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お母さんの大きなお腹
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僕のお母さんは、とっても大きなお腹をしている妊婦さんだ。10ヶ月目になっていつ産まれてもおかしくないんだけど、赤ちゃんの心臓がまだ出来上がってないみたいで、入院して赤ちゃんが出てこないようにしてるみたい。僕はそんな母の元に、毎日毎日お見舞いに行った。
お母さん(37)
本名 深賀 知子
妊娠36週目にして胎児は3200g、いつ産まれてもおかしくなかったが、赤ちゃんの心臓が完成していないため入院している。赤ちゃんを産ませないために子宮口を堅く閉ざす薬を使っており、産む時になかなか子宮口が開かない。また、胎児の心臓を早く完成させるため点滴で栄養を胎児に与えているので、どんどん胎児はでかくなる。(上限5500gまで、45週終わりまでには陣痛を起こす)知子自体は細身も細身で、まだ胎児が2000gくらいの時ですら相対的に臨月に見えるほど。胸はC。
深賀 春彦(11)
小学五年生で、毎日1人で母の見舞いに行っている。ちなみに父は海外に長期出張していていない。
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「深賀さん、回診の時間ですよ」
「ありがとうございます……」
お母さんの妹の瞳さんに連れられて病室に来たとき、ちょうどお母さんは回診の最中だった。
やっぱり、お母さんはすごく大きなお腹をしている。
僕のきょうだいが出来てから、いろんなことがあってずっと入院している。
なんでも、赤ちゃんの成長が遅いから、まだまだ入院してないといけないらしい。
大丈夫、なのかなあ…。
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>>2立会いなしとは...?
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>>3
病院での出産のようなので、息子をその場に立ち会わせたり、手伝わせたりといった展開はしないほうがいいかな、ということです。
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>>4 それだと出産を誰目線で描くかが...
"
"
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>>6
あえて母親自身の目線で描くのはどうでしょうか。
出産に入るまでが息子の、出産自体は母親自身のもの、という感じです。
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>>6 それ自体は母の出産が超難産だった件:2でやりたいんですよね...
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>>7
でも、入院して何らかの措置を受けている人の出産に子供が立ち会える、というのはなんだか変な気もしますし……。
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>>8 ぼくの幼少期にこういう経験実際にしているのですが、立ち会えましたよ
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>>9
申し訳ありませんでした。
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今日もお母さんのところへお見舞いに行く。すると、お母さんが眠っていた。僕が話しかけると、お母さんは起き上がって
「おはよう晴彦、今日はねぇ、赤ちゃんの写真を撮ってもらうよ〜」
そう言って、お母さんは僕を連れて看護婦さんと一緒に診察室に行った。もうこの部屋に来るのも何度目だろう?何回もきてても未だによく分からないけど、何かヌルヌルしたジェルをお母さんのお腹に塗って、何かの機械をお腹に当てて赤ちゃんを見るらしい。優しい女の先生が、
「37週と3日、推定3600g、心臓の穴は少しふさがってますけどまだまだかかりますね。」
僕にはさっぱり分からない言葉が話される。後からお母さんに聞いたら、どうやらまだ生まれてこないよ〜ってことらしい。ただ、そんなことはその後の母の一言で吹き飛んだ。
「これから毎日、病院のシャワーだけなら一緒に入れるよ」
僕はお母さんとお風呂に入るのが大好きなので、とても喜んだ。
その夜、お母さんと一緒にシャワーを浴びる。お母さんとお風呂に入るのは久しぶりだったから、僕はお母さんのお腹に驚いた。なんだかバランスボールをお腹に突っ込んだみたいに大きかったのだ。
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「えっと、ハル、お腹のこと、どこまで分かるかしら?」
そこらへんは言われなくても大丈夫だ。
学校でも少し習うし、図書館で図鑑も読んだ。
なので、お母さんに知ってることを一通り。
するとお母さんは頷いて、お腹をなでながら言った。
「赤ちゃんが大きいけれど、まだ心臓がうまく動いてくれなくて、そのせいで羊水も少し多くなっちゃってるんですって」
ふーん。
そういうこともあるんだ……。
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春彦はふだんの生活をどうしている設定でしょうか?
特に想定がないなら、シャワー後瞳につれられて帰宅という想定をしています。
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お母さんとのお風呂が終わって、僕は歩いておばあちゃんのうちまで帰った。おばあちゃんはもう寝ていて、ご飯は机の上にしっかりとおかれていた。
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瞳さんは途中まで一緒だけど、途中で電車に乗らなきゃいけないからそこまでだ。
今日みたいに僕についてきてくれるのも、そこまで回数は多くない。
ちょっと寂しいと感じながら、その晩、僕は寝ることにした。
四日後のこと。
僕がお母さんのところにくると、もう先に瞳さんが来ていた。
何か、大きい袋を抱えているけど、どうしたんだろう?
「あら、ハルくん。今晩はお母さんと一緒にご飯が食べられるかもよ?」
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その晩、お母さんと一緒にご飯を食べる。
お母さんは赤ちゃんを大きくするためにたくさん食べてた。
「ふう、おかあさんもうおなかいっぱい」
「うん、僕ももう食べれないや」
それからしばらくしてまたぼくとお母さんは一緒にシャワーを浴びた。
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「お母さん、赤ちゃんいつ生まれるの?」
「まだね……まだ心臓がうまくできてない、んですって」
不思議だ。
いつ生まれてもおかしくない、なんて言うのに、まだ生まれちゃだめだなんて。
不思議なまま、僕はシャワー室からでた。
明日は学校が休みのはず。
帰る支度をしながら、僕は先生に相談して見ようかと思った。
もしかしたら、お母さんと1日一緒にいられるかも……?
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先生に相談すると、いいよと言われた。明日は検診らしいので、お母さんのお腹に塗るジェルを僕にも濡らせてくれるみたいだ。
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お母さんは個室だから、周りのじゃまにならないし大丈夫とのことだった。
お母さんと一緒に寝るのは久しぶりだし、なんだかぐっすり眠れそう……。
翌朝、僕は看護士さんに起こされた。
なんでも朝の検診だけではなくて、お母さんと相談があるのだという。
検診の前にその相談をしなきゃいけないということで、僕は慌ててベッドの近くから離れた。
そしてお医者さんの先生が入ってくると、お母さんに言った。
「深賀さん、その、現状のままですと……発育不良のままです。このまま出産するか、濃度を上げて妊娠期間を伸ばすか……どうなされます?」
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「できればもう少し待ちたいです」
「わかりました、ただ、これ以上濃度を増やすと薬の副作用で麻酔が効かなくなるので、
帝王切開や麻酔による痛みを和らげる措置はできなくなります。それでもいいんですね?」
「ええ」
僕には詳しくはわからなかったが、ただ、お母さんの入院が長引くことだけは分かった。
そして、僕が楽しみにしていたジェル塗りが始まる。
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まず、お医者さんからジェルの容器を渡される。
お母さんのシャンプーみたいな、下に向けて出すボトル式だ。
ある程度量を出したら、次は塗り広げる。
やり方があるらしく、看護士さんに手を添えてもらいながら、両手でゆっくりやることになった。
かなり冷たく感じたけれど、すぐに体温が移って暖かく感じる。
そして、いよいよ機械、プローブの出番。
「最初のうちは場所がわかりにくいだろうから、やり方を教えてあげるよ」
お医者さんは優しく、僕に言った。
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お医者さんに教えられながら、僕はお母さんの大きなおなかを機械を使って撫でていく。
赤ちゃんは中で動きまわってるから、充てる場所を変えていかなきゃいけない。
むずかしいけど、お母さんに褒められたいから頑張る!
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しばらく、お医者さんの教えてくれるままにプローブを動かす。
画面には、まだはっきり何かが映った様子はない。
「よし、もうちょっとだけ右に動かしてみよう。お母さんのお腹の右側だ」
そして、言うとおりにすると……。
「足、だね。赤ちゃんはちゃんと下を向いているようだ」
僕にもわかる。
赤ちゃんの足が、画面に写ったのだった。
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お母さんのおなかで元気に動く赤ちゃん。
早く心臓が出来上がって生まれてこないかな?
そんなことを知ってか知らずか、赤ちゃんはそっぽを向いてしまった。
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でも、とてもいい物を見られたような、そんな気がする。
当分、忘れたりしないだろう……。
次に何かあったのは、4日後のことだった。
僕が病院に着くなり、お母さんはちょっと嬉しそう。
なんでも、一日二時間までだけど、病室から出てよくなったらしい。
赤ちゃんの状態が、少し安定してきたんだそうだ。
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2時間、この時間のあいだ、僕はお母さんと病院を回る。自販機に売っているヤクルトをねだって買ってもらったりもした。
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「そうそう、ハル、先生がいいって言ってたし、外に出てみる?」
「え、いいの!?」
この病院の屋上は大きな花壇が添えられた、小さな公園のようになっているんだけど、そこも行っていいらしい。
そこまで赤ちゃんも、元気になったんだ……。
屋上まで行ってみると、もう夕暮れ。
でも、これはこれで綺麗だ。
それなりに高い建物の上からだから、結構遠くまで見える。
「ふふ……こんどは、この子と3人で見てみたいわね」
お母さんはそう言って、お腹をなでた。
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その日の夜、僕は一人でお医者さんの所に行って、お母さんについて聞いてみた。
「はるくんのお母さんはねえ、今妊娠して39週間たってるの。
そして赤ちゃんは4000g、まだ心臓ができてないから、はるくんがお兄ちゃんになるのは
すこしさきかもね」
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もう少し、詳しい話を聞いてみる。
「そうだな……」
少し考えて、先生は紙に絵を描いて説明してくれる。
「本当なら色々専門用語が出てしまうから、こうやって説明するね。いいかい?」
説明してくれるかぎりだと、心臓が出来かけで穴があいているけれど、お母さんのおなかの中にもう少しいれば塞がるかも、ということだった。
確実じゃないけれど、こうしておけば、生まれたときに塞がりきっていなくても手術が楽なんだって。
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分かったことだけを言うと、3人であの景色を見るのはだいぶ先だということだ。
とりあえず、今日はもう帰らなくちゃ...お母さんにお休み言いにいこう...
それからしばらくして、お迎えがきた。帰る途中で寝ちゃったらしい。起きた時には
おばあちゃんちで朝を迎えていた。
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それからも、僕は毎日のようにお母さんのところへお見舞いに行った。
学校のことを話したり、お母さんの欲しがっているものを持っていったり。
そうしている内に、お母さんのお腹はますます大きくなっていった。
赤ちゃんが、成長していってるらしい。
「108cm……かなり、大きくなってますね……」
でも、先生はあまりいい気分じゃないらしい。
どうしてだろう?
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でも、やはりこうなるか...と言っていた分、予想はしてたらしい。
赤ちゃんかお母さんに何かあったのかな...?
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すると、先生が僕に気づいたようだ。
なんでも、赤ちゃんが思ったより大きくなっているんだとか。
でも、心臓はまだもう少し時間が必要とも言ってる。
つまり、お母さんのお腹はまだまだ大きくなると言うことらしい……。
「大丈夫、なんとかしてみせるから」
僕は詳しくないから、その言葉を信じるしかなかった。
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41週目、まだまだ赤ちゃんの心臓にはかかるらしい。お母さんのお腹は大きくて、赤ちゃんは4300gなんだって。毎日お母さんとシャワーを浴びてるから、大きくなっていく様子ははっきりとわかる。
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一週間くらいで、一気に大きくなったような気がする。
本当の所はどうなのかわからないけど、少しだけ、僕は不安になった。
このままだと、お母さんが大変かもしれないと思ったからだった。
日に日に、お母さんのお腹は大きくなっていく。
少ししんどそうに見えてしまうくらいの勢いでだ。
お母さんは元気そうにしているけれど、気になって仕方ない。
毎日お見舞いに来てるからこそ、そんな気がしてしまった。
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でも、そんなに深くは考えなかった。お医者さんがなんとかしてくれるはずなのだ。だから考えてもどうしようもない。
お見舞いの中で、ぼくは日に日に大きくなるお腹に抱きついたりしていた。赤ちゃんが蹴ってくるのが分かって、なんか楽しい。
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時間はどんどん進んでいく。
42週目、お母さんのお腹は113cm。
赤ちゃんも4600gくらいと、きちんと大きくなっているみたいだ。
お医者さんがそう言ってたしね。
その関係で、僕にもやることができた。
おばあちゃんちから、赤ちゃんの分の服とかおむつとか、あとお母さんの服も取ってきて欲しいと言われたのだ。
なんでも、お腹が大きくなってきて病院の服が入りにくくなってきたらしい。
たしか、瞳さんが詳しい置き場所を知ってるはずだし、手伝ってもらおうっと。
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お母さんの服は大きい。一回着てみたらだぶだぶだった。
こんな大きな服を着ないとあの大きなおなかは入らないんだ...
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「さて、こんなところでいいかしらね……ハルくん、なにか足りてないものってある?」
四着目の服をスーツケースにしまい込み、瞳さんが聞いてくる。
何かあったっけ……。
今のところは、お母さんの着替えが4つずつと、赤ちゃん用のタオルと服。
それにおむつが、赤ちゃん用と大人用一袋ずつ。
なんでも、赤ちゃんを産むときにあまりに痛くて、産んだあとで自力でおしっこするのが難しくなることがあるらしい。
ひどいときはお医者さんが何とかするらしいけど、治りかけの時に使えるかも、ということでお母さんのために大人用を持って行くんだそうだ。
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それくらいお母さんは一生懸命赤ちゃんを産むんだ。
僕はそれをみたくてたまらない。だから、おそくまで起きれるように頑張った。
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おばあちゃんや瞳さんに「夜更かしはダメ」と怒られてしまう。
もし、お母さんが赤ちゃんを産むところにこれなくなったら困る。
仕方ない。
昼間に生まれてくれるように、お願いできたらなあ……。
お母さんは二時間だけ病室を出られるようにはなったけど、最近また出なくなった。
お医者さんに言われたわけではなくて、お腹が重くて歩くのがしんどいんだそうだ。
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そんなこんなで、とうとう44週目。
今日もまた検診があるみたいだ。赤ちゃんはどうなってるんだろう
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「腹囲123cm、推定大丈夫は5200g……?よく頑張りましたね、深賀さん」
詳しくはわからないけど、とてつもない大きさなのは何となくわかる……。
「あとは陣痛が起きるのを待つだけです。あと少し、がんぱりましょう!」
先生の励ましに、お母さんはにこりと笑った。
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お母さんのおなかは、まるでバランスボールをくっつけたみたいの大きい。
こんな大きい赤ちゃんを産むんだから、お母さんはきっと大変だろうなぁ...
お母さんがいないときに先生にそう言ったら、すごーく長いと思うから学校休まなきゃかもねと言われた。
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そうかもしれないけれど、まだ手がある。
日曜日が祝日で、月曜日が振替休日、そして火曜日が学校の創立記念日で休みになるんだ。
だから、土曜日から火曜日の間に生まれてくれたら、心配しなくて済むんだけどなぁ……。
流石にもうすぐ生まれるということで、僕だけじゃなく、瞳さんも毎日来るようになっていた。
いくら子供と言っても、僕は男なので、お母さんの着替えの手伝いだとか、そういうのはしないほうがいいらしい。
なので、その手伝いのために瞳さんが来てくれたのだ。
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検診から5日後、また検診があった。
「腹囲145cm、推定体重5500g...深賀さん、もうすぐ生まれてくるかもしれませんよ。」
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お母さんはホッとしたような顔でうなずいているけど、やっぱりしんどそう。
瞳さんにも話していたけど、腰が痛いらしい。
大丈夫かなあ……。
検診が終わっても、お母さんはベッドに腰掛けたまま。
お腹が大きくなりすぎて、寝ているのも辛いんだって。
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それから、お母さんと一緒に病室に戻る。少し歩いたらお母さんは疲れて休んだ。大きなお腹のせいで疲れちゃうみたい。
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「もうすぐお兄ちゃんね、ハル」
お母さんにそう言われて、改めて思った。
そうだ、もうすぐお兄ちゃんなんだな、僕。
「うん、お兄ちゃんらしくするよ」
お母さんにも、ついついそう言ってしまう。
でも、それだけじゃない。
「だから、今日だけ……今日だけ甘えて、いい?」
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「いいわよ、おいで。」
そう言われた僕は、母の大きなお腹に抱きついた。
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お母さんは、僕を優しく抱き留める。
「お母さん、昔から体が弱くて……ハル、甘えさせられなくてごめんね」
「大丈夫、僕お兄ちゃんになるんだし」
僕はそんなことを言って、お母さんを安心させようとした。
安心してくれたらいいんだけど、お母さんを少し泣かせてしまった。
大丈夫かなあ……。
そして、次の日。
明日は土曜日だから、泊まることができる。
わくわくしながら病室にはいると、お母さんは普段どおり、しんどそうだけど元気そうだった。
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申し訳ありませんが、陣痛開始まで進めていただけませんか...?私少々スランプ気味なもので...
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「お母さん、今日は一日中一緒にいられるね。」
「ええ、そうね。お母さんも嬉しいわ。」
お母さんは元気そうに笑っていた。
けど、何か様子がおかしい。お腹をしきりにさすっているし、
息も荒いような気がする。
「お母さん具合悪いの?」
「あ、うん。ちょっとね…だけど心配しないでぇっ!!?」
急にお母さんがお腹を押さえてうずくまった。
「ど、どうしたの? お母さん。」
「ふうぅぅっ…あ、赤ちゃんが…あ、ああ〜〜…」
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赤ちゃんが!?
僕は慌てて、お母さんのベッドに駆け寄る。
「っ……たた、大丈夫……もうすぐ生まれるみたい、ね」
よかった。
今すぐじゃないんだ……。
ほっとする僕を見て、お母さんはまた笑う。
でも、もうすぐなんだ。
僕もしっかりしないと……。
お昼前、お医者さんが病室に来る。
もうすぐ生まれるから、検診をしないといけないらしい。
赤ちゃんは、どんな様子なのかな……?
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「まだ前駆陣痛ですね。ここから本陣痛につながるといいですね」
今の言葉から、なんとなくまだ全然だってことがわかった。
「ああ、念のため再確認しておきますが、胎児を大きくするために使った薬の副作用で、麻酔はできません。なので、帝王切開などの処置は不可能ですよ。」
お母さんはその言葉に、深刻な顔で頷いた。
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日を何回もまたぐくらい難産にしましょう。陣痛は少しづつ少しづつ強くしていく感じでお願いします
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「ええ、わかってます……」
「もし、あまりに長引くようでしたら、唯一可能な手段として陣痛促進剤を使いますが、普通よりも長引くであろうことは覚悟しておいてください」
そう言ってお医者さんは検診を終えて、病室から出ていった。
「お母さん……」
「大丈夫、長引く、って言ってたけど、お医者さんはきっとなんとかしてくれるわ」
お母さんは、やっぱりそう言ってくる。
「姉さん、ハルくん、どうも」
丁度その時、瞳さんも部屋に入ってきた。
どうやら、僕の分の食事を持ってきてくれたらしい。
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美味しそうなご飯。お母さんと一緒に美味しく食べた。お腹が痛くて少ししか食べれなかったお母さんは、僕にご飯をたくさんくれた。そのご飯を食べてる間も、赤ちゃんは外に出ようとするので、お母さんは深呼吸を繰り返した。
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「姉さん、母さんに電話しようか?」
「大丈夫、まだ大丈夫……っーーーー!」
おばあちゃんに電話したほうがいいか、と聞く瞳さん。
お母さんは大丈夫と言っているけど、だいぶ痛いのが強くなってきているみたいだった。
「瞳……悪いわけじゃないんだけど、お母さんの面倒見ててくれる……?」
「……わかった、頑張ってね姉さん」
おばあちゃんを心配させたくないんだろうか。
瞳さんにおばあちゃんの家に行くようにお母さんは言った。
これで、僕はまたお母さんと二人きりになったのだった。
「前駆陣痛ではありますけれど、強くはなってきていますね……この調子ですよ」
お医者さんがまた来て、診察をしてくれる。
時間はかかるけど、大丈夫なんだそうだ。
「どうしておけば……いいでしょうか?」
「そうですね、今日のところは体を冷やさないようにして、安静でいてください。シャワーで汗を流しておくのもいいと思いますよ」
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シャワーはもう少ししてから浴びるらしい。お母さんは痛いのが過ぎてからそう言った。あと30分くらいでまた痛くなるみたいだから、それまでに僕は瞳さんとヤクルトを買うことにした。
一回で2本買えるヤクルトを瞳さんと分ける。そこで赤ちゃんはあとどのくらいで生まれるのか聞いたら、まだまだだよって言われた。僕が起きてられるうちに産まれるかなあ?
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「ハル君が寝てる間に、ってことはないんじゃないかな?ハル君生まれたときも時間かかってたから……でも、お休みのうちには生まれると思うよ」
僕の時もだったんだ……。
だとしたら、僕が生まれたときより大きい赤ちゃんは時間がかかるはず。
安心して、今日は寝られるかな……?
病室に戻ると、お母さんはちょうど着替えを用意しているところだった。
シャワーのはずなのに、ちょっと急いでるような……?
「あ、ハル。お医者さんが、二階のお風呂を使っていいって言ってくれてね、今から行くところなの」
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「お風呂!入っていいの?」
「ええ、今日も病院に泊まってくれるんでしょう?」
僕は思い切りうなずいた。
だって、赤ちゃんが生まれる所を見たいからだ。
それに、まさかお母さんと一緒にお風呂だなんて。
とっても久しぶりだから、うれしいな……。
お母さんと一緒にお風呂。
頼まれたから、僕はお母さんの背中を流している。
お腹が大きくなると、いつも以上に手が届きにくいんだって。
それが終わると、そのままお風呂に入る。
手すりがついているから、誰かが手伝わなくても入ることが出来るんだって。
病院だからかな。
僕は一足先に入ってて、お母さんが来るのを待っている。
お母さんが入ってきて、丁度僕の隣りに座ったときだった。
「うんっ、来たぁ………!!」
「大丈夫!?」
近づいた時に、お母さんのお腹に手が当たる。
僕はびっくりした。
お母さんの大きなお腹は、まるで石みたいにカチンカチンになっていたんだ。
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そして、お腹はどんどん硬くなっていって、硬くなればなるほどお母さんの顔が怖くなる。
「ふぅぅぅぅ、はあっ、うぅぅぅ...」
こんなお母さん見たことない。大丈夫なのかな...
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それでもお母さんは痛みに耐えて頑張ってお風呂から出てきた。
その後自力でお医者さんを呼んだけどお医者さんによるとまだみたい。
結局その日は赤ちゃんは産まれてこなくて、お母さんは痛みが続いている状態で眠ることになった。
お母さんはお腹が痛くてとても苦しそうにうんうん唸っていた。
なので今日はお母さんと一緒に眠れるのにお母さんがとても苦しそうなので僕は全然嬉しくなかった。
明日もこの状態が続くのかな?
早く無事に赤ちゃん産まれて欲しいなあ。
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そして朝が来て今日は日曜日。
お母さんは赤ちゃんが早く出てくるようにするために階段を昇り降りしていた。
ただでさえ大変な運動なのに、お腹がとても大きいお母さんだと余計苦しそうだった。
お母さんが苦しそうだったので赤ちゃん早く産まれてきてと頭の中でそう思っていた。
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階段の昇り降りが終わった後、お医者さんが赤ちゃんが産まれそうかどうかお母さんのお腹を検査した。
「う〜〜んまだみたいですね。まだ前駆陣痛みたいですし・・・・」
「そ、そうですか・・・・・うううううう・・・・・」
検査を受けている間もお母さんはお腹が痛いのか唸りながら返事をしていた。
それでもまだ産まれる気配はないみたい。
大丈夫かな赤ちゃんとお母さん・・・・・・・
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今日も産まれる様子はなく夜になってしまった。
このまま明日になるのかなと思っていたら・・・・・・
「うぐぐぐぐ・・・・・ああああああああーーーーーーーーー!!!」
お母さんが突然大きな悲鳴を上げた。
「お、お母さん!?」
僕が突然のことに慌てていると、
「深賀さん、大丈夫ですか!?」
お母さんの悲鳴が聞こえたのか、お医者さんがすぐにやってきた。
「待っててください今診ますね。」
そう言いお医者さんはお母さんのお腹を検査した。
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「まだ子宮口がまだ完全に開ききっていないね、苦しいけどまだ息んではいけませんよ。」
赤ちゃんが通る出口がまだ完全に広がってないらしく、産まれるのはまだまだ時間がかかるみたい。
「あああああーーーーーー!!!痛いーーーーーーーーー!!!!」
お母さんは痛さのあまり返事をする暇もないらしく、ただ悲鳴を上げるだけだった。
頑張ってお母さん・・・・・・・・・・
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そうしているとお母さんが静かになった。
どうやら痛みが治まったみたい。
「う〜〜ん治まってしまいましたか・・・・・・・まだ時間はあるので頑張りましょう。」
お母さんの痛みが治まるのはいいけど、今回も赤ちゃんはまだ産まれてこないみたい・・・・
一体何時産まれるんだろう・・・・・
-
結局その後産まれる様子が全くなく今日も夜を迎えてしまった。
「ねえお母さん、赤ちゃん何時生まれるの?」
「さあお母さんにもわからないわ。」
「学校始まるまでに産まれるかな?」
「それまでに産まれるけど良いけどね。」
この時僕はまだ思ってもいなかった次の日が大変なことになるなんて・・・・・・
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それはお昼頃に始まった。
「うっ。」
ガクンッ!!!
お母さんが突然その場でお腹を抱えて蹲ってしまった。
「どうしたのお母さん!?」
「お、お腹が痛い・・・・・・産まれるかも・・・・・・春彦・・・・お医者さんを・・・呼んできて。」
「わ、わかった!!!」
僕は慌てて医者を呼びに行った。
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お医者さんと看護師さん達が来てお母さんはそのまま手術室のようなベッドのある部屋へと運ばれた。
すぐにお医者さんがお母さんの状態を確認する。
「まだ子宮口が開ききっていないですね。まだ息むのは我慢してください。」
どうやらまだ出口が開ききっていないらしい。
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お母さんはベッドの上でうんうん唸っていて苦しそうだった。
「まだ破水していないので暫く様子見ですね。」
お医者さんはそう言った。
お母さんが苦しみだしてから大分時間がたっていて、既に日は沈んでいた。
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「あーーーーーーっ!!!あああーーーーーーーーーーっ!!!」
痛みが強くなった来たらしく、お母さんは悲鳴を上げ始めた。
「お母さん・・・・・」
僕はただそんなお母さんの手を強く握り締めることしか出来なかった。
そうしている間にも時間は過ぎて行った。
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気がつけばもう夜の12時になっていた。
普段なら僕はもう寝ているのだけど、お母さんが苦しんでいてとても眠れる気分じゃなかった。
あとやはり赤ちゃんが産まれるところをこの目で見てみたいと言う気持ちもあった。
「あああああーーーーーーー!!!いいいいいいいーーーーーーーーーー!!!」
そう思いながら傍にいるけど赤ちゃんは中々産まれてくる様子がなくお母さんはただ悲鳴を上げ続けていた。
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そうしてお母さんの傍にいるとお医者さんが来て
「春彦くん先生がお母さんを見ててあげるから、もう寝なさい。」
「でも明日も休みだから夜更かししても大丈夫だよ。」
「赤ちゃんが産まれてくるのを見たいんだよね。安心して産まれそうになったら先生が起こしてあげるから。」
「・・・ほんと?」
「本当だよ。約束する。」
「わかった。」
僕はお医者さんの言葉を信じて眠ることにした。
苦しんでいるお母さんが気になって眠れないと思ったけど、ベッドに入ったら僕はすぐに寝付いてしまった。
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そして次の日の朝、誰かに起こされるわけでもなく僕は自然と目が覚めた。
「う〜〜ん・・・うううう・・・・・はっ!!お医者さんお母さんは!?」
僕は目が覚めるとすぐにお母さんのところに行った。
「まだ産まれていないよ、陣痛が起きてから一向にね。破水もまだだし。」
とお医者さんに言われお母さんを見るとお腹を抱えながらう〜んう〜んと唸っていた。
「お医者さんお母さんは眠れたの?」
「昨日からの陣痛で全然眠れていないよ。」
お医者さんの返事を聞いた僕はすぐにお母さんの顔をよく見た。
なんだか目の下にクマがうっすらと出来ているように見えた。
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そして僕はそのまま赤ちゃんが産まれるまでお母さんの傍にいることにした。
お腹がズキズキ痛むせいか、まともに食べ物を食べれていない。
それに加えて睡眠不足のためお母さんは疲労困憊だった。
それでも赤ちゃんが産まれてくる気配はなかった。
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そしてお昼の12時を過ぎた頃にそれは起きた。
「うぐ・・・・うぐぐぐぐ・・・うがああああああああああああああああーーーーーーー!!!!!!!!!」
「お、お母さん!?」
お母さんは今までにない悲鳴を上げたかと思うと、お母さんのアソコから沢山の水が出てきた。
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「破水したか順調に行けばもうすぐ産まれるのだが・・・・・・」
それを見たお医者さんがそう言った。
どうやら産まれる合図らしいけど、お医者さんの言葉からすると産まれるのに時間がかかるかもしれないみたいな雰囲気だった。
やはり赤ちゃんが大きいからなのかな?
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破水してからお母さんの叫び声はより強くなっていった。
僕はお母さんが頑張って赤ちゃんを産もうとしているのだと感じた。
それでも赤ちゃんが産まれてくる気配はなかった。
そうしている内に破水してから1時間も経ってしまった。
-
「まずいなもう1時間も経つ、このままもう1時間経つと胎児の命が危ない。」
お医者さんはそう言った。
どうやら破水してから産まれてこないと赤ちゃんが危ないらしい。
「お母さん頑張って・・・・・」
僕はそうお母さんに声を掛けることしか出来なかった。
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「よしやっと頭が出てきたぞ、これであともう少しだ!!」
突然のお医者さんの声を聞いて僕は声を上げた。
そして僕はお母さんの予め聞いていた赤ちゃんが出てくるところを見てことにした。
お母さんのあそこを見るのはちょっと恥ずかしかったけど赤ちゃんがほんとに見えているのか確かめるために見た。
そこには黒い大きな頭が見えていた。
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「これが赤ちゃん・・・・・」
僕は産まれ出てこようとしている新しい生命の姿を見て何とも言えない感動を感じていた。
するとお医者さんが。
「頭が出てくるまでに時間がかかったから大分体力を消耗しているな・・・・・よしお腹を押そう。」
お医者さんがそう言うと看護師のお姉さん達が何人か来てお母さんのお腹を押し始めました。
-
こうして看護師のお姉さん達がお腹を押し始めてから赤ちゃんの体は少し出てきました。
そして20分くらいたった頃。
「よし腰の辺りまで出てきたなあとは引っ張り出そう。」
お医者さんはそう言うと赤ちゃん体を掴み引っ張り始めました。
-
ジュルジュルッ!!!
「ぐっ!!!ぎゃあ!!!」
痛さの為かお母さんは赤ちゃんが進んでいく度に声をあげます。
「あともう少しです、がんばってください深賀さん。」
そうお母さんを応援しながらお医者さんは赤ちゃんを引っ張っていった。
「よしもうすぐだ!!!」
そしてついに・・・・・・・
-
ジュルゥリッ!!!!
「おぎゃあ!!!おぎゃあ!!!!」
大きな音がしたと思ったらすぐに赤ちゃんが泣き出した。
「おめでとうございます女の子ですよ。」
「ついに・・・・生まれたんだ・・・・・・」
僕はようやく産まれた赤ちゃん・・・・妹に感動していた・・・・・・・
その後お母さんは難産の疲労が大きかったせいか、出産した後もしばらく入院することになった。
産まれた妹は産まれたばかりの赤ちゃんにしてはかなり大きいこと以外は特に問題なく元気な赤ちゃんだった。
それから数日後お母さんは元気になり、妹を連れて無事に退院した。
その後お父さんも出張から帰ってきて、スクスクと育っている妹の成長を見ながら家族4人楽しく暮らしている。
そして僕には将来の夢が出来ていた。
お医者になってお母さんのように出産で苦しんでいる人を助ける仕事に就きたいと・・・・・・・・
お母さんの大きなお腹
END
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