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母の出産が超難産だった件
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主人公深田春男、14歳の普通の男子中学生だが、出産の知識はある。母の知江は、35歳という高齢で妊娠している。超細身で胸はCくらい。父は母の妊娠が発覚してすぐに死んでしまった。
出産について多く書きたいので妊娠中の話は妊娠10ヶ月からでお願いします。出産前に、医者には産めるギリギリのところという診断を受けるということを前提にしますね。あと、知江の胸や尻のサイズは変えない方向でお願いします。あと、妊娠期間は42週までにしてください。出産場所は自宅かな?
俺の母は、巨大児を宿した妊婦だ。どれくらい巨大かというと、そうだなあ、今うちの母は妊娠10ヶ月なんだが、それで胎児は9000gある。医者からはもう産もうと何度も言われているが、父の残した子だから最後まで腹の中にいさせたいと母は言っている。やれやれなこった。そして俺たちは今、38週の定期検診に来ているというわけだ。
「お母さん、腹重くないか?」
「平気よ、これくらい」
こんなやりとりを繰り返していたら、もう呼ばれてしまった。
羊水が多いわけでもないのに、異様なほどでかいお腹を出し、エコー診察を受ける。医者からはこんなことを言われた。
「このままいくと、予定日までに10kgを越すでしょう。しかもですね...逆子が治っていないんですよ。まだお尻から出てくると思われるからよかったのですが...いつでも帝王切開の希望は受け付けるので、意思が変わったらお教えください。お分かりとは思いますが、あなたがその子供を自然分娩で産めるかどうかはギリギリです。」
母は笑ってそうですかと言っていたが、大丈夫かねぇ...
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もう、一気にお産直前まで進めたほうがいいかもと思いまして...
42週目に入った母のお腹は、形容しがたいほどに大きくなっていた。胎児の重さは12kg、自然分娩できたらギネス記録だ。さて、そんなものを腹に抱えた母は、家で寝てしまっている。全く、自分の置かれた立場わかってるのかねえ...
そしてこの1時間後から、母の陣痛地獄が幕を開けるのだった...
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週一で検診を受けているし、来週までに産まれなかったら入院して帝王切開と決まっているのにこの呑気さだ。
俺だって何度も言っている。
もう入る服もほとんどなくて、外はともかく家だとシャツを胸のとこまでずり上げて下はショートパンツと、年甲斐もなくラフな格好をしている。
ちょっとでも腹を締め付けるような服だと苦しかったり、そもそも入らなかったりするそうだ。
だったらとっとと産んでしまえよ、とはどうしても思ってしまう。
まあ、呑気や雑というよりは、腹が重くてあまり動きたくないってのもありそうだけど。
実際、見てて辛そうだなとは思う。
俺が学生だから、家のことは母がやるしかない。
そう、母は特大サイズのお腹を抱えたまま一通りの家事をこなしてしまっているのだ。
俺は男だけど、12kgの錘を付けたまま生活なんてやれる自信はない。
そう言う意味じゃ、母は凄いと思う。
すると、ふいに母が目を覚ます。
時計を見れば、もう夕食の準備をする時間だった。
本当に、こういうところはきっちりしてるなあ……。
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陣痛だけで複数日をまたがせようと思うのですが、異論はありますでしょうか?
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>>3 陣痛は相当長くしても全然構いません。陣痛に苦しむところがこれのメインなので、10日間くらいまたがせてもいいですよ。
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>>4それと、私の書いたあと1時間後の陣痛地獄は、間違えて書いていたので無視して構いません...すいませんでした
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「あら、雨降ってきた?」
夕食中、ふと母がそんなことを口走る。
えっ、と思って外を見ると、確かに雨がパラついていた。
「食べ終わったら洗濯物入れなきゃ……春男、手伝ってね」
「はいはい、あんまり無茶しないでよ母さん」
やっぱり母は呑気かもしれない。
あれは完全に、自分がもうすぐ、今すぐにでも出産しかねない体とは思ってない。
とはいえ、一人に任せるのもなんかあったら困る。
結局、俺は手伝うことにした。
「ふう……洗濯物入れといて良かったわね。まさかこんなに降るなんて」
洗濯物を取り込み終えて、母は言う。
まったくもってその通りで、夕食後から降り出した雨は一気に強くなり、かなりの時間続いている。
ふと思ってテレビをつけてニュースを見る。
なんと、この地域に大雨警報。
「うわ、母さん警報出てるよ」
「あら、ホントね……」
母さんの返事は、やっぱりどこか呑気。
あまり気にしてないともとれる感じだった。
お腹を撫でながら、また俺に頼み込んでくる。
蒸し暑くなってきたからエアコンをつけて欲しいというのだ。
流石にそれくらい自分でやりなよ、と俺はリモコンを手渡した。
このときはまだ、普通だと思ってた……。
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一応これからのイメージとして、陣痛が始まるが大雨で電話が繋がらず、どうしようもなくなり自宅での出産に挑むことになる、という流れを想定してます。
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>>6了解です
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ちょいとめんどいが、皿洗いすることにした。母に負担はかけられないしな...それにしても勘弁してくれよ、焼肉の後は大変なんだぜ。一枚一枚丁寧に洗わないと、肉の脂は落ちやしないんだ。全く、なんかの本で読んだには、肉食うと陣痛が起こりやすいってことだったのにねぇ...ため息をつきながらも、少しずつ油をこそぎ落としていく。その時、ゴゴゴゴゴ...と言う不気味な音とともに、地響きが聞こえてきた。慌てて外を見てみると、なんと家の前の山が崩れてきていた。これはやばいと思いながらも、どうしようもない。黙って崩れるのを見ているしかなかった。崩れ終わった後、被害を確認していくと、電気系統は無事。ガスも大丈夫だったのだが...電波塔が倒されでもしたのか、携帯は圏外だし、固定電話はうちにはない。さらに土砂で家から出られる道は全て塞がってしまった。おいおい嘘だろと言ってしまいたくなる状況に陥ってしまった。まあどうしようもないと割り切り、母にそのことを報告。こんな状況でも母は笑って、
「そうなのね、まあどうしようもないし布団敷いてもう寝ましょ!」
と言ってきた。あのね、俺が言いたいのは、もし後数日中に陣痛が起きたら、俺しか人はいないってことになるから絶望的ってことなんだよ...!
そんな思考もつゆ知らず、母は布団を押入れから出していた。
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もう寝るのかよ……。
時刻はまだ21時ちょっと過ぎで、正直寝るには早すぎる。
それに、母は何よりも大事なことを忘れている。
思い切って言っておかないと、完全に忘れてそうだ。
全く、人間としての生活に必須なことまで忘れるとは……。
「あのさ母さん、風呂入ったっけ?」
「あ」
はぁ、やっぱりか。
あ、じゃないよ……。
風呂を沸かさないといけないんだから、覚えといてくれよ、入ったかどうかくらいは。
それに、今は俺にも迷惑がかかる。
母が一人だと、もし転んだりしたら危ないからということで、一緒に入っているからだ。
どちらかというと「入らされている」気もするけども。
結局、そんなこんなで風呂に入ることになる。
色々と困るが、やっぱり一番困るのは母の裸を目にすることだろう。
不細工だったり、老け込んでいたり、太っていたりしたらどれだけ楽だろうか。
間の抜けかたからは想像がつかないのだが、偶然にも母はスマートだしかなりの美人だ。
若いときは芸能事務所からスカウトを受けたこともあるらしいが、全く興味がなかったと語る。
とはいえ本人も思うところがあるのか、今でも体型の維持なんかは欠かしてないらしい。
そんなんだから、風呂に入るたび俺をからかってきたりするのだ。
まったく、自分の母親に、しかもそんな青筋浮いた胸と大きな腹してるのにドキッとなんか出来ないってのに。
でも、今日はそんな普段とちょっと様子が違った。
妙におとなしい。
もしや、と思って声をかける。
すると……。
「ん、あ、あれ、ごめん寝てた」
今日最大のため息。
よりによって、浴槽で寝ているとは……。
「母さん……」
「ごめんごめん……でも疲れてるみたいね。ちょっと張ってきてるし」
「全く、のぼせてるんじゃないの?」
広い浴槽なので寝ころんで入れるが、母の腹はかなり突き出して見える。
12kgが一人じゃなくて、6kgが二人入ってても納得できるんじゃないか、この大きさ。
「何、気になるの?」
「いや、大きいなぁって」
「あんたの時もここまでじゃなかったけどかなりね……確か病院行ってる途中に渋滞に遭っちゃって、着く頃には頭が出てたんだけどそこからなかなか出なくて、結局入り口の自動ドアのところにマット敷いて産んだのよ。大変だったわー」
ちょっと腹を気にするように撫でながら、昔の思い出に浸る母。
物騒なことを言わないで欲しい。
こっちが不安になるじゃないか。
,そんな言い合いをしながら、風呂から出る。
寝るにはまだ早いけど、する事もそこまでない。
頼むから、ここから変なことにならないでくれよ。
胎動が激しいのか、しきりに腹を気にする母を横目に、俺は風呂からあがった。
この調子だと、明日も雨は続きそうだ……。
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あくまで息子視点なので息子が気づくのはもう少し先ですが、やたらとお腹を気にする=陣痛の初期です。
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>>9なるほどです
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>>10名前書き忘れていました。失礼しました
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取り敢えず布団でも敷くかと思い、押入れから布団を出そうと襖を開ける。するとそれはそれは巨大な抱き枕とご対面だ。全く、母は抱き枕好きだよなぁ...わざわざ大きなお腹でも抱けるような特注品頼んじゃってるあたりお産の時にでも抱くのだろうか?そんなことを考えつつ、布団を横に並べて敷く。思春期の男子が美人の母と隣同士で寝るのは気がひけるが、仕方あるまい、臨機応変に様々なトラブルの対応をするためだ。布団も敷き終わり、暇つぶしでもしようとゲームをしたのだが、やはりゲームの力は偉大なようだ。あっという間に11時になっていた。そろそろ眠いし、母を呼んで寝るか...
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視点は母視点に変えても結構です。ただし息子視点に戻すという条件付きですが
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「母さん、寝ようか」
「待って待って、一応ラジオ持って来るわね」
「はいはい」
避難勧告とかが出ていたら困る、と母は棚から手回し充電ラジオを持ち出してきた。
まあ、なんかあったら役に立つだろうし、持ってて損はないか……。
とりあえず、俺は一足先に横になろうとした。
が、ここでまた母のガサツさが炸裂する。
風呂に入る前と大差ない格好ではあるが、白いシャツなのでものすごい透けている。
そしてそれから見える限りは、ブラジャーをしていない。
「母さん、やめてよ!」
流石に俺も、声を張り上げる。
だが母さんはほとんど意に介してない様子。
「春男、一応コレにはちゃんと理由があるのよ」
なんでも、病院に運ばれたら下着を脱がなきゃいけないことも多いらしい。
それを考えたからこの格好だと言うが、正直恥ずかしいったらないのだ。
とはいえ、母がこんな程度で意見を曲げるような人じゃないのは重々承知だ。
口喧嘩をするのも疲れる。
俺は諦めて、とっとと寝ることにした……。
夜中になって、ふっと目が覚めた。
ラジオに据え付けてある時計を見ると、午前3時34分。
4時間半は寝たということか……。
雨音はますます強くなるどころか、ちょっとずつ雷の音まで混じっている。
かなりの大雨になるのは間違いないだろう。
もう一眠りしようかと思ったその時、気がついた。
隣でグースカ眠っているはずの母が居ない。
まさか、と思い飛び起きて部屋を出る。
出てすぐの廊下には居ない。
洗面所にも居ない。
隣の風呂場にも当然居ない。
その時、リビングの明かりがついていることに気がついた。
「母さん!」
声に出して、ドアを開ける。
すると、そこには……。
白いシャツが透けてしまうほどの汗をかいて、左手で腹を抱え、右手で壁に手をつきながら荒い呼吸をして時たま唸っている、母の姿があった。
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とりあえず、陣痛はこのままで1日くらいもたせようと考えていますが、進めたければ進めてくれて構いません。
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>>13 全然構わないです。このままでとは陣痛の進捗のことでしょうか?それとも体勢のことでしょうか。もしくは、1日くらいで生まれるということでしょうか?
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>>14もし1日で生まれるだったら、1日は短いと思われます。
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>>15
陣痛の進捗のつもりですので、そこら辺はご安心を。
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>>16 分かりました。
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「うっ、うう、あっ、、う、う〜ん...」
苦しそうな声が部屋に響いている。やばいやばい、これ確実に陣痛だ!そう思った俺は、すぐさま母に近づいて様子を伺う。しかめっ面で唸る母には酷だが、陣痛の進捗のこととか教えてもらわないと...
「母さん、産まれそうなのか?」
激しく首を振る母。どうやら陣痛で間違いないらしい。
「母さん、陣痛の間隔はどれくらいだ?」
苦しむ母に答えられるかはわからないが、この情報は重要だ。ダメ元で聞く。
「まっっっだぁぁぁ、25分うううう...!」
そうか...どうやらまだ先は長いらしい。これ以外に知りたい情報といえば子宮口の開き具合だが...うぅ...さすがに気がひけるなぁ〜......
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この際陣痛だけでも、何かわかるかもしれない。
25分。
それをキーワードとして、スマホに入れておいた家庭医学辞典で調べてみる。
なんてこった。
「分娩第一期、開口期の開始は1時間の間に6回の間隔で陣痛が来るようになってからを指す」だって!?
つまり、まだ30分近くあるいまの間隔じゃ始まってすらいないことになる。
とても、大丈夫とは思えないぞ……。
「ううん……っ、はあ、収まった……あ、春男……お母さんちょっと汗かいちゃったわ……もう一回シャワー浴びてくるわね」
やっと合間にきたのだろう。
母は顔を拭うと俺にそう告げてくる。
汗で体か冷え切ってもあとで辛いはずだし、いっそのこともう一度風呂に入るといいんじゃないか?
それを伝えると、当然母はそれに乗った。
「ふ〜……温かいと楽だわ……」
早速湯船に浸かり、リラックスした様子の母。
流石にそのまま寝てしまうほどリラックスはしてないようだが、今はこのくらいの方がいいんじゃ無かろうか。
「それで母さん、いつから痛かった?」
「そうねぇ……1時間半くらい前からかしら。急に目が覚めて、したらキューって痛くなってきて、ですぐ引いて……で、今さっきまた痛くなってきて……」
とりあえず、俺はそれを自分のスマホにあとでメモしておくことにした。
「ありがとう母さん。まだまだかかりそうだね」
「大丈夫大丈夫、このくらい」
だと良いんだけどね……。
このあと、風呂から上がっても「いつ産まれるかわからないから」とほとんど裸の母に上着だけ羽織らせて、結局俺も起きとくことにした。
なんかあったら、動けるのは自分だけだからなぁ……。
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現在陣痛が25分間隔ということで、そこから計算してある程度のタイムスケジュールを決めて見ました。
分娩第一期前(前駆陣痛)←今ここ
↓ 24~30時間ほど
分娩第一期(開口期)
↓36時間ほど
分娩第二期(娩出期)
↓10~12時間ほど
分娩第三期(後産期)
↓2時間ほど
終了
以上、計80時間ほどで考えていますが、ここをもっと伸ばしたいとか、ここまで長くなくて良いと思うところがあるなら相談しましょう。
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>>19これでいいと思います。
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情けない。
起きとくことにしたというのに、1時間ほどだがまさかの二度寝をかましてしまった。
気がついた理由は単純で、母の呻き声がやかましかったから。
一回はスルーできたのだから、自分も大したもんだろう。
「……母さん、間隔どう?」
「あんまり変わってないわね……でも、痛いのは長くなってきてるかも」
母の言葉を信じるなら、少しだけだが進んでいると言える。
「頼むからスポーンと……はどう考えても無理ね……頼むから出来るだけすんなり出てきてよ?」
腹を撫でながら、母がつぶやく。
外の刺激に敏感なのか、胎動はかなり激しい。
大きく振動しているようにも見えるし、そのいきおいで母が体勢を崩しかねないほどだ。
「返事がいいとこは春男と同じね……」
全く、一言多いよ。
「何よその顔。あ、春男、早いけど朝ご飯にしましょう?もしかしたら避難しなきゃダメかもだし」
ラジオやテレビからは、まだ大雨が続いていて、二つとなりの市で避難勧告が出たとかいう話がニュースで流れていた。
本当に大丈夫なのかね……もしかしたら、救助ヘリにつり上げられてる最中に産んじゃったりしないだろうか。
俺は不安を抱きながらも、母の手伝いに向かった。
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一応このあと、前駆陣痛に耐えながら一日を過ごし、そのまま翌日というように進めたいです。
二日目はなかなか開かない子宮口に苦しむ感じで。
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>>21了解です、それと私は個人的な事情で少しの間書くことができません。その間、自由に書き進めておいて構いません。
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「サラダは昨夜の残りがまだあるはずだから出しといて、っ、あっまた来たっ〜〜〜〜〜っん、うーぅ〜〜んん、ぅん……」
料理の最中、また陣痛が来たようだ。
母はとっさに流し台に肘を預け、中腰のような体勢になる。
さっきよりも痛みが長いらしい。
だが、痛みが引くとすぐに味噌汁を作る作業へ戻っていく。
ある意味、すごい根性だ。
手早く味噌汁を作り、グリルで焼いた魚を皿に盛りつけ、俺を呼ぶ。
運んでる途中で陣痛とかたまらなさそうだしなあ……。
無事にご飯も炊けたので、ひとまずの朝食。
明るくなってみれば、本当に家から出られず携帯が通じない以外は普段通りだ。
回線の位置の都合でパソコンは問題なくネットにつながるし、テレビも映るし水道ガス電気オールOK。
唯一の懸念はといえば……。
「とりあえず、食べ終わったら防災袋出してこないと……っ、っ、んっあっん〜〜んん、ぅん……」
食事中だろうと容赦なく襲い来る、母の前駆陣痛だろうか。
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「母さん、いいから座ってて。防災袋取ってくるよ……」
「ご、ごめんんんん………っく、っ……」
間隔はあまり開いてないが、痛む時間は確実に伸びている。
進行しているのはまちがいないだろう。
強さもなかなかのようだ……。
なんたって、シャツからはみ出る母のお腹がきゅっと変形しているくらい。
つまり、それだけ強い陣痛ということになる。
特大の胎児を押し出すべく、フル稼動に向けて出力を上げていっているということだろう。
母が耐えられることを祈りつつ、俺は二人ぶんの防災袋を探しに向かった。
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防災袋を取り、避難準備も整え、それでも一向に母の陣痛は進まない。もうお昼だというのに、まだ20分間隔ぐらいなのだ。だけれども痛みは強くなっている。これは確実だ。
「お母さん、お昼ご飯できたよ」
「じゃあ頂こうかしら...う、うーん、うゔゔゔん...」
襲いかかる強烈な陣痛。母は陣痛が一回来るたんびに汗だくになっている。これは...大丈夫なのだろうか
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>>25ようやく戻れました...遅れてすいません
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「母さん、本当に大丈夫?」
「ん゛ん゛んううううう……大丈夫、大丈夫よ……っ、収まったぁ……」
時間も、多分前より長くなっている。
本人が大丈夫と言ってても、どこまで信用すりゃいいやら……。
汗だくなのも可哀想だし、とりあえずスポーツドリンクとタオル取ってきとこう……。
そこからはなかなか進展がない。
ちょっとずつ間隔は短くなってきているようなんだけど、10分間隔になるのはまだまだ先みたいだ……。
それに、イヤな予感は的中してしまうものなのか。
家から出ようがない、となるとおそらく、母はここで出産しないといけない。
無介助で、ギネス記録サイズの巨大児をだ。
きっと無理だ。
できたとしても、最悪母が死ぬ。
でも、どうにもできない。
覚悟を決めるほか、ないのか……?
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そんなことを考えてもらちがあかない。ただ、これだけは頭に入れておかなくちゃならない。この出産はとてつもない難産になるということだ。母もそれは分かっていると思う。もともと母はこうなる覚悟はしていただろうし、とりあえず今できることをやらねば...
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そこまで決めたはいい。
でも、今なにができる?
陣痛の間隔はまだまだだし、母にもそれなりの余裕が見て取れる。
携帯電話もまだ復旧しそうにないので、助けを呼ぶのも難しい。
つまり、なにをするにも今はこのままという事だ。
気になることと言えば……。
「ねえ春男……暑くない……?」
言うとおりだ。
雨は降っているが、気温が上がってきたのだろう。
イヤな蒸し暑さを感じ始めていた。
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おそらく母が苦しんでいる際にかいた汗が蒸発し、この蒸されるような感自じがするのだろう。だが暑さはどこからきているんだ...?部屋中を探し回り、熱の発生源を探る。ここでふと、母の体温と俺の体温が部屋にこもっていたということに気づいた。幸い電気系統は無事だ。俺は急いでエアコンをつけた。
「母さん、もう涼しくなるよ」
「ああ、ありがと、助かるわぁっ、あぁっ、ふうーん...」
これで少しでも母が楽になるといいんだけどな...しかめっ面で唸る母を見ながら、そう祈った。
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雨が降ってなければ、窓も開けられるんだけどな……。
だが、そうならとっとと近所の人の手でも借りて救急車を呼んでいる。
待てよ……?
自分の言葉にふと思い立って、俺は窓を少し開けて外を見た。
そしてすぐに、其れを後悔した。
(嘘だろ……)
本当に、見なきゃ良かったとさえ思える。
なんと、降り続ける雨は少しずつ洪水に近づいていたのだ。
家は高台に近いのでよくわかるが、下の道が少し水に浸っていた。
これはヤバい。
文字通り、脱出不可能だ。
「あらら、これじゃ避難できないわね……」
陣痛が治まったのか、近づいてきた母は呑気にそう言う。
そして俺を見ると、腹をさすりながら事も無げに言った。
「大丈夫大丈夫、どれだけかかってもちゃんと出産するわよ!」
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やはり母はすごい、医者からは産むには限界に近いと言われた胎児を出産するという宣言をしてしまったのだ。その言葉に安心して、俺は少し寝てしまう。きっと疲れがたまっていたのだろう、母の唸り声も気にしなかった。そして起きた時には夜7時、陣痛開始から17時間が経っていた。
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「母さん、晩は作るから……」
「ごめん……」
寝ている間もずっと陣痛に耐えていたんだろう。
呼吸も荒いし、汗もだいぶかいてしまっていたようだ。
ぐしょぐしょのシャツが無造作に脱ぎ捨てられている。
母からあまり目を離すわけにも行かないし、なんかあるものでさっと仕上げよう……。
ついでに、母を風呂場まで連れて行かないとだ。
「ああっ下がってきてるぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜んんんんっ」
必死に息を吐いて痛みに耐える母。
自己申告なんでどこまで本当かはあてにならないが、少しだけ進んできているようだ。
ゆっくりだけど、着実に近づいては来ていると信じたい。
そう思って、俺は母の手を握った。
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このまま、子宮口が開かないのに胎児が下がってくるという流れて2日目を終えたいです。
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>>33 二日目とはこの次の日のことを指しているのでしょうか。
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>>34
言葉がわかりにくくてすいません。陣痛が始まった日を一日目とカウントしていたので、開口期の始まり、長くても次の日の朝までという感じですね
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>>35なるほど、この二日目の終わりまで赤ちゃんだけ下がらせるということですね
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>>36そういうことです
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「ああ〜うっ、うふぅぅぅぅぅ!!!!!!」
痛む時間は確実に伸びていた。お風呂に入れてからも母は苦しんでいる。ようやく落ち着いた頃、俺は母に陣痛の間隔を聞く。
「そうねぇ...15分くらいね...さあ、早く体を洗わないと!」
お腹をさすりつつ母が言う。15分、こりゃ急がねば。母の体は母だけでは洗えないのでほとんど俺がするのだ。母のお腹を洗っていると、強めの蹴りを入れられた。こんな巨大な腹の原因であるそいつの蹴りは、早く出たいよと言っているようだった。
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全く、早く出たいなら長引かずにすんなり出てくりゃいいのに……。
などと思いながら、堅く張り詰める母の腹を洗う。
はあ、果たしてどうなるのか……。
更に風呂の間も2回ほど陣痛に苦しみ、母はようやく風呂上がり。
流石につきっきりで居続けるのも難しいかと思って、俺はあるものを用意した。
ストップウォッチだ。
陣痛が来たら握ってもらって、止まったらもう一度。
普通の時計と見比べれば間隔もわかるし、陣痛の長さはコレ1つではっきりする。
イケる、イケるぞ……。
なんて思っていたら、早速悩まされた。
陣痛の間隔が、縮まらなくなってしまったのだ。
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「ああああああぁぁぁぁぁ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ...」
母の苦しみ方を見るに痛みは増してるが、間隔が狭まらない。それとお腹を見てると、胎児は確かに少しずつ下がってきているようだ。これは様子見だな...と思いつつ、料理に取り掛かる。その間も、母の唸り声は鳴り響いていた。
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しばらくして、軽い料理をつくることは出来た。
だが、母はとても食事ができるような状態には見えない。
かなり痛むらしく、声からしても我慢が効かなくなってきているのがわかる。
しかたない、母のぶんはラップして冷蔵庫に入れておこう……。
「ゔゔゔゔゔん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛…………っ」
「母さん、力抜いてる?」
「こういう声出してたほうが楽なのよ……」
それから2時間、少し間隔は縮まったようだが、あとひと押しが足りない……。
そろそろ、母が痛がりだしてから丸一日断つはずなのに、だ。
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現在時刻はすでに10時、取り敢えず母にもご飯食べるかと聞くが、
「今ッッッはぁぁぁ、いらないぃぃぃぃ!!!!あぁっ...!」
と答えてきた。声を聞いた限りではかなり痛いらしい。まだ陣痛は13分ほどの間隔だと言うのにこの苦しみようだ。どこまで陣痛が痛くなっていくのか不安に思いながら、俺は遅めの軽い夕食を済ませた。もちろんその間も母は苦しんでいる。
「ううっぐううう...あぁっ、はぁ...はぁ...収まった...」
この間に母にもご飯を食べさせておかないと...そう思い、パンを一つ母に渡す。母は自分の汗で塩っ辛くなっちゃったと笑っていた。
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「はあっ、はぁっ、っん……っ、ふぅ、ゔっん……」
徐々に短くなっていくのだが、それまでもかなり長く感じてしまう。
あまりに汗をかくので、選択できない以上はこうするしかない、と言って母は服を脱いでしまった。
それだけ汗をかくのなら、それだけ辛いということだ。
でも、進みは遅い。
そして、ついには日付が変わってしまった。
母は丸一日以上、前駆陣痛に耐えたことになる。
そろそろ進展してくれ、たのむから……。
心のなかでそう祈り、俺はもう一度仮眠をとることにした。
悪い予感はしていたが、寝ないと話にならない……。
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思いの外寝てしまい、起きたのは7:00だった。よし、母の様子を見に行かねば...
「はぁっ、ああうっ、ぐっ...ンアアアアアア!!」
とんでもない苦しみ方だ。明らかに夜より痛みは強いのだろう。ストップウォッチを見ると、間隔は10分弱。ようやく陣痛開始なわけだ。
「イッッッッッッッッ!!!うぅぅぅ...あああああ!」
それにしても、母の苦しみ方がとてつもなく凄まじい。母を案じつつ、俺は朝食の用意をした。
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「母さん、朝食できたよ」
「ありがとね...はぁ...はぁ...はぁ...」
母は息切れしていた。まあ無理もない、あれだけ苦しんでいたからな...にしても、あの苦しみ方は異常だった。なんでかと理由を母に聞くと、俺が起きる直前に一気に陣痛が10分間隔まで縮んだらしく、その痛みに対応し切れてなかったとのこと。
「お兄ちゃんがいるときに生まれたいのかもねぇ」
母はそんなことを言っていたが、あながち嘘とも思えないよなぁ、そうか、俺がいるときに生まれたいのかこいつは。
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あくまでもそういうのが実際に起こるのなら、って話になるけども……。
「だいぶ短くなってきてるから、ご飯は時間かかるかも……ごめんね」
「いいよいいよ別に」
謝る母をあしらって、俺はとりあえず朝食終了。
このままだと本当にここでの出産は免れないし、だからといって脱出も出来やしない。
それに、10分間隔ってのが本当なら、まだ序の口もいいところだ。
何をするべきなのか。
母の体力を無理に消耗させないようにしながら、その時を待つしかない。
はあ、そりゃ一番つらいのは母だけども、耐えるだけとはなぁ……。
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まあ、母には耐えてもらうしかないのだ。俺にできるのは腰を揉んだりする程度だしな...母がいかに苦しもうと、変わることはできないのだ。あくまでこの12kgの胎児を産むのは母で、その覚悟をしたのも母、
俺にできるのはせいぜい素人に毛が生えたような知識で母を手助けすることだけだ。
「うっ...また来たぁぁぁ...はぁぁぁぁぁ...ぐっ、うぐぅ..ふぅうん...」
苦しむ母の横で、そんなことを考えた。
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唸りながら痛みをやり過ごし、母は少しずつ朝食を食べる。ここからがようやく分娩の始まりなので、体力つけててもらわないと...これから痛くて食べれなくなるかもしれないしな。母にはできる限り食べておくように言って、俺は少し家事をしようと席を立った。
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母には横になっておくように言ってある。
それに、片付けるものはかなり少ない。
二人分の服くらいだから、すぐに終わる。
洗い物も二人分で、即終了。
母のうめき声をBGMにして、風呂掃除も終える。
戻ってテレビをつけると、早速ニュースキャスターが恐ろしいことを言い放つ。
「……地域に降り続ける大雨は今日の深夜に一度止みますが、さらに巨大な雨雲が接近しているため、明日はより強い雨が降るものと予想されます」
なんてこった。
下手をすれば土砂崩れが起きてしまう。
そうなれば、出産どころじゃない。
最悪、避難しながらの出産になってしまう。
そのことを母に伝えると……。
「大丈夫……最悪、歩きながらでも生んでみせるから」
と、強く返事してくれた。
まったく、対した根性だよ……。
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取り敢えず避難の準備はもうしてるし、いざという時は一応自家用発電機もある。これ以上の大雨というのには不安しかないが、今これ以上の準備はできまい。土砂崩れが起こらないことを祈りつつ、唸り続ける母の元へと向かった。
「ああっ、あっ、うっ、うううううあああああ!」
やはり痛みは増しているようだ。だがストップウォッチによると間隔は10分弱。間隔が一向に狭まらない。母の苦しみ様からは想像もつかないが、陣痛は全く進んでいなかった。
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自分には何かできる、ってわけでもないのだから、出来ることは待つだけ。
ならやることはただ一つ。
待つ。
そのためには、快適な環境が必要だろう。
まずは雨が入らない場所だけだが、窓を開ける。
そして、扇風機を全開にする。
締め切っている上に、俺も母も汗を大分かいてしまった。
換気しなきゃ、蒸し暑くてたまったものじゃない。
そうして俺が涼んでいると、母がそこにゆっくりと近づいてくる。
そして、その大きな腹を風に当てるように、窓に向かって突き出した。
何やってるんだ、全く……。
-
そんな母の姿を見て、俺は思わず笑ってしまった。窓の外からは巨大な腹だけが見えるという謎の光景が広がってるのだろう、外にはいけないので見られやしないが...しばらく風に当たった母は、またゆっくりと窓の近くを離れ、そのすぐ後から唸り始めた。母の陣痛がもう一回来たあたりで歓喜を終わらせておこう。下手すれば雨が家に入り込んでくるかもしれないし。
-
予感は的中した。
窓を閉めて五分くらいしてから、雨が強くなった。
予報の通りなら、いったん止む前の最後の本降りと言うところだろう。
雨も風も強く、窓枠がガタガタと音を立てている。
母はというと、さっきからよほどつらいようでタオルを噛み、必死に耐えている。
早く、早く何とかなれ……!
無論、祈ったところで何か変わるわけでもない。
陣痛の間隔も縮まらないまま、昼になってしまった……。
-
最も、全く進展がないというわけでもない。母のお腹を見るに胎児は確実に下がって来てるし、陣痛も9分間隔までは縮んでいる。母にお昼ご飯をどうするか聞いたらいらないと言われた。ついに食事もできないほどに痛みが強くなって来たのだ。10分間隔になってから5時間、少しずつ、少しずつではあるが、進んではいるようだ。
-
体力の減り具合が気になるので、とりあえずではあるが温めのお粥を作っておく。
消化が早いので、こういうときには向いているはずだ。
なにより流動食だから、飲み込めさえすればいい。
ついでに、暖めたタオルで汗を拭ってやった。
午後二時。
9分前後から陣痛はあまり進まず、二度目の膠着状態。
そんな母はトイレに籠もっている。
便秘とかではなく、便座に座っているのが一番楽だからだそうだ。
祖父母が来たときのために父が用意していた手すりの存在も大きいだろう。
中の様子は見てないが、手すりをつかんで耐えているらしかった。
-
「あっ、いやっ、あぐぁぁぁぁぁあああ!!!」
もはや唸り声ではなく叫び声だ。トイレの壁越しに聞こえる悲鳴が、そこそこ広いはずの我が家に響き渡る。とんでもなく痛いらしい。俺はその声を聞きながら、ただただ待つしかなかった...
母がトイレから出て来たのはその3時間後、午後5時のことだった。
-
もうすっかり夕方で、時間的にはそろそろ夕食の準備をするくらいだろう。
でも、今はそんなことしてられない。
それどころじゃない。
母はすっかり疲労困憊だが、なかなか進展がない。
このままだと消耗するだけだし、やっぱり無理にでも寝てもらうべきか……?
-
まだ8分間隔だし、陣痛のないときは母に寝てもらうようにしてもらおう、それが一番いい。陣痛の間隔とかは俺が母に付き添っておけば無問題だ。ということで布団を敷き、母に横になってもらう。意外なほどすんなり寝た母は、その8分後にうめき声と共に目を覚まし、陣痛が終わるとまたウトウトという状態になった。効果はそれなりにはあったらしく、多少は回復しているようだ...
-
手早く夕食を食べ終え、また母の様子を見る。
器用というか、なんというか……。
母は眠ったまま、陣痛をやり過ごしていたのだ。
陣痛が来ているかどうかは、俺が見ればわかるくらい。
寝言のようにうめき声もあげるんだから、よほど疲れていると見るべきか。
しばらく進歩はないだろうし、俺も寝てしまおう……。
数時間して、目を覚ました原因は雷の音だった。
天気予報で言ってたよりも早く、次の雨雲が来てしまったか。
だが、今はそれよりも母のことだ。。
急いで様子を見に行くと……。
「はぁ、はぁ……この子、だいぶのんびりしてるみたいね……」
なにか、紙にメモを取っている母の姿。
どうやら、進展はまたしてもなかったようだ……。
-
もう11時にもなったというのに、母の陣痛は少しも間隔が縮まない。
「あ゛っっっ!!!いたぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
痛みだけが増しているようだ...
辛そうな母を見ながら、俺はもう4分間隔ぐらいまで陣痛が一気に進めばいいのにと祈った。
-
そんなに都合のいいようなこと、当然だけどそうそう起きやしない。
進み具合を確認する方法があればいいけれど、あいにくそれを知らないし出来ない。
そう思っていた、そんなときだった……。
「ごめん、ちょっとおトイレに……」
またか、と思いつつも、手伝えるのは俺一人。
肩を貸して、なんとかトイレに連れて行って、前で待つことにした。
-
胎児に押された大便が出て来ようとしているのだろうか。母のトイレは長かった。陣痛が途中で来たらしく、呻き声が聞こえてくる。ようやく出て来た母のお腹は、大便という邪魔者がいなくなったことで、胎児がより一層下がっているように見えた。
-
そこから、トイレに向かっては戻りを繰り返す母。
流石に怪しいと思いだしたのは、さらに二時間は経ってから。
こうも頻繁にトイレに行ってはいきんでいるというのは、明らかになにかおかしい。
そう思って、トイレの扉越しに声をかける。
「母さん、いきみたい?」
少し間を置いて、返事なのかいきんでいるのかわからない声が帰ってくる。
間違いない、子宮口が開いてるんだ!
――――――――――
春男は全開だと勘違いしてしまっている、という流れでお願いします。
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>>63 最初の設定で春男は出産の知識がそれなりにあるということだったので、若干無理があるかと...
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>>64
知識はあっても実際に状況を見ているわけでもないとしたら(実際にチェックしているわけでもないですし)少なくともこの段階ではわからないんじゃないかと思ったんですがダメでしょうか?
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>>65 ネットが使える環境にあるという設定なので、春男の冷静さならお産について暇な時間に調べ倒すと思うので厳しいと思います
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>>66経験がなくても、ネットの情報は詳しく書かれていて想像しやすいものもありますし...
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>>66
では、最後の一行を無視でお願いします
-
>>68了解です
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いきみたいという欲が出て来ていることは確からしい。要はそれぐらい赤ちゃんが下がり、痛みが強くなって来たという証拠だった。だけども間隔は縮まない。大便が出たことによってやっと7分間隔くらいまで縮んだが、まだまだ全然だ...
-
子宮口の具合はまだまだらしい……思い切って、母に尋ねる。
「母さん、どんな体勢が一番楽?」
「い、今のまま……」
今のままか……。
こうなると、ここでこのまま産むのかはともかく、今は便座に座らせておいた方が良さそうだ。
基本的に子宮口が開ききるまでいきんじゃいけないらしいんだが、母の場合は赤ん坊の大きさ故だろうか。
我慢なんてとてもできず、身体が勝手にいきんでしまうらしい。
止めたいが、止めようがない……。
-
取り敢えずいきみはもう仕方ないことと諦めよう。ただし母にはなるべく抑えるように言っておいた。これからもっと強さを増すであろう陣痛、これ以上に母が苦しむところなど想像できない。母が痛みで気絶したりしないように注意を払っておこう。
-
深夜三時半。
あれから陣痛の間隔は少し縮まったが、後一押しが足りない感じだ。
子宮口の開きも今一つなのだろう。
なるべくこらえるようには言っていても、母はとにかく頻繁にいきむ。
これに関しては、調べて納得した。
胎児の頭が母体の神経を刺激してそう思わせる。
つまり、12kgもある赤ん坊の頭は当然大きいのだから、ずっと刺激されっぱなしなのだ、母の神経は…。
-
そんな痛みに耐え続ける母。あと一押しがあれば...そう考えた俺は、母のお腹を少し押して見ることにした。そのことを母に伝えると、唸りながら首を縦に振った。
「母さん、いくよ!」
そこそこの力でぐっとお腹を押す。
「アッ........!!!!!!!!ぐっギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
痛みのあまり母は暴れた。でもその効果はあり、陣痛は4分間隔まで縮んだ。ただ...
「いやっあっがっ...ぐえええええええ!」
母の苦しみ方が今まで以上にえげつなくもなってしまった...
-
いったいどうして……!
もう一度調べると、答えは出た。
そしてここで、ようやく自分の誤算に気づいた。
まだ子宮口が開ききっていないが、赤ん坊は下がった。
つまり、開いていない子宮口を赤ん坊の頭が押しつぶしている。
(やってしまった……)
予測する限り、ある神経を強く圧迫してしまっている。
母を猛烈にいきみたい状態で固定してしまったも同然だ……。
でも、押し戻すなんてもっと無理だ。
一刻も早く、子宮口が開いてくれないと……。
-
現在朝8時...母は絶叫している。腰を上に突き出し、頭を下にする体勢。母の小さめなお尻が丸見えだ。ついに4分間隔になった陣痛は、凄まじい痛みで母を苦しめた。
「あぐっ、あぐぅぅぅぅぅっ...あっ、ぎゃ、あっ、ああああああアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
涙を流しながら、歯を食いしばり必死に耐えている。
「ぎゃっあっ、オエーーー...」
ついには嘔吐までし始めた。辛そうな母、どうにもできないのが歯がゆい。
-
吐瀉物をふき取り捨てても、母がまだ不快感を露わにしている。
結局、昨夜とは別の意味でトイレから動けそうになくなってしまった。
母は手すりにしがみつき、いきんだりいきまなかったり。
流石に、俺だってこれは焦る。
どうすれば……。
正午、陣痛の間隔は十分短くなっただろう。
だが、子宮口がまるで開いていないようだ……。
12kgもある赤ん坊を今まで入れていたから、よっぽど頑丈ってことなんだな……。
-
でも希望は見えて来た。少しずつ、少しずつではあるが、子宮口が開いてきたのだ。胎児の頭が子宮口を内側から広げているのだろうか?そんなことを考えていると、もうすでに午後2時だった。
-
せっかくそこまで来たと言うのに、やはり進捗は滞る。
そもそもとんでもない大きさだから。こればかりはどうにも出来ない。
無理やりこじ開けるような感じで出てくるしかないってことだろう……。
それから更に時間がたっても、ほとんど変化はない。
流石に不安になってくる。
生まれるのが先か、母の体力が尽きてしまうのが先なのか……。
-
そこからさらに時間が経ち、ついに夜8時を回った。俺は、もう生まれないのではないかと考え始めていた。もうほぼ3日も陣痛と戦っているのに、母はまだ破水すらしていない。ただ、陣痛は容赦なく強くなっている。3分間隔...極期と言われるその時期は、母の理性を奪うほどに母を苦しめた。
-
午後8時半。
もう、どうしようもないんじゃないのか。
そう思えてきた、母の何度目かのいきみの最中だった。
もはや声にならない声を上げていた母の様子が突然変わる。
「母さん!?」
先程よりも強く、長くいきみをつづけているのだ。
そして、ついに。
バン、という破裂音がして、水が床を叩く音。
破水した!
-
「う、ああああがががががぁぁぁぁぁ!」
破水して一気に胎児が下がってきたために、母に凄まじい痛みが襲う。だが、ようやくここまで、破水まで来たのだ。とりあえず羊水を拭く。
「母さん頑張って!破水したよ!」
「うん..うう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛あぐっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
やっと...ほんの少しだけど、希望が見えて来た。
-
それから、母は絶え間なくいきみ続けた。
息が切れるまで、気分が悪くなるまで。
だが、それでも。
あるいは当然といえるのか、頭が見えてくる気配はない。
今までのパターンからすると、今度も恐ろしく時間がかかりそうだな……。
ふと気づくと、雨が一段と強くなっていた。
-
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
雨の音にも負けない大音量で母はいきむ。大きなお腹を抱えながら多少暴れ、のたうちまわる...あまりの痛みに涙も流していた。もはや「あの」母の面影は全く見えない。そこにあるのは、痛みに理性を失った母だった。
母は本能で必死にいきむが、いきむたびに胎児が少し下がり、それが激痛を呼ぶらしい。いきみは長く続かず、やめるたびに胎児は奥へ戻る...そんな悪循環が出来上がってしまっていた。
-
なんとかしたいけれども、こんな時俺は何も出来ない。
せいぜい、励ましの声をかけるのが限度だろう。
そんなことしか出来ないから、俺は母をずっと見守り続けた。
時間が経つのをはっきりと実感していても、だ……。
-
外からお腹を見るだけでも、胎児が母の腰に頭を押し付けているのがわかる。その頭を少しでも前に進ませようと必死なのだ。ただそのあまりに大きい頭は母の苦痛を増幅させていく...0.1ミリでも胎児の頭が下がってくれば、それだけで母には泣き叫ぶほどの激痛が襲うのだ。見守るだけというのは、どうも時間が経つのが遅いらしく、永遠に感じられるような時間が過ぎていった。
-
やっぱり、母の体力の話にしかならない。
激痛に耐え、ひたすらにいきむ母。
頭はわずかながらに見えてきたが、まだまだ奥の方だ。
破水してからもう2時間以上は経っているはずなのだが、その程度の進展しかない。
できれば一刻も早く生まれてくれることを望んで、俺はもう祈るだけになっていた。
-
それから、母の陣痛に関しては、今まで以上に過酷になっていった。加速度的に短くなった間隔は、夜12時時点で1分もない。そして、痛みに関しては、母の苦しみ方からも明らかなほど強くなっていた。
タオルを噛み、体を仰け反らせ、泣き喚き、叫び倒す
「アガギエッ、いっ、だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!、うぐぅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
それでも進んで来ない胎児。俺まで泣いてしまいそうになる
-
雨はまた強くなっていき、何度も雷が鳴り響く。
もう、母に残っているのは本能だけなのだろう。
何としても産み落とすという、母親の本能。
それをもって、今母は動いている。
そうとしか思えない。
ようやく頭の先端が見え始めたのは、深夜一時半のことだった。
-
といっても、まだあくまで見えただけ。産まれるには程遠いのが現状だ。母の汗を拭き、俺はまた待ち始めた。1時間...
「う゛う゛う゛う゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」進んでいるようには見えない...
それが2時間、3時間と続き、4時間後...
「イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛!!あがっ.....ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
断末魔のごとき叫び声が聞こえた。母の様子を確認すると、ほんの少しだけど頭が見えている。排臨だ...!
-
「母さん、大丈夫、そのままいきんで!」
母は新品のタオルを噛み、手すりをがっしりとにぎりこみ、いきむ。
少し出ては戻り、少し出ては戻りを繰り返しながら、頭がちらちらと見え隠れする。
だが、行って戻ってばかり。
まだまだ時間がかかるのは、間違いない……。
-
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
いきみ続ける母。噛んだタオルは涙で濡れている。
「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛〜〜〜!!!」
骨盤に無理がかかってるのだろう、その苦痛は計り知れないものだ。それでも母は息んだ。本能のままに、赤ちゃんに会うために
-
とうとう、メキッと嫌な音が響く。
母の腰からだ。
何の音か。
頭が、母の骨盤を無理やり押し広げている音だ。
いきむたびにメキメキ、ベキベキとならしながら、少しずつ頭が見えてくる。
もう少し、もう少しだ!
-
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
母の痛みは最高潮に達した。ついに発露したのだ。これからMAXの痛みが休憩もなしに続く。母が持つことを祈りながら、母の手を握った。
-
しかし、なんてサイズの頭だろう……母の体力は、本当に持つのか?
まだ出きっていなくてこう思えるから、恐ろしい。
もはやいきむか叫ぶだけの母。
頼む、兄貴の頼みだからどうか無事に生まれてくれよ……。
-
ミシッ「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ミチミチ「グオッ、アガッ、ギエッ!!!」
骨盤が開かれるたびに、母の体が跳ねた。それくらいの痛みが、延々と繰り広げられる。
ミシミシミシミシミシ!!!!!
「うぐぅう゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
今までで一番悲痛な叫び声、そしてついに...頭の一番大きな部分へと差し掛かった。
-
そして……。
「ア゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!」
出る声もなくなったと言わんばかりの叫びの直後。
グポン、と音を立てて頭が飛び出してきた。
が、頭だけだ。
コレだけ大きいのだから当然のことと言える。
肩がつっかえてしまっているんだ……。
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だが、頭を出す際に緩くなった骨盤は、ゆっくりだが肩も通れそうだった。
「イッ...ギイイイイ!!!」
母の子宮は、、一刻も早くこの胎児を出したいようだ。さっきより強烈な収縮を始める。つまり母の腰には、胎児の肩が打ちつけられている状態だ。明らかに痛そうな状態、やはり母の苦しみ方はレベルを上げた。
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「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
もう、声になっていない。
それほどの叫びが途切れた瞬間だった。
ベキゴキッ、と派手な音を鳴らし、母の股をまるで引き裂くように方が、腰が、脚が出た。
ついに生まれたのだ……。
午前8時45分、ついにだ……。
-
「お母さん、お疲れ様、生まれたよ、可愛い女の子だ。」
「可愛いわねぇ...あとは後産だけね...」
それから1時間後、後産も無事に終わり、胎児と母親の世話をする。その時だった。「助けに来たぞ〜!」
ヘリが雨が弱まったから飛ばせるようになったのだろう。救助がやって来た。その後に、母、俺、赤ちゃんと無事救助され、母と赤ちゃんは病院へと運ばれた。母の腰はなんとか治るらしく、現代医学の力を思い知った。赤ちゃんも元気ということだ。やっと終わった母の出産、忘れることはないだろう。さて、年の離れた大きな妹の面倒でも見ますか!
母の出産が超難産だった件
完
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