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浅い海の虎
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人は人を殺してはいけない法律を遥か昔に作った。
私は何度も父に尋ねた。何故そのような法律を作ったのかと。
父は、その度こう答えた。それは人間が社会的な生き物だからだと。
自分は初めにこう考えた。人間は人を殺すという快楽に溺れていたら種を残せないからだと。
しかし、それは過ちだったと気付かされた。それほどまでは昂らなかったからだ。
俺は次にこう考えた。人を殺すと己に刃が帰ってくるからではないかと、だ。
つまりある種の自己防衛だ。
しかし、これも違った。俺の心臓が止まることはなかった。
あくる日から僕は毎日、殺すと不特定多数の人間から予告を受けるようになった。
けれども一度も命を脅かされることはなかった。
心臓に寄せては返す血潮は止まらない。
僕は分からなかった。殺人は人間の作った法律への叛逆だ。
それを仄めかすような発言ですらペナルティを受けるというのに彼らは止まらない。一手に殺害予告を受けた私が感じたのは「衝動」だった。私は激しく震えた。
俺は思った。殺意はやはり神が平等に人間に分け与えてるのだと。
僕は真理にたどり着いた。人間は一度に全ての人間を殺す事ができるその日まで、お互いに手を出さないようにしてたのだ。
神になる人間が現れる、その日まで。
手のひらの中にある小さな箱の突起がとても愛おしい。
当職はきっと、もうすぐ神になる。
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すき
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ちゅど〜ん(笑)
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胸が震える文章
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や尊N1
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意図的な一人称の使い分けが高度 +40298点
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これは真理の御霊ですわ
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独自の解釈に核兵器ネタが非常にマッチしている
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独特な雰囲気と尊文を意識した一人称の揺らぎ、これはいい。
殺人に対する哲学的な考察、たまらない。
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心地よい厨二病感
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