■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
囚われの姫騎士
-
ピチョン…ピチョン…
岩で囲まれた牢屋の中。
一人の少女が捕らえられている。
彼女の名前はリリシア。
劣勢に立たされたカルディア王国のために立ち上がり魔王軍と戦い続けた姫騎士だ。
だが、多勢に無勢。
ついに魔王軍に居城は陥落され、カルディア王や民を逃がすため殿を引き受けた姫騎士リリシアは魔王軍に捕まってしまった。
今では魔王軍の居城になってしまったカルディア王国の居城の地下牢に繋がれている。
だが、彼女は脱出を諦めてはいない。
好きあらば逃げ出そうと体力だけは温存していたのだった。
リリシア(18)
カルディア王国の王女。
金髪で腰までの髪を持つ少女。
女神の加護を受けている処女で、体術に長けており魔力もそれなりにある。
伝説では、女神の加護を受けた少女が妊娠するとすさまじい魔力を持つ子供が産まれるという。
"
"
-
カツーン…カツーン…
牢屋へ続く石段を踏みしめる足音が聞こえる。
リリシアはその音に反応し格子に顔を向ける。
牢屋の格子越しに、マントをつけた角を生やした青年の姿をみた。
魔王、バルディス直々の登場だった。
「ククク…牢屋に繋がれている気分はどうだ、リリシア皇女。」
「なかなか快適ですわね、少しジメジメしてますけれど。
まぁ、元々はわたくしの城、居心地がいいのは当然ですわ。」
「ハーッハッハ!俺に悪態をつく元気があるなら心配はないな!…さて、皇女様に質問がある。…王たちは何処に逃げた?」
「…ふん、わたくしがその様な事を話すハズがないでしょう?」
「…だろうな、だから口を割りたくなるような条件をつけよう。
お前が話さない限り、毎日俺がお前を犯してやる。異論はないな?」
「…好きになさい。ですが、わたくしが口を割ることは決して有りませんわ」
「決まり、だな。では早速今日から始めてやろう…」
そう言うとバルディスは部下に牢屋の鍵を開けさせ、中に入る。
-
着ていた鎧兜を脱がされ、無理矢理行為をされるリリシア皇女。
その目には涙が浮かんでいた。
行為を初めてから数ヵ月。
リリシアの耳にはバルディスに王が捕まったという知らせは届いていない。
初めてを奪われたリリシアの希望。それは今や王の無事しかなかった。
-
しかし今、リリシアの体には変化が起きていた。
魔王に犯され続けた結果、ついに魔王の子供を身籠ってしまったのだ。
ココのところダルくて熱っぽい。
食欲もない(バルディスは今のところリリシアを殺すつもりはなく、衣食だけは保証されていた)
「食事の時間だ」
バルディスの配下が食事を持ってきた。
「体力を維持するためにも、食事だけは取らなければ…」
リリシアが皿を顔に近づけたとき
「うっぷ…!」
抗えない吐き気に教われた。
「ゔぇっ…げぇっ……うっく…げえぇーーっ」
牢の隅にある排泄用の穴に嘔吐してしまった。
-
「はぁっ、はぁ……まさか…」
血の気が引いて行く感覚に襲われた。
「……いいえ、ただの体調不良かもしれませんわ。まだ決まったわけでは……!」
そう自分に言い聞かせる。
"
"
-
だがいずれ確信に変わることになる。
それ以来、長らく酷いつわりがリリシアを襲う。
四六時中、吐き気に苛まれ起床時は必ずといっていいほど嘔吐してしまう。
それでも必死に食事をとっていたが全て戻してしまっていた。
「ゔえ゙ぇっ…げぇぼっ…」
リリシアは起きているのも辛くなり、体力どころではなくなった。
-
「うぅ…気持ち悪い……」
朝から晩まで横になってお腹をさする。
そんな日々にバルディスの配下も心配するほどだった。
「悪い病気ではないでしょうね?」
「…お気になさらず。こんな生活に疲れが出たのかもしれませんわね。」
「そうですか。まだ貴方には生きていて頂かなければなりませんのでね」
「心配ご無用ですわ。わたくしもまだ死ぬつもりはありませんので」
…カツーン…カツーン
何日かぶりにバルディスがやってきた。
「聞いたぞリリシア皇女。体の具合が悪いようで?」
「貴方のお耳にも届いていらしたんですね。配下の方にも言いましたが心配ご無用ですわ!」
重い体を起こして必死に楯突く。
「あなた方に心配されるほど…!うっ…」
強烈な吐き気に口元を押さえる。
「フム…久々に貴殿を抱こうと思ったが死なれては困る。今日のところは大人しくするとしよう。回復に勤めるがよい。フフフ…」
バルディスは帰っていった。
(貴方に言われずとも…!)
-
…カツーン…カツーン…
「よろしいのですか?手込めにするにはちょうど良いのでは?」
牢屋からの帰り道。
バルディスの部下がバルディスに訊ねる。
「フフフ…あの様子、気付かないのか?」
「…と言いますと?」
「リリシア皇女は孕んでおる。吐き気はその徴候よ。」
「な、なんと…それでは、魔王の跡継ぎではありませんか…」
「それと、彼女の希望になりかねんな。女神の加護をもつ皇女が孕むと素晴らしい魔力の子供が生まれると聞く。
下手に逃がすと我々の敵になりかねん…やれやれ、厄介なことよ。」
「…それにしては嬉しそうですね?」
確かに、魔王の顔はニヤニヤしている。
「ワシの跡継ぎとなるやもしれぬし、倒すべき勇者となるやもしれぬ赤子…なかなか面白いではないか。」
そう言うと、高々と笑いながら部屋に向かうバルディス。
(やれやれ…あの様子だとわざと逃がすかもしれないな…)
古参の部下は、溜め息をつきながら後を追いかけた。
-
(悔しい…!)
しかし興奮すると吐き気が襲ってくるので言い返すこともままならない。
今日はどうにか抱かれずに済んだが、ここにいる以上は避けられない。
「そういえば……」
バルディスと交わってから月経が来ていない。
リリシアの心臓の鼓動が 早くなる。
「この体調不良は…やっぱり……」
-
リリシアは絶望した。憎きバルディスの子供を孕んでしまった。
今すぐおろしたい。
そんなことを一瞬思ったが、それを思い止まらせたのは伝承だ。
「女神の加護をもつ処女が孕むと、凄まじい魔力のもつ子供が産まれる…」
リリシアが小さく呟く。
もしここから逃げ出せれば。産んだ後、上手く育てられれば。
魔王すら凌駕する、勇者が産まれるかもしれない。
それは、リリシアにとって、王が捕まらない以上の希望だった。
「その為には、この赤ちゃんは無事にお腹の中で育てないと…」
リリシアは吐き気を我慢して、食事を取り始めた。
希望の種を育てるために。
-
母体たるリリシアに認知されたからしばらく、嘘のようにバルディスの子供は存在感を示し始めた。
「ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・」
地鳴りのような音が地下牢に響く。
溢れんばかりの魔力が無造作にばら撒かれ、ほとばしる。
伝承どおりの、凄まじい魔力の奔流。
体術には及ばないが魔力もそれなりにあるリリシアは、感じずにいられなかった。
お腹の中に、希望と絶望が入り混じってゆくのを・・・
-
胎児から放たれる魔力を
受けると、強烈な吐き気が襲ってくる。
依然よりも増して抗うことができない。
まるで神の加護を受けた清らかな魂が、魔族の血を拒んでいるかのようだ。
「うえ゙ぇっ……お願い、大人しくしてて…」
胎児にそう願う。
今はとにかく耐えるしかなかった。
-
魔力の発現が激しくなりはじめてから数日たった。
リリシアはふと思い立ち、まだ目立たないお腹を撫でながら歌い始める。
「瞬く夜空の星の下〜♪聖なる女神が舞い降りて〜♪」
それは、古くからカルディア王国に伝わる子守唄。
リリシア自身も、母親である王妃から聞かされ、覚えた歌だ。
澄んだ歌声が岩で囲まれた牢屋に響く。
その歌声に感化されたのか。
リリシアは胎児が出す害を及ぼすような魔力が少なくなっていくのを感じていた。
-
「…聞こえてるの?」
リリシアは胎児に話しかけた。
その歌を口ずさむようになってから、あれ程酷かったつわりが不思議と軽くなった。
(この歌には何か特別な意味があるのかしら…お母様は私が泣き止まない時によく歌ったとおっしゃってたけど)
リリシアの母親も女神の加護を受けた聖女であった。
-
子守唄を歌いはじめて数週間。
つわりが軽くなったお陰か、妙に食欲が湧くようになったリリシアは、牢屋番に頼んで食事の量を増やして貰った。
もちろん、逃げ出すための体力をつけるためでもある。
リリシアは、頭の中でこの牢屋から、そしてバルディスの手に落ちた城から抜け出す算段を考えつつ、
ゆっくり時間をかけて食事をしていた。
子守唄を歌いはじめてから胎動も活発になってゆく。
リリシアにはそれが、なによりの希望になりつつあった。
-
母性が芽生えたのだろうか…
憎い相手の子供だが、自分の中で生きてると思うと不思議といとおしく感じた。
バルディスはこのことに気づいているのか、暫く姿を見せなかった。
リリシアはそれが不気味だった。
-
少しずつお腹が目立ってきた頃。
カツーン……カツーン……
「!?」
忌々しい足音が聞こえてきた。
リリシアは身構える。
「これは閣下」
配下が頭を下げた。
「久しぶりだなリリシア皇女。お加減いかがかな?」
「お気遣いどうも。ご心配には及びませんわ」
リリシアは毅然と言い返した。
「ハハハ、元気そうで何より。ならば今日はその体を味わおう」
「…!!」
(どうしよう。お腹の子に何かあったら…)
バルディスはニヤリと笑うと
「案ずるな。我が子共々可愛がってやる」
「…わかっていたのですか!?」
リリシアは唖然とした。
「当然のこと。私をなめてもらっては困るな」
だから今まで姿を表さなかったのかと納得した。
「おい、リリシア皇女を連れていけ」
「はっ」
(え…?なぜ)
-
連れられた先は、町外れの大きな牢獄。
そのなかには、沢山の人間入っていた。
(まさか…逃げていた民たちが捕まったの!?)
絶望するリリシアに、さらなる追い討ちが襲いかかる。
見知った顔が、そのなかに有ったのだ。
「ち、父上!」
そう、カルディア王、その人が民と共に捕まっていたのだ。
その顔は以前より痩せこけている。
「り、リリシア…なぜここに…?」
カルディア王も驚いた顔で呟く。
「フフフ…殿を務めたリリシア皇女は、我らがてに落ちたのだ!」
「な、なんと…」
「それだけではない。カルディア王、貴公の情報を話すまいと、その身体をワシに委ねた。
その結果、ワシの子供を身籠ったのだ!」
「そ、そんな…嘘じゃ、嘘じゃと言ってくれ、リリシア!」
絶望した顔をするカルディア王。
「…」
リリシアはなにも話せなかった。
今までしてきたことが、無駄になってしまったからだ。
「信じぬか…では、証拠を見せてやろう」
そう言うと、バルディスは無理矢理リリシアが着ていた鎧を脱がす。
一糸纏わぬ姿になったリリシアのお腹は、僅かながら膨らんでいるのがハッキリとわかった。
「な、何をする気です!バルディス!」
「しれたこと。この大勢の衆目でリリシア皇女がワシのてに落ちたことを示すまでよ。」
そう言うとバルディスはいきなりリリシアの豊満な胸を揉みしだき始めた。
-
「おとなしくしていてくださいね」
配下はリリシアの量腕を後ろに回し、枷を繋ぎ直した。
「さあ立ってください。いきますよ」
リリシアは配下に連れられ牢を出た。
「一体わたくしをどうするおつもりで?」
「殺しはしませんので。安心してください」
(バルディスわたくしを犯すつもりでいるのになぜ…?)
連れてこられたのは浴場だった。
-
(今回は>>18のレスを採用させてもらいます)
「くぅっ、ふぅん!な、そんな…」
乳房を揉みしだかれ甘い声がでるリリシア。
それをカルディア王は虚ろな目でみるしかなかった。
くちゅり。
バルディスが下半身に手を伸ばすと濡れた音がする。
「フハハハ!相変わらず感じやすい身体ではないか!これはこのまま挿入しても大丈夫だな!」
そう言うとバルディスは嫌がるリリシアをよそに無理矢理挿入する。
最初は抵抗するリリシアだったが、やがて嬌声をあげるようになっていた。
-
ズチュッ、ズチュッ
濡れた音が牢屋に響く。
リリシアは羞恥心と絶望感を覚えていた。
牢屋のなかの民に見られ、父親に性行為を見られ。
それでも、甘い声が出る自分が許せなかった。
「うっ…膣内に出すぞ、リリシア!」
ビュルルル!
大量の精液がリリシアの子宮に出される。
コポォ…
リリシアの股間から、精液が流れ出す。
虚ろな目でリリシアは立ち尽くしていた。
「おい、牢屋に戻せ。それからこれからも丁重に扱え。なにせワシの赤子を孕んでおるからな!フハハハハ!」
そう言いながら立ち去るバルディス。
リリシアは虚ろな目のままバルディスの部下に連れられ牢屋に戻された。
これで、彼女の希望は、牢屋から逃げ出し御腹の子供を勇者にすることしか無くなったのだった…
-
牢屋に戻ったリリシアはさっそく行動を始めた。
食事を早めに切り上げ、スプーンで床や壁を叩く。
思い出すのは父、カルディア王の言葉だった。
−すべての牢屋には、王族が捕らえられた時のため、外部に出れる隠し通路がある−
その言葉を頼りに、ひたすら床や壁を叩いていた。
僅かな音の違いも聞き逃さないように、耳をすませながら。
-
カツーン…カツーン…コン…
一瞬、音が変わったのを感じる。
隠し通路の入り口を見つけたのだろう。
良く見ると、色が違う石が近くにあった。
恐らくこれがスイッチだろう。
残る問題は警備が手薄になる機会を待つことだけだ。
彼女はこのとき知らなかった。
臨月になるまで、その機会が来ないことに。
-
「結局産み月になってしまいましたわ…」
リリシアがお腹を撫でながら呟く。
ここまで脱出の機会がなく、時折バルディスに忌みものにされる。
半分、リリシアは諦めかけていた。
そんななか、牢屋番の会話が聞こえてくる。
「おい、明日、バルディス様が狩りに出掛けるらしいぞ」
「俺たちも連れていくらしいな、警備が手薄になるが良いのだろうか?」
「まあ、ここから逃げるような気力があるやつはいないだろう」
「ははは、そうだな。」
そんな、会話が。
(脱出の好機…!)
リリシアの瞳に光がもどった。
-
そして、翌日。
がらんとして静かな牢屋。
手枷と足枷はなぜか外されている。
脱出するならいまのうちだろう。
だが、リリシアには不安要素があった。
前日から腹の張りが強くなっていたのだ。
脱出途中で出産することになれば、また牢屋に戻されるかもしれない。
しかし、この千載一遇のチャンスを逃す訳にはいかない。
意を決して、リリシアは見つけたスイッチを押していた。
ゴゴゴゴゴ…
魔法か、機械か、自動的に開かれる脱出路。
その中に入るリリシア。
ゴゴゴゴゴ…
自動的に閉まる入口。
先には真っ暗で先が見えない道がある。
リリシアはライティングの魔法を使い先を進もうとしていた。
-
リリシアは手中に光の玉を作り出した。
万が一にも壁の隙間から光が漏れぬよう、小さな光で辺りを照らす。
照らした先には人がようやく行き交える程度の道が続いている。
扉が開かない事を確認すると、大きなお腹を擦りながらその道を入っていった。
「ふぅ…んっ…」
すでにお腹の張りは本格的な陣痛になっていた。
波が来る度に歯を食い縛る。
波が収まっている間に足を早めた…
(このお城にこんな空間があったなんて…)
順調に進んでいたが、耐え難い痛みが襲い、リリシアはお腹を抱えてその場に蹲った。
「ううぅぅっ…お腹が…痛いっ……ここで足を止めるわけには…!」
もはや陣痛の間隔も短く、痛みも2時なりのものになっていた。
-
×2時なり
○かなり
スミマセン
-
リリシアは重たい腹を抱え、再び歩き出した。
先ほどと違い、陣痛の波がが来る度に立ち止まってしまう。
全身に汗が滲む。
「んぅぅ……出口はまだ遠いはず…あぁぁ痛いぃっ…!」
それでもどうにか先に進み、しばらく歩いたところで少し広い空間がひろがった。
「はぁっはぁっ…ここは……?」
リリシアは少し明かりを強めた。
部屋の隅には更に空間があり、水や乾物等の非常食と思われる物資があった。
どうやは備蓄倉庫のようだ。
「ありがたいですわ……!!」
リリシアは水に手を伸ばしす。
全身に汗をかき喉はカラカラだった。
水で喉を潤すと少しばかり気が休まる。
しかし陣痛は容赦しなかった。
重く締め付けられるような痛みに、リリシアは座り込んでしまった。
「くうぅぅぅっ…!はぁっ…ああぁっ…」
もう痛みの間隔は無く、下腹の方がかなり固くなっていた。
「はぁっはぁっ…うぅぅん痛いぃっ……父上……お母様ぁっ…!」
気高いリリシアだが、出産経験のない少女に過ぎない。
押し寄せる痛みと不安に両親を呼び求めた。
-
子供を産む方法など本でしか知らない。
手助けしてくれる母も、使用人もいない。
一人で乗り越えるしかないのだ。
リリシアは壁に手にもたれ掛かり、下腹をさする。
痛むお腹を抱え涙がこぼれてきた。
「痛いよぉっ…うぅぅぅんっ……あぁ…はぁっ…お母様ぁ……」
その時…
「うっ…??」
胎児の拍動が顕著に伝わってきた。
胎動とは明らかに違う感覚であった。
魔力の強い子供だからだろうか…
「生まれたいんですのね…!」
リリシアは胎児に語りかけた。
その一瞬の出来事がリリシアを強くした。
-
リリシアは痛みを堪え、備蓄スペースにあった布類をかき集めて床に敷いた。
そこに立ち膝になり、壁に手をつき尻を突き出す姿勢をとった。
そして腰を揺らし痛みを紛らわせた。
もはや本能で動いていた。
「はぁっ…はぁっ…うぅんんんっ…いきみたいっ…」
力を持つ胎児だからだろうか、出産の進みがとても早かった。
リリシアは流れに身を任せた。
「んうぅぅぅんっ……ふぅぅんっ…はぁっ…ああああぁっ」
リリシアが息んだその時…
バシャアァ…
温かい水が勢いよく溢れだし、足を伝う。
破水したようだ。
間髪入れず息みの衝動がやってくる。
胎児が降りてきているのが伝わってきた。
-
「もう少し…もう少しですわ…!もう少しで、私の赤ちゃんと会える…!」
ひっきりなしに襲いかかる陣痛。
だが本能的に、嬉しさが身体中からこみ上げる。
(魔王の血を引くなんて関係ない。
この赤ちゃんは私の、そしてこの国の希望…)
リリシアはそんなことを考えながら必死に息んでいる。
少しづつ頭が見え始めていた。
-
「あぐ……ううぅーんんんっ…あぁん…はうぅぅぅっ!」
陣痛は最高潮に達し、いきみの波に従う。
子宮が強く収縮し、胎児を押し出そうとする。
リリシアの膣からはわずかに頭が見え隠れし、羊水と胎脂が滴っていた。
「ふぅぅっふぅぅーっ……うぅんん痛いっ…」
リリシアは下腹をさすり 必死にいきんだ。
あれほど進みが早かったのだが、ここへきてなかなか降りてこない。
-
「なぜ、ですの…あれだけ産まれたそうだったのに…うぐぅぅ…っ!
はぁ、はぁ…外の世界が、怖いんですの…?」
リリシアは困惑気味だったが、すぐに気を取り直した。
そして、子守唄を歌い始める。
「瞬く…夜空の、星の…うぅぅぅっ!下ぁ…っ!
聖なる、女神が、舞い降りてぇ…あぁぁぁっ!」
陣痛に苦しみながらゆっくりと歌い出すリリシア。
それに釣られたのか、胎児が少しづつ少しづつ進もうとしていた。
-
「はぁ…はぁ…うぐぅぅーっ!」
少しずつ、少しずつ産道を通る感覚がする。
(もう少しですわ…もう少しで、赤ちゃんと会える…!!)
リリシアは涙を流しながら必死に息んでいた。
そして…
「ふぐぅぅぅーっ!」
一際大きな息みの後。
ずるり、と胎児が現れる。
リリシアは優しく抱き止めた。
ちいさな角は生えているが、外見は普通の女の子だ。
(この子が…私の新たな希望…)
だが、それも脱出しなければ意味がない。
リリシアは赤ちゃんを抱きながら少しずつ進んでいった。
二十数年後。
とある女性が魔王バルディスを倒す事になる。
その女性のお腹も妊娠して大きく膨れていたという---
囚われの姫騎士 End
"
"
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■