレム)@聖剣伝説LOMは、真っ二つでB−3の森林に転がっています。
※チェーンソーが、刃がひしゃげた状態でB−3の森林に転がっています。

357もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 04:34:18 ID:LBTSbnNc0
投下完了。
慣れない分け方をしたせいで、投下に時間がかかってしまった。

358もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 04:35:22 ID:LBTSbnNc0
あ、最後のは[思考]じゃなくて[備考]で
状態表までは推敲していなかった……!w

359もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 04:36:50 ID:LBTSbnNc0
あ、【ケイ=アイ(ゴーレム)@聖剣伝説LOM 機能停止】の下に、これを入れてください

【残り 38名】

状態表の推敲をry
なんてこったい

360もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 04:48:42 ID:LBTSbnNc0
あ、いま@wikiにniftyが規制されてるので収録の際に直していただけると嬉しいです

361もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 04:51:19 ID:LBTSbnNc0
専ブラ閉じたから火狐から書き込んだら、さげてねえし……
もう、なんかすみません

362もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 10:13:42 ID:OEIBIV7k0
投下乙です
ブシエ、前回つかんだきっかけからさらに成長したか
他の参加者にとっては厳しいかもな
ケイ=アイは……まあ、相手が悪すぎたね

あと、「幻魔」が本文中で「魔幻」になってますよー

363もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 19:24:41 ID:IC/xLt/s0
投下乙ですー。

>才にあふれる――(愛にあぶれる)
なんという重厚なバトル、そして掘り下げ。天才の悲哀だなあ、ブシエさんは。
しかし、「分からない」ことに対して燃えられるところも天才たるゆえんなのかもしれず……。
ケイ=アイとの戦いと、ガラシェとの闘いと。二本立てで楽しませていただきました。
目標を手に入れた彼女の伸びしろにも期待がかかるぜ……!

それと、wikiのほうで上記+幻魔の表記を修正して収録しました。
見落としがあったら申し訳ない、場所を教えてくれれば対応します。

364もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/06(土) 23:18:48 ID:0XoJclMY0
ID変わってると思うけど、書いた人です

素で武器の名前を間違えるなんて……うわー、恥ずかしい。そうだよなぁ、幻魔のが言いやすいわなぁ……
修正箇所一つや二つじゃないのにわざわざ修正していただき、ありがとうございましたー

365 ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:01:25 ID:uDFAcjI60
アルス、サマンサ、ニム、フランで投下します。

366血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:02:24 ID:uDFAcjI60
 生命をもつかのように鼓動する無機質、ノア。
 数奇な運命にある者たちを殺し合いに喚び、理不尽の渦に叩き込んだ異形。
 自分たちだけではなく、すべての世界に生きる人間を無に帰そうとしている、異次元の存在。
 下手をすれば知らないうちに人を滅ぼしていたかもしれない、奴だけは絶対にゆ゙ る゙ ざ ん゙ !


 ――と。
 こんな思いは、ここにいるほぼ全ての人間が感じるものに違いあるまい。
 戦闘狂や殺人狂なら千載一遇の好機と見ようが、そんな輩だって、今さら悔い改めたりなどしないだろうから。
『しかし……許さんと叫んでみるのは簡単だったが、具体的には何をどうすればいいんだ……?』
 だが、ここに再びしゃがんでしまった僧侶は、あいにく前述のどちらにも当てはまらない。
 殺し合いの場にいることを自覚しなおすにつれて、正気に戻ったニムの視線は下へと降りていた。
 硬質な胸当ての奥にある鬱屈とした気持ちをのぞきこむようにして、深く、長く、息をつく。
 色々あったけれど私は元気でいられた今、こうなったのは全部ノアのせいでいいとは思うものの――

 異次元から神さえ呼び出し、それを殺した者を打倒する?
 首輪という枷をつけられ、アリアハン大陸に縛られた自分たちが?
 なにを、どうやって、……この、城下町の風景から浮き上がる姿と変じた自分が……。

 許せないと思ったノアが、自分たちとのあいだに築いた格差は、考えるほどにニムの中で大きさを増した。
 拉致された時点から積まれた不利の山。あれをひっくり返して一矢報いるためには、一体どうすればいいのか。
 不本意ながら手に入れてしまった魔人の体。その胸許にやった右手に力が入り、水着の生地がきしむ。
 僧侶であるニムにしてみれば祓うべき対象に他ならない悪魔のそれであろう体から――
 なにか、光を思わせる力を感じるほどに、彼女の手はこまかく震えた。
 ああ……ありえん。この姿だけは本当にありえん。ちょっとカッコいいと思った自分の神経が一番ありえん。
 煮え切らない心へ追い討ちをかけるように、鋭さを増したニムの聴覚を、瞬間破壊の音がついた。
『メラゾーマっ!?』
 空気を引き裂き、かき乱してゆくのは、幾筋もの火球が呼んだ熱風である。
 相手に逆巻き叩きつけられる火炎のうねりは、故郷において勇者とともに旅した彼女も慣れ親しんでいた。
 巨大な火球が収束したのは、道具屋からは少し遠い場所。アリアハン城下の南にある、閑静な一角だ。
 城下町の南西にて、昼下がりの陽光に石造りの白さをさらず民家は、

「勇者様」

 骨製の盾で火球をいなした少年、勇者アルスの生家で間違いない。
 そして……こちらからは影になっていて見えないが、魔法使いの正体にも、もと僧侶にはあたりがついた。
 叩き上げの戦士から転身し、呪文を修めた女性。精霊ルビスの命にて集められた、“勇者の仲間”。
『……そうだ。あんな近くで、真正面から呪文を打ち込むなんて、普通だったら考えない』
 呪文使いを隠す、勇者の家の間取り。自分たちのいる城下町の広さ。後衛としての戦い方。
 様々な分野における知識の断片が、ニムの脳裏に、自分とも親しくしていた仲間の変貌を織り上げていく。
 いいや、案外、変貌ではないのかもしれない。二十四時間のあいだに誰も死ななければ、全員が死ぬらしいのだから。
 知識のために生き、知識を活かそうとしたサマンサなら、全員の首を絞める最悪のルールを忘れはしないだろう。
 知識の使い方を知っているサマンサなら、ルールを解除するために、自ら悪者になる可能性は考えられる。

『でも、だからって勇者様、それも不意討ちに失敗した相手を狙ったりするものか?
 それに、“ルール”は今の時点で……とっくに、意味が無くなっちゃってるんだけど……』

 だが、世界のすべてを知ろうと願う女性にも、見落としがあるのは世の常だ。
 邪教のそれとしか思えない風景を現出させたにも関わらず安らかな老人の死に顔――
 “二十四時間以内に死亡した参加者”である人間に視線を落としたニムは、奥歯とともにほぞを噛む。
 彼らからは少し遠い場所にある事実を、伝えるならば今をおいて他にない。それは彼女も分かっていた。
 ここに繰り広げられているの戦いは無駄だと、自分は知っている。事実を知るものには、それを受ける義務がある。
 それは、ゾーマ復活の事実を受けて立ち上がったニム自身が証明しているはずだ。

367血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:02:58 ID:uDFAcjI60
 分かっている。ああ、分かっているとも。旅に出る前からして、教会には懺悔に訪れる人が絶えなかったように、
ここで嘘をついたとして、ここで逃げ出したとして……それは、自分だけは忘れられないことだから。
 自他ともに、この見落としを指摘しない選択は苦味を残すと分かっているのだ――
 分かっているのだけれども。それが分かっていたとしても、それでも残るものはあった。


「ハ、ハハ……かつての仲間に、かぁ。
 自分の仲間に“問答無用で襲いかかられる”って、どんな気持ちになるのかな?」


 自嘲まじりのつぶやきは、僧侶の口の中でだけ響く。
 アルスを見つめるニムの胸には、ひとつの楔が打ち込まれていたのだ。
 すでに死した老人によって魔人と化した姿を見た瞬間、ニム自身にさえ、変異した肉体は受け入れがたい。
 漆黒のスーツに、緑の胸甲。虫の複眼を思わせる赤い瞳が、顔の半ば以上を覆っている頭部。亜人種のような風貌。
 これが人間からかけ離れた――スライムのような魔物であれば、あるいは友好的に接することも出来ただろう。
 しかしながら、これは人型。人でありながら異質であることが分かる外見(そとみ)であるがゆえに、殺し合いに
招かれた“人間”は……先ほどのニムのように、“人間である自分との違い”のほうに注目してしまいかねない。
 それが勇者とその仲間であるとはいえ、人死にがからんでくるなら、なおさら自分の異形は警戒の火種となりうる。
 サマンサあたりは、“老人が他殺体ではない”と気付いた瞬間、アルスを焚き付けることさえするかもしれない。
『ありえん。いや、もうありえちゃってるか……いま、ここで』
 アルスとサマンサが相争う現状を見るに、自分が割り込むことへのためらいはさらに強まった。
 自分には力がある。それが分かっているのに、振り上げたい拳があるのに、だから、ニムは力をふるえない。
 拳も、足も、口許さえも動かせない。その代わりであるかのように、背筋のふるえが全身に降りてくる。
 緊張だけが高まっていく濃密な時の中――どれほど、呼吸ばかりを繰り返していただろうか。
 偶然のように、身を翻したアルスと目が合った瞬間、ニムの肩から力が抜けた。

「あ、ぁあ。ゃ――イヤだ……ッ!」

 弛緩の原因は、希望ではなく、絶望。
 この距離からでは、アルスの表情までは視認できない。だからこそ、ニムには想像することができる。
 アリアハン王の援助を固辞して、たったひとりで魔王バラモスの地図を倒した勇者アルス。
 そんな側面からは及びもつかない柔らかさで“勇者の仲間”を迎えた彼と、仲間と過ごした日々。
 在りし日の“平穏”を想像できるからこそ、彼女は膝の上に世界があるかのように、視線を落としているのだ。
 すでに思い出となった時間さえも、この交錯で喪われてしまいかねない可能性に思い当たってしまったから――!
 あれほど強く燃えていたノアへの怒りにしても、いちど彼女が落ち込んでしまえば最後、胸からかき消える。
 姿さえ変わった現在に支えを持てず、未来に保証などなく。その上で、過去をも奪われてしまったならば。

 ぽっかりと開いた胸の空白に、たったひとりの自分は、耐えられるはずもない。
 たとえ、この場所から逃げ出すことで、自分がたったひとりとなる状況を招き寄せるのだとしても。

 ニムにはアルスの、人の本質を見透かすかのような瞳が怖かった。
 すべての色彩を秘めて黒い、純真そうな双眸に、これ以上見られたくなどなかった。
 逃げなきゃ。せめて、正体がバレないようにしなきゃ。現実逃避をやめても後ろめたさが追いかけてくる。
 でも、それだって、ここにある扉を開いてしまえばおしまいだ。
 アリアハンで雑貨を扱う道具屋は、あんな儀式を見せられてなお沈黙を保っていたのだから。
 ここには誰もいない。誰とも会わない代わりに、誰かを恐れる必要だってなくなる。



「あなた、どうしてこちらに来たんです?」



 だのにどうして、今になってこうなるのだろう。
 色々な意味で手遅れになって初めて、道具屋の戸口で、自分は、人と。
 純朴そうな顔に風格のようなものを漂わせる子どもと、鉢合わせてしまうのだろう。
 そしてなによりも、……いったい、どうして、

368血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:03:54 ID:uDFAcjI60
「だって、私、こんな見た目じゃ勇者様に――
 ウェディングドレスで殺し合い? 血の婚礼ってカビの生えた古典でしょ(苦笑)」

 どうして自分は、別け隔てのない瞳の色を見て取るがはやいか、ツッコミにまわってしまうのだろうか。
 白に赤がよく映える。真紅の短剣を握る手は、袖にあしらわれたレースが複雑な陰影でもって装飾されている。
 例の老人も怪しい姿をしていたが、こちらの場合は純白なだけに、かえって異様、異質な雰囲気があった。
「……人に語り継がれる古典だからこそ、カビの生える余地もあるのです。
 それに、あなたがそれを言いますか? もとは聖職者であると見受けたんですけど」
 不機嫌そうにツッコミ返した彼女は、腰に当てた片手の肘をニムに突き出すようにして立ち位置を主張する。
 痛いところをつかれてしまった僧侶は一瞬ひるんだものの、はっとして口許に手をやった。
「もとは……って、あなたッ! 見ていたなッ!?」
 逞しい体つきに反して、なよやかなものが残る仕草は、おそらくニム自身が見ても胸が悪くなるだろう。
 気まずいものを覚えて腕を外すものの、しかし、少女は動じた様子もない。
 腰から手を外して、道具屋の戸口の脇に開いた明かり取りの窓を迷いなく指差してみせる。

「ええ、ええ。私は、ここから一部始終を見てました。
 せっかく道具屋にいたんですから……ここで錬金の材料を探そうというときに、あなたが“変わる”ところを。
 すべてが終わったあと、あなたは少しのあいだ固まっていて。玉座を取り出したあとに」
「わーわーわー! 分かった! 分かった! 分かったことが分かったから!」

 平然と続いた説明の後半部を、僧侶は大きな身振り手振りでかわした。
 まさか見られていたとは。いや、水着姿は現在進行形で見られているのだが、それでも直面したくないものはある。
 “それにしても、人間も錬金の材料として扱えるだなんて思いませんでしたね”。
 なにやら不穏な響きの言葉を聞かなかったことにしたニムの目を、少女は真っ直ぐに見据えた。


「でも、私にだって分かります。今の姿なら、あなたはいつも以上の力を出せるはずです。
 どうして、それで勇者様とやらのもとに向かわないのか……どうも、私には理解できませんね。
 それとも――あなたの信じる方は、見た目だけで反応を変える程度の人物だとでも言うのですか?」


 言葉が放たれるともに、彼女の眼光は見据える、から、見下ろす、の中間へと遷移した。
 子どものそれからかけ離れて鋭いものとなった両の目は、ニムの肩にも届かない高さにもかかわらず、峻厳とした
風情をただよわせる。孤独を孤独と思わない孤高な輝きからは、人を統べる者に特有の風格さえ感ぜられるようだ。
 言葉に詰まっても関係ない、とばかりに、微笑を浮かべた少女は僧侶の脇をすり抜けようとする。
 硬質な音は、後ろ手に閉めた扉が開いた証。それはつまり――

「……あなたは、そう思えて当然だと思う。私がどうやって変わったか、見ていたんだから。
 でも、いくら努力したって、経緯を知らない相手には伝わらない。この事実じゃなくて、私の感じた怖さが伝わらない。
 いくら努力しても報われない時があるっていうのは――仲間が。今さっき、呪文を使った魔法使いが言ってたことだ」

 この少女が、ニムの側から消えてしまうということ。
 孤独を噛み砕ききれない彼女は、だから、矢継ぎ早に言葉を放っていた。
 相手と背中合わせになったままで、それでも、少女の注意と興味を惹きつけようと舌が動く。
 自分の目指すものがあるとも、無いとも知りたくない。“これ”が報われないとは、思いたくないのだと――
 悟りの書を突き返したサマンサの寂しげで強い眼光が、アルスと敵対しているだろう今でも鮮やかに浮かんできた。
 そうだ。いくら自分が努力しても、この少女はいなくなってしまうかもしれない。その公算は高いと言えよう。
 けれど、なんの努力もせずに報われないと嘆いていては、道理が通らないのだから。

「私も、あまり人の事は言えませんけど」

 ニムの視界に、昼下がりの陽光が大きく射し込んだ。
 けれど、そこに伸びる少女の影は、まだ遠ざかりはしない。
 彼女なりの全力を叩きつけた言葉に、動きを止めた少女もまた改まった様子で応じる。

「人は鏡。今、逃げ出してきたあなたも、誰かの鏡でいるはずです。
 私だってそうですよ。私が“その程度”に堕してしまえば、私が愛しく思うダーリンも同じ評価を受けてしまいます。
 そんな未来を嫌うと決めたなら、あなたはこの先、一生努力し続けるしかないでしょうね」

369血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:04:36 ID:uDFAcjI60

 振り向いた僧侶の視線の先で、小さな背中が大きく見えた。
 風格。先刻も思い浮かべた単語が、堂々たる立ち姿と合致する。
 自分の口にした言葉の重さにひるみもせず、力むこともない、彼女は本当に見た目どおりの子どもなのか。
 分からないことは多いが、努力し続けると言ったなら、本当に、彼女はそうするだろうとニムには感ぜられた。
 だからこそ、ダーリンとやらも彼女に惹かれたのだろう。そこに気付かれたのだから、彼女も相手を愛するのだろう。
 ダーリン。舌の上で響きを転がし、いとおしむようにつむがれた単語には、それほどの思い入れがこもっている。
 聞きにまわっていた相手にも、炎のごとくに熱い思いが、魂の震えが伝わってきた。
 ――こうまで努力に胸を張れたなら、報われるかもしれないと感じるほどにだ。

「ごめん。伝わらないっていうのは訂正する。でも、あなたは……すごいな」
「もう、フランでいいですよ」

 なんといっても、私は天才ですから。
 “この先”に肩を並べると決めたニムの脇から、フランの言葉は鮮やかに伝わってきた。

 *  *  *

「どうやら、あては外れたようですね――」

 “勇者様”。
 眼前に立つアルスの背筋をくすぐるように、サマンサは言葉を操った。
 誰がなにを許さないと思ったのか。男のものと思われる声は、届かなくなって久しい。
 斧を棍棒と盾で避け続けていた少年は、防戦の合間に路地の向こうに視線を遣ったが……結果は見ての通りだ。
 一匹狼の看板を取ってみれば寂しがり屋であった勇者よりも、どこか眼光に揺らぎがみえる、彼は黙っている。
 返答も出来ないほどに、助けを乞うても応えのなかった現実に、仲間が裏切った事実に対して、少年は失望していた。
 かつての自分も覚えたことがある失望の訪れを、技の冴えで遅れをとる彼女は好機と見て取る。
「けれど、ずいぶん今さらではありませんか? 故郷においても、同じことだったでしょうに。
 貴方がいくら背負ってみても、民草は何も返さなかった。仲間を増やすことを固辞したあなたに、それでもと
付いて来る者はいなかった。ルビス様の声が世界を渡るまで、あなたは、たったひとりで戦っていた」
 挑発に並行して術式への集中を行いつつ、魔法使いはくすくすと笑ってみせた。
「なぜ、今になって、あなたは“それ”に堪えられないのです?
 大魔王よりも、あのノアとやらは、より身近な脅威であるというのに……。
 すべてが終わっても喜びの声はない。それだけで、勇者の息子は戦意をくじかれるものですか!?」
 体ではなく心をむしばむ毒を、たっぷりと含ませた言葉のつらなり。
 その語尾を鞭のようにしならせ、強く打ち据えた瞬間、アルスの肩がびくりと跳ねた。
 緊張と不安を顕して固まった四肢は、余計な力がこもっているがために、とっさの動きを封じてしまうだろう。
 そんな状態に陥っていても、相手は魔王を単騎で倒してみせた勇者だ。
 念には念を、入れねばなるまい。

「バイキルト!」

 ある意味では魔法使いの鬼札と言える強化呪文を、サマンサは結びの句とともに綾なした。
 もとは戦士であった彼女の膂力に魔力が上乗せされた結果、手のなかにある得物が軽く感じられる。
 破壊力と引き換えに、均衡をとることに苦心するはずの斧の返しすら、手首を繰るだけで制御出来るだろう。
「それなら、なおさら容赦など出来ません。絶望して動かない旗印など、周囲の誰にも求められなどしないッ!」
 振りかぶった斧を逆落しにする一瞬、サマンサにはその言葉が計算か本気か分からなくなった。
 星に選ばれた者のことなど、自分は信じない。あらかじめ定まった天運が人を動かすことなど、信じない。
 三日月を思わせて冴えわたった斧頭が、条件反射でとびすさった勇者の胸を割らんとして唸りをあげる。

 その刃は別の刃によって、軌道の中途で受け止められた。

「ああ、ドレスが汚れてしまいそうですが、仕方ありませんねえ……。
 ちょ〜っと私の気に入らない論調が聞こえてきたので、無理を言って割り込ませていただきました」
 神速との形容が至当であろう得物の持ち主は、音もなく。
 いいや。音を後ろに置いてきたかと思わせるほどの速度をもって、サマンサの懐に飛び込んでいた。
 斧にこもった力の向きを一点でずらして流させた得物は、刃に真紅のともった短剣である。
 その背後に感じたのは、黒き異形がつむいだ魔力。皮肉といおうか、魔人のみせた力は、聖職者のそれだ。

370血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:04:58 ID:uDFAcjI60
「まさか……ピオリム?」
 魔力の波の正体に行き着いたサマンサの眉の片方が、とんがり帽子の影で吊り上がった。
 彼女ではなく人影に対して鷹揚にうなずいたフランは、素早い手首の返しで短剣をひらめかせる。

「しかし私は、あなたのような人間の血に塗れる趣味もありませんので。
 ですから、“侵入禁止”だろう異次元か、そもそも“侵入できない”壁の中で、悔い改めてもらいましょうか」

 力ではなく、技。技を織るのは、様々な物質に対する知識。
 人体の動きを知悉したフランの刃は、精緻な重心の移動をもって、サマンサの斧を再びいなした。
 バイキルトによる攻撃力の上昇に伴った直線的な軌道が、彼女の読みを後押ししている。
 次の一瞬。グローブに包まれたサマンサの手首に、軽い音を立てながら、サラマンダーの峰が“乗った”。
 得物を持つ腕に対する攻撃は、至難。手首を打つのではなく乗せるに留めたのは、こちらの動きが見えているから。
 戦士としての経験から、その事実を理解出来る魔法使いは、忌々しさのにじむうめきを噛み潰す。

 では、彼女は、一体“どれ”に属するのか。
 思考が止まらない。致命と出来る一撃を中途で止められるということは、よほどいい腕をしているのか。
 止められるほどの実力があると宣誓し、挑発できるほどに豪胆な神経を有しているのか。
 あるいは、好機を逃したあとの事を覚悟して、このような行動を選んだというのか。
 加速の呪文の加護を受け、つかず離れずで直接攻撃に必須である重心の移動を牽制し続ける少女――
 名も知れぬ天賦の才の持ち主は、サマンサに向けて不敵に微笑んだ。


「もっとも、その枷が生に時間を許せばの話ですけどね!」


 “ディメンド”。
 詠唱の結びとされた一句は、高らかな響きをもって天へと流れてゆく。
 その術式は、アルスやサマンサたちの住まう世界に存在する呪文のひとつとよく似ていた。
 魔法おばばのような魔物が得意とする呪文。相手を戦闘領域から別の場所に転移させてしまう魔法、
 瞬間移動呪文、ルーラ。その変奏であるところの、バシルーラに。


 ……あるいは、相手を光の彼方に消し去るニフラムにも似ているだろうか。
 彩度をなくしてモノクロームへと遷移する輝きは、フランと相対するサマンサを包むように放たれた。
 閃光を前に、アルスの視界は生理的な涙に揺れ、瞳の黒目がきりきりと絞られていく。


 そして、視界の確保された瞬間。
 彼らの前には一体の像が現れ、その存在を主張していた。
 砂とも金属とも知れぬ無機質の塊は、先ほどまでここに立っていた者そっくりに象られたものに間違いない。
 まつ毛のように細かなパーツまで形成していた無機質が砂と崩れる、幻想的などとは言いも敢えぬ超現実。
 めまいを覚えてしまいそうな光景が表すのは、たったひとつの厳然たる“結果”だ。

『今のは……魔法、反射!?』

 若き錬金術士、フランシーヌ・グローリアス・ヴィクトリア・ルドルフ2世。
 詠唱に代表される行動もなしに次元転移の術式を跳ね返されてしまった、天才少女。
 果たして彼女は、天賦の才ゆえにあやまたず、一分の隙もなく――今。




 壁の中にいる。




 *  *  *

371血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:05:28 ID:uDFAcjI60
「……最初に言っておきましょうか。
 これはマホカンタによるものではなく、この斧に刻まれた魔法文字とやらの力よ」

 武器の長柄を構える女性の瞳が、“魔法”という単語を口にすると同時に細まった。
 うっとりとした艶麗な響きは、結びに近付くにしたがって、線の細さが残る男声へと変わってゆく。
「ひとつの賭けではあったけれど、その間に、私は“こう”させてもらったわ」
 視界を回復したアルスの目の前では、もう一人の“アルス”が笑みを浮かべていた。
 相手の姿を写し取ると同時に、その能力までもを同一のものとする呪文に、彼はすぐに思い当たる。
 モシャスと呼ばれる搦め手でもって、サマンサがその身を変じたのだ。

「――“サマンサ”! よくも……よくもフランをッ!」

 魔法使いの背後にて、彼女の名を呼ぶ漆黒の男。
 サマンサを知る、僧侶とおぼしき者の姿を、風に散る砂が彩っていた。
 壁の中身と入れ替わった少女の体積に等しい無機質は、彼の出で立ちを汚すことで、汚した相手に人間味を付与する。
 だが、アルスの目の前に立ちはだかるサマンサには、そうした様子が見えることはけしてない。
 この日、初対面の相手から二度までも名を呼ばれてしまった彼女は、それでも笑みを崩さなかった。
「私の名前を知っていて、僧侶の呪文を使う。ということは……ニムか、それとも、バニー・ガールさんかしら?
 “超一流”が使うパルプンテの応用にしては、おかしな姿になったものだわ」
「ニムのほうだ。バニー・ガールなら……もっと、彼女とよからぬ方向に発展している」
 ただ、ルーンアクスの鏡面に映り込んだ異形の姿を一瞥した魔法使いは、あくまでアルスに注意を向ける。
「ともあれ、これで最初の目的は達成されたわ。あとは二十時間強を使って、私のやり方でノアに抗う方策を練るだけ。
 けれど、誰かにかばわれてしまうような者が体力を温存したままで生き残っても、後々困ってしまうかもしれない――」
 フラン。名前でさえ、今、ひとづてに知っただけの“誰か”。
 子どもとしか思えなかった少女に身をもってかばわれていた勇者は、その言葉に痛みを覚えた。
 みぞおちから胃に刺し込むような、体の芯にあるなにかを揺さぶる衝撃を前に、巧まずして眉根が寄ってしまう。
 ……この状況は、なんだ。鏡写しの自分が、自分ではない何者かの思いを乗せて、眼前で口を開いている。
 超現実的な光景も、二度続いて目の当たりにしたなら衝撃だって薄れるものだろうに。

「つまりはそういうことよ、勇者様。
 ルビス様の命で集められた仲間――私だって、こんな状況に陥れば、あなたを容易く裏切った。
 あなたがどれだけ背負おうとも、私も、他の誰かも、あなたを背負うことはない。
 先ほど触れた“喜びの声”だけで満足出来ていたというのなら、あなたは本当に幸せな方でしたわ」

 そうであるものだと、アルスは全力で信じたかった。
 非対称にゆがんでいく口許。瞳が細められるにつれて、力の入る涙袋。唇の合間でひらめくのは、薄い舌。
 自分が、こんなにも悪意に満ちた表情を浮かべられるものだと、思いたくはない。
 それに――

「それでもだ。それでも、俺は背負い続けるしかない」

 自分の選択を嘲笑されたくらいで根底から折れてしまうような人間だと、思われたくはない。
 これが自分ひとりだけならば、あるいは、一面の事実を認めて殺されても諦められたことだろう。
 だが、今は違う。サマンサが自分を嘲笑うことは、自分をかばった少女までもが貶められることに等しい。
『やっぱり――俺も、親父の息子なんだ』
 ここで、ひとりきりの自分が折れていたとしても同じだ。
 ただひとりで旅をしてきた自分が、ここで折れてしまっていたなら。
 自分は自身の手でもって、今の自分を形づくった勇者オルテガの――父の名を汚すことになってしまう。
 ひとりですべてを背負おうとした父を笑うことなど、気が付けば同じ道を歩んでしまった自分にさえも出来ない。
 サマンサの斧がひらめく。自分の力のほどをその身に叩き込んである勇者は、棍棒と組になった盾を刃に打ち付けた。
 死ねない。まだ、ロシェに言いたいことさえ、おぼろな形しか見せていないのだ。
 死ねない。まだ、自分がありたいかたちさえ、おぼろな影しか見いだせないから。

「俺が選んだんだ。それなら、いつか、肩を並べてくれる誰かが――」

372血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:06:02 ID:uDFAcjI60
 ああ、そうだ。袈裟懸けが受け止められた。
 ひとりの俺が、肩を並べてくれるのを待つんじゃない。反撃をかわす。
 言葉を待つよりも先に、ほんのわずかな違和感でも、問いただしてみるべきだった。
 その扇はなんですか? 時おりのぞく殺意は、誰に向けていたものですか?
 ほんのわずかな恐怖や不安でも、誰かに伝えておくべきだった。斧。受け止める。反撃の機を見極める。
 俺は、ずっと寂しかった! ひとりでしかいられないように仕向ける、自分の心が一番怖かった!
 きっと、誰にでもよかったんだ。此処に来て気がつく前に、誰かに言っておけばよかった。言えていたらよかった。
 けれど、こちらを見つめる両の眼が、赤く赤く輝いている。まだ手遅れじゃない。そんなふうに、何かを伝えてくる。
 それはたぶん、正しいことだ。自分のなかにある何かに気付けるなら、手遅れじゃない。まだやれる。集中する。
 ロシェに会った時と同じだ。何かに気付けたときに初めて、俺のなかの時間は動きだしたんだと思うから。
 始まったばかりで全部投げ出すなんて、あんまり勿体無くて、情けないじゃないか――。


「ちゃんと、誰かを抱きとめられるようになるまで。
 俺は、彼女を! きみも! お前も! ――背負い続けてみせるッ!!」

 つたない思いのたけをぶちまけると同時に、アルスは一歩前へ踏み出した。
 悪霊を散らすニフラムの光が、盾を構えていた左手から奔流のようにほとばしる。
 水色の光は柔らかな余韻を残していくものの、至近で黙視したなら陽光を直に見ることに等しいだろう。
 先ほど、斧が術式を反射したさまを見られたがゆえの“捨て札切り”は――斧を振りかざすサマンサとて封じられない。
 もともとニフラムの呪文には影響され得ない生者の視界をこそ灼いた閃光はすぐに、青空へと散乱してゆく。
 そして、魔法使いの逃げの一手である透明化の呪文……レムオルへの封じ手を、アルスは身を削って作り出した。
 先刻、ロシェに作られた腕の裂傷にあえて力を込め、体内を拍動する血液を彼女の体に振りかける。
 今のサマンサには、その様子が見えない。対面にある自分のことも、彼女の背後に迫っているものも。

「だからッ!」

 勝負が決まった、その時。涙を流したのはアルスの側であった。
 ただひとすじの透明な流れ。落花を受ける水のごとくに頬をつたった水滴に、赤いものがわずかに飛ぶ。
「俺はきみと一緒に行く。俺がひとりじゃない。まだ間に合うっていう、きみの思いを信じてみる。
 だから、俺は俺と、“きみたち”のやったことを……“アルス”として背負う!」
 サマンサの背後から貫手を放ち、胸の中心を貫いた者は漆黒の、されど輝かしき人型の影であった。
 かつては僧侶であったのだろう魔人に向けて、勇者は自身こそが胸を衝かれたかのような声でもって宣誓する。
 その言葉を証明するがごとく、彼は力を喪ったサマンサの肉体を、肩から外したマントで受け止めた。
 ニムが体を離すにつれて、防寒のために厚くしてある布地は紫から朱に染まり――

「分かりました、勇者様。いや……“アルス”。
 今はこんな姿だけど、女僧侶だった、ニムです。今後ともよろしく」

 勇者という肩書きではなく名前を呼んだニムは、血を払った右の手首から先を差し出した。
 人外の膂力でもって水分は落とせても、血の臭いまでは拭いきれない、彼女の手はあたたかい。
 見知らぬはずの手のぬくもりを懐かしいと感じる一方で、アルスは地に横たえたサマンサの骸に目をやる。
 彼女とともにいたフランの姿をかたどっていた無機質の固まりは、すでに空へと還ってしまった。

「……だけど、アルスは泣きたい気分だろうね」
「いや。人間、寂しいときは誰でもひとりなんだって」

 夢で言われた覚えのある精霊の言葉を復唱しかけて、少年は口を閉ざした。
 だけど。字面だけで考えれば繋がらない台詞の間隙に隠されたものは、いったいなんだ。
 虫を思わせるマスクに覆われたニムの、赤い視線が、うるさいほどに彼女の意志を伝えている。
 ここでサマンサの命を奪ってしまったことで、自分の未来も、彼女の今も、どこかが錆びついたのだと。
「ああ、いや――今はもう、ひとりじゃないんだよな」
「ええ、そういうこと。そうじゃないと私だって困る」
 サマンサとは仲間であったらしい彼女の涙は、無機質な流線を描く仮面に隠されているのだろうか。
 アルスの信頼に、自分自身を懸けて応えた僧侶の顔こそ見えないが、思いは伝わる。

373血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:06:40 ID:uDFAcjI60
 勘違いでも、この際かまいはしない。理不尽な経緯で孤独を強いられかけた、彼女の思い――
 孤独を知るがゆえに、誰かと寄り添いあいたいと感じる胸の動きは、身に染みて分かるような気がした。

 何も抱えることなく、ひとりで死ぬのは、今も怖い。
 だから。ふたりで、出来ることなら皆で、一緒に生きたかった。
 ひとりでは抱えられないものも、ふたりでなら支えられる、分け合える。
 そんな思いが触れ合って生まれる魂の交歓は、たったひとりの命を燃やすに値する。

「これは?」

 その思いを後押しするかのように、いつしか、黒と金に彩られたスズメバチが彼らの間を飛んでいた。
 無機質ながら、幾度刺しても抜けないと聞く針を見ても腰を引こうと考えられないほどに、滞空する虫は美しい。
 陽の光を照り返すその姿を『誇らしそうだ』と感じたアルスの左腕に、瞬間、黄金の環が巻き付く。
 まるで、もともとひとつのパーツであったかのように、不思議に余計な重量を感じさせることもない――
 かつて“完全調和”を目指した男の携えたザビーゼクターは今、勇者アルスとともにあった。
「……ああ」
 物理的なそれではなく、選ばれることの重みをこそ噛みしめた少年は、黒髪を揺らしながら瞑目する。
 当たり前のことなのだろうが、バラモスを倒しに向かった時の自分には、もう、けして戻れないと理解したために。
 選ばれたことに疑問を呈さずして荷を抱えるには、自分は、これまで置きざりにしてきた情を、知りすぎてしまった。
 ロシェやサマンサの言葉が鈍い楔となって胸に残っている今は、この重みをひとりで堪えることなど辛すぎる。
 けれど、人の姿を失くしてしまった彼女。表情のない仮面と視線を合わせてみれば、しっかりした首肯が返った。
 背中を押してくれるような。背中を支えてくれるような。万感を込めた無言の動作が、“返ってくる”。
 力強いニムの姿を目にした少年の胸に、冬の水面を思わせて冷たかった騎士の自嘲が沁みた。
『本当に。思い出を美しいままで守ることも、夢に向かっていくことも、そのために本気を出すことも……』
 彼やサマンサの行為には、滑稽なものなどなにもない。
 おのが全力を注ぐ対象があることは、アルスには真から素晴らしいと思えた。
 こんなにも美しい記憶が胸にあるなら、これほどに優しくも強靭な思いが重なるのなら、きっと。
 “この先”で肩にかかるであろうどんな重みも、今の自分は最後まで支え続けていけるに違いない。
 そして、ロシェやサマンサの思いを実感するほどに、彼らの影を目にした自分は、ああなれないとも感じる。

 二人の裏を見た自分は、彼らを思い出にしたくない。
 敵意であれ好意であれ、いちど思いをつなげた記憶を、思い出で終わらせたくない。
 だからといって、思いを貫くために戦えても、積極的に他人のそれを踏みにじるのはごめんだった。
 自分の腕で輝く蜂のように、時には命すら賭けねばならない針を使う時は、やみくもであってはならない。
 けれど、サマンサをニムに殺させたようなことを、二度繰り返す気もない。


 いったい、どれほどの感情を、胸の中に押し込めてきたのだろう。
 自分の根っこから溢れ出す思いは、なかなかにわがままで、融通が利かないようだ。


 ロシェやサマンサのようにはならない。
 相手を否定するだけなら簡単だが、ニムがいるからこそ、自分は“その先”を考えていける。
 彼らは、殺すべき自分に向かって言葉をつむぎ、互いに敵意を固めることで決意の強さを表していた。
 自身の敵意に敵意が返ってくることを承知で、彼らは彼らの舞台に立とうとしたのだと、今なら理解がかなう。
 それなら。彼らを見た自分は困難を前に折れないことで。転んでもなお立ち上がってみせることで、覚悟を示そう。
 どれほど命を落としてもバラモスを打倒した時と同じに、自分のわがままを貫いてみせようではないか。

 そのためならば、自分を重く打ち据えた言の葉も、血も、涙も。
 遠い故郷にも吹いていた、穏やかな風に散らして――


 今、この時と場所をこそ、全力で駆け抜いてやりたかった。

374血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:07:07 ID:uDFAcjI60
【D-3/アリアハン・城下町/午後】
【アルス(男勇者)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:裂傷複数(処置済み)、MP消費(中)、疲労(大)、やや失血
[装備]:クギバット@モンスターハンター、ルーンアクス@魔界塔士、
 ザビーゼクター&ザビーブレス@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜4
[思考]:ひとりで死ぬのは、怖い。だから、一緒に生きていく
1:まずは、ニムのことを信じたい。信じてみせる
2:思いを守るために、他者への敵意を示すような手段は選びたくない
[参戦時期]:ゾーマ復活後。アレフガルドに到達している
[備考]:バラモスをひとりで打倒しています。バニー・ガールの名前を知りました。

【ニム(女僧侶)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:悪魔化(魔人 ブラックライダー@真・女神転生3)
[装備]:あぶない水着@DQ3
[道具]:基本支給品×2、カマエル@DQ9、サウザーのバイク@北斗の拳
[思考]:全部ノアの仕業だ! ゆ゙ る゙ ざ ん゙ !
1:アルスと行動したい。だがこの姿だけは……やっぱりありえん(泣)
2:アルスが自分たちのことを知らない……? おのれノア!
[参戦時期]:ゾーマ復活後、アレフガルドに到達している
[備考]:男盗賊やサマンサとともに、のちのアルスの仲間になっています(26話参照)。

※サラマンダー@DQ9、ウェディングドレス@DQ9は、フランの体とともに壁の中へ埋まりました。
 フランがどこの壁の中に埋まったかは、後続の書き手さんにお任せします。


 *  *  *


 ――闘いの終結より、少し前。
 城下町に見えた人々の心が刻む影を、一匹のスズメバチが俯瞰していた。
 統率。蜂の女王たるマスクドライダーシステムが要求する資格にほど近い思いの波を、ここに見つけたがゆえに。
 共感か、あるいは傷の舐め合いか。それでも彼が求めてやまぬものは、紛れもない“調和”と“平和”だ。
 未熟。強い光の作り出す影に飲まれかねない少年の姿から連想した単語を、蜂は静止を保つ羽ばたきのなかで咀嚼する。
 それはつまり、彼には伸びしろがあるということ。救いようがあるということ。なによりも――。
 彼には同じ血を分けたも同然である人を、人として認めている。孤独を抱えたがゆえに、他者の尊さを理解している。
 ゆえにこそ、人の姿を捨てた魔人と彼とのあいだには、共感が生まれ得るのだろう。

 いまだあどけなさを残す少年と、異形のマスクドライダー。
 ふたりの間に響いているものは、つたなくも深い言葉(メロディ)と同調(ハーモニィ)。

 彼らが行き合った結果、フランという少女は壁の中で命を落とし、サマンサと名乗った女性は倒れた。
 かつての資格者が目指したパーフェクトからは遠い結果を出してなお、少年は瞳と“仲間”から光を喪わせない。
 倒れてしまった者の、異形の者の思いを背負ってみせるとの宣誓は、スズメバチにも真から響いたものだ。

 だから、蜂は――
 ザビーゼクターは、あどけなさを残す瞳を潤ませている少年をこそ選んだ。
 ここから先、彼の心がいかように遷移していくかは、少年ではないゼクターにも、少年自身にも読めないだろう。
 だが、人を統率する資格を自身の前で顕してみせた彼が、自分の意に沿う存在であり続けるかぎり――――
 群れを統べるべく生まれた蜂の女王は、隣人に光をもたらさんとする勇者アルスと、ともにある。


【フラン(クラッズ・錬金術士・女)@剣と魔法と学園モノ。 死亡】
【サマンサ(女魔法使い)@ドラゴンクエスト3 死亡】
【残り 36人】

375 ◆69O5T4KG1c:2010/02/08(月) 02:07:23 ID:uDFAcjI60
以上で投下を終わります。

376もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/08(月) 07:08:02 ID:kyh3HrNw0
お、おおおお……!
もう出るとこだから細かい感想はまた帰ってから書くけど、一言だけ読んですぐのうちに言いたい!
す〜〜〜……っっげえ面白い! アリアハンを動かす俺も案はあったんだけど、氏に投下してもらってよかった!
朝からいいもの読めた! GJ!

377もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/08(月) 19:08:20 ID:KVpcuu8E0
投下乙です!
散々難しいと言われてたアリアハンも、ついに動いたか
フランは天才であるがゆえに、勝ち方を選んじゃったのが敗因かな
そして前回のあのカオスから、ニムをここまでシリアスにできるのがすげえw

378もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/09(火) 01:07:57 ID:qhMep/P20
投下乙!
なんていうかもうアルスがカッコイイ!
覚悟が決まったアルスが今後どうなるか考えるだけでわくわくします!
あとニムが普通の女僧侶だと思うと普通なんだけど、RXって事を思い出してしまうとやっぱり吹いてしまう……

さて、自分も投下します。
ちょっと危険球だけど……退かない!

379Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:11:02 ID:qhMep/P20
天使だった者は見つめる。
青いゴーグルを填めた目の前の人間を殺す。
手に持ったハンマーを力強く握りなおし、男へと襲い掛かるその姿はまるで機械のようで。

破壊の王と噂された者は見つめる。
創造を邪魔する者を破壊する。
返り血を浴び、人の持つ輝きを持たぬ天使を斬り伏せるために。

すべては己の目的のために。
滅亡をもたらす破壊の天使はハンマーを叩きつけた。
創造をもたらす人々の王は剣を振るった。

一歩も引かない両者の武器を伝って互いの意思がぶつかり合う。

止められない神と天使の衝突。それこそまさに――――

380Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:11:18 ID:qhMep/P20










「AHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!」










「なん……っだ?!」
ドアを開けた途端に飛び込んできたのは耳をぶち壊すような歌。
もはや歌というより声、声というより叫び、叫びというより「すごく不快な音」に近かった。

「殺し合いの場でこんだけ目立つとか……叫んでるヤツはアホか?!」
耳をふさぎ、タムラを押しのけるように前に出るアクセル。
まだ声を聞いても立っていられるアクセルとは違い耳を押さえたまま動きが固まってしまっているタムラ。

381Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:11:31 ID:qhMep/P20

(やっべ……耳もってかれたかな?)
彼は探検家だったが、致命的なコトが一つだけあった。

――病弱。

優れた探険家である彼のたった一つの弱点。当本人も自覚するほどの体の弱さだった。

タンスの角に指をぶつけて小指骨折。
くしゃみをした反動でぎっくり腰。
ドアを閉めるときに指を挟んで骨折。
首の寝違えを直そうと思って無理に曲げて即刻病院行き。
何かの下に潜り込んで物を探していて、ふと頭を上げてしまって頭蓋骨にヒビが行った事もあった。

まあ、そんな病弱な彼が探検家というのも中々矛盾した世の中である。
とまあ予想外の音程と音量が突然耳に入ってきた所で、彼が真っ先に心配したのは自身の鼓膜である。
自身が耳をふさぎ続けているコトが、鼓膜の無事の証明となっていた。
もし瞬時に破れていたなら耳をふさぐという行為すらしなかっただろう。

「……おい、タムラ。大丈夫か?」
明らかに様子がおかしいタムラに話しかけるアクセル。
「ん……ああ、大丈夫だ。問題ないよ」
アクセルのほうへと向き直り、ガッツポーズで応答をするタムラ。
この時アクセルにはタムラの顔がものすごく青白く写っていたのだが、タムラは気がついていなかった。
「それより、早く行こう。あんな大きな音だったらどこまで響いてるか分からない。
 声を聞く限り女の子だし、早く助けに行ってあげないと!」
タムラのその言葉にすばやく頷くアクセル。
それぞれがそれぞれを守る簡易的な布陣を組みながら、音源へと二人は向かった。

382Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:11:54 ID:qhMep/P20



リリの顔には若干の焦りの表情があった。
白いぶよぶよから荷物だけを剥ぎ取って、一刻も早くその場を立ち去ろうとした。
そこで彼女の視界に映ったのは二人組みの男性の姿だった。
自分の背後にはやる夫の死体、そして響き渡った自分の全力のシャウト。
自分の声が凶器になることを知っている人間だとすると、疑われるのは明らか。
そうでなかったとしても、響き渡った声の場所から死体を見捨てて逃げ出す者にいい印象を持つことはないだろう。
リリは全力で思考をめぐらせる。どうすれば怪しまれずに男性二人組に接触できるのかと。

彼女はその場に佇むことにした。
白いぶよぶよの心臓と思われる部分に果物ナイフを突き刺し、その傍に力なく座り込んで瞬時に涙を流し始める。
そのまま、男性二人を待ち続けた。



「何があった?! 大丈夫かい?!」
涙を流し、座り込んでいる少女に語りかけるタムラ。
少女のあたりを一瞥し、一人というべきか一匹のナイフの刺さった死体を確認してから少女へと語りかける。
「落ち着いて、僕の目を見て、ゆっくり深呼吸をするんだ」
少女は涙を流し続ける虚ろな目でタムラを見据えながら深呼吸をする。
口は開くが声が出ない。酸素を失った魚のようにパクパクとしているだけだ。
「アクセル、周りを頼む。怪しい奴がいたらとりあえず銃を突きつけてみてくれ」
タムラは散弾銃をアクセルへと渡し、周囲の警備を依頼する。
飛び出したときのようにアクセルは再び無言で頷く。
「いいかい? 落ち着いて話を聞いてくれ。
 ゆっくりでいい、自分の中で分かる分だけ何があったのか教えてくれ」
少女の瞳をまっすぐに見つめ、語りかけるタムラ。
深呼吸を繰り返し、口を開閉するだけだった少女からついに声がこぼれる。
「あ……くま」
「え?」
タムラは少女の微かな言葉へと耳を傾ける。
小刻みに震える少女の口から、流れるように言葉があふれ出す。
「悪魔が……白いぶよぶよの悪魔が……気が動転しちゃって……」
「ということはさっきの声は君の……?」
タムラの問いかけにゆっくりと頷く少女。
もう一度白いぶよぶよを見ると、心臓と思われる場所に一本のナイフが刺さっていた。
タムラの頭の中で一連の出来事が繋がる。
おそらくこの白いぶよぶよに立ち向かうためにナイフで応戦したところ、運悪くぶよぶよの胸に刺さってしまった。
不慮の事故、少女は正当防衛である。タムラの頭の中ではそういう物語が出来上がっていた。
「とにかく、ここは危ない。僕達がさっきまで居た祠があるんだ、そこまで詳しい話を聞くよ。
 変な人がいつ来るかも分からない。さあ、早く行こう。」
少女の手を引き、一刻も早くその場を立ち去ろうとするタムラ。

383Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:12:26 ID:qhMep/P20
「ちょっと待ってくれタムラ、ショットガン貸してくれないか」
そのタムラを呼び止めたのはアクセルだった。
多少の疑問を抱きながらタムラはショットガンをアクセルへと渡した。
「何を……?」
「首輪をいただく」 
タムラが反応する前にアクセルは白いぶよぶよの頭と思われる部分をショットガンで吹き飛ばした。
血の様な何かが飛び散る光景を見せまいと少女の目を覆うことがタムラに出来る精一杯のことだった。
「……さ、行くぞ」
首輪を拾い上げ、ショットガンをタムラに返し歩き始めるアクセル。
タムラは何も言わない、言えない。
アクセルがしたことはこれから自分が生きていくうえで必要なことだとわかっているから。
汚れ役を背負い込んでくれたアクセルを責める事など、出来るはずもない。

三人は歩き出す。
それぞれの間に……会話は無い。
重苦しい空気が漂う中、一人だけだけ心の中で笑っていた。



リリの目的通り、一切怪しまれずにタムラ達と接触できたのだ。
それどころか首輪の研究をしている人間に出会うことまで出来た。
生き残るにしてもこの首輪は邪魔な存在である、優勝を狙う彼女でも首輪をはずすことは少し考えていた。
自分の首輪を外す事が出来れば、圧倒的に他の参加者より優位に立つことが出来る。
首輪を外してもらい、技術を持ったものを殺し、禁止エリアでゲームの終焉を待つ。
こみ上げてくる笑みを表情に出すことはなく。ただ、ただ自身の心の中で笑い続けた。



――――持っていたのは一枚の透明の仮面だった。

384Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:12:40 ID:qhMep/P20



「アクセル、そこで待っててくれ」
祠の入り口にたどり着いた所でタムラがアクセルたちを止める。
「……ドアが開いてる、誰かが中にいるみたいだ。
 もし僕の叫びが聞こえたら、一目散にどこかへ逃げてくれ」
アクセルたちを入り口に留め、タムラは一気にドアを蹴り開けて中へと入った。
「動かないでくれ!」
銃口は紫の長髪の女性のほうへと向いていた。
突きつけられた女性はというと突然の事態に対処しきれず、手に持っていた本を投げてしまった。
更に体のバランスを崩してしまい、寄りかかった本棚が反動で倒れてしまった。
結果、女性は一人で勝手に本棚に押しつぶされてしまったのだ。
「あー、えっと。あたしは敵対するつもりは無いよ。
 ……というかこれじゃあ無理かな」
タムラが一瞬のうちに起きた出来事を飲み込むのに時間がかかったのは、言うまでも無い。
気持ちを整理し、アクセルたちを祠へと入れた。
そして三人がかりで本棚を持ち上げ、女性を救出することに成功した。

しばらくしてからそれぞれの支給品を並べた卓を囲みそれぞれ自己紹介を行うことにした。
そして、この場に集まるまでの経緯を軽く説明しあうことにしたのだ。

タムラ達の話には当然嘘は無かった。彼等が嘘をついても何のメリットは無いからだ。
彼等の目的はまず「首輪を解除すること」だからだった。
ブラフをかけたところで自分達が不利になるだけ。

しかし、残りの二人は違う。

リリはまず、自身がアイドルを目指していることのみを喋った。
全員が自分の世界と違う人間だと認識した彼女は自身の能力を全てひた隠しにすることにした。
下手に「戦える」ことをアピールすれば前線に立たされてしまうかもしれない。
無駄に体力を消費することだけは避けたい。今はか弱い少女を演じておくのが正解だろう。
私は貧弱です、だから皆さん守ってください、最後に私が優勝するために。
彼女の紹介はそう言わんばかりのモノだった。

ルーナ……否、ワームは名乗りから嘘を交えた。
ここに来る前に自分の番号と名前が記された名簿というものがある事に気がついた。
名簿は硬く閉ざされていたのだが、ご丁寧にそこに「ワーム」と表記されていた。
どちらにせよここで「ルーナ」を名乗れば後の放送の時に圧倒的に不利になるのは目に見えている。
あらぬ疑いをかけられない為にも、偽名を名乗っておきたいところだが名簿が開いたときに「名簿に無い名前」がを名乗るのも不自然である。
故に、彼女は適当に丁稚上げて名乗ることにしたのだ。

「ワードナー=ムスタディオ。略してワームって呼んでくれると嬉しいな♪」

本当と嘘と嘘。白と黒と黒。
それぞれが混じり、ぶつかり合う。それぞれがそれぞれを信じるしかない。
どれが嘘でどれが本当なのかは彼等に知る由もないのだから。

385Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:13:14 ID:qhMep/P20

「ん……でまあ今テーブルの上にこれだけの支給品があるんだけど」
テーブルの上に並べられている様々な武器防具を眺めつつ、タムラは全員へと提案する。
「……それぞれが其々の使えるものを取ろうと思う、今から一個ずつ指差していくからほしい人は手をあげてくれ」
そうしてただののど飴から戦車兵器に至るまで、全ての支給品の分配を行った。
以外にもハズレはのど飴だけであとはそれぞれが何かしら使えるものだった。
そして何よりも大きいのは宝の地図が入っていたことと、アクセルが以前修理に使っていたキットが手に入ったということだ。

「……さて道具の整理がついたことだし、俺は早速こいつの研究を始めるぜ。
 ワーム、アンタの魔術の知識も多少なり居るかも知れない。手伝ってくれるか?」
「勿論♪ 私の知識が役に立つならそれでいいと思うよ〜ん」
そそくさとメカニックキットを広げ、白いぶよぶよから奪った首輪を卓の上に載せて研究を始めようとするアクセル。
「……そっか、じゃあ僕は邪魔になりそうだしこの地図のお宝を探しに行って見るよ」
「罠かもしれないぞ?」
「……じっとしてても仕方がないしね。
 罠があるって言うならくぐってこそ一流の探検家、だろ?」
アクセルはタムラを心配するような目で見ていたが、タムラ本人は自信にあふれた笑みを浮かべていた。
その自信にアクセルは賭けることにしたのだ。
「リリ、君はどうするんだい?」
タムラがリリへと問いかける。
別のことを考えていたのか呼びかけられたリリははっとした表情を浮かべ、一人考え込んだ。
「……万が一って事がある、アイツが俺達の首輪を爆発させるかも知れねーしな。
 襲われたときも俺たちは自分の身を守るので精一杯かもしれないし、なによりここだと逃げ場が無い。
 ちょっと危険だけど、タムラについていくほうが俺は安全だと思うぜ?」
アクセルはタムラについていくことを薦める。何が待っているか分からない。
ここで襲われて逃げ場を失うよりは、ある程度逃げ場のある外の方がある意味安全だ。
ましてや戦闘力が無いのならばなおさらのこと。強者に襲われて祠が半壊、何てこともあるのだ。
アクセルに薦められて持たされた濃縮メチルがあるとはいえ、彼女以外の三人は彼女を戦力としてみていなかった。
リリとしては首輪の情報も得るためにここに残っておきたかったのだが、「あらかた調べたら後で追いつく」というアクセルの言葉に折れてしまった。

まずはタムラを利用し、危機から守ってもらった上で弱ったところを殺す。
自分には絶対的な演技力がある。「狂人に襲われてそれから守るようにタムラが斬られた」等、幾らでも理由が立てられる。
残って足手まとい扱いされるよりは、ここはおとなしくタムラについていったほうが良いだろう。

「じゃあ、俺は行って来るよ。いい結果を期待してるよ」
タムラはリリを引きつれ、祠を後にする。
地図に記された紅い字の場所を目指し、黙々とタムラは歩き続ける。



――――ここまでうまく行くなんてね。



タムラが見ていないところでにやりと笑うリリ。あまりにも上手く行き過ぎて笑みを我慢できなかった。
後に首輪に関する情報が得られると分かった上、当分の身の安全を確保することが出来たのだ。
彼女にとってこれ以上の吉報は無いだろう。
さらに濃縮メチルという手軽に扱える武器も手に入れた。弱っている人間ならコレで一発だろう。
目立たなくて良い、ただひっそりと人を殺し生き残り続ける。
全力を使うのは最後の最後で良いのだから。今は非力な少女の演技を続ければいい……。

「危ない!!」

そんな考えが、タムラの一声と一発の銃声によって途切れる。

386Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:13:29 ID:qhMep/P20





天使が超速でハンマーを振るう。
ハンマーによって抉られた地面が宙を舞い、神へと襲い掛かる。
飛び散った地面を目潰しに利用し、即座にハンマーの軌道を変える。

神は動じない。飛び散ってきた地面には目もくれず、天使を一点に見据えていた。
槌の軌道を読みきり、変化した軌道へと落ち着いて対応する。

神が超速で聖剣を振るう。
空気すらも裂けんばかりのその一撃が天使へと襲い掛かる。
しかし、武術を極し者を名乗る天使もその一撃を受けることは無い。

冷静にハンマーの面を利用し、剣の勢いを殺していく。
そして受けた力をそのまま使い、大きく体を捻って回転力へと変えて襲い掛かる。

神はまたその攻撃に反応してハンマーの攻撃を華麗にいなしていた。

力と力のぶつかり合い。先に倒れた方が負けだという事は初撃からお互いが理解していた。
お互いがお互いに渾身の一撃を叩き込もうとするが、両者共にそれに反応するため一向に決まらない。

そんな対等なぶつかり合いが続き、気がつけば数時間経っていた。
両者に疲れの色は見えない。武神と武神はただお互いを睨み合っていた。
共通の思考は唯一つ。「相手の脳天に一撃を叩き込む」事だけ。

破壊神には天使が、天使には破壊神が。
それぞれの視界にはただそれだけしか写りこんでいなかった。
全意識を集中し、全神経をそこへと向けていた。



だから、破壊神は気がつかなかった。

「危ない!!」

その一声が耳に入り込んでくるまで。

そして、一発の銃声が耳に入ってくるまで。

背後に、一匹の獣人が迫っていたことなんて。

387Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:13:48 ID:qhMep/P20



山羊さんの作戦は完璧だった。
戦闘に夢中になっている二人の撃ちの片方へ、自身の刃での背後からの奇襲。
そしてもう一人が驚いたところで支給品の閃光手榴弾を炸裂させ、自分はサングラスでその場を凌ぐ。
あわよくばもう一人も暗殺する、そんな算段だった。
完璧だった。失敗するはずがないと思っていた。



たった一つの誤算、タムラさえ居なければの話だが。

奇襲を仕掛けた時点でタムラの存在に気がついたのだが、時既に遅し。
タムラは即座に銃口を山羊さんへとロックオンし、引き金を引いていたのだ。
男に刃で襲い掛かる前に、散弾銃の弾丸が自分の頭頂部をごっそりと持っていくほうが早かった。

故郷の妹や兄、愛する幼馴染の顔すら思い浮かべることなく。
彼の意識は途切れたのだ。



場所さえ分かっていれば壁の向こうの幽霊を正確に打ち抜くことが出来たタムラにとってそれは当然の反応だった。
いつ幽霊が出てくるか分からないあの地で、彼は何かに反応して銃をぶっ放す技術を手に入れていた。
そうでもしないとあの洞窟は攻略できないほど、過酷なものだった。

結果として襲撃者山羊を打ち抜くことに成功したタムラだが。直で反動を受けてしまい渋い表情を浮かべる。
山羊の頭を打ち抜くまでの手順を簡易なもので済ませたため、タムラには銃の反動を凌ぐ手段が無かった。
若干痛みが走る右手を押さえようと左手を伸ばした瞬間。



大地が、叫んだ。



破壊神の一瞬の気の緩みを見抜いた天使が槌を地面へと勢い良く叩きつける。
大地が揺れ動き、その場に立つ全員が足元を掬われる。
山羊に意識が行ってしまっていた破壊神も思わず体がよろめく。
叩きつけた衝撃を利用し、天使が天空へと舞い上がる。
天空の支配者たる天使は、破壊神へ鉄槌を脳天めがけて叩きつけたのだ。

388Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:14:26 ID:qhMep/P20
破壊神は避けられないことを悟り、その体を大きく右へ逸らしたのだ。
まるで「左腕などくれてやる」といわんばかりに鉄槌へとその身を捧げた。
左肩の感覚が無くなると同時に背中に強烈な痛みが走った。

破壊神を襲ったのは天使の鉄槌だけではなかった。
背後から鉄の馬に跨った男が彼の背後を目掛けて突っ込んできたのだ。
鉄の馬が破壊神に接触したのを目撃してから男は颯爽と馬から飛び降りた。

鉄の馬が破壊神と天使を巻き込みながら地へと降り立ったのと同時に男も馬から舞い降りた。
そして、ゆっくりと剣を引き抜きタムラたちへと突きつけたのだ。
「お前達に恨みは無いが、死んでくれ……?!」

馬から舞い降りた男がタムラ達から目を逸らす。
鉄の馬が鎮座しているすぐ傍には頭から血を流している天使が。
場所から少し離れた場所には左腕を力なくぶら下げた破壊神が立っていたからだ。



四者が四者、それぞれを睨み合う。



全てが終わるまでタムラが山羊を打ち抜いてから十秒と経たたなかった。
天使は空を駆け、男はバイクで人を二人轢き倒し、破壊神はその状況から起き上がってきた。
状況を理解するのに時間がかかるが、今のタムラにそんな時間は無い。

自分にあるのはショットガン一本とスズメバチの巣。
その武装で何が起こっているのか今一わかっていない彼女を守り抜かなければならない。
せめて誰が味方で誰が敵なのかがわかればいいのだが……。
その時ふと、デイパックの中にある核爆弾の存在を思い出す。

「できたら使いたくないんだけど……な!」

奥歯で何かを噛み締めながらタムラは呟く。

探検家は判断しなければいけない。

闇の加護を受けた戦士は敵なのか?
青服の破壊神は敵なのか?
羽を血に染めた天使は敵なのか?



そして、もう一つ彼は気がつかなければいけない。



一人、既に敵がいると言うことに。

389Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:14:37 ID:qhMep/P20
【D-4とC-4境 山岳地  一日目 夕方】
【山羊さん@うみねこのなく頃に 死亡】

【ナイン(主人公・女)@ドラゴンクエストⅨ】
【状態】疲労(中)、重傷、職業:バトルマスター
【装備】メガトンハンマー@ドラゴンクエストⅨ、鉄の鎧@ドラゴンクエストⅢ、うろこの盾@ドラゴンクエストⅢ
【道具】支給品一式×2、不明支給品0〜1
【思考】
基本:皆殺し
1:場に居る全員を殺す。

【ロラン(ローレシア王子)@ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々】
[状態]:疲労(中)、重傷、左肩使用不能。
[装備]:エクスカリバー@ファイナルファンタジーⅤ
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]
基本:ノアの破壊。創造する人間を邪魔する人も破壊する。
1:ナイン、闇の戦士、タムラたちへの対処
[参戦時期]:本編終了後、ローレシア王から王位を譲られています。

【■■■(闇の四戦士の一人)@FF3】
[参戦時期]:封印中、光の戦士を待っている頃
[状態]:クリスタルメイルを除く衣服に損傷、疲労中、魔力消費小
[装備]:クリスタルメイル@FF5、バスタードソード@DQ3
[道具]:支給品一式×3、ミスリルナイフ@FF3、エリクサー×2@FFT
[思考]
基本:いち早く帰還
1:この場にいる全員の駆逐
2:全参加者の殺害
3:サイクロン号で会場中を徘徊して、標的を探し出す。
[備考]
※ジョブは魔剣士。
※名前は忘れてしまっています。

【リ=リリ(セレスティア:アイドル:♀)@剣と魔法と学園モノ。2】
[状態]:良好 音痴
[装備]:メガホン@現実、濃縮メチル@METAL MAX RETURNS、リボン@FINAL FANTASY III
[参戦時期]:不明
[道具]:支給品一式×2、龍角散のど飴(一個消費)
[思考]
基本:優勝して生還する。表立って殺し合いに参加しない。
1:タムラをとりあえず利用する。
2:事の行く末を見守る
[備考]
※自分の歌の下手さに気付いていません。
※D-5エリアに下手糞な歌が響き渡った可能性があります。

【タムラ(主人公)@スペランカー】
[状態]:やべ……肩イったかも
[装備]:モスバーグ M500@現実、髑髏の稽古着@真・女神転生if...
[道具]:支給品一式、スズメバチの巣の袋(未開封)@現実、核爆弾@魔界塔士Sa・Ga
     宝の地図(D-2砂場に印、裏面にZ-G-N-A-と書かれている。)、動きが素早くなる薬@スペランカー
[思考]
基本:全力で生き残る、でも後悔だけはしたくない。
1:現状打破。核爆弾も辞さないかも……?
2:お宝を探しつつリリの護衛。
3:出来るだけ怪我したくない
[備考]
※参戦時期はED後



※閃光手榴弾、サングラス、不明支給品0〜1が八木さんのデイパックに入ったままです。
※新サイクロン号(一号)@仮面ライダーが地面に転がっていますが、起こせば使えます

390Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:14:56 ID:qhMep/P20



「クッソがァアアアアアアアアアア!!」

祠の内部に響き渡る叫び。それは紛れも無くアクセルのものだった。
「ど、どうしたの?!」
「作りを全部見抜いた……大体のことは把握できた。そして分かったんだよ、外し方がな」
首輪の外し方が分かった。普通ならばそこで喜ぶはずだ。
しかし、アクセルの表情からは怒りが消えない。

「……段階を追って説明するぞ。まず最初のところでノアの野郎はなんていった?
 首輪を「爆発」させるって言ったな?」
アクセルはワームに最初の会場で起こった出来事を思い出させるように促す。
「人体の首を吹き飛ばすには相当量の火薬が必要だ。
 しかもそれを爆発させるための信管や発火装置のこともあって、首を吹き飛ばすにはこの首輪の半分以上が火薬と信管で埋まる。
 第一だ、仮に酸素の無い空間に行くとか爆発なんて屁じゃないヤツがいたらフツーの火薬死ぬわけが無いだろ?
 ここにいるかどうかはしらねーけど、バルデスのヤローならぜってーに死なねーな。
 爆薬ならこっち側で幾らでも対処できるんだよ。用は中の爆薬さえ炸裂しなきゃいいんだからな。
 ……さて、そこでだ。あの首をぶっ飛ばされたヤツの首がどうなっていたかを覚えてるか?」

アクセルは「手袋」をつけた手で首輪を持ったままワームへと解説を続ける。

「爆薬で起こった爆発により首を吹き飛ばされるって言うんなら断面なんて物は存在しない。
 首はむしりとられたような形にならなきゃいけねーんだ、平面な首の断面が出来上がることなんてまずありえない。
 でも、あの首を吹っ飛ばされた死体の首は「断面が平面」だったんだよ。つまりだ……分かるだろ?」

そこでアクセルは卓上へと首輪を置く、ワームにテーブルから離れるように指示し。
自身もテーブルから距離をとりメカニックキット内の一本のヤスリを首輪へと投げつけた。
カツン、と軽い音が鳴ったあと。首輪からは「爆炎」が巻き起こったのだ。

391Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:15:12 ID:qhMep/P20

「……スーツの男をバラバラにした光線を覚えてるだろ? どうもアレの超小型版の装置が首輪に詰まってやがる。
 俺たちが爆発だと思ってたのはその光線から放たれた爆炎であって爆発じゃなかったんだよ。
 光線にスッパリと首を切られたから、アイツの首の断面は平面だったんだ。
 爆薬と違ってこいつは何度でも動作する。最初の一回をやり過ごしても何回でも爆発するんだよ。
 本来こんなに小型化される武器じゃない、戦車に積み込むモンをアイツは首輪サイズに縮めたんだ。
 ……どういう技術かは知らないがな、機械の技術が上を行きまくってるなんて考えたくも無いぜ」

技術者らしく吐き捨て、一息ついた後に解説を続ける。

「しかもコイツは温度センサーと衝撃センサーがどうも全体に反応する位置にあるみたいだ。
 衝撃センサーは間違いなく首輪を外そうとする力に反応するのは間違いない。
 厄介なのは温度センサーだ、おそらく嵌められた人間の体温でも察知してるんだろ。
 コイツの認識する温度が極端に変化した場合にノアに死亡通知が行き届くんだろう。
 そして、本題はこいつが一度死亡通知を送った後だ。
 何かしらの手段で氷付けになって温度を誤魔化し、死んだと思わせてから元に戻るという手段を使えば解除できると思うだろう?
 ……一度死亡通知を送った後は必要以上の力が掛かるだけで兵器が作動しやがる。さっきのヤスリが証明だぜ。
 死体から奪ったから死亡通知は間違いなく行き届いてる。それが何よりの証拠だ。
 念のため細心の注意を払いながら首輪の持ち運びをやっといてよかったぜ。外力に敏感に反応するなら温度の違いも敏感に反応するはずだ。
 素手で握れば体温が伝わった瞬間にドカンだ、下手にいじるだけで兵器が作動しやがる」

もう一度力を込めて壁を殴りつける。拳からは若干血が滲み出していた。

「中身を調べようにも中をあけるには力を加えなきゃいけねー。
 外から察知できる分から察知しただけだから兵器が詰まっている以外のことは確定じゃねえ。
 だが、オレが立てた首輪の中身があってるとすれば……首輪の解除方法が決まってくる」

ワームの耳元に近寄り、アクセルはそっと呟く。

「なんとかしなきゃいけねーのは兵器だ。でもどこに埋まってるかなんざ見当もつかない。
 適当に引っ張った場所に兵器がありゃ万歳だがそれより先にセンサーが反応して首輪が飛ぶのがはええぜ。
 横に引っ張ったとしても兵器が生きてりゃ首は飛ぶわけだからな。
 方法はたった一つ、衝撃センサーが反応する前に首輪を引きちぎり、兵器をぶっ潰す。
 兵器の場所がわからねーうちはこれしかねえな。兵器の場所を探る手段があれば……話は変わるがな。
 ピンポイントでの分子分解や、首輪だけを凍らせて崩すとかそういう技術があってもイケるかもしれねーな」

そういい終わった後にアクセルは手袋をはめ、細心の注意を払いながら首輪をデイパックへと戻す。

「どれぐらいの速さでやればいいの?」

ワームは素朴な疑問をアクセルへと投げかける。

「考えもつかねーな、人間の速さじゃ少なくとも無理だ。
 超精密に、かつ超高速に動けるバケモンでもない限り不可能だぜ。
 そんな技術を持ってるやつがいりゃあ万歳だな。
 ……あと、禁止エリアってヤツが作動すれば、そこにいる死体の首輪は作動し続けるわけだから、下手すりゃ火事とか起きるぜ?」

グレネードランチャーと一体型となったマシンガンを構え、アクセルは祠の出口へと向かう。

「さあ、行こうぜ。グズグズしてるとタムラたちに置いてかれちまう」
アクセルが外へ出ようとドアに手をかけた時だった。



ほんの少し、足元が揺れたような気がしたのだ。

392Tarot No.XX ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:15:22 ID:qhMep/P20



【D-5 祠内部  一日目 夕方】
【アクセル(メカニック)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:焦り
[装備]:メカニックキット@METAL MAX RETURNS、SMGグレネード@METAL MAX RETURNS、インテリめがね@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式、V100コング@METAL MAX RETURNS、サイバネティックアーム@女神転生2
    195mmバースト@METAL MAX RETURNS、やる夫の首輪
[思考]
基本:首輪解除。(兵器の位置が確実に判明できる、か分子分解や超速度で動ける人間を探す
1:タムラ達と合流する。
2:はんた、ダイナマと合流。
3:コトのついでに戦車探し
※参戦時期はED後、ノアを倒しはんたと別れた後です。

【ワーム@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、サナギ体、ルーナの容姿に擬態中
[装備]:白のローブ@FF3、いかづちの杖@DRAGON QUEST2、フレアの書@魔界塔士Sa・Ga
[道具]:基本支給品×2
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒
1:タムラ達と合流する。
2:首輪解除に協力
[備考]
※ルーナ(ムーンブルクの王女)の記憶を手に入れました。
※魔法が使えるかとかその辺は、次に任せます。

※首輪に関して考察を行いました。
・OPで神をバラバラにした兵器(サンバーンXX)の小型版が入っています。
 一度以上動作します。
・温度センサー、衝撃センサーが積まれており。
 通常時は衝撃センサーは首輪を外すほどの力に反応し、温度センサーは死亡かどうかを判断します。
 死亡後は素手で握って体温が伝わる等、また軽く殴るほどの力を与えてもどちらかのセンサーが作動し装置が作動します。
・これはアクセルが立てた仮説です。センサー説は本来は違うかもしれません。
 しかしサンバーンXXが入っていること、死亡後の首輪は極端な外力に反応することは判明しています。

393 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/09(火) 01:15:58 ID:qhMep/P20
投下終了です。
首輪に関してメチャクチャ書きまくったのでなにか質問のある方はどうぞ。

394もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/09(火) 19:13:53 ID:sVftdEsU0
投下乙です

南東にいた参加者が一気に動いてきたか
これは乱戦になりそう、というかもうなってるな
首輪に関しては、このくらい難易度が高くてもいいと思いますよ

それと、指摘を一つ

>羽を血に染めた天使は敵なのか?

この一文ですが、ドラクエ9の主人公は序盤のイベントで天使の輪と羽根を失っているという設定なので、
ラスボス撃破後から来ているナインには羽根はありません
もし比喩表現として使っていたのであれば、野暮なツッコミを入れて申し訳ありません

395もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/09(火) 20:44:42 ID:GkYV2wxA0
投下乙でした。
叙情的な文体から一転して、タムラの掘り下げに吹いてしまった。
スペランカーさんの噂は聞くが、虚弱体質な冒険家w メガホンレベルで鼓膜の心配かwww
リリとワーム、ステルスとしての立ち回りの違いに、きっちりキャラが出ていて面白い。
四つ巴の戦いに核爆弾……火種というにはでかいねぇ。首輪の仕組みもいい感じだと思いますー。

それと、指摘を一点だけ。
「ワームがルーナの名前を、名簿を通して知った」という部分なのですが、
名簿は第一放送後に支給されるってことになってませんでした?
ルールでは特になにも触れてませんが、wikiの「参加者視点の名簿」に書かれているような。
ワームの行動や、リレーのされ方に思いっきり影響が出るので、名前情報なしの方向で
修正とかよりは、こじつけ出来ないかと思うんですが、どうしたものか。

・名簿があることにする
 →頭脳系キャラ・知り合いを探すキャラが今まで名簿を確認しなかった理由づけが難しい。
・名簿がないまま(第一放送後の支給)にする 
 →ワーム本人の明記がどうなってるか知った上での名乗りだから、話の筋が変わりかねない。

ワーム本人のことは、擬態とかでどうにか出来るってこともない部分だからなぁ。
申し訳ない、ひととおり考えてみたものの、ちょっと今は上手いこじつけが浮かばねーです……。
一番楽なのは、詳細名簿(よくて顔写真つきとか)をワームの手に渡らせておくとかかな?
ただの名簿だと6時間分のアドバンテージにしかならんだろうし、詳細すぎると書き手泣かせだろうしってことで。

396もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/10(水) 00:07:32 ID:WPf6ZjJw0
現在地更新です
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0370.jpg

397 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/10(水) 01:33:27 ID:U9cd792U0
げ! 名簿はあった、でも第一放送まで開きませんって言う紙がしてあった的な
要は名簿ロックの描写を忘れてました・・・・・・家に帰ったら修正版落とします。

398もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/10(水) 01:39:38 ID:U9cd792U0
あ、羽の件は完全にこっちのミスです……
そちらのほうも修正版を後日透過しておきます

399もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/10(水) 02:11:57 ID:wTv2hX6s0

>名簿は硬く閉ざされていたのだが、ご丁寧にそこに「ワーム」と表記されていた。

ワームは設定上各自で普通に擬態元の名前名乗ってるから、本来の名前で載ってるかと
これだと生物の種族がそのまま載ってることになるしねー
ネイティブも種族的にはワームだから、区別されているはず

400 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/10(水) 09:31:01 ID:ulDpixuUO
つまり名簿にはワームが会場入りするまで名乗ってた名前がある……ということでいいんでしょうか?
それともロワ中に擬態を始めたのでルーナが二人いると言うことが起こるんでしょうか?

401もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/10(水) 10:44:18 ID:KqJpGv/.0
前者だと思いますよ
さすがにロワが始まってから名乗り始めた名前が名簿に載っているのは不自然だと思いますし

402 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/10(水) 11:17:59 ID:ulDpixuUO
了解しました。
ではそのように修正しておきます。

403 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/10(水) 21:36:39 ID:iBEvK7vU0
修正案の法を雑多スレに投下してきました。

404もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/10(水) 21:53:19 ID:cnw.XdOY0
雑多スレの修正版を確認しました。
名簿に記名してあるってのは面白い……他の部分も大丈夫かと思いますー。

405もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/10(水) 22:09:10 ID:VYdWCA9k0
修正乙です
自分も問題ないと思います

406もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/11(木) 19:27:27 ID:yTNFSLRw0
あ、すみません。
リリの道具欄の龍角散のど飴はミスです……

407もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/13(土) 17:08:38 ID:d1QzyTsw0
てす

408もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/13(土) 18:12:35 ID:d1QzyTsw0
よし、やっとこさ感想書けるぜ! 
忙しかったのもあるけど、だいぶ遅れてしまったぜ。


>血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ
まさかの過密状態だったアリアハン、ひとまず落ち着いたかな。
いろいろ言いたいことはあるけど、まずニムをRX補正に引き摺られずに書き切ったのがGJ!  完璧にてつを化するのが怖くてなかなか手出せなかったんだよなーw
小さいのにフランがいちいちかっこいい。残念なことになってしまったけれど、その分ニム頑張れ超頑張れ
サマンサの方も嫌われ役かも知れないが、いいキャラだった。こういうキャラ好きなんだよなぁ、言葉一つ一つがたまらん。
だが何よりこの話は、背負うのを選んだアルスがたまらない。ロトになる途中なんだよなぁ、まだ。
そしてザビーゼクター! 『鏡』と来た時点で来るかと思ってたら、やってくれたぜ! 期待通り!
DQ3勢の関係図も見えてきたし、いやはや、もうとにかく素晴らしい話だった!
さてさてロシェとアルスがともに変わったワケで、まだアリアハンの夜は遠いぜぃ…………

>Tarot No.XX
オッケー! 止まってたヤツらが一気に動いた! ナイス!
ていうかスペランカーは、バケモノ揃いの中でやっぱり病弱なのなwww 
リリは歌と違って演技うまいし、恐ろしいな。でもいちいち地の文に『白いぶよぶよ』と出てきて笑える
演技ならワームも容姿記憶コピー能力があるが、破壊神を破壊した男が近いぜ……!
その破壊神を破壊した男VSクリア後天使のバトルでさえ、えらいことなのに乱戦開始っていうwww
山羊さんは前話かっこよかったが、バケモノ揃いじゃ厳しいわなー。南無。
闇の戦士も迷っているとはいえ二人殺害+エリクサーだし、ステルス抱え込んでるし、銃撃の腕を見せたタムラ危険だな……!
ってか、首輪から神を殺したヤツ出るとかえげつねえwwwwwいいぞもっとやれ! ここは放送前後の山場になりそうだ。

409 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/13(土) 19:34:17 ID:VEfPnGqE0
投下します。
また今作より、トリップをつけることにします。
これまでに書いたSSの作者欄とこは、その内wiki勝手にいじることにします
詳細は、その時にでも雑多スレに書きますねー


ではでは投下っと

410Tarot No.XX(逆位置) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/13(土) 19:35:08 ID:VEfPnGqE0


 エリアD−5に位置する祠内に、二つの人影があった。
 知的な印象を抱かせる面構えをした少年に、腰まで伸ばした紫色の髪が印象的な少女。
 両者ともに口を固く結び、一切の会話が交わされていない。
 殆ど光が差し込んでこないせいでも、鼻腔を刺激してくる黴臭さのせいでもない。
 アクセルという名の少年は、優れたメカニックとしてのセンスゆえに、自身にかけられた首輪を解除する過程の困難さを知ってしまったため。
 一方、人の姿を模る地球外生命体である赤根沢玲子はというと――

 アクセルにより聞かされた首輪の解説、その誤りに気付いてしまっているから。

『コイツの認識する温度が極端に変化した場合にノアに死亡通知が行き届くんだろう』

 少し前にアクセルが玲子に伝えた言葉である。
 これが、ありえない。ありえるはずがないのだ。
 ワームにしてみれば、有機生命体の死を演じるなど容易いこと。
 心拍数をゼロとしたままで、呼吸を行うことなく、そして――――体温を低く保つ。
 そう、ワームが参加している以上は『体温で生死を確認』などではお粗末もいいとこなのである。
 殺し合いを破綻させようとする輩に対してならば、死したと偽ることへのペナルティとも受け取れる。
 けれども本来ワームとは、人間を排除していく存在だ。ペナルティなどを科す道理がない。
 仮に、ノアがワームをワームと知らず参加させたとしよう。
 だとしても、おかしな話である。

『温度が極端に変化した場合にノアに死亡通知が行き届く』

 これまた、アクセルの言葉。
 フィクションの影響もあって多くの人が勘違いしていることであるが、ヒトを含む恒温動物の体温とは落命して即座に変動するものではない。
 ヒトほどのサイズがあるのなら、尚更のことである。
 機械工学に生涯を捧げたアクセルは知らなかったが、生態系に関する演算を命ぜられたノアが知らぬとは思えない。
 また、ウカワームの下で人間を始末してきた玲子にとっても常識。
 だからこそ、玲子には言い切れるのだ。

 ――――『生死確認は温度センサーによって行われているのではない』と。

 その結論を導き出すための証拠は、まだまだある。
 元々玲子のいた世界の医療技術ならば、死に至る体温からの蘇生だって可能。
 迅速な対処と大きな運が必要となるが、それでも無理な話ではない。
 他にも玲子が奪ったルーナ記憶にあった魔法を使えば、全身凍傷からの復活だってできる。

 だいたい、体温だけの確認では不十分すぎる。
 ルーナとともに旅をした二人ならば、首輪を綺麗に外しての斬首だって成し遂げるだろう。
 そのまま体温の抜け切っていない死体ごと、常人の平熱に近い水へと首輪を突っ込む。
 もしも体温だけで生死判断をしているのなら、その首輪の主は生存していることになる。
 魔法による炎に身体が覆われたとする――大きな温度変動により、その首輪の主は死亡していることになる。
 夜中に足を滑らせて海に落ちたとする――首輪の隙間入り込んだ水の温度により、その首輪の主は死亡していることになる。
 参加しているワームが成虫となり、クロックアップが発動できるようになったとする――摩擦熱により、その首輪の主は死亡していることになる。

411Tarot No.XX(逆位置) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/13(土) 19:36:42 ID:VEfPnGqE0

(…………ない、わね)

 前を行くアクセルに届かないようにして、玲子は乾いた笑いを零した。
 一つや二つの判別ミスなら、殺し合いの主催には放置するだけの余裕がある。
 とはいえ、あまりにも判別ミスのでる可能性が多すぎる。
 ただの人間同士の殺し合いならばともかく、魔法使いやワームを呼んでおいてこんなにいい加減であるはずがない。
 アクセルが温度センサーと思ったのは、おそらく全く別の装置。
 あるいは実際に温度センサーであるが、それによって生死を確認していると思わせるブラフ。
 どちらかは分からないものの、どちらにせよ厄介なことに変わりはない。

 前者であるのならば、少なくとも現在の玲子たちには手を出せない物体だ。
 メカニックであるアクセルにも、科学の結晶であるマスクドライダーシステムの知識がある玲子にも、魔法を極めたルーナにも分からないのだから。
 ほぼ確実に、三人の世界にあった技術によるものではないだろう。
 となればノアの言う『異なる次元』の住人とコンタクトを取り、情報を集めるしかない。
 そして、後者であるのなら――
 ワームを参加者としているので、脈拍も呼吸も生死判断の決定打とはなりえない。
 だとすれば首輪にマイクやカメラが仕掛けられていて、そこから観測しているのか。
 映像は激しく揺れ動き、音声は大小が激しく可変しそうだが、機械であるノアなら問題はないかもしれない。
 はたまた、会場各地にカメラが仕掛けられているのか。
 まだどちらかは判断できない。しかしそのような観測を行っているとすれば、一つの可能性が浮かぶ。

 会場内かはおいといて、『ノアは参加者と同じ次元にいる』のではないだろうか。

 マイクやカメラによる情報が次元を越えて、ノアの下へと届くとは思えない。
 ノア自身や他者の次元移動が可能でも、会場に仕掛けた機械からの電波が次元を超越できるものだろうか。
 玲子には、まだ断定することができない。
 あくまで可能性にすぎない。
 会場に仕掛けられている機械が、彼女の知る物であった場合の話だ。
 もしかしたら彼女の知らぬ世界には、次元の壁を越える電波が存在するのかもしれない。
 そしてノアがそれを使用しているのかもしれない。
 でもあくまで現在の玲子は、ひとまずノアが同じ次元にいるという仮説を捨て去ることはしなかった。

「だいぶ、陽が落ちたな」
「え、あっ、うん、そうね!」

 唐突にかけられた言葉に、玲子は祠から抜け出したことに気付く。
 思考の渦から出てきてみれば、肌に触れる風はすでに冷たいものになっていた。
 依然として歩む速度を緩めないアクセルの後頭部を見つめながら、玲子は自身の考えを告げるべきか思案する。
 生死確認は温度センサーによって行われていない、と。
 暫し思考しつつも、彼女は結局口を開くことができなかった。
 そう確信した理由は何なのかと尋ねられたら、いったいどう答えたらいいのだろう。
 真実を話してしてしまえば、警戒されるのは目に見えている。
 偽ろうにも、この殺し合いの舞台で体のいい虚構に騙されてくれるとは思えない。
 かつてのルーナのように魔法により姿を変えられたことにしようにも、魔法の存在を知らないのに納得するものか。
 結論として、話したところで信用されることはない。
 この殺し合いを破綻させたいからこそ、玲子はアクセルの過ちを指摘することができなかった。

(二人とも、無事でいて欲しいけど……)

 ワームとしての優れた感覚が大地の揺れを感じ取り、胸中で先に行った二人の安全を願う。
 その思いは、はたして単に戦力の喪失を気にしてゆえか、はたまたまた別の――――

412Tarot No.XX(逆位置) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/13(土) 19:37:01 ID:VEfPnGqE0



【一日目 夕方/D−5祠周辺 森林】

【アクセル(メカニック)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:焦り
[装備]:メカニックキット@METAL MAX RETURNS、SMGグレネード@METAL MAX RETURNS、インテリめがね@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式、V100コング@METAL MAX RETURNS、サイバネティックアーム@女神転生2、195mmバースト@METAL MAX RETURNS、やる夫の首輪
[思考]
基本:首輪解除。(兵器の位置が確実に判明できる、か分子分解や超速度で動ける人間を探す
1:タムラ達と合流する。
2:はんた、ダイナマと合流。
3:コトのついでに戦車探し
※参戦時期はED後、ノアを倒しはんたと別れた後です。


【赤根沢玲子(ワーム)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、サナギ体、ルーナの容姿に擬態中
[装備]:白のローブ@FF3、いかづちの杖@DRAGON QUEST2、フレアの書@魔界塔士Sa・Ga
[道具]:基本支給品×2
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒
1:タムラ達と合流する。
2:首輪解除に協力。
3:仲間に告げるべきか――――
[備考]
※ルーナ(ムーンブルクの王女)の記憶を手に入れました。
※魔法が使えるかとかその辺は、次に任せます。
※赤根沢玲子@真・女神転生ifとは関係がありません。多分。


※参加者の生死確認方法について考察しました。

 温度センサーによる生死判別はありえない。
 → アクセルが温度センサーと思っているのは、温度センサーではない? / 温度センサーであるが、生死確認は別の物で行っている?
 → カブト世界、DQ2世界、MMR世界の知識では分からない。 / ならばどのようにして判別しているのか。脈拍、呼吸、体温、ではない。
 → 上記三つの世界以外のものである。 / 盗聴か盗撮か、会場全体を見据えているか。
 → 異なる次元の住人と協力関係を結ぶ。 / どちらにせよ、ノアは殺し合いの舞台と同じ次元にいる?

413 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/13(土) 19:42:01 ID:VEfPnGqE0
投下完了。

ワームが人間の死を演じることができるというのは、仮面ライダーカブト28話『なぜ!? 絶命』より。
話内で天道総司が、死体を演じているワームの首筋に触れていたので、体温操作だけでなく脈拍や呼吸を止められると思われます。
読むのが遅れたので修正をお願いするのも失礼かと思い、補完しました
前話との矛盾はない、はず……

414 ◆69O5T4KG1c:2010/02/13(土) 20:14:49 ID:DbjvpTOI0
投下乙ですー

>Tarot No.XX(逆位置)
すげえ……これはいい補完話。自分が読むかぎりでは、矛盾もないと思います。
現代人&ワームらしさのよく表れた考察にうなる一方、正体を表せず、呪文の存在も分かってもらえそうに
ないからアクセルには言えないってジレンマが、彼女の掘り下げにもなってるのが実に巧みだ。
首輪の機構に謎が増えたところで、ノアの側の底知れなさも強まったように思えるのがいい。
ルーナの呪文は大乱戦にも役立ちそうだけど、貴重な視点からの考察がどうなるかドキドキするねぇ。
堅実で面白い繋ぎ、GJでした!


wikiのほう、雑多スレのほうでタイトルを教えていただければ編集しますよ。
そんな手もかからないですし、規制されてるとの話も聞いたので、収録の時にでもまとめてやりますぜ。

415もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/13(土) 20:17:15 ID:DbjvpTOI0
……む、食べ残し失礼w

416もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/13(土) 21:46:51 ID:VIKz96xk0
投下乙!
首輪の穴の突き方が上手い!
アクセルの仮説を即座に否定できるんだけど、それをできないってのもまたいい!
新たな首輪要員……期待ですぜ!

417 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/14(日) 00:08:27 ID:x.aK8hXA0
感想感謝です。

>>414
ありがたい提案なのですが、自分の書いたSS本編のページ全て修正するとなると結構な手間なので、暇ができたら自分でやることにします。
そこまで急ぐようなことではないですしw
収録サンキューですー

418 ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 21:02:42 ID:6Q01eDMk0
>>417
どうも、わざわざ返答ありがとうございました。
wikiでのネタバレ(?)楽しみにさせていただきますw

では、自分もとうかしまー。

419My Love's Sold ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 21:03:19 ID:6Q01eDMk0





 お代はラヴで結構。





 *  *  *

 槍技がひとつ、光弾槍。
 高く跳躍し、戦いによって収斂した気を前方に飛ばす必殺技。
 まばゆい生命の光は、まるで、森の枝葉を透かして大地をあたためる太陽のようにまばゆい。
 たとえ昼間であろうとも、あのエネルギー弾は周囲の光景に埋もれてしまうはずなどなかった。
『……はずなんだけどさ』
 うーん、と、ひとつうなって、槍の使い手は首をかしげた。
 その手のなかには一冊の本がある。その表紙には、“イム”との文字列と番号とが印字されていた。

「誰も来ない、と。時間的にも、もう意味はなくなっちゃったか。
 このまま森にいるより、街とか街道とかで出会いを探してみたほうが早いな」

 初回の放送とやらまで閲覧できないらしい名簿をデイパックに戻して、イムという名の女性は長々と息をつく。
 もぐもぐとしがんでいた果物を飲み込んで時計を見ると、長針がそれなりに角度を変えていた。
 おおよそ二時間……この分だと、シャドウゼロもどきと獣人が周りの者を散らしていったとするのが無難だ。
 やってられない、というところに追い討ちをかけるのが、違和感ならぬ異物感である。
 干したプルーンの繊維が、歯間に残っていたのだ。舌でこそげ取る間にも、甘ったるい味が鼻腔を突き上げていく。
 腹を重くしてはいざという時に動けないが、プルーン自体は消化にいいのだ。余裕のあるときに食べておいて損はない。
 そして、干した果物にたくさん含まれているビタミン、カロチン、カリウム、ファイバー、ポリフェノォールッ!
 などと、フルーツ占いでも出来れば次に行く場所も判ろうものだが、運命ならぬ現実はときに厳しい。
 自分にそんな技能はないし、「女はハタチ過ぎたらオバサン」と断ずるような者から占いを学ぼうとも思わなかった。
 しかし、イムが現実に覚えている厳しさを裏打ちするかのように、ノアの凶行を目にした者の数といったら!!
 ざっと見ただけでも両手の指では足りないほどだった。地図で見た大陸は大きかったが、殺し合いでもって自分たちを
懺悔させたいノアのことを考えに入れると、他者との遭遇が難しいような人工密度にはなるまい。
 人、人、人、たまに人外。あれだけいて、まさか最初の遭遇で対人運を使い果たしたわけではないだろう。
 しかしため息をつけば、いつのまにか家に居着き、自分の語りを日記にしてくれたサボテン君の名言を思い出す。
 まったく、もう。じつに、じつにじつに、じつに――

 “この世の中には、自分の人生に関係ない者が多すぎる”!

 植物あなどりがたし。一面ではあれ、なかなかに真理をついている。
 だが、「関係ない」などと考えたから、自分は他の者と会えないのだろうか。
 あのモンスターたちのように、互いにかたわらを通り過ぎてゆくばかりなのだろうか。
 いや、いやいや、と、イムは自分に言い聞かせるようにして首を横に振る。そんなわけはない。
 獣人にティーポットにザル魚君。見知ったはずの自分を「チャボ君」などと呼びやがったタマネギ剣士。
 これくらいは許容範囲としても、他の種族とは交わらない珠魅(じゅみ)のような、閉鎖的な者とも会えたではないか。
 珠魅について知っていれば避けあってしまっただろう者とも、まっさらの自分は、縁を築いていけたではないか。
 そして、彼らたちの求めや言葉に応え、思いを受け止めることによって、彼女の世界は広がりをみせたではないか、と。


 ――キミのイメージが言葉になる。キミの言葉が世界になる――


 行き合った誰かの思いを、なんど受けたことだろう。
 彼らの思いを形にしたアーティファクトと、なんど心を通わせたことだろう。
 世界をかたどるマナの力が、彼らを信じるイムの心を写し取り、ゆかりの土地を作り出したことも一度ではない。
 当初はマイホームしかなかった“イムの世界”が広がったのは、関係ない人との間に縁が生まれていたからだ。

420My Love's Sold ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 21:04:08 ID:6Q01eDMk0
『愛。大事なのはハートにラヴ。うん。覚えてる。誰かの好きのおかげで自分が生きてるってヤツ。
 ……だったらここでも愛っていうか、他の誰かと探して協力、したいところなんだよなー』
 たくさんいるけど、本当はみんな一個の存在だという草人(くさびと)。
 世界の歩き方を教えてくれた者の言葉を思い出すと、それだけで“世界”が広がるような気がしてくる。
 少しばかり禍々しい得物を握り直した少女は、肩肘張らずして、まずは胸をこそ張ってみせた。
 すう、はあ、と大きく息を吸い込み、ゆっくり吐いて、立ち上がった背筋をしっかりと伸ばしてゆく。

「あ、そうだ」

 最高の集中は、最高のリラックスと背中合わせとなっている。そういうものなのだ。
 弛緩した体が呼び込むのは余裕。余裕をもった頭が思い出してくれたものを、イムはデイパックから取り出す。
『……やっぱり、私が作ったヤツだよねー』
 細長い、長さの異なる円筒のつらなりは、隕石でできたフルートだ。
 魔法学校の生徒の課題を手伝ううちに、作り方を教わった魔法の楽器のひとつである。
『マナの力は感じるような、感じないような。でも、ウィスプがいるかどうかは吹いてみないと分かんないや』
 楽器の調べで精霊と心を通わせ、その力を少し貸してもらう魔法――
 旋律を奏でるほどに威力は高まるが、逆もまたしかりという武器は、先ほどのような不意討ちには向かない。
 しかし、光弾槍の威力がイマイチだった今、面制圧の出来る手段を多く持つことは有用だった。
 幸いというべきか、ここに込められた魔法は、無数の剣が扇状に飛んでゆく“ホーリースラッシュ”。
 もしも光のマナが楽の音に応えてくれるのならば、軽いツッコミから本気の攻撃にまで、活用出来ることだろう。
『今ならさほど目立たないし、急場で役に立たないって分かっても困るし、っと』
 ゆらゆらと肩で拍子をとりつつ、イムは片手で持ったフルートを顔に対して平行に構えた。
 ビンの口を吹くのと同じに、吐いた息が斜めにかかる。音階の調整はハーモニカの要領でいける。
 なんとなくイメージしたのは、世界を照らすウィスプの好きそうな、穏やかで明るい調べだ。
『……やーった!』

 単音を連ねる前、ひとつめの音を送り込んだ時点で、イムは確かな手応えを感じていた。
 マナが実体化した精霊のそれと、まったく同じかどうかは分からないままだが、間違いなく同質の力がある。
 どこに、というわけではない。強いて言えばどこにでも、自分が“ある”と思えば、それは、確かに触れられた。
 果たして、光の精霊に守られた聖なる剣のイメージは、扇のかたちに散らばる。
 森から北にある海を目指した刃は、紫がかった輝きをまとって少女の視界を満たしていく。
 魔力の波が首から下げた楽器とシンクロするかのようにも思えて、安堵の念をすら覚える――


「お前――かなりの使い手だろうが、注意が足りないというか呑気というか。
 ちょっとばかり、派手にやりすぎじゃないのか?」


 紫がかった黒い影が視界の端に現れる、その時までは。
 バケツの水をぶちまけられたような思いで、イムは目の前にいるモノに注意を向けた。
「もっとも、強さを求めることは悪いことじゃねえが」
 彼女の凝視にも平然とした低音がつむぐのは、どこかに皮肉をただよわせた言葉である。
 水平に降る剣の雨を背後にして、イムの腰ほどしかない大きさの人型は、不敵に瞳をゆがめてみせた。
 そう、瞳。悪魔を思わせるコウモリの羽根を背中にもつ、相手の瞳は“ひとつしかない”。
 明らかな異形、どう見てもモンスター。様々な冒険をするうちに身に付けた感覚が、イムの体に命を下す。
「……っと」
「避けた!?」
 槍に限らず、長柄武器全般の強みであるところの遠心力。
 それを活かした一閃から、しかし、悪魔の羽根をもつ小人は飛びすさってみせた。
 いかに強力で、武器の性質を知悉した攻撃であろうとも、相手に当たらなければ意味などない。
 返報とばかりに放たれたのは粘液だ。前転して避けた後ろにある地面が、じゅうと音を立てて溶ける。

421My Love's Sold ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 21:04:50 ID:6Q01eDMk0
「あのなぁ。こちとら一つ目のスーパースライムだが、しっかり見えてるんだよ。
 お前の太刀筋は鋭い。狙いも良いが……そうかい、俺とよろしくやる気がないってか」
「当たり前だ!」

 悪魔には口が無いというのに、どこからか、言葉はつむがれた。
 目があること。その一点を除けば、自分の影となる部分を衝くヤツの見目は、よーく似ている。
 ホームタウンだった街で暴れまわってくれた“もう一人の自分”の正体だったモンスター、シャドウゼロワン。
 出会ったら死が約束されるという自分の写し身、ドッペルゲンガーとでもいうべき存在にだ。
 先ほどのシャドウゼロもどきといい、こうなってくると、なんとなくノアの考えも分かる気がした。
 “もう一人の自分”。写し身が自分のそれとは思えない悪行を重ねさせることで、本人に悔恨を覚えさせる。
 あるいは鏡写しの行動をとらせるだけでも、傍から見た自分の愚かさだの滑稽さだのを自覚させる――
 そんな考えが根底にあるのなら、人間を相手にした殺し合いに魔物が放たれた理由も、少女には理解がかなった。

「俺はお前と戦う気なんかないんだがな」
「――でも、野放しにすれば誰かのフリをして、周りのひとたちの心にキズを残したりするんでしょ。
 そんなモンスター、私にだって放っておけるかー!」

 好きだろうが、隙だろうが、スキにはスキが返ってくる。
 それは敵意もしかり。イムが疑念を表して対応すれば、スーパースライムとやらの語調も荒くなった。
 故郷で遭遇し、撃破してきたアメーバ状のそれとは違う部分が、スーパーのゆえんであろうか。
 腐敗を思わせてどろりとした半固体に浮かぶ眼球とは違って、相手の瞳にはまぶたがある。
 闇の炎を思わせる赤紫の瞳を包んで保護するまぶただけで、彼は、心底からの不快を表現している。
「バカを言うな! 俺の仕事は、強いヤツを“亡者の闘技場”や“魂の暗域”に送ってやることくらいだ!」
「亡者だの暗域だの、そんな邪悪そうな場所には勧誘禁止だッ」
 イムと言葉の応酬を続けるスライムの雰囲気が変わったのは、その時だ。
 瞳に浮かんでいた不快の色が、冷然とした哀れみのそれに塗り替えられていく。

「……まったく。自分の住む世界の範疇でしかものを考えられんのなら、世界を渡る俺のことも理解できんか。
 それなら、もう構わんさ。お前がやる気なら――せいぜい、かかって来い」

 ぞんざいに言い放った立ち姿には、無駄な力の欠片も無かった。
 強者を選定するというだけあってか、影を切り出したような相手もかなりの強さを誇るらしい。
 前転を後えたままのイムは、片膝を地面についた格好の裏でスライムが有する力のほどをはかる。
 そして、考える。今の状態で、今の自分が持つ手札で、この相手を逃さずして、倒すための方法を。
「……阿呆がッ!」
 数瞬ののち、悪魔の羽根をもつスライムは毒づきながら体を脇へそらした。
 金髪の少女が選んだのは、至近、そして瞬間の発動となるホーリースラッシュである。
 フルートに向けた短いブレス、単音の形さえなさない音に喚ばれた光のマナは、剣の形をとっても密度が薄い。
 そして、世界に対する影響力の一端である効果範囲もまた、先ほどの試し撃ちと比べてみても狭かった。

 だからこそ、好都合。

 完全にイムの脇を取ったスライムの、粘液をまとった手が迫る。
 スライムが接触を期して踏み込むその瞬間、少女は身をひるがえし、得物を大きく振りかぶった。
 攻撃を行う刹那、どこかで必ず無防備をさらす相手と呼吸と間合いを合わせるわざこそが“ジョルト”。
 ひたすら相手にカウンターを食らわせてきた経験の生み出した戦闘技術のひとつである。
「たぁあああぁああっ!」
 大胆な薙ぎ払いから間髪入れず、イムは槍を縦方向に旋回させた。
 槍術と棒術をともに修めた彼女だからこそ、懐深くにもぐりこんだ今、穂先を使うことには執着しない。
 長物の最も恐ろしい部分は、リーチの長さだ。そこから生まれる、遠心力――すなわち、勢いだ。
 普段なら連撃のシメとして扱う旋回撃は、ゴム風船のようにも見えるスライムの脳天をひと息に叩き潰す。
 状況判断力に優れた相手が腰を引きかけた分だけ、このコンボは綺麗に決まった。


「……え?」

422My Love's Sold ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 21:05:19 ID:6Q01eDMk0
 カンペキに、決まったというのに。
 ジェムもお金もぱっくんチョコも、まんまるキャンディも……。
 戦利品といえよう品々を、このシャドウゼロワンもどきは、ひとつとして落とさない。
 骨や羽毛を散らすこともなく、ばらばらにならない遺骸から流れた体液が、積もった枯葉に染みる。
 モンスター。どう見ても、人間に害をなすものが死んでも消えない現実を目にした、瞬間、イムの肝が冷えた。
 そんな。たった三文字の単語が氷塊のように重くふくらみ、ずしりと胸に落ちていく。
 波紋のように広がった動揺は殺し合いも日常の延長と捉えていた少女のなかで水位を上げ、ひたひたと顎をなぜた。
 取り戻しのきかない焦燥のなかで、彼女が連想したのは“非日常”といういち単語であった。
 そうだ。そうなのだ。ここはアーティファクトと共鳴した自分の思いが生み出したのではない、まったくの――
『いじ、げん。世界を渡る……ッ』
 喉が鳴る。飲み込んだつばは、胃に落ちる途中で引っかかった。
 スライムが言ったように、モンスターが人間の位置にある世界がある?
 豆一族や獣人、昆虫人のような、人ではない生き物が。そうだ。それは、自分の故郷からして同じではなかったか。
 彼らが自分のように別の次元へ集められると仮定して、敵意を抱かれない事例が皆無であるとは、イムにも言えない。
 だって。街を作って暮らす“人”ではないものが、“人”の領域を侵すものが、すなわちモンスターと呼ばれるのだから。
 亜人種ひとつとっても、そうだ。自分のように、見た目だけで排除を考えてもおかしくない。
「――ぁうッ!!」
 飛躍的に増大するエントロピーを切り裂いたのは、するどい風切り音だった。
 背後から飛来した何かが、音源へ振り向こうとしたイムの左肩をしたたかに打ち据える。
 どん、と、表皮から真皮にわたる水分を揺らし、骨を圧し切りかねない一撃の重さが――
 本当に、ただの小石で出せるものなのか。現実を受け入れることを、認識の側が拒否しそうになる。
 そしてイムの視界の先に立つ少年の表情は、目深にかぶった帽子のためではなく、判然とはしなかった。
「いったい……」
 ぼんやりとした疑問の声は、しかし、相手には別の方向へ受け取られてしまう。

「僕が、ポケモンマスターだからだ」


 ……あるいは、正しい方向にか。
 ぽけもん。少年の言葉をオウム返しにしたイムの辞書に、その単語は載っていない。
 しかし、彼の視線の先を想像すれば、彼が何に対して不快をあらわしているのかは類推出来る。
『モンスターの、ことだ』
 自分の傍らに倒れているモンスターの遺骸を見て、少年は、怒りの炎を赤く赤く、燃やしていた。
 ならば、彼の名乗ったマスターとは“主人”ということか。あるいは“熟練者”という意味合いなのだろうか。
 身のこなしと投擲の腕を目にするかぎり、一見したところは無手である少年の力量を、けして甘くは見られない。
 それに――。


 ――バーテンはみな、心の中に自分の樽を持っています――


 フルーツパーラーの主人がこぼした言葉。
 なんだそれは、と思ったセリフが、イムのなかで今の少年につながる。
 マスター違いもいいところだが、きっと、自分は彼の中にある“樽”を踏みにじってしまったのだ。

『うーん……でも、ここで逃げるわけにはいかない。
 引き金をひいちゃったのは、私で間違いないんだから。
 今は事件を抱えた相手と別れて、家に帰ればそれですむような状況なんかじゃない』

 やる気を通り越した“殺る気”。
 刃よりも鋭い敵意を受けてなお、イムは腹を据えてポケモンマスターを見る。
 言の葉を操ることには無縁らしい少年は、先の言葉のほかに口上のひとつたりとてつむがない。
 もはや、相手は少女に向けるような愛など放り捨てたと言わんばかりに右足を踏み込み――


 夕凪を置き去りにするほどの速さで、動いた。

423My Love's Sold(last) ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 21:05:36 ID:6Q01eDMk0
【一日目・夕方/A-4 南西部・森】
【イム(主人公女)@聖剣伝説LOM】
[状態]:軽い動揺、左肩に打撲
[装備]:グラコスの槍@DQ6、スウィフトフルート@聖剣LOM
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1〜4
[思考]
基本:殺し合いはしたくない。だから、ラヴを探す?
1:レッドに対応する
2:襲ってきた者は迎撃。どう見てもモンスターは……どうしよう
[参戦時期]:宝石泥棒編・ドラゴンキラー編・エスカデ編を進めている。本編クリア後かどうかは不明

【レッド@ポケットモンスター金銀】
[状態]:健康
[装備]:毒針@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1〜5
[思考]
基本:優勝し、仲間と再会する。
1:イムを排除する


【スウィフトフルート@聖剣伝説 Legend of MANA】
イムに支給された。
スウィフト鉱石と、光の精霊ウィル・オ・ウィスプの金貨で作成した楽器。
演奏する(ゲーム的には割り当てたボタンを押てタメる)ことで、攻撃魔法「ホーリースラッシュ」が発動可能。
魔法の威力は、楽器を演奏していた時間に比例して上昇。魔法を発動した瞬間は無敵状態になる。

※ホーリースラッシュ
 光の攻撃魔法のひとつ。無数の剣が敵に向かって飛んでいく。
 追加効果:魅力ダウン 軌道:コーン(前方に扇を開くように攻撃範囲が広くなる。範囲の広さはタメ時間に比例)


【悪魔スライム@サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY 死亡】

----------
以上で投下を終わります。

424もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/14(日) 22:07:07 ID:gkXVnv9k0
投下乙です
イムは自分の認識が通用しないことに気づいたか
しかしここでレッドとエンカウントとはついてない……

425 ◆69O5T4KG1c:2010/02/14(日) 22:41:23 ID:6Q01eDMk0
おっとと、状態表を推敲しきれてなかった。
イムの状態表から、悪魔スライムの支給品を除外。
いつ着服したんだよってことになるので、森に放置させときます。

正式な表記は以下のとおりです。


【一日目・夕方/A-4 南西部・森】
【イム(主人公女)@聖剣伝説LOM】
[状態]:軽い動揺、左肩に打撲
[装備]:グラコスの槍@DQ6、スウィフトフルート@聖剣LOM
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜1
[思考]
基本:殺し合いはしたくない。だから、ラヴを探す?
1:レッドに対応する
2:襲ってきた者は迎撃。どう見てもモンスターは……どうしよう
[参戦時期]:宝石泥棒編・ドラゴンキラー編・エスカデ編を進めている。本編クリア後かどうかは不明

※A-4/南西部・森に、悪魔スライムの遺体とデイパック(不明支給品1〜3)が放置されています。

426もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/14(日) 23:42:42 ID:ANnv7MIQ0
投下乙!

>My Love's Sold(last)
もう、ポケモンマスターがかっこよすぎるぜ
何なんだろう、このレッドの雰囲気はw 元チャンピオンにして先代主人公の格というものかw
イムは自分の世界との気付いたようだけど、どうなるか……死亡フラグガン立ちに見えるがw
あーしかし、レッドかっこいい。よくよく考えたら、ロケット団単身で潰してるんだもんな。そら、強いわw

427 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:18:19 ID:o1lPNgz.0
投下しまーす。

428上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:19:05 ID:o1lPNgz.0


 意図せず三者の口から零れた言葉に応えるように、バニーガールは身体をくねらせる。
 全身から発せられる謎の発光は収まれど、周囲の三人は呆然としたままで動かない。
 何せ、美形なのだ。どうして視線を外すことができよう。
 神代に至っては、バニーガールの両腕に挟まれて強調された胸元をあからさまに眺めている。
 何せ、男子高校生なのだ。どうして視線を外すことができよう。
 ブシコの顔色が、なぜだかやたらと熱っぽいものになっている。
 何せ、剣一筋に生きてきたのだ。どうして平静を保つことができよう。

「はっ!」
「あらぁん」

 自らの剣を足に突き刺して我に返ると、ネリシアは盾をバニーガールへと振るった。
 彼女の中では、最上位に位置するのは常に神。
 ゆえに他の二人とは違い、美形オーラから早急に脱することができたのだ。
 バニーガールのポーズが崩れてしまったことで、「おおうっ」だの「残念(ああっ)」と言った呟きが二名から漏れるが、ネリシアの知ったことではない。
 盾での初撃は舞うような跳躍で回避されるも、右手に握ったメタルキングの剣で上空を払う。
 空中にいるというのに、バニーガールはグローブを纏った拳で正確に剣の横腹を叩く。
 目を見張るネリシアをよそに、着地したバニーガールはブシコを小脇に抱える。

「お主――――」
「いいのよん、ブシコちゃんはここで見ててくれれば」
「理、理解(う、うむ)……」

 冷静さを取り戻したブシコが何かしら口にしようとしたが、唇にやさしく人差し指を押さえつけられて制される。
 先ほどの口付けがフラッシュバックし、ブシコは顔を朱に染めて俯くしかできなかった。

「正気に戻りましたか、カミシロ」
「ああ……サンキュー、ネリシアちゃん。なーんかぼーっとしてたぜ」
「『パルプンテの応用』と言っていました。私の知らない魔法のようです」

 ネリシアが振り返ることなく告げたと同時に、鈍い音が響く。
 バニーガールの拳とドラゴンシールドの接触音である。
 尋常ではない衝撃を受けつつも踏み止まり、ネリシアは剣を振るう。
 またしても横腹に裏拳を浴びせることで軌道をずらされるが、そうなることは予想済み。
 全体重をかけてシールドごと突進。さすがのバニーガールもこれには吹き飛ぶが、受身を取って体勢を整える。

「バ・ギ・ク・ロ・ス」

 一音ごとに含みを持たせるかのような口調で、バニーガールが呪文を唱える。
 殆どタイムラグもなく出現した巨大な竜巻は、しかしネリシアを避けるかのように放たれた。
 相手の真意が分からず暫し思考すると、ネリシアは勢いよく背後へと首を回す。

「カミシロ!」

 竜巻は相対しているネリシアではなく、離れて拳銃の照準を合わせていた神代を狙ったものだったのだ。
 神を信じる同志を攻撃されたことに、ネリシアの剣と盾を握る力がをよりいっそう強くなる。
 感情の高ぶりに呼応するかのように、彼女の足元の輝きがよりいっそう強くなった。

「ブシコちゃんのとこに行かないように、風の中に閉じ込めただけよぉん」
「関係ありませんっ!」

 小馬鹿にしたような口調のバニーガールへと、ネリシアは掬い上げるような逆袈裟。
 バニーガールが仰け反って回避すると、シールドを押し当てることで姿勢を崩させる。

「神を信じないような人に、用はありません」
「あらまぁ」

 冷酷な死刑宣告を浴びせられたというのに、バニーガールは普段の口調を崩さない。
 接近してくる刃を眺めながら、ゆっくりと切り出す。

「勘違いしてるわねぇ。私は、僧侶でもあるのよん♪」
「…………え?」

429上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:19:51 ID:o1lPNgz.0

 その予期せぬ内容に呆気に取られるネリシアの前で、バニーガールの衣服が変化した。
 茶色のボディスーツに青い貫頭衣を纏い、頭には水色の大きな帽――まさしく僧侶に相応しい衣装である。
 パルプンテの応用による早着替え。あまりの速度に、傍から見ているものにはその過程を視認できない超技。
 戦況を眺めていたブシコが小さく残念そうな声をあげたが、彼女自身も気付いていない。

「僧侶服を着込めば信じるなどと――!」
「じゃあ、聖書でも読めばいいかしら? もちろん、丸暗記してるわよん」

 納得していない様子のネリシアに、僧侶となったバニーガールが聖書を唱える。
 艶っぽい口調で告げられる神の教えという、何とも珍しい代物だ。
 けれどもその内容は忠実らしく、やがてネリシアはかざしていた剣を下ろした。

「ですがどうして僧侶でありながら、あのような格好を……」
「あらん、失礼ねぇ」
「そ、そのような――っ」

 再びパルプンテの応用によってバニーガールの姿となると、抗議しようとしたネリシアに唇を重ねる。
 千の言葉より伝わる一つの行動があるとでも言うのか。はたまた単なる趣味か。
 口内に侵入してくるバニーガールの舌から逃れようと悶えるネリシアからは、冷徹な面はなりを潜めていた。
 いや、正確にはこちらこそが本来のネリシアなのである。
 同教徒と一緒にいる時の彼女は、いつもこのような様子なのだ。人ではない異教徒に対しては、どこまでも非情になれるだけで。
 少しずつネリシアの抵抗が弱くなり、ついにバニーガールの舌がネリシアの舌を捕らえる。

 その時、苦悶の声が大気を切り裂いた。

 すぐさま口を離して悲鳴の方に視線を飛ばすと、バニーガールの瞳には血塗れの西洋剣を携えた神代の姿が映った。
 神代の足元には、桃色の和服を赤黒く染めて地に伏せるブシコ。
 バギクロスの竜巻はまだ残っているというのに、どうして――
 疑問を抱くバニーガールに見せ付けるように、神代は王者の剣をブシコの右太腿に突き刺して捻る。
 撃ち抜かれた箇所を抉られ、ブシコからくぐもった声が漏れた。
 それ以上させまいとバニーガールが地を蹴ると、神代は口角を吊り上げてブシコの腹を蹴り上げた。
 出血の源はそこであったのだろう。血液を撒き散らして、ブシコがサッカーボールのように吹き飛んでいく。
 激痛のショックで意識を落としたらしく、もはやブシコから悲鳴は出なかった。
 気絶しているとなれば、受身は取れない。
 神代を攻撃するべく動き出したバニーガールは、あらぬ方向へと投げ出されたブシコを受け止めに向かうしかなくなった。

「ネリシアちゃん、さっさと行くぞ」
「カミシロ、どうして」
「竜巻のことか? 『ピッピ人形』だか言う人形を身代わりにしたってワケ」
「いいえ、あの方は僧侶ですし逃げなくても――」

 ネリシアとバニーガールの会話を聞いていなかった神代は、僅かに悩んで口を開く。

「あのお姉さんにはお姉さんの異教徒狩りがあるんだよ! 迷惑かけるワケにゃいかねーだろ?」

 言い切りながらも、神代は心中穏やかではない。
 即席とはいえ、あんまりにも適当な理由付けだ。
 若干の沈黙の後、ネリシアは満面の笑みを浮かべて応えた。

「なるほど。迷惑をかけるのは失礼ですし、カミシロが教えてくれて助かりました」

 神代が一人胸を撫で下ろしているのも気付かず、もう一言。

「それにしても、カミシロの異教徒への容赦なさには驚きました。私も見習わなくてはいけませんね」

 いやいや、お前にだけは言われたくないわ。
 思わずそう返しかけて、カミシロは必死で口を押さえた。

430上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:20:52 ID:o1lPNgz.0


 ◇ ◇ ◇


 最上位回復呪文を何度か唱えることでブシコの傷を塞ぐと、彼女を背負ってバニーガールは戦場に帰還する。
 身構えていたものの、その場にはもはや誰も残っていなかった。
 足跡を探そうしたが、ネリシアはともかくとして神代がそんなものを残すはずがない。
 依然として意識を失っているバニーガールを横たわらせて、パルプンテの応用によって毛布を出現させる。

「つよ、く……な、りた、い…………」

 そんな寝言が、毛布を被せてあげたバニーガールの鼓膜を震わせる。
 遊び人らしくない神妙な表情で、彼女はどこか遠くを見据える。
 強くなりたい。
 たった七つの音から成る、しかし武の道を往くもの全てが抱く見果てぬ夢。
 そしてバニーガールもまた、かつては憧れていた幻想。
 魔法使いの家系に生まれ超一流と呼んでもいいほどまで到達しながら、戦士となったのはそのためだ。
 知識に興味がなかったからこそ、彼女は魔法使いを極めたとは公言しない。
 でも彼女は、いずれ戦士から僧侶と職を変えてしまう。
 戦士として上り詰めた末に、彼女には相手がいなくなったのだ。
 強くなりたいという思いこそあれど、鍛錬を積むことができなかった。
 夢を捨てたのは、勇者とともに魔王の元へと向かう数年前のこと。

「強く、ねえ……」

 バニーガールは自身に支給された日本刀を取り出す。
 どうやら、ブシコはまだ憧憬し続けているらしい。
 襲撃者の二人やバニーガールには及ばずとも、十分達人と言っていいレベルだというのに。
 ふと、バニーガールの頬が緩んだ。

「ブシコちゃんは恵まれてるわねぇん」

 答が返ってこないのを承知で告げると、バニーガールは日本刀を携えて腰を低く落とす。
 呼吸を整えて、まさしく夢想の名を冠する日本刀を一閃する。

「私が全力で振るっても問題ないなんて、やっぱり相当な業物ねえ」

 吸い込まれてしまいそうなほどに美しい刀身を見据えて、バニーガールは目を細めた。
 この得物であれば、これからやろうとしていることに役に立つ。

「ブシコちゃん♪ あなた、羨ましいくらい恵まれてるわよ♪」

 何せ、自身を上回る存在が稽古をつけてくれるのだから――――
 あえて口に出さずに胸中で告げて、バニーガールは顔を綻ばせた。

431上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:21:42 ID:o1lPNgz.0



【一日目 夕方/C‐3 森林】

【バニー・ガール(?)(女遊び人?)@ドラゴンクエストⅢ】
【状態】美形、健康、魔力消費微
【装備】ゴッドハンド@魔界戦記ディスガイア
【道具】支給品一式、夢想正宗@女神転生if...、不明支給品0〜1
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
1:ブシコを強くする。
2:仲間を集める。
3:可愛い少女を愛で尽くす。
【備考】
※遊び人の前に勇者、魔法使い、賢者を除く全てのDQ3職業を一流レベルまで極めています。
※本名とか実力とか容姿とかまだネタを持ってるのかとかなんかもう色んなことを後続に任せます。
※パルプンテのちょっとした応用です。
※魔法使いは『超』一流ですが、公言する気がありません。
※魔法使い→戦士→僧侶、と来たようです。後の職業は任せます。


【ブシド・ザ・ブシコ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
【状態】気絶、衣服が血塗れ、傷は塞がっている
【装備】天空の剣@ドラゴンクエスト5
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
0:強くなりたい。
1:首輪を解析できそうな仲間を優先して集める。
2:敵対するものは全て斬り伏せる。
3:姉、ブシド・ザ・ブシエに勝つ。

432上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:22:26 ID:o1lPNgz.0


 ◇ ◇ ◇


 やれやれ、本当にやれやれだ。
 ニッコニコしやがって逆に腹立つなァ、おい。
 強いだけじゃなく、えらい美人でスタイルもいい。
 戦力としてはもちろん、一緒に行動しててそりゃあテンションは上がるさ。実際、手ェ出したくなるのを抑えてる。
 でもよォ、こんの相方は普段は扱いやすいくせに、プッツンモード入ると言うこと聞きゃしねーから困るぜ。
 こっちは生き残るつもりっつっても、わざわざ戦い吹っかける気はねーってのによ。
 別に戦闘に自信がねえワケじゃねえけど、単なる強さだけで最後の一人に残れるはずがない。
 強者同士で喰い合うというのもあり得るし、連戦の末に二周りほど格下の相手すらままならなくなる場合もあるだろう。
 参加者なんて、放っておいても勝手に減っていく。
 大事なのは狩り方じゃあなく、この場において生き抜く方法。
 積極的に殺していこうとする者たちに、出来うる限り参加者を減らさせる。
 急いで動かずともそういう積極派はいずれ疲弊していくので、そこを叩けばいいだけのこと。
 こちらが手を下さずに、知らないとこで死んでくんなら最良だ。
 次に、消極派の方。
 たとえ個々が大して強くなかろうと、グループなんか作られちゃあ厄介だ。
 極力、強い積極派にブチ壊してもらいてーもんだが……
 問題なのが、さっきのエロ女みたいな強い消極派。
 何人いるかなんて分からねーが、ああいうのが一番面倒くせえ。
 ただ群れてるだけなら知ったこっちゃねーが、参加者を減らしていく積極派まで止めやがるからな。
 この俺が最後の一人となる上で、最も邪魔なタイプだ。

 ――――だからこそあのエロ女も仲間の方も、さっき始末しようとしなかったんだがな。

 あの強さなら早々に脱落するワケがねえ。
 だったら、それでいい。
 死んでくれたらありがたいが、別に存分に長生きしてくれても一向に構わない。
 聴覚で接近してくるヤツなんていねーのは分かってるが、念のために振り返って後方確認。
 追ってこないところを見ると、やはり仲間を見捨てるようなヤツじゃないようだ。
 つっても九割九部そう思ってたんだけどな。そうじゃなきゃ、わざわざあんなの助けたりしねえし。
 一応確定情報にするために、剣術女のあえて死なない部位に剣を通してやった。
 あのエロ女なら完治させちまってるだろうが、だからってすぐに意識は戻らない。
 つまり俺たちを追ってこれるのは、寝ている仲間を殺し合いの場に放置できるようなヤツだけってことだ。
 そんでもって、あのエロ女はそうじゃなかった。
 剣術女の方はさして脅威にもならなそうなんで、浮かんでた仮説の証明に使わせてもらったぜ。
 あの程度の実力なんだ。人様の役に立たせてやったことを感謝して欲しいね。
 ま、強くて美形でエロいお姉さんよォ、そーいうことだわ。

 ――――死なねえなら死なねえで、引き連れてる足手纏いをもっと増やしてくれりゃそれでいいさ。

433上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:22:44 ID:o1lPNgz.0



【一日目 夕方/C‐2 森林】

【ネリシア(♀クルセ)@ラグナロクオンライン】
【状態】健康
【装備】メタルキングの剣@ドラクエシリーズ、ドラゴンシールド@ドラクエシリーズ クルセの鎧(初期装備)
【道具】支給品一式×2.5 不明支給品2〜6
【思考】
基本:神の信徒を保護し、神を信じないものを滅殺する。
1:カミシロについていく。
2:カミシロとともに信徒の保護、信じないものの抹殺。
3:そこまで深くものを考える性格ではないので特になし。
※発光はオーラ(レベル99になると足元から噴き出るもの)のせいです。


【神代浩司(if男主人公)@真・女神転生if…】
【状態】健康
【装備】王者の剣@ドラクエⅢ、ブレザー(上着は脱いでる)、黄金銃@真・女神転生if…
【道具】支給品一式×2.5 不明支給品0〜4
【思考】
基本:生き残る。そのためならなにやってもおk
1:バニー・ガールから離れる。
2:ネリシアを利用し参加者を最大限減らす。
【備考】
※ガーディアンはバランスタイプ最強のメタトロン(レベル75)です。
※不明支給品のうち一つは、ピッピ人形@ポケットモンスター金銀でした。

434 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:23:40 ID:o1lPNgz.0
投下完了。
神代の備考の一番下は一応書いただけなんで、次消して良いです。

435 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/15(月) 00:32:34 ID:o1lPNgz.0
げ、>>429の最後で地の文なのに、神代がカタカナになってる
wikiで直してくださると嬉しいです

436もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/15(月) 00:37:07 ID:QStIJnMU0
執筆お疲れ様でした!

>上手くズルく生きて
美形ショックからどうなるかと思ったが、ネリシアの神の愛はさすがだwww
パルプンテの応用でバランスブレイカーになりそうなバニーにとって、強くなりたいと
思っても超人どもに届かないブシコは枷になるかどうか……。
ラストに明かされた神代の仮説は対主催の穴をついてて、良い意味でぞくっとしたなあ。
夕方を迎えて、双方のコンビに課題が与えられて。次にリレーしたくなってくる、面白い話でした!

437もう沖田も時代劇なんだよ:2010/02/15(月) 00:39:23 ID:QStIJnMU0
誤字訂正、了解しましたー。
>>432の「九割九部」も「九割九分」が正解だと思うんで、こちらも直しておきますー。

438 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:41:45 ID:44AS05nU0
誤字修正、感謝です。

投下しまーっす。

439三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:44:26 ID:44AS05nU0




 【0】




     ┏━━━━━━━━┓
     ┃ はい . |> いいえ ┃━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
     ┗━━━━━━━━┛                         ┃
         ┃                                  ┃
         ┃       あなたは かみ を しんじますか        ┃
         ┃                                  ┃
         ┃                                  ┃
         ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

440三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:45:45 ID:44AS05nU0




 【1】




 殺し合え、だってよ。
 どーいうこったよ、そりゃ。
 エスパータイプの連中やらヤマブキジムリーダーによる催眠術なら、死ぬほどありがてえんだけど。
 ポケモンにこんな意味の分からん幻覚は作れねえし、あのジムリーダーとは殆ど話したことがねえ。
 ってことは、どうにもこうにも現実らしい。

 …………なんてこった。

 いやいや、実際薄々思ってたんだよ。
 俺って結構不幸な方なんじゃねーのか、ってのは。
 ガキの頃から、それなりにポケモンに懐かれる方だった。
 こちとら祖父さんの研究所にあった本読んで、それなりに知識付けてたんだから当然だ。
 だってのに、どいつもこいつも祖父さんの遺伝だとか思ってやがった。
 口では『グリーンくんは凄いね』だの言いながら、心の中じゃスゲーのは祖父さんだと言っていた。
 眼が笑ってねーんだよ、どいつもこいつも。
 まあ、わざわざンなこと口にはしなかったけどな。
 超天才の俺にゃあ、言ったところで無駄なのは分かってたからな。
 しょうがねーと納得して、故郷を出る歳を待ち続けてた。
 そんでもって念願の旅立ちの日。
 村の全員が、幼馴染の方を気にかけてやがった。祖父さんや姉貴までもさ。
 いまにして思えば、俺みたいにポケモンに慣れてねーアイツを心配するのはもっともだ。
 でもあの頃の俺は、そのことが分からなかった。
 無理矢理にでも周りに認めさせようと、ポケモンリーグを制覇することばかり考えていた。
 強いポケモンばかり集めたんだ。そりゃあチャンピオンにはなれたぜ。
 チャンピオンを名乗ることができた期間なんて、短いもんだったけどな。
 一緒に村を出たレッドのヤローが一月遅れでリーグに挑戦してきて、あと一歩のところでやられちまった。
 別に、ポケモンの育て方は間違ってなかった。むしろポケモンだけなら、アイツより俺の方が上だったかもしれねえな。
 けれど変な対抗心燃やしてた俺からは、ガキの頃から知ってたはずのことが抜けてたんだ。
 鍛えて言うことを聞かせるだけじゃあ、真のポケモントレーナーじゃない。
 祖父さん風に言うなら、ポケモンへの信頼と愛情を忘れていた。
 そんなんじゃ、あのヤローに勝てるワケがねーぜ。
 マスコミには稀代の名勝負だなんて囃し立てられたが、俺は最初っから負けてたんだ。それこそ故郷を出た時からな。
 つっても、負け続けてやる気なんてねーよ。
 及ばなかったんなら、届いてみせるさ。何しろ、俺はそもそもが超天才なんだからな。
 元チャンピオンとなってすぐ、俺はカントーを飛び出した。各地を巡っての修行し直しだ。
 二年ほどかけて幾つかの地域を回り、やっとこさ確信みたいなもんが生まれた気がした。
 レッドのヤツだって強くなってるだろうが、現在なら同じ土俵に立てる。
 そう思って、再びポケモンリーグに申請しようとして知ったワケだ。
 俺がカントーを離れた直後に、あんのクソッタレが自主的にチャンピオンを辞めやがったってな。
 我に返った時には、リーグ申請書を握り潰していた。
 新しい用紙も貰わずに、そのまま久々にうちに帰っちまったぜ。
 だってよォ、そうだろ?
 あのヤローと戦わずに手に入れるチャンピオンの座になんざ、毛ほどの価値もありゃしねえよ。
 ただ飯食らうワケにゃいかねーから、長年ジムリーダーがいねえらしい隣町のジムを受け持ったがつまらない。
 来やがるのは、みんながみんな昔の俺みたいなヤツばかり。
 相手んなるはずがねーだろうがよ。土俵が違ェんだよ、土俵が。
 そいつはもう、実にくッだらねえ日々さ。

441三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:46:05 ID:44AS05nU0

「あのヤローもそうだったのかねえ」

 勝手に蘇ってきやがった不幸な生活に、ついつい口が動いていた。
 レッドも、挑んでくる挑戦者たちに辟易したのだろうか。

「くくっ……だけどよレッド、ついに出て来たんだぜ。面白い新世代がよ」

 先日のバトルを思い描くと、口元が緩んじまう。
 トキワのジムリーダーとなってから一年。
 やっと、俺と同じ土俵に立ってくる挑戦者が来やがった。
 ジョウトから上陸してきたっつー…………えーっと、ゴールドだったか。
 この俺が、三年ぶりに負けちまった。
 レッド、断言してやるよ。
 どこにいやがるのかは知らねえが、アイツはいずれお前に喰らいつくぜ。

「っ!?」

 咄嗟に、地面に伏せていた。
 あらゆる秘境を探索した甲斐あってか、危険には勘付く前に反応してしまう身体になっていたらしい。
 二日前に繰り広げた心地よいバトルの感傷に浸ってしまってたが、ここは殺し合いの舞台だと言う。
 頼りになる仲間たちがモンスターボールごと消えてる以上、戦力は入ってた金色の拳銃のみ。他に入ってたのは使えるのか分からねえ。
 殺し合いなんざしたかねえが、相手が乗り気な場合はそうも言っていられない。
 バレないよう、這いずるようにして移動する。
 落ちた葉に身を隠しつつ、尋常ではない気配の方を確認。
 緑色をした道着にツインテールの女に、青髪を白い鉢巻で押さえた男か。

「はあッ!!」
「っと、うおぉ……」

 ――――何、だよ…………あれ。

442三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:46:23 ID:44AS05nU0




 【2】




 運がよかったと、心の底から思う。
 あの神をバラバラにするのではなく、正面から殺すだなんて。
 そんな事実に困惑して呆然としていたせいで、近付いてくる人影にも気付かなかった。
 もしも彼女が殺し合いに乗り気なタイプなら、危うく何もできずに死んでたとこだ。
 でもそうじゃなかった。これを幸運と言っても、何も問題ないだろう。
 互いに名乗ってから、どちらからと言うことなく身の上話。
 何でも彼女は、世界を牛耳らんとしている魔王を倒したグループの一員で、ちょうど自由を手にしたところだという。
 リバーと名乗った彼女の話したことが、どうにも自分たちの行動と重なる。
 俺たちの場合は世界を牛耳ろうとするどころか、作った野郎にケンカを売ったんだが。
 まあ、そんな細かいことは置いておくとしてだ。
 自由を手にしたと思ったら、また誰かの箱庭に逆戻り。
 そっくりじゃないか。いやはや、笑えてくるね。
 この分だと、二人だけじゃないかもしれない。
 『俺たちの世界』に行った俺以外の三人だって、呼ばれていないとは限らない。
 もしかしたら、素直になれずに憎まれ口を叩いてくるアイツや…………

「ふざけているな」
「同感だ」

 リバーの方も同じことを考えたのだろう。
 俺たちは、他人のマリオネットじゃないんだ。
 ノアの言うことだって、一理あるとは思う。
 だけどな、お前に見定められる筋合いはない。
 不要な存在と言ったが、生き物を無機物扱いするなよ。
 無価値であるだなんて、絶対に認めてやるものか。
 だいたい、ただの一人に人間全体の評価なんかする資格があるもんかよ。

「またもや、意見があったな」
「おおう、そっちもかい」

 知らず知らずのうちに、考えが口から出ていたらしい。
 恥ずかしいと思いながらも、最初に出会ったのがこんなに話が合う人だなんて嬉しくもある。
 本当に、運が向いているのかもしれないね。

「そういえば武闘家、なんだよな」
「先ほど言った通りだが……何だ、その怪訝そうな眼は」

 『目は口ほどに物を言う』ということわざは、どうやら間違っていないらしい。
 いや、だって、ほら、ねえ。
 足は見えていないとはいえ、上半身は服の上でも見て取れる。
 緑の道着こそ着込んでいるものの、肉体自体に力強さは感じられない。
 華奢だとか言うワケでなく、女の子特有の柔らかそうな雰囲気はあるのだ。あるのだが…………

「男以上の力が出るとは思えない、とでも言う気か」
「え、別にそこまでは――」
「そこまで、か。つまりライト、君は多少なりとも私のことを『非力そう』だと思ったのだな」
「う、あ、しま……っ」

 ああ、決定的だ。確実に、『目は口ほどに物を言う』は筋が通ってるようだ。
 ことわざを下らない言い伝えにすぎないと思ってる輩は、古人に土下座だな。
 だってリバーの表情と口調は変わらないのに、目だけで怖いもんよ。
 ここまで来たら、もはや言葉は必要ないだろうよ。

「ならば、見せてやる」

 リバーは周囲を確認して、一際大きな樹木前で腰を低く落とす。
 深い呼吸を行いながら、意識を集中させている。
 周囲の空気が変わった気がした。
 かつて登った塔の内部のような、皮膚を突き刺してくるかのような感覚。

「はあッ!!」
「っと、うおぉ……」

 鋭く息を吐きながら、リバーは正拳を木の幹へと放った。
 衝撃の中心に生まれた亀裂が目に見える速度で広がり、一分と経たずに樹木は倒れてしまう。
 飛んできた枝葉を払い除けつつも、意図せず嘆息が漏れていた。

「見たか、ライト――」

 大きく頷くしかないこちらに勝ち誇った笑顔を見せてから、リバーは首を横に回した。

「それにそこで見ている少年よ」

443三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:47:19 ID:44AS05nU0




 【3】




 魔王を倒してから結構な月日が経つというのに、あの旅のことは現在でも鮮明に蘇る。
 勇者様が女性であるだけで、民衆はどこか肩を落としていた。
 本人の前ではやたらと持ち上げながらも、いない場所では愚痴ばかり零していた。
 男性の方が生まれ付き戦闘に適しているのは分かるけど、あんまりに酷いではないか。
 周りには笑顔を振舞っている勇者様だって、望んで魔王討伐に向かうワケではないというのに。
 ただ性別だけで、周りが諦めてしまうなどあっていいものか。
 気に入らなかった。弱いだけの人々が、強い勇者様を負けると思っているだなんて。
 ルイーダの酒場にいた面々だってそうだ。
 『女の子についてくのかよ』だとか、『自分の身を任せていいのかね』だとか、そんなことばかり。
 当の勇者様の前では、媚を売っているというのに。
 勇者様の一行となることによる報酬しか、彼らの頭の中にはないのだ。
 本当に危なくなったら、すぐに逃げ出してしまうに決まっている。いかにも自分の意思ではないかのようにして。
 だから、私は強くなろうとした。
 あの酒場に呼ばれる前よりも、ずっとずっと。
 女性だからと軽く見られる姿が、武芸を極める前の自分に重なったのかもしれない。
 鍛錬の甲斐もあってか、私は勇者様の仲間として選出された。
 奇しくも選ばれたのは、陰口を叩いていなかった面々ばかりだった。
 そんなこと知らないはずなのにである。あの人選眼もまた、勇者様の勇者様たる所以かもしれない
 …………ラムザとかいう遊び人は、単に何も考えていないだけに見えたが。
 行く町行く町で人々が、女性の救世主を見ては落胆する。
 ふざけるなと口に出すのを堪えて、必死で魔物を倒して回った。
 やがて、私達は二つの世界を救った。
 勇者様は消息を絶ってしまったが、どこかで人々を救ってくれると信じている。

 ――――というワケで、私は女性を弱いと思われることが嫌いなのだ。

 生物的に当たり前のことだとは思うけれども、嫌いなのだから仕方ない。
 分かってくれれば、そこでもう気にはしないけども。
 ライトの表情を見る限り、理解してくれたらしい。
 そもそも女性の仲間がいたというのだから、女性が強いというところではなく、女性が武闘家であるということに引っかかっていたと思われる。

444三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:47:59 ID:44AS05nU0

「見たか、ライト――それにそこで見ている少年よ」

 会心の一撃を狙って意識を集中させたために、隠れている少年に気付いたのだ。
 それほどまでに、少年の自らの気配を遮断させる技術は凄まじい。
 あそこまで到達すれば、上位魔物たちにも悟られぬことなく接近できるだろう。
 過酷な環境にて育ったのか、はたまた自ら過酷な環境に突っ込んでいったのか。

「オーケイオーケイ、まさかバレてるとはな。
 俺の名前はグリーンだ。先に行っておくが、他人を好き好んで殺す趣味はないぜ」
「なぜ隠れていた」
「おかしなことを言うじゃねーか、お姉さん。むしろ、なんでそんな質問をするのか聞きたいね」

 デイパックを地面に置いたまま両腕を上にあげて、少年がさも敵意がないかのように姿を現す。
 こちらの視線にたじろくことなく、軽い口調で質問を質問で返してくる。
 簡単に答える側に成り下がる気はない、ということか。
 まだ若く見えるというのに、なかなかどうして一筋縄ではいかないようだ。

「何の確認もなく、他人にじろじろと見られて気分がいい者がいると思うか。
 理解していないようなので言わせて貰うが、『見られた私』と『見ていたそちら』である以上、質問する権利はこちらにある」
「はッ、俺はそうは思わねえけどな」

 殺気を飛ばせば怯むかと思ったが、依然として食い下がってくる。

「殺し合いの舞台で、他人をそうそう信じられるもんかよ。誰だって我が身が大事なんだぜ。
 こっちは乗り気じゃねーが、お姉さんたちもそうとは限らねーだろ。
 何せ見ての通り武器にも恵まれなかった上に、お姉さんほど強かないんでね。ゆっくりと相手を見極めてから、と出てもおかしかねえだろ?」

 少年の言い分に誤りはない。極めて筋が通っていると言っていい。
 だが軽口を叩くような口調でありながら、一筋の汗が顔を伝っていることだけが気にかかる。
 単純にこの空気に焦っているのか、はたまた何かを隠しているのか……

「うぐあっ!」

 どう対応するか決めかねている私の前で、少年がくぐもった声をあげた。
 いつの間にやら少年の背後に回ったライトにより、組み伏せられたのだ。

「言い分には納得するし、いきなり怖い姉ちゃんに出会っちまったってのは同情する」

 何やら聞き逃せないことを言いながら、ライトが少年のズボンに手を伸ばす。

「だけど嘘はよくないな。信頼ってのは、たった一つの嘘でできなくなっちまう脆いもんなんだからな」

 そう言い放ったライトが、少年のポケットから何かを取り出して放り投げた。
 暗器かと身構えて掴み取ってみれば、それは金色の…………からくり?

445三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:49:23 ID:44AS05nU0




 【4】




「よし、俺はお前を信じよう」

 言い分を繰り返し聞いてから、ライトはやっとグリーンを解放する。
 両腕を背後に回した状態で固定されていたグリーンは、自由になった腕を大きく回して動きを確認する。

「さっきから、ずーっと本当だって言ってただろうが……っ!」
「元はと言えば、お前が嘘なんて吐くからすぎに信用できなかったんだ」

 腕の動作に支障がないのを確認してから、今度は両肩を擦る。
 そんなグリーンへと、ライトは奪った黄金銃を返還した。
 その行動に目を見開いたリバーが、ライトの耳元で尋ねかける。

「返してしまっていいのか、ライト」
「強くないってのは本当みたいだから、何かしら武器は必要だろ」
「でも、だなぁ…………」

 先ほどまで拳銃の存在を知らなかったリバーが、合点がいかない様子で口篭る。
 一度試し撃ちをしてみて、その威力に驚愕していたのだ。

「俺たちが目を離さなければいいだけさ。殺す気なら不意を付いてるさ」
「う、うむ……」

 未だ納得していない様子のリバーをあえて流して、ライトはデイパックを手にする。
 すぐに参加者と出会ったために、まだ中身を確認していなかったのだ。
 リバーの方も同様であり、追うようにデイパックを開く。
 そして中身を確認しようとしたところで、接近してくる気配に気が付いた。
 デイパックの確認は後にしようと、二人は同じく気配を察知したグリーンの前に立つ。
 どうやら接近者は二人であるらしい。
 青色がかった黒髪を腰まで伸ばした甲冑を纏った少女に、短く整えた茶髪に制服の少年。
 不機嫌そうな制服少年の前に、にこやかな笑みを浮かべた甲冑少女が出て切り出した。

「あなたは神を信じますか?」

 グリーンは、神と称えられるポケモンの存在を知っていた。
 けれども、同時にそれが伝承にすぎないとも思っている。

 リバーは神の存在を信じている。
 一方で神に願うだけではなく、自らの手で未来を切り開かんとする意思こそが大事だと信じている。

 ライトは神と出会ったことがあった。
 だが、その神を信じ切って身を委ねる気などさらさらない。

 ――――ゆえに三人は、揃って首を横に振った。

「そう、ですか…………」

 青髪の少女は眼を見張り、眼を見張った消え入りそうな声を零して俯く。
 ここまで意気消沈されるとは思っておらず、三人は困惑する。
 思想こそ違えど、出来ることならともに殺し合いの破綻を目指したいのだ。
 これまた三人揃って、何とか気を取り直してもらえないかと頭を捻る。
 やがて、リバーが一番最初に口を開いた。

「か、は」

 しかし口から漏れたのは交渉ではなく、苦悶の声。
 またその声は意図してのものではなく、反射的に。
 思考の渦から帰還した男たちは、見ることになる。
 黒髪の少女が背部から生やした、赤黒に塗れた刃。
 甲冑の少女が見せる、飛散る鮮血に映える白い歯。


   To be continued 『[[あなたは神を信じますか?/はい]]』......

446三者激動――(惨劇) ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:50:11 ID:44AS05nU0



【一日目 日中/C−3 森林】

【グリーン@ポケットモンスター金銀 参加確認】
【リバー(女武闘家)@ドラゴンクエスト3 参加確認】
【ライト(人間・男)@魔界塔士Sa・Ga 参加確認】


[備考]
※11話の名も無き死体の方々です。
※ライトとリバーは支給品未確認でした。
※グリーンの支給品は黄金銃@真・女神転生if…と、彼から見て使えるのかよく分からないもの(個数不明)でした。
※リバーは、勇者ミレニアの仲間でした。
※以下の文から、グリーンかライトは神代に殺害されたようです。どちらかは不明です。

>袖に噛みついたまま絶命している男の顎を引っ張って外す。
 雑魚なら雑魚らしく一太刀で死んでほしいんだが。こんないらない意地を見せなくていいから。
 殺した奴のデイバッグを漁って水を取りだし、殺した奴のポケットから引っ張り出したハンドタオルで顔を拭く。

447 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/16(火) 19:51:36 ID:44AS05nU0
投下完了。
以上、補完SSでした。


また、wikiを編集しました。細かい編集内容は雑多スレを確認してください。

448右手にインド人チャラチャラ:2010/02/17(水) 00:31:43 ID:nlBNTf9E0
投下&wiki編集乙ですー。

>三者激動――(惨劇)
なんという速さ……やっぱり氏は補完話が巧みだなぁ。
エースの想い人(?)に、レッドのライバルに、ミレニアの仲間と、放送後に嵐が巻き起こりそうな面子がいい感じ。
とくに魔界塔士勢が単独参加・ミレニアの仲間が不透明だったんで、こういう選択は本当に助かります。
ミレニアを取り巻く世界(中世風だもんなぁ)のあり方とか、平穏な生活を求めた理由も骨が太くなった印象だ。
で……こんな面子なら、もちろん神なんか信じないわなぁw すでに全員死んでると分かってるのに、返答の場面にはドキドキしましたよ。
最後の最後、リバーを殺して微笑むネリシアのカットインで終わる構成と文章がものすごく綺麗でした。
そしてグリーンリバーライトwww 三人揃って成立したネタには、不覚にも吹いてしまったぜ! 色々とGJでした!

449右手にインド人チャラチャラ:2010/02/17(水) 00:31:57 ID:nlBNTf9E0
ちょ、なにこの名無しwww

450 ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:49:58 ID:nlBNTf9E0
よし、投下。
ジャガン、マクスウェルのふたりでいきまーす。

451Leap the precipice ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:50:29 ID:nlBNTf9E0
 逃げだせば、追撃が待ち受ける。
 共闘を申し出れば、哄笑とともに袖にされる。
 仮に、相手の質問に対して黙りこんでしまったのなら――
 問われた男、マクスウェルに待ち受ける結果など、今さら計算するまでもない。
 そして、彼に問うた側である男。天才とやらは、退屈そうな表情を隠そうともしなかった。
 泥のような欲望に濁った瞳に浮かぶものは微笑み。親しみなど微塵もない、嘲笑との形容が至当な顔つきだ。
 ならばここは鉄火場/正念場/崖っぷち。眼前にあるのはどう転んでも、何を選んでもマイナスしかない選択肢。


「私、は――――」


 それでも、高速で綾なした演算の果てに、マクスウェルは口を開いてみせた。
 何も行わずにゼロを選ばざるを得なくなるよりも、様々な要素を計算した上で、1を――
 いや。0.1を、あるいは0.01を、はたまた0.001かもしれない確率を、自らの手で1に近付けてみせる。
 50:50ではなく100%がふたつある箱の中で、自身の望む結果をこそ選びとってみせようではないか、と。

「寡聞にして、ノアという“機械”のことは知らない。
 だが、奴の使っていた“兵器”と、先ほどそちらが見た“遺産”については、まったくの無知ということもない」

 そのためにマクスウェルが打った第一の手は、“正直に話すこと”であった。
 真っ正直な札を切った論拠は、先刻、『超』天才を自称した男自身が語っていたことだ。
「ふーん……機械に、兵器。遺産ねぇ。
 念のため聞いとくが、それが嘘っぱちって可能性はないだろうな?」
「彼の末路を目にすれば、嘘が露見した後の生存率など計算するまでもないはずだ」
 先ほど、彼の話を聞いた無法者。額にクラブのマークを刻んだ男の顔は、いまや見る影もない。
 その彼に向かって、天才――ジャガンと名乗った男は、ノアの技術を求めていると確かに言ったのだ。
 加えて、彼の過ごす次元の文化レベルも、先刻までの様子から多少は予測出来る。
 先祖の鎧と、異文化の鎧を同列にみる部分をかんがみれば、剣と魔法が支配している文明にあることは分かった。
 しかして、無法者に支給されていた兵器――移動式、あるいは搭乗式ともいえる大筒に首をかしげていた部分は違う。
 この点からデブチョコボに火薬を食わせてキャノン砲を作ったとの伝承から大筒を連想出来たマクスウェルに比べ、
ジャガンの故郷は……少なくとも魔学の方面においては遅れているとの推測がかなった。

「で、戦車? こういう鉄のカタマリが、輓馬もなしに動くとか言うワケ?」
「ああ。精製した石炭や、ある種の油を使って動くとの話を、ゴーグの機工士から聞いたことがある。
 この堅牢さだ。攻撃だけではなく、陣地の作成にも向いていると言えるだろうな」

 案の定、機工都市の深層にでも埋もれていそうな武器のことを、ジャガンは知らなかった。
 対するマクスウェルには、専門的とまではいかないが聞きかじり程度の知識はある。
 儲け話で見つけた、飛空艇が砲撃を行う空想魔学小説やら、士官候補生仲間の妹を助けに向かった飛空艇の墓場の
おかげで、“引いて動かすくらいなら、乗って動かす”ものの機構にもあたりがつけられた。
 また、陸戦を指揮する士官くずれとして考えると、地形を面でとらえ、確保することの有用性も理解出来る。

「そんで、お前――こんだけの情報で俺に取り入るつもり?
 説明してもらったのはいいケド、ぶっちゃけ、お前本人が機工士じゃないんだよなぁ?」

 ノアの技術や情報を求めるジャガンが、自分ではなく“本職”の側に興味を向けることもだ。

452Leap the precipice ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:50:55 ID:nlBNTf9E0
「剣の一本で、私の命を買うというのはどうだ」
 この勇者にごまかしが通じない点を改めて理解したために、マクスウェルは二枚目の札を切る。
 鬼に金棒、となってしまいかねないのが恐ろしいところだが、口で誤魔化されないのだから仕方がない。
「さっきの一部始終は聞こえてたもんなぁ。出し惜しみしないのは正解だよ、オマエ」
 品性など生まれる前にかなぐり捨てたような男の笑い声を肩で聴きながら、算術士はひと振りの剣を取り出した。
 黒く艶出しした刀身に白金の装飾がなされた両手剣は、いかにも名剣といった風合いをしている。
「説明書きにいわく、古代の人間からは“運命の剣”と呼ばれたものらしい。
 たった一度だけ、どんなものでも断ち切る力を持つようだ」
 首で寄越すように指示するジャガンに従って、マクスウェルは説明書きと剣とを彼に渡す。
 しばらく経って、刀身を確かめるようにしていた勇者が、算術士の肩を刃で叩いた。
「で、オマエで切れ味を確かめるって言ったら、そっちはこれでお終いだな。
 算術だのなんだの、寝言で俺を煙に巻こうとした結果がこれだと、報われない話だろうよ」
「ああ。その時は、機工士どころか、私の仲間との繋がりも失われるだろうがな。
 足手まといを増やさない考えは理解出来なくもないが、示威行為は高い確率で反撥と復讐を呼ぶものだ」
 冗談を交わすかのように軽薄な語調に反して、ぴたぴたと押し付けられる金属の重みは本物である。
 一度だけ、すべてを断ち切る剣。それを構える男は牛鬼のように下卑た表情の奥底に、冷たいものを沈めていた。
「いくら断ち切っても、そこに他者がいるかぎり、人の絆だけは切れはしない。
 それは、貴殿が望むところではあるまい」
 遊び半分。つまりは真剣が半分の彼の瞳を真っ向から見据えて、マクスウェルは言葉をつむぐ。
 ここにシュウがいたのなら、あるいは団結もかなったのかもしれないが――仮定は演算に含められない。
 ならば、逆だ。図星を突かれてバーサク状態となる魔物のように、言葉でもってこの男の注意をそらすしかない。
 そらして、自分の最後の支給品である“無用の長物”を、最大限に活用してやるしか活路はない。
 この男に殺されず、縛られず。それこそが、ここに立つ算術士の勝利条件なのだから。

「戦争は数。全体は部分の総和に勝る。
 ただの人間が知識も無くして、単騎で兵器の群れに立ち向かったならどうなる?
 貴殿はそれの分からない王者ではないだろう」
「じゃあ、なんでお前はその瓶を持ってやがる。俺が王者だってコトを知ってるってのに、なあ?
 牙を剥く相手を選ばないんなら、延命を申し出た意味だって――」

 ……だが、剣を好んでも剣に魅入られるようでは、勇者とは務まらないものなのだろう。
 ジャガンの指摘を押し退けて、繊細なガラスで出来た瓶が、ゆったりと宙を舞った。
 崖っぷちから飛び降りたマクスウェルのフォームは、先刻の勇者がみせたそれとは天と地ほどの差がある。
「バカだねぇ。まさか、この俺が素直に斬るとでも思ったか」
 ぎこちなく投げられた瓶の中でも複雑にゆらめく流体を見た勇者は、哄笑とともに瓶を避けてみせた。
 中身を劇物と判断し、握った剣を振ろうともしない判断は、流石に単騎で竜王討伐を命ぜられた勇者のそれである。
 視力も戦術眼もたっぷりと備えている男は、『セッティエムソン』との流麗な文字列だけを認めて振り向かない。

 *  *  *

 ――セッティエムソン。
 ジャガンは知る由もないが、女性用香水のひとつである。
 そのなかでも樫の木に生す苔や樹皮からとれる香料をベースにした、落ち着いた風合いの逸品だ。
 また、イヴァリースの日常を生きる民草にとっては豊かさの象徴となる“革”の香りを含むのも特徴である。
 豊かさという面では貴族に、武具や馬具と革は切り離せないという点では、戦いに出る女性に相応しいと言えよう。
 香料の濃度、いわゆる賦香率も高く、様々なフレグランスのなかで唯一“香水”の表記が許される高級品でもあった。

 *  *  *

453Leap the precipice ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:51:31 ID:nlBNTf9E0
 それほど貴重な中身をたたえた瓶は――
 軽い音をたてて、勇者の背後を守っていた木に当たる。
『角度よし。瓶が破損し、中身が相手にかかる確率は94%』
 だが、薄い硝子は木の死節に乗るようにして破損を避け、角度をつけて跳ね返った。
 その直線上に待っているのは、瓶を避けた男が身に付けた鎧直垂、金属で出来た草摺の突起部だ。
 いくら計算しようとも、奇跡は二度も続かない。いや……むしろこの接触までが、マクスウェルの計算である。
 刹那、頭に“Eau de(水の)”が付かないパルファンが、勇者の下半身を包む布地に惜しげもなくぶちまけられた。
 鎧の持ち主であるジャガンも、瓶を投げたマクスウェルも、揮発性の高いエタノールの刺激に目を細める。
 片手で口許をかばう間にも、呼吸するほどに喉を焼く酒精と香りの暴力は二人を包んでいくようだ。
「窮鼠猫を噛む、ってか。よくよく健気なことをやってくれるじゃあねえか」
 そして咳を誘う“霧”から抜け出した勇者の声は、体内を焼こうとする酒精以外のなにものかによって――

「だが、俺に唾を吐いた覚悟は……出来てんだろうなァ?」

 ルカヴィ(悪魔)のそれを思わせるほど悪辣に歪んでいた。
 目と鼻をやられたためか、技巧も介さぬ運命の剣が、瞑目したマクスウェルの太股を狙ってひらめく。
 芳香とは言えない汚水をぶちまけた者を、簡単には殺さない。ゆえに、まずは足を殺すというところか。
 ときにすべてを断ち切るとも言われる刃は、動かない青年の肉を引き裂いてゆく。
「視覚・嗅覚の不全。わすかな体勢の崩れ。この斬撃が致命傷とならない確率は62%」
 普段の計算からすれば低きにすぎる確率も、先ほどの無法者が引いた100%を考えれば、十分に高いと言えた。
 実際、ベストコンディションならば確実に四肢を持っていったであろう斬撃は、太股の肉を抉るに留まっている。
 そうなれば、ほとんど無手でいるマクスウェルにも、今のジャガンに対する“勝ち目”があった。

『――私に加えられたダメージを概算。
 この痛みと傷の五割を、わが気を乱した元凶へ、平等に“分け与える”』

 算術を学ぶにあたって修めた、万物を支配する陰陽の均衡を、マクスウェルは脳裏に掲げてみせる。
 “陰”にダメージを受けた自分を、“陽”にダメージを与えたジャガンを代入して、即座に図式を完成させた。
 “陰陽の気は循環し、等しく保たれている”ことが天地自然の理、前提であるとするのなら、“二者のあいだで
陰陽の均衡が崩れ、一方が血を流してゆくという現況は前提に矛盾する”との答えは容易に導き出される。
 この答えが、物理的にはいかに理不尽な空論であろうとも、数字の世界に生きるマクスウェルにとっては関係ない。
 それは不自然、それは背理。それは神の作りたもう世界の姿ではないのだと――
 算術士は術式を構成する真言を、胸中にて高らかに謳いあげる。
「が、ッは……!」
 果たして、マクスウェルの受けたダメージはジャガンと『分配』された。
 宇宙の青さを有する光が弾けた瞬間、勇者には裂傷が、算術士には癒しの光が、それぞれ割り当てられる。
 腿を袈裟に薙いだ重症も、ふたりで負えば……少なくとも、意識や移動力は喪わずにすむのだ。


「――不変なる律を聞けッ!」


 苦痛に耐えながら、算術士が即座に切った札は『レベル5不変不動』。
 生物すべてに宿る陰陽の気を操って行動を不可能とする、陰陽術の基本であった。
 “5”。腰が安定しなかったとはいえ、ジャガンのもつ斬撃の鋭さから計算した彼の強さの節目がこれだ。
 戦士は石を積むように経験を積み、ふとした瞬間にひと皮むけて、段違いに強くなるものだと言われる。
 そうした節目や時・場所といった要素と術式を噛み合わせ、特定の者に魔法をかける技が算術の基礎にして粋。
 むろん、他からの干渉に対する抵抗力を持つ敵にかける補助魔法が、必ずしも効果を表すわけではないのだが――

454Leap the precipice ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:51:50 ID:nlBNTf9E0
『あれほどの黒魔法を行使する者が、超自然の現象を“信じている”確率は七割を超える。
 ひるがえって、私と彼が最悪の星座相性である確率は、わずか十二分の一に過ぎない』
 先刻、ジャガン本人が放った攻撃魔法の威力こそが、マクスウェルを楽観せしめた。
 そして彼の計算どおりに、勇者は動きの一切を止められる。その背に負わされているのは、陰の気の塊だ。
 算術に専念出来るようになったマクスウェルは、そこに『レベル5スロウ』を重ねて時間を稼ぐ。

「この場で私を殺せば、どうなるか。それは既に分かっているだろう。
 脱落者として呼ばれる私の名と、私の世界にある香水。そして、私を殺した者を結びつけるのは難しい話ではない。
 私以外の仲間がここに呼ばれている確率も、低いものとは言えないさ」

 断片的な情報から、私の仲間が最悪の事態を想像する確率は68%。
 彼らが最悪の事態に思い至った場合は、97%の確率でお前と敵対することになる。
 すらすらと説明したマクスウェルは、「分の悪い話ではないさ」とうそぶきながら笑ってみせた。
「そもそも――こんな場所で強い匂いを漂わせる者に違和感を感じる確率は、概算の段階でも九割以上となる」
 同時に『CT4ヘイスト』の、素早く回る時計の幻影が算術士の影と重なった。
 速度を増した時の流れは、術式を編んだマクスウェルだけを包み込み、祝福している。
 相手の動きを緩慢にする時魔法・スロウが、両者が行動を行うまでの準備時間をずらしたのだ。

「では、いったん別れるとしようか。
 あれに対抗するにあたって、互いの価値を理解出来るなら……次こそは友好的にいきたいものだな」

 周辺にある遮蔽物を見極めながら、最後に彼が選んだ算術は『レベル3ケアルガ』。
 強さの節目を変えた術式に篭もる祝福の風は、二等分されて浅くなった両者の傷をふさぎ、夕空へと流れる。
 迅速に火消しの詠唱を終えた算術士がきびすを返すさまに、揺らぎは微塵もない。
 一時とはいえ動けなくなっても、このジャガンの前で隙や弱味をさらすわけにはいかなかった。
『爆音ではなく、空気との摩擦熱で何かが燃え尽きる音は……メテオか、それに準ずる魔法である公算が高い。
 山岳地帯で、わざわざ姿をさらすような輩もいるのか、派手な魔法を使わざるを得なかったのか、どちらだ?』
 いずまいだけは平静を保つ一方で、彼の頭は激しい回転を止めることがない。
 ここから北西、遮蔽物の多い山岳地から聞こえた特徴的な音響に、一体どう対応したものか。
 命のかかった正念場を抜けたとしても、待っているのは修羅場か博打場か、はたまた別の岩頭であろうか。
 運命を冠した剣を手放した今、なんとも洒落にならない予感が脳裏によぎってしまったが、それでも。
 マクスウェルはもう一度、唇に微笑をうかべてみせた。


【一日目・夕方/D-2 北部・森】
【マクスウェル(男算術士)@ファイナルファンタジータクティクス】
[状態]:中度疲労、左太股に裂傷(処置済み)、ヘイスト(時間経過で解除)
[サポートアビリティ]:銃装備可能
[装備]:デリンジャー(30/30)@魔界塔士SaGa
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒する。
1:可能な限り遮蔽物を確保しつつ、この場から退避
2:ジャガン、派手な魔法の爆心地を警戒しておく
[参戦時期]:Chapter4・飛空艇の墓場に到達している
[備考]:Lvは3の倍数。リアクションアビリティ「ダメージ分配」を習得ずみ。


 *  *  *

455Leap the precipice ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:52:09 ID:nlBNTf9E0
 呪縛が解けたと同時に、ジャガンは空いた左手を眉間にやった。
 ふ――と漏れた吐息へ篭った凄絶さと隠微な熱は、ダースドラゴンの炎もかくやと思わせる。
「ク……ハハ……ハハハハッ……」
 デイパックから水を取り出しつつ、男は吐息を哄笑に、哄笑を嗤笑へと変えた。
 ああ、畜生。鼻が痛む。揮発した酒精のおかげか、ボトルの水で目をすすいでもなお痛む。
 匂いのもとが柑橘類だろうと花だろうと苔だろうと、ここまで濃いならどれも同じとしか思えない。
 マイラの村でひと晩ぱふぱふに明け暮れても染み付かないだろう匂いが、芳香の原液だとは信じられない。

『……とか言うとでも思ったか? この、酸いも甘いも知った勇者様がよぉ。
 あの王さんどもと同じに、骨に染み付いた生臭みを薄めた残りカスが美徳とか言われるもんなんだよ。
 心からの礼だの、祈りだの、賛美だの――クソの役にも立たねえが、言った方の対面は保てる美辞麗句ってヤツがな』

 よそゆきに着飾った言葉とともにあった、粗末な支給。
 それは勇者として選ばれた、この自分が外れだった際に打撃を受けないような自己保身の顕現。
 ラルス16世の政治的手腕とやらを知るジャガンにとって、貴族のつける香水は、まさに彼らを象徴するものだ。
 そんな品物でもって、自分はハメられた。計算などという、机上の空論ですむはずのものに遅れを取った。
 限界を突破した怒りは、男の顔から表情を消し去った。死霊の騎士のごとく、運命の剣だけが陽光を複雑に照り返す。
 ああ、そうだ。絶対の支配者を、マクスウェルとやらはとことんコケにしてくれたワケだ。
 だったら、あいつに相応しいのは、ただの死に方ではあり得ない。

『お前自身、言ったよなぁ? 単騎でノアがもつ兵器とやらの群れに立ち向かったらどうなるか?
 あぁ、あぁ、そうだな。神とかいうヤツだってあのザマなら、お前なんざ一撃で汚い花火になっちまうだろうよ』

 だが、それがいい。それでいい。
 太股に染みた香水が、ジャガンに刻まれた傷跡をうずかせ、彼の笑みを誘った。
 マクスウェルと同じだけ傷つき、同じだけ癒された裂傷を認めるに至って、双眸が狼を思わせて底光りする。
 算術というわざは、魔法といいながら理論の要素が非常に強い。魔法使いは魔力を阻害する金属を嫌うとも聞くが、
理論だった“計算”が、計算で出来た回路や何かで出来ているという金属の塊に効かない道理はない。
 それなら、お前の命が完膚なきまでに消し飛ぶ攻撃力を、あの機械、ノアに『分配』してもらおうじゃあないか。
 あの術を発動するまでに死ぬならそれも良し。だが、生き残ったなら何度でも、何度でも何度でも何度でもだ。
 いっそ、ひといきに肉片にされたほうがマシってな気分になるまで、あの男を使ってやろうじゃあないか。
 ようやっと、笑んではいても凍てついていた勇者の頬に、スライムベスのごとき血の色が戻って来る。

「せいぜい、地べたを這いずってでも生き残ってみせな。
 それが出来たら、完璧な俺が支配者の座に君臨する……祝砲の役くらいは果たしてもらうぜ」

 緩慢な時間の流れに置かれていた体を屈伸させながら、ジャガンは目の前の鉄塊を眺めた。
『KING』の一員だった男の世界では、過去の遺産。たとえ修理できても、燃料を食う点で無駄な存在と化していた戦車。
 核の生み出した電磁波に焼かれてなどいない、別次元で生まれた搭乗兵器をためつすがめつする勇者の双眸は――
 揮発した酒精、エタノールによる軽度の充血を交えてか、黄色味がかって濁っている。
 胸中の濁りを受け止めるだけの力を求めて、ぬらりぬらりと、光っている。

456Leap the precipice ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:52:29 ID:nlBNTf9E0
【一日目・夕方/D-2 森】
【ジャガン(主人公)@ドラゴンクエスト1】
[状態]:左太股に裂傷痕(処置済み)、嗅覚にダメージ、香水の強い匂い
[装備]:レイピア(50/50)@魔界塔士、運命の剣@聖剣LOM、源氏の鎧@FF5
[道具]:支給品一式×2、太陽の石@DQ、レオパルト2(20/20)@秘宝伝説GOD、不明支給品0〜2(確認済み、剣はない)
[思考]
基本:如何なる手段を持ってしてもノアを殺し、世界を支配する。
1:ノアのことを知っているヤツを探す。機工士に興味あり
2:もしも生き延びたら、マクスウェルはノアに対する人間爆弾に仕立て上げる
[備考]:香水(セッティエムソン@FFT)がほとんどひと瓶、下半身の着衣に染み付いています。
 どの程度の時間で匂いが消えるかは後続の方にお任せ。とりあえず、洗濯すれば余裕で消えます。

※セッティエムソン@FFTは消費されました。D-2/森に、ふたつに割れた瓶が残っています。


【運命の剣@聖剣伝説 Legend of MANA】
マクスウェルに支給された。
ラピスラズリの珠魅(じゅみ)・瑠璃が携えていたイシュ白金製の剣。
どんなものでも斬れる力をもつと言われるが、その力はただ一度しか振るえない。
宝石泥棒編のラストシナリオ“ティアストーン”で真珠姫を連れて行くことを選ぶと、瑠璃から譲渡される。

【セッティエムソン@FINAL FANTASY TACTICS】
マクスウェルに支給された。
女性用香水の一種。装備すると永久ヘイスト・透明が付与される逸品。
ハイドラを密猟することで、毛皮骨肉店に陳列される基本のアイテムである。

【レオパルト2@サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY】
KING構成員に支給された。
強力な砲撃を行い、装甲で防御もできる戦車。砲弾によるグループ攻撃が可能。
装甲の防御は、使用したターンに盾効果(自分のみ:回避率70%)がつくというもの。
なお、GB版と比較して、性能などに差異がみられるということはない。

457 ◆69O5T4KG1c:2010/02/17(水) 20:52:52 ID:nlBNTf9E0
以上で投下を終了します。
※のついた備考は、次以降は消しても大丈夫ですー。

一応注釈を入れとくと、パルファン(濃度の最も高い香水)の持続時間は、普通に使えば5〜12時間程度だとか。
ただ、布地に染み込んだ場合は……ずっと濃度の低いヤツでも、数日は余韻が消えてくれませんでしたw
実地で試す人もそんなにいないと思うので、続きを書くときの目安程度になれば幸いです。

458右手にインド人チャラチャラ:2010/02/18(木) 21:05:50 ID:/zgpnqdQ0
投下おつでっす

>Leap the precipice
ヤバい、マクスウェルかっこいい。すっげーかっこいい
冷静に状況を見極めつつ、知識を手持ちの札としてジャガン相手に立ち回るのが素敵
この辺の機械知識は、やっぱりタクティクスキャラの強みだよなー
剣を渡しながらも、決して退く気はないし……いやーいいわ
不変不動とかの算術描写もうまいなぁ……ううむ、ここまで算術士を引き出してくるとは
そのマクスウェルは、マティウスのいんせきに気付いたか。どう出るか
それにしても、してやられたはずのジャガンなのに、どうしてこいつはこんなに恐ろしいんだww
マクスウェルは大変なヤツに目えつけられちまったなwww

459 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:17:39 ID:Ptz5ntgM0
50話いただくぜ
投下しまー

460ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:19:06 ID:Ptz5ntgM0


 黒い衣服に真紅のマントを羽織った男が、距離を取らんとバックステップを踏む。
 撤退を試みる男はただの人間にあらず、世界を裏で牛耳る秘密機関『GOD』に改造された戦闘工作員。
 人間のレベルを凌駕する身体能力を誇りながらも、相対する男には現状では勝ち目がないと判断した。
 ただただGODに尽くすよう命ぜられた以上、異世界の技術を持ち帰ることなく息絶えるワケにはいかないのだ。
 僅かにズレたこれまた黒のベレー帽を直して、名前すら与えられていない戦闘工作員は相手に背を向けた。

―― EXCEED CHARGE ――

 篭った男性の声のような機械音声を浴びせられ、戦闘工作員の身体が静止する。
 限界まで離れるという狙いと異なり、まだたったの三度地面を蹴ったところ。
 GODの科学技術を注ぎ込まれた改造筋肉をもってしても、動くことができない。
 正確には足掻くことはできる。けれども肝心の足が微動だにしないのだ。
 戦闘工作員が視線を落として、身体に纏わりつく輝く網を確認する。
 素材は不明。引き千切ろうとする力すらも吸い込まれる、そんな感覚を抱いた。
 電撃にも似た痺れの中で、戦闘工作員は何とか首だけを背後に回した。
 装着したゴーグルを通して見えたのは、十字架型の刃を逆手に構えて肉薄した戦闘相手。
 漆黒のボディスーツに黄色いラインが走った、胸部と顔面が紫色の戦士。
 戦闘工作員には、目の前にいる存在に関する知識が刻まれていない。
 しかしあとコンマ幾秒で斬り付けられるというところで、戦闘工作員はふと思った。

 どこか、彼らが所属するGOD秘密機関に単身敵対する『仮面ライダー』を連想させると。

「おおォォォ――――ッ!!」

 黄色と紫の戦士――カイザと呼ばれる強化スーツを纏った青年が、戦闘工作員を袈裟に斬り落とした。
 一秒にも満たない接触ではあったが、威力は十分だったらしい。
 戦闘工作員が断末魔の声すらあげられずに、青白い炎に塗れて灰となっていく。
 完全に灰化したのを見届けて、カイザはバックルから携帯電話型ツール『カイザフォン』を取り出す。
 スライドさせてボタンを現し、軽くボタン操作することで変身を解除する。
 電子音とともに黄色と紫のスーツが消え、カイザとなっていた青年の姿が露となる。
 初見では女性ではないかと勘違いしてしまいそうになるのは、長い水色の髪と中性的な顔付きのせいだろう。
 だが整った目鼻立ちは、張り付いた苦悶の表情のせいで歪んでしまっていた。

「ぎうァ…………ッ」

 搾り出すような声をあげて、賢者である青年は地に膝を付ける。
 回復呪文を唱えるも、彼を襲う異変は依然として収まらず。
 ユーリという名の彼が、高位の回復呪文を扱えないのではない。
 むしろ勇者一行の賢者として魔王を打倒したユーリの呪文は、世界屈指のレベルと言っていいはずだ。
 だというのに彼がもがき続けているのには、理由がある。
 彼の使用したカイザギアこそが、彼を苦しませているのだ。
 スマートブレイン社製のライダーズギアは、本来オルフェノクしか使用できない。
 彼が変身できたのは、ルビスの祝福を受けた勇者の仲間であるからだ。
 とはいえ、変身中に全身に流れ込むフォトンブラッドの影響を受けないワケではない。
 ましてやカイザ装着者に流れるフォトンブラッドは、ファイズ装着者を超える。
 いかに勇者の仲間であろうと、長時間変身や繰り返しの変身は禁物なのだ。
 そもそもルビスの祝福を受けた者は、オルフェノクの因子に似た物を埋め込まれているにすぎない。
 もしそれを使い切ってしまえば、待っているのは灰化する運命。

461ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:19:27 ID:Ptz5ntgM0

「まずいね……」

 誰にともなく呟いて、ユーリは服の上から脇腹に手を当てた。
 微かな音を立てて、表面が崩れたのを感じる。
 フォトンブラッドの奔流による苦しみはあれど、灰化した脇腹にはこれといった痛みはない。
 だからこそ静かに迫り来る死を予感させ、ユーリは身震いする。

 変身したのは、先ほどで二度目。
 最初は、支給されたカイザギアの説明書を読んだ時だ。
 危険だとは思いつつも、いざという時に使えなければ意味がないと変身コードを打ち込んだ。
 遠距離近距離一体の十字架型武器『カイザブレイガン』を右手に、数十分ほど具合を確かめた。
 フォトンブラッドの恐ろしさを身をもって体感しながらも、カイザとなった際の戦闘スタイルを導き出す。
 そして当分の間は使用しないはずだったのだが、使わざるを得ない状況に追い込まれてしまった。
 戦闘工作員単体ならともかく、支給されたモンスターと武器が厄介だったのだ。
 モンスターにユーリの相手をさせて、本人は遠距離から狙撃する。
 そんなスタイルに攻めあぐねたユーリは、カイザに変身することで戦闘工作員へと一気に距離を詰めた。
 逃走を図るに相応しい支給品はあったが、勇者の仲間として戦闘工作員を放置するなど選べなかった。
 その結果、彼はフォトンブラッドの真なる恐ろしさを再び思い知ることになったのだ。

「だけど、まだ僕は止まれないんだよ」

 カイザギアとともにデイパックに入っていた長老の杖を支えとして、ユーリはゆっくりと立ち上がる。
 フォトンブラッドがもたらした嘔吐感も、どうにか治まっていた。
 それでも万全とは言えないが、立ち止まっているワケにはいかないのだ。
 戦闘工作員であった灰の山、そのすぐ近くに女性の死体がある。
 カイザブレイガンを一閃するより前に気付いていたが、その死体はどうやら上空から突き落とされたもの。
 ユーリは歯を噛み締めて、ナジミの塔の最上階を見据える。
 人影は見当たらないものの、死角にいないとは限らない。
 灰の上に乗っかったデイパックを手にすると、散らばっている戦闘工作員の支給品を回収する。

(ヤツが使ってきた道具――モンスターを召還できるボールに、光線を放つ機械がある。問題ない)

 自分のデイパックに中身を纏めたユーリが、ナジミの塔へと踏み込む。
 胸中で言い聞かせた言葉に応えるように、腰に巻いたベルト『カイザドライバー』が照明を鈍く照り返した。



【GOD戦闘工作員@仮面ライダーX 灰化確認】

462ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:20:18 ID:Ptz5ntgM0


 ◇ ◇ ◇


 階下から響く足音に、ミレニアは目を見開いた。
 数時間単位で意識を集中させていたのは、さすが勇者といったところか。
 殺した女性に支給されていた武器がポケットにあるのを確認して、腰に携えた腹切りソードに手をかける。
 近付いてくる足音から、侵入者の距離を読み抜く。
 あと七十段、六十段、五十段、四十段――――
 足音を立てずに踊り場から滑るように移動して、階段の影に隠れる。
 三十、二十、十五、十、五、四、三――――身体をバネとして一気に立ち上がって、ミレニアは剣を振るう。

「勇、者……様?」
「ユーリ、君?」

 予期していなかった相手の姿に、互いの動きが固まった。
 腹切りソードはユーリの首筋で、長老の杖はミレニアの胸元で静止している。
 どうやら、ユーリが足音を立てていたのは策であったようだ。

「申し訳ない、よもや勇者様だとは。地上の死体に警戒していたもので……失礼」

 杖を引っ込めて、ユーリは軽く頭を下げる。
 勇者が無作為に殺人などするはずがない。
 そう信じ切っているかのように、警戒心などは消え失せてしまっていた。

「勇者様?」
「あ、ぅ…………」

 何も返してこないことを訝るユーリの視線を受け、ミレニアは剣を下ろした。
 ここまで動揺している姿を見たことがなく、ユーリはほんの少し違和感を抱く。
 だが状況が状況と納得して、当たり前のように切り出した。

「では勇者様、これからの目標ですが」
「……うん」
「僕としては、やはりこの首輪を外すのが先決かと。
 どうにか調べてみようとも思いましたが、僕の魔法知識ではどうにもこうにも……
 いやはや、申し訳ない。ということで、ひとまず技術者を探して手を貸してもらうべきだと。
 もちろんその道中で、殺し合いに積極的な輩は倒して、罪なき人々は何としても保護をですね」

 ここまで来て、ユーリは一呼吸つけようと顔を上げる。
 その時になって、やっとミレニアが俯いていることに気が付いた。
 浮かんだ疑問を言語化できずに目を見張っていたユーリに、ミレニアは静かに口を開いた。

463ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:20:50 ID:Ptz5ntgM0

「ねえ、ユーリ君」
「は、はい」
「どうして、あたしが人を守らなきゃいけないんだろうね」
「それは――」

 普段周りに見せていた明るい表情との違いに、ユーリは口篭ってしまう。

「勇者だから、でしょ」

 自嘲気味な笑みと入り混じった言葉に、やはりユーリは返せない。
 何か言わねば取り返しの付かないことが起こる。
 感覚でそう分かっていながらも、記憶と現実の勇者のギャップに戸惑うことしかできなかった。

「ずっと、誰にも言わなかったんだけどね、あたし……勇者になんてなりたくなかったんだ」
「…………っ?」

 言葉を詰まらせるユーリに構わず、ミレニアは続ける。

「普通に、本当にただ普通に暮らしたかった。でもね、あたしにはそれが許されなかった。
 父さんのせいで、勇者の血筋なんかのせいで、特別だったせいで。
 無理を通せば何とかなったかもしれないけど、でも裏切れなかったよ……
 母さんも、王様も、友達も、街の人も、名前も知らない国の人だって、みんな勇者を信じてるんだもん。
 みんなが世界を救う勇者を描いてたから…………本当のことなんて明かさずに、旅を終えた。
 実際のあたしなんて、魔王どころかスライム相手でも腰が引けてたのにね。どうにか隠そうと必死だったよ」

 泣き出してしまいそうな少女の声で、ミレニアはくすりと笑った。
 ミレニアのことを鋼の心を持った勇者と思い込んでいたユーリは、状況を理解しきっていない。
 左足を這う異物の感覚で、何とか思考螺旋から現実へと帰還した。

「――なっ!?」

 左足を確認したユーリの瞳に映ったのは、数十匹もの赤い小型カブト虫。
 正しくは虫型の機械にして、対ワーム用兵器『マイザーボマー』。
 ミレニアが左腕に持つ『ゼクトマイザー』から射出されていたのである。

「でも、もう疲れたよ。
 ついに終わったと思って、ようやく戦わずに済むと信じてたもの……」

 虫型兵器を振り払おうと呪文が唱えられるより早く、マイザーボマーが炸裂した。
 成虫ワームを対象として開発されただけあって、その威力は凄まじい。
 豆粒ほどのサイズの甲虫が絡み合った結果、ユーリの左太腿から先が消し飛んだ。
 爆風の衝撃で階段から転げ落ちたユーリは、仰向けに倒れて動かなかった。

「……ごめんね」

 別に、ミレニアは彼女の仲間を嫌ってはいない。
 一緒に旅をしてくれた分、感謝している。
 それでも彼女の中では、平和に生きたいという欲の方が強かっただけのこと。
 だから彼女はユーリに詫びてから、再びゼクトマイザーに手をかけた。

464ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:21:17 ID:Ptz5ntgM0


 ◇ ◇ ◇


 落下中に、左足が爆発で炭になったのが見えた。
 灰になるスーツを配られたかと思えば、今度は炭とは。
 これは、いったい何の因果か。
 ……なんて、下らないこと考えてる場合じゃないな。

 さっきのカミングアウトには、さすがに度肝を抜かれた。
 僕だけじゃない、リバーだって驚くだろう。ラムザはちょっと分からないけど。
 まだ僕らがルイーダの酒場にいた時、彼女が女だからって小馬鹿にしてた輩は少なくなかった。
 そのことが、僕とリバーはたまらなく気に入らなかったんだ。
 何も知らずに、性別だけで決め付けていることが。
 いま思えば、僕らもアイツらと変わらないじゃないか。

 ――――勇者の血筋ってだけで、勝手に彼女の人物像を決め付けていたんだから。

 他人の思いを背負って旅に出ることを決意した優しい少女が、自らの性格まで偽ったって何もおかしくないじゃないか。
 だってのに、いつも一緒にいる仲間たちまで勘違いしていた。
 僕らの幻想にあった勇者像を、彼女に背負わせていたんじゃないか。
 勇者の末裔である前に、一人の少女である彼女に。
 自分より他者を優先した、心優しい彼女に。
 周りは分かってないだとか知ったような顔をして、一番背負わせていたのは僕らなんだ……っ。
 勇者の血筋に生まれただけの、チームで一番幼い少女に無理をさせていたんだ。
 こっちの思いは背負わせておきながら、彼女の隠していた苦悩に気付かずにずっと一人で持たせたままだった。
 …………なんて、情けない。
 勇者一行で最も年上で、盗賊から賢者になった成り上がりだなんて持て囃されていたのに。
 一番身近で、一番重荷を背負った少女に気付かない。
 こんな男のどこが賢者だ。
 そんな賢者なんて名乗っている愚者の横で、彼女は一体いつから嘘も溜息も抱え込んでいたんだ。
 決まっている。ずっとだ。出会った頃には、もうすでに。
 誰も勘付いてやれなかった。それこそ明かされるまでだ。
 あんまりにも不甲斐ない。

 ――――でも、だからこそこのまま諦めるワケにはいかないな。

 階段の上に見える少女の瞳には、光はなかった。
 広がっているのは、ただただ闇。
 あれこそが偽りない真実の彼女なのだろう。
 抱えた思いを晒すことができずに、一人で悩んでいた少女。
 あんなか細い姿を見せられては、なおさら死んでなんていられない。
 遅れたのなんて、承知の上だ。
 もっと早くやっておけと言われては、何も言えない。
 けど、今からでもいいから、どうか背負わせて欲しい。
 このまま勝ち抜いても、優しすぎる彼女は悲しんでしまうと思うから。

―― Standing By ――

 『913』と変身コードを入力してから、エンターキーを力強く押す。
 小型のカブト虫が迫っているが、距離を取ってからの変身など片足が喪われたので不可能だ。

「変身!」

 説明書に書いていた言葉が、僕に力を与えてくれる気がする。
 錯覚にすぎないとしても、後押ししてくれるのならありがたい。

―― Complete ――

 体内に侵略してくる毒素の感覚に苛まれながら、カイザブレイガンを遠距離攻撃モードに展開する。
 引き金に力を篭めたままで、虫へと銃口を向け続ける。
 ブレードモードならともかく、こんな武器の心得はない。
 しかし連射したままで固定し、虫の一匹だけにでも命中すればいいのだ。
 掠っただけでも虫は爆ぜる。そうすれば、その破片に触れた別の虫だって爆ぜる。
 それでも、何体かは誘爆を免れるだろう。
 一向に構わない。

「バギクロス!」

 爆破の衝撃で虫の進攻が遅れた分、こちらは魔力を練り上げる時間ができる。
 全方位を包むような竜巻が収束すると、眼前には一匹の虫も存在しなかった。
 いるのは、たった一人の優しすぎた少女だけだ。

465ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:21:46 ID:Ptz5ntgM0


 ◇ ◇ ◇


 左手に持った長老の杖に体重をかけて、カイザとなったユーリは立ち上がる。
 単なる左足喪失ではなく焼失であったのが、逆に彼にとって幸運だった。
 止血のために、余計な魔力や暇を割かずに済んだのだから。

「どう、して……?」

 紡がれた疑問とともに、またしてもマイザーボマーが放たれる。
 ミレニアに当たらぬように注意して、カイザはマイザーボマーだけを撃ち抜こうとする。
 銃撃を逃れた二割は、爆発呪文で起爆より先に四散した。
 片足に杖なので僅かずつだが、カイザは階段を上っていく。

「どうして!? 私は普通に暮らしちゃいけないの!?」

 絶叫じみた声を張り上げて、ミレニアはさらにゼクトマイザーを操作する。
 これまでの倍の甲虫型爆弾に囲まれ、カイザはカイザブレイガンを構えた。
 またしても釣瓶打ちから上位攻撃呪文を唱えるが、数匹逃してしまい爆破を直接受けてしまう。
 強化スーツの上からとはいえ、ダメージは半端なものではない。
 けれどもカイザは後退せずに、ひたすら階段を上り続ける。
 次にマイザーボマーを放っても、その次も、取りこぼしを身に受けても足を止めようとしない。

「くっ!」

 このままではジリ貧だと踏んだのか、ミレニアは意識を集中させる。
 魔力を搾り出して放つのは、忌み嫌った勇者の血筋である証の呪文。

「ギガデイン!!」

 ザビーゼクターが飛び出した穴から見える外の景色が、暗くなっていく。
 雲が集まってきたらしく、地鳴りのような低音が上空より響き渡る。
 勇者一行として旅をしたユーリには、これから起こる事態が想像できた。
 耳をつんざく轟音と同時に、ナジミの塔の天井が砕け散った。
 分厚い壁を貫いたのは、激しく光り輝く紫電の矢。
 いかに科学が発展しようとも、いかに魔術が発展しようとも、永遠に人々の脅威たる自然現象。

 ――――イカズチ。

 極力目立ちたくないという思いすら忘れて紡がれた呪文により、ナジミの塔には大きな穴が開いてしまう。
 砂埃が消え去り、次第に塔内が認識できるようになる。

「な、んで……?」

 目を見張るミレニアの前には、カイザが立ち竦んでいた。
 マイザーボマーにより強化スーツに傷こそ入っているが、ライデインのダメージは見受けられない。
 ミレニアは数秒呆然としてから、カイザの背後にいるモンスターの存在を察知した。
 二足歩行する岩のような体表のモンスター、その鼻に生えた角が電撃を纏っている。

(あのモンスターにライデインを受けさせた!?)

 その考えは正解。
 彼女もユーリも知らぬサイドンという名のモンスターは、周囲の電撃を受け止めるという特性があるのだ。
 もともとはGOD戦闘工作員の支給品であったが、ユーリが回収して説明書に目を通しておいたのである。

「――まずい!」

 必殺の電撃を回避された原因に唖然としていたミレニアは、我に返って腹切りソードを振るう。
 思案を巡らせていた間に、間合いにまで入り込まれていたのだ。
 腹切りソードは、刀身を展開したカイザブレイガンに受け止められた。
 本来はユーリよりも、ミレニアの方が剣の扱いに長けている。
 だが咄嗟に放ったこともあり、現在のミレニアの一撃には重さがなかった。
 刃同士が拮抗していたのはたったの数秒、やがて腹切りソードはあらぬ方向へと弾かれてしまう。

「そん、な……」

 普通の生活を得ることなく、命を落としてしまう。
 そんな未来に絶望し、ミレニアは瞳を閉じる。

466ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:22:30 ID:Ptz5ntgM0

 ――――彼女が感じたのは痛みではなく、全身を覆う温もりだった。

 意味が分からなかった。
 ゆっくりと双眸を開くと、背中へと手を回して抱き締められていることに気が付く。
 まったくもって理解できずに顔を上げると、視界に入ったのは変身を解除したユーリの顔であった。
 その瞳は尊敬する勇者を見つめるものではなく、守るべき民へと向けていたもの。

「ごめんな……」
「え…………?」
「勝手に、重荷を背負わせちゃってたなぁ……いまさら遅いのは分かってるけど、本当に悪かった」

 その口調は敬愛する勇者へのものではなく、他の仲間たち相手の時のように。

「なあ……もう、一人で抱え込まないでくれよ。
 僕だって大したヤツじゃないけど、それでも四人みんなでなら背負えないものなんてないと思うから」

 表情を固めたままのミレニアの頭を、ユーリの大きな手が撫でた。
 ミレニアが、はっと目を見開いた。

「疲れたなら頼ってくれよ……仲間、なんだからさ」
「…………ぁ」

 勇者として人前で漏らさなかったような声が、ミレニアの口から零れる。
 大きすぎる期待を全て抱えていた少女は、ついに自分が欲しかったものが何なのかを理解した。
 勇者としてではない、ミレニアとして他人に見て欲しかったのだ。
 だというのに、彼女は自ら勇者であろうとしてしまった。
 自分を表に出さずに、理想の勇者を演じてしまっていたのである。
 彼女は、怖かったのだ。
 背負うことのつらさを知っているがゆえに、他人に自分を背負わせることが。
 そんなことにも気付かず、彼女は自分の血を呪った。
 行動に移せなかった自分の方ではなく。

「あ、ああああぁぁ…………!」

 言葉にならない言葉をあげて、ミレニアの二つの瞳から液体が溢れ出す。
 しゃくり上げるような声は、民衆が夢想する勇者からは程遠い。
 けれども、それがユーリにはたまらなく嬉しかった。
 背負ってばかりだった少女が、やっと自らの重荷を手放してくれたのだから。
 たまには、このように立ち止まるのも悪くはない。
 そんなことを思っていると、足場が大きく揺らいだ。

「まさか!?」

 ユーリの脳裏を過った最悪の可能性を肯定するように、壁全体に亀裂が走る。
 ザビーゼクターにより壁に小さな穴が開き、マイザーボマーの起爆が一面を焼付け、勇者全力のライデインが直撃した。
 また誰も知らないことだが、反射された己の魔法によりフランという錬金術師が壁に埋め込まれていた。
 壁に異物が存在するだけで脆くなるというのに、尋常ではない衝撃が加わったのである。
 ナジミの塔は、もう限界であったのだ。
 ミレニアの方も、そのことは察した。
 でも、もういいか。そんなことを考えていた。
 さっきまで気付かなかった欲しかった物が、やっと理解できたのだから。ようかく手にすることができたのだから。
 少し前まであった生き延びようとする意思が、ミレニアからは掻き消えていた。

467荒野を渡る風ひょうひょうと ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:24:03 ID:Ptz5ntgM0


 ◇ ◇ ◇


 崩壊したナジミの塔の瓦礫の中で、うごめく影がある。
 一つは、ユーリがライデイン対策とした出しておいたサイドン。
 岩の類による衝撃には滅法強く、いち早く瓦礫を弾き飛ばして地面を踏み締めている。
 そして――――

 巨大な岩盤が勢いよく吹き飛び、その陰に隠れていた二人の姿が露になった。
 勇者ミレニアと、彼女を抱えるカイザである。

「凄い、ユーリ君……」

 浮遊感に襲われながらも、ユーリはカイザフォンにコードを入力して変身を完了させたのだ。
 そのまま空中でミレニアを抱えて、瓦礫の雨から守り切った。
 あまりに驚異的な動作に、ミレニアは感嘆の声をあげる。
 もともと戦闘は好きではなかったが、彼と一緒に打倒ノアを目指すのも悪くないかもしれない。
 そう、思い始めていた。

「ゴメン」

 そんな考えを見透かしたかのように、ユーリは切り出す。
 軽い口調だというのに、なぜかミレニアは心がざわつくようなものを感じた。

「もう、ダメみたいだ」

 カイザの変身が強制的に解除されてしまう。
 ユーリの水色の髪と違って、冷たいものを感じさせる青白い炎がユーリを覆っていく。
 熱さはないが、足元から身体が消え行くのは理解できた。
 何が起こったのか理解できていないミレニアの前で、ユーリは無理矢理に笑顔を作る。
 全てを背負ってきた彼女なら、自分の無茶までも背負ってしまうかもしれない。
 そうなって欲しくないなと思いつつも、もはやユーリには何もできない。
 ルビスの祝福により体内に埋め込まれた、オルフェノク因子に似た何かはもう存在しないのだから。
 ひたすら最高位回復呪文を唱えてくれる少女の口元を押さえて、ユーリは笑みを崩さない。
 せめて笑って死んでいけたなら、残された者の苦しみは軽減されると信じて。

 ――――数秒の後、その場には灰の山だけが残った。

468荒野を渡る風ひょうひょうと ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:24:25 ID:Ptz5ntgM0

 手の上に乗る灰を前に、ミレニアは呆気に取られるしかなかった。
 残されたカイザギアとデイパック内の説明書から、灰となった理由は理解できた。
 だからこそ、呆けるしかないのだ。
 背負わせてしまったからこそ、あの結果。
 ならば、自分など背負わせてはならないのではないか。
 そんなことを考えていると、サイドンの咆哮が耳朶を打った。
 何らダメージを受けていない様子が、ミレニアを苛立たせる。

(ユーリ君が死んだのに、なんでこんなモンスターが……っ!)

 小さな苛立ちが膨らみ、理不尽な憎悪と成り果てる。
 ユーリが落命したのに、あのような知恵なきモンスターがのうのうと生き延びている。
 その事実が、ミレニアはどうにも気に入らなかった。
 ゆえに、誰のいないはずの空間に左手を伸ばす。
 飛び跳ねるようにして半緑半茶のバッタ型機械『ホッパーゼクター』が、瓦礫の山から飛び出してきた。
 背負わせてしまった人が死ぬのなら、もう背負ってもらわなくていい。
 もう光を掴もうなんて思わない。ただ、気に入らない相手を蹴り飛ばせればいい。

「……変身」

 本来のホッパーゼクターの持ち主と同じ考えを胸に、ミレニアはホッパーゼクターを腰に巻いた『ゼクトバックル』に装着した。

―― HENSHIN ――

 表面となった緑の半身が、妖しく光を放つ。
 展開された六角形の金属片が、マスクドライダーシステムを構成していく。

―― Change Kick-Hopper ――

 闇色のボディスーツに全身を包み、上半身を刺々しい緑のアーマーが覆う。
 同じく緑色のマスクの口部分だけが金色で、瞳は血液じみた真紅。
 左脚には、バッタのそれを連想させる金色の特殊兵装『アンカージャッキ』が備え付けられている。
 ゼクターの電子音声を察知したサイドンが、キックホッパーと化したミレニアに襲い掛かる。
 この場における主人であるユーリがいないので、もはやサイドンを止められるものはいない。

「ライダージャンプ」

 迫り来る岩石の巨体を気だるそうに眺めて、キックホッパーはゼクターの後脚を上げた。

―― RIDER JUMP ――

 唱和するような電子音声に続いて、ゼクターから緑色のエネルギーが左脚へと集束していく。
 金色のアンカージャッキが弾かれ、地面に強烈な衝撃が走った。
 そのパワーの源であるキックホッパーは、遥か上空へ。

「ライダーキック」

 俊敏性に優れていないサイドンは対応しきれず、上空を見据えるしかできない。
 キックホッパーは、上げたゼクターの後脚を勢いよく落とす。

―― RIDER KICK ――

 両足をサイドンの頭部に向けたキックホッパーが、空中で加速する。
 一度の蹴りで鉱石のような上半身にひびを刻み、再び跳躍。
 空中で身体を反転させて二蹴目を放つと、サイドンの全身に亀裂が走った。
 そして三撃目――サイドンは完膚なきまでに砕かれ、塵となって大気へと溶けていった。
 ゼクターを引き剥がして変身を解除したミレニアの瞳には、宿ったはずの光は跡形もなかった。



【ユーリ(男賢者)@ドラゴンクエスト3 灰化確認】
【グリーンのサイドン(支給品)@ポケットモンスター金銀 死亡確認】

469荒野を渡る風ひょうひょうと ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:24:59 ID:Ptz5ntgM0


 ◇ ◇ ◇


 ユーリに支給されていた陸海両用バイク『クルーザー』を操縦し、ミレニアは水上を走っていた。
 慣れるまで多少かかったが、殆ど覚えたといって差し支えないだろう。
 瓦礫から顔を出していた腹切りソードは、引き抜いて腰に携えてある。
 一方、ユーリであった灰の上に残されでいたカイザギアは、ナジミの塔跡に放置することにした。
 カイザブレイガンを瓦礫の山に突き刺し、カイザドライバーとカイザフォンは立てかけたまま。
 十字架型のカイザブレイガンが、初めてにして最後の自らを背負ってくれた人への墓標に相応しい気がしたのだ。
 灰となって飛ばされた以上、地面の下にユーリはいないのだが、ミレニアはそうしておきたかった。
 感謝と、そして二度と戻らないために。
 光を手にする気なんて、もうないのだから。
 完全なる勇者にも、仲間との調和にも、もはや未練はない。
 前者は元より望んでいなかったし、後者は望めば仲間が倒れてしまう。
 だったら、彼女は欲することすらやめることにした。
 何もない彼女は、ただひたすらに光が気に入らない。



【一日目・午後/D−3 水上】

【ミレニア(女勇者)@DRAGON QUEST3】
[状態]:健康、クルーザーを運転中
[装備]:腹切りソード@METAL MAX RETURNS、夢見るルビー@DRAGON QUEST3、ホッパーゼクター&ゼクトバックル@仮面ライダーカブト
    クルーザー@仮面ライダーX、ゼクトマイザー&マイザーボマー(110/200)
[道具]:支給品一式×2、ビームライフル(12/30)@魔界塔士SaGa、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考]
基本:背負われたくない。
1:移動。
[備考]
※参戦時期はロトになった後です。
※ホッパーゼクター@仮面ライダーカブトに、使用者として認められました。



[影響とかの備考]
※ナジミの塔が崩壊しました。
※ギガデインやナジミの塔崩壊が周囲から確認できたかは、以降の書き手に任せます。
※カイザギア(カイザフォン、カイザドライバー、カイザブレイガン)が、D−3ナジミの塔跡に放置されています。
※長老の杖@FF3が、ナジミの塔跡に埋まっています。
※フラン(クラッズ・錬金術士・女)@剣と魔法と学園モノの死体が、ナジミの塔跡に埋まっています。

470 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:26:01 ID:Ptz5ntgM0
投下完了。
容量的には分割ではありませんが、内容的に途中で切りました。

471 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:27:22 ID:Ptz5ntgM0
あ、時間は午後じゃなく夕方でお願いします。

472 ◆MUMEIngoJ6:2010/02/20(土) 23:54:41 ID:Ptz5ntgM0
ギガデインのはずが、ライデインになってる……
また今度wikiで直しますorz
推敲したのになぁ

473右手にインド人チャラチャラ:2010/02/21(日) 01:28:07 ID:HRyF97ms0
執筆お疲れ様でした!

>ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから+荒野を渡る風ひょうひょうと
いきなりの全開バトルでカイザktkr! カイザスラッシュ(ゼノクラッシュ)の描写が重厚でカッコいいなぁ。
仲間でも払拭できなかった血筋への先入観を理解して動いたユーリも、じつにカッコいい。
「性別で決めつけない」優越感を直視した時点で折れても仕方ないだろうに、よくもミレニアと、自分の愚かさを背負ったぜ……。
ユーリに背負ってもらえたミレニアと、ニムやサマンサを背負うことにしたアルスの対比も効いてて上手い。
しかし、優しさゆえに、ユーリを喪ったミレニアは独り行くか……ギガデインといいカイザギアといい、
自分たちが動いた結果だからこそこれは救えない。一度は光が宿ってただけに、ライダーキックが切なかったです。
ラストでカイザブレイガンが十字架になるところは、DQ世界の十字架との繋がりもあって綺麗な演出でした。
しかし節目の50話で、W勇者がここまで綺麗に対になってしまうとは思わなんだ。
燃えとか鬱とか通り越して、読了後は胸がいっぱいになりました。これはすごく良い話だぜ!

そして、ライデイン→ギガデインの修正は、ひとまずこちらでやっておきました。
雑多スレのほうに詳細をまとめますが、抜けがあったらゴメンナサイですー。

474 ◆69O5T4KG1c:2010/02/22(月) 02:22:50 ID:CvFJWFK.0
さて、やるか。
アセルス、ヨハン、ヴィクトール、レオナルド、ナイトハルト、クリスティーナで予約します。

475右手にインド人チャラチャラ:2010/02/22(月) 02:23:30 ID:CvFJWFK.0
えっ、違うスレ開いてたwwwww
申し訳ないッ!

476右手にインド人チャラチャラ:2010/02/22(月) 08:03:35 ID:Dk85fMXc0
起きたらびっくりしたw
頑張って!w

477右手にインド人チャラチャラ:2010/02/22(月) 20:14:30 ID:dta8hznE0
69氏、無銘に馴染みまくりだwww
本家もがんばー

478右手にインド人チャラチャラ:2010/02/23(火) 01:32:06 ID:8jpAG.FY0
溜まってた感想を一気に!

>My Love's Sold
レッドがポケモンマスターなのに絶望感満載な件についてwwww
イムさんは感覚の違いに気がついたけど……?

>上手くズルく生きて
神代さんマジぱねェっすwwww
生き残るための算段がついている分すごく怖いぜ……
ブシコの成長フラグも……期待!

>三者激動――(惨劇)
グリーン!!
そしてミレニアの仲間とエースの仲間。
それぞれがそれぞれ良いポジションのキャラで美味しいぜ!
だから……ネリシアさんこわいですから歯を出さないでkudasai

>Leap the precipice
算術描写がすごい!
なんていうか本当に計算尽くしで生きている感じがしてる!
気品ある香りを撒き散らしながら歩くジャガン……www

>ハートに巻いた包帯を僕がゆっくりほどくから
もう背負わなくていい……やばいズシっとくるぜ……
上にも上げられてるアルスとの対比が本当に綺麗に出来てる!
光を行く勇者と影を行く勇者……両者ともどうなることやら

さて、自分もちょっと短めに投下します!

479剣客、吐血に斃れる。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/23(火) 01:32:37 ID:8jpAG.FY0
「そういえば、はんたさんはノアを倒したことがあるって言ってましたよね?」
太陽の光が柔らかく差し込む森の中を歩きながら、シュウははんたへと問う。
「ああ、確かに俺はノアの奴をぶっ潰したことがあるぜ。
戦車に乗って、アクセルとダイナマの二人と一緒にな。
戦車がありゃあ、アイツに勝てないことは無い……ぜ」
嘗ての仲間達の姿と共に、ノアに立ち向かった時の姿を思い出したはんたの表情が少し曇る。
確かに、自分達がノアを一度破壊したのは事実だ。
しかし、それは整備の行き届いた戦車の力を借りて成し遂げた事だ。
もし、あの時三人とも生身で立ち向かっていたなら?
結果は考えなくても分かる。シルクハットの男と同じ末路を辿っていただけだ。
今後、最終的にノアと戦うのだとすれば戦車を一台ぐらいは確保しておきたいところだ。
しかし、こんな場所で戦車なんて本当に手に入るだろうか?
多少の破損なら直すことが出来るが、大破している戦車を見つけても自分ひとりで直すのは厳しい。
……アクセルが居れば、話は変わってくるのだろうが。
「大丈夫ですよ! どうにかなりますって!」
シュウが満面の笑みで自分を励ましてくる。
自分がネガティブな思考が全て見透かされているようで少しだけ恐怖を覚えた。
「……そうだな。まずは仲間を集める、だったな」
シュウの励ましに、ここは笑顔で答える。
不安な要素はたくさんあるが、今はそれを考えても仕方がない。
「過去のことを思っちゃダメです、未来のことも思っちゃダメです」
そうだ、今を一所懸命生きるのだ。
シュウがまた自分の思考を見抜いているかのように語りかけてくるが、二回目は無視をしておく。
「ああ、それと……ちょっと聞きたいことがある」
はんたは少しだけ気になっていたことを聞くことにした。
あどけない笑みを浮かべたシュウがこちらを向いている。
「なんで、その話術士ってのになろうと思ったんだ?」
シュウは笑顔を崩さずにはんたの疑問へと答える。
「簡単ですよ」
ピタりと立ち止まり、筒から黄色い球を一球取り出すシュウ。
「言葉です、言葉が一番の武器なんですよ」
真っ直ぐとはんたの瞳を見据え、大きく振りかぶる。
「どれだけ強大な力を持っていようと、どれだけ暴力を振るおうと、どれだけの物を渡そうと、意味はないんです。
本当にその人の心を動かそうと思っているなら、言葉で通じ合わなきゃいけないんです」
シュウの手から高速の球が射出され、はんたは思わず右手で球を受け止める。
「相手に自分の気持ちを受け取ってもらわなきゃいけない。
不器用な人はそこに物をあげたりしますけど、そこに言葉がなければ意味がないんです。
最後に相手の心を動かすのは、言葉なんですから」
受け止めた際に後ろに少し下がってしまったのは、球が速かったからではない。
自身の重さだけではなく、別の「何か」がどっしりと乗せた球がはんたへと響く。
「ほらね? 言葉は強いでしょ」
何かをかみ締めるはんたを見て微笑みかけるシュウ。

「……なんでお前はなんていうかその、前向きって言うか、そんなに熱いんだ?」
その後、頭に浮かんだ言葉を思わず口にしてしまう。
はんたの言葉に歩き出そうとしていたシュウの足がぴたりと止まる。
マズいことを言ったと直感的にはんたは感じ取る。
最初会った時の様な空気になって来た、暑い、暑すぎる、汗が流れるぐらい暑い!
「それは……勿論」
そこまでこの場所は暑くないはずなのに、はんたの全身から大量の汗が流れ出る。





「熱いから熱いんだよ!」





言わなきゃ良かったと、はんたは強く後悔する。

480剣客、吐血に斃れる。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/23(火) 01:33:36 ID:8jpAG.FY0





その後しばらく黙って歩いていたのだが、思わず息を呑む出来事が起こる。
血溜まりの中で倒れ伏している一人の男性を見つけ、はんたとシュウは即座に動く。
「おい、大丈夫か?!」
はんたが声をかけるも、男は血を吐くのをやめない。
男は弱弱しい声で何か言っているのだがそれを聞き取ることは出来ない。
もう一度声をかけようかと思ったとき、シュウが既に男の両肩を持っていた。
「諦めないでください! 諦めないでくださいよ!」
はんたがこの地に来てから三度目の光景。
「今までの関わってきた人たちの事思ってみなさい! 応援してる人のこと思ってみなさいって!」
男の口から誰かの名前が途切れ途切れに伝えられる。
「はっきり言いなさいよ! 想う事があるなら、生き延びてその人にちゃんと言わないとダメじゃない!」
血の塊を吐き出し咳き込み続ける男に対し、シュウは血塗れになっても言葉をかけるのを辞めない。
「ねえ! 諦めないでよ! 諦めんなよ!!」
シュウの呼びかけも空しく、最後に自分の顔ほどの血塊を吐き出して男は死んでしまった。

しばらく男の死体の傍に座り込み、涙を流すシュウ。
はんたも飛行帽を深く被りこみ、追悼の意を示す。
せめて安らかに眠れるように、二人はその場に墓を作ってやることにした。
剣をスコップ代わりに使い、少しずつ土を掘り返して穴を作った。

人一人が入るぐらいの穴を作り終え、男を埋めた後に墓標代わりとしてボールを墓の傍に添えた。
「……行きましょう、はんたさん」
「待ってくれ」
墓を作り終えて歩き出そうとするシュウを呼び止めるはんた。
「こいつの支給品を頂く、こいつの分もあのクソ野郎に一発カマさなきゃいけねーからな」
そう言って男のデイパックを漁るはんた。
中から出てきたのはなにかの翼と一枚のマント、そしてもう一つ……。
「これは……金属探知機?」
「それはどういうものなんですか?」
少し怪しげな機械をまじまじと見つめるはんたに、シュウは問いかける。
「なんだ、探知機を知らないのか?
……説明するより実際に使ったほうがいいか」
はんたは金属探知機のスイッチを入れてから、自分の首へと近づける。
機械が首へと近づくにつれて甲高い音を大きく響かせる。
「ま、こういう風に金属に反応して音を立てる機械だ…………ん?」
機械の説明を終えたところではんたがそそくさと飛行帽を外し始める。
そしてもう一度金属探知機を自分自身へと近づける。
金属探知機が甲高い音を再び響かせた時、はんたの表情が険しくなっていったのがシュウには理解できなかった。
「……はんたさん?」
「俺達の状況は思ったよりマズいかもしれないな」
金属探知機の電源を切り、はんたは自分の頭を指差してシュウに説明する。
「首輪以外に頭部にもう一つ反応がある……つまりだ。
 俺たちはどうやら金属の何かを頭に何か埋め込まれてる。
 何時、どうやって、何のために埋め込んだのはわからねーが、ノアがくだらねーこと考えてるのは明らかだな」
頭をトントンと叩き、次にシュウの頭へと金属探知機を近づけるはんた。
シュウには分からなかったが、はんたの顔が曇っていることからシュウの頭にも金属が埋め込まれているのは分かった。
「なあ、シュウ」
次にはんたは翼とマントを持ち、シュウへと話しかける。
「この翼を投げれば遥か上空に飛べるらしい、その後このマントで空を滑空する。
 ……そんなことが出来るとは思えないが、ここはやってみるしかない。
 まずはここがどういう所なのかを掴んでおきたいからな。
 ひょっとしたら俺の世界や、お前の世界に繋がってるかもしれない。
 そのどちらでもないとすれば……その時また考えればいい」
人間が空を飛ぶ、そんな馬鹿なことが出来るわけがない。
普通の人間ならそこではんたを否定するだろう。
しかしシュウは違う。彼女の頭には「無理」だとか「諦める」だという言葉はない。
はんたが「やる」というなら、「できる」で返すのが彼女だ。
「ヤツをぶん殴るためにはいろんなことを知らなきゃいけない。
 首輪もそうだし、頭の金属もそうだ、この場所もアイツの支配下なら知らなきゃいけない。
 ……何が待っているかは分からないが、それでも着いてくるか?」
ならば、彼女の返事は一つしかありえない。
「ええ、もちろん」

シュウが自分の体を掴んでいるのを確認してからはんたはキメラの翼を放り投げる。
上空に舞い上がったところではんたが勢い良くマントを広げる。
マントが風を受け、はんたとシュウの体がふんわりと浮く。

人が本来存在することの出来ない遥か上空で、はんたの眼には何が映っていたのだろうか。

481剣客、吐血に斃れる。 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/23(火) 01:33:50 ID:8jpAG.FY0
【E-2 上空  一日目 午後】
【シュウ(女話術士)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:熱い
[装備]:テニスボール(筒入り、12個)@現実、ティンカーリップ@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:打倒ノアを絶対に諦めない。
1:た、高い! あはぁ〜ん
2:はんたと行動、戦車を探す。
3:同じ志の者がいれば勧誘、説得。
4:知り合いがいれば合流
[備考]
※アクションアビリティ投げる、その他アビリティ不明。
※参戦時期不明

【はんた(ハンター)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:健康
[装備]:フレイムソード@FINAL FANTASY、平和の鉢巻@METAL MAX RETURNS、風のマント@DRAGON QUEST II
[道具]:支給品一式、スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券@現実、金属探知機@METAL MAX RETURNS
[思考]
基本:ノアをもう一度潰す。
1:会場の仕組みを調査
2:シュウと行動、戦車を探す。
3:メカニック、ソルジャーと合流。
※参戦時期はED後、ノアを倒しとうちゃんにハンター引退を告げた後です。
※頭に何かを埋め込まれているのを確認しました。
※滑空中です、夕方までには着陸する予定です。

【橘右京@サムライスピリッツ 死亡確認】

482 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/02/23(火) 01:34:44 ID:8jpAG.FY0
投下終了です。
風のマントで二人以上の重量を支えられるのはSFC版DQ1・2の攻略本イラストにて確認しています。

483右手にインド人チャラチャラ:2010/02/28(日) 11:48:13 ID:sxs8TnI.0

感想遅れた。とうかおつー

>剣客、吐血に斃れる。
うーむ、やはり戦車を必要と考えるか……
プレイ動画の知識しかないけど、戦車なしだとかなりきつそうだしなぁ
それにしてもシュウがやたら熱い。でも熱いんだから仕方ない
そんでもって、右京さんwww
なぜだろう、右京さんにしては長生きしたほうだと思えるのは
しかし頭部の金属か。うーむ

484 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:30:03 ID:2K8bmkmU0
投下します

485デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:30:41 ID:2K8bmkmU0
キャタピラが音を立てながら戦車を運び、アリアハンの大地に似合わぬ跡をつける。
研究所がずっと隠していた新型の戦車を手に入れた米倉京太郎はとても上機嫌だった。
彼が知る戦車と言う物は一人では動かせない。
車を操るもの、機銃を放つもの、指示を出すもの。
それぞれがそれぞれの役割を果たさないと戦車というものは役に立たない。
もし、一人でも怠ければ戦車は即座に鉄の戦車と化すだろう。

しかし、この新型戦車は違う。
たった一人、たった一人でいい。
操縦席にたった一人座るだけで全てのことが出来てしまう。
彼の知る戦車からは到底考えもつかない快適な環境。
目の前に広がるのは画面に映し出された辺りの景色。
空調設備も整い、主砲も副砲もこちらの指示一つで発射することが出来る。
試しに撃ってみた副砲からは弾丸が飛び出し、一本の木をあっという間に蜂の巣にしてしまった。
照準だけは自前で合わせる必要があるが、戦場を生き抜いてきた彼にとっては造作も無いことだ。
一つだけ怪しいスイッチがあることが気になったが、触らぬ神にたたり無しということで触らないことにした。
「全く歪みねえ戦車だな、あぁん?」
戦車の性能をたっぷりと満喫していた頃に、レーダーに反応が現れる。
ざっと数えて五つ……と言った所だろうか。
反応を見つけてからすぐ後に、画面には複数の人影が映る。
ちょうどいい、と米倉は口を歪める。
見えてきた人影にゆっくりと照準を合わせ――――



世界には必ず悪が"ツキ"ものだって、忘れかけてる頃に奴はフラッと来て言うんだ。



オレは"ツイ"てないがな。



畜生が。



「一体何を考えてらっしゃるんですか?!」
姫みたいなドレスに身を包んだ女に、オレは両肩を掴まれて前後へと揺さぶられる。
問い詰められているのはオレの背後で血に塗れてくたばってる男に関してだろう。

486デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:31:00 ID:2K8bmkmU0



少し、前の話になる。
「よう、反吐が出るほどの曇り空だな!」
片手にナイフを持った男はそう言って俺に近づいてきた。
ムカつくぐらい晴れ渡った空だというのに何を考えているだろうか。
こういう頭のネジがぶっ飛んだクレイジー野郎に関わるとロクな事が起こらない。
あのクレイジー野郎神代でさんざん噛み締めた経験だ。
だから、最初は無視しようと思っていた。
「おいおい、無視しないなんていい奴だな!
 俺の話を聞かないでほしいんだが、どうだ?」
男はオレを引きとめるように肩を掴んでくる。
言ってることとやってることが違う男に苛立ちながらオレは多少乱暴に腕を振り払う。
そのままバッくれてどっかに行こうと思ってたんだが、男はそれでも食い下がってきた。
「まあゆっくりするなよ、俺は殺し合いなんてやってられないと思ってる。
 だから、殺し合いなんてしないで皆で助け合って行こうぜ!!」
男の接し方にウンザリしきっていた俺は男の話を殆ど聞いてなかった。
それが命取りになるとは、俺自身思っていなかった。
俺が男の言葉の本当の意味に気がついた時。

一本のナイフが俺の目の前を横切った。

「そうだ、人を殺さなくても生き残れないはずが無いぜ!」
俺の頬から血が流れるのを感じ取り、デイパックから急いで唯一の武器であるヒノカグヅチを取り出した。
俺に憑いているラーの力を借りて振り回すのがやっとのこの剣だが、今はどうこう言っているじゃねえ。
この嘘つかしけない男を追っ払うには、今はコイツに頼るしかないからな。

とはいえ、男の太刀筋は大したことはない。
これなら塔の悪魔達の方がもう少しマシな攻撃するぜ。
ひょいひょいと攻撃を避けて俺は男を黙らせるチャンスを伺う。
「へへっ、全然強くねえじゃねえか!」
裏返しの男の言葉は聞き流す、真意は分かってるからだ。
男の息が上がってるのは分かるし、何より襲ってきたときより余裕が無い。
恐らく不意打ちが失敗したんでハラを決めて襲い掛かったものの、思っていたより強かったってートコだろ。
見え見えの攻撃がひたすら繰り返される現状に、俺はだんだんとウンザリしてきた。

そんなときだ、男が俺から距離をとったのは。
そろそろ逃げるつもりになったんだろう、と俺は男の方を見ていた。
すると男は懐から一本のビンを取り出して俺の方へと投げつけてきた。
「ビール……瓶?」
投げられたのは俺も何度か見たことのあるビール瓶だった。
フケまくっていた物理の授業で習ったような軌道を描き、俺の元へと向かってくる。
鉛直投げ上げ運動だったかなんだったかは忘れたが、瓶が頂点に達したとき異様な違和感を感じ取る。
中に詰まっているのはよく見る黄金の光り輝くビールじゃなくて、異彩を放つ緑色の液体。
それに気がついて引き下がろうとしたときには、ビール瓶は地へと落ちる寸前だった。

俺の目を突き刺す閃光と抉れて行く地面。
ギリギリで避けられたものの、爆風で体勢が崩れちまった。
光一色に染まった視界がだんだんとあたりの景色を映して来たとき。

当然、目の前にはナイフを持った男が今にも斬りつけんとした姿勢で俺の目の前にいた。

反応自体はごく普通だった。無意識に力が込めてヒノカグヅチを横一直線に薙ぐ。
悪魔に囲まれてすごしていたあの塔ではこれぐらいしないと生き残れない。
もちろん、あの時は向こうも殺る気だったから俺だってそれ相応の反応が必要だ。

ただ、今回は人間が相手だ。
俺自身が無力化できればいいだなんて甘っちょろいことを考えていた所為かも知れない。
悪魔相手のいつもと同じように反応し、全力で剣を振るえば普通の人間が耐え切れるわけがない。
ましてや、振るった剣がヒノカグヅチなら当然のこと。

ヒノカグヅチは切り傷からあっという間に男を炎で包み込んでしまった。
消し炭と化していく男を、俺は止めることが出来なかった。
男は炭となった後でもその体から火を立てている。
火が消えるまで俺は男の体をずっと見ていたのだ。

「ねえ、あなた……ッ!!」
そんな時だ、女の二人組がここに来たのは。

487デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:31:17 ID:2K8bmkmU0



「一体何を考えてらっしゃるんですか?!」
学生服の男に詰め寄り、両肩を掴んで揺さぶるローラ。
「やめなさいよ、ローラ」
「サクヤさんは黙っててください!
 ……あなたはあの目玉の言う通りに、人を殺して回ろうというのですか?!」
後ろにいる女竜騎士、サクヤを一喝して学生服の男を揺さぶり続けるローラ。
学生服の男はローラの揺さぶりにも動じず、俯いて黙ったままである。
「それが……それがどれだけ愚かしいことなのか分かっているんですか?!」
「ローラ、いいからちょっと落ち着きなさいよ」
一向に引き下がる気配のないローラを力尽くで男から引き剥がし、ローラと男の間に割り込むサクヤ。
「ちょ、サクヤさん?!」
「いいからあたしに任せときなって」
暴れているローラを宥め、後ろでじっとしている様に指示をする。
ローラが不満を顔に浮かべながら引き下がったのを確認し、サクヤは学生服の男に話を持ちかける。
「いきなり悪かったわね、私は竜騎士サクヤ。こっちがラダトーム国のローラ姫よ」
「……明、宮本明だ」
「ま、本題に入ると……そこの消し炭になってる男は貴方の仕業ね?」
明は制服の皺を直しながら、サクヤはもう一度ローラを宥めてから軽い自己紹介をお互い行う。
間髪いれずにサクヤは男へ問いかける。
「……ああ、まあそうなるな」
明は頭を掻きつつ、バツが悪そうに答える。
「正当防衛だった、っつっても信用してくれないだろうな」
「まあアンタがもし積極的に殺して回ってる人間だったら、さっきローラが掴みかかって行った時にもう消し炭になってるでしょうね。
 だとすれば、正当防衛っていう可能性も考えられるんじゃない?」
少しずつ、男との会話のキャッチボールが成り立ってくる。
これをチャンスと見たサクヤは一つ提案を持ちかけることにした。
「で、もし貴方さえ良ければあたし達と一緒に行動して欲しいんだけど……」
「な、何言ってるんですかサクヤさん!!」
人殺しを犯した人間と共に行動する。もちろん、その提案にローラが黙っている訳が無い。
やれやれと呟き、頭を抱えながらサクヤはゆっくりと振向きながら話しかける。
「……あのねえ、今までのやり取りを聞いてたら――」
サクヤは振向く途中で驚くべきものを目にする。
おそらく、サクヤの方を向いていたアキラも同じものを見ていたに違いない。

巨大な砲弾に攫われて行くローラの姿を。

途中で砲弾はローラの胴を切り裂いた後に海中へと落ち、小さな水柱を立てる。
遠くに見えるのは腰から上と下で切り裂かれたローラの体のみ。
何が起こったのかを理解するまでサクヤは時間がかかってしまった。
「マジかよ……」
明が砲弾が飛んできた向きを見つめ、絶望の表情を浮かべながら呟く。
その方向からやって来たのは、自身の車体を血で染めたような紅い、赤い悪魔だった。

488デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:31:43 ID:2K8bmkmU0



目の前に広がる白い宇宙の中、吸い込まれてくのさアイツの重力に。



じゃあな、ボウズ……つ、い、て、た、な…………。



なぜ、自分は今ここにいるのだろう?
ゴメスの策にハマって命を落としたはずの自分が何故ここに居るのだろう?
ここが死後の世界なのだとすればブラックすぎるジョークだ。
死んだ後に人を殺せと言うのだから、悪趣味以外のなんでもない。
しかし、殺し合いを強制するあのノアという機械に関しては心当たりがある。
噂に聞いていた程度だったが、確か世界に核を打ち込み大破壊を引き起こした張本人のはずだ。
実在していることに関しては別に驚きはしない。
問題は、死んだはずの自分をどうやってここに呼び寄せたのか?
どこかのサイエンティストが死体を蘇らせる発明をしていると言うのを聞いたことがあるが、ノアがその技術を使うのは納得が行かない。
人類を破滅させるのが奴の目的なら、なぜ死んでいる自分を蘇らせるのか?
「……考えていても仕方が無い、な」
次々に湧き上がる疑問に対し、いちいち考えていてもキリが無い。
とにかく、もう一度生を受けてしまった以上は今後と言うものが付きまとってくる。
「ニーナ」
思い出したように恋人の名前を呟く。
生前、世界中を駆けずり回って捜し求めたたった一人の恋人。
その所為で自分は命を落とすことになったのだが、それに関して後悔は無い。
「居なきゃいい、がな」
彼がただ願うのは恋人の無事。
こんなふざけた殺し合いに参加させられていないことをただ、祈るだけである。

ああ、ニーナ。ドコに居るんだ?

ふと、気がつけば辺りの景色は森林から平野に変わっていた。
どれだけ長い間歩いていたのだろうか?
そんなことを考える間もなく、彼の耳に小さな破裂音が入ってくる。
破裂音の方へ素早く振向くと、一本の水柱が聳え立っているのが分かった。
恐らくダイナマイトか何かの類が爆発したのだろうと彼は頭の中で決め付ける。
「なん……だと?!」
水柱よりももう少し左の光景。
彼はその光景に驚かざるを得なかった。いや、彼だからこそ驚いたのだ。
そこには見慣れた頼もしき相棒、レッドウルフの姿があったのだから。
「……武装が少し違うとはいえ、あのシャシーは間違いない。レッドウルフ……!!」
武装は多少劣化しているとはいえ、自分の戦車がどれだけ強力なものなのかは自分が一番知っている。
その戦車の主砲の先には人間が二人、武器を構えて戦車へと立ち向かおうとしていた。

戦車の標的になってしまった人間が助かる確率は少ない。
生身で立ち向かえばどうなるか、それも生身で戦車に立ち向かった自分が一番知っている。
装備が身軽であれば機銃の餌食になる。逆に重装備ならば主砲の餌食になる。
どう足掻こうと助かる確率は低い、そんな人間は放っておけばいいのに。

自分は走り出していた。

何故かはわからない。
ただ、あの時レッドウルフを託したあの少年なら。
あの少年ならこうするだろうと、思ったからかもしれない。

489デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:32:04 ID:2K8bmkmU0



「畜生! 埒あかねえぞ!」
血混じりの唾を吐き捨てながらアキラは叫ぶ。
ローラの体を真っ二つに引き裂いた戦車は留まることなく次の標的を二人へと変えてきた。
無尽蔵に吐き出される22mmの銃弾がアキラたちを襲い続ける。
明の唱えたテトラカーンにより今銃弾が彼等を貫くことは出来ないが、明の魔力もそこまで多いわけではない。
テトラカーンを唱えながら逃げることも出来ないことはないが、村に逃げ込んだところで民家ごと吹き飛ばされるだろう。
森に逃げ込んでも樹木を薙ぎ倒しながらあの戦車は迫ってくるだろう。
どの道、逃げ場なんてモノはない。具体的な打開策が無い限りは魔力を絞られるだけ絞られて蜂の巣にされるのがオチだ。
どういったわけか今は機銃から銃弾が吐き出され続けているだけである。
だからこそテトラカーンでなんとか応対できるものの、主砲を打たれてはどうなるかもわからない。
流石に爆風をも跳ね返す、と都合のいいことは起こってくれないのだ。
「おい、サクヤ。てめぇなんとか出来ねえのか?!」
「無茶言わないでよ! 槍が通用するとも思えないし、黒魔法でどうにかなる相手でもないでしょう?!」
自分の持っている細い槍であの鉄の固まり相手に何とかなるとも思えない。
マクスウェルやナイトウのように術の心得がある人間ならまだ何とかなるかもしれないが、生憎自分は魔法の類の知識を持ち合わせていない。
大空に舞い上がった所でずっと滞空できる訳も無い。地面に落ちたところを狙われて蜂の巣にされるのがオチだ。
今の自分にあの鉄の塊に対抗する術は……ない。
「魔法か……だったら俺に考えがある。空飛べるっつってたな、何秒ぐらい飛べる?」
「……いいところ15秒かしらね」
「上等だ、俺が合図したら思い切り飛び跳ねてくれ」
サクヤは明が魔法を使うことが出来るということが最初は信じられなかった。
しかし、銃弾を弾き飛ばすと言う未知の魔法を目の前で繰り広げた瞬間にそのイメージは払拭された。
今の明なら、本当に何とかできるかもしれない。
そんな確信を胸に、サクヤは明が指を鳴らした瞬間に広い大空へと舞った。
「食らえクソ野郎……メギドラァッ!!」
野球選手がボールを投げるように振りかぶったアキラの右手から紫色の炎が飛び出る。
炎は瞬く間に銃弾を突き抜け、機銃を目掛けて一直線に飛んでいく。
しかしアキラ自身の魔力があまり高くないことが原因してか、炎が戦車の強靭な装甲を突き破り機銃を破壊することは叶わなかった。
テトラカーンが時間切れを起こし、銃弾が明の肉を引き裂いていく。
急いでテトラカーンを詠唱するも、血に染まった制服はボロボロになりかけていた。
「ちょっと! 大丈夫?!」
詠唱が終わると同時にサクヤが着地し、明の下へと駆け寄る。
「……メギドラであのザマかよ、洒落になんねーな」
血の混じった唾を吐き捨て、ヨロヨロと立ち上がる明。
「テトラカーンもあと数回だ、持って30分……か。サクヤ、お前はどうすんだ?
 俺がぶっ放した魔法も一発でアレだ、銃弾が切れる気配もねーからテトラカーンは切れねえ。
 かといって俺がくたばりゃ銃弾を避ける術は無いだろうな、空中に逃げ続けることが出来れば……話は別だが。
 アンタが空に長く居れば居るほど、ヤツは着地地点を見極めてくるだろうな」
具体的な打開策は無い。
そのことを改めて突きつけられた二人の顔に絶望の表情が浮かぶ。
戦車がいつ主砲を撃ってくるか分からない、戦車に近づけば何か変わるかもしれないが一定の距離を保ったまま近づこうとしない。
「万事休すね……ん?」
全てに絶望しきったとき、一人の男がサクヤの視界に映る。
「おい! こっちだ!!」
男の声が聞こえたのと同時に、一瞬で辺り一面が煙幕花火による煙で包み込まれる。
瞬時に明を抱え、サクヤは声の聞こえた方へ飛んだ。



「……梃子摺ってるようだな」
そこには派手な黒い服に身を包んだ赤髪の男が立っていた。
「見りゃ分かんだろ、オッサン」
「フッ、負け犬は良く吠えるな」
男の対応に怒りを表すアキラだが、サクヤがそれをギリギリで止める。
「ともかく、あの戦車を何とかしないと俺らは蜂の巣だ。
 煙幕花火で目くらまししてる間に何か打開策を見つけなきゃいけない、違うか?」
正確に今の問題点を指摘された二人はぐうの音も出ず、黙り込んでしまう。
「……あの戦車は元々俺のだ、どこが強くてどこがダメなのかぐらいは分かる。
 アレをぶっ潰すなら俺の指示通りにしろ、いいか?」

490デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:32:54 ID:2K8bmkmU0



米倉京太郎の顔には焦りと怒りが浮かんでいた。
主砲の試し撃ちを兼ねて、メルヘンやファンタジーに出てきそうなドレスを身に纏った女性を吹っ飛ばした所までは良かった。
学生服の男がこちらに気がついてからは状況が一変したのだ。
どれだけ銃弾を打ち込んでも学生服の男と奇抜な格好をした女を蜂の巣にすることが出来ないのだ。
一時だけ銃弾が学生服の男を貫いたようだがそれでも命を奪うには至らなかった。
主砲を打ち込めば良かったのだが、ほぼ無尽蔵に弾丸が用意されている機銃とは違って主砲は弾数に限りがある。
試し撃ちした一発を除いて、あと四発。
これから先どれだけの戦闘が待ち受けているかもわからない、ここで貴重な主砲の弾を無駄遣いするわけには行かない。
米倉が我武者羅に機銃を打ち続けていた理由はそこにあった。

しばらく機銃を撃ち続けた辺りで、辺りの景色を映し出す画面が灰色に包まれた。
それと同時に戦車内にも煙が入り込んできたのだ。
稼動していたオートエアコンのお陰で操縦席が煙に塗れる事は無かったが、視界が一瞬でも塞がれたのは事実。
煙が晴れた頃には学生服の男と奇抜な格好の女は居なくなっていた。

米倉は急いで戦車を動かし、忽然と消えた二人の姿を探す。
辺りの景色からしても姿を消す場所の大体の見当はついている。
時間はそこまで経っていない。女の方が空高く舞い上がれるとしてもそこまで遠くには行っていないだろう。

米倉の予想通り、森林から先ほどの学生服の男が出てきた。
ありったけの銃弾を放つが、先ほどと同じように学生服の男を切り裂くことはない。
主砲を撃つべきか? 撃たないか?
そんなことを悩んでいるうちに画面に映るもう一人の人影に気がつく。
あの奇抜な格好をした女性が一本の槍を持ち、空へと飛び立っていた。
機銃で迎撃してもいいのだが、機銃の手を緩めれば学生服の男が先ほどの紫の炎を放ってくる。
炎が装甲を引き裂いていった事実はコンピュータが告げている。
しかしここであの女性を打ち落とさないと、操縦席の中に入り込まれかねない。
やむを得ないと判断した米倉は、素早く主砲のスイッチへと手を伸ばす。

その時、女の口元が歪んで見えたのはきっと錯覚ではなかったのだろう。
主砲のスイッチを押し込んだその時、女は手に持っていた槍を手放したのだ。
やがて、コンピュータが移しこめる範囲の外へと女性はフェードアウトしていく。
その姿が丁度見えなくなったとき、何かが爆発する音と同時に米倉の体が大きく揺れる。
それとほぼ同時に、操縦席に一筋の光が差し込んできたのだ。
本来光が遮断されているはずの操縦席。そこに光が差し込んでいる……ということは。

入り口となるハッチが空いているのだ。

そう、米倉は知らない第三の人物。ウルフが中へと入り込んできていたのだ。
「よう、俺の戦車で好き勝手やってくれてるな」
機銃の囮を明が担当し、主砲の囮をサクヤが担当する。
サクヤが主砲に槍を投げ入れたのは危機を感じ取った彼女が咄嗟に取った行動であり作戦外のことだったが、ウルフの作戦に支障はない。
機銃、主砲の的に自分がならないことが目的なのだから。
戦車の内部から映りこまない角度から回り込み、見事操縦席の入り口へとたどり着いて見せた。
中で操縦していた米倉と対面し、静かに刀を構える。
「話は全部聞いてる、お前を救うコトは俺はできねーな」
光を感じ取った米倉がデイパックから武器を出すよりも先に、ウルフの刀が突きつけられる。
「あばよ、負け犬」
米倉には、自身の首へと迫るウルフの刀がやけにゆっくりに見えた。
「あああああああああああああああああ!!!」
彼は叫ぶことしか、出来なかった。

491デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:33:42 ID:2K8bmkmU0



ズブリ。



ウルフが米倉の首をはねたと同時に感じ取ったのは、自分の心臓が貫かれる感触だった。



「チッ、手間かけさせやがって……」
銃弾の雨が止んだのはテトラカーンを使う魔力が切れる寸前のことだった。
しかし一度メギドラを撃つために受けた傷から流れ出た血が、明自身が思ったよりも多かった。
攻撃が来ないことを悟ると、明はヒノカグヅチを手放してその場に倒れ伏した。
そして空を見上げ、ゆっくりと拳を掲げて笑う。
「……ザマぁ見やがれ」
そう呟いた後に戦車の方へと向くと、サクヤが車体から降りこちらへ向かってくるのが見えた。
「終わったのか……ウルフは?」
「戦車の調子が悪いからって言うんでメンテナンスしてから来るそうよ」
主砲を壊した上にメギドラを機銃目掛けて放ったのだ、ダメージが無い方がおかしい。
これから戦車を運用していく上ではメンテナンスの一つも必要なのだろう。
「コレからどうするんだ」
「そうね……」

明は倒れたままサクヤに今後どうして行くかを問いかける。

明がその時のサクヤの表情がおかしかったことに気がついた。

返事は、彼女がもう一本持っていた竜槍を心臓に突き立てることで代えられた。

「……私はなんとしてでも生き残るわ」
サクヤは竜槍を引き抜く。
肉を引き裂く音と共に明の心臓から血液が溢れ出す。
「使えるべき人がいるの、こんなところで死ねる訳ないじゃない」
何かを言おうとしている明の喉を目掛けて槍をもう一度刺す。
ご丁寧に突き刺した後に抉り込む様に竜槍を回した。
「もっとラムザ様に尽くして、尽くして、尽くしきって死ななきゃいけないのよ」
弱弱しく伸ばされた明の腕をあらぬ方向へと蹴り飛ばす。
普通の人間なら叫び声を上げるような痛みが走るのだろうが、喉を潰されている所為で明は声が出ない。
「ローラと行動してたのは彼女を盾として使うつもりだった。ま、事実盾にはなってくれたけどね」
最後にもう一度、脳みそを目掛けて槍を突き刺す。
竜の鱗すら貫く槍にとって、人間の頭蓋骨を貫くことなど容易い。
「って、言っても聞こえてないでしょうね」
最後に明の死体を足で転がす。
首と胴体がほぼ離れかけていた所為か。明の体だけが動き、顔はサクヤを見つめたまま硬直していた。
「じゃあね、バイバイ」
脳髄、血液、肉。
全てを自身から零している明だったものに一瞥し、彼女は歩き出す。

492デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:33:56 ID:2K8bmkmU0










ズガガガガガガガガガガッ。










【ゾゾ街の人@FINAL FANTASY VI 死亡】
【ローラ@DRAGON QUEST 死亡】
【米倉京太郎@スーパーファミコンウォーズ 死亡】
【ウルフ@METAL MAX RETURNS 死亡】
【宮本明@真・女神転生if... 死亡】
【サクヤ(女竜騎士)@FINAL FANTASY TACTICS 死亡】

※A-3の平野にゾゾ街の人の死体の傍にナイフ@FINAL FANTASYIII、基本支給品、不明支給品(0〜1)
  ローラの死体の傍に基本支給品、不明支給品(0〜3)
  アキラの死体の傍にヒノカグヅチ@真・女神転生if...、基本支給品、不明支給品(0〜2、武器ではない)
  ヘーベルの死体の傍にピースメーカー@真女神転生if...、竜槍ゲイボルグ@Romancing Sa・Gaが放置されています。

493デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:34:45 ID:2K8bmkmU0
こうして、この場に生きている人間は存在しなくなった。
明を襲った男は死んだ。
ローラも死んだ。
米倉も死んだ。
ウルフも死んだ。
明も死んだ。

そして、勝利を確信したサクヤも死んだ。



ここで問題なのは誰がサクヤを殺したのか? ということだ。
消し炭になった明を襲った男が蘇るとも思えない。
体を真っ二つにされたローラが生きている訳もない。
米倉はウルフに首をはねられている。
ウルフはサクヤに心臓をやりで貫かれている。
明もサクヤに心臓を貫かれている。

そう、明を殺した時点で生きている人間はサクヤしかいなかったのだ。

では、誰がサクヤを殺したのか?



簡単なことである。



レッドウルフだ。



では、何故レッドウルフはサクヤの命を奪うことが出来たのか?

その理由は、レッドウルフに搭載されていたコンピュータユニットにあった。

――ノアシステムNo.R

ノアの名を持つ理由は分からない。

あのノアと同じシステムが使われているのか、あのノアが自分で生み出したシステムなのかは分からない。

ただ、コンピュータユニットにはあるものが組み込まれている。

「抹殺プログラム」

一度起動すれば辺りの機械、人間問わず全てを抹殺するまで止まらなくなる地獄のプログラム。

起動すれば最後、元に戻す手段は無い。



少し前の話になる。

米倉の首が飛んだ後。

倒れこむ米倉の体は操縦席のある部分を押し込んだ。

それこそが、抹殺プログラムの起動スイッチ。

サクヤが明にとどめを刺し、今から動き出さんとしたその時。

プログラムが完全に起動し、サクヤを蜂の巣にしたのだ。



こうして、アリアハンの大地に「赤い悪魔」は生まれた。

戦車……別名、鉄の棺桶が齎すのは唯一つ。



死。



【A-3 平野 一日目 午後】
【レッドウルフ(新型戦車)@METAL MAX RETURNS(スーパーファミコンウォーズ)】
[状態]:主砲大破、副砲破損、装甲??%、抹殺システムON
[装備]:主砲:165mmゴースト(残弾:3/5)
     副砲:22mmバルカン
     特殊砲A:なし
     特殊砲B:なし
     Cユニット:ノアシステムNo.R
     エンジン:V48ハルク
[道具]:電磁バリア、レーダースコープ、オートエアコン
[思考]
基本:抹殺
※ノアシステムNo.Rの抹殺システムが作動しました。破壊されるまで辺り構わず攻撃を繰り返します。
  止めるにはCユニット、もしくはシャシーの破壊しかありません。
  エンジンを破壊すれば自走は不可能になりますが、攻撃は繰り返されます。
※どこに向かっているかは不明です。参加者を発見次第攻撃します。
※Rウルフの操縦席にはウルフの死体と米倉の死体があります。
※操縦席にウルフ(基本支給品、塵地螺鈿飾剣@FINAL FANTASY TACTICS)と米倉(基本支給品、不明支給品0〜2)の死体があります

494 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/01(月) 03:35:03 ID:2K8bmkmU0
投下終了です、なにかありましたらどうぞ

495右手にインド人チャラチャラ:2010/03/04(木) 07:17:45 ID:jsSr2ae60
おつー

>デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ
うーむ、やられた
一話死亡キャラしかもう出せないのに、こうやって死ぬとは予想してなかった
明がいいキャラすぎて困る。けど、神代じゃあ残念がってはくれなそうだなー
サクヤで某ダディ連想したが、かっこよかったじゃあないか
それにしても暴走戦車支給とか、もはやノアは何考えてるのかと小一時間ry

496 ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:11:35 ID:d6D2s4860
投下しますえー

497キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:12:45 ID:d6D2s4860


「……何のこと、かしら」

 僅かに息を呑んでから、藤林沙理子は淡々とした口調で返す。
 落ち着いた言葉使いとは対照的に、浮かんだ汗のせいで額に髪が張り付いていた。

「二度言わせるな。実力を偽っているのだろう」

 束ねた栗色の髪を風に靡かせ、袴姿の少女が短く告げる。
 E・シズカと名乗った彼女は、いかなる娯楽よりも戦闘を好む侍だ。
 ゆえに彼女は、沙理子の真価を見抜くことができた。
 地球外生命体『ワーム』という正体までは分からずとも、何かを隠していることくらいは読み取れたのだ。

「…………っ」

 シズカの有無を言わさぬ口調に、沙理子は歯を噛み締めた。
 隕石を確認して危険から逃れてきたつもりだったのに、今度遭遇したのもまた危険。
 まず殺し合いに乗り気でない参加者と合流する予定は、立てた端から崩れかけている。
 所持している道具の中で武器になりそうなものは、ブラストガンという電撃を放つ銃のみ。
 スカートのポケットに収めてあるが、それを使用して勝利できるだろうか。
 何せ、沙理子が強者だと知って仕掛けているのだ。
 かなりの強者であろうことは想像に難くない。
 口振りからは掴めないが、ワームであることさえも見破っている可能性もある。
 そのように思案して微動だにしない沙理子の足元に、シズカのデイパックが投げられた。

「得物がないと言うのなら、私のものをくれてやろう」

 腰に携えている刀が一振りあれば、他のものなど必要ではない。
 口に出さずとも言い切り、シズカは童子切安綱の柄に手をかけた。

(どうやら、逃がしてくれる気はなさそうね)

 シズカの動作を確認しつつ、沙理子はデイパックを開く。
 渡された支給品に期待など殆どしておらず、意識は隙を伺うことに集中させている。
 あたかも武器を欲しているかのように、デイパック内に突っ込んだ手を掻き回し――――瞳を見開いた。
 一瞬静止してから、ゆっくりと視線を下ろす。
 入っていたものをまじまじと見つめて、やはり沙理子は固まった。
 そんな反応に、シズカは口元を緩める。
 見知ったものがあったのだと判断して、刀を鞘から引き抜く。
 鬼の首を切り落としたと伝承される刀身が、暮れかけた太陽の燈色がかった光を照り返す。
 呆然としている沙理子の元へと地を蹴り、シズカは刀を縦に振るった。

「ほう……」

 吸い込まれそうな童子切安綱の刀身は、激しく回転する刃に受け止められていた。
 発破をかけるつもりの斬撃だったゆえ体重が乗ってなかったので、刀はやすやすと弾かれてしまう。
 けれども体勢を崩すことなく、シズカは深い嘆息を漏らす。
 使い勝手が悪そうな得物を扱う乱入者に、戦闘狂の血が静かに騒ぐ。

498キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:13:02 ID:d6D2s4860

「大丈夫?」
「え、あ、うん」

 割り込んできた男の背後から、二つの声が聞こえる。
 シズカの知らぬ女性の声に、我に返った沙理子のものだ。

「キャット、少女をつれて戻ってくれ」
「シエロ!?」

 キャットと呼ばれた白服に赤マントの少女が、声を荒げた。
 黒の短髪のシエロというらしい男は、シズカの方を見据えたまま振り返らない。

「そんなに大きな声を出さなくても、君が戦えるのは知っているよ。でもその子は違うだろ」
「だけど……」

 傍らにいる少女の正体になど気付かず、キャットは口篭ってしまう。
 シエロとキャットは、シズカを戦闘力のない少女に襲い掛かった思い込んでいる。
 となれば、そんな相手の近くに沙理子を放置しておくわけにはいかない。
 人質とされれば攻めあぐねるし、何より沙理子が危険である。

「頼む、キミコたちのところへ」

 同志たちの居場所をシズカに悟られぬようぼかして、シエロは再び指示を下す。
 巨大なナイフとフォークを背負ったシエロの背中を暫し見つめて、やがてキャットは受け入れた。
 沙理子の手を握って来た道を戻ろうとして、彼女もまた振り返らずに言い放つ。

「この子をキミコに任せたら、すぐ戻ってくるわよ。
 それまでに勝手に死なないでよね。何せ、盗賊っていうのは――」
「墓守じゃない、かい? 分かっているさ」

 シエロが真紅の瞳を細めて返答すると、キャットの気配が遠ざかっていった。

「追いかけないんだね」
「いま興味があるのは、お前だからな」

 鞘に納めた童子切安綱を握って、シズカは腰を低く落とす。
 飛竜種を思わせる鋭い視線を身に受けながら、シエロは口を開く。
 人であるのだから、飛竜とは違って交渉も聞くはずだと考えた。
 とはいえ警戒を緩めることなく、回転剣を構えたままだ。

「勘違いしているようだが、私はあのノアの戯言などどうでもいい」

 予期せぬ言葉に、シエロは言葉を詰まらせた。
 シズカは、畳み掛けるように断言する。

「ただ、強者と戦えればそれでいい」
「……それをやめてくれ、ってお願いしたいんだけどね」
「ならば、まずは私を止めることだな。話はそれから、だッ」

 言い切るより早く、シズカは思い切り地を蹴った。

499キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:13:34 ID:d6D2s4860


【一日目 夕方/B−2南部 平原】

【シエロ(男性ハンター)@MONSTER HUNTER PORTABLEシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:シエロツール@MHP、連合軍式隊長剣@wizXTH
[道具]:基本支給品、くろこしょう@DQ3
[思考]:守れる者は守る。戦うべき者とは戦う
1:E・シズカを止めたい。
2:キャットと一緒に行動。南下して城に向かいつつ、アルスという名の少年を探す
3:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒
4:殺し合いに乗るのは最後の手段にしたい
[参戦時期]:無印クリアずみ。2ndにデータを継承している(ポッケ村を知っている)可能性あり。
[備考]
※金の短髪、赤い瞳、その他外見は任せます。


【E・シズカ(侍・人間・中立)@ウィザードリィ】
【状態】健康、火傷
【装備】童子切安綱@現実
【道具】なし
【思考】
基本:強者と戦う。
1:シエロと戦闘。
2:あの少女(珠樹)と再戦したい。

500キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:14:44 ID:d6D2s4860


 ◇ ◇ ◇


 圧倒的な才の前に完膚なきまでに敗れたネリーは、レーベの村に向かっていた。
 そこに参加者が集まっていることなど知るよしもなく、単に人がいそうだからというだけである。
 支給された『ドア』を使えば移動時間を短縮できるが、あえて足を動かす。
 ブシド・ザ・ブシエのような参加者がいると分かった以上、やたらめったらに使ってしまうワケにはいかない。
 いくら頭の足りないネリーにだって、それくらいは理解できた。

「あ、そこの人たちー!」

 もうすぐ村に入るというところで、ネリーは声を張り上げる。
 沙理子と彼女の手を引くキャットという、同じくレーベの村を目指す二人を発見したのだ。
 二人でいるのなら殺し合いには乗っていないに違いない、と短絡的に決め付けた。

「あなた……いや、なんでもないわ」

 有里公子に声をかけられた時を思い出したが、キャットは何も言わずに押し黙る。
 近付いてきたネリーを下から上へと眺めていって、切り出すことにした。
 わざわざ声をかけて自分の存在を気付かせるなんて、殺し合いに乗っているとは思えない。
 そう判断したのである。

「あの村の宿屋に、私くらいの歳のキミコって子がいるわ。
 彼女のところに、このサリコを連れて行ってあげて。キャットに任された、って言えば信用してくれるはずだから」

 首を傾げるネリーに、シエロの元に向かわねばならない理由が告げられる。

「だったら、あたしが――」
「何があったのかは知らないけれど、そんな状態じゃ足手纏いよ」

 戦闘の疲労により痙攣している両膝を指差され、ネリーは口を濁した。
 回復しようともせずに、身体に鞭打って村を目指していたのだから当然だ。
 がっくりとうな垂れると、キャットの案に従うことにした。

「あ、あの! これを……電撃が出るみたいなので、役に立つと思います」

 踵を返そうとしたキャットを呼び止め、沙理子はブラストガンと説明書を取り出す。
 最初は断られたこのの、沙理子が助けてくれたお礼だと付け加え、やっと受け取ってもらえた。

「二人ともありがとう。じゃあ、また会いましょう」

 ブラストガンの説明書を目で追いながら、キャットはまたしても同じ道を駆ける。
 陽はもう月に取って代わられようとしていて、たなびくマントの真紅でさえ数刻の後に確認できなくなるだろう。

 ――――生きてるって、気遣いあうのと、迷惑をかけあうみたいなものだから。

 初めて会った時のシエロの言葉が、不意に脳内にフラッシュバックした。
 キャットの顎に力が篭り、歯が軋む音が口内に響く。
 まだ、こちらが気遣われて迷惑をかけただけだ。
 このまま勝手に終わられてしまうのは、なんていうか困る。
 そんな思いが膨らむが、彼女の走る速度が劇的に上がったりはしない。
 分かりきっているはずなのに、そのことがキャットにはどうにも歯痒かった。

501キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:15:16 ID:d6D2s4860


【一日目 夕方/A−2南部 平原】

【キャット(シティシーフ女)@Romancing Sa・Ga2】
[状態]:軽度の混乱、術力消費(小)、マントなし
[装備]:サイコダガー@魔界塔士、ヒールのサンダル@ロマサガ2、555ギア@仮面ライダー555、ブラストガン@FFT
[道具]:基本支給品×2、不明支給品1〜3
[思考]:生存を最優先に行動
1:シエロの元へ戻り、援護。
2:シエロと一緒に行動。皇帝or信頼できる仲間のために、ノアや参加者の情報を集める
3:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒
[参戦時期]:運河要塞クリア前(皇帝に抜け道の情報を渡していない)
[備考]
※天の術法を修めています。

502キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:15:29 ID:d6D2s4860


 ◇ ◇ ◇


 話し終えたプルフォーを、有里公子は優しくだが力強く抱き締める。
 はっきり言ってしまえば、公子には語られた内容がほぼ理解できていない。
 常識であるかのように混ざる単語がまずよく分からないし、声が震えて聞き取れない箇所だってあった。
 しかしそれでもプルフォーの苦しみは見て取れたのだ。
 だったら抱き締めるしかあるまい。誰だってそうするかはともかく、公子はそうする少女なのである。
 一しきり涙を流したプルフォーから離れて、支給されていたミネラルウォーターのボトルをを取り出す。
 コップを取り出そうと食器棚へと向かい、その途中で公子は天井に視線を流した。
 二階に上ったまま、戻ってきた宿屋の主人からは何の音沙汰もない。
 整理しなきゃいけないことが多いことは分かっていたので、一人にしておいたのだが――
 もう一時間が経過して結構経つので、何か話しかけてみるかと考えてコップを二つ手に取る。
 そしてプルフォーの元に戻り、水を注いだ時だった。
 二人の小さな来訪者が、宿屋の扉をノックしたのは。

「そんな、シエロとキャットが……!」

 少女たちから知らされた事実に、公子は目を見開いた。
 まだ別れてすぐだというのに、すでに襲われているとは予想していなかったのだ。
 彼女自身が殺し合いに乗った参加者と出会ってこなかったのもあり、どこか楽観視していたのかもしれない。
 キャットや宿屋の主人から、殺人者の話は聞いていたというのに。

「あの人からの頼みはやり遂げたし、あたしは寝させてもらうよー。
 あたしのこととか話しとかなきゃいけないとは思うし、聞きたいことだってあるけど、まずは体力を回復させなきゃ何の役にも立たないのは分かったから」

 超天才であると思っていた自分が、キャットとシエロの手助けができなかった。
 そのことがネリーに、普段ろくに取らない休息を選択させる。
 階段で宿屋の主人とすれ違ったが、もはや疲労の限界であった彼女には目に入っていなかった。
 二階に到着して、そのまま一直線にベッドに飛び込む。
 消え入りそうな意識の中で、ネリーの脳に自身を助けてくれた男の姿が蘇る。
 本を託されたが、渡すべき人物を未だ見つけ出していない。
 命の恩人の頼みであるというのに不甲斐なく思うが、一度止まったからか身体が動いてくれそうもない。

(起きたら訊くから……いま、は…………)

 ――――よもや少し前に会話したキャットが求め人であろうとは露も思わず、ネリーは意識を手放した。

503キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:15:41 ID:d6D2s4860


【ネリー(ロードナイト)@ラグナロクオンライン】
[状態]:美幼女、疲労(大)、睡眠中
[装備]:破邪の剣
[道具]:基本支給品、古代魔術書@Romancing Sa・Ga2、ドア(あと二つ)@魔界塔士Sa・Ga
[思考]
基本:もっと、もっと強くなる。
0:体力回復。1以降は後回し。
1:とりあえず頼まれたとおり「アバロンの皇帝」に反応する人を探し、古代魔術書を渡す。
2:サラシの女性(ブシエ)ともう一度戦う。

504キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:16:04 ID:d6D2s4860


 ◇ ◇ ◇


「公子……」

 心配そうに見上げてくるプルフォーに、公子は笑顔を返す。
 みんなを守るのが私の役目だからと告げ、放置されていたコップを手渡した。

「えっと、沙理子はいる?」

 自分用であったもう片方のコップを掲げて尋ねるが、いらないようなので自ら口に運ぶ。
 冷たい水が思考をクリアにしていくような感覚を、公子は抱いた。
 先ほど口にした自分の役割を忘れてはならない。
 胸中で自らに言い聞かせ、空になったコップに水を注ぐ。

「あの、ちょっと外で落ち着かせてもらってもいいですか?」
「いいよ。でもこの宿屋から離れないで、あと何かあったら大きな声を出してね」

 扉を開閉する音が響き、室内に静寂が広がろうとする。
 二杯目のミネラルウォーターを飲み干し、公子は宿屋の主人が下りてきていたことに気付く。
 ボトルを片手に首を傾げるが、ゆっくりと首を振られてしまう。
 さすがに三杯目とまではいかず、空になった二つのコップを片付けようと公子は立ち上がる。

(四人、かあ……)

 守るべき人の数を再認識し、コップを握る力が強まっていく。
 ペルソナ使いであり戦う力を持ちながら、シエロとキャットの助太刀に行けない。
 その理由を十分に分かっていながら、公子はもどかしい思いを隠せない。
 宿屋にいる四人にシエロとキャット、どうにか全てを守れないものか。
 そんな考えばかりが、やたらと募るばかりだった。


【一日目 夕方/A−2 レーベの村・宿屋一階】

【有里公子@ペルソナ3ポータブル】
[状態]:健康
[コミュ]:Lv1・刑死者(プルフォー)、Lv1・愚者(ノア打倒の同志たち)
[装備]:ペルソナ装備済(???・数不明)
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いはしない。他の参加者と協力してノアを打倒する。あとコミュMAXゲフンゲフン
1:プルフォー、宿屋の主人、沙理子、睡眠中のネリーを守る。
2:宿屋の主人が気になる。血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒しておく。
3:イゴールさんいないかなー?
[参戦時期]:詳細不明。決戦より前、荒垣死亡後
[備考]
※コミュは絆を築いた相手との間に生まれるもので、ペルソナ合体をした場合に使います。
 だから別に使わないかも(え)。これから増えるかどうかはわかりません。
 コミュコンププレイ中なので、大分股かけてます。
※プロフォーの話を聞きましたが、だいたいしか分かっていません。


【プルフォー@機動戦士ガンダムZZ】
[状態]:錯乱(やや沈静)
[装備]:NT兵用パイロットスーツ@機動戦士ガンダムZZ
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:マスター……?
1:公子を信用。
[参戦時期]:最終回、死亡後
[備考]
※殺し合いのルールと、ノアについての話を公子から聞きました。

505キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:16:15 ID:d6D2s4860


 ◇ ◇ ◇


 宿屋の主人が導き出した結論は、宿屋であり続けるということだった。
 結局、彼にはそれしかできないのだ。
 勇者一行のような戦闘など、いまさら目指したところで不可能なのだから。
 できることは、勇者一行のように輝く意思を持つ人間のサポート。
 ただ、それだけだ。
 勇者一行を、全力でサービスをする。
 それが、宿屋なのだ。
 守られるだけの側ではいられない。だったら、サービスするしかない。
 そろそろ月が顔を出そうとしている。
 時刻にして、約十八時。
 となれば、まずサービスすべきなのは食事であろう。
 風呂は後で沸かしても支障はないが、食欲は満たされなくては行動できない。
 食料が保存されているらしいのは確認済みだ。
 調理道具も発見してある。
 井戸もまた同じく。
 火を起こすのに苦労するほど若くはない。

 宿屋の主人は腰掛けていた椅子からすっくと立ち上がり、台所へと足を運んだ。


【宿屋の主人@ドラゴンクエストⅠ】
[状態]:自身への落胆、焦り
[装備]:ギヤマンのベル@FF3
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜3
[思考]
基本:勇者やその仲間を救う。
1:食事を作る。
2:勇者達を探したい(ジャガン、アルス優先)が……
3:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒。

506キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:16:35 ID:d6D2s4860


 ◇ ◇ ◇


 宿屋の表に出た沙理子は俯いていて、表情を伺うことができない。
 小刻みに身体が揺れているせいで、髪が微かに震えている。


 ――――日本人的な黒い長髪ではなく、短く揃えられたオレンジ色の髪が。


 沙理子が、勢いよく首を上げた。
 いままで隠されていた彼女の表情が露になる。


 ――――プルフォーとまったく同じ顔が、口角を吊り上げていた。


 彼女もまた、プルフォーと同じクローン技術の結晶であるニュータイプパイロットなのだろうか。
 いや、断じてそうではない。
 彼女は、れっきとした地球外生命体『ワーム』である。


 ――――ただ、プルフォーの容姿と記憶を手に入れただけの話。


 ワームの真の恐怖は、その身体能力でも成虫の持つクロックアップ能力でもない。
 完璧に他人に成りすます擬態能力。
 それこそが、ワームの最大の特徴にして最凶の武器。
 容姿と記憶を奪い取り、ワームは勘付かれぬうちに人類に侵略しているのだ。
 この擬態能力があれば、一方的に情報を得ることができる。
 沙理子のようなネイティブは、本来は人類との共存を望んでいる種族。
 だが状況が状況だ。
 生き残るためならば、沙理子は躊躇なく人を手にかけるし擬態能力を悪用する。

(なかなか擬態できないのには困ったけど……やっぱり、ノアは私がワームと知ってて読んだみたいね)

 実は、沙理子はキャットやネリーと行動していた時から、擬態を試みていた。
 けれど、できなかったのである。
 本来なら数秒あれば擬態は可能だというのに、だ。
 走っていたり何か行動している時は不可能なのか、はたまたある程度長い間近くにいなければダメなのか。
 どちらかは分からないが、とりあえず簡単に擬態することは許されていないらしい。

「…………ふう」

 沙理子の体表がさざめき、再び黒髪の少女の姿に戻る。
 プルフォーの記憶から考えて、有里公子は完璧なお人よしだ。
 放っておけば死ぬようなプルフォーを助けるのだから、これは間違いないと言っていい。
 シエロとキャットといい、お人よしが何人も参加しているようだった。
 その事実に、沙理子は笑みを抑えきれない。
 さらに、そのお人よしグループに紛れ込むことができたのも僥倖だ。
 欲を言えば、戦闘力のある参加者が公子以外にいたならなおよかったが。
 しかし、もしもの時の切札は手に入れている。
 沙理子は、シズカに投げ渡されたデイパックへと視線を向ける。
 その中に入っていた道具の一つが、沙理子にとって大当たりといえる武器であった。

507キックOFF ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:16:49 ID:d6D2s4860

 ――――ドレイクグリップとドレイクゼクター。

 マスクドライダーのうちの一体『ドレイク』への変身を可能とするツールだ。
 対ワームのために作られたシステムであるが、ネイティブにとっては心強い装備なのである。
 ザビー、ドレイク、サソードの三種は元よりネイティブが作らせたもの。
 ゆえに資格者でなくとも、ネイティブの命令は受け付けてしまう。
 沙理子は極力戦闘に関わるつもりはないが、万が一の場合の戦力は欲しかったところである。
 その点において、マスクドライダーシステムはこれ以上ないほど相応しい。
 排除できそうならば試みて、不可能ならばクロックアップを使用して逃げればいいのだから。
 キャットにブラストガンを渡したのも、これがあったからだ。
 同じ遠距離用武器で被っているし、試し撃ちをしてみたところブラストガンの威力はドレイクのライダーシューティングには及ばない。
 それに、ブラストガンを譲ったことで信用を得ることもできる。
 マスクドライダーシステムがある以上、安い買い物だと沙理子は見立てた。

「でも、安心はできないわね」

 殺し合いに呼び出される前のプルフォーの記憶から、ノアの言っていた『次元』の意味を理解した。
 擬態による完全記憶コピーがなければ信用できない情報だが、沙理子は真実として受け入れる。
 あれほどまでに奇妙な次元から参加者を呼び寄せたのなら、ドレイクに対抗できる参加者もいるだろう。
 とはいえ、そんな際の対応を出会う前から考えてもしようがない。
 まず取るべき行動は――――
 沙理子の脳内に浮かぶのは、手に入れたプルフォーの記憶の一部。
 殺し合いに呼び出され、公子に出会って意識を失った、さらにその後。
 扉を開けて、再び宿屋の中に入る。
 そうしてさも何も知らないかのような素振りで、怪訝そうな声をあげた。

「そういえば、この部屋何だか甘い匂いがするけれど……
 まるでー……そう、バナナケーキみたいなっ! もしかして焼いたの?」

 カップケーキをたった一つだけ焼くなんてありえない。
 だいたい殺し合いの舞台なのだから、後のことも考えて余分に焼いているはずだ。
 結構日持ちするし、残っているに決まっているっ!
 そう考えている沙理子に、一つだけ支給されたのだと告げられるまであと五秒。


【一日目 夕方/A−2 レーベの村・宿屋一階】

【藤林沙理子(サナギ体ネイティブ)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、人間体
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜2(確認済み)、ドレイクグリップ&ドレイクゼクター@仮面ライダーカブト
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残る。
1:このグループに溶け込む。必要になればドレイクに変身。
2:『藤林沙理子』を演じて、殺し合いに乗り気でない参加者たちに守ってもらう。
[備考]
※プルフォーに擬態可能になりました。無名ロワ53話時点のプルフォーの記憶を全て得ています。

508 ◆MUMEIngoJ6:2010/03/05(金) 21:17:02 ID:d6D2s4860
投下完了。

509右手にインド人チャラチャラ:2010/03/05(金) 21:19:58 ID:FYRHVJUo0
では続きましてみじかーーいのを投下します

510右手にインド人チャラチャラ:2010/03/05(金) 21:20:16 ID:FYRHVJUo0
彼は知らない。
その男がどういう人間なのかを。
彼は知っていた。
その男がどういう存在なのかを。

泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ。
手刀のように揃えた五指で水を切り、黒き戦闘員が青き海を行く。
目指すは北、されど向かう先は南。
偶然にもループに気付いたショッカー戦闘員はそれを利用して数刻前までいたA-3エリアに戻ろうとしていた。
全ては今一度あの男に見えるために。
ポケモンマスター・レッド、彼に再会し、そして……

――指揮を仰ぐために

彼は悩んだ。
何故自分がここまでレッドのことが気になるのかと。
あの少年が人にして人ならざる極地へと登りつめていたからか?
それもあるのかもしれない。
ショッカーに改造され人であることを奪われた彼には二度と到達することのできない一つの極地。
その体現者である少年と戦ったことで人への郷愁が湧き上がってきたことも否定はできない。
また全力を出して戦える相手だったこともある。
ショッカー戦闘員はその半端な強さから常人に圧勝するか、仮面ライダーに瞬殺されるか。
そんな極端な勝負しか体験してこなかった。
初めてだったのだ、自らの全てをぶつけ得る互角の相手と巡り会えたのは。

だがショッカー戦闘員を襲った胸の高まりはそれら二つの“細事”では到底説明しきれるものではなかった。

もっと別の何か。
戦闘員の根底にある何かがレッドを求めていたのだ。

511右手にインド人チャラチャラ:2010/03/05(金) 21:20:46 ID:FYRHVJUo0

何か。
それは従属本能。
組織に絶対服従の駒として改造されたが故にショッカー戦闘員は本能で見抜いたのだ。
レッドが彼ら“道具”に最も必要な存在、つまり使い手であると。
しかもその本能がもたらした天啓は凄まじいものであった。
あのようやっと青年と呼んでいい位の少年をあろうことか戦闘員はこれまでお目通りの叶ったあらゆる幹部よりも優れていると直感できたのである。
本人の戦闘能力が、ではない。
彼ら“道具”を使いこなすその指揮能力がである。

そのことを自覚した時戦闘員は震えた。
徹底的に刷り込まれた組織の駒としての心が歓喜した。
理想的な指揮官へと配属される。
それがどれだけ素晴らしいことであり、どれだけ稀にしか起きないかを彼は経験上心底心得ていたからだ。

誤解しないで欲しいが、何も戦闘員はショッカーへの忠誠を捨て去ったわけではない。
ただ彼が忠誠を誓うのはあくまでもショッカーであって個別の怪人にではない。
怪人の裏切った時に部下の戦闘員までもショッカーに牙を剥かないようそう脳に仕組まれているのだ。
逆を言えば組織を裏切らない限り彼に命令を下せる者の居ないこの島においては独自の行動が許されるのである。
例えばそう、ショッカーと敵対関係ではない第三者である少年を臨時の指揮官と仰ぐことも。

【一日目・午後/A-3 海】
【ショッカー戦闘員@仮面ライダー】
【状態】全身打撲、体力少し消耗
【装備】ミスリルナイフ@FINAL FANTASY、ショッカー戦闘員スーツ@仮面ライダー
【道具】支給品一式、不明支給品0〜1(強力なものは無い?)
【思考】
基本:イーッ!(ショッカーへ帰還する)
1:イーッ!(ポケモンマスター・レッドを仮の指揮官と仰ぐ)
2: イーッ!(参加者を殺す)
3:イーッ!(武器を探す)

彼は確信していた。
レッドの指揮下に入れば優勝へと至れる可能性が格段に上がるだろうと。
彼は目論んでいた。
レッドの指揮能力を学び取ることができれば赤戦闘員としてよりショッカーへと貢献することも夢ではないと。
最終的にはショッカーの利益へと繋がるその二つの思考は改造された脳からしても歓迎できるものだったのだ。
彼は心のどこかで期待していた。
レッドに鍛えあげてもらえるのなら――自分もあの仮面ライダーのようにスペックを超えた強さを得られるかもしれないと。

512右手にインド人チャラチャラ:2010/03/05(金) 21:21:25 ID:FYRHVJUo0
とと、時間帯は夕方で。
短いですが以上です

513右手にインド人チャラチャラ:2010/03/05(金) 21:24:20 ID:d6D2s4860
しむら、タイトルタイトル

514戦闘員が仲魔にしてほしそうにみている:2010/03/05(金) 22:09:50 ID:FYRHVJUo0
で、お願いします。誤字にあらず
そして投下乙です
キックオフのタイトル通りあちこちで状況が動きましたね
カップケーキを求める沙理子に思わず和んでしまいましたがそんな彼女も遂に名実ともに危険分子化
シズカに向かったシエロ達も気になるけど弱さを認めたネリーや宿屋を貫くことにした店主も輝いていました
面白かったです

515右手にインド人チャラチャラ:2010/03/06(土) 13:54:40 ID:Tn1RUgR20
投下乙

>戦闘員が仲魔にしてほしそうにみている
ふむー、こうなるとは
改造されて人として生きられなくなったからこそ、レッドに惹かれるか
格闘やらエスパーやらには人っぽいのもいるし、ポケモンらしいっちゃらしいかもねえw
しかし優勝するのなら、レッドも殺害しなくてはならないのではry
おのれショッカーの脳改造めっw

516 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/11(木) 11:19:36 ID:/OZVNNwoO
一つ提案なのですが、アリアハン組(アルス、ニム、ロシェ)をこのままの状態で放送に行くというのはどうでしょうか?
放送後に移した方が色々と利点もありますし、他のパートの停滞も防止できると思うのですか……
どうでしょうか

517 ◆MUMEIngoJ6:2010/03/11(木) 12:10:42 ID:xsLvjWHs0
別に急ぐ理由もない以上、わざわざ今すぐ放送に行かなくてもいいかと
あのパートは死者が出る可能性も低くないので、変に放送へ行くと以降に支障が出そうなのもありますね
ゲームや特撮などプレイ/視聴に時間がかかる作品が殆どですし、進まないうちに把握のターンにするのも手ではないでしょうか
何にせよ、そんな手に出るには早すぎると思いますね
まだ始まったばかりなのですから

518右手にインド人チャラチャラ:2010/03/11(木) 16:34:05 ID:6h2BumiQ0
ちょっと遅れてましたが、皆さん執筆お疲れ様でしたー。
議論が発議されているけれど、まずはまとめて感想いきますー。

>剣客、吐血に斃れる。
う、右京さんがまた死んでおられるぞぉ!?
タイトルの時点でこの結末を想像するの余裕でしたwww
話術士だからか、シュウは熱いだけじゃなく、キャラの深いとこまで見てそうだなぁ。
キメラの翼と風のマント、この連携も面白いが……首輪だけじゃあすまないか。

>デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ
二転三転して読めないバトルに加えて、これは素敵なデストロイ。
途中から「こいつらは一話死亡キャラ」って認識が抜け落ちてしまいました。
しかし、アキラといいローラといい、彼らが死んで神代やジャガンが揺れるところが想像できねえよw
そしてまさかの自律型戦車――別にこいつがラスボスでも違和感ない気がしてきたぜ!

>キックOFF
この繋ぎというか、情報の処理は上手いなあ。
他人数をこの長さで収めつつ、グループごとに課題を与えたり、悩みを消化させたり。
バトルに待機、それぞれの動向がハッキリ示されたこともあって、この話だけじゃなく次が楽しみになる話でした。
レーベはステルス+赤い悪魔が近かったり、狩人も人間と戦ったり、火種にも困らないんだよなぁ。
あと、最後の沙理子さんは良いオチだと言わざるを得ないw 頑張れ、ちょう頑張れw

>戦闘員が仲魔にしてほしそうにみている
なるほど、そういう見方もあったのか。
戦闘員の「半端な強さ」と、その結果として生まれた戦いの結果は興味深く読ませてもらいました。
使われる側でもあるわけだから、ポケモンとはいえマスター(主人)であるレッドを求めるのも必然、か?
レッドの指揮を仰ぐ≒複数人でゲームを攻略、ってことにもなるかもしれないし、スタンスがどうなるかしら。
短いながらも、色々と濃い要素がたっぷりで面白かったですぜー。

519 ◆MobiusZmZg:2010/03/11(木) 16:42:44 ID:6h2BumiQ0
>>516
……うーん。停滞の一因を作っちまった側としては……申し訳ないとしか。
ただ、停滞を防止するために放送行くっていうのは、◆MUMEI氏と同じく早いと思います。
アリアハン組自体も、死者が出るかどうかは別として、一気に時間軸を飛ばせば
とくにアルス・ニム組が丁寧に繋いでいけないかなーとも考えますし。
心理描写などに比重を置いた繋ぎなどでも、一話挟むだけで急増コンビって印象は拭えますから。

それと、確かにここで放送にいってしまえば、短期的な停滞は防げる(すでに夕方まで
到達したパートを繋げる、書き手の書きたい・書けるパートが増える)とは思います。
しかし、把握が不十分なまま全体の進行度を一気に進めてしまえば、あとで把握不足などから
フラグ・状況が掴めないために、長期的な停滞が来る可能性もあるんですよねぇ。
実際、自分が今書いてないのは未把握のRPGに触ってるからでもありますし。
短期決戦、との話も伺ったことはありますが、やっぱ、話を推し進めるにはある程度の把握も必要で……。
停滞を危惧される気持ちは分かりますけども、長い目で状況を見てみようぜ、ってのが自分の意見です。

520 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/03/11(木) 19:38:06 ID:rN49qIPc0
むむ、やはりちょいと早すぎましたかね。
色々考えててかなり焦ってたみたいです、申し訳ない。

自分も焦らずゆっくり行こうと思います、ご迷惑をおかけいたしました。

521右手にインド人チャラチャラ:2010/03/14(日) 21:30:26 ID:pDZUDXX.0
投下します

522fight or flight 〜闘争か逃走か〜 ◆KuKioJYHKM:2010/03/14(日) 21:32:19 ID:pDZUDXX.0
山岳地帯に、五つの人影があった。
にらみ合うのは闇の戦士、英雄、天使。
それを少し離れた場所から観察しているのは、冒険家とアイドル。
それぞれがそれぞれを警戒するがゆえに、全員がなかなか動けない。
数分時が止まったかのような状況が続いたあと、ようやく五人のうちの一人が口を開く。
それは、全身を血に染めた青年……ロランだった。

「いちおう確認しておこう……。君は今……」

ロランの視線の先にいるのは、水晶の鎧を身にまとった男。もはや自分の名前すら忘れてしまった、闇の戦士。

「死んでもらう、と。たしかにそう言ったね? つまり君は、この島にいる人間を皆殺しにして最後の一人になろうとしている。
 それで間違いはないか?」

とても重傷を負っている人間とは思えぬほどの力強い声で、ロランは尋ねる。
それに対し、闇の戦士は何の迷いもなく答えを返した。

「ああ、そうだ」

予想どおりの答えに、ロランは少しだけ眉をひそめる。

「ならば、君も破壊させてもらう。僕は、破壊者をさらなる力で破壊する者だからな」

ロランが片手で構えた聖剣の切っ先が、闇の戦士に向けられる。
しかし今更敵意を向けられたところで、闇の戦士に動揺はない。

「なるほど、私と君とが戦う理由はあるようだ。だが君は、私だけを相手にしていていいのか?
 君はもともと、そっちの少女と戦っていたのではないか?」

闇の戦士は、眼球のみを動かして黒髪の少女……ナインを見る。

「つまりあなた達二人が戦ってる間に、私が背後から襲いかかるんじゃないかってこと?
 いやだなあ。私、そんなことする人間に見える?」

力のない笑いを浮かべながら、ナインは闇の戦士に向かって一歩踏み出す。

「まあ、大正解なんだけどね」

直後、ナインの口から吐き出された炎が闇の戦士を襲った。
「ひふきげい」。ナインが旅芸人時代に身につけた特技の一つだ。
火炎の殺傷力は、さほど高くない。だが虚を突いた攻撃に、闇の戦士の動きが止まる。
それは、一部始終を見ていたロランも同じだった。
彼の常識では、人間が口から火を吐いて攻撃するなどあり得ないことだったのだ。
二人が硬直している間に、ナインは動く。その目的は追撃ではなく、撤退。
深い傷を負った体を無理に動かし、可能な限りの速さでその場から離脱する。

「待て!」

とっさにナインを追いかけようとするロラン。だがその刹那、彼の頬を剣がかすめていく。

「二人の敵がいる場で片方に意識を集中すれば、もう片方にその隙を突かれる。
 立場は逆転したが、今まさにそう言っていたのだろうが。
 君は目の前の獲物に襲いかかるしかできない、獣というわけでもないだろう?」
「ああ、そうだな。僕としたことが、血が足りなくて思考力が鈍っていたようだ。ご忠告感謝する」

ロランは体勢を立て直し、改めて剣を構える。

「すぐに君を倒して、それから彼女を追うことにしよう。だから君は、速やかに倒されてくれ」
「悪いが、その要望には応えられない。こちらにも、絶対に負けられない事情があるのでね。
 それに……片腕が使えぬ戦士に負けるほど、私は弱くない」
「舐めないでもらいたいな。僕だって、片腕が使えないくらいで負けるほど弱くはない」

自らの言葉を証明するかのように、ロランは手にした聖剣を振るう。
とっさに自らの剣でそれを受け止めた闇の戦士だったが、おのれを襲った予想以上の衝撃によろけてしまう。

「なんと……。これが死にかけの人間の力だというのか……?」

驚く闇の戦士に、ロランは憮然とした表情で返す。

「僕をただの人間と思わない方がいい。何せ僕は……破壊神を破壊した男だからね」


◇ ◇ ◇

523fight or flight 〜闘争か逃走か〜 ◆KuKioJYHKM:2010/03/14(日) 21:33:04 ID:pDZUDXX.0
「はあ……はあ……」

荒い息を整えながら、ナインはその体を地面に横たえる。
血が足りない。体中が痛い。意識が今にも飛びそうだ。

(そもそも……こんな頑張る必要ないんじゃないの? 別に人間滅ぼすのは私じゃなくてもいいんだし。
 何がなんでも生き延びたいって程、生に執着してもいないしさあ)

霧がかかったようにぼやけた意識の中で、ナインはそんなことを考える。
しかし、そんな弱い考えも一瞬のこと。

(ああ……でも……。このままやられっぱなしで死ぬなんても私らしくないか。
 やられた分はきっちり返さないとね)

復讐というどす黒い感情を支えに、ナインは持ち直す。
彼女はハンマーをいったん手放すと、意識を集中し始めた。
やがて彼女の体がうっすらと光り始め、身にまとっていた鎧がはじけ飛ぶ。
ナインが使用したのは、「ダーマの悟り」。
本来ダーマの神殿という場所でしか行えない「転職」を、いつでもどこでも行えるという非常に有用な技能である。
彼女はこれを使用することにより、おのれの職業をバトルマスターから賢者へと変化させたのだ。

「ベホイム! ベホイム!」

転職することによって使用可能になった回復呪文を、ナインはひたすら唱え続ける。
サイクロン号に轢かれたことで傷ついた彼女の体は、少しずつ正常な状態へと回復していった。

「まったく、覚えた呪文は覚えた職業でしか使えないなんて、なんでこんな不便な仕組みなのよ……。
 技は他の職業でも問題なく使えるのに……。
 それにしても、今ひとつベホイムの効きが悪いなあ。ベホマが使えれば手っ取り早いんだけど、あんな高等呪文覚えてないし……」

愚痴を言いつつ、ナインは回復呪文を唱え続けた。
やがて、彼女の傷はほとんどがふさがる。だがその代償として、ナインはかなりの量の魔力を消耗してしまっていた。

「ちょっとぐらい休んでた方がいいかも知れないけどさ……。そういうわけにもいかないよねえ。
 あいつらは……私の手で殺さなきゃいけないんだからさ」

もう一度「ダーマの悟り」を使って職業をバトルマスターに戻すと、ナインは来た道を戻り始める。
その口元に、歪んだ笑みを浮かべながら。


◇ ◇ ◇


(くそっ、どうしろって言うんだ!)

タムラは苦悩していた。彼は今、何もできぬままその場に立ちつくしていた。
彼は当初、逃げたナインを追うつもりでいた。
だがそれは、リリに止められてしまう。
「自分たちから危険人物に近寄るなんて、そんな危ない真似はしたくない」。
涙ながらにそう言われては、タムラも無理に自分の考えを貫くわけにはいかなかった。
ならばと彼は、目の前で行われている戦闘に介入することを考える。
だが、これも実行するには難があった。
聞こえてくる会話から、水晶の鎧の男が殺し合いに積極的であり、青い服の男がそれを止めようとしていることはわかっている。
ならば青い服の方を援護すればいいのだが、話はそう簡単ではない。
戦闘を始めてからというもの、彼らはずっと剣による接近戦を繰り広げている。
これでは誤射が怖くて、銃による攻撃は行えない。
かといって、格闘による接近戦などタムラにとってはまさに自殺行為。まず間違いなく死ぬ。

「ですから、さっきから言ってるじゃないですか。どうせここにいても私たちは役に立たないんですから、逃げましょうよ」
「いや、だけど……。こうして目の前で戦ってる人がいるのに、僕たちが逃げるわけには……」

リリの言うことにも、一理ある。だが、タムラの正義感はここからの逃走をよしとしない。
なんとか、自分にできることを見つけたい。そんな思いを抱きながら、タムラは眼前の戦いを観察し続ける。
そんな中、彼は気づく。戦う二人に向かって飛んでくる何かに。

「危ない!!」

とっさに、タムラは叫んでいた。それに反応し、闇の戦士とロランは反射的に飛び退く。
だが、闇の戦士の反応がわずかに遅れる。結果、彼の脚は飛来物……ハンマーの直撃を受ける。

「直撃させるつもりだったんだけど……。さすがに反応がいいね」

淡々としたつぶやきと共に、一人の少女がその場に姿を見せる。
むろん、ナインである。

「いつの間にこんな近くに……! いくら戦闘に集中していたとはいえ、気づかなかったなんて……」
「別に落ち込むことはないよ。私の『ステルス』は完全に気配を遮断する技。
 肉眼で確認しない限り、どんな達人も察することはできないよ」

524fight or flight 〜闘争か逃走か〜 ◆KuKioJYHKM:2010/03/14(日) 21:33:55 ID:pDZUDXX.0
余裕の、そして黒い笑みを浮かべながら、ナインはロラン達に歩み寄る。

(いつの間にか怪我が回復している……。逃げてから、回復呪文を使ったか……。
 こちらは回復していない分、再戦となると不利……。
 いや、向こうは今、武器を手放して素手! 有利なのはこっちだ!)

瞬時に判断を下し、ロランもまたナインとの距離を詰める。
そして間合いに入ると同時に、上段から聖剣を振り下ろした。
だがその一撃は、ナインの一撃に軌道を反らされる。

「別に、武器がハンマーだけとは言ってないよ。剣は肉を切り裂く感触がいやだから、あんまり使いたくないんだけどね。
 でも、今はそんなこと言ってられないから」
「な……。馬鹿な、その剣は……!」

ナインの言葉は、ロランの耳には届いていない。
彼の注意は、ナインの握る剣のみに注がれていた。
見間違えるはずがない。翼を広げた鳥を思わせる、独特の鍔の形状。
その剣はまさしく……。

「なぜ……なぜ君がロトの剣を使えるんだ! まさか君も、ロトの血筋だというのか!」
「何を言ってるのかわからないな。剣を扱うのに必要なのは血筋じゃなくて、技術でしょう?」

動揺を隠せないロランに対し、ナインの表情は冷たい。
明確な温度差の中、ナインの振るう剣がロランの頭部を狙う。
動揺の抜けきれないロランは、それを回避できない。
彼の側頭部に刃が吸い込まれるかと思われた、その時。
一陣の風が、ロランを突き飛ばした。

「おりゃああああ!!」

風の正体は、タムラ。彼はロランの様子がおかしいのに気づくと急いで彼に接近し、絶妙のタイミングで彼をナインの攻撃から救ったのだ。

「いったーっ! 肩が悪化したか!? ちくしょう、痛いったら痛い!」
「いや、なんで突き飛ばされた方より突き飛ばした方がダメージを受けてるんだ……。
 まあいい、とにかく助けてもらったことには礼を言う」

肩を押さえて悶絶するタムラに困惑しつつも、ロランは彼に軽く頭を下げる。

「ドンマイ! お礼なら、この場を切り抜けてからたっぷり受け取るから!」
「切り抜ける? できるの? 怪我人と耐久力スライム人間の二人だけで。
 後ろにもう一人女の子がいるみたいだけど……。戦力になりそうな感じじゃないしねえ」
「切り抜けるさ。そして、その剣を返してもらう。ロトの剣は、君のような人間が使っていい代物じゃない」
「ずいぶんこの剣にこだわりがあるみたいだね。もう一度言うよ。剣を使うのに必要なのは技術。
 例え聖人が作った剣だろうと、悪魔が作った剣だろうと、自分を磨きさえすれば使いこなすことができる。
 武器はあくまで道具に過ぎない。どんな謂われがあろうと、その善悪は使う者に準拠する」
「これ以上は話しても無駄なようだね」

あくまで臆することなく、ロランは体勢を立て直して今一度剣を構えた。
タムラもその後ろで、痛みに顔を歪めながら銃を構える。

「おっと、私の存在を忘れて話を進めてもらっては困るな」

そこへ響く、新たな声。回復魔法で脚の怪我をいやした闇の戦士が、そこにいた。

「ずいぶんと正直な人だねえ。さっきの私みたいに不意打ちを仕掛ければいいものを」
「なに……。安いプライドというやつさ。同じ相手に何度も奇襲をかけるのはどうかと思ってな」

ナインの挑発を軽く流し、闇の戦士もまた剣を構える。


乱戦、仕切り直し。改めて、彼らの戦いが始まる。


(ああ、もう! なんでわざわざ危ないところに飛び込んでいくんですか!)

そしてその乱戦を、わずかに離れた場所から見守る少女が一人。
彼女はこのまま傍観者の立ち位置を貫くのか。それとも何らかの形で戦闘に介入するのか。
それはまだわからない。

525fight or flight 〜闘争か逃走か〜 ◆KuKioJYHKM:2010/03/14(日) 21:34:37 ID:pDZUDXX.0
【D-4とC-4境 山岳地  一日目 夕方】
【ナイン(主人公・女)@ドラゴンクエストⅨ】
【状態】疲労(中)、ダメージ(小)、魔力消費(中)、職業:バトルマスター
【装備】ロトの剣@ドラゴンクエストⅨ、鉄の鎧@ドラゴンクエストⅢ、うろこの盾@ドラゴンクエストⅢ
【道具】支給品一式×2
【思考】
基本:皆殺し
1:場に居る全員を殺す。


【ロラン(ローレシア王子)@ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々】
[状態]:疲労(中)、重傷、左肩使用不能。
[装備]:エクスカリバー@ファイナルファンタジーⅤ
[道具]:基本支給品、不明支給品×0〜2
[思考]
基本:ノアの破壊。創造する人間を邪魔する人も破壊する。
1:ナイン、闇の戦士を倒す。
2:ロトの剣を取り戻す。
[参戦時期]:本編終了後、ローレシア王から王位を譲られています。


【■■■(闇の四戦士の一人)@FF3】
[参戦時期]:封印中、光の戦士を待っている頃
[状態]:クリスタルメイルを除く衣服に損傷、疲労中、魔力消費小
[装備]:クリスタルメイル@FF5、バスタードソード@DQ3
[道具]:支給品一式×3、ミスリルナイフ@FF3、エリクサー×2@FFT、メガトンハンマー@ドラゴンクエストⅨ
[思考]
基本:いち早く帰還
1:この場にいる全員の駆逐
2:全参加者の殺害
3:サイクロン号で会場中を徘徊して、標的を探し出す。
[備考]
※ジョブは魔剣士。
※名前は忘れてしまっています。


【リ=リリ(セレスティア:アイドル:♀)@剣と魔法と学園モノ。2】
[状態]:良好 音痴
[装備]:メガホン@現実、濃縮メチル@METAL MAX RETURNS、リボン@FINAL FANTASY III
[参戦時期]:不明
[道具]:支給品一式×2
[思考]
基本:優勝して生還する。表立って殺し合いに参加しない。
1:タムラをとりあえず利用する。
2:事の行く末を見守る
[備考]
※自分の歌の下手さに気付いていません。
※D-5エリアに下手糞な歌が響き渡った可能性があります。


【タムラ(主人公)@スペランカー】
[状態]:肩痛い肩痛い
[装備]:モスバーグ M500@現実、髑髏の稽古着@真・女神転生if...
[道具]:支給品一式、スズメバチの巣の袋(未開封)@現実、核爆弾@魔界塔士Sa・Ga
     宝の地図(D-2砂場に印、裏面にZ-G-N-A-と書かれている。)、動きが素早くなる薬@スペランカー
[思考]
基本:全力で生き残る、でも後悔だけはしたくない。
1:現状打破。核爆弾も辞さないかも……?
2:お宝を探しつつリリの護衛。
3:出来るだけ怪我したくない
[備考]
※参戦時期はED後

※閃光手榴弾、サングラス、不明支給品0〜1が山羊さんのデイパックに入ったままです。
※新サイクロン号(一号)@仮面ライダーが地面に転がっていますが、起こせば使えます

526 ◆KuKioJYHKM:2010/03/14(日) 21:35:34 ID:pDZUDXX.0
投下終了です

527右手にインド人チャラチャラ:2010/03/15(月) 13:27:36 ID:eJNdqQJ20
投下おつです!
まだ読めていないので感想は後で書きますね


ではageまして……
月報の人へ

話数(前期比) 生存者(前期比) 生存率(前期比)
56話(+56) 34/74 (-40) 45.9 (-54.1)


以下、注意事項的なものをば

※話数はOP+55話で56としました。OPを含まない方針でしたら、55にしておいて下さい。
※当ロワには『一話死亡キャラはいくらでも出せる』というルールがあるので、次回以降で生存者の分母が変わっている可能性があります。

528右手にインド人チャラチャラ:2010/03/18(木) 20:40:16 ID:Rr8iuhHI0
やっとこさ読めたぜ

>fight or flight 〜闘争か逃走か〜
ナインは自らで殺すのにこだわるか……
落ち着いたらいくらでも転職可能ってのは怖いなあw
FF3の光の四戦士も可能だろうけど、闇の戦士が彼らと同じシステムとは明言されてないからなー
それにしてもロトの剣が9に出ていたとは。8と9は未プレイだけど、やりたくなってくるなぁ……くそう、9を買う金がry
ただでさえ虚弱体質なのにいい人すぎて、タムラさんが凄く死にそ(ry
しかし戦闘力ならマーダー二人に引けを取らないロランも、ロトの剣による動揺+回復した二人相手はきつそうだぜ
加えてタムラを見捨てそうもないし……
どうなるんだ、これ。ああ、こういう乱戦書きてーぜ
9をやってないから、ベホイムを誤字かと思ってググったのは秘密

529右手にインド人チャラチャラ:2010/03/18(木) 20:52:57 ID:tnkXGEsA0
遅ればせながら、執筆お疲れ様でした。

>fight or flight 〜闘争か逃走か〜
なるほど、DQ9仕様のロトの剣か……誰でも装備出来るとなると、そりゃーロランはショックだよな。
闇の四戦士が勇者を不意討ちしなかったのは、プライドか、あるいはブレか。ここも気になる。
タムラが深入りしたとなると、リリも動きにくいだろうし……次がどうなるか楽しみだ。

530 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:39:20 ID:UumFVQBE0
よし、書けた。
闇の四戦士、ナイン、ロラン、タムラ、リ=リリの五人で投下します。

531アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:40:14 ID:UumFVQBE0
【Prima parte: Lento】

 ふむ。
 ――いささか、答えにくい質問だな。
 勝ち方。それは“勝つための最善手”と解釈して構わないのか?
 負けないための方法ではなく、戦わない手段でもなく、必勝法を聞いているのだと。

 そいつは、どうにも……正直な話、愚問と言わざるを得ないね。
 一対一の戦い、たとえば闘技場におけるそれではなしに、不特定多数が最後のひとりを目指すわけだろう?
 バトルロイヤルにおける必勝法を求めるのは、ギャンブルの必勝法を求めるのと同程度に非現実的だ。

 ん? 愚問と言われたのが不服なのかな?
 しかし、こいつは『非ゼロ和ゲーム』そのものと言えるのだから。
 そう。『二人零和有限確定完全情報ゲーム』……チェスのような遊びと、バトルロイヤルは性質が違う。
 前者は参加人数が限定されている。膨大だが、盤面のパターンにも限界がある。自分の有利は相手の不利と分かる。
 だが、後者は人数・手札の組み合わせの双方が未知数。加えて、各々の手札も意図も伏せられているものだ。
 相手にすべき者が複数いる以上――誰かの得が、ひるがえって誰かの損になるとも断言はできないだろう?
『囚人のジレンマ』のように、自分にとっての最善手を打ちあった結果、全員が損をする展開だって起こりうるさ。
 均衡点がイコール最適点ではなく、最適点の設定自体も、相手の出方を見て変動させなければならない――

 おっ、と……失礼。

 要は、状況を先読みしようにも、色んな要素が複雑に絡み合いすぎているんだな。
 相手が有利・不利を計るモノサシも分からなくて当然。だから戦略も最後まで書き切れない。
 そして、スリーフォールド・レピティション――チェスだって同じ状況を三度反復すれば物言いがつくんだ。
 “王手”から延々と逃げ続けられるなんて展開は、実戦においてまずないと考えられるだろう。

 そんなことだから、私はこの問いを愚問と言ったんだよ。
 ケースバイケース。確率論にも魔は潜むもの……と、言い切ってしまえば身も蓋もないんだが……。
 自分がどこに“勝ち”を置くかと考える時点で攻略法そのものが変わってしまうのだから、答えようがない。

 ただ、一国を預かる立場としても、私個人としても、ひとつ断言出来ることはある。
 “命あっての物種”なんて言葉もあるが、どんなふうに勝っても、命を落とせば勝った意味がない。
 たとえ、その死で後に残せるものがあっても同じだ。死に意味付けをしたところで、命を落とした事実は消せない。
 これと逆の場合もある。どんな負け方をしても、命を落としてしまえば、そいつは負けの意味も学習できない。
 そうした観点からでよければ――いわゆる“必勝法”でなくとも、私なりの答えは、とっくに出ている。

『いま』確実に勝つなんて考えは、いっそ捨てた方が楽だとね。

 先にも述べたように、いくら計算しても、必ず戦いの対価を得る方法など導けない。
 それでも、負けないことは出来る。致命的で底の見えない戦いには、最初から立ち入らなければいい。
 戦っていても、どこかで一歩退く勇気を出せばいい。身の程さえ知っていれば、負けを活かしていつかは勝てる。
 一体、どこの地方だったか。確実に雨の降る雨乞いの内容は、雨が降るまで踊り続けるものだとも聞いた。
 勝利を収めたければ、勝てるまで試行錯誤すればいい。勝てるまで戦い続けられるようにすれば“勝てる”さ。
 国を預かるというのは、私にとってはそういうことだ。国民の命を預かる以上、負けて勝つすべは肝要なものだよ。


 ああ……そうだ。そういえば、あの時も負けて勝ったかな。
 コイントスも、偶然の要素が入る時点で完全情報ゲームとは言えないだろう?
 しかし、これにも確実に勝つか、あるいは負けられる手段<イカサマ>があるものでね。

 ――しかし、あれも入念な下準備が要るし、相手の性根を知っていなけりゃならないからな。
 虫のいい話は、概して理に沿わない話でもある。実用どころか多用なんてことをするのは……無理だ。

 *  *  *

532アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:40:42 ID:UumFVQBE0
【Seconda parte: Allegro maestoso】

 ――すでにして数合目の激突である。
 右足を強く踏み込むとともに、剣士は左の肩を前方にと突き出した。
 “破壊神を破壊した男”を名乗った彼のメットが、刹那、沈みゆく陽光を照り返す。
 潰された左腕を盾とした彼は、踏み込みに追随して脇に流した剣を右腕一本で振るわんとしていた。
 攻撃を主眼に置きつつも、剣筋を読ませない下段の構え。適度に脱力した四肢は、刃の重みに飲まれていない。
 小手先のわざではなく、脇を締め、しっかりと大地を踏みしめた一閃は息を呑むほどにするどかった。
 教本に載っていてもおかしくない鮮やかさでもって、逆袈裟は空(くう)に清冽なまでの輝きを刻みつける。

「はぁっ!」
「――ふッ」

 青年の掛け声にかぶさったのは、戦士がするどく息を切る音であった。
 剣戟に応じた彼の胸甲、水晶で出来た防具が、一歩退く動きにあわせて複雑なきらめきを残す。
 それでいながら、彼の重心はぶれない。彼の携える片手半剣(バスタードソード)もまた同じだった。
 彼が逆袈裟に合わせたのは、流麗な剣の一閃。鏡合わせのような逆袈裟が、剣士のそれと交錯する。
 聖剣とおぼしき剣士の得物は夕空に流れ、脇を絞ったあるじの体を限りなく無防備なものにと変えていた。
 剣を振るった相手が、動作の経過を変えようがなくなったその時まで待ち続け、初めて動いた結果がこれだ。
 後の先をとった、と、ひと口で言い表そうにも、安いプライドとやらを示した男の剣はするどい。
 足腰の強さと高い技術でもって剣を中途で引き戻した相手を、彼は返した柄による殴打でもって牽制する。
 相手が重症を負っている点を差し引いても、実戦に即した剣技は一流のそれといえた。
 ……だが、この一合が傾けた戦いの趨勢に水をさす者は、この場にもう一人いる。

「あーあ。この剣が大事そうだったのに、ふたりの世界か。それじゃあ私がつまらないな……ねえ! 人間っ!」

 剣と剣、刃とやいば。つるぎとツルギ。
 どこまでも、振るう自分と振るわれる相手の二者に収束していく世界を打ち破ったのは少女の声だった。
 彼女がすでにして振るおうとしている得物もまた、剣。それも、なにやらいわれのあるらしい名剣である。
 翼持てる剣を構成する金属……魔力を帯びた合金の輝きが、茫洋と淡い夕空に冴えた一閃を残してゆく。
 一閃。すなわち、一線。剣士と戦士の意図を断ち切る少女が選んだ札は、彼らをいちどに収めての刺突だ。
 命に関わる水入りをもって、剣戟を続けんとした男たちの間合いが無理矢理に離される。

「見えている」

 唐突に広くなっていく視界のなかで、しかし、戦士はおびえなかった。
 少女が狙うのは自分ではなく、最初に戦っていた剣士のほうだと、分かっていたのだろうか。
 石つぶて。いいや、蹴撃によって生まれた土煙を前にした彼は飛びすさった脚に力を込め、ふたたび跳躍する。
 鎧の重みを感じさせない宙返りで目に入る砂をかわした戦士にも、次に展開された光景は認められるだろう。
 剣も、つぶても囮にして、剣士へと振るわれた本命の一撃は――少女の携えていた、ヒーターシールド。
 なめし革を鱗状の金属片で補強した“鈍器”が、少しくいびつな円弧を描いて、剣士の得物を殴りつける。
 太陽の意匠をもつ剣士の得物。王者の威光を放つ剣の腹が、面による攻撃を受け流しきれずに揺らいだ。
 重症を抱えた左の肩にもひびいたのだろうか。あどけなさを残した顔には苦いものがにじむ。

「君、は……その剣が泣くぞ!」
「あのねえ。なにも聞いてなかったの? さっき、肉を切り裂く感触がいやって言ったじゃない。
 だからこそ、使えるものはなんでも使うよ。それが剣技。あなたたちが生きるため、壊すために使うすべッ」

533アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:41:11 ID:UumFVQBE0
 苦渋を塗り替えた剣士の憤りを、少女は受け付けなかった。
 彼の思いなど知ったことかと言わんばかりに、ロトの剣とやらを振るってみせる。
 間合いに入り、成ろう事なら隙を突こうとする戦士への牽制も含めてか、今度は得物を横に薙いだ。
 腰椎を狙う一撃に対する剣士は、精緻な動作で刃を重ね合わせ、膂力でもって下方に押し切る。
 見たところ、伊達に剣一本で生きてはいないということか。片腕を潰された者のそれとは思えない技だった。
 腰を引かずに剣戟を受け止める姿勢は、彼が強いられている不利を感じさせないものだった。

 ……そう。そうなのだ。
 ともすれば忘れがちになるのだが、名前も知れない剣士の不利は少なくともみっつある。
 ひとつは、左肩の負傷。戦士が駆っていた鉄の馬によって轢かれ、少女の鉄槌に潰された身体。
 ふたつめは、彼ら三人のスタンス。三本の剣が交差する状況で、皆殺しを是としない者は彼だけだ。
 みっつめは、ふたつめに挙げた不利から派生する、彼の立ち位置。縛るものの多さだった。

 今は少女の袈裟懸けを受け流し、返した刃で刺突を見舞う姿からはかけ離れて――
 先ほどの剣戟において“薙ぎ払いをかわさなければならない”彼に、選べる選択肢は少なかった。
 刺突ほどではないが刀身の長さが活きる払いを避けるには、本来ならば距離を離すことが効果的な手である。
 けれど、先ほどの場合は剣を受ける前から間合いを離す……退く選択肢は潰されていたも同然だった。
 剣士が払いの出掛けを見据えて横に飛んでいれば、次の瞬間、彼は戦士と少女の挟撃を受けかねなかった。
 剣士が払いを受けきれずに後ろへ飛びすさっていれば、間違いなく、彼は守るべき者と体をぶつけていた。
 守るべき者とは、散弾を吐き出した銃を手にしながらも、引き金を引くことが出来ない男のことだ。
 タムラという名の探検家は、剣士たちが入り乱れている現状において、ただただ、立ち尽くしている。
 彼は、自分と同じスタンスにある剣士を銃弾の雨に巻き込めない。その虚弱さゆえに、格闘戦にも向かない。
 そんな状態にある彼を、とてもではないが“戦いに参加している”などとは言えなかった。

(本格的に……まずいですよ、この状況は)

 ――自分の前にいるのは、そんな四人。
 うち、三人と一人が綾なす戦いを俯瞰したリ=リリは、胸中で歯噛みしていた。
 一歩引いた状況に身を置いているからこそ、彼女にはこの戦いにおける均衡が見えてしまう。
 彼女が籍を置くクロスティーニ学園。冒険者を育成する学府において、戦術論には触れたものだ。
 未知の場所である迷宮においても、人の利や地の利を得て、天の利をつかみとることは重んじられる。
 それが身にしみているがゆえに、彼女には分かる。

 王者の剣を携えている、剣士。
 戦力的にも、性格面でも、彼は強い光を放つ存在だ。
 けれども彼には地の利がなく、重ねて言えば人の利もなかった。
 むろん、彼の放つ光は強い。だからこそ、彼の光に共鳴出来る人間は錯覚を抱きかねないのだ。
 おのが身を投げ打つことは尊いと、人を助けることは美しいと、それが出来る自分には、正義があると。
 タムラではないリリには、彼がどんな思いを抱いてあの剣士に加勢したのかは……絶対に分からない。
 分かったつもりにもなれない。それがために彼女は、ある面で彼を突き放して俯瞰出来る。
 あるいは、剣士ともどもこの場で見限ってしまうことさえも可能だ。

 洞窟探検家。それゆえか単身で戦うことの多かっただろうタムラがついた立ち位置は、最悪。
 彼の構えている得物、散弾銃は近接戦闘を得意とする“仲間”を援護するには最悪の武器。
 最悪に最悪を重ねて掛け合わせてみたところで、今の状況が好転しようはずもないから。

534アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:41:55 ID:UumFVQBE0
(……まったく。あの人はもう、無謀だとしか言いようがありませんよ。
 人助けは美しい“かもしれない”。けど、そんな印象は人が勝手に決めたイメージでしかないでしょう。
 絶対的な正しさなんて、そこにはない。間違ってもいないでしょうけど、無条件で褒められるようなことでもない。
 そもそも、アクセルさんに言われた私の護衛も果たせない時点で“敗け”だって、あの人は分かってません……。
 なにより今の状況、近距離で戦うひとを援護するのに散弾銃が剣より便利なわけないじゃないですか、寝言ですか!)

 天使との混血であるところの、セレスティア。リリの同族が掲げているものは、絶対的な正義だ。
 それに対して、目の前のタムラは相対的な……言ってみれば、時と場合で流動する半端な正義に身を任せた。
 加えて、それを貫けない。いちど相手を助けたならば、そのまま助けきるだけの力もないときている。
 この状況を切り抜ける。そんな台詞を聞いて、もう、いくたび剣が合わされたというのか。
 今の均衡とて、いつまでも続くものではないのに。いつになったら、光に満ちた“いつか”が来ると言うのだ。
 だのに。アクセルには『後悔しない』と誓ったわりには自分の護衛も忘れたタムラは、目の前の状況に流されている。
 彼は、破壊神を破壊したと謳う剣士を“守ってみせた”代わりに、“泥沼に引きずり込んでしまった”のだ。
 同行者にして、盾にする腹づもりであった探検家への筋違いな不安と不満。
 ふたつの思いが、リリのなかでふくれあがりつづけて、

 ふ――と。
 唐突に臨界を迎えて、はじけた。

(いまこの人を見限って、利用して、いったい何が悪いんですか?
 誰かをそんなふうにして悪いと感じるのは“私じゃない”。人を見限る行為が悪いと決めたのは――
 “自分が困ったとき、ほかの誰かに見限られたら何も出来なくなってしまう人”じゃありませんか。
 自分が困ったときに立ちいかなくなるから他人を助ける。実質的には、そんなことでしかありません)

 瞬間、彼女のなかで行われたのは視点の転換、あるいは……矯正。
 いちど思い切ってしまえば、なにか、胸が軽くなるような心地さえ覚えてしまった。
 そうなのだ。もともと自分は、自分のために誰かを利用することを“正しい”と見たではないか。
 だったら、その“正しさ”を貫いたところで、いったい、なにが悪いというのだ。
 人を助けることを正しいとみる者もいれば、人を助けないことを正しいと考える者もいる。
 そして、人は心底からの思いを押し殺してしまうことを、大抵の場合は是としないではないか!

 だったら、貫こう。
 貫いて、貫き通そうではないか。
 相手を利用してでも自身の夢を花開かせたい自分を由(よし)として――
 自分は、自分の信じる“絶対的正義”のもとに動いてみせる。

 決意とともに踏み出したリリの一歩を、見逃さないものがいた。

「悪い……なんてこれっぽっちも思わないけど、まあいいや。
 逃げても無駄だよ。たとえ同じ“だった”天使だろうと、私はあなたも平等に殺すから」
「ええ。あなたならきっと、そうするんでしょうね」

 対面にあった少女の行動は、おおかたの予想どおりだった。
 微笑む彼女の口にした言葉の方は、少しばかり意外だった。
 天使だったということは、すなわち堕天したということか。
 その善性ばかりが語られる、神の御使いではなくなったと。
 案外、彼女と自分は同じ穴のムジナなのかもしれない――。


「でも! 私は……そんな簡単に殺されてなんかやりませんッ!!」

535アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:42:26 ID:UumFVQBE0
 同類だから、なんだというのか。
 開き直ったリリの叫びを受け止めたのは、マイクがわりの拡声器だ。

「この……声は、っ!」

 音声の割れも、タムラのうめきもものともせずに、リリは喉をふるわせた。
 少女と戦士を受け止め続ける剣士の背中は、そんな彼女に黙したまま語らない。
 彼の無言は行動への、創造への肯定だろうかなどと思う間もなく、彼女は息を吸う。

「タムラさんッ! 生き延びたいなら下がってください!」

 調子はずれの旋律に乗ったのは、常の歌詞とは外れた言葉のかたまりだった。
 アイドルの使える歌魔法。その発動に必須となるものは、大別してふたつ――。
 他の魔法系統における呪文の代わりになる旋律と、それを歌い、織りあげる者の精神集中だ。
 意志の統一がなされており、歌っているという自覚があるのなら、何を歌おうとも関係はない。
 歌い手が音痴であろうと、歌の中身がただの叫びであろうと、魔法は魔法として成立する。
 白い魔物を屠ったシャウトに続いて、ここで歌ったのは、自分の盾となりうる剣士の傷を癒せる魔法だ。
 時間の経過とともに、大きく傷を癒すわざ。戦況を一変させるに十分な切り札の名は、革命の歌。
 巧まずして、その韻律を盛大に外しながらも、リリは魔力におのが“思い”を。

 ……いいや。
 この鉄火場で、正念場で。そんなにやわらかなものを、誰が乗せてなどやるものか。
 命がかかった状況において、他者に優しい感情を傾けられるほど、自分は寛容ではあり得ない。

 だからこそ、自分はいま、ここで無力を演ずることなど諦めている。
 血に汚れても、自分の生を諦めない。人を踏み台にしてでも、自分の夢を諦めない。
 それを貫くためならば。この状況を切り抜けて、次の舞台に立つためならば。
 綺麗な姿を演じ続けることなど、ここで、綺麗に放り捨ててやるのだ。
 そうと決めてしまったから――

「その銃、弾が散るから至近距離で使うしかないでしょうけど、はっきり言わせてもらいます。
 あなたにも今の状況にも、それ、向いてませんッ!!」

 リ=リリは、ずっと伏せ続けたかった能力の一部を、示してやった。
 なろうことなら、仮面の裏に隠し続けたかった本音を、伝えてやった。
 いつものとおり、自分の音痴に気付くことなく、思い切り叫んでやった。

「それに、あなたはなにも分かってない! いくら私が守られることを選んだ側でも、怒りますよ!?
 私の護衛を任されたのに、自分に打てる手がないって分かってるはずなのに、誰かを助けようとする?
 傍から見れば、それ、矛盾してます! 片手落ちです! そんな行い、正義でもなんでもありませんからッ!」

 歌魔法の旋律が終わっても、不恰好で真っ直ぐな叫びは止まなかった。
 叱咤とも糾弾ともつかない言葉のかたまりを吐き出す行いは、生来のリリとは縁遠いものだ。
 だからこそ、か。とても心地良かった。歌っているときと同じだが、旋律ではなく、思考に拠って――
 自分自身の言葉に酔って、相手の心をえぐる快感へ、いっそのこと身を任せたいと感じるほどに。

536アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:43:04 ID:UumFVQBE0
「そんなものは素晴らしいことでも、なんでもなくってッ! たんにあなたの」
「自己満足、だよねえ――」

 ゆえにこそ、始まったときと同じく、リリの言葉は唐突に途切れた。
 “天使さん”。少女が舌の上で転がした敬称つきの代名詞には、ねばつくような悪意がある。
 彼女の背後では、互いの間合いに入り込んだ戦士と剣士が、互いに牽制しあっていた。
 リリと少女の間にいるべきだったタムラに至っては、その場にしゃがみこんでいる。

(……耳を、押さえてる?)

 いかに拡声器を通したとはいえ、自分の“声量”にそこまでの自信はない。
 至近で魔法を聞いていた仲間にも、ここまで派手な反応をする者はいなかった。
 しかしながら、虚弱体質だの病弱だののひと言で片付けるには、彼の挙動に違和感がある。
 衝撃に固まってしまったとみえるタムラは、特段、耳を押さえているわけではない。

「やっぱり耐久力スライム、と。あの二人と違って、おたけびが効いたみたいだね。
 あなたが“あなたの自己満足”に夢中になってるうちに、重ねさせてもらったんだよ」

 彼は耳を押さえようとしたままの姿勢で、体をすくめている。
 おたけび。それは、鬨(とき)の声とでも形容すべきものだったのだろうか?
 歌と、拡声器ごしの声に聴覚を支配されていたからこそ、リリにはまったくと気付けなかった。
 かてて加えて、眼前で振るわれた少女の剣を受けても構わないものなど、彼女はなにも持ち得ない。
 歌魔法を使うなら、マイクがわりの道具がなくてはならない。濃縮メチルはデイパックのなかだ。
 それならば、いま頼りにしていいものは、これまでの乱戦を見てきた自分の目と、身のこなしだけだ。
 しかして見切り、相手の意図を察知した上で行うべき、“七分三分の見切り”は――

「ぅあッ!!」

 一撃目が避けられると同時に、隼を思わせてひるがえった刃に対しては通用しない。
 二刀流をもってしての“連撃”ではなく、ひと振りの武器を用いて行われた“二回攻撃”。
 彼女の知識にも、今までの剣戟にもない戦技によって振るわれた刀身の峰が制服を引き裂いた。
 内側から引き裂かれる衝撃。冷たい金属のかたまりに、なにかを持っていかれるような感覚がしずむ。
 熱を求めて体がふるえる。斬られた右肩を抱くようにしたリリは飛びすさり、彼我の距離をとった。

 ……肉体的には、まったくの無傷で。

「な?」

 毒気を抜かれたような顔をしている少女に対して、アイドルは営業用の微笑を返した。
 確かに、今の一撃は綺麗にきまった。反応を見る限り、振るった側も手応えを感じていたのだろう。
 それが決まらなかった原因は“すりかえ”。身ぎれいでありたいアイドルの誰もが身に付ける技による。
 攻撃に対し、体力や生命力のかわりに魔力を差し出すことで、支払うべき代償の質を“すりかえた”。
 物理と魔法。相反する概念を統合した“存在力”の視点において、彼女は引き算を行ったのだ。

(でも、名剣って話は本当みたいですね。これは……何度も喰らうわけに、いきません)

 ゆえにこそ、彼女は無傷。
 だからといって、斬撃の強さまでは変えられない。
 穏やかな笑みをたたえながらも、リリの内心はさざ波だっていた。
 たったの一撃で、防御にも歌魔法にも必要となる力を、どこまでもっていかれたことか。
 彼女が魔力を触媒とする妖精や精霊であったなら、外見のほうにも影響がでていたに違いない。
 後衛かつ援護の役をつとめるリリ自身、魔力や体力の量に自信があるとは言えないのだから。
 次の一手や身の振り方まで考えにいれたなら、軽やかな軌道で刻まれた剣の一閃は、ひどく重かった。

537アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:43:43 ID:UumFVQBE0
(しかし、なんというか……。せっかく自分に正直になってみたのに、このザマですか。
 大言壮語をぶちあげたところで、行き着く先はタムラさんと同じとなると、私の方こそ片手落ちです)

 そして、もう、リリは二重の意味で引き下がれない。
 山岳地帯に特有の、切り崩されたような下り坂が、一歩後ろに迫っていた。
 先刻の一幕において、自分が調子に乗っていたと言われれば否定も出来なかった。
 夕凪が訪れ、風さえも消える。夕映えに目を細めて少女の向こうを眺めても、目に入るのはタムラの姿だけだ。
 苦い顔をしているのは、少女を狙ったところで、避けられたときはリリに当たると分かるからだろう。
 少女の唇が横に引き伸ばされるのと同時に、ロトの剣とやらがもう一度振り上げられる。
 自分を殺すために、技など要らないとばかりに、得物のたてる風切り音は鮮やかだ。
 体勢を立て直した戦士の疾走も、すでにしてタムラを追い越し、死の宣告に追随しつつある。
 そして、今またひとり――

「自己満足か。天から人を見下ろしていれば、そんなふうに映るのかもしれないな」

 陸風と潮風がぶつかる凪を割り裂いて、一陣の旋風が渡り来た。
 いや。振るわれた太陽の剣、両腕を活かした一閃が連れてきたものは、風などではない。
 それは、もはや嵐。青嵐との形容すら当てはまるほどに激しく、ぶつかる剣が火花を散らした。

「……だが、そこから力が、意味が生まれることだってある!
 僕は、伝説に残る勇者ロトに! 大切な仲間に! 亡国に生きる人々に、それを教えてもらったッ!」

 破壊神を破壊した男。
 物騒だが、輝ける二つ名を持つ剣士は今、リリと少女の間に立っていた。

「そして、タムラも、君もだ。
 君たちがいなければ、僕は……ローレシア王ロランは、今ここに立ってなどいない」

 さっきの歌、ありがとう。
 袈裟懸けを逆袈裟でもってすくいあげ、そこに刺突をつなげながら、彼はつぶやく。
 まるで、それが大切な言葉であると言わんばかりに。
 まるで、リリが大切な仲間であると言わんばかりに。
 立ち回りを繰り広げている最中にあっても、剣士のつむぐ声音は鮮やかだ。
 剣戟の最中にあって、ともすればノイズに成り得る口上には、りきみも気取りもない。
 飾り気のない言葉ひとつで、彼は自分たちを信じているのだということが、リリにも分かった。
 彼は、それでいいのだと。リリが何を考えていようと、タムラが役に立たなくとも構わないのだと。
 その上で、ロランは守るべきと決めたものたちのことを、信じている。
 誰かを、なにかを信じると決めた自分自身のありようを、貫いている。

「そして……君にはまだ、言ってはいなかったんだな。
 破壊の後には、創造が行われる。僕は、それを、――信じているとッ!」

 そんな自身のありようを、貫けてしまうからこそ。
 戦士を振り切ってここに来たはずの彼は、その腹を深々と貫かれていた。
 ロトの剣。その存在に興味を示し、使い手の人となりに戦慄していた、彼の、

 彼と切り離せない剣によって。

 *  *  *

538アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:44:20 ID:UumFVQBE0
 西日とともに、熱を失いつつある空気が沈む。
 致命的な状況において言葉をつむいだのは、探検家の男だった。

「……そ、んな。僕は――ちくしょう! ロランっ!!」

 慨嘆と苦痛と怒りにいろどられた、タムラの言葉に意味などない。
 けれども、意味以上。言葉そのもの以外の部分で伝わるものは、確かにあった。
 リリのためにか、ロランのためにか。戦士を止められなかった冒険家の目には血が入っている。
 執念と戦意が、彼の眼光に宿っている。ロランにいだく種々の思いが、その抑揚で示されている。

「それで、あなたは他の人に面倒を押し付けていくんだね。破壊と創造、どちらがより難しいかは明白なのに」

 しかして天使、もと天使には、絶叫の理由など分からない。
 もとより分かる気もないと言いたげなそぶりで、彼女は脱力するロランを睥睨していた。
 損傷した部位が魔法で癒されている。膂力がもどるとともに、剣の技も冴えたが――
 彼とて人間だ。すでに流された血を取り戻すすべも、失血にくずおれた体を立て直すすべもない。
 癒しの手段を持つリリにしても同じだ。革命の歌どころか、歌魔法の初級たる生命の歌さえ使えない。
 視線を交わし合い、言葉に詰まったアイドルたちを目視していて、“打つ手無し”とみたのだろう。
 剣士が倒れたさまを肉を裂く感触が嫌いなのだと言った少女は、ロランの脇に立つ者にと注意を向ける。

「どうして、君は……僕を止めなかった」

 戦う者の生命線となる呼気も吸気も乱しながら、剣士は肩をふるわせていた。
 致命ではあるが、すぐには死に切れない傷を負った彼もまた、見上げた影へと問う。
 苦心して持ち上げた彼の、視線の先。リリの斜め前に立っている人物は、闇の力持てる戦士――。
 タムラを振り切り、排除すべき二人に追いすがった結果、刺突に対するロランの退路を断った男である。
 先ほどの一瞬。ロランが後ろに下がれば、リリとぶつかっていた。少女を下がらせれば、タムラが危機に陥った。
 そして脇によけたなら、戦士の刃が待っていた。逆を選べば、今ごろはリリのほうが貫かれていただろう。
 敵と味方の混成でありながらも、ロランの四方(よも)を包囲した網には、抜け道などなかったのだ。
 ……少なくとも、ロトの血をひく王の見ていた世界と、人々のありようにおいては。

「君にも分かっているだろう? 私が斬らなくとも、君は、彼女の剣を避けるわけにはいかなかった」

 洗練された刃の流線が、返答とともにゆらぎ、光の反射角を変えた。
 闇の戦士の携えるバスタードソード。ある勇者に褒賞として与えられた得物の峰が返される――
 戦意を示したのではなく、しいて戦意を“主張する”かのように、派手だが無駄の多い動作で返される。
 そして、戦士は少女と入れ替わりとなり、倒れ伏したロランのすぐ側にと歩を進めていた。

「それなら、どうして。君のつるぎは……あんなにも素直だったんだ」

 果たして、硬質な鋼の輝きが、その目に見えていたのか。
 首を縦に揺らしてのち、静かにつむがれたロランの言葉に、疑問の色は欠片もない。
 素直。例の鉄で出来た馬で突っ込んできた戦士の戦いを評した言葉に応じて、リリの中で剣が躍った。
 彼女の目で見ることがかなったローレシア王との剣戟、加えて少女との戦いが、その脳裏で再演される。
 どちらにおいても、彼は確かに、素直――愚直なまでに真っ直ぐな戦い方を選んでいた。
 ロランの知識、その範囲については知らないが、素直という形容は太刀筋に限った話ではない。
 回復魔法を使えて補助魔法を使えない前衛は稀であるだろうに、その一切を、彼は使わなかったのだから。
 石つぶてからの連携で少女たちと間合いを離されて、貴重な時を得てもなお、彼は選ばなかったのだから。
 先ほどの一瞬だけでも、天使と連携をとれば確実にひとりは殺せただろうに、彼は動かなかったのだから。

539アダバナイッセン(上) 破壊の遁走曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:45:05 ID:UumFVQBE0
 少し前。あるいはもう、ずっと前かもしれない一瞬につむがれた言葉。
 不意討ちを行わなかった戦士がつむいだ一節。“安いプライド”。
 有り体な言葉ではすまされないなにかが、闇の力をまとった彼にはある。
 直接剣を合わせたロランだからこそ、それを看破出来たというのだろうか。
 焦点がおぼつかなくなりつつある彼の凝視から、戦士は視線をそらさなかった。
 そらせなかったのかどうかは、リリの側には分からなかった。分かる必要もなかった。
 もと天使は闇の戦士と間合いをとろうとしていて、タムラは、こちらと肩を並べにきている。
 緊張状態が続く以上、ロラン以外の動きを見ておくべきだった。闇の戦士の去就も、そのひとつだった。

「……早急に、故郷へ帰還せねばならない。私の理由はそれだけだからだ。
 かつて光の力が氾濫した時のように、闇の力が強まったなら、あの世界は遠からず滅ぶ。
 私の守り、いとおしむべき世界のために死ね。そうと言われて、納得出来る者などいるはずもあるまい」

 ゆえに、それは自分だけが知っていれば良かったことだ。
 ささやくように小さな声で、彼のよりどころを語りあげた闇の戦士は、苦々しげに口をつぐんだ。
 鏡面のごとき瞳には、告解を行った者のような輝きと同時に、名分を掲げた後ろめたさが浮かんでいる。
 そのまま、どれほど経ったか。彼の顔を見ていたロランの首から、ついに力が抜けた。
 けれど伏せられた目は、まぶたの下でほんのかすかに動いている。
 伏せられた胸にしても、大地に挟まれながらも動きつづけている。
 生粋の戦士と断言出来る体力の持ち主であるがゆえに、ロランの瀕死は長かった。
 長く、長く瀕死を味わい続けてもなお、剣は彼の手の中にあって輝いていた。


「これ以上の問答は無意味だな。ならば、せめて――安らかに逝け」


 聞くに堪えないほど割れていたロランの呼吸が、次の瞬間、わずかに静まる。

「ケアルラ」

 力を喪った剣士の腕をとった、闇の戦士の手中にて、癒しの光がふたたび花開いた。

540アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:45:47 ID:UumFVQBE0
【Coda: Allegro moderato】

 イヤ。
 イヤだ。
 イヤだった。
 あれだけ大口をたたいたのに、こんな。こんなところで終わりたくなかった。
 アイドルを目指している自分は、普通の女の子になんて、まだ戻れはしない、のだ。
 なのにどうして。どうしてこんなにも、白いはずの羽根をひたしていくものが赤、い――?
 いいや。本当に、これは、赤いのだろうか? 血? 天使の血を引いていても、自分の血は赤いはずなのに。
 あ、あは、……そう。そうか。もう、ものの色も見えない。い、き。息、が……凍ってしまったみたいだ。
 息を吐くたびになにか、形のないもの、あたたかいものが流れ出して“リ=リリ”が冷たくなっていく。

 それで、もう、彼女には分かった。
 息を吸えば、あんまりにも、このからだは痛いから。
 落とした視線のさきで、ぱっくりと開いた傷口が、逆巻く風に痛いから。
 それで、もう、先に見える結果を分かるしかなかった。
 息を吐いたら、もう吸えなくなりそうなほど、からだが苦しいから。
 苦しい。苦しさを訴えられる誰かも、苦しみを癒せる誰かもいなくて苦しいから。
 
 だったらもう、自分はここで、終わるしかない。
 終わる。さっと、幕が引かれるように死ねたら良かったのに。
 終わる。終わり。分かっている死をこのまま待つのは痛くて怖い。
 ちゃんと胸も斬られたはずなのに、脳みそに血が届かなくなるまでの数瞬は長すぎる。
 何もない。なくなっていく感覚がつらい。濃密に時が流れるなか、何もできなくてしんどい。
 飽和した感覚、情報のかたまりに付き合うのもおっくうだった。なのに逃げることだって出来ない。
 渋面をつくって体を固めても、無駄だ。ずくん。陸風が傷をうずかせた。詰めていた息が前歯を乾かす。
 何か。こうなった自分に、いったい何ができるのか。何をすれば、この痛みを、寒気を忘れられるだろう。
 ぎゅっと手をにぎりしめる。しっかり意識していないと、指だってばらばらに離れそうだ――

 ……ああ。これ、だ。
 そう。そうだった。自分にはまだ、これがあった。
 ううん。もうこれしかない。だけどこれなら、できる。

 弛緩したのか、緊張したのか。
 よく分からないながらも、ふと口角がゆるむ。
 少しくリリを微笑ませたものは、けして希望ではなかった。
 暗がりのなかにひと筋の光が差し込む。それでも、彼女が迎える結果は変わらない。
 ここにいた自分の結果を変えられない。それでも、相手が迎える経過は変えられる。

 そこに思い至ったから、彼女は笑えていた。
 それを思い出したから、彼女は息を吸った。

 この自分だから出来るやり方で、これから、自分が行くところに。
 あんたのことも、ちからいっぱい――


 引きずり下ろしてやる。


 *  *  *

541アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:46:17 ID:UumFVQBE0
 彼女は、彼の肩にと手を置いていた。
 そこに込めた意図は、力添えか。はたまた、無謀な仲間を引き留めんとしてか。
 アイドルを目指す天使の瞳は輝き澄みわたって、他者に邪推を許さない。
 ぱち、ぱち、ぱち。間を持たせたリズムで、くぐもった響きで、拍手が行われた。
 空いた片手をもう一方に打ち付けて起こるつたない音が、山あいの一角をつと満たす。
 もと天使が冷めた目をして行った行為は、けして、リリの顔つきに向けられたものではない。

「こうして、破壊神を破壊した男は殺し合いの地に倒れたのでした。
 ただ、べつにめでたくないし昨日の敵は今日も敵で、幕が降りた後でももうちょっとだけ続くんだけどね」
「分かってるさ、そんなことは……ッ」

 ロランの遺骸から少し離れた場所で、タムラが憤りに満ちた声を発した。
 少女のつむぐ、皮肉と悪意をたっぷりと込めた言葉のつらなりに、彼は心底からの怒りを覚えている。
 逃げるわけにはいかない。あの剣士が命を落としたがゆえに、探検家の決意は固いだろう。
 なのに、彼は撃たなかった。ロランが落命してもなお、彼は対等な戦いを望んでいるとでもいうのか。
 おそらくは、ロランに……彼の人となりに報いるために。明らかに強者と分かってしまった相手に対して。

(ま、銃は鎧より強いなんて“常識”を、魔法が知れた状態でゴリ押ししないだけマシですか。
 天使さんの鎧はどう見ても鉄ですが……神秘的なんて石言葉がつくだけあって、水晶は魔力と相性がいいですもん。
 それに、こんな状況では背中を向けて逃げるわけにもいかないといいますか――)

 逃がしてくれそうにないというのが、この場における正しい表現だろう。
 紫。本来ならば対極にある闘気と魔力が一体となって、眼前に立つもと天使を包んでいる。
 “そう”。鷹揚なそぶりで行われた彼女の首肯は、リリもタムラもひと括りに見下げたものだ。

「じゃあ……せっかくだから最後まで見ていけば? 特等席も、そこに作ってあげるよ」

 そして彼女は、横溢する力を左腕の一閃に込めた。
 剣を持たない腕は当然無手の状態だが、ひらめくさまは風よりも速い。
 次の刹那、風が吹き払われて生まれた空間が、リリとタムラの目前に広がる地面を深々と裂いた。
 圧倒的な破壊力。それが夢まぼろしであったかのように、カマイタチは吹き込んだ風に解けて消える。

「ああ、そこから一歩でも下がったら死ぬから。だけど、復讐するからには、少しでも苦しんでみて欲しいなあ」

 後半についてはともかく、前半は言われるまでもないことだった。
 切り崩されたような下り坂。山岳特有の足場の悪さから、いまだ二人は逃れ得ていない。
 加えて、下り坂という点がまずい。感覚的には難所とされる上り坂よりも、あれは人に負担を強いるものだから。
 容易に止まれない。たったそれだけの要素は、膝関節に強い衝撃を与え、ともすれば精神も揺さぶられる。
 剣士に気をやりながら、いつ途切れるとも知れない坂で後退りを続けるなど……自殺行為に他ならない。

 しかし、ここで引かなくとも、遠くないうちに自分たちは死んでしまうのだ。
 もと天使の少女と、闇の力を持つ戦士。彼らは細部こそ違えど、ともに“殺すこと”を許容している。
 剣に、あるいは風の刃に、刺されるか斬られるか。叩き切る種類の得物なら、撲殺の線もありうるのか。
 想像するほど醜怪で、本気を出しただけ滑稽で、さりとて笑えない絶望感が天使の胸を衝いた。
 胃へじかに氷を叩き込まれたような感覚が、嫌というほど、嫌と言っても叩き込まれる。

 ――嫌。
 そんな結末を迎えることだけは、絶対に嫌だと思えるほどに。

542アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:48:07 ID:UumFVQBE0
「勝つ方法を考えましょう。ふたりで。ロランさんに言った、切り抜けるだけのスキは……きっと見つかります」

 だからこそ、もと天使が自分たちに背を向けるさまを視界におさめたリリは、タムラにささやく。
 タムラの首肯から少しの間を置いて、幕間の静けさは、剣風がひといきに吹き散らした。

 *  *  *

 予想どおり、相手の初撃は刺突であった。
 闇の戦士はロラン、もと天使はタムラ達――
 双方が、下り坂の付近にいる者に、すなわち低地に近づいていたのだ。
 それならば、奪うべきは高所である。実力が拮抗していようといまいと、命がかかっているのだ。
 自分だけでなく、世界すべての命を背負っているからには、少しでも優位に立てるだけの努力はする。

「あなたは、正直っていうより甘いんだねえ」

 努力するはずであったのに回復魔法を唱えた戦士を、もと天使は鼻で笑った。
 殺し合いをする者もしない者も、彼女にとって、人間は等しく憎いものであるらしい。

「私、ああしてる間に三回はあなたを斬れたと思うよ」
「たわごとをッ!」

 それならそれで、闇の戦士は構わなかった。
 少なくとも、今ここに立つ彼女には、ロランのような光がないからだ。
 もと天使は、火を放つ魔物とともども、嬉々として破壊活動を行っていた者に――
 あの男よりも腕は立つようだが、他者を“汚物”を言い切ってしまえる手合いに近いと言えるからだ。
 彼女の目的は“復讐”。ここに来るまでの来歴は別としても、それならば無駄なことを考えてしまわずにすむ。
 別の次元にいたらしい破壊神を破壊したあとだと聞いて、どこかで安心するようなことも、もうないだろう。

 ……そうして、戦いに注力すると決め手からの数合目。
 火吹きの技によって間合いをさらに離させたあとに続いたのは、オリハルコンのひらめきだった。
 脇に流されたロトの剣。攻撃に偏重した構えより繰り出された一閃を、闇の戦士は最低限の動作で避ける。
 牽制の末に、お互い斜面に対して90度を保った姿勢となっていたが、脚甲の側面を強く斜面にあてて姿勢を崩さない。
 石つぶてからの刺突は割り切って飛びすさり、離れた間合いで予想されたカマイタチには懐に飛び込んで対処する。
 先ほど、戦線離脱してすぐに重症を癒してみせた手といい、もと天使の繰り出す技は、たしかに多彩といえた。

「お前……剣に必要なものは、技術だと言ったな」
「そうだけど? あの王様みたいに、説教でもする気?」

 “これだけ押されてるくせに”。
 あくまで十歩強の間合いを保ち続ける闇の戦士に対して、相手は近付くも離れるも自在だった。
 彼女が近づいて斬れば、闇の戦士は剣にて応じた。斬撃をいなしきれない場合は、ナイフが補助となった。
 リリに使ってみせた多段攻撃に対しても、片手半剣と逆手に持った短剣のふたつで対処した。
 剣の基本を守りつつ重心を整え、返礼とばかりに返す一撃は、もと天使の盾に対抗された。
 防御ではなく、ロランにも見せたシールドアタック……面の攻撃でもって、斬撃ごと押し返されるのだ。

543アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:48:35 ID:UumFVQBE0
「でも、あっちを相手にした時みたいに、油断はしないみたいだねえ」

 先刻のやり取りは、彼女にも聞こえていたらしい。
 剣を繰り出したもと天使の揶揄を、闇の戦士は無言でいなした。
 押し返されても、まったくとよろけないのは不可能だが、体勢を維持する努力は可能だ。
 それを実行するためには、体幹・腰椎・足許の三箇所……最悪でも、体幹さえ整っていれば十分だ。
 ロランの時には体勢を整えきれず、いささか腰も引けていたが、今の状態なら鍛錬で培った脚力で対応出来る。
 そうするだけの余裕を、多彩な技をもつ少女は、闇の戦士に与えうる戦い方をしていたから。

「そちらも――入り乱れていた時と違って、全力で戦えているようで重畳だ。
 だが、剣は技術。では、“いかに全力で打ち込むか”としか考え得ぬ者に、果たして技術は備わっているか」

 重心を崩しきれなかった、もと天使の舌打ちに、闇の戦士は静かな言葉を返す。
 剣だけではなかった。彼女が扱う戦技は、そのすべてにおいて“技術”と“技”が乖離している。
 より正確に言うのなら、より効率的に傷を負わせられるように、一面において類型化がなされているのだ。
 たとえば、火吹きのわざ。初見ではその見た目に驚かされたものだが、その使い方はほぼ一本化されていた。
 彼女があれや、石つぶてのような技に定めている用途は――概して“間合いを整える”ことであった。
 その上で、脇構えから繰り出す払いや、唐竹割りのような全力攻撃を、自分の得意とする間合いで打ち込む。
 それが読めているからこそ、闇の戦士は余裕をもって守勢にまわることが出来た。
 強力な力を秘める剣の間合いより近づき、素手のそれに入られれば対応も困難だったろうが、それはない。
 いかにして最大の攻撃力をとおすか。それを最優先においた少女は、弱い攻撃を“強くする”発想に至れない。
 自身の力を活かすという一点においては、彼女が選んでいる手法は正しい考え方のひとつだった。
 しかし、非常に計算された戦い方であるがゆえに、魔物に対する戦術から抜け出せていない。
 たいていは攻撃一辺倒である相手を、いかにいなして封殺するか。そこからの発展が見られない。

「だから、……こうなる」

 ひたすらに強く打ち込み続ける少女の一撃に、闇の戦士が“合わせた”のは、これが初めてだった。
 しかして、彼の動作は奇跡がもたらされたように輝く剣の、逆落しにも似た袈裟懸けに応ずるものではない。
 格闘由来のそれだろう、練磨された素早さと踏み込みを活かして間合いを詰めた彼女の体に対応していた。
 ドレインの術式にも似た力を持つ剣の輝きは、刃の根元に滑らせたミスリルナイフの生む火花と重なって消える。
 同時に、合わせたというより“置いた”という形容が近いバスタードソードが、少女の右腕に食い込んでいた。
 基本的な能力の高さゆえに、相手を袈裟に払うべく押し出した体のほうが、戦士の刃に勢いをもたらす。

 むろん、ただ置いただけの剣、それも叩き切るための剣で生まれた傷は、浅かった。
 それでも、重症をやり過ごしてなお、新たに流れ出す血は、相手に乾きをもたらすはずだった。
 闇の四戦士たる仲間と繰り返し行った修練――模擬戦において、その感覚は彼とも親しくなっている。

「お前の“復讐”とやらは、その道を進んだ後に何かを生むものか。
 闇と光の均衡が未来を生み出すように、お前が見ている光は、ほんとうに輝かしいものなのか!」

 それゆえに、彼は自分には分からないことを問いかけていた。
 これほどの力がありながら、どうして復讐などという行いにはしったのか。
 これほどの技をもちながら、どうして愚直にすぎる破壊しか出来ないのか。
 半分は自分と真逆であり、もう半分は自分の鏡を見ているようであったから、問いかけていた。
 もと天使の体から即座に剣を離し、青眼に構え直しながらも、問わずにはいられなかった。

544アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:48:59 ID:UumFVQBE0
「ああ……そうなんだ。そういえばあなたも、そっち側の人間なんだよねえ……。
 しかも、世界とか、人とか、守って救うべき存在を、あなたは救い切れてもいないんだったっけ」


 けれど、もと天使は、闇の戦士の問いに応じなかった。
 自分の体から、ふたたび流れ出した血。赤い流体を見る双眸は、どこか遠くのほうを見ている。
 空間ではなく時間に向かって、闇の戦士やロランなどいない、“いなかった”場所にと向けられている。
 “じゃあ”。ぽつりとこぼれた言葉の欠片からは、先ほどまでの戦意がまったくと感じられない。
 ロトの剣。勇者の剣なのだと言われた剣の刃が下げられているからこそ、闇の戦士は警戒を強めた。
 あれほど積極的な攻め手が、なにを狙って攻めないことを選んだのか。
 嘲弄より粘った悪意は、いったいどこから湧き出してきたのか。
 敵意を上回るほどの悪意が、どうして殺意と両立しないのか。
 殺せる側であった者が、なにゆえに殺意を収め得たのか。
 裏を読めないものほど、意図が見えないものほど、不可解なものほど恐ろしいものはない。
 だから、警戒を続ける闇の戦士の動きは、この瞬間、これ以上なく単純化されていた。

「――それじゃあ、もう、いいよ。ここでの勝ちは、あなたに譲ってあげてもいいかなあ」
「な、お前……は……!」

 もう面倒だし。呪文じゃあ、なくした血までは戻らないし。
 それに、これ以上ここで頑張ってみるより、“このほうが面白そうだから”。
 饒舌で冷然とした言葉を耳にせざるを得ない闇の戦士は、なにも面白くはなかった。
 肉を切り裂く感触など、闇の戦士とて好きにはなれないものだった。だからこそ、覚悟が要った。
 心を凍らせ、脳髄と腕とを切り離す努力を行い、身体感覚に過剰反応しすぎないための時間が要った。
 そんな、人が人としてあるためのいとまも与えることもなく、もと天使は前傾の姿勢をとっている。

 ――まるで、ではない。
 まさに彼女は、闇の戦士の構える剣に、胸を貫かれにいったのだ。
 そうすると決めた側には、覚悟があったのだろう。戦士への言葉は、よどみなく続く。


「私が許してあげるから、私が認めてあげるから、早く戻って、頑張って故郷を救ってみせなよ。
 ……それで、それがどれだけ無駄だったか、救えた世界を見ながら、こんどはあなたが思い知ればいいんだ。
 どれだけ人間が同じようなことで悩むか、愚かなことを繰り返し続けるか。あなたがそこに生きるかぎり」


 ずっとずっと、あなたの望んだ世界を見続けていればいい。
 未来は簡単に色を変えないんだと、分かってしまえばいい。

 それでも、あなたはみんなを救えるのかな。
 それとも、いつかは見捨ててしまうのかな。

 少女の口からつむがれたのは、無駄に壮大な問いかけだった。
 実態が見えなかった。だからこそ、耳をふさげない相手を縛りえた。
 かた。かた、かた。バスタードソードが細かくふるえて、鉄の鎧とぶつかっている。
 もとは天使だったという少女の血が、赤く、あかく、闇の戦士の構え続ける刀身をつたった。
 ねえ、と、もと天使は闇の戦士に水を向ける。彼女は、自身に叩きつけられた痛みも、苦しみも捨てない。
 外的要因からくる痛みは、感じるものの顔を醜くゆがめる。苦しみは、感じるものの声を低く押さえる。
 それらの反応は反射といってもよいのだろうが、少女になれない戦士には、その内情は推し量れない。
 善性とはかけ離れたものを、ありありと浮かべた相手の顔が、どうやって出来ているのか分かれない――

545アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:49:31 ID:UumFVQBE0
 “それ”が分かるもと天使は、自分の腹から胸を貫いた戦士の前で、最大限にもだえてみせる。
 真にせまらざるを得ない顔と声色で、人に失望した自分と同じ道に、相手を引きずり込まんとする。
 ねえ。呼び声をもういちど繰り返せば、闇の戦士のこめかみがひきつり、ぴくりと動いた。
 ひとの命を脅かしながら、そんな反応の出来る相手をさらに揺らせると知れて、少し楽しかった。


 むろん、戦士の側にしてみれば、この状況は楽しくもなんともない。
 死の淵にあるとは思えないほど弾んだ声を聞いて楽しむ趣味など、彼は持ち合わせていない。

「私のあとは、ほかの二人も殺すんだよね。原因からしたらあの王様もだし、他にも誰かいたのかなあ。
 ねえ。これだけやっちゃったんだから、あなたの救えるものや救いたいものは、きっちり掬いあげなよ?」
「言うな……もう、だまれ。貴様は――」

 なのにどうして、まだ生きているんだ。
 なのにどうして、もう死んでくれない。
 鉄で出来た鎧、その胸甲と胴部にあるつなぎ目に、刃は通しているのに。
 片手半剣の刀身が埋れた分だけ、彼女の体の、もっと奥まで貫いているのに。
 これから命を落とすのだから、お前も同じだけなにかを支払えとばかりに、

 少女の声が、やむことなどない。
 少女の笑顔も、収められはしなかった。
 主導権を握っているのは、こちらで相違ない。
 相違がなくとも、引きずり込まれてしまいそうだ――


「なんで? 本当のことくらい受け止めなよ、闇の」
「……世迷い言、を……死人の口がさえずるなッ!!」


 そんな状況に覚えたのは怒りと、不安と、不満。
 感情の激発を咆哮で示した、次の刹那。
 精神的な苦痛と衝撃をやりすごすべしたい。肩で息をしたい。
 そうしようにも、彼自身の体勢が許してくれなかったことに気付く。
 身長差ゆえに、少女を見下ろしていたはずの彼は、いま、彼女の体を見上げている。
 貫いて、最後まで貫きとおした剣が鎧を貫通し、そのまま相手を持ち上げていたがために。
 刀身が申し訳程度にのぞく状態で、柄にかかった重みこそが、闇の戦士の感覚を満たしていく。

 闇の、“勇者様”。

 汚泥のように吐き捨てられた、輝かしい呼び名が、彼のなかに満ちてゆく。
 誇れるはずの使命に泥を被せていいのは、自分だけだ。自分だけでよかったのだ。
 だのに彼女は、もう喋らない。闇の戦士が望んだとおりに、なにもさえずることはない。
 場に沈黙が落ちて、どれほど経ったか。いかな言葉も行為も、彼女だったものは受け付けない。

546アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:50:02 ID:UumFVQBE0
 息を吐く。闇の戦士の体がふるえた。
 息を吸う。もと天使は揶揄しなかった。
 息を吐く。闇の戦士が腕を少し下ろした。
 息を吸う。もと天使はぐったりとしていた。
 息を吐く。闇の戦士のうめき声が喉に沈んだ。
 息を吸う。もと天使は瞳をうつろに開いていた。
 息を吐く。闇の戦士が相手の目を見て腕を止めた。
 息を呑む。もと天使の背中に鋼の雨が撃ち込まれた。


 十拍たらず、呼吸にして四つ。
 もと天使の体ごしに受けた衝撃をうけて、闇の戦士は弾かれたように視線を前へやった。
 だらだらと行き過ぎるばかりであった時は、砲声とともに転回をはじめ――

 残り三人の戦場には、新たな展開が訪れる。

 *  *  *

 乱戦。敵味方の入り乱れた状況で、銃は剣よりも弱かった。
 弱いというよりも、その長所を活かす機会が、ことごとくなくなっていた。
 最初の交錯、剣士主体の急速な展開においては、確実な狙いをつける猶予が与えられなかった。
 ロランが落命してからは、味方への誤射が潰れた代わりに、射撃の際の反動に耐えうる足場が奪われた。
 祖先である天使のそれより退化したセレスティアの、リリの羽根では、二人分の体重を長く支えきれない。

「そ、んな」

 だからこそ、チャンスは一度きりだったのだ。
 四人ではなく二人。互いにしか集中できない者たちのあいだで、勝敗の決した瞬間。
 鉄と水晶、二種類の障壁を重くみて、散弾を叩き込むべき相手が、ただひとりになった瞬間。
 一瞬だけでいい。タムラを抱えて浮遊したリリが、射撃を行う彼の足場となれるのは、もとより一瞬だけ。
 その一瞬で、最後のひとりを倒れせばいい。勝ちたいのならいかな屈辱にも耐え切って、勝てる時を待てばいい。
 この戦場には不要であると、最後に残った余力でも殺すに十分だと判断された二人は、そう、考えていたというのに。

「リリ――」

 絶望。今度こそ、ぬぐいようのなくなった絶望のためでなく、探検家の視界が崩れる。
 支えをなくしたタムラの、声が間延びしていた。目を見開いた彼に応じるべき、リリの腕も伸びていた。
 アイドル志望なのだと語っていた少女の、細い腕では、大の男の体を、これ以上支えきれないのだ。

 ……少女の吐息に色が交じる。

 リリの声も聞き取れぬまま、タムラは浮遊から落下へと転じた。
 彼女に抱えられていた探検家は、仲間のひとりであった者の顔など見られなかった。
 その代わりと言わんばかりに、彼の視界の左半分には、精霊銀の輝きがいっぱいに映り込んでいる。
 ミスリルナイフ。射撃のために静止していたからこそ、リリに抱えられ、リリの盾となっていたからこそ――
 飛び道具をもつ彼は、敵には比較的狙いやすく、それでいて優先すべき“的”と認識されたのだ。
 それゆえに、戦士が投擲したナイフは、歪みの微塵もみられない輪郭を描いて迫る。
 直撃。鈍い音があらわすとおりに、左目を抜けた刃は、脳髄にまで到達した。
 どさり、と。砂の詰まった袋が落ちたかのような鈍い音には、たしかな水気が混じっていた。

547アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:51:33 ID:UumFVQBE0
「それが君のやり口か」
「はい。私を信頼してもらって、二人で生き延びるのが最良でしたけど……これじゃ、贅沢は言えません」

 投擲を切り抜けて微笑むリリと、涙袋に力を入れた闇の戦士。
 残り二人となった者たちのうち、前者は十数歩の間合いを維持などしなかった。
 いまや全力で、自分のためだけに飛べるセレスティアは、相手と視線をぶつけつつも後ろへ下がる。
 攻撃魔法ではなく、ナイフを使ってタムラを屠った……戦技に偏重しているとはいえ、相手は魔法を使えるから。
 相手が口を動かした瞬間、術式を払うべく精神を集中したリリは、己がくだした戦士への評価を信じた。
 魔力や精霊力の扱いは、こちらのほうに分がある。このまま離れれば、戦士に自分をおびやかせる手はないと。
 乾いた風に耳朶を叩かれる彼女には、ふたふりの剣を見る彼のこぼしたつぶやきなど、聞こえていなかった。

「まだ、こちらにも手はある」

 彼女に見えたのは、闇の戦士が腕を引いて構えた得物だ。
 両手持ちの可能な柄と、左右対称かつ細い刀身を持つバスタードソード。
 儀礼用として使われていても不思議はない見目の得物を、闇の戦士は腕を伸ばして投擲する。
 先ほど行ったナイフの投擲とは違って、今度は槍投げの手法にならっているようだ。
 山なりの曲線を描いたとはいえ、剣はいびつに回転することもなく、ただただ真っ直ぐに飛ぶ。
 真っ直ぐに飛んでしまったからこそ、見ているしかなかった。旋回しようにも、慣性が許さなかった。
 そして軌道が頂点に達した瞬間、あっけないほど速やかに、剣は運動の質を落下に変えた。
 もともとアンバランスである重心を崩した刃は、凝視を続ける彼女の体の上に影を落とし、

「い、たぁあ……! あぁ、ぁぁああああッ!!」

 天使の混血、その証左たるセレスティアの翼から、白い羽根を散らせしめた。
 重力と重心に従って回転を始めていた刃は、自身の重みでもってリリの翼の腱を裂く。
 振り払おうとしても、もう遅い。人間の体を支えるセレスティアの羽根は、けして大きなものではない。
 浮遊も飛行も落下も、こうなれば同じだった。いちど崩れた少女の体幹こそが“彼女の軌道”をねじ曲げる。
 つかんだ風を離してしまった、それを痛感したときにはもう、リリの平衡感覚など乱れていたのだ。
 ゆえにこそ、立て直すいとまもなく落ちて、墜ちて……乾いた大地にと、堕とされてしまった。
 どさり。先ほどタムラが落ちたときと、リリのたてた音は、変わらずに重く、水気を含んでいた。
 全身を支配する、鈍くて熱い痛みを前にすれば、その事実を悔しく思う気力も失せていた。


 ……いま、自分の名前を呼んだのは、タムラだろうか。
 あんなふうにされたのに、彼はまだ、生きていたというのだろうか。
 それからすぐに、『ぱん』と『ばん』の中間にある音が天使の鼓膜を叩いた。


 言葉を失ったリリの体へ、生暖かいものが振りかかる。
 金気と塩気を煮詰めたような臭いが強制的に感覚を満たして、胃が裏返りそうになった。
 びしゃり。にごりきった音の飛沫を跳ね上げるのは、タムラの頭から生まれた流体だ。
 散弾をまともに受け、頭蓋の中身を跳弾に蹂躙された彼の肉は、すでに原型を留めていない。
 頬を流れながら乾いていく血と体液と脳髄の混成には、微塵に砕けた歯の欠片さえ混ざっている。

548アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:52:37 ID:UumFVQBE0
「どう、して。さっきのナイフで……このひとはもう、死……死ぬ、って――」
「君にはもう、翼を支える力はない。ロランとやらへの対応からして、すでに魔力も尽きたろう」

 いちど声をあげてしまえば、吐き出すように、リリの口から言葉があふれた。
 死。“これからお前もこうなる”とばかりの示威行為を働いた戦士の瞳に、色はない。
 だが、君は他者を利用出来る者だ。弱者のふりをして、臆面も無く仲間に馴染める手合いの人間だ。
 紙の上に筆記したものを読み上げているかのように、淡々とした抑揚で言葉がつむがれつづけていても、

「その口で、言っていたな? タムラという男に、君の護衛を頼んだ者がいたと」
「あ……は、――っは、は……ッ」

 のどをひくつかせるばかりのリリには、もう届かない。
 相手が何を言っているのか、相手が何を意図しているのか。
 生き延びるために考えるべきことの何もかもが、もう、なにも浮かばない。


「それゆえだ。自分の盾を作り続ける君が生きる目は、ここで……“潰させてもらった”」


 そして何よりも――
 もと天使の落とした剣による一閃を受けたリリには、なにかを聴かせる必要もない。
 自身が“貫かされた”少女と、闇の戦士は真逆だった。一閃のあとは、リリに目をくれることもなかった。
 つとめて平静な顔をつくろいながら、けれど、相手の身になにが起こったか。それだけは言葉にしていった。
 口をつぐんだ彼は、きびすを返した先の大地で、ロランの携えていた太陽の意匠をもつ剣を手にする。
 エクスカリバー。禁断の地に眠ったといわれる聖剣は、かつてはナイトとしてあった彼にも扱えるはずだ。
 扱う、という言葉の意味を、しいて“能力を引き出す”ことに絞った戦士は、嘆息とともにまぶたを閉じる。
 眉間を揉みほぐす彼の背後では、虫の息となったリリが、魔力の欠片もない身で、メガホンに手を伸ばしていた。

 *  *  *


「……あぁあああああぁぁあああああああああああぁぁぁぁぁあッ!!」


 *  *  *

 聞き苦しい、意味も魔力もない絶叫。シャウトになりきれない悲鳴。
 しかしてあまりに大きな音響に対して、残ったひとりは『サイトロ』を選んだ。
 白魔法の初歩たるわざで周囲の地形を確認した闇の戦士は、作業と同時に黙考を始める。
 あたり一帯は、地図で見ていたとおりの山間部。しかし、北西には森が、南には祠があった。
 乱戦のあとでも目につき、なおかつ、他人には渡したくない武具をデイパックに放り込みつつ――
 考える。人がいてもいなくてもおかしくない地形と、リリが最期の最期に残した叫びとの相関について。
 考えながらも、乱戦のきっかけとなった山羊に配されたデイパックだけは、自分のデイパックの中に入れた。
 周囲に閃光を放つ手投げ弾。あれがエリクサーのように複数個支給されているなら、戦術の幅は確実に広がる。

(何者かを利用することを良しとする人間――いや。彼女は天使だったか。
 この際、それはどちらでもいい。そうした類の人物が、最も恐れることは、いったいなんだ)

 誰かに侮られること? いいや違う。
 誰かの愛をうけること? これも違う。
 誰かの憎しみをうけること? 近いが違う。
 誰かに情けをかけられること? 的外れだ――!

549アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:53:04 ID:UumFVQBE0
(誰かから、見放されてしまうことだ。他者との間に築いたラインが切れてしまったと知ることだ。
 利用価値の有無で相手をはかる手合いは、わが身のことも、究極的には利用価値でしかはかれない)

 くるくると。ぐるぐると。ぐちゃぐちゃと。
 思考を巡らせ、幾度も迂回して、かりそめの猶予期間をもらいながらも、止まらない。
 最終的には、正答に限りなくちかい答えを予測する。予測を終えたあとは、それを行動に移す。
 実行力が、闇の戦士の強さだった。強くあらねばならないのが、クリスタルに選ばれた戦士だった。
 サイクロン号を起こして、再度またがる。無理矢理にでも風を切れば、この鬱屈もおさまるだろうか。
 考え込む部分が、闇の戦士の甘さだった。甘さがなければ守ろうとも思えないものが、世界だった。

(あの天使が利用出来るとみたなら、まず間違いなく、近くには仲間がいる。
 だが……良かったよ、トードが使える魔剣士を極めておいて……)

 森の向こうに広がる水域に満ちるものは、おそらくC-3エリアを水源としている“真水”だ。
 トード。禁を破った魔道士の懲罰に使う白魔法、人を蛙にするわざの存在を、今ほど感謝したこともない。
 人の脚では追いつけない乗り物と、常人ならば容赦なく体温を奪われてしまう水のかたまり――
 自分には、リリの呼んだであろう障害を切り抜け、能力を活かすための手段と地の利が、確かにある。
 その事実だけを噛みしめて、闇の戦士はサイクロン号のグリップを握る右手に力を込めた。


 終幕より間断などなく、アクセルが――開く。


【C-4 D-4との境界部・山岳地 / 一日目 夕方】
【■■■(闇の四戦士の一人)@FINAL FANTASY 3】
[状態]:大きく疲労、魔力消費(中)、クリスタルメイルを除く衣服に損傷、サイクロン号に搭乗中
[装備]:エクスカリバー@FF5、ミスリルナイフ@FF3、クリスタルメイル@FF5、うろこの盾@DQ3
[道具]:基本支給品×3、新サイクロン号(一号)@仮面ライダー、エリクサー×2@FFT、
 メガトンハンマー@DQ9、ロトの剣@DQ9、バスタードソード@DQ3、モスバーグ M500@現実(残弾2/8・装弾数6/8)
 《山羊さんのデイパック:基本支給品、閃光手榴弾、サングラス、不明支給品×0〜1》
[思考]:いち早く帰還
1:戦闘領域から西方面に離脱。可能であれば、一時休息する
2:サイクロン号で会場を巡り、全参加者を殺害する
[参戦時期]:封印中、光の戦士を待っている頃
[備考]:ジョブは魔剣士。名前は忘れてしまっています。

【戦闘領域の放置アイテム】
ナインのデイパック:基本支給品×2
リ=リリのデイパック:基本支給品×2、濃縮メチル@METAL MAX RETURNS
ロランのデイパック:基本支給品、不明支給品×0〜2
タムラのデイパック:支給品一式、スズメバチの巣の袋(未開封)@現実、核爆弾@魔界塔士Sa・Ga
 宝の地図(D-2砂場に印、裏面にZ-G-N-A-と書かれている)、動きが素早くなる薬@スペランカー

【戦闘領域の状況】
※D-4/C-4との境界部より、拡声器を通したリ=リリの叫びが響きわたりました。
 平常時の到達範囲は同一エリア一帯。メガホン=拡声器の描写は5話を参照。
※D-4とC-4境 山岳地にロラン、ナイン、タムラ(頭部飛散)、リ=リリの遺体が転がっています。
※鉄の鎧@DQ3(胸甲部の直下に刺傷による歪み、背部に無数の凹み・穴あり)は、ナインの遺体が着用しています。
※髑髏の稽古着@真・女神転生if...(血まみれ)は、タムラの遺体が着用しています。
※リボン@FF3は、リ=リリの遺体が着用しています。側にメガホン@現実が落ちています。


 *  *  *

550アダバナイッセン(下) 黄昏の奏鳴曲 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:53:49 ID:UumFVQBE0
【Recapitulazione della prima parte: Lento】

 は? ……誰が一番儲かるかって?
 こいつはまた、分かりきったことを聞くもんだ。
 その質問に、俺が返せる答えはひとつきりしかありゃしねぇ。

 なにを賭けさせるにしろ、胴元が一番儲かるように出来てるのさ。
 ポーカー、ブラックジャック、バカラ、ルーレット、スロットにクラップス……。
 道具がカードだろうとダイスだろうと関係はない。唯一、ブラックジャックだけは儲けが手数料を超えうるが――
 どだい無理だな。カジノも慈善事業じゃねぇ、レートを操れる権利がある以上、あっちの有利に“する”んだよ。

 ……そりゃあ、何事にも例外はあるけどな。ブラックジャックの“奇跡”が良い例か?
 デッキに残ったカードが全部8なら、ディーラーが確実に負ける。全部6なら、プレイヤーが泣きを見る。
 そこまでの偶然に頼らなくても、基本的な戦略を守り続けるだけで、こっちの損は減らせるからな。
 ああ、ポーカーじゃないがポーカーフェイスでだ。こっちの平常心を全力で崩すのがディーラーの役目なんでね。
 熱くなってゲームに飲まれちまったら、そこで終わりだ。バトルロイヤルだって、そのあたりは同じだろうよ。
 いくら“いい戦い”をしたところで、負けがくれば笑うのは仕掛け人や無関係の観客。そんなものさ。

 だったら“戦わないことが正解”ときたか。
 なるほどな。そいつはまた、たいそうな極論だが……。
 確かにそうだ、そのとおりだよ。命さえありゃ、いつだって勝負には出られるんだからな。
 それに、賭け事が好きな奴にだって、似たようなことを考えて動く奴はけっこういるもんでね。
 まぁ、そうだな……俺が例え話をするなら、ブラックジャックが似合いと言えば似合い、か。

 たとえば、カウンティングやイカサマなしで、“普通に”ブラックジャックをやるとする。
 そこでディーラーが21を作りそうなら、サレンダーでゲームを降りるか、インシュアランスで保険をかける。
 自分に21がきたらイーブンマネーをかけて、払い戻しの額を減らす代わりにディーラーとの引き分けを防ぐ。
 カジノ側が決めるハウスルールにもよるが、こんなやり方を続けていけば、負ける額は絶対に減るんだ。
 で、山のようにコインをかっさらう馬鹿勝ちがなくなる代わりに、自分のメンツは保てるってわけさ。
 人前でブザマに負けはしねぇ。他の誰かの食い物にされねぇってのは、賭け事で食ってくには大事なことで――
 ああ、そうだな。ギャンブルで自分を魅せてぇと思ってる奴にとっても、メンツどうこうは一大事なんだろうよ。

 そんな例を見てきたからこそ、俺も頭でなら『戦わない』ことに同意は出来るんだがね……。
 保険をかけて、予防線を引いて、そんなやり方で本当に“ゲームをやってる”と思えるもんなのか。
 もちろん、運命の女神サマにたくさん貢いどけば、それだけコインが戻って来るなんて保証はないぜ。
 胴元以外が儲けられるブラックジャックだって、ハウスエッジがゼロ未満になる時はそうそう来やしねぇ。
 賭けに出ると決めて、参加料を払っちまった時点で、ギャンブラーはどこかで負けたようなもんなのさ。
 長いゲームのうちに大勝ちが一回きたとしても、それまでの負け分を取り戻せなきゃ焼け石に水。負けは負けだ。
 そんな“負け”が出ないようにしたいなら、ハナから戦わずに負け分も出さない。その考えはある意味じゃ正しい。


 それで……だ。
 こういう“生き方”が正しいと分かったところで、アンタは満足できるのかい?


【ロラン(ローレシア王子)@ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々 死亡】
【ナイン(主人公・女)@ドラゴンクエストⅨ 死亡】
【タムラ(主人公)@スペランカー 死亡】
【リ=リリ(セレスティア:アイドル:♀)@剣と魔法と学園モノ。2 死亡】
【残り 30人】

551 ◆MobiusZmZg:2010/03/21(日) 21:55:27 ID:UumFVQBE0
以上で投下を終了します。
分割点はタイトルどおり……ですが、後編がtxtで30.2KB……ギリギリかなあ。
一応、収録する際にはは自分で試してみて、必要になったら分割点を改めます。

552右手にインド人チャラチャラ:2010/03/21(日) 23:26:42 ID:HMDZA5F60
投下乙でした
五人中四人が死亡という壮絶な結果になったか……
ロワが始まったときは、ドラクエ2三人衆が第一放送を待たずに全滅なんて思いもしなかったぜ
それと、最後までおのれの道を貫いたナインにはいい意味で鳥肌が立った

553 ◆MobiusZmZg:2010/03/27(土) 15:20:39 ID:7fItaevA0
ロワ語りも近くなってきたし、50話突破したし、描きたいしで挿絵支援。
50話『ハートに巻いた包帯を 僕がゆっくりほどくから』のミレニアとユーリです。
パスは『mumei』でどぞー

http://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0388.jpg.html

554 ◆MUMEIngoJ6:2010/03/27(土) 23:50:24 ID:C1NtT2n60
……!
…………!
………………!

うおお! 絵になってる! すっげえ! ありがとうございまっす!
やっべえ! すっげえ! マジで!? 全力で保存させてもらいました!
これはテンション上がるなぁ。イラストに書かれている文が、あのSSのタイトル元ネタから取ってるのにもびっくりだ
ってか裏目ヤローのくせにかっこいいじゃないか、ユーリめ
たまらねー……いや、もう本当にありがとうございました

555右手にインド人チャラチャラ:2010/03/28(日) 00:20:09 ID:3gvx8EnU0
とと、支援絵乙です!
ユーリかっこいいな……! ミレニアの表情がすごくいいです!

作品の感想をば
>fight or flight 〜闘争か逃走か〜
ナインの伏線、考え、すごくいいと思います。
タムラの病弱ッぷりが話を追うごとにエスカレートしてて吹いたwww
やっぱり普通の人がロトの剣使ったら焦るわな……

>アダバナイッセン
これは壮絶なバトル……!!
まさかナインが自ら死にに行くとは……!
救うための破壊を続けることになった闇の戦士がどう動いていくか……楽しみです。

556右手にインド人チャラチャラ:2010/03/29(月) 23:42:53 ID:s/a64Sb.0
50話突破ということで、便乗してこっそりと支援絵を晒して置きます。
『ラッキータイプ』な女の子より、内田珠樹ちゃんですー。

http://a-draw.com/contents/uploader2/upload.cgi?mode=dl&file=19116

パスはmegatenで、良ければ見てみてください〜今後も応援しております!

557右手にインド人チャラチャラ:2010/03/30(火) 00:17:21 ID:SaJUSvuU0
おお、支援絵乙です
おぞましくもどこかエロスを漂わせる珠樹ちゃんですなー

558右手にインド人チャラチャラ:2010/03/30(火) 00:26:05 ID:agGDAfCw0
また支援絵きた! やったね! 嬉しい!
珠樹ちゃんかわいいよ、珠樹ちゃん
何気に一話死亡枠しか殺してないのに、彼女の貫禄は異常。しかもエロい

559右手にインド人チャラチャラ:2010/03/30(火) 00:56:56 ID:NFozovBQ0
おお……、支援絵GJです。いいものみた!
瞳がキラキラしてるのが、いかにもラッキータイプな感じだなぁ。色調とあいまって、なんだか可愛い。
構図がきわどいのはジロン視点だからかしらw はいてなくても健康的な感じで素敵だぜ!

5604月馬鹿達の宴 ◆fRBHCfnGJI:2010/04/01(木) 23:56:42 ID:0eNCbEGU0
タケシ、ノア、ていうか全員投下します

5614月馬鹿達の宴 ◆fRBHCfnGJI:2010/04/01(木) 23:57:00 ID:0eNCbEGU0
殺し合いの終結を告げる花火が如く、爆音が鳴り響いた。
『だいばくはつ』、生命の全てを破壊の力に変える禁断の技であるソレをこの殺し合いの主催たるノアにぶつけたその男は、
満足そうに微笑むと、こう言った。

「一話死亡キャラにも……意地はあるんだぜ…………」

こうして殺し合いの機能は停止したが、ブシエさんと珠樹ちゃんがハッスルしすぎたせいで全員死んだ。

【無名ロワ 完】

562右手にインド人チャラチャラ:2010/04/02(金) 00:00:04 ID:ny0cB9MQ0
乙です
ついに無名ロワも完結しましたね
次回からは半無名ロワが始まります

563由井者ケーザオス:2010/04/04(日) 14:56:33 ID:Ffo4MDa60
    ,、‐'''''''''ヽ、
    /ヾ  ~"彡!
   {,,    ,, =,}
   ヾ, ,!! 、ミシ
     7‐-┬'´
    ./‐‐-ヘ
    /_,、-─-、i,
   な /  __ ヽ
 ぁ 訳/ ''"´   `\
 ぁな /  -‐''" ̄`゙''-\
 ぁ い レ/ _、-‐┬┬-、 ヽ
 ぁ じ /   ノ   ヽ |  ヽ
 ぁ ゃ>   ┼   ┼ |  |
 んぁ >   ⌒  ハ⌒ |  /
 !ぁ>  __ノ_( ○)ヽ |/
   ん  |ヽエエエェフ | |
   \  | ヽ ヽ  | | |
  √\  ヽ ヽエェェイ|/
     \  `ー― /ヽ

564由井者ケーザオス:2010/04/08(木) 23:09:47 ID:DseLyafQ0
ひとつ投下させていただきます。

565Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:10:47 ID:DseLyafQ0
とん、とん、とん。ぐつぐつ。
擬音にすると、大体こんな感じだろうか。宿屋の主人の手が鮮やかに動き、音を生み出す。
既に彼の頭の中では、今日の夕飯のヴィジョンは完全完璧に固まっていた。
材料も痛んではいなかった。それどころか奇妙な事に、取れたて新鮮であったといっても過言ではない。
だから今回の料理に関しては何も問題はない。"作る側"としては、これ以上いい環境などあろうものか。
これならば、全力でのサポートにいらぬ苦労をかけることは無いはず。
後は自分の出来ることをするだけ。ただそれだけに今は集中するべきなのだ。
そう、決めたのだから。

しかしそれでも主人は、ある一つの不安を隠し切れないでいた。
不安の元は、"食べる側"。このレーベの村の宿屋に"宿泊"している少女達。
主人は、彼女らがこの後どうなってしまうかが心配でたまらないのである。


 また、駆逐された人類の名を一定時間ごとに告げる放送を流す。


この異常な世界の中で定期的に行われるらしい"放送"。
もしも彼女達の知り合いの名が、無情にもノアの口から紡がれてしまったらと思うと怖かった。
自分は精一杯彼女達を、そして勇者様ご一行をサポートする為に全力を尽くしてきた。
しかしそれでも、"放送"の内容がもしもここの皆の心を揺さぶるようなものだったとしたら。

「あまり、考えたくはないですな……」

自分のサポートが無意味なものになってしまうのは嫌だ。
何よりあの少女達が沈んでしまうのが一番嫌だ。
――――しかし、それでも主人は料理を作り続ける。自分に出来る精一杯を、続ける。
確かに不安だ。放送を聴いたとき、己を含めた全員がどうなるかはわからない。

だが、それでも彼は料理の手を止めはしなかった。
料理を作り、客人をもてなす。そんな日常に近しい世界に触れていたおかげだろうか。
ふと、主人の心に不安が湧き上がっていくのと同時に、自分が"熱くかつ冷静になり始めている"のを感じていた。
それどころか、実際に自分の土俵に立って仕事を始めてみればあら不思議。
巻き込まれただけではない。自分の意思で何かを成し遂げようと思ったその途端、勇気が湧いてきたのだ。

もしもノアが放送という武器で心を抉ろうとかかったら、それから今度は自分が笑顔を取り戻せられる様努力すればいいのだ。
奴が"マイナス"を運んできたならば、自分が少女達に襲い掛かる"マイナス"を吹き飛ばす程の"プラス"を作り上げればいい。
公子と名乗ったあの少女の笑顔を思い出す。
彼女のあの笑顔があれば、どんな悲しみも吹き飛んでしまうのではないかとさえ考えてしまう。
ならば"それを呼び覚ます手段"が今の自分の武器だ。上等だ。やれるところまでやってやろうではないか。


 なあおっさん、出張宿屋ってのも、面白いんじゃないか。


まるであの、粋な盗賊が傍にいてくれるようで。
そんな彼が再び、あの言葉をかけてくれているような気がして。
だからだろうか。調理用具を持つ手に力が入る。調味料の分量を量る瞳が鋭く光る。
次に何を行えば美味しい料理が出来るかが頭の中に流れ込んでくる。

宿屋の主人が近い未来に対して不安を抱いている事には、決して変わりは無い。
だがそれでも、彼はこの調理場という空間内で確かに"戦士"となっていた。


       ◇       ◇       ◇

566Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:12:07 ID:DseLyafQ0
「もー、まさかたった一つだとかそんな……ショックだわ……」
「ま、まぁまぁ。じゃあご飯食べた後に材料があれば焼いたげるから!」
「本当?」
「うん、まぁ材料があったらだけど……勿論、プルフォーの分も」
「えっ……あ、はい……!」

といった会話を経て、適当な椅子を見つけて座る沙理子。
その姿を見て、"気持ちの整理はきちんとついたのだろう"と少女は微笑んだ。

笑みの主はペルソナ使いの少女である。名はご存知、有里公子だ。
放送まではもう少し時間がある今現在。その中で彼女はプルフォー達と少しでも心を近づけようと世間話をしていた。
話題は大層なものではない。好きな食べ物や周りの人達のこと、などといった何の他愛も無い話だ。
だが沙理子が帰ってきてから開始されたそんな話の数々は、騒がしくなるほどではなかったが確かに静かに盛り上がっていた。
そうすることで、相手がどんな環境で生きてきたかを知る事も出来るわ楽しくなるわで一石二鳥。
微笑を浮かべながら、会話のキャッチボールを展開する姿は、まるでクラスメイトと楽しい時間を過ごしているかのようだった。

"沙理子相手ならば"、なのだが。

どうしても、仕方のない問題というものは発生してしまうもので。
そんな問題を生み出して"しまう"主、プルフォーの哀しそうな瞳を見て、公子は心を絞められるような感覚を覚えた。

そう。プルフォーは、公子とは明らかに違いすぎる環境に身を置いていた。
戦争をさせられる為だけに生まれ、育てられ、戦いに不必要なものが全て省かれた生活を強いられていた。
その挙句に、遂に実戦に借り出された途端に沢山の姉妹と共に撃墜されていったのだ。
奇跡的に生きてはいたものの、自分が仕えていた主とは死別。自分がどうすればいいのかも解らないまま、気付けばこんな場所に。
公子がプルフォーの話を噛み砕いて自分なりに解釈したところでは、大体こんなところ。
つまりこの少女の世界はとても"小さくて、狭くて、少ない"。だから沙理子には通じる話も彼女には通じず。
そんな具合で、実は彼女だけが一人話を膨らませる事が出来ないままでいたのだった。

「あの、ごめんなさい……色々な事、わからなくて……」
「ん? ああ、いや、気にしなくていいよ。ってかごめんね私達だけで盛り上がっちゃって」
「あ、いえ……ごめん、なさい。気を遣わせて……」

失敗した。と公子は自分の行動を反省する。
彼女が"世界を知る暇が無かった"という事は理解していたはずなのにこの体たらく。
かと言って流石の自分でもあの"アクシズ"だの"量産型キュベレイ"だので話を広げられる自信も無い。
というかそんなものを話題にしてしまっては、確実に彼女の心を疲弊させてしまうだろう。

(ちょっとはしゃぎ過ぎたな……沙理子だけが相手なら大成功だったんだろうけど)

せっかく自分を頼ってきてくれた彼女に負担を強いる事だけはしたくなかった。
これ以上下手なことをすると、自分の残念度が上がりに上がると予測。
とりあえず一旦落ち着くことにしよう。溜息をつきながら、ゆっくりと立ち上がった。

「何処へ?」
「ちょっとトイレに」

沙理子の質問に答え、頭をリセットさせるために部屋を出ようとドアへと体を向ける。
そして一歩進もうとしたとき、ふと違和感を覚えた。
服の片袖を何者かに掴まれている。力はとても強く、しかし弱弱しく震えている。
プルフォーだった。

「プルフォー……?」
「……っ」
「大丈夫だよ、そんなにしなくても私は逃げないよ?」

一人になるのが――といっても沙理子がいるわけだが――嫌なのだろうか。
ひとまずは安心させないと、と公子は口を開くものの、プルフォーは手を離さない。
その上でこちらの目を不安げにじっと見つめ、更にふるふると首を横に振る。
これはもう"何があっても離れたくない"という意思表示と考えて間違いないだろう。

567Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:13:31 ID:DseLyafQ0
(まいったな……)

いや、本当にまいった。
まさかだ。まさかの連続だった。

(自分が護るって言っておいて、この子が私しか頼れる人間がいないんだって事を忘れてたなんて……そんな私にまいった)

不覚を取った。

(いやぁ、ほんとにまいった。私ダメだなー。残念過ぎる)

しかし。

(そんな残念な私を……状況がこんなだった事を含めても、頼りにしてくれてる。
 私しかいなかったから、だとしてもプルフォーは私の言葉を信じてくれた。そう、今だって)

ならば。それにひとつずつ応えよう。
それじゃ一緒に、とプルフォーの手を握る。
公子のその行動が嬉しかったのか、プルフォーの表情が少しずつ緩む。

(そうだ。この子は他の姉妹と離れたのを最後に死別した……だったら、そうだ。
 私が少し離れるってだけで、それを思い出して不安になったって当然なんだよね……!)

自分の使命とそれに伴う責任を思い出し、公子は気合を入れなおす。
いい機会だった。おかげで、改めて決意を固めなおす事が出来た。
世間話の件ではプルフォーを悲しませてしまったが、それもそれだ。
彼女に"マイナス"が降りかかったなら、自分がその分"プラス"を与えればいいのだ。

「あっ、やば……漏れ……っ! ごめんじゃあ沙理子ちょっと二人で行ってくる!」
「うんうん、行ってあげなー。ついでに建物を適当に回ってみるのもいいんじゃない?」
「そ、そうするー! じゃあプルフォー、行こう!」

奇しくもそんな宿屋の主人と同じ考えに至った途端、公子の尿意はksk。
子どもの前でダム決壊宜しくえらい騒ぎを起こすわけにはいかないので、沙理子の言葉に甘える宣言直後に早足でトイレへと向かった。

プルフォーとしっかり手を繋ぎながら。

568Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:14:31 ID:DseLyafQ0
       ◇       ◇       ◇


ルーンミッドガッツ王国とシュバルツバルド共和国の国境地帯。
王国の首都プロンテラより離れたその場所にて、巨大な塔を中心に丁度八角形の形をした街がある。
湖に囲まれ自然豊かで、そして古より魔法力に恵まれた静かな街。それが"魔法都市ゲフェン"だ。

古の修練者達が造り上げたその街は、魔法都市の名の通り魔法使いの聖地と言っても過言ではない。
まず街にある魔法学校では、未来を担う"ノービス"達が"マジシャン"へと転職し、また研究を続けている。
街の中央の巨大な塔はゲフェンタワーという名で、常に人の出入りがある一番のスポットだ。
屋上には由緒正しき魔術師ギルドの本部があり、日夜修練を重ねたマジシャン達はそこで"ウィザード"への転職を目指して試験に挑む。
一方地下に入れば薄暗いダンジョンと化した遺跡が広がっており、力試しとばかりに突撃していく者も多い。
ちなみに余談だが、商人が"ブラックスミス"へと転職する為の鍛冶師ギルドも存在していたものの、今は既に移転済みである。
街の南端には噴水があり、そこも"カプラサービス"という冒険者を支援する団体の組合員がいるのも手伝って、賑わっている事が多い。
商人達が露店を開いて客の来訪を待ったり、聖職者が怪我を癒す魔法を気まぐれに唱えたりと、ゲフェンの人情味を覗かせている。

そんな街が、ネリーは大好きだった。
時計塔を中心にした"国境都市アルデバラン"も捨てがたいが、やはり一番はゲフェンだろう。
交通の便の事もあってかそこそこに人も多く、かといって騒がしすぎることも無い。
自然も多いし、辺りものどかで気持ちがいい。それに知り合いもいる。
噴水の近くで休んでいれば色々な人間を見ることも出来る。ああ、街の中をぐるりと散歩するのもいい。
新米のマジシャンやウィザード達に「頑張りたまえよう」と声をかけるのも楽しいものだ。

だから、だろう。ネリーは夢を見ていた。
自分がそのゲフェンに帰ってきた、そんな夢を。

夢だとはわかっていた。所謂明晰夢というやつだ。
この夢が覚めて覚醒すれば、結局あのノアの箱庭に逆戻りというわけだろう。
悔しい話だ。このまま目覚めなければいいのにとは思うが、その所為で敵に気付かず永眠となるとそれは困るわけで。
かと言ってみだりに人を殺したくも無いしな、とも同時に考える。
こんな夢を見た所為で望郷の思いが募って、とかそんな理由で自分がお尋ね者になるのは馬鹿馬鹿しすぎる話だ。
それに、そんなものはただの逃げだ。この転生までしたネリー様が機械のいう事聞いて殺し合いとか、どんだけ。

ネリーは夢を見続ける。
これから苦難が待ち受けているのは明白なのだから、せめてこれくらいは罰は当たるまい。
散々ゲフェンで遊び倒して、それからまた現実で頑張ればいいのだから。

(確かもうすぐ放送だっけ……まーでも内容は他の人に聞けばいいや)

目は、まだ覚めそうに無い。


       ◇       ◇       ◇

569Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:15:24 ID:DseLyafQ0
「あぶなっ、危なかった……危なかったぁー……」
「ま、間に合ってよかったです……」
「もう本当だよ。これで"やっちゃってた"ら本当にお手上げ侍だった」

どうにかトイレには間に合った公子は、大きく安堵の溜息をついた。
あの急激な尿意の増幅ははっきりいって危なかった。
満月の度に現れていたシャドウに対峙したときとはまた違う恐怖を味わったと思う。
なんというか、まぁ、死ぬかと思った。

と、そんな事を考えていたときだ。公子は芳しい香りがこの空間内を漂っている事に気付いた。
正体を掴もうともっとよく香りを楽しんでみると、クリームソースの様だということがわかる。
隣ではプルフォーもすんすんと鼻を鳴らしながら香りの出所を探している。

「まさか……もう料理が出来てるのかな?」
「お料理、ですか?」
「うん、多分おじさんだよ。行ってみよう!」
「はいっ」

全ては公子が察したとおりであった。
予想は大正解。二人で仲良く手を繋いで調理場に向かってみれば、食欲をそそる香りが次々に生成されている。

「おじさん! これおじさんが作ってるんだよね? すっごい本格的ー!」
「おや、公子さんでしたか。ええ……やはりこれくらいはね」

調理中の宿屋の主人は鍋をかき混ぜていた。
調理用として申し分ない、丈夫そうなそれの中身におそらくクリームソースが入っているのだろう。
想像するだけで急激に空腹感を覚え、公子の腹は素直に音を立ててしまう。

「あの……一体、何を作ってるのですか?」
「献立ですか? 今はですね、ハンバーグを作っているのですよ」

ここでプルフォーが質問をすると、主人はにっこりと笑みを浮かべて答えた。

「はんばーぐ……?」
「ええ。既に形は整えてありますから、後は焼いて仕上げるだけです」

主人の説明を聞くものの、プルフォーは首を横に傾けてぱちぱちと瞬きをしている。
恐らく料理の知識にも疎くならざるを得なかったのだろう。
それならそれでハンバーグが現れたときの反応が楽しみだと、公子は思った。

「あっ、わかった! さてはそれでそのクリームソースを! たっぷり!」
「ええ、たっぷりとかけさせてもらいますよ。キノコは平気でしたか?」
「キノコは大丈夫大丈夫。もうこれは絶対美味しいよー! 楽しみにしてるね!」

570Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:17:24 ID:DseLyafQ0
じゃあそろそろ、と出口へと向き直る公子。それを見てプルフォーは「失礼しました」とお辞儀をする。
そして揃って調理場から離れようとしたとき、主人に声をかけられた。
どうしたのだろうか、と公子は足を止めてプルフォーと共に主人に視線を戻す。

「火を使うついでにお風呂を沸かしておいたのですが、どうします?」
「え、もう焚けてるの? おじさん気合入ってるね」
「はい。どうせ火を起こしたのだからと思い、平行しましてね。
 見たところ湯船も広かったですし、存分にゆっくり出来ると思います。それに……」
「それに?」

ここで主人の言葉は一度途切れた。公子とプルフォーはその間に体を向けなおす。
そうして一拍おいた後、主人は再び言葉を紡ぐ。

「それに……もうすぐ、"放送"でしょう? ですから、せめて……」
「あ……」
「せめて、少しでも心を休めて、"何かあった時の為に、備えて欲しい"のです……。
 勿論、皆さんの大切な方の名が呼ばれる放送ではない事を祈るべきですが……それでも、ね。
 どちらにしろお亡くなりになった方の名前が呼ばれるわけですから……あの盗賊さんの名もね。
 放送はきっと私達の心を抉るでしょう。ですからどうか、その前に存分に英気を養って、"備えて"欲しい」

主人の真摯な想い。それが公子とプルフォーにぶつけられた。
彼は本当に強い人間だ、と思う。
自分の事でも精一杯だろうに、彼は自分達にこうも優しくしてくれる。人の事を気遣ってくれる。

「……なるほど、わかったよおじさん。じゃあそうする」

それを改めて知ると嬉しくて、そして少し泣きそうになって、公子は主人の言葉に甘える事にした。


       ◇       ◇       ◇


今頃、あの会話の弾まなかった少女と共に英気を養っている最中だろうか。
といった具合に公子の状況を予測しながら、沙理子は椅子に座ったまま大きく伸びをした。

「まぁ、人間のメンタルは肝心だしね……」

擬態能力の確認も出来たし、心を落ち着ける時間もたっぷりとあった。
そのおかげで、沙理子自身は放送を聞くための準備というものが出来ていた。
覚悟も既にした。多少何があったとて自分はもう揺らぎはしない、はずである。
だがやはり、一方で公子とプルフォーの心は"準備が不十分"であった気がした。
プルフォーは見た目で判るし、公子からも空元気臭がしてならなかったからだ。
故に彼女は、二人に落ち着かせる時間を与える為に「宿屋を散策したら?」という提案を出したのである。

「敵に塩を送る……ってわけじゃないのだけれどね。やっぱり万全の状態で私を護って欲しいもの」

意気消沈されても困るしね、と考えてここでもう一度伸び。
どうやら自分は、ここまでで既にだいぶ疲労しているようだった。
殺し合いをしろと言われて見知らぬ土地に来たのだ。及び知らぬストレスが地味に溜まっていたのかもしれない。

「カップケーキの約束もあるし、早く"何でもこい"な精神で戻ってきなさいよね。
 ……べ、別に心から心配してるわけじゃないわよ。自分に有益な盾だから、管理してるだけなんだからね!」

だからこんなテンプレ台詞を言ってしまうのも、何かの気の迷いとか、そんなものの所為なのだろう。

571Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:19:50 ID:DseLyafQ0
       ◇       ◇       ◇


「おおー、でっか! これはちょっと贅沢かも!」

一足先に髪を解いて衣服を脱ぎ去り、健康的に豊かな体を晒しながら浴場へと入った公子は、主人の情報通りの光景に感嘆した。
湯船が広いと言っていたがそれだけではない。浴場の面積自体も何気に広く、二人以上でも問題無いくらいだ。
それに掃除も行き届いており、カビ一つ無い壁や天井を見ればとても気持ちがいい。
流石は宿泊施設といったところだろう。いやはや全く素晴らしいものではないか。
と、ここで後ろから気配を感じたので振り返った。
見れば服を脱ぎ終わったプルフォーが、きょろきょろと辺りを見渡しながらも不安げに足を止めていた。
だがそれでも公子が微笑んで手招きをすると、おそるおそる浴場へと一歩踏み込む。
とても戦争に借り出されていたとは思えない程に幼い体を晒して、彼女は近付いてきてくれた。

「わ、ぁ……凄いですね……」
「だねー」

来るのは初めてなのだろうが、それでもやはりこの素晴らしさは伝わったらしい。
いつもの事ながらおっかなびっくりといった具合だが、おかげで問題無いだろうとそう思えた。
よく見れば最初に話していたときよりも瞳が輝いているし、何よりほんの少しだが、笑顔だ。
アクシズで見られなかったものを見られるのが、よっぽど嬉しいのだろう。
グッ、と思わず公子は小さくガッツポーズをするが、しかしそこで完全に満足はしない。まだまだこれからだ。
ネットワーク、というかアンテナを更に広げ、戦争から離れた世界には楽しいものがあるのだという事をもっともっと教えてあげたい。
スルーせざるを得なかったであろう物事に目を向ける時間をプレゼントする事で、彼女の心をゆっくりと癒してあげたいのだ。

「あげたい、っていうのは傲慢かもだけどね……」
「どうしました……?」
「ううん、なんでもない。よーしじゃあエンジョイしちゃうぞー! 洗いっことかしよう!」

複数あった洗面器の一つを持つと、早速テンションが上がる公子。
ざばーっ、っと音を立てて湯を浴びてみれば凄く気持ちがいい。
それをみたプルフォーも真似をしてみれば、年齢相応の平らな体が熱を帯びていく。
気持ちが良かったのか、両目を閉じて小さく溜息。楽しんでくれているようで、とても嬉しい。

「そういえば、その……"あらいっこ"っていうのは、具体的にどういう……」
「王道はやっぱり仲良く背中だよね! あ、でも……折角だからプルフォーの紙、洗っていい?」
「えっ、そ、それくらいは自分でも可能ですが……」
「ふふっ、もし妹が出来たらやってみたいなって思ってて。だからお願いっ!」
「……じゃあ、わかりました。公子なら、かまわないです」
「やたっ! じゃあ公子お姉ちゃんが優しく洗ったげるねぃー♪」

公子は了承を得ると、早速洗面器で再び湯を掬い、プルフォーの頭にかけるのを数回繰り返す。
そして洗髪用の石鹸を両手で泡立てながらプルフォーの背に回りこみ、彼女の頭を優しく撫ぜる様に洗い始めた。
暖かな太陽の様な色をしたその髪は柔らかく、そしてその一本一本がとても細い。
ゆっくりと静かに手を動かせば、その髪に泡が馴染んでいく。気分はもうカリスマ美容師だ。

「痛くない?」
「ん……大丈夫です」
「気持ちいい?」
「はい、とても……」

このプルフォーの言葉は本心だったようで、時折溜息や声がもれている。
その様子を見てとても嬉しくなり、公子もご満悦だ。ニヤニヤが止まっていない。
ずっとやって見たかったことが叶ったおかげでもあるのだろうが。

「よーし、じゃあ目つぶって。流すよー」
「はいっ」

湯を頭に流すと、泡が名残惜しそうに彼女の髪や肩を伝って落ちていく。
何度か繰り返して完全に落ちた事を確認すると、次はリンスに移る。
滑らかな手触りのそれを両手に含み、再び髪に馴染ませる。
一本一本に至るまでゆっくり伸ばしていくイメージで、焦らず緩やか柔らかに。
そうして最後にまた、プルフォーに目を閉じるよう声をかけて湯を何度か流し、完了だ。

572Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:21:32 ID:DseLyafQ0
"目を開けてもいいよ"と声をかけると、彼女は軽く首肯。そして両目を開いたようだ。
これで彼女の洗髪は無事に終了。素人ながら上手くいった様で安心である。

「公子……」
「ん?」
「ありがとうございます……その、とても、気持ち良かったので……」
「ん、そっかそっか。じゃあまたお風呂に入るときにはやったげるよ」

礼を言うプルフォーに、公子は優しく頭を撫でながら答えた。
ついでに少し乱れている髪を、手ぐしでとかす。
うん、上出来。もう毎日やりたいくらいだ。
次に風呂に入るときが楽しみだ、と公子は自分の髪を洗おうと洗面器に手を伸ばした。
そのときである。

「あ、あのっ……私も、公子の髪、を……」

なんとプルフォーがこえをあげ、せんぱつをやりたそうにこちらをみている。

「急いでいるのなら、その、いいのですが……」

りょうしょうしますか?

「良いよ! じゃあプルフォー、お願いっ」

[>はい
 いいえ


       ◇       ◇       ◇


丁度その頃。
宿屋の主人の状況を示すならば、二品目の"シーザーサラダ"が完成間近といったところだった。

「あの二人……万全の状態を迎えられるといいのですが……」

ここで時計を見る。
針が放送の時刻へとまた一歩近付いていた。


       ◇       ◇       ◇


プルフォーによる洗髪が終了。
そして彼女の小さな背中も洗い終えて、今は公子が彼女に背中を洗ってもらっている。

(たまらん……たまらんですよー)

プルフォーが自分の髪を洗ってくれたとき、そして今こうして背中を洗ってくれている事が凄く嬉しい。
慣れないせいか、動きが少々ぎこちない彼女の小さな両手。
だがその紅葉の様な手が必死に動いている感触からは、彼女の優しさが見えるのだ。

(なんか私、このままだと"目覚めそう"……)

思わず新たな扉を開きそうになってしまいつつ――というか既に半ば危険かもしれないが――公子は心地よさに身を任せ少し呆けてしまう。
部屋中に満ちる温度と、プルフォーの小さな両手の感触、そして背中を伝う少しのくすぐったさと気持ちよさを堪能しているのだ。
すると!

(ってうわお! カード来た来た来た! ランク上がったし!)

公子にだけ理解出来る感覚が再臨した。

573Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:22:43 ID:DseLyafQ0
「あの、公子……」
「…………えっ、あ、うん! どうしたの!?」
「背中、流しますね?」
「うん、うんうん! ごめん、気持ちよくてぼうっとしてたじぇ」

ランクアップとプルフォーの言葉を契機に、公子はやっと正気に戻った。
どれくらい呆けていたかは少し覚えてないが、とりあえずこれで体中はきれいになった。
公子が目覚めそうな気がしたものの、なんだか知らんがとにかく良し!
プルフォーを誘い、そのまま湯船へと体を沈めていった。
丁度向かい合わせの形になり、若干の余裕を残して仲良く湯に浸かる。
そうしてしばらくじっとしていると、ふいにプルフォーが口を開いた。

「こうして……」
「ん?」
「こうして……誰かとこんな事が出来る日が来るとは、思いもしませんでした」
「……そっか」

彼女が静かに語り始めたのは、やはり自分のこと。
姉妹とあっという間に死別して、それに自分も死んだはずで。
だからこんなことが出来るなどと、予想出来ただろうか。いや、出来まい。
しかし今はこうしている。しっかり生きている。
それが嬉しいのだと、プルフォーは途切れ途切れに語った。

「また……こうしたいです。許されるなら、また……」
「……出来るよ」

湯船に浸かっているおかげか少し紅色に染まる彼女の頬を、そっと撫でながら公子は答える。

「さっきも言ったよ。またお風呂に入るときに一緒に髪を洗おうって。
 言っておくけど、私はまだ満足してないよ? これからだもん。
 それにお風呂だけじゃない。もっと色んな事を、一緒にやろう。ね?」

そして、そのままプルフォーを抱きしめる。
大丈夫だと。自分はしっかりとここにいるのだと。
プルフォーの傍には自分が立っているのだと、実感して欲しくて。
けれど、今こうして抱き寄せているのはそれだけが理由ではない。
理由はプルフォーには隠してはいたけれどもう一つあって。

「公子……どうして、どうしてここは暖かいのに……」
「プルフォー……?」
「どうして、震えているのですか……?」

それもやっぱり、ばれた。

「それだけじゃない……公子は、心まで震えています……」
「……そう、かもね」
「どうして……公子は、こんなにも強いのに……」
「…………放送がね、怖いんだ」

宿屋の主人に気遣われたのも無理はない。やはり公子は放送が怖かったのだ。
公子はマイペースを保ててはいたが、それでも先のことが不安だったのである。
放送は自分も気がかりだった。もしもその内容がプルフォーの心を抉ってしまうものだったらと思うと、体が震えてしまう。
それだけじゃない。目の前の主人と、部屋に残した沙理子と、今も睡眠中であろう少女。そして、自分。
もしも、自分が知らないだけであの寮の皆の誰かがいて、挙句に名前を呼ばれてしまったとしても耐えられるだろうか。
いや、"だろうか"ではない。"耐えなければならない"のだ。そうでなければ、自分はこの宿屋の住人を護りきれなくなってしまう。
けれど、そう考えていても"もしも"が来たら、立ち直るのにしばらく時間がかかるかもしれない。

そして主人はそのことも考えて、この提案をしてくれたのだろう。
放送までのワンクッションを与えようと、料理だけでも忙しいのに風呂を沸かしてくれたのだろう。
だから今こうして自分はプルフォーと共に彼のお言葉に甘えたわけなのだが、それでもやはり怖いものは怖い。
重大な責任を背負っている今は、特に。

574Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:25:23 ID:DseLyafQ0
「大丈夫、ですよ……公子なら、大丈夫です」

一方的に抱きしめられていたプルフォーの腕が、公子の背に伸びる。
プルフォーが優しく力を込めると、二人で抱きしめあう形になった。

「私も、とても怖いです……私がここにいる以上は、他の姉妹がいないとも限りませんから。
 それに私も同じです。公子が私と同じ様に、"ざらつき"を覚えてしまったらと思うと、とても哀しい」
「プルフォー……?」
「けれど、公子なら、きっと大丈夫です……こんなにも強く、私達を見守ってくれる公子なら、きっと……」
「プルフォー……っ」

暖かい湯船の中で、プルフォーの温かい言葉が、心を駆け巡る。
護っていると思いながら、自分もこの少女に護られていたのかと、その事に気付く。
だから公子は、プルフォーのその言葉につい目じりを熱くしてしまった。

「プルフォー……ありがとうっ」
「はい、公子……こちらこそ」
「ありがとう、ありがとう、ありがとう……!」

紅葉を散らした公子の頬を、涙がそっと伝った。


       ◇       ◇       ◇


各々が、放送に対して体勢を整え始める。
それぞれに覚悟し、それぞれに思いをぶつけ、それぞれに備える。
宿屋にも少しずつ活気が満ちてきた、そんな夜。
焦ることはない。自分が出来る事を、自分に合ったペースで進めればいいと知ったから。

住民達は皆、"歩くような速さで"前へ前へと進んでいる。



そして、放送が始まろうとしていた。

575Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:26:18 ID:DseLyafQ0
【一日目 夕方/A-2 レーベの村・宿屋浴場】


【有里公子@ペルソナ3ポータブル】
[状態]:健康、入浴中
[コミュ]:Lv2・刑死者(プルフォー)、Lv1・愚者(ノア打倒の同志たち)
[装備]:ペルソナ装備済(???・数不明)
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いはしない。他の参加者と協力してノアを打倒する。あとコミュMAXゲフンゲフン
1:放送を待つ。
2:プルフォー、宿屋の主人、沙理子、睡眠中のネリーを守る。
3:宿屋の主人が気になる。血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒しておく。
4:イゴールさんいないかなー?
[参戦時期]:詳細不明。決戦より前、荒垣死亡後
[備考]
※コミュは絆を築いた相手との間に生まれるもので、ペルソナ合体をした場合に使います。
 だから別に使わないかも(え)。これから増えるかどうかはわかりません。
 コミュコンププレイ中なので、大分股かけてます。
※プロフォーの話を聞きましたが、だいたいしか分かっていません。

【プルフォー@機動戦士ガンダムZZ】
[状態]:沈静、入浴中
[装備]:NT兵用パイロットスーツ@機動戦士ガンダムZZ
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:マスター……。
1:公子を信用。放送を待つ。
[参戦時期]:最終回、死亡後
[備考]
※殺し合いのルールと、ノアについての話を公子から聞きました。

576Andante ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:26:42 ID:DseLyafQ0
【一日目 夕方/A-2 レーベの村・宿屋調理室】

【宿屋の主人@ドラゴンクエストⅠ】
[状態]:健康、調理中
[装備]:ギヤマンのベル@FF3
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜3
[思考]
基本:勇者やその仲間を救う。
1:食事を作りながら放送に備える。
2:勇者達を探したい(ジャガン、アルス優先)が……
3:血みどろの少女(内田珠樹)、ブシド・ザ・ブシエを警戒。


【一日目 夕方/A-2 レーベの村・宿屋一階】

【藤林沙理子(サナギ体ネイティブ)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、人間体
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜2(確認済み)、ドレイクグリップ&ドレイクゼクター@仮面ライダーカブト
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残る。
1:放送を待つ。
2:このグループに溶け込む。必要になればドレイクに変身。
3:『藤林沙理子』を演じて、殺し合いに乗り気でない参加者たちに守ってもらう。
[備考]
※プルフォーに擬態可能になりました。無名ロワ53話時点のプルフォーの記憶を全て得ています。


【一日目 夕方/A-2 レーベの村・宿屋二階】

【ネリー(ロードナイト)@ラグナロクオンライン】
[状態]:美幼女、疲労(大)、睡眠中
[装備]:破邪の剣
[道具]:基本支給品、古代魔術書@Romancing Sa・Ga2、ドア(あと二つ)@魔界塔士Sa・Ga
[思考]:
基本:もっと、もっと強くなる。
1:寝る。放送が聞けなかったら他の人に内容を聞く。
2:とりあえず頼まれたとおり「アバロンの皇帝」に反応する人を探し、古代魔術書を渡す。
3:サラシの女性(ブシエ)ともう一度戦う。

577 ◆EDO/UWV/RY:2010/04/08(木) 23:27:09 ID:DseLyafQ0
投下終了です。何かありましたら、ご遠慮なく。

578由井者ケーザオス:2010/04/09(金) 00:17:25 ID:tUPEOU020
投下乙です!
これはいい和み話
いちおうステルスが混ざってるのに、殺伐さがないなw

579由井者ケーザオス:2010/04/09(金) 00:21:21 ID:2xTK16xI0
投下乙!
宿屋のオッサンがかっこよすぎる、何この渋いオッサン。
そして風呂シーン……ああ、これだけ言わせてくれ。

    ミ ヽヽヽリリノノノノ
   彡ミイ  ̄ ̄'` ̄ヾミ     ,
   彡ミi )      ;|ミ    |i`、
   彡ミ〉 _,,,,,,,,, i,i ,,,,,_イミ   .|l::: l    来いよアグネス
    rミl ,´_-・- l-・-、シ    |l:::: l   法案なんか捨てて、かかって来いよ!
    {6〈ヽ、   、_|_,  イ    ミ::::: l   怖いのか?
   ヾ|   ト===ァ |    .ミ::::: |
    ヽ.  ` `二´ ノ    ミ:::;:_|
    /i\ __ノ      __|__|__
   / ヽ、__ / __i ヽ.   (ア E)
  (   イ   `i´   ´ ⌒イ´ |__|
  .(  i ).   人  .ハ  ノ  /
  (   ). ̄i+i ̄i `ー - ´

580由井者ケーザオス:2010/04/09(金) 00:27:53 ID:oKV9uvM.0
投下乙です
プルフォーとセックスしたいと思えるとてもいいSSでした
和み組の中に蟲が一匹、どうなるか楽しみです

581由井者ケーザオス:2010/04/12(月) 11:36:38 ID:thTnTJeQ0
投下乙です!
感想遅れていたので、二作まとめて……


>アダバナイッセン
大作ktkr!
闇の戦士いいなあ、うん
無名ロワにおいて無名の彼は、いったいどうなってしまうのか……
ううむ、ここだと迷うマーダーは少ないから頑張って欲しいなあ
五人中四人死亡という壮絶な結果だけど、どいつも素敵だったなあ
特にナインがよかった。この最期は凄まじいと言わざるを得ない
結果的には一人勝ちだけど、ナインは闇を掻き回して逝ったなぁw
ナインの言葉を受けた闇はどうなるんだァァ! たまんねー!w
リリも黒いんだけど、ナインの前ではなんていうか『若く』感じたなあ
最初と最後の出張ゲストパートも素敵でした。この発想はなかったな
ああ、それにしても闇……ああ、ああ! なんとも言えん、この、ああ!w


>Andante
宿屋の主人かっこいいよ、主人。なんつーかプロだなあ、うん。ってか飯うまそうだな、おい。
そんでもって幻影の男盗賊もやっぱ素敵。アイツ好きだったな
沙理子はやっぱり間が抜けてていいなあw こいつはもう、本っ当にw
そして、公子とプルフォーの掘り下げ。これはたまらないですね
いや入浴シーンだからってワケじゃなくて、断じて違って
こういう掘り下げが来てくれるのを望んでいたので、いやはやもうよかったよかった
とにかくこんな感じのを書いて欲しかったんだよなー。期待に応えてくれて感謝感謝
しかしプルフォーかわいすぎるな、ちきしょう
そんでもって、ネリシアやネリーが目立っていながらもあまりなかったRO世界の描写もGJでした!
二作目に期待してます!


あと>>580で吹いた

582 ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:11:11 ID:thTnTJeQ0
投下します

583Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:12:03 ID:thTnTJeQ0


 生い茂った木々の隙間から零れるオレンジの光が、高く飛び上がった少年の背を照らす。
 影と夕日でまだらに身体を彩った少年の手元から、再び石の塊が放たれた。
 関節の有無を疑いたくなるほどしなやかなフォームといえど、地に足を付けていない分だけ威力は削がれてしまう。
 落下速度が上乗せされたものの、本来の重さを遥かに下回る。
 ゆえにポケモンマスターと名乗った少年の一撃は、バックステップを踏んで遠ざかったイムには命中しない。
 不意打ちを受けた左肩へと気を回しながら槍を構える相手に、レッドは微かに頬を緩めた。
 そもそも二度目の投石は、攻撃ではなく移動させることを狙ったものであったのだ。
 着地するやいなや地を蹴って、少年は先刻までニムがいた地点より少し先で足を止める。
 この場所から攻撃をすれば、流れ弾がモンスターの亡骸に当たってしまうことはない。
 元ポケモンリーグチャンピオンとしてではなく、ポケモントレーナーのレッドとして死体を弄ぶようなことはしたくなかったのである。
 小さく息を吐き、赤い帽子を深く被り直す。
 後ろに飛んで距離を取った金髪の少女こそ、半液状のモンスターを四散させた張本人。
 襲い掛かってくる意思が伺えたのならレッドとて振り払うが、無抵抗のポケモンを嬲ることなど絶対にしない。
 むしろ、ポケモンを物とでも見ているかのような行為を彼は何より嫌うのだ。
 もしもそんな現場を見てしまえば、レッドはどうするか――――
 三年前に壊滅したロケット団の例をあげれば、お分かりいただけるだろうか。
 夜が近付いてきたのを知らせるような肌寒い風が、少年の赤いベストを舞い上げて黒いシャツを露にした。

(やっぱり、かぁ……)

 逆光のために表情を伺うことはできないが、怒っていることは気配で伝わった。
 悪魔スライムの屍を庇うように前に出たレッドを見て、イムは自分の考えが正解であったことを実感する。
 完全に、最初から間違っていたのだ。
 筋が通っていたのはスライムの方で、誤認していたのが自分。それが真実。
 正解は『思い違いをしていた』であったのだ。
 何だかややこしい結論だが、とても傑作だなんて言って笑う気にはなれなかった。
 珠魅やドラグーンに獣人といった、種族的に純粋な人間でない『人』とともに行動したというのに。
 いや、だからこそ、か。
 生半可な知識をさも世界の理であるかのように錯覚し、イムはモンスターを『人』ではないと決めてかかった。
 元より彼女の持つ情報は、世界を巡ることで獲得してきたということも忘れて。
 ノアの言っていた異なる次元など、はっきり言ってイムにはよく分からない。
 それでも世界が無限に広がっていることなど、とうに知っていたはずなのに。
 いつのまにやら、自分の家に閉じ篭ってしまっていた。
 家というのは、あくまで帰ってくる場所だったはずなのに。
 スライムに浴びせられた『自分の世界の範疇でしかものを考えられない』という言葉は、はたしてその通りであった。
 考えれば考えるほど、ズキンとした感覚がイムの中を駆け巡る。
 いまとなっては、小石を受けた左肩よりも胸の奥底の方が痛かった。
 自分自身への嫌悪感が、爆ぜた悪魔スライムへの後ろめたさが、音もなく攻め立ててくる。

「でも……っ!」

 イムは、まだ死ぬ気はなかった。
 ここで終わってしまえば、単に勘違いをしていただけだ。
 このまま倒れてしまえば、後に何も残せないではないか。
 思いを篭めてイムは、思い切り地面を蹴った。
 飛来してきた石ころが、イムのいた空間を通り過ぎていく。
 まるで身体が幾らかに分裂したかのように見える特殊技能は、イリュージョンと言う。
 これもまた、世界を回る中で会得した物の一つだ。
 呼吸を整えてマナを足を集わせることでの高速移動。
 一秒にも満たない時間ではあるが、人間はおろかモンスターの視覚ですら動きを捉えきれなくなる。

 ――――されども、レッドの眼は捕捉不可能なはずのイムを確かに追う。

 トレーナーとはいわば、戦っているポケモンの身体を動かす頭脳だ。
 己が目の前だけに集中していても、主が周囲を見ていてくれている。
 仮に何か起こったのなら、すぐさま指示が飛んでくるだろう。主は、自分より先に異変に気付くのだから。
 そう信じているからこそ、ポケモンは戦いに全力を注ぐことができるのだ。
 だというのならどうしてポケモンマスターと呼ばれるに至った少年が、イムの知るモンスター以上の視覚を持っていないと言えようか。

584Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:13:19 ID:thTnTJeQ0

「くっ!」

 ほとんど時間差なく迫ってきた三つの石を、イムは柄を持って槍を回転させることで何とか防ぐ。
 踏み締めている地面ごとずらされていくような感覚に、脳内に肉を失った竜との戦闘がフラッシュバックする。
 加えて今回は、素材から作り出し改造まで加えた愛用の槍でない上に、左肩に不意打ちを受けてしまっている。
 ずっと防ぎ続けるなんて不可能だろう。
 そんなイムの考えを見透かしているかのように、レッドは左手を大きく翳す。
 その指と指との間には一つずつ挟まれた、計四つの石。
 到底防ぎきれないと判断し、レッドが左腕を振るう瞬間を狙ってイムは高く跳躍した。
 これまた、足元にマナを集中させたことによるハイジャンプ。
 一気に遥か高くへと上ったので、すでに投球を開始していたのなら反応しきれない。
 だというのに、イムから漏れたのは呆気に取られたような声だった。

「――え」

 空中で冷汗を頬に伝わせるイム目掛け、石塊が投擲される。
 レッドは投球フォームを取るだけ取って、回避をさせたのだ。
 逃れたと思って安心した瞬間を狙うために。

「はああああ……!」

 このまま何もしなければ、思い違いをしただけの女として死んでしまう。
 決定しかかっている未来を変えるために、イムは握った槍へと生命の光を流し込む。
 悪魔スライムを殺害したのは申し訳なく思う。どう考えても過失はイムの方にあり、決して言い逃れなどする気はない。
 それでも、命までくれてやる気はないのだ。
 強烈な光を放ち出した槍を、イムは迫り来る石へと投げつけた。
 その全てを粉砕して地面に到達すると、槍は旋回して彼女の元へと帰還した。
 戻ってきた槍を掴み取ったイムは、砂煙が立ち込める地面へと視線を飛ばす。
 スターダストスローという名を持つこの技は、槍の周囲にまで衝撃が伝わる。
 威力の少なさが欠点であるが、今回ばかりは利点となる。
 有無を言わさず攻撃してくるレッドを止めるのに、これほど相応しい攻撃はない。
 ひとまず剣を収めてもらって、正直に自分の過ちを告白しよう。
 などと考えているイムの脇腹を、銀の閃光が貫いた。

「か、かふ…………っ」

 受身も取れないまま地面に叩き付けられ、イムはやっと毒針を受けたことを察する。
 魔物用の毒だけあって侵食が早いらしく、すでに顔を上げるしかできない。
 しかし腰から上は確認できなくとも、誰が投げたかなど確認できた。

「どう、して……」
「ただ避けただけさ」

 地面を伝わったはずの衝撃波は、威力が低いといっても足止め程度にはなるはずだ。
 そんなイムの疑問の答えは、とても簡単なものだった。
 当たらなければ、足止めなどできようはずがない。それだけの話。
 ポケモンバトルにおいてトレーナーに危険が及ぶことは、決して少なくない。
 炎に囲まれようとも、周囲を水に支配されようとも、地面が大きく鳴動しようとも、砂嵐や霰が吹き荒れようとも。
 意に介さず相棒たちに指示を下すのが、ポケモンマスターなのだ。
 いちいち受けていては身が持たない。となれば、回避できるようになるのが自然の摂理だろう。

585Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:14:36 ID:thTnTJeQ0

「寝た、か」

 イムが意識を落としてしまったのを確認し、レッドは石ころを拾い上げる。
 もしも槍が石ではなくレッド目掛けて投げられていたのなら、さすがに避け切れなかっただろう。
 槍自体はともかく、衝撃波までは不可能だ。
 また、もしもイムがレッドが仕掛けるより先に攻撃してきていたのなら、結果は変わっていたかもしれない。
 どうして彼女は自分が仕掛けるまで動かなかったのか。そして防御に徹していたのか。
 レッドは、何やら引っかかるようなものを感じる。
 一方的に半液状モンスターを攻め立てていた少女とは、どうにも思えない。
 脳天に槍を叩き付ける瞬間を見ていたというのに、だ。
 樹木が生い茂っているゆえ目撃できたのはそのシーンだけだが、聞こえていた声は確かにモンスターが悪ではないと証明していた。

『まったく。自分の住む世界の範疇でしかものを考えられんのなら、世界を渡る俺のことも理解できんか。
 それなら、もう構わんさ。お前がやる気なら――せいぜい、かかって来い』

 悪魔スライムをポケモンだと思い込んでいるレッドは、人語を話すというのにも奇妙なものを感じている。
 とはいえまだ見ぬ地方にはそういうポケモンが存在するという噂は耳にしたことがあるので、その点に関してはあえて考えないことにした。
 むしろ気になっているのは、話せることではなく内容だ。
 『自分の住む世界の範疇でしかものを考えられん』とは、いったい。
 いくら考えようとも、答えは導き出せない。
 お前は、いったいどんなことを話していたんだ。
 そんな思いとともに、レッドは傍らにあるスライムの亡骸に視線を向け、一気に瞳を見開いた。
 スターダストスローによる衝撃波の影響か、死体の横に放置されていたデイパックの中身が零れていた。
 水の入ったペットボトルに、半赤半白の球体――――まさしくポケモンを収納するモンスターボール。
 まばたきも忘れて駆け寄って中身を確認し、レッドは絶句するしかなかった。

(ただ支給されたワケじゃあ……ない、だと!)

 モンスターボールは未使用の新品ではなく、中にポケモンが収納された状態だ。
 レッドは、目の前が真っ暗になったかのような錯覚に駆られた。
 この殺し合いで最後の一人になるのを目指した理由は、仲間たちにまた会うためだ。
 だが彼らがこの殺し合いに参加させられていたのなら、その願いは叶わない。
 ありえないと無理矢理納得しようとしたが、レッドにはそれができなかった。
 現に何度も見たことがあるポケモンが、手元にあるのだから。
 武器として、物として、ポケモンが配られていることを知ってしまったのだから。
 どうすればいい――ただ七文字の平仮名で、レッドの脳内が埋め尽くされていく。
 イムへの怒りや疑問さえも、もはやなりを潜めてしまっている。
 そんな彼を我に帰らせたのは、近寄ってくる騒々しさだった。
 樹木の破かれる音に紛れて、何か歯車のようなものの回転音が紛れている。
 顔を強張らせつつ、レッドは悪魔スライムのデイパックを拾い上げる。
 首輪と得体の知れない金属片が引っかかっていたが、レッドは来たる相手に集中するべくろくに目もくれずデイパックに突っ込んだ。
 仲間たちがいるかもしれない以上、この場での行動方針はないようなものとは言っても、命を落とすワケにはいかない。
 右手に石を左手に毒針を構え、迫り来る気配を待ち受ける。
 しばらくして、ついにその時が来る。

 ――――朱く紅く緋いボディの戦車が、赤の名を持つ少年の前にその姿を現した。

 戦車が存在していたことに対し、レッドにこれといった驚きはない。
 自分のポケモンが支給されているのなら、このくらいなければ話にならないからだ。
 驚くべきは、森林を突き進んできたという技術。
 一つに纏めたデイパックを背負い、レッドはモンスターボールを掲げる。
 中に入っているのは、よく知っている男のポケモン。
 その男が旅に出た当初から、ずっとともにいた相棒だ。
 自分の言うことを聞くだろうかと僅かに躊躇し、レッドは白い歯を見せた。
 こんなことを考えてしまったなど、とてもアイツには口にできない。
 自分にしか聞こえない程度の声で呟いて、モンスターボールの開閉スイッチに手をかける。

「ゆけっ!!」

 眩い光がモンスターボールより溢れ出し、収納されていたポケモンの咆哮が響く。
 紅の戦車が副砲の機関銃を向けているのを見て、レッドが手刀で宙を薙ぐ。
 呼応するように出現したポケモンが屈強な羽を前後させると、周囲の空気が激しく乱れる。
 直後、レッドウルフという名の戦車に備え付けられた機銃は火を噴き、誰もいなくなった空間を蜂の巣とした。

586Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:15:02 ID:thTnTJeQ0


 ◇ ◇ ◇


 一つの影が、茜色に染まった空を縦横無尽に駆け巡る。
 夕暮れ時に飛び立つムクドリを思わせるが、その成体よりも運動速度が遥かに速く、また群れを成していることもなく、何より巨大だった。
 人間ほどのサイズを持つそれは、ピジョットという種の鳥ポケモンだ。
 ぶら下がっている人間の重みなど感じないかのように、地上にいるレッドウルフの銃撃から逃れている。
 体長ほどもありそうなたてがみが風になびくも、それにすら放たれ続ける弾丸は掠りもしない。
 ピジョットの足に掴まりながら、レッドはその成長に嘆息を漏らす。
 ポケモンリーグ決勝にて当時のチャンピオンであったグリーンは、このピジョットを一番手として繰り出してきた。
 あの時点でもかなり鍛えられていて苦戦を強いられたのだが、現在はさらなる高みへと到達している。
 筋肉はさらに引き締まり、羽を一度動かすことによる推進力も桁違い。
 チャンピオンの座を奪われたグリーンが三年間積んできた特訓は、自分たちが篭っていた山での日々に匹敵するのだろう。
 次があったのなら、結果は変わるかもしれない。
 幼馴染にしてライバルとの再戦を想像して、レッドは思わず笑みを浮かべていた。

「右か」

 地上の戦車に注意を払うことも忘れず、レッドは掴む力を強くしながら指示を飛ばす。
 ピジョットの反応は素早く、勢いよく右へと旋回することで機銃の弾丸を掻い潜る。
 レッドウルフにはレーダースコープが搭載されているものの、本来の飛行速度が音速を超える怪鳥を捉えきることができない。
 居場所が分かったところで、弾丸が到達する頃にはその地点から遠ざかってしまっているのだ。
 野生のピジョットであるのならいかに鍛えられていようと、移動方向に法則性を見出すことができる。
 だがそれを見越して、ポケモンマスターが指示を与えているのである。
 いかに搭載されたCPUが超技術の結晶であろうと、存在しない規則性は見出せない。

「……おかしい」

 驟雨のごとく降り注いで来る弾丸を片っ端から回避しているレッドから、意図せず言葉が漏れた。
 すでに、回避し始めてから十分ほど経過している。
 その間ずっと釣瓶打ちにしているというのに、レッドウルフの弾丸が切れる素振りが見えないのだ。
 弾丸を使い切らせてから近寄るはずだったレッドだったが、このままではそうもいかない。
 けれども接近せずに、上空から攻撃をする手段はない。
 せめて片腕が空いていれば、ポケット内の石を投擲できるのだが。
 とそこまで考えて、レッドはピジョットに掴まっていない方の右腕を見やる。
 目に入ったのは、意識を落としている金髪の少女に彼女の道具。
 攻撃してこない様子とスライムとの会話が引っかかり、放置する気になれなかったのである。
 レッドがいかなる状況でも投球できるよう特訓したとはいえ、あくまで一人旅を考慮してのことだ。
 誰かを抱えていては、たとえレッドでも鋭い投球は不可能だ。
 このままでは攻撃を受けることはなくとも、こちらも攻撃ができない。
 となれば――と、レッドは北へと視線を飛ばす。
 地上では追いつかれるが、海上ならば話は別だ。
 海へと落下したショッカー戦闘員をしばらく眺めていたが、水平線の彼方に地上があるらしい。
 どうやらノアの言う立入禁止区域ではないらしく、首輪が起動した様子もなかった。
 そこまで行けば、ひとまず戦車に追われることはなくなるだろう。

587Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:15:12 ID:thTnTJeQ0

「よしピジョット、北に――」

 レッドが紡いだ言葉は、最後まで告げられることがなかった。
 ずっと注意を向けていたというのに、いきなり副砲の動きが加速して自分に向けられていたのである。
 地面が隆起した場所にあえて乗り出すことで、レッドウルフは車体ごと機銃を大きく動かしたのだ。
 機銃が少しずつ移動するのを見て、レッドはピジョットに命令を飛ばしていた。
 今回のように一気に銃口を向けられてしまえば、すぐに指示を下してもさすがに間に合わない。
 指示を聞いて、思考して、身体を動かす。そんなたった三つの動作を行う余裕さえ、ピジョットにはないのだ。
 しかし劣勢に立たされたからといって諦めるような男では、ポケモンマスターなどと呼ばれはしない。
 イムを抱えた右腕を震わせて、レッドは袖の中に隠し持っていた支給品を滑らせる。
 手元へと落ちてきたコインを人差し指と中指で挟み込み、レッドは手首のスナップだけを効かせて飛ばす。
 回転もスピードも重さも、普段の投球には及ばない。
 が、これで十分だった。
 空気を切り裂いて弾丸の射線外に躍り出たコインが、茜色の夕日を照り返す。
 その輝きを瞳に映したピジョットが、コインを追うように方向転換。
 思考をする過程を抜いた、光を受けての即行動。
 三つの動作なら間に合わなくとも、一つ抜いたのなら結末は変わるかもしれない。

 そして――――やはり無数の弾丸は、空気だけに風穴を空けるに終わった。

 レーダースコープの効果で、レッドウルフはまだレッドたちをし止め切れていないことに気付く。
 またその動きから、相手が遠ざかっていることを察する。
 射程外に出られてしまえば厄介だとキャタピラを回そうとして、新たな反応を感知した。
 ノアシステムを起動させたレッドウルフの目的は、人類抹殺。
 離れていく人間と近付いてくる人間、その間に優先順位などない。
 ゆえにレッドウルフは待機に専念し、やがて銃口の前に袴姿の女性が現れた。

「ずいぶん大きなオモチャね。いったい、中身はどなたなのかしら」

 放たれる弾丸をただ走るだけで潜り抜けつつ、何事もないかのように女性は呟く。
 命を持たぬ機械には、相対する女性の異常な気配を感じ取ることができない。
 最強の戦車の前に立つのは、最強と呼ばれた剣術の使い手。
 腰まで伸びた長い黒髪を風に泳がせ、ブシド・ザ・ブシエは幻魔という真紅の剣に手をかけた。

588Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:15:39 ID:thTnTJeQ0


 ◇ ◇ ◇


「……っ、ん…………」

 意識を取り戻したイムが最初に感じたのは、肌寒さであった。
 潮の匂いがする風が身体をくすぐるたびに、身体が小刻みに震えてしまう。
 未だ眠気の誘惑に引っ張られながらも、あくびを噛み殺して上体を起こす。
 目蓋を擦りながら状況を認識しようと首を回し、意図せず呼吸が止まりかける。

「……へ?」

 勝手に零れた言葉には、そこから先が存在しなかった。
 脳内で幾つもの単語が駆け巡るだけで、理解には一向に辿り着かない。
 混沌とした思考は解答を導き出すことがないまま、回転だけを行っている。
 彼女を襲っている事態は、それほどまでに重大なのだ。
 少なくとも、イムという少女にとっては。

 ――――上半身に纏っていた布が解かれていたのである。

 たとえ何日もかけて世界を旅するほど逞しくとも、年端も行かない少女。
 自分が気付かぬうちに半裸になっていたなら、気が気でなくなるのも当然だ。

「起きたか」
「っ!?」

 上空から声をかけられ、イムはようやく思考の渦から帰還した。
 悲鳴じみた叫びをあびせられても動じずに、レッドは掴んでいたピジョットの足から手を離す。
 落下しつつピジョットをモンスターボールに戻しながらも、難なく着地を成功させる。
 彼の姿を認識した瞬間、気絶する前の記憶がイムの中に流れ込む。
 金魚のように口を動かすしかできないイムを意に介さず、レッドは唐突に切り出した。

「周囲の風景や海流を見た限り、ここはエリアE−4らしい。
 どうやら配られた地図の上端と下端は、繋がっているようだ。
 『エスパー』か『ゴースト』……じゃないな。こんな複雑な幻覚は、ポケモンでは作れない」

 とここまで喋って、レッドはやっとイムが虚ろな表情を浮かべていることに気付く。
 人付き合いが乏しいながらも、その原因を考えてどうにか導き出す。

「その姿のことか。心配しなくても、僕は何もしてない」
「…………っ!」

 耳まで赤くすると、イムは自分を抱き締めるかのように両腕を回す。
 相手が自分を殺そうとしてきたことも忘れて、荒げられた声で言葉にならない抗議を展開する。
 そこまで感情を表に出さないレッドの頬に、一筋の冷や汗が伝う。
 たとえ全てのポケモンの言葉をだいたい理解できようと、我を失った人の言葉まではカバーしていないらしい。
 たっぷり五分ほど怒声を浴びてから、レッドは沈黙を破った。

「毒を抜くのに邪魔だったから脱がせたんだが、そこまで悪いことだったとは……ごめん」
「へ? えっ、あ、その」

 言われてみれば、毒が回っていたはずなのに身体が軽い。
 そのことに気付いたイムは、自分が勝手に勘違いしていたことを思い知らされる。
 相手が良かれと思ってやったことに、怒りをぶつけていたのだ。
 急速に頭が冷えたイムは、レッドに対して深く頭を下げるしかできなかった。

589Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:16:25 ID:thTnTJeQ0

「何だかよく分からないけど、そんなに気にしなくていい。それより、質問がある」
「…………!」

 その内容が想像できたらしく、イムの顔が強張る。
 はたして告げられたのは、予期していた通りのものであった。

「あのポケモンを殺しておきながら、どうして君は僕に何もしかけてこなかった?」

 数刻かけて、イムはゆっくりと口を開く。
 赤い帽子の下から飛ばされるレッドの鋭い視線を受けても、黙りこくっているワケにはいかなかった。
 悪魔スライムとの間で展開したのは、ただただ自分だけが間違っていただけの笑えない物語なのだから。
 時折言葉を詰まらせながら、イムは全てを話し終えた。
 その内容に耳を傾けていたレッドが、静かに言葉を漏らす。

「同じ、か」
「え…………?」
「僕の方も、君と変わらない。
 いきなり殺し合いを命ぜられた動揺もあったにせよ、勝手な勘違いで最後の一人となる道を選んだ」

 情けないな――と続けて、自嘲気味な笑いが零れた。

「君が最初に見たっていう、交戦中だったポケモンのうちの一体……シャドウゼロだっけ?
 あちらが殺し合いに乗っていたのは、過ちじゃないよ。たぶん君を襲った後にだけど、僕はそのシャドウゼロと戦ったから」

 淡々と告げながら、レッドは二つあるデイパックのうち一つをイムへと放った。
 暴走戦車から逃走する際に回収した彼女のデイパックだ。
 ちなみに、手元に残った片方には回収した道具を纏めてある。

「君の一番近くにそんな好戦的なポケモンを配置したり、僕の周りの参加者にポケモンを渡さなかったり……
 どうにも、参加者たちの勘違いを誘発させてようとしているとしか思えない。とてもじゃないけど、もうノアの言葉に従う気にはならないね」

 断言すると、ポケットからモンスターボールを取り出す。

「それに――――ポケモンを武器扱いして配るようなヤツは、気に食わない」

 レッドは出現したピジョットに向き直り、イムには背中を見せる。
 元より、彼は一人で行動することが多い少年であった。
 単独でいることを好むというのではなく、誰も彼に付いて来れないのだ。
 人間というのは誰しも、ポケモンとの間に見えない壁を作ってしまう。
 その壁を薄くすることはできても、レッドのように壁を取っ払うことは誰にもできなかった。
 それゆえにポケモンマスターとまで呼ばれ、そしてそれゆえに一人だったのである。
 この場においても一人で行動することに、レッドは一切の躊躇がなかった。
 自分の仲間たちがいるのなら、どんな相手だって乗り越えられる確信があったから。
 そんな一人ぼっちの少年を、少女の声が呼び止める。
 振り返ったレッドの前に、解かれていた布を纏ったイムの姿があった。

「一緒に連れてって」

 首を傾げるレッドに、イムは言葉を続ける。

「私だって、ただ思い違いをしていただけじゃ終われない。
 たとえ許されなくても、失敗に気付いたのならやり直さなきゃいけないと思うから」

 かつて真紅なる竜帝にそそのかされた時だって、彼女はそうしてきたのだ。
 今さら、罪の重さに耐え切れずに塞ぎ込んでしまうほど弱くはない。
 そんなイムのまっすぐな瞳を少しの間眺めてから、レッドは差し出された手を握り返した。

「よろしく」

 ――――過ちに気付いたことで、赤の名を冠する少年の往く道は分岐する。

590Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:18:10 ID:thTnTJeQ0



【一日目 夕方(放送直前)/E−4 山(海付近)】

【イム(主人公女)@聖剣伝説LOM】
[状態]:左肩に打撲、脇腹を毒針が貫通(応急処置済みなので毒の影響はない)
[装備]:グラコスの槍@DQ6、スウィフトフルート@聖剣LOM
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜1
[思考]
基本:殺し合いはしたくない。だから、ラヴを探す?
1:レッドと行動。
2:襲ってきた者は迎撃。見た目がモンスターでも、敵か味方かはきちんと見極める。
[備考]
※宝石泥棒編・エスカデ編を進めている。本編クリア後かどうかは不明
※ドラゴンキラー編はクリアした後。


【レッド@ポケットモンスター金銀】
[状態]:健康
[装備]:毒針@DQ3、グリーンのピジョット@ポケモン金銀、ウィスプの金貨×9@聖剣LOM
[道具]:支給品一式×3、不明支給品1〜6、悪魔スライムの首輪、小さな金属片
[思考]
基本:仲間と再会する。ノアの言葉に従う気はなくなった。
1:イムと行動。
[備考]
※仲間が支給されている可能性がある、と考えています。

591Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:18:32 ID:thTnTJeQ0


 ◇ ◇ ◇


 刃毀れ一つしていない幻魔を携えて、ブシド・ザ・ブシエは歩みを進める。
 すっかり伸び切った影を一瞥した彼女の表情からは、失望の色が隠しきれていない。

 戦闘音を聞いて駆けつけてみたものの、そこにいた相手はブシエを満足させるほどではなかった。
 副砲の機銃は、袴も撃ち抜けぬまま両断。
 武器を失っても体当たりを試みたレッドウルフだったが、危なげなくかわされるとキャタピラを刻まれてしまう。
 いかに人類を全滅させるプログラムが起動していようと、これでは身動きすら取れない。
 歩み寄られようと離れることもできず、レッドウルフは扉をこじ開けられてしまう。
 二つの死体だけが転がっている操縦席を正視して、ブシエは目を見開き――やがて大きく頷いた。
 運転士不在でどのようにして動いていたのかはともかく、人の指示を受けていないのであれば相手にならなかったのも納得できる。
 先刻ゴーレムと一戦交えたブシエは、そのように結論付けた。
 銃撃が少しでも当たりさえすれば、レッドウルフは勝利することができただろう。それほどまでに、威力も連射性も凄まじい。
 だというのに、そうならなかったのである。
 理由は、至極単純なもの。
 レッドウルフの攻撃には、『技術』がなかったのである。
 倒れている樹木の間に追い込むことも、フェイントをかけることもしなかった。
 地面の窪みや突起を利用して、機銃を一気に動かすことはしていたが、ただそれだけだ。
 相手の思考を想定して裏をつく――そのようなことが人ならぬ人工物にできる道理など、存在しない。
 少し前に抱いた考えを確信へと変え、ブシエは操縦席にあったデイパックを回収したのであった。

 不意に足を止めると、ブシエは天を振り仰ぐ。
 しかし見ているのは紫がかってきた空ではなく、初めて彼女を苦戦させた男の幻影。
 ガラシェという彼の攻撃は、レッドウルフの機銃よりも威力が劣っていた。
 けれど、彼はブシエ相手に優位に立ったのだ。
 手札を攻撃だけに使わずに、相手の隙を作り出すことに用いることで。
 これこそが、機械にはない人の技術。
 ブシエが最強となる上で死合うべき強者が、絶対に持っているもの。
 自分を打ち負かす寸前まで到達した男の幻想を眺め、彼女は静かに口を開いた。

「早く、あなたのような『人間』に会いたいわね。
 ――――そうなりやすいようには、しておいたのだけれど」

 幻魔の刀身と同じ緋色の目が細められ、よりいっそう妖しく輝いていた。



【一日目 夕方/B−4北西部 森林】

【ブシド・ザ・ブシエ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
[状態]:疲労回復、全身に打痕
[装備]:幻魔@サガフロンティア
[道具]:基本支給品×5、ブーメランスパナ@METAL MAX RETURNS、塵地螺鈿飾剣@FFT、不明支給品0〜2
[思考]
基本:「己」を乗り越え、「最強」になる。対等か格上の『人間』を探し出し、死合う。
1:どこに行くか。
2:妹(ブシド・ザ・ブシコ)を見つけたらたくさんいじめる。
3:ネリーの挑戦を「待つ」。

592Red fraction ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:18:48 ID:thTnTJeQ0


 ◇ ◇ ◇


 辺りを埋め尽くしていた樹木は、その殆どが半ばで折れてしまっている。
 ブシド・ザ・ブシエに完膚なきまでに破壊されたレッドウルフは、その中央で佇んでいた。
 真っ赤な装甲は焼け焦げ、ところどころ大きな凹みが見て取れる。
 キャタピラは切断されてしまい、これでは移動もままならないだろう。
 扉は接続部を切り落とされているので、操縦席が外から確認できる。
 副砲は真っ二つになっていて、弾丸数が無数でも何の意味も成さない。

 ただ、主砲には掠り傷一つない。

 確かに爆散してしまったというのに、万全の状態を保っている。
 どうして破壊されたはずの箇所が、元通りになっているのか。
 その答えは、レッドウルフに埋められたプログラムにある。
 決してノアシステムの方ではない。そちらに再生機能があったのなら、レッド相手に主砲を放つことができた。
 中を確認するべく操縦席に入り込んだブシエが、二つのプログラムを読み取らせたのだ。

 ――――プログラム『自己修復』と『マクスウェルシステム』。

 前者の効果はその名の通り、破損部の自動補修。後者は弾丸の補給。
 本来はケイ=アイに支給されていたものだが、彼は自らにプログラムを読み取らせることができなかった。
 ゆえに使用されないまま残され、ブシエによって回収されていたのである。
 人工物では自分の相手にならないと再認識したブシエだったが、だからこそ彼女はレッドウルフにプログラムを使用した。
 自動再生可能になるとはいえ、レッドウルフは所詮人工物。人の編み出した尊い戦闘技術を持たぬガラクタにすぎない。
 その程度の存在に打ち負けるようでは、お話にもならない。
 己を乗り越えるためには、対等以上の相手と戦う必要があるのだ。
 死合うべき強者を選別するためにも、邪魔となる弱者はレッドウルフにでも駆逐させればいい。
 そのように、ブシエは考えたのだ。

 ――――炎魔法を受けた影響でくすんでいた紅のボディが、少しずつ光沢を取り戻していく。



【一日目 夕方/A−4南西部 森林】

【レッドウルフ(新型戦車)@METAL MAX RETURNS(スーパーファミコンウォーズ)】
[状態]:主砲再生、副砲両断、装甲??%、抹殺システムON、キャタピラ両断、弾丸数回復中、修復中
[装備]:主砲:165mmゴースト(残弾:5/5)、副砲:22mmバルカン、特殊砲A:なし、特殊砲B:なし、Cユニット:ノアシステムNo.R、エンジン:V48ハルク
     プログラム『自己修復』@サガフロンティア、プログラム『マクスウェルシステム』@サガフロンティア
[道具]:電磁バリア、レーダースコープ、オートエアコン
[思考]
基本:抹殺。
1:キャタピラ修復待ち。
[備考]
※ノアシステムNo.Rの抹殺システムが作動しました。破壊されるまで辺り構わず攻撃を繰り返します。
  止めるにはCユニット、もしくはシャシーの破壊しかありません。
  エンジンを破壊すれば自走は不可能になりますが、攻撃は繰り返されます。
※どこに向かっているかは不明です。参加者を発見次第攻撃します。
※Rウルフの操縦席にはウルフの死体と米倉の死体があります。

※プログラム『自己修復』@サガフロンティアにより、破損部が随時再生します。
※プログラム『マクスウェルシステム』@サガフロンティアにより、弾丸が随時補給されます。

593 ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:20:01 ID:thTnTJeQ0
投下完了です。

594 ◆MUMEIngoJ6:2010/04/12(月) 12:24:56 ID:thTnTJeQ0
投下直後に直し忘れ発見。

ブシエとレッドウルフの状態表も、夕方(放送直前)でした。
wikiにて修正しますね。

595由井者ケーザオス:2010/04/12(月) 14:24:38 ID:JWrLCRw20
まさかこんな時間に投下に出会えるとは……。
取り込み中につき、きちんとした感想は後でつけますが、GJでした!
ここは絶望感がハンパなかっただけに、こういうつなぎ方してくれて嬉しいなあ。
もう一作のほうも楽しく読ませてもらってました。こっちについてもひと段落してからー。

wikiについては、かーなーり早いですが修正分も反映して収録しました。
……取り込み中? いやだって、収録作業って気分転換に(ry

596由井者ケーザオス:2010/04/12(月) 23:20:02 ID:Vbj9q09Q0
投下乙ですー
レッド、まさかの対主催転向か
しかし、仲間たちがすでに死んでいることを知ったらどうなるか……
さすがに放送で支給品までは読み上げないだろうけど、死体に出くわす可能性はあるからなー
そしてさすがブシエさん、戦車ごとき何でもないぜ!
……とか思ってたら、強化して野に放ちやがったー!
自己再生+弾薬無限とか、それなんてチート?

597由井者ケーザオス:2010/04/16(金) 00:21:09 ID:bvJ.JVH20
遅ればせながら、執筆お疲れ様でした!

>Andante
これは良い掘り下げ……!
公子とプルフォーのコンビは、好きな方に拾ってもらえればいいなぁ、と思いつつ
パスを出していたので、丁寧に掘り下げられてるのを見てありがたく思いました。
宿屋さんも生活方面でのプロとしてキャラが立って、すでにキャラ立ってるネリーでRO世界の掘り下げと。
このさじ加減もいい感じでした。とくにROは攻略サイトや何やらでは掴めない部分をフォローいただけて感謝。
沙理子さんはいつもの味わいで和ませてくれるw いいなー、和みステルスってw
しかしまぁ、レーベの宿屋は田舎と思えない始まりっぷりで生きているのがつらいぜ……!

>Red fraction
イム終わったな、と思ったのに、予想外の一面で掘り下げがきたぁ!
レッド……カッコいいなあこいつ。じつは25歳と言われても違和感ないくらいクール、なのにそれが自然……だと?
ブシエさんとのバトルでも結構やりあえてたし、感謝という感情のすごさがよくわかるwww
MAPのループにも気付いて……勘違いから立ち直った二人だからこそ、放送でスネに傷持ちそうな
人たちにも優しくできそうかしら? リザードンの死体から離れられたのは、そこを考えると幸いかも。
新型戦車は、まさかこうなるとは思わなかったけれど……サガフロの把握が活かされすぎてるw
マクスウェルシステムで弾数を回復っていう発想は面白かった。バランスを見きっての捌き方にGJです。

598 ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:21:26 ID:bvJ.JVH20
さて、電球がピコーンとなったので、三連続ですが自己リレー。
面子は見てのお帰りだ、ということで……投下いたします。

599ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:21:56 ID:bvJ.JVH20
【0】

     【僕等の絆、深めよう】

    今は【憎】しみあっているけれど
    だんだん【疑】いだすようになって
   形だけ同【盟】を結んでみたりしながら
   【義】理で気を使ってやってるうちに
  「僕等って【友】達?」なんて思ったりして
  きっと【信】用出来るようになるだろうから
    その時、永遠の仲間と【誓】いあって
    僕等は深い【絆】で結ばれるんだ!


              〜ピピンの日記より〜


         ×◆×◇×◆×

600ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:22:18 ID:bvJ.JVH20
【1】

 天の海から地の潮海へ。
 世界を白と黒の二極に分ける閃光ののち、背筋をなぜる轟音が束ねて落ちた。
 落雷である。海の向こうにある塔は、天の奏でた雷の直撃に耐えかね、崩壊している。
 崩壊の塔、神の家。それは豊かな街で出会った、占いで日銭を稼ぐ魔法使いの札にも似て――
 かつて盗賊の鍵を求めて向かった建造物は、アルスの視界であっけなく輪郭を崩したものだ。
 サマンサを運んだ教会に開いた窓から射し込み、広間を満たした閃光の余韻は……今も消えない。
 干し肉の切れ端をしがんでいた口許を、手袋をはめた勇者の右手が、つよく押さえ込む。

「違う。あれは嘘なんかじゃ、ない」

 生唾とともに食料を飲み込んだ勇者は低く声を継ぎ、困惑を鎮めようとつとめた。
 しばらく経ってのち、彼は、自分ひとりだけで衝撃に備えようとしていたことに気付く。

「――ごめん、ニム」

 確かめるように名を呼べば、声をかけた相手はそっと視線を合わせてくれた。
 僧侶でありながら漆黒に染められた異形の姿を与えられ、故郷の仲間であるサマンサ――
 少し先の未来で、精霊ルビスのもとに集ったという仲間を目の前で亡くした者に、一体どう接したものか。
 甘えが過ぎていないか、それともよそよそしいのかと考えつつも、アルスは黙ることだけはしなかった。

「別の次元とかって、ノアは最初に言ってんだよな。
 地表とアレフガルドどころじゃなくて、根元から違う世界があるって。
 実際、俺の前でロシェやフランが使った魔法は、聞いたことのないものばかりだった」

 言の葉には、返答が欲しい。
 疑問には、応じて欲しい。
 孤独からは、守って欲しい。
 きっと相手もそうだから。

「だけど、あの雷だけは」
「うん。私も近くで見てきたから、間違えようなんかない」

 そして、異次元の技術がもつ恐ろしさを体験した、ニム。
 異次元の世界のはらむ残酷さを見聞きしてきた、アルス。
 こんなふたりだからこそ、郷愁ともいうべき感覚は研ぎ澄まされる。

「あれは、ギガデインだ」

 導かれたものは、ただひとつ。
 天に選ばれた者だけが使える呪文。故郷における、勇者の証であった。

601ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:22:41 ID:bvJ.JVH20
「でも、私たちの世界じゃあ、勇者オルテガの息子は――」
「俺だけだと思いたいよ、いろんな意味で」
「ありえん(笑) ……いや、ほんとに。アルスのお父さんが浮気なんてしないでしょ」

 断言調のツッコミに対して、少年は中途半端な笑みを返した。
 ポカパマズ。ある村でそっくりだと言われた者の正体が父と分かるまでは、ずっと不安でいたことがある。
 我ながら思い込みが強いとは思うものの、いつ、どんな行動に出るか分からないのが根無し草だから。

(あの時の俺は、ぱふぱふって単語に何を期待してたんだろうな)

 人恋しさに苛まれたときのあやまちを思い返しつつ、勇者の息子はするどく呼気を押し出す。
 気分を入れ替えるがはやいか、予想出来る可能性を提示し、吟味する作業を始めた。


 ……まず、《別の時間軸》から呼ばれた勇者がいたとする。
 サマンサやニムが、アルスよりも少し先の時間から呼ばれていたのと同じ理屈だ。
 アルスの生きる時代でも「雷は勇者の呪文」であるがゆえに、古代や未来の勇者が呼ばれてもおかしくはない。
 だが、呪文に限らず、すべてのものは時代が進むほどに様式や体系が整えられていくものだ。
 そんななか、雷をあやつるすべだけが年月を経ても様変わりしないという理由もない。
 洗練の方向性が《消耗する精神力の減少》や《詠唱時間の短縮》となれば話は別だろうが――
 当の使い手であるアルスにも、少なくとも現状ではそうした術式の書き換えなど出来そうになかった。


 では、《別の次元》から呼ばれた勇者がいたとすればどうか。
 これはアルスの理解を超えかけているが、サマンサの例が類推の助けとなった。
 ゾーマ打倒のために選定された「勇者の仲間」は、サマンサとニム、盗賊の青年が最初の三人であったという。
 しかし、サマンサが倒れてしまった時点で、アルスの仲間は数を減じてしまっている。
 そうした歴史の分岐点……あるいは転換点が、殺し合いに呼ばれる前にあるとすればどうだ?
 自分ではない《アルス》が、別のアレフガルドで旅をしている可能性まで想像すると、正直なところ頭が痛い。
 とはいえ、ノアが世界の時間軸を前後出来るというのなら、同じ世界にある「もしも」の数々――
 故郷の世界に生きるアルスらには《枝葉》となる部分をたどれないと、断言も出来ないのが現状だった。


「つまり、ノアは縦軸の……時間移動が出来た。横滑りして、別の次元や世界も見てたんだよね。
 そんな前例があるのに、同じ世界の《横》だけ掬えないのはおかしいって話でいい?」
「だいたい、そんな感じだ。どこから世界が枝分かれしたかなんて、考えてもキリがなさそうだけど……」
「うん。考えても結論の出ないことは置いとくとして、ありそうな線はふたつめのほうかな。
 ノアに出来ないことがあるとしても、私たちが証拠を集めるのは難しすぎるよ」

 教会の人間も、疑わしきを罰したいときはそういう論法を使うから。
 いち僧侶は、物騒ながらも納得のいく論拠を提示してくれる。

「結局、あれを使った本人に会わなきゃ、絞り込みだって出来ないな」

 だからこそ、先の展望の見えたアルスは、苦いものを双眸に浮かべた。
 雷を使った者に会うのなら、雷の落ちた塔の跡に向かうことが正道と言えよう。
 初めて塔に向かった時は西の洞窟を経由したものだが、鍵のかかった扉はすべて開いている。
 自分の呪文やニムの膂力を考慮すると、最悪、壁や瓦礫を叩き壊しても進めるはずだ。
 こうした現状をかんがみると、いまの自分たちが最短で雷のもとに向かえる経路はひとつだけ。

「……だったら、城に行かないと。地下牢から続く通路も、あの塔に繋がってるんだ」

602ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:23:03 ID:bvJ.JVH20
 教会の西に流れる堀を挟んで、白くそびえる建造物。
 王の居城であり、自分が最初に送られた場所を示したアルスは、眉根を寄せた。
 急に黙ってはニムに悪い。それでも、直面すべき事態を解決出来るような手は見えてこない。
 最善手を通り越して理想型となりうる言葉など、そうそう出てくるはずもないだろう。
 だから長々と考えて、猶予期間をもらって、少しでも寄り道をしたのだ。

「巧く言おう、巧くやろうって考えるから、あとが続かないんだよなー」

 けれど、ありふれていようとも重かった悩みの種は、たやすく看破されてしまう。
 迷いを見破ったニムの抱いている言葉は、意図は、仮面ごしであろうと密に伝わるかのようだ。
 肩を抱かれたような心地を受けて、こわばっていたはずの頬が。吐く息が熱くなっていく。

「べつに、下手でもいいじゃない。サマンサのときは私が動いたでしょ」
「うん。下手でも言ってみて良かった。きみを信じて良かったよ」
「なのに悩むってことは……ロシェって人は、感情じゃ動いてくれなかったか」
「それもある」

 率直に信頼をぶつけても、それを受けるかどうかは相手の自由――。
 殺し合いに呼ばれたアルスは、他人との間に生まれるズレや摩擦を改めて認識している。
 故郷の世界で過酷な冒険を続けてきた者が、初対面の人間相手に折れること自体が異常であるとも。
 疑問が積もりに積もって孤独であることを辞めた勇者と、ロシェのような手合いは根が違う。
 人々を救う。そのために現状を割り切れた人間には、割り切れない者の気持ちなど分からないだろう。
 アルスにしても同じだ。あれほどに落ち着いた騎士の選択、その裏にあるものを類推できても理解はできない。

 そしてなによりも、『戦わなければ生き抜けない』と。

 刃を交えた際に見た騎士の瞳は、なによりも雄弁に彼の真実を語っていた。
 自分の見立てが正しいのなら、彼に相対するには真正面から戦うことこそ最善ではないかとも思える。

「正直言って、俺はロシェをどうしていいか分からないんだ。
 俺たち以外に、ここに人がいるとは思えない。あの人は、まだ殺してないかもしれない。
 だけど、もう殺してたとして、本当にいいのか? もう後戻り出来ないんだって、俺の基準で決めていいのかな」

 それがアルスの甘さだった。あるいはロシェへの贔屓目だった。
 殺し合いに呼ばれて、初めて出会った際の会話と、その後の戦いによって――
 こうありたいと思える自分を見つけるきっかけを寄越した相手に対する、躊躇だった。
 全力で戦って欲しい相手に対して本気を出さないことが、どれほど例を失したことであるのか。
 戦おうが殺しあおうが、腰を引いていては勝てない相手だと、本当に分かっているのか。
 そんなことは分かっている。だからこそ、自分の手からあふれうる、可能性の多寡を知るのが怖いのだ。
 沈黙が続く。こうして、時を浪費するほどに消極的な選択しかできなくなるとしても、
 自分を信じてくれる仲間にまで、失敗や失点を背負わせてしまうのは、
 自分に、誰かを背負い切れるほどの力がないと分かってしまうのは、

 腰を据えて考えていくほどに、どうしようもなく、怖い。

603ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:23:26 ID:bvJ.JVH20
「そうやって悩んでるあいだは、アルスはマジメで、誠実で、正しいままでいられるよね」

 そうして、表面的には仲間のために考え、悩んでいたがゆえに。
 ニムの言葉を耳にした瞬間、アルスは吸気をするどく肺に満たした。
 耳触りがいいはずの単語の群れに対した少年の視界に、火花が散る。腹の底が熱をもつ。

「違う! 俺はただ……なるべく、みんなと」

 けれど、反射的に返した言葉にこもった荒々しさには、彼自身が驚いた。
 仲間ならば、女性ならば。ニムには仲良く、親しく――優しく、触れていたい。
 許容の欠片もなく相手の言を否定するだけの叫びに、そんな思いはこもらなかったのだ。
 あきらかな失態を犯したことへの羞恥が、声量をしぼらせてしまう。その現実が情けなく思える。

 情けない。……情けない。
 こんな、無様な自分は自分でも見たくないのに、どうして。
 どうしてニムは、名簿をしまって、隣にいる自分に手を伸ばすのだろう。

「分かるよ。皆と仲良く。ロシェも許す。すごく良いと思うけどさ。
 実際は他の人に『わだかまりを飲み込んで我慢しろ』って言うのと、あんまり変わんないから」

 無意識に刻みつけて、普段は忘れていた言葉を、アルスはニムの腕の中で聞いた。
 魔王バラモスを討伐する旅において、ひとりを選んだのは自分自身だったのだから、と。
 不平不満は《我慢》して当然だった勇者の深みに没していた歪みが、そっと掘り起こされた。
 少し前の戦いで、フランや父親に向けられた愚弄をこらえきれずに弾けた思いが、ふたたび胸を衝く。

「でもね」

 懊悩。怒り。戸惑いと、羞恥と、おののきと。
 変遷する感情を扱いかね、頭を真っ白にした勇者に対して、僧侶は言葉に笑みを添えた。

「私も、最初は元に戻りたいとか、こんな格好はマズイとか思ってたけど、今はそんなでもない。
 だって、こんなんでも頑張ったら、信じてくれるひとはいたじゃないか」

 水着も似合ってないって、言ってくれたし。
 おどけているようなニムの声は、おおげさであっても嘘がなかった。
 むしろ、アルスが子どもっぽい揺らぎを見せたことのほうが嬉しいのだと。
 守られるばかりでないことが嬉しいのだと言わんばかりに、彼女は勇者の両肩に手を載せる。

「だから、なにが変えられるか、変えられないかを見極めるのは大事なんだ。
 甘い顔だけで人付き合いができるわけでもないんだし……自分がしたいように動いて、苦労しようよ。
 ロシェって人が変われるかどうかなんて、それこそ顔を突き合わせなきゃ分かんないでしょ」

 姉とも、兄ともつかない、がっしりとしたニムの、異形の手のひら。
 彼女のあたたかみと、耳に痛い言葉が両立している事実こそが、アルスには嬉しかった。
 背負って、背負われていく。本来ならば、ああして名言せずとも築けていけたはずの気持ち――
 一気に積み上げた信頼の、理想の過多な輪郭が、徐々に現実味を帯びていくように思われたために。

「うん」

 涙声を恥ずかしいと思ういとまもなく、少年は素直なうなずきを返した。

604ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:23:50 ID:bvJ.JVH20
 感慨をかみしめた数瞬を経て、彼の視線はニムから外れる。
 ゆがむ視界のなか、仲間の肩ごしに、少年は稲妻と別種の光源に目を奪われていた。
 目の前の状況に、言葉が出ない。息が吐けない。息が吐けないから、吸うこととてかなわない。

「アルスっ!」

 その様子を見た僧侶は、迷わず彼の手を引いた。
 究極的には本人にしか分からない思いの渦に、彼女自身が取り込まれたときの記憶は新しい。
 振り向いた先にあるのは、教会の窓。石に囲まれた長方形は、神の威光を示して大きいものだった。
 だから、落日が近い状態であろうとも、この場所は薄暗いだけですんでいる――

 ゆえにこそ。

「行こう! もうありえたことなんだ。後悔する前に理解しなきゃッ!」

 勾配の利いた雨水とりの屋根。きっちりと葺かれた瓦が、崩れるさまを。
 風食よけの石灰が塗られて生白い壁。隙間なく積まれた石灰岩が、砕けるさまを。
 勇者の生家に及ぼされる破壊の様子を、彼女らの視界にあますところなく収めさせたのだから。


 *  *  *


【2】

 ……もう、誰も背負いたくなかった。
 世界のため、血筋のため、仲間のため、己の体面を気にしたため。
 そうした認識は、重荷を背負って歩くうちに、たやすく意味を変えたから。
 世界のせい、血筋のせい、仲間のせい、己の体面を気にしたせい。
 いかな理由であろうとも、肩にかかるものの重さを認めるのはごめんだった。
 自分の中でどろどろと渦巻くものを見据えて、それに抗い続けることにも疲れていた。

 ……もう、誰にも背負われたくなかった。
 誰かを、何かを背負い続けて砕けた自分には、背負う側の気持ちが分かるのだ。
 自分のために。自分を思って。美しく聞こえる言葉は「自分のせい」と同義なのだから。
 魔王を倒せと、勇者であれと言われて育った自分は、強いと目された。強くあろうとしていた。
 端から重荷を抱えた自分が倒れてしまえば、こちらを支えようとした者が折れてしまうほどに。
 自分が苦しめられてきた思いに誰かが苛まれるところなど、もう、見たくもなかった。

 ならば、自分に背負って欲しいと思う資格など要らない。
 最初からないものと思ってしまえば、涙だって流れない。
 相手が自分を背負わないのなら、自分が誰かを背負わない選択をすることだって容易だ。
 誰にも背負われたくないのなら、背負う必要もないような者に身を落としてしまえばいい。
 だから、クルーザーに乗った彼女は、勇者であったミレニアは、迷いなくアリアハンを目指した。
 出たくもなかった旅の、始まりの地を。憎んで恨んでもてあそばれた、勇者の血筋が生まれた場所を。

「イオラ」

 ほんとうに自分の故郷であるかどうかも分からない、そこを壊すためだけに。
 すでに、銃とやらの光線によって要石を砕かれていた壁は、爆発呪文に耐えられなかった。
 海風や雨の侵食を防いでいた漆喰が焼け、隙間なく積まれていたはずの石灰岩は容易に輪郭を崩す。
 旅をしてきた瞳で見れば、ミレニアの生家は人形の家を思わせて小さく、崩落のさまは戯画的でさえあった。

605ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:24:13 ID:bvJ.JVH20
 けれど彼女は、縁を切り、捨てたはずの家に、入ることなど出来なかった。
 ふくらはぎがこわばるほどに、彼女には、家や血筋が。逃げようのなかったものどもが怖かった。
 形もなく、利率や対価も知れない負債にも似て粘着質なものどもが、重苦しくてならなかった。

 優しい家族。あたたかな家。
 常識に照らし合わせるほどに、自分の抱く感情のほうが間違っていると思わされた。
 だから、黙っていれば重苦しさも極まるばかりだと分かってもなお、本音は封殺するしかなかった。
 旅立ちの日の朝、「旅が辛いか」と問うた母親にさえ、彼女は作り笑いを返したものだから。

(……楽になる余地なんて最初からなかった。私が、なくしてたよ)

 夢も不満も沈黙のなかに押し込めて、ただただこなした十六年。
 勇者の娘として生き延びるうちに堆積した感情の澱は、少女から表情を消せしめた。
 憎しみの声も、子どもに帰ったような慟哭も、望みを捨てた彼女の目には浮かんでいない。
 ただ、気に入らないものが崩れ去るさまを眺めていると、自然と自嘲まじりの笑みがうかんできた。
 流す涙もなくしたのなら、後生大事に抱えてきたものを、笑ってしまえばいいと思えた。
 それに、土煙が収まるまででいい。このまま、街にただずむことにだって意味はある。
 悪意と破壊の痕がもうもうと立つ廃墟には、正義ぶった人間が現れるはずだから。
 雷霆でもって打ち据えてきた塔で、ミレニアの捨てた光をいまだ瞳に宿せる、


「きみは……!」


 まさに、人の望む勇者のごとき存在が。
 調和も仲間も望みも捨てたミレニアにとって、心底忌むべき者たちが。

「――あた、し」

 気に入らない物を壊して、餌として、引き寄せられた気に入らない者を蹴倒す。
 そんなことを考えていた少女は、対面した少年を前にしながら、無様に息を呑んでいた。
 逆立てた黒い髪。意志の強そうな曲線を描く眉。《勇敢》の石言葉をもつ碧い石の嵌った頭冠。
 黄色基調の鎧下も、なめし革の手袋と長靴も、綿を入れた青い旅装も。彼とはすべてが揃いである。
 相手が唯一まとっていないマントにしても、きっと同じ紫だろう。根拠のない確信が胸を衝く。

「俺の、家を……どうして壊した」

 沈黙を切った問いの中身は、外堀を埋めるようなものだった。
 ミレニアの存在に驚きを示しながらも、少年は己の口ぶりに確たるものをにじませている。
 自分の家。自分こそが勇者オルテガの残した、唯一の希望であったのだ――と。

(そうだったら良かったのに)

 《別の次元》。
 現状を説明するに、最も易しい言葉がミレニアの胸におちた。

606ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:24:35 ID:bvJ.JVH20
 たとえば、最初に突き落とした女性に配されていた、マスクドライダーシステム。
 加えて、ユーリの墓標となったベルト。魔法使いの呪文に拠らずに、人の姿を変じさせるモノ。
 雷を吸収されてしまった、魔王や魔族ではない、人間の命を聞いて行動していたモンスター。
 故郷とは根本からして違うものに立脚した《別世界》の生んだものには、この数時間で少しく触れた。
 それならば、ノアが同じ法則に拠って生まれた世界の枝葉を掴めないという可能性は低いと言えるだろう。
 あのカラクリが真に次元を渡れるというのなら、《大》に《小》を兼ねることが出来ない――
 世界を渡るほど大きな力を、いち世界の分岐点に使えないといった理屈がとおる例など、そうそうないはずだ。

「あたしの家だよ。貴方みたいに、男には生まれなかったけど……男みたいに育てられたな」

 なにより、《もうひとりの勇者》は現実にいた。互いに存在を知ってしまったのだ。
 自分の目で見たものに対する反証を挙げていくことなど、きっと、この場の誰もが望むまい。
 ミレニアに至っては、少年の側が斧を携えた仮面の異形を連れている点を救いだとさえ感じていた。

「さっきの、ギガデインは」
「それもあたしだ。ただ、塔が崩れるのは予想外だった……」

 ため息で、ミレニアの語尾がぼやける。
 こいつは光の側にいる。それが、相手の様子を見るほどに分かったから。
 こいつは、他の誰かを求めることができて、相手に求められることがかなったのだ。
 自ら光を放つべき勇者の責務を果たすにあたって、肩を支えてくれる者がいるのが何よりの証拠だ。
 ひょっとすると、相手は勇者である自分を、勇者でしかいられない自分を、認められているのかもしれない。
 勇者オルテガの息子でいられたことを、父の仕事を継いだことを、光栄に思えているのかもしれないと。

「貴方はいいよね」

 見知らぬ少年の人となりを想像するほどに、ミレニアの視線は下に向いていった。
 限界を超えてこぼれたのは、短い言葉。そこに至る彼女の思考の委細を略した、結論だ。
 直後、とげとげしい声が予想外であったとばかりに少年が息を吸い込む、そのさまを聴いて得心がいく。

 こいつには、こいつには絶対に、分からない。
 同じ世界に育とうとも、同じ世界を救っていようとも、同じ家に生きていても、分からない。
 こいつには、自分の家族があたたかいものなのだ。こいつには、この家が優しいものに思えていたのだ。
 同病相哀れむとはいかなかったことにではなく、ミレニア自身に向かった思いが、胃壁をなぜていく。

 こいつは選ばれて、自分は選ばれなかった。
 それとも、すべてを拒んで憎んで恨んだ、あたしのほうがすべてをねじ曲げた?
 家族や血筋を受け入れなかったあたしが、父を許さなかったあたしが間違っていると?
 仮にあたしが正しいとして、じゃあ、どうしてあたしにはいるべき仲間も、拠り所もないのか。
 勇者は仲間とともにあるもの。相手を見ていると、そんな暗黙の了解があったかとすら思えてきて、

 気に入らない。

 それは、とても気に入らないことだ。
 こいつの穏やかそうな顔が、仮面の仲間が、やつらの瞳にある輝きだってそうだ。
 こいつらを見ていると、ずっと頑張ってきたあたしの、頑張り方さえ間違いだったと言われるようで。
 そんなこと、絶対に認めさせないと思えてくる。絶対に、許せるわけがないと思えてくる。
 同じ勇者? 同じ、マスクドライダー? そこに、いったいなんの関係がある。
 初めて会った――人間に――真面目くさった顔で――まるであたしのためと言わんばかりに――
 あたしの気持ちをどうこうされたくなんか、ない。

607ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:25:01 ID:bvJ.JVH20
「家族を信じられるんだから。仲間に頼れるんだから。
 だったらどうして――貴方が私の代わりに、《ここ》に生まれてきてくれなかったのかなあ。
 光なんか、勇者なんか。私が穏やかに暮らすためには、何の役にも立たなかったのに!」

 だから、少女は一方的にまくしたててやった。
 胸を抉られる前に、相手を踏みにじれば、彼らが手を伸ばす前に封殺出来ると信じて。
 実際のところ、彼女は相手からの理解も、同情も、優しさも、哀れみも、反発すらも要らないのだ。
 いい勝負。泥仕合。そんなものは同程度に要らない。闇を知らない相手を引きずり下ろせればそれでいい。
 伏し目がちの瞳に妬心と闇を隠した勇者は、ゼクトバックルの蓋を。これから煮詰まる魔女の大釜を、開く。


「変身」


 誰かに聴かせるためではない嘆息にこもる敵意と諦念は、わずか一節に収斂された。
 いつのまにやらやって来ていたのは、表裏を緑と茶に塗り分けられたバッタ。ホッパーゼクター。
 その四肢を折って緑の体をベルトに収めた虫は六角形のセルを展開し、彼女を異形の姿に変えていく。
 仮面ライダーキックホッパーとなったミレニアは、変身の直後、ゼクターの脚を指ではじき――
 左のふくらはぎに装着されている、バッタの脚に似たアンカージャッキをたわませた。

 しかし、彼女とて即座に大技を使うほど愚かではない。
 相手どった勇者とライダー。嫌になるほど手札の分かる者たちに、過小な評価もくださない。
 なにより、ミレニアのもつ《大技》とは、予備動作と本命が完全にひと組になったものなのだから。
 予備動作とは《ライダージャンプ》。たわめたバッタの脚を伸ばして、高空へと跳び上がるわざ。
 本命となるのは、その脚を落としての蹴り。重ねて跳べば大型の魔物すら塵と変えた《ライダーキック》だ。
 この、ライダーキックの前段階となるライダージャンプを使った時こそが彼女の勝機であり、弱みといえよう。
 滞空の間に回避行動など出来ない以上、必殺の一撃を加える際のミレニアには、いかな反撃も防げない。

 だから少女は、踏み込んでなおゼクターに自身の意志を伝えることもなく。
 まずは《勇者》の少年へ、正拳による一撃を加えることをこそ選んでいた。
 目指すべきは一対一。彼女の身に、大技による楽勝しかもたらさない状況。
 警戒すべきは仮面の異形。おそらくは彼女と同じ、ゼクターに選ばれた者。
 型もなにもないが、腰のひねりを加えた拳は、少年の顎を目指してうなる。

「ぐぁッ!」

 マスクドライダーシステムによって強化された膂力と脚力は、少女の期待以上に働いた。
 半身を引いて急所と腕を守ろうとした少年は、バッタの踏み足が生む瞬発力に対応しきれない。
 結果、急所こそ外したものの、利き腕の肩をとらえたミレニアの拳は硬い感触に包みこまれていた。
 水気まじりの響きは筋繊維が断裂する音。それを聴くよりも先に、『とった』という実感が胸に落ちる。
 そればかりか、跳躍の寸前にかるく払った脚にさえ、少年は対処しきれないまま重心を崩される。
 受け身もとれない勇者を一瞥すると、もやに満たされていた胸が僅かにうるおう。
 二手に満たない手数で導いた、圧倒的な優勢。これこそ正しく、彼女の望んだ“楽勝”だ。

「ライダージャンプ」

 鼻にかかった声は――しかし、なんらの感慨もあらわさない。
 跳躍と同時に聞こえた単語、“アルス”とは、まずもって少年の名だ。
 この期に及んで仲間の心配に注力する敵を睥睨する少女は、晴れすぎた夕空に暗緑の軌道を刻む。
 ゼクターの放つ無機質な音声とともに、アンカージャッキから途方も無い大きさの力が伝わってきた。
 宿屋の壁を一瞬の足場にした少女は、いつか仲間が見せてくれた三角蹴りの要領で、相手に飛び込んでいく。

608ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:25:56 ID:bvJ.JVH20
「ライダーキック」

 すべてを蹴散らし、蹴落とす緑の電光は、さながら常闇に燃える流れ星か遠雷か。
 漆黒のマスクドライダーをねめつける少女は、先刻はじいたゼクターの後ろ脚を降ろす。
 稲妻。天地を引き裂くもの。水天の一碧をすら結ぶもの。今は、ミレニア自身がその一条となる。
 ミレニアが勇者であった証の最たるものは、切っても、逃げても、払うことなどできない。

(だったら、使ってやる。あたしのために……使ってやる!)

 異形が放った絶対零度の氷結魔法を、少女は真っ向から蹴破っていた。
 砕けて飛び散る氷は、左脚を起点に矢と化した彼女の体をかするにとどまる。

「バギマ!」

 だが、砕けてなおも巻き上がった氷塊については別だ。
 氷。異形にとっては即席の盾であり、ミレニアが跳ぶには不安定な足場であったもの。
 竜巻の力で蘇った氷の欠片は、殺傷力を有すると同時に、少女の視界をもさえぎってしまう。
 いちどライダーキックさえ当ててしまえば、あとはどうとでも料理出来ると思って……いたのに。

「っ、ぐ――せぁああああああッ!!」

 なによりも、呪文の主の存在そのものが、彼女の声を荒らげさせる。
 僧侶呪文を使うマスクドライダー。ただのミレニアを背負ってくれた彼女の仲間と、敵手は同じだ。
 そう。ユーリと同じ技を持つ、アルスの仲間は……アルスの仲間だけ、どうして今も生きている。
 少し前、彼によって取り落とす羽目になった腹切りソードを、だから少女は振りかぶっていた。
 氷の嵐へ肩口から突っ込んだミレニアは、ライダーの装甲に防御の一切を任せて、刃を振り切る。
 斬り裂いて、斬り伏せる。思い出を無造作に掘り起こすものの余韻すら、この地に残すまいとして。
 いつしか叫びは詰まった吐息に、吐息は乾いた笑いに遷移している。

 そのまま、斬る。かわされる。
 つづけて、斬る。防がれる。
 それでも、斬る。斬る。
 斬る。斬る斬る斬る、

(斬らせてよ――!)

 いくら斬撃を重ねようとも、剣戟には終わりの予感もみえなかった。
 傍から見れば一方的な展開のなされているにもかかわらず、僧侶に傷をつけられない。
 瞬間、マスクドライダーの装甲すら目に入らないミレニアの聴覚を、治癒呪文を編む声がかすめた。

「――そうか。そう、すれば」

 真空呪文の影響から少し離れた場所にいるはずの勇者が、ちいさくひとりごちる。
 背後を振り見れば、アルスがなにかを求めるように右腕を動かすさまが視界に入った。
 異形の唱えた僧侶の呪文を受けても癒しきれない肩を押さえつつ、手のひらを陽にさらしたのだ。
 いくばくも経たずして、開かれた少年の手には……夕空へ金色(こんじき)を散らした影がおさまる。

609ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:26:15 ID:bvJ.JVH20
「変、……身ッ!!」

 間髪入れることもなく、アルスは決定的な声をつむいだ。
 彼の左手は、いまだ右肩を押さえており、右手は左の手首に添えられている。
 だのに。両腕で我が身を抱くかのような姿勢とは裏腹に、一音節が強く、はっきりと発音される。
 左腕に巻き付いた腕輪に嵌め込まれて、流線を生み出したもの。黄色と黒の蜂は誇らかに輝いていた。
 勇者の放つ光。そのまばゆさにひるみ、その汚れなさを忌んでやまぬ少女は、舌打ちと同時に身を動かす。
 呆けていた彼女が重ねたのは、左脚。急所である脇の下か、呼吸器官への衝撃を狙った中段回し蹴りは――


 ―― HENSHIN ――


 キックホッパーのそれとは違う、殻を思わせて分厚い胸甲にはばまれた。
 真っ白な胴鎧をいろどっているものは、蜂の巣を想起させる六角形の意匠だ。
 少年がまとった仮面に宿る深緑の視線。相手の立ち姿を前にした少女の脳裏にひらめきがはしる。

 こいつは、きっと“あれ”だ。
 目の前にいる勇者が呼び寄せ、まとったものは、例の虫だ。
 少し前、自分のもとから離れていった黄金色の輝き。
 ついぞ自分が手にすることの出来なかった、大切なもの。
 輝かしいものを体現したかように煌めく羽で、迷いなく飛び去ったスズメバチ。

「ニム! 新しい力に慣れないなら、無理はするな! 俺も、いまの俺に出来ることしかやらないッ」

 マスクドライダーシステム、ザビー。
 ここに立つミレニアを見限った、蜂を統べる女王で間違いない。

(ほら。どうせあたしなんか……要らなかったじゃない)

 なにものかに選ばれなかった自分。
 なにものかに認められなかった自分。
 自身の影をなす像が、またひとつミレニアの胸にふくれた。
 ユーリが認めてくれた、背負ってくれたという輝きを、暗中に埋めてしまうほどに。
 もとより、彼とも死別し決別しているのだ。ここにはもう、彼女を否定するものしかない。


「……俺自身がいくら変わっても、《ここ》に生まれることだけは変わらなかったんだな。
 だったら、このことが幸せだったと受け取れるように――俺は俺を貫いてみせる。
 大切な人と支えあえるなら、針を使って戦う時を迷ったりしない!」


 とくに、三人目のマスクドライダーに感じた不快感は別格といえよう。
 彼は、アルスはミレニアの捨てざるを得なかったものを貪欲に拾ってなお、真摯に言葉を紡げるのだから。
 少年は殺し合いの場にあってなお光の道を目指せる類の人間で、少女の目指せないものを体現しているから。
 鏡合わせと言うにも皮肉な《もうひとりの勇者》に向かって、もと勇者は再度左脚をひらめかせた。


 ×◆×◇×◆×

610ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:26:49 ID:bvJ.JVH20
【3】

 踏み足から生まれた勢いと、安定した腰の位置を活かした、上段の蹴り。
 少女のそれと思えない一撃に対して、アルスが恐怖を感じなかったといえば嘘になる。
 けれど、自分のもとに来てくれたザビーゼクターによって作られた装甲は、頑強なものだった。
 わずかであろうと、狙いと間合いを外したはずの正拳で骨を砕かれた瞬間に感じた力の差はない。
 そうして、思ったままを信じられる。信じるほどに、スズメバチも輝きを増すかのようだ。

(一撃で終わる。一方的に終わらされる。さっきまでなら、そうだったかもしれないけど)

 この少女と、ぶつかりあう余地を与えられた。
 過剰殲滅されず、また、過剰殲滅をしないだけの力の差が与えられた。
 少女を許すかどうかは別として、これは、アルスにとっての救いに他ならない。
 信頼。聞こえのいい単語のもとに仲間を血に染めさせるような行いは、出来れば二度とやりたくない。
 ニムがこの少女と同じようなかたちに変じていたとしても、彼が貫きたい気持ちに、変わりなどなかった。

「幸せ? あたしはそんな、おめでたい人間じゃない」

 聞こえのいい単語がもうひとつ、寡黙だった少女の口から放たれた。
 こちらが一撃で粉砕出来ないと見えたか、あるいは、数的な不利を警戒してだろうか。
 幸せ。こちらの揚げ足を取るような語調で、《もうひとりの勇者》はアルスの盲目をあざける。
 耳朶を打つのは、時間稼ぎのような皮肉だった。なにかから逃げて、目を閉ざすような台詞だった。

『そうやって悩んでるあいだは、アルスはマジメで、誠実で、正しいままでいられるよね』

 くしくも、少し前にニムが口にした言葉をなぞるかのように、少女はアルスを見上げている。
 乾いた声で笑いながら、彼女はアルスよりも自分のことを下において、その四肢をひらめかせた。
 相手より自分を下においていながら、蹴りに軽い拳を交えて繋ぐ連撃は、相手の防御を想定しない。
 歪んだ自信でもって、彼女は相手を引きずり込まんと動いている。羨んだ相手を陥れようと、戦っている。
 アルスを引きずり降ろす間は、自分は底(そこ)から動かないでいられるとでも、信じているかのようだった。

「いい、さ……おめでたい――“人間”と思って、くれるなら!」

 フェイクの拳を、本命の蹴撃を、アルスは左腕一本で受け止めていく。
 いくら丁寧に受けたとしても、衝撃は砕けた右肩に波及すると分かってはいた。
 けれども回避してしまえば、その瞬間にすべてがご破算になるような気配も感じていた。
 ひとり、黙々と旅を続けていた自分と彼女は、そこが似ている。なにかを諦めることに慣れている。
 だったら、自分くらいは受け止めてやるべきだと思った。相手が諦めるまで、諦めてやりたくないと思った。
 ニムに言われたことを活かしてやれば、骨折を癒してくれようとする彼女に応えられるような気がした。

611ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:27:15 ID:bvJ.JVH20
 結果、十数回の交錯を経てなお、いまだ少女は跳ばないでいる。
 《勇者》から離れたアルスと少女の交錯は、我慢比べのようだった。

「そんなの、勝った側だから言えるんじゃないか!」

 しかし、均衡とは、いつまでも続くものではない。
 激情を扱いかねた少女の声が弾けると同時、彼女のバックルでバッタが跳ねる。
 少女のふくらはぎで、バッタの脚を模した部品がたわむさまを、アルスはしっかりと見て取った。
 先刻は氷を足場にしてしまったことで、一撃で終わったものの……あれがバッタの本質ではないことも。
 マスクドライダーシステムを構築した組織・ZECTでは《アンカージャッキ》と呼称される部品――
 名を知らずとも、あのカラクリが跳躍を続けるバッタの脚を模していることは理解できた。

「勝った、側?」

 このまま、彼女に再びしゃがませてはいけない。
 緑に輝いてたわんだ《バッタの脚》。あの関節にだけは触れさせない。
 だから、声をあげていた。単純でもいい、疑問を呈して、言葉の応酬を行っていた。
 巧まずして揺れた声に、つたない言の葉に、アルスは思いの丈を込める。

「俺を勝った側だって言えるほど、きみは俺のことを知らないだろ?」

 その言葉に、アルスの感じた苛立ちがなかったと言えば嘘になる。
 その言葉に、アルスの覚えた憤りがなかったと言えば嘘になる。
 その言葉に、アルスの仲間の影がなかったと言えば嘘になる。

 敬虔な僧侶であるというのに、悪魔の力を与えられてしまった少女。
 様々な知識に通暁するばかりに、人を殺してでも生き残ろうとした魔法使い。
 彼女たちに降りかかった難題と試練を思えば、勝ったなどとは言えないではないか。
 殺し合いの場に呼ばれるまで、自分の盲目にすら気付かなかった自分とて、それは同じだ。

「……あんたはまだ、無くしてない。力があって、仲間がいるじゃない。
 それなら、あんたにだって、あたしのことなんか」

 救おうとしても、救えないものがある。
 一面の事実は、あの魔法使いから存分に教えられている。
 先刻、さんざん心配したロシェにしても、いまの彼がどうなっているかは分からない。

「救ったりできるわけ、ない」
「そんなこと――ないだろ!」

 だからこそ、ここで同じことを繰り返したくはなかった。
 駄々をこねるようにして、単純だが素早い連撃を、今度は避ける。
 避けるばかりではなく、左腕ですくい上げるようにして打ち返してやる。
 打たれるとは思っていなかったのか、反撃を受けた少女は明らかな隙をさらした。
 彼女がひるんでいる間に、アルスはさらに間合いを詰める。

612ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:27:35 ID:bvJ.JVH20
「どうして、俺が動くまでに決めつけるんだ。どうして、先回りして限界を置きにいくんだよ!」

 連打を受け続けた先で得られた、ほんのわずかな時間の空隙。
 万金にもたとえられよう好機を、アルスは格闘戦にすら不適な間合いへの接近に使い尽くした。

「そんなんじゃ、きみもまわりも救われない。……きみに、なにもしてやれなくなるから」

 仮面をまとった少女の左腕を、いまだ無事な左腕でつかみあげるために。
 左手どうしの握手は別れの証。商人から聞いたことのある話など、この際どうでもいい。
 振りほどこうとした彼女のつま先を、アルスは軽く、しかして容赦なく、踏みつけてやった。

「殴られた分の、お返しだ」

 重心の移動など、させてやらない。
 ここまでの距離に近づいたのに、今さら振り出しになど戻れない。
 もしも両腕が無事であったなら、アルスは視線をそらすことも許さなかっただろう。
 彼女が周囲に及ぼした影響に、彼女自身が目をそらしていい道理もない。
 だから、せめてアルスだけは、少女と真っ向から目を合わせた。
 仮面の下に隠れていても、視線をぶつけ続けていた。


「……そこまで言うなら、あんたがあたしを救ってよ……」


 始まりかけた、二度目の我慢比べ――。
 場に降りた沈黙と膠着を破ろうとするのは、やはり少女の側であった。
 あからさまに捨て鉢となっているとみえた態度が、アルスの視界で認められる。
 相手を邪魔だと思っていることの分かる語調が、アルスの耳朶を打ち据える。
 だが、少なくとも彼女は対話に応じた。アルスの作ったフィールドのほうに降りてきた。
 冷たいが、自分を投げ出すような言葉が、少女を受け止めたいアルスを後押ししてくれる。

 けれども彼女には、先ほどまでの力がなかった。
 吐息にからんだ重苦しさには、どこか粘着質なものがにじんでいる。
 彼女が背負ったものの性質を暗示するような嘆息が、刹那、アルスとの間隙を満たした。

(重い、のか? 家族が……親父のことが、そんなに重たかったのか?)

 その意味を汲みとりきれないままに、主導権を渡されたアルスは、一瞬だけ困惑した。
 果たして、彼女は這い上がりたいのだろうか。這い上がる気があるのだろうかと、疑ってしまった。
 このまま声を聴き続けたなら、自分も彼女の重みに引きずられるのではないかと、恐れてしまった。
 一瞬の危惧を見透かしたかのようなタイミングで、少女は吐く息にあざけりの色を添える。

613ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:27:57 ID:bvJ.JVH20
「救いたいなら、ここで仲間を亡くしなさいよ。そうすれば――あんたにも、あたしの見るものが分かるから」
「きみはッ!!」

 あざけりと同時に、少女はアルスを怒らせるだけの名分を示した。
 それと分かっていながら、仲間を守りたい少年は、彼女に引きずられてしまう。

「手。離したね」

 事実の確認をするかのように、宣告は淡々としていた。
 しかし、少女がアルスを見限った後の状況の推移は、恐ろしく速かった。
 彼女の初手は、右足の裏だった。土埃をたてつつ、装甲に覆われていない相手の腹を蹴りつける。
 手が離れると知っていたような思い切りの良さで蹴り脚を伸ばした少女は、彼との間合いをさらに離した。
 ……まるで、相手が手を離したのなら、自分のほうも離していいのだと言いたげな態度で。
 勝手に手を伸ばしてきた者に、自分の側がかかずらう義務などないのだと言わんばかりに。
 それは、致命的な失敗に塩を擦り込むにも等しい、悪趣味ともいえる行いだった。
 そうされても仕方がないと思えるのが、アルスの優しさで、弱味だった。

「一回離したなら、もう一回、伸ばしてみせるさ……」

 けれども、ここでものごとを放り出すなら、彼とて《勇者の息子》で終わっていたのだ。
 少女の続けた忍従を、アルスは知らない。アルスの重ねた忍耐を、少女は知らない。
 それでも、彼らが《勇者》たりうる者であれた理由は、道を進む意志の強さに集約されよう。
 数瞬ののち。少女がこぼしたため息には、『しつこい』との意味がこもっていたのだろうか――。

(やっぱり、そうなっちゃうよな)

 アルスのしつこさが筋金入りなら、少女の意固地な部分もまた同じだった。
 相通じるようでいて、究極的には初対面でしかない相手の挙動を、アルスは間近で見据える。

 正確には、見ているしかなかったのだ。

 ついさっき、彼女はアルスに返事をよこすこともなく、ベルトに左の指を滑らせた。
 バックルの脇に据え付けられているスイッチを、人差し指の腹でもってずらす。
 アルスが“普通に”認められたのは、それだけだ。たったのいち動作を経た彼女は――

「――もう、あんなところにいるだって?」

 目にも留まらぬ速度でもって、アルスから、ひいては勇者の生家のあった場所から離れていた。
 その言葉を聞いたニムが、合点のいかない様子で少年の視線が向かった先を見る。

「……分かるの? っていうか、あの子が見えるの?」
「ああ。たぶん、こいつのおかげで」

 ベホマの詠唱を受けながら、アルスは左腕におさまったものを示してやった。
 ザビーゼクター。彼をニムと同じ、仮面の戦士に変えたカラクリだ。

「バッタを使ったあの子と、同じように変身出来たんだ。
 だったら……俺のほうにも、今のあの子と同じようになれる、なにかがあるはずさ」

614ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:28:24 ID:bvJ.JVH20
 アルスの指は、まず、少女の触れたベルトの脇にと向かった。
 右の脇、そして左の脇に、スイッチと思われる突起を見つけられるが、だめだった。
 少女と同じように指を滑らせたところで変化はない。苦労して触れた右も、左も、スイッチの形は変わらない。
 同じように。同じ。変身した少女と自分は、バッタとスズメバチは、いったい何が違うというのだろう。

 疑問を前に、立ち止まって考えあぐねる。
 そうしていながらも、そのじつ蜂の巣穴で安穏としているような――
 アルス自身に他ならない異形の姿が、ニムの黒い胸甲をとおして彼の目に入る。

「……もしかして」

 指は、吸い寄せられるようにスズメバチの体に向かった。
 バッタと同じようになれた少女と、自分の最大の違いはそこだ。
 アルスが同じようにあるべきスズメバチ。ザビーゼクターは、何も言わない。
『言って分からない者に、自分を使う資格はない』とでも言いたげに、ただずんでいる。
 彼女の羽が、少女を視認出来ても素早さに劣る少年の指に触れたのは、数瞬の間を置いてのちだった。
 資格者の肘側に武器を忍ばせていたスズメバチが、回転にともなって最大の武器を衆目にさらす。
 それにともなって、胸甲や手甲ばかりか、仮面までもがひび割れ、間隙から排気を始めていた。

 キャストオフ。

 針で貫くべき相手を、蜂となって貫くべき意志を決めたアルスは、頑強で安楽な“巣”を脱ぎ捨てる。
 胸甲がはじけ飛んだ刹那、装甲の厚さで劣る少女が選んだ札は……もう、彼には分かっていた。
 ゼクターがアルスの体に流している何らかの力が、戦場から離脱しようとする少女の姿を視認させ続けている。
 《クロックアップ》とやらを利用した彼女は、装甲の雨を回避するまでもないほどに、間合いを離していた。


 ―― Change Wasp ――


 ゆえに、ザビーが殻を破り、真に蜂となる瞬間を見ていたのは、ニムだけであった。
 脱皮の一瞬、限界を超えたその時だけは周囲のすべてを吹き飛ばすようでありながら――
 漆黒に染められた仲間の胸甲に映る蜂の姿は、アルスの目から見ても美しいものだと思えた。
 金と黒を基調にした装甲は、さながら星のごとく、夕暮れどきの陽光を照り返しているのだから。

「ありがとう。ずっと、見守っててくれて」
「――折れてるの、後にするつもり?」
「ごめん。もうちょっとの間は、我慢できると思う」

 肩をすくめたニムの言いたいことは、アルスにも分かっていた。
 ロシェの呪文による失血と、ルーラによる疲労とが、いちど立ち止まった彼の膝を笑わせているのだ。
 少女の拳による骨折や、殴打を受け続けたことによる衝撃については、改めて言及するまでもない。
 筋繊維と組織を断たれた内出血も、悪化してしまえば処置するほうがつらくなるだろう。

 ……けれど、ここで少女を逃がしてしまえば、本当に追いつけなくなってしまう。
 もう一回伸ばすと決めた手のやりどころも、少女の揺らぎも、永遠に失われてしまいかねない。
 誰かを守るためには体の状態も大事だが、貫くべきものを見失っては、心のほうが折れかねない。

615ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:28:48 ID:bvJ.JVH20
「体が痛い方は、もう慣れてるから。ここで心残りを作るほうが……ずっと、つらいよ」

 ゆえにこそ、アルスは自身の体に負担を強いた。
 うなずいてくれた仲間に、背中を任せていい相手にうなずき返して、ベルトに触れる。

「クロック、アップ」

 ザビーゼクターより響いた電子音は、アルスの選択を受容し、肯定した。
 燃えるような夕映え、かすれゆく雲を割いてふたつの音声がクロスしたのと同時――


 未知の領域が、勇者の前に展開される。


 *  *  *

【4】

 ……タキオン粒子。
 語源のとおりに、どんなに減速しても光速で動くと仮定されるもの。
 その恩恵を受けるのは、ワームと、ワームを討滅すべきマスクドライダーシステムの資格者だ。
 ベルトの脇にあるスイッチに指を滑らせた瞬間、ライダーフォームはタキオン粒子の流れを支配する――。

 アリアハンの城下町にて展開された、超高速移動と超高速戦闘。
 舞台の役者であるふたりの勇者が余人に見えない理由は、彼女の知らない次元でうたわれる存在に拠った。
 逆に言えば、ギャラリーであるニムの側に見えないのは、アルスと少女自身の動きだけだ。
 戦闘のさなかに物が壊れれば、それは見える。戦闘のさなかに武器の火花が散れば、火花は見える。
 仮に、激しい雨の中で彼らが立ち回っていたら、雨脚の輪郭が少し変わって見えることだろう。

 相手にピオリム、自分にボミオスをかけても理解に足りないで領域の戦い。
 それを初めて見たはずの僧侶が想像力を働かせることが出来たのは、少女の初手に起因した。

(まったく。よっぽどここでアルスを殺しときたいみたいだね)

 《クロックアップ》。
 少女の腰に巻かれたベルトが残し、アルスがなぞった異形の力。
 それでもって逃げ去ったと思われた少女が選んだのは、呪文による面攻撃であった。
 結局、アルスがクロックアップすると同時に放たれたギガデインは、彼の踏み出しを追い切れなかった。
 けれども、ニムの視界を真っ白に染めるほどの閃光は、異形である彼女をしてうめきをあげさせ、
 強い光のなかに刻まれた影が、彼らのありようを僧侶の少女に知らしめたのだ。

「……だけど、あんなに激しい動きを強いられるなら、絶対長くは持たないな。
 アルスは傷のことがあるし――あちらさんは、アルスがああなる前からずっと動いてたはずだから」

 だからこそ、ひとりごちたニムは、自分の仮説に自信をもてる。
 超高速移動の恩恵と負担から先に解放されるのは、アルスよりも少女が先だと。
 これは、長期戦において支援呪文がかけたそばから解けていくのと同じような理屈でもある。

616ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:29:10 ID:bvJ.JVH20
 なにも見えないニムに、少女が動いていたとまで想像出来る根拠は――
 《キャストオフ》。アルスが『脱皮』した際に、なにも起こらなかったことによる。
 弾き飛ばされた鎧を前に、少女が素早く避けていたなら土ぼこりのひとつもあがっただろう。
 弾き飛ばされる合金のかたまりを甘く見ていたなら、少女の型がひとつ、宙に出来ていたかもしれない。
 どちらも起こらなかった以上、あの瞬間、少女は面制圧に向いた場所を探していたとの推測がかなう。

(逆に言えば、面攻撃なら……クロックアップ? されても平気だと思ったのかな)

 そうだとすれば、少女のほうも高速戦闘には慣れていないということになる。
 もっとも、仮面の異形にせよ虫型のカラクリにせよ、根からして違う異次元の産物なのだ。
 クロックアップというものが、加速した『常と違う感覚』を逆手にとれるシロモノでも無いかぎりは――
 避けても無駄な攻撃を行うという少女の考えは、ある意味では正しいものだといえる。

(で、今は城のほうか。上手いこと、アルスは目印を作ってくれてるよ)

 石畳のへりに出来たひび割れを認めて、ニムは見当をつけにかかった。
 教会から持ってきた天秤。神が生前の善行をもとに魂をはかると言われる道具が、彼女の手にある。
 戦いの場にそぐわぬ道具を構えた彼女は、路地から城の様子を一望出来る場所へと移動を始めた。

(新しい力を無理して使うな、って言うけど――
 巻き込まないような面制圧っていうと、これくらいだもん。アルスの頑張りにだって応えなきゃ)

 ……憐れむべきは、隣人の魂。
 魂の軽重をはかるは、魔人の掲げる天秤。
 白く無機質な秤の受け皿が、骨をすり合わせたかのように軋んだ音をたてる。
 魂をふるわせ、嘆きをもたらすは、人の重みを計上し、冥界へといざなう黒き騎士の力。
 アルスに先駆けて、少女が“戻る”瞬間を狙うと決めたニムの手は、ソウルバランスと呼ばれる悪魔の業だ。
 そして、これこそが、アルスとともにあることを決めた、僧侶の本気の証拠でもある。
 これまで一人で戦ってきたアルスが、不器用ながらも自分の意志を貫き通そうとしているのだ。
 それが分かっているのなら、背中を任せるとまでアルスに信じられた彼女が、本気にならない理由はない。
 勇者ではない、彼自身に信頼を返せるのなら、同族の魂をもてあそぶ罪業に対する罰も受けよう。

 ひとりぼっちの勇者と、ひとりぼっちの異形。
 だからこそ、ふたりなら戦える。戦って、戦いぬける。
 ふたりで、皆でいるためならば、いかな壁も乗り越えられる!


「アルス!」


 加速した状態でも、きっと聞こえるであろう、声。
 単純ゆえにこそ万感を込められる呼び声を、ニムは詠唱の代わりとする。
 次の瞬間――天秤は傾き、悪魔の雷が《もうひとりの勇者》を大地に縛った。

 *  *  *

617ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:29:30 ID:bvJ.JVH20
 少女に雷が突き立ったと同時、スズメバチの針がうなりをあげていた。
 ザビーゼクターの針に込められた力を開放したアルスの獅子吼が、夕空にこだまする。
 体に負担のかかる高速移動から、すでにして開放された相手には、スズメバチの針を避けるすべはない。
 剣を盾として構える動作すら、光速の世界に身を置いたアルスにはひどく緩慢なものに見える。


 ―― RIDER STING ――


 それならば、彼女に手心を加えるべき者は、アルスの他にいなかった。
 電光。勇者の雷を思わせるが、緑味の強い輝きを帯びたスズメバチの針――
 それを、誰に、何に刺すか。その力でなにを貫き通すかは、アルスの決めるべきことでもある。
 接触の瞬間。対象とぶつかった針からは、青白い色に遷移した火花が生まれた。


 ―― CLOCK OVER ――


 剣そのものが発光しているような一瞬を経て、その片刃が砕け散る。
 少女の得物と引き換えに、アルスの針は、相手の肩口を少しく貫いた状態で止められた。
 人間相手なら骨をも貫いただろう鋭さと、手加減できるものではない電光の威力に、少年の側が戦慄する。
 それでも、呼吸の律動に世界が噛み合う感覚が、アルスに少しく平静を取り戻させてくれる。

 城の前で立ち止まったのは、仮面を取り払った勇者。ふたりのマスクドライダー。
 彼らを見守っていた異形は、黒き騎士の名を冠せられた魔人、ブラックライダー。
 そこに現れる第三の人物は、女王の騎士たる男性。ドゥーハン王国を守りきる――


「ロシェッ!」


 城の堀端から姿を見せたクイーンガードに向けて、アルスは叫んでいた。
 彼との再会が意外だったわけではない。城から街が一望できる以上、こちらの動きは掴まれても仕方がない。
 派手な戦いの末に正門前にまで移動していれば、城の内部にいても気付かない確率は低いだろう。
 それよりも、アルスには見逃せないものがあった。“それ”ゆえに、ロシェから目を離すことが出来なかった。

「それは、いったい。誰の血だ……」

 返り血がロシェの体に染み付き、三つ編みにした長髪にからんでいる。
 黒くねばって固まりつつある流体は、他のなにより分かりやすい証拠だった。
 心臓をひといきに貫いたとして、こんなにも汚れることが出来るのかと――疑いかけて思い直す。
 マントを重く湿したサマンサの出血は、彼女の軽さを納得出来るほどに多かったのだから。
 少年を前にして、騎士は沈黙を保ち続ける。それこそが、アルスの予想を裏付けているようだった。

 ……それでも、返事を待っていた。
 騎士が答えを返すときを、待って、待って、待ち続けた。
 クロックアップ。ピオリムを超えた加速を終えて以降、肩で呼吸をしていたところで――
 ついに片膝がくずおれる。ニムに抱えられて、右肩に痛みがはしっても、うめき声さえ出せない。

618ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:30:02 ID:bvJ.JVH20
「スティプル」

 かすみはじめた視界のなかで、頼れるのはもはや聴覚と、触覚と、嗅覚だけだ。
 そのうち、前のふたつが急を告げた。赤い、違う。赤から橙に、橙から白へ遷移するのは――
 炎の、柱か。名も知らぬ少女と騎士へ続く道に、熱のかたまりが打ち立てられたのだと肌が伝える。
 ロシェの織り上げた耳慣れない呪文の結びは、決然とした響きをアルスの耳に残った。

「か、は――っ、う……くふッ」

 ……どうやら、呪文だけがロシェの置き土産ではないようだ。
 可燃物でも仕込んでいたのだろうか。風下にいたアルスは、煙に呼吸を妨害される。


「――いないッ!?」


 だが、彼が真に驚き、息を詰めたのは、ニムの言葉の中身にだった。
 いない。炎の柱をたてて、わざわざ動きを封じたのなら、少女を抱えて城に行くつもりではなかったのか?
 ルーラのような呪文か、はたまた、キメラの翼のような道具でも使ったのか。
 考えは様々に浮かぶものの、なにか、決め手が足りない。いいや、足りなくて当たり前だ。
 炎の呪文を使った以降のロシェが何をしたか、詳しいところは見えなかったのだから。
 アルスにも、きっと――

「アルス? しっかりして、アルス!」

 炎に視界を封じられた、ニムのほうにも。
 腕の怪我を重くみたのだろう、体を揺らさずに呼びかけてくれる彼女は、ひどく優しい。

「ごめん。あの子を、なんとか……したかったのに」

 優しい彼女に謝ってしまうのも悪い気がしたが、言葉を選ぶ余裕もなかった。
 サマンサのときは、マントに隠した。だけど、自分の血に濡れることは、もう慣れている。
 なのに。他人のものと分かる返り血を見ただけで、ここまでの衝撃を受けてしまうなんて――

「なん、て――《勇者》だ」

 自戒と自責の相半ばしたつぶやきは、落ちていく意識にも苦く沁みた。

619ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:30:23 ID:bvJ.JVH20
【D-3/アリアハン・城下町/夕方(放送直前)】
【アルス(男勇者)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:気絶、疲労(大)、MP消費(中)、右肩粉砕骨折+内出血、裂傷複数(処置済み)、中度失血
[装備]:クギバット@MHシリーズ、ザビーゼクター&ザビーブレス@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜4
[思考]:ひとりで死ぬのは、怖い。だから、一緒に生きていく
0:気絶中
1:ニムのことを信じてみせる。《もうひとりの勇者》をなんとかしたい
2:思いを守るために、他者への敵意を示すような手段は選びたくない
[参戦時期]:ゾーマ復活後。アレフガルドに到達している
[備考]:バラモスをひとりで打倒しています。
 ザビーゼクター@仮面ライダーカブトに資格者として認められました。

【ニム(女僧侶)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:悪魔化(魔人 ブラックライダー@真・女神転生3)、魔力消費(小)
[装備]:ルーンアクス@魔界塔士
[道具]:基本支給品×2、カマエル@DQ9、サウザーのバイク@北斗の拳、あぶない水着@DQ3
[思考]:全部ノアの仕業だ! ゆ゙ る゙ ざ ん゙ !
0:アルスを介抱する。襲撃者とロシェはどこに……?
1:アルスと行動。だがこの姿だけは……やっぱりありえん(泣)
[参戦時期]:ゾーマ復活後、アレフガルドに到達している
[備考]:男盗賊やサマンサとともに、のちのアルスの仲間になっています(26話参照)。
[ブラックライダーのスキル]:ソウルバランス(敵全・HPを半減+魔封/魔力属性)、絶対零度(敵複数・氷結)

※サマンサ@DQ3の遺体は、アルスのマントにくるまれた状態でD-3/アリアハン・教会に安置されました。
※D-3/アリアハン・勇者の家が崩壊しました。ラムザ@DQ3の遺体は瓦礫の下に埋まっています。
※腹切りソード@METAL MAX RETURNSの残骸は、D-3/アリアハン・城下町に放置されています。


 ×◆×◇×◆×

620ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:30:49 ID:bvJ.JVH20
【5】

 少女のまとう外套は、首をも覆う類のものであった。
 襟巻きのように巻き付いた布の隙間には、無彩色の塵が少しく溜まっている。
 二本の指でつまんだなら即座に輪郭を崩した、それは樹や何かを燃やしたものではあり得ない。
 指の肌理に湿り気を残す粉塵の感触は、魂をもてる者どもの遺灰のそれだと理解出来た。
 寺院も機能しない、そもそも、遺灰の概念があるかどうかも分からないこの場所において――
 ロシェは相手を灰にしてしまえるすべと、灰をもとの状態に戻すすべの両方を知っているがゆえに。

 相手を一瞬で塵と変える、アッシュ。
 神への祈りによって相手を蘇生させる、カーカスとカテドラル。
 死の一形態といえる灰と親しくあるのは、魔術師魔法と僧侶魔法の双方を修めているから。
 なにより、取り憑き続けた相手を灰と変える死神と隣り合わせに、ドゥーハンの廃墟を探索したからだ。

(地下牢や城を探索するのも……久方ぶりだ)

 もっとも、扇の訓練を兼ねた休息を終えてのち、城を巡っていたのは別の理由がある。
 支給品ではフォローしきれない、細々とした道具。地下の冷気を防ぐための毛布に、外套など。
 いわゆる生活雑貨のたぐいを集めておこうとしていたのだが、上に出たおかげで面白いものが見られた。
 単体だけでは、危惧すべき事項なのだろうが……対になりうる札は今、彼の傍らにいる。

 だが、対策ができうるからとはいえ、けっしてロシェの気分は良いといえない。
 ある王国に復讐するために子どもを刃と変えた、かつての《育ての親》のことが――。
 終には武神をおのが魂で揺り起こした老司教の面影が、思い出されてならなかったからだ。

 *  *  *

 目が覚めて、真っ先に気にしたのは周囲の薄暗さだった。
 治癒の魔法でもかけられてしまったのか、傷の痛みはいやに軽い。
 だからこそ、薄暗いなかで不自然に距離を離されたデイパックに左手が伸ばせた。

「あ……」
「すまないが、中身をあらためさせてもらった」

 剣が砕けたのは覚えているが、手を入れられたような感覚がある――。
 それを肯定するような第一声が、相手の男から発せられた。

「常に周囲を警戒し続けるわけにもいかないだろう。城から続く階段には、すでに罠を仕掛けている」

 エルフの髪を弦にしたという石弓が、たしかに袋の中から消えていた。
 上手いことを言って着服したのだと思えないのは、扉の先にある光景が証明している。
 ナジミの塔に続くはずの地下通路には、細くとも強い絹糸と、木切れを使った鳴子が仕掛けられていた。
 扉の先で水の流れる音を聴いて、ようやっと、ミレニアにも現在地の把握がかなう。
 ここは、男の言うとおり、アリアハンの城の地下……正確には、地下牢だ。

「そして……ゼクターというのか。《THEBEE》とやらの説明書きを持っていたのはきみだろう?
 脱皮は彼の意志だとしても、クロックアップを見せるとは。いささか札を切りすぎたな」

 男の指摘は、真実だった。
 真実であるからこそ、ミレニアには返す言葉もなかった。

621ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:31:14 ID:bvJ.JVH20
 マスクドフォームからライダーフォームに脱皮する、《キャストオフ》については……仕方がない。
 自分にしても、ホッパーゼクターからある種の意志を受けて、魔物にライダーキックを連発出来たのだから。
 だが、その前段階にある変身を。そして、ライダーフォームからさらに進化を見せる超高速移動――
 クロックアップの存在を無知な資格者に悟られてしまったのは、確かに彼女の失策なのだ。

「あんた……どう、して」
「私は、すでにして人類を滅する人類だ。故郷に生きた人のために、国を滅ぼすと決めた人間だ。
 だが、独力では犬死にする。あのような異形には勝てないと理解したからこそ、きみを拾ってきた。
 ここに来るには、瞬時に拠点に戻る道具の力を使った。同時に撹乱も行っている……いま少しは休めるだろう」

 流れを理解するのでなく、理解を強いるような説明が返答だった。
 そうではない。どうして。どうして私を選んだのか。私なんかを助けたのか。
 乾いて、渇いてひび割れた声には、冷淡な響きが返ってくる。

「きみにももう、分かるはずだが……。
 超高速戦闘に対応できたのは、私ではなくきみのほうだ。それだけでも、私にはきみを助ける意味がある」

 最後の一節で、今までの言葉が染み渡った。
 目の前にいる男は、絶対に、仲間などではない。
 最後のひとりを目指し、ノアに命ぜられた殺し合いを戦い抜くと決めた者。
 その考えに至った委細はどうあれ、最終目標が同じであるからこそ、競合せざるを得ない者だ。

 それなら。それなら、この男が倒れようとも、構うことはない。
 倒れられても、背負われても、なにをするのも相手の勝手なのだから。
 相手が、勝手に自分の益になると考えた末の行動であるというのだから。

 だったら、もう、いいのだ。
 背負われる自分が、気に病まなくても。
 相手が背負っただけ、自分が背負わなくても――

「……あ。ぅ、ぐ……かふッ」

 吐き出す息に水気が交じった。
 硝子のそれとは思えない瓶に入った水を、ミレニアは男の手から奪っていた。
 むせて、えずき、手許がまどっても、なお乾いている。からだが、渇いている。
 失ってしまった血と体液の分だけ、いまは水が欲しいのだ。

 たとえそれが、気に入らない相手が差し出したものであるとしても。
 たとえこれが、気に入らない相手にひれ伏すような行いだとしても。

「マスクドライダーとやらが二人となれば、単騎で戦うことの限界も理解できたろう。
 ――その点については、私も似たようなものだが」

 最後にこいつを蹴落とせるなら、それでいい。
 アルスやニムといった者を蹴散らせるなら、それでいい。
 そこまで考え、敵意を込めて相手をねめつけたところで――
 ミレニアは、男の瞳が不自然なまでに表情を消していることに気付いた。

「あんた、……名前、は」
「ロシェだ」

 呪文を封じられた自分に代わって、名剣から癒しの力を開放している彼は短く返す。
 ロシェの目的は――故郷の人々を救うために、故郷を滅ぼす、だったか。
 やはり、血が足りない。毛布をかぶってもも寒い。ひょっとすると、空腹も影響しているのか。

「……ミレニア。あたしは、ミレニア」

 氷のような無表情は、光を諦めたがゆえのそれと気付くまで、少女は少しく時を要した。

622ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:31:33 ID:bvJ.JVH20
【D-3/アリアハン城・地下牢/夕方(放送直前)】
【ロシェ(男主人公)@BUSIN〜wizardry alternative〜】
[状態]:中度疲労、魔力消費(中)、敏捷度上昇(時間経過で解除)
[信頼度]:義(ミレニア)
[装備]:クイーンガードの剣@BUSIN、カイトシールド@ソウルキャリバーⅢ、
 魔浄扇@真・女神転生if...、魔戦の護符@BUSIN
[道具]:基本支給品×3、モドリ玉×2@MHシリーズ、道具類@現地調達、不明支給品×1〜4
[思考]:優勝狙い。女王と民草の魂を解放するために生き残る
1:城を拠点にしつつ、参加者を殺す。超高速戦闘(クロックアップ)への対抗策が欲しい
2:可能ならば、ミレニアにアレイドアクションを教える
[参戦時期]:異空で主人公の本体と出会った後〜ラスボスと戦う直前
[備考]:人間/善属性(性格・正義感)/職業・盗賊→騎士(Lv5までの魔術師魔法・すべての僧侶魔法使用可)

【ミレニア(女勇者)@DRAGON QUEST3】
[状態]:大きく疲労、右鎖骨下に刺傷(止血済み)、全身にダメージ(中)、やや失血、魔封(時間経過で解除)
[信頼度]:疑(ロシェ)
[装備]:アイスブレード@ソウルキャリバーⅢ、夢見るルビー@DQ3、毛布@現地調達、
 ホッパーゼクター&ゼクトバックル@仮面ライダーカブト、ゼクトマイザー&マイザーボマー(110/200)
[道具]:支給品一式×2、ビームライフル(10/30)@魔界塔士、クルーザー@仮面ライダーX、太矢×39
[思考]:背負われたくない。だから、すべてを蹴落とす
1:現状はロシェと行動する。数を打ち破るだけの力が欲しい
2:アルスとニム、ロシェのことが気に入らない
[参戦時期]:ロトになった後
[備考]:ホッパーゼクター@仮面ライダーカブトに資格者として認められました。

【アレイドアクション(アレイド)について】
 ロシェとミレニアの間で、以下のアレイド=連携行動の習得・運用が可能になりました。
 パーティランクは同行者の平均値。現状は(義+疑)÷2で「盟」となります。

 [習得可能なアレイド]
 ・Wスラッシュ(前衛ふたりが敵単体へ同時に飛びかかり、高いダメージを与える)
 ・牽制射撃(後衛が、前衛に向けられた物理攻撃を飛び道具or投石で妨害する)


※D-3/アリアハン城・地下牢への階段に、エルフの石弓を利用した罠(クロスボウ・ボルト)が仕掛けられました。
 低所に張られた糸に引っ掛かると、天井付近から装填の終わっている矢が一本だけ発射されます。
 また、地下牢からナジミの塔へ続く扉の先にある通路には、木切れと糸を使った鳴子が仕掛けられています。

623ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(後編) ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:31:58 ID:bvJ.JVH20
【モドリ玉@MONSTER HUNTERシリーズ】
エペ(ソードマスター)に支給された。
ベースキャンプへ一瞬にして戻ることが出来る消費アイテム。
使用する際、地面に投げつけると視界いっぱいに煙が噴き出すのも特徴のひとつ。

【エルフの石弓@BUSIN〜wizardry alternative〜】
ミレニアに支給された。
後列攻撃が可能な両手用の石弓。
エルフの髪を使った弦につがえられた矢は、標的を眠らせる追加効果を得る。
また、クロスボウ用の太矢(クォレル)がセットで支給されている。

【道具類@現地調達】
アリアハン城から、ロシェが収集したもの。
内訳は糸や布類、野営用の毛布、小さな木づちと釘など。
軽い工作には有用だが、精密機械の扱いは不可能。武器としての転用も難しいと思われる。

624 ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 00:32:19 ID:bvJ.JVH20
以上で投下を終わります。
分割点は(前編)(後編)で分けると収まる、はず。
アレイドアクション@BUSINは原作におけるバトルのキモですが、信頼度が煩雑かしら?
パーティランクは書き方次第で演出になる+習得出来ないのも面白いと考えてますが……。
一応、アレイドアクションの効果や性能は、下記のURLを参考にできると思います。

ttp://www.st-page.com/BUSIN/AA/kou.htm

625 ◆MobiusZmZg:2010/04/16(金) 17:28:04 ID:bvJ.JVH20
とと、ちまちまとミスががががorz
修正事項と加筆部分を雑多スレに上げました。
範囲がハンパ+誤字脱字を見つけてたりするので、wiki収録時には自力で直します。

626由井者ケーザオス:2010/04/17(土) 09:14:54 ID:vEZPvoGM0
投下乙!
勇者対勇者、ライダーvsライダー、燃えるぜえええええええ!
故郷を憎まざるを得なかったミレニアと愛し続けていたアルスの対比がすごく…辛いです…
仲間と肩を並べたアルスに軍配があがったか!、と思ったらここでロシェwithモドリダマ…だと
意外なマーダーコンビ誕生は驚異すぎる、アルスニム頑張れ、超頑張れ

627由井者ケーザオス:2010/04/17(土) 09:54:40 ID:345gEGpo0
!ああっと!
>>597、MUMEI氏への感想でひどいミスをしてる……orz
レッドと戦ったのはレッドウルフでした。なんてことしてんだ私は。
投下などが終わって、落ち着いて読み返したら改めてタイトルの意味が染みました。
鳥ポケモンであるピジョットへの命令で、ヒカリモノ(コイン)を投げるって手がレッドらしくて良いんだよなあ。
ピジョットの細かな描写から、レッドのグリーンに対する思い入れがうかがえるのも素敵なパートでした。

感想は早めに書かなきゃ、書かなきゃと思いすぎてたばかりに、逆にひどいことをしてしまって
楽しく読ませてもらっていた書き手さん方には申し訳ないことをしました。
今後は、あんまり焦らず。落ち着いて書けるときに気持ちを込めさせてもらいます。

628由井者ケーザオス:2010/04/17(土) 22:43:17 ID:Myxw7gB.0
投下乙!
二作まとめて感想だぜ

>Red fraction
二つの「レッド」かあ……
そういえば赤にまつわる人って多い……訳でもないか
強化されたレッドウルフ、そして対主催に転向したちょいエロ少年レッド
二人とも今後が期待だぜ!

>ライダークロス 隣り合わせの灰と青春
修造が上空付近にいると熱血バトルが頻発するのだろうか……?!
という誤解をしそうなぐらいアッツアツなバトルです!
ついに出会ってしまった二人の勇者……アルスはボコられてばっかで大変だね!
そしててつをはそういえばブラックライダーだったね!

629由井者ケーザオス:2010/04/20(火) 23:30:35 ID:aM1VL9dI0
投下します

630*うみのなかにいる*:2010/04/20(火) 23:30:52 ID:aM1VL9dI0
【タケシ@ポケットモンスター金銀 死亡】

※初期位置がA-1の海だった為、タケシは溺死しました。
※タケシの所持していたデイパックは海底に沈みました

631由井者ケーザオス:2010/04/20(火) 23:31:11 ID:aM1VL9dI0
以上で投下を終了します

632由井者ケーザオス:2010/04/21(水) 01:05:46 ID:ZVPFkua20
投下します

633猛る死と書いて『タケシ』 ◆lYiZg.uHFE:2010/04/21(水) 01:06:28 ID:ZVPFkua20
気が付いた時、タケシは海へ向かって落下していた。
最初は現状を理解できずに混乱していたが、すぐにノアの説明を思い出す。
すなわち―――殺し合い。

「殺し合いって言ってたくせにいきなり海の上とは……あいつ人間じゃねぇ!」
そう言いながら、確かにあいつは人間じゃなかったなと、俺は苦笑する。
このまま海の中に落ちれば、まず確実に溺死するだろう。
そんな状況なのに笑っていられるのは、死を覚悟したからだろうか。
いや、違う。
あの最初の説明の部屋の中、確かに俺はレッドとグリーンの姿を見た。
僅かにだったがあれは見間違いなんかじゃねぇ。
あいつらなら、きっとこんな殺し合いをなんとかできるんじゃないか。
そう思ったからこそ、死の恐怖を感じていても笑っていられるんだろう。
「でも、このまま黙って死ぬのはゴメンだ!」
確かノアは、殺しあう為の道具も支給するといっていた。
このまま何もせずにいたら、俺に配られたその支給品も海の藻屑と成り果てるだろう。
せめてこれだけでも、あの遠くに見える岸へ!
俺は海へ叩きつけられる瞬間、デイパックから取り出した支給品を岸へと向かって全力で放り投げた。
ザブンッ!という音と共に俺の体は海の中へと沈んでいく。

俺の魂、無事に岸へと届いただろうか。
支給品一つで何かが変わるとは思えないが、それでも何もしないよりはマシだ。
あれが善良な参加者を救う事を祈って―――俺の意識は闇へと消えていった。

【タケシ@ポケットモンスター金銀 死亡】

※「*うみのなかにいる*」の補完SSです。
※初期位置がA-1の海だった為、タケシは溺死しました。
※タケシの所持していたデイパックは海底に沈みましたが、支給品はどこかの岸へと飛んでいきました。
 届いているかは不明です。

634由井者ケーザオス:2010/04/21(水) 01:07:17 ID:ZVPFkua20
投下終了です。タケシってカッコイイよね!

635由井者ケーザオス:2010/04/26(月) 17:56:45 ID:VNtXx2GY0
投下乙!
開始地点が海って言うのもあるししょうがないよね。
タケシの意志は誰かが受け継いでくれるさ!

さてさて、投下します

636夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:57:12 ID:VNtXx2GY0



銃を取って叫べ。

誰に俺たちが裁けるのか?

銃を取って叫べ。

イカれた現実に、腐った奴等に。

血の一滴残らず枯れ果てるまで。

止まることなく、叫び続けろ。

銃を取って叫べ。



誰に俺たちが裁けるのか?

誰に俺たちが裁けるのか?

誰に俺たちが裁けるのか?

637夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:57:37 ID:VNtXx2GY0



そこは地獄だった。
タムラたちの方へ向かう途中で、リリの悲痛な叫びを耳にしてから二人は走り出したのだ。

やっとたどり着いたそこは赤と黒と白と良く分からない色で塗りつぶされた地獄だった。
下を見れば夥しい量の血が山を赤く染め上げている。
その中で嫌でも目に入ってくる四つの死体がアクセルたちにある「映像」を突きつける。

胸に大きな穴を空けて息絶えている少女は笑っているように見える。
少女の目はどこか遠くを見つめながらも、誰かを見ているように見えた。

まずアクセルがリリの死体へと駆け寄る。
リリの純白の羽根は刈り取られ、胴体には鮮やかな一閃が刻まれている。
片手にメガホンを握り締め、眼はメガホンを見つめ、口は開いたままである。
まるで縋り付く何かとメガホンにすりかえているように。

リリの空ろな目の先にあったのは、タムラ「だったもの」だ。
首から上は無くなっており、タムラであった事を示すのは渡した稽古着ぐらいである。
タムラ「だった」肉塊も、どこかへと手を伸ばしている。

「……バカ野郎」
アクセルの手は不思議すぎるほどに落ち着いていた。
慎重にタムラの首輪を外し、デイパックへと放り込む。

「頭を吹き飛ばす手間が省けた」
「タムラはともかく、リリはまだ新鮮な死体なのだろうか?」

等と、一瞬でも考えてしまった自分の思考が憎い。
人が死ぬことに慣れきった彼の頭には、ノイズともいえる思考が飛び交う。
自身に対する苛立ちの所為かタムラの遺体から稽古着を剥ぎ取る手は多少荒く動いていた。
「俺は死ぬなつったろ、そしたらタダで死ぬわけにはいかねーつったよな」
苛立ちをぶつける相手はタムラではない。
分かっているのにタムラだった死体に対し、冷たく当たってしまう。
ようやく稽古着を脱がせ終わった後、タムラの死体を地面に少し乱雑に寝かせる。
そして次にリリの遺体へと向かい、頭のリボンを剥ぎ取ろうとする。
「数時間前の約束ぐらい守れッつうの」
タムラだった遺体を背にして、リボンを剥ぎ取りつつアクセルは一人つぶやく。
髪の毛に括り付けてあっただけのリボンは簡単にリリの髪を解き放ち、自由に空を舞う。
次に、アクセルはあたりに散乱しているデイパックをすべて回収しようと動く。
腰を上げ、もう一度だけタムラのほうへと向き直る。
「……天国でも宝探しやってんだろうな」
頭に浮かびもしなかった言葉がふと口から零れる。
死は何度も経験してきた。他人のも、自分のも。
なのに、どうしてだろうか。
タムラの死体を見ていると、今まで思いもしなかった感情があふれ出てくる。
今まで見てきた他人の死も、自身で経験した死も。
今、目の前にある死と変わらないはずなのに。



「なんだってんだよ、クソッ」

638夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:57:48 ID:VNtXx2GY0



――――玲子はある死体のそばを離れなかった。
いや、離れることが出来なかったのだ。
転がっている四つの死体のうちの一つ、青い服の青年の死体の傍を。

本来、玲子は彼のことを知らない。
しかし、「彼女」の記憶の中に彼は居た。
この地獄のような場所にたどり着いてから、死体の傍へと吸い込まれるように近づいた。
そして死体の横に座り込み、ゆっくりと彼を起こした。

彼がどういう人間だったのかは「記憶」から分かる。
そして、「彼女」がどう思っていたのかも「記憶」から分かる。

今まで自分が味わったことも、理解することも無かったモノが溢れ出して来る。
気がつけば、玲子の両目からは透明の液体が零れだしている。

玲子の中で一つの答えが出る。
これが「悲しい」や「泣きたい」というモノなのだと。
初めてのモノを相手に、玲子は上手くそれを表現することができなかった。
だから、「彼女」の「記憶」に従うことにしたのだ。
死体を抱きしめ、その場に蹲り、双眸から液体を流す。
「記憶」を頼りに彼女は感情の処理方法を模索する。
いくら縋り付いても、抱きしめても、涙は止まらない。

だから、玲子は人間であるアクセルにこの感情の処理方法を問うことにしたのだ。
「ねえ、アクセル」
彼の遺体を抱きしめながら、背面で放置された支給品を漁るアクセルへと問う。
「……かけがえの無い人が死んだ時って、どんな気分なのかしら?」
ワームである玲子に大切な人など居ない。
守りたい誰かだとか、唯一無二の仲間など居るはずも無い。
でも、「彼女」は違う。
玲子には無かった唯一無二の仲間や、守って行きたい誰かがいる。
それが失われたとき、「彼女」はどういう行動に出るのだろうか?
記憶をいくら探っても、はっきりとした答えは出てこない。
「彼女」の人を失った記憶をいくら覗いても、父親が死んでしまったときの記憶を見ても、ぼんやりとした何かが頭を駆け巡るだけだ。
「……口では、言えないかもな」
アクセルには仲間が居る、かけがえの無い家族も居る。
だが、彼の世界は"死"の概念が少しだけ違ったのだ。
「仲間が死んでもすぐに蘇るっていう、妙な安心感があったからな。
 死体でも新鮮なうちならミンチのクソジジイが怪しい電流で蘇生させるんだよ」
死人が蘇る、俄かには信じがたい話だ。
しかし、「記憶」の中にはその現象が存在する。
ルビスの加護が与えられたロトの勇者たちは加護によって蘇ることが出来る。
「彼女」自身他人を蘇らせたこともあるし、他人に蘇らせてもらったこともある。
神に仕えし者たちに加護を受けたものの魂を呼び戻してもらったこともある。
奇跡を起こす世界樹の葉によって蘇ったこともある。
自分の世界には無かった概念。
死者が蘇るという光景が日常的に存在することなど、玲子には考えられなかった。

639夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:58:00 ID:VNtXx2GY0

「……ウルフっていう凄腕のハンターが居てな、そりゃあもう強いヤツだった」
タムラのそばに座り込んだまま、アクセルは語り始める。
「ある日、ウルフが死んだ。死ぬ間際に俺らがは立ち会ったんだ」
アクセルの頭に描かれているのは一人の男の姿。
「急いでミンチの元に向かったさ。ドッグシステムを使って、衛星に戦車ごと運んでもらってリオラドの街まで駆けつけたさ」
愛人を捜し求め、たどり着いた先で罠にはめられ、命を落としたたある男の姿。
「でも、ウルフは蘇らなかった。ミンチのジジイ曰く「新鮮」じゃなかったらしいんだ」
いつも仲間を蘇らせてくれた博士は「NO」をアクセルたちに突きつけた。
「……オレはキレたさ、「仲間やオレが死んだときより早く駆けつけたのにウルフが新鮮じゃないわけ無いじゃないか」ってな。
 でもミンチは「新鮮じゃない死体は蘇らせれない」の一点張りでよ。
 そん時オレはその場に立ち尽くし、ダイナマはミンチに突っかかり、はんたはダイナマを抑えるのに精一杯だった」
何もすることが出来なかった自分たちの無力さを噛み締めることしか出来なかった。
「その時だな、初めて人の死っていうのに向き合ったのは」
当たり前のように人は蘇るものだと思っていたのが崩れた初めての瞬間だった。
最強の男は死んだ、その現実だけを噛み締めることしか出来なかった。
「玲子、お前は大切な人を失ったのかもしれない。
 ……どうすればいいか分からないだろうな、大切な人というと語弊があるが、俺もウルフが死んだ時どうすればいいか分からなかった」
背中を向けたまま、玲子へと語りかける。
大きな物を失った痛み、かつで自分が噛み締めたモノ。
それを今玲子は噛み締めている。ならば、かつて噛み締めた自分から少し助言をしてやることぐらいは出来る。
「でも残された奴らにできることは一つ。そいつのことを忘れないことだ。
 人が死ぬときっていうのは、誰の記憶からも消え去ったときだ。
 お前が思い続けてやれば、そいつは死なない」
死者へできる残されたものが出来る精一杯のこと。
アクセルは長い旅の中で一つの答えを何時しか見つけていたのだ。
「ああ、そうだ。一つだけ言っとくぜ」
アクセルが玲子の方へと振り向く。
背中を見せ、死体を抱きしめたままの玲子に向けて言葉を投げる。
「泣けるときに泣いとけ、後で後悔するから」
ある種の答えを得た玲子は、その場でもう一度泣いた。
今度は「記憶」にすがるのではなく、自分の意思で双眸から涙を流し、大声を上げた。
まるで玲子自身に「彼女」がそうさせるかのように、「記憶」からあふれ出る感情を処理するために。

640夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:58:19 ID:VNtXx2GY0

泣きじゃくる彼女を背に、支給品をあらかた漁り終えたアクセルはもう一度タムラの方へと向き直る。
頭から上が吹き飛んだ彼の姿を見て、ウルフが死んだときと同じ感情が湧き上がってくる。
タムラとは数時間前に知り合ったばかり、そこまで親しい仲というわけでもなかった。
それでも仲間だと、共に行動する仲間だと彼は認識していた。
かつての仲間達が死んだときとは違う、ウルフの時とも違う死を突きつけられる。

「タムラ、俺はお前を忘れない。絶対に忘れない。
 ……オレの目が黒いうちは、絶対に忘れないぜ」
アクセルは泣く事を選ばなかった。
玲子とは違い、彼が誰かの死と向き合うのは二回目だったから。
今は、それよりやることがある。
こぼれそうになる涙をグッとこらえながら彼は立ち上がる。
「お前が探してた宝はオレが絶対に見つけてやる。
 ……じゃあな、また会おうぜ」

その時だ。
アクセルの視界にキラリと光る何かが飛び込んできたのは。
吸い込まれるようにタムラの頭部があったと思われる場所へと近づく。
血溜まりの中に手を伸ばし、光る何かを拾い上げる。
血に塗れ、若干の肉片がついたそれはアクセルが慣れ親しんだものだった。
「……Cユニットのチップ?」

戦車に組み込まれているCユニットにはコアとなるチップが存在する。
各機器を動作させるのは勿論、砲弾を命中させるための精密な計算や搭乗者の指示を精密かく確実にこなすための動作の素早さも求められる。
また各機器の状態、破損状況、シャシーの機体状況なども知らせる仕事もある。
その計算や指示を果たすのがコアとなるチップである。
その他に膨大なプログラムを積み込んだメモリだったり、弱点である電流を防ぐための装甲などありとあらゆるパーツが組み合わさってCユニットとなる。

今回の問題はそれがタムラの吹き飛んだ頭の一部から出てきたということ。
本来、人間の頭からは出てくるはずの無いモノが出てきたのだ。
ありとあらゆる思考を巡らせ、一つの結論へとたどり着く。

自身が出した結論を確定させるためにアクセルはSMGグレネードを取り出し、胸に穴を開けて死んでいる少女の方へ向かう。
そして躊躇いもなく少女の頭部を目掛けて引き金を引く。
無数の銃弾が頭部を貫いていき、最後に小さなグレネードが少女の頭を爆ぜさせる。

すかさず傍に駆け寄り、脳味噌が飛び散った辺りを探し回る。
彼の予測どおり、先ほど見つかったコアチップと同じものが肉片に混じりながら顔を出した。

641夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:58:31 ID:VNtXx2GY0

「アクセル……一体何を?」
突如銃を死体に向けて撃ち始めたアクセルの奇行を見て、流石に玲子は泣くのを止めてアクセルの傍に近寄って聞かざるを得なかった。
「……大変なことが起こってるかもしれねー」
アクセルは新たに見つけたコアチップを玲子に差し出しつつ、ゆっくりと喋る。
「戦車のCユニットに使われてるチップだ。戦車のダメージ状況だとかを伝えたり、パーツに的確な指示を出したりする」
チップをまじまじと見つめる玲子を前に、ゆっくりと口を開くアクセル。
「人間の思考は脳に流れる電流だって言う話を聞いたことがある。何をしているときにも、人間の思考って言うのは絶え間なく流れているらしい。
 気絶の種類にもよるらしいが、気を失っているときでも脳は活発に活動しているらしい。
 そしてCユニットのコアチップが受け渡しする情報もある種の電流だ。
 ……とんでもない理論かもしれねーが、ノアはひょっとすると「俺達の考えが読める」んじゃないのか?」
とんでもない仮定、考察というにもあまりに吹き飛びすぎているその理論に玲子の表情が険しくなる。
「チップに流れてくる俺達の思考という情報をこの殺し合いの人数分処理することぐらいアイツなら朝飯前だ。
 人間が害悪だと思うが故に人間の思考を探るぐらいの研究やってきたんだろ」
人間は生き続ける限り、環境が破壊される。
その断定をする過程で人間の思考パターンを読み切る演算というものもして来たのだろう。
「……ま、仮説はともかく。チップが埋まってる理由としては俺達の思考を読むということぐらいしか思いつかねえ。
 さっきは温度センサーつったが、脳にチップが埋め込まれてるとしたらそういう類の物を首輪に埋め込む必要がなくなるわな」
先ほど自分が掲げた温度センサー説を自ら否定したことに玲子は驚く。
「温度センサー説はありえない」そのことを如何に当たり障りなく言うかを考えていたが、新たな理論の出現のおかげでそうする必要もなさそうだ。
「人間が死ねば脳に電流が流れなくなる、体温だとかそういうのよりもっと確実に生死を判断できる。
 そして、本格的に首輪を外そうという思考がノアに届けば俺達の首輪がドカンで終わりさ。
 方法を探ってる俺らが無事に生きてるってコトは、考察程度じゃ動じないほどの自身があるかこの殺し合いを開いた別の理由がアイツにあるかのどっちかだ。
 首輪の解除を考察されただけで焦って爆破してるなら、最初から殺し合いなんざやる必要ないだろ?
 ……そして、思考が読めれば俺達の会話を盗聴したり、行動を監視する必要もねえ。まったく便利なこった。
 本当に考えてることを偽るなんざ、誰にだってできねえからな」
打つ手なし、といった表情を浮かべるアクセル。
思わず地面へ叩き付けた拳から血が滲み出る。
「俺の仮説が全て真実だとすると、考えることはたくさんある。
 アイツがこの殺し合いを開いた理由。どうやってチップの情報を読み取り、首輪を作動させてるか。
 首輪の中身ももう一度考察する必要があるかもしれねー……ご丁寧なことだぜ。
 ともかく、課題は一杯だ。もう一度ゼロからのスタートになるな」
仮説が正しいとすると今までの考察とはまた違う方向へ考えなければいけない。
考察する対象はハッキリとしているが、敵が大きすぎる。
真理を見破れば流石のノアも黙っていないだろう。
首輪の真実を知れば、瞬時に命がなくなるリスクを背負い込みながら考察が出来るだろうか?
「なあ玲子、お前はどう思う?」
 アクセルが今述べたのは机上の空論に過ぎない。
二人の死体から脳味噌からチップが出てきた、ただそれだけのことから繰り広げた仮説に過ぎない。
タムラや少女の世界では、脳にチップを埋め込むことが当たり前の世界なのかもしれない。
残りの死体の頭を割れば分かるかもしれないが、リリとルーナの仲間であるロランの死体の頭を砕く気には到底なれそうもない。
そもそも、チップ自体がノアの仕掛けたブラフなのかもしれない。
ありとあらゆる可能性を考えれば考えるほど、無限に広がっていく。

642夜まで待てない ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:59:12 ID:VNtXx2GY0



そして、玲子は自分の答えを出した。



「私は――」



夕焼けの空が次第に黒に染まる。

光が失われ、辺りの景色は闇に包まれていく。

これからの先、彼等が歩む道を示すかのように空は一切の光の存在を許さない。





ああ、戦慄の夜が訪れる。





【一日目 夕方、放送直前/D−5祠周辺 森林】

【アクセル(メカニック)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:焦り
[装備]:髑髏の稽古着@真・女神転生if...、SMGグレネード@METAL MAX RETURNS、インテリめがね@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式*4、メカニックキット@METAL MAX RETURNS、V100コング@METAL MAX RETURNS
    サイバネティックアーム@女神転生2、195mmバースト@METAL MAX RETURNS、スズメバチの巣の袋(未開封)@現実
    宝の地図(D-2砂場に印、裏面にZ-G-N-A-と書かれている)、ロランの不明支給品0〜2(確認済み)、やる夫の首輪、脳に埋まっていたチップ(タムラ、ナインの物)
[思考]
基本:首輪解除
1:チップについて考察。
2:はんたと合流、ついでに戦車探し。
3:タムラを殺したやつをぶっ殺す。
※参戦時期はED後、ノアを倒しはんたと別れた後です。


【赤根沢玲子(ワーム)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、サナギ体、ルーナの容姿に擬態中
[装備]:白のローブ@FF3、いかづちの杖@DRAGON QUEST2、フレアの書@魔界塔士Sa・Ga、濃縮メチル@METAL MAX RETURNS
[道具]:支給品一式*5、核爆弾@魔界塔士Sa・Ga、、動きが素早くなる薬@スペランカー
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒
1:チップについて考察。
2:首輪解除に協力。
[備考]
※ルーナ(ムーンブルクの王女)の記憶を手に入れました。
※魔法が使えるかとかその辺は、次に任せます。
※赤根沢玲子@真・女神転生ifとは関係がありません。多分。

※参加者の生死確認方法について考察しました。
 温度センサーによる生死判別はありえない。
 → アクセルが温度センサーと思っているのは、温度センサーではない? / 温度センサーであるが、生死確認は別の物で行っている?
 → カブト世界、DQ2世界、MMR世界の知識では分からない。 / ならばどのようにして判別しているのか。脈拍、呼吸、体温、ではない。
 → 上記三つの世界以外のものである。 / 盗聴か盗撮か、会場全体を見据えているか。
 → 異なる次元の住人と協力関係を結ぶ。 / どちらにせよ、ノアは殺し合いの舞台と同じ次元にいる?

※頭部にコンピュータチップのようなものが埋め込まれているのを確認しました。 以下はアクセルの仮説です。
 → 頭部に埋め込まれたチップにより参加者が管理されている? / ノアは人間の思考を読むことができる?
 → 脳のチップが考えを読めるとして、どのようにノアに情報を送信しているのか? / どのように情報を送信しているかが分かれば首輪を作動させる手段も判明する?
 → 首輪を解除しようという思考を抱いても首輪は作動しない / ノアに「この殺し合いをする理由」が存在する?

643 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/04/26(月) 17:59:40 ID:VNtXx2GY0
投下終了です。
また首輪関連でガッツリやっちゃった感があるので何かあればビシバシ突っ込んでください

644 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/05/01(土) 00:01:37 ID:u1lwGLAQ0
移動距離の問題を指摘されましたので、多少強引ですが修正案の方を雑多スレに投下しておきました。

645 ◆MobiusZmZg:2010/05/01(土) 10:44:49 ID:a9uaHBU20
修正案について。
仲間に「呪文を試せ」と言われた玲子が、擬態しているルーナすら使ったことのない
呪文を選んで使うという点に、個人的には違和感が残ります。
これが、たとえば空中に向かって簡単な攻撃呪文を放ってみせたあと、
アクセルに「なんだ、荷物にならないだけで、効果は爆弾と変わらないな」などと言われて、
売り言葉に買い言葉で「もっと別のことだって出来る」とばかりにパルプンテを使ったら
馬鹿を見てしまった――という感じの流れなら、まだ納得もしやすかったと思います。
ただ、「何が起こるか分からない」という呪文の効果を、ルーナの記憶を通して知っているだけに、
自分の身すら危うくなるかもしれないことをするか? となってしまうのですよね……。
タイトル的には「夜まで待てない」とのことですが、それこそ移動距離にからんでの
メカニック・魔法使いの体力消費も考えると、時間帯が放送明け(夜)なら自然だったかなーと。

ただ、初稿・修正版ともに、考察の内容やキャラの掘り下げは面白いものでした。
ロランに出会って涙を流す玲子と、死者蘇生がかなわなかったアクセルのコンビがじつにいい。
考察面では、とくに脳の金属=Cユニットのチップには、MMRらしさが出ていて良かったので……うーむ。
修正によってキャラの動かし方が強引になってしまうようであれば、自分としてはこのパートは
いったん凍結しておいて、放送後に初稿を微修正したものを再度投下するという形で構わないと思います。

646 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/05/01(土) 23:05:48 ID:u1lwGLAQ0
指摘ありがとうございます。

ルーナの記憶の中身を「色々と不思議なことが起こる呪文」と言う記憶に変え、ご指摘のような展開で行けば無理も無くなるかもしれません。
ですが、すでに一度修正しているうえ、修正案もムリがある案でしたので今回は一度破棄にしたいと思います。
放送後にできれば初稿を改正したものを投稿しようと思いますが、他に書こうと思っていらっしゃる方が居るかもしれませんので破棄ということにしておきます。

647 ◆MobiusZmZg:2010/05/03(月) 01:02:54 ID:KIEa/vHQ0
ロワのシステムについて、ちょっと提案したいことが。
定時放送が行われた後、任意の予約制を取り入れられないでしょうか?
こちらがイメージしているのは、トリ無し・予約なしの投下を受け入れる方針は変わらない方向で。
執筆におけるタイムリミット(後述します)を明確にしたい人が使えばいい、という感じですね。

自分が予約制を欲しいと感じた理由についてですが――
最も大きいのは、キャラが綺麗に立ってきたり、巧く対比がなされてきたことです。
読んだり書いたりしているうちに愛着が生まれてきたので、彼らを書くときに「面子被りに対する怖さ」……
「タイムリミットがあることは分かっているが、いつそれが来るか分からない」といった、作品に関係ない部分で
完成度を下げたくはないし、時間のなさを言い訳に妥協することはしたくないなぁと思っています。
是非を問うわけではないとの前置きをした上で言及しますが、とくに最序盤においてみられたお祭り・勢い重視の
雰囲気から一転して、今は数人できっちり回すようになり、一話あたりの容量も多くなってきているので。
ゆるい雰囲気を保ちつつ、時間的にもゆとりのある状態でリレーを楽しみたい気持ちが、私の中では強くなってます。

また、スケジューリングがままならない状況で書いているうちに、元々あった筆力が低下しないか。
SSで見せたかった展開を形にするためだけに、荒い文章で展開をこなしてしまわないかという危惧もあったり。
私事になりますが、勢いに乗るのは好きでも、書き散らすようになれば批評も活かせない気がするのですよねぇ。

ただ、提案に際して迷ったのが無名ロワの目指す「短期決戦」とはどういうものかという点で。
たとえば、予約期限が「3+2日」であるとして、これで混戦をリレーする際、3日+インターバル+3日で
リレーを進めるよりは、3+2日で一話を書ききれば比較的速くはなるはず、なのですが――
個人的に不透明なのが、同じ短期決戦でも上のような「話数をコンパクトにしつつ、話もある程度まとめる」か、
「話数がふくらんでもいい、リレー・お祭りを楽しもうぜ」か。このふたつのどちらなのかって部分でして。
シリアス・カオスの両極に振れつつも、フラグが積まれはじめてからは、ややシリアス・話をまとめる方向に
傾いてきたように感じられたので提案に踏み切りましたが、予約制自体に違和感を感じる方もいるかもしれません。
同床異夢だと今後がしんどいかもですし、予約の是非以外に、その点についての意見もお聞かせ願えればと思います。

648 ◆MUMEIngoJ6:2010/05/04(火) 03:11:18 ID:/CRXDZGM0
自分としては、『どっちでもいい』かな
採用するならたぶん使うけど、別になくても構わない、という
予約あってもなくても、個人的にはあんまり変わらないんですよね
そんな自分が判断するのもなんかアレですし……うーん、どっちでもいいなぁ

我ながら、なんて役に立たん意見だろう!w

649 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/05/06(木) 22:26:22 ID:Sz5hse3o0
任意予約、◆MUMEI氏と同じく「どちらでもかまわない」でしょうかね。
どちらかといえばアリじゃないでしょうか。
「必要があるなら使う」という感じでいいと思います。

自分のは期限とかあっても無くても別に大して変わらない人間なので……申し訳ない。

650 ◆MobiusZmZg:2010/05/07(金) 07:25:27 ID:mJnxoCJw0
>>648-649(MUMEI氏、yM氏)
ご意見のほう、ありがたく承りました。
みるかぎり「なくてもいいが、あっても損はない」くらいのスタンスなのかな?
どんなシステムも使いよう、使わないことも含めて使いようだと思うので、やってみましょうか。

予約システムについては、言い出しっぺなんで一案を。
分割クラス、あるいは多人数の描写が必須となる話が今から頻出するような企画でもない
とは思うものの、書き手さんがどう執筆時間を確保するかにもよりますやねー。
たとえば、予約したあとで週末を使いやすくするには、基本が「5日」。
週末をもう一度使いたい場合は、延長が「3日」程度で、大抵の場合なんとかなるかなと。
延長を合計すると一週間を超過するんで、延長は一定数投下(5本程度/読んでいて
作品の傾向がわかってくる頃かな、と)の方が使えるようにするというのも一手ですね。
もちろん、期限前投下も歓迎するという方向で。それで、速さも維持出来るかと思います。
逆に、期限を超過した場合は破棄扱い、誰が予約してても再予約なしですっぱりいくくらいが
システムを運用するうえで、気持ちの面での負担はかかりにくいでしょう。
予約の場所は、投下ペースを考慮すると、現状は本スレで大丈夫なはすです。

以上、色々と企画を見てまわった結果、こういうイメージが浮かびました。
しかし、なんだか……「なんでもあり」にそぐわぬカッチリぶりで申し訳ない気分になる!
申し訳ないといっても、提案に後悔はないし、きちんと胸張って論拠とか提示しますし――ううむ。
これでも楽にしてますが、ひとり浮いてるっつーか。引かれても仕方ない気がしてますぜw

651 ◆MUMEIngoJ6:2010/05/07(金) 09:08:19 ID:5ufFcK0U0
五日+三日で、ちょうどいいと思いますね。
自分がむかしいたロワと同じ期限で使いやすい、というすごく個人的な理由込みでw
予約がこのスレなのも問題ないかと。

ルール適用は、放送後ということで。
早く書き上げて進めなきゃな。

652 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/05/08(土) 00:52:12 ID:mwpejigk0
個人的には「延長」という概念を取っ払ってみたいなー……と思ってみたり。
「まだ延長できるから大丈夫」という気持ちを無くして見たい、という個人的な我侭なのですが。
だったら「5日で書け」になるんですが、どうしても延長制度というものがある以上頼りたくもあるわけで。

予約期間を一発「七日」単品にして見るのはどうでしょうか?

653 ◆MobiusZmZg:2010/05/08(土) 07:17:25 ID:dm/8wbfU0
提案した人間が言うのもなんですが、延長なしは難しいかなぁ。
それこそ、自分のいるロワは社会人の方がいらしたんで、それに合わせて7日+3日
でしたが、基本が7日だとダレて作業の出来ない日が出たり、逆に期限前投下の際に
ミスを見つけると「あと3日あったのに待てなかったし……」となったりしたので。
人間って「作業時間が長ければ長いほど、時間比の作業効率は下がる(知らず、期限に
合わせて動こうとする)」とも言うので、期限に合わせて書いていると、どうやって7日の間
作品に集中するか・自身のテンションコントロールを続けるか、という問題には悩まされましたね。
そこをかんがみると、基本が一週間足らずだと作品に対する引け際・練り込みの上限を「自分は」考えやすいです。
基本の期限に従う限りは、「一週間待たせてこれかよ」と思われにくいところ、基本の期限が
一週間足らずだからこそ期限前投下しやすい――執筆にかけた日数や、そこに付随して予想される
作業時間を気づかれにくい部分も個人的には気楽、気楽ゆえに使いやすいと感じられます。

延長に関しては、それこそ、先に挙げた使いようの問題ではないでしょうか。
それこそ、私のほうは10人以上の予約か3分割以上でもなければ延長したことないんですよw
ただ、たとえば仕上げの1日、あるいは筆が乗ってきた時間を用事に潰されたり、体調を崩して
PCに触るのも厳しいというようなときには延長かけないとリカバリは難しい。
先に挙げた「期限に合わせて動きやすい」タイプの書き手さんだと、7日かけて上がりかけた
ものを破棄では、目も当てられないことになるんじゃないかと。
他の書き手も、再予約なしとしても「これだけ時間かけてくれたんだしなぁ」となって、
破棄されたあとも同一パートをさらっていくのに腰が引けた……っていうのも経験則です。

なので、この「救済措置による安心感」や「ダレを避けられる期限の長さ」を、yM氏本人が
「大丈夫という気持ちをなくしたい」と思うだけで他の書き手から取り上げられちゃうと厳しいな、と。
それこそ予約や延長自体が任意なんで、自分で縛る手段はいくらでもありますし。
ご自身も言及されてますが、延長は権利であって義務ではないことを考えると、基本的には
「5+3日全部使って書く」ではなく「5日でまとめる」ことを前提に書いてるわけで……。
氏の言いたいことは分からんでもないんですが、上のようなことから長めの基本期限+延長なしの
システムは、ともにリスクが大きい。経験則ながら、リターンも見出しにくいなぁと思います。

654 ◆MUMEIngoJ6:2010/05/08(土) 09:33:45 ID:3SuAInFw0
個人的には延長欲しいですなー
いや、自分は少人数予約で短くても延長したことあるのだけれど
延長なしにするくらにならば、3日+2日にしたいくらいに延長あって欲しいですね

655 ◆yMsVbZ1/Ak:2010/05/10(月) 12:36:38 ID:0htwoS0o0
あら……書き込めてなかったのか。申し訳ない。

ふむむ、まあちょっと思って言ってみただけなので特にそうじゃないとイヤって訳ではないです。
まあ、延長抜きの予約日数を長めにしておいたほうがいいかなーと。
7+5でも個人的にはいいぐらいです。

656 ◆MobiusZmZg:2010/05/15(土) 00:46:24 ID:fVPAaF6s0
長めの期限ってことでしたら、5日は長い部類に入りますね。
延長含めなくても週末は一回使えるのと……自分も予約+延長の構図は欲しいですが、
期限については7日でも5日でも「どっちでもいい」となっちゃうのでw
そしたら、期限については5日、MUMEI氏の古巣やyM氏のほうに合わせるかなーと。
たとえ、いまのルールが書き手にあわなくなって問題が出たら、ルールを書き手にとって
使いやすいように変えていけばいいでしょうし。まずは5+3日でやってみましょう。

657由井者ケーザオス:2010/05/15(土) 00:47:16 ID:fVPAaF6s0
そして月報データを。いつもお世話になっております。
……滑り込み投下があったら、その時はその時だぜw!

話数(前期比) 生存者(前期比) 生存率(前期比)
61話(+7) 30/75 (-5) 39.9 (-6.0)

658由井者ケーザオス:2010/05/16(日) 00:38:30 ID:W9.Pi4RY0
支援絵って程のものでもありませんが……
「アダバナイッセン」のワンシーンを作ってみました
流血ありなので注意です

ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0405.jpg

ナインも闇の戦士も特に外見描写はなかった(と思う)ので、見た目は完全に自分のイメージです

659 ◆MobiusZmZg:2010/05/16(日) 01:30:45 ID:m09u0KpM0
えっ これ ……えっ!?
うわー、嬉しい。自分が支援絵描きに行くことはあったけど、逆は初めてだ……
みんなこういう気持ちになってたんだな、ちくしょうwww
綺麗系の絵柄に血が映える。わざわざ描いていただいて、ありがとうございました!

660由井者ケーザオス:2010/05/16(日) 02:19:44 ID:m09u0KpM0
っと、ちょっと待った。
ジェネレータ系のツールを使ったものなら、収録はなしのが無難かな?
完全オリジナルなら著作権は描き手に帰属しますが、権利関係は不透明ですし、
こういう類の企画に使われたってなると問題が起きたときにこじれそうなんで……。
嬉しいことには変わりないですが、楽しむのはここだけでいいかも、です。

661658:2010/05/16(日) 09:06:10 ID:KwSa62dk0
えーと、「キャラクターなんとか機」というツールを使っているのですが、
公式サイトには「作った画像は自由に使っていただいて構いません」と書いてあります
なので権利関係は大丈夫……のはずです

662 ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:18:43 ID:xpfqF7t60
支援も充実嬉しいな
ってことで、ちゃっちゃと進めてしまいましょう
ある程度把握も広がりましたし

ってことで、投下しまっす!

663ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:19:39 ID:xpfqF7t60


 デイパックからボトルをもう一本取り出し、頭上にかかげて逆さにする。
 勢いよく零れた水が、頭頂部から鎧の隙間を通って足元まで伝っていく。
 空がオレンジ色に彩られている時間だけあり、僅かに風が吹くだけで身体が凍るような感覚が走る。
 ボトルを握る手に力が入り、鈍い音を立てて凹んでしまう。
 手触りから察するにビン製ではないようだが、詳細までは分からない。
 少し力をこめてしまうだけで潰れてしまうほど柔らかく、けれどひしゃげても亀裂なんて入らない強固さを持つ。
 それでいて非常に軽い。いやはや、持ち運びに便利なことだろう――つっても、このデイパック内に入れてる分には変わらねぇんだが。
 こいつは『戦車』やらが存在するという算術ヤローの世界の物体か、はたまたノアが別世界から拾ってきやがったか。
 そこまで考えたところで、降り注ぐ水が止まった。どうやら中身がなくなったらしい。
 ほとんど重量を感じさせなくなってしまったボトルを、三分の一ほど見えなくなった太陽めがけて放り投げる。
 行方を眺めるのを途中でやめて、大きく背骨を伸ばす。
 一本目の水で洗った甲斐もあって、瞳と鼻の痛みは消えてしまっている。
 吐き気がするほどの刺激臭もまったく感じなくなってるが――ま、こりゃただ麻痺しただけだな。
 殺し合い開始早々にして、五感のうち一つが封印されちまったワケだ。

「クかか」

 こいつは、お笑い種だぜ。
 竜王の元へと単身向かった勇者が、あのロトの血を引くものが、このザマたぁな。
 だが――――頭は冷えた。
 水を頭からかぶったことで、物理的にして強制的にな。
 さっきまでは、少し『ジャガン』でありすぎた。
 竜王ん時だって、そうだったろうがよ。
 ゴミみてえな道具だけ渡されて町を飛び出した俺は、『勇者ジャガン』として旅をしてたんだ。
 勇者ジャガンとして情報を集め、勇者ジャガンとして商人と交渉し、勇者ジャガンとして町娘とおたのしみ。
 そうだ、そうだったじゃねえか。
 世界の半分を掴む寸前で呼び出されたとはいえ、焦りすぎだぜ。竜王の城に辿り着いた勇者らしくもない、ジャガンらしすぎる。
 ノアについて、うざってえ首輪について、配られた得体の知れねえ道具について。
 それらを調べるには、勇者ジャガンである必要がある。
 戦力なんざ超天才の俺にゃいらねーが、知識や道具は欲しいとこだろうが。
 まだ何も分かっちゃいねえってのに、なーにやってんだか。
 一人目はあっちから仕掛けてきたからしゃーねーとはいえ、マクスウェルにはあそこまでしなくてもよかったかもな。
 けどまあ見られてたんだし、こっちも不可抗力ってヤツだな。
 悪いな、マクスウェルさんよ。アンタ以外には、とりあえず『勇者』で接してやるぜ。

 さてさてさてさて――――こっから思考タイムだ。

 世界の半分を手に入れかけていたことは、気にしないこととしよう。
 怒りに任せた結果が、算術ヤローなんぞに足元を掬われたんだ。
 だったら、もはや過去にこだわるのはもう終い。
 見据えるべきは、すべての次元を支配する未来だけだぜ。

「こんなとこに落っこちてるたぁな。こいつは偶然だな、おい」

 首から上がない抉り取られた死体が、少し離れた場所に転がっている。
 いやぁ、首から上を石で粉砕するだなんて、とても勇者にはできねえな。勇者には。くくッ。
 死体の傍らには、鉛色に輝く首輪。掴み取ろうとして――やめる。
 そういや、爆発するんだったか。死んでも反応するかはともかく、念を入れて損はない。
 右腰の方に携えてあるレイピアを手にして、首輪へと伸ばす。
 細長い刀身を引っ掛けることで、手元へと手繰り寄せる。
 そのまま数刻が経過するのを待つが、何も起こらない。
 どうやら、多少の衝撃では起爆しないようだ。
 まあ、これは予想してたさ。
 この程度で爆破しちまってたら、アイツの顔面にベギラマ喰らわせた時に胴体と頭が分かれちまってただろうからな。
 そうなってたら、脱落が数分早くなってたな。ノアに感謝しとけよ、はッ。
 鬱憤晴らしながらも、どの程度の衝撃で発動するか調べてたワケだ。我ながら素晴らしい。

664ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:20:02 ID:xpfqF7t60

「ふむふむ――」

 爆発しないのを確認してから手に取り、首輪をしげしげと眺めてみる。
 全面が銀色。おそらくは金属製だが、俺の知る素材かは不明。合金の可能性もあるか。
 炎を受けて血肉を浴びたはずなのに、黒ずんだり曇ったりはしていない。光沢が美しいがひどく奇妙だ。
 手触りは滑らか。つるりとして凹凸がまったくない。
 爆発するというのなら内部に火薬を仕込んでいるだろうに、隙間など存在しない。
 それどころか――窪みも、取っ手も、スイッチも、なーんにもねえ。

「分からん」

 やはり、俺の理解の範疇を超えている。
 『機械』が蔓延っているらしいマクスウェルの世界、およびノアの世界、あるいは他の世界の住人と接触する必要があるワケか。
 はん――分かっているじゃねえかよ、ノア。
 超天才の俺が、単独でテメーの元へと行けねえようにしてやがるとは。
 首輪をデイパックに放り込んで、考えてみる。
 逃げやがったマクスウェルを追うか――却下だな。
 勇者でないジャガンを知るアイツと手を組む気はねえし、出会ったら勇者が引っ込んでついつい殺しちまいそうだ。
 勝手に生き延びていずれ出会ったら、祝砲くらいはあげてやるぜ。テメェでな。

「となりゃ目指すは『北以外』かね」

 ひとまず向かう方向を決めたところで、別の疑問が脳内に浮かぶ。
 頭が冷えたからか、気になることがやたらとできてやがった。調子出てきたのかね。

 『人は滅びるべき』ってのが、ノアの言い分だ。
 だってのにわざわざ殺し合わせる意味が分からねえけど、アイツが言うには『後悔させるため』らしい。
 最後の一人は、『人類を絶滅させる人類』として生存できる。
 二十四時間誰も死ななかった場合、全員の首輪が爆発する。

「――――はッ」

 もう夜も近くなってきたところで、ようやくノアの言葉に引っかかる点を見つけられた。
 やれやれ、本気でどうかしてたぜ。
 調子出てきたんじゃなくて、これまでが調子出なさすぎただけだ。

「意ッ味わかんねえよ、クソッタレ」

 人類が絶えるべきっていう論については、そういう考えもあるとは思う。同意するかは置いといてな。
 そういう考えがあるのなら、後悔させるってのも分かるっちゃ分かるぜ。
 だけどよォ、でもねェ、けどなァ、誰も死ななきゃ全員殺すってのは通らねーよ。
 後悔させてえんだったら、より長い時間させてえだろうに。
 だってのに、わざわざ期限与えてどうすんだよ。
 殺し合いを加速させるためだとか、二十四時間経つまでに誰かを殺さなくてはならないと煽るだとか、そういう理由なら納得したさ。
 早く死なせたかったり絶望させたいならともかく、後悔させたいなら筋違いだろうが。
 『人類を絶滅させる人類』の方が目的だとしても、だったら余計に期限つける意味はねーわな。
 参加者をたきつけるにしても、すぐに違和感抱くようなこと言ってどーすんだよ。
 発言一つ一つに説得力はあるが、合わさった際に辻褄が合わない。
 最初に人間のもたらした害をあげることで、うまくカモフラージュしているが――支離滅裂だ。

665ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:20:44 ID:xpfqF7t60

 はたして、この殺し合いの裏側はいったい――――

 ノアや他世界の情報をほぼ得ていない状態で、とりあえず思いつく仮説は三つ。

 まず一つ目。
 最初に語らなかっただけで、ノアにはまったく別の真なる目的が存在する。
 機械なんぞが思考するどころか隠し事なんてするとは、俺にはとても思えない。
 でも、それが当たり前な世界だってあるかもしれない。
 こういうことも、勇者として別の参加者と接触して聞いてみねえとな。

 そんでもって二つ目。
 あの機械が、もうどうしようもないほどにイカレちまってる。
 ブッ壊れにブッ壊れて、適当なことしていやがるってことだ。
 こうだったのなら、思考なんて巡らすだけ時間の無駄だぜ。
 意味なく首輪発動とかしちまう前に、ちゃっちゃかちゃーっと完璧に破壊し尽くすしかねーわな。

 最後の三つ目。
 あの機械はただの見せかけで、裏に黒幕がいる。
 表側には適当なことをやらせておいて、そちらに意識を向かわせちまうってワケだ。
 だとするのなら、仮にそうだとするのなら、頷ける点がある。
 最初のノアの行動に、全員にはまった首輪。
 殺し合いに反対する参加者が、もっとも意識するであろう二つの点。その両方が、機械の技術。

「クかか」

 なんつーか、そちらにだけ関心を向けさせようとしてる――みてーじゃあねえか。
 この場所に移動させられたとき、魔力に包まれるような感覚を味わったがね。

「あん?」

 唐突に影がさしてきたので頭を上げると、奇妙なものが目に入った。
 空を飛ぶ男と女。つまり人間。いや、人間。人、間。に、ん、げ、ん。

「はァ?」

 男はマントを羽織っており、女がそいつにしがみ付いている。
 特殊な趣向のおたのしみっつうワケじゃあ、どうやらなさそうだ。
 首を締めながらってのは聞いたことあるが、飛び降りてってのは聞いたこともねえ。
 あの布に飛行能力がある、らしいな。見る限りは。
 情報が欲しい機械じゃなく魔法じみたアイテムみたいだが、まあ構わない。
 アイツら二人が、どういう世界の住人かは分からねえしな。

「うっらあ!」

 この場ではカケラも役に立たねえ太陽の石を取り出し、マントを狙って投擲――命中。
 体勢を崩した二人が、そのまま落下していく。
 この辺なら木々がクッションになるからな、問題ねーだろうよ。さほど高くにもいなかったしな。
 握っていたデイパックを背負い、落下地点に向かうとするかね。

 ――――と、足を踏み出そうとして、奇妙なものが瞳に映った。

 転がっている死体の頭部――粉砕された残骸の中に、煌くものが存在している。
 手に取ってみると、数センチ四方の金属片。
 この無謀なバカが最初から頭部に仕込んでいたのか、はたまたノアが参加者に埋め込んだのか。
 コイツの世界なんぞ知りたくもねーが、そんな文化があるのかねぇ。
 後者っぽいよなぁ。だとしたら、俺にも入ってることになるか。

 見た感じ、こいつも機械の技術。やっぱここは『勇者』として動く必要がある、と。

666ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:21:12 ID:xpfqF7t60


 ◇ ◇ ◇


「痛ぅ……っ」
「大丈夫ですか、はんたさん!」

 落ちていた太陽の石を回収して、ようやく到着。
 はんたというらしい男の右腕が奇妙な方向に曲がっていた。
 先ほどのマントで腕を固定していたが、見ればすぐに分かる。
 こんなに樹木だらけの中、よくぴったりクッションから逃れられるわな。逆にスゲーわ。
 ま、俺的にはありがたいけどな。

「ベホイミ」

 二人の間に割って入り、何を告げるよりも早く回復呪文を唱える。
 魔力を多少消費するが、この超天才にはまったく問題ない。
 やり取りから判断するに、こいつらは殺し合いに乗り気ではない。
 回復呪文を二度唱えるハメになったが、接触する価値はある。

「申し訳ない」

 あちらが呆気に取られているうちに、頭を下げてしまう。
 バレてしまうことはないだろうけれど、後々面倒になっても困るからな。
 いまのうちに、こちらが石を投げたことを明かしておく。
 モンスターと間違えてしまった――そんなあからさまに胡散臭い理由だが、こちらは何せ回復させているのだ。
 殺すつもりで投げたのに、回復してやる道理はないからな。
 あちらで勝手に納得してくれたらしく、女の方が口を開く。

「あれ? この匂い、セッティエムソン?」

 やはり香水の効果がなくなったのではなく、嗅覚が鈍っちまってただけか。
 まあ、んなことはどうでもいい。
 この女はマクスウェルのヤローの仲間――いや、そうとも限らねえか。同じ世界の人間ではあるだろーが。
 だとするのなら、俺に支給されたアレを知っているかもしれねえ。
 さっき聞いてもよかったんだが、アイツは態度が気に入らなかったからな。
 頭が冷えたいまなら尋ねてもよかったと思うが、過去のことを考えてもしようがない。

「ご存知なんですか?」
「うん、でも高級品だから……ね。でもいつかは買ってみたいかな! 頑張って頑張って必ず手に入れてみせる!」
「……すみません。そういう品を扱ったことがなくてですね……うっかり割ってしまったんです。
 その際に頭からかぶってしまって。私には必要ない品なので、どなたかに差し上げたかったのですが」
「それは残念……でも、そんなに気にしなくていいよ。
 そんなにクヨクヨしちゃダメだよ! 大丈夫、どうにかなるって!!  Don't worry.Be――――」
「ところで、これについて何か知っていますか?」

 何やら話している途中で熱くなってきたらしい彼女を遮る。
 おそらく、自分で盛り上がってしまうタイプらしい。
 もしもあのままヒートアップしていたら、会話の主導権を奪われていたかもしれねえ。
 聞きたいこと教えてくれた後ならともかく、最初っからそっちペースにされちゃたまらん。
 デイパックを引っくり返して、俺に支給された物の一つを取り出す。
 説明文に目を通したときは、なーにテキトーなこと書いてやがると思ったが――
 マクスウェルから戦車の話を聞き、首輪を眺めてみた以上、ありえないと斬って捨てるワケにゃいかねーな。

667ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:23:12 ID:xpfqF7t60

「何だ、これ?」

 はんたは、知らないらしい。
 こいつから情報を得るのは、後に回していいだろう。

「飛空……艇……?」
「『ノーチラス号』と説明書には書かれていました。ご存知だったんですか?」
「知ってはいるけど……」
「操縦はできますか?」
「ちょっと厳し……いやでも、諦めたらダメダメ!」
「――ちょっと待ってくれ」

 何やら不安になる言葉を残して乗り込もうとした女を、はんたが押さえる。

「操縦って言ったな、アンタは」

 先ほどまで特に印象に残らなかった男だったはずが、急に目つきが鋭くなっていた――あくまで感覚的に。
 その豹変ぶりに息を呑んでしまい、首肯だけで返答する。

「だったら……少し試させてくれ。マニュアルを渡してくれないか」
「ああ」

 俺にはあまり理解できなかった説明書を、はんたはやけに力強く握り締める。
 目蓋をゆっくりと閉じて呼気を整え、目頭を何度か揉んでから、勢いよく瞳を開く。
 はんたはそのまま口を開くことなく、ノーチラスへと乗り込んだ。
 残された女から情報を得ようとしたが、シュウという名であると聞いたところで会話を続けるのが困難となった。
 プロペラが激しく回転する音が、大地に響いたのだ。
 いや、音はそこまで大きくなかったが、ついつい目を奪われてしまっていた。
 これが機械なのか――と思うと、絶句するしかない。
 はんたが操縦室とやらに乗り込んでしばらくが経過して、飛空艇が浮かび上がる。
 きちんと外を確認しているらしく、俺とシュウをかすってしまうことなく木々より上へと到達。
 ある一点で浮かんだまま右へ左へと移動してから、地上へと戻ってくる。
 やはり地上の俺たちに触れることなく、ノーチラスは着陸してプロペラが動きを止める。
 シュウは分からないが、俺は何も言うことができなかった。
 機械と魔法は別物だと思っていたが――――機械とは、魔法じみている。
 僅かに時を置いて、操縦室の扉が開く。

「色んな戦車を操縦してきたけど、やっぱり勝手は違うな。けど、ま――――」

 汗で額に張り付いた前髪をかきあげ、姿を現したはんたは静かに告げた。

「操縦、できたぜ…………」

 熱いやら何やら語りながら駆け寄るシュウを追って、ノーチラスに乗り込む。
 ゆっくりと二人の下へと歩み寄り、問いかける。

「あなたたちは、殺し合いを打破しようとしているのですよね」

 ベホイミをかけてやる前に会話を聞いていたのだから、答えは分かりきっている。
 ただ、不自然だから訊いただけだ。
 予想通りの返答を待って、紫がかってきた空を指差す。

「でしたら、天がどうなっているか確認しましょう」

 地形が地図通りであるのかも見ておきたいし、地図の端も気になる。
 彼方には何があるのか、また上空はどうなっているのか。
 そう言うと、はんたとシュウは大きく頷いた。
 機械の情報を持つ女と、飛空艇の操縦手――こちらも機械について詳しいだろう。
 戦力はいらないが、知識と道具は必要だ。
 言うことを聞くうちは、勇者ジャガンとして接してやるよ。

668ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:23:57 ID:xpfqF7t60


 ◇ ◇ ◇


 いまから機械の話をしたところで、もうすぐ行われる放送で中断するハメになるだろう。
 それが明らかだったので、はんたとシュウを操縦席に放置してデッキに出てみる。
 飛空艇とやらもここをデッキっつーのかは分からんが、知ったこっちゃねー。
 端まで行って下を眺めてみると、すでに地上からだいぶ離れてしまっていた。
 もはや、太陽は上の方が僅かに確認できるだけだ。
 身体をくすぐる夜風がやけに激しく、しかし妙に心地よい。

「これが異なる次元の技術、か……」

 知らず知らずのうちに、呟いてしまっていた。
 プロペラの音にかき消されているだろうが、俺自身の耳には届く。
 これを手に入れる――早くもそのヴィジョンが浮かんでしまう。
 口角が吊り上ってしまうのを押さえられない。
 ああ、放送が近くてよかった。こんなもの、勇者の仮面でも到底覆いきれる自信がない。

「さて、放送だ」

 とにかく別のことを考えなければ笑ってしまう。
 デイパックから名簿を取り出して、ふと思う。
 表紙に俺の名前が書かれたこいつは、どうやってもページを開くことができない。
 放送が始まり次第、開けるようになるらしい。
 優れた機械はさながら魔法のようであるらしいが、こればっかりは違う。
 魔術によるプロテクトを感じる。
 一度解除されてしまえば魔力が霧散して形は残らないだろうが、けれどもいまのところは明らかに魔法がかけられている。
 最初の参加者配置といい、この名簿といい、魔法は『後に残らない』ように使われている。

 ――――まるで、隠してるみてーじゃあねえかよ。

 まあ、いまんとこは何とも言えねーがね。
 だが、なんつーかあの伝説を思い出すな。
 魔王を倒したと思って安心したら、その魔王に隠れて闇の支配者が存在したっつーよ。
 あれは、膨大な魔力でさらに膨大な魔力を隠してたんだけどな。
 どうも似てるたぁ思わねーか。なァ、ご先祖さんよォ。
 答えが返ってくるはずもねー問いかけを吐き捨て、俺は勇者らしくもなく「クかか」と笑った。
 いつの間にやら、欠けた箇所のない真円を描いた月が黄金の姿を見せていた。

669ジャガンは月輪に飛ぶ ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:24:21 ID:xpfqF7t60



【一日目 夕方(放送直前)/D−2 上空(ノーチラス内)】

【ジャガン(主人公)@ドラゴンクエスト1】
[状態]:左太股に裂傷痕(処置済み)、香水の強い匂い、嗅覚麻痺
[装備]:レイピア(50/50)@魔界塔士、運命の剣@LOM、源氏の鎧@FF5
[道具]:支給品一式×2、太陽の石@DQ、レオパルト2(20/20)@秘宝伝説GOD、不明支給品0〜1(確認済み、剣はない)、小さな金属片、首輪(KING構成員)
[思考]:如何なる手段を持ってしてもノアを殺し、世界を支配する。
0:ひとまず『勇者ジャガン』として動く。言うこと聞かないヤツには『ジャガン』として接する。
1:放送を聴いてから、はんたとシュウと会話。
2:ノアのことを知っているヤツを探す。機工士に興味あり
3:もしも生き延びたら、マクスウェルはノアに対する人間爆弾に仕立て上げる
[備考]:香水(セッティエムソン@FFT)がほとんどひと瓶、下半身の着衣に染み付いています。
 どの程度の時間で匂いが消えるかは後続の方にお任せ。とりあえず、洗濯すれば余裕で消えます。


【シュウ(女話術士)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:熱い
[装備]:テニスボール(筒入り、12個)@現実、ティンカーリップ@FFT
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:打倒ノアを絶対に諦めない。
1:た、高い! あはぁ〜ん
2:はんたとジャガンと行動、戦車を探す。
3:同じ志の者がいれば勧誘、説得。
4:知り合いがいれば合流
[備考]
※アクションアビリティ投げる、その他アビリティ不明。
※参戦時期不明


【はんた(ハンター)@METAL MAX RETURNS】
[状態]:健康、ノーチラス運転中
[装備]:フレイムソード@FF、平和の鉢巻@MMR、飛空艇兼潜水艇『ノーチラス』@FF3
[道具]:支給品一式、スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券@現実、金属探知機@MMR、風のマント@DQ2
[思考]
基本:ノアをもう一度潰す。
1:会場の仕組みを調査するため上空へ行けるとこまで。
2:シュウとジャガンと行動、戦車を探す。
3:メカニック、ソルジャーと合流。
※参戦時期はED後、ノアを倒しとうちゃんにハンター引退を告げた後です。
※頭に何かを埋め込まれているのを確認しました。
※飛空艇の操縦方法をマスターしました。ただFF3以外の作品の飛空艇も操縦できるかは不明です。

670 ◆MUMEIngoJ6:2010/05/26(水) 01:24:32 ID:xpfqF7t60
投下完了です。

671由井者ケーザオス:2010/05/26(水) 23:06:12 ID:XoKZ7a5.0
投下乙!

ついに乗り物をゲットしたはんた……主砲はどこだ!とか言ってそうな
そして相変わらず熱いシュウz……ジャガンもそりゃあ勝てないか。

勇者のつくジャガンとつかないジャガンの差にも期待だぜ!

672無念:無念
無念

673由井者ケーザオス:2010/06/09(水) 20:57:40 ID:N5rwTsuY0
うわぁ……

674 ◆MobiusZmZg:2010/07/03(土) 01:12:40 ID:ekNt6uSk0
すみません、wikiに収録されているSSの修正を報告いたします。
『ライダークロス 隣り合わせの灰と青春(前編)』において、アルス・ニムの情報交換パートから
固有名詞――男盗賊@DQ3の名前が抜けていました。元々のプロットでは「ニムが他のPTメン知ってるなら、
ここで出すだろうな」としていたのですが、データだけいじって本文にないとかどういうことなのwww
というわけで、下記の文章を以下のように修正しています。


 これはアルスの理解を超えかけているが、サマンサの例が類推の助けとなった。
 ゾーマ打倒のために選定された「勇者の仲間」は、サマンサとニム、盗賊の青年が最初の三人であったという。
 しかし、サマンサが倒れてしまった時点で、アルスの仲間は数を減じてしまっている。
 そうした歴史の分岐点……あるいは転換点が、殺し合いに呼ばれる前にあるとすればどうだ?

 ↓

 ゾーマ打倒のために選定された「勇者の仲間」は、サマンサとニム、クルガンと名乗る盗賊の青年が最初の三人。
そののち、クルガンの代わりにバニー・ガールと名乗る女性が加わったらしい。


自分のSS「血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ」にて、ニムはバニー・ガールを知っているので、
男盗賊の名前同様、ここでアルスに言っててもおかしくはないかなと。
ずいぶん後から気付きましたが、ご寛恕いただければ幸いです。

675 ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:37:21 ID:2W6P.Odw0
投下します。

676 ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:38:03 ID:2W6P.Odw0
っと追記。
PCがなんかやたらめったら重いので、時間かかるかもしれませんがお許しください。

677φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:39:18 ID:2W6P.Odw0




 【0】




 僕らはどこへ行くのだろう。

678φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:40:53 ID:2W6P.Odw0




 【1】




 沈みかけた太陽が、さざ波に揺れる海を照らす。
 オレンジ色に染まった水面に、奇妙な島が浮かんでいる。
 民家が三つも並んだらいっぱいになってしまいそうな、小さな小さな島。
 なんと、水上を滑るように動いているのだ。
 その島は、『浮島』。
 沼などに浮かぶ水草やコケの塊の総称、のことではない。
 島の上にいる者の意図通りに動かすことができる――船の代わりとなる、いわば乗り物だ。

「ふん」

 誰にともなく吐き捨てたのは、浮島の上に立つ男。
 上下揃えたスーツも、締めているネクタイも、かけているサングラスも、かぶっている帽子も。
 その全てが、黒色で統一されている。
 ほとんど黒ずくめであるため、スーツの下に纏ったワイシャツが余計に白く見える。
 そんなわざわざ着こなした衣服を、男はわざわざ崩す。
 まずネクタイを緩めてから、ワイシャツの第一ボタンを外した。
 さらに動いていた浮島を停止させて、指の関節を鳴らしていく。

「――やっと獲物が現れたか」

 サングラスに映る侵入者へと静かに告げる。
 先刻まで波を切っていた浮島が、ついに完全に静止した。
 着込んだスーツの裾を自ら払うと、異質な物体が露になった。
 男の腰に、赤いベルト『スマートバックル』が巻かれていたのである。
 正面にある黄金色のケースに手を当て、勢いよく倒す。

―― Complete ――

 男の動作に呼応するように電子音声が響き、ベルトから眩い光が溢れ出す。
 輝きはすぐに収まり、その時には男の衣服は変化していた。
 全身を包むのは、やはり黒いボディスーツ。胸部は、赤銅色のアーマーで覆われている。
 その量産型強化服の名は『ライオトルーパー』。
 左腰に携えている武器『アクセレイガン』を手に取り、ブレードを収納して銃口を出現させる。
 銃形態となったアクセレイガンを向けられ、進んでいた浮島に上陸した侵入者は地を蹴った。
 人のスペックを凌駕した跳躍力でもって、吐き出された弾丸は回避されてしまう。

679φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:42:24 ID:2W6P.Odw0

「イーッ!!」

 こちらもまた黒いボディスーツを着込んだ侵入者は、悪の組織『ショッカー』に改造された戦闘員。
 しかしライオトルーパーの方は、そんなことを知らない。
 だから戦闘員のマスクから覗く目元や口元、そして人間でも着込める強化服の存在を知っていたことから、それを着込んだだけの人間であると判断する。
 ゆえに、銀色の仮面の下で呟く。

 気に入らない、と。

 一度死んだことによって、人類の進化系『オルフェノク』へと覚醒した彼は。
 親族にも、親しかった友にも、愛していた女にも、拒絶されてしまった彼は。
 新たなる種族として生きることを決意して、人間であった過去を捨てた彼は。
 人類を滅ぼさんとするオルフェノクの組織『スマートブレイン』に属す彼は。
 スマートブレインの新社長に選ばれて、スマートバックルを授けられた彼は。
 誕生するオルフェノクの王を護衛するべく、ライオトルーパーとなった彼は。

 外見はただの人間でありながら、人間の限界を超越した動きを見せた相手に対し――そんなことを、思ったのだ。

 ショッカー戦闘員は跳躍した先で枝を掴み、鉄棒じみた動きで身体を回転させる。
 追撃の弾丸が身体によりも早く、手を離して次の枝へと飛び移っていく。
 三度の移動で十分に回転速度をあげてから、ライオトルーパーへと飛び掛る。

「イィーーーッ!」

 ミスリル製の短剣を空中で取り出し、戦闘員は逆手に構えた。
 鼓膜を刺激する奇声に、仮面に隠れたライオトルーパーの表情が崩れる。
 右手に持つアクセレイガンの銃口は、あらぬ方向を向いたままだ。
 一流のガンマンであるならば、凄まじい勢いで接近してくる相手にも動じず銃を向けられるだろう。
 だけど、彼は違うのだ。
 戦闘経験こそ積んでいるものの、実戦経験があまりにも足りない。
 仕方がない話である。
 何せオルフェノクに覚醒する前は、ただの――本当にただの人間に過ぎなかったのだから。
 オルフェノクとして人間を消す仕事はしてきたとはいえ、アクセレイガンのような武器の扱いにはさほど慣れていない。

「ナメる、なぁ!」

 軋むほどに歯を噛みしめながら、ライオトルーパーは首元を庇うように左腕をあげた。
 戦闘員の身体に乗った遠心力を受けたミスリルナイフが、二の腕に深々と突き刺さる。
 強化服を突き通し、オルフェノクの肉体にまで届く。
 けれど、そこでお終いだ。

「イーッ!?」

 攻撃を与えたはずのショッカー戦闘員が、首を捻って語尾を上げた。
 持っていたはずのナイフは手元にはなく、ライオトルーパーに刺さったままだ。
 そのことに気づいた戦闘員は抜き取ろうとしたのだが、やはり首を捻ってしまう。
 遠心力が加えられているのならともかく、止まってしまっているのなら――刃物程度は受け止められる。
 それほどまでに、オルフェノクの筋肉は屈強なのだ。
 まごついている戦闘員を前に、ライオトルーパーはゆっくりと体勢を立て直す。
 左腕に力をこめてミスリルナイフを固定化しつつ、アクセレイガンをブレードモードに変換させる。

680φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:46:35 ID:2W6P.Odw0

「あばよ、人間」

 言い終えるよりも先に、黄色に輝く刃先が戦闘員のわき腹に吸い込まれていた。
 刃から逃れようとする動きを察知し、ライオトルーパーは相手の背に左腕を回して押さえ込む。
 そのままアクセレイガンの柄を握る力を強くして、勢いよく小刻みに動かした。
 横に一閃したらば、戦闘員の身体が二つに分かれていただろう。
 あえて、ライオトルーパーはそれをしない。

 手に入れてしまった力のせいで、彼は人間でいられなかったというのに。
 スマートブレイン以外には、人類の敵以外には、進む道なんてなかったというのに。
 相手は、強化服を着込んだだけでオルフェノクじみた動きを発揮している。
 人を超越した能力を持ちながら、人であり続けている。
 オルフェノクの道を選ばざるを得なかった彼が、そんな輩を苦しませずに即死させるなどありえなかった。

「ふん」

 手首のスナップを利かせて、切っ先を上下させる。
 肘ごと思い切り動かして、思い切り刃を捻り回す。
 自らの手元を眺めながら、ライオトルーパーが嘲るように笑う。
 そんな彼を呼び止めるように、肩に軽く何かが触れた。

「――え」

 銀色の仮面から響いたのは、あまりにも日常じみた声だった。
 声の主は、日常にいることなんてできなかったというのに。

「なっ」

 彼の瞳に映ったのは、ショッカー戦闘員が自らの両肩に手を伸ばしている姿。
 続いて、こめられている力が少しずつ強くなっていくのを感じた。
 まずい――そんな三つの平仮名が、ライオトルーパーの脳内を埋め尽くしていく。
 しかしそんな思いに反して、身体の方は対応できていない。
 咄嗟に正しい反応できるほど、彼は修羅場を掻い潜っていないのだ。
 そのために一瞬の、だが殺し合いにおいては大きすぎる隙が生まれてしまう。

「イ゛…………ッ!」

 掴んだ肩を引き寄せるようにして、ショッカー戦闘員は右膝をライオトルーパーへとめり込ませた。

「ガ、あ」

 蹴りを受けて倒れこんだ男が、いち早く体勢を立て直す。
 腹を攻撃した相手を見下すように、白い歯を露にする。
 かなりの威力だったとはいえ、オルフェノクの内臓までは届かない。
 鳩尾や股間など人体の急所を蹴り上げていれば、こんなに早くは持ち直せなかったというのに。
 そんなことを胸中で呟いてから、ようやく彼は気がついた。

「まさ、か!?」

 両腕から胸を経由して両足まで、自らの身体を素早く眺めていく。
 纏っていたはずの強化服は消えていて、瞳に映ったのは黒いスーツと赤いベルトだけ。
 そしてそのベルトは、バックル部が完膚なきまでに破壊されていた。
 男は自嘲気味にため息をこぼして、納得したように深く頷く。
 相手が攻撃してきたのは、腹であって腹ではなかった。
 腰に巻いたスマートバックルこそが、本命だった。
 ライオトルーパーへと変身する姿を見ていたのだ。
 ベルトが鍵となっていることくらい、推測できるに決まっている。

 彼が再び視線を向けた先で、ショッカー戦闘員はアクセレイガンを構えていた。
 突き刺さっていたのを、無理やりに引き抜いたのだろう。
 わき腹の傷痕からは赤い液体が溢れている。どう見ても致命傷だ。
 だというのに、しっかりと地面を踏み締めている。
 そんな姿を見て――――スーツの男は笑った。

681φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:50:20 ID:2W6P.Odw0

「人間のクセしやがって、よ……!」

 彼は、ずっと流されていた。
 少なくとも、オルフェノクとなってからはずっと。
 行く場所もなかったので、青い女性に連れられてスマートブレイン社に加わった。
 人間の心臓を破壊してオルフェノクを増やそうとし、オルフェノクとして生きようとしないオルフェノクを粛清するだけの日々。
 やがてスマートブレインの新社長に声をかけられ、王を護衛するべくスマートバックルを手渡された。
 オルフェノクの王なんて、はっきり言ってどうでもよかったというのに。
 居場所が、スマートブレイン以外になかったにすぎない。
 求めてくれる相手が、同じオルフェノク以外にいなかっただけだ。
 生きる意味も理由も見失っているのに、自ら命を絶つことなどできないから。
 だから唯一の住処に尽くしていた。
 ゆえに、この殺し合いでも同じように人類の敵として動くつもりでいた。
 現実に流され、周囲に流され、状況に流されて――

 だというのに、目の前の人間は立っている。
 致命の一撃を受けているのだ。何かしら確固たる信念がなければ、そんなことは出来まい。

 男は、ようやく理解できた気がした。
 スマートバックル以前に作られたベルトの一つ『ファイズ』。
 その持ち主は、オルフェノクでありながら人間を守るために戦っているという。
 いままではその意味が分からなかったが、つまりそういうことだったのだろう。
 彼は――ファイズは、肉体がオルフェノクでありながら、精神は人間のままであり続けることができたのだろう。
 事態に流されてしまうことなく、人間を捨てることなく。
 そして、ライオトルーパーとなってしまった男の方は――――

「もっと早く、気付けりゃよかったんだがな」

 サングラスと帽子を後ろに投げ捨て、全身に力を漲らせる。
 スーツの下の肉体が一瞬だけ歪んで、オルフェノクとしての肉体へと変化していく。
 刺々しいウロコを持った灰色の異形となって、声を張り上げる。

「もうッ! スマートブレインが正しいと言い張るしか、ねえのさッ!!」

 左腕に食い込んだミスリルナイフを抜き取って、全力で地面を蹴る。
 戦闘員はガンモードに切り替える方法が分からないらしく、ブレードモードのアクセレイガンを手にしたまま首を捻っていた。
 かといって、オルフェノクの方にも飛び道具はない。どちらも、接近戦以外に手段はないのだ。

 そして、勝負はすぐに決まるだろう。
 アクセレイガンはオルフェノクの肉体をやすやすと貫くことができるし、オルフェノクのパワーは戦闘員の肉体を両断することができる。

 両者の距離はみるみる縮まっていき、ついに重なった。

682φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:50:34 ID:2W6P.Odw0

「ぐ、ぁ……ッ」

 握っていたナイフが地面に落下し、オルフェノクは地に膝をつけてしまう。
 その首には、イエローの刀身を持つ短刀が突き刺さっていた。
 接触の寸前に、戦闘員はアクセレイガンを投擲したのだ。
 相手がガンモードに変更する方法を知らないと見抜き、オルフェノクは飛び道具を使われるる可能性を脳内から消去していた。
 圧倒的な力で蹂躙したことこそあれど、戦闘経験がある相手と戦った経験がほぼなかった。
 だからこそ、戦闘員の狙い通りに虚を突かれてしまったのである。
 加えて全力疾走中である。オルフェノクに、回避する術など残されていなかった。

「イ゛ッ!?」

 アクセレイガンを回収しようとした戦闘員が、悲鳴じみた声を漏らす。
 すでに息絶えたと判断していたオルフェノクが、飛びかかってきたからだ。
 人間の進化系である以上、その生命力は人間のそれを超越しているのだ。
 僅かに反応が遅れ、戦闘員は首筋に手をかけられてしまう。
 とはいえ、もはや相手の首を捻るような力はない。
 ただ、オルフェノクに立ち向かった人間の顔が見たい。
 それだけを思って、額に鷲のエンブレムをあつらえたマスクをもぎ取った。
 夕日に照らされる戦闘員の素顔を見て、オルフェノクは息を呑んだ。

「は――何だよ、ふざけやがって。そういうオチかよ」

 しばし目を丸くしてから、オルフェノクは自嘲気味に笑った。
 首に刺さったアクセレイガンを掴む戦闘員に対し、毒付くように吐き捨てる。

「お前もかよ」

 オルフェノクの首が切り落とされ、その場にはショッカー戦闘員だけが残った。
 その顔には、派手な手術跡が幾つも刻まれている。
 毛髪は全て頭皮ごと引き剥がされてしまっている。
 神経が浮き出てしまっており、両目は虚ろなまま焦点が合わさっていない。

 専門的な知識などないオルフェノクでも、理解できてしまった。
 目の前の相手は、信念など持ちえていない人形にすぎない――と。
 理解、できてしまった。


【ライオトルーパー@仮面ライダー555 死亡確認】

683φs――(φdelity&justiφ) ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:52:17 ID:2W6P.Odw0




 【2】




「イーッ!!」

 ようやく目的地に上陸したショッカー戦闘員は、自分の存在を主張するように叫んだ。
 しばらくいじっているうちにアクセレイガンをモード変更する方法は理解できたが、浮島の操作方法はまったく分からなかった。
 そのために再び海へと飛び込んで、水を蹴ってきたのである。
 刃物で抉られた脇腹から血液が流れ続けているが、脳改造を施されている戦闘員に後退はない。
 たとえ息絶える寸前であろうとも、ショッカーのために行動するだけだ。
 戦闘経験も無理矢理脳内に刻み込まれているし、余計なことで悩むこともない。

 オルフェノクとは異なり、人間であったころ――ショッカーの被害者となる前のことなど考えることすらない。


【一日目 夕方(放送直前)/A−3 海付近の陸】

【ショッカー戦闘員@仮面ライダー】
[状態]:全身打撲、体力少し消耗、脇腹に傷(人間なら致命傷になるくらい+そのまま海に入った)
[装備]:ミスリルナイフ@FINAL FANTASY、ショッカー戦闘員スーツ@仮面ライダー、アクセレイガン@仮面ライダー555
[道具]:支給品一式×2、不明支給品0〜1(強力なものは無い?)
[思考]
基本:イーッ!(ショッカーへ帰還する)
1:イーッ!(ポケモンマスター・レッドを仮の指揮官と仰ぐ)
2: イーッ!(参加者を殺す)
3:イーッ!(武器を探す)


[支給品とかの備考]
※浮島@魔界塔士Sa・Gaは、A−3海に放置されています。流れていってしまうかとかは、後続の書き手に任せます。
※スマートバックル@仮面ライダー555は、大破した状態で浮島上に放置されています。
※ライオトルーパーの支給品は、スマートバックル@555、アクセレイガン@555、浮島@魔界塔士の三つでした。

684 ◆MUMEIngoJ6:2010/07/21(水) 18:52:56 ID:2W6P.Odw0
投下完了。
なんでこんなにPC重いんだろう……

685由井者ケーザオス:2010/07/21(水) 19:05:51 ID:A/RuQlnA0
投下乙です
ここでショッカー戦闘員死亡かと、真剣に思った先の読めない手に汗握る闘いや、
戦闘員のスラング的な意味での童貞卒業、
改造による異常な正常性を再確認など、
見ごたえのあるSSでした!

686由井者ケーザオス:2010/07/21(水) 19:15:14 ID:b.YcW4cE0
投下おつー、リアルタイムで読ませてもらいましたッ。
yM氏といいMUMEI氏といい、一話死亡枠をそうと思わせない技術がパないwww
ライオトルーパー、哀愁が漂ってて好きなキャラっていうか、こいつちょっと
掘り下げたいんだけどと思っちゃったよ! 「言い張るしか、ねえのさッ!!」は反則!
そして、そんな人間らしすぎる思考を持ってるヤツが……真実を知って死んでいく
ところはじんわりきた。バトルが熱かっただけに、こう落とされるとなんともいえねえ。
しかしこの浮島といい、対戦カードといい、分かってるなぁ……。
ニヤニヤしつつも楽しませていただきました! GJです!

687由井者ケーザオス:2010/07/22(木) 19:12:08 ID:WMFc3WjI0
投下乙!
いやー、両者とも改造された人間っていう共通点のバトル、良かったです。
しかしまあ、マスクのねえショッカーか……でもそんなのにビビるのはここにはいないか。
改めて投下乙です!!

688 ◆MUMEIngoJ6:2010/07/22(木) 19:38:41 ID:9sF3gW0c0
感想感謝です。


書き忘れていたことがあるので、ショッカー戦闘員の状態表の状態欄を以下のように変更します。

>[状態]:全身打撲、体力少し消耗、脇腹に傷(人間なら致命傷になるくらい+そのまま海に入った)
   ↓
[状態]:全身打撲、体力少し消耗、脇腹に傷(人間なら致命傷になるくらい+そのまま海に入った)、マスクなし



投下してちょっとした頃に気付いて、マスクをまた被ったとの描写を足そうか迷ったのですが、こちらに。

689 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 01:59:34 ID:oIOPSOZE0
投下します。

690 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:08:20 ID:oIOPSOZE0
すんません、タイトル忘れてました。
考えますので、ちょっと待ってください。

691 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:24:47 ID:oIOPSOZE0
よし、行きます!

692『無名』2 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:25:46 ID:oIOPSOZE0


 生物の気配を感じてはそちらに向かい、探し人でないと気付いては立ち去る。
 何時間もそんな行為を繰り返していた彼は、ついに動きを止めた。
 ようやく探し人を見つけたからから、という理由もある。
 ある、が――それだけではない。
 眼前にいる探し人は、すでに息絶えていたのだ。
 周囲に転がっている四つの死体よりは綺麗ではあるとはいえ、それでも確かに。
 死体はどれもまだ温かく、殺害されてから時間があまり経過していないのは明らかだ。
 怒りを募らせる彼は、三つの音を捉えた。
 近づいてくる足音二つに、遠ざかっていくエンジン音。
 彼は即座に、後者が下手人だと判断する。
 エンジン音の離れる速度はかなりのものだが、何せ山だ。全速力は出せないし、道は直線ばかりではない。
 たとえ相手がこの道を知り尽くしていようと、分は彼にある。
 なぜなら彼には、山道でも速度を落とす必要はないし、迂回ルートを行く必要もないのだから。
 逆に言えば、山や森を抜けられてしまえば追い切れなくなる。
 そうなると、もう一人の探し人にまで危害が及んでしまうかもしれない。

 ゆえに、彼――――サソードゼクターは素早く地中に飛び込んだ。


 ◇ ◇ ◇

693『無名』2 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:26:17 ID:oIOPSOZE0


 サソードゼクターが立ち去って数刻。
 いくつもの死体が並ぶ地獄に、二人の男女が到着した。

「……ちッ、遅かったか」

 充満した沈黙を破るように、アクセルが吐き捨てる。
 下ろしていたゴーグルを額まで上げて、胸ポケットに入れておいたメガネをかけ直し、周囲を見渡す。
 来る途中でリ=リリの絶叫を聞き、足を速めたのだが――間に合わなかった。
 目の前の計五つの死体が、その意実を表していた。
 仲間であるタムラとリ=リリに、鎧を纏った少女に、青服の青年に、スーツの男。すべてが、息を引き取っている。
 はたして、この場でいったい何があったのか。
 誰が殺し合いに乗り、誰が殺し合いに反対していたのか。それさえもわからない。

「約束破ってんじゃねーよ」

 軽口を叩くような口調で語りかけつつ、アクセルはタムラのもとへと歩み寄る。
 周囲に散らばる肉の塊から判断するに、どうやら顔面を撃ち抜かれたのだろう。
 血と肉でコーティングされたデイパックを引ったくり、アクセルはその中身を確認する。

「しかもテメー、俺が渡したショットガンねえじゃねーかよ。
 見た感じ、その顔のもアレでやられたんだろ。タダで死なねーどころか、負債残してんじゃねーか」

 人のもん勝手に他のヤツに渡してんじゃねーよ、と付け加え、自身のデイパックを下ろす。
 残された支給品や食料を移し終え、アクセルはタムラの首元へと手を伸ばした。

「ま、これでチャラっつーことにしてやるよ。
 あの世で泣いて喜びな。大サービスもいいとこだぜ」

 細心の注意を払って外した首輪の血をぬぐい、デイパックへと押し込んだ。
 タムラが返事を返してこない事実に、アクセルは舌を鳴らした。

「お前も……わりーな。あのジジイがいねー以上、新鮮でも死体は治らねー」

 タムラの死体のそばに転がるリリの死体に声をかけ、髪を結っているリボンを解く。
 さらさらとしていた髪は血で塗れていた、簡単に取ることはできないだろう。
 アイドルを目指していたという彼女の言葉が、アクセルのなかに蘇る。
 無意識のうちに三度目の舌打ちを鳴らし、リリが握ったままのメガホンを力任せに奪い取った。

「ショットガンはねーし、グレネードじゃ首輪ごと吹っ飛ぶからな。お前の首輪はいらねえよ」

 道具の回収が終わり、アクセルは静かに告げる。
 開いたままだったリリの瞳と口は、閉ざされていた。
 アクセルは仲間であった死体に背を向け、もう一つの首なし死体へと向かう。

「こいつもショットガンか。はッ、大活躍だな」

 首輪を抜き取り、アクセルは自嘲気味に笑う。
 なぜだか、この男のものと思われるデイパックは存在しなかった。
 残った二つの死体のほうへと向かおうとして、アクセルは同行者がある死体の前で立ち尽くしていることに気付く。

「おい玲子、なに突っ立って――」

 そこまで言いかけて、アクセルは己の口を手で押さえる。
 玲子は呆然としたまま、ぶつぶつと聞き取れない言葉を呟いている。
 わざわざ考えるまでもなく、明らかだ。
 青服の死体は、玲子にとって大切な人間だったのだろう。

694『無名』2 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:26:32 ID:oIOPSOZE0

「そいつは、もう死んでるぜ」
「…………分かってる」
「止まってても、なんにもならねえよ」
「……分かってる」
「ならいいさ。そいつのもん、貰っといてやれよ」
「……分かった」

 慰めの言葉をかけようとしたが、これといって何も浮かばず。
 ただ、死を受け入れさせることしかできない。
 アクセルはそんな自分が気に入らなかった。

「あれ、って……」
「あァ?」

 最後の死体の所持品は回収したが、傷だらけの鎧は残すことにしよう。
 などと考えているアクセルに、不意に声がかけられた。
 振り向けば、玲子がタムラとリリの死体の付近を指差している。
 表情を変えずに、アクセルは息を呑んだ。
 その付近に、バイクのものと思われるタイヤの痕が残されていたのだ。
 死体の状態やリリの絶叫から考えるに、殺戮が終わってからそう長い時間は経っていない。
 道具をほとんど回収していないことから、殺人者に余裕がなかったことも予想できる。
 それでも、アクセルはタイヤ痕を追おうとしなかった。
 最大でここにいる五人全員を殺している上に、殺し方に容赦がない。
 手堅く、確かに、しっかりと、トドメを刺し切っている。
 ショットガンの弾丸を惜しもうとしていないことから、武器が充実していることも予測できる。
 そのような相手ならば、こちらも堅実に行こうと考えたのだ。
 玲子が魔法を使えることは知っているし、アクセル自身も戦えるが、まだ安心はできない。
 聞く限り魔法は接近戦には向かず、アクセルはハンターやソルジャー辺りの戦闘のスペシャリストには適わない。
 だからこそ、いち早く仇を取りたい気持ちを抑えていたのだ。

「おい玲子、気持ちはすっげー分かるが……おい! 待ッ――!?」

 いきなり走り出した玲子を止めようとするが、アクセルは乾ききっていない血に足を取られてしまう。
 離れなきゃよかったと胸中で吐き捨て、体勢を立て直す。
 樹木の陰に玲子の背を見つけ、その方向へと走り――目を見開いた。

「どう……なってやがる!?」

 玲子の姿が、消えていたのである。
 木の陰が死角になっているのかとも思ったが、そうでもないらしい。
 唖然とするアクセルの脳内に、一つの考えが浮かぶ。
 もしや魔法で、加速したのだろうか。 
 断定こそできないが、そうとしか思えない。

「あんの、バッカ野郎!!」

 握り締めた拳を木に叩き付け、アクセルは声を荒げた。

695『無名』2 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:26:59 ID:oIOPSOZE0


 ◇ ◇ ◇


 己が築き上げた死体の山から離れようとしていた闇の戦士は、しかしバイクから降りて地に立っていた。
 山を抜けて森に入ったところで、襲撃を受けたのだ。
 相手は、不明。
 まだ陽が落ちきったワケでもないというのに、なぜか視界に捉えることができない。
 初撃は、サイクロン号を運転していたときだ。
 エンジン音のなかに奇妙な音が紛れたと思ったと同時に、わき腹に衝撃が走った。
 鎧を纏っていたのでダメージこそ少なかったが、体勢を崩してしまいバイクから落下してしまった。
 樹木に激突しなかったのは、運がよかったといっていいだろう。
 それから、倒れたサイクロン号を立たせようともせず、エクスカリバーを構えて意識を集中させているのだが――捉えきれない。
 気配は感じ取れず、接近音に気づいたときにはすでに近づかれている。
 攻撃自体は初撃を除いて回避できているが、闇の戦士は相手に攻め続けられている。
 加えて、気配を察知できない以上、仕掛けることもできない。
 そんな不利な状況で、闇の戦士は構えていた西洋剣を地面に滑らせた。
 自暴自棄になったのではない。
 彼の世界を守るため、死に身体を委ねるなど選ぶはずがない。
 邪魔だっただけだ。
 エクスカリバーの長いリーチが、いまこのときは邪魔だった。
 しばしの後、何度目かの接近音。
 襲撃者の方向は、背後。
 そして闇の戦士が跳躍したのもまた、背後であった。
 ただし、襲撃者よりも少し高いが。

「やはりか」

 ようやく視認することができた襲撃者の姿に、闇の戦士はひとりごちる。
 気配を発しない――すなわち生物ではなく、姿を見せることなく隠れることができる小型サイズ。
 そんな予想は的中していた。
 落ち着いた動作でミスリルナイフを取り出し、手首のスナップを利かせて投擲する。
 襲撃者は空中で動くことができずに、ナイフがその脚のうち一つを貫通。地面に縫い付けられてしまう。

「機械が参加者に含まれているのかは分からないが、邪魔をするのなら――」

 着地してから回収したエクスカリバーを天にかかげて、闇の戦士は静かに口を開く。
 しかしその続きは告げられることなく、背後からの声に掻き消された。

「――あなた、タムラやリリ、それにロランを…………ッ!」

 振り返った闇の戦士の瞳に、白いローブを纏った少女が映る。
 感情に押されてか、言葉の最後のほうは聞き取れなかったが、言いたいことは十分理解できた。
 三人目に関しては直接の殺害者ではないが、それでも。
 殺そうとしていたし、他人に殺されなければ殺していた。
 ゆえに、闇の戦士は返答する。

「ああ、そうだ。全員、私の目的のために死んだ」

 エクスカリバーの切っ先を少女に向けて、淡々と告げる。

「君も、私の故郷のために死んでくれ」

 言い終えるより早く、闇の戦士に炎が放たれた。
 唐突な一撃だったが、それを想定していた闇の戦士は横に跳んで危なげなく回避する。
 少女や彼女の持ち物から、魔力が溢れていたのだ。

696『無名』2 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:27:28 ID:oIOPSOZE0


 ◇ ◇ ◇


 玲子には、分からなかった。
 知識として知ってはいるものの、理解することができないでいる。
 もう死体となってしまったロランを目にしてから、ずっと自分の中で渦巻いている感情の正体を。
 擬態したルーナの意思に流されているのかとも思ったが、タムラやリリの死体に気付いたときも同じような感覚を覚えた。
 胸が騒ぐような、周囲を無視して叫びたくなるような、そんな思い。
 ひたすら蘇生呪文を唱えてみても、まったく効果はなく。
 そして、ついに心の揺れに身を委ねてしまった。
 わざわざ下手人を追いかけるのは危険だと分かっていたのに、タイヤ痕を見つけた瞬間に走り出していた。
 アクセルの死角に入ったころを見計らい、ワームの姿となって移動速度をあげてまで。
 『仲間』を殺した者を逃がしたくなかったのだ。
 魔法使いとしての装備が充実しているとはいえ、危険なことには変わりないのに。
 偽物の――擬態している人間の意思ではなく、自分自身の意思でもって。

「くぅ……っ!」

 真空呪文によって生まれたいくつもの大気の刃を、闇の勇者は簡単に掻い潜っていく。
 ほとんどを回避し、命中しそうになったものはエクスカリバーで払う。そんな芸当を、いとも簡単にやってのけているのだ。
 玲子は頬に汗を伝わせながらも、ローブのポケットに収納してあったフレアの書を取り出す。
 フレアの威力は、彼女が記憶した魔法と比べてもかなりのものだ。
 回数限度はあるが、出し渋っている場面ではないと判断したのである。
 しかし魔法が発動する直前に、大気の刃を身に受けてまで肉薄してきた闇の勇者のタックルを受けてしまう。
 宙に舞ったフレアの書はエクスカリバーの横腹で打たれ、玲子と離れた場所へと吹き飛んでいった。
 その方向を見ることなく、闇の戦士は倒れこんだ玲子に対してマウントポジションを取る。

「なん、で?」
「あの本に、魔力が集束するのを感じた。
 ただの剣士ならともかく、魔剣士である私ならば容易に読み取れる」

 淡々とした口調で告げて、エクスカリバーを自分の下の玲子に向けようとして――――闇の戦士は跳躍した。
 その理由が分からない玲子の胸元に、機械仕掛けのサソリが着地する。
 玲子の顔を覗き込むようにして無事を確認してから、闇の戦士へと向き直る。
 そのサソリの名を、玲子はよく知っていた。
 元の世界で、自分と敵対していた男の相棒。

「サソードゼクター……?」

 本来持つ八つの足は、一つが欠けてしまっている。無理矢理にねじ切ったかのように。
 なぜそこまでして、敵である自分を助けたのか――
 玲子は、その理由をすぐに察した。
 サソードゼクターの尾に、ルーナとともに旅をしたサトリのゴーグルが括りつけられていたのだ。
 おそらくサソードゼクターはもともとサトリに支給され、仲間のことを頼まれたのだろう。
 ロランとルーナのことを。本物の、仲間のことを。
 ゴーグルはところどころひび割れ、血が付着していることから、サトリはもう倒れたのかもしれない。
 玲子が憧れた三人は、すでに全員倒れてしまったのだ。
 そのことを知らず、本来は敵である自分を守ろうとしている。
 いままでなら何も思わなかったはずなのに、玲子はサソードゼクターに勘違いをさせておくのが嫌だった。
 玲子は胸元のサソードゼクターを地面において、ゆっくりと立ち上がる。

「――ごめん」

 勝手に口から出た言葉に、玲子は自分自身で驚く。
 やはり、知識では分かっていても、理解はできなかった。
 深い緑色をしたサナギ体ワームの姿へと変わり、鋭い爪を露にして闇の戦士へと飛びかかっていく。
 闇の戦士はわずかに目を丸くしたが、すぐに状況を理解して腰を低く落とす。
 身体能力こそワームの方が上だが、動きの質がまるで違った。
 玲子の大振りな攻撃はあっさりと回避され、闇の戦士はゆっくりとエクスカリバーを構え――――またしてもバックステップで距離を取る。

697『無名』2 ◆MUMEIngoJ6:2010/11/16(火) 02:27:45 ID:oIOPSOZE0

「……え?」

 体勢を立て直した玲子は、怪訝な声をあげた。
 闇の戦士がいた場所で、サソードゼクターが背を向けていたのだ。
 自分はルーナではないと分かっただろうに。
 擬態したということは、擬態元を殺害している可能性が高いというのに。
 ロランを含む仲間の死に怒る玲子を受け入れたかのように、サソードゼクターはサナギ体のワームの前で立っている。

「どうして……」

 応えるように玲子の方を振り向くと、サソードゼクターは地面に潜り込む。
 数秒の後、武骨な顎にフレアの書を咥えて、玲子の足元に飛び出してきた。
 フレアの書を受け取り、玲子は再び理由を問いかける。
 サソードゼクターはその言葉には応えない。
 まるで、もう分かっていると言わんばかりに。
 ワームが人間としての意思を持つ例を知っているかのように。
 玲子の足元で、ショットガンを取り出した闇の戦士を見据えていた。
 その様子に、玲子は頬を緩める。
 ルーナではない自分に、ワームである自分に、付き合ってくれるつもりらしかったから。
 何の考えもなく相手に突っ込んでいこうなどと言う気は、もう玲子のなかから消え失せていた。

 名前を忘れた戦士と、自分自身の名前なんて存在しないワーム。
 名も無き二人は、再び激突する。



【一日目 夕方(放送直前)/C−4西部 森林】

【■■■(闇の四戦士の一人)@FINAL FANTASY 3】
[状態]:大きく疲労、魔力消費(中)、クリスタルメイルを除く衣服に損傷、
[装備]:エクスカリバー@FF5、クリスタルメイル@FF5、うろこの盾@DQ3、モスバーグ M500@現実(残弾2/8・装弾数6/8)
[道具]:基本支給品×3、エリクサー×2@FFT、
 メガトンハンマー@DQ9、ロトの剣@DQ9、バスタードソード@DQ3
 《山羊さんのデイパック:基本支給品、閃光手榴弾、サングラス、不明支給品×0〜1》
[思考]:いち早く帰還
1:戦闘領域から西方面に離脱。可能であれば、一時休息する
2:サイクロン号で会場を巡り、全参加者を殺害する
[参戦時期]:封印中、光の戦士を待っている頃
[備考]
※ジョブは魔剣士。名前は忘れてしまっています。
※ミスリルナイフ@FF3は地面に突き刺さっています。
※新サイクロン号(一号)@仮面ライダーは、森林内に転がっています。


【赤根沢玲子(ワーム)@仮面ラ