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2つが1つ
1名無しさん:2012/08/29(水) 20:05:49
最近熊猫書店さんの掲示板の調子が悪いので移転させてみました。
最新投稿日時 - 2012/08/25 19:31
プリンman2011/01/16 23:24

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実は子供を産むところには産婦人科ともう1つ隠された科がある。
それは産夫人科がある。
産夫人科は大半は男に近い両性具有者だが、極僅かに男も患者としてやってくる。


1:ゆうり2011 09/03 09:53

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そしてここMAN'sERは、緊急事態の出産の病院である。
ピーポーピーポー
「白石 亮さん25歳、男性。現在妊娠41週。心音が3つ確認されています。すでに第一子がでかかっており、逆児です。お願いします。」
取り合えず、処置室に運ぶ。
白石さんのパンツの隙間から太い片足が見えている。


2:とね2011 09/04 23:47

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「これは……」

久保田は血と粘液に濡れた片足を見て眉間にシワがよる。
尻や両足ならまだ自然に排出できるが、片足だけとなるとその対処も違ってくる。
帝王切開…はまず無理だな、出血も多く、体力を使い果たしたら母子共に死んでしまう可能性もある。
だったら方法は、1つしかない。
「白石さん、聞こえるか?」

苦痛を顔全体で表し、呻き声しか出せない白石が久保田の顔を見た。

「今、あんたの子供が足から出てきてる。しかも片足だ。これから足を内部に戻して両足を引きずり出す。激痛を伴うがいいか?」
「ぁ…うぅ、はや、く出して、俺の子供が、死ん、じゃう」
「わかった。必ず助けるから。お前も、お腹にいる命も」


3:ゆうり2011 09/05 10:01

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久保田はまず、白石の足を固定させ、そして看護師たちに白石が足を閉じさせないように抑えてもらう。
そして長めの手術ようの手袋をはめて、準備は出来た。
「今から手を入れるから、我慢しろよ。」
久保田は赤ん坊の足を掴み、出てきた道へ押し戻した。
「ぐぅぅ〜うぁぁぁ」
男はうめき声をあげながら暴れようとするが、看護師に抑えられて、逃げることすらできない。


4:とね2011 09/06 12:43

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「もう少しだ!!がんばれっ!」
「ぐぁあ゛ぁああっーー!!」

胎児の足を奥へ奥へと押し込み、有るべきところに押し戻し、久保田は手を引き抜いた。

「あ゛ー……あ゛ー……」
「頑張ったな。次は出口を広げるぞ。」

看護師から渡された注射を出口に射し、ハサミで四方を切り込みを入れる。
白石は一度だけ体を揺らしただけで後は小さく声をあげただけだった。


5:Wild cat2011 09/06 13:23

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「よし。じゃあ、後は息め。」
「んぐぅぅぅ」
白石は腹に力をいれていきみ出した。
女と違って男は力があるから、普通ならあまり問題がない。
今回は特例だ。
「少し胎児のでが悪いからお腹を押すからな。」
久保田が息む度に押す事にした。

2名無しさん:2012/08/29(水) 20:06:21

6:ゆうり2011 09/06 21:44

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押し出す準備をしていると、ERコールがなった。
男の人の出産を夜間みているのはここだけなのだ。
「13歳の男性が、産気づいたとの要請がありまして、すでに向かっています。」
救急隊員にいわれ、白石のとなりの分娩台が用意された。
近かったのかすぐに救急車はきた。
「ロバート ビーンさん、13歳。28週目ですでに破水しています。」
まだ幼さをのこすロバートは、売りをしていた時に陣痛が始まり、客に連絡されたのだ。
そのためか、ロバートは裸で、しかも行為が済んだ後だったのか破水とともに白濁した精液混ざりって女の部分から流れ出ている。


7:出産子2011 09/07 04:05

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「きみ、しっかりしろよ。私はドクターの久保田だ。今までの検診の記録はあるか?」
久保田は朦朧としているロバートに話しかける。
「…あー…、医者なんか、行ったこと、ねえよ…」
ロバートは親のいない子供で、似たような境遇の子たちと共に廃屋で暮らしているのだ。
そしてまだ幼い子供たちの為に、売りをして稼いでいた。
「…そうか…、まあ、胎児は何とか1000グラムは超えてそうだ。お腹の子もキミも、どちらも助けるからな」
久保田は低体重の新生児に対応する準備をナースに命じた。
「…はっ、こんな、父親も、わんねえガキとか、どうでも、いいし…。まあ、この、腹のおかげで、払いのいい、客も、掴めたけどよ…」
「ぅうっ、それにしてもっ、痛てえよおっ、早く、出しちまって、くれよ…っ」
「また…、すぐに、売りに行かなきゃ、なんねえんだよ…、仲間が、腹空かせて、待ってんだ…っ、ああっ、いってえええっ!!」


8:ゆうり2011 09/07 09:52

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「(こまったもんだな。)」
久保田は取り敢えず、エコーで胎児をみる。
「逆子だな。どうも男の出産は逆子が多いな。」
久保田は胎児の様子をみながら呟いた。
「さっきの客で今日は何回目だ?」
「今日は…すくないぜ。8人くらいだな。しかもこの腹だから3回くらいは中でいくまではなしてくれねえけど、うぅぅ」
ロバートの女の部分からはとめどなく流れている。


9:出産子2011 09/08 03:34

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「そんなに不特定多数を相手にしているなら病気の心配もあるな。キミも栄養失調のようだし、夫子ともにしばらく入院してもらうよ」
久保田はまずロバートの膣を洗浄しながら話しかける。
「なっ、冗談じゃ、ねえよっ、俺は、帰る…っ、あの客が、ビビッて救急車なんて、呼びやがった、から…、ううーっ!?」
ロバートは分娩台から降りようと体を起こしたが、その弾みで膣から小さな両足が飛び出した。
「暴れるんじゃない!ここは病院で俺は医者だ!そしてキミは俺の患者だ、医者の言うことを聞いてもらう。さあ、横になって!」
久保田はローバトの肩を押して無理やり寝かせると分娩台に固定してしまった。
「は、なせ…、こんな、ガキ、産まれたって、どうせ、死んじまう、だけだ…っ、ああ、いてええ…っ!」
実際にロバートは、売りをする仲間が出産しては子供が死んでいくのを何度も見てきたのだ。
「…キミ、さっきから、聞いていたけど、うう…っ、そんな、投げやりなことを、言うもんじゃない…、んああっ」
口を挟んだのは隣の分娩台の白石だった。
「はあはあ、せっかく、授かった、産まれてこようとする命を、蔑ろにしちゃ、いけない…っ」
白石は切り裂かれた股間の痛みに耐えながら、必死にロバートに呼びかけた。
「ううう〜、…それに、俺は、はあはあ、子供の、福祉に、関わる仕事をしているんだ…、きっと、キミたちの、助けに、なるからっ、ああ、ぐぁああ…!」
「白石さん、もう喋るな。自分の子供を産むことに集中しろ」
久保田が白石とロバートの間に入った。


10:ゆうり2011 09/08 03:41

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「子宮口が朝から開いてたみたいで、仲間でいってるな。

あらかたの洗浄が終わり、後は胎児を早急に出す事だが、未発達な身体のロバートには大きい胎児であり、身体が出てこない。
「お腹を押すぞ。」
久保田はお腹を押して、胎児が出るのをうながす。

3名無しさん:2012/08/29(水) 20:07:18
11:出産子2011 09/08 06:15

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「いってえぇええーっ、止めろ、おっ!!」
胎児は未熟児だというのにそれでもロバートの体には負担なのかなかなか出てこない。
「くっ、予想以上に産道が硬いな…っ。キミ、もっと息んでくれっ」
「…げほっ、知る、かっ。…俺の、アソコは、締まりが良いって、評判、なんだ、ぜ…っ、ううっ」
ロバートはやはりお腹の子にさほど興味がないように見えた。
でもそれは、彼の生い立ちを思えば仕方ないのかもしれない。
「なら仕方ないな。協力してくれないならキミの自慢の商売道具を切り開くことになるがどうする?」


12:とね2011 09/08 11:42

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「き、切るだとっ…!」
「ああ、このまま子供が出ないと何ヵ所も切ることになるだろうね。」

久保田はハサミをあてがい切るマネをする。分娩台に乗せられているロバートには見えないため青ざめる。

「うぅう…息むっ、いきむから切らないでくれっ!…ぐぅぅぅ」
「俺の指示に従えば切ることはないから。」

13歳の子供相手に大人気ない対応をしたなと思うが、これもロバートと子供を守るための行為だと久保田は割りきっていた。
「先生、白石さんの胎児の両足が出てきました。」

看護師に呼ばれ、白石の股関を見る。太い両足がくるぶしまで出てきており、息むたびに少しずつ進んではいる。


13:ゆうり2011 09/08 14:58

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「今日は俺しか当直いないのに。」
今日は当直が久保田しかおらず、一人で切り盛りしなければならない。
「先生、取り敢えず、白石さんは何かあったらよぶので、ロバートさんを。」
「わかった。」
取り敢えず全く知識のないロバートどうにかしないと助からない。


14:出産子2011 09/09 03:26

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「せ、先生っ、俺は、自分でなんとか…っ、それより、その子と、赤ちゃんを、助けて、やって…っ」
白石はよほど子供が好きなのか、すっかりロバートに情が移ったようだった。
「じゃあ、ロバートくん、胎児の心音が弱ってきたし、少々強引に出させてもらうからな。我慢しろよ」
久保田は器用に、片手でお腹を押しながら片手で小さな胎児の両足を掴んだ。
「うわぁあああーーっ、痛てえっ、いてえよぉおおーーーーっ!!」
「声を出さずに息むんだ!臍のほうを見ながら下っ腹に力を入れて!排泄するようにだ!」
「あああ…っ、うう、う〜んっ、うう〜〜…ん゛っ!!…いだいーーーっ!」
戸惑いながらもロバートは息んでいく。
多少無理をしたおかげか、後は頭を出すだけとなった。
「さあ、次で最後だ!息を吸って、思いっきり息め!」
ロバートが言われたとおりに呼吸を整えたとき。
「ーーーっ、んうっ、ぐぁああっ!!」
隣の分娩台で悲鳴が上がった。
見ると、一人目の赤ん坊を自分で引っ張りだした白石が、赤ん坊を胸に抱いたまま気を失っていた。
羊水と切開の傷からの出血が分娩台から滴り落ちて、床に水溜りを作っている。


15:ゆうり2011 09/09 06:13

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「先生、白石さんが。」
「わかった。本当今日は厄日だな。」
久保田は、白石の輸血の用意と胎児の状態をみる。
口の中を吸い上げたら一気に泣き出した。
「取り敢えず、一人目は大丈夫だな。後の胎児は…」
久保田は胎児の心音と血圧をはかる。

4名無しさん:2012/08/29(水) 20:08:31
16:とね2011 09/11 22:04

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「とりあえず、大丈夫そうだな…」

血圧、胎児の心音とも異常はみられなかった。

「先生、白石さんどうしましょうか」
「次の陣痛が始まるまで休ませておけ、何か変化があったら直ぐに呼んでくれ。」

わかりました、と看護師が白石につく。

「あ゛あぁぁぁーーーっっ!!」
「先生っ!ビーンさん産まれます。」

慌てて見れば、ゆっくりと旋回しながら吐き出され、久保田の両手に乗るぐらい小さな赤ん坊が羊水と共に産み落とされた。未熟児のため、ぐったりとしており泣き声を挙げない。


17:ゆうり2011 09/12 06:10

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すぐに処置を施す。
まだ泣くまでは育ってないがすぐに保育器にいれ、新生児専門にまわした。
「こっちはあとは胎盤だけだな。」
久保田は疲れ果てているロバートに声をかけた。「あと、子供と君を繋いでいたものがでるからもう少し辛抱しろよ。


18:出産子2011 09/13 04:25

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「…は、はは、泣きやしねえ…、やっぱ、ガキ、死んじまってんだろ…。何でも良いから、早く、腹んなか、空っぽにしちまってくれよ…っ」
フイと横を向いたロバートは、言葉とは裏腹にどこか悲しそうに見えた。
「キミの子供は生きて産まれたんだ!まだ諦めるな!」
そんなロバートを、久保田は厳しい言葉で励ます。
「…う、うぅう…んっ、はあっはあっはあ…、あ、俺の、赤ちゃんは…」
次の陣痛が来たようで、白石が意識を取り戻した。
「白石さん、あんたの子は問題ない。すぐに抱かせてやるからな。それより、あと二人頑張れよ」
「はあはあ…良かった…。あ…、ロバート君の子も、産まれたのか…?」
横の分娩台のローバーとの膣から臍の緒が伸びているのに気が付いたのだ。
「ああ、未熟児だがね。だが、立派に生きている。きっと大丈夫だ!」
自信を持って久保田が答える。
「…そうか、そうかぁ…、頑張ったな、ロバート君…っ、ほんとに、良かったなあ!」
白石は目を潤ませて、自分のとき以上に喜んだ。
「…な、なんだよ……」
自分を叱り励まし、そして子の誕生を心から喜んでくれる見知らぬ大人たち。
自分を買う大人しか知らなかったロバートは、今までにない体験に戸惑い、そして心を動かし始めていた。


19:出産子2011 10/17 04:29

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それからすぐに眠ってしまったロバートに、久保田は回復を促す処置を施した。
そうしているうちに連絡を受けた白石のパートナー、お腹の子の父親が駆けつけ、白石はパートナーに励まされながら明け方までに残りの二人を無事に産み落とした。
五体満足で健康な女の三つ子の赤ちゃんだった。
ロバートと白石はそのまま同室に入院となった。
ところが、朝の回診のときにはロバートのベッドはもぬけの殻だった。
未熟児の子供を残し、自身の体も回復しないまま、病院を逃げ出したのだ。
医師の久保田はなんとなくこうなるこを予想していたので驚かなかったが、白石は疲れきって熟睡していてロバートが逃げ出したことに気が付かなかったことをとても悔やんでいた。
十日ほどで退院した白石はパートナーと子供を育てながら職場復帰し、ロバートを探し助けるために駆けずり回っているという。
ロバートのような境遇の子は少なくないし、またこの病院で再会することもあるだろう―。

5名無しさん:2012/08/29(水) 20:11:46

その患者、武田少年が母親に連れられこの産夫人科を訪れたのは、月曜日の朝一のことだった。


20:出産子2011 10/17 04:34

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医師不足のため、夜勤から続けて勤務の久保田が担当した。
着崩したブレザーの制服に薄い学生カバン、使い込んだスポーツバックといういでたちの少年は登校前に母親に無理やり連れてこられたようだった。
「すみません、先生。うちの子なんですけどね、どうもここしばらく体調が悪いらしくて」
「病院に行けって行っても、親の言うこと素直に聞かない年頃ですしね。私も痺れを切らしてこうして引っ張ってきたんですよ、お恥ずかしい」
「それでですね、うちの子、まるっきり男の子として育ててますけど、その、女の子の部分もありまして…、念のために、こちらの産夫人科で診ていただいたほうが良いかと思いましてね」
普通の専業主婦といった様子の母親がほとんど喋り、少年は気まずそうに黙っている。
まあ、この年頃の少年なら普通の態度だろう。
久保田は母親の話しを聞きながらカルテを確認する。
武田翔(しょう)くん、17歳、高校三年生。
小学校からずっとサッカーをしているそうで、日焼けした肌にすらりと伸びた筋肉質な手足。
背も高く、はっきり言って相当もてそうなイケメンである。
まさかこの少年の腹の中に膣と子宮があるなどと誰も思いはしないだろう。

「…じゃあ、直接診察してみようか。武田くん、制服脱いでくれるかい?」
はっきりって事前の尿検査でほとんど結果は出ているのだが。
聴診器や触診などの診察をおこなった後、腹部にしこりがあるという理由で行なったエコー検査。
腹筋に覆われた下腹部には立派な胎児が確認され、それを見た母親は想定外すぎたのかその場で失神した。

「それで、検査結果なんだが、武田くん、はっきり言ってきみは妊娠しています。…心当たりは?」
母親がリタイアしたので、久保田は武田少年に結果を告げた。
「……………ハイ…。…あー、えー…、あの、たぶん、チームの合宿、のときに…」
言葉を濁しながら、言いにくそうに少年は喋った。
泊りがけの合宿のとき、同年代の仲間たちと思春期特有のアホなノリで輪になってオナニーをしたらしい。
そのときに誰かの精子が何かの弾みで武田くんの股間に付着し、それで妊娠したのではないかという話しだ。
断じて性行為はしていないと主張しそれは久保田も確認済みなので、その仮説でおおむね間違いないだろう。
「…ん、チョッと待て、その時に妊娠したとして計算すると…、もう30週、八ヶ月にはなってるじゃないか!」
これにはさすがの久保田も驚いた。
武田少年の腹は、かなり食べ過ぎてさすがにやばいかな、程度にしか膨れていないのだ。
「腹筋が硬すぎて前に膨らんでいないのか?それとも、運動量が多すぎるのか…」
腕組みをして、しげしげと武田少年の姿を眺める久保田。
そのとき、武田少年がここへきて初めてはっきりとした声で喋った。
「先生!俺、三ヵ月半後には大事な国際大会があって、その選抜チームに選ばれてるんですけど、その二ヶ月前から特別強化合宿が始まるんです!」
「試合に出るには、どうしてもその合宿に最初から参加しなくちゃいけなくて…。チーム全員で寄宿生活なんです」
「それまでに何とかしてください!お願いしまっす!」
さっと立ち上がった武田少年はそう言ってびしっと頭を下げた。
「いや、そう言われてもな…」
あと一ヶ月少しでその合宿とやらが始まるとして、その頃には35週、九ヶ月になる。
そして合宿に参加して一ヶ月もしないうちに臨月となり、出産だ。
三ヵ月半後の試合本番には問題ないかもしれないが、その前に臨月の妊夫がそんなに激しい運動をすれば、最悪夫子共に死ぬ。
「お願いします!チームの為にも頑張りたいし、俺自身プロへの道が掛かった大事な試合なんです!」
「万全の体調で合宿に参加できるようにしてください!お願いします!!」
武田少年の決意は固く、国際試合を諦めるという選択肢はないようだった。

6名無しさん:2012/08/29(水) 20:12:17
21:米原2011 11/12 01:57

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「8ヶ月を過ぎているとは言え、君の筋力ある体で育っている子どものことを考えると…」
ちょっと失礼と言い久保田は再び武田少年を診察台に乗せエコーを確認し
呟いた
「健康に生ませるなら9ヶ月目、あと1月は胎内に入れておきたい。
 この鍛えた筋力下の子宮では子どもが十分に育っていないからな」

武田少年の鍛えられた腹筋では通常妊娠のように子宮が広がりきれずに
ただでさえ未熟児で生まれることを危惧しているのだろう。

「先生!俺、子どもなんていらないです!試合に出たいんです、試合に出て
 認められればプロになれる!プロになったら子どもなんて育てている余裕、
 俺にはないんです!」
武田少年としては、愛し合った訳でもなく若気の至り故の自慰ごっこで孕んでしまった命に対して、そして先ほど妊娠しているとはっきり告げられたことによって、自分の描いていた未来を拒絶された思いでいっぱいであった。

「子どもがいらないとなると…8ヶ月だから、いわゆる中絶はできないよ。
 ”おろす”にしても、君は出産しなくてはならない。そして、君の子どもは
 死産として戸籍に残る。医師として、言えることは。
 望まれる命と、望まれざる命、決めるのは誰だ?」

7名無しさん:2012/08/29(水) 20:13:25


22:出産子2011 11/26 04:09

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「あ、俺…、俺は…」
武田少年はすぐには決断出来ずにいるようだ。
17歳の少年に命の選択を迫るのは酷な事であり、それも仕方ないことだろう。
そんな武田少年を見かねて久保田が声を掛けようとしたときだった。
「翔!あんた自分の夢のために命を蔑ろにしたら駄目!そんなこと、お母さん許さないからね!」
割って入ったのは目を覚ました母親だった。
「でも、あんたがずっとサッカー頑張ってきたのはお母さんが一番良く知ってる。先生、どうにか無事に赤ちゃん産ませて、試合にも出させてやってください。馬鹿な親の頼みですけど、どうかよろしくお願いします」
「…かーちゃん…。あ…、先生…っ、どうかお願いしまっす!」
武田少年は苦しいお腹を折り曲げて深々と頭を下げた。

そうして久保田が主治医となり、武田少年の出産計画が極秘に始動した。

まずはもう一人、武田少年が所属しているサッカーチームの監督に事情を話し味方に引き込んだ。
監督には、何かあったときの選抜チームの方への対応をお願いした。
さまざまな可能性を考え、少年が妊娠出産することは秘密のほうが望ましい。
武田少年はすぐにこの産夫人科へ経過観察のための管理入院をしてもらう。
そこで栄養剤などを点滴や経口投与し、胎児の成長を促す。
食事の全メニューも、出産に備えたものだ。
早産の可能性もあるので、様子をみながら張り止めなども処方する。
病室で寝てばかりでは体が鈍ってしまい合宿に差し支えるので、リハビリセンターで軽い筋トレなども行なう。
万全の体制で24時間監視しながら出産に備えてもらう。
毎日サッカーで駆け回っていた高校生に安静にしなければならない入院生活は辛いだろうが、耐えてもらわねばならない。
そして予定日は、母体の回復も考え、合宿参加の二週間前とした。
人工的に陣痛を起こし、少しでも負担を減らすために麻酔を使った無痛分娩で出産する。
予定日まであと二週間少し、どうにか33週、武田少年の夢と胎児の命、そこがぎりぎりの選択だ。
武田少年には出産の知識も皆無のようなので、恐怖心を与えない程度に出産の様子を伝え陣痛の仕組みなども教育していく。
ちなみに赤ん坊だが、母親の妹夫婦が子供が出来ないらしく、そちらに声を掛けてみるそうだ。
どうなるかはわからないが、もし妹夫婦が育てるとなれば、実子として届けられるよう、久保田も手を貸すつもりのようだ。

そうして産夫人科の奥まった個室で、この一大プロジェクトがひっそりと始まった。

8名無しさん:2012/08/29(水) 20:13:56
23:ゆうり2011 11/26 19:44

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入院一週間が経過した頃、空いていた武田少年のとなりのベットに入ることになった。
「武田くん。木更津くんだよ。」
「木更津です。よろしく。」
「木更津 颯の夫です!」
「武田です。よろしく。」
木更津 颯は、ずっと産夫人科に通っていた21歳だ。
結婚している。
予定日を一週間過ぎても生まれないため、入院することになったのだ。


24:米原2011 11/29 02:37

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準備してきていた荷物をテキパキと慣れた手つきで病室備え付けの棚にしまっていく颯。

「なんだか、入院に慣れてるみたいですね」
翔は関心しながら颯に伝えると、
「慣れって言ったら慣れかもしれな、哲也のせいでね」
と恨めしさと愛しさの混じった表情で、先ほど「夫です」と自己紹介してきた
男性を睨み上げた。

あはは、と乾いた笑いを残しながら「ちょっと飲み物でも」と哲也は部屋を後にした。

「それにしても、武田くん?のお腹は小さいね」
「あ、いや颯さんが大きすぎるのもあると思いますよ、俺は腹筋がつきすぎてて 
 赤ちゃんが育ちきらないみたいで」

颯のお腹は確かに大きかった。

久保田医師の診察と治療のおかげで、学校指定ジャージのMサイズがようやく
きつくなり始めた武田少年には信じられない大きさであった。

「僕はね、今回は哲也が頑張りすぎたし、なかなか生まれないし、
 だからこんなに大きいんだろうけどね。生む方の身にも1回はなってくれよって思うよ。とりあえず、これからよろしく、仲良くしようね。
 一緒に生めたら楽しそうだよね」

颯は立ち上がるのも辛そうな体を支えて武田少年に握手をした。

25:ゆうり2011 11/29 03:05

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それから数日して颯の夫である哲也が颯にそっくりな3歳くらいの双子の男の子をつれてきた。
「紹介するね。こっちが兄の楓と弟の恭也だよ。」
どうやら颯が産んだ子供らしい。
「この子達の時は、ほんとパニックだったよ。まだ哲也と結婚するって思ってなかったし。」
「俺だって。お風呂場でみたときは驚いたわ!しかもそのあとおまえ、普通に学校いって授業中に恭也産むし。」

〜〜〜回想〜〜〜
三年前

当時18歳だった颯は、普通の一人暮らしの高校生だった。
哲也は、幼なじみなだけだった。
しかし遊び心というか若気のいたりで2人でやった後に妊娠したが颯は全く気づいていなかった。


26:徠夢2011 12/30 17:59

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「ふぅ〜、明後日から高校ラストのテストの始まりかぁ。」
颯は、テストを明後日に控え学校は今日と明日はやすみだ。
一月に入り、寒さがましコタツに入り込み、ミカンを食べていた。
「そういえば明日、夜哲也がわからないところ聞きにくるっていってたなぁ。」
颯は入学してから学年一位のため、哲也が前日に聞きにくるのだ。颯は推薦で大学もすでに決まっていたため、テスト準備期間も焦っていない。
「ん?っう!」
夕方まで眠っていた颯はお腹の痛みに目が覚めた。


27:ゆうり2012 01/05 00:11

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「っ!何か賞味期限の終わったもの食べたかなぁ?」
食あたりと勘違いして取り敢えずトイレにいく。
しばらくしてもでないため、気のせいかと思い、コタツに戻ってきた。

9名無しさん:2012/08/29(水) 20:15:40
28:ゆうり2012 02/09 00:15
[ 編集 ]
しかし徐々に定期的に来る痛みが強く間隔も狭くなってきた気がする。
「うぅーーーん!」
痛みが来る度に海老のように丸くなって痛みに耐えていく。
29:!?2012 02/13 20:07
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「はぁ、はぁ、なんとかなるか。」
俺は、腹痛はお腹は暖めるといいって聞いた気がするしお風呂に入ることにした。
「ふぅーーー。」
少し楽になった気がする。
30:とね2012 04/15 00:29
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「やっぱ疲れが一気に出てきたのかなー」
湯船から上がるとそのままベットに横になり、眠りについた。
時折襲ってくる痛みをやり過ごしながら……

朝になっても痛みは取れず、そればかりか痛みの範囲が広がった気がする。
「腰がだるい……それになんか腹の中……ぐるぐるいってる……」
時間だけが無情に流れていき、その間にも腹痛はますます痛みを増し、夜になる頃には、腹痛はもう、腹痛だといえるものではなくなってしまった。
31:ゆうり2012 04/15 00:51
[ 編集 ]
学校も休み普通ならおとなしく寝ていればいいものの潔癖症でお風呂に入らないと気持ち悪い。
特に腹の痛みで脂汗を大量にかいてTシャツもびしょびしょで気持ち悪いからお風呂に入った。
お風呂に入って、少し楽になった気がする。

10名無しさん:2012/08/29(水) 20:16:11
32:ゆうり2012 04/24 10:35
[ 編集 ]
「ヴぅぅぅ〜〜。」
お風呂の間だけは痛みが少し和らぐからなかなかお風呂から出れない。
小一時間くらいお風呂に浸かっていたときだった。
「くっうぅぅぅーーーっ!?」
今までにないくらい強い痛みと共に俺の股間からはゴボゴボと音をたてて何か血の混じった少し濁った水が出てきた。
33:拓2012 05/16 18:56
[ 編集 ]
破水だ。

破水をしたことによって陣痛は一気に強くなる。
34:ゆうり2012 05/17 01:01
[ 編集 ]
「う゛ぅぅぅぅ〜〜!」
俺は、耐えきれなくなり、息み出した。
何かが俺の中で降りてきている気がする。
35:出産子2012 06/10 04:39
[ 編集 ]
「や、やばい…、漏れる…っ、ト、トイレに…っ、うぅうーーっ!」
出産の進行に伴う激しい娩出の痛みを便意だと勘違いした颯は,、湯から出ようとしたが、腰が立たず立ち上がることすら出来ない。
「こ、高三にもなって、風呂で、漏らすとか、冗談じゃ…っ!う、うわあっダメだ出るぅうーーー!」
下半身が取れてしまいそうな痛みに、浴槽の縁にしがみ付いて必死に耐える。
「あぁあああ゛ーーっ!出るっ、出るぅうーーっ!…い、たあああっ!!」
その瞬間、颯の足の間が大きく盛り上がり、ムリムリと大きな塊を吐き出した。
体が裂かれる痛みに、膣と肛門の区別も付かない。
「はあっはあっはあっ!…う、…つぅう…っ、……は、はは…、やっちまった…」
一時的に引いた痛みと、浴槽で粗相をしたと思い込んだショックで、颯はぐったりと縁に凭れ掛かった。
自分の脂汗で、頭から水を被ったようにびしょ濡れだ。
「…はあ…はあ…、とにかく…、今の内に…、……ん、んぁあ゛!?」
とにかく、少し楽になった今の内に便を漏らした湯から上がろうとしたが、体に力を入れたとたん、股間の猛烈な違和感に気がついた。
「…あ、ああ゛っ、…なんか、変、だ…っ、…俺の、からだ…、どうなってるん、だ…?」
颯は痛みを堪え、自分の足の間にそっと手を延ばした。
36:ゆうり2012 06/10 12:01
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「こ、これ、なんだ!?」
颯は自分の股間に手のひらで覆れるくらいの塊があることに気づいた。

とりあえず便ではないと安心しつつも、湯が羊水や血で濁り、あまり水面下からは見えず、颯はこれが胎児だとは気づいていない。
その時だった。

「颯、いるか〜〜?」
37:出産子2012 06/12 03:12
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哲也だ。
約束どおり、テスト勉強のためにやってきたのだ。
「颯いるんだろ?トイレか〜?」
室内を歩き回る哲也の足音がする。
昨日の夕方から腹痛に苦しんでいたので、戸締りを忘れていたのだ。
「…あ、もうこんな時間だったんだ…、どうしよ、いくら哲也でもこんなとこ見られたく、な…、いっ、痛ァアアア!」
不意に、治まっていた腹痛がぶり返し、颯は思わず悲鳴をあげてしまった。
「…え?颯か!?どうした、風呂か!」
一人暮らしの狭いアパートだ、風呂場での声などリビングまで筒抜けだ。
「あ、あああっ!…ダ、ダメ…、来るな、あ…っ!うぐぅうう〜〜〜!!」
勢い良くドアを開けて哲也が風呂場へ飛び込んできた。
いくらセックスをしたことがある幼馴染とはいえ、汚れた湯に浸かっているところなんて見られたくない。
「大丈夫か!どっか痛いのかっ、て…、え…、お前、それ…」
狭い浴槽の中で哲也の目から逃れようと焦った颯は足を滑らせて、尻を風呂場の入り口のほうに突き出すような格好で四つんばいになってしまった。
「んぅうっ、…ちょっと、腹、痛い、だけだから、あっ、あっち、行ってろよ…っ、痛っ、…見んなよぉお、おおっ」

11名無しさん:2012/08/29(水) 20:17:45
38:ゆうり2012 06/12 12:17
[ 編集 ]
「え、でも・・・おまえ、それ。」
なんか、哲也の様子が変だ。
「な、なんだよ・・・うぅ〜〜おぉぉぉ〜〜。」

また腹の痛みだしたけど、この格好では、漏らすのが哲也に丸見えだから腹に力を入れてでてこないように我慢する。
39:出産子2012 06/13 04:34
[ 編集 ]
「…あ、え、あ、あか…、…っ、ちょっと待ってろ!」
呆然と颯の股間を見つめていた哲也だが、不意に我に返り、脱衣所からバスタオルを持ってきて颯の尻に押し当てた。
「よし、良いぞ!」
「い、良いって、何が…っ、き、汚いから、触る、な、…う、うわぁあああああっ!!」
そこで我慢の限界が来て、下腹部がグニュグニュ蠢いたかと思うと、股間から何か大きな塊がズルズルと出て行った。
そのとたん、嘘のように痛みが治まり、颯はショックで体の力が抜け湯に沈みそうになった。
そこを哲也が片手で器用に支え、キチンと浴槽の中に座らせる。
そしてもう片手に抱いていたタオルの中の塊を、颯に見せた。
「…ほら、赤ちゃんだ…、今お前が産んだんだぞ…。俺と、お前の子供、だよな…?」
哲也は感極まったかのように半泣きだ。
「はあ…はあ…、赤、ちゃんて…、俺が…?」
ぐったりとしながらタオルの中を見ると、そこにはしわくちゃの真っ赤な何かが手足を動かしていた。
「な、なにこれ…、俺、知らない…。はあ…、昨日の、夕方から、ずっと腹が痛くて…」
颯は自分が妊娠していたことすら気づいていなかったのだから、出産したのだと言われても俄かには信じられない。
「それ、陣痛だったんだよ。一人で産ませてごめんなぁ。…こんな時に言うのもなんだけど、お前と寝たのは、遊びなんかじゃなかったんだ。俺、ずっと、本気でお前のことが好きで…、責任取るから、俺と一緒になってくれ!」
急に告白とプロポーズをされても、颯にとって哲也はあくまでも幼馴染であって恋愛感情など持ったことは無い。
颯は疲れきっていたし、色々なことが重なって思考が働かない。
すっかりパニックになっていると、また腹が少し痛み、股間から何かが出た。
「…あ、胎盤が出たんだな。ほら、臍の緒でお前と繋がってた…」
言われて足の間に視線を落とすと、そこからじわじわを赤の濁りが広がり益々湯が汚れてきた。
その様子を見ながら、颯は気を失ってしまった。

12名無しさん:2012/08/29(水) 20:18:15

―――――――――

颯が目を覚ましたのは、いつもの学校に行くくらいの時間だった。
キチンと寝巻き代わりのジャージを着て、自分のベッドに寝ている。
一瞬夢だったのかと思ったが、枕元には教科書を広げた哲也がいた。
「あ、起きたか。体平気か?赤ちゃんはな、ここの近所に住んでる俺のいとこに事情を話して預かってもらってる。いとこの兄ちゃんも半年前に赤ちゃん産んでるんだ。もう少ししたら病院に行こうな。産夫人科の場所も調べてあるから。それから、お前のおじさんとおばさんに話しをしに行って、お詫びして…、俺のとーちゃんとかーちゃんにも説明しないとな〜」
哲也が一気にまくし立てる。
どうやら颯が気を失ったあと、颯を湯から出し汚れた体を洗い着替えさせ寝かせて、赤ちゃんの処置をし、風呂場の惨状を片付けたりとこまごま働いていたらしい。
その甲斐甲斐しさとマメさに、颯の心も少し絆されてしまう。
「…あ、体は、…平気。いろいろ、アリガトウ…」
本当は股間は痛いし腹にもまだ違和感があるが、言わずにいた。
「あ、あと…、俺、哲也と、その、一緒になるとか、考えたこと無くて…」
「うん、まあ、なんとなく、分かってたけど…、でも、父親としての責任は果たさせてくれよな!」
わざと明るく哲也が言う。
その様子に、少し心が痛んだ。
「…あ、えと…、あっ、そうだ学校!今日のテストは絶対行かないと…っ!?…アイタタ…」
気まずい空気を変えようと話題を探していた颯は大事なことを思い出し、勢い良く起き上がった。
「あっ、おいダメだって!出産した後は安静にしてないとだめなんだぞ!病院に行くんだから、もう少し寝てろって…」
「う〜、で、でもこのテストは卒業にもかかわってくるんだから、それこそ、お前の方が重要だろ?」
「それは確かにそうだけど、でも、俺の成績よりお前の体の方が大事だから…」
「テストは午前中で終わるだろ!?そのあと、絶対病院行くから!…って言うか、哲也の勉強見てやれなくてゴメン…」
「いや、それはいいけど…。約束があったから、颯を助けられたんだしな。…もう、分かったよ、その代わり、休み時間ごとに体調チェックに行くからな!」

それから、颯は哲也の手を借りながら制服に着替えて、コンビニで買ってきてあった朝食を急いで食べて、哲也に支えられながらいつもの電車に乗って、ふらふらしながらもどうにか教室にたどり着いた。
因みに、トイレに入ったときに気が付いたのだが、颯の下着にはおしめの様な大き目の生理用品が当ててあった。
出産のあとの出血で下着を汚さないためだ。
それを見て、中々実感出来ないが、本当に自分の女の部分から赤ちゃんが出てきたんだなと改めて思った。
そしてこんなものまで買いに行ってくれたことに、恥ずかしさと共に優しさと頼もしさを感じた。
ちょっと哲也に惚れそうだと思いながらそれをきれいなものに取り替えて、予備を数個、見えないように紙袋に入れて通学かばんの底に突っ込んだ。

13名無しさん:2012/08/29(水) 20:18:45
42:ゆうり2012 06/14 04:53
[ 編集 ]
一限の授業が終わり、プリントが回収された。
「そう〜、次の数学でわからないとこあるんだけど。」
哲が一応気を聞かせてくれてやってきた。

14名無しさん:2012/08/29(水) 20:19:28
43:名無し2012 06/14 11:14
[ 編集 ]
「哲がくるなんて久しぶりじゃん。」
雷も哲と同じように幼なじみなのだ。
「だって次、数学だぜ。」
「はははっ。おまえは、理系科目に弱いなぁ。」
「うるせぇよ。」
俺の学校では成績によってクラスが決められる。
まぁ、俺と雷は一番成績のいいクラスだけど哲は、中間クラスだからな。


「で、哲は、どれがわからないの、っ!」
「ん?颯、どうした?」
「なんでもない。」
(また腹が痛かった。)

「そうか?あ、こことここがわからない。」
44:出産子2012 06/15 02:57
[ 編集 ]
「これは、この公式を使って…、こっちは問題文の引っ掛けに気をつければ大丈夫だろ…」
「あ、なるほどな、サンキュー」
そう言って、哲也はじっと颯の顔を見つめた。
「…なんだよ、もう自分の教室戻れよ…」
哲也のことを急に意識してしまいまともに顔が見れない。
それに体調の悪さもあって、哲也にそっけない態度をとってしまう。
「…やっぱ顔色良くないな。せめて、保健室行くか?」
雷に聞こえないように颯にそっと耳打ちする。
「…っ!?」
顔が近づくだけでも恥ずかしくて大げさに反応してしまう。
だが颯が返事をする前に予鈴が鳴ったので、哲也は自分の教室に戻って行った。

二時限目も速攻で問題を解き終わると、やっぱり机に伏せて下腹部の痛みを堪えながら過ごした。
そして休み時間になったとたん、颯は股間の不快感に耐えかねパットを換える為にトイレへ急いだ。
男子トイレは使いたくないので、離れた棟にある多目的トイレへ行った。
ここなら使用済みのパットを処分出来る。
「…ぅうー…」
汚れたパットを見るだけで貧血を起こしそうだ。
不慣れな手つきで何とか取り替える。
ズボンまで汚してしまいそうでなんだか心配だったので、念のため二枚重ねておいた。
よたよたと覚束ない足取りで、でも、回りに怪しまれないようになるべく平気そうにしながら教室へ戻った。
休み時間をギリギリいっぱい使ってしまったので、この休み時間には哲也と会えなかった。
三時限目の物理のテストは問題なく終わらせたが、体調に少し問題が出てきた。
(…ぅう〜〜、うう〜〜…っ、なんか、めっちゃ痛いし…っ)
(さっき、無理して、早歩き、したからか…?)
(やばい…、声、出そう…、回りのやつらに、気づかれたくない…)
(…あ、いま平気だ…、大丈夫だよな…、あとは四時限目の現国だけだし…)
(……んっ、んひい…っ!?…今!あそこから、めっちゃいっぱい出た…!)
(ズボンまで漏れてないよな…、重ねといて良かった…)
(でもまたトイレまで行くの辛いから、休み時間は座っとこう…、哲也も来るだろうし…)
(顔見みせないと、心配するだろうし…、平気な振りしとこう…、いっ、ててて…)
やがて終了のチャイムが鳴り、伏せたままの颯の机からもテスト用紙が回収された。

15名無しさん:2012/08/29(水) 20:19:59
45:ゆうり2012 06/15 10:14
[ 編集 ]
「今回むずかしかったな。物理できた?そういえばさっきも哲きてたよ。おまえらそんないき来する仲だっけ?」
「まぁ、あっちも、テストで頭いっぱいなんじゃない?」
「確かに。あいつは卒業かかってるしな。」
「誰が卒業かかってるって。」
(あ、哲也だ。)
「まぁまぁ、本当のことじゃん。でも得意な現国までどうしたの?」
理由を知らない雷には毎時間やってくる哲也が不思議なんだろうな。
「いいだろう?たまには。」
哲也と雷が話しているうちにいつのまにか予鈴がなってしまった。
「じゃあ、戻るな。」
「はぁ。(やっと帰った)んひっ!」
あまりにも突然強い痛みとともに股間に異物を感じた。
ズボンの上から触ってみるとパットではない何か2つの異物がある。
(なんだ、これ?内臓?)
46:出産子2012 06/16 03:57
[ 編集 ]
(もう、意味わかんねえよ…、痛い思いして出産した後もまだこんな痛いとか、聞いてないし〜っ)
(…それとも、家で産んだから、なにか異常が出たとか…?)
(んぁあああ〜〜〜、痛い痛い痛いっ、が、我慢出来なくなってきたぁああ〜…っ)
(そ、そうだ、テスト中に腹痛とか、普通でもあることじゃん!別に、おかしくないよな!?怪しまれないよな!?)
(速攻でテスト終わらせて、そんで、腹痛いからって保健室行かせて貰おう!寝てれば大丈夫ですとか言って!)
(そんで、授業時間が終わってからっ、哲也に病院に連れて行ってもらおう!産婦夫人科に!そうしよう!)
(そうと決まれば早速…、ぅぐっ、ま、また…っ、いーーたーーいぃい゛ーーっ!!)

「…………ぅ…っ」
あまりの痛さに颯はついに声を洩らしてしまったが、幸い誰にも気づかれなかった。
もう、まっすぐ椅子に座っていられない程の痛みだ。
痛みが来るたびに股間からなにか液体が流れ出ているのも気になるし、なにより股間の異物感が耐え難い。
脂汗で滑るペンを何度も持ち直しながら、痛みに霞む目で必死に問題を解いた。

16名無しさん:2012/08/29(水) 20:20:41
47:ゆうり2012 06/16 07:53
[ 編集 ]
なんとか最後の回答を書いた頃には字は震えて汚いがもうこの際しょうがない。
(さっさと先生に話して保健室行こう。)
そう思って立ち上がろうとしたときだった。
「う゛っ!」
今までとは比べ物にならない痛みがし、蹲った。
そして一度立とうとした時に、液体とともに異物が下がってきたような感覚がある。なんか昨日も体験した気がする、この感覚。

「有沢!?誰かテストが終わってるやつ、保険医読んでこい!」
先生があわててやってきた。
48:名無し2012 06/17 00:41
[ 編集 ]
「あ、はい!」
雷が慌てて呼びにいってくれた。
「有沢、どこら辺が痛むんだ?」
「は、腹・・・っ!」
(こんなに後産が痛いって。)
「どの子が急患?」
しばらくしてやっと保険医がやって来た。
「少しさわるわよ・・・お腹が張ってるわね。カチコチよ。」

17名無しさん:2012/08/29(水) 20:21:17
49:出産子2012 06/17 03:39
[ 編集 ]
「最近お通じはあった?」
「…は、はい…っ」
まさかお通じどころか赤ちゃんも出しましたなんてとても言えない。
「尋常じゃない脂汗ね…、腸閉塞とかかかしら。救急車を呼んだ方がいいかも知れないわ」
「え、それはちょっと…、うっ、ぅうう゛ーーー!!」
出産したことがばれてしまうので救急搬送は避けたいが、激しい痛みを我慢することが出来ない。
「ちょっと、しっかり!担任の先生、救急車を、早く!」
騒ぎが大きくなってきて、野次馬も増えてきた。
「ちょっと通して…、颯!急病人ってやっぱり颯か!大丈夫か!?」
そのとき、三つはなれた教室から哲也もやってきた。
床に丸まって苦しむ颯の様子を見てそうとうテンパっているようだ。
「颯!颯!…せ、先生!こ、こいつ、昨日の夜、家で出産したんです!お、俺の子なんですよ!一人で我慢して産んだんです!やっぱり病院に連れて行けば…、俺のせいなんです、颯を助けてください〜!」
「…ちょ、…哲也…、おま……っ、ぅんん〜〜……っ」
涙ながらに訴える哲也に、野次馬も、担任も、保険医も、ぽかんとしている。
「あ、あなたち…、なんて無茶なこと…。いいえ!お説教はあとよ!産後なら異常出血かもしれないわ、見せて御覧なさい!」
その可能性はあると颯も思った。
なにしろ、股間から大量の液体が流れ出てくる感覚がずっとあるのだ。
二枚重ねたパットでも吸いきれなくなっている。
大出血しているのかもしれないと思うと恐ろしいが、でも教室で股間をさらしたくは無い。
「颯。大丈夫だかな!先生、お願いします!」
でも抵抗するまもなく、哲也に素早く後ろから抱きかかえるように支えられてしまった。
「…や、やだ…っ!」
そして保険医の手によって、手早く下着ごとズボンを下ろされた。
50:ゆうり2012 06/17 07:05
[ 編集 ]
「まぁ、これは!」
さすがの保険医も驚いているし、野次馬も騒いでいる。
哲也もポカンと口が開いている。
「な、なに?」

「赤ちゃんの足が出ているの。少し赤ちゃんが大きめかも。」
(あ、足!?)

18名無しさん:2012/08/29(水) 20:21:49
51:名無し2012 06/18 00:11
[ 編集 ]
「これじゃあ救急車が間に合わないわね。先生、保健室からたくさんタオルを持ってきてくださる?」
「はい。わかりました!ついてきて。」
「「「はい。」」」
担任の先生は数人の生徒をつれて走っていったみたい。
「逆児だけど大丈夫よ。私の指示に従ってね。」
「は、はい。」
俺は、戸惑っているけど保険医は冷静さを取り戻している。
52:出産子2012 06/18 01:30
[ 編集 ]
「え?え?赤ちゃん?足?ち、違いますよ、赤ちゃんは昨日の夜産んで、今は俺のいとこの家に居るんですよ?もう産まれてます!」
それよりも哲也がそうとうテンパっていて言う必要の無いことを必死に訴えている。
「風呂場、そう!風呂場でです!俺が行ったときにはあそこ頭が出ていて、だから赤ちゃんが産まれるって分かったんです!バスタオルで受け止めました!あと、あと、胎盤も出て、血も出てて…、俺、ホントは怖かったんですけど、でも、でも、颯が大変だからぁ」
最後のほうはなぜか泣いていた。
でもお蔭で、颯のほうはすこし冷静になってきていた。
痛みが和らぐことは無いが、状況が分かってきた。
腹痛は陣痛だった。
股間が濡れたの出血じゃなくて破水だった。
異物感は、赤ちゃんだ。
要するに、この二日間の苦しみをもう一度繰り返していた。
自分はもう一回赤ちゃんを産まなければならないのだ。
それは良いとして、昨夜の自分の出産の様子を野次馬にまで説明するのはやめて欲しい。
「…ううー、うーーッ、…て、哲也、だま、れ…っ、ふ、ふた、ご…双子ぉ…!」
「は…え…?なにが??」
相変わらずよく分かって居ないようだが、とりあえず黙らせることは出来た。
あとはこの苦しみから解放されたい。
昨夜の経験から、産んでしまえば楽になることは分かっている。
もう、ここが教室でも人前でも何処でもいい。
とにかく、早く産み落としたい。
「せ、せんせえ〜、し、指示、下さい〜っ、…あぐぅううううーーーーっ」
逆子だとかは良くわからないが、速やかに出産するには保険医の指示にしたがったがよさそうだと、颯はどこか冷静に判断し、哲也に背中を支えられたまま、足を開いた。
53:名無し2012 06/18 01:58
[ 編集 ]
「陣痛がきたらいきんで!赤ちゃんが足から出ているから息むのと同時に引っ張るわ。」
「は、はぃいいい!きたぁ、んうぅぅーー!」
返事と同時に陣痛が来たため、俺は、無我夢中で息んでいく。
「上手よ。これならすぐに楽になるわよ。」
保険医の先生も励ましてくれる。
「タオル持ってきました。」
54:ゆうり2012 06/18 20:10
[ 編集 ]
「ありがとうございます。」
保険医は俺の下半身の床に何枚かタオルを敷き、俺のお腹から下もなるべく見えないようにタオルをかけてくれた。
「はぁ〜い。関係者以外はでるわよ。」
クラスメイトや野次馬は外に出され、担任の先生と保険医と哲也と俺だけになった。
55:ゆうり2012 06/20 00:48
[ 編集 ]
「赤ちゃんをはやく楽にしますよ。」
「はぁはぁ、はぁいぃぃぃぃぃぃ!」
俺は、陣痛が来る度に哲也の手を握って息んでいく。
「そうそう、上手よ。」
56:Wildcat2012 07/17 20:57
[ 編集 ]
先生は俺の胎児の足にタオルをまき、掴んで俺の陣痛にあわせて引っ張ってくれるが、お尻が中々抜けない。
「大きいおしりだわね。先生、私の合図でお腹を押してくださる?」
「わかりました。」
担任の先生が俺のお腹を保険医の先生の合図で押していく。

19名無しさん:2012/08/29(水) 20:22:21
57:出産子2012 07/25 04:15
[ 編集 ]
〜〜〜〜〜

「…ってな具合にね、一人目はお風呂で自力で産んじゃって、二人目は教室で先生たちに引っ張り出してもらったんだよ」
ここは産夫人科の入院病棟。
武田少年は颯の話しに聞き入っていた。
「そこで俺は気を失っちゃって、救急車で運ばれて、ここにしばらく入院してたってわけ」
「…そ、そうだったんですか…、凄いですね…。でも俺も、もし母ちゃんに無理やりここに連れてこられてなかったら妊娠に気づかなくて、学校で…、下手したらサッカーの試合中に産んでたかも知れないです」
「うん、俺もまさか自分が妊娠してるとか思わなかったし、お腹が痛すぎてメチャメチャ怖かった…。とか言いながらまた妊娠してるしね、はは」
そう言いお腹を撫でながら颯は朗らかに笑った。

颯と哲也は、出産騒動後、無事に卒業し、颯は大学生、哲也は社会人となった。
それからなんやかんや色々あり、双子の二歳の誕生日にとうとう入籍し、それからすぐにまた妊娠したそうだ。

「今度はちゃんと妊娠を意識して体調管理してたらこんなに立派に育っちゃって。前のときは双子が入ってるなんてまったく気づかないくらいのお腹だったんだけどね」
「でも武田くんのお腹と変わらないくらいで産んだ双子もこの通り立派に育ってるし、俺も元気だし、武田君も心配いらないよ。お腹の赤ちゃんも武田君もきっと大丈夫」
「俺は今休学中だけど落ち着いたらすぐに復学するし、武田君も自分の夢を諦めないで。一緒に頑張ろう?」

出産経験のある先輩妊夫の言葉はとても頼もしい。
武田少年の心もちょっとだけ軽くなった。
58:Wildcat2012 07/25 09:13
[ 編集 ]
哲也や双子たちが帰ってからもしばらく雑談をしていたが、夕飯を食べたあたりから、時折お腹をさすったり、話し中に息を整えたりと颯の様子がおかしかった。
「今日は看護師さんたちが慌ただしいですね。」
「まぁ、今日は、満月だしね、きっと今日、出産に、なったら、ここで生んだりして、ふふっ。ふぅ〜、あ、もう、そろそろ就寝、時間だね。」
「電気切りますね。」
就寝時間ギリギリまで話していたが、お互いに寝る時間になり、武田少年は電気をきり、布団に入った。
「う゛うぅ〜〜っ!」
電気がきれてしばらくして颯のベットから唸り声が聞こえてきた。
59:ゆうり2012 07/25 23:23
[ 編集 ]
「ん?颯さん、大丈夫ですか?」
武田少年は、颯のベットの明かりをつけてお腹を押さえ、痛みに耐えるようにうなり声をあげている颯の様子を見て心配になり、声をかけた。
ピーピー
「はい、どうかされましたか?」
「あ、あの、隣の颯さんが苦しそうなんです!」
武田少年は、慌ててナースコールにかけて看護師にすぐに来てもらうことにした。
しばらくしてすぐに慌ただしく看護師がやってきた。
「今日はすごい忙しそうですね。」
「満月だし、今も分娩室にあきがなくて廊下もも臨時の分娩室状態よ。布団、とりますね。」
看護師は、颯の布団をはがしながらいった。
60:wildcat2012 08/05 02:16
[ 編集 ]
「もう五センチ開いてますね。」
看護師は、颯の子宮口とお腹の張りを確認して言った。
「はぁ、はぁ、看護師さん、たぶん、まだ、大丈夫ですから、っ!取り敢えず、旦那に、連絡を、う゛きぁぁぁあ!」
さすがに一度出産をしているため、颯はまだ本格的な陣痛ではないことを知っていたが、いつ生まれるかわからないため、一応哲也に連絡をとってほしいのだ。
「わかりました。また何かあったらナースコール押してください!」
「あ!あの・・・。」
また慌ただしく出ていこうとした看護師を今までおとなしかった武田少年が看護師を呼び止めようとしたが、いってしまった。
「ど、どうかした?」
「女の方から液体が出てきちゃったみたいで。」
颯は武田少年の異変に気づいて陣痛に耐えながら起き上がって武田少年のもとにいくと確かに武田少年の座っている辺りが液体で濡れている。

20名無しさん:2012/08/29(水) 20:24:26
61:出産子2012 08/20 02:29
[ 編集 ]
「…あ、ホントだ、布団がぐっしょり…、はあはあ…、もしかして、破水した?」
「お、俺、わかんないです…、ど、どうしたら…、か、かーちゃん〜」
武田少年は、颯の陣痛や突然の自分の体調変化にパニック寸前だ。
「お、落ち着いて。武田くん、今34週だっけ、痛みはあ…、ぅう゛っ、あぁあああ〜〜っ!!」
颯は武田少年のベッドにしがみつくようにしてうずくまり陣痛に耐える。
「うわあ!?颯さんしっかりしてください〜!俺っ、人呼んできますからあ!」
「うううう゛ー…っ、ま、待って…っ、ナ、ナースッ、コー…ル、ぅうう゛!!」
颯の言葉も聞かずに、武田少年は点滴のスタンドを引き摺りながら助けを求めに病室を飛び出して行ってしまった。



****************

出産子からお知らせです。
感想、リクエスト掲示板に情報提供の雑談してますので、興味のある方はよければご覧下さい。
62:出産子2012 08/20 02:34
[ 編集 ]
「…あ、ホントだ、布団がぐっしょり…、はあはあ…、もしかして、破水した?」
「お、俺、わかんないです…、ど、どうしたら…、か、かーちゃん〜」
武田少年は、颯の陣痛や突然の自分の体調変化にパニック寸前だ。
「お、落ち着いて。武田くん、今34週だっけ、痛みはあ…、ぅう゛っ、あぁあああ〜〜っ!!」
颯は武田少年のベッドにしがみつくようにしてうずくまり陣痛に耐える。
「うわあ〜〜、颯さんしっかりしてください〜!俺っ、人呼んできますからあ!」
「うううう゛ー…っ、ま、待って…っ、ナ、ナースッ、コー…ル、ぅうう゛!!」
颯の言葉も聞かずに、武田少年は点滴のスタンドを引き摺りながら助けを求めに病室を飛び出して行ってしまった。



****************

出産子からお知らせです。
感想、リクエスト掲示板に情報提供の雑談してますので、興味のある方はよければご覧下さい。
65:米原2012 08/21 03:41
[ 編集 ]
「楓さん、俺…なんかおかしいっあ、あ、あ、ふあぁああああ」
助けを求めるように、武田少年は楓に伝えるとそのまま陣痛の苦しみへ突入してしまったようだ。
運も悪く濡れた液体は破水していた証拠であり、陣痛の前に破水してしまっていたようだ。

「なんで俺、おもらし?」
戸惑うばかりの武田少年にはまだ陣痛は兆候すら現さない。
筋力が鍛えられているだけあって、武田少年の腹はそこまで目立つことはない。
しかし、この状況であれば誰だって武田少年が出産に向かっているコトは一目瞭然であった。

産むと決めた覚悟、それを前期破水で混乱しながら必至に耐える。
武田少年には楓のように、応援をしてくれる相手すら居ない。

「あっ…あ、あ、あ、う、う、あああああああん!!!」

その中で、武田少年に始まってしまった陣痛。
下半身についた筋力のせいで、難産になることは必至だった。
67:無能2012 08/25 19:31
[ 編集 ]
「はぁはぁ、武田くん、ちょっと、ごめんね?」
なんとか陣痛に耐えながら、楓が這って武田少年の近くによっていき、武田少年のズボンを脱がして陣痛と子宮口の状態を確認した。

21名無しさん:2012/08/29(水) 20:25:00
ここからまたスタートお願いします。

22出産子:2012/10/21(日) 04:42:02

「ふう、ふう…、怖がらなくても大丈夫だよ。痛いし苦しいかもしれないけど、俺たちの身体はちゃんと産めるようになってるんだから…、あぁぅうっ!?また、きた、ぁああ〜〜っ!」
次々と襲い来る陣痛に颯はその場に蹲った。経産夫だけあって、進行が早いようだ。
「颯さん!颯さん!…ど、どうしよう、俺どうしたらいいんだよ…っ、い、痛いーーっ」
「ぅうう゛〜〜、ふぅう〜〜…、…ん、大丈夫…、はあはあ…、治まったから…。武田くんも落ち着いて?陣痛には必ず痛いときと痛くないときがあるはずだから…、深呼吸して…」
颯は汗まみれになりながらも、そして自分自身もまだ若く未熟な妊夫でありながらも、それでも更に若輩な武田少年を必死に励ました。
「し、深呼きゅ…、ぅ、すーー、はぁあ〜〜〜…。あ…、いま、あんまり痛くない、かも…」
その甲斐あって、武田少年も落ち着きを取り戻してきた。
「うん、良かった。また痛いのくるけど、大丈夫だから…っ、ぅう゛っ、ぅうう〜〜〜〜っ!」


「木更津くん、大丈夫か」
二人がどうにか落ち着きを取り戻した頃、保田医師が様子を見にやってきた。
「はあ、はあ、俺は、なんとか…っ、それより武田くんが…っ」
「あ、あの、俺、股からお湯みたいのがいっぱい出てきちゃって、それからお腹も痛いみたいです…っ」
「何だって!?」
久保田医師は看護師から颯の陣痛が始まったことしか聞いていなかったのだ。
その場で胎児の心音を聞き、手早く内診する。
「…あっ、ちょ、痛い痛い!それ痛いです!抜いてくださいーっ!」
「動くんじゃない。痛いのは分かるが必要な診察なんだから我慢するんだ。…む、確かに二指ほど開いているな…。このまま出産になるか…」
久保田医師はなにやら考え込んでいる。
「せ、先生、俺、やっぱり今から産むんですか!?こ、心の準備が出来てなくて…っ!」
「ああ、武田くんは既に複数の薬を使っているから、もう限界だろう…、胎児に関してはギリギリで成長しているから何とか大丈夫だ。心配するな。それより…」
「え…?」
少し言いにくそうに久保田医師は告げる。
「今夜出産が立て込んでいるのは君も知っているだろう。緊急帝王切開も数件あって、それで、麻酔医が足りない」
「え、それって…」
「武田君のバースプランでは無痛分娩だったが、今この病院に君に麻酔をかけられる人間が居ない。早い話、普通分娩でいくしかない!なに、大丈夫だ、サッカーの厳しい練習に耐えられた君になら、出来る!」
「…そ、そんなぁ…。あ、あの、おれ、もう既に、めっちゃ痛いんですけど…っ!」
「大丈夫、まだまだこれからだ。そうそう木更津くん、君の旦那さんにはすでに連絡済だ。武田くんのお母さんにもすぐに連絡しよう。深夜なのでもうお休みかもしれないが緊急事態だからな。それから今夜は分娩室が埋まっているので、陣痛から出産までこの病室で行うことにする。後は看護師が定期的に様子を見に来るので心配するな。特に何かあったらナースコールするように。では、私は今から一件目の帝王切開なので一旦失礼するよ。因みに43歳で初産の双子の妊夫だ。もうこの歳なので妊娠しないと油断していたそうだ…。おっと時間だ、では失礼!お互いに健闘を祈る!」
言うだけ言って、久保田医師はさっさと行ってしまった。
病室には、絶賛陣痛中の妊夫二人が残された。

23無能:2012/10/21(日) 07:08:22

「うぅ〜〜ん、はぁ、はぁ、なんだったんだろぅ?」
「お、俺、これ以上、痛くなるの?あぁ!きたぁ・・・。」
武田少年は今でも痛い陣痛がどの程度まで痛くなるか想像がつかず、パニックを起こしている。
「ふぅー、ふぅー、ふぅーーん、大丈夫。今は、痛いだけ、だけど、赤ちゃんに、会えれば、忘れれるよ、うぅーまた、きたぁあ・・・。」
颯は武田少年のベッドを掴み、腰を揺らして陣痛に耐えている。

24妊蔵:2012/10/28(日) 22:45:26

「颯、大丈夫か!?」
暫くして哲也が眠ったまま抱き上げてきたのであろう双子とともにやってきた。
「はぁ、はぁ、哲也、早かったな。」
「そりゃあ颯とお腹の子の一大事だしな。それよりそこでいいのか?」
「あ、あぁ、武田くんのこと、心配だし、うぅ〜〜〜〜。」
双子は、颯のベッドに寝かされた。

25出産子:2012/11/09(金) 03:07:29

「…ん、きた、来たぁ! 哲也! 腰、揉んで…っ! う、ぅうう゛〜〜…っ!」
「よし、ここか! 息を止めんなよ、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」
「ん゛ーー、もっと強く…、やっぱ、ちがう! ソコじゃない! 尻! 尻の穴押さえてーーっ!」
「お、よし、任せとけ! ほらっ、これでどうだ! 頑張れよ〜」

颯は陣痛が来るたびに夫である哲也に甘え扱き使い、二人三脚で乗り越えていた。

「翔! 陣痛が始まったって!?」
30分ほどで、連絡を受けた武田少年の母も病室へやってきた。
「…か、かーちゃん! …な、なんだよ、こんな夜中に何しに来たんだよ…。しかもすっぴんじゃねーかよ…」
「何ってアンタ、産まれるっていうから! ほら、お母さん腰揉んであげるから、横向いて。今、陣痛の間隔はどのくらいなの? 辛くない? お水飲む?」
母の顔を見て一瞬嬉しそうにした武田少年だが、照れがあるのかすぐに顔を背けてしまった。しかし母親はお構いなく、武田少年の世話を焼こうとする。
「ちょ、いいーって、触んなよ…。こんなの、なんでも……、ぅ、…痛…っ、なん、でも…っ、ねーし……っ!!」
さっきまではパニックをおこし母を呼んでいたというのに、実際に顔を見ると恥ずかしいのか、武田少年は母の手助けを拒否して毛布を被って蹲ってしまった。
「もうっ! この子は強がって! 出産のときはみんな苦しくて見っとも無くなっちゃうもんなんだから意地張らないで甘えて言いの! お母さん、誰にも言ったりしないから。 ‥ほんとにもう、すみませんねぇ、この子ったご迷惑お掛けしませんでした? あ、木更津さんも産気づかれてたんですよね。あらでも頼りになりそうな旦那さんがいらして羨ましいわぁ。まー双子ちゃんも可愛らしい〜。良く寝てること」
「あ、はあ、いえ…。こ、こちらこそお世話になってマス…」
急に話しを振られた木更津夫婦は、こちらも陣痛真っ最中だというのにとっさに対応出来ず、間抜けな反応になってしまった。

そうして二組の妊夫が同じ病室で産気づき、二時間ほどが過ぎた―。

26無能:2012/11/09(金) 21:49:34

「お待たせ。いやぁ〜思ったより手術が長引いちゃって。」
笑いながら久保田医師がやってきた。
「颯くんは・・・六センチか。2時間前から1センチだね。武田くんも診ようね。」
久保田医師は近い颯の方を診て、それから武田少年の方へいくが、武田少年にとって先程の内診がすこしトラウマのようだ。

27名無しさん:2012/11/14(水) 23:47:56

「確かに痛いけど我慢して。早く楽になりたいだろ?お母さん、押さえててもらえますか?」
「え、はい。」
武田少年の体を母がおさえている間に久保田はちゃっちゃと内診する。
「ひーーっ!痛い、痛い!!」
「お、三本指が入るようになったな。うん、いい調子だ。」
久保田は暴れる武田少年をもろともせずに内診を終え、指を抜いた。

「じゃあまた診に来るから二人とも頑張ってね。」
久保田はさっさと違う病室へいってしまった。

28無能:2012/11/16(金) 01:28:36

「う゛ーいたい、いたい!あ゛ーーーーくそーー!!」
武田少年は、陣痛がくる度に声を出して陣痛に耐えている。
「翔、声を出すとあとあと体力がつきるわよ。」

武田少年の母は武田少年の腰を擦りながら汗をふいたりと甲斐甲斐しく武田少年のサポートをしています。
「ふぅー、ふぅー、哲也、尻、もっと、もっと、押して!!あ゛ーーもうー!」
颯はお尻を哲也に押さえててもらっていたが、手加減があり、はじめはよかったが陣痛が激しくなる度に限界で、野球ボールを入院の荷物から持ってきてもらい、床においてお尻を押し付けだした。
「んぅーーー。ぱぱぁ・・・。あ、ままー!」
二人とも声をあらげて陣痛に耐えており、陣痛が強くなる度に声も大きくなってきたためか双子の弟の恭也が起きてしまい、颯に気づいたみたいだ。
「まま、おっぱい。」

本当は妊娠した時に、断乳するつもりだったが、双子はできず、妊娠中もお乳を与えていた。
特に恭也は、甘えん坊で夜中に目が覚めると颯のお乳を飲まないと眠れないのだ。

29出産子:2012/11/18(日) 03:48:32
「あ〜、恭也、ママな、今忙しいんだよ。パパが、ジュース買ってきてやるから、それで寝てくれ、な?」
哲也が抱き上げてあやす。いつもなら夜中にジュースなど飲ませたはしないが、今日はそうも言ってられない。
「や〜だぁ〜、おっぱい〜。まま、ままぁ〜」
眠いのも手伝って、恭也はぐずり続ける。
「まいったな…。なあ恭也は兄ちゃんになるんだよ、我慢して寝よ? な?」
「おっぱい…、うう〜、ぎゃーーー、うぇえええええん! おっぱいーーー! ギャーーー!」
恭也は哲也に抱かれたまま、体を目一杯仰け反らせてギャン泣きし始めた。
「あらあら、困ったわねえ。おばあちゃんが抱っこしてあげましょうか、ね?」
武田少年の母も見かねてあやそうとしたが、それでも泣きやまない。
「…うっ…く、しょうがない…。哲也、こっち、連れてきて…っ」
どうにか泣き止ませなければこのままではイライラが募っていくし、出産に集中できない。颯は入院着を肌蹴ると、露になった乳房を三歳の恭也に加えさせた。
「ままのおっぱい…。んっく、んっく」
待ちかねたおっぱいに、恭也は勢い良くむしゃぶりついた。
「はぁぅう…! し、子宮に、響くぅ…!」
人の身体とは不思議なもので、乳房と子宮は繋がっており、乳房への刺激は子宮の収縮を助けるのだ。
激しくなった陣痛に大声を上げたいが、授乳中は穏やかに過ごすことを心がけているので、颯は切なげに眉を寄せる程度で必死に耐えた。
ふと気が付くと、武田少年の声が止まっている。
武田少年は自分のベッドの上から、颯の授乳の様子をガン見していた。
しかも、臨月の妊夫が苦しげに喘ぎながら行う授乳は刺激が強かったのか、武田少年の男性器は緩く勃起していた。
幸いにして、少年はお胸からしっかり毛布を被っていたので、その失態は誰にも気づかれることはなかったが。

30名無しさん:2012/11/18(日) 21:50:47

「どう?陣痛強くなったか?」
タイミングが悪く?久保田がやってきた。
「あ、授乳中だった?陣痛が更に強くなってきたんじゃない?」
「はぁ、はぁ、すみません。」
久保田は、さすがは産婦人科医で授乳にも全く動じていない。

「気にしない気にしない。先に武田くんみようか?」
「え、その・・・。」
武田少年はドキッとして勃起してしまったのをとっさに隠そうとした。

31無能:2012/11/19(月) 01:13:57

「ん?まだ怖い?」
先ほど武田少年が怖がっていたことを思い出して久保田が聞いた。
「そ、そう。」
武田少年は今は内診よりも勃起してしまった恥ずかしさのがありましたが、ばれたくなく、うなずいた。
「我慢、我慢。ほら。」
久保田はさっと毛布をとった。

32華音:2013/01/11(金) 02:11:23

「(こそこそ)高校生の君には少し刺激が強かったかな?」
武田少年が恥ずかしがらないように耳元でいった。
「子宮口は八センチか。そろそろ分娩の準備だな。」
武田少年の内診を終え、久保田は乳を飲みながら眠ってしまった恭也を哲也に渡している颯の方へいく。

「颯くんも授乳効果で進んでいるとはおもうけど。」
颯は武田少年のベットの縁に掴まる形で四つん這いになり、内診しやすいように足を開いた。

33無能:2013/01/13(日) 03:19:01

「こっちは七センチだね。ん?」
「久保田先生、一之瀬 琉聖さん19歳妊娠数週不明、既に陣痛が5分間隔、破水はまだですが、子宮口全開の患者さんです!!受け入れお願いします!!」
「なんだって!?廊下じゃダメなのか?」
廊下からも分娩室や部屋が一杯で入れない他の妊夫もたくさんいるはずなのだ。
「職業がモデルで記者が嗅ぎ付け始めている可能性があります。」
「あぁ。あの一之瀬か。わかった。」
一之瀬 琉聖は今人気上昇中のイケメンモデルなのだ。

看護師はすぐに一之瀬を担架にのせてつれてきた。

「子宮口は全開、まだ胎児は見えず、破水も確認できない。一之瀬さん、いつ妊娠したかはわからないんだよね?」
「・・・っ、はぃ・・・。」
「見たところお腹は出ていないみたいだけど・・・お、そのわりに、胎児がかなりでかいね。こりゃあ完全に臨月にはなってるな。3800、いや4000はいってるかもな。腰が細いし、危険だ!すぐに帝王切開の用意だ。」
「はぁ、はぁ、困ります!お腹に傷が残るのは!!来月、グラビアがあるので!」
帝王切開ときいて、すぐに一之瀬は反発した。

「そうはいってもな。」
「俺の体に傷をつけると、事務所から慰謝料きますよ、っ!」
「あぁ〜〜!!人手が足りないときに!!」
一之瀬はてこでも帝王切開を拒否し合意のサインをしないため、埒があかず、久保田がおれ、2人の看護師に一之瀬の膝を曲げた足を持ち上げさせ、限界まで開かせ、2人の助産師がお腹を押し、久保田がでてきた胎児を引っ張り出すことになった。

34名無しさん:2013/01/14(月) 00:55:33

「踏ん張りたくなったら息むんだ!」
久保田は、陣痛に耐えている一之瀬に指示をだすと一之瀬は声を出して返事はできそうにないがうなずいて返事をした。

「ん!いだあ゛あ゛ぁぁぁぁぁあ!」
指示は一応聞こえてはいたが、陣痛の痛みに息むより声が出てしまう。

35無能:2013/01/17(木) 01:25:58

「痛いのはみんなおんなじだから息まないと。ほら、トイレでウンチをするように。」
痛がるだけで、一向に息もうとしない一之瀬に久保田が困っていた。
「先生、武田くんも全開です。」
「わかった!」
現役体育会系の武田少年も一之瀬とは違った形で産道を赤ちゃんが通りにくいため、補助をしなくてはいけないのだ。。

36出産子:2013/02/17(日) 06:23:33
「せ、先生…っ、俺、やばいです…っ、…う、ウンチ、出そう!洩らす〜〜っ!!」
武田少年は自分のベッドの上で枕にしがみ付きながら、手足を縮めた亀のような格好でうつ伏せになりブルブル震えていた。
「あ〜、大丈夫だ、問題ない。その出そうなのはウンチじゃなくて、赤ちゃんだ。もう子宮口は全開してるから、出そうになったら力入れて出していいんだからな。その格好が楽か?」
久保田医師は武田少年のお尻を覗き込みながら答えた。
武田少年は、真っ赤な顔でコクコクと頷く。
「そうか、じゃあ、しばらくその格好で息んでみよう。陣痛が来ているときだけ息んで、あとは休むように。お母さん、このガーゼで肛門を押さえてもらえますか、脱肛しないように。、手が足りなくて申し訳ない」
「はいはい、お安い御用ですよ」
武田母は右手で息子の腰をさすりながら、左手でしっかり肛門を押さえた。
「なっ!!…か、かーちゃん、何してんだよ!恥ずかしいからやめろよお〜〜〜っ!!」
武田少年はうつ伏せの格好から首だけ必死に傾けて母に抗議した。その顔は先ほどとは違う羞恥で真っ赤だ。
「なに言ってんの。あんたのお尻なんて赤ちゃんのころ散々拭いてあげたでしょ。それに、これから赤ちゃん産んで親になろうっていうのに恥ずかしがってる場合じゃないでしょ」
武田母は右手でペチっと息子の尻たぶを叩いた。
「うう、ちくしょお〜、覚えてろよ……っ、…ん、来た…痛いっ!!…う、ぅんんんん〜〜〜〜っ!!!」
武田少年はうつ伏せで蹲ったまま、陣痛に併せて不器用ながらも息み始めた。

「はーー、はーー…、やばい、哲也、…出そう…、って言うか、もう、出てる…うっ!!」
颯は体制を変え、哲也にしがみ付くようにして四つんばいになっていた。
「ま、マジか!わー、待て待て、まだ出すなよ〜〜」
慌てて颯の股間に手を伸ばすと、手に触れたのは濡れた髪の毛だった。
赤ちゃんの軟らかい頭が、颯の膣口から三分の一ほど出ているようだった。
「せ、先生!こっちも産ま「哲也、待って!」」
久保田医師を呼ぼうとした哲也の大きな声を颯がさえぎる。
「な…、なんだよ、お前もう産まれるんだぞ!」
「ふぅ〜〜、分かってる…。でも、今は、手が足りてないの、分かるだろ…?俺は、二度目だし、大丈夫…っ、あぁあっ、…あの時みたいにっ、哲也、が、取り上げて…?…うぁあ、出るぅうう〜〜〜!!」
颯はどうにか堪えているが、もうひと息みで頭が全部出てしまいそうだ。
「お、前…!あ〜〜もう、分かったよ!こうなったら自棄だ!俺の子だからな、俺がしっかり受け止めてやるぜ!」
腹を括った哲也は自分で子供を取り上げる準備を整えた。
仰向けにした颯をベッドの足に寄りかからせ、手近にあった毛布を尻の下敷き、枕を腰に当てた。手を綺麗に消毒しなおし、颯の会陰を保護する。
「よぉし、いいぞ。裂けるからな、ゆっくり、ゆっくり息むんだぞ…!」
「わ、分かっ…、ふぅん、…ん、ん〜〜〜、はぁあああん…っ」
颯は自分で自分の太ももを抱え上げ、過去の記憶を呼び覚ましながら息んでいく。
わざわざ入院したというのに、結局夫婦二人での出産となってしまった。
颯は苦しみながらも、何処か冷静に、分娩費用は負けてくれないかなーなんて考えていた。
母は強し、なのである。

37出産子:2013/02/17(日) 06:24:34
「先生、ダメです!一之瀬さん分娩困難です!」
武田少年の様子を見ていた久保田医師は、一之瀬についていたナースに呼ばれた。
「タイミングが合ってきて良い息みを加えられていると思うんですけど、胎児が全く進みません…っ!」
「ふ〜む、児頭が骨盤を通らんと話しにならんからなあ。それにしても、母親と胎児の体格に差がありすぎるな…。一之瀬さん、あんたもしかして自家受精じゃないのかな?」
久保田は少々乱暴に内診しながら尋ねる。
「あ、痛っ、あ、あっ!……、は、はは、先生は、誤魔化せない、ですね…っ、あ、ぅううん!!」
「まあ、モデルなら普段から食事制限なんか厳しそうだからな。このデカイ胎児は、別の父親の血が入ってるせいだろ」
「はぁーっ、あーっ!…っ、来月、グラビアって、言ったでしょ…、海外の、有名カメラマンに…っ、その、仕事、とるために、ちょっと、接待をね…っ!!」
「はーー、枕営業ってやつか。芸能界って、本当にそんなことやってんだな、おっかねえなあ」
「営業、したのは、カメラマンとの、間を取り持ってくれる、コーディネーターと…、っ、はあっはあ、金髪だけど、毛むくじゃらで、熊みたいに、デカイ男だった…っ、でも、妊娠するなんて、…、ぅううう、くそぉおお〜〜、めちゃめちゃ、痛いしっ、契約違反、だっての…っ!」
「ふぅうん、モデルも体張ってるんだな。それで、産んでどうするんだ、契約違反だって、訴えるのか?」
「それとこれとは話しが別だ!」
一之瀬はきっりと久保田の目を見ていった。
「グラビアは撮る!世界に売り込むチャンスだから!…子供のことは、まだ…。でも、だから、絶対に俺の身体に傷をつけないで!…お願いします…っ、うっ、ぁあああ!いだいいぃいいいっ!!」
「…まあ、良い。俺の仕事は妊夫に無事に子供を産ませることだからな。まあ、痣くらいは勘弁してくれよ!」
そうして久保田医師は、何とか一之瀬に経膣分娩をさせるためにナースに指示を飛ばしはじめた。

38無能:2013/02/17(日) 20:54:16

まずはナース2人に一之瀬の両足を極限まで開かせ、少しでも骨盤を広げさせる。
もう一人助産師を呼び、助産師は一之瀬の足元にまわり、久保田はベットにのぼり一之瀬のお腹辺りに馬乗りになって押し出すことにしたのだ。
「あと自然に裂けるよりは治りも早いから赤ん坊がでてきたら会陰を切開するのだけは我慢してくれ。」
久保田は、一之瀬に説明して次の陣痛を待つことにした。

39名無しの権兵衛 if更新希望:2013/02/18(月) 00:50:41

「うぅーーー、き、きたあぁぁ、うぅーーーんんぅ!いだあぁぁぁぁあい!」
久保田は一之瀬が陣痛の波と共に息むタイミングで一之瀬のきもーち膨らんだお腹の上腹部を力強く押し潰し、分娩を助けるが、
ぎゅうぎゅうお腹を押し潰される激痛に悲鳴をあげる一之瀬に久保田は容赦なく陣痛の度に一之瀬のお腹を押していく。
「はぁ、はぁ、せんせ、腹が、潰れる、壊れ、るぅぅぅーーーー!」
一之瀬は押し潰される激痛に悲鳴声をあげ、体をくねらせ激痛から逃れようとしている。
「困ったなぁ。」
久保田が困っているとさらに問題が起きてしまった。
「先生、颯が!?」
颯の介助をしている哲也が久保田を呼んだ。
颯の様子を見ると颯の足元に血の水溜まりができており、発露した赤ん坊の頭と会陰の隙間から颯が息む度に出血している
隙のがわかった。
「常位胎盤剥離か。予定日2週間過ぎているしな。」
本来なら2週間くらいなら予定日が遅くなっても問題はないが個人差があり、颯の場合、胎盤劣化し始めていたのだ。
さすがの颯も出血で混乱している。
「まぁまぁ~。」
「どこお?」
あまりの忙しなさで気づかなかったが、朝日の昇る時間になっており、双子が起きてしまった。

40無能:2013/02/18(月) 16:48:45

「あ、おまえたち、起きたのか?」
哲也は、2人が起きてしまい、母親を捜して危ない足取りでベットを降りようとしているために颯の血で赤く染まったタオルを置いて声をかけにいく。
「ぱぁぱぁ〜、まぁまぁは?・・・っく。」
「まぁまぁ、いたいいたい?」
ベットから降ろしてもらった2人が目にしたものは、颯の体から赤い血が流れている姿で2人は泣きそうな声で哲也をみた。
「それは・・・。」
哲也もたこの状況でどうやって説明していいかわからず、戸惑っていた。

41無能:2013/02/24(日) 21:45:44
「楓くん、恭也くん、大丈夫だから、ちょっとパパと待っててね。」
久保田は、一度ゴム手袋を替え、颯の状態を確認する。
「胎盤剥離だから、ちょっと急ぐね。」
久保田は颯の股間からでかかっている赤ん坊の頭の隙間から会陰切開を行い、ガーゼをあてる。
その頃、ちょうど武田少年も正念場にたたされていた。
「ぐぅーーーーーーぅ!な、なんか、でる、先生、なんか、でてるーーーーー!!」
「ほら、赤ちゃんの頭が出て来ているだけ土からほら、息みなさい!」

42名無しさん:2013/02/25(月) 01:09:07
「はぁ、はぁ、んんぅ!ーーーーーっ!」
「頭がでたわ!もう人踏ん張りよ!頑張りなさい。」
ずるりと赤ん坊の頭が飛び出し、母親が頭を支えて呟いた。
武田少年は胎児の大きさが幸いしてすでに頭全体が出ており、あと人踏ん張りになっていた。

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45出産子:2013/04/27(土) 06:08:06

「や、あぁあ!出るぅう…っ、うっ、う…、や゛っ、…あぁああああああああああっ!!!」
武田少年が絶叫と共に尻を突き出すと、、母親が構えた手のひらに、膣から零れ落ちるようにして胎児が娩出された。
「…っ、ぜーーーっ、ぜーーーー…っ!」
武田少年はそのままベッドに崩れ落ち、全身汗まみれで激しく息を乱している。
試合時間いっぱい走り回ったとしても、ここまで疲労することは無いだろう。
「…まあまあ、まあ…、なんて可愛らしい。ほら見て御覧なさい、あんたが産んだ赤ちゃんよ…!」
小さな赤ん坊は母親の手の中でみゃあみゃあと産声をあげ、母はそれを愛おしそうに涙を浮かべて見つめた。
冷えないように清潔なタオルで優しく包み、臍の緒に気をつけながら息子に赤ん坊を見せる。
「ぜー、ぜー…、あれ…、こいつの、肌と、髪の色…」
「あらほんと、留学生のあの子と一緒じゃないの」
どうやら父親が判明したようだが、それはこれから家族の間で解決する問題だろう。
武田少年がゆっくりと手を伸ばし、汗まみれの胸にその子を乗せた。
少年の膣から伸びた臍の緒は若く張りのある太ももと腹に絡みつき、本来ならば有り得ない対比を描いており実に倒錯的である。

「む、やはり小さいな…、なにやってる!保育器、急いで持ってこい!」
だが、そんな親子の姿に見入っている場合ではない。
久保田医師は颯の会陰を保護しつつ、医師として未熟児に必要な医療処置を施すために怒号を上げた。

46名無しさん:2013/04/27(土) 18:16:07

「うぅーーっ!はぁ、はぁ。。。」
颯は武田少年のベッドを掴み息むが会陰切開を行い、頭が半分くらいから進展しない。
どうやら手が引っ掛かり、赤ん坊も出てこれないみたいだ。
「なかなか出てこないな。手が引っ掛かってるのかもしれないな。」
「出血もあるしな。」
久保田は、少し考えだした。

47無能:2013/04/28(日) 01:55:54

「せんせ、赤ちゃ、ん、大丈夫ですよね?」
久保田が考え込んだために颯は、今の自分の危なさを実感し、不安になり、赤ん坊が無事なのか心配で堪らないのだ。
「先生、颯、大丈夫なんですか?」
哲也も颯の状態の異常にパニックで楓と恭也を抱いている手を強めた。

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61名無しさん:2015/06/23(火) 21:36:38
「少し手荒だがお腹を押してみよう。良いかな楓くん。」
「はい他に方法が無いのなら。」
そして久保田は颯のお腹を押し始めた。

62名無しさん:2015/08/15(土) 12:20:32
久保田が息む度に颯のお腹を押す。
「うぐっ、うっ、ううううう・・・」
すると徐々に胎児の頭が見え始め最終的に胎児の頭全てが出てきた。
そして胎児は肩の部分まで出てきた。
「楓君もう息まないで。」
そしてズルリと言う音と共に胎児が生まれ出たのだった。

63名無しさん:2015/08/16(日) 00:05:16
一之瀬の方は代わりにナースがお腹を押していた。
「いてててててっ!!」
お腹を押していると少しずつ頭が見え始めた。
「よしそろそろ良いわね。」
「どうだね一之瀬くんの様子は?」
「先生もう頭が出てきました。
「よし、会陰切開だ。」
そういい久保田は医療バサミを用意し一之瀬に会陰切開をする。
ジョキンッ!
「いっでえぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」
あまりの痛さに力が入ったのか、その叫び声と共に胎児がスポンッと産まれ落ちたのだった。

64名無しさん:2015/08/17(月) 10:52:45
一之瀬の出産後、出産予定の人や産気づいている人はいないため、一先ずの休息が訪れた。
しかし産夫人科である以上、久保田の仕事に終わりは無い。
今日もそして明日も久保田は頑張るのである。




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