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帰ってきた!?―未来ー- 1 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:17:00
- 逃亡者2012/01/09 00:01
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俺は御堂 光。
年齢は今年40歳になる・・・
俺は旦那の剛はうるさいこともあるけど俺を大事にしてくれるし、大学生の息子二人と留学でカナダにいっているのと今、妊娠9ヶ月で産休として高校を休学している双子の娘たちと中学三年になる息子とまだ6ヶ月の三つ子、八人の子供がいて幸せな毎日だ。
で何もかも幸せな俺なのに今、最悪な事態に唖然としていた。
「光さま、大変申し訳にくいのですが、現在妊娠3か月目です。今度も双子のようです。」
1:無明2012 01/09 00:54
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俺は愕然とした。
もう、自分は年だからだ。
それに子宮もボロボロのはず。
だが医者はにっこりと笑うと、ある方法を告げた。
「大丈夫です。あなたのその希少な体を、女性に固定化すれば、問題ありませんよ。固定化で臓器が若返るのです。」
俺は、藁にもすがる思いで固定化をうけたが、ここからが問題だった。
「はぁ………」
鏡の前でため息をつく。
俺は女性化しただけでなく、体が中学生位にまで若返ってしまった。
家族には説明がついたが、これからどうしよう……
- 2 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:18:15
- 2:ゆうり2012 01/09 01:02
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「ええやん。光、少し若返ったいえば。」
そもそもの原因を作った夫の剛は、能天気だった。
しかしこの問題はすぐになくなった。
一週間もしないうちに俺の体がもとに戻ってしまったのだ。どうやらこの特異の体が女性の固有化をもとの体に戻してしまうらしい。
結局生むことにもなってしもうて身体もそのままかぁ。
まぁ、去年も生んどるし、なんとかなるやろ。
主治医に聞いたら俺の子宮はまだまだ現役で子宮年齢は、実年齢より断然若いらしい。
医者も最善をつくすみたいやし、まぁ今時45歳で出産したり、するのもおるんやから大丈夫やろ。
それよりももう1つ悩みは、娘の出産がもうすぐだということだ。
3:無明2012 01/09 01:20
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娘が産休の訳。
四つ子を妊娠していて、自宅で安静にしているからだ。
体が小さいが、今の医療なら心配はいらない。
俺は、様子を見に行くことにした。
4:ゆうり2012 01/09 01:34
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(妊娠したのは優だけだと思うのですが)
「優、気分はどうや?」
「母様、大分いいわよ。」
「もうすぐやな。あの時は海の次は優まで妊娠したのかとおもって驚いたわ。」
今は違うけど半年前まで末っ子だった海がまさか妊娠していて出産するなんて思ってもいいひんかったしな。
5:無明2012 01/09 01:39
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(あ、本当だ。修正しました。)
「赤ちゃんも元気そのものよ。おかげで苦しいくらい。」
「あんまり無理せんときや。」
そういって俺は優の服を少しめくる。
露わになった大きなお腹を、優しくなでる。
6:ゆうり2012 01/09 01:44
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「ふふっ。くすぐったい。でも母様のお腹はうらやましい。いくら産んでも妊娠線1つもないんですもん。」
そういえばそうやな。一度もマッサージとかしたことないんやけど。
そんなのんびりな会話をしていると剛と優の旦那である宗矢(そうや)さんが帰ってきた。
7:無明2012 01/09 01:55
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宗矢さんは剛といっしょにバリバリ働いている。
そのおかげで、会社の業績は鰻登り。
今や名実ともに日本一だ。
「光さん。また女っぽくなってますね。」
「やっぱりか。」
何度も妊娠したせいでホルモンバランスが崩れ、俺の顔立ちや体つきは女性的になっている。
その方が出産が安産になるからええんやけど。
8:ゆうり2012 01/09 02:01
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「母様、ただいま。」
海も家に帰ってきた。
「海、俺や、宗矢さん、優もおるんやけど。」
剛は俺にしか眼中にない海に苦笑いをしながらいった。
「あ、ただいま。」
海は三つ子のうち一人を生んだんやけどまだ中学生やし、俺の子供として育ててるん。
9:無明2012 01/09 02:25
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そして今度は、海が男の仕事をしたようだ。
後ろから、桜子ちゃんを連れてきた。
そう、決着をつけて、桜子ちゃんと結ばれたのだ。
桜子ちゃんは無論、赤ちゃんを抱いている。
そして海は、いった。
「母様、桜子ちゃん、また妊娠したんだ。俺の子で、双子。今3ヶ月だって。」
?まだ未成熟な体での出産を。また桜子ちゃんに辛い思いをさせるんか?」
- 3 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:19:13
-
10:ゆうり2012 01/09 02:31
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パチン
「海、さすがにそれはまずいやろ!」
剛の平手が飛んだ。
「父様、何で!?」
「おまえも桜子ちゃんも、まだ、中学生やろ!!」
「・・・母様?」
「さすがに海たちが悪いで。立場を考えなアカンよ。それに海もみにしみたやろ
まだ未成熟な体での出産を。また桜子ちゃんに辛い思いをさせるんか?」
11:無明2012 01/09 02:39
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でも、それに反論したのは、なんと桜子ちゃん。
やはり、以前の経験があるからだろう。
どうしても、海といっしょにいたいと。
出産なら、大丈夫だと。
そこまで意志が堅ければ、何を言ってもむだだ。
実際、昔は自分たちも似たようなものだったから。
こうして、我が家に桜子ちゃんとその娘が加わった。
12:ゆうり2012 01/09 02:43
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しかし反論をたててきた人物がいた。
神崎だ。
ほんと神崎とは腐れ縁なんやないか?
神崎は、桜子ちゃんの後見人であるが実の父?であり、産みの親である。
桜子ちゃんと海はその事実を知らないけど。
すぐに桜子ちゃんは神崎のいる屋敷に戻された。
あっちもデカイから中学生の妊娠っていうスキャンダルはまずいんやろ。
今回はさすがに神崎がバレないように人工的に流産させたらしい。
「今回は貸しですよ。いずれ、桜子と海くんは結婚する運命なのですから。」
神崎は、剛にいったらしい。
まぁ、一件落着やな。
「あ、剛、書類で来たで。」
「父様、俺と航で取引成功させてきたぜ。」
副社長である俺を剛はあまり動き回らせたくないらしく、最近は息子の拓と航が、俺の代わりにいってくれる。
俺もいきたいんやけどなぁ、剛がアカンいうねん。
俺はもともと仕事人間なんやけどしょうがなく剛の書類の手伝いや。
13:無明2012 01/09 02:57
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しかしそのすぐ後。
神崎が正式にこちらを訪問し、桜子ちゃんと娘を預けにきた。
何かあったらしく、しきりに「桜子をたのむぞ」と繰り返していた。
そして神崎が帰った後、桜子ちゃんは言った。
「神崎は、末期の子宮ガンなんです……だから、もう私を縛らないと、好きな人のところへいけと。だから……」
先日連れ帰ったのは、それを知らせるためだったらしい。
責任重大だ。
任されたのだから。
14:ゆうり2012 01/09 06:40
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「もっと早くに気づいてればお父様は。」
桜子ちゃん気の毒やなぁ。
ってちょっと待てや、確か神崎は 桜子ちゃん生んですぐに子宮なくしてるよな。
てことはまた何かたくらんでるんやな。
一緒に暮らすということで剛からでた条件は大学卒業まで妊娠させないだ。
15:wild cat2012 01/10 00:55
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「あ、母様、桜子ちゃんと別れちゃったから桜子ちゃん、神崎の家にかえっちゃったから。」
いよいよ優の出産予定日前日に海は怒った顔つきでいってるん。あんなに好き好きいうとったのに。
「桜子ちゃん、おれいがいに好きな人ができたんだって。」
あらま。まぁ、中学生やし、しゃあないわな。
「っ!お母さん、きちゃった・・・。」
たわいもない会話を海としてたら優がお腹を押さえながらやってきた。
陣痛が始まったみたいや。
- 4 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:19:43
- 16:ゆうり2012 01/11 10:09
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「優、部屋いこうか?海、主治医と宗矢さんと剛に電話しといて。」
「わかった!」
海が電話をしにいったから俺は優を支えて優の寝室にいく。
17:妊嬢2012 01/12 21:49
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「優、大丈夫か?」
俺は優の背中を擦りながらいった。
「ん、まだ、大丈夫・・・っ。」
優は、まだ20分間隔くらいやな。
ガチャ
「優!?」
しばらくして宗矢さんが帰ってきた。
18:!?2012 01/15 13:31
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「大丈夫か?」
宗矢さんは、優のもとに近づいていったから俺は少しは離れた。
ちょうど赤ん坊たちの食事の時間やし、もう医者も来るから取り敢えず部屋を出てリビングにいく。
「母さま、俺、ミルク作ってくる!」
海もお兄ちゃんらしくなったなぁ。弟妹がいるんと赤ん坊を生んだからかなぁ。
「お、光、優はどうや?」
俺は海が用意をしてくれるから赤ん坊のもとにいくと、剛も帰ってきており、赤ん坊をあやしていた。
19:ゆうり2012 01/15 23:45
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「あ、おかえり。まだまだやし、宗矢くんおるからでてきたん。ミルクの時間やしな。」
俺の三つ子ん名前は、男の子が隼斗(はやと)、女の子が心(こころ)で男の子と女の子の姓をもつ深海(みう)や。
この子らは、少しずつ性格も出てきてかわいい盛りやねんな。
21:妊嬢2012 01/16 13:18
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特に剛は、分け隔てなく大事にしとるけど、俺にそっくりいうて心を溺愛している。
「心〜もうすぐ姪か甥が生まれるんやで〜楽しみやなぁ。」
剛も孫が生まれるのを(ほんまは深海がそうやけど)楽しみにしている。
「母さま、ミルクできたよ。」
海もうまなったな。
俺が隼斗を剛が心、海が深海にミルクをあげる。
22:wild cat2012 01/17 18:46
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ほのぼのしていたが宗矢くんが慌ててやってきた。
「ゆ、ゆうから、水が!?」
あ、破水したんやな。
もう医者も来る頃やけど取り敢えず俺と剛は海にちびたちをまかせて優のもとへいく。
ガチャ
「優、破水したん?」
「はぁはぁ、ん、間隔もない!」
「ちょっと見るで。」
俺は優の大事な場所に指を入れるとすでに全開やった。
- 5 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:20:20
- 23:ゆうり2012 01/18 15:34
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「もう息んでエエよ。うっ!」
「光、かわるわ。」
俺はつわりのせいか羊水の匂いがアカンみたいで剛と交代した。
「んぅーーーー。はぁはぁ・・・。」
優は体制を変えて四つん這いになって息み出した。
「優、うまいで。」
四つ子で胎児が小さいせいか今のところ順調だった。
ガチャ
「失礼します。」
あ、主治医も到着した。
「っ!もうあかん!」
俺は洗面所に駆け込んだ。
24:wild cat2012 01/24 01:23
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「う!はぁはぁ・・・。」
やっぱいつ妊娠してもつわりが酷いなぁ。
「大丈夫なん?」
「ん・・・。」
なんとか落ち着き、洗面所から出たときだった。
「ふぎゃあ!ふぎゃあ!」
「お、一人目が生まれたみたいやな。」
「・・・そうやな。」
うぅ〜〜まだあの部屋にいるとまた吐き気がしそうだけど、剛に支えてもらい、一緒にいく。
25:ゆうり2012 02/09 00:11
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ガチャ
「優、どうや?」
「光様、お一人目は、女の子ですよ。」
さすがに四つ子で小さいから保育器に入っとる。
「かわえぇなぁ。」
「そうやね。」
やっぱり自分の我が子も可愛いけど孫も格別やな。
26:!?2012 02/13 20:01
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優の場合四つ子で赤ん坊達が小さかったせいか夜明けには4人目の赤ん坊が生まれていた。
長女、長男、次男、三男の四つ子の誕生や。
次の日、優はさすがに4人も産んで疲れて眠っとるから俺と勝手に仕事を休んだ剛とで孫4人と子供3人の7人の育児や。
27:出産子2012 06/11 04:44
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赤ん坊が7人居る賑やかな生活が 始まったけど、はっきり言って俺は役立たずやった。
まず、新生児のミルクのような匂いを全く受け付けなくなり、つわりで吐きまくった。
それなら自分の6ヶ月になる子の世話を、と思っても、体重が7キロ近くになった子どもを抱き上げるだけで腹が張り、すぐに横にならざるを得なかった。
ウチは金銭的に余裕があるからいくらでも人を雇えるし、7人赤ん坊がおっても全く困ってへんけど、
母親として、初産で不安だろう優のフォローをしてやりたかった。
「ふ〜…、出産して三ヶ月でもう妊娠て、やっぱ早すぎやろ…」
横になってお腹をなでながらつい弱音を吐いてしまう。
でも、先ずはこのお腹の子のことを考えんとな。
産まれれば人の手を借りられるけど、俺のお腹の中に居る間この子らを守れるのは、母親の俺だけやからな。
それから、安定期までのつもりで俺は仕事を休んだ。
でも悪阻はなかなか治まらず、夏の暑さも加わって俺はすっかりばててしまっていた。
20週も過ぎてお腹もお腹も目立ってきたけど、俺は痩せてしまってガリガリや。
双子は俺のお腹の中で元気に暴れてるので心配いらへんけど。
三人の子どもたちは8ヶ月になってハイハイするようになったけど、とても遊んでやる体力はない。
そんな状況に追い討ちをかけるように、計画停電だとかで冷房が入れられない時間ができてしまうらしい。
若い体力のある頃やったら乗り切れたかもしれんけど、さすがに自分の歳と、お腹の双子のことを第一に考えて、剛とも相談して御堂家代々の避暑地へ静養に行くことにした。
昔やったら大丈夫って言い張って絶対仕事してたとこやけど、俺も変わったなーとつくづく思う。
別荘は冷房入らずの涼しい山中にひっそりとにある。
そこに、俺の身の回りの世話をしてくれる数人の使用人と共に、二ヶ月間の予定で行くことにした。
大体、気候や体調を見ながら、28週くらいで帰ってくる予定や。
双子やから、やっぱ出産は設備の整ったとこのがええしな。
家族と離れるのは寂しいけど、今はネットも電話も余裕で通じるし何とかなるやろ。
行きがけは、夏休みになった海が送ってくれることになった。
学校の行事やなんやらですぐ帰ってまうけどな。
今日は俺の体調の良いから、早速出発や。
車で半日の移動。
せっかくの久しぶりの遠出やから、楽しまんと損やな。
- 6 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:20:55
- 28:ゆうり2012 06/11 15:09
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「光、支度できたん?」
ん?なんで剛がいるん?
「なんでおるん?」
「なんでって。ついていくからに決まってるやろ。」
「仕事どうするん?」
「航と拓が夏休みやから代理で任せてきたん。今は、宗矢さんもおるしな。」
はじめから剛はついていく気やから、簡単にオッケイしたんやな。
「光様、お待たせしました。」
俺の主治医も到着して、俺らは車に乗り込んだ。
車も負担がかからないように剛がキャンピングカーを改造させた車でソファもフカフカや。
29:名無し2012 06/14 01:36
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「光、道のり長いんやから横になっとき。」
「おん。あ、海、ありがとうな。」
ソファーもベットにできるタイプらしく、剛に言われるがままに横になると、海が薄い毛布をかけてくれた。
「母さま、山が見えてきたよ!」
そういえば海と3人だけで遠出するのはじめてやな。
30:出産子2012 06/15 05:31
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都心から少し離れただけで結構涼しいし、空気も美味く感じる。
「そういえば、前に北海道に旅行に行ったこと思い出すなあ」
「お、そやな。あん時は海がお腹におったんやったなー」
そう言いながら剛は俺の双子の入った腹を撫でる。
「やたらでかい腹して、光が大変そうやった」
「寒かったしな。でも、雪像見たり食べ歩きしたり、楽しかったわ」
「でも帰ってから光は熱出して寝こんだんやったな。はしゃぎすぎや」
「そやったそやった。俺も若い頃は無茶ばっかりしとったわ。俺も剛も、若かったなー」
「俺の奥さんの光は、今でも若くて綺麗やで!」
そう言いながら剛は、俺の腹どころか肩やら腰やら休むことなく撫で回しボディタッチが激しくなってくる。
剛に触られるのは気持ちよくてええけど、場所も考えんと、と思ったとき。
「ん、ぅうん!…ちょっと、父様母様、仲が良いのはわかってるけど、こんな密室で子供の前であんまりいちゃいちゃしないでよ…」
案の定、海に突っ込まれた。
主治医の橘は慣れとるのか見てみぬ振りして知らん振りや。
「はは、堪忍や。なら、母様はちょっと寝させてもらうわ。剛もあっち行っとき」
剛は不満そうながらも俺の毛布を整えて、やがてモバイルで仕事のチェックをしだした。
順調に行くかと思とった旅やけど、ちょっとしたトラブルが起きた。
思とったより道が混んどって予定が遅れとる。
俺のために、休憩を取りすぎた所為もある。
このままでは到着が深夜になってしまう。
「まあ、そんな急いどるわけじゃないし。無理せんでこの近くで一泊して行こ」
そう言って剛がサクサクと指示を出す。
夏休みと言うこともありどこも満室やったけど、とある温泉旅館のスペシャルスウィートに唯一空きがあった。
今晩の宿は、そこに決定や。
- 7 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:21:29
- 31:ゆうり2012 06/15 10:31
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「母さま、旅館って凄いね。」
別荘にはよく泊まるが、旅館やホテルは出張以外では泊まらないため、海には初めてやしめちゃはしゃいどる。
「ここにも個室の露天風呂あるらしいで。あとは大浴場やな。」
「父様、大浴場ってなに?」
「広い温泉に他の人たちとみんなではいる風呂のことや。」
「面白そう。父様、母さま、いこう!」
目がキラキラ光ってるなぁ。
「ええよ。広い温泉のがいいしな。」
なにより海が嬉しそうなのがええな。
「じゃあ早速はいりにいくか。っょこいしょ。」
「こう、それは親父くさい。」
俺はタオルを肩にかけて大浴場に向かう姿を見て剛が言った。
32:名無し2012 06/17 00:29
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「ええやん。これくらい。」
「一応妊婦なんやからな。」
「風呂やって男風呂はいるんやし剛とおんなじもんついとるからええやん。」
「そういう問題ちゃうんだけど。」
剛はまぁ、こういうことだけは細かいんよな。
「お、橘やん。」
「あ、光さまたちも大浴場ですか?」
33:出産子2012 06/17 05:41
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結局四人連れ添って大浴場へ行くことにしたけど、こんなことめったに無いからなんか変な感じやな。
くすぐったい感じや。
「光さまは足元にお気をつけ下さいませ」
「俺がちゃんと支えとるから大丈夫やで」
剛はずっと俺の腰を抱くようにしながら歩いとる。
更衣室で服を脱いでロッカーに預けるところから、海はずっとはしゃぎっぱなしや。
股間だけ隠すように腰にタオルを巻いて、浴場へ入った。
俺の腹のことなんか言われるかなと思ったけど、そんなことも無く、チラッと見られただけであとは見て見ぬ振りされとる。
まあ、こういうとこで人の体のことあれこれ言うんはマナー違反やしな。
只のビール腹のおっさんと思われたのかもしれんけど。
「海、こういうとこではな、湯に浸かる前に体を洗うんやで」
「そや、他のお客さんに迷惑かけんようにな」
「は〜い」
「あのー、お腹大きいっすね、何ヶ月っすか?」
「え?」
洗い場で四人並んで体を洗っていると、隣で三歳くらいの男の子の頭を洗っていた父親らしき人に声をかけられた。
30歳くらいやろうか。
「あ、すいません急に声かけて失礼っすよね!これね、俺が産んだ子なんっすよ〜」
最近多い『育メン』かと思ったら、どうやら俺や海と同じ体の人やった。
それで俺が妊夫ってわかったんやな。
「あ、えと、5ヶ月過ぎたとこや、双子やから目だっとるけど」
「へえ双子っすか、いいっすねー。あ、お隣旦那さんっすか、奥さん美人っすね!」
なんや、気さくな人やな。
ちょっと警戒しとった剛も、俺がほめられてなんか嬉しそうや。
「いやー、ウチも家族旅行なんっすけど、旦那ビール飲んで寝ちゃって。立ちあい出産ではぶっ倒れるし、いい奴なんですけどいまいち頼りにならないとこあるんすよー」
「…なんや、情けない男やな。俺は立ち会うどころか取り上げたで」
「え、マジっすか。っていうか、奥さんもう子供いるんっすね」
「おん、あっちに居るんが俺の五人目の子や」
剛の隣の海は、人見知りしとるのか裸同士が恥ずかしいんか、さっきまでとはうって変わってもじもじしとる。
「ええーー!そ、そんなに!?…奥さん俺のちょっと上くらいかと思ってました!」
「はは、まさか。最初の子はもう21歳や。因みに、あの子とお腹の子の間に生後8ヶ月の三つ子が居るで」
「ま、マジすか…。奥さん、っていうか、旦那さんもスゴイっすね…」
育メンはポカンとしとる。
剛はなんかしらんけど得意顔や。
こういうのを『ドヤ顔』って言うんやな。
「いやーウチもそろそろもう一人って思ってるんすけど、不況だし何かと金の心配が…。やっぱ、子供には不自由させたくないっすからねー」
ウチはお金の心配とは無縁やな。
ずっと当たり前のことと思とったけど、もしかしたらありがたいことやったのかもしれん。
それにしても、他の子持ちの人とこんなこと話したことなかったからなんか新鮮やな。
こう言うんのも、裸の付き合い言うんやろうか。
34:ゆうり2012 06/17 07:15
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「まぁうちはちょっとした会社を経営しとるから。」
「社長さんなんですね。いやぁ。すごいですね。」
あの会社ちょっとどころやない気もするけど。
「母さま、洗ったから橘とお風呂いってくるね。」
話が長くなるのかと思ったみたいで海が橘と風呂の方へいった。
- 8 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:22:27
- 35:名無し2012 06/18 00:03
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「ママ、るぃもいく〜〜。」
「だめ。ママとはいろ?」
「やぁだぁ〜〜。」
あ、泣きそうや。海のお兄ちゃん特訓にもなるし、橘おるから大丈夫やろ。
「海、この子も一緒に入ってや。橘、頼むで。」
「は〜い。」
「わかりました。」
「いこう?名前は?」
「るぃ。」
「るいくんかぁ。いい名前だね。」
やっぱり下に弟妹できるとちゃうんやなぁ。
俺たちは、ルイくんのママの紀藤さんと産後のダイエットの方法や子育ての話などしてから別れた。
紀藤さんは中々体重も減らないし、最近太ったっていうとったけど俺も気を付けんとな。
「ママ、るいくんかわいかったね。」
「そうやな。」
夕飯に運ばれてきた食事に海はまたはしゃいでいた。
「海、敗けへんよ。」
「こっちだって。」
そして食後、剛と海と三人で卓球室にきていた。
「るいくん、どうしたの!?」
はぁはぁいって、べそをかいたるいくんが卓球室の前を走っていた。
「・・・っく・・・ママがおなかいたいいたいなの。かぃくん、かぃくんちおいしゃしゃん、いるっていってたもん。うぇ〜〜ん!!」
「るいくん、ママたちのお部屋どこや?一緒に行こうな?」
「あっち・・・っく。」
「俺は、橘よんでくるわ。」
海が抱き上げてあやし、俺とるぃくんの部屋にいく。
剛は橘を呼びにいった。
36:ゆうり2012 06/18 20:06
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「う゛うぅぅぅーーー!」
外にも漏れるくらい多分紀藤さんの声が出ている。
俺たちはノックをしてからはいる。
「あ、るぃ!あ、どちらさまで?いま立て込んでるので。」
多分紀藤さんの旦那さんだろう人が最初はるいくんに目が行ったが、そのあと俺たちに気づいた。
「おいしゃしゃんがくるの!」
「俺は、さっき温泉でご一緒した御堂です。るいくんから奥さんのことをきいて、俺の主治医がいまして、旦那がよんでるんですわ。」
「助かります。どうぞ。」
奥にいくとお腹を押さえて苦しそうな紀藤さんが布団におったん。
37:ゆうり2012 06/20 00:46
[ 編集 ]
「紀藤さん、大丈夫なん?」
「あ゛、あ゛ぁ・・・み、どぉ、さん?」
「腹痛いんやって。ちょっとさわらせてな?」
俺が紀藤さんの腹を触るとカチカチに張ってるみたいやな。
これってもしかして
「なぁ、紀藤さんって妊娠してるんちゃう?」
「え、でも・・・っ!」
「い、いや、でも、聡汰(そうた)が妊娠してるわけないですよ!だってコンドームしてたし。」
紀藤さんの旦那さんは慌てて否定しているけど、自家受精ってこともなきにしもあらずやしな。
38:Wildcat2012 07/17 20:53
[ 編集 ]
「光さま、お待たせしました。」
「お、橘、紀藤さん多分妊娠してると思うんやけど。」
俺が橘に説明すると、紀藤さんのお腹を触り、張りを確認し、お腹に聴診器をあて確認したあと聴診器をはずした。
「どうや?」
「お腹に心音が確認されましたので妊娠していることは間違いないです。少し失礼しますね。」
「お、おい。」
橘は、紀藤さんの足を開かせ、浴衣をまくりパンツを脱がせたため、旦那さんが慌てている。
「大丈夫やって。橘は医者やし何べんも出産介助してるんやから。」
剛が制しようとしている旦那さんの肩をつかんでとめた。
- 9 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:23:26
-
39:出産子2012 07/23 03:30
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橘は消毒して医療手袋をはめた手で手早く内診をした。
「…これは…。紀藤さん…でしたか?最終月経はいつかお分かりですか?」
「ぅうーーっ、ぐぅうう゛ーーっ!…も、もともと、不順で…っ、わ、わかんないっす…っ、あぁああっ!」
紀藤さんは痛みが相当酷いみたいで、薄い浴衣は脂汗でぐっしょりになっとる。
「橘、どんな具合や?」
「申し上げにくいのですが、既に全開大になっております。もうまもなく出産になるでしょう」
「え、ぇええ!?ほ、ホントですか!?妊娠してるんですか!?…おい、総汰!大丈夫か!?」
旦那さんはパニックになりつつも、苦しむ紀藤さんの傍により手をとった。
「ふーっ、ふぅうーーーっ!そ、そう言われればっ、この、いたみ、…じ、陣痛…っ!俺っ、気づいて、無かった…っ、ごめ…っ!」
紀藤さんは自分のお腹に手を当てながら、旦那さんにかお腹の赤ちゃんにか謝った。
「紀藤さん、良く聞いてくださいね。このまま出産になるのは間違いないでしょうが、妊娠期間が分からないのでかなりの早産の可能性もあります」
落ち着いた声で橘が説明する。
「救急車を既に手配済みですので、お辛いでしょうが、病院に着くまで絶対に息まないで。いいですね?」
「わ、わわわ、分かりました。そ、総汰!聞いたか?俺がついてるからな、がんばれよ!?」
旦那さんはコクコクと勢い良くうなずいて、紀藤さんの手をしっかり握り締めた。
けど、紀藤さんの様子がおかしい。
「…ふぅうーー、ふーー…っ、……だ、だめ、っす…、も、もう出るっ、産まれるーーーっ!!」
慌てて紀藤さんの股間を覗くと、男性器の下の割れ目から、濁った水で満たされた水風船のようなものが飛び出しとった。
40:Wildcat2012 07/23 06:12
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紀藤さんが息む度に膨らみを見せる羊膜をみて橘はすこし考えて剛の方を向いたん。
「これじゃあ間に合わないな。剛さま、車に積んである保育器を用意してもらえますか?」
そういえば俺、双子やし、何かあったときのために持ち運び可能な保育器も車に積んでたな。
「あぁ。わかった。すぐいってくるわ。」
剛が慌てて保育器をとりにいった。
「紀藤さん、もう羊膜が出ているのでこのまま破水させます。」
橘はメスを持ち、膨らんだ羊膜を破ると、割れた羊膜からは、濁った液体が流れたところからは、割れ目の出入口あたりに頭の先っぽがみえてたん。
なんや、思ってたよりは大きいな。
2000前後はありそうやなぁ。
41:ゆうり2012 07/25 01:48
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「思ったよりは胎児の大きさがありますね。さぁ、もう一息いきんで!」
橘は冷静にみて指で紀藤さんの会陰を保護しながらアドバイスをしている。
俺も何か手伝いしようかなぁ?
赤ん坊が産まれた時に浸かる産湯でも用意しよ。
「すみません。タライありませんか?」
野次馬のようにみている女将たちに聞いてタライをもってきてもらう。
その間に俺は、ポットでお湯わかそ。
42:wildcat2012 08/05 02:04
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うん。適温やな。
「橘、お湯沸かしたで。」
「光さま、ありがとうございます。」
橘は、紀藤さんの介助をしつつ、返事をした。
「ん゛ぐーーーー!」
「頑張れ!頑張れ!」
紀藤さんが息む度に旦那さんが励ましていてなんかいい雰囲気やなぁ。
- 10 :名無しさん:2012/08/30(木) 01:25:01
- 43:無能2012 08/27 12:46
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「はぁはぁ、橘、さすがに1つでえぇやろ?あと出産器具ももろもろもってきたで。」
剛は急いで保育器と出産に必要な器具が入ったカバンをもってきてくれた。
「ありがとうございます。これで出産しても問題はないので、あとは紀藤さん、頑張ってください。」
橘は一度剛がもってきた器具を確認してから橘は紀藤のほうに向き直して励ました。
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- 11 :出産子:2012/10/19(金) 04:24:51
- 「ふーっ、ふーーっ!…ぅ、んん゛ーーーーっ!!」
「そうそう、お上手ですよ。長ーく息んでください」
紀藤さんは経産夫だけあって、息みかたも上手そうやった。
四つんばいになって、旦那さんにしがみ付きながらの出産や。
全身を預けられて大変やろうに、旦那さんも必死に支えとる。
「ぅううんん゛ーー…っ!…いっ!?いたっ、いたぁあいい゛っ!!」
「はい、今ので頭出ましたよ。もう息まないで、短く息してください」
「え、もう!?…ま、まじで…、ん、っはっはっはっは、はぁあ!」
三回くらい強く息んだところで、するっと膣から赤ん坊が出てきた。
思ったより安産やったみたいで、紀藤さんもビックリしとる。
ちっちゃな赤ん坊やったけど、羊水を吸いだすと元気に産声を上げた。
「う、うわぁ、ちいせえけど、すげー声…。あ、ありがとうございます…、総汰も、有難うなあ」
「は、はは…。ちょっとやばかったけど、無事産まれてよかった…。旦那も、お疲れさん…」
それから旦那さんは臍の緒を切るところまで頑張ったんやけど、胎盤が出るときに結構出血したの見て結局目を回してひっくり返ってもうた。
「ママぁ、お腹痛いの治った?…あれぇ、なにこれ〜〜」
海があやしとったるい君を連れて戻ったきて、いきなり現れた赤ん坊に驚いとった。
そらそうやろな。
「ん〜?るいの妹だよ…。るいはお兄ちゃんになったんだよ、急でびっくりしたかな?」
「えと…、るぃわかんない…。でも、妹かわいいねー」
るい君も急におにいちゃんとか言われても混乱するかもしれんけど、この紀藤家は母親の総汰さんがしっかりし舵取っとるみたいやしなんとかなるやろう。
あとで聞いたところ、旦那さんは御堂グループの子会社の下請けやった。
真面目に勤めて出世していけば、一家四人困らんで暮らしていけるくらいは十分に稼げるやろう。
「あの、御堂さん、本当に有難うございました。御堂さんが居てくれなかったら、ほんとどうなってたかわかんないっす」
「ええんよ、それにしても旅先での縁って、不思議やなぁ。ほんま、可愛い…、良く見せ……、ぅ、ぅえ…っ!」
俺はまだ紀藤さんの胸に張り付くように抱かれたままの赤ん坊の顔を見ようと近づいていったんやけど、急にこみ上げてきてえづいてしもうた。
「光!」
「み、御堂さん!?」
「…う、ごほっ、…す、すまん、悪阻や…、ぅぐ…、に、におい…だめ…」
あかんなぁ、まるで紀藤さんの赤ちゃん見て吐き気を催したみたいや。
悪阻ってことで誤解はされんかったけど、出産したばかりの人にいらん心配かけてしもうたな。
遠くからサイレンが聞こえてようやく救急車も来たみたいやし、後は橘に任せてここでお別れや。
お腹も張っとるし、薬飲んでもう寝よ…。
- 12 :無能:2012/10/19(金) 10:46:59
-
「光、大丈夫か?」
剛が後片付けを手伝って戻ってきた見たいや。
「ん・・・。」
「やっぱまだ赤ん坊の匂いはあかんみたいやな。」
「たぶん。剛は赤ん坊の顔みたたん?」
「あぁ。奥さん似やったからきっと旦那メロメロになるんちゃう?」
「そうかも。」
俺の次のこも剛似がエエなぁ。
俺はお腹の子に(パパに似ておいで)とよく声をかけているん。やっぱ好きな相手に似てたほうが嬉しいもんなぁ。
しばらくして薬の効果もあり、剛の腕に抱かれたまま眠ってしまったん。
- 13 :出産子:2012/10/21(日) 03:38:46
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「ふ、わぁあ〜〜〜、…よう寝た…」
俺が目を覚ましたのは翌日の昼過ぎやった。
長距離の移動や出産騒動で、思ったより疲れとったんやな。
それにスペシャルスィートだけあって中々好い寝具を使こうてある。
モダンな和室に設えてあるキングサイズのベッドは硬さも適度で腰の痛みも全く無い。
飛び込みで決めた宿やけど、なかなか正解やったな。
「光、起きたか。調子はどうや?メシ食うか?」
別室で仕事をしとったらしい光が俺が起きたのに気がついて声をかけてきた。
なんで気がつくんやろ。俺のことになるとホンマ目ざといな。
海は珍しがって橘と一緒に食堂に行ったらしいので、光と二人で部屋で食べることにした。
光はベッドまで食事を運ぶて言い張ったけど、それは過保護すぎや。
ちゃんと起きて、着替えて食べるで。
- 14 :出産子:2012/10/21(日) 03:41:25
-
御膳風に盛り付けられた昼食は地元の旬の食材を使ってあって、見目も鮮やかな料理が少量ずつ、種類大目に用意されとった。
薄味で口当たりも良かったので、俺も八割がた食べることが出来た。
「光、旨いか?結構食べられたな」
「ああ、めちゃ旨かったで。久しぶりに落ち着いて食べた気がするわ」
俺の調子が良いと光は嬉しいようで、ニコニコしとる。
もしかしてこの食事も、妊娠しとる俺用に旅館に頼んだんかもしれんな。
そういう気遣いは、ありがたく頂戴しとくわ。
「そういえば今日の予定はどうなっとるん?出発は?」
「ん?それやけどな、今日はこのままゆっくりして明日の午前中出発することにしたわ」
結構のんびりやな。俺の身体を気遣ってのことかな。
「ふ〜ん、分かった、まあええわ。この旅館けっこう過ごしやすいしな」
「そういうわけで、一緒に露天風呂入ろうや!」
…それが目的か。めっちゃ目を輝かせとる。
別荘に行けばいくらでも二人っきりになれるのに、おかしな夫やな。
「…ええで、ほな行こうか。二人っきりで、やな」
それを聞いて光はいそいそと入浴の準備を始めた。
なんやかんやで、俺も光が喜ぶことをしてやりたいんやな。
だって、好きあって一緒になったもの同士やしな。
- 15 :無能:2012/10/21(日) 06:58:42
-
「光、準備できたで。」
「ほな、行こうや。」
剛が俺の荷物ももって露天風呂へ向かう。
露天風呂は個室で予約制やから2人っきりでのんびりできるなぁ。
「ここやな。」
御堂様御予約とかいてある個室の露天風呂のドアを開けた。
「わぁ〜個室にしても広いんやなぁ。」
更衣室からみえる露天風呂は、ゆうに20人ははあれそうやな。
- 16 :出産子:2012/11/08(木) 03:55:07
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「ふ〜、ちょっと熱いな」
「のぼせん様に、休み休みはいり〜」
露天風呂は濁り湯で少し滑りがあったけど、臭いはきつくなくて助かった。硫黄の臭いで、悪阻が出たらいややしな。
「んふふふ、それにしても、ええ眺めやな〜」
「そやなー、山の緑も鮮やかで…、って、景色見とらんやないかい」
剛は俺のほうを見てニヤニヤしとった。
「こうやって昼間っから外で全裸の妊娠した妻の裸見るのも、オツなもんやな!」
「変態か。…この20年で何回妊娠したと思うとるんや。デカイ腹なんてもう見飽きたやろ。…それに、ええかげん身体のラインも崩れてきたし、こんなオッサンの裸なんて…」
「そんなことないで」
剛はザブザブと近寄ってきて、後ろから俺を抱きしめた。勿論、両手は優しく腹に添えられとる。
「何回見ても見飽きたりせえへん。それにな、この腹の中に俺の子がおるかと思うと愛おしくてしゃあないんや。何べんもキツイ思いして、俺の子を腹で育てて、産んでくれて、ほんま、感謝してもしいきれへん」
「な、なんや、改まって。…別に、ええよ。俺だって、この腹の中にいるのが剛の子供やと思うと嬉しいしな。そりゃ、産むのは確かにしんどいけど…。俺が産める身体で、ホンマ、良かったなあって」
「うん、有難う…。それに、いい加減これが最後の子やと思うしな、そう考えたら特に大事に思えるんや」
言いながら剛は、鼻先を俺の首筋に擦り付けてきた。
「はは、確かに、そうしてもらえると助かるわ。もう、孫もおるええ歳やしなー。俺も最後の妊娠と思って、お腹の子と、剛と、大事に過ごしていきたいわ。マタニティライフの思い出、いっぱい作ろうな!」
- 17 :名無しさん:2013/11/15(金) 01:00:09
-
「あ、でも今はまだやらへんからな!」
すっかりやる気になっとる剛にくぎはさしとかなたまったもんじゃないしな。
暫く2人でのんびりしているとドアが開いた。
「あー!橘、やっぱりここだったよ!」
海が浴衣のままやってきた。よくここがわかったな。
- 18 :名無しさん:2020/02/28(金) 23:15:12
- 「光様、剛様、やはり、ここに居られたのですか。」
と橘は、うちらに言うた。
それに対して、うちは、
「どない、しはったん?」と返した。
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