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ドラゴンの花嫁
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とある世界の山奥の村。
のどかに暮らしていた村だがあるしきたりがあった。
100年に一度、村娘を村の守り神であるドラゴンに生け贄として差し出すのだ。
生け贄になった村娘がどうなるかは村人達は知らない。
ただ、酷いことはされないと聞いていた。
そして、100年目の儀式の日が近付いていた…
生け贄になる村娘は儀式の前日に決まる。
ドラゴンが空を飛び、弓矢を落とす。
屋根に突き刺さった家の少女が生け贄として選ばれるのだ。
さて、今回選ばれた少女は…
"
"
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「は?」
「え?」
「ん?」
この家の者以外とこの家の末っ子はぽかんとしている。
それもそのはずでこの家に息子は3人いても娘はいないからだ。
しかし両親や末っ子以外の年の離れた2人の兄たちはばつの悪そうな顔をしている。
実は末っ子は女であるが産まれたときに両親がこの生け贄の時期を心配し、息子として偽ることにしたのだ。
まだ10歳と言うことで他の兄弟や父親にはある男性の象徴がないことには気づいていたが、大人になれば生えると嘘を教え込まれ、本人はずっと男だと思い込んでいたのだ。
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「な、なんでボクが生け贄なの…」
「う、それはな…」
父親は全てを村人と娘に暴露した。
生け贄の時期が近付いていたので、末娘を男として育てていたことなどだ。
「そんな…今まで騙してたんだね!」
「仕方なかったんだ…すまない…」
「…もういい。もういいよ。父さんも兄さんたちも大嫌いだ!ボクは選ばれたんだ。生け贄になればいいんだろ!」
自暴自棄になる少女。
村人も、家族も、黙るしか出来なかった。
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生け贄になる日まで村長の家に家出をし、頭を整理しようとしたが、なかなか実は自分が女だったとは思いもしなかった。
ずっと女は弱いものだから守る対象と教わり、いずれは妻をもらうものだと思っており、男性の象徴も今から生えてくるのではないかとお風呂の度に見るが生えてくるわけはない。
結局生け贄の日になっても女なはずはないと思うしかなかった。
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儀式の日。
白いドレスを着せられ、輿に乗せられる少女。
彼女にとっては始めてのドレスだ。
ショートカットにそのドレスは良く似合っている。
このときになって、少女は自分が女であると感じさせられた。
そのまま輿に乗せられ、山道を進んでいく。
数時間ほど経ったであろうか。
洞窟の入り口が見えてきた。
入り口のすぐちかくに祭壇がある。
輿はそこに置かれ、村人は去っていく。
ドラゴンは畏怖の象徴。長居をして機嫌を悪くされては困るのだ。
少女はそこに残され、ひたすらドラゴンが現れるのを待っていた。
"
"
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中から現れたのは190cmはある大男だった。
しかし村にはいない美しい顔で思わず見とれてしまった。
「はいれ。」
祭壇に呼ばれ、少女は中に入っていく。
祭壇の中は洞窟のようになっており、奥へ進んでいく。
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中には広々とした空間が有った。
土の壁ではあるが、まるでそこは宮殿のようだった。
「凄い…」
少女は思わず呟く
「お主、名は?」
大男が少女に訊ねる。
「ボク?ボクはカミュ!お兄さんは?あと、ドラゴンさんは?」
「私か?私の名はガルディス。人間の姿をしているがドラゴンだよ。ドラゴンの姿になってやろうか?」
「あ、いえ、その…やっぱり怖いし…」
「だろうな。…しかし参ったな…まさかこんな初潮も来てなさそうな少女が来るとは予想外だ…
仕方ない…繁殖するのは数年先のはなしか…」
何やらブツブツ呟くガルディス。
カミュは不思議そうな顔でみていた。
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「でもまー。味見するくらいはいいだろう。」
ガルディスはとりあえず自分の寝床に案内する。
「ここがアルディスさんのベット?フワフワしていて気持ちがいいな。」
カミュはベットに腰かけていった。
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ガルディスはそう言うカミュの口を無理矢理塞ぐ。
「ふぅん…ふぐぅ!」
無理矢理口内を犯され息が出来なくなるカミュ。
数十秒ほど、カミュはなされるがままだった。
「な、なにすんだよガルディスさん!」
「何とは…性行為だが?」
「せ、性行為?なんだよそれ!」
「知らぬのか…まあ、こんな生娘なら仕方ない…では、教えてやるとしよう。」
そう言うとガルディスは今度は力づくで服を脱がせた。
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「ちょっ、なにするんだよ!?」
「気持ちいいことだ。子が作れる頃には気持ちよさがわかるだろう。」
「気持ちいいって、あ、こら胸を吸うな!」
カミュはガルディスの行動が理解できず暴れ、抵抗しようとした。
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カミュの年相応の小さな胸を力強く吸うガルディス。
「いや、やめろって、ふぁ、ふぁぁ!」
最初は痛かっただけだが、段々と甘い吐息が出るカミュ。
じゅん…
じわり、と下半身にぬるぬるした感覚が広がる。
ガルディスはドラゴンの嗅覚でそれを察知し下半身に手を伸ばす。
「ちょっ、やめろっての…」
弱々しく抵抗するがガルディスのてが払いのけられない。
クチュリ…
ガルディスの指が愛液で濡れる。
「ほう…年齢の割りにここは大人だな…」
「どういう意味だよ、意味わかんねぇよ、離せ、離せよ!」
じたばたと暴れるカミュ。
「この分だと挿入しても大丈夫だろう…」
そう呟いたガルディスだった。
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「ちょっ、そんなもの、どうするんだよ!?」
「これをここに挿入するのだ。」
「はぁ?意味がわからない。
とにかく退けよ!!」
より一層暴れるがドラゴンの力にはかなわない。
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ズブリ…
暴れるカミュを無理矢理押さえつけ、イチモツを挿入するガルディス。
「くっ…やはり、キツいな…」
「痛い痛い痛い痛い痛い!やめてくれ!」
年相応のちいさな女性器に、無理矢理巨大なイチモツを挿入され、泣き叫ぶカミュ。
「ふん…慣れるまでは痛いかもしれんが、じきに気持ち良くなる…動くぞ」
ズチュッ…ズチュッ…
ガルディスの腰がゆっくりと動き出す。
カミュは訳もわからずただ泣くしか出来なかった。
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ドラゴンはより早く子孫を残せるようにと射精する時間が長く、また濃い。長いドラゴンでは1時間も続けることができたドラゴンもいるといわれるくらいだ。
「はぁ。。。はぁ。。。」
ガルディスが射精するとやっと解放されたカミュはあらい呼吸で息も絶え絶えだった。
ガルディスが抜いたカミュの女性器からはたっぷりと精液が流れ出てきた。
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「あ、嘘だろ?」
ドラゴンは気であることに気づいた。
カミュのお腹に子が宿ったことに。
まさか未熟で生理もなさそうなカミュが妊娠するとは全く思っていなかったガルディスだが、確かにカミュのお腹から自分とは違うドラゴンの気を感じるのだ。
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数時間後。
「…」
無言で怒りの目を向けるカミュ。
「すまない、無理矢理衝動に任せて犯してしまった…」
頭を下げるガルディス。
「痛いだけだったぞ!もう二度とするもんか!」
イライラと話すカミュ。
「そ、それは困る!我々竜属は女性が生まれにくい体質なんだ!種族保存のためには人間の助けが…」
あたふたと慌てるガルディス。性行為の時とは全く違う姿だ。
その姿を見て、カミュは思わず苦笑いしてしまう。
このとき、ガルディスにたいしてカミュが恋心を芽生えさせたのに、カミュ自身は気付いていなかった。
ただなんとなく、優しい気持ちだけが心を埋め尽くしていた。
(赤ちゃんが出来たかもしれないことは伏せておこう…私の勘違いかもしれない)
そんなことを考えながら、ガルディスはひたすら頭を下げていた。
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「ところでからだが痛くて動けないんだけど。」
「私が薬湯へ運んでやる。」
「お、おい。」
ガルディスはカミュを軽々と抱き上げ、浴槽へ向かった。
「わぁー広い!地下水みたい。」
洞窟風呂のようにはなっている。
ドラゴンになっても入れるように広く作られている。
そのままガルディスに湯槽にいれてもらう。
「そういえばガルディス以外のドラゴンは?」
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「人間に倒されたりして数が減っていると聞くな…カミュの村の人は私を守り神として尊敬してくれるみたいだが…」
「人間に倒された?なんで?」
「ドラゴンの血を飲むと不老不死になると言われているからな…まぁ、そんな効力はないのだが」
「ふうん…かわいそうな話だね…」
しんみりと話すカミュ。
「まぁ、だが絶えることはないだろう。私のように村の守り神として尊敬されるドラゴンの話は風の噂で聞くからな」
「へぇ…ボク、ガルディスの話もっと、聞きたいな!」
「良いだろう。まず…」
二人は天然の風呂で語り合った。
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カミュは2ヶ月くらいたつと大分ガルディスになついていた。
「ガル、ガル〜!」
カミュはガルディスのいくほういくほうに着いていく。
「ただ祭壇に奉られている食べ物を取りに行くだけだぞ。」
ガルディスは、毎日カミュの村の人から捧げられる食べ物を決まった時間に取りに行っている。
「僕もいくよ!お手伝いする!」
というようにカミュは必ず着いていっている。
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「今日は羊肉とサラダみたいだね!」
「ああ。きちんと二人ぶんある。取り合えずリビングに持っていこう。」
ガルディスは両手にトレイを持ち部屋に向かう。
リビングの机におき、食事がはじまる。
「じゃあ、カミュ。いただこうか。」
「うん、ガル!いただきま…」
カミュがいただきますを言おうとした瞬間。
「うぷっ…」
唇を押さえ、カミュが立ち上がる。
そのままトイレに走っていった。
「大丈夫か、カミュ…」
ガルディスが背中を撫でながら質問する。
「だ、大丈夫だよ…最近、食べ物の匂いを嗅ぐと気持ち悪くなって…」
ガルディスの問いにそう答えるカミュ。
(やはり、妊娠しているのか…?しかし、こんな小さな娘が私の子供を産めるのか…?)
ガルディスは少し不安になったが、取り合えずカミュをベッドまで運んで行った。
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「サラダだけは食べられるか?」
「うん。たぶん大丈夫。」
ガルディスが羊肉を2人分・カミュはサラダを2人分たべ、疲れたのかカミュは眠ってしまった。
「さて、一度爺に診てもらうか。」
爺とはドラゴン族の医者のようなものでカミュのように生け贄も診てくれる。
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翌日。
ドラゴンに変身したガルディスの背中に乗せられ、カミュは空を飛んでいた。
「すげー!空を飛ぶなんて初めてだ!風が気持ちいいな!」
「フフ、それは良かった。」
「ところで今日は何処にいくんだ?」
「ドラゴン界の医者だ。俺は爺とよんでるな。」
「ふーん…あ、昨日吐いたアレのこと?食べるとき以外は吐かないし大丈夫なのに…」
「念のため、だ。気になることもあるしな。」
「ふーん…ま、ガルに任せるよ!ガルなら悪いようにはしないだろうしね!」
「ああ。もう少しでつくからしっかりつかまれ。」
そう言うとガルディスは飛行スピードを上げた。
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ドラゴンの数は今やごく僅か。
それであるが故に、自分とカミュのような例に対してなど、聞く相手がほぼいない。
だからこそ、数少ない仲間であるその「爺」のことをガルディスは信頼していた。
ある岩山の切り立った崖のその中ほど、大きく開いた窪みの奥。
隻眼隻手のドラゴンが、そこにいた。
彼は、ふと外を一瞥する。
「む」
何かに気づくと、彼は一瞬で姿を変える。
厳しさと優しさを併せ持ったかのような、隻眼隻手の老人の姿だ。
「爺、いるか?」
「ガルディス!久しぶりだな!」
そして彼は、聞こえた声の主、旧来の友を暖かく迎え入れた。
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「さっそくだが彼女を診てほしい…最近、吐き気があるようなのでな。」
「ほう…かわいらしいお嬢ちゃんだな。ワシの名前はザルバス。以後よろしくな。」
「うん!よろしくな!」
「さて、さっそくだがガルディス…お前、こんな少女を手込めにしたのか?」
「…ああ。発情期で我慢が出来なかった。まさか、こんな少女が来るとは予想外だったがな…」
「ふむ…全く、無理をする…」
ブツブツ言いながらザルバスはカミュの様子を診始める。
「うむ、やはりな…ガルディス。こいつは妊娠しておる。」
「やっぱりか…」
「ガル?妊娠てなんだ?」
「妊娠というのは…つまり赤ちゃんが出来たということだ。」
「え!赤ちゃん?なんで?赤ちゃんてコウノトリが連れてくるんじゃないのか?」
「おい、ガルディス…これは…」
「ああ。性教育から始めないといけないな、ザルバス」
二人は溜め息をついていた。
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「とりあえずどのくらい性教育されているか確認じゃな。」
「あぁ。とりあえず低いことは確かだから簡単な質問からだと思う。」
カミュを座らせて性知識レベルを確認することになった。
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「性行為って言葉は知ってるかの?」
ザルバスがカミュに訊ねる。
「ああ。ガルディスから教わった。なんか、胸を吸ったりちんちんを穴にいれるんだろ?」
「ああ。その行為が赤ちゃんを作る行為なのは知ってるか?」
「え?だから、赤ちゃんはコウノトリが家まで運んでくるんだろ?」
「おい、ガルディス、こいつは…」
「ああ、かなり厄介みたいだなザルバス…」
二人は改めて溜め息をついた。
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ザルバスの質問は実に基本的なものであった。
男女の肉体の違いや、ある程度の体の構造についてなど。カミュくらいの齢の娘であれば言葉はともかく、知っていてもおかしくないといえる程度のものだった。
だが、カミュはその一切を知らなかった。
「これは参ったな………知らぬとはいえここまでとは」
あまりの結果に頭を抱えるザルバス。
ガルディスも悩むと同時に、ある疑念が頭をよぎっていた。
(カミュの親兄弟は、カミュをここまで無知にさせて何をしようとしていたのだ………?)
このままではいけないということで、カミュはザルバスからの性教育を受けることとなった。
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「そういえばさっあかから気になったのじゃが、ずっと僕といってないか?」
「そういえば私も気になっていた。
カミュ、なんで僕というのだ?女の子だと私と言うのではないか?」
「んー。だって僕ずっと男の子だと思ってたし。兄貴たちにはちんちんは大きくなったら生えてくるんだって教えてもらってたし。」
「生えてくる?」
これにはザルバスもガルディスも頭を抱えた。
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簡単にザルバスから性教育を覚えるカミュ。
性行為の意味、生理や排卵について、そして妊娠、出産について。
一通り聞いたカミュは衝撃を受けていた。
自分が母親になることに。
「だってボク、まだ10歳だよ…?お母さんになる自信なんてないよ…」
困った顔をするカミュ。
ガルディスは優しく肩を抱き締めた。
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「大丈夫。私もザルバスもできるだけ手助けするから。」
「そうじゃよ。わしも出来る限り手助けするわ。」
「ぅん。」
少し不安そうではあるがカミュは頷いた。
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ガルディスの住みかに帰り、改めて妊娠について話す二人。
「ボク、妊娠なんて初めてだよ…ガルは、生け贄の人と性行為して妊娠させたりしてるんでしょ?」
「ああ。妊娠については詳しいかな。だが、流石にこんな小さい子どもの妊娠はな…」
悩んでいるガルディスに、カミュがはなす。
「大丈夫!ガルディスとザルバスさんがいればなんとかなるよ!」
と。
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「そうだな。私も着いているからな。」
「うん!」
カミュは少し笑顔になった。
「あと、勘違いしているようだが、まだ私はカミュ以外は妊娠させたことはないぞ。」
「え?そうなの。じゃあ昔の生け贄の人たちは?」
「それは父親や祖父の生け贄だ。ドラゴンは一夫一妻だからな。ドラゴンと精交渉したものは私たちドラゴンと同じ寿命をもつ。不老不死の伝説も恐らくそれが由来だろうな。」
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「へぇ…なんでなんだろうね、ガル?」
「恐らく、ドラゴンの血液ではなく精液が作用するのだと思うが…詳しいことはわからん。」
「精液って…アレのことだよね…」
カミュが顔を赤らめる。恐らく性行為のことを思い出したのだろう。
ガルディスは顔を赤らめるカミュを見ながらニコニコしていた。
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カミュの妊娠が発覚してからは、ガルディスだけ祭壇から外に出てつわりが始まっているカミュが食べられそうな木の実を取りに行ってくれている。
しかしつわりが始まってもあまり自覚のないカミュは毎日ガルディスと外に行きたそうにしている。
「ガルー。僕も行きたい!」
「だめだ。一度生け贄になった者は村人との接触は避けなくてはいけない。
森はたまに村人がいるからだめだ。」
ガルディスに諭され毎回諦めるのだった。
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暇をしていたカミュは書斎や試着室を巡っていた。
書斎では古い歴史の本や小説、妊娠関係の本を良く読んでいた。
試着室では、祭壇に置かれたドレスを着たりしていた。
どれもまだ小さい少女には新鮮で、感動すら覚えていた。
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「カミュ、似合ってるぞ。
そういう服をきているとやっぱり女っぽくみえるな。」
木の実を持って帰ってきたガルディスが言うと
「ほんと?」
カミュは嬉しそうだ。
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妊娠が判明して1ヶ月。
カミュはつわりのピークを迎えていた。
つねに気持ち悪さを感じ、ことあるごとに吐いてしまう。
ドレスを汚さないようにと、普段着で過ごすことが多くなっていた。
髪は少しのび、体つきも少し女性らしくなった気がする。
カミュは複雑な気持ちを覚えていた。
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「カミュ、大丈夫か?」
ガルディスは祭壇や外に木の実を採取にいく時以外はほぼ一緒に過ごしていた。
「今日の診察は爺にこっちに来るように頼んだからここで診てもらおうな?
妊婦が食べられそうなものも持ってきてくれるらしいし。」
体調の悪いカミュの頭を撫でながら言った。
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数日後。
ザルバスがガルディスの住みかにやってきた。
「久しぶりじゃの、カミュ。さて、さっそくだが診てやろう…」
「私は何をすれば良いだろう?」
「取り合えず外にでて木の実でも取ってこい。カミュもお主に見られるのは恥ずかしいじゃろ」
「…分かった、よろしく頼む…」
そう言ってガルディスは森へと向かっていった。
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「前より体つきは女らしくなったようじゃが、少しやつれたな。
つわりは酷いか?」
「つわり?」
「吐き気やダルさは酷くないか?」
「体もダルいし気持ちが悪い。」
「まー。まだ子供ゆえ余計に体に負担がかかってるんだな。
そのだるさや気持ちが悪いのはお主の体が赤ん坊を育てる準備をしているのじゃ。」
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「赤ちゃんを育てる準備…ボクにはまだ実感が湧かないな」
「仕方ないじゃろ。ワシもこんな小娘が妊娠するとは未だに信じられん。」
「ちょっと!小娘は酷い…うぶっ」
文句をいうカミュが突然嘔吐感に襲われる。
近くにあった桶に嘔吐する。
「ほれ、興奮するな。つわりが酷くなるかもしれんぞ?」
「はい…」
カミュは黙って横になっていた。
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「とりあえず今は安静にしておくことじゃ。後2ヶ月もしたらつわりはおさまるじゃろうから。」
「えーあと2ヶ月もー!」
「2ヶ月くらい辛抱せい。」
「はぃ。。。」
「じゃあちょっと仰向けになって、足を開くぞ。」
「え、なに?」
M字型に足を開かれ下着も脱がされ混乱しているカミュ。
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「なに、内診するだけじゃ。いやらしいことはせん。そんなことをしたら妻に怒られるからの。」
「へぇ…ザルバスさんにも奥さん居るんだ…」
「ああ。尻に敷かれとるわい。…無駄話はやめとこう、では診るぞい」
そう言うとザルバスは指を女性器に入れた。
カミュは恥ずかしい感じがしたが、手つきがいやらしくないのでじっと耐えていた。
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「ちゃんと子宮が膨れておるな。
膣も大人に比べたら狭いが大丈夫じゃろ。」
内診を終えてから下着を戻し、今度はお腹の服をめくった。
そしてザルバスはお腹の腹部辺りに手をあて目をつむった。
カミュはその様子をじっと見ていた。
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「うむ、素晴らしい気じゃ。こいつは良いドラゴンになる。
性別は…ほう、かなり珍しいの、女の子じゃ。」
「女の子?生まれにくいんじゃないの?」
カミュがザルバスに質問する。
「ああ。聞いた話だと女のドラゴンは1000年に一度産まれればよい方じゃときく。恐らく歴史上数人いればよい方じゃな」
「そ、そんなに珍しいんだ…」
カミュが改めて心配を覚える。
「大丈夫じゃ、心配をすることはない。
ガルディスもわしもついておる。二人居ればなんとかなろう。」
「うん…そうだね…」
そうして診察は終わった。
ちょうどよい所に、ガルディスも帰ってきていた。
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「爺、診察終わったか?」
どっさり木の実を持ってきたガルディスは聞いた。
「おぉ。今、終わったとこじゃ。」
「カミュ、お疲れ。異常はないか?」
「あぁ。膣も子宮も今のところは異常なしじゃ。」
爺こら聞いてほっとするガルディス。
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「それより、ガルディス。木の実ばかりではかわいそうじゃろう。
なにかつわりに聞くような食事を用意してやろう」
そう言ってザルバスは台所にむかう。
肉や野菜を煮込んだポトフのようなものを作っているようだった。
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「恐く暖かいと匂いで吐いてしまうから冷まして食べさせるのじゃ。」
「わかった。」
ガルディスにレシピを教え、ガルディスは素直にメモしていく。
その間診察で疲れたのかカミュは寝室でぐっすり寝ていた。
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「ではまた来月くるぞ。ではな。」
「ああ、暇ならたまに来てくれ。その方がカミュも喜ぶ。」
「考えておこう」
そう言ってザルバスは帰っていった。
「ふぁぁあ…ガルー、ザルバスさん帰っちゃったの?」
「ああ、料理も出来てるぞ。じゃあ、食べるとするか」
そう言うとガルディスは食事の準備を始めていた。
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「わぁー!美味しそう!」
カミュは木の実以外で久しぶりに食べれそうなメニューで嬉しそうだ。
「ザルバスが教えてくれたんだ。
冷めていれば、匂いがないと思うから食べられると思うけど。」
「うん!いただきまーす!」
カミュはニコニコで手を合わせて食べ始めた。
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ぱくぱく…もぐもぐ…
カミュはある分だけ全部食べる。
「ガル、おかわり!」
「ああ、たくさんあるから好きなだけ食べるといい」
「うん!」
そう言ってカミュは再び食べ始める。
久しぶりにまともな食事をしたカミュだった。
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「ふぅー食った、食った。」
お腹を触って満足そうなカミュ。
「爺に妊婦でも食べれそうなレシピを聞いたからこれからは毎日食べれるぞ。」
「よかった!木の実ばっかりで飽きたところだったんだ。」
カミュが嬉しそうでガルディスも安心した。
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数ヵ月後。
つわりも終わり、食欲がわきはじめるカミュ。
ちいさいせいかお腹も少し目立つようになっていた。
「ふむ…この分だと臨月にはかなり大きくなるのではないか…」
流石に不安を覚え始めるガルディス。
カミュのほうは気にせず食事をしていた。
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「おい、ガルディスいるかー?」
「ん?お客さん?」
カミュはあまり気にせずにご飯を食べている。
「ちょっと見てくる。」
ガルディスは席をたち、訪問者を迎えにいく。
「おぉー可愛い子だな。」
「ほんと可愛らしいわ。」
カミュのもとにやって来たのは幼い子供をつれたガルディスくらいの身長の男と160センチくらいの女性だ。
女性のお腹も膨らんでいる。
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「どうした、アメリア、サーディン。久しぶりだな」
「まあね。ガルディスが嫁さんを貰ったって聞いてやってきたわ。」
アメリアと呼ばれた女性が返事をする。
「そのお腹じゃ飛んでくるのも辛いだろうに…」
「私は慣れてるから大丈夫よ。サーディンは心配するけどね」
「ねぇ、ガル、その女誰なの?」
カミュが不審そうに訊ねる。
「あ、自己紹介がまだだったわね。私はアメリア。ドラゴンの女よ」
「へー!ドラゴンの女は始めてみるよ」
カミュが珍しそうに眺める。
「そして俺がその夫、サーディンだ。よろしくな」
「ああ、よろしく!ボクはカミュ!」
カミュが二人に挨拶をした。
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「可愛いわね。私が男のドラゴンだったら私がお嫁さんにしたいくらいだわ。」
アメリアはカミュを抱き締めながら言った。
「それにしてもガルディス、手が早いなあ。」
サーディンはカミュの体を特にお腹を見ながら言った。
「6ヶ月?7ヶ月かしら?」
アメリアもカミュのお腹を見ながらガルディスに尋ねた。
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「…まだ5ヶ月半くらいだ」
ガルディスが問いに答える。
「え、まだ5ヶ月?私と同じくらいね?それにしては大きくない?」
「ああ、恐らく彼女の体が小さいから大きく見えるのだろう。実際胎児が大きいからかもしれないな。」
「ふーん…そんなものかな?」
アメリアがカミュのお腹を撫でながら話す。
「ねぇ、アメリアさん、くすぐったいよぉ」
カミュが嫌そうに話しかけていた。
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「あら、ごめんなさいね。」
カミュのお腹から手を離すアメリア。
「カミュ、アメリアは既に5人の子持ちだから気になることがあったら相談しろよ。」
「あら、ガルディス、6人よ。」
「あ、失敬。」
アメリアが自分のお腹を撫でながら言うとガルディスは苦笑いをしながら謝った。
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一通り話した後アメリアとサーディンは帰っていった。
「アメリアさん、元気そうな人だねー」
「ああ。昔私も恋した事がある」
「え、ガルが?…なんか複雑な気持ちだなぁ」
カミュが不機嫌そうに呟く。
「ハハハ、今では恋してはいないから、心配するな。」
「うーん…でもぉ…」
カミュはまだ不機嫌そうだ。
それをみてガルディスは優しくキスをした。
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「ねーガルーなんかお腹の中でぐりゅぐりゅ動く。」
カミュはつわりがおさまってからは毎日3度お風呂に入っている。
「赤ん坊が動き出したんじゃないか?」
「お腹の赤ちゃんってうごくんだあー。」
カミュはお風呂で気持ちよくなったのか動き出した赤ん坊に夢中だ。
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「よーしよし、いい子だねー」
カミュは呟きながらお腹を撫でる。
「フフ、そうしているとまるでお母さんだな」
「ガルディス、まるでじゃなくてお母さんなんだよ?」
カミュが口をすぼませ不機嫌そうにする。
「ハハハ、すまんすまん」
ガルディスはにこやかに笑っていた。
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「ねー。ガルディスー。」
「ん?なんだ?」
「僕も誰かのお家訪問してみたいな。」
ふとカミュがサーディンたちの訪問で興味がわいたようだ。
つわりも、落ち着き、大分行動的になってきた。
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「うーむ…ドラゴンの知り合いは多くないからな…せいぜいアメリアのうちに良くいく程度だからな」
「それでいいよ!ボク、外に出れなくて暇してるんだ!」
ガルディスの言葉に瞬時に答えるカミュ。
その目は輝いている。
「分かった。じゃあ二、三日中にアメリアの住みかに向かおう、それでいいな。」
「うん!うわぁ、楽しみだなー!」
カミュは嬉しそうだ。
ガルディスはそれをみて微笑んでいた。
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カミュは生け贄という立場からこの辺りに姿を現すことはできないがアメリアの辺りはここから離れているため、
少しは外で息抜きもできるとガルディスは考えていた。
「ガル、アメリアさんのとこになに着ていこうかな?」
外出できることとアメリアに会えることでカミュはうかれていた。
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三日後、アメリアのうちに向かう日。
カミュは白いマタニティドレスを着ていた。
その姿はまさに妊婦のお母さんだ。
「良く似合ってるぞ、カミュ」
「えへへ、ありがとうガル!」
ボクという癖は抜けないが、段々と言葉遣いが女性らしくなるカミュ
それをみてガルディスは嬉しくなっていた。
「よし、じゃあ出かけるぞ。」
外に出たガルディスが光に包まれる。
光が開けた頃にはドラゴンの姿になっていた。
「背中に乗れ。心配だからゆっくり飛ぶぞ」
ガルディスはカミュにそう伝えていた。
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「わあー。ガル、森が紅葉してる!
いつのまにか秋になってたんだね!」
「おいおい、あまり身を乗り出すなよ。
落ちたら危ないから。」
「はーい。」
ガルディスに諭され、おとなしくなった。
「見えてきたぞ。あの洞窟がアメリアたちの巣だ。」
人間では到底これない谷にある洞窟にアメリアたちは住んでいる。
「今日は恐らくアメリアたちの子供たちもいるんじゃないか?
確かカミュくらいの子もいたはず。」
ゆっくりカミュに負担がかからないよう着地した。
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「やあ、アメリア。カミュが外出したいって言うから来たぞ」
ガルディスが洞窟にはいり挨拶をする。
「あら、ガルディス。久しぶりね、ここに来るのは。それにカミュ、久しぶり。」
「うん!久しぶりだね、アメリアさん!」
カミュは嬉しそうに返事をする。
「へえ、ガルディスの洞窟より広いかも!」
「ええ。だいぶ大所帯になったからね。広い洞窟を探して、移動したのよ。」
「ふーん、そうなんだ…」
カミュは興味津々で聞いていた
「あ!女の子だ!珍しいね!」
長い尻尾の少年がカミュを見つけ、嬉しそうに近づいてきた。
「このこ、誰?アメリアさんの息子?」
「ああ、ダヴィンだ。お前と同じくらいの成長だな。まだ人間に変化するには未熟みたいだな。」
「そうなんだ!よろしくね、ダヴィン!」
「うん、よろしく!…でも、スゴいお腹だね!お母さんみたいに赤ちゃん居るの?」
「うん、お母さんとおなじくらいの週数だって!」
「へぇ!スゴいなぁ…」
カミュとダヴィン。成長が同じくらいのせいか、意気投合してるようだった。
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「ままぁ。」
奥の部屋からでてきた子は長い尻尾と翼が生えている。
「あの子は?」
「あの子はレヴィンだ。まだまだ完璧な人間にはなれそうにないな。」
「ふぅーん。」
レヴィンは見た目はまだ5歳くらいといったところでまだまだ甘え足りないのかアメリアに抱きついてカミュをみている。
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「ところでアメリアさん、残りの3人はどこにいるの?」
カミュがアメリアに訊ねる。
「みんな成人を迎えて自立してるわね。ドラゴンはそんなに居ないから、そのうち出会うことも有るかもしれないわね」
「ふーん、そうなんだ。会えないのは残念だなぁ…」
カミュが不満そうに呟く。
「まぁ良いだろう。二人も会えたんだからな。気分転換になるだろう。」
「うん、ガル!なんかお姉ちゃんになったみたい!」
カミュは嬉しそうにガルディスに話していた。
-
アメリアの家でご飯も呼ばれることになり、皆が席についた。
「ふふっ。
今日はお客様がいるから頑張っちゃったわ。」
アメリアはいろいろな料理を運んできた。
「わー!美味しそう!!」
「ママのご飯は何でも美味しいんだよ。」
「そうそう。」
ダヴィンとレヴィンは身を乗り出してみているカミュに嬉しそうに言った。
-
肉料理、魚料理、サラダにスープ、パン。
それらの全てが手作りと言うからスゴい。
「いただきまーす」
「いただきます。カミュちゃん、遠慮しないで食べてね。」
「うん、ありがとうアメリアさん!」
カミュが嬉しそうに話す。
「ところでアメリア、サーディンはどうした?」
ガルディスが質問する。
「サーディンなら今森に釣りに行っているわ。魚が減ってきたからね。」
「ふーん」
カミュは興味がない風に話す。
それより食欲の方が勝ったようだ。
ぱくぱくと勢いよく食べている。
ダヴィンとレヴィンは驚いた顔でみていた。
「全く、その小さな体のどこに入ってるんだ?」
ガルディスが苦笑いしながら訊ねていた。
-
「だって2人分食べてるんだよ!
それにこの前までは食べろたべろいってたのに!」
カミュはご飯を食べながらニコニコしていう。
「でも食べすぎもよくない気が。」
ガルディスは苦笑いをしている。
-
一通り料理を食べ終えたカミュは満足そうにお腹を撫でていた。
「うーん、食べた食べた!美味しかったよ、アメリアさん!」
「うふふ、ありがとう。これだけ美味しそうに食べてくれると作る方も嬉しいわ」
アメリアも嬉しそうに話す。
「お姉ちゃん、あそぼ!」
「カミュ、あそぼ!」
弟のレヴィンと兄のダヴィン、二人に誘われ、カミュは遊び場へと向かっていった。
-
か
-
暫くしてアメリアと話しているガルディスの元に3人でやってきた。
「ママ、森にいってきていい?
この辺案内したいんだけど。」
「そうね。ガルディスに聞いたら?」
「ガル、いい?」
カミュがガルディスに上目遣いでお願いしている。
「私も着いていく。」
「じゃあ私の子達もよろしくね。」
ガルディスとカミュたちは近くの森にいくことにした。
-
ドラゴンの姿になったガルディスの背中に3人が乗り、飛び立つ。
暫く飛ぶと森が見えてきた。
「スゴい!広そうな森だね!」
「ああ。私もここにくるのは久しぶりだ。」
着地出来るところを探しガルディスが着地する。
降りた先には道があった。
「へぇ、ちゃんと道もあるんだね」
「ああ。人間もよくここを使うらしいからな。」
「へえ、スゴいなぁ」
カミュは感心する。
「お姉ちゃん!お父さんの釣り見に行こう!」
「湖はこっちだよ、カミュ!」
二人に手を引かれ連れられるカミュ。
「おい、ちょっとまて、急がせるなよ、赤ちゃんがいるんだぞ!」
カミュがブツブツ言いながら連れられる。
ガルディスはそれを見ながら苦笑いして付いていった。
-
「わぁ!?」
「おっと、カミュ、気を付けてくれよ。」
「ありがとう。」
道があるといっても凹凸がないわけではないため、カミュが躓きそうになったため、すかさずガルディスが支えた。
「お父さん!」
「パパ!」
ダヴィンとレヴィンはサーディンの姿を見つけて一目散に走っていく。
-
「よう、サーディン。久しぶりだな」
「サーディンさん、久しぶり!」
カミュとガルディスがゆっくりと近付き話しかける。
「よう、ガルディス、カミュちゃん。久しぶりだな」
サーディンがダヴィンとレヴィンを抱きながら話す。
「釣りはどうだった?」
「大漁だったよ。そうだ、後で帰るときに分けてやるから、二人で食べてくれ」
「ああ。よろしく頼む!…帰るか、サーディン」
「ああ。よろしく頼むぞ、ガルディス」
5人はもとの道を戻って行った。
-
ガルディスはカミュをサーディンが子供たちを背中にのせ、洞窟に帰ると
洞窟からはいい臭いがしてきた。
「あら、サーディンもお帰りなさい。」
「ただいま。大漁だぞ。」
「ふふっ。
カミュちゃん、みんなもケーキを焼いたから食べましょ。」
「ケーキ!」
カミュは嬉しそうに言った。
-
リビングに向かうとそこには大量のケーキがあった。
「ふふふ、カミュちゃんがたくさん食べると思っていっぱい作っちゃったわ。食べるでしょ、カミュちゃん?」
「うん!ボク、ケーキ大好きだもん!」
そう言うと嬉しそうに椅子にすわるカミュ。
ガルディスやアメリアたちも座り、ティータイムが始まった。
-
「また遊びに来てよ!」
「絶対だよ!」
ダヴィンとレヴィンは名残惜しそうにカミュに抱きついて言った。
「また遊びにくるからねー。
ばいばーい!」
アメリア家族に別れを告げ、祭壇に帰った。
一週間たち、今度はザルバスのところに診察にきた。
「ガルディス、最近カミュを甘やかしていないか?
少しふっくらし過ぎておるぞ。」
-
「うむ、最近私も気になっていた。少し食べ過ぎな気がするな」
「食べるなとはいわん、栄養をつけるのは大事だからな。
ただ、太りすぎると出産が辛くなるぞ?
安定期だ、どこか運動できる場所に連れて行った方が良い。」
「運動できる場所か…この辺りでは村人と鉢合わせするだろうからな…
となればやはり、アメリアの近くの森の湖か…」
「うむ。水泳ならさほど身体に負担をかけず運動になるじゃろ。」
「ではカミュに相談してみよう。」
そう言うとガルディスはカミュの寝室に向かう。
-
カミュにアメリアの近くの湖で泳がないか提案してみた。
「そんなわけだから少し泳いでみないか?」
「えっ。泳ぎ?」
いつもだと喜びそうだが、カミュは嫌そうにしている。
「どうした、カミュ?」
「ぼ、僕、水はちょっと。。。」
カミュは金づちだったのだ。
小さい頃に溺れてから怖くてしかたがないのだ。
-
「大丈夫だ、私が泳ぎを教えてやる。直ぐに上達するぞ。」
ガルディスが優しくカミュに語りかける。
「…うん、分かった。赤ちゃんとボクのため、だもんね」
「ああ、では明日から特訓を始めよう」
「うん!」
そうして、カミュの水泳の練習が始まったのだった。
-
「よく来たな、ガルディス。」
「あーカミュお姉ちゃん!」
「カミュ!」
サーディンと一緒にダヴィンとレヴィンも来ていた。
「わーい!」
「カミュも早くおいで!」
泳げないと知らないダヴィンとレヴィンがカミュを呼ぶ。
-
「う、うん…ちょっとまって…」
カミュは恐る恐る水にはいる。
どうやら足がつくところまでは入れるようだ。
それ以上は足が進まない。
ガルディスに掴まり、震えていた。
「あっ…」
カミュが驚いた顔でお腹を撫でる。
胎児が応援するように動いたのだ。
「うん、そうだね、赤ちゃん。ボク、頑張るから…」
そう言うとカミュはガルディスの腕を持ちばた足の練習をしていた。
-
「カミュいいぞ。その調子だ。」
「うん。」
赤ちゃんのためとカミュも真面目に取り組んでいた。
「今は特に体が浮きやすくなってるからなにもしなくても浮くことができるんだぞ。ほら。」
「わぁ!?」
ばちゃばちゃ
「危ない、危ない!?」
溺れそうになるカミュを支える。
「もう!手を離さないでよぉ!」
「すまん、すまん。」
-
「慌てず水に身を任せれば普通に浮けるぞ。アメリアなんかはよくここで水中出産するらしいな。
少しは陣痛が和らぐそうだ。」
「へー、ボクもやってみようかなぁ…取り合えず浮く練習からしないとだけど。」
話ながら泳ぎの練習をするカミュ。
サーディンとダヴィン、レヴィンは黙って眺めていた。
その目は優しかった。
-
「まさかガルディスがここまで甘くなるとはなー。」
「ガルディス、昔はどうだったの?」
「聞きたい、聞きたい!」
「昔はもっとツンツンしていてな。嫁もめんどくさいからいらないっていってたくらいだ。」
サーディンが笑いながら言った。
「おいおい。昔の話はいいだろ。」
-
「そうかー、ボクがガルを変えたのかー。
なんか嬉しいな、そう言うの」
カミュが水に浮かびながら話す。
「お、手を離しても浮いているじゃないか。これなら普通に泳げるだろうな」
「え、あれ?ほんとだ。いつの間にか浮いてた。気づかなかったなー」
カミュも嬉しそうに話す。
「お姉ちゃん、一緒に泳ご!」
「カミュ、一緒に泳ご!」
レヴィンとダヴィンがカミュを誘う。
「うん!」
カミュはレヴィンとダヴィンの方へと泳いで行った。
-
「大分、カミュちゃん、女らしくなってきたじゃん。」
「カミュじゃないけど私が変えたのかな?」
「よく言うな。
生け贄の日に妊娠させた男が。」
サーディンとガルディスは子供と妻を見ながらも談笑していた。
-
「おい、そろそろ上がらないと身体が冷えるぞ。赤ちゃんに悪い。」
ガルディスがカミュに話しかける。
「分かったー。今いくー」
ゆっくりと泳いでいくカミュ。
暫くして岸についた。
「おい、ガルディス、カミュちゃん。スープでも飲んで身体を暖めないか?」
サーディンがガルディスとカミュに提案する。
「それは助かる。カミュ、良いよな?」
「うん!ボクはかまわないよ。」
「じゃあうちに来てくれ、ご馳走するよ」
そう言うとガルディスとサーディンはアメリアの住みかに向かっていった。
-
「あら。お帰りなさい。
あらあら、カミュちゃん、それにガルディス、いらっしゃい。」
「アメリアさん、こんにちは。」
「温かいスープ作ったから食べていってね。」
「ありがとうございます!」
「いつもすまんな。」
「ガルディス、いいのよ。」
アメリアはニコニコして言った。
-
「いただきまーす」
6人が揃ってスープをのむ。
人一倍飲むのはやはりカミュだ。
「おい、カミュ。そんなに飲んだらまた太るぞ」
「う…ごめんなさい。我慢するよ赤ちゃんのため、だもんね」
「ああ。頼むぞ。」
ガルディスが笑顔で話す。
「ふふふ、仲の良い夫婦ね。妬けちゃうわ」
「子供が産まれたらまた抱いてやるさ。」
「あら、また赤ちゃん出来ちゃうわね」
サーディンとアメリアの方も仲良く話をしていた。
-
「ところでアメリアさん、湖で出産したことあるんですよね?
出産ってどんな感じ?」
出産が痛いとは思ってもみないカミュは、
アメリアに興味津々だ。
-
「そうね。痛くて、辛くて、苦しくて。二度と産みたくないと何度も思ったわ。」
「え!そんなに辛いの!?怖いよ、ボク…」
カミュが不安そうにする。
「でもね、カミュちゃん。産まれてきた赤ちゃんの顔をみたら、全てが吹き飛んで、また、産みたいなぁ…って思うようになっちゃうの」
アメリアが嬉しそうに話をする。
「ふぅん…よくわからないな、その気持ち。」
不思議そうに話すカミュ。
「貴女も産んでみたらわかるわ、カミュちゃん。すごく、幸せな気持ちになるの。」
アメリアはそう言って話を切り上げた。
-
カミュはダヴィンとレヴィンの部屋に遊びにいっている。
「さっきはありがとう。」
「なんのこと?
私はほんとうのことしか言ってないもの。
痛いだけなら一人っ子で終わってるわよ。
6人も産もうと思わないもの。」
アメリアはニコニコしながら言う。
「ザルバスと困ってたんだよな。
男には痛そうとか苦しそうしか言えないし。」
ガルディスは苦笑いをしながら言った。
-
「お姉ちゃん、寝ちゃったよー」
レヴィンがリビングにやってきてガルディスに話しかける。
「そうか。泳ぎ疲れたんだろう。…アメリア、サーディン。お暇するぞ。アメリア、今日は色々ありがとう。」
「どういたしまして。知りたいことが有ったらいつでもきて良いわ。まってるから」
「ああ、よろしく頼む…」
「なんだったら助産してもいいわ、ザルバスに出来ないこともあるでしょ。」
「うむ。そのときは頼むぞ。」
そう言うとガルディスは寝ているカミュを背中にのせ飛んでいった。
-
水泳のお陰で大分体重の増加は阻止することができた。
「カミュ、大分頑張ったようじゃな。」
「うん!
頑張って泳いだからね。」
「そうじゃ。今日は妻がおるから会ってくか?」
「うん!」
「じゃあ会う前に今日は赤ん坊の出口を診るから内診といつもの診察をするぞ。」
「はーい!」
カミュは大人しく足を開いた。
-
「…いたっ」
ザルバスの手つきは優しいが、奥のほうをつつかれると少し痛い。
「む、これはいかんな」
ザルバスの顔が少し難しくなる。
「え、どうしたんだ?何か良くなかった!?」
「子宮口が少し開いておる。頑張って運動しすぎたな」
「そんな…。ボクと赤ちゃんはどうなるの?」
カミュは不安でシーツを握りしめた。
「このままだと早産なるかもしれん。そうならないように、しばらくは絶対安静じゃ。ガルディスを呼んでくるから、そのまま横になっとりなさい」
それからカミュは、食事もベッドの上の安静生活をすることになった。
そのころカミュの村では、二人の兄達がどうしても生け贄になった妹のことが心配になり、村人に気づかれないようにこっそり神殿を目指し旅立ったところだった。
-
「ガルー次あれ持ってきてー。」
ベットの住人になってから暇になったため、
横になったままできる読書を起きている時間はしていた。
「これだな。」
ガルディスも付きっきりで面倒を見ている。
-
「ん!
(まだお供え物をもってくる時間ではないぞ。)」
「ガル?」
「何でもない。
木の実を取りに行く時間だと思ってな。」
「じゃあ僕はもう一寝入りするね。」
「あぁ。
おやすみ。」
カミュが寝たことを確認すると祭壇近くに向かい、ドラゴンの姿に戻り、気配の正体を待つ。
-
「ふむ。カミュの兄達ではないか。…どうした、急に」
「か、カミュのことが心配で来たんだ!」
「頼む!会わせてくれ!」
二人は震えながらガルディスに話す。
「…仕方ない、会わせてやろう。だが、驚くんじゃないぞ」
そう言うとガルディスは人間の姿になり二人を案内した。
-
「この部屋だ。
さっき寝たばかりだから恐らくまだ起きないが。」
ガルディスは兄達をカミュが眠っている寝室に案内した。
-
兄弟は驚いた。
カミュが女性らしい服を着ている。
いや、それだけではない。
大きく膨らんだ腹。それは有ることを示している。
「に、妊娠してんのか、カミュ…」
「バカな…まだ10くらいなんだぞ!」
二人の兄は驚きを隠せなかった。
-
「で。安心しただろ?
お引き取り願おう。
」
「なにを!」
「おまえには任せておけない!!
カミュは連れて帰る!」
兄達はナイフをガルディスに向ける。
「やっぱり会わせるべきではなかった、か。」
ガルディスはナイフを見せられても動じてはいない。
ガルディスはそういうとドラゴンの姿に戻った。
-
「そもそも、お前たちはカミュに何も教えず、どうする気だった?」
ドラゴンの姿のまま、そう質問する。
「そ、それは……」
「言え、言わぬなら帰れ!」
ガルディスは怒気をはらんだ声でそう言い、威圧した。
「死ね、化け物!」
カミュの兄からの返答は、その言葉とナイフの一撃だった。
-
「ぐっ!?」
カキン
「そんな馬鹿な。」
ナイフがおとをたてて割れてしまったのだ。
「これでわかっただろう。
お前らでは私には勝てん。」
「わあー化け物ーーーー!」
「まてー!」
兄たちはガルディスに恐れをなし逃げ出していった。
「いったか。。。ぐっ!」
ナイフは折れてしまったが、無傷と言うわけにもいかず、人間の姿に戻ると腹部の服は血がにじんでいる。
-
「おはよう…ガル…って、どうしたのその傷!」
目が覚めたカミュは血を見てパニックになる。
「大丈夫…かすり傷だ…風呂には入れば自然に治る」
「で、でも…万が一があるじゃん!ボク、ガルが居ないと何も出来ないよ…」
「心配するな…お前を置いて先に死なない。約束しよう。」
「本当に?信じちゃうよ、ボク。」
まだ不安そうなカミュ
ガルディスは優しく抱きしめていた。
-
「あらあら。相変わらず仲がいいことで。」
「あーアメリアさん!!」
アメリアの姿をとらえ、すっと離れた。
「カミュちゃんが絶対安静って聞いてお暇じゃないかとクッキーやいたから届けにきたの。
お邪魔だったかしら?」
アメリアは微笑みながら言う。
-
「アメリア…そうだお前、回復魔法使えたんだよな」
「ええ。簡単なのはね。ふふふ、言いたいことはわかるわ。カミュちゃんが心配するから治してくれ、でしょ?」
「ああ。察しが早くて助かる。…頼めるか」
「もちろんよ。じゃあ、ベッドに横になって」
ガルディスを横にさせ、何やら唱えはじめるアメリア。
その顔は真剣だった。
-
「ふぅー。
終わったわよ。」
「ありがとう。
身重なのに悪かったな。」
「これくらいの軽症なら全然よ。」
「すごーい!
アメリアさん、ありがとう。」
「どういたしまして。
回復魔法は女のドラゴン特有なのよ。お役にたてて嬉しいわ。」
-
「それじゃ、顔見に来ただけだから、また今度ねカミュちゃん。クッキーの感想よろしくね。
あ、お二人さん、ごゆっくりー」
「お、おい。ごゆっくりってなんだよ…」
ガルディスがあたふたと慌てた顔をする。
カミュはそれを見てクスクス笑っていた。
-
「ガル。もう大丈夫なの?」
ガルディスの体をペタペタ触りながら心配している。
「アメリアはもとは回復魔法でお金を稼ぐこともしていたぐらいだ。
ほら、何ともないだろ?」
ガルディスは服を捲って言った。
-
「ふぅん、アメリアさん凄いんだねぇー。」
カミュは感心した感じで話す。
「体力をつかうらしいから妊娠中の今はあまり使ってないらしいぞ。」
「ふーん、珍しいもの見れたんだねぇー」
カミュは嬉しそうに話す。
そんなこんなで、安静にして数ヵ月。
カミュもアメリアも、臨月を迎えていた。
-
「そろそろいつ産まれてもおかしくない。」
「もうすぐ産まれるの?
怖ぃな。。。」
カミュは少し怖じ気付いて言った。
「わしも今日から泊まるから安心しなさい。」
「ぅん。」
-
「なんで私までガルディスの家に連れてきたのよ?」
不満そうにアメリアが話す。
「仕方ないじゃろ、産婆の人手不足じゃ。経験者がほしいからの。
それに万が一、二人が同時に出産が始まった場合行き来するのが面倒じゃからの。」
ザルバスは飄々と話す。
サーディンとダヴィン、レヴィンも付いてきていた。
ガルディスの住みかは一気に大所帯になっていた。
-
「カミュ、これとってきたぞ。」
「カミュお姉ちゃん、似合うね。」
ずっと洞窟に籠りっぱなしが苦手なダヴィンとレヴィンは土地勘のあるガルディスとよく散歩に出掛け、
カミュにお土産をもって帰ってくる。
-
持ってきたのは花で出来た冠だ。
「レヴィンとダヴィンが作ってくれたんだ」
「へぇ、凄くかわいいなぁ…」
「そうじゃ、お主ら未だに結婚式を挙げてないんじゃろ?これを期にやったらどうじゃ?」
ザルバスが二人に提案する。
「うん、良いかもしれないね!暇だし!」
「…では準備してこよう。」
ガルディスがドレスの用意をする。
このとき、少しずつカミュのお腹が張りはじめていたのだが、出産の経験がない彼女にはわからなかった。
-
「アメリアさん、どう?
変じゃない?」
ドレスに着替え、髪の毛とメイクはしたことがないカミュに代わり、アメリアが手伝っていた。
「できたわ。
とっても似合うわよ!
とっても可愛いわ。」
アメリアはカミュに微笑み、鏡を渡した。
-
「うわぁ…」
そこには美しい少女がいた。
「これ、私?」
「あら、珍しいわね、私って言うのは」
カミュが私と言ったことに対して興味を持つアメリア。
「だって、もうお母さんになるんだもん。ボクじゃなんか様にならないしね。」
「ふふふ、そうね…」
笑顔で話していたアメリアが一瞬顔をしかめる。
カミュほどではないが、彼女も腹の張りを感じていたのだ。
(そろそろ、かしらね…)
「どうしたの、アメリアさん」
「ううん、なんでもないわ。ほら、ガルディスもまってるわよ、早くいきましょ♪」
アメリアは誤魔化してカミュを祭壇に向かわせた。
-
式も終盤に差し掛かり、いよいよ誓いのキスで終わりというところまできた。
「誓いのキスを」
ザルバスの言葉でキスをしようとしたときだった。
「うぅ〜。ぉなか、ぃたぃょぉ〜〜。」
カミュはその場にうずくまってしまった。
-
「ザルバス!」
「ああ、陣痛が始まったようだ。式は中止して部屋に向かうぞ。アメリア、手伝いお願いするぞい。」
ザルバスがアメリアに話しかける。
「え、ええ。分かったわ…」
アメリアも返事をするが不安そうだ。
実はこのとき、アメリアにも陣痛が起きていたのだった。
-
「うぅ〜〜。」
カミュは四つん這いになり、おしりをつき出すような形で陣痛が来ると唸って陣痛に耐えていた。
「まだ陣痛は微弱のようじゃな。
ほれ足を開いてみい。」
ザルバスに言われた通り、足を開いた。
-
「子宮口の開きはまだまだのようじゃの。この分だとまだしばらくかかるじゃろ。」
「えぇぇ…こんな辛いの、まだ続くの…」
カミュは不安そうに話す。
「大丈夫じゃ、ワシもガルディスも、アメリアもついておる。心配するな、な、アメリア。」
「え、えぇ…そうね…」
アメリアの陣痛も少しずつ強くなっている。
だが、カミュが心配しないように、必死に我慢して耐えていた。
-
「ガル〜。っ! うぅ〜〜。」
「まだのようじゃな。」
二時間たっても子宮口の開きが悪いのかあまり変化は見られない。
カミュはガルディスに抱きついて陣痛に耐えるしかなかった。
その頃アメリアは陣痛が隠すのが難しいほど強くなっていた。
-
「痛い〜、いたいよお〜。ぅう、おかあさ〜ん…」
まだ出産は序盤だというのに、カミュは慣れない痛みに疲れ果てもうぐったりとなっていた。
「カミュ、辛いな…。すまない…、頑張れ、頑張れ…!」
「はあ、はあ…、ぅう、ううう〜〜〜」
ガルディスにはそんなカミュを支え、腰をさすり励ますことしか出来ない。
その様子を見守っていたアメリアは、下着に湿り気を感じ、
誰にも気づかれぬようにそっと部屋を出た。
-
「やっぱり、破水、したみたいね。っ!」
アメリアは下着の中に手を入れ、破水をしたことを確認した。
「アメリア、大丈夫か?」
ちょうど子供たちを昼寝させたサーディンがやってきた。
-
「大丈夫。カミュちゃんに心配かけたくないから、お風呂を借りたいわ。ガルディスに頼んでくれるかしら」
「分かった、伝えておこう。」
サーディンはそう言ってガルディスの元へ向かう。
アメリアはそれを見て陣痛に耐えながら風呂の方に向かっていった。
-
お風呂場に着くと同時にサーディンもやってきたため、来ている服を脱ぐのを手伝ってもらう。
「破水したのはわかったんだけど、ちょっと、診てくれる?ダヴィンとレヴィンの時みたいに。」
アメリアは元々安産でダヴィンとレヴィンの時はザルバスが間に合わず、サーディンが介助していたのだ。
サーディンも服を脱ぎ、温泉にはいる。
-
「子宮口の開きはまだまだだね。時間がかかると思うよ」
サーディンが触診をして確かめる。
「そう…赤ちゃん、もう少し我慢してね…」
陣痛に耐え、お腹を撫でながら呟くアメリア。
一方のカミュは…
-
「ガル、ガル、ぃたぃょぉ〜〜。
もぅむりいぃぃぃ!!」
「頑張れ。
ほら、この辺りはどうだ?」
「もぅちょっと、みぎ、そこぉぉおお!」
ガルディスに腰を押さえてもらっている。
「ふむ。やっぱり子宮口が全然開かないな。
おい、ちょっと、ガルディス。」
「ん?」
「わしはちょっと、アメリアの様子を見てくる。
お主は迎え棒をするのじゃ。」
「迎え棒?」
「ようするに性交じゃ。」
ザルバスはにやっと笑いながら言った。
-
ガルディスは顔を赤らめるが、カミュはなりふり構ってられないようだった。
「うぐぅぅー!楽になるならなんでも良いよ!お迎え棒でもなんでもして!」
泣きながらガルディスに懇願するカミュ。
ガルディスも覚悟を決めたようだ。
-
「じゃあわしは席をはずすからな。
ガルディス、頼むぞ。」
「あぁ。はぁ〜。カミュ、仰向けになって足を開けるか?」
「ぅ、ぅん。」
ザルバスがでていくとため息をつき、カミュを支えながら仰向けにし、足を開かせた。
-
「いきなり行くぞ…」
そう言うとガルディスは一気にカミュに挿入する。
「痛いぃ!でも、気持ち良いぃ!」
ガルディスのものを受け入れるのはそんなになかったが、カミュは快感を覚えていた。
しかし、その顔がすぐに歪む。陣痛の間隔が短くなりつつあるのだ。
「動くぞ、カミュ…」
ズチュ、ズチュ
ガルディスの腰がグラインドする。
陣痛の痛みと快感が同時に襲い、カミュは訳がわからなくなっていた。
-
「ひあぁん!んぅ〜〜、ガル〜〜もっとおくぅ〜〜!」
陣痛に耐えながらもカミュは快感に浸り、自らも腰を振りだした。
「カミュ、これでどうだ?」
ガルディスも熱がはいってきたためか、カミュの奥を何度もついた。
-
「うっ…出るぞ、カミュ!」
ガルディスが射精の宣言をする。
「うん、出して、カミュ!受け止めるからぁぁぁ!」
陣痛と快感で涙や汗を垂れ流しながらカミュが答える。
ビュクッ、ビュルルル
長い長い射精が始まった。
カミュとガルディスは快感に身を委ねていた。
一方、アメリアの様子はと言えば…
-
「うぅ〜〜。あら、ザルバス。」
「こっちは6人目だから落ち着いてるな。」
「はぁ、はぁ、まだ、まだよ。」
アメリアは陣痛が来る度に腰を揺らして陣痛に耐えている。
サーディンはアメリアの腰を擦っていた。
-
「うむ、子宮口の開きは悪くない。この分だと数時間たてば息めるじゃろ。」
触診したザルバスがアメリアに伝える。
「はぁ、はぁ、…まだ、そんな先なのよね…カミュちゃんに謝っておいて…手伝えなくて、ごめんて…」
「おう、伝えるぞい。だから心配するな。」
「頼んだわよ…うっ、ふぅぅうん!」
サーディンのマッサージを受けながら、アメリアは陣痛に耐えていた。
ザルバスはまたカミュの元に戻っていった。
-
「そろそろ終わったかの?」
ザルバスはニヤリとやってきた。
「あ、あぁ。」
ちょうど射精し終わったガルディスはさっと抜く。
カミュの股間からは白濁した液体がポタポタ流れ出している。
それでもまだ破水はしていないようだ。
-
「ふむ、子宮口が前より軟らかくなってるかの。この分なら大丈夫じゃろ。ただ、時間はかかるじゃろうな…」
ザルバスが不安そうに呟く
「だ、大丈夫だよ…私にはガルディスがいるから…ずっとそばにいてくれると安心するんだ…」
「ふふふ、妬けるのう、お二人さん。」
「それより、アメリアさん、どうしたの?さっきから見えないけど…やっぱり、陣痛来てるの…?」
カミュは心配そうに訊ねる。
-
「そうじゃな。でも安心せい。
向こうは既に5人も産んだベテランじゃ。」
「ぅん。」
「なんならアメリアの元にいくか?
アメリアは温泉で大分楽になるって前にいってたからのう。体もベタベタじゃろ?」
-
「うん…、やっぱりアメリアさんがいると安心だよ…」
カミュがそう呟く。
「分かった、カミュ。私が連れていこう」
そう言ってガルディスは背中にのせ風呂へと向かう。
-
「ふぅー。ふぅー。
あら、カミュ、ちゃんも、きたのね。」
「ぅん。」
ガルディスに服を脱がせてもらい、
ガルディスに抱き上げてもらい、湯船に浸かる。
アメリアの隣にカミュも位置付いた。
-
「アメリアはもう息んでも大丈夫じゃろ。カミュはまだもう少し先じゃな」
ザルバスが触診しながら話す。
「はぁ、はぁ、…ふぅぅうん!」
アメリアは顔を真っ赤にして息み始めた。
「ふー、ふー、うぐぅぅー!うぐぅぅー!」
カミュは必死に息みの衝動を我慢している。
二人の出産はまだ時間がかかりそうだった。
-
「はぁ、はぁ、ザルバス、もぅ我慢、できないわ。ガルディス、ちょっと、カミュちゃんを。」
「あ、あぁ。」
ガルディスは悟りカミュを一端温泉からあげると、アメリアはドラゴンの姿に戻った。
元々ドラゴンの女が出産するときはドラゴンの姿で出産するのだ。
-
「うわぁ…アメリアさん、凄く大きい…」
初めて変身を見たカミュが驚く。
「ドラゴンは…メスの方が大きいの…赤ちゃんを、無事産めるように、ね…」
アメリアが苦しそうに話しかける。
アメリアの膣からは、胎児の頭が見えてきていた。
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「んんぅーーー!」
ドラゴンになり、力が存分に出せるせいかぐりゅりと少しずつ胎児の頭が排出されようとしていた。
「頭が半分見えてきた。
その調子じゃ。」
ザルバスはアメリアの下半身の方でアドバイスする。
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一方のカミュは、体が小さいからか、出産が難航していた。
「ぐぅぅぅー!痛いよ!助けて、ガル、ガルぅ!」
苦しみながら泣き叫ぶカミュ。
ガルディスは背中をマッサージしながら、ひたすら無事な出産を祈るしかなかった
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「まだだな。」
ザルバスがアメリアに掛かりっきりになっているため、アメリアの出産で介助経験のあるサーディンが代わりにカミュの子宮口を確認した。
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「はぁ、はぁ、はぁ…ま、まだなのぉ…」
カミュはもう疲労困憊だ。
息むことすら辛いかもしれない。
だが、痛みはひっきりなしに襲いかかる。
「ガル…万が一の時は、私のことより赤ちゃんを優先して…」
カミュは虚ろな目でガルディスに話しかけていた。
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「何言ってるんだ?
ザルバスもいるから大丈夫だから。今は耐えてくれ!」
ガルディスは腰をさすりながら励ますがガルディスもはじめての妻の出産に焦りを考えている。
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「おぎゃあ、おぎゃあ!」
温泉の方から泣き声が聞こえる。
アメリアの赤ちゃんが産まれたのだ。
「おう、アメリア。元気な男の子じゃぞい。」
産まれた赤ちゃんをアメリアに抱かせるザルバス。
アメリアも嬉しそうだ。
「この子の名前、考えないと…」
アメリアはニコニコしながら呟いていた。
「じゃあ、ワシはカミュの方に向かう。あとは頼むぞ、サーディン。」
ザルバスはサーディンと交代してカミュの方に向かっていった。
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「カミュ、辛そうじゃな。」
「はぁ、はぁ、ザル、バス。
まだ〜〜?」
「初産と言うものは時間がかかるものじゃからな。
少し楽になるようにするわい。
ガルディスカミュの下にタオルを敷くのじゃ。」
ガルディスがカミュの下にタオルを敷く手にオイルを塗り、肛門に手を入れたのだ。
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「な、なにするのぉ…」
「マッサージじゃ。あと、今のうちに排泄しておけば少しは楽になるぞい」
そう言うとザルバスはカミュの肛門のなかに指をいれグリグリ動かし始めた。
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「ぃ、いやぁぁぁ。
なんか、へん、へんなの、んんぅ〜〜。」
肛門へははじめての異物であり、痛いわけでもなく、違和感だけがあるようだ。
「動くではない。
ガルディス、少し押さえておれよ。」
ガルディスはカミュの足を開いたまま押さえた。
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ザルバスはグリグリとマッサージし続ける。
「ふぁぁ、なんか、少し、楽になったかもぉぉ!」
カミュの顔に生気が戻る。
ガルディスはカミュの顔を見て安心していた。
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「ガルディス、桶と麻布をもってこい。」
「わかった。」
桶をガルディスが桶と麻布を取りに行き、持ってくると桶の中に麻布をひいた。
「そろそろ便をかき出していくぞ。」
ザルバスはそういうとさらに手を伸ばした。
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「うぅーん!なんか、変な感じだよぉ…」
カミュは尻穴を弄られ、桶のなかに汚物が溜まっていく。
「よし、これでよいじゃろう。どうじゃ、痛みの方は?」
「うん、少し楽になった気がする…」
カミュは恥ずかしそうにしながら呟いていた。
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「大丈夫?
カミュちゃん。」
暫くして出産が終わり、着替えが完了したアメリアがやってきた。
ドラゴンは体か丈夫のため出産が終わった直後ても動けるのだ。
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「ううん…お腹、ずっといたい…私、怖いよ…」
カミュは不安そうに呟く。
「大丈夫よ、カミュちゃん。貴女なら無事に産めるわ、私が保証する。」
アメリアも優しく励ます。
カミュの子宮口は、ようやく全開しそうになっていた。
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「カミュ、息んで大丈夫じゃ。
ヘソを見るように息むのじゃ。」
「んんー!!」
ザルバスに指示を出してもらい、ガルディスが手を握り励ます。
「カミュちゃん、頑張って。
息みたいと思った時に息むのよ。」
アメリアも励ましてくれる。
-
しかし、なかなか出産は進まない。
胎児がカミュに対して大きいのと、長い陣痛での疲れが原因だ。
カミュは虚ろな目で息んでいた。
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「うーんっ、うーーんっ。はあはあ、ふうー、…ダメ、出ない〜」
カミュは幼い身体で懸命に息むがなかなか出てこない。
「痛いよぉ、苦しいよお〜。ボク、もう出来ないよお〜」
カミュはあまりの苦しさに、泣きながらガルディスにしがみついた。
-
「ちょっと、待ってて。
サーディン、サーディン!」
「どうした?」
違う部屋にいたサーディンがやってきた。
「ちょっと、お願いがあるの。」
「わかった。ちょっといってくる。」
サーディンがアメリアに赤ん坊を渡し、サーディンは部屋から出ていった。
暫くするとサーディンとまた違うドラゴンの女がやって来た。
「ママー。きたわよ。ガルディスも久しぶりだね。」
「おーアリィーゼ、久しぶりだな。」
「早速だけどアリィお願いできる?」
「もちろん。」
そういうとカミュの近くにアリィーゼは行き、カミュの胸の辺りに手をかざした。
アリィーゼはアメリアの娘で体力などのフィーリング魔法の使い手なのだ。
-
アリィーゼのお陰で、体の芯から力が湧いてくるカミュ。
真っ赤な顔をしながら、必死に息んでいた。
「ふー、ふー、ふぅぅぅ!」
ズルリ。
ようやく、胎児の頭が出たのだった。
-
「カミュ。
さわってみるのじゃ。」
「な、なにこれ?」
ザルバスは励ますようにカミュの手を胎児の頭に触らせたのだ。
「赤ん坊じゃ。
もうすぐ会えるから頑張るのじゃ。」
「ぅ、うん。」
カミュはやっと胎児が出てくるという実感がわき、さらにちからをこめて息むが頭が見えかくれしているだけで中々進まない。
-
「ふぐぅー!ふぐぅー!で、出ないよー!」
カミュは泣きながら息んでいた。
「頑張れ、カミュ…産道がひらくツボを押してやる」
ガルディスが優しく腰を揉む。
ツボを押したおかげか、頭の部分が完全にでかかっていた。
-
だかそれは、カミュの未熟な女性器を胎内から容赦なく押し広げることになる。
「ううっ!痛い!股がいたいよ!我慢できないっ」
カミュは思わず、傷口を押さえるような感覚で股関に手をやった。
そしてそこから出かかっているもののあまりの大きさに驚いて手を引っ込めた。
「はあ、はあ、こんなの無理だようぉ。ううーんっ、…あ、血がいっぱい出てる…!」
カミュの小さな手は真っ赤に染まっていた。
生理の経験もなく、擦り傷くらいしか負ったことのないカミュはパニックを引き起こした。
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「カミュちゃん、大丈夫よ。
女の子の赤間ちゃんの出口はね少し裂けても血が出ても大丈夫なのよ。
それに出産が終わったら私がいるから傷は直してあげられるわ。
だから頑張って。」
アメリアがカミュの頭をなで優しく諭した。
カミュはアメリアの言葉に説得され、やっと落ち着いた。
ガルディスもザルバスもやっぱりアメリアを呼んでいて正解だと思った。
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「ふう、ふぅう、治るけど、やっぱり裂けちゃうんだ…。うう〜、頑張るけど、痛いよぉ、怖いよぉ〜」
その時、ひときわ激しく子宮が収縮し、凄まじい力で胎児を押し出した。
「ひぎーーーー!いたいいたいっ、痛いよーー!あああー、いたあああいっ!」
結果、カミュの会陰は大きく裂けてしまったが、頭は全部胎外に出ることが出来た。
「カミュ!頭が出たぞ!あともうちょっとだから頑張るんだ!」
「うぇーーん、痛いよー痛いよー!ガルー、本当に痛くて、もう、耐えられないよー!」
カミュはもう息むことも出来ずにガルディスにしがみ付いて大泣きしている。
「よしよし、そのままガルディスにしがみつとりなさい。ここまで来たら、あとはわしが引っ張り出してやるからの」
サルバスが赤ん坊の頭を優しくつかみ、これ以上膣を裂いてしまわないようにゆっくり回転させながら引っ張り出した。
「嫌あー!いたぁああいっ!やめて、痛い痛い!死んじゃう!イタイーーーーっ!!」
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「っつーーーーーー! 」
ズルリと赤ん坊の肩が抜けるとザルバスがズルズルと体を引き抜いた。
「ほれ、産まれたわい。女児じゃ。」
ヘソの緒を素早く処置し、カミュに渡した。
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「はぁ、はぁ、ガル、ぅまれた、ね。」
「カミュ、お疲れ様。」
ガルディスはカミュの額にきすをした。
しばらく見つめていると段々赤ん坊に変化がでてきた。
これはドラゴンが人の状態で産んだときもそうだが、産まれたときはその母体と同じ姿で産まれるが、一時間もしないうちにドラゴンの姿になってしまうのだ。
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「かわいい、かわいい、私の赤ちゃん…」
カミュが赤ちゃんを抱きながら優しく語りかける。
その姿は嬉しそうだった。
これから先、カミュとガルディスには色々なことが起きるだろう。
だが、二人なら乗り越えられるはずだ。
約百年後、アメリアの男児とカミュの女児が恋に落ち、妊娠出産するのはまた別のお話…
おわり(?)
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