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エスケープ (個人)

1 : :2016/08/15(月) 01:28:20
すっかり陽も落ちた生徒会室で一人、院宮円香(いんぐう まどか)は腹部の鈍痛と戦っていた。
幸いなことに、下校時間はとうに過ぎているため学園内に人気はなく、宿直の教員と警備員が数人いるのみだ。
部屋の電気も消しているので、恐らく誰もここに人がいるとは思わないだろう。
「はぁ〜、はぁ〜…」
痛みはじわじわと激しさを増し、思わず声がもれた。
もはや椅子に座ることもままならず、彼女は座面に両肘を乗せるようにして床に座り込んでいた。
背中を丸めて、両手で腹を抱える。
その腹部は、太っているというにはあまりにも不自然に大きく膨らんでいた。


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2 : :2016/08/15(月) 01:29:41
円香は、学園の三年で生徒会長を務めていた。
院宮財閥の一人娘で、成績も優秀な美少女。
誰もが羨むような、恵まれた環境に暮らしていた。
しかし彼女は、その生活こそが嫌いだった。
普通の暮らしをしてみたい。
それが彼女の、小さなころからの夢だった。
そして、三年になった春。
彼女は家の門限を初めて破り、一人で夜の繁華街へと繰り出した。
見目麗しい女学生が一人で街を歩くさまは、すぐに街の不良たちに見つかった。
そこで声をかけてきたのが、とある不良グループのリーダー、徳川龍臣(とくがわ たつおみ)だった。
初めは軽い悪戯目的だった龍臣だが、円香はそんな彼の脅しには全く動じなかった。
それどころか、半ば無邪気に逆に話しかけてくる円香に、龍臣は毒気を抜かれ次第に興味を持ち始めた。
それから二人は、よく夜の街で落ち合い、遅くまで共に過ごすようになった。
龍臣は円香より二歳年上で、彼女の通う学園を二年で中退していた。
そして、とある夜のことだった。


3 : :2016/08/15(月) 01:31:03
「ん、ん、は、んんっ、…」
寂れた商店街から、路地を入った先にある奥まった空き地の陰。
崩れかけたアスファルトの壁に両手をつけて、円香は尻を突き出すようにして嬌声を上げていた。
彼女の細い腰を両手でしっかりと抱えて、龍臣が背後から何度も突きあげる。
円香のスカートが激しく揺れて、時折彼女の丸い尻がビクンと跳ねた。
引き締まった白い太ももに透明な愛液が幾筋も伝い、膝まで脱がされたショーツに染みをつくる。
「はぁ、は、は、んんっ、…タツくん!」
荒い息の下から、円香が言う。
「ふ、んぁ、…なんだ?」
「ぁ、ん、こんなっ、んぁ、獣に、犯されてるみたい!」
「はっ、知らねぇのか?男はみんな、オオカミなんだぜ?」
そう言って浅く息を吐くと、龍臣はおもむろに動きを止めた。
まだお互いに繋がったままで、アスファルトに両手を預けて円香が肩で息をする。
すると龍臣は、背後から背中に覆い被さるように円香を抱きしめた。
「特に、お前みたいな美人の前だとな…」
円香の耳元で熱っぽく囁きつつ、片手で彼女のショーツを下まで落とす。
そして円香の腰をがっしりと支えると、片手で彼女の太ももをぐいと持ち上げた。
「きゃぁっ」
身体が繋がったままで片足立ちの状態になり、円香が思わず声を上げる。
しかし龍臣は、構わず円香の身体を抱えると、ぐるんと彼女の向きを変えさせた。
繋がった内側が擦れる感触に、反射的に円香や龍臣をキツく締め上げる。
「は、んん、ひぁああんっ!!」
彼と向き合う格好になりながら、円香は龍臣にしがみ付いていた。
「ん、くっ…!そんな締めんな」
一瞬眉をひそめた龍臣はしかし円香の足を離すことなく、そのまま彼女の背をアスファルトの壁に押し付けた。
円香を支え、今度は向かい会ったままで再び挿入を始める。
龍臣の背中にしっかりと両腕をまわし、上げた方の片足まで回して、円香は喘ぎ続けた。
「ぁ、ぁ、はぁ、ああん、ああっ、タツくん!」
もはや息も絶え絶えに、瞳を潤ませて円香が訴える。
「くっ、いくぞ…!!」
龍臣が円香を壁に押し付けつつ、一際激しく彼女のなかを突き上げた。
その瞬間、円香のなかに熱い精子が一気にぶちまけられる。
「はぁぁああああんん!!」
髪を振り乱し、白い喉を反らせた円香の嬌声が夜の空き地に響いた。


4 : :2016/08/15(月) 01:32:18
すでに陣痛の間隔は、かなり短くなって来ていた。
円香は相変わらず床に座り込んだまま、必死に思考を巡らせた。
出産するなら各種薬品のある保健室か、身を隠せるトイレがいいだろう。
しかし保健室は本校舎の一階にあり、生徒会室のある別館の三階からは渡り廊下と階段を使う必要がある。
どちらも、警備員に見つかるリスクが高い。
かと言って、トイレではどうしても音が響いてしまう恐れがあった。
「っ、ううーーー、痛たたぁ…、はぁはぁ、タツくん…」
何度目かの激しい痛みで、円香の思考が引き戻された。
抱えた腹部が、パンパンに張ってきている。
どうしよう。
「……怖いよ…」
スマホを握りしめ、小さく呟いたその時だった。
それまでとは違う、強烈な陣痛が彼女を襲った。
「ぅうッ、んんんーーーー、はぁはぁはぁ、はあああっ!」
椅子にしがみついて、尻を高く上げる。
声を我慢することも出来なかった。
すると、ジャババ、ビシャビシャ、という水音と共に彼女の股間から羊水が噴き出した。
「はぁはぁ、破水しちゃった…」
円香は床の水溜りを確認して、ますます焦った。
いよいよスマホの通話ボタンを押して、耳にあてる。
『よう、円香。どうした?』
龍臣の声に、思わず涙が溢れる。
「…タツくん、赤ちゃん、産まれそうなの」
円香の緊迫した声に、龍臣が少し真剣な声で言う。
『はぁ?お前、今どこに居んだ。病院か、家か?』
「学園の、生徒会室…。もう、破水してる」
じわじわと子宮が次の収縮を始めたのを感じながら、円香が言った。
『ばっ…、なんでんなとこに!?』
「だって…っぅう!!」
痛みで、会話すらままならない。


5 : :2016/08/15(月) 17:23:44
『わかった、すぐ行くから待ってろ』
龍臣が噛み付くような勢いで言った。
「はぁ、はぁ、ふんんっ、んぁっ、…私、どうしたらいい?」
荒い息の下で、円香が喘ぐ。
『保健室へ行け。あそこは内側から鍵を外せば、外へ出られるデカイ窓があんだろ?』
「…わかった」
『それから、スマホはこのまま切るなよ?俺もすぐ行くから、頑張れ』
彼の指示は的確だった。
確かに、保健室なら鍵は生徒でも開くはずだ。
龍臣に勇気づけられた円香は、陣痛がひくのを待ってそろそろと立ち上がった。
「私も、行こう…」
大きなお腹を抱えて、生徒会室のドアをゆっくりと開ける。
暗く静かな廊下は、声どころか足音でさえも良く響いた。
円香は陣痛のたびに廊下の端に蹲り、時には四つん這いでゆっくりと校舎内を移動していく。
「んんっ、ふんんーーーっ、ぁ、はぁ、ふんんーーー!!」
廊下の曲がり角で、強い陣痛に蹲る。
極力声を殺して痛みをやり過ごす。
すると廊下の向で、懐中電灯の明かりが揺れた。
スマホからは何の声もしない。
「…龍臣じゃない。隠れなきゃ!」
円香は咄嗟に、近場の教室に逃げ込んだ。
暗闇の中で、自分の腕に噛み付いて声を押し殺す。
陣痛の痛みは、少し前から息みの衝動に変わっていた。
胎児が降りてきているのが、自分でもわかる。
円香は額に大粒の汗をかきながら、スカートのホックを外してファスナーを下ろした。
お腹の締め付けを緩めてみたが、そんなものは気休め程度にしかならなかった。
警備員が何事もなく行き過ぎた後、円香は片手でスカートをおさえて教室を抜け出した。
階段の踊り場へ差し掛かった時だった。
「ぅううッ!!」
一際激しい息みの衝動に、思わず声が漏れた。
ここは階段、声は他よりもよく響く。
しかし今回は、そんなことに構ってはいられなかった。
「は、は、はぁ、ふんんーーーーっ、んん、んぐぐぅうーーーーっんぁ!!」
壁に両手をついて本能的に大きく息む。
ぐんと、胎児が一気に降りてきた気がした。
ジョジョジョバーー…
再び、羊水が溢れて彼女の足を伝う。
円香はスカートをたくし上げ、すっかり濡れそぼったショーツを脱ぎ捨てた。
指先で恐る恐る触れて見ると、会陰はパックリと開いてきていた。
「はぁはぁ、どうしよう、ここで産まれちゃう…」
それでも彼女は、ゆっくりゆっくりと階段を降りていった。


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6 : :2016/08/15(月) 17:24:40
陣痛のたびに、赤ちゃんの頭が下腹部を圧迫する。
次第に排臨に入り、歩く姿勢がガニ股になりだした。
そして、保健室まであと数十メートルまで来たその時だった。
すぐ近くの壁に突然、懐中電灯の光が揺れた。
しかし同時に、強い陣痛が円香を襲う。
「ぁ、はぁ、ぁううううッ!!」
じょわっ、と羊水が溢れて、廊下に小さな水溜りをつくった。
円香は慌てて、近くのトイレに身を潜めた。
自分の腕に跡がつくほど噛み付いて、声を殺す。
すると、廊下の水溜りに気がついた警備員が、辺りを点検し始めた。
突然、彼女の逃げ込んだトイレの照明が点く。
円香はぎょっとした。
警備員が、一つだけ扉の閉まった円香のいる個室を、不思議そうにガタガタと開けようとする。
円香は大きなお腹を抱え、扉が開かないように背中で必死に扉を抑えた。
暫くすると、どうやっても開かない扉は故障中と判断したのか、警備員は諦めてトイレを出ていった。
照明が消され安心した円香に、不意にまた激しい息みの衝動が襲ってきた。
「はぁああっ、ぅぐ、…はぁ、まだ、だめぇえ!」
円香は思わずそう叫んでいた。
警備員に気づかれたら、などと考える余裕もない。
彼女の身体は、そんなことお構いなしに胎児を排出し始めていた。
「ぁんんんーーーーーッ、はぁ、は、ふんぐぐぐぅうーーーーっああ!」
無意識に、扉にもたれて足を大きく開き、スカートをたくし上げて腰を深く落とす。
ピシャピシャと水音を立てて、胎児の頭がゆっくりと会陰から姿を現した。
「ふんんーーーーっは、は、ぅんんんんーーー…」
円香の渾身の息みに押されて、ゆっくりゆっくりと児頭が彼女の会陰を内側から押し広げてゆく。
あまりの苦しさに、踏ん張る両膝がガクガクと震えた。
何かが出かかっている感覚に、円香は恐々と自身の股間に片手を添えた。
自分の股の間には、丸く大きな塊が挟まっている。
「はぁ、は、…もうすぐ、出そう…」
大きく息を吸って、呼吸を整える。
すると急に、トイレの照明が点けられた。


7 : :2016/08/15(月) 17:25:46
円香はドキリとして身を強張らせた。
やはり先ほどの声が聞こえてしまったのか。
でも、すぐにまた我慢できない強烈な息みがやって来る。
もう、産むしかない、と彼女が覚悟を決めた、その時だった。
校舎の離れた場所で、盛大にガラスの割れる音がした。
それも、何枚も。
警備員は慌てたような足取りで、再び照明を消して廊下を走っていった。
「…タツくんたちだ」
そう思ったのも束の間、彼女はまるで動物のように一気に息み出した。
「はぁ、は、ぁ、…ぅうんんんぐぅううーーーーーっんは、ぁ、ふんんんんんーーーー…」
本能的に股間に手を添えて、身体を丸める。
その手のなかに、徐々に赤ん坊の頭が押し出されてきた。
ようやく、頭の三分の一ほどが出て来た頃。
「っ、ぁあああっ、出そうッ!!!」
円香は胎頭に両手を添えて絶叫した。
渾身の息みと共に、彼女の手のなかにぼろんと大きな頭が吐き出されてきた。
ビシュウウッ、と羊水が噴き出す。
「…はぁ、はぁ、はぁ、…頭、出ちゃった…」
円香は肩を激しく上下させて、うわごとのように呟いた。
それから、濡れた手でおもむろにスマホを取り出す。
スマホの向こうでは、龍臣が何か叫んでいるらしかった。
「…タツくん…?」
『…香っ、おい円香、大丈夫か!? すげぇ悲鳴が聞こえたぞ!!』
「……ん、…頭、出てきた…」
『は?』
円香の疲れきった声音に、龍臣が思わず聞き返す。
「赤ちゃんの、頭、産まれちゃった…」
『お前、今どこだ。保健室着いたか?』
「今から行くよ…」
『迎えに行くから、早く来いよ!』
叫ぶ龍臣の背後で、複数の青年たちの声とガラスの割れる音が聞こえる。
円香はそっと、扉から背を離して立つと、静かに個室の扉を開けた。
股から赤ん坊の頭を出したまま、よろよろと廊下を伺う。
おそらく、警備員たちはみんな龍臣たちのほうへ行ったのだろう。
円香はガニ股で、保健室へと駆け込んだ。
外へと通じる窓を見やると、龍臣が鍵を開けろと合図している。
円香はほっとして、泣きそうになるのを堪えて窓ぎわに歩み寄った。
鍵を開けると、龍臣がすぐに彼女を抱きしめる。
「円香!大丈夫か?」
「タツくん…!ぅううッ!!」
抱きしめられた円香が、不意に呻き声を上げた。
「ダメッ、…出そうっ!!」
「俺が助けてやるから、お前は俺の肩持って息め!」
龍臣は彼女の前にかがみ込むと、そのスカートを捲り上げた。
太ももに挟まれて、股の間に大きな胎児の頭がぶら下がっている。
龍臣は躊躇うことなく、その頭に両手をそえた。
円香は言われるままに龍臣の肩に両手を置き、股を大きく開いて息み出した。
「ぁ、ぁ、ぁあっ、ふんんんんんーーーーっはぁ、んんぅうううーーーー…」
円香の呼吸に合わせて、龍臣の手のなかで胎頭がゆっくり回転し、押し出されてくる。
右の肩がぼろんと飛び出し、次に左の肩、ずるずると胴が抜けて、やがて、
「ぅうんんんんんんんぁあああーーーーッ!!!」
鼻にかかったような長い絶叫とともに円香の下半身がビクンと跳ねた。
赤ん坊の丸い尻が、ぶりんと会陰から飛び出して龍臣の両手に収まった。
バッシャン、バシャシャシャーーー
大量の羊水が勢い良くほとばしった。
「はぁ、はぁ、はぁ、…産まれた…」
「あぁ、よく頑張ったな円香!」
龍臣は赤ん坊を円香に抱かせ、彼女を優しく抱きしめた。
「んじゃ、さっさと逃げんぞ」
そしてそのまま、彼女を横抱きに抱え上げると学園の外へ歩き出す。
「…タツくん、ありがとう…」
円香は胸の赤ちゃんを抱いて、幸せそうに微笑んだ。

fin.


8 : :2016/08/15(月) 17:27:55
途中で面倒になって、一つの書き込みが異様に長いですが、ご勘弁を。
遥か昔に頂いた、リクエストもの、のつもりです…

お中元代わりに。


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