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Birth shop IF〜永遠の超腹妊婦ナオ〜- 1 :無明:2012/09/23(日) 23:00:08
- ※熊猫書店のBirth Shopでカオス化した最中の投稿からのパラレルです。一応リレー小説の予定です。
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ふと昔のことを思い出していた。
自分が、こんな体になったきっかけの出来事だ。
自分はその時、Birth Shopという未知のテクノロジーで妊娠出産を自在にコントロールする場所に入り浸り、何度目かの出産を迎えていた。
その出産の最中に電話が鳴り、親友のマイが出た。
そして、電話の相手と口論をしていたのは覚えている。
「どうも、何やら不満が有るようで?では、私どもからのプレゼントです」
「何をする気!?ナオの身体はもう限界なのよ!」
「ナオさんに一般の医学は通用しませんよ………今から彼女には4200g以上かつ15人の超妊娠をしていただきます。難産がお好みの様ですので、1人産む度に、子宮口が初産と同等になるようにします。それと、サービスで、ナオさんの赤ちゃん1人出産毎に、お腹の赤ちゃんを150gづつ大きくし、陣痛を1ヶ月遅らせますので、難産を死ぬまで楽しんで下さい」
「ちょっと!!何勝手に………」
マイが言い返す前に電話が切れたらしい。
なぜ「らしい」なのかというと、その時身体に異変が起きたからだ。
急激にお腹が膨らみ始めたのだ。
その、今までに経験した事のないような激痛に意識を失ってしまった。
そして目覚めた頃には、超巨大な腹を持った「超腹妊婦」になってしまっていた………
- 2 :無明:2012/09/24(月) 01:36:58
- 今の身体の異常ぶりは、医者に行くたび実感する。
子宮が異常なほど拡大していて、中にうごめく15人の胎児。
しかも皆、ちょっと巨大児からギネス記録レベルまで、とにかく大きい。
そんなの腹囲は自分の身長をゆうに超えている。
だが、そのような状態で母体の自分が生きていられるのだから、もう実質バケモノだろう。
でも、自分はそんな状態でも、少し嬉しかった。
たくさんの命を育めて、この上ない難産を経験できるだろうことが、間違いないのだから………
そんな自分の一日は、マイや、政府支援の施設でなく自分のところに残ることを選んだ5人の娘たちがいなければ始まらない。
(リレー開始です)
- 3 :無明:2012/09/25(火) 01:15:16
- (リレー開始と書きましたが、登場人物が揃っていなかったのでもう少し単独で続けます)
「お母さん、起きて、朝だよ」
長女であるリコにゆすられ、目が覚める。
どうしてもお腹が重く体力を使うので、眠りが深くなる。
だから誰かに起こしてもらわないと、昼前くらいまでは寝っぱなしだ。
無論自力歩行なんて出来ないので、ベッドの上から車椅子に乗る。
車椅子をリコに押してもらいリビングに向かうと、次女のセツコがマイの手伝いをしてお皿を並べていた。
三女のカナコは自分のコップとお箸の用意をしている。感心感心。
そして四女のサクラコと五女のメイコがテーブルを拭いてくれたようだった。
- 4 :無明:2012/09/28(金) 01:12:07
- (一応リレー開始ですが、少し追記します)
食事をしながら、もう一度、先日の健診時に言われたことを思い返す。
自分の体はデータで言うなら、バグの塊になっているということだ。
異常なほどの多胎もさることながら、他の部分もだ。
私は出産では死なないらしいし、子宮の筋肉の強度も以上に強い。
いくら妊娠しようが、出産しようが大丈夫なのだそうだ。
そして、それは私が拒否しても起こりうる。
私は「自家妊娠」が可能になってしまったのだと、Birth Shopの医者はいった。
元男性であることが、そのバグを誘発させたのだと。
そして、バグによって「細胞の老化」が固定化されたとまで言われた。
そう、私は「超腹妊婦」であると同時に「永遠の妊婦」になってしまっていたのだった。
- 5 :無明:2012/09/29(土) 17:45:20
- (リレー開始です)
- 6 :無能:2012/10/13(土) 03:45:14
-
「最近、お母さんのお腹少しだけだけど、きもーち、下がってない?」
リコが、私のお腹をジロジロ見ながら首をかしげている。
たしかにいつもよりは少し下がったみたいだけど。
「ん、赤ちゃんがまた成長して重力に耐えられないんじゃない?まぁ、出産が始まってもいいように用意してあるし、大丈夫でしょ。」
私はいつ出産が始まってもいいように用意してあるし、気にせず、笑ながらリコにいった。
- 7 :無明:2012/10/13(土) 14:23:03
- 「そんな事言うけど、やっぱり心配よ。赤ちゃん、ただでさえ大きいんだし」
割と心配性のリコは、そんな私を心配してか産婦人科医を志している。
毎度毎度難産なのは認めるが、そこまで心配することもないだろうと私が思う。
食事が終わると、休みなのもあって子供たちはそれぞれ出かけていく。
週替わりで私についていく当番がいるわけだが、今週はリコだ。
「お母さん、きょうはどこ行くんだっけ?」
「買い物。またお腹が入らなくなってきたから、服買わないと」
- 8 :無能:2012/10/13(土) 17:16:37
-
「もう〜また〜。オーダーメイドなんだからはやくいってよ。」
私のお腹は規格外のため、オーダーメイドでつくってもらう。
そのため、今よりも成長を見越して服を作るのだ。
今回も大きくなってきたため、新しい服を作ることにしたのだ。
- 9 :無明:2012/10/13(土) 23:50:18
- 流石に車椅子のままで3サイズは測れないため、短時間ではあるが自分で立つしか無い。
ブティックのスタッフに支えられて、手すりにつかまりながら立つ。
特大サイズのヒップとバスト。
それなんかとは比べ物にならない、モンスターサイズのお腹。
我ながら凄い体型だと、測定されたデータを見て思う。
データさえ入力できれば数時間で服が出来上がるので、その間にリコの買い物に付きあおう。
今度、Birth Shop屋上の庭園で野外コンサートがあるそうなので、リコはそれ用のカバンを探している。
ついでに、おむつとかも買っておかないと。
- 10 :無能:2012/10/14(日) 00:01:31
-
「お母さん、このバックならいっぱい入るよ!」
リコはデザイン性より機能性を重視しており、私の荷物が結構いろいろいるから(まぁ、1人で用足せないし、代謝の問題も)いつのまにか機能性を重視するようになっていた。
- 11 :無明:2012/10/14(日) 00:47:57
- 「それいいわね………じゃあ私はこっちで」
そう言って私が選んだのは、リコのものより1.5倍ほど大きなバッグ。
一応私自身でも万一のことを考えて、いろいろもっておく必要が有る。
「いいんじゃない?私のより入りそうだし」
リコも気に入ったようなので、それを買うことにした。
しばらくして私のモバイルに服が出来上がったと連絡があったので向かった。
リコ、驚くだろうな………
なんたって、普段着や外出着だけじゃなくて、水着まで作っちゃったんだから………
- 12 :無能:2012/10/14(日) 00:56:38
-
「お母さん、どんな服買ったの?」
私たちが店に戻ると、衣装の確認のため、いつも通りに店員さんが服を出しておいてくれた。
「お母さん!水着買ってどうするのよ。」
リコはすぐに水着をみつけて私にみせてきた。まぁ、このお腹じゃ行くとはおもわないもんね。
- 13 :無明:2012/10/14(日) 01:16:05
- 「決まってるじゃない。泳ぎに行くのよ」
私がそう言うとリコは呆れた顔をした。
「そんなお腹で泳げるもんですか………」
「あら、もう手配してあるのよ?Birth Shopハワイ日本人街支店の専用ビーチ」
呆れた顔はそのままだが、こうなればリコは私には勝てない。
マイとも予定を合わせ、ハワイに行く事になった。
さて、足腰をそれまでに鍛えておかないと………
- 14 :無能:2012/10/14(日) 07:27:20
-
ハワイへ行くまでの1ヶ月、なんとしても体力をつけるためにマイにも協力してもらい、足腰の強化をはかることにした。
「さっそく、少しずつ始めましょ。」
仕事が休みのマイとさっそく長く立つ練習だ。
- 15 :無明:2012/10/14(日) 07:49:59
- 立つ練習といっても、やはり15人もの巨大児が入ったお腹では、そうそう立っていられるわけがない。
でも、ちゃんと足腰を鍛えておかないと今回どころか、出産に影響する可能性もある。
そうなっては一大事なので、まずは立つことと軽く足を動かすことから始め、また様々なトレーニング機器や技法も活用して、1ヶ月とにかく足腰を鍛えることに専念した。
電気で足の筋肉を刺激したり、モーター式のサイクルマシンで足を強制的に動かしたり。できることはとにかくやった。
そして1か月後には、なんとか二本の脚で立って歩けるだけの強い下半身を手に入れた。
太ももだけ女子陸上選手どころか、ボディビルダーになりかけているのは少々恥ずかしいが。
ついでに、マイのお腹も私ほどでないが大きくなっていることに気づいた。
聞いたところによると、健常者と私のような規格外の妊婦ではどうしても行動にずれが出るため、規格外の妊婦同士でサポートし合ったほうがいいからだという。
- 16 :無明 Birth Shopも更新してくれると嬉しいです:2012/10/14(日) 16:25:21
- 「マイもよく妊娠するから気づかなかったけど、何人?」
「4つ子。さすがに貴方みたいな無茶はできないわよ。アンタのとこと違って子供も面倒見よくないし」
そう言いながら微笑むマイ。
なんだかんだ言って、お互い母親としてやっていけてるのはいいことだと思う。
ハワイにはマイの子供たちもついてくるそうで、うちのこは久しぶりに会えると楽しみにしていた。
ちなみに、飛行機だと万一の時に手のうちようがないため、船でハワイに向かう手立てになっている。
乗船の際に私の車椅子は荷物扱いになるらしく、まずここで歩けなきゃいけないのだった。
- 17 :無能:2012/10/14(日) 20:50:15
- しかし、トレーニングを行ってから2週間たった時だった。
「なぁ〜マイ、何かいつもよりもお腹が張ってる気がするんだけど。」
今までずっと順調だったが、トレーニングを始める前からお腹が張り出したのだ。
「あ、ほんとだわ。」
マイが私のお腹に機械を装着させて言った。
- 18 :無明 ありがとうございます:2012/10/14(日) 23:55:12
- ここまでの運動は、もう長い間していなかったから、子宮が色々と刺激されているのだろう。
その証拠に、張りも直ぐ弱くなって収まっていった。
急な出産はやはり危険なので、その後も休憩をはさみながら、トレーニングを続けた………
脚だけでなく、巨大で重たい子宮を支える腰やインナーマッスルをも鍛え、私は2週間後に備えた。
その結果………
「お母さんすごい!1ヶ月でここまでやるなんて!」
「メイコ、そんなに褒めても何も出ないわよ」
「そうじゃないって。お母さんの身体、まるでトップアスリートみたいだもん!」
私は調子こいてどうせなら、と軽いエクササイズのつもりで全身のトレーニングもこなしてみたのだが、その結果、整形外科医を目指しているメイコが目を丸くしていた。
無駄なくきゅっと引き締まり、その一方で女性らしいラインを保った脚。
腕も首も顔も、妊婦特有の悩みであるむくみがいくらかとれたせいか、すっきりしたラインとなっていた。
道行く人が、振り返るような整った体だ。
それでいてお腹だけは異常なほど大きく膨らみ、妊娠線もびっしりはしっているのだから、アンバランスこの上ないだろう
メイコ以外の四人はマイの娘のメグミやユキノと喋っているし、セツコはマイの息子のタカユキくんといい雰囲気のようだ。
こうして客船に乗り込んだわけだが、早速船員が面食らっていたし、艦内通路を歩くだけでもすれ違った人が次々と振り返る。
ちょっと恥ずかしいが、悪い気分じゃない。
そして私とマイはそれぞれ家族で一つづつ船室をとっている。
私とマイはスーパースイートルームだ。
部屋に入り、早速窓のカーテンを全開にする。
まだ出航していないので、大きな窓からは港の様子が見える。
一息ついてカーテンを閉めると、私は着ていた上着を脱いでタンクトップ姿になった。
これだけ鍛えても、このお腹で歩くのはつかれてしまう。
ベッドにゴロンと寝転がっているところに、隣の部屋からサクラコが入ってきた。
「入っていいよなー?」
「男の子みたいな喋り方やめなさいよ」
「いーじゃん別にー………」
クスクスと笑いながら話す私達。
そういえばサクラコが今週の「お世話担当」だったなあと思いながら、いろいろと話していた。
旅行への期待をひと通り喋り終えると、サクラコが私のお腹を見て切り出した。
「母さん、また腹デカくなってね?大丈夫か?」
- 19 :無能:2012/10/15(月) 00:19:36
-
「大丈夫よ。」
「ふふっ。こう話しているとサクラコってナオの若い頃みたい。顔も一番にてるかも。」
マイに言われて、確かに一番サクラコが、私ににていると思う。若い頃は女に成田てで言葉遣いが男っぽかったからなぁ。
ブーブーブー
「もしもし?」
「妊娠生活はいかがですか?」
Birth shopからだ。
「そろそろ頃合いだと思いまして、お伝えしようと。」
「な、何よ?」
「それはご自身がおわかりでは?あ、ちなみに楽しい船の旅のアクシデントにつきものですよ。それではGood luck。」
電話が切れちゃった。
お店の話的には船旅の間に私の出産が始まるってことか。
- 20 :無明:2012/10/15(月) 00:42:55
- (ナオの出産はまだでお願いします)
私はいつ出産してもいいように、準備してきているのだ。
突然の出産なんか、怖くない。
電話が切れたのを確認すると、私たちはこの客船の中を見るために部屋を出た。
豪華客船らしく、プールに映画館にコンサートホール、ゲームセンターに図書館、高級レストランとなんでも揃っている。
サクラコと一緒に色々巡っていると、とんでもないものを発見した。
「すっげ………母さん、船の中なのにBirth Shopがある………」
確かに「Birth Shop」の文字。
行ってみようと思ったが、割と混んでいたため諦めた。
浸透してるんだな………Birth Shopって………
マイ一家と一緒に食事をし、自室に戻ってサクラコと入浴している最中のことだった。
「ナオさん!ナオさん!!」
メグミちゃんの声だ。
「どうしたの?カギなら開いてるわよ?」
バスルームからそういった次の瞬間、メグミちゃんが猛ダッシュで部屋に飛び込んできた。
「大変、お母さんが、破水、しちゃった!」
そう、アクシデントとは私の出産ではなかった。
私に「出産介助をさせる」ことだったのだ………
- 21 :無能:2012/10/15(月) 00:54:22
-
(1人くらいは出産したらいいかなぁと思っていただけなので、了解です)
「マイ、大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、大丈夫、じゃなぃ、わよ!」
マイは肩で息をしながらもマイの娘たちに脱がせてもらったらしく、裸になって息んでいた。
「マイ、今、どういう状態かみるな。」
「はぁ、はぁ、あんたの、お腹が、あたってる。」
私は下をみることができないから手さぐりでマイの股間をさわるから、お腹があたるんだよね。
- 22 :無明:2012/10/15(月) 01:17:26
- 「メグミ、どんな感じだったんだ!」
「サクちゃん………えっとね、お母さんがおなかずっと気にしてて、『動きすぎたかな』とか言ってたの。その後お風呂に入ってたら急に………」
「母さん、そういうことらしい!」
サクラコはメグミから情報を聞き出しているようだ。
なんだかんだ言って、隠れ(バレバレだけど)出産マニアだけあって行動が早い。
「メグミちゃん、ユキノちゃんとタカユキくんは?」
「ユキノとお兄ちゃんなら、船の人とか呼びに言ってます!」
「OK、さすがに行動はやいわね」
マイは「面倒見よくない」なんて言ってるけど、そんなことはない。
よくできた子たちだと思う。
マイの子宮口を確かめたくても、見えないので難しい。
こんなに時間かかってたら色々と間に合わない気がする。
サクラコに確かめてもらって、私はアドバイスに専念するかな………
「サクラコ。子宮口の確認とか、赤ちゃんの頭とかお願いできる?やっぱりこのおなかだと難しいわ」
「オッケーオッケー。そのお腹だもんな。オレがやるよ!」
快く引き受けてくれたサクラコと交代し、私はマイの声かけに専念することにした。
いざ準備完了、となったところでリコとユキノちゃんが、船内医務室のお医者さんを連れてきたようだ。
あ、凄い私見てる。
- 23 :無能:2012/10/15(月) 01:42:54
-
「先生、あっちじゃなくてこっちです!」
リコが医者の目線に気付き、マイの方にむける。
「すまぬ、すまぬ。あまりにもお腹の大きい妊婦さんじゃからのぅ。」
医者は笑いながらマイの状態を診ている。
「4つ子だと聞いておるが、間違いないか?」
「っ!はぃ。」
マイはなんとか返事をする。
医師はマイの状態を見終わり、ゴム手袋をはずした。
- 24 :無明:2012/10/15(月) 02:28:25
- 「今のところは順調のようじゃが………なにぶん多胎は危ないな。出来れば目的地に付くまで持たせたいが」
医師はそう言うが、一度始まった出産は止まらない。
安産体質のマイらしく、一人目の頭がもう出始めていた。
「っと、いかんいかん!それ、頭も見えてきた。いきむんじゃ!」
医師に従い、タイミングをあわせていきむマイ。
徐々に、徐々に。
黒い髪の毛に覆われた、赤ちゃんの頭が見え始めた。
私の緊張が伝わっているのか、胎動が活発になってくる。
大丈夫。マイはきっと大丈夫だし、私もちゃんと、貴方達を産むから。
「もうすぐ生まれるぞ!」
医師のその声にあわせ、マイに励ましの言葉をかける。
そして、マイが最大限にいきんだ瞬間………!!
- 25 :無明:2012/10/15(月) 03:56:36
- (ナオもひとりはハワイ旅行中に産ませたいところです。ハワイ旅行の日程は10日間くらい?)
部屋の中に響き渡る産声。
そう、一人目が産まれたのだ。
「2845g、男の子。さあ、ここからが本番じゃよ?」
小型のはかりで赤ちゃんの体重を計ると、直ぐにへその緒を処理する医師。
多胎になると、次の子が出るときにじゃまになってしまうのだ。
幸い陣痛も止まっていないし、マイの体力も十分そう。
自分の手で手伝えないのが癪だけど、私は声をかけ励まし続けた。
やがてマイは1日と少しかけて、男女二人づつの赤ちゃんを産んだ。
ついでに体力のことを考え、ハワイ到着までの間、医務室で入院することになったようだ。
ハワイ到着まではまだ間がある。
こうなったらチャンスだ。
おもいっきり遊んでやろう。
私は早速、4着購入した水着の一つをきて、屋外プールへと向かった。
向かっている最中でさえ、超巨大なお腹を抱えた私は他者の視線を釘付けにする。
- 26 :無能:2012/10/15(月) 11:12:39
-
(了解です)
「お母さん、待ってよ!もうマイさんの目がないからって。」
「そうだよ。おいていってどうする気なんだ?」
ついてきたのはサクラコとリコでまぁついてきたより追いかけてきたよね。
「まぁ、まぁ、見つけられたんだしいいでしょ?2人とも早速プールに入りましょ?」
私はさっさとプールサイドにいったため、あわてて2人がついていく。
- 27 :無明:2012/10/15(月) 11:46:05
- 浮力でおなかの重みが少し軽減され、ちょっと変な姿勢になる。
泳ぐというかは水浴び用のプールなので騒がしくないのはいいが、こうも設備が整っているとハワイがつまらなくなりそうで不安だ。
しばらくぼーっとしたあとにリコとサクラコ二人掛かりでプールからあげてもらい、体をきちんと乾かして私たちはあるところに向かった。
ちょうど、日本にいたら検診の日だ。
birth shopで、検診を受けることにした。
船内とは思えないほど、設備の揃ったbirth shop。
検診の時はできるだけ薄着がいいので、私は水着のままだ。
仰向けになった私の体を、カメラがスキャンする。
子宮の立体映像がうつしだされ、機械音声が説明を始める。
「ナオ さん、現在推定腹囲189cm、子宮底長68cm。第一子推定体重4736g…………」
とりあえず一番大きな子は10kg越えてたのはさておき、次々読みあけられるデータのなかで、私はある言葉が気になった。
「子宮口、1cm開大。僅かに出産兆候あり」
- 28 :名無しさん:2012/10/15(月) 11:51:31
-
まさか。
「このまま出産になっちゃうんですか?」
リコが驚いて医者に聞き返した。
「まだ子宮口が一センチということでまだ今の状況じゃナオさんの場合はわかりません。」
さすがに色々な出産をみている医者ですら私のお腹では推測がたてれないようだ。
「定期的に一応子宮口の確認はしてください。また変化があったらいつでもきてください。」
- 29 :無明:2012/10/15(月) 12:07:01
- (しばらく楽しんで、夜になってホテルで寝ようとしたら催してしまい、トイレに向かった際に陣痛が、という流れを考えてます)
とうとう、出産が近づいてきている。
その事実は、私をわくわくさせるには十分。
男の子?女の子?
どれくらい難産?
頭から?足から?お尻から?
私の心は期待で満ちていた。
そしてとうとう、運命のハワイ島着。
観光、買い物、海水浴にフラダンス。
やりたいことは沢山ある。
マウナケア火山への登山なんかもいいかも!
- 30 :名無しさん:2012/10/15(月) 12:32:35
-
「お母さん、全然1センチから変わらなかったね。」
「あ〜ぁ、てっきり船で生まれると思ったのに。」
「楽しみにしてたのに。」
子供たちからはブーイングだけど私としてはハワイを楽しみたいし、それにマイの子供とふれあったから満足だけど。
マイの子供を抱いてたら私の出始めた母乳を飲み始めたのには驚いちゃったけど。
「ホテルにチェックインしたらまずは海よね?」
やっぱりハワイにきたら海でしょ!
- 31 :無明:2012/10/15(月) 13:02:47
- 青い空、青い海、白い砂浜、白い巨大な妊婦腹。
それが今、私の視界に入るすべて。
おなかの中でもはしゃいでいるのか、胎動がいつになく活発だ。とりあえずセツコとメイコに付き添ってもらい、海水浴を楽しむことにした。
- 32 :名無しさん:2012/10/15(月) 13:20:41
-
「お母さん、待ってよ!」
はしゃいでいる私をよそにメイコとセツコは私に振り回されて追いかけていく。
「さっそく入りましょ。」
海に入るときはなにかあったときのためにメイコとセツコに支えてもらい、少しずつ入っていく。
- 33 :無明:2012/10/15(月) 13:34:34
- 海に入ればそこからは全力。
我ながら妊婦と思えない体力で娘二人を振り回し、日が落ちるまで遊び倒した。
「お母さん、どこまで上るの……?」
カナコかヘトヘトになりながら私に聞いてくる。
今日は正直、私もしんどい。
二日目は、マウナケア火山への登山をする事になったからだ。
山頂はさすがに無理だけど、坂を上るのは出産に良いと聞く。
なら、このとんでもない体に効果を出すには、登山しかないと考えたのだ。
- 34 :名無しさん:2012/10/15(月) 13:40:53
-
「ほら、お母さん、水分補給よ。」
リコは、自分のリュックから薄めたポカリをだしてくれた。
リコは本当はついていくはずだったマイが産後でこれないということで十分注意するように言われているのだ。
- 35 :無明:2012/10/15(月) 21:44:48
- 「ん、ありがと」
ペットボトルを受け取って、飲む。
それをしばらく繰り返すと、事前に注意されていた地点が見えてきた。
ここから急に標高が上がるため、妊娠中の場合などではは登ってはいけないと聞く。
仕方ないので、そこで目印代わりになっている大きな黒曜石の一枚岩の前で記念写真をとり、下山することとなった。
カメラはタカユキくんの担当。
あとで個人のモバイルに画像データが転送されるんだそうだ。
4時間かけて登って、4時間かけて下山。
ホテルに返ってきた頃には、もう夜だった。
今日はカナコが当番ということで、一緒に寝ることにした。
今日はだいぶ運動したし、よく寝れそうだ。
そう思ってお腹に手を当てる。
この胎動さえ、我慢できればだけど………
さて、寝る前に汗を流さないと。
「カナコ!お風呂入るからお願い!」
- 36 :名無しさん:2012/10/15(月) 22:10:42
-
「了解。」
カナコに支えてもらい、お風呂場へいくと体を洗ってもらい、湯船につかる。
「ふぅーー極楽〜。あら?」
ふと隣のカナコをみるとさすがに山登りと私の介助で疲れたみたいでウトウトしてて今にも湯船で寝ちゃいそう。
- 37 :無明:2012/10/16(火) 00:27:05
- (ツアー中に陣痛が本格的になり、長い陣痛のせいでツアーから離脱、森林の中で出産といきたいと思います)
「カナコ。寝ちゃダメよ」
軽く肩を揺すってカナコを起こす。
出るときも手伝ってもらわないといけないから、ほんとうに寝られると困る。
「あ………ごめんお母さん。出るの?」
「うん、だからお願いね?」
時間をかけて風呂から上がり、バスローブに着替えるとカナコは早速ベッドに飛び乗って寝てしまった。
まったくもって、寝付きのいい子だ。
私は体を十分ふいてからバスローブを脱ぎ、シーツを身体にかけた。
まあ寝ようとしても、なかなかねられない。
理由は単純。
さすがに15人も赤ちゃんのいるお腹では、四六時中胎動があるから。どうしても目が覚めてしまう。
酷い時なんか皆一斉に動いて、まるでおなかだけが別の生き物のようだ。
ここまで大きくなれば、肋骨にあたったり、膀胱を圧迫したり、いつも体のどこかが痛い。
それでも最近はなれたのか、まだ寝られる方だった。
なんとか激しい胎動に耐えながら、私は眠りに落ちた。
深夜。
胎動とは違う間隔で目が覚める。
ああ、いけない。
このままだとちびる、ちびってしまう。
赤ちゃんが膀胱を圧迫してるらしい。
これを何とかするにはトイレで出すもの出しておくのが一番、なんだけど………
頼みの綱のカナコはぐっすり夢の中。
起こすわけにもいかないし、自分で行くか………
ベッドから体を起こし、ちびりそうになるのを耐えながら両足を床につける。
ベッドのふちを支えにして立つと、より一層尿意が激しくなるがまだ耐える。
勢いでちびらないように、最新の注意をはらって一歩一歩トイレに向かう。
ギリギリまでこらえてたどり着き、便座に座る。
あ、いまメキって音した。
あとでホテルの人に謝っておこう。
だいぶ溜まっていたようで、出し切った後はどうしてもお腹が張る。
昨日の運動し過ぎはあるだろうけど、さすがにこれは………
ん?
だいぶ張ってる?
でも今日は森林探検ツアー予約してるし、急なキャンセルは相手に迷惑だ。
私はそう考えて、ふたたびベッドに戻ると張りをこらえて眠った。
- 38 :名無しさん:2012/10/16(火) 00:37:44
-
今日は森林探索ツアーということでいつもより何かあるかわからないし、マイがホテルの託児所に赤ん坊を預けてついてきてくれた。
後は、リコとサクラコが当番のため、一緒に参加する。
「ふぅーーーきもちいい〜」
やっぱり森林の中を歩くのってきもちいいわぁ。
「お母さん、足元気を付けてよ!」
「そうだよ。転けたらどうなるかわからないし。」
リコとサクラコは心配のあまり過保護だ。
- 39 :無明:2012/10/16(火) 01:15:12
- 昨日からお腹の張りが続いているし、この体では歩けないようなところもあるかもしれないため、車椅子をオフロード仕様にしてセツコが持ってきていた。
疲れたらそれを使うことにして、私は森林の中に入っていった………
今日の私は肘膝に怪我防止と筋力補助を兼ねたサポーターをつけているものの、あとは動きやすいタンクトップと短パン姿。
お腹は入りきらないので、おなかの上でタンクトップをまくっている。
そのため、おなかと手足に虫よけスプレーをくまなくぶっかけておいた。
足下は通気性のいいメッシュブーツだ。
腹囲190cm近い超巨大なお腹を抱えてずんずん進んでいく私に、他の参加者だけでなくツアーガイドさんまで圧倒されていたが、それはどうだっていい。
私は結構、こういう大自然が好きなのだ。
しばらく歩いていると、さすがにお腹が張ってきた。
赤ちゃんたちも森林探検ツアーを楽しんでいるかのように、お腹が変形するくらいには激しく動いているし、ここは車椅子に乗り換えよう。
こんなかんじで、交互にやっていけばいい。
そうやって、ツアーガイドの直ぐ後ろを行っていた私だったが、お腹の張りが徐々にきつくなってきていることを感じた。
こんなところで、だ。
- 40 :名無しさん:2012/10/16(火) 01:46:52
-
「はぁ、はぁ。」
さすがに疲れもともない、段々車イスで移動する時間が多くなり、それとともに少しずつツアーガイドや他のツアー参加者たちと離れていっている気がする。
「ナオ、お腹張ってない?」
お腹が張っていると始めに気づいたのはさすがにマイだった。
- 41 :無明:2012/10/16(火) 02:10:25
- 「ごめん、歩きすぎたみたい。先行っといて………こっちにはリコたちもいるから」
「無茶しないでよ!」
こうなったら、この森林の中で産むしか無い。
そのためには、心配性のマイは余計だ。
そうしてマイを遠ざけていると、子供たちとまではぐれてしまった。
いつの間にか私はルートからも外れ、森林の中一人取り残されてしまった。
大丈夫だ。
たとえどんな事になろうと産んでみせる。
私は、どんな難産だって無事に切り抜けられる、はずなのだから………
- 42 :名無しさん:2012/10/16(火) 12:36:28
-
「はぁ、はぁ、今どのくらいの陣痛かわからないわ。」
さすがに他の妊婦とは桁外れに違うため、子宮がどのくらい収縮するのかわからないし、ましてや自分でどのくらい開いたかさわれないのよね。
- 43 :無明:2012/10/16(火) 13:20:01
- とりあえず車椅子から降りて、近くの木に手をついて深呼吸。
最初は立っていた方が、出産を進ませるにはちょうど良い。
「はあっ、あ……………っ……………」
徐々に長く、強くなっていく陣痛。
まだまだ序の口。
ドンドンと、胎動を繰り返すくらいには赤ちゃんたちも元気だ。
手をちき、しゃがみ、四つん這いになり。
私は体勢を変えて、陣痛を耐えた。
- 44 :無能:2012/10/16(火) 23:38:39
-
しばらくしてあることに気づいた。
パンツを履いたままなのだ。
「はぁ、はぁ。どうしよう。」
いつもは履き脱ぎは子供たちに手伝ってもらうから私だけじゃ脱げないし。
- 45 :無明:2012/10/17(水) 00:23:11
- 今はそんなことを考えても、どうしようもない。
とりあえず、陣痛に耐えないと………
四つん這いといっても、お腹が邪魔をするので正しい形にはならない。
その態勢がより一層辛さを増幅させる。
でも、仕方ない。
難産なのは、わかりきってるんだから………
とりあえず私は木に抱きつくようにして、しゃがむ態勢で陣痛をやり過ごした。
ツアーは午前中だったため、まだまだ太陽は高い。
わたしは呼吸を整えて、ひたすらその時を待った………
- 46 :無能:2012/10/17(水) 00:40:39
-
「ん゛!そろそろ、かも。」
日が傾きだした頃にいよいよ胎児の1人が産道へいこうとしているらしく、下腹部に拳大くらいの大きさに膨らみができたのだ。
後は、私の息みと骨盤、産道との勝負だから私は比較的太い枝を見つけ、掴み腰をおとして息みだした。
- 47 :無明:2012/10/17(水) 01:31:33
- (探す側として、こうやってサクラコパートを入れたいと思います)
その頃………
「えっ!?ナオったら戻ってないの!?」
ホテルのフロントで、マイさんが素っ頓狂な声を上げる。
どうやら、母さんが戻ってないことを知らなかったらしい。
リコから聞いたところだと、あたしら一家とは別ルートで帰ってきたから、どうも途中ではぐれたことも知らないらしい。
「マジかよ………あんなバケモノ妊婦置いてきたのかよ………母さん探してくる!」
「サクラコ!!」
あたしはそう呟くと、懐中電灯片手にホテルを飛び出した。
それにしてもバケモノ妊婦とは、自分の母親に対して随分な物言いだけどさ。
どんな難産だって何とかできちゃう身体でもさ、心配なんだよ。あたしは。
「ん゛んっ、んぐ、ぅっぅぅううううううう!!!!」
何回、いや何十回、何百回目かもしれないいきみ。
赤ちゃんの巨大な頭の圧迫感を、確かに感じる。
腹圧がかかりすぎて漏れた尿が、パンツを通り越してずぶ濡れの短パンのシミを広げる。
下は脱げていない。
でも、間に合わない。
私は、渾身の力でいきんだ!
- 48 :無能:2012/10/17(水) 01:51:49
-
「う゛おぉぉぉぉぉ!」
動物の雄叫びのような声で息むと赤ん坊が骨盤を通り始めたのか骨盤あたりからメキメキ音がするし、圧迫感がすごい!
でも今までより進歩だと思い、更に力を入れて息みだした。
このときはまだ気づかなかったが、しばらくして最近便秘だったことも後悔する。
- 49 :無明:2012/10/17(水) 02:04:04
- やがて、とうとう。
ガボン、と大きな音を立てて赤ちゃんの頭が飛び出す。
「ん゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
思わず声が出てしまう。
どうしよう。
パンツの中に、赤ちゃんの頭が出てしまった………
その時。
こちらを照らす、ライトの明かり。
サクラコ!?
サクラコSIDE
深夜、月以外光のない森林。
あたしはそこで、ただひたすらに母さんを探していた。
そのさなか、はたと気づいた。
風に乗って聞こえてくる、荒い息遣いに獣の唸り声。
まさかと思い、そのもとに近寄ってみる。
樹の根元に大きな影が見えた。
そこにライトを向けると、パンツの股のあたりが丸く盛り上がった状態で苦しんでいる、母さんの姿があった。
- 50 :無能:2012/10/17(水) 02:12:09
-
「お母さん、大丈夫!?今、外すからね。」
サクラコは慌ててはずそうとしたが、慌てててなかなかおもうようにいかないみたい。
「はぁ、はぁ、赤ちゃんの状態、さわって。」
もうはずせないならパンツの中のが安全だし、今は赤ちゃんの頭とかたがどのくらいか心配なの。
「お母さん、赤ちゃんぷにゅぷにゅしてる!」
サクラコは驚いて、パニックになっているけど私は冷静だった。
だって私が生む子は大きいから羊膜が丈夫だし、まだ破水してないしね。
- 51 :無明:2012/10/17(水) 02:33:35
- (ナオの出産は、破水からというのは有り得ない方針でお願いします)
「あ、なんだ………羊膜かこれ………母さん、割っていい?」
落ち着いたサクラコはパンツを脱がせて、私の様子を見る。
「お願い………そろそろ、産みたい………」
サクラコはポーチから破膜用の器具(そんなものどこで入手したんだろう?)を取り出すと、私の羊膜に引っ掛け、破水させた。
その途端、私のお腹が一気に「締まる」。
残った羊水を一気に吹き出して、赤ちゃんが産まれた!
手首に重量計付きの腕時計をつけたサクラコは赤ちゃんを抱き上げると、体重を告げる。
「女の子の4620g………デカすぎ。母さん無茶しないで」
「それ………一番、小さい、子………」
絶句してサクラコは驚いているようだが、これが私の普通。
一息つこうとした、その時だった。
猛烈な便意!
「サクラコ!あっち向いてて!!」
「母さん?」
「あ、だめ、嫌、出る!!」
サクラコSIDE
あたしはあまりの状況に動けなかった。
踏ん張りすぎと、出産して腸が刺激されたのだろう。
母さんは、あたしの眼の前で盛大に脱糞した………
後日、産まれた赤ん坊の「リンコ」を連れてハワイから帰る時のこと。
母さんはあたしだけに、次の出産を見るように頼んできた………
今までネットやモバイルで見てきた出産。
母さんが、それを生で見せてくれるという………
アタシの中の何かが、知らず知らずのうちに疼いた。
サクラコが最近変だ。
ハワイでのリンコの出産を手伝ってもらってからというもの、家にいるうちはずっと私にベッタリ。
ずっと妊娠線だらけのおなかに頬擦りしたり、まるで幼稚園児のようにおなかに呼びかけている。
私としては、一人いなくなって羊水が増えたぶん頬擦りされると苦しいから、やめて欲しいのだけど。
それに、リンコに母乳をやって次の出産を促す時までベッタリなのは、さすがに困る。
どうしたんだろう、サクラコは。
- 52 :無能:2012/10/17(水) 02:39:09
-
「ナオ、サクラコちゃんが赤ちゃん帰りしてるってほんとみたいね。」
取り敢えず相談できそうなのが助産師の資格をもっているマイだけのため、サクラコがお腹をさわりながら寝てしまったため、きてもらったのだ。
「そうなんだって。まさかこの年齢で赤ちゃん帰りってあるのか?ていうかどうしたらいい?」
さすがに助産師だから専門じゃないけどまぁ、しょうがない。
- 53 :無明:2012/10/17(水) 02:52:39
- 「赤ちゃん帰りしているっていうか、これは………」
「これは?」
「出産が、待ち遠しいんじゃない?」
私は、言葉が出なかった。
まさかハワイの時に、サクラコの出産マニア属性を加速させてしまったのか?
マイに礼を言って帰ってもらうと、入浴時にサクラコと会話した。
そこで、サクラコの思いを、知るのだった………
サクラコSIDE
「決まってるじゃん。母さん綺麗だし」
風呂に一緒に入ってる時に、母さんが「なんで最近私にベッタリなのか」と聞いてきた。
「だって、今の母さん、すごく女らしいんだもん」
あたしの率直な意見。
正直、妊婦さんってすごい綺麗だと思う。
その究極系たる母さんは、そりゃ世界一綺麗といっていい。断言できる。
妊娠、出産できるって凄いことなんだ。
それを、あたしは母さんから教えてもらったのだった………
- 54 :無能:2012/10/17(水) 03:05:18
-
次の出産は意外と早く始まった。
ハワイから帰ってきてから2ヶ月、いつものようにべったりのサクラコと公園に散歩に出掛けた時だった。
「ん!サクラコ、久しぶりのあれかも?」
あれというのはもちろん便意。実は、あのハワイからほとんど便がでてないのよね。
まさか久しぶりにあそこで生むとは思わなかったけど。
私とサクラコは近くの古い和式トイレにやってきた。
- 55 :無明:2012/10/17(水) 06:22:20
- 修理されたはずなのだけれど、結構前の話だったようだ。
前と違って中身は壊れていないけど、あちこちもうボロボロだった。
過ぎ去った時の重さを改めて感じ取る。
ハワイから2ヶ月、とはいったものの、実際の便秘はせいぜい2週間くらい。
脚を鍛えたついでに運動を欠かさなくなったおかげで、前よりかはかなりましになった。
それに、私の便秘は普通とはわけが違う。
妊婦特有の、大きくなりすぎた子宮が腸を圧迫して起きる、いわば「物理的便秘」だ。
だから、赤ちゃんの胎動次第で大きく調子が変わってくる。
つまり便意のあるときは、赤ちゃんが邪魔しないポジションに居るとき。
和式は身体にもいいというから、この公園に散歩に出るときは必ず利用するのだった。
サクラコは別にもよおしてはいないそうなので、もう一週走ってくるそうだ。
「ふん………………っ、んん、っ…………」
衝立に手をついて、しゃがみ込み、一気に踏ん張る。
程なくして、ミチミチと堅そうな音を立てながら排便する私。
走りすぎたせいかお腹が張っていたが、それがこの排便で更に刺激されるなんて………
流して立ち上がろうとしたその時、突然の陣痛に腰が抜けてしまった。
- 56 :無能:2012/10/17(水) 11:03:35
-
しかもその反動で変な力が入ってしまったのかたまたま胎児がいいポジションにいたらしく、ズボッという大きな音とともに羊膜に包まれたままの頭が飛び出し、腰が抜けた私は今にも赤ちゃんを便器に産み落としてしまいそうだ。
「はぁ、はぁ、ど、うしょぅ・・・んぅーーー。」
困りつつもはやくだしたいという衝動にかられて息んでしまう。なんでたまに私は巨大児なのにこんなに安産なときがあるのよ!
- 57 :無明:2012/10/17(水) 16:12:23
- 「だめ、ここでは…………」
今この体勢では、赤ちゃんが便器の中に落ちてしまう。
それだけは絶対に避けたい。
私はここで、ある方法に出た。
いきまず、慎重に羊膜を押し戻していく。
手は届かないので、トイレの床に山ほどトイレットペーパーを敷き、その上にゆっくりと座り込む。
「んおぉぉぉぉ……………」
変な声が出てしまうが、耐える。
やがて子宮奥深くまで戻っていったのを確認すると、私はトイレを出た。
このせいて胎児の順番がかわり、子宮口が刺激されてカチカチに閉じてしまい。超難産になることはまだ、分からなかった。
- 58 :悪音:2012/10/17(水) 22:18:46
-
「もう〜お母さん遅いけど、ちゃんとできたの?」
サクラコは一応マナーとしてか外で待っていた。
「ごめんごめん、もちろんちゃんとできたわよ!ほら、いくわよ。」
私は何事もなかったように降るまい、そのまま少し散歩をし、家に帰宅した。
- 59 :無明:2012/10/17(水) 23:04:45
- (サクラコは一人称のみ『あたし』の男言葉でお願いします」
そして、入浴中。
サクラコに、気づかれてしまった。
「母さん、大丈夫か?顔色悪いし、息も荒いし……」
入浴の数時間前から、本格的な陣痛がきていた。
それを何とかごまかして入浴していたのだが、バレてしまったようだ。
徐々に下がってくる胎児が、パンパンに膨らんだ膀胱を刺激して尿意を催す。
このままではサクラコにかかってしまう。
「いいんだ。アタシどくしさ。風呂場だから洗えばいいし、それに出産の邪魔だろ?もうおもいっきり漏らしちゃえよ」
そう聞いた途端、遠慮の糸が切れる。
私はサクラコの目の前で、盛大に放尿してしまった。
顔から火が出るほどはずかしい。
が、そんな感情も。
膀胱が縮んだことで胎児が進みやすくなり、陣痛が強くなっていく。
私は無意識に、サクラコにそばに居て欲しくなった。
- 60 :悪音:2012/10/17(水) 23:10:16
-
(わかりました。)
「サクラコ、陣痛が、だから、そばにいて!」
「あぁ。けどその前にさわっていいか?」
どうやら出産マニアのサクラコは出産中の私の赤ん坊がでてくるところをさわってみたいらしい。
「ついでに、状態、みて。」
「あぁ、わかった。」
サクラコが見やすいようにサクラコにおしりを向けるように四つん這いになった。
- 61 :無明:2012/10/17(水) 23:35:19
- 「ダメだな……全然開いてない。時間かかるぞこれ」
「はぁ、はぁ、そう……」
子宮口は堅く閉じていて、指も入りそうにないとサクラコが教えてくれた。
難産だ。
待ちに待った超難産だ。
私はサクラコに見えないようにして微笑むと、再び座るような姿勢に戻った。
「サクラコ。リコ達は呼ばなくていいから。貴女だけに、お母さんの、出産、見せてあげる」
- 62 :悪音:2012/10/18(木) 00:34:19
- 「無明さまにも更新していただけると嬉しいんですけど、やっぱり無理ですか??」
「よっしゃーー!」
サクラコは嬉しいそうにガッツポーズをしている。
「取り敢えずまだみたいだから腰押してくれる?」
「あぁ。」
サクラコは早速わたしの腰とお尻をぐいぐい押してマッサージしてくれた。
「う゛ぅー。」
やっぱり出産マニアだからかマッサージポイントが的確で大分楽だわ。
- 63 :無明:2012/10/18(木) 00:52:09
- (ちょっとBirth Shop以外の2つとも展開に困ってまして……ペース的にも4つだとちょっと1つ1つの話を考えにくいので執事は参加しない方向で行こうと考えてます。あと、公園につくまでの道のりをねちっこく書けたらなあ、と)
背中をしばらく撫でてもらい、いきみ逃しを続ける私。
このお腹だと四つん這いの態勢も辛いため、浴槽の縁につかまって腰を浮かせた、正座に近い姿勢になっている。
「うぅ〜………あぁ〜………痛〜い………」
「なんだよ。あたしら産んだってのに弱音吐くなよなー」
「違うの。声出してたほうが楽なの………」
サクラコとそんなやり取りを続けながら、身体を温め私たちはバスルームを出た。
子宮口に刺激を与えるには体を動かすのがいいということで、私とサクラコは公園に散歩に出かけた。
上はチューブトップを着ているが、下は履く余裕なんて無いし、これだけお腹が大きければ陰になって見えないだろうということで、そのまま外出した。
- 64 :悪音:2012/10/18(木) 01:14:02
-
(わかりました。お話が終わった時や気が向いた時にまた考えてください。)
「あ゛ぁ〜ちょっと、待って。」
また陣痛がきて近くの川のフェンスに掴まって陣痛を逃していく。
「大丈夫か?あんまり無理するなよ。」
サクラコは心配そうに腰を擦ってくれる。
しばらくするとまた陣痛がおさまって歩き出した。
- 65 :無明:2012/10/18(木) 01:39:28
- そのあとも、ずしりとくる重みと陣痛に耐えながら公園へ向かう私達。
足を開いて金網に掴まり、身体を前後に揺らして陣痛を逃す。
浅い呼吸でお腹の力を抜くことを意識しながら、公園への道のりをひたすら向かっていく。
桁外れに大きなお腹が、いつも異常に重たく感じる。
「あ゛ぁ〜〜………いだいぃぃ〜〜〜〜………」
声を出していきみ逃しをして、もう一度歩き出す。
赤ちゃんが出たがっているのが、嫌でもわかる。
周りに掴まれそうなものがないときは、道路にしゃがみ込んていきみを逃した。
やがて、チューブトップが汗でじっとりと濡れてくる。
気にする余裕はない。
私は、まだまだ歩き続けた………
結局、いつもの数倍の時間がかかって、公園についた。
直ぐに、私は和式トイレに向かった。
一つだけ、手すりのついている奴があるのだ。
それに掴まって、いきみ逃しなりいきむなりするつもりだ。
- 66 :無能:2012/10/18(木) 01:53:15
-
「ホントにここで生むのか?」
さすがにサクラコは私が公園の和式トイレで出産をしようとしていることに驚いている。
「ここで何人かは、産んでるよ、だから、大丈夫ぅぅぅーーー。」
私は取っ手をつかみ、踏ん張るように息み出した。
- 67 :無明:2012/10/18(木) 11:00:47
- 「おい、子宮口開いてないって!いまいきんじゃダメだろ!」
私の様子に、声を上げて注意するサクラコ。
「違うの…………私のやり方だから、これで、ダメになるような、赤ちゃんでも、ないの」
一応の説明をして、再びいきみ始める私。
一見無駄にしか見えないだろうその行為に、サクラコは呆気にとられていた。
そう、わたしのやり方は、「子宮口をいきみで強引にこじ開ける」という、体力もいるし時間もかかる、苦しいやり方なのだ。
- 68 :無能:2012/10/18(木) 11:10:48
-
サクラコがこんな出産なんてと不思議そうにみていると私のまだ完全に開いてはいない子宮口から弾力のある羊膜が息む度に膨らみ、休憩すると引っ込むという繰り返しになるようになった。
「凄いなぁ。まるで子宮口で風船を膨らまそうとしているみたいだ。」
サクラコは私の弾力のある羊膜をさわりながら感心している。
- 69 :無明:2012/10/18(木) 11:23:01
- 何度もいきんで、とにかく胎児を押し出そうとする。
それでも、まだ羊膜がほんのわずかに出ているだけであって、胎児は産道に進んできた様子もなかった。
「進みが悪いな……どうする母さん、歩いてみるか?」
時間の掛かり方がもどかしいのか、サクラコがそんな提案をしてくる。
私はそれに乗り、肩を貸してもらって再び公園内を歩き始めた。
- 70 :無能:2012/10/18(木) 11:32:57
-
「もう、だ、だめ、ふぅーーーーーん!」
一周も歩ききる前に強い陣痛と息みたい衝動にかられてその場で足を開き、腰をおとして踏ん張ったときだった。
ズボッというおとをたてて無理矢理こじ開けて頭が一気に飛び出した。
「ちょっとそっちの草むらいくぞ!」
また息み出しそうな私を見かねてトイレへは間に合わないと思い、隅の草むらへつれていった。
- 71 :無明:2012/10/18(木) 11:50:35
- 「だい、じょうぶ、まだ……」
私はサクラコにそう告げ、また歩き出した。
ヨロヨロと、股の間に羊膜に包まれた赤ちゃんの頭を挟んで歩き続ける。
そのうち、なんとかトイレの入り口まではたどり着いた。
その時だった。
ひときわ強い陣痛、久しぶりの自然破水。
「ああっ!!出るぅ!!!」
たまらずしゃがみ、ぐぐっといきむ。
度重なる出産で広がった骨盤は、赤ちゃんの大きな肩をすんなりと通して行った。
「5748g!?ふざけんな………」
産声を上げる男の赤ちゃんを抱き上げ、体重に驚くサクラコ。
私は疲れ切った意識の中で、次のことを考えていた。
「母さん、次の出産なんたけどさ……………動画、上げてみないか?」
「え?」
出産から4日後、桜子と雑談しているとそんな話題がでた。
そんな私はボディラインのためとさらなる難産のため、骨盤引き締め体操の真っ最中。
二人も巨大児を産んだのに、お腹はちっとも小さくならなかった。
- 72 :無能:2012/10/18(木) 11:59:01
-
「あたいみたいな出産マニアにはうけるぞ。目指せ10万閲覧だよな。」
サクラコはにこにこしながらいった。
「わかった。」
「もちろんビデオのアングルはまかせて!」
サクラコはヤル気満々で新しいビデオカメラを買う気みたいだ。
- 73 :無明:2012/10/18(木) 12:35:44
- 今までは、出産が終わると隙間を埋めるように羊水が増えていったのだけれど、今回は違っている。
隙間を埋めるように、残りの13人の赤ちゃんが少しずつ大きくなっていた。
そのせいかおなかのサイズだけならもっと大きくなっているし、子宮口もより堅く閉じていた。
出産もなかなか始まらないので、私は娘たちと一緒に、以前にもまして外出するようになった。
- 74 :名無しさん:2012/10/18(木) 12:52:29
-
「お母さん、今日は水族館いかない?新しいショッピングセンターにできたんだよ。」
「あそこでしょ?一緒にタワーもいきたーい!」
カナコとメイコがテレビを見ながらいった。
確かに最近できたばかりで色々と面白そうね。ショッピングセンターに確かBirth shopの服のブランドも出展してたし。
「みんなで行きましょう。」
早速支度をしていくことにした。
- 75 :無明:2012/10/18(木) 13:05:56
- 「もう、二人ともミーハーなんだから。私も行きたいけどね?」
とりあえずチケットがとれるかどうかを確認して、水族館は無理だったがタワーのチケットは取ることができた。
距離を考えると車で行くのが一番だが、このお腹では流石に運転できないし、私以外に免許を持っているのは研修でこの場にいないリコだけだ。
タワーに行くにしても、いきなり壁にぶつかってしまった。
- 76 :名無しさん:2012/10/18(木) 13:11:56
-
「せっかくだから電車でいこうよ!」
カナコの提案で早速電車でいくことにした。
早速近くの駅に行き、切符をかうとメイコはそわそわしている。
そういえば電車はほとんど使ったことないな。
- 77 :無明:2012/10/18(木) 13:25:46
- 電車に乗るやいなや、私は注目の的だった。
そりゃこのお腹だし、今日は季節はずれに暑いのでタンクトップに短パン姿。
それはもう、目立つのである。
車内がにわかに騒がしくなり、そこかしこでひそひそと声が聞こえる。
- 78 :名無しさん:2012/10/18(木) 13:35:09
-
「あの、よければ座ってください。」
「ありがとうございます。」
今日は車イスを畳んでもってきているけど基本は歩きだから手すりを掴んで立っていたけど女の人がみかねて席を譲ってくれた。
少しの間、席を譲ってくれた女の人と話をした。
「お腹大きいですね。」
まぁ話題は私のお腹よね。
- 79 :無明:2012/10/18(木) 14:47:23
- 「ええ。かなりたくさんいますから」
「多胎ですか!大変ですねえ」
いろいろと談笑しながら、席に座る。
多胎とはいえ、まさか犬並みとはこの人も思っていないだろう。
やがて駅に到着し、私たちは電車を降りた。
もうすでに、列の整理用員が最後尾を示している。
凄い込みようだ。
- 80 :無能:2012/10/18(木) 15:32:24
-
「お母さん、列の間だけでも座ってたら?」
さすがに長時間立ちっぱなしになることを避けるためにカナコが提案してくれたからお言葉に甘えて車イスに座った。
「お母さん、ドリンク買ってきたよ。」
メイコはみんなのために下で飲み物を買ってきてくれた。
待っている間も私のお腹をまわりの人はみてるみたい。
- 81 :無明:2012/10/18(木) 16:14:04
- 「たかがタワー一つに何で皆こんな盛り上がってんだか………」
サクラコはひとりだけやたらと冷めている。
まあ、無理もないかな?
そうこうしているうちに、私たちの番が回ってきた。
タワーの中一つにも、様々な施設がそろっているらしい。
- 82 :無能:2012/10/18(木) 20:40:01
-
「わぁーキレーい!!」
「すごいね。」
カナコとメイコはにこにこしながら外を見ている。
「あれ?サクラコ?」
サクラコはみんなとは反対を見て顔が真っ青だ。
「サクラコってもしかして。」
「あたいが高所恐怖症で悪いかよ!」
サクラコって高いところが苦手だったのね。
- 83 :無明:2012/10/18(木) 23:25:46
- 「て、ってわけだから、はは、早くこんなとこ、かかかか、かえろ、かっ、帰ろうぜ………」
ガタガタ震えるサクラコはあんまり見られない姿なのもあって、すごく面白い。
でも、あんまりやると流石に可哀想なので、降りることにした。
下にはショッピングモールやらいろいろあるので、まだ楽しめるだろう。
ショッピングモール内も案の定、ごった返している。
とはいえ、こんなところにわざわざマタニティを買いに来る人もいないのだろう。
Pregnant & Birth Boutiqueだけは空いていた。
やることもないので、ちょっと見てみようかと思ったその時、看板が目についた。
Birth Shopへの無料送迎やってます。
そういえば今週の検診もまだ行ってないし、行っておこうかなあ?
- 84 :無能 他も更新していただけると嬉しいです:2012/10/18(木) 23:47:27
-
「お母さん、どうしたの?」
「Birth shopへの無料送迎バスがあるんだって。まだ今週検診いってないし、いこうかなぁって。」
張り紙の前で立っていた私にカナコが声をかけてきたから張り紙を指差していった。
「え〜いっちゃうの?」
「まだ服みたいのあるのに〜。」
まぁ、カナコとメイコはショッピングも目当てできてるからしょうがないかなぁ。
「じゃああたいがついてくよ。」
サクラコはあまりショッピングにも興味はないらしい。
- 85 :無明:2012/10/19(金) 00:24:12
- (診察と測定シーンお願いします。ナオの身体データは身長165cmと、『腹囲は「87cm以上』さえ守ってくれればかなり細かく設定していただいて結構です)
無料送迎バスを頼んだが、やはりというかなんというか。
私達以外には、誰も乗客がいない。
ちなみにこの送迎バス、なんと専用ルートを通っているらしい。
ということは、だいぶ普及してきているのだろう。
この前の豪華客船の内部のやつといい、すごい話だ。
流石にこの「Birth Shop日本総本部」はかなりの人が出入りしていた。
私は健診の列に並ぶ。
私の前にも後ろにも、たくさんの妊婦さんがいるが、その誰もが私を見る。
そう、「超腹妊婦」は世界に私一人。
私以外、ほとんど誰もなれない私のオンリーワンだ。
だから体を見られることは、恥ずかしくなんか無い。
名前を呼ばれ、私は診察室に入った。
- 86 :悪音:2012/10/19(金) 00:37:03
-
「ナオさん、いらっしゃい。今週は遅かったですね。」
日本で唯一超腹妊婦の権威の先生で私の担当医のセナ先生だ。
「まぁ、その2人ほど出産をしてたので。」
私は苦笑いをしながら答えた。
「本当に超腹妊婦さんってすごいですよね。尊敬します。さぁ、早速測定と診察しますね。」
(すみません汗診察までいきませんでした。)
- 87 :無明:2012/10/19(金) 01:11:01
- (次こそ診察と測定シーンお願いします。ナオの身体データは身長165cmと、『腹囲は187cm以上2m以下』さえ守ってくれればかなり細かく設定していただいて結構です)
しばらく世間話を先生と交わす。
そもそも、「超腹妊婦」、正しくは「超多胎過熟妊娠」という異常妊娠カテゴリそのものが、私のために作られたようなものである。
対外的な発表としては「Birth Shopシステムとの過剰適合と効果の過剰残留」ということらしい。
症状は「過剰な多胎妊娠と胎児の異常成長に身体機能の異常発達、そして老化の長期に渡る遅延」とのことで、世界で報告されているのはたった一例。
つまり私なのだが、論文や研究発表などでは「日本在住の女性」とだけ記され、私のプライバシーを守るために名前は出ていない。
「さあ、あんまり座りっぱなしだと出産につながらない陣痛や胎動で苦しいでしょう。診察するのでベッドに寝てください」
言われるがまま、私は診察台に寝転がる。
仰向けになると子宮に血管が圧迫されて貧血になるのが普通なんだけど、私の場合心臓や血管も異常なほど強化されているためそれが起きない。
そのまま先生の手で服を脱がされ、私は診察台の上で裸になった。
やはり、体の隅々までチェックするには裸がいいのである。
- 88 :悪音:2012/10/19(金) 01:30:40
-
「まず、腹囲が190センチ、一番大きい赤ちゃんは11キロは越えているわね。体重は160キロね。これで歩けるなんてほんといつみてもすごいわ。」
セナの口からは関心の声しかでないようだ。
「血圧は、下が83上が125すこぶる健康ね。」
取り敢えず一通りの検査が終わった。
- 89 :無明:2012/10/19(金) 02:04:30
- いざ数字に出されてみると無茶苦茶極まりないのが改めてわかる。
普通、ここまで重くなれば歩くことはもちろん、身体が潰れてしまう。
それでも私がこんな身体で生きていけるのは、「超腹妊婦」の症状故である。
「身体機能の異常な発達」。
骨も、筋肉も、消化器も、呼吸器も、心臓も。
私の体すべてが。人間の範疇を遙かに超えた能力を発揮しているらしいのだ。
なんでも「超ヒュペリオン体質」というものらしい。
我ながら、凄い体になってしまったのだと再確認することとなった。
現在のナオのパーソナルデータ
身長:165.4cm
体重:160.0kg(妊娠前+104kg)
子宮底長:58.3cm
腹囲:190.0cm
血圧:125/83(正常値)
浮腫:無し
尿蛋白;無し
尿糖:無し
- 90 :無明:2012/10/19(金) 02:42:58
- ただ、私の体にも二つだけ悲しいところがある。
妊娠線が、抑制できなかったことだ。
超ヒュペリオン体質でなければ、今頃とっくに皮膚が裂けて私は死んでいるらしいのだが、それでも妊娠線だけはない方がよかった。痒いし。
そしてもう一つ、トイレ問題。
強くなった内蔵を支えるために、消化器系はフル稼働。
その分新陳代謝も活発であり、特に二人産んでからは更に活発だという。
そのせいか、以前にもましてトイレの我慢が利かない。
困り果てた私は、試作品の超吸収抗菌分解パンツをマイからもらい、それを履くことにした。
これは新素材の力で吸収、殺菌、汚れ分解、乾燥を勝手にやる優れ物だ。
ウォーキングをするとスキップする度に漏らしかけるので重宝する。
今日も朝から、お気に入りのチューブトップと短パンでウォーキングだ。
セナ先生の見立てだと、出産はまだまだなので運動はしておくべきらしい。
- 91 :無能:2012/10/19(金) 10:31:09
-
「お母さん、準備できたからいこう。」
今日のお伴はリコらしい。最近忙しかったから久しぶりかも。
「リコと出掛けるの久しぶりね。」
「中々忙しくて。」
けどリコと出掛けるときは車があるから遠出の公園でウォーキングもできるから楽しみでもある。
- 92 :無明:2012/10/19(金) 10:54:06
- 「それにしてもびっくりした。もしかしてとは思ったけど、まさかお母さんが超ヒュペリオン体質だなんて」
リコの話によると、ヒュペリオン体質そのものが全世界でも少なく、超ヒュペリオン体質ともなると理論上の存在に過ぎなかったらしく、実例である私の存在は医学界における今世紀最大の発見なのだとか。
「まあ、言われてみればそんなお腹抱えて歩けるなんて、そうじゃなきゃ説明つかないもんね」
談笑しながら車で少し遠出。
いつもと違う、池のある広めの公園に着いた。
- 93 :無能:2012/10/19(金) 11:00:06
-
「さてと、うぅーーーん!きもちいいー!」
リコは伸びをしながらはしゃいでいる。
「やっぱここは空気がいいわね。」
この公園は都心から結構離れていて、近くに山もあるから空気がおいしいんだよね。
「早速歩こう!」
- 94 :無明:2012/10/19(金) 11:49:33
- 40年ほど前に開発された画期的な空気清浄システムのちからで、現在の地球の大気は産業革命前と同レベルにまできれいになっている。
都市部から離れれば離れるほど顕著で、外宇宙にまで進出しているのと対照的に、地球は自然と科学の調和した星になっていた。
その自然あふるる野原を、リコと一緒に歩いていく。
190cmのお腹はとてもおもいけど、この子たちと一緒に自然を感じられるのが、たまらなく嬉しい。
色々と歩いているうちにたどり着いた、登山コース。
これはもう、やるしかないでしょう!
- 95 :無能:2012/10/19(金) 18:22:20
-
「ちょっと待って!飲み物買うから!」
さすがに公園をウォーキングだけの水しかないため、リコは足しに自販機に買いにいった。
私はベンチに座って待つことにした。
- 96 :無明:2012/10/19(金) 18:45:42
- ベンチに座るにしても、お腹を太ももで挟むようにして股を大きく開かないと座ることすら出来ない。
そしてお腹の左右は太ももに、下の方は座面に当たってしまうため、赤ちゃんが反応してよく蹴ってくるのだ。
ついでにいうとお腹がむき出しのため、ちょっとした擦り傷を作ってしまうこともある。
私はしばらく、ポコポコと元気に胎動し続けるお腹を撫でていた。
しばらくして、リコが2リットルのチューブボトル(この時代一般化した、軽くて持ち運びやすいストロー一体型のペットボトル)のミネラルウォーターを4本、リュックに詰めて持ってきた。
登山といえど、ここはそこまで高くなく、特別な装備はいらない。
準備が整ったのを確認すると、私たちは登山道へ一歩を踏み出した。
- 97 :無能:2012/10/19(金) 19:46:25
-
「さぁ〜て、頑張ろう!」
私たちが早速山に登り始めた。
「お母さん、気を付けてよ。」
「はいはい。」
リコといい娘たちは私が転けるとでも思っているのかしら?
- 98 :無明:2012/10/19(金) 20:38:10
- 超弩級のお腹をぶつけないようにうまく動きながら、登山道を登る私。
後ろからはリコが不安げについてくる。
登山道は角度はともかく、道そのものはかなり綺麗にされていたため、登る上ではそこまで問題にならなかった。
途中で珍しい草花や虫なんかを見ては写真を撮り、私たちは登山をじっくり楽しんだ。
やがて頂上にたどり着き、私は原っぱにごろんと寝転がる。
草のひんやりとした感触が心地良い。
と、そんな静けさを打ち砕くモバイルの通話コール。
どこでもつながるのは便利だけれど、雰囲気ぶち壊しは頂けないなぁ。
「ナオ?ちょっといい仕事があるんだけど。やってみない?マタニティ下着モデルの仕事よ。多胎用を出すの」
- 99 :無能:2012/10/19(金) 20:42:25
-
「マイ〜私の腰下も普通のサイズじゃないのよ!」
「大丈夫、大丈夫。ナオサイズはさすがに特注だけど多胎の人にはナオはちょっとした有名人だから。」
マイはのほほんと答えた。
「お母さん、面白そうだからよくない?」
「ん〜わかった。」
「じゃあ日にちはまた連絡するね〜ちゃんと送り迎えするからね。」
- 100 :無明:2012/10/19(金) 20:55:29
- 「それと、ナオ用の特注を作っておいてあげるから、身体の写真もちょうだいね。前、横、後ろの三面図の」
その言葉を最後に通話は終わった。
このお腹の子が全員生まれたら、お金は今以上に必要だ。
そうでなくとも、そのしばらく後には私はまた15胎の臨月。永遠の超腹妊婦なのだ。
そうなるなら、定期的で高額の収入は、出産報奨金以外にもあった方がいい。
マタニティモデルというのはいいかもしれない。
そして、私はその場でチューブトップを脱ぎ捨てた。
「お母さん!?」
「ここで三面図撮るわよ。自然の中のほうが私らしくていいし。さ、短パン脱がしてちょうだい」
- 101 :無能:2012/10/19(金) 21:41:17
-
「ちょ、ちょっと、お母さん、こっちきて!」
さすがに脱ぎ出しちゃった私を見かねて人気のない林の中につれてきた。
「もう〜ちょっとは恥じらいもってよね!!」
リコのが顔を赤らめてて可愛い〜。
- 102 :無明:2012/10/19(金) 21:55:20
- ただ林の中は暗く、なかなかマイの希望するような三面図が撮れない。
結局リコが根負けし、原っぱにでて三面図を撮る。
背筋をピッと伸ばし、お腹と胸の大きさが最大限に分かるような写真になった。
これなら、マイの希望するような写真になっただろう。
ついでに私は、リコのカメラにある細工をしておいたのだった………
その日の深夜。
世界最大の動画サイトに突如、あるアカウントが現れる。
「Nao15_SuperPreg」。
最初に上げられた動画には、どこかの草原に一人佇む、異常に大きなお腹の妊婦が写っていた。
ただそれだけの映像なのだが、謎が謎を呼び十数分で10000アクセスを突破する、大人気動画となった。
- 103 :無能:2012/10/19(金) 22:24:39
-
「ちょっ!これ、どうみても母さんだよな?」
やっぱりサクラコにすぐに見つかった。
「お母さん、原っぱでヌードはダメでしょ!」
「ほら、私も止めたのに。」
カナコにもいわれてやっぱり原っぱでヌードはダメか。
「あたいが言いたいのはあたいも一緒にここに立ち会いたかった!っていってるんだよ!」
サクラコだけは違う反応だったけど。
- 104 :無明:2012/10/19(金) 22:55:46
- 動画の再生数などを見ても、かなり受けがいいようだ。
サクラコと組んでこっそり続けてやろうと決めたのは、その直ぐ後のこと。
やがてマイから連絡があり、下着モデルの撮影日程が決まったという。
ちょうどBirth Shop日本総本部で撮影するらしいので、検診もついでによっていくことにした。
今回は並ぼうとしたら、なんと顔パスで通された。
セナ先生の唯一の患者だからだろうか?
検診は大した変化がないこともあって簡易的に済まされ、私はスタジオのある8Fへと向かった。
- 105 :無能:2012/10/19(金) 23:04:09
-
「ナオ〜待ってたわよ!動画の再生回数すごいわね!」
さすがマイ。
しっかりチェックしてたんだな。
「ほら、早速いろいろ下着用意したから〜、どれから着る?安く買い取りもできるよ。」
何着か私用のサイズの下着がおいてあるところに案内された。
「可愛い〜。私用のサイズなかなか可愛いのがないから〜。」
まずどれ着ようかなぁ〜。
- 106 :無明:2012/10/19(金) 23:26:58
- ふと目についたのは、明るいグレー色で動きやすそうな、でもお腹をきちっと支えてくれそうな感じの下着だった。
「マイ、これは?」
するとマイはニッと笑って答える。
「いきなりそれに目をつけるなんてさすがね。まずこれは例の超吸収抗菌銀イオン分解素材でできてるのは当然のこと、お腹の下になるところに強度の高い『サポートファイバー』を使ってて、腹帯みたいに支えてくれるの」
「すごいわね。お腹を支えてくれるなんて」
最近の技術の進歩には感心するばかり。
しかも、それだけではないらしい。
「それだけじゃないわ。これは糸に超マイクロコンピュータが埋め込んであって、もし陣痛が来たりしたら自動的に連絡を入れてくれるの!」
「私はその機能いらないから、もっと安くして、ついでに丈を半ズボンくらいにしてくれる?家の中で履く分にはちょうど良さそうだし」
要望を伝えて、別の下着を手にとる。
私のお腹が入るサイズの下着というだけで貴重なので、結局用意されたもの全部を購入して、全部のモデルになってしまった。
ブラジャーは着けない主義になって久しいので、丁重にお断りした。
- 107 :無能:2012/10/19(金) 23:35:38
-
「ただいまぁ。あがって。」
「おじゃしまーす!」
マイに送ってもらったついでに家まで荷物を運んでもらう。
「おかえり。マイさん、いらっしゃい。」
「カナコちゃん、久しぶり。ハワイ以来?」
「そうですね。あ、お母さんいっぱい下着買ってきたね。後でみせて!」
「もちろん。」
- 108 :悪音:2012/10/20(土) 00:09:41
-
「はい、お茶。」
「サクラコちゃん、ありがとう。」
マイにお茶を飲んでもらっている間にメイコと一緒に下着のファッションショーをするためにメイコに手伝ってもらい、着替えをしていた。
「ジャジャーン!どう?」
今回は私が一番気に入っているのから。これはお腹にフィットするし、垂れかかっていたお腹が持ち上がった感じがするけど辛くない優れもので、いろもライトグリーンで可愛いデザインなの。
- 109 :無明:2012/10/20(土) 00:43:42
- 「母さん、それ似合ってるぞ。あとそれだったら、この服と合わせたらどうだろ?」
そう言ってサクラコが出してきてくれたのは、白地に黄緑のストライプが横に入ったシャツ。
お腹まわりさえ捲っておけば、今でも着られるはずだ。
結局入るズボンもあまりないので、部屋ではシャツと下着で過ごしている。
その組み合わせが一着増えるだけでもなかなかだろう。
それに、この黄緑の横縞は目の錯覚などで、お腹がより大きく見えるのが気に入っている。
- 110 :悪音:2012/10/20(土) 01:01:21
-
「お母さん、次、早く〜。」
カナコたちが急かしていう。
「じゃあ、サクラコ、手伝って〜。」
「わかった。」
サクラコにコーディネートしてもらって下着も選んじゃお。
「サクラコ、どれがいい?」
- 111 :無明:2012/10/20(土) 01:29:57
- サクラコが選んでくれたのは、何の変哲もない白いショーツと白いシャツ。
なんでこんなものを、と思い着てみて気がついた。
私の乳輪は度重なる妊娠出産で黒く、大きくなっている。
正中線もおなかにくっきり走っていて、その周りにはひび割れるような妊娠線。
綺麗なお肌とは程遠い。
それが全部、透けて見えてしまうのだ。
「母さんも恥ずかしがることねーよ。その体はさ、母さんの人生、歴史なんだから」
- 112 :無能:2012/10/20(土) 01:50:13
-
さすがにサクラコにそこまで言われたらきるしかないわね。
サクラコに言われたように着せてもらい、みんなにみせにいくと思ったより反応がよかった。
「お母さんって感じで、すごくいい!!」
「ほんと。ナオらしさがでてるわ。」
「さすがサクラコお姉ちゃん。」
「そうか?へへっ。」
サクラコも照れているがすごい嬉しそう。
(いろいろ更新して盛り上がりましょう!!)
- 113 :無明:2012/10/20(土) 02:16:26
- (誰かイラスト描けますかね………?)
そのあともいろんな服を着てみたが、一番受けが良かったのはサクラコの選んでくれた白シャツとショーツだった。
審議の結果、この家での私の普段着はこれ、ということになってしまったようだ。
マイも悪乗りで、普通の白ショーツの形に限りなく近づけた機能性ショーツなんてものを私にくれた。
ここまでされたら、もう反論しようがない。
私は黙って、その服を「外出時も」着るようになった。
最初のうちこそ恥ずかしかったが、サクラコの言うとおり私のこの体は私の人生、私の歴史だ。
それを、恥ずかしがる必要があるものか。
私は堂々と「超腹」を見せつけて買い物に出かけた。
- 114 :無能:2012/10/20(土) 02:22:37
- (イラストですか?)
まぁ私が気にしなくても周りが気にするらしく、さすがに目を合わせてくれないわ。
「お母さん、気にしない、気にしない。」
「そうだって。胸張りゃいいんだよ。」
一緒に買い物にきているメイコとサクラコにいわれて私もいいっかなぁって気になっちゃう。
(原住民更新してもらえると嬉しいです。)
- 115 :無明:2012/10/20(土) 02:46:34
- (ええ、イラストです。挿絵でも、このキャラはこんな感じ?みたいなのでも。別にこの作品にかぎらずに)
娘たちの言葉に支えられて我流のスタイルを貫いていた、ある日のこと。
Birth Shopがさらなる普及を目指したのか、マスコミが一斉に取り上げたキーワードがあった。
「これからは『生命感』と『母性』!お母さんこそ美しい!」
もっともらしい説明とともに述べられる「妊婦の美しさ」「母親の美しさ」。
あとで聞いたところだと、モデル業界で大革命があったと聞いた。
小さなブームではあるが、サクラコは自分の考えが受け入れられたと喜んでいる。
何より、良い母親になるための教育までもが学校で取り入れられている時代だ。
ファッションもそうならなくてどうする、ということらしい。
- 116 :無能:2012/10/20(土) 02:53:35
-
(おもしろそうなので書いてくださる人がいれば作りたいですね。)
「ナオ、あれから下着の売れ行き順調よ。今度はマタニティドレスもお願いできる?」
「えぇよろこんで。」
やっぱり売れ行き上場ってきくと次の仕事もやる気出るわね。
マイの話だとBirthSHOPができてからは少なくなった結婚式で、着るマタニティウェディングドレスのモデルもお願いされちゃった。
もちろん私サイズもオーダーで作ってくれるっていうから楽しみ。
- 117 :無明:2012/10/20(土) 03:10:15
- (絵心ないと悔しいですよね………)
「結婚する相手がいないのにウェディングドレスだなんて、なんだか変な気分」
オーダーで作ってくれたのは良かったが、サイズの計算があっていても布地の硬さの影響というのは大きいらしい。
私のオーダーウェディングドレスは、おなかも胸も、収まりきらなかった、
そのせいで露出が多いので、なんだか自分のイメージしたウェディングドレスとはかなりの差があった。
正直、脱ぎ着の時間を考えても私にウェディングドレスは向かないし、似合わない。
やっぱりわたしはラフな格好が一番だ。
撮影が終わるとすぐに検診。
お腹はこれ以上大きくなりそうにないけど、他のデータは念のため週一で必要なんだとか。
- 118 :無能:2012/10/20(土) 03:22:00
-
(取り敢えず今、リンク紛いで画像投稿できるのをリンクで貼ろうかと思ってます。)
「異常ないですよ〜。」
いつも通りサイズや血圧とかをみるだけで終わり。
私はリコに迎えに来てもらい、買い物をしながらかえることにした。
「お母さん、今日は何にする?」
- 119 :無明:2012/10/20(土) 03:38:09
- (お願いします。もし書いてくれるなら、ある程度のイメージを文章にまとめてもよろしいでしょうか?)
「今日はごちそうかな?」
「なんで?」
「驚かないでよ?なんと今日の検診で………腹囲が2m行っちゃった!」
驚くのではなく、呆れ笑うリコ。
「もうそこまで行くとよくわかんないね………でもわかる。お母さんもう腕立て出来ないんだもん」
そう、今や私のお腹は腕と同じくらい前に突きだしている。
四つん這いをすると手、膝、お腹の5箇所が地面に触れるくらいだ。
そのため、日常生活は以前にもまして不便になってしまった。
その分家を大改造したり、娘たちに手伝ってもらっているけど。
とにかく家の至る所をお腹が引っかからないように改造して、各部屋も広くとっている。
現在のナオのパーソナルデータ
身長:165.4cm(変化なし)
体重:168kg(妊娠前+112kg)
子宮底長:65cm(前回+4cm)
腹囲:200cm(前回+10cm)
血圧、その他以上は認められず
- 120 :無能:2012/10/20(土) 08:40:36
-
結局家族六人が揃うし、今日は鍋パーティーにすることにした。
中々リコやサクラコの仕事の都合で揃わない。
家にかえって食事の支度をするのはリコとカナコだ。
私のお腹じゃ危ないから包丁ももたせてくれない。
- 121 :無明:2012/10/20(土) 16:29:47
- (超難産です。陣痛で4日くらいはねっとりとかけたいところ)
まあキッチンは配線の都合であまり改造しようがなく、お腹がぶつかってしまうので私もあまり使わないのだけれど。
「お母さん醤油とって!」
「待って、リンコにおっぱいあげてから!!」
「お母さん、そこの肉とっといて!!」
「むしろ私のをとっといてよ!」
鍋パーティー開始と同時に産んだばかりのリンコとヒロキがぐずりだし、わたしは二人に授乳しながらの鍋パーティーとなってしまった。
私が本格的に参加できたのは、二人が寝付いてからだった。
結局残り物なんてなく、皆で綺麗に鍋を平らげて終わり。
満足して寝付いた私を、翌日から1週間に渡る出産が襲おうとは、予想もしていなかった………
- 122 :無能:2012/10/20(土) 16:50:30
-
「ん〜ふぁ〜おはよ。」
「お母さん、おはようじゃないよ。もうお昼過ぎだよ。」
いつもは寝苦しくて一番早く起きるのに珍しく起きたのは一番最後のしかも昼過ぎ。
完全に寝過ぎたわね。
今は、リコだけだ。今週溜まっていた私のお世話がかりのために今日から一週間有給をとってくれたみたい。
- 123 :無明:2012/10/20(土) 17:53:38
- 「昨夜はなんかよく食べられたし、よく寝れたのよね………」
そう言いながらベッドを降り、服を出そうとクローゼットに近づく。
と、鏡に写った私を見てリコが言う。
「お母さん、お腹下がってきてない?」
いざ見てみると、確かにお腹は下がってきている気が、なくもない。
もっとも、とんでもなく前に突き出しているので一概には言えないのだけれど。
上を自分で着ると、下はリコに履かせてもらう。
今日は起きてからといい赤ちゃんも静か。
一体、どうしたんだろう………?
- 124 :悪音:2012/10/20(土) 19:38:52
-
「お母さん、どうかした?」
「ん〜今日は赤ちゃんたちが静かだなぁって思って。」
「胎動がないってこと?」
「ん〜まだお昼寝しているだけだったりして笑」
私はまだ陣痛も来てないからまさか陣痛がくるとは思ってなかったし。
- 125 :無明:2012/10/20(土) 22:53:53
- とりあえず、やることも他にないのと運動を欠かしてはいけないということで、きょうも今日とてウォーキング。
今日はいつもより長い距離を歩く予定だ。
サクラコの勧めてくれた白シャツはこういった運動にも向いていて、意外と動きやすい。
下は「短パン風にごまかしたグレーのショーツ」だ。
ここまで大きくなると膀胱は子宮に押しつぶされたも同然で我慢が効かない。
この機能性ショーツじゃないと、不恰好なおむつを履くはめになっていただろう。
バランスを崩さないよう、私はお腹を抱えてゆっくり歩いた。
- 126 :無能:2012/10/20(土) 23:00:31
-
「お母さん、公園の帰り、遠回りしてからいかない?近くにスーパーよりも安い商店街あったんだよ!こないだたまたま見つけたんだ。」
リコは最初から予定していたらしく、散歩にエコバッグも持ち歩いていた。
「ん〜いいわね。野菜とかもきっと新鮮だし。」
「じゃあ早く歩いていこう!」
リコはニコニコしながら私の手を引いて歩き出した。
- 127 :無明:2012/10/21(日) 01:24:19
- リコと一緒に、そのままウォーキングを続ける。
その調子で公園を出て、リコの言う商店街に向かうことにした。
さすがに超ヒュペリオン体質といえど、このお腹でバランスをとるのには一苦労する。
でも、たしかにいつもより、お腹が下がっているような………?
- 128 :無能:2012/10/21(日) 01:29:21
-
「お母さん、どうかしたの?お腹痛いの?」
お腹を見つめて撫でている私に気づいてリコが聞いた。
「ううん。ただやっぱりお腹が下がってきたかなぁって。」
まぁ、でもまだお腹の張りもないし重量にお腹が勝てないだけで問題ないし。
「問題ないから大丈夫だよ。それより今晩は何にする??」
- 129 :無明:2012/10/21(日) 01:54:58
- 「今晩ね、私が作ろうと思ってるの」
「えっ、そのお腹じゃIHヒーターにあたっちゃうわよ!」
驚くリコを制止して、モバイルであるものの画像を見せる。
「超断熱エプロン………?」
「マイに頼んで用意してもらったの。流石にリンコたちに手料理食べさせられないの嫌だし」
私はドヤ顔で説明しながら、商店街に向け歩いていった………
- 130 :名無し 原住民更新希望:2012/10/21(日) 01:59:51
-
「ねぇお母さん、今、思ったんだけどお母さんって料理作れるの?お母さん、いっつも妊娠しているイメージだし、小さい頃はマイさんも一緒に暮らしてたから作っているのが思い出せないんだけど。」
リコはふっと思い出したみたいだけど、確かに私、手伝うことはあっても一人ではないわね。
「大丈夫。味見と手伝いはやってるから。大船にのっていてね。」
まぁ料理はレシピをみればなんとかなるわよね〜。
- 131 :無明:2012/10/21(日) 02:36:41
- 「実は一度だけ作ったことあるのよ」
目玉焼きだけどね。
「すごいやお母さん、マイさんと変わらないなんて」
「さ、とっとと材料を買いに行きましょ!」
早足でリコの手を引き歩き出す私。
そして魚の煮付けを作ることにして、商店街にたどり着く。
まずは魚屋に歩き出そうと一歩を踏み出した、その時。
今までにないくらいお腹が張って、たまらず地面に座り込んでしまった。
- 132 :無明:2012/10/21(日) 03:28:03
- 「お母さん!」
「大丈夫、お腹がすごく張っただけ。この程度じゃ生まれないわ………」
リコに手を引いてもらい立ち上がって、また魚屋に向かう。
口ではああ言ったが、陣痛が近いことを私はこのとき確信した。
- 133 :無能:2012/10/21(日) 07:13:34
-
「うっ!」
魚屋さんについたらまた陣痛が起き、私は堪らずお腹を押さえた。
「お母さん、大丈夫?帰りはタクシーに乗るからね!」
家までまだ距離があるし、陣痛がまたいつ本格化するかわからないため、さすがにリコが有無を言わせないようにいった。
「タクシーすぐくるって。」
リコは私が魚を買っているときに電話をしてくれたため、すぐに商店街のはずれでタクシーになることができた。
商店街はスーパーと違っていっぱいおまけしてくれて楽しいし、またこよう〜。
- 134 :無明:2012/10/21(日) 16:42:53
- 家につく頃には、張りは不規則ながらも回数が増えていた。
そんな状態で料理を作ったもんだから、いまいち評判は宜しくない。
その後も、入浴中も、寝ようとしても、常にあの不規則な張りが襲ってくる。
そうでなくとも、常に弱く張っているような感じだ。
これは、そろそろかもしれないと考え、私は眠ろうとした………
- 135 :無能:2012/10/21(日) 17:12:29
-
「う゛っ!」
寝ようとしたら子宮の収縮でパニックになった胎児が暴れだしたのだ。
「ふぅーーーー大丈夫よぉー。だから眠りましょう?」
私はお腹を擦りながら胎児たちに安心するように話しかけた。
- 136 :無明:2012/10/21(日) 17:34:36
- あまりちゃんと眠ることも出来ず、次の日の朝を迎える。
眠れなかった理由はひとつ。
持続的な弱い張りと、時たま来る強烈な張り。
前駆陣痛じゃない。
これは本物かもしれない。
そして、そんな時に限ってリコは家におらず、他の娘たちも出かけていた。
私はまず服を脱ぎ、シャワーを浴びようとベッドを降りた。
「っ………!!大丈夫、大丈夫だから………」
衝撃がお腹に響く。
お腹を片手で支え、私は壁に這いつくばるようにして風呂場に向かっていった。
- 137 :無能:2012/10/21(日) 17:47:57
-
「あ゛〜〜〜う゛ぅ〜〜少し楽かな。」
腰まで生暖かいぬるま湯に浸かると幾分か楽な気がする。
「うう゛ぅ〜〜でもいたたたた。」
暖かいからか奥の方の胎児たちは運動しているみたいに私の胎内で暴れているみたいだ。
- 138 :無明:2012/10/21(日) 18:16:54
- しばらく身体を温めて、一旦湯船を出る。
深呼吸で耐えながら、私が機能性ショーツを履いたままだということを思い出した。
ビチョビチョだが、ちゃんと機能しているらしく徐々に乾いていた。
そして、電子音。
洗面所で充電していた腕時計の音だ。
「ゲンザイ ジンツウハ 15フンカンカク デス シキュウコウ カイダイド 0センチ デス」
マイはどうやら、機能性ショーツに通報機能を削除して、報告機能をつけてくれていたようだ
- 139 :無能:2012/10/21(日) 19:02:26
-
「ふぅー子宮口ゼロセンチって。」
陣痛間隔15分って普通の妊婦さんだったら、結構出産が進んでいるわよね?
私はお腹を擦りながらソファーで陣痛に耐えていた。
- 140 :無明:2012/10/21(日) 19:26:57
- ピ、ピ、ピ、ピ。
機能性ショーツからのデータを受け取った腕時計のタイマー音が鳴り響く。
「はぁ゛〜〜〜〜〜………痛ぁ〜〜〜〜〜〜ぁ………」
超ヒュペリオン体質は子宮筋も強くなるため、子宮破裂の心配はないという。
でも15分間隔でこれはさすがにきつすぎだ………
でも、頑張らなきゃ。
深呼吸しながらお腹を撫で続け、私は誰かが帰ってくるのを待っていた………
- 141 :無能:2012/10/21(日) 21:31:01
-
しかしいつもなら早くかえってくるはずの子供たちが夕方になっても帰ってこない。
理由は至って簡単。
自動車免許のない子供たちは電車を使って出掛けるのだが、電車が酷い人身事故をおこし、私の家の路線がずっととまっているのだ。
- 142 :無明:2012/10/21(日) 21:43:16
- 「ゲンザイ ジンツウハ 15フンカンカク デス シキュウコウ カイダイド 0センチ デス」
電子音声はさっきと変わらない情報を告げる。
へこたれてはいけない。
私はこの子たちのお母さんだ。
産んでやらなくて、どうする。
わたしはお腹を抱えるように両手で触れると、もう一度深呼吸した。
「う゛っ………く………ぐぁ………」
陣痛にビックリした赤ちゃんたちが驚いて、私のお腹を激しく蹴り返してくる。
お腹はぼこぼこと、まるで活火山のようにうごめいていた。
「はぁ゛ぁ〜〜〜〜〜〜あぁ〜〜〜〜〜〜〜………」
子宮口も0センチのまま、私はずっと陣痛に耐え続けた………
- 143 :無能:2012/10/21(日) 21:52:21
-
「ただいま〜。お母さん、一人にしてごめんね、いる?」
リコだ。
そういえばリコは今日、急な仕事で出掛けちゃったから今戻ってきたみたい。今日はリコ、車でいくっていってたわね。
「お母さん!陣痛大丈夫!?」
リコは私の姿にあわてて近寄ってきた。
「子宮口とか開いてるか見るね?」
リコは、このショーツの性能をしらないから私が今、どうなってるかわからないし、私が自分でこのお腹でさわれないことを知ってるから。
私は、一応ずっと子宮口ゼロセンチって言われてるし、使いすぎて壊れちゃったのかと思っておとなしくみてもらうことにした。
- 144 :無明:2012/10/21(日) 23:38:29
- 「どうしようお母さん………指一本どころか陣痛計もはいらないよ」
陣痛計。
この時代のものは直径数ミリの針のような形状をしている。
それがはいらないということは、今の私の子宮口は完全に閉じているのだろう。
妊娠5〜6ヶ月頃ならそれも嬉しいだろうけど、今じゃ苦痛すぎる。
「ゲンザイ ジンツウハ 15フンカンカク デス シキュウコウ カイダイド 0センチ デス」
報告機能を聞いて、リコはさらに青ざめる。
私の体が、医療でどうにもならないことを知っているからだ。
- 145 :無能:2012/10/21(日) 23:55:44
-
「周りだけでもマッサージしようか?」
子宮口は固く閉じちゃってるから一応周りだけでもほぐしてくれるみたい。
リコが助産師目指してくれたから心強いわ。
「じゃあやるわね。」
リコはオリーブオイルを手に塗りながらいった。
- 146 :無明:2012/10/22(月) 00:24:35
- そして、子宮口のまわりにリコの指が触れた瞬間。
「痛いっ!!!」
あまりの痛みに、飛び跳ねそうになった。
「凄い圧………超ヒュペリオン体質だから、子宮が破裂したくても出来ないんだわ………」
直ぐに痛みの原因をリコが教えてくれる。
「医療邪道しようも、ないのね………痛い!」
「ごめん………そうみたい。さすがお母さんだわ」
全くシキュウコウが開かないまま、もう日が暮れ始めていた………
- 147 :悪音:2012/10/22(月) 00:38:07
-
「う゛ぅ〜〜はぁ、はぁ。」
「お母さん、大丈夫?水飲む?」
さすがに今回の出産は、困難な難産だと思い、家事も何もできず、いつ終わるかも超ヒュペリオンでも絶対大丈夫ということもないため、リコ以外の娘たちには、出産するまで他の場所に泊まってもらうことにしたのだ。
「サクラコは少しごねてたけど、みんなわかったって。あとお母さん、頑張ってね。」
リコが他の子供たちに連絡をとってくれたから思う存分出産に集中できるわ。
- 148 :無明:2012/10/22(月) 00:47:35
- そして、出産に集中していたのと、陣痛で意識が朦朧としてきたためか、時間経過がよくわからない。
気づいたのは、2日目の夕方になってやっと子宮口が3cmまで開いてきたということだ。
陣痛はすでに5分間隔。
あとは、このまま子宮口が開いてくれるのを待つのみだけど………
リコがスキャン機械を当てて、更に驚いた声を出す。
「お母さん!赤ちゃんの推定体重が、11.9kgって………」
セナ先生の言っていた、一番大きな子が出てくるようだ。
私は久しぶりに、気合を入れた。
- 149 :悪音:2012/10/22(月) 00:51:45
-
「さすがに骨盤通れないよ。マイさんだけでも呼ばしてね!」
リコはさすがに私の骨盤と赤ちゃんの頭の大きさをみて危ないと判断し、自分一人では不安でたまらないのだ。
まぁ、マイなら何とかしてくれるし。
そして連絡を受けたマイは10分もしないうちにやってきた。
「ナオ、11キロの赤ちゃんだって?」
マイもさすがに驚いている。
- 150 :無明:2012/10/22(月) 01:26:50
- 「検診で言われたんだもの………ギネスブックじゃ、10.8kgの赤ちゃんは自然分娩で生まれたそうよ………」
息も絶え絶えの私は、返事するのも苦しい。
「そんな無茶な」と言いかけるリコを、マイは優しく諭した。
「ナオはこれまでもずっとこういう出産だったの。もうほっときなさい。医学はナオの前じゃ通じないの」
- 151 :名無しさん:2012/10/22(月) 01:39:31
-
「でもそれじゃあお母さんは?」
「大丈夫。ナオを信じて。もし危なくなったら骨盤をはずして出産させるわ。」
今まで何度となくナオの難産に立ち向かってきたマイにいわれ、少し安心するリコ。
- 152 :無明:2012/10/22(月) 01:45:59
- 「それにしても今回は難産そうね………こんなどでかいお腹も抱えてることだし。ナオ、すごく興奮してるでしょう」
蔑むような目で、私にそう言い放つマイ。
悔しいけど、事実だ。
「えっ………」
驚くリコに、マイは更に言う。
「リコちゃん。ナオはね、こんな馬鹿げた妊娠をするだけじゃない。死にそうなほどの難産になればなるほど興奮して気持ちよくなっちゃう、超弩級の変態なのよ」
- 153 :無能:2012/10/22(月) 01:53:48
-
「お母さん、だからサクラコみたいな出産マニアの娘が生まれるのね。」
リコは苦笑いをしているが納得したみたいだ。
「まぁ、けどそのおかげでリコちゃんみたいないい助産師さんもいるのよ。」
マイ、いいこというな。
- 154 :無明:2012/10/22(月) 02:16:31
- しかし、マイが来たところで私の子宮口はどうにかできるものではない。
その後も私は延々陣痛に苦しみ続け、とうとう4日目を迎えた。
子宮口はようやく、8cm。
最も苦しい時期に入り、わたしはいきむのを我慢できなくなっていた。
- 155 :無能:2012/10/22(月) 02:20:23
-
「ナオ、今回は場合が場合だから気休めにも足を押さえるわ。」
少しでも子宮口の開きと骨盤がひらくように仰向けにされて足をリコとナオが広げてくれた体制で息み出した。
- 156 :無明:2012/10/22(月) 02:28:24
- 今の段階でのいきみには「私が我慢できなくなった」以上の意味は無い。
だが、この強烈ないきみをこらえることなんてできない。
そしてセナ先生の言い分いわく、赤ちゃんも超ヒュペリオン体質のため、多少の無理は利くという。
「んんんんんんんんーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
いきんだ勢いで母乳が吹き出し、尿が漏れる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、んぐぐぐぐーーーーーーーーーーーー!!!」
今度はおならが出てしまう。
そんな全力のいきみを何度も続けて数十時間、5日目の夜になってようやく子宮口が全開したのだった………
- 157 :無能:2012/10/22(月) 02:48:15
-
「全開っていうかスゴいわ。こんなに開くなんて。」
マイは私の子宮口の開きと柔らかさにとでも驚いている。
超ヒュピリオンだから他の人には真似できない大きさじゃないととてもじゃないと産めないし。
- 158 :無明:2012/10/22(月) 03:09:27
- 無論、子宮口が開けば即出産というわけでもない。
子宮口が開いても、赤ちゃんが降りてこないようでは無駄だ。
なにせ11キロの超巨大な赤ちゃんだ。
きっと骨盤に引っかかっているだろう。
わたしはそれも考慮し、またいきんだ。
ミシミシ、メリメリ、嫌な音がする。
あまりにも大きな赤ちゃんに圧迫され、自然と骨盤が外れているのだ。
- 159 :無明:2012/10/22(月) 09:48:38
- 「あ゛ぁあああああああああああ!!!」
さすがに、痛い!
私は悲鳴を上げ、身体を仰け反らせた。
ゴボンッ、と大きな音がして、パンパンの羊膜に包まれた頭が一気に飛び出す。
同時に、ゴリッと鈍い音が響いた。
やっぱり、赤ちゃんの肩が引っかかってしまったようだ。
苦しいのに、とても苦しいのに。
いきんでもいきんでも、ビクともしない。
- 160 :妊蔵 誘拐更新していただけると嬉しいです。:2012/10/22(月) 12:25:20
-
「ま、マイ、手伝って。」
さすがに骨盤が外れているせいか腰に力が入らないため、マイに助けを求めた。
「リコちゃん、ナオの足をしっかり押さえててくれる?」
マイはリコに俺の足を極限まで開かせ、マイは俺の羊膜をアイスピックで破き、頭を掴んだ。
- 161 :無明:2012/10/22(月) 13:14:40
- (更新しましたがついでに意見もさせてもらいました。お互い希少な趣味なんですし、こちらも趣味全壊なのはこれだけにしてあわせてますが……飛び抜けて人を選びますしもうちょっと気遣った方がいいかと)
「リコちゃん良い?次にナオが息んだら、両脚を持ち上げて、太ももの前の方をお腹に思い切り押しつけてやって。肩を出す手伝いをするのよ」
マイのしじに、こくこくと頷くリコ。
そして。
お腹を外から見ても「締まってくる」とはっきり分かるほどの陣痛を感じ、私は残された全ての力で息んだ。
「うううううぅぅーーーーーーんんんんぁあーーーー!」
「リコちゃん今よ!1,2,3!!」
それにあわせ、マイとリコが思い切り足を持ち上げる。
ごとり、と音がした後、赤ちゃんの体が抜けるのをかんじ、私は気絶した。
目が覚めると、ベッドの横には特大の赤ちゃんが4人。
マイ曰く、私は気絶したまま、出産しつづけたという。
これで私のお腹にいる子は10人を切ったはずなのだが、お腹のサイズはちっとも変わらない。
気絶中に久しぶりにbirth shopからの電話があり、赤ちゃんの体重が7kg代に統一される代わりに羊水が増え、全員逆子になりさらに苦しくなるようされたという。
- 162 :無能:2012/10/22(月) 13:24:44
-
さすがに11キロの赤ちゃんは身重の私には持てないから寝ている私に赤ちゃんをリコが抱いて近づけて母乳を飲ませてくれるみたい。
「ナオ、次の出産まで私も滞在するわよ。」
マイは助産師のくせに逆子を取り上げることが好きらしい。
「だって最後にスポンって頭が抜ける瞬間がたまらないのよ〜。」
ってリコに説明している。他の子供たちは、各々友達の家に居候するらしい。
- 163 :無明:2012/10/22(月) 13:34:53
- 超ヒュペリオン体質故か、私の回復力も凄まじい。
腰の骨を思い切り外したのに、整復してもらったら3日で日常生活に戻れるほど回復した。
母乳の分泌はさらに活発になり、定期的に吸わせないと痛みを感じるほどの分泌量になった。
まるで牛だ。
赤ちゃんたちは前以上に大暴れ。
お腹の中が広くなったからか、あっちこっち、私の肋骨や内臓を蹴って暴れている。
- 164 :無能:2012/10/22(月) 13:41:52
-
「マイ〜検診いくのめんどくさいからみて〜。」
マイがいるから検診もいく時間も省けていいわぁ。
マイがセナ先生にデータを送ってるみたいだし。
「リコ〜そろそろ散歩再開しない?このあといこ?」
一応1週間はおとなしくいなさい!とリコに言われたけど五日目で充分回復した今、散歩くらい再開しないと。
「もう〜。マイさんの検診でオッケイがでたらね。」
やったぁ。やっぱリコは甘いんだよなぁ〜。
- 165 :無明:2012/10/22(月) 13:57:14
- マイはそれでも一週間の安静を勧めてくるので、仕方なく後二日は家の中だけで我慢することにした。
とはいえ、妊娠中に歩けなくなるのは危ない。
仕方ないだろう。
私は動けないストレス解消もあってか、今まで以上に家事に精を出すようになっていた。
- 166 :無能:2012/10/22(月) 14:12:28
-
その時ふと思い出した。
「マイ、料理教えて。こないだ作ったら子供たちに不評だったから。」
マイは助産師の合間に妊婦さんのための栄養を考えるために栄養士の資格もとって料理がうまいから教えてもらおう。
「ナオ、そんなに料理下手なの?」
「お母さんの料理はちょっと。」
リコは苦笑いを浮かべている。
- 167 :無明:2012/10/22(月) 20:07:56
- 「そんな事言ったって、あの時は陣痛に耐えて必死で作ったのよ?味見なんか出来る余裕ないじゃない」
「そうじゃなくても下手じゃん。フライパン直ぐ焦がすし」
反論するも、あっさり論破される私。
がっくり肩を落としながら、マイに料理を教えてもらうことになった。
- 168 :妊蔵:2012/10/22(月) 22:02:36
-
「ナオ、ジャガイモを賽の目切りにして。」
「わかった。」
賽の目切りってあれよね?
私はジャガイモをもち、切り出した。
「ナオ、それは乱切り。賽の目切りはこれよ。」
マイが苦笑いをしながら教えてくれる。
- 169 :無明:2012/10/23(火) 06:18:50
- 「もう、マイは細かいんだから。食べられればいいじゃない」
「ナオは大雑把すぎるのよ。見た目も気を使わなきゃ」
あれこれ注文をつけてくるマイと、ちょっと言い合いながら料理を続ける。
こうやって、二人で色々やるのも久しぶりよねえ………
前は私もこんなお腹じゃなかったし、マイもこんなに忙しくはなかった。
紆余曲折を経て野菜炒めが完成した。
「ナオはね………料理ができないわけじゃないのよ………作り方が適当すぎるのよ」
見た目はまるでよろしくない野菜炒めを見ながら、皆に説明するマイ。
いいもん。
美味しければそれでいいもん!
- 170 :無能:2012/10/23(火) 12:13:40
-
「お母さん、切り方はこの際諦めるから分量だけははかってね。」
リコは今日のご飯は美味しそうに食べている。
「もう〜リコちゃんはナオに甘いんだから。」
マイは、相変わらず私に厳しいんだから。
「ごちそうさま。後片付けは私がやるね。」
リコが食器をキッチンに持っていった。
- 171 :無明:2012/10/23(火) 23:52:35
- その後もキッチンに立ったり、許可が出てからはウォーキングを続けたり。
とにかく私は身体を動かした。
となれば、羊水の増えてきたこのお腹が張りやすくなるのは当然のこと。
苦しくてたまらないので今日は一切の家事をメイコに任せ、わたしはリコとサクラコにひたすらお腹をさすってもらっていた。
- 172 :無能:2012/10/24(水) 00:06:06
-
張りにももう1つ理由があった。
陣痛が始まったということだけど私もマイも、娘たちもさすがにあれだけの難産を経験して数十日でまた出産が始まるとは思っていなかったし、何より羊水が多いからお腹が張ってると思ってたからまさか出産がまた一週間後に始まるとは全く思っていなかった。
- 173 :無明:2012/10/24(水) 00:17:26
- 「ショーツが反応してないってことは、陣痛じゃないのよね」
私のパンパンに張ったお腹をさすりながら、リコが言う。
「こんなに固いのに、まだ陣痛じゃないのか………大丈夫か?」
サクラコも心配しているようだ。
「一応子宮口の計測はしてるんだけど………いたたた」
腕時計でデータを確認する。
「ゲンザイノ シキュウコウ 0センチ デス」
子宮口は開いていないようだ。
服越しだとあまり高架がなさげなので、私は更に服をまくり上げ、生腹を丸出しにしてさすってもらった。
- 174 :無能:2012/10/24(水) 00:24:26
-
「ナオ、もう少し女らしくしなさいよ。」
まぁ、マイがあきれてるのは無理もないかも。
だってお腹張って辛いから娘にお腹を直にさすってもらってるけど、楽だから服も脱いで、寝転がってるからおじさん臭いみたい。
「まぁ、お母さんに女らしさを求めたら間違いだよね〜。」
娘に言われる私って。
- 175 :無明:2012/10/24(水) 00:31:53
- 「ある意味とんでもなく女らしいけどね………」
なんとか言い返してみる。
身体の機能的には女をフル活用してるから文句あるまい。
「それにしても随分長いこと張るのね。ほんとに張り?」
「少なくとも今はね………あいたたたた」
マイとそんなやり取りをしながら、まだまだお腹をさすってもらう。
きっかけは、マイがふざけて私の胸をもんだことだった。
- 176 :無能:2012/10/24(水) 00:46:34
-
「マ、マイなにするの!」
マイが俺の乳首を摘まむと母乳が円を描いて吹き出した。
「相変わらずよくでる胸よね。」
まぁ、この胸で赤ちゃんを6人そだててるんだし。
「あ、ついでにもっとでるようにマッサージしてあげる。」
「あ、マイさん、私苦手なんです。教えてください。」
リコは、乳もみが苦手らしく、よく私で練習してたけど、なかなか上達しないのよね。まぁマイは得意だから少しはリコもうまくなるかな?
早速私の胸を使って練習することになった。
- 177 :無明:2012/10/24(水) 01:05:08
- そんなことをしているもんだから、ますますお腹の張りが強くなってくる。
それに、出すぎて出っぱなしになろうものならそれこそ日常生活に影響が出る。
マイに止めるよう言おうとした、その時。
「ジンツウ ガ ハジマリマシタ キ ヲ ツケテ クダサイ」
宣告が、辺りに響いた。
- 178 :無能:2012/10/24(水) 01:13:01
-
「あら?もう次の陣痛が始まったみたいね。でもナオ、中々出産はじまらないからでている母乳をすってもらいましょう。」
マイは、ちょうど起き出したあとに生まれた4つ子たちにそのまま母乳をあげることにした。
- 179 :妊蔵:2012/10/24(水) 23:19:58
-
「う゛ぅ〜マイ、腹で胎児が蹴ってるな、っててぇ!」
母乳を吸われるとたしか子宮収縮が強くなると言われてるから多分そのせいだよね。
「ジンツウ15分カンカク、シキュウコウ3センチ」
今回は子宮口がゼロからのスタートじゃないだけ幾分楽かもしれない。
- 180 :無明:2012/10/24(水) 23:23:25
- やがて4つ子も満足して眠り、またマイとリコ、そしてサクラコに手伝ってもらっての出産に臨むことになった。
とはいえ、今度もどれだけかあkるかわからない。
心しておかないと………
それから数時間。
全く進歩がない。
子宮口は、むしろ閉じてきた。
私を難産にさせるため、とにかく子宮が頑張っているのだ。
- 181 :妊蔵:2012/10/24(水) 23:35:07
-
「さすがはナオの体ね。」
マイは子宮口が閉じていくのを感じてナオのために難産にしていく体のシステムに感心している。
「はぁ、はぁ、まぁ、難産のが、楽しいから、ん゛!」
しかし、ある意味変わった出産の始まりとなってしまった。
お腹の張りと子宮の収縮で暴れていた胎児たちが暴れすぎて誤ったのか閉じかかっていた子宮口にたまたま足が入ったみたいで弾力のある羊膜に包まれたままの胎児の太い片足が飛び出してきたみたいなの。
- 182 :無明:2012/10/25(木) 06:37:28
- でも、羊膜に包まれているからだろうか。
簡単に子宮の中に戻っていってしまった。
その刺激で子宮口もしっかり閉じてしまったため、私は当分ここから耐えるだけ。
とりあえず、マイ達はここからどうするのかを考えているようだ。
- 183 :無能:2012/10/25(木) 14:50:05
-
「ナオ、無駄だとは思うけどスクワットでもする?」
マイは一応陣痛を促進させる方法を考えてくれてるけど、無駄なことがおおい。
けど、まぁやらないよりましか。
私は、サクラコとリコに支えてもらい、起き上がった。
- 184 :妊蔵:2012/10/26(金) 22:26:24
-
「1〜2〜3〜・・・49〜、ふぅ〜っぃたたたたぁ!・・・ふぅ〜〜〜ふぅ〜ぃたたたたあぁ、50〜51〜・・・67、ふぅ〜〜〜ふぅ〜。67〜68〜・・・99〜100!!」
「もういいわよ。さすがナオね。鍛え方が違うわ。」
さすがに足腰を鍛えてあるだけあって陣痛がきた今でも休憩しながらだけど100回できたわね。
スクワットもしたし、もう一度マイに内診をしてもらうことにした。
- 185 :無明:2012/10/27(土) 01:24:47
- 「すごすぎね………正に難産になるべくしてなった子宮。子宮口がまるで開いてないわ」
苦笑いするマイ。
ショーツも伝えているけど、やっぱり0cm。
出産には、まだまだかかるらしい。
陣痛にも波がある。
そこで私は、波の頂点でスクワット、谷の時はリコとサクラコにお腹をさすってもらうことにした。
- 186 :無能:2012/10/27(土) 01:36:19
-
「ふぅーーあ゛ぁぁぁぁーーー。」
陣痛の間にリコとサクラコが背中をさすってくれると本当に幾分か楽になるわ。
サクラコは時たま肛門辺りをテニスボールで押さえてくれるからきもちいい。
でもそういえば最近、4つ子を生んでから一度もでてないから、便秘よね〜。
「マイ、ふぅーー、今のうちに、浣腸してくれない?」
「オッケー。じゃあトイレでやるわ。」
リコとサクラコに支えてもらってトイレにいき、反対を向いて便座に座ったけどお腹が大きいからキツいわね。
- 187 :妊蔵:2012/10/27(土) 22:10:38
-
「ナオの場合はあんまり効かないから二倍の量を使うわね。」
マイは浣腸の用意をして、それから薄い手術用ゴム手袋をはめた。
「あ、リコちゃん、サクラコちゃん、ナオの足を押さえててね。」
「はい。」
「あぁ。」
娘たちは私の足を押さえて準備完了。
- 188 :無明:2012/10/27(土) 23:39:55
- 私に使われる浣腸自体も、ちょっと特殊。
私ほどになるとホルモンバランスのことだけでなく、大きくなりすぎた子宮が腸を圧迫するために便秘になってしまう。
そこで使われるのこの浣腸は、しばらくするとゼリー状になって数十倍に膨らむ性質がある。
要はこれで無理やり腸を押し広げて出そうという話なんだけど………
すごく、きついのよねえ……
- 189 :無能:2012/10/27(土) 23:50:48
-
「よし、中身はいれたわよ。ちょっと出ないように押しておくわね。」
マイは浣腸の薬をいれると薬が出てこないようにと私がすぐに出しちゃわないようにおしりの穴を押さえてくれた。
すぐに出しちゃうと表面しかでないから少し時間をおかないと。
この時間が陣痛で子宮口全開を待ってるみたいにきついのよね。
- 190 :無明:2012/10/27(土) 23:58:38
- そして、そのままトイレへと連れ込まれる。
この間歩くのが当然辛いわけだが、我慢我慢。
洋式便器に座るまでは、堪えないといけない。
お腹もゴロゴロ言い出すし、陣痛は激しくなるし。
ここが、最大級に辛い!
- 191 :無能:2012/10/28(日) 00:13:58
-
トイレについてからももう少し我慢しないと赤ちゃん生むときにでてくるのは嫌だし、腸がすっきりしたらすこしお腹に余裕ができるしね。
マイがいいっていうまで取り敢えず我慢しないと。
「ナオ、そろそろいいわよ。私がはなしたらだして。」
マイにやっと許しがもらえた。もう脂汗がでて我慢の限界よ。
- 192 :ブライア:2012/10/30(火) 22:24:15
- マイが穴を押さえてくれていた手をはなした。
と同時に、私が息まなくても大量の便がとめどなく出てきた。
「あ〜、止まらない」
恥ずかしい音とともに、私は数分間、トイレから出られなかった。
- 193 :無明:2012/10/30(火) 23:00:05
- 出し切ったらまた肩を借りて移動。
でも、もう限界!
とうとう廊下の途中でしゃがみ込んだ私は、そのままたおれこんでいきみはじめた。
駄目だ、いきまないと、もう!!
「まだ子宮口は開いてないのよ!無茶しないで!!」
マイの声も、もう無視するしか無い。
なんとしても、この子を産まないと!!
- 196 :名無しのごんべ:2012/11/03(土) 02:00:52
-
「うぅーー、うぅーーん!!」
私は、ひたすら息んでいるからか赤ちゃんが私の固い子宮口を無理矢理こじ開けるように押してくる。
「ナオ、凄いわ。みて、リコちゃん。」
さすがのマイでも無理矢理赤ちゃん事態がこじ開けるように出てくる姿をみることはないみたいで、リコに私の股間を見せて説明している。
- 197 :無明:2012/11/04(日) 01:00:27
- 「強いナオの身体と、それを受け継ぐ赤ちゃんがあってこそなの。こんな出産、文字通り『ナオにしか』出来ない」
今はね、と付け加えてリコに話すマイ。
そうこうしているうちにも、大きな赤ちゃんはわたしの子宮口をこじ開け、いよいよ外界に頭を出そうとしていた、
多分だけど、この子も7キロはありそう………
そして私は、ひといきみでこの子を押し出すべく、全力を出していきんだ!
そこから、実は結構記憶が飛んでいる。
そこからは、もうとにかく出産しっぱなし。
今回こそやっと全員産める。
おぼえていたのはそれだけ。
止まらない出産のせいで、覚えていないのだ。
そのせいで、気づいた時には7人の赤ちゃんに囲まれていた。
問題は一つだけある。
以前と変わらぬ、15つ子の巨大なお腹だということだ………
- 198 :無明:2012/11/04(日) 16:20:35
- (終わらせ方として『大地母神信仰のある集落に行って女王になる』を提唱したい)
「これが、『永遠の妊婦』ってことなのよね………産み終わったらこうなっちゃう。まるで女王蜂よ、私は」
何度目かのため息。
娘たちがいる分多少は楽だけど、それでもきついであろう乳児育児。
覚悟を決めるしか、無いらしい。
Birth Shopに駆け込んで、こんどの15人を現段階までの成長で抑え、出産をできる限り遅らせるようにはしてもらったが、どうなるか。
結局、ずっと妊娠していた私の適応力は恐ろしかった。
さすがに前ほど出歩けなくなったものの、ふだんと変わらぬ生活を続けている。
そんな私に、突然の話が舞い込んできた。
ある部族の集落に、言って欲しいということだった。
- 199 :無明:2012/11/05(月) 21:33:47
- (集落といってもかなり未来の設定ですので、『昔ながらの生活をしている集団』といった雰囲気で)
そんなの、直ぐには向かえない。
断ろうとしたのだが、現地の様子を送られて考えが揺らぎ始めた。
一度戦争があって、ヒトが一度いなくなった土地に小さな町を作って、農業を主体に暮らしているという。
世捨て人のような集落らしいが、私が呼ばれた理由はわからないでもなかった。
宗教として、大地と豊穣を女神に祈っているのだという。
たまたま街を通りかかった住民が私の噂をきき、「是非とも来て欲しい」と言ったのだそうだ。
小さな子どもたちを置いていくわけにもいかないが、どうするか………
- 200 :無能:2012/11/06(火) 01:57:11
-
そんなときに後押しをしてくれたのはマイと娘たちだった。
「お母さんがいなくなったら私たちがお母さん代わりに赤ちゃんたちを育てるわよ。」
特にリコが率先していってくれ、マイもサポートしてくれるみたい。
「そうだぞ。立派な出産マニアに育てるから。」
サクラコは自信のような出産マニア仲間がほしいみたい。
- 201 :無明 ありがとうございました:2012/11/06(火) 02:22:07
- 小さな子どもたちを置いていくのはやはり心苦しいが、もうリコたちも立派な大人だ。
任せていいだろう。
そして私は、その集落に旅立った………
その集落は「命の村」と呼ばれているらしく、道を聞けば皆、親切に教えてくれた。
最終的には、たまたま外に出ていた村人の車に乗せてもらい、私はすんなり行く事ができた。
「あなたが………ナオさん………。私は村長の、シンと申します」
村にたどり着くと、真っ先に出迎えたのはシンと名乗る村長の青年だった。
若々しく、元気そうな人だ。
そのシンさんに連れられて、村の中を案内される。
村の中、いろいろなところで私は「大地神様の生まれ変わり」、「大地神様」と言われ続けた。
でも宗教になんて興味はない。
私は、ここで他の村人たち同様、農業をしながら子供を産んで育てるだけだ。
マイ、それに、私の可愛い子どもたち。
私は元気だから、心配しないでね………
私がこの村に来てから数週間、私はシンさんと同居している。
「出産の時には手を出さない」という取り決めを交わしてだ。
流石に、日常生活の手助けは欲しいからね。
- 202 :無明:2012/11/07(水) 17:40:07
- そんな感じで、一ヶ月ほど過ぎた。
シンさんは他の村人たちのところに行っていて、家にはいない。
暇なので畑を耕していたところ、急な陣痛に襲われた。
どうやら、こんな場所で出産するようだ。
私はジャンパースカートを脱いで下半身裸になると、お腹が地面に付きそうなほどしゃがみ込んだ。
- 203 :無明:2012/11/22(木) 03:37:18
- 「ふぅっ………ふぅ、うぅ…………」
深呼吸しながら、ゆっくりと息を整える。
陣痛を逃すために立ち座りを繰り返し、その合間に何とかシンさんの家に戻る。
ベッドの上でできるだけ出産してほしい、というのがシンさんの頼みだった。
私は徐々に強くなる陣痛に苦しみながら、ベッドで四つん這いになった。
そしてさっきの深呼吸を再開し、子宮口の開大と破水を待った。
- 204 :無明:2012/12/08(土) 03:39:47
- 数え切れないほどの出産を繰り返した私の子宮は、この超巨大児を普通の胎児と同じペースで出産させている、
しかしそれでも難産。
陣痛は弱く長く、子宮口はなかなか開かない。
ただただ、耐えるしか無い今。
やがて。
シンさんが帰宅してきた頃になって、ようやく全開。
ここからが本番だ。
- 205 :名無しさん:2012/12/09(日) 03:58:45
- シンさんとは出産には手を出さない約束をしているので、ただただ見守っている。
「はあ…はあ、い、今から、産むわ…。う、んんーーーー……」
私は仰向けになって、自分の太ももを抱えて息み出した。
………ナ……ナオ………ナオさん…!
「んん…っ、なに…、手は出さないで…っ」
気が付いたらシンさんが私の体を揺さぶっていた。
「違いますよ…、ナオさんが息んだかと思ったら反応がなくなって…、必死に呼びかけていたんですよ」
え、そんな。
私は知らないうちに意識を失っていたらしい。
今までどんな出産をしてもそんなことはなかったのに。
私の心に、少しだけ不安がよぎる。
- 206 :無明:2012/12/09(日) 18:59:19
- でも、本当に少しだけ。
出産中の気絶くらいなら、無いこともなかった。
だけど。
子供でもマイでもない、赤の他人から心配されたのは初めて。
だから、それで不安になってしまったのだった。
「大丈夫………私、ちゃんと産むから………」
シンさんに微笑み、私はまた息み始めた。
それから半日後、やっと頭が出てきたその時だった。
「ふぅ、ふぅ、ふ、う゛ぅっ!?」
短足呼吸を繰り返していたら、突然、赤ちゃんが出掛かって少し小さくなった私のお腹が、突然膨らんだ。
そう、突然、臨月の胎児がお腹に現れたのだった。
- 207 :123:2012/12/10(月) 20:38:43
-
「う゛ぉおおおおお!!」
お腹が膨らんだのももろともせずに私は低く唸るように息んだときだった。
スポッン!
という大きな音と共に赤ちゃんの大きな頭が飛び出るように出てきた。
私の股間に今は赤ちゃんのしっかりした頭がぶら下がっている状態。
- 208 :無明:2012/12/10(月) 21:07:40
- 「う゛ぅううううううううううううううううううん!!!ふぅう゛ぅうううううううううううう!!!」
肩が引っかかっているようだったけど、それも無視していきむ。
ごきっと音を立てながら、骨盤が更に広がる。
赤ちゃんの身体の形を感じる。
陣痛や息みで、徐々に出ていくのが分かる。
「ぅぉ、ぅ、お゛お゛お゛ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぁあああああああああ!!」
私の渾身の一息みで、一気に赤ちゃんが生れ落ちた。
立派なカラダの男の子だ。
手を出すな、とシンさんに言ってあるが、あくまでもそれは出産そのものだけ。
後産やへその緒の処理はやってもらうことにしている。
どうやらシンさんは経験があるようで、処置は手早い。
さすがに慣れているとはいえ、体力を消耗するのは当然だ。
私は無事に産まれた赤ちゃんに母乳をやると、そのまま寝てしまった。
3日後、私の出産を感知したためか、セナ先生とBirth Shopのスタッフが集落を訪れた。
そして、私に衝撃的な真実を伝えた。
「ナオさん、貴女の身体は、もう取り返しがつかないの。貴女は『永遠の超腹妊婦』になってしまったの」
セナ先生の説明はこうだった。
無茶な出産のたびに、Birth Shopのシステムの力で体を無理やり修復していたが、それを何度も繰り返していたのが私。
やがて私の身体を変化させたシステムがバグを起こしてしまい「妊娠している状態が普通」と誤認してしまったのだそうだ。
そして、今回の出産でバグが致命的なエラーとなり、私は「出産したそばから臨月になる」体となり、同時に臨月固定のシステムも異常作動して、私がこれ以上年を取らないようにしてしまったのだという。
- 209 :無能:2012/12/10(月) 23:37:34
-
まぁもともと神のようなものとして私、ここにいるんだし、出産でもこの先死なないでずっと出産できるなら出産好きの私としては嬉しい限りじゃない?
この村、私の息子娘で村ができるんじゃない?と私は楽天的に考えていた。
- 210 :無明:2012/12/11(火) 00:50:16
- しかし、セナ先生は深刻な顔だ。
「貴女、わかってるの!?それがどれだけ恐ろしいことなのか!
「恐ろしいこと?」
「貴女はもう、『生きた産む機械』なのよ?それでいいの?」
セナ先生は何を今更言っているんだろう?
そんなの、とっくにわかっている。
私は自分の気持を素直にセナ先生に伝えると、農作業のために外へ出た。
それからセナ先生は私の説得を諦め、1週間毎に私の検診に来るようになった。
Birth Shopでさえコントロール不可能な私の体は、誰かがチェックしないと危険だという。
実際、今お腹の中の15人は全員、逆子になってしまったのだから。
それで農作業をしている私に、セナ先生も呆れ返っている。
そんな私の毎日は、意外とのんびりしている。
私は起きるとまず、カーテンを改造して作ったワンピースを着る。
これ一枚だが、気候が暖かいので問題はない。
朝ごはんはシンさんと私が交代で作り、農作業は私一人。
休憩時間にあわせてセナ先生が来てくれるので、その間に検診。
ただ今日は、ちょっと面白い話を聞いた。
私以外にもう一例、「超腹妊婦」がいたらしい。
しかもなんと、その人は自然妊娠だとか。
一体どこの誰なのか、とセナ先生に聞くと、びっくりするような答えが返ってきた。
「貴女の娘、サクラコちゃんよ」
- 211 :無能:2012/12/11(火) 17:03:34
-
「まさか自然妊娠で7つ子よ。さすがは最強母胎の娘ね。自然妊娠だけなら世界ギネス入りよ。」
セナ先生は苦笑いをしている。
サクラコのことだからきっと出産を見ているだけじゃあきたらなくなっちゃったみたいね。
リコたちも双子や3つ子を妊娠してるみたいで、誰もお腹の子が1人だけっていう子がいないことに私は笑いが止まらなかった。
- 212 :無明:2012/12/12(水) 01:43:59
- セナ先生はそのあとも色々話をしてくれた。
Birth Shopのシステムはなんと、数百年前の遺跡から見つかった物だという。
セナ先生の知り合いにその発掘隊の人が居たそうで、その人からたくさん話を聞いたというセナ先生は、空を見上げて語った。
「私はね、あのシステムは人類を進化させるためのものだったんじゃないかと思ってるの。
もっと厳密に言うと、宇宙に飛び出すときのために、沢山の人間を必要とした時のためのシステムなんじゃないかって」
クローン生物は何時の時代になっても精度が低く、病気や早死が多い。
今でさえそうなのだから、昔はもっと深刻だったのだろう。
それを解決するためのシステムが、今、私の身体を作り替えている。
どんどん外宇宙に進出していくため、地球の人口が逆に減ってきていて、このままでは宇宙開発を支えられなくなるのだとか。
そんな地球全体の未来を何とか出来る。
それなら、世話になったかいもあるというものだろう。
私はそう思いながら、帰るセナ先生を見送った。
「よし!」
すぐに私は農作業を再開した。
今の季節となれば、無事に野菜や穀物が育っているか見回りをして水と肥料をやるだけ。
かなり楽な仕事だ。
むしろ、帰宅してからは赤ちゃんたちの世話がメインなので、そっちが忙しい。
- 213 :無明:2012/12/14(金) 02:39:53
- おっぱいをやってなんとか寝かしつけられればいいのだけれど、身体が大きいからか人並み以上に飲む。
そのせいで、寝かしつけるまでにもかなりの時間が掛かる。
だいたいいつも、寝るまでに4時間が掛かってしまうくらいだ。
そしてそんなある日の夜中だった。
前の出産からは2ヶ月。
セナ先生に「栄養価のあるものを食べ過ぎないように」と注意されているほど、胎児の成長が進んでいる。
というか、「大きくなっている」らしい。
つまり体格が良くなっているということだ。
人間は他の大きい哺乳類と違い、外に出て自力生存できる状態では生まれてこない。
体が大きくなりすぎて出産できなくなるというが、私の場合はどうだろう?
それくらいの難産ならいくらでも経験がある。
そう、私の出産は文字通りの馬並みなのだそうだ。
そこで私は、ある場所に向かった。
家の隣にある馬小屋だ。
シンさんは馬を飼っていないから、特に何もなく放置されていた場所だ。
私はベビーベッドをそこに置き、わらの代わりに綿を敷いて出産スペースにすることにしたのだ。
ワンピースを脱ぎ捨て、暖かい綿の中に身を沈め、わたしは陣痛を待った。
そう。
「最大級の難産」のための陣痛を。
- 214 :無明:2013/03/31(日) 02:41:19
- だが、今回の出産はさすがにいつもと勝手が違った。
なんと、私の中の15人の赤ちゃんが、それぞれ絡み合ってしまったのだ。
さすがに赤ちゃんが動けないようでは、私だって出産できない。
私はさすがに、シンさんに助けを求めた。
私一人じゃ無理、手伝って欲しいと。
そして、私の「最大級の難産」が幕を開けた………
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