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変身ロワイアル
1 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/10(月) 18:36:50 ID:0ZaSvSDo0
この企画は、変身能力を持ったキャラ達を集めてバトルロワイアルを行おうというものです
企画の性質上、キャラの死亡や残酷な描写といった過激な要素も多く含まれます
また、原作のエピソードに関するネタバレが発生することもあります
あらかじめご了承ください

書き手はいつでも大歓迎です
基本的なルールはまとめwikiのほうに載せてありますが、わからないことがあった場合は遠慮せずしたらばの雑談スレまでおこしください
いつでもお待ちしております


したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14870/

まとめwiki
ttp://www10.atwiki.jp/henroy/

2 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/10(月) 18:38:23 ID:0ZaSvSDo0
参加者

【魔法少女リリカルなのはシリーズ】7/7
○高町なのは/○フェイト・テスタロッサ/○ユーノ・スクライア/○スバル・ナカジマ/○ティアナ・ランスター/○高町ヴィヴィオ/○アインハルト・ストラトス

【仮面ライダーW】7/7
○左翔太郎/○照井竜/○大道克己/○井坂深紅朗/○園咲冴子/○園咲霧彦/○泉京水

【仮面ライダーSPIRITS】6/6
○本郷猛/○一文字隼人/○結城丈二/○沖一也/○村雨良/○三影英介

【侍戦隊シンケンジャー】6/6
○志葉丈瑠/○池波流ノ介/○梅盛源太/○血祭ドウコク/○腑破十臓/○筋殻アクマロ

【ハートキャッチプリキュア!】5/5
○花咲つぼみ/○来海えりか/○明堂院いつき/○月影ゆり/○ダープリキュア

【魔法少女まどか☆マギカ】5/5
○鹿目まどか/○美樹さやか/○佐倉杏子/○巴マミ/○暁美ほむら

【らんま1/2】5/5
○早乙女乱馬/○天道あかね/○響良牙/○シャンプー/○パンスト太郎

【フレッシュプリキュア!】5/5
○桃園ラブ/○蒼乃美希/○山吹祈里/○東せつな/○ノーザ

【ウルトラマンネクサス】5/5
○孤門一輝/○姫矢准/○石堀光彦/○西条凪/○溝呂木眞也

【仮面ライダークウガ】5/5
○五代雄介/○一条薫/○ズ・ゴオマ・グ/○ゴ・ガドル・バ//○ン・ダグバ・ゼバ

【宇宙の騎士テッカマンブレード】4/4
○相羽タカヤ/○相羽シンヤ/○相羽ミユキ/○モロトフ

【牙狼−GARO−】3/3
○冴島鋼牙/○涼邑零/○バラゴ

【超光戦士シャンゼリオン】3/3
○涼村暁/○速水克彦/○黒岩省吾

【66/66】

3 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/10(月) 18:39:23 ID:0ZaSvSDo0
ルールが長くなってしまったため、特徴的な部分だけ抜粋
詳細が知りたい方は、下記リンク参照してください

ttp://www10.atwiki.jp/henroy/pages/19.html

【変身用アイテムのデフォ支給】
基本支給品やランダムアイテムに加え、変身用アイテムがデフォルト支給されます

ガイアメモリ、デバイス、ソウルジェム等があたり、これらはランダムアイテムとは別に必ず本人に支給されます
照井竜のガイアメモリやスバル・ナカジマのデバイスのように、変身用アイテムが複数存在している場合も全て本人に支給とします
ただし、参戦時期によってはその限りではなく、例えば照井竜の場合、トライアルメモリを得る前からの参戦ならば、トライアルメモリは支給されません
また、変身アイテム以外の武装、例えば暁美ほむらの銃火器等は全てランダム支給へと回されます

固有の変身アイテムを持たない人間には、この枠でのアイテム支給はされません

※ハートキャッチプリキュアのプリキュア達には、プリキュアの種とココロパフュームを支給。妖精は支給されません。
※左翔太郎、ウルトラマンネクサスのデュナミストについて特殊ルールが存在

【特殊ルール】
・左翔太郎について

左翔太郎には、仮面ライダーWへの変身用ガイアメモリのうち、彼が使う3つのガイアメモリが支給されます
残る3つのガイアメモリと、エクストリームのメモリはフィリップが所持した状態とし、そのフィリップは主催に幽閉されている扱いになります

フィリップは、戦闘中(Wへ変身した時)のみもう一人のベルトの使い手と意志疎通でき、それ以外の手段を用いたフィリップ側からロワへの介入は禁止
フィリップが独力で脱出することもありえません。

かなり特殊ですが、ダブルドライバー自体をデバイスに代表される意思持ち支給品と同等に扱うと考えればわかりやすいかもしれません

・ウルトラマンネクサスのデュナミストについて

最初に光を持っているのは姫矢准。姫矢が死んだ場合、次の人物へと光が継承されいきます
他作品キャラへの継承については書き手任せとしますが、もちろん誰でも対象というわけではなく、姫矢と面識のあるキャラに限られます
当然、他作品キャラへ継承させず、孤門や凪に継承させるのもありです

その後の継承については、姫矢→次のデュナミストに置き換え、同様の処理を行いますが、姫矢と違い、孤門や凪との面識がないキャラならば、当然2人は継承対象にはなりません

・その他

まどかの魔女化は、原則禁止です
もしも魔女化の条件を満たしてしまった場合は、魔女化はせずにそのまま死亡扱いとなります

4 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/10(月) 18:40:03 ID:0ZaSvSDo0
現在OP募集中です
書いてもいいよという方は、ぜひしたらばのOP投下用スレまでお越しください
なお、期限は17日の午前0時までとさせていただきます

複数OPが投下された場合、投票での決定となります
あらかじめご了承ください

5名無しさん:2011/10/10(月) 21:46:43 ID:kQzen/vo0
告知上げ

6名無しさん:2011/10/12(水) 15:02:00 ID:gdOamKqc0
OP投下用スレってこのロワの専用したらばの方だよな

7名無しさん:2011/10/12(水) 16:43:43 ID:rRLcZ4/o0
>>6
それで合ってる

8名無しさん:2011/10/14(金) 15:20:32 ID:NK5Z/70k0
OPが二つも来てるな

9名無しさん:2011/10/14(金) 15:27:24 ID:oxFU2dlM0
二つ目の見せしめメンバーがしょっぱい

10名無しさん:2011/10/15(土) 00:00:57 ID:HjWda/FU0
でも面白いよ、あれ。文章も安定していて、安心して読める。

11名無しさん:2011/10/15(土) 01:21:49 ID:Yswy45z.0
うん、文章はいいと思ってる

12名無しさん:2011/10/16(日) 08:25:59 ID:3uESAQXw0
三作目きてる

13名無しさん:2011/10/17(月) 16:31:18 ID:J6Y2izQY0
OP投票少ないな…
OPは結構来てるのに、半日過ぎてもこんなもんか…

14名無しさん:2011/10/17(月) 23:32:39 ID:pQIEYKJE0
やっぱ議論に時間かけすぎたんじゃね
まあOPは複数来てるんだからいいだろ

15名無しさん:2011/10/18(火) 00:03:15 ID:NP.v8fkU0
OP決まったか

16名無しさん:2011/10/18(火) 16:07:22 ID:5FNCmnGM0
当選したOPを代理投下するよ

17オープニング ◇w4Pq5j/FG 代理:2011/10/18(火) 16:08:06 ID:5FNCmnGM0
暗闇の中で彼等は目覚めた。
 重い体を起こし、靄がかかった様な思考のまま周囲を見回す。そして徐々に、自分がどれほど異様な状況に置かれているのかを理解していった。
 視界の隅々にまで広がるのは、何処とも知れぬ漆黒の世界。天も地も墨で塗り潰した様に真っ暗で、広さを窺い知ることも出来ない。ただ足の裏に当たる硬質な感覚が、“床”だけは存在すると示している。
 そんな光も差さぬ暗黒の中、不自然に浮かび上がるのは数十人の男女の姿。年齢や容貌は幅広く、少なくとも外見上の個性には殆ど統一性が無い。多くの者は戸惑いながらしきりに首を巡らし、脳裏に共通の疑問を浮かべる。

 ここは一体どこなのか? 
 自分は何故こんな所にいるのか?
 そして、身に覚えの無いこの首輪は何なのか?

 暫し困惑のざわめきが広がったが、答えは程無く明かされることとなった。
 もっとも、多くの者にとってそれは死神の宣告と同義ではあったが。

 突如としてスポットライトの様な一筋の光が走り、集団から離れた場所を照らし出した。数十人の視線が集まる中、白い詰襟のスーツを纏った男が現れる。

「皆様、お目覚めの様ですね」

 抑揚の無い声で話しだす男の顔には、うっすらと笑みが浮かんでいた。ただ筋肉を動かして表面を取り繕っただけの、感情を伴わない仮面の様な微笑。

「私の名は加頭順と申します。この度の企画にあたりまして、皆様をご案内する様に申し付けられた者です」

 その一礼に敬意や誠意を感じる者はいただろうか。

「本日、皆様にお集まり頂いたのは他でもありません。我々の提示するルールに従い、最後の一人になるまで殺し合いをして頂く為です」

 殺し合い。加頭はやはり何の感情の変化も見せないまま、淡々とその言葉を口にした。
 反応は様々だった。緊張に息を飲む者、己の耳を信じられず呆然とする者。戸惑うことなく彼の言葉を受け入れ、冷静に状況を見極めようとする者もいる。

18オープニング ◇w4Pq5j/FG 代理:2011/10/18(火) 16:08:38 ID:5FNCmnGM0
「優勝された方にはどんな報酬でもお渡しする用意がございます。金銭や物品、名声や社会的地位、或いは人の命を……」
「ちょ、ちょっと待った!」

 そこで加頭の言葉を遮り、声があがった。学び舎の生徒の様に挙手しながら一人の青年が進み出る。

「何かご質問ですか、涼村さん」
「あのー、これってドッキリか何か? どっかにカメラあんの? 出来れば俺はひっかける側で、ちょちょっとお手伝い料とか貰えると嬉しいんだけど……」
「お、おい待て暁!」

 常と変わらぬヘラヘラした態度で加頭に話しかける暁を、背後から掴みかかる様にして速水克彦が止める。

「ドッキリにしちゃ手が込み過ぎてないか? この空間も何か妙だし、ダークザイドの仕業かも……!」
「大丈夫だって、ほらそこ、コスプレみたいなインチキ臭い奴らいるじゃん! それによく見りゃカワイイ女の子多いじゃないの、こりゃお色気系のドッキリかも……」
「なに考えてんだ、お前って奴は!」
「涼村さん」

 勝手にあれこれ言い合う二人に笑うでも怒るでもなく、それまでと変わらぬ顔で加頭は暁の名を呼んだ。

「これはドッキリやイタズラの企画ではありません。先ほど申し上げた通り、皆様には殺し合いをして頂きます。その内容に虚偽はありません」

 真正面から暁の顔を見据え、嘘や真実と言うよりも、ただ告げるべきことだけを告げる。ひどく硬質で無機的な威圧感に、暁も「……あ、そう?」とだけ言葉を返すしかなかった。

「どうやらその様だな」

 次に口を開いたのは、本郷猛だった。長く人類の自由と平和を守ってきた歴戦の英雄は、微塵の油断も無く加頭を見据えている。それは、彼が今まで戦ってきた巨悪に対するものと全く同じだった。
 そして本郷の隣りに並び立つのは、言うまでも無く一文字隼人。

「少なくとも俺の知ってる数人は、ただのテレビ局が集められる様な面子じゃないぜ。俺達が誰か知らないってことはないよな、加頭さん?」

 二人の改造人間から放たれる、射抜かんばかりの鋭い視線。だが加頭はそよ風でも受けているかの如く動じなかった。

「ええ、勿論存じております。仮面ライダー一号、本郷猛さん。仮面ライダー二号、一文字隼人さん」
「なら、俺達が黙って言いなりになると思うのか?」

 二人が上着の前を開くと、その腰に在るのは変身ベルト・タイフーン。加頭が何者であるにせよ、そしてこの場で何が起こるにせよ、彼等は即座に“仮面ライダー”としての姿を現し対応する構えだった。
 しかし伝説のダブルライダーを前に、加頭は落ち着き払って口を開く。

19オープニング ◇w4Pq5j/FG 代理:2011/10/18(火) 16:09:09 ID:5FNCmnGM0
「皆様に着けさせて頂いた首輪にはお気付きですか?」

 何人かがハッと思い出した様に自身の喉に手を当てた。目覚めた時から嵌められていた、飾り気の無い無機質な首輪。

「これが何だってんだ? 俺達はペットだとでも言うつもりかよ」

 早乙女乱馬の嘲る口調に、しかし加頭はただ微笑を浮かべて答えた。

「それは、この様に使用するものです」

 ボン

 短い爆発音。直後に集団の中から真っ赤な噴水が吹き上がり、誰かの悲鳴が響き渡った。
 舞い散る鮮血の出所は、ぱっくりと抉られた三人の男の喉元。
 NEVERの一員、堂本剛三。テッカマンダガーことフリッツ。砂漠の使徒クモジャキー。
 一瞬で命を断たれた彼等は、重い音をたててその場に崩れ落ちた。死人兵士である堂本剛三の肉体は細胞分解により跡形もなく消え去り、クモジャキーの仮初の身体もまた“こころの花”と共に暗闇の中に消滅した。後には物言わぬフリッツの亡骸だけが残される。

「大変残念なことですが、今亡くなられた方々をご覧になって頂ければ、皆様の立場をご理解して頂けるかと思います」

 今しがたの惨劇は、恐らく彼の意思によって起こったものだろう。しかしそれが何ら感情を動かす出来事でも無いかの様に、加頭は淡々と述べた。

「この首輪には特別な爆弾が内臓されており、起爆すると確実に皆様を死に至らしめることが可能です。NEVERであろうと、砂漠の使徒であろうと、テッカマンであろうと。もちろん外道衆の方々も同様ですし、ソウルジェムにも同様の爆弾が取り付けられています。加えて申し上げますと、時間を止めている間に取り外すことも不可能です。時間操作の影響を受けずに作動するよう出来ていますから」

 その言葉を全て理解できた者はいないだろう。
 だが義憤に燃える男も、取り乱し涙を流す少女も、平然と惨劇を見据える魔人たちも、等しくある一つの事実を受け入れざるを得なかった。
 
 少なくとも今は、この男に逆らうことは出来ない。

「それでは改めて、今回の企画…… バトルロワイアルの説明をさせて頂きます」

 加頭は何事も無かったかの様に、事務的に説明を進めていった。

 “ゲーム”の舞台となる孤島。三日という制限時間。六時間毎の放送による死者と禁止エリアの発表。首輪の爆発条件。
 そして参加者に支給されるデイバックとその中身。この時、加頭はガイアメモリの力を自ら実演して見せた。

「……ご覧の通り、ガイアメモリを肉体に挿入することでドーパントと呼ばれる超人へと“変身”することが可能です」

 風都に関る者以外の多くが、ユートピア・ドーパントへと変じた加頭を驚愕の顔で見詰めていた。

「ただしメモリの能力は極めて多彩ですので、この場で一概に説明することは出来ませんが。手に入れた際は、ぜひ有効に活用して下さい」

 そこまで言うとすぐにメモリを排出し、今までと変わらぬ能面の如き微笑が現れる。

20オープニング ◇w4Pq5j/FG 代理:2011/10/18(火) 16:09:48 ID:5FNCmnGM0
「そしてこれは先程、申し上げたことですが……」

 そこで僅かな間があった。機械さながらに喋り続けていた加頭が、この時は勿体ぶる様に一拍を置きながら、黙して聞き入るしかない六十余名をざっと見回した。

「優勝された方にはどんな報酬でもお渡しする用意がございます。金銭や物品、名声や社会的地位、或いは人の命を蘇らすことなども可能です。奇跡も魔法も、我々が実現して差し上げます」

 ごくりと、誰かが息を呑んだ。
 つい先刻、同じことを告げられた時には誰しもがまともに話を聞いていなかった。「殺し合い」という唐突な台詞の方に気を取られ、その後に加頭が語りかけた内容を脳裏に留めた者は少ない。
 だが今再び聞けば、その内容はまるで違って聞こえる様だった。加頭が「我々」と称する者達は、果たしてどれ程の力を持っているのだろうか。

「説明は以上となります。何かご質問のある方は……」
「聞かせてくれ!」

 加頭が言い終わるのを待たず、一人の青年が声をあげた。

「何でしょうか、孤門一輝さん」
「どうして僕達が選ばれた? 僕達が殺し合うことに何の意味があるんだ」

 強い眼差しで睨みつつも、孤門の声には震えがあった。その顔には怒りも悲しみも戸惑いも、様々な感情が宿っている様に見える。
 そして相対する加頭は無機物の如く感情を表さず、しかしきっぱりと答えた。
 
「それに関しては、お答えすることは出来ません」
「な……」
「ではこれより、皆様を会場の各所にお送り致します。健闘をお祈りします」

 孤門も、誰も口を挟む間は無かった。加頭がそこまで言い終えた直後、六十余名の参加者達は──フリッツの亡骸も含め──まるで始めからいなかったかの様に、一瞬で漆黒の世界から消え失せた。

「な、なんだ……!?」

 ただ一人、周りを見回しながら驚き戸惑う左翔太郎だけを除いて。

「それと、あなたには伝えておくことがあります」

 言いながら、加頭は足音も無くゆっくりと翔太郎に歩み寄る。状況を掴めぬまま咄嗟に身構える翔太郎に、彼は──それが極めて僅かであっても──初めて声に感情らしきものを宿し、告げた。

「あなたの相棒、園咲来人…… フィリップの身柄は我々が預かっています。あなたの“変身”に支障はありませんので、ご安心下さい」

 慇懃無礼な微笑の裏に見え隠れするのは、嘲笑。

「な…… 貴様、フィリップに何を……!」

 激高した翔太郎は加頭に詰め寄ろうとするが、伸ばした手が白い詰襟に触れることはなかった。一瞬の後には彼もまた他の参加者と同じ様に、忽然と姿を消していた。

 そして暗闇は静寂で満たされる。死する運命の者達は戦場に送り出され、加頭ただ一人が置物の様にぽつんと佇み、漆黒の世界を見据えていた。


【堂本剛三@仮面ライダーW  死亡】
【フリッツ@宇宙の騎士テッカマンブレード  死亡】
【クモジャキー@ハートキャッチプリキュア!  死亡】

【バトルロワイアル スタート  残り66人】

21オープニング ◇w4Pq5j/FG 代理:2011/10/18(火) 16:10:16 ID:5FNCmnGM0
代理投下終了です

22名無しさん:2011/10/18(火) 18:33:44 ID:gOwiPoA20
投下乙、加頭が案内役か確かにそれならW関係は色々出来るな……しかし加頭がわざわざ冴子を巻き込むかなぁ……
後見せしめの3人……なんか影響少なそうな人選ばかりだなぁ。

……ところで、1つ気になったんだがOP代理投下って、書いた本人から頼まれたの? ひょっとして書いた本人規制に巻き込まれた?

23 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/18(火) 20:40:35 ID:NC/2BdAg0
そういえば、参加者には井坂深紅朗と園咲霧彦もいるんだよね
主催側の加頭も含めて、冴子を愛した男が全員そろったことになるが……この恋のバトルロワイアル、誰が勝ち抜くのかw

今回の代理投下は急ぎすぎという意見もでてますが、悪意はないようにみえます
◆w4Pq5j/FG.さんの考えにもよりますが、個人的には大きな問題はないと思っています
いちおう、したらばのほうでも同じ話題が出てるので、できればこの話題についてはこちらではなく、したらばのほうでお願いしたいです

24 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/18(火) 20:43:22 ID:NC/2BdAg0
予約解禁は、22日(土)の午前0時を予定しております
変更等あればまたご報告します

25名無しさん:2011/10/20(木) 01:59:08 ID:QJVGQYuM0
管理人怖すぎ

26名無しさん:2011/10/20(木) 03:55:11 ID:Ui0q87q60
なんで管理人あんなに偏執的なの?

27名無しさん:2011/10/20(木) 04:48:19 ID:LRbFLffc0
仮面ライダーW目当てできたけど
経験上、管理人が駄目じゃ序盤も突破出来ずに終わるぞ

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29 ◆amQF0quq.k:2011/10/20(木) 17:31:38 ID:psQqG9ro0
変身ロワイアルに参加している皆さんに提案があります。

今回したらばに投下されたSSが作者以外の人物によってこの本スレに転載されて
それを問題としたしたらば管理人が投下した人物を規制するという事態が発生しました。
私個人の意見を言わして貰えば、今回のしたらば管理人の処置は些か度が過ぎているのではないかと感じます。
投下された方の過去の発言に問題があったと言う意見を考慮しても、やはりそうだと言わざるをえません。
(過去の事例を問題と加味しても、口頭の注意で済ますべきだと考えます)
そして同じように感じて居る人が少なからず居るように見受けられました。
即ちしたらば管理人と変身ロワに参加している他の方の間に、したらばの規制を行う基準で少なからぬ齟齬が生じていると考えられます。
その後したらば管理人は反省をされたようですが、やはり期間を設けるだけで規制をする事に変わりは無いようです。
それ以前にしたらば管理人の議論中における発言が些か辛辣だったのも問題であると考えます。

したらば管理人の方はこの件に関して「多くの住民に色々手間を掛けた事をお詫びする」と誠意ある発言をされました。
これまでの企画進行におけるしたらば管理人の方の功績を無視するつもりもありませんが
やはりここは新たな管理人によるしたらばを立てるのが、新たな問題に対する適切な処置であると考えました。

本来、私はまとめもwikiの管理もしていない無名の人間で、こんな提案をするのは差し出がましいかも知れませんが
もし賛同する方が何人かいらっしゃれば、言い出しっぺの責任をとるという事で私がしたらばを借りてきます。
ただ、私はしたらばの管理人を行った経験が無いので拙い部分も出てくるかもしれません。
他にしたらば管理人に立候補される方が居れば、その方にお任せしても構いません。
これは経験のある方や、既にトリップなどで個人が特定できて企画に貢献してらっしゃる人の方が
住人の皆さんの信頼感もあり、したらば管理人に相応しいと考えた上での提案で
誰かに職務を押し付ける意図はありません。悪しからず。

予約の開始が近い状況でこんな提案をするのはご迷惑かとも思いましたが
私としては企画をより良い物にする為には、早い内に住民との判断の齟齬が少ない人物が管理人を担った方が良いと判断しました。
その方が水に流せる事も流し易く、より多くの方と楽しく企画を進められると。
このロワ風に言えば『ふんわかいこうぜ』とw
(無論、私がしたらば管理人となったら、企画進行を妨げる問題には適切に対処していきたいと考えますが)

ご意見をお待ちしています。

30名無しさん:2011/10/20(木) 20:43:50 ID:.bbZRT9g0
>>29がしたらば作ってくれるなら俺はそっちが良い
お願いします

31 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/20(木) 21:30:16 ID:KNcV4LDE0
>>◆amQF0quq.kさん
管理人さんとメールで話し合った結果、現在の管理人さんにはしたらばの管理人の仕事を降りていただき、まとめの私がその仕事を兼任する方向で話がつきました
とはいえ、もしも私に管理人は任せられないという意見があるようならば、無理に努めようとは思いません
ご意見お願いします

32 ◆amQF0quq.k:2011/10/21(金) 00:06:29 ID:FtHn6QV.0
>>◆OCD.CeuWFoさん
わざわざ御返事ありがとうございます。
今回は差し出がましい意見を言ってすいません。
まとめをしていたあなたが新たなしたらば管理人になると言うのなら、私の方に不服はありません。
>>30さんがわざわざ賛同の意見を書いて頂いたのですが、私の提案は撤回させていただきます。

◆OCD.CeuWFoさんの負担は増える事になりますが、無理のない範囲で頑張って下さい。
私も微力ながら企画の成功のために応援します。

33 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/21(金) 00:07:19 ID:DvytA/ZY0
したらばを変更しました
新しいしたらばはこちらです

新したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15067/

34 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/21(金) 00:13:11 ID:DvytA/ZY0
>>32
ありがとうございます
こういったリレー企画は、あなたのように積極的に参加してくれようとしてくれる方がいて初めて成功するものです

率直に言って、今この企画の状況はあまり芳しいものではないでしょう
それでも私がまとめとしてがんばっていられるのは、自分の他にもこの企画をやりたいと思っている人がいるからです
不出来なまとめではありますが、これからもよろしくお願いします

35 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/22(土) 00:00:41 ID:OZGvE2h20
予定通り、只今より予約を解禁とします

36 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 00:02:53 ID:juTgf.Rw0
只今より投下を開始します。

37使命 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 00:04:49 ID:juTgf.Rw0
 ──光あるところに、漆黒の闇ありき。
 ──古の時代より、人類は闇を恐れた。
 ──しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、
 ──人類は希望の光を得たのだ。


 彼は魔戒騎士の最高位・黄金騎士の牙狼の称号を持つ者、冴島鋼牙。
 白き衣をたなびかせ、彼は夜の森を歩いていた。
 常人ならば大の大人であろうとも不気味に思うであろう、暗い森を顔色一つ変えずに歩いていく。
 鍛え上げられた精神は、この程度の事に恐怖を抱かないのだろう。険しげな彼の顔は、殺し合いへの強い否定の心によるものだった。
 たとえ命を懸けてでも、加頭という『ドーパント』の野望を止めてみせる──その覚悟が足を動かし続ける。


 数十分前、名簿に目を通した彼は、涼邑零とバラゴの名があることに気が付いた。
 零──彼は鋼牙と同じく魔戒騎士である。何度もぶつかり合った相手でありながら、今は互いを『ザルバ』──友と認める男だ(同名の相棒はここに連れてこられた際に加頭に奪われたらしい)。
 この男がいるのは鋼牙としても心強い。共に加頭を倒す剣となってくれるであろう男なのだから。
 だが、もう一人のバラゴの名前が問題なのだ。
 彼は暗黒に堕ちた魔戒騎士である。鋼牙の父を殺し、零の恋人を殺し、数多の人の命を葬ってきた悪の男だ。
 二度の死を経験したはずの彼が、再びここに召喚されてきた──そういう事なのだろう。
 それが、バラゴとしての意思を持つ者なのか、魂の抜け殻なのかはわからない──いずれにせよ、彼が他の参加者を襲うであろうことはおよそ間違いないと考えた。
 ゆえに、この殺し合いは誰も殺し合わずに終わるとは思えなかったのである。
 鋼牙は一刻も早くバラゴを葬り去ろうと歩いている。
 零は確かに合流したいが、別々に行動した方が効率は良い。護りし者として、一人でも多くの人を保護したいからだ。
 確かにこの殺し合いには常人ではなく、「仮面ライダー」や「テッカマン」と呼ばれる超人もいるようだが、どこまで能力があり、信用できるかもわからない。
 まずは己の力でできる限りの事をする──それが護りし者の使命だ。


「君!」


 木々の葉が揺れる音に交じって、男の声が耳を打つ。
 通常、こういう緊張した状況で周囲に人の気配があれば口うるさい魔導輪が教えてくれるのだが、そいつが今はいない。
 それゆえ、鋼牙は人に突然声をかけられたことに慣れず、一瞬だけ驚いた。
 険しい顔でそちらを向く。
 きっと、常人ならばその眼力に威圧されるだろう。しかし、相手はそういう人間ではなかった。

38使命 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 00:05:30 ID:juTgf.Rw0
「……私は警察の者だ」


 顔立ちの整った若い刑事である。彼は警察手帳を片手に、こちらを見ている。
 彼は警察という職業にあるゆえ、相手の顔が怖くても屈しない。むしろ、相手を怯えさせるだけの顔ができねばならない職業である。
 鋼牙の態度に警戒を示しながらも、一条は彼に近付いていく。


「……俺は冴島だ。冴島鋼牙」

「冴島さんですか。ともかく、早い段階で一人保護できてよかった……」

「保護? ……そうか、あなたは警察なんだったな」


 鋼牙は警察という職業にあまり興味はなかった。魔戒騎士ほど辛い訓練も無ければ、ホラーの相手もできない。
 だが、この職務に忠実な姿は鋼牙に共感を与えた。鋼牙も「人を護る」という使命に対してどこまでも一途な夫子だったからだ。
 無論、魔戒騎士の鋼牙に保護は不要ない。だが、敢えて彼と行動する口実のひとつとして「彼に保護される」というのも悪くない。
 先ほど確かに加頭が怪物へと変化するのを見たとはいえ、鋼牙が魔戒騎士であることを名乗っても信用されるとは限らない。別に隠す気はない(後でザルバを使って彼の記憶を消せばいい)が、自ら名乗るのは気が引けた。
 魔戒騎士の力を教えるのは、何か事が起こってからでも充分だろう。ともかく、適当な口実で一緒に行動した方が楽だった。
 鋼牙は黙って、刑事の下へと歩いていく。それが黙って保護を受けるという意味だと、刑事も理解した。


「ところで、君……その腰の剣は……」


 ふと、鋼牙は自分の腰が剣を差していたことに気が付いた。
 咄嗟に使えるようにコートの外に露出していたのが災いだったのだろう。
 ここまで職務に忠実な刑事を相手に、融通など効くだろうか。まして、こんな危険物を没収しないはずがあろうか。
 鋼牙にしては迂闊だったのだが、今は上手く弁解するしかなかった。


「……俺には必要なものだ。それだけしか言えない。それに俺は、これを人に向ける気はない。……あの加頭という男を倒すためだけに使うつもりでいる」

「しかし君……!」

「銃刀法違反か……この場であまり言うべきじゃないだろう。加頭という男は俺たち全員に武器を支給しいている。殺しをするヤツも、殺しをしないヤツも。自分の身を守るのにも必要だ」

「……わかった。しかし、状況によっては私が没収する」


 思ったよりも融通の聞く刑事であったことに安堵する。
 まあ、本当に人の命を守るには、法律の壁は邪魔になることもある。──それをわかってくれているのだろう。
 ……どうせ、普通の人間にはこの剣を没収することなどできないが。


「そういえば、ちゃんと名乗っていなかったな。私は一条薫という者だ。よろしく頼む」

「────カオル、か」


 その名前が鋼牙を反応させないはずがない。
 男女問わずさほど珍しい名前でもないが、その名を聞くと一瞬だけ凍ってしまうのだ。
 御月カオル──鋼牙が心底護りたいと思った女性の名前を。


(このまま生きて帰らないわけにはいかないな……)


 バラゴや加頭を倒し、人の命を護る──その覚悟は変わらない。
 だが、己が命も出来れば持って帰りたいと、鋼牙は思った。


 『黒い炎と黄金の風』──その最後の一ページを、鋼牙は思い出す。
 カオルという女が望んだあの未来を掴む為に、自らも生きていたい。
 そう、強く願った。
 未来を築く──それも魔戒騎士の立派な使命だ。


 黄金の風は黒い炎を消し去るために歩いていく。
 新たな協力者とともに。

39使命 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 00:06:00 ID:juTgf.Rw0
【1日目/深夜 G−5 森】

【冴島鋼牙@牙狼─GARO─】
[状態]:健康
[装備]:魔戒剣
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:護りし者としての使命を果たす
1:加頭を倒し、殺し合いを終わらせ、生還する
2:再びバラゴを倒す
3:一条と共に行動し、彼を保護する
4:魔戒騎士について話すつもりはないが、隠すつもりもない
5:零ともできれば合流したい
[備考]
※参戦時期は最終回後(SP、劇場版などを経験しているかは不明)。
※魔導輪ザルバは没収されています。他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。
※バラゴが生存している事について大きな疑問を抱いてはいません。


【一条薫@仮面ライダークウガ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3、警察手帳
[思考]
基本:民間人の保護
1:警察として、人々を護る
2:鋼牙を保護する
3:他に保護するべき人間を捜す
4:銃刀法違反については、今は黙認しておく

40 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 00:06:25 ID:juTgf.Rw0
以上、投下を終了します。

41 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 00:07:59 ID:juTgf.Rw0
以上、投下終了です。

42名無しさん:2011/10/23(日) 00:26:32 ID:MlaRyUSo0
乙です

ザルバは居ないのか……まぁ、意思持ち支給品だし、妥当な判断かな
共に使命感に熱いコンビが来たぜ

43 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:51:57 ID:wuJ6ELx.0
乙です。
そういえば、名前繋がりがあったのかこの二人w
共に対主催同士、これはいいコンビになりそうな予感。

さて、それでは自分も。
本郷とまどか、投下いたします。

44セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:53:01 ID:wuJ6ELx.0

「……一体、どうなってるの……?」

薄暗い闇を、月明かりが静かに照らす中。
鹿目まどかは、己が置かれている状況にただただ混乱していた。

彼女があの広間に呼び出されたのは、ずばり最悪のタイミング。
魔女と化した親友―――美樹さやかを救う事が叶わず、ようやく言葉を交わすことができた紅い魔法少女―――佐倉杏子を失った直後だった。
悲しみに打ちひしがれ、全てに絶望していた彼女にとって……これ以上ない、泣きっ面に蜂なんてレベルじゃ済まされないレベルの追い討ちである。



――――――大変残念なことですが、今亡くなられた方々をご覧になって頂ければ、皆様の立場をご理解して頂けるかと思います。



「っ……!!」

先の光景が脳裏にフラッシュバックし、続けて強い嘔吐感が込み上げてきた。
まどかは思わず口元を手で覆いそれに耐えるも、全身の震えは全く止まらない。
無理も無い話だ。
何の罪もない―――実際には犯罪者も混じっていたのだが、まどかは当然それを知る由も無い―――三つの命が、目の前で奪われたのだ。
しかも、もはやトラウマのレベルにまでなっている惨劇……巴マミの死と同じく、首から上を消すという形で。

「……どうして、こんな事をするの……?」

こんなものは、人間が出来る所業じゃない。
血も涙も通わぬ、他人の痛みに何も感じぬ悪魔でなければ出来ぬ行いだ。

そう……彼女がよく知る『あの』白い生命体の様な、感情無き者でもなければ。



――――――優勝された方にはどんな報酬でもお渡しする用意がございます。



優勝すれば、どんな願い事でも叶えてみせる。
それは、普通に考えれば「絶対にありえない」と言える話なのだが……まどかには、その言葉を口にすることが出来なかった。
何故なら、彼女は知っているのだから。



――――――金銭や物品、名声や社会的地位、或いは人の命を蘇らすことなども可能です。


「ねぇ……いるんでしょ……?」

悲痛な声を出しながら、どこかで全てを聞いているだろう存在にまどかは問いかけた。
こんな大掛かりな真似が出来るものなど、他人の願いを自在に叶えられるものなど、他にいる訳がない。



――――――奇跡も魔法も、我々が実現して差し上げます。



「どうして、こんなことをするの!!
 そこまでして、私を魔法少女にしたいの!?」

怒りと悲しみを入り混じらせ、涙ながらに虚空へと訴える。
あの加頭という男が、果たして何者かはわからない。
しかし、その背後に何者かがいるとしたら……まどかにとっては、もはや答えは一つしかない。

45セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:53:29 ID:wuJ6ELx.0

「答えてよ……キュウべぇ……!!」


自分を魔法少女にすべく、幾度となく迫り続けてきた悪魔―――インキュベーターしかいないと。




◇◆◇



「クソッ……!!」

木の幹に拳を打ちつけながら、本郷は怒りにその身を震わせていた。
無論その矛先は、加頭に向けられたものである。
彼は自分達が仮面ライダーと承知の上で拉致し、そしてあんな非道に走ったのだ。
こんな事……許せる訳が無い。

「加頭……貴様の野望は、絶対に打ち砕いてみせる。
 俺達の……仮面ライダーの手で!!」

故に彼は誓う。
この殺し合いを、この手で必ず止めてみせると。
正義……仮面ライダーとして、この邪悪を絶対に討ってみせると。


(まずは、一文字達と合流したいところだが……通信は、駄目か)


その第一歩として本郷が最初に試したのは、同じくこの場に呼ばれている一文字への通信だった。
仮面ライダー達は相互に通信をし合い連絡を取り合うことが出来るのだが、しかしこの場においてその力は働かなかった。
恐らくは会場内に、通信を阻害する何かがあるのだろう。
自分達に徒党を組ませない為の処置なのは、明らかだ。

(一文字以外にこの会場に呼ばれているのは、結城と沖の二人。
そして……村雨に、あの三影か)

支給された名簿に目を通し、この会場内にいる知った名前を確認する。
どうやら一文字以外に呼ばれたのは、結城丈二ことライダーマンと、沖一也ことスーパー1。
そして……村雨良ことZXと、バダンの改造人間である三影だ。
前者の三名については言うまでもなく、この殺し合いを止める為に動くだろう。
しかし、問題は後者の二人だ。

(村雨……この状況でもなお復讐の為に戦うというのならば、俺はお前を止めなければならん)

まず村雨は、バダンに対する復讐心のみを原動力に動いており、その目的を果たすためならば他を省みない。
事実彼は、その目的を優先するあまり風見達に対して一度その拳を向け、また新宿に黒いピラミッドが出現した際にも、周囲の被害をまるで考えずに動こうとした。
そして今も、その可能性は十分にある……彼は、バダンを潰したいが為に優勝を目指すかもしれない。
もしそうだとしたら……その時は、この手で彼を止めねばならないだろう。

(三影はもはや、考えるまでも無い……奴は必ず倒さなければ、多くの被害が出てしまう)

また三影に至っては、確実にこの殺し合いに乗るだろう危険人物だ。
野放しにしておいたなら、どれだけの命が奪われるかは分からない。
見つけ次第、必ず倒す必要がある。

46名無しさん:2011/10/23(日) 00:54:13 ID:wuJ6ELx.0
(さて……とにかく、少し歩いてみるか。
誰でもいいから、今は人と会うのが先決だ)


そこまで考えて、本郷はその場から歩き出した。
兎に角今は、同じくこのゲームに参加させられた者と接触をしておきたい。
同じく戦う力を持つ者であったならば、共に戦う仲間として。
力を持たぬ者ならば、必ず守りぬく為に。
邪な悪であったならば、この手で倒す為に。



「む……?」


そして、少しばかり歩いた後。
不意に本郷の耳へと、その声は聞こえてきた。


「答えてよ……キュウべぇ……!!」

「この声は……!」


それは怒りと悲しみが入り混じった、涙の叫び。
悪と戦い続けてきた中で何度も聞いてきた、助けを求める者の叫び声だった。
すぐさま本郷は、声の元へと躊躇い無く駆け出す。
何が起きているのか、如何な危険が待ち受けているかは、まるで分からない。
しかし、助けを求められれば助けに走る……そこに一切の躊躇は無い。
それが本郷猛、仮面ライダーなのだ。


「君……大丈夫か?」


そして、木々を掻き分け進んでいったその先で。
本郷は、声の主―――鹿目まどかと、会合を果たした。


「あなたは……さっきの?」



◇◆◇



「俺は本郷猛だ、よろしく頼む」

「えっと……私は鹿目まどかです。
 よろしくお願いします、本郷さん」

本郷との出会い。
それはまどかの心に、確かな安息を与えていた。
何せ彼は、広場において真っ先に加頭に立ち向かった男の片割れ。
殺し合いを絶対に良しとしない、信頼に足る人物なのだから。

「ところで……まどかちゃん。
 さっき、誰かの名前を呼んでいたようだが……何かあったのか?」

「あ……」

本郷からの問いかけに、まどかは思わず言葉を詰まらせた。
どうやら先程の、キュウべぇに対する叫び声を聞かれてしまっていたらしい。
とは言え、別にキュウべぇの事を秘密にするつもりは何もない。
寧ろあの生物がこの殺し合いの裏にいるかもしれない以上、話した方がいいのは明らかだ。

47セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:54:57 ID:wuJ6ELx.0
ただ……少しばかり、不安なのだ。
キュウべぇの事、魔法少女の事、魔女の事。
現実離れしすぎたこれらの事実が、果たして信じてもらえるのかどうか。

「……本郷さん。
 今から話す事を、信じてもらえますか?」

それでもまどかは、全てを話すことにした。
目の前の人物ならば、恐らく全てを受け止めてくれるだろう、と。



◇◆◇



「……つまり……あの加頭の背後にいるのは、キュウべぇという生き物で……
 君を追い詰め魔法少女にする事が、この殺し合いの目的かもしれないという事か……?」

まどかの話を聞き、本郷は驚きを隠せなかった。
魔法少女、魔女、グリーフシード、キュウべぇ……何もかもが、あまりにも現実離れしすぎている。
確かに彼女が前もって言った通り、素直に信じるのは無理な話だ。


(だが……真実だとしたら、幾らかつじつまの合う点も出てくる)


しかし、本郷はそれを事実として受け止めた。
そう考えれば、幾らか状況に自然と一致する点が出てくるからだ。
まず一つ目が、どんな願いも叶えるという優勝賞品。
一見馬鹿げているにも程がある話であり、どうするつもりなのかと本郷も疑問には感じていた。
しかし……それを実行できる存在が実際にいるとあらば、話は真実味を帯びてくる。
事実、死者の蘇生に関しては既に行われている。

(美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子……まどかちゃんが言う魔法少女達の名前は、確かに名簿にある。
恐らく、彼女はまだ名簿を確認していないのだろうな……キュウべぇに加頭か)

そしてもう一つが、あの加頭という男の様子だ。
対する限りだと、感情がまるで感じられない、所謂能面のような印象を受けたが……
まどかの話を聞く限り、キュウべぇという生き物にも人間が持つ感情は存在していないらしい。
ならば極めて近い存在同士、加頭とキュウべぇが繋がっている可能性は十分ありうるだろう。


しかし……彼女の言葉を信じた本当の理由は、そこじゃない。

48セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:55:34 ID:wuJ6ELx.0
「…………」

「あの……本郷さん?
 やっぱり……信じてもらえないですか?」


そうして考え込む本郷の様子に、まどかはやや落ち込みながら声をかけた。
やはり、信じてもらえなかったのだろうか。
そう思い、彼女は落胆してしまったのだが……そんな事はない。


「……いや、信じよう」

「え……?」

「君の言葉は本物だ。
 確かに、少し驚いたが……俺は全て信じるさ」


本郷がまどかを信じた理由。
それは、彼女の叫びを聞いたから。
そこに隠された、確かな心の涙を見たからだ。
嘘を言ってないと判断する材料は……彼にとって、それだけで十分なのだ。


「……俺は必ず、君を守ってみせる。
 魔法少女になんか、絶対にさせるものか」


そして同時に、本郷は必ずまどかを守らねばならないと誓った。
魔法少女になった者は、人に在らざる存在へとその身を変えられる。
真っ当な生身の人間として生きる事が出来なくなる。
挙句、待ち受けているのは人を呪う魔女という結末など……あってはならない。
そんな辛い事など、あってはならないのだ。

「……本郷さん……?」

本郷の拳は今、血が出てくるんじゃないかと思えるぐらいに強く握りしめられている。
そこに明らかな怒りが込められている事は、まどかにも見て取れたのだが……
キュウべぇやこの殺し合いに対しての怒りと単純に言うには、何かが違う。
もっと深い、根本的な部分に怒りを感じているような……そう思えてならない。
それぐらいに、ピリピリとした空気が伝わってきているのだ。


「む……すまない。
 怖がらせてしまったな」

「いえ、大丈夫ですけど……あの、本郷さん。
 一体、どうしたんですか?」


それを察し、本郷は彼女に謝った。
どうやら不安な気持ちにさせてしまったらしい。
そして、同時に……何故そこまでキュウべぇに怒りを抱いたのかと、不思議にも思わせてしまったらしい。

「……まどかちゃん。
 君は、俺に全てを話してくれた……今度は、俺が話す番だな」


だから本郷も、己の全てを明かすことにした。
彼女が心を開いてくれたように、自分ももう一つの姿を彼女に見せる。
キュウべぇに対する……その怒りの、大本となる姿を。

「これが……俺の、本当の姿だ」

上着を脱ぎ、その腹部に巻かれたベルトを表へと晒す。
続き、右拳を腰に当て、左手を大きく体の前で斜め右上へと上げる。
その動作には、まどかも広場で見覚えがあった。
あの時、加頭に立ち向かおうとした本郷が取ったものと同じだ。

49セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:56:19 ID:wuJ6ELx.0
(……そういえば……)


ここでまどかは、ある事を思い出した。
それは加頭が呼んでいた、本郷のもう一つの名前。


「ライダー……!!」

大きく弧を描くように、左腕が右へと回される。
そして、その腕が高く左へと伸ばされ……


「変……身ッ!!」


掛け声とともに左拳が腰へと逆手に当てられ、右腕が逆袈裟へと振り上げられた。
同時に、ベルトに取り付けられた赤い風車が勢い良く回転を始める。
この一連の動作こそが、本郷が戦士としての姿に身を変えるスイッチ。
人在らざる……異形に変わる儀式。


「……本郷、さん……!?」


直後、本郷の全身が眩い光に包まれ……それが収まった時。
そこにある影は、人間ではなかった。
その身の大半を機械へと変えられた、正義を体現する男。
異形に身を落としながらも、悪と戦い続ける戦士……


「仮面ライダー1号。
 これが、俺のもう一つの……本当の姿だ」


仮面ライダー1号の姿だった。



◇◆◇



「……改造人間……本郷さんが……!?」

数分後。
変身を解いた本郷より全てを聞かされ、今度はまどかが驚かされる事になった。
曰く、彼は世界征服を企むショッカーにその身を改造された。
しかし幸運にも脳改造を逃れ、ショッカーを討つべく逆に立ち向かった。
そして、その力を使い悪を討つために戦う戦士……仮面ライダーになった。
魔法少女とキュウべぇの話にも負けず劣らず、信じ難い話だ。
だが、事実として彼は目の前でその身を異形に変えた。

50セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:57:13 ID:wuJ6ELx.0

そう……魔法少女達と同じ。
人ではない存在にだ。


「ああ……俺は人間じゃない。
 そういう意味では……君が言う魔法少女達とも、似ている存在だ」


本郷が、どうしようもない怒りをキュウべぇに覚えた理由。
それはあまりにも、自分達と魔法少女との境遇が似すぎていたからだ。
決して望まなかった、異形への変貌。
二度と人間には戻れない。
残されているのは、戦うだけの悲しい運命。
戦いがなければ、誰にも必要とされない……残酷な未来。



「……そんな悲しい存在は……俺達だけで、十分だ……!」



生身の人間に戻りたい。
本郷にも、そう願った事は幾度となくあった。
そう……屈強な精神力を持つ彼ですらも、異形と化した事実には苦しめられてきたのだ。
それを、年端も行かぬ少女達に強制的に課すなど……耐えられるわけがない。


(奇跡の代償だから仕方がない?
 ふざけるな……!!)


キュウべぇはそれを、「願いを叶える対価」と言い切ったらしいが、冗談じゃない。
事実を隠したまま契約を迫った時点で、もはやそれは正当な対価でも何でもないではないか。


(それに……純粋に、誰かの幸せを願った者の思いは、どうなる……!!)


ましてやその願いが、自分以外の誰かの為とあらば尚更だ。
大切な者の、愛する者の為に奇跡を用い……結果、その者達とは同じ道を歩めなくなる。
幸せを与えるどころか、待ち受けるのは呪いを振りまく魔女という末路だ。
純粋な願いを踏みにじる……最低の悪行に他ならない。


(キュウべぇ……俺は、絶対に貴様だけは許さん……!!)


今の本郷には、キュウべぇがどんな悪よりも憎たらしく思えていた。
だから……もしこの殺し合いに絡んでいるというのであれば、この手で必ず打ち倒す。
散っていった魔法少女達の無念の為。
人でいられなくなった全ての者達の怒りと悲しみを、晴らす為に。

51名無しさん:2011/10/23(日) 00:57:43 ID:nkqw7ZFU0
乙です

雄介とはだいぶタイプ違うけど、一条さんは鋼牙とも信頼関係築けるのかな?

52セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:57:50 ID:wuJ6ELx.0



(貴様は、俺達が……仮面ライダーが必ず倒す!!)



それこそが、仮面ライダーの役目だ。



「……これが、キュウべぇに怒りを覚えた理由だ。
 すまない、色々と驚かせてしまったな」

覚悟を決めた後、本郷は表情を崩してまどかに微笑みかける。
兎に角、ここからは彼女を守りながら殺し合いを止める方法を模索しなくてはならない。
それではこれからどう動くべきか、まずは相談しようと彼は思ったが……


「……どうして、ですか……?」


その、矢先だった。
震える声で、まどかが言葉をかけてきたのは。

「まどかちゃん……?」

「本郷さん……どうして、そこまで出来るんですか?
 そんな体にされて、もう人間にも戻れなくて……辛くないんですか?
 どうして、どうして闘う事が出来るんですか……!?」


まどかには、本郷の……仮面ライダーの生き方が、辛く悲しいものにしか思えなかった。
人間としては生きられず、ただただ悪と戦う事しかできない。
何の見返りも求めず、正義の味方としてあり続ける……そう。
それは、あのさやかとまったく同じなのだ。


「さやかちゃんは……さやかちゃんは、そうやって……!!」


そして彼女は、それに耐えられなかった。
心身共に摩耗していき、最後には人を呪う魔女と化したのだ。
魔女になる事がないとはいえ、このままでは本郷もまた彼女と同じく、壊れてしまうのではないか。
そんなの……あんまりではないか。


「……ありがとう、まどかちゃん。
 君は、本当に優しいんだな。」

「……あ……」


そんな、涙を流し自身を心配してくれる彼女に対して。
本郷は微笑を浮かべ……その頭を、優しく撫であげた。

53セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 00:58:34 ID:wuJ6ELx.0

「確かに、俺達の歩んでいる道は孤独だ。
 辛く、険しく……過酷な道だ。
 だけど俺達は、それでも戦える。
 例え何の見返りがなくたって、平和な世には不要となる存在だとしても……
 この力で、君の様な優しい誰かを守る事が出来る。
 それだけで、俺達は十分だ」


誰かを守れるならば、それ以上に望む事など何もない。
自分達が戦う事で、一つでも多くの笑顔が見られるならば、それが何よりもの見返りである。
本郷猛とは……仮面ライダーとは、そんな男達なのだ。


(本郷さん……本当に、凄い。
 さやかちゃんやマミさんも、こんな風になりたかったのかな……)


さやかやマミが目指していた、正義の味方。

それはもしかしたら、この本郷の様な姿だったのではないだろうか。


まどかには、不思議と……そう思えて、ならなかった。

54セイギノミカタ ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 01:00:11 ID:wuJ6ELx.0
【1日目/深夜 B−6 森】

【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:この殺し合いを終わらせる
1:まどかを保護する、彼女を絶対に魔法少女にはさせない
2:一文字、結城、沖の三人と合流する
3:他の魔法少女を探す
4:村雨がもし復讐に走るようならば見つけ次第止める、三影は見つけ次第必ず倒す
[備考]
※参戦時期は7巻最終話、村雨と共にライダー車輪を行った後〜JUDO出現前までの間です。
※他のライダー達とは通信ができません。
 これは、加頭が会場に何かしらの妨害装置を置いているためではないかと判断しています。
※まどかの話から、魔法少女や魔女、キュウべぇについての知識を得ました。
※加頭の背後にはキュウべぇがいて、まどかを追い詰め魔法少女にする事が殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※死んだ筈の魔法少女達が生きている事は、まだまどかには話していません。
 これもキュウべぇや加頭の仕業ではないかと睨んでいます。


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する。
1:本郷と一緒に行動する。
2:他の仮面ライダー達を探す。
3:キュウべぇの思い通りにはならない
[備考]
※参戦時期は11話、ワルプルギス襲来前になります。
※本郷の話から、仮面ライダーや改造人間、ショッカーをはじめとする悪の組織についての知識を得ました。
※加頭の背後にはキュウべぇがいて、自分を追い詰め魔法少女にする事が殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※まだ名簿は確認していません。

55 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/23(日) 01:00:39 ID:wuJ6ELx.0
以上、投下終了です。

56名無しさん:2011/10/23(日) 01:03:42 ID:nkqw7ZFU0
あ……途中で割り込んじゃってごめんなさい
なにやってんだおれぇ

まどかは名簿を確認してからが本番ですかね

57名無しさん:2011/10/23(日) 02:47:57 ID:F0jF5shs0
乙です。

>>40
正義感も強いし、ぶれないなあこの二人は。
ストイックだけど根は熱い者同士、いいコンビが組めそうだ。
後、刀剣くらいで驚いたらダメだ、一条さん。
銃刀法違反どころじゃないとんでも兵器が満載だぞ、このロワはw

>>55
こうして、魔法少女と比較してみると、ライダー達もかなり似通ったとこがあるなぁ。
しかし、それでも闘い続けてきた本郷さんは本気ですごいわ。
普通はさやかみたいに、精神崩壊しても不思議じゃないのに……
異形になっても闘い続けたって生きざまは、魔法少女に限らずこのロワに参加している大半の奴に影響を与えられそうだ。
それにしても、QBと加頭が似た者同士って発想はなかった。
確かに感情ないもんね、どっちもw

58 ◆gry038wOvE:2011/10/23(日) 08:13:54 ID:juTgf.Rw0
投下乙です。
まどかは心配だったけど本郷さんがいれば心強いですね。良い保護者だ。
本郷さんがキュゥべぇキュゥべぇ連呼するなんて想像できないwwww
こういう風に異形にされた苦悩を抱えてる人たちが暁に会ったらどうなるんだろう…。

59名無しさん:2011/10/23(日) 19:29:09 ID:UYGWeePg0
投下乙です

正義感の強い二人だけどこういうタイプが誤解とかに迷わされそうで不安だw
純粋に対主催としては頼りにはなるけど…
それと上でも言われてるが銃刀法違反どころじゃないんだってw

まどマギは原作の謎が公開された時から仮面ライダーに似てるとか言われてたなあ
それをこういう風に作品にして書いてくれたのはいいなあ
異形にされた事に苦悩しつつも立ち向かう本郷さんの意志がこのロワでどう作用するか…

60 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 21:52:40 ID:p0C4X91c0
皆様、投下乙です!

>◆gry038wOvE氏
一条さん、凄い相手と出会えましたね……
確かにこんな状況じゃあ、銃刀法がどうのこうのなんて言ってられませんね。
これからいいコンビになれる事を信じたいです。

>◆F3/75Tw8mw氏
そういえば魔法少女もある意味では改造人間なのですよね。
こうして考えると本郷さんの強さは凄まじいです……たった一人で戦い続けるなんて並みの精神じゃ出来ませんし。
彼がまどかにどんな影響を与えるのか、楽しみです。

それでは自分も予約分の投下を開始します。

61不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 21:54:42 ID:p0C4X91c0

 暗闇に満ちた空は夜を象徴するかのように月と星々の輝きに照らされていた。
 潮の香りを乗せる海風は『H−3』エリアに位置する砂浜に冷たく吹きつけて、いる者全ての肌を刺激していただろう。
 それは彼女も例外ではなかった。159cmの背丈を桃色のシャツとデニムのホットパンツで包む桃園ラブは一人で海岸に佇んでいる。
 二つの髪留めで結ばれたオレンジ色のツインテールが風に揺れる中、彼女は悲しみに満ちた表情で瞳から涙を流していた。

「……ごめんなさい」

 ラブは力無く項垂れながら、ぽつりと呟く。

「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」

 そのまま砂の上に蹲って、悲痛な声で謝罪の言葉を続けて口にした。夜の冷たさに太股が突き刺さるが大して気にならない。
 彼女の中に湧き上がっているのは罪悪感と自己嫌悪だけだった。熱くなった涙腺から止め処なく溢れ出す涙は容赦なく砂浜に落ちていき、染み込んでいく。

「あたしが行かなかったから……あたしのせいで……ごめんなさいっ!」

 幾ら謝っても許されるわけがないし、許されるとは彼女自身も思っていない。プリキュアでありながら人の命を守れなかったのだから。
 この力はみんなの幸せを守るために得たのに、ただ見ているしか出来ていない。自分にも巻かれた首輪が突然爆発し、男の人達が三人も死んでしまう。
 犠牲にされたあの人達はもう、幸せを感じる事が出来ない。あの人達はもう二度と笑う事が出来ない。帰りを待っている人達と永遠に会う事が出来ない。
 あたしが目の前にいながらこの手でみんなを救う事が出来なかった。つまり、あの人達の未来を奪ったのはあたし自身だ。
 加頭順と名乗った男が殺したから助けられなかったなんてのは、責任逃れの言い訳でしかない。かつてのラビリンスから全てのパラレルワールドに生きるみんなを守り、フュージョンやボトムのような闇を倒した以上、何としてでも助けなければならなかった。
 それが彼女を罪悪感で苦しめ、涙を流させるには充分な理由である。

「本当に、ごめんなさい……!」

 悲しみで声が震えてまともに出ないが、それでも謝らずにはいられない。それが誰にも届かなくて、何の贖罪にもならない事を分かっていても。

62不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 21:58:46 ID:p0C4X91c0
 もしもあの人達を助けられるのなら、何でもするのに。後悔のあまりに叶うはずもない願いすらも芽生えていく。

『優勝された方にはどんな報酬でもお渡しする用意がございます。金銭や物品、名声や社会的地位、或いは人の命を蘇らすことなども可能です』

 そんな中、唐突に蘇るのは加頭の言葉。まるで吹雪のように冷たくて冷酷な物言いの意味は、みんなを犠牲にする事。
 彼は殺し合いで最後の一人になれば、何でもすると言っていた。でも、それを信用していい訳がない。

『奇跡も魔法も、我々が実現して差し上げます』
「違うよ……そんなのは奇跡なんて言わない」

 流れ続ける涙を拭う事はせず、加頭の言葉を否定しながらゆっくりと立ち上がる。

「こんな事で何かを手に入れたり、どんな願いを叶えても……絶対に幸せになんてなれない!」

 それがラブの自論だった。幸せとは自分の手で掴んでこそ価値があって、独り占めをせずにみんなに分け合うことでより大きくなるもの。せっかくプリキュアが守った人達が集められてこんな悲しいことをしても、その果てに本当の幸せなどない。
 こんな訳の分からない事させる為に人々を集めて、戦いを強要するような相手が本当の事を言うとは全く思えなかった。
 だからラブは戦いへの反逆を決意する。決して誰かの命を奪うことはせずに、加頭やノーザのような奴らから巻き込まれたみんなを守らなければならない。みんなの幸せを守るのがプリキュアであって、それで誰かを傷つけることなんてあってはならないから。
 もしもここに美希がいたら、へこたれたあたしを引っぱたいてでもそうさせるはず。おもちゃの国の時みたいに。

「……助けられなくて本当にごめんなさい。でも、こんな悲しいことは絶対に終わらせてみせますから」

 ラブは涙を拭いながら果てしなく広がる海をぼんやりと見続ける。夜空の輝きが鏡写しのようになっていて、宝石のような美しさを放っていた。

63不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 21:59:57 ID:p0C4X91c0
 この光景に見覚えがある。いつだったかクラスの修学旅行で沖縄に行ったとき、大輔と一緒に眺めた景色だ。いつもだったら懐かしさに耽っているか海から放たれる美しさに目を奪われていたかもしれないが、そんな事を出来るわけがない。
 彼女に出来ることは犠牲にされた男達を、忘れない事だけだった。

「そこのあなた」
「えっ?」

 突然発せられた聞き覚えのない声に、ラブは思わず振り向く。そこにはいつの間にか見覚えのない制服を身に纏った少女が立っていた。
 眩いばかりの金髪は左右でカールを作るように整っていて、表情は優しく穏やかな笑みで満ちている。

「あなたは……?」
「驚かせてごめんなさい……でも、私がいるからにはもう大丈夫だから」

 突然の来訪者にラブがぽかんと口を開ける中、少女は何かに気づいたかのように「あっ」と呟いた。

「申し遅れたわ。私の名前は巴マミ……あなたは?」
「あ……桃園ラブです」
「そう……こちらこそ、よろしくね」




64不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 22:02:32 ID:p0C4X91c0
青乃美希の表情は憂いに満ちている。突然の出来事への不安もあったが、犠牲にされた男達の事を思うとやりきれない気持ちが溢れていた。
事前の連絡も無しにこんな場所に連れてくる相手に憤りを感じているが、今は落ち着いて行動しなければならない。
殺し合い……あの加頭順と名乗った男は、六六人全員に首輪を巻き付けてそれを強制した。しかも拒否権はない。

「あたし達がこんな馬鹿な事に乗ると思わないでよね……」

 美希は加頭への怒りを込めた溜息を吐きながら、名簿と地図を確認する。
まず自分がいる場所はB―10の灯台付近だ。目の前で堂々と立っている塔こそが、その証拠。周りを含めて、ここから人気は感じられないが油断は出来ない。同じプリキュアならばいいが、こんな状況で物事はそこまで都合良く進むとは思えない。
何よりも、殺し合いに乗った危険人物と出会う可能性だってあった。

「ラブ、ブッキー、せつな……お願いだから、みんな無茶をしないでよね。特にラブ、あなたはね」

 名簿には大切な友達の名前が書かれていたから、こんな馬鹿げた事に付き合わされたプリキュアは自分だけではない。志を同じくする彼女達も命の危険にある。
 特に心配なのが桃園ラブだ。彼女は常に誰かのために行動している反面、一度落ち込んだらとことん気持ちを沈ませてしまう。先程の悲劇があった以上、罪悪感に沈んでいてもおかしくなかった。
 出来る事なら全てが悪い夢であって欲しいが、そんな願いが叶うわけがないのは分かっている。現実逃避など以ての外だ。今はみんなとの合流を目指して、こんな馬鹿げた戦いを終わらせる事が何よりも最優先だ。あのノーザも島の何処かにいる以上、あまりのんびりはしていられない。
 希望の妖精であるブルンが眠っているリンクルン、そして名簿と地図をデイバッグにしまって美希は足を進めようとする。
 次の瞬間、茂みの揺れる音が聞こえて思わずそちらに振り向いた。

「誰ッ!?」
「待ってくれ、僕は敵じゃない!」

 美希がリンクルンを手にしながら身構えた先に現れたのは、見慣れない服を纏った一人の青年。
 青と黒を基調とした制服は、まるで自衛隊を始めとした防衛組織を彷彿とさせる。
 そして、その顔には見覚えがあった。始まりの場所で加頭に殺し合いの意義を問おうとした男。

「もしかしてあなたは孤門一輝さん……ですか? さっき、あの加頭って男からあたし達をここに集めた理由を聞き出そうとした」
「そうだ、僕は君に危害を加えるつもりなんてこれっぽっちもないし、こんな殺し合いに乗るつもりもない」
「そうですか……それはあたしも同じです。誰も犠牲にしたくなんてありません」

 孤門一輝の事を完全に信じる事はまだ出来ないが、こんな状況で疑心暗鬼になっても主催者達の思う壺だ。
 ブッキーがいつも誰かの事を信じていたように、戦いを止めようとするのならまず誰かを信じる事からを始めなければならない。
 そう思いながら彼女は、孤門と対話するために足を進めた。

65不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 22:05:53 ID:p0C4X91c0
「そう……色々と教えてくれてありがとう、桃園さん」
「マミさんこそありがとうございます!」

 巴マミは桃園ラブと出会ってから、互いの知人について話し合っていた。彼女の友人がこの孤島に何人も連れてこられているという。
 青乃美希、山吹祈里、東せつな、花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの7人だ。そして、彼女はノーザという人物が危険であると教えてくれる。
 その見返りとしてこちらも知人の事を教えた。後輩である鹿目まどかと美樹さやかと佐倉杏子、そして内面の読めない後輩である暁美ほむらについて。

「それにしても青乃美希さんか……何だか、凄い偶然ね」
「美希たんと同じ名前のさやかちゃんか……あたしも、会ってみたいですね」
「彼女や鹿目さんはとても真面目でいい子だから、あなたとはいい友達になれると思うわ」
「本当ですか!」

 青乃美希と美樹さやか。一人は名字で一人は名前という奇妙な偶然にマミは思わず微笑んでしまう。同じようにラブも笑っているが、マミにはそれが心からの笑顔には見えなかった。
 まるで少しでも悲しみを抑えつけているかのような、無理に作った表情。
 もっとも、それはマミにも理解出来た。この孤島に飛ばされてからマミは殺し合いを止めるために行動し、海岸に出て悲しみに暮れた様子のラブを見つける。
 彼女が涙を流している理由は殺し合いに対する恐怖ではなく、あそこで死んでしまった男性達への罪悪感だ。
 でも、それは人間らしい感情なのかもしれない。自分ではない誰かの為に涙を流せるのは、心からの優しさがなければ出来ないはずだ。
 しかし同時に、自己犠牲のあまりに無茶をしかねない危うさも感じられる。

「桃園さん、ちょっといい?」
「はい、何ですか?」
「あまり無理をしないで」

 だからこそ釘を刺しておく必要があった。そう思うマミの表情は先程とは違い、ほんの少しだけ真摯に染まっている。

「えっ?」
「人を助けようとするのは確かに素晴らしいわ。でも、だからって自分の事を蔑ろにしないで」
「やだなぁ、そんな事わかってますよ……」
「そう……でも、忘れないで。もしもあなたが無理をしてしまって何かあったら、残された友達のみんなは悲しむでしょうから」

 一歩間違えたら、罪悪感のあまりにラブはどんな無茶でもやりかねない。マミはそんな懸念を感じていた。
 もしも恐れていた事態が起こったら、残された彼女の友達みんなが悲しむ。魔法少女として、それだけは起こすわけにはいかなかった。
 マミの問いにラブは面食らったような様子を見せたが、すぐに真剣な顔付きを向ける。

66不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 22:16:57 ID:p0C4X91c0

「わかりました……それじゃあ、マミさんも約束してください」
「えっ?」
「マミさんも、絶対に無理をしないって!」

 真顔で詰め寄りながらラブは両手を握り締めてきて、予想外の出来事でマミはぽかんとした表情を浮かべた。

「あたしも無理はしません! だから、マミさんも無理をしそうになったらあたしに言ってください! 出来る事なら何だって手伝いますから!」

 力強く握り締められた手の平から彼女の熱が伝わってくる。その感触にマミは驚くも、思わず微笑んでしまった。

「そう、わかったわ……私も、無茶をしないって約束するわ」
「本当ですか、ありがとうございます!」
「こっちこそありがとう……桃園さんも辛いはずなのに、こんな私の長話を聞いてくれて」
「大丈夫ですよ! だって、マミさんはあたしの事を心配してくれているんですから! だから、どんどん話しましょうよ!」
「それはとっても嬉しいわね」

 マミの言葉に答えるようにラブも柔らかい笑みを見せてくる。この時ばかりはマミも、殺し合いという現状の中で希望を見出した。彼女のような人が一人でも増えてくれれば、犠牲者が出る事はないと。
 しかしノーザという女のような危険な輩もいるので油断は許されなかった。桃園さんに偉そうな事を言った以上、自分がしっかりしなければいけない。
 ラブの手が離れた頃、マミにそんな思いが芽生えた。

「せっかくだから、あなたの事をもっと教えてもらってもいい? 私も、私の事を出来る限り話すから」
「わかりました……あたしも出来る限りあたしの事を話します。もしかしたら、信じられないかもしれませんけど」
「ありがとう」

67不幸のバトルロワイヤル! 幸せを取り戻せ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 22:18:02 ID:p0C4X91c0




 孤門一輝はこの状況がアンノウンハンドの仕業ではないかと、一瞬だけ疑惑を持つ。何の前触れもなく、自分を含めたナイトレイダーの隊員を孤島に放り込み首輪を付けた。それも意図のわからない殺し合いをさせる為に。
 無論、孤門はそんな事に乗るつもりは微塵もなかった。スペースビーストの脅威から人類を守るためにナイトレイダーの隊員となったのに、無意味に人を傷つけては自分を否定する事になる。
 だがあの加頭順という男の差し金か、そんな自分を嘲笑うかのように支給品にディバイドランチャーが混ざっていた。恐らく奴はナイトレイダーの意義を知った上で、このような真似をしたに違いない。
 しかし今は青乃美希やその友人を守るためにナイトレイダーの力を使う。そして副隊長の西条凪や先輩の石堀光彦との合流を目指さなければならなかった。

(それにしても……姫矢さんや溝呂木眞也までいるなんて)

 孤門の知る名前があと二つ。ウルトラマンとして人々を守ってきた姫矢准や、かつて闇の力に操られてリコを始めとした多くの人を弄んだが、最後に人の心を取り戻した溝呂木眞也までいる。
 姫矢はまだしも、何故死んでしまった溝呂木がいるのか理解出来なかった。だとすると加頭の言葉通りに死人を蘇らせたのか? その結論に至った瞬間、孤門は人の命を弄ぶ主催者への吐き気が更に強くなる。
 どんなに辛くても死人が蘇るなんてありえないしあってはならない。命は限りあるものだからこそ、人は優しくなれる。それを冒涜するような輩に従うわけにはいかなかった。

「孤門さん、どうかしましたか?」
「いや、何でもない……急ごう、君の友達を捜すために」

 怪訝な表情を浮かべる美希を不安にさせないため、孤門は穏やかな笑みを見せる。あまり思案に耽ってばかりもいられないと彼は反省した。



【1日目/深夜】
【H-3/砂浜】
【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康、罪悪感と自己嫌悪(少しは和らいでいる)
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式、ランダム支給品×2
基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。
1:マミさんと一緒に行動し、話をする。
2:プリキュアのみんなと出来るだけ早く再会したい。
3:マミさんの知り合いと会って協力したい。ほむらには少し気を付ける。
4:犠牲にされた人達(堂本剛三、フリッツ、クモジャキー)への罪悪感。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの存在を知っています。
(ただし、クモジャキーとダークプリキュアに関しては後続の書き手さんにお任せします)

【巴マミ@魔法少女まどかマギカ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品×2
[思考]
基本:殺し合いには乗らず、魔法少女として犠牲を出さない。
1:桃園さんともっと情報を交換する。
2:ノーザは危険人物として注意する。ほむらに関しては本人に出会うまで保留。
3:もしも桃園さんが無茶をしそうになったら、何としてでも止める。
[備考]
※具体的な参戦時期に関しては後続の書き手さんにお任せします。
※ラブの知り合いについての情報を得ました。


【1日目/未明】
【B-10/灯台付近】
【青乃美希@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式、ランダム支給品×2
[思考]
基本:こんな馬鹿げた戦いに乗るつもりはない。
1:今は孤門と行動し、みんなを捜す。
2:プリキュアのみんなが心配(特にラブが)
3:ノーザには気を付ける。
[備考]
※本編後半以降(少なくともノーザの事は知っている時期)からの参戦です。
※ハートキャッチプリキュア!からの参加者について知っているかどうかは、後続の書き手さんにお任せします。

【孤門一輝@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康、ナイトレイダーの制服を着ている
[装備]:ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス
[道具]:支給品一式、ランダム支給品×2
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:美希ちゃんを何としてでも保護し、この島から脱出する。
2:副隊長、石堀さん、美希ちゃんの友達と一刻も早く合流したい。
3:姫矢さんに溝呂木眞也……
[備考]
※溝呂木が死亡した後からの参戦です(石堀の正体がダークザギであることは知りません)。

68 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/23(日) 22:18:43 ID:p0C4X91c0
以上で投下終了です。
修正点などがありましたら、ご意見をお願いします。

69名無しさん:2011/10/24(月) 01:07:31 ID:Zw5iowN.0
投下乙です

ラブはよかったのか?
マミさんはマミさんで魔法少女としての経験が豊富だが…原作のアレを知ってるから怖いんだよな
今のままなら頼れるが…

こっちも揉める事無くコンビは組めたけど正体を知らない時期からかあ
不安を残しつつ先へと進むか…

70 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:20:01 ID:Y6xyNR6I0
左翔太郎、ユーノ・スクライアを投下します

71 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:21:27 ID:Y6xyNR6I0
「くそっ……!」


鳴海探偵事務所の私立探偵、左翔太郎は悔しそうな表情で悪態をついていた。
加頭順。
奴は自分達の手で倒したはずだ。
なぜ生きているのか。
いや、それだけならまだいい。
奴が何を考えてこんなふざけたゲームを開催したのかは知らないが、また倒せばいいだけだ。
問題は…

「フィリップ……!」

フィリップ。
先日1年ぶりの再会を果たした唯一無二の相棒。
その相棒が、奴らによって捕らえられているというのだ。


「待ってろよフィリップ…こんなふざけたゲーム、すぐにぶち壊してお前を助けてやるからな!」


強い決意を胸に、翔太郎は相棒に誓う。
殺し合いに乗るという選択肢は彼にはない。
奴らが素直にフィリップを返してくれるとは思えないし、大体そんなことはフィリップ自身が望まないだろう。


「それに…仮面ライダーは人々を守る正義の味方だからな!」


だから彼は決意する。
殺し合いを打破し、相棒を助け出すことを。

72決意のT/少年の使命 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:23:12 ID:Y6xyNR6I0
地図を見ながら、翔太郎はここから一番近くにある施設、図書館を目指すことにした。
殺し合いを打破するために必要なのは同じ志を持つ仲間だ。
もちろん真っ先に出会いたいのは仲間である照井竜だが、あてがなくては探しようもない。
殺し合いに乗った参加者と出会う可能性もあるが、その時はその時だ。

「グダグダ考えてても仕方ねえしな。行くとするか!」



一方、そんな図書館には一人の少年…ユーノ・スクライアがいた。
彼はデイバックの中身を一通り確認し終えると、館内をぐるりと見渡す。
図書館の規模はそれなりにあり、無限書庫などと比べると比べ物にならないがそれなりに蔵書数も多いようだった。
後に無限書庫司書長となる彼はざっと本を調べてみた。

「プリキュア……テッカマン……ウルトラマン?」

聞いたことない言葉だ。
ミッドチルダや地球とは違う他の管理世界に存在するものなのだろうか。
そういえば、加頭という男が話していた仮面ライダーという言葉も聞きなれない言葉だ。

「そういえば、あの人が使っていたあれは…」

ユーノはあの会場でのことを思い出す。
あの男は、ガイアメモリというものを用い、異形の姿へと変貌した。


「あれはまさか…ロストロギア?」


確証はないが、もしそうだとしたら黙って看過するわけにはいかない。
仮にロストロギアでなかったとしても、どのみちあのような危険なものを放置はできない。
一刻も早くこの殺し合いの企画者たちを逮捕し、回収しなければならない。
だが、管理局とは連絡ができないし、この会場のどこかにいるだろうなのはやフェイトとも念話ができない。
状況はかなり厳しいようだ。

73決意のT/少年の使命 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:25:01 ID:Y6xyNR6I0
「とりあえず、まずはここにある本を調べてみようかな」

加頭という男の言っていた仮面ライダーやガイアメモリ、この図書館の文献のいくつかに見られる謎の言葉。
確証はないが、これらについて知ることができればこの殺し合いを止めるための突破口を見つけることができるかもしれない。
もちろんここにあるすべての本が有益な情報源になるとは思えない。
ある程度の取捨選択をしながらでないといつまでたっても調べ終えることができない。
だが、自分には検索魔法がある。
検索魔法を使えば、ある程度効率よく必要な情報を手に入れることができるだろう。

「よし、やるぞ!」


それから30分後。
ユーノは苦悶の表情で検索魔法を行使していた。


(く…どういうことだ!?魔力の消耗が…いつもより激しい!?)


先ほども言ったように、ここは無限書庫などと比べれば蔵書数は圧倒的に少ない。
だから調べるといっても、そんなに時間がかかるとは思っていなかった。
だが現実はそう甘くなかった。
普段検索魔法を使う時より明らかに魔力の消耗が激しいうえに、調べる速度も著しく落ちていた。
むろん消耗が激しいといっても短時間の行使ならそれは微細なものだ。
だが既に30分以上も続けているために、大分疲れがたまってきていた。
なにしろ以前闇の書事件で無限書庫での調査をした時のように、ただ一つの事柄を調べればいいわけではなく、今回は情報の量を手当たり次第に増やしていくのが目的だ。
魔力消費による疲労と次々入ってくる情報の整理で心身ともに負担が大きかった。

ユーノは検索魔法の展開を止める。
このまま消耗し続けながら調査を続けていくのはさすがに無理がある。
時間はかかるが、自力で調べた方が良さそうだ。
検索魔法を止めた瞬間、一気に疲れが出たのかその場に倒れてしまう。

74決意のT/少年の使命 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:26:42 ID:Y6xyNR6I0
「少し休んだら、また調査を再開しよう…」


こうしている間にも参加者が凶刃に倒れているかもしれないのだ。
あまり休んではいられない。

ユーノは自分と同じくここに呼ばれた高町なのはやフェイト・テスタロッサほどの魔法の才能はない。
支援系の魔法ならそこそこに自信があるが、攻撃魔法はてんでだめだ。
だからこそ、彼は決めたのだ。
前線で彼女たちを守るのではなく、後方で裏方に徹し彼女たちのサポートをすることを。
その結果彼は、無限書庫でその調査能力を存分に発揮し、地味ながら闇の書事件解決に貢献したのだ。

なのはやフェイトも、きっと今ごろ殺し合いの打破のために動き出しているだろう。
それなら自分の仕事は、彼女たちがまっすぐ飛ぶためのレール作りをすることだ。


「そうだ…これが僕、ユーノ・スクライアにこの殺し合いの場で与えられた……使命だ!」

75決意のT/少年の使命 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:28:16 ID:Y6xyNR6I0
ガチャ


その時、突然図書館のドアが開く音がした。
ユーノはすかさず起き上がろうとするが、かなり疲れがたまっていたためか、体が動かなかった。


(まずい!この状態で襲われたりしたら…!)
「おい!大丈夫か!」


ユーノの懸念とは対照的にその声の主は心配そうにしながらこちらに駆け寄ってきた。
良かった。殺し合いに乗ってはいないらしい。


「あ、ありがとうございます…えっと」
「俺は左翔太郎。風都って街で探偵をやってるんだ。立てるか?」
「あ、はい…迷惑をかけてすいません」


翔太郎に手を引かれ、どうにか立ち上がるユーノ。


「気にすんな。俺は人々を守る正義の味方…仮面ライダーだからな!」
「仮面ライダー……あなたが?」


加頭が話していた仮面ライダーという存在。
目の前の男こそが、その仮面ライダーらしい。
彼に話を聞けば、詳しい話が聞けるかもしれない。


「…あー、それより君の名前も教えてくれねえかな?何があったのかも聞きたいしよ」
「あ…はい。僕はユーノ。ユーノ・スクライアです」

76決意のT/少年の使命 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:29:26 ID:Y6xyNR6I0
探偵は決意する。殺し合いを止め、相棒を助けることを。
少年は止まらない。自らに課された使命を全うするために。
それぞれの想いと出会いが、この殺し合いの場に何をもたらすのか。
それはまだ分からない。



【1日目/深夜 I−5 図書館】

【左翔太郎@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ(ジョーカー、メタル、トリガー)、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:殺し合いを止め、フィリップを救出する
1:ユーノから話を聞く
2:仲間を集める
[備考]
※参戦時期はTV本編終了後です


【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:体力消費(中)、魔力消費(中)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:殺し合いを止め、企画者たちを捕らえる
1:翔太郎と話をする
2:図書館の本を調べる
[備考]
※参戦時期は闇の書事件解決後です
※ガイアメモリはロストロギアではないかと考えています
※検索魔法は制限により検索スピードが遅く、魔力消費が高くなっています
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)

77 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 12:30:19 ID:Y6xyNR6I0
投下終了です

78名無しさん:2011/10/24(月) 18:05:12 ID:uEi/OhNE0
投下乙です

>◆LuuKRM2PEgさん
やはりマミさんが魔法少女の真実を知った時がどうなるかが怖い
しかし、仲間や友達と再開するのが地雷のスイッチってのはちょっとすごい……

溝呂木よりも危険な奴の正体に孤門は気づく前か
仕方ないっちゃ仕方ないかな

後、重箱の隅をつつくような指摘ですが
ランダム支給品は変身アイテム含めないで1〜3個ですので

ランダム支給品×2→ランダム支給品1〜3

正確にはこうなります

>◆XksB4AwhxUさん
翔太郎は本編終了後
となると、彼的には照井以外の知り合いは軒並み死人かw
ユーノは少年時代。なのはやフェイトの参戦時期が大人なら反応楽しそうだけど、思えばすでにヴィヴィオがいた

79 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/24(月) 18:52:44 ID:TSNv6zkE0
ご指摘ありがとうございます
それでは収録時に支給品の数を修正させて頂きます

80 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:21:32 ID:uEi/OhNE0
只今より、投下を開始します

81天下無双の方向音痴 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:23:02 ID:uEi/OhNE0

 翠屋。
 雰囲気の良い落ち着いた内装と、パティシエを務める高町桃子の腕の良さもあり、普段は多くの人で賑わう喫茶店である。
 だが、人々の憩いの場となっていたその面影も、今は夜闇と静寂にのまれどこにもない。
 そもそも、ここが殺し合いの舞台であることを考えれば、例え昼間であってものんきにケーキを食べようという人間は存在しないであろう。
 しかし、少なくとも今は、翠屋店内に1つの人影があった。
 窓際の席の1つ。淡い月光に幽鬼のごとく浮かび上がるこの男だけが、現在この店に存在する唯一の客である。
 頭に巻かれた黄色と黒のバンダナをトレードマークとするその男の名は響良牙。つい先ほど開幕を告げられた殺し合いの参加者の一人である。
 
 現在彼は、デイパックの中身をテーブルに広げ、自身に割り当てられた支給品を確かめていた。
 そうして経過した時間はどれくらいであろうか?
 5分? 10分? 30分? ――正確な時間は、良牙にもわからない。
 店内にかけられた時計は、たった1人の客を相手にしても怠慢な態度は示さず、律儀に時を刻み続けていたが、肝心の客にそれを確認する余裕がなかったためだ。
 それでも、カチ、カチ、と、生まれては消えゆく歯車の音だけは変わらず時間が流れていることを示していたが……やはり、良牙の耳に届いているかは定かではなかった。

 確かに、響良牙という男にとって戦いは日常茶飯事のものであったが、その多くは喧嘩やその延長線上にあるようなもの。命を懸けた本気の殺し合いに相当する経験など、数えるほどしかなかった。
 ゆえに、先ほど3人の人間があっけなく殺された時に受けたショックと、それによって心に打ち込まれた楔も、決して小さくはない。

 そして――

「くそ! おれや乱馬の野郎だけじゃなく、あかねさんまでこの殺し合いに参加させられてるなんて」

 そこに自分の愛する少女まで巻き込まれていると知れば、もはや冷静でいられるはずなどないのだ。

 ドンッ!

 感情のうねりに流されるまま、無造作に叩きつけられた拳を受け窓ガラスが身を震わせる。
 いちおうの手加減はしていたのか、はたまた当たり所が良かったのか……窓ガラスが割れることはなかったが、一面に入ったひびの大きさが良牙の怒りを示していた。
 
 天道あかね。
 それは、響良牙の愛する少女の名前である。
 そして彼はもう1人、雲竜あかりという名の少女にも想いを寄せていた。
 参加者名簿より、あかねが殺し合いに参加している事実を知った良牙は、自然と最悪のシナリオを想像してしまう。

82天下無双の方向音痴 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:23:48 ID:uEi/OhNE0
「…………まさか。あかりさんまで連れてこられてるなんてことは」

 ――ない。とは言いきれない。
 最初に参加者達が集められたあの空間。
 乱馬が加頭という男に食って掛かっていたのは良牙も目にしていたし、もはや自分の知り合いの幾人かがこの殺し合いの舞台にいることは間違いないのだ。
 もう1人の想い人の名がないことを祈り、良牙は必死に参加者名簿に目を走らせる。
 ……不幸中の幸いというべきか。結果から言ってしまえば、そこに雲竜あかりの名はない。
 ただ、その代わりというわけではないだろうが、さらに2人の知り合いの名を見つけ良牙の表情はわずかにに曇る。
 とはいえ、すでにそれは些細な問題である。
 自分の愛する人が殺し合いに巻き込まれていると知った以上、彼のやるべきことはただ1つ。

「――とにかく、あかねさんと合流しよう」

 まだ支給品の確認は途中であったが、もはや良牙にそのような暇はない。
 感情の赴くまま、すでに行動を開始することを決意していたのだ。

 全ては、天道あかねを守るために。

 そこからの良牙の動きは素早い。
 年がら年中修行の旅をしている彼にしてみれば、〝旅支度だけは〟慣れたものであったのだ。

 まず、2つのポット(それぞれ水とお湯が入っている)をデイパックに入れ、続けて地図とコンパスをのぞいた基本支給品を収納。1つめのランダム支給品、用途不明の円盤状のディスクも躊躇なくその上に放り込み……最後の支給品となったガイアメモリを前に、一瞬その手が止まる。

 ――ユートピア・ドーパント。
 脳裏に浮かぶのは、これと色違いのメモリを用いて化物へと変身した加頭の姿。
 じつのところ、変身という現象自体は良牙にとっても馴染みのあるものである。不本意ではあるが、彼自身も水を被れば子豚へと変身してしまう体質の持ち主であるし、この殺し合いに参加している知り合いも概ね似たような体質を持っているのだ。
 とはいえ、このメモリを使うことにも抵抗がないのかと聞かれれば話は違う。
 そもそもあの変身は良牙の知るものとはあまりに異質に思えたし、なによりもその必要性があると感じなかったことが大きい。
 なぜなら響良牙は、自分の強さというものに確かな自信を持っていたのだから。

「忘れ物はないな」

 けっきょくは、ガイアメモリも他の支給品と一緒にデイパックの中にしまわれる。
 彼にはそれを使う気がないということだろう。
 早々に出立の準備をすませた良牙は、翠屋の外へと出た。

83天下無双の方向音痴 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:24:35 ID:uEi/OhNE0


****


 夜闇は色濃く、ヴェールのように世界を包み隠している。
 星々の明かりがあるため、行動に大きな支障をきたすことはない。
 だが、ここが殺し合いの舞台であることを考えたなら、恐怖のあまりこの闇から逃げ出す者がいたとしても臆病者と罵ることはできないだろう。
 もっとも、そのような考えはこの男には毛頭ない。
 翠屋を出た良牙は、すぐには移動を開始せず、まずは行き先を定めるため支給品の地図へと目を落としていた。

「……呪泉郷だと?」

 不意に、驚愕の声を漏らす。

 この地図を信じるならば、今良牙のいる翠屋をはじめ、この孤島にはいくつかの施設が存在していた。
 その多くは彼にとって縁がないものであったのだが、ただ1つ、呪泉郷に限っては話は別。良牙自身はもちろん、参加者名簿に記載された彼の知り合いのほとんどに因縁ある地であるのだ。
 つまり、天道あかねを含めた彼の知り合いの多くがここを目指す可能性は高いのではないだろうか?

 良牙には、その判断は間違ったものには思えなかったが、同時に大きな懸念事項も存在していた。

「問題は、おれが呪泉郷にたどり着けるかどうかだ……」

 それは、すでに勃発しているかもしれない殺し合いを起因とした様々なアクシデントに巻き込まれることを考慮しての発言……ではない。

「方向音痴のおれの事だ。普通に行ったら絶対に迷う」

 何を馬鹿なと思うかもしれないが、彼は極めて真剣であり、その深刻そうな顔色を見れば抱えた問題の大きさもわかるだろう。

 とはいえ、普通に考えれば迷う要素は少ない。
 支給品の中には、このバトルロワイアルの舞台となる孤島の地図にくわえ、コンパスまで含まれているのだ。
 くわえて、良牙のスタート地点は地図に記された施設である翠屋。現在地を見誤っている可能性はない。
 これだけの材料がそろっていれば、例え方向音痴であったとしても簡単には迷わない。少なくとも、まったく見当違いな方向に行ってしまう可能性は低い。

84天下無双の方向音痴 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:24:59 ID:uEi/OhNE0


 しかし彼は、ある意味普通の人間ではなかった。
 
 北海道に向かうつもりが、なぜか沖縄にたどり着いてしまっていた……などというのはほんの序の口。
 似たようなエピソードなど、探さずともいくらでも出てくる。
 そもそも彼は、自宅から学校への登下校すらままならず、友の手を借りねば家に帰ることすら困難であった。
 というか、一度外に出れば何日も家に帰れないなど当たり前のこと。
 ついでに、家族そろって似たようなレベルの方向音痴である。

 ……これら過去の経験から、良牙にはある確信があった。

 この場から一歩足を踏み出した瞬間、自分が100パーセント迷子になるという絶対的な確信が!

 道理といえば道理である。
 見知ったはずの土地ですら迷子になる人間が、いくら地図やコンパスを持たされたところで見知らぬ土地を自由に闊歩できるわけがない。

 迷わずに呪泉郷にたどり着く手段はないものか。
 良牙は必死に考えた。考えに考え……ついに彼は、ある手段を見出した。
 それは、実に単純明快な方法である。

「幸いにも、この翠屋から呪泉郷までは東に向かって一直線」

 地図を指でなぞり、目的地の位置を再確認。
 そして、コンパスを用いて方角を確かめる。
 良牙の視線が見据えるは、呪泉郷が存在するであろう東の空。

「そう、一直線だ……道など使わん。いくらおれが方向音痴でも、これなら呪泉郷にたどり着けるはず!」

 馬鹿である。

 ちなみに、翠屋のあるC−1エリアは複数のエリアに跨って存在する村の一角となっている。
 都会と比べれば密集率は遥かに低いとはいえ、良牙の進路上にもいくつかの家屋が存在していた。
 まともに考えれば、一直線になど進めるわけなどないのだが……相手が悪い。
 この男には、そんな常識は通用しないのだ。

「ふっ!」

 良牙は、その人間離れした身体能力を生かし大跳躍。
 天狗もかくやという見事な身のこなしで進路上の家屋の屋根に飛び乗り、そのまま反対側に着地。何事もなかったかのように駆け抜けていく。
 行く手を阻む障害物を次々と飛び越え、彼はひたすら一直線に進みづけていた。

 ――ただし、南東へ向けて。

「しかし、呪泉郷があるってことは……もしかしてここは中国なのか?」

85天下無双の方向音痴 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:25:57 ID:uEi/OhNE0

【1日目/深夜 C−1/村の中】

【響良牙@らんま1/2】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:変身アイテム(水とお湯の入ったポット1つずつ)、支給品一式、秘伝ディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ@仮面ライダーW
[思考]
基本:天道あかねを守る
1:天道あかねとの合流
2:1のために呪泉郷に向かう
[備考]
※参戦時期は雲竜あかりと出会った後、原作30巻以降です。
※南東へ向けて驀進中。本人は東に向かっていると思っています。
※良牙のランダム支給品は2つで、秘伝ディスクとガイアメモリでした。
 なお、秘伝ディスク、ガイアメモリの詳細は次以降の書き手にお任せします。
 支給品に関する説明書が入ってる可能性もありますが、良牙はそこまで詳しく荷物を調べてはいません。

※翠屋の窓ガラスにひびが入りました。

86 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/24(月) 19:26:52 ID:uEi/OhNE0
以上です
修正点等あれば、よろしくお願いします

87 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 19:54:43 ID:Y6xyNR6I0
投下乙。
良牙wwwww
やっぱり期待を裏切らないなこいつはw
とりあえず早く同行者を見つけないとやばいなw
しかしこいつの家系はホントすごいよな〜
買い物メモ残したまま何日も帰ってこない母親とか

88 ◆XksB4AwhxU:2011/10/24(月) 20:13:02 ID:Y6xyNR6I0
あ、正確には「買い物に行ってくる」ってメモを残したまま帰ってこない、だったな
それにしてもやっぱり変身アイテムが笑えるw

89 ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:03:06 ID:diy575760
期限延長を申請しましたが、
幸い時間が取れましたので投下します

90黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:04:20 ID:diy575760
 山吹祈里がふと我に返った時、周囲はまたしても暗闇に包まれていた。だがそれは白い男に“殺し合い”を宣告された場所の様な、空間そのものが塗り潰された奇怪な暗さとは違う。単に深夜零時という頃合と、屋内の照明が点いていない事が重なっただけの、ありふれた夜の闇に過ぎなかった。
 窓から差し込むぼんやりとした光は、すぐ外に設置されている外灯のものだろう。そのおかげで少し目が慣れれば、自分がどんな場所にいるのかを把握することが出来た。
 祈里にとって余りにも見慣れたその光景は、ごく有り触れた教室だった。机と椅子が整然と並び、前後の壁には黒板が備えられている。壁際のロッカーには生徒の教材が収められ、縦長のものには掃除用具が入っているのだろうか。白詰草女子学院の制服を着た祈里は、時間を誤って登校した生徒であるかの様に一人佇んでいた。
 周囲に人の気配は無い。空調などが作動している様子も無い。だがそれは決して本日の授業が終わっているからという訳ではないのだろう。
 祈里は僅かな光だけを頼りに、覚束無い足取りで教室の中を歩いた。初めて来る場所であるが、教室の間取りなど大抵同じだ。机の端に腰をぶつけたりして痛い思いをしながらも、手探りだけで照明のスイッチを探し当てる。幸いにして電気は通っているらしく、適当に点けると教室はパッと明るくなった。
 視界を確保してから改めて首を巡らすと、この教室は一階の校庭に面しているのだと解かる。祈里はほぼ中央の席に座り込んだが、これから何の授業が始まる訳でも無い。光を取り戻した学び舎とは裏腹に、彼女の表情は暗く沈んでいた。

「なんで…… どうして、こんなこと……」

 祈里の脳裏には、つい先刻目にしたばかりの凄惨な光景が蘇っていた。
 自分にも着けられている首輪の爆発と、鮮血を撒き散らして絶命する三人の男達。喉を抉る様に吹き飛ばされ、何が起こったのかも解からないままに死んでいった彼等の顔が、頭にこびり付いて離れない。人を人とも思わぬ、余りにも惨たらしい仕打ちだった。
 恐怖と悲しみが胸を突き、目の端に涙が溢れてくる。何故こんな酷いことをするのか、どういう目的あってのことか、湧き出す疑問は止まることがない。悪い夢だと思いたいが、先程まで祈里が立っていた位置には、白い男が説明した通りデイバックが置いてあった。
 これから始まるであろうバトルロワイアル。その只中に放り込まれたという事実は、暗い陰となって祈里の心を覆い尽くそうとする。
 しかし彼女の心に諦観は無かった。

(絶対に、止めなきゃ!)

 それは祈里の中に当然の如く存在する“強さ”だった。彼女はプリキュアの一人として、信頼する仲間たちと共に管理国家ラビリンスと激しい戦いを続けて来たのだ。例えどんな状況に置かれていても、理不尽な暴力に抗い弱き者を守ることを、祈里は迷い無く選ぶ。

91黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:05:27 ID:diy575760
 そして彼女は、自分がこれから取るべき行動を必死に考えた。この今までに無い危機を、ラブ達と一緒に乗り越えるにはどうすればいいのか。しばらく時間をかけて悩み、結果として思いついたのが、まず支給されたデイバックの中身を確かめることだった。
 どこにでも売っていそうな黒いデイバックを教室後部のスペースまで引き摺り、少し緊張しながらファスナーを開く。真っ先に視界に入った物に、祈里はパッと顔を輝かせた。
 妖精ピックルンが宿った携帯電話型のアイテム・リンクルン。それにクローバーキーも付属している。祈里と仲間たちがプリキュアに変身する為の大切な道具、これさえあれば多少の身体的な危機は乗り越えられるだろう。
 リンクルンを懐に収め、次に取り出した名簿を確認する。やはりラブたちプリキュアの仲間と、ラビリンスのノーザ以外に知る名前は無かった。他の参加者についての情報はゼロに等しいが、やはりごく普通の一般人という訳ではないのかも知れない。

(男の人もプリキュアになるのかな? 優しい人ばかりだったらいいのに……)

 少し外れたことを考えつつ、他の支給品も取り出して机に並べていく。
 地図、まだ現在位置は分からない。コンパス、使い方がよく分からない。紙とペン、無いよりはあった方が良いかも知れない。食料と水、本当に三日分あるのかどうかは疑わしい。
 そして、バックの最奥にしまい込まれた直方体の箱。

「……なに、これ?」

 箱は飾り気の無い茶色の紙で出来ており、長辺は四十センチ近く、短辺が二十数センチ程度と見える。持ち上げてみるとズシリとした重みがあり、両手でそっと机の上に置いた。特に封などはされておらず、簡単に身蓋を開けられそうだ。
 祈里は妙な胸騒ぎを覚えていた。既に机に並べられている支給品の数々は、包装と言ってもせいぜいビニール袋に入れていた程度で、殆どそのままデイバックに詰め込まれていた。しかし最後に現れたこの箱だけが──簡素な紙製でしかなかったとしても──未だ正体を現さず、そのサイズも相まって異様な存在感を放っている。
 祈里の脳裏には、どこか予感めいたものがあったかも知れない。自分が今置かれている状況、そして白い男の説明を思い返しながら、恐る恐る蓋を開いた。

92黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:06:26 ID:diy575760

「……!」

 そして、息を飲む。彼女の目の前に出現したのは、紛れも無い人殺しの為の武器だった。
 発泡スチロールの容器に包まれたベレッタM92FS。添えられているマガジンには弾薬が目いっぱい入っている。もちろん祈里にはその種類や機能など知る由もないが、“拳銃”という形状だけで彼女が衝撃を受けるには充分だった。
 祈里はしばし呆気に取られていたが、やがてその手が吸い寄せられる様に伸びてゆく。初めて味わう感触と重量。決して引き金には触れない様にしながら、映像でしか目にしたことのない武器を両手でそっと持ち上げた。
 それは優しげな風貌の少女には余りに似つかわしくない異物だった。思えばプリキュアとなって随分経つが、何度も命がけの戦いに身を置きながら、ここまで明確な凶器の形を手にしたのは初めてのことだ。

(……オモチャじゃない、よね……)

 指一本動かすだけで人を殺傷せしめる力。凶悪なイメージに対する拒否感から突拍子も無い考えが浮かぶが、流石にこの状況でその可能性は少ないだろうと思い直す。もっとも仮にこれが玩具の類であったとして、祈里の知識では見分けることなど不可能であるが。
 そうして手の内の兵器を凝視したのも束の間、祈里は早々に結論付けた。

「……いらない、よね」

 この銃はキュアパインの、山吹祈里の戦いには必要の無いものだ。この場に置いて行こうと思い、ベレッタを箱に戻して蓋を閉じた。もうその中身を目にすることはないだろう。
 そしてもう一度デイバックを覗き込むが、後には埃しか残っていなかった。彼女が受け取るべき支給品は先程の箱で最後らしい。
 机の上にある品々を見回し、祈里は小さく息を吐いた。手札の確認は全て終わり、後は行動あるのみ。怖くないと言えば嘘になるが、今まで何度もそれを乗り越えてきたのだ。きっとラブ達も同じ様にして動き始めているはずだと、祈里は信じている。
 地図だけを残し、他の持ち物は全てデイバックに戻した。しっかりとファスナーを閉めたことを確認すると、懐からリンクルンを取り出す。プリキュアになっていた方が何事にも即座に対応できるだろう。

93黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:07:24 ID:diy575760

 その直前、祈里は静かに深呼吸した。
 誰も殺し合いなんて望む筈がない。参加者の中に混じっていたノーザや赤い怪物は不安材料だが、普通の人なら解かってくれる筈。みんなで協力して、このバトルロワイアルを瓦解させるのだ。
 決意と共に、リンクルンにクローバーキーを差し込む。そして祈里はキュアパインへと──
 
「動かないで」

 ──変身、できなかった。
 冷たい声と共に、後頭部にゴツリと固い何かが押し当てられた。キーを回そうとしていた手がぴたりと止まる。

「……え?」

 何が起こったのかすぐには解からず、祈里は体ごと振り向こうとした。だが誰かの手の感触が背後から肩を抑え、頭に当たっているモノにも痛い程の力が篭もる。

「あなたの頭に銃を突き付けてるわ。妙な動きをすれば撃つ」

 聞こえてくるのは、祈里とそう齢も変わらないであろう少女の声。

(──え、えぇ!?)
 
 余りに唐突な状況だった。何者かが教室に入って来たことにも、そしてすぐ背後まで接近して来る気配にも、祈里はまったく気付くことが出来なかった。まるで今この瞬間に背後に現れたかの様だ。

94黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:08:24 ID:diy575760
 ちらりと窓に目を向けると、確かにガラスには長い髪の少女が祈里の頭に銃を押し当てる姿が映り込んでいる。ハッキリとは見えないが、彼女もまた学校の制服の様なデザインの洋服を着込んでいた。

「だ、誰!?」
「質問するのはこっちよ」

 当然の疑問は呆気なく却下された。
 先刻目にしたばかりの凶器が己に向けられていることを意識すると、さっと肝が冷え、映画やドラマで見た場面の様に自然と両手を上げてしまう。
 すると後ろから黒い長袖の手が素早く伸びてきて、持ったままだったリンクルンを奪い取られた。あっ、と思ったが祈里には何も出来ない。数秒後に響く乾いた音は、リンクルンを机の上にでも放ったのだろうか。

「まず両手を頭の後ろで組んで、跪きなさい」

 少女の声はひどく冷淡だが、あの白い男の感情の篭もらない話し方とは違い、相手の反抗を封じようとする力が宿っている。
 言われるがままにするしかなかった。プリキュアにもなっていない祈里は銃の脅威に何の抵抗も出来ず、大人しく教室の床に膝を着いた。位置的に窓ガラスで状況を確かめることも難しい。銃らしき物の感触は頭から離れたが、まさしく手も足も出ない姿勢であった。

「それでいいわ。じゃあ、あなたの名前は?」

 心なしか、頭の位置が低くなっただけで相手の声の威圧感が増した様に思える。

「や、山吹祈里……」

 こんな格好で両親に授かった名を明かすのは嫌だったが、仕方ない。名簿を確認しているのか、紙を弄る微かな音が耳に届いた。
 何か言わなければならない。少女が次に口を開くまでの数秒間、祈里は必死に思考を巡らせた。その脳裏に浮かぶのは自分に銃口を向ける者への抗議や罵声ではなく、まだ顔も知らぬ少女と仲良くなる方法ばかり。相手がラビリンスの一員である可能性など、僅かにも思い至らなかった。
 こちらに敵意が無いことを証明し、対話に武器は必要ないことを解かってもらうにはどうすれば良いのか。理想への道筋を探す時間はすぐに過ぎ去り、六十九人の名の中に“ヤマブキイノリ”を見つけたのだろう少女は、次の質問を口にした。

「あなたは魔法少女なの?」

 その内容は、祈里の思索を停止させるには充分なものだった。

95黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:09:28 ID:diy575760

「……え?」

 突拍子も無い単語に、祈里は降伏の姿勢のままキョトンと目を丸くする。アニメか何かの話だろうか。

「ま、魔法少女って……?」
「インキュベーター…… キュゥべえと契約した者のことよ。何か一つ願いを叶えて貰う代わりに、魔女と戦う運命を背負う。あなたもそうなんじゃないの」

 初めて耳にする言葉である。祈里には答えようがない。

「あ、あの、キュゥべえって何?」
「言葉を話す白い獣。知らないフリをしてるのかしら」

 少女の声に険が混じる。知らないものは知らないと言いたい状況だが、彼女が語った簡素な説明には思い当たるところがあった。喋る動物といえば、祈里のごく身近にまさしく該当者がいる。

「す、スウィーツ王国の妖精……?」

 口に出してしまってから、頭の端をちらりと後悔の念が過ぎった。スウィーツ王国からやって来たタルトやシフォンの事は、基本的にプリキュア関係者以外には秘密だ。後ろの少女の素性が判らない現状で、話してしまって良い事なのだろうか。
 だが言葉を話す獣という、常識的に考えればおとぎ話の様なことを言い出したのは相手の方だ。スウィーツ王国以外にも不思議な世界が多々存在することを知る祈里には、“キュゥべえ”とやらもそういった場所の住人であると推定するしかない。

96黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:11:19 ID:diy575760

「……は? なんですって?」
「その、喋る動物っていったら、スウィーツ王国から来た妖精さんかなって……」
「……なにそれ、ふざけてるの?」
(えぇ!?)

 しかし祈里の予想に反し、少女の声には微かな怒りさえ宿り始めた。
 確かに字面だけ見れば、スウィーツ王国などという名前は滑稽で突飛に思えるかも知れない。だが祈里には他にシフォンたちの故郷を言い表す言葉は思い付かなかった。

「真面目に答えなさい。あなたはキュゥべえと契約した魔法少女なの、それとも違うの」

 再び後頭部に冷たく固い何かが当たる。だが祈里にとって、そしてプリキュアにとって大切な友達であるタルトたちのことを疑われたまま話を進めるのは嫌だった。

「ほ、本当だよ! スウィーツ王国には妖精さんが暮らしてて、タルトっていう王子様が私たちの世界に来てるの!」

 苛立ちと呆れを含んだ溜め息が聞こえるが、祈里は構わず話し続けた。

「そ、それで、ピックルンに選ばれた女の子がプリキュアになって、ラビリンスと戦ってるの!」

 背後で息を呑む様な気配を感じたのは気のせいだろうか。頭にかかる力が少し弱まり、少女からしばらく反応が帰ってこない。
 勢いに任せてプリキュアの事まで暴露してしまったが、今度は意図的な発言だった。しかし一方的に銃を突き付けられている上、話の内容に齟齬が混じっているとなると、まともなコミュニケーションに発展させることは難しい。だから祈里は話せるだけのことを明かし、そして相手にも話して欲しかった。
 やがて今までに無かったほど長い間を置いて、少女が次の質問を向ける。

97黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:12:23 ID:diy575760

「その、プリキュアっていうのは…… 何なの」
「え、えっと…… スウィーツ王国から来た妖精のピックルンに選ばれて、変身する女の子だよ」

 何か考え事でもしているのか、また少女は十秒近く押し黙った。二人のやりとりは遠い異国で中継されている会話の様に、途切れ途切れのまま続いてゆく。

「その、ピックル……とかいう妖精と、契約するの?」
「え、契約って……?」
「何か一つ願いを叶えてもらって、その代わりにプリキュアとかいうのになるんじゃないの」
「そんなことなかったと思うけど……」
「……なら、プリキュアになった者は何をするの」
「みんなを守るために、悪い人と戦うの。四つ葉町…… わたしの町にはラビリンスっていうのが来て、いつもみんなを苦しめてるの」
「そのラビリンスは、魔女なの?」
「魔女じゃなくて、別の世界にある国だよ。最近は魔女みたいな人も出てきたけど」

 いつの間にか後頭部の異物感はまた消えている。淡々と返答を繰り返していく内に、もはや完全に開き直りの心境になった祈里は、何ら隠し事をする気はなくなっていた。
 そして同時に、銃で狙われているという危機を認識しながらも、彼女の思考は次第に平衡を取り戻していた。まさしく今語っている通りプリキュアとしてラビリンスと戦い続ける日々が、祈里に恐怖を乗り越える強さを養わせたのだ。その話し方からも緊張が失せてゆき、声だけならば、後ろの少女と対等に言葉を交わしている様にも聞こえるだろう。
 
「……それで」

 再び幾許かの間を置いてから、少女はその問いを口にした。

「あなたは、プリキュアなの?」
「うん」

 祈里は素直に肯いた。

98黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:13:24 ID:diy575760
「今も変身できるの?」
「できる、けど…… リンクルンが無いと」
「リンクルン?」
「えっと、さっきの携帯電話」
「……そのまま動かないで。銃口は外していないわ」

 背後でゴソゴソと動く気配。ややあって、頭の上に被せていた祈里の手にゆっくりとリンクルンが渡された。

「……手は下ろしていいわ、変身して見せなさい。ただし抵抗したらすぐに撃つわよ」
「うん、わかった」

 プリキュアになれれば普通の鉄砲ぐらいは何とかなる、この不平等な状態を打ち崩せる── そういう下心が浮かばなかった訳ではない。だが祈里は自らその思い付きを否定し、ただ己の素性を明かし、信じて貰うために変身するのだと即座に考え直した。

「……座ったままじゃないとダメ?」
「足を使う必要があるのかしら」
「そ、そうじゃないけど…… うん、その、怒らないでね」
「は?」

 上部にクローバーキーを差し込み回すと、リンクルンがぱかりと開く。露出したボタンにそっと人差し指を添わせ、祈里は自分をプリキュアに変える言葉を叫んだ。

「チェインジ・プリキュア! ビート・アーップ!」

 照明などより遥かに眩く清い光が、教室を黄色く染め上げた。その中で祈里の体は華やかな衣に包まれてゆき、髪は明るい金色に彩られる。胸を飾る四色のクローバーは、彼女が常に仲間たちと共にある証だ。

「イエローハートは祈りのしるし!」

 指でハートを形作り、軽やかに手拍子を打つ。そして変身した祈里は底抜けに明るく、自らの新しい名を謳い上げた。

「とれたてフレッシュ、キュアパイン!」

 スウィーツ王国に語られる伝説の戦士、プリキュアの顕現。しなやかな足を伸ばし教室に降り立ったキュアパインは、小さく一息吐くと苦笑しながら頬をかいた。

99黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:14:32 ID:diy575760
「……えっと、ごめんね? 変身したら勝手に立っちゃって……」

 振り向くことだけはせず、背後で変身の一部始終を眺めていたであろう少女に詫びる。
 返事は無かった。プリキュアの変身をどういうものと予想していたのかは判らないが、呆気に取られているのかも知れない。

「あ、あはは…… やっぱり、ちょっと派手かな……?」

 返事は無い。それどころか人の息づかいさえ聞こえない。

(……あれ?)

 暫く待ってみるが、周囲からは何の音もしない。キュアパインが恐る恐る振り向いてみると、先程までそこにいた筈の少女は影も形も無かった。

「……あれ?」

 キュアパインはたった一人、ぽかんとした表情で夜の教室の中に突っ立っていた。
 机の上に置いてあった箱が空になっていることと、デイバックの中から食料と水が消え失せていることに気付くのは、今少しの時間が必要だった。

100黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:15:45 ID:diy575760
 点々と備えられた街灯が、夜の道路をぼんやりと照らし出している。魔法少女の衣装を身に纏った暁美ほむらは、アスファルトを踏み締めながら数分前の出来事を思い返していた。
 加頭の説明を受けた後、市街地で目覚めた彼女はアテも無く足を進めていた。そこで目にしたのは、証明の消えた家屋が立ち並ぶ中、誘蛾灯の如く光を漏らす校舎。罠を警戒して慎重に校庭を横断し、窓から教室を覗き見ると、ほむらと同い年程度の少女が無警戒にデイバックを漁っていた。靴箱の並ぶ正面玄関から校内廊下に周り込み、“能力”を発動させてから教室に侵入。彼女の頭に銃を付き付けてから、再び全てを戻したのだ。
 そうして思慮の足りない少女を尋問した結果、思いも寄らない話を聞かされることになった。

「……訳が分からないわ」

 思わず、嫌いな相手と同じ台詞を口走ってしまう。
 山吹祈里の語った内容はスウィーツ王国だのプリキュアだのいう絵空事の様な事ばかりだったが、現実に目の前で変身されると一概に否定は出来ない。実際はほむらと同じ魔法少女でありながら、夢見がちな少女の他愛ない妄想を呟いている──という可能性も無くはないが、少なくとも見滝原に関わる者以外の参加者のうち、一人は“ただの人間”ではなかった訳だ。
 それを確認できた時点で、ほむらは再び時を止めて彼女の支給品を失敬し、そのまま立ち去った。変身を果たした山吹祈里が抵抗を試みた場合、全く利の無い戦いで貴重な銃弾を消費しかねない。ほむらは無駄な争いは好きではないのだ。
 収穫は、わずかな情報とベレッタが一丁。特に後者は有り難かった。ほむら自身のデイパックに入っていたディバイトランチャーなる大型の火器は、正直扱い方がよく分かっていない。来るべき日の為に様々な銃器の使用法を学んだほむらだが、現在の科学技術で造れる筈の無い奇怪な光学兵器に信頼を置く気にはなれなかった。威力に差はあるかも知れないが、携行武器としては手に馴染んだ拳銃の方が遥かにマシだ。
 しかし、とほむらは思考を戻す。今考えるべきは別の事だ。

101黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:17:11 ID:diy575760
(魔法少女でもプリキュアでも、とにかく山吹祈里は特殊な力を持っていた。なら普通の人間を連れて来たところで、生存の可能性は僅かな筈)

 名簿に載った他六十名も何らかの形で常人に在らざる力を宿している可能性が高い。魔法少女ならぬプリキュアも他にいるのだろうか。そういった面子を掻き集めての殺し合いに、果たしてどういう意味があるのか。

(インキュベーター、一体何を企んでいるの……!)

 ほむらはこの“バトルロワイアル”の裏に、キュゥべえ──インキュベーターの関与を確信していた。彼等の意思に反して全く別の勢力が見滝原に介入し、魔法少女を拉致するなどという事はそうそう有り得ない。あの感情無き異星生物が、首謀にしろ共謀にしろ、今回のゲームで糸を引いているのは明らかだ。
 では、その目的は? 魔法少女を絶望に追いやることで魔女化させ、その魂たるグリーフシードを回収するのが連中の手口だ。だとすれば箱庭の中で殺し合わせるという舞台設計も有りなのかも知れないが、それでは確実に魔法少女とは異なる男なども混ざっている点が気にかかる。或いは人間の性別を問わずエネルギーを回収出来る様になったのだろうか?
 歩きながら暫く考え、やがて「結論を出すには早い」と結論付ける。情報が圧倒的に不足していた。闇の中から真実を探る為には、さらに他の参加者から話を聞き出す必要があるだろう。
 そしてその果てに何が見えるとしても、最終的にほむらの成すべきことは唯一つだ。

「まどか…… 絶対に私が守ってみせるわ」

 その為には何を犠牲にしようと構わない。障害となるものは全て排除する。
 瞳に決意を宿し、時を越える少女は歩き続けた。

102黄色と黒のポラリティ ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:18:07 ID:diy575760
【1日目/深夜 G−8 中学校】

【山吹祈里@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康、キュアパインに変身中
[装備]:リンクルン、キュアスティック、パインフルート
[道具]:支給品一式(食料と水を除く)、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:みんなでゲームを脱出する。人間と殺し合いはしない。
1:桃園ラブ、蒼乃美希、東せつなとの合流
2:一緒に行動する仲間を集める
[備考]
※参戦時期は36話(ノーザ出現)後から45話(ラビリンス突入)前。
※「魔法少女」や「キュゥべえ」の話を聞きましたが、詳しくは理解していません。
※ほむらの名前を知りませんが、声を聞けば思い出す可能性はあります。


【G−8 中学校周辺】

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、魔法少女に変身中
[装備]:ベレッタM92FS(9mmx19・15発)、ディバイトランチャー(シューター・ガンナー)
[道具]:支給品一式(食料と水は二人分)、ランダム支給品1〜2(武器ではない)
[思考]
基本:鹿目まどかを守る。
1:鹿目まどかを発見する。
2:他の参加者から情報を集める。
3:鹿目まどかを守る目的以外の争いは避ける。
[備考]
※参戦時期は未定です。後続の書き手にお任せします。
※プリキュアに関しては話半分に聞いていますが、「特別な力を持つ存在」だとは解かりました。

103 ◆w4Pq5j/FG.:2011/10/24(月) 22:19:26 ID:diy575760
投下終了です

104名無しさん:2011/10/25(火) 17:02:16 ID:L.cG7K0I0
良牙って方向音痴自覚してたっけ?

105 ◆YlAksA5vE6:2011/10/25(火) 17:22:20 ID:vN0oQQdY0
只今より、投下を開始します

106マーダー探偵 ◆YlAksA5vE6:2011/10/25(火) 17:25:14 ID:vN0oQQdY0
 男、涼村暁は人生を遊んで過ごしていた。
 探偵事務所を営んでいるが仕事の依頼は殆どない。
 たった一人のアルバイトに給料も払えないほど苦しかった。
 それでも、多額の借金を背負って暁はギャンブルや女遊び続けた。
 ある日、そんな彼の運命を変える出来事が起こった。
 偶然にもクリスタルパワーを身体に浴び、超光戦士シャンゼリオンになったのだ。

「何でも願いが叶うねぇ…」

 思い出すのは殺し合いを宣告された場所で加頭が口にした言葉。
 優勝することができたら、どんな報酬でも渡してくれると言った。
 だったら優勝して巨万の富を貰ってやる。
 そして、生きて帰って死んだ連中の分まで豪遊する。

 暁にはシャンゼリオンに変身できる能力があるため、有利に事を進めることが可能だろう。
 もう一つ彼を有利にする要素があった。デイバックに詰め込まれた支給品だ。

「なんか役立つ物が入ってるかもしれねぇな」

 期待しながら暁はバックの中身を漁り始める。

「おお、ラッキーだぜ!!」

 最初に手にした武器はウィンチェスターライフルだった。
 あらかじめ弾は14発もセットされている。当たりの部類に入る支給品だろう。
 引き続きバックを漁る暁は一本の黒いメモリを掴む。
 それのディスプレイ部分にはSと骸骨を意匠化したスカルのマークが入っている。
 外郭は違うが、加頭が説明していたガイアメモリだ。
 説明書によれば、ロストドライバーというアイテムがなければ機能しないらしい。

「ちぇっ、これだけじゃ使い物にならねえのかよ」

 思わず暁は愚痴を漏らしてしまう。
 しかし、殺し合いを進めていく内にロストドライバーが手に入るかもしれない。
 スカルのメモリは捨てずに持っておいた方がいいだろう。

 支給品の確認を終えた暁は足を動かし始めた。
 優勝してパラダイスを楽しむために。

【1日目/深夜 G−8 中学校付近】

【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康
[装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、スカルメモリ@仮面ライダーW、ウィンチェスターライフル(14/14)
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:願いを叶えるために優勝する。
1:できればロストドライバーが欲しい。
[備考]
※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。

107 ◆YlAksA5vE6:2011/10/25(火) 17:26:30 ID:vN0oQQdY0
投下終了です。

108名無しさん:2011/10/25(火) 19:02:11 ID:OHWMyHt.O
>>104
自覚あったはず
茜を実家に呼ぶ話で「やばいオレ1人じゃ家に帰れない!」って焦ってたし
妹(偽)が現れた時は「オレの妹なんだから方向音痴に決まってる」「ウチの家族の方向音痴は尋常じゃない」みたいに言ってた

109 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/25(火) 19:43:32 ID:TY/aebUU0
>マーダー探偵 ◆YlAksA5vE6
せっかく投下していただいたところ申し訳ないのですが、スカルメモリの扱いに関して、ルールと矛盾する点がありましたので修正要求を出させていただきました
くわしくはしたらばの議論スレまで

しかし、仮にも特撮作品主人公とは思えぬ行動と発言だ

110名無しさん:2011/10/25(火) 20:17:58 ID:TY/aebUU0
>◆w4Pq5j/FG.さん
この状況でのプリキュアへの変身+名乗りは破壊力高いw
あれって省略できないのかなw
しかし、祈里が思ったよりしっかりしてる

111 ◆YlAksA5vE6:2011/10/25(火) 21:02:18 ID:vN0oQQdY0
◆OCD.CeuWFoさん(>>109
返信しました。

112名無しさん:2011/10/25(火) 21:03:24 ID:ZQA9uspI0
投下乙です

プリキュアの人は名乗りを上げなくても変身しようと思ったらできるんだが…
それでもしちゃうのが正統派子供アニメのお約束w
ほむほむには少し、いやかなりきつかったなw

涼村暁はなあ、特撮作品主人公だけど…な奴なんだよなあ。それでも保留にすると思ったら乗っちゃったのかよ
ロワに乗った発言してるが実際に人を殺すシーンになったら本気で殺せるかなあ。基本的にちゃらい三枚目だし

113名無しさん:2011/10/25(火) 21:21:30 ID:sfJbehQE0
>>104
自覚はあるけど、かなり重度だっていうことは自覚してない感じ
SSみたいに「一本道だから俺にもわかる」と言って結局全然違うところに行く

114 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:01:55 ID:Yq.ArHyU0
結城丈二、投下致します。

115戦士の条件 ―魂― ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:03:00 ID:Yq.ArHyU0

(加頭か……あの男、一体何者なんだ?)


場所は警察署の一室。
『未確認生命体対策本部』に割り振られたその部屋で、結城丈二は現状を冷静に分析していた。
彼がこの殺し合いに招かれたのは、四国における再生デストロン軍団との決戦中。
V3の加勢に向かおうとした最中だった。


(先輩達に沖、村雨もここにはいるようだが……やはり、バダンが絡んでいるのか?)


ここで結城が真っ先に考えたのは、この殺し合いはバダンの仕業ではないかということだ。
そう考えた理由は、ずばり自分達……仮面ライダーにある。
迫り来るバダンの魔の手を払うべく、ライダー達は全員、日本の各地に飛んでいたのだ。
しかしそれが今、何人かの例外こそあるとはいえ、こうして一ヶ所にいきなり集められたのだ。
到底人間業とは思えない所業である……しかし、バダンにはそれができる。
遠く離れた空間と空間とを繋げる、転移魔法陣の力がある。
この不可思議な拉致も、あれを使われたならば納得がいく話だ。


(だが……それなら、どうして三影までここにいるんだ?)


しかし、バダンの仕業と考えるには、どうしても腑に落ちない要素が一つだけある。
それは、参加者の中に三影がいることだ。
バダンの人間、それも屈指の実力者である幹部をこんな場に参加させるなど、ありえるだろうか?


(加頭が何者か、まずは情報を集める必要がある。
 もっとも、この会場に奴を知る者がいてくれたらの話にはなるが……)


その疑問をはっきりさせ、更には殺し合いをさせる目的を探る。
それには、加頭が何者かを知る事が必要不可欠だ。


(それと……これもなんとかしないといけないな)


続いて、結城は己の首に装着されている爆弾を指で擦った。
加頭に戦いを挑むにも、この首輪をつけられたままでは流石にどうしようもない。
何らかの方法で解除しなければ、抵抗したところで爆破されて終いなのだ。
無論、それは主催者達も重々承知している筈。
簡単には出来ぬ様、対策を立てているだろう。

116戦士の条件 ―魂― ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:04:02 ID:Yq.ArHyU0
しかし……逆に言えば。
それさえどうにかできれば、結城には首輪を解除できる手だてがあるのだ。



――――――ガシィッ!!



次の瞬間、結城は口元に微笑を浮かばせると同時に、その両の拳を勢いよく叩き合わせた。
そして、その動作をスイッチとして頭上に出現したヘルメットを、勢いよく装着し……彼は変身を遂げる。


「ムンッ!!」


もう一つの姿……仮面ライダー4号、ライダーマンへと。


「オペレーションアーム!」


続けて、彼は右腕のカセットアームに一本のアタッチメントを挿し込み、その形状を変化させる。
複数のマニュピレーターを展開する、精密作業用の義手……オペレーションアームだ。
これにはかつて、応急処置レベルとはいえど、ベルトを粉砕され重傷を負った風見の治療にも成功した実績がある。
首輪解除という観点からすれば、まさしく最適な装備なのだ。


(……成る程……一応、繋ぎ目らしきものがあるにはあるか。
 恐らく、無理矢理こじ開けようとすれば爆発するタイプだな……)


展開したアームのマニュピレーターで首輪全体を隈無く触り、その感触を確かめてみる。
そこから分かったことは、首輪の後ろに繋ぎ目らしきものがあること。
ここから無理矢理にこじ開けることも出来なくはないだろうが、やれば間違いなくその瞬間に爆発するだろう。


(一時的にでもいいから首輪の機能をマヒさせられれば、その瞬間を狙っての解体は可能か?
 なら、こいつの構造……動力が分かれば、或いは……)


ならば、爆発させずに解体するにはどうすればいいか。
結城は思考をフルに稼働させ、あらゆる可能性を頭の中でシミュレートし……

117戦士の条件 ―魂― ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:04:47 ID:Yq.ArHyU0

(……いや……待てよ?)


突然、それを停止させた。
否……停止させざるを得なかったと言うべきだろうか。
彼は、ある事に気づいてしまったからだ。


(そうだ……そもそも、こうして手を講じられる時点でおかしい。
 加頭は、どうしてこいつを没収しなかった?)


何故、加頭達はこのオペレーションアームを没収しなかったのかと。
まさか、これを自分に持たせる危険性が分からない筈はない。
ならば油断か、或いは余裕か。
どちらにせよ、言えることは一つ……加頭は、結城がこうして動く事を承知の上で、オペレーションアームを敢えて支給したのだ。


(まずいな……だとしたら、迂闊には解体を試みられないぞ)


これは十中八九、加頭の仕掛けた罠だ。
恐らくこの首輪は、オペレーションアーム『では』解体が出来ない。
もしくは、オペレーションアーム『だけでは』解体が出来ないに違いない。
それに気付かず動いていたら、確実に首を吹き飛ばされていただろう。
やるならばもっと、何か特殊な器具が条件かが必要となってくる筈だ。


(……そうだ。
 首輪と言えばあの時、加頭は妙な事を口にしていたな……)



――――――NEVERであろうと、砂漠の使徒であろうと、テッカマンであろうと。



――――――もちろん外道衆の方々も同様ですし、ソウルジェムにも同様の爆弾が取り付けられています。



加頭が、首輪についての説明をした時。
彼の口からは、聞きなれぬ幾らかの単語が飛び出してきた。

118戦士の条件 ―魂― ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:05:33 ID:Yq.ArHyU0
NEVER、砂漠の使徒、テッカマン、外道衆。

これら四つは、自分達が仮面ライダーを名乗るのと同様に、何らかの部隊名・称号として考える事が出来る。


ソウルジェム。

加頭の発言からすると、恐らくこれは、装着している者にとって爆破されれば致命傷になるという何か。
恐らくは、仮面ライダー達にとっての心臓部―――ベルトに相当するものだろう。


ここまではいい。
別段怪しいと思える点もない以上、然程気に止めなくてもいいだろう。

しかし……問題は次の発言だ。



――――――加えて申し上げますと、時間を止めている間に取り外すことも不可能です。時間操作の影響を受けずに作動するよう出来ていますから



(時を止めるだと……?)
 

加頭は、参加者の中に「時間を止められる」者がいるという旨の発言をしたのだ。
確かに結城も、これまでの戦いにおいて多くの怪異を目にしてきた。
中には、全人類の脳内に破滅のビジョンを送り込む超能力や、四国を月面に丸ごと幽閉する暗雲という、想像を絶する現象も少なくはなかった。
しかし……そんなものと比較しても尚、時間の操作はあり得ない力だ。
それはもはや、奇跡の領域に踏み込んでいる。


(しかしあの状況では、奴がホラを吹く理由もない。
 ならば、それが出来る者がこの参加者の中にいる……そう考える他ないのか)


結城は、自身の額より冷や汗が滲み出てくるのをしかと感じていた。
大首領ですらも不可能な業を可能とする者がこの殺し合いに参加しているなど、ゾッとする話だ。
そして……まだ見ぬ脅威は、それだけではない。
あの加頭が用いていたガイアメモリという道具や、先程推察したソウルジェムという装置。
他にも、人知が及ばぬ力がここには数多く存在するだろう。
それを前にして、果たして体一つでどこまで戦えるだろうか。

119戦士の条件 ―魂― ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:06:52 ID:Yq.ArHyU0
(それでも……とことんまで、やってみせるさ)


しかし結城に、闘う事への恐れはない。
目の前の脅威に目を背ける事を、彼は絶対にしない。


(この体がある限り……な)


他のライダー達と比較した場合、結城丈二―――ライダーマンの戦闘能力は、決して強いとは言えない。

それは彼が唯一、改造人間ではない生身の人間であるからだ。

如何に強化服で身体能力を高めているとはいえ、どうしても生粋の改造人間とは埋められない差がある。

それにも関わらず、彼は他のライダー達と共に肩を並べて闘う事が出来ている。

仮面ライダーの称号を名乗る事が出来ている。


それは何故か?


優れた知恵と武器を用いる事で、弱点をカバーしているからか?

確かに、それも彼の強みだろう。


しかし……何よりも、彼を強くしているものがある。


彼を、仮面ライダーたらしめているものがある。


(私も……仮面ライダー4号だ)
 

それは『魂』に他ならない。
一見冷静に見えるが、いつでも命を投げ出す覚悟がある。
改造人間であろうがなかろうが、助けを求める者があれば迷わず戦う事が出来る。


(加頭……お前の思い通りにはさせんぞ)


人知を超えた力を持つ者、人在らざる異形。
そんな者達が犇めくこの会場内においても尚、敢えて人の身で立ち向かう。


その意志の強さこそが……結城丈二の強さなのだ。

120戦士の条件 ―魂― ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:09:03 ID:Yq.ArHyU0
【1日目/深夜 F−9 警察署】

【結城丈二@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康、ライダーマンに変身中
[装備]:ライダーマンヘルメット、カセットアーム
[道具]:支給品一式、カセットアーム用アタッチメント六本(パワーアーム、マシンガンアーム、ロープアーム、オペレーションアーム、ドリルアーム、ネットアーム)
[思考]
基本:この殺し合いを止め、加頭を倒す。
1:殺し合いに乗っていない者を保護する
2:本郷、一文字、沖、村雨と合流する
3:加頭についての情報を集める
4:首輪を解除する手掛かりを探す
5:三影は見つけ次第倒す。
[備考]
※参戦時期は12巻〜13巻の間、風見の救援に高地へ向かっている最中になります。
※この殺し合いには、バダンが絡んでいる可能性もあると見ています。
※加頭の発言から、この会場には「時間を止める能力者」をはじめとする、人知を超えた能力の持ち主が複数人いると考えています。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマン、外道衆は、何らかの称号・部隊名だと推測しています。
※ソウルジェムは、ライダーでいうベルトの様なものではないかと推測しています。
※首輪を解除するには、オペレーションアームだけでは不十分と判断しています。
 何か他の道具か、または条件かを揃える事で、解体が可能になると考えています。
※カセットアームの全アタッチメントが支給されている代わりに、ランダム支給品は持っていません。
 また、硬化ムース弾は没収されています。

121 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/26(水) 00:09:40 ID:Yq.ArHyU0
以上、投下終了となります。

122名無しさん:2011/10/26(水) 12:49:59 ID:0ldpXlpg0
投下乙です

さすが仮面ライダーの一人、どこぞの探偵とは大違いだぜw
機械への知識といい、未知の単語からの考察といい頼りになるぜ

123名無しさん:2011/10/26(水) 14:07:10 ID:YxnuUm060
乙です。
確かに、10人ライダーは勿論クウガやW達と比べても、ライダーマンはそこまで強くないんだよな。
そう考えると、他のライダー達とそれでも互角に数えられてるのは寧ろスゴすぎる。
生身でも構わず戦おうって精神力が成せる業か……

そして考察をしっかり進めているあたりは、流石頭脳派ライダー。
対主宰のブレインとして期待したいところ

124 ◆amQF0quq.k:2011/10/26(水) 23:58:11 ID:IZjBlHas0
ギリギリになりましたが投下します

125四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:01:20 ID:WM8YJsU20
殺し合いが始まる

4人の孤独な者たちの殺し合いが始まる

運命を愉しむ者の
運命を受け入れた者の
運命を自業自得と見なした者の
運命に抗う者の

4つの孤独な物語が交錯する

殺し合いが始まるのだ


    *


光1つ射さない深い夜の闇の中、男が1人立っていた。
人の手が入ったことも無いような深い森の中、男が1人立っていた。
寒空の中話す人も無く、拠る温もりも無く、置き去りにされた1人の男。
あまりに孤独を強調された境遇。

しかし男は傲然と立っていた。
微塵の揺るぎも無く立っていた。
見るからに頑強そうな肉体を、前時代的な軍服で包み
射抜くような強い眼光。巌のごとく結ばれた口元。
男には自分の境遇に対する不安も恐怖も一切伺えない。
むしろ男からは周囲の全て、自らの状況ごと圧するような威風を湛えていた。

では何が男の足を止めているのか?
それは男の抱くある疑問が、その足を止めたいた。

(…………何故俺は生きている?)

男の名はゴ・ガドル・バ。
グロンギの中でもンに次ぐ高位のゴ集団、その中でも最強の戦士。
ガドルが行ったゲゲルのルールは『戦うリント(男性警察官)を金の力を用いて殺害する』
ゴ集団の行うゲリザギバスゲゲルはズやメのゲゲルより条件が厳しい。ガドルのものは中でも破格の難易度と言えよう。
それでもガドルにとっては児戯に等しいほど容易い条件。
事実、約10分ほどの時間で西多摩警察署の男性警察官100人以上を皆殺しにして見せる。
奇襲を仕掛けてきたクウガをすら圧倒的な戦力を示して軽々と退けた。
最早ガドルのゲリザギバスゲゲルを阻める物は何も無いかに思えた。
しかしラ・ドルド・グのバグンダダが破壊されたことによりゲリザギバスゲゲルは中止される。
ガドルはゲゲルを台無しにした責めを負わせるためドルドと戦いになるが
その最中に突如警察から襲撃され、神経断裂弾を数発撃ち込まれる。
更にクウガからも急襲を受けてそのまま交戦。
連戦の疲労とダメージの末、ついにクウガのアメイジングマイティキックを鳩尾に喰らう。
一撃に75トンの加重が掛かるアメイジングマイティキックを、自らの電撃キックとのカウンターで受けたそれは
150トン近い威力にまで達した。
それでもキックの衝撃自体は、到底ガドルを絶命し得る物ではない。すぐに立ち上がることができた。
問題となったのはその際に打ち込まれた封印エネルギー。
グロンギの体内に潜入すれば、内部からの破壊を促す死への証印。
鳩尾に受けたそれは、ガドルが抵抗する間も無くゲドルードへ至り
ガドルの持つ膨大なエネルギーが自らを内部から破壊する凶器と化す。
自分の身体がどうしようもなく崩壊していく感覚。
ガドルは死を覚悟する。
破壊のカリスマの敗北を。

――――しかしその時は来なかった。

126四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:02:47 ID:WM8YJsU20
ガドルが次の瞬間に居たのは、得体の知れない闇の中。
加頭が殺し合いの開始を告げた空間だった。
破壊を待つのみだったガドルの肉体も、まるで何事も無かったかのように五体満足な状態。
自分の置かれた状況に整理がつかぬまま加頭による殺し合いの説明は終わり
今度は現在の場所、深い森の中に瞬間的に送られた。

その蛮性や、極度に戦闘と殺戮へ傾倒する文化から、グロンギという種族は知的な能力が低いと見られがちである。
しかし実際のグロンギは極めて高い知能を有している。
それはグロンギが現代に蘇ってから僅か数ヶ月の間に、ほぼ全員が日本語を習得したことから見ても明らかである。
しかも長い期間、日本社会に潜伏しながら言語を習得しゲゲルまで進行させていったのだ。
特にゴ集団の知能は高く、ゴ・ジャーザ・ギなどはインターネット上で殺人予告を行えるほどであった。
これは極めて高い水準で日本の文化に精通していなければ行えない所業である。
ゴ集団で最も格の高いガドルも当然知能において優れている。
現代の人間社会における常識や科学技術水準なども把握していた。
それだけ高度な知識や知能を有するガドルでさえ、完全に理解を超えた事態。
混乱するのも無理は無い。

しかし、程なくしてガドルこの不条理な事態について思い悩むのを止めた。
事態が不条理であるがゆえに。
どう思案しても理解を超えた事態なら、思案そのものに意味が無い。
そして理解したところで状況は何も変わらないのだ。
理由はどうあれ五体満足でこの地に存在する。
同時にグロンギのものならぬ殺し合いの中に。

グロンギたる自分に、リントの殺し合いに参加する由縁は無い。
それ以前にゲゲルの対象にないリントを殺すことは、グロンギの戒律により禁止されている。
これはグロンギが節度の高い民族だから、ではない。事情は逆。
グロンギという種族は地球上に存在した、いかなる生物種も比較にならないほど
暴力性が、攻撃性が、残虐性が、殺戮衝動が、破壊衝動が高いためである。
そのため無軌道な殺戮を許してしまえば、他のあらゆる種を根絶やしにし、自分たちも殺し合いの果てに自滅しかねない。
生物として破綻していると言えるほどの異常な戦闘種族たるグロンギ。
だからこそ厳格な規律で同胞を縛っているのだ。
しかし例外はある。例えば正当防衛が成立している場合などがそうだ。
仮にゲゲルの開始前に警察やクウガに襲撃されて、それを返り討ちにしたとしても罰を与えられるようなことは無い。
ならば現在のこの状況も正当防衛が成立しているのでは無いか?
何しろ殺さなければ殺されるのだ。
大体今のガドルを他のグロンギが監視しているとも思えない。
殺し合いの参加者か主催者側にラの誰かが居たら笑い草だが、ならばそれこそ正当防衛の証人となる。
そもそもこの場を生きて切り抜けなければ話にもならない。

(ならば……せいぜい楽しむとしよう)

加頭が殺し合いの開始を告げた空間には、多くの者たちが集められていた。
当然、それらは殺し合いの参加者であろう。
その中には佇まいから歴戦の経験を持つと察することができる者が
その内に力を秘めていると察することができる者が
優れた戦士が何人も見受けられた。
そしてガドルには覚えのある殺気も。
グロンギの中でもダグバに次いで高い戦力を有し、幾多の戦いやゲゲルを潜り抜けてきたガドルは
他のグロンギのように、ただ雑魚を殺戮するだけでは満足することはできない。
強者と戦ってそれに打ち勝ち、より己の強きに高みを望む。
ある意味グロンギとしては異端の思想をガドルは持っている。
この殺し合いの中なら望むままに兵と戦えるだろう。
最も殺し合いの終了条件は自分以外の皆殺しである以上、選り好みはできない。
どれほどの弱者であろうと赤子であろうと、この場に居る以上は全て参加者に違いは無いだろうから
手当たり次第に殺していかざるを得ないだろう。
それはそれで構わない。
強きを好むガドルであってもグロンギであることに変わりは無い。殺戮の喜びも当然知っている。
ゲゲルで殺した男性警察官ですら、ガドルにとっては赤子同然の弱者揃いだったのだ。
今さら誰をどれだけ殺すことになっても、殺し合いに怖じる理由は無い。
期待を以って殺戮に臨むこととしよう。

(とりあえず支給品を調べるか)

どれほど不意を衝かれても加頭の説明を聞き逃したり、足下に存在するデイバックを見落とすほど
ガドルは迂闊ではない。
拾い上げたデイバックを開け、中身を検分。

127四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:03:41 ID:WM8YJsU20
しかし生命力の富むグロンギは、たった3日の戦いに水と食料をほとんど必要としないし
古代に生まれ育ったがゆえに夜目の利くグロンギには照明器具も必要としない。
つくづくグロンギは日用品の必要性が希薄なのだと、どうでもいいことを改めて自覚する。
だが情報となれば話は別。
名簿を読む。そこには『ン・ダグバ・ゼバ』の名前が在った。

やはり加頭の説明の場で感じ取った、覚えのある殺気に間違いは無かった。
グロンギにおいてただ1人最高位の『ン』に属する、即ちグロンギの頂点に立つ存在。
無論、強さにおいても頂点に立つ。
ガドルにとってザギバスゲゲルでダグバと戦う、いや殺すことが目標である。
そして今となってはザギバスゲゲルに拘るつもりも無い。
いかなる状況であろうとダグバとの殺し合いは望むところ。
問題となるのは――――

(ゴのままでダグバと戦う、ということか)

グロンギはゲゲルを成功させるごとに、その所属階級を上げていく。
そして、それに伴い能力も上がっていく。
ズの者がゲゲルを成功させればメに昇格し、それに相応しい能力も身に付けていく。
ガドルも本来ならゲリザギバスゲゲルを成功させンに昇格し、その後にダグバとザギバスゲゲルを行う予定だった。
ダグバとも同じンとして対峙できる形。そうなれば金の力を得たガドルには充分な勝算があった。
しかし殺し合いの中で遭遇戦となれば、ガドルはゴのままダグバに挑まなくてはならない。
ゴとンの戦力差は歴然。そうなれば勝算は極めて低いだろう。
加頭の支給した物になど当然期待できない。ダグバの力は強力な武器があれば何とかなるという次元には無いのだ。
強者との戦いを望むガドルとて無謀な戦いを望んでいるわけではない。
それでも避けることはできない。

(ゴのままでンを倒す……それも面白い)

どうせ避けられないならば覚悟を決めて進むだけだ。
この殺し合いの中なら戦士との戦いには事欠かないであろう。
まだ見ぬ強者との戦いの中で己の力を、技量をより研鑽してンに届く域まで高める。
ダグバに下らない小細工は通用しない。ゆえにこれしか方法はあるまい。
あるいはその前にダグバと戦うことになるかもしれないが、そんな心配をしていても始まらない。
手札をいかに使うかも強さの1つ。それもまた戦いによって高めるまで。

それでも一応、加頭の支給品は最後まで確かめるべきだろう。
直接的な戦力はほとんど期待できなくても、間接的に戦闘に役立つ物があるかもしれないし
索敵や移動に使える物物が入っているかもしれない。
そう考えデイバックの中を探っている最中に、それを聞き取る。

(戦いだ……遠くは無い)

並のグロンギでは感じ取れなかったであろう。
微かに風に乗った鉄火の音。
火花を散らすような気配。
ガドルが見逃すはずも無い。
荷物を纏めてガドルは駆け出す。
闘争の予感がする方へ。


    *


光1つ射さない深い夜の闇の中、女が2人対峙していた。

128四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:04:49 ID:WM8YJsU20
その身に魔法の力を秘めた、まだ幼さの残る少女が2人。互いに10メートルほどの間合いを保ち対峙している。

まだ10歳ほどの少女が、長く伸びた金髪を2つに結んで風に遊ばせている。
森を湛える夜の闇に、なお映える金色。
しかし少女は、そんな自分の放つ艶に何の自負も示さず
ただ深い憂いを帯びた瞳を対峙する相手に向けている。
その奥に、たしかな殺意を秘めて。

少女の名はフェイト・テスタロッサ。
時空管理局のランクにしてAAAクラスに分類される魔導師。
フェイトは自分の衣服をフィールドタイプの防御魔法で再構築した物で纏っている。
ミッドチルダ式を操る魔導師が使う魔法、バリアジャケット。

『Scythe Form』

そしてフェイトが持つ光の刃を鎌のように展開した杖は、閃光の戦斧の二つ名を持つインテリジェントデバイス『バルディッシュ』。
黒いバリアジャケットを纏い黒いデバイスから魔力刃を伸ばして構えるフェイトの様は、さながら創作に出て来る死神。
実際、対峙する相手にとっては死神と同義の存在と言えよう。
フェイトは退治する相手を、そして殺し合いに参加する自分以外の全ての者を殺すつもりなのだから。

穏やかな性格のフェイトは、本来人を傷付けることを嫌う。
しかしそれ以上にフェイトには為さねばならないことがあった。
それは母、プレシア・テスタロッサの望みを叶えること。
プレシアはジュエルシードと呼ばれる指定遺失物(ロストロギア)を集めている。
理由は知らない。プレシアは何もフェイトに説明ない。
回収作業は全てフェイト任せ。
回収が遅れれば鞭で打ちつける。
どれほどの献身をしても慰労の言葉の1つも掛けてくれない。
それがフェイトの母である。
そしてなお、フェイトは母のために殺し合いに乗ることを厭わない。
どれほどの死地を潜り抜け、どれほどの屍を超えても
母の笑顔を見たいのだ。
そのためには一刻も早く殺し合いに勝ち残らなければならない。
さらに加頭優勝すれば望む報酬を与えるとも言っていた。
もしそれが真実ならジュエルシードを一挙に揃えることも可能だ。
いずれにしろフェイトに殺し合いを躊躇する理由は無い。

「……ごめんね」

許しを乞うても仕方が無い。許されるはずも無い。
分かっていながら、思わず口をついてしまう。

「はあ? 謝るようなことなら、最初からしてんじゃねえよ」

フェイトの消え入りそうな声に、対峙する少女が耳聡く口を挟む。
赤い長髪を後で結んだ、年齢にしてまだ10代前半くらいの少女は
どこからともなく現出させた長槍を持っている。
感じ取れる魔力や、フェイトと出会って瞬時に己の衣装を変化させた様子から
かなり熟達した魔導師であると伺えた。
だが、それにしては違和感がある。
少女は衣装を変える際に魔法陣も見せなかった。どうやら長槍もデバイスでは無いらしい。
ミッドチルダ式以外の魔法体系を使うのだろうか?
しかし、いずれにしろフェイトには関係ないこと。
敵が何者であろうと、どんな魔法を行使しようとただ倒すのみ。

129四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:05:57 ID:WM8YJsU20
フェイトは無詠唱で眼前に魔力で形成された発射体、フォトンスフィアを顕現させる。
そして放つ。真っ向から相手を射抜く魔法を。

『Photon Lancer』

直射型射撃魔法、フォトンランサー。
フェイトは電気への魔力変換資質を有する。
時空管理局のランクにしてA+の弾速を持って、電気を帯びた魔力弾を発射。
驚くべきはこれほどの水準の射撃魔法を、バルディッシュをサイズフォームにして放てたこと。
そう。デバイスが明らかに近接戦用の状態にしていれば、それだけで魔法を知る者にとってはフェイントとなる。
少女も不意を衝かれた様子で目を見開いている。
自らの横を通り過ぎていったフォトンランサーへ向けて。

(……避けられた!)

フェイトの誤算は少女が魔法を知っていながら、デバイスの状態がフェイントにならなかったこと。
少女――佐倉杏子はフェイトの知るいかなる体系とも異なる魔法を使う魔導師
否、魔法少女であった。

「ご丁寧なあいさつをしてくれたんだ……お礼をしなきゃね!」

杏子は自分の身長より長い槍を構えたまま、その重量を感じさせぬ速さでフェイトへと駆け寄る。
そして足を止めぬまま長槍を一閃。
凡夫ならば反応もできぬ速さ。
しかしそれはフェイトの振るう魔力刃に阻まれた。
魔力で構成された刃と刃が火花を散らす。
しかし杏子の攻撃はそこで終息を見ない。
長槍を軽々と振り回し別角度から斬り付ける
それは確実にフェイトを斬り裂く一閃。
フェイトが先ほどまでと同じ場所に居ればの話だが。
まるで地の上を滑るように風を切る音のみを立てて、フェイトは一瞬で杏子の背後に回った。
優秀な空戦魔導師であるフェイトの最大の長所はスピード。その機動力を活かした高速接近戦はフェイトの本領と言える。
今度はフェイトの鎌が杏子に襲い掛かる。
しかしそれも杏子が背後に伸ばした槍の柄で防がれた。
フェイトの高速機動は未だ止まらない。
文字通り目にも止まらぬ速さで、身体ごと杏子の側面に回り込んでのバルディッシュの一撃は
杏子の頭上を通り過ぎる。
外したのではない、またも杏子が避けたのだ。

ベテランとまで呼ばれる魔法少女である杏子は、人類に絶望と災厄を振りまく魔女と長年戦ってきた。
その戦いをほとんど槍1本で潜り抜けてきた杏子は、並ならぬ接近戦の経験を積んでいる。
その経験によって、杏子にはフェイトのスピードにすら対応し得る勘が培われていた。

次に振るわれたのは杏子の槍。
フェイトは後の滑るように飛んで回避する。
そして杏子も地を蹴って後を追う。
休む間も無く鉄火を鳴らす鎌と槍。

(こいつ速え!)
(この人、強い!)

互いに相手の力量に感嘆しながら、それを表に出さず鎬を削る。
接近戦ならほぼ互角。
そう判断したフェイトは空中へ飛び上がろうと地を蹴る。
その足に金属の感触が絡みついた。

「……!?」
「距離を離して、またあの魔法を使おうって腹だろ? 見え透いてんだよ」

杏子の槍は柄の部分が分割して自在に伸縮する多節混となっている。
分割した槍が飛行するフェイトの足に巻き付いていたのだ。
フェイトを捕えたまま杏子は分割した槍を振った。
少女の細腕とは思えぬ力で、フェイトの身体ごと引かれ地面に叩きつけられる。
バリアジャケットでも完全に殺し切れない衝撃がフェイト自身に伝わる。
さらに横へ振り払われる。フェイトも樹へ叩き付けられた。
足を取られている。
文字にすれば単純だが、実際の戦闘でそうなれば攻めることも守ることもままならないかなり厄介な状況だ。
それを打破すべくフェイトは魔力を行使する。
自らの資質にある電気に変換して。
フェイトの周囲に雷が発生。
幾つもの雷光が乱れ飛び、その内の1つがフェイトに巻き付く多節混に命中。
雷は電撃となって多節混を流れ、フェイトへも杏子へも平等に、そして容赦なく撃ちつける。
不意の電撃に杏子は堪らず槍を離し、フェイトは緩んだ多節混から足を外すことができた。
それでも振り回された勢いが納まるわけではなく、地面を力なく転がる。
バリアジャケットは電撃にも効果が在るとは言え、やはり完全に威力を殺しきれるわけでは無い。

130四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:06:55 ID:WM8YJsU20
数瞬の間の後、ようやくダメージが抜け切り立ち上がる。
ほぼ同時に杏子の槍の突端が襲来するのが見えた。
反射的にバルディッシュの魔力刃で受ける。
そのまま鍔競り合いの形に。
しかし押し合いは徐々に杏子の有利に傾いていく。
単純な膂力では杏子に軍配が上がるようだ。
受け流すか? 魔法を使うか?
刃で競り合いながら、フェイトは脳内で必死に打開策を探る。
そんなフェイトの思考に割り込むように声が掛かる。

「……あんたさ、あたしと組まないか?」

あまりにも意外な共闘の申し入れ。
何しろ申し入れてきたきたのは、今戦っている張本人である杏子なのだ。
困惑するフェイトにお構い無しで杏子は言葉を続ける。

「あんた、殺し合いに乗ってるんだろ? しかもそこそこ腕も立つみたいだ。
だったらさ、あたしと闘うより組んだ方が効率良いだろ」
「…………でも、あなたも殺さないといけないから」
「だからそれはお互い後回しにした方が良いだろ」
「どういう意味?」
「飲み込み悪ぃな。あたしも殺し合いに乗ってるってことだよ」

杏子は魔女と戦う魔法少女である。
しかし人々を守る志があってそうしているわけでは無い。
かつての杏子はそんな志を持って魔女と戦っていた。
しかし自分の願いが父を苦しめ、家族を心中に追いやった時から
杏子は自分のためにのみ魔法を使うと決めた。
そして力付くで金品を奪い
人々が殺されると知っていても使い魔を放置し
他の魔法少女に使い魔が狩られそうになると暴力で妨害する。
どれだけ他者を犠牲にしてもそれは弱肉強食であり、犠牲になった者の自業自得である。
それが杏子の持つ世界観。
そしてそれは殺し合いの場でも変わらない。
どんな理不尽な殺し合いでも巻き込まれてしまえばそれは自業自得であり
そして誰を犠牲にすることも厭わないのだ。

未だに鎬を削り合っている鎌と槍を挟んで、フェイトと杏子の視線が交差する。
杏子の理屈がフェイトにもようやく把握出来てきた。
殺し合いに乗った者なら、相手を殺すより放置して殺して回らせた方が
その分、自分だけで殺すより手間が省ける。
さらに手を組んで共に行動すれば、それだけ安全に行動することもできる。
もっとも、そこまで相手を信頼できるかどうかはまた別の問題だが。
それにいずれは殺し合うことに変わりは無い。

膠着状態の中、フェイトは杏子の提案にどう返すべきか思案する。
どれくらいの時間が経っただろうか。

131四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:10:02 ID:WM8YJsU20
やがて返答の言葉が発せられた。

「それより私とも組んで一緒に殺し合いを脱出する、と言うのはどうでしょう?」

意表を衝く返答に杏子は驚きを隠せない。
フェイトも同様に意表を衝かれたらしく驚きを隠せていない。
返答の内容に、では無い。
返答をしたのが、突然その場に現れた男だったからだ。

スーツ姿に帽子を被った、年齢にして40代くらいの男。
男はいつの間にかフェイトと杏子の近くに立っており
まるで最初からその場にいたかのごとく、事も無げに返答をした。

フェイトと杏子は弾けるようにして、互いに間合いを開き
そして男に向けて構えを取る。
先ほどまで白熱してしていた空気が、一挙に凍りついたかのような別種の緊張感。
しかし男はあからさまに警戒する2人を前にしても悠然とした様子で佇んでいる。

「てめえ、何もんだ!?」
「ですから殺し合いを良しとしない者、ですよ。名前をお聞きになりたいのなら、そちらから名乗っていただかないとね」
「……てめえが馬鹿だってことはわかったよ」
「ほう? そう判断する根拠を聞かせて貰えますかねぇ」
「加頭とかいう奴の話を聞いて無えのか!? あたしたちの首……」
「そう、この首輪を外せば良いという訳ですよ」

杏子とフェイトにさらに別種の動揺が走る。
首輪を外すと言う発想は2人には無かった物だからである。

「ふん! 外せるもんなら、何であんたはまだ首輪を巻いてるのさ?」
「確かに今はまだ外すことができません。しかし私には首輪を調査して解析できるだけの知識があります。
何しろ私は……これの技術開発を担っていた人間ですからね」

そう言って男が取り出したものを見て、杏子とフェイトは目を見開く。
銀色に輝くそれは加頭が殺し合いの説明をした際に紹介していたガイアメモリだった。

「私の本業はあくまで医師であり、そしてこのガイアメモリも肉体の変容を主な機能としています。
しかしご覧の通り、ガイアメモリも機械であることには変わりありません。
その技術開発を行えるのだから、当然私は相応の機械工学の知識と技術を有しています」

杏子とフェイトはどこか訝し気な様子で男の話に聞き入る。
しかし男の話に嘘は無い。今の所は。
男――井坂深紅朗は風都でガイアメモリの研究と開発を行っている。

「あたしには確かめようも無え話だな」
「確かめることは可能ですよ。園咲冴子。左翔太郎。照井竜。これらはいずれも名簿にある名前であり、私の知人と同じ名前でもあります。
皆、同一人物と見て間違いないでしょう。その3人のいずれかに確認していただければ良い」
「そいつらと口裏を合わせりゃ済む話だろうが」
「そこまで気付くのなら、その蓋然性が低いことも気付いているのでは無いですか? あなたも疑り深い人だ。
いや……他人を信用できない人と言うべきか」
「……知った風な口を利いてんじゃねえ。殺すぞ」

返答する杏子は、固持するように井坂を睨みつける。
黙って話を聞いていたフェイトも同様に井坂への警戒の構えを取ったままだ。
そんな2人を前にしてなお、井坂は鷹揚な態度を崩さない。
杏子もフェイトも井坂の話が論理的に疑わしいと考えているわけではない。
ただ井坂自身にどこか不安を感じ取っているため、警戒の念が解けないのだ。
不快感ではない。単純な不快感なら2人はこれほど警戒しない。
2人が嗅ぎ取っているのはもっと得体の知れない雰囲気。

132四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:12:40 ID:WM8YJsU20
そして杏子は、それ以上に井坂への叛意を抱く。
まるで自分の思考を、心理を見透かしているような井坂の態度が気に入らない。

「殺し合いはあなたの本意では無いはずです」
「ふん、医者の癖に弱肉強食も知らねえのかよ? こんな状況になったら弱い奴は殺されて当然じゃねえか」
「あなたがその弱者にならない保障は無いのですよ?」
「……生憎だったな、あたしは食う側の生き物なんだよ」
「いかに人にあらざる者の不死性を持つとは言え、自分の力を過信するのは歓心しませんね。
あなたと言えど……ソウルジェムに手を掛けられては無事で済まないのですから」
「!! ……てめえ、何でそれを!」

杏子が驚愕するのも無理は無い。
元来、杏子が魔法少女であることを知る者は少なかった。
まして殺し合いの参加者の中には僅かしか居ない。
殺し合いが開始しての僅かな時間でその情報が広まったとも思えない。
ますます井坂に対する得体の知れない印象は強まる。
何より不可解なのは叛意が沸いても、ここに来てなお井坂に強い敵意を抱けないこと。
自分の思考の足が取られたような感覚。それが不可解だった。

杏子の初心な反応に、井坂は内心ほくそ笑む。
加頭は首輪の説明をした際に『ソウルジェムにも同様の爆弾が取り付けられています』という発言をしていた。
その言葉からソウルジェムなる物体が破壊されると命に関わる参加者が存在すると推測できる。
そして杏子の首には“首輪が嵌っていない”のだ。
そこから杏子が首を切断されても死なないがソウルジェムを破壊されれば死ぬ、人間とは別種の生物であると言う推測に至る。
仮説は杏子の反応によって簡単に立証された。
そして井坂は自身の持つ神懸り的な洞察力によってさらに杏子の思考を、心理を読み取っていく。

「あなたが人に在らざる生き物であろうと、過去にいかなる罪を負っていようと
私は決してそれを問いません。あなたの全てを受け入れます」
「……知った風な口を利くなって言ってるだろ!!」
「私はただあなたの力になりたいだけですよ」
「利用する気としか思えねーな……」
「私を利用するのはあなたですよ。言ったでしょう、あなたの全てを受け入れると」
「(こいつ……なんなんだ?)」

杏子は井坂に抱いていた感慨の正体がやっと分かった。
それは安心感。
家族と死に別れ1人で生活する魔法少女である自分には決して得られない安心感。
井坂の声を聞いていると途方も無く心が安らぐのだ。
殺し合いの最中に初めて会った相手に安らぎを覚える。理性で思考すればそれはどう考えても異常だ。
しかしその異常事態が自分の中で成立している。そこに言いようの無い不安を覚え、ゆえに反発もする。
安心と不安、矛盾する2つの感情を同時に抱え
杏子は酩酊にも似た心地に陥っていた。

「私は何もあなたに望まない。ただ、あなたがあなたで在ること以外は。
そしてあなたの望む全てを、私が与えましょう」

自分の生涯に起こる全てを自業自得として引き受けるつもりの杏子の中で井坂の存在が大きくなる。

「あなたが私を信じなくても、私は決してあなたを裏切りません」

徐々に徐々に杏子の精神に井坂が入り込んでいく。

「あなたが何を傷付けても、私は決してあなたを傷付けません」

確実に杏子の精神を井坂が掌握していく。

「さあ、拒む理由などありませんよ。私と来なさい。
そうすれば、あなたの人生には決して訪れないはずの救済が得られるのですよ――――あなたにも」

不意に井坂が杏子から視線を背ける。

133四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:14:09 ID:WM8YJsU20
そこには相変わらずバルディッシュを構えたフェイトが居た。
杏子と井坂が話している間、フェイトは井坂の異様な雰囲気に呑まれる形で動くことも出来ないで居た。
それでも杏子の様子に異変が起こったことから、井坂に対し半ば本能的な恐怖を感じ攻撃しようとしていた。
しかしその機先を制される形で井坂に声を掛けられた。
フェイトもまた、安心と不安の入り混じった酩酊に陥る

「あなたは優しい人だ。誰かを殺すことは望まないはずです」
「……でも、そうしないと母さんが……」
「あなたを愛してくれるとでも? あなたに望まないことを強いるような人が……」
「……!!」
「驚くことではありません。私には分かる。あなたの望みも、あなたの母親の望みも」

フェイトにも驚愕が襲う。
そして甘い安らぎも。

「さあ、私の手を取りなさい。そうすればあなたの母親とも、手を取り合えるようにして上げますよ。
私に任せていれば、誰も傷付けずにあなたは母の愛が得られるのです」

そう言って手を差し伸べてくる井坂。
フェイトの脳裏でそれは、幼き日のプレシアと重なる。
幼き日に母と遊んだ日と。
まだ何の屈託も無く母に甘えられ、母もそれを受け入れてくれた幸福な日々。

「さあ、あなたも私と共に来るのです」

井坂の声は杏子にも掛けられる。
杏子が自分の人生において拘ってきた信条が、何の価値も無い塵に変わっていくような感覚。
このまま井坂の声に身を委ねれば、何もかもが楽になるのでは無いかという気さえしてくる。
そしてまるで引力に惹かれるように井坂の目を見つめた。

「――――!!!?」

悪寒が走る。どころでは無い。
全身が凍りついたような感覚を杏子は覚えた。
井坂が杏子へ向ける視線は、それほど冷たくおぞましい物だった。
嫌悪ではない軽蔑でもない。
そう、嫌悪や軽蔑を持つほどにも相手の存在を認めていない。
まるで顕微鏡越しに微生物でも見ているような
自分が一瞬で檻の中で実験動物(モルモット)になったと、馬鹿げた錯覚をしそうなほどに冷たい目だった。

確かに杏子は人間ではない。
しかし人格を持った相手に、これほどまで無機質な視線を向けられるとは。
どんな魔女も恐れたことの無い杏子が
井坂の深淵を覗いた/深淵に覗かれた時、初めての恐怖を覚えたのだ。
これは魔女とはまた別種の怪物。そう確信できた。
そしてだからこそ、酩酊から覚めることが出来た。
両手に力を込め、槍を構えなおす。

「おいボンクラ!! いつまでもこんな胡散臭いおっさんの茶番に付き合ってるんじゃねえよ!」

杏子の叱咤を受けて、虚ろ気ですらあったフェイトも慌ててバルディッシュを構え直す。

「てめえだって譲れねえもんがあって、殺し合いに乗ったんじゃねえのか!!?
だったら組む組まないは後回しにして、まずはこのおっさんからだ!!」

杏子の言葉にフェイトは無言で頷く。
そして2人の殺気が井坂に注がれた。

134四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:14:53 ID:WM8YJsU20
2人にとって、井坂は相変わらず得体の知れない畏れを感じさせる存在。
だからこそ2人は立ち向かう決意をする。
その畏れを超えられないようなら、自らの望みは果たせないのだから。

「……やれやれ、仕方ありませんねぇ」

2人の殺気を向けられては、さすがに井坂も自分の“説得”が失敗したことを認めざるを得ない。
井坂が共に殺し合いを打破するために、2人を説得したことに違いは無かった。
例え加頭やそのバックがどれほどの力を持ち、爆弾を仕込まれた首輪を巻かれようが
屈服して言いなりになる井坂では無い。
主催者の目を盗んで首輪を外して殺し合いを打破し、その後主催者を倒してその技術を全て押収するつもりだった。
そしてそのためには手駒が必要だと判断する。
井坂が良いように操れて、戦闘などのリスクも可能な限り押し付けられるような手駒を。
そのために2人に懐柔すべく声を掛けたのだ。
井坂には、あの園咲冴子ですら完全に手懐けられるだけの人心掌握術がある。
それを以ってすれば小娘2人を手懐けるなど容易い、そう踏んでいたが
実際は交渉の失敗に終わった。

(失敗の原因は……自分を抑え切れなかったこと、ですか)

魔法少女。
井坂にとっては未知の生物であるそれは、その知的好奇心を刺激するには余りある存在だった。
実験し、解剖し、その全てを知り尽くしたい。
その欲望を隠し切れず、警戒の念を抱かせてしまった。
この殺し合いを打破するためには、自分の本性は抑えもっと上手く立ち回らなければならないと反省する。
もっとも、それもこの場を乗り切ってからの話だが。

「では、多少乱暴な手段を使いましょう」

状況は、たった1人で2人を相手にしなければならないという不利な有様。
それでも井坂には余裕があった。
何しろ井坂は風都において単独で何人もの命を奪い
仮面ライダー2人を相手にして戦って来た、“怪物”なのだから。

『WEATHER』

電子音声を鳴らす銀色のガイアメモリを、右耳のコネクタに差し込む。
そして井坂の肉体が地球の記憶を再現する超人と化す。
井坂のガイアメモリはその中でも園咲家の使うゴールドのメモリと並ぶほど強力なシルバーのメモリ。
それによって井坂が変身した姿こそ気象の記憶を再現する超人、ウェザードーパント。

白い怪人と化した井坂と対峙するフェイトと杏子。
2人は共に直感する。目の前の変貌した井坂は並ならぬ力を有していると。
ゆえに迂闊には仕掛けられない。
時間にしてほんの数秒の膠着状態。
それはあまりにも意外な形で破られる。
フェイトと杏子にとっては背後から、井坂にとっては正面から
光の矢、と呼ぶべき物が飛来した。

フェイトにとっては何がなんだか分からなかった。
ただ自分の背中で凄まじい爆発が起きたと思ったら、身体ごと木っ端のごとく吹き飛ばされていた。
バリアジャケットで威力を軽減する、どころでは無い。
バリアジャケットが無ければ間違い無く死んでいた。
痛む身体をおして、背後に振り向く。

135四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:15:35 ID:WM8YJsU20
そこには人型の一角獣が居た。

杏子にとっても何がなんだか分からなかった。
下腹部に衝撃が走ったと思ったら、自分の腹を貫いて光の矢が飛び出して来た。
光の矢は杏子のはるか前方の地面に着弾凄まじい爆発を起こす。
自分が背後から矢で貫かれたと分かった時には、地面に倒れていた。
貫通したのは運が良かったのだろう。そうでなければ間違い無く死んでいた。
痛む身体をおして、背後に振り向く。
人間ならば死んでいる傷も、魔法少女ならば痛みを軽減することで動くことすら可能なのだ。
そこには人型の一角獣が居た。

井坂には状況が把握できていた。
真っ向から飛来してくる光の矢。
人間ならば知覚すら及ばぬ速度のそれも、ウェザードーパントには迎撃すら可能。
眼前に雷雲を発生させ、そこから雷が放たれる。
雷は光の矢に到達し爆発を起こす。
井坂はその爆煙の向こうに敵の姿を見る。
こちらに向けて弓を構える一本角の怪人――ガドルの姿を。

フェイトと杏子と井坂の姿をその視界に捉えたガドルは、緑の眼を持つ“射撃体”に変身した。
クウガにおけるペガサスフォームに相当するこの状態は、五感が百倍以上に増幅され
手に持った物体をモーフィングパワーによって、ガドルボウガンに変形させることができる。
幾多のグロンギを倒して来たクウガのペガサスボウガンを、威力・速度・精度などあらゆる性能面で凌駕する射撃武器。
それから放たれる圧縮空気弾による敵の感知せぬ遠距離よりの奇襲。
ガドルに正々堂々とか敵に慈悲を与えるような発想は無い。
そんな殊勝な考えが欠片でもあったら、警察署に奇襲を仕掛けて殺戮をするような真似などしない。
1度はクウガを見逃したのもあくまで後の自分の楽しみのためであり、何よりクウガはゲゲルの標的では無いためだ。
この殺し合いでは標的はあくまで無差別。
ならば殺戮するのに手段を選ぶつもりは無い。
奇襲であっさり死ぬなら、所詮はその程度の者だったということだ。
そして標的の3人は空気弾を受けてもなお生きている。
少しは骨がありそうだ。
そう考え、確実に仕留めるためにガドルは
クウガにおけるマイティフォームに相当する基本形態、赤い眼を持つ“格闘体”に変身して3人に近付く。
自らが破壊のカリスマであることを示しながら。

「ゴセパ、ザバギンバシグラ、ゴ・ガドル・バザ」

フェイトと杏子には、その姿は怪物そのものである。
厳しい外骨格も、内に躍動する筋肉も虚仮で無いことは充分に理解できた。
そしてそれ以上明確に理解できたのが、その怪物が戦士であるということ。
それも尋常をはるかに超えた兵。
フェイトも杏子も腕に覚えのある戦士には違いない。
しかしガドルの放つ威圧感、覇気は2人の経験則からも規格外。
井坂が得体も底も知れない闇ならば、ガドルはさながら刃のごとく磨きぬかれた牙。
2人は共に痛みを忘れて構えを取る。
ガドルを見ただけで、それが刹那の隙すら命取りになる相手だと把握できたから。
そして井坂は――――

「それではお嬢さん方、命があればまたお会いしましょう」

ウェザードーパントの能力によって井坂の周囲に風が吹き荒れる。
その風は井坂を中心に際限無く旋回、やがて竜巻と化す。
そして竜巻はそのままガドルが居るのと反対方向へ瞬く間に消えていった。
――――要するに自分だけさっさと逃げ出した。

「……は、早い」
「あんの野郎、自分だけ逃げやがって!!」
「まあいい……まずはお前たちだ」

フェイトも杏子も気を取り直して、ガドルに対峙する。

136四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:18:57 ID:WM8YJsU20
2人では井坂のようにガドルボウガンを迎撃するのは至難。
ましてや逃げながらとなると不可能事と言っていい。
つまり容易にはガドルから逃げることはできない状況だ。
逃げるにしろ倒すにしろ、まずは目の前のガドルに対処する必要がある。

「あたしは佐倉杏子だ。あんた名前は?」
「フェイト……フェイト・テスタロッサ」
「なんか色々バタバタしちまったけどさ、あたしたちで組むにしろ何にしろ、まずはこの状況を切り抜けてからだ。
それまでは……裏切りは無しで行こうぜ、フェイト」
「うん、わかってる。行くよバルディッシュ」
『Yes Sir』



こうしてグロンギと魔導師と魔法少女、本来交わらないはずの3人が
同じく殺し合いに優勝するという志を抱き対峙する。

グロンギは殺し合いの運命を愉しむ者として。
魔導師は殺し合いの運命を受け入れた者として。
魔法少女は運命を自業自得と見なした者として。

彼と彼女らの運命の行き着く先は、未だ見えない。


【一日目・未明】
【H-5/森】
【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:健康、格闘体に変身中
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(末確認)
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する
1:強者との戦いで自分の力を高める
2:杏子とフェイトを殺す
※死亡後からの参戦です

【一日目・未明】
【H-5/森】
【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:バリアジャケット展開中、ダメージ(中)、疲労(中)、魔力消費(小)
[装備]:バルディッシュ@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに優勝してジュエルシードを揃える
1:とりあえず杏子と手を組んでガドルに対処する
[備考]
※魔法少女リリカルなのは一期第十話終了後からの参戦です

【一日目・未明】
【H-5/森】
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(小)、下腹部に貫通した傷
[装備]:槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに優勝する
1:フェイトと手を組んで殺し合いを有利に進める
2:とりあえずフェイトと手を組んでガドルに対処する
[備考]
※魔法少女まどか☆マギカ6話終了後からの参戦です
※首輪は首にではなくソウルジェムに巻かれています

137四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:19:31 ID:WM8YJsU20


そこは未だ深い森の中。
ガドルたちの姿が見えないところまで逃げていた井坂は、変身を解いてようやく一息つく。
ウェザーのメモリはいつでも取り出せるよう、上着のポケットへ仕舞う。

フェイトと杏子だけなら力で捻じ伏せることができた。
どうしても逆らうようなら殺して首輪のサンプルを回収しても構わなかった。
しかし後からガドルが現れたことで、事情が違って来る。
井坂の並外れた洞察力が、ガドルを見た瞬間に把握させた。
ガドルは恐らくウェザードーパントでも、勝てる保証が無いほどの戦力を有しているだろう。
そして何よりガドルは井坂とはまた別の種類の怪物だ。
井坂の人心掌握術すら通用しないであろう。

まあ、それでも構わない。
避けられる戦いは避ければ良い。
井坂の目的はあくまで殺し合いを打破して主催者を打倒すること。
そのためならどんな姑息な手段でもどんな卑怯な手段でも使うし
利用できる者は何でも利用してみせる。
それは園咲冴子だろうと、そして照井竜だろうと左翔太郎だろうと。

殺し合いの檻にすら井坂が屈することは無い。
自らを阻む物はどんな困難であろうと許さない。
それが井坂の生き方。
例えそれが運命に抗うに等しい難事だとわかっていても、井坂は臆しはしない。
怪物はただ己の欲望のままに進むことしか知らないのだ。


【一日目・未明】
【G-5/森】
【井坂深紅朗@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:T1ウェザーメモリ@仮面ライダーW、
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを打破して、主催者を打倒する
1:首輪の解除方法を探す
2:手駒を見付ける
3:リスクのある戦闘は避ける
[備考]
※仮面ライダーW34話終了後からの参戦です。

138 ◆amQF0quq.k:2011/10/27(木) 00:20:26 ID:WM8YJsU20
投下完了しました。
何か問題があればご指摘をお願いします。

139名無しさん:2011/10/27(木) 00:28:42 ID:ZX6Ft.LM0
投下乙です。投下前はガドルと井坂がマーダー側だと思ったら、井坂がまさかの対主催(まぁ素直に従う筈もないし、危険人物である事に違いは無いのだけどね)で残り3人全員マーダーかよぉぉぉぉ
しかし客観的にみればマーダー3人が争うという対主催側にとってはオイシイ状況なのだが……そうそう都合良くもいかないよねぇ。
まどか除くまどか組は首輪が無い変わりにソウルジェムに爆弾が巻かれているか……という事はほむとマミもそうだよな……ダメだ、どっちも接触した奴がそれに気付いているとは思えない。

1点だけ気になったので質問ですが、井坂の持つウェザーがT1という話だけど、多分これ井坂自身のデフォルトメモリだろうけど、別に井坂の持っているメモリがT1という描写は無かった様な気が。

140名無しさん:2011/10/27(木) 00:50:38 ID:KqZkRLQw0
投下乙です

予約の時点でどうなるかなと思ったら…
ああ、この子らは参戦時期次第で対主催でもマーダーにもなる要素あったわ
フェイト、あんこちゃん…これは関係者がどう思うかなあ
そして主催からしたらマーダーが適度に組んだり分裂したりした方が好都合だから小娘組かガドルのどちらかが脱落しても構わない訳で…

141 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:33:09 ID:iMXNwd.E0
投下します

142戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:36:01 ID:iMXNwd.E0
「風都タワー…、なぜこんなところに…」

園咲霧彦は視界に入る位置に見える風車のついた建物を見ながら嘆いていた。
彼の愛する風都の象徴がこんな場所に建っているという事実に。
無論ここは彼の愛した風都ではない。風が違う。

そんなことを考えつつ、一方で主催者、加頭について考えていた。

「あの男、ガイアメモリを、それもゴールドメモリを使っていたが…、ミュージアムの関係者か?」

ゴールドメモリは本来園咲家の人間しか使うことができない。
ならばあの男はミュージアムに何かしらの関係を持つ者だろう。
そうであればこの殺し合い、乗るわけにはいかない。

名簿を開き、知った人間がいないか確認する。

「冴子に仮面ライダー君か。仮面ライダー君は心配ないだろうが…」

気にかかるのは冴子の方だ。
自分の説得を聞くことなく決別したかつての嫁。
できることならもう一度説得したい。

「そういえば本郷猛に一文字隼人だったか。彼らも仮面ライダーと呼ばれていたが」

加頭に対して啖呵を切った彼らもまた仮面ライダーだという。
風都を守るために戦った左翔太郎のような存在が他にもいるというのだろうか。
霧彦の中に彼らに会ってみたいという気持ちが生まれた。

『――…』

ふと耳に入った小さな音。
それは自分には聞きなれた電子音であるがゆえに聞き逃さずに済んだ。

143戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:37:50 ID:iMXNwd.E0
音のした方に行ってみると、そこには少女がガイアメモリを手にしているという光景があった。
慌てて声をかけながら近寄る。

「やめなさい!!」

少女は驚いて手を止めこちらを向く。
その手にあるメモリを取り上げ、注意を促す。

「これは君のような子供が持っていいものじゃないんだ。
 とても危険なものなんだよ」
「そうだったんですか…。ありがとうございます」

警戒されても仕方ない行動だったのだが少女は気にした様子もなく霧彦に礼をいった。
どうにか間に合ったことを安心し、手にあるメモリを見ておかしなことに気付く。
そのメモリは仮面ライダーWの持っていたメモリと同じものだったのだ。
これは専用のドライバを使わなければ使用できなかったはずだ。
少女に質問をかける。

「これと一緒にドライバ…これを差し込む機械や使うための接続機器みたいなものは入っていなかったかい?」
「えっと、機械についてはよく分からないのですが多分なかったと思います」

つまりドライバもコネクタも無しでこれを使用しろと、奴らは言っているのか。

(これがコネクタ無しで使用しても大丈夫な仕様なのか、あるいは毒素に侵されても戦えということなのか)

どちらにしても危険なことには変わりないだろう。メモリをポケットにしまう霧彦。
と、ここでまだ少女に名乗っていなかったことに気付く。

「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。
 私は園咲霧彦、このメモリに関係した仕事をしている者だ。驚かせてしまってすまない」
「私は高町ヴィヴィオです。こっちは私のデバイスで、セイクリッド・ハートといいます」

見ると少女、ヴィヴィオの横にうさぎのぬいぐるみが浮いていた。
霧彦とて一応色々なものを見て生きてきたのでそれを見てそこまで驚くことはなかった。
少しは驚いたが。

144戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:39:23 ID:iMXNwd.E0

「高町というと、高町なのはという人は君のご家族かい?」
「高町なのははわたしのママですけど…、ママのお知り合いですか?」

どうやら名簿未確認のようだ。
名簿を取り出し、見せるととても驚いていた。
そこにあった名前はヴィヴィオの二人の母親とその親友、母親の部下で彼女の友達が二人。
さらに自分の親友までいるという。

「分かった、じゃあ私が君の母親を探すのを手伝ってあげよう」
「いえ、初対面の人にそこまでしてもらうのも悪いです」
「気にすることはないさ。君からこのメモリを預かった以上、か弱い少女を一人で行かせるわけにもいかない」
「でも…、やっぱり悪いですし。それにわたしこうみえても結構強いですよ?」

ヴィヴィオは霧彦に対していい人なのだという印象を持っていた。
だからこそ迷惑はかけたくないと考え、同行してもらうことを遠慮していたのだ。
自分が強いというのもあくまで迷惑をかけないための嘘、というわけでもないとは思うのだが。
しかしそんな言葉に反応する者がその声を聞き届けられる距離にいたことまで予測できるわけがない。





「へえ、なら君も僕を笑顔にできるかい?」

それは現れた。

ぞっとしてそちらを向く二人。
会話に集中していたとはいえこれほどの存在感。近付いているなら気付かないはずがない。
その男は白い服を纏った青年だった。
一見何もおかしいところの見当たる者ではない。
しかしその男の纏っている雰囲気は異様だ。
近付いてくるだけで冷や汗が流れてくる。

145戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:41:14 ID:iMXNwd.E0
身動きもとれない二人に男は話しかけてくる。

「どうしたの?早く準備しないとこっちから行くよ?」

そう言って男の姿が白い怪人に変化した時、

「「っ!!」」
『ナスカ』
「セイクリッド・ハート!セットアップ!!」

霧彦はメモリをドライバーに挿入、ヴィヴィオはデバイスを掲げてバリアジャケットを纏い、共に戦闘体勢をとる。
本来なら霧彦もいきなり大きくなったヴィヴィオには流石に驚いただろうが今はそれどころではない。
目の前の怪人はまずいと、二人の本能が告げていたのだから。


最初に動いたのは霧彦、ナスカドーパントだった。
高速で移動しつつ接近、怪人を惑わしながら確実なダメージを与える。そういった思惑のはずだった。

パシッ

「何?!」

見切られた。
その手は高速で振るわれたナスカブレードをあっさり掴んでいた。
空いた手でナスカにパンチが繰り出される。

「があっ!!」

ただのパンチにも関わらず数メートルは吹き飛ばされた。
Wと戦ったときとは比べ物にならないダメージが霧彦に伝わる。

146戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:43:49 ID:iMXNwd.E0

そのままナスカの元へ向かう怪人に光の弾が降りかかる。

「ソニックシューター、ファイア!!」

ナスカのスピードに出遅れるも追いついたヴィヴィオが魔力弾を撃ち込みつつ接近していた。

「アクセルスマッシュ!!」

そのまま至近距離で魔力を込めた拳を打ち込む。
が、

「えっ?」

そもそも魔力弾を避けるならその方向へ追撃、当たればダメージを受けている隙に一撃を入れるという考えなのだ。
しかしその怪人は魔力弾を受けても微動だにせず、なおかつヴィヴィオの拳を正面から受け止めたのだ。
その違和感に気付いたヴィヴィオは前面にプロテクションを展開するも―

「うあっ!!」

怪人の拳は安々とバリアを砕き、バリアジャケットの防御力を超えてヴィヴィオの体を吹き飛ばした。

「?!ヴィヴィオちゃん!」
「どうしたの?これで終わりじゃないよね?」

どうにかダメージに耐え、起き上がった霧彦。
ナスカブレードを斬り付けるが、効いている様子はない。
しかし怪人の注意を引きつけることはできた。

「早く逃げるんだ!」

ヴィヴィオに逃げることを促しながら攻撃を続ける。
しかしヴィヴィオは気を失っているのか動く様子はない。
その間にもナスカは一方的に攻撃を受け続けていた。

霧彦はこの時己の判断を後悔する。
この怪物とは戦ってはいけない。最初の時に一目散に逃げるべき相手だったのだと。

147戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:45:42 ID:iMXNwd.E0
ヴィヴィオが意識を取り戻すと、霧彦は怪人に一方的に攻撃されていた。
自分に逃げるように言いながら殴られ続けている。

(わたしが弱いから、こんなことになってるの…?)

普段の特訓や試合では決して受けることのない、肉体的ダメージの痛みに耐えながら立ち上がる。
あの怪人を倒さなければきっとみんなを、ママやアインハルトさん、ユーノさんにスバル、ティアナを傷つけるだろう。
だが今の自分では勝つことはできない。あの霧彦さんも助けることができない。


ふと目に止まったのはさっきのガイアメモリと呼ばれた物。
霧彦が慌ててナスカメモリを取り出したときに落としていたようだ。

霧彦さんは目の前でその力を使って戦っている。
彼は危険だと言っていた。それに使ったところであれに勝てるかは分からない。
だが、それでもあの怪物を倒す手助けになるのなら。

ヴィヴィオはメモリを拾い、迷わずそれを体に挿入した。



体を襲う痛みに耐えながらもどうにか戦っていた霧彦だったが、流石に限界がきたようだった。
怪人に斬りつけると同時に地面に倒れこむ。

「ぐっ…!」
「ふふ」

笑いかけながらナスカの体を踏みつける。
無邪気に微笑むその声ももはや悪魔の笑い声にしか聞こえなかった。

短いこの戦いで薄々感じていたが、その笑いで霧彦は確信する。
この怪物は戦いを、自分達を嬲り、殺すことを楽しんでいる。

だがそれに気付いたところでどうすることもできない。
ならばせめてあの少女、ヴィヴィオだけでも逃がさなければ―

『ヒート』

電子音が耳に届く。

148戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:48:05 ID:iMXNwd.E0
「まさか!」
「はああああああっ!!」

赤い炎をぶつけながら接近してくる何かがいた。
炎と魔力を纏いながら、ヒートドーパントへと変身したヴィヴィオは殴り、蹴りつける。
その拳から、脚から噴き出す炎はまさしく左翔太郎の使用していた仮面ライダーWのメモリの一つそのものだった。

しかしそれらも怪人には効き目のある様子がない。
それどころか自分の上に乗せられた足すらも一歩も動いていない。


「その人を、離せ!!」

それでもヴィヴィオは攻撃を止めない。
隙を与えるとそれが致命的なことに繋がると直感していたからだ。

しかし、飽きてきたのか怪人は霧彦を叩きのめした拳を繰り出す。
一撃がかなりの威力をもつパンチ。
それを障壁、ドーパントの耐久力、さらに受け流しの技術を持ってかろうじて防ぐ。

だがそれも限界、防いだ左腕から嫌な音が鳴り響き、
その時、彼女は前に出た。

「一閃必中!!」

ヒートドーパントの右拳に光が集まり、灼熱の炎と共に放出される。

「ディバインバスター!!」

149戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:50:54 ID:iMXNwd.E0
至近距離からの魔力と灼熱の高速砲は怪人に直撃。
だが気を抜くことはできない。
構えを解くことなく怪人を見据えて―

「嫌ああぁーーーー!!!」

絶叫をあげた。

ヒートの名を冠する、炎のドーパント。
その体が燃えているなど何の冗談なのだろうか。

「なかなか面白かったよ。じゃあこれはどうかな?」

怪人は手をヒートドーパントにかざしていた。
その声はさっきまでと変わらずまだまだ余裕といった風だ。

さらに手をかざそうとしたところで、その体に何かが巻きついた。
振り向くと、ナスカドーパントが怪人の体にマフラーを伸ばして動きを封じていた。
先ほどの一撃が一歩も動かなかったその足を下がらせていたのだ。

動きを拘束する霧彦もこれで動きが止められるとは思っていない。
巻きつけたそのマフラーをナスカブレードで切り離し、燃えるドーパントの元に高速で駆ける。
そして彼女を抱えてそのまま去って行った。






拘束を離したときにはすでに視覚内にはいなかった。
白い怪人、グロンギの長であり究極の闇と呼ばれるン・ダグバ・ゼバは考える。
もし彼らを追えばおそらく追いつくことは可能だろう。
しかしあのリントが変身した物の攻撃は肉体的損傷こそなかったもののダグバの体に不自然なダメージを与えていた。
同属やリント虐殺やクウガとの戦闘ですら感じることのなかったそれはダグバにとっては新鮮な感覚だった。

150戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:51:55 ID:iMXNwd.E0
皮肉なことにヴィヴィオの攻撃についていた非殺傷設定がその理由である。
相手を傷つけず、ゆえに全力で戦うための枷はダグバの肉体に決定打とはならずとも確実にダメージを与えうるものだったのだ。

その疲労に加えてあのリントの戦いっぷり。もしかすると今後何か起こりうるものになるかもしれない。
そういった期待感から見逃すことにしたのだった。

「さて、クウガ。君はどうするのかな?」

ダグバはいるかどうかの確認もとれない、だが確実にいると感じることのできる己を笑顔にしてくれるだろう存在にふと呟いた。


【一日目・未明】
【G-7/森】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
1:この状況を楽しむ
2:クウガ、金髪のリント(ヴィヴィオ)のような存在に期待
[備考]
 ※参戦時期はクウガアルティメットフォームとの戦闘前です
 ※発火能力の威力は下がっています。少なくとも一撃で人間を焼き尽くすほどの威力はありません。



151戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:54:28 ID:iMXNwd.E0
「…ごほっ、ごほっ」

森を抜け、市街地へと入ったところでヴィヴィオを連れて逃走した霧彦は変身を解除する。
それと同時に怪人から受けた攻撃の、そして己の高速移動のダメージが全身を駆け巡る。

ヴィヴィオは気絶したためかメモリを排出し、姿も最初の歳相応の少女に戻っていた。
だがドーパントになっていたことでダメージを抑えられたとはいえ全身には火傷の痕が残り、折れた左腕も痛々しい。

「ヴィヴィオちゃん!しっかりするんだ!」

己の判断力と力の無さがこのような事態を招いてしまったのだ。
彼女がメモリを使用しなければ自分の命すらなかっただろうという事実もまた情けない限りだ。

とにかくメモリを使用したことによる影響を確かめなければならない。
そして同時にヴィヴィオの治療ができる場所を探さなければ。

霧彦は進む。
この少女をかつての風都の少女の二の舞にしないことを決意して。



【一日目・未明】
【H-8/市街地】

【園咲霧彦@仮面ライダーW】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、内臓にダメージ(中)
[装備]:ナスカメモリ@仮面ライダーW、ガイアドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3、ヒートメモリ@仮面ライダーW
[思考]
基本:この殺し合いを止める
1:ヴィヴィオの手当てとメモリによる影響を確かめる
2:冴子は可能なら説得したい
3:本郷猛、一文字隼人に興味
4:ガイアメモリは支給された人次第で回収する 
[備考]
 ※参戦時期は18話終了時、死亡後からです
 ※主催者にはミュージアムが関わってると推測しています
  ゆえにこの殺し合いも何かの実験ではないかと考えています

【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:疲労(大)、上半身火傷、左腕骨折、気絶中
[装備]:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:気絶中
2:みんなを探す
[備考]
 ※参戦時期はvivid、アインハルトと仲良くなって以降のどこかです

152 ◆FTrPA9Zlak:2011/10/27(木) 01:55:08 ID:iMXNwd.E0
投下終了です

153名無しさん:2011/10/27(木) 05:48:16 ID:ISt7dJVI0
2作とも投下乙です

四重奏―カルテット― ◆amQF0quq.k

なんという危険なカルテット…
フェイトはともかく杏子は元々がこういうやつだとは知らなかったなあ。
他ロワでは対主催だったし。
まどマギは見てみたいけど内容が鬱っぽいから見る勇気がわかないんだよなあ。
ガドルは平成ライダーロワでも思ったけどやっぱりかっこいい!
これが破壊のカリスマってやつなのか。
井坂さんは…まさかの対主催ですか。
今回は変身制限なくてよかったね!

戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak

やっぱダグバは強いなあ。
ヒートを使ったヴィヴィオは大丈夫なのか…がんばれ霧彦さん!

154名無しさん:2011/10/27(木) 08:12:10 ID:ZX6Ft.LM0
投下乙です、

ダグバと予約の時点で霧彦かヴィヴィオ退場するかと思ったらなんとか生存確認。
とりあえず霧彦、平ライでもダグバとの再戦で退場したからもうダグバには関わるな。
しかし非殺傷設定がダグバに興味を引かせるのは皮肉な結果だなぁ。

ん、風都タワー……っておい、中学校や警察署の面々みんな逃げてー

155 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/27(木) 12:44:53 ID:GlAqMek20
皆様、投下乙です!
>◆amQF0quq.k氏
杏子もフェイトもマーダーになりましたか……果たして彼女達はガドルに勝てるのかどうか
相手はグロンギの中でもトップランクの実力者なので、ちょっと不安です。
そして井坂先生はどう動くのか気になりますね!

>◆FTrPA9Zlak氏
霧彦さん、またしてもダグバと遭遇……と思ったら何とか生きてる!
まあヴィヴィオと一緒にボロボロにされましたが。ここからピンチを乗り越えられるかどうか。
ダグバはどこでも自重しないですね。

そして自分も投下を開始します

156男と少女とオカマ 珍道中 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/27(木) 12:46:33 ID:GlAqMek20


「タカヤちゃんって言ったわよね……でも、Dボゥイってあだ名も素敵だわ〜! ねえ、どっちで呼ぶのが良いかしら?」
「どっちでもいいが、ちゃん付けはやめろ」
「何よその態度! ……あ、もしかしてあなた照れてるでしょ!」
「何を言っている」
「うふふ、図星かしら! これが今流行のツンデレって奴ね……私、そういうの嫌いじゃないわ!」
「変なことを言うな!」

 鈴虫の鳴き声が周りに響く『E−9』エリアの道路にて、東せつなは思わず溜息を吐いた。もう何度目になるのか分からないコントみたいな男二人の交流にうんざりして。
 彼女はこの孤島に放り込まれてから幸か不幸か、すぐに他の男達二人と巡り合うことが出来た。
 赤いジャンパーを纏った無愛想な相羽タカヤ――いつもはDボゥイと呼ばれていたらしいが――という男と、黒い生地で出来た戦闘服に身を包んだ泉京水という男。彼らは無駄な戦いをするつもりはないらしく、問題なく行動を共に出来るかと思った。
 だが、それは間違い。京水は眩い笑みを浮かべながら、同性であるはずのタカヤに猛烈な恋のアタックを行っているのだ。
 泉京水とは、厳つくて屈強な外見とは裏腹にその喋り方は女性のそれで、所謂オカマと呼ぶべき人種であるとせつなは一瞬で気づく。

「やだあもう! そうやってマジメになってる顔もス・テ・キ!」
「いい加減にしろ、あんたは今の状況が分かってるのか!」
「こんな状況だからこそよ」

 うんざりしたような表情のタカヤの前で、京水は鮮やかなウインクをする。

「リラックス出来る時はきちんとリラックスしなくちゃ生き残れない! 想いを告げたいのなら告げられる時にきちんと告げる! これ、生きるための鉄則よ!」
「まあ、確かにそうかもしれないが……」
「そんな訳で、私はタカヤちゃんのことを好きになりマース!」
「何でそうなるんだ!?」
「DボゥイのDが意味するデンジャラスみたいに、私もデンジャラスになるわ!」
「人の話を聞け!」

 しかし真顔はほんの一瞬だけで、またしても謎のハイテンションを発揮する京水にタカヤはツッコミを入れた。京水の独特な理論にいまいちせつなはついて行けない。
 プリキュアになってから知り合ったカオルちゃんも掴み所がなかったが、ここまで無茶苦茶ではなかった気がする。
 もしも京水が本当に女だったら応援していたかもしれないが、彼は男。そういう趣味じゃないタカヤからすれば、男が男に求愛されても迷惑なだけだ。
 アカルンの力を使ってタカヤと一緒に逃げる方法もあるが、京水を一人にさせるわけにもいかない。今はプリキュアとして困ってる人を困った人から助ける。
 腹を括ったせつなは前に出た。

「えっと二人とも……ちょっと良いですか?」

 彼女は柔らかい笑顔を浮かべると、他の二人が振り向く。
 ここで無理に止めようとしても火に油を注ぐ結果になりかねないので、この場を空気を変えるには出来るだけ温和に進めなければならない。
 そう思ったせつなは道の向こう側から発せられる街の光に人差し指を向ける。

「とりあえず向こうにある街に行きませんか? こんな所よりもゆっくり出来そうな場所を見つけてから、話をした方がいいかもしれませんし」
「……そうだな、こんな所にずっといても何にもならない。早いところ移動しなければな」
「じゃあ、行きましょうか!」

 タカヤが頷くのを見たせつなは表情を明るくした。
 良かった、これで何とか喧嘩に繋がらなくなるかもしれない。少なくとも一箇所に留まって何もしないよりかは遥かにマシだった。
 友達との合流や殺し合いを阻止して誰も犠牲を出さず、みんながいつもの生活に戻れる第一歩目になる。
 と、せつなが思ったのもつかの間。

「ちょっとあなた、待ちなさいよ!」
「えっ?」
「なんで勝手に抜け駆けしようとしてるのよ!」

157男と少女とオカマ 珍道中 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/27(木) 12:47:22 ID:GlAqMek20
「……はい?」

 京水がいきなり鬼のような顔で迫りながら怒鳴ってきたので、せつなは面食らってしまう。

「タカヤちゃんは私が口説いてたのにそれを横から割り込んでくるなんて、なんて非常識なの!?」
「何の話ですか!?」
「何の話ですかじゃないわよ! 私の青春を邪魔しようとして、よくもそんな白々しい態度が取れるわね!」
「だから何を言って……」
「ムッキイイィィィィィィィィィッ! しらばっくれるとはいい度胸ね、この泥棒猫!」
「ど、泥棒猫!?」

 突然ヒステリックになった京水にせつなは反論することが出来なかった。
 一方的に攻め立てられただけでなくここまで言いがかりに近いレッテルまで貼られては、どう答えればいいのかまるで分からない。
 困惑しそうになった瞬間、二人の間にタカヤが割り込む。

「おいあんた、子ども相手に訳のわからない事を言うな!」
「むっ……」
「大体、あんたは仲間をあの男に殺されたんじゃないのか……それなのに、どうしてそんなヘラヘラ笑っていられる!?」

 不満げな態度を取る京水の胸倉をタカヤは勢いよく掴んで、刃物のような鋭い視線で睨み付けた。

「ちょっとタカヤさん、落ち着いて!」
「答えろ!」

 せつなの制止も空しく、タカヤの怒りは止まる気配を見せない。
 彼が怒る理由は見せしめにされた男達にあった。あの中の二人はタカヤと京水の知る人物で、フリッツ・フォン・ブラウンと堂本剛三という名らしい。
 フリッツはかつてタカヤと敵対関係にあって、タカヤは何故奴が生きているのか理解出来ないと語る。恐らく加頭の言う『死者をも蘇らせる』という言葉が真実であると証明する手段ではないかと京水は言うが、それでタカヤが行動を変えることはない。
 もう一人の犠牲者である堂本剛三は泉京水が所属する部隊の一員で、何度も共に死線を潜り抜けたという。だが京水は犠牲を悔やむ素振りを全く見せないのが、タカヤにとっては何よりも腹立たしかった。
 剣呑な態度で詰め寄るタカヤの手を京水は無言で払う。その顔は先程までの戯けたような雰囲気は一切感じられず、真剣そのものだった。

「彼の事は私だって悔しいわ。むかつく財団Xの連中をぶっ潰して、克己ちゃんと一緒に彼の事を仲間のみんなに言うつもりよ」
「なら、何故だ……」
「ここでいくら悲しんでたって、剛三ちゃんがいなくなった事実が変わる訳じゃないでしょ? あの子だって、もしも私がメソメソしてたら向こうで怒ってるはずだし……だから私は戦うのよ」

 京水の声は何処か寂しげな雰囲気も感じられる。
 もしかしたらタカヤへの態度は感傷を隠すための強がりなのかもしれない。死んでしまった人達がもう戻ってこないのは、誰だって知っている。彼らを思う事も大事だろうが、それよりも悲しみを乗り越えて明日を生きる事がもっと大事だ。
 私は京水の事を誤解していたのかもしれない。もしかしたら分かり合えるかもしれないと、せつなはそんな事を不意に考えた。

「京水さん……」
「それとあなた、もしかしたら勘違いしてるかもしれないから言っておくわ!」

 言葉をかけようとした矢先、京水はせつなに振り向く。

158男と少女とオカマ 珍道中 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/27(木) 12:53:50 ID:GlAqMek20

「言っておくけど、あなたからビンッビンッに感じられるのよ! ハチミツをぶっかけたケーキ以上の甘さがね!」
「え?」
「もしもあなたが邪魔になったり甘っちょろい事をちょっとでも言ったら、私はあなたの事を許さないからね! あとタカヤちゃんにちょっとでも色目を使ってごらんなさい、あなたを爆発させるから!」
「はぁ……」

 前言撤回、やはり京水の思考は理解出来なかった。言っている事自体は分かるがそれは少しだけで、ほとんどがどう答えればいいのか判断出来ず頷くしか出来ない。
 せつなが萎縮する一方で、タカヤは再び怒鳴りながら京水の前に出た。

「おいあんた、いい加減にしろ!」
「なによタカヤちゃん! 私はこの甘っちょろそうな子に厳しさを叩き込んでるのよ!」
「お前が言える立場か! それと、ちゃん付けはやめろと言ったはずだ!」
「もうやめてくださいー!」

 今にも殴り合いに発展しそうなタカヤと京水をせつなは落ち着かせようとするが、空気は悪くなる一方。
 まるで気が合いそうにない二人を見て、この先一体どうなるだろうと彼女は不安が芽生えた。


【1日目/未明】
【E-9/道路】
【東せつな@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康、困惑
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
基本:殺し合いには乗らない。
1:……どうしよう?
2:友達みんなを捜したい。
3:すぐ近くにある街に行きたいけど……
[備考]
※ラッキークローバーグランドフィナーレ習得後の参戦です。


【相羽タカヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:健康
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:主催者を倒す。
1:何なんだこの男(京水)は……
2:京水を何とかしたい。
[備考]
※本編中盤以降からの参戦です。
※ブラスター化しているかどうかは後続の書き手さんにお任せします。


【泉京水@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:T−2ルナメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:剛三ちゃんの仇を取るために財団Xの連中を潰す。
1:タカヤちゃんが気になる! 東せつなはどうでもいい。
2:克己ちゃんと合流したい。
[備考]
※具体的な参戦時期に関しては後続の書き手さんにお任せします。

【共通事項】
※三人ともまずは市街地に向かおうと考えています。

159 ◆LuuKRM2PEg:2011/10/27(木) 12:54:20 ID:GlAqMek20
以上で投下終了です
矛盾点などがありましたら、指摘をお願いします

160 ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:26:04 ID:ISt7dJVI0
投下乙。
なにこの珍妙なパーティw
問題なくチーム組めたのは良かったが、これからどうなることやら…

では、自分も投下いきます。

161 ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:27:24 ID:ISt7dJVI0
「ごめんね…救ってあげられなくてごめんなさい」


スバル・ナカジマは悲しみに沈んでいた。
先ほど、無残にも首輪を爆破され死んだ3人。
3人とも自分の知らない人だったが、そんなことは関係ない。
自分は…守れなかったのだ。
すぐ目の前に存在した3つの命を。

『…マスター』
「…うん、ごめんマッハキャリバー。いつまでもこうしてるわけにはいかないよね」

そう。殺し合いはすでに始まっているのだ。
こんなところでいつまでも悲しんではいられない。
必ずこの殺し合いを止める。
もうあんな悲劇を起こさないために。



「なのはさんにフェイトさん、ティアやユーノ司書長まで呼ばれているなんて…」

自分以外にも知り合いが呼ばれていることに頼もしさと悲しさが入り混じったような複雑な表情のスバル。
そして、もう一つ気になる名前があった。

「高町ヴィヴィオ…?」

名簿の中のひとつの名に、首をかしげる。
なのはとヴィヴィオは確かに親子のような絆で結ばれていると思うが、二人は血はつながっていないし養子にもなっていない。
一瞬別人かとも思ったが、しかしなのはと同じ名字でヴィヴィオと同名などというのは、偶然にしては不自然だ。
ちなみに、フェイトの名前が『フェイト・T・ハラウオン』でなく『フェイト・テスタロッサ』となっていることについては、旧姓で表記されてるだけだろうとあまり気にしなかった。

「だとすると、この名前はやっぱりあのヴィヴィオ…?」

しかしそうだとするとそれはそれで妙な話である。
なぜなら現在ヴィヴィオはジェイル・スカリエッティ率いるナンバーズに捕らえられているはずだ。
そんなヴィヴィオがこの場にもしいるとしたら…


「今回のこの件には…スカリエッティが関わってる?」


可能性は高いが、だとしたらいったい何の目的で?

162あの時の自分と向き合って ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:28:54 ID:ISt7dJVI0
『!…誰かがこちらに来ます』

マッハキャリバーの警告に、スバルは考えるのを中断する。
そして身を引き締め、近づいてくる相手を待ち構える。

現れたのは…チャイナ服の女の子だった。
年齢は自分やティアと同じくらいだろうか。

「あの…」

声をかけて近づこうとして……止めた。
何故なら、彼女からは凄まじい殺気が放たれていたのだ。


「…殺スネ」


少女…シャンプーはそう短くつぶやくと、スバルめがけて拳を繰り出す。

「うわっ!?」

どうにかその場を離れて攻撃をかわすスバル。


「ちょ、ちょっと待って!あたしはあなたと戦うつもりはないよ!」
「そっちに無くてもこっちにあるネ」
「こ、殺し合いに乗ってるの!?どうして!?そんなのだめだよ!」
「これから死ぬヤツに答えることなんか…ないネ!」

だめだ。
口でどうにか言っておとなしくさせるのは無理そうだ。



『マスター、変身を!』
「うん。マッハキャリバー、セーット・アーップ!」


その掛け声とともにスバルの衣装が変わり、足にはローラーブーツが装着される。
さらに右手には籠手型のデバイス『リボルバーナックル』をはめる。
戦闘準備完了だ。

163あの時の自分と向き合って ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:30:23 ID:ISt7dJVI0
「やああああああああああああっ!!」


スバルの変身が完了すると同時に、シャンプーが向かってくる。


「はああああああああああああっ!!」


それに対してスバルも、リボルバーナックルをはめた右拳を振りかぶる。
二人の右拳が衝突し、ぶつかり合う。
しかし、籠手で武装している分だけ分があったのか、シャンプーの方が力負けし吹き飛ばされる。
だがシャンプーも負けてはいない。


「せやあああああああああ!」


吹き飛ばされた状態から近くにあった木の幹を蹴り上げ、再びスバルの許へと戻ってきたのだ。

「うああっ!?」

シャンプーの拳が叩き込まれ、今度はスバルが吹き飛ばされる。

『大丈夫ですか、マスター』
「あはは、こりゃあ気を抜いてたらやられちゃうかもね…」

目の前の少女は、生身の女性とはいえなかなかの実力者のようだ。
そしてなにより、戦闘技術や実力以上にその気迫が凄まじい。
下手をすればあの勢いだけで勝負を持って行かれかねない。


(でも…なんだろう。彼女のあの雰囲気、どっかで見覚えがあるような気がする)

164あの時の自分と向き合って ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:32:21 ID:ISt7dJVI0
「乱馬は…私が守るネ」

シャンプーが愛する男、早乙女乱馬。
彼には絶対に死んでほしくない。
なぜなら、将来自分の夫となる人なのだから。

「だから…みんな殺スネ」

天童あかねだろうと、響良牙だろうと、みんな殺す。
自分と乱馬の幸せの邪魔になるものはみんな殺す。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!


恋する盲目少女は、暴走を続ける。



シャンプーの激しい猛攻を、スバルは避けもせず反撃もせず受け続けていた。
先ほどから彼女と拳を交えていて感じる不思議な既視感。
その正体を確かめるために。


「たああああああ!」


シャンプーの渾身の蹴りが炸裂する。
それを受け、スバルの体が吹き飛ばされる。

『マスター!このままではやられてしまいます!』
「…そっか、そういうことなんだね」
『マスター?』

彼女の攻撃。気迫。
その全てをこの身に受けて、ようやく分かった。


――似てるんだ。あの時のあたしに。

165あの時の自分と向き合って ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:35:28 ID:ISt7dJVI0
それは前回の任務の時。
姉であるギンガに危機が迫ってると知り、ティアナがとめるのも聞かず先行し…
そして…血を流して倒れているギンガの姿を見つけて、暴走した。
ギンガを取り返そうと無我夢中で敵に突っ込んでいく自分。
自分の体が、相棒がぼろぼろになっていくのにも構わず、無茶な戦い方をする自分。


目の前の少女からは、あの時の自分と似たものを感じる。
大切な人を守りたくて、なりふり構わず戦うあの時の自分と姿が重なるのだ。
おそらく彼女も、大切な誰かを守りたくて戦っているのだ。

もちろんこれはスバルの主観に過ぎないし、実際には別の理由があるのかもしれない。
ただ、それでも…彼女にはそう思えてならなかったのだ。


(だとしたら、このままにはしておけない)


彼女をこのままにしておけば、あの時の自分のように身も心もボロボロとなり、最悪待っているのは破滅だ。
それならば…


「あたしが……あなたを止めてみせる!」


向かってくるシャンプーに対し、スバルは先ほどまでの防戦を止め、攻撃の構えを取る。
シャンプーを…過去の自分を止めるために。



【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:マッハキャリバー、リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:目の前の女の子(シャンプー)を止める
[備考]
※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。
※シャンプーの姿を前回の任務の自分(strikers17話)と重ねています。
※『高町ヴィヴィオ』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。
 また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。


【シャンプー@らんま1/2】
[状態]:疲労(小)、激しい殺意
[装備]:無し
[道具]:水とお湯の入ったポット一つずつ、支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:乱馬以外みんな殺す
1:目の前の女(スバル)を殺す

166 ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 13:37:12 ID:ISt7dJVI0
これで投下終了です。

167名無しさん:2011/10/27(木) 13:48:54 ID:9WSBd88M0
乙でした!
やっぱ世界観で人間の身体能力に大きな差があるなw

でも時間と位置の指定が抜けてますよー

168 ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 14:04:56 ID:ISt7dJVI0
しまった忘れてた…
状態表だけ再投下します。

【1日目/未明】
【C−5/森】

【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:マッハキャリバー、リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:目の前の女の子(シャンプー)を止める
[備考]
※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。
※シャンプーの姿を前回の任務の自分(strikers17話)と重ねています。
※『高町ヴィヴィオ』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。
 また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。


【シャンプー@らんま1/2】
[状態]:疲労(小)、激しい殺意
[装備]:無し
[道具]:水とお湯の入ったポット一つずつ、支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:乱馬以外みんな殺す
1:目の前の女(スバル)を殺す

169名無しさん:2011/10/27(木) 18:21:50 ID:MOjTB5Dk0
投下乙です

ダグバは開催前から注目されてたがやっぱり強いわあ
二人とも生きて逃げれたのは僥倖だがヴィヴィオちゃんが、女の子で上半身がやけどとかきついわあ
それと上で言われてるが中学校や警察署の面々はまさに逃げてだわw

確かに珍妙な三人組だわw
Dちゃんもせつなも絡まれてカワイソス。Dちゃんも原作ではオカマの仲間はいたがここまで絡まれてはいなかったなあw
とりあえずは殺し合わずに組めただけマシなんだが…

シャンプーはやっぱり乗っちゃったがストレートに無差別マーダーか
スバルも弱くは無いんだが相手の気迫が、だがスバルもここで折れない
さて、勝敗は?

170 ◆XksB4AwhxU:2011/10/27(木) 19:03:50 ID:ISt7dJVI0
よく見たら誤字があった。
>>164の天童あかねは天道あかねだな。

171 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:29:47 ID:CW3kKOK.0
投下が多くて感想が追いつかない……。
最近投下された二作の感想だけ書かせていただきます。

京水さんさすが…見せしめが知り合いだったのが決定的か。
もはやこの話の主役。だが浮気して大丈夫?ww

シャンプーはやっぱりマーダーか。生身での戦闘力が高いとはいえ、どこまでやれるか。
止めることができる相手かな? 劇中でも最後まであかねを殺そうとしてたし。

それでは投下します。

172 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:32:50 ID:CW3kKOK.0
 ……ったく、どうしてこんな事になっちまったのかねぇ。
 俺こと一文字隼人は、ゆっくりとどこかの小さい村を歩いている。
 村といっても、戦場のような荒廃した村ではなく、各々の家の設備はある程度整っている……推測するに、ここは日本のどこかの島なのだろう。
 最近まで誰か住んでいたんだろうか……?


 それにしても、あの加頭とかいう怪人に誘拐されたはいいが、まさか殺し合いをしろと言われるなんてな。
 今までのパターンを考えると、殺されかけたり脳改造をされかけたり……っていうのが王道だが、今回は少しイレギュラーだ。第一目的がサッパリわからねぇ。


 今回ここに連れて来られたのは、本郷、結城、沖、村雨────それから三影か。
 この参加者に何か意味でもあんのか……?
 このメンツじゃあ、殺し合いなんかしそうなヤツは三影だけじゃないか?
 BADANの改造人間・タイガーロイドの三影英介──ヤツには要注意っていうところか。仮面ライダーとして、人の命を屁とも思わねえようなヤツを野放しにはできないわな。

 風見志郎、神敬介、アマゾン、城茂、筑波洋──ライダーの中にもいねえやつが何人かいるな。
 これはおそらく確認違いじゃない。広間にもいなっかったし、名簿にもない。
 じゃあ、逆になんでこいつらは連れて来られなかったんだ?
 全国に散らばってるライダーの中から、たった五人しか見つけられなかったっていうわけでもないだろう。
 加頭──ヤツが集めている人間の特徴を考えると、彼らが何故選ばれず、俺たちが何故選ばれたのかが余計にわからなくなってくる。


 加頭が集めたのは、おそらく特殊な人間ばかりだ。
 あの時──加頭が平然と三人の人間の命を奪った時、アイツが口にした「NEVER」、「砂漠の使徒」、「テッカマン」、「外道衆」はその言い方やニュアンスから、特殊体質・特殊能力の人間だろうと考えられる。「ドーパント」にいたっては、自ら変身して実演してくれたわけだ。
 それから、「園咲来人(フィリップというのはあだ名だろうか?)」という加頭の人質と接触のある、あの帽子の男も気にかかる。彼も「変身」するらしい。加頭は、彼に対して「あなたの変身に支障はない」と言っていた。
 んでもって、園咲という苗字の人間は名簿に二人分書かれている。おそらくは来人の知り合いだろう。あの帽子の男はそのうち男の名前の方である霧彦か? 
 ……まあ、これは考えすぎか。他にも来人の知り合いはいるかもしれない。


 名前がわかったのは、弧門一輝っていうハンサムだけか。パッと見じゃあ悪いヤツではなさそうだったが、人間っていうのはわからないもんだからなぁ。
 それからその他にも、あの場には外見からして明らかに人間じゃないヤツも少なからずいた。
 どう考えても、その選別基準は偶然じゃない。彼が集めたのは、ライダーや怪人、或いは俺さえ知らない未知のバケモンだ。


 つまり、他のライダーも充分選別基準は満たされている。なのにあいつらはここにいない。
 第一、元科学者で首輪をいじれるかもしれない結城丈二(俺も風見の体に機械を詰めたことはあるが、結城に比べたらたいした事はない)をわざわざ連れて来て、機械など絶対に扱えないであろうアマゾンがいねえっていうのは……。


 ん? ──待て。
 ここにいるライダーは五人。来ていないライダーも五人。
 この別れ方は綺麗すぎやしないか? もしや、殺し合いが行われているのはここだけじゃなくてもう一箇所あって、残りのライダーはそっちにいるっていうことはないだろうか。
 殺し合いが行われているのがここだけという保証はない。
 だいたい、あの加頭だって、「我々」という言い方をしたじゃないか。それは他にも殺し合いを催したヤツがいる、という意味ともとれる。
 少なくとも、新たな悪の組織がどっかで動き出してるってのは確かか──


 ────まあ、他のライダーも殺し合いをしてるなんて、最悪の状況を考えるのは止そう。
 それに、アイツらなら多分そう簡単には死にはしないか。
 俺も、できれば他の連中はまだBADANを倒すために奮闘していることを願いたい。

173顔に十字を持つ者 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:34:35 ID:CW3kKOK.0
「さて、俺もとっとと帰って復活した怪人どもをブチのめしてやらねえと」



 今、日本はトンデモねえことになってるんだ。こんなことしてる場合じゃねえよな。
 まずは本郷たちを捜して三影や加頭を倒さないといけない。
 他にも力を悪用する人間がいるってなら相手してやる。

 ────なんてったって、俺は人間の自由と平和を守る仮面ライダー2号だからな。


 ……なんて考えていた時だ。
 背後から強い殺気を感じ、俺は咄嗟に身を翻して左方に転がる。
 その殺意は、明らかに俺に向けられたものだと思った。それは次の瞬間、俺のいた場所に一閃の黒光が流れたことで確かになった。


 それは剣を振るうことによってかまいたちだ。タイガーロイドが背中に背負ってる危険物とは違う。
 ────つまり、三影じゃない。
 ってぇと、いきなり初対面で襲ってくるような礼儀知らずかい。


「……なんだい、あんた?」


 返事も挨拶もない。ただ、俺が見た先には禍々しい黒い狼の鎧があった。その動きを見るに、人間が入っているのは恐らく確か。
 剣を構え、隠す様子もなく堂々と立っている。変身能力者にしても、俺みたいに肉体そのものがヘン、っていうわけじゃなさそうだ。
 言ってみるなら、──そう、がんがんじいだ。
 凶暴化したがんがんじいのようなヤツが、こちらを睨んでいる。
 そいつは、あの一撃を避けた俺に少し驚きながらも、再び剣を構えていた。それにしてもデカい剣だな。


「まっ、そっちがその気なら────俺も本気でやってやりますか」


 さっき言ったとおり、力を悪用する人間の相手も仮面ライダーの仕事だ。
 三影にしろ、加頭にしろ、コイツにしろ、少しは仮面ライダーに休暇をくれたっていいものを……。
 正義の味方も楽じゃないってね。


 俺は両腕を、真正面から見て時計の十時を差すあたりに翳す。
 こいつが俺の変身ポーズ。あんまり人前で見せたくはないんだがね、まあいつもの怪人へのサービスってことで。

 ライダァァ────

 ────変身!!


 一文字隼人としての外形を捨て、俺は真っ赤な拳を握り、真っ赤なマフラーを風に乗せる。
 飛蝗の改造人間。触覚、複眼、強化筋肉、変身ベルト──それらが、俺が人間じゃないっていうことを表している。
 
 この姿の名は力の戦士・仮面ライダー2号──要するに、俺の戦いの姿だ。
 そんな異形を見て、ようやく異常に気を向けたがんがんじいモドキが反応した。
 まあ、人間が変身したらフツーは少し驚くか。


「魔戒騎士じゃないな」


 魔戒騎士──その言葉の意味はわからねぇ。
 だが、おそらくは加頭の言ってたNEVERやテッカマンと同じ──俺の知らないところで動いてる、特殊能力者たちの名詞だ。
 そうか、騎士か。道理で剣を使うわけ。ま、奇襲をしかけるようなヤツに騎士道精神なんざあるとは思えねえが。
 ともかく、そいつの言葉に俺は適当に言葉でもかけてやることにした。


「ヘッ、ようやく喋ったか」

「ましてやホラーでもない────だが、醜い姿だ」

「百も承知!」


 こいつ、俺とマトモに会話する気がないらしい。
 男なら、戦いで語れっていうことか? まあ、そいつに答えてやるのも悪くないね。俺だってそういうコミュニケーションは不得意じゃない。
 俺は醜いと言われた鬱憤もあって、少し力を込めて前進する。言われ慣れてはいるが、こういうヤツにいると少しくらいは腹も立つ。
 まずはこの技だ!


「ライダァァァァァァパァンチッッ!!」


 前進というには余りに猛々しい、突進とでも言うべき走行に右腕を乗せ、鎧の胸のあたりに拳を打ち込む。
 その名はライダーパンチ。
 拳に響いた余韻は思ったよりも大きく、一瞬だけ右腕が肩まで痺れるような感覚に陥る。
 この鎧、見た目以上に硬い……!
 力の二号と呼ばれた俺の拳でさえ、この男を相手には虫同然ってか。がんがんじいなら吹っ飛んでたぜ。

174顔に十字を持つ者 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:35:34 ID:CW3kKOK.0
 すぐに右腕を引くが、それ以上に早く、男の腕が俺の腕を掴んだ。
 更に俺が危機感を抱くよりも早く──いや、掴まれたと気づくよりも早く、そいつは俺の腕を返す。
 柔道や合気道でもありえないような圧倒的な力で俺の体が、宙を転ぶ────男は、俺の腕を掴んだまま、不自然な回転をかけて飛ばしたのだ。
 その間、男はまるで微動だにしないようだった。鎧が飾ってある横で、俺の体が勝手にひっくり返ったように見えてしまうだろう。
 俺にもそういう風にしか見えなかったのだ。


「痛ェ……テメェ何者だよ……」


 俺は地面に打ち付けられた体を起こしながら訊く。
 改造人間とは違う──あの、「動」の感覚がない。ゆえに隙がない。ただ、この男の底から感じる「闇」が殺気だけを放っている。
 動物の遺伝子を受けた改造人間ゆえの鋭い勘がそれを拾わなければ殺されてしまう。


 俺は純粋に、この男が何者なのかが気になったのだろう。
 よく考えれば、こいつに会話は通じなかったのかもしれない。
 だが、少しでも追い詰めたことで気分が高揚していたのか、男は答える。


「我が名は暗黒騎士キバ……!」


 暗黒騎士キバ──か。コイツのさっきからの行動は、その「暗黒」の肩書きに相応しい傍若ぶりだ。
 だが、だからこそ倒さなければならない相手……。俺たち仮面ライダーが退くわけにはいかない相手だ。
 再生怪人以外の敵は随分と久々で鈍っちまったのか。
 数だけで質のなってないヤツらを倒しまくってたのが悪かったのか。
 こんなヤツにやられる俺じゃない──。


「────消えろ、弱き者!」


 お次は敵さんの攻撃だった。
 黒い大剣を体の後ろに構え、キバは駆ける。スピードも圧倒的だ。
 反応しようと思った頃には、既に俺の胸の強化筋肉に傷が入っていた。
 だが、この俊敏な攻撃に反応しようと思ったこと自体は悪いことじゃなかったしい。
 傷もこれだけで済んだし、俺の居場所を通り過ぎたばっかりで、こちらを向いていないキバに出会えたのだから──。
 俺はすぐに、急停止しようとするキバの後方に両腕を向けた。
 これが好機。利用しない手はない。


「ライダァァァァァァチョォップッッ!!!!」


 今回は出血大サービスだ。
 右手、左手。二つの腕で逆ハの字を描いてキバの首筋を打ちつける。マントが少々邪魔だ。格好つけやがって。
 いつもなら片腕でパパッとやってしまうところだが、パパッといく相手じゃないからな。
 少し戦っただけで十二分にわかった。
 お願いだから、少しはひるんでくれよ──


「────そうか、君は仮面ライダー二号、一文字隼人だったな。思い出したよ」


 ──全然効いてないってか。
 広間で加頭が俺の名前を発表したのを思い出したらしいが、俺には全く関係ない。
 俺の攻撃が全然効かない怪人を相手にしないといけないっていうのはなかなかキツい話だ。
 こいつは本当に救いようもないな。


 ────ま、それに救いをやるのが俺たち仮面ライダーなんだけどな


「死ね────仮面ライダー」


 振り返ったキバは、この至近距離で俺に剣を突き刺そうとしていた。
 この距離と体勢では回避も難しい。
 だいたい、ここまでの戦いで既に体は傷を負っている。
 火事場の馬鹿力を発揮するにも、体が動いてくれないようだった。
 キバは、あの大剣を使って俺の身体を突き刺そうとしていた。

 ────だが、その瞬間


「チェンジ・冷熱ハンド! 冷凍ガス!」


 救いっていうヤツが、少し遅れてきてくれたらしい。
 キバの身体は半身が凍りつき、俺の身体を貫くのを妨害している。
 この技──仮面ライダースーパー1、沖一也だ。
 直後に、彼の声が聞こえて、やはりスーパー1のものだったのだと確信した。


「助けに来ましたよ、センパイ」

「助かったぜ! コウハイ!」


 銀色のスズメバチの仮面ライダー、スーパー1。彼はそのファイブハンドを用いて、あらゆる技能を使える。
 そのうちの冷熱ハンドは、冷凍ガスを噴出する。我が後輩ながら、とんでもない能力の持主だ。俺は少し旧型すぎるか?
 ともかく、不意の攻撃に驚愕するキバをよそに、俺は後方へと退いていく。

175顔に十字を持つ者 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:42:26 ID:CW3kKOK.0
「さっ、ライダーが二人揃ったところで、本領発揮だ! アレをやるぜ!」

「え?」

「ダブルライダーの必殺技って言ったらアレしかないだろ」


 俺がそう言って、先に高くジャンプする。飛蝗の改造人間ゆえ、ジャンプ力には大きな自信があった。
 だが、このまま俺が蹴りを入れたところで、おそらくはキバには効かないだろう。
 ────もう一つ、力があれば別だが。

 少し遅れて、戸惑いながらもスーパー1がジャンプする。案外満更でもなさそうだ。
 コイツは俺と違って、ジャンプ力が有限じゃない。宇宙開発用改造人間であるがゆえに重力制御装置が搭載されたスーパー1は、その気になれば宇宙にだって飛び出すことができる。
 そのため、初動が遅れても俺に合わせるのも容易だったらしい。


「スーパー!」「ライダー!」




「「ダブルキィィィィックッッ!!!!!!!!!」」





 凍り付いて動けないキバに、2号とスーパー1、二つの力が合わさったライダーキックがぶち当たる。
 一度、攻撃を受けた胸部に蹴りを受けたキバは、流石に嗚咽を吐いた。
 ダブルライダーの攻撃に勝てるもんか。
 鎧さえ叩き割るような一撃に、キバはもがき苦しんだ。


「……おのれ…………仮面ライダー……」


 キバは胸を押さえ、後退していく。
 よろよろとしながらも、民家の群れの中に消えていこうとする。
 案外、一撃与えるとあっさりどっかに行っちまうものなんだよな。
 もうそろそろアイツも限界だろう。このままトドメを刺すのも悪くはねえが……なんだかそいつは後味が悪い。
 これで懲りてくれれば有難いが、どちらにせよアイツのダメージは大きいはずだ。しばらくは動けないだろう。


 ────まあ、俺も人のことは言えないんだが……


 ばたんっ、と変身を解除した自分が倒れる音がした。
 俺もちょっと胸が痛い。あの切り裂かれた傷、思ったよりも深手だったか……?
 同じく変身を解除した沖が近寄ってくれたらしい。


「大丈夫ですか!?」

「ああ……ちょっとだけ休む……悪いがその辺の家まで運んでくれ……」


 沖は黙って頷き、俺に肩を貸してくれた。
 やっぱり、この殺し合い、一筋縄ではいかないな……。
 仮面ライダーってヤツがどこまで通用すんだかワカんねェ……。


 本郷、みんな、無事でいてくれよ……。



★ ★ ★ ★ ★

176顔に十字を持つ者 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:42:55 ID:CW3kKOK.0
 僕──バラゴ──は打撃の痛みに胸を押さえる。
 スーパーライダーダブルキックの威力は、僕の胸に鎧を纏っていたことを忘れるほどの痛みを与えた。


 闇に堕ちてまで強さを求めた僕を、────愛する母親の幻影さえ切り捨て、己が心に光が無い事を証明した暗黒騎士を、油断したとはいえ倒すとは妬ましかった。


 此処で殺し合いをする道を選んだのは、ただ生き残るには楽だったからに過ぎない。
 周囲の総てを葬る……、それが闇に堕ちた魔戒騎士に最も相応しい生き方なのだ。
 弱肉強食の世の中では、弱い者たちは容赦なく死んでいく。魔戒騎士である父やかつての師匠である冴島大河は弱いから死んだ。その現実に悲しみはない。
 だから、僕は最強として君臨し続ける──それが生きる道。
 加頭という男に利用されることもない。もし生き残ったら、アイツも殺す。そして僕は元居た場所で目的を遂行するのみだ。


「────薬切れか」


 龍崎駈音としての顔が崩れ落ち、醜い十字の傷が浮かび上がる。
 顔を変容させる薬────あれはどこに行っただろう。
 僕は装束の中を探した。
 だが、すぐにやめる。


 今はあんな道具を使う理由もないということに気づいたのだ。この顔のままでも行動に支障はない。あれは御月カオルを欺くための姿にすぎない。
 確かに自らの醜い傷跡を隠したい気持ちはあるが、今この場にある薬が有限である以上、こんなところで使うわけにもいかないのだ。
 あんな薬よりも、この場では強い武器の方が頼りになる。
 そういえば僕の支給品は、いつかある人間に渡した「魔弾」だった。僕の手には2発。何故これがここにあるのかという疑問は既に無い。加頭という男やその仲間の影響力は魔界にも渡っている……それは最早疑いようもない
事実なのだから。
 今更僕がこれを使う理由はないと思っていたが、時に下僕として使えるホラーが必要となる。僕が動かずとも他の参加者を殺してくれる下僕がね。
 ところでこの魔弾は魔戒騎士には効かないのだが、仮面ライダーにはどうだろうか。
 そうだ、彼らこそ、ホラーという完全なバケモノに変えてしまおう。
 飛蝗の怪物などより、はるかに醜悪な異界の来訪者の姿に────。

 そうだ。その方がいい。
 この殺し合いを、光の者が闇へと堕ちる宴にする。
 折角なのだから、この殺し合いを趣のあるものへと変えてやろう。


★ ★ ★ ★ ★

177顔に十字を持つ者 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:43:52 ID:CW3kKOK.0
「すまねえな、沖……」


 俺の体を借りて、一文字さんは礼を言った。俺もそれに相槌を打った。
 彼を助けるのは同じライダーとして、そして人間として当然のこと。ましてや彼は先輩だ。できれば他の先輩たちとも協力したいが、今この段階で見つかったのは一文字さんだけ。
 寧ろ、あれだけの参加者の中から最初に会ったのが同じライダーだったのは奇跡的な幸運である。


 先輩ライダーたちがいれば、加頭を倒すことに協力もしてくれるだろう。
 この力を誰かを護るために使いたい、人類のために使いたい──。
 その心は嘘偽りではない。
 だから、俺は一文字さんをこんな風にしたあの鎧の男を許さない。────まあ、向こうも相当のダメージを受けているだろうから、許す許さない以前に死んでいるのかもしれないが。
 そんな怒りが俺の心を燃やす中、一文字さんはあまりにも唐突に言い出す。


「……そうだ、沖。俺の支給品よぉ、写真だったんだよな……」

「写真、ですか……?」

「人が死ぬ瞬間の写真だ。怪人にやられるわけじゃねえ、同じ人間に戦争で殺される人たちの写真なんだ。俺だって何枚か撮ったことがあるが、あれほど悲しいことはない……」


 一文字さんはカメラマンであるゆえ、一時期、戦場で子供たちにカメラを向けていた。
 笑わない子供たちを笑わせた男────それが彼だったらしい。
 そんな彼に戦場の写真が支給されるとは何という皮肉だろう。確かに写真自体は武器ではないが、「人の死」に慣れさせようという目的で支給されたであろうことはよくわかった。
 シャッターを切るとき、その写真を撮った人はどうおもっただろうか。
 きっと辛い。きっと悲しい。──同じ人間の所業とは思えない怒りが、渦巻くだろう。
 一文字さんはその気持ちを知っているから、こんな話をしたのだ。


「この殺し合いでも同じ過ちは繰り返させちゃならない……」


 俺はその時、初めて見た。
 こんな馬鹿げた殺し合いをしようとする鎧の男や、悲しき戦場の写真さえ更なる殺し合いに利用する加頭への怒りで、顔を歪めた一文字さんの顔を。

 ────目鼻を跨ぐように十字の傷が浮かび上がっている。
 先輩たちからは「改造手術によるもの」と聞かされていた傷だ。
 彼が本当に激昂したときに浮かび上がるものである。


「それを防ぐのが、俺たち仮面ライダーでしょ?」

「……ばかやろう、俺のセリフとんじゃねえ……」


 疲れ果てた一文字さんを背負い、俺は歩いた。
 村の中には幾つかの民家があるが、俺たちが探すべきは治療薬がある家ではなく、修理道具がある家だ。
 探すのは少し手間がかかる。



【1日目/未明 C−2 村】


【一文字隼人@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(大)、胸部に斬痕、顔の傷が浮かび上がっている
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考]
基本:仮面ライダーとして正義を果たす
0:沖に肩を借りてどこかで休む
1:他の仮面ライダーを捜す
2:暗黒騎士キバを警戒(但しキバは永くないと推測)
3:元の世界に帰ったらバダンを叩き潰す
4:この場において仮面ライダーの力は通用するのか……?
[備考]
※参戦時期は第2部以降。
※この場に参加している人物の多くが特殊な能力な持主だと推測しています。
※加頭やドーパントに新たな悪の組織の予感を感じています(今のところ、バダンとは別と考えている)。
※園咲霧彦、園咲冴子が園咲来人の関係者である可能性が高いと考えています。

178顔に十字を持つ者 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:44:10 ID:CW3kKOK.0
【沖一也@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを防ぎ、加頭を倒す
0:一文字を連れてどこかで休ませる
1:仮面ライダーとして人類を護る
2:先輩ライダーを捜す(参戦時期が不明なため、良に関しても不明)
3:鎧の男(バラゴ)は許さない。だが生存しているのか…?
[備考]
※参戦時期は現在不明。


【バラゴ@牙狼─GARO─】
[状態]:胸部に強打の激痛、顔は本来の十字傷の姿に
[装備]:魔戒剣、魔弾(2発)+銃@牙狼
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2、顔を変容させる秘薬
[思考]
基本:参加者全員と加頭を殺害し、元の世界で目的を遂行する
1:仮面ライダーに魔弾を打ち込みホラーにする
2:今のところ顔を変容させる予定はない
[備考]
※参戦時期は第23話でカオルに正体を明かす前。
※顔を変容させる秘薬を所持しているかは不明。
※開始時の一件で一文字のことは認識しているので、本郷についても認識していると思われます。


【支給品解説】

【魔弾@牙狼─GARO─】
第21話「魔弾」に登場する、ホラーの魂が篭った弾丸。
これで撃たれた者はボナファルツ、又は低級ホラーに憑依され、撃った者のいう事を聞くようになる。
劇中でホラーとしての姿を見せたのはボナファルツのみで、他は全員ゾンビのような状態になっている。
また、これは魔戒騎士には効かない。

179 ◆gry038wOvE:2011/10/27(木) 21:44:40 ID:CW3kKOK.0
以上、投下集終了です。

180名無しさん:2011/10/28(金) 01:14:23 ID:Pa4.tf4M0
>>153
本編見てないといつもさやかぁぁ!!と叫んでる娘にしかみえないからな>杏子

181 ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:20:10 ID:bVFttHSY0
皆様投下乙です。

男と少女とオカマ〜
劇場版Wが産んだ名物キャラは自重無し、対主催なのが不幸中の幸いだけど……なんだか違う意味で不幸な気もする。
でもDさん、せつなにしろ京水にしろこいつら時期や状況次第では敵対していたんだぜ……
そういやDさん、名簿見て気付いているのだろうか……

あの時の自分〜
普通に考えればスバルが負けるとも思わないがなぁ……でも良く考えてみれば原作的に考えてスバルが勝ってもある意味地獄、
ところで、シャンプー、乱馬以外皆殺しは良いとして最終的に自分はどうするんだ? 少なくても自殺する様な殊勝なキャラじゃないよな……

顔に十字〜
予約メンバー的に仮面ライダーのどちらかが退場すると思ったら何とか切り抜けたか……
ただバラゴの持っている魔弾がかなりヤバイ……仮面ライダーの皆様逃げてー。

というわけで、酉付きで書き込んでいる時点でお気が付きでしょうが、当方も予約分を完成致しました。
その為、今から照井竜、相羽ミユキ、ティアナ・ランスター、以上3名投下致します。
さぁ、Dさんとスバルのそれぞれの大事な人はどんな結末を迎えるのか。

182brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:23:40 ID:bVFttHSY0
 唐突だが、読者諸兄に問いたい事がある。
 貴方が男性ならば妹はいるだろうか? 貴方が女性ならば兄はいるだろうか?
 いるのならばもう1つ、貴方は妹、あるいは兄にどのような感情を抱いているのだろうか?

 そう、これから語られる話に登場する3人の人物には共通点がある。

 それは――





Scene01.相羽ミユキの場合


 深い森の中、1人の少女が彷徨う。

「はぁ……はぁ……」

 彼女の名は相羽ミユキ、記憶の限りではあの瞬間、兄である相羽タカヤを守る為にその命を燃やし尽くした――

 ――だが、気が着いた時にはあの暗い空間にいたのだ。
 そして唐突に加頭と名乗る男から最後の1人になるまで殺し合えと言われたのだ。

 何故、あの瞬間死んだ――いや死んでいなかったとしても重傷を負っていた筈の身体が万全な状態なのか?
 何故、自身が殺し合いに参加させられているのか?
 理解が追いつかない中、さらなる現実が突きつけられる。

 自分達を拘束する首輪、その力を示すために3人の首輪が爆破された。
 無論、それだけでも衝撃的な出来事ではある。だがそれよりも重要なのは――

「ダガー……いえ、フリッツさん……」

 その内の1人がミユキ自身の知り合い――いや、かつての仲間とも言おうか、フリッツ・フォン・ブラウンだった。
 だが、それ自体がそもそも奇妙な話なのだ。あの場にフリッツが居る筈がないのだ。
 そう、ミユキの知る限りフリッツは既に死んでいる筈なのだから――

 加頭は言っていた。優勝者にはどんな報酬でも渡すと――それこそ死者蘇生も可能だと。
 自身が未だ生きているのはその証拠なのだと――だから殺し合いに乗れという事なのか?

 理解が追いつかぬ内に気がついたら森の中に転移させられていた。
 ミユキが最初にした事は所持品の確認、自身の持つテッククリスタルと幾つかの武器あるいは道具を確認した。
 そして名簿を確認する。

「タカヤお兄ちゃん……やっぱりお兄ちゃんもこんなのに巻き込まれて……」

 名簿の中にはタカヤの名前があった。フリッツが見せしめとなった際に加頭が口にしていた事から考えればそれ自体は容易に推測出来た事だ。
 彼の仲間であるノアルやアキといった他のスペーツナイツの面々の名前は無かったのは不幸中の幸いだったが決して喜べるものではない。
 いや、それだけだったらまだ良いだろう。むしろ問題なのは――

「シンヤお兄ちゃんに……モロトフさん……」

 タカヤの双子の弟にしてミユキの兄の相羽シンヤ、そしてやはりかつての仲間であったモロトフの名があった事だ。
 だが今や自分達――いや、地球に住む人々の敵である。
 この2人が素直に加頭に従うとは限らないが、人間の命を何とも思わない以上、他の参加者を殺す事を躊躇する事も無いだろう。
 そして、恐らくこの2人がその気になれば参加者の殆どが蹂躙されるであろう事は想像に難くない。
 無論、彼等から見て裏切り者である自分やタカヤが排除すべき敵である事も言うまでもない。
 もっとも、シンヤにとってのタカヤはそれ以上の因縁があるわけだが――

 とりあえず他に知り合いが居なかったがこれを喜ぶべきか悲しむべきかはよくわからない。
 とはいえ重要なのはこれからだ。
 まずミユキ自身殺し合いに乗るつもりは全くない。
 可能ならば自身の持つ力で他の参加者を驚異から守りたいとは思う。
 しかし、自身の力では限りなく厳しいのは理解している。
 シンヤ達に及ぶわけも無い以上、強敵相手では厳しいのは言うまでもない。
 だがそれ以上にミユキ自身には重要な問題があったのだ――

183brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:24:35 ID:bVFttHSY0

 ミユキがすべきだと考えたのは2つ。
 1つはタカヤとの合流、
 恐らくタカヤは自身の名前を見つければその身を案じる筈だ。
 同時にタカヤは他の参加者を守る為、敵であるシンヤ達を倒す為、無茶を重ねるだろう。
 それでもスペーツナイツの面々がいるならば大丈夫だと確信出来る、だが今は彼等がいない。

 故に――妹である自分が兄を守る為、彼と合流しなければならないのだ。

 もう1つは他の参加者にシンヤ達――テッカマンの脅威を伝えタカヤの力になってもらう様に頼む事。
 加頭の口振りでは仮面ライダーやNEVER、砂漠の使徒といったテッカマン同様普通の人間とは違う存在がいるらしい事が彼等がテッカマンに対抗出来るかは半信半疑である。
 無策でテッカマンに挑めば返り討ちに遭うだけだ。だからこそテッカマンについて知る自分が彼等の情報を伝えねばならない。
 同時に彼等にタカヤの力になって貰うのだ、きっとタカヤは1人無茶を重ねるだろうし止める事は出来ないだろう。
 それでも彼の力になり助ける事は出来る筈だ。
 一番良いのは自分が力になる事だ。だが――それはきっと難しいだろう。
 だからこそ、この地でタカヤの力になってくれる仲間を探すのだ。タカヤと仲間達が力を合わせればきっとこの局面も――


 そんな時だった、何かがすぐ横を掠めたのは――


 掠めた何かはすぐ横の木に着弾し大きな痕を刻む。


「誰……!?」


 ミユキは飛んで来た方角を見る。しかし夜の森という見通しの悪い状況故に狙撃手の姿を確認する事は出来ない。
 少なくても、シンヤ達ではない。シンヤ達ならば隠れて狙撃という手段はとらないだろうし何より彼等が接近したなら把握出来る筈だ。
 となれば殺し合いに乗った者が一見か弱い少女である自分を襲撃しているのだろう。

 そう考えている内に次の銃弾が飛んでくる。見通しが悪いという条件は相手も一緒故に外れてくれた。
 だが、今の状態では一発でも直撃を受ければそのまま致命傷となる。狙撃手の姿が見えない以上圧倒的に自分が不利だ。

 大体の方角だけは把握している。ミユキは走り狙撃手から距離を取ろうとする。
 周囲の木々が上手く遮蔽物になってくれれば態勢も立て直せるという事だ。


「はぁ……はぁ……」


 身体が重い。正直な所、全力で走るのも厳しい状態だ。
 それでもまだこんな所では終われない、自分の身を案じているタカヤの為にも、そのタカヤを守る為にもこんなあっけなく終わるわけにはいかないのだ。
 だからこそミユキは懐からクリスタルを取り出す。そう、テッカマンにテックセット、つまりは変身する為のクリスタルだ。
 今の自分でもテッカマンになれば切り抜ける事が出来るだろう。
 無論、無茶をすればそれだけ限界を迎えるのが早まるだろうし、タカヤはともかくシンヤかモロトフを招き寄せるリスクがある。それでも、

184brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:25:10 ID:bVFttHSY0


「お兄ちゃん……」


 守るためにも今はこれを使うしかない。そう考えクリスタルを構え


「テックセッ……」


 だが、それ以上言葉が紡がれる事は無かった。
 銃弾がクリスタルに着弾しクリスタルを撃ち落とされたのだ。幸いクリスタル自体は破損する事は無かったがミユキの手からこぼれ落ちてしまう。


「ああっ、クリスタルが……」


 その衝撃で手が痺れる。それでも落としたクリスタルを拾わなければならない。そう思ったが、
 狙撃手の銃弾が足下に着弾しその衝撃でバランスを崩して転倒してしまう。


「ううっ……」


 手を伸ばしても落ちたクリスタルには僅かに届かない。デイパックから何かを出して対処出来るとも思えないしそれ以前に間に合わない状況だ。
 転倒した状況では最早只の的でしかない、故に既にチェックメイトがかけられた状況と言えよう。
 今更死ぬ事が恐いわけじゃない。だが、愛する兄の為に何も出来ずに終わってしまう事が悔しかった。だから――


「お兄ちゃん……ごめんね……」


 只、愛する兄へと謝罪した――その直後、銃弾がミユキを――


 撃ち貫く事は無かった――


 その時、青い何者かが察そうとクリスタルと自分を拾い上げ弾が着弾するよりも早く駆け抜けたのだ。


「え……」


 見上げるとそこには青色の甲冑を身に纏った様な戦士がいた。


「誰……?」
「ダレ……?」


 思わずミユキはそう問いかける。
 それは狙撃手にとっても同じだったのだろう。性別すらわからない籠もった声がミユキと同じ問いをぶつける。
 だが、青色の戦士の返答は両名の予想を超えるものであった――


「俺に質問をするな」

185brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:25:45 ID:bVFttHSY0





Scene02.照井竜の場合



「加頭……あの男何処かで……」

 照井竜はつい先日、園咲琉兵衛率いるミュージアムとの決戦を終えた――
 無論、全てが解決したとは言い難いもののこれでガイアメモリを巡る事件は1つの区切りを迎える筈――
 その矢先、加頭という男が口にした殺し合いに巻き込まれたのだ。
 加頭の使ったドライバーとユートピアなるガイアメモリの存在から瓦解した筈のミュージアムの関係者という事は容易に推測出来る。

 だが、照井自身1度だけではあったが加頭という男と遭遇した事があった。

「そうだ、あの時園咲冴子と一緒にいた男か」

 それは照井自身に仮面ライダーに変身する為のドライバーとガイアメモリを渡した張本人であるシュラウド、彼女と園咲家の関係を調べる為に園咲冴子と接触した時に彼女と食事をしていた男だ。
 もっとも、その直後その男はすぐさまその場から去り、照井自身もシュラウドの事を聞き出す事を優先した為それ以上の事はわからなかった。

 照井の把握する限り、あの時点で冴子はミュージアムから離脱していた。
 となれば、少なくてもその男――加頭が単純にミュージアム側の人物とは言い難い。
 ミュージアムに属する者であれば裏切り者である冴子と悠々と食事する筈もないからだ。
 つまり、ミュージアムを利用あるいは彼等に協力している組織の人物で、同時に個人的か組織的かまでは不明ではるものの何かしらの理由で冴子を保護していたといった所だろう。

 何にせよ、冴子辺りを問いつめれば加頭の正体を掴める可能性が――そう単純な話でもない。
 何故わざわざ連中の手駒と言っても良い冴子をこの殺し合いに放り込まなければならない? 彼女自身が重要な情報を握っているのであればなおの事だ。
 それに、連中にしてみればこの殺し合いが瓦解する事は避けねばならない。その為に、自分達にとって重要な情報を握る冴子を野放しにするとも思えない。
 つまり――園咲冴子がそのまま主催者である加頭に対するカードとはなり得ないという事だ。
 全く探さないわけでも無いが彼女に執着する必要性も無いだろう。

「死者を蘇らせる……か……」

 あの場で加頭は優勝者にはどんな報酬でも与えると語っていた。それは死者蘇生も可能という話だ。
 一見すると信じがたい話だ、だがそれが全くの絵空事ではないらしい。

 まず、見せしめとして殺された3人の男の内の1人、少し前に風都を恐怖に陥れた傭兵集団NEVERの1人堂本剛三だ。
 結論だけ述べればあの事件の元凶であるNEVERは自分達が打倒し、元々死者であった彼等の身体は今度こそ完全に消滅した筈だった。
 だが、あの場では普通に存在していた、すぐに死を迎えたもののそれでもあの瞬間は確実に生きていた筈だ。

 そしてもう1点、これはこの地に来てから名簿を確認した際に気がついた事だが、既に死亡している筈の人間が4人もいたのだ。
 まず園咲冴子の夫だった園咲霧彦、照井本人が風都に来る前の話だった為面識は無いものの死亡していたらしい。
 次に堂本同様NEVERである大道克己と泉京水、前述の通り彼等も本来ならあの事件の末に完全消滅した筈だ。
 そして――

「井坂……」

 照井自身の家族を含めた多くの者を惨殺し人々を悲しませた井坂深紅朗の名前があったのだ。
 その力は絶大ではあったが照井は全てを振りきりようやく打ち倒す事が出来たのだ。
 そして井坂自身、ガイアメモリの過剰使用の副作用によりその肉体は完全消滅したのを照井達は確認している。
 だが、こうして名簿にある以上、何かしらの理由――死者蘇生かまでは断定出来ないもののこの地で生存している事は確かだ。

 井坂に対する怒りがわき上がるもののその事については今は良い。
 奴が地獄から舞い蘇ったならば今一度地獄に堕とせば済む話だ。
 出来るか出来ないの話ではなく、それは照井自身譲れない事なのだ。

186brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:26:20 ID:bVFttHSY0

 それ以上に重要なのは照井自身がどうするかなのだ。
 本当に死者蘇生が可能かまでは断定しきれない。だが、超絶的な力を持つ事は理解した。
 その力があれば大抵の願いは叶えられるのも理解は出来る。

 前述の通り、照井の家族、両親や妹は井坂によって惨殺されている。
 その井坂に復讐する事が照井が戦う根元的な動機であった。

 だが――こういう風には考えられないだろうか。
 結局の所、復讐という手段をとるのは殺された家族はどうやっても取り戻せないからだろう。
 しかし、取り戻せないものを取り戻せるとしたら?
 例えば死者蘇生が不可能だとしてもそもそも井坂に殺された事自体無かった事に出来るのならば?


「………………馬鹿馬鹿しい」


 照井自身、風都に戻った時は風都及びそこに住む人々を嫌悪していた。
 井坂の様なガイアメモリの犯罪に手を染める人々が現れるのを風都及びそこに住む人々が腐っていると考えたからだ。

 だが、風都にて照井は多くの人々と出会った。
 左翔太郎、フィリップ、刃野幹夫、真倉俊、ウォッチャマン、サンタちゃん、クイーン、エリザベス、そして所長といった愉快な仲間達、
 リリィ白銀や島本凪といった照井自身も深く関わった事件の関係者、
 そして、園咲家への復讐の為とはいえ結果的に照井を過酷な運命に巻き込んでしまった事を悔やみ続けていたシュラウド、
 全てが腐っているわけじゃない、心の奥底に秘めたる想いがあり、それが暴走して事件になっただけという事もあったのだ。

 そして、その人々を守るのが照井達仮面ライダーなのだろう。
 そんな仮面ライダーである自分がそれを裏切るわけにはいかない。
 確かに家族は取り戻したい、だがその為に何の罪も無い人々を殺す事などあってはならない。そんなのは自らの欲望の為に多くの罪を犯した井坂と同じだ。
 また、全てを無かった事にするつもりもない。そんな事をすれば今まで出会った者達との出会いすら否定する事になるからだ。

 だからこそ照井は仮面ライダーとして人々を守る為、加頭を打ち倒す事に決めた――

「そういえば……あの2人も仮面ライダーらしいが……風都以外にも仮面ライダーがいるのか?」

 確かあの場には仮面ライダー一号、二号と呼ばれる本郷猛、一文字隼人の2人がいた。彼等の口振りから察するに他にもいると考えて良いだろう。
 とはいえ、別にそれは疑問に感じる事ではない。
 照井自身が風都に来る前の話なので詳しくは知らないが翔太郎達は別世界の仮面ライダーに会ったという話もあるらしく、
 先のNEVERの一件ではメダルで変身する上下3色に分かれた仮面ライダーが現れたらしい。
 それを考えれば今更他に仮面ライダーがいても問題にはならないだろう。

187brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:26:55 ID:bVFttHSY0


 そんな矢先だった。何かの音が響いて来たのは――


 周囲を見回すと現在位置であるG-3にある森の奥に1人の少女が走っているのが見えた。
 詳しい事は不明だが何者かにライフルか何かで狙撃されているのだろう。
 すぐに助けに向かうべく照井はアクセルドライバーを装着し、


 ――Accel――


「変……身……!」


 メーターを模した『A』のメモリを作動させドライバーのスロットに挿入、


 ――Accel――


 ハンドルを捻ると共に照井の全身に赤い粒子が纏われていく様に赤い戦士の姿へと変化し仮面ライダーアクセルへの変身を完了した。
 だが変身している間に少女の状況は悪化していた。
 見ると少女は何かの結晶体を取り出し何かしようとしていた。結晶体が何かは不明だが恐らくガイアメモリ同様変身に使うものと考えて良い。
 だが、狙撃手の弾が結晶体に命中しそれを落とし、更に地面に弾が着弾した衝撃で転倒。このままでは次の一撃で終わりだろう。
 少女までの距離はまだ大分ある。恐らく今の状態では狙撃手の弾の方が早いだろう、少女を守る方法は――


「くっ、間に合え……」


 アクセルはドライバーに装填されているアクセルのメモリを抜き、タイマーとシグナルをつけた『T』のメモリを作動させ、


 ――Trial――


 更にメモリを変形させドライバーに挿入しハンドルを捻る。するとシグナルが点灯し、


 ――Trial――


 音声と共にシグナルが点灯、赤、黄と点灯するのに呼応しアクセルの体色も黄色に変化し、
 青が点灯すると同時にその色は青に、複眼も青から黄に変化し、色だけではなく赤い時にはあった装甲部を無くした状態、アクセルトライアルへと変化した。

 そしてすぐさま奔る、トライアル――それは攻撃力と防御力を落とした代償として速さを得た姿、
 そのスピードは凄まじく――

 狙撃手の弾よりも早く、少女の元にたどり着き彼女の持つ結晶体、そして少女を確保し駆け抜ける事に成功した。


「誰……?」
「ダレ……?」


 少女、そして狙撃手が自分に対して質問をしている様だ。だが、アクセル――照井にとってその返答は決まり切っている。


「俺に質問をするな」


 そう答えたアクセルは少女を近くの木の側に降ろす。助けられて緊張の糸が切れたのか気を失っている様だ。


「待っていてくれ、すぐに終わらせる」


 と、背後から銃弾が迫ってくる。だが、アクセルはすぐさま向き直り自身の武器であるエンジンブレードでたたき落とす。
 すぐさまそのまま弾の方向へと走る、その動きは早く狙撃手への距離は格段に縮まっていく。そして――


「見えた、あのドーパントは……」


 狙撃手の姿をついに確認した。それは右腕がライフルとなっている青いドーパントトリガー・ドーパントだ。
 NEVERの芦原賢が変身したドーパントで照井自身が撃破した相手だ。
 名簿に芦原の名前が無かった事からT2ガイアメモリのトリガーメモリを支給された参加者がそれを使って変身したのだろう。
 何にせよ1度倒した敵であり、本来の持ち主である芦原で無いのならばその力を十二分に発揮出来ないだろう。故に撃破する事はそう難しい事ではない。だが――


 別の方向から弾が飛んでくる。スピード故に当たらなかったがアクセルはそれに驚愕する。


「何!?」


 その方向を向くとそこにもトリガー・ドーパントがいた。だが、先程の場所にもトリガー・ドーパントの姿が見える。


「分身だと?」

188brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:27:35 ID:bVFttHSY0


 そう言いながら最初に見えたトリガー・ドーパントにエンジンブレードを振るう。
 エンジンブレードが触れた瞬間、トリガー・ドーパントの姿は消失した。


「幻……だが、あのドーパントにそんな力など無い筈だ」


 トリガー・ドーパントの力はその名の通り『狙撃手』の力、それ故に分裂あるいは分身する事などあり得ない筈なのだ。
 その間にも先ほどトリガー・ドーパントが見えた方角とはまた別の方角から弾が飛んでくる。回避しつつ振り返るとそこにもトリガー・ドーパントの姿があった。


「また分身……何!?」


 アクセルは更に周囲を見回す。すると四方に1体ずつ合計4体のトリガー・ドーパントの姿を確認した。恐らくその内の3体は先程同様分身なのだろう。
 だが、何故『狙撃手』の力しかもたないトリガー・ドーパントが分身するのか?


「いや……ドーパントではなく奴自身の力だとしたら!?」


 が、アクセルはそれをドーパントではなく変身者自身の能力だと考えた。
 かつてスミロドン・ドーパントと交戦した際、相手は人間離れした動きでアクセルを翻弄した。それこそ普通の人間では考えられない程だ。
 それもその筈だ、その正体は人間ではなく園咲家が飼っていて今は園咲来人ことフィリップの元に戻っている猫のミックなのだ。
 照井自身もその正体を知った時は驚愕したものだ。
 ともかくその前例から考えても、変身者自身の能力がドーパントの新たな力になっている事は多分にある。幻影を使うという事驚愕ではあるがそれを知る事が出来たのはある意味幸運だ。

 とはいえ問題はこの場をどうするかだ。考えている間にも幻は増えつつある。
 真面目な話、いかに相手が無数に幻を展開したところでトライアルのスピードならば大した問題じゃない。長期戦に持ち込めばほぼ確実に勝てるだろう。
 だが、そうするわけにはいかない事情がある。この場には守るべき少女がいたのだ、幻に翻弄されている内に少女が殺されたら何の意味もない。
 故に――短期決戦で決着を着けるしかないだろう。

 そう考えたアクセルはドライバーからトライアルメモリを抜き再び変形させ、


「全て……振り切るぜ……!」


 タイマーを作動させ空高く放り投げる。
 そして超高速で走り出す――それは只でさえ速かった今までよりも速く、音速の領域へと踏み入れるかの様に――
 その素早さでトリガー・ドーパントの懐に飛び込み一撃入れる。無論幻であるが故にすぐに消失した。
 だがすぐさま次のトリガー・ドーパントの方へ向かい同じ様に――

 アクセルトライアルの必殺技ともいうべきマキシマムドライブ、それは10秒に限り音速クラスのスピードを手に入れるというものだ。
 前述の通り従来のアクセルに比べ一撃の攻撃力は格段に落ちている。
 だが、音速の加速力で無数の攻撃、それこそ何百発も叩き込む事で結果として総合的には従来のアクセルを遙かに超える破壊力を得る事が出来る。
 シュラウドに課された特訓の果てに手に入れた照井の大いなる力である。仮面ライダーアクセルとしての――

 その動きは凄まじくトリガー・ドーパントの幻を次から次へと消し去っていく、相手が無数の幻を展開するのであればそれよりも速く全ての幻を消し去れば良い。
 そして最終的には本体を叩く事が出来るという事だ。

 そうしていく内に全ての幻が消え去り残るトリガー・ドーパントは1体、故にそれが本物という事になる。
 トライアルの限界時間も残り僅か、限界を超えるかの様なスピードで懐に入り込み――


 ――Trial maximum drive――


「9.1秒……」


 メモリを掴みタイマーを止めマキシマムドライブを解除した。だが――


「やられたか」

 最後の1体すらも幻だったのだ。
 全ての幻に対処している約10秒という短い時間にトリガー・ドーパントは戦域から離脱――
 いや、恐らくこちらのスピードに気付いた段階でこの策を仕掛けていたのだろう。

「どうやら思った以上に厄介な相手の様だ」

 まだ遠くには逃げていない為追撃は可能かもしれない――だが、

「いや……今は彼女を……」

 今も気絶している少女を保護する事が最優先事項だ。直撃を受けてはいない様だが相当に疲労、いや衰弱しているのが見て取れる。そんな中、


「お兄ちゃん……か」


 少女が口にした言葉がアクセルの心に強く響いた――

189brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:28:25 ID:bVFttHSY0
Scene03.ティアナ・ランスターの場合


 ティアナ・ランスターには兄がいた。
 兄の名はティーダ・ランスター、時空管理局の一等空尉である彼は首都航空隊に所属、簡単に言えばエリートであった。
 だが、ある任務――逃走中の違法魔導師を確保する任務の際に追いつめながらも取り逃がしてしまい殉職した。それ自体は悲しい事だが珍しい事ではない。
 しかし、その際に上司が彼に対し『死んでも取り押さえるべきだった』、『任務を失敗する様な役立たず』と中傷した。
 当時10歳だったティアナが傷つくのには十分すぎる程の出来事であった。
 だからティアナは兄が遺した魔法が役立たずでは無い事を証明すべく執務官になろうと考えた。
 だが、彼女にはティーダ程の才能が無いらしく士官学校も航空隊も不合格となった。言うなればエリートではなく凡人という事だ。
 それでもティアナは自身の夢を諦めず必死に努力を続けた。そして友人であるスバル・ナカジマと共にエース及びその候補ばかりが集まる機動六課へと引き抜かれたのだ。

 だが、六課での厳しい訓練の中でティアナが感じたのは焦り、六課の面々は皆がエリート級のエリート、客観的に見ても異常と言える程だ。
 同僚のエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエにしても10歳前後の歳を考えれば同じ様なものだ。
 スバルに至っては家族のサポートに加え通常の人間以上の潜在能力を抱えている。
 そう、その部隊の中でも自分だけが凡人だったのだ。他の皆が目に見えて成長している一方自身にはそれを実感する事が出来なかった。

 それがティアナの焦燥を加速させ――ある任務で誤射するという失敗を犯した。
 大事には至らなかったが、スバルからも無茶だと言われていた事だった。
 所詮、凡人では無理だったという事なのか?

 それでもティアナは諦めず寝る間も惜しみ自主的な訓練を続けた。
 才能が無い凡人は練習しなければ上手くはならない、だからこそ努力を続けたのだ。



 そして、それを高町なのはとの模擬戦で証明――する筈だったのに――



 ティアナは手数を増やすべく特訓した近距離戦での斬撃を試みた。しかしその攻撃は素手で受け止められ――


『ちゃんとさ……練習通りやろうよ……ねえ……私の言ってる事……私の訓練……そんなに間違ってる……?』


 言いたい事がわからないわけじゃない。だがその言葉に従って練習しても才能のない自分には意味が無かったのだ。


『私は! もう誰も傷つけたくないから! 無くしたくないから! だから……強くなりたいんです!』


 それがティアナの本心からの想いだ。だが、


『少し……頭冷やそうか……クロスファイア……シュート』


 ティアナの想いは無慈悲なる一撃で――いや、一撃ではない。
 既に無抵抗状態となったティアナにさらなる追い打ちをかけるかの様にもう一撃――

 その二撃はティアナ自身の得意魔法――
 つまり、自分の得意なものであっても才能の無い自分が使うよりも才能のあるなのはが使った方が使えるという事を意味するのだろう――

 そう、その二撃によってティアナ・ランスターのこれまでの全てが完膚無きまでに砕かれてしまったという事だ――
 兄に対する想いも、ランスター兄妹の夢も、自身の努力すらも――
 才能の無い者が如何なる想いや夢を抱えて努力をした所で才能のある者によって打ち砕かれる、
 つまりどんなに努力したとしてもそれは全て無駄だったという事だ――


 そして気が付いたらあの空間で殺し合いをしろという話だ。
 真面目な話、直前の一件でティアナの心は完全に折れていた。故に半ばどうでも良いとすら感じていた。
 散々、相方や上司に迷惑をかけてきた自分にとってはある意味相応しい末路だろう。
 3人の男の首輪が爆破されてもそれは同じ――が、その後の言葉が問題だった。

『NEVERであろうと、砂漠の使徒であろうと、テッカマンであろうと。もちろん外道衆の方々も同様ですし――』

 今あの男は何て言った? いや、言葉の意味はよくわからない――だが1つだけ確実に言える事がある。
 それはあの場にいる者達が凡人である自分とは違う才能のある超人ばかりという事だ。

190brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:30:25 ID:bVFttHSY0

 その後気が付けば森の中に転移していた。すぐさまティアナは大急ぎで名簿を確認した。
 そして名簿にスバルとなのは、そしてエリオ達の保護者でなのはと同等クラスの力を持つフェイトの名前を確認した。何故かフェイト・テスタロッサ名義になっているが本人に違いないだろう。
 それから無限書庫の司書帳でなのは達の幼なじみのユーノ・スクライアの名前もあった。長年機能していなかった無限書庫を使える様にした実績を踏まえれば彼がいるのも頷ける。
 あまりにも理不尽だと思った。才能のあるなのはやスバル達が巻き込まれるのはまだわかる、だが才能のない自分が何故巻き込まれなければならないのだろうか?

 優勝者はどんな願いでも叶えると言った。だがそれは何の才能もない自分にとっては無意味な事だ。
 どんなに足掻いても才能や力を持つ者達によって蹂躙されるだけだ、願いを叶えられるのは才能ある者達だけだという事だ。


「ふざけんじゃ……無いわよ……」


 悔しい、あまりにも悔しくて涙が溢れ出す。
 このまま終わって良いのか?
 なのは達才能ある者達に自身の兄に対する想いや夢、そして努力を完全否定されたままで良いのか?
 役立たずと片づけられて良いのか?


 否、断じて否!


 ランスターの弾丸は全てを撃ち抜けられる! それを証明せねばならない!
 それが出来るのはティーダ・ランスターの妹であるティアナ・ランスターだけなのだ!


「願いなんてどうだって良い……才能や魔力が無くったってランスターの弾丸は敵を撃ち貫ける事を……優勝する事で証明してみせる!」


 無論、その手を血に染める事をティーダが望まないのは理解出来る。
 だが、人々を守る為に戦っても役立たずと否定された事を考えればやるせない気持ちになる。
 それにティーダのいた航空隊からも機動六課からも否定された自分に最早人々を守る側にいる事など出来やしない。
 それでもランスターの力の証明だけは成し遂げなければならない、それがティーダの望む形では無いとしてもだ。
 それだけがティアナに残された最後の砦、自身が優勝すれば証明され、敗北すれば否定されるという単純な話だ。


 決意を固めたティアナは自身の支給品を確認する。そしてある者を見つけた。


 ――Trigger――


「引き金って事は銃を使うドーパントに変身出来る……という事かしら。銃……私に支給したのは何の冗談かしら」


 それはT2ガイアメモリの1つトリガーだ。何にせよ何の力も持たない自分にとっては大きな戦力だろう。
 そんな時、遠目に1人の少女が歩いているのが見えた。
 丁度良い標的ではあるが、自身とそう歳の変わらない少女を手をかける事に良心の呵責はある。
 だが、最早立ち止まるわけにはいかない、ここで立ち止まれば本当に全てが無駄になってしまう――故にティアナはメモリに力を込める。


 ――Trigger――


 それに応えるかの様にメモリはティアナの右手に吸い込まれ、その身体をトリガー・ドーパントへと変化させた。


「右腕がライフル……丁度良いわね」


 右腕のライフルを確認しつつ木の陰から少女を狙い撃つ。まだ不慣れなのか、迷いがあるのか僅かに外したものの着弾した所の衝撃の大きさからその力は実感出来た。
 右腕が震えるのを感じる。当然の事だろう、こんなものが着弾するだけで普通の人間にとっては致命傷だ。非殺傷設定なんていう気の利いた物も存在しない。
 だがそれでも構わない。今の自分に必要なのは人々を守る力ではなく、意志を通す為の力なのだ。全ての迷いを振り切るべく身を潜めながら少女に何発も弾を撃ち込んでいく。
 狙撃に気付いたのか少女は自分から距離を取ろうとする。だが多少距離を取った所で射程圏、十分に狙い撃て――


「……! あれは!?」


 が、少女が何かの結晶体を構えようとしたのを見て動揺が奔る。
 恐らくアレはガイアメモリかデバイスの類、持ち主に甚大な力を与える物だろう。
 それを使われればトリガー・ドーパントの力を持ってしても返り討ちに遭うのは必至、
 あの模擬戦で自分の攻撃が防がれ、返り討ちにあった瞬間がフラッシュバックする。


「させない!」


 そう呟き結晶体を狙い撃つ。上手く結晶体に命中し落とす事に成功、続いて足下の地面を撃ちその衝撃で転倒させる。
 大分馴れた事もあり、相手が動かないならば次の一発で仕留める事が出来るだろう。銃口を少女に向け――

191brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:31:35 ID:bVFttHSY0


「くっ……!」


 少女を見ていると言いようのない気持ちがわき上がる。もしかしたら彼女にも兄がいたのかも知れない――そう思うと引き金を引く事に躊躇いを感じるのがわかる。
 だが、もう止まれない。もう人々を守る管理局のティアナ・ランスターではないのだから。優勝すると決めた時点でもう戻る事は出来ない。


「シュート……」


 その言葉と共に銃弾が少女へと――


 だが、青い何かが駆け抜けた事で弾は外れた。


「「誰……?」」


 少女も自分も思わず現れた青い甲冑の戦士に問いかけていた。しかし、


「俺に質問をするな」


 青の戦士は質問自体を拒否するという謎の返答をした。別に答えを期待したわけではないが、なんだか腹立たしく感じる。
 だが冷静になれ、今青の戦士はこちらの銃撃よりも速く少女を救出していた。いくら自身に迷いがあったとはいえ普通ならば間に合わない筈だ。
 つまり、青の戦士もまたなのは達同様、才能や力に溢れた者という事だ。恐らく今の自分では勝ち目は無いだろう。
 悔しいがこのまま終われない以上、撤退するしかない。
 だが青の戦士の速さから逃れる事が出来るのか?


「(いや……まだ私には手がある!)」


 そう思いながら青の戦士を狙い撃ちつつ移動しながらある策の準備を進める。
 弾がかわされる事、そしてその方角から自身の居場所を割り出し迫り来る事は想定済み。
 後は青の戦士が此方の策に乗ってくるかどうかだ。
 そして、青の戦士の一撃がトリガー・ドーパントへ――


 だが、その瞬間トリガー・ドーパントの姿は消え去った。


「(何とか間に合ったわ)」


 フェイク・シルエット――肉眼や簡単なセンサーでは見抜けない幻を展開する魔法だ、衝撃に弱い故に攻撃が当たっただけで消失する程度の脆いものだ。
 だが、相手に狙撃位置を錯覚させる程度の役割を果たせれば十分だ。
 既に本体は別方向の離れた場所に移動している。そこから今一度狙撃を行いそのままこの場所にフェイク・シルエットを展開し自身は別の所に移動する。
 その後可能な限りの幻を展開し本物の位置を割り出させない様にする。そして、全ての幻が消される前に念の為オプティックハイドを使い自身を不可視状態にした上で戦域から離脱するという事だ。
 大体の幻を展開し終え撤退に入った後、青の戦士は何かのメモリを抜き放り投げるのが見えた。その直後視認出来ない程の速さで次々と幻を消し去っていくのが見えた。
 間一髪、そうとしか言いようのない結果だ。あのまま撤退しなければ青の戦士の攻撃を受け倒されていただろう――


 そして、戦域から離脱しようやく変身を解除し腰を落とす。
 どれくらいそうしていただろうか、ティアナの瞳から涙が溢れ出る。


「あんな奴らにどうやって勝てって言うのよ……」


 撤退するのに消耗した魔力は決して小さいものではない。戦果も上げられなかった事を踏まえれば無駄に終わったと言っても良い。
 だが最早退くわけにはいかない。同じ歳ぐらいの少女を殺そうとした時点でもう戻る事など出来ないのだ。
 何処となく感情が高ぶるのを感じる、恐らくガイアメモリの副作用だ、このまま使い続ければ身も心も怪物になるかも知れない。
 それでも構わない。凡人であり、全ての努力が否定された今の自分には最早禁じ手とも言える手を使わなければ戦いにすらならないのだから。


「スバル……」


 だが、脳裏には長年付き合ってきた相棒の姿がよぎる。
 恐らくスバルやなのは達が今の自分を見たら止めようとするだろう。今更止まるつもりが無いとはいえ迷いが生じないとは限らない。
 しかしそれでは駄目なのだ、結局の所先の敗北も自分の心の何処かに迷いがあったからだ。迷い無く引き金を引ければ青の戦士が来る前に少女を仕留める事だって出来たはずだ。
 こんな中途半端な姿勢ではそれこそ何も成し遂げる事は出来ない。故に――

192brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:32:50 ID:bVFttHSY0


 ティアナは懐から自身のデバイスであるクロスミラージュを取り出し魔力刃を展開する。それは模擬戦の為に使用したダガー・ブレードだがなのはには素手で受け止められたものだ。
 そしてその魔力刃でティアナ自身の髪を――切り落とした。


 その後、自身が着ていた機動六課の制服、そして下着類全てを全て脱ぎ去り生まれたままの姿になりデイパックからあるものを取り出す。
 説明書きによれば『小太刀のレオタード』というものらしい。変な名前の女の人もいたものだと思うがそんな事はどうでも良い。
 ティアナは迷うことなくそれを身に纏った。
 真面目な話、何故こんなものが支給されたんだと理解に苦しんだものの今の自分にとっては都合がよい。

 もう管理局機動六課のティアナ・ランスターは死んだ――
 今ここにいるのは兄の無念を果たす為に修羅に落ちるランスター家の愚かなる妹なのだから――

 才能も力も無い自分が事を成す為には全てを捨てる覚悟が必要だ、それは長年の相棒であっても同じ事だ、
 その全てと決別する為にそれなりの長さをもった髪も切り落としスバルよりも若干短いぐらいの長さにした。
 もう着るつもりは無いが元の服も一応デイパックに入れ再び歩き出す。時計を見ると1時を過ぎていた。


 もう迷わない、全てを否定され評価される事のない少女は最後に残った兄への想いを胸に夜の森を進む――


 だが、果たして本当に全てを否定されていたのだろうか?
 先の戦い、青の戦士こと照井は自身の力を察し不利を悟った時点で幻を使い鮮やかに撤退した事を評価していた。
 そう、勝利とは言えないものの決して敗北とも言えず、ティアナの実力をちゃんと照井は評価していたのだ。
 ティアナの知らない所で見る人は見ているのだ。それは元の世界のなのは達も同じである。

 確かになのはのやり方に問題が全く無かったとは言い難い、
 しかし模擬戦でわざわざティアナの魔法を使ったのはティアナの魔法が使える事を証明する為だった。
 また無茶な近接攻撃とはいえ方法論自体は悪くはなく、実は既にクロスミラージュにはダガーモードが用意されている。無論、ティアナ自身はまだそれには気付いていない。
 それ以前に、本当に何もない人間が機動六課に選ばれるのか? ティアナにはティアナの長所がある。この時点ではまだそれが明確になっていないだけである。
 そもそもの話、仮に本当に何もなかったとしてもそれを育て上げる事こそがなのはの仕事だ。ティアナはそれに気付いていないのだ。
 何より、なのははティアナの想いをちゃんと理解している、兄の為に努力している事は理解しているのだ。
 更に言えば、なのはがああいう客観的に見ても過剰とも言える手段を取ったのは自身の経験もあり無茶を諫める為だったのだ。
 本来ならばその真意がもうすぐ伝えられる筈だった。だが全てはもう遅すぎたのだ。
 それは長い目で見ればささやかな過ちだった、だが最早取り戻せない致命的な過ちとなったのだ。


『Master……』


 主人の揺るぎない決意を止める事の出来ぬクロスミラージュの呟きは――


 機械なのに、何処か哀しそうだった――


【一日目・未明】
【G-4/森】
【ティアナ・ランスター@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:ガイアメモリによる精神汚染(小)、疲労(小)、魔力消費(中)、断髪(スバルよりも短い)、下着未着用
[装備]:ガイアメモリ(T2トリガー)、クロスミラージュ(左4/4、右4/4)@魔法少女リリカルなのは、小太刀のレオタード@らんま1/2、機動六課制服@魔法少女リリカルなのは、下着
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜1個(確認済)
[思考]
基本:優勝する事で兄の魔法の強さを証明する。
1:とりあえず森の中を進み、他の参加者を打倒する。但し、引き際は見極める。
2:スバル達が説得してきても応じるつもりはない。
[備考]
※参戦時期はSTS第8話終了直後(模擬戦で撃墜後)です。その為、ヴィヴィオ、アインハルトの事を知りません。

193brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:33:25 ID:bVFttHSY0





Scene04.brother & sister


「お兄ちゃん……」


 そう言って、ミユキは意識を取り戻す。どうやらあの青い戦士に助けられた後気絶したらしい。
 あの後どうなったのだろうか?


「気が付いたか、相羽ミユキ……でいいか?」


 と、すぐ近くに赤いジャケットを着た男がいた。

「……あれ? 私名乗っていない様な」
「寝言で何度も『タカヤお兄ちゃん』と呟いていた」

 名簿を確認する限りその人物は相羽タカヤに違いない。更に名簿の中に相羽という名字を持つのは他に2人、少女の名前である事を踏まえるならばミユキと考えるのが自然だ。
 ともかく、寝言を聞かれていた事に僅かに赤面するミユキである。
 そんな彼女の心中を察したかどうかはともかく照井は警察手帳を向ける

「照井……竜さん?」
「ああ、風都署超常犯罪捜査課の刑事だ」

 ミユキの頭にはクエスチョンマークが浮かんだ。声から照井があの青い戦士に変身したのはわかる。
 だが軍ならばともかく警察程度の組織がソルテッカマンの様なものを開発したとは思えない。

「え、警察の人があのテッカマンみたいなのに変し……」
「俺に質問をするな……ちょっと待て、今テッカマンって言ったな? 君はテッカマンが何か知っているのか? もしやこれを使って変身するものなのか?」

 そういって回収していたクリスタルを見せる。

「!! お願いです、そのクリスタルを返してください、それが無いと……」
「君が何者かが解らない以上返すわけにはいかない、知っている事を話してくれ、それが先だ」

 話してもクリスタルを返してくれるという保証はない。だが、少なくても照井に敵意や悪意が無いのは解っている。
 それに自身の知る事を伝える事は当初からの目的だった、信頼出来る相手ならば伝えない理由は無い。

「わかりました、その代わり竜さんもあの姿について話して下さい」
「ああ……」


 かくして2人の情報交換は進む。だが、それは互いにとって大きな衝撃を与えるものだった。
 まず、前提として両者は異なる地球、あるいは世界からの出身らしい。
 ミユキの世界では宇宙開発が進んでいて軌道エレベーターやオービタルリングも建造されているが照井の世界ではそこまで発達はしていない。
 一方の照井の世界ではガイアメモリや仮面ライダーの存在が確認されているが、ミユキの世界にはそれらがない。
 この事実から考え、両者の世界は違う世界と考えて良いだろう。

「宇宙か……」

 照井達の世界でもそう遠くない未来には人類は宇宙に飛び出すだろう。もしかすると仮面ライダーが宇宙に行く日もそう遠くは――

「……いや、そんな事はどうでも良いか。それより肝心な事は何も聞いていない、君の知り合いやテッカマンについて話してくれ……少なくても名簿が正しいなら相羽シンヤも君の家族の筈だ、彼についてはどうでも良いのか?」
「そうじゃないんです……竜さん、ここから話す事はさっき話した事よりも信じられない事です……」

 ミユキは語り出す、自分達の身に起こった過酷な出来事を――
 ミユキ達相羽兄弟に彼女達の父親である相羽孝三、そして多くの仲間達を乗せたアルゴス号が未開発だった土星やその衛星を調査する為に向かった。
 そんな中、土星衛星付近で地球外から飛来してきた巨大宇宙船と接触した。
 唐突ではあったものの地球外生命体エイリアンとの接触にミユキ達の胸は高まった。悪夢の入り口である事を知らず――
 接触による損害はほとんど無く安堵する一方、相手側からはコンタクトどころか生命反応すら見られず、強い植物の反応はあった。

「それが悪夢の始まりでした。私達一家が引き裂かれる悪夢が……」
「ちょっと待て、そのアルゴス号には君の家族が全員乗っていたのか?」
「はい、ケンゴ兄さんの婚約者のフォンさんやタカヤお兄ちゃん達の師匠だったゴダードさんも乗っていました」

 まだ核心には触れていない。だがミユキの口振りから照井は薄々その先に待ち受ける結末を予感していた。それでも聞かないわけにはいかない、

194brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:34:40 ID:bVFttHSY0

「……続けてくれ」

 その後、タカヤ達は調査の為宇宙船へと入っていった。
 その内部には見た事の無い木の様な生命体があった。
 が、突如として木から生命体が飛び出し調査に入っていたタカヤ達を捕らえるべく動き出した。
 この異常事態にブリッジにいたミユキはスリープ状態のケンゴ達を起こそうとしたが――
 調査をしていたタカヤ達、それだけではなく連中はアルゴス号にも乗り移りミユキ達をも捕らえたのだ。
 その後、連中――ラダムはアルゴス号を完全に支配しタカヤやミユキ達をテックシステムに取り込んだ。

 テックシステムには体質的に合う者と合わない者がおり、不適合者は次から次へと死んでいった。
 何とか生き残ったタカヤ達はラダムの知識や本能を植え込まれていったのだ。ラダムの有能な兵器テッカマンにする為に――

「……それで、どれぐらいがテッカマンになれたんだ?」
「知る限りでは……私を入れて8人です」
「8人……それ以外は全滅ということか……」
「はい、私達のお父さんも……でも」

 孝三もまた不適合者という形でシステムから排除された。
 しかし、孝三は最期の力を振り絞りタカヤが抵抗する際に落としたであろう銃を使い、唯一精神支配を受けていなかったタカヤをシステムから解放した。
 そしてタカヤにラダムに支配されたシンヤやミユキ達を自身の手で倒す様に言い脱出させたのだ。

「つまり相羽タカヤだけがラダムの精神支配を逃れそれ以外のテッカマン……相羽シンヤはもう……」
「はい……」

 実の家族や仲間と戦う事が過酷な事はミュージアムと戦ったフィリップを見てもわかる通りとても辛い事なのは照井自身理解している。
 本当ならば戦わないで済むならそれにこした事は無かっただろう。だが、ラダムに支配された彼等を放置すれば地球に住む人々が悲しみに暮れる事になる。
 ミユキの話からテッカマンに対抗出来るのはテッカマンだけだ、タカヤ以外に対抗出来る者は居ないだろう。
 タカヤはどんな想いで戦い続けてきたか――想像するに余りある話だ。

「それで、ここにいる君の知り合いは相羽タカヤとシンヤ……」
「それとランス……モロトフさんで全部です……」

 つまり、タカヤだけは人々を守るテッカマンで、シンヤとモロトフはラダムのテッカマンとして他の参加者を蹂躙する可能性が高いという事だ。

「……待て、さっきの話が事実ならば本当なら君もラダムの精神支配を受けている筈だ……だが君の様子を見る限りそれは無……まさか……」
「竜さんの想像通りです、私もお父さんと同じ排除されたテッカマン……」
「そういう事か……」

 ずっと疑問に感じていた。殆どダメージを受けていないにもかかわらず今にも死にそうなぐらい衰弱していた事に、
 だが、今の言葉でそれは氷解した。ミユキもシステムの不適合者、不適合者に待つ末路は――死だ。

「だからお願いです、私はどうなっても構わないから、タカヤお兄ちゃんを捜して力になって下さい! きっとお兄ちゃん無茶するだろうから……私の代わりに……」

 本当ならば自分自身の力で助けたい。だが、自身の身体ではそこまで保たないだろう。だからこそミユキは照井に全てを託そうと願うのだ。
 そんなミユキの懇願に対し――

 照井はクリスタルを投げ渡す事で応えた。

「え……? 竜さん……?」
「今、自分はどうなっても構わないと言ったな。だがそう思っているのは君だけだ、少しは周りを見ろ……心配している家族……相羽タカヤがいるだろう」

 そんな事は言われなくても解っている。だが、

「でも、私の身体はもう……」
「そのクリスタルは本当にいざという時、君の身を守る為に使うんだ、生きて相羽タカヤと再会する時までな……それまでは俺が君を守る」
「竜さん……」
「よく話してくれた……今度は俺の番だな」

195brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:35:10 ID:bVFttHSY0

 今度は照井の知り合いについて話す。
 照井同様風都で仮面ライダーをしている探偵左翔太郎、彼は少々頼りない所はあるものの心強い味方である事を語った。
 次に園咲冴子、ガイアメモリを流通させている組織ミュージアムの幹部だった女性、それ故に殺し合いに乗る可能性は高い、
 続いて園咲霧彦、厳密に言えば照井自身面識があるわけではないが、翔太郎の話では冴子の夫にしてミュージアムの幹部だったが彼自身は風都の未来の為に戦っていたらしい。
 それを踏まえるならば殺し合いに乗る可能性は高いとは言えないだろう。
 更に風都を危機に陥れたNEVERである大道克己と泉京水、先の事件を踏まえるならば殺し合いに乗る可能性は高い。

「だが……」
「竜さん?」
「いや、後から話す。そして最後に井坂深紅朗、奴は自らの目的の為に多くの人々を殺害し悲しませていった凶悪犯罪者だ、奴だけは何としてでも俺の手で倒す」

 これまでは比較的冷静に話してくれた照井ではあったが井坂の事を話す時だけは強い激情が込められているのをミユキも察した。
 その理由は不明――いや、ミユキにはどことなく既視感があった。
 似ていたのだ、ラダムに対し敵意をむき出しにするタカヤの姿に、恐らく井坂は照井自身の大切な家族を殺したのだろう。
 それを理解出来たからこそ、ミユキはそれ以上問うつもりはなかった。

「しかし……井坂も大道達も俺の知る限りは死んだ筈だ……あの場で殺された堂本もそうだったが」
「竜さん、実はあの中に私たちと同じテッカマンダガー……フリッツさんがいたんです」
「それがどうした?」
「確かダガーはお兄ちゃん、テッカマンブレードが倒した筈なんです……それに私も……」

 ミユキはここに来る前に起きた出来事、自身がタカヤを守る為にその命を燃やし尽くした事を話した。

「やっぱり、死者を蘇らせて……?」
「ああ、それは俺も考えた。だが……信じがたい話だが、別の時間から連れてきた可能性もあるだろう」
「別の時間?」
「井坂が死んだのは3ヶ月前、園咲霧彦が死んだのは7ヶ月前だ。蘇生手段があるとしても、そんな長い間保存するのは面倒だろう」

 連中に死者蘇生の能力があるとしても、殺し合いのタイミングまで保管しておくのは色々手間がかかり非現実的だ。
 もちろん、絶対に無いとは言い切れないが異なる世界の存在情報を得た現状では違う可能性がある。
 異なる世界から参加者を集める事が出来るのであれば、異なる時間から参加者を連れてくる事も出来るのではなかろうか?
 つまり、死亡しているたのを蘇らせたのではなく、死亡する前から連れてきたという可能性だ。
 勿論、ミユキの様に蘇生したという可能性もある。だがそれも死亡前後のタイミングで連れてくる事で蘇生を行うという事だ。
 死体が完全消滅した井坂達であってもそのタイミングで連れ去ったのならばまだ間に合うだろう。

「……だが、今はこれ以上言っても仕方ない。連中がとてつもない力を持っている程度以上の事は不明だ」
「あの加頭って人ガイアメモリを使っていましたよね。竜さんは何かあの人について知らないんですか?」
「俺に質問をするなと言った筈だが……悪いが俺も1度だけ園咲冴子と会っていた時に見かけただけだ、それ以上の事は何も知らない」
「じゃあ冴子さんなら何か……」
「俺もそれは考えた。だがわざわざ彼女を参加させている以上、彼女から情報を聞き出すだろう事は連中も想定済みだ、そうそう都合良く事は運ばないだろう」

 後、推測出来る事は3人居た見せしめの最後の1人が砂漠の使徒に属する者という事ぐらいだ。
 3人についてNEVER、テッカマン、砂漠の使徒という風に呼称していた事からの推測である。

196brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:36:00 ID:bVFttHSY0

 何にせよすべき事はある程度見えている。仲間を集め殺し合いに乗った危険人物を打倒し、最終的に加頭達を打倒すれば良い。
 もっとも自分達が知るだけでも危険人物は相当な人数だ。2人のテッカマンに、井坂といった凶悪犯罪者、そして先に遭遇したトリガー・ドーパントの持ち主もそうだ。
 他にも殺し合いに乗った人物はいると考えて良い、その道は困難と言えよう。
 その為、当面の目的は情報と仲間を集める事だ。

「まずは君の兄、相羽タカヤを探す」
「ありがとうございます……でも良いんですか、翔太郎さんを探さなくて……」
「奴はハーフボイルドだ、1人でもやる時はやる男だ」
「ハーフ……いや、ハードボイルドなら聞いた事あるけど……」
「それに左を探すにしても手がかりが無い。だが……」

 テッカマンであるミユキ達は互いの存在をある程度感知出来る。
 とはいえ、この場では相当近くまでいかないと反応しないだろうし、下手をすればシンヤあるいはモロトフに遭遇するリスクを伴う。
 ミユキから聞いた話通りならばアクセルの力を持ってしても厳しい相手だ、放置はしておけないが無用な交戦は避けたい所である。
 それでも、ミユキの現状を考えればタカヤを最優先で探すのはそう悪い選択肢ではない。

 かくして森を出た2人は道路へと出る。時刻は1時半を過ぎた頃だ。
 ミユキの状態を踏まえ一度近くにある村である程度の道具をそろえて置いた方が良い。
 無論、デイパックで持てる容量には限度がある為、全部持っていく訳にはいかないだろうが――
 可能であればタカヤ、翔太郎、あるいは見知らぬ仮面ライダー達と合流したい所だ。
 2人の足は静かに北へ向いていた。


「(お願いだから無事でいて、タカヤお兄ちゃん……私は大丈夫だから……)」


 ミユキは星空に兄の無事を願う中、照井は、


「(それにしても……相羽タカヤか……聞いた限りでは精神支配を受けていないらしいが……本当に大丈夫なのか?)」


 無論、ミユキの話を疑っているわけではない。
 だが、孝三の手により解放されたとはいえそれは半ば強引な手段であった。
 故に何かしらの不具合を抱えていてもなんら不思議ではない。それこそミユキ同様にテッカマンの力に耐えきれず滅びてしまう可能性もあるだろう。
 それでも照井自身、タカヤのラダムに対する戦いを止めるつもりは全くない。
 タカヤがラダムを憎む気持ちは痛い程理解出来るのだ、出来るならば奴自身の手で決着を着けさせたい所だ。

 そしてそれは照井自身にも言える事だ、どういう理由かは不明だが倒した筈の奴が参加者にいる。無論既に触れた通り自身の手で再び地獄に送り返すつもりだ。
 だが、それは容易な事ではないだろう、1度倒したとはいっても強敵である事に違いはない。
 奴に勝利出来たのは奴が必要以上に照井を見下した事と、トライアルの力に対応しきれなかっただけと言える。
 逆を言えばその要素が無くなれば照井が圧倒的に不利になる。
 奴が倒された記憶を持っているならば、トライアルへの対策は確実に取るだろうし油断もしないだろう。
 持っていないとしても、奴がこの地でさらなる力を得てあの時以上の強敵となる可能性はある。
 だが、それでも照井のすべき事に変わりはない。復讐だけで戦うつもりはないが、己の欲望の為に人々を悲しませる奴を放置するわけにはいかないのだ。
 これは翔太郎にも他の誰にも譲れない事なのだ。

197brother & sister ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:37:20 ID:bVFttHSY0


 ところで、何故照井はあそこまでミユキの力になろうとしたのだろうか?
 ミユキは兄であるタカヤを守ろうとしていた。それこそ自分が死ぬ事もいとわずにだ。
 その姿を見て不意に重ねてしまったのだろう、井坂によって惨殺された照井の妹、春子の姿を――
 何時も兄の事を想い昇進した時にはペンダントを贈ってくれた妹の姿を――
 そしてミユキが体験した悪夢とも言うべき非常な現実、それを知りどうしても守りたいと考えたのだ――
 無論、彼女の身体がそう長くは保たない事は理解している。少なくても照井にはどうする事も出来ない。
 だが、せめて彼女の想いだけは守りたい、照井はそう考えたのだ。
 彼女を兄である相羽タカヤの元に連れて行く形で――


「(彼女……相羽ミユキがお前の元に行くまで……死ぬなよ、相羽タカヤ……)」


【G-2/道路】
【照井竜@仮面ライダーW】
[状態]:疲労(小)
[装備]:アクセルドライバー@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ(アクセル、トライアル)、ランダム支給品1〜3個(確認済)
[思考]
基本:仮面ライダーとして人々を守り加頭を打倒。
1:ミユキと共に村に向かう。
2:タカヤ、翔太郎、仮面ライダー2人といった仲間との合流(タカヤ優先)、情報を集める。
3:井坂は自分の手で倒す。
3:シンヤ、モロトフ、冴子、大道、泉、トリガー・ドーパント(ティアナ)を警戒。
[備考]
※参戦時期は第47話冒頭〜加頭遭遇前の何処かです。そのため、劇場版(AtoZ)の事件も経験済みです。
※テッカマン世界について把握しました。
※参加者が異なる世界、異なる時間軸から集められている可能性に気付きました。


【相羽ミユキ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:疲労(中)、テックシステム不適合による肉体崩壊
[装備]:テッククリスタル、ランダム支給品1〜3個(確認済)
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:タカヤを守る
1:照井と共に村に向かう。
2:タカヤ、翔太郎、仮面ライダー2人といった仲間との合流(タカヤ優先)、情報を集める。
3:信頼出来る人に自身の持つテッカマンの情報を伝える。
4:シンヤ、モロトフ、井坂、冴子、大道、泉、トリガー・ドーパント(ティアナ)を警戒。
[備考]
※参戦時期は死亡後(第26話終了後)です。
※W世界について把握しました。
※参加者が異なる世界、異なる時間軸から集められている可能性に気付きました。





 1人の妹は愛する兄を命を懸けてでも守ろうとし、
 1人の兄はその少女に亡き妹の姿を重ねその想いを守ろうとし、
 1人の妹は亡き兄の力を証明すべく全てを捨てて修羅へと墜ちた。


 兄と妹、その想いは――


 殺し合いという巨大な壁に静かに響く――

198 ◆7pf62HiyTE:2011/10/28(金) 01:43:23 ID:bVFttHSY0
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

今回容量が47KBとなるので前後編となります。分割点については以下の通りになります。
>>182-188(Scene01&02)が前編(19KB)、>>189-197(Scene03&04)が後編(28KB)となっています。

199名無しさん:2011/10/28(金) 09:14:33 ID:tbKaDaRs0
投下乙。
照井かっこいいな。
様々な戦いを通して成長したんだな。
がんばれ照井!応援してるぞ!

そしてティアナ…
完全に予想外だった。
ミユキを狙撃するもんだから「ええ!?」って感じだったけど、まさかそんな時期から呼ばれてるなんて…
そして劣等感から殺し合いに乗るとは…うーん、びっくりだった。

200名無しさん:2011/10/28(金) 09:23:44 ID:AiAuGztY0
投下乙です!
今回の照井はかなり成長した時期からの参戦か……
果たしてミユキと一緒にどう動くのか。

ティアナはティアナでとんでもない時期から参戦するとは……
期待と不安が半々だ。

201名無しさん:2011/10/28(金) 15:44:44 ID:PTNjTWOY0
投下乙です

202 ◆MiRaiTlHUI:2011/10/28(金) 16:41:34 ID:.1DmvJjI0
皆様投下乙です。

>>戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人
ヴィヴィオおおおおおおおおおおおおお……
最初に霧彦と出会えたのは良かったけど、ダグバは相手が悪すぎる。
でも霧彦はとても霧彦らしくてカッコよかったです。今度は長生きしてくれ!

>>男と少女とオカマ 珍道中
相変わらず京水が全部持って行ったwww
Dさんはもうこれ結構ガチでウザがってるな京水の事ww
さて、こっちは対主催になってくれたからいいけど、克己ちゃんはどうだろう

>>あの時の自分と向き合って
シャンプーはいきなり殺し合いに乗ったか……
スバルは……そうか、暴走した時の自分に重ねてるのか。
一見マッキャリ持ちのスバルが有利に見えるけど……

>>顔に十字を持つ者
流石のキバもスーパー1と2号を同時に相手にするのは厳しかったか。
一文字は戦争の写真の話したり、細かいとこ拘ってて良かったなぁ。
スーパーライダーダブルキックもテンション上がりました。

>>brother & sister
ティアナは予想外過ぎる行動に出たなぁ……
何気にトリガーのTとティアナのTで上手かったり。
照井とミユキも良い感じの兄妹コンビで今後が楽しみです。





それでは、自分も予約分の投下を開始します。

203名無しさん:2011/10/28(金) 16:43:10 ID:MQJMmINg0
リアルタイムで投下ktkr

204 ◆MiRaiTlHUI:2011/10/28(金) 16:47:58 ID:.1DmvJjI0
 その日は、満点の星空だった。
 外界よりも空気が澄んで居るからだろうか。
 月も、星も、いつも以上に輝いているように思われる。
 そんな夜空をぼんやりと眺めて感傷に耽ようと試みるが、大道克己の心は微塵も揺れなかった。
 星空を見ても美しいとは思わない。美しいとは何なのかも今となっては分からなかった。
 何が綺麗で、何が汚いのかも、克己にはもう判別すら出来ないのだ。
 克己は死人だ。人としての心は、記憶は、日を重ねるごとに薄れ消えて行く。
 愛情を注いでくれていたという母親をこの手で殺しても、克己は何も感じなかった。
 大切に思っていた筈の仲間が目の前で殺されても、克己の心はがらんどうなままだった。
 憎んでいた筈の財団Xの白服も、今となってはもうどうでもいい事のように思う。
 
 大道克己はもう、本当の意味で人では無くなっていた。
 人にある筈の記憶も心も、克己にはもうない。
 本物の悪魔に成り果てて、それでも消えないのはたった一つの野望。
 
 世界に、自分と云う存在を刻み付ける。
 
 空っぽの克己を突き動かすのは、そんな妄念だけだった。
 だから、この殺し合いに乗る事に異存はないし、文句もない。
 非情の限りを尽くして優勝する。そして元の世界に帰還すれば、今度こそ地獄を創る。
 死人だけが行き交う、何の希望もない絶望の世界を。まずは生まれ育った故郷に齎すのだ。
 そうすれば嫌でも大道克己の存在は世界に刻み付けられる。かくて自分は「永遠」となるのだ。

「そうだろ、エターナル」

 その為の力、その為の相棒。名前はエターナル。
 永遠の記憶を内包した真珠色のメモリを指で遊びながら、克己は嗤った。
 今となっては、心を持たぬこのガイアメモリだけが、克己の拠り所なのだ。
 こいつと残り二十五本のメモリさえあれば、他には何も要らない。愛も友も、必要ない。
 目的の為だけに動くマシンであればそれでいい。いや、それでも死人には勿体ないくらいだろう。
 そんなとりとめの無い事を考えながらも顔を上げれば、克己の生気の宿らぬ瞳に一人の男が映った。
 パンチパーマの厳めしい外観をしては居るが、その眼はどちらかと言えば克己と同じタイプの目だった。

「ハッ……生きてる癖に、死人みたいな面してやがる」

 そう嘲るが、男は答えない。
 首から下を薄汚れたマントで覆い隠した男は、何も言わずに克己を見据える。
 何を考えているのかは知らないが、話し掛けて来る様子も無ければ、仕掛けて来る様子もない。
 体格は先程見せしめとして殺された堂本剛三と同じくらいには引き締まって居るように思われる。
 その気になれば戦う事も出来るのだろうとは思うが、男は何の動きも見せなかった。
 いや、それならば好都合だ。行動を起こす前に殺してしまおう。

 ――ETERNAL――

 鳴り響くガイアメモリ。腰に装着されるロストドライバー。
 克己と驚異的な適合率を見せるそれは、克己が望む「永遠」の力。

「変身」

 ――ETERNAL――

 それがベルトに叩き込まれた時、「永遠」は克己の身体を内部から作り変えた。
 全てのメモリの王者たるその姿こそは、克己だけが変じる事を許された蒼き炎の戦士。
 全身を覆う真珠色の外骨格は蒼き炎に彩られ、最後に漆黒のマントが生成される事で、変身は完了。
 希望の象徴として語り継がれて来た筈の「仮面ライダー」の名は今、地獄からの死者へと受け継がれた。
 その名は、

「仮面ライダー……エターナル」

 そう名乗り、エターナルは固有武装であるナイフを引き抜いた。

205 ◆MiRaiTlHUI:2011/10/28(金) 16:55:08 ID:.1DmvJjI0
 




 男の名はゼクロス。
 そう。苗字でも名前でもない、ただの「ゼクロス」だ。
 本当はもっと別の名前があったように思うが、今はそれすら分からない。
 ゼクロスと呼ばれるようになるよりも前の事はもう、何も思い出せないのだ。
 記憶とは即ち、人格を形成する為の大切な拠り所でもある。
 なのにゼクロスにはそれが無い。
 一切の拠り所がない男には、人として大切なものが欠落しているのだ。
 つまるところ、今のゼクロスには心が無かった。人の感情が分からなかった。

「ハッ……生きてる癖に、死人みたいな面してやがる」

 誰かが言った。
 自分は戦いに敗れ、死んだのだと。
 この身体は生まれ変わった、神の身体なのだと。
 自分が死人であるという実感はないが、生きている実感もない。
 怪我を追ってもすぐに治癒するし、死への恐怖とも無縁だった。
 失った記憶(メモリー)さえ取り戻せば、生を実感する事は出来るのだろうか。
 この殺し合いに勝ち残れば、このがらんどうな心は、隙間は埋められるのだろうか。
 目の前で起こる男の「変身」を、どうでも良い事のように捉えながら、ゼクロスは思考する。

「仮面ライダー……エターナル」

 だが、奴がそう名乗った瞬間、ゼクロスの中で何かが変わった。
 死人同然だったその眼が、ここへ来て初めて眼前にて急迫する敵の姿を捉えた。
 黄色の複眼に、蒼い炎が描かれた真珠色の装甲。漆黒のマントを靡かせたそいつの名は、

「カメン、ライダー……?」

 思わず反芻する。
 カメンライダーとは、何だ。
 知らない。分からない。理解出来ない。
 それを名乗る男達は、一体何の為に戦うのか。
 そして一つだけ思い出す。カメンライダーがやった事を。
 唯一の友が、二人のカメンライダーに蹴り砕かれたあの瞬間を。
 自分なんかを救う為に飛び出したミカゲが、目の前で粉々に砕かれて行く光景を。
 何故かは分からないが、感情が昂る。身体の奥底から、力が湧き上がる。
 ゼクロスの身体が赤く輝き――そして、変わった。

「何っ……!?」

 狼狽したのは、エターナルの方だった。同時に、甲高い金属音が夜の闇に反響する。
 エターナルの刃は、ゼクロスが振り上げた腕、その肘に装着された十字手裏剣で受け止めた。
 間髪入れずに左腕を突き出し、その甲からマイクロチェーンを発射する。
 並の怪人なら一撃で貫通し破壊するだけの威力を誇るそれは、しかしエターナルのマントによって阻まれた。
 ゼクロスは物事を何も知らないが、それでも戦い方だけは熟知している。
 今の一撃が防いだマントが、如何に防御力が高いかも一瞬で理解した。
 ならば、一瞬で敵の懐へ飛び込み、マントの間を縫って本体に攻撃するまで。
 矢継ぎ早に電磁ナイフを引き抜いたゼクロスは、一瞬と掛からずにエターナルの懐へと飛び込んでいた。
 一瞬ののち、キィン、と金属音が響く。マントの間から、エターナルは自分の刃で受け止めたのだ。
 ゼクロスのナイフを弾き返し、エターナルもまた一瞬と掛からずに二撃目を繰り出した。
 だが、通しはしない。今度の一撃も、ナイフで受け止め、鍔迫り合う。
 力は緩めないまま、ゼクロスはエターナルに問うた。

「また、奪うのか」

 友を、仲間を、今度は俺の命を。
 カメンライダーはその刃で、また奪おうと云うのか。
 エターナルは軽く嘲ながらも嘯いた。

「何言ってやがる、世の中奪うか奪われるかだろ」
「……させん」

 感情を忘れた筈のゼクロスの声には、しかし確かな怒気が込められていた。
 こいつとの戦いは、正義か悪かとか、良いか悪いかとか、そんな次元の話では無い。
 大勢の人間を殺して来た自分が、今更他人の命を奪われたところで怒ろうとも思わない。
 だけども、たった一人の友を見殺しにしてしまったという過去は、奪われた過去は、消えない。
 仲間を守れなかった罪の意識は、何も持たない筈のゼクロスに戦う理由を与えてくれた。
 目の前のこいつは倒す。これ以上奪われる前に、この手で殺す。
 カメンライダーには、もう何も奪わせない。

206 ◆MiRaiTlHUI:2011/10/28(金) 16:55:46 ID:.1DmvJjI0
 
 
【1日目/未明】
【D-3 採石場跡】

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康、怒り、ゼクロスに変身中
[装備]:電磁ナイフ、衝撃集中爆弾、十字手裏剣
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:???
1:目の前のカメンライダー(エターナル)を倒す。
[備考]
※参戦時期は第二部第四話冒頭(バダンから脱走中)です。
※衝撃集中爆弾と十字手裏剣は体内で精製されます。


【大道克己@仮面ライダーW】
[状態]:健康、エターナルに変身中
[装備]:ロストドライバー@仮面ライダーW+エターナルメモリ、エターナルエッジ
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個
[思考]
基本:優勝し、自分の存在を世界に刻む。
1:目の前の仮面ライダー(ゼクロス)を倒す。
[備考]
※参戦時期はマリア殺害後です。

207 ◆MiRaiTlHUI:2011/10/28(金) 16:56:59 ID:.1DmvJjI0
これにて投下終了です。
いざ書いてみたら存外に短かった……
指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

208 ◆MiRaiTlHUI:2011/10/28(金) 16:58:18 ID:.1DmvJjI0
あぁっと、タイトル忘れてました。
「からっぽの心」でお願いします。

209名無しさん:2011/10/28(金) 17:04:34 ID:MQJMmINg0
投下乙です!
村雨はとりあえずBADANを離反しているか・・・・・・メモリーキューブもどこかに支給されているのだろうか
そして大道は本編通りだな
死のみにしか価値を見ない男と生を望む男、一見似ているようで丸っきり別物だ

210名無しさん:2011/10/28(金) 17:07:24 ID:y2e/OxEM0
投下乙です!
昭和VS平成のライダーバトル開始!?
村雨も大道もかなりやばい時期から参戦してるな……この二人がどうなるのか楽しみだなぁ

211名無しさん:2011/10/28(金) 20:02:14 ID:BuMnGIzQ0
投下乙です

幾らキバでもダブルライダーは勝てんわ
そして〆はダブルキックとかやってくれるぜ
ただ、魔弾持ちのキバに目を付けられたのが怖いな

ティアナはその時期から参戦したらヤバいなとは思ったが、生真面目な奴はふっ切れると怖いって見本だわ…
逆に照井は成長した時期から来たかあ。時期が違ってたら逆になってたかもな
三人の立ち位置とか考えるとタイトルが皮肉だなあ

こっちもヤバい時期から参戦してどう転んでもおかしくない状況か
いっそう共倒れしてくれた方がマシに思えるなあ…

212 ◆amQF0quq.k:2011/10/29(土) 00:17:53 ID:DdfSrMdA0
>>139
こちらの事情でお返事が遅くなってしまいました。
調べてみましたらたしかに指摘された通り井坂のデフォルトメモリが
T1であるという描写も設定もありませんでした。
wiki上で訂正したいと思います。
ご指摘ありがとうございます。

213名無しさん:2011/10/29(土) 01:46:01 ID:JOJtRKf.0
投下乙です。
大道は乗ったか、うーん泉が大道と再会したらどうするのだろうか? 大道は泉も殺すだろうからなぁ……
一方の村雨はBADANから脱走した後だけど、まだ仮面ライダーじゃない時期という事か……確かに今までに無いパターン(漫画がBADAN時代、ロボがライダー時代だった筈)。
で、採石場で決戦というのが恐ろしい程に仮面ライダーのお約束。あれ、でも確か比較的近くに仮面ライダーをアレしようとしている誰かさんが居たような居ないような。
仮面ライダー伏せやぁー!

214 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:27:24 ID:o9xiy9Ls0
今から投下します

215戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:32:31 ID:o9xiy9Ls0

 孤島の北端、B−7エリアに1つのホテルが存在している。
 その感想を一言で述べるならば、巨大。さらに言葉を加えるならば、豪勢。
 周囲に他の建造物がない中、超然とたたずむ様はまるで巨人のごとく――圧倒的な存在感を誇るその姿は、多少離れたエリアからでも確認することができるだろう。

 目印になり、すぐそばを街道が走るという立地条件。くわえて、ここが地図に載っている施設であることを加味するならば。
 その邂逅は、偶然であると同時に必然でもあった。


****


「お前が1人で出てきたということは、このホテルにはシンケンレッドはいないようだな」
「その声は……十臓!?」

 ホテルの玄関前、2人の男が向き合う。
 一方の名は池波流ノ介。
 一見今風の若者にしか見えない茶髪の青年であるが、れっきとした侍の家系に生まれた人間であり、彼自身も人々のため戦う現代を生きる侍である。
 一方の名は腑破十臓。
 ざんばら髪に無精ひげ、ただそこに立っているだけにも関わらず、まるで抜身の刀のような鋭い雰囲気を身に纏った男であり、人の身でありながら外道に身を堕とした生粋の人斬りである。
 互いに知り合いと呼べる両者ではあるが、その反応は対照的であった。

 不意にかけられた声に驚きを隠せず、警戒心も露わに十臓と対峙する流ノ介。
 ごく自然体のまま、なんら気負うことなく流ノ介を見据える十臓。
 夜闇がもたらす静寂な雰囲気とは裏腹に、辺りには剣呑な空気が立ち込めはじめる。
 本来なら涼しいはずの夜風すら、殺気という名の熱にあてられたのか……どこか生暖かく、肌に纏わりつくかのように淀んでいた。

 一触即発。
 この場に第3者がいたならば、例外なくその言葉を思い浮かべただろう。
 それもそのはず。突然殺し合いに巻き込まれ、このホテルで出会った2人の男達は……本来ならば、敵同士であるのだから。

 特に流ノ介にしてみれば、この人斬りは外道衆――人の世の平和を壊す、流ノ介達の敵――であり、それを差し引いてなお、絶対に倒さなければならない相手であるのだ。
 その理由としては、この十臓が志葉丈瑠――流ノ介が殿と仰ぐ男に対し、並々ならぬ執着を抱いていることがあげられる。
 あえて考えるまでもないのだ。
 ここがどこで何が起こっていようとも、十臓という剣士が望むのは宿敵と見定めた丈瑠との戦いだけであるのはわかりきっていた。
 当然、主君に危機をもたらすだろうこの存在を、侍たる青年に許容できるわけがない。

「十臓……お前はこの状況下でも、殿との戦いにこだわるつもりなのか?」

 それは質問であって質問でない。
 流ノ介はすでに答えを確信しており、本来ならあえて尋ねる必要などないのだ。
 例えるならそれは、単なるきっかけにすぎない。
 十臓の返答……それはそのまま2人の戦いの狼煙となるのだ。

216戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:33:00 ID:o9xiy9Ls0
 しかし十臓にしてみれば、流ノ介など路肩の石ころ同然の存在。
 その腕前の高さは知っていたが、本気で斬り合いたいと思えるほどの興味は惹かれていなかった。
 ゆえに、自身に向けられた殺気すらも柳のごとく受け流し、変わらぬ自然体で答える。
 ただし、その内容は流ノ介の予想をいささか外れたものであったが。

「そう心配するな。少なくとも今すぐには、シンケンレッドと戦うつもりはない」
「……どういう意味だ?」

 わずかな含み。
 一瞬の沈黙を挟んだ後、人斬りは簡潔に理由を述べた。

「裏正がない」
「なに?」
「この殺し合いを企画した連中に取り上げられたようだが……その反応を見る限り、お前の支給品には紛れてはいないようだな」

 一方的に告げるやいなや、十臓はその身を翻す。
 お前には用はないと、迷いなき背中が、足取りが語っていた。

「待て。お前をこのまま行かせるわけにはいかない」

 躊躇なく、侍はその歩みを引き留める。

 ――刀――

 空間に光の文字が描かれたと思った刹那、流ノ介の手の中には一振りの刃が握られていた。
 〝刀〟のモヂカラにより生み出されたそれこそがシンケンマル。現代を生きる侍、シンケンジャーの相棒たる武器である。

「それで、どうするというのだ?」
「殿の元にたどり着く前に……私が斬る」
「できるのか? お前に?」

 不敵に笑みに対する返答は、容赦なき上段からの一撃。

「ふ……裏正がなければ勝てるとでも思ったか?」

 だがそれは、変わらぬ笑みを浮かべたままの十臓に容易く受け止められる。
 昇竜抜山刀。
 十臓がデイパックの中より引きぬいたのは、外道衆の総大将血祭ドウコクの愛用する大刀であった。

217戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:33:44 ID:o9xiy9Ls0
「……その剣は!」

 予想もしなかった得物の存在に、流ノ介の顔にわずかに驚愕の色が浮かぶ。
 十臓は、その一瞬の隙を見逃さず即座に反撃に転じた。
 瞬く間に繰り出される三度の斬撃、その全てが的確に急所を狙ったものである。
 苛烈。ただそう形容するしかないほど十臓の攻めは激しいものであったが、流ノ介とてただでやられはしない。

 そもそも、流ノ介と十臓の力量に差があるのは事実だが、その差は決して大きなものではないのだ。
 十臓が宿敵と定めた志葉丈瑠……その丈瑠と流ノ介を比べた場合、実戦においては丈瑠が勝るのは事実ではあるが、剣の技量だけを比べれば流ノ介は決して引けをとっていない。
 くわえて、今の十臓の得物が本来のそれでないことを考えれば……これを流ノ介が防ぎきるのは道理。

 しかし、流麗な踏み込みから繰り出される流ノ介の鋭い反撃もまた、相手を捉えるにはいたらず。
 まるでそよ風でも受けたかのように涼しげに笑い、十臓はたやすくそれを受け流す。

 射ぬくような闘志を込めた侍の瞳。
 斬り合いによる愉悦のみをたたえた人斬りの瞳。
 それらが交錯し、すれ違う。

 一度距離を取った両雄は、しばし呼気を整える。
 5秒……10秒……30秒……。
 先に動いたのは、流ノ介。
 されど、それは攻撃のためではなく――

「一筆奏上!」

 右手のショドウフォンが虚空に〝水〟の文字を描き、そのモヂカラを受けて青き鎧の侍戦士が姿を現す。
 その名は、シンケンブルー。

 対する十臓も、それを受け己が姿を外道のそれへと変える。
 一瞬、どこからともなく生じた炎が人斬りの身を包んだと思った次の瞬間には、そこには白き甲冑の異形が立っていた。

「……シンケンレッドとの戦いにまで水を差されてはたまらんのでな」

 ――本気で行かせてもらうと。
 一際濃密に、シンケンブルーの身体にまとわりつくようになった殺気がそう語っていた。

 そこからの攻防の激しさは、先の比ではない。
 侍戦士と人斬り。
 互いに人智を超えた力を身に宿し、ただ目の前の相手を打ち倒さんとひたすらに刃を振るう。
 一合ごと。
 ぶつかり、爆ぜる殺気は渦を巻き、この2人以外は世界のどこにも存在しないような……そんな風にすら思える、閉じられた空間すら作り出す。

218戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:34:14 ID:o9xiy9Ls0
「はあっ!」

 シンケンマルが空を薙ぎ。

「ぬん!」

 昇竜抜山刀が大地を砕く。

 互いに繰り出した技の応酬はゆうに100を超え――最後に待っていたのは、当然の結末。
 強きが弱きを喰らうという、ごく当たり前の結果であった。
 すなわち、腑破十臓の勝利である。

「ぐわあああ!」

 左脇腹を深く切り裂かれ、吹き飛び、大地に転がるシンケンブルー。
 その衝撃により、変身すら強制的に解除されてしまう。

 確かに、技量において両者に大きな差はなかった。
 そして、十臓の得物は本来のパートナーたる裏正ではない。
 この点においては、常と同じくシンケンマルを振るっていた流ノ介に分があったのは間違いないだろう。
 だが、得物の差を差し引いてなお、十臓と流ノ介の間には埋められぬモノがあったのだ。
 それはそのまま、丈瑠と流ノ介の差であるとも言えた。

 ……明暗を分けたのは、圧倒的な実戦経験の差。
 ぎりぎりまで他のシンケンジャーの招集を拒み続け、ただ1人で外道衆と戦い続けた志葉丈瑠。
 200年以上の永きにわたり、ひたすら人を斬り続けてきた腑破十臓。
 幼少よりも鍛錬を積みながらも、実際に戦場にでたのはここ1年以内でしかない池波流ノ介。
 どんなに努力を重ねようと、埋められぬ溝が最初から存在していたのだ。

 ゆえに流ノ介の判断は、丈瑠や十臓と比べその1つ1つがほんの刹那遅く、ほんのわずか的確ではない。
 ミスとも呼べないような微細な誤差の積み重ねがしかし、結果として若き侍の敗北を招いたのである。

「……クッ!」

 決壊した堤防のように、とどまることなく鮮血が溢れ続ける脇腹を抑え、どうにか態勢を立て直そうとする流ノ介。
 しかし、すでに決着はついている。
 なによりそれを物語っていたのは十臓の姿。人斬りはすでに、外道より人の姿に戻っていた。
 それは油断でも慢心でもなく……ただ、戦いの決着を見極めたがゆえの行動であった。

 にじり寄る十臓。
 動けぬ流ノ介に、まさにとどめが刺されようとしたその瞬間――

219戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:34:47 ID:o9xiy9Ls0
「だめええええええ!」
『Divine Buster』

 少女の叫びともに、天より桃色の極光が降り注いだ。 

「ぬっ!」

 その光の一撃は、咄嗟に退いた十臓を身体をかすめ、森の中へと着弾。
 吹き荒れる閃光と爆風に木々が悲鳴を上げ、こぼれた涙は落ち葉となって周囲に舞い落ちる。

「お、女の子?」

 咄嗟に〝砲撃〟が来た方向を……天を仰いだ流ノ介の瞳がとらえたのは、まさに我が目を疑う光景。
 思わず、自身の危機的状況すら忘れたかのような間抜けな声すら漏らしてしまうが、それも無理はない。
 この殺し合いの場にはおよそ似つかわしくない、かわいらしい白い洋服に身を包み、しかしその手には明らかに武器と思われる大きな杖。
 そんな珍妙な恰好をした、10歳くらいの女の子が空に浮いていたのだから。

「…………」

 声こそあげはしなかったものの、驚愕は十臓も同じ……否、驚愕したからこそ言葉を失ったのか。
 彼とてここが殺し合いの舞台であることは理解しており、流ノ介との戦いの最中も周囲からの乱入者に対する警戒は怠っていなかった。
 だからこそ、半ば不意打ちであった先の一撃も問題なくかわすことができたのだ。

 しかしである。まさかである。
 空を飛んできた女の子が躊躇なく砲撃をぶちかましてくるとは、この人斬りにも予想外であったのだ。

「私の……私の話を聞いてください!」

 偶然生まれた沈黙を活かし、少女――高町なのはが口を開く。
 その瞳には、確かに恐怖の色があった。だがそれ以上に、強い決意の色を宿していた。
 なのはは、つい先ほどまで殺し合いを演じていた男達を前にしてもいっこうに怯む様子を見せず、それどころか今も刀を握りしめたままである2人の間に舞い降りる。
 内に抱えた恐れを微塵もうかがわせず、羽のようにかろやかに、そして力強く。

「突然こんな首輪をつけられて、実際に3人の人達が殺されて……不安になる気持ちはわかります。正直に言えば、私も不安です」
『Mode Release』

 その手に握られていた杖――レイジングハート・エクセリオンが消失。
 バリアジャケットこそ維持したままであるが、それは実質的な武装解除であった。

「だけど、こんなのは間違ってます! あの加頭って人の言いなりになって殺し合いをしたって、きっと何も解決しません! でも、みんなで協力して方法を考えれば何か――」

 どこか悲痛にすら聞こえる少女の訴えは――

「勘違いしているようだが……俺は殺し合いに乗ったつもりはない」

 人斬りの言葉によって、ばっさりと切り捨てられる。

220戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:35:56 ID:o9xiy9Ls0
「……え?」
「ただ、その男が邪魔になったのでな。斬ることにしたまでだ」

 そしてなのはに向けられた殺気が、邪魔をするならお前も斬ると告げていた。

 もとより、腑破十臓の願いはただ1つであった。
 『強い者と骨の髄まで斬り合うこと』……ただそれのみである。
 その目的を邪魔するゆえ、池波流ノ介を斬ることにこそしたが、彼は殺し合いというゲーム自体にはさほど興味はなかった。
 もちろん、丈瑠以外にも目に適う強者が存在するならば、結果的にその者とも斬り合う可能性もありはしたが……あえて弱き者、興味を惹かれぬ者を斬って、無駄な体力を使うつもりはなかったのだ。

「君の言っていることは正しい。私も同じ意見だ……しかし、今はこの場だけは、退くわけにはいかない。殿のため、何より1人でも多くの人を救うため、その男だけはここで斬る」

 若き侍もまた、なのはの言葉に否を返す。
 もっとも彼の場合、自ら口にした通りなのはの考えには賛同を憶えていた。
 むしろ、殺し合いを止め多くの人を救うことを目指すという点では、共に同じ目的を持っていると言っても過言ではない。
 仮に出会ったのが今この時でなければ、流ノ介となのははあっさりと協力関係を結べていたことだろう。
 ただ、2人の出会いは、あまりにもタイミングが悪すぎたのだ。

 池波流ノ介は、すでに結論していた。
 勝てる勝てないの問題ではない……この男、腑破十臓は、命をかけてでも絶対にここで倒す必要があると。
 なぜならば、この孤島には外道衆の総大将血祭ドウコクもいるのだ。
 あの加頭という男が、あれほどの化物をどうやって連れてきたのかはわからない。1つ確かなのは、もはやドウコクとの対決は避けられないということだけ。
 そしてその戦いには、丈瑠の、〝志葉家の当主だけが使える〟封印の文字が必ず必要になるのだ……この殺し合いに巻き込まれる直前、ついに刃を交えるに至ったドウコクの圧倒的な力を前にして、流ノ介はそう思わざるを得なかったのだ。
 無論、封印の文字が未完成であるのは百も承知。むしろ、未完成であるからこそ、丈瑠に余分な負担をかけるわけにはいかないとすら考えていた。

 ――ゆえに、その障害となるものは自分が斬る。
  
 ドウコクという最大最悪の危険因子を取り除けぬ限り、この殺し合いに巻き込まれた人々に未来はないのだから。

「何を……言って?」

 高町なのはには、この男達のことが理解できなかった。
 彼らの事情を知らないがゆえ、到底仕方のないことであるが。

 しかし、だからといってなのはの行動には迷いはない。
 事情はわからない。当然理解もできない――しかし、絶対に殺し合いなど間違っている。
 ゆえに、止めてみせる。自分が友より授かった魔法の力……それはきっと、ほんのわずかでも悲しみを減らすために存在しているはずなのだから。
 少女もまた、すでに覚悟を固めていたのだ。

 池波流ノ介、腑破十臓……そして、高町なのは。
 それぞれの思惑を胸に、3人は対峙する。

 今、戦いの狼煙が上がろうとしていた。

221戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:36:16 ID:o9xiy9Ls0
【1日目/未明 B−7/ホテル前】

【池波流ノ介@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:左脇腹に重度の裂傷、体力消費(大)、モヂカラ消費(小)
[装備]:ショドウフォン@侍戦隊シンケンジャー、シンケンマル@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:血祭ドウコクの撃破および、殺し合いの阻止
1:十臓を倒す
2:丈瑠の封印の文字を用いてドウコクを倒す
3:2のため、丈瑠に極力負担をかけないよう障害は自分の手で取り除く
[備考]
※参戦時期は、第四十幕『御大将出陣』から第四十四幕『志葉家十八代目当主』までの間です。
 丈瑠が志葉家当主の影武者であることは知りません。
※ドウコクの撃破を目指すのは、単純に避けられない戦いであることにくわえ、他の参加者の安全確保のためという意味合いが強いです。
 殺し合いの阻止よりも、ドウコク撃破を優先しているというわけではありません。


【腑破十臓@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康、体力消費(小)
[装備]:昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:強い者と骨の髄まで斬り合う
1:流ノ介を斬る。邪魔をするならなのはも斬る
2:裏正を探す
3:2を達成した後、丈瑠と心行くまで斬り合う
4:他にも興味を惹かれる強者が存在するなら、その者とも斬り合う
[備考]
※参戦時期は、第九幕『虎反抗期』以降、丈瑠を標的と定めた後です。
※流ノ介を斬るのは、丈瑠との戦いを邪魔してくるのが明らかなためです。
※他の参加者の支給品に裏正が紛れていると考えています。


【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[装備]:レイジングハートエクセリオン(待機状態)、バリアジャケット
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを止め、皆で助かる方法を探す
1:まずは目の前の2人、流ノ介と十臓の殺し合いを止める
[備考]
※参戦時期はA's4話以降、デバイスにカートリッジシステムが搭載された後です。

※なのはの砲撃は非常に目立つため、周辺エリアからも観測できた可能性が高いです。

222 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/29(土) 15:37:17 ID:o9xiy9Ls0
以上になります
修正点等ありましたら、よろしくお願いします

223 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:07:28 ID:f.saoXJY0
投下乙です
シンケンジャーは把握してないけどなのははこの二人に割り込んで大丈夫なんだろうか
そしてこっちも子供のころから参戦か

ではこちらも投下します

224覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:09:49 ID:f.saoXJY0
アインハルト・ストラトス。
シュトゥラ王国の国王「覇王イングヴァルト」の末裔。
覇王流の強さを証明するために戦い続けた少女。

「ここで覇王流の力を証明しろと、そう言うのですか?」

彼女が求めたのは本当の強さ。
先代の望んだ、守るべきものを守ることができる強さ。
それを持っていることを証明すること。

名簿を開くと、そこには親友、ヴィヴィオが、その二人の母が、そしてヴィヴィオを通して知り合った人達がいた。
コロナとリオは巻き込まれていないようだった。
ある程度想像はしていたもののやはりショックはある。

「いいでしょう。この場で、私は大切な人たちを守ります」

そう、それでこそクラウス・G・S・イングヴァルトの力の証明ができるだろう。
ヴィヴィオを、皆を守るために戦おう。

だが不安なこともあった。
これは殺し合い。命を賭けた戦いをしなければいけないのだ。
今までの野試合においても非殺傷設定を外すことはしなかった。
この力は守るためのものであり、奪うためのものではないのだから。
もしこの場で、相手の命を奪ってでも倒さなければならない者がいたとき、自分に戦うことはできるのか。

『にゃー』
「…大丈夫です、ティオ」

そんな不安を読み取ったのか、デバイス、アスティオンは心配そうな鳴き声をあげる。
そう、迷っていては駄目なのだ。その時にはちゃんと決意できるようにしなければ。

225覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:12:53 ID:f.saoXJY0
「ん?」

ふと、何か笑い声のような物が聞こえた。
何か歓喜の声でもあげているようだ。
この環境でそんな声をあげるなど、無用心なのか、それともよほど己に自信があるのか。

好奇心というものもあり、近くまでなら大丈夫と寄ってみることにした。
だが辺りは暗く何かを見ることができるような場所ではない。
とりあえずとバッグから懐中電灯を取り出したとき――

バサッ

反射神経が反応し、それを避けた。

「…ッ!?」

飛んできた何かはそのまま地面に降り立ち、こちらを向く。
そこには蝙蝠の怪人としか言いようのない何かがいた。

「ゴラエガ ガギギョン エモンザ」
「…?何を言っているのですか?」

蝙蝠男(仮)はよく分からない言語をこちらに投げかけてくる。
何と言っているのかは分からないが、殺意はひしひしと伝わってきた。

「――武装形態」

殺意まで向けられて黙っているわけにはいかない。
ただの子供としか見ていないだろう蝙蝠男の前で、戦闘態勢をとる。

「ン!?ゴラエザタザ ンリントデザバギンバ?!」

相変わらず何と言っているのかは分からないがとにかく驚いているようだ。

驚きのままにこちらへ腕を振り下ろしてくる蝙蝠男。
武術の鍛錬を欠かさず行ってきたアインハルトにはそれを受け止めることは容易かった。

226覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:15:13 ID:f.saoXJY0
しかし、

(――パワーはかなりのものですね…)

流石怪人とでも言うべきか、人並み外れた腕力を持ってはいる。
だが戦いそのものに慣れた技量を持っているわけではないようだ。
無造作に振るわれる腕も捌ききれないものではない。
左からの攻撃は受け止め、右からの攻撃を回避、そのまま拳を正面に撃ち込む。

「ギャッ!」

叫び声をあげて後ろに下がる蝙蝠男。
だがすぐに飛び掛ってきた。一応力は入れたはずなのだが。
噛み付こうとする口を押さえ、足で蹴り飛ばす。

普通であれば昏倒させられるはずの一撃。
しかし蝙蝠男は立ち上がる。やはり普通の人間とは違うのだろう。

三度飛び掛ってきた蝙蝠男。
今度はそれを受け止めるのではなく、勢いを利用して投げ飛ばす。

「……?」

蝙蝠男は落ちてこなかった。
とそこで気付く。相手は蝙蝠なのだ。
つまりこの暗闇の中で空からの奇襲をかけることもできる。
辺りを見回すが姿は見えない。夜はやつの独壇場なのだろう。

意識を集中させて相手の居場所を探る。
それと同時にある一つの手を実行に移す。

真夜中の静寂。
風の音、虫の鳴き声すら聞こえないその空間。

羽音が響き、アインハルトの体に鋭い牙が近付き―

「覇王流――覇王断空拳」

その腹に蓄えられた力のこもった拳が直撃。
蝙蝠男は吹き飛ばされた。

227覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:17:44 ID:f.saoXJY0
「ガアァァァ!!」

腹部を押さえ蹲る蝙蝠男。今までの攻撃では決して見られなかった反応だ。
それもそのはず。今の攻撃からは非殺傷設定を外し、物理ダメージを加えるようにしたものだ。
あれはおそらく魔力ダメージのみでは怯むことはないのだろう。
そう思い、迷いもあったが物理攻撃として拳を振るった。
効果はあったようだが、迷いが威力を下げてしまったように感じる。

起き上がった蝙蝠男はこちらを向き、腹を押さえたまま翼膜を広げる。
来るかと構えたところで蝙蝠男は後ろに下がり、そのまま暗い森の中へ飛び去った。

追うべきか、追わないべきか。
その判断は早かった。
あれはそこまで強くはないようだったが、それでも危険な存在に違いないだろう。
ヴィヴィオや皆が遅れをとる存在ではないはずだが万が一という事も有り得る。
それにあのような存在であるのならばおそらくこの手で止めを刺すこともできるだろう。
己の迷いも含めて。

「行きましょう、ティオ」
『にゃ!!』


少女は走る。
覇王の願った強さを証明するために。
そして、大切な人たちを守るために。

【一日目・未明 C-5/森林】
【アインハルト・ストラトス@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:アスティオン@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考]
基本:皆(ヴィヴィオ、なのは、フェイト、スバル、ティアナ)を守るために戦う
1:蝙蝠男を追う
2:皆に害を及ぼすだろう存在は倒す
3:人の命を奪うことに迷い

228覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:20:33 ID:f.saoXJY0


アインハルトに蝙蝠男と称された男、ズ・ゴオマ・グ。
彼のスタート地点は森林の中であった。

ダグバのベルトの一部を回収する命令を受け、止むを得ずに色々と飛び回っていたゴオマ。
そんな彼がその一部を持ち出したところでこの殺し合いに呼ばれた。

リントの取り決めたゲゲル。そんな物に興味などない。
そんなものよりダグバのベルトの欠片を奪われたのではないかと焦ったが、それは配られたバッグの中に入っていた。
だがバッグの中にはそれ以上に、グロンギにとっては重要な、そしてゴオマにとって大きな意味を持つ道具が入っていた。

巨大なそろばんのように見えるその物体、バグンダダ。
グロンギがゲゲルを行う際に殺した人数を数えるためのカウンターである。
それが自分の手にある。つまりこれは、念願の、グロンギのゲゲル参加資格を得たということなのだ。
その事実に歓喜し、思わず大きな笑い声をあげてしまった。アインハルトが聞いたのはこの声である。
本来バグンダダはゴのためのカウンターであり、カウントするのはドルドの役割なのだがそんなことはゴオマには関係なかった。

さらにふと触れた名簿を見たとき、興奮はさらに高まった。
ゴ・ガドル・バ、ン・ダグバ・ゼバ。
自分を蔑み続けた者、我らグロンギの最終目標。
その二人がこの場にいる。
いてもたってもいられなかった。

そして彼の超音波が近付いてくる者を捕らえた。
リントの子供がこちらに向かってくる。
ゲゲルの参加資格を得られた喜びと興奮が、ダグバのベルトの破片を使うことすら忘れさせていた。
クウガでもないリントなど楽勝とも考えたのだろう。



そして現在、森の木の上で腹を押さえて座り込んでいた。
もし他のグロンギ、メやゴの連中、バルバがいたら嘲り笑っていただろう光景だ。

229覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:23:08 ID:f.saoXJY0
だがそんな彼にも過ぎた物と言うべきほどの道具があった。
ダグバのベルトの欠片。そう、これを使えばあのようなリントなどどうということはないのだ。

それを取り込むゴオマ。

同時に全身に痛みが走る。

「ガァァァァ…」

思わず呻き声をあげるゴオマ。
しかし痛みと同時に全身に力が湧き上がってくるのを感じる。
そう、これがダグバの力なのだ。

そしてゴオマは再び近付いてくる者の存在を感知する。
あのリントであろう。

「ボソグ、リント、ダグバ」

もう逃げる必要などない。
この力があれば殺すなど容易い。
近付いてくる者に向かって、ゴオマは笑い続けた。


【一日目・未明 C-5/森林】
【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:ダグバのベルトの破片@仮面ライダークウガ
[道具]:バグンダダ@仮面ライダークウガ、支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:自分のゲゲルを行う
1:追ってきたリントを殺す
2:ダグバを殺してザギバスゲゲルを成功させる
3:会うことがあればガドルも殺す
[備考]
 ※36話、ダグバの力を取り込む前からの参戦です
 ※ベルトの破片を取り込みました
  今は強化態へと変身できますが、時間経過で究極態に変身できるようになります

230 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 17:23:58 ID:f.saoXJY0
投下終了です
おかしなところがあればお願いします

231名無しさん:2011/10/29(土) 17:46:03 ID:I0O4.0B60
両名投下乙です、

>戦いの狼煙
誰かが退場するかと思ったらまだそんな事はなく、流ノ介ピンチの所に白いひらひらが……そら驚くわ。
普通に考えれば力強い応援なんだけどなのはの言動が全く空気読めていないのが……

>覇王と決意と蝙蝠男
ゴオマは参戦時期的にはまだ弱いけど都合良く欠片が支給品になってラストで欠片を取り込んだか……
まずい、今のダグバはズよりも強いゴよりも危険だ、アインハルト伏せやぁー!

ちょっと待て、シンケン組がB-7……という事はB-6にいる本郷が近くにいるか。
で、ゴオマとアインハルトの位置はC-5……ってスバルとシャンプーの戦闘地点じゃねーか!
お前らも伏せやぁー!

232 ◆Z9iNYeY9a2:2011/10/29(土) 18:03:02 ID:f.saoXJY0
すみません、言われて気付きました
ゴオマとアインハルトの現在位置はC-5→C-6に変更させてください
同エリア内でバトっていて静かというのもおかしいですので

233名無しさん:2011/10/29(土) 18:18:36 ID:xAK7Goz60
投下乙です

神視点ならとっとと流ノ介と組んどけと思うんだがなのはならこうするわなあ
空気読んでないんじゃないよ。平常運転してるだけだよw
もっともほぼ無差別なのと殿の為なら奉仕マーダーになる可能性もまだある両者をノックアウトさせてもそれはそれで…w
そしてこっちも子供時代から参戦か

アインハルトはゴオマを退けたと思ったら強化だとっ!?
これは不味いわあ。そして周りにも戦闘してる奴が多いなあ…
これは誘爆するのだろうか…

234名無しさん:2011/10/30(日) 01:26:48 ID:ari508M.0
投下乙です

>覇王と決意と蝙蝠男
他のグロンギ二人が際立った強さを見せる中、ノーマル状態のゴオマは安定のやられっぷりw
まあ、究極体まで進化できたら普通にシャレにならない奴ではあるんだけど
しかし、本郷、まどか組を取り囲むように次々戦闘が発生してるな

235 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:35:07 ID:TanZm9nU0
さやか、三影投下します

236正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:36:48 ID:TanZm9nU0

(こんな事……絶対に駄目だ。
絶対に、止めなくちゃ……!!)


廃教会。
かつて紅の魔法少女―――佐倉杏子に己の信念を伝えたその場で、美樹さやかは再び強い決意を固めていた。
魔法少女として、正義の味方として。
この殺し合いを止める……止めなくてはならないと。
それは、この場に招かれた仮面ライダーやプリキュア、魔戒騎士といったヒーロー達も同じ思いだ。
彼等彼女等は、悪を憎む強い正義の心から、そう誓っている。

そしてその思い自体は、さやかも変わらない。





ただし、ただ一点……彼等が持たぬ「歪み」があることを除けば。





(そうだ……あたしは魔法少女なんだ。
あいつを倒さなきゃ……あたしが、倒さなきゃいけないんだ……!!)


さやかの心にあるもの。
それは悪を許さないという気持ち以上に……「自分は正義の味方でなくてはならない」という強迫観念だった。


(この魔法は、使い方次第で多くの人を幸せにできる……その為に使わなくちゃいけない力なんだ)


美樹さやかはかつて愛する幼馴染―――恭介の為に奇跡を願い、その代償として人在らざる者―――魔法少女へとなってしまった。
痛みも感じない、生ける屍同然の肉体。
そんな異形が、愛する者と一緒になれる筈がない……彼女は誰かの幸せを願ったが為に、自らの幸せを願えなくなってしまったのだ。


(間違っても……魔法は、こんな殺し合いの為にある力じゃない)


そして、そんな彼女に追い打ちをかけたのが、大切な友人―――魔法少女となった最初の戦いで救出した―――仁美から打ち明けられた事実。
「恭介に告白する」という、最悪の一言だった。
さやかはその言葉に、何も返せなかった。
異形に堕ちた人間に何が言えようかと……そう深く絶望し、「彼女を助けなければよかった」とさえも思ってしまったのだ。


(自分の為に……使っていい力じゃないんだ……)


そんな、思いつめた彼女に残された道……それは「正義の味方」であり続ける事。
人に呪いを振りまく魔女を、この手で刈り取る……修羅という名の正義しかなかった。
以来、彼女は自らの肉体が傷つく事を顧みず、周囲の言葉にも一切聞く耳ももたぬままに、無謀な闘いを続けてきた。
そうしなければ……自身は役立たずになってしまうから。
完全に用済みになってしまうからと、精神を摩耗し続けているのだ。

237正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:37:30 ID:TanZm9nU0


(あたしは、この殺し合いに参加させられた人達の為に戦わなくちゃならない。
 戦えなかったら、何の価値もない……石ころなんだから……)


もしも彼女が、佐倉杏子の様に『自分の為』に魔法を使える性格だったならば、ここまで追い込まれはしなかっただろう。
戦いに『見返り』を求められる人間だったなら、ここまで傷つく事は無かっただろう。
しかし、彼女にとって魔法とは、どう言われようとも「他者の幸せを願うもの」に他ならなかった。
それこそが信念であり、彼女が目指す正義でもあるが故に……彼女は、心を病んでしまったのだ。



(……行こう。
 兎に角、誰かを探そう)


そんな、呪いにも似た歪な正義の下、彼女は殺し合いを止めるべく動き出そうとする。



その、瞬間だった。



「ッ……!?」


突然、彼女の全身を凄まじい悪寒が駆け廻った。
例えるなら、背後から刃物を喉元に押し当てられているかのような感じと言えばいいだろうか。
いつの間にか、体も震えている……本能が、恐怖を感じているのだ。
こんな事……魔女との戦いでも、そうそうあるものじゃなかった。


(後ろに何か……とんでもなくヤバいのがいる……!?)


さやかは、己に向けられたソレ―――殺気を察知し、後ろに振り返る。
同時にソウルジェムを取り出し、すぐさま変身が可能な態勢をとった。
そして、そんな彼女の視界に飛び込んできたのは……一人の、男だった。


「…………」

(何……この人……?)


漆黒のコートを身に纏う、黒いリーゼントヘアの男。
その瞳はサングラスで隠されており、より全体の不気味さを際立たせている。
そして何より特徴的なのが、全身から放たれる強大な威圧感。
さやかは、その男―――三影英介を前にして、完全に身が竦んでいた。

238正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:38:14 ID:TanZm9nU0


「……ガキか……」


三影は咥えていたたばこを地面に吐き捨てると、静かにサングラスを外して胸元のポケットにしまった。
現れたのは、さやかが予想していた通りに冷たい光が宿った瞳……しかし、それは左目のみだった。
では右目は何かというと、そこにあったのはまた別の『光』。


「だが、ただのガキでもなさそうだな……ならば……」


さやかの額目掛けて放たれている、赤く細い照準―――レーザーサイトだった。


「消え失せな……!!」


次の瞬間。
骨が砕けたんじゃないかと思える程の音と共に、三影の右肩から何かが生えてきた。
それは彼の肉体の一部にして、獲物の命を無慈悲に奪う為の兵器。
轟音を轟かせ、砲弾を放つ大筒―――大砲だった。


「なっ……!?」


それを前にして、さやかは驚きを隠せなかった。
生身の人間がいきなり体から大砲を出現させ、しかも自分の命まで狙ってきたとあっては、当然の反応だろう。
しかし、驚き立ち尽くしたままではいけない。
動かなければ、殺されるのだから。


(……驚いてる場合じゃ、ない……!!)


すぐさまさやかは、ソウルジェムを使ってその身を戦う為の姿―――魔法少女へと変える。
それと同時に、強く地面を蹴って横へと跳躍。
間一髪、砲弾を回避し……直後。



――――――ドゴォンッ!!


今まで彼女が立っていた場所のすぐ後ろにあった壁が、音を立てて粉々に吹き飛んだ。
もしも回避が間に合わなかったなら……変身できず生身のままであったなら、良くて致命傷。
悪ければ即死級の破壊力だ。

239正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:39:03 ID:TanZm9nU0


「……ふん……やはりな」


三影は魔法少女となったさやかを見て、己の勘が正しかった事を確認する。
例え少女といえども、こんな殺し合いに参加させられている時点で、ただの一般人な訳がない。
どんな本性を秘めているか分かったもんじゃない……と。
それ故の発砲であり、そしてさやかは見事に回避してのけた。


(こいつ……一体何なの!?
 肩から、大砲を出すって……魔女でも使い魔でも……間違っても、魔法少女じゃ絶対にない筈なのに……!!)


三影の挙動は、さやかにこれ以上ない混乱を齎していた。
こんな攻撃を使える存在など、魔女か使い魔か……或いは、魔法少女以外には考えられない。
しかし、三影は明らかにその三つとは異なる。
未知の力を持つ、外敵……「化け物」と言うべきかだろう。
兎に角、分かっている事はただ一つ……明らかに危険な存在ということだ。


「おい、小娘……お前はこの殺し合いで、何をするつもりだ?」


一方、そんな彼女に興味を抱いたのだろうか。
三影は二射目に移行せず、静かに問いかけた。
この殺し合いで、どう動くつもりなのか……と。


「何って……そんなの、決まってるじゃない。
 あたしは、この殺し合いを止める……魔法少女として、正義の味方として皆を守ってみせる。
 こんなのは、絶対に間違ってる……!」


さやかは、魔法で右手にサーベルを出現させると共に答えた。
魔法少女の力で、殺し合いを止める。
誰かを守る為に戦ってみせると。


「……ケッ。
 貴様も、あの連中と同じ……夢想家気取りの偽善者か……!」


しかし……それは、三影が最も望んでいない答えだった。


「反吐が出る……!!」


その怒りの声と共に、三影の全身が光の粒子に包まれる。
さやかはそれを見た瞬間、すぐに飛び出した。
このままではまずいと……そんな嫌な予感がして、攻撃に移ったのだ。

240正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:39:46 ID:TanZm9nU0

「えぇぇいっ!!」


雄たけびと共に、三影の脳天めがけてサーベルが振り下ろされる……しかし。



「遅い……!!」


その刃は、十字に交差した八本の爪に防がれていた。
爪の先にあるのは、白い毛を靡かせた虎の手。


「白い……虎……!?」


この時、既に三影の全身を覆っていた光は消失していた。
そして彼自身の身は、人在らざる異形へと変化していた。
白い体毛をもつ、猛虎の改造人間―――タイガーロイドへと。


「オオオォォォォッ!!」


砲口と共に、タイガーロイドは受け止めていたサーベルを弾き上げる。
続けて胸元より、一本の砲身を出現させた。
この時さやかの胴体は、振り下ろした獲物を腕ごと頭上へと上げ直された事により、完全に無防備。
タイガーロイドの狙いはずばり、そこをぶち抜く事だった。



――――――バシュッ!!



「ぬっ!?」


しかし砲弾は直撃せず、さやかの左肩を僅かに抉るに留まった。
彼女とて魔法少女、戦闘能力でいえば並の人間よりかは高い部類に入る戦士だ。
三影が砲身を出した瞬間に身をかがめ、どうにか致命傷は避けたのである。


「……こんなの……どうってことない……!!」


そしてさやかは、すかさず反撃へと転じる。
立ち上がる勢いに乗せて、タイガーロイドへと逆袈裟に切り上げたのだ。

241正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:40:33 ID:TanZm9nU0

「痩せ我慢……か。
 苛々して仕方がねぇ……!」


だが、その刃は紙一重でタイガーロイドを斬れなかった。
タイガーロイドもまたさやかの反撃を見切り、バックステップでギリギリの回避をしたのだ。
加えて、その両腕からは実に三本もの銃身がせり出している。


「真実を見ない理想主義者の、クソみたいな美学だな……!!」


さやかの身を蜂の巣とすべく為。
銃口が一斉に火を吹き、弾丸が打ち放たれた。


「当たってたまるもんか!」


彼女はこれを、最初の一撃同様に横への跳躍で回避。
しかし今度の攻撃は、大砲ではなく連射が利く銃弾だ。
よってタイガーロイドの攻撃は止まらず、続けて彼女を狙ってきている。


「だったら……!」


ならばと、さやかは足を止めることなく走る。
教会の壁目掛けて全力で疾走し、銃弾を避けていく。
そして壁へ行き当たると、今度はその壁に片足を乗せ……


「ハァァァッ!!!」


そのまま、スピードを落とす事無く壁面を疾走。
タイガーロイドに向かい、横から迫っていく。


「チィッ!!」


それを迎撃すべく、タイガーロイドは狙いを定めて発砲。
しかしさやかは、命中直前に再び跳躍して回避。
今度は天井へと逆さに立ち、更に反対側の壁へと飛び移る。
地面から壁へ、壁から天井へ、天井からまたも壁へ。
上下左右へのアクロバティックな動きでタイガーロイドを翻弄し、狙いをつけさせない様にしているのだ。


(よし……これならあいつも、あたしを上手く狙っては打てない。
 後はこのまま、上手く近寄って……!!)



しかし……タイガーロイドはこの幻惑戦法を、思いもよらぬ方法で打ち破る。

242正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:41:29 ID:TanZm9nU0

「くだらねぇ……何が正義の味方だ」


縦横無尽に動き回るさやかに対し。
タイガーロイドはその肩口から大砲をせり出し……その、直後。


「腐れ切ったこの世の中に、善も悪もあるものか!!」


怒りの声と共に、教会の天井が吹き飛ばされた。


「……しまった……!?」


相手がこの教会内を自在に飛び回るというなら、着地できる面をなくせばいいだけの事。
三影は天井を吹き飛ばす事により、さかやの上方向への回避を潰したのだ。
やむをえず、さやかは錯乱を止めて攻撃へと移行。
壁を強く蹴り、横合いからタイガーロイドへと斬りかかろうとするのだが……


「甘いッ!!」


相手の飛び交う方向さえ限定できれば、もはや攻撃を見切るのは容易。
タイガーロイドは向かってくるさやかへ向い左腕をあげ、正面から銃弾を打ち放ったのだ。


「ぐっ……!!」


サーベルを体の前で横向きに構え、盾代わりにする。
しかしそれで全ての攻撃を防ぐ事は当然不可能であり、結果、何発かの銃弾は彼女の手足と胴体を撃ち貫いてしまった。
全身を、焼ける様な痛みが駆け廻っていく。


「っ……アァァァァァァッ!!」

「何ッ!?」


だが、さやかは止まらない。
雄たけびを上げ、全力でタイガーロイドへと切りかかったのだ。
まさか攻撃を諸共せず突っ込んでくるとは思わなかったのだろうか、彼も今度ばかりは攻撃をもらってしまった。

243正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:42:12 ID:TanZm9nU0

「貴様……痛みを感じていないのか……!!」


真一文字の傷を胴体につけられ、タイガーロイドの表情が歪む。
同時に、彼は理解した。
先程はやせがまんと言ったが、そうじゃない……目の前の少女は、そもそも痛みを感じていないのだ。
何らかの方法で、感じる痛みを消し……こちらの攻撃に無理矢理耐えているのである。


「……ざけんじゃねぇ……そんな体になってまで、守る価値なんざこの世にあるかってんだ、アァッ!?」


そんな彼女の行動が、タイガーロイドには忌々しくて仕方がなかった。


「自分の身を犠牲にして、弱者と戦う?
 正義の味方として悪を倒す?
 そんな事になんの価値がある!!」

「……価値なら、ある。
 あたしが戦う事で、誰かの命が救えるんだから……!!」


タイガーロイドの言葉にやや険しい表情になりながらも、さやかは三影に斬りかかる。
自分は、魔女を倒す正義の味方なんだ。
それで誰かが守れるんだから、価値なんてそれでいい……見返りなんていらない。
見返りなんて、求めちゃいけない。


「ハッ……ならよ……」


そんな信念の込められた攻撃を、タイガーロイドは爪で受け流す。
そして、砲撃を放つべく再び距離をとり……直後。


「その命には……はたして、本当に守る価値があるのか?」



彼は、その口から……魔法少女として戦おうとするさやかの心を、根本から打ち砕く言葉を言い放った。

244正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:43:25 ID:TanZm9nU0

「……え……?」


タイガーロイドの思わぬ言葉に、さやかは思考を制止させた。
自分達が守ろうとする命に、果たしてそれに見合うだけの価値があるのか。
そんな事、考えたこともない……第一、考える意味がない。
危機に瀕している命があれば救おうとするのは、当然じゃないのか?


「そんなの……価値があるとかないとか、関係ないでしょ!
 目の前に困ってる人がいたら、助けるのが当然……」

「正義の味方だから……か?
 八ッ……呆れたものだな。
 そんなもの……偽善者どもが作り上げた、体の良い『生贄』だろうが」

だが、さやかの反論は三影に一蹴された。
正義の味方を唱える事は、愚か以外の何物でもない……と。


「……生贄……?」

「人間程腐った生き物はいねぇ。
 普段は正義だの平和だの唱えて聖人面しておきながら、その実、常に武装をして理解を超える存在には牙をむき侵略を繰り返す。
 そして統治がすめば、また正義の皮をかぶりやがる……」

「ねぇ……一体、何を言ってるの……?」


さやかは、三影の言葉に自分が徐々に圧されている事を感じていた。
今はきっと、こんな話などに聞く耳は持たず、問答無用に切りかかればいい話なのかもしれない。
しかし……何故か、それができないのだ。
三影の言葉に、何かを……重みの様なものを、感じてしまっているが為に。


「そんな連中が作り上げたものが、『正義の味方』なんていう馬鹿げた幻想だ。
 自分達の力じゃ決して勝てない存在が出てきた時に、そいつを『悪』に仕立て上げ……そして戦いを押し付ける。
 実に都合がいい、救世主様ってわけだ」

「ッ……!!
 違う、私達はそんなんじゃ……!!」

「違わねぇよ。
 貴様はただ、体の良い様に扱われてるだけだ。
 何の見返りもいらない、頼めば無償でやってくれる汚れ役……そんな存在としてな」

「……そんなこと……!!」

245正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:44:15 ID:TanZm9nU0
気がつけば、三影の言葉はさやかにとって苦痛以外の何物にもなっていなかった。
彼の言う事を、真っ向から否定できなくなり始めていたからだ。


「悪の根は人の根だ……俺からすれば、そんな偽善者の連中のほうがよっぽどの罪人だ」
 
「……やめて……」


誰かを助けることに、何の見返りも求めない。
それが正義の味方なんだと、さやかはずっとそう思っていた。
しかし……周囲からすればそれは、ただ都合が良いだけの存在なのではないだろうか。
進んで汚れ役を引き受けてくれ、見返りは何もいらないという。
困った事・危機があれば、勝手に戦ってくれる。


「だから俺は、そいつ等を粛清する為にこの力を手に入れた。
 この世を正す為にな……」

「……やめてって言ってるでしょ……!」


正義の味方という言葉は……そんな都合の良い生贄を美化する為の、幻想でしかないのだろうか。


「お前の守ろうとしている連中に……守る価値なんてねぇんだよ」

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」


耐え切れず、さやかは怒鳴り声を上げながら三影へと飛び出していった。
彼女にとっては、正義の魔法少女として戦う事だけが残された全てだった。
そして三影の言葉は、その意義を真っ向から否定してしまうもの……即ち。
さやかの存在意義そのものを、消してしまうものなのだ。
そんなもの、絶対に受け入れてはいけない。
受け入れたら……美樹さやかという存在は、何の価値も無くなってしまうのだから。


「……馬鹿め……」


ただ怒りに身を任せて飛び込んでくる相手など、もはや敵ではなかった。
タイガーロイドは、肩口より大砲を出現させ……そして。


轟音が、静寂の夜に響き渡った。

246正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:44:57 ID:TanZm9nU0



◇◆◇



「……覚えておきな、小娘。
この世は弱肉強食……そこに正義があるっていうなら、強い奴こそが正義だ。
勝ち残った奴が正義なんだよ」


さやかは砲撃の直撃を胸元にうけ、壁に埋もれたままピクリとも動かなくなっていた。
そして三影は変身をとき、彼女に対し、そう冷酷に言い放った。
偽善者が掲げる正義など虫酸が走る。
勝者こそが、力こそが正義なのだ。


(しかし……普段に比べて、体にかかる負担が大きいな。
この程度のガキに、ここまで消耗させられるとは……)


そしてさやかを嘲る一方、三影は自身の肉体にかかっている負荷の重さについて冷静に考えていた。
この一戦、変身中の体力の消耗が明らかに普段よりおかしかった。
銃撃一つ放つにしても、疲労が何故か貯まるのだ。
恐らくこれは、加頭の仕込みだろう。
殺し合いが一方的な虐殺にならぬよう、力を抑えられたに違いない。


(いや、消耗だけならまだいい。
 問題は……威力まで落ちてやがることだ)


しかしそれ以上に厄介なのは、威力が低下していることだ。
三影は元々最後の一撃で、さやかの胸元に風穴をぶち開けるつもりだった。
だが、結果は見てのとおり……彼女を倒せたとはいえ、期待通りのダメージは与えられていない。
肉塊にはならず、人型を保ったまま生きている。


(加頭……貴様が何を目論んでいるかは知らん。
 だが、俺の体を好き勝手に弄った礼はさせてもらうぞ……ここの連中を皆殺しにした、その後でな)


タイガーロイドの力は、己が理想を叶えるべく手に入れたモノだ。
それを弱体化させるなど、三影には当然許せる筈もない。
故に、彼は誓う。
全ての参加者を皆殺しにした後……加頭をも、この手で処断すると。

247正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:45:37 ID:TanZm9nU0

「じゃあな……あばよ」


さやかに背を向け、三影は外へと出る。
新たな獲物を……愚かなる偽善者を探し、殺すために。



正義だのというくだらない幻想を、破壊しつくす為に。



【一日目・未明 F-2/路地】
【三影英介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~3
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残り、加頭の命を断つ。
1:殺し合いを止めようなどと考える『偽善者』の抹殺
2:邪魔をする者には容赦しない
[備考]
 ※参戦時期は仮面ライダーSPIRITS第7巻、村雨との一騎打ちの直前からです
 ※まだ名簿を確認していません。
 ※タイガーロイド変身時は、全身から銃口・砲身を出現させて射撃を行うに当たり、体力を消耗するようになっています。
  疲労の度合いは、放つ射撃の威力・大きさに比例して大きくなります。
  また、破壊力に関しても通常時と比較してそれなりに落とされています。



◇◆◇



三影が去ってから、しばらくした後。
静寂が訪れていた廃教会に、ガラッという小さな物音が響き渡った。
その音の正体は、埋もれていたさやかの肉体が僅かながらに動いた事だった。



(……あたし……まだ、生きてるんだ……)


そう……三影は、死んだものと思っていたようだが。
さやかは、まだ生きていたのだ。

248正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:46:45 ID:TanZm9nU0
その原因は二つ。
一つは、さやか自身が『癒し』の力に特化した魔法少女である事。
傷を負おうとも、ある程度ならば自己で自然治癒させる事が可能なのだ。
その為、タイガーロイドから受けたダメージを多少とはいえ軽減出来ていた。

そして二つ目が……三影が彼女の正体を知らなかった事にある。


(そっか……あいつ、ソウルジェムを知らなかったんだ……)


魔法少女とは、強力な魔女と戦うべく肉体と魂とを分けられた戦士なのだ。
もしもそれを殺そうと思うなら、肉体を再生不可能なまでに粉砕するか。
或いは、魂が宿った宝石―――ソウルジェッムを砕くしか手はないのである。
とはいえ、彼女が生き残れた事はかなりギリギリの結果だった。
何せ、彼女のソウルジェムがあるのは臍。
三影の砲撃が、後少しばかり下を狙ったものだったなら……命はなかっただろう。


しかし……果たして生き残れた事は、彼女にとって本当に幸運だったのだろうか。



(……ねぇ……正義の味方って、何なの?)


三影の言葉は、正義の味方であろうとするさやかの心を、完膚なきまでに打ちのめしていた。
これまでずっと、彼女は他人の為を思い魔女と戦い続けてきた。
そうしなければ自分には生きる価値がないのだからと、己を追い込み続けていた。


(あたしは、ただの便利な……石ころなの……?
 感謝もされなくて、役に立たなければ捨てられて……)


だが、それは……周囲からすれば、単なる汚れ役に過ぎなかったのではないだろうか。
『自分達にはできないから』と、無理矢理に全てを押し付けられる。
出来なければ、用済みという……都合の良い救世主に仕立て上げられていただけではないのだろうか。

249正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:47:53 ID:TanZm9nU0


(この世界って……守る価値……あるの?)


そんな漆黒の思いを知ってか知らずか。
少し離れた位置に落ちている彼女のデイパックから、まるで意思が在るかのようにそれは転げ落ちた。
ソウルジェムに貯まった負の濁りを浄化できる、魔法少女にとっては生命線とも言える宝石―――グリーフシードが。
それを使えば、まだ彼女は戦えるだろう。

しかし……それを使うだけの価値が、ここには本当にあるのだろうか。



(教えてよ……誰か、今すぐ……でないと、私……)






ド ウ ニ カ、 ナ ッ チ ャ ウ ヨ ?







【一日目・未明 F-2/廃教会】
【美樹さやか@】
[状態]:魔法少女に変身中、ダメージ(大)、疲労(大)、ソウルジェムの濁り(大)
[装備]:サーベル、ソウルジェム
[道具]:支給品一式、グリーフシード1個、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:自分の存在意義が何なのかを教えてほしい
1:正義って……何なの?
2:この世界に、守る価値ってあるの?
[備考]
 ※参戦時期は8話、ホスト二人組の会話を聞く前です。
 ※『癒し』の魔法の効果で回復力が高まっており、ある程度ならば傷の自然回復が可能です。
 ※ソウルジェムが濁っていますが、この会場内で魔女化が出来るかどうかは不明です。
 ※正義の味方として戦う事が本当に正しいのかと、絶望を覚えています。
 ※まだ名簿は確認していません。
 ※タイガーロイドの砲撃により、廃教会の天井と一部の壁が吹き飛ばされました。
  近隣エリアに、その轟音が響いている可能性があります。

250 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:49:05 ID:TanZm9nU0
以上、投下終了になります。

251名無しさん:2011/10/30(日) 01:55:49 ID:IsnWwY0E0
投下乙です
安心と信頼のさやかポジション…

252名無しさん:2011/10/30(日) 02:49:10 ID:eP97AKMAO
投下乙
ふぅ…とうとう正義に目覚めちゃったのかと思ってしまったぜ
良かった…いつものさやかちゃんだ…

253名無しさん:2011/10/30(日) 10:01:33 ID:eFQrNU660
投下乙です
ああ、さやかちゃん……どうか彼女に幸あれ

254名無しさん:2011/10/30(日) 13:18:30 ID:3QcZPyZs0
投下乙です

三影と同時に予約された時点で嫌な予感しかしてなかったが案の定だわ
さすが安定と信頼のさやかちゃん
あんこちゃんも参戦時期があれだから出会えてもなぁ…

255名無しさん:2011/10/30(日) 14:05:07 ID:eP97AKMAO
あんこちゃんのさやか厨は条件反射レベルだから多分問題ない

256名無しさん:2011/10/30(日) 14:36:17 ID:RBM1Gdzo0
投下乙
正義の味方で在らねばならないと思いつめるさやかちゃんと正義の味方を否定する三影じゃこうなるわな
しかし闇落ちして安心されるなんてさやかちゃんらしいなぁ

257 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:30:45 ID:6B3KTyhc0
天道あかね、ダークプリキュア、梅盛源太の3人投下します。

258人造人間と格闘娘と寿司屋 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:33:31 ID:6B3KTyhc0
「いったい…何がどうなっている?」


突然の事態に、さすがのダークプリキュアも軽く混乱していた。
自分は惑星城にて、今まさにキュアムーンライトとの決着をつけようとしていたはずだ。
それなのに突然周りが暗転したかと思うと、気づけばあの加頭という男のいる場所へやってきていて、そして殺し合いの舞台に放り込まれたのだ。

ダークプリキュアはひとまずデイバックを開け、その中にあった参加者名簿を開く。
そして見つけた。キュアムーンライト…月影ゆりの名前を。


「そうか…奴もこの場にいるか」


それならば自分のすることは決まりだ。
この場で、今度こそキュアムーンライトとの決着をつける。
そしてこの殺し合いに優勝して、サバーク博士のもとに帰るのだ。


「キュアムーンライト…私はおまえに負けない。貴様の光など…わが闇をもって消し去ってくれる!」

259人造人間と格闘娘と寿司屋 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:35:15 ID:6B3KTyhc0
「ここは…まさか呪泉郷?」


地図を確認しながら、天道あかねは周りを見渡す。
実際に来たことはないのだが、看板も出ているし間違いないだろう。


「ここ…中国ってわけじゃないわよね?なんでこんなところに?」


とりあえず、こんなところでのんびりはしていられない。
早く乱馬や良牙たちと合流しなければ。


「それに…出来ればあまりここには長居したくないしね」


ここ、呪泉郷は泉に落ちてしまうと水をかぶると変身し、お湯をかけると元に戻るという特異体質になってしまうのだ。
実際、名簿に書かれている4人の知り合いはいずれもここ呪泉郷の泉に落ちてしまった者たちだ。
その上、あかねは超がつくほどのカナヅチなのだ。
泉に落ちてしまえば、変身どころか命があぶない。


「とりあえず支給品の確認をしないと…」


そういってあかねは、デイバックに入っているものを取り出す。


「これは…」


デイバックから取り出したもの、それはT2バードのガイアメモリだった。
あかねは加頭という男の異形の姿を思い出して思わずぶるっと震える。

260人造人間と格闘娘と寿司屋 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:37:17 ID:6B3KTyhc0
「これはあまり使いたくないわね…」


他に何かないか調べようとしたその時。
人の気配を感じ、あかねはその方向へ振り向いた。
そこにいたのは…黒い服装、黒いソックス、黒い翼という出で立ちの女性だった。
その表情はとても無機質で、とても友好的な雰囲気は感じられない。


「聞きたいことがある」
「な、何?」


警戒しつつも、要件をたずねるあかね。


「キュアムーンライト…月影ゆりという女がどこにいるか知っているか?」
「知らないわ。私がここで会ったのはあなただけだもの」
「そうか……ならばもう用はない。死ね!」


黒い女…ダークプリキュアは一気に間合いを詰めると拳を繰り出す。
あかねは腕を交差させ、ダークプリキュアの拳を受け止める。


「きゃあああああ!」


しかし、当然受け止めきれるはずもなく、あかねの体はあっさり吹き飛ばされ、木に激突した。



(なんなのこいつ…強すぎるわ)


とても自分にかなう相手じゃない。
かといって、あの俊敏さでは逃げることも不可能だ。
完全に手詰まり……いや、まだ勝機が完全に断たれているわけでもなかった。


(ガイアメモリ…)


先ほどデイバックから取り出したバードのメモリ。
これを使えばまだ希望があるかもしれない。
しかし、これを使えばおそらく自分もあの加頭という男のように異形に姿を変えてしまうのだろう。
それに、なんとなくだがあかねにはこのガイアメモリというものが危険な代物であるように感じられた。


(だけど…迷ってる場合じゃない)


このまま手をこまねいていれば、殺されてしまうだけだ。
それならば、一縷の望みにかけるしかない。
あかねは覚悟を決め、メモリを…

261人造人間と格闘娘と寿司屋 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:39:09 ID:6B3KTyhc0
「待て待て待てぇぇぇぇぇい!!」


…挿入しようとしたところへ、突然第三者が乱入してきた。
二人がそちらへ首を向けると、そこには半纏姿の男がこちらに向かって走ってきていた。
…なぜか屋台を引きながら。
男はあかねのもとへやってくると、彼女をかばうようにダークプリキュアの前に立ちはだかった。


「そこの黒い嬢ちゃん。あんた、殺し合いに乗ってるのか?」
「…私にはやり遂げなければならない使命と帰るべき場所がある」
「その為ならだれが死のうが知ったこっちゃないってわけかい…こりゃあ、侍として見逃すわけにはいかねえな」


男は懐からスシチェンジャーを取り出すと、「光」のボタンを押す。
さらに今度は寿司ディスクを取り出し、スシチェンジャーにセット。


「一貫献上!」


その言葉と共に、男の姿が変わる。
そう、彼こそが侍戦隊シンケンジャーの6人目、その名も…



「シンケンゴールド、梅ドゴオオオオオオオオオン!!



「………」
「………」
「………」


男の名乗りは、白い悪魔の砲撃による轟音にかき消された。

262人造人間と格闘娘と寿司屋 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:41:24 ID:6B3KTyhc0
【一日目・未明 C−7/呪泉郷付近】

【ダークプリキュア@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1〜3個
[思考]
基本:キュアムーンライトを倒し、優勝してサバーク博士のもとへ帰る
1:今の轟音はいったい…
2:目の前の男と女を倒す
3:キュアムーンライトは最優先に探し出し、倒す
[備考]
※参戦時期は46話終了時です

【天道あかね@らんま1/2】
[状態]:ダメージ(小)、背中に痛み
[装備]:T2バードメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム0〜2個
[思考]
基本:乱馬たちと合流して殺し合いから脱出する
1:今の音は何!?
2:この男の人は…味方?
3:バードメモリを使うかどうか悩んでいる
4:出来れば早く呪泉郷から離れたい
[備考]
※参戦時期は37巻で呪泉郷へ訪れるよりは前で、少なくともパンスト太郎とは出会っています

【梅盛源太@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康、シンケンゴールドに変身中
[装備]:スシチェンジャー、寿司ディスク、サカナマル@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、寿司屋の屋台、ランダムアイテム0〜2個
[思考]
基本:殺し合いの打破
1:俺、かっこ悪い…?
2:黒い女(ダークプリキュア)を倒す


※高町なのはの砲撃により、轟音が響き渡りました

263 ◆XksB4AwhxU:2011/10/30(日) 17:42:16 ID:6B3KTyhc0
投下終了です。

264名無しさん:2011/10/30(日) 18:22:59 ID:eFQrNU660
投下乙です!
とりあえずあかねは助かったか……寿司屋は彼女を助ける事が出来るかどうか
そしてホテルの方に起こった戦闘と巻き込まれそうな予感……

265名無しさん:2011/10/30(日) 18:59:57 ID:3QcZPyZs0
投下乙です

あかねも弱くないんだけどやっぱり相手の方が強いかあ
そしてあわやって所で助けに来る寿司屋
なんか負けそうな上にホテルの戦闘が…

266 ◆gry038wOvE:2011/10/30(日) 19:45:28 ID:2znDECNc0
>>正義の価値
やっぱりさやかはこうでないと
ともかく、三影さんの言葉が届く人間が少なからずいたわけか
まどか勢以外は三影をブッ飛ばしちゃう人ばっかりだから…

>>人造人間と格闘娘と寿司屋
あかねがズガン要員にされなくて良かった…
でも源太で大丈夫かな…近くでも戦闘が起きてるし
あかねが呪泉郷に落ちて変身体質になったららんま勢全員変身体質になるけど、カナヅチなのが問題か
そういえば善人になる泉に落ちたら救いようのないマーダーでも対主催になるのかな

というわけで、自分も投下します。

267紳士怪人? ◆gry038wOvE:2011/10/30(日) 19:46:04 ID:2znDECNc0
 ダークザギ──石堀光彦は、暗い森の中でこれからの行動を考える。
 自らの目的は何か? この石堀という名を借りて自らがやろうとしていることとは何か?
 それはウルトラマンの光を西条凪へと回し、闇に縛られた彼女の意思で光を消し去ることである。
 そのために彼女がまだ幼い頃から、あらゆる手段を使ってビーストと関わるように仕向けた。


 その崇高な目的を妨害したのがこの殺し合いである。
 殺し合い……本来、闇の存在であるダークザギとしてはこの宴を楽しむべきであろう。
 殺戮の祭、闇に堕ちる人間たちの姿を楽しむ好機────だが、今は素直に楽しむことさえも難しい。


 名簿には弧門一輝や西条凪、姫矢准や溝呂木眞也の名がある。
 弧門……この男は石堀としてのザギの「仲間」という役職の人間である。石堀にとっては騙しやすい相手でもあった。
 姫矢は現在の光の持主であり、注意して観察したい相手だ。この光が凪へと渡ったときに石堀は動き出す。
 溝呂木は石堀が闇の力を授けた人間のひとりでもある。ダークメフィストとしての姿を持つ彼はおそらく参加者を殺すために動くだろう。
 ──まあ、こいつらはどうにでもなる相手だ。
 一番の問題は凪だ。まだ彼女にはウルトラマンの光が回っていない。


 ────ゆえに、彼女が持つ光を闇に変換してノアを消し去ることもできない。


 だから、自らの生存、そして凪の生存……この二つを両立させるために、今は「加頭を倒す」という手段を取ろうと思っていた。彼が来た時間軸は、まだ石堀光彦としてのダークザギを見せていた頃である。どんな状況であれ、それらしく振舞わなければならない。
 加頭の「報酬」が本当の事ならば、優勝して光を消し去るのも一つの手として考えられるだろう。しかしまだ信憑性があるとはいえない。
 どちらにせよ、自ら手を汚す必要はない。溝呂木が勝手に参加者を殺し尽くしてくれるのはなんとなく想定できる。参加者を減らしてくれるのは有難いことだ。


(支給品は3つか……)


 デイパックを漁れば、支給された武器の数々。
 幸運にも彼に支給された武器は三つもあった。支給される最大の数である。

 一つは、石堀もよく知る「メモレイサー」という携帯電話である。
 この携帯電話によって記憶の欠片を消された人間も多い。このメモレイサーの画面の光を受ければ、ウルトラマンやビーストに関する記憶全てを消してしまうという、石堀にとって都合の良い道具でもあった。
 ナイトレイダーA班だけでなく、メモリーポリスにまで武装の窃盗が及んでいたということか……。
 そういえば加頭という男は、ドーパントなる怪物に変身するガイアメモリという武器まで持っていた。TLTの武器だけでなく、TLTさえ越える武器を持っているということか。

 二つ目は、金属を腐食させる「korrosion弾」とそれを発射するライフルだ。
 石堀はこれがおそらく人体にも有効と見た。弾丸が発射されるスピードと摩擦だけで充分人の体を貫く。
 だが、この弾丸が作られた目的は一体何だろうか……?
 金属を瞬時に錆びさせる弾丸に、どんな意味があるというのだろう。

 三つ目は、「110」というナンバーの書かれたシャンプーである。
 確かに生活が快適になるという利点があるが、石堀は女々しい人間ではない。
 だいたい、シャンプーは民家やホテルから調達できるだろう。なぜ武器として支給されたのだろうか。

268紳士怪人? ◆gry038wOvE:2011/10/30(日) 19:46:37 ID:2znDECNc0
(ガイアメモリという武器はないか……だが、メモレイサーは使える)


 メモリーポリスに所属しているわけではないが、メモレイサーを扱うのはそんなに難しいことではない。石堀にとってもかなり使える道具だとと感じた。
 石堀にとって都合の悪い記憶は大概ウルトラマンやビーストに関わる事であるため、これを私用で使うことができるのはやりやすい。
 場合によっては弧門や姫矢の記憶を消すことにもなるだろう。


(……加頭は俺の正体に気づいているのだろうか。いや、どちらにせよ迂闊な真似はできない。まだ『石堀光彦』を続けた方が良さそうだな……)


 その時、石堀の目に丁度一人の少女の姿が留まった。
 ナイトレイダーの班員・石堀光彦ならば、こんな場所に放り出された少女を見捨てるか?
 確かにナイトレイダーの職務は人の命を護ることではないが、一応「見て見ぬフリ」を弧門あたりに見られると厄介だ。それに、今人間になりすましている石堀は、「人の道」とやらを表向き貫かなければならない。

 よって、今はあの少女を保護だ。
 人間の信用を得るのはダークザギの得意分野────それは、この場においても変わらない。



★ ★ ★ ★ ★



「私、堪忍袋の緒が切れました!」


 いきなりこの台詞を吐いたのはキュアブロッサム──花咲つぼみである。
 確かにクモジャキーはプリキュアの敵の一人であった。
 だが、その命をあんなにも粗末に奪い、まるで人々を殺し合わせるための見せしめのように使う加頭はクモジャキーなんかよりも、もっと許せない。
 他にも二人、あの場で「首輪の効力を教える」ためだけに殺されている。
 NEVER、テッカマンなどと呼ばれていたが、彼らが何者なのかはわからない。知っているのは、砂漠の使徒だけである。それと同じく、この二つ何かの団体名・組織名だろうか?


「私の友達まで巻き込んで……加頭さん、絶対に許しません! 誰も死なずにこの殺し合いを終えてみせます!」


 ドーパントという怪物に変身する加頭──その姿にはつぼみも強い恐怖を抱いた。
 あれはガイアメモリという道具によって人間が変身するようだったが、あの異形は人のものとは思えない。
 彼に立ち向かう──それには強い勇気が必要だった。


 来海えりか、明堂院いつき、月影ゆり……仲間たちがいれば、もっと勇気が出るかもしれない。
 確かに友達が巻き込まれたことは悲しむべきことだった。しかし、加頭を倒すという目的においては心強い。
 ここにいてくれたのは嬉しい。
 ただ、ガイアメモリがあらゆる人に支給されている以上、プリキュアであろうと彼女たちに生きて会えるという可能性は────


(…………いえ! きっとみんな生きてます! えりか、いつき、ゆりさん……無事でいてください!)


 悲観的になってはならない。そのネガティブがいけないのだ。
 つぼみは長い時間をかけて変わった。だからもう弱い自分ではいたくない。
 四人のプリキュアで力を合わせて加頭を倒す。そして、元の日常に帰るのだ。


 …………とはいうものの、つぼみ自身も立場としては微妙であった。
 支給品は鯖ひとつ。何故こんなものが支給されたのかはわからない。そもそも鯖は放っといたら腐るんじゃないか?
 加頭の言ったガイアメモリという道具は入っていなかった。あれはあくまで、アタリ中のアタリらしい。
 支給品には全く恵まれず、このままどうして生きていけばいいのかと溜息をつく。
 迂闊にプリキュアの姿になって周囲に正体を明かすわけにもいかないし……。


「君!」

「ひっ!」


 そんな小さな不安が頭をよぎる中、背後からかけられた声につぼみは驚いた。
 知らない人の声だ。もしかしたらガイアメモリの力で怪物になれて、自分を殺す気の人かもしれない。
 振り向くのを躊躇うくらいに怖かったが、なんとか勇気を振り絞って振り向く。


「驚かせてしまったかな」


 そこにいたのはごく普通の青年の姿。
 ドーパントでなかったことに少しだけ安心を感じたものの、彼がどこの誰だかわからない人間であるために、まだ不安は残る。


「えっと……あなたは……? えっと、こういう時は自分から名乗るのが礼儀ですね! わ、私、花咲つぼみって言います」

「そうか、俺は石堀光彦。まあ、よろしく頼むよ」


 石堀と名乗る男は、つぼみを襲ったり殺そうとしたりする様子がなかった。
 つまりは、最初に出会えたのはドーパントに変身した人間でなく、ちゃんとした優しい人だったということ。
 それで安心して、つぼみは少しずつ調子を取り戻していこうと思った。

269紳士怪人? ◆gry038wOvE:2011/10/30(日) 19:47:33 ID:2znDECNc0
「……君も殺し合いをする様子はないか。まあ、その年齢で人殺しなんかになりたくはないだろうからな」

「ていうことは、石堀さんも殺し合いをする気はないんですね! じゃあ私たちは仲間です!」

「仲間?」

「ええ、一緒にこんな事を止める為の仲間です!」


 つぼみはこうして殺し合いをしない人間を最初に見つけたことを幸運に思う。
 プリキュアでなくても、同じ思いを持つ人はみんな仲間だ。
 石堀という大人の男性には、少し心強さも感じる。もっとたくさん人を集めて、加頭を倒すために団結したい……そう思っていた。
 多くの人が集まれば、それだけ良い案も生まれるというものだ。


(なるほど…………使いようもないただの子供のようだな)


 ────石堀のもう一つの思考が始まる。
 やはり彼女はなんということのない、ただの女の子。できて、簡単な料理というところか。
 つまりは石堀にとって不要な存在。
 だが、それゆえにここでは切らない。不要な存在を持ち歩くことは、なぜか人間の世界では「善」らしい。
 これは弧門などと行動するときに逆に好都合か。


「仲間っていえば、俺の仲間もここにいたな。彼らなら君の保護もしてくれると思う」

「そ、そうです! 私の仲間もここにいました!」

「俺の仲間はパンスト太郎っていうヤツと、血祭ドウコクっていうヤツなんだ」

「……え? 随分変わってますね、石堀さんの友達」

「はっはっはっ! 冗談だよ。弧門一輝と西条凪。溝呂木眞也と姫矢准も一応知り合いだ」


 軽い冗談を飛ばし、きょとんとするつぼみをよそに、石堀は自分の仲間の名を紹介した。
 利用している相手に過ぎないのだが、表面上は彼らも仲間だ。ある程度本当の情報を流している。
 間違った情報を与えると弧門や凪と会ったときに面倒だ。
 こういう時、特に自分への信頼が強い詩織がいれば好都合だったが……。


「えっと、私の知り合いは来海えりか、明堂院いつき、月影ゆり、それと…………」


 つぼみも自分の仲間の名前を紹介するが、あるところで口は止まった。
 ダークプリキュアと知り合いであることを言ってはならないと思ったのだ。
 一応、彼女はプリキュアであることを隠して生活している。それで何故ダークプリキュアを知っているのかと問われてしまうだろう。
 逆に石堀もウルトラマンやナイトレイダー、ビーストのことは話してはならないことになっているので、話すのを避けているが……。


「……それだけです」

「何か言いかけたようだが?」

「私の勘違いでした! すみません!」

「……? そうか……」


 と、納得せざるを得ない石堀である。
 まあ、彼女は隠し事が得意そうなタイプではないし、あまり気にするほどのことでもないと思った。
 これで粗方聞くべきことは聞いた。


(あとは、何の手がかりもなしに「仲間」を捜すだけか……)


 彼という存在が危険なのか、或いはそれは心のうちのみに終わり散りゆくのか……。
 怪人と認識される日が来るか、ただの紳士として人々の心に残るか。
 彼自身にもわからなかった。


 ────また、そんな二人の様子を見つめる者がいた。


 彼もまた、怪人でありながら、表の顔は人間──それも東京都知事という特異な男であった。



★ ★ ★ ★ ★

270紳士怪人? ◆gry038wOvE:2011/10/30(日) 19:48:43 ID:2znDECNc0
 知っているか!
 東京都知事・黒岩省吾の正体は暗黒騎士ガウザーである。ダークザイドの幹部にして、人間のやり方で日本を征服しようという野心を握っているのだ!


 ────だが、今回はそんな経緯が邪魔して、今ここで彼が堂々と人を殺すことはできなかった。
 東京都知事が人殺し────そんなこと、できるものか。
 表向きは親切な紳士を装っているのだから、東京を東京国として独立させてダークザイドによる侵略をするためには、まだ堂々と殺しをするわけにはいかない。
 無論、邪魔者は容赦なく消す。


 具体的に言うならば、涼村暁とかいうちゃらんぽらんな探偵とかだ。
 どちらにせよ、それは数少ない例外。
 ここにいる参加者はまともに戦い続けて勝てる相手ばかりではない。
 シャンゼリオン、ドーパント、仮面ライダー、NEVER、砂漠の使徒、テッカマン……。
 生命力の強さでは負けないダークザイドを差し置いて、「生命力の強い者を殺せる証明」の対象となった三つの勢力についても気になる。
 とにかく、この六十人余りの参加者を一人で消して勝者となるのは難しいし、効率的ではない。


 東京都知事としてのカリスマ性を用いて、あらゆる人間を仲間に引き入れ、加頭を倒す。
 その方が、生き残って野望を果たすには都合が良い。


 そこで、目の前の二人の男女を引き入れようと考えていたが、彼らがそのために利用できるか否かを思うと、無意味な行動なのではないかと思っていた。
 たとえば、彼らが「ガイアメモリ」を所持していたら……?
 何らかの戦闘でまだ彼らにも使い道ができる。
 黒岩はやはり東京都知事としての信用を落とさないためにも、極力ブラックアウトを避けたいと思っていたのだ。


(奴らを仲間に引き入れるか、どうするか……)


 そして黒岩が出した結論は──────



【1日目/未明 E−4 森】


【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:korrosion弾@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2
[思考]
基本:今は「石堀光彦」として行動する
1:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る
2:今、凪に死なれると計画が狂う……
3:表面上はつぼみを保護
4:弧門、凪、つぼみの仲間を捜す
5:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する
6:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……
[備考]
※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。
※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です。
※ハトプリ勢の名前を聞きましたが、ダークプリキュアの名前は知りません。


【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康、加頭に怒りと恐怖
[装備]:プリキュアの種&ココロパフューム
[道具]:支給品一式、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)
[思考]
基本:殺し合いはさせない!
1:仲間を捜す
2:石堀と一緒に行動する
[備考]
※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。
※溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。


【黒岩省吾@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:周囲を利用して加頭を倒す
0:目の前の二人を仲間にするか……?
1:あくまで東京都知事として紳士的に行動する
2:涼村暁との決着をつける
3:人間でもダークザイドでもない存在を警戒
[備考]
※参戦時期は東京都知事になってから東京国皇帝となるまでのどこか。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマンはダークザイドと同等又はそれ以上の生命力の持主と推測しています。

271 ◆gry038wOvE:2011/10/30(日) 19:48:59 ID:2znDECNc0
以上、投下終了です。

272名無しさん:2011/10/30(日) 20:54:11 ID:3QcZPyZs0
投下乙です

なるほど、人間ならこう動くと考えながら動くつもりか
危険対主催だろうけどとりあえずは乗らずか
そして似た様な東京都知事さんはどう動くか…
あのうんちくをやるつもりだろうかw

273名無しさん:2011/10/30(日) 21:00:11 ID:jcNFakKc0
投下乙です
ザギさんが実は参加者に紛れていた真の主催だったというオチはなしかw
しかし本気が出せない状況とはいえ本来ウルトラマンキング以上の実力を持つザギやノアを拉致してくるって今回の主催サイドって一体……

274名無しさん:2011/10/30(日) 21:41:18 ID:ari508M.0
皆さん投下乙です

>正義の価値
さすがさやか、安定している……
しかし、グリーフシードがランダム枠となると、まどマギ勢は制限きついだろうな
すでにあちこちで戦闘が起こってるし

魔女化についてですが、wikiのルールだと条件を満たした場合はそのまま死亡となってたはずです

>人造人間と格闘娘と寿司屋
さすがなのはさん、いい仕事をするw
上のホテルでは三つ巴、左隣にもゴオマとアインハルト
場合によってはえらい乱戦になりそうで怖い
しかしこの寿司屋……回りはずっと森だけど、屋台はずっと引いてきそうw

>紳士怪人?
うーむ。ザギさんにメモレイサーはある意味鬼に金棒かな
いざという時正体バレ気にせずにやれるわけだから、変身できたら相当やばいだろうし
そして支給品の鯖。これを大真面目に加頭が用意したと思うとw

275名無しさん:2011/10/30(日) 23:27:20 ID:eFQrNU660
投下乙です 
つぼみ……悪いがその人は極悪人だ
それも宇宙を滅亡させてもおかしくないほどの。
黒岩さんもとりあえず逃げて!

276名無しさん:2011/10/31(月) 01:38:40 ID:JT6QbfHYO
皆さん投下乙です!このロワは中々作品の範囲が広くて把握が……とりあえずいつでもどこでも安定のさやかあちゃんには早くも円環フラグがw

277名無しさん:2011/10/31(月) 08:59:45 ID:EOX2WYE20
そう簡単には死なん

278名無しさん:2011/10/31(月) 10:30:09 ID:NIYmLQVk0
あんこちゃん乙

279 ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 00:58:05 ID:D7MsCsDA0
西条凪、溝呂木眞也、五代雄介 投下いたします

280ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 00:59:47 ID:D7MsCsDA0
五代雄介は、あまり憎しみの感情を表にしない男だ。
元来の能天気でおっとりとしたテンションに加え、人と争うことを好まず、誰とでも仲良くなろうとする性格。
子供の頃、いじめっ子らと一人で相対した際でも、決して拳を振るうことはなかった。自ら引くこともまたなかったのだが。
今も、無差別な殺戮を繰り返す未確認生命体・グロンギとの戦いの中、彼らの凶行に激しい怒りを覚えることはあれど、彼が戦う理由はあ

くまで人々の笑顔のためであり、憎悪に任せて暴力を振るうことはない。
殆ど、ない。

故に、雄介には加頭順という男への憎しみはない。
単に、悲しみ、悔やみ、戸惑っていた。
何の理由もなく3人の男達の命が奪われたことを悲しんでいた。
首輪に繋がれただけで手も足も出ず、理不尽な殺し合いに多くの人が巻き込まれていくのを止められなかったことを悔やんでいた。
そして、加頭がなんの躊躇いもなく、まるで壊れた家電を処理するかのように、淡々と人の命を奪ったことに戸惑いを憶えていた。
加頭は、人間の筈だ。
クウガや未確認生命体とは異なり、外部の因子、ガイアメモリと言っていただろうか、を用いて人外の怪物へと変身をしていた。
未確認とは、人の笑顔を奪うことで自分だけ笑顔になろうとするバケモノとは、違う。
違う、筈だ。
人の死に涙する普通の人間ではなく。
人の死に喜びを感じる未確認生命でもない。
まるで機械の様に、人を殺め、殺し合いを強要する。
加頭順は、何者なんだ。

五代雄介は知らない。
加頭順は生来の特徴として、感情が表情に出ないだけで全くの無感情ではないこと。
それ以上に、目的のためならば多くの人々を実験台として使い捨てることに何の躊躇いも憶えない、非情な人物であること。
ガイアメモリ以外にも、超能力兵士、死者蘇生兵士の技術を注ぎ込まれた超人兵士であり、人間の範疇からは逸脱しつつあることも。
五代雄介にはわからない。

「動くな」

唐突に投げかけられる鋭い声。
ここ最近図らずも聞くことの多い撃鉄が上がる金属音。
胸中に複雑な感情が渦巻き、思考が混乱していたとは言え、周囲にはそれなりに気を配っていた筈。
緊張の度合いを一気に高めながら、雄介はゆっくりと振り返る。
紺色の軍服の様なユニフォームに身を包んだ見知らぬ女が、リボルバータイプの拳銃をこちらに向けていた。
襟元から覗く首輪を見る所、彼女も"参加者"なのは間違いない。
加頭の言葉に従い、最後の一人になるべく殺し合いを受け入れてしまったのだろうか。
何とか説得しようと口を開きかけた五代を制し、女が再び鋭い声を投げかける。

「私は民間人を殺す心算はない。けれど、刃向うならば容赦はしないわ。
穏便に事を済ませたければ、今から訊く質問に余計な事は言わず、簡潔に答えなさい」

高圧的な言葉の内容そのものより、声音同様ナイフの如く鋭い眼光に僅かに気圧されるが、五代は柔和な笑顔で歩み寄ろうとする。

「落ち着いてください、俺は殺し合いに乗るつもりなんて……」
「動くなと言った筈よ」

何時も通り、まずは名刺交換からと目論んだものの、指呼の間に入る前に動きを封じられてしまう。
名刺を取り出すためにポケットに手を入れた瞬間、撃たれる。
揺るぎもしない銃口がそう語っていた。

「貴方は――――貴方も、人ならざるものへ"変身"する能力を持っているのね」

281ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:01:45 ID:D7MsCsDA0
人ならざるもの。
そう、五代雄介はグロンギに対抗するための人ならざる力を持っている。
その事実を別段隠すつもりはない。

「……はい」

要求通りの簡潔な応えに、女の殺意が鋭度を増す。

「けれど」

五代は言葉を続ける。

「俺はこの力を、人の笑顔を守る為にしか使うつもりはありません。
人間と違う力を持っていても、人間の心を捨てる気はありません。
だって俺、クウガだから」
「……クウガ?」

耳慣れぬ言葉に女が怪訝な声を上げる。

「それはスペースビーストの別称なの?」
「いいえ、クウガです」
「……まさかウルトラマンの力を引き継いだのは」
「だから、クウガですって」

噛みあわない会話に、五代はこっそりと溜息をついた。
一般人には判らない呼称を用いたこちらにも非はあるだろう。

「……巷では、未確認生命体第4号って呼ばれてます」
「未確認……?」

尚も訝しげな女の様子。

「答えなさい。未確認生命体とは何?」
「えっ……? 知らないんですか。
新聞でもTVでもずっと前から報道されてるのに?
千人以上犠牲になってるんですよ?」
「知らないわ」

今度は五代が疑問に思う番だ。

「お名前、聞いていいですか。俺は五代雄介って言います」
「西条凪、よ」
「……ひょっとして西条さん、外国の人? 凄い田舎に住んでるとか」
「貴方にとっての外国の定義は知らないけれど、ここ最近はずっと日本にいるわ。
一応東京圏に住んでいて、毎日ニュースくらいはチェックしている」

訳が判らなかった。
未確認生命体の脅威は、一時的に沈静化した時期もあるものの、日々脅威を増している。
今では彼らの動向は速報で報じられ、外出禁止令じみたものまで発令されている。
関東圏で彼らの存在を知らないというのはほぼありえない話だ。
女、西条凪の方は何か思う所があるのか、銃を構えたままじっと考え込んでいる。

「貴方、怪物バンニップって聞いたことがある? 近頃チェーンメール等で噂になっているらしいけど」
「? オーストラリアかどっかで発見されたって言うUMAにそんなのがいたような気がしますけど」
「……噂話じゃ駄目ね。もっと具体的な出来事……。
そうね、5年前の新宿で隕石が落下した事故について憶えていないかしら。
沢山の人が犠牲になった筈だけれど」
「新宿に隕石!? ……そんな、知りませんよ。
その時日本にいなかったかもしれませんけど、そんな大事故があったら憶えてないはずありません」

女は溜息をついた。
話が全く噛みあっていない。

「……どう言うことでしょうか」
「幾つか、仮説ならあるわ」

西条は自嘲気味に笑いながら考えを述べる。

282ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:04:48 ID:D7MsCsDA0
「一つは、貴方か私のどちらか、もしくは両方に連中が記憶処理を施した可能性」
「記憶処理? 人間の記憶を操るって事ですか?
そんな事が……」
「私も特定の記憶を消去した例しか聞いた事が無いけど、ひょっとしたら記憶を捻じ曲げる事も出来るようになったのかも知れない。
いずれにせよその類の技術があるのは間違いない」

捻じ曲げられた記憶。
それが本当だと仮定すると、自分がクウガとして戦って来たことも偽りになるのだろうか。
もし未確認の連中によって多くの人々が殺されたことも嘘になるのなら、そっちの方が良いような気もする。
しかし、遺された人たちの悲しみや涙、それらを見てきたことが現実でなかったはずがないと五代の直感は訴えていた。

「もう一つは、私と貴方が全く別世界の人間であると言う可能性」
「別世界? パラレルワールドとか、そう言うことですか?」
「馬鹿げた話だとは思うけれどね」

確かに、荒唐無稽な話ではあったが、五代にはむしろこちらの方がしっくり来た。
有り得ない話ではない、とまたも直感が訴える。

「……ちなみに、そう考えた根拠とか聞いていいですか?」
「加頭と言う男の話だと、時間操作を行う参加者もいるんでしょう」
「あ、なるほど」

パラレルワールドの概念は、時間の逆行に伴うタイムパラドクスを矛盾なく説明するためのものだ。

「他にも、私には耳慣れない単語を幾つも列挙していたわ」
「俺も、ネバーとか砂漠のなんとかとかチャッカマンとか、仮面ライダーだとか、聞いたことないです」
「あと、これもね」

西条は懐から、金属の端子が付いた細長い筐体を取り出した。
側面には象形文字に似たイニシャルが描かれている。

「それって……」
「ガイアメモリ、と奴は呼んでいたわね。
私には、貴方達の様に人外へと変身する能力はない。
だから、代わりにこれを使え、と言う事なのでしょうね」

銃を構えたまま、西条はガイアメモリを再び懐に仕舞った。

「あれ? 使わないんですか?
あのドーパントって奴、拳銃より余程強力そうでしたけど」
「気は乗らないわね」

西条はガイアメモリの代わりに折り畳んだA4サイズ程度の紙を取り出して、五代の足元に投げた。
拾い上げて見ると、何らかの説明書のようだ。

「なになに…………。
"この度はガイアメモリのお買い上げ誠に有難う御座います――――"」
「その下、注意事項」

地球の記憶云々の記述が気になったが、言われたとおり最後の方に付いていた見落してしまいそうな程の小さな注意書きを目で追う。

「ええと、
"警告:製品の使用に伴い、人体に有害毒素が侵食いたします。
   大変高い確率で中毒症状を引き起こしますので、用法を守って正しくご使用下さい。
   他にも副作用として、感情の不安定化、攻撃性の増大、躁転、痙攣、錯乱、発狂、人格崩壊などに見舞われる場合がございます。
   また、適切な範囲を超える頻度で使用した場合死に至る場合もございますが、いずれの場合も当ミュージアムは一切の責任を持ちま

せん"……」

読み上げながら、五代は説明書を握る手を徐々に震わせた。

283ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:06:18 ID:D7MsCsDA0
「まんまドラッグじゃないですかこれ!」
「そうね」
「絶対使ったら駄目ですよ、そんなもの。
直ぐ壊しますから貸して下さい」
「動くなと何度言わせれば――――」
『バイオレンス』
詰め寄る五代を拳銃で制する西条。
二人の間を割って、突如低い電子音が響き渡った。
思わず西条の懐に目を向けるが、音源はそちらではない。
五代は右に、西条は左の方に首を向ける。
20mほど離れた岩場の上に、怪人が立っていた。
筋肉と鉄とが複雑に絡み合い、攻撃性を凝縮した、まさに"暴力"を体現したかのような化物。

「さっきの音って……」
「加頭の使った物と似ていたわね」
「じゃあ、あれがドーパント……!」

怪物:バイオレント・ドーパントは徐に左腕を掲げると、何の警告もなく五代らに向けて鎖鉄球を発射した。

「危ない!」

西条ともども倒れこんだ頭上を、鉄球が凄まじいスピードで通過する。
鉄球はその射線上に立っていた木々をマッチ棒の如く次々と薙ぎ倒す。
最後に5メートル四方程の岩盤に巨大なクレーターを穿ってようやくその動きを止めた。
シャレにならない威力に戦慄するが、五代の顔に恐怖は微塵も浮かばない。

「西条さん」

応戦しようと銃を怪物に向ける西条を制し、五代はドーパントを見据え立ち上がった。

「さっきも言った通り、俺、人間とは違う力を持ってます。
そしてその力を、皆の笑顔を守るために使う。今からそれを証明します。
だから見てて下さい、俺の――――」

五代の腹部に突如ベルトの様な装身具、アークルが出現する。
その中央には火の如く紅い霊石・アマダムが輝く。
五代は力強く右手を目の前に掲げた。

「――――変身!」

左脇に両手を構えると、アマダムの輝きが溢れ出す。
脛、脚、腕、体、そして頭が次々と赤い甲冑に覆われて行く。

――――邪悪なる者あらば、希望の霊石を身に付け、炎の如く邪悪を打ち倒す戦士あり――――

次の瞬間には、クウガ・マイティフォームとなった五代が、そこに超然と佇んでいた。
クウガは眼前の敵に構えを取ると、一直線に立ち向かって行く。

「あれが、クウガ……」

その後姿に、西条が厳しい視線を向けていた。

284ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:08:40 ID:D7MsCsDA0
「おおりゃぁ――――!!」

クウガは跳躍力を拳に集中させて、ドーパントに殴りかかった。
ドーパントは意外にも俊敏な動きでそれを避けると、着地の隙を突いてクウガに鉄球を振り下ろす。
クウガも着地の衝撃を生かし、前転してそれを避ける。
クウガが着地したばかりの地面に鉄球がめりこんだ。

(――――何て威力だ!)

以前対峙したこともある、カメに似た未確認生命体・第39号の鉄球を思い出す。
あれには散々苦しめられた。
だが、

(あっちの鉄球は沢山あったけど、こっちは単発だ!)

地面から鉄球を引き抜いている間に、クウガは再び肉薄し、敵のボディに拳を打ち込む。
だが、ドーパントは特に怯んだ様子もない。
逆に、思わぬ反動で手首に痛みが走る。
防御力の方も第39号に匹敵するかもしれない。
振り下ろされる右腕を受け止め、そのまま力比べの格好に。
パワーは五分と五分。今の所は互角だ。
クウガは一瞬金の力:電気の力で自身を強化することを考える。
雷のパワーで繰り出す技の威力は、通常のそれの比ではない。
そして、以前第39号を打ち破る為には、金の赤の力:ライジングマイティキックを繰り出す必要があった。

(けれどこんな所で金の力を使ったら、西条さんたちが……!)

ライジングパワーはクウガに強力な力を与える一方、繰り出す技に伴う爆発の威力も凄まじい。
これは上位の未確認生命体が末期に開放するエネルギーを含めてのことではあるが、ライジングマイティキックの引き起こす爆発は、半径

3kmの建造物を吹き飛ばす。
迷うクウガの耳元に、微かな呻き声が届いた。

『タス……』
「何ッ!」
『タス……ケテ……』

一瞬クウガの動きが止まる。
その瞬間、ドーパントは素早い動きで拘束から抜け出すと、脚払いでクウガの姿勢を崩す。
宙に浮くクウガの背中に、左腕の鉄球が振り下ろされた。
クウガは思わず悲鳴を上げながら地面に転がる。
仰向けに倒れたクウガに、ドーパントは次々と追い討ちをかける。
鉄球が振り下ろされるたび、胸部を保護するブロッカーが凹んで行く。
最後に、一際勢いを付けて鉄球を叩きつけた後、そのまま肺を上から圧迫してくる。
呻き声を上げながらも、何とか抜け出そうとするクウガ。
しかし敵の拘束は固く、下から拳を叩きつけても身揺るぎもしない。
ギリギリと、胸部に押し込まれて行く鉄球。
その圧力に、装甲の裂け目から鮮血が吹き出る。

「このままじゃ……!」

突如、響き渡る轟音。
頭部に銃弾を2発撃ち込まれ、ドーパントの体が揺らいだ。
その脇腹にキックを打ち込んで拘束から脱すると、クウガは背後を振り返った。

「一条さん!?」

このシチュエーション、そして耳慣れた357マグナム弾の銃声。
この島のどこかにいるはずの、生真面目な刑事を思い起こすのも無理はない。
しかし、ドーパントに銃を向けているのは、さっき出会ったばかりの西条だった。
ドーパントは直ぐに起き上がると、彼女に鉄球を向ける。

「危ない!」

クウガが叫ぶ。が、杞憂であった。
西条は即座に横っ跳びで鉄球を避けると、地面に方膝を付いて拳銃を敵へ向け、引き金を引く。
銃弾は次々と命中し、ドーパントは僅かによろめく。

285ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:11:29 ID:D7MsCsDA0
「よし!」

その隙にクウガは立ち上がって、再び構えを取った。
アマダムの色が変わり、装甲の形状が変形して行く。

「超変身!!」

次の瞬間には銀の装甲に紫のライン、大地の力を身に纏ったクウガ・タイタンフォームが出現していた。
本来、タイタンフォームには専用の剣・タイタンソードがセットになるのだが、今は剣の媒体として使えるものが手元にないため、素手のままだ。
だが、そのパワーと防御力は十分頼りになる。
クウガはゆっくりとどドーパントに歩み寄って行く。
ドーパントはその隙だらけの姿に鉄球を撃ち込む。
鉄球が胸部に直撃するが、クウガは僅かにたたらを踏むだけでその歩みを止めない。
鉄球を2発3発と引き戻しては投げ付けるドーパント。
しかし最早それはクウガに然したるダメージを与えていないようだ。
クウガは敵の眼前まで歩み寄ると、ただパンチを繰り出した。
マイティフォームの時より大幅に強化された腕力によって、ドーパントは紙の様に吹っ飛ばされる。
ダウンしたドーパントに、再装填を終えた西条が銃撃。
2発腹部に着弾した後、断続的な爆発がドーパントの内部で発生した。
ドーパントは腹部を押さえて蹲る。
その特徴的な効果に、五代は見覚えがあった。

「まさか、神経断裂弾!?」

神経断裂弾は対未確認生命体用としてつい最近開発された特殊弾頭で、着弾すると体内に留まって一定の周期で爆発を引き起こす。
腹部に神経組織を持つ未確認生命体、クウガを含め、には致命的な威力を発揮する。
普通の人体やドーパントにそれを用いた場合どんな事態を引き起こすのか、想像もつかない。
反撃も出来ない様子を見て効果があると見た西条は、再び銃口をドーパントに向ける。
思わずクウガはその射線上に立ち塞がっていた。

「どきなさい!」
「待ってください! その人は普通の人間かもしれません!」

西条は眉間に皺をよせる。
クウガごと撃つべきか、回り込むべきか、逡巡した一瞬の間に、ドーパントは立ち上がり、体を変形させる。
左手以外の手足が縮まり、ボール状になったドーパントは、ゴム鞠のように跳び跳ねながら、凄いスピードで逃げ去って行く。

「待て!」

クウガも即座に青い装甲を備えた俊敏性に優れる形態・ドラゴンフォームに変化すると、その後を追う。
が、岩場と木々に阻まれ直ぐに敵の姿を見失ってしまった。
ドーパントの姿を探し、辺りを見回していると、後を追って西条が近付いて来る。
敵は十分離れてしまったと感じたクウガは、変身を解いた。

「すみません。あいつ、取り逃がしちゃいまし……た?」

取り敢えずの危機は脱したはずだが、西条は未だ刺すような目線と銃口を五代に向けている。
一応共闘した仲なのになぜそんな敵意を向けるのかと、五代はたじろぐ。

「何故邪魔をしたの」
「え?」
「何故奴に止めを刺す邪魔をしたの!」

西条は相当頭に来ているようだ。
だが、五代もこの件について譲るつもりはない。

「あのドーパント、言ってたんです。助けてって」
「……それで」
「説明書にも書いてあったじゃないですか。
ガイアメモリの副作用で精神に悪影響を及ぼすって。
錯乱して周り全てが敵に見えてるだけなのかもしれない」

西条は五代に悪意があった訳ではないことだけは理解したのか、銃口を下げる。
だが、射殺すような目は相変わらずだ。

286ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:13:32 ID:D7MsCsDA0
「仮にそうだとしても、あの化物は暴走を続けて他の参加者を殺すかもしれないのよ」
「その前に止めます」
「出来ると思ってるの?」
「確かに難しいと思います。
でも、人間はだれも死なせずに、皆でこの島を脱出するのが一番じゃないですか」
「奇麗事ね」
「奇麗事だからこそ、現実にしたいんです。
だって本当は、奇麗事が一番いいじゃないですか」
「ふざけないで」

西条は怒気を込めて言い放った。

「貴方は力を持っているんでしょう。
最善に拘る余り、力を振るう事を躊躇すれば、守るべき全てを失うかも知れない。
非現実的な最善より、確実な次善三善を選択するべきよ」

西条の言いたいことは五代にも判る。
未確認生命体との戦いでも、五代達は何度となく苦しい決断を迫られることがあった。
何が最善かなんて、実際に起きてみないと判らない。
でも、だからと言って最善を求めることを止めてしまったら、何も変えられない。
五代は西条の視線を正面から見返す。

「責任があるってことは理解してます。
けど、最善を諦めることだけはしたくない。
だから俺、いざという時は迷いません。
倒すべき相手だったら躊躇しないけど、助けるべきと決めた相手を見捨てることは絶対にしない。
中途半端はしないって、決めてるんです」

西条は暫く五代と睨み合っていたが、不意に視線を外すと拳銃の弾倉を振り出すと、銃弾の交換を始める。
ようやく鋭い視線から開放されて、五代は肩を下ろした。

「あ、そう言えば……。西条さん、例のガイアメモリ、どうするんですか」
「ああ」

西条は懐から取り出したメモリを再びしまった。

「使いたくはないけれど、状況的に四の五の言ってられないかもね」
「そんな……」
「もし私が毒素とやらで狂ったら、貴方が私を殺しなさい。
笑顔を奪う怪物を殺すのが貴方の役目なんでしょう。
その代わり――――」

西条は装填を終えた拳銃を腰のホルスターに収めると、再び五代を睨み付けた。

「貴方の存在が人間の害になるなら、私が貴方を殺す。
私は一切躊躇しないわよ。
人間と敵対する存在は全て殺す」

西条の言葉に込められた感情に、五代は一瞬目をしかめる。
『殺してやりたい』と呟いた少女の姿が脳裏に浮かんだ。
だが、五代は直ぐ笑顔に戻った。

「じゃあ、一緒に行きましょう。西条さん。
一人より二人の方が安全だし、沢山の人が集まった方がこの島から脱出する方法も早く出てくると思うんです」

西条は小さく頷くと、五代に背を向けて歩き出した。

「まずは、あのドーパントを追うわよ」
「それに人捜しですね。首輪の解除が出来る人がいれば良いんですけど」
「それなら、部下の石堀が役に立つかも知れないわ。
彼は情報処理と物理現象の解析に通じている」
「本当ですか! 凄いじゃないですか」
「そう上手く行くとも思えないけれどね」
「あと、俺の知り合いも殺し合いに巻き込まれてるんです。
一条さんといって……」

お互いの情報を交換しながら、五代と西条は山道を歩き始めた。

287ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:15:41 ID:D7MsCsDA0



ごつごつとした地面を踏みしめつつ、西条は横目で知っている事を洗いざらい話している五代を眺めた。
彼は彼で思う所もあるのだろうが、基本的には西条を味方として認識しているのが判る。
銃を突き付けていた西条を簡単に信用し、目の前で変身を解除した事にもそれが現れている。
そんな五代を、西条は主に二つの意味で危険だと感じた。

先の戦闘でクウガの戦いを見ながら、西条は青いウルトラマンの戦い方を思い浮かべた。
両者の戦法はある部分で似ている。
どちらも全く退く事を選ばない。
青いウルトラマンの捨て身の戦い程極端でないものの、クウガも防御の頻度は低く、敵の攻撃を真正面から受けることが多い。
攻撃を横や上に避ける事はしても、屈み込んだり後ろに下がることはない。
最短の経路で敵に向かい、最速で戦闘を終わらせようとする。
だが、話を聞く限り、五代には自殺願望があるわけでも、自分の命を軽く見ているわけでもない。
ただ、他人の命の価値が、五代雄介にとってはとてつもなく重い。
だから必死になって戦っている。自分の命を顧みることなく。
そんな五代のことを、周囲の人間は放って置けないに違いない。
きっと多くの人の援助と信頼によって、五代の戦いは成り立っている。

しかし、この島での殺し合いで同じ戦い方が通用するとは思えない。
恐怖や優勝の褒章に屈した人間は、他人を騙し、裏切るだろう。
戦う度に傷付き、体を安心して休める場所もなく、信用しようとした人々に裏切られ、救おうとした人々を目の前で殺され。
絶望の寸前に追い込まれた場合、五代がどうなってしまうのか、今の西条には判断できない。

西条の脳裏に、クウガの後姿に一瞬被って見えた影が焼きついている。
闇の巨人にも似た、漆黒のクウガの姿。
只の幻と笑って済ませることの出来ない脅威を、西条は感じていた。
あれはクウガが絶望の闇に囚われた姿なのではないか――――。

(……皆の笑顔の為と言いながら、自分の笑顔の為には戦わないのかしらね)

柄にもない心配をしてしまった自分に、西条は軽く自嘲した。
危険なのは自分も同じだ。
最後の戦いの中、共に光の中に消えた筈の姫矢と溝呂木のことも懸念材料の一つだったが、それ以外にも判らない事が多すぎる。
TLTとの交信も出来ない。本来の隊長である和倉もいない。
パルスブレイガーを始めとする装備も奪われ、首輪によって命の綱を握られた正に絶望的な状況。
自分と、隊員である石堀と孤門の3人だけで、ナイトレイダーとしての使命を果たす事ができるのか。
そして懐に忍ばせたガイアメモリの存在。
これを使って、憎んでいた筈の化け物へ変貌して、自分は自己を保っていられるのか――――。
西条はガイアメモリを握り締めて、毅然と前を見据えた。

(どんな恐怖であろうと、絶望の闇の中であろうと、私は変わらない。
人類に仇成すビーストを、一匹残らず、この地上から抹殺する。
この、憎しみを力にして――――)

288ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:19:31 ID:D7MsCsDA0
――――最高だぜ、凪――――

痺れの残る腹部を押さえながら、溝呂木眞也は本当に嬉しそうに哂っていた。
その手には、人間の腕を模した"V"のイニシャルが描かれたガイアメモリが。
先程、ドーパントの状態で"助けて"等と言ったのは、勿論彼の狂言である。
基本的に相手を見下すくせに、やり口が一々姑息なのが溝呂木眞也と言う男なのだ。

絶えず不規則に移動する敵に確実に弾を当てる射撃の腕。
当たれば致命的な攻撃に対し、恐怖に流されず、冷静に最適な方向へ回避する克己心。
そして、何より、普通の人間かもしれない相手に躊躇なく止めを刺す冷酷さが良い。
やはり西条凪は自分と同じ道を歩むべき存在だ。
力のみを追い求めるもの。
弱肉強食のこの世界では、より強きものが弱きものを食らう。彼女はそれを良く判ってる。
それに引き換え、あの赤い戦士になった男、五代雄介と言ったか、はその事実を全く理解できていない。
少し人間性を匂わせる言葉を聞かせただけで、拳に込める力が鈍ってしまう。
姫矢と同じ、正義の味方気取りの愚かな連中。
あれでは力の持ち腐れだ。
だが、彼は彼で、その奥に深い闇を抱えている、そんな予感がある。
ダークメフィストの力で一気にケリを付けてしまおうとも考えたが、もっと面白いやり方を思い付いた。

腹部の痺れも収まって来た所で、溝呂木はゆっくりと立ち上がる。
常人を超えた感覚で五代と西条の様子を探るが、もう既に距離が離れてしまっていた。
魔人は酷薄な笑みを浮かべたまま、彼らとは別の方向へ悠然と脚を進める。

――――まずは、姫矢だ。
折角終焉の地で儀式の段取りまで整えてやったのに、全く予想もしない形で水を指されてしまった。
本来ならゆっくりと時間を掛けて処刑してやりたかったのだが、こうなっては仕方が無い。一気にウルトラマンの力を奪ってしまうとしよう。
他にも、ガイアメモリを始めとして、利用できる力があれば全て自分のものにする。
より高きもの、より強きもの、より完璧なるものに至る為に。
そして孤門の様な、何の力も持たない弱い存在を見かけたら、操り人形として利用しても良いだろう。
言葉で不信と恐怖を煽り、幻覚でそれを暴走させてやれば、ただの人間など容易く操れる。
そしてガイアメモリなどを使って強化し、姫矢たちの様な正義の味方を真似る連中にぶつける。
守ってやるなどと嘯いていたその相手を手にかけ、悲嘆に暮れる様を眺めるのも良いし、結果的に敗れて死んでくれるなら最高だ。
どちらにしても損はない。
それに、上手く行けば、あの五代と言う男の闇を引き出すことも出来るかもしれない。
首輪に繋がれ、命を握られているのは気に入らないが、それ以外は面白いことばかりだ。
楽しい。ここは本当に心地が良い。
さあ――――

「始めようか、デスゲームを」

289ゲゲル ゾ ザジレス ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:22:36 ID:D7MsCsDA0
【F-5/山間部】
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小)、胸部を中心として打撲多数
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個(確認済)
[思考]
基本:出来るだけ多くの人を助け、皆でゲームを脱出する。
1:西条凪と情報交換。
2:西条凪と共に協力者を集める。
3:バイオレンスドーパントを止める。
4:人間を守る。その為なら敵を倒すことを躊躇しない。
[備考]
※参戦時期は第46話、ゴ・ガドル・バに敗れた後電気ショックを受けている最中


【西条凪@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:コルトパイソン+執行実包(6/6)、T2ガイアメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×8)
[思考]
基本:人に害を成す人外の存在を全滅させる。
1:五代雄介と情報交換。
2:バイオレンスドーパントを倒す。
3:孤門、石堀と合流する。
4:相手が人間であろうと向かってくる相手には容赦しない。
5:五代の事を危険な存在と判断したら殺す。
[備考]
※参戦時期はEpisode.31の後で、Episode.32の前
※所持しているメモリの種類は後続の書き手の方にお任せします。


【溝呂木眞也@ウルトラマンネクサス】
[状態]:腹部にダメージ(小)
[装備]:ダークエボルバー@ウルトラマンネクサス、T2バイオレンスメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2個(確認済)
[思考]
基本:より高きもの、より強きもの、より完璧なるものに至り、世界を思うままに操る。
1:姫矢准からウルトラマンの力を奪う。
2:その他にも利用できる力があれば何でも手に入れる。
3:弱い人間を操り人形にして正義の味方と戦わせる。
4:西条凪を仲間にする。
[備考]
※参戦時期は姫矢編後半、Episode.23以前。

290 ◆HdMcKJJiLs:2011/11/02(水) 01:23:43 ID:D7MsCsDA0
以上、投下終了です。
延長してしまい申し訳ありませんでした。

291名無しさん:2011/11/02(水) 12:57:58 ID:/cOH.sSE0
投下乙です

ああ、三人が三人ともいい味出してるw
それぞれがそれぞれの考えで動き、三人の今後を匂わせる様な書き方がいい
コンビは組めたが不安しか感じねえ二人とロワをかき回そうとするゲス
初回から面白いなあ

292 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:30:16 ID:vquaTaZs0
投下乙です!
五代と凪は組んだは良いけど、さっそく信条の違いが出てるなあ
そして相変わらず溝呂木はやる事がいやらしいw
こいつは本当にロワを美味くかき回してくれそうだw

自分も園咲冴子、速水克彦、投下します

293Iを求めて/怒れる女と男 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:31:34 ID:vquaTaZs0
「殺し合い、ね……」

それはまさに妙齢という言葉が似合うスーツ姿の女性、園咲冴子は
誰に聞かせるでもなく、落ち着いた調子で言葉を紡ぐ。
殺し合い。
その概念に一抹の恐れも抱いていないかのように。
ただその鋭い眼光には、怒りの焔が宿っていた。

「いずれにしてもあの加頭って男、何者か知らないけど……」

冴子が思案しているのは、今から自身が行う殺し合いでは無い。
『これから殺し合いをどう戦い抜くか』ではなく『誰が殺し合いに呼んだか』。
即ち、殺し合いを行うように告げた人物である加頭順こそ
冴子が現在関心を寄せる対象である。
無論、好意などでは無く怒りを伴った関心の。

「…………園咲を舐めてるわね」

冴子は風都随一の名家、園咲家の長女である。
園咲家は博物館などの文化事業から各種企業経営などの経済事業まで多様な事業を行う表の顔と
ガイアメモリという生体感応端末を流通させて人体実験を行う組織『ミュージアム』と言う裏の顔を持つ
言わば園咲家とは、風都を表と裏の両方から支配する存在なのだ。
冴子も自らミュージアム傘下企業のディガル・コーポレーションを経営し、ガイアメモリの開発と流通に貢献している。
そして冴子には野望がある。
冴子は幼い頃より、父である園咲琉兵衛に厳しく教育されてきた。
にも関わらず、真に愛情を注いで後継者とみなしていたのは妹の若菜だったのだ。
憎むべき父を見返すため、琉兵衛を倒し自分がミュージアムの総帥となる。
それが冴子の野望だ。
野望ゆえの上昇志向で自らの能力を高め、今の地位に上り詰めたという誇り。
そして、父を憎んでもなお捨て切れぬ園咲家の一員であるという誇り。
冴子の天を衝く気位の高さが、殺し合いを恐れることも
そして加頭の言いなりになることも良しとしなかった。

加頭が何者でどれほどの権力や能力を持ち、どんな強大な背後を持とうが関係無い。
この園咲冴子に飼い犬のように首輪を嵌めて、命を盾にして脅した報いは必ず払わせなければならない。
自らの邪魔になる者、危害を加えようとする者を冴子は全て排除してきた。
その生き方を今の状況でも曲げるつもりは無い。
『殺し合いに乗らず、加頭を殺す』
それが現状における冴子の野望。
問題は――――

「情報が足り無すぎる……」

これだけ大規模な殺し合いを発足させた加頭のことだ、容易に殺し合いから脱出できるようにはしていまい。
脱出を考える参加者の存在も想定し、相応の対策も立てているだろう。
そう、冴子には仮定しかできないのだ。
ここがどんな場所なのか?
殺し合いを管理運営しているのは加頭個人なのか? 組織なのか?
管理者はどんな知識や技術を持っているのか?
冴子には見当も付かない。
敵の概要がわからないということは、当然勝算が、そんな物が在るのかどうかすらわからないということ。
わかるのは勝算の見えない殺し合いへの反抗は、無謀と言うしかないことだけだ。

294Iを求めて/怒れる女と男 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:32:37 ID:vquaTaZs0
しかしそれはあくまで冴子個人に限定した話。

「加頭……あなたの最大の失策は、井坂先生を連れて来たことよ」

加頭が殺し合いの説明をした場所で、冴子は自分の最愛の人物を発見している。
井坂深紅朗。
表向きは内科医だが、裏ではミュージアムに協力してガイアメモリの開発をしている。
ミュージアムへの協力者、しかし決して琉兵衛に服従しているわけではない。
それどころかあの誰もが畏れる恐怖の帝王、園咲琉兵衛への反逆を企んでいた。
底知れない知性と貪欲さ。全てを呑み込む闇のような存在感。
この者なら琉兵衛をも倒し得る、冴子にとっては生まれて初めてそう思える相手であった。

その井坂があの場に居た。
即ち冴子と同様に首輪を嵌められ、殺し合いに囚われている。
それでも井坂を縛ることは出来ないであろう。
井坂ならばいかなる状況であろうと打開策を見つけだし、自らを縛った者に制裁を加えるであろう。
ならば最早冴子には何も思い悩むことなど無いのだ。
自らの命を井坂に預ければ良い。
そうすれば殺し合いからの脱出だろうと、加頭の殺害だろうと、琉兵衛の打倒だろうと。
望むところまで自分を導いてくれる。
自らの運命ごとを預けられる、冴子の井坂への信頼はそれほど強いのだ。

そしてもし、万が一にでも
井坂にすら殺し合いからの脱出は不可能だという結論に至ったら。
その時は唯一の生還方法である優勝を狙えば良い。
井坂以外の全ての参加者を殺害して、最後には自分も死ぬ。
そうして井坂が優勝すれば、後は加頭を殺され琉兵衛を倒され
井坂によって自分の望みが果たされるのだ。
自らの命を捧げられる。
冴子の井坂への愛情はそれほど強いのだ。

井坂を捜す。行動指針はそれで決定した。
一刻も早くそのために動き出すべく、冴子は自分に支給されたデイパックの中身を調べる。
中には禁忌の記憶を宿したガイアメモリ、タブーのメモリが有った。
使い慣れたタブーのメモリが有れば、戦闘になっても不安は無い。
一通り支給品を確かめ終えて、最後になった名簿に目を通す。
井坂の名前が確認でき、一抹の不安も解消される。
左翔太郎と照井竜の名前も確認できた。
2人は冴子と敵対する仮面ライダー。
しかし問題は無い。何しろ自分には井坂が居るのだから。
それでも、次に見つけた知人の名前にはさすがの冴子も動揺を抑えられなかった。

「園咲…………霧彦!?」

園咲霧彦。冴子の夫“だった”男。
霧彦は死んだはずなのだ。
冴子自身の手に掛かって。
何故、その霧彦の名前があるのか?
同姓同名の別人や偽者の可能性もあるが、その公算は小さい。
霧彦本人と考えたほうが良い。
では死人が蘇ったとでも言うのか?

「…………まあ良いわ。どうでも」

しかし程なくして冴子は思案を切り上げる。
霧彦が本人であろうとゾンビであろうと、冴子にはあまり関係の無い話なのだ。
利用できるなら利用すれば良いし、敵に回るなら再び叩き潰すまで。
冴子にとって重要なのは井坂1人。
霧彦は本質的にはどうでもいい存在なのだ。

調べられることは調べた。
早急に井坂と合流すべく、冴子は荷物を纏めて歩き出す。

295Iを求めて/怒れる女と男 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:34:46 ID:vquaTaZs0
慣れない夜の山道をヒールの有る靴で進むのに予想外の苦戦をしながら、それでも転倒するような無様はしまいと慎重に歩を進める。
誰が見ていなくても体裁を取り繕うことが、冴子には完全に身に付いてしまっていた。

森の中をそうしている進んでいる内に、参加者を見付ける。
黒髪を後ろで結んだ、20代前後の男が1人。

(あれは……確か涼村とか言う男に話しかけていた男ね)

男は殺し合いの説明をしていた加頭に話し掛けていた“涼村”を抑えようとしていた人物。
井坂ではないのだから無視しても構わないが、“使い道”はある。
同行すれば敵を押し付けることも出来るかもしれないし、単純に同行者が多い方が人脈も増やし易い。
もっとも男がどんな人物か見定めなければ何とも言えないが、情報を増やせるのは確かだ。
冴子は接触を試みるべく、声を掛ける。

「……ちょっと良いかしら?」

ちょうど男の斜め後ろから声を掛けたので、不意を衝く形になったのだろう。
男は一瞬驚きに身体を強張らせると、慌てた様子で冴子の方に振り返った。
それは警戒、というより少し動転している様子である。
機先を制した。
そんな思いはおくびにも出さず、冴子は園咲の令嬢という表の顔で男に微笑みかけた。

「……あ、あなたは?」
「驚かせてしまったかしら? 私は園咲冴子。偶然通り掛かったあなたを見て声を掛けたのだけれど……名前を教えて貰える?」
「あ……失礼! 俺は、速水克彦と申します!」
「速水さん、あなたは殺し合いに乗っていないようね。安心したわ」
「当然です!! 平和を守る戦士である俺が、こんな非道な殺し合いに乗る訳が無い!」
「そ、そう? じゃあ、ご一緒しても良いかしら?」
「それも当然です!! あなたのようなか弱い女性を守るのは、我々戦士の使命だ!!」
「じゃ、じゃあお願いするわ……」

至極簡単に同行することに成功した。
今の所冴子の思惑通りに事は進んでいる。
この速水と言う男は正義感の強い人物であることが、短い会話からでも把握できる。
そこまでは良い。
だが、どうも腑に落ちない部分がある。
速水の言う『平和を守る戦士』とは何を意味するのだろう? 仮面ライダーと関係でもあるのだろうか?
勝手にか弱い女性にされたが、何を根拠にそう判断したのか?
大体、あの妙に熱の篭もった様子は何なんだ?
違和感を拭い切れないまま、冴子は速水と並んで森を進んでいく。

歩いている間、冴子と速水は情報交換を行った。
冴子の方は速水を信用し切っておらず、会話の中で矛盾の有無や人間性に裏が無いかを探っている状態だ。
会ったばかりの人間を信用できるはずが無いので、当然のこととも言える。
しかし速水にとっては当然のことでは無いらしい。
速水は冴子のことを毫も疑う様子は無い。
それどころか『あなたは俺が守る』(同じような意味のことをさっき聞いた)だの
『加頭め、こんなか弱い女性を殺し合いに巻き込むなど俺はモーレツに怒っている!!』だの
しつこい位、正義感をアピールしてくる。
冴子にとっては都合の良い話だ。
なのに、やはり違和感が拭い切れない。

296Iを求めて/怒れる女と男 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:36:36 ID:vquaTaZs0
そして更に冴子を困惑させる話が続く。

「……ダークザイド?」
「はい。人間の生体エネルギー、ラームを食べる闇次元から来た闇生物です」

速水の話によれば人類はそうと知れず、異次元生物の侵略を受けているらしい。
そして速水はそのダークザイドから人類を守るSAIDOCなる組織の一員であるらしい。
冴子ならずとも、俄かには信じられない話である。
信憑性以前に荒唐無稽過ぎるのだ。
ガイアメモリも知らない者にとっては荒唐無稽な話だろうが、それにしても異次元生物は突飛過ぎる。
しかしそれ故、一概に速水の話を否定し切れない。
こんな荒唐無稽な作り話をした所でメリットなど無い。ただ自分の信憑性を下げるだけだ。
速水は不可解な所もある人物ではあるが、さすがに妄想癖があるようにも見えない。

(……まあ、その辺の話は井坂先生に判断してもらうとするわ)

とりあえず手に入れた情報の判断は、後に合流する予定の井坂に任せれば良い。
どれだけ難解な話でも、井坂の頭脳ならば適切な判断が可能だろう。

そして速水の話は涼村暁に移る。
私立探偵だが偶然クリスタルパワーを浴びて、シャンゼリオンと呼ばれる存在に変身できるようになった男。
その力でダークザイドから人類を守る戦士。
速水曰く、世界を守るヒーローなのだそうだ。

「例えこんな非常事態であろうと! あいつは……涼村暁には…………人を不安にさせる何かがある!」
「…………ヒーローなのに不安にさせるの?」
「ええ。だからあいつが馬鹿なことをしでかさないように、できれば早く合流したい」
「……ヒーローなのに頼る訳じゃないのね…………」

人を不安にさせるヒーローと言う形容矛盾のような人物像は、冴子に更なる困惑の種を与えただけだった。
いい加減頭が痛くなってきた所で、今度は冴子が自分の情報を提示する番になった。
情報交換である以上、冴子だけが受け取る側に立つ訳にもいかない。
もっとも冴子自身の自己紹介は“表の顔”に終始した物だ。
ガイアメモリ関連のきな臭い話を速水にした所で良いことは何も無い。
自分が持っているタブーのメモリについても黙っているつもりだ。

「……殺し合いに参加している私の知り合いは4人居るわ。
井坂先生……井坂深紅朗と、園咲霧彦に左翔太郎に照井竜ね。
この中でも、私が最優先に捜したいのが井坂先生よ。井坂先生なら殺し合いそのものを解決できるかもしれない」

そして冴子は語る。
井坂が極めて優秀な頭脳を持ち、何物にも屈しない強靭な意思を持ち、いかに素晴らしい人格の持ち主かを。
井坂の力なら殺し合いを止められる公算が大きいことを。
無論、数々の犯罪行為は伏せて。

「そ、そんな素晴らしい人が居るなんて……俺はモーレツに感動している!!」
「ええ。だから可能な限り早く井坂先生と合流したいのよ」
「そうですね! 暁は放っておいて、先にその井坂先生を捜しましょう!」
「……私が言うのもなんだけど、それで良いの?」
「あいつは自分で何とかします!」

そして一応、翔太郎と照井の説明もしておく。
しかし仮面ライダーのことは伏せて、ただの探偵と刑事として紹介する。
ガイアメモリのことは、極力知らぬ形で通したい。
そもそも翔太郎と照井を知り合いとして紹介したのは、後に情報が増えた場合に齟齬が起きる蓋然性を減らしたいからに過ぎない。

297Iを求めて/怒れる女と男 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:38:04 ID:vquaTaZs0
だから同姓である園咲霧彦も紹介しない訳にはいかないだろう。
知らぬ存ぜぬで通すのは、さすがに不自然だ。

「園咲霧彦は私の夫よ」
「夫!! ……夫婦で殺し合いに参加しているんですか!?
加頭め、夫婦を殺し合わせるなど……俺はモーレツに怒っている!!!」
「それはさっき聞いたわ……」

勝手に怒り狂っている速水に、冴子は冷めた視線を送る。
霧彦などどうでもいいから、さっさと話を切り上げたいと言うのに。
しかし速水の勢いは止まらない。

「わかりました! 一刻も早くあなたをご主人の元に連れて行きましょう!!」
「いいえ。さっきも言ったけど、優先すべきは井坂先生よ」
「何故です!? あなたはご主人が心配では無いんですか!!」
「霧彦さんも、きっとそう望むからよ。井坂先生なら殺し合いそのものを解決し、多くの命を救うことができる。
それに霧彦さんは荒事にも慣れているから、自分の身は自分で守ってみせるわ」

冴子の話を聞き終えた速水は、突然黙って身体を振るわせ出す。
やがて大粒の涙を流し始めた。
そして驚く冴子の手を握り締める。

「なんて健気な女性なんだ!! ご主人を心配する気持ちを押し殺し、全体のことを考えるなんて!!
俺は……俺はモーレツに感動している!!!」
(面倒臭いわ、こいつ……)

ここまで来れば冴子にもようやく理解できた。
速水と言う男には何の裏も無い。
ただ異常に正義感が強く、感動し易く、騙され易い人間なのだと。

「そうと決まれば、早速井坂先生の下へ向かいましょう!! そして共に殺し合いを止めるんだ!!!」
(……こいつと一緒で、大丈夫なのかしら?)

呆れる表情を最早隠し切れていない冴子に気付く様子も無く、意気揚々と先を急ごうとする速水。
そこに何の裏が無いとわかっても、不安は尽きない。
何しろ冴子にとってはあまりにも異質な、未知の人間なのだから。
それでももう、後には引けない。
その覚悟で以って、冴子も再び歩を進める。

野心を胸に秘めた女と、正義を胸に秘めた男の道行は始まったばかりなのだ。

【一日目・未明】
【C-3/森】
【園咲冴子@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、タブーメモリ@仮面ライダーW、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:井坂先生に命を預け捧げる。
1:井坂先生を捜し出して、後の判断を仰ぐ。
2:加頭を殺す。
3:速水が面倒臭い。
[備考]
※仮面ライダーW35話終了後からの参戦です。

【速水克彦@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康、
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ランダム支給品1〜3(本人未確認)
[思考]
基本:殺し合いを止める。
1:冴子を守る。
2:冴子と共に井坂を捜す。
3:暁は後回しだ。
[備考]
※超光戦士シャンゼリオン第36話終了後からの参戦です。
※紀州特産の梅干し(超光戦士シャンゼリオン38話に登場した物)は壷に複数個入っています。

298 ◆amQF0quq.k:2011/11/02(水) 18:39:45 ID:vquaTaZs0
投下完了しました。
何か問題があれば指摘をお願いします。

299名無しさん:2011/11/02(水) 18:59:57 ID:/cOH.sSE0
投下乙です

速水はもうねえwww
冴子は騙しやすい手駒増えてラッキーと思わずに引いてるぜw
少なくとも現時点では乗らないのか。井坂次第でどうなるか判らんがまずは安心かな
参戦時期は暁に比べてけっこう後だがここの暁は乗っちゃってるぞw

300名無しさん:2011/11/02(水) 19:17:56 ID:VdY34JYA0
投下乙。
冴子は一応対主催か。
井坂先生、頼りにされてんなあ。
そして速水…シャンゼリオンは知らないけど、確かに面倒くさいw
原作でもこんな感じなのかw
暁とは別の意味で個性的だな

そして最後に…霧彦さんドンマイw

301名無しさん:2011/11/02(水) 19:34:26 ID:VdY34JYA0
え…ていうか、変身アイテム梅干し!?
「梅干し食べて、スッパマン!」みたいな感じで変身するのか!?

302名無しさん:2011/11/02(水) 21:47:43 ID:/cOH.sSE0
大規模予約来たなあ

303名無しさん:2011/11/02(水) 23:50:16 ID:4s11QN42O
投下乙です!ダメだこの馬鹿(誉め言葉)……冴子さんドン引きだよおいw

304 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:08:59 ID:zp3wAiFg0
皆様投下乙です、

>正義〜
いきなりさやかフルボッコ、魔女かすらしかねない勢い(原作でやっている以上、出来ない事もないのがなぁ)。
三影はどっちに向かうのか、どっちにも仮面ライダーがいるのがなぁ。

>人造人間と格闘娘〜
そうか呪泉郷はホテルのすぐ近くなのか。何処ぞの白い悪魔ァ……状況をややこしくしやがって……ってこれシンケン勢集結しそうな勢いじゃ
……ところであかね、ダークプリキュアの声聞いて誰か思い出しません?

>紳士〜
サ バ か よ !
しかし出会えた石堀はとりあえず善良を演じるのが幸いか……
で、近くにいる黒岩……とりあえず対主催なんだろうけど……
あれ、つぼみ、色々な意味で微妙だね。

>ゲゲル〜
良かった、凪の参戦時期が憐編で。
……五代、姫矢編だったら殺されそうになっていたぞ!
早々にアルティの存在にも気付いていたのはある意味幸運かな。

>Iを求めて〜
冴子の参戦時期は井坂存命時かそしてそんな悪女に引っかかるのが速水だけど……冴子すらドン引きさせるシャンゼ時空。
うん、速水は何も間違った事は言っていない。

というわけで、当方も予約分を完成致しました。
その為、今から相羽シンヤ、モロトフ、以上2名投下致します。
果たして、ランスは1話突破を果たせるのか!?

305紅色の涙 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:11:24 ID:zp3wAiFg0
『彼』には『兄』がいる。
 元は1つだった瓜二つの双子の『兄』が――

 『彼』はずっと『兄』の背中を追って生きていた。
 『彼』は『兄』を越える為ならばどんな努力も惜しまなかった。

 勝った事が無いわけではない。
 だが、その時敗者であった筈の『兄』の表情は敗者のそれではなく晴れやかなものでむしろ日々の努力を惜しまなかった『彼』の努力を称えた。
 言うなれば勝負自体は勝ったが、本当の意味では負けていたのだ。

 そしてある時――自然の脅威を目の当たりにした時もそうだった。
 絶望した『彼』に対し『兄』は最後まで諦めず『彼』を励まし続けた。
 そう、完膚無きまでに強靱な精神を『彼』に見せつけたのだ。
 それだけではない、その時『父』に助け出されたが、『彼』は『父』が先に助けるのは『兄』の方だと思っていた。
 しかし『父』は『彼』の方を助けようとし、『兄』に対しては自力で這い上がれると檄を入れた。
 つまり――『父』は『彼』には助けがいる一方、『兄』は逆境も一人で乗り越えられると判断したのだ。

 『彼』にとって『兄』は絶対的な目標だったのだ、決して越える事の出来ない――

 その最中『兄』が進化し絶対的な力を手に入れた。だが、それは代償として自らの滅びを招く両刃の剣だった。
 本来ならば捨て置いても何の問題もない、だが『彼』にはそれを容認する事が出来なかった。
 生きている間に『兄』を越えなければ『彼』にとっては何の意味も無いのだから。
 故に『彼』もまた『兄』と戦い打ち倒す為に進化しようとした。
 例えその可能性が僅かであっても、その代償として寿命を大幅に削る事になっても――

 結果だけ言うならば進化自体は成功した。
 だが、既に言及されていた通り、代償として肉体は限界を迎える事となった。
 『兄』のいる所に向かう事すら出来ず――
 だからこそ、『彼』は決着を着けるべく『兄』へと呼びかけ。
 『兄』を待ち受けようとした――全ての決着を着ける為に――


 その矢先だった――この殺し合いに巻き込まれたのは。


 見せしめの中に死んだ筈の男がいようが関係ない、
 同じ様に死んだ筈の『妹』が生きてこの場にいても関係ない、
 『彼』にとってはもう長くない状況で『兄』共々下らない殺し合いに巻き込まれた事が許せなかった。

 彼は嘆く。何故、『兄』と決着を着けさせてくれないのだと――

 進化した力があれば並の相手に負ける事はない、その確信はある。
 だが『兄』と決着を着ける前にこの身体が限界を迎えては駄目なのだ。
 これは『彼』だけの問題ではない、『兄』もまた『彼』との決着前に限界を迎えては駄目なのだ。
 『彼』と違い『兄』の方はそれなりに動ける様だがそれでもそう長くはないだろう。

 だからこそ、『彼』は願う。
 今『彼』自身がいる場所に『兄』が来てくれる事を――

306紅色の涙 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:13:29 ID:zp3wAiFg0





 1人の男が森の中を行く。
 真面目な話、加頭と名乗る地球人如きに従う道理など無いが、その一方他者を守る義理も無い。
 完璧な存在である自身ならば他の参加者、主催者共々皆殺しにする事など造作もないだろう。
 だが、何かが引っかかる――
 そう、見せしめで殺された者の中に既に死んでいた筈の小物がいた事よりも、
 既に死んだ筈の裏切り者が自身と同じく参加者にいた事よりも、

 自身の身に起こった事が何より引っかかっていたのだ――

 彼の名はモロトフ、所属はラダムである。



 モロトフはテッカマンである。
 この殺し合いに巻き込まれたテッカマンは5人、
 テッカマンダガー、フリッツ・フォン・ブラウン
 テッカマンレイピア、相羽ミユキ
 テッカマンブレード、相羽タカヤ
 テッカマンエビル、相羽シンヤ
 そして自身であるテッカマンランス、モロトフ
 だが、ダガーは見せしめとして殺されている為、この場に残っているのは後4人、
 残る4人が皆味方というわけではない。
 レイピアとブレードはラダムの裏切り者である不完全なテッカマン、故に敵として排除しても何の問題もない。
 エビルはランスから見れば一応味方だが別段助けてやる義理はない、
 向こうに残っているオメガやソードには多少は悪いとは思わないでもないが有能な自身だけが生き残れば事足りる。
 それでも裏切り者であるブレードとレイピアはともかく、いきなりエビルと潰し合う事もないだろう。向こうがその気ならばその限りではないが――

「近くか」

 その最中、モロトフは近くにテッカマンの気配を感じていた。
 テッカマンは自らの力で互いの存在を察知、場合によっては意志を伝え合う事が出来るのだ。
 この小さな島程度の範囲なら3人全員察知する事も造作もない事だが、どういうわけだが1つしか感じられない。
 真相は不明。だが、すぐ近くにテッカマンが1人いる事は確実だ。

「レイピアかエビルか――それとも」

 レイピアならば早々に仕留め、エビルならば二つ三つ話をすれば良い。

「ブレードか?」

 ブレードならばレイピア同様早々に仕留め――


 ――られるのか?


 そんな脳裏をよぎる疑問を余所に大きな屋敷を見つける。
 地図が正しいならばE-5にある冴島邸と呼ばれる所だろう。
 テッカマンの気配はそこからだ。つまり、あの中にテッカマンがいるという事だろう。
 モロトフは臆する事無く屋敷の中へと入り――テーブルについている1人の男を見つけた。

「ブレード……いや、エビルか」

 それはブレードこと相羽タカヤと同じ顔をした男――

「なんだ、モロトフ……ランスか。タカヤ兄さん……ブレードだと思いきや」

 相羽シンヤ、テッカマンエビルである。
 シンヤの妙に落胆した態度――ブレードに執着していた事は知ってはいたものの――
 それがどうにもかんに障った。
 だが、それよりも何か違和感を覚えた。
 記憶している限り、シンヤは激闘のダメージを回復させる為母艦の方に戻っていた筈だ。
 しかし今のシンヤはその割には――

「まぁいいさ、ランス……お前に頼みがある」
「頼みだと? 何故私がお前の頼みを聞かねばならん?」

 突っぱねようとするモロトフの返しに構うことなく、シンヤは言葉を続ける。

「なに、難しい事じゃない。ブレードに伝えてくれ『エビルが島の中央で待っている』……とね、それだけで良い」

 今現在2人のいる場所が丁度この殺し合いの舞台となる島のほぼ真ん中となっている。
 拡大解釈するならば、ブレードにこの場所あるいはこの近くまで来る様に言えという事だ。

「聞いてなかったのか? 何故私がお前の頼みを聞いてやらねばならん。大体、わざわざ私に頼まんでも自分で探せば良いだろうが」
「そう言うと思ってた。俺だって出来るならばそうするつもりだった……」

 言われてみれば確かにその通りだ。
 あれだけブレードに執着していたシンヤが自力で動かずわざわざ自分にメッセンジャーを頼む真似をするだろうか?
 が、真意はどうあれシンヤが動かないつもりならばそれでも構わない。奴の事情など関係ない、好きにやらせてもらう。

「お前が動かないのならば私がブレードを倒す。エビル、お前の出番はない、ブレードは私が倒す、必ず――」

 そう言い放とうとするモロトフではあったが、

307紅色の涙 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:14:14 ID:zp3wAiFg0

「ふっ……」

 シンヤは静かに笑みを浮かべる。

「何がおかしい?」
「ランス……お前じゃ今のブレードには勝てない……覚えていないのか? ブラスター化したブレードに為す術無く倒された事を――」

 その言葉により、モロトフの脳裏にあの瞬間がフラッシュバックする。
 あの時、シンヤの到着を待たず単身ブレードの始末を着けに向かった。
 無論、完璧なテッカマンたる自身にとってそれは容易い事の筈だった。
 しかし、あの時現れたブレードは人間達によれば進化、ブラスター化していたらしい。
 確かに外見が変化したのはわかるが、自分達以上の完全体がいる筈などないとその時のランスは侮っていた。

 が、結果はどうだろうか?
 ランス自身の攻撃は一切ブレードには通用せず、
 圧倒的なパワーとスピードで簡単に押し切られ、
 至近距離からのボルテッカを直撃させても全くダメージを与えられず、
 ブレードの放ったボルテッカの強大なパワーによって――

「ああ、そうだった……確かに私はあの時……」
「何故、死んだ筈のお前やダガー、それにレイピアが生きているのかが気にならないでもないが、正直そんなのはどうだって良い……俺にとってはね」

 少なくてもモロトフ自身も何故かフリッツやミユキが生きていた事に関しては割とどうでもよい。
 だが、ブレードの圧倒的な力によって倒された、あるいは倒されようとしていた自身が五体万全でここにいるのはどうでも良いで片づけて良いものでもない。
 その一方、モロトフの全身から冷や汗が溢れ出ているのを感じていた。
 認めたくはないがブレードの圧倒的な力に完全敗北した事は純然たる事実だろう。
 シンヤが語ったとおり、今ブレードに挑んでも返り討ちに遭うのがオチだ。しかし、

「……だがエビル、私に及ばないお前がブレードに挑んでも同じ結果になると思うが?」
「別に俺はランスに劣っていると思ってはいないが……まぁ実際その通りだったさ、俺もブラスター化したブレードに破れた、お前と違って生きて戻れたが同じ事さ」

 その言葉を聞いてモロトフは不思議に思う。
 そこまで解っていて何故シンヤは冷静でいられそれでもなおブレードに挑もうとするのだろうか?
 別にシンヤが勝ち目の無い戦いに挑んで自滅しようが別段構わない。
 しかし、ブラスター化したテッカマンの圧倒的な力を目の当たりにしてあのシンヤがそこまで冷静でいられるだろうか?
 いや、シンヤの性格を考えるならば――

「エビル、何をした?」
「何をって?」
「とぼけるな、あれだけブレードを倒す事に躍起になっていたお前があの力を見せつけられて黙っているわけもないだろう。もしや――」

 シンヤ自身もブレードに挑むべくブラスター化を行ったのではなかろうか?
 モロトフの問いにシンヤは無言で頷いた。

「くっ……馬鹿な、お前も進化したというのか!? 完璧なテッカマンたる私をも超越したというのか!?
 だがそれならば尚のことお前一人で探せばいいだろう、わざわざ私をメッセンジャーにする必要もない!
 大体圧倒的な力があるならさっさとその力で人間共を皆殺しにしてブレードを誘き寄せれば済むだろうが!
 答えろエビル!!」

 思わず声を荒げてしまうモロトフに対しエビルは未だ落ち着いた表情のまま、むしろ笑みさえ浮かべている。

「完璧なテッカマンという意味ならランス、お前の方がずっと完璧だ」
「冗談は顔だけにしろ、それだけの力を得て完璧じゃないというのか!?」
「ああ、ランスに言わせれば不完全なテッカマンになったって言ってもいいさ。ブラスター化の副作用で俺はもう長くない、数回戦ったぐらいで限界を迎え……死ぬだろうな」

 ゆっくりと語るシンヤに対しモロトフは更に質問をぶつける。

308紅色の涙 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:15:49 ID:zp3wAiFg0

「ちょっと待て、それが事実ならばブレードも副作用で長くない筈だ」
「ああ、だからこそ俺は……」
「そうではない、俺が見た所ブレードの奴も地球人共の力を借りて進化を行っていた様だった」

 あの時、ブレードはすぐに現れず、地球人共が無謀にもランス自身に立ちふさがっていた。
 その時はそこまで気にとめなかったが、今にして思えば恐らくは進化の為の時間稼ぎをしていたのだろう。
 更に言えば、自分達が知らなかった事を踏まえてテッカマンの進化の可能性にブレード自身が気付いていたとは到底思えない。
 つまり、進化には他者の協力が必須条件の筈だ。ブレードは地球人共の協力を得て進化を果たしたのだろう。
 そこまでは良い、重要なのはここからだ。エビルが進化する為にも当然、誰かの協力が必要だ。しかし、

「幾ら莫大な力を得られるとはいえ、寿命を縮める進化をオメガ様が施すとは到底思えん」

 そう、自分達の司令官ともいうべきテッカマンオメガがシンヤの要望に応じ進化を施すとは考えられない。
 進化出来ると解っているなら自分達が知らないわけもない。にも関わらず知らないという事は知る必要の無い事なのだろう。
 だが、それでも万一の時の為最低でもオメガだけは知っていても不思議ではない。そのメリットとデメリットを――
 それが解っているのなら、オメガはブレードを捨て置き自滅を待つのは想像に難くない。わざわざ進化させ戦力を落とす必要は皆無だ。

「オメガ……ケンゴ兄さんにも反対されたさ」
「ならば出来る訳が……」
「フォン……ソードがやってくれた、ケンゴ兄さんが基地と一体化して眠りについている間にね」
「何!? それこそあり得ん! ソードがオメガ様に逆らうなど……」
「あの時、命を捨てても必ずブレードを倒すならという話だったからな……恐らく、ケンゴ兄さんを守る為だろう、それがケンゴ兄さんの意に背く事であってもね」
「むぅ……」

 微妙に納得のいかない表情を浮かべるモロトフであった。

「ともかくそういうわけさ。俺は何としてでも俺自身の手で兄さんを倒さなくてはならないんだ、だから……」
「何度も言わせるな、お前の言葉に従う義理は無い。弱点がわかった以上、次こそはこの私がブレ……」

 その時、今まで穏やかな表情だったシンヤの目つきが鋭くなり、

「ランス! 別に俺の願いを聞いてもらえるとは端から思っていない……だが、それ以上口にしてみろ……俺とタカヤとの戦いを邪魔するならば……この場でお前を殺す!」

 激情を込めた上でモロトフに言い放つ。
 前述の通り、ブラスター化の副作用によりシンヤの寿命は大幅に縮まった。
 恐らく後僅か、悪ければ次、良くて数回テックセットすれば限界を迎えると考えてよく、それどころか普通に動く事すら辛い状態である。
 それ故に、シンヤ自身はよほどの事が無い限りは基本戦わず、自身のスタート地点である冴島邸及びその周囲でブレードを待つつもりだった。
 だが、モロトフがこのままブレードとの戦いを妨害するつもりならばテックセットしてランスを仕留める事も辞さなかった。

「言っておくが俺は本気だ。何なら試してやろうか?」

 そういって、クリスタルを構える。

「ぐっ……」

 何時ものモロトフであるならば、シンヤがどう言おうが頑として聞き入れなかっただろう。
 だが、ブラスター化したブレードに一方的に倒された記憶をもつ今のモロトフはそうではない。
 全身から冷や汗が吹き出してくる。まだテックセットしていないにも関わらず強大なプレッシャーを感じたという事だ。
 この場で戦いになればランス自身逃げの一手に回らざるを得ない。
 だが、先のブレードとの戦いを踏まえても解る通り、そのスピードはランスの比ではなく撤退自体容易ではない。
 更に言えばあの時も何とか逃げようとした所でボルテッカの直撃を叩き込まれたのだ。
 故に、倒す事はおろか逃げる事すら厳しいという事だ。

「頼む……俺からタカヤを取らないでくれ……ランス」

 クリスタルを構えたままモロトフに対し頭を下げる。
 シンヤの言い分はわからないでもないが、半ば脅しに近い懇願を受け入れる事に抵抗はある。
 だが、ブラスター化の脅威は身を以て知っている以上、ここでエビルと事を構えるのは愚行でしかない。
 少なくても一応は味方同士、潰し遭う必要は全くない。
 同時にランス自身ブラスター化したブレードに勝てる確証も皆無、忌々しいもののエビルに任せるのが一番確実な手段とも言える。
 そこまで考えてモロトフは、

309紅色の涙 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:16:30 ID:zp3wAiFg0

「わかった、私からは手を出さないでやる。但し、ブレードの方から仕掛けて来た時までは知らんぞ、それで良いな」

 最大限の譲歩としてあくまでも自分からは手を出さない事を明言した。

「ランス……礼を言う……そうだ、コイツを持っていってくれ」

 と、デイパックからあるものを取り出しモロトフに投げ渡す。

「これは……」
「もしタカヤに俺の声が届かなかった時はコイツを使って直接呼びかけるつもりだった……だがランスが来てくれた以上その必要も無くなった」

 それはメガホン型の道具、そう拡声器である。
 その名の通り広範囲――確実に自身の居るエリア、条件が良ければ周囲8エリアまで自身の声を届ける事が出来る代物だ。
 故に、他の参加者に自身の居場所を伝える事が出来る。
 当然、敵味方問わない為、味方はともかく敵まで招き寄せるリスクを伴う。

 自身の居場所をタカヤに伝わらなかった場合、シンヤは拡声器を使い自らの声でタカヤに呼びかけようと考えていた。
 だが、それ以外の敵が邪魔しにくる可能性もあったし、有効範囲外にタカヤが居た場合はそもそも無駄に終わってしまう。
 無駄な戦いを避けねばならない関係上、使う事に関しては正直迷っていた。
 しかし、モロトフが来てくれた事から、近くまで来てくれれば十分伝わる事が判明。拡声器を使う必要性は無くなった。

「ランス、コイツは好きに使ってくれ」

 確かに自分から探しに行く手間を省くという意味で拡声器はありがたい道具だ。
 だが、一方的に借りを作るのも癪にさわる。そう考え、モロトフもデイパックから何かを出しシンヤに投げ渡す。

「これは?」
「私には必要の無いものだ。持っていても構わないが、持てる量に限りがある以上、使える道具は選びたい」

 それはクワガタを模した携帯電話型のメモリガジェットスタッグフォン、
 スタッグメモリを挿入する事で、昆虫型に変形し護身に使う事が出来る代物だ。
 とはいえ、この場では携帯電話つまりは通信機としての機能は使えず、昆虫型なら護身に使えるといってもテッカマンとしての強大な力を持つ自分達にとってはあまりにも無力なもの。
 故に必要ないと判断しシンヤに押しつける形で渡したのだ。

「いいのか?」
「必要無いと言った筈だ。それにエビル、お前に借りを作りたくはない」

 そう言ってモロトフは出ていこうとする。
 幾ら同じラダムのテッカマンといえど、共に往く趣味は無い。早々に他の参加者を片付けに向かいたい所だ。
 と、ドアに手をかけた段階で、ある事に気づき足を止める。

「ランス?」
「……お前がここに来たのはブレードがブラスター化を果たしてから随分経った時だな?」
「ああ、それがどうした?」
「私がここに来たのは奴がブラスター化を果たした直後、恐らくレイピア、ダガーが来たのも奴が死んだ時と考えて良い」
「何が言いたい?」
「私達の間で時間に開きがある……だとしたらブレードがブラスター化している状態で来ているとは限らないのではないのか?」
「……!」

 モロトフとシンヤ、互いの状況から両者の間には時間の開きが見受けられる。
 もし、参加者間の時間軸に差があるとするならば、シンヤとタカヤの間でも同じ事が言えるだろう。
 ブレードがブラスター化を果たす前から来ている可能性も十分あるという事だ。

「もしそうなら今のエビルとならば戦いにすらならないだろう。だが寿命を縮めてまでブラスター化したにも関わらず、そのようなあまりにもお粗末な結果に終わっても構わないのか?」

 その問いに対し暫し静寂が包み込み、

「……関係無いさ。仮にそうならタカヤ兄さんにとっては絶望的な状況だ。
 だが、土壇場の底力の強さは俺が一番よく知っている……そうそう簡単に倒せる相手じゃない事に変わりはないさ。
 出来るなら、対等の条件で戦いたい所だが……」

 穏やかな表情のまま返した。その返答に対し、

「……やれやれだ、勝手にしろ」

 そう応えモロトフは部屋を出てそのまま冴島邸を後にした。
 何にせよ、ブラスター化したブレードに対抗出来るのは同じくブラスター化したエビルしかいない。
 とはいえ、他の連中はテッカマンである自分の敵では無い事に変わりはない。
 ならば当面は他の参加者を排除すべきだろう。エビルとブレードに関してはその後考えればよい。
 幸い、シンヤから渡された拡声器を使えば参加者を集める事はそう難しくはない。
 後はタイミングを見て使うだけ、モロトフはそう考えていた。
 そして最終的には――

310紅色の涙 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:18:40 ID:zp3wAiFg0


「有能なる私を巻き込んだ事を後悔するが良い……加頭、お前は私が倒す。必ず倒す」


 そんなモロトフの様子を1匹のコウモリが見つめていた――


【一日目・未明】
【E-5/森】
【モロトフ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:健康
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、拡声器、ランダム支給品0〜2個(確認済)
[思考]
基本:参加者及び主催者全て倒す。
1:適当な所に移動し拡声器を使い、集った参加者達を排除。
2:ブレード(タカヤ)とはとりあえず戦わない。
[備考]
※参戦時期は死亡後(第39話)です。
※参加者の時間軸が異なる可能性に気付きました。



「とりあえず、周囲にはランスしかいないか」

 そう良いながらシンヤはスタッグフォンに転送されている映像を見ていた。
 先のコウモリの正体はシンヤの支給品の1つ、スタッグフォンと同じくメモリガジェットの1つバットショット。
 基本デジタルカメラ型をしておりバットメモリを挿入する事でコウモリ型に変形し追跡や監視を行う事が出来るのだ。
 なお、バットショットが撮影した写真や動画はパソコンやスタッグフォンにリアルタイムで転送する事が可能である。

 奇しくもモロトフが不要と断じシンヤに渡したスタッグフォンによって、バットショットが撮影した映像をリアルタイムで把握する事が可能となったのだ。
 少なくても力を温存しておきたい今のシンヤにとって居ながらにして周囲の状況を把握出来るのはありがたい。

「ぐっ……」

 だが、その間にもシンヤの身体に激痛が奔る。
 ブラスター化の副作用は現在進行形でシンヤの身体を蝕んでいるのだ。


「兄さん……タカヤ兄さん……この声が届くならば聞いてくれ……決着を着けたいんだ……」


 それでもシンヤはこの島の何処かにいるであろうタカヤへと呼びかける。
 この声が届けばタカヤは必ずここに来る。その確信をもって呼びかけ続ける。
 だが、タカヤからの反応は未だ無い――それでもシンヤは呼びかけを止めない。


「だから早く来てくれ……俺は待っているから……」


 何故、シンヤはそこまでタカヤとの決着に拘るのだろうか?
 タカヤが人間側、シンヤがラダム側だからなのか?
 いや、それは違う、それだけが理由ならば寿命を縮めてまでブラスター化せずタカヤの自滅を待てば済む話だ。


「きっとだよ……兄さん……」



 その理由は――それが相羽シンヤだからなのだろう。



 過酷な運命から『彼』と『兄』は互いに憎しみ戦う関係となった。
 だが、『彼』にしてみれば例え過酷な運命に遭わなくても結局は同じ、『兄』と戦う事になっただろうと考えていた。
 『兄』と戦い続ける事でしか『彼』自身の存在、つまりは生きている事を証明出来ないから――

 そもそも、『彼』と『兄』は互いに憎んでいたのだろうか?
 いや、憎んでいたと言うよりはむしろ愛していたのだろう――血の宿命と言っても良い。
 それは過酷な運命に遭おうが遭うまいが関係ない、元々一つだったものが惹かれ合い元に戻ろうとする戦いでしか無いのだ――


 例え枯れ行く運命だとしても、『彼』はひたすらに声を届けようとする――


 愛すべき『兄』の元へと――


【E-5/冴島邸】
【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:ブラスター化の副作用による肉体崩壊
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、バットショット&バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン&スタッグメモリ@仮面ライダーW、ランダム支給品0〜1個(確認済)
[思考]
基本:タカヤ(ブレード)と決着を着ける。
1:冴島邸に留まり、バットショットで周囲の様子を探りつつタカヤに呼びかけ続けタカヤが来るのを待つ。
2:タカヤと戦う時以外は出来るだけ戦いを避ける。
[備考]
※参戦時期はブラスター化完了後〜ブレードとの決戦前(第47話)です。
※ブラスター化の副作用により肉体限界が近いです。戦い続ければ命に関わります。
※参加者の時間軸が異なる可能性に気付きました。

311 ◆7pf62HiyTE:2011/11/03(木) 18:21:53 ID:zp3wAiFg0
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

>>301
んーそんな格好良いものじゃない。真面目な話、速水本人には変身中の事は全く記憶に残らない。

312名無しさん:2011/11/03(木) 18:49:06 ID:12N6N2VA0
>>311
返答どうもです。
記憶が残らない…そうなんですか。
いったいどういう変身キャラなんだろ…

しかし、ダークプリキュアの声優がかの有名な高山みなみで、なびきと同じ声だったとは…
書いた本人だけどまったく気づかなかった。

313名無しさん:2011/11/03(木) 18:54:48 ID:qofyrpu60
投下乙です

相変わらずの兄への歪んだ愛情と思ったら最終回間際かあ
消える寸前のロウソクの炎の最後の輝きというか限定マーダーだが微妙に綺麗だぞ
少なくとも無差別で無いだけ他の参加者にとってはありがたいが…
モロトフさん、今回は1話目死亡はなかったが拡声器とか死亡フラグだぜ
だがシンヤとのやり取りがなんかかっこいいと思えるのは俺の気のせいか?
よかったですよ

314名無しさん:2011/11/03(木) 20:55:06 ID:1VcxfOTk0
乙です。
十臓と言い、シンヤと言い、限定マーダーはその有り様が哀しくもかっこいい

しかし……妹さんには自分が死にかけなのにも関わらず健気に心配され、
弟さんからはちょっとヤンデレ気味なまでに愛されていると言うのに……。
肝心の兄さんは今、オカマと乳繰り合っていますよ。

315名無しさん:2011/11/03(木) 21:06:02 ID:Uxyr5e6cO
投下乙です。
やだ、ランスさんがかっこいい・・・シンヤはよりによってそこかぁ、哀しみが痛々しいな

316 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:40:57 ID:SLfpVjM.0
>ゲゲル ゾ ザジレス
凪の参戦時期は少しは丸くなってきた頃だからよかったけど……
この殺し合いでピリピリするだろうし、五代も一歩間違えれば危なそう
それでも、いきなり撃たれた姫矢に比べれば運がいいと言えるんだろうけど

>Iを求めて/怒れる女と男
シャンゼリオンは把握してないけど、速水楽しい奴だなw
先に出ているダメ探偵や東京都知事といい、みんな面白そうなキャラだ

>紅色の涙
そこはかとなく弱気なモロトフさんw
エビルに制限があるとなると、自由に動けるモロトフさんは、何気にダグバ等と並んでこのロワ最強のマーダー候補だったりするのかな?
戦闘能力的には問題ないはずなのに、いまいち想像できないw

私も今から投下します

317月下蹂躙 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:42:02 ID:SLfpVjM.0

「あたしにつぼみ、いつきにゆりさん……それにダークプリキュアまで」

 天を隠す緑のヴェール、月の輝きすら容易には届かぬ暗い森の中。
 懐中電灯の明かりを頼りに、1人の小柄な少女が参加名簿をのぞきこんでいた。
 名前は来海えりか。こころの大樹を守る伝説の戦士、プリキュアの1人である。
 その表情は、能天気な彼女にしては珍しく深刻なものであったが……それもつかの間の事。
 
「殺し合いだかなんだか知らないけど、あたしたちプリキュアが止めてみせる!」

 名簿の確認を終え、顔を上げた時には、そこにあった沈鬱な雰囲気は跡形もなく吹き飛んでいた。
 その表情は活力に満ち溢れ、とてもこの凄惨な殺し合いに巻き込まれた少女のものとは思えないほどであったが……。
 もちろん、その心の内に恐怖の感情がないわけではない。

 見せしめに殺された3人の男の1人――クモジャキーは、敵とはいえ彼女の知り合いでもあったのだ。
 それが無残に、あっけなく、虫けらのように殺された様は……今もまだ、まぶたの裏に焼き付いて離れない。
 きっと、一生忘れることはできない光景。人によっては、容易くトラウマにもなりえた光景。
 当然、えりかの心にも不安の感情は根を張っており、今もその芽をのぞかせようとしていたが……それを抑え込む強さを、この少女は持っていた。

 それは、プリキュアとして戦う力を持っているから、己に戦う力があるという自覚があるから――だけではなく。
 今まで共に戦ってきた友が、仲間が。顔も名前も知らない多くの人達が、自分と同じくこの殺し合いに巻き込まれているため。
 ……彼らを助けるためには、ここでただ幼子のように怯えていることはできない。
 その想いこそが、彼女を支えていた。
 友を想う優しさが、逆境の中においてなお他者を想える心の強さが、来海えりかという少女を支えていたのだ。

「そうと決めたら行動よ! まずはここがどこかってことだけど……まあ、適当に歩いてればなんとかなるでしょ!」

 この孤島は、エリアの多くを森林によって覆われている。
 ゆえに、えりかにはまだ自分の正確な現在地はわかっていなかったが、それでも足取りには微塵の迷いもない。
 小さな身体から生まれる行進は、それ相応に狭いストライドしか持ち合わせていないにも関わらず、ズンズンズンズンと少女の身体を押し進めていく。
 夜の森の中、泉のように止めどなく湧き上がる強い想いに突き動かされるまま、来海えりかはただひたすらに歩き続けていた。
 
 ……だからだろう、彼女がその存在に出会ってしまったのは。
 なぜならば、少女の歩みは力強いがゆえにあまりにも無防備であった。
 無遠慮に、煌々と足元を照らす懐中電灯の明かり。自重の欠片もない、枝葉を踏み鳴らすにぎやかな靴の音。
 近くに他の参加者がいたならば、気づかれぬ道理などありはしないのだ。

「おや、早速他の参加者に出会えるとは……我の悪運も、まだまだ尽きたわけではないようで」

 闇の中から、不意にえりかの前に躍り出たのはまさに異形だった。異形でしか、なかった。
 ソレは人ならざる生き物なのだから、当然といえば当然である。

 筋殻アクマロ。
 人の世とは異なる場所、三途の川で生まれた外道衆。
 不意に懐中電灯の明かりの中に浮かび上がったのは、そんな異形の存在の1人であった。

 それに対するえりかの反応は、

「――うわ、変な奴!」

 あまりにもストレートでありながら、どこかピントのずれたものだった。

318月下蹂躙 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:42:44 ID:SLfpVjM.0

「…………変な奴、とは。なかなか面白いことを仰る方ですな」

 アクマロにしても、えりかの言葉は想定外のものだったのか。
 その異貌から表情を読み取ることはできなかったが、わずかに少女の言葉に対する反応が遅れていた。

「……じゃ、なくて。あなたもしかしてあの、えーと、ガイアメモリ? ってのを使ったの?」

 アクマロの異形を前にして、さすがに微妙な警戒の色をうかがわせながらも、しかしえりかは物おじせずなおも会話を続けてくる。
 もちろん、このアクマロも先に殺し合いの説明が行われた場にはいたのだが、どうやらそれ以上にインパクトのある出来事が多かったため、彼女の記憶には残っていなかったようである。

 しかし、少女の事情などアクマロに関係のないことだった。

「残念ながら、それに答える気はありませぬ……あなたには、ここで死んでもらいますゆえ」

 言いながら、アクマロはデイパックの中から1つのダイヤ状のシンボルを取り出す。
 武器でも手にすると思ったのか、反射的に身構えたえりかの顔に疑問符が浮かぶ。
 それが、どう見ても武器の類に見えない代物なのだから当然だろう。
 だが、その反応は間違いであった。それは、十分に殺し合いに耐えうるだけの能力を持った道具であるのだから。

「行きなさい、ナケワメーケ!」

 ダイヤ状のシンボルを、アクマロが近くの木に向けて投げつけたと思った瞬間――

『ナケワメーケ!』

 シンボルと接触した木が、一瞬でその姿を変化させる。
 周囲の木々を突きぬけるように、一際巨大な樹木の怪物が出現したのだ。

「なによ、これ! デザトリアン……とは違うみたいだけど」

 その姿に、思わず砂漠の使徒達が使役する怪物の存在を思い浮かべるえりかだが、すぐにそんな考えは切り捨てる。
 目の前に危機が迫っている以上、余分な思索は後回しにすべきと判断。
 すぐさまデイパックの中からココロパフュームを取り出し、来海えりかは伝説の戦士プリキュアへと姿を変える。

「プリキュア! オープン・マイ・ハート」

 変身前の少女の面影は残しながらも、先ほどまでは異なる衣装を身に纏い、髪の色すら変わったその姿は、あるいは半ば別人のそれにすら思えるだろう。

「海風に揺れる1輪の花――キュアマリン!」

「まさか、変身した? シンケンジャーとはまた違うようではありますが……」

 思わず漏れたアクマロの疑問。
 それを置き去りに、キュアマリンとナケワメーケの戦いが始まった。



※※※※

319月下蹂躙 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:43:12 ID:SLfpVjM.0

「よっ! ほっ! たっ! はっ!」

 触手のように不気味にうごめき、鞭のように鋭く襲い来る無数の枝を、キュアマリンはその人間離れした運動能力で軽々とかわしていく。
 緑の鞭は次々と振るわれ、無数の傷跡が、大地に、周囲の樹木に刻まれていく。しかし、ただの一撃たりとも彼女を捉えることはない。
 ナケワメーケの攻撃。その全ては、ただ青き少女の影を踏むことしかできなかった。
 まるでそれは予定調和。
 あらかじめ決められたダンスのステップを踏むように……というにはキュアマリンの動作は荒々しく、少々優雅さにも欠けている気もするが、とにかく繰り出される全ての攻撃を彼女は避け続けていた。

「デザトリアンに比べたら、弱い、かなっと!」

 今もまた、一際鋭く迫る一撃を大きく跳躍することで回避しながら、キュアマリンはナケワメーケの戦闘能力をそう評する。
 元々この程度の戦闘能力しか持たないのか、それともなんらかの要因で弱体化しているのか……とにかくこのナケワメーケは、4人のプリキュアを相手にしても立ち回る戦闘能力を持ったデザトリアンに比べたら弱いというのが彼女の結論だった。
 ならば、これ以上の様子見は不要。
 どういう意図か。この怪物をけしかけてきたアクマロが、砂漠の使徒よろしく高見の見物に徹しているのを横目で確認し、一転して反撃に転じるキュアマリン。
 着地と同時に鋭く前に踏み出し、上方からの一撃をすり抜け、

「うおりゃりゃりゃりゃ!」

 その進撃を阻まんと、四方八方から襲う緑の鞭を拳で弾き返し、ステップでかわし、一気にナケワメーケへと肉薄。

「プリキュア――おでこパンチ!」

 突進の勢いもそのままに、胴体たる太い幹にパンチ?(頭突き)を見舞う。

「マリンインパクト!」

 衝撃にぐらつき、たたらを踏んだところをさらに追撃。
 青い燐光を纏った右拳を相手に叩きつけると同時に、貯められた力を解放。爆音とともに一気に弾けた光がナケワメーケを押し込める。
 必殺技の連撃に、さしもの巨木も倒れ掛かるが……一歩及ばず。
 今まで一度たりともキュアマリンを捉えることのできなかった緑の鞭がついに目標を補足。
 右足を絡め捕ったと思うや否や、そのまま大きく振り回し森の木々を巻き添えになぎ倒しながら大地に叩きつけた。

「なによ! こんなの!」

 痛みにわずかに顔をよじりながら、しかし微塵も怯むことはなく。
 キュアマリンは自身の足を拘束するそれを両手で掴むと、腕力に任せて強引に引きちぎる。
 その隙に迫った新たな枝をマリンシュート――両掌から発射した無数の水弾で迎撃し、それによってこじ開けた空間へダイブ。
 一度体勢を立て直し、再びナケワメーケへと突撃する。
 先ほどの焼回しのごとき光景、無数の枝が再度キュアマリンに迫り、少女は破壊の嵐の中を騎兵のように荒々しく駆ける。
 ここで相違点が生まれる。
 存分に緑の鞭を引き付けたキュアマリンは、今度はそのまま相手に肉薄するすることなく大きく上空に跳ぶ。
 高い、あまりにも高い跳躍。
 森の木々はおろか、さらに巨大なはずのナケワメーケすらも遠く及ばぬ遥かな高さへと到達した少女は、

「今度はこれよ――マリンダァイブ!」

 無防備な姿を晒している相手に向けて一気に急降下、繰り出された音速の跳び蹴りは巨大な胴体を的確に捉え、そのすさまじい威力の前にはこの怪物も耐えることができなかったのか。

「ナケワメーケー!」

 悲鳴のように、幾度目かの同じ叫びを上げ、ついに大地に倒れ伏す。

320月下蹂躙 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:43:36 ID:SLfpVjM.0
「もらった! マリンタクト!」

 その最大最高の好機を見逃すキュアマリンではない。その眼中に存在するのは、自身の前に立ちふさがっていた怪物だけだ。
 どこかからともなく取り出された小振りの指揮棒、繰り出されるのは彼女の持ついくつかの必殺技の中でも絶対の決め技として君臨するもの。

「花よ煌け! ――プリキュア・ブルーフォルテウェイブ!」

 花の形を模した水色の巨大な光弾が、一直線にナケワメーケへと向かい、衝突。

「シュワシュワシュワ〜」

 その巨体を瞬時に浄化しつくし、その身に取りついていたダイヤ状のシンボルは燃え尽きるように消滅、後に残ったのは変身前と変わらぬ一本の木だけであった。
 もっとも、キュアマリンとナケワメーケの戦闘による被害は小さなものでない。
 周辺の空間の樹木はその多くがなぎ倒され、大地にはいくつもの深い傷跡が刻まれている。
 結果として、先ほどまでは木々に遮られ地上に届かなった月光も、今は青い少女戦士の姿をほのかな明かりの元に照らしていた。
 しかし、感慨に耽っている余裕はない。
 戦いはまだ終わったわけではないのだから。
 
 ――さて、次はあんたの番よ!

 そう言い放ち、キュアマリンはこの怪物をけしかけてきたアクマロの方に振り向こうとして――

「ごがっ……」

 その小さな胸を貫いた一撃によって、行動の全てを強制的に中断させられる。

「…………」

 キュアマリンの背中から胸部へと、歪なオブジェのように飛び出た巨大な爪。
 それは他の誰でもない、先ほどまで高見の見物を決め込んでいたはずの筋殻アクマロのものであった。

 その爪は、少女から全てを奪い去る。
 振り絞り、解き放とうとしていた声が出ない。
 突き立ったそれを引き抜こうとしても、身体の自由がきかない。
 それどころか、気づけば爪によってもたらされた痛みすらも消えゆく。
 夜闇とは比べ物にならない、本当の闇に世界は閉ざされ、そこには音すらもなかった。
 自分が倒れたことにも気づかぬまま、キュアマリン――否、来海えりかは月下の大地へと沈む。
 変身など、とうの昔に解かれていた。

 結論からいえば、彼女はあまりにも迂闊すぎたのだ。
 戦闘開始当初、いくらアクマロが戦列に加わる様子も見せていなかったとしても、常日頃プリキュアが戦っていた砂漠の使徒と同じように、彼が最後までそれを貫く保証などない。
 ならば、プリキュア・ブルーフォルテウェイブなどという、多大な隙をさらす技を軽々しく使うべきではなかったのだ。
 それを見誤り、結果生まれた致命的な隙を突かれるに至ってしまった。
 またそもそも、このアクマロと出会ったことさえも、彼女に慎重さが欠けていたのが原因である。
 ここが殺し合いの舞台であるということを自覚したのならば、もう少し慎重に立ち回ることもできたはずなのだから。
 もちろん、この少女の備えた明るさも奔放さも、決して悪いものではない。あるいは、多くの人を勇気づける希望の光となりえたかもしれない。
 ただ今回に限れば、それが裏目に出たというだけの話。

 また、相手もあまりに悪すぎた。
 筋殻アクマロ、外道衆という存在は……人の世の苦しみこそを己が快楽とする、正真正銘の人間の敵。
 ゆえに、人を殺すことになど欠片も戸惑いはなく、生まれ持った悪意を心の赴くままに解き放ち、圧倒的な力によって恐怖と共に人の命を刈り取る。
 それに抗するにはやはり力しかないのだが、結果的にえりかはアクマロに敗れ去った。
 ならば後に待つのは、弱肉強食というこの世の理のみ。
 海風に揺れる一輪の花とて例外ではなく……その命の花は、1つの強大な悪の前に摘み取られしまったのだった。




【来海えりか@ハートキャッチプリキュア! 死亡】
【残り65名】



※※※※

321月下蹂躙 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:44:08 ID:SLfpVjM.0

 外道衆、筋殻アクマロ。
 今まさに来海えりかを殺した彼は一見、加頭という男の思惑通り殺し合いに乗ったのかのようにも見えるが……その真意は違った。
 もちろん、人を殺すことにはなんの戸惑いもない。
 首輪をはめられ、命数を握られたこの状況こそ不愉快であったが、殺し合いという地獄を演出し、そこに巻き込まれた人々の絶望と悲しみを間近で味わうのも悪い事ではない。
 ただ、状況がアクマロにそれを許さなかったのだ。

 ――血祭ドウコク。
 殺し合いの参加者の1人にして、外道衆の総大将。
 その力はアクマロのそれを大きく上回り、仮にドウコクとの戦いを強いられた場合、どのような小細工を弄したところでアクマロに勝ち目はないに等しかった。
 さらに最悪なことに、アクマロとドウコクは現在敵対関係にあるのだ。
 原因は単純にして致命的。この孤島に来る前、アクマロは己が抱えた欲望のために、とうとうドウコクへの叛意を露わにし、薄皮太夫というはぐれ外道に攻撃を加えてしまった。
 それは決定的にドウコクの怒りを買うものであり、もはや許しを請うことは不可能。
 つまり、この状況で馬鹿正直に殺し合いに乗るということは、アクマロの身の破滅を意味していたのだ。

 とはいえ、アクマロは別に死を恐れてるわけではない……ただ、地獄を見るという己の願いを達成する前に死ぬことだけはできないと思っていただけ。
 そこでアクマロは、この殺し合いの舞台においてある方針を定めた。
 それはすなわち――脱出。
 ドウコクと鉢合わせる前に首輪を無力化、さっさと孤島から逃げ出すし、体勢を整えた後であらためて〝裏見がんどう返しの術〟――地獄をこの世に呼び出すための秘儀である――を行おうと目論んだのだ。
 
「首尾よく首輪のサンプルを入手できたのはよしとしますが……さて、どうしたのやら」

 今、彼の手には来海えりかの首を斬り落とし入手した血まみれの首輪が存在している。
 孤島からの脱出……その計画の滑り出しは上々といえたが、全てが順当といえるわけではない。

「プリキュア、といいましたか。どうやらこの孤島には、外道衆ともシンケンジャーともまた違った力を持つ者が集められている様子」
 
 先の戦いも、結果だけ見ればアクマロの無傷の勝利といえるが、当初の予定からすれば想像以上の労力をかけてしまった。
 この殺し合いに臨むにあたり、アクマロに与えられた支給品は2つ。
 彼の愛用する武器である削身断頭笏と、ナケワメーケと呼ばれる怪物を作り出す未知のアイテムである。
 あのダイヤ状のシンボルは2つ入っていたため、その1つをテストを兼ねて使用してみたのだが、まさか最初に出会った相手に撃破されてしまうとは思わなかった。
 悪くはない支給品だが、どうせなら自分の切神が欲しかったというのが正直な感想である。

「いっそ、あのプリキュアのような人間にドウコクさんを倒させれば……」

 一瞬浮かんだそんな考えは即座に切り捨てる。
 所詮は人間。多少力を持っていたとしても、シンケンジャーと同じくドウコクには遠く及ばないだろう。
 実際、先のプリキュアとやらも、強くはあったがドウコクを倒すには到底力不足。
 やはり、今取りうる最善の選択肢は、殺し合いからの脱出しかないだろう。
 アクマロはえりかの首輪を自身のデイパックの中にしまい、ついでに近くに落ちていた少女のものだったデイパックを探る。

「残念、ガイアメモリはありませぬか」

 人を外道のような人ならざる存在へと変えるあのアイテムならば、あるいは裏見がんどう返しの術に使えるやもしれない――そう考えていたアクマロは、ガイアメモリが手に入らなかったことに若干の落胆を憶えていた。
 だが、同時にあせる必要もないとも考えていた。

「もう少し首輪のサンプルも集めるつもりでしたし……いずれ、手にする機会もありましょう」

 最後にデイパックの中身を自分のそれに移し替え――目的の品がないとはいえ、あえて放置しておいて他の参加者に支給品を渡す必要もないのだ――アクマロはこの場を後にする。

 無残になぎ倒された木々、結果として差し込むようになった月光。
 月明かりの中に残されたのは、首のない少女の死体と……アクマロの回収し忘れたココロパフュームだけであった。

322月下蹂躙 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:44:28 ID:SLfpVjM.0


【一日目・未明】
【F-7/森】
【筋殻アクマロ@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康
[装備]:削身断頭笏@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:基本支給品2セット分、ナケワメーケのシンボル×1、ランダム支給品1〜3(ガイアメモリはない)、来海えりかの首輪
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
1:機会があれば再び参加者を襲い、さらに首輪のサンプルを集める
2:ついでにガイアメモリも集める
3:ある程度首輪のサンプルが集まったら、その解析を行う
4:ドウコクには極力遭遇しないように立ち回る
[備考]
※参戦時期は、第四十幕『御大将出陣』でドウコクと敵対した後です。
※ガイアメモリに興味を持ったのは、裏見がんどう返しの術に使える可能性があると考えたためです。
※ナケワメーケの戦闘能力は、原作に比べてだいぶ落ちています。
 また、自立行動は行わず、命令されない限りは何もしません。

※戦闘により、F-7エリアの森の一部がなぎ倒されました。
 来海えりかの遺体と彼女のココロパフュームが放置されています。

323 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:45:09 ID:SLfpVjM.0
以上です
問題点あれば、指摘お願いします

324名無しさん:2011/11/06(日) 21:45:40 ID:Ub5rp0520
投下乙……なんですが、微妙に期限を超過しているのですが?

325 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/06(日) 21:53:43 ID:SLfpVjM.0
すみません、SSはできてたんだけどちょっと投下する時間がなくすぎてしまいました
以後気を付けます

326名無しさん:2011/11/07(月) 01:23:46 ID:ZYGLCpH20
投下乙です

こっちはあっさりと倒されたなあ
相手が相手だけに致し方なしかもな
一応は脱出派なんだろうが協調できないだろうなあ…

327名無しさん:2011/11/07(月) 10:07:37 ID:hV2O.mEAO
投下乙です。まあ、魔女っ子系と特撮が絡めばこうならあな。

328 ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:16:06 ID:ZuS3MDnk0
皆様、投下乙です

>ゲゲル ゾ ザジレス
五代さん、副隊長が割と理解ある時期からの参戦で良かったなぁ
でも溝呂木さんがいるから油断は出来ない……
それに副隊長がガイアメモリを使ったら、とんでもないことになりそうだ。

>Iを求めて/怒れる女と男
冴子さん、今のところは対主催だけど井坂先生次第なんだな……この辺が怖いな。
そして速水は自重しろw 冴子さんの行動次第じゃどうなるかわからないw
霧彦さんも地味に可哀想だ……

>紅色の涙
シンヤ、もうボロボロだなぁ……そこに哀愁を感じるけど。
最初に出会えたのがモロトフだったのが幸いかな? もしも他のマーダーだったらもっとボロボロになってただろうし。
アニロワ2じゃ見せしめにされてたけど、ここではどう動くかな……

>月下蹂躙
えりかあああぁぁぁぁぁぁぁ……相手が悪すぎたんだ
アクマロはやっぱり外道だなぁ。強い上にナケワメーケまでもが渡ったとは……
あと、今後は時間に気を付けてください

それでは自分も投下を開始します。

329現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:18:09 ID:ZuS3MDnk0
「やってくれるわね、あの加頭とかいう男……」

 生い茂った木々によって一切の光が差し込まない森の中を、一人の女性が歩いていた。腰まで届くロングヘアーと長身を包むドレスは闇色に染まり、その肌は雪のように白い。細く鋭い目線も相まって、その外見は見る者全てに魔女というイメージを与えるかもしれなかった。
 しかしそれは、人間の生きる世界に潜伏するために取った北那由他という仮初の姿。その正体は管理国家ラビリンスが植物のDNAを元に生み出したノーザと呼ばれる人工生命体。
 普通の人間ならばまともに進むことが出来ない闇の中だろうと、ラビリンスによって発達した視覚を持つ彼女ならばどうという事もない。ノーザが目指すのは森の奥より聞こえてくる激しい物音。耳をすませると、何かが破壊されるような爆音まで聞こえてくる。
 これが意味するのはすぐ近くで戦闘が起こっている。すなわち、手駒に出来る参加者を見つけられるかもしれなかった。
ノーザ自身、ラビリンスの科学力によって圧倒的な戦闘力を持っている。しかしこの孤島にはプリキュアと同等、あるいはそれを凌駕するような存在もいるかもしれなかった。加頭が始まりのホールで『仮面ライダー』や『テッカマン』など様々な名称がその証拠。まともに戦った所で不意を付かれる可能性があった。
だが逆にチャンスでもある。そんな連中を思いのままに操れれば殺し合いに勝ち残る事は不可能ではない。この手には、いつも使い慣れているソレワターセの実が紛れ込んでいた。
 しかし今回は数に限りがあるので、無闇に使うことは出来ない。その辺の物をソレワターセにしてもプリキュアみたいな奴らがいる以上、倒されてしまうかもしれない。ならば参加者をソレワターセにすれば手駒にできるだけでなく情報を引き出したり、その知人とぶつければ動揺させることも出来るはずだ。

「いいわ、貴方の働きに答えてあげる……この戦いに勝ち残り、冷たくて暗い暗黒の世界を生み出すために」

 恐らくここを見ているであろう加頭に向けるように、ノーザは冷たく微笑む。
 彼女は改めて名簿を見直した。やはりそこには裏切り者のイースとその仲間達までもがいる。桃園ラブ、青乃美希、山吹祈里の三人。更には深海の闇ボトムによって再び命を手に入れてから存在を知った新たなプリキュアの二人、花咲つぼみと来海えりかまでいる。

330現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:19:49 ID:ZuS3MDnk0
 誰一人であろうと、ここから逃すつもりはなかった。勝手に戦って自滅してくれればいいが、そこまで簡単な相手でもない。
 ならば、利用できる参加者を見つけたときにこの六人に対する悪評も広める必要もあった。勝手に同士討ちしてくれれば構わない。

「あらあら、早速やってるわね……感心するわ」

 やがてノーザは、闇に覆われた森の中で戦いを繰り広げている二人の少女を見つけた。
 一人は露出の多い衣装を纏って右手にで出来た篭手を装着していて、もう一人は中国で流通しているチャイナ服で身を包んでいる。
 彼女達は互いを敵とみなし、勢いよく拳を振るっていた。時に放たれる蹴りは周りの木々を容赦なく砕く。
 一本、また一本と倒れるたびに地面が大きく揺れるのを感じながら、ノーザは笑った。
 体術から動きのキレを見て、ソレワターセを宿らせる人材としては合格ライン。それに片方は奇妙な力を持っているようだった。ならば後は宿り主に投げつければいい。
 戦いを見守るノーザの選定はすぐに終わる。彼女は懐からソレワターセの実を取り出し、勢いよく投げつけた。

「ソレワターセ、姿を現せ!」

 ノーザの呼びかけにより、ソレワターセは空中で花が咲くように広がって球状から人型に変わる。
 毒々しい緑色が濃くなって行く木の実は、魔女の悪意を乗せながら戦場に飛び込んで行った。




331現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:22:52 ID:ZuS3MDnk0

「死ねえぇぇぇぇぇぇぇ!」

 チャイナ服を纏った少女は弾丸のような勢いで突貫し、スバル・ナカジマを目がけて跳び蹴りを放つ。しかし、スバルは背後に跳躍してその一撃を避けた。
轟音と共に地面が陥没する中、少女はすぐに足元を蹴って腰を回す。
 二発目が来ると反射的に確信したスバルは横に飛んで右ストレートを避けた。続けざまに迫るハイキックも、右腕を掲げてガードする。
 蹴りの衝撃でスバルは表情を歪ませる一方、少女は距離を取った。
何事かと思う暇もなく、彼女は傍らに立つ一本の木に拳を叩き込む。すると鈍い衝撃音と共に、大木がスバルを目掛けて倒れこんできた。

「ッ!?」

 スバルはすぐに飛んで、迫り来る重量の塊を避ける。
その直後、横から殺意を感じて振り向こうとしたが、方向転換をする暇もなくスバルは吹き飛ばされる。

「キャアッ!」

 悲鳴と共に地面に叩きつけられ、そのまま数回バウンドした。
しかし瞬時に体制を立て直しながら少女に振り向く。そしてスバルは迫り来る相手に右手を向けて、一瞬で魔力を集中させた。

『Protection』

 相棒であるマッハキャリバーが力強く宣言する。
 すると、スバルの目前に現れた障壁によって、少女の拳が止められた。相手は突然の出来事に戸惑うような表情を見せるも、無理矢理にでも破壊しようとする。
 防御魔法であるプロテクションはそう簡単に敗れる代物ではなかったが、少女の一撃の重さも異常だった。少しでも油断をすれば、貫かれてもおかしくない。

「お願いだから、あたしの話を聞いて! こんな事を続けていたって、無意味だよ!」
「黙るねっ!」

 スバルは説得し続けるが、少女の攻撃は止まらなかった。分かりきっていたが、自分の不甲斐無さに憤りを感じてしまう。
 もしも恩師である高町なのはさんなら、彼女をもっと早い段階で説得して落ち着かせていられたはず。
子どもの頃から憧れたあの人みたいなヒーローになると誓ったのに、これではいけない。
 だが今は何としてでも、彼女を修羅の道から戻さなければならなかった。
腕づくで止める事が良くないのは分かっているが、ここで彼女を放置してしまっては犠牲者が出る恐れがある。
 改めてスバルはそう決意を固めながら、プロテクションの向こう側にいる少女に空いた左拳を放った。
 その一撃は彼女にとって想定外だったのか、右肩に打ち込む事に成功する。
スバルの攻撃によって少女の身体は宙を浮かぶが、そこから一回転して地面に着地した。
 数メートルほどの距離が開いた両者の視線が交錯する。スバルの悲しげな瞳と少女の殺意に満ちた瞳。
それぞれが真っ直ぐ突き進んでいた。

332現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:24:30 ID:ZuS3MDnk0
「あなた、さっき言ってたよね!? 乱馬って人を守るって!」
「それがどうしたね!」
「その人はあなたがこんな事をするのを本当に望んでいるの!?」
「うるさいっ! 黙って殺されるがよろしっ!」

 そして、少女は激情に任せたまま再び突貫してくる。
彼女は一瞬で目前にまで迫って回し蹴りを繰り出すが、スバルはバックステップを取っていとも簡単に避けた。これだけ何度も拳を交わしていれば、太刀筋を見極めるのは造作もない。
 だが、あまり戦いを長引かせる事も出来なかった。いくら戦法が読めてもスバル自身に蓄積されたダメージが、動きを鈍らせている。
 だがスバルは激痛に耐えながら、続けざまに放たれる拳を横に飛ぶ事で避けた。
彼女の死角に回り込みながらリボルバーナックルを向け、支給品として配られていたカードリッジをリロードする。
すると歯車が大きく回転し、少量の煙が噴出して、魔力が凝縮された衝撃波が少女を吹き飛ばした。
 彼女が地面に叩きつけられるのを見て、スバルの中に微かな罪悪感が芽生える。
リボルバーシュートの一撃に非殺傷設定を付けているものの、相手にダメージを与えるのに変わりない。守るための力で誰かを傷つけているのがどうしようもなく辛かった。
 そんなスバルの思いを他所に、少女は殺意の視線を向けたままゆっくりと立ち上がってくる。チャイナ服は所々が破けていて、痛々しい大量の生傷も見えた。
 その原因が自分自身にあるという事実に胸が張り裂けそうになるが、スバルは決して目を背けたりはしない。

「やってくれるね……!」
「もう止めようよ……これ以上戦ったって何にもならないし、誰も喜ばないよ!」
「あんたなんかに何がわかるね! 私は何が何でも助けると決めた!」
「それでも、こんなやり方は間違ってるよ! 他のみんなを殺して助けたってその人は悲しむだけだって!」
「勝手なことを言うのは止めるね!」

 何だろうと犠牲にさせてしまう程、彼女の中で乱馬という存在は大きいのだろう。
出会ってまだ間もないが、それだけは確信できた。最愛の人が殺されてしまうと思えば、冷静さを失っても当たり前。
 しかしその果てにあるのは六十五人もの命を犠牲にしたという重圧。そんなのを背負わされた上で望みを叶えても、まともな人間ならば本当の幸せを感じることなど出来ない。

「分かったよ……あなたがその気なら、あたしも全力であなたを止めてみせる」

 そして、スバルは構えを取った。誰かを守れるようになりたいという揺ぎ無い信念が存在する勇気の証。忘れないあの日から憧れた正義の味方が抱くような、不屈の魂がそこにあった。
 一つでも多くの悲しみを無くすためにスバルは前に踏み出す。

「――――ッ!?」

 しかし一歩踏み出した直後、突然全身に凄まじい違和感を感じてエメラルド色の瞳が勢いよく見開かれた。痛みや倦怠感とはまた違う、まるで身体の中を大量の虫が走り出すかのような感触。
 ナニかがあたしの中に入り込んだ――彼女がそう思い至った頃、体内でナニかが大きく広がった。

333現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:25:06 ID:ZuS3MDnk0





「あ……あ、がっ」

 たった今まで戦っていた白い鉢巻を巻いた女の動きが止まるのをシャンプーは見る。構えの後に踏み込もうとしたから、更なる一撃が来るのかと思った。

「あ、あ、あ、あ、あ」

 しかし実際はその逆で、何の前触れもなく蹲ってしまう。予想外の出来事にシャンプーは戸惑うが、これは逆にチャンスでもあった。
もしも今までのダメージで動きが止まったのなら、そこを付いて奴を殺すことが出来る。
 愛する早乙女乱馬との幸せな未来を掴むために、邪魔者を皆殺しにする。シャンプーは女の頭蓋を砕くため、前に出ようとした。

「あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なっ!?」
 
 その直後、女が両手で頭を抱えながら叫びだす。

「ああああああああああぎいぃぃぃやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 まるで人間が発するとは思えないほど凄まじい断末魔の叫びを聞いて、シャンプーの体に悪寒が走った。その直後、背中の肉がボコボコと吐き気を催すような音を立てながら膨張していく。

「ご、が、あああああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 白目が剥き出しとなり、大量の涎と共に口から漏れ出す女の絶叫を前に、シャンプーは思わず後ずさった。明らかに異常が起こっていることは一目瞭然。
 だが、何故こうなったのかが理解できなかった。いくら戦いでダメージを与えたからといって、そこまで致命傷ではなかったはず。かといって打ち所が悪かったと言われても、それはそれで納得が出来ない。

「あああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――」

 困惑が芽生えたシャンプーの前で続く女の叫びは、唐突に始まったように唐突に終わる。そのまま彼女は糸が切れた人形のように首を俯かせた。

「な、何ね……ただのこけおどしね」

 そこから動く気配を見せない女を前に、シャンプーは不敵に笑う。いくら強がっていても、やはり体力に限界が来ていたのだ。
もうそんな奴に付き合っている理由などない。シャンプーは全身に殺意を込めて跳躍し、今度こそ拳を放った。
これまで数え切れないほどの修羅場を乗り越えて、多くの敵を打ち破ってきた必殺の一撃。乱馬の邪魔者をようやく殺せるとシャンプーは確信する。
しかし頭部を潰そうとした瞬間、彼女のパンチはあっさりと受け止められてしまった。俯いたままだった女の右手によって。

「なっ!?」
「……」

334現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:26:28 ID:ZuS3MDnk0
 流石のシャンプーも現状を理解するのに数秒の時間を要した。しかし、この拳が止められた事に納得は出来ていない。
 シャンプーは必死に振りほどこうとするが、まるで金縛りにあったかのようにビクともしなかった。その事実に彼女の怒りはさらに増していく。
 ならば、殺してでも外させるだけ。誇り高き女傑族が余所者に負けるなどあってはならない。もう一秒たりともこの女を生かしておけなかった。
 この距離ならば抵抗する間もなく殺せる。シャンプーはもう片方の手を掲げようとした。

「死にぞこないが、さっさと――」

 ぶちゅりと、肉が潰れるような鈍い音によって彼女の言葉は遮られる。いや、最後まで紡がれることがなくなった。
 何の音なのか。シャンプーがそう思った頃、頬に水滴が跳ねたような違和感を覚える。しかし水にしては生暖かくて鉄臭い。まるで血のようだった。
 それが思い浮かんだ瞬間、彼女はようやく気づく。自分の手が握り潰されてしまったことを。

「あ、あ……ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 途端に襲い掛かる激痛。そして手首からは大量の血液がまるで噴水のように噴出してくる。
 先程耳にしたような悲鳴を今度はシャンプーが発した。血が流れ出す手首をもう片方の手で反射的に押さえながら、よろよろと後退する。
 凄まじい痛みによって意識が落ちそうになるが、彼女は強靭な精神力で何とか覚醒させた。その瞬間に勢いよく腹部を殴りつけられて、声にならない悲鳴と共に口から血液を吐き出しながら吹き飛ばされた。
 今度は受身を取ることが出来ず、無様に地面を転がり落ちる。木にぶつかったことで回転は止まるが、立ち上がることが出来ない。
 それでもシャンプーは顔を上げて、片手を奪った張本人を睨みつける。
 女は自分を見下していた。さっきまでの甘さが嘘のように無表情となって、緑色だったはずの瞳が金色に染まっている。
 それだけでなく姿も大きく変貌していた。身体の至る所に木の根っ子が触手のように張り巡らされていて、鼓動を鳴らしている。

「お前は……お前は一体……!?」

 何とかして吠えようとするが痛みに邪魔されてまともな言葉が出せない。それでも女は沈黙を貫いていた。
 そこに侮蔑といった感情は感じられず、あるのは純粋で無機質な殺意だけ。殺戮兵器と呼ばれても、まるでおかしくなかった。
 動揺するシャンプーの前で変貌した女、スバル・ナカジマは血に濡れた手甲で握り拳を作る。シャンプーはそれが顔の前まで迫るのを見ていることしか出来なかった。
 そして、彼女の顔面が容赦なく貫かれるまでに、それほど長い時間はかからなかった。




335現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:27:48 ID:ZuS3MDnk0
 スバルは拳に付着した鮮血が地面に滴り落ちるのをぼんやりと見つめている。人間味に溢れた情熱は殺され、まるで人形のように生気を感じさせなかった。
 人を殺した。もしも普段の彼女なら、その結果を受け入れたら罪悪感で押し潰されていたかもしれない。しかし今の彼女は自責の念どころか、一切の感情が消え去っていた。
 金色に輝く瞳は、スバル自身が疎んでいた戦闘機人タイプゼロ・セカンドとしての姿。身体から溢れる魔力は留まる事を知らず、大気を震撼させていた。
 その光はいつもと違って、辺りの闇よりも更にどす黒い輝きに満ちている。数刻前に異様な盛り上がりを見せた背中に植え付けられた、ソレワターセによって。

「どうやら力は押さえられてるみたいだけど上出来ね……お疲れ様」

 闇の向こうから聞こえてくるのはスバルを称賛するような声。振り向いた先にいたのは黒いドレスを纏った主人だった。
 背中にいるソレワターセが教えてくれる。自分はこのお方に絶対の忠誠を誓わなければならないと。

「ノーザ……様」
「そう、私はノーザ……そしてあなたは?」
「我が名はスバル・ナカジマ……戦闘機人タイプゼロ・セカンドにして、ラビリンス最高幹部ノーザ様がしもべ」

 スバルは淡々とした口調で答えながらノーザの前に跪く。すると細い五本の指であごを持ち上げられて、膝を落とすノーザと目線があった。

「フフッ、わかってるじゃない……今のあなたは私のしもべ。私の意のままに動く戦闘マシーンよ」
「私は……ノーザ様の戦闘マシーン」
「ええ、あなたは私のためだけに働く優秀なマシーンよ……光栄に思いなさい」

 吹雪のように冷たいノーザの言葉がスバルの中に染み込んでいく。スバルはそれが聞き逃してはいけない神の言葉に思えた。
 偉大なるノーザ様のためだけに働き、邪魔者を全て消し去るマシーンとなる。それが自分の存在意義であるとソレワターセは頭の中で強く訴えた。
 それがどんなに名誉なことなのか、どんなに幸せなことなのか。あらゆる平行世界(パラレルワールド)を探しても並べられる物はないし、超えられる物もなかった。
 それを噛み締めるために戦わなければならない。

「それじゃあ、そこに倒れている『ゴミ』を掃除しなさい……もしも見つかると面倒になるでしょうから」

 ノーザが指差すのはスバルが殺した少女の遺体。結局、止めることも名前を知ることも出来なかったが、今となってはどうでもよかった。だってもう、彼女に残った全てを飲み込むのだから。

「全ては、ノーザ様のために……」

 左腕を向けると、ソレワターセの触手が幾重にも飛び出していき、頭をなくした少女に絡みつく。一瞬のうちに全身を飲み込むと、ソレワターセは勢いよく締め付けた。
 全ての皮膚を裂き、全身の骨を砕いて、あらゆる臓器を磨り潰し、豪快な音を響かせながら血肉を啜る。
 その際に、ソレワターセは採取したDNAから少女についての膨大なデータを読み取った。中国に存在する女傑族という部族で生まれ育ち、名前はシャンプーというらしい。
 その他にも、シャンプーの経歴や知人に関する情報が次々と流れて行く。常人ならば発狂しかねないが、ソレワターセは伝達速度をコントロールしているのでパニックに陥ることはなかった。
 全ての採取が完了した頃、触手はスバルの腕に戻って行く。シャンプーが倒れていた場所には血痕一つたりとも残っていない。

336現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:28:58 ID:ZuS3MDnk0
「ガアァァァ!!!」

 その直後だった。森の奥から大きな悲鳴が響いたのは。続くように地面が微かに揺れるのも感じる。
 この近くで戦いが起こっていると、スバルはぼんやりと考えた。

「行きなさいスバル……あなたの力をもっと私に見せてちょうだい。それがあなたにとっての幸せなのだから」
「幸せ……」
「そう、あなたのおかげであなたも私も幸せになれるのよ……それだけは間違いないわ」

 ノーザの笑顔を目にした彼女は立ち上がり、言われるままにマッハキャリバーで木々の間を疾走する。その速度はソレワターセによって爆発的に上昇していた。
 夜の冷たい大気が一斉に突き刺さる中、スバルはぼんやりと考えている。この戦いに集められた参加者達を殺し、ノーザ様の敵を減らすことが幸せに繋がると。それはわかっているし、疑うつもりもない。
 ただ心の何処かに引っかかりがあった。幸せになれるとわかっているのに、何かがそれを否定している気がする。

『背が伸びたね、スバル』

 脳裏に思い浮かぶ言葉。そしてそれを言ってくれる女性の顔。
 一体誰だったのか。思い出すことは出来ないけど、この人と出会ったことがある気がする。そして自分はあの人に何か特別な感情を抱いていた気がする。
 それがいつで、どうして抱くようになったのかは覚えていない。ただ、その人のことは決して忘れてはいけないような気がした。
 新たなる戦場を求めながらスバルは考えるが、明確な答えを得ることは出来ない。それでもハッキリとしていることが一つだけあった。
 もしもあの人が今の自分を知ったら、絶対に悲しむと。





「なるほど、戦える分には問題ないみたいね」

 木々の奥を走り進むスバルの背中が見えなくなった頃、ノーザは放置されたデイバッグを回収した。

337現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:29:32 ID:ZuS3MDnk0
 ソレワターセをスバルに投げつけた理由は戦闘スペックが上だったため。純粋な格闘能力だけでなく、バリアなどの超能力も使っていた。この時点でノーザはスバルにソレワターセを植え付け、思いのままに動く人形にさせる。
 しかし腑に落ちない部分があった。いつもなら巨大化していたはずのソレワターセが、人間のサイズを保ったままだった。だがあり得ない話ではない。ソレワターセはラビリンスが生み出した魔獣の中でも特に高い戦闘力を誇る上に、周囲の物質を無差別に飲み込むことが出来る。それを認めてしまってはバランスなどないに等しい。
 だからこそ慎重に使わなければならなかった。恐らくスバルを洗脳した効果も通常より薄い可能性もある。もっとも裏切るような事態になれば制裁を加えるか、自害するように命令すればいいだけの話だが。
 あまり頼っていられなくなったこの状況に、ノーザは軽い溜息を吐く。この分だと、ソレワターセを首輪に取り付かせて解体させようとしても、その瞬間に爆発する危険性が高い。無論、帰還しようというのなら優勝を目指せばいいだけの話だが。

「頑張ることね、私の望む世界を作るために……」

 全ては一切の夢も希望もない暗黒の世界を生み出すための生贄。プリキュア達も、スバルを含めた全ての参加者たちも、加頭を含めた主催者たちも。
 微笑むノーザが夢見る理想郷は、血に濡れきっていた。





『C−6』エリアで繰り広げられていた戦闘で、アインハルト・ストラトスがズ・ゴオマ・グを打ち抜いた覇王断空拳の振動に気づいた者は他にもいた。『B−6』エリアに広がる森林の中を進む本郷猛と鹿目まどかの二人も轟音を耳にしたことで、立ち止まっている。

「本郷さん、今の音は……」
「ああ、近いな」

 不安げな表情を浮かべるまどかの肩を本郷は強く支えた。改造人間のパワーで押し潰さないよう、精一杯の手加減をして。
 轟音が意味するのは、この付近で戦闘が起こっていることだった。仮面ライダーの仲間かもしれないし、全くの別人である可能性もある。

(まずいな……このまま放置しておくわけにもいかないが、かといって無闇に突っ込むわけにもいかない)

 本郷は悩んだ。
 もしも戦闘が繰り広げられている場所に、まどかの友人やまどかみたいな力のない人間がいたなら放置するわけにもいかない。しかし戦いが繰り広げられているということは、三影英介のような危険人物がいる可能性だってある。
 そんな場所にまどかを連れて行けるわけがないし、彼女を置いていったらその間に危険に晒されてしまう。
 だからといってここで殺し合いに乗った輩を放置しては、罪のない命が犠牲にする恐れもあった。
 こうして考える間にも時間が無意味に刻まれていく。

「本郷さん、行ってください」

 しかしそんな本郷の思考を打ち消すような言葉が、まどかの口より発せられた。

338現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:30:38 ID:ZuS3MDnk0
「まどかちゃん……?」
「わたしなら大丈夫です! だから、戦いを止めてください!」
「……いや、君を巻き込むわけにはいかない」

 本郷は首を横に振る。
 もしも滝やSPIRITに所属するメンバーのような頼れる人間ならば幾許の不安は消えるが、まどかは人間だ。戦いの場に放り込むなどあってはならない。

「お願いですから行ってください! わたし、本郷さんが後悔する姿なんて見たくないんです! こんな馬鹿げたことで犠牲になる人だって!」
「まどかちゃん……その頼みは」
「お願いしますっ!」

 まどかの真摯な叫びによって、本郷の言葉は止められた。
 そこには確かな勇気と人を助けたいという決意が感じられるが、安易に受け入れるわけにはいかない。気持ち自体は素晴らしいがそれに甘えては取り返しのつかないことになる。
 だがまどかの言い分ももっともだったし、ここでいくら言い聞かせようとしても彼女は納得しない。何よりも弱気になってはいかなかった。
 ショッカーによって与えられた忌むべきこの力は一人でも多くを救うための力。まどかも、加頭やキュウべぇの陰謀に巻き込まれたたくさんの人も。

「わかった、俺は行こう……君のような罪のない人々を救う為に」
「本郷さん……ありがとうございます!」
「だが、もしも戦いになったら俺がいいと言うまで決して出てこない……それを約束してくれ」
「わかりました!」

 まどかの明るい笑顔で感謝を告げるので、本郷はそれに返すように穏やかな笑みを向ける。そして彼は音の響いた方角に顔を向けて、足を進めた。
 心優しい少女の願いを叶える為に。

339現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:31:35 ID:ZuS3MDnk0
【1日目/未明】
【C−5/森】

【ノーザ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式×2、ランダム支給品1〜2個、シャンプーの不明支給品1〜3個、水とお湯の入ったポット一つずつ、ソレワターセの実(一個)@フレッシュプリキュア!
[思考]
基本:この殺し合いに優勝し、一切の希望がない世界を作る。
1:まずはスバルの戦闘力のテストをするために、轟音が聞こえた方に向かう。
2:利用出来る参加者と出会えたら、プリキュアの悪評を出来る限りで広める。
3:ソレワターセの使用は出来るだけ慎重にする。
4:プリキュア達はここで始末する。
[備考]
※プリキュアオールスターズDX2でボトムによって復活させられた後からの参戦です。
※花咲つぼみと来海えりかの存在は知っていますが、明堂院いつきと月影ゆりとダークプリキュアに関しては知りません。
※アインハルトが放った覇王断空拳の音を聞きました。
※ソレワターセはある程度力が押さえられている上に、もしも首輪に憑依させたらその瞬間に爆発するかもしれないと考えています。
※DX2からの参戦なのでソレワターセの実を食べなくても怪物の姿になれます。


【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中) 、ソレワターセによる精神支配、シャンプーの肉体を吸収
[装備]:マッハキャリバー、リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは、カートリッジの弾薬セット(残り14発)@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2個
[思考]
基本:ノーザ様のしもべとして動き、参加者を皆殺しにする。
1:手始めに轟音が聞こえた方に向かい、参加者がいたら殺す。
2:あの女の人(高町なのは)は……誰?
[備考]
※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。
※シャンプーの姿を前回の任務の自分(strikers17話)と重ねています。
※『高町ヴィヴィオ』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。
 また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。
※ソレワターセに憑依されたことで大幅にパワーアップしました。
※シャンプーの遺体を吸収し、彼女に関する情報を入手しました。(首輪も含まれています)
※アインハルトが放った覇王断空拳の音を聞きました。



【1日目/未明 B−6 森】

【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:この殺し合いを終わらせる
0:轟音の聞こえた方向に向かう。
1:まどかを保護する、彼女を絶対に魔法少女にはさせない
2:一文字、結城、沖の三人と合流する
3:他の魔法少女を探す
4:村雨がもし復讐に走るようならば見つけ次第止める、三影は見つけ次第必ず倒す
[備考]
※参戦時期は7巻最終話、村雨と共にライダー車輪を行った後〜JUDO出現前までの間です。
※他のライダー達とは通信ができません。
 これは、加頭が会場に何かしらの妨害装置を置いているためではないかと判断しています。
※まどかの話から、魔法少女や魔女、キュウべぇについての知識を得ました。
※加頭の背後にはキュウべぇがいて、まどかを追い詰め魔法少女にする事が殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※死んだ筈の魔法少女達が生きている事は、まだまどかには話していません。
 これもキュウべぇや加頭の仕業ではないかと睨んでいます。
※アインハルトが放った覇王断空拳の音を聞きました。


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する。
0:轟音の聞こえた方向に向かう。
1:本郷と一緒に行動する。
2:他の仮面ライダー達を探す。
3:キュウべぇの思い通りにはならない
[備考]
※参戦時期は11話、ワルプルギス襲来前になります。
※本郷の話から、仮面ライダーや改造人間、ショッカーをはじめとする悪の組織についての知識を得ました。
※加頭の背後にはキュウべぇがいて、自分を追い詰め魔法少女にする事が殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※まだ名簿は確認していません。
※アインハルトが放った覇王断空拳の音を聞きました。

340現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg:2011/11/07(月) 14:32:39 ID:ZuS3MDnk0

【支給品解説】

【ソレワターセの実@フレッシュプリキュア!】
フレッシュプリキュア! 第36話『新たな敵!その名はノーザ!!』より登場したラビリンスが使役する怪物の元。
これを埋め込まれた物は巨大怪物、ソレワターセへと変貌して埋め込んだ者の意のままに動きます。
更に周囲の物を取り込んでパワーアップし、身体を巨大化することも出来ます。
ただし参加者に植え付けた場合のみ、制限によって巨大化をすることは出来ません。また、何かに憑依せずに単体で行動することも出来ません。

【シャンプー@らんま1/2 死亡確認】
【残り64人】




以上で投下終了です。残り人数に関しては◆OCD.CeuWFo氏が破棄するのならば収録時に修正します。
矛盾点などがありましたら、ご指摘をお願いします。

341名無しさん:2011/11/07(月) 20:24:47 ID:t6QnD5sk0
投下乙。
スバルーーーー!!
シャンプーーーー!!

いやはや、まっさかこんな決着を迎えようとは…
シャンプーお疲れ様。相手が悪かったよ。
そしてスバル…いったいどうなるんだ。
一応子供時代とはいえ洗脳解除フラグっぽいなのはさんが近くにいるわけだが…
というかそれ以前に今の状態でアインハルトと出会ったら悲しむぞ。

しっかし、ノーザ登場とスバル洗脳で北の危険度がさらに増したな。
こりゃあまだまだ血を見ることになりそうだ。

342名無しさん:2011/11/07(月) 20:41:35 ID:I32uShd20
投下乙です

ああ、これは酷い、そして危険だわ
シャンプーは……女の子のグロ死体もまたロワの花だけど可哀そうに
傍にはなのはもアインハルト、そして本郷さんもいるしどうなるやら…

343名無しさん:2011/11/07(月) 22:05:56 ID:MA6jz93Y0
投下乙です。
ソレワターセってここまでチートだったのかよ!! 確かフレプリの毎回のやられ役程度だったよな!?
というか、シャンプーお前あまりにもあっさり過ぎるぞ!!
……あれ、というかスバルなんかロボ企画よりも悲惨じゃね。つか、洗脳解除で自殺オチなんてのは簡便な。
……で、一斉に強魔の所に向かうのか……つか、誰が消えても不思議じゃないのが何とも……。

……リリカル勢、殆どアレな状況な気がする。

なのは:空気読まず侍と外道の戦いに介入し砲撃ぶち込み、ダークプリキュア他2名を呼び寄せる羽目に。
フェイト:皆殺しにして優勝してジュエルシード集めるという参戦時期、なのにいきなりガドル閣下と交戦。ちなみに参戦時期は1期なのでカートリッジシステムは無し、つまりあんまり強くない状態
スバル:ご覧の有様です。
ティアナ:なのはに頭冷やされた直後という時期からの参戦により、ブチキレテ兄の力証明マーダーで断髪してノーパンレオタード
ヴィヴィオ:いきなりダグバに焼かれました。一応尻に保護されているけど……ねぇ。
アインハルト:ゴオマを一蹴しそのまま追撃……でもゴオマはダグバの欠片で強魔化し、更に自身の攻撃で洗脳スバルまで呼び寄せる羽目に。

ユーノ:調べ物で疲労したけど翔太郎に保護された様です。

こ  れ  は  ひ  ど  い
ど  う  し  て  こ  う  な  っ  た

それからしたらばでの話し合いにより、◆OCD.CeuWFo氏のSSは一旦破棄になりましたのでご報告

344名無しさん:2011/11/07(月) 22:13:51 ID:hV2O.mEAO
投下乙です。うわぁーお、こりゃまたえげつない……ってかこれスバルはなのは組と会ったところで無意味な気がしないでも。知ってるのと別人四人に誰さん一人、挙げ句相方なんて乗っちゃってるしさw

345名無しさん:2011/11/07(月) 22:32:58 ID:hV2O.mEAO
>>343
結局ろくなのはハーフボイルドと一緒なフィリップよりずっと前からの検索少年だけか……ん、ちょっと待てよ。確か翔太郎って某ロワの同行者クラッシャーじゃね? やっぱりリリカルカワイソス。

346名無しさん:2011/11/08(火) 10:00:17 ID:ygafpqRg0
乙。質問があるんだけどこういうSSって素人の自分が書いてもいいのかな?
多分駄目だろうけど

347名無しさん:2011/11/08(火) 10:18:41 ID:pmND5TPc0
問題ない
俺も素人で下手だけどだけど書いてるよ

348名無しさん:2011/11/08(火) 10:51:11 ID:ygafpqRg0
しかもトリップのつけ方すら分からないんだが

349名無しさん:2011/11/08(火) 11:04:10 ID:pmND5TPc0
ここ参照

ttp://help.livedoor.com/jbbs/qa635

350名無しさん:2011/11/08(火) 11:39:20 ID:ygafpqRg0
thx

351名無しさん:2011/11/08(火) 12:43:11 ID:6zpITeGo0
>>346
むしろどんどん書いてくれ
みんなあなたみたいな人を待ち望んでいるだろうから。

352名無しさん:2011/11/08(火) 14:03:56 ID:ygafpqRg0
細かいことかもしれないけど井坂先生の名前が間違ってる「朗」じゃなくて「郎」

353 ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:06:38 ID:Abn4ZwP60
投下します

354生きる意味を求めて ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:08:12 ID:Abn4ZwP60
志葉丈瑠。
志葉家18代目当主。
その肩書きは嘘であり偽りである。
なぜなら彼は、影武者なのである。
いや、影武者『だった』のだ。
彼は、父との誓いを守り、志葉家当主として振る舞ってきた。
外道衆との戦いに身を投じた。
本物の当主である志葉薫に代わって。

そしてその日が来た。
志葉薫が、外道衆の長である血祭ドウコクを封印するためのモヂカラを完成させて、表舞台に現れたのだ。
本物の当主が現れたことで影武者の役目は終わった。
殿としての生を失った丈瑠に残されたもの…それは剣だけだった。

彼は唯一残ったそれにすがるように、はぐれ外道の腑破十臓と戦った。
志葉丈瑠がこの殺し合いに呼び出されたのは、その戦いのさなかである。



「……殺し合いか」

ぼそりとつぶやく。
十臓との戦いをいきなり中断されて、彼は少し不機嫌であった。

「なるほどな、どうやら俺は試されているらしい」

もしも神という存在がいるのなら、きっとこれは試練なのだろう。
剣に生きるのなら、その覚悟を示してみろというわけだ。


『お前のするべきことは戦いのみ。あるのは…剣のみだ!』


「そうだな十臓。俺には戦いしか…剣しかない」

もしもこれが試練だというなら受けて立ってやる。
参加者は全て斬る。
誰が相手だろうが全て斬る。
自分には…他に何もないのだから。

355生きる意味を求めて ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:10:05 ID:Abn4ZwP60
「くっそあの野郎、偉そうにしやがって…」

早乙女乱馬は怒っていた。
自分たちをこんなところへ連れてきた加頭順に対して。
彼の行動方針はすでに決まっている。


「覚悟しやがれ!この殺し合いの舞台からとっとと抜け出して、そのすかした顔面に一発ぶち込んでやるよ!」


乱馬はひとまず地図を取り出す。
現在彼がいるのは市街地の手前の平原、H−7である。

「呪泉郷!?」

名簿に書かれた施設のひとつに、驚きの声を上げる。
一瞬、「男溺泉で元の体に戻れる!」という歓喜がわかないでもなかったが、すぐにそれを引っ込める。
仮に元の体に戻れたとして、ここで死んでしまっては無意味だ。
ここから脱出するのが最優先だ。

とはいえ、知り合いがここを目指している可能性も十分にある。
ここを目指してみる価値はあるかもしれない。

356生きる意味を求めて ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:11:25 ID:Abn4ZwP60
「ん?」

ふと、人の気配を感じ、乱馬は顔を上げる。
目の前には、男が一人立っていた。

「何もんだてめえ」

乱馬は男に警戒しながら戦闘の構えを取る。
だが、対する男は構えようともしない。
そして代わりに、口を開いた。

「俺は志葉丈瑠、一介の剣客といったところだ」
「剣客ねえ…」

ふと、高校の剣道部主将の顔が思い浮かび、苦虫を潰したような表情になる。
だが、すぐにそれを振り払う。
目の前の人物の素性は知れないとはいえ、さすがにあの変態と一緒にするのは失礼だ。

「俺は早乙女乱馬だ」
「乱馬か…お前はこの殺し合いに乗っているのか?」
「へ、誰があんなやつの言うこと聞くかよ!」

丈瑠の問いを、乱馬は迷いなく突っぱねる。


「そうか…それなら頼みたいことがある」


そういうと丈瑠は、携帯電話のようなものと紙切れを取り出した。

「これを池波流之介か梅盛源太に渡してほしい。このメモと一緒にな」
「なんで俺がそんなことしないといけねーんだよ!自分で渡せばいいだろうが」
「頼む…!」

拒否の意を示す乱馬に対し、丈瑠は何度も頼み続けた。
しばらくのやりとりの後、やがて乱馬の方が折れた。

「分かったよ。もしそいつらに出会うことがあったら、渡しといてやるよ」
「すまない…」

丈瑠は乱馬がそれを受け取り、デイバックにしまうのを見届けると別れの言葉も残さずそのまま森の中へと去って行った。

「なんだったんだいったい…」

357生きる意味を求めて ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:12:46 ID:Abn4ZwP60
志葉丈瑠が去った後、早乙女乱馬は具体的な行動方針を決定した。
とりあえずまずは、すぐそこの市街地で知り合いを探す。
そして一通り探したのち、見つからなければ北にある呪泉郷へ向かう。

「よっし、それじゃあ行くか!」

デイバックを背負い、乱馬は市街地へと歩を進めた。


「あかね…死ぬんじゃねえぞ」



丈瑠のメモ
『流ノ介、源太、俺にこれを持つ資格はない。
 このシャドウフォンは、お前たちに預ける』


【1日目/未明 H−7 平原】

【早乙女乱馬@らんま1/2】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3、水とお湯の入ったポット1つずつ、シャドウフォン、丈瑠のメモ
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
1:市街地で知り合いを探す
2:1の後、呪泉郷へ向かう
3:池波流ノ介か梅盛源太に出会ったらシャドウフォンとメモを渡す

358生きる意味を求めて ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:14:21 ID:Abn4ZwP60
志葉丈瑠が早乙女乱馬に戦いを挑まず、それどころかシャドウフォンを渡したのは彼が心を改めて殺し合いに乗ることを止めたからというわけではない。
というよりそれならシャドウフォンを手放す必要はない。
彼がこの場で戦うのに、シャドウフォンは邪魔だったのだ。
それはなぜか。


『殿…じいは嬉しく思っておりましたぞ。たとえ偽りの殿と家臣ではあっても、流ノ介達と心を通じ合っていく様子が』


「………」

それは迷いを断ち切るため。
殺し合いに乗るということは、すなわち流ノ介や源太とも戦うということだ。
そんな時、彼らとの絆の証ともいっていいアレを持っていて、せっかくの決意が鈍ってしまうことを恐れたのだ。


「だが…俺もまだまだ甘いようだ」


本当に迷いを断ち切りたかったのなら、破壊してしまえばよかったのだ。
だが、それをすることは出来なかった。
また、破壊することができないならどこかに放置するなり地面に埋めるなりすればよかったのだ。
にもかかわらず流ノ介達に届けることを先ほど出会った早乙女乱馬という少年に頼んだ。
これは、彼らとの関係を断ち切ることを拒む願望が無意識のうちに働いてしまった証拠だ。
彼らとの関係を無かったことにすることが、出来なかったのだ


「こんなことでは…駄目だ!」


彼らとの関係はあくまで嘘であり偽りに過ぎないのだ。
そして、もはやその関係も過去のものに過ぎない。
殿という役目を失った自分にあるのは、剣だけ。
これだけは、けっして嘘も偽りもない本物だ。
これを失ってしまえば、自分は生きる意味を持たない。死人も同然だ。

「俺は戦う!唯一残された生きる意味のために!」

359生きる意味を求めて ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:16:39 ID:Abn4ZwP60
「とりあえずまずは、この森で試し切りをしてみないとな」

そういうと、丈瑠は刀を構える。
幸いなことに、彼の支給品はかなりの当たりであった。

一つは腑破十臓の愛刀『裏正』。
そしてもう一つは…

「ガイアメモリ…だったか?」

最初の場所で、加頭という男が変身した異形の怪物。
自分もこれを使えば、あのような姿になるということか。


「はは……はははは…」


思わず乾いた笑い声を漏らす。
はぐれ外道である十臓の妖刀。
異形の怪物に姿を変えるメモリ。
ある意味、今の堕ちた自分には似合いの武器だ。


ともかく、ガイアメモリ―――メタルメモリというらしい、をポケットにしまい、裏正を構えた丈瑠は…


「はあっ!」


気合の掛け声とともに、目の前の木を刀で斬りつける。
斬られた木は、真っ二つになり、ドスンと音を立てて倒れた。



「志葉丈瑠……参る!」


続・丈瑠のメモ
『追記
 もしこの場でお前たちに出会うことがあれば、俺はお前たちの敵だ
 遠慮なく斬ってくれ

                           志葉丈瑠』



【1日目/未明 H−7 森】

【志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康
[装備]:裏正@侍戦隊シンケンジャー、T2メタルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:殺し合いに乗り、戦う
1:ひとまず裏正に慣れる
2:十臓は最優先に探し出し、決着を着けたい
3:流ノ介や源太が相手でも容赦はしない
[備考]
※参戦時期は、第四十六、四十七幕での十臓との戦闘中です
※流ノ介や源太と戦うことに、迷いがあります

360 ◆eQhlNH2BMs:2011/11/09(水) 19:20:14 ID:Abn4ZwP60
投下終了です

361 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 20:21:15 ID:5ZY8/ZfQ0
投下乙です。
いや、多分殿の参戦時期は十中八九そこになるだろうから乱馬ヤバイと本気で思ったけど、
やっぱりご覧の有様でしたか。まぁまだ迷いがあるせいか、今回乱馬は事なきを得たか。
……って、位置関係的にダグバの近くじゃねぇか。というか乱馬早くヴィヴィオと尻保護してよ!
後、乱馬、少なくてもあなたの世界の皆様の殆どがおおよそ変態とカテゴライズされますから。

それにしても殿に裏正とは……つか、十臓及び他のシンケン組2人はすぐ近くに集結しそうなのに離れた場所とは……
とりあえず、殿。マーダーやるのはともかく、ダグバとほむほむから全力で逃げてくれる。何処ぞのノーテンキラキラに負ける事はないだろうけどその2人相手には分が悪いから。

というわけで自分も今から筋殻アクマロ1名投下致します。

362二百年野望 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 20:23:59 ID:5ZY8/ZfQ0
 唐突だが、ここで地図を見て貰いたい。

 今回の催しの舞台となるのは1つの比較的小さな島となる。
 だが、この島には明らかに別の世界・場所にある筈の施設、建物、名所に類ずる物が幾つか存在する。
 その中でも異彩を放っているのが――三途の池。

 予備知識の無い読者諸兄であっても三途の川ならば聞いた事があるだろう。
 現世つまりはこの世とあの世を隔てる場所にある川と言われており、この世の生者が死者となった時にあの世に向かう際に越える川の事だ。

 さて、ある世界には外道衆と呼称される三途の川に生息する住人が存在する。
 彼らはこの世を支配すべく侵略を仕掛けてくるものの彼らには致命的ともいえる弱点が存在していた。
 一部の特殊なのを除く外道衆は三途の川から長い間離れすぎると川の水が抜けて干上がる、通称『水切れ』を起こしてしまうのだ。
 そこで、人間が苦しみ不幸になれば水量が増すという三途の川の性質を利用し人々を苦しめ三途の川を氾濫させるという手段を取って侵略を行っているというわけだ。
 長々と説明をしたものの要するに、基本外道衆にとって三途の川の水は必要不可欠、それを念頭においてくれればそれで構わない。

 話を戻そう、この催しには外道衆が数人程参加させられている。だが、前述の通り三途の川から長時間離れれば水切れを起こし活動不可能となってしまう。
 そこで主催側は三途の川の代用品として島の数ヶ所に三途の川の水を溜めた池を数ヶ所用意した。
 つまり、この地における外道衆にとっては生命線といえる場所であると考えて良い。





「さて、どうしたものでしょうかな」

 C-4に位置する三途の池、その内にてそう呟く一人の異形なる者がいた。
 彼の名は筋殻アクマロ、先に説明した外道衆の一人である。幸か不幸か彼の初期地点はこの場所となった。
 長である血祭ドウコク及び知恵袋の骨のシタリから補修を頼まれていた薄皮太夫の三味線を渡せと言われた矢先、気が付いたらこの殺し合いに巻き込まれていた。
 殺戮そのものをを躊躇するつもりは無いが、加頭と名乗った人間に従い優勝を目指すつもりは全くない。
 いや、正確に言うなれば自身の目的を考えるならば即座に優勝、つまりは最後の一人となるわけにはいかないと言った方が良い。

 アクマロの望みは外道である自身が決して行く事の叶わぬ地獄を自身で味わう事、その目的を果たすべく二百年も昔から準備を進めてきたのだ。
 その為に必要なのは極上の苦しみが詰まった薄皮太夫の三味線、妖刀裏正、そして裏正を振るう腑破十臓なる外道衆のはぐれ者だ。
 アクマロが地獄を味わう為にやろうとしていた事、それは『裏見がんどう返しの術』で地獄、すなわちあの世をこの世に顕現させる事である。
 それを行った場合、この世はおろか隙間にある三途の川やそこに住む外道衆も只ではすまないが、その程度アクマロ自身にとっては些細な事である。

363二百年野望 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 20:25:15 ID:5ZY8/ZfQ0

 裏見がんどう返しの術――人の嘆きや苦しみを土地に直列に刻みつけた時、それが楔になりこの世に大きな隙間を作り出し、その隙間の中心となる地を切り裂けば裏返り地獄が現れるというものである。
 が、この術を成す事はそう簡単なことではない。最終的に切り裂く人物は人でも外道でもない者でなければならないのだ。
 つまり、人でも外道でもないはぐれ外道である十臓の存在が必要不可欠という事なのだ。
 無論、十臓とて素直にアクマロに従う道理も無い。だがここで裏正が重要な意味を持つ。
 アクマロが十臓に渡した裏正にはある者の魂が閉じこめられている。それは人斬りの道に走る十臓を最後まで止めたいと願い続けた十臓の妻の魂。
 その魂を救う為と持ちかければ地獄をこの世に呼び寄せるアクマロ自身の望みを叶える事に手を貸してくれるだろう。

 それ故に、最低限十臓と彼をその気にさせる為の裏正は目的の為の必須条件といえよう。
 だが、手元には修理の為預かっていた裏正が無い状況、自身の武器である削身断頭笏が無い事を踏まえ恐らくそれらの武器や道具は隠してある三味線も含め他の参加者に支給されている可能性が高い。
 また、十臓の性格を考えるならこの地でも強き者と死合うのは明白、そうそうやられるとは思わないが絶対とは言い切れない。
 折角、ここまで準備を進めてきたのにここで潰されるわけにはいかない、なんとしてもこの局面を脱しなければならない。

「それにしてもドウコクは何処でしょうかな?」

 また、気になるのはドウコクの所在だ。
 前述の通り、外道衆は三途の川を長時間離れる事は不可能。
 その中でもドウコクは過去の戦いの後遺症により、三途の川を離れればすぐに水切れを起こす状態となってしまったのだ。
 戦闘力こそ絶大ではあるものの、後遺症故に戦いに出る事はほぼ不可能な状態である。
 つまり、少なくてもドウコクの居場所は三途の川と似た特性を持つ三途の池である事はほぼ確実。だがC-4にある三途の池にはいないのは確認済み。

「この三ヶ所の何処か……ということでしょうな」

 地図上にはB-9、F-3、G-7にも三途の池が示されている。それを踏まえるならばドウコクの拠点はこの三ヶ所のどれかと考えて良いだろう。

「とはいえ、ドウコクの事に関しては今は良いでしょう」

 しかし、現状ドウコクについてはこれ以上考える事も無いだろう。
 実の所、三味線を渡すわけにはいかない為、このタイミングでドウコクに反旗を翻すつもりではあった。
 無論、自身の真意を悟られればドウコクが自分を消すのは明白ではある。
 だが現状はまだ問題はなく、同時に露呈した所で長時間戦えないドウコクから逃げ切るのは簡単ではないものの十分可能なレベルだ。
 それを踏まえるならば現状では特別大きな問題無いだろう。

「今は十臓と裏正、それらを探すのが先決でしょう」

 そういいつつ三途の池を後にした――






「ほう、これは……」

 そう言いながらアクマロはC-5まで来ていた。
 彼がこの場所に来たきっかけは池を出た直後に1人の中国風の服を着た少女が走っていくのを見たからだ。
 幸いアクマロの存在には気付いていなかった様だったがこのまま放置する理由もない。
 アクマロは密かに尾行しC-5まで来たという事だ。
 見ると少女は発見した別の少女を襲撃していた。対する少女はシンケンジャーの様に自らの服を変え――ある意味変身(?)を行い戦闘準備に入り迎撃していた。
 下手をすれば自身も戦いに巻き込まれる、負けるつもりは無いが無駄な消耗は避けたい所故、ある程度距離を取りその戦いを眺めていた。

364二百年野望 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 20:26:15 ID:5ZY8/ZfQ0

「一見すれば互角……しかし、果たしてそうでしょうかな?」

 戦いの様子は一言で言えば一進一退といった所だ。だが、アクマロはそう判断しなかった。
 断片的に聞こえたやりとりから察するに中国風の少女は乱馬、恐らく早乙女乱馬を守る為に他の参加者を皆殺しにしようとしているのだろう。
 故にその一撃一撃には必殺の意が込められていると考えて良い。無論、その動きは手練れたものではある。
 一方の変身した少女の方もまた動きは手練れたものではあり、その一方でその挙動一つ一つにはあくまでも殺人の意思はなく、彼女を説得する事に徹している。その為、その攻撃には一切の殺意はない。
 この状態で一進一退の互角という事だ。ではこれは本当の意味で互角と言えるのだろうか?
 結論を述べよう。これは互角でも何でもない。圧倒的に変身した少女が有利である。彼女の方は本気を出していないのがアクマロにはわかった。
 変身した少女がその気になれば中国風の少女は瞬時に瞬殺されるであろう。

「あの小娘はそれに気付いていない、仮に相手の甘さから運良く倒せた所で先は知れましょう」

 アクマロにとってこの戦いの結末などどうだって良い。
 いや、出来れば変身した少女が中国風の少女を殺してしまう結末を期待したい所ではある。
 なにしろ、助けたい止めたいと思った少女を殺してしまった時の嘆きや哀しみは自分達外道衆にとって大きな糧なのだからだ。

「とはいえ、手を出す事もな……おやおや?」

 そんな中、同じ様にこの戦いを見つめている1人の女性を見つけた。

「私と同じ様子見でしょうかな、あるいは……」

 そう言いつつ巻き込まれぬよう念の為、後退していたが――女性が『何か』――ソレワターセと呼んでいたらしいそれを戦いの場に投入した事で状況は一転した。

「これは!」

 ソレワターセは変身した少女の背に取り付き異変を起こした。
 ソレワターセが何かはわからない。だが、アクマロは少女に起こった事についてある程度推測出来ていた。
 一方の少女は、事が終わったら何事もないように必殺の一撃を叩き込もうとしたが、

「愚かな……」

 そう呟くアクマロの言葉通り、その一撃は通らず逆に仕掛けた拳は潰され――そのまま一方的に惨殺される結末を迎えた。

 その後、事を仕掛けた女性ことノーザが少女スバル・ナカジマに接触。
 どうやらノーザが投入したソレワターセによってスバルは操り人形と化し、中国風の少女を惨殺したという事だった。無論、これはアクマロが先ほど推測した通りである。
 その後、スバルは惨殺した少女を全て吸収、恐らくは背中に植え付けられたソレワターセの力なのだろう。
 これにより証拠を隠滅したのであろうが一連の事は全てアクマロ自身が把握している。

『あなたの力をもっと私に見せてちょうだい。それがあなたにとっての幸せなのだから』

 そんな会話が聞こえてきて、アクマロは内心で笑いが止まらなかった。
 これの何処が幸せなのだろうか、少なくてもスバルにとっては最悪の不幸以外の何者でもない。
 今はまだ操り人形故にその事実に気付いていないが正気に戻った所で、その事実は彼女を嘆き苦しみ哀しみに暮れさせる事だろう。
 彼女の関係者や中国風の少女が守ろうとした乱馬なる男にその事実を伝えれば哀しみは広がるのは明白だ。

「場合によってはこの地で起こせるやもしれませんな」

 この殺し合いの舞台といえど上手く立ち回り事を進めれば裏見がんどう返しの術、その条件を整える事が出来るかもしれない。
 とはいえ、それは現状机上の空論に過ぎず、どちらにしても十臓と裏正は必要不可欠だろうし、シンケンジャー等多くの邪魔者がいる事を踏まえると容易にはいかないだろう。
 そのため、現状は頭の片隅においておく程度に留めておく。

365二百年野望 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 20:30:10 ID:5ZY8/ZfQ0

 一方でノーザの方に視線を向ける。
 彼女はスバルにこれからさせようとしている事が自身の幸せと語っていた。
 だが、一連の事は少なくても幸せに繋がるというものではない。むしろ真逆と言って良い。
 それを望んでいる事を踏まえると、ノーザは嘆きや悲しみを糧とする自分達外道衆と同じ側の人物という事になる。

「接触してみるのも面白いかも知れませぬな」

 そう考え近づこうとしたが既に二人は何処かへと移動を始めていた。

「そういえば先程何かの叫び声が聞こえた様でしたな、恐らくは……」

 その場所に向かい、スバルに殺戮を繰り返させるのだろう。
 叫び声から判断し、その場所には多くの者達が集うだろう。
 もしかしたらそこに十臓が向かう可能性もある。
 まずあり得ないだろうがスバルが十臓を仕留める可能性も無いとはいえない、流石にそれは避けねばならない。
 それを考えるならば様子見ではあっても自身も向かった方が良いだろう。
 何より、機会があるならばノーザと接触もしておきたい所だ。同じ種類の者同士、交渉次第では一時的に共闘も出来るだろう。

「では参りましょうか」

 そう呟きノーザ達が向かった方向へと足を進める。
 全ては地獄をこの身で味わう為、ここまでの仕込みは順調、二百年前から進めていた野望を加頭の名乗る人間共に潰されるわけにはいかない。
 外道衆から見ても異常な願望を持つ外道は己が道を往く――





 ――が、果たして本当に順調なのだろうか?

 例えば、ドウコクが抱える水切れの問題についてもそうだ。
 仮にドウコクが水切れの問題を克服したならばどうだろうか?
 その圧倒的な力により一蹴されるのは言うまでもない。
 無論、これは可能性の低い事、それ故にそこまで考慮すべき事ではないだろう。

 だがそれ以前に根本的な問題が存在する。
 仮に裏正も十臓の身の安全も確保し裏見がんどう返しの術の話、そして裏正の真実を語ったとしよう。
 アクマロの計画では十臓がその魂を救うべく件の話に乗る手はずである。
 しかし、その計画では十臓がその話に乗らないという可能性が完全に抜け落ちている。
 そもそも、十臓程の剣の達人ならば裏正の真実に気付いている可能性もあるだろう、当然その時は真実を知った上で裏正を振るい続けていた事になる。
 十臓が身も心も完全に外道に堕ちていたという可能性を何故考慮しない? 仮にそうなら話に乗る道理もないだろう。
 また、そこまで外道に堕ちていたならば人でも外道でもないという条件にすら外れるのでは無かろうか。

 アクマロは気付かない、二百年に渡る計画そのものに根本的な穴が存在している事を――



【一日目・未明】
【C-5/森】
【筋殻アクマロ@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:地獄をこの身で味わう為、十臓と共に脱出を試みる。
1:ノーザに接触する為、音の響いた方へと向かう。
2:裏正、太夫の三味線の確保及び十臓を探す。
3:ドウコクに関してはひとまず放置。
4:条件が揃うならばこの地で裏見がんどう返しの術を試みる。
[備考]
※参戦時期は第四十幕『御大将出陣』にてシタリから三味線を渡せと言われた直後。
※アインハルトが放った覇王断空拳の音を聞きました。

366 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 20:31:14 ID:5ZY8/ZfQ0
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

367 ◆gry038wOvE:2011/11/09(水) 20:44:38 ID:BTACJb6U0
>>現れた魔女! その名はノーザ!!
シャンプーorz
初参戦だし奉仕マーダーとしてどこまでやれるか期待してたけど、ここで脱落か…
しかも変身せずに敗北か…乱馬の弱点が一つ減ったなぁ
そして、戦いはつづく…

>>生きる意味を求めて
殿も外道に堕ちたか…
終盤参戦なのにマーダーなヒーローっていうのは珍しい
序盤参戦なのにマーダーな探偵もいたけど、そいつも近いですね
裏正はこっちで支給しようと思ってたけど殿に支給されたのがちょっと残念

>>二百年野望
アクマロは悪役だけど面白いスタンスだなぁ…
ネタバレするとドウコクは○○○だからアクマロの計画は(ry

では、自分も投下します。

368外道─ビースト─ ◆gry038wOvE:2011/11/09(水) 20:45:30 ID:BTACJb6U0
 姫矢准は前方の彼方に見える異形の怪物を見つめていた。
 血を被った悪魔のような恐ろしき形相は、加頭によって召喚されたあの場でも異彩を放っていたことだろう。
 "ドーパント"という怪物を見るより以前に、あの場には怪物がいた。ゆえに誰もがあの男に注意を払っていたのである。人の群れに逸れた怪物──
 それがあれだ。


(ビーストか……?)


 少なくとも自分が戦ってきた怪物「ビースト」とは違う。
 あの獣の形をした怪奇とは、また別の怪物であるような気がする。
 あれが妙に人型として完成しており、行動も妙に思考や感情に伴ったものであるように見えたからだ。
 言ってみれば、加頭が変身した「ドーパント」に近い。

 だが、こうして異形を前にするとつい「ビースト」という呼称が頭に浮かぶ。
 あれはビーストと呼んで差し支えないだろう。────まあ、言ってみれば姫矢にとって「ビースト」は異形の総称のようなものであり、あれに呼び方がない以上は「ビースト」と呼んだほうがわかりやすかったのだ。
 かつて西条凪が自分をビーストと同等に考えたのと同じである。


(やっぱりこの殺し合いは普通じゃない……)


 あのような怪物を拘束し、常軌を逸したウルトラマンの力さえ抑制するこの殺し合い。
 それは姫矢の常識など遥かに越えた異常な場である。
 先ほど、姫矢はストーンフリューゲルを呼んだが、それがやって来ることはなかった。つまり、デュナミストの能力もこの場ではどの程度使えるかわからないということだ。

 ただ、ウルトラマンとしての変身には支障がなかった。実験したところ、巨大な姿になることはなかったが、変身そのものには問題がない。
 ブラストショットも発射できたし、アンファンスからジュネッスへと形態を変えることもできた。
 メタフィールドの発生は実験すらしていないが、おそらく無理だ。これに関しては、ストーンフリューゲルが呼び出せなかったことから、他の参加者が影響できないものは制限されると考えられたから推測したのである。

 加頭もあの場で言っていたはずだ。

 ────時間操作の影響を受けずに作動するよう出来ていますから

 下手をすれば、空間さえ越えてメタフィールドが発動した瞬間に首輪が爆発する可能性だって否めない。
 時間を操作できるという言葉の意味はわからないが、少し強引に考えればメタフィールドのことを言っているとも考えられる。メタフィールドはそもそも現実とは全てが違うと言っていいからだ。無論、時間に関しても。

369外道─ビースト─ ◆gry038wOvE:2011/11/09(水) 20:46:05 ID:BTACJb6U0
(まあいい……この場にはTLTの人間や弧門もいる。援護を手伝ってくれるかはわからないが、協力してくれれば心強いのは確かだ。……しかし、あいつから目を離すことはできないな)


 姫矢は尚、「ビースト」の様子を遠目で追い続ける。
 相手の強さがどの程度であるか、まだわからないが戦う覚悟ならばできている。
 こんな時、戦闘のプロであるあの集団がいれば心強いのだろう……と思いながらも、今は力に選ばれた自分の圧倒的な能力を信じ、「ビースト」の態度によっては戦うのみ。
 

 ──溝呂木眞也──


 そう、ヤツとも────


★ ★ ★ ★ ★


 虫がいることには気が付いている。
 ただ、相手にしていないだけだ。

 血祭ドウコクは、後方で自分の様子を覗き見る男の存在を察知していた。
 ドウコクの異形に驚くこともなく、ただ覗き見ているだけの男には少し違和感も感じた。
 まるで戦う覚悟があるかのようで、手を合わせればただの人間よりは楽しめそうな相手だとは思える。


 しかし、それでもやはり虫と同じだ。
 あれは所詮は人間。たとえシンケンジャーのように変身しようと、太夫のように外道に堕ちようと、ドウコクと人間の間には力の差というものがある。
 それこそ、ドウコクの前には人も虫と同じというほどに。


(あんまりうぜぇようなら殺すが、今は虫を追うのも面倒だ。シンケンジャー……奴らでもない限りは今殺す意味がねぇ)


 こんな何もない森の中であんな技量不明の男を殺しても満たされはしない。
 今、ドウコクが何より殺したくて仕方のない相手はシンケンジャーである。

 折角、水切れを起こさない体になったのだ。
 手合わせするならシンケンジャー一筋というもの。
 わざわざ男の前まで出向いて首を狩るのも面白味も意味もない話だ。
 今はあんな雑魚は無視してシンケンジャーを殺す。
 ただ、それだけだ。


 それと、標的というのならもう一人。
 こんな場所に連れて来て、ドウコクの刀を奪った加頭は忌むべき存在──加頭も同じくドウコクの苛立ちを買った。
 殺し合いというものはドウコクの気分を高揚させる言葉ではあるが、ドウコクのニ刀を奪い、こうして降竜蓋世刀を支給品にまぎれさせてくるとは──

370名無しさん:2011/11/09(水) 20:46:25 ID:Abn4ZwP60
投下乙。
アクマロさんまで北戦争参入かよ!
ていうか、自分で話投下しといてなんだけど、殿一人だけ離れててカワイソスw
まあ一応、シャドウフォンとメモ持った乱馬がそっち方向に向かうフラグは立てたけどさ。

371外道─ビースト─ ◆gry038wOvE:2011/11/09(水) 20:48:04 ID:BTACJb6U0
 ドウコクの降竜蓋世刀が支給品の中に紛れていたことを考えると、昇竜抜山刀がどこかで誰かの手に渡っている可能性もある。その誰かというのが、あの刀も使いこなせぬような小虫だったというのなら、ドウコクの苛立ちも募るだろう。まあ、たとえ達人であろうともその苛立ちに代わりはないだろうが。
 威力としては昇竜抜山刀の方が強く、ニ刀が揃ってこそドウコクも落ち着くという理由もあり、持主が見つかれば殺したい。あれを他人の手に委ねた加頭に対しても同じだ。


 それに、おそらく没収されているのはドウコクの刀だけではないだろうと考えられる。
 やがて一つの刀の名が思い浮かぶ。


(死んだヤツが作った死んだヤツの刀……裏正、あれも誰かが持ってるのか?)


 裏正のことを思い出して初めて、広間に二人の死者の存在があったことに気が付いた。
 アクマロ、十臓。いずれもドウコクの時間軸ではシンケンジャーに倒されており、二人の姿がここにあるのは少し疑問でもあった。
 だが、面倒なことは考えずにアクマロや十臓も殺せばいい。
 気に入らない奴らだが、また死んでしまえば同じことだ。

 
 外道衆の御大将はひとつの愛刀を右手に歩く。
 歩き出したとき、虫が一匹、それに合わせるように動いたことに気づいた。
 いま、感じきれぬような苛立ちがドウコクの心に募る。



【1日目/未明 E−7 森】

【姫矢准@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:エボルトラスター@ウルトラマンネクサス、ブラストショット@ウルトラマンネクサス
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:ビースト(ドウコク)の様子を伺い、危険とみなせば倒す
2:弧門やTLTの者と合流する
3:溝呂木を倒す
[備考]
※参戦時期はダークメフィストとの最終決戦直前です。
※制限によりストーンフリューゲルの召喚、メタフィールドの発現は禁止されています。
※ドウコクを自分が戦ってきたビーストと同種とは考えていませんが、未知の生物の総称としてビーストと呼ぶことにしました。


【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康
[装備]:降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:その時の気分で皆殺し
1:追ってくる男に少し苛立ち。殺すか…?
2:昇竜抜山刀を持ってるヤツを見つけ出し、殺して取り返す
3:シンケンジャーを殺す
4:加頭を殺す
5:アクマロ、十臓なども殺す
[備考]
※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。

372 ◆gry038wOvE:2011/11/09(水) 20:48:44 ID:BTACJb6U0
以上、投下終了です。

373名無しさん:2011/11/09(水) 21:01:00 ID:Abn4ZwP60
うぎゃあ…感想割り込ませちゃってすみません。

投下乙です。
ウルトラマンVS外道衆、戦い直前といったところですか。
ぶっちゃけネクサスはどの程度まで強いのか知らないけど二人の戦いがどうなるか楽しみだ。
裏正については謝ることでもないんでしょうが、先に取っちゃってごめんなさい。
実をいうと降竜蓋世刀も裏正と一緒に支給させようかなと考えたんですが、やらなくてよかった…

374 ◆7pf62HiyTE:2011/11/09(水) 21:05:21 ID:5ZY8/ZfQ0
投下乙です。

や  は  り  水  切  れ  問  題  解  消  時  期  か  ら  か  !  !
白状すると、当初の予定ではドウコクとの同時予約で、その際ドウコクの参戦時期を裏切り露呈以降にする方向で参戦時期も水切れ問題解消の可能性があるという言及を入れるつもりでした。
断定させるのはどうかと思ったので、明言する気はなかったもののその時期になれば良いかと半ば思っていました。

……というか三途の池とはなんだったのか???

何処に向かうにしろ血の雨が降るぞ……とりあえず姫矢さん。ドウコクと戦う前に早く誰かと合流して、合流してくれないと継承もへったくれもないから……流石にまだ凪と孤門は早すぎる。

375 ◆gry038wOvE:2011/11/09(水) 21:30:31 ID:BTACJb6U0
>>373
これはこれで良いと思ってるのでOKですwww
生身で使う殿の刀とかあったら、それ支給して、裏正は殿へ、ドウコクの刀は十臓へ、殿の刀はドウコクへ…みたいにしたかったけどシンケンマルとか烈火大斬刀は一応本人支給みたいなもんだったしなぁ…
まあ、早い者勝ちが創作の世界さ…

ドウコクって水切れがあるから結構極端なんですよね。
克服前だとろくに三途の池から離れられないし、克服後だと三途の池不要じゃね?っていう…

376名無しさん:2011/11/09(水) 22:23:52 ID:2gwJFVyU0
投下乙です

殿はやっぱりその時期から参戦かと思ってたがまさか乗っちゃったとは…
しかも仲間の参戦時期も影武者とは知らない時期の奴もいるから…
ああ、参戦時期を弄るだけでここまでマーダーが増えるとはw

アクマロはアクマロで対主催なんだがとはとてもそうには見えんw
しかもお前までそっちに行くとはっ!?
あの付近が酷いw

ドウコクはヤバいぞ。姫矢さんだけでは死ぬぞ
付近には誰かいないとこれは…
姫矢さんは逃げてえ

377 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:06:51 ID:lXjK8qYU0
乙です。
シンケンジャー組、これは色々な意味でやばいw
殿は殺し合いに乗った上に、よりにもよってドウコクは水切れ克服後とは……
おまけにアクマロは激戦区に行きやがった。
カオスなんてレベルをはるかに超えてるって、これw

さて、それじゃあ自分も。
零、投下いたします。

378銀の意志・金の仇 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:08:10 ID:lXjK8qYU0

「参ったな……これは」


かつて古代に栄えた戦闘民族グロンギが眠っていたとされる、古めかしい遺跡にて。
古代よりホラーを狩り続けてきた魔戒騎士、その現代における一人―――凉邑零は、現状に小さくため息をついた。
悩みの種は、無論加頭という男のことだ。
つい先程まで自分は、愛する者と師の仇である黄金色の魔戒騎士を追跡していたのだが、気がつけばあの広場に拉致されていた。
そして宣告されたのは、殺し合いへの強要だ。


(変わり種のホラーの仕業……ってところか?)


これを零は、ホラーの仕業であると考えていた。
ホラーは皆例外なく人を食らう化け物だが、中にはわざと人の恐怖心を煽ってから食らおうとする変わり種もいる。
恐らくあの加頭も、そんなホラーの一体ではないだろうか。


(それにしては少々、不自然な点が多いのは気になるけどな……)


しかし、ここまでの考えはすべて、あくまで憶測にすぎない。
もしかしたら、仇敵同様に凶行に走った魔戒騎士の仕業かもしれないし、案外、ホラーや魔戒騎士とは関係無いテロリストの仕業かもしれない。
事実、広場にいたのは魔戒騎士や魔戒法師とは何ら関係性のない者達が殆どだった。
それに加え、ガイアメモリという未知の魔道具―――かどうかは流石に分からないが―――の存在などもある。
兎に角、単にホラーの仕業と考えるには、不自然すぎる点が多すぎるのだ。

379銀の意志・金の仇 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:08:55 ID:lXjK8qYU0


(だけど……シルヴァを奪われてしまった以上、可能性はあるな)


しかし、それでも零はこの一件に、ホラーが噛んでいると考えていた。
根拠はただ一つ……相棒の魔導輪シルヴァが、ここにいない事。
加頭に没収されている可能性が極めて高い事にある。
シルヴァは戦場を共に駆ける相棒として、自分を鼓舞し、時には勝利へと導く策を授けてくれる存在だった。
そして何よりありがたい点は、彼女にはホラーの気配を察知でき、それを知らせてくれる事にある。
そんな彼女を、加頭は奪った……自分と切り離したのだ。
こんな事をするメリットなど、どう考えても一つしかない……ホラーの気配を悟られないためだ。
ならば恐らくだが、この会場には何かがある。
ホラーに関係している、魔戒騎士に悟られてはまずい何かが。
だったら、今後の行動方針は決まりだ。


(まずは、そいつを確かめないとな……
こんな悪趣味に付き合うつもりなんかこれっぽっちもない。
シルヴァは必ず取り戻す、このゲームも潰させてもらうよ)


魔導輪を奪ってまで隠したい『何か』を見つけ出し、この殺し合いを止めるまでだ。


(俺も、魔戒騎士だからね)


零は端から、こんな殺し合いに参加するつもりなどなかった。
正式な称号こそ授けられていないとはいえ、仮にも魔戒騎士を名乗る身である以上、当然だ。
相手がホラーであるにせよないにせよ、悪党を見逃すつもりなど毛頭ない。
殺し合いに乗るものは倒し、それ以外の者達は極力保護するつもりである。






ただし……一人の例外を除いて。

380銀の意志・金の仇 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:09:54 ID:lXjK8qYU0

(それでも、牙狼……お前だけは殺させてもらう。
必ず……この手で……!)



この状況下においても、零の中にある復讐心は微塵も揺らいではいなかった。
誰よりも尊敬していた、父親同然の師―――道寺。
誰よりも愛していた、かけがえなき婚約者―――静香。
大切な二人の命を、黄金色の魔戒騎士はその刃で奪いさったのだ。
奴だけは……牙狼だけは、絶対に許せない。
この手で必ず仇を討つ。
そうしなければ……この憎悪は決して晴れない。
何より、二人の無念を晴らせないのだから。



(加頭、お前のやった事は絶対に許せない。
だけど……あいつを、俺と一緒に呼んでくれた事。
それだけは、素直に感謝するよ)

381銀の意志・金の仇 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:11:31 ID:lXjK8qYU0





―――この時、零は知る由も無かっただろう。




―――己が仇と呼ぶ鋼牙は仇ではなく、後に唯一無二の友になれようとは。



―――この会場にいる鋼牙が、零を信頼できる仲間だと思っていようとは。



―――そして本当の仇敵である黒騎士が、この殺し合いの場に呼ばれているとは。




―――僅かな時のすれ違いが……金と銀の魔戒騎士に、大きな思惑の違いを起こしていたなどとは。

382銀の意志・金の仇 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:12:06 ID:lXjK8qYU0

【1日目/未明 D−6 グロンギ遺跡】


【涼邑零@牙狼─GARO─】
[状態]:健康
[装備]:魔戒剣、魔導火のライター
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:加頭を倒して殺し合いを止める。
1:牙狼を見つけ出し、この手で仇をとる。
2:殺し合いに乗っている者は倒し、そうじゃない者は保護する。
3:会場内にあるだろう、ホラーに関係する何かを見つけ出す。
[備考]
※参戦時期は一期十八話、三神官より鋼牙が仇であると教えられた直後になります。
 その為、鋼牙が恋人と師の仇であると誤認しています。
※魔導輪シルヴァは没収されています。
 他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。
※シルヴァが没収されたことから、ホラーに関係する何かが会場内にはあり、加頭はそれを隠したいのではないかと推察しています。
 実際にそうなのかどうかは、現時点では不明です。

383 ◆F3/75Tw8mw:2011/11/10(木) 00:13:11 ID:lXjK8qYU0
以上、投下終了です。
零には、参戦時期的に一番おっかない時期に来てもらいました。

384名無しさん:2011/11/10(木) 00:20:03 ID:2eB/OT720
投下乙です

また危ない時期からの参戦者が来たぞw
一応は対主催だが…負の連鎖が起こる予感がぴんぴんするよ
誰か止めて〜

385名無しさん:2011/11/10(木) 00:34:33 ID:VjtCGivk0
乙です。
零、よりによってその時期から参戦か……
対主宰とはいっても、鋼牙を殺すためになら手段を選ばなさそうだから半端じゃなくやばい。
誤解フラグもばらまきそうだし、さてさてどうなることか

386名無しさん:2011/11/10(木) 07:58:22 ID:WiSay0pU0
皆様、投下乙です
>生きる意味を求めて
殿様……ああ、何という決意をしてしまったんだ
本物の外道を目指してしまうなんて。
乱馬、出来るなら二人にこの事を伝えてほしいけど遠すぎるよ!

>二百年野望
アクマロ、ノーザの企みに気付いてくれた! ……でも、外道な事には変わりないんだよなぁw
果たしてこの地で裏見がんどう返しの術は出来るのか!?

>外道─ビースト─
姫矢さん……最初からヤバイ相手に出会っちゃったよ
しかも最強の外道衆だから、ウルトラマンでも勝てるかどうか……

>銀の意志・金の仇
零、よりにもよってそんな時期か……
本当の仇はここにいるんだから、鋼牙さんと上手くやってくれ!

387 ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 15:57:29 ID:a92b0P3o0
月影ゆり、投下します。

388人類は救済されました ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 15:58:31 ID:a92b0P3o0
――――もう遅い。何もかも全てが終わってしまった。


     *


全てが嘘のように、何もかもが皆変わってしまっっている。



惑星城での戦いも
妹の終わりも
父の死も
全てが砂漠と化したはずの世界すら

月影ゆりの取り巻く世界は全ての相貌を変えていた。

砂漠の使徒の侵略を受けて、全土が砂漠化されてしまってはずの地球。
しかしゆりの眼前に広がっているのは、夜の静寂に包まれながらも
確かな命の息吹を感じさせる、青々とした木々。
遠くからは微かにだが豊かな潮の香りが漂う。
耳をすませば微かに波の音まで聞こえてきた。
目を凝らすと、森の向こうに閑静な町並みまで見える。
砂漠などどこにも無い。
世界を席巻していたはずのデザートデビルも、1体たりとも見当たらない。

この状況が指し示す意味は1つ。
世界は砂漠化から救われていたのだ。
プリキュアであるゆりの、全く与り知らない所で。
プリキュアの存在など、必要無かったとでも言うように。

そんな望んでいたはずの光景の中で、ゆりはただ呆然と立ち竦む。
平和を取り戻した世界を信じられないとでも言うように。

ゆりは現存するプリキュアとしては、花咲薫子に次いでキャリアが長い。
心の大樹を研究していた父親がパリで行方不明になった3年前にプリキュアとなって以来
ゆりは心の大樹を、人類を守るために戦って来た。
人知を超えた強大な組織である砂漠の使徒を相手に、警察や軍隊のような公的機関すら当てにできない状況で
心の大樹、ひいては世界を守ると言う重責を背負ってたった1人のプリキュアとして戦い続ける。
そして自分の妖精であるコロンをサバーク博士に殺され
その心の傷が癒えず、ゆりはしばらくプリキュアとして戦うことができなかった。
しかし後輩のプリキュア、つぼみやえりかやいつきと接していき
コロンの魂に励まされ、再びプリキュアに変身することに成功する。
今やもう、ゆりは1人では無い。
同じプリキュアの仲間と共に、世界を守るために戦える。
例え世界が砂漠化し、世界中の人々がクリスタルと化しても挫けずに立ち向かっていくことができる。
そして4人のプリキュアで敵の本拠地、惑星城に攻め入ることができた。

389人類は救済されました ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 15:59:33 ID:a92b0P3o0
そこに何が待ち受けているかも知らずに。

惑星城での戦いの中で知った真実。
それはサバーク博士が自分の父親、月影博士だということ。
そして宿敵であるダークプリキュアは、サバーク博士が作り出した自分の妹であること。
ゆりにとってサバーク博士とダークプリキュアは、単なる敵では無い。
長い戦いで何度も苦しめられ、そして掛け替えのない自分の妖精、コロンを殺した
正に仇敵と呼ぶべき存在だった。
それが捜し求めていた父であり、その妹であったのだ。

それを知った時には、既に何もかもが遅すぎたのだろう。

どれほどの因縁があろうと月影博士はゆりの愛する父親である。
しかし月影博士は、ゆりを抱き締める資格は無いと言って拒絶する。
ゆりにとっては父親に資格など関係ないと言うのに。
過去にどんな罪業を背負っていても、父親として愛していたいと言うのに。
そして妹はゆり、キュアムーンライトの放ったプリキュア・フローラルパワー・フォルテッシモを受けて消滅して行く。
妹がゆりの手によって死んで行ったのだ。ゆりを拒絶した月影博士に抱きしめられて。
その月影博士も砂漠の使徒の首領、デューンの攻撃からゆりを庇って死んで行った。

デューンに奪われた。
大切なものを。いとも簡単に。

3年前のパリで月影博士をサバーク博士に変えられ
コロンを父に殺され
妹をこの手に掛けられ
父も今またデューンに殺された。

ゆりの精神が怒りをも飲み込む憎悪で満たされる。
もはやデューンを倒すこと、否、殺すことだけが望みとなるほどに。
強大無比なるデューン相手に、ゆり1人では勝てるはずが無い。
それでも構わないと、ゆりはデューンに立ち向かっていく。



――――そして次の瞬間世界は変貌した。
――――あまりにも唐突に。あまりにも呆気無く。
――――ゆりの憎しみも、意思も、人生も、全て無為だと嘲笑わんばかりに。

憎むべきデューンはどこにも居ない。
代わり、と言うべきか加頭順と名乗った男が何やら話している。
殺し合い。
普段のゆりなら憤りを覚える話だが、今はそれどころでは無い。
倒すべきデューンがどこにも居ない。
そして倒したはずの妹が居る。
黒衣に片翼、見紛うはずも無い。消滅したはずのダークプリキュアがそこに居たのだ。

ゆりの明晰を以っても把握しきれない事態。
それでも長い戦いで培った注意力は、加頭の話を聞き漏らさずに居た。
しかし殺し合いをしろと言うのは、あまりにも不可解な要求である。
殺し合いそのものの意味が分からないし
何より、世界が砂漠化して人類のほとんどがクリスタル化している状況なのだ。
それなのに当の問題を解決しようとしているプリキュアを、殺し合いのために呼び出すなど
どう考えても理解に苦しむ。
それとも砂漠の使徒とは違う、人類外の侵略者の仕業なのだろうか?
ゆりは今、それどころでは無いと言うのに。

そして次に送り込まれたのが、ゆりが現在居る場所である。

390人類は救済されました ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 16:00:40 ID:a92b0P3o0
砂漠もデザートデビルも無い、殺し合いに参加させられた多くの人たち
あらゆる状況証拠が、世界が平和を取り戻したことを示している。
殺し合いの会場なのだから平和と言う言葉は不適当かもしれないが
少なくとも世界から人類の危機は払拭されていた。
今のゆりに、参加させられている殺し合いは念頭に無い。
ただ地球が平和を取り戻した事実が、ゆりに重く圧し掛かっていた。

地球にデザートデビルを侵攻させ全土を砂漠化したのはデューンの力である。
地球を危機から救ったと言うことは、即ち砂漠の使徒の根源であるデューンを倒したと言うことだ。
あるいは厳重な封印と言う形を取ったのかもしれないし、地球からはるか遠くへ放逐したのかもしれない。
何者がどんな方法でそれを為し得たかなど見当もつかない。
いずれにしても、ゆりにとって肝心なのは
もうデューンはゆりの手の届かない所に行ってしまった事実であり
そしてプリキュアの戦いが、全て無に帰した事実である。

得体の知れない感情がゆりの中に渦巻く。
ゆりは鉛のように重くなった自分の身体を支えきれず膝をついた。
この場に余人が居ても、ゆりの虚脱仕切った表情からは何も読み取れないだろう。

400年に渡るプリキュアの戦いも。
受け継がれてきたプリキュアの魂も。
プリキュアの戦いに全てを捧げてきたゆりの人生も。
ゆりとつぼみとえりかといつきの4人が、いかなる艱難辛苦も乗り越えて来た戦いも。
コロンの死と、ゆりの悲しみも。
月影博士の死と、ゆりの憎悪も。
何もかも、何もかも、何もかも、何もかも、何もかも
全てが一瞬の内に、がらくたも残らない塵と化した。

ゆりは嗚咽のような物をその口から吐いたが、それにすら気付かない。
平和を取り戻した世界の中で尚、暗黒に呑まれ
殺し合いの中で尚、世界から断絶されたゆりの精神に、もはや余計な物が入り込む余地は無かった。

どういう形であれ、もう決着は付いたのだ。
もし、ゆりが憎しみのままにデューンを倒すことが出来たら
それがどれほど虚しく愚かなことでも、納得がいっただろう。
あるいはゆり以外のプリキュアがデューンを倒しても、心情的には納得いかなくても受け入れられないことは無かっただろう。
プリキュアが長き戦いの果てに、砂漠の使徒を遂に倒したと言うことなのだから。
あるいはデューンとの戦いに敗れても、無念はあれどこれほどの虚無と絶望は無かっただろう。
プリキュアとなった以上、戦いに敗れて死ぬことは覚悟の上のこと。
しかし戦いの決着はそのどれでも無かった。
いや、決着すら付けられなかった。
歴史にもしは有り得ないし
現実はどんな惨状でも受け入れる他は無い。
全てが夢幻のごとくに露と消えさったとしても。
何もかも、何もかも、何もかも、何もかも、何もかも
全てが一瞬の内に、三文芝居にすらならない無へと帰した。

プリキュアとなったのはゆりが自分の意思で決めたことだ。
全ての心が満ちるまで戦うと決意したこと決意したのも、ゆり自身。
そしてその果てがこの有様だ。
もうこれ以上、ゆりにはプリキュアの使命も誇りも背負えはしない。
ゆりには憎むことも、プリキュアであることすら残されていないのだ。



殺し合いが始まってどれ位経ったのだろう?
何時間か? 何日か? それとも一瞬か?

391人類は救済されました ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 16:03:19 ID:a92b0P3o0
時間の感覚すら無いゆりにも、ようやく多少の落ち着きは戻って来た。
だからと言って、現実は何も変わりはしないし
ゆりの抱える虚無も絶望も変わりはしないのだが。
それでも、未来に思考を向けられる程度には頭を冷やすことはできた。

既に殺し合いは始まっているのだ。ともかく、それにこれからどう対処するかを考えなければならない。
だが過去を全て失くしたも同然のゆりが、何を根拠に未来を選べばいいのか。
かつてのゆりなら迷うこと無く、脱出を目指していただろう。
しかし今更命がけでそんなことを志す気にはとてもなれない。
月影ゆりはもうプリキュアの正義を失くしたのだから。
では、ただの月影ゆりの正義ためにそれを為せば良いのだろうか?
主催者を倒し、参加者を救って、そして何事も無かったかのように母の待つ家に帰る。
永遠に帰らない父を待ち続ける母の下に。
絶対に帰らない父のために膳を用意する母の下に。

ゆりは深く自分に問う。
ただの月影ゆりは一体何に迷い、何を望んでいるのかを。
ゆりと母はどうすれば報われるのかを。

『優勝された方にはどんな報酬でもお渡しする用意がございます。金銭や物品、名声や社会的地位、或いは
人の命を蘇らすことなども可能です。奇跡も魔法も、我々が実現して差し上げます』

思い出されるのは加頭の言葉。
もしそれが真実なら、ゆりは何を望むのか?
それは父と、妹と、コロンと共に母の下に帰ること。
そうすれば、失くした物を取り戻せる。
ゆりの人生を再び取り戻せるのだ。

ゆりはようやく、ゆっくりとだが立ち上がる。
プリキュアではなく、ただの月影ゆりとして。
正義のためではなく、自己(エゴ)のため。

支給されたデイパックを探る。
中にはプリキュアの種と空のココロポットが在った。
プリキュアの種は一度ダークプリキュアを倒したためか、欠けていない完全な状態だ。
何とも皮肉だと、自嘲する。

「プリキュア! オープン・マイ・ハート!」

ゆりの身体が光に包まれる。
顕現する煌びやかな銀の衣装。
黒髪は薄紫色へと変貌。
その姿は紛れも無く、伝説の戦士。

「月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!」

ゆりはプリキュアに変身できた。
その心に正義は無くとも。
成功する公算はあった。
例え悪の尖兵であっても、ダークプリキュアはプリキュアとして存在していたのだから。
この力があれば、他の参加者も楽に、そして再びダークプリキュアを殺せる。
再び妹を殺すことになるが構わない。
何しろ全てが終われば、その妹とも一緒に母の待つ家に帰るのだ。
他のプリキュアが参加している可能性はあるし、加頭の言葉が虚言である可能性すらあるが
今のゆりにはそんなことは問題ではなかった。
ゆりは生まれて初めて自分のために戦うことができるのだ。
そしてそうしなければ、ゆりは立ち上がることすらできなかったのだから。

再び光を取り戻した月光に冴える一輪の花。
それは少し悲しみを帯びていた。

392人類は救済されました ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 16:04:11 ID:a92b0P3o0

【1日目/未明】
【E-8/森】
【月影ゆり@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康、キュアムーンライトに変身中
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、プリキュアの種&ココロポット、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いに優勝して、月影博士とダークプリキュアとコロンとで母の下に帰る。
1:他のプリキュアにも容赦しない。
[備考]
※ハートキャッチプリキュア!48話のサバーク博士死亡直後からの参戦です。

393 ◆amQF0quq.k:2011/11/10(木) 16:04:56 ID:a92b0P3o0
投下完了しました。
何か問題があれば指摘をお願いします。

394名無しさん:2011/11/10(木) 16:56:03 ID:HoVQivV20
投下乙です
ゆ、ゆりさああぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! あんた何を決意してるの!?
しかも近くには別世界のプリキュアもいるし……このままじゃ雪空のともだちみたいな悲劇が起きそうだ。

395名無しさん:2011/11/10(木) 17:37:43 ID:FeRmc4MU0
投下乙です

ちょ、おまっ!
確かにその時期の彼女なら乗ってもおかしくないがお前もかよっ
更に別次元のプリキュアも傍にいるとか…
正義側からマーダーにとか多いなあ

396名無しさん:2011/11/10(木) 18:11:14 ID:VuXpeEFE0
投下乙です
って、乗っちゃったよこの人! というかライトもダークも乗るってどんな状態なの!?
とりあえず、冷静に話し合おうぜ! ……いや、どうにもならない気もするが。
……ん、ちょっと待て、E-8って事は……ドウコクのすぐ近くじゃないのか?
姫矢さん逃げてー!!

397名無しさん:2011/11/10(木) 18:44:50 ID:vN1qPxGI0
投下乙。
おいおいこいつもかよ!
確かに父ちゃん死んだ直後から呼ばれたらやばそうだなとは思ったが…うわーお!

398名無しさん:2011/11/10(木) 19:20:28 ID:HGZvB8OoO
投下乙です!また最悪の時期からかwこのロワはどいつもこいつも堕ち過ぎでしょう?

399名無しさん:2011/11/10(木) 19:32:03 ID:kjzUlThA0
でも時期ネタ考えたらこれでもまだマシな方だぞw
堕ちてもおかしくない奴とか他にもいたしw

400名無しさん:2011/11/10(木) 23:07:34 ID:N1opOfdgO
シンケンジャーやプリキュアは見てないんだけど、こんなエグい作品だったのか・・・・・・嫌いじゃないわ!!

401名無しさん:2011/11/11(金) 12:50:18 ID:C0EJRc3.0
もし日曜の朝にこんなのやってたら子どもはこんな顔になるわな

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402名無しさん:2011/11/11(金) 15:12:12 ID:O16GVq360
ゆりさんとか殿とか、メンバーの中で頭一つ以上抜けてるくらいチートなんだけど過去・性格的に闇堕ちしやすいというかw
でも悲惨な状況かつそれに関する願いがあるゆりさんはともかく、
殿の外道堕ちとかは一種の現実逃避・仲間への想いの裏返しだから、
魔法少女たち相手に無双できるかっていうと、出来なさそうな気がするなあ。

あと晴れて水切れが治ったドウコクだけど、酒切れが心配w

403名無しさん:2011/11/12(土) 18:25:24 ID:NEesvA060
予約がどんどん来てくれて嬉しいな

404名無しさん:2011/11/12(土) 18:31:27 ID:GWV2KJNE0
>>401
シンケンジャーとプリキュアはまだマシな方だぞw


その昔やってたアバレンジャー、555、ナージャという組み合わせは・・・・・・

405名無しさん:2011/11/13(日) 02:38:19 ID:Vn.uVvpwO
>>404
今考えたら、なんというへビーコンボ・・・・・・余裕で顔が橘さんになりそうだ。

406名無しさん:2011/11/13(日) 02:58:53 ID:S1LaOftg0
その年の有名なキャラたちは闇堕ちというか、存在自体が闇キャラだよなあw

407名無しさん:2011/11/13(日) 16:48:47 ID:xDtD3odA0
唐突ですが、今までromだった自分SS書いちゃっていいですかね。
素人の下手な文章ですが。

408名無しさん:2011/11/13(日) 16:51:34 ID:jdF7ox4gO
>>407
そのまま、予約スレにGOです
上手い下手は関係ないので

409名無しさん:2011/11/13(日) 16:56:09 ID:xDtD3odA0
>>408
それでは遠慮なく、予約させていただきます。

410名無しさん:2011/11/14(月) 17:12:31 ID:/lZMP9WgO
最後の未予約参加者はパンストになりました。

411名無しさん:2011/11/14(月) 18:48:26 ID:uDBPB3d60
>>410
一応まだパンストの予約切れてないですよ
あと3時間ほどの間に投下無かったら切れるけど

412 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:08:56 ID:M0OiYN1M0
ぎりぎりになったけど投下します

413 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:10:52 ID:M0OiYN1M0

 佐倉杏子、フェイト・テスタロッサ、ゴ・ガドル・バ。
 二人の少女とグロンギの戦士の戦い――その口火を切ったのは、グロンギの戦士の拳による一撃であった。

「フンッ!」
「ぐう!」

 無造作に、しかし巨体に似合わぬ俊敏さで杏子との距離を詰めたと思うや否や、振るわれるのは鉄槌のごとき拳。
 それを真正面から槍の柄で受け止めたと思った刹那、赤き魔法少女の身体は木の葉のように吹き飛ばされる。
 異形の怪物と年端のいかぬ少女が激突したのだ。一見当たり前の光景ように見え……その実異常な光景であった。
 佐倉杏子もまた、単なる少女ではなく魔法少女と呼ばれる超常の存在。腕力1つとっても常人とは比べ物にならず、比喩を抜きにして猛獣をも簡単にひねりつぶせるだけの力を備えているのだ。
 それを容易く吹き飛ばしてしまう、この異形の戦士の膂力はいったいどれほどのものであるのだろうか?

「はあああああ!」

 ガドルが拳を振り終えた間隙を突き、流星のように金髪をなびかせたフェイト・テスタロッサがその背後に回る。
 金の魔力刃が弧を描き、死神の鎌が戦士の首を狩らんと迫り――同時に放たれていたガドルの裏拳と打ち合う。
 戦士の拳が鎌の柄をとらえ、杏子と同じようにフェイトもまた木端のごとく吹き飛ばされ、森の木の1つに叩きつけられた。
 痛みと衝撃に金髪の少女は表情を歪ませるが、休んでいる暇などない。
 緑の瞳、射撃体へとその身を変えたガドルはすでに、エアボウガンで追撃の準備を整えていたのだから。

『Blitz Action』

 高速移動により少女の姿が掻き消えた次の瞬間、エアボウガンによって木々がなぎ倒される。
 その破壊は凄まじく、巨人の拳で薙ぎ払われたと言われても疑いはしないだろう。

「りゃああああああ!」

 今度は、先ほど吹き飛ばされたはずの杏子がガドルの背中を襲う。
 さらに、上空に逃れた勢いを利用し、落雷のごとく天より落ちくるフェイトも金の刃を振るった。
 射撃武器を用いた直後を狙った、背後と頭上からの同時攻撃。
 さすがにこれはかわせまい――そんな少女たちの期待は、グロンギの戦士によって容易く打ち破られる。

 俊敏体。
 ガドルの瞳が青へと変わると同時、手にしたエアボウガンもまた、両刃の槍ガドルロッドへとその姿を移す。
 その長大なリーチと持ち手の剛腕を活かし、ただ薙ぎ払う。
 たったそれだけで、魔法少女の槍も魔導師の鎌も担い手もろとも弾き返されてしまったのだ。

「厄介な相手だとはわかってたけどさ……こりゃ、想像以上だ。フェイト、あんたなんか策はないかい?」

 空中でその身を翻し、片膝を突きながらもなんとか着地を成功させた杏子が隣のフェイトに囁く。
 その表情にはまだ余裕の色をうかがわせているものの、張り詰めた口調がそれが強がりであることを示している。
 対するフェイトの表情は、赤の魔法少女と比べて真剣そのもの。
 すでに表情を取り繕う余裕もないのか……とも杏子は思ったが、考えてみれば最初からこいつはこんな感じの仏頂面だった気もする。
 例外は、医者と名乗ったいけすかない男――けっきょく名前は名乗らなかった――に母親の話題を持ち出された時だけか。

「正直、思いつきません……ただ、白兵戦ではあまりに不利です」

 2人は決して弱くはなかった。
 〝力〟という一点においてはガドルに遥かに及ばないものの、それ以外の要素であれば十分に渡り合うことも可能であったし、事実先の同時攻撃も後わずか早ければグロンギの戦士を捉えることもできただろう。
 だが、そこがこの2人の限界でもあった。
 なにせ、杏子とフェイトは即席コンビである。
 互いの動きも呼吸もわからずに効率の良い連携を取れるわけもなく、むしろ先ほどの一撃ができすぎていたくらいなのだ。
 つまり、このまま白兵戦を続ける限り、あれ以上の引き出しは2人にはなく、しかもそれがあの異形の戦士に及ばないのはすでに実証済み。
 となれば、別の策を考えねばならないのは必定であり、

「だったらさ、あたしの策に乗ってみないかい?」

 このベテラン魔法少女は、すでにその策を用意していた。



※※※※

414 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:12:05 ID:M0OiYN1M0
 3者による戦いが始まり、すでに幾許かの時間が過ぎていた。

 俊敏体で迫るガドルの猛攻。
 それを赤き魔法少女は、ある時は槍でいなし、ある時はその身軽さを活かしてかわす。
 腕力でこそかなわないものの、少なくとも身の軽さ、素早さという点においては杏子は決してこのグロンギの戦士にも劣りはしない。
 特に、このような森の中であれば。威風堂々、圧倒的な巨体を持つガドルよりも、年相応に小柄な身体しか持たない少女のほうがはるかに小回りがきくというもの。
 幾度となく柔肌をかすめる攻撃はあれぞ、ガドルロッドの刃が杏子の身を捉えることはなかった。

「フォトンランサー」
『fire』

 杏子がガドルを振り切り、両者の距離が離れた瞬間――そこを狙い、上空より幾筋もの雷光が降り注ぐ。
 その狙いは当然、グロンギの戦士。

 とはいえ、ここは森の中である。
 何もせずとも木々が盾となり、その何割かはガドルの元にすらたどり着けずリタイアしていく。
 だが、たったそれだけでその全てを凌げるほど、フェイト・テスタロッサが……彼女が母のために捧げてきた時間、その努力の結晶は小さなものではなかった。
 精密な狙いというには少々ばら撒きすぎではあったが、決して悪くはないコントロールにより、木々の間をすり抜けガドルの元にたどり着くフォトンランサーは少なくない。
 また、大地にしっかりと根を張ったはずの緑の障壁も、確実にその役割を果たせるのはたった一度だけ。天より飛来する雷の槍を前にしては、穿たれ、燃え、容易く崩れ落ちてしまう。
 当然、後続の射撃魔法を防ぐことはかなわず、迂闊に一ヵ所に止まろうものなら、このグロンギの戦士とてたちまち蜂の巣になりかねなかった。

「ボシャブ、バ……」

 今もまた、咄嗟にその場を跳びのいたガドルの外骨格に1つのフォトンランサーが着弾する。
 瞬時に弾けた雷光は、いかなる鎧にも勝る戦士の外骨格にわずかな焦げ目を残しただけに終わり、到底倒すには至らなかった。

 ――だが、無傷ではない。
 その事実は、少女たちに作戦の正しさを実感させ、グロンギの戦士にはわずかな苛立ちを募らせる。
 ガドルの外骨格に刻まれた傷は、この一撃を持ってとうとう2桁に達していたのだ。


 佐倉杏子の提案した作戦は単純なものだった。
 飛行魔法という、杏子にもガドルにもない強みを活かし、フェイトには上空から射撃魔法による攻めを担当させ、自身は身軽さを活かして地上での足止めに専念。
 ガドルの長所ともいうべき圧倒的な力、それと正面から向かい合うことは避け、逆に自分達の長所と数の利を活かして相手に立ち向かうという理にかなったものである。
 提案した直後こそ、危険すぎるという理由からフェイトに反対されたものの、杏子が押し切る形で決行されたこの作戦は、ここまではうまくいっていた。

415 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:13:55 ID:M0OiYN1M0

 リントの少女達のとった戦術。
 対するガドルがこれを打ち破らんとするならば、まずはどちらか一方に的を絞り倒すべきであるだろう。
 攻め手と守り手、どちらかが崩れただけでもこの作戦は容易く瓦解するし、複数の敵を相手にした時のセオリーとしても、下手に的を散らすよりは機を見て1人ずつ葬っていくのが常道。
 だが、それは考えるほど簡単なことではない。
 少なくとも、現段階ではそれがうまくいっていないからこそ、戦士の骨格には10の傷が刻まれるに至ったのだ。

 戦闘再開直後、ガドルが真っ先に標的としたのが、変幻自在の槍を操る赤い魔法少女。
 ガドルと接近戦を行い、足を止める役目を負った佐倉杏子である。
 だが、この少女が存外曲者だった。
 確かに単純なスペックだけを比べたら、少なくともガドルが少女に劣ることはない。
 しかし、この少女は見た目の幼さと裏腹に、相当な戦いの経験を積んだ手練れであり、自分に課せられた役目を、この場合の最善となる戦い方をきちんと理解している。
 決して無理はしない。
 あくまでも自分の役割は足止めに過ぎないことをわきまえ、それを忠実にこなす。
 誘いのため、わざと隙をさらしてみせても迂闊に踏み込んでくることはない。
 決して倒されぬようひたすら防御を重視して立ち回り、攻撃は本命たるフェイトの射撃魔法にだけ任せる。
 森の木々を利用し逃げと守りに徹した彼女を倒すことは、適時降り注ぐ雷光の存在もあり、速さに優れた俊敏体をもってしても容易なことではなかったのだ。

 ならば、攻め手を担った雷を繰り出す少女を落とす?
 だが高速で、しかも自由自在に空を飛びまわる金のツバメを落とすことは、やはりガドルにしても簡単なことではない。
 もちろん、手段がないとは言わない。
 彼は飛行能力こそ持たないものの、今少女がいる程度の高さならばその跳躍力だけでたどりつくこともできるし、エアボウガンという飛び道具もある。
 とはいえ、すでに見せた得物の存在は当然相手も警戒していた。
 フェイトはフォトンランサーを繰り出す間も、絶えず空中を飛び回り続け狙いを絞られないようにしているのだ。
 しかしそれでも、少なくともこれが1対1の戦いであったのなら、ガドルがこうも一方的に攻め立てられることはなかっただろう。
 そう、ここでも赤い髪の少女が立ちふさがるのだ。
 下手に殺意の矛先をフェイトに向けようものなら、その隙だけは決して見逃さず、蛇のように狡猾に攻め立ててくる。
 無理して金の少女に攻撃を加えたとしても、わずかに動きが鈍ったその隙に、彼女は素早い動きで攻撃の網から逃げてしまい捉えるにはいたらない。
 
 当たらぬ自身の攻撃。
 それとは対照的に、次々と外骨格に刻まれていく傷。
 苛立ちの中、ゴ・ガドル・バは認めざるおえなかった。

 ――この2人の少女が、まぎれもない強敵であることを。

 2対1、確かにある意味これは対等な戦いではない。
 が、元を正せばガドルが少女達の背中を狙い撃ったことを契機にこの戦いは始まったのだ。
 これは先に逃げ出した男も含めた3対1での戦闘すら視野に入れた上の選択の結果であり、そもそも強者相手に弱者が手を組むのは戦いの鉄則。
 戦士として、絶対の強者と認識され挑まれたことを誇りに思うことはあっても、それを責める気など毛頭なかった。

 ゆえに、1人1人は自身に及ばずとも、ガドルにとってこの2人の少女はまぎれもない強敵なのだ。
 こうして互いの不足を補い、ゴ族最強の戦士たる自分と今渡り合っているという事実がなによりの証拠。
 これを強者と認めずして、何を強者と認めればいいのか?

 もはやガドルには――本気を出すことに、欠片の躊躇もなかった。
 リントの戦士、クウガの扱う〝金の力〟をヒントにして得た力、電撃体。
 ガドルにとっても最強の形態たるこの変身は、体力の消耗も決して小さくはなく、本来殺し合いの序盤にすぎないこのタイミングで使うべき代物ではない。
 それを、使う。否、使わされるのだ。

「誇りに思うがいい。リントの少女達よ」

 あえてそれをリントの言葉で放ったのは、確実に伝えるため。
 これから起こる出来事が、戦士としていかに誇るべき事態であるのか、それを確かにに伝えるためであった。

416 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:15:46 ID:M0OiYN1M0

 作戦はここまで順調に進んでいた。
 順調に進んでいたのだが……内心、杏子は焦りをかかえはじめていた。
 
 その理由は、彼女の支給品にあった。
 ソウルジェムを除き、杏子に与えられたアイテムは2つ。
 短機関銃『イングラムM10』と、『火炎杖』と言うらしい火を吐き出す能力を持った杖。
 武器が2つも来たこと自体は、素直に歓迎できる。
 魔法少女である彼女には、ソウルジェムさえあれば極論他の武器は不要とはいえ、あればあったで使いようもないわけではないし、なにより〝魔力〟の節約にもなる。
 そう、問題は〝魔力〟だ……致命的なことに、杏子の支給品には魔法少女にとって命綱同然といえる代物、グリーフシードが含まれていなかったのだ。

 魔法少女は、魔法を使うたびに〝魔力〟を消費しその分ソウルジェムに穢れが溜まる。
 そしてこれは彼女も最近知ったばかりの事実であるが……ソウルジェムに穢れが極限まで溜まってしまった場合、魔法少女はその身を魔女という名の正真正銘の化物へと変えてしまう。
 つまり、死んだも同然。

 ゆえに、今の優位といえる戦況にも、杏子は焦りを抱かざるおえなかった。
 フェイトのフォトンランサーは確かにガドルの外骨格を抉りつつあったが、それは水滴を岩に落とすようなもの。
 実を結び、グロンギの戦士に大穴を穿つまでにはまだまだ時間がかかる。何度も何度も何度も何度も攻撃を加える必要があるのだ。
 それほどの長時間戦い続ければ、例えこのまま相手を封殺できてもソウルジェムにかなりの穢れが溜まるのは必定。
 フェイトと、ついでにガドルから奪った支給品の中にグリーフシードがなかった場合、杏子は大きく追い詰められことになる。
 大前提として、グリーフシードが参加者に支給されていないという可能性も考えられるため、さらに条件は悪い。

(……となると、考えられる選択肢は2つしかねえ)

 今もまた、杏子はガドルの攻撃を凌ぎ、フェイトのフォトンランサーがグロンギの戦士に突き刺さる。
 しかし、相手が倒れる気配はまったくない。
 それを見て……ひとまず、赤き魔法少女は動くことを決意する。
 撤退か。一気に勝負を決めるか。
 当然、どちらにもリスクはあった。

(確実なのは撤退……なんだけどなあ)

 撤退する場合は、相手の追撃を確実に逃れる方策が必要なのだが、実はすでに思いついていたりする。
 その手段は簡単、仮の共闘関係にあるフェイトを囮にしてしまえばいいのである。

 杏子とフェイト、今は2人ともうまく立ち回り、なんとか相手を封殺しているが、このバランスはどちらか片方が崩れただけで容易く崩れ去る。
 つまり、自分が狙われない程度の距離で、相手にフェイトを狙えるだけの隙を演出してやればいいのだ。
 そうすれば、眼前の強敵はそれを見逃さず確実にフェイトを仕留めにかかり、その機に杏子は撤退できる。
 後は野となれ山となれ。
 フェイトという使えそうな相棒を失うのは惜しいし、もしも生き延びた場合彼女は確実に自分を殺しにかかりにくるだろう。
 だが、ここで消耗しきって詰んでしまうよりは断然ましであり……共闘を持ちかけながらなんだが、騙される方が悪いのだ。

(母さん、か……)

 ふと脳裏によぎったのは、先のいけすかない男との会話の中で垣間見た、フェイトの戦う理由。

「――とにかく、やるしかねえか」

 それを振り切り、佐倉杏子は決断を下した。

417 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:17:15 ID:M0OiYN1M0

「誇りに思うがいい。リントの少女達よ」

 ゴ・ガドル・バが言い放ち、まさに自身最強の形態である電撃体に移行しようとした瞬間――木の根に足をとられ、赤き魔法少女が大きくバランスを崩す。

 ――誘いか?

 この歴戦の少女にありえぬ失態を、ガドルは安易にチャンスとはみなさず誘いでないかと考える。
 しかし瞬時に、誘いだとしてもこれはミスであるとも確信する。
 例えこれがなんらかの思惑を含んだ行動だとしても――この距離ならば、いかなる策をも決行に移す前に勝敗を決することができる。

 ならば、ここで決める。
 そう判断したガドルは己が全力の姿――電撃体へと移行。
 一瞬、金色の光がその身を包んだと思った刹那、その瞳は黄金に染まり、放たれる威圧感はより強大に膨れ上がる。
 それに恥じぬ圧倒的な動き、今まで以上に遥かに力強く鋭い動きで秒にも満たぬ刹那の内に……〝佐倉杏子〟の眼前へと肉薄する。
 同時に繰り出された拳の一撃は、もはや拳であって拳でない。その破壊力はもはや矛、最強の盾すらもうち貫く矛盾なき矛である。
 防御のためであろう、槍がわずか数センチ動いた瞬間には……ガドルの突きだした右腕は杏子の左胸――心臓のど真ん中を貫いていた。

 その手応えに――

「……杏子ッ!」

 その叫びに――
 ガドルは自身の勝利を確信し、

「――ばーか」

 少女の笑みと反撃によって、それを即座に打ち砕かれた。

 自身の身体を貫通した腕をものともせず振るわれる長槍。伸長し、蛇のように曲がりくねったそれがガドルの身体が巻き取ろうと迫る。
 思いもよらぬ、完全に不意をつく形この逆襲を前に、さすがのグロンギの戦士も咄嗟に反応ができず、なすすべもなくその身を拘束されてしまう。
 赤き衣をさらに紅く染めた魔法少女は、そのままガドルの胸板を蹴り、反動で突き刺さった剛腕を引き抜くと、滴る鮮血もおかまいなしに空中でトンボを切った。
 開いた距離、槍の拘束をガドルが解くよりもわずかに早く、すでに魔法少女は次の手を打っている。

 槍、槍、槍。
 少女の周囲に、無数の槍が出現したと思った刹那、それら全てその身をくねらせ、ガドルの身体に次々と巻きついていく。
 がんじがらめなど生ぬるい、そのままガドルを圧殺せんと言わんばかりに数十本も槍の柄がガドルの身体を締め上げる。

「――ボンバロボ!」

 常人ならずともまず動けぬであろうその拘束を、それでも圧倒的怪力によって引きちぎろうとするガドル。
 だが、あまりに体勢が悪い。いかなる怪力をもとうとも、完全に拘束されたこの状況ではそれを百パーセント発揮することはできない。
 それでもギチギチと、異様な音を立て無数の槍による拘束が少しずつ食い破られようとしているのだから恐ろしい。

「フェイト、なにやってる! さっさとでかいの叩き込め!」

 胸にあいた大穴から滝のように血を流し続け、それでも歯を食いしばり必死にガドルを縛り続ける魔法少女が、あまりの事態に呆然としていたフェイトを怒鳴りつける。
 それにようやく我に返ったフェイトは、この最大の好機に自身の最強の攻撃魔法を唱え始めた。

「アルカス・クルタス・エイギアス、疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ」

 槍の柄が、内より圧迫され外に向けて膨れ上がる。

「バルエル・ザルエル・ブラウゼル――フォトンランサー・ファランクスシフト」

 フェイトの周囲に数にして38も雷球が浮かび上がり、放たれる時を待ち望みバチバチとざわめきの声を上げる。
 グロンギの怪力の前に、杏子の拘束は今にも破られそうであったが……それでもわずかにフェイトのほうが早かった。

「……撃ち砕け、ファイアーッ!」

 38発の雷球より放たれた秒間7発のフォトンランサー。
 その斉射時間は4秒、すなわち合計で1064発の雷の槍が、ガドルに向けて降り注いだ。



※※※※

418 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:18:39 ID:M0OiYN1M0

 フォトンランサーファランクスシフト――その着弾の噴煙とともに、大きな火の手が上がっていた。
 降り注いだ雷の槍たちは、周囲の木々をも巻き込み大きく延焼させ、火災を発生させてしまったようである。

「でかいの叩き込めとは言ったけど……少しやりすぎじゃねえか?」

 その惨状に、思わず赤い魔法少女は毒づく。
 彼女自身、咄嗟に飛びのかれなければ、あの破壊の雨に巻き込まれていたかもわからなかったのだ。

 先のガドルとの戦い、最後の最後で戦士の一撃が杏子へと向けられたのは決してミスではない。
 けっきょく、佐倉杏子という少女はフェイト・テスタロッサという少女を切り捨てることができなかった。
 もっとわかりやすい嫌な奴なら躊躇などしなかったのだが、母親のために戦ってるらしいと聞かされてしまいどうにも迷いを捨てられなかったのである。
 そこで、彼女は作戦を切り替えた。
 自身を囮に、魔法少女の身体の不死性を武器に、敵の攻撃を誘い、その隙を突き動きを止める。
 そして、フェイトに強力な一撃と叩き込ませ一気に勝負をつける。
 じりじりと魔力をすり減らすくらいならば、適当なダメージと引き換えに勝負を決めてしまったほうが効率がいいとの判断によるものである。
 少なくとも理論上は、自分達魔法少女は肉体的ダメージでは死ねず、そしてその負傷も幾許かの魔力と引き換えに修復可能なのだ。
 それでも最後の最後、ガドルの見せた今までとは比較にならない戦闘能力には杏子も肝を冷やした。
 いくら怪我を恐れる必要はなくとも、好き好んで攻撃をくらう馬鹿はいない。
 最悪でも胸部を中心とした急所への攻撃だけは外す気だったのが、それがまったく防御が間に合わないとは完全に想定の範囲外だったのである。
 後わずか相手の攻撃がずれていれば、彼女のソウルジェムは打ち砕かれそのまま物言わぬへとなっていたのであろう。
 あるいは、彼女が策を仕掛けるよりも早くあの力を使われていたなら、勝敗はまた違ったものになっていたかもしれない。


 結果として、杏子は予想外以上のダメージを負い、これだけの負傷を癒すとなれば相応の穢れをソウルジェムにため込むことは避けられないだろう。
 自分でもなんだかんだ言って甘いと思いつつ、それでも杏子の胸には――もっとも、今彼女の胸には大穴があいていたりするがそれはさておき――苦い想いはなかった。

「……まあ、これもまた自業自得ってことだな」

 どこか自重気味に笑い、未だ宙にただずむフェイトのほうを見上げる。
 まだ視界が悪く生死の確認はできていなかったが、いくらあの化物とはいえあれでは完全に死んだだろう。
 仮に生きていても、反撃がないということは動けないということ。止めを刺すのは簡単だった。
 とにかく、今後のことも話し合おうとフェイトを呼び寄せようとして、その存在に気付く。

 先に打ち倒した化物とでもまったく比べ物にならない巨大な身体、牛頭に巨大な翼と尻尾を持った怪物が、無防備なフェイトの背後へと迫っていたのだ。

419 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:20:04 ID:M0OiYN1M0
「フェイト、あぶねえ!」

 叫ぶまでもなく、彼女もその存在に気づいていたのだろう。
 今まで見逃していたのが不思議なほどの巨体、それが大きな翼をはばたかせながら自分に迫ってくれば気づかぬわけなどない。
 だが、大技を放ち、大量の魔力と体力を消費した彼女にそれを防ぎきることはできなかった。
 人間1人握りつぶせるであろう巨大な拳が、フェイトの発生させた障壁と激突――防御ごと殴り飛ばされたフェイトが、大地に向けて真っ逆さまに落ちてくる。
 それを、咄嗟に走り込んだ杏子はどうにか受け止めることに成功。
 しかし、彼女は気絶しているようで意識がない。

 上空より迫る巨大な質量……それに対し、振り向くような愚は犯さず、フェイトを抱きかかえたまま杏子は逃走の一手を選択した。
 逃げ切れるかはわからないが、今の消耗した状態でもう一戦など冗談ではなかった。
 幸いにして、相手はあの巨体、ガドルとは違い森の中を逃げ続ければ早々追ってこれるものではないだろう。

 自身とフェイトのデイパックにくわえ、ちゃっかりと近くに転がっていたガドルのデイパックも拝借し、杏子は森の中を駆けだした。



※※※※



 ゴ・ガドル・バ。
 結論から言えば、彼は生きていた。
 最後の最後、フォトンランサーファランクスシフトが直撃する寸前、咄嗟に自身の持つ複数の形態の中でも最高の防御能力を持った剛力体へと変身することで、どうにか一命を取り留めていたのだ。
 だが、さすがに意識を失うことは避けられず……彼が目を覚ました時、燃え盛る森の中でガドルはただ1人放置されていた。

 その事実に、ゴ族最強の戦士は言葉では言い表せないほどの屈辱を憶えた。

 ――負けた、というその事実は認めよう。
 それ自体にも怒りはあったが、その矛先が向くのは少女達に敗れ去った自分の弱さに対してのみであり、決して屈辱を憶えたわけではない。
 少なくとも、自分と少女達は正面からぶつかり合い、弱かった自分がただ負けた。
 それを受け入れないことのほうが、むしろ戦士としての誇りがすたるというもの。

 問題はそこではない。
 問題はそこではない。
 何よりも許せなかったことは、自分の命を奪わずに少女達が去ったということ。
 完全に自分の意識を失わせ、支給品すら奪い去っていきながら、ただその命だけは持っていかなかったという事実。
 つまり、見逃されたということだ。

(俺はあえて殺す価値もないほどの……戦士として、とるにたらない存在だとでも言うか)

 もちろん、それは誤解である。
 佐倉杏子、フェイト・テスタロッサ、井坂深紅朗。
 ガドルが3人の戦いに割り込んだのと同じように、ガドルと少女たちの戦闘にもまた、別の乱入者が発生したというだけのこと。
 ゆえに、勝者となった少女たちに彼の生死を確認している余裕はなく、たまたま彼女達の近くに放り出されていたデイパックを奪い逃走するのが精いっぱいだったというだけの話。
 だが、それを彼に知る手段はない。

 ゆえにただ、ひたすら屈辱だけがこみ上げる。
 だが、その屈辱をガドルはただただ受け入れることしかなかった。
 なぜなら、彼は負けたのだから。
 彼が敗者である以上、勝者の裁定に文句を言うことはできない。
 見逃されたという事実を、受け入れるしかない。

 あえて、それを覆す手段があるとするならば、それはただ1つ。

「ボソグ……ヅギパ、ババサズ」


【一日目・黎明】
【H-5/森】
【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:全身に大ダメージ※
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する
1:杏子とフェイトと再び戦い、雪辱を果たす
2:強者との戦いで自分の力を高める
※死亡後からの参戦です
※フォトンランサーファランクスシフトにより、大量の電撃を浴びました。
 ガドルのアマダムに更なる変化が起きている可能性があります

※戦闘により、H-5エリアの森に火災が発生しました。

420 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:21:24 ID:M0OiYN1M0



「ちっ……けっきょくグリーフシードはなしか」

 どうにか怪物を振り切った杏子は、気絶したままのフェイトを地面に横たえ、支給品の確認をしていた。
 ガドルの支給品はもちろん、フェイトの支給品にも無断で手をつけていたが、気絶しているためバレやしないし、いちおう共闘関係にあるのでかまわないだろうと判断していた。
 だが、そこには残念なことに彼女の望みの品はなかった。

「……まあ、他の参加者から奪うしかねえな」

 さっさと支給品の確認に見切りをつけると、彼女は1人これからの方針を考える。
 とりあえず、フェイトとのコンビは何が何でも維持しなければならない。
 グリーフシードの入手がままならない以上、魔力節約のため戦力は欲しかった。
 となると、まず考えるべきは休息だろう。
 自分もフェイトも大きく消耗しており、このままでは殺し合いどころではない。
 幸いこの近くには図書館がある。休憩するにはもってこいの施設である。
 この殺し合いの最中、わざわざ立ち寄る奴も少ないだろうし、仮に誰かいたとしてもこちらが殺し合いに乗ったことを知っているとは思えない。
 それを唯一確実に知っているであろう男は、こことは真逆の北に逃げたからだ。
 つまり、適当にやり過ごすことも隙を見て殺すことも思いのまま。

「よし、決まりだな」

 食糧として支給されていたサンドイッチを一つ口の中に放り込み、杏子は自分よりもずっと小さな少女を背負いなおした。


【I-5/森】
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、グリーフシードの濁り(中)、左胸に大穴、下腹部に貫通した傷
[装備]:槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ランダム支給品1〜3(本人確認済み、グリーフシードはない)
[思考]
基本:殺し合いに優勝する
1:フェイトと手を組んで殺し合いを有利に進める
2:休息のため、図書館に向かう。他の参加者がいた場合、対応は相手に合わせて考える
3:他の参加者からグリーフシードを奪う
4:このサンドイッチうめえ
[備考]
※魔法少女まどか☆マギカ6話終了後からの参戦です
※首輪は首にではなくソウルジェムに巻かれています
※魔法少女の身体の特性により、少なくともこの負傷で死に至ることはありません


【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(大)、魔力消費(大)、気絶中
[装備]:バルディッシュ@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに優勝してジュエルシードを揃える
1:気絶中
[備考]
※魔法少女リリカルなのは一期第十話終了後からの参戦です



※※※※

421 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:22:27 ID:M0OiYN1M0


「ぐふっ……逃したか」

 先ほどまで追跡していた少女たちは、どうやら夜の森に紛れ見失ってしまったようだ。
 ならば、これ以上この姿でいることもないと、地面に降り立ったパンスト太郎は、お湯を被り巨大な怪物の姿から本来の人の姿へと変身する。
 次の瞬間、なぜか腰にパンストをつけた、目つきの悪い青年がそこにいた。

 これこそが、彼が少女達にもグロンギの戦士のも気づかれずに潜んでいられたカラクリであった。
 戦闘の音を聞きつけ、パンスト太郎がその現場にたどり着いた時、3人の戦いはすでにヒートアップしており、こちらに気付く様子は見せなかった。
 そこで、目立たない人間の姿のまま待機し、決着がついたところで変身して乱入、漁夫の利を狙ったのだ。
 もっとも、とどめを刺そうとした二人の少女には逃げられてしまったが……

「まあ、あの怪我だ。わざわざ俺が手を下す必要もないだろう」

 別の標的を求めて、パンスト太郎は夜の森を歩きだした。


 ――確かに、彼は殺し合いに乗っていた。
 だが、加頭の意図に従う気があるかといえばそれはまた別の話。
 自分に首輪をはめ、このような茶番を強要した男を許す気はない。
 他の参加者を皆殺しにした後、のこのこ出てきたところを殺してしまうつもりだった。
 そして彼の本当の目的の前には、加頭の殺害すらも通過点にすぎない。

 パンスト太郎は、気にくわないながらも加頭の持つ技術が有用であることは認めていた。
 ならば、奪わせて利用させてもらうのだ。
 彼の真なる目的のために。
 そう、この過酷な殺し合いすら単なる通過点にしてしまうほどの、彼の抱えた願いは大きいのだ。
 もとより、パンスト太郎の願いはただひとつ。

「待っていろ、くそじじい……この首輪、すぐに貴様の首に取り付け、俺の名前を付け替えさせてやる」

 パンスト太郎という、自身のあまりにかっこ悪い名前を、名付けの親である八宝斎に付け替えさせることであった。


【H−7/森】
【パンスト太郎@らんま1/2】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:水とお湯の入ったポット1つずつ(変身一回分消費)、支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いに勝利し、主催も殺す。奪った技術を用いて自分の名前を付け替える
1:適当に参加者を殺して回る
[備考]
※参戦時期は不明です。

422 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/14(月) 21:23:14 ID:M0OiYN1M0
投下終了です

ぎりぎりになってすみませんでした

423名無しさん:2011/11/14(月) 21:35:22 ID:uDBPB3d60
投下乙。
ガドルを退けるとは、フェイトも杏子もやるな。
しかし…図書館だとぉぉぉ!!
やっぱフェイトとユーノは出会ってしまうのか!
ユーノが今図書館を離れる理由もないしやばいぞぉぉぉ!

そしてパンスト太郎…願いくだらねえw

424名無しさん:2011/11/14(月) 21:43:43 ID:ZQkekQzEO
投下乙です。ファランクスシフトって原作じゃ単なるスターライトの前座でしかなかったけど、本当は相当にえげつないんだよなぁ。あれをTV版なのはが無傷で防いだのは一体何の冗談だったのか・・・

で、行き先は図書館、井坂先生の事話せば一応翔太郎と協力は難しくはないんだろうけど、作品レベルのすれ違いが起きてるなのは勢二人が問題かw

425名無しさん:2011/11/14(月) 22:44:56 ID:/lZMP9WgO
投下乙です!

マーダーでも情と連携を見せる杏子とフェイト
ダグバとはまた違った強い存在感を感じさせるグロンギのガドル
オチ担当のパンスト
熱い戦いでした!

426名無しさん:2011/11/14(月) 23:12:39 ID:kW4a5OAA0
投下乙です

ガドルがどちらか、あるいは両方殺す可能性もあったが…
この二人もそうそう簡単には死なんか
だがガドルも逆襲が怖いなあ

そしてパンスト太郎はやっぱりそれかw
ギャグ空間のキャラがシリアスに迷い込んだらこんな気持ちになるのか…
これはこんな理由で殺し合いに乗ったこいつが悪いのか、あの名前を他人に付けたジジイが悪いのか…

427名無しさん:2011/11/14(月) 23:52:17 ID:GqZ5UVdQ0
投下乙です。
激闘は痛み分けか。というかあの状態のガドルに引き分けるというのは……って何処向かうねんこの2人!?

で、パンストがずっと出てこないと思ったら最後の奇襲か……うん、とりあえずやっている事自体は普通のマーダーなんだが……
理由があまりにもあんまりなのが……(でもこれ原作通りですから!!)

とりあえず、1点だけ気になったのですが、タイトルは?

428 ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 08:57:39 ID:5Vl/LfZw0
投下乙です
マーダーながら、どこか友情フラグを感じる二人とガドルの戦いが熱いです
なんだかんだでガドルもカッコいいなぁ
乱馬勢で殺し合いに乗ったのは中国から来た二人だけか…
パンストは参戦時期によっては変身能力もかなり違うけど、触手は使えるんだろうか

では、涼村暁と暁美ほむらを投下します

429嵐の前(?)の… ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 08:58:40 ID:5Vl/LfZw0
 暁はスカルのメモリを手で弄びながら道を散策する。
 あてどなくうろうろしているだけだ。基本的に行き当たりばったりで、これといって先のことなど考えてないのは彼の問題点のひとつである。
 だから、自分があの広間にいた「可愛い少女たち」と戦えるかどうかなど考えていない──。

 自らがどこまで冷徹になれるかなど知らない。ダークザイドという生物の一人を殺しても、人殺しなどという大それたことはしたことがないからだ。
 彼を知る者も、彼が狂った殺人鬼になった姿など想像できようはずも……………………できようはずも……………………………………できようはずも…………………………………多分、ない。

 彼の場合、自分の為に他人を犠牲にする。それには躊躇いはないかもしれない。
 たとえば、カルネアデスの板のような状況。
 一人しか乗れないような小さな板切れだけが浮かぶ大海原で、波に身を投げ出された絶対の危機。その時、彼は自分が助かることだけを考えてその板に掴まり、自分と同じく流されたその他大勢を放り出すこともやってのけるだろう。
 確かにその際、暁のせいで相手の命は奪われる。
 しかし、暁が直接殺したわけじゃない。

 いま求められているのは、暁が直接相手の命を奪うこと。ナイフ、拳銃、刀、シャンゼリオン、仮面ライダー──あらゆる武器を使って。


「パラダイス♪ パラダイス♪ 優勝すればパラダイス♪」


 そんな加頭の期待に対し、いま彼の頭を支配するものは────金、女、権力。それらが形勢するパラダイス。
 この世に金より大切なものなんてない。女と遊ぶことより楽しいことなんてない。オマケに権力があって人を支配できたらなんと素晴らしいことだろう。
 夢はでっかく世界征服だ。

 ……まあ、要するに、殺し合いという特殊環境が求めているものと、彼の考えていることはまるで違う。
 そこらの食い違いが、彼の「パラダイス」という大きな目的を妨害しているのだ。
 確かに自分勝手な性格で、ある種の社交性はあるが協調性があるとも言えず、グータラで能天気でバカでマヌケで貧乏でヘタレで甲斐性なしで頭も悪い人間のクズだが、結局冷酷ではない。
 人に生まれたからには持っているものも、少しくらいは持ち合わせている…………と思う。そうじゃないかな。たぶん。


「…………ん? あの娘…………」


 暁は、ふと何かに気がついたように足を止める。
 彼の視線の先には長い黒髪を揺らめかせる中学生ほどの女の子がいる。
 そういえば、あの広間にあの娘はいたかもしれない。暁との年の差は随分と開いている。流石に恋愛対象ではあるまい。
 真剣な眼差しで見つめているからには、きっと何かある……。


「年の割りにはなかなか美人!? 少なくとも朱美なんかよりずっといいぜ!」


 何もなかった。


★ ★ ★ ★ ★

430嵐の前(?)の… ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 08:59:57 ID:5Vl/LfZw0
「ねぇねぇ、君君! 怖くない!?」

「は!?」


 突然登場した怪しげな長髪野郎に、暁美ほむらは戦慄する。
 体の芯から、謎の恐怖とともに軽蔑の意思を感じた。何故だか、殺し合いとは別の形で警戒せねばならない異性であると感じたのだ。
 この殺し合いという状況下、妙に軽い男に声をかけられる。────わけがわからない。


「いやさ、突然変な根暗野郎にこんなところに連れて来られて『殺し合いをしろ』だなんて言われたら普通怖いでしょ? 特に君みたいに若くて可愛い女の子なら」

「…………」

「そこで、俺が二人きりで一緒にいてあげようと……」

「……間に合ってるわ」


 ほむらは呆れ果てた。
 自分が真剣にまどかを捜している最中、こんな軟派男に声をかけられることになるとは。
 一応この状況を理解しているようだが、何故か自分が死ぬかもしれないということを全く考えていない男であるように感じられた。
 勝ち残る自信でもあるのだろうか……?

 魔法少女やドーパント。それに順ずる力の持主と考えられなくもない。
 この場において、かなり多くの人間が変身できるらしいというのは察している。
 まどか──彼女のように現在力を持たない者もいるのは確かだが。

 しかし、ほむらが考察を深めるには、目の前の男はうるさすぎた。
 すぐに思考を遮断するように暁は話しかけてくる。


「おいおい、そりゃないでしょ! せめて名前くらい教えてよ! ねぇねぇ!」

「あなたから先に名乗り出るべきよ」


 この男の名前は少し気になる。
 といっても、使うとするなら死神のノートに名前を書くくらいか。
 ともかく、ほむらは何故かこの男を知っているような気がしてならなかった。
 ごく最近、どこかでこの男を見たような……。
 せめて名前さえわかれば何かわかるかもしれない、と思った。


「俺? ああ、俺は涼村暁。探偵さ」

「────思い出したわ。広間にいたわね」


 下の名前は初めて知ったが、殺し合いの原点となったあの広間では、「涼村」という名前の男がバカ丸出しでドッキリ企画と勘違いしていた記憶がある。ほむらが思い出そうとしていたのはそれだったのだ。
 あまりにもくだらないやり取りだったため、無意識のうちに記憶から抹消しようとしていたのである。
 名簿にはスズムラと読む名前は二つあったが、「暁」という名前のほうだったか。
 自分の苗字と同じ字が使われていたため、名簿に目を通しているときも妙に印象に残ったのだが、こんな男だと思うと絶望する。早く改名してほしい。

 それにしても、こいつが探偵? 浮気調査をしたら逆に自分が浮気を始めそうな男に見えるが。
 というか、一応職に就いているのか? プータローにしか見えないが。
 探偵というのは格好付けるための嘘か? そうとしか思えないが。


「で、君の名前は?」

「…………暁美ほむらよ」

「アケミ……?」

431嵐の前(?)の… ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 09:03:05 ID:5Vl/LfZw0
 暁はほむらの名前を聞いて、何かを思い出したように虚空を見つめる。
 この男、まさか以前ほむらとどこかで会ったことないだろうな? ……などと考える。
 が、記憶にない。こんなバカは少なくとも。
 知り合いと同じ名前とか、そんな程度の話だろう。深くは考えず、ほむらは隙を見てこの男を観察する。


 彼を顔から見ていこう。
 さして似合うとも思えない長髪に服装。
 探偵というからには、自営業のイメージがあるが、それにしても仕事人らしさの欠片もない軽すぎる外見。
 いやらしい薄ら笑い。
 …………なんだ、ただのバカか。
 この男について考えるのはやめよう。考察するのもばかばかしい。


 暁はまたいやらしい笑顔とともに、ほむらに話しかける。


「それでほむらちゃん? こんな状況で何だけど、あそこに見えるタワーでデートしない?」


 イラ。
 もう話しかけないでほしい。まともな用ならば話は別だが、この程度の用ならばスルーだ。


「…………人を捜してるから、そんな暇はないわ」

「待った! 人捜しと聞いたら探偵の俺が……」


 イライラ。
 探偵という名目で自分に付きまとおうなど百年早い。
 男女二人きりという状況で、何かやらかそうというんじゃあるまいな?


「一人で捜すわ」

「そんなこと言わないの! ほら、捜してる人の名前教えてよ」


 ドカン。


「もう、うるさい!」


 ほむらは遂に苛立ちとともに、銃を抜く。今はこんなバカと話をしてる場合じゃない。できる限り一人で行動したいのに、それを察することもできずに付きまとう男……本当に面倒だ。
 銃を向ければ黙るだろう。もし黙らなければ…………手段は選ばない。

 ベレッタの銃口を向けられた暁はコンマ一秒とかけずに、情けなく両手を挙げた。本気の恐怖を感じつつも、相手をたしなめるように薄ら笑いを浮かべていた。
 武器が支給されているような状況下で、あんな風に他人をイラつかせる行動に出る。それは命取りになる。
 だから、これに懲りたら少しは自重しろ…………そう思っていた。


「ちょっと落ち着こう、な? な?」

「失せなさい。そうすれば引鉄は引かないわ」

「はいっ!」


 暁がほむらに背を向けてダッシュするまで、一秒とかからなかった。
 そのあまりの滑稽な姿に、ほむらは呆れることさえ面倒に思った。
 あの男は何だったのか。
 ただのナンパだとするなら、この状況下でどこまでも哀れな男であると思う。
 もはや死のうが苦しもうが何も思わない相手だ……。


(気を取り直して、まどかを捜しましょう……)


 ほむらは再び、自分の目的のために歩き出す。



★ ★ ★ ★ ★

432嵐の前(?)の… ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 09:03:59 ID:5Vl/LfZw0
「あんの女〜〜〜〜!!!」


 暁は尻尾を巻いて逃げた先で怒りに拳を振るわせた。
 これは嫉妬か? 銃を携帯して暁を蔑むような目で見つめ、失せろという命令とともに暁を拒絶した女に、暁はどうしようもない怒りを覚えた。
 色んな意味でどうしようもないといえる。

 アケミという名前。
 暁の秘書・橘朱美と同じ名前。可愛げの無さも全く同じだ。
 とにかくそういった事象が暁を苛立たせる。


「頭きた! 痛い目見せてやる! 燦然!」


 暁は苛立ちに任せてシャンバイザーを出現させるポーズを取り、燦然する。


──燦然、それは涼村暁がクリスタルパワーを発現させ、超光戦士シャンゼリオンとなる現象である。──


 美しい光が暁の体を包み、クリスタルの輝きが暗闇に生える。
 超光戦士シャンゼリオン。
 なぜこんな男にこの力が与えられてしまったのか。神の悪戯というには性質が悪すぎた。
 ダークザイドという怪物たちと戦う。その使命を金や女の次くらいに考え、放り投げる男だ。
 ヒーローと呼ぶには、あまりに能天気すぎた。
 とにかく、輝く異形は再び、来た道を戻るように走っていく。

 ほむらを殺す気があるかといえば、それほどではない。
 ただ、腹が立ったからこの姿で悪戯をしてやろうという下品な考えから燦然しただけである。


 シャンゼリオンの力は、おそらく今泣いているだろう。



【1日目/未明 G−8 中学校付近】


【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康、どうしようもない怒り、シャンゼリオンに変身中
[装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW、ウィンチェスターライフル(14/14)
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:願いを叶えるために優勝する。
1:シャンゼリオンの力でほむらに復讐する。
2:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。
[備考]
※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。
 つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、苛立ち、魔法少女に変身中
[装備]:ベレッタM92FS(9mmx19・15発)、ディバイトランチャー(シューター・ガンナー)
[道具]:支給品一式(食料と水は二人分)、ランダム支給品1〜2(武器ではない)
[思考]
基本:鹿目まどかを守る。
1:鹿目まどかを発見する。
2:他の参加者から情報を集める。
3:鹿目まどかを守る目的以外の争いは避ける。
4:馬鹿は相手にしない。
[備考]
※参戦時期は未定です。後続の書き手にお任せします。
※プリキュアに関しては話半分に聞いていますが、「特別な力を持つ存在」だとは解かりました。

433 ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 09:04:40 ID:5Vl/LfZw0
以上、投下終了です。

434名無しさん:2011/11/15(火) 10:55:56 ID:PqqH.W9oO
投下乙です。にしても魔法少女組やガドルさんが真面目やってんのにアホな野郎共が続くなぁw

435名無しさん:2011/11/15(火) 17:06:11 ID:RkM.SV/E0
投下乙です
プリキュアや仮面ライダー、魔法少女、テッカマンetc。様々な人々が異形の力に運命を背負わされているが、
これほどぶっ飛んだ奴はこいつぐらいだろうな・・・・・・

マジでシャンゼオン(の力)は泣いていい

436名無しさん:2011/11/15(火) 17:15:14 ID:qApjLKRUO
投下乙です。
暁の馬鹿っぷり、ある意味ホッとさせてくれましたw
つーか、中学生ナンパするとはレベルが高い。
さらにあえてまな板を選ぶとは暁さんパネェっすwwww

437名無しさん:2011/11/15(火) 19:35:22 ID:PqqH.W9oO
>>436
おい、あんたの足元にいつの間にか爆弾が・・・

そういや某ロワでもほむほむは遭遇相手に悪戯目的で能力使わせたよなぁ。まあこっちはあの時とは逆で相手が限りなくアホなだけなんだがw

438名無しさん:2011/11/15(火) 19:35:55 ID:9BwPFtas0
投下乙です

相性悪そうな二人だなと思ったら案の定だわw
シリアスしてる奴もいれば馬鹿な野郎がナンパか…
暁はこのまま逝くのだろうか…

439 ◆OCD.CeuWFo:2011/11/15(火) 21:15:19 ID:Zfetcq6o0
忘れてたけど、>>413-421のSSのタイトルは「自業自得」で


シャンゼ知らないけど暁ほんと笑えるw
銃で脅されて全力で逃げる特撮主人公とか初めてみたw
こいつが戦闘になったらどういう動き見せるのかほんと想像がつかない
というか、こんなことで消耗させられる(かもしれない)ほむほむ災難すぎるだろ……

440 ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 21:30:47 ID:5Vl/LfZw0
>>439
作中での主な暁の行動をまとめると…
・チェーンソーで奇襲(相手の正体はダークザイドなんだけどまだそれを知らない)
・敵同士の同士討ちを狙う
・橋から落ちそうな暁の足に捕まる速水をズボンを脱いで落とそうとする
・朱美に向かって幾度となく暴言を吐く
・ポイ捨てや信号無視で投獄される
・寂しそうな少女を無視して車で走ってく
・人妻との不倫を計画する
・黒岩が東京を支配したときも暁が女子高生たちに騙されなければ被害は少なくて済んだ(何人も殺されてる)

ある回で速水がシャンゼリオンになった時は、暁みたいな冷酷さがなかったから結局暁が適任ってことになった

441名無しさん:2011/11/15(火) 21:41:27 ID:Zfetcq6o0
>>440
やばい、すごい見たいw
そういう馬鹿なノリの作品好きなのにレンタルねえよちくしょー

こいつなら殺し合いに乗るのも仕方ないとよーく理解した

442名無しさん:2011/11/15(火) 22:44:14 ID:AM6Y2m.w0
お二人とも、投下乙です!
>◆OCD.CeuWFo 氏
杏子もフェイトもガドル相手によく頑張ったな……と思ったら、パンスト太郎が不意打ちに来るとはww
ガドルも電撃を受けて、どうなるだろう。更にパワーアップ?

>◆gry038wOvE 氏
暁……シャンゼリオンの力は本当に泣いていいと思うw
ほむら、そんな奴は相手にしなくてもいいぞw

443 ◆gry038wOvE:2011/11/15(火) 22:54:11 ID:5Vl/LfZw0
逆に暁のいいところ
・一応ごくたまに仕事でやる気を出す時もある
・秘書が心をこめて作った弁当を地面に投げ捨てた敵にブチ切れる
・女性に優しい部分もある(ただし、よく暴言を吐いたり女性の発言にドン引きしてる描写もある)
・一応速水は友人、朱美やるいは大切な秘書として暁なりに思いやってる(?)
・黒岩とも結構仲良さそうに見える
・戦闘シーンで一応エリや速水を庇うシーンとかもたまにある
・見返りがなくてもダークザイドとはちゃんと戦ってる

やっぱりそんなになかった…

遺産を受け取るために死にそうな老人を利用したり、自分が遊ぶ金のために銀行員たちの人生を崩壊させたりもしてます。

444名無しさん:2011/11/16(水) 00:14:27 ID:48.w71oE0
ある意味龍騎の浅倉より性質が悪いな

中の人が同じとは言え、明るそうな
暁の方がマトモなのかと思い込んでたが……

445名無しさん:2011/11/16(水) 00:19:46 ID:ZkEWaPq60
>>443
弱い物いじめや人を傷つける輩に怒りを覚えるって聞いたんだけど本当?

446名無しさん:2011/11/16(水) 00:50:10 ID:.WF3ib2U0
>>443
いいところと言えば……ほら、善人じゃないから三影に論破されないよ!
……普通に実力で負けそうだがな

447名無しさん:2011/11/16(水) 09:12:14 ID:/3SSbuAIO
……何かもうこのままほむほむに返り討ちされた方が世のため人のためじゃね?w

448名無しさん:2011/11/16(水) 10:09:37 ID:pHJ8jIZg0
投下乙です。

そうか暁繋がり、アケミ繋がりか! これは盲点だった。
……なんだろう、暁の方がマーダー(爆笑)で暁美の方が対主催(厳密にはちょっと違う)なのだが全くそんな風に見えない不思議。
というか、悲壮な決意や運命に翻弄されてマーダー化するヒーローや魔法少女が数多い筈なのになんなんだこのシャンゼリオンは。
で、シャンゼリオンになって仕掛ける様だけど……駄目だ、マーダー補正とか戦力差とか普通なら暁の方が有利なのに
返り討ちに遭うビジョンしか見えない……でも、それ以前にこの近くには結構マーダーがいるからそれどころじゃ無いような気が。

龍騎の浅倉が人気出た理由の1つがシャンゼと真逆のキャラを同じ役者がやった事だった様な。
まぁ、シャンゼのスタッフ(脚本家やプロデューサー)が平成ライダーのスタッフやっている訳だからシャンゼリオンが無ければ今なお続く平成ライダーシリーズが無かったかもわからないし。

449名無しさん:2011/11/16(水) 13:23:11 ID:SqJENwdIO
暁は、あの浅倉と同じ中の人だったのか。
もしも参戦作品に龍騎も出てたらさぞロワに良い意味で混乱を招いていた気がするw

速水「あれ、おまえ雰囲気変わった?」
浅倉「イライラするんだよぉ!」

450名無しさん:2011/11/16(水) 15:32:34 ID:Cp1DPsEg0
でも、杏子や克己とかならきっと欲望のままに生きる暁を気に入り……


ダメだ、どう考えてもうざがられ刺される結末しか思い浮かばねぇw

451名無しさん:2011/11/16(水) 16:20:03 ID:ZkEWaPq60
>>449
そういえば役者が同じってここではどういう扱いなんだろう?
ライダーロワ2ndだと、同じ役者でも『違う顔』として扱っているけど・・・・・・
ここだと最初に書いた人に任せることになっていいのか?

452名無しさん:2011/11/16(水) 16:43:08 ID:MU.1Atdo0
そもそも役者が同じキャラってのがまず誰がいたっけ?

453名無しさん:2011/11/16(水) 16:48:08 ID:ZkEWaPq60
>>452
ああごめん早とちりだった
そして仮に元の世界に参加者と同じ役者が演じているキャラがいるとしても、探そうとしなきゃ見つかるものでもないな

454 ◆gry038wOvE:2011/11/16(水) 17:18:41 ID:dZSsPbEw0
>>445
そんなシーンもあったような…
まあ、確かに酷いキャラだけどシリアスなシーンは決めることもあるので
我欲に流されやすく、調子に乗りすぎる性格なだけかも
人を傷つける意思で行動することもあまりないですし

たぶん原作を見た人も嫌いにはなれないキャラだと思います
一部の回では本当にカッコいいこともあるし

455名無しさん:2011/11/16(水) 18:34:22 ID:bgse8Z7E0
もし最終回に出た暁ならまた違うんだが……

456名無しさん:2011/11/16(水) 18:41:40 ID:Xqaa8RBg0
暁さん、登場二回目にして大人気ですw

それにしてもシリアスなシーンでは決めるかもしれないが今回の舞台はほぼ常時シリアスが当たり前のバトルロワイアルの渦中
ギャグ空間の住人がそこに放り込まれてどうなるやらw

457名無しさん:2011/11/16(水) 18:43:43 ID:Xqaa8RBg0
あ、連続スマンがロワの最中で道化が登場するのもギャグ空間みたいなものか
ジョークはジョークでもブラックよりだけどなw

458 ◆gry038wOvE:2011/11/16(水) 19:20:04 ID:dZSsPbEw0
作中でもシリアスなシーンどころか、番組の山場である黒岩の東京都独立作戦の時に女子高生にサインせがまれて行動が遅れた人ですから…
そのせいで黒岩とは決着つけずに終わっちゃったし

459名無しさん:2011/11/16(水) 20:00:17 ID:xlG7CZ.Y0
ほむらは、ヒーローと呼びたくない最低最悪な男につきまとわれ。
一方まどかは、ヒーローの鏡とも呼べる漢と同行中。

何、この酷すぎる落差は……

460名無しさん:2011/11/16(水) 20:29:21 ID:dSDUXXEk0
SS投下が無くても盛り上がるシャンゼ時空。

>>458
で、黒岩がどうなったというオチもまた凄まじい……というか、こんなオチ決める特撮後にも先にもきっとない。

でもね、『ごめんねジロウ』とかいう比較的シリアスな話もあるんだよね。
把握率が低いだろうからキャラ推薦は控えたけど、ジロウ辺りも参加者に出したかったりした。
後、暁ってあのキャラだから絶対モテないだろって思う方も多いから暁思いっきり彼女たくさん居る不思議。

ちなみにえりかに支給されているサバ、アレは原作で変身アイテムことシャンバイザーとサバを間違えたというアイテム。
誤解が無い様にいうと、どっかの小国の言語が特殊すぎるので幾つもの通訳を介する必要があり、その流れで伝言ゲームの様に伝わって……というお話。

461名無しさん:2011/11/16(水) 20:35:47 ID:7PxKWYjQ0
さばが支給されたのはつぼみだな。
しかし、雑談でこここまで本スレが伸びたのって初めてな気がする…
これぞシャンゼクオリティってやつか!

462名無しさん:2011/11/16(水) 20:49:03 ID:dSDUXXEk0
しまった!! ×えりか→○つぼみ

というか、ここまでスレが伸びるとSS投下あったと誤解するけどねぇ。
まぁ、SSの予約もあるし企画が盛り上がるなら雑談しててもいいんじゃね?

現在のシャンゼまとめ

暁:暁美に仕返し(殺すではなく仕返し)するためシャンゼリオンに燦然。
速水:あの悪女冴子に騙される……と思ったら暁のアレさを伝えて呆れさせられる。
黒岩:問題のサバ支給者と実はダークザギな普通隊員を仲間に引き入れ様かと思案中な東京都知事

……嘘みたいだろ、これ原作から見ても遜色ない行動なんだぜ。

463 ◆gry038wOvE:2011/11/16(水) 21:12:30 ID:dZSsPbEw0
>>460
ジロウよりもゴハットを参戦させてみたかった…
仮面ライダーやシンケンジャーに会えて大喜びだろうな…

暁はコンビニの数だけ彼女がいるそうです

464名無しさん:2011/11/16(水) 23:14:21 ID:JjXP5/ug0
>>455
最終回の真面目な暁が参戦してもゲームに乗るんじゃないのかな?
ダークザイドの侵略で滅びそうな自分の世界を救うために

465名無しさん:2011/11/16(水) 23:34:14 ID:dSDUXXEk0
>>464
否定はしないけど、恐らくその後は普通のマーダーだと。少なくてもナンパや仕返しの為に燦然とかおちゃらけたりはしない。
……逆に乗らない可能性もあるけどね(というかこのロワ、乗らない様なキャラが普通に乗るから変に思うかもしれないけど、乗らないのだって普通にあるよ)

466名無しさん:2011/11/17(木) 01:06:08 ID:Q4XB3bWs0
参戦時期で乗ってたかもしれない参加者は他にもいたしね

467名無しさん:2011/11/17(木) 12:21:04 ID:7X9HKoBw0
>>生きる意味を求めて


……あれ、「シャドウフォン」じゃなくて「ショドウフォン」じゃなかったっけ?

468名無しさん:2011/11/17(木) 14:23:02 ID:rdeb6ze.0
影武者だけに(ry

469名無しさん:2011/11/17(木) 17:15:52 ID:CmgT0bnwO
殿が影武者という設定だと知ったから違和感全くなかったぜ・・・・・・

そして、らんま実写映画化おめでとう。
でも、あのポスターは酷すぎだろw

470名無しさん:2011/11/17(木) 17:43:37 ID:o60nR5F20
>シャドウフォン
wikiのほうは直しておきました

>らんま実写
いちおう、映画じゃなくてドラマだよ
ポスター見た感じ、意図的に変えてるなびきをのぞけば男乱馬が一番違う気するかな
なんというかひょろい
俺の一番好きな良牙が出ないっぽいのは喜ぶべきか悲しむべきなのか

471 ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 19:51:51 ID:i98vdxf60
今から投下させていただきます。

472Sの異常/気分しだいの必殺技(前編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 19:55:02 ID:i98vdxf60
鍔迫り合いの状態から互いに距離をとり、相手の出方をうかがう二人。
先に動いたのはゼクロス。逆手に持った電磁ナイフで胴を薙ごうとする。
エターナルはナイフを持つゼクロスの腕を持ち手では無い方で叩き落とし、肩を斬り付けた。
前かがみになったゼクロス。その状態を逆用して、バッタの足のように伸び上がりナイフを振り上げた。
エターナルは背を反らしかわそうとしたが、胸を斬られた。
追撃にゼクロスはナイフを振り下ろすが、エターナルはエッジを、予測されるナイフの軌道上に置いて防いだ。
再び鍔迫り合うエッジとナイフ。互いに押し合う最中、エターナルの力が僅かに抜かれた。
相手が引いたと思ったゼクロスは、エターナルの顔面にパンチを打つ。
だがそれはエターナルの誘い。ゼクロスの拳を頭を振ってかわし、胴への膝蹴り。
さらに突き出た拳の前腕を掴み、引き寄せ体勢を崩し、脇下にエッジを振るった。
ゼクロスは引かれる勢いのまま、自ら前方に跳びエッジをかわす。
空中で回転、着地するがそのタイミングにあわせたエターナルの蹴りが、ゼクロスの顎に叩き込まれた。

身体スペック上は神の器として設計されたゼクロスに分がある。だが戦いの趨勢はエターナルに傾きつつあった。
その理由として、ゼクロスが電磁ナイフによる接近戦を挑んでいることにある。
ゼクロスとエターナル、両者の間には近接戦闘技術の差が存在する。
ゼクロスには、ナイフ格闘術のみを研ぎ澄ませる必然性が無い。
両手甲のマイクロチェーン、両肘の十字手裏剣、両膝の衝撃集中爆弾やベルトの虚像投影装置といった多彩な武装を生かし、多岐に渡る戦術を行うことが可能だ。
だが現在、その武装の大半はエターナルのマントに防がれると判断して使用していない。
一方、エターナルの装着者である大道克己は、特殊傭兵部隊「NEVER」を率いて各地の紛争地域を戦ってきた。戦場で銃弾が飛び交う中、ナイフ一本のみで。
限定されてこそ磨かれる技術の錬度。ゼクロスがナイフだけで戦う限り、エターナルに一歩上手を行かれることになる。
さらにエターナルの身体を覆うマント、エターナルローブの効果がある。
エターナルローブは高い防御力のみならず、敵のドーパントの固有能力を封じることができる。
アイズ・ドーパントとの戦いでは、アイズの持つ固有能力、相手の筋肉の動きや表情の変化などから行動を先読みする力を無効化していた。
もちろんゼクロスはドーパントではないが、エターナルの腕の甲まで覆うローブはゼクロスの優れた動体視力を阻害し、腕の動き、その予兆を読み取りづらくしていた。

473Sの異常/気分しだいの必殺技(前編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 19:56:30 ID:i98vdxf60
今の状況では、不利だ。
そう判断したゼクロスはエターナルに向かおうとせず、棒立ちのまま足を止めた。
「何のつもりだ?」
戦いを諦めたかのようなゼクロスの行動に、エターナルはエッジを手の内で回し、全身の力を抜く。
一転、後ろ足を爆発させるように一気に伸ばし、一撃で仕留めようと頭を狙い突く。
頭に刺さるはずだったエッジを、ゼクロスはわざと左腕を突き通させて止めた。
エターナルがエッジを抜き取る前に、ゼクロスはエターナルの左腕を右腕で掴む。
「それで? どうする気だ」
せせら笑うように問いかけるエターナルに、ゼクロスは膝を腹に押し当てた。
「何……?」
一瞬ゼクロスの膝が光り、爆発。耳を劈く轟音、音速を超える爆風に二人は吹き飛ばされた。
「お前……膝に爆弾を……!」
エターナルは身を起こそうとするが、腹を押さえ片膝をついていた。
一方ゼクロスも全身から煙が立ち上っているが、ゆっくりと立つその足は、力強く安定している。
衝撃集中爆弾はその名の通り、かなり狭い範囲まで爆風の指向性を絞ることが出来る。
その特性により、ゼクロスはエターナルほどのダメージを負わなかった。
止めを刺すべくエターナルに向かって走り出すゼクロス。
「ぬあああ!」
絶叫と共に立ち上がるエターナル。
疾走の勢いのまま、拳を振り被るゼクロスにエターナルも腕を引き絞る。
「おぉうりゃあ!」
「ゼクロスパンチ!」
青い炎に包まれたエターナルのパンチとゼクロスパンチが、互いの顔面に打ち込まれる。
砲弾が撃ち込まれたかのような衝撃に、二人は正反対の方向へ吹き飛んだ。
両者ともすぐさま身を起こし、目前の敵に向かい疾走からの跳躍。
「ぬうあああ!!」
「うおおおお!!」
飛び蹴りも同時に胸へ叩き込まれ、再び弾け飛ぶ。
「マイクロチェーン!」
今度はエターナルより早く起き上がったゼクロスが、右手甲からチェーンを発射。
エターナルはローブで弾こうとしたが、ゼクロスは腕の動きでチェーンの軌道を調整し、エターナルの身体に巻きつけた。
チェーンを伝ってエターナルに電撃が流される。
「はははっ…生ぬるいな!」
嘲笑するエターナル。ローブ越しの電撃は殆どダメージを与えられていなかった。
エターナルの高笑いに対し、ゼクロスは腕を引きながら、チェーンを全力で手甲内に巻き戻した。
引きずり寄せた相手を刺し殺そうと、ナイフを握り締める。
エターナルは引く力に抵抗せず、逆にその力に乗ってゼクロスに跳躍。引かれる勢いで胴体を地面と平行に回転させた。
纏わりつくローブの内側から、エッジがゼクロスを両断するべく振り下ろされる。
ゼクロスもまたエターナルの胴を輪切りにせんと、電磁ナイフを振り上げた。
「いいりゃあああ!!」
「おおおおお!!」
殺意に満ちた斬撃が交差し、ゼクロスは袈裟懸けに斬られ、エターナルは胴を裂かれた。
着地に失敗し、地面に胴体から落ちるエターナル。片膝をつくゼクロス。
重傷を負いながらそれでも二人は即座に立ち上がる。まるで始めからダメージが無いかのように。
その行動に、両者とも疑問を浮かべた。

474Sの異常/気分しだいの必殺技(前編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:01:46 ID:i98vdxf60
「お前……死人みたいな面だったが本当にNEVERか? そんな筈無いが」
これほどタフな奴など、自分達NEVER以外存在しない。だがこいつがNEVERのはずがない。
NEVER研究が財団Xから打ち切られて以後、克己以外のNEVERは克己自身が選別して、母親のマリアに蘇生させていたのだ。
だから克己が知らないNEVERは存在しない。少なくとも克己の認識では。
もしいるとすれば財団Xの仕業だろう。打ち切った後でも研究データくらいは残しただろうから、それを使って生み出したのか。

「キサマ……俺と同じ、バダンに?」
ゼクロスが今まで戦った相手には全員痛覚があった。カメンライダーでさえ。
例外は胴を両断されても平然としていた、ガモンと名乗ったあの軍服男だけ。
だがこの目の前のカメンライダーは、あの男とは違うように思える。
まるで自分のように、痛みという記憶そのものを知らないかの様な戦い方。
ならば奴も俺のように、一度敗れて死んだのか。バダンは再び俺の様な奴を作り出したのか。
お互い、相手が素直に返答するとは思えない、だが聞き出したい。そう思い質問をぶつけ動きを止めた。

「まあどうでもいい、どうせ俺が全て死人の世界に変えるんだ」
先に動いたのはエターナル。一撃でゼクロスの首を刎ねようとエッジを水平に振るう。
首を薙ぐエッジをゼクロスは身をかがめてかわし、たわめた膝をバネに宙へと高く飛び上がる。
空中で反転し、左腕を右斜め下、右腕を右斜め上へ伸ばすポーズ、決め技のスイッチとなる動きをとった。
「ゼクロス…キック!」
叫ぶと同時に、ゼクロスの体が赤く光り輝く。
あれが奴のマキシマムドライブ、切り札と判断したエターナルは、両手を頭上で交差し防御の体勢をとる。
裂帛の気合を込めエターナルへ急降下する最中、ゼクロスに異変が起こった。
「……光が!?」
ゼクロスを包む赤い光が胴体から消え、右足に残った光も腿から足先の順に消えていったのだ。
それでも命中の瞬間、蹴り足を突き出せばダメージを与えられたかもしれないが、ゼクロスは足を伸ばしきったまま踏みつけるようにして技を放っていた。
結果、その蹴りは十数m上空から自由落下したゼクロスの質量分の威力しかなく―――それでも人間一人を殺すには十分すぎるが―――エターナルに軽々と受け止められた。
「あ……」「はあ?」
両者とも予想外の出来事に、気の抜けた声をあげた。
「おい……何だそれはよぉ!」
期待外れの技に激昂したエターナルは、ゼクロスの足を掴み力任せに放り投げた。
ゼクロスの体が地面と何mも擦られる。
滑る身体をゼクロスは頭上に手を当てて止め、ヘッドスプリングで跳ね起きた。
だが先ほどの意外すぎる現象に、愕然として右足を見つめた。

「光が……消えただと!?」
あの赤い光、カメンライダー二人を纏めて倒した、あの力の消えるのが速すぎる。
脱走して以後、バダンの調整を受けていないとはいえ、ここまで俺の身体は……!

「何を呆けている!!」
複眼を右足に向けたまま、身じろぎ一つしないゼクロスにエターナルが突進した。
走る勢いを止めずに反転、後ろ向きから踏み切ってのトウジャンプ。
空中で身体を螺旋状に捻り、コークスクリュー回転から蹴り足がゼクロスへと突き出される。
キックがゼクロスの胸に直撃する寸前、エターナルの右足が青い炎に包まれた。
「グウッ……!」
渦状の炎が爆発し、再びゼクロスは撥ね飛ばされる。何か砕ける音がゼクロスの胸の奥で鳴った。
「先に地獄で、遊んで来い」
ダメージが限界に達したのか、倒れたままのゼクロスに、エターナルはマキシマムドライブを発動させようとロストドライバーのメモリに手をかけ―――
瞬間、ゼクロスとエターナルの間の地面が爆発した。
「「何っ!」」
突然の珍事に何者かの襲来かと、驚く二人。
もうもうと土煙を上げる中から、地面を砕き現れたのは。
「ここはどこだ」
頭にバンダナを巻いた男―――良牙だった。

475Sの異常/気分しだいの必殺技(中篇)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:04:00 ID:i98vdxf60
ゼクロスとエターナルが戦う真っ最中。
東へ一直線に進んでいると思い込み、南東へと進んでいた良牙であったが。
「おかしいな、地図だと途中に川があるはずなんだが……」
地図と周囲を見比べ、本当に呪泉郷へと進んでいるか疑問に思い始めた。
「まさか、また迷ったのか!?」
良牙は方向オンチではあるが、地図の見方が分からないというわけではない。故に道に迷ったことは判断できる。
だが方向感覚が常人より桁外れにずれ、道の目印に赤い車や工事現場など固定されない物、富士山や琵琶湖など巨大すぎるものを使い、目印を覚えたとしても距離と方角と位置関係が出鱈目になることが、良牙を地上最悪の方向オンチにしている原因である。
「落ち着け、こんなときこそ冷静にっ」
良牙は人差し指を立て、地面を突いた。
「爆砕点穴!」
爆砕点穴とは、岩石に存在するつぼを押すことにより一撃で粉砕する、土木工事用の技である。
爆音と共に地面に大穴が開いた。その中に良牙は飛び込み再び爆砕点穴。それを繰り返し、モグラのように地面へ潜っていく。
「地面の下なら間違いなく一直線だ!」
何の目標も無い地下では余計に一直線にはならないのではないか、と普通の人間は思うかもしれないが、実はこの方法で良牙は目的地までたどり着いた事が何度かある。
良牙は自信を持って、地中を進み続けた。

ある程度掘り進んだ後。
「この辺りで上に出てみるか」
と呟き、頭上の土に爆砕点穴を使い、穴から這い出ると。
「ここはどこだ」
そこはごつごつした岩が転がる殺風景な場所。
右方向には白い仮面と装甲を着込み、黒いマントを羽織った奴。
左には地面に倒れた赤い仮面を被り、白い非対称の鎧らしきものを身に着けた奴がいる。
まるで状況が分からないが、辺りに泉が見当たらないことから少なくとも呪泉郷ではないようだ。

476Sの異常/気分しだいの必殺技(中篇)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:05:28 ID:i98vdxf60
突然現れた闖入者の良牙に、エターナルはゆらりと歩み寄った。
「おい、何なんだあんた。ここはどこだ?」
良牙の質問に、エターナルは良牙の面を殴ることで答えた。
「お前こそなんだ。俺の邪魔をしやがって」
吹っ飛ばされた良牙はすぐさま起き上がり、エターナルに立ち向かった。
「てめえ! 何しやがる!」
言うに及ばず、とばかりに無言でエッジを突き、薙ぎ払い、振り下ろすエターナル。
何とかギリギリでかわし続ける良牙だが、流石に刃物相手に素手では分が悪い。
徐々に良牙の身にエッジがかすり始める。
「この野郎!」
良牙は腰に巻いたベルトをほどき、気を集中させる。すると柔らかいベルトが、一本の棒のように垂直に伸びきった。
「ほう、面白い技だな」
気によって硬化されたベルトは、良牙の腹を刺しに来たエッジを受け止めた。
「久しぶりだぜ、こいつを使うのはな!」
エッジを上に弾き、振り上げたベルトを重力に任せるまま、エターナルの肩口に落とす。
それをエターナルはエッジで受け止め、ベルトに刃を滑らせ指を切り落とそうとする。
良牙は咄嗟に腕を引いてかわした。
打ち合うベルトとエッジ。だが元々の硬度の差はいかんともしがたく、ベルトがぼろぼろになっていく。
何度も打ち合う度、良牙は段々と防御にかかりきりになり、身体能力、武器術共に相手が上回ると察し始めた。
このままではまずい、と良牙が思った時、エターナルの背後から、ゼクロスがナイフを背中に突き刺そうと跳んだ。
エターナルは逆手に持ち替えたエッジを、回転しつつ横薙ぎに振るい良牙をけん制。
勢いのまま後ろ回し蹴りをゼクロスの胴にめり込ませて吹き飛ばした。
後ろを向いたスキだらけの背中を斬ろうと、良牙は腕を振り上げる。
だがエターナルはそのまま1回転しつつ身体を沈め、踵からの足払い、後掃腿で良牙の足を払った。
頭から落ちる寸前に、良牙は手をつき身体を反らして、バク転を繰り返し間合いをとる。
「おい、赤い仮面のあんた! なんだか分からんが、あんた、こいつの敵か?」
良牙の質問にゼクロスは無言で肯いた。
「ふっ、ならばここはひとつ……早い者勝ちな!!」
言うが早いか、良牙とゼクロスがそれぞれエターナルの左右から襲い掛かる。
即席の連携攻撃を、エターナルはゼクロスのナイフのみエッジで防ぎ、良牙のベルトは手甲で弾く。
エターナルは今まで打ち合ったベルトの硬度から、手甲のみで防げると判断していた。
「なめるな!!」
憤慨する良牙の攻撃をエターナルは手甲で受け、そのまま腕を返さずに突き出し、胸に掌底を打った。
掌底の打撃で良牙の動きが一瞬止まる。
身動きが取れない良牙を背にしたエターナルは、エッジとナイフを咬み合わせ、鍔迫り合いにもちこむ。
かと思わせ、ゼクロスを前蹴りで突き放した。
良牙に振り返り、全力でエッジを打ち下ろす。
良牙は気合のみで両腕を掲げ、鳥居の構えで防ごうとした。
だがベルトは、とうとう耐え切れずに両断された。
決定的な隙を見せた良牙の左わき腹にパンチが突き刺さる。
よろめいた瞬間に打ち下ろしの右フック。
たたらを踏んだところへ身体を起こす、どころか中に浮かせる左アッパー。
追い討ちとばかりに回転後ろ蹴りを叩き込まれた良牙の体は、ピンポン玉のように弾け飛んだ。
「この野郎!」
膝を押さえながらだが、即座に良牙は立ちあがった。
「人間の割に、随分とタフな奴だな」
その姿を見たエターナルは、呆れるように賞賛した。
「だが、NEVER程じゃあない」
バンダナを外し、硬質化させて斬りかかる良牙。それに合わせてナイフで胴を薙ぎ払おうとするゼクロス。
二人の攻撃に対し、エターナルは右手のエッジでゼクロスのナイフを防ぎ、左手で良牙の首を締め身体を持ち上げた。
「おっと」
今度は首を突こうとするゼクロスに向けて、エターナルは良牙の身体を盾代わりにかかげた。
動きを止めるゼクロスに人質が有効と判断し、そのまま良牙をかざし続ける。
ゼクロスはフェイントを入れつつ背後に回り込もうとするが、回転の半径が小さいエターナルの方が、ゼクロスよりも素早く対応できる。
互いに回り続ける中、エターナルは良牙の身体をゼクロスの正面へと置き続けた。

477Sの異常/気分しだいの必殺技(中篇)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:08:47 ID:i98vdxf60
『何故だ……」
エターナルと背後の取り合いを続けるうち、ゼクロスの心中に疑問が沸き上がった。
『何故俺は、この男ごと奴を攻撃しない……』
目の前の男は名前も知らない、ただ地面から唐突に現れただけの男だ。
大勢の罪無き人間を殺して来た自分が、今更何をためらう必要がある。
カメンライダーには、もう何も奪わせない。奪われる前に殺す。そう誓った自分が何故。
……だからなのか?
だから出来ないのか?
この男の命を奪わせないと思っているのか?
『俺はこの男を……』

思考に没頭するゼクロスへ、エターナルが嘲るように話しかけた。
「こいつを気にするのは構わないが……そろそろ死ぬぞ?」
小刻みに震えていた良牙の手足が、だらりと垂れ下がった。
「キサマ……『また』俺から奪うのか!?」
その言葉に呼応するかのように、ゼクロスの両上腕から煙が噴出する。
目の前のカメンライダーとミカゲを蹴り砕いたカメンライダー。
ゼクロスの中で、二つのイメージが一致した。
「何度も言わせるな。奪うか奪われ―――!?」
話の途中で、ゼクロスの肘から十字手裏剣が放たれた。
ようやく見捨てる決心がついたか、と思い良牙を盾にする。
だが手裏剣は命中する寸前、幻のように消えた。
エターナルが疑問に思うのもつかの間、背後に何者かの気配を感じた。
振り向くと、そこにはナイフを振り被るゼクロスがいた。
「ホログラフだと!?」
驚くエターナルに、ゼクロスは良牙を締め上げる腕を切断しようと電磁ナイフを振るう。
咄嗟にエッジを掲げ防いだが、バランスを崩し、左腕を掴まれる。
その腕を振り回し良牙を離そうとするゼクロス。
エターナルは右手のエッジでゼクロスを刺そうとしたが、ゼクロスのナイフがそれを阻む。
左腕を狙うナイフを防ぎながらゼクロスを突き殺そうとするエターナル、エッジを弾きつつ良牙を離そうとするゼクロス。
荒々しいダンスを踊るかのように、互いが互いを振り回し続けた。

478Sの異常/気分しだいの必殺技(中篇)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:12:09 ID:i98vdxf60


「ここは……」
気がつくと良牙は、さっきまでの殺風景な場所から一転、光り輝く世界にいた。
清清しい香気に、辺り一面に咲き乱れる花々。遠くには綺麗な川が流れている。
「……あれは三途の川じゃねーか! また来ちまったのか!?」
良牙は以前、ジャコウ王朝のライムとの戦いで死にかけたことがある。
その時は、あかねへの想いと乱馬への嫉妬で戻って来れたのだが……。
「ぉーい……」
呆然とする良牙に、三途の川の向こう岸から誰かが呼びかけてきた。
「お〜い、良牙〜」
おぼろげに見えてきた姿は、チャイナ服を着た少女だった。
「お前、シャンプー? 死んだのか!?」
決して付き合いがいいとは言えなかったが、それでも縁浅からぬ知り合いが既に死んでいた事に、良牙は驚いた。
「良牙もこっちに来るある」
「冗談じゃねえ!! おれはあかねさんを守ると決めたんだ!!」
「あの世も結構悪くない。あかねも来れば万々歳ね」
「ふざけるな!!」
「どうしても生き返るか?」
「当たり前だ!!」
「なら、乱馬助けて欲しいね。私の分まで乱馬のために戦って欲しいある」
「シャンプー、お前……」
「乱馬を優勝させる、私の目的だたね。途中で死んだのは無念あるが、最後に私殺す手間が省けたと思うことにするね……」
「お前……そんな殊勝な奴だったか?」
良牙はシャンプーの態度に疑問を感じた。死んだ今ならあの世で乱馬と一緒になることを望むのでは、と。
「もちろん、良牙生き返らせる手助けしたこと、乱馬助けるよう頼んだこと。お前乱馬に言うね。そして優勝した乱馬に私生き返らせること頼むよろし」
「……あかねさんのついでなら助けてやってもいいし、おれも戻りたいんだが」
「何あるか?」
「なんかおれの足が、勝手に進んでるぞ」
いつの間にか良牙は、三途の川に足を踏み入れていた。
「あいや〜。これはもう、本当に死んでしまうね」
「言ってる場合か!」
「もうどうしようもないある。悲劇的展開ね」
「何とかならないのか!?」
そう言い合いしている間にも、良牙は川を渡っている。
「やはりこのまま死なないあるか?」
「嫌だといってるだろ!!」
「しかたない。私とても不愉快だが手伝うね」
「手伝うって、お前何を……」
「ああ、このままお前が死ねば、残された乱馬とあかねは……」
「あ、あかねさんは……」
「襲いかかる強敵に絶望する二人。どこかの小屋にこもり、恐怖に震える二人は互いのぬくもりを求め」
良牙の足が止まった。
「乱馬は『せめて死ぬ前にお前の裸が見たい』とあかねの耳元でささやき」
どこから持ち出したのか、マイクを持つシャンプー。
「……そ、そんな……」
「小さくうなずいたあかねは、服に手をかけ」
「そんなのいやだ〜〜〜〜!!!」
良牙は強く耳を押さえ、シャンプーから逃げるように三途の川から離れていった。

479Sの異常/気分しだいの必殺技(中篇)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:13:45 ID:i98vdxf60
「そんなに助けたいなら、先に殺してやる!」
エターナルは良牙の首を絞める腕に力を込め、首の骨をへし折ろうとしたが。
「な!?」
急激に増した良牙の「重み」にがくんと肩を落とした。
「ん゛〜〜〜〜〜〜!!」
良牙の唸り声と共に、エターナル、その腕を掴むゼクロスの感じる重みがさらに増幅していく。
「何だ、この重さは……」
「腕が、上がらない……だと……」
余りの重さにゼクロスとエターナルの足が地面に沈み込み、良牙、エターナル、ゼクロスの視線はほぼ同じ高さになっていた。
「おれは……あかねさんと会うまでは……死なん!」
カッと良牙の目が開かれた瞬間。
「獅子咆哮弾!!」
天を貫く気の柱が放たれた。

獅子咆哮弾とは、不幸による重い陰湿な気を天に放ち、一気に大地へ沈めることで周囲の敵を押し潰す大技である。
気の柱は上空で巨大な気の塊に形を変え、全てを圧殺せんと迫り来る。
「クッ!」
ゼクロスはエターナルの腕を離して踵のジェットを噴射し、一気にその場から離脱した。
「くそっ!」
エターナルもまた良牙を離し、落下する気の塊から退避しようとする。
途中、カキンと何かが外れる音がした。
音の方向を確認しようと視線を向けた直後、爆風に吹き飛ばされた。
「うおお!」
ゼクロスは離れ際に衝撃集中爆弾を、エターナルに投げていたのだ。
すぐさま立ち上がるが、見上げた先には巨大な気の塊。既にどうあがいても回避しきれないところまで迫っていた。
その一撃は怒れる雷神が振り下ろした鎚の如し。逆巻く暴風と地響きを伴う轟音。
エターナルはそのまま地面へと叩き潰された。

480Sの異常/気分しだいの必殺技(後編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:18:42 ID:i98vdxf60
吹き荒れた爆風が収まり土埃が落ち着くと、採石場跡に隕石でも落ちたかのような、巨大なお碗形の窪地が出来ていた。
その中央で、良牙は無傷―――エターナルから受けたダメージを除いて―――のまま、佇んでいた。
獅子咆哮弾の長所は、気弾の落下点にいる使い手が自分の気で傷つくことがないことである。
全霊を込めて気を放った後の使い手は放心状態、つまり「気が抜ける」ため、重い気をすり抜けることが出来るのだ。
「ふ〜。あいつらは……」
気力が戻った良牙が辺りを見渡すと、うつ伏せで地面に埋まっているエターナルの姿が見えた。
「白い方か。この分ならしばらく動けないだろ」
ローブのせいで黒い染みのようだったが、ぴくりとも動かないことからそう判断した。
「しかし疲れたな〜。こんな威力を出したのはあの時以来か?」
前かがみになった良牙が周囲を確認すると、かなり遠い位置にクレーターの縁が見える。
あの時とは、乱馬にあかねとキスをしたという嘘をつかれた事で、その威力は風林館高校のグラウンドの大半を吹き飛ばす程だった。
「それよりあかねさんだ。呪泉郷へ急がないと!」
あかねより強いシャンプーが既に死んでいたのだ。良牙自身も死ぬ一歩手前までいった。
この殺し合いは相当危険だと判断せざるをえなかった。
「待っててくれ、あかねさん!」
ディパックを掘り出して肩に担いだ良牙は、傷の痛み、疲労を無視して走り出した。


――南東に向かって。


【一日目・黎明 D-3/採石場跡】
【響良牙@らんま1/2】
[状態]:負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:変身アイテム(水とお湯の入ったポット1つずつ)、支給品一式、秘伝ディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ@仮面ライダーW
[思考]
基本:天道あかねを守る
1:天道あかねとの合流
2:1のために呪泉郷に向かう
3:ついでに乱馬を探す
[備考]
※参戦時期は雲竜あかりと出会った後、原作30巻以降です。
※南東へ向けて驀進中。本人は呪泉郷に向かっていると思っています。(途中で方向転換する可能性があります)
※良牙のランダム支給品は2つで、秘伝ディスクとガイアメモリでした。
 なお、秘伝ディスク、ガイアメモリの詳細は次以降の書き手にお任せします。
 支給品に関する説明書が入ってる可能性もありますが、良牙はそこまで詳しく荷物を調べてはいません。
※シャンプーが既に死亡したと知りました。
※シャンプーの要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」
 「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。
※獅子咆哮弾の気柱はかなり高くそびえるので、遠いエリアからでも観測できた可能性は高いです。
※【D-3/採石場跡】に獅子咆哮弾跡のクレーターが出来ました。

481Sの異常/気分しだいの必殺技(後編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:26:42 ID:i98vdxf60
「……くそっ!」
うつ伏せのまま、エターナルは苦々しく声を吐き出した。
良牙が動けないと判断したエターナルは、事実その通りだったが気を失ってはいなかった。
獅子咆哮弾の直撃を食らう寸前エターナルはローブを頭から覆い、ローブの防御力で耐えることに賭けた。
結果、地面に埋まり身体の前面が叩きつけられたが、致命傷を負うほどではなかった。
死人が「致命傷」というのも妙な表現ではあるが、NEVERといえど完全な不死身ではなく、マキシマムドライブの様な強力な攻撃を喰らえば

塵に還る。
その事実を克己は知っていた。
うつ伏せから仰向けになり、ロストドライバーからメモリを引き抜き、変身を解く。
エターナルの白い装甲が克己から剥がれ落ちた。
「ちっ、体が動かん……」
細胞維持酵素の欠如とも違う、全身が思い通りに動かない感覚に克己は戸惑った。
「傷のせいか? NEVERの俺が?」
確かに胸や顔面の打撲、胴体の裂傷に加えて爆弾を喰らい、気の塊で地面に押し潰されたのだ。並の人間なら既に死んでいる。
だが克己はNEVERである。痛みという記憶を忘れ、不死身に近い耐久力を持っている。
身動きできないこの状態を否定すべく立ち上がろうとしたが、腕一本動かすのも億劫に感じていた。
実は全身の負傷に加えてこの殺し合いにかけられた制限―――戦闘による疲労が二重に克己の体を蝕んでいたのだが、克己はその事実に気

付けなかった。
「何だ、あいつは……」
頭を反らすと遠くに走り去る良牙の姿が見えたが、よく分からない体の感覚と得体の知れない技を警戒し、行き先を確かめるだけにした。

何らかのエネルギーの塊を放出する技は、克己自身幾度か見たことがある。
超能力兵士クオークスのサイコキネシスやパイロキネシス。
同じNEVERの芦原賢が変身した、トリガー・ドーパントの右腕の銃から発射されるエネルギー弾。
しかしそれらと比べても、あれは桁外れの威力だった。
おまけに自分諸共周囲を攻撃する自爆技かと思えば、本人だけは無事な出鱈目ぶり。
「あいつ、呪泉郷とか言ってたな」
地面の中に埋もれた時の発言だったが、エターナルの聴力ならば聞き取れない声ではなかった。
郷、ということは人間の集落だろう。
だとするとクオークスが監禁されていたビレッジのように、あんなバンダナ男のような連中が住んでいる場所なのか?
「そういえば、支給品があったか」
気合を入れて起き上がり、置いていた場所に行くと、ディパックは獅子咆哮弾の範囲内にあったせいで地面に埋まっていた。
掘り出してディパックを開け、中にある地図を確認すると確かに呪泉郷の文字がある。
今いる場所はおそらく採石場跡。すると呪泉郷は東北東の方角になる。
方位磁針で方角を確認すると、バンダナ男の行った方向と外れている。
なぜあいつが呪泉郷といいながら南東に行ったのか分からないが、理由を考えても意味が無いので無視する。
さらにバックを探ると、小さいアタッシュケースがある。
取り出して蓋を開けると、中身は緑色の液体が詰まったバイアルが五本。そして白い銃型注射器だった。
共に入っていた説明書には「細胞維持酵素」と書かれていた。
「はははっ! 気が利いてるな!」
これを自分に支給するということは、酵素切れで自滅するな、戦い続けろというメッセージなのだろう。
ならば遠慮なく使わせてもらおうじゃないか。
バイアルを注射器にセットし、腕に当ててトリガーを引く。
酵素が血管内を満ちると同時に、全身の細胞が痘痕の様に盛り上がった。
「呪泉郷も……ビレッジみたいな場所なのか」
克己は誰とも無しに呟いた。

克己が、まだ生きている実感が欲しかった頃。人の心、過去の記憶を失い続けても明日を求めていた頃。
ビレッジ―――英語で村という意味のその場所は、超能力兵士クオークスの実験場だった。
そこで出会ったクオークス研究者にしてビレッジ管理者、ドクター・プロスペクトの人を人とも思わない目つきが気に入らず、クオークス

落伍者の生気が失われた態度も気に食わなかった。
ビレッジで過ごす最中、落伍者の虐殺計画を聞き、ドクターを倒しビレッジの連中を解放すると決めた。
別に英雄になりたかったわけじゃない。ただ死人の自分が明日を求めているのに、生きている人間が未来を勝手に奪い、奪われることを諦

めるのが許せなかったからだった。
だがビレッジから脱出した人間は、皆死んだ。ドクターの許可無くビレッジの外に出たクオークス達は、ドクターの使うアイズ・ドーパン

トの力で命を奪われるよう仕掛けられていたのだ。
あの時、あの場所で克己は思い知った。人は皆、悪魔だということを。
同時に克己を現世に繋ぎとめていた最後の縁、わずかに残された人間的な感情も良心も完全に失われた。

482Sの異常/気分しだいの必殺技(後編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:32:08 ID:i98vdxf60
「少なくとも、ここは違うようだな」
地図をよく見ると風都タワーまである。おそらく場所を再現しただけだろう。
「風都タワーも、エクスビッカーは設置されていないだろうしな」
エクスビッカーとは26本のT2ガイアメモリを同時に起動させ、周囲全ての人間を瞬時にNEVERへと変える兵器である。
もう少しで発動するところを、鍵としてエクスビッカーに接続したフィリップに抵抗され、克己はマリアに細胞分解酵素を注入された。
母親のはずだったマリアの裏切りに激昂した克己は彼女を撃ち、タワーの屋上で拮抗薬となる細胞維持酵素を打った。
次の瞬間、いつのまにかこの殺し合いの場所に集められていた。
「戻ったら、始めからやり直しか」
今手元にあるのは、エターナルのメモリ1本。
世界を地獄へ変えるには、改めて全てのT2ガイアメモリを揃えるところから始めなければならない。
「そういや、ガイアメモリが支給されているんだったか」
最初に集合したときの解説で、そんなことを言っていた気がする。
他の支給品にメモリがないかとディパックを探ると、袋が二つある。
開くと、一つは金属らしきフレームで囲われた、黒い球形の宝石だ。
球の中心を対称に、針と同心円が彫られた楕円形のエンブレムが付いている。
袋の中に付属した説明書によると、名称は「グリーフシード」。
「魔力の消費によるソウルジェムの穢れを、吸いとって移し替えることができる」と書いてある。
ソウルジェムは最初に全員が集められた時言っていたが、魔力というのはさっぱり分からない。超能力みたいなものか?
もう一方の袋の中身は胡桃程の大きさをした黒い木の実のような何かだ。表面に白い斑点模様がある。
説明書には「命の闇の種」と書かれてあり、食べるとヒーローに変身できるかもしれない、顔から花が生えるかもしれないがとある。
「食えるか? ……食えないよな」
克己は闇の種を袋に戻した。こんな薄気味悪いものを食う奴など、余程の馬鹿に違いない。

483Sの異常/気分しだいの必殺技(後編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:34:03 ID:i98vdxf60
さらにディパックを探ると他の中身は食料、照明器具、筆記用具、水と食料、時計、ルールブック。
最後に名簿があった。名簿を確認すると、克己と縁深い人間の名前がある。
仮面ライダーW、左翔太郎。仮面ライダーアクセル、照井竜。NEVER研究を廃止に追いやったガイアメモリ開発の最高責任者、園咲琉兵衛の

一族。
いずれも克己達NEVERの邪魔をし続けた男達だ。
連中も気になるが、それ以上に克己の目を引く名前があった。
「京水。あいつも連れてこられたのか」
泉京水。克己と同じNEVERで特殊傭兵部隊NEVERの副隊長だ。
元は仁義に篤い任侠の徒だったが、その時代遅れの感性が原因で他のヤクザ連中に疎まれ、裏切られ殺されたところを克己が拾いNEVERにし

た。
蘇生した後、どういう理由かオカマになったが。
戦闘力は高く、どこで覚えたのか総合格闘技、特に寝技と関節技が切れる凄腕だ。
「あいつにもメモリは支給されているだろうな」
どこかで会ったら、使ってやるか。あいつは俺のものだしな。役に立ちそうでなければ、メモリを奪えばいい。
少なくとも殺された剛三よりはましだろう。
「ガイアメモリ、もう一度集めるか。とりあえず呪泉郷からだな」
呪泉郷から来た連中は、さっきのバンダナ男の言葉からするとどうやら多そうだ。
集まる人間も多ければ、ガイアメモリが支給された奴の一人か二人はいるだろう。

細胞維持酵素で回復した克己は、先ほどまでの激闘が無かったかのようにすくりと立ち上がった。
呪泉郷に集まった連中が、監獄から来たのか楽園から来たのかは知ったことではない。
悪魔として全員地獄に落とすだけだ。
唯一残った妄執を胸の内に秘め、克己は歩き出した。



【一日目・黎明 D-3/採石場跡】
【大道克己@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:ロストドライバー@仮面ライダーW+エターナルメモリ、エターナルエッジ
[道具]:支給品一式、細胞維持酵素×4@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、命の闇の種@超光戦士シャンゼリオ


[思考]
基本:優勝し、自分の存在を世界に刻む。
1:呪泉郷へ行く。
2:T2ガイアメモリを集める。
3:京水と会ったら使ってやる。もしくはメモリを奪う。
[備考]
※参戦時期はマリア殺害後です。
※良牙を呪泉郷出身者だと思ってます。


【支給品解説】
細胞維持酵素@仮面ライダーW
大道克己、泉京水といったNEVER達が蘇生した体を維持するために必要な酵素。
これを投与することで不死身の肉体、常人の数倍の身体能力、死への恐怖心の消失といった数々の肉体的恩恵を享受できる。
定期的に投与しないと、NEVERは死体に還る。


グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
魔女を倒すと現れる黒い宝石状の物質。
魔力の消費によるソウルジェムの穢れを、吸いとって移し替えることができる。
(このグリーフシードは第3話の物です)


命の闇の種@超光戦士シャンゼリオン
人間界を闇次元界へと変えるための重要な物質。
食べるとヒーローに変身できるかもしれない。
顔から花が生えるかもしれないが。

484Sの異常/気分しだいの必殺技(後編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:39:54 ID:i98vdxf60
採石場跡から飛行して離脱したゼクロスは、墜落するように山道へと着地した。
道の真ん中で仰向けになり、全身から煙を発し人間の姿に戻る。
同時に行われた排熱で体温が落ち着いたところで、身体の状態を確かめようと身動きする。
その時、戦闘中には分からなかった奇妙な感覚に気付いた。
「身体が上手く動かない……これは、何だ……」
まるで全身に鉄球付きの鎖を縛り付けられたような感覚。
その感覚とこの身体になってからの僅かに見聞きした記憶、人間がうなだれて歩く姿を照らし合わせ、ゼクロスは答えを得た。
「そうか……これが『疲れ』か……」
ゼクロスは空っぽの自分の中に一つ思い出した物が出来たと、わずかに顔をほころばせた。
「傷は……どうなっている」
力を込めて上半身を起こし、スーツを脱いで全身の負傷の具合を確かめる。
顔を触ると、僅かな歪みを感じる。鏡が無いのでどの程度かは分からないが。
上半身には左脇腹に打撲痕、肩と胸から腹の切り傷、特に袈裟斬りにされた傷はかなり深く、内に指が入りそうなほどだ。
胸部もフレームが砕け、歪んでいる。
自己再生はすでに始まっていたが、遅々として進まない。
「クッ……治癒能力も落ちている……」
徐々に再生する部分から、僅かに電気が流れるような何かをゼクロスは感じた。
「……痛み、か」
傷口の広さ、多さから言えば些細ではあったが、それは「痛み」であるとゼクロスは確信していた。
カメンライダー二人を相手にしたとき痛みは見たが、自分で体験するのとはわけが違う。
二つも記憶を取り戻した実感を味わおうとした時、ゼクロスの目の前に全裸の長い髪をした女が現れた。
戦うたびに現れる、涙を流す女の幻影。
「お前は……」
だが、その姿はいつもとは違っていた。
泣いている顔に変わりなかったが、口元や目元は緩んでいた。
「お前は……何を言いたいんだ……」

女の幻影が見えるようになったのは、ガモン共和国の旧型コマンドロイドのプラント破壊作戦に従事したときからだ。
そのことをバダンに連れて来られた伊藤博士に言うと、彼は教えてくれた。
自分の記憶を奪ったのはバダンだと。
日本の新宿へ行き、海堂という男にこれ―――透明な立方体―――を渡せ、と。
その言葉に従いバダンの追っ手から逃げ、日本の東京にたどり着いた途端、突然この殺し合いの舞台に喚び出された。

女の今までに無い表情を乏しい記憶、そしてエターナルの言葉と照合し、一つの推測を口にする。
「お前は……喜んでいるのか? 俺があいつを助けようとしたのを」
女はその言葉に答えようとせず、ただその場に存在するのみ。
「俺はあいつを救えなかった」
あの技は自分を犠牲にして敵を巻き込む自爆技だろう。戻っても既に死んでいるはずだ。
「俺の性能は衰えている……だが……もし次にあいつに、カメンライダーに会えば」
さっきはエネルギー球を確実に当てるため、衝撃集中爆弾で足止めしたが、あのマントがあれば生き延びているだろう。
あのカメンライダーからは、これからの戦いに使えそうな重要なヒントをもらった。
自分の胸を砕いた螺旋回転からの青い炎を纏ったキック。あのように、攻撃を叩き込む瞬間のみに集中すれば。
たとえ一瞬しかあの赤い光が出せなくても。
「俺は勝つ……あんな無様な戦いはしない」
何かを掴むように、握り締めた拳を見る。
顔を上げると、いつの間にか女の幻影は消えていた。

485Sの異常/気分しだいの必殺技(後編)  ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:43:07 ID:i98vdxf60
「ここは何処だ……」
考えを切り替えて場所を確認することにする。
ゼクロスは脱出する寸前、ディパックを拾いあげていた。
近くに置いてあったディパックを開き、地図を取り出そうとすると、中からビンが転がり落ちた。
拾い上げたビンには何か苔らしきものが入っていた。ラベルには「生命の苔」とある。
その下に書かれている説明には、傷口に擦り付けると一瞬で完治するとあるが……。
「俺に効くのか……?」
ゼクロスは身体の大半が人工物で構成されている。生体部分がほとんど存在しない自分に効くのか疑わしい。
ビンを数秒見つめた後、結局ディパックに戻した。
「身体をどうにかしないとな」
現在の状態を考えると、傷の回復に専念できる、人間が寄り付かない隠れ家が欲しい。
地図を見ると、さっきの場所は採石場跡。今は南に逃げたからE-3となる。
「廃教会……ここが近いか」
わざわざ名前が記されているところを見ると、何らかの重要施設の可能性もあるが一番近い。
「あとは冴島邸と……村か」
冴島邸は島の中央、生い茂る森の中に建っているようだから近づく人間は少なそうだが、道無き森を進むことになる。
村は一番遠いが、いくつもの家があれば隠れるのには最適だ。
「どうするか……」

考えた末、とりあえず西へ進むことに決めた。
道を進みE-2のエリアに出れば、森の様な視線を阻む遮蔽物が無い。等高線を見ても同じ高さだ。
遠くからでも変身したゼクロスの視力なら、村と廃教会双方の状況を確認することが出来るだろう。
そうしてどちらかが危険と判断出来れば良し。安全と推測できる方へ進む。
両方危険が無いとすれば、廃教会へ。
どちらも戦闘が始まっていたら、その時は戻るしかあるまい。

道中、傷口を押さえよろよろと歩きながら、ゼクロスは決意を固めていた。
カメンライダーがさっき戦ったあんな連中ばかりなら、俺から何もかも奪う奴らなら、奪われる前に殺す。
特にあの白いカメンライダーは必ず。
「エターナル……俺が倒す」



【一日目・黎明 E-3/山道】
【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:負傷(右肩に切り傷、左胸から右わき腹までの深い切り傷、左前腕貫通、顔面と右脇腹打撲、胸部破損)、疲労(大)、回復中
[装備]:電磁ナイフ、衝撃集中爆弾、十字手裏剣、虚像投影装置、煙幕発射装置
[道具]:支給品一式、生命の苔@らんま1/2、ランダム支給品0〜2個
[思考]
基本:カメンライダーを倒す
1:エターナルを倒す。
2:落ち着いて治療に専念できる場所を探す。
[備考]
※参戦時期は第二部第四話冒頭(バダンから脱走中)です。
※衝撃集中爆弾と十字手裏剣は体内で精製されます。
※良牙は死んだと思っています。
※能力制限は一瞬しかゼクロスキックが出来ない状態と、治癒能力の低下です(後の書き手によって、加わる可能性はあります)。
※本人は制限ではなく、調整不足のせいだと思っています。
※名簿はまだ確認していません。


【支給品解説】
生命の苔@らんま1/2
ヤマタノオロチ(オマタノヤロチ)の背中(八つめの頭)に生える苔。
効能1:傷口に擦り付けると、一瞬で完治します。
苔を漬けた水を飲むと、一定時間だけ回復します。
効能2:珍獣が苔を漬けた水を飲むと、一定時間だけ巨大化します。

486 ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:44:10 ID:i98vdxf60
以上で投下は終了です。

487 ◆zvh.p2EMLo:2011/11/17(木) 20:54:06 ID:i98vdxf60
連投失礼。村雨良の状態ですが、右脇腹を左脇腹にしてください。

488名無しさん:2011/11/17(木) 21:21:01 ID:BXJB/0Fc0
投下乙です

これは濃いなあ
序盤のタイマンから一転、方向音痴からとんでもない乱入をした良牙が仮面ライダーとコンビ組んで他の仮面ライダーとガチ対決とかすげえ
よく死ななかったなあ。死にかけて三途の川とか原作ネタとか織り交ぜつつ…いや、よく生き残れたなあ
でも迂闊な発言するから危険人物がそっちに行くぞ。おま、あかねさんがピンチだろうが
村雨は…なんかフラグは立ちつつあるが仮面ライダーを危険視してもいるからなあ…
こいつも西のどこに行くか気になるなあ…
いやあ、濃いSSをありがとうです。GJ

489名無しさん:2011/11/17(木) 21:43:03 ID:PX1uSg2I0
投下乙。
良牙が相変わらずバカだww
しかし、必殺技発動までの経過がすごいアホっぽいのに、それでエターナルやっつけちゃうとは…
まあ、あの技原作で見る限りでもやばそうだったからなあ…

しかし村雨はなにげ面白い場所にいるな。
自分をかばって死んだ(と思っている)三影と、その三影の仇である一文字が近くにいるとは。
どっちと出会っても面白いことになりそうだw

490名無しさん:2011/11/17(木) 22:42:32 ID:o60nR5F20
投下乙です

なんか戦闘中でも良牙だけ空気違って笑った
普通、夢や三途の川とかで仲間と出会うイベントは燃えイベントや泣きイベントになるはずなのに、完全にギャグシーンじゃないかw 原作通りではあるけどさw
そして、戦闘が終わったと思ったらそのまま南東へ……こいつ、いったい最後はどこにたどり着くんだろうか

村雨は一文字とか因縁ある相手と出会っても面白そうだけど、廃教会方面に行くと照井と鉢合わせる可能性もあるな
アクセルを見たらぶんライダー認定されるんだろうけど、テッカマンとか他の変身ヒーローはちゃんと見分けられるのかな?

491名無しさん:2011/11/17(木) 23:21:23 ID:CF9x2JA60
投下乙です
良牙……シャンプーのおかげで死線を超えたかw
村雨も大道も色んなアイテムが支給されて、これからどうなるだろう……
そして村雨よ、良牙は生きてるぞw

492名無しさん:2011/11/18(金) 01:39:53 ID:v8YT2CE20
投下乙です。
予約のメンバーからどうなることかと思ったら退場はなし、でも見事な激闘だった。

とはいえやはりらんま勢はギャグになる宿命、三途の川イベントがギャグになるとは……他の人も指摘してたけどギャグじゃねーか。
まぁ、死んでからとはいえやっとシャンプーがシャンプーらしく活躍したから良かったと言えば良かったのかな?
だが、エターナルがそっちに向かう事になったのだが……なのに良牙本人はそっちに向かわないというトンデモ状態。
一応、そっち方面が別の意味で修羅場なので、すぐにどうこうという事はないけどさぁ……
村雨はとりあえず廃教会かそっち方面にいるメンバーと誰と絡んでも面白い事になりそうな気がする。

しかし今回の話に限った事じゃないけど、らんま勢とシャンゼ勢は現状清涼剤になっている気がする。いいぞもっとやれ。

493名無しさん:2011/11/18(金) 02:06:37 ID:S5VPqhD6O
投下乙です。ギャグキャラがガチバトルやったりギャグシーンやったり、つーか普通にシリアスやってるライダー二人が霞むって何事だw

結果全員が多少の被害だけで済んだけど、ロワでのギャグキャラは時にして一流のバッドフラグメーカーになりかねんからなぁ・・・

494名無しさん:2011/11/18(金) 21:59:00 ID:2kp22kCw0
ギャグキャラはそのまま独走してくれるのもいいがロワの空気で不幸になって原作で見れない展開になってくれるのもいいなあ…

495 ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:26:47 ID:2opRdcHE0
投下乙です。
参戦時期が参戦時期でありながら、エターナルを倒すと誓ったゼクロス……仮面ライダーになることはできるのか?
らんまのシーンは、流石良牙というべきか、流石シャンプーというべきか
何気に獅子咆哮弾は万能だったり

496 ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:27:52 ID:2opRdcHE0
では、投下を始めます。

497MY FRIEND ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:28:45 ID:2opRdcHE0
 速水と冴子は立ち止まって速水の荷物を確認していた。
 冴子自身は既に自らの支給品を粗方確認し終えていたのだが、同行者の速水がそれを一切行っていなかったからである。確認を怠った理由はただ単純に、加頭への怒りに身を震わせていたら時間が経過し、冴子と会うまでの時間に支給品を確認できなかったとかそんなところだろう。
 不自然な行動をしたわけでもないし、詳しい理由は聞かない。どうせ大したことでもなさそうだ。冴子は速水に支給品を確認するよう促すのみである。
 共に行動してもらう以上、速水の支給品を確認するのは当然であり、また自分が何を武器に戦えばいいのかを確認してもらうのも大事だと思われた。


「…………で、その結果がコレというわけね」


 彼らが速水のデイパックから取り出した武器はいずれも用途不明のものばかりである。形が何かに似ているようにも見えたり、文字が書いてあるように見えたりと、一瞬何かを思わせる要素があるのだが、結局思い出そうとしてもただのガラクタとして思考を停止する。
 冴子のデイパックと共通してある道具を除いていくと、最早速水の道具に武器らしい武器はない。水の入ったペットボトルの方がまだ武器になるかもしれない。無論、殺し合いでなくお菓子の取り合い程度の喧嘩ならば。


 ──武器か、武器でないか。
 その二択以前に、そもそも用途がわからないもの。それを支給した加頭の意図がわからないもの。────そんなものばかりなのだ。
 本来、殺し合いをさせるべき加頭は、何故武器にさえならないものを支給したのか?
 彼の遊び心だとしても、武器と一切の関係がないものを支給して何になるか。どうせなら、ピコピコハンマーや水鉄砲など、なんとなく武器に関連させるガタクタを支給した方が、一応武器を支給した気になるのでないか?
 まあ、あんな何を考えているのかわからない人間の心情を考察するのは速水の言葉よりも馬鹿らしい。
 そもそも殺し合いを開催する時点で意図がわからないのだから……。


「心当たりのあるものはある?」


 思考に区切りをつけて、速水の支給品に心当たりはないかと声をかける。
 わざわざこんなことを聞いたのは、冴子にとって心当たりのある「ガイアメモリ」がこの場において誰かに支給されてると加頭が発言したからだ。
 あれは使い方を知らない者にとっては、何だかわからないだろう。USBメモリにしてはサイズがおかしい。
 それと同じで、ここにある用途不明の支給品の中にも速水の知る物がないかと聞いた。意味のわからないものを支給しているというのなら、それは参加者によって心当たりのある物という可能性がある。
 速水はそれに答えた。


「ひとつだけあります」

「どれ?」

「これです。でも、何故これがこんなところに……?」


 と速水がつまむように持ち上げたのは気色悪いムカデのキーホルダーである。お土産などで売っているのを見かけたかもしれないが、買うのは大概性質の悪い男子だ。速水のようなタイプがこれを買うのは想像できない。
 それに冴子としては、「心当たりのあるもの」というのは、できれば「用途不明のもの」であってほしかった。
 その他の意味不明な物体に何らかの用途を示してほしかったのだが、こんなキーホルダーへの心当たりを語られても困る。
 このキーホルダーを初めて見た冴子も、これにキーホルダー以上の用途があるとは思えなかった。
 このキーホルダーのパーソナルデータや思い入れを聞きたいわけでもない。
 しかし、速水は何かを思い出していくように語る。少し前の記憶を手繰り寄せていき、やがてそれが感情的な言葉へと変わっていった。


「これは暁が俺に押し付けてきたキーホルダーだ……。思い出すのも懐かしい……そして、腹立たしい! あいつ、こんな気色の悪いものを俺に押し付けて!」


 どうやら、これはかつて涼村暁の所持品だったものを速水が譲り受けたものらしい。
 本人曰く、押し付けられたとのことだが……まあ、こんなものをプレゼントされたところでまごころは感じないだろう。
 速水も欲しがったわけではなさそうだ。

498MY FRIEND ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:29:36 ID:2opRdcHE0
「だが! このキーホルダーのお陰で俺が闇生物にならずに済んだも確かだ……」


 誰も聞いていないのに、速水は一人でこのキーホルダーに込められた過去を語り始めた。
 暁の台詞や闇生物となった自分の心情にいたるまで克明に……。


 ──そうだ、速水! 君にあげよう! 友情の印だ!──

 ──速水、これを見ろ! 忘れたのか! 俺たちの友情のキーホルダーだ!──


 こんなシャンゼリオンの言葉が胸を打ち…………ではなく、このキーホルダーを押し付けられた苛立ちから速水の心の闇が頂点に達して闇生物と分離したことによって速水は助かったっらしい。
 まあどういう理由であれ、暁がこのキーホルダーを差し出したことによって速水は闇に堕ちずに済んだとのことである。
 

「…………それは、何ていうか…………やっぱり友情のキーホルダーなんじゃない?」


 冴子は速水が語るそのいきさつに戸惑う。
 普通は、こういうときに友情で眼が覚めると思うのだが、逆に憎しみや苛立ちのような負の感情によって闇から解放されるとは。
 正直言って、戸惑うというより寧ろ呆れているのかもしれない。溜息がでそうになったことを考えると、やはりすなのだろう。
 本人がキーホルダーを疎ましく思っていることを考えると反応にも困る。あんまりそのキーホルダーのことを褒めるのも何だし、かと言ってけなすタイミングでもない。ほどよく呆れた様子を口に含ませている。


 ……しかし、こうして聞いていると暁という男への評価が少し変わる。
 友人である速水やエリを助けるために戦いへと向かい、友情のキーホルダーで速水を闇から解放したヒーロー。
 この話だけ聞くとそういう風にも評価できる。
 速水曰く、人を不安にさせるヒーローとのことだったが、この話を聞いていて暁がおかしいと感じられるのはこのキーホルダーを速水に押し付けたことくらいだ。
 それも、暁がゲテモノ好きで、つい速水にあげたくなったのかもしれない。
 ……いや、それは流石にないか。


 ともかく、冴子が聞いたこのエピソードで原因となっているのは速水の憎しみや負の感情であり、暁が悪いようには思えなかった。
 まあ、ここに来るまで暁が速水にどんなことをしてきたのかを細かく聞いたわけではないし、もしかしたら暁は速水にもっととんでもないことをしてきたのかもしれない。
 加頭に連れてこられたあの場において、暁の姿は一度見てはいるが、しっかりした人間でないというのはなんとなくわかっている。
 この話だけでは彼らの人柄をしっかりは判断できないか……。


 というか、話を聞いてて思うんだが本当は暁と速水って本当に仲が良いんじゃないか?
 そんなことはどうでもいいか。

499MY FRIEND ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:32:10 ID:2opRdcHE0
「で、このキーホルダーはいいとして、他の支給品は何に使うのかしら?」

「さあ……武器には思えませんが」


 速水が手に取ったのは、「真」という字の書かれた手のひらほどの四角い物体。
 それと共に、CDや五十円玉のように中央に穴の開いた円状の平たい物体も支給されている。まあ、これは先ほどCDと表現したのはおそらく的を得ている。冴子にも速水にも硬貨よりディスクであるように思えたのである。


 彼らは知らないが、これはインロウマルとスーパーディスクである。
 参加者のうち二名がこれを使えば、スーパーシンケンジャーという強化形態に変わることができる。
 本来はシンケンジャーに支給されるべき物だが、二人の参加者に対し一つしか存在しないためか、ランダムで支給されていた。


「まあいいわ。あとは……」


 ぱらっ、と速水の手から最後のひとつの支給品がめくれ上げていく。小さな風が吹いたのだ。
 最後の支給品は他の支給品のように、風で僅かでも動かないだけの重みは持たない。
 幾枚もの紙の束……。
 ひとつひとつに絵と台詞が描かれた、「漫画」。
 相変らずその意図がわからない。
 タイトルは「ハートキャッチプリキュア」。────彼らは知らないが、プリキュアという存在がここにある以上、多少のヒントや情報として受けることもできる。


「プリキュア……? 素人が描いた少女漫画のようね」

「ええ。しかし、プロほどじゃないけど、そこそこ上手に描けてるなぁ」

「まさか、加頭が描いたんじゃないでしょうね」


 と、恐ろしい想像をしつつ呆れたように肩を落とす冴子を前に、速水はおもむろにその内容を読み始める。
 とりあえずこうして支給されたからには何らかの形でメッセージが隠されているかもしれない、と少し期待したのである。
 冴子もその可能性を考慮してはいた。
 まあ、冴子に少女趣味はないので、とりあえず解読は速水に任せることにした。これを読んでいる自分の姿など想像するだけでも鳥肌が立つ。

 …………まあ、目の前でむさ苦しい男がこれをまじまじと読んでいるのだが。


「…………なんてことだ」


 それから暫く経った。
 数分でそれを読み終えた速水はわなわなと体を震わせ、顔を強張らせている。
 何か思うところでもあったのだろうか。
 加頭を倒すヒントが……。
 冴子は速水が一体何を発見したのか教えてくれるのを待った。


「なんて素晴らしい友情のストーリーなんだ! 俺は今、モーレツに感動している!」


 放っとこう。


「俺にはわかる……これは決して加頭が描いた漫画なんかじゃない!」

「……」

「そうだ……きっと、漫画家を目指す中学生くらいの女の子が毎日徹夜でコツコツとこれを描いてきたんだ……そうに違いない! 俺にはわかる……! なんてことだ……加頭め! そんな健気な気持ちのこもったこの漫画を殺し合いの場に利用するなんて!」


 実はこれはクラスの番長が描いたものなのだが、速水は知る由もない。
 こういう思い込みの激しい男で、思い込んだら勝手に話を進めてしまう。
 正義感が強いのは確かだが、一度何かに感動すると暴走してしまうのだ……。


(頭おかしいんじゃないかしら……)


 ひとり感動して勝手に話を進める速水を前に、早く井坂と合流して家に帰りたいと思う冴子であった。

500MY FRIEND ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:34:03 ID:2opRdcHE0
【一日目・未明】
【C-3/森】
【園咲冴子@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、タブーメモリ&ガイアドライバー@仮面ライダーW、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:井坂先生に命を預け捧げる。
1:井坂先生を捜し出して、後の判断を仰ぐ。
2:加頭を殺す。
3:速水がかなり面倒臭い。
[備考]
※仮面ライダーW35話終了後からの参戦です。
※ダークザイドについてや、速水が一度闇生物になりかけた話などについて聞きました。


【速水克彦@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康、とても感動
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!
[思考]
基本:殺し合いを止める。
1:冴子を守る。
2:冴子と共に井坂を捜す。
3:暁は後回しだ。
[備考]
※超光戦士シャンゼリオン第36話終了後からの参戦です。
※紀州特産の梅干し(超光戦士シャンゼリオン38話に登場した物)は壷に複数個入っています。
※『ハートキャッチプリキュア!』の漫画によってプリキュアについて知りましたが、物語としてしか知りません。
※『ハートキャッチプリキュア!』の漫画の作者について多大な思い込みを感じています。


【支給品解説】

★ムカデのキーホルダー★
「超光戦士シャンゼリオン」の第29話「速水はヤミに!」に登場したムカデのキーホルダー。
暁の秘書・桐原るいが大量に購入してきたもので、暁もドン引きして速水にひとつ押し付けた。
速水も全く気に入っていないが、暁曰く「友情のキーホルダー」らしい。


★『ハートキャッチプリキュア!』の漫画★
文化祭で番ケンジが配布していたどうz……漫画。
キュアムーンライトは登場しない。

501 ◆gry038wOvE:2011/11/18(金) 23:34:41 ID:2opRdcHE0
以上、投下終了です。

502名無しさん:2011/11/19(土) 01:06:45 ID:1Anspj/c0
投下乙です

もうね、冴子はドンマイw
ちなみに暁に会ったらひつこくナンパされて頭痛がひどくなるだけだからwww
なんだろう、めんどくさい奴がプリキュアの事を知ったなあ…

503名無しさん:2011/11/19(土) 16:53:31 ID:bEdttL.k0
投下乙です!
まさかそれが出てくるとはw
冴子さん、ちょっと可哀想だ……w

504名無しさん:2011/11/20(日) 00:49:49 ID:E0tWD20Y0
プリキュア大迷惑! ……かもしれんな、速水とあったら
しかし、なぜだろう
速水も暁や良牙と同じギャグ寄りのキャラなのに、どこか勢いがない
いや、比較対象が悪すぎるか。あの二人と比べたら、たぶんこの程度では凡人……

505名無しさん:2011/11/20(日) 05:28:51 ID:H3Tkirgs0
ギャグよりというか、こいつがシリアスになればなるほどシリアスな笑いが生まれるという…

506名無しさん:2011/11/21(月) 21:44:03 ID:nURs7.2s0
そしてあのおバカと超危険人物と巻き込まれる不幸な少女らキターw

507名無しさん:2011/11/21(月) 22:51:36 ID:A1US5jZUO
ダwwwグwwwバwww
よりにもよってラスボスですよラスボス、こりゃ早くもギャグやってる場合じゃなくなったな。
ほむほむはもうドンマイ、遭遇するのにろくな奴がいねぇw

508名無しさん:2011/11/21(月) 23:02:30 ID:7GAz9S5E0
ブッキーを侮辱しないでくださいw
てか彼女も一緒に予約されてるんだよなぁ……どうなるだろw

509名無しさん:2011/11/22(火) 09:31:27 ID:ZKolzFbg0
まぁこの組み合わせならブッキーは死ぬだろうなw
本命ブッキー
対抗ほむら
大穴暁だな

510名無しさん:2011/11/22(火) 10:18:29 ID:wPQQ/CLk0
いや待て
ダグバがボッコにされるという可能性も……

511名無しさん:2011/11/22(火) 12:23:20 ID:PntawHJY0
予約見てきた

ダグバに尻を燃やされる暁を想像したのは俺だけか?

512 ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:23:31 ID:naZnWAE.O
このスレのせいでシャンゼリオンが見たくなってきた・・・・・・

お待たせしました。
不安があったのでしたらばの仮投下スレにSSを投下させていただきました。

513 ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 15:53:56 ID:naZnWAE.O
申し訳ございません。
緊急の用事で今夜中の投下できそうにありません。

いちおう仮投下スレに作品自体はあるので、もし問題が無さそうでしたらどなたか代理投下をお願いいたしますorz

514 ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:12:41 ID:N0hpv/eI0
修正終わりました。
投下します。

515捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:15:15 ID:N0hpv/eI0
木々が密集する森林地帯。
本郷猛とまどかは、先ほど爆音が響いた地点に駆けつけようとした。
急行する途中で本郷は戦いに備えるべく、すでに仮面ライダーに変身をしている。
まどかは、肉体を大幅に強化されている改造人間であるライダーの歩幅についてこれないであろうため、本郷は彼女を背負って移動していた。
ディバックの中はザッと確認したが移動に使える物はなかったので(時間を食うため、その際に名簿や道具の説明書きは確認できなかった)、このような形になっている。
元々、まどかは小柄で体重が軽いため、改造人間には全くというほど負担が無いのが幸いだった。

「本郷さん、あれを!」
「ああ・・・・・・見えている」

二人の眼に数10mほど先で女性らしき影と巨大な蝙蝠らしき物体との争いが映っていた。
それを見てからの本郷の対応は早い。
まずは、まどかを離れた位置に隠れさせておく、それは本郷なりの配慮だった。
相手が殺し合いに乗っていない保証はどこにも無いため、万が一に備えて戦えないまどかを隠れさせる必要があると考えたのだ。

516捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:16:30 ID:N0hpv/eI0
もし戦闘になった場合、彼女がやられたり人質に捕られたりしたら眼も当てられない。
素人に武器を持たせて戦わせるなど言語道断だ。
まどか自身もそれを理解していたため、そして本郷の足枷にはなりたくなかったので、素直に従った。

「さっきも言ったとおり、俺が良いと言うまで隠れてるんだ。
万が一、俺の身に何かあったら逃げるんだ。
くれぐれも加勢しようと考えるんじゃないぞ、いいな?」
「・・・・・・はい、でも必ず生きて帰ってきてくださいね。
マミさんや、さやかちゃんみたいにもう会えなくなるのは嫌ですから・・・・・・」
「ああ、約束しよう」

その巴マミ、美樹さやかに当たる少女たちがこの殺し合いの場にいるかもしれないーーその言葉を本郷はクラッシャーの奥にある口の中に留めておく。
それを彼女に話すのは、今止めなければいけない戦いを止めてからでも遅くない、と思いながら。

やりとりを済ませるとライダーは戦いの現場へと向かい、少女は樹の影から遠くなっていくその背中を見つめていた。


〜〜〜〜〜


怪しく笑い不気味な言葉を喋る蝙蝠型の怪人ーーズ・ゴオマ・グ。
それに立ち向かうは覇王流を受け継ぐ女魔導士ーーアインハルト・ストラトス。
遭遇戦から始まったその戦いは第二ラウンドに差し掛かっている。
数十分に及ぶ戦いの末に、軍配が上がり始めているのはーーゴオマ。
アインハルトは苦戦を強いられていた。

空中からゴオマが奇怪な言葉を吐く。
笑いながら語りかけたそれは、グロンギ語がわからないものでも、相手を見下す言葉だと態度でなんとなくわかる。

「ゾグギザ、ジョパギゾ?(どうした、よわいぞ?)」
「くッ!」

身体のあちこちに擦り傷が溜め込まれ、疲労のためか息の上がっているアインハルトは歯噛みするしかなかった。

苦戦の理由はいくつかある。
ゴオマは最大時速120kmで空を飛ぶことができる、空はゴオマのフィールドであり、無闇に飛ぼう物なら確実に餌食になる。
さらに見た目通りに蝙蝠の特性を引き継いだグロンギであるゴオマには、常人ならば気をつけて歩かなければならない夜の暗闇もなんら障害になりえない。

517捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:17:10 ID:N0hpv/eI0

対してアインハルトは、技術的にも魔力的にも普通の魔導士より優れてるとしても、森の木々や夜の闇は確実に障害となっていた。
具体的には、こちらの攻撃は高い飛行能力や森林の障害物などを利用されて避けられたりする。
当てるだけでもかなりの集中力が必要であり、タメと隙の短い小技は当たってもかなりのタフネスを持つグロンギには決定打にならず、タメと隙の大きい大技はまず当たらないのだ。
周辺の暗さの関係でこちらの防御も難しく、中々思うように戦えないでいる。

・・・・・・だが、それだけで覇王の技を使うアインハルトが遅れを取ることはない。
彼女が不利なのは、もっと別の要因がある。

(この蝙蝠男・・・・・・さっきよりも強くなっている!)

蝙蝠男は最初に遭遇した時よりも、見た目も毛深くなっており、それだけでなくパワーやスピードも段違いに増していた。
戦う内にアインハルトは体力も魔力も消耗、結果的に不利に追い込まれ、一方で蝙蝠男はまだまだ余裕な様子であり、むしろ時間が増す度にどんどん元気になっているようだ。

彼女は知るよしもないが、ゴオマはアインハルトと再戦する前にダグバのベルトの破片を体内に吸収している。
すなわち、破片の中に内包された膨大な闇の力をゴオマは身に宿しており、その力は通常よりも遥か強化されている。
ちなみに、蝙蝠らしく元のゴオマは日光が苦手だったが、今の彼は太陽すら克服できる。

ーーズ・ゴオマ・グ 強化体ーー

今のゴオマにはその名に相応しい力を持っていた。
アインハルトがそんな相手にいくつかの擦り傷程度で済んでいるのは彼女自身の実力の賜物であり、並の戦士ならとうの昔に殺されている。

しかし、このまま戦い続けても消耗によっていつかはこちらは倒れる。
アインハルトはそれを理解していても、逃げる選択はしなかった。
戦いを放棄する事でヴィヴィオを始めとする仲間に被害が及ぶことは、なんとしても避けたかった。
己の命欲しさだけに逃げることは、覇王の名折れであり、ヴィヴィオたちへの裏切りだ。
そう考えたからである。

(私は・・・・・・逃げません!)

518捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:18:01 ID:N0hpv/eI0

アインハルトは宙に浮いているゴオマを睨み、己の士気を奮い立たせる。
だが、その最中で自身の相棒であるデバイス"アスティオン"が主人に警告の意味を込めた鳴き声を放つ。

『にゃあ!』
「ティオ・・・・・・? なに?新手!?」

デバイスからの警告を聞き、アインハルトは即座に周囲を確認。
すると離れた位置から、バッタのような奇怪な仮面をつけた異形が、こっちに向かってきている。
また怪人か!?ーーそう思った彼女は身構え、三つ巴か、最悪の場合である1対2の不利な戦いを覚悟する。
アインハルトと敵対しているゴオマも交戦を一時中断し、空中から仮面の異形を睨む。

「クウガ!?
リゾシギソン “クウガ”?!
(クウガ!?
緑色の“クウガ”?!)」

どうやら、現れた謎の異形に驚いているようだ。
それも何かを知っているように男を見ては「クウガ、クウガ」と口々に漏らしている。

そして、仮面の異形は一人と一匹に捕捉されたとわかると、いきなり攻撃したり逃げたりはせず、蝙蝠男に視線を向けてその場に立ち止まって呟く。

「怪人コウモリ男? まさかBADANの手先か?」
「BADAN・・・・・・?」

聞きなれない言葉に首を傾げるアインハルト。
本郷は続けて声高々に呼びかける。

「まあいい、俺の名前は先ほど加藤が言っていたが改めて名乗ろう。
俺は仮面ライダー1号、本郷猛!」
「本郷・・・・・・あの時の!」

アインハルトはゲーム開始前に加藤と向き合って話す男の一人に本郷がいた事を思い出す。
つまり、この仮面の男はあの時の本郷猛ということか。

「加藤の思惑には乗らず、この殺し合いの脱出もしくは破壊を目指している者の一人だ!
そして、殺し合いにならない者の味方でもあるーー」
「ゴラゲゾ ボソゲパ ゴセビザブグヅブ クウガ!!
(クウガ、おまえを殺せば俺に箔がつく!!)」

ゴオマは仮面ライダー・本郷と名乗る男の話を強引に立ちきるかのように、アインハルトを無視して本郷へと空中から滑空し襲いかかる。
その腕には相手を八つ裂きにせんと、爪がギラリと輝いていた。

「危ない! 避けてください!!」

519捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:18:50 ID:N0hpv/eI0

滑空によってスピードを上げているゴオマに追い付けないアインハルトは、本郷へ注意を訴えるのが関の山であった。
彼女の言葉を聞こえたか聞こえずか、本郷は急接近ゴオマを見据えながら冷静につぶやく。

「・・・・・・なるほど、話も聞かずに見境なく襲いかかってくるとは。
俺の知るBADANの怪人と何か違う気がするが、殺し合いに乗っていることだけは間違いないようだな!」

怪人の鋭き爪が仮面ライダーを真っ二つにしようする直前、本郷はこれを高く跳ぶ事で回避する。
しかしーー

「いけない!
あれだけ高く跳んでしまうと自由落下で隙が生まれる!」

ーーアインハルトの指摘通り、本郷は空を飛ぶ能力を持たないライダーであり、飛べるゴオマとは違って跳んだ後の軌道修正ができない。
降下中の隙を狙うぐらいの機動力と俊敏性をゴオマは持っている。
ゴオマは飛び上がり、空中を落下中の本郷に再度の爪攻撃を仕掛ける。
クウガも空までは飛べない、優位なのは制空権を握っている自分だーーと相手を笑いながら。
そして、本郷に回避不可能な凶刃が迫る。

「そのような爪で仮面ライダーを落とせると思うな!」

ゴオマの爪が本郷に届こうとした寸前、本郷は落下コースの途中にある長く伸びた”木の枝”を手にかけ、鉄棒体操の要領で枝を軸とした回転により攻撃を回避する。
間髪入れずに、回転によって生じた遠心力を上乗せしたカウンターキックをゴオマに放った。

「ギャッ!!」

まさか飛べない身でありながら、そのような反撃方法を繰り出して来るとは思わなかったために防御が間に合わず、蹴りはゴオマの後頭部にクリーンヒットする。
ゴオマはそのまま落下し、土埃を立てて地面に墜落した。

「飛べない者は空中では自力での軌道修正できないが、ならば周辺の物を利用するまでさ」

本郷はシュタッと難なく地面に着地し、次の攻撃する。
それからアインハルトはその戦いぶりの率直な感想を述べた。

「自分の力だけじゃなくて、自分の今いる場所の特徴を利用するなんて・・・・・・
この人は強い、とても戦い慣れている」

520捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:19:22 ID:N0hpv/eI0
仮面ライダー1号は単純なスペックでは後発の2号・V3に劣り、ストロンガーのような電撃は使えず、アマゾンほどの生命力は持ち合わせず、X・スーパー1・スカイライダーのように深海・宇宙・空での戦闘はできず、ゼクロスのような多彩な武装もない。
だが、その誰よりも勝る物を1号は持っていた。
仮面ライダーとしてもっとも長い“戦闘経験”である。
これまでに本郷は幾多もの場所で戦い、幾多もの怪人を相手にしている。
その中には森で戦った事もあり、コウモリ型の怪人を相手にした事もあるため、どのようにして戦うかのビジョンが本郷の中にはあるのだ。
古代の怪人であるゴオマも殺した人数なら負けてないかもしれないが、その大半がグロンギほど力を持たぬリント(人間)であり、強敵と言えるのはクウガぐらいだろう。
ただ速く飛んで切り裂き噛みつくだけでは並の戦士には通じても、技量面では本郷に及ばない。
技の1号は伊達ではないのだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜

521捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:20:05 ID:N0hpv/eI0

それからあまり間をおかず、地面に墜落したゴオマへの警戒は解かぬように、正面に捉えながらアインハルトが本郷に近寄る。
彼女は感情表現が苦手なために笑顔こそないが、特に敵意を向けずに友好的な態度で本郷に接触する。

「本郷さんでしたね?」
「君は?」
「私の名はアインハルト・ストラトス。
安心してください、私もこの殺し合いに乗る気はありません」
「そうか、それは良かった。
怪我をしてるようだが大丈夫か?」
「ほとんど掠り傷です、まだまだ戦えます。
それより・・・・・・」

「ボ、ボソグ(殺す)! リント、クウガ!!」

二人は会話をしていると同時に、数m先で墜落したゴオマが起き上がるのを見ていた。
喚くような口調から後頭部を蹴りつけられて癇癪を起こしているのは明白だが、すぐに起き上がれた所からしてダメージはほとんど無さそうだ。

「手応えが薄いと思っていたが、やはり浅かったか」
「あれはかなりタフな怪人のようです」
「そのようだ。
あの狂暴性からしても、ここで確実に倒さないと厄介なことになりそうだしな。
手を貸すぞ」

共通の敵に対して、仮面ライダーと覇王は肩を並べる。
一人なら勝てるかどうかわからない相手にも、二人ならば勝てるかもしれない。
アインハルトは思わぬ所で味方を得たことにより、不利だった形勢が変わろうとしていた・・・・・・


・・・・・・それは唐突に、遠くから高速で回る車輪の音を三者は聞いた。
本郷に次ぐ新しい乱入者がここに馳せ参じようとしていた。

「なんだこの音は・・・・・・ローラーの音? こちらからか?」

本郷、アインハルト、ゴオマも音が聞こえてきた方向へ振り向いた。
そこにはまだ遠い上に暗いため見えづらいが、ローラーブーツと鉢巻きらしき物を身につけた人影が見えた。
そこで表面上にこそ現れてないが、アインハルトは心の中で安堵する。
人影の特徴と、自分の知り合いとの特徴が一致したからだ。

「スバルさん!」
「君の知り合いか?」
「ええ、信頼できる人です。
性格からしても、殺し合いに乗る人ではありませんし、きっと私たちと一緒に戦ってくれます」

522捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:21:26 ID:N0hpv/eI0

アインハルトの知るスバル・ナカジマという人物像は、とても正義感の強い人物であり、便りになる人物であった。
戦闘力こそ高いが、優しい性格であるため殺し合いに乗る事は絶対しない。
この場においては進んで殺し合いに乗っていない者を助け、殺し合いの破壊を強く望む女性であるーーアインハルトはそう信じていた。

『にゃ!? にゃーーー!!』
「え? どうしたのティオ?!」
『にゃーッ! にゃーッ!』

突然騒ぎだしたデバイスにアインハルトは目を向ける。
それは『強く警戒しろ』と訴えているようだった。
アインハルトがデバイスからスバルへ視線を向け直すと、彼女はもう10m近くまで接近していた。

・・・・・・だが、そこにいたのはアインハルトの知るスバルではなかった。
蒼い髪、高町なのはの物を模した白いバリアジャケット、額の鉢巻き、手甲とローラーブーツ状のデバイス、それらは記憶と同じだ。
しかし、身体の各所に植物の根っこが各所に生えており、何より瞳の色は金色、表情に生気も無く完全に機械と化していたーーこんなスバルをアインハルトは知らない。
さらにスバルがこちらに高速で向かいながら、拳を溜めていた。

なぜ彼女がそんな事をしているのか?
距離はもはや3m足らず。
一瞬の安心と油断が枷になったため、アインハルトの頭の中で状況処理をするには時間が足りない。
防御にまわせる魔力を練る時間がない。
そして、感情が一切籠らぬ声に合わせて、

「ディバインバスター」

スバルの拳から強烈な閃光が放たれた。
閃光は轟音と共にスバルの正面に合ったものを蒸発させ、余波だけで土や落葉を宙に浮かせ、木々をへし折った。

閃光が止んだ後には、スバルの前に倒れている本郷とアインハルトの姿があった。
ただし、本郷はほとんど無傷であり、すぐに首を起こす。
だが・・・・・・

「アインハルト!?」

本郷の胸に重なるようにアインハルトがぐったりとしていた。
彼女は背中のバリアジャケットの大部分を砕かれ、痛々しい傷を負っている。

実はディバインバスターが炸裂する寸前に、直感で危険を感じとったアインハルトが、反射的にきびすを返して本郷を押し倒し、両者の直撃を回避したのだ。

523捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:23:11 ID:N0hpv/eI0
>>522の修正


アインハルトの知るスバル・ナカジマという人物像は、とても正義感の強い人物であり、頼りになる人物であった。
戦闘力こそ高いが、優しい性格であるため殺し合いに乗る事は絶対しない。
この場においては進んで殺し合いに乗っていない者を助け、殺し合いの破壊を強く望む女性であるーーアインハルトはそう信じていた。

『にゃ!? にゃーーー!!』
「え? どうしたのティオ?!」
『にゃーッ! にゃーッ!』

突然騒ぎだしたデバイスにアインハルトは目を向ける。
それは『強く警戒しろ』と訴えているようだった。
アインハルトがデバイスからスバルへ視線を向け直すと、彼女はもう10m近くまで接近していた。

・・・・・・だが、そこにいたのはアインハルトの知るスバルではなかった。
蒼い髪、高町なのはの物を模した白いバリアジャケット、額の鉢巻き、手甲とローラーブーツ状のデバイス、それらは記憶と同じだ。
しかし、身体の各所に植物の根っこが各所に生えており、何より瞳の色は金色、表情に生気も無く完全に機械と化していたーーこんなスバルをアインハルトは知らない。
さらにスバルがこちらに高速で向かいながら、拳を溜めていた。

なぜ彼女がそんな事をしているのか?
距離はもはや3m足らず。
一瞬の安心と油断が枷になったため、アインハルトの頭の中で状況処理をするには時間が足りない。
防御にまわせる魔力を練る時間がない。
そして、感情が一切籠らぬ声に合わせて、

「ディバインバスター」

スバルの拳から強烈な閃光が放たれた。
閃光は轟音と共にスバルの正面に合ったものを蒸発させ、余波だけで土や落葉を宙に浮かせ、木々をへし折った。

閃光が止んだ後には、スバルの前に倒れている本郷とアインハルトの姿があった。
ただし、本郷はほとんど無傷であり、すぐに首を起こす。
だが・・・・・・

「アインハルト!?」

本郷の胸に重なるようにアインハルトがぐったりとしていた。
彼女は背中のバリアジャケットの大部分を砕かれ、痛々しい傷を負っている。

実はディバインバスターが炸裂する寸前に、直感で危険を感じとったアインハルトが、反射的にきびすを返して本郷を押し倒し、両者の直撃を回避したのだ。

524捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:23:54 ID:N0hpv/eI0
ところが、ディバインバスターの直撃は回避したものの余波はアインハルトの背中に強烈なダメージを与えた。
本郷が無事だったのは、上から重なったアインハルトが余波のダメージをほとんど引き受けてしまったからである。
さらに背中から伝わる焼けるような“異様な痛み”が、アインハルトにある事実を知らせた。

「この・・・痛みは・・・非殺傷設定が外されている・・・・・・?
スバルさん、どうして・・・・・・?」
「アインハルト!!」

アインハルトは嘆きの言葉を吐き出しながら気を失う、すると持ち主の気絶に合わせてバリアジャケットは解除され、アインハルトの姿も大人から本来の子どもの姿に戻ってしまった。
それには本郷もギョッと驚くが、今は疑問を後回しにする必要があった。
獲物を仕留め切れなかったと見て、スバルが追い討ちをかけてきたからだ。
まだ倒れてたままの二人の横に立ち、何の感情も見せず、スバルは蹴り潰そうとした。
本郷はその前に気絶した小さなアインハルトを小脇に抱えて、空いているもう一方の腕でスバルの蹴りを防いだ。
改造人間の腕と戦闘機人の脚がギリギリと音をたてて押し合う。

「くッ・・・・・・君はアインハルトの仲間じゃなかったのか!?」
「・・・・・・」

本郷の問いかけに、スバルは答えない。

(俺は彼女ーースバルの事を知ってるわけではないが、アインハルトの話では殺しあいに乗るような人間じゃなかったハズだ)

本郷はスバルの表情を観察する。
心優しい人間が死の恐怖から逃れるために、もしくは誰かを守るために殺しあいに乗ってしまう事は十分に考えられる。
だが、今の彼女からは恐怖や怒気・悲しみ、殺意すら感じ取れないマシーンのようだった。
己の意思という物を、今のスバルからは感じ取れないのだ。

(となると、洗脳か!?)

ショッカーからBADANまで悪の組織と戦い続けている仮面ライダーたちは、その過程で組織に洗脳された者はゴマンと見てきた。
スバルも洗脳させられているのではないかと、推測する。
まず本郷は、スバルから生えているあからさまに怪しい植物根に眼を向ける。

(彼女の身体から生えている根・・・・・・最初から生えていたものとは考えにくい。
あれこそが洗脳装置か?)

本郷はスバルが、自分の意思ではなく身体から生えている植物に洗脳されていると推察する。

525捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:24:34 ID:N0hpv/eI0


(だとすると厄介だ。
根はどう見ても彼女の身体と同化してしまっている。
無理やり引き剥がせば死ぬかもしれん。
彼女自身は善人である以上、殺したくはない。
どうすれば・・・・・・)
「クウガ!! リント!!」
「ッ!?」

次に彼女の洗脳を解く方法を考えようとするが、かち合う本郷とスバルへ割り込むようにゴオマが襲いかかってきたので中断した。

(今はこの難局を乗り切るのが先か)

本郷とスバルは互いに後方へステップをし、ゴオマの爪攻撃をかわす。
直後にゴオマは標的をスバルに変えて爪と牙を輝かせて叫ぶ。

「リント!!
ゴセン ジャラゾグスバ!!
(リント!! 俺の邪魔をするな!!)」

散々同族に馬鹿にされ続けてきた自分に、強敵クウガ(本郷を自分の知るクウガと同じだと思っている)を殺して、自分の強さを証明する機会が巡ってきた。
その機会に横槍を入れてきたスバルにゴオマは腹を立てているのだ。
獲物をハイエナの如く横取りされる事を恐れたゴオマは、本郷たちより先に乱入者であるスバルを先に始末しようとする。
あからさまに殺意を向けられたスバルも、拳に魔力を収束し、先手を打たんとする。

「リボルバーシュート」

魔力で構成された弾丸が発射される。
威力はディバインバスターほどは無いが、非殺傷設定の場合なら人を殺すには十分だ。
ゴオマはこれを身をそらしてかわし、命中しなかった閃光が流れ弾となってゴオマの後方の森林の中へと消えーー

「きゃあああ!!」

ーー閃光が何かにぶつかった直後に、絹を裂くような少女の叫び声が森の中を木霊した。

(しまった! あの方角には!)

覚えのある少女の叫び声に、本郷の表情は仮面の下で青ざめる。

(あの辺りに、まどかちゃんを隠れれさせたハズだ。
まさか、今の流れ弾でーー)

強迫観念に駈られるように、本郷はアインハルトを小脇に抱えたまま、件の方向へ駆け出した。
まどかの安否を確認するために。

526捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:25:26 ID:N0hpv/eI0

だが、叫び声を聞き付けたのはゴオマやスバルも同じ。
なんとしても自分の手でクウガを討ちたいゴオマは、スバルとの戦いを一旦やめて飛び上がり、後を追う。

「ビゲスバ!!(逃げるな!!)」

あっという間にスバルとの距離は離れていった。

「全てはノーザ様のために」
『ウィングロード』

最後にスバルは宙に光る道を形成し、その道に乗るとローラーを最大加速にして追撃を始めた。

〜〜〜〜〜〜〜

時間は少し前に遡る。
まどかは離れた位置にある木の影からずっと、本郷たちの戦いを見ていた。
暗闇であまりよくは見えなかったが、本郷が味方らしい女性と共に蝙蝠っぽい怪人と戦い、突然に乱入者によって本郷が苦境に立たされている所まで見ていた。
本郷のピンチにまどかは焦る。

「このままじゃ、本郷さんが!」

だが、本郷からは戦おうとするなと言われていた。
むしろ、自分に何かあったら逃げろとすら言われている。
それでもまどかは、マミの時のように、さやかの時のように、杏子の時のように、誰かを半ば見殺しにするのはやはり嫌であった。
しかし、魔法少女でもない自分が出ていったところで何もできないのはわかっている。

だが、本郷たちを助けたい。 されど、自分にそんな力は無い。
本郷との約束を破るのか?
自分の安全を可能な限り確保してくれた本郷の気持ちを裏切るのか?
今、飛び出す方が後悔せずに済むのではないか? 後悔より自分の命が大切なのか?

ーージレンマが彼女の焦りを加速させる。

「・・・・・・私は、どうするべきなの?」

今ならば、仮にあの白い悪魔がこの場に現れて誘惑してきてたら、最後には魔女になる運命だと知りつつも契約してしまいそうな焦燥感が彼女の心を包む。
しかし、状況は彼女があれこれ考えている内に動いており、今まで傍観者に過ぎなかった彼女自身もとうとう飲み込んでしまった。

「はッ!?」

スバルの放ったリボルバーシュートが、偶然彼女の隠れていた場所の足元近くに着弾する。

「きゃあああ!!」

まどかは発生した衝撃波に吹き飛ばされて、地面に転がった。
その際にショックで口が空いたディパックの中身の一部をぶちまける。

「う、ううん・・・・・・」

527捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:26:14 ID:N0hpv/eI0

幸いにも怪我らしい怪我はしなかったまどかが、ゆっくりと上体を起こすとまだ遠い場所から自分の悲鳴を聞き付けてこちらに向かってくる本郷と、その後ろから着いてくるゴオマとスバルの姿が見える。
また、近くの地面にはディパックからこぼれた見覚えのあるUSBメモリそっくりな形状の物体が地面に突き刺さっており、参加者の名前が記された名簿がページ開いていた・・・・・・

〜〜〜〜〜〜
改造人間としての脚力をフルに発揮し、走る本郷。
ある程度、距離を詰めた所でようやくまどかの姿が見えてきた。
動いている所からすると死んではいないようだが・・・・・・、なぜかそれ以上動こうとしない。
怪我でもしているのか?
ともかく急ぐ必要があると、本郷は駆け続ける。

「クウガ!!」
「邪魔をするなコウモリ男!!」

飛行するゴオマが本郷に追いついた。
ダグバのベルトを取り込む前でも120kmで飛べたのだ、地べたを走る仮面ライダーに追い付けない道理はない。
そして、仲間の元へいち早く辿り着きたいという本郷の願いなど知る気もなく、側面から冷酷なる爪の応酬を加える。
本郷は走りを止めず、アインハルトを抱えてない、もう一方の手で応戦しようとする。
それでも防ぎ切れずに、捌ききれなかった爪が本郷の腹部に一筋の傷を作った。

「ぐおおッ、おのれぇ!」

気絶しているアインハルトを小脇に抱えている分、本郷の戦闘力は低下していた。
少女の重さ自体はどうという事はないが、どうしても腕が片方塞がってしまう。

528捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:26:53 ID:N0hpv/eI0
腕二本・足二本の徒手空拳を武器とする仮面ライダー1号にとって、これは戦闘力の低下に繋がる。
少女の安全を考慮するなら、戦闘力は更に悪化、防戦するしかなくなってしまう。
形勢は不利を越えて劣勢だった。
ならば戦闘力の確保のためにアインハルトを手放す? 論外だ。
自分は満足に戦えるが、無防備な彼女が危険に晒されてしまう。
しかし、今の悪戦苦闘に加えてスバルまで襲ってきたら、本郷はいよいよ窮地に陥るだろう。
そして、ゴオマと揉み合っている場所より上空からスバルが光る道に乗ってやってきた。
宙にできた星のように輝く道をローラーブーツで駆け抜ける彼女の姿は、本郷の複眼には死神にしか映らなかった。

「まずい、これはまずいな」

本郷はもっと厳しい戦いを覚悟する。
ところが、スバルは本郷とゴオマをスルー。
そのまま空を行き、ただ本郷たちよりも前へ向かうのみだった。
頭の回転が早い本郷は、スバルの行動の意味がすぐにわかった。

「まどかちゃんから先に殺すつもりか!」

本郷の予想は的中していた。
スバルはゴオマに足止めされている本郷よりも、戦闘力の無いまどかから先に狙うことにしたのだ。
ゴオマはなぜか執拗に本郷を狙っている、無理に介入するとまた三つ巴の泥試合になる可能性がある。
無駄な争いをするだけ時間も体力も浪費し、主であるノーザの野望もその分だけ遠退く。
ならば本郷はゴオマに回して、どこかへと逃げられる前にまどかを殺害する。
そして本郷及びアインハルトとゴオマを戦わせて、生き残って消耗した所を叩きのめす。
その方が効率的だとスバルは判断したのだ。
本郷がゴオマの阻害によって機動力を下げさせられている内に、死神はグングンと前へ進んでいく。

「それだけは、それだけはさせんぞ!」

本郷はそういい放つが、その思いとは裏腹にゴオマはしつこく攻撃を続けてくる。
ゴオマの視点からして、スバルがクウガを狙わなくなったのは好都合、欲しい獲物を再び横取りされそうになる前に仕留めるつもりだ。
相手は今、小脇に小娘を抱えていて自由に戦えない。
クウガを打ち取れる、またとないチャンスであるとゴオマは爪に渾身の力を込めて振り続ける。

529捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:27:26 ID:N0hpv/eI0
ここまで悪い状況だと、他者を守ることはおろか、勝てる見込みが限りなく薄い。
本郷自身もそれをわかっている。
だが、わかっているからと言って諦める本郷猛でもない。

「まだだ! 仮面ライダーはまだ死なんぞ!
誰も守れないまま死ぬ気はないぞ!!」

闘志を一寸足りとも衰えさせず、仮面ライダー1号は戦い続ける。
身体のあちこちに傷ができよいとも、パワーと集中力がある分だけゴオマの攻撃を捌き続けた。

ーーその本郷の諦めなかった心に呼応するかのように奇跡は起こった。
これまで守り続けた少女が気絶から醒め、本郷の腕の中から飛び出し、

「武装形態」

少女の姿から大人の姿へ、バリアジャケットを再形成し、その勢いのままゴオマにアッパーカットを食らわせた。
一時的に怯ませるぐらいの効果はあり、ゴオマはたたらを踏んで後退する。
アインハルトはそのまま本郷を守るように、ゴオマの前に出た。

「・・・・・・本郷さん、私を守ってくれてありがとうございます。
お礼は戦うことで返させていただきます」
「大丈夫なのか? 君は怪我を負っているんだぞ!」

気絶から復帰したとはいえ、彼女の顔は青ざめており、戦えそうな状態には見えない。
それでも彼女は構わずに本郷に告げる。

「例え手負いでも数分ぐらいの足止めはできるハズ。
それに私も誰も守れないまま、覇王の強さを証明できないまま、こんなところで死ぬ気はありません」

確かに不安は残るが、無防備ではなくなったアインハルトより戦闘力の無いまどかを助けにいくべきだろう。
ついでに言えば、顔を見ずとも背中でわかるアインハルトの熱い闘気と意思。
同じ戦士である本郷も、彼女の気持ちを無下にしたくない気持ちがあった。
ゆえに、怪人は彼女に任せることにする。

「わかった。
足止めは頼むが、あまり無茶はするな!
まどかちゃんを助けたら必ず君は助けにいく!」
「了解しました」

少女のおかげで自由に動けるようになった本郷は駆け出し、アインハルトは襲いくるゴオマへ拳による足止めを開始する。

だがしかし、遅すぎた。
本郷がいささか距離があるのに対し、スバルは既にまどかの目前にまできているという事に・・・・・・

〜〜〜〜〜〜

530捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:28:06 ID:N0hpv/eI0

「どういうことなの・・・・・・?」

まどかは立ち上がって逃げだすことも忘れ、視線が名簿の開いたページに釘付けとなっていた。
それもそのはず、そのページはまどかに状況を忘れさせるには十分すぎるインパクトがあったのだから。
ーーそれは名簿に刻まれた4つの名前。
暁美ほむら・・・・・・言動に謎が多かったが、それはキュウべぇとの契約の危険を知ってるからであると最近になって知らされた。
まどかにとっては魔法少女としては最後に残った友達と言えるのだろうか?
彼女がここにいるということに、頼りになる人がいるという安心感と、殺しあいという場所に連れてこられてしまったという悲壮感で、まどかは複雑な気持ちを抱く。
しかし、それくらいならまどかの感情は“複雑”止まりだったが、問題は他の三人の名前である。
ーー巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子・・・・・・いずれも、まどかの目の前で命を落とした魔法少女であった。
なぜ、亡くなった彼女らの名前が名簿に載っているのか?
まどかは目を疑いざるをえなかった。
目をこすって確信を得ようとするが、その前に何者かによって名簿をグシャリと踏み潰されてしまった。
その何者かとは、スバルである。

「はっ・・・・・・!?」

全身から不気味な根っこを生やし、黄金の目を輝かせれど一切の感情を感じさせない殺人マシーンと化したスバルは、まどかに魔女を目の当たりにした時と同じかそれ以上の恐怖感を与えるには十分だった。

「逃げろ、逃げるんだまどかちゃん!!」

本郷が自分を助けに駆けつけようとしているが、まだ距離がある。
まどかを戦いに巻き込ませないために離れた場所に隠したの仇となってしまったらしい。
せめて逃げるように促すも、別段足の早くない少女が戦闘機人の機動力からは逃れられるハズはない。

まどかは後退るが、すぐにスバルに首根っこを掴まれて、拘束されてしまう。
まどかは必死にスバルの腕を引き剥がそうとするが、全く外れそうもない。
スバルはまどかを掴んだまま、手始めに背面から思い切り地面に叩きつけた。

「がはっ・・・・・・」

鈍い痛みがまどかを襲う。
ショックで瞳孔が開き、気を失ってしまいそうなぐらいの痛み。
苦痛に歪む少女の顔にスバルは何も感じる事はなく、先にシャンプーの頭を潰した時と同じ無慈悲で容赦のない一撃を与えようとする。

531捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:29:04 ID:N0hpv/eI0

「まどかーーーッ!!」

おそらく、スバルの拳がまどかを貫ききるまで、本郷は一桁秒間に合わない。
叫ぶのが精一杯だった。



戦闘機人の拳という、理不尽な処刑鎌が降ろされる直前にまどかは願った。

(嫌だ、まだ死にたくない・・・・・・生きていたい!)

まどかの中にも死への恐怖は当然ある。
だが、死への恐怖以上に、ある願いを達成できなくなる恐怖があった。

自分たちを助けてくれた、先輩。
昔から付き合いのあった、友達。
友達になれるかもしれなかった、人。
皆、運命に弄ばれ、まどかの手をすり抜けていった。
どんなに悔いを残そうとも、普通は喪失した以上、もう二度と会う事の叶わない人たち。
だがもしも、名簿に載っていた名前が、自分の知ってる魔法少女たちであるならばーー

(ーー会いたい・・・・・・もう一度生きているみんなに会いたい)

どういう思惑で本郷がこの事を自分に知らせなかったのか、加藤ないしはキュウべぇがどうやって彼女らを生き返したかは、今は考えていない。
ただ“会いたい”、それがまどかの切実で純粋な願いだった。

その願いを叶えるのに必要な儀式はキュウべぇとの契約ではない、生きることである。
逆に言えば、ここで死ねば願いは叶わない。
幸いにもスバルの魔の手から生き延びるために必要な切り札を、まどかは既に握っている。
“C”の文字が刻まれたガイアメモリ、だ。

スバルの拳が届く寸前に、まどかは急いでUSBのようなそれを額に差し込み、叫んだ。


「へ、変身!!」


変身、その言霊を吐くことで強くなれるような気がしたーーまるで本郷のように。

『CYCLONE』

ガイアメモリから発せられた電子音声と共に、姿を変えていくまどかから嵐のような豪風が発せられた。
あまりに強すぎる風はスバルの拳や首を掴んでいた腕を弾き飛ばし、ノックバックさせる。
風はアインハルトとゴオマが対峙する場所にまで届いており、ゴオマは本郷が向かっていた場所を振り向き、言葉を漏らした。

「ボンゾパ バダレンクウガ!?
(今度は片目のクウガ!?)」

まどか自身は、自分が加藤と同じく何らかの怪物に変身した事以外は、何がどうなっているのかわからない。

532捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:29:49 ID:N0hpv/eI0
スバルの襲来でガイアメモリの説明書を読む暇がなかった事も起因する。
スバルが強風によって近づけでいるようだが、だとすると、この風は自分が巻き起こしているものなのか?

スバルもスバルで、黙って風に押されてばかりではいられない。
風に押し負けないほどの強力な魔力をまどかだった異形に打ち込もうとする。

「ディバイン・・・・・・」
「きゃあッ!」

異形は敵から放たれそうな攻撃に身を屈めてしまう。

「させるか! ライダーパァァァンチッ!!」

そこへ、今度こそ間に合った本郷の鉄拳がスバルを迎撃する。

「!!」
『プロテクション』

鉄拳は防御結界に防がれてしまったが、攻撃と防御は同時にはできない。
つまり、スバルの攻撃を中止させることには成功したのである。
本郷はすぐさま、まどかの側により、彼女をスバルから守るように前にたつ。

「本郷さん・・・・・・」
「怪我はないか、まどかちゃん?」
「は、はい! 私は大丈夫です」
「そうか・・・・・・しかし、その姿は」

本郷は、今のまどかの姿を見た。
人の形に緑の体色、右側だけだが複眼までついているその姿は、

「ーーまるで仮面ライダーじゃないか」
「仮面ライダー・・・・・・えぇッ!! 私が!?」

サイクロンドーパント。
そのシルエットは、どことなく仮面ライダーに近いものがあった。
こうして少女は、魔法少女よりも先に仮面ライダー(厳密に言えば違うが)になったのだった。

533捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:30:31 ID:N0hpv/eI0

「クウガパ ゴセンゲロボザ!!
(クウガは俺の獲物だ!!)」
「あうッ!」

まどかもクウガであると思い込んだゴオマは、自分に狩られるクウガが増えた高揚感と、スバルに横取りされる事への焦りで、いても立ってもいられずに飛び出していった。
今まで足止めをしていたアインハルトも度重なるダメージと疲労で、勢い付いたゴオマの突進を押さえ切れずに弾かれてしまう。

「来るか!」

今まで以上の速度で急接近してくるゴオマに、本郷は構える。
一方、本郷の後ろにいたまどかは、まだ自分が強くなっているという実感を持っていないため、物凄い剣幕で向かってくる怪人に半ば怯えていた。
そして、その怯えがサイクロンドーパントの力を無意識的に引き出した。

「こ、こないでーーーッ!!」
「バビ(なに)!?」

本郷たちとゴオマの間に風の防壁が発生し、突進していたゴオマはそのまま壁に激突してしまう。
石膏や鉄でできた壁ではないのでぶつかってもダメージは無いのだが、基本的に風を使って飛ぶ有翼のグロンギであるゴオマがこの中に入ったのは、致命的なミスであった。

「ギャアアアアアアア!!」

ゴオマは豪風のために翼を煽られ、姿勢の制御ができなくなってしまった。
ここまできて、本郷はまどかの力を理解する。

「風を操る力、どうやら今のまどかちゃんにはそれが備わっているらしい」
「この風・・・・・・私が起こしたものなの?」

まどかもようやく自分の能力を理解したのだった。
風の力が切れた時には、ゴオマは切り揉み状態になってそのまま宙に打ち上げられた。
ーーそれは攻防どちらもできない無防備な状態である。

「はっ! 決めるなら今しかない!!」

今が強敵ゴオマを撃破できる隙ができたと睨んだ本郷は飛び出した。
体勢を建て直させて、まどかが作った絶好の勝機を見す見す無駄にするわけにはいかない。
木々の間を飛蝗のように素早く飛び移りながら高度をあげていく本郷。

534捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:31:28 ID:N0hpv/eI0
そして、高度が風にさらわれたゴオマよりも数段上をとった所で、あらゆる怪人を倒してきた必殺の蹴撃を叩き込む。


「ライダーキィィィック!!」


本郷の飛び蹴りは一直線にゴオマを向かい、その背中にズドンッと重い打撃を与えた。

「ギャアアアアアアアア!
・・・・・・ゴ ゴセゾ ボソグビパ バスギバ、リゾシギソンクウガ!
(お、俺を殺すには軽いな、緑色のクウガ!)」

しかし、多くの怪人が威力に耐えられずに爆散するライダーキックにゴオマは耐えきった。
ダメージは確かに与えたが、闇の力で強化されたゴオマを倒しきるにはいたらなかった。
このまま、キックの威力によって地上に叩きつけても決定打になりそうにない。
本郷の力だけではゴオマは倒せないのだ。
そう、“本郷”だけでは。

「まだ終わりじゃありません!」

地上ではアインハルトが拳に魔力を貯めて、待ち構えていた!
本郷のキックでゴオマを倒せなかった場合の保険として、アインハルトが追い討ちをかけられるように、わざわざ上からライダーキックをかけたのだ。
二人の間で事前に作戦を立てられていたわけではないが、戦士としての経験と勘が、互いがどのように動くかを予想付けしたのだ。
結果、互いが互いの思い通りに動いてくれた。
息のあったこの攻撃をゴオマは避ける手だてはなく、ただ流星のように墜ちて燃え尽きるだけだ。


「覇 王 断 空 拳!!」


流星となったゴオマの腹にアインハルトの奥義が炸裂する。
背中にはまだキックの張りついている本郷。
キックとパンチのサンドイッチは、今度こそゴオマの芯に届いたのだった。

「ギャアアアアア・・・・・・がふっ」

ゴオマは断末魔の叫びを上げ、吐血。
爆発こそしなかったが、ずるりとアインハルトの腕から落ち、地面に落ちてピクリとも動かなくなった。
決め手を放ったアインハルトは一呼吸し、まどかは二人の側へ、本郷は地面に2つの足をつけた。

「手強い相手だったが、なんとか倒したようだな」
「そのようですね」
「やった・・・・・・」

535捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:32:35 ID:N0hpv/eI0

その様子を見て、三人は怪人を倒したと確信を得る。
ーー残る敵はスバルのみだった。

「後は君だけだな」

本郷を筆頭に三人はスバルと向き合う。
スバルは周囲を見回して状況を確認する。
仮面ライダー、魔導士、ドーパントとの1vs3、数の上では明らかに不利だ。
その上、受けたダメージは皆無だが、短い間に魔法を連発し過ぎたせいか体力と魔力の回復が追い付いていない。
本郷とアインハルトの連携技が放たれる間に、まどかを襲ったり、横槍を狙わなかったのはこのためである。
疲労は肩で息をする程度には表に現れており、本郷辺りはもう気づいている。

そんなスバルの次の行動は、ディパックをまさぐり手榴弾らしき物を本郷たちに投げつけることだった。

「質量兵器!」
「爆弾!?」
「二人とも、散開するんだ!!」

爆発による被害を避けるために三人はそれぞれの方向へ散る。
しかし、発破したそれは爆炎を周囲に撒き散らすのではなく、大量の煙を吐き出した。
白煙は三人を飲み込んでしまう。

「スモークグレネードか!」

煙により辺りが見えなくなった。
三人はスバルがこの煙に乗じて襲ってくるのではないかと警戒したが、結局襲いかかってこなかった。
その代わりに、煙が晴れた時にはスバルの姿はどこにもなかった。

「逃げたか・・・・・・」

逃げる時には宙を移動できるウィングロードを使ったのだろう、足跡などの痕跡が残っていないため追跡は不可能だった。
文字通り、本郷たちは煙に撒かれてしまったのだ。

一時の死闘が終わり、アインハルトは地面に力なく腰を掛け、変身を解いて子供の姿に戻る。
身体中にできた傷は生々しく、呼吸も荒く、彼女は気を保つだけでもやっとだろう。
心配した本郷が声を掛ける。

「アインハルト・・・・・・いや、アインハルトちゃんと言うべきか。
ともかく、もう無理をするな。
どう見ても君の体には休憩と治療が必要だ」

アインハルトにはどこか安全な場所で休ませなければならないと本郷は思った。
その気遣いにアインハルトは感謝する。

「本郷さん、心配をかけて・・・・・・申し訳ありません」
「良いさ、君のコウモリ男の足止めと最後の一撃で、俺とまどかちゃんは助けられたんだからな」

536捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:33:33 ID:N0hpv/eI0

本郷の労りの言葉が、アインハルトには嬉しかった。
しかし、アインハルトの中にある憂鬱な気持ちを払拭するには至らなかった。
彼女が考えていたのはスバルのことである。

(誰がスバルさんにあんなことを・・・・・・洗脳して操って殺人の片棒を担がせるなんて)

やはりアインハルトも、スバルが何者かに操られていると気づいていた。
スバルから生えていた植物が洗脳の元が原因なのはわかるが、それを植え付けたのはどこの誰か?
アインハルトの怒りはその誰かに向いていた。

(絶対に許さない。
スバルさんを洗脳した犯人は見つけ次第、叩きのめします)

普段は物静かなアインハルトの脳裏に物騒な言葉が出てくるほど、彼女の怒りは深かった。

そして、まどかも腰が抜けて地面に尻餅をついた。

「まどかちゃん?」

こちらはアインハルトに比べれば、怪我も疲労も大した事はない。
だが、酷く怯えている様子だ。
ドーパントからの変身を解いてないのは、またスバルが戻ってきて自分たちを殺しに来るのではないか? という疑いの顕れかもしれない。

「ほ、本郷さん・・・・・・マミさんやさやかちゃんは、いつもこんな怖いを思いをして戦ってたのかな? ははは・・・・・・」

怯え隠しにまどかは力なく笑った。 声もどこか涙声だ。
まどかの双肩に本郷は両腕を起き、眼を合わせてから深々と頭を合わせて謝った。

「すまない、まどかちゃん・・・・・・
結局、君を守るつもりが、危険な目に遭わせたあげく戦わせてしまった。
俺は自分が情けない・・・・・・」

本郷は仮面ごしでも伝わるぐらい、己の不甲斐なさへの嘆きとまどかへ申し訳ないという感情を込めて謝罪した。
実のところ、本郷が謝るべき負い目は何一つ無い。
まどかが隠れていた場所がバレたのは偶然であったし、今回はたまたま運が悪かったのだ。
別にまどかに戦いを強制したわけでもなく、彼女が戦ったのは自分の意思であるし、半ば不可抗力であった。
アインハルトにしては、本郷たちが駆けつけてくれなければ命が危なかっただろう。
それでも責任感が人一倍強い本郷は謝らなければならないと思ったのだ。

「・・・・・・確かに怖かったです、でも本郷さんは悪くない、何も悪くないんです!」

まどかはただ、首を降って本郷に責任はないことを訴えた。

537捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:34:27 ID:N0hpv/eI0


そのような少しずつ緩みだした空気も束の間、再び空気は張り積める。
ある者が、目覚めようとしていたからだ。

「リ・・・ント・・・・・・クウ・・・ガぁぁぁ!」
「「「!?」」」

先ほど倒したと思っていたゴオマが、意識を取り戻したのだ。
地面に両手両膝をつけて満身創痍の様子だが、強い殺意を含んだ眼差しを絶えず三人に向けている。

「奴め、まだ生きていたのか」
「蝙蝠なのにゴキブリ並のしぶとさですね」
「本郷さん・・・・・・」
「まどかちゃんとアインハルトちゃんは下がっていろ!」

二人の少女を下がらせ、本郷は怪人の対処を始めようとする。
だが、しかし!

「ボソグ、ボソグ、ボソグぅぅぅ!!
(殺す、コロス、ころすぅぅ!!)」
「な、なにィ!?」

ゴオマの殺意は絶頂に達した。
さらに殺意に呼応すらかの如く、ゴオマの身体に変化が現れたのだった・・・・・・今、絶望が始まる。

〜〜〜〜〜

時を同じくして、地図上でちょうどC-5とC-6の境目に当たる場所。
スバルは主であるノーザと合流していた。
スバルはゴオマが倒れ、本郷たちとにらみ合いをしていた最中に遠方からチカチカと何かが発光しているのが見えた。
本郷たちはその光には最後まで気づかずじまいだった。
それは支給品の懐中電灯で発せられたモールス信号に似たサインであり、サインの送り主こそ主であるノーザだった。
サインの意味は撤退命令であり、スバルは命令に従って本郷たちから逃げてきたのだった。

「ご苦労様、よく働いてくれたわね」
「お褒めにいただき感謝いたします」

ノーザは周囲が見下ろせる程度に高い木の頂上で、双眼鏡片手に立っていた。
この双眼鏡で、C-6の戦いを遠巻きから観察していたのだ。

スバルの戦闘テストの結果、キルスコアは0であったが、スバルにとっても仮面ライダーやグロンギのような未知の戦力に加え、まどかがドーパント化するなどイレギュラーな自体もあったため、これには眼をつむる。

538捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:35:29 ID:N0hpv/eI0
パワー・スピードは優れており、周りは全部敵である激戦区で新たに受けた傷は無しというだけでも合格ラインに値する。
結果、スバルはノーザのお眼鏡にかない、非常に利用価値のある“簡単には壊したくない玩具”に認定された。

さらにスバルは、ノーザにとって面白い拾い物をしてきた。

「ガイアメモリ・・・・・・ふ〜ん、あんな形でも、麻薬によく似た危険性を持っていたのね」

スバルが拾ってきたのは、まどかの持っていたT2ガイアメモリの説明書。
まどかが拾い損ねたものを、スバルがドサクサ紛れに掠め取ったものである。
よって、ノーザはガイアメモリの特性と使用のリスクを知り得た。
反対に、まどかはメモリ使用に伴う危険性をまだ知らない。
ガイアメモリは、まどかにとって起死回生の切り札だったが、同時に道化が笑うジョーカーのカードでもあったのだ。
もし、リスクを知らないままでメモリを使い続ければ、やがて体も心も蝕まれて彼女は崩壊するだろう。

「あの小娘が、どのように壊れていくか非常に興味があるわね」

希望のないことが大好きな魔女は、説明書をビリビリと破り捨てつつサディスティックに笑った。

さて、スバルの性能テストも終わり、ノーザの優勝までの次の目標は白紙に戻った。
C-6の争いは一先ず終わったが、この会場のあちらこちらから、戦いの音が聞こえる。
スバルの疲労の色も濃いため、長く使っていくなら、迂闊な戦いはさせられない。
仮面ライダーやドーパントといった、まだ知らぬ存在もまだまだいそうだ。
敵対者のプリキュアも存命して闊歩している限り、次の行動は冷静かつ慎重に決めねばならない。
ノーザは次の行動について考え始める。

「ふぅ、まだ殺しあいは始まったばかりでゴールは遠そうね。
次は何をしようかしら?」

一方でスバルの頭の中では新しい疑問がぐるぐると回っていた。

(あの女の子は、どうしてあたしの名前を知ってたんだろう?)

初めて会うはずなのに、自分の名前を呼んだ少女。
もっとも管理局に与する者でストライカーズを知っていれば、所属する部隊が違ってもスバルの名前は知っていてもおかしくはない。
それでもアインハルトはまるで、面識があるかのように自分の名前を呼んでいた気がする。
それでもスバルには彼女に会った記憶はない。
なぜだ?

539捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:36:36 ID:N0hpv/eI0

答えは、アインハルトと出会うことはスバルにとって未来の出来事であり、アインハルトはスバルにとっての未来人であるからだ。
未来人(アインハルト)が、過去の人間(スバル)に対して自身のいた時間の認識で接したため、スバルに混乱を招いている。
この時点でラダムテッカマンたちを除けば参加者の連れてこられた時間軸にズレが生じているなど、ほとんど誰も気づいていない。
スバルも人知れずその事実に足を突っ込んだのである。

スバルはこの疑問をノーザに打ち明けることはしなかった。
なぜなら、ソレワターセに侵された彼女の思考は、ノーザからの次の指示を待つ事を優先とされていたからである。

心を奪われた、悲しき殺戮マシーンの夜は長い。

〜〜〜〜〜〜〜

C-6、そこで新たな戦いは、起こらなかった。

「この男が、コウモリ男の正体なのか?」
「バン・・・・ザド・・・・・・!?
(なん・・・だと・・・・・・!?)」

本郷たちの目の前にいるのは蝙蝠怪人ではなく、黒いコートに黒い帽子を被った人間の男であった。
この姿こそゴオマのもう1つの姿、人間態である。
だが、これは強敵がいる前でわざわざ変身するための姿ではない最弱の形態だ。
本人も何やら困惑しているように見える。
それもそのハズ、ゴオマは自分の意思でこの姿になったのではないからだ。

ーーゴオマの体に、何が起こっているのか?
まず、グロンギ族には共通して腹部にアマダムが埋め込まれている。
アマダムとは、グロンギの命と力を司る霊石であり、怪人への変身もこの石のおかげである。
アマダムが破壊されたり、アマダムと持ち主を繋ぐ腹部神経が切れたりすればグロンギは例外なく死ぬ。

ゴオマは先ほど、本郷とアインハルトの合わせ技を食らった。
背面を蹴られ、腹部に拳を叩き込まれた。
その際に、アインハルトの拳から大量の魔力をアマダムに送られたのだ。

540捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:37:31 ID:N0hpv/eI0
アインハルト一人ならゴオマのアマダムまでにある鎧のような筋肉が邪魔で魔力が届きづらかったが、本郷によって背中から腹を押しだされ、魔力が通りやすくなっていたのだ。
しかし、ここで取り込んだダグバのベルトの破片、その中にある闇の力が宿主の危機に呼応して放出されて、2つのエネルギーがぶつかり合った。
魔力は中和・分散させられ、アマダムの完全破壊を防いだ。
そしてゴオマは多大なダメージを受けつつも、死だけはなんとか回避したのである。

が、多少でも魔力は届いており、アマダムは破壊されずとも、その機能に若干の影響は現れた。
アマダムの不調を招き、怪人への変身ができなくなったのだ。
ゴオマがどれだけ念じても、元の怪人へは戻れない。
これが一時的な機能障害ならばともかく、永久的なものであればグロンギとしての人生の終わりを意味する。

「グゴザ・・・グゴザ ゴンバボド・・・・・・」

ゴオマも、先ほどまで感じていた“ン”の力は消えてしまい、それどころか普段の力すら感じ取れない。
アマダム不調の関係で、破片までその力を閉じてしまったらしい。
自分の身に起きた異常事態に、もはや本郷たちへの殺意も忘れて、オドオド慌てふためくだけである。

せっかくゲゲルに参加できる権利を手にいれたと思った矢先、力を失ってしまった。
今のゴオマはゴ集団はおろか、ズ集団にも及ばないリントと同程度の力しか持たぬ非力な存在と化していた。
これではもう、ダグバに勝つことはおろか、“整理”からも逃れる術もない。

ゴオマの絶望の始まりだった。
希望なき未来に、彼は泣き叫ぶ。


「グゴザ ゴンバボドーーーッ!!!」


グロンギ語がわからぬ本郷たちでも、それが嘆きの言葉である事ぐらいは理解できた。

541捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:38:01 ID:N0hpv/eI0
【一日目・黎明/C-6 森林】


【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(中)、腹部に切り傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3(移動に使える物はない)
[思考]
基本:この殺し合いを終わらせる
0:まずは怪人蝙蝠男(ゴオマ)の対処を決める
1:まどかを保護する、彼女を絶対に魔法少女にはさせない
2:一文字、結城、沖の三人と合流する
3:他の魔法少女を探す
4:村雨がもし復讐に走るようならば見つけ次第止める、三影は見つけ次第必ず倒す
5:アインハルトを信頼
6:まどかを戦わせてしまった事に後悔を感じている
[備考]
※参戦時期は7巻最終話、村雨と共にライダー車輪を行った後〜JUDO出現前までの間です。
※他のライダー達とは通信ができません。
 これは、加頭が会場に何かしらの妨害装置を置いているためではないかと判断しています。
※まどかの話から、魔法少女や魔女、キュウべぇについての知識を得ました。
※加頭の背後にはキュウべぇがいて、まどかを追い詰め魔法少女にする事が殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※死んだ筈の魔法少女達が生きている事は、まだまどかには話していません。
 これもキュウべぇや加頭の仕業ではないかと睨んでいます。
※ スバルが何者かに操られている可能性に気づいています。

542捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:38:49 ID:N0hpv/eI0

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、若干の混乱
[装備]:T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW(説明書紛失)
[道具]支給品一式、ランダム支給品0〜2(移動に使える物はない)
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する。
0:これが戦い・・・・・・
1:本郷と一緒に行動する。
2:他の仮面ライダー達を探す。
3:キュウべぇの思い通りにならない。
4:もし生きてるならみんな(ほむら、さやか、マミ、杏子)に会いたい・・・・・・
5:私が仮面ライダーに!?
[備考]
※参戦時期は11話、ワルプルギス襲来前になります。
※本郷の話から、仮面ライダーや改造人間、ショッカーをはじめとする悪の組織についての知識を得ました。
※加藤の後ろにはキュウべぇがいて、自分を追いつめて魔法少女にすることが殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※名簿を一瞬だけ見て、ほむら、さやか、マミ、杏子の名前があることを確認しました。
※サイクロンメモリの説明書紛失のため、ガイアメモリ使用のリスクを知りません。

【アインハルト・ストラトス@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:魔力消費(中)、ダメージ(大)、疲労(中)、背中に大怪我
[装備]:アスティオン@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3個(確認済み)
[思考]
基本:皆(ヴィヴィオ、なのは、フェイト、スバル、ティアナ)を守るために戦う
0:誰がスバルさんをあんな風に・・・・・・!
1:蝙蝠男(ゴオマ)の対処を決める
2:スバルを追いかけたい
3:皆に害を及ぼす者に容赦しない
4:人の命を奪うことに迷い
5:本郷を信頼
[備考]
※ スバルが何者かに操られている可能性に気づいています。

543捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:39:38 ID:N0hpv/eI0
【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、体内のアマダム不調、混乱
[装備]:ダグバのベルトの破片@仮面ライダークウガ
[道具]:バグンダダ@仮面ライダークウガ、支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:自分のゲゲルを行う
0:変身できない? 嘘だ、そんなことーーー!!
[備考]
※36話、ダグバの力を取り込む前からの参戦です。
※ダグバのベルトを取り込んだことにより強化態への変身が可能ですが、時間が経てば究極態への変身も可能です。ただし・・・・・・
※アマダムの不調により現在は怪人態への変身ができません。
これが一時的なものか、永久的なものかは次の書き手さんにお任せします。
※本郷(仮面ライダー1号)と、まどか(サイクロンドーパント)をクウガと同じものだと思い込んでます。


【一日目・黎明/C-5とC-6の境目 森林】


【ノーザ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡@現実
[道具]:支給品一式×2、ランダム支給品0〜1個、シャンプーの不明支給品1〜3個、水とお湯の入ったポット一つずつ、ソレワターセの実(一個)@フレッシュプリキュア!
[思考]
基本:この殺し合いに優勝し、一切の希望がない世界を作る。
1:次の行動を決める。
2:利用出来る参加者と出会えたら、プリキュアの悪評を出来る限りで広める。
3:ソレワターセの使用は出来るだけ慎重にする。
4:プリキュア達はここで始末する。
[備考]
※プリキュアオールスターズDX2でボトムによって復活させられた後からの参戦です。
※花咲つぼみと来海えりかの存在は知っていますが、明堂院いつきと月影ゆりとダークプリキュアに関しては知りません。
※ソレワターセはある程度力が押さえられている上に、もしも首輪に憑依させたらその瞬間に爆発するかもしれないと考えています。
※DX2からの参戦なのでソレワターセの実を食べなくても変身できます。
※奪った説明書からガイアメモリの特性を知りました。

544捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:40:13 ID:N0hpv/eI0
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、ソレワターセによる精神支配、シャンプーの肉体を吸収
[装備]:マッハキャリバー、リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは、カートリッジの弾薬セット(残り14発)@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、スモークグレネード@現実×2
[思考]
基本:ノーザ様のしもべとして働き、参加者を皆殺しにする
1:ノーザ様の指示待ち
2:あの女の人(高町なのは)は・・・・・・誰?
3:あの子(アインハルト)はどうして私の名前を知ってるの・・・・・・?
[備考]
※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。
※シャンプーの姿を前回の任務の自分(strikers17話)と重ねています。
※『高町ヴィヴィオ』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。
 また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。
※ソレワターセに憑依された事で大幅にパワーアップしています。
※シャンプーの遺体を吸収し、彼女に関する情報を入手しました(首輪も含まれています)。

545 ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 10:44:35 ID:N0hpv/eI0
投下は以上です。
まだ修正等があればご指摘願います。

546名無しさん:2011/11/23(水) 11:25:11 ID:FHWPFPpAO
投下乙です!
アインハルト、本郷さんのおかげで危機を脱したと思ったらまどかがヤバいことになっている!?
一方でノーザさんはスバルと一緒にまた何かやらかしそうだ……
そしてゴオマ、ドンマイw

547名無しさん:2011/11/23(水) 11:32:11 ID:bUhpAlooO
投下乙です!仮面ライダーまどか☆サイクロン・・・だと・・・?
よしほむほむ、さっさとそこのバカからロストドライバーをパクって、まどかを名実共に仮面ライダーサイクロンにしてよ!……そもそもあっちは生き残れるのかなぁ。

オチのドンドコドーンは訳無しで分かった人も少なくないと思います、はいw

ノーザザン!ナズェミデルンディス!

548 ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:08:06 ID:IMHj.Wxw0
投下乙です
流石にゴオマごときじゃ本郷さんは倒せないか
のっけから活躍の気配が消えたゴオマはどうする…?
そしてまどかが変身、ホッパードーパントかぁ…魔法少女みたいな格好してたしなぁ
スバルは少しだけ正気フラグ? でも正気になっても人殺ししちゃってるから不幸な未来しか浮かばない…

では、自分も投下したいと思います

549 ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:09:29 ID:IMHj.Wxw0
ごめんなさい、ホッパードーバントじゃありませんでした
なんで読んだ直後に間違えたんだろ…

550ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:10:22 ID:IMHj.Wxw0
 対峙し合うは刃と刃。
 割って入るは…………小さな大砲。

 丈瑠の家臣であり、一人の侍でもある流之介はシンケンマルを構え、十臓と対峙しながらも実力差を埋める方法を考えた。
 ────現時点で、おそらくそれは無い。
 回答を出すまでに一秒とかからなかった。それは己の弱さを認めることであり、答えが出るのが早ければ早いほど、屈辱的でもある。
 ならば、奇跡でも祈るか。
 この場に丈瑠や源太がいるのなら、彼らが通りすがる奇跡に頼ることもできる。

 だが、いずれドウコクと戦うことになるであろう自分に、敢えてここで試練を架す……その意味でも、自分ひとりの力で十臓に挑もうと思った。
 このまま独力で十臓を倒したい。
 殿や源太の手を煩わせるまでもない。──いや、彼らを危険に巻き込んではならない。傷を負わせてはならない。
 そのためにも、やはり障害は消しておくべきだ。


 一歩。
 再び、十臓へと向かってシンケンマルを凪ごうと一歩出る。


「やっぱり……戦いを止めてはくれないんですね」


 無論、こう呟いた少女の事も忘れてはいない。
 流之介は、たとえこの少女が流之介に危害を加えようとしても、この少女に危害は加えない。
 罪も無き──それどころか、罪を憎むような少女だ。そんな子に剣を向けることはできない。


 少女もそれを読んでいた。
 ────この人はきっと、私を斬らない
 と。


 先ほど、険しい目つきであっても自分の主張を認めてくれたこの男は悪い人じゃない。
 もう一人の男の人も、きっとわかってくれるだろう。
 殺し合いなんてやめてほしいから。きっと誰も殺し合いなんてしたくないから。
 相手に砲撃を加えても、身を投げ出してでも、この人たちの戦いを止める。


「ぐっ!」


 流之介は困惑した表情で足を止めた。
 この少女・なのはは既に武装を解除している。
 そんななのはが、流之介と十臓の間に割ってはいるように駆けて来るのだ。
 それが流之介にとっては砲撃よりも、足を止めるための理由となってしまうのである。


 ────一方、もう一人の男はそこまで人間らしい感情が機能してはいない。


 いつか人間であった彼も、刃を握れば冷酷非道。
 未来溢れる優しき女の子であっても、斬ることに躊躇はない。
 ゆえに、迷いを持った今の流之介に好機を見て一歩前へと踏み出した。


「危ないっ!」

「きゃぁっ!」


 まるでなのはなど障害物でしかないように直進していく十臓を見て、流之介はなのはの元へと走る。
 十臓の姿、夜叉の如し。なのはという障害物を容赦なく斬り捨てて流之介の元へと走ろうとする十臓の姿に、恐怖を感じずにはいれないが、侍として護るべきものが流之介を動かしたのだ。
 昇竜抜山刀がなのはの頭上に落ちて行くのを、シンケンマルが阻む。

 なのはの頭上でぶつかり合う二つの剣。
 片方はなのはを斬ろうと、片方はなのはを守ろうと。


「……おのれ! こんな小さい女の子までも!」

「邪魔者は斬る。それだけだ」


 ぶつかり合った二つの剣は、地面や虚空を斬った。
 少女の体のどこも傷つけることなく、……しかし流之介の心身に僅かな疲労を作って弾けた。

551ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:11:08 ID:IMHj.Wxw0
「君はできる限り遠くへ逃げるんだ! ここは私が引き受けてみせる!」

「駄目です……私は逃げたくありません…………私は、この殺し合いを止めたいんです!」

「ならば、この男は斬るべきだ! 今もこいつは君を躊躇いなく斬ろうとした! そんな男に庇う理由はない!」


 と、そう言った時、理由もわからないまま流之介が崩れるように膝をついた。
 出血多量。
 先ほどの戦いで十臓に斬られた痕を放ったまま激しい運動をしたため、傷口が開いたのである。
 そして、生身で斬られたその痛みが流之介の体を苦しめていく。


「な、何故…………」


 戦うことができそうにない。
 シンケンマルを杖代わりに立ち上がろうとするが、それも精一杯の行動であった。
 このまま前進することも、できそうにない。


「ははは、そんな体で俺に挑むつもりかシンケンブルー」


 その声さえ歪んで聞こえてくるようだった。
 あざけ笑う十臓がどこに立っているのかさえぼやけて見えない。
 闘気はあるのに、体や感覚は衰弱していた。

 十臓。
 彼が自分に近付いているのか、足音が聞こえている。
 このまま自分は殺されるのか……?
 何もできないままに。
 殿の役にも立てないままに。


「シンケンブルーさん!」


 耳を打つ、泣いているような少女の声。
 足音は彼女のものだった。
 しかし、その時既に流之介の意識ははっきりとはしておらず、その声さえ聞いたかはわからない。


「…………その様では俺の邪魔はできないな、シンケンブルー」


 流之介は知らなかったが、既に十臓などこの場にはいない。
 流之介にも、なのはにも、既に興味は失ったからである。
 シンケンレッドとの勝負を邪魔するであろう男。────十臓が斬ろうとしたのはそんな男であり、シンケンブルーには興味がない。
 もはや邪魔をする力さえないあの男に、戦う価値はないのだ。


 このホテルの前には、激痛を前に意識の消えた男と、その体をどうにかしようとする少女の姿だけがあった。



★ ★ ★ ★ ★

552ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:11:50 ID:IMHj.Wxw0
「…………では、改めて! シンケンゴールド、梅盛げんグアアアアッ!!」


 再び名乗りをあげようとした金色の戦士に、ダークプリキュアの容赦ない拳の一撃が与えられ、名乗り口上は派手に妨害される。
 地面を転がるシンケンゴールドの滑稽な姿を眺めながら、よろよろと起き上がるのを待とうとしていた。


「な……何? 一体何がどうなってるの!?」


 謎の黒服少女。金の戦士に変身した屋台の男。異常な轟音。目の前で繰り広げられる二人の戦い。
 いくら奇怪な戦いを見てきたあかねであっても、その光景には混乱していた。
 先ほどの轟音を考えると、近くでも戦闘が起こっており、目の前ではシンケンゴールドとダークプリキュアの戦いがあり…………要するに色々と大変らしいということはよくわかった。
 しかし、あかねがこの場でどう動けようはずもない。
 あかねは運動神経も高く、父の道場を任されるだけあって、格闘能力もある。
 だが、それさえ無意味なほどの高次元の戦い。…………乱馬や良牙の戦いに匹敵すると言っていいほどの。


「おい! 名乗ってる間に攻撃なんて卑怯だぞ!」

「たかが自己紹介に時間をかけすぎだ」


 起き上がって文句を言うシンケンゴールドに、ダークプリキュアは再び突くが、流石に二度目は避ける。
 ……しかし、そうして立ち上がったシンケンゴールドにも攻撃の隙はない。
 蹴り。突き。蹴り。突き。
 凄まじい速さで繰り出される攻撃に、シンケンゴールドの回避は追いつかない。
 せいぜい受身を取るのがやっとで、シンケンゴールドの体にダメージが蓄積されていくのみだった。


「……俺、侍なのに……」


 結局名乗りもせずに戦いをしてしまったことに侍として少し罪悪感のようなもの感じたが、もうこれ以上名乗るチャンスはないと見て、サカナマルを構えて三度立つ。
 家臣、殿様────そんな言葉と無縁だったとはいえ、一応源太も一人の侍だ。
 ダークプリキュアに攻撃されないよう、大振りながらも柔軟に体を動かして起き上がる。


「寿司ディスク!」


 シンケンゴールドは相手が攻撃してこないのを見て、一枚のディスクを取り出した。
 ゴールドが口上したとおり、このディスクの名は寿司ディスク。
 これをサカナマルの鍔として装着し、光の電子モヂカラをチャージする。


「サカナマル・百枚下ろし!」


 本来、生身に近い体をしたダークプリキュアのような戦士は下ろしたくないが、どう考えても相手は人間ではない。外道衆かどうかもわからないが、ともかく人にとって脅威。
 か弱き少女を守らねばならない。
 ────護りたい気持ち。
 それが源太にとっての侍の心。
 その心に殉じる為、いま僅かな一秒に幾度もの斬撃を残していく。


 そして、サカナマルの刃が百度、ダークプリキュアの体を斬った。
 百枚下ろしの名の通り、一度も逃すことなく刃はダークプリキュアを捉えていた。


「やったか!?」


 勢いで駆け抜けたシンケンゴールドは、背後にあるダークプリキュアの姿を確認した。
 黒い塊が立っている……ただ、そういう風にしか見えない。
 その塊が意識があるのか、意識がないのか──それもわからない。
 ただ、先ほどと違い、ダークプリキュアの片翼が彼女自身の体を包んでいたのが気がかりだった。

553ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:12:31 ID:IMHj.Wxw0
 まさか────


「その程度の攻撃で私に勝てると思ったか?」


 片翼が百度にわたるシンケンゴールドの攻撃を全て防いでいたのである。
 そのため、ダークプリキュアの体にはほぼ傷がない。
 シンケンゴールドは自らの攻撃が全く効いていなかった事実に唖然としており、次の攻撃の体勢に入るのが遅れた。
 振り向いた瞬間、黒き光弾がシンケンゴールドの体を数メートル近く吹き飛ばした。


「うごぁっ!」

「大丈夫!?」


 いくら強化スーツの戦士といえど、不意を突かれて直撃すればかなりのダメージを負う。
 そう、その強化スーツさえ強制的な使用不能を食らうほどに。

 シンケンゴールドとしての姿から、人間・梅盛源太への姿へと戻る。
 倒れたまま、立ち上がろうと土を掴むが、衝撃が強すぎたためかすぐには立ち上がれなかった。
 …………おそらく、立ち上がれたころにはもう死んだも同じだろう。
 ダークプリキュアの足音が聞こえていた。


「このっ!」


 先ほどまで戦闘をシンケンゴールドに任せてたあかねも、力の限りダークプリキュアに突進し、パンチをかます。
 だが、拳に痛みが伝わるのみで、ダークプリキュアの動きに変動はなかった。
 いずれあかねも殺すが、起き上がる前にシンケンゴールドを殺してしまおう、と。そのために無感情な顔を晒して、前へ前へと歩いていた。


(今度こそ、あれを使う……?)


 T2バードメモリ。あれは今尚、あかねの手に握られている。
 あのパンチにはこれを握る力も加わっていたというのに、微動だにしなかったというのだから恐ろしい。
 しかし、あかねにとってもっと恐ろしいのはこのメモリを使うことだ。

 加頭のような怪物になるということ……。
 それを考えればパンダ、猫、アヒル……あれらの動物がどれだけマシか。
 たとえ一時的にでもあんな醜い姿には、なりたくない。


(でも、ここで使わなかったらあの人は……)


 そう思った時、あかねは何かが吹っ切れたように表情を強張らせ、思い切りメモリの持ち方を変えた。
 スタンプを押すかのように、真下へと振り下ろしていく。
 押しやすい左腕めがけて。


(くっ……)


 しかし、寸止めだった。
 異形になることへの恐れも確かにある。
 だが、それ以上に先ほどから何かの危険を感じる。
 迷っている暇はないのに……。迷っていれば、あの寿司屋は傷つくのに……。
 得体の知れない道具への躊躇が、自分を異形に変えさせてはくれない。


 その躊躇の時である。
 ────ダークプリキュアの様子が変わった。
 源太を標的としていたはずのダークプリキュアの足が不意に止まった。
 そして、まるで何かに気づいたかのように、ダークプリキュアは一点を見つめたまま動かなくなった。


(どうしたの……? こいつ、一体……)


 あかねは警戒しつつも、体の筋肉の硬直を解いた。
 攻撃を中断している。
 どうやら、様子がおかしいように感じられる。
 彼女の目的を考えれば、誰であっても等しく攻撃するはずなのに。

554ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:13:05 ID:IMHj.Wxw0
「あれは、キュアムーンライトの仲間……!」


 ダークプリキュアは森の奥に、自らの宿敵の仲間を見つけたのである。
 青色の髪の少女────彼女は確かキュアマリンだ。

 ダークプリキュアにとっての最優先事項は、キュアムーンライトを倒して殺し合いから生還することである。
 そのキュアムーンライトとの決着を終えるためにも、彼女を知る者に話を聞くのは手っ取り早い。
 それを考えれば、今自分が優先すべきはシンケンゴールドと小娘か、プリキュアか──この二択はすぐに答えが出せる。


「喜べ、今は見逃してやる」


 上機嫌にダークプリキュアが言う。
 もはや、二人への関心など皆無で、この言葉も一応添えた程度であった。
 源太もあかねも助かったという気持ちでいっぱいである。とりあえず安心はしたが、またいつ彼女がここに来るのかはわからない。


「ともかく、逃げましょう。私は天道あかねって言います」


 体を起こすのが精一杯な源太を、無理やり屋台に乗せ、あかねはそれを引っ張って走っていく。

 ──ダークプリキュアが少女に気づいて見逃したということを知っていれば、彼や彼女はその少女を助けただろうが、彼女たちはそれを見ていなかった。

 二人は少女からも、ダークプリキュアからも離れて逃げていく。


★ ★ ★ ★ ★


 来海えりかがキュアマリンの姿で歩いている理由はひとつ。
 プリキュアという正体は秘密だが、この殺し合いの中で人を救うためにはこの姿が必要となる。
 プリキュアとしての秘密を守ることと、人を護ることを両立するには、変身しながら行動するのが一番良いと考えたのである。
 ここぞという時に、人の前でプリキュアに変身できずに、その人が大怪我をしてしまったり、死んでしまったら大変だ。


(許さないよ、あいつ……! つぼみたちと一緒にぜ〜ったい、この殺し合いを止めるから!)


 無論、そのプリキュアとしての心は加頭という男を許さない。
 えりかは花咲つぼみ、明堂院いつきといったプリキュア仲間と共に絶対、殺し合いを止めようと考えていた。
 そうして怒りを燃やす彼女ではあるが、この暗い森を一人歩くのは少し恐ろしくもある。
 実を言うと、仲間を捜す心には不安という理由も大きかった。
 ここで新しい友達ができる……それもいいが、やはりまずは同じプリキュアと合流したい。彼女たちはえりかにとって何よりの親友なのである。


 ────ドゴオオオオオオオオオン!!


 どれくらい歩いた頃か、えりかの耳を轟音が打った。
 その音に当然えりかは驚き、動揺した。えりかの胸にあった恐怖は尚更大きくなった。

 ──この音は何?

 当然、それは気になったし、そこに向かいたい気持ちはかなり大きかった。
 少なくとも祝砲ではない。むしろ、人が傷つく音だ。
 イヤだ。
 それは絶対。助けに行かなきゃ。

555ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:13:42 ID:IMHj.Wxw0
「…………今の音は!?」


 キーンとした耳に入ったのは、友達の声である。聞き間違うわけもない。
 この声、明堂院いつき──キュアサンシャインだ。
 ただ、少し声が小さく感じた。耳に少し先ほどの轟音の余韻が残っていたのと、実際距離がそこそこ離れていたことからだろう。
 正義感の強いいつきは、そちらに向かって恐れることも無く走っていったのだろう。誰かが地を駆け、えりかから離れていく音が聞こえた。


「待って! いつき!」


 えりかの声は聞こえていないようだった。
 えりかは必死で親友を追った。
 だが、走力や体力において、武道の心得の有無がある二人には大きな差があったのだ。
 そもそも、声と足音がどちらに向かったか────ただそれだけを頼りに追っていて、いつきの姿が見えるわけでもない。
 半ば見失っているのではないかという不安を胸に、わけもわからず一直線に走っていただけだ。
 すぐに追いつくはずも無い。


「はぁ……はぁ……ちぇっ、折角合流できると思ったのになぁ……」


 息も切れ切れになり、えりかは追うのを諦めた。
 一度立ち止まり、息を整える。
 すごく近くにいたのに、こうしてすれ違ったことはとても残念で惜しかった。
 せめてあの轟音がなければ、二人はあのまま森の中で互いの姿を見つけたかもしれない。
 あの轟音は何だったのだろうか?


(まぁ、またすぐに見つかるよ……きっとすぐ……)


 疲労を抱えながらも、ポジティブな思考は忘れない。
 そう、これだけ近くにいるのだからえりかといつきはすぐにまた会えるだろう。
 えりかが向かった方向といつきが向かった方向はそう大きく違わないはずだ。
 同じく轟音が聞こえた方向に向かったはずなのだから。


(はぁ……でもちょっと疲れたなぁ……ちょっとひとやすみ)


 えりかはそのまま地面に座ろうとした。
 なるべくこんな森の中で地べたに直接座りたくないが、疲れた体がそれを許す。
 腰を落としていく。
 足の疲れを少しでも癒そうと、体が小さくなる。


 ────が、座れない。


 体を低くした時、自分の体が強い力で押さえつけられて座ることができないと気がついたのである。
 自分の周りに人の気配がなかったため、自分の周りに力が加わる心配など微塵もしなかった。
 そう。誰かに体を掴まれている。


「誰!?」


 そう言って振り向こうとした時、えりかは首筋を強い力で打たれ、気を失った。
 そこでようやく体が力を抜き、座ったような体勢になることが許される。
 気を失う直前に見えたのは、確かな黒。


 ダークプリキュアの姿であった。


 キュアマリンを手元に置いた理由は簡単である。
 キュアムーンライトに関する情報を得るため、そしてキュアムーンライトをおびき出すための餌となってもらうため。
 一人で行動していたということは、おそらくまだキュアムーンライトとの合流は果たしていないだろうが、それ以外の情報を得ることもできる。
 ともかく、寿司屋や格闘娘よりもキュアムーンライトに近い存在である。


 殺してもいいが、それはキュアムーンライトをおびき出してからだ。
 まずは彼女を預かっていることをキュアムーンライトに伝えねばならないが、そのための手段も簡潔に考えておこう。
 ダークプリキュアはキュアマリンを引きずるようにして歩き始めた。


★ ★ ★ ★ ★

556ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:14:17 ID:IMHj.Wxw0
「いつきさんが運んでくれたお陰で助かりました……」


 ホテルの一室。
 なのはは目の前の少女に感謝の言葉を口にする。
 目の前の少女の名前は明堂院いつき。あの轟音に気づき、こちらに駆けてみれば一人の男が倒れ、それを何とかして運ぼうとする小さな少女の姿があったため、いつきは男を運ぶのを手伝ったのである。
 流石に少し重かったが、武道をやっているいつきならばホテルの一室まで運ぶのにそう苦労はしない。普段だってけが人を運んだり、自分の倍もの体重の男を持ち上げることがあるのだ。


「……いいよ。それにしても、この人の怪我は深刻そうだね。明らかに、大きな刃物で斬られた痕だ」


 応急処置はしたが、刃物による深い切り傷はこの年代の少女にはえげつない印象を与える。
 包帯の上ににじむ赤色から目を反らしたくなるほどだ。
 おそらく、あのままいつきが通り過ぎることもなく一時間ほど経過すれば出血多量にでもなって死んでいただろう。
 なのはが流之介をどこかへ運べたとも思えない。


「……この人、戦ってたんです。ずっと……」

「え?」

「ここには、殺し合いに乗ってる人がいました。その人に斬られて、それでもこの人は私を守ろうとして……」


 なのはは動揺しながらも話していく。
 自分の行動も、流之介が怪我を悪化させる一因を作っていたこともあり、なのはの顔は泣きそうにもなっていた。
 そんななのはに、いつきは優しい声で答える。


「わかった。この人が良い人だっていうこと……それに、強い人だっていいうことも」


 できるなら、目が覚めているときに言ってあげたい言葉だ。
 まだ声さえ聞いてないが、なのはの話だけでもだいたい、この男が良い人間だとわかる。
 傷を負いながらも女の子を庇う……か。
 この殺し合いをやめさせてくれる仲間になってくれるかもしれない。絶対そんな人にこんなところで死んでほしくないけれど、共に加頭と戦ってほしいと思った。


「……だから、キミと、この人と、ボクと……みんなでこの殺し合いを止めようよ」


 まだ出会ったばかりの少女だが、励ますつもりで声をかける。
 殺し合いを止めたい。
 その願いだけは、きっとなのはも同じだと信じていた。


「はい!」


 なのはも答える。
 それこそが、なのはの望みだったから。
 流之介も十臓も、聞き入れてくれなかったなのはの望みだったから。
 その返事ははっきりとした大きな声であった。


★ ★ ★ ★ ★

557ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:14:54 ID:IMHj.Wxw0
 一方その頃、源太は自力で屋台が引けるほど回復していた。
 あの時吹き飛ばされた衝撃は既にかなり和らいでおり、楽しそうに屋台を引いている。
 寿司の屋台を引いている源太の生き生きとした姿は、あかねにとってお好み焼屋の右京を彷彿とさせた。


「……で、あなたが作ったその妙な機械で変身したのがシンケンゴールドねぇ……」


 屋台を引きながら先ほどのシンケンゴールドへの変身メカニズムを聞き、あかねはとりあえず納得する。
 独力でそんなものをつくり、地球を護るために戦うとは何というお節介か。ちょっと変わった人だとは思ったが、あかねは呆れつつも少し関心する。


「こんなものを作れるってことは、もしかしてこの首輪を解除できたり……」

「さあ、それはまだわかんねぇ。やってみてドカ〜ン! ときたら洒落になんねえもんなぁ……」


 スシチェンジャーを作るような高い機械技術はあるが、この首輪のような爆発物に関してはわからないらしい。
 まあ、仕方がないといえば仕方ないか。
 この首輪は、あらゆる生物を容赦なく殺せるだけの殺傷力を持つ。迂闊に触ることも躊躇われるほどだ。

 源太の顔は少し落ち込んでいるというか、考え込んでいるように見えた。
 どうすればこの首輪を解除できるのか。
 他人の首輪で実験できるわけもないし、ましてや自分の首輪を解除するなど至難の技。
 それに、解除するにも道具がない……。


「まあ、そのうちなんとかなるわよ。梅盛さん以外にも機械に詳しい人はいると思うわ」


 あかねはこの点では完全にダメだ。こういう繊細な作業は苦手で、おそらくあかねがやれば三秒で爆発する。
 助手すらできないだろう。格闘しかできないのに、その格闘ですらこの場では劣る……。
 よく考えれば自分の知り合いの乱馬、良牙、シャンプー、パンスト太郎はみんなあかねより強いわけで、先ほどの黒服の女やシンケンゴールドも明らかにあかねより強い。
 で、あかねより不器用な人間がいるとは思えないし…………


「ん? 姉ちゃん、何で慰めたくせに落ち込んでんだい? 寿司食うか?」


 源太は既に平気そうな顔をしており、寿司を振舞おうと腕をまくっている。
 落ち込んでいる人にはとりあえず寿司を食べてもらう。それこそ幸せだ。


「もらおうか」


 …………だが、返ってきた返事はあかねのものではなく、太い男の声である。
 源太が背後を見ると、粗末な白服を着た、長髪と無精ひげの汚らしい男が立っていた。
 普通は一目で妖しい印象を受けるが、源太の場合、客を差別はしない。


「へいらっしゃい!」


 あかねの目の前でその男が屋台に座る。本当に寿司を食いに来ただけらしい。
 彼らは知る由もないが、彼の名は腑破十臓。──源太の敵・外道衆なのだが、まだ彼らは会ったことがなかった。
 それゆえ、寿司屋と客としてこの場で邂逅したのである。


「うまい!」


 十臓は源太の出したマグロを美味しそうにほおばっていく。
 その姿を見て、源太は得意げだった。


(そんなに美味しいかしら……?)


 あかねはそんな疑問を浮かばせつつ、男の隣でマグロを食べていた。

558ニアミス ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:15:40 ID:IMHj.Wxw0
【1日目/黎明 B−7/ホテル】


【池波流ノ介@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:気絶、左脇腹に重度の裂傷(応急処置済み)、体力消費(大)、モヂカラ消費(小)
[装備]:ショドウフォン@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
※あくまで気絶前の思考です
基本:血祭ドウコクの撃破および、殺し合いの阻止
1:十臓を倒す
2:丈瑠の封印の文字を用いてドウコクを倒す
3:2のため、丈瑠に極力負担をかけないよう障害は自分の手で取り除く
[備考]
※参戦時期は、第四十幕『御大将出陣』から第四十四幕『志葉家十八代目当主』までの間です。
 丈瑠が志葉家当主の影武者であることは知りません。
※ドウコクの撃破を目指すのは、単純に避けられない戦いであることにくわえ、他の参加者の安全確保のためという意味合いが強いです。
 殺し合いの阻止よりも、ドウコク撃破を優先しているというわけではありません。


【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[装備]:レイジングハートエクセリオン(待機状態)、バリアジャケット
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを止め、皆で助かる方法を探す
0:この人が目を覚ますのを待つ
1:いつきやこの人(流之介)と行動する
[備考]
※参戦時期はA's4話以降、デバイスにカートリッジシステムが搭載された後です。
※流之介の名前は知りませんが、シンケンブルーと呼ばれたことは知っています。


【明堂院いつき@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:プリキュアの種&ココロポット
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを止め、皆で助かる方法を探す
0:この人が目を覚ますのを待つ
1:なのはやこの人(流之介)と行動する
2:仲間を捜す


【1日目/黎明 D−7/森】

【腑破十臓@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康、体力消費(小)
[装備]:昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:強い者と骨の髄まで斬り合う
0:寿司を喰う
1:裏正を探す
2:2を達成した後、丈瑠と心行くまで斬り合う
3:他にも興味を惹かれる強者が存在するなら、その者とも斬り合う
4:邪魔者は容赦なく斬る
[備考]
※参戦時期は、第九幕『虎反抗期』以降、丈瑠を標的と定めた後です。
※流ノ介を斬るのは、丈瑠との戦いを邪魔してくるのが明らかなためです。
※他の参加者の支給品に裏正が紛れていると考えています。


【天道あかね@らんま1/2】
[状態]:ダメージ(小)、背中に痛み
[装備]:T2バードメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム0〜2個
[思考]
基本:乱馬たちと合流して殺し合いから脱出する
1:源太と行動し、首輪を解除する
2:バードメモリを使うかどうか悩んでいる
3:自分が役に立ちそうに無いので落ち込み中
[備考]
※参戦時期は37巻で呪泉郷へ訪れるよりは前で、少なくともパンスト太郎とは出会っています


【梅盛源太@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:全身に軽度の痛み
[装備]:スシチェンジャー、寿司ディスク、サカナマル@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、寿司屋の屋台、ランダムアイテム0〜2個
[思考]
基本:殺し合いの打破
0:今は客に寿司を振舞う
1:より多くの人を守る
2:自分に首輪が解除できるのか…?
3:ダークプリキュアへの強い警戒
[備考]
※参戦時期は少なくとも終盤で十臓と出会う前です(客としても会ってない)


【1日目/黎明 C−8/森】

【ダークプリキュア@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1〜3個
[思考]
基本:キュアムーンライトを倒し、優勝してサバーク博士のもとへ帰る
1:キュアマリンに情報を得る
2:キュアマリンを餌にキュアムーンライトを捜し出す
3:キュアムーンライトは最優先に探し出し、倒す
[備考]
※参戦時期は46話終了時です

【来海えりか@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:気絶、疲労(中)、キュアマリンに変身中
[装備]:プリキュアの種&ココロポット
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1〜3個
[思考]
※あくまで気絶前の思考です
基本:仲間を集めて殺し合いを止める
1:いつき……
2:さっきの音は一体!?
[備考]
※参戦時期は少なくともキュアサンシャインが仲間になってから

559 ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 12:16:11 ID:IMHj.Wxw0
以上、投下終了です

560名無しさん:2011/11/23(水) 15:24:05 ID:z6HzuAu20
お二人とも投下乙です!
>捲られたカード、占うように笑う
まどか……ああ、このままじゃボロボロになってしまうぞ。
アインハルトも本郷と出会えたとはいえ、まだまだ油断は出来ないな。
ゴオマ、まさか変身が出来なくなるとはw
ノーザさん、これからスバルを使ってまだまだ悲劇を導いてくれそうな予感がするなw

>ニアミス
いつきとえりか、それに流さんや寿司屋は出会えなかったか……
同一作品予約がされたのでヒヤヒヤしたけど、まさかこんな形で決着が付くとは
そしてえりかが危険だ!

561名無しさん:2011/11/23(水) 16:00:23 ID:rhVkL1TI0
投下乙です

まどかはとんでもないフラグが立っちまったなあ…
頼りになる連れが出来たけど問題は山積みだしなあ
ノーザさんはスバル使って更に何かたくらみ中だし、ゴオマは…三人次第だがどうするんだろう…

これはタイトルの通り、ニアミス大杉w
最後のオチはおまw
まあ、原作キャラ同士の再会は死亡フラグだからなあ
それでもえりかは…

562名無しさん:2011/11/23(水) 17:19:54 ID:bUhpAlooO
投下乙です。見事にすれ違い続ける人々・・・って何呑気に寿司食ってんだw

563名無しさん:2011/11/23(水) 17:43:19 ID:bYcszVM20
投下乙!
段々と纏まりが出来てきて面白い
闇堕ち要員の多いまどマギとハトプリの魔法少女組がどうなるかは気になるよな〜
逆にフレッシュはノーザさんが大活躍だが、ピーチたちにも頑張ってほしいな

>※参戦時期は少なくとも終盤で十臓と出会う前です(客としても会ってない)
十臓と出会うのが二十幕だから、それ終盤って言わなくないか?w
十七幕初登場で十八幕正式加盟だから、侍になって間もない頃って感じだな

しかし、この状況で寿司を握る源太…w
シンケンの本編だと十臓が寿司を食う動機が「面白い」だったが、
今回も、こんな殺し合いの状況で寿司握ってるのを面白がって食いに来たのか、それとも腹が減ってたのか…w

564 ◆gry038wOvE:2011/11/23(水) 21:15:52 ID:IMHj.Wxw0
っと、なんで終盤と書いたのやら
混乱すると思うのでまとめでは修正しておきます

565名無しさん:2011/11/24(木) 00:12:04 ID:EsbSeqdQ0
皆様投下乙です、

>MY FRIEND
なんだろう、流石の冴子が完全に手を焼いている……後、『早く井坂と合流して家に帰りたいと思う冴子であった。』……この一文のせいかもうシャンゼ時空に捕らわれている気がする。

>捲られたカード、占うように笑う
予約メンバー的に本命アイン、対抗まどか、大穴本郷辺り退場するかと思いきや予想を超える展開。
まさか、ゴオマがあんなオチを迎えるとは……ただ、戻る可能性が無い訳じゃないから致命的な爆弾を抱える事になるんだよなぁ。
……サブタイがこうなのはこのオチやったと。

>ニアミス
予約メンバー的にシンケン勢かハートキャッチ勢の誰か(大穴であかね)が退場するかと思いきやそんなこともなく仲間合流すら無い状態。
白いなんとか&いつき&流之介組、ダーク&えりか組、源太&あかね&十臓組に別れたか……そうか、十臓と出会う前という時期か。
でもシンケン勢……ドウコクと殿は色々トンデモ無い状態だお……
後えりか……地味にヤバイ様な……し か も か ん じ ん の ゆ り さ ん は … …

566名無しさん:2011/11/24(木) 02:20:48 ID:Bfmt/3fU0
投下乙。
>>565
ああそっか、いまのゆりさんにとってえりかは餌にも人質にもなりえないもんなあw
しかも光を消すどころかとっくに闇に染まってるという…
ダープリもえりかもドンマイw
そんでもって源太は序盤参戦…つまりこっちも殿の事情は知らないわけだ
ていうかあかね、確かに源太の寿司は半端な味だろうけど、お前がそれを思うのは源太に失礼だぞw

567名無しさん:2011/11/24(木) 02:26:52 ID:O.HUmvhg0
ああ、あかねは料理の腕が破滅的(原作ではその後の特訓でカレーだけは大丈夫だが)だっけw

568名無しさん:2011/11/24(木) 17:31:18 ID:/M/ZQ33c0
そして源太は初めて作ったカレーが人気メニューになって、長蛇の列を成したと・・・・・・


寿司屋なのに

569名無しさん:2011/11/24(木) 17:39:43 ID:LM5x1n1k0
……まさかそこまで計算してあかねと源太を組ませたというのか……

570名無しさん:2011/11/24(木) 20:08:40 ID:VPbmnqXIO
でもロワ的にカレーはやべえええ!
そして何でもありのテラカオス以外じゃ、屋台を引く参加者なんてパロロワじゃ初めてだろうなww

571 ◆gry038wOvE:2011/11/24(木) 20:15:16 ID:q2DCFrXM0
自分もこの話書いた後に気づきました
前の書き手さんは気づいてたんだろうか…

そういえば、全員一話退場ナシで一周通過してますね
シャンプー以外にも深夜に死者出るんだろうか…

572名無しさん:2011/11/24(木) 20:23:42 ID:zylie8zE0
投下乙です

>捲られたカード〜
ゴオマが一気に最終形態まで駆け上がるかと思ったら、まさかこう来るとは……
生かしておいたら大きな禍根になるのは間違いないけど、メンバー的に戦闘能力を失った相手に容赦なく止めを刺すかといったら微妙なところ
致命的な爆弾を抱えた仮面ライダー(?)まどかといい、相当な危険要素が残ったなぁ

>ニアミス
ホテル組は、終わってみれば十蔵は去り残った3人はやや方針に違いはあれぞ皆対主催
戦闘能力も十分あるから、このまま安定してくれれば良い感じになりそうなんだけど……そう簡単にはいかんか?
えりかはピンチな上に、案外近くにゆりさんもいるからどう転ぶかわからない
現状一番危ないのは彼女か

573 ◆eQhlNH2BMs:2011/11/24(木) 20:25:43 ID:Bfmt/3fU0
>>571
全く気づきませんでしたよ♪

574名無しさん:2011/11/27(日) 04:52:41 ID:9H5AoWZAO
・現在の支給T2ガイアメモリ所持者まとめ

バード→あかね
サイクロン→まどか
ジーン→?
ヒート→ヴィヴィオ
アイスエイジ→?
メタル→殿
パペティアー→?
ナスカ→?
トリガー→ティアナ
バイオレンス→溝呂木
ウェザー→?
ゾーン→?
スカル→暁
ジョーカー→?

・中身がまだ不明な所持者
良牙、凪

参考にしてくだされ。

575名無しさん:2011/11/27(日) 11:27:10 ID:wQa8uPLY0
みんな自前の変身持ってるし制限あるわけでもないんだから、そんなに出ないだろうと思ってたけど
ボコボコ出て来るな
W把握しないと、他のパートも書けなくなるからあんまりこうなって欲しくなかったんだけど…
まぁみんなW把握してるっぽいから別にいいのか?

576名無しさん:2011/11/27(日) 11:28:50 ID:SZZ8AC0U0
メモリ把握だけなら該当話見るだけですむから大丈夫なんじゃね?

577名無しさん:2011/11/27(日) 11:33:15 ID:wQa8uPLY0
まぁ使わせなきゃいいだけなんですけどね

578名無しさん:2011/11/27(日) 22:29:37 ID:dzxiZMlg0
メモリ所持者を自前変身能力の有無で分けるとこうなるか。

変身能力あり…ヴィヴィオ、ティアナ、溝呂木、暁

変身能力なし…あかね、まどか、凪

その他…良牙(あるけど戦闘で役に立たない)
    殿(あったけど手放した)

まあ厳密に言えば良牙はあり、殿はなしってことになるのかな?

579名無しさん:2011/11/27(日) 23:55:08 ID:NMXyPJ2U0
そもそも良牙は変身しなくてもある程度強いもんな

580名無しさん:2011/11/28(月) 13:47:57 ID:HUOD2bSc0
変身せずに戦うのならこのロワでやる必要性が薄い気もするが

581名無しさん:2011/11/28(月) 17:15:48 ID:xttyKavkO
クウガの超変身みたいに色々な形態に変身できると面白そうな気がするけど、その分だけ把握が大変になることも考慮しなきゃならないのか。
まぁ、その辺りは書き手氏たちの手腕にお任せしましょう。

582名無しさん:2011/11/28(月) 18:49:26 ID:CBeXhHUE0
>>580
まあ、それがこのロワにおけるらんま勢の特殊さだからね

そういや最近思い出したけど、らんま1/2の準レギュラーに、呪泉郷以外の手段による変身能力持ちがいたな

583名無しさん:2011/11/29(火) 19:05:39 ID:0zPr38I20
予約来たぞ

584 ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:28:54 ID:pPbHZrXc0
今から相羽タカヤ、泉京水、東せつな3名投下致します。

585UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:33:44 ID:pPbHZrXc0
 それは――遥か遠き記憶、

『テメェら……ハメやがったな……仁義はどうしたんだよ!? 仁義はどうしたんだよぉ! あぁっ!!』
『この渡世に……そんなもん30年前からあるか』

 裏切りに遭い刺され――

『アアァッ! アァッ……』

 そのまま散りゆく所で――

『アッ、誰、このイケメン……?』
『こんな連中忘れちまえ……お前は俺のもんだ』

 『俺』は『彼』と出会い――

『ステキ……アァッ……』

 その言葉と凛々しさに惚れて『俺』は――

『アナタに……刺されたかった……ス……テ……』

 『私』になっ――



「キー!!! アーッ! ヤバイ!! また人生振り返っちゃってる!!
 アッ、走馬燈だコレ、走馬燈!! これは酵素切れで死んだんだわ、死んでしま……アッ、また死んでる、死んでるのに死んでるってどういうこと?
 デスとデス、死んでしまうんデース!!」
「一々叫ぶな! 頼むから少しは黙っててくれ!!」

 突然の泉京水の叫びに相羽タカヤはうんざりそうに声を荒げる。

「あっ、なんだか今ちょっと剛三ちゃんの事思い出しちゃったわ」
「今の流れでどうしてそうなる!?」

 そんなタカヤのツッコミに構う事無く京水は自身のデイパックの中を探る。それを見て東せつなが問いかける。

「京水さん、何を……」
「アレよ、説明したと思うけど私達NEVERは定期的に酵素を打たないと死人に逆戻りしちゃうのよ、戻っちゃうのよ」
「二回も言わんで良い……」

 京水は普通の人間ではない。死人がある技術によって蘇生された存在NECRO-OVER通称NEVERである。
 高い耐久力と再生能力を持つ反面、定期的に細胞維持酵素を注入しなければ死体に逆戻りするのだ。
 先程の反応はどうやら酵素切れの兆候らしく、京水は呆れる2人を余所に細胞維持酵素を探していた。

「全く……」
「そういえばタカヤさん、本当に良いんですか?」

 その最中、せつながタカヤに問いかける。

「何がだ?」
「その……シンヤさん……家族と戦う事です」

 せつなが気になった事、それはタカヤの弟である相羽シンヤについてだ。
 この殺し合いに巻き込まれているタカヤの知り合いは4人、相羽ミユキ、シンヤ、モロトフ、そして見せしめとして殺されたフリッツ・フォン・ブラウンだ。
 タカヤによるとシンヤ、モロトフ、フリッツの3人と敵対しているという話だが、名字から見てシンヤが家族だという事は明白だ。
 当然、互いの知り合いについて情報交換した際にも聞かれたわけだが、
 タカヤはその際、自分達がラダムによってテッカマンにされてしまい、父親である相羽孝三によって完全に支配される前に脱出させられた自身と不完全なテッカマンとして排斥されたミユキ以外は皆地球の敵になったと説明はした。

 その事情は把握はしている。それでもせつなはかつての仲間や家族同士で殺し合う事は受け入れがたかった。出来うる事ならば止めたい所ではある。
 無論、タカヤもせつなが言おうとしている事は理解出来る。

「わかっている……だが俺はもう後戻りは出来ないんだ……」

 そう、孝三の遺言があったとはいえ、ここまで戦い続けてきたのは全てタカヤ自身が選んだ道。
 そして、テッカマンとしてラダムと戦い続ける道を選んだからこそ――


「キタァーッ!! 非常に身体に染みますね」


 ――話の流れを寸断するかの様に京水が絶頂の声をあげる。無事に5本分の酵素を見つけ、その内の1本を打ち込んだのだ。

586UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:34:20 ID:pPbHZrXc0


「京水さん!?」
「それよりあなた、タカヤちゃんの個人的な事情に口出しするんじゃないわよ!」
「いや、でも……」
「でもじゃないわ、あなただって触れられたくない事の1つや2つあるでしょ、私だって乙女の秘密を幾つも抱えているわ! もう胸のがパインパインになるぐらいに!!」
「誰が乙女だ!?」
「もしかしてそうやって世話焼いてタカヤちゃんの気を惹くつもり!? 私が酵素を打っている隙をつくなんてなんていやらしいのかしら!!」
「いや、途中から論点がずれている様な……」
「ともかく、タカヤちゃんだってシンヤちゃんと戦うのはよっぽどの考えての事なんでしょ、何も知らない素人の小娘が口を挟む事じゃないわ!」
「シンヤにまでちゃん付けするな!」

 このままでは話が進まないとタカヤが話を進めようとする。

「大体、あんたの方こそ大丈夫なのか? あんたと克己は仮面ライダーと敵対していたんじゃないのか?」

 京水の知り合いは同じNEVERである大道克己、そして克己達NEVERが引き起こそうとしている事態を止めようとしている探偵左翔太郎、刑事照井竜の2人の仮面ライダー。
 更に厳密には面識は無いもののNEVERの研究を廃止に追い込んだガイアメモリの関係者である園咲琉兵衛の関係者とも言うべき園咲冴子に園咲霧彦の両名。

「そうですよ、その克己さんは殺し合いに……」
「お黙りなさい、少なくても克己ちゃんは戦いたくもないのに無理矢理戦わされている人を殺すような悪趣味な事はしないわ!」

 京水の脳裏にある大きな出来事が浮かぶ。それを考えるならば少なくても無差別に殺すという事は無いだろう。

「それにさっきも説明したけど、あの加頭って男は克己ちゃんにとっても敵よ、殺し合いに乗るかどうかはともかく加頭を倒す事に関してはまず保証して良いわ」
「財団Xだったか……」
「あれ、でも確か数年前に克己さんが倒したって……」
「NEVERの技術でも利用して生き延びたんでしょ、自分達で見限っておきながら都合が悪くなったらそれに頼って……本当に悪趣味ったらありゃしない、プライドが無いのかしら、プライドってものが」
「その口でプライド言うな」

 勿論、必ずしもNEVERの技術を使ったという確証はなく、別の技術を使った可能性もあるし、運良く生き残ったという説もあるだろう。
 何にせよ、NEVERを見限りある一件でも敵対した財団Xの幹部である加頭を倒す事を考えるならば十分共闘は出来るだろう。

「だが、あんたらと仮面ライダーが協力出来るとは思えないが……」
「それは大丈夫よ、克己ちゃんだって仮面ライダー、それにあの2人のイケメンも仮面ライダー、きっと助け合う事が出来る筈よ」
「その根拠は?」
「イケメンで強い上下3色に分かれた仮面ライダーが言っていたわ! 『ライダーは助け合いでしょ』! おっしゃる通りだわー!!」
「どんな理屈だ!!」
「そんな仮面ライダー本当に居たんですか?」

 余談だが、京水はその直後上下3色に分かれた仮面ライダーの一撃を受けそのまま完全に消滅する筈だった。
 が、気が付けばあの場にいたという状況だ。
 なお、あの時点で克己を除くNEVERの仲間達はほぼ全滅状態ではあったが、京水自身彼らが散る現場を見たわけではない為、元の世界では皆何とか無事でいると考えている。

587UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:35:05 ID:pPbHZrXc0

「……あれ京水さん、その手に持っているのは何ですか?」

 ふとせつなが京水の手に何かが握られているのを見つけ聞いてみる。

「酵素を探している途中で見つけたのよ、確か『伝説の道着』って説明書きには書かれていたわ、伝説! なんか心地よい響きだと思わない!? 伝説の仮面ライダー! 伝説のテッカマン! もうゾクゾクしちゃう!!」

 身体をくねらせながら悦に浸る京水である。

「頼むから、落ち着いてくれ……」

 出会ってから1時間以上、相変わらずな京水のテンションにタカヤもうんざりしていた。
 ちなみに説明書きによると着た者は潜在能力を引き出す事が出来るらしいが道着が認めた者以外は着る事が出来ないとある。

「伝説……ってどう見てても京水さんが着るようなものじゃ……」

 また、それ以前にサイズ的にどう考えても京水が着れるようなものではない。着れそうなのは十代ぐらいと考えて良いだろう。

「そうね、実際に着たわけじゃないけどおっぱいが大きい私じゃきっと無理! 私よりおっぱい小さい人じゃないと無理!」
「それ以前の話だろうが」
「……その服、なんか私に助けを求めている様に見えるのは気のせい?」

 ふと見ると京水が握りしめている道着がせつなの方を見て頷いている様に見えた。

「違うわ、きっと違う、きっとこの子は私が着る事が出来ないから嘆いているのよ! そうに違いないわ!」
「それだけは絶対に無い」
「大丈夫、この子はタカヤちゃんと同じツンデレなのよ! 間違いないわ!」
「だから俺を一々引き合いに出すな!!」

 その道着が本当に自分の意志を持っているかはともかくとして、せつなとしてはこのまま放置するのは心苦しかった。

「京水さん、それ着ないんでしたら私に支給されたものと交換しませんか?」

 そこで自身に支給されたものと交換する事を提案した。

「別にあなたのものなんて欲しいとも思わないわよ! 見くびらないでちょうだい、私はそんな安いレディじゃないわ!!」

 予想するまでもない京水のリアクションを余所にせつなは自身のデイパックを開けて交換出来そうなものを探す。
 そして何の変哲もなく使い古され焦げた跡もあるハーモニカを出すが、正直これを渡しても仕方ないと思い更に中を探すが――

「ちょっとあなた、今出したもの見せなさい!!」
「!?」

 予想外に京水が反応しせつなからハーモニカを取り上げしげしげと見つめる。

「間違いないわ……どうしてあなたがこれを持っているのよ!? 克己ちゃんのハーモニカを!!」
「どうしてって言われても……たまたまデイパックに入っていただけじゃ……」
「ちょっと待て、それは本当にそいつのハーモニカなのか?」
「間違いないわ、この色と焼け焦げ具合、それに……」

 と、ハーモニカを加え軽く吹く。すると甲高くどことなく優しい音が響く。

「アァッ! この調べに音色、間違いなく何時も克己ちゃんが弾いていたハーモニカの音よ! 克己ちゃん、コレである曲吹いてそれを聞いていると落ち着くって言っていたわ! あっ、もしかして今しちゃった!? 間接キ……」
「わかったわかった、それでどうするんだ?」
「あの、仲間の物だったら無理に……」

 交換の申し出をしたとはいえ、流石に相手の仲間の物を交換材料に使う事はしたくはない。せつなとしてはそのまま京水に渡すつもりであったが、

「わかったわ、わかっているわ! 私、仁義を通す乙女なの、大事にしてね、この子の事……しなかったら承知しないから!!」

 そう言って道着をせつなに渡した。

「はぁ……ありがとう……ございます……」
「仁義って……あんたのキャラじゃないだろ」



「でもね……これで勝ったと思わないことね、次は負けないわ! 次は私が勝つわ!」
「え? 何時の間に私が勝った事になってるの?」
「何と戦っていたんだあんたは!!」



 かくして京水が酵素を注入する為だけに足を止めていた筈の3人は再び歩き出す。

588UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:35:54 ID:pPbHZrXc0



「(まぁ……そこまで酷い人じゃないわよね……)」

 京水の言動には正直引き気味ではあるもののせつなからの印象はそこまで悪くはない。
 少なくても仲間想いな所はこれまでの言動から十分理解出来たし、自分を嫌っている様だったがハーモニカを受け取る代わりに道着を渡してくれた所を見ると通すべき所は通す人だというのはよく解った。
 元の世界では事件を起こす側、つまりは悪い人だったらしいがかつてラビリンスの幹部イースとして人々を不幸にしてきた自身が強く責める事は出来ない。
 少なくても現状は人々の幸せを守る――とは違うだろうが、主催者を打倒しようとしている事から、十分信用――

「タカヤちゃーん、さっきから疲れている様だけど大丈夫かしら?」
「誰のせいだ、誰の」
「あの、京水さん。私は全然平……」
「あなたには聞いていないわ!」

 ――していいのだろうか? それでも、色々な意味で敵には回したくはないとは本気で思った。

 一方で、実の弟と血で血を洗う戦いを繰り広げようとするタカヤの事も気がかりだ。
 無論、京水も言っていたとおり、タカヤの事情を何も知らないせつなが口を出せる道理は全くない。
 だが、敵対しているとはいえかつての同胞と戦う事が辛い事なのはせつな自身も知っている。
 せつなの知り合いは友達にしてせつな同様プリキュアである桃園ラブ、蒼乃美希、山吹祈里の3人、そしてラビリンスの幹部であるノーザである。
 当然の事だがラブ達が危機に瀕している事を考えると心配なのは言うまでもない。
 だが、一方である2人の名前が無かった事でせつなは安堵していた。それはラビリンスの幹部、つまりかつてのせつなことイースの同僚とも言うべきウエスターとサウラーの両名である。
 無論、せつながラビリンスから離れプリキュアとなった後も2人は人々を襲い不幸にしている為、敵対している事に違いはない。
 だが、死んで欲しいかというとそうではない。出来うるならば2人を大事にしないラビリンスの総統メビウスの元から離れて欲しいと思っている。
 そういう自身の事情を踏まえて考えたら、仲間どころか双子の兄弟で殺し合うタカヤとシンヤの戦いは出来れば止めたいのが本音ではある。
 ラダムによって敵になったという話ならば、そのラダムから解放出来ればあるいは――

 ――とは思うものの、タカヤの事情にばかりかまけてもいられないのが実情だろう。
 前述の通り参加者の中にはラビリンス最高幹部であるノーザがいる。
 真面目な話、加頭に素直に従うとは全く考えていないが、それはイコール危険人物では無いという事には成りえない。
 ノーザの事だ、狡猾な手口で今も他の参加者を次々に不幸にしつつ最終的には加頭を出し抜こうと目論んでいるのは想像に難くはない。
 シフォンを助ける為に不幸のゲージを破壊する為占い館に向かった時、ノーザは自分達を悲しみの世界に飛ばしたり、自分達を互いに戦わせ自滅させようとしたのだ。
 タルトとシフォンが一歩遅かったらノーザの目論見通り自滅していただろう。
 自身の影からイースの姿をしたナケワメーケを産み出した事のあるサウラーよりもずっと狡猾で邪悪なのだ(こう書くとサウラーも十分邪悪なのだが、せつな自身イース時代に相当な事をしていたのでそこまでは言わない)。
 ノーザの手口をある程度知っている自分達はともかく、他の参加者達はそういうわけにはいかない。平然と同士討ちをし向ける事は容易に考えられる。
 しかも狡猾なだけではなく、素の戦闘力も最高幹部に相応しく非常に高いものだ。力を合わせれば勝てるとはいえ、ラブ達と離ればなれな現状では厳しいと言わざるを得ない。

 それを考えればノーザの魔の手から他の参加者達を守りつつ早くラブ達といち早く再会したいと考えている。
 辿り着いた街に都合良くいてくれれば良いが小さいながらも広い島、そうそう都合良くはいかないだろう。
 また、殺し合いに乗っている危険人物に遭遇する可能性も否定出来ない、プリキュアに変身すればそう簡単に殺される事は無いだろうが絶対に大丈夫という可能性は皆無。
 故に今は彼女達の無事を精一杯願う事しか出来ないだろう、出来れば自分同様、信頼出来――



「ねぇ、それタカヤちゃんの支給品? もっとよく見せてくれる?」
「くっつくな!」

 ――る(?)人達に出会える事を――

589UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:37:14 ID:pPbHZrXc0



 そんなせつなの不安を余所に、京水自身はせつなから受け取ったハーモニカを握りしめつつ考えていた。
 無論、外見上はアレにしか見えないだろうが内心は至って真剣である。

 普通に考えれば克己のハーモニカなのだからこれを克己の元へ届けようと思うだろう。
 だが、京水は今更克己がハーモニカを受け取るとは思っていない。
 克己にとっては最早ハーモニカは過去の遺物でしかなく、未来だけしか見ていない克己にとっては必要の無いものなのだ。
 それでもハーモニカを何も知らないせつなが持ったままにしておくよりは自分が持っておきたかったのだ。

 かつて、克己達NEVERは財団Xに見限られたNEVERの有用性を見せつけるべく各地で戦い続けていた。ガイアメモリに負ける事など許されないと考え――
 その最中、超能力を持つ少女ミーナと出会う事となった。
 ミーナ達超能力者は、財団Xがスポンサーをしているプロジェクトの1つ超人能力つまりは超能力を増幅させた処置を受けた兵士クオークス候補として、世界中から浚われビレッジと呼ばれる施設に閉じこめられていた。
 克己達NEVERは徐々に過去の記憶や人間らしい感情を喪失していく、その関係もあり過去を失っていく克己は誰よりも明日を欲していた。
 だからこそ生きている人間の未来が奪われる事や、未来を諦めてしまう事が容認出来なかった。
 故に克己達はミーナ達を解放すべく彼女達を支配しているドクター・プロスペクトそして加頭順を打倒せんとした。
 ハーモニカはその時にミーナに渡したのだ。克己自身はもう殆ど覚えていないが母マリアから送られたプレゼントであったハーモニカを――
 その戦いの最中で克己自身馬鹿にしていた筈のガイアメモリの1つ、エターナルと惹かれ合い仮面ライダーエターナルとなった。
 エターナルと克己の相性は何よりも絶大、クオークスとしても絶大な力を持ち同時にミュージアムでも幹部クラスしか持てないゴールドクラスのメモリを使いユートピア・ドーパントに変身した加頭を一蹴した。
 だが、その果てに待つ結末は最悪と言えるものだった。
 ドクターの変身するアイズ・ドーパントの力によりビレッジの敷地内から出た者は皆死する仕掛けが施されていた。
 そう、それによりビレッジから出ようとしたミーナ達は――

『克己……助けて……』

 ――皆死を迎える事となったのだ。ミーナの手には死に際に発した炎で微妙に焼けたハーモニカが握られたまま――

『お前等が連中を皆殺しにしたんだよ――』

 ミーナの亡骸を抱える克己に響く悪魔の声。その瞬間、克己の中で何かが切れた――

『俺とした事が一瞬忘れちまってたぜ、人は皆……悪魔だという事を……』

 その後、エターナルに変身した克己、そして京水達によってドクター達クオークスは倒された。
 だが、試作品のエターナルメモリは破損し、最後に手元に残ったのはロストドライバーだけだった。
 羽原レイカがミーナをNEVERにしてはと提案はしたものの克己は未来だけ見ていれば良いとそれを拒否、
 ある決意を以てその地を去った――

 克己達との記憶を失いながらも奇跡的に一命を取り留めていたミーナに気付く事はなく――

590UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:38:00 ID:pPbHZrXc0

 さて、長々と説明したがその一件によって克己の中の良心は完全に消え去ったと考えて良い。
 克己に対し全面的に心酔している京水もその変化には気付いている。
 そう、克己が目的の為ならば他の参加者はおろか仲間である筈の自分達すらも平然と切り捨てる悪魔に成り果てている可能性があるという事だ。簡単に言えば優勝を狙うという事だ。
 なお、この事についてはタカヤ達に説明はしていないが京水自身明確に気付いたのはハーモニカを見た事でその時の克己を思い出したからだ。
 それを説明しなかった事についてせつなはともかくタカヤには多少は悪いとは思うがこれ自体は可能性レベルの話だ、優勝狙いか、殺し合いに乗らず加頭打倒を目指すかどうかを断定しきる事が出来ない以上明言出来なくても仕方はない。
 一応、自分達が仮面ライダーと敵対している側の悪人側にいる事は説明はしている。
 頭の中が何処かお花畑のせつなはともかく、雰囲気から見ても幾度かの修羅場を潜り抜けているであろうタカヤならば全面的に信用したりせずに下手を打つ真似はしないだろう。
 とはいえ加頭のした事は明らかに克己の妨害である。それを考えれば克己のスタンスがどうあれ最終的に加頭をこのまま放置する事だけはあり得ない。
 奴がNEVERの技術を都合良く使って地獄から戻ってきたのならば尚の事、今度こそ二度と戻れない様に地獄に送り返さねばなるまい。

 ここまで説明した通り、今の克己ならば京水すらも捨て駒にする可能性は十分考えられる。
 だが、京水はそれでも構わないと考えている、自分が使えないなら平然と捨てられる事に何の異論もない。

 かつて杯を交わした者達の事など殆ど覚えてはいない――
 NEVERだからというだけじゃない――
 あの時、只死ぬだけだった筈の『俺』は『彼』に出会い『私』となった――
 あの瞬間、『彼』の言葉通り『私』の全ては『彼』のものとなったのだ――
 『心』も『躰』も――『命』すらも――

 あの時誰かが言っていた気がする、仁義なんてのは30年前から無いと――
 だが、少なくても自身の中にはある。克己に対する仁義が――

 それを通せるならば克己に殺されたって構わない――
 いや、むしろあの初めて出会った時感じた様にそれこそが望みだ――

 時々走馬燈として見える出会った頃の記憶、それも何れは幻の様に消えていくだろう。
 それでも今手元には克己の分身とも言えるハーモニカがある。間違いなく錯覚だろうが持っているだけで克己を感じられる気がした。



「克己ちゃーん! 待っててねー! デンジャラスなレディ、Dレディになって貴方に会いに行くわー!!」
「頼むからいきなり叫ぶな、もうこれで何度目だ!?」

591UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:39:00 ID:pPbHZrXc0



 傍目から見たら口やかましいオカマにしか見えない京水にもう何度目とも知れないツッコミを入れつつタカヤは呆れ果てていた。
 正直、デンジャラスという意味では十分デンジャラスだろと内心思っている。

 とはいえ、京水がどちらかというと現状味方というのは有り難かったというのも事実だ。主催者である加頭達財団Xの事をある程度把握出来たからだ。
 ただ、元の世界では大きな事件を起こしていた事を考えると全面的に信頼して良いかどうかは微妙ではある。
 克己が殺し合いに乗っていないという確証は何処にもなく、仮に克己が乗っていた場合、彼に心酔している京水が裏切る事になるのは明白だ。
 とはいえその辺りは京水自身もちゃんと言及はしている事だ。京水が保証したのは主催者である加頭達を倒す所までだからだ。
 それでも克己と遭遇するまでは断定しきれない以上はこのまま共に行動していくしかないだろう。

「(……それはつまり、それまではずっとコイツに付きまとわれるという事なのか……)」

 それを考えると心底気が重くなる。いや、自分の知り合いにもオカマ系の仲間ともいうべきレビンがいた。だが、レビンもここまで酷くはなかった。
 そんなタカヤの心労を余所に京水は大事そうにハーモニカを握っている。

「(確かある曲吹いたら落ち着くって話だったな……)」

 戦場で奏でられる音楽――そういう意味でタカヤはある人物を思い返していた。

「(バーナード軍曹……)」

 その人物はラダムに占拠された所にある宇宙艇に向かった軍の特殊部隊を救助する任務を受けた際に出会ったその特殊部隊を率いていたバーナード・オトゥール軍曹である。
 しかし、バーナード達はやるべき事があると拒否、賭けに負けたタカヤことDボゥイは彼らに付き合わされる事となった。
 当時、軍のやり方に対し嫌悪感を持っていたDボゥイは当然の事だが彼らに良い印象を持たなかった。
 だが、彼らのやるべき事はそこで死したバーナードの仲間達を歌や酒などで弔う事だったのだ。
 そこでバーナードから生きて帰って仲間の命を守り続ける事という戦場の掟を教えられた。
 ちなみにその任務の最中、バーナードは歌をペガスに教えていたのだ。

 その後もDボゥイはテッカマンブレードとして戦い続けてきたが、不完全なテッカマンであった事に加え度重なる激闘の果てに肉体の組織崩壊が進行しテッカマンとして戦えない状態に陥った。
 無論、普通の人間として生きるならば何の問題もない。だが、これまでテッカマンとして戦い続ける事を選んできたタカヤに後戻りをする事など出来なかった。
 故にDボゥイはやらなければならない事をやる為、ブラスター化の処置を受ける事を選んだ。
 だが、その処置が完了するまで後数分というタイミングでモロトフことテッカマンランスが襲撃してきたのだ。
 仲間達が応戦したもののテッカマン相手ではあまりにも無力としか言いようがない。
 その状況の中でバーナードは後僅かという時間を稼ぐ為決死の行動に出て――

 ブラスター化は完了した。バーナードが命を賭け時間を稼いだお陰で――

 そのお陰で肉体崩壊の問題はクリア。事前の説明では成功率は決して高くは無く成功しても寿命を大幅に縮めるという事が明言されていた。
 しかし、その問題すらも見られないという事だった。それは非常に嬉しい誤算だった。

 だからこそタカヤは死したバーナードに誓った。必ずラダムを打倒する事を――

592UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:39:44 ID:pPbHZrXc0

 さて、何度も触れているがこの殺し合いに巻き込まれたタカヤの知り合いはシンヤ、ミユキ、モロトフ、そしてフリッツと全てテッカマンである。
 アキやノアル達が巻き込まれていない事に安堵する一方、まだ向こうにはテッカマンソードことフォン・リー、そしてテッカマンオメガこと相羽ケンゴがいる。
 他の参加者を殺し合いから守り加頭を打倒する事は当然の事だが、向こうにいる仲間達を守る為にも必ず生きて戻らなければならない。
 それはバーナードから教えられた事でもあり、彼に誓ったラダム打倒を果たす為でもある。
 その最中気になるのはミユキとモロトフの名前だ。見せしめとして殺されたフリッツもそうだが、2人とも既に死した筈である。
 いや、モロトフに関してはブラスター化した自身のボルテッカを何とか回避し逃げ延びた可能性もあるだろうがミユキに関しては間違いなく死んでいる筈だ。
 それが加頭達財団Xの技術力を示すものなのは京水からの説明で把握した。死んだと思ったミユキが生きていてくれた事に関しては一応は嬉しく、可能であれば今度こそ守りたい所だ。
 だからといって感謝する気などない、何しろ蘇生させたにせよどうせよ殺し合いに巻き込む為だからだ。
 特にフリッツに至っては名簿に名前が無かった事から最初から見せしめとして殺す為だけに連れてきたあるいは蘇生させた事になる。
 確かにラダムに支配されたフリッツは敵だった。だがかつては同じアルゴス号に乗っていた仲間だったのだ、それを無惨に殺す事など到底許せる事ではない。
 他にもせつな達といったミユキよりも年下の少女達を殺し合いに巻き込んでいる以上、必ず倒さねばならないだろう。
 しかしやはりそれは難しいだろう。克己のスタンスも不明瞭であり、財団Xがスポンサーをしている園咲家の名を持つ2人が加頭に協力している可能性もある。
 更にせつなによるとノーザは狡猾にして残忍、人々を不幸にする存在らしい。
 また言うまでも無いがシンヤとモロトフにしても加頭に従うとは思わないが、人々の殺戮を躊躇するわけがない。ラダムのテッカマンである以上、彼らを倒すのは自分の役目だ。
 危険人物が数多くいる以上、ミユキ達と無事に合流するのも容易ではないだろう。今は街に向かい他の参加者と接触しなければならない。
 その際に出来れば京水とは離れたいが、他の参加者に押しつけるのも良心が痛む、本気で頭が痛くなりそうな話である。

 その最中、タカヤは自身に支給されていたものについて考えていた。
 それはメモリーキューブと呼ばれるものだ。説明書きによればZXのベルトに入れるものらしい。
 ZXが何かは不明だが京水達と色々話した所、ベルトを使っている事から仮面ライダー関係のものと考えて良いだろう。
 とはいえ、実の所タカヤが気にしているのはそこではない。

 メモリーキューブ、それはその名の通り記録、あるいは記憶に関係する事なのは明らかだ。
 それに納められた記録、あるいは記憶をZXに与えるというのは説明書きを読めば誰にでもわかる。

 そう、『記憶』――それが重要だったのだ。

 さて、タカヤに課せられた使命である仲間や家族との戦いは非常に辛いものだ。タカヤ自身それを望んでいるわけではない。
 それ故、スペーツナイツの面々と出会った当初は自ら記憶喪失の振りをし、彼らとも壁を作っていた。
 Dボゥイというあだ名はその時の態度があまりにも危険、つまりはデンジャラスだったが故にノアルによって付けられた名だ。
 そして以後はDボゥイと名乗りラダム、そしてかつての仲間や家族が変身したテッカマンと戦い続けている。

593UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:41:00 ID:pPbHZrXc0

 さて、ここまでの話を読んで違和感を覚えなかっただろうか?

 この地に来てからタカヤはDボゥイと殆ど呼ばれていない、その事を不思議だと感じていなかったか?
 少なくても、ラダムと戦い続けている限りは相羽タカヤではなくDボゥイとして戦い続けていた筈である。
 無論、ミユキからはタカヤと呼ばれてはいるが、ラダムのテッカマンからは基本的にテッカマンとしての名であるブレード(勿論、元々の関係もありタカヤと本名側で呼ばれる事はある)、仲間達からは前述の通りDボゥイと呼ばれていた。
 にも関わらず、この地において京水に呼び方を聞かれた際はどっちでも構わないと答えていたし、せつなや京水からは普通にタカヤと呼ばれている。何故、タカヤはタカヤと呼ばれる事に抵抗を持たなかったのだろうか?

 そう、あったのだ。ブラスター化による弊害がそこにあったのだ。
 前述の通りブラスター化によって肉体崩壊の問題はクリアできた。だが、今度は肉体崩壊による負担が全て脳神経に向かってしまうという事態を迎える事となったのだ。

 つまり――ブラスター化して戦う度に、記憶障害を引き起こすという致命的な弱点を抱えてしまったという事なのだ。

 実の所、ブラスター化直後。タカヤはアキに自分の事はタカヤと呼んでくれという風に語っていた。
 それはタカヤ自身に心境の変化があったわけではなく、Dボゥイと呼ばれていた事を忘れていたからに過ぎない。
 面倒な事にタカヤ自身その事を自覚しているわけではない。それ故、タカヤではDボゥイと呼ばれる事にすら憤りを感じるという状態となったのだ。
 とはいえ、この異常事態をアキ達が放置するわけもない、構わずラダムと戦おうとするタカヤにその事実を伝えた上で止めようとした。だが、自身の置かれている状況を理解出来ていないタカヤがそれを聞く筈も無かった。

 皆が止めるのも聞かずテッカマンエビルことシンヤと戦う為に出ようとしたタカヤだったが、そんな彼をバルザック・アシモフは連れ出した。

『なぁDボゥイ』
『D……ボゥイ……あぁ、みんなが俺につけたニックネームだったな』

 確かDはデンジャラスだったか、そう考えていた中、

『Dボゥイ、止めても無駄な様だから止めはせんが、その代わりアキの為にDボゥイという言葉だけは忘れるな。
 お前は確かに相羽タカヤさ、だがなアキ達はDボゥイって名前のお前と戦ってきたんだ、Dボゥイって名前のお前とな。
 今のお前にとっちゃどうでも良い言葉かもしれない、だがアキにとっては自分とお前を繋ぐ大事な言葉なんだ、それだけは覚えておくんだな』

 そしてテッカマンエビルことシンヤを倒すべく彼の元へ向か――おうとした矢先にこの殺し合いに巻き込まれたのだ。
 その経緯もあり、最初に出会った京水とせつなに自己紹介した際には相羽タカヤとDボゥイ、2つの名前を名乗ったのだ。
 Dボゥイと呼ばれていた事を覚えているわけではない。だが、バルザックの言葉通り、アキの為にもDボゥイという言葉を捨てる事は出来なかったのだ。

 ともかく、この時点ではまだ自身の記憶を喪失している事を自覚したわけではない。
 それでも、メモリーキューブを見る度にどことなく穏やかではない感情を感じた。
 『記憶』――大切なものを失っているのではなかろうか――

「(いや、俺はまだアキやノアル達スペースナイツのみんな、それにミユキ達の事を忘れていない……バーナードの事だって……そして何より、ラダムに対する憎しみは全く消えちゃいない……
  俺は何処も……おかしくない筈だ……!)」

 どんなに強がっても、その兆候はタカヤが気付かない所で少しずつ現れている。
 タカヤ自身の手元にあるテッククリスタルもそうだ、彼のそれはフリッツことテッカマンダガーとの戦いで破損し以後はペガスの力を借りてテックセットを行っている。
 つまり、タカヤの手元に完全な状態のクリスタルがある事自体あり得ないのだ。しかしタカヤはその事を忘れている。
 もっとも、この時点ではペガスを使えばテックセット出来る事は覚えている為、大きな問題にはなっていない。
 しかし、どちらにしても手元にクリスタルがあるという事は明らかな異常事態ではある。普通ならば気付かなければおかしい筈の事態にタカヤは気付いていない。

594UNDER THE SKY ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:42:14 ID:pPbHZrXc0

 無論、今はまだ良い。だが、この地ではブラスター化しなければ対応仕切れない強敵が数多くいる。
 ブラスター化すれば対応出来るかもしれない。しかしその度にタカヤは次々と大事な記憶を失っていくだろう。

 記憶はいわば人が生きる為の原動力、それを全て失うという事は――死んだと同じ事だろう。


 全ての記憶は幻の様に消え去っていく――


『自覚していないDボゥイに事実を伝えるのは難しい』


 見果てぬ場所が何処だったのかと気付いてももう届く事はなく――


『でも、アイツ本人が自覚した時にはもう遅いんだ……もう……』


 ただ、空のなき舞台を歩み続ける――



「風都キタァーッ! 克己ちゃんやシンヤちゃんにモロトフちゃん、私が愛してあげるわー!!」
「だからシンヤまでちゃん付けにするな! あとモロトフもだ!!」
「落ち着いて下さい、2人とも! 今の時間は……2時少し前……みんな大丈夫かしら?」



【一日目/未明】
【F-9/市街地】
【相羽タカヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:健康
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、メモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:主催者を倒す。
1:他の参加者を捜す。
2:俺はいつまでコイツ(京水)と付き合わなければならないんだ……
3:シンヤ、モロトフを倒す。ミユキと再会した時は今度こそ守る。
4:克己、ノーザ、冴子、霧彦を警戒。
5:記憶……か。
[備考]
※参戦時期は第42話バルザックとの会話直後、その為ブラスター化が可能です。
※ブラスター化完了後なので肉体崩壊する事はありませんが、ブラスター化する度に記憶障害は進行していきます。なお、現状はまだそのことを明確に自覚したわけではありません。

【泉京水@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:T-2ルナメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、細胞維持酵素×4@仮面ライダーW、克己のハーモニカ@仮面ライダーW、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:剛三ちゃんの仇を取るために財団Xの連中を潰す。
1:タカヤちゃんが気になる! 後、シンヤちゃんやモロトフちゃんとも会ってみたい! 東せつなには負けない!
2:克己ちゃんと合流したい。克己ちゃんのスタンスがどうあれ彼の為に全てを捧げる!
[備考]
※参戦時期は仮面ライダーオーズに倒された直後です。

【東せつな@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康、困惑
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式、伝説の道着@らんま1/2、ランダム支給品0〜2
基本:殺し合いには乗らない。
1:友達みんなを捜したい。
2:ノーザを警戒。
3:可能ならシンヤを助けたいが……
[備考]
※参戦時期は第43話終了後以降です。

【支給品解説】
メモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS
相羽タカヤに支給された。
村雨良の記憶が封じ込められており、村雨良ことZXのベルトに納める事で記憶を取り戻す事が出来る。
なお、BADANの大首領JUDOの魂と入れ替わるのを防ぐ力もある。

克己のハーモニカ@仮面ライダーW
東せつなに支給された。
克己の母マリアが少年時代の克己にプレゼントしたもの。
RETURNSで克己がミーナに渡した後、ミーナは克己達の死後もずっとそれを所持していた。

伝説の道着@らんま1/2
泉京水に支給された。
認められた者にしか着る事が出来ないが着たものはその潜在能力の全てを引き出す事が出来る。
作中ではあかねが認められ乱馬を圧倒する程の力を見せる。
ちなみにらんまも着ろうとしたものの胸と胴のサイズが合わなかった為着る事が出来なかった。
自分の意志で動く事が出来、その性格は女好きである。

595 ◆7pf62HiyTE:2011/11/30(水) 18:45:44 ID:pPbHZrXc0
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

596名無しさん:2011/11/30(水) 19:41:53 ID:FCAO5VWEO
投下乙です。オーズどころかフォーゼらしきセリフまでwやっぱり京水さんは自重しないwでも嫌いじゃないわ!

ああ、やっぱりタカヤ坊もブラスター化済みか・・・ZXのキューブもこの組とは、『記憶』がキーワードですなぁ。

597名無しさん:2011/11/30(水) 20:07:09 ID:h/HcEZKA0
投下乙です

表面的にはお笑いトリオだが三者三様の考えが渦巻いてるなあ…
ハーモニカ繋がりでこう来るとは
そして『記憶』かあ…
いやあ、よく出来てるなあ

598名無しさん:2011/11/30(水) 23:43:26 ID:L12hep7k0
投下乙です!
ああ、タカヤはその時期からか……やっぱりシンヤと同じように切ないなぁ。
そしてシンヤとモロトフは京水の魔の手にかかってしまうのか!?

599名無しさん:2011/12/01(木) 01:54:37 ID:w8V8.opAO
投下乙!

タカヤちゃん、ブラスター化後で記憶が・・・・・・
そういえば、NEVERも日々人間性や記憶を削られていく設定だったな。
今はまだ喧しくも明るい雰囲気だが、三人はどうなるんだろう?

>>598
ルナドーパントによるシンヤちゃんとモロトフちゃんの触手プレイ・・・・・・嫌いじゃないわ!!

600<削除>:<削除>
<削除>

601名無しさん:2011/12/08(木) 21:58:12 ID:9VauMGIk0
まだあわてるような時間じゃない

602名無しさん:2011/12/08(木) 22:26:21 ID:ZbpmrC1U0
そして予約がやってきた

603名無しさん:2011/12/08(木) 23:44:00 ID:2LPODt5M0
予約来てるから落ち着け

604 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:01:25 ID:0289VtFc0
投下します

605SPIRITSを伝えろ! ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:03:50 ID:0289VtFc0
「ここが志葉屋敷…みたいですね」
「ま、屋敷っていうだけはあるな」


沖一也と一文字隼人の二人は、周りにある民家とは明らかに規模の違う家…志葉屋敷へと訪れた。
あれからいくつかの民家を見て回ったが、大したものは見つからなかった。
そこで一文字の提案により、北にある志葉屋敷に向かおうということになったのだ。

「屋敷っていうからにはでかいだろうし、何かあるかもしれないだろ」
「でも…少し遠いですよ?先輩も怪我してるんですし、近くの民家でもいいから少し休んだ方が…」
「バカヤロウ、俺はそんなやわじゃねえっての」

こんなやり取りの後、二人は北へ進み、道中も何事もないまま到着したのだ。

「とりあえず手分けして中を探索してみるとしようぜ」
「はい!」

こうして二人は、屋敷の中へと入った。


「それにしても、こんな真っ先に一文字さんと会えるとは思いませんでしたよ」
「ああ、全くだぜ。しかもかなりおいしいところで現れてきやがって…」

屋敷の中に入り、二人は改めて再会を喜び合った。
この広い中で、戦友に真っ先に会うというのは、かなり幸運なことだろう。

「他の先輩たちは…無事ですかね?」

沖のその言葉に、一文字は呆れたように言葉を返した。

「あいつらがそう簡単にくたばるわけねえだろ」
「そ…そうですよね。すみません、変なこと言って」
「本郷も結城も村雨も…きっとどこかで正義のために戦ってる。俺たちも負けてられないぜ!」

そうだ。あいつらは負けない。
俺たち仮面ライダーは、たとえどんな奴らが相手でも正義のためなら何度でも立ち上がれる。
決してあきらめないのだ。
だから、その胸に正義が刻まれている限り、彼らが倒れることはありえないのだ。

沖の方を見てみれば、ぽかんとした表情をしていた。
おいおい。まだあいつらがどっかでくたばってるかもなんて考えてるのかよ。
心配しなくてもあいつらは―――



「村雨って…誰ですか?」



はあ?ふざけてんのかこいつ。

606SPIRITSを伝えろ! ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:04:57 ID:0289VtFc0
「村雨って言ったら村雨良のことだよ!名簿にも名前があるだろ!?」
「確かにありますけど…一文字さんの知り合いですか?」

何なんだこいつ。寝ぼけてるのか?

「知り合いも何も…俺たちの仲間だろ!10人目の仮面ライダー…ZXのことだよ!」
「10人目…ゼクロス?」
「ああ、BADANを潰すために、俺たちと一緒に戦ってたじゃねえか!」
「BADANって…電波ジャックを起こして世界中の人に宣誓してきた組織のことですよね?すみません、月から帰ってきたばかりで余り状況をつかめてなくて…」

おかしい。
なにかがおかしい。
さっきから沖との会話がかみ合わない。
こりゃあ、詳しく話を聞いてみないといけねえかもな。


「つまりなんだ…お前は建設中だった月面基地を破壊され、怪人に襲われたところをなんとか脱出し、地球に帰ってきた直後にここに連れてこられたってわけか…」
「はい…BADANの放送があったのも、その頃ですね」

沖からここに連れてこられる直前の話を聞いた俺は、眉をしかめた。

「なあ沖、もしそれが本当なら、おかしいことになるんだよ」
「そ、そうなんですか?」
「ああ、俺の記憶が正しければお前の話は何カ月も前の出来事になっちまうんだよ」
「そんな!…それってじゃあ、まさか…」

どうやら沖も気づいたらしい。
そう。俺と沖では、連れてこられた時間軸に、何か月もの差があるということだ。

「異なる時間から人を集めるなんて…」
「ああ、どうやらあの加頭って野郎の背後にいる奴らは、とんでもない力を持ってるみてえだな」

まあ、だとしても関係ねえがな。
たとえどんな奴が待ち構えていようと、俺たちのやることは変わらない。
こんなくだらない企画を開催した奴らを倒して、殺し合いを止めるだけだ!


「それで一文字さん、教えてくれませんか?さっき話してたBADANや村雨良のことを…」
「ああそうだな、ちょいと長くなるから覚悟しとけよ」

こうして俺は沖に、BADANや村雨について説明を始めた。

607SPIRITSを伝えろ! ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:06:50 ID:0289VtFc0
BADANというのはようするに、新たに現れた悪の組織ってわけだ。
自分たちのことを「神に愛された者たち」なんて抜かしてやがる、いけすかねえ野郎どもだ。

村雨は初め、記憶を失っており、その記憶を求めてBADANのコマンダーとして俺たちの前に立ちふさがった。
だが、やがてBADANを脱走しあてもなく放浪し、いろいろとあった後、今は亡き一条博士が残した村雨の記憶が詰まったメモリーキューブってやつを取り込み、あいつはすべてを思い出した。
村雨の姉、しずかはBADANによって殺された。
しかも村雨の体はBADANの首領JUDOの器として作られたらしい。
初めはBADANへの復讐心丸出しで手を付けられなかったり、自分がJUDOの器だっていう事実に苦しんでいた。
それでも今の彼は、正義のために戦う戦士として、未熟ながらも日々頑張っている…


「…とまあ、簡単に説明するとこういうわけだ」
「はあ、なるほど…」

一文字の話を聞き、沖はうつむきながら今聞いた話を整理しているようだ。
まあ、いきなりこんな話を聞かされたのだから無理はないだろう。

「確かに昔は敵だったが、今はもう心配いらねえよ。きっと今もどこかで…」
「でも一文字さん」

一文字の言葉を遮り、沖が言葉を発した。

「その…一文字さんは俺が知ってる一文字さんよりずっと未来から来てるんですよね?」
「ああ、そうみたいだな」
「だとしたら…その村雨にも、同じことが言えるんじゃないですか?」
「…何?」
「つまり…彼がBADANにいる時代から連れてこられている可能性もあるんじゃないですか?」
「……な!そんなこと…」

あるわけない、と口にしようとして止めた。
確かにあり得る話だ。
実際、今目の前にいる沖の時間軸では、村雨はまだBADANに属しているのだ。
村雨が過去から連れてこられている可能性も十分にあり得る。

608SPIRITSを伝えろ! ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:08:17 ID:0289VtFc0
「一文字さん…」

うつむいてしまった一文字に対し、沖は心配そうな表情を浮かべる。
しかし一文字は、突然顔を上げたかと思うと、笑顔を浮かべていった。

「心配いらねえよ」
「え?」
「村雨は俺たちの後輩で同じ仮面ライダーなんだ!それを信じてやれなくてどうするんだってんだ!」
「でも……」
「それに、もしあいつが記憶をなくしてて、記憶を求めて暴れてるようなら…」
「ようなら…どうするんですか?」
「こうするんだよ!」

そういうと一文字は、突然拳を振り上げ沖にパンチをくらわせた。
突然殴られ沖の体は吹っ飛ばされる。


「ぶん殴ってでも止める!そして教えてやるんだ!お前は正義のために戦う戦士…仮面ライダーZXだってな!」

仮に俺の口から奴に村雨しずかのことや器の話をしたところで、実感がわかないだろうし信じてもらえるとも思えない。
だが、そんな俺たちにも伝えてやれることがある。
それは仮面ライダーとしての魂だ。
たとえ記憶を失っていたとしても、その胸にSPIRITSが宿れば…きっと奴は変われるはずだ!

「い、一文字さん…俺を殴ってもしょうがないじゃないですか!」
「あ、悪い…つい盛り上がっちまって」

ま、あいつが記憶を失ってるってのも可能性の話だしな。
今は信じるしかない。
村雨良が、仮面ライダーとして戦っていることを―――


「とりあえず、改めて探索するとしようぜ!」
「一文字さんは休んでてください!俺が屋敷の中を見て回りますから!」
「そうはいっても、じっとしてるのも落ち着かないしよ…」
「怪我人は安静にしていてください!」
「ちぇ、真美さんみたいなこといいやがって…分かったよ!おとなしくしてればいいんだろ」


彼らは知らない。
自分たちが屋敷の中で話に熱中している間に、南の方で気柱が発生していたことを。
その現場にZXがいたことを。
そして、今の彼がBADANでも仮面ライダーでもない、からっぽな状態であることを。

609SPIRITSを伝えろ! ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:09:35 ID:0289VtFc0
【1日目/黎明 B−2 志葉屋敷】

【一文字隼人@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(中)、胸部に斬痕
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考]
基本:仮面ライダーとして正義を果たす
0:探索は沖に任せて休む
1:他の仮面ライダーを捜す
2:暗黒騎士キバを警戒(但しキバは永くないと推測)
3:もしも村雨が記憶を求めてゲームに乗ってるなら止める
4:元の世界に帰ったらバダンを叩き潰す
5:この場において仮面ライダーの力は通用するのか……?
[備考]
※参戦時期は第3部以降。
※この場に参加している人物の多くが特殊な能力な持主だと推測しています。
※加頭やドーパントに新たな悪の組織の予感を感じています(今のところ、バダンとは別と考えている)。
※園咲霧彦、園咲冴子が園咲来人の関係者である可能性が高いと考えています。
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました

【沖一也@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康、頬に痛み
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを防ぎ、加頭を倒す
0:志葉屋敷を探索する、一文字の治療道具は最優先で見つけ出したい
1:仮面ライダーとして人類を護る
2:先輩ライダーを捜す
3:鎧の男(バラゴ)は許さない。だが生存しているのか…?
4:仮面ライダーZXか…
[備考]
※参戦時期は第1部最終話終了直後です
※一文字からBADANや村雨についての説明を簡単に聞きました
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました


※D−3で発生した獅子咆哮弾の気柱を見逃しました

610 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/09(金) 00:10:19 ID:0289VtFc0
投下終了です

611名無しさん:2011/12/09(金) 12:26:46 ID:rY.IjIm.0
投下乙です

時間律が違う事に気が付き、他のライダーも違う時間帯から呼ばれた可能性に気が付いた
それでも同じ仮面ライダーを信じようとするが今の村雨はなぁ…
出会えたらどうなるか楽しみだ

612名無しさん:2011/12/10(土) 01:21:48 ID:3tittzfoO
投下乙です

例え時間軸が違えど仲間を信じる一文字は陽気だけど熱い漢だ。
これからどう転ぶかが見もの。

関係ないけど、我らがオダギリライダーが何かやらかしたでござる。

613 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:37:00 ID:L94tupv20
投下乙です。

時間軸の差異にこのタイミングで気付けたのは幸運、まぁ村雨がBADANでも仮面ライダーでもない時期というのが微妙なわけだけど……
とはいえ、例えどの時期であってもすべき事には変わりはないだろうしなぁ。

というわけで僕も今からゴ・ガドル・バ1名投下致します。

614進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:40:20 ID:L94tupv20
 少なくても――ゴ・ガドル・バは自身の力に自信を持っていた。


 ガドル達グロンギの中でも頂点に君臨するン・ダグバ・ゼバ、特殊な役割を受け持つラ・バルバ・デ等が位置するンやラを除くと最高階級ともいうべきゴ、
 その中においても最強と言っても過言ではない程の実力を持っていた。
 そうでなければ自身を『破壊のカリスマ』と名乗りはしない。

 ガドルにとっての目標はザギバスゲゲルでダグバと戦い彼を撃破する事であった。
 それに進む為のゲリザギバスゲゲル、そしてそれを妨害するクウガとの戦いは通過点でしかない。
 クウガが得た金の力、それを一ヶ月かけて得たのもダグバとの戦いの為、
 ゲリザギバスゲゲルにおいて『戦うリント』つまり『男性警察官』を金の力で殺害するというルールを課したのは自身の戯れ、つまりは趣味に過ぎない。

 そう――カウンターが破壊された事によるゲゲルのやり直しという事態が起こったとはいえ、ザギバスゲゲルへと進む事はガドルにとって何という事もない確定された事――その筈だった。


 だが、その確固たる自信は2度の敗北により脆くも崩れ去った――
 1度目はクウガによって、2度目は2人のリントの少女によって――
 未だ自身の命は消えてはいない、だが本来ならば2度死んでいる事に違いはない。
 この恥ずべき体たらく、『破壊のカリスマ』の名は返上せねばならないだろう。


 脳裏に浮かぶは1人の男、
 グロンギのルールを破りゲゲル関係無しに無差別に殺戮を繰り返した唾棄すべき存在ともいえるズ・ゴオマ・グ、
 ゴやメよりも下の位であるズ故に奴の実力は取るに足らないもの(それでも一般的なリントよりずっと強いが)、
 ダグバのベルトの欠片を得て身の丈に合わぬ程強大な力を得たとはいえ自身の力に及ぶ事も無く、当然の如くダグバに粛正された愚か者でしかない。

 良い笑い者――だが、今の自身に奴を笑う資格などない。


 金の力を得て調子に乗っていなかったか?
 自身の力に胡座をかいていなかったか?
 借り物の力で満足していたゴオマと同レベルではないのか?
 無論、リントの作りしものを利用したとはいえ金の力はガドル自身の中から生まれし力、ゴオマのそれと同列に論じられるものではない。
 しかし、力を得て慢心していたという意味では五十歩百歩、全くの同レベルと言えよう。

(そういえば――)

 2人の少女に奪われた故に手元には無いが名簿にはゴオマの名前もあった。
 既に数ヶ月前に死んだ筈の奴が居るのは明らかにあり得ない事だ。
 が、それに関しては深く考える事も無い。クウガによって殺された筈の自身がいるのだ、ダグバに殺された筈のゴオマがいる事など不思議でもなんでもない。
 参加しているグロンギはダグバを除くとゴオマだけ、加頭は暗に自身とゴオマが同レベル、そう言わんが為に自身とゴオマを参加させたのだろうか?
 屈辱的ではある。だが、今は甘んじて受けよう、金の力を以てしてもクウガはおろかリントの少女2人を殺せず敗北した自身にそれに異を唱える資格など皆無なのだから――
 とはいえ、ゴオマがどうなっているかなど別段どうでもよい。いつもの様にリントを殺戮しようしたがリントの強さにあえなく敗走――そんな姿が浮かぶ程度である。



 重要なのは自身の事だ、このままゴ・ガドル・バは終末を迎えるのか?

 否、断じて否!

 理由はどうあれガドル自身は今もこうして生きている。手持ちの道具は全て失っている、ダメージも回復中とはいえ決して小さいものではない。
 だが、そんな事は大した問題じゃない、言うなればカウンターを破壊されてゲゲルを一からやり直しせねばならない状況に陥った程度のものだ。
 機会が与えられている、それはつまり機会を活かせば済むという事だ。

 そもそもクウガとてゲゲルを行うグロンギに大抵一度はしてやられている。だが、それでも再戦した時にはほぼ確実に仕留めているではなかろうか?
 何よりそれはガドル自身が証明している。
 そのゲゲルの最中にクウガが仕掛けてきた時は終始クウガを圧倒し金の力でさえも全く問題にせず、自身の得た金の力で返り討ちにした。
 しかし再戦した際、奴は金の力を更に強化し、ガドルを遂に打ち倒したのだ。
 つまり、奴自身あの時点では自身に及ばない事を察し(そもそもガドル自身その力ではダグバを倒せない事を話している)、更なる力を得たのだろう。

615進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:40:55 ID:L94tupv20

 同じ事はリント共にも言える。連中は最初は全く自分達に対抗出来ないでいた。
 だが、繰り返されるゲゲルの内に新たな武器を開発、クウガとの連携した戦いを行う様になり、ついにはグロンギに効果的な武器をも作り出したのだ。
 ガドル自身もその武器による攻撃を受けて一度は地に伏せられている。致命傷には至らなかったが後数発受ける、あるいは当たり所が悪ければどうなっていたかはわからない。
 今にして思えばあの時戦っていたラ・ドルド・グはどうなったのだろうか? もしかするとあの時遭遇したリントとは別のリントによって仕留められていたかもわからない。
 連中がそこまで戦える様になった――それは数多の敗戦の経験を活かしたからではなかろうか?

 結局は同じ事なのだ。ガドル自身もこの敗戦を活かせという事だ。
 そこで2つの敗戦を自分なりに振り返ってみようか――



 まずは順を追ってクウガ――と言いたい所だが、気になる事がある為一旦棚上げし少女2人に破れた時の事を先に振り返る。
 と言ってもあの戦いそのものは基本的にガドルの方が優勢だったと考えて良い。
 互いに決め手に欠けていたもののガドル自身はが金の力を温存していたし、持久戦という状況ガドルの一撃さえ通ればガドルが勝ったと考えて良いだろう。
 だが、赤髪の少女――杏子という名だったか彼女の誘いに乗り、金の力を以て心臓を貫く一撃を叩き込んだ事が命運を分けたと言えよう。
 ガドルの想定ではこれで杏子を仕留めた事になり、後はそのままもう1人仕留めるのも時間の問題、その筈だった。
 だが、心臓を貫いたにも関わらず杏子は健在であり、そのまま無数の槍で身体を拘束されてしまった。
 そして拘束から抜け出す前に金髪の少女――フェイトと呼ばれていたか彼女が無数の雷撃を撃ち込んだのだ。
 一撃一撃ならば大した事はない。だが全身に渡り数百発以上の雷撃を僅か数秒の間に叩き込まれたのだ。
 防御力の高い形態で防御に徹したからこそ十数分意識を失う程度で済んだ。他の形態ならば死んでいた可能性は非常に高い。
 
 さて、この戦いで反省すべき所は何処か?
 無論、最初から金の力を使えば違う結果もある。しかしそれだけで片付けて良い問題ではない。
 決め手はフェイトの無数の雷撃、少なくてもガドルの知る限りその様な事の出来るリント等存在しない。
 理屈はどうあれクウガや同じゴの連中に匹敵する程の力を持つリントがいるという事だ。
 だがそれを喰らう事になったのは槍によって拘束されていたからだ。そうでなければ回避は可能だ。
 そして動けなくなる程に拘束されたのは、自分自身大きな隙を作ってしまったからだ。
 お粗末な話だがある意味仕方がない、胸を貫き確実に仕留めた筈だった杏子が平然としていて此方を拘束したのだからだ。
 杏子の口振りから考え、ガドル自身が杏子を仕留めて勝ち誇っている隙に拘束しフェイトがとどめを刺す、そういう作戦だったのだろう。
 つまり、あの時杏子がバランスを崩していたのは確実に誘い、つまりは罠だったのだ。
 しかし1つ疑問が残る。それ自体はガドル自身も考えたが策に講じる前に仕留める事が出来た筈なのだ。
 あの状況下、金の力を使おうが使うまいが即死には至らなくても大きなダメージを与えられる事は確実、即座に動けなくなる程の拘束は至難と言っても良い。
 まさか、出来るかどうかの僅かな可能性に懸けたというのか? いや、あの態度からみるにそんな分の悪い賭けに勝ったという風には見えない。
 高確率で死なない確証があったという態度だった。
 だが、それならそれで疑問が残る、それが事実だとするならば――杏子は胴体に大きな穴が空く程の傷を負っても死なない身体――そういう事になる。
 幾ら何でも胴体に大きな穴が空けば確実に死ぬ。ガドル自身は無論、あのダグバですらも例外ではない。
 無論、絶対に死なないという事は無いだろうが、普通のリントと同じ要領で殺せないという事に違いはないだろう。

616進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:41:50 ID:L94tupv20

 長々と述べたが結局の所纏めるとこういう事だ。
 この殺し合いの参加者たるリントはガドルの知る今までのリントの常識が通用しない強大な力や未知なる身体を持つリントと考えておくべきという事だ。
 その総合力は強い奴はゴに匹敵あるいは凌駕する程、場合によっては出し惜しみせず最初から金の力を使わなければ此方が討たれる事も考えておくべきだろう。

(が……それでもダグバには……)

 とはいえ、彼女達の力がダグバに届くかは半信半疑だ。
 ダグバを倒すつもりであったガドルを打ち破った2人ならばダグバを倒せるのではないか、そうお思いの方も多いだろう。
 だが、それはガドル自身が得た金の力でダグバを倒せると考えてた時の話だ。



 改めてクウガに破れた時の事を振り返ってみよう。
 勿論、度重なる激戦の疲労やリントから受けた銃弾等によるダメージも敗因の1つではあるがやはりあの時のクウガの力が決定的だろう。
 あの時のクウガは金の力を更に強化していた。自身が一ヶ月も掛けてようやく手に入れた金の力を数時間程度で強化したという事だ。
 まず、ガドルの把握する限り短時間しか使用していない金の力を、ほぼ恒常的に使っていた事だ。思えばあの時クウガはこう口にしていた。

『ずっと金でいけそうです』

 その言葉から考えてもそれはほぼ確実と言えよう。
 ガドルがクウガを戦闘で圧倒していたのは基本互いに金の力を使っていないタイミング、そのタイミングでクウガが最初から金の力を使うならばその戦力バランスは崩壊、
 つまり、ガドルと互角、あるいは互角以上に戦える様になるという事だ。
 勿論、それだけならばガドル自身が金の力を使った時点でクウガの優位は崩れ去る。事実ガドルはそう考えていた。
 だが、クウガは更にその先を行った。金の力を強化し黒いクウガとなり――互いのキックの打ち合いでガドルは敗れ去った。

 さて、くどいようだが金の力を更に強化したからこそガドルを打ち倒せたと言えるわけである。
 しかし、果たして本当にそれだけなのだろうか? アレは本当に金の力を強化したものでしかないのか?
 もしかするととんでもない思い違いをしていたのではなかろうか?

 そう、あの姿にほんの僅かではあったもののダグバを重ねてしまったのだ。
 ダグバの本来の姿の色は白、あの時のクウガの色は黒、仮にあのクウガがもう少し荒々しい姿になったとしたら――黒のダグバと言うべき存在ではなかろうか?

 ガドル達グロンギはリントに未確認生命体と呼称されている。最初に明確に確認されたズ・グムン・バを第1号と呼称し以後確認された順に第2号、第3号という風にナンバリングされている。
 但し、ダグバに関しては第1号ことグムンよりも前に現れた事から第0号と呼称されている。
 なお、怪人体としての姿が確認されなければナンバリングされず、人間体で確認された者はB1号という風に別の形式で呼ばれているらしくバルバに関してはB1号と呼ばれていた様だ。
 さて、実の所クウガに関してもリントの間では未確認生命体扱いだったらしく第4号、あるいは第2号とよばれていた。
 第2号とはグムンがリントを襲撃している際に現れた白いクウガであり、第4号とは第3号つまりはゴオマと交戦する際に現れた赤いクウガの事である。
 なおクウガは他に青、緑、紫の姿を持つがこれらは第4号の別の姿というのがリントからの認識だ。その関係もあり最終的には第2号と呼ばれていた白いクウガも白い第4号として認識された様だ。
 何故当初は白いクウガと赤いクウガが別の存在として認識されていたのだろうか?
 その理由は至極単純、単純な色違いというだけではなく、白いクウガは角が短く一見では亜種として認識されてもおかしくは無いからだ。
 真相はそうではない。一言で言えば白のクウガは不完全な状態、それ故に大きなダメージを負った時等本来の力を出せない時は白となるのだ。それはガドル自身も一度クウガを倒した時に確認している。

 何故この説明を長々としたのか?
 対象の強さが外見に現れる事はおわかりだろう、力が強くなれば角も伸び装飾も増す。それは白から赤、金の力を得た時、更に黒い姿になったという風にだ。
 もし、クウガが更なる力を得たとするならば? 恐らく外見は更に変化し角も伸びて装飾も増えるだろう。
 実際に見たわけではないから推測レベルの話でしかない。だがその姿は前述の通り黒いダグバといったものになるのでは無かろうか?

617進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:42:55 ID:L94tupv20

 それに気付いた時、ガドルはある可能性に気が付いた。
 自身を打ち倒した黒いクウガですらも未だ不完全体、クウガの完全体は色違いのダグバという事だ。

 クウガなど取るに足らない存在、
 少なくても自分を含め殆どのグロンギはそう考えていた。
 だが、ダグバとバルバはどう考えていたのだろうか?
 いや、少なくてもバルバは金の力を得た自身にクウガが勝つ可能性も何処か考えている節があった。
 もしかすると、バルバは知っていたのではなかろうか? クウガがダグバに匹敵する力を持つ可能性があると――

『今度のクウガはやがてダグバと等しくなるだろう』

 そんなバルバの声が聞こえた気がした――

 何にせよその仮説が正しい場合、あの黒いクウガは未だダグバに及ばない存在という事になる。
 同時に仮に自身が万全の状態で挑んだとしても自身の実力は黒いクウガとほぼ互角と考えて良いだろう。
 つまり――今の自分の力ではダグバには及ばない事は確実という事だ。

 全くの道化だ、
 ダグバに勝てる程の力を得たと思っていてもまだダグバに及ばないという現実、本当にダグバの力を得て調子に乗っていたゴオマと同レベルだ。
 それ以上に、クウガの強さに更に先がある時点でクウガにも及ばない事もほぼ確定、自身はリントの言葉で言えば井の中の蛙でしかなかったという事だ。

 とはいえ、記憶する限り名簿にはクウガの名は存在しなかった筈。いない相手の事をこれ以上――

『一条さん!』
『五代』

 いや、確かクウガの男は五代と呼ばれていた。
 何故こんな事に気が付かなかったのか。自分達が未確認生命体第○号と本来の名で呼ばれる様に、クウガもクウガ以外に別の呼称で呼ばれても不思議は全くない。
 恐らくクウガは『五代』という名前の人物。
 確か名簿の中に五代雄介と言う名前があった。それが意味するのは――クウガがこの地にいるという事だ。

 自分を倒したクウガがこの地にいる、
 今のクウガがダグバに及ばないとしても激闘の果てにさらに強く、ダグバ並に成長する可能性はある。
 優勝する為にはダグバクラスの相手を2度破らなければならないという事だ。
 絶望的な状況?

 いや、それこそ望む所だ。
 敗者の汚名を返上、『破壊のカリスマ』の名を挽回する機会を与えられたと考えれば絶好の話だ。
 この殺し合いを勝ち抜く事でそれを果たそうではないか。

 そんな中、あるリントの銃弾を受け地に伏せられていた時、バルバがそのリントに口にしていた事がある。

『リントもやがて我々と等しくなりそうだな』

 思えば戦いを好まないリントがクウガに頼り切るのではなく共闘し、最終的には自身の手でグロンギを仕留める程の力を得ていた。
 その時点では気にも止めなかったがこの地で遭遇したリント達を見ても我等グロンギと同レベルとなったと考えて間違いはない。
 無論、殺し合いに参加しているリント達が例外的かも知れないがそれでもリントの変化は無視出来るレベルではない。

 あのリント――一条と呼ばれていたリント、記憶する限り名簿に一条薫という名前があった事から奴も参加者にいるのだろう。
 実力的には何て事はなくすぐに死んでも不思議はない、だがバルバがどことなく認めている節がある辺り、グロンギに近いリントの代表と言えなくもないだろう。

 確かリントの世界ではもうじき21世紀を迎えるかどうかという時期だったらしい。
 グロンギにとってはどうでもよい話だがリントにとっては1つの重要な節目だったのだろう。

 その節目を経るに辺り新たな変化――進化したのだろうか?

 リントが進化し自分達グロンギをも倒す存在となる――
 クウガも進化しダグバに匹敵する存在となる――

 ならばガドル自身も進化せねばならないだろう――



 あの戦いからどれぐらい過ぎただろうか?
 1時間? 2時間? それ以上?
 時計が無い為具体的な時間はわからない――

618進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:44:50 ID:L94tupv20


 ふとおもむろに本来の姿へと変化――
 赤の眼の状態で2、3度拳を振るう――
 青の眼の状態となりて首飾りの一部を槍に変化させ軽く回す――
 緑の眼の状態となりて槍をボウガンに変化させ周囲に神経を研ぎ澄ます――
 紫の眼の状態となりてその辺の木の枝を剣に変化させ1度振るう――
 最後に金の眼の状態となりて全身に流れる力を感じ元の姿に戻る――

 ダメージが完全に回復したわけではない。
 しかし一連の動作を確かめ戦いに支障が無い程に回復した実感は得た。
 いや――むしろ心なしか前よりも身体の調子が良いとすら感じる。
 以前よりも感覚が鋭くなった――そんな風に感じる。
 あの戦いで膨大な雷を受けた事で更なる力を得た?
 いや、たかだか数秒の電撃程度で急激に強くなるわけもない――只の気のせいかもしれない。

 だが――あの時クウガがほんの数時間で更なる力を得た事実が引っかかる。
 その短時間電気エネルギーを受けた程度でそこまで強くなれるのだろうか?
 もしかすると、電気エネルギーは只の切欠で力を得た理由は別に存在するのだろうか?



 ガドルは知らない――

 クウガとグロンギの身体構造は非常によく似ており、共に腹部に未知の鉱物、クウガにとってのアマダム、グロンギにとってはそれに相当するものが埋め込まれている。
 その鉱物から全身に神経が伸びる事でクウガやグロンギに戦う力が与えられ、その力が大きくなる度に神経組織が広がっていく。
 クウガが金の力を得る事で神経組織に広がりが見受けられた。それは電気ショックによってもたらされたものである。
 だが、それは切欠に過ぎない。本当の理由はクウガが人々の笑顔を守る為に、その笑顔を奪う未確認生命体に負けない様に更なる力を欲したからだ。
 つまり、あくまでも強化されたのはクウガこと五代の意志によるものだという事だ。
 だが、クウガの強化の行く末がダグバと等しい存在、凄まじい戦士である事も警告されていた。その危険性に気付いていたからこそ、五代達は安易な強化をしなかったという事だ。
 それでも金の力を以てしても苦戦し続ける未確認との戦い、そしてガドルに敗北した事から更なる強化の必要が出てきた。
 人々の笑顔を守る――その為に肉体がダグバに近いものになるのも厭わず強化を行ったという事だ。
 その強い意志こそが数時間という短時間での強化という結果を出したという事だ。

 そう、ガドルにとっても同じ事が起こっているのかもしれない。
 一ヶ月かけて電気を浴び金の力を得たのは最初からダグバとの戦いが前提であった。
 しかしガドルにとってはその時点で絶対に必要であったとは言い難い。
 とはいえそれも仕方の無い事だ、ゴの多くはゲリザギバスゲゲルを通過点程度にしか認識しておらず、視点はザギバスゲゲルの方に向いていた。
 その時点でザギバスゲゲルに勝てると考えていたと言っても良い。
 ガドルも例外ではなく、ダグバの為の金の力とはいってもそれはゲゲルに勝つ確率を更に上げる程度のもの。言うなれば70%の勝率を100%にする為のものだ。
 元々ある程度勝てる状態だと考えているなら、絶対に必要という事もない。そんな精神状態でガドルの中の石が簡単に力を与えるわけもなかろう。

 しかし今は違う、2度の敗北により自身の力の優位性は完全に消え去った。
 更に言えば現状でダグバに勝てる可能性も限りなく低いと認識を改めた。
 進化したといえるリント達を倒し殺し合いに勝ち残り最終的にダグバやクウガをも越える為には更に強くならなければならない。
 ガドルは心の奥底から本気でそう思ったのだ。

 あの無限の電撃を受けた時、ガドルの中の石がその意思に答えほんの数秒心の臓を止めた。
 無論、止まったのはごく僅か、続けざまに浴びせられる電撃によって心臓は再び鼓動した。
 その後ある程度の時間――戦いが終わったのは大体1時40分頃、それから約2時間程時を経た事で身体に更なる変化が起こったのだろう。
 少なくても外見上には変化は見られない。それでも神経組織は以前よりも広がっている。
 ガドルの意思によって自身の身体が強化されたという事だ。

619進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:45:39 ID:L94tupv20



 今、自分は何処にいて、何処に向かっているのだろうか?
 大体の地形は頭に入っているが手元に地図等が無い以上正確な場所についてはわからない。
 だが、長年の戦い、その経験によって培われた勘が教えてくれる、自分の向かう場所に更なる激闘が待っていると――
 早々に杏子とフェイト、あるいはクウガとの再戦の機会が訪れる、そんな予感があった。
 絶対に勝てるという保証は無いし必ずしも再戦出来るかも不明瞭、

「ボンバボ グガスビ ボドダン リント 『ケ・セラ・セラ』」

 以前ゴ・ガメゴ・レがゲゲルの中で口にした言葉、それを知ってか知らずかガドルは同じ事を口にした。その意味は――

『リントの言葉にこんなのがある、『ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)』』

 何にせよガドルに後退はあり得ない、前進あるのみ、必ずこの機会を掴んでみせる――
 その足は森を抜けI-5にある建物を目視出来る場所まで来た。あの建物に倒すべきリントはいるのだろうか――
 そう思いながらも更に足を進めていく、その建物――図書館へと。



【一日目・黎明】
【I-5/平原】
【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:全身にダメージ(中)(回復中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する
1:杏子とフェイト、そしてクウガ(五代)と再び戦い、雪辱を果たす。あの建物(図書館)にいるか?
2:強者との戦いで自分の力を高める
※死亡後からの参戦です
※フォトンランサーファランクスシフトにより大量の電撃を受けた事で身体がある程度強化されています。

620 ◆7pf62HiyTE:2011/12/10(土) 18:46:44 ID:L94tupv20
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

621名無しさん:2011/12/11(日) 00:06:07 ID:rD65tDBA0
投下乙です

ガドルは敗北を知り、そこから自分や敵を分析、そして思考を切り替えて前に進むか
一流の敵とはこういう奴だなあ…怖い奴だぁ…
このまま図書館に向かうかどうかで大きく変わりそう…

622名無しさん:2011/12/11(日) 14:38:22 ID:lUWhfUWk0
乙っす
国語に自信ないですが、少なくても→少なくとも じゃないっすかね?

623名無しさん:2011/12/11(日) 15:43:49 ID:HSBwKGPc0
投下乙です!
ガドル閣下が慢心を捨て、更なるパワーアップを果たしたか。
しかも図書館に向かうかもしれない……
どう転ぶにしても、これは後が怖そうだ。

624 ◆7pf62HiyTE:2011/12/11(日) 23:00:15 ID:lOKYZsfQ0
>>622
確かに調べてみたら、『少なくても』よりも『少なくとも』の方が正しいですね。
調べてみたら、拙作のSSの殆どで『少なくても』の方で使っているみたいなので、大筋の内容に問題は無いようですので、時期を見て過去作も含めて該当部分をwiki上で修正させて頂きます(修正を行った後、したらばの方で報告させて頂きます。)。

625名無しさん:2011/12/12(月) 11:35:21 ID:VGeJe.rgO
投下乙!
どこぞの変身できなくなったドンドコドンとは違って、閣下は心身共にパワーアップしたか。
図書館へと向かっているフェイトとアン子は魔の手から逃れられるのか?
そして図書館には翔太郎がいる。
仮面ライダージョーカーVSガドルの対決が見られるのか!?

626名無しさん:2011/12/16(金) 21:27:29 ID:ddNHTplU0
やはりドンドコさんとは格が違うな

627 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:48:08 ID:wVnT2RN60
お二人とも、投下乙です!

>SPIRITSを伝えろ!
沖はその時期からの参戦ですか……まあそのおかげで、時間の認識について気付けましたが。
今のゼクロスを二人が見つけたら、どうなるだろうな……

>進化論 〜GOOD MORNING! -HELLO! 21th-CENTURY〜
ガドル閣下、見事にパワーアップを果たしてますね。
電撃体をも上回るとなると、かなりの強敵になりそうですよ……
こちらもどうなるのか、とても気になります!

それでは自分も投下を開始します

628彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:52:15 ID:wVnT2RN60


「要するに君は、それだけの怪我をしておきながらフェイトって娘を連れてここまで来たってのか……!?」

『I−5』エリアに建築された巨大な図書館の一室で、椅子に座った左翔太郎は絶句している。
 ユーノ・スクライアと共に膨大な量の本を調べながら情報交換していた最中、二人の少女が入ってきた。一人はユーノの友人であるフェイト・T・ハラオウンと、佐倉杏子という名の見知らぬ少女。
 彼女達はここに来る前に殺し合いに乗った怪物達に遭遇したらしく、それで怪我をしたらしい。特に杏子の方は胸に拳サイズの穴が開いていた。

「ああ、あたしなら大丈夫だ。元々身体が丈夫に出来てるからな……」
「そんな身体で、大丈夫なわけねえだろ!」
「あたし達魔法少女ってのは、慣れればそういうもんなんだよ」

 明らかに狼狽している翔太郎を余所に、杏子は平然と答える。その態度に翔太郎は違和感を感じざるを得なかった。
 魔法少女。図書館に置いてあった本によると、願いを一つだけ叶える代償に魔法を使って魔女という怪物達と戦う存在らしい。一見すると仮面ライダーとよく似ているかもしれないが、システムに根本的な違いがある。
 まず魔法少女となった人間は身体の一部が吹き飛ばされても死ぬことはないが、一度なってしまっては二度と元の人間に戻ることは出来なかった。仮面ライダーはガイアメモリさえ手放せばその姿になることはないが、魔法少女は一度なってしまったら死ぬまでその運命を背負わなければならない。
 しかもあのソウルジェムとかいう奴が無いと、魔法少女は動くことが出来ないようだ。だからこそ、自分達に付けられている首輪は首に無く、ソウルジェムに付けられている。
 すなわち、あれが破壊されることは佐倉杏子の死を意味していた。

「そんなんでいいのかよ、君は……」
「とっくに覚悟は決めたんだ。今更どうこう言う気はねえよ」
「けどよ……!」
「なあ兄ちゃん、あたしの心配もいいけどそれならグリーフシードをとっととくれないか? そうしないと、あたしだってやばいんだから」

 杏子は溜息を吐きながら翔太郎の言葉を遮った。
 すると翔太郎の横に座るユーノは傍らに置いたデイバッグのファスナーを開けて、中に右手を入れる。
 彼はその中から、銀色の装飾が飾られた黒い宝石を取り出した。

「グリーフシードって……これの事だよね?」
「そうだよ、それそれ!」
「フェイトを助けてくれたことは、本当に礼を言うよ……ありがとう」

 ユーノのデイバッグから現れたグリーフシードを見て、杏子の表情は明るくなる。

「だから僕は君にこれを渡すよ。杏子は信用出来るかもしれないから」
「そっか、サンキュ!」
「君がフェイトの力になったみたいに、これからは僕も出来る限り君の力になるよ」

 そう言いながらユーノはグリーフシードを杏子に渡した。
 彼女はそれを懐から取り出した黒く汚れた宝石、ソウルジェムに当てる。するとソウルジェムはグリーフシードを一瞬で吸い込み、ルビーのような赤い輝きを放った。
 恐らく、魔力が回復して戦いのコンディションを整えたのだろうが、翔太郎は喜ぶことは出来ない。こんな歳の少女が戦いを強いられているという運命なんて、あまりにも悲しすぎる。
 どうか救ってやりたいが、今の翔太郎にはその方法がまるで思いつかなかった。

629彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:52:50 ID:wVnT2RN60

「……そうだ、ちょっとフェイトの様子を見に行っていいか? そろそろ起きてるかもしれないしな」
「何だったら、僕も一緒に……」
「あたし一人で大丈夫だ。二人はここで調べ物を続けてくれ」

 杏子はそう言いながら椅子から立ち上がり、部屋のドアを左手で開ける。そのまま彼女が部屋からいなくなるのを、翔太郎はただ見守っていた。





(へっ……まさかあんなお人好しの奴らと出会えるなんて、幸先が良いぜ)

 図書館の廊下を歩きながら、佐倉杏子は笑う。
 つい先程、フェイト・テスタロッサを連れて牛の化け物からここまで逃げ出した。するとその矢先にこの殺し合いを打ち破ろうという男と少年と出会う。傷ついたフェイトを背負っていたからなのか、自分をそれほど警戒していなかった。
 しかもユーノ・スクライアという奴はあのフェイトの知り合いらしく、先程の戦いについて話したら自分の事をあっさり信用した上にグリーフシードまで渡したので、実に都合がいい。

(一時はどうなるかと思ったけどよ、やっぱりフェイトと手を組んで正解だったか)

 唯一の誤算があの二人が魔法少女について知っていることだった。どうやらこの図書館に魔法少女について記されている本があって、それで二人は知識を得たらしい。
 何故そんなのがここにあるのかなど、杏子にとってはどうでもよかった。むしろ魔法少女という存在である事で二人の同情を誘えたことの方が、何倍もプラスに感じている。
 あの二人と一緒にいれば、今後の行動も少しは楽になるかもしれなかった。これからまだ戦いが続く以上、少しでも利用出来る奴は多くいてくれた方がいい。
 それにユーノがフェイトを信頼していると言う点は、プラスにすることも出来た。あのフェイトが信用出来るような奴かと一瞬だけ疑問に思ったが、元々フェイトがユーノの事を騙しているという可能性だってある。
 ならば、それを続けるように上手く話を合わせればいい。いざとなったら二人を切り捨てることも出来る。
 現状の行動方針を決めた杏子は、フェイトが眠る部屋のドアを開いた。
 自分より年下の金髪の少女は未だに静かな寝息を立てながら、部屋の中に備え付けられたソファーの上に横たわっている。それは殺し合いという状況にはまるで合わない程に、穏やかな顔だった。
 しかしさっきの化け物がここにも来る可能性があったので、いつまでも休ませるわけにはいかない。杏子が起こそうとした瞬間、フェイトの瞼がゆっくりと開く。そして彼女はゆっくりと起き上がった。

「……あれ、ここは?」
「ようやく起きたか、このボンクラ」
「杏子……何で、私はこんな所に?」
「お前が倒れたからに決まってるだろ」

 目をパチクリと瞬かせるフェイトを見て、杏子は呆れた様に頭を乱暴に掻きながら溜息を吐く。

「まあいいや、今はそんな事よりお前に言う事がある」
「言う事?」
「あたしはさっき、お人よしの奴らに取り入った。この殺し合いに生き残るためにな」

 フェイトは未だに状況を飲み込めておらずに口をぽかんと開けているが、そんな事を気にせずに話を続ける。

「で、そいつらはあたし達の事を信用している……それもその内の一人はお前を知ってるユーノってガキだ」
「ユーノ?」
「ああ、あたしはお前を助けた大恩人って思ってるみてえだ。そこを利用するんだよ……」

 そして杏子は悪意に染まった笑みを、未だに無表情を貫いているフェイトに向けた。

630彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:55:01 ID:wVnT2RN60
「いいか、あいつから何を言われても上手く誤魔化せ……いいな」
「……うん」
「よし、それなら行くぞ。あいつらはあたし達を待ってるみたいだからな」

 フェイトが淡々と頷くのを見た杏子はデイバッグを取り、翔太郎達の元へ戻るために歩き出す。
 彼女は気付いていなかった。ここにいるフェイト・テスタロッサはユーノ・スクライアについてほとんど知らない事を。そしてユーノ・スクライアも今のフェイトがユーノが知る心優しい少女ではない事を。
 違う時間から連れてこられた。ただそれだけの、あまりにも超越した現象による悪すぎた偶然だった。





「フェイト、大丈夫!?」
「うん、私なら大丈夫だから……ありがとう、心配してくれて」
「良かった……君が無事で」

 ユーノ・スクライアは佐倉杏子が連れてきた親友を見て、心の底から安堵する。
 フェイトの身体には至る所に傷が見えるが、幸いにも致命傷には届いていないように見えた。

「あとはなのはを見つけるだけだね。彼女だって、こんな殺し合いを止めるために頑張っているはずだから」
「……そうだね、なのはも早く見つけないといけないね」
「えっ?」

 あまりにも力が感じられないフェイトの答えに、ユーノは思わず怪訝な表情を浮かべる。
 彼女が物静かな性格であることは前々から知っているが、どうしても違和感を感じてしまった。まるで、彼女はなのはの事をあまり知らないように思えて。

「どうかしたの、もしかしてまだ怪我が……」
「そうじゃないの。ただ、今の状況を信じたくないだけ……だって、こうしている間にも誰かが死んでいるかもしれないから」
「あっ……」

 そう語るフェイトの顔はとても沈んでいる。それを見て、ユーノの顔もまた暗くなった。
 大勢の人が殺される。それは心優しいフェイトにとって何よりも嫌な事のはずだった。
 そんな分かりきったことも気付けなかった事で、ユーノの中で自己嫌悪の感情が湧き上がっていく。

「いや、そんな事はさせねえよ」

 しかしその感情の噴出は、翔太郎の声によって塞き止められた。

「君達も、君達の友達も俺は絶対に助ける……それにこんな馬鹿げた戦いだって止めてやるよ」
「翔太郎さん……」
「でも、どうやって……?」
「みんなで力を合わせる事だ」

 暗い表情のままでいるユーノとフェイトに、彼はそう告げる。

「きっと、君達みたいに殺し合いを望んでいない人はまだいるはずだ、なのはって子みたいにな。だからそういった人達を一人でも多く探して、加頭の企みを止める……それが今、俺達が出来る事のはずだ」

 力強く言葉を紡ぐ翔太郎の顔は、力強い笑みが浮かんでいた。
 それを見て、ユーノもまた表情を明るくしながら思い出す。自分の使命はなのはやフェイト、翔太郎や杏子のように信頼できる人物の力になることだ。
 だから今やるべきことは、翔太郎の言うように少しでも多くの友好的な人物を探してサポートをする事からだ。ここで落ち込んでいたって、何にもならない。
 この状況でも尚、希望を捨てない名探偵の姿を見たユーノもまた、彼のように

631彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:58:09 ID:wVnT2RN60





「さて……とりあえずこれからどうする? いつまでもこんな所にいるわけにもいかないからな」

 図書館のロビーで、翔太郎は三人に問いかける。
 思春期の少女とまだそれにも年齢が及ばない少年と少女の三人。この場では一番年上である自分が三人を守り、上手く導かなければならない。
 かつて鳴海荘吉は幾度となく、依頼人を危険に晒してはならないと言った。だからここでは三人を守る義務がある。

「あ、それなんだけどあたしに考えがある」
「何だ? 言ってみろよ杏子ちゃん」
「やっぱり、人を探すのなら町に行くのが一番じゃないのか? ほら、ここからそんなに遠くないしよ」

 そう言いながら杏子はデイバッグから地図を取り出し、ここから東の方角にある市街地の方を右手の人差し指で差した。

「どうせ探すんだ。なら、少しでも他の奴らが集まってそうな場所から行ったほうが手っ取り早いだろ?」
「私も杏子に賛成……もしかしたら、なのはだっているかもしれないし」

 にんまりと笑う杏子に、フェイトは静かに同意する。

「そっか……じゃあ、ユーノ君はどうする?」
「僕も二人と同じ意見です。町には人が集まりそうな分、殺し合いに乗った奴らと遭遇する危険もありますが、それはどこも同じかもしれませんし」
「じゃあ、決まりだな」

 そうして、四人は闇に覆われた孤島を進んだ。
 翔太郎は知らない。今、自分が守ろうとしている少女達が殺し合いに乗っていることを。そして、隙があれば自分達を切り捨てようとしている事を。
 彼はまだ、知らなかった。




【1日目/未明 I−5 図書館】


【左翔太郎@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:ダブルドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ(ジョーカー、メタル、トリガー)、ランダム支給品1〜3個(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、フィリップを救出する
1:まずはこの三人を守りながら、市街地に向かう
2:仲間を集める
3:出来るなら杏子を救いたい
[備考]
※参戦時期はTV本編終了後です
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)
※魔法少女についての情報を知りました。

632彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:58:39 ID:wVnT2RN60
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:体力消費(小)、魔力消費(小)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2個 (本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、企画者たちを捕らえる
1:ここにいるみんなの力になる
2:三人と一緒に市街地に向かう
[備考]
※参戦時期は闇の書事件解決後です
※ガイアメモリはロストロギアではないかと考えています
※検索魔法は制限により検索スピードが遅く、魔力消費が高くなっています
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)
※不明支給品の一つはグリーフシード@魔法少女まどか☆マギカです。
※魔法少女についての情報を知りました。


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(小)、左胸に大穴、下腹部に貫通した傷
[装備]:槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ランダム支給品1〜3(本人確認済み、グリーフシードはない)
[思考]
基本:殺し合いに優勝する
1:フェイトと手を組んで殺し合いを有利に進める
2:今は翔太郎とユーノを上手く利用する
3:他の参加者からグリーフシードを奪う
[備考]
※魔法少女まどか☆マギカ6話終了後からの参戦です
※首輪は首にではなくソウルジェムに巻かれています
※魔法少女の身体の特性により、少なくともこの負傷で死に至ることはありません


【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、魔力消費(中)
[装備]:バルディッシュ@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに優勝してジュエルシードを揃える
1:今はこの三人と一緒に行動する。
2:左翔太郎とユーノ・スクライアを上手く利用する。
3:何かを聞かれたら、出来るだけ誤魔化す。
[備考]
※魔法少女リリカルなのは一期第十話終了後からの参戦です

633 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 13:59:09 ID:wVnT2RN60
以上で投下終了です
矛盾点などがありましたら、お手数ですが指摘をお願いします。

634 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 14:13:42 ID:wVnT2RN60
あ、確認したところ現在時間にミスがありました
以下のように修正します。

【一日目・黎明】
【I−5 図書館前】

635名無しさん:2011/12/17(土) 14:21:07 ID:2.khfaUE0
投下乙。
時間軸のズレには気付かず、か。
果たしてこの4人の行く末はどうなることやら…

ところで、時間は未明でなく黎明になるのではないでしょうか?

636名無しさん:2011/12/17(土) 14:28:07 ID:2.khfaUE0
あ、気付いて訂正してたんですね。

それにしてもガドル閣下は入れ違いかw
ドンマイw

637名無しさん:2011/12/17(土) 16:00:54 ID:XEw4.nwI0
投下乙です、
予約メンバーからユーノか翔太郎辺り危ないと思ったがとりあえずそれは無しか……
タイミング的にはガドル閣下が来るか来ないかだが……間に合ったのか間に合わなかったのか?
しかし原作通りとはいえハーフで甘いなぁ……翔太郎ゥ……騙されてるよ……

ちょっと気になったので指摘なんですが、
翔太郎って原作見る限り基本的に相手を呼び捨てにする事が多い(例.最終話での依頼者の少年も呼び捨てにしていた)ので、『杏子ちゃん』とか『ユーノ君』とかいうふうに呼ぶ事に違和感が……これが僕の勘違いだったらまだ良いのですが一応指摘しておきます。

638 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/17(土) 18:53:24 ID:wVnT2RN60
ご指摘ありがとうございます
確かに、自分の間違いです……修正スレに修正版を投下します

639名無しさん:2011/12/17(土) 23:46:27 ID:2.khfaUE0
ネクサスの第2部OP見て思ったが、弧門が今一緒にいるのってまさに「青い果実」なんだなw

640名無しさん:2011/12/18(日) 20:00:35 ID:0hZzfzfEO
投下乙です。ロワでも女に騙される翔太郎ェ・・・でもガドル閣下と出会わずに済んだのはよかったか?

しかしこれ騙されてるのに気付いたところでお人好し二人じゃどうしようもないか。まあ騙してる側も一応根はいい子だし・・・微妙だなぁ。

641名無しさん:2011/12/19(月) 01:28:06 ID:4pY2LPV.O
投下乙です。
やはりユーノと翔太郎はアン子たちに利用されるのか・・・・・・

ちなみにこのまま街へ向かうと道中に殿、パンスト、街中の南方面には乱馬、尻彦、ヴィヴィオ、祈里、ほむほむ、馬鹿、そしてダグバに接触しそうです。

642名無しさん:2011/12/19(月) 20:52:24 ID:u83LyZHA0
投下乙です

まあ、強硬手段よりその方が戦術的にいいよな
フェイトとユーノ次第でどうなるかまだ分からんが…
それに街にいる連中もヤバい奴や騒動起こしそうな奴もいるしな…

643名無しさん:2011/12/19(月) 21:49:34 ID:fsm9AC1cO
>>641
ん、ってことは下手すりゃ某所みたくいきなり大集合の可能性ありってことかw
そういやあんこはあっちでも巻き込まれてたなぁ。

644名無しさん:2011/12/19(月) 21:55:53 ID:1o010ppI0
ちなみに現在その中の4人が予約中だな
さすがにそろそろ死者が出るかな?
というかいい加減でないと進行上やばいが
しかし、フェイトとユーノがヴィヴィオに会ったら面白いことになりそうだなw

645名無しさん:2011/12/19(月) 23:11:01 ID:u83LyZHA0
死亡しそうな組み合わせが起こりそうな場所とかちらほらあるからまだ余裕あると思うよ
ただ、そろそろ誰か死ぬな

646名無しさん:2011/12/19(月) 23:55:17 ID:1o010ppI0
北のホテル、呪泉郷付近の密集地がシャンプー以外死なないまま危険人物がそろって撤退したからなあ
まあ、マーダーは豊富だから二次みたいな心配はまだ大丈夫なのかな

647名無しさん:2011/12/20(火) 15:15:44 ID:r25OWIVY0
>>641
一応街には、ライダーマンもいるのを忘れてあげないでください。
現状、首輪解析を本格的にしてる唯一の人なんだから……

648名無しさん:2011/12/20(火) 17:22:39 ID:rRe8gj/k0
>>647
ライダーマンは市街地北側にいるから省かれただけだと思うよ
同エリアにいるお笑いトリオも省かれてるし

649名無しさん:2011/12/21(水) 19:08:45 ID:mavIUQJI0
これまたやばそうな予約が来たな
どうなる…!

650 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:10:15 ID:uZpmRz7Y0
何とか完成致しましたので、今から暁美ほむら、ン・ダグバ・ゼバ、涼村暁、志葉丈瑠4名投下致します。

651名無しさん:2011/12/21(水) 20:11:41 ID:7Amc/5Ys0
お、丁度見てる時にキター

652「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:14:00 ID:uZpmRz7Y0
Chapter.06 妖刀裏正


 1本――


 また1本――


「……!」


 そしてまた1本木が切り倒される――


 志葉丈瑠の周囲には数多の木が倒されていた。
 その手に握られているのは妖刀『裏正』、
 丈瑠にとっての因縁の相手、腑破十臓の愛刀である。

「泣いているのか?」

 只、木々を斬り倒してきた裏正を見つめそう呟く。
 裏正は妖刀だけあって曰く付きの刀なのはいうまでもない。
 しかし只の妖刀であれば丈瑠が今更そう呟く事もない。
 裏正は筋殻アクマロがある野望、この世にあの世を顕現させる為に作ったもの、
 その野望を果たす鍵を握るのは人でも外道でもないはぐれ外道である十臓、そしてその十臓をその気にさせる為に裏正が存在するのだ。
 裏正にはある者の魂が込められている。それは十臓の妻、最期まで人斬りに走る十臓を止めたいと願い無くなった彼女の魂だ。

 彼女を救う為ならば十臓も協力するという算段というわけだ――

 もっとも、十臓はそれを承知の上でずっと裏正で人を斬り続けていた。
 本人に言わせれば外道になるという事はそういう事なのだ。
 アクマロ自身も十臓を本物の外道と言い切った、当然それでは条件から外れあの世を顕現出来るわけもない。

 余談だが、既に倒したはずのアクマロが参加者としてこの地にいる事が気にかかるものの、今の丈瑠はそこまで考えるつもりはない。
 加頭が何かの手段を使ったとしても関係ない。立ち塞がるならば斬る、それだけでしかない。
 それはシンケンジャーだからではない。今の丈瑠は志葉家十八代目当主、その影武者としての役目を終えたシンケンジャーですらない只の剣士、
 一剣士として生きる意味を全うする為、立ち塞がる相手と斬り合うだけである。

「今も奴を止めたいんだろうな……いや、奴と斬り合う俺に対してもか?」

 それは頭ではわかっている事。
 だが裏正、正確にはそこに込められた十臓の妻の魂が今も人斬りを続け外道に落ちようとする十臓を止めようとしている気がしてならないのだ。
 それはかつての家臣や幼馴染みとの絆を断とうとする丈瑠に対してのものでもある様に感じた。

「十臓はそれを振り切り外道に堕ちた、そして今俺も……」

 理解している、恐らく池波流之介、梅盛源太は自分を止めようとする。
 それでも最早立ち止まる事は出来ない。
 流之介や他のシンケンジャーの面々には仕えるべき、そして守り共に戦うべき本物のシンケンレッドである姫が居る。
 元々侍ではない為、シンケンジャーとして戦う必要が本来ならば無い源太にも親から受け継いだ寿司がある。
 だが、自分には何もないのだ、剣以外には何も。
 もし、剣すら取り上げられたならば――抜け殻そのものになってしまう。

653 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:16:05 ID:uZpmRz7Y0

『外道に堕ちるとはそういう事だ、最早コイツは一蓮托生』

 十臓はそう言って裏正でアクマロを斬った。
 止めようとする大切な想いすらも踏みにじって人を斬り続ける、それが外道に堕ちるという事なのだろう。
 そういう意味で言えばショドウフォンを何も知らない少年――
 いや、体付きから見て何かしらの武道の心得のありそうな少年早乙女乱馬に託した(正確には流之介と源太に伝言と共に渡す様に頼んだ)自身はまだまだ甘いと言わざるを得ない。
 だが、裏正で誰かを斬った時、自分もまた外道に堕ちる事になるだろう。
 迷いがないといえば嘘に――いや、最早同じ事を語る事はない。
 無駄な理屈など今の自分に必要ない、今は只一人の剣士としてこの戦いに望むだけだ。

 その中でも最優先は十臓だ、
 幾ら影武者としての役目を終えたとはいえ長年相手にしてきた外道衆の長血祭ドウコクの存在が気になるものの、それは流之介達に任せれば良い。
 立ち塞がるなら(倒せるかどうかは別にして)斬るが優先的に考える必要はない。
 だが十臓だけは話が別だ。十臓はずっと自分との真剣な斬り合いを望んでいた、そして剣以外の全てを失った自分を、自分の剣を認めていた。
 何より、その戦いの最中この地に連れてこられたのだ、奴との決着だけは最優先で着けねばならない。
 特にその愛刀である裏正が手元にあるのは尚の事、一刻も早く奴の元へ辿り着かねばならないだろう。
 とはいえ問題が無いわけではない。
 奴に会った際に裏正を返す所まではまだ良い、だがショドウフォンが無いが故にシンケンレッドになれない今の自分と戦ってくれるかは不明瞭だ。
 幾らその代替としてドーパントに変身出来るガイアメモリがあるとはいえ、それで奴が納得してくれるとも思えない。
 だからといって今更ショドウフォンを再び手にするつもりもない故、悩み所だ。

「……いや、考えても仕方がないか」

 が、それについては十臓と遭遇した時で良いだろう。どちらにせよ、奴が決着を望んでいる事に違いはない。
 互いに健在である限りは何れ決着を着ける時が訪れる。

 そんな時だった――森の中で轟音が響いてきたのは。
 すぐ近くというわけでもないがそう遠い場所でもない。
 もしかすると十臓、あるいは流之介に源太、はたまたドウコクかアクマロ、彼等が戦っているのかも知れない。
 いや、誰であろうとも関係ない。恐らくそこにいるのは相応の強者に違いない。
 誰であっても斬るつもりだが、出来れば強者である事を願いたい所だ。

「行くか……」

 ゆっくりと戦場へ足を進めていく、後方に倒れし無数の木々に振り返る事無く――

654「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:17:55 ID:uZpmRz7Y0





Chapter.01 ヒーロー!! あれ? シャンゼリオン 激走の1時間


「あの女ぁー! また消えやがった!!」

 そう叫ぶクリスタルの甲冑を纏った戦士――超光戦士シャンゼリオン涼村暁、
 彼は約1時間、ある少女――暁美ほむらを延々と追跡していた。

 例えばその理由がほむらを襲撃し殺す為、
 例えばその理由がほむらを保護し守る為、
 そういった理由ならば読者諸兄の大半は納得出来るだろう。
 しかし今この男がシャンゼリオンに変身し彼女を追っているのはそんな崇高な理由ではない。

 蔑む様な視線で銃を向けられ一方的に命令されて――

 その仕返しにちょっとイタズラしてやろうと考えた程度である。

 念の為に言っておこう、そもそもシャンゼリオンはダークザイドと戦う使命を持った戦士である。
 素人にも理解出来る様にわかりやすく言えば地球を救う為に戦うスーパーヒーローである。

 少なくとも、腹いせでイタズラする為に使う力では無い事は確かである。


 神様は何故この男なんかをシャンゼリオンにしたんだろう――


 話を戻そう。
 変身者の中身が脳天気なバカであってもそのスペックだけを見るならば通常の人間が相手になるわけもない。
 故に、外見上は普通の女子中学生相手ならば追いつく事はそう難しい事ではない。

 現実にすぐさまほむらの姿を確認し逆襲する事が出来た筈だった――

 だが、発見して舞い上がったその次の瞬間には消え失せていたのだ。
 目の錯覚かと思い探し直し再び見つけたが――やはり次の瞬間には消え失せていたのだ。
 そしてその繰り返しで今に至るというわけだ。
 気付いた瞬間に超スピードで動いているのか?
 何か催眠術をかけて発見したと思わせていたのか?
 もっと恐ろしいものの片鱗を――

「そんなに俺と付き合うのがいやなのかっつーの!」

 ――この男が味わうわけもなかった。
 化け狐につかまされた気分にすらならない、せいぜいバカにされている程度である。
 とはいえ、このままバカにされたまま引き下がれるわけもなく、再度捜索を開始する。

「それにしてもなんで電球みたいに消えたりするんだ?」

 さて、何度と無く消失を繰り返すほむらを見て幾らバカといえども流石に疑問に感じる。
 というより普通の少女がそんな事出来るわけもない。

「まさか……ダークザイドか?」

 となれば暁から見て異形の存在とも言えるダークザイドの疑いを持つのが自然だ。
 ダークザイドは人間の姿を借り、社会に潜み生体エネルギーであるラームを食する存在だ。
 つまり、ほむらはダークザイドの力で消失を繰り返しているというわけである――のだが、

「ま、ダークザイドだとしても俺には関係ないか」

 暁にとってはそんな事などどうでもよい。シャンゼリオンが連中と戦う使命を持つとしても暁には関係ない。この力で人生を楽しむだけだ。

「それにしても今度は何処に行ったんだ?」

 さて、周囲を見回すがほむらの姿は確認出来ない。
 そこは腐り果てても探偵、捜し物の技術が全くない訳でもなく、それ故に今まで何度も見つける事が出来ていた。
 しかし今度はその痕跡すら掴めないでいる。見つけられないぐらい遠くに逃げたという事は想像に難くない。
 ならば何処だろうか?

「……森か?」

 市街地に見切りを付けそこを離れ森に入った――
 確か人を捜していると言っていた気がする。そして今までの市街地を走り回り大体探し終えたとするならば森に向かったとしても不思議はない。

「ほむらちゃん、あんまり俺をイライラさせるないでくれよー♪」

 そう言って再びシャンゼリオンは走り出した。散々暁をバカにしたほむらに仕返しする為に――

 真面目な話、この男はこの殺し合いに乗り優勝を目指している――
 ――のだがこの男には全く殺意というものが無く、いつものノリで楽しんでいるだけでしかない。
 ただ、手元にある力と状況から舞い上がりすぎているだけでしかない。

 もう1度言おう、


 神様は何故この男なんかをシャンゼリオンにしたんだろう――

655「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:21:45 ID:uZpmRz7Y0





Chapter.02 ホムラデラックス!


『時間遡行者暁美ほむら、過去の可能性を切り替える事で幾多の平行世界を横断し君が望む結末を求めてこの一ヶ月間を繰り返して来たんだね。
 君の存在が1つの疑問に答えを出してくれた、『何故鹿目まどかは魔法少女としてあれほど破格の素質を備えていたのか?』、今なら納得いく仮説が立てられる』


「ようやく撒いたみたいね、流石にイライラするわ」

 そうほむらは周囲を見回しバカの存在を視認出来ない事を確認し安堵した。
 暁に拳銃を突きつけ追い返した所までは良い。だが、今度は妙にキラキラした、結晶の甲冑を纏って追いかけてきたのだ。
 子供が見る様なヒーロー番組に出る様な存在となって追いかけてきたという事だ。
 先に出会った山吹祈里がプリキュアなる未知の存在であった事を踏まえるとそういうヒーローが存在する事自体は今更驚くべき事ではない。
 だが、よりにもよってあのバカにそれを与えて良いのだろうか?
 もし、インキュベーターあるいはキュゥべえの類がその力を与えたとするならばそれこそわけがわからない。

 正直、戦う事はおろか真面目に付き合う事すら面倒だ。そうそうに自身の力で時間を止め視界から消える範囲まで待避した。
 だが、始末の悪い事に逃げても逃げてもどういうカラクリかはともかく何度も追いついてきたのだ。
 そういえば探偵なんて言っていたが、その肩書きは飾りでは無かったらしい。
 ともかくほむらは暁が諦めるまで何度も繰り返し時を止め距離を取り続けた。こんなバカ相手に武器を使う事すら勿体ない。
 一瞬だけだが『まぬけ』と書いた紙を置いておこうかとも考えたが、それで余計に絡まれてはかなわないためひたすらに逃げ続けたというわけだ。
 だが、暁は妙にしつこかった。確かに先にイラッときて銃を突きつけたのは自分だが、これ以上付き合うつもりもない。
 市街地を駆け回った所、守るべき人物である鹿目まどかの姿は確認出来ない。別の場所にいる可能性もある以上、一旦市街地から離れるのも悪い手ではない。
 そう考え、連続で時を止めて一気に移動し市街地を離れ森の中に辿り着いたというわけだ。

 暁との遭遇は悪い事ばかりではあったが、得たものが全く無いわけではない。
 繰り返し時間停止を行ったお陰でこの地に置ける制限をある程度把握出来たのだ。
 前述の通りほむらの魔法は時間停止である。魔法少女変身時に左腕に装備している盾の様なものが時計になっており、その時計を止める事で自分以外の周囲を止めるというものだ。
 ちなみに停止出来る時間は本来ならば比較的長時間であり、時間を止めている間に銃や爆弾を使い魔女や使い魔といった敵を倒すのがほむらの戦い方である。
 だが、この地ではどういうわけか長時間の時間停止は出来なかった。出来て数秒程度、その後ある程度時間をおかなければ再び停止させる事は出来ないらしい。
 また、自分達魔法少女の生命線ともいえるソウルジェムが濁るスピードも通常よりも早くなっている事にも気付いた。多用すれば命取りになる事は言うまでもない。
 とはいえ制限を課す理由自体は理解出来る。(実際は無限ではないが)ほぼ無限に時間を止められるならばこの殺し合いにおいてはあまりにも有利となってしまう。
 多人数で徒党を組んでいる連中が相手であっても時を止めている間に接近し1人1発ずつ銃弾を心臓に撃ち込みすぐさま離れれば、誰にも気付かれず簡単に事を成す事が出来る。
 つまり、ほむらの力は殺し合いのバランスを崩しかねない代物だという事だ。それを踏まえるならばこの制限もある意味仕方が無いだろう。

656「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:23:00 ID:uZpmRz7Y0

 ともかく、この事を把握出来た事は有り難い――のだが、バカの為に殆ど無駄にソウルジェムを消耗したことを考えると感謝する気は全くない。
 ソウルジェムの穢れを浄化するグリーフシードが手元に無い以上、無駄な消耗は抑えるべきである。無論、あった所で無駄遣いを避けるべきなのは言うまでもない。

 何にせよ思い出すだけでイライラが再燃しそうなバカの事はもう忘れよう、そう考え改めてこの殺し合いについて考える。

 まず、ほむら自身この殺し合いにはインキュベーターが拘わっていると考えている。
 彼等の目的は自分達の宇宙を存続させる為のエネルギーを集める事だ。
 その為に目を付けたのは感情、それをエネルギーに変換する方法を発明した。
 が、彼等自身は肝心な感情を持たなかった、故に別の星の人間達にそれを求めた。
 かくして希望溢れる魔法少女が絶望に堕ち魔女になった時に発生した膨大なエネルギーを集めているというわけだ。
 ちなみに、エネルギーさえ集まれば魔女によって地球が滅びようがインキュベーターにとってはお構いなし。
 自分達で賄えないエネルギーを人に賄わせて置きながら、必要が無くなったら後は放置――笑えない話である。

 さて、まどかが魔法少女となりその後魔女になった時に発生するエネルギーはそれこそインキュベーターのノルマを達成させる程だ。
 インキュベーターがまどかを魔女にする為にこの殺し合いを開いたのならばそこまで悪い手段ではない。

 しかしだ。冷静に考えると腑に落ちない点も多い。
 まず、プリキュアなどといった魔法少女とは全く異質の存在がいるという事実。
 話を聞いた限り魔女の存在すら知らないらしいし、最低限聞かされる筈の情報すら知らない所を見るとまず魔法少女とは全く関係ないと考えて良いだろう。
 そんな話など未だに信じられないものの、よくよく考えてもみれば銃を突きつけた状態で真剣に語ったであろう情報を頭ごなしに否定するのは良くない。
 かつて魔法少女の真実を語っても殆ど信じてもらえなかったほむら自身の経験も踏まえ、考慮の余地は十分にあるだろう。

「確かラビリンスがどうとかと言っていたわね……」

 今にして思えばせめて知り合いの名前程度は聞くべきだったかも知れないと多少は後悔した。
 ともかく、先に出会ったバカを含めプリキュア以外にも魔法少女とは全く異質の存在は多くいるだろう。それを踏まえるならばインキュベーターが黒幕だと断じるのは視野の狭い見解と言わざるを得ないだろう。

 また、もう1つ気になる事がある。
 それは自身の知り合いについてだ。名簿を見てもわかる通り、自身の知り合いはまどか、美樹さやか、佐倉杏子、巴マミの4人いる。
 だが、『ほむらが今居る時間軸』においてはまどか以外の3人は既に死亡している筈なのだ。
 勿論、ほむら自身の真の能力を踏まえるならば単純に主催側が時間軸を操る力を有する程度の話でしかない。
 だが、そこにこそインキュベーターが黒幕にいると言い切れない理由が存在する。

657「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:23:35 ID:uZpmRz7Y0

『ひょっとしてまどかは君が同じ時間を繰り返す毎に強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?』

 あの時キュゥべぇはまどかの魔力が膨大な原因をほむらが彼女を守る為に同じ時間を繰り返したことで彼女に因果を集めてしまったからなのではと語った。
 つまり普通の少女だったが繰り返しを重ねる事で彼女にかかる運命が大きくなり、最終的に救世主に匹敵する程の運命を左右する存在になったという事だ。
 なお、これは奴に指摘されるまでほむら自身気付かなかった事である。

『お手柄だよほむら、君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ』

 何にせよ、キュゥべぇは繰り返し一ヶ月前に戻ってくるほむらの能力を最初から把握しているわけではなかった。
 何しろ、基本的には知る事が殆ど無い筈の魔法少女の真実を把握している事を不思議に思っていた筈だから知っていたという事はない。
 つまり、インキュベーターそのものには時間遡行の力は無いという事だ。
 そもそも、連中が最初から時間遡行能力を所持しているならばこんな殺し合いを開くよりもずっと効率的な方法を採る筈、それを踏まえても時間遡行――いやむしろ別世界に干渉出来る力は別の勢力からもたらされたものだろう。

 どちらにせよ、現段階の情報程度ではインキュベーターが関わっていると断じる事すら危ういだろう。
 勿論、ほむら自身の知らない所で効率的なエネルギーを手に入れる方法を得て、それを実践しているという可能性もある為、関わっている可能性も消えてはいない。
 だが、それも情報の不足している今の段階では断定すら出来ないだろう。

 そんな中、ふと気付いた事がある。
 前述の通り『ほむらが今居る時間軸』では死亡している3人がこの地にいるのは彼女達は違う時間軸から連れてこられたからだろう。
 だが、それは同時にそのまままどかにも当てはまる。
 ここ最近繰り返している時間軸ではほむらはそもそもまどかを魔法少女にさせない様にしている。しかし、その前の時間軸ではどうだろうか?
 それこそ魔法少女となっている、最悪魔女と化してしまった時期から連れてこられはしないだろうか?
 もしそんな状態のまどかと出会ったらどうすればよいだろうか?
 いや、魔法少女となったとしてもほむらがまどかを守る事に違いはない。少なくてもそんな彼女をそのまま見捨てるなんて事はあり得ない。無論、魔女にさせるつもりなど全くない。
 魔女になる前に殺すという選択? そんな選択肢などほむらに存在するわけもなかろう。

 出来うるならば、もう2度と自身の手でまどかを殺す時など訪れて欲しくない――

 では魔女になった場合は? 実の所、魔女となったまどかの力は絶大、10日程で星を滅ぼす程だ。

「……考えても仕方ないわね」

 だが、流石に魔女となったまどかの対処など何もない。戦って勝てる相手でも無し、実際に前に魔女になった時も再び繰り返しに入る以外の選択肢がなかった。
 それを踏まえてもそんな状態の彼女と遭遇しない事を願うしかない。


 ともかく今後の方針を決める為にもデイパックから地図を取り出し現在位置を確認していると――


「やぁ」

658「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:24:15 ID:uZpmRz7Y0





Chapter.03 遭遇


 どことなく空気がピリピリしているのを感じた。
 今ほむらの目の前にいるのはどことなく幼さすら感じさせる白い服を着た青年である。
 不穏な気配の元凶、それは間違いなく奴からである。

「白い服……イヤな色ね」

 そうほむらは呟く。白というだけであの悪魔を思い出すのもある意味酷い話ではある。
 が、逆を言えばそれを思い出させるぐらい目の前の青年の雰囲気が恐ろしいものだったのだ。

「何の話?」
「気にしないで良いわ、こっちの話よ……それで、貴方何者?」
「僕? 僕はダグバだよ」
「ダグバ……そういえば妙に特徴的な名前があったわね、ゴ・ガドル・バとかズ・ゴオマ・グとかいうのは貴方の仲間かしら?」
「別に仲間ってわけじゃない……まぁ君達リントにしてみれば同じ未確認生命体だけどね」

 目の前の青年――ダグバの口からは聞き慣れない単語ばかりが出てくる。『リント』? 『未確認生命体』? 何を言っているのだろうか?
 リントの方はダグバの言い方から考えるに普通の人間という意味で良いだろう。

「未確認生命体? キュゥべぇの様なものかしら……」
「僕からも1つ聞いて良いかな、クウガを見かけてはいないかい?」
「クウガ? 会ったのは私ぐらいの女の子とクリスタルの鎧を着たバカだけよ、その2人じゃないなら知らないわ。貴方こそ、私に会う前に誰と会った?」

 ここでまどかの外見の情報を晒すわけにはいかない。故に、言葉を選びつつダグバに問いかける。

「君よりも幼い金髪の少女のリント……ヴィヴィオって呼ばれていたかな、それから青い戦士に変身……ナスカに変身した青年のリント、そして君で3人目だよ」
「そう、なら――」

 ダグバの言葉が事実ならばまどかは奴と遭遇していない。それだけで十分に意義があった。

「もう1つ聞いて良いかな。君だったら僕を笑顔に――」

 それ以上言葉が紡がれる事はなく――

「もう用はないわ」

 その言葉と共に拳銃でダグバの身体に数発の銃弾を撃ち込んだ。
 そしてすぐさまダグバからデイパックを取り上げそのままこの場から立ち去ろうとした。

 ダグバと遭遇した時からずっと感じていた。
 この男はヤバイ、殺し合いに乗っている乗っていないでいうならば確実に乗っている。
 雰囲気だけで理解したのだ、目の前の相手があまりにも危険だという事を。
 どれぐらい危ないのか――それこそ脳裏に一瞬ワルプルギスの夜、あるいはそれ以上を連想する程の――
 それぐらい危険な相手を放置する等あり得ない。まどかを守る為にも絶対に排除しなければならない。
 この時点で確定出来る要素は何処にもない。だが、今回に関しては確実、そう判断する程のものを持っていたというわけだ。

 だからこそ、まどかと会っていないという情報(無論、嘘の可能性もあるが)を聞いた瞬間に時を止め、以上の行動に出たというわけだ。
 撃ち込んだ銃弾は5発、普通に考えればこれで確実に仕留められる筈だ。無論、仕留めきれなくてもすぐさま反撃には出られ――

659「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:25:30 ID:uZpmRz7Y0


「!?」


 周囲の空気がまた変わった気がした。


「――してくれのかな?」


 時が動き出した――


 だが、ダグバは何事も無かった様に言葉を続け、ゆっくりと着ていた服と同じ白い体色で金の装飾を纏った怪人の姿となり――


 撃ち込まれた銃弾をそのまま弾き出す。


「!!!???」



 それと同時にほむらの身体が急激に燃え上がった。あまりにも突然の衝撃に思わず持っていたデイパックを落としてしまう。


「それは返してもらうよ」


 そう言って、ダグバは奪われたデイパックを回収すべくほむらに迫る。
 その動きは早く、ほむらはそのまま後退を余儀なくされる。衝撃で思わず落としてしまった自身のデイパックに気を回す余裕すら無い程に。
 何とか間合いを取った時には燃え上がった身体の炎も大分鎮火した。

「ぐっ……」

 一体何が起こったのか? 突然自分の身体が燃え上がったのだ。現状そこまで致命的なものではないが決して軽いものではない。

「やっぱり面白い技を使うリントだね」

 一方のダグバは何て事の無い風に変わらぬ調子で語る。

「!? やっぱり?」

 ダグバが言っているのは時間停止の事だろう。だが、ダグバの前でこの力を使ったのは今が初めての筈だ。一体何処で見たというのか?


 ダグバがほむらの存在に気付いたのはほんのささやかな偶然によるものだった。
 手持ちの道具を確認し移動しようとした時、ふと何気なく周囲の様子を探った。
 ダグバの力は絶大、その感覚も非常に鋭く制限下においても比較的広範囲を探る事が出来る。
 そう、ほむらが近くまで来ていた事に気付いていたのだ。
 いや、厳密に言えば少し違う。ダグバは瞬間的に長距離を移動するリントの存在を察知したのだ。
 無論、これは暁を振りきる為に時を止めて移動したほむらの事である。
 だが、傍目から見れば限りなく短い時間で長い距離を移動した様にしか見えない。つまりは瞬間移動したと錯覚するのだ。
 真相はどうあれ、瞬間移動の出来るリントはダグバの興味を引くのに十分過ぎた。
 故にその足でほむらに接触したという事だ。

 そして気が付いた時には銃弾を撃ち込まれデイパックが奪われていた。
 だが、ダグバ達グロンギには一般に流通している銃器は全く通用しない。怪人体は言うに及ばず、人間体であってもその命を奪う事は出来ない。
 そして今の攻撃で確信した。目の前のリントは瞬間移動するのではなく自分以外の時を止める力がある事を。
 そう考えた後、すぐさま反撃として自身の持つ発火能力でほむらを燃やしデイパックを奪還、それどころか彼女自身のデイパックも手に入れる事が出来た。


「で、どうす……?」


 が、ダグバが気付いた時には既にほむらの姿は森の中に消えていた。


「……いいよ、折角だから少し遊ぼうか。リントの少女」

660「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:26:15 ID:uZpmRz7Y0





Chapter.04 BLACK OR WHITE ?


 何度も触れた通り、ほむらの魔法は時間遡行と時間停止であるが、この表現は実は正確ではない。
 先に説明したとおり、ほむらの装備している盾は時計になっている。だが厳密に言えばその時計は砂時計だ。
 砂時計の役割は本来その時計毎に定められた時間を計るものでしかない。
 砂が落ちきった時点で測定という役目を終えるが、ひっくり返し再び作動した時は再び測定を始める。

 その時間は約1ヶ月、つまりほむらがまどかと出会う直前からワルプルギスの夜戦後の間である。
 その期間を何度も最初から繰り返す事が出来るというだけの話なのだ。
 誤解しないで欲しいのはあくまでも戻せるのはそのおよそ1ヶ月程度、それ以外で時間を戻す事は不可能である。
 そして時間停止は落ち行く砂の流れを止める事で、その時に止めている時間だけ止めるという時間遡行の副産物というわけである。

 さて、他の魔法少女は槍や剣といった武器を使用し攻撃向きな魔法も所持している。
 だが、ほむらにはそういう気の利いた魔法はなく、時を止める、あるいは繰り返す為に戻すという事しかできない。
 その為、時間を停止している間に現実に存在する銃器や爆弾を使い攻撃をかけるというわけだ。
 ちなみに使用している銃器や爆弾は通常盾の中に収納されており、それらはは普段ほむらが暴力団や軍基地に時を止めて潜入し確保したものである(自作した経験もある)。

 それ故に、ほむらの攻撃力は所持している火器に依存する事になり、魔法少女としての攻撃力は決して高くはない。
 だが、それはほむらが弱いという事を意味するわけではない。
 何度も同じ時を繰り返しているという性格上、その間は延々と目的の為に戦い続けていた事になる。
 その間の経験はほむらの中には残り続ける、つまり繰り返される時間の中で得た戦闘経験こそがほむらの最大の武器という事になる。
 もっとも――それだけの経験をもってしても未だワルプルギスの夜を撃破する程の経験値は得ていないわけだが。
 この地にきたのは丁度今居る時間軸でのワルプルギスの夜戦前、今の状態でそれに勝利するのは――厳しいだろう。恐らく今回もまどかが魔法少女とならなければ倒せない。
 イコールそれは今回も失敗する事を意味する。だが、ほむらは決して諦めたりはしない、まどかを魔法少女にしないでなおかつ守りきる事こそがほむらの望みであり、ある時間軸でのまどかの願いであり、交わした約束なのだから。

 だが、それは決して報われる事はない。
 結局の所、魔法少女と成った事でもたらされた奇跡は都合の良いものではない。
 その奇跡の分、場合によってはそれ以上の呪いをもたらすのだ。
 それが一番わかりやすい形で現れるのは魔女と化した時なのはおわかりだろう。
 その魔女を倒す為に新たな魔法少女が現れる。そしてその魔法少女が魔女となり――その繰り返しだ。
 インキュベーターが宇宙を維持する為のエネルギーを集める為に作り出したシステムとしてはある意味では上手くできているといえる。
 ほむらの場合も決して例外ではない。
 ほむらが願ったのはまどかと出会う前に戻り今度は彼女を守る事、その祈りが時間遡行の力を与えたと言って良い。
 が、その力で繰り返し続けた結果、彼女に因果が集中する事となり、まどかの魔法少女としての力は増大し、同時に魔女としての力、そして魔女と化した時に発生するエネルギーも膨れあがった。
 インキュベーターがその膨れあがったエネルギーに目を付けないわけもない。
 つまり、ほむらの祈りが最強最悪の魔女を生み出す切欠となり、まどかに更なる宿命を背負わせる事となったのだ。
 言い換えればまどかの幸福を願ったが、その結果彼女をそれ以上の不幸に堕とす羽目になったという事だ。
 気付いた所でもう遅い、今更止める事など不可能。何しろ、全てが無駄だと否定された、つまりは絶望した時点で今度はほむら自身が魔女になってしまうのだ。
 それはほむら自身もまどかも望まない結末だ、だから諦める、立ち止まるという選択はありえない。
 しかも始末が悪い事に、この話を誰も信じてくれない以上全て1人で決着を着けるしかない。つまり彼女を救う為には延々と繰り返し続けるしかないのだ。
 そして繰り返すたびにほむらの時間だけが蓄積しまどかとのズレは大きくなっていく。それを続けてしまえばまどかにすら理解されない状態に陥ってしまう。
 決して誰にも理解されず、孤独な戦いを永遠に繰り返してしまうというわけだ――そしてそれが報われる事は決してない。

661「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:29:10 ID:uZpmRz7Y0


 だが、例えそうだとしても――


「(必ず貴方を救う……まどか……!)」


 連続で時を止めつつ森を駆け抜けダグバとの距離を取っていく。
 だが、ダグバの能力は凄まじく時が動き出した瞬間にすぐさま距離を詰めていく。
 隠れてやり過ごそうにもその感覚の鋭さからすぐに追跡されてしまう。
 つまり、このままでは何れ追いつかれそのまま一方的に蹂躙されてしまうしかないという事だ。

 だが、ほむらはダグバから逃げるつもりは全くなかった。
 仮に逃げ切ったとする、だがその後ダグバは他の参加者を殺し回っていくだろう。
 その中にまどかがいたらどうする? 何の力を持たないまどかが戦えるわけもない。
 魔法少女の状態でも同じ事、ワルプルギスの夜に匹敵しかねない相手をどうにかできるわけもなく結果は死か魔女化しかない。
 もし、魔法少女になる以外の戦闘手段があっても同じ事、それ以前にまどかにそんな危険な真似をさせる事自体ほむらの中ではあり得ない。
 つまり、ダグバは何としてでも仕留めねばならないという事だ。
 だが、拳銃の通じない相手を仕留め切れるのか? そんな都合の良い方法があるのか?

 いや、ある。この状況下たった1つだけその方法が。

「(例え無敵であってもこの地なら首輪の呪縛からは逃れられない……そこを仕掛ければ!)」

 参加者に殺し合いを強いる首輪、その中には確実に死に至らしめる爆弾が内蔵されている。
 無理に外そうとすれば当然爆発する代物だ。
 ならば、首輪を直接攻撃しその衝撃で爆発させれば――ダグバでも仕留める事が可能ではないだろうか?
 そして、ほむらにはそれを可能にするだけの力がある。それが自身の持つ時間停止の力だ。
 更にデイパックは奪取されても拳銃といった武器は手元にある為狙撃は可能。
 時を止めている間にダグバの首輪を撃ち爆発させる、確か首輪には時間停止の力は及ばない話だったから気付いた時には仕留めていたという事も出来る筈だ。
 問題は時を止められる時間が数秒程度という短時間である事、首輪を正確に撃ち抜くのは技術的にも難しいという事だ。
 そして何より――

「(くっ……やっぱり……!)」

 丁度今し方時を止めダグバの様子を確認した。
 だが、ダグバは上手い具合に手を構えていた。上手い具合に銃弾のコースを遮り、首輪を撃ち抜くのを難しくする様に。
 接近すればまだ狙えるものの止められる時間が短い関係上、外した時のカウンターのリスクが大きすぎる。
 故に現状ではそのチャンスを伺うしかない状況だ。

 考えてみれば当然だ、ダグバの側から考えても時間停止中に急所の首輪を攻撃する事は有用であり真っ先に警戒すべきだ。
 そうそう簡単に撃たせてくれるなら誰も苦労はしない。

662「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:29:54 ID:uZpmRz7Y0

「逃げてばかりだけどそれじゃ僕を笑顔にも出来ないし倒せもしないよ」

 ほむらの心中などお構いなく繰り出されるダグバの言動からは未だに余裕を感じさせる。
 笑顔にさせるつもりなど毛頭無いが、このままでは倒せないのも事実だ。

「これならどうかな?」

 その言葉と共にほむらの周囲が突然燃え上がる。

「くっ!」

 詳細はわからない。だが、先程自身を燃やした事も踏まえダグバには接触せずとも物体を燃やす力を持っているのだろう。
 炎は丁度ほむらの進行を阻む位置にある。迂回しなければその炎によるダメージを受けてしまう。
 しかし迂回すればその間にダグバが接近する隙を与えてしまう。
 故にほむらは臆する事無く炎を突っ切っていく。時止めを駆使し受けるダメージを最小限に抑えながらだ。
 それでも蓄積されるダメージは決して無視出来ない。
 このままでは何れ限界が訪れるし、倒せたとしてもグリーフシードが無ければ後が続かなくなる。
 ダグバの口振りでは後2人同じ様な未確認生命体なる危険人物がいる。彼等を放置する事が出来ない以上、ここで倒れるわけにはいかない。

 そうして何分か十数分かは不明だが追跡戦を繰り返し――その機会は訪れた。

「(見えた……!)」

 一瞬だけ振り向きダグバの首のガードが甘くなった事を確認した。
 前方などは未だ厳しいものの右横は大分がら空きと成っている。
 つまり今そこに仕掛ければ十分仕留める事は可能という事だ。
 問題は時を止めた数秒間でそこまで回り込み確実に撃ち抜く事が出来るかどうかだ。
 だが迷っている時間はない、この機会が恐らくは最後のチャンス。それを逃せば勝ち目はない。
 故に――


「(今しかない!)」


 ほむらはその時を止めた。この瞬間から数秒、ほむらだけの世界が始まる――


 振り返りながら何時でも撃てる様に拳銃を構える――


 そのまま左方向、つまりダグバの右横へと走り出す――


 途中炎が行く手を遮るも構わず駆け抜けていく――


 そして拳銃を構えダグバの首輪の右側を狙い――


 まず一発、しかし首輪どころか首にすら当たらない――


 さらに数歩進み一発、またしても銃弾は首を外れる――


 度重なるダメージの影響で照準が定めきれなかったか、夜の闇が狙撃難度を上げたのか――


 それでも構わずもう一発、今度は命中した。但し首輪ではなく鎖骨の辺りに――


 もう一発、首に命中した。だが首輪より数ミリ下だったが故に爆破には至らない――


 未だ命中には至らない。しかし接近した事もあり命中率は確実に上がっている――


 あと一発、それを撃てば確実に仕留める事が出来る筈だ――


 だが限界時間も迫っている、間に合うかどうかは紙一重といった所だ――


 しかしほむらに後退はない、全ての運命を歪めた元凶の一つとは言え純粋な祈り、それを果たす為に――


 迷うことなく首輪を狙い引き金を引いた――


 放たれた銃弾は吸い込まれる様にダグバの首輪へと――

663「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:34:15 ID:uZpmRz7Y0





Chapter05. ギバブ パバギゾビ ダグバ


『あ……あの……暁美……ほむらです……その……えっと……どうか……よろしくお願いします……』
『暁美さんは心臓の病気で入院していたの、久しぶりの学校だから戸惑う事もあるでしょう、みんな助けてあげてね』


 それが全ての始まりだった――


『暁美さん、保健室行かなきゃいけないんでしょ、場所わかる?』


 それが彼女との出会いだった――


『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』
『えっ……そんな……』
『良いって、だから私もほむらちゃんって呼んで良いかな?』
『私……その……あんまり名前で呼ばれた事ってなくて……すごく変な名前だし……』
『えーそんな事ないよー、何かさ燃え上がれーって感じで格好良いと思うなー』
『………………名前負けしてます……』
『そんなの勿体ないよ、折角素敵な名前なんだからほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』


 そんなあの頃に――今はもう戻れない



「はぁ……はぁ……」


 ほんの一瞬、昔を思い出したらしい。死に際に見る走馬燈なのか――


 そのほむらの身体は巨木に叩き付けられていた。背後の巨木は強い衝撃で折れて倒れている。
 全身に響くダメージはあまりにも大きく動く事すら厳しい状態だ――


 あの瞬間、何が起こったのだろうか?
 5発目を撃った瞬間、激しい暴風が起こりほむらの身体はほんの一瞬舞い上がった。
 その直後、腹部にあまりにも強い衝撃を感じた。
 ダグバがすぐさま懐に入り込みほむらに一撃を叩き込んだのだ。
 何十トンの衝撃はほむらの全身を砕くには十分過ぎる。そのまま吹っ飛ばされ巨木に叩き付けられたのだ。
 その際に持っていた拳銃はその一撃に巻き込まれ使用不能なまでに破壊されてしまった。


「何が起こったの……弾は……」


 だが冷静に考えれば納得がいかない。弾を発射した時点ではまだ時は止まっていた筈だ。
 その直後に動き出したとしても命中まではコンマ数秒も無い。その僅かな時間で対処が――


「今のはちょっと危なかったかな?」


 ――出来たというのか? コンマ数秒という一瞬で放たれた銃弾を掴むという事を?


「でも少し面白かったかな、きっと仕掛けてくると思っていたし」
「何を言っているの……まさか……」
「うん、また時を止めて首の右を狙うと思ったよ」

 そう、ダグバはこの遊びに決着をつけるべく意図的に隙を作ったのだ。その隙さえ見せれば必ずほむらは仕掛けると踏んで。

「……わけがわからないわ、時を止められたら幾ら貴方でも対処は不可能の筈よ……それに私がいつ仕掛けてくるか何てわからない以上……」

 散々時を止めたのだから止められる時間を把握していても不思議はない。
 そのため、時が動き出した瞬間に仕掛けるという事自体は悪い手ではない。
 だが、それには時が止まる瞬間が解らなければ仕掛けようがない。止められた側にしてみれた時が止まる瞬間=時が動き出す瞬間なのだから。

「時が止まる直前、その盾みたいなのが動く……違うかい?」
「!! まさか……気付いていたの? あの状況で……」

 ほむらの魔法はその盾が作動する事で発動する。作動する時計を一時的に止めた瞬間に時が止まる。
 それを踏まえれば作動の瞬間さえ把握すれば時が止まる瞬間も把握出来る筈だ。
 しかしほむらにしても能力を悟られない様にある程度の注意は払っていた、幾らせっぱ詰まった状況でもそうそう簡単に看破される事はない。
 だが、目の前のダグバはほむら自身を追いつめながらも十分に観察し魔法が発動する瞬間を把握したという事なのだ。

664「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:36:00 ID:uZpmRz7Y0

 発動する瞬間さえ把握すればすべき事は難しくない。
 ほむらが時を止めようとする瞬間に自身の能力で首の周囲の空気をプラズマ状態にし一気に気温を上げる。
 そうすることで温度差が発生し空気のレンズが形成される。
 それにより目視であっても狙いにズレが生じる、勿論それによる外れるのは僅か数ミリ、だが首輪への直撃を避けられるならば十分過ぎる長さだ。
 結局の所、数発ギリギリの所で外したのはそれが原因だ。
 それでも最後の一発だけは命中する筈だった。だが、その瞬間に時が動き出したのだ。
 着弾まではコンマ数秒も無い。だが、仕掛けるだろう事はわかっている為、銃弾が撃ち込まれているあるいは迫っている事は把握出来ている。
 コンマ数秒あれば飛んでくる弾丸を掴む事など容易い。
 そして、弾を掴んだ直後、自身に反逆したゴオマを返り討ちにした時と同様に周囲に膨大なエネルギーを嵐の様に巻き起こした。
 それにより一瞬思考が停止したほむらへと急接近しお返しに一撃仕掛けたというのがその瞬間に起こった真相だ。

「……ずっと、貴方の手のひらで踊らされていたって事ね……」

 ほむらは自分の失策を呪った。
 思えば初手で致命的なミスを犯していたのだ。こちらの力が看破される前に仕掛ければまだ勝利の目はあった。
 そう、最初に撃ち込んだ時に首輪を撃ち貫いていれば十分勝てた筈なのだ。
 だが、それも仕方の無い事だ。普通に考えて的の小さい首輪を狙うよりも心臓や頭部を狙った方が確実だ。
 それに、前提を否定しかねない話だが、激しい戦闘に耐えうるであろう首輪がそうそう簡単に撃ち貫かれても困る。
 他に手がないが故に首輪を撃つという手段を取らざるを得なかったが、首輪を銃弾一発で爆破出来るというのも机上の空論に過ぎない。
 それを考えれば初手から首輪を狙わなかったのを失策だと糾弾する事は誰にも出来ないだろう。

「それにしても本当に変わったリントだね、あの一撃でまだ生きているなんてね」
「……リントが何かは知らないけど……普通の人間という意味だったら私は違うわ……」

 未だにほむらが無事なのは自身のソウルジェム自体は無事だからだ。
 魔法少女となった瞬間、その魂は身体を離れソウルジェムとなる。つまりこの時点で肉体は魂無き抜け殻となる。
 極端な話、肉体をどれだけ傷つけようが死ぬ事はなく、魔力で幾らでも修理が可能というわけだ。
 その観点で言えば最早魔法少女は人間ではないと言えよう。
 もっとも、肉体が傷ついたままでは動かすのに支障が出る事に違いはなく、それを治す為には魔力が必要だ。
 そしてその度に消耗したソウルジェムの濁りは濃くなっていく。
 口では幾ら強がっていても、ほむらの限界は近いという事だ。

「ふうん、やっぱりソウルジェムを砕かない限りは戦えるって事かな?」
「!!? どうしてそれを……」

 何故ダグバがソウルジェムの事を知っている? いや、名称自体は知っていてもおかしくはない。
 だが、魔法少女の事を知らない参加者が数多い状況、自身が魔法少女であると判断出来る材料は少ない。
 時を止めた所で、それだけで魔法少女だと決めるには弱い。

「君、首輪着けてないよね」
「!!」

 ダグバはほむらの首に自分達に着けられている首輪が無い事を最初は不思議に思った。
 だが、加頭が口にしていた事を思い出し、

『ソウルジェムにも同様の爆弾が取り付けられています』

 さらにほむらが首輪を着けていない事から首輪に変わるもの、つまりソウルジェムに爆弾が着けられている事、同時にソウルジェム所持者である事を看破したのだ。

「ソウルジェム……リントの言葉で魂の宝石、上手い表現だね」
「何処がよ……」
「それが砕かれない限り幾らでも戦えるなんてまるでクウガや僕達みたいだね」

 ダグバは魔法少女の事を詳細に把握しているわけではない。
 だが、ソウルジェムが砕かれない限り死する事無く幾らでも戦える事から、腹部に宿した石によって戦う力を得ている自分達グロンギやクウガと似ていると何となく思ったのだ。
 ほむら自身、今更自分達魔法少女が普通の人間だとは全く思っていない、だがダグバの様な存在とと一緒だと言われるのは心外だ。

665「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:37:33 ID:uZpmRz7Y0

「未確認生命体だったかしら……貴方達はその力で何を望んでいるの……?」

 だからこそ、ダグバにそう問いかけた。マトモな正答なんて期待してはいないが聞かずにはいられなかった。

「最初に言ったよ、僕を笑顔にしてくれるのかって……僕はそれを望んでいるだけだよ、でも君程度じゃまだ笑顔になれないけどね」
「狂っているわ……」
「多分、ガドルやゴオマも同じ……2人ともこのゲゲルを楽しんでいると思うよ」
「ゲゲル……また聞き慣れない言葉……」
「リントの言葉で言えばゲームの事だよ」
「ゲーム……遊びで人を殺すっていうの……本当に狂っているわ……」

 ほむら自身、インキュベーター以上の巨悪が存在するとは考えていなかった。
 だが、インキュベーターのやり口はあまりに邪悪でもその本質的な目的は宇宙を救う事に他ならない。
 自分達にとってはたまったものじゃないが、宇宙レベルで考えれば絶対的な悪とは言い切れない。
 しかし目の前の未確認生命体は違う。完全に私利私欲の為に人を殺そうとしているのだ。
 対話など通じる相手ですらない、まどかを守る為には必ず排除しなければならない存在だ。

「ところで、君以外にもソウルジェムの持ち主っているのかな?」
「その人達と戦うって言うんでしょ……知っていても貴方に教えると思う?」

 どうやら自分との戦いで魔法少女に興味を持ったらしい、どうやら自分のした事はむしろまどかを危機に晒す事に繋がってしまった様だ。当然、わざわざダグバに教える義理はない。

「いいよ、クウガを探すついでに自力で探すから」
「……さっきから思ったけど、クウガって何? 貴方達の仲間じゃないの?」
「違うよ、クウガはリントを守る戦士で……僕を笑顔にしてくれる存在さ、この地にもいる筈だよ」

 その言葉からクウガはダグバと同質のものである一方、人々を守る戦士という事は把握出来た。
 何より、ダグバ自身笑顔にしてくれる存在と語った事から唯一ダグバに対抗出来る存在という事になる。
 しかし同時にある種の疑念もある。能力の本質自体はダグバと同様なのは確実だ。
 つまり、クウガは裏を返せばもう1人のダグバという事になる。それを踏まえるならば全面的に信頼して良い存在とは言えない。

「もう1つ……インキュベーター、キュゥべぇの名前に聞き覚えは?」
「リントの名前にしては変わっているね」
「知らないなら別に良いわ……」
「そう、それじゃその様子じゃもう戦えないみたいだしそろそろ終わりにしようかな……」

 そう言ってダグバがゆっくりとほむらに近づいていく。

「(くっ……まだ動ける程回復していない……)」

 ほむらにしては珍しくダグバと話し続けていたのは回復の時間を稼ぐ為だった。
 だが、未だ動けるにはほぼ遠い状態だ。動けなければ時を止めた所で撤退は不可能。
 このままではこのままダグバに殺されるのは時間の問題だ。

「(まどか……)」

 死ぬ事自体は恐くはない。
 恐いのはまどかを救う事が出来なくなる事だ。

 不意に目から一粒の涙がこぼれ落ちてしまう――



『君は休学してたんだっけな、友達からノートを借りておくように』
『準備体操だけで貧血ってヤバイよね』
『半年もずっと寝てたんじゃ仕方ないんじゃない』


『ほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』


『無理だよ私……何にも出来ない……人に迷惑ばっかりかけて恥かいて……どうしてなの……私、これからもずっとこのままなの……?』


 結局の所、あの時と同じ――何も出来ず、何も変わっていない。
 何度時計仕掛けの日々を繰り返そうとも変わらない。
 ほむらという名前に負け続けている――
 もうこの炎は究極の闇の中に消えてしまうのだろうか――


『だったらいっそ死んだ方が良いよね』
『死んだ方が良いかな……』
『そう、死んじゃえば良いんだよ』
『死んで……しまえば……』

666「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:38:50 ID:uZpmRz7Y0





Chapter.07 Through the darkness into prerfect light .


 そんな時だった――一筋の光が差し込んできたのは――


『もう大丈夫だよ、ほむらちゃん』


 目の前にいたのは自分の名前を格好良いと言ってくれた少女、


『いきなり秘密がバレちゃったね、クラスのみんなには内緒だよ』


 その時の彼女があまりにも格好良かった――だがそんな彼女も最期には勝ち目のない戦いに――


『ほむらちゃん。私ね、あなたと友達になれて嬉しかった。あなたが魔女に襲われた時、間に合って、今でもそれが自慢なの。
 だから、魔法少女になって本当に良かったって。そう思うんだ』


 そう言って彼女は――


 だからこそ――


『私は……鹿目さんとの出会いをやり直したい、彼女に守られる私じゃなくて彼女を守る私になりたい!』


 祈り――奇跡を起こし――


『鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ! これから一緒に頑張ろうね!』



「……?」

 轟音が響く、一体何が起こったのだろうか?
 目の前のダグバは未だ健在だ。だが――

「今のは……?」

 ダグバ自身、今の攻撃に多少は驚いた様だ。


「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」


 ピキ、ピキピキ――

 何だろう、今大切な何かがブチ壊されそうな音が聞こえた気がする。

「全く、折角俺が心配してやったのに銃なんか突きつけたバチが当たったんだ、ザマーミロ」

 ピキピキピキ――

「涼村……暁……」

 目の前にいたのはほむら自身が追い払ったバカだ。

「で、この白い化け物がやったんだな。この際だ、ぶっ潰す」

 そういってシャンゼリオンはダグバへと向き直る。


 物語は少し遡る。森の中を進みほむらを探していた暁は戦いの音が響いているのを聞いた。
 敢えて危険に巻き込まれるつもりは無かったが突然暴風が吹き荒れてきたのだ。
 そして周囲を見回したら重傷を負って木に叩き付けられたほむらに迫る白い怪物を見つけたのだ。
 流石に放置するわけにはいかず暁は一撃で決めるべく、

「シャイニングアタック」

 その言葉と共に胸部からシャンゼリオン自身を模したエネルギー体が出現し、ダグバ目がけて突撃をかけた。
 ダグバはその攻撃を察知し僅かに身体を動かし回避、
 エネルギー体はそのまますぐ後方の巨木に直撃し大穴を開けたのである。
 一方のシャンゼリオンはそのまま現場までかけつけ、

「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」

 と声を掛けたのである。



 そんな変わらぬ調子のシャンゼリオンを余所に

「面白い鎧を着たリントだね」
「リングだかマントだかわけの分からない事ばっかり言うんじゃないの」
「随分と楽しそうだね」

 流石のダグバもそう問いかける。思えば自分を前にした者達は皆恐怖に震えていた。にも関わらずこの男は平然としている。
 それがどうにも気になったのだ。

667「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:42:26 ID:uZpmRz7Y0

「そりゃそうでしょ、一度きりの人生、楽しまなくっちゃ」
「それなら僕を笑顔にして楽しませてくれるかな?」
「何言ってんの、俺に男を楽しませる趣味なんて無いっつーの、それは他を当たってくれ」

 そんな中、ほむらがゆっくりと立ち上がりシャンゼリオンの側に駆け寄る。

「ん、どうしたのほむらちゃん、ここは危ないんだから離れていなさいって」

 ビキビキ――

「……!」

 わき上がる感情を抑えつつ小声で断片的に大事な事を伝える。

「え? 何だって?」

 ビキビキビキビキビキ――

 状況的に余裕なんて無い。だから察して欲しいのだが本当にバカ過ぎる。
 故にほむらは密かに盾の中に入れていた為奪われなかったディバイトランチャーをダグバに悟られない様に突きつける。
 言うとおりにしろ、さもなくば撃つと無言で伝えるのだ。

「は、はいー!」
「どうしたの? やるの? やらないの?」


 業を煮やしたダグバが口にした次の瞬間、自身の身体に強い衝撃が走った。


「!?」


 そして気が付いた時には2人の姿が消失していた。


「ははっ……」


 どうやらあの瞬間ほむらが再び時を止め、隠し持っていた武器で仕掛けつつシャンゼリオンと共に撤退したらしい。
 ほむらの脚力では逃げられないがシャンゼリオンのスピードならば時止めの能力もあり十分対処可能。
 とはいえ、極端に遠いわけではないため追いつこうと思えば追いつけない事もない。だが、


「いいよ、今は見逃してあげる。次に会った時に笑顔に出来ればいいね」


 あえて2人を見逃す事にした。魔法少女、そして自分を前にしても楽しそうに笑う結晶の鎧を纏ったリント、確かほむらと暁という名前だったか、
 クウガ程では無いにしろ十分に自分を楽しませてくれる。それをあっさり殺すのは趣に欠ける。
 自分を殺す為に入念に準備を進めるというのならむしろ望む所だ、少しぐらいは待っても良いだろう。

 そんな中、元の姿に戻ったダグバは森を抜け道路へと出て、地図等を取り出し状況を再確認する。
 現在時刻は2時30分を過ぎたぐらい、確かほむらと交戦を始めたのはG-7辺り、どうやら戦いを繰り返し移動する内にH-7まで来てしまった様だ。
 このまま近くの市街地に向かっても良かったが道なりに進んで図書館方面に向かっても良いだろう。
 運良くクウガか魔法少女に出会えるかもしれない。そんな期待があった。

 そしてデイパックからもう1つダグバ自身に支給されたあるものを出す。

「これをエサにすれば戦ってくれるかな?」

 それはグリーフシード、説明書きによればソウルジェムの穢れを取り除くというものだ。
 詳しくは知らないが、ソウルジェムを持つ者にとっては重要なアイテムと考えて良いだろう。
 つまり、ダグバ自身ソウルジェムの事を看破した理由にはグリーフシードの存在もあったという事である。

 何にせよ、ソウルジェムを持つほむら達の様な者達にとっては是が非でも欲しいものである事は把握している。
 場合によってはこれをエサにすれば戦ってくれるかも知れない。勿論、素直に渡す様なお人好しな真似をするつもりは全くない。

「本当に楽しいゲゲルだよ」

 そう呟くダグバの表情は何処か楽しそうだ。市街地に行こうか、それとも図書館方面に行こうか、迷い所ではある。だが、


「リントの言葉にこんなのがあったね、ケセ・ラ・セラ」


 あるグロンギが口にし、この地においても約1時間後ガドル自身も口にするであろう言葉をリントの言葉で呟くダグバであった。


【一日目/黎明】
【H-7/道路】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式×2(食料と水は3人分)、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、ランダム支給品1〜4(ダグバ0〜2、ほむら1〜2(武器ではない))
[思考]
1:市街地に行く? それとも図書館方面に向かう?
2:この状況を楽しむ
3:クウガ(五代)、ヴィヴィオ、ほむら等ソウルジェムの持ち主(魔法少女)、暁のような存在に期待
[備考]
※参戦時期はクウガアルティメットフォームとの戦闘前です
※発火能力の威力は下がっています。少なくとも一撃で人間を焼き尽くすほどの威力はありません。

668「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:43:56 ID:uZpmRz7Y0





Chapter.08 さらなるライバル


「はぁ……はぁ……一体何が起こったんだ?」

 そう息を切らすシャンゼリオンとほむらはようやくダグバを振り切った。近くには妙に変わった池がある。
 ほむらが指示したのは至極単純な事、

『私の指示に従って!』

 それだけであった。そしてほむらはシャンゼリオンの腕を掴んだまま時を止め、暁に自分を抱きかかえさせ走らせたのだ。無論去り際にダグバに向けてディバイドランチャーを撃ち込み怯む時間を稼ぐ事も忘れずにだ。
 ほむらの力は基本的にほむら自身にしか適応されないが、ほむらが掴んだ人物だけは例外的に影響を受けないのだ。

 そう、ほむらは気付いていた。目の前のシャンゼリオンではダグバには勝てない事に――
 別に目の前のバカが死のうが生きようがどうでも良いがあのままでは自分も殺されていたのは確実だ。
 故に確実に生き残る為にシャンゼリオンの脚力を利用し逃走したのである。

「はぁ……はぁ……」

 何とか切り抜けたとは言え、ダメージは未だ大きく動くのにも支障がある状態。
 更に連続して時を止めた事によりソウルジェムの濁りも濃くなっている。
 このままグリーフシードを確保する事が出来なければ戦う事すらままならなくなるだろう。

「おーいほむらちゃーん、難しい顔して大丈夫?」

 ブチブチブチブチブチ――

 いや、これはバカなりに心配してくれているのだろう。
 それにバカであっても彼が居なければ死んでいたのは事実だ、その行動を踏みにじる程ほむらも落ちぶれてはいない。
 だが――

「助けてもらった事には礼を言うわ……でも……」
「礼を言う態度じゃないだろ」
「ほむら『ちゃん』だけは止めてもらえるかしら?」

 そういってディバイドランチャーを構えようとする。

「なんでぇ? いいじゃないか、ほむらちゃんなんて可愛いじゃないか」

 ビキバキベキボキ――

 わかっている、暁に悪意が無いのは理解している。だが――

「例えそうでも、貴方にはそう呼ばれたくないのよ……」

 助けられた時から感じていたが、ほむらちゃんと呼ばれる度にまどかとの大切な思い出がぶち壊される気がしたのだ。
 感謝はしている。だが、これ以上思い出を汚されたくはない、故にそう頼んでいるのである。

「じゃあ何て呼べばいいんだ?」
「……暁美かほむらで良いわ。どっちにしても『ちゃん』付けはやめて」
「わかったわかった、ほむら、これで良いんだろ?」

 暁もそれに折れ呼び捨てにした。流石にここに来てまで秘書である橘朱美を思い出す関係上、暁美と呼ぶ気は無い為、名前の方で呼んでいる。

「そうそう、一応聞いておきたいんだけど……ダークザイド……じゃないよね?」
「さぁ、知らない名前ね。何の話?」
「地球を狙う悪い奴ら、ま関係ないならどうでもいいか」

 詳しくは知らないものの暁はダークザイドと戦う戦士なのだろう。とはいえバカの事情にそこまで関わりたくは無いのでそれ以上追求する気はない。

「ところで、グリーフシードか何か持ってないかしら?」
「グリーンカレー? そういや腹減ったなぁ、これから街で食事にでも行こうか」
「食料なら支給されていたでしょ……聞いた私がバカだったわ……」

 暁はグリーフシードを持っていない。過度な期待はしていなかったが、正直哀しくなってきた。
 真面目な話、すぐにでも暁と手を切ってまどかを守る為に再び動かなければならない。
 だが、グリーフシードが無ければこれ以上の戦いはおろか単身で動く事すら厳しい状況だ。
 グリーフシードを確保するまではこのバカを利用しなければならないというのは泣きたくなってくる。

「あれ、ほむら、もしかして泣いちゃった? 誰だこんな可愛い子を泣かした奴は、あの白い化け物か?」
「貴方よ……」
「え? 俺?」
「……貴方には人を不安にさせる何かあるわ……どうしてこんなのが……」
「失礼な事を言うなっつーの」

669「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:45:56 ID:uZpmRz7Y0


 その時だった――


「三途の池か……こんな所で出会うとはな……」

 1人の刀を持った男が2人に近づいてきたのは。

「おい、そこのお前、そんな危ない物持って何考えてんの!」

 シャンゼリオンは変わらぬ調子で男に話しかける。

「……随分と楽しそうだな」
「そりゃそうでしょ、人生は一度しかないんだから楽しまなくっちゃ、ふんわかいこうよ、ふんかわとさぁ」
「涼村暁……あの人……」

 一方のほむらは目の前の男が放つ雰囲気を感じ取っていた。持っている刀の禍々しさから考えて恐らくは――

「そうだな、人生は一度しかないな……ならば!」


 意を決した男は懐からガイアメモリを取り出し作動させる。


 ――Metal――


 そして放り投げたメモリは吸い込まれる様に男の体内へと入り込み――


 その肉体を銀色の怪人へと変化させた。そしてそのまま――


「シンケ……いや、ドーパントメタル、志葉丈瑠、参る!!」


 裏正を構えた――


 意を決して戦場の近くまで来たが、そこにいたのはかつての家臣ともいうべき谷千明よりもずっと軽そうな結晶の鎧を身につけた暁と呼ばれた男と、重傷を負っているほむらと呼ばれた少女だった。
 恐らく戦いに巻き込まれた少女を男が助けたといった所だろう。
 傷ついた少女を見た所、普通の少女ではないのがわかった。恐らくは強い決意を胸に秘め、そのためならば殺しも厭わないのだろう。自分を見ても一切警戒を解いていない事からもそれは明らかだ。
 一方の男は力は持っているが何処か軽くこの状況でも人生を楽しんでいる事は理解出来た。楽しむ余裕もなく剣に生きるしかない自分から見ればとても羨ましく思えた。
 結局の所、丈瑠にとって2人は何処までも眩しい存在だったのだ。
 名簿の中身を思い出せば暁美に暁、ああ名前の通り眩しい存在だ。
 だが、丈瑠もここで引くつもりはない。丈瑠の中に残った最後の炎、剣に生きる事を果たす為、この2人と斬り合わねばならない。
 その場所が三途の川を彷彿とさせる三途の池なのはある意味洒落が利いている。外道に堕ちるに相応しい場所というわけか。

 ならば往こう、一人の剣士として――その想いを胸にシャンゼリオンへと仕掛けようとする。


「え? ちょっとお前何言ってんの!?」
「くっ……あの人も乗って……私はいつまでこのバカと付き合わなきゃ……」

 後ろでほむらが暴言を吐いている気がするがこのままでは危うい

「シャイニングブレード」

 そういって胸部から金色の剣シャイニングブレードを出現させ裏正による斬撃を弾く。
 だが、丈瑠が変身したメタル・ドーパントは構わず次の一撃を繰り出していく。

「こうなったらマジで勝負だ」

 その一撃をかわしシャンゼリオンもシャイニングブレードを構え、

「一振り!」

 シャイニングブレードを振り下ろす。しかしメタル・ドーパントはその一撃を平然と受け止める。

「なっ……」

 幾ら超パワーを持ったシャンゼリオンといえど暁には圧倒的に戦闘経験が少なすぎる。
 幼き頃からシンケンレッド、侍として鍛錬を積み、長年に渡って外道衆と戦い続けていた丈瑠に及ぶわけがない。


「拙いわね……」

 すぐ側で見ているほむらは察した、戦況は圧倒的に暁の方が不利。
 暁が倒される事自体は別段構わない。だが、忌々しい事だがグリーフシードが確保出来るまでは力を温存せねばならない関係上、現状唯一利用出来る暁がこのまま倒されるのは困る。
 それに殺し合いに乗っている丈瑠をこのまま放置するわけにはいかない、まどかの安全を守る為には倒さねばならないだろう。

(となると、私が奇襲をかけるしか無いわけね……え!?)

 その最中、メタル・ドーパントの視線が一瞬自分の方に向いているのに気が付いた。

(私の動きにも気を払っている……くっ、あのバカがもう少し頼れるなら……)

 恐らく、ほむらが何か仕掛けた時にはすぐさま対処出来るという事だろう。
 退ける事ぐらいは出来ても、逃げられれば同じ事だ。
 仕掛けるタイミングは見極めなければならない。

670「Eternal Flame」 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:47:45 ID:uZpmRz7Y0

 実の所、ソウルジェムの濁りは無視出来ないくらい厳しいのが現状だ。
 動けるまで肉体の回復に消費すると後どれぐらい時を止められるかはわからない。
 一方でここで時を止めて場を切り抜けた場合は肉体の回復に使えなくなる可能性が出てくる。
 手持ちの道具も殆どが奪われていて状況は最悪といっても良い。


(それでも私は諦めない……)



『私には出来なくてほむらちゃんに出来る事お願いしたいから……ほむらちゃん……過去に戻れるんだよね? こんな終わり方にならない様に歴史を変えられるって言ってたよね?
 キュゥべぇに騙される前のバカな私を助けてあげてくれないかな……』
『約束するわ……絶対に貴方を救ってみせる! 何度繰り返す事になっても必ず貴方を守ってみせる!』


 それはある時間軸で交わした約束――


『もう一つ頼んで良い……私……魔女にはなりたくない……嫌な事も悲しい事もあったけど守りたいものだってたくさん……この世界にはあったから……』
『まどか……!』
『ほむらちゃん……やっと名前で呼んでくれたね……嬉しい……な……』


 それは哀しくも大切な思い出――


(あなたの為なら……)


 たった一人の大切な友達を助ける為――


 彼女は永遠に続く旅路を繰り返す――


『ほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』


 胸に名前と同じく強い炎を絶やす事無く灯し続け――


【G-7/三途の池付近】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:全身にダメージ(極大・回復中)、疲労(大)、ソウルジェムの濁り(中・濁り進行中)、暁に対するイライラ、魔法少女に変身中
[装備]:ディバイトランチャー(シューター・ガンナー)、ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:無し
[思考]
基本:鹿目まどかを守る。
0:何とかして丈瑠を排除する。
1:鹿目まどかを発見する。
2:早急にグリーフシードを確保し、バカ(暁)と離れたい。それまではやむを得ないので利用する。
3:他の参加者から情報を集める。
4:ダグバ、ガドル、ゴオマは発見次第排除する。
5:鹿目まどかを守る目的以外の争いは避ける。
[備考]
※参戦時期は第11話キュゥべぇとの会話シーン後〜ワルプルギスの夜戦前。
※制限をある程度把握しました。一度に止められる時間は数秒程度、ソウルジェムの消耗がいつもより激しいです。
※プリキュアに関しては話半分に聞いていますが、「特別な力を持つ存在」だとは解かりました。
※未確認生命体及びクウガについてある程度把握しました。

【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康、シャンゼリオンに変身中
[装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW、ウィンチェスターライフル(14/14)
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:願いを叶えるために優勝する。
1:丈瑠をどうにかする。
2:ほむらと一緒に行動する。
3:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。
[備考]
※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。
 つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)

【志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康、メタル・ドーパントに変身中
[装備]:裏正@侍戦隊シンケンジャー、T2メタルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:殺し合いに乗り、戦う
1:暁、そしてほむらを斬る。
2:十臓は最優先に探し出し、決着を着けたい。
3:流ノ介や源太が相手でも容赦はしない
[備考]
※参戦時期は、第四十六、四十七幕での十臓との戦闘中です
※流ノ介や源太と戦うことに、迷いがあります

[共通の備考]
※G-7の森がダグバの攻撃により炎上しています。
※ベレッタM92FSは破壊されました。

671 ◆7pf62HiyTE:2011/12/21(水) 20:57:39 ID:uZpmRz7Y0
投下完了しました……が、早々に修正点が2つあったのでこの場で修正します。

Chapter.07のタイトル(スペルが間違っていた)
Chapter.07 Through the darkness into perfect light .

最後の共通備考について
※H-7の森がダグバの攻撃により炎上しています。

何か他に問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

なお、今回容量が54KBと分割が必要になりますので分割点の指摘を。
>>652-662(Chapter.06,01〜04)が前編(29KB)、>>663-670(Chapter.05,07,08)が後編(25KB)となっています(Chapter.06が冒頭に来ているのは作劇上の都合で間違いではありません。)

672名無しさん:2011/12/21(水) 21:05:55 ID:7Amc/5Ys0
投下乙です

あの組み合わせから予想できてたがやっぱりほむらが貧乏くじ引いたかw
馬鹿に振り回された挙句に強敵にぼこぼこにされるとか
命だけは助かったが思い出を踏み躙られた上に不本意でも協力しない状況になるとか…w
ほむらの思い出に馬鹿が重なるとか酷いぜw

673名無しさん:2011/12/21(水) 21:08:39 ID:7PV9qHDEO
投下乙です。あーあ、この馬鹿は早く死なねーかなwほむほむはもう御愁傷様・・・ホント出会う相手にロクなのがにねぇw
まあ、初期からの参戦って基本的には制限以上に大幅な弱体化なわけだしかなりキツいわなぁ。普通にやってもメタルゥ殿には勝てないか?

それにしてもやっぱダグバはヤバイ。四人も遭遇してるのに未だ死者が出てないのは奇跡だな・・・

674名無しさん:2011/12/22(木) 03:13:13 ID:4hxXEtHUO
投下乙です!
ほむほむのチート級な時間魔法すら通用しないとは、ダグバはやはり強いな。
それでいてキャラに違和感も感じられないのもすごいな。
そんでもって美味しいところかっぱらっていった暁。
そして締めは、メタル殿VS暁の燃える(?)主人公対決キターーー!!

675名無しさん:2011/12/22(木) 12:58:19 ID:tsEq3dos0
今日はなのはのPSPゲームの発売日だな

676名無しさん:2011/12/22(木) 18:30:46 ID:RunHaquEO
今度のゲームはここみたくロリなのはとヴィヴィオの共演だっけか?

677名無しさん:2011/12/22(木) 19:25:08 ID:tsEq3dos0
このロワの参加者だとスバルとティアナ以外の5人が参戦してるな

678名無しさん:2011/12/23(金) 00:30:49 ID:.5PaSqFM0
◆gry038wOvE氏の予約期限が過ぎたか……

679名無しさん:2011/12/23(金) 08:53:49 ID:Wjqh/dK20
思うんだけど、やっぱりもうちょっと期限とか伸ばしていいんじゃないかと思う
正直書き手の人達が全員、速筆であるとも限らないし。

680名無しさん:2011/12/23(金) 09:15:27 ID:F2y5zurE0
期限がどうとかというよりは連絡が無いって事の方が問題の様な気が……
間に合わないという事は期限の前からわかりそうなものだから連絡が出来ると思うし、そもそもそれすら出来ないくらいスケジュール的に厳しいなら予約すべきじゃないと思うんだけどなぁ。
それに折角のリレー企画なんだから全部1人で書こうとせずに途中で切ったって良いわけだし。

681 ◆gry038wOvE:2011/12/23(金) 09:36:47 ID:SUfae5.g0
すみません、前回の投下から間が開きすぎてたせいもあってルールを誤認していました
予約期限が過ぎてることすら気づかなかったので連絡もできませんでした…
自覚が足りてなかったのかもしれません、予約に関しては破棄ということで構いません

682名無しさん:2011/12/23(金) 16:56:50 ID:C7j1Mf6QO
正直序盤の分量くらいなら完全オフの日が一日あれば書けるし、それを目安に予約するから
五日で足りないから七日とかよくわからん
その期間だと、結局休みの日が含まれる割合は変わらんよね一般的に
みたいな

まぁ+2あれば間に合うようになるんだって言うなら、別に反対はしないけど…

683名無しさん:2011/12/23(金) 17:53:53 ID:vEOLEcc.0
そもそもの話、予約=執筆開始じゃないしね
予約した段階で半分出来上がってたり全文完成してても問題はないわけだし

684名無しさん:2011/12/23(金) 18:19:26 ID:TbL1L4gs0
いや、予約してから執筆開始する人もいるから何とも言えない

685名無しさん:2011/12/23(金) 19:09:33 ID:C7j1Mf6QO
まぁどっちにしろ、書こうとしているSSの分量と、
使える時間を考えて予約すればいいと思うけどね
平日を執筆時間にすると、きついし予定が狂いやすいからお勧め出来ない
見直しとか、調べ物に当てた方がいい

686名無しさん:2011/12/23(金) 22:27:50 ID:6FP1PWNc0
……今回の場合はルール誤認が原因だから期限の長さが問題じゃ無い様な……
ま、今の段階なら>>682の通り、5日でも7日でもあんまり変わらないと思う。

それより新しい予約が……あ、なんかオワタ……

ところで、どのグループあるいは参加者がみんな楽しみ?

687 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:41:14 ID:81Kv1T5M0
投下します

688再会、それは悲劇 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:43:11 ID:81Kv1T5M0
月影ゆり――キュアムーンライトは、灯台を目指していた。
別に人がいることを期待しているわけではない。
むしろいない可能性の方が高いだろう。
だが…この殺し合いがスタートして数時間、もしもいまだに島の端にある灯台にとどまっているものがいるとすれば、それは戦う力のない弱者である可能性が高い。
そのような参加者がもしいれば、主催打倒を誓う強者に保護される前に仕留めておきたい。
そういう考えだった。
ちなみに灯台を調べた後は、ホテルを経由して村へ向かってみようと考えている。
灯台を目指すゆりは、森の中を北上し地図でいうC−8エリアへ差し掛かった
そしてそこで…


「ダークプリキュア…!」
「…よもやこんな早くに会えるとは思っていなかったぞ、キュアムーンライト!」


そこにいたのは、因縁の深い妹の姿だった。



(まさかこんなに早くに遭遇するとはな)

ダークプリキュアは、心の底で狂喜していた。
惑星城でつけられなかった決着を、ついにつけることができるのだ

「!…そこに倒れてるのは」

ムーンライトが何かに気付いたようにはっとしている。
ああ、そういえば餌の存在を忘れていた。

「ああそうだ、キュアマリン。お前の仲間だ。お前を探すための餌にしようと思っていたが、もう用済みだな」
「…彼女を殺すつもりなの」
「心配するな、すぐに殺しはしない。殺すのは…」

そこでダークプリキュアはにやりと挑発するような笑みをこぼす。
そして、凄まじき殺気を一気に放出する。


「お前を倒してからだ!キュアムーンライト!!」

689再会、それは悲劇 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:44:43 ID:81Kv1T5M0
ダークプリキュアの拳がムーンライトめがけて放たれる。
それに対してムーンライトも拳を放ち、二人の拳が衝突する。

「くっ…!」
「ちっ…!」

お互いの必殺の一撃が衝突し、二人の体は後方に吹き飛ばされる。
そして、次の行動に先に移ったのはムーンライトだった。


「ムーンライト・シルバーインパクト!」
「ぐう……!」


エネルギーをこめた拳が、ダークプリキュアに叩き込まれる。
ダークプリキュアはそれを、両の手で受け止めた。

「そんな…」
「はあああ!」

ムーンライトの攻撃を受け止めきったダークプリキュアは、そのままムーンライトの体を投げ飛ばした。
投げ飛ばされ、地面を二転三転と転がるムーンライト。


「どうした、お前の力はその程度か」
「く……勝負はこれからよ!」


ムーンライトは立ち上がり、再びダークプリキュアへと向かっていく。
それに対しダークプリキュアもムーンライトに向かっていく。
二人の拳と蹴りの応酬による拮抗が続く。

「どうしたキュアムーンライト!押されているぞ!」
「くぅ……!」

しかし、その拮抗は徐々に崩れ始め、ダークプリキュアに流れが傾いていた。

690再会、それは悲劇 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:46:02 ID:81Kv1T5M0
(まだ…決意を固めきれていないというの)


ムーンライト…月影ゆりは確かに殺し合いに乗る決意をした。
そして、たとえ同じプリキュアの仲間がであろうと、自分の妹であるダークプリキュアであろうと容赦はしないと決めた。
しかし、そもそもゆりの目的は父とコロン、そして妹と共に母の下に帰ることなのだ。
目的のためとはいえ、その妹を手にかけることに戸惑いがないはずがない。
その戸惑いは現在、ゆりの強靭な意志によって封じ込められてはいる。
しかし、微細とはいえ心にそのような綻びを生じさせた状態で、全てをかけて全力で向かってくるダークプリキュアに対抗できるはずがなかったのだ。

「はああ!」

ダークプリキュアの赤いエネルギー弾が命中し、ムーンライトは吹き飛ばされる。

「く……」
「これでとどめだ、プリキュア・ダークパワー……」


「マリン・インパクト!」


今まさに必殺の一撃が放たれようとしたその時、割り込んできた攻撃。
その攻撃の主――キュアマリンの掌底波が、ダークプリキュアに叩き込まれる。

「ぐうう!?キュアマリン、いつの間に…」
「まだだよ〜!はあああ!」
「うあああ!」

突然の攻撃に体勢が崩れたダークプリキュアに、さらにマリンの渾身の拳が叩き込まれる。
ダークプリキュアは防御も間に合わず、吹き飛ばされてしまう。

「そこよ!」

吹き飛ばされて無防備なダークプリキュアにムーンライトの回し蹴りが叩き込まれる。
今や戦いの流れは、変わっていた。
マリンはムーンライトに目で合図を送った。
ムーンライトもその意図を察して頷く。

691再会、それは悲劇 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:47:13 ID:81Kv1T5M0
「集まれ花のパワー!マリンタクト!」
「集まれ花のパワー!ムーンタクト!」


それぞれの言葉に応じるように、マリンにはマリンタクトが、ムーンライトにはムーンタクトがその手に握られる。


「花よ煌け!」
「花よ輝け!」


そして、それぞれのタクトから今、必殺技が放たれる!


「プリキュア・ブルーフォルテウェイブ!!」

「プリキュア・シルバーフォルテウェイブ!!」


水色と銀色、2色の花がダークプリキュアへと向かっていく。


「ぐうううううう……」


対するダークプリキュアは、黒き翼にて二人の攻撃を防ごうとする。
しかしマリンとムーンライト、二人の必殺技の威力の前にその体はどんどん後退してゆく。

「はああああ!」
「なっ!?」
「防ぎ切った…!」

それでもなお、ダークプリキュアは二人の攻撃を防ぎ切った。
二つ分の浄化の技は、光の粒子となってかき消される。

「…次は負けない」

ダークプリキュアはそう言い残すと、その場を去って行った。

692再会、それは悲劇 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:48:31 ID:81Kv1T5M0
「く、あと少しだったものを…おのれ、キュアマリン!」

二つのフォルテウェイブを防いだダークプリキュアだったが、その際の消耗がさすがに激しかった。
その上戦いの流れを向こうに奪われ状況が芳しくないと判断し、撤退したのだ。
ダークプリキュアとて、宿敵を前に退くのに抵抗がなかったわけではない。
しかし、目的を果たせないまま無駄死にするつもりもなかったのだ。
自分の目的はキュアムーンライトを倒し、サバーク博士の下に帰ること。
だから奴は、キュアムーンライトは、態勢を整えて確実に倒す。


「待っていろキュアムーンライト、次こそ必ずお前を倒す!」


時刻は午前4時。あと2時間で放送だ。
とりあえずそれまでは身を隠すとしよう。


【1日目/早朝 E−8 森】

【ダークプリキュア@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(小)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1〜3個
[思考]
基本:キュアムーンライトを倒し、優勝してサバーク博士のもとへ帰る
1:放送まで身を隠して休息する
2:キュアマリンとキュアムーンライトは次こそ倒す
[備考]
※参戦時期は46話終了時です



「ゆりさん、大丈夫!?」
「…さすがに少し疲れたわね」

さっきまでのダークプリキュアとの戦いで、ゆりさんはだいぶ苦戦してるようだった。
逃げて行ったダークプリキュアのことも気になるが、今は彼女を休ませた方がいいだろう。

「いや〜、それにしてもゆりさんとこうして無事に合流できてほんとに良かったよ!」

いつきとは合流しそこなったが、おそらくあの轟音を聞きつけホテルの方へでも向かったのだろう。
彼女や、どこにいるか分からないけどつぼみとも早く合流したいところだ。
一方のゆりは、自分の言葉になぜか悲しそうな顔をしていた。
あり?なんか変なこと言ったかな。

「…私は会いたくなかったわ」
「え?」

それってどういう…


「なぜなら、あなたを殺さなくてはいけないから」


グサリ

693再会、それは悲劇 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:50:06 ID:81Kv1T5M0
「破邪の剣…説明書に書いてあったとおりね」

来海えりかの遺体を眺めながら、月影ゆりはつぶやく。
彼女がえりかを刺したそれは『破邪の剣』。
いくつもの魔戒騎士を死に至らしめ、常人なら即死してしまうという短剣だ。

「…灯台へ向かう前に、せめて彼女を弔ってあげないとね」

彼女は大切な仲間だった。
その彼女の遺体を野晒しにしておくことはさすがにゆりの良心が痛んだのだ。
ちなみに北の灯台へ向かうという行動方針は変えない。
南へ逃走したダークプリキュアも気になるが、先ほどの戦いで自分に彼女を倒す覚悟がまだ足りないことを痛感したのだ。

「えりか…」

ゆりはまだ温かさの残るえりかの手を握り締め、その名を呼んだ。
来海えりか。プリキュアとしての仲間であり、友であった少女。


「…ごめんなさい」


【1日目/早朝 C−8 森】

【月影ゆり@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、キュアムーンライトに変身中
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式×2、プリキュアの種&ココロポット×2、ランダム支給品0〜2、えりかのランダム支給品1〜3、破邪の剣@牙浪―GARO―
[思考]
基本:殺し合いに優勝して、月影博士とダークプリキュアとコロンとで母の下に帰る。
1:えりかを埋葬する
2:灯台へ向かう
3:2の後、ホテルを経由して村へ向かう
[備考]
※ハートキャッチプリキュア!48話のサバーク博士死亡直後からの参戦です。

【来海えりか@ハートキャッチプリキュア! 死亡確認】
【残り64人】

694 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 09:54:11 ID:81Kv1T5M0
投下終了です

>>486
自分は翔太郎、ユーノ(+フェイト、杏子)かな
翔太郎とユーノの登場話は自分が初めてパロロワで書いた話だから思い入れが深いので

695名無しさん:2011/12/24(土) 13:01:03 ID:oq7O/43w0
投下乙です

ゆりちゃんはとうとうやってしまったかあ…
ダークを勧誘するかと思ったが単独優勝狙いか。まあ。原作でも不器用な部分あったしな
そしてえりか…

696 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/24(土) 16:02:56 ID:81Kv1T5M0
間違えた>>486じゃなくて>>686

697名無しさん:2011/12/24(土) 20:35:24 ID:OWn5IQAs0
投下乙です!

ゆりさんが遂に星をあげてしまった……
しかもよりによってえりかとは……
もう戻れない修羅の道なのか

698名無しさん:2011/12/25(日) 03:30:50 ID:XowKVQL6O
投下乙です。

このロワの第二の犠牲者はプリキュア・えりか、それも下手人はよりにもよって同じプリキュアのゆりさん。
もはやプリキュアならぬ黒キュア的展開。
ただ破邪の剣で具体的にどこを刺されたのかの描写が欲しかったところです。
(次の書き手氏が、他のキャラがえりかの死体を発見した時の反応を書きやすいと思うので)

>>686
個人的にはスバル・さやか辺りが気になるところ。
両者とも今後、転落街道マッシグラーでも、正気に戻って正義の味方に戻っても美味しそうなので。

699 ◆eQhlNH2BMs:2011/12/25(日) 07:59:05 ID:JhEurEkg0
>>698
指摘どうもです
その辺は後続の書き手さんの自由にしていいんじゃないかと。
描写した方がいいならそうするけど。
まあどっちみちえりかは埋葬されるから発見されることはそうそうないだろうけど。

700 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 07:52:11 ID:RATbBJLs0
投下乙です!
ああ、やっぱりえりかはそうなる運命でしたか……
ダークを退けた途端にこうなるなんて……ゆりさんはこれからどうなるのでしょう。

>>686
基本的にみんなどうなるのか楽しみですが
現状で一番気になるのは、市街地に集まった参加者達ですね。
あそこから誰が生き残って、誰が倒れるのか考えただけでもドキドキします……

それでは、自分も投下を開始します。

701魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 07:54:56 ID:RATbBJLs0

「……これでいいですね」
「へへっ……悪いな、沖」
「いえ、困った時はお互い様ですよ」

 沖一也は志葉屋敷の一室にて、一文字隼人の身体に包帯を巻きながら穏やかな笑顔を向ける。
 先程暗黒騎士キバと名乗った重厚な鎧を纏った男によって負わされた傷は決して浅くはないが、処置をすれば何とかなるかもしれない。幸いにもこの屋敷には、その為の道具がいくつかあった。
 沖自身は知らないが、この屋敷は侍戦隊シンケンジャーが外道衆から人々を守る為の拠点とも言える。そこには彼らを支える黒子達が如何なる事態にも対処できるように、あらゆる備えを用意していた。
 当然、医療器具もある程度は充実している。

「よし……これなら何とかして戦えるな」

 そして出来る限りの処置を終えた頃、一文字は立ち上がって右手で胸を軽く撫でる。彼は力強い笑みを浮かべているが、沖は決して安堵することは出来なかった。

「待ってください、これはあくまでも応急処置なんですから無理をしてはいけませんって」
「馬鹿野朗、今は一刻を争う緊急事態なんだ。これくらいの傷を耐えなくてどうする」
「それは分かっています。でもさっき戦ったあいつみたいな敵がまだたくさんいるかもしれません」
「そいつらを手っ取り早く倒せばいいだけの話だろうが」
「そういう問題じゃないでしょう!」

 一文字は明らかに強がっているが、無理をしてはすぐに傷口が開く恐れがある。それが沖にはどうしても不安だった。
 確かに仮面ライダーは多少の傷を負っていたとしても、人々を守る為ならば戦わなければならない。一文字の言う事は正しかった。

「お前、俺の事を見くびってるのか?」
「そうじゃありません。ただ、あなたの怪我を無視するわけにはいかないだけです」
「おいおい、俺がどれだけの戦いを乗り越えてきたのか知らないって訳じゃないよな?」

 頭を乱暴に掻きながら、一文字は呆れたような目で沖を見つめる。

702魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 07:55:45 ID:RATbBJLs0

「……まあいい、お前に言っておくことがある」
「言っておくこと?」
「ついてこい」

 思わず怪訝な表情を浮かべる沖に背を向けて、一文字はすぐ近くにあった戸を横に引いて部屋から出た。
 沖はまだ無理をしてはいけないと引きとめようとするが、その為の言葉は出なかった。今の一文字を休ませようとしても、聞く耳など持たない事を知っている。
 一文字に言われるまま木造の廊下を歩き、開かれた扉から外に出た。冷たい夜風が吹き付けてくるも、宇宙進出の為に改造を施したこの身体にとっては微風に過ぎない。
 やがて志葉屋敷の大きな壁を伝って歩いた先には、二台のバイクがある。その中の一つは、沖自身もよく知る最初の仮面ライダーが愛用していた、サイクロン号だった。

「これはサイクロン号じゃないですか!」
「あのキバって野朗に遭遇する直前に見つけたんだ。しかも幸運にも、鍵まで付いてやがる」
「そうですか……」
「そこで沖、今からこいつに乗って二手に分かれて行動するぞ。お前はサイクロン号に乗って東に向かえ」
「えっ?」

 いきなり出てきた一文字の言葉に、沖はぽかんと力なく口を開けてしまう。しかしそれはほんの一瞬で、すぐに目を見開いた。

「それって、俺と一文字さんで別行動をしろって事ですか!?」
「他に何がある」
「駄目です、あなたを一人にするわけにはいきません! ここで下手に別行動をするなんて危険すぎます!」

沖は必死に抗議する。
何が起こるか分からないこの状況で単独行動をしては危険極まりないし、何よりもせっかく再会した先輩と別れるなんて出来なかった。

703魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 07:59:46 ID:RATbBJLs0
「おいお前、何か勘違いしてないか?」

 しかしそんな沖の心配など余所に、一文字は軽い溜息を吐く。

「俺達仮面ライダーはショッカーやドグマ、それにBADANのような悪の組織から人間を守るのが使命だろ」
「それは分かってます!」
「だったら、何故俺だけにこだわる? お前も仮面ライダーなら、優先するのは何だ? お前の拳や命は何の為にある? 言ってみろ」
「人の夢や……想いです。この力は、それを守る為に手に入れました」
「分かってるじゃねえか」

 その答えに満足したのか、一文字は不敵な笑みを沖に向けてきた。

「俺を心配するのは勝手だが、何を優先させるべきかをしっかりと見極めろ。ここにはあの加頭っていけ好かない野郎の陰謀に巻き込まれた人達が、大勢いるだろうが」
「でも、だからって一文字さんを……」
「おいおい、こうしている間にも罪のない命が次々に犠牲になったらどうする? だったら、一緒に行くよりも別々に行動する方が効率も良いだろ? 本郷や結城や村雨と合流できるだろうし」

 一文字の提案は理解することが出来ても、納得する事が沖には出来ない。
 しかしここで反対しようとしても、一文字は何としてでも追っ払おうとするはず。何よりも、同行する事で進めない道で犠牲者が出てしまうのは、一文字が言うように避けなければいけなかった。

「……分かりました、確かに今は二手に分かれて行動した方が得策かもしれませんね」
「だろ?」
「ただし、一文字さんも決して無茶をしないでください。もしもあなたに何かあったら……」
「分かってるって……おっと、もう一つ忘れてた」
「今度は何ですか」

 沖がその提案を受け入れた後、一文字は肩にかけたデイバッグに手を入れる。
 その中から一枚の地図を取り出した一文字は、自分達が今いるであろう『B−02』の地点を左手で指した。

「俺達が今いるのはここだ……でだ、今日の18時までに島の反対側にある町で落ち合おうぜ。そこまでどう動くのかはお前の勝手だからな」
「わかりました、もし本郷さんや結城さんと出会えたらそう伝えておきます」
「頼んだぞ」

 そう静かに語る一文字はいつもの頼もしさを感じさせる笑みを向けながら、右肩をポンと叩く。

704魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:01:24 ID:RATbBJLs0
 ここまで言われてやらないわけにはいかない。一文字を一人にすることに後ろめたさを感じるが、これ以上何か言うのは決意を侮辱する事になってしまう。
 沖はサイクロン号に跨ってキーを回し、勢いよくハンドルを回した。エンジン音が力強く唸りを鳴らす中、一文字の方に振り向く。

「一文字さん、どうかご無事でいてください」
「ああ、お前こそ」

 そのやり取りを終えた後、沖は前を向いてバイクを走らせた。まさにサイクロンの名を示すかのように、竜巻を思わせるような勢いで。
 このマシンを乗るからには、振り向くことも止まることも許されない。本来の持ち主である本郷猛は、サイクロン号に乗って悪の組織に立ち向かう風となったのだから。
 その意志を継ぐ9番目の男である自分もまた、加頭に立ち向かう風にならなければならない。
 自らにそう言い聞かせる沖の瞳は、穏やかでありながら強い決意が感じられた。


【1日目/黎明 B−3 道路】


【沖一也@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS
[思考]
基本:殺し合いを防ぎ、加頭を倒す
0:東に向かい、殺し合いを止める為に仲間を探す
1:仮面ライダーとして人類を護る
2:先輩ライダーを捜す
3:鎧の男(バラゴ)は許さない。だが生存しているのか…?
4:仮面ライダーZXか…
[備考]
※参戦時期は第1部最終話終了直後です
※一文字からBADANや村雨についての説明を簡単に聞きました
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました
※18時までに市街地エリアに向かう予定です。
※村エリアから東の道を進む予定です。(途中、どのルートを進むかは後続の書き手さんにお任せします)





705魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:02:08 ID:RATbBJLs0
「……さて、これからどうするか」

 建物の影で座り込むバラゴは、仮面ライダー達との戦いで負ったダメージが癒えるのを感じると、静かに立ち上がる。その手には、ホラーの魂が封印された魔弾が握られていた。
 二人の仮面ライダーとの戦いを経験し、これを撃ち込んで下僕として動くホラーにさせようと考えた。
 だが、それを易々と許すような相手か? 答えは否だ。
 冷静になって考えてみると、あのような異形の存在ならば銃声に気付いて回避行動を取ることも出来るはず。だとすると、下手に撃っては弾を無駄に消費するどころか返り討ちにあう恐れもあった。
 しかしだからといって、実力で押さえつけてから魔弾を当てるのも難しい。正面から向かうなど論外だし、不意打ちだけで勝てるような半端者でもないだろう。
 どうしたものかと、バラゴは考える。

「冴子さん、ようやく森を抜けましたね!」

 しかしそんな彼の思考を打ち消すような大声が、突如として響き渡った。それを耳にしたバラゴは立ち上がり、足を少し進める。
 見ると、一組の男女が歩いていた。男は騒いでいるのに対し、女は呆れたように溜息を吐いている。
 名も知らない男は、この状況にも関わらずして『冴子さんを守る』などと大声で喚いていた。こいつはただの馬鹿と考えて良い。
 逆に冴子と呼ばれている女の方は割と落ち着いた態度で、男の言葉を適当に流していた。どうやら、速水と言う男にはうんざりしているように見える。
 見たところ、奴らはこの殺し合いに乗ってないようだったがそれはどうでもいい。あのような者達に魔弾を打ち込めさえすれば、仮面ライダー達を打破する戦力となる。
 恐らくこの殺し合いに呼び込まれているからには、二人も何らかの力を持っているはずだ。魔戒騎士や仮面ライダーに及ぶかどうかは分からないが、無いよりはマシ。

「幸運だったな。お前達は魔界へと向かう切符を、一足先に手に入るのだから」

 仮面ライダー二人を従えられないのは痛いが、背に腹は代えられなかった。奴らの片方を捨て駒にして、片方の仮面ライダーをホラーにすればいい。
そう思いながらバラゴは右手で握った拳銃に魔弾を装填。そのまま、引き金を引いた。





 険しい山道で鬱蒼と生い茂った森を抜け出した園咲冴子に、夜空の光が降り注ぐ。しかし、ようやく不安定な道を抜け出したからと言って安心することは出来ない。
 ここは殺し合いの場。ちょっとでも気を抜いたら、それが一瞬で死に繋がることになりかねない。
 敬愛する井坂深紅朗と合流するのを目指す以上、そんな事があってはならなかった。

706魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:03:13 ID:RATbBJLs0

「冴子さん、ようやく森を抜けましたね!」

 そしてもう一つ、冴子にとっての不安要素があった。森の中で遭遇した、速水克彦という男。
 単独行動は避けねばならないと思って接触したが、馬鹿みたいに喚くので鬱陶しい事この上ない。
 第一、大声を出した時点で誰かに見つかる可能性があった。それが利用できる奴ならまだいいが、もしも殺し合いに乗った狂人ならば見つかってしまう。出来るなら一刻も早く速水を切り捨てたいが、今は我慢しなければならなかった。

「そうね、ここに井坂先生や霧彦さんがいるといいけれど」
「そうですね……一刻も早く井坂先生のような正義の心を持つお方を見つけて、あの加頭という男の陰謀を食い止めなければ!」
「ええ……私も速水さんの言うとおりだと思うわ。こんな馬鹿げた戦い、早く止めさせないと」
「全くです! みんなが力を合わせて平和の為に戦う……それが一番ですから!」

 喜色満面な速水の叫び声は冴子の耳に響く。あまりの喧しさに舌打ちしそうになるものの、彼女はそれを堪えた。
 ここでこいつを切り捨ててもその場しのぎにしかならない。馬鹿と別れられるのは結構だが、その後は単独行動を強いられる。それにダークザイドという未知の存在に対する知識も今後必要になるかもしれない。
 だから今は速水と同行するしかなかった。

「冴子さんを守る! そして井坂先生や霧彦さんとあなたを再会させたいと……俺は今、モーレツに思っている!」
「そ、そう……それは嬉しいわね」

 しかしそうは言っても、やはり苛立ちが募ってしまう。
 だがここで黙らせようとしても、言って聞くようなタイプとはとても思えなかった。もし五月蠅いのを指摘したら、今度はしつこいくらい謝ってくるだろう。それでは意味がない。
 今は出来る限り速水の言葉を流すしかなかった。もしもこの先利用出来る奴と出会えたら、そいつに押しつければいい。
 こんな奴と付き合うのはそれまでの辛抱だ。その後はこいつがどうなろうと知ったことではない。
 生きようが死のうが、誰かを殺そうが誰かに殺されようが、どうでもよかった。人間に殺されようと怪物に殺されようとまるで興味が沸かない。
 それこそ今、この場でドーパントのような怪物に殺されようとも構わなかった。もっとも、そんな事など起こっては困るが。

「あの男……一体何を考えているんだ!? 俺達をこんな訳の分からない戦いを強いて、一体何をしたいんだ!?」
(それはあなたの方でしょ……)

 本当はそう突っ込みたかったが口に出来るわけがないので、心の底で毒を吐く。

(全く……何でよりにもよってこんな奴なのよ。最悪だわ……)

 己の不運を嘆くことしか冴子には出来ない。
 加頭という訳の分からない男によって殺し合いに放り込まれた挙げ句、頭のおかしい奴と行動する羽目になる。
 これを最悪と言わず、なんと言えばいいのか。

(誰でもいいから、早くこいつを何とかしてよ……)

 この男と別れられるならもう何だっていい。不可能なことは分かっているが、速水はもう耐えられなかった。
 こんな男と一緒にいては命が幾つあっても足りないかもしれない。だから、何とかしたかった。
 苛立ちのあまりに、冴子は叶うはずのない願いに縋ってしまいそうになる。

707魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:04:27 ID:RATbBJLs0
 その直後、闇の中で一発の銃声が鳴り響いた。冴子はそれに一瞬で気付くも、次の瞬間には脇腹に強い衝撃が走り出す。
 それを感じた頃には、冴子は悲鳴をあげる暇もなく地面に倒れた。大量の血液が流れだし、身体が寒くなる。
 しかし不思議と痛みはなかった。自分が撃たれたことは一瞬で気付いたはずなのにまるで痛くない。
 その代わりにたった一つだけ妙な感覚が生まれていた。自分の中にどす黒い何かが生まれ、それが身体の中に広がっていく。
 自分の身体が自分のものでなくなっていくような気がして、冴子は吐き気を感じた。しかしそれはほんの数秒だけで、次の瞬間には彼女の視界は漆黒に満ちる。
 それは、人間としての園咲冴子が終わりを告げる合図だったが、彼女がそれに気づくことは永久にない。
 何故なら、彼女の意識は魔界に生きるホラーに食い尽くされてしまったのだから。





「冴子さん、冴子さんっ! しっかりしてください!」

 速水克彦は突然倒れた園咲冴子の身体を必死に揺さぶるが、彼女は死んだように反応しない。
 彼女の左脇腹には、まるで銃で撃たれたような穴が開いている。それが何を意味するのかなんて考えるまでもないが、速水は認めることなど出来ない。
 守るべき人であるはずの園咲冴子が撃たれたという事実を。

「冴子さん! 冴子さん……ッ!」

 速水は呼びかけるが返事は何も帰ってこない。
 冴子の身体が次第に冷たくなっていくのを感じて、彼の中で後悔が生まれる。人々の平和を守る戦士と自負していたのに、たった一人の女性すらも守ることが出来なかった。
 その自責の念は次第に、彼自身と下手人に対する怒りへと変わっていく。
 
「誰だ! 出てこい!」

 激情のあまりに冴子の身体を手放して、速水は大声で叫びながら闇の中を見渡すが誰も見つからない。
 しかし、影から女性を狙撃するような卑劣な輩は絶対に近くにいるはずだと、速水は思っていた。

「許さない……許さないぞ! 彼女を影から……」
『TABOO』

708魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:05:32 ID:RATbBJLs0
 そんな彼の怒りを遮るかのように、野太い声が響き渡る。
 速水は反射的に振り向いた途端、その身体が大きく持ち上げられた。次の瞬間には、首が大きく締め付けられていく。
 突然現れた、異形の怪物によって。

「な、なんだ……お前は……! ダークザイド……かっ!?」

 ギリギリと首が音を立てて軋む中、速水は相手を睨み付ける。
 それは、速水が常日頃戦っている闇次元から襲来するダークザイドというモンスターを彷彿とさせる存在だった。
 鬣は燃え上がる炎のように逆立っていて、赤い唇の両端から頬に糸が縫われたような跡がある。右肩に付いた頭蓋骨と、蓑虫のような下半身の先で光を放つ一つ目が薄気味悪さを演出させていた。
 
「冴子さんは、冴子さんはどうした……ッ!?」

 呼吸が遮られる中で彼は冴子を探すが何処にも見あたらない。いるのは、肘と腹部に彩られた灰色以外、全身が赤と黒の二色を帯びた怪物だけ。
 それが意味するのは、冴子のラームがこのダークザイドに食い尽くされてしまった事。速水はその可能性に思い当たったが、もう遅すぎた。
 速水の首を絞める怪物、タブー・ドーパントは右手を真っ直ぐに向けるとそこから球状の炎が生まれる。
 それに驚いて目を見張った瞬間、速水の世界は一瞬で灼熱に飲み込まれてしまった。





 頭部が跡形もなく焼失した速水克彦の遺体を、タブー・ドーパントは無造作に投げ捨てる。
 異形の下に潜む園咲冴子の表情は、死人のように冷たく固まっていた。まるで冴子自身が殺意を覚えていた、加頭順のように。
 しかしそれを冴子が気付くことはなく、何よりも考えることもなかった。

「成る程、君はあのドーパントという奴だったのか」

 そんなタブー・ドーパントの前に、辺りに広がる闇の中からバラゴが現れる。
 バラゴが冴子に魔弾を撃ち込んだのは、男より女の方が利用価値がまだある為。人間の男は愚かにも、女の色気仕掛けに負けてしまう時があった。
 しかし命中してから状況は変わる。何と、冴子が速水を殺す際に加頭順が見せ付けたガイアメモリを所持し、ドーパントに変身したのだ。
 良い拾い物を得たと確信したバラゴは、闇の中でニヤリと笑う。

「それにまさか、これを持っているとは……」

 そしてバラゴが微笑んでいるのに、もう一つの理由があった。
 放置されていた冴子のデイバッグの中にある支給品に、あの魔弾が二発も含まれていた為。つまり、貴重な魔弾を消費するどころか逆に増やすことが出来る。
 これではまるで、運命が自分の勝利を願っているかのようだった。この他にも都合の良い道具はあるだろうが、梅干しやよく分からない漫画及びキーホルダーはこの場に捨てるしかない。
 バラゴは気持ちが高ぶりつつある中、タブー・ドーパントに振り向く。

「村にいるはずの仮面ライダーを出来るだけ殺さないように消耗させろ。まあ抵抗するなら、殺しても構わないが」

 バラゴがそう言い放つと、タブー・ドーパントは何も答えることなく宙に浮かんだ。
 恐らく、これもドーパントが持つ能力の一つなのだろうと彼は思う。加頭はメモリの能力は極めて多彩と言っていたから、空が飛べたところで何らおかしくない。
 夜空の元で飛び続けるタブー・ドーパントの後を、バラゴはゆっくりと歩いた。

709魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:08:18 ID:RATbBJLs0





「……あの野郎、見つからねえな」

 沖一也が去ってから数十分の時間が経った後、一文字隼人は志葉屋敷の周辺を歩いている。
 沖が去った後、彼はこの付近にいるはずのがんがんじいもどき、暗黒騎士キバを探していた。いくらスーパーライダーダブルキックを叩き込んだとはいえ、まだ生きている可能性がある。
 あれからすぐに爆死したのかもしれないが、そんな轟音は聞こえてこなかった。もしかしたらダメージが深くて死んだかもしれないが、楽観的に考えては痛い目を見る。
 沖と共に探せば見つかる可能性が上がったかもしれないが、こんな事を二人でやっても無駄に時間を浪費する可能性があった。
 だから一人で村を捜索したが、それらしい影は全く見あたらない。

「そろそろ行かないとやばいな……」

 軽く舌打ちしながら、一文字は先程見つけたバイクの前に立つ。
 彼自身は知らないが、それは科学警察研究所が未確認生命体と戦う仮面ライダークウガを支援するために開発した、ビートチェイサー2000と呼ばれるマシンだった。
 このまま村に留まってキバを探していても、見つかるかどうか分からない。ならば今は一人でも多くの仲間を優先させなければならなかった。
 一文字はビートチェイサー2000のハンドルに、手をかけようとする。

「――ッ!?」

 しかしその直後、背後から突き刺さるような殺気を感じた。
 反射的に横へ飛ぶと、一文字とビートチェイサーとの間に勢いよく炎が横切って、地面に衝突する。
 爆音が響く中、彼は炎が飛んできた方向に振り向いた。視界の先には、一体の怪人――一文字が知らないタブー・ドーパントと呼ばれる怪人――が宙を漂っているのが見える。
 メラメラと音を立てながら燃え上がる背後より熱が突き刺さる中、怪物の掌に火球が生成されていた。怪人はそれを投げつけてくるが、一文字は背後に跳躍して避ける。
 そこから次々と火炎が放たれるが、どれも一文字は飛ぶことで回避し続けた。

「問答無用って訳か……」

 辺り一帯が炎に包まれる中、一文字は呟く。
 こいつは敵だ。BADANの手先か加頭が変身していたドーパントのどちらかは知らないが、こんな奴は一刻も早く倒さなければならない。
 話し合いなど通用するタイプではないと瞬時に察した一文字は、いつものように変身の構えを取った。

「ライダアアァァァァァァァ……変身ッ!」

 現れた怪人に鋭い眼光を向けながら、彼は跳躍する。すると、ベルトの中央に宿る風車が回転し、風のエネルギーによって身体が変化を始めた。
 精悍な顔は瞳が赤い光を放つ仮面に覆われ、一瞬で黒いスーツに包まれた全身は緑色の装甲が生成され、首に巻かれた深紅のマフラーは風に棚引く。
 一瞬で仮面ライダー二号への変身を果たした一文字隼人は宙を飛ぶ怪人に拳を振るって、その巨体を吹き飛ばした。敵は地面に叩き付けられるが、すぐに宙へ飛ぶ。
 二号は大地に降り立つのと同時に、ライダーパンチを受けても平然と立ち上がる怪人を仮面の下から睨み付けた。

710魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:09:28 ID:RATbBJLs0

「てめえ……意外とタフじゃねえか」

 先程のキバと違って腕に痺れは感じていないものの、相手はただの怪人ではない。力の二号の一撃を受けても、衰える気配が感じられなかった。
 それどころか再び火球を作り出して、勢いよく投げつけてくる。スピードはかなりのものだが、充分に対応出来る範囲だった。
 着弾しようとした直前、二号は左腕を横に振るって火球を弾き飛ばす。続くように灼熱は迫り来るが、二号はそれを反対の右手で砕いた。
 その直後、彼は体勢を低くして疾走する。このまま戦いを長引かせても得策ではないし、何よりも相手が隠し球を持っている可能性があった。
 それを出される前に、速効で叩き潰す!
 風のように走り出す二号を目がけて怪人は怒濤の勢いで火球を発射する。しかし二号はそれら全ての間をかいくぐって、距離を詰めていった。

「トオオオオォォォォォォォォォ!」

 二号は凄まじい咆吼と共に地面を強く蹴って、大きく跳躍する。一瞬で怪人が浮く高度を超えた彼は、宙で身体を一回転させた。
 これまでに数え切れないほどの危機を乗り越える為に放った、必殺の蹴りを繰り出すために。

「ライダアアアァァァァァァァ!」

 そして夜空を背に、二号は真正面に右足を伸ばしながら急降下した。その標的は、跳び上がった二号を見上げている怪人。
 怪人はそんな二号を打ち落とそうと火球を放射するが、捉えるには速度があまりにも足りなくて全てが空振りに終わる。唯一当たろうとした炎も、右足に衝突したことで呆気なく崩壊した。
 しかも、それが障害物となって二号の勢いが衰える事も全くない。

「キイィィィィィィィィィクッ!」

 やがて二号のライダーキックは怪人の胸部に打ち込んで、怪人を背中から地面に叩きつけた。
 土が砕ける轟音が響いて粉塵が舞い上がる中、二号はキックの反動で飛び上がった後に着地する。
 ようやく仕留めたか? 
 二号は勝利を確信しそうになるが、それは瞬時に否定される。怪人が蹌踉めきながらも、宙を飛んだ為。
 その身体には所々に傷が見えるものの、まだ動いている。しかし、そのスピードは先程とは違って明らかに鈍くなっていた。
 本来のタブー・ドーパントならこの時点で既に死んでいたかもしれないが、今のタブー・ドーパントはバラゴの放った魔弾によってホラーの力を得たので、ある程度肉体強化がされている。
 もっとも、それを二号が知ることはないが。

「ケッ、しぶとい野朗だ……ッ!?」

 二号は怪人に悪態を吐こうとしたが、それは続かない。数メートル程離れた場所に、見覚えがある異形の姿を見つけた為。
 虎を模した巨体に全身から生えた白い体毛、そして大きく開いた口から生えた巨大な大砲。
 BADANが生み出したパーフェクトサイボーグの技術によって、その身体が人間の物ではなくなった元FBI捜査官、三影英介。またの名をタイガーロイド。

711魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:11:18 ID:RATbBJLs0

「お前は……!」
「まさかとは思ったが、本当に貴様がいるとはな……一文字隼人」

 二号が三影の名を思わず口にしようとした瞬間、砲口が光を放つ。それを察知して二号は反射的に飛ぶと、轟音と共に凄まじい爆発が起こった。
 一度までならず数度に渡って周囲の物が無差別に吹き飛び、一瞬で火の海と化す。
 爆風によって二号は吹き飛ばされたが、空中で一回転をして体制を立て直しながら着地。そして、現れたタイガーロイドを睨みつける。

「チッ、外したか」
「やれやれ、こんな時に虎さんがやって来るとは……ついてないねぇ」
「その減らず口……耳障りだ。すぐに貴様を潰し、お仲間達もあの世に送ってやる」
「……やってみろよ!」

 この時二号は沖と別行動を取った事を少しだけ後悔するが、今更言っても仕方が無いと自分に言い聞かせた。
 今やるべきことは、三影をここで何としてでも倒すこと。それだけを考えればいい。
 辺り一面が灼熱に包まれる中、飛蝗の異形は虎の異形と睨み合っていた。





「ほう、新たな役者が現れるとは」

 戦場から少し離れた場所より、バラゴは新たに現れた虎の怪人を見てほんの少しだけ目を見開く。
 ドーパントとなった冴子に一文字隼人を消耗させて、その隙を見て魔弾を発射しようとしたが、事態は急変する。
 突如村に現れたサングラスをかけた男は、仮面ライダーのように虎の怪人への変身を行った。そして口から出した大砲で辺りを無差別に吹き飛ばす。
 恐らく、冴子は爆発に巻き込まれてガイアメモリごと跡形もなく吹き飛んだのだろうが、別にどうでもいい。ガイアメモリに代わる戦力が、目の前に二人もいるのだから。
 あの銀色の仮面ライダーがいないのが気がかりだったが、ここにいない以上考えても仕方がない。恐らく別行動を取っただけだろう。
 それよりも今は、燃え盛る炎の中で今にも戦いを行おうとしている怪物達の方が何よりも重要だった。

712魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:15:47 ID:RATbBJLs0

「まあ、精々勝手に消耗すればいいさ……」

 ホラーをいとも容易く吹き飛ばす、魔戒騎士とはまた別の人知を超えた力を持つ存在達。もしも奴らが自分の意のままに動かす事が出来るのなら、便利な手駒が二つも得られる事になる。
 幸いにもその手段は手元にあるが、事に及ぶとしても慎重に行かねばならなかった。下手に魔弾を打ってもその身体能力で回避された後に、反撃される可能性がある故に消耗を待たねばならない。
 もっとも、もしも奴らがこちらに気付いて攻撃を仕掛けたりするのであれば、キバとなればいいだけの話だが。
 火炎が燃え盛る中でバラゴは、怪物達が互いに潰し合うのを心待ちにしていた。



【1日目/黎明 B−2 志葉屋敷前】
※志葉屋敷前にビートチェイサー2000@仮面ライダークウガが設置されています
※周囲の建物は壊滅しました(どの程度の規模かは、後続の書き手さんにお任せします)

【一文字隼人@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(中)、胸部に斬痕、仮面ライダー二号に変身中
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考]
基本:仮面ライダーとして正義を果たす
0:まずは三影英介を倒す
1:他の仮面ライダーを捜す
2:暗黒騎士キバを警戒(但しキバは永くないと推測)
3:もしも村雨が記憶を求めてゲームに乗ってるなら止める
4:元の世界に帰ったらバダンを叩き潰す
5:この場において仮面ライダーの力は通用するのか……?
6:バイク(ビートチェイサー2000)に乗って南から市街地に向かう
[備考]
※参戦時期は第3部以降。
※この場に参加している人物の多くが特殊な能力な持主だと推測しています。
※加頭やドーパントに新たな悪の組織の予感を感じています(今のところ、バダンとは別と考えている)。
※園咲霧彦、園咲冴子が園咲来人の関係者である可能性が高いと考えています。
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました
※18時までに市街地エリアに向かう予定です。
※村エリアから南の道を進む予定です。(途中、どのルートを進むかは後続の書き手さんにお任せします)

713魔獣 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:17:02 ID:RATbBJLs0
【三影英介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(小)、タイガーロイドに変身中
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残り、加頭の命を断つ。
0:まずは一文字隼人を抹殺する
1:殺し合いを止めようなどと考える『偽善者』の抹殺
2:邪魔をする者には容赦しない
3:バラゴに興味
[備考]
 ※参戦時期は仮面ライダーSPIRITS第7巻、村雨との一騎打ちの直前からです
 ※タイガーロイド変身時は、全身から銃口・砲身を出現させて射撃を行うに当たり、体力を消耗するようになっています。
  疲労の度合いは、放つ射撃の威力・大きさに比例して大きくなります。
また、破壊力に関しても通常時と比較してそれなりに落とされています。

【バラゴ@牙狼─GARO─】
[状態]:胸部に強打の痛み、顔は本来の十字傷の姿に
[装備]:魔戒剣、魔弾(3発)+銃@牙狼
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品0〜2、タブーメモリ&ガイアドライバー@仮面ライダーW、冴子のランダム支給品1〜2、顔を変容させる秘薬、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー
[思考]
基本:参加者全員と加頭を殺害し、元の世界で目的を遂行する
0:あの二人の戦いをまずは監視する
1:仮面ライダーに魔弾を打ち込みホラーにする
2:今のところ顔を変容させる予定はない
3:仮面ライダーと怪人に隙が出来るのを待つ
[備考]
※参戦時期は第23話でカオルに正体を明かす前。
※顔を変容させる秘薬を所持しているかは不明。
※開始時の一件で一文字のことは認識しているので、本郷についても認識していると思われます。
※冴子の不明支給品の一つは魔弾(2発)@牙狼─GARO─ です。


【備考】
※バラゴは以下のものを【C−3】エリアに放置しました。
 紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!
※タブーメモリ&ガイアドライバー@仮面ライダーWは破壊されました。

【速水克彦@超光戦士シャンゼリオン 死亡確認】
【園咲冴子@仮面ライダーW 死亡確認】
【残り62人】

714 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:17:42 ID:RATbBJLs0
以上で投下終了です。
矛盾点などがありましたが、指摘をお願いします。

715 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:18:55 ID:RATbBJLs0
ありましたら です
申し訳ありません……

716 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 08:45:13 ID:RATbBJLs0
あ、三影の状態票を修正します。
重ね重ね申し訳ありません。

【三影英介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(小)、タイガーロイドに変身中
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残り、加頭の命を断つ。
0:まずは一文字隼人を抹殺する
1:殺し合いを止めようなどと考える『偽善者』の抹殺
2:邪魔をする者には容赦しない
[備考]
 ※参戦時期は仮面ライダーSPIRITS第7巻、村雨との一騎打ちの直前からです
 ※タイガーロイド変身時は、全身から銃口・砲身を出現させて射撃を行うに当たり、体力を消耗するようになっています。
  疲労の度合いは、放つ射撃の威力・大きさに比例して大きくなります。
また、破壊力に関しても通常時と比較してそれなりに落とされています。

717名無しさん:2011/12/26(月) 09:53:56 ID:a1fJyLZE0
投下乙です。

>再会
あ、やっぱりそうなったか……というか、つぼみ以外のハートキャッチ勢が比較的密集していたんだなぁ。
……で、危険なマーダーは分散か……次の波乱は放送後辺りか。

>魔獣
あー速見と冴子があっさりと……後シャンゼ勢は暁と黒岩だけ……不安しかない。
で、一文字は三影と戦闘……でそれを狙うバラゴ……ヤバイ……

1点気になったんですが、魔弾を冴子の不明支給品から2発あっさり補充(差し引き的には増強)というのは大丈夫なんでしょうか?
これ一撃でも打ち込まれたら実質死亡&洗脳マーダーとなるので(確かホラーに憑依されたらもう殺すしか無かった筈。)……
前の氏のSSのソレワターセの件も踏まえ、洗脳系のアイテムが多くなるのはどうかなぁと個人的には思う。1つや2つならともかく少しこれで統計6つだから現状少し多い様な……
そこまで気にする事でも無い様な気もするけど一応指摘しておきます。

718 ◆LuuKRM2PEg:2011/12/26(月) 10:48:08 ID:RATbBJLs0
ご指摘ありがとうございます。
それでは、魔弾補充の部分はカットで後ほど修正版を修正スレに投下させて頂きます。
(その際、冴子の不明支給品も増える方向で)

719名無しさん:2011/12/26(月) 12:54:10 ID:bu..138kO
投下乙です。

市街地の漫才トリオとは別に笑いを提供してくれたコンビがいなくなってしまった。
リレー小説だから仕方ないけど梅干し変身のブレイザーが見られなかったのはちょっと心残り。速水ェ・・・・・・
そして沖の離脱で一文字さんがピンチ!? 四面楚歌の戦いが始まるでごわす。

720名無しさん:2011/12/26(月) 14:03:18 ID:C8znyLTY0
投下乙です

もったいない気もするが運が悪かったなあ。冴子は最後までついていないなあ
一文字と三影のタイマン開始、そして漁夫の利を得ようとするバラゴ
確かに全体を救うのなら戦力分散してでも別れるしかないが…やばいなあ

721名無しさん:2011/12/26(月) 14:50:56 ID:tgxZiu8o0
投下乙。
速水、冴子……ドンマイ。
そして手を汚さずに二人の参加者を仕留めたバラゴ…恐ろしい子!
原作ではラスボスと見せかけてただの捨て駒だったくせに、こっちでは冴子を捨て駒として有効利用するとは…

722名無しさん:2011/12/27(火) 12:54:13 ID:45LFCtNUO
破棄になるのか……

723名無しさん:2011/12/27(火) 13:46:19 ID:EJXZbBKoO
まあ破棄っていっても修正案を投下出来るまでキャラを拘束しないための措置だから、それまでに新しく予約が来ないかぎり大丈夫だよ

724名無しさん:2011/12/28(水) 15:15:14 ID:cJsDn60Q0
支給品の説明書ってどういう基準で支給されるの?
ライダーロワでは誰でも使える道具は説明書アリで、使える人間が限られる道具は説明書ナシだったような気がする

曖昧なルールが多すぎるし、最初に決めたルールでもまとめに反映されてないことが多い気がする
だから書き手さんは序盤から破棄しやすいし

725名無しさん:2011/12/28(水) 16:22:38 ID:NgphCd5Y0
まあ説明書についてルール決めることなんてあんまりないしねえ。
その辺は書き手さんのさじ加減に任せるしかないんじゃない?
そもそもルールなんてのはガチガチに固めればいいもんでもないし。
このロワだって細かい部分に議論の時間割き過ぎた結果開始が遅れちゃったし。

726 ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:41:27 ID:qPCtXF4I0
一条薫と冴島鋼牙を投下します

727守りし者たち ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:43:37 ID:qPCtXF4I0
殺し合いが始まって早1時間以上を経過したが、未だに夜は明ける様子を見せない。
深い森の中を歩く一条薫と冴島鋼牙は、未だに深い闇に包まれていた。
1つは夜の闇。
深夜の街頭にも照明設備が整っている現代日本で生活してきた一条にとって、これほど深い夜の闇を体験するのは初めてのことだった。
1つは森の闇。
群生する木々とそこから派生する種々雑多な植物は、無秩序に陰影を重ねて行き
一条の周囲を見渡す限り闇で包んでいた。
そして1つは殺し合いの闇。
ここが殺し合いの会場であるということは、いつ危険人物から襲われるか分からないということだ。
一条の全周囲を覆う物陰から、いつ凶刃を持った人物に現れてもおかしくない。
あるいは誰も姿を見せずとも、物陰から銃弾が飛んでくるかも知れない。
こうしてただ歩いている次の瞬間には襲撃を受けている、
そう認識する暇すら無く、命を落としているかも知れないのだ。
いかなる角度から何者が襲ってくるかもしれない。1秒先の命の保証も無い。
犯罪や未確認生命体と戦ってきた一条でも経験の無い、殺し合いの闇。
それが一条の前に広がっていた。

それでも人は歩みを進めない訳にはいかない。
まして一条は警官だ。
座して救いを待つ無辜の民衆ではなく、それらの人々を救いに行くべき存在。
どれほど困難な事態であろうと、解決のために自らが動かなくてはならない。
しかし、その歩みは決して迅速な物とはならなかった。
不安定な足場を1歩進むごとに周囲を警戒する。そんな調子で、慣れない森の中を進むのだ。
その歩みが順調な物になるはずが無い。
はずが無いのだが──

(…………しかしあんな長いコートで、よくあれだけスムーズに山道を歩ける物だ……)

一条の前方で白い布が閃く。
先を行く鋼牙が歩を進める度に、靴まで届きそうな長さの外套が揺れるが、
無造作に伸びる草木に引っ掛かることはおろか、汚れ1つ付かない。
道無き道を、鋼牙は軽快かつ力強くで進んで行く。
鋼牙の様子を見るに、どうやら山道に慣れていると言うより、
本人の持っている運動能力が並外れていることからの軽快さであるようだ。
しかもその様子からは、さりげなくだが周囲への警戒を怠っていないようにすら思える。
山道を淀みなく通り抜けていくと言えば、まるで獣のごとき印象を与えるが、
凛とした体勢を崩さず力強くに歩いていく様は、むしろ洗練した高貴さすら感じる。
強いてその印象を例えるならば騎士。
鋼牙からは、そんな突飛な印象さえ受けた。
その頼もしくすら感じる鋼牙の背中へ、一条は思わず声を掛ける。

「…………君は何故、私の前を行っている?」

鋼牙は一条に背を向けたまま、足も止めずに返事を返す。

「不満でもあるのか?」
「君は私の保護下にあるのだから、私の後ろに居てくれなければ困る」
「何が困る?」
「君が先に進んだら、いざと言う時に君を守れないだろう!」

一条は警察官であり、現状ならば鋼牙を守らなければならない立場にある。
そして事実一条は鋼牙を命を賭けて守る覚悟だ。
体面としても実情としても、鋼牙を保護する体制をとらない訳にはいかないのだ。

「武器を持っているのは俺だ」
「その剣は本来、民間人の君が持っていてはいけない物だ!」
「ではどうする? この場で没収するか?」

一条と鋼牙の間で僅かに空気が張り詰める。

728守りし者たち ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:45:59 ID:qPCtXF4I0
鋼牙の鉄面皮に鋭い視線を向けていた一条だが、
やがて先程まで慎重な足取りだった一条は、一転して足早に歩き出し鋼牙の横を通り過ぎようとして行く。

「……そうだな、私が君より先を歩けば良いだけのことだったな…………!?」

夜が明けた訳でもないのだから、足下は当然暗いまま。
一条は何とも判然としない物に足を取られた。
転倒する。
そう思った瞬間、一条の身体が空中で止まった。
鋼牙が一条の身体を支えていたのだ。

「すまない……」
「……俺は警察の仕事がどんな物かは知らない」
「…………?」
「だがここで無理を押して、肝心な時に守りたい物を守れなくとも……警察官の使命を果たせるのか?」
「……………………」

一条は、やがて力が抜けたように嘆息した。
自分の態度を振り返ってみれば些か大人気無かった。
張り詰めた状況に、気づかぬ内に心身とも消耗していたらしい。
保護する立場である自分がしっかりしなくてはならない。
一条は改めて気を引き締めて、今すべきことを考える。

「……少し休んで構わないか?」
「ああ」

一条が休憩を申し入れると、鋼牙はあっさりと了承した。





森の一角に偶然形成された、開けた平地。
一条と鋼牙はそこで各々、半ば地面に埋まった岩と表出した木の根に向かい合って座った。
一息付いた一条は、正面の鋼牙の様子を見る。
鋼牙は休息を取っているにも関わらず僅かにも弛緩した様子は無い。
観察すればするほど不可解な人物だ。
先ほどは民間人と言ったが、それすら怪しい。
言語や外見から、鋼牙が日本人であることは間違いない。
しかし身体能力は明らかに凡夫のそれではないし、どこか修羅場慣れしているような空気すら纏っている。
警察官や自衛官などではないだろう。自身が警察官である一条には漠然とだがそれを察することができる。
一条の鋼牙に対する印象はやはり騎士だが、日本人でそれはさすがに有り得ないだろう。
つまり鋼牙は、その人物像の背景が全く見えないのである。
それでも、何故か一条は鋼牙に悪印象は持っていない。
むしろ根拠も無いのに、どこか信用できる気さえする。

(彼なら五代のことはともかく、未確認生命体のことは話しても問題ないか……)

一条は鋼牙に話していない殺し合いに関する情報があった。
1つは五代雄介のこと。
殺し合いの参加者の中で唯一、一条にとって知人と言える人物。
むしろ戦友と呼んだ方が妥当か。
五代はその体内にある霊石アマダムの力により、古代の伝承にある戦士クウガに変身することができる。
クウガの力を得た五代は警察と連携して、未確認生命体と呼ばれる人類の脅威と戦っていた。
そして一条は五代と最も繋がりの深い警察官なのだ。

729守りし者たち ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:46:56 ID:qPCtXF4I0
もう1つはその未確認生命体。
超古代においてグロンギと呼ばれたそれは、平和に暮らしていた人類リントに殺戮の牙を向けた戦闘種族。
そして蘇った現代においても、人類にゲゲルと呼ばれる殺人ゲームの牙を向けて来た。
普段は人間の姿で潜伏しているが、殺人や戦いの際には怪人に変身を果たし、
生物としては常軌を逸した生命力と、異常な身体能力を持つ。
その尋常ならざる戦力には、当初は警察の力でも全く対抗できなかったほどだが、
人類に味方する未確認生命体第4号=クウガの協力と、兵器開発や武装強化の甲斐もあって、
現在では多くのグロンギを倒すことに成功していた。
問題はどちらも殺し合いに参加していることである。
五代=クウガのことは隠しておいた方が良い。
クウガであると話しては、五代に対する要らぬ警戒やあらぬ偏見を招きかねないからだ。
しかし未確認生命体の方は、やはり話しておいた方が良いだろう。
鋼牙ならば未確認生命体の存在を知っても、無闇に恐れることも悪用することを考え無いと思えた。

「君には話していなかったが、私は警視庁の未確認生命体対策本部に所属している」
「……未確認生命体?」
「ああ、だから未確認生命体の情報を持っていて……知らないのか?」
「聞いたことも無い」

事も無げに答える鋼牙に対して、一条は怪訝とした表情を向ける。
未確認生命体の社会的な知名度で、鋼牙のような日本人の成人が存在も知らないというのは有り得ない。
現代日本においては未確認生命体の脅威は公然の事実であり、
未確認生命体の存在が確認されれば、マスコミを通じて警告や避難勧告がされるほどである。
しかし鋼牙はその存在を聞いたことも無いと言う。
一条にしてみれば考えられない事態なのだ。
一条の様子に、無表情のままだが視線を鋭くした鋼牙の口を開いた。

「……どうやら一筋縄でいく話では無いらしいな。とにかくその未確認生命体について説明しろ。できるだけ詳しくな」

一条はどこか腑に落ちない思いを抱えながら、鋼牙の言われるまま未確認生命体=グロンギの説明を始めた。
その生物的特徴と脅威と社会的な影響の大きさを。
警察がどれほど苦戦したかを。
そして人類を守るためグロンギと戦ったクウガの存在を。五代の存在を隠して上で。

「……そしてこの殺し合いにも未確認生命体は参加しているようだ」
「何故それが分かる?」
「警察は未確認生命体の人間態をB群と分類しているが、その内の2号と11号の姿を加頭の説明がされた空間で確認した……」

更に一条は未確認生命体への警告を促すために、
B2号が蝙蝠の怪人、未確認生命体第3号に変身することと、
B11号が状況証拠から推測して甲虫の怪人、未確認生命体第46号に変身する公算が大きいことと、
その2体の人間態と怪人態の姿を説明した。
ただ未確認生命体第3号は一条がその死体を確認し、解剖に回されたことを知っているし、
未確認生命体第46号もクウガによって倒されたことを聞いている。(46号死亡時と思しき、夜を昼に変えるほどの絶大な規模の爆発も見ている)
つまり2体とも死んでいるはずなのだ。
しかしその姿を確認できた。
それでも未確認生命体の生命力を知っている一条には、あまり不思議は無いように思える。
超古代より地中で眠りながら生き続け、
何10発と銃弾を浴びても死亡するどころか行動に支障すらきたさず、
僅かな肉片からでも全身が再生する例すらある。
あの生物の常識を完全に逸脱した生命力なら、再生したと言うことすら有り得ると思えた。
鋼牙はグロンギの話をただ黙って聞いていた。

「なるほど、確かにそれならば俺が知らないと言うのは不自然だな」
「……正直に言って、私には君が未確認生命体を知らないのが信じられない位だ……」
「やはりホラーでは無い、か……」
「……え?」
「…………俺も話すべきだろうな。ホラーのこと……そして魔戒騎士のことを…………」
「ホラー?」

今度はこれまで黙って聞き手に回っていた鋼牙が語り始める。
世の条理を越えた怪物と、それに立ち向かう戦士の物語を。

730守りし者たち ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:48:43 ID:qPCtXF4I0
世界には人間の住む世界とは別に魔界が存在する。
そして魔界から陰我のあるオブジェをゲートとして、人間の世界へ通り抜け、
人間に取り憑き人間を喰らう魔獣ホラーが現れる。
魔獣は人間の陰我を増幅し、やがてこの世ならぬ怪物に変貌させるのだ。

鋼牙の話を聞く一条は、不審とまではいかないまでも、
あからさまに不可解と言わんばかりの表情を浮かべている。
無理も無い。
普通の人間が、突然魔界やホラーの話を聞かされたところで、
易々と呑み込めるはずも無い。

それでも鋼牙は揺るがない。
鋼牙には、誰に信じて貰えなくとも揺るがざる使命を持っているからだ。
やがて鋼牙の話は、そのホラーに対抗する者へ移る。
人間の中に存在する、魔獣を狩り、人を守りし者。
魔戒騎士という名の希望の光。

「そして俺も……魔戒騎士だ!」
「──!!」

鋼牙が突如として立ち上がり、剣を抜いて頭上で振るう。
一条は鋼牙の突然の行動、何より一連の挙動の早さと淀み無さに驚く。
そして次の瞬間、更に驚くべきことが起こる。
鋼牙の頭上で円形に空間の切れ目が発生していた。
切れ目から強い光が漏れ、光はやがて円形の面全体にまで広がる。
そしてそこから黄金色の物体が飛び出して来た。
黄金色の物体は鋼牙を覆い──狼面の鎧を形作った。

「これが……魔戒騎士」

黄金騎士の威風。
間近で見るそれに、さしもの一条も僅かに気圧された様子を見せる。
鋼牙を騎士と見た一条の印象は、極めて正確だったということだ。
用が済んだ鋼牙は、変身を解いてまた座り込んだ。
鋼牙が変身をしたのは、別に戦闘などの用が有ったからでは無い。
ホラーや魔戒騎士の話に信憑性を持たせるためだ。
そして何故そこまでして鋼牙が自分の話に信憑性を持たさなければならなかったのか?
それは次の話に移行するためである。

「しかしホラー……未確認生命体の他に、警察がその存在にすら気付いていない人類に対する脅威が存在していたなんて…………」
「いや、お前がその脅威を知らなかったのは…………恐らくホラーが存在しないからだ」
「……どういう意味だ?」
「お前の居る世界では、という意味だ。……俺たちはそれぞれ、別の世界の住人である公算が大きい」

鋼牙の話に一条は戸惑いを隠せない。
未確認生命体関連以外には超常的な話に免疫の無い一条は、あからさまに当惑している。
まだホラーなら未確認生命体と、魔戒騎士ならクウガと同じような感覚で把握することもできた。
しかし多重世界の話となれば、完全に一条の観念の外の世界となるのだ。

「…………それは……我々の住む世界のいずれかが、魔界のような君の住む世界とは別世界であると……」
「空間を異にしているという意味ならそうだが、魔界のような全く様相の違う世界では無いだろう。
おそらくパラレルワールドのような物だ」

鋼牙の科学知識は魔導に関する物に偏っている。
しかし魔界や鎧の召喚の知識から、自分が居る世界と別空間の存在、
そこから派生する別世界の存在という可能性を思いつくことができた。

731守りし者たち ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:49:34 ID:qPCtXF4I0
そして当初は自分から話すつもりは無かった、魔戒騎士の存在を明かしたのは、
自分たちの持つ情報を率直に明かしてくれた一条に対する、鋼牙なりの返礼である。
一条の明かした情報には、警察内の機密情報も含まれているのだろう。それでも一条はそれを明かした。
だからこそ自分が鎧を召喚する姿を見せてまで魔界の存在を裏付けて、
更に異世界の可能性を示唆した。
一見すると愛想と無縁に見える鋼牙だが、内情は義理堅い人物でもある。

「信じる信じないはお前の勝手だ。それにこれはあくまで仮説に過ぎない」
「…………確かにその仮説が正しければ、我々の認識の食い違いも説明がつく。
……いずれにしても、事態は私の考えていたより重大な物であるようだ…………」

1警察官である一条の理解を超えた、鋼牙の仮説。
それでも一条は、鋼牙の話を荒唐無稽だと一蹴する気にはなれなかった。
一条には、鋼牙がいい加減な話やその場凌ぎの嘘をする人間とは思えない。
会ってほとんど時間も経っていない、決して愛想が良い人物ではない鋼牙だが、
やはりどこか信用に足る人間に思える。
会って間もなかったはずの五代雄介を、何故か信用できたように。

「話も済んだなら、そろそろ出発するぞ」
「あ、ああ」

鋼牙は立ち上がり、まだ困惑から抜け切っていない一条に出発を促す。
確かに充分に休息は取ったし、これ以上は取り立てて話すことは無い。
言われた通り出発しようと、一条も腰を上げる。

「俺が先を行って良いな」
「……そうだな、この場では君の方が主導した方が良いだろう。……だが未確認生命体を相手には無理に倒そうとしないことだ」
「魔戒騎士は人を守りし者だ。俺の剣は人間を斬ることは無い」

鋼牙の返答を聞いて、一条の足が止まる。

「人間、と言うのは未確認生命体のことか?」
「人間は人間だ。俺もお前も未確認生命体とやらもそうじゃないのか?」
「……未確認生命体を人間だと思わないことだ。さっきは無理に相手をしないように言ったが、未確認生命体を倒せる機会があるならそれを逃すべきではない」

一条の返答を聞いて、今度は鋼牙の足が止まる。

「さっきのお前の説明によれば、未確認生命体と言うのは人間で間違いないはずだ」
「…………生物学的に見れば……人間に分類されるだろうな…………」

未確認生命体=グロンギはその遺体を警察に回収され、解剖学的な研究を受けている。
そして研究の結果、グロンギとは人間が体内の鉱石から神経網のような物が全身に伸びて、その結果身体が変質した存在だということが判明した。
それは霊石アマダムの効果でクウガに変身する五代雄介と本質的には同じ存在だと言える。
即ちクウガに変身する五代雄介が人間であるのと同じ意味で、グロンギも人間であると言えるのだ。

「……だが、未確認生命体と我々は決して相容れることの無い存在だ。奴らは殺し合いに関係なく殺戮に生きている。そして殺し合いの中でもそれは変わらないはずだ」
「だから殺して良いと言うのか?」
「そうしなければ、我々は皆殺される。未確認生命体とはそれほど危険な存在だ!」

“グロンギが人間である”ことは間違いない。
しかし“グロンギ”は人間と決して共存できる存在ではないのだ。
もしその可能性が万が一にも存在するなら警察も五代もグロンギを問答無用で殺しはしない。
特に五代は本来穏やかで暴力を好まない人物だ。闘争や、ましてや殺人などという手段は本来なら絶対に取らない。
それでも五代は1度として対話すら試みずグロンギを倒し──殺していった。
グロンギの凶暴性や残虐性とは、それほどまでに常軌を逸しているのだ。
しかし幾ら言葉で説明しても、鋼牙にそれは伝わらないだろう。
グロンギの禍々しさは、実際を知らなければ分からない。

「…………警察官とは……守りし者ではないのか?」
「守りし者か、君の言う通りかもしれない……だが人を守るためには、その手を汚す覚悟が必要な時もある」
「確かにその覚悟が必要な時もあるだろう。だがそれは…………最初から守る意思を放棄した者が語っていい覚悟ではない」
「君こそ未確認を知らないからそう言えるんだ!!」

再び睨み合う一条と鋼牙。
今度は一条だけでなく、鋼牙の方も強固な意志を感じる。
そして2人は同時に視線を外した。

「行こう」
「ああ」

一条と鋼牙は再び歩き始めた。

732守りし者たち ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:50:33 ID:qPCtXF4I0
短い間だが2人はお互いの性格を漠然とでも把握していた。
即ち2人とも強情であり、譲れない部分は絶対に譲らない人間であることを。
だからこそ、2人ともがそれ以上の議論は無意味だと悟り話を打ち切ったのだ。

一条はまた殺し合いの闇を進む続ける。
どうやらこの殺し合いは、一条の想像を超えた事態であるようだ。
あるいは1警察官の手に負える事態では無いのかもしれない。
それでも一条は歩みを止めることは無い。
警察としての使命を全うする。
出来る出来ないではなく、一条はそうする覚悟だ。
例え同行者と意見を違えてもだ。

鋼牙もまた殺し合いの闇を進む続ける。
魔戒騎士である鋼牙にとってすら、想像を超えた事態であるようだ。
あるいは牙狼の称号を持つ黄金騎士にすら、手に負える事態では無いのかもしれない。
それでも鋼牙は歩みを止めることは無い。
人を守りし者としての使命を全うする。
出来る出来ないではなく、鋼牙はそうする覚悟だ。
例えそれが未確認生命体と呼ばれていようともだ。

【1日目/黎明 F−4 森】

【冴島鋼牙@牙狼─GARO─】
[状態]:健康
[装備]:魔戒剣
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:護りし者としての使命を果たす
1:加頭を倒し、殺し合いを終わらせ、生還する
2:再びバラゴを倒す
3:一条と共に行動し、彼を保護する
4:零ともできれば合流したい
5:未確認生命体であろうと人間として守る
[備考]
※参戦時期は最終回後(SP、劇場版などを経験しているかは不明)。
※魔導輪ザルバは没収されています。他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。
※ズ・ゴオマ・グとゴ・ガドル・バの人間態と怪人態の外見を知りました。
※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。

【一条薫@仮面ライダークウガ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3、警察手帳
[思考]
基本:民間人の保護
1:警察として、人々を護る
2:魔戒騎士である鋼牙の力にはある程度頼る
3:他に保護するべき人間を捜す
4:未確認生命体に警戒
※参戦時期は少なくともゴ・ガドル・バの死亡後です

733 ◆amQF0quq.k:2011/12/28(水) 23:51:36 ID:qPCtXF4I0
投下完了しました。
何か問題点があれば指摘をお願いします。

734名無しさん:2011/12/29(木) 01:23:53 ID:5Z1ZA2Dk0
投下乙です

この二人はいいなあ。信念があって頑固な所が似ていて噛み合ってるなあ
情報交換も出し惜しみなくやれて後の誤解の元が無くなったかな
微妙に喧嘩するが仲間割れするほどでないし纏まってるね

735名無しさん:2011/12/29(木) 01:30:03 ID:WDh8KtyUO
投下乙です。
鋼牙さん、グロンギも斬るかと思ったら意外となのはさんと同じ不殺派ポジションなんだな〜。
だけどグロンギの脅威を知る人間からして見れば、とてつもなくヤバい連中だし、一条さんの気持ちもわかる。
ロワに参加してるのはグロンギの中でも極めて危険なダグバとガドルだし・・・・・・

ゴオマ? 知らん。

736名無しさん:2011/12/29(木) 11:53:45 ID:pKbx7Bss0
個人的に気になったんだけど、「未確認生命体」って別にクウガの世界にしか存在しない言葉じゃないから、語幹から「確認されてない謎の生命体」みたいな意味って解釈できるだろうし、鋼牙ならホラーのことと思うかもしれない
「聞いた事もない」って言い切っちゃうのは少し不自然に感じた
なんというか、最初から「未確認生命体」っていうものが自分の知らない生物だって考察もせずに決め付けてるみたいな違和感を感じる
少し会話や文を付け足すと自然になると思うけど

あと、牙狼って「人間がいればホラーも生まれる」みたいな台詞多いし、一条世界にホラーがいないと断定するかな?と思った
だから鋼牙も「一条世界にもホラーや魔戒騎士はいるけど、自分の世界と同じく人に認知されてない」…っていう思考になる気がする
あの世界では大昔からホラーがいて、鋼牙にとっては「いて当たり前」の常識だし

737 ◆amQF0quq.k:2011/12/29(木) 14:55:41 ID:Og56f2HY0
>>736
確かにその方が鋼牙の思考としては自然かもしれませんね。
では後で修正案をしたらばに投下したいと思います。

738名無しさん:2011/12/30(金) 20:39:59 ID:eEi/YeSI0
>>735
ゴオマだって結構がんばってたじゃないか、ネタ的な意味で

739名無しさん:2012/01/02(月) 18:55:06 ID:Q0aQ561g0
なんとかこのパロロワが途中で挫折しないで、完結してほしですね。
応援してます。書き手さんがんばってください。

740名無しさん:2012/01/02(月) 18:59:36 ID:dunmRapo0
俺も注目してるよ
頑張って欲しい

741名無しさん:2012/01/03(火) 03:58:50 ID:N6jKhBQcO
自分の中ではここ最近で一番面白いロワです。
書き手氏も読み手氏もふんわか楽しんで行きましょう。

>>738
どんなキャラか思い出すために画像を検索したら、怪人体はご立派なギャランドゥに乳ピアス、おまけに某ガチムチレスラーを思わせるパンツ履いてるような、やたらインパクトのでかい姿だった・・・・・・

742名無しさん:2012/01/03(火) 10:32:12 ID:sqNeiy9k0
ティアナのマーダ化に期待大!!!

743名無しさん:2012/01/03(火) 10:36:24 ID:sqNeiy9k0
天邪鬼効果があるから、そういうのはやめとけー。

744 ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:22:47 ID:oaFKA8WQ0
これより、投下を開始します

745わたしが、しっかりしないと ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:23:29 ID:oaFKA8WQ0
『優勝された方にはどんな報酬でもお渡しする用意がございます。金銭や物品、名声や社会的地位、或いは人の命を蘇らすことなども可能です。奇跡も魔法も、我々が実現して差し上げます』

 星空が輝く中、巴マミの脳裏には加頭順の言葉がリピートされていた。
 闇に覆われた始まりのホールで、あの男は集められた65人にそう言っていたがマミは全く信用していない。いきなりこんな訳の分からない場所に拉致監禁して、一方的に殺し合えと言う輩を信じろと言われても無理だ。
 第一、仮に殺し合いとやらに優勝しても願いを叶える保障すらない。もしも順の言うがまま、他者を踏み台にして生き残っても最後に裏切られる可能性のほうがずっと想像できる。
 もっともマミは最初から魔法少女の力で人を殺めるつもりなど、微塵もなかったが。

(でも、あいつらの力は底知れない物と考えた方が良いわね……あそこから私達を一瞬で拉致してくるなんて)

 しかし彼女の中でどうしても引っかかっている事が一つだけある。
 そもそも、私はいつものように魔女と戦っている筈だった。鹿目さんや美樹さんを連れてお菓子の魔女と戦っている中、気がついたらあのホールにいた。
 この事から考えると、どんな報酬でも用意できるという加頭の言葉はあながち嘘ではないかもしれない。

(……私とした事が油断しすぎたわ。これじゃあ、二人に顔向けできないわね)

 彼女達にとって頼れる先輩でいようと思ったのに、あんな奴らに拉致されるような醜態を晒してしまう。しかもそれだけでなく、今は二人を危機に晒していた。
 これも全て、鹿目さんの好意に甘えてしまった私の責任だ。考えてみればあのお菓子の魔女との戦いだって、一歩間違えたらそのままやられていた可能性だってある。
 これでは魔法少女として、殺し合いに巻き込まれた人々を守ることなんて出来るわけがない。

(今度こそ、私がしっかりしないと駄目ね……今は桃園さんだっているんだから)

 マミは隣でゆっくりと歩く少女に目を向けた。
 桃園ラブは先程は明るく笑ってくれたが、出会ってから一時間以上経った今は沈鬱な表情を浮かべている。そのせいか、足元にも力が感じられなかった。
 もっとも、男の人達の首が吹き飛ばされてしまった直後に命を握られてるとなっては、誰だってショックを受けてしまう。
 しかし彼女が抱えているのは恐怖とはまた別の痛み。見せしめにされた人達を助けられなかったという、自責の念だった。
 きっと今だって、彼女は圧し掛かる責任感に押し潰されそうになっているかもしれない。それは数日程度で治る傷ではないので、ゆっくりと時間をかけて癒す必要がある。
 だから今は一つでも多くの事を話して、桃園ラブという少女について知らなければならなかった。

「……なるほど、あなた達プリキュアはそのラビリンスや砂漠の使途って奴らからみんなの幸せを守っていたのね」
「あたしや美希たんとブッキーとせつなはそうですね。砂漠の使途と戦ってたのはつぼみちゃんやえりかちゃん、それといつきちゃんにゆりさんです」
「砂漠の使途か……ダークプリキュアってのは、月影さんのお父様が生み出した月影さんの妹……だったわよね?」
「あたしも詳しい事はわかりませんけど、つぼみちゃん達はそう言ってました。でもずっと前に、ゆりさんが倒したって聞きましたけど……」
「つまり、ダークプリキュアは生き返ったって事になるのかしら……?」
「たぶんそうだと思います」
「そう……」

 ラブの言葉にマミは疑問を抱く。
 名簿に書かれているダークプリキュアという存在はかつての戦いで既に死んでいる事になる。しかし死者が蘇るなんて事は、奇跡でも起きない限りあり得なかった。
 キュウべぇとの契約ならば魔法少女になった際の奇跡として、どんな不可能なことでも可能に出来るかもしれない。しかしキュウべぇが順に協力しているなんて考えたくなかった。

746わたしが、しっかりしないと ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:24:06 ID:oaFKA8WQ0

「ただ、ダークプリキュアがいる理由にちょっとだけ心当たりがあるんです」

 そしてそんなマミの思案を遮るようなラブの言葉が聞こえる。

「心当たり?」
「はい……前にフュージョンやボトム、それにブラックホールって強大な闇が現れた事があるんです。そいつらはみんなとんでもない力を持っていて、宇宙全てを闇に覆い尽くそうと企んでたんです」
「……宇宙全てを、闇に?」

 あまりにも桁外れた話にマミの表情は疑問に染まった。
 宇宙全体を危機に陥れるような存在。一瞬、ただの聞き間違いかと逃避するような思考が芽生えたが、ラブの暗い表情が嘘ではないことを証明していた。

「それはどういうことなの? 桃園さん」
「あいつらはあたし達プリキュアが倒した敵を闇の力で復活させて、世界を支配する為にみんなを襲ってたんです。だから、ダークプリキュアが復活したのもそんな奴の仕業かもしれません」
「復活って……それは、この島の何処かにいるノーザって奴も含まれてるの?」
「ノーザも前にボトムって奴が復活させたんですが、それからプリキュアのみんなで力を合わせて倒しました。でも、ここにいるって事はフュージョンみたいな奴がまた出てきたんだと思います」
「だとしたら、それがあの加頭って男の背後にいて私達を拉致した可能性があるわね……」

 順の背後には地球全体を絶望のどん底に落とすような存在がいる。その可能性に至った瞬間、マミは背筋が一気に冷えるのを感じた。
 ラブの話から察するに、プリキュアは基本的に規格外の実力を持つ化け物と戦っている。そういう意味では魔女と戦う魔法少女と同じなのかもしれないが、スケールがあまりにも違いすぎた。
 恐らく主催者はこの狭い孤島に、数多の異世界から超常的戦闘力を持つ存在を簡単に放り込む位に強大な力を持っている事が考えられる。順の言っていた『テッカマン』や『仮面ライダー』がその例だ。
 全ての平行世界を支配しようと企んだラビリンスや地球全てを砂漠にさせた砂漠の使途、そしてそんな連中を復活させられる存在に比べれば魔女と戦う自分など塵に等しいのかもしれない。

「私なんかが……そいつらに勝てるのかしら」
「勝てますよ、マミさんなら」

 絶望が芽生えそうになった瞬間、マミの両肩がラブによってガシリと捕まれる。

「今まで魔女って奴らからみんなを守ってきた強いマミさんが、負けるわけがありませんよ!」
「桃園さん……?」
「それにマミさんは一人じゃありません、あたし達プリキュアがマミさんの力になります! 一人よりも二人、二人よりも三人、みんなで頑張りましょうよ!」

 そう強く語りながらラブは笑っているが少しだけ虚ろで、瞳からは微かに涙が滲み出ていた。よく見ると両腕も微かに震えていて、肩からその振動が伝わってくる。
 彼女は辛いにも関わらずして、必死に耐えていた。しかも弱音を吐いた自分を責めるどころか、むしろ励ましてくれている。
 その気持ちは嬉しいが、同時に後ろめたさも感じてしまう。彼女に無理をさせないと誓ったばかりなのに、逆にこちらが気を遣わせるなんて本末転倒だ。

747名無しさん:2012/01/03(火) 11:24:31 ID:FP8gO/wc0
>>742,743
志村ー同一IDー!! わかっているなら別に良いけど、自演っぽく見えるからー!!

それはともかく、個人的にはランスさんが拡声器で何をするのかが楽しみ。
通常は悲劇フラグにしかならないが、マーダーが使うパターンもあるし、何しろ予測が不可能。

748わたしが、しっかりしないと ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:24:58 ID:oaFKA8WQ0
「……ごめんなさい、私としたことが弱気になって」
「大丈夫ですよ。みんなで力を合わせれば、どんな事だって乗り越えられますって!」
「そう言ってくれてありがとう……私も、あなたみたいな人と一緒なら困難を乗り越えられそうな気がするわ」

 だからラブの為にも笑った。こんな状況にも関わらずして、気丈に振る舞う彼女を少しでも心配させないために。

「そうだ、一旦休憩しない? もう一時間以上ずっと歩いたせいかちょっと疲れちゃって」
「ええっ!? 大丈夫ですかマミさん!?」
「大丈夫よ、ちょっと休めばすぐに元気になると思うから」
「あ、そうですか……よかった」
「ありがとう、心配してくれて」

 ラブがほっと息を撫で下ろすのを見て、思わずマミはくすりと笑ってしまう。
 勿論、魔法少女として戦ってきた彼女の体力は少し歩いただけで消耗する程ではない。少しでもラブの気持ちを落ち着かせるために、こまめな休息も必要だった。
 あまりのんびりしていられないのは分かるが、急いては事を仕損じるという諺もある。それにノーザやダークプリキュアのような殺し合いに乗るような輩と遭遇したときに備えて、万全の体調を整えなければならなかった。


 



「そういえばマミさんにだけ、どうして首輪がソウルジェムって奴に付いてるんでしょう? あいつらがうっかり付け間違えたって事は……」
「それは無いわね、ソウルジェムは私達魔法少女にとって魔力の源なの。だからあいつらはそこに目を付けたんだと思う」
「じゃあもしもそれが壊れたりしたら……どうなるんですか?」
「私も詳しいことは分からないけど、恐らくもう二度と戦えなくなるわね……最悪の可能性として、私はそのまま死ぬ可能性だって考えられるわ。奴らなら、ソウルジェムにそういう細工を仕掛けることも出来るかもしれないし」
「そんなっ……!」
「大丈夫よ、これは可能性でしかないし。例えそうだとしてもその前にこんな馬鹿げた殺し合いを止めて、あいつらをとっちめればいいだけの話だから」
「……そうですよね!」

『I−3』エリアと『I−4』エリアの境目に流れる川に存在する橋に設置された木製のベンチに、ラブとマミは寄り添うように座っている。
 彼女達の華奢な身体には今、ラブに支給された毛布が羽織られていた。何故殺し合いの場にこんなのが配られるのかは二人には理解できなかったが、休むならば夜の寒さを少しでも凌がなければならない。
 穏やかに流れる川のせせらぎを聞きながら、毛布を身に纏う二人は支給されたドーナツを口にしていた。

「それにしてもこのドーナツ、とってもおいしいわね……あなたはいつもこれを食べてるの?」
「はい! あたし達の住むクローバータウンストリートって所にはカオルちゃんって言う何でもできる凄いおじさんがいて、みんなの為にいっつもおいしいドーナツを作ってくれるんです!」
「そうなの。何だかとっても羨ましいわ」
「あ、よかったらもっとどうぞ! マミさんにはこのドーナツのおいしさを知って欲しいから!」
「ふふっ、ありがとう。それじゃあお言葉に甘えてもう一個貰うわ」

749わたしが、しっかりしないと ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:30:25 ID:oaFKA8WQ0
 謎だらけのおじさん、カオルちゃんの作ったドーナツをマミは微笑みながら頬張る。そんな彼女を見て、ラブもまた笑った。
 フュージョン達の嫌な話をした後は落ち込みそうだったが、こうして笑ってくれたのはとても嬉しい。どれだけ泣いている人でも一瞬で笑顔にできるパワーを、このドーナツは持っていた。 

「もしもよかったら、こんな戦いを終わらせた後にみんなを呼んでもいいかしら? こんなにおいしいドーナツ、みんなで食べられればもっと楽しいはずだから」
「もっちろんですよ! みんなで食べればその分だけ、もっと幸せをゲットできますから!」
「なら、是非ともそうさせて頂くわ……その時が楽しみね」

 そう言って笑いながら、ドーナツを食べ終わったマミはペットボトルの紅茶を少しだけ飲む。
 ラブとマミに一本ずつ支給されたそれもまた、殺し合いの場には到底似合わないような代物だった。

「あ、マミさん。一つだけいいですか?」
「何かしら?」
「その……ほむらって子も呼んでも良いでしょうか? その子もマミさんと同じ魔法少女なら、きっと分かり合える気がするんです」

 暁美ほむら。
 内面を読むことができず、マミと同じ魔法少女でありながら魔法少女を生み出すキュウべぇを狙っているという謎の女の子。
 その事からマミは彼女を注意するように言っていたが、もしかしたらそうしているのも何か理由があるかもしれない。
 それにこんな訳のわからない戦いで、無意味な犠牲を出したくない。だから、もしも出会えたら協力をしたかった。

「……私もできるなら、彼女と協力したいわ。こんな状況だからこそ、誰かを信じることが大切でしょうし」
「じゃあ……!」
「でも桃園さん、私達魔法少女はあなた達プリキュアとは違って必ずしも味方同士って訳じゃないの……これだけは忘れないで」
「プリキュアと……そんなに違うんですか? みんなの為に戦ってるのはプリキュアも魔法少女も同じなのに」
「残念だけど、根本的に違うところがあるわ。魔法少女の間では手柄の取り合いが起こる事だって、多いのだから……暁美さんも内面が読めない以上、迂闊に信用する訳にもいかないの」
「……そうなんですか」

 そう語るマミの顔は、初めて会話した時のように少しだけ厳しい雰囲気を放っている。
 彼女の言うことは確かに正しい。この孤島にノーザやダークプリキュアのような奴がたくさんいる可能性は充分にあるので、安易に誰かを信用していけないのは分かる。
 でも、だからって誰かを信じられないのはあまりにも悲しすぎた。

「けれど私も、もしも暁美さんと会えたらできる限り話をしてみるわ。桃園さんが言うように、諦めなければきっと分かり合えるかもしれないし」
「本当ですか!? じゃあ、その時はあたしも一緒に協力してくれるように話します!」
「ええ、その時はお願いするわ」

 そしてマミはにっこりと笑う。その穏やかな表情を見た瞬間、ラブの中で悲しみが少しだけ払拭された。
 ラブはまだ巴マミという年上の少女の事をあまりよく知らないが、こうして互いの事を話して距離が縮むのは嬉しく思う。
 一人でも多くの人と手を取り合えれば、いつかはみんなが心の底から笑える事ができるかもしれないと、ラブは信じていた。

750わたしが、しっかりしないと ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:31:28 ID:oaFKA8WQ0
「それじゃあ、そろそろ行こうと思うけど桃園さんは大丈夫?」
「あたしならバッチリ大丈夫ですよ! 疲れも取れましたし!」
「良かった……じゃあ、行きましょうか」

 ラブの明るい笑顔とマミの穏やかな笑顔が、互いに安心感を与える。
 ベンチから立ち上がって毛布とドーナツをデイバッグにしまいながら、ラブは考えた。マミさんと一緒に戦うのなら、決して足を引っ張ってはいけないと。
 かつてつぼみ達の敵であったと言うクモジャキーみたいに、無意味な犠牲を出してしまった悲しみは未だに残る。
 けれども、この人はあたしの事を心配してくれてるのだから、悲しみに沈まないでしっかりしないといけない。

(みんな……お願いだから無事でいて。こんなふざけた事で犠牲になるなんて、あっちゃいけないんだから!)

 ラブはこの島の何処かにいるはずの友達、そしてマミの後輩達の無事を願った。
 しかし彼女はまだ知らない。今から数時間後に共に戦ったプリキュアの一人である来海えりかが、死ぬ運命にある事を。
 そしてそれを行ったのは、殺し合いに乗ってしまったキュアムーンライトこと月影ゆりである事を。
 理想を裏切る残酷な運命をラブには知る事ができなかった。



【1日目/黎明】
【I-3/橋の上】


【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康、罪悪感と自己嫌悪(少しは和らいでいる)
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式、カオルちゃん特製のドーナツ(少し減っている)@フレッシュプリキュア!、毛布×2@現実、ペットボトルに入った紅茶@現実
基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。
1:マミさんと一緒に行動し、話をする。
2:プリキュアのみんなと出来るだけ早く再会したい。
3:マミさんの知り合いと会って協力したい。ほむらもできるなら信じていたい。
4:犠牲にされた人達(堂本剛三、フリッツ、クモジャキー)への罪悪感。
5:できるならマミさんにあまり負担をかけたくない。
6:ノーザとダークプリキュアには気をつける。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの存在を知っています。
※クモジャキーとダークプリキュアに関しては詳しい所までは知りません。
※加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。


【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ペットボトルに入った紅茶@現実、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らず、魔法少女として犠牲を出さない。
1:桃園さんの為にもっとしっかりする。
2:ノーザとダークプリキュアは危険人物として注意する。ほむらに関しては本人に出会うまで保留。
3:もしも桃園さんが無茶をしそうになったら、何としてでも止める。
4:プリキュアの人達と会えたら協力する。
[備考]
※第三話の死亡直前からの参戦です。
※ラブの知り合いについての情報を得ました。
※加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。

751 ◆IdwfK41Ttg:2012/01/03(火) 11:32:00 ID:oaFKA8WQ0
これにて投下終了です
何か矛盾点などがありましたら、指摘をお願いします。

752名無しさん:2012/01/03(火) 11:37:48 ID:FP8gO/wc0
投下乙です。まず、投下途中に割り込みしてすみませんでした。

ラブの参戦時期はDX3終了後……なるほど、ブラックホールというチート存在というのがあるのか。
マミの参戦時期は退場直前……まぁそうだな。となると彼女視点では魔法少女の知り合いはほむほむ(あと一応杏子も知り合いだったか?)ぐらいか。

とりあえず今は安定しているけどどうなることかなぁ……

753名無しさん:2012/01/03(火) 12:29:09 ID:sqNeiy9k0
投下乙です。

754名無しさん:2012/01/03(火) 13:22:02 ID:IF9V9ot20
投下乙

ブラックホールか。黒幕としてはこれ以上ない存在だな。QBとか目じゃないわ
そしてマミさんはマミられる前から参戦。しかしまどか達は死後から来てるとかつらいわな
図書館方面に移動しているけどそこにはガドル、さらにゲームに乗った杏子もいるんだよな

755名無しさん:2012/01/03(火) 14:10:06 ID:pO7uYZ82O
投下乙です。そういやおりこではそう言ってマミさんはシャルロッテをティロってたなぁw

756名無しさん:2012/01/03(火) 15:14:05 ID:sqNeiy9k0
投下乙。投下最高!!!

757名無しさん:2012/01/04(水) 09:02:32 ID:M1HE1MCs0
投下乙です。 このロワが成功するようにがんばりしょうw。

758名無しさん:2012/01/04(水) 10:13:05 ID:M1HE1MCs0
ティアはやっぱりツンデレのジンクスだな。
さらに、魔法少女リリカルカワイソスの呪いで「なのはロワ」ではシグナムを助けたらすぐ、シグナムに殺されるし。
アニロワ2ndでは狂化マーダになるし。
今回くらいは幸せになってほしかったのだが。

759名無しさん:2012/01/04(水) 10:18:12 ID:IVljQMpA0
ニコロワでは搭組として頑張ってたんじゃなかったっけ
まだ途中までしか読んでないけど

760名無しさん:2012/01/04(水) 12:49:02 ID:M1HE1MCs0
ネタバレになるので見たくない人は見ないでさい。

ティアは富竹に殺されます。
かっこいい死に方でしたけど、でもやっぱりかわいそう。
今回はアサシンマーダーとして、生きてほしい。できるだけ長く。

761名無しさん:2012/01/04(水) 13:18:52 ID:Dx2ZVvLsO
ロワでティアナの扱いがこうなのってやっぱ中の人がレナだからなんだろうか・・・え、中の人などいない?

762名無しさん:2012/01/04(水) 14:21:17 ID:M1HE1MCs0
たぶんそうだとおもいますw。
ニコロワでは中が同じ人同士で、搭組になってます。

763名無しさん:2012/01/04(水) 14:29:05 ID:QJJSeiMc0
まぁコンプレックスとか、生真面目な性格とか何気にロワ向きキャラですしおすし

764名無しさん:2012/01/04(水) 15:31:54 ID:IVljQMpA0
レナの場合は割と対主催率も高いんだけどね
自分の知る限りじゃ症候群状態より対主催状態での参戦のほうが多い気がするし
まあ、このへんのティアとの差はロワ参戦数の圧倒的な違いも関係してるだろうけど

そういや、スバルはロボロワでも洗脳されたって話を聞いたことがあるんだが…
本当ならこっちもこっちでかわいそうだ

765名無しさん:2012/01/04(水) 15:42:17 ID:IVljQMpA0
ロボロワ軽く見てきた
詳しい状況はわからないけど、状態表の推移を見る限りじゃ洗脳されたわけじゃなくて、疑心暗鬼と恐怖で暴走してたわけか
アニロワ2のティアナやシャマルみたいだな

766名無しさん:2012/01/04(水) 18:46:53 ID:WxpbPFcYO
>わたしが、しっかりしないと
投下乙です。
人の絆を信じるラブの思いに反し、自分の仲間が仲間を殺しているとはなんという皮肉・・・・・・
このまま町へ向かっても殺し合いに乗った杏子と合流しそうだし、先行きは不安だなぁ。


予想以上にティアナが期待されててびっくり。
でも、このティアナは他のロワとは違った味わいがあるのは確かだし。

それはそうと、ずっと前からしたらばの修正SSスレに「守りし者たち」の修正SSがあがってるんだけど、通しで大丈夫なのかな?
自分はあれで良いような気がするけど。

767名無しさん:2012/01/04(水) 19:40:53 ID:M1HE1MCs0
ティアナが期待されてるねー。
書き手さんがんばって。

768名無しさん:2012/01/04(水) 21:19:41 ID:qsXooOlM0
俺は期待してるのはらんまとあかねかな
普通にカップルがどう転ぶか気になるんだが

769名無しさん:2012/01/05(木) 08:19:06 ID:RJBtAsaA0
>>766
通しでいいんじゃないかな

>>768
そういやこのロワ、ロワの趣旨の関係もあってヒロインがほとんどいないのか
確かにそれ考えると彼らは貴重な存在なんだな
他にいるとすれば…なのはとユーノくらい?
永遠に友達から関係が進展しない奴らだけどw

そういえば、なのはの新作ゲーム、ストーリーモードクリアしたけど面白かった!
ストーリーもバトルも前作から化けてた
まさかマテリアルたちと共闘・和解するとはなー

770名無しさん:2012/01/05(木) 11:55:15 ID:Vcz2JKr60
そうですね。マテリアルズとの共闘は驚きました。
発売前にプレシアとリニスが出るってみてトンデモ設定になるんじゃないかと思いましたが、割と納得の設定でした。

771名無しさん:2012/01/05(木) 13:03:43 ID:YhtTw9GQO
俺はやっぱりラブとマミさんの二人が気になるな
今のところは正統派の対主催コンビに見えるけど、これからどうなるか……
二人とも、メンタルが弱い一面もあるし

772名無しさん:2012/01/05(木) 14:38:05 ID:a.PJcu4EO
王様マジ主人公、レヴィマジアホの子、シュテるんはやっぱり一流だなぁ〜

773名無しさん:2012/01/05(木) 15:41:18 ID:RJBtAsaA0
のわぁ〜〜〜〜!
ストーリーの未プレイ部分を回収しようと思ったら、オートセーブOFFで途中でセーブもせずに切っちゃったからデータが全部消えてる〜〜〜!
昨日の苦労が水の泡だぁ〜〜〜!

774名無しさん:2012/01/05(木) 17:04:24 ID:Vcz2JKr60
771
メンタルが弱い対主催はマーダキラーになったり本物のマーダになることも、ありますね。

775名無しさん:2012/01/05(木) 18:23:28 ID:txIFiurA0
ラブさんのメンタルが弱い……?

776名無しさん:2012/01/05(木) 19:02:47 ID:Vcz2JKr60
考えてみればティアナのオプティックハイドとフェイク・シルエットはアサシンマーダにはぴったりだな。
さらにトリガー・ドーパントのスナイパーライフルがそろったなら一般人相手なら完璧だな。
だけどこのロワは超人が多いロワだから。普通のロワならよっかたんだけど。

777名無しさん:2012/01/05(木) 19:39:03 ID:slN5v/u60
>>775
DXでシフォンがいなくなった時や劇場版でトイマジンの目的知った時とか
結構、自分を責めてたよ。(美希たんいなかったら多分、潰れてた)
まあ終盤は割と自力で立ち直れるようになったけど。

778名無しさん:2012/01/05(木) 21:44:09 ID:txIFiurA0
目的っつーか、自分がぬいぐるみ捨ててたかも?みたいな時か
別にああいうのはメンタル弱いとは言わんだろ…
小さいお友だちへの教育染みた話の趣旨もあるし…

779名無しさん:2012/01/05(木) 22:21:15 ID:slN5v/u60
ああ、言われてみればそうかも……落ち込んでるシーンをたまに見るから
メンタル弱いと勘違いしてたかも(そもそも落ち込んでたからって、弱いとも限らないし)

何にせよ、この二人を期待してるのは確かだな。
ラブはえりかが死んでゆりさんが殺し合いに乗ってしまったのを
マミさんは杏子が殺し合いに乗ってしまったのを
それぞれ知ったら、本当にどうなるだろう……

780名無しさん:2012/01/06(金) 02:03:02 ID:5Bq94MR.O
漢女の羅武兄貴はともかく。
マミさん絡みでもっともヤバそうなのは魔法少女が魔女の雛型であるという事実だな。
この事実を知ってるのは、まどかとほむほむぐらいだけど、知ったら自棄になって「死ぬしかないじゃない!」と魔法少女狩りを始めそうだ。
しかも雑誌を見ると、まどマギPSでマミさんは・・・・・・これ以上は怖くて言えん!

781名無しさん:2012/01/06(金) 12:02:21 ID:wgU.aLA60
さやかって今ロワで既にかなりソウルジェム穢してるみたいだけど、ルール上は魔女化の条件満たすと死ぬんだっけ?
さやかちゃんはもう永くないんじゃ…

782名無しさん:2012/01/06(金) 12:58:55 ID:vw4zbBeg0
いまさらだけど変身ロワなら強殖装甲ガイバーもありだったな。

783名無しさん:2012/01/06(金) 17:43:06 ID:d8pgSDkg0
ガイバーは7票が参戦圏だった投票で6票だったな

784名無しさん:2012/01/06(金) 18:59:37 ID:wjYRpgMM0
>>781
支給品にグリーフシードが入ってるから、案外それを使って生き延びるかも。

しかし、さやかもまあよりによって相性最悪な三影と遭遇ってのは、不幸どころの話じゃないな。
三影自体、正義の味方やらヒーローやらにとっちゃある意味天敵みたいな存在だってのに……

785 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/06(金) 19:14:09 ID:d8pgSDkg0
参戦時期が既に闇落ちしてたころだったら三影と意気投合してたかもしれないけどね
というか実際にそういうネタを考えてた時期があった
ちなみにその話はえりか死亡話だった
なんでこんなえりかの死亡話ばっかポンポン浮かぶんだ自分はw

786名無しさん:2012/01/06(金) 19:32:45 ID:wgU.aLA60
えりかはいっそ見せしめにしたほうが良かったんじゃないか?
扱いにくそうだし、後半まで生きるのが想像できない

787名無しさん:2012/01/06(金) 20:24:13 ID:d8pgSDkg0
>>786
その理屈だと、どこぞの仮面ライダーはどうせ長生きできないから参加者として出すべきでないってことになるな

788名無しさん:2012/01/06(金) 23:30:27 ID:HEx5xfSk0
>>785
今も十分闇落ちして(ry
そういや一旦破棄されたさやかちゃんの予約がまた来るかもしれないな
……溝呂木さんも一緒に予約されてたけどね

789名無しさん:2012/01/07(土) 07:03:18 ID:LhwzQ9D6O
しかし今のところ、青い子はみんなロクな目にあってないよね
さやかは悪墜ち寸前、スバルは洗脳マーダー化、流ノ介は重症、えりかは早期退場……

孤門が一緒にいるとはいえ、美希たんはどうなるだろ。

790名無しさん:2012/01/07(土) 07:32:12 ID:.lWI5/zQ0
孤門と一緒にいるのが美希ってのも面白い組み合わせだよね
美希→キュアベリー→青い果実→ネクサス2期OPってなってて

791名無しさん:2012/01/07(土) 12:27:08 ID:7/FoPvewO
>>790
カレーコンビ(源太、あかね)と同じく偶然か、はたまた意図的か?

赤の人たちも青の人たちとは別のベクトルでヤバい

・村雨   ボロボロ。マーダーじゃないが仮面ライダー死すべし
・まどか  仮面ライダー(?)になったがガイアメモリの危険性を知らない。このままだと心身ボロボロに
・杏子   ステルスマーダーとして行動中
・ドウコク 参戦時期からしてダグバ並の強マーダー?
・つぼみ  本人はまだしも同行者がヤバい

状態的にまともなのは妹キャラと遭遇できた照井だけかな

792名無しさん:2012/01/07(土) 19:51:37 ID:.PmPf3Fs0
アニメ本編ではかませ犬あつかいで、スパロボでは更に出番が少なく、
ネットではネタキャラ扱いで、アニロワ2ndでは見せしめという、
可哀想なテッカマンランスをこのロワでは活躍させてあげたい。

793名無しさん:2012/01/07(土) 19:55:57 ID:.PmPf3Fs0
中身の人はまったく違うけど、テッカマンランスが好きならリリカルなのはの二次創作
「転生者はリリカルなかませ犬」があるよ。

794名無しさん:2012/01/07(土) 21:02:00 ID:vxtMUnvg0
>>792
よーしダクバと戦わせちゃうぞー

795名無しさん:2012/01/07(土) 21:21:43 ID:ZYyfklRs0
>>794
やめて!ランスさんまたかませになっちゃう!

796名無しさん:2012/01/07(土) 22:21:01 ID:EptT0OIoO
スペックで言えばランスが圧倒してもおかしくない
内部からプラズマ化が通用するかどうかだが、それが出来るようだとダグバが圧倒的になりすぎる

797名無しさん:2012/01/08(日) 01:32:46 ID:ymmmsMpE0
まあライダーはスペックだけなら出てないけどエンペラーフォームとかの方がパッと見すごいからな
結局戦いはノリでどうにかなる

内部からプラズマ化はどう考えても制限だけど、目元辺りを狙われてもやばいと思う

798名無しさん:2012/01/08(日) 09:03:34 ID:RgmxEupk0
そもそもテッカマンは空を飛べるけど、ダグバは飛べないから。

799名無しさん:2012/01/08(日) 10:19:53 ID:ymmmsMpE0
そこらへんフェイト(&アンコ)対ガドルでも描写されていたな
制限かかっているとはいえ、やはり空を飛べることは大きなアドバンテージだ
ただ、テッカマンに遠距離攻撃ができるやつってあまりいないんだよな
ボルテッカは基本一回の戦闘に一発のみの切り札だし

クウガアルティメットならボウガン作って対抗できそうだけど。

800名無しさん:2012/01/08(日) 10:59:11 ID:KOSTx9hA0
ガドルも無制限でボウガン使えるけどね

801名無しさん:2012/01/08(日) 11:18:43 ID:RgmxEupk0
ランスはテックレーザーがあるな。これなら遠距離から攻撃できるな。

802名無しさん:2012/01/08(日) 15:41:03 ID:ymnzhIs20
同じことをやったライジングペガサスはバダーに全弾かわされた
それと同じことがダグバにできない保障もない

803名無しさん:2012/01/08(日) 20:33:26 ID:SWKMwnGI0
アックスもボルテッカ並とは言わんけど、斧からビーム出せるよ
ボルテッカも使えるし強い

804名無しさん:2012/01/09(月) 02:31:25 ID:z1Zc3BCc0
最強議論になりそうだったけど、お互いそれなりに戦えそうだからかち合わせた時でも困らないな

805名無しさん:2012/01/09(月) 12:10:27 ID:tZF6h5YI0
前から気になってたけど、なんでこんな急激に雑談が増えたんだ?

807名無しさん:2012/01/10(火) 02:18:41 ID:Ha1o1G.IO
>>805
読み手が増えたor年末年始の忙しい時期を終えて読み手が戻ってきた。ちなみに自分は後者。
それからgry氏帰還スイッチで再予約キターーー!!

808名無しさん:2012/01/10(火) 04:00:02 ID:aj1WjiG.O
何故だろう

アクセル「絶望がお前のゴールだ」
さやか「あたしって、ホント馬鹿・・・」

な電波を受信したんだが。これもゴルゴムのディケイドに変身する乾巧って奴の仕業か?

809名無しさん:2012/01/10(火) 04:26:47 ID:MBe3xoXA0
>>808
自分の場合こんなの想像したけどw

さやか「正義っていったいなんなの…?」
アクセル「俺に質問するな!」

810名無しさん:2012/01/10(火) 19:27:42 ID:5aqd1cOs0
リリカルなのはのお勧めの二次創作なんかありますか?
このロワとあんま関係ないことですいません。

811名無しさん:2012/01/10(火) 20:23:54 ID:1P4oEGg.0
Fateとのクロス物で、リリカルブラッドとか面白いよ
サーヴァントとの果てのない泥試合ぶりは必見

震災以来更新がなくて心配だ

812名無しさん:2012/01/11(水) 19:34:19 ID:bAOt3QMM0
質問なんだけど、T2ガイアメモリってコネクタなしで変身可能らしいけど、挿入の際になんらかの痕が残ったりはするんでしょうか?

813名無しさん:2012/01/11(水) 19:35:35 ID:YAWpfSrc0
11月以降更新されないけど、「転生者はリリカルなかませ犬 」と「魔法少女リリカルなのはEX! 」がおもしろいよ。
更新されないかね。

814名無しさん:2012/01/11(水) 19:50:27 ID:1RKpiUJ20
予約来てるなあ
この調子で来てくれるとありがたい

815名無しさん:2012/01/11(水) 19:56:12 ID:xk8K.ob60
>>812
京水を見る限り、痕は残らないっぽい
差し込む場所が額なのに変身してない状態で出た時それっぽい痕なかったし

816名無しさん:2012/01/11(水) 20:04:49 ID:bAOt3QMM0
>>815
そうですか、ありがとうございます
参考になりました

817 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:23:41 ID:EwdyZy3.0
したらばの仮投下スレに仮投下してきました。
一度目を通して、指摘などをもらえると助かります。

818 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 07:04:17 ID:AQQZFGZk0
投下します

819友へのQ/相棒との再会 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 07:05:58 ID:AQQZFGZk0
「よし、市街地までもう少しだな」

こちらは図書館から市街地を目指す左翔太郎達4人のグループだ。
現在彼らはI−7の歩道で休息を取っている。
市街地には多くの人がいる、あるいは自分たちのように目的地としている参加者が多いだろう。
それらの参加者が必ずしも友好的であるとは限らないため、市街地に入る前に体調と準備を整えることになったのだ。


「しっかし、なんで風都タワーがあるんだ?」


少し先にそびえるタワーを眺めながら、翔太郎はつぶやいた。


「なんだい、知ってる場所なのか?」
「知ってるも何も…俺の故郷の有名スポットだ」


杏子の問いに、翔太郎はぶっきらぼうに答えた。
殺し合いの舞台に自分の大好きな街の象徴ともいえるものがあることに、彼は憤りを感じているのだ。

「どうやらこの地図に書かれてる建物や施設は、参加者にゆかりがあるものが多いみたいだね」

地図を眺めながら、ユーノがつぶやく。
例えば地図の中央にある冴島邸や、村にある志葉屋敷などは、名称からして明らかに名簿の中にある冴島鋼牙、志葉丈瑠と関係があるものに違いないだろう。


「なるほどな〜…お前らはどっか知ってる場所ってあるか?」


翔太郎は3人になにげなく聞いてみた。
もしもあるのなら、彼らの知り合いと再会するための手がかりになるかもしれない。

「あたしは…特にないかな」

地図を眺めながらそういったのは杏子だ。
廃教会というのが少し引っかかったが、さびれた教会など別に珍しいものでもない。

820友へのQ/相棒との再会 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 07:07:41 ID:AQQZFGZk0
「私も…ありません」

杏子の隣で、フェイトも静かに答えた。


「え?」


きょとんとした表情でフェイトを見るユーノ。


「どうしたの、ユーノ?」
「あ、いや……なんでもないよ、フェイト」



「(どうしてフェイトはあんなことを…?)」

ユーノは、先ほどのフェイトの発言に対して引っかかりを感じていた。
ユーノには1か所、地図に書かれた場所で気になる場所があった。
そしてその場所は、フェイトも知ってるはずの場所だった。

「(喫茶「翠屋」…フェイトが気付かないはずないんだけどなあ)」

喫茶「翠屋」とは、この殺し合いの場にも呼ばれている高町なのはの両親が経営する喫茶店で、なのはの自宅だ。
もちろんこの地図に書かれてる「翠屋」があの「翠屋」だとは限らないのだが…
それにしたって気に留まりはするはずだ。
しかし、フェイトの様子を見る限りそんな様子すら見られない。


「(フェイト……?)」



「どうしたんだユーノ?ボーっとして」
「あ…翔太郎さん」

思考に没頭していたユーノに、翔太郎が声をかける。
その声に我に返ったユーノは、先ほどまでの思考を中断する。
確かに疑問は残るが、ほんの些細なことだ。
この程度のことで仲間であり友であるフェイトを疑ったってしょうがない。


「なんでもないです。そういえば、翔太郎さんは仮面ライダーなんですよね?」


思考を切り替えるべく、翔太郎に話題を振ってみた。

821友へのQ/相棒との再会 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 07:09:08 ID:AQQZFGZk0
「ああ、こいつで変身するんだ」

そういって、翔太郎が懐から取り出したそれは―――ダブルドライバー。

「つっても、相棒がいないと使えないんだけどな」
「相棒っていうと、フィリップっていう…?」
「ああ、この殺し合いの主催者達に捕まっちまったんだ!」

あいつと俺は、二人で一人の仮面ライダー。
それは、今までだって、これからだって変わらない

(待ってろよフィリップ!必ず助けてみせるからな!)


「あの…それだと少しおかしくないですか?」
「おかしい?なにがだ?」


あらためて決意を固めた翔太郎に、ユーノが問いただす。

「今の話が確かなら、そのドライバーは使い道がないのに支給されたってことになります」
「…そういうことに、なるな」

確かに翔太郎もこのドライバーと3つの専用メモリが支給されたとき、同じ疑問を抱きはした。
しかし、どうせ加頭の野郎の嫌がらせだろうと、その時は深く考えなかった。
だが、今こうして指摘されてみれば、確かに変身もできないのにこれを専用変身ツールとして支給されたのは妙だ。

「…一度試してみるか」

思えば、この殺し合いが始まってから、このダブルドライバーを腰に装着すらしてなかった。
確かめもせずに変身できないと決めてかかったのは、少し早計だったかもしれない。
そんなわけで翔太郎は立ち上がり、腰にダブルドライバーを装着する。

すると―――


『翔太郎!?翔太郎なのか!?』

「フィリップ!?」


聞こえてきたのは、唯一無二の相棒の声だった。

822友へのQ/相棒との再会 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 07:10:24 ID:AQQZFGZk0
【一日目・早朝】
【I−7 図書館前】


【左翔太郎@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:ダブルドライバー@仮面ライダーW (腰に装着中)
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ(ジョーカー、メタル、トリガー)、ランダム支給品1〜3個(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、フィリップを救出する
1:フィリップ!?
2:まずはこの三人を守りながら、市街地に向かう
3:仲間を集める
4:出来るなら杏子を救いたい
[備考]
※参戦時期はTV本編終了後です
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)
※魔法少女についての情報を知りました。



【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2個 (本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、企画者たちを捕らえる
1:ここにいるみんなの力になる
2:三人と一緒に市街地に向かう
3:フェイトへのかすかな不審
[備考]
※参戦時期は闇の書事件解決後です
※ガイアメモリはロストロギアではないかと考えています
※検索魔法は制限により検索スピードが遅く、魔力消費が高くなっています
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)
※不明支給品の一つはグリーフシード@魔法少女まどか☆マギカです。
※魔法少女についての情報を知りました。



【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(小)、左胸に大穴、下腹部に貫通した傷
[装備]:槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ランダム支給品1〜3(本人確認済み、グリーフシードはない)
[思考]
基本:殺し合いに優勝する
1:フェイトと手を組んで殺し合いを有利に進める
2:今は翔太郎とユーノを上手く利用する
3:他の参加者からグリーフシードを奪う
[備考]
※魔法少女まどか☆マギカ6話終了後からの参戦です
※首輪は首にではなくソウルジェムに巻かれています
※魔法少女の身体の特性により、少なくともこの負傷で死に至ることはありません



【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(小)
[装備]:バルディッシュ@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに優勝してジュエルシードを揃える
1:今はこの三人と一緒に行動する。
2:左翔太郎とユーノ・スクライアを上手く利用する。
3:何かを聞かれたら、出来るだけ誤魔化す。
[備考]
※魔法少女リリカルなのは一期第十話終了後からの参戦です

823 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 07:13:27 ID:AQQZFGZk0
投下終了です
ぶっちゃけ今回の話って登場話でフィリップ関連無視して話進めた自分へのフォローな気がする…

824 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 12:36:02 ID:AQQZFGZk0
現在地間違えてた。

【I/7 図書館前】じゃなくて【I/7 平原】でした。
I/7の図書館前ってどこだよって感じですねw

825 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 12:46:27 ID:AQQZFGZk0
ってよくみたらI/7じゃなくてI-7じゃないか
というわけで現在地表記は【I-7 平原】ですね
やばい…ちょっと落ち着こう自分…

826名無しさん:2012/01/12(木) 16:23:18 ID:Xp3j/li.0
投下乙です!
ああ、フェイトの嘘が見破られそうな予感……
そしてついにフィリップと意思疎通が出来るようになった翔太郎は、この殺し合いを打ち破るために
頑張って欲しいですね。

827名無しさん:2012/01/12(木) 19:58:15 ID:Z3rYxfMg0
好きな二次創作のアクセス数をかせぐためにF5キーを押し続けてたけど
にじファン 検索の週間アクセス数がまったく反映さてないんだが、F5キーは反映されないようになっているのかな。

828名無しさん:2012/01/12(木) 20:06:35 ID:5kxHQK5UO
投下乙です!人付き合い経験皆無な無印フェイトの嘘なんていつボロが出てもおかしくないわなぁ。それにGODを見るにユーノなら無印フェイトの一人や二人完封出来る気がw

フィリップは「変身に問題はない」以上交信くらいは出来るか。とはいえWはファングとエクストリームが封じられ、本人は人質なわけだしどうなる事か・・・

829 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 20:26:59 ID:AQQZFGZk0
かなり今更だが、大事なことに気付いた
杏子のランダム支給品…2話前の「自業自得」の時点で確定してるじゃん!
そういうわけで、今回の話と「自業自得」「彼らは知らない」の杏子のランダム支給品の記述は削除した方がいいのではないでしょうか?

830名無しさん:2012/01/12(木) 20:33:35 ID:IFSm0I3s0
投下乙です。
開始から4時間……やっとフィリップと交信したか……というかもっと早く気付け、後ユーノ、お前も違和感を覚えたならそこから突き崩せ。


>>829
多分、それ杏子自身のランダム支給品じゃなく、ガドルから奪った支給品だと思われ。
だからむしろ修正の方向性としては基本支給品が2つになり、ランダム支給品の記述をガドルのランダム支給品という風になるかと。

831 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 20:43:50 ID:AQQZFGZk0
うおお、ほんとだガドルから奪ってたんだった!
なんかはずかしい//
お騒がせしてすみませんでした!
それなら別に修正はいらないか
○○のランダム支給品ってのも、特に必要な記述でもないし

832名無しさん:2012/01/12(木) 20:51:35 ID:IFSm0I3s0
僕個人としては氏のミスでは無いとは言え修正した方がわかりやすいかなと。
後から基本支給品の数が合わないとか、このランダム支給品は元々誰の? という事が起こらないわけでもないし、
今回氏がそれ削除した方が良いのではと指摘したのも結局は状態表の記載に不備があったわけなので。
(実際、基本支給品の数は増やした方が……増えていないと捨てたのか? という疑問が浮かぶので)

833 ◆eQhlNH2BMs:2012/01/12(木) 21:29:01 ID:AQQZFGZk0
そうですか…それでは収録の際に杏子のランダム支給品に「ガドルの」を追加をお願いします
確かに自分みたいなうっかりを他の人もやりかねないもんなあ…

834 ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:09:00 ID:Ed2VtiOo0
今から池波流ノ介、明堂院いつき、高町なのは、3名投下致します。

835nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:10:50 ID:Ed2VtiOo0
03.池波流ノ介の悪夢



 池波流ノ介がゆっくりとその意識を覚醒させる。

「私は……確か……」

 記憶の糸をたぐり寄せる――そう、あの時眼前にいた外道衆の1人にして殿である志葉丈瑠を付け狙う敵腑破十臓を斬るべく挑み――

「負けたのか……」

 殿の手を煩わせぬ為に1人で挑んでおきながらこの体たらく、結果として十臓を野放しにし殿や多くの参加者を危険にさらす事となってしまった。

「そうだ、あの子は!?」

 そんな中、あの場にいた少女の存在を思い出した。
 強大な砲撃を繰り出し両名の戦いを止めるべく介入したまだ幼い少女、彼女の身を案じ周囲を見回す。
 彼女は結果として流ノ介の妨害をしたわけだが彼女自身に悪意はない、単純にこの殺し合いで誰も死んで欲しくないだけなのは流ノ介自身も理解している。
 だが彼女は知らないのだ、外道衆がどういった存在なのかを。
 奴らを野放しにすれば多くの人々の命が脅かされる、侍として外道衆は何としてでも斬らねばならないのだ。

 それでなくても、この場には外道衆の総大将血祭ドウコクもいる。奴を倒さぬ限り参加者に未来はない。
 そしてドウコクの打倒を可能とするのは志葉の当主つまりは殿だけが使える封印の文字だけだ。
 その殿への負担をかけぬ為、殿への障害となる者を排除しなければならない。
 それは十臓などと言った外道衆だけではない、殺し合いに乗り殿の身を脅かす者全てに言える。

 だが、恐らく彼女はそれをも止めるだろう。もしかしたらドウコクすら殺すなと言うかもしれない。当然それを容認するわけにはいかない。
 しかし、彼女はまだ幼く何も知らないだけなのだ。
 誰だって目の前で他者が傷つく姿を見たくはない。そういう意味で言えば彼女の行動は至極当然の行動だ。

「だがあれ程の砲撃を撃てば……」

 が、彼女の繰り出した砲撃はあまりにも強大すぎる。戦いを止める威嚇の為である故当てるつもりは無かったのはわかるがそれでも過剰な威力だ。
 シンケンジャーである自分や外道衆である十臓ならば直撃しても致命傷にはならないだろうが、普通の銃器を持っている普通の人間に当たったらどうなる?
 彼女はそれを――自身の力が一転して人を傷付けるものである事を理解しているのか?

 とはいえ今はその事はどうでもよい。問題は彼女の安否だ。十臓自身は殺し合いに乗っていないと言っていたがどこまで信用出来るかわからない。
 仮に言葉通りであっても彼女が十臓を止めるべく立ち塞がるならば奴が斬るのは想像に難くない。

 しかし幸か不幸か彼女の姿は見当たらない。これは彼女が無事である事を意味しているのか――
 だが、それ以上に流ノ介は違和感を覚えた。

「ここは……」

 それは今自身がいる場所だ。おどろおどろしい雰囲気が漂い、眼前には巨大な河が広がっている。

「まさか……三途の川か?」

 何故外道衆の本拠地である三途の川にいるのか? 流ノ介の理解が追いつかないでいる。
 そんな中、目の前に誰かが立っているのが見えた。
 その人物は流ノ介のよく知る人物。そう――

836nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:11:24 ID:Ed2VtiOo0
 
「とのぉ……!!」

 殿、すなわち丈瑠だったのだ。あまりにも不甲斐ない戦いをした為、顔を合わせづらくはある。それでも早々に守るべき殿と再会出来た事は素直に嬉しい事だ。
 だが、殿の様子が何処かおかしい、自分に失望したのか? いや――

「なっ……」

 殿は自身の持っていたショドウフォンを地面の上に置き――そのまま振り返り河の方へと進んでいったのだ。

「な、何故なのです! 殿!!」

 流ノ介の叫びに構う事無く殿は河へと進んでいく、

「!! その手にあるのは……裏正……何故殿が!?」

 そして見た、殿の手には十臓の得物である裏正が握られているのを。
 何故十臓の裏正が殿の手にあるのか?
 それ以前に、何故殿はシンケンジャーとしての力であるショドウフォンを捨てたのか?
 そして何故流ノ介の声を聞くことなく河へと進むのか?

「待て……確か裏正は……」

 裏正は只の妖刀ではない。裏正は筋殻アクマロがある野望を果たす為に十臓の家族の魂を閉じこめた上で作り上げ十臓に持たせたもの。
 もっともその野望は果たされる事無くアクマロは十臓に斬られ、最終的には自分達が撃破してはいる。とはいえ、名簿に何故か名前があった事が少々引っかかるが――
 さて、十臓の家族はずっと人斬りに走ろうとする十臓を止めたいと願っていた。もっとも、十臓は裏正に込められた魂、そしてその願いを知りながら平然と人を斬り続ける外道に落ちたわけではあるが。
 では、今殿が裏正を持っているのにどんな意味があるのか?

「まさか……」

 明らかなる殿の奇行、それらを突き詰め1つの結論を導き出す。

「何故ですか殿!! 答えてください!!」

 だが流ノ介はそれを受け入れる事が出来ない、いや出来るわけがない。何故長きに渡り志葉の当主として外道衆と戦い続けてきた殿がそれを捨て――


 これはきっと悪い夢なのだ――


 あの殿が○○に○ちる事など――


 悪い夢なら覚めて欲しい――


「こんな事など……あるわけがない……!」


 そう呟く中、


「そんな筈ありません!!」


 気にしていた少女の叫びが聞こえてきた――

837nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:12:00 ID:Ed2VtiOo0





01.明堂院いつきの推察



 それは、邪悪の神との戦い――

『全ての光を飲み込むこのブラックホールを前にお前達など無力……』

 この世の全てを飲み込む混沌にして闇の意思そのもの――
 ラビリンスや砂漠の使徒等敗れ去った邪悪なエネルギーが宇宙を彷徨い出会い融合し全てを飲み込む宇宙最大の力として復活した存在――
 その力はあまりにも絶大だったが――

『何があっても私達の心は暗闇に飲み込まれたりはしない!』
『どんな時も私達の心の光は明日を目指して輝くの!』
『たくさんの素敵な出会いが多くの成長と新しい旅立ちに繋がっていく!』
『私達は決して立ち止まらない! 例え大きな困難にぶつかっても!』
『大好きなみんなと歩みたい、光り輝く未来は絶対に手放しません!』

 自分達は決して諦めず立ち向かい――

『下らん、例えそれが叶ったとしてもお前達はもうボロボロなんだぞ……』

 プリズムフラワーの力を全て使い切った事で妖精達の世界と自分達の世界を繋ぐ事が出来なくなり別れる事になったとしても――

『ハミィ達妖精と私達はお互いを思い合う心で繋がってるの!』
『絶対負けない! 何があったって私達は真っ直ぐ自分達の明日へと……進むんだからー!!』

 勝利し――そして――

『………………んん……?』
『『『お花の種です!!!』』』
『『これってもしかして!!』』

 それは奇跡だったのかもしれないが――

『でもどうしてこっちに戻って来られたんですか?』
『虹の種から新しいプリズムフラワーが咲いたですぅ』

 これからも皆一緒の未来を掴んだ――筈だった。


 ――が、その未来は再び脅かされる――


 ある時、明堂院いつきが気が付くと暗い広間にいた。
 そして加頭と名乗った男による殺し合いの説明――当然だがいつき自身そんな話に乗るつもりは全く無い。
 しかし、話が進む内に見過ごせない事が起こったのだ。
 首輪のデモンストレーションの為に3人の首輪の爆破が行われた。それ自体はまだ良い、だがその中に砂漠の使徒の三幹部の一人クモジャキーがいた事が問題なのだ。
 確か砂漠の使徒は自分達が打ち倒した筈、当然クモジャキーも浄化された筈だ。
 つまり、存在する筈の無い者がこの場にいるという事が問題なのだ。

 いつきの脳裏にすぐさまあの時戦った最悪の相手、ブラックホールの姿がよぎった。あの時も前に倒したらしい敵が浄化された邪悪な心のみを集めた上で復活させるという事をやっていた。
 それを踏まえるならば浄化したはずのクモジャキーが再びいてもなんら不思議はない。とはいえ殺す為だけに蘇らせた理由がいまいち不明瞭ではある。
 だが、ブラックホールは既に倒した筈。まさか倒せなかったのか? 何かしらの方法で戻ってきたのか?
 あるいは再び宇宙を彷徨い別の邪悪なエネルギーと融合し更に強大となって戻ってきたのか?
 はたまた全く別の存在だというのか?
 どちらにしても以前戦ったブラックホールに最低でも匹敵、恐らくは遥かに超える存在だという事は確実だ。

 不安がないわけじゃない、恐怖がないわけじゃない、それでもいつきは確信していた。
 友達や仲間達が力を合わせればどんな強大な相手でも決して負けはしないと――
 そう、花咲つぼみ、来海えりかや他のプリキュア達、そして――

838nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:12:30 ID:Ed2VtiOo0

「よかった、ゆ……」

 何とか周囲を見回し彼女の姿だけは見付ける事が出来た。同じ様に殺し合いに巻き込まれた以上若干不謹慎ではあるが、一番頼れる仲――

「りさ……ん?」

 だが、彼女の姿を見た瞬間、その安心は脆くも崩れ去った。
 彼女の表情があまりにも哀しく見えたのだ。その瞳の奥にどことなく暗い影を落としているのを感じたのだ。
 それがあまりにも不可解だった。目の前で人が死んでいるとはいえあの月影ゆりがあそこまで暗い表情をするのだろうか?
 全く別の理由がある様な気がした――
 何であれ穏やかではないという事は確かである――

 そして別の場所に転移したいつきは早々に名簿と支給品の確認を行った。
 が、やはり頭には疑問が浮かんだ。名簿を確認した所つぼみ、えりか、ゆりの名前は確認出来た。
 そして自分達とは若干違うもののプリキュアである桃園ラブ、蒼乃美希、山吹祈里、東せつなの4人も確認した。
 ここが最初に浮かんだ疑問だ。プリキュアの仲間は21人いたがその内で8人しか、それも砂漠の使徒と戦った自分達4人とラビリンスと戦った4人という偏ったメンバーしか連れてこられていない。
 何故他のプリキュアを連れて来なかったのだろうか? いや、連れて来なかった事はむしろ喜ばしい事なのだが疑問を感じた事に違いはない。
 次に感じた疑問はダークプリキュアとノーザの存在だ。ダークプリキュアは砂漠の使徒の幹部で特にゆりとは深い因縁のある相手だ。ノーザの方は聞いた程度しか知らないものラビリンスの幹部でラブ達と敵対していた筈だ。
 が、その両名は何れも打倒した筈(ノーザの方は聞いた程度の話だが)、勿論ブラックホールが主催側にいるならば復活は可能だろうが何かが引っかかる。

 いや、実の所ダークプリキュアがいるだけならば単純に復活させたで片付けても良い。
 しかし、あの時のゆりの表情がどうしても引っかかったのだ。それを見落とせば取り返しのつかない事になりかね――
 回りくどい言い方は止めよう。何かの理由で殺し合いに乗るのではないのか――最悪そう思わせるものを感じさせたのだ。
 勿論、あのゆりが殺し合いに乗るなんて信じたくはないし信じてはいない。だが、あの表情はどう見ても何時もの彼女ではない。

 では、何時もの彼女ならばどう考えるだろうか?
 プリキュアとしての経験も一番豊富であり優れた洞察力のある彼女ならば自分同様、ブラックホールの存在をある程度想定出来る筈だ。
 ブラックホールの存在に気付いたならばいかなる理由があろうともまず殺し合いに乗る事はあり得ない。
 加頭の話では優勝者にはあらゆる報酬が与えられる、だがブラックホールが黒幕だとするならば連中の言葉はほぼ確実に嘘だ。
 黒幕がブラックホールで無いとしてもそれと同等あるいはそれ以上の力、性質を持っていると考えて良い。どちらにしても連中の言葉は何も知らない参加者を殺し合いに乗せる為の嘘だろう。

 だがしかしだ、どうもゆりの表情を思い返すにその事に気付いている様子は感じられない。
 ブラックホールの存在に気付かない? つぼみやえりかだったらあの異様な状況に感情的になって見落とすかも知れないが、ゆりが見落とすというお粗末な事をするとは思えない。

「まるでブラックホールの事を知らな……まさか……」

 いつきの脳裏に1つの仮説が浮かんだ。確かにこの仮説ならばダークプリキュアにノーザ、そして見せしめとしてクモジャキーが殺された事にも一応の説明が付く。

「だけど、ゆりさんがあんな表情を見せる理由なんて……」

 ――ある。確かにあのタイミングならば十分に可能性がある。

「……いや、まだそうだと決まったわけじゃないか……」

 とはいえ、これはまだ仮説レベルの話。可能性は高いものの決め手に欠ける。
 だが、念頭に入れておいた方が良いだろう。この仮説次第ではラブ達が自分達を知らない可能性もあるし、
 下手をすればつぼみやえりかが自分を同じプリキュアではなく、ファッション部の部員あるいは生徒会長としか認識していない可能性もある。

839nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:13:30 ID:Ed2VtiOo0

 気を取り直し、支給品の確認を進める。共通の支給品と自身の変身道具を除く支給品は3つ(あるいは3種ともいうべきか)あった。
 その内の2つの確認を終え最後の1つの確認をする。

「……」

 その最後の支給品をジッと見つめる。

「……」

 いや、自分でもこの場では若干不謹慎だとは思う。だが、

「……」

 何故か目が潤み頬がどことなく染まってしまい、

「か……可愛い……」

 そう口にしてしまう。そうだ、そのウサギのぬいぐるみがあまりにも愛らしかったのだ。そう呟いてしまう程に。

「いや、こんな事やってる場合じゃないか……」

 それは本当に何の変哲もないぬいぐるみだ。いつき個人は嬉しく思わないでもないが、武器としても全く使い道のない道具をわざわざ支給する加頭達主催陣の思考を疑ってしまう。

「……そういえばブラックホールとの時もすごろくしたんだっけ……」

 本当にブラックホールが絡んでいてもおかしくはないなぁ――そう考えつつ、都合良く説明書きが見つかったので確認をする。

「……確か名簿に……ああ、この人がこの子に……」

 そして名簿を確認していると、


 ──ドゴオオオオオオオオオン!!


 轟音が轟いてきた。何かが直撃した音なのだろう。
 戦いの音だとしても明らかに大きすぎる、それこそダークプリキュア程の力を持った参加者同士の戦いの音だ。

「まずい、急がないと!」

 十分に時間をかけたこともあり確認は済んだ。支給品をデイパックにしまい急いで駆けだした。

「待ってて!」

 そう口にしながらいつきは走る。向かうべき方向は轟音が響いた方向、つまりはB-7にあるホテルへと走った――


 その時のいつきは色々考えていたこともありほんのわずか周囲への注意力が若干落ちていたのかも知れない。
 そう、もう少し周囲への警戒を強めていれば早々にえりかと合流出来ていた可能性があったのだ。
 不幸にもその後えりかは死を迎える事になる。しかもその下手人はゆりというおおよそいつきが考えた最悪のケースだ。

 とはいえ、えりかと合流出来た選択が正しく、合流出来なかった選択が間違っていたとは言い切れない。
 何故ならいつきがホテルに向かったお陰で出血多量の重傷を負った1人の参加者を助ける事が出来た。向かわなければ再起不能、最悪死亡していた可能性もある。
 また、えりかの所に向かった場合は十中八九彼女を捕らえたダークプリキュアとの戦いになっただろう。
 1対1では難しいものの2対1ならばある程度戦えるだろう。だが、その周囲には多くの参加者がいた。
 殺し合いに乗った参加者の介入、戦いに巻き込まれる参加者の存在を踏まえるならばその結末は予測不可能。数人の犠牲が出る事も否定は出来ない。
 IFの話に意味など皆無、そう言ってしまえばそれまでだ。だが、いつきのとった選択が必ずしも間違いとは言い切れないという事を読者諸兄にも理解して貰いたい所である。


 ここまでの話がこの殺し合いが始まってから高町なのは及び池波流ノ介と合流するまでのいつきの動向である。

840nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:15:05 ID:Ed2VtiOo0





02.高町なのはの憤慨



 ホテルの一室では今もシンケンブルーに変身していた男性が眠り続けている。
 先の戦闘でのダメージも大きく多くの血を流したのだ、一朝一夕に意識を取り戻すわけもないだろう。
 だが、現状の2人が出来る応急処置は終わった、ホテルにあるものだけでこれ以上の手当は難しい所だ。

「本当だったらすぐにでも病院に連れて行かなきゃいけない所だけど……」

 しかし、殺し合いの舞台となるこの島には病院らしき施設はない。
 そもそも殺し合いの舞台に人の命を助ける為の病院がある事自体ある意味おかしいのだからむしろ当然の流れではある。
 更に言えば、仮にあった所で人々が集まるのは明白で同時に殺し合いに乗った参加者も数多く集う惨劇の場となる。それを考えれば病院が無いのも仕方がない事だろう。

 ともかく、今は彼の回復を待つしかないだろう。

「せめてユーノ君がいてくれたら……」

 そうなのはが呟く。治療魔法が使えるユーノ・スクライアがいたならば彼の治療も上手くいっただろう。

「なのはの友達?」
「はい! ユーノ君にフェイトちゃん、私の大事なお友達です!」

 そう強い口調でなのはは答えた。

「……ところで、いつきさんの方は友達が巻き込まれたりしていないんですか?」
「ああ、そういえばまだ話していなかったね……」

 そう言っていつきは自身の仲間(もしくは友達)について詳しく説明する。

「そんなに沢山の人が……」
「みんなボクに負けないぐらい強いからそう簡単にはやられないとは思うけど出来るなら早くみんなに会いたい」
「はい、フェイトちゃんだって私に負けないぐらい強いけど私も早く会いたいです。フェイトちゃんと力を合わせれば誰にも負けません!」

 またしても強い口調でなのはは答えた。
 その後、更に2人は互いの大まかな事情、いつきからはプリキュアや砂漠の使徒との戦いに関する事を、なのはからは魔法や時空管理局に関する事を語った。
 あまりにも違いすぎる世界に2人は驚愕する。
 なにしろなのはから見れば人知れず悪い奴らと戦っているプリキュアの存在など想像もつかなかったし、いつきにしてみても魔法は今更だが多くの次元世界を守ろうとする管理局の存在は驚くに値する存在だからだ。

「……何処が魔法なんだろう?」

 そして思わずこう呟いていた。

「あれ……でも確かダークプリキュアさんやクモジャキーさんは倒したって……」
「ボクもそれは気になったけど……主催者側にブラックホールかそれぐらいの相手がいるなら出来ると思う」

 いつきは更にブラックホールとの戦いの事を説明し、更にブラックホールあるいはそれに匹敵する存在が主催側にいるという仮説を話す。

「そんな……でも倒した筈なんですよね?」
「ただ、また宇宙を彷徨って邪悪なエネルギーを集めて戻ってきたかも知れないんだ……」

 そんな凶悪な存在に対し流石になのはも動揺する。

「でもそれだけの相手なら流石に管理局も気付く気が……」

 数多の次元世界を管理する管理局といえど管理外世界つまりは地球規模の戦い程度に関わる事はない。
 それ故、いつきが語った戦いに全く管理局が関わらなかった事に疑問は全く無い。
 だが、ブラックホールクラスになると話が別だ、それを放置すれば他の世界が脅かされる事になる。数多の世界に影響を及ぼすとなると管理局も黙ってはいないはずだ。
 いつき自身も気にはなったもののそこにばかり気を回すわけにはいかない。

「あ、そうだ……なのは、キミに渡さなきゃいけないものがあったんだった」
「渡さなきゃいけないもの?」

 そう言っていつきはデイパックからあるものを取り出す。

「はい、これなのはがキミの妹……ヴィヴィオにあげたものだよね」

 それは何の変哲もないウサギのぬいぐるみである。だが、

「え?」

 なのはは何処か惚けた様な返事をした。

841nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:15:40 ID:Ed2VtiOo0

「あれ? どうしたの?」
「あの……いつきさん、私……お兄ちゃんとお姉ちゃんはいるけど妹はいません……」
「え?」
「それに、そのぬいぐるみにも全く見覚えがありません……」
「でも、名簿を見たら高町ヴィヴィオっていう子がいたから……」
「私のお父さんもお母さんも日本人です、幾らなんでもヴィヴィオって名前を付けたりしません!」
「言われてみれば……でもここに……」

 と、いつきは一緒に入っていた説明書きを取り出す。

「『ヴィヴィオのぬいぐるみ 高町なのはがヴィヴィオに送ったぬいぐるみである』……本当だ……」

 その説明書き、そして名簿にある高町なのはと高町ヴィヴィオという同じ高町の性を持つ者の存在。
 それらを統合して考えればなのはとヴィヴィオが姉妹、あるいは親戚関係にあると推測するのは無理からぬ話だ。

「でも本当に私知らないです。ヴィヴィオちゃんの事だって同姓というだけだと思って……」

 そう口にするなのはを余所にいつきは頭を抱えていた。

 結論から先に述べよう。いつきはこの謎について一つの答えを出していた。
 なお、その説明書きが主催側が仕掛けた嘘という事については全く考えてはいない。
 今の通り本人に確認すればすぐにわかる嘘に意味など無いし仮に騙した所で殆ど問題にはなり得ない。
 ではこれが事実ならば――

「まずい……」
「どうしたんですか、いつきさん?」
「なのは、落ち着いて聞いてくれる。もしボクの推測通りだったら多分ヴィヴィオは君の家族だよ」
「ええぇ!? どういう事!?」

 唐突にそんな発言が飛び出しなのはの声も大きくなる。

「いや、多分今のなのはにとっては全く知らない子だと思うけど、これから先で家族になる子だよ。どういう形かまではわからないけど……」

 いつきの推測はまさしく大正解だ。ヴィヴィオは後になのはの娘となる少女だ。
 もっともその過程までは予想出来ないだろう。ある事件で保護した重要な少女をそのまま娘にするという展開など比較的普通の中学生に推測出来るわけがない。

「ええぇ……でもどうしてヴィヴィオって名前を……」

 なのはにとってはどうにも実感の湧かない話ではある。それでも、ヴィヴィオ側の視点ではなのはを家族と思っている可能性がある。
 それを踏まえるならばその事についても考えておくべきだろう。

 が、一方のいつきは未だに頭を抱えていた。

「あれ、いつきさん、どうしたんですか……」
「……これもボクの推測だから確実ってわけじゃないけど……参加者の多くは違う時間から連れて来られている可能性がある」
「違う……時間?」

 いつきの言いたい事を具体的に語ればこういう事だ。
 いつき本人は砂漠の使徒との戦いを終えた後のタイミングで連れて来られている。
 だが、一方でつぼみがプリキュアになった直後から連れて来られているとしよう。(注.あくまでも例え話であり実際にそうというわけではない)
 いつき自身から見ればつぼみは同じプリキュアの仲間だ。
 しかしつぼみから見た場合はいつきは生徒会長の少年でしかない。
 恐らく、つぼみ視点から見ればいつきも守るべき対象という事になる筈だ(実際、いつき自身プリキュアになる前にはデザトリアンにされた事もあった)。
 つまり、参加者間での情報に食い違いが発生するという事だ。
 また、この応用で、倒したはずのダークプリキュア等がいる理由も説明が付けられる。それこそ倒される前から連れて来れば何の問題も無い話だ。

「……でも、それって大きな問題なの?」

 だがなのははまだ事の重要さを理解していない。例え違う時間軸から連れて来られたとしてもユーノはユーノ、フェイトはフェイトだからだ。

842nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:16:20 ID:Ed2VtiOo0

 しかしいつきはそうは考えていない。
 あの時のゆりの表情、それはきっと深い悲しい出来事に遭ったものだ。
 確かにゆりは長きに渡る戦いの中でパートナーの妖精であるコロンを失う等哀しい経験をしている。
 だがそれ以上に哀しい経験をあの最終決戦でしているのだ。
 それは砂漠の使徒の指揮官であるサバーク博士の正体がゆりの父親で、
 激闘の果てに打ち倒したダークプリキュアがサバーク博士こと月影博士がゆりことキュアムーンライトを元に作り出された生命体、言うなればゆりの妹とも言える存在だという事が判明した。
 しまいにはやっと再会出来た筈のサバーク博士が砂漠の使徒の王デューンによって殺されたのだ。
 これらの一連の出来事、特に月影博士の死により彼女は復讐鬼に堕ちかけた。実際はつぼみの説得によりそれを乗り越えデューンとの最終決戦に望んだが――

 が、実はこのタイミングこそが重要なのだ。そう、もしゆりが『月影博士の死の後、つぼみの説得を受ける前』から連れて来られたならばどうだろうか?
 客観的に見てもゆりはあまりにも辛い経験をしている。幾ら自分達プリキュアの中では一番年上とは言えその本質は17歳の少女でしかない。
 このタイミングならば殺し合いという状況に気圧され堕ちる可能性は否定しきれない。
 優勝して月影博士を取り戻す事を望んだって全く不思議はない。
 これが杞憂であればそれにこした事はない、だが実際にそうだったとしたら――

「――というわけだから、もしかしたら……」

 ともかく、万が一ゆりが優勝を狙いであり、なのは達の襲ってきた場合の事を考えその事を大まかに説明をする。

「……でもちゃんと話をすればわかってもらえる筈です」
「うんボクも話はするつもり……」

 無論、いつきも説得はするつもりだ。事情がどうあれ背後にブラックホールがいるならばまず優勝しても願いが叶う筈がない。
 それにちゃんと伝えれば十分ゆりを踏みとどませる事は出来る筈だ。
 とはいえ懸念はある。そもそも話をする状況になるのかどうかという問題がある。
 自分達はゆりを信じているし、ゆりの方も自分達が信じていると判断するはずだ。
 つまり、仮に指摘した所ではぐらかされればそれで話は終わりだ。何しろこの仮説自体確証があるわけではなく否定されればそれ以上の追求は出来ない。
 また、何とか説得したとしても、素直に聞いてくれる保証は全く無く、恐らくは戦いになる筈だ。正直、キュアムーンライトに対抗しきる自信は無い。

「……ただ、これはボクの方だけじゃなく、なのはの方にも言える事だけど」
「え?」
「……確か、なのはが魔法に出会った事件の中で敵対していたって言っていたよね」

 先の情報交換でなのはが魔法に出会った事件について大まかな説明はされている。当然、最初はフェイトと敵対していた事も説明済みだ。

「その時期から連れて来られているなら、なのは達の事を敵だと思っているだろうし……」
「例えそうでも、フェイトちゃんが人を殺す何て事絶対にしません」
「でも、なのはだって言っていたよね。フェイトのお母さんを喜ばせる為にジュエルシードを集めていたって、その為に無茶な事もしたって……だから……」

 無論、いつきもなのはの友人を疑うマネなどしたくはない。
 だが、気付いてしまった以上、その最悪の可能性から目を背けるわけにはいかない。しかし、

「そんな筈ありません!!」

 なのははそれを認めるわけにはいかない。確かにジュエルシードを巡って何度も戦ったがフェイトは自分達を見逃してくれた事もあった。
 本当は心優しい少女なのだ、そんな彼女が幾ら母であるプレシア・テスタロッサの為とは言え他の人を皆殺しにするわけがない。
 だからこそ今までよりもずっと激しい口調でいつきの言葉を否定した。

「うう……ここは?」

 その時だった、今まで意識を失った流ノ介が目を覚ましたのは。

843nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:17:15 ID:Ed2VtiOo0





04.nothing



「なるほど……そういう事だったか……」

 流ノ介が意識を取り戻し、3人はこれまでのいきさつや互いの事情について説明をした。

「……あんまり驚いている様に見えないですね」

 魔法や管理局、それにプリキュアに関する事を聞いているならばもう少し驚いても良いが流ノ介は至って落ち着いている。

「いや、実は自分達のいる世界とは別の世界が存在している事はこの身をもって経験している……あの時は1人ゴミばかりの世界に飛ばされ辛かった……」
『Are there such world ?(そんな世界あるんですか?)』

 少し前にガイアークと戦った事があり、その時にガイアークと戦っていたゴーオンジャーと共闘する事になった。
 その際に流ノ介達シンケンジャーの面々はそれぞれ別の世界の飛ばされた事があった。
 その為、自分達の住む世界以外にも世界がある事程度は今更驚く事でもない。

「それに通りすがりの仮面ライダーが訪れた事もあった」

 また、別の世界から通りすがりの仮面ライダーが現れた事もあった。

「あの時は源太の奴が仮面ライダーに折神を盗まれたりアヤカシが仮面ライダーになったりして大変だった……」
「それ、本当に仮面ライダーだったんですか?」
「何故か病院が写真館になったりもした」
「何故写真館なの?」
「詳しくは知らないが世界の破壊者と呼ばれていて私達の世界も破壊される所だった」
「「それの何処が破壊!?」」

 さて、仮面ライダーの話についてだがここで1つ重要な事に触れねばならない。
 あの場には本郷猛、一文字隼人という2人の仮面ライダーがいた。だが、流ノ介の世界に仮面ライダーは存在しない。それ故彼等は別世界の仮面ライダーという事になるだろう。

「待てよ……」

 と言いながら名簿を確認する。

「どうしたんですか、流ノ介さん」
「いや、確か……あった、ユウスケの名前だ」
「五代雄介?」
「ああ、確か仮面ライダー達の1人がユウスケと呼ばれていた覚えがある……」
「じゃあこの人がその?」
「……だが妙だな、確か後の2人の名前は無い……それに……本当にこの名前だったか?」

 何にせよ以上の経験がある為、別世界の存在についてはある程度免疫があるということだ。
 情報交換も終わったならば今後の方針を決めなければならない。普通に考えれば仲間達との合流を果たす事だろうが――

「いや、私は今すぐにでも十臓を追う。だから仲間との合流は君達に任せる、源太なら首輪の解析の力にもなってくれる筈だ」

 そう言って立ち上がろうとする。
 源太は自力でモジカラの力を解析しシンケンゴールドに変身する為のスシチェンジャーを作り上げた。
 それ故に一朝一夕とはいかないものの首輪解除において大きな力になってくれる筈、流ノ介はそう考えたのだ。

「ちょっと待ってください、応急処置はしたけどその怪我じゃまだ……」
「そんな事はわかっている! だが十臓を野放しにすれば殿や他の参加者の命が危ない!」

 万全な状態でも破れ去った以上、負傷している状態では戦いにすらならないだろう。それでも流ノ介は1人でも戦いに向かうつもりだ。

「やっぱり殺すつもりですか……」

 そんな流ノ介に対しなのはは憤りを隠すことなく口にする。

「言いたい事はわかる。だがさっきも説明したが外道衆は人々を苦しめる存在だ、奴らを野放しにしては殿のみならず君達の仲間の命が危うい」

 十臓を斬るのは殿への負担を軽減する意味合いが強い。とはいえ、人々を守る為にも外道衆を放置するわけにはいかない。

「でも殺すなんて間違っています! 殺さなくても済む方法が……」
「奴に説得など通じない! あの男は自分を止めようとした家族の魂が宿った妖刀を使い平然と人を斬り続けている真の外道、そんな奴に君の言葉など決して届かない!」
「家族が封じ込まれた妖刀!?」

 その事にいつきが驚愕しつつも流ノ介の言葉は続く。

「それに君の言い方だと筋殻アクマロや血祭ドウコクも殺すなという事になるのだろう?」
「はい! あの人達だってお話すればきっと……」
「そんな甘い事でこの世が守れるか! 君は何もわかっていない……はぐれ外道である十臓と違いあの二人は本物の外道、人々を苦しめる事など何とも思っていない奴らだ」
「でも何か大事な理由が……」
「そんなものはない! あった所で自分の欲望を満たす為だけだ、話をするだけ時間の無駄だ」
「だったら……力尽くでも言う事を聞かせます! そうすればきっと……」

844nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:20:00 ID:Ed2VtiOo0

 流ノ介の言う通り口だけの説得など届かないかもしれない。だがそれならフェイトと解り合った時の様に全力全開でぶつかりあえばきっと届くはずだ。
 なのはの頑なな姿勢を見て、恐らくどう言っても止めてくるのは明白なのは流ノ介も理解した。
 一方のいつきは殆ど黙り込んでいる。
 心情的にはなのはに賛同しているわけだが流ノ介の言い分もわかるのだ。外道衆がこの世界を脅かすのであれば倒す事もやむを得ないのは理解している。
 どちらも正しいが故に口を挟めないのだ。

「これ以上私がどういっても引くつもりは無いのだな……」
「はい! だから……」
「だが私も引くつもりはない、そうなれば君は力尽くでも私を止めるつもりだな」
「勿論です!」
「ならば私を殺すという事だな」
「ええ!?」
「どうしてそうなるんですか!? 私は誰も殺すつもりなんて……」
「言っておくが、例え君にこのショドウフォンを奪われても意見を変えるつもりはない。この身1つだけとなっても奴の所に向かうつもりだ」
「そんな怪我でしかも何の武器も無い状態で行くなんて自殺行為です」

 中立を保っていたいつきも流ノ介を止める為口を挟む。

「そんな事は百も承知だ、だが私は侍として……殿……ひいてはこの世を守らなければならないのだ……例えこの命が尽きてもだ……それでも私を止めるというのならば、君の力で私を殺すしかない」
「この力は人殺しの為にあるんじゃありません!」

 なのはにとって魔法の力は大切な人達を守る為、自分の意思を通す為の力だ、決して人を傷付ける為の力ではない。それ故に流ノ介の言葉に力強く反論する。

「君は何か勘違いをしていないか? 確かに君の……いや、我々の力は人々を守る為のものでありいたずらに人を傷付けるものではない。だが、所詮は力でしかない、使い方を誤れば簡単に人を殺せるとても危うい力だ」
「そんな事はわかっています、でも私はこの力で人を殺したりなんてしません!」
「いや、何もわかっていない! あの砲撃で誰も死なないなんて本気で思っているのか、巻き込まれる者がいないかと考えなかったのか?」

 本当ならば売り言葉に買い言葉の様な形で触れるつもりはなかったものの、なのはの行動は何れ大きな問題を引き起こす。それ故に流ノ介はあの時の砲撃について口を出した。

「大丈夫です、ちゃんと周囲は確認しました。それに説明してなかったけど私達の魔法は非殺傷設定って言って人を傷付けない風にも出来ます。だから……」
「仮にそうだとしてもむやみやたらに放って良い力ではない! それに仮に君の魔法そのものは人を傷付けないものであったとしてもそれによって起こる衝撃や風までは非殺傷には出来ないだろう」
「それは……」

 流ノ介に言われて気が付いた。確かに魔法そのものは非殺傷ではあっても巻き込まれた事で起こった崩壊までは非殺傷には出来ない。

「それにだ……いつきがここに来たのはなのはの砲撃を見たからだな」
「はい……誰かが戦っているかと思って……」
「そのお陰で私の命が助かった事については素直に感謝している。だが、殺し合いに乗った者を呼び寄せる可能性だってあったのだ。
 もしこの場に来たのがいつきではなく、アクマロやドウコクであったなら……私も君も殺されていただろうな」

 良くも悪くもなのはの砲撃はホテルでの戦いに大きな影響を与えている。流ノ介にとっては良い方向に傾いたがそれはたまたまでしかない。
 彼等の知らない所ではその影響で状況が悪く転がっている事があるのだろう。

「でも……」

 なのは自身もそれがわからないではない。それでもあの時の行動が間違っていたとは思えない。

「なのは……ボクも流ノ介さんの言う通りだと思う」
「そんな、いつきさんまで……」
「キミがそういうつもりじゃないのはわかる。だけどボクはあの砲撃で誰かが傷ついたかもしれないと思ったから急いだんだ。つぼみ達も同じ事をしていたと思う。
 知らなかったからだけど、君の砲撃が危ないものだと思ったのは確かなんだ。
 それにね……ボクも武道をやっているからわかるけど、力は使い方を間違えれば簡単に人を傷付ける事が出来るんだ。非殺傷に出来るから大丈夫って問題じゃないんだよ」
「はい……」

845nothing ◆7pf62HiyTE:2012/01/14(土) 02:23:14 ID:Ed2VtiOo0

 武道を嗜む者にとってはその力が人を傷付ける危ないものである事は容易に理解出来る。
 心・技・体とはよくいったもので、彼等は技や体だけではなく、まずは心を養うという事なのだ。
 それ故に、幼い頃から武道を嗜んでいたいつきはその事を強く理解し、なのはに諭すのだ。
 諭されるなのはの方も元々家に道場がある関係もありそれが全く理解出来ないわけではない。

「それに……レイジングハート、聞きたいんだけど非殺傷って絶対に解除出来ないの?」
『No, it can be canceled , Mr. Itsuki.(いいえ、解除は可能です。Mr.いつき)』
「(ん、『Mr.』?)」
「レイジングハート……?」

 いつきの質問の意図が読みとれずなのはの頭に疑問符が浮かぶ。

「やっぱり……なのは、フェイトはキミと互角だって言っていたよね。もし、非殺傷の状態でなのはと同じ事をしたならば……」
「……それこそ多くの犠牲が出るだろうな、殺すつもりで撃ったならばまず間違いない。」

 なのはが答える前に流ノ介がその問いに答えた。

「そんな、さっきも言ったけどフェイトちゃんがそんな事をする筈がありません!」

 だが、いつきや流ノ介がどう言おうともなのははフェイトを信じている。いつきも危惧はするものの信じたい気持ちは汲みたい所だ。
 流ノ介もその心中は察している。それでも、

「君達が友を信じたい、戦いたくない気持ちはよくわかる。だが1つ言っておく、もしフェイトにしろゆりにしろ殿に仇なすならば私は彼女達を斬らねばならない」

 殿を守る為、最低限の事は触れておかねばならない。

「……!」
「そんな!」
「君達にとって友が大事である様に私にとっても殿が何よりも守らねばならない存在だ、君達がどう言おうとも譲るつもりはない」

 そう、なのは達に譲れぬものがある様に流ノ介にも譲れないものがあるのだ、それは誰がどう言おうとも変わるものではない。

「それにいつき、君だって私やなのはの事ばかりに構っているわけにはいかないのだろう。仲間達への合流だけではなくゆりへの説得やダークプリキュアの打倒を考えなければならないのではないか?」
「それは……」
「ちょっと待ってください! いつきさん、本気でダークプリキュアさんを殺すつもりなんですか!?」

 ここでなのはが口を挟んできた。

「え!?」
「ちょっと待て、君はいつきの話を聞いていなかったのか。ダークプリキュアは砂漠の使徒として人々を苦しめてきたんだろう。外道衆同様倒さなければならない存在じゃないのか?」

 流ノ介は半ば呆れ気味に反応する。

「違います! だってダークプリキュアさんはサバー……月影博士……ゆりさんのお父さんがゆりさんを元にして造ったんですよね?」
「そうだけど……」
「だったら、ゆりさんの妹です。そんな彼女を殺すなんて言わないでください!」
「それは……」
「だが聞く所によると、彼女はゆり……キュアムーンライトを倒す為に造られた存在ではないのか?」
「きっかけはそうだったかも知れません。それでもダークプリキュアさんを殺して良い理由にはなりません! それに……闇のプリキュアなんていう哀しい呼び名で呼ばないでち