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結衣 〜産子神社の巫女姫(個人)

1 : :2014/12/24(水) 01:29:56 HOST:proxybg013.docomo.ne.jp
その日、彼女は他の巫女たちと、とある場所を訪れていた。
産子神社の裏手にある、小さな産院。
境内とは区切られた敷地にあるが、ここも産子神社が経営している。
自然に近いカタチで、自由なお産ができるのが売りで、妊産婦たちからも人気があった。
産子神社の巫女たちは、月に数回、この産院を訪問することにしている。
そして、普段は神社での祭儀や社務に忙しい産巫女も、その日は一緒に産院を訪れていた。
「まぁ、巫女様方。いつもありがとうございます」
院長の女性は、神職ではなく一般の助産師だ。
付き合いの長い院長は、気さくな笑顔で巫女たちを出迎えた。
「お仕事のお邪魔をしてしまって、すみません」
巫女たちを代表して、産巫女がしずしずと頭を下げる。
すると院長は、久しぶりの産巫女の姿を目にして、とんでもないと頭を振った。「いいえ。それに今日は、産巫女様までお越し頂いて、ありがたいことです」
そして彼女は、皆を院内へと案内した。
毎回のことなので、巫女たちは慣れた様子で妊婦たちに個々に声をかけてまわる。
久しぶりに来院した産巫女は、あっという間に人々に取り囲まれた。
そうして、1時間が過ぎたころ。
「産巫女様、実は1人、診て頂きたい人がいるのですが…」
院長が、産巫女のもとで小さく囁いた。


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2 : :2014/12/24(水) 01:31:59 HOST:proxybg018.docomo.ne.jp
「えぇ、わかりました」
産巫女は、お付の巫女に合図をすると院長に連れられて廊下へと出た。
「名前は、根岸千早さん。早朝に陣痛が始まったんですが、子宮の開きが芳しくなくて…」
院長の説明を聞きながら、奥まった産室へと向かう。すると、ある部屋から廊下にまで聞こえるうめき声が上がった。
「はぁはぁ、はぁああーーーー!ぅううっ、ぅぐううーーー!!」
ドアを開けてなかに入ると、1人の妊婦が、全裸でバランスボールを抱き抱えて唸っていた。
付き添っていた助産師の女性が、入ってきた院長と産巫女の姿に慌てて会釈する。
「根岸さん、産巫女様が来てくださいましたよ」
院長が、妊婦の腰をさすりながら優しく声をかけた。すると、妊婦の女性が荒い息をしながら顔を上げた。痛みのためか、頬が上気して瞳が潤んでいる。
「あぁ、産巫女様。…私、根岸千早といいます」
千早はなんとか笑顔をつくると、バランスボールを放して大きなクッションに背中を預けた。
「千早さん、お辛いでしょうが、どうか頑張って」
産巫女はすぐ傍に寄ると、その場にぺたんと座り込んで両手で千早の手をとった。
するとすぐに、千早がその手をきつく握り締める。
「ぅううーーーっ、ぁああ!痛い痛い痛いくぅううーーー!」
「まだ息んではなりません、しっかり!」
相手の手をしっかりと握り、産巫女が千早を覗き込むようにして力強く言った。


3 : :2014/12/24(水) 01:33:22 HOST:proxy20008.docomo.ne.jp
やがて陣痛が治まると、千早は嬉しそうに産巫女に笑いかけた。
「ふぅー、ふぅー…、ありがとうございます、巫女様。やっぱり産巫女様ともなると、見ただけでお産の具合がわかったりするんですか?」
「え?」
無邪気な瞳を向けられて、産巫女が小さく首を傾げる。
「だってさっき“まだ息んではなりません”って」
そう言って、千早は自身のお腹を撫でた。
全裸でクッションに背中を預けた彼女の腹部は、ぽっこりと妊婦特有に膨れている。
そのお腹を目にして、産巫女は穏やかに口を開いた。「そうですね。産まれる頃には、お腹の膨らみがもう少し下がってきますから…」
鈴の音のような彼女の声が、ころころと響く。
「それに、このお腹の張り方は、恐らく男の子ですよ?」
「ぇ、そうなの?」
「えぇ、恐らく、ですけれど」
思わず敬語も忘れて声を上げた千早に、産巫女は口元を隠してくすくすと微笑した。
「男の子のときは、こんなふうにお腹が前につき出すんです。女の子のときは、もっと全体的に膨らみます」
確かに千早の腹部は、前方に妙に大きく突きだしている。
早く出ていらっしゃい、と優しく声をかけながら、産巫女はそっと彼女の腹に手をあてた。
しかし千早は、産巫女の言葉を聞いてなぜか真剣な眼差しで呟いた。
「…そっか、じゃぁ、今度こそ名前は“飛鳥”にしなくちゃ…」
「今度こそ?」
産巫女が、優しく腹を撫でていた手を止めて千早を見つめる。
すると千早は、苦笑いを浮かべて恥ずかしそうに口を開いた。
「私、前に1度、流産してるんです」
「まぁ、それはお辛い経験でしたね…」
産巫女が、真面目な様子で千早と向き合う。
「妊娠8週目で、早期の切迫流産でした。絶対安静って言われて入院したんですけど、…結局ダメで…」
気丈に話す彼女の声が、徐々に震えていく。
「私、女の子が欲しくって…、名前は“明日香”がいいなって…。
まだ、性別なんて…、全然、…わからなかったんですけどね」
そう言って何度も瞬きをする千早に、産巫女は慈しむような笑みを向けた。


4 : :2014/12/24(水) 01:34:24 HOST:proxy20017.docomo.ne.jp
「大丈夫ですよ、今度はきっと―…、あら?」
言いかけた言葉を不自然に切って、彼女はそっと自分の腹部に手を当てた。
「産巫女様?」
千早が、不思議そうに小首を傾げる。
すると突然、産巫女の腹部が、まるで風船が膨らむように大きくなり始めた。
「産巫女様!」
お付きの巫女が、慌てて傍に寄る。
「んっ、そんな…、着床してしまったの?」
身体の変化に動くこともできないまま、産巫女は腹に手を添えて呆然と呟いた。彼女の腹は、内側から急速に膨れていった。
着物の帯が、腹部の膨張に耐えきれずにほどけ、はらりと落ちた袴から大きな臨月腹が覗く。
みる間に彼女は、出産間近の妊婦になっていった。
「どうやら、千早さんの最初のお子さんを、身籠ったようですね」
大きくせりだした腹を撫でながら、産巫女が冷静に言う。
「すごい…。それが、産巫女様のお力なんですね」
一部始終を見ていた千早が、目を丸くして呟いた。
しかし次の瞬間、彼女はきゅっと眉を寄せて両手で腹を抱えた。
「ぁああ、んうううーーーー!ふぅー、ふぅー、ぅううううーーーー!」
彼女は喘ぎながら、本能的に四つん這いの格好に体勢を変える。
「はぁー、あぁぁー、産巫女様ぁっ!もうダメっ、凄く息みたいッ!
ってか、勝手に息んじゃうよッッ!!」
千早が悲鳴のように叫んだ瞬間、彼女の股間から大量の水が溢れ出した。
「根岸さん、今破水しましたよ。もうすぐ、赤ちゃん出てきますからね」
付き添いの助産師がすぐにタオルを取り替え、声をかける。
それから陣痛が来るたびに、千早は腹圧をかけ始めた。


5 : :2014/12/24(水) 01:35:28 HOST:proxybg046.docomo.ne.jp
やがて彼女の会陰から、わずかに胎児の頭が見え隠れし始めるまでには、また少し時間がかかった。
「はぁはぁ、ううんんんーーーっ、は、ふううんんんーーー!!」
「千早さん、お上手ですよ、…んくぅッ!」
自身も大きな腹を抱えて陣痛に耐えながら、それでも産巫女は、千早の傍らで声をかけ続けた。
「ぁ、またっ、ふんんぅううーーーぁああッ!は、痛ぁあい!もう無理、無理ぃい!!」
しかし胎児の頭がいよいよ排臨に差し掛かったころ、千早は痛みの恐怖から上手く息めなくなっていた。
喘ぐように浅い呼吸を繰り返し、陣痛の波にうまく合わせられない。
「うううーーー、はぁはぁ、腰が、ぁああっ折れそう!」
四つん這いの状態で、千早はポロポロと涙を溢した。そんな彼女に、産巫女が厳しい表情で言う。
「千早さん、あなた、お母さんになるのでしょ?あなたが今頑張らなかったら、赤ちゃんは産道で窒息してしまいます。
苦しいのは、赤ちゃんも一緒なんですよ?」
叱るというよりたしなめるような調子で、産巫女は優しく千早の髪を撫でた。
「大丈夫、絶対元気な子が産まれます。
お産は辛いものですけれど、女性にとって、それは決して特別なことではないんですから」
ゆっくり諭すように言って穏やかに微笑みかける。
激痛と恐怖に怯えた目をしていた千早は、産巫女の言葉に涙をぬぐって顔を上げた。
「産巫女様…」
そんな千早に、ね?と笑ってみせた産巫女はしかし、不意に腹を抱えて眉をひそめた。
「ぅうっ…、…はぁ、はぁ、――ぁああッ…!!」
思わず声を上げた彼女の袴と着物がじわじわと濡れ、周囲の床にも大量の水が広がっていく。
「破水した、ようですね…」
産巫女の額に、じっとりと汗が滲む。


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6 : :2014/12/24(水) 01:36:45 HOST:proxybg046.docomo.ne.jp
「産巫女様、破水って…!」
「産巫女様、いかがいたしますか?」
驚く千早に構わず、傍らに控えていたお付きの巫女が静かに尋ねた。
「本来、儀式には道具や準備が要りますが、お母さんになる方がここにいるのだから、ここで出産の儀を行いましょう」
産巫女がそう告げると、お付きの巫女は最低限の準備に取りかかるために腰を上げた。
お付きの巫女が立ち上がるのを目で追って、千早が心細そうに産巫女を見つめる。
その視線に気づいた産巫女は、身体を少し動かして千早の頭を優しく抱いた。
「大丈夫、千早さんのお産が終わるまで、私が傍にいますから」
「…産巫女様」
千早が安心したようにぽつりと呟く。
しかし突然、彼女は産巫女にしがみつくように身体を起こした。
「ぅうっ、ぅううんんんーーーーーっ、はぁ、あ、ふぅうんんんーーーーーっ!!」
「そう、お上手ですよ。長く息んで」
千早の身体を抱き支えながら、産巫女が言う。
固く張りつめたお互いの大きな腹がぶつかり合った。千早の背後では、付き添いの助産師が股の間をしきりに覗いている。
「んんんーーーーーっ、ぁあ、んぁあッいったぁ、こんな、大きなの出ないって!!」
抱き合った千早の身体が、息みのためか痛みのためか小刻みに震える。
「根岸さん、赤ちゃんの頭が出て来ましたよ」
千早の股を覗いて、助産師が声をかけた。
「千早さん、もうすぐ頭が出ますよ。わかりますか?」
彼女の背中を優しくさすりながら、産巫女が話しかける。
千早は息を震わせながら、何度も頷いた。
「ん…、うん、わかる。はぁはぁ…、凄く、大きなモノが挟まって、んんッ!」再び、千早が強く産巫女にしがみつく。


7 : :2014/12/24(水) 01:37:54 HOST:proxybg035.docomo.ne.jp
本能的に大きく広げた股間から、びしょびしょと羊水が流れ出した。
「ふんんんーーーーーっ、んぅううーーーーーッッ、あっ、ぁああッ、や、出るッ、ぁああああああんんッッ!!!」
そしてついに、一際大きく叫んだ千早の股間から、大きな胎児の頭が現れた。
「根岸さん、赤ちゃんの頭が出ましたよ」
助産師が嬉しそうに声を上げる。
肩で息をしている千早に、産巫女はそっと囁いた。
「千早さん、手を…」
「…ぇ?」
言われるままに千早が手を差し出すと、その手はそっと彼女の股の間に導かれた。
「ぁ…」
千早の指が、出てきたばかりの胎児の頭に触れた。
「…赤ちゃんの、頭…」
「えぇ」
どこか不思議そうに呟く千早に、産巫女が頷く。
すると千早は、産巫女に身体を預けたままで口を開いた。
「産巫女様、私の赤ちゃん、取り上げて頂けませんか?」
ふっと身体を離して、真剣な眼差しで相手を見つめる。
そこにはもう、出産の痛みに怯えるか弱い女性の姿はなかった。
産巫女は、千早にふわりと微笑んだ。
「はい、わかりました」
それから千早は、産巫女と交代した助産師にしがみついて体勢を整えた。
胎児の頭をぶら下げたまま、膝立ちで更に大きく股を開く。
産巫女は千早の後ろに回って、児頭にそっと手を添えた。
そしてついに、千早が呼吸を整えて大きく息を吸った。
「はッはッ、ぁあああふんんんんーーーーーーー…」
彼女の息みに合わせて徐々に児頭が動き、股間からびしょびしょと羊水が零れる。
「んんんっはッ、くぅぅううーーーーーーっぁああッぁあッぁあああああーーーーーーッッ!!」
千早の絶叫とともに、産巫女の手のなかに胎児がずるんと産み落とされた。
一気に溢れた羊水で濡れるのも構わずに、産巫女が赤ちゃんを取り上げる。
すぐに、部屋中に大きな泣き声が響いた。
「おめでとうございます、千早さん。元気な男の子ですよ」
言いながら、産巫女が股の下から赤ん坊を千早に差し出す。
赤ちゃんを胸にしっかり抱き上げると、千早はその場にへたり込んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、やっぱり男の子?さすが、産巫女様」
疲れきった様子で肩を上下させながら、千早がにっこりと微笑んだ。
そんな彼女に微笑み返そうとして、しかし産巫女は息を詰めた。


8 : :2014/12/24(水) 01:39:00 HOST:proxy20020.docomo.ne.jp
千早のお産を介助しながらも、産巫女自身の胎児もかなり降りて来ていた。
「ふんんっ、……っぁ、……――んぅッ!!」
とりあえず四つん這いの姿勢で息む。
下腹部の張りと違和感から、もしかするともう発露に入っているのかも知れない。
「産巫女様!」
その場に横たわり、助産師による産後の処置を受けながら、千早が心配そうに声をかける。
「はぁはぁ、大丈夫ですよ」
汗の滲む顔を上げて、産巫女はなんとか微笑んで見せた。
「今度は、私の番ですね。千早さんの赤ちゃん、ちゃんと産んであげますから」「産巫女様、こちらへ」
お付きの巫女が、産巫女の傍らに膝をついた。
彼女の袴と下衣を剥ぎ取り、袖を通しただけの着物と足袋のみという格好に改めてさせる。
そして産巫女を抱えるようにして立たせると、部屋の中程に吊るされたお産用のロープにつかまらせた。
ロープといっても、握って痛くないように、カーテンのような布地でつくられている。
「ぁううッ、…―っんは、くんんん――…っ!!」
そのロープを掴むとすぐに、産巫女は再び息み始めた。
千早にも見える位置で、大股開きにしゃがみ込む。
産巫女の会陰はすでに、大きく口を開けていた。
その穴の奥で、彼女の息みに合わせて何かが蠢いている。


9 : :2014/12/24(水) 01:40:02 HOST:proxy20009.docomo.ne.jp
「すごい…」
千早がぽつりと呟いた。
さっきまでは、自分もあんな状態だったのだろう。
産巫女が息むたびに、会陰は大きく広がり、黒々と艶めく胎児の頭がはっきりと見え始める。
「――ぅううッ…、ふ、んんっ、…ぁうう!」
ロープにしがみついて、産巫女が僅かに声を漏らした。
先程まで見え隠れしていた児頭が、秘部にがっしりと挟まっている。
「はッはッはッ――ぅんっ、……んんんっ!!」
声を殺して、産巫女が必死に腹圧をかける。
内側から盛り上がった会陰が、時折びくんとひきつりながら、胎児の頭をゆっくりと吐き出していく。
先程までとはうってかわって、産巫女のお産は粛々と進んでいた。
「……綺麗…」
千早は、産巫女を見つめて惚けたよう呟いた。
妊婦特有の腹や胸の張りはともかく、汗で貼りついた髪やはだけた着物、胎児を押し出そうとしている秘部までも。
そして何より、声を押し殺して懸命に息む産巫女の姿は、まさに母親そのものの姿に見えた。
何度めかの息みで、本能的にロープにしがみつくと、産巫女は股をぐんと大きく広げた。
「…―――くっ、んんんッ、―――ッは、ぁああッッ!!」
鋭い悲鳴をあげて、産巫女が身体を震わせた。
充血した会陰を裂けんばかりに押し広げて、大きな児頭がぼろんと娩出される。じゃばっと、羊水が音を立てて床に溢れた。


10 : :2014/12/24(水) 01:41:16 HOST:proxy20008.docomo.ne.jp
「はぁはぁ、千早さん、もうすぐですから」
言いながら、産巫女は一度ゆっくりと立ち上がった。顔に貼りつく髪を払い退けて、痛む腰をぐっと押さえる。
それから震える呼吸をなんとか整えると、次の陣痛はすぐにやってきた。
産巫女は再びロープに体重を預けると、これでもかと股を広げてしゃがみ込んだ。
「ふ、んんッ――…」
顔を赤らめ、身体が震えるほどに力む。
産巫女の息みで、児頭がゆっくりと動き出した。
「――っ、は、…ぅうッ!!」
やがて、胎児の右肩がゆっくりと会陰を抜けた。
そしてすぐに、左肩も押し出されてくる。
同時に、びしゃびしゃと羊水が溢れた出た。
胎児の両肩が出た瞬間、産巫女は本能的に片手を股間に伸ばしていた。
「…ぅんんっ、んあッあッあッあッあッ…、ぁああッッ――!!」
短い悲鳴と共に、彼女の手のなかに胎児がずるんと娩出された。
残っていた大量の羊水が、一気に彼女の股間から溢れ出す。
産巫女は濡れるのも構わずに、その場に座り込んで赤ん坊を抱き上げた。
「はぁはぁ、…産まれましたよ、千早さん。女の子です」
息を切らしながら、産巫女が嬉しそうに顔を上げる。「あぁ、ありがとうございます、産巫女様!」
先に産んだ子に母乳を吸われながら、千早が目に涙を浮かべて微笑んだ。
お付きの巫女に手伝わせて髪や衣服を整え、産巫女は産まれたばかりの赤ん坊を千早に差し出した。


11 : :2014/12/24(水) 01:42:17 HOST:proxybg014.docomo.ne.jp
「千早さん、あなたの、1人目のお子さんです」
しかし千早は、戸惑ったように不安そうに視線をさ迷わせた。
「でも、その子は私が産んだ子じゃ…」
「確かに産んだのは私ですが、あなたの想いが結んだ子です」
「私の、想いが…」
ぽつりと呟いた千早に、産巫女は淑やかに頷いた。
「この子も、あなたに会いたがっていたのでしょう」すると千早は、何かを決心したように産巫女の腕から赤ん坊を抱き上げた。
「産巫女様、この子、私が引き取ります」
「えぇ。それが私のお役目ですから」
「それから、ひとつお願いが…」
産巫女が快く頷くと、千早は少し言い辛そうに言葉を続けた。
「この子の名前、産巫女の御名前を頂きたいんです!」
彼女の唐突なお願いに、産巫女がきょとんと目を丸くする。
「ぁの、私、男の子でも女の子でも名前は“アスカ”しか考えてなくて。まさか、両方なんて思ってもなかったから…」
「そういうことですか。確かに、それはお困りですね」
恥ずかしそうに笑う千早に、産巫女も口元を隠してくすりと笑う。
「産巫女の位に就く前、幼い頃は“結衣”と、呼ばれておりました」
「結衣。想いを“結ぶ”…。素敵な御名前ですね」
千早は口のなかで小さく呟いて、満面の笑顔で産巫女を見つめた。
「結衣…」
それから、腕のなかの赤ん坊を見下ろして小さく名前を呼んでみる。
健やかな顔で眠る赤ん坊を見つめて、二人は幸せそうに笑い合った。


fin.


12 : :2014/12/24(水) 01:46:23 HOST:proxybg013.docomo.ne.jp
*完結*


>Shouki M.様

リクエストありがとうございました。
以前の作品『産子神社』がなくなってしまったため、少し感じが違うかも知れません、ご容赦を。


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