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妊夫探偵
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カランコロン
「おーい、聖弥(せいや)仕事を持ってきたぞ。」
「またかよ。。。今月2回目だぞ。俺の体力考えろよ。」
「しょうがないだろ。迷宮事件になったら困るんだし。
今回も被害が複数出てるんだ。頼むよ。」
「…はいはい。あの通り魔殺人だろ?」
「あぁ。頼む。」
聖弥と呼ばれた男は普段はしがない探偵をしているが、実は神と人間との禁忌の子で
不思議な力が宿っている。
体も特殊で両方の性器が備わっている。
その力とは事件などの情報を現場へ行ったり、人の話を聞くことで事件の概要を集めそれを纏め、誰かと性交を行うと一瞬で孕みすぐに産気づき
出産する勢いで瞬時に事件が溶けるという変わったスペックを持っている。
子供は普通の赤ん坊だが、聖弥や性交を行う空芽との血縁関係は一度も証明できたことはなく、
空芽がそのまま施設へ手続きを行っている。
ちなみにその体をたまたま知った幼馴染み兼現刑事の空芽(くうが)が時折、難事件や連続犯の場合、
協力を仰ぐのだ。
難事件ほど難産で簡単な事件ほど安産で出産する。
「ほら、現場確認行くぞ。」
聖弥はスーツの上着を羽織り、空芽と現場に出かけていった。
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現場は、住宅街から少し離れた公園の片隅。
すでに現場には規制線が張られ、パトカーが数台と、かなりの人数の警察官が到着していた。
「すまん、協力者を呼んでいて遅くなった」
「天田さん、遅いですよ」
空芽の同僚だろう警官たちが声をかけてくる。
現場検証がある程度終わっていたようで、聖弥は許可をもらい資料に目を通した。
被害者は27歳の女性で、死因は腹部がグチャグチャに引き裂かれたことによるショック死あるいは失血死。
ソレ以外には傷一つ無いという、奇妙な状況だった。
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「わー。ひでぇな。」
「まぁ。死体現場だからな。」
聖弥は一通り、みて被害者の女性の部屋も確認しメモを取っていく。
「あとは被害者遺族と関係者に話が聞きたい。」
聖弥は隅々まで確認して空芽に話し掛けた。
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「聖弥、被害者は一人暮らしだったらしく両親は田舎暮らしらしい。」
「一人暮らし妊娠しているのにか?」
「どうやら被害者は風俗の者らしい。」
「仕事でできた子か・・・他には?」
「死体にあるはずのものがないんだ。」
「それは胎児だよ。妊婦ならあるはずなのにないんだ。」
「胎児が見つかっていないのか?」
「そうなんだ。」
「わかったとにかくまずは死体の第一発見者に話を聞きたい。」
聖弥は第一発見者である被害者の仕事の同僚に話を聞くことにした。
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話を聞いた所死体の第一発見者は被害者の職場の上司で連絡もなく職場に来なかったため家にきたらしい。
「どうやって被害者の家に入ったんだ?」
「家に入ったというより窓から見えたんですよ彼女が倒れているのを・・・・それでよく確認してみたら。」
被害者の上司の中年男性はそう答えた。
「よし行くぞ空芽。」
「えっもういいんですか?」
「多分この男はこれ以上のことは知らないだろう。次は被害者の職場に行くぞ。」
そう言い聖弥は現場を後にした。
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「さあ、心当たりはないわね〜〜。あの子そんな人に恨まれるようなことしないし、人当たりの良い性格だし。」
そう答えるのは被害者が働いていた職場の同僚の女性である。
「ちょっと些細なことでもいいです何か心当たりは?」
「だから思い当たらないのよ。」
空芽は女性に聞き取りを続ける。
「ちょっと。」
「何?」
「この店で被害者の女性以外に妊娠している人は?」
「いないわよ。他に妊娠経験がある人が全くいないわけじゃないけど今この店で妊娠していたのは彼女だけだったね。」
途中で質問をしてきた聖弥に女性はそう答えた。
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「そうか・・・・もうここで得られる情報は無さそうだ行くぞ・・・・・・」
聖弥が空芽にそう言い店を後にしようとしたところ。
「あっちょっと待ってそう言えば一つ気になることが・・・・・・」
「それは?」
「刑事さんなら既に知っているかもしれないけどここん所この辺り一帯で妊婦が殺されて胎児だけがなくなる事件が頻発しているらしいのよ。
彼女にも気を付けるように入っていたんだけどねぇ。」
職場の同僚の女性はそう話した。
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「なあ空芽・・・・・・」
「はい。」
「同様の事件が起きているってのは本当か・・・・」
「はい後で話そうと思っていましたが、まだ同一犯かわかっていないんですよね。」
「それは?」
「被害者が妊婦であると言うことと胎児が抜かれて行方不明になってしまっているという共通点以外はバラバラなんですよ。」
「ほう・・・」
「場所も今回の事件のように家の中だったり、人通りの少ない夜間の道中だったり、公園のトイレだったり。」
「でも被害者が全員妊婦なのとその胎児が行方不明なのは気になるなその事件の関係者からも話を聞きたい。」
「わかりました案内します。」
そして聖弥は空芽に案内され関連性のあると思われる事件の関係者から話を聞くことにした。
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それから聖弥と空芽は関連性があると思われる事件の聞き込みをした。
「どうだ?」
「俺が思うのこの一連の妊婦殺害事件は全て関連している。」
「やはり。」
「恐らくだが個人ではなく何か大きな組織が関わっている。」
「組織の犯行だというのか。」
聖弥はそう推理した。
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「よし情報は揃った。あれをやるぞ空芽。」
「もうやるのか聖弥。」
あれとは性交のことである。
「でどこでするんだ聖弥?」
「オレの家でいいだろ、ホテルですると説明が後々面倒だし。」
そう言い二人は聖弥の家へと行った。
「よし、じゃあさっさとしてくれ空芽。」
「わかった行くぞ!!!」
アーーーーーーーーっ!!
二人はすぐに性交をし、そして性交をした聖弥のお腹は数分で膨らんだ。
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そしてすぐに陣痛が始まった。
「っ!!今回のは少し時間が掛かりそうだな・・・・・」
産みなれているからか聖弥は最初の陣痛だけでそう判断した。
「うっ・・・・・ぐ・・・・・・」
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「ぐええええええええええええっーーーー!!!」「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!」
陣痛が起きてすぐに聖弥は怪獣の咆哮の如き悲鳴を上げ始めた。
聖弥は難産だと普通の人の倍の激痛を伴う。
その結果がこの悲鳴である。
これは聖弥が自宅で出産するもう一つの理由でもある。
この悲鳴を周りの人が聞いて変な誤解を起こしたくないからだ。
ちなみに聖弥の家は完全防音仕様である。
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「うぐぐぐ・・・・・ふぐうううううううううぅぅぅぅっ!!!うぐううううううううううぅぅっ!!」
そして聖弥は激痛に耐えながらも息み始めた。
過去にも何回か経験したので慣れているのである。
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「ぐげえーーーーーーーーーっ!!!」「みぎゃあーーーーーーーーーーーーー!!!」
聖弥の悲鳴は最早言葉にならない奇声であった。
それでも聖弥は息み続けた。
「ぷぎいいいいいいいいいいいぃ!!ぶもおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
そう聖弥が強く息み続けていると・・・・・・・・・・・・
ブリリリリリリリリリリ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!
聖弥は脱糞をしてしまった。
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「すまん空芽、掃除してくれないか?」
「いつものことだろ?気にするな。」
聖弥が難産のあまり脱糞してしまうことは珍しくないようだ。
「とりあえず掃除するのは全部出し切ってからだ。多分赤ん坊が産まれるのは全部出してからだろうし・・・」
「そうだな。」
空芽にそう言われた聖弥は息み続けた。。
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ブリュリュリュ〜〜〜〜〜〜ブリュリュリュリュリュブリュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!
聖弥は全ての大便を出そうと息み続ける。
全て出し切るのにもう少し掛かりそうだ。
ブリュリュリュリュリュブリュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!
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そして30分してから排便は止まった。
「聖弥、俺が掃除しておくから、お前は出産に集中しとけよ。」
「わかってるって。」
そう言い聖弥は息み続けた。
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「ふぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!ふぎいいいいいいいいいいっ!!!」
相変わらず聖弥は怪獣の咆哮の如き悲鳴を出しながら息み続けた。
「聖弥、頭が見えてきたもう少しだ。」
掃除を終えて戻ってきた空芽が聖弥の体を確認して胎児の頭が見え始めたことを聖弥に報告する。
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そして胎児は徐々に進み腰の辺りまで出てきた。
「よし大分出てきたな後は引っ張って出そう。」
そう言い空芽が胎児を引っ張り始めた。
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ズルジュルッ!!ビキビキビキィ!!!
「ぎええええええーーーーーーーーっ!!!ぎょああああーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
聖弥は激痛のあまりさらに大きな悲鳴をあげる。
「よしこれで・・・・・・」
そう言い空芽が勢いよく引っ張った。
ズッポンッ!!!
「ふんがーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
おぎゃあおぎゃあ!!!
聖弥の火山の噴火の如き叫び声が響いた後に産声がコダマする。
無事に赤ん坊は産まれたのだった。
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そして空芽は産まれた赤子を洗い毛布で包んだ後、すぐに聖弥のもとへ駆け寄る。
「大丈夫か聖弥?」
「平気だ慣れているからな、それよりも犯人のことなんだが。」
「ああ。」
聖弥は犯人の正体と居場所を言った後、出産の疲労により気を失ったのだった。
そして数日後・・・・・・・・・・・・
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家で聖弥は新聞のある一面を見ていた。
『胎児を密売する犯罪組織摘発される。組織の構成員は幹部と共に全員検挙。』
それは聖弥が解決した事件の記事だった。
犯人は胎児を密売する犯罪組織だった。
胎児を手に入れる為に、妊婦を襲い殺害し胎児を奪っていたのだ。
胎児は主に海外で違法な漢方薬等の原料として取引されていた。
聖弥は主犯の組織とその組織の拠点を空芽に伝えたのだ。
こうして一つの事件は無事に解決した。
しかし聖弥の仕事が終わることはない。
事件が起こる限り聖弥は推理し産み続けるのである。
END
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