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ダーティニンプ
1世界観は宇宙妊婦エミコから数年後で:2012/09/03(月) 21:48:33
宇宙の片隅、惑星プラセタ。
宇宙の片隅で小さな惑星ではあるが、宇宙でそれなりに治安が悪い場所として有名だ。
そんなプラセタの首都にある宇宙警察の86分署。
人手が足りない為、刑事課に一人の新人刑事が所属されることになった・・・。

「初めまして、今日からここに所属することになったウィルといいます。よろしくお願いします!」
青年が緊張した様子で挨拶をした。
ヤニで小汚く狭苦しい部屋。積もり重なる書類の山。タバコの煙でどんよりとした空気。人手も数人しかいない。
窓辺のそばでタバコを吸う、うすらハゲでちょびヒゲを生やすくたびれた感じの男がいた。
「んん・・・あぁ、君が噂の新人君か。よろしくなウィル。私はこの刑事課長の・・・」
「おぉー、あんたが新人くんだね!よろしくね〜!」
課長の自己紹介の声がかき消された。声をあげた者は机から立ち上がり、ヅカヅカとウィルに近づいた。

若い女性だった。目を見張るほどの美貌。腰にはレーザー銃の入ったホルスター。ヘソ出しタンクトップとサスペンダーを付けたホットパンツというセクシーな服装。豊満で大きな乳房と大きな尻。

だが、何より目につくのはヘソがぷっくり突き出た巨大なお腹だった。明らかに妊婦だった。

「あたしはエミリア。なんで妊婦かってゆーと、人手が足りなすぎるから産休返上で働いてるって訳なのよ。つー訳でよろしく頼むね、ウィル!」

妊婦刑事にぽかーんと呆気を取られるウィル。課長は目頭を押さえ、深い溜息をついた。

登場人物
エミリア(20)先輩の妊婦刑事。いつも明るく能天気。孕ました男に逃げられシングルマザー。だが気にしない。
ウィル(19)新人刑事。真面目な好青年。
課長(48)刑事課長。エミリアにいっつも手を焼いている。彼女のせいで気苦労が絶えず胃薬が手放せない。

2名無しさん:2012/09/03(月) 23:11:16
リレー小説でお願いします。

3名無しさん:2012/09/05(水) 17:57:14
「に・・・妊婦さん・・・」
突如現れた妊婦刑事に驚きを隠せないウィル。彼の反応を見てニヤニヤとエミリアは笑う。
「へへ、驚いたでしょ?あたしみたいな妊婦が働いてるって。あ、お腹触ってもいいよ?」
そう言いながら、無理矢理ウィルにお腹を触らせる。ウィルは言われた通りにお腹を触った。
「う、動いてる・・・!」
「すごいでしょ〜。生命の神秘だよね。ついでにおっぱいも触っていいよ!あんたなら特別に・・・痛い痛い!ちょっと何すんのよ!」
ウィルへの誘惑が言い終わる前に、課長に耳を引っ張られるエミリア。突然のことにエミリアは怒る。が、課長も怒ってる。
「貴様!こんなところで新人にセクハラなんかするな!だいたい私の自己紹介がまだすんどらんだろうが!」
「ふーんだ!別に課長みたいなおっさんの自己紹介なんかより、あたしのセクシーボデーな妊婦ヌードショーのほうが需要があるわよ!ね〜、ウィル!」
「え!い、いやぁ、そのぉ・・・」
顔を赤らめるウィル。そんな彼の腕に抱きつき、甘えるように顔と腹を擦り付けるエミリア。怒りで顔を赤らめる課長。が、課長は溜息を付き、胃の辺りをさすりながら自分の席に座った。
「もういい・・・!ウィル、今日からお前はエミリアと一緒にコンビを組むんだ、いいな!クラッシャーエミリアとな!」
末永くお幸せに。と最後に意地悪く言った後、課長は胃薬を取り出し飲んだ。

4名無しさん:2012/09/06(木) 18:22:25
「クラッシャーエミリア・・・?」
「なんだ、知らんのか?こいつはな事件を解決するのにいちいち甚大な被害を出すんだ!だからこいつはクラッシャーエミリアという渾名がついたんだ!」
エミリアのほうを向くウィル。エミリアはニッコリ笑いピースをした。
「カラミティ・エミーって呼ぶ人もいるわね!そっちのほうがいいんだけどね〜。でも、ひどい奴は歩くアルマゲドンってゆうのよ、失礼するわね!」
エミリアはぷんぷんと怒った。

5無明:2012/09/06(木) 20:25:39
「そりゃ当然だろう………2ヶ月前の機械化惑星EC282崩壊事件、ありゃこいつの仕業なんだぞ!ああ、気分悪くなってきた………」
エミリアの言葉に付け足すように語る課長。
それを聞いて、エミリアは反論する。
「あれは………あそこを根城にしてた宇宙マフィアをしょっぴいてみたら、あいつらが惑星の核に仕掛けた自爆装置を起動させただけで!」
「その前は第40自然保護区での大爆発!」
「あの洞窟一帯が火薬蝶の住処で!」
「更にその前の製薬会社摘発での毒ガス騒ぎ………」
「酸素に触れると変質する違法薬品なんて聞いてなかったわよ!」
課長とエミリアの言い合いあ長々と続き、ウィルはすっかり拍子抜けしてしまった。

6名無しさん:2012/09/06(木) 21:44:32
「…ていうか、先輩。妊婦さんなのに身体をはってるんですね。大丈夫なんですか?」
「ん?あ、へーきへーき!あたしとっても頑丈だからね!赤ちゃんもあたしに似て丈夫なはずよ!」
お腹をぽんっと叩き、ケラケラと笑う。
「…ついこの間なんか、ギャングのボスをとっ捕まえる為に妊婦バニーガールに変装してカジノに潜入してね。激しい銃撃戦の末にボスを逮捕したわ!」
「……その銃撃戦のせいでホテルが倒壊!」
課長が嫌味たっぷりに口を挟む。
「あと、覆面妊婦プロレスラーになって銀河無差別格闘大会に潜入して、爆弾魔から選手たちの命を助けたし…!
「お前が優勝してどーすんだ!?しかも守るべき選手たちをKOさせやがって!」
「何よ!いちいち揚げ足取って!」
「まぁまぁ二人とも……。あ、そうだ先輩。どこかおいしい所に誘ってくれませんか?」
また不毛な言い争いが始まりそうになったので、ウィルは話題を変えた。
「おぉ、デートのお誘い?いいよ〜あたしがおいしい所に誘ってあげるから。ほらほら早く行こう!」
恋人のように(一方的に)ウィルに腕を絡めるエミリア。端から見たら出来ちゃった婚のバカップルである。
「じゃあね〜課長。捜査兼デートに行ってきま〜す!」
「か、課長…行ってきま〜す」
ニコニコと手を振るエミリアに申し訳なさそうにペコペコと頭を下げるウィルはそのまま部屋から出ていった。
「二度と来るな!疫病神め!……………いつつ」

課長の怒鳴り声だけが部屋に虚しく響いた。

7マタニティスイミング更新していただけるとありがたいです。:2012/09/06(木) 23:48:27

「ウィルくんは彼女とかいないの?」
「いませんけど。」
「え〜いそうなのに。」
エミリアは、レストランへ行くまでの道のりでウィルの話を色々聞いていく。

「あ、ここ、ここ。私とたまに課長も利用するんだけど美味しいんだよ!」
「へぇ〜。」
エミリアとウィルがやってきたレストランは、チェーン店の牛丼屋だった。

8無明:2012/09/07(金) 03:42:38
エミリアは「超銀河盛り」を頼んで、鍋ほどはあろうかというサイズの丼で牛丼を満喫している。
対するウィルは並盛を頼んだものの、エミリアの超銀河盛りのせいで徐々に食欲を削られつつあった。
「ふぉへへへ、ふぁひょーふぁふぃふふぃふぁへ」
「エミリアさん、何言ってるかわかりません」
「んぐぐ………それでね、課長が言うにはね、今度の事件なんだけど………」
口いっぱいの牛丼を飲み込んで、再度話し始めるエミリア。
その事件とは。

「代理母誘拐事件」

9名無しさん:2012/09/07(金) 06:34:21

この世界は、代理母が認められており、キャリアウーマンなど仕事優先の人は旦那などの(子供だけ欲しい場合は、精子バンク)から受精卵を作り、代理母に出産してもらうのが、一般的になっている。
代理母請け負い会社もあり、代理母は女性にとって人気の職業になっている。
その請け負い会社の代理母が最近、誘拐され、身元がわからなくなっているのだ。

10名無しさん:2012/09/07(金) 07:04:13
「代理母って、確か妊娠できない女性の代わりに妊娠と出産を行う女性のことでしたよね」
「そうなのよ……その代理母たちが突然誘拐される事件が増えてるのよ……ひどいわよね、妊婦の敵よね!」
牛丼を食らいながら怒るエミリア。食いながら怒るのでご飯粒が飛ぶ飛ぶ。
「そういえば数年前、ボスギャランって犯罪ブローカーが地球星ってところに逃げて、その星の妊婦たちを誘拐する事件がありましたよね」
「あ〜そういう事件があったね。結局主犯のボスなんとかってやつは死んだんだっけ?…そういえばあたしの叔母さんがその星で医者として働いてるんだよね。叔母さん元気かな〜?もう何年も会ってないや」

超銀河盛りを完食、更にでっかくなった満腹状態の孕み腹をニコニコと笑いながらなでるエミリア。ついでにウィルにもなでさせる。どうやらウィルのことをいたく気にいったらしい。結局ウィルは半分残した。
「うぅ、結局食えなかった……」
「ゲプ………。確かその事件の詳しい資料があたしの家にあるから、今から家に行きましょ。ついでに新人歓迎のパーティもしてあげるわ」
爪楊枝をくわえるエミリアの案内でウィルはエミリアに家に伺うことにした。

小汚いアパート。そこの二階に彼女の部屋があった。ドアを開けると服やら生活品があれこれと散らばってた。

11無能:2012/09/07(金) 07:42:11

「部屋、もうちょっと綺麗にしません?」
男の自分の方が断然綺麗な部屋だと思うウィル。
「え〜これでもちゃんと片付けてるよー。ウィルくんの部屋のが汚いんじゃないの?」
エミリアは家事全般が苦手なのだ。
そのため、これでも綺麗にしている方だと言う。

12無明:2012/09/07(金) 08:08:31
いろいろと言いたいことはあったが、グッと堪え片付けを手伝うウィル。
もともと几帳面な彼の性分もあってか、数時間ほどでエミリアの部屋は綺麗に片付いた。
「いやー、久しぶりにこの部屋の床を見たわ………」
その言葉に呆れ返るウィル。
まずは片付けの最中に発見した資料から、情報を得ることとした。
被害者は3人。
共通点は、どれもトップクラス富裕層の下で代理母をやっていること。
だが身代金目的にしては、そういった趣旨の連絡がないなど謎が多すぎる。
ウィルは、資料を読みつつ頭を抱えた。

13無能:2012/09/07(金) 08:52:05

「ね、謎が多いでしょ?」
先ほどどこからか発見したのであろうマグカップを二つ持ってきたエミリアは机においた。
「ありがとうございます。」
コーヒーを飲みながらまた資料を読み進めていくうちにウィルはあることに気づいた。

14名無しさん:2012/09/07(金) 17:39:53
「エミリアさん…………」
「何?なにかわかったの!?」
ウィルの側によるエミリア。ウィルはなぜか顔を赤らめ、目線を外す。
「いや、そうじゃなくて……エミリアさん、なんで下着姿なんですか?」
気がつくとエミリアは服を脱いでいた。パンツ一枚だけである。豊満な乳房が露になってる。つまり普段はノーブラなのか。
「ん、これ?別にいいじゃない。あたしの部屋なんだし」
「いやいや、人前ですよ!?しかも自分みたいな男の目の前で!」
「いいのいいの!ウィルくんは特別よ。さすがにあの馬鹿課長には見せたくないけどね!なんだったら一緒に寝る?」
「な、何言い出すんですか!だいたい妊婦さんなのにそんなことしたらお腹の赤ちゃんにもしものことがあったら……!」
「大丈夫よ〜あたしもこの子も丈夫って言ったでしょ?だいたい世間には妊婦ポルノなんてもんがあるからフツーのことよ!」
「もう……真面目にしてくださいよ!」
ふてくされるウィルの反応を見て、エミリアはおかしそうに笑った。

エミリアを無視して、なんとか資料を読み進めようとするウィル。
が、とうのエミリアは考えるのを放棄し、縄跳び、パンチングボールなど激しい運動を始めた。
動くたびに揺れるエミリアの乳房と腹にチラチラと目線が行き、なかなか資料を読み進めることができないまま時間が過ぎた。

15無能:2012/09/07(金) 19:48:29

「あ〜もう!!」
ついにウィルは我慢の限界でたちあがでた。
「ウィルくん、どうしたの?」
エクササイズを止めてウィルの方にやってきた。
「今日はこれで帰ろうかと。この資料借りていってもいいですか?」

ここでは、集中できず家でみた方がいいとおもい、帰る気になったのだ。

16名無しさん:2012/09/07(金) 20:10:50
「だ〜め!まだ歓迎パーティをしてないんだもの」
ウィルの前に立ちはだかるエミリア。
「ですがここでは…!」
「ウィル!先輩の命令よ!」
「う……」
腰に手を当てて胸を張り、大きなお腹を押し付けるエミリア。真剣な眼差しである。そのすさまじい迫力の押されてしまう。
「わ、わかりました……もう少しここにいます……」
しょんぼりとするウィル。さきほどの迫力はどこへやらエミリアは急に明るくなって、ウィルに抱きついた。
「やったー!ありがとうねウィル!それから今夜は泊まってっていいわよ。いえ、毎日泊まってもいいわよ〜!」

(あぁ、僕はとことん尻に敷かれるタイプなんだな……)
と思うウィルであった。

17無能:2012/09/07(金) 20:35:16

「ところで料理って誰が作るんですか?」
エミリアはどうみても家事一般ができなさそうのため、不安になるウィル。
「誰ってウィル、作れないの〜?」
やっぱりとガクッと項垂れるウィル。
「まぁ、少しだけなら作れますけど。」
軽い料理ぐらいならできるウィルは苦笑いをして答えた。

18マタスイ更新をよろしくお願いいたします。:2012/09/09(日) 01:47:56

「材料はちょっとくらいならあるから冷蔵庫みてね〜。」
ウィルはエミリアに言われ、冷蔵庫を見るとあるのはわずかな野菜とおつまみらしきスルメとあとはビールが入っているだけだ。
「近くにスーパーありませんか?」
「ん〜あるよ。一緒にいこっかぁ?」
エミリアが服を着て早速スーパーに向かった。

19名無しさん:2012/09/09(日) 17:23:40
二人はスーパーに行き、食材を買い込んだ。
「さぁ、後は早く帰ってパーティをするだけね」
「エミリアさん、荷物持ちますよ?」
「いいの、お客さんに荷物を持たせるなんて失礼だからあたしが持つわ!」
すべての買い物袋を両脇に抱えてるのはエミリアであった。
(普通は妊婦さんに重い荷物を持たせないんだけどなぁ・・・)
などと思うウィルであるが、エミリアがあの性格なのでただ黙って従っている。。
その時である。突然発砲音が響いた。
「強盗だー!」
フルフェイスのヘルメットをした二人組の男が目の前を走り去っていった。
「・・・!ウィル、荷物よろしくね!」
「えぇ、エミリアさん!?」
エミリアは買い物袋をすべてウィルに押しつけ、男達の跡を追う為にお腹を気にせず走っていった。

20マタスイをよろしくお願いいたします:2012/09/09(日) 17:52:57

「エミリアさん!待ってください!!」

ウィルもすぐさまエミリアを追いかけに行った。
「あなたたち、やめなさい!!」
ウィルが追い付く頃には、エミリアは強盗の前に立ちはだかっていた。

21無明:2012/09/10(月) 01:20:19
「ヤバい!あの女、警察だ!!」
そう言って方向転換、エミリアから逃げ出そうとする強盗二人。
一人が安物のレーザーガンをエミリアに向けたものの………
「その手は食わないわよ!」
女性がとても扱えるとは思えない大柄なレーザーマグナムをホルスターから取り出すと、強盗の足下に向けて発砲。
「ひいっ!!」
強盗が悲鳴を上げたその途端、彼らのいる辺りの地面が、陥没した………

22マタスイをよろしくお願いいたします:2012/09/10(月) 01:30:38

「あ〜ぁ。」
ウィルはその一部始終をみて本当にエミリアが上司で大丈夫かと初日から心配になった。

「ばっかもーーーん!!」
事件の後処理で刑事課に戻ってきたエミリアとウィルは課長のお怒りが待っていた。
とはいってもウィルはとばっちりを受けているだけだが。
「強盗を捕まえるのに何故地面が没落するのだ!」
「だって〜。」
エミリアは悪びれもなく課長をみている。

23無能:2012/09/10(月) 02:18:45

「ウィルくんもこれからはエミリアが何かをしたら止めてくれ。」
「は、はい!」
ウィルは戸惑いながらも返事をする。
「で、課長。私達ウィルくんの歓迎会するので後始末よろしくおねがいしまーす!」
エミリアは妊婦とは思えない早さでウィルの手をとり、走って刑事課をでていったため、残された課長はまた胃痛で胃を押さえていた。

24名無しさん:2012/09/10(月) 21:54:57

部屋に戻り料理を作り、ささやかな宴をした二人。
とはいえ料理を作ったのはウィルであり、そのほとんどをたいらげたのはエミリアであった。その為ウィルはあまり釈然としてなかった。
「あ〜美味しかった・・・!ウィルって本当に料理がうまいのね」
満腹になり、孕み腹をぱんぱんと叩くエミリア。もちろんパンツ一丁だ。
「あ、どうも・・・ってエミリアさんお酒呑んでていいんですか?!」
エミリアの周りにビールの空き缶が何本も転がっていた。エミリアはニコニコと笑っている。
「大丈夫!これは妊婦でも呑めるビールなの。ウィルって本当に気遣いするのが好きねぇ〜。あたしの旦那さんになる?」
「え、ええ・・・そんな・・・!」
「ふふ、冗談よ。ウィルってかわいい!」
頬を赤らめるウィルを見て、意地悪そうにニヤニヤと笑うエミリア。ウィルの頭をくしゃくしゃとなで回した。もうウィルは怒る気力もなく、エミリアの好きなように頭をなで回させていた。
ついにはエミリアに抱きつかれた。さすがにそれはすごく恥ずかしかった。


皿や料理を片付ける為に台所に立つウィル。そんな彼を尻目にエミリアはタバコ(妊婦でも安心して吸える無煙タバコ)を銜えながら事件の資料を何気なくパラパラと読んでいた。

25マタスイお願いします:2012/09/10(月) 22:08:03

片付けもあらかた終わり、温かいお茶もいれてきたウィルは、エミリアの近くに座った。
「何か気づいた点でもありました?」
「今、気づいたんだけど、ここみて。」
エミリアが初めて真剣な目付きで資料の一点を見ているため、ウィルが期待して聞いた。

26無明:2012/09/12(水) 04:57:34
「誘拐があったところって………全部区画整理でできた、同じ名前の地域だ!」
「そう、それなのよ。そしてその区画整理の責任者は………」
そう言いながら、エミリアは次のページに目を移す。
「全員、代理母を誘拐された人物、もしくはその夫」
その事実に、ウィルは一気に声を張り上げる。
そうと決まれば、やることは一つだと。
「そうね、まずはこの第一区画の責任者、アルバート・リンゼイに話を聞きましょうか………」

27マタスイを更新していただけると嬉しいです:2012/09/12(水) 06:47:00

「そうですね。」
ウィルは初の大仕事に目を輝かしている。

「早速明日訪ねようね。」
「はい!」

明日の方針も決まり、しばらく休憩をしていたウィルだったが時間を見てそろそろ帰ることにした。

28名無しさん:2012/09/12(水) 19:40:04
「ええ、帰っちゃうのぉ?」
エミリアは不満たらたらで頬をぷくーと膨らます。子供みたいだ。
「当たり前ですよ。女性の独り住まいなのに男を泊めるだなんて」
「お腹の子を入れたら二人住まいよ?それに妊婦だからダイジョーブだし」
「そういうことじゃあ・・・はぁ」
ウィルは呆れてため息をついた。
「とにかく今日は帰ります。着替えもないですし」
「そっかー、残念。いつか泊まりに来てね絶対よ!今日はありがとうねウィル!また明日刑事課でね〜」
「はいはい、また明日・・・・・・」

エミリアに見送られ、とぼとぼと帰路についたウィル。
(なんだかとっても疲れたなぁ・・・。エミリアさんに振り回されっぱなしだったし。これからもやってけるのかなぁ・・・?)
そう思うウィル。だがすぐ両頬をパチパチと叩いてその思いを吹っ切った。
(いや、頑張らないと駄目だ!エミリアさんの身体にもしものことがあったら大変だ。僕がサポートしないと!)
なんとかやる気を取り戻し、急いで我が家に急ぐのであった・・・・・・。

29マタスイを更新していただけると嬉しいです:2012/09/12(水) 20:26:11

「はぁ、はぁ、おはよぅ、ございます!!」
「ウィルくん、ギリギリだよ〜。」
ウィルは初日から盛りだくさんだったため、疲れはてて、二日目にもかかわらず、刑事課に着くのがギリギリになってしまった。

30りりー:2012/09/13(木) 10:22:41

「ウィルくん、遅いよ。」
「すみません。」
ウィルは、昨日のいろいろなことで疲れはててしまいましたとは言えず、焦るばかりだ。
「ところでどこかに出掛けるんですか?昨日リストの参考人のところですか?」
エミリアが出掛ける支度をしているため、聞いた。

31名無しさん:2012/09/13(木) 17:35:14

「そう。アルバートのところよ。さっきアポとったら午前中なら面会できるみたいだから。ウィル君も支度をして。」

「わかりました。じゃあ、課長、いってきます。」
「いってきまーす!」
「ウィルくん、くれぐれも彼女の暴走に気を付けといてくれたまえ!」
ウィルもだしかけた書類をしまい、課長からエミリアの監視を言い渡されたが、早速アルバートの勤めているところへ向かった。

32名無しさん:2015/10/15(木) 10:40:34
豪華なビルの一室。
アルバートは紳士的な男性で、二人の質問によく答えてくれた。

その後、車の中でウィルとエミリアは話す。
「結局、大した収穫はありませんでしたね。」
「いや・・・、怪しいわあの男。」
「えっ、なんででですか?」
エミリアはビシィッとウィルを指さすと言った。
「妊婦の勘よっ!」
ウィルは、思わずずっこける。
「なんですか、それは!」
「いいから、あの男を尾けるわよ!
私の刑事としての勘も、そうしろといっているわ!」
「え~っ!!」

アルバートの動向を探り始めてはや三日。
二人はこっそりと彼の姿を追っていた。
「ねぇ、先輩。もうこんな事やめましょうよ。
ちゃんと一から洗い直した方がいいですって。」
「シッ!仕事場から出てきたわ。今夜こそは尻尾をつかんでみせるわよ!」
ウィルを引っ張りながら歩くエミリア。
この人の言うとおりにしていいのだろうか、と頭を抱えるウィルであった。

まだこの時、彼はまさかエミリアの勘が当たっていようとは思わなかった。

33名無しさん:2015/10/15(木) 19:48:25
アルバートは仕事場から出ると、路面電車に乗り込んだ。
「おかしいわ。」
「何がです?」
「あいつは普段、でかい車で家に帰るのに、今夜は電車よ。」
「たまには違った帰り方をしたい日もあるんじゃないですか?」
「でもあの電車の行先は、アルバートの家の方角じゃないわよ?」
「え?そうなんですか?」
「車出して、ウィル。」
「あ。は、はい。」
ウィルのポンコツ車に乗り込み、二人は後を追う。

アルバートはとある大きなアパートの前で、電車を降りた。
キョロキョロと辺りを見渡している。とても怪しい。
そしてアバートの一室のチャイムを押した。
そしてインターホンで中の人物と何かを話していたかと思うと、その場を去っていった。
かなり怪しい。

「あそこが誘拐犯の住処に違いないわ!行くわよ、ウィル!」
「ええ、僕たちだけで?危険ですよ!」
「事は一刻を争うのよ!」

車から降りた二人は、こそこそとアパートのドアに近づいた。
「いい、ウィル?ドアを蹴破るわよ。」
「は、はい・・・。」
ウィルは緊張で心臓が高鳴ってきた。
「一、二の・・・さぁんっ!!」
エミリアはドアを勢いよく蹴破った。
部屋の中に転がり込むと、二人は銃を構えた。
「動かないで、警察よ!
・・・・・・って、あれ・・・?」
エミリアとウィルは驚いた。
そこにいたのは、闖入者たちの姿にポカンとしている大勢の妊婦達。
彼女たちは、呑気そうにくつろいでいたのだ。

34名無しさん:2015/10/15(木) 20:05:50
「まったく、つまんない事件だったわ!」
自分のアパートで、ウィルの料理をがっつくエミリア。
いくら無害なものでも、やはり酒や煙草はよくないので、ウィルにひとつ残らず処分されている。

その後の調べによると、妊婦誘拐事件は狂言だったのである。
代理母の手続きには、政府に申請をしなければならない。
その手続きには、莫大な費用がかかるのである。
代理母会社と顧客である金持ちぐるみで、代理母たちを誘拐されたものとして狂言誘拐を企てた。
そして子供を孕んだ代理母たちを隠れ家に住まわせ、密かに出産させていたのだ。
アルバートは妊婦達の監視役であり、時々彼女たちの様子を見に来ていたのである。
現在、関係者たちは逮捕されたり事情聴取をうけている真っ最中だ。

「なに言ってるんですか。各メディアでも騒がれてますよ!
会社の不祥事を暴いたんですから!大手柄ですよ。
課長も珍しく褒めてくれたじゃあないですか!
この事件がきっかけで、代理母の在り方も、またもう一度改めて考えられるでしょうし・・・。」
料理を作りながら、ウィルはそう言った。
「私はね、弾の一つも撃てない事件なんて、つまんなかったって事を言いたか・・・う゛っ!」
モグモグとチキンライスを頬張っていたエミリアの手が止まった。
「? どうかしました、先輩?」
エミリアの異変に気付いたウィルは彼女の方を見た。
エミリアはお腹に手を押さえていた。
「・・・産まれる。」
「えっ・・・ええええ!?」
ウィルは仰天した。

35名無しさん:2015/10/15(木) 20:07:19
その後、エミリアは自宅出産で、男の子を産んだ。
勿論、それを手伝ったのはウィルである。
ウィルは徹夜で、エミリアの子を取り上げたのであった。

それから数か月の後。

「ウィル!この前詐欺事件の調査に行くわよ!」
「あ、はい!」
惑星プラセタ。
この惑星では、子供を背負った先輩刑事と、その後に続いて歩く後輩刑事の姿がよく見かけられるという・・・。

ダーティニンプ 

END

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