■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■

company
1無能:2012/10/13(土) 04:08:31

「はい、わかりました。では失礼します!」
ピッ
「また電話か。よくなるな。」
「そりゃあ産休前日だからな。」
「いいよなぁ。産休。俺も3ヶ月先かなぁ?」

5025年
3000年ぐらい前から環境ホルモンが原因で全ての人間が両性具有になっていた。
そのため、顔つきが男性よりが女性よりかのみはあるもののほとんど区別がない。

この会社はベンチャーであり、オフィスには30人中10人もの妊婦がおり、なかなか産休に入ることができず、大体臨月まで仕事をしている。
そしてやっと明日から産休がとれるのは、美男子系のセト(30歳)である。
セトは、初産であり、既に予定日を過ぎているが、やり手で営業成績ナンバーワンのため、引き継ぎがなかなか終わらなかったのだ。

「そろそろ、打ち合わせにいって、ーーーーーあ!?」
セトは、取引先のところへ挨拶をしにいこうと立ち上がった時だった。
グレーのスーツのパンツ(妊婦用にゴム仕様)のいろが濃くなり、床に水溜まりを作っていく。
「っ!!!!」
そして突如強い陣痛が襲い、机を支えにお腹をかかえこんでうずくまった。

2無能:2012/10/13(土) 04:10:44

この時、セトは、オフィスで出産になるとは思っても見なかった。


リレー小説でお願いします。

3無明:2012/10/13(土) 12:41:00
近くにいた社員が何人か向かってきて、医者に連絡を入れたり。救急車を呼ぶよう命令したりしている。
だが、セトにいくら呼びかけても反応はない。
陣痛が襲った時に立ちくらみを起こし、セトは意識を失っていたのだった。
同僚が呼びかけるも返事はない。
「まずい、吐いてる!」
おまけに、セトは嘔吐までしていた。
このままでは命に関わると、とりあえず応急処置をすることとなった。

4無能:2012/10/13(土) 17:27:24

「セト、脱がせるぞ。」
出産経験のある妊婦社員キキがセトの状態を確認し、用水で汚れてしまったパンツを脱がせ、セトの同僚であるラナは、セトのために冷たい濡れたタオルを用意し、額に乗せた。
「ん゛ ・・・。」
暫くしてやっとセトの意識が戻ったみたいだ。

「セト、大丈夫か?」

5無明:2012/10/13(土) 21:47:20
やっと一安心かと思ったその時、キキの表情が一気に変わった。
「頭が出かかってる………病院にはとても間に合わないぞ!」
その言葉に凍り付く他の社員たち。
それに、過労なのかセト自身の隊長はかなり悪い様子。
先ほど吐いたことで体力を使っただけでなく、もともと風邪気味だったらしく苦しそうであった。
ざわつき始めるオフィスで、キキは一人冷静な判断を心がけていた。

6無能:2012/10/13(土) 22:31:59

「セトさん、まだ気持ち悪いですか?」
また口を押さえて真っ青な顔をしているセトにキキが声をかける。
実は、妊娠してからもセトは、悪阻が続いていたのだ。

セトは、他の社員が用意してくれたビニールにまた嘔吐し、胃液まで出し、ぐったりしている。
「セトさん、お水です。」
元から他の社員の人から慕われているため、たくさんのタオルやドリンクが集まった。

7無明:2012/10/14(日) 00:22:06
急に吐いたから当然ではあるが、セトの胃は水すら受け付けなかった。
キキが「しばらくはこのまましかないだろう」と場を収めたことでなんとかなったが、風邪気味な上嘔吐を繰り返したせいか、体力をかなり消耗したようだ。
これでは迂闊に動かせないようで、みなは次に医者の手配を始めた。

8無能:2012/10/14(日) 00:29:43

一応会社は規則として医師を医務室に1人は配備しなくてはいけないため、この会社にも1人医師はいる。そのため、社員の1人が呼びにいっている。


「患者はどこじゃ?」
この会社の医師アンマは、近くで診療所を営んでいたが、年のため、診療所をたたみ、ここで働き出したのだ。
「こっちです!」
さっそくアンマがセトのもとにやってきた。

9無能:2012/10/14(日) 21:06:29

「もう頭がでかかっているな。陣痛はいつからだ?」
アンマも早速セトのお腹を触ったり、胎児の状態を診て、セトに問いかけた。
「はぁはぁ、腹が張って、たのは、夜中、から。まさか、陣痛、だとは、っ!」
セト自身はただのお腹の張りと勘違いしていたのだ。

10無明 ありがとうございます:2012/10/14(日) 23:10:24
「全く………どうしてこんなになるまで放っておいたのだ」
「仕事があって、産休取れなくて………」
苦しみながら言うセトに、アンマは呆れ顔。
ここまで出かかっていては、病院にはとても間に合わないから今ここで出産させる、とだけ伝えると、道具を準備し始めた。

11無能:2012/10/15(月) 00:02:24

「セトさん、冷えぴたです。」
同僚が近くで買ってきた冷えぴたを風邪気味のセトの額に貼った。
「その体勢は辛いじゃろ?体勢を変えるか?」
今のご時世フリースタイルで出産する場合、息みにくいため、仰向けで出産することはほとんどない。
セトは、手伝ってもらい、和式で用を足す格好になり、息みやすいように腕を机に乗せた体勢になった。

12無明:2012/10/15(月) 00:20:00
頭が冷えたことである程度落ち着きを取り戻したのか順調に進むセトの出産。
「よし、その調子じゃ。もうすぐ生まれるぞ………」
アンマも深く頷いており、問題が発生した様子はなかった。
それでも、皆不安なのか固唾を飲んで見守っている。
「次で出るぞ、いきむのをやめい!」
最後の指示を出すアンマ。
もともと頭が出かかっていたのもあって、進みが早いのも幸いした。
そして、とうとう赤ん坊が出産された。
「生まれたぞ!」
「おい………おい!!」
「すげえ!こんな事ってあるんだ!!」
同僚が声を上げ、疲れきったセトが「どうしたのか」と聞くと、驚くべき答えが返ってきた。

「完全に女性なんだよ!男性器がないんだ!!」

ただの偶然、ただ1件の出産。
だが、コレを皮切りに各地で男女それぞれの性の赤ん坊が次々と誕生し、人類は再び「性別」を取り戻したのだった………



そして25年後。
2つの性別を取り戻しながらも、間の時代のお陰で性差別の無くなった社会
セトが社長となった会社に、物語は移る………

13無能:2012/10/15(月) 00:33:37

あれから25年で3つの性に分類されるようになり、性別は3分1の確率となっていた。

「お父様、いい加減にセイとセキにいってくださらない??」
まだ生まれて数ヵ月の赤ん坊を連れて、この会社の社長であるセトに文句を言いに来たのは、セトのあの25年前に産まれた娘、セーラである。

セトはあれから4人の子供(両性双子(22歳)・両性(18歳)・息子(15歳)・娘(12歳))を出産している。

その中で現在セイ、セキの双子が同時に臨月でありながらも仕事が大事だと産休もとらずに働いているため、姉のセーラとしては心配でたまらないらしい。

14無明:2012/10/15(月) 00:51:38
(子供5人いません?あと、両性の双子をそれぞれ、男よりと女よりに設定しました)


「そういうお前も人のことは言えないだろうに」
「む………そ、それは………」
そういうセーラも三つ子の臨月であり、心配な理由としては「同時に出産になっては医師の手が回らないだろうから」というところもある。
もっともセーラの場合は女性部署の統括、子育てしやすい会社の計画のアピールという側面もあるのだが………
「それにあの二人なら、ちょうど今日から自宅勤務だ。何かあったら直ぐに連絡がくるさ」
セーラの心配事はちゃんと片付けておくあたり、さすがの手腕である。
「だったら、心配ないですわね………」
とセーラがいおうとしたその瞬間。
セトのモバイルに連絡。
送ってきたのは、末っ子のセナらしい。
「お父さん、セーラ姉、大変!セイ兄とセキ姉が赤ちゃん産まれるって!!」

15無能:2012/10/15(月) 01:02:44

「わかった。今からかえる!」
「違うの!!なんかセト兄もセキ姉も取引先にミスがあったって、取引先にいっちゃって、さっき取引先の丸末会社から会議中に2人とも産気づいて動けないみたいって、かかってきたの。」
「そういえばあいつら同じプロジェクトだったな。わかった。今すぐ向かう。」
丸末会社は、セトの会社の近くのため、向かうとすぐにセキとセイのいる会議室に案内された。
「う゛ぅーーーー。」
「きたぁあ゛ぁぁぁぁ!」
まだ本格的な陣痛はきておらず、セキとセイは下半身を脱がされてひたすら陣痛に耐えていた。

16無明:2012/10/15(月) 01:21:03
社内医師も居るはずなのに一体、どうしたことだろうか。
セトとセーラは早速事情を聞いた。
「僕は研修以外の助産経験ないんですよ!先月交代したばっかなんです!
だから妙に手つきがたどたどしいのか、と納得するセーラ。
身体の近い方、ということで、セトがセイを、セーラがセキをサポートしつつ、こちらの社内医師の到着を待つこととなった。

17無能:2012/10/15(月) 01:48:51

「う゛ぅーーーーー。」
セイは、陣痛がきたらしく唸っているため、セトがセイの腰をさすっている。
「あと、子宮口をみるぞ。」
「いっでぇぇぇえ!」
セトは、セイの子宮口に指を入れたが一本しか入らない。
「まだ一センチ弱だな。セキはどうだ?」
セトに言われ、セーラが確認する。
「セキは、五センチってとこよ。」
さすがに女性に近いセキのが順調である。

18無明:2012/10/15(月) 02:22:56
やがて社内医師が到着し、難産になるだろうセイにつくこととなった。
落ち着いていく空気の中で、セーラはひとり、嫌な予感を感じていた。
これは、不味いのではないか、と。

19無能:2012/10/15(月) 10:50:40

「セーラ、どうかしたのか?」
様子がおかしいセーラに気づいたセトが聞いた。
「ーーー!?」
ポタポタ
セーラが答える前にセーラの足元が濡れていくのがわかる。
セーラも弟妹につられたのか破水したのだ。
「あいたたたたたたっ!」
破水してすぐに陣痛も始まったみたいだ。
「セーラ、赤ん坊がでかかってるぞ。」
経産婦であり、尚且つ双子であることと臨月になったばかりだということ、そして完全な女性ということが重なり、セーラの子宮口は全開ですでに頭が出かかっているのだ。

20無明:2012/10/15(月) 11:07:41
(セーラは三つ子を妊娠しているはずなのですが………)

突如として始まったセーラの出産。
経産婦という点から、こちらに新人の医師がつくことになった。

21無能:2012/10/15(月) 11:32:33

「んーーーぅ!」
「セーラさん、頭がもうでますよ!」
セーラは三つ子でありながらも、否、そのかいあってかすでに一人目の赤ん坊の頭がこめかみ近くまで出ていた。

セキは、意外と冷静で腰を揺らしたりしながらセイのとなりで陣痛に耐えている。
セイは、中々開かない子宮口ではあるもののお腹の張りは順調である。

22無明:2012/10/15(月) 11:56:48
やがてセイも軌道に乗り始め、取りあえず三人とも危険は脱したようだ。
こうなると一番危ないのが、経産婦なためお産がどう進むか分からないセーラだった。
そのため、ポジションを交代してベテラン医師がセーラについた。

23名無しさん:2012/10/15(月) 12:16:36

「あ゛ぁぁぁ、でるぅぅうううーーーーっ!」
セーラが息むとズルリと頭が出て、医師がゆっくりと赤ん坊の頭を支えて引くと、そのままスルリと一人目の子供が産まれた。

「っふぎゃあ!」
「男の子です ・・・ぃや、両性ですな。」
セーラの一人目は両性であった。
「そう、うぅぅぅ、また!」
セーラの子供はせっかちなのかすでに次の子供の頭が見えている。
「う゛ぅぅぅ!」
次に分娩が始まったのがセキだった。子宮口全開になり、破水もしたようだ。
セイは、未だ五センチから開きが見られないようだ。

24無明:2012/10/15(月) 12:51:44
セイの出産が上手く行かないせいか、皆が焦り始める。
しかも、アクシデントはそれだけ出はなかった。
陣痛にたえていたセイが、突然全身を痙攣させると泡を吹いて気絶してしまったのだ。
明らかにただ事ではないと、緊張感げ辺りを包む。

25名無しさん:2012/10/15(月) 13:05:13


「子癇発作だな。」
医師はすぐに鎮静剤、降圧剤、利尿薬や強心剤をうち、部屋を暗くさせた。

「ん・・・」
しばらくしてやっと落ち着いたセイ。
分娩子癇のため、一番急を要するのがセイになった。
セーラは心配しつつもいつのまにか二人目が産まれており、今度は男の子のようだ。
そしてすでに三人目の頭が出ていた。
セキは胎児の頭が出入りしている。

26無明:2012/10/15(月) 13:18:56
これ以上何かあってはいけない、ということで、セーラが三人目の女の子を生み終えたのきに、セイもセキも近くの病院に運ばれることとなった。
何せセイは分娩子癇を発症した。急死さえあり得る。
その不安感は、みなに適度な緊張感をもたらしていた。

27名無しさん:2012/10/15(月) 13:27:57

しかし救急隊員が駆けつけた頃が修羅場であった。
セキの赤ん坊は頭が引っ込まなくなり、後はひたすら息むだけだ。
セイも破水はしていないものの羊膜が出てきており、息む度にその膜が膨らみ、休むと戻るといった感じだ。

28無明:2012/10/15(月) 21:23:32
二人は急いで救急車に乗せられ、病院への直通トンネルを進む。
セイを早く出産させなければならないということで、車内で破膜処置が
施される。
そのまま、あとは分娩室へ担架で運ばれていった。

29名無しさん:2012/10/15(月) 22:07:31

現代の分娩室は、分娩台ではなく、フリースタイルで行われる。
そのため、セイとセキはたち膝で向かい合い、お互いの肩を抱くような形で息んでいる。

「「お待たせしました。」」
「すいません。遅くなりまして。」
この病院随一の助産師の2人とセイに何かあった時にっ産科医もやってきた。

30無明:2012/10/15(月) 23:36:20
後は任せてくれ、という医師たちを信じ、セーラの入院手続きをした後に病院を後にするセト。
自分の子供だから似たのかもしれないが、仕事優先というところを何とかしなければ、と考えたセトはまず、社内規則の改革に取り組もうと決めた。
要は出産休暇、育児休暇の「強制」取得というわけである。

31名無しさん:2012/10/15(月) 23:42:22

「はぁ、はぁ、うぅぅぅーーー!」
「んんぅぅぅぅぅーーー!」
その頃セイとセキはひたすら息んでいた。

「セイさん、赤ちゃんが降りてきてますよ。頑張って。」
「セキさん、頭がもうでますよ。」
セイを担当している助産師は、息むセイにあわせてお腹をおしている。
そしてセキを担当している助産師は、赤ん坊の頭をガーゼで覆い、支えている。

32無明:2012/10/16(火) 01:05:17
同じタイミングで、必死にいきむ二人。
そして、二人の悲鳴が重なった瞬間、赤ん坊が同時に産まれた。
安堵の表情になる二人だが、すぐさま次の陣痛が襲う。
これ以上の子癇発作を避けるためにも、セイはここで帝王切開に切り替えることとなった。

結局、無事に二人の出産が終わったとセトに連絡が入ったのは、その日の夜遅くになる。

この一見を機に、セトは社内規則や設備の整備を始めた。
産休、育休の強制取得や社内での診断サービスなどの強化、託児サービスの拡充など。
「子供を産み育て、働ける会社」をモットーに大改革が始まり、セーラに社長職を委任する頃には、世界一福利厚生の充実した会社として広くその名を知られる程になった。
このやり方が評価され、多数の企業が後追いで取り入れたことにより、超少子化傾向だった日本の出生率は上向き、いつしかセトの会社は「二本の未来を救った会社」として語り継がれる程になったのである………



終わり

33tips about seo:2013/12/20(金) 04:22:04
agfzyy Enjoyed every bit of your article post.Much thanks again.

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■