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パラレルワールド・バトルロワイアル
1 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:46:40 ID:wJSxrmu.
『バトル・ロワイアル』パロディリレーSS企画『パラレルワールド・バトルロワイアル』のスレッドです。
企画上、グロテスクな表現、版権キャラクターの死亡などの要素が含まれております。
これらの要素が苦手な方は、くれぐれもご注意ください。

前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13744/1306338927/

【外部サイト】
パラレルワールド・バトルロワイアルまとめwiki
http://www45.atwiki.jp/pararowa/
パラレルワールド・バトルロワイアル専用したらば掲示板

2 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:47:02 ID:wJSxrmu.
【参加者一覧】

5/5【仮面ライダー555】
 ○乾巧/○草加雅人/○長田結花/○村上峡児/○北崎
4/4【仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
 ○木場勇治/○園田真理/○海堂直也/○菊池啓太郎
5/5【コードギアス 反逆のルルーシュ】
 ○ルルーシュ・ランペルージ/○C.C./○枢木スザク/○ロロ・ランペルージ/○篠崎咲世子
6/6【コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
 ○ナナリー・ランペルージ/○アリス/○ゼロ/○ロロ・ヴィ・ブリタニア/○マオ/○ユーフェミア・リ・ブリタニア
4/4【DEATH NOTE(漫画)】
 ○夜神月/○ニア/○メロ/○松田桃太
4/4【DEATH NOTE(映画)】
 ○L/○弥海砂/○夜神総一郎/○南空ナオミ
5/5【Fate/stay night】
 ○衛宮士郎/○間桐桜/○セイバーオルタ/○バーサーカー/○藤村大河
6/6【Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
 ○イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/○美遊・エーデルフェルト/○クロエ・フォン・アインツベルン
 ○遠坂凛/○ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト/○バゼット・フラガ・マクレミッツ
5/5【ポケットモンスター(ゲーム)】
 ○シロナ/○N/○ゲーチス/○オーキド博士/○サカキ
5/5【ポケットモンスター(アニメ)】
 ○サトシ/○ヒカリ/○タケシ/○ニャース/○ミュウツー
4/4【魔法少女まどか☆マギカ】
 ○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○佐倉杏子
4/4【魔法少女おりこ☆マギカ】
 ○美国織莉子/○呉キリカ/○千歳ゆま/○巴マミ

【残り57/57名】 (○=生存 ●=死亡)

3 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:47:26 ID:wJSxrmu.
【基本ルール】
 『儀式』(バトル・ロワイアル)の参加者(以下『プレイヤー』と表記)は57名。
 『プレイヤー』全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が『勝者』となる。
 『勝者』には、『どのような願いでもひとつだけ叶えることが出来る権利』が与えられる。
 制限時間は無制限。『プレイヤー』が最後の一人になるか、全員死亡するまで『儀式』は続行される。
 『プレイヤー』が全員死亡した場合は、『勝者なし』(ゲームオーバー)となる。
 『儀式』開始時、『プレイヤー』はテレポートによってMAP上にバラバラに配置される。
 『儀式』中は『プレイヤー』の行動に関する制限は特になく、後述する『術式』が発動する条件に触れなければ、どのような行動をとることも許される。

【プレイヤーの持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品などは没収されている。
 ただし、義手など身体と一体化していたり、生命維持に関わる武器や装置(魔法少女のソウルジェムなど)はその限りではない。
 また、財布、時計、携帯電話など『ポケットに入る程度のサイズの日用品や雑貨』は没収されていない。
 上記の品々の中に仕込まれた武器類(夜神月の腕時計に仕組まれたデスノートの切れ端など)は没収されている。
 携帯電話やポケギアは常に圏外。ただし、後述する『ランダム支給品』として支給されたものなどは通話可能な可能性がある。

【デイパックと支給品について】
 『プレイヤー』は全員、以下の品がデイパックに入った状態で支給されている。
  ・デイパック … 普通の何の仕掛けもないデイパック。肩掛け式。結構大きい。
  ・水 … 1リットル入りペットボトルに入ったミネラルウォーター。2本。計2リットル。
  ・食料 … ただのパン。6個。大体1日(3食)分。大きさやパンの種類は後続の書き手次第。
  ・懐中電灯 … ただの懐中電灯。単一電池2本使用。
  ・名簿 … 『プレイヤー』の名前が50音順で載っている名簿。載っているのは名前のみ。
  ・地図 … 『儀式』の舞台の地図。
  ・デバイス … 自身がいるエリアを表示してくれる小型デジタルツール。外見はポケウォーカーに似ている。
  ・筆記用具 … 普通の鉛筆・ペンが数本と消しゴム1個。大学ノート1冊。
  ・ランダム支給品 … 『プレイヤー』のデイパックの中にランダムに支給される品。最小で1つ、最大3つ。
 『ランダム支給品』は銃火器、剣などの武器から各作品世界の品、日用品まで様々な物がランダムで入っている。
 ただし、デイパックの余剰部分に少々強引に詰め込まれているため、サイズの大きいものは中身がはみ出ていて丸見えであったり、最初からデイパックの外に出た状態で支給される。

4 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:48:03 ID:wJSxrmu.
【舞台】
 http://download2.getuploader.com/g/ParallelWorld_BattleRoyal/20/pararowaMAP.jpg

【禁止領域】
 定時放送終了の2時間後、3時間後、4時間後に1エリアずつ進入禁止エリアである『禁止領域』が生まれる。
 『禁止領域』は『儀式』が終了するまで解除されない。
 『禁止領域』に30秒以上留まり続けてしまうと、後述する『術式』が発動する。ただし、29秒以内ならエリア内への侵入、エリア内の通行といった行動も可能。
 『プレイヤー』が『禁止領域』に踏み込むと、身体の先端部(指先など)から青白い炎が生じ、時間が経過する毎に炎の勢いは強くなる。
 29秒以内に『禁止領域』から脱出することができれば、脱出と同時に炎は消える。
 長時間及び連続して『禁止領域』へ侵入した場合、炎が生じた場所が灰化するなどの外傷を負う可能性がある。

【定時放送】
 一日6時間毎、計4回、主催者側から定時放送が行われる。
 放送が行われる時間は0:00、6:00、12:00、18:00。
 内容は、前回放送終了後から放送開始までの約6時間中に発生した『脱落者』(死亡者)の発表と、放送終了2時間後、3時間後、4時間後に『禁止領域』となるエリアの発表。

【呪術式について】
 『プレイヤー』は全員、『魔女の口づけ』を参考に生み出された呪術式(以下『術式』と表記)を身体に刻み込まれている。
 『術式』が発動した『プレイヤー』は、身体中から青白い炎を発し、やがて灰となり『完全なる消滅』を迎える。要するに死亡する。
 青白い炎は、術式が発動した『プレイヤー』の身体以外のものや他者には燃え移らない。
 『術式』が発動する条件は以下の3つ
  ・『儀式』の舞台の外へ出る
  ・24時間『プレイヤー』から『脱落者』(死亡者)が一人も出ない。この場合、『プレイヤー』全員の『術式』が発動し、『プレイヤー』は全員死亡する
  ・『禁止領域』に30秒以上留まる
 『術式』は『プレイヤー』の首元にタトゥー状に常に浮かび上がっている。
 『術式』は常に『プレイヤー』の生死を判断しており、死亡した『プレイヤー』の肉体からは『術式』は消滅する。
 主催側はこれによって、『プレイヤー』の生死と詳細な現在位置を把握している。

5 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:48:41 ID:wJSxrmu.
【能力制限】
 一部『プレイヤー』や一部『ランダム支給品』には、何らかの要因によって能力を制限されている。
 一部『プレイヤー』や一部『ランダム支給品』が持つ能力には、使用そのものが禁止されている(要するに使用できない)ものが存在する。
 一部『ランダム支給品』は、能力面以外にも制限が科せられている。

 大まかな目安は以下のとおり

  ◆禁止
   オルフェノクの「使徒再生」による他参加者のオルフェノク化
   サーヴァントの霊体化
   ソウルジェムのグリーフシード化(穢れが浄化しきれなくなると砕け散る)
   C.C.の他者にギアスを発現させる能力
   暁美ほむらの時間遡行能力

  ◆ある程度のレベルまで制限
   オルフェノクの怪人態時の各種身体能力
   ゼロの各種身体能力
   サーヴァントの各種身体能力
   一部ポケモンの各種身体能力
   各種ギアス
   ポケモンの使用する技(主に威力面)
   各種回復能力(全快までに時間がかかるようにする)
   ナナリー、アリス(コードギアス取得後)、ゼロ、ロロ(悪夢版)のナイトメアフレーム召喚

 ※あくまでも目安のため、最終的な制限レベルなどについては各書き手の裁量に委ねられる。
  また、ロワ本編中において能力制限が解除される展開となった場合は、これら制限は消滅する。
  詳細な制限の内容などについては以下の項目を参照。
  http://www45.atwiki.jp/pararowa/pages/86.html

6 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:49:46 ID:wJSxrmu.
【書き手ルール】
 書き手は事前に、予約専用スレにおいてトリップ付きで予約または投下宣言を行うこと。トリップのない予約、投下宣言は無効。
 予約、投下宣言についての詳細は予約専用スレ参照。
 作品の最後には生存しているキャラクターの状態表を以下のテンプレートを元に記してください。

【(エリア名)/(具体的な場所名)/(日数)-(時間帯名)】
【(キャラクター名)@(登場元となる作品名)】
[状態]:(肉体的、精神的なキャラクターの状態)
[装備]:(キャラクターが携帯している物の名前)
[道具]:(キャラクターがデイパックの中に仕舞っている物の名前)
[思考・状況]
基本:(基本的な方針、または最終的な目的)
1:(現在、優先したいと思っている方針/目的)
2:(1よりも優先順位の低い方針/目的)
3:(2よりも優先順位の低い方針/目的)
[備考]
※(上記のテンプレには当てはまらない事柄)

【作中での時間帯表記】(0:00スタート)
 [00:00-01:59 >深夜] [02:00-03:59 >黎明] [04:00-05:59 >早朝]
 [06:00-07:59 >朝]  [08:00-09:59 >午前] [10:00-11:59 >昼]
 [12:00-13:59 >日中] [14:00-15:59 >午後] [16:00-17:59 >夕方]
 [18:00-19:59 >夜]  [20:00-21:59 >夜中] [22:00-23:59 >真夜中]

【修正・破棄に関してのルール】
 本スレに投下した作品が、矛盾点や注意を受けた場合、書き手はそれを受けて修正作業に入ることができます。
 修正要望を出す場合、内容は具体的に。「気に入らない」「つまらない」などの暴言は受け付けられません。
 問題点への「指摘」は名無しでも可能ですが、話し合いが必要な「要求」は書き手のみが可能です。
 既に進行している(続きが予約または投下されている)パートを扱った作品に対して修正要望を出すことはできません。
 (ただし、対象となる作品の続きが、同一書き手による自己リレーであった場合はその限りではありません)
 議論となったパートは、協議が終わるまで「凍結」となります。「凍結」中は、そのパートを進行させることはできません。
 議論開始から二日(48時間)以上経過しても作品を投下した書き手から結論が出されなかった場合、作品はNGとなります。
 修正を二回繰り返しても問題が解決されなかった場合、「修正不可」と判断され、作品はNGとなります。

7 ◆rNn3lLuznA:2011/07/06(水) 23:52:26 ID:wJSxrmu.
以上、テンプレ終了
作品投下だけでなく、作品の感想もこちらでしてくれたら、それはとってもうれしいなって

8 ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:11:45 ID:TvEA0gqs
草加雅人、木場勇治、鹿目まどか

投下します

9草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:12:29 ID:TvEA0gqs


少女、鹿目まどかは、『逃走』の果てに足を縺れさせて転び、
膝小僧を摺って、白いストッキングを赤く地で染めなながら、

「きゃっ!?」

とかわいらしい悲鳴を上げた。
この『戦場』へと移送された殆ど直後、
彼女は、与えられたデイパックの中身を見る事すら無く、
ただひたすらに逃げ続けていた。

桃色の髪を、赤いリボンで左右二つに纏めた、
年相応の発展途上の体躯を、可愛らしい制服で包んだ女子中学生。
それが彼女、鹿目まどかである。

その体力は、基本的に女子中学生の平均の域を出ず、
よって、これまで彼女が行って来た『全力疾走』により、
その息は上がりきり、心臓は破裂せんばかりに、脳を揺さぶる様な鼓動を立てている。
挫いた膝小僧はじくじくと痛み、体力は限界であり、もう一歩たりとも、
走る事はおろか、歩く事さえゴメンなのが、まどかの正直な思いであった。

しかし……彼女には、その足を止める事は許されない。
よって、彼女は必死に立ち上がり、その『逃走』を再開せんとする。
何故ならば―――

―――コツリ
「!?」

灰色の死神が、直ぐそこまで迫ってきているが故に。

その足音にまどかが振り向けば、彼女が、全力で逃げ続けていたその理由が、
すぐ背後まで迫ってきていた。

ソイツの印象を、一言で表すならば、『灰色の鎧騎士』であろう。
馬を象った様な意匠の『兜』でその顔をスッポリと隠し、
その全身を隈なく灰色の装甲で覆い、その手には、禍々しく長大な両刃剣…『ホースソード』を下げた、灰色の鎧騎士。
しかし、コイツは、鎧騎士などでは無い。

その鎧は『彼』の体の一部であり、その兜は、彼の顔そのものなのだ。

「――――」

そのコリント式兜を思わせる、装甲皮膚の間から覗く、濁った双眸に輝くのは、あからさまな、
まどかへと…いや、『人間』と言う『種』全体へと向けられた殺意。

その余りに濃厚な殺意に、まどかは思わず腰を抜かし、
逃げる事が叶わずに、その場でへたりこんでしまった。

―――『ホースオルフェノク』

それが、かつては『人間』…『木場勇治』であった存在のなれの果てたる、この『怪物』の名前であった。

10草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:14:37 ID:TvEA0gqs

かつては人間と敵対する種族たる『オルフェノク』でありながら、人間に味方した彼は、
しかし今や、その骨の髄に至るまで、人間に対する『憎悪』に支配されている。

信じた者に、信じ続けた者に、『裏切られた』が故に。
その為に、大切な『友/仲間』が殺されてしまったが為に。

その『怒り』、『哀しみ』は、人間への『憎悪』となって走り出す。

目の前で…腰を抜かした少女を見て、ホースオルフェノクは思う。

―――その『声』が、『あの女』に似ている、と
―――自分を『裏切った』…『あの女』…『園田真理』に

『オルフェノク』として生きると言う事は、人を殺し、人を征すると言う事。
だとしても、木場が、ホースオルフェノクが執拗なまでに逃げるまどかを追ったのは、
そのやり場の無い怒りを、この真理に似た声を持つ少女にぶつけんとする、いわば『やつあたり』であった。

手にした魔剣を、両手で、逆手で握り、その切っ先を、まどかへと向ける。
街灯の、白い蛍光灯の光が、切っ先にぶつかって四散し、光の珠の連なりとなる。

まどかは、その切っ先を見つめつつ、思った。

ああ―――自分は、ここで殺されて、死ぬんだろうと。

そして、こうも思った。

当然だよ、と。

―――巴マミ
―――美樹さやか
―――佐倉杏子

皆、死んでしまった。
戦わない、自分の代わりに戦って、みんな、死んでしまった。
自分は、それを、ただ、見ているだけだった。
そんな自分に、遂に、天罰が下ったんだ、と。

灰色の怪人の気配が強ばる。
弓を引き絞る様に、逆手に持たれた剣の柄頭が、高く高く掲げられ、
弓を放つように、その切っ先はまどかへと――――


―――『 Burst Mode 』


届く事は無かった。
そんな電子音が闇の中から響いて来たかと思えば、
夜の帳を裂いて、赤い光弾が走り、ホースオルフェノクの背中へと突き刺さり、火花を上げる。

「―――っがぁ!?」

予期せぬ不意打ちに驚きホースオルフェノクが振り返れば―――

11草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:16:40 ID:TvEA0gqs

「!?」

街灯の明りに照らされてできた、ホースオルフェノクの影に写された木場の顔が、驚きに歪んだ。

夜の闇に映える、血の様に赤い光の線と、顔を覆い尽くす程に大きな黄色の瞳、そして、鈍く光る銀の装甲。


―――『闇を引き裂き』
―――『この世に光を齎す戦士』


忘れる筈の無い姿。
『救世主』であり、今や自分の『宿敵』と化した仮面の戦士の姿。
その姿、その存在に、ささくれ立った木場の精神が沸騰し、激昂する。
ここに呼び出される直前まで、コロシアムで対峙していた敵手の存在に、彼の血は戦慄いた。

「―――ファイズ!?」
「乾巧かぁ!?」

そう咆哮するホースオルフェノクには、『ファイズ』は口頭では返事を返さず、
代わりに、手にした小型の光線銃、『フォンブラスター』の引き金を引く事で返した。

高速連射されたフォトンによるエネルギー光弾は、今度はホースオルフェノクの胸へと目掛けて飛んで行くが、
オルフェノク特有の発達した反射神経と運動能力で彼はコレを横に飛んで回避、そしてそのまま、

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「いぬぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

と雄叫びを上げつつ、横飛びからの着地点で、足を踏ん張り、地面へと力を込め、跳躍ッ!!
手にした長剣を両手で大上段へと構え、ファイズを真っ向唐竹割りにせんと飛びかかる。

「―――――」

対するファイズは無言で、冷静にホースオルフェノクを迎撃せんとす。
間合い、タイミング的に射撃での迎撃は不可能と即座に判断すると、
ファイズドライバーのバックル部にフォン形態に戻したファイズフォンを戻しつつ、
猫背のように背を屈めながら、ホースオルフェノクへと向けて、素早い運足で間合いを詰める!!

「―――!?」
「―――――」

ホースオルフェノクの懐に上手く飛び込んだファイズは、
自分へと振り下ろされんとした灰色の大剣の柄頭を掴みつつ、
柄の真ん中、柄を握る両拳の間を捕まえて、直線的に半身を引けば、
ホースオルフェノクの体は宙で空転しつつ飛んで、
その手の内にあった大剣は、まるで魔法の様にファイズの手の中に収まっている。

古流剣術などにおいては『無刀取り』と呼ばれる技法に類似した業であるが、
その体の動きから察するに、恐らくは『合気道』の応用であろうと思われた。

12草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:17:19 ID:TvEA0gqs

「くっ!!」

しかし、宙を空転しつつも、馬でありながら猫の様にしなやかに着地してみせたホースオルフェノクは、
流石は木場勇治、流石は『帝王のベルト』に選ばれたオルフェノクであろう。

「――――」

しかし、見事着地してのけたホースオルフェノクへと、ファイズの無言の追撃が繰り出される。
奪い取った剣を両手で構えつつ、逆にホースオルフェノクへと斬りかかって来たのだ。

「くぅ!?」

ホースオルフェノクは何時の間にか顕現させていた巨大な円盾で、怒涛の如く繰り出される防ぐ。
時にファイズの『必殺技』である『クリムゾンスマッシュ』すら防いだ頑丈な盾と、
本来であれば『使徒再生』の能力を有する魔物がぶつかり合い、火花が、宵闇の中、刃鳴と散る。

「(――――コイツ!!)」

ファイズに完全に押されている現状に、木場は内心で毒づきつつ、
怒涛の攻めを、彼の持ち味たる圧倒的防御力でいなし続け、

「――――ハッ!!」
「――――!」

ファイズが大ぶりに魔剣を振るった瞬間に合わせて盾を強く前に突き出す『盾突』きで、
ファイズの体勢を一瞬崩し、後ろに後ずさらせる。
その一瞬を捉え、ホースオルフェノクは後方へと跳躍し、

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

雄叫びを上げながら、その肉体を再度『変態』させる。
モーフィング映像の様に、ホースオルフェノクの下半身が変化を開始すれば、
瞬く間に彼の下半身は、『馬』そのままの四足形態へと変化し、
まるで伝説中の『ケンタウロス』を思わせる姿となったのだ。

―――ホースオルフェノク『疾走態』である

「――――」

それを受けてファイズは、手にした魔剣を投げ捨て、
ドライバーに装着されていた『デジタルカメラ』…型の戦闘支援ツール『ファイズショット』を取り出し、
ファイズフォンに装着されていた『ミッションメモリー』を取り外し、『ファイズショット』に装填する。

―――『 Ready 』

電子音が響けば、『ファイズショット』は内蔵されていたグリップを展開、
パンチングツールへとその姿を変える。

「―――――」

ドライバーに装填されたファイズフォンを展開、『ENTER』のキーを押す。

―――『 Exceed Charge 』

カァンカァンカァンと、金属を叩く様な独特の音と共に、
真っ赤なフォンストリームが腕を通って『ファイズショット』へと伝導される。
『必殺技』…『グランインパクト』の準備は完了した。

13草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:18:00 ID:TvEA0gqs

対する、ホースオルフェノクは

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

と、またも雄叫びを上げる。
すれば、それに呼応して、地面に転がってた魔剣『ホースソード』が蒼い炎を上げて燃え上がって灰になり、
その直後、ホースオルフェノクの手の中に同じ魔剣が、再度、唐突に、生える様に出現する。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

もう一度、雄叫びを上げながら、ホースオルフェノクは剣と盾を掲げ、
嘶く馬の様に、その前の脚二脚を、振り上げて戦慄かせる。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「―――――――――――」

激情と沈黙という、対照的な2人が、共に相手目掛けて走り出す。
ホースオルフェノクは剣を掲げ、ファイズは拳を構え、両者、交差し――――

「――――!?」

ファイズが、その仮面の下で、明らかに驚きの気配を見せた。
その理由は、

――――パカラッ!!!パカラッ!!パカラッ!パカラッ……―――

ホースオルフェノクは高く高く跳躍すると、
同じく跳躍していたファイズの頭上を跳び越えて、
そのまま、何処かへと、その俊足を以て走り去ってしまったのだ。

「――――ふぅん」

意図の読めない敵の撤退に、ファイズはここで初めて声を発した。
相手を小馬鹿にした様なその声は、明らかに乾巧のモノでは無い。

「――――」

ファイズが、地面に座り込んだまま、茫然と2人の闘争を見ていたまどかの方へと、
その光り輝く黄色の機械の瞳を向け、喉をさする様な仕草をした後、

―――ガチャッ

ファイズフォンをドライバーから取り外し、
通常の携帯電話では『電源ボタン』にあたるボタンを押す。

『ファイズ』が除装され、その中の姿が、初めてまどかに明らかになった。
カーキ色のジャケットに、黒いインナーを着た、大学生ぐらいの青年が、そこにいた。
中々に整った顔立ちの青年であった。

青年は、まどかの方へと歩み寄ると

「やぁ―――」
「大丈夫かなぁ?」

と言いつつ、その手をまどかへと差し出した。
この青年……名前を『草加雅人』と言う。

14草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:19:34 ID:TvEA0gqs





「――――はぁ……はぁ……」
「クソッ!!」

ホースオルフェノクから人間の体へと戻った木場の額には、
びっしりと、嫌な汗が珠の様に浮かんでいた。
息を上げ、肩を激しく上下させながら、木場は適当な道路標識にその体を預ける。

―――木場が撤退した理由には…このあからさまな『不調』があった。
―――理由は解らないが…『オルフェノク態』時の身体能力が落ち込んでおり
―――それによる『疲労』が恐ろしく増大しているのである

「(あのまま……あの謎の『ファイズ』と戦っていれば…)」
「(恐らくは――――)」

木場は、先程の交戦で、あのファイズの中にいた人物が、乾巧では無い事に気が付いていた。
乾巧は、非常に荒々しく、喧嘩殺法染みた戦闘スタイルを取る男である。
それに対してあのファイズは、明らかに武道の心得を感じさせるスマートな戦闘スタイルであり、あからさまに別人であった。

「(しかし……だとすれば一体誰が……)」

ファイズのベルトが使えるのは、オルフェノクか、極々一部の人間の適応者だけの筈。
名簿に乗っていた、この『儀式』とやらに呼び出された犠牲者達の中で、彼の知るオルフェノクは、
スマートブレインの一応の社長である『村上峡児』、そして―――

―――二度目の『死』を迎えた筈の『海堂直也』…『長田結花』

「―――――ッッッ」

『友/仲間』の最後を思い出し、木場はその顔を歪めた。

―――『そうだ。君たちはこれから行われる『儀式』を完遂するために、数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たちなのだ……!』

あのアカギと名乗った男の言った事は覚えている。
ばかばかしい事だと思う反面、名も顔も知らないが、
気配で明らかに強力だと解るあのオルフェノクを苦も無く殺して見せた程の、あの男の『力』ならば、あるいは…とも思う。

木場は苦しげに息を荒らげ、その首元に刻まれた奇怪な『刺青のようなもの』を何度もさすった。
感覚で理解できる。この体調の不良は、この『刺青』が原因なのだと。

この『術式』…『オルフェノク』を軽々と屠る『力』――――恐るべき相手である事は、充分に理解できる。

しかし、木場には膝を屈するつもりはなかった。
『オルフェノク』として、『帝王のベルト』の資格者として生きて行くと決めた自分には、
人間を殺し、オルフェノクを守る使命があるのだ。

「(兎に角……『オーガドライバー』を探さなきゃ……)」

ファイズがここにある以上、オーガのベルトも此処にある可能性は充分にある。
体が不調な以上、戦う為の力は何としても手に入れたかった。

「(探しながら……俺は――――)」

今、木場の胸中を占める考えは、他に3つ。
―――海堂、長田が本人なのかを、あって確かめたいと言う事
―――乾巧と『決着』を付けたいと言う事
―――そして……『裏切り者』の園田真理を殺したいと言う事…

その思いを胸に、木場はもたれかかっていた標識から体を離し、闇の中へと消えて行った。



木場勇治は知らない。
この場にいる、乾巧は、乾巧ではあっても、彼の知る乾巧では無い事を。

そして彼は忘れていた。
ファイズになりうる可能性を持つ男である、草加雅人の存在を。
サイガ=レオにあっさりと瞬殺された惨めな用心棒の存在を、
木場は完全に失念しいたのであった。


【D−3/大通り/一日目 深夜】

【木場勇治@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:軽傷、若干の疲労、人間態
[装備]:特に無し
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3(少なくともオーガギアは無い)
[思考・状況]
基本:オルフェノクの保護、人間の抹殺、ゲームからの脱出
1:オーガギアを取り戻したい
2:乾巧と決着をつけたい
3:長田結花、海堂直也が『本人』かどうかを確かめたい
4:園田真理は探し出して殺す
5:あのファイズの正体は……?
[備考]
※コロシアムでの乾巧との決戦の途中からの参戦です
※オルフェノク態時の身体能力の低下を認識しました
※ファイズの正体が草加である可能性には気付いていません

15草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:21:47 ID:TvEA0gqs





「それじゃぁ……その…草加さんは『ファイズ』で」
「『オルフェノク』って言う…怪物と戦ってるって事なんですか?」
「そういう事だね…まどかちゃん」

まどかを助け起こし、足の擦り傷の治療まで行ってくれたこの『好青年』。
『ファイズ』と言う名の戦士に変身していたこの青年の名前は、『草加雅人』と言うらしい。

先程、まどかに襲い掛っていた灰色の怪人…『オルフェノク』と戦い、
人間を守る『正義の戦士』なのだと、当人は名乗っていた。

「あの……その……」

まどかは、自分をわざわざ助けてくれた人間にこんな事を聞くのはどうなのか、と思いつつも、
敢えてその問いを、発せずにはいれなかった。

「草加さんは……『願い』の為に……『生き残る』為に……誰かを殺すんですか?」

そんなまどかの問いに、草加は即答した。

「さっきみたいに……誰かが襲われてたり、俺達が襲われる様な事があれば」
「その時は仕方が無い。俺は自衛の為に戦うさ」
「だけどね……自分から誰かを殺してまわったりするつもりは無いし」
「ましてや…『願い』の為にだなんて……するわけもないし、あんな話は信用出来ないね」

そう、ハッキリと答える草加の表情、気配は、実に『誠実』そうで、
やはりこの人は、マミさんみたいな『正義の味方』なんだなぁ、と、まどかは思った。

だから、まどかは、草加にこう、お願いをした。

「草加さん……私、草加さんにお願いがあるんです」

まどかの表情は、普段の彼女からは想像もつかない様な、
凛とした、強い意志の感じられるモノであり、眼は決意に燃えていた。

「私は……こんなの…絶対にオカシイと思うんです」
「一つきりの『願い』の為に、殺し合うなんて…絶対にオカシイし、理解できないし、許せないと思うんです」
「だから―――」

「私は、この『儀式』を壊したい」
「その為に……草加さん」
「私に……力を貸して下さい」

それに対して……草加は―――

16草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:34:49 ID:TvEA0gqs




傍らで、ディパックを開いて、中身を確認しているまどかの姿を眺めながら、草加は思う。
まるで似ていない筈なのに……何故、こうもこの少女は、園田真理の面影を感じさせるのだろうかと。

草加雅人が、木場勇治の魔の手から彼女を救った理由は、畢竟、そこへと集約されるのである。
もし、あの場で襲われていたのが、例えば美樹さやかであったら、草加は絶対に助けには入っていなかっただろう。

鹿目まどかの声は、幼少期の園田真理の声に酷似しており、
そして、幼少期の真理の姿・声は、草加雅人も脳には、まるで呪いの様に刻みこまれている。

故に彼は、まどかに自分でも思った以上に、真理の影を重ね合わせていた。
彼が、まどかの『お願い』を、所詮、口約束に過ぎないとは言え聞いて上げたのは、恐らくはその為であろう。

彼の最優先事項は、あくまで園田真理の保護であり、しかる後に、
この訳の解ら無い『儀式』からの脱出を目指すつもりである。

まどかの面倒を見るのは、あくまでその『ついで』である。
まぁ、それでも、『囮』ぐらいには使えそうであるし、
こういう如何にも無力そうな少女を助ける『良い人』を演出する事は、
この修羅の巷で動くには、それなりに『益』がある訳だから、まぁ悪くはあるまい。

そう、草加雅人は、自分を納得させながら、まどかの隣に立つ。
まどかは知らない。この、一見『好青年』にしか見えないこの男が、
陰湿で独善的な、ストーカ気質の外道であると言う事を。

まどかは知らない。そんな男が、自分に、彼が狂的に執着して止まぬ一人の女性の影を見ている事を。

そして、知らないのは草加雅人も同じ事。
彼は、彼の世界の『木場勇治』として、先程戦った木場勇治を考えていた。
あの腑抜けが、どうして人間を殺そうとしていたのか……口で何を言っても、所詮はオルフェノク、
体も魂も腐って行っただけだ、としか、考えていなかった。

彼は知らないのだ。まさか木場勇治が、園田真理に殺意を抱いているなどと――――

一緒になって名簿を見る、まどかと草加。
余りにも異質なこの2人組には、果たして如何なる運命が待つのか。

「そして―――特に注意が必要なのが『乾巧』だ」
「乾巧……」
「ああ。奴は口が上手くて、残忍で、冷酷で独善的な男だ……『願い』の為に、」
「必ず注意して欲しいんだ」

―――そして、こんな時でも猫舌たっくんへのネガキャンを忘れない草加さんであった



【D−3/路地裏/一日目 深夜】

【仮面少女・草加☆まどか】

【草加雅人@仮面ライダー555】
[状態]:健康
[装備]:ファイズギア(変身解除中)
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:園田真理の保護を最優先。儀式からの脱出
1:真理を探す。ついでにまどかに有る程度、協力してやっても良い
2:オルフェノクは優先的に殲滅する
3:乾巧へのネガティヴキャンペーンを忘れない
4:まどかの事が少しだけ気になる
[備考]
※明確な参戦時期は不明ですが、少なくとも木場の社長就任前です

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:擦り傷が少々
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:
1:草加と行動を共にする
2:草加さんんは信用できる人みたいだ
3:乾巧って人は…怖い人らしい
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆〜ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※乾巧に関する偏向された情報を、草加より聞かされました

17草加雅人なら大丈夫♪ ◆cyLXjJEN56:2011/07/07(木) 06:35:17 ID:TvEA0gqs
投下終了です。

18名無しさん:2011/07/07(木) 08:58:44 ID:IjHuoDq.
早っw
投下乙
たっくんファイズギア取られてるよ!
草加はやっぱりそう動くんだなぁ、ブレない男だ

一つ気になったんだが草加ならまだしも木場がまどかの声が真理に似てると感じるのは無理がないか?

19<削除>:<削除>
<削除>

20名無しさん:2011/07/07(木) 12:07:24 ID:mG95/az2
>>17
投下おつです。

まずは指摘を。
開始前議論でベルト、ステッキ、ポケモン(1匹だけど)は本人支給という話になっていたはずです。
話の流れ的にも(ファイズだから木場が勘違いするなどないので)カイザギア、オーガギアを持っていても問題ないと思いますので、そこだけ修正をお願いします。

草加はさすがの安定感w
まどかはえらい同行者を引き当てちまったなぁ。
ほむほむの胃に穴があかなきゃいいが。

21名無しさん:2011/07/07(木) 12:31:09 ID:IjHuoDq.
すまん、改めて読んだらどうしても疑問になってしまうから聞きたい
草加に支給するのってカイザギアじゃダメなの?

22名無しさん:2011/07/07(木) 13:57:00 ID:7POTIu02
投下乙です
さやかだったら助けてないとかwwwww
さやかェ……

23 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/07(木) 14:25:27 ID:agUfWhiw
投下乙です。
タイトルからして出オチ感がありすぎるぞwwwたっくんネガティブキャンペーンとかww

ベルトに関しては問題ないと思います。ベルトの奪い合いと勘違いこそ555の醍醐味なれば。
たっくんが予約されてないのも幸いというか。たっくんにはカイザでも渡してきましょう。
オーガは、よくよく考えてみれば元々戦える木場にブラスター並の装備を渡すのも危険であるし、
本人支給は元はといえば「専用装備が奪われたら戦力ゼロになってしまう」ということを鑑みての処置ですし、戦える手段(ベルト、オルフェノク化)があればそれで問題ないと進言します。
木場がまどかに真理を重ね見たのは、どちらにせよ絶望状態だし誰でもよかったと解釈すれば。そのあたりだけ修正?
いちおう鳥出しで。臨機応変にいきましょう。

24 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/07(木) 14:37:35 ID:50Vx0Z/.
ベルトに関しては自分は反対で。

基本、制限に関しては本人支給前提で話をしていました。
それと、シャッフルOKとされると支障の出る登場和もありますし、カレイドステッキ、ポケモンのシャッフルもOkでないと辻褄合わせに手間取ります。
また、登場輪に影響出る可能性もありますし。

そして、ファイズで誤解を広めるには巧=ファイズという認識を植えつけてからのほうが美味しいわけので、現状じゃカイザギアとファイズギアを交換しただけ、程度しかありません。

また、ローズオルフェノクやドラゴンオルフェノクといった最終フォーム一歩手前程度の上位戦力陣はそのままでもありますので、
オーガドライバーの初期支給は問題ないと思います。
マーダー優遇というのはあまり好きでないのですが、わざわざ弱体化させるのもどうかと。

25 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/07(木) 14:43:58 ID:50Vx0Z/.
む、いろいろ誤字った。
時間がないので帰ってから議論スレで。

26名無しさん:2011/07/07(木) 14:50:44 ID:IjHuoDq.
木場さんの場合劇場版だとデフォで激情態だから強さ的には問題はないんだけどね
オーガギアは書き手任せでもいいけど初期支給品シャッフルはちょっと…
議論スレ行くなら帰ってPCからトリ付けて話す

27名無しさん:2011/07/07(木) 14:51:18 ID:3Bzqc19k
臨機応変に・・・といっても、オーガを使えるのは実質木場だけだろうし(上級というのなら巧や社長、北崎も行けるかもしれないが)、
元来ツールが本人に支給されるのならオーガは誰にも支給できないんじゃない?
カイザはファイズと交換という事でいいかもしれないが

28 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/07(木) 15:02:01 ID:agUfWhiw
む、そういう視点か。
ちょっぴり長引きそうなんでこれ以上は議論スレへ行きましょう。
夜になったら帰ってきます。

29名無しさん:2011/07/08(金) 12:08:15 ID:anQPnGdk
議論スレ結論でたみたいですね
お疲れ様です

30 ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:36:15 ID:LjabQcJk
C.C.、ニャース投下します

31そんなの絶対ありえない ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:37:43 ID:LjabQcJk
「ギンガ団とは一体…」


深夜の暗闇の中、緑髪で拘束衣の少女は呟く。
もし本来であればそのような時間帯に歩いているのは危険なのだが彼女に限ってはそのような心配は不要だろう。
外見こそ20にも届きそうも無い少女だが、その実年齢は人間の寿命を遥かに超えた存在である。
ただの暴漢程度なら返り討ちにあうことだろう。


「完全なる消滅…、この私でも死ぬことができるとでもいうのか?」


体に刻まれた呪いの刻印に触れながら、少女、C.C.はかつて己が最も望んだ事象に近付くことができるであろう可能性を考える。
この不死の呪いすらも超えるほどの刻印。かつての彼女であればそれは願っても無いことだっただろう。


しかし、


「ああ、まだ死ぬわけにはいかないな。」


彼女の契約者、ルルーシュに己の本当の望みを諭されたから。
シャルルとマリアンヌの二人を拒絶したときからその気持ちも変わっていたのだ。


「だからといってどう動こうかとまでは思いつかないのだがな
 とりあえず他の参加者を探してみるか…」
「にゃ〜、ちょっとそこのおみゃ〜…」
「ん?」


ふと声を掛けられ、振り返る。
しかし誰もいない。

32そんなの絶対ありえない ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:39:12 ID:LjabQcJk
「にゃ〜!こっちだにゃー!!」

声が聞こえる位置は低い。
顔を下にやる。そこにいたのは、


「猫?」
「にゃーはニャースだにゃー!!」





「なるほど、お前はポケモンという生き物だというのか」
「そうだにゃ。ポケモンを知らないやつなんて初めてだにゃ」


その後はお互いに敵意がなかったのが幸いだったのか、スムーズに情報交換に入ることができた。
しかしそれはあまりに異なる世界観のためか、情報がなかなか噛み合わなかった。


「だがそんな生き物聞いたこともないぞ」
「むむむ、おかしいにゃ…。にゃ!そういえばあの最初のところで灰になってた奴、にゃんだったかわかるかにゃ?」
「いや、知らんな。確かオルフェノクと言っていたが…」
「…もしかしたら、あの演説オヤジ凄い力を手に入れてしまったのかにゃ…?」


突如ニャースの呟いた主催者の名前にC.C.は食い付く。


「おいニャース、あの男を知っているのか?」
「にゃ。やつはギンガ団のボスでディアルガとパルキアの力を使って世界を作り変えようとした男なのにゃ。
 我らロケット団の力で壊滅させたはずにゃのにゃら」
「世界を…、作り変える…?」


そしてC.C.は聞いた。
時間と空間を操るポケモンの存在を。
アカギの起こした静かな世界を創造する計画を。

33そんなの絶対ありえない ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:41:26 ID:LjabQcJk
「まるでシャルルの望む世界だな。………いや、まさかな…」
「もしかしたらディアルガとパルキアの力を手に入れてしまったのかもしれないにゃ」
「それで私とお前のような別世界の者が集められたと?」
「可能性としてはありにゃ。
 ところでおみゃーの知り合いはここに連れてこられてるのかにゃ?」


そう言われてC.C.は名簿の存在を思い出す。


「ああ、今確かめるところだ」
「にゃーの知り合いというか知っているやつは結構いたにゃ」


ニャースの知り合いは彼(?)の宿敵ともいえる存在(らしい)サトシ、ヒカリ、タケシ。通称ジャリボーイとジャリガール。
シンオウ地方のチャンピオンを勤める凄腕のポケモントレーナー、シロナ。
ポケモン界の有名な研究者、オーキド博士。
そして、彼の所属するロケット団のボスであるサカキ。
ニャースは世界制服を目論む悪の秘密結社に所属するポケモンらしい。
…建前はともかくC.C.のいたギアス嚮団や黒の騎士団もあまり人のことを言えたものではなかったのであえてそこに深くは触れなかった。
よほど慕っているのかサカキの説明のときだけ妙に饒舌に話していた。


「この通り、サカキ様はすばらしいお方なのにゃ。あのお方の前ではにゃ「確認が終わった」おお、そうかにゃ」


さすがにうっとおしくなってきたC.Cはニャースの言葉に被せるように話を切り出した。


「知り合いはいたのかにゃ?」
「ああ、知り合いはいた。だがこれは…」
「にゃ?」





C.C.の情報交換中、ルルーシュ、スザク、篠崎咲世子のことはすんなりと話を進められた。
そして、彼女にとってかなり説明しづらい参加者の話に入った。

34そんなの絶対ありえない ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:43:35 ID:LjabQcJk
「ナナリー・ランペルージ、マオ、ユーフェミア・リ・ブリタニア、ロロ・ランペルージ。
 こいつらは死んだはずの人間だ。
 いや、ナナリーに限っては死体が見つかってなかったから実は生きていたということもあるかもしれん。
 だが他の奴らは死んだことが確認された奴ばかりだ。この場にいるのはおかしい」
「にゃにゃあ…。おみゃーの知り合い、そんなに死んでるやつが多いのかにゃ?」
「私が生きてきた道自体屍だらけさ。」
「でもディアルガの力を使えばそれもできるんじゃないかにゃ?」
「過去から連れてきたとでもいうことか?
 だがそれだけでは説明できない名前もある。
 このゼロという名前だ。私とルルーシュがここに名前がある以上、こいつの存在は本来ならおかしい。
 だがゼロというコードネーム自体は珍しいものでもないだろう。
 全くの別人である可能性もある。いや、そうであって欲しい。
 だがこの名前の存在はあまりにも不可解だ」
「にゃ?」


C.C.が示した名前。それは、


「ロロ・ヴィ・ブリタニア。このような皇族が存在した覚えはない。
 それもルルーシュと同じ姓、しかも名はロロなどとは」
「隠し子でもいたんじゃないのかにゃ?」
「私はこいつらの親のことはよく知っている。あいつらに隠し子などあり得ない。いたとしても私が気付かないわけがない。
 どうやらあいつを見つけるまでの間にやっておかないといけないことができたようだ」


ロロ・ヴィ・ブリタニアだけではない。ユ−フェミア、ロロ・ランペルージ、そしてマオ。もしかしたらナナリー、そしてゼロも。
彼らについては調べておく必要がありそうだ。

35そんなの絶対ありえない ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:44:52 ID:LjabQcJk
「で、お前はどうする?」
「にゃーはサカキ様を探すにゃ。
 邪魔じゃにゃければ一緒に行ってもいいかにゃ?」
「構わんぞ。こっちは武器が無くて困っていたところだ
 そういえばお前は戦えるのか?」
「にゃーはこう見えても強いのにゃ。この爪だけでたくさんのポケモンを地に伏せてきたのにゃ〜」


あまり頼れそうにもなかったが、今の彼女にはそんな力でもあってくれたほうがありがたかった。
C.C.に支給されていたのはグリーフシードというよく分からない石が二つだけ。
説明書を読んだところによればこれは魔女の卵らしく、魔法少女なるものが魔力回復に使う道具だとか。
無論二人、もとい一人と一匹には使えないものだ。

(そういえばあのアカギという男、魔女の口付けとか言っていたな
 しかし魔女の卵か…、この私にこんなものを支給するとは)

魔女の口付け、魔女、魔法少女。
暇があれば調べておくか。


「ところでお前、ピザは持っていないか?」
「ピザ?にゃーのカバンには入ってなかったにゃ」
「そうか」





36そんなの絶対ありえない ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:46:20 ID:LjabQcJk
「ところで、お前の組織のボス、サカキと言ったか?ずいぶん心酔しているようだが」
「にゃあ、サカキ様はすばらしいお方にゃ。
 我らロケット団になくてはならないお方なのにゃ」
「……一応こっちとしても覚悟が必要だから聞いておきたい。
 お前はもし……そのサカキという男が死んだときはどうするつもりだ?」
「にゃ?にゃははははは!
 大丈夫にゃ。大丈夫にゃ」
「あのお方は我らロケット団を率いて世界を征服されるお方にゃ。
 そんなお方がこんなところで死ぬなんて、そんなの絶対ありえないにゃ」





【E-4/市街地/深夜】
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード×2
[思考・状況]
基本:とりあえず生き残る
1:知り合いとの合流、ルルーシュ優先
2:ナナリーの保護、ゼロ、二人のロロ、マオ、ユーフェミアについて調べる
3:魔法少女とは…?

[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※グリーフシード×2は支給品二つ扱いです


【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:健康
[装備]: なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
1:サカキ様を探し、指示をいただく
2:しばらくはC.C.と行動する
3:ジャリボーイ、ジャリガールとはできれば会いたくない

[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※ディアルガ、パルキアへの考察はあくまで仮説レベルです
※C.C.の知り合い、アニメ版コードギアスの世界観を大まかに把握しました

37 ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 16:47:56 ID:LjabQcJk
投下終了です
用事が入ったので何か問題があった場合の返答は遅くなりそうです

38 ◆zYiky9KVqk:2011/07/08(金) 17:13:01 ID:LjabQcJk
C.C.の状態表を少し修正
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード×2@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]
基本:とりあえず生き残る
1:知り合いとの合流、ルルーシュ優先
2:ナナリーの保護、ゼロ、二人のロロ、マオ、ユーフェミアについて調べる
3:魔法少女とは…?

[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※グリーフシード×2は支給品二つ扱いです

39 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:44:49 ID:6BRIOZ7A
N投下します

40「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:46:26 ID:6BRIOZ7A
◆ ◆ ◆ ◆



地上に星が散らばっている。
時刻は深夜。闇に落ちた空は暗く沈んでいる。
家やビルなどには明かりが点っておらず、さながら深海の底のようだ。
だが、海の底には自ら発光する生命がひしめいてるように、この街にも光が存在した。
海にたゆたう海月。
空を踊る蛍。
電気による人工的なイルミネーションが、地上に点在する星々を模していた。
その星のひとつ―――名称で示すならC-5、遊園地のベンチに彼はいた。

人の、生命の気配が限りなく希薄な、静寂のセカイ。
それでいて、家やビルといった人々の生活の足跡が残っている矛盾。
未だ知る者は少ないだろうが、異なる時空より集められた人間という錯綜。
神々が見捨てたディストピアで行われるのは、生存の闘争。
一人のみが生きることを許された殺し合い。
充満する敵意。
たちこめる殺意。
取り巻く雰囲気だけでなく、セカイそのものもまた歪んでいる。
ここに閉じ込め、殺し合わせるためだけに創造されたような、ひどく曖昧な空間。
そんな、何もかも狂っているセカイにいてもなお。
その青年は、それに呑まれぬ異質さを放っていた。

鮮やかな緑の長髪を束ね、キャップをかぶる姿。
ハイライトのない目はしかし、ただひとつの目的を見据えた決意が宿っている。
例え、世界を分け隔て越えた異界の住人であることを参加者が知らなくとも。
ひと目で「違う世界に生きている」と思わせる、格の違いがあった。

その名はN(エヌ)。
全てのトモダチ―――ポケモンを解放に導くプラズマ団の王である。

41「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:47:20 ID:6BRIOZ7A

□ □ □ □



「……彼/彼女は、いないようだね」

呟いた声にあるのは、安心か、それとも残念なのか。
考えてもそれの答えは定まらないまま、『プレイヤー』の名前が記された名簿を読み終える。
道具の確認もし終え、近くに人がいる気配もなし。今しばらくは危険がないだろう。
そこで漸く、ベンチに腰かけボクは己の記憶を追想する。

モンスターボールで拘束し、戦いを強要するトレーナーの手からポケモンを解き放つための力を求めて流れた旅路。
至った答えは一つ、イッシュ地方を創り出した伝説のポケモンをパートナーにし、英雄になること。
経過は最終段階へと入っていた。イッシュ地方を創造した黒き竜/白き竜―――ゼクロム/レシラム。
彼に認められその力を手にし自分は英雄足る資格を得る。
あとはポケモンリーグのチャンピオンを倒し、最も強きトレーナーとして人々からポケモンを手放すよう宣言する。
そうすることで、人とポケモンは分かたれ、それぞれの道を歩める。
人はヒトの世界、ポケモンはポケモンの世界、あるべきところへと還る。

理想の成就まであと一歩。
ベストなメンバーで臨むべく共に戦うトモダチを選んでいた矢先に―――この事態だ。



「………………」

手にした紅白の球体を忌々しげに掴む。
モンスターボール。ポケモンを捕まえ所有者の意のままに操る道具。
スイッチを押し、おもむろに放り投げる。
ボールが開き、トモダチが解放される。

「ピーカー!…………チュウ?」

「ピカチュウか……」

黄の体色に電気袋、ぎざぎざ尻尾の可愛らしいトモダチがあらわれた。
イッシュ地方には生息していないポケモンだ。遠いカントーという島のみにいるらしい。
その地方で伝説と謳われるチャンピオンのパートナーであり、それ以降人気が爆発的に増えたと聞いた覚えがある。
体のいいプロパガンダだな。そう心中で毒づきながらも手を伸ばす。

「怖がらなくていい。ボクはキミの味方だ」

「ピカ?」

「ボクと……トモダチになっておくれ」

42「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:48:03 ID:6BRIOZ7A
トモダチは、初めて見る顔に警戒をしている。
両頬の電気袋から電流が走る。でんきタイプの特徴のひとつだ。
目の前にあった指が痺れるが、なんの問題もない。敵意によるものでないと分かるからだ。
狼狽えることなく、己のラブを彼に示す。
そして彼は戸惑いつつも、やがてその指を受け入れてくれた。
いい毛並みだ。ケアが行き届いてる。トレーナーの愛情が肌から伝わってくる。
かなり鍛えられてるようだ。長い間旅をしてきたろうにかかわらず体に傷はない。
喉をさすってあげる。気持ちよさそうな表情だ。伝わる感情も心地よい。

「ボクの名前はN。キミ達ポケモンを救う者だ」

「チュウ?……ピカピ!ピカピチュウ?」

「サトシ―――それが君のトレーナーの名前か」

「ピカッ!」

両手で抱き上げ、彼の話に耳を傾ける。
ポケモンは正直だ。ピュアな心でありのままを教えてくれる。
そうやってボクはさまざまなポケモンと話をしてきた。
今回も、どんな状況でもそれは変わらない。
トモダチを通して、彼のトレーナーの姿を見通す。

「ピカピー、ピカピカチュウ、チューピカア、ピッピカチュウ!チュー……ピカッチュウ!」

「………………そうか、キミはトレーナーにとても愛されてるんだね」

”ああ―――まただ”

「チュウ……?」

このポケモンは、自身のトレーナーに絶対の信頼を抱いている。
トレーナーもまた、彼に惜しみない愛情を注いでいる。
そして、トレーナーと共に旅をし、戦うことを心の底から喜んでいる。
ヒトとポケモンの理想の関係、彼らの間には確かにそれが築かれていた。
彼/彼女と―――同じように。
ボクの部屋には、ヒトに傷付けられ、ヒトを恨むポケモンしかいなかったというのに。

「チュウ……?」

「―――ああ、なんでもないよ。分かってる、一緒に君のトレーナーを探してあげるよ」

「ピカー!」

ベンチに降りて人懐っこく擦り寄ってくる。
探してくれるのがよほど嬉しいらしい。
サトシ……その名はこの会場にいるという名簿に記されている。
つまりはこの儀式のプレイヤー、いつ襲われるともしれないということだ。
トモダチに悲しい思いをさせるわけにはいかない。出来るだけ早くに会わせてあげたい。
目的をひとつ定めながら、擦り寄るトモダチを優しく撫でてあげた。

43「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:48:29 ID:6BRIOZ7A


■ ■ ■ ■



「世界を大きく変える不確定要素……しかし、これは数式ですらない。
 ひたすら無意味にカオスを生み出すだけの暴論だ。
 方式を崩し、ただの数字の羅列に変えてしまうこの行為、ボクは受け入れられないな」

カオスと称するに相応しいこの空間。
Nというひとつの要素は何の役割を果たすべきか。何を成すべきか。



まず第一に、Nは争いを好まない。
また、人間を憎んでるわけでも蔑んでるわけでも、滅ぼしたいと思ったこともない。
彼はただ、虐げられているポケモン達を救いたいと願っているだけだ。
レベル上げと称し経験値の高いポケモンを追い回す。
薬物投与で強制的に肉体を増強させる。
種族の個体値を厳選すべく無意味に繁殖を繰り返させる。
そんな負の連鎖を断ち切るためだけに己は立ち上がったのだ。
ましてや、トモダチであるポケモンを戦いの道具に使うなど言語道断だ。
力で押さえつける支配は、必ず反発を生む。
そして、人同士での争いに真っ先に道具として使われるのは罪なきポケモンだ。
自分の手にもポケモンが与えられてある。ならば他のプレイヤーにも同じ処置が与えられているだろう。
アカギと名乗る男に恐れおののいた人々は心を乱され、保身に走り、ポケモンで他の人を襲わせてしまうだろう。
その未来を、Nは何より憂う。
故に、『儀式に賛同し殺し合いに乗る』という選択肢は切り捨てる。



第二、自らが知るプレイヤーについて。
名簿の中にはNが知る名前がいくつかある。直接顔を知るのはゲーチスひとりだ。
プラズマ団の七賢人の頭角。自分の―――少なくとも形式上の―――父親。
同士のひとりとして助けないわけにはいかない。彼なら得意の弁舌で上手く乗り切ってくれてるかもしれないが。
オーキド。ポケモン研究者の第一人者でポケモン博士の仇名を持つ、ポケモン図鑑の開発者。
図鑑の存在は認めがたいものがあるが、本人そのものは非力な老人だ。
積極的に探す気はないが、会えるものなら一度話がしてみたい。
シロナ……シンオウ地方でのポケモンリーグのチャンピオンであるトレーナー。
全大陸にわたってポケモン解放を呼びかけるなら、彼女との対決も避けられない。
しかるべき段階に、鉾を交えることになるだろう。
数年前に解散した、ポケモンを使って悪事を行うロケット団リーダーサカキの名もそこにあった。
それだけでも憤るには十分だが、トレーナーの模範たるべきジムリーダーだったという事実がなお許せない。
人とポケモンが交わる、灰色の混沌たる世界。その極地たる男だ。

44「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:49:18 ID:6BRIOZ7A

並び立ててみたが、それぞれの人物に興味はあれど、何よりも優先すべき事項とも思えない。
ならば、やはりあれについて考えてみよう。
ここに送られる前より、さらに言うなら灰色の怪物に変身した男が吹き飛ばされた出来事を。

(人からポケモンのような姿になった人も気になるけど……それ以上にボクの心を打つものがあった。
 あの時何があったかはボクには見えなかった。見えたのは彼が吹き飛ばされたことだけ。
 けれど確かに聞こえていた。二匹のポケモンの悲しみ、苦しみ、助けを求める声が……)

ポケモンの声を聞くという、稀有な力を持って生まれた落し子。
だからこそポケモンの感情を誰よりも正確に知ることができる。
あの瞬間Nの心に飛び込んできたのは、重く、鋭く、悲痛なイメージ。
ほんの一瞬しか伝わらなかったが、その時の思いは今でも胸に突き刺さるように残っている。

「アカギに、プラズマ団……」

儀式の主催者として現れた男。その顔と組織の名前にも覚えがあった。
宇宙エネルギー開発の団体だが真の目的は、伝説のポケモン使った『新しい宇宙』を創造するためだという。
そのポケモンの名は、ディアルガ、パルキア。
シンオウ神話に伝わる時と空間を支配する神だ。
その言い伝えが真実であり、彼らを自在に操ることができるのなら、これだけの空間を創り出すのも不可能ではないだろう。

「ならボクは、彼らを救わなければならない」

己の目的のためだけに、無理強いさせてポケモンを道具のように使う。
それはNが最も忌み嫌う所業だ。捨て置く道理はない。
全てのポケモンの英雄になるためにも。
そして自分自身がポケモンを救いたいと願う故に。



方針は決まった。
殺し合いには乗らない。アカギからトモダチを解放する。
両立するのは一見、いや実際難しい。
しかし、これは可能性の問題ではない。
Nというパーソナル、その存在の維持のためにはこれ以外取りようがないのだ。

「解答は既に明らかになっている。ならあとは、それを満たす数値と符号を入力すればいい。
 答えとイコールで結ばれる、世界に散りばめられた計算式……必ずあるはずだ。」

世界とは、いわば無数の数式の集合体だ。
風の流れ、水のせせらぎ、草の成長、全ては計算により成り立っている。
この造られた歪な世界でも、それは変わらない。
そこから必要な値を抜き出し式に当てはめれば、答えは自ずと導かれる。

アカギは言った。殺し合いをよしとしない者もいるだろう、そのための呪印だと。
そう、自分と同じくこれに反抗する者は少なからずいる。
力を持つ者、技を持つ者、知恵を持つ者、心を宿す者。
つまりは、共に進む仲間が必要ということだ。
数は力だ。多いというだけでそこには大きな力が宿る。プラズマ団もそうやって隆盛した。
名前の他に知るものはない、まさに不確定のブラックボックス。
その中で、世界の真実を示す方程式を明らかにする。
ただ一人になるまで戦うことなく、アカギの元へと辿り着く手段を見つけ出す。
それこそが、この場でのNの使命。英雄になる条件だ。

45「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:50:27 ID:6BRIOZ7A

「ん……?」

近くで、光が点滅しているのが分かる。
今いる場所は遊園地、人が楽しむアトラクション施設の集まりだ。
ジェットコースター、メリーゴーラウンド、おばけやしき、エトセトラ。
トランプやスロットゲームのコーナーもある。
観客ひとり、乗客ひとりいないというのに、明かりは健気に来場者を誘い続けている。
何かありそうではあるが、生憎遊びに興じる暇は今のNにはない。
このまま通り過ぎるのが筋だが…しかしNは足を止めてしまう。

「観覧車か……」

「ピカ?」

視線の先には、巨大な車輪に吊るされた無数のゴンドラ、観覧車と呼ばれるアトラクション。
Nがイッシュを旅してきた中で、最も興味を引かれたもののひとつだ。

「ボクは観覧車が大好きなんだ。
 あの円運動、力学の賜物、美しい数式の集まり……惚れ惚れする」

「ピカー……?」

「フフッ分からないかい?それじゃあ一緒に乗るとしよう。
 上から見れば、キミのトレーナーも見つかるかもしれないよ」

実際、上から辺りの景色を眺めればそれなりに状況を把握できるだろう。
もうひとつのアイテムに双眼鏡があるのも都合がいい。

「ピカッチュ!」

足からよじ登り、肩に乗ったピカチュウを連れて歩き出す。
サトシというトレーナーもこうして連れ歩いてきたのだろうか。
全てのトレーナーがこうやってポケモンと触れ合えたら、こんなに嬉しいことはないのに。

(……もし、ボクを襲う者が現れた時、ボクは彼をどうしてしまうのだろう)

ふと、そんなことを考えた。
第六感はぼんやりと警鐘を鳴らしており、計算でもそうなる確率は高いと出ている。
N自身は身体能力に秀でてるというわけではない。いざ戦いとなれば、この小さなトモダチを前に出すことになってしまうだろう。
ポケモン同士の勝負なら、まだいい。
それもまた苦しい争いだが、チャンピオンになるために乗り越える覚悟はできている。
しかし、相手がただの人間であった場合には、それすら許されない。
死ぬつもりはない。自分には残した使命がある。追い求める理想がある。
だが、それでトモダチを傷つけさせてはロケット団と同じだ。目的のためにポケモンを利用する悪しき行為だ。

「ピカピカチュ……ピーカチュウ」

そんな心の機敏をみぬいたのか、ピカチュウが声をかけてきた。
ハートの奥に届いた思いは、澱みなき意思。
キミを守るという、親愛の表明だった。

「ボクを……守ってくれるのかい?」

その言葉は、何ものにも耐え難い力強い応援だ。
当然、安易に戦わせることなどしない。
けれど、その言葉があれば、自分を見失うことなく強く在り続けられると思えた。

(もう何も恐くない。ボクにはずっと、トモダチが付いているのだから)

未来は暗礁に立ち上げ、望む結末はひとつとして見えない。
けれど、一人ではない。傍らには、生まれた時からのトモダチが一緒にいてくれる。
それだけで力が湧いてくる。体が軽くなり、不可能なことがないかのような気分になる。
恐れず、驕らず、自然ありのままに歩を進める。

王の旅路が、始まった。

46「Natural」 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:53:50 ID:6BRIOZ7A




【C-5/遊園地/一日目-深夜】
【N@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:サトシのピカチュウ(体力:満タン)
[道具]:基本支給品、カイザポインター
[思考・状況]
基本:アカギに捕らわれてるポケモンを救い出し、トモダチになる
1:観覧車に乗ろう、話はそれからだ
2:世界の秘密を解くための仲間を集める
3:ピカチュウのトレーナー(サトシ)を探してあげたい
4:人を傷付けはしない。なるべくポケモンを戦わせたくはない
5:シロナ、オーキド、サカキとは会って話がしてみたいな。ゲーチスも探しておこう
[備考]
※原作での主人公が男性/女性なのか、手にした伝説のポケモンがゼクロム/レシラムなのかはぼかしてあります。
※アカギおよびプラズマ団についてある程度のことを知っています。
※アカギの背後にいた存在(ポケモン)の声を聞きました。Nはディアルガとパルキアと予測しています。
※ピカチュウとトモダチになりました。モンスターボールから出したままです。

【サトシのピカチュウ@ポケットモンスター(アニメ)】
サトシが最初に手にしたポケモン。でんきタイプ。ギザギザしっぽがトレードマーク。
マサラタウンから片時も離れず冒険しているのでレベルはかなり高い。
いまやすっかりポケモンメーカーのマスコットキャラである。

【カイザポインター@仮面ライダー555】
仮面ライダーカイザの専用ツール。デジタル双眼鏡型ポインティングマーカーデバイス。
カイザの右足に装着しライダーキック「ゴルドスマッシュ」を放つ。
通常の双眼鏡としても使用可能。

47 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 17:55:22 ID:6BRIOZ7A
以上投下終了です。
カイザポインター、ピカチュウの支給に問題があるようであれば修正も可能です。

48 ◆rNn3lLuznA:2011/07/08(金) 19:11:06 ID:XgFiVct.
投下乙
畜生、カイザポインター先に使われた!w
そして全国のポケモン廃人の良心が痛む文章の数々に思わず笑ってしまったw
確かにNならそう思いそうだわ

あ、あと修正箇所と個人的な指摘を

修正
・アカギの所属組織が「ギンガ団」ではなく「プラズマ団」になってます

指摘
最初の文の

>◆ ◆ ◆ ◆

は別にいらないと思います

それと

>「……彼/彼女は、いないようだね」
>イッシュ地方を創造した黒き竜/白き竜―――ゼクロム/レシラム。
>彼/彼女と―――同じように。

ここが個人的にちょっと読み辛かったので

>「……は、いないようだね」
>イッシュ地方を創造した伝説の龍―――
>―――と同じように。

といった感じにした方が読みやすくなると思います

49名無しさん:2011/07/08(金) 19:16:17 ID:k63ZKk1Y
投下乙!
ブラックホワイト未プレイだから、Nについては人々の支配からポケモンを開放するって目的持ってるってことしか知らなかったけど、なるほどこういうやつなんだなあ。
争いを好まない性格で、対主催で、ピカチュウからも信頼されて、頼りがいがあるなあ。
これからに期待です!

50 ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:39:51 ID:4NA4H8L6
ナナリー・ランペルージ、ロロ・ランペルージ。
修正できたので、本投下いたします。

51名無しさん:2011/07/08(金) 19:40:32 ID:k63ZKk1Y
>>48
確かに図星を指されたようでギクっとしちゃいますね。
なにしろ現在ハートゴールドでチャンピオンロード&シロガネ山でレベル上げやりまくってるとこだから。
しかも対象ポケモン20匹…

52弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:41:04 ID:4NA4H8L6

足場が決して良いとはいえない、歩行に難がある山間部。
ましてや車椅子の身において、それはこれ以上ない障害といえるだろう。


「酷い……こんな事って……!!」


そんな過酷な状況下で、ナナリーは一人静かに涙を流していた。
盲目なれども、先程の広場で起きた惨劇はしかと聞いた。
アカギの無慈悲な声を、オルフェノクと名乗った男の悲痛な叫びを。
目の前で、一つの命が無残にも奪われたのだ。
その残酷な所業に、ナナリーは心の底から涙していた。

そして……悲劇は、再び起ころうとしている。
『殺し合い』という名の、罪無き命の奪い合いが。
その事実に、ナナリーは悲しみ……怒りを感じていた。


『……どうするつもりだ、ナナリー?』


嘆きの声を漏らすナナリーへと、傍らに立つ騎士―――ネモが問いかけた。
彼女は、ナナリーが持つ負の感情を共有する、つまり分身とも言える存在。
故に、その悲痛な気持ちは十分に理解していた。

その上で……その上で、敢えて彼女は問いかけたのだ。
これより多くの地に染まるであろうこの戦場で、ナナリーは何を望むのか。
己は、ナナリーの騎士として何を叶えればよいのかを。

その覚悟を、確かめるために。

53弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:41:39 ID:4NA4H8L6

「……あなたはもう一人の私自身。
 答えなんて、分かっているんでしょう……?」


主催者達への、反逆の狼煙をあげる為に。


『ああ……お前の望みは、戦場に赴き全ての暴力を排除すること。
 その為に行使されるのが、ギアスの力だ……ならば』

「ええ……私は、この殺し合いを止めたい。
 だから、ネモ……力を貸して……!!」


ナナリー・ランペルージ……ナナリー・ヴィ・ブリタニアは、今ここに誓った。
この殺し合いを、必ずや止めてみせると。



◇◆◇



(分からない……一体、何がどうなっているんだ?)



微かな風と小川の流れる音が支配する、静かな山間部。
ロロ・ランペルージは、剥き出しとなった岩肌に背を預けながら、この奇異な現状について思案していた。
彼はつい先ほどまで、兄ルルーシュの命により政庁へと侵入を果たしている筈だった。
そして……兄の唯一である家族となるべく、ナナリーをその手で殺害しようとしていた筈だった。

だが……現実はご覧の有様だ。
気がつけば自身は見知らぬ闇の中に立たされ、そしてあのホールに身を移されていた。
殺し合いを強要する謎の男―――アカギが支配する、あの異様な空間にだ。


(……自分でも気がつかない間に移動させられていた。
まさか……ギアス能力か?)


この摩訶不思議な現状を説明できるものがあるとすれば、ギアス能力ぐらいしか思いつかない。
つまり……あのアカギという男が、何かしらのギアスを用いて招集をかけたのではないだろうか。
そう考えれば、いつの間にか見知らぬ場所に立たされていたというのも……一応の説明は着けられる。

54弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:42:18 ID:4NA4H8L6

(でも……だったら、あの化け物は何だったんだ?)


しかし、ギアスの仕業として片付けるには、腑に落ちない点も幾らかあった。
その一つ目が、あのオルフェノクと言う異形だ。
あんな文字通りの『化け物』は、今までに見た事も聞いた事もない。
一応人にあらざる存在という意味であれば、C.C.やV.V.といった例もあるが……
少なくともロロには、オルフェノクはあの二人ともまた違う、もっと別の何かに見えていた。
そして、幾らギアスの力でも、あの様な姿に変身する事が出来るとも思えない。


(それに、あの男が言っていた言葉……)


そして、もう一つ。
アカギがホールで口にした、妙に意味深な言葉がある。



―――君たちはこれから行われる『儀式』を完遂するために、数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たちなのだ。



(あれは……どういう意味なんだ?)


ロロには、あの言葉の意味がいまいち理解しきれていなかった。
己を大きく見せる為のハッタリ、虚飾だろうか……否。
それで片づけるには、あの男の言葉にはどこか凄味があった。
嘘は無いと、そう断言できるだけの何かが感じられたのだ。
そうなると、やはり何か……かなり大きな意味があるとしか思えない。
問題は、それがどういう事なのかだ。


(参ったな……こんな時、兄さんならパッと答えを出せるのだろうけど……)


ここに切れ者の兄がいてくれたなら、こんな難問もすぐに解いてくれるだろう。
いや、それどころかあのアカギという男の企みだって看破してくれるに違いない。
そう考え、ロロは思わず頬を緩めてしまうが……即座に、顔を引き締めた。
ある事実……自分以外の参加者という点に、気がついたからだ。

55弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:43:06 ID:4NA4H8L6
(そうだ……兄さんは?
まさか、兄さんまでこの殺し合いに参加させられているんじゃ……!!)


もしもアカギが、ロロの予想通りにギアス能力者だったとしたら。
あの時、すぐ近くで戦闘指揮を執っていたルルーシュが巻き込まれていたとしても、不思議はない。
だとしたら……これはロロにとって、由々しき事態となる。

何としても、兄を救わなければならない。
大切な兄を守り抜かなければいけない。

そんな焦燥に駆られながら、ロロはデイパックを開く。
見たところ、中には銃をはじめとする幾らかの品があるが、彼はそれらに目もくれずある物へと手を伸ばした。
それは、全参加者が記されているという名簿だ。
ここにルルーシュの名前があるかどうか。
すぐさま確認の為、開こうとした……その瞬間だった。



「……え……?」



ふと、警戒の為に視線を向けた、その先に……



「まさか、あれは……?
 間違いない、ナナリー……!!」



これより殺害しようと目論んでいた標的―――ナナリーを見つけたのは。


◇◆◇



(……未来線が、読み取れないだと……?)

56弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:43:40 ID:4NA4H8L6

殺し合いを止めると決意をした、その少し後。
ネモは、自身の……否。
ナナリーの身に起きているギアスの異常に、眉を細めていた。

彼女のギアスとは、あらゆる事象の世界線を積分することによって、未来に起きる出来事、その結果を知る能力。
そして彼女達は、それによって戦場を未然に察知し、争いへの介入を果たしてきた。
だが……今、そのギアスに異常が起きている。


「ネモ……どうしたの?」

『……ナナリー、由々しき事態だ。
 ギアスの力が、正常に行使できなくなっている……アカギの位置が見えない』


ネモはまずこの殺し合いを止める第一手段として、争いの源―――アカギの位置を探りにかかった。
クロヴィスの時と同じ様に、『戦場を支配する未来線の発生源』たる主催者の居場所をギアスで読もうとしたのだ。
しかし……試してみたところ、実に奇妙な現象が起きた。

まるで、ナナリーのギアスを拒絶するかのように……未来線が、一本たりとも現れなかったのである。


『それに、それだけじゃない……未来が鮮明に見えなくなっている。
 まるで靄がかかったかの様に、ビジョンがぼやけている……やられた。
 アカギめ……私達の力に何か細工をしたな……!!』


そして、未来の予知も正常な形で働かなくなっている。
見えることには見えるのだが、極めて断片的な、不鮮明な映像でしか見る事が出来なくなっているのだ。
これでは、一体未来に何が起ころうとするのかをはっきり把握することが不可能だ。


「ギアスに細工を……そんな事が出来るの?」

『現に、私達の力はこうして封じられているんだ。
 そう判断するしかない……この儀式とやらを円滑に進める為だろうな』


確かにアカギの立場からすれば、ナナリーの持つギアスは極めて危険だ。
殺し合いを打破する最大の切り札足りうる力なのだから……力の封印・制限は当然の事といえる。

57弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:44:17 ID:4NA4H8L6
だが、だとしたら……アカギはとてつもなく恐るべき力を有する事になる。
ギアスとは即ち、万物の根源たるエデンバイタルへとアクセスし、世の持つ理を捻じ曲げる力だ。
それをこの様に、己が都合が良い様に制限できる……つまり。


(アカギは……エデンバイタルの力を自在に引き出せる。
世界の理すらも自在に操る力があると言うのか……?)


それはまさに、神の所業ではないか。
こんな馬鹿な話など、認めたくはないが……しかし、そう考えれば納得できる部分も多い。


―――自分達が僅か一瞬にしてあのホールに転移させられたことも。

―――オルフェノクという謎の化け物の存在も。

―――無限の可能性宇宙から、自分達を選び出したという言葉も。


(……だが……気がかりはまだ、もう一つある。
あの、オルフェノクという怪物が倒された瞬間……)


そして、アカギから感じる不気味さはそれだけではない。
あのオルフェノクという怪物が、吹き飛ばされた瞬間。
僅か一瞬、辛うじてというレベルだが……ネモは確かに見ていた。


(あの影……アレが、アカギの力の源か……?)


何か巨大な……『二つの影』が、アカギの背後にいたことを。


『…………』

「あの……ネモ?」


そんな考えを張り巡らせるネモに対し、ナナリーは思わず声をかけてしまった。
自分のすぐ横で、仏頂面でいきなり黙られたら、話すなという方が無理な話だから仕方ない。

58弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:44:53 ID:4NA4H8L6
『ん、ああ……すまない。
 少し考え事をしていた……そうだ、ナナリー。
 先程見えた未来線の事を告げなければならなかったな』

ネモもナナリーの言葉からそれを察し、謝罪をする。
そして、気持ちを切り替え……彼女へと口を開く。

先程見えた、断片的な未来線について話す為に。


『……気をつけろ。
 どんな相手が来るか、どんな手段で来るかなど、はっきりとした形では見えなかったが……
 すぐ近くに、お前を狙っている奴がいるようだぞ』



◇◆◇



(ナナリー……まさか、君までここにいるなんてね……)


不幸中の幸いとでも言えばいいのだろうか。
ロロは、ナナリーの姿を見つけられた事を心から喜んでいた。
一番……一番殺したい相手が、目の前に現れたのだから。


(……ナナリー……兄さんの家族は、僕だけでいいんだ)


ロロはゆっくりと、支給品の銃―――デザートイーグルを構えた。
幸い、まだ向こうはこちらに気づいていない……狙撃するには十分。
もっとも気づかれたところで、相手は車椅子のナナリーだ。
ここが荒地という事も手伝って、銃弾から逃れられる訳がない。
時を止めるギアスを使うまでも無い……全て一発で形がつく。

59弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:45:13 ID:4NA4H8L6


(兄さんと一緒にいられるのは……僕だけなんだ……!!)


その瞳に、強い殺意を漲らせて。
ロロは躊躇う事無く引き金を引いた。
銃弾は、ナナリー目掛けて真っ直ぐに突き進む。

そして、その脳天に風穴を……




――――――ゴオォォォォォッ……!!!




空けることは無かった。



「え……!?」


ロロは、我が目を疑った。
放たれた銃弾は、ナナリーへと命中するその寸前で……阻まれたのだ。

彼女を守るかのように、地より出現した……巨大な腕に。


『いたぞ、ナナリー……こいつだ。
 こいつが、お前の命を奪おうとした男だ』


否、現れたのは腕だけではない。
巨大な頭部、胴体、両脚……全身を構造する全て。

60弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:45:45 ID:4NA4H8L6

「まさか、ナイトメアフレーム……!?」


異形の姿を持つ……ロロが知らぬ、謎のナイトメアだ。


「ッ!?
 ナナリーが、あのナイトメアフレームに……!!」


次の瞬間、ナナリーの肉体はナイトメアフレームの内部に取り込まれていた。
否、ナナリーが乗り込んだといった方が正しいだろう。
彼女専用の機体にして、エデンバイタルの魔神―――マークネモに。


「そんな……何がどうなっているんだ?
 どうしてナナリーが、ナイトメアフレームなんかに……!!」


ロロは、とにかく驚愕するしかなかった。
何も無い空間より、突如として異形のナイトメアフレームが出現したことに。
そのナイトメアに、ナナリーが乗り込んだことに。
何の力も無い、非力な筈のナナリーが……闘う力を手にしていることに。


『お前……殺し合いに乗ったのか?』


異形のナイトメアより、呼びかける声が聞こえてくる。
それは間違いなくナナリーの、しかし彼女とは思えぬ凛々しさが宿る声だった。
少なくとも、ロロにはそう感じられた。


(……いけない、落ち着くんだ。
想定外の事態だからこそ、慌てずに対処しないと……兄さんに怒られちゃう)

兎に角、ここは冷静に対処しなければならない。
慌てれば相手の思う壺ではないか。
少々失礼な言い方にはなるが、想定外の事態がどれだけ窮地を生むかは、兄を―――黒の騎士団を見てきて、分かっているのだから。
それこそ同じ失敗を繰り返してしまったら、兄にどやされてしまう。

61弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:46:07 ID:4NA4H8L6

「……違うよ……僕は、あんな男の言いなりになるつもりはない」


小さく深呼吸をして、気持ちをやや落ち着かせた後。
ロロは相手の問いかけに、静かに答えた。
殺し合いには乗らない……と。
その理由はただ一つ、兄の存在があるから。

兄は黒の騎士団総帥として、弱き者を助ける正義を行ってきた。
だからこの場においても、きっとアカギを討つべく動いているに違いない。
そして、必ずアカギの野望を打ち砕くだろうと信じている。
だから自分も、それを横で支え助けていく……殺し合いには、絶対に乗らない。


『だったら、何故私を……ナナリーを狙った!』

「そんなの……決まってるじゃないか」


だから……兄の隣には。

ルルーシュ・ランペルージの隣には、自分がいなければいけないのだ。

ナナリー・ランペルージじゃなく……ロロ・ランペルージがいなければならないのだ。


「兄さんの側にいていいのは……君じゃない、僕なんだから!!」



◇◆◇



『姿が……消えた!?』


瞬きを一回する程の、本当に僅かな一瞬だった。
あの男はつい今しがたまで、確かにマークネモの前にいた。
それが、いつの間にか姿を消しているのだ。
しかもネモには、その気配を……行動の未来線を、まるで読めなかった。

62弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:46:54 ID:4NA4H8L6

―――ズドンッ!!


直後、轟音と共にマークネモの全身を振動が駆け巡った。
発生源は、後方……右脚。


『後ろッ!?』


即座に視線を向け、状況を確認する。
するとそこには、右足の付け根―――装甲に覆われていない間接部に銃口をねじ込んでいるロロの姿があった。
如何に威力のある拳銃とはいえ、普通に撃ったのではナイトメア相手にダメージを与えることは出来ない。
しかし……防御の手薄な間接部ならば、可能性は見えてくる。
ロロはまさに、それを狙ったのだ。


『クソッ……舐めるな!!』


すぐさまマークネモは、足元目掛けてスラッシュハーケンを射出。
ロロを切り裂き貫かんと、刃の狙いを定め……そして。

刃は、空を切り地面に突き刺さった。


『こいつ、また……!?』


またしても、姿が消えている。
行動の未来線も、まるで見えなかった。


『まさかこいつ、河口湖の奴か……!?』


以前にも一度だけ、これとよく似た闘いを経験した事がある。
河口湖で遭遇した、ブリタニアのギアスユーザーとのナイトメアフレーム戦だ。
あの時の相手は、未来線を読むよりも更に速いスピードで攻撃を仕掛けるという離れ業を使い、マークネモを追い詰めてきた。
そして目の前にいる相手も、未来線を読む事もさせず、いつの間にか位置を移動している。
もしや、あのギアスユーザーは……この男ではないだろうか。

63弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:47:20 ID:4NA4H8L6



―――ドゴォンッ!!


『ッ……!?』


刹那。
マークネモの右脚ランドスピナーより、炎が上がった。
地面は捲れ、煙が巻き起こっている……爆発物、それもかなり威力があるモノによる攻撃だ。
ランドスピナーが、一部吹き飛ばされている……!!


『こいつ、何を……ハッ!?』


直後、ネモは己に向かう攻撃の未来線を読んだ。
それはマークネモの右側より、放物線を描き向かってくる。


『流体サクラダイトだと!?』


正体は、ロロが放り投げた流体サクラダイト。
そして、その中心目掛けて放たれる一発の銃弾だ。


『クッ……!!』


とっさに、マークネモは地を蹴り左へと跳躍。
それに僅かに遅れて、強烈な爆発が起こった。
先程右足を襲ったのも、これと同じもの……流体サクラダイトの爆発だ。
同じサイズの手榴弾よりも、数倍の威力はあるだろう。
もしまともに直撃していたなら、右脚のランドスピナー同様大きなダメージを受けていたに違いない。


『クソッ……舐めるなぁぁっ!!』


ナイトメアフレーム―――それも通常のソレより遥かに強力なマークネモに対して、相手は生身。
まともに戦えるわけが無いと思い、油断していた。
だが、実際に押されているのは寧ろ自分達の方ではないか。

64弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:48:04 ID:4NA4H8L6
その原因はひとえに、相性の悪さにある。
ナナリーとネモのギアスは、相手の未来線を読む力。
それにより、敵の次なる行動を予知して対処できる事こそが強みである。
しかし……ロロのギアスは、その未来線を彼女達に一切読ませる事無く、彼の行動を可能にするものなのだ。

ネモはロロこそが、河口湖でかつて戦ったギアスユーザー―――ザ・スピードのアリスと考えているが、それは違う。
ザ・スピードは、加重力により相対的に超加速を得る、まさしく名前通りのギアスだ。
しかしロロのギアスは、そもそも加速とは全く関係が無い別物である。
何故なら、彼のギアスは……


(もう一度……時を、奪う!!)


相手の体感時間を止める……時を奪うギアスなのだから。



◇◆◇



(いける……幾ら性能の高いナイトメアでも、乗ってるのは人間なんだ。
なら、僕のギアスで動きを止めて……攻撃を仕掛ける隙を作れば……!!)


ロロはここまで、マークネモに対し生身であるにも関わらず、優勢を保っていた。
ギアスを用い相手の時を奪う事で、翻弄し続ける事に成功しているからだ。
加えて、支給品が威力の高いデザートイーグルと、流体サクラダイトというのも大きかった。
ナイトメア相手でも、この二つならばダメージを与えることは可能だ。
そして彼自身は知らぬ事だが、このギアスはネモ達を相手取るには抜群に相性が良かった。
如何に未来線を読むギアスとはいえ、止められた時間の中ではそれも読めず、そこで起きた行動も察知できないのだから。


(……後は……間接部に攻撃を集中させて……流体サクラダイトの爆発で……ぐっ……!!)


しかし……ロロもまた、戦いの中で大きな負担を抱えていた。
時を奪うギアスが持つ欠陥……それは、ギアスの発動中にはロロ自身の心臓も停止するという代償だ。
その負担は、ギアスを広範囲で使ったり、長時間使う事によって度合いを増していく。
尤も、ここまでの使用頻度ならば、然程の負担にはならない筈なのだが……

65弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:48:27 ID:4NA4H8L6

(……おかしい……いつもより、体にかかる負担が……大きい……!?)


今、ロロが感じている負担はその倍以上だった。
まるで、何度も連続して時を止め続けたかの様な……そんな辛さが、彼の身を襲っていたのだ。

その原因は、ナナリー達と同じくアカギの介入―――ギアスの能力制限だ。
ロロのギアスもまた、殺し合いを優位に進められすぎる能力に他ならない。
そこで、体にかかる負担の倍増という形で制限が設けられているのだ。


『クソッ……舐めるなぁぁっ!!』

(……考えている暇は、無いか……!!)


ネモの咆哮が耳を劈くと共に、その手の刀が横薙ぎに振るわれようとする。
まともに人間が直撃を受ければ、即死は免れない一撃だ。
だが、ロロは臆せず……すかさずギアスを発動させ、回避にかかる。


(もう一度……時を、奪う!!)


ロロの右目より放たれる、赤い光の領域。
それに捕らわれた瞬間、マークネモの動きがピタリと止まった。
操縦者であるナナリーとネモの時が奪われた証拠だ。
その隙を狙い、ロロは素早く前方の股下へと転がり込む。


「グッ……!?」


ここで再び、ロロにギアスの負荷が襲いかかってきた。
胸を締め付ける痛みと、呼吸のままならない息苦しさ。
堪らず地面に片膝をつき、銃を手から零しそうになってしまう。
このままギアスを使用し続けるのは、明らかに危険だ。
本格的に、命にかかわってくる。

66弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:49:25 ID:4NA4H8L6
(それでも……それでも、僕は……!!)


だが、ロロはギアスの使用をやめるつもりなどサラサラ無かった。
ギアスを使わねば、この相手は……ナナリーは倒せない。
自分は、どんな事があっても彼女を殺さねばならないのだ。

そうしなければ……自分の、存在意義を失ってしまうのだから。


(ギアス……解除!!)


ロロは、薄れそうになる意識を強引に保ちつつ、銃口を再び右脚の間接部へねじ込むと共にギアスを解除。
更に引き金を連射し、銃弾を叩き込んでいく……!!


―――バキィッ!!


『しまった……!?』


右脚部より聞こえた音―――破損音に、ネモは狼狽して声を上げた。
ここまでロロは、全ての攻撃を右脚部へと集中させてきた。
理由は二つある……一つは、ナイトメアフレームの硬い防御を突破するには、一点集中攻撃しかないと判断したから。
そしてもう一つが、その機動力を奪うためだ。
ランドスピナーとハーケンスラッシュによる高速機動が売りのナイトメアにとって、脚部の破損はかなりの深手になる。
それを今、ロロは成功させたのだ。

67弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:50:10 ID:4NA4H8L6

(ハァ、ハァッ……やったぞ。
こっちの負担も、大きいけど……これで、このナイトメアは自由に動けない……残っているサクラダイトの数は、後二つ。
狙いは左脚と、ナナリーが乗っている……コックピットブロックだ……!!)


そして次の狙いは、残るもう一方の脚……そして、急所のコックピットブロックだ。
両脚を奪い完全に機動力を失わせたところに、流体サクラダイトの爆発を叩き込みナナリーを吹き飛ばす。
肉体にかかる負担こそ、相当なレベルではあるが……ここまで、状況は完全に思うがままに進んでいる。
もしもルルーシュがこの場にいたなら、確実にこう言っただろう。

条件は、クリアされた……と。


『この……!!』


負けじと、マークネモが刀を振り上げた。
しかし、大振りすぎる……隙だらけにも程がある攻撃態勢だ。
これでは「攻撃を避けてください」と言わんばかりのものではないか。

「そんな攻撃……!!」

当然、ロロもそうする。
ギアスを発動させ、ネモの時を奪いマークネモの動きを停止させる。


「ううっ……!!」


またも襲いかかる、ギアスの負荷。
その苦しみにロロは胸を押さえ体をよろめかせるが、それでも即死レベルの直撃を貰うよりかはマシだ。
何より……何より、ナナリーを倒す為なら、こんな痛みはどうって事は無い。

そう、すぐさま体に活を入れると、ロロは刃の外へと逃げ……


「む……無駄、だよ……
 何度攻撃したって、このギアスがあるかぎ……り……!?」



そして、ギアスを解除し……刀が打ち下ろされた瞬間。


ロロの視界は、茶色の波一色に染まった。



大振りの一撃が巻き起こした、土砂の波に。



◇◆◇


『……ふぅ……冷や冷やさせられたな……』

68弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:50:51 ID:4NA4H8L6

マークネモの中で、ネモは小さくため息をついた。
悉く攻撃を回避してくるロロに対し、どうやったら攻撃を命中させられるのか。
そう考えた末にネモが出した結論とは、『回避しようの無い広範囲に攻撃をばらまく』というものだった。
そして実行したのが、大振りの一撃で土砂を巻き起こし、相手を襲うという策だ。
幸いにも、ロロはマークネモの攻撃を、焦りと怒りに任せたものだと錯覚してくれた。
そのおかげで真の狙いにも気づかれること無く、こうして攻撃を当てることに成功したのあった。


『しかし……悪運の強い奴だ。
 まさか、あんな手段で逃げるとはな……』


ネモは、視線を下―――流れる川へと向けた。
迫る土砂の波に、巻き込まれる寸前。
ロロはそれから逃れるべく、全力で後方へと駆けた。
しかし、それでもサイズ差が違いすぎた……飲み込まれるのは、誰の目から見ても確実だった。

だが……ロロはその窮地を、思わぬ手を使って脱出した。
それは、切り札である流体サクラダイト。
彼は迫り来る土砂から逃げられぬと判断した瞬間、それを土砂へ向かい投函し、爆発させたのだ。
結果、土砂は吹き飛び直撃は免れたが……代わりに、爆発の余波をまともに受ける形となってしまった。

そして、吹っ飛ばされた先こそが、今まさにネモが見つめる川である。
ロロは命こそ助かったものの、そのまま流され……落ちていってしまったのだ。

川の先にある、大きな濁流の終着点―――滝壷へと。
ただ川へ落ちただけならよかったものの、この勢いある滝からの落下だ。
然程の高さが無い事だけが、唯一の救いと言うべきか。
運が良ければ、生きているかもしれないが……それなりのダメージは、覚悟しなければなるまい。


「ネモ……あの人、助けられなかったの?」
 
そんな彼を、マークネモは救わなかった。
もし、急ぎ手を伸ばしていれば間に合ったのではないだろうか。
その事に対し、ナナリーは静かに……悲痛な顔をして、ネモへと問いかける。


『ああ……あの状況では、手を伸ばしても間に合わなかった。
 もしもギアスの力が完全だったなら、事前に手を打てたかもしれないのにな』


流石のネモでも、あの状況でロロの落下を防ぐことは叶わなかった。
未来線を読むギアスが完全に発現されていたなら、或いは出来たかもしれないが……もはや意味の無い話だ。

69弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:51:57 ID:4NA4H8L6

「そう……」


その返答に対し、ナナリーは意気を消沈させた。
どうやら彼女としては、襲ってきたギアスユーザーをどうにかしてでも救いたかったらしい。
自らの命が狙われたのにも、関わらず……だ。
もっとも彼女とて、大きな声で文句を言うつもりもなかった。
戦わなければ自分達が倒されていた……それも事実だから。


『ナナリー……下手をしたら、私達がやられていたんだぞ。
 それでも、あいつを助けたかったって言うのか?』

「ええ、だってあの人は……」


ネモからすれば呆れるしかない話だ。
しかし、ナナリーは……どうしても、あの少年を見捨てることが出来なかった。
それは単に、人を殺したくないという優しさからだけではなかった。
彼女は、しかと聞いていたからだ。



――――――兄さんの側にいていいのは……君じゃない、僕なんだから!!



「大切な……お兄さんの為に、戦っているみたいなんだから……」



ロロが戦う理由を。

誰と間違えたのかは知らないが、事情こそまるで分からないが。

彼は、自分と同じく……兄を大切に思っているからこそ、こうして戦いに臨んだという事を。


『……あいつと自分とを重ねているのか。
 まったく……だが、言われてみればあのギアスユーザーの言動は妙だったな。
 この場に来た事で、軽く錯乱していたか……』

「……また、会えるよね?
 死んでなんかいない……ちゃんと生きてるよね?」

『さあ、断言はできないな……だが、あれだけの奴だ。
 そう簡単に倒れるとは思えないが……む……!?』


そこまで口にした、その瞬間だった。
突然、マークネモの全身より薄い光が放たれ始めたのだ。
特に変な操作はしていない筈……ならば、この現象は何か。
すぐさまネモは、マークネモの全身に目配らせ……それが何であるかを気づく。

70弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:52:39 ID:4NA4H8L6
『馬鹿な、これは……量子シフト!?
 私やナナリーの意志とは別に、強制的に発動しているだと!?』


それは、彼女等の意思に反した量子シフトの反応。
マークネモが、搭乗者を無視してそれを行おうとしているのだ。
どうしてこんな事が起ころうとしているのか。
先程の戦闘で受けたダメージが原因か……いや、脚部の破損ではどう考えても原因に繋がらない。
しかし、他に理由があるとしたら……


『また……またアカギかぁっ!!』


それは、アカギしか考えられない。
彼が制限したのは、ギアスだけではなかった。
このマークネモにも、殺し合いを公平とすべく仕掛けを施していたのだ。
出現させられる時間を定め、それが過ぎれば強制的に量子シフトが行われるように……!!


『クッ……!!』

「キャァッ!!」


そして、マークネモはその姿を完全に消し……残されたナナリーとネモは、外へ投げ出される形となった。
幸い、然程高くない位置からの落下なので、怪我はないようだ。

『大丈夫か、ナナリー?』

「ええ、何とか……」

『まさか、マークネモまで抑えられているとは思わなかった。
 稼動時間の制限か……だとしたら、恐らく連続して呼び出せないようにもしているだろう。
 これは、もしも奴の様な相手がまた出てきたら、厄介な事になるぞ』


ギアスだけなら兎も角、マークネモまで使えないとあれば、それはナナリーにとってかなりのハンデとなる。
もしも次に、好戦的な何者かと出会ったなら……最悪の事態をも覚悟しなければならない。

71弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:53:09 ID:4NA4H8L6

『……何か、頼れるモノを探さなければならないな。
 マークネモまではいかなくても、身を守る力と……
 私達の考えに賛同し、共に戦ってくれる仲間を』

それを避ける為には、マークネモに頼らずとも身を守れる武器と。
そして、強い仲間が必要だ。
同じくこの殺し合いを止めるために動いてくれ、且つ強い戦闘力を持った存在。
理想的な例を挙げるなら、そう……枢木スザクの様な。


『そうだ……ナナリー、支給品と名簿を確認してみよう。
 もしかしたら、何かあるかもしれない』


ここでようやく、ネモは支給品と名簿の存在を思い出した。
先程の少年が持っていた拳銃や流体サクラダイトは、恐らく支給された武器だ。
ならば自分達のデイパックにも、同等か……或いはそれ以上の何かがあるかもしれない。
そして名簿を開ければ、参加者について把握できる事が出来る。
運がよければ―――殺し合いに参加させられている時点で、運が良いとは言えないが―――誰か、頼れる相手がいるかもしれない。
すぐさま、ナナリーに開けるよう指示を出すが……


「…………」


それに対し、ナナリーは言葉を発さなかった。
その代わり……実に神妙な面持ちで、何かを考えていた。
真剣に……ネモの言葉も、意に介さぬ程に。


『おい……ナナリー?』

「あ……ごめんなさい、ネモ。
 うん、すぐに開けてみるけど……何が入ってるか、教えてくれる?」


もう一度呼びかけられ、ナナリーはようやく気が付いた。
急いでデイパックを開き、中のものをネモに見せる。
彼女自身は残念ながら盲目の為、自分一人ではそれを確認する事が出来ないからだ。

72弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:53:34 ID:4NA4H8L6

(……あの人……)


しかし、その作業の最中でもナナリーは続けて考えていた。
先程遭遇した、あの少年―――見知らぬギアスユーザーに。

自身と同じ……誰か、大切な兄を持つ存在に。


(……無事だといいな。
もし、また会えたら……今度は、ちゃんとお話してみたいな……)



【A−5/山間部/一日目 深夜】

【ナナリー・ランペルージ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康、マークネモ召還制限中
[装備]:ネモ(憑依中)
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める。
1:支給品と名簿を確認する
2:先程の少年(ロロ)ともう一度会って、出来たら話をしてみたい
[備考]
※参戦時期は、三巻のCODE13と14の間(マオ戦後、ナリタ攻防戦前です)
※ネモの姿と声はナナリーにしか認識できていません。
 ただし参加者の中には、マオの様に例外的に認識できる者もいるかもしれません。
※未来線を読むギアスには、以下の制限がかけられています
1:争いの元である未来線を読み、アカギの居場所を特定する事は不可能
2:予知できる未来のビジョンは断片的なものであり、何が起こるかははっきりとは分からない。
3:相手の攻撃を未来線で読むことについても、何かしらの制限がかかっている恐れがあります。
※マークネモには、召還できる時間に制限があります。
 一定時間を過ぎると強制的に量子シフトがかかりどこかへと転移します。
 また、再度呼び出すのにもある程度間を置く必要があります。
 (この時間の感覚については、次の書き手さんにお任せします)
※ロロ・ランペルージには、自分と同じで大切な兄がいると考えています。
 ただしロロの名前は知らず、その兄がルルーシュである事には気づいていません。

【ネモ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康、ナナリーに憑依中
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:ナナリーの意思に従い、この殺し合いを止める。
1:支給品と名簿を確認する。
2:先程のギアスユーザー(ロロ)を警戒。
[備考]
※ロロ・ランペルージを、河口湖で遭遇したギアスユーザーではないかと認識しています。
 顔は覚えましたが、名前は知りません。
※アカギには、エデンバイタルへと自在にアクセスできる力があるのではないかと考えています。
※琢磨死亡時、アカギの後ろにいた『何か』の存在に気が付きました。
 その何かがアカギの力の源ではないかと推測しています。

73弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:54:11 ID:4NA4H8L6



◇◆◇



(……僕は……)


川の流れに身を任せつつ、ロロはぼんやりと目を開けた。
マークネモとの戦闘後、彼は滝より落ち、そのまま下流へと流されていた。
身体の節々が痛む……ギアスでの消耗に加え、落下した時に強く打ちつけてしまったのだろう。
もっとも、常人なら死亡していてもおかしくはないレベルなのだが……
そこは仮にも、ギアス嚮団の暗殺者として幼少より生きてきた身だ。
あの危機的状況にもかかわらず、ダメージを最小限に抑えられるよう、冷静に体勢を作っていたのである。

そして、目立った外傷を負わずにすんだ為、流血していない事も幸運であった。
もし微かでも傷を負っていたなら、この川の中では最悪失血死していたかもしれない。


(そうだ……僕は、ナナリーを……殺せなかった……!!)


そして、自分が敗北した事実を思い出し、身を振るわせる。
ナナリーが操る謎のナイトメアに、全て阻まれてしまったのだ。
彼女を殺し、ルルーシュの唯一の家族になる筈だったのに。

彼女の戻るべき場所を、自分のものにする……その筈だったのに。


(……駄目だ……そんなの、駄目だ……!!)


ロロが、ナナリーを殺したいと思う理由……それは、恐れだった。
彼はルルーシュと出会うまで、ずっと教団の道具として生きてきた。
ただ命じられるままに……人間としてではなく、誰かの道具として生きてきた。

自分の意思で、何かを成そうとした事が無かった。


(僕は……兄さんのおかげで、人間になれたんだ……!!)


しかし……そんなロロを変えたのが、ルルーシュとの出会いだった。
短い期間とは言えども、彼には確かな思い出があった。
ルルーシュの弟として……ロロ・ランペルージとして彼と過ごした、楽しかった日々の思い出が。
もしかしたら、ルルーシュは自分もまた道具として扱っているのかもしれない。
そんな恐れはある……だが、それでも。
それでも……自分は、ルルーシュがいたからこそ人間になれたのだ。

74弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:55:14 ID:4NA4H8L6
だが……もし、そこにナナリーが現れたらどうなるか。


自分がいた立ち位置に、ナナリーが戻ってきたら……自分はどうなるのか。


本来の居場所にナナリーが戻ったら……自分は、どこに居場所を求めればいいのか。


また、あの頃の……道具としての自分に、戻らなくてはいけないのか。


ルルーシュの弟という、人間としての自分を……ナナリーに奪われてしまうのではないか。


(嫌だ……僕は……兄さんの家族なんだ……!!
ナナリー……僕の居場所を、奪わないでよ……!!)


兄を失った悲しみで、多くを得た妹ナナリー。

兄を得られた喜びで、多くを得た弟ロロ。


二人の道が再び交わるときは、果たして……


【B−5/川/一日目 深夜】

【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:全身に軽度の打撲、ギアス使用による消耗(大)、全身ずぶ濡れ。
[装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)
[道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、不明ランダム支給品1個
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める。
1:ナナリーを殺害し、自分の居場所を守る。
2:もしルルーシュが参加者にいるなら、真っ先に合流する。
[備考]
※参戦時期は、18話の政庁突入前になります。
※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています。
 使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます。
※ナナリーが呼び出した謎のナイトメアを警戒しています。
※ナナリーに、自分の居場所を奪われるのではないかと恐怖しています。
※アカギはギアス能力者ではないかと考えています。
※まだ名簿を確認していません。

75弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:55:39 ID:4NA4H8L6
【デザートイーグル@現実】
44マグナム弾を利用するオートマチック拳銃。
ハンドガンとしては大きいサイズと、非常に強力な威力を秘めている。

【流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
極めて引火性の強い液体状のサクラダイトが入った容器。
サイズは手のひらサイズで内部のサクラダイトもごく少量だが、爆発した際には強力な威力を発揮する。
ちなみにコードギアスの最終回では、拳サイズで且つ内容量も豊富なそれを爆発させた場合、
「島を一つ吹き飛ばせるほどの威力がある」とルルーシュの口から語られている程の危険物である。

76弟/妹・兄を得たもの/兄を失ったもの ◆F3/75Tw8mw:2011/07/08(金) 19:56:17 ID:4NA4H8L6
以上、本投下終了です。

77 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 20:02:08 ID:6BRIOZ7A
>>48
了解しました。WIKI収録時に修正を施します。

そして、改めてF3氏乙。
ギアスとナイトメアは使いようってか。うまい具合に相性が噛み合った結果だな。
しかしロロは標的が微妙に食い違いながらも、結局はナナリーには違いないからルルーシュX2の逆鱗に触れているわけだ……対主催とかいってるが大丈夫かw

78名無しさん:2011/07/08(金) 20:03:35 ID:4NA4H8L6
>>47
投下乙です。
Nの言葉は、プレイヤーとしては耳が痛くなる……w
しかし、ピカチュウとは凄いいいコンビですね。
N自身もトレーナーとしては高い腕があるし、対主催陣営として期待したいところ。

79 ◆cxmCsSlqRM:2011/07/08(金) 20:14:30 ID:y8L2EMkc
ではでは、バサカさん投下します

80凶つ星 ◆cxmCsSlqRM:2011/07/08(金) 20:15:35 ID:y8L2EMkc

「■■■■■■■■■■■■■―――――!」

 断末魔のような咆哮が響いた。
 理性など一欠けらも感じられない、もはや声とも呼べぬ暴風が夜を震わせ草木を薙いだ。

 咆哮を上げたのは、2メートルを優に超える巨人だった。
 それは人の体をなしているものの、明らかに異常。明らかに異質。明らかな異物。
 およそ日常に存在してはならない、存在そのものが非日常。もはやそれ自体が冗談といっていい。
 見上げるようなその体躯は黒。
 鍛え上げられた鉛のような黒ではなく、暗く蠢く闇のような黒。
 ドロドロと重く濁ったタールのような肉体は泥のように溶け合い、目も鼻も口も区別がつかない。
 辛うじて伺える双眸は煌々と赤く輝いているものの、目としての機能を果たしておらず、ただ殺気を放つだけのものと化していた。
 目も見えず、耳も聞こえず、口もきけず。
 およそ生命として必要な機能が果たされていない。
 もはやそこに生命としての価値はなく、意味もなく。
 ただ壊し、ただ殺し、ただ己の敵を殲滅せんとするだけの存在。

 ――――怪物。

 ただ生きるために殺すのではなく、殺すために生きているこの存在には、正しくこの二文字がふさわしい。
 それは出会うもの全てに死をまき散らす、黒い、暴虐と死の嵐だった。

81凶つ星 ◆cxmCsSlqRM:2011/07/08(金) 20:16:26 ID:y8L2EMkc

「■■■■■■■■■■■■■―――――!」

 怪物が叫ぶ。
 心弱きものであればあるいは見ただけで絶命しかねないほどの気迫と殺意を放ちながら、黒い怪物が大地を駆けた。
 駆ける。
 駆ける。
 爆ぜるような足跡を残し、怪物が跳ねるように疾走する。
 視力を持たないはずの怪物であったが、その足取りに迷いなどない。
 獣じみた野生の本能と、狩猟者としての直感が、視力を超えてその足を導いている。

 ―――――サーヴァント。

 それは神話や伝説で語られる――人々の信仰が生み出した――英霊を魔術師の使い魔として召喚せしめた存在である。

 本来は人はおろか魔術師を遥かに超える存在である英霊を使い魔として行使するなど本来は不可能な事である。
 だが、その不可能を可能としたのが〝聖杯”の存在だ。
 聖杯の奇跡を持って、クラスという筐を用意することで、英霊を使い魔に落とし込むことに成功した。
 それが冬木における聖杯戦争である。

 そしてそのサーヴァントの一騎。最強にして、最狂のサーヴァント―――狂戦士(バーサーカー)。
 その真名は主神ゼウスの血をひき、数々の偉業を成し遂げたギリシャ最大の英雄『ヘラクレス』。
 それがこの怪物の正体だった。

 この舞台において、その場に呼ばれた英霊はその代名詞たる宝具を没収される運びなっているが、その前提は彼には当てはまらない。
 なぜなら、神より与えられた十二の偉業を成し遂げた彼の肉体そのものが彼の宝具なのだから。

 剣などなくとも、ひと度その腕を振るえば、あらゆるモノは破壊され。
 鎧などなくとも、その肉体はあらゆる攻撃を受け付けず、傷を負う事すらないだろう。
 そして何より彼には神より与えられた祝福(のろい)によって彼は擬似的な不死性を得ている。
 命のストックによる自動蘇生(オートリレイズ)。
 聖杯戦争における戦闘で幾つか命を消費しているものの、まったく持って不足はない。十分すぎるほどに十全だ。

 故に、戦場を駆け抜ける狂戦士に恐れなどない。
 いや、それどころか、意志も思考も思想も思惑もない。
 全ては狂気に塗りつぶされ、黒に染まる。

 それはバーサーカーのクラス特性である狂化による影響だけではない。
 先の聖杯戦争においてセイバーを従え現れた、あの『黒い影』。
 応戦するも儘ならず、バーサーカーは黒い影に飲み込まれた。
 狂気は闇に呑まれさらなる深い狂気という衝動が狂戦士を支配していた。
 そして影に呑まれたあの瞬間から、彼の時間は止まっている。
 目も見えず、耳も聞こえず、正気を失った彼は、おそらく状況すら認識していまい。
 白き少女を守るため、彼はいまだセイバーとの戦いの最中なのだろう。

82凶つ星 ◆cxmCsSlqRM:2011/07/08(金) 20:17:04 ID:y8L2EMkc

「■■■■■■■■■■■■■―――――!」

 狂戦士が叫ぶ。
 狂って狂って狂い果てた狂戦士に、ただひとつ残っているもの。
  
 ―――――バーサーカーは強いね

 もはや思考すら叶わない頭でもなお忘れ得ぬ、血に濡れたあの冬の森。
 その光景を覚えている。
 そしてあの日誓った、あの約束を覚えている。

 孤独のまま己に身を預けた、あの小さき少女を守りぬく。 
 それが狂戦士の胸の奥底に残った、ただ一つの誓い。
 そのために、己が最強を証明せんと、目の前の敵を狂気のままに破壊し尽くすのみ。

 獲物を求め狂戦士は駆ける。
 己が戦場を求め。
 己が最強を求め。
 流星の如き速度で駆け抜ける。
 その様は、見る者すべてに不吉を届ける凶(まが)つ星のようであった。

【C-7/草原/一日目 深夜】

【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:黒化、十二の試練(ゴッド・ハンド)残り9
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:■■■■■■■■■■■■■

※バーサーカーの支給品はその場に放置されてます

83凶つ星 ◆cxmCsSlqRM:2011/07/08(金) 20:18:49 ID:y8L2EMkc
投下終了
ゴッドハンドの数は九頭龍閃くらって死んだからたぶん9だといううろ覚えなうえ
ロワ的にも多いように感じられるなら減らします

84 ◆rNn3lLuznA:2011/07/08(金) 20:42:12 ID:XgFiVct.
投下乙
ゴッドハンドの数は俺も正確には覚えていませんが、後々のフラグ的にも良いスタートですなバサカさんw

あと

>この舞台において、その場に呼ばれた英霊はその代名詞たる宝具を没収される運びなっているが

ここの『没収される運びなっているが』の部分、『と』が脱字してましたのでご報告

85 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:52:44 ID:My12HILw
投下乙。
バーサーカーさんはあいかわらず雄々しい。
ゴッドハンドは原作だと12ですね。
アニメか原作かどっちかが間違って数えたようですがw

園田真理、タケシ、美遊、投下します。

86 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:53:49 ID:My12HILw


「いったいどういうこと……?」
 園田真理は月を見上げながら疑問をつぶやいた。
 視線を降ろし、周囲を警戒する。後ろには森林が広がっており、深い闇が広がる。
 一方、前方には平地が広がって見晴らしがいい。
 まだ考えがまとまらないものの、真理は身を隠すことを選択した。
 だが、まだ殺しあい、バトルロワイアルに参加させられたことを自覚したわけではない。
 彼女にとって身を隠し、息をひそめて天敵をやり過ごすのは長年の経験ゆえである。
(ええと、どうしたんだっけ……)
 自分の記憶を確かめるように眉を顰める。
 まずは真っ暗な施設にいて、オルフェノクが殺された。
 「あっ」と思わず真理は声を出す。思い出したのだ。

 ―― 真理、何だっけかなぁ? 救世主は何をするんだぁ?

 一番頼りにしていた男の声を。
 辛い日々でもすがっていた英雄の姿を。
 檻の中で真理は答えたはずだ。狼の怪物へ姿を変えながらも、闇を切り裂こうとした彼に。

 ―― 闇を切り裂き、光をもたらすのよ!

 瞬間、涙が一筋流れ落ちる。
 木場が敵になり、オルフェノクを簡単に殺せる男の『儀式』とやらに巻き込まれた。
 そして今は一人だ。不安と寂しさが襲いかかる。
 その上、巧がオルフェノクだと知ったショックから完全に立ち直っていない。
 いろいろな事態が襲いかかり、心が千切れそうだった。足の歩みが遅くなる。
(巧も……いるかな)
 だけど、真理はまだ彼を英雄だと信じていた。
 そうでなくても会いたいと願っただろう。なぜなら巧は――――
 瞬間、思考が中断される。光が視界に入り、警戒心から体が自然に動いた。

「ちょぉぉぉぉっとそこのお姉さん! 夜の森は危険ですよ!」

 大きな声でわめく男が懐中電灯を片手に勢いよく走ってきた。
 真理としては相手側の行動のほうが危険なのだが、あまりの出来事にあっけにとられた。
 男は自分の前で止まり、荒い息を整えながら振り返ってきた。

「どうも、初めまして! 自分はタケシといいます!
ポケモンブリーダーを目指して旅をしていますので、森のエスコートはお任せください。
なぜなら自分はもう、あなたへの愛の道へエスコートされているのですから!」

 細目の青年が薔薇でもくわえそうな表情になってきらめく。騎士が姫に忠誠を誓うように、真理の手を取った。
 こちらが言葉を発する前に、次々とマシンガントークが炸裂する。

「おぉ、まるで森から現れた女神のような美しさ。
自分はアタナに会うために生まれてきたようなものです。
さあ、行きたい場所を教えてください! 地の果てまでご案内を……ぐぉっ!」

 いいかげん真理が鬱陶しくなったころ、ドスッという打撃音とともにタケシが崩れた。

87 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:54:34 ID:My12HILw
 心配になって駆け寄ろうとしたとき、視界の端に妙な生物が映った。
 瞬間、警戒して距離を取る。銃をとろうとしたが、丸腰なのを思い出した。
 思わず手持ちのデイパックのヒモを握る。
 タケシに突きを入れたそれは、子どもくらいの大きさだ。しかし、外見は人と大きく違う。
 青いカエル、としか表現しようがない。老婆が笑ったような鳴き声を出しながら、オレンジ色の頬をふくらませていた。
 真理は思わずタケシと名乗った細目の青年――いや、顔は予想以上に幼かった――少年を助けようと身構えた。
「し、び、れ、る〜」
「ちょっと、そいつから離れて! オルフェノクの近くにいると危ないわよ!」
「オル、フェノク……?」
 タケシは体をぴくぴくさせながらも、のんきにこちらを見つめていた。
 一方、真理は焦る。

 オルフェノクとは、突如現れた人類の変異種である。
 自らを人類の進化系と称して次々人間を粛清していった。
 もはや純粋な人間は三千人程度しか存在しない。
 姿形は様々で、基本灰色の怪人体を持つのだ。
 色が違うもののタケシを突いた生物は、真理の常識だとオルフェノクという認識だった。

「だからはやくこっちに……」
「ええ、そちらに行かせていただきました〜! ちなみにあいつはグレッグルっていう俺のポケモンです。
ああいう顔ですが、オルフェノクというポケモンのように凶暴じゃありませんよ!
安心してください」
 真理が言い切らないうちに、タケシは神速でそばに寄った。
 戸惑っているのをいいことに、手をとってまたも口説き始める。
「ああ、可憐さの中に凛々しさを内包した瞳に自分の心は地震のように揺れています。
さあ、手をとってください。このタケシに任せていただけば、どんなところでも…………」
 この非常時にバカみたいな反応をする相手に真理がキレかける。もともと彼女は気が短いほうだ。
 丸顔の童顔に似合わず、口は悪いし大人しくもない。
 そうでなければ人間解放軍の最前線で、女だてらに銃を手にとったりしなかった。
 真理がタケシに罵詈雑言を浴びせようとし、グレッグルが二度目のどくづきを用意したときだった。

「あの、お取り込み中でしょうか?」

 三人目が現れたのは。



 グツグツと煮こまれている鍋の中身を真理はボーっと見つめていた。
 森の中に移動したとはいえ、火を使うと目立つ可能性がある。
 オルフェノクを警戒しようと頭で考えるのだが、どうにも行動する気にはなれない。
「お、けっこういい味だ。ミユ、皿をってくれ」
 シチューを煮込んでいるのはタケシだ。野外での料理には慣れているようで、危なげな様子はない。
「どうぞ」
 無表情でタケシに皿を差し出したのは、美遊と名乗った少女だった。
 真理はタケシに口説かれている最中、彼女に気づいてこれ幸いと話しかけた。
 まだ幼い少女は友人を探しているらしく、真理はいったん森で身をひそめることを提案したのだ。
 一度休む場所を決めると、タケシは自然と料理の準備をし始めた。
 美遊も手伝ったこともあり、余裕が生まれる。そして真理も作業に加わりながらオルフェノクかどうかを二人に尋ねた。
 もっとも素直に答えるとは思っていないので、いつでも逃げ出せる準備をする。
「自分がアナタを傷つけるようなポケモンであるはずがありません! どうか安心してください!」

88 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:55:07 ID:My12HILw
「オルフェノク……?」
 タケシと美遊はオルフェノクの存在を知らないらしい。
 とぼけているにしては対応が不自然である。そのため本当に知らないのだと理解した。
 だがそれは真理にとってありえない反応だ。
「なに言っているのよ! 世界はオルフェノクに支配されて、人ももう数少ないじゃない。
殺されたあの男だってオルフェノクだったし……」
「オルフェノクというポケモンに人間が……?
たしかに最初に殺された男はおかしかったのですが、そんな凄惨な事件は聞いたことがありません。
それに、あなたのような美しい方に悲しい未来は似合わない。自分と一緒に輝かしい愛にあふれた未来へ……どぅっ!」
 またもグレッグルのどくづきがタケシの脇腹にめり込んだ。
 崩れ落ちる青年を無視して、美遊が話を進める。
「オルフェノクという存在も、人類が滅亡しかけているという話も聞いたことがありません」
「もしかしてあなたたちは……」
「だからといってわたしはあなたの言うオルフェノクではないと思います。
それにこの状況は心当たりがありますし」
 美遊が目を伏せ、「イリヤたちを探したかったけど」と前置きしてから懐に手を伸ばした。
 彼女が取り出したのは、真ん中に星を持つリングである。左右にはリボンのようなものが付いていた。
 玩具のようなそれはいきなり浮き上がる。
『初めまして。わたしはサファイアともうします』
 いきなりの事態に真理は目を白黒させる。
 構わず、サファイアと名乗った輪っかは話を続けた。
『しかし、わたしを見せてよろしいのですか?』
「ええ。この状況はもしかして……」
『並行世界。おそらくお二人はわたしたちと違う世界の住人だと推察します』
「並行世界? 漫画の見過ぎじゃないの」
「お姉さん、ちょっと待って下さい。話は最後まで聞いてみましょう」
 タケシが復活し、でれでれした様子をなくして制止してきた。
 話を潤滑に進めるためだろう。先程の情けない雰囲気は消え去り、歳相応の男としてしっかりした面を見せる。
「お姉さんはやめて。私は園田真理、名乗るのが遅れたのはごめん。呼び捨てでいいよ」
「マリさん……なんて華麗な名前だ。しかしミユ、どういうことなんだ?
たしかに俺たちは時空を操ったり、過去に送る伝説のポケモンと出会ったことはあるが……」
 タケシの疑問にサファイヤは浮遊しながら説明を始めた。

『わたしを作成した大師父は空間に携わる魔術を研究しています。
ゆえにこの世界の不自然さに気づきました。複数の空間が融合しながら、膨張もねじれもない。
次元の復元力が働かないほどの自然な世界創世、および安定が行われています。
もはや魔法の領域でしょうか』

 サファイアは彼らを作った大師父が『空間の研究』ではなく、『並行世界の認識、移動が可能な魔法つかい』であることを伏せた。
 別の世界の住人であるとはいえ、魔術に関わりない一般人に教えていいことではないからだ。
 もっとも、説明をされた真理とタケシは理解が追いついていない。
「ごめん、なんて言っているかわからない」
「俺もだ。サファイア……だっけ? もうちょっとわかりやすく言ってくれないか?」
『そうですね……美遊様、よろしいですか?』
 美遊はこくん、と頷くとサファイアが杖へと変形する。
 
 ――コンパクトフルオープン!
 ――鏡界回廊最大展開!

 Die Spiegelform wird fertig zum!【鏡像転送準備完了】
 Offnunug des Kaleidoskopsgatter!【万華鏡回路開放】

 まるでファイズドライバーのような電子音が聞こえてきたと思ったら、美優の肢体を光が包んだ。

89 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:56:29 ID:My12HILw
 四肢を包むのは紫の衣装。黒いスカートが生まれ、マントが露出の大きい背中を守る。
 玩具のような杖を携え、魔法少女プリズマミユと化した。

『このように、わたしと美遊様は魔術の使える世界の出身です。
それと以前、別世界の魔法少女と出会ったことがあります。
つまりオルフェノクという存在がいた世界。
ポケモンという生物がいる世界。
魔術の使える我々の世界。
以上三つの世界を我々は認識した、ということになります。
よろしいでしょうか? 真理様、タケシ様』

 あまりのファンタジーな出来事に、真理は頭を必死に動かした。
 よけい混乱する中、タケシが一歩前に出る。
「なるほど。要するに危険な世界から来た奴を警戒しろ、ということか」
「それもありますが……わたしの友達、イリヤを見かけたのか尋ねたかったので」
 美遊が一瞬だけ心配そうな表情を浮かべた。
 すぐに鉄面皮へともどるが、真理は見逃さない。
「ごめん。私が会ったのはタケシが初めてだから」
「俺もマリさんに声をかけたのが初めてだ。すまない」
 美遊は「そう」とつぶやいて元の姿に戻る。
「申し訳ありませんが、わたしはイリヤを探します。手間を取らせました」
「いや、構わない。ミユは俺の料理を食べていかないのか?」
「……イリヤは一番の友だちだから」
 「何よりも優先したい」と聞こえた気がした。
 一番の友達、と言う単語に真理は巧と啓太郎が思い浮かんだ。
 巧が行方不明になったあと、どれほど会いたかったか。
 彼女を行かせてやりたい。自然にそう思った。
「なら行きなよ。会わないと後悔しちゃうから。
私たちのほうが先にイリヤって娘を見つけたら、ちゃんとあなたのことを伝えてあげる」
 美遊はこちらを見つめ、感謝するように軽く頭を下げた。
 踵を返す彼女に真理は笑顔を向ける。きっとこれでいいのだろう。
「おお……マリさん。なんて女神のような方だ……。あ、ミユ。ちょっとまってくれ」
 タケシはそう言うと、ササッとどこからか用意した弁当箱に料理を詰める。
 何気に家事のスキルが高い。そういうところは啓太郎を思い出させた。
 それにしても、タケシは美遊に対して自然体である。
 彼女ほどの美少女だと、同性である真理でさえ緊張してしまう。
 自分の丸顔にコンプレックスがあるぶん、小顔の完璧美少女である美遊には憧れる部分もあった。
 なのに、タケシはまるで兄弟に対するような反応だ。
 自分にデレデレなため、そのギャップが妙な感覚を真理に与える。
 それを知ってか知らずか、タケシは弁当箱を美遊に渡した。
「はい、これ。一息付ける場所を見つけたら、ぜひ食べてくれ」
「ありがとうございます。あの、お二人だけで大丈夫ですか?」
 待っていましたと言わんばかりに、フフフとタケシは含み笑いをする。
 自信満々に腰に手をかけ、大見得を切った。
「なあに、マリさんはこの男・タケシとポケモンたちが全力で守ってみせる!
たとえ俺の命をかけても! こい、ピンプク、ウソッキー、グレッグル!」
 タケシの掛け声と共に、ポンという炸裂音が聞こえた。
 光と共に、真理が先ほどオルフェノクと勘違いしたグレッグルが現れる。
 あまり強そうに見えないが、言わないでおいた。
「あ……れ? グレッグル、お前だけ……。
おーい! ピンプク、ウソッキー! どこいったんだぁ〜〜〜!」

90 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:56:57 ID:My12HILw
 あちこちひっくり返しながら、タケシは自分のポケモンを探し始める。
 最後まで格好のつかない男である。
 呆れた真理は美遊と視線を合わせ、一緒に肩をすくめた。


 彼女たちはたしかに並行世界の存在を知った。
 しかし、それは知識として頭に入っているだけの状態だ。
 本当に並行世界がどういう存在なのか、まだ真理とタケシは実感をしていなかった。



【D-7/森/深夜】

【園田真理@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、支給品1〜3(未確認)
[思考・状況]
基本:巧を探す
1:美遊を行かせる。イリヤを発見したら美遊のことを伝える。
2:タケシと同行。ウザくなったら別行動。
3:並行世界?

[備考]
※参戦時期は巧がファイズブラスターに変身する直前
※並行世界の情報を手に入れましたが、よくわかっていません。



【タケシ@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:健康
[装備]:モンスターボール(グレッグル)
[道具]:基本支給品一式、支給品1〜2(未確認)
[思考・状況]
基本:ピンプク、ウソッキーを探す。
1:美遊を行かせる。イリヤを発見したら美遊のことを伝える。
2:真理と同行。美しいお姉さん!
3:並行世界?

[備考]
※参戦時期はDP編のいずれか。ピンプクがラッキーに進化する前。
※並行世界の情報を手に入れましたが、よくわかっていません。




【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:カレイドステッキサファイア
[道具]:基本支給品一式、支給品1〜2(確認済み)、タケシの弁当
[思考・状況]
基本:イリヤを探す。
1:凛を始め、知り合いを探す。
2:現状の把握。

[備考]
※参戦時期はツヴァイ!の1話以降
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません

91 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/08(金) 20:58:11 ID:My12HILw
投下終了。
タイトルは はじめてのバトルロワイアル 〜十六歳と十五歳と十歳の場合〜 です。

誤字脱字、何かしらのミスがありましたら、指摘お願いします。

92 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/08(金) 21:23:39 ID:6BRIOZ7A
お二方投下乙でした。


>凶つ星
やべえ、ブレーキの利かない暴走特急黒バサカさんだ!!
唯一のイリヤセーフティも効かねえぞこりゃ…
蘇生回数ですが、元来のスペックを考えると進行にやや怖いものがあります。
蘇生よりも九回耐性が付くって点が。オーバーキルしちまえばいいんだが。
原作だとあの時点でどれだけ削れてるかは不明瞭なんですよね残機ゼロの可能性もあるわけで。
こちらの取り越し苦労であればよいですが、念のため各書き手の意見も聞いておきたいです。

>はじめてのバトルロワイアル 〜十六歳と十五歳と十歳の場合〜
なんだろう…タケシが生きてるのにすごく安心したw
超理論派の美遊とサファイアじゃ今一理解させられなかったか…イリヤとルビーなら違うんだろうけどなあw
というか……バーサーカー近い!逃げて三人共ー!

93名無しさん:2011/07/08(金) 22:00:51 ID:Gdyx3c2E
皆さん投下乙です

Nってこういう奴か。頭良さそうだが純粋そうなだけに壊れやすそうな気もするが
儚いというかなんというか…そういうキャラをよく書けてるな

そりゃこの状況だとナナリーを殺そうとするよなw でも相手が悪い悪いw
ロボVS能力者は見ごたえがあったよ。今回はロロを退けたがけっこう損傷してるなぁ

バサカキター
武器無しでもこいつはやっぱりこええぞ
しかも黒になってるからイリヤでも止められん…かも

タケシが強引にナンパしてあぼーんの可能性もあったがとりあえず落ち着いたぜw
美遊が来てくれてよかったw 飯のシーンはてっきり毒……かと思ったぜ。奉仕的に
トリオが組めてよかったよかったし序盤から異世界の概念を知ったのは大きいな…と思ったらバサカの近くジャンw

94名無しさん:2011/07/08(金) 22:34:29 ID:k63ZKk1Y
投下乙!
タケシwww
予想通り過ぎる反応だwww

そしていきなりグレッグルと一緒か。
まあナンパのツッコミ役は必要だもんなあw

>>93
美遊は別行動っぽいですよ。

95名無しさん:2011/07/08(金) 22:35:42 ID:JluqtYE6
皆様投下乙です

ニャースのニャーニャー口調がかわいいw
何気に持ってる情報量が多い二人のこれからが楽しみになるぜ

ポケモンは金銀で止まっててNは知らないんだが、なんか怖いなぁ
イイヤツには見えるけど、思考が純粋過ぎて怖い

ロロが頑張るなぁ、意識を止めるギアスはやっぱり強い
ナナリーに関しては高火力だけど制限で本来の優しい性格と合わさって平時の耐久性がががが

ヘラクレスと呼べないレベルに狂ってる黒バサカはそこにいるだけで怖い
単純明快な恐怖って感じがカッコイイ

真理・16歳、タケシ・15歳、美遊・10歳
ひとつだけ言わせてもらうなら、お前ら全員5歳ぐらい年齢をサバ読んでんじゃ(ry

96 ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:21:22 ID:EvhIQu76
呉キリカ、ロロ・ヴィ・ブリタニア分を投下します

97私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:22:01 ID:EvhIQu76
 冬木大橋。
 本来ならばその名の通り、日本の冬木市にあるべきものである。
 開発の進む都市部・新都と、古い町並みを残す深山町――冬木市内において、この相反する2つのエリアを結ぶのが、この橋であるはずだった。
 故にこの島にあるこの橋は、本来あるべき冬木大橋の、レプリカとでも言うべきもの。
 異なる場所に複製されたそれは、その土地と土地の間隔に合わせ、スケールも微妙に異なるものになっていた。
「――これは窮地と見るべきか、はたまた好機と見るべきかな」
 くつくつ、と。
 赤い鉄骨造りの橋に立つのは、黒衣に身を包んだ長身の男。
 その冬木大橋の真ん中に、宵闇に溶け込むかのようにして、1人の青年が立っていた。
 その名を、ロロ・ヴィ・ブリタニア。
 神聖ブリタニア帝国が国教・エデンバイタル教団の枢機卿の座に、若くして上り詰めた男である。
 彼の口元に浮かぶのは、笑み。
 得体の知れない『儀式』に巻き込まれ、殺し合いを強要された立場にしては、ともすれば緊張感に欠けているようにも見える顔つきだ。
「よもや取り逃した獲物達に、こうもあっさりと追いつけるとは」
 ロロの紫色の双眸は、手元の名簿へと向けられていた。
 この儀式に参加させられた、57人のプレイヤーの名が、びっしりと書き連ねられた代物だ。
 そしてそれらの名前のうち、彼が着目したものは3つ。
 自らの地位を奪った憎むべき兄――ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
 魔道器を駆り立ちはだかる妹――ナナリー・ヴィ・ブリタニア。
 そして渇望する魔王の力――C.C.。
 そのどれもがロロにとっては重要なファクターであり、そのいずれの命も、元より彼にとっては、刈り取るべき対象であったのである。
(ゼロの持つ魔王の力……それさえ手に入れることができれば、この『儀式』に勝ち残ることも難しくはなくなる)
 にぃ、と邪悪に笑む様は、兄ルルーシュと同じ血を引く故の仕草か。
 生まれた時より皇位を奪われ、影に追いやられた彼の闇は、より凄絶さを増しているようにすら感じられる。
 ロロが狙うものはシンプルな答えだ。
 ルルーシュらを殺害することで、自らが魔王の座を継承する。
 その力を持ってブリタニアに帰還し、父シャルル・ジ・ブリタニアから王座を奪う。
 自らを貶めた全てを殺し、世界の全てを手中に収める――魔王を目指す者が歩むのは、血のカーペットに彩られた修羅道だ。
(……だが、分からないこともある)
 しかし。
 笑みを浮かべていたロロの顔が、不意に怪訝そうなものへと変わった。
 彼の高揚を打ち消したのは、同じくそこに記された2つの名前だ。
 ロロ・ランペルージなるものと、ゼロなるものの名前である。
(まずはゼロだ。こいつ自身は、同名の別人とも考えられるが……)
 1つ目の名前によって浮き彫りになるのは、自らが追う者に対する疑念である。
 そもそもゼロというものは、ルルーシュがC.C.と契約を結び、同化した魔人の名乗った名前である。
 そしてそのゼロと同じ名前こそが、両者の不可解さを際立たせていた。
 この名簿に記されている名前が真実ならば、現在そのルルーシュとC.C.は、再び別々の個体として分裂したということになる。
 果たしてそんなことが可能なのか、はたまたそうする意味があるのか?
 本人の意志でないのなら、アカギ達主催者側がそうさせたのか? 何のためにそうしたのか?
 両目に見据えた獲物の焦点が、急速にブレていくのを感じた。
(それだけではない。気がかりなものはもう1つある)
 そしてある意味でそれ以上に、ロロ・ヴィ・ブリタニアが気にかけるもの――それがロロ・ランペルージなるものの存在である。
(私と同じ名前を持つ、私の知らないランペルージとはな……)
 こちらは偶然と断じるには、あまりにも性質の悪い存在だ。
 そもそもランペルージという姓は、ブリタニアの追っ手から逃れるために、ルルーシュが創作した架空の姓である。
 そしてそのランペルージの家系に、自らと同じロロなる人間が存在しているというのだ。
 この名前が指すものが、自身でないことは理解している。名簿にはランペルージ姓ではない、ブリタニア姓のロロの名前も書かれている。
 なれば、やはりロロ・ランペルージという個人が、この殺し合いに参加させられているということになるだろう。
 真の弟を差し置いて、同じ名前の、別の身内が存在する可能性があるということか。まったく、嫌味な冗談もあったものだ。

98私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:22:55 ID:EvhIQu76
「……うん?」
 ふと。
 その時、ふと目をやったその先に。
 自身と同じく橋の上に、1つの人影が見えた気がした。
 目を凝らして見てみると、まぎれもなくそれは人影だった。
 一瞬判断を迷ったのは、それもまた己自身と同じく、黒ずくめで身を覆っていたかららしい。
 闇の内から覗くような。
 黄金色の単眼の少女が、ぼんやりとこちらを向いて佇んでいた。
(奴の言っていたプレイヤーか)
 どうやら蹴落とすべきライバルが、こちらの存在を察知したようだ。
 後手に回ったことに舌打ちしつつ、ロロは相手の様子を探る。
 黒を基調とした服装は、燕尾服を女性風にアレンジしたものか。ところどころに飾られた、白いフリルが印象的だった。
 ショートカットの黒髪の下では、右目が眼帯によって隠されている。相手が単眼に見えたのは、この眼帯が原因らしい。
 冷たい夜風に煽られて、テールコートとボブヘアが揺れる。虚ろな視線と相まって、幽鬼のごとき印象を受ける。
 果たして、娘は本当にそこにいるのか。はたまたそこにあるのは幻なのか。
 触れたら即座に掻き消えるような、蜃気楼のようにも感じられた。
 異様な女だ。
(だが、殺意は感じられない)
 脱力しきったその少女と、自らの間の距離を探る。
 距離にしておおよそ50メートル。己の「力」の射程外だが、この腑抜けた状態から、一瞬で詰められる距離でもない。
 ならば、勝負が始まるのはこれからだ。
 仮に攻めてくるにしても、まだワンテンポ猶予がある。奴が臨戦態勢を取る前に、取るべき対処法を構築すれば――
「―――」
 刹那。
 にぃ、と。
 眼前に浮かんだ幻が、微かな笑みを浮かべた瞬間。
「ッ!」
 黒衣の少女の体躯が、一瞬にして倍近くに膨れ上がった。
(速い!?)
 実際に巨大化したわけではない。遠近感が生み出す錯覚だ。
 なれば目の前の少女が、自分の想像を超えた速度で、一気に肉薄してきたことになる。
 想像以上の加速度だ。対策は一瞬にしてご破算となった。
 振りかぶる右手に掲げたものは、爛々と煌めく3本の鉤爪。
 20メートル、10メートル、5メートル。コマ送りの度に詰められる距離。
(ジ・アイス――間に合えッ!)
 きっ、と黒衣の少女を睨んだ。
 エデンバイタルとのバイパスを繋ぎ、外なる力を内へと取り込む。
 心中で絶叫した力の名は、万物を凍てつかせる静止の力。
 ギアス能力「ジ・アイス」――自らのテリトリーに入った獲物に作用し、あらゆる運動速度を低下させる不可視の枷だ。
 叩き込まれるは漆黒の魔手。
 それを阻むは時の凍結。
 一瞬の間の攻防が、まばたきと共に過ぎ去った瞬間。
「……!?」
 ぷつ、という微かな裂音と共に。
 端整な顔つきの左頬に、赤いラインが浮かび上がった。
(かわしきれなかった? 馬鹿な、かわせるだけ「遅らせた」はずだ!)
 己の傷を指先でなぞり、ロロは内心で驚愕する。
 普段通りであるならば、今のは完全に回避できた。内から外へと発した力は、それだけの出力を用意したはずだ。
 しかしターゲットの移動速度は、その予想よりも僅かに「速いまま」だった。
 ギアス能力の出力が不十分だった――それ故に攻撃を回避しきれず、敵の爪が頬をかすめたのだ。
「んっ、んー……?」
 背後から聞こえる声に、向き直る。
「あっれぇー、変だな……当たるようにしたんだけどなー……」
 すれ違いざまに斬りかかった少女が、怪訝そうに首を傾げる。
 暢気とすら形容してもいい、間延びした呟き声だった。一瞬前のロロと同じ、戦場には似つかわしくない余裕の声だ。
 あの突風のような突撃からは、予想だにできない発声と言えよう。
「……うん」
 くるり、と黒髪が振り返る。
 背中を見せた態勢から、再び向き合う姿勢に戻る。
「でも、ま、その、あれだ」
 じゃきん、と物騒な音が響いた。
 片手のみだった鉤爪は、三爪二対の双刃に変わった。
 左手にも装着されたことで、合計6本となった爪が、柳のごとく涼風に揺れる。
「些細だ」
 にやり、と笑みが浮かんだ瞬間、再び風が吹き荒れた。

99私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:23:41 ID:EvhIQu76
 脱力からのロケットスタートが、ロロの元へと殺到する。
 速度は見切った。間合いも見切った。ギアスの不調も理解している。
(今度は許さん!)
 ジ・アイスを再発動。
 領域内に踏み込んだ敵の、歩みを凍らせ減速させる。
 普段以上の力を込めて、猛然と迫りくる弾丸を回避。
「ひゅう! すごいねっ、またかわした!」
 がりがりとアスファルトを削る音が、振り向くロロの耳に届いた。
 向き直り両爪を地に立てて、強引にブレーキをかける少女が、口笛と共に賞賛する。
「でもまだ次があるよっ――」
 完全に停止するや否や、加速。
 凶刃はブレーキからアクセルへと変わった。
 爪の長さの分浮いた身体を、水泳のごとくキックで発射する。
 宵闇を泳ぎ、右手を一閃。
 これまたかわされたと見るや、その手を地につけて、一蹴。
 カポエイラの要領で放たれた、独楽を思わせる回転蹴りが、男の鼻の先を走る。
「――次々次次次次次次次ィッ!!」
 瞬間、突風は竜巻へと変わった。
 斬る、薙ぐ、蹴りかかる。
 回転の勢いを味方につけ、轟然と放たれる連撃が、爆音を伴って鼓膜を揺さぶる。
 流麗かつ間隙なく迫る刃が、相反する獰猛さを宿して迫りくる。
 黒豹の牙か――獣を思わせる金眼を前に、ロロは敵の姿をそう評した。
 強く鋭くしなやかに、喉笛を噛み千切らんと攻め立てる様は、まさに人の皮を被った野獣だ。
「あっはははははは!!」
 調子の外れた声を上げて、けたけたと少女の顔が笑う。
 第一印象の静けさとは、既に全くの別人だった。
「図に乗るのはそこまでにしてもらおうか……!」
 されど、そうしていつまでも笑わせはしない。
 このままいいようにさせるつもりはない。
 魔王たらんとするロロ・ヴィ・ブリタニアは、こんな馬の骨相手には屈しない。
 にやり、と顔に浮かべたものは、威嚇の意を込めた邪悪な笑みだ。
 知性あるエデンバイタルの獣が、絶対零度の牙を剥く。
 ずずずずず、と響くのは、さながら耳鳴りにも似た裂音。
 量子シフト、始動/空間座標軸、固定/ナイトメアフレーム、転送。
「現れよ! 魔王の騎馬――ヴィンセントッ!!」
 さっ――と掲げた右腕が、烈風を伴い夜空を裂いた。
 ばたばたとマントをはためかせ、ロロの異能が空間を引き裂く。
 夜より暗き黒の窓から、姿を現すものは黄金。
 ずぅん、と地鳴りが足に伝わる。目を丸くする少女の前に、金色の巨人が姿を現す。
 身長4メートルの巨躯に宿されたのは、見る者全てを圧倒する威容。
 騎馬(ナイトメア)の名はヴィンセント。
 魔王継承者のために生み出された、ロロ専用の機動兵器である。
「ひれ伏せ、我が力の前に!」
 刹那、世界は一変した。
 静かな夜から、激動の嵐へと。
 どうっ、と吹き荒れるのは吹雪。
 比喩でも誇張でも虚構でもない、絶対零度の突風が、鉤爪の女へと襲い掛かる。
 ヴィンセントに積まれた増幅回路が、ロロのジ・アイスを強大化させた副産物だ。
 運動速度を落とすギアスは、大気の熱運動さえも阻害し、テリトリー内の空気を急冷させた。
「!」
 ばっ、と。
 危機を察知したらしき少女が、攻撃態勢を解いてその場から飛び退く。
 回避しきれなかった鉤爪の先が、ぱきぱきと音を立てて凍結した。
「逃さん!」
 ちゃき、と抜いたのは黒光りするピストル。
 ロロの構える銃口が、雄叫びと共に銃弾を吐き出す。
 狙いはターゲットの眉間――しかし、狙い通りには当たらず。防いだのは右手から伸びた爪だ。
 ばりん、と。
 弾丸を文字通り相殺し、守り手は音を立て砕け散る。凍結し強度を失った得物が、銃弾によって破壊されたのだ。
 右手を振り抜くと同時に、着地。破片が地についた頃には、新たな爪が姿を現す。

100私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:24:32 ID:EvhIQu76
(まるで手品だな。いや……あるいは私の知らないギアスユーザーか?)
 拳銃を収め宙へ浮きながら、ロロは改めて少女を見定めた。
 縦横無尽に疾走し、光の爪を生むそのさまは、明らかに人間の常識を逸脱している。
 彼女もまた理を歪め、超常の力を振るうギアスユーザーなのか。そう考える方が自然とも思えた。
 少なくとも超スピードに関しては、この『儀式』にも呼ばれている、アリス・ザ・コードギアスの例もある。
「やっぱりすごいね、キミは。キミも魔法少女なの?」
「……生憎と、私は見ての通り紳士でね。とても少女とは言えないな」
 ふっ、と苦笑を浮かべながら、ヴィンセントのコックピットに入り、言った。
 黄金の騎馬に跨って、眼下の少女の姿を見やる。
 まったくもって可愛げがない。これだけの力を見せつけられながら、もう顔には笑顔が戻っている。
 であればよほどの豪傑か、あるいは力差を理解できない馬鹿か。
「ふぅーん……それで、どうするの? 私を殺したいんじゃなかったの?」
「いや、少し事情が変わった」
 玉座に座したロロの口調からは、威圧的な棘が抜けていた。
 先天的に能力を得たギアスの申し子――ワイアードギアスユーザーといえど、彼は教団所属の文官であり、根っからの戦士というわけではない。
 自分の代わりに戦う駒がいるのなら、それに越したことはない。そして相手が馬鹿だとするなら、そこには付け入る隙がある。
「どうやら君も、この『儀式』に乗るつもりのようだな。ならば同じ目的同士、ここは手を組まないか?」
 目的は殺害からシフトされる。
 選んだのは駒を得るための懐柔だ。
「駄目だよ。遠慮させてもらう」
 にべもなく切り捨てられた。
 当然といえば当然だ。
 先ほどまで自分を殺そうとした者を、いきなり信用しろというのは無理がある。いきなり首を縦に振る方がおかしい。
「ほう。では、その理由を聞かせてはくれないか?」
「生憎と、その枠はもう一杯なんだ。2人以上は守れない」
「守りたい者がこの場にいる、と?」
 無言は肯定の意と解釈した。
 どうやら彼女もまた、この『儀式』の参加者の中に知り合いがいるらしい。
 ならば、攻略の糸口も決定される。魚を釣り上げるためには、食いつきたくなる餌を垂らすことだ。
「……いいだろう。ならばその守りたい者を、共に守ることを約束しよう」
 この誘惑には抗えまい。
 優しげな言葉とは裏腹に、邪悪に笑いながら、提案した。
 たとえ馬鹿であったとしても、否、馬鹿であればこそ。
 どれだけ平静を装おうと、大切な身内が危機に晒されていれば、内心は穏やかでいられるはずもない。
 焦りに逸ったその心は、提示された条件に、疑いなく食いつこうとするはずだ。
「………」
 これにはさすがの少女も、無視を決め込むわけにはいかなかったらしい。
 凍った左手の爪を消し去ると、顎に手を添えて考える素振りを見せる。
 堕ちたな――内心でほくそ笑んだ。
 これで条件はクリアされた。
 人外の域に立つ強力な駒を、いきなり労せずして手に入れたというわけだ。
「さぁ」
 この手を取るがいい、と。
 ヴィンセントの剛腕をほどき、手のひらを差し伸べるジェスチャーを取らせた瞬間。
「――やっぱり、駄目だ」
 凍てつくような少女の声音が、スピーカー越しに耳に届いた。
「……何だと?」
「駄目なんだよ。キミは約束を守らない。他の奴は騙せても、キミじゃ私を騙せないよ」
 常に笑っていたその口元が、冷気と共に釣り下がる。
 への字に口を結んだ少女が、金の隻眼で巨人を見上げる。
 夜風に揺れる襟の影から、鋭い眼光が突き刺さった。

101私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:25:29 ID:EvhIQu76
(ただの番犬ではない、か……)
 ほとんど即決だ。理性で判断した様子はない。
 恐らくは本能的な直感で、こちらの目論見を看破したのだろう。
 得意げに笑っていたロロからも、次第に笑顔が消えていく。
「どうしても、手を組むつもりはないと?」
「彼女には私だけがいればいい。誰の手も煩わせるつもりはないし、誰の手にも触れさせるつもりはない」
 ただの番犬であるならまだよかった。
 犬は知性ある動物である。
 ある程度の条件を与えれば、理性でその利点を判断し味方につく。場合によっては、尻尾を振らせることもできただろう。
 だがこの娘には通用しない。
 何者にも従わず、何者であっても従えられず。
 こいつはきっと理性でなく、野性で全てを認識し、本能で愛する者を独占する魔物。
 獣の範疇にすらない。文字通り住む世界が違うのだろう。
 たとえるなら理解も共感も跳ね除けて、迫るもの全てを食らう魔犬獣(ケルベロス)だ。
 黒豹という認識ですら、過小評価であったというわけだ。
「ならば仕方ない……予定通り消えてもらおう!」
 ほどいた手のひらを握り直し、ヴィンセントにファイティングポーズを取らせる。
 ジ・アイスを再度発動し、魔性の吹雪を轟かせる。
 味方にできないと分かったのなら、もはやこいつを生かしておく理由はない。
 こいつは危険だ。
 それが野獣であれ魔獣であれ、手なずけられない獣であれば、こいつは確実に自分に食いついてくる。
 背中を見せた先に待つのは、背中から噛みつかれる末路だ。
 殺すにせよ、倒すにせよ、この場は退けておかなければ。
「……ふっ、はは! その重たそうなデカブツでかい!?」
 狂笑。
 絶叫と共に顕現する、殺意。
 ばっと開いた両腕から、必殺の凶刃が牙を剥く。
「面白バカみたい! やれっ! やってみせてよ魔王サマ!」
 刹那、疾走するは三爪二対。
 びゅん、と風切り音が響く。
 きぃん、と吹雪を突き抜け進む。
 両腕を高らかと掲げた姿勢で、斜め前方上に猛スピードで跳躍。
「ならば、ご期待に応えるとしよう!」
 ここで大人しく食らうようでは、魔王の名折れというものだ。
 機体前面の大気目掛けて、ジ・アイスをフルパワーで発動。
 虚空に顕現したものは、直径3メートルにも到達する円形の氷壁。
 黒き魔戦士の行く手を阻み、破壊力をそぎ落とす白銀の盾だ。
「ハァァァァァッ!」
 それでも少女は止まらない。
 氷壁に真っ向から突撃し、ばりんと爆音を立て砕きながら、尚も魔王の懐へ殺到する。
 ジ・アイスの速度低下にも、氷壁の障害にも怯むことなく。
 轟然と唸りを上げ、一閃。
 斬――と。
 重力加速を得た上空から、両の爪を同時に叩き下ろす。
「!?」
 その、瞬間だ。
 狂喜に満ちた少女の顔が、驚愕の一色に染まったのは。
 突き出されたヴィンセントの左腕は――無傷。
 いくら威力を殺されたとはいえ、この渾身の一撃を、全くの無傷で受け止められるとは。
 この戦闘が始まって以来、初めてまともに味わったであろう困惑が、その顔からありありと伝わってくる。

102私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:26:30 ID:EvhIQu76
「――チェックだ」
 そしてその驚愕こそが、ロロにとっては最高の供物だ。
 ぱきぱき、ぱきぱきと音が上がる。
 黄金の甲冑の表面から、凍った時が侵食を始める。
 攻撃を防いだ左腕から、熱運動停止による凍結が始まり、少女の爪を貼り付けたのだ。
 これでもう逃げられない。
 五月蠅い虫は羽をもがれた。
 ならば、この痴れ者が辿る未来はたったひとつ。
 魔王に噛みついた反逆者の罪は、たとえそれが畜生であろうと、その命をもって償ってもらう。
「死ねッ!!」
 レバーを操作。
 サクラダイトが躍動。
 マッスルフレーミングを介して、電気信号が伝達される。
 隆々と唸る右腕部が、重厚な効果音と共に駆動。
 ごっ、と鈍い音を伴って。
 まばたきをした瞬間には、既に拳は突き出されていた。
 黄金に煌めく鉄拳が、漆黒の少女を吹っ飛ばした。
 爪を砕かれ、支えを失った娘は、ろくに抵抗もできずに宙を舞う。
 無様に脱力しきった身体が、アークを描いて投げ出される。
 ばしゃん――とスピーカーが拾ったものは、眼下の海から響く音か。
 盛大な水しぶきを上げた後、凶刃を振るった少女の姿は、海面の波紋に溶けて消えた。



 かつり、とアスファルトを叩くブーツの音。
 黒のマントで半身を覆い、ロロ・ヴィ・ブリタニアが街中を進む。
 ヴィンセントのランドスピナーを以って、橋を渡り終えた彼は、地図上西部の市街地へと到達していた。
(橋を降りた直後、ヴィンセントは何者かによって、強制的に回収された……)
 一瞬前に起きたことを、回想する。
 戦闘が終わり、移動を開始し、地に足が着いたその時、突如ロロはパイロットシートから、地上へと投げ出されたのだ。
 魔王の騎馬が彼を吐き出し、量子テレポートの闇をまとって、いずこかへと姿を消したのである。
 このような現象は起こるはずがなかった。
 マークネモやガウェインと異なり、純粋に人の手によって作られたヴィンセントが、そんなオカルト寄りの不具合を起こすはずはない。
 であれば、考えられる可能性はひとつ。
 あのアカギなる者が、ヴィンセントに細工をし、一定以上の現界を不可能にしたのだ。
(まぁ、呼べないよりはマシとしよう。次に呼び出せるのは、いつになるかは分からんが)
 こうなると手駒の存在は、今まで以上に重要になってくるだろう。
 ヴィンセントに制限が課され、ジ・アイスさえも弱体化した今、己が戦闘能力は著しく低下している。
 加えて荒事から距離を置く文官の身では、あの少女のような達人とは、生身でまともに立ちまわるのは難しい。
 あれだけの実力者が、他にいることを考えるならば、早急に戦力を整えるべきだ。
(惜しかったな、あの娘は……)
 橋の方を振り返り、内心で独りごちた。
 結局海に落ちた少女の生死は、確認することはできなかった。
 他にも敵がいる以上、彼女だけに執着しているわけにはいかない。撃退という目的は果たした以上、そのままそこを立ち去ったのだ。
 だが生きているにせよ死んでいるにせよ、あれだけ派手にやってしまえば、もう手元に加えることはかなわないだろう。
 残念だ。あのまま手駒にできたなら、さぞや役に立っただろうに。
(ないものねだりをしても仕方がない)
 大事なものは、あるものをこの手に掴むこと。
 忌むべき兄妹を抹殺し、魔王を我がものにすることだ。
「待っているがいい、ゼロよ。私は全てを手に入れるぞ」
 にやり、と。
 不敵な笑みを浮かべながら、青年は1人歩を進めた。

103私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:27:28 ID:EvhIQu76

【H−3/橋の近く/一日目 深夜】

【ロロ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(中)、左頬に切り傷(軽度)、ヴィンセント召還制限中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:この殺し合いの優勝者となる
1:ルルーシュとC.C.を抹殺し、ゼロの力を手に入れる
2:ナナリーを抹殺する
3:このまま市街地に入る
4:手駒にできそうなプレイヤーを見つけたら、戦力として味方に引き入れる
5:眼帯の少女(呉キリカ)は深追いしない。ひとまずは放置し、他のターゲットを探す
6:ゼロともう1人のロロ(ロロ・ランペルージ)の名前に違和感
7:魔法少女とは何のことだったのだろうか?
[備考]
※参戦時期は、四巻のCODE19と20の間(ナナリーを取り逃がしてから、コーネリアと顔を合わせるまでの間)
※ジ・アイスの出力には制限が設けられています。普段通りに発動するには、普段以上のエネルギー消費が必要です。
※ヴィンセントには、召還できる時間に制限があります。
 一定時間を過ぎると強制的に量子シフトがかかりどこかへと転移します。
 また、再度呼び出すのにもある程度間を置く必要があります。
 (この時間の感覚については、次の書き手さんにお任せします)
※ルルーシュとC.C.が、別世界から来ている人間であることに気づいていません。
 「自分の世界のルルーシュとC.C.が、何らかの要因で分裂している。ゼロは同名の他人である」という仮説を立てています。



 冬木大橋の橋の下に、蠢く小さな影が1つ。
 布を手に取り絞るのは、華奢な少女の形の影だ。
 両の指先でつまんだものは、女ものの三角形のショーツ。
「……まぁ、恥部を見せびらかすのは駄目だよね。はしたない、って叱られちゃう」
 一瞬の逡巡を示した後に、生乾きのそれを足に通した。
 水滴の浮かぶ太腿に、するすると布地を上らせていく。
 すっ、と黒いスカートを持ち上げると、ようやくショーツを穿き終えた。
 さすがに水気の残るそれは、じめじめと肌に貼りついて気持ち悪い。
 だが、下手を打ったのは自分なのだ。偉そうに不平を漏らすわけにはいかなかった。
「これで着替えは完了、と」
 呟き、1人腰を下ろす。
 黒髪と黒ずくめの女戦士――呉キリカは生きていた。
 KMFの鉄拳を食らい、海に叩き落とされながらも、ここまで逃げ延びていたのだ。
「こっちは乾いてからつけよう」
 ショーツと同じ色のブラジャーを、ずぶ濡れの衣服と共に、デイパックへ押し込む。
 白いシャツとピンクのスカートは、彼女が「変身」する前に身につけていたものだ。
 戦闘服に変身し、魔法を操り、魔女を倒す――彼女は自身が言った通りの、魔法少女と呼ばれる存在だった。
 変身を維持している間は、元の服が損壊することはないのだが、
 海に落ち濡れた身体で、うっかりそのまま変身を解いた結果、そのまま私服までずぶ濡れにしてしまい、今に至ったというわけである。
 今まさに彼女が着替えたのは、たまたま支給品に入っていた、どこぞの学校の制服だ。

104私だけがいればいい ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:28:30 ID:EvhIQu76
「……危なかった」
 未だずきずきと痛む胸を押さえ、直撃の瞬間を回想する。
 ほとんど直感的な動作だった。
 直撃を受ける瞬間、自身の魔法を行使して、鉄拳の威力を「スピードごと殺した」。
 そのままわざと大げさに吹っ飛び、海へ飛び込み、目をくらませた。
 そう。キリカの有する能力は、あのロロの持つそれに近しいものだ。
 自らと相対した者の時を遅らせ、相対的に速力を得る力――速度低下の魔法である。
 それをあんな風に使うとは、今まで思ってもみなかったのだが。
(今の私の攻撃力では、あれを倒すことはできない)
 強いだけなら御するのは容易だ。敵の攻撃を遅らせてかわし、食らう前に倒せばいい。
 しかしその上硬いとなると、事情は大きく異なってくる。
 身軽なキリカの攻撃は、しかし一撃一撃の威力に乏しい。
 恐らく10本全ての指で、鉤爪を展開したとしても、あれに勝つことはできなかっただろう。
(この妙な不調のこともある)
 左手に握った魔力の結晶・黒のソウルジェムを見つめる。
 ロロが戦闘中に感じた不調は、彼女の身にも感じられていた。
 事前に橋に仕掛けたはずの、速度低下の魔法陣が、普段よりも弱くなっていたのだ。
 そして、スタミナの問題もある。魔力消費による穢れの蓄積が、普段よりも速く進んでいる。
 これらのことも考慮して、今後はより慎重に立ちまわる必要がありそうだ。
(奴は危険だ。織莉子に牙を剥く前に、何とか対策を練らなくちゃ)
 身震いしながら、目をひそめた。
 キリカはさして頭はよくない。でなければ親友・美国織莉子に、戦術・戦略は委ねていない。
 それでも彼女は直感的に、あの男の危険性を察知していた。
 目が同じなのだ。
 あれはかつての自分と――否、かつてなろうとしていた自分と、同じ目をしていたのである。
 全てを見下し、蔑む目。
 その双眸に映る全てを、嘲笑い利用し食らいつくす、獰猛な詐欺師の目をしている。
 約束などあの男には無意味だ。きっとキリカの目の届かぬところで、奴は織莉子を殺すだろう。
(それだけは駄目だ)
 すっ、とその場から立ち上がる。
 今はあえて見逃そう。現状持ちうる戦力では、あの黄金の牙城は崩せない。
 しかしあの下衆なマント男が、織莉子を毒牙にかけることは許さない。
 いいや、誰であってもだ。
 織莉子は最愛の親友だ。
 織莉子の存在が自分を変えた。彼女と仲良くなりたいという願いが、一歩を踏み出す勇気をくれた。
 それを穢そうとする者は、誰であろうと許さない。
 織莉子は私だけのものだ。
 織莉子に触れていいのは私だけだ。
「私は織莉子に無限に尽くす……織莉子、今私が助けに行くよ」
 私の手で守らなければならないのだ。


【H−5/橋の下/一日目 深夜】

【呉キリカ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(中)、軽く濡れている、ソウルジェムの穢れ(2割)
[装備]:穂群原学園の制服@Fate/stay night、ノーブラ
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜1、キリカの私服(上着、スカート、ブラジャー)
[思考・状況]
基本:プレイヤーを殲滅し、織莉子を優勝させる
1:織莉子と合流し、彼女を守る
2:まどかとマミは優先的に抹殺。他に魔法少女を見つけたら、同じく優先的に殺害する
3:マントの男(ロロ・ヴィ・ブリタニア)を警戒。今は手を出さず、金色のロボット(ヴィンセント)を倒す手段を探る
4:乾いたらブラジャーを付け直す
[備考]
※参戦時期は、一巻の第3話(美国邸を出てから、ぬいぐるみをなくすまでの間)
※速度低下魔法の出力には制限が設けられています。普段通りに発動するには、普段以上のエネルギー消費が必要です。

※冬木大橋に仕掛けられた、速度低下の魔法陣は、既に消滅しています。

【穂群原学園の制服@Fate/stay night】
士郎や桜の通う、穂群原学園で使われている女子用の学生服。
白いシャツにベージュのベスト、黒いスカートから成り立っている。

105 ◆Vj6e1anjAc:2011/07/08(金) 23:30:31 ID:EvhIQu76
投下は以上です。
……いきなりですが、投下途中にロロの支給品欄のミスに気づいたので、

[道具]:基本支給品、コルト・ガバメント(6/7)@現実、不明ランダム支給品0〜1

Wiki登録時にはこのように変更をお願いします。申し訳ありません

106名無しさん:2011/07/08(金) 23:44:46 ID:Gdyx3c2E
投下乙です

悪夢ロロはやっぱりそう動くよな。でもさすがに混乱してるか
どっちが死んでもおかしくない戦いだったが痛み分けか
マーダーと奉仕、それも性格が一筋縄ではいかない二人の濃いバトルでした

107名無しさん:2011/07/08(金) 23:50:48 ID:7lx3tl/Q
投下乙です!

生身vsKMF、今回はKMFに軍配があがったか
しかし敢えて言わせてもらおう……ノーブラは装備じゃない、無防備だ!ww

108名無しさん:2011/07/08(金) 23:56:08 ID:JluqtYE6
投下乙です
ロロから魔王の貫禄を感じるぜぃ

109名無しさん:2011/07/09(土) 00:05:04 ID:MrxeXfZw
乙です。
魔王としての貫禄が流石にあるな、ロロは。
無差別、扇動、ステルス、何でもこなせそうだから凄いw
そしてキリカは、やはりおりこのために行くか……
もしおりこの側に誰かがいるのを見かけたら、発狂して襲いかかりそうなのが恐い

110 ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:31:07 ID:njt0ygfw
乾巧、菊池啓太郎、投下します

111 ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:31:52 ID:njt0ygfw

【0】

狂っているのは俺なのか、あいつなのか。

――――それとも、世界がおかしくなってしまったのか。

112What Mad Universe ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:33:34 ID:njt0ygfw

【1】

ウルフカットの髪が特徴的な青年、乾巧は『バー・クローバー』の中で酒をあおっていた。
『一定の空間に集められた人間が殺し合う』、そんな非常事態にあっても酒を欲するようなアルコール中毒患者では彼は決してない。
彼は酒を飲みアルコールを体内に巡らせることで、ある現実から逃避しようとしているのだ。

「……くそっ!」

空になったグラスを乱暴にカウンターテーブルへと叩きつけて悪態をつく。
その原因は、無頼漢の巧にとっては友人と呼べる数少ない女性にある。
その女性の名は園田真里、デイパックの中に入っていた名簿にその名を連ねていた女性である。

巧は、園田真里を救うために真理との関係を捨てた。
巧は、真理の命を取り戻すために数えるほどしかいない大切な友人との交友を捨てた。
だというのに、殺し合いなんてふざけたものに巻き込まれるだなんて。

――――まるで、世界が真理の死を望んでいるかのように思えた。

「……ぁあ!」

巧は激昂と苛立ちを隠すことなく、短い咆哮を上げてグラスを壁へと投げつける。
グラスの割れる音を聞きながら、テーブルに突っ伏した。
分かりやすくも跳ね返すことの出来ない無気力感が巧の全身を襲っていた。

もう元には戻れない世界。真理と、同じく友人である菊池啓太郎がいる日常。
その二人の日常だけでも守りたくて、敵との交渉に挑み、己の秘密も晒したというのに。
その僅かな日常すら消えてしまう、そんな可能性が巧の頭を支配する。

「この手がっ……!」

巧は自身の『灰色の手』を見ると、その手を強く握りテーブルに叩きつける。
その灰色の手こそが、人間が死ぬことで生まれ変わる『オルフェノク』という変種の生物である証拠だ。
オルフェノクは人と動物や植物を相混ぜにしたような、およそ地球上に存在するどの生物にも当てはまらない姿をしている。
人間との差異はその姿だけではなく、素手で猛獣以上の戦闘力も特徴の一つだ。
人の形をした灰一色の猛獣、地球という星に突如現れた突然変異体・オルフェノク。
そして、巧の正体は人間の真理とは違う、その化け物のオルフェノクなのだ。

だが、巧を苦しめるモノはそれだけではない。
巧には記憶が喪失している時期がある。
その時期とは一年も経っていない最近の話であり、それは巧がオルフェノクに変身した時期でもある。
言っておくが、記憶の喪失は決してオルフェノク特有の性質などではない。
オルフェノクであることを拒否していた巧が、急にオルフェノクになったことが原因なのかもしれない。
そんな考えも納得出来るほどに、巧は自身がオルフェノクであるということに対する嫌悪感が持っていた。

だが、記憶がはっきりしない原因自体は大きな問題ではない。
本当の問題はその記憶の曖昧な時期に、『巧』が『真里』を『襲ってしまった』可能性があることなのだ。

――――泣き叫ぶ真理とその場に集まっていた真理の旧友たち、そしてそこに居る怪物と化した巧の姿。

巧はそんな映像を、確かな映像を見てしまったのだ。

「……っ!」

この灰色の手は巧と友人たち、いや、世界そのものを遠ざける原因、巧が人ではない証。
人のそれではないその手は、巧にとっては幼い頃から存在する巨大な壁だった。
目を逸らし続けた事実に目を向けてまで救った真理の命が、今また理不尽にも危機に襲われている。
そんなどうしようもない現実から逃げるために摂取したアルコールの影響か、巧は眠気に襲われていた。
いっそ、このまま何もかも投げ出して眠ってしまいたかった。

113What Mad Universe ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:34:35 ID:njt0ygfw

だが、そんな巧の耳に扉の方向から鈴の鳴る音が聞こえた。

「……誰だ」

なんの警戒も示さず、巧は言葉だけで訪問者に問いかける。
無用心なその態度は、人とかけ離れた耐久力を持つ化け物であることへの自虐的な感情から来る自信なのかもしれない。
だが何の返答も帰って来ないため、巧は仕方無しに視線を扉へと移す。
そこには拳銃を構えた男が一人だけ居た。
その男が持つ拳銃はニューナンブM60。
警視庁に正式採用され、また警察以外の公的組織にも採用とされている回転式拳銃だ。
しかし、そんな知識を持たない巧はそれを拳銃だとしか認識せず、またそれを持つ人物が見知った人間であったこともあって拳銃への興味は消え去ってしまった。

「――――たっくん?」
「啓太郎……か」

そこに立っていたのは乾巧の数少ない友人のひとりである菊池啓太郎その人だった。
汚れたままの服と顔はきれい好きの啓太郎らしくないが、短い髪と見慣れた童顔は間違いなく啓太郎だ。
驚きに満ちた啓太郎の瞳から逃げるように、再び巧はテーブルに突っ伏した顔を隠す。
啓太郎たちの前から消えた巧みには、どのような顔をして啓太郎と向きあえばいいのかわからなかった。
だが、啓太郎はそんな巧の気持ちなどお構いなしに小刻みに唇を震わせたまま巧の名前を叫んだ。

「た、た……たっくん! たっくんだよね! 本当に、本当にたっくんなんだよね!?」

拳銃が地面に落ちる音をかき消すほどの大声で啓太郎が叫ぶ。
巧は駆け寄ってくる足音を聞きながら緩慢な動作で身体を起こす。

「おい、啓太――――」
「たっくん! 今まで何処に居たの!? 俺、俺……!」

その異常な様子に巧は拒絶の言葉を止める。
見れば啓太郎の目からは大粒の涙がこぼれ出し、よく見ればその顔は巧の知る顔と違い若干の逞しさを感じさせるものだった。
また、その両手も荒れに荒れている。
巧はあの事件までは啓太郎のクリーニング店に居候しており、仕事や家事をしている啓太郎の手は見慣れている。
だからこそ、その荒れは一朝一夕で出来るようなものではないことが巧にはわかった。

「こんな状況だけどさ、俺、たっくんにまた会えてすごい嬉しいよ……!
 俺さ、ずっと、たっくんが居なくなってからもさ、ずっとオルフェノクと戦ってたんだよ!」
「……啓太郎?」

涙を流しながら、縋りつきながら、啓太郎は胸のうちを巧へと伝える。
巧はといえば要領を得ないまま、震える啓太郎の手を握ることしか出来ない。
そんな巧に気づいていないのか、啓太郎は巧へと話しかけ続ける。

114What Mad Universe ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:35:33 ID:njt0ygfw

「でもさ、木場さんも、草加さんも、いろんな人達が居たけど……俺も頑張ったけどさ……
 やっぱりファイズが、たっくんが居ないと駄目なんだよ!
 オルフェノクと戦うには、たっくんが必要なんだよ!」
「……お、おい、啓太郎」

異常な啓太郎の様子に、巧は強い動揺に襲われる。
巧は僅かに考え込んだ後、自分自身を落ち着かせる意味も込めてゆっくりと言葉を投げかける。

「……啓太郎。お前、なにがあったんだ?」
「お、俺、真里ちゃんからたっくんと別れたときのこと聞いてたから……!
 ひょっとして、万が一にも死んだんじゃないかってずっと不安で……
 でも、たっくんが死ぬわけないってわかってた!
 だから、俺、たっくんとまた会えて……また会えて……!」
「……」
「これからはまた一緒だよね、たっくん!」

感極まったように喋る啓太郎を見ながら、巧の頭は混乱していた。
なにかがおかしい、巧ははっきりとそう認識した。
啓太郎は「巧がオルフェノクであろうと関係ない」という態度だったが、その中にもどこかぎこちなさがあった。
そのぎこちなさこそが巧が真理と啓太郎から離れる原因となったのに、今はそのぎこちなさを一切感じない。
それに今の啓太郎が「オルフェノクと戦うだ」の、「オルフェノクを倒すには巧が必要だ」と言うとは思えない。
オルフェノクという存在自体を避けるように振舞うはずだ。

なにかがおかしい。

まるで巧と長い間離れていたかのように話す啓太郎がおかしいのか、それとも真理を襲った記憶がないように巧自身がおかしいのか。

「……」
「たっくん……たっくん!」

だが、巧は啓太郎に正気を問うことをせず、ある考えに支配されていた。
狂ってしまったのが巧でも啓太郎でも世界でも、なんであろうと構わない。
今は少しだけの間、啓太郎が巧をオルフェノクであることを知らないかのような、そんな甘い夢に浸りたくてたまらなかった。
疲れ果てた巧は、その甘い夢に守られたくなっていた。

115What Mad Universe ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:36:22 ID:njt0ygfw

【F-3/バー・クローバー/一日目-深夜】
【乾巧@仮面ライダー555】
[状態]:僅かにアルコールが入っている
[装備]:なし
[道具]:共通支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:アルコールの影響と啓太郎の言動により、混乱。
1:出来るならば、啓太郎と行動する。
[備考]
※参戦時期は36話〜38話の時期です。

【菊池啓太郎@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60@DEATH NOTE
[道具]:共通支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:巧と共に行動する。
1:たっくん!
[備考]
※ニューナンブM60の予備弾の有無、有していた場合の弾数などは後続の書き手にお任せします。

【ニューナンブM60@DEATH NOTE】
夜神総一郎たち刑事が使っていた回転式拳銃。
警視庁に正式採用されている拳銃で、装弾数は5。

116What Mad Universe ◆7WJp/sJ4G6:2011/07/09(土) 00:36:32 ID:njt0ygfw
投下終了です

117名無しさん:2011/07/09(土) 00:48:30 ID:ZQrTiZM6
たっくーん!
そう叫びたくなる話でした。よりにもよってその時期かあ……
啓太郎の純真さが痛い…このぎこちなさが目に見える形になりませんように。
ところで、たっくん君未成年だよね?

118名無しさん:2011/07/09(土) 00:53:12 ID:Zj87xMbc
投下乙です

ややこしい時期から来てるな……
確かに荒む気持ちも判るが飲んでる場合じゃないんだぞw
同作品キャラの邂逅は不吉というが…

119 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 08:22:58 ID:IsYIoIbQ
皆さま、投下乙であります。

修正版を投下いたします。
本来ならば、一時投下スレに投下すべきかとも思いましたが、
此方の方が差し替え分のレス番指定を行いやすいので、此方に投下します

120 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 08:23:56 ID:IsYIoIbQ
>>9からの差し替え分



かの忌わしき『儀式』の会場となった島の、街を為す場所の一角を、
少女が全力疾走で駆け抜ける。

生活感の無い、ただ街灯の蛍光灯の異様に白い光の連なりだけが眩い、
まるで悪夢の様な、現実感の無い街の中を、しかし少女は、
走る体にかかる疲労と負荷、額を流れる汗から、確かにこれが現実だと認識しながら、走る。

何かから『逃げる』……その為に走り続けた少女、

「きゃっ!?」

鹿目まどかは、足を縺れさせて転び、
膝小僧を摺って、白いストッキングを赤く地で染めなながら、以上の様なかわいらしい悲鳴を上げた。

この『戦場』へと移送された殆ど直後、
彼女は、与えられたデイパックの中身を見る事すら無く、
ただひたすらに逃げ続けていた。

桃色の髪を、赤いリボンで左右二つに纏めた、
年相応の発展途上の体躯を、可愛らしい制服で包んだ女子中学生。
それが彼女、鹿目まどかである。

その体力は、基本的に女子中学生の平均の域を出ず、
よって、これまで彼女が行って来た『全力疾走』により、
その息は上がりきり、心臓は破裂せんばかりに、脳を揺さぶる様な鼓動を立てている。
挫いた膝小僧はじくじくと痛み、体力は限界であり、もう一歩たりとも、
走る事はおろか、歩く事さえゴメンなのが、まどかの正直な思いであった。

しかし……彼女には、その足を止める事は許されない。
よって、彼女は必死に立ち上がり、その『逃走』を再開せんとする。
何故ならば―――

―――コツリ
「!?」

灰色の死神が、直ぐそこまで迫ってきているが故に。

その足音にまどかが振り向けば、彼女が、全力で逃げ続けていたその理由が、
すぐ背後まで迫ってきていた。

ソイツの印象を、一言で表すならば、『灰色の鎧騎士』であろう。
馬を象った様な意匠の『兜』でその顔をスッポリと隠し、
その全身を隈なく灰色の装甲で覆い、その手には、禍々しく長大な両刃剣…『ホースソード』を下げた、灰色の鎧騎士。
しかし、コイツは、鎧騎士などでは無い。

その鎧は『彼』の体の一部であり、その兜は、彼の顔そのものなのだ。

「――――」

そのコリント式兜を思わせる、装甲皮膚の間から覗く、濁った双眸に輝くのは、あからさまな、
まどかへと…いや、『人間』と言う『種』全体へと向けられた殺意。

その余りに濃厚な殺意に、まどかは思わず腰を抜かし、
逃げる事が叶わずに、その場でへたりこんでしまった。

―――『ホースオルフェノク』

それが、かつては『人間』…『木場勇治』であった存在のなれの果てたる、この『怪物』の名前であった。

121 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 08:25:18 ID:IsYIoIbQ
>>10からの差し替え分


かつては人間と敵対する種族たる『オルフェノク』でありながら、人間に味方した彼は、
しかし今や、その骨の髄に至るまで、人間に対する『憎悪』に支配されている。

信じた者に、信じ続けた者に、『裏切られた』が故に。
その為に、大切な『友/仲間』が殺されてしまったが為に。

その『怒り』、『哀しみ』は、人間への『憎悪』となって走り出す。

目の前で…腰を抜かした少女を見て、ホースオルフェノクは思う。

―――その『声』が、『あの女』に…どこか、本当に僅かであるが、『似ている』、と
―――自分を『裏切った』…『あの女』…『園田真理』に

『オルフェノク』として生きると言う事は、人を殺し、人を征すると言う事。
だとしても、木場が、ホースオルフェノクが執拗なまでに逃げるまどかを追ったのは、
そのやり場の無い怒りを、兎に角、『人間』である誰かにぶつけたいと言う、殆ど『やつあたり』も同然の理由であった。
『真理』の声に似ている云々は、実は単なる『口実』に過ぎない。

手にした魔剣を、両手で、逆手で握り、その切っ先を、まどかへと向ける。
街灯の、白い蛍光灯の光が、切っ先にぶつかって四散し、光の珠の連なりとなる。

まどかは、その切っ先を見つめつつ、思った。

ああ―――自分は、ここで殺されて、死ぬんだろうと。

そして、こうも思った。

当然だよ、と。

―――巴マミ
―――美樹さやか
―――佐倉杏子

皆、死んでしまった。
戦わない、自分の代わりに戦って、みんな、死んでしまった。
自分は、それを、ただ、見ているだけだった。
そんな自分に、遂に、天罰が下ったんだ、と。

灰色の怪人の気配が強ばる。
弓を引き絞る様に、逆手に持たれた剣の柄頭が、高く高く掲げられ、
弓を放つように、その切っ先はまどかへと――――


―――『 Burst Mode 』


届く事は無かった。
そんな電子音が闇の中から響いて来たかと思えば、
夜の帳を裂いて、赤い光弾が走り、ホースオルフェノクの背中へと突き刺さり、火花を上げる。

「―――っがぁ!?」

予期せぬ不意打ちに驚きホースオルフェノクが振り返れば―――

122 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 08:25:59 ID:IsYIoIbQ
>>14からの差し替え分





「――――はぁ……はぁ……」
「クソッ!!」

ホースオルフェノクから人間の体へと戻った木場の額には、
びっしりと、嫌な汗が珠の様に浮かんでいた。
息を上げ、肩を激しく上下させながら、木場は適当な道路標識にその体を預ける。

―――木場が撤退した理由には…このあからさまな『不調』があった。
―――理由は解らないが…『オルフェノク態』時の身体能力が落ち込んでおり
―――それによる『疲労』が恐ろしく増大しているのである

オルフェノク特有の、優れた感覚能力から察するに、
恐らくは、この首に刻まれた、忌々しい『刺青』が原因であろう。

「(あのまま……あの謎の『ファイズ』と戦っていれば…)」
「(恐らくは――――)」

木場は、先程の交戦で、あのファイズの中にいた人物が、乾巧では無い事に気が付いていた。
乾巧は、非常に荒々しく、喧嘩殺法染みた戦闘スタイルを取る男である。
それに対してあのファイズは、明らかに武道の心得を感じさせるスマートな戦闘スタイルであり、あからさまに別人であった。

「(しかし……だとすれば一体誰が……)」

ファイズのベルトが使えるのは、オルフェノクか、極々一部の人間の適応者だけの筈。
そして、人間どもの中の適合者は、もはや乾巧しか残ってはいない筈であり、
オルフェノクである可能性は――――

「(ありえるのか……?そんな事が?)」

あのファイズは、明らかにあの少女を守る為に、オルフェノクである自分へと戦いを挑んで来たのだ。
つまりは、『人間を愛するオルフェノク』であるという可能性が考えられるのであるが……

「(ありえない)」

木場はその可能性をかなぐり捨てる。
何故ならば……そんなオルフェノクはもう、この世には居ないからだ。
自分が『夢』を捨て、『海堂』と『長田』が『死んだ』、今となっては……

「(まぁ……いいさ)」
「(ヤツの中身が誰だろうと、関係は無い)」
「(俺のやることは……)」

―――変わらない

『人間』を抹殺し、『オルフェノク』を救い、糾合し、
この『儀式』を打破すると言う、自分に課せられた使命は、だ。



彼はまだ知らない。
この『儀式』に、二度目の死を迎えた筈の、海堂と長田の姿がある事を。
怒りの余り、ここに来て即座にまどかに襲い掛ったが故に、
確認していなかった『デイパック』の中の名簿に、その名が確かに記されていることを。

木場の手が、足元に下ろされていたディパックにかかる――――


【D−3/大通り/一日目 深夜】

【木場勇治@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:軽傷、若干の疲労、人間態
[装備]:特に無し
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:オルフェノクの保護、人間の抹殺、ゲームからの脱出
1:ディパックの中身を確認する
2:乾巧と決着をつけたい
3:あのファイズの正体は……?
[備考]
※コロシアムでの乾巧との決戦の途中からの参戦です
※オルフェノク態時の身体能力の低下を認識しました

123 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 08:26:34 ID:IsYIoIbQ
>>16からの差し替え分




傍らで、ディパックを開いて、中身を確認しているまどかの姿を眺めながら、草加は思う。
まるで似ていない筈なのに……何故、こうもこの少女は、園田真理の面影を感じさせるのだろうかと。

草加雅人が、木場勇治の魔の手から彼女を救った理由は、畢竟、そこへと集約されるのである。
もし、あの場で襲われていたのが、例えば美樹さやかであったら、草加は絶対に助けには入っていなかっただろう。

鹿目まどかの声は、幼少期の園田真理の声に酷似しており、
そして、幼少期の真理の姿・声は、草加雅人も脳には、まるで呪いの様に刻みこまれている。

故に彼は、まどかに自分でも思った以上に、真理の影を重ね合わせていた。
彼が、まどかの『お願い』を、所詮、口約束に過ぎないとは言え聞いて上げたのは、恐らくはその為であろう。

彼の最優先事項は、あくまで園田真理の保護であり、しかる後に、
この訳の解ら無い『儀式』からの脱出を目指すつもりである。

まどかの面倒を見るのは、あくまでその『ついで』である。
まぁ、それでも、『囮』ぐらいには使えそうであるし、
こういう如何にも無力そうな少女を助ける『良い人』を演出する事は、
この修羅の巷で動くには、それなりに『益』がある訳だから、まぁ悪くはあるまい。

そう、草加雅人は、自分を納得させながら、まどかの隣に立つ。
好青年の仮面の下に、その本性を巧みに隠しながら。

まどかは知らない。この、一見『好青年』にしか見えないこの男が、
陰湿で独善的な、ストーカ気質の外道であると言う事を。

まどかは知らない。そんな男が、自分に、彼が狂的に執着して止まぬ一人の女性の影を見ている事を。

そして、知らないのは草加雅人も同じ事。
彼は、彼の世界の『木場勇治』として、先程戦った木場勇治を考えていた。
あの腑抜けが、どうして人間を殺そうとしていたのか……口で何を言っても、所詮はオルフェノク、
体も魂も腐って行っただけだ、としか、考えていなかった。

彼は知らないのだ。まさか木場勇治が、園田真理に殺意を抱いているなどと――――

一緒になって名簿を見る、まどかと草加。
余りにも異質なこの2人組には、果たして如何なる運命が待つのか。

「そして―――特に注意が必要なのが『乾巧』だ」
「乾巧……」
「ああ。奴は口が上手くて、残忍で、冷酷で独善的な男だ……『願い』の為に、間違いなく『儀式』に参加するだろう」
「必ず注意して欲しいんだ」

―――そして、こんな時でも猫舌たっくんへのネガキャンを忘れない草加さんであった


【D−3/路地裏/一日目 深夜】

【仮面少女・草加☆まどか】

【草加雅人@仮面ライダー555】
[状態]:健康
[装備]:ファイズギア(変身解除中)
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:園田真理の保護を最優先。儀式からの脱出
1:真理を探す。ついでにまどかに有る程度、協力してやっても良い
2:オルフェノクは優先的に殲滅する
3:乾巧へのネガティヴキャンペーンを忘れない
4:まどかの事が少しだけ気になる
[備考]
※明確な参戦時期は不明ですが、少なくとも木場の社長就任前です

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:擦り傷が少々
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:
1:草加と行動を共にする
2:草加さんんは信用できる人みたいだ
3:乾巧って人は…怖い人らしい
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆〜ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※乾巧に関する偏向された情報を、草加より聞かされました

124 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 08:26:54 ID:IsYIoIbQ
以上です

125名無しさん:2011/07/09(土) 12:07:20 ID:OfUb6raA
修正乙です

126 ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:04:26 ID:IsYIoIbQ
早速ですが

松田桃太、間桐桜

投下します

127 クライモリ ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:05:09 ID:IsYIoIbQ


―――紅い

夜空が、紅く染まっている。
厳密に言えば、夜空にかかった雲に、地上からの光がスクリーンの様に映し出されているが為であって、
空自体が紅く輝いている訳ではなく、その光源は地上に在ると言う訳だ。

では、空を紅く染める、その光源とはなんだろう。

果たして、『儀式』の会場、地図上では『B−4』の南方に位置する、
古びた教会から飛び出した、赤い赤い炎こそが、その光源の正体であった。

火の手は、教会全体を覆い尽くさんとばかりの勢いで、消化せずに放っておけば、
後一時間も経たずに、灰と炭と残骸だけを残して、教会は焼失してしまうだろう。

どうやら、教会内部より出火したらしいが、
バリン、と音を立てて、ステンドグラスが割れる音が響き、
さらに炎が、教会の内から外へと飛び出して、空を一層、紅く染めた。

そんな中、燃え盛る炎と煙により、今にも崩れ落ちんとしている教会正面の観音開きの扉が、
ギィギィと嫌な軋み音を響かせて開き、その内側から、煙、炎と共に、一人分の人影を吐きだして来たのだ。

明らかに常人であれば焼け死んでしまうであろう燃える教会の内より出現したその人影は、
やはりと言うべきか、『普通の人間』では無かった。

黒と白で構築された、スマートな仮面の鎧騎士。
白い線は、黒い体に、非常に尖った文様を描き、
その有り様は、何処となく『三角形』を連想させる。
それは、仮面となるとより顕著で、『三角形』の意匠を交えたその仮面には、
二本の角と、橙色の大きな『眼』が二つあり、その橙は、炎の赤を受けて、一層妖しく光り輝いている。

この鎧騎士……『スマートブレイン』が『王』を護る為に作り上げた三体の『守護騎士』が一体、
すなわち、『デルタ』であった。

『三本のベルト』の内、一番最初に造られたこのベルトは、装着者を選ばず、
人であろうと、オルフェノクであろうと、自由に変身する事ができる。
無論、何の代償も無い訳ではないが……

さて、この、燃える教会から出て来た『デルタ』の左手は、
何か『大きなもの』を掴んで引き摺っており、ソレの一部には、
教会内で引き摺ったせいか、幾らかの炎が燃え移っている。

『――――――――――――』

『デルタ』は無言で、まるでゴミでも捨てるかの様に、それを地面へと向けて放り投げた。
『デルタ』の怪力により、かなり重そうに見える『何か』は、しかしまるで軽いモノであるかの様に、
宙に放物線を描きながら飛んで、どさりと草むらに落ちて転がった。

ここで…影に隠れて解らなかった『何か』の正体が明らかになる。
それは――――

―――散大した瞳孔
―――硬直を始めた肉体
―――血に染まったボロボロの衣服
―――そして、随所が『欠損』した体躯……

それは『人間の死体』であった。
それも、推測するに、相当に残虐な方法で惨殺された死体であった。

今や、死体となってしまったその人間の名前は、『松田桃太』と言った。

128 クライモリ ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:05:48 ID:IsYIoIbQ





―――松田桃太

『キラ事件』を追う、警視庁の敏腕(?)刑事であり、
その能力は必ずしも低くはないが、単純な性格であり、頭の回転もそれほど速くは無く、
オマケに、余り空気を読めない、調子の良い男である。

しかし一方で、確固たる正義感、卓越した射撃の技能の持ち主であり、決して無能などでは無い。

そんな松田には、正義感からも、警察官としての矜持からも、
こんな極悪非道の『儀式』の存在を許す事は出来なかった。

素早く、信頼できる夜神月君や、夜神本部長、そしてついでにいけすかないLと合流して、
知恵と勇気を結集して、この『儀式』をぶっ潰し、あのアカギとか言う男を逮捕せねば……

そんな事を、松田が初期出現地点であった教会の中で考えていた時である。

―――ギシリ

と、床の軋む音が、松田の耳に入る。
この教会は相当に古いと思われる木造で、故に、歩くたびに床がギシギシと鳴る。
そして、自分は今、礼拝堂の椅子に座っている所であり、
よって、音が鳴ったのは、誰かが、教会の中に居る事を示すのだ。

松田は、支給品であった『マニューリン MR73』を、コートの下のホルスターから引き抜いた。
フランス製のリボルバー拳銃で、使用される357マグナム弾の殺傷力は非常に高い。

―――ギシリ
―――ギシリ
―――ギシリ

床の軋み音は、徐々にその大きさを増して行く。
間違いなく、こちらへと誰かが近づいているのだ。

この様な状況下での、見知らぬ誰かとの接触……
松田の額と頬に、緊張故の汗が浮かんだ。

そして遂に、その何者かはやってきた。
礼拝堂へと繋がる扉の一つが、錆びた蝶番から出る嫌な音と共に開いたのだ。

松田は、開いたドアへと向けて、銃口を擬し、言った。

「両手を後ろで組んで、ゆっくりと此方へ歩いて来るんだ!!」
「怪しい動きを見せれば、容赦なく発砲する!!」

と、松田は陰で見えない、その未だ不明な来訪者へと告げた。
この礼拝堂には、窓から覗く月明かりしか光源が無く、それ故に、開いた扉の向こうの誰かは陰でしか解らなかった。

さて、銃口こそ向けたが、無論、本当に撃ち気は松田には無い。
仮に撃たねばならぬ状況に陥ったとしても、規範通り、初弾は警告の為にわざと外すつもりでいた。
日本の警察官の拳銃は、初弾が空砲になっているのだが、この拳銃では実弾な為に、わざわざ外して撃つ必要があった。

『―――――』

それに対して、その謎の人物は、松田の指示に従う事無く、
堂々と松田の方へと歩みを進めて来る。
松田が、再度の警告を発しようとした時、月明かりで、その人物の姿が初めて明らかになった。

白と黒の仮面。橙色の瞳。
言うまでも無い、『デルタ』であった。

129 クライモリ ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:06:32 ID:IsYIoIbQ

その余りの異様な姿に、松田は思わず唖然とするも、
しかし擬した銃口は外す事無く、

「もう一度警告する!!」
「両手を後ろで組んで……そこで一旦止まるんだ!!」
「指示に従わないなら……今度こそ発砲する!!」

しかし、『デルタ』はその歩みを止めない。
松田が引き金を引いた。撃鉄が落ちて、銃声。
銃弾は、床をぶち抜き、思いの外大きな穴を開けた。
警告射撃であった。

「最終警告だ」
「両手を後ろで組んで……そこで一旦止まるんだ!!」
「今度は…外さない。確実に当てるぞ!!」

そんな松田に対し、『デルタ』は、初めて歩く以外の行動を取った。
その右手が、腰元に伸びる。腰元にあるのは―――

「!!」

その形状を見て、今度こそ松田は躊躇しなかった。
覚悟を決めた時の松田の動きは恐ろしく素早い。
彼は、『デルタ』が腰に伸ばした右手へと向けて、即座に銃口を向けて、引き金を、引く。

―――パチュォォォン
「!?」

―――銃弾が弾かれた
―――それも、怪人の着た異様な服の表面に

余りの想定外の事態に、松田が唖然としている間に、
『デルタ』は腰のモノ、『ブラスターモード』と化していた『デルタムーバー』を引き抜いて

『ふぁいあ』

と一言。それに、

―――『 Burst Mode 』

と、電子音声が続く。
『デルタ』が、そして銃口を松田に向け、
慌てて松田も茫然から立ち直って銃口を、『デルタ』の右手に向けるも

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

青く細い光線が、松田の右手に命中し、
松田は絶叫を上げながら床にひっくり返った。

130 クライモリ ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:06:55 ID:IsYIoIbQ

その右手から拳銃が弾き飛ばされたばかりか、
右手は焼けただれ、その人差指と中指が欠損している。
フォトンブラッドの青い光弾に、吹き飛ばされてしまったのだ。

痛みに床でゴロゴロと転がる松田へと、
『デルタ』は腰にデルタムーバーを戻しつつ、悠然と歩みよって来る。
そして……

「うあわぁ!?何をす――――」

『デルタ』は松田の首を捕まえて、
無理矢理彼の体を引き摺り上げたのだ。

仮面の橙色の眼と、松田の眼が、正面から向き合う。

「―――――ッ!?」

この時、松田は確かに感じ取った。
何故か、それが解ってしまった。

仮面の下の誰かの顔が、確かに、嗤っているだろうと言う事を。
恐ろしく、暗い喜びによって、だ。

空いた方の『デルタ』の左手が、松田の右肩の掛り―――

―――『虐殺』が始まる




松田の死骸の状況は凄まじいモノだった。
右腕と両耳は根元から引きちぎられ、
両脚は有り得ない方向へと圧し折られ、
肋骨はグシャグシャに砕けて肺に突き刺さり、
その上で、激痛と失血で朦朧とし、昏睡寸前の半死半生の所を、首をへし折られて殺されたのだ。

『デルタ』の力を使えば…松田を殺すなど容易い事であり、この様に執拗な攻撃は必要ない。
では、何故、『デルタ』がこの様な『虐殺』を行ったかと言えば、
それは『デルタ』の性能を確かめる為であり、『彼女』の、異様に沸き立った血の疼きを満たす為である。

心は『闇』に支配され、最早荒れ狂う嵐の様に、体は猛っている。
しかし、それが不思議と不愉快では無い。

そんな事を考えながら、『デルタ』は除装し、その内なる姿を明らかにする。

―――紫の長い髪
―――同色の暗い瞳
―――結ばれたリボンは血の様に赤い

黒い亀首のセーターに、ジーンズの姿で、腰にデルタドライバーを巻き付けたこの少女は、
その名を『間桐桜』と言う。

何故、彼女が、支給された『デルタギア』を着けるつもりになったのかは解らない。

今、一つだけ確かな事は、
『デルタギア』の持つ『副作用』…『デモンストレート』による影響か、
それとも、それによって彼女の内側に溜めこまれていた『悪意/恨み/怨み』が噴出したのか、
そのどちらが原因かは兎も角、彼女の精神の平衡は崩れ、邪悪な意思に支配されているという事だ。

「―――――うふふふふ」
「せ♪ん♪ぱ♪い♪」

妖艶に一人微笑みながら、彼女は一人、暗い森にわけ入った。

その殺戮の理由は、愛する『先輩/衛宮士郎』の為か、
それとも、単なる暴走した彼女の悪意の故か、
それは未だ不明であった。

131 クライモリ ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:07:26 ID:IsYIoIbQ




【松田桃太@DEATH NOTE(漫画) 死亡】


【B−4/燃え盛る教会付近の森/一日目-深夜】

【間桐桜@Fate/stay night】
[状態]:『デモンズスレート』の影響による凶暴化状態、溜めこんだ悪意の噴出
[装備]:デルタギア(変身解除中)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:???
1:???
[備考]
※『デモンストレート』の影響で、精神の平衡を失っています



※B−4の『古びた教会』は、後1時間程で完全に焼失します。
※松田の支給品はディパックもろとも、焼失しました

132 クライモリ ◆cyLXjJEN56:2011/07/09(土) 17:08:41 ID:IsYIoIbQ
投下終了

初代デルタの木村沙耶は『異形の花々』だとヤンデレでした
まぁ…だから何だって事じゃないけど

133名無しさん:2011/07/09(土) 17:18:25 ID:fDaUraD2
乙!
デルタギアさんは本当に便利なマーダー作成機ですな。
ヤンデレ+暴走アイテムって何この狂コンボ。
そして松田、南無・・・・・・

134名無しさん:2011/07/09(土) 17:23:11 ID:OfUb6raA
投下乙です

ヤンデレになんて支給品を支給するんだよw
これは暴れるだけ暴れて死んでねみたいなw
松田は……仕方ないかw

135名無しさん:2011/07/09(土) 17:51:37 ID:a3f.WWH.
乙です
松田ァ!まさかお前が即退場するとは…南無
ヤンデレ怖いよヤンデレ

136名無しさん:2011/07/09(土) 17:51:49 ID:vrwxObNU
>>132
投下乙
このロワの記念すべき最初の死者は松田となったか……
でも何故だろう
他にもヤバイ奴がゴロゴロいるせいか、桜デルタに殺られただけまだマシに見えるのはw

>初代デルタの〜
大変だ!
このままだと木場に達磨にされた士郎が桜に飼われてしまう!w

137名無しさん:2011/07/09(土) 17:59:30 ID:1EHvGKAg
投下乙
松田ェ……
お前は良くやったが相手がヤンデルタギア桜じゃあ仕方ないな

>達磨にされた士郎が桜に飼われてしまう
なにそれぜひ見た……じゃなくてなにそれ怖い

138 ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:09:18 ID:cTFziwUo
特に問題はなさそうだったようですので、
アリス、暁美ほむら本投下させていただきます

139 ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:09:49 ID:cTFziwUo
「――どうなってんのよ、コレは?」

 海風が程良く吹きつける深夜の冬木大橋。
 その入り口で、一人の少女が支給された参加者名簿を手に驚愕の表情を浮かべていた。

 彼女の名はアリス。アッシュフォード学園中等部に通う一人の女子生徒――というのは仮の姿。
 その正体は、ブリタニア軍の『特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)』に所属する人造ギアスユーザーの一人、アリス・ザ・スピード。
 プロの軍人にして、ヒトの摂理から外れた能力を与えられた少女――

 そんなアリスが、先ほどのような表情を見せた原因は当然、彼女の手にある参加者名簿に載っていた名前にあった。


 ――『ナナリー・ランページ』。
 アリスのクラスメイトにして、たった一人の親友。
 そして、アリスが自らの力で、何としてでも守ると誓った存在――
 そんなナナリーの名前が、名簿の中にハッキリと載せられていた。


 ――だが、アリスを驚かせたのは、それだけではなかった。


 『ルルーシュ・ランペルージ』、『篠崎咲世子』、『枢木スザク』、『ユーフェミア・リ・ブリタニア』――
 そして、『ゼロ』、『C.C.』、『マオ』と、どういうわけか、参加者名簿にはナナリーや自身に関係する者の名前が多く載っていたのである。

 特に、マオの名を見た時は、アリスも己が目を疑った。
 なぜなら、彼女は――

「死んだ……」

 自分に言い聞かせるかのように、思わずそう呟くアリス。

140Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:11:02 ID:cTFziwUo
 彼女の記憶の中では、マオはつい先日シンジュクで死んだ。
 いや、むしろアリス自身が彼女を殺したと言っても過言ではない。

 数年ぶりに再開したかつての同僚にして、アリスと同じく人造ギアスユーザーであったマオ。
 そんなのマオの目の前で、アリスは彼女の命そのものとも言える『C.C.細胞抑制剤』が入ったアタッシュケースを完膚なきまでに破壊した。
 結果、マオはその身に宿した『C.C.細胞』の反作用を止めることができなくなり、その肉体を消滅させた――


『忘れるなアリス、これが“ボクたち”イレギュラーズの末路だ……!』


 最期に自身に向けた呪詛ともとれるその言葉と、その際に見せた不気味な笑顔は、未だにアリスの脳裏から焼き付いて離れない。

 ――無論、同名の別人というケースも十分考えられる。
 だが、考えて見れば、アリスはマオが自身の目の前で消滅するまでギアスユーザーの最期というものを見たことがなかった。

 ギアスユーザーの力の根源とも言える『ブリタニアの魔女』ことC.C.は不老不死だ。
 ならば、いくら造られたまがいものとはいえ、その力の一片を授かっている人造ギアスユーザーも実は不死で、マオもあの後、知らずうちに蘇っていたという可能性は十分ありえる。

 ――あくまでも本当に可能性、それも0に限りなく近いほどの低確率の可能性の話だが。

「……でも、よく考えてみたら、あのマオの一件で私は改めてナナリーを守ろうって決心が――! そうよ、ナナリー!」

 はっと思い出したように、アリスは顔を上げる。


 アリスの知るナナリー・ランページという少女は、目が見えず、足も不自由なか弱い女の子である。
 そんな彼女が、自身と同じくこの『儀式』なるデスゲームの舞台に放りこまれている――
 それはつまり、殺し合いに乗った者たちからすれば、恰好の標的に他ならないではないか!

141Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:11:35 ID:cTFziwUo
「くっ……! 本当に何やってんのよ、私は!
 ナナリーを守るって決心したのなら、名簿でナナリーの名前確認した時点で行動起こしなさいよッ!」

 自分をそう叱咤しながらアリスは大急ぎで名簿をデイパックに戻すと、代わりに長いヒモを中から取り出した。

 ――『あなぬけのヒモ』。それがアリスに与えられた支給品であった。
 付属していた説明書によると、『洞窟や建物などの内部で使うと、一瞬で外までワープできる道具』らしい。
 正直胡散臭かったが、何も無いよりはマシだと、アリスはそれを強引にスカートのポケットに突っ込んだ。


「しかし、あのアカギとかいう男、本当に殺し合いをさせる気があるのかしら?
 何も同じ道具を3つもよこすことないでしょうに……」

 そう愚痴をこぼしながら、アリスはデイパックの中をチラリと覗き込む。
 デイパックの中には、たった今アリスがポケットに突っ込んだものと同じ『あなぬけのヒモ』があと2つ入っていた。

「まぁ、ヒモだって使い方次第じゃ十分武器にもなるけど……」

 はぁ、と一度軽くため息をつくと、アリスはデイパックの口を閉める。
 それと同時に、『女子中学生としての自分』から、本来の姿とも言える『軍人としての自分』にスイッチを切り替えた。

「――待ってて、ナナリー。絶対に私が見つけ出して守ってあげるから!」

 言葉と共に、アリスの額に刻印のようなものが瞬時に浮かび上がった。
 アリスが自身の『本質』を形とした能力――ギアスを発現した証だ。

「ザ・スピード!」

 自身の能力であると同時に、自身の名前でもあるその言葉を叫んだ瞬間、アリスの姿はその場から消え去った。


 『ザ・スピード』――かつて最愛の妹を守りきれなかった少女が得た、加重力によって相対的に超高速を得る能力。
 それは、過去の悲劇より生じた重圧に無意識下に苦しめられ続けているアリスにとって、皮肉過ぎる彼女の本質であった。

142Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:12:09 ID:cTFziwUo
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「どうなっているのかしら、本当に――」

 輝き続ける星の下、老舗クリーニング店『西洋洗濯舗菊池』の屋根の上で、一人の少女が支給された参加者名簿を手に険しい表情を浮かべていた。

 彼女の名は暁美ほむら。見滝原中学校に通う一人の女子生徒――というのは仮の姿。
 その正体は、人知れず世界に災いの源である呪いをばら撒く存在『魔女』を狩る『魔法少女』。
 奇跡の体現者にして、ヒトの摂理から外れた存在とされてしまった少女――

 そんなほむらが、先ほどのような表情を見せた原因は当然、彼女の手にある参加者名簿に載っていた名前にあった。

 ――『鹿目まどか』。
 ほむらのクラスメイトにして、たった一人の親友。
 そして、ほむらが自らの力で、何としてでも守ると誓った存在――
 そんなまどかの名前が、名簿の中にハッキリと載せられていた。


 ――だが、名簿に載っていた名前は、それだけではなかった。


 『巴マミ』、『美樹さやか』、『佐倉杏子』――
 そして、『美国織莉子』、『呉キリカ』、『千歳ゆま』と、どういうわけか、参加者名簿にはまどかや自身に関係する者の名前が多く載っていたのである。

 特に、前者三名の名を見た時は、ほむらも己が目を疑った。
 なぜなら、彼女たちは――

「死んだはずよね……」

 自分に言い聞かせるかのように、思わずそう呟くほむら。

 彼女の記憶の中では、巴マミは『お菓子の魔女』に食われ、美樹さやかは魔女となり、佐倉杏子は“つい先ほど”魔女となった美樹さやか相手に捨て身の一撃を放って消滅したばかりだ。


「…………」

143Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:13:06 ID:cTFziwUo
 あさっての方向に目を向けながら、黙って思考するほむら。
 佐倉杏子が消滅してから現在までに起きた出来事を振り返ってみる。


 ――まず、気を失っていたまどかを家まで送り届けた。

 そして、自宅へと戻る途中にあの一面黒い謎の空間に迷い込んだ。

 やがて、謎の空間から見知らぬ者たちが大勢いたホールへと場所は移り、アカギという男が自分たちの前に姿を現した。


『まずは、『おめでとう』と言わせてもらおう。君たちは選ばれたのだ』

『そうだ。君たちはこれから行われる『儀式』を完遂するために、数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たちなのだ……!』

『これから君たちには、己が魂の存在を賭け、最後の一人になるまで戦ってもらいたい!』


 アカギが自己紹介の後に言った話の内容が脳内で再生される。

 ここでほむらは、ひとつ気になる言葉があったことを思い出した。


 ――『可能性宇宙』。

 合わせ鏡に映し出される光景のように、無限に存在すると言われるif――
 フィクションなどの世界においては、俗に『パラレルワールド』とも呼ばれるもの――

 あのアカギという男は、ほむらたちをそんなifのひとつひとつから選出した者だと言っていた。

 それはつまり――

「あの男は、時間軸と空間軸の両方に干渉できる力を――平行世界に干渉する能力を持っている?」

 それがほむらが最初に思い至った結論であった。
 というより、そうとしか考える他なかった。

144Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:14:51 ID:cTFziwUo
 自分がいた時間軸においては既に死んでいる者たちの名前が名簿に載っている。
 そして、ホールで見た自らを『オルフェノク』と名乗り、灰色の異形に姿を変えた男の存在。
 これが何よりの証拠だ。
 特に、後者は明らかに自分の世界に存在した『魔法少女』や『魔女』とは性質が違って見えたし、何より変身したのが男だった。

 また、思い返してみると、アカギはこうも言っていたではないか。

 ――この『儀式』なる殺し合いの『勝者』となった者は、『どのような願いでもひとつだけ叶えることができる』、と。

 確かに、無限に存在する並行世界のひとつひとつに干渉することが可能ならば、その程度のことは造作も無いことだろう。


 ――だが、ひとつだけ気になることもある。

 それは、『何故アカギはこのようなことをするのか』という点だ。

 ただ己の力を知らしめたいだけならば、わざわざ別世界の者たちにまで干渉する意味は正直薄いとほむらは考える。
 それこそ、よくある正義のヒーローやヒロインもののアニメや漫画に登場する悪の親玉が掲げる『全世界・全宇宙の制服』並に無駄な行為だ。最終的に徒労に終わる。

 では、本当に何が目的なのか?


「……そういえば」

 あの時――あのホールでアカギが姿を現した時、誰かがアカギに対して「お前は!?」と言っていたのを思い出す。

 それはつまり、この場には『アカギのことを知っている者』か『アカギと同じ世界出身の者』が存在するということ。

 もし、上記のような者たちと接触できれば、アカギが何故この『儀式』を開催したのか理由がわかるかもしれない。


「……まず必要なのは情報ね」

 ほむらはそう決定づけると、名簿をデイパックに戻し、人がいないかと辺りを見回し始める。

145Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:16:36 ID:cTFziwUo
 現時点において、ほむらが最優先でやるべきことと判断したのは、先ほど自身が口にしたとおり『情報(特にアカギに関するもの)を集めること』であった。

 無論、彼女が守りたい存在である鹿目まどかの捜索も優先すべきことだが、アカギが言っていた『可能性宇宙のひとつひとつから選び出された』という点が、これを最優先とすべきか否かを左右することになった。

 ――要するに、ほむらは今この『儀式』の舞台に放りこまれている鹿目まどかが、『魔法少女である鹿目まどか』という可能性もあると考えているのである。
 暁美ほむらが守りたい『鹿目まどか』という少女は、あくまでも『人間である鹿目まどか』であり、『魔法少女である鹿目まどか』は守ったところで意味が無いからである。

 故に、ほむらの最終的な目的は、『自身のいた時間軸(もしくは世界)に帰還すること』となるのだが、かといって殺し合いに乗るつもりもない。

 先述したとおり、アカギがこの『儀式』を行う理由――目的が判明しておらず、かつ「『儀式』の『勝者』となったところで、本当に自身いた時間軸(世界)に帰ることができるのか?」という疑問もあるからだ。
 ――(いくら違う可能性宇宙の存在とはいえ)たった一人の親友を自らの手にかけたくないという思いもある。



 ――さて、何故、暁美ほむらがこうも慎重なのかというと、実は彼女も『可能性宇宙』『パラレルワールド』という概念に、ある程度関わりがある存在だからである。

 彼女は『時間遡行』――時間軸に干渉する能力を持った魔法少女であった。
 親友である鹿目まどかを守るために、未来から過去の世界へと戻り、失敗してはまた戻るというループを延々と繰り返しているのである。

 ――言ってしまえば、それは、親友を守るために願い得た力でありながら、逆に最期は親友を守れずに終わるという皮肉過ぎる力であった。


 最初は、親友でありと同時に、『魔法少女』として憧れの存在でもあったまどかを死なせないために行っていた行為であった。
 しかし、時間遡行によるリセットを何度も繰り返していくうちに、『魔法少女』という存在と、その裏に隠された真実を知ってしまったのである。


 ひとつ、『魔法少女』は厳密には人間ではなく、魂を『ソウルジェム』と呼ばれる宝石に変換され、それによって肉体を維持、操作されている一種のゾンビであること。
 (おまけに、ソウルジェムと肉体がおよそ100メートル以上離れると肉体は活動できなくなる。要は死ぬ)

 ひとつ、ソウルジェムが破壊されない限り、肉体はどのような損傷をしても(それこそ全ての血を失おうが、心臓を抉り取られようが)魔力を消費すれば修復できるということ。
 (ただし、本体であり命そのものであるソウルジェムが、攻撃を受けると簡単に破壊されてしまうため『無敵』『不死身』とは程遠い)

 そして、最後のひとつが、ソウルジェムが黒く濁り、浄化しきれなくなると、『グリーフシード』と呼ばれるものに姿を変え、『魔女』を生み出すということだ。

146Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:16:58 ID:cTFziwUo
 ――そう。魔法少女が狩っていた『魔女』とは、かつては自分たちと同じ魔法少女だった者の成れの果てだったのである。


 何故こんな恐ろしい事実が隠されていたかというと、魔法少女を生み出す存在・キュゥべえことインキュベーターが『聞かれなかったから黙っていた』ことにある。

 彼(?)らは、人類よりも遥かに高度な文明を持つ地球外生命体が生み出した一種の生態端末兼プログラムであり、宇宙の寿命を延ばすために魔法少女が絶望して魔女になる際に生じる莫大な感情エネルギーを回収することが目的であった。
 要は、彼らにとって地球人の少女とは『魔法少女の素材』であると同時に『消耗品』であり、エネルギーを搾取すること以外に対する配慮などというものは基本的に持ち合わない。
 ――そもそも、彼らには『倫理感』や『価値感』というものはおろか、『感情』というもの自体を持っていないのだから。

 これは人間からすれば『騙す』という行為に当たるが、上記のとおり、彼らは感情を持たぬため、ソレを全く理解していないし、しようとも思わない。
 彼らからすれば『騙す』という行為は『認識の相違により生じた判断ミス』であり、それを一方的に憎悪する人間の方が理不尽な存在なのだ。


 ――キュゥべえに騙される前の馬鹿な私を助けてほしい。


 それが、ほむらが繰り返したある時間軸においてまどかから託された願いであり、決して忘れてはならない親友との約束であった。
 故に、暁美ほむらという存在は、『人間である鹿目まどか』を守り続けるのである。

 ――それが結果的に、守るべき対象から拒絶されることになったとしてもだ。



「……ん?」

 ほむらの左手の中指にはめられた指輪――形を変えたソウルジェムが僅かに反応した。

 ソウルジェムには魔法少女や魔女の持つ『魔力』を感知する、一種の探知機としての役割も持っている。
 それが反応したということは――

「近くに魔法少女がいる?」

147Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:18:01 ID:cTFziwUo
 そう判断すると、ほむらは瞬時に見滝原中学校の制服姿から、白と紫を中心とした色合いの魔法少女のコスチュームへと姿を変えた。
 同時に、左腕に出現する円形の盾――
 盾であると同時に、ほむらの持つ『時間遡行』を発動するための装置であり、自身の持つ様々な武器の収納スペースであるソレの裏側へとほむらは手を伸ばす。

(――!? 武器がない!?)

 『儀式』の舞台に送り込まれてから初となる魔法少女への変身。
 いつもどおり、武器を取り出そうとしたほむらの顔が一瞬だけ驚愕の色に染る。

 ――盾の中に収納されていたはずの銃火器や爆弾といった武器が一切無くなっていたのだ。

「何故――!? まさか……あの男!?」

 瞬時に脳裏に浮かぶアカギの顔。
 おそらく、自身と似た力を持つほむらに対して、アカギが仕組んだ一種の嫌がらせだとほむらは判断した。

「……覚えておきなさい……!」

 ほむらは、今はこの場にいない『儀式』の主催者に対して、捨て台詞ともとれる言葉を呟くと、屋根の上から地上へと飛び降りた。
 只人ならば大怪我をしてもおかしくはない高さだが、魔法少女であるほむらにとっては地上数階建ての建物程度の高さから飛び降りるなどなど全く問題はない。

 そして、華麗にクリーニング屋の玄関前に着地すると、そこに駐車してあった一台のバイクへと目を向ける。

 黒と黄色を中心としたメタリックなカラーリング。
 バイク横に取り付けられた同色のサイドカー。
 そして、バイク、サイドカー双方の車体横にプリントされた『スマートブレインモーターズ』のロゴマーク――

 ――『サイドバッシャー』。
 スマートブレインモーターズ製の可変型バリアブルビークルにして、暁美ほむらに与えられた支給品のひとつである。

 当然、コレはデイパックに入った状態で支給されたものではない。
 ほむらがホールから彼女のスタート地点である、この『西洋洗濯舗菊池』の前に転移させられた際、彼女の横に説明書と共にでんと放置されていたのである。

 バイクを支給されるということ自体、驚きたくもなることであったが、ほむらを驚かせたのは付属の説明書に載っていたその機体スペックであった。

148Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:18:36 ID:cTFziwUo
 『ビークルモード』と呼ばれる通常形態に加え、『バトルモード』と呼ばれる大型二足歩行型戦闘メカに変形――
 変形後は、左腕に6連装ミサイル砲『エクザップバスター』、右腕に4連装バルカン砲『フォトンバルカン』を搭載。おまけに、格闘戦も可能――

 これを支給されたのが、ほむらではなくまどかであったら――中学生にバイクを支給するということも含んで――「こんなの絶対おかしいよ!」と突っ込みを入れていたに違いないブッ飛んだ代物であった。

 ――ちなみに、支給されたほむらはというと、当初こそ驚きもしたが、「コレ、『ワルプルギスの夜』戦の切り札として私の世界に持って帰れないかしら?」などと気に入ったかのような反応をしていたと追記しておく。


 反応があった魔力の持ち主が、魔法少女――それも『魔法少女となってしまった鹿目まどか』だったらどうしようか、などと思いながら、ほむらはサイドバッシャーを夜の街へと走らせた。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「ど、どうなっているの? 『ザ・スピード』が強制的に打ち切られるなんて……!?」

 肩で息をしながら、アリスは自身の身に起きた奇妙な事実に、頭を悩ませていた。

 話は数十秒ほど前に遡る。
 『ザ・スピード』を発動したアリスは、ナナリーを見つけ出すために夜の街を超高速で全力疾走していた。
 だが、発動していたギアスが突然ぷっつりとその効果を止めてしまったのである。

 何かの間違いだろうと思い、もう一度『ザ・スピード』を発動する。
 ――ギアスは問題なく発動した。

 気をとり直して、再びかけ出す。
 ――特に問題はない。

 だが、またしても、ある程度走ったところ――現実時間では10秒ほど経過したところ――で『ザ・スピード』の効果が強制的に止まってしまった。

 どうしたんだと、三度ギアスを発動。
 やはり、発動までは問題なかったが、結局は過去二回と同じ結果になった。

 そして、今に至る。

「な、なに? ギアスの不調? それとも、移植されたC.C.細胞がおかしくなった? いや、抑制剤なら、ちゃんと定期的に投与しているハズだし……」

 自身のギアスに起きた突然の異常――
 それが一部の参加者に科せられた『能力制限』であることに、アリスはまだ気がついていない。


 ――そんな彼女の耳に、バイクのエンジン音が聞こえてきたのは、それから間もなくのことであった。

149Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:19:05 ID:cTFziwUo
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「な、なによ、アンタ……?」

 突然、自身の目の前に飛び出してきたサイドカー付きバイク。
 それを操る、どこか可愛らしくもあり地味でもある装いをした長い黒髪の少女――肌の色や顔つきからして、おそらくは日本人だ――に対して、アリスは思わず声をかける。

 それに対して、相手側はというと――

「……誰?」

 と、投げかけられた質問と似た問いをアリスに返してきた。

「質問を質問で返すな!」

 思わずそう言い返してしまう。

「……それは失礼したわね」

 目の前の少女はそう言いながら、左手で自身の長い髪をふぁさりと一回掻き上げた。

「まぁ、いいケド……。それで、こんな夜中にそんなモノに乗って何やってんのよアンタ?」

「別に――貴女には関係ないわ」


 ――ちょっとカチンときた。


 ブリタニア帝国の属領出身の戦災孤児であるアリスは、その経緯からブリタニア貴族のように、上から目線で偉そうな物言いをする者を嫌う。
 特に、クラスメイトのエカテリーナのように、親の家柄や地位にすがり付く典型的な『貴族様』な輩が特に嫌いだった。

 ――目の前にいる少女の物言いからも、そういった者たちと似た『嫌な感じ』をアリスは感じ取った。

 だからだろうか、「エカテリーナたちのように、ギアスの力でちょっと目の前の生意気な奴を懲らしめてやろう」と思いたったのは――


(――『ザ・スピード』!)

 瞬時にギアスを発動させる。
 自身と少女との間の距離は僅か数メートル。
 先ほどから何故かギアスの調子が悪いが、これくらいの距離感での行動なら別に今までどおり、何の問題もないだろう。

 アリスはまず、超高速で少女の背後に回り込んだ。

150Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:19:35 ID:cTFziwUo
 次に、両腕を少女のフリル付きのスカートへと伸ばす。

 ――ちなみに、ここまで現実で経過した時間はまだ一秒代の領域である。

(スカートひん剥いてやる!)

 さすがに現時点の『ザ・スピード』では、少女のタイツまでひん剥いてパンツ丸見えにさせてやるほどの余裕はない。
 それに、これはあくまでも驚かせるだけだ。
 アリスはSでもなければ、ソッチ系の趣味を持ち合わせてもいない。


 ――だが、アリスの手が少女のスカートに触れる直前、異変は起こった。


「えっ!?」


 ――一瞬にして、少女がアリスの目の前から文字どおり『姿を消した』のである。


「消えた――!?」

「後ろよ」

「!?」

 声がした方に振り返る。

 そこには――

「……ヒモが二本だけ? 貴女、ろくな物貰ってないわね」

「な――!?」

 『二つ』のデイパックを手にした少女が立っていた。
 しかも、その内のひとつ――彼女が今中を物色しているデイパックは、間違いなくアリスの物だった。

151Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:21:37 ID:cTFziwUo
(そんなバカな……!? デイパックはついさっきまで確かに肩に提げていたのに……!?)

「返すわ。勝手に中を見て悪かったわね」

 そう言いながら、少女はアリスのデイパックを彼女に向かって放り投げた。


「――それと、貴女、『自身にかかる重力を操作する能力』を持っているわね?
 それを応用してとんでもないスピードを得たみたいだけど――」

「!?」

 少女の口から出た言葉に、思わずデイパックを落としてしまうアリス。
 デイパックの中身が少しだけ外に顔を出した。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 暁美ほむらには『時間遡行』の他に、そこから派生した、もうひとつの時間操作能力がある。

 それは『時間停止』。

 盾に内蔵された、現実の時間に換算すると一ヶ月分に相当する砂が入った砂時計。
 その砂の流れを遮断することによって、その名のとおり『世界の時間を止める』力だ。


「……少し凹んでいる」

 いつの間にか自身の後ろに回り込んでいた外国人の少女の肩からデイパックをひったくりながら、ほむらは先程まで少女が立っていた場所を見た。

 アスファルトにはっきりと残っている少女の足跡。
 そこを中心に、周囲が――本当に数ミリ程度であるが――若干凹んでいた。

(――『重力操作』。それがこの子の魔法……)

 少女から奪ったデイパックの口を開けながら、ほむらは少女の持つ『魔法』をそう予測する。

(でもおかしい。魔力は確かに感じるのに、ソウルジェムと思える宝石がどこにも見当たらない……。これは一体……)

 どういうことなの、と言いかけたところで、ほむらの左腕からカチリと何か仕掛けが動き出したかのような音がした。

(!?)

 これには、ほむら自身も驚いた。
 少女が自身の視界から消えた瞬間とほぼ同時に発動していた『時間停止』――それが勝手に解除されたのである。

(そんな……! まだ砂は全然残っているのに、どうして……!?)

 内心驚くほむらを前に、外国人の少女が驚きの声を上げた。
 まぁ、自身が超スピードで後ろをとったはずの相手が、向こうから見たらいきなり消えたのだから、そりゃあ驚くだろう。
 その様子から、スピードによっぽどの自信があったようだ。

「後ろよ」

 実際は自分も別の理由で驚いてはいるのだが、それを悟られぬよう、内心注意をはらいながらほむらは目の前の少女に声をかけた。

152Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:22:17 ID:cTFziwUo
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ギアスユーザー・アリスは思考する。

(私の『ザ・スピード』よりも早く動ける!?
 おまけに、こちらのギアスの性能を当ててみせた――!)


 魔法少女・暁美ほむらは思考する。

(自身にかかる重力を操作する――
 魔力も感じたし、これは間違いなく魔法の力に間違いはない――)


(まさかコイツ――!)
(だけどこの子――)


「ギアスユーザーか!?」
「本当に魔法少女なの?」


「――え?」
「……?」


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「……えっと、つまり、アンタと私はそれぞれ違う世界の住人で――」

「この『儀式』の舞台に放りこまれた者たちは一人一人が違う世界から来た可能性がある。そういうコトよ……」

 深夜の市街を二人の少女が乗ったバイクが疾走していた。

 少女の名は暁美ほむら、そしてアリス。
 互いが違う世界の存在でありながらも、年齢をはじめ、どこか色々なところが似た二人組。
 そんな二人が、この『儀式』の舞台で出会ったのも、それは単なる偶然なのか、それは何者かによって仕組まれたものなのか――

153Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:22:58 ID:cTFziwUo
「……でもさ、本当にありえるの?
 さっきアンタが言ってた『ここにいるナナリーやゼロたちは私が知っているナナリーたちじゃないかもしれない』っていうのは?」

「あのアカギって男が実際に言っていたでしょう? 私たちは『可能性宇宙のひとつひとつから集められた存在』だと。
 だから、ここにいるナナリー・ランページは貴女の言う『目と足が不自由な少女』ではない可能性だってある」

「……それでも、私はナナリーを見つけ出して守りたい。
 例え、ここにいるナナリーが私の知っているナナリーではないとしても、その子はナナリーであることに代わりはないでしょう?」

「――そうね。確かにそれは貴女の言うとおりだわ」

 そう呟きながら、ほむらは一度サイドバッシャーのブレーキをかけてスピードを落とす。

「でもね――」

 やがて、サイドバッシャーがゆっくりと停車した。

「私たちが本当に守りたい人は、『私たちの世界』にしかいないの。
 ここで私たちが死んでしまったら、『私たちの世界』にいるその子は誰が守るの?」

「あ――」

 その言葉を聞いて、アリスもほむらが何を言いたいのかは大体理解した。


 仮に、この『儀式』で『守りたい人』を最後まで守り、かつ自分たちの世界に戻る方法が見つかったとしても、それぞれが『自分たちの世界』に戻ってしまったら、結局それは『他人』でしかなくなる。
 おまけに、『自分の世界』に戻っても、自分たちの世界にいる『守りたい人』は『違う世界の自分が助けられた』なんて事実を知るわけもないし、知る術もない。

 ――言ってしまえば、この『儀式』の舞台で行う『献身』は、どのような形であっても最終的に見返りは得られないし、求められないのだ。


「……じゃあ、私たちどうすればいいっていうのよ?」

154Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:23:51 ID:cTFziwUo
「そんなの決まっているわ。『自分たちの世界』に帰る方法を見つけるのよ。
 アカギの言うとおり、この『儀式』に最後まで勝ち残るというのも方法のひとつではあるけれど、あの男の目的が判明していない以上、これは得策ではないわ。
 第一、『勝者』となったところで、本当に『自分の世界』に帰れるかどうかの保証はされていないわけだし……」

 そう言いながら、ほむらは再びサイドバッシャーにアクセルを入れ走らせる。

「ともかく、今は情報を集めるしかない。
 あのアカギという男が何者なのか、アカギがこの『儀式』を開催した目的は何なのか、あの最初のホールでアカギに殺された自身を『オルフェノク』と言っていた男が何者であったのか……
 ここで知るべきことは山ほどあるわ」

「…………」

「それに、情報を集めているうちに、ここにいるナナリー・ランページや鹿目まどかとも出会えるかもしれない……
 もし出会えることがあれば、その時はその時で考えて行動すればいい」

「うん……
 ところでさ、このバイク何処へ向かっているの?」

「警視庁よ」

「ケーシチョー?」

 思わず言われた名前を復唱するアリス。
 別にアリスは『警視庁』という建物がどのような場所か知らないわけではない。
 確かブリタニアの属領となる以前の日本の警察組織の本部となっていた建物の名前だとアリスは思い出していた。

「万が一のことも考えて、護身用の武器とかは必要でしょう?」

「ああ成程。確かに、ここなら銃や武器の一つや二つは見つかるかも知れないわね」

155Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:24:49 ID:cTFziwUo
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 時間遡行者・暁美ほむら。
 人造ギアスユーザー・アリス。


 片や幾多の平行世界を経験し、自身が望む結末を求めて戦い続けてきた少女。
 片や無限に存在する可能性宇宙のひとつにおいて、守りたい者を守るために戦うことを決心した少女。


 そんな二人が突然放りこまれた、無限に存在する並行世界をまたにかけた『儀式』という名の殺し合い――


 はたしてそれは、彼女たちという存在にとっては、『一時的なイレギュラー』に過ぎないのか―― 


 それとも、彼女らの戦いに何らかの形で終わりを迎えさせるものなのか――



 その問に、答えを出せるものは――今はまだいない。



【G-3/市街(北部)/一日目-深夜】
【『あの子』の最高のともだちーズ結成】

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:魔法少女変身中、ソウルジェムの濁り(極少)、サイドバッシャー(ビークルモード)運転中
[装備]:盾(砂時計の砂残量:中)、サイドバッシャー@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:『儀式』から脱出し、『自身の世界(時間軸)』へ帰る。そして、『自身の世界』のまどかを守る
1:警視庁に行き、武器になりそうなものを集める
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい。ただし、自身が「信用できない」と判断した者は除く
4:余裕があったら鹿目まどかを探す。もし出会えたら、その時の状況次第でその後どうするか考える
5:まどか以外の他の魔法少女や知人と遭遇した時は、その時の状況次第で対応
6:可能ならサイドバッシャーを『自身の世界』に持って帰りたい
7:『オルフェノク』という言葉が少々気になる
[備考]
※参戦時期は第9話・杏子死亡後、ラストに自宅でキュゥべえと会話する前
※アリスとは互いの世界について詳細な情報を提供しあってはいません。互いの名前と互いの知人を確認した程度です
※アリスを『違う世界の魔法少女』だと考えています
※ギアスについてはまだアリスから説明を聞いていません
※『ギアスユーザー』とは、アリスの世界における『魔法少女』のことだと考えています
※後述する考察をアリスに話しています
※『時間停止』で止められる時間は最長でも5秒程度までに制限されています
※ランダム支給品0〜2の中身は確認済みです(詳細は皇族の書き手に任せます。少なくとも銃火器や爆弾の類ではありません)
※ソウルジェムは近くでギアスユーザーがギアスを発動しても反応することを知りました

156Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:25:32 ID:cTFziwUo
【アリス@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:服装はアッシュフォード学園中等部の女子制服、疲労(少)、サイドバッシャーのサイドカーに乗車中
[装備]:あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)×1
[道具]:共通支給品一式、あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)×2
[思考・状況]
基本:『儀式』から脱出し、『自身の世界(時間軸)』へ帰る。そして、『自身の世界』のナナリーを守る
1:暁美ほむらと行動を共にする
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい
4:余裕があったらナナリーを探す。もし出会えたら、その時の状況次第でその後どうするか考える
5:暁美ほむらのギアスが気になる
6:ナナリー以外の知人と遭遇した時は、その時の状況次第で対応
7:名簿に載っていた『マオ』『ゼロ』『C.C.』が気になる
[備考]
※参戦時期はCODE14・スザクと知り合った後、ナリタ戦前
※暁美ほむらとは互いの世界について詳細な情報を提供しあってはいません。互いの名前と互いの知人を確認した程度です
※暁美ほむらを『違う世界のギアスユーザー』だと考えています
※魔法についてはまだほむらから説明を聞いていません
※『魔法少女』とは、ほむらの世界における『ギアスユーザー』のことだと考えています
※後述する考察を暁美ほむらから聞きました
※『ザ・スピード』の一度の効果持続時間は最長でも10秒前後に制限されています。また、連続して使用すると体力を消耗します



【暁美ほむらの考察】
1:アカギは『時間軸と空間軸(パラレルワールド)に干渉する能力』を持っている
2:『儀式』に参加している『プレイヤー』は、アカギの能力によって一人一人違う世界から集められている
3:上記のため、この『儀式』の舞台にいる知人は『自分の知っている知人』ではない可能性が高い
4:アカギが『儀式』を開催した裏には何か明確な理由か目的がある
5:『儀式』の『勝者』になったとしても、『自身の世界』に帰ることができるという保証はない



【支給品解説】

【サイドバッシャー@仮面ライダー555】
 スマートブレインモーターズ製の可変型バリアブルビークル。
 通常はサイドカー付きバイクの『ビークルモード』であるが、『バトルモード』と呼ばれる大型二足歩行型戦闘メカに変形できる。
 『バトルモード』時は、左腕の6連装ミサイル砲『エクザップバスター』と、右腕の4連装バルカン砲『フォトンバルカン』による砲撃戦、両腕を用いた格闘戦が可能。
 本ロワでは、制限によりAIによる自律行動はできず、『ビークルモード』時、『バトルモード』時共に全て搭乗者による操縦が必要。ただし、変形はオートで行われる。

【あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)】
 洞窟や建物、ダンジョン内で使用すると、入り口(入ってきた場所)まで瞬時にワープできる、長くて丈夫なヒモ。
 消耗品で、一度使用するとなくなってしまう。

157Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:26:17 ID:cTFziwUo
投下終了です
誤字、脱字などございましたら遠慮なくお願いします

158Night of Knights ◆rNn3lLuznA:2011/07/10(日) 00:27:40 ID:cTFziwUo
>>155のほむらの状態表に誤字があったので修正

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:魔法少女変身中、ソウルジェムの濁り(極少)、サイドバッシャー(ビークルモード)運転中
[装備]:盾(砂時計の砂残量:中)、サイドバッシャー@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:『儀式』から脱出し、『自身の世界(時間軸)』へ帰る。そして、『自身の世界』のまどかを守る
1:警視庁に行き、武器になりそうなものを集める
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい。ただし、自身が「信用できない」と判断した者は除く
4:余裕があったら鹿目まどかを探す。もし出会えたら、その時の状況次第でその後どうするか考える
5:まどか以外の他の魔法少女や知人と遭遇した時は、その時の状況次第で対応
6:可能ならサイドバッシャーを『自身の世界』に持って帰りたい
7:『オルフェノク』という言葉が少々気になる
[備考]
※参戦時期は第9話・杏子死亡後、ラストに自宅でキュゥべえと会話する前
※アリスとは互いの世界について詳細な情報を提供しあってはいません。互いの名前と互いの知人を確認した程度です
※アリスを『違う世界の魔法少女』だと考えています
※ギアスについてはまだアリスから説明を聞いていません
※『ギアスユーザー』とは、アリスの世界における『魔法少女』のことだと考えています
※後述する考察をアリスに話しています
※『時間停止』で止められる時間は最長でも5秒程度までに制限されています
※ランダム支給品0〜2の中身は確認済みです(詳細は後続の書き手に任せます。少なくとも銃火器や爆弾の類ではありません)
※ソウルジェムは近くでギアスユーザーがギアスを発動しても反応することを知りました

159名無しさん:2011/07/10(日) 00:46:04 ID:jtsXPahg
投下乙です

この二人が邂逅したらどうなるかと思いましたがこうなったか
アリスはナナリー優先だがほむほむは…良くも悪くもブレないなぁ
アリスはまだいいがほむほむは対主催だけどコミュ能力が原作からして…嫌な予感しかしねえw
ただ、この二人も主催と同世界だから重要になるかも。本人らは知らないがw

160 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/10(日) 01:00:31 ID:r//FHPj2
投下乙です。
能力といい、たったひとりの私の友達といい、色々似ているこの二人……w
一番多世界観に触れているほむほむだし主催にヤツがいるし重要なポストにつくかも?
しかし……サイドバッシャーほむほむwもう変身一発飲んでカイザになっちまえww


ところで、WIKI収録は作者本人が適当にぶち込むって寸法でいいかな?
細かいことはこっちでやっときますんで。

161 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:19:18 ID:FCdjcFv.
皆様、投下乙です。
全部感想書いておきたいけど、まあ時間も時間だし量も多いので、とりあえずはGJの一言で許していただけると幸いです。
というわけで、自分も投下します。

162猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:21:19 ID:FCdjcFv.
 人には誰しも、生まれもっての「癖」というものがある。
 彼の知り合いで言うなら、乾巧という男には変身したときに手首を振るう癖、草加雅人という男にはウェットティッシュで片手を拭う癖があった。
 では、この海堂直也の癖は何だろう。

「呪いか──」

 例のホールで殺されたオルフェノクのことが海堂の脳裏に浮かぶ。
 あの男──この世界の海堂には、その外形からわかることは『オルフェノクであること』以外になかった──の断末魔は頭から離すに難しいものであった。誰かに助けを求めようとしていたあの男だが、一度青い炎に包まれたオルフェノクが助かったような例は見たことがない。
 この呪いというものに引っ掛かれば、オルフェノクであろうと助かりようがないのだ。


 いや、海堂の世界の場合は『オルフェノクであろうと』という言い方は不自然かもしれない。
 オルフェノクの存在と繁栄が当然となっているのが彼らの世界であり、海堂もこの儀式の「とばっちり」の大半はオルフェノクだと、つい先ほどまで思っていた。
 彼の世界でも残る人間は僅か。その僅かな人間が、彼らの世界では『悪』。──人間に協力する海堂も同じだ。元の世界で受けた扱いは、人にもオルフェノクにもなれない悪だ。
 たとえば、ホールで死んだ男(以下、海堂は名前を知らないが琢磨と表記する)もまた、「我々オルフェノク」という言い回しを使っていた。それは儀式の参加者の多くがオルフェノクである、と考えていたからだろう。まあ、園田真理とか、草加雅人とか、菊地啓太郎のような例外はいたが。
 だが、無意識にオルフェノク中心の考え方をしていた海堂もホールから出てここに来ると、全員がオルフェノクであるということには違和感を感じずにはいられなかった。


 ──見たところ、あなたはオルフェノクでもないただの人間だ。


 まずは琢磨のこの台詞が頭に引っ掛かっていた。
 アカギもこの言葉に対する否定をしていない。ニヤリと笑った彼の態度は自分の正体を間違えた琢磨を嘲笑したとも解釈できるが、オルフェノクのお偉方が『人間』という侮辱語にこう冷静に返せるほど優しいとも思えない。
 まあ、結果的に相手を殺しているものの、自分が人間だとホール中に誤認させたまま、最後まで訂正しないのは海堂の感覚では不自然だ。
 だいたい、ただの人間がオルフェノクを束縛し、圧倒することができるだろうか。それほどの力を持っていながら、その目的も不明慮。人間解放が目的なら、少なくとも真理や啓太郎のような人間を巻き込むことはないはずだ。

163猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:22:29 ID:FCdjcFv.
 それから、琢磨が変身したことで周囲の人間が多少なりともおびえたのも不自然だ。
 この世界では、オルフェノクの姿をした者への恐怖はない。街中で人間解放軍とオルフェノクが戦っても、まるで何もおきていないかのように笑顔で飯を食う親子がいるほどだ。人間解放軍の「カイザ」が出てこない限りは一家団欒は崩れない。
 琢磨の様子に周囲が退く──この情景は、世界がオルフェノクに支配される前までしかありえないものだ。


(ん……? 待てよ?)


 ──そうだ。君たちはこれから行われる『儀式』を完遂するために、数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たちなのだ……!

 気にもかけなかった言葉が、海堂の中で覚醒する。
 数多の時間、空間──この言葉がどうしてか、海堂の頭をよぎった。その意味を海堂を考える。


(難しいことはわからねえな……あんにゃろー、わざと小難しい言い方しやがって。
 ちゅーか、それってタイムマシンとかで『オルフェノクのいない時代』とかから人を連れてきたってことか? わお。やっぱりそれでビンゴか? ちゅーか俺様って大天才?)


 よく考えれば、真理以外には「死亡している」という認識をされている乾巧、海堂の目の前で灰になった草加雅人はいずれもこの場にいる。名簿にも名前があるし、ホールではその姿も見ているのだ。
 巧は真理の言うとおり生きていたということもあるだろうが、草加は『海堂の目の前で』『灰になった』のだ。海堂は彼の死をまごうことなく確かめているのに、生きているなんてことがありえるだろうか。
 本当にタイムマシンがあるなら可能だろうが……。いや、だとすると巧やら草加やらがここに連れてこられることになるわけで、そうなると海堂のいる時代に繋がらないのでは……。


 と、そこまで考えておきながらも馬鹿らしくてやめる。一度始めた思考をすぐにシャットダウンできるのがこの男だ。
 確かに草加が生きているのは気がかりな話だが、やれタイムマシンだ、オルフェノクのいない時代だ……そんなの非現実だ。海堂の思考の範囲外だ。確かに人間がオルフェノクよりも多い時代も見てはいたが、タイムマシンでその時に行けるなら人間のときの自分に「事故に気をつけろ」とでも言ってやりたいくらいだ。
 まあ、オルフェノクには非現実も数多あると海堂は思う。たとえば、死者を蘇生させるのも可能なことなのかもしれない。海堂は知らないが、実際に他の世界では流星塾のメンバーなどがオルフェノクによって蘇生させられている。知らないにしても、想像の範囲内ではある。
 だが、タイムマシンをダメ少年の机の中にあるものだとか、便所で転んだ博士がひらめいて車を改造してできたとか、そんなイメージで考えている海堂には、到底スマートブレインとは結びつかない。せくせくと時空移動の機械を作っているオルフェノクの姿は、到底想像できないのだ。

164猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:23:17 ID:FCdjcFv.
(まあ、やっぱり考えても仕方ねえな。とりあえずは誰か──できれば人間解放軍のやつらか、木場か結花かに会って適当に話でもすっか)


 知り合いで合流を優先するなら巧、木場、結花、真理、啓太郎、一応草加というところだろう。
 草加は人間解放軍だが、海堂や木場や結花を一切信用していない。無理もない話だが、まあなんとかゴマを摺りきることができれば、仲間として申し分ない実力を持っている。できれば、何故生きてるのかも聞きておきたいこともある。
 逆に、スマートブレイン社の社長である村上とは絶対に会いたくはない。会ったときは、琢磨同様に持つであろうアカギへの敵対意識を利用して何とか丸め込めないだろうか……と対処法も雑に考えて念頭に入れておく。まあ、彼がアカギに反逆するとしても、その嫌味な性格は海堂にもつっかかる。彼と会って得があるとすれば、なんでクビ人間じゃなくなっているかを訊けることだけだ。

 できれば、彼ら以外に出会った人間には、人間かオルフェノクかどうかも訊いておきたい。
 相手が人間ならば極力、オルフェノクであることを隠しておきたいという気持ちもあるからだ。
 感情が人間寄りだろうと、オルフェノク寄りだろうと、人は外見で相手を判断する。海堂がオルフェノクだということを知られると、それだけで迫害する人間もいる。いや、多くがそういう人間だ。
 口には出さなくても、海堂を信用しない人間が大半だろう。そうなると、当然海堂は孤立する。木場や結花と三人だけの世界が、またやってくる。本当は海堂も、いまだに真理や啓太郎の本心が怖いのだ。彼らに否定されれば、オルフェノクにも忌み嫌われ、人間にも恐れられる孤独が待っている。
 嘘をついてでも、その孤立だけは避けたい。オルフェノクであると告げることに、一文の得もありはしないのだ。


「ま、こんだけ知り合いがいりゃ一人くらいは会えんだろ。そしたら、俺の博学英才の頭脳で助ける方法考えてやる。
 …………だから、俺に会うまでは絶対に死ぬんじゃねえぞ、木場、それに────結花」


 先ほど、人の癖の話をしたと思う。
 まあ、これを癖というかどうかを考えると、グレーゾーンに引っ掛かるか引っ掛からないかというところだし、これを言うなら巧もまた「手首を振るう」なんかより相応しい癖があるんじゃないかとか、色々意見はあると思う。
 それを承知で結論を言うとしたら、彼の癖は──



 何だかんだあれど、結局お人よし、といったところか。




「ちょいと、そこの貴方、勝手に話をまとめてしまっては困りますわ」

 と、いつからか海堂の近くで彼の話を訊いていた、豪奢な格好の女性が話しかける。偶然通りすがり、様子を見ていたところだ。
 海堂の目にも金髪縦ロールの外人さんは気になるが、このご時世にこんな「いかにも金持ち」な格好ができる人間なんてほんの限られている。
 まず、人類には不可能だろう。──ということは、

165猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:24:14 ID:FCdjcFv.
「あんた、オルフェノクか?」
「……何をおっしゃっているんだか、さっぱりですわ。私(ワタクシ)はただ、あなたが博学英才で、ここから生きて助かる方法を知っていると言っていたから、詳細を訊こうとして来たんです……」
「はぁん、なるほど。俺様の頭脳に心惹かれてやって来たってわけか、見る目あるね、おねーさん」

 海堂は満面の笑みで、彼女をベタ褒めする。「さすがお目が高い!」、「日本語ペラペラ!」、「よく見れば美人だし」、「おっぱい大きいね」と、海堂は出来る限り相手の機嫌を取れるように頑張っていた。
 相手がオルフェノクにしても、襲ってこない限りは無駄な殺人はしたくないのだ。今のところ、彼女がオルフェノクであっても、襲い掛かる様子はない。だから、できればおだてて、その後で距離をおきたい。
 とはいえ、そんな意図が理解されるはずもなく、彼女は一度目を点にする。目がヒトの冷静さを取り戻すと、少なくとも彼が「博学英才」ではないということに気付いた。
 いや、むしろ────

「…………はぁ。どうやら私は何か勘違いをしていたようですわね。ただのバカでしたわ」
「バカ!? この俺が?」
「だいたい、その『オルフェノク』っていうのは何なんですの? ホールのあの男が『我々オルフェノク』とか言ってましたわね…………はっ! 貴方、まさか私があのような全身灰色の薄気味悪いバケモノとでも言いたいっていうの!?」
「ん……? あんた、もしかしてオルフェノクじゃねえのか?」

 死人に対して薄気味悪いバケモノとは、随分と失礼な言い草だが、フツーの人間の感覚で言うなら、灰色のバケモノで、忌むべきもの。それが人間にとって、ならば。
 海堂も実際、……一応はそのバケモノなのでカチンと来そうにはなったが、一旦抑える。俺は人間……俺は人間……。人間の思考に直して考えよう。

「いや、ほら、あのホールにいたメガネの兄ちゃんも随分偉そうにしてたろ? だからほら、うっかりさんの俺はあんたもオルフェノクなのかなーって、ちょっと勘違いしてしまったっつーわけ」
「誰が偉そうですって! この私に対する侮辱ですわ!」
「まあまあ、怒らない怒らない。ちゅーか、あんた人間ってことは俺と同じじゃん。偶然。なら、全然俺にキレる理由はないだろ?」
「貴方のバカは底なしですわね。同じ人間っていうだけで奇遇? いや、確かに不気味な全身灰色の薄気味悪いバケモノ──えっと、オルフェノク? そう、オルフェノクとやらがこの場にいたのは確か。だからと言って、人間と人間が顔をあわせるのは 当 り 前 ではなくて?」

 ……やはり、海堂は考えを改めなおす必要があるようだ、とようやく気付く。
 乾巧に、草加雅人の存在。それから、「数多の時間、空間という可能性宇宙」という言葉。オルフェノクの存在を知らず、人間が生活していて当然の世界。
 これら全てをあわせると、やはり、少なくとも彼女は海堂と同じ世界の人間じゃない──。

166猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:26:20 ID:FCdjcFv.
「……ひとつ訊きたいんだけど、あんた──えっと……」
「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト」
「長い名前だな。とにかく、ルヴィアゼリッタ? は俺より頭が回るっていう自信があるのか?」
「ええ、ありますとも。少なくとも、あなたの百倍、千倍は学問を嗜んでいますわ!」
「なら、とりあえず訊きたいことあるんだけどさ、アカギとかいうヤツの言ってた『数多の時間、空間という可能性宇宙』って何だかわかるか?」
「……? あのような戯言を本気にして──」
「いや、いいから、教えてくれ。さっきはああ言ったけど、実は俺そんな頭よくねえんだよ。でも、俺でもわかる言葉に言い換えられるのかもしれないんだ、な? 一番簡単な言い方にしてくれ」
「そうですわね…………可能性宇宙──多元宇宙、並行宇宙、並行世界……」

 ルヴィアゼリッタはホールではこの言葉を気に留めなかった。
 他に印象的な出来事が多すぎたからだ。思い出してみればそんなことを言っていた、とそんな感じの曖昧な記憶だろう。よくそうもはっきりと覚えたものだと、少し海堂に関心した。
 殺し合いをしろとか、目の前で化け物が死ぬとか、そんな出来事に比べて、アカギの中身のないポエムともとれる言葉は耳を傾け難かった。だが、ある意味良い着眼点かもしれない。言い直すうちに、ルヴィアゼリッタもまた、その言葉の意味に気付いていく。まあ、今の彼女には、「あくまで一つの可能性」でしかない。
 あらゆる言葉に変換していくと、最も簡単な言葉に行き着いた。
 まあ、それでも海堂がわかる言葉かどうかはわからないが。
 それを、ルヴィアゼリッタが試しに口に出してみた。


「パラレルワールド」



「やっぱり! それなら俺もわかるべ。要するに、俺とあんたは別世界の住民ってわけだ!」
「…………呆れましたわ」
「は?」
「確かに国籍は違うかもしれませんが、異世界の住民? 馬鹿らしいことこの上ありませんわね」

167猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:27:55 ID:FCdjcFv.
「…………あのさ、どうしてかな……。どうして、そう夢ないのかな。もうちょっと夢持ってみ? もしあの時ああしてなかったら……とか考えたことないの? もしあの時、ああじゃなかったら俺はこうだったかもしれない……みたいな。
 パラレルワールドってそういうもんなんだろ? あんたが『オルフェノクのいない世界』から来たって言うなら、そりゃ俺の夢見る世界だ。俺の世界はオルフェノクばっかりなのが常識だけど、あんたの世界は違うんだろ? な?」

 ルヴィアゼリッタは、彼をもう一度愚弄しようとしたが、彼の言葉がおおよそ本気なのを彼の表情で察し、態度を改める。見下したような表情を一度きり止めたのだ。この男の「オルフェノクのない世界」に対する望みが、どうやら本気らしい。泣きそうで、怒りそうで、また世界を望み笑っているような──不自然なミックス。思い込みや嘘の表情ではない。
 まあ、確かにバカだが、ある程度思考が正常な────彼はそこいらに溢れる不潔でだらしがない程度のバカであって、現実と空想の区別がつかなくなるほどではないだろう、と察した。言ってることが非現実的なだけで、一貫性もなく、筋が全く通らないほど出鱈目なことを言っているわけじゃない。
 彼の言葉は意味不明というほどでもないし、魔法少女云々よりは遥かに……。

「まあ、兎にも角にも、そういうなら貴方の世界についてしっかり教えていただけますか? 私の世界に『オルフェノク』なんていうものはありませんわ。ただ、その『オルフェノク』とかいうものに関する──筋の通った納得のいく説明と、貴方の名前を教えていただかなくては、こちらも『パラレルワールド』について信用できません」
「ん……? 名乗ってなかったか? 俺の名前は海堂直也。えっと……オルフェノクってのはな……」


 海堂はオルフェノクについて話し始める。人間を装ってはいるが、彼はオルフェノク。知っていることは山ほどある。
 元は人間であること、みな灰色で動植物の姿をしていること、大概はその力に溺れて悪事を働くこと、死ぬと青い炎を出して燃えること、既に人間世界を支配していること、村上峡児はオルフェノクであること、僅かに残った人類がカイザの力や独自の武器でオルフェノクと戦っていること……などを話していく。
 必要のある情報もあれば、必要のない情報もある。筋を通すためには、どんな些細な真実も話しておかないわけにはいかない。木場や結花や自分の正体は当然除くが、それ差し引いても信憑性を得るのに充分な情報を差し出す。
 粗方話し終えると同時に、それを察したルヴィアゼリッタは話をやめさせる。


「……なるほど、だいたい理解することができましたわ。実際、私も目の前でオルフェノクを見ているわけですし、そこまで融通の利かない性格ではありませんのよ。貴方の話を一応は信じて頭に入れておきます」
「まあ、信じてくれるに越したことはないんだけどよ、オルフェノクの話を聞いても、あんた平気そうだな。大概は恐れるとか、おびえるとか……」
「ええ。こう見えても私は身体能力にも自信がありましてよ。それからオルフェノクと思われる人間として心当たりが二人ほど……」
「ん? そいつは一体誰だ?」

168猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:28:25 ID:FCdjcFv.
 聞きながらも、何かミスでもして自分の正体がバレたのではないかと思い、海堂は冷や汗を流す。ルヴィアゼリッタの口から、海堂の名前が出るかもしれないという恐怖。
 自分の説明が詳しすぎたのだろうか。確かに、オルフェノクでもない限りあそこまで詳しくは知らないかもしれない……。海堂は俺のバカ!と心の中で自分を吹っ飛ばした。
 そんな海堂の頭の中の格闘を知らずに、ルヴィアゼリッタは話し始める。

「一人は、あのホールで死んだ男が死に際に助けを求めた『北崎』という名前。名簿にありますわ。何のミスだか、下の名前がないので男か女だかもわかりませんわね。もう片方の『影山』という名前は名簿にはありませんでしたわ。まあ、偽名を使っているかもしれませんが……」
「それで二人か?」
「いいえ。片割れだけ偽名を使うというのは変でしょう? もう一人は───────」

 ルヴィアゼリッタの表情が険しくなる。
 そのせいで、海堂は無意識のうちに睨まれているような錯覚に陥り、あまりの威圧に何もできなくなった。
 できるとすれば、平謝りだろうか。
 それをしようと、海堂が地面に手をつこうとすると──



「にっくきミス・トオサカですわ!!!!!!! あの女、前々からレディらしからぬ野蛮人だとは思ってはいたけど、あの人並み外れたしぶとさ、人間とは考えられません!!!!!!!! 紛れもないオルフェノクですわ!!!!!!!!」



 ──信用できないのはミス・トオサカだ。あいつはオルフェノクの力を楽しんでる。
 ──遠坂凛っていうやつの仕業なんだ。       by ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト



 相当苛立った様子で、彼女はギャーギャーと騒ぐ。彼女の世界にオルフェノクがいたとしても、トオサカという女がオルフェノクであるという可能性は低いだろう……それは海堂にもわかる。というより、むしろ個人的な因縁とか感情で勝手に決め付けているようにしか見えない。
 まあ、彼女も本気ではないだろう。少なくとも──。海堂は思う。こいつもバカだ、と。

 そういえば、海堂は遠坂凛という女この殺し合いの参加者の一人であった、と思い出した。ルヴィアは先ほど、北崎は名簿に載っていて、影山は載っていないという判断から影山の名前を「二人のオルフェノク」から除外している。ということは、ミス・トオサカは遠坂凛で間違いないだろう。名簿には他に遠坂なんて名前はない。
 名簿の名前はオルフェノクの感覚ですぐに覚えることができたが、このルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトという名前にはファミリーネームが同じ──確か、美遊・エーデルフェルトという名前があっただろう。「ブリタニア」、「ランペルージ」、「夜神」、「エーデルフェルト」、「アインツベルン」などはダブっていたので、特に覚えている。血縁者の可能性が高いが、だとすると……なんというか、気の毒だ。

169猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:29:19 ID:FCdjcFv.
「そういや、ルヴィアゼリッタちゃん?」
「長い! ルヴィアでいいですわ! あと、ちゃん付けはやめなさい!」
「名簿に、美遊・エーデルフェルトとかいう名前があったんだけど、それってあんたの娘か何か?」
「失礼な! まだそんなトシではありませんわ!!! ……まあ、美遊は私の義妹。それから、このイリヤスフィールという名前は美遊の友達ですわね。クロ、もといクロエも……もう大きな悪事はしないでしょう。まあ、たぶん二人の友達ですわ。仲良さそうだし。
 あと、藤村大河は美遊の担任、シェロ──いいえ、衛宮士郎は私の(本人曰く、未来の)婿。それから、あとはバゼット……一人でいるときにこの方に会ったら、『ルヴィアゼリッタは死んだ』とでも伝えておいてください」
「おい、また随分と(変わった)知り合いが多いな」
「ええ。この私の人望を甘く見ないでほしいですわね。中でも、私がシェロと呼ぶ衛宮士郎はいずれ夫婦になる運命! むしろ、この名簿は『士郎・エーデルフェルト』とでも書くべきですわ!」
「はーん。なかなかやるじゃん、ねーちゃん。……ん? ちゅーか、さっき婿って言ってなかったか?」

 海堂が怪訝そうな目でルヴィアを見るが、妄想の世界に入ったルヴィアはもはやその視線すら入らない。
 海堂など関係なしに一人で満足したルヴィアは、ここに来てから見せたことがないような満面の笑みで、海堂に向けて手を振った。

「というわけで、私そろそろ御暇させていただきますわ」
「いや、待てっちゅーに。オルフェノクとかいうバケモノがいる中、一人でウロチョロしてると危ないって」
「……で?」
「ウルトラ強い俺様が、あんたのボディガードをしてやるってわけだ」
「却下。自分の身くらい自分で守れますわ」
「遠慮はいらねえって。俺だって人間解放軍の一人だ。人間に死なれちゃ困るっていうか……なぁ?」

 素直に人間を守りたいと言わないあたりが海堂らしいといえば、海堂らしい。
 ルヴィアは海堂という男をそこまで知っているわけではないが、人間解放軍というものに所属してバケモノと戦っていたからには、ある程度の実力はあるのだろうと考えた。
 オルフェノクに出会った場合、彼が話し忘れていた対処法もあるかもしれないし、オルフェノクを相手に戦うことに慣れた彼の存在も必要になるだろう。
 まあ、生き残るには一人より二人、二人より三人だ。……信用できる人間のみの場合だが。
 ルヴィアは「彼が信用できるか、できないか」の二択の考えの結果として──


「なるほど、外見と頭脳に似合わず、考え方は素敵ですわね。いいでしょう、しばらくはあなたにボディガードを頼みますわ。ボディガード代は元の世界に帰ってからきっちり払いますわね」


 信用できる相手という方を選択した。


「──ただし、私にはシェロがいるので、変な真似をしたらぶっ飛ばします」


 男としては、例外だが。

170猫を被った蛇二人 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:30:13 ID:FCdjcFv.
【C−4/森林/一日目 深夜】

【海堂直也@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:人間を守る。オルフェノクも人間に危害を加えない限り殺さない
1:ルヴィアのボディガードとして一緒に行動する。オルフェノクであることは明かさない
2:パラロス世界での仲間と合流する(草加含む人間解放軍、オルフェノク二人)
3:村上とはなるべく会いたくない
4:パラレルワールドか……
[備考]
※草加死亡後〜巧登場前の参戦です。
※ルヴィアの主観による「プリズマ☆イリヤ」世界と人物についてだいたい知りました。
※北崎≒オルフェノク説に関する信頼度は不明です。少なくとも凛はオルフェノクではないと思ってます。


【ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:海堂と行動する
2:元の世界の仲間と合流する
3:特にシェロ(士郎)との合流は最優先!
4:オルフェノクには気をつける
[備考]
※参戦時期はツヴァイ三巻。
※海堂、木場、結花がオルフェノクであることを伏せたうえで「パラロス」世界と人物について知りました。

171 ◆WiEGmmiZ1g:2011/07/10(日) 01:31:12 ID:FCdjcFv.
以上です。
一応何度か確認していますが、思ったより長くなってしまったので問題点や修正点があったら報告お願いします。

172名無しさん:2011/07/10(日) 01:35:59 ID:GQFVleO2
>>132
投下乙ですー。
松田哀れ……出会った相手が悪すぎたよ。
桜は怖いなぁ、どうするのこれw

>>159
投下乙ですー。
ほむほむとアリスか……何て相性悪そうなw
考察とか物凄く進みそうだけど普段の会話が想像できないw

>>171
投下乙ですー。
海堂哀れな……w ルヴィアに出会ったのが運の付きかw
しかしこれも全て遠坂凛の仕業か、汚いなさすがトオサカ汚い。

173 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:37:25 ID:GQFVleO2
しまった、本題忘れてた。
投下直後で申し訳ないですがつづけてミュウツー、藤村大河投下しますー。

174 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:38:50 ID:GQFVleO2

『あ、やせいの タイガー がとびだした』


「う〜ん……?」

ふにっ

「う〜〜ん………………?」

むにっ
むにっ

「う〜〜〜〜〜〜ん……………………?」

むにょ〜〜〜ん………………パチン

「痛いって事は夢じゃないわけで……う〜ん?」

月明かりのみが照らす、薄暗い神社の境内、先ほどまで頬を引っ張っていた手を顎にあて、首を捻る女性が一人。
いきなり自分の頬をつまんだ上にその痕がくっきりと残ったままなのは妙齢の女性としてはいかがなものか。
もっとも、黄と黒の縦縞…俗に言う虎柄の長袖に、緑のワンピースという奇抜な格好をした女性に、妙齢とかそういう表現があうのかどうか…いやすいません。

兎にも角にも、女性は悩んでいた。
茶のショートに、おそろいの茶の瞳。 先ほどの服装も相まって、活発さと快活さが感じ取れそうな外見。
今は多少の憂いをも秘めた表情は、その女性の職業…女教師と相まってお色気ムンムンさをかもし出している。 そこまでにしておけよ藤村。
と、兎に角彼女の名は藤村大河。
私立穂群原学園にて英語教師を務めるにじゅううわなにをするやめ…………生徒に大人気の先生である。
同校の卒業生でもある彼女は、現役時代には剣道でならし全国まで行った女傑。
現在でも剣道5段の腕前を誇り、相棒の虎竹刀を手にまさしく文武両道容姿端麗を地でいくS(そこまでに)S(しておけよ)F(藤村)
虎をこよなく愛し、また同じくらい憎む穂群原の名物教師、通称冬木の虎。

175 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:39:30 ID:GQFVleO2

「う〜ん、あの顔色の悪い人が何か色々言ってたけど……何が何やら。
 銀河団とか言われてもこちとら英語教師なので地学とかわかりませんですよーだ。
 しかし殺し合いっておじーちゃんじゃあるまいし今時分随分と時代遅れな。
 というか勝手に出て行った誰かが燃えた後砂糖か塩みたいにサラサラになってたけどということはもしかしてバターにされるということもあるっていうのー!?」

(〓з〓)のような顔になったと思いきや、(; ̄Д ̄)なったり(a∀a)なったりと、とにかくころころと表情を変えながら意味の無いことを喋り、
そうして最後は\(>△<♯)/と思いっきり爆発する。 正直どうでもいいことに爆発しているようだが虎の名を持つ彼女にとって、ちびくろサンボの恐怖は割りと死活問題だ。

「というか大体ねー、後半何言ってるのか正直さっぱりだったんだけどその辺りどうなの?
 というかここ私の目には零観君のおうちに見えるというか昔私が間違えて折っちゃった枝とかあるしまず間違いないよね。
 そうなるとこれはもしや……」

むむむと少しだけ真剣そうな顔で唸る。
あるいはこの状況を少しでも理解出来たというのか。

「夕飯食べに士郎の所へ行こうとして、変な妄想してる間に零観君のとこまできちゃったのかなー?
 そうなると今日の私のお夕飯は二回分? おお、バビロニアの神よ、感謝します!」

どうやらまるで理解できていないようだ。
おそらく彼女はこのまま人里に下りてきた野生の虎として猟友会にしとめられるまで方々で食料をたかるという行動に出続ける事になるのだろう。
おお、タイガよ、汝の頭は幸いなるかな。

……だが、

「おい、お前」

そう、何事も上手く(悪く?)はいかないものらしい。
明かりのない境内、いまひとつよくわからない状況。

「ギャーーーーーース!?」

まるで予想してないところから声をかけられ、女性としてどうかという悲鳴を上げてしまったのも仕方のない事だろう。
もっとも、驚きながらも反撃というか手に持っていた袋を振り回し、そしてすっぽ抜けて飛んだのは仕方のない事ではないが。

176 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:40:11 ID:GQFVleO2
ーーー否、それはすっぽ抜けたのではなく、飛ばしたのだ。 藤ねぇが竹刀を担いだら用心せい。
軸足から腰を伝わり腕に至る捻転のエネルギーを帯びた竹刀を、宙に舞う事で360°いかなる方向にも正確に飛ばす事を可能とした秘儀。
其は秘伝、『虎目流、隕石流れ』

古来より……おおよそさぼたあじゅを試みる生徒というものは後を絶つことは無い。
いかに教師、藤村大河が冬木の虎と恐れられた女傑であれ、己の竹刀(かいな)の届く範囲でなければ折檻するも難し。
若き日の……未だに若き身ではあるが、藤村大河は生徒と自らへの憤りをはらすべく古書物を読み漁る日々を漫然と過ごすのみであった。
お八つ片手に読み続ける日々の中、ある古書(\105)に記された秘伝、秘しおくべき技術との出会いこそ、まさに天啓というべきものか。

太刀を振り回す最中、精密な握力操作によって鍔から柄頭にまで手の位置を変えることによる、間合いのわずかな伸張。
紙一重が勝敗を分ける太刀会いの最中において生み出された術理。
竹刀が届かぬのなら、届かせてしまえばいい。

そして始まる修行の日々。
剣道五段の腕を持つ藤村大河といえど、本来他人に伝える事すら考慮されていない秘儀の取得には長き日々を費やした。
あるときは弟分の家に乱入し食事を用意させ、またある時は部活の顧問を寝て過ごし、日々虎と呼ぶなと叫び続ける。
太刀会いではない以上間合いなど伸ばしたところで何の意味もないことに気づかぬ日々の果て。
剣(竹刀)は、大河を見捨ててはいなかった。

元より才あるものがその青春の日々を費やして習得する秘儀。
才はあれど暇な時間に弟分相手に道場で竹刀を振るうだけでは完成するはずもなく、幾度となく竹刀はすっぽ抜け、障子や掛け軸を紙のように破るのみ。
そんな日々が続くわけもなく、一週間もせずに弟分に出禁にされる。
だが、その腹いせとばかりに最後の一太刀を振るい、そして奇跡は起きた。
大河の目に映ったのは、当然のごとくすっぽ抜けた竹刀が横を向いていた弟分に直撃し、昏倒させる光景。

竹刀が飛ぶなら、飛ばせばいい。
切り付けねばならぬ太刀と異なり、打つ事を目的とした竹刀ならば握り続ける必要も無し。
原理としてはチョーク投げのそれに近しく、己が回旋に瞬発力を加えた竹刀を全力で飛ばすのみ。
一寸食い込ませるだけでも生徒(ヒト)は昏倒するのだ。
目を覚ました弟分に夕食抜きを宣告された藤村大河の目からは、涙が止まることは無かったという。

という逸話が無かったり無かったりしつつ、それでもこの技は確実に何人かの生徒の血を吸った大技。

177 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:41:10 ID:GQFVleO2
飛んだ袋は見事に謎の相手に命中。
さすがはタイガ、幽霊だろうとなんだろうと問答無用で追い返す、凄いぞカッコイイゾー

「…………」

とは、いかなかった。
明らかに、空気に混じる怒気。
声をかけただけなのにいきなり顔面に投げつけられる袋。
思わず両手を合わせて謎のエネルギー弾を生み出してしまったとしても文句は言われまい。

ちゅどーん

「ギャーーー!! ヤ、ヤツラか、謎の黒服共がまたやってきたのかー!?
 うおーどどどこからでもかかってこいやー!!」
「……おい」
「うおーーーーーーー、私は誰の挑戦でも受けるーー!!」
「…………」
「ギャーギャー!!」
「………………」
「わーわー……お?」

ひとしきり騒いだせいか、落ち着いてくる冬木の虎。
クールダウンしてみれば、騒いでいるのは自分一人。
先ほど声をかけたらしい相手は、おそらくは呆れたような表情で、大河を眺めている。
呆れたような表情という不確かな表現なのは、実際そうだからとしか言いようがない。

そう、おそらくは呆れているのだろうが、何しろその相手は人間では無かった。
白と紫の、直立した尾を持つ爬虫類という感じの体格。
それでいて、その表情はどちらかといえは爬虫類よりも、人のそれに近い雰囲気すら受ける。

「あ、え、えーとその……Do you speak English?」
「よくわからんが、何だ」
「あ、あれ日本語? あれ、でもどう見ても外国の……どこの人?」

178 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:41:51 ID:GQFVleO2
英語教師である以上、当然英語は話せる。
世界20億人と会話できる以上割と安心、と思いきやどこの里とも知れぬ相手の発した言葉は日本語。
そして、言葉が通じるならUMAとかその類ではなく、ちょっと変わった外国の人と理解したのも、仕方のないこと……では普通はないがまあしかたない。

「……私はミュウツー。 私の姿を知っているはずがないだろうが、私もポケモンだ」
「ほうほう、ポケモン人のミュウツーさんとな。 日本語お上手だね〜」
「……ポケモンを知らないのか?」

ミュウツーは、元々自然に存在する生命体ではない。
ポケットモンスター、縮めてポケモンと呼ばれ人と共存する存在。 その中の特異存在。
遺伝子の組み換えによって作り出された、遺伝子ポケモン。 人の欲望の産物である。
その高い知能は人の言語すら容易に操るため、ポケモンではない存在と認識されるのも無理は無い。
そう、ミュウツーは考えていたのだが、相手の反応は予想とはいささか異なっていた。

「ポケモン? アフリカとかそっちのほうの国?」
「……とぼけている、という訳ではなさそうだな」
「うーん、ごめんね。 私英語教師だから地理は苦手なのよ」
「いや、いい」

心理戦を仕掛けてくるような相手ではない。
そもそも、ポケモンを知らないと言い張ることに利点など何も無い。
どういう事情なのか、あの時のアカギという男の言葉から推測できなくもないが、確証には遠い。
ならば今は『そういうもの』と考えておけばいい。

「お前はこの状況をどう考える」
「ほえ?」
「この現状、殺し合いというものを強制されていることについて、だ」
「あー……」

ミュウツーの言葉に、大河は肩を落とす。

「ああ、さっきのアレは夢とか幻覚とかM.I.Bとかじゃ無いのね……」
「そうだ、紛れもない現実。 命の掛かった戦いだ」
「ううう、世の中は無情なり、南無」

179 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:42:30 ID:GQFVleO2


「それで、どうするつもりなのだ、お前は」
「あーと、そういえば私は名乗ってなかったわねー。
 私は藤村大河、穂群原学園で教師をやっているわ……ってありゃー士郎と桜ちゃんに、セイバーさんてあの子よね。 それと遠坂さんも」

ミュウツーの薦めにより、とりあえず名簿というものを目にしてみる大河。
いくつか見知った名前を見つけるが、嬉しさは感じられない。

「んー……正直まだどういう状況なのか微妙に理解できてないけど。
 真面目に答えさせてもらうなら……わっかんない、かなぁー」
「……ふざけているのか?」
「あー、うんごめん。 そういう風に聞こえちゃうよね。 でも本当に真面目な話、わからないとしか言いようがない、かな」
 とりあえずさ、私は姉として士郎の事は守ってあげなくちゃだし、家族みたいな桜ちゃんや教え子の遠坂さんの事も心配だね。
 謎の外国人のセイバーさんは……私よりも強いけど心配には変わりない、かな。
 ……で、私に出来ることってそれくらいなのよね」

表情に真剣さなど欠片もないが、それでも大河の言葉には先ほどまでにはなかった強さが感じられた。

「ちょっと関係ない話になるけどさ、士郎……あ、私の弟みたいな子なんだけどさ、その子、何か凄い隠し事してるのよね。
 私にはバレてないつもりなんだろうけど、いきなりセイバーちゃんなんて凄腕の金髪美少女連れてきて一緒に住む、だなんて普通じゃないもの。
 士郎のお父さん関連って誤魔化してたけど……そもそも切継さんだって普通じゃなかったしね」

あははー、とどこかに寂しさの漂う笑みを浮かべる。
笑って思い出すことが、故人への作法という風情で。

「で、ちょうどそれと同じ頃からかな……私達の住んでる街で怪事件が続発するようになったのは。
 多分、士郎とセイバーさん、それと桜ちゃんに遠坂さんも……かな、何か関わっていると思う」

姉の勘というべきか、女の勘というべきか。
いずれにせよ、通い妻してる桜の気持ちにも気づけない朴念仁の士郎如きが隠し事など10年早い。
だがそれでも、それについては問わない。

180 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:43:02 ID:GQFVleO2
「そして、士郎は私をそれに巻き込みたく無いと思ってる。 弟分のくせに生意気なって思うんだけど……士郎が言わないなら、私からは言えない。
 士郎は、多分ずっと昔、切継さんに引き取られたときから、こうするだろうと思ってたから。
 セイバーさんにぐうの音も出ないくらいコテンパンにやられたのもあるけど、私には多分、それくらいしか出来ない。
 士郎が安心していられるように、またいつもの日常に戻れるように。 いつも通りの私でいることが、私にできる事、なんだと思う」
「…………」
「うん、だからっていうんじゃないけど、私は殺し合いだろうと何だろうと、出来ることしか出来ない。
 士郎達が何も言わないなら、私はただたまたま居合わせた冬木の虎として、剣を振るう。
 怯えて震えてる桜ちゃんがいたら先生として助けてあげる、それくらいかな」

そこにあるのは、おそらくはミュウツーが初めて目にする存在。
野心や希望という強く響く感情ではなく、包み込むかのような、慈愛。
純粋に個人のことを案じる、良き大人という相手。

「なぜ、そんな細かい事まで私に言った?」 
「ん? いやまあ聞かれたからだけど……ミュウツーさんは多分いい人だし」
「いい人……か」
「んー、というかもしかしたら本当に人でないのかもしれないという懸念がひしひしと沸き上がってきてはいるのですが、それでもいい人よねきっと」

生み出されたポケモンとかそういった事情など知りもしない無責任な、
けれど知らないからこそ言える、純粋な評価。

ミュウツーは、悩んでいた。
かつて、彼は人間を憎んでいた。
自らの欲望のために自分を含むポケモンを利用する、悪しき存在として。
だが、サトシという少年との出会いにより、彼は憎しみを捨て去る事が出来た。
そうして、人への憎しみをすて、自らと同じ生み出されたポケモン達と暮らす日々。
ふたたび、ミュウツーは悪しき人間達にこのような場に駆り立てられた。

果たして、人間とは善なのか、悪なのか。
そして、その人間に作られた自分は、どうなのか。



181 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:43:39 ID:GQFVleO2
少なくとも、大河という女性はミュウツーを善と称した。
サトシも、間違いなく善と言うだろう。
だが、彼を生み出した男…サカキは悪と呼ぶのではないか。

「他の人を巡る、ねぇ」
「ああ、お前の言葉は参考にはなった、だがそれでもまだ答えには遠い」
「むぅ、なにやら突くと蛇が出そうな難しそうな話の予感」

二人とも、あるのは異なる目的。
ミュウツーは、まだ己を決めかねている。
だからこそ、大河と共にではなく一人で他の人間を巡りたかった。
その先に、あるいは非情な決断があるかもしれず。

「サトシ、それとタケシという少年に会うといい。
 逆にサカキ、という男には気をつける事だ。 出来るなら会わないほうがいいだろう」
「ふむふむ、あ、私の知り合いは」
「先ほどの話の中で聞いた。 出会う事があれば、話には出そう」 

……ただ、穏便にとはいかないかもしれないが。
大河の言葉が本当ならば、その者達は何かを隠している。
あるいはそれが、この現状において何か重要な一手となることもある。
それともう一つ、大河に心配をかけている事に、わずかな憤りもある。
もっとも、それを口に出すことは出来ないのだが。

「さらばだ、タイガー」
「おう、じゃあねー! ……ってタイガーっていうなー!!」

182 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:44:37 ID:GQFVleO2
【B-2/柳洞寺/一日目-深夜】

【藤村大河@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(未確認)
[思考・状況]
基本:出来ることをする
1:士郎と桜を探す
2:セイバーと凛も探す。
[備考]
※桜ルート2月6日以降の時期より参加。
※ミュウツーからサトシ、タケシ、サカキの名を聞きました。

【ミュウツー@ポケットモンスター】
[状態]:健康、頭部に軽い痣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:人間とは、ポケモンとは何なのかを考えたい。
1:相手を選びつつ接触していく。
2:サカキには要注意。
[備考]
※映画『ミュウツーの逆襲』以降、『ミュウツー!我ハココニ在リ』より前の時期に参加。
※藤村大河から士郎、桜、セイバー、凛の名を聞きました。 出会えば隠し事についても聞くつもり。
※柳洞寺の境内にちょっとだけ爆発痕。

183 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/10(日) 01:48:27 ID:GQFVleO2
ふう、以上ですー。
五時脱字展開におかしな点等ございましたら指摘お願いします。
ちなみに虎目流、隕石流れは氷室の天地というスピンオフ?に一コマだけ出てる技を適当に広げたものです。
問題あるようでしたら>>176を丸ごと削れば話はつながるように出来てます。

184名無しさん:2011/07/10(日) 01:52:17 ID:jtsXPahg
投下乙です

海堂みたいなタイプは受け付けないだろうなとは思ったがここまで毒舌吐かれるとはw これは酷いw
ただ、強い奴多いから下手したら死ぬぞ。士郎だって…
海堂も隠しごとは…

タイガーさんは相変わらずだわw でもそれが清々しくていいわ
でも、士郎も桜もセイバーも…
ミュウツーも穏やかな時期から来てるな。これは一先ず安心か
だがえげつない人間と出会ったら。しかも士郎らと出会ったら…これは誤解フラグか?

185名無しさん:2011/07/10(日) 06:58:13 ID:1rwESAKE
投下乙

海堂さんんが海堂さんで安心した
オルフェノクである事を隠すとは…たっくんみたいになりそうだぜ

そこまでにしとけよ藤村
タイガーは今日も平常運転です
さて、ミュウツーも果たしてどうなるか……えげつない人間が多いしなぁ、ここ

186名無しさん:2011/07/10(日) 14:18:06 ID:abnlVFHA
…誤字(というより脱字?)を申し上げます。
◆rNn3lLuznA様の『Night of Knights』ですが、
ナナリー・ランペルージの『ランペルージ』がほとんど
『ランページ』になっているようです。

187 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:40:12 ID:bsE///66
完成したので北崎、シロナ、クロエ投下します

188最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:41:52 ID:bsE///66
「どうして…?聖杯戦争は起こらないんじゃなかったの…?」


クロエ・フォン・アインツベルンは名簿を見ながら疑問を口にする。
あのアカギという男が演説していた広間で確かに見た。
英霊、バーサーカーを。
それだけならばクラスカードが顕現したと考えただろう。
しかし名簿にはバーサーカーのみならずセイバーの名もあった。
それはつまり…?


正直何が起きているのかは分からない。
だが、イリヤやミユ、リン達にシロウお兄ちゃんまで参加させられているのだ。
特にシロウお兄ちゃんは一般人。もしもサーヴァントと会うことがあれば……、


「急がないと…!お兄ちゃん、絶対に死なないで…」


クロは走りだし、


爆風に飲み込まれた。



189最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:43:37 ID:bsE///66

「へえ、あれで死なないんだ。君なら楽しめそうだねぇ」


声の主は偶然見つけたクロに対して支給されていたRPG-7を発射した。
その行為に特に意味はない。
ただ支給されていた武器を特に意味もなく、それこそ殺意すらなく人に向けてぶっ放した。
それだけだ。その結果相手が死んでしまおうと、特に気にすることは無い。
彼、北崎はそういう男だ。


「っ!ぐっ、何すんのよ…?!」


少女は爆風前と比べて服装が変わっており、左腕を押さえていた。
爆風で怪我でもしたのだろう。


「ま、それでも少しぐらいは楽しませてくれるよね?」



そう言って北崎の顔に紋様が浮かび上がり、その姿を灰色の怪人へと変える。
ドラゴンオルフェノク。オルフェノクの中でも上位に位置するラッキークローバーの中でも最強といわれる存在。


「あの時の怪人の同類…?!」


クロはその姿を見て、アカギによって灰にされた怪人を思い浮かべた。
そして直感的に感じる。この男はサーヴァントと同じくらいに危険な存在だと。

190最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:45:19 ID:bsE///66
クロはその姿を見て、アカギによって灰にされた怪人を思い浮かべた。
そして直感的に感じる。この男はサーヴァントと同じくらいに危険な存在だと。


見逃すには危険。だが片腕では弓撃はできない。
動かせる右腕に干将を構え、突っ込んでいくクロ。
北崎は避けることも守ることもせずただその剣をその身に受ける。
その一撃は万全なときのクロの全力とは程遠い威力しかなかったが彼女なりの本気の一撃。
しかしそれは北崎の身を揺るがせただけであった。

「…?」

表情は見えないがなぜか怪訝そうに首をかしげる北崎。傍からみれば隙だらけである。
もう一撃と返す腕で斬りつけるが北崎も腕の装甲を振り上げ、迎え撃ってきた。
あまりの怪力に干将は吹き飛び、遠くへ飛んでいった。


「なら、こいつで…」


クロは北崎の頭上に跳び、そこで偽・射殺す百頭を投影。
片腕では扱えないこの石剣を重力に任せて叩きつける。

―――ガァン

さすがに直撃はまずいと思ったのか、左腕の装甲で受け止める北崎。
装甲が砕けるもまだ大したダメージは与えられてそうには無かった。




(じゃあ、もっと強力な――あれ?)

クロの視界がふらつく。
この感覚は魔力不足に陥ったときの物と同類だった。

(どうして?まだそんなに魔力は使っていないはず…)

191最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:47:09 ID:bsE///66
あの攻撃からの防御、二度の投影。
まだ魔力が切れるには早すぎる――

「…ぐっ!」


だがそんな状態を見逃してくれるはずも無く、近付いてきた北崎に放り投げられる。
地に伏せられるクロ。
北崎はその上に容赦なく足を乗せて踏みつける。

「うあっ……!」

足を離させようともがくも傷ついた体ではその巨体を動かすこともできない。
そしてクロは気付く。
足が触れている所、胸を覆うプロテクターが少しずつ灰となっている事に。
これ以上はまずい。そう思ったところでどうすることもできない。
このまま踏み続けられると間違いなく体が灰になっていくだろう。
だがそれが分かったところでどうすることもできない。


「こんな奴に…!」
「こんな奴っていわれるのも何かむかつくね。
 いいよ。殺してあげる」

そして踏みつけられた体勢のまま腕の巨大な爪をこちらに向かって振り上げ――






「ドラゴンダイブ!!」




何かがクロの上を通り過ぎ、北崎を吹き飛ばした。

192最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:49:14 ID:bsE///66
「間一髪ってところだったわ。大丈夫?」

金髪のロングヘアーに黒のロングコートの女の人がそばに駆け寄り手を差し伸べてきた。
その手を取りつつクロは北崎の吹き飛んだ方向に目をやると、そこではサメとドラゴンを合わせたかのようなモンスターがこっちを庇うかのような位置に立っていた。


「ガブリアス、こっちよ」
「ガウッ!」

そう言うと素早くその竜、ガブリアスは女の人のそばまで寄ってきた。

「へえ、それ、ベルトの力でもオルフェノクの物でもないね。
 それと戦ったほうが面白そう」




「ガブリアス、頼める?」
「コクッ」
「なるべく攻撃は避けるように素早く動くのよ。噛み砕く!」


指示と同時にガブリアスはかなりのスピードで北崎の目前まで迫り、その牙をもって噛み付く。
北崎は残った右腕の装甲で受け止める。



「ストーンエッジ!」


ガブリアスの周りに岩の破片が漂い、食らい付いたままの至近距離で発射された。
さすがに効いた様子で後ろに下がる北崎。
反撃とばかりに装甲の爪を振り上げて突き刺そうと迫るもガブリアスは軽々と避ける。


「ドラゴンダイブ!」


死角に回りこんだタイミングでシロナは北崎を吹き飛ばしたあの技を指示。
食らえば大ダメージは免れない、しかし北崎の動きでは回避は困難。


しかしそんなシロナの予想は外れた。
ドラゴンダイブが当たる直前、北崎の全身が弾け、中から細い何かが飛び出してきたのだ。

193最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:51:47 ID:bsE///66
ドラゴンオルフェノク龍人態。
さっきまでとはうって変わって目で追うのもやっとな動きを始める北崎に今度はガブリアスが防戦一方に追いやられる。


北崎が移動、攻撃をするたびに雷が辺りに迸り、ガブリアスを襲う。
地面タイプを持つガブリアスにそれ自体はダメージを与えることはない。
しかしあまりに多すぎる、周囲に走る閃光に視覚を奪われ対応が遅れてしまう。
その一瞬をも命取りとするほどのスピードで殴りかかってくる北崎にガブリアスは反応できないでいた。

そう、ガブリアスだけであればこの状況を抜け出すことはできなかっただろう。



「地震!!」


シロナのその指示を聞いて、北崎の攻撃の一瞬の合間にガブリアスは吼えた。

二竜の戦っている周囲の地面が揺らぐ。
高速で動いていた北崎はその揺らぎに足場のバランスを崩され、動きを止めざるを得なくなる。


「今よ!ドラゴンダイブ!!」


宙に飛び上がったガブリアスは今度こそ決めるためにドラゴンダイブを仕掛ける。
バランスを崩して地に膝を付けた北崎は瞬時にその身を魔人態へと変化。
復活した両腕の装甲で受け止める体制を作り、

ガブリアスのドラゴンダイブが炸裂した。




194最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:54:50 ID:bsE///66


「…すごい……」

クロはその光景を見ながらそう呟く。
あのドラゴンの強さもさる事ながら、戦いの中で相手を見定め的確な指示を出していくこの女性も。
また、その指示をまた的確に反映していくことからもドラゴンと女性がどれだけ信頼し合っているかも分かる。

しかし、

「随分とタフなのね。まだ戦えるというの?」

それでもあいつは立っていた。
両腕の装甲は砕けていたがまだ戦えそうな雰囲気を出していた。
女の人は予想していたのか、あまり驚いた様子はなかったが。


「あー、何だか疲れた」
「?」


そう言って怪人は人間の姿に戻った。
さすがにこの展開は予想していなかったのか、女の人は少し驚いていた。


「なんか今日は妙に疲れるし、特別に見逃してあげる。
 本調子なら当然僕が勝つんだけどね」
「……」
「君、なんていう名前なの?」
「私はシロナ。この子はガブリアスよ」
「ふーん。次に会ったらどっちが強いかをちゃんと決めてあげる。
 これ、貰っていくよ」


名前を聞いておいて自分は名乗りもせず、少し離れた所にある巨大なバイクに乗り込む。
ていうかそれ、


「そのバイクわたしの!返せ!!」


抗議の声を上げるが特に耳を貸す様子もなく、そのまま走り去っていってしまった。

195最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:56:49 ID:bsE///66


北崎は機嫌がよかった。
あのRPG-7を発射したのも、それが理由である。
いままで彼の触れた物はほんの一部の物を除いて全て灰になってしまう。
ダーツもできないし紙飛行機も飛ばせない。
しかし、ここではこのデイパックも中のものも一切灰になることはなかった。
それが嬉しかったのだ。
体に掛けられた制限による弱体化も、それでゲームが楽しめるならいいかと思ってしまうほどに。


「そういえばあのガブリアスって竜、あそこにいたあれと同類かな?」


思い出すのは最初のホールにいたアカギの背後に一瞬現れた影。
うっすらと見えたそれはなんとなくあの竜と近いもののように思えた。


「ま、どうでもいいか」


しかし特に気にもせず北崎はバイク、ジェットスライガーを走らせ続ける。
その顔に無邪気な笑みをたたえて。



【E-6/砂地/深夜】
【北崎@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)(両腕のダメージが若干大)
[装備]:ジェットスライガー@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:ゲームを楽しみ、優勝する
1:見つけた参加者は殺す
2:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
3:シロナとガブリアスとはまた会えれば戦いたい
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
 また、灰化発生にはある程度時間がかかります

196最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 15:58:20 ID:bsE///66



「行ったようね」
「追わないんですか?」
「それがこの子もかなりダメージを受けてるみたいで…。
 正直この子無しだと彼と戦うのはかなり厳しいのよね。
 あなたのバイクのことはごめんなさい」
「いえ、こっちこそありがとうございます」
「どう?立てる?」
「あ…、ちょっとキツイ…」

あの怪物相手に魔力を消耗しすぎてしまったようだった。
加えて片腕の怪我。
正直立つこともままならない。
魔力回復の手段は………

「………」
「どうしたの?」

初対面の人に頼むことじゃないのは分かっている。
助けてくれた相手をあんな状態にするのも気が引ける。
何より、今となっては何故かすごく恥ずかしい。
だが………―――背に腹は変えられない。

「あ、ああ、あの、一つお願いが…」
「何かしら、私にできることなら遠慮しなくてもいいのよ?」
「わ、わたしと……」


「わたしとキスしてください!」


【E-6/平地/深夜】
【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、左腕不調
[装備]:戦闘服(胸部プロテクター無し)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
1:魔力回復をしたいけど…
2:みんなを探す。お兄ちゃん優先
3:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
4:どうしてサーヴァントが?

[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています。

197最強の竜 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 16:00:18 ID:bsE///66
【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:ガブリアス(ダメージ中)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
0:え?
1:少女の保護
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:ゲーチス、N、サカキを警戒

[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です


【ジェットスライガー@仮面ライダー555】
スマートブレインモーターズ製の超高性能バイク。
最高時速1300km。 ホイールを倒して滑空、並行移動、飛行が可能。ミサイルも装備している。
本ロワでは普通のバイクより少し早い程度の速度しか出せず、ライダーズギアによる呼び出しも不可。


【RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ】
暁美ほむらがワルプルギス戦にて使用した対戦車榴弾砲。
魔力による威力強化がなされている。


【シロナのガブリアス@ポケットモンスター(ゲーム)】
チャンピオン、シロナの切り札。ドラゴン、地面タイプ。メス。
細身の肉食恐竜のような体系に鮫のような鰭、頭部を持つ。
能力は全体的に高く、チャンピオンのポケモンであることも合わさってかなりの実力がある。

198 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 16:03:45 ID:bsE///66
投下終了です
問題点などがあれば指摘お願いします

199名無しさん:2011/07/10(日) 17:05:30 ID:r//FHPj2
投下乙。
シロナΔ!やっぱり大人の女性だよね!
現状一番アカギに近い存在だし戦力も整ってるから安定感がある。
北崎は気まぐれ故になにするか分からん怖さがあるな。暴れたり飽きたり遊んだり・・・
制限で灰化が弱まってるのは彼としては気分がいいのか。

指摘は小さいといえば小さいですが、クロはあまり敬語は使わないタイプですね。
魔力供給も知らない人にはホイホイ吸っちゃいそうな・・・それはそれで危ないなあ。

200名無しさん:2011/07/10(日) 18:17:44 ID:O.oJ1xyU
ちょっと見ない間にすごい投下が
Night of Knights
ほむほむぼっちになるかと思ってたらとりあえず友達ができてよかったね
ただコミュ能力が相変わらずな…先が楽しみだけど不安なコンビだ

猫を被った蛇二人
これはいい凸凹コンビwだが海堂さんそれを隠すのは後々まずいかも知れないぜ

>>174
タイガー逃げ…あれ?ミュウツーが丸いだと
お互いに初めてみるタイプの人(?)のはずなのにちゃっかり意気投合しとるw

最強の竜
北崎を引かせるとはシロナさんすげえ
タイプ相性が生きてるなら天敵はジ・アイスあたりか

書き手の皆様投下乙でした

201名無しさん:2011/07/10(日) 18:34:34 ID:yd6psLLI
投下乙です

北崎はやっぱりつええ。その北崎を退けたシロナさんとガブリアスもつええぞ
でもダメージは受けたがバイクを手に入れて機動力が上がったのは怖いかも
次は何処へ行くやら

202名無しさん:2011/07/10(日) 19:49:20 ID:1rwESAKE
投下乙!!

流石はシロナさまだ。
正直流石に北崎相手だと苦しいと思ってたけども、見事に退かせてくれたぜ
そして北崎の邪気の無い殺意が怖い。バサカと並ぶ無差別マーダーとして場を荒らしてくれそうだ

203名無しさん:2011/07/10(日) 22:57:48 ID:7g38yRCc
>>198
投下乙ですー。
北崎は怖いなぁ。 そしてガブリアス強し。
だが全て最後のクロに持ってかれた感があるwww

204 ◆zYiky9KVqk:2011/07/10(日) 23:51:48 ID:bsE///66
>>199
指摘ありがとうございます
敬語に関しては後ほど修正をしておきます
下のほうは…ここはどうかお一つ

あと見せしめになった琢磨さんに触れるのをすっかり忘れていたので
>>195をこうさせてください

>しかし、ここではこのデイパックも中のものも一切灰になることはなかった。
>それが嬉しかったのだ。
>体に掛けられた制限による弱体化も、それでゲームが楽しめるならいいかと思ってしまうほどに。

の後に

>それまでいじめつづけていた、同じラッキークローバーの琢磨逸郎の死をすっかり忘れてしまうほどに。

の一文を追加で

205 ◆rNn3lLuznA:2011/07/11(月) 00:42:42 ID:VOFep6tY
>>186
mjd?
……と思って調べてみたら、確かに脱字ってたorz
wikiに収録されているものには後で修正しておきます……
情報ありがとうございます

ところで、別の方もおっしゃってましたが、wiki収録後の本編の誤字・脱字などの修正をする際はここで報告でいいんですかね?
wiki編集に関する専用のスレとかもあったほうが便利?

206 ◆KU8Z8Sj0kI:2011/07/11(月) 04:03:11 ID:nfGpsxHQ
佐倉杏子、夜神総一郎、両名を投下いたします。

207終人たちのプロローグ ◆KU8Z8Sj0kI:2011/07/11(月) 04:03:39 ID:nfGpsxHQ
──あまきもの 処女の唇 いとあまき──
 
 佐倉杏子は考えてみた。
 いま現在この場所で何が起こっているのかを。
 どうやらただならぬ状況であることは理解できる。
 それは誰だっていきなり一人になるまで殺し合えなんて宣言されたら、そう思わざるを得ない。
 が、そういう事だけではなく、なぜこうして自分は平然と菓子を食べながら呑気にビデオを見ているのであろう?
 
──かたきもの 処女の乳房の いとかたき──
 
 ハッキリ言えば、自分はすでにこの世から家族や友達と同じように死んじゃったんじゃないかと思っている。
 でも自分はこうして五体満足。
 体から溢れる活力で、恐らく魔法少女にもなれる。
 
──さむきもの 処女の臀部(おしり)の いとさむき──
 
 そりゃあちょっと前の自分ならば最後の一人になるまで無謀にも突っ走ったかも知れない。
 けれども、さっき言った通り死んだあとにそんなことを言われてもなあと脳内で愚痴りながら、
 彼女は羊羹をパクリと口にする。
 うまい。 しかも二口目でありながらまだまだかぶりつける量が残っている。

──せまきもの 処女の水門 いとせまき──

 自分の顔ほどある羊羹なんて、今まで見たこともなかった。
 本来なら切って整えて食するのが正しいだろう、
 しかし5本詰めかつ、同じものがこの他に4つもあるのだからと、
 大胆に、まるでバナナのようにかぶりつく。
 これで先ほど言った通り途轍も無く美味しいのだから、
 変な話だが、正直この場所に召還されてよかったと思っている。
 
──すごきもの 味を知ったら ものすごき──
 
 そんな下品に高級菓子を頬張る佐倉杏子に目前に、
 すっとお椀に入ったお茶が運ばれる。

──うわきもの! 男くるわす うわきもの──

「お。 サンキュー」

──お前の名前は…──

 ちょうど飲み物が欲しかったんだよねーっと付け足し、
 ちょっと熱めのお茶をゴクゴクと飲み干す。
 
──お・ん・な!──
 
 そんな様子にお茶を運んだ本人、
 夜神総一郎は言葉遣いの悪さに呆れながらも、そのあどけない姿に
 どこかほっとした表情を見せている。
 
──「おいらが天府に来たからにやあ花変化ごとき目じゃないぜ! 陽気に触るんだ! 不景気な面している女は! たったっ斬るぜえ!」──
 
 
 ☆ ☆ ☆
 時間は少し遡る。
 
 夜神総一郎は考察した。
 今、私は現代日本ではありえない不条理に巻き込まれているのではないか。
 と一年ほど前の自分ならばそう感じて、すぐ様現状打破、すなわち殺し合いを止めるために奔走したであろう。

208終人たちのプロローグ ◆KU8Z8Sj0kI:2011/07/11(月) 04:04:06 ID:nfGpsxHQ
──ひらきもの 触ればすぐに 股ひらき──
 
 しかし、夜神総一郎はこの一年の間によって世間一般的な考え方から変わった、否、変わってしまった。
 不条理に対しても、人が死ぬということに対しても。
 全てに対して受け入れられる体制になってしまった。
 それも全て、『キラ』と呼ばれる人類史上最悪とも言っても差し支えないであろう『犯罪者』によって。
 
──うめきもの 入れりゃ途端に すぐうめき──
 
『キラ』によって失ったものは決して少なくはない。
 同僚や力なき者、そして最愛なる息子。
 奴によって殺されたものは数知れない。数だけ言えば現在進行中の儀式とよりも遥かに多い人間が被害を受けている。
 いや人の命に多いも少ないもないが、少なくとも全てが終わり間もなく憔悴しきっている(無論意地として顔には出さない)
 現今においては、近しい人いないことにホッとしていてる。
 鞄に入っていた名簿には、何故か事件で亡くなった友や戦友、息子の名前が書かれていた、恐らく同姓同名、あるいは勘違いの類だろう。
 総一郎は一瞬人を殺すノートがあるのならば、人を生き返す何かがあっても不可思議ではないと考量したが、
 それにしても自分の世界ではすでに死んだことには変りない。
 はたして何かの力を使って生き返ったとした人物が、はたしてその前と一緒なのであろうか、答えは敢えて記さない。
 ついでに部下の名も存在しいたが、そこまで柔ではないことを知っているから心配はしていない。
 
──しぶきもの 股の間に 立つしぶき──
 
 もちろん警察官の責務を蔑ろにするわけではない。
 ただ名簿を探したときに偶然に手にとった物体、舞台のDVDに彼は目を奪われた。
 そのパッケージに写されていた(DVDに登場している役者であろう)人間に、
 自分の息子、『夜神月』の生き写しと断言しても過言ではないほど酷似している役者がいたからであった。
 その瞬間数々の親子としての出来事が回顧した。
 
──つよきもの 腰の蝶番の 発条(ばね)つよき──
 
 本来であればこんな物一蹴していただろう。
 けれども胸からこみ上げる何かによって彼はこの演劇をすぐに見たいと言う欲求を呼び起こされる。
 彼はそのDVDを持ち、近くにある民家に入っていく。
 不法侵入などもっての外のことなのであろうか、現状においては軽犯罪など気にしてはいられない。
 
──よなきもの 蕎麦屋じゃないのに よくよなき──
 
 手近に位置に存在していた民家に、一応礼儀正しく入室をし
 AV機器がありそうな居間へと歩みを進める。
 
──うわきもの! 男まよわす うわきもの──
 
 家の奥へと進み、居間あろう場所に上がりこむと、自分の娘より少し幼いであろう少女が
 老舗の和菓子であろうものにキラキラとした目で凝視していた。
 と、自分の存在に気づき、こちら側を注目する。
 常に不条理を経験している身としたからのかはわからないが、総一郎は一応不測の事態に対して対処できる構えを取る。
 それを見て少女もキッとしまった顔をし、体躯を整えていた。
 
──お前の名前は… 
 
 だがそれを見た総一郎はすぐ様構えを解いて
 全身の力を抜いて、そして嫌味なく口を抑えながら小さく笑う。
 そんな様子に少女はなんだよっとむっとした表情で総一郎に語りかけてきた。
 対して総一郎は朗らかな顔、娘や息子に語りかけるときのように一言。
 
「いやあ、すまない。 そのお菓子が食べたくてしょうがないような目を見て、な」
 
 少女の目は自分を見ながらチラチラと横目で自分の鞄に入っていたであろう和菓子を覗いていた。
 そんな様子を警察官である夜神総一郎は見逃すはずもなかった。

209終人たちのプロローグ ◆KU8Z8Sj0kI:2011/07/11(月) 04:04:46 ID:nfGpsxHQ
──お・ん・な!──
 
 少女は正論を突かれたことに顔を赤らめさらにむくれる。
 総一郎はそんな少女にまた微笑む。
 緩やかな空気になったことを感じ、総一郎は少女に向かって夜神総一郎だと名を告げる。
 少女はそれに応じるべく佐倉杏子だと返答する。
 こんな状況とは言え年長者と相対する口調じゃないなと、総一郎は昨今の躾の甘さに対して憂いた。
 もっとも、彼女の髪型などを見る限り育ちや血筋による文化の違いの可能性があるため深くは追求することはない。
 
──「とっつぁんよ! 見ててくれ! とっつぁんの恨みは この王次が晴らすぜ!」──
 
 それをきっかけに夜神総一郎は息子に似ている役者が出ているDVDの再生準備をしながら、
 佐倉杏子はお菓子を満足に食べるために電気ポットとお椀を探しながらしながら軽くお互いの話をする。
 無論デスノートのことは話さなかった、こんな場面でもまさかノートに名前を書いただけで
 人が殺せるものの存在していたなどとても信じられるものではなかろう。
 また話の最中、佐倉杏子は自分と同様に何か重要なことを言わず濁しているニュアンスを感じられたが、
 それも深く詮索することはなかった。
 
──やわきもの 男まどわす 肌やわき──
 
 準備が整いDVDを再生する。
 二人はDVDが再生されているTV前のソファーに陣取った。
 二つの間にあるテーブルにはお茶と和菓子が点在されている。
 
──こわきもの 欺(だま)せば化ける げにこわき──
 
 DVDで写された演劇は任侠劇ありながら、題名の通り各所でオマージュなどが現れていた。
 役者の熱演も踏まえて、楽しめている。
 なのによも総一郎の心を震わせているのが息子に酷似している役者。
 彼の熱演には本当に感動すら覚える。
 そして、この役者が自分の息子であったならばと。
 
──たかきもの お金で買えば ぶったかき──
 
 この作品はお下品な部分もあり妻はともかく娘と共に見るにはは少し厳しいが、
 これほどの演技を出来る名優だ、王道的な舞台劇の主演も張っていても不思議ではない。
 その劇を家族で見に行き、終劇後に舞台裏で褒め称える。
 もし彼が息子であったならば、そういう幸せを感じられたであろう。
 
──あしきもの 欺し嘘つき 性(しょう)あしき──
 
 グッと何かが総一郎に込み上げてくる。
 それをこらえるのは決して容易くはなさそうだ。
 子どもを失う、それが親にとってどれだけ悔しく、儚く、切ないことは今に言うことではない。
 例え悪魔に落ちようが死神になろうが、子供は親にとっては子供のままなのだ。
 幾らでも息子を悪魔がから救う手立てはあった、けれども自分は救えなかった。
 いっそ何も知らずに、自分が先に死んでしまったほうが楽であったのかも知れない。
 
──ずるきもの 打算に計算 そのずるき──
 
 だからなのであろうか、自分が慌てもせずに呑気にDVDを見るなんて愚かすぎる選択をとったことは。
 心の奥底でこのまま死んでしまっても良いという気持ちが、こんな逃避的な行動に移させる。
 夜神総一郎そんな姿を佐倉杏子に察せないために、急須を手に取り空になっていた佐倉杏子のお椀に茶を入れた。
 相変わらずな口調に苦笑しすこし心が冴えたあと、夜神総一郎は再び画面を注視する。
 
 ☆ ☆ ☆
 
 佐倉杏子は再び考える。
 どうしてこんなおっさん(と言っても警察官の偉い人)と一緒におっさんが持ってきたビデオを見ているのであろうかと。
 まあ別にビデオなんか見ずにさっさと退室しても良かったのだろうけど、なんか見てもいいかなとい気になってしまったのだからしょうがあるまい。

210終人たちのプロローグ ◆KU8Z8Sj0kI:2011/07/11(月) 04:05:25 ID:nfGpsxHQ
──うわきもの! 男喰い荒らす うわきもの──
 
 それよりも一つ気になったのはこのおっさんのある役者を見る目、同時に醸しだされる空気。
 先ほど自分の目線について図星を突かれたが、今回は逆であった。
 最初はこの役者のファンなのかな、と考えもしたがそれよりも先に佐倉杏子はこの目や雰囲気を知っていた。
 かつて自分自身が家族を失ったときの目、それと今のおっさんの目が、あるいはおっさんから醸しだされる空気が途轍もなく似ていた。
 と言うことはこの役者は家族、もしくは家族に似ているのかと佐倉杏子は判断した。
 だからなのであろうか、最初からどうもこのおっさんに親近感を覚えたのは。
 
──お前の名前は…
 
 まあいいかととりあえずはその思いを心にしまい、羊羹を口に含む。
 ビデオはどこかで見たようなシーンがチラホラ有り、何か抜けた部分もあって面白い。
 今はこれが終わるまで、楽しむとしよう。
 あたしにも有意義な時間があってもいいだろう。
 そう心に呟きながら、佐倉杏子は目線をテレビに向けた。
 
──お・ん・な!──

【3-D/民家/一日目-黎明】
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康 劇に夢中
[装備]:羊羹(1/2) 印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×4
[道具]:印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入(手の届く所置いてある) 不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:何すればいいかわかんねー!
1:とりあえずうまい羊羹食いながらおっさんと一緒に劇を見る。
2:見終わった後はどーっすっかなー。
[備考]
※参戦時期は9話終了後です。
 
【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康 脱力感 劇に感心
[装備]:羊羹(2/3)羊羹切り
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD](家内のDVDプレイヤーで視聴中) 不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:今は少し休みたい。
1:この劇をすべて見る。
2:その後は……?
[備考]
※参戦時期は後編終了後です。

支給品紹介
【印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×5@現実】
 東京都港区赤坂に本社を構える老舗の製菓業、『とらや』にて製造、販売されている超高級菓子。
 このサイズだと、一本5000円以上である。
 三種類入り。
 
【天保十二年のシェイクスピア [DVD]@現実】
 唐沢寿明、藤原竜也、篠原涼子他多数有名役者が出演。
 蜷川幸雄演出、唐沢寿明主演のシェィクスピア作品の要素を盛り込んだ任侠音楽劇。天保十二年の下総を舞台に、ヤクザ一家の対立を利用して、
 渡世人・三世次がのし上がろうとする姿を描く。総勢47人による、歌やチャンバラなどの迫力のシーンも見どころ。
 一時期ニコニコ動画や2chでとあるシーンが注目された。

211終人たちのプロローグ ◆KU8Z8Sj0kI:2011/07/11(月) 04:06:29 ID:nfGpsxHQ
以上で投下終了です。
何かとてつもないく重要な問題点などありましたらご報告下さいませ。

212名無しさん:2011/07/11(月) 04:50:12 ID:H3sUcGTo
投下乙です。
……
…………
………………………
観とる場合かーッ!
二人とも完全燃焼しちゃってるよ!いや仕方ない時期だけどねw
灰になっちまってる…(参戦時期が)遅すぎたんだ……

213名無しさん:2011/07/11(月) 07:36:15 ID:JMHDS5es
投下乙です

やべぇあんこちゃんカワイイwwww
燃え尽き症候群が2人してDVD見るとかシュルーだなぁwwww

でも何となく好きですよ、この話

214名無しさん:2011/07/11(月) 09:32:48 ID:TJehxfX.
投下乙!

駄目だこの二人早くなんとかしないと……
あんこは自爆前から、夜神パパは息子と対峙している時から来てれば違ったんだろうな
そしてDVDのチョイスがナイスすぎですwww
やったね夜神パパ、カイジだったら息子はダメ人間役だったよ!

215名無しさん:2011/07/11(月) 09:37:58 ID:7lJgCGsg
投下乙です
もうお前ら家族になっちまえww
月の名前って同姓同名で片づけられるくらいありふれてるのか単なる逃避なのかお父さんガンバ

216名無しさん:2011/07/11(月) 15:00:14 ID:RDgShosU
投下乙です。
まさかこの時期からの参戦とは…
そういえば多ジャンルロワでの月はデスノートを拾う前からの参戦だったが、
このロワの月はいつの時期からの参戦になるのだろうか…

217名無しさん:2011/07/11(月) 19:06:35 ID:KX.Ewyj.
投下乙乙!
殺し合いの最中DVDを見る燃え尽きコンビてまたシュールなw
杏子はもともと自分のパパン大好きっ子だからいい父親な夜神パパンとうまくいくかもしれんね
もしもQBと死神がいなかったら殺し合いに呼ばれることもなくてこのは出会わなかっただろう
もしもQBと死神がいなかったらこれから始まるはずのこのお話もここでおしまいさ!

218名無しさん:2011/07/11(月) 19:09:01 ID:KX.Ewyj.
>>217ミスった!
× もしもQBと死神がいなかったら殺し合いに呼ばれることもなくてこのは出会わなかっただろう
◯ もしもQBと死神がいなかったら殺し合いに呼ばれることもなくてこの二人は出会わなかっただろう

219名無しさん:2011/07/11(月) 19:31:29 ID:It8HKFw6
投下乙です

これは予想の斜め上だよwww
あんこちゃんが親父殺してマーダーの可能性があったけどこれは吹いたあwww
これは見終わった後はどうするんだろう…

220 ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:43:57 ID:7ue3yBYw
投下乙です……何この人たちなごむw
そして俳優ネタの発想は無かったwそりゃ息子と同じ顔してるよ

では、千歳ゆま、メロ、本投下いきます

221オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:45:18 ID:7ue3yBYw

――わかり易く言うならば、最後の一人になるまで殺し合いをしてほしいのだ。

とても冷たい目をしたおじさんは、ゆまたちにそう言った。

殺し合いというのは、つまり、お互いに相手を殺そうと戦うということで、
魔法少女と魔女が命がけで戦っているように、
あの広い場所にいた人たち全員で、命を奪いあえということで。

メガネをかけたお兄さんが、そのアカギというおじさんをやっつけようと向かっていった。

侮辱した者は殺すとかぶっそうなことを言っていたけれど、
つまりあのお兄さんは、『殺し合い』を許せないと思って、おじさんを止めようとしたのだ。

けど、あのお兄さんの手首には『魔女の口づけ』がつけられていた。

お兄さんは、助けて、と叫びながら燃えて死んでいった。


思い出して、ゆまの体が少しだけ震える。
キョーコと出会い、『魔法少女』のことを知ったあの日から、命がけの戦いに立ち会い、
父や母を含めた人間たちの無残な『死』だって見て来た。
それでも人の『死』を見ることは嫌だし、怖いと思う。
それが他人の『死』であっても、ゆま自身の『死』であっても。



つまり、あのおじさんはわるい人だ。



人間でも魔法少女でもない(男の人だし)、魔法を使えない人に見えたけれど、
人間に『魔女の口づけ(“ジュジュツシキ”とは何のことだろう)』を点けられるのだから、
人間なのに魔法が使えるのか、それともわるい魔法少女の一味なのか、そのどちらかだと思う。

わるい魔法少女をやっつけるのも、魔法少女であるゆまのお仕事だ。
わるい魔法少女を探していたマミお姉ちゃんなら、あのおじさんだってきっと退治しようとするだろうし
キョーコもきっと、いつものように『オトシマエ』だと言って、あのおじさんと戦おうとするだろう。

222オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:46:15 ID:7ue3yBYw

(わるいことなんて、させないんだからね)


ゆまも、こんなところで死んでしまうのは嫌だ。
そして、キョーコが死んでしまうのも、同じくらいかそれ以上に恐ろしい。

それが、襲い来る『魔女』から逃げ出して、こうして生きている理由だから。
それが、ゆまが『魔法少女』として生きている理由だから。

だから、ゆまは殺し合いを止める為に、ゆまにできることをしたい。
幼いながらもしっかりと揺らがない心の強さで、小さなゆまは大きな決意を胸に抱いた。

しかし、



+   +   +

「むらうえ……うぅ〜……下の名前はなんて読むんだろう」

ゆまはまず、参加者の確認で早くもつまづいた。

名簿の名前は漢字ばかりで、義務教育の三分の一も終えていないゆまには、半分近くの名前が読めなかったのだ。

しかし、カタカナの『マミ』という名前があるのは見つけた。
マミ、というのは、以前キョーコと公園で話していた魔法少女のお姉さんだろう。
キョーコのことを『怪しい』という目で見ていたからゆまも仕返しにスカートをめくってやったりしたけれど、
二人はそんなに仲が悪くなさそうだった。
あのお姉さんも魔法少女なら、きっと味方になってくれるだろう。

それに、ゆまとマミお姉ちゃんの二人の魔法少女が呼ばれているなら、きっとキョーコだって一緒に呼ばれていると思う。
あの暗い場所に飛ばされるまで、一緒にホテルのお布団でおやすみしていたのだ。
きっとキョーコも連れて来られているはずだ。

キョーコがいるとなれば、がぜんゆまの心は強くなった。

早くキョーコと会いたい。
会ってキョーコを助けたい。キョーコの役に立ちたい。

ゆまは一人だと何もできない役立たずじゃないけれど、
でも、一人でいるのはさびしい。


だから、まずはキョーコを探そう。

223オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:47:39 ID:7ue3yBYw
ゆまはそう決めたものの、しかし行くあてがあるわけではなかった。
魔法少女同士は離れた場所にいても頭の中でお話ができるのだけれど
(もっともゆまはいつもキョーコと一緒にいたからほとんど使ったことはない)
この場所に来てからその力が使えなくなっている。

これには魔法少女のゆまも、とほうにくれた。

とほうにくれたと言えば、ゆまの隣に置いてある『これ』もそうだ。
ゆまの飛ばされた場所に初めから落ちていた。
だからゆまが使っていいものだと思うけれど、しかしゆまには『これ』を使うことができない。

しょぼんとうなだれると『ぐぅ〜』とお腹が鳴った。

ゆまは顔を上げた。
ゆまの立っている大通りから建物二つほど離れた先に、夜中にも明るいコンビニエンスストアの看板が見えた。

万引き――もとい食料自給でよくお世話になる場所になじみを覚えて、ゆまはそそくさと歩みを進め、自動ドアをくぐり、明るい店内に足を踏み入れる。

お店の中に人はいなかった。
好奇心が高じて、レジの裏から『関係者以外立ち入り禁止』の場所まで探索したけれど、本当に誰もいなかった。

いいことを思いついた。

さっきディパックを開けたところ、食べ物は給食に出て来るようなパンばかりだった。
別にパンは嫌いじゃないけれど、食生活に不自由していないゆまには、ちょっと飽きのくるメニューだ。

もちろんキョーコに教わったように、その食べ物を粗末にするつもりはなかったけれど、それ以外のオカズやお菓子があればとても嬉しい。
いつもハンバーガーや菓子パンを食べているキョーコだって、きっと味気ない想いをしているはずだ。


そしてここは万引きをせよと言わんばかりにたくさんの食べ物があり、
にも関わらず店員は誰もいないのだ。


キョーコを探す前に、やることができた。

レジの裏からコンビニのレジ袋の中を持ちだすと、ゆまは目についた食料――特にキョーコの好きそうなジャンクフードやお菓子――を詰め込んで行く。

わるいひとを許さないことと、泥棒をすること。
この二つは、ゆまの中で何の矛盾もない行動だった。

(お菓子を持って行けば、きっと杏子も喜んでくれるよね……!)

板チョコを棚から何枚もつかみだしてディパックに入れながら、ゆまは杏子との再会を思って『にぱー』と笑った。

224オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:48:33 ID:7ue3yBYw

+   +   +

メロは注意深く付近を観察しながら、深夜の大通りを闊歩していた。


何の前触れもなくあの広間に召喚され、
まず、彼の心に生まれたのは激しい怒り。


メロという人間の全てを費やした“四年間”の決着を、妨害された怒り。
あと二日で、全てに決着がつくはずだった。最後の戦いが行われるはずだった。


ニアは、己の命と世界の命運を賭けて、夜神月の前に姿を現そうとしていた。

夜神月もまた、己の命と世界を支配する権利を賭けて、一対一でニアとの対決に臨もうとしていた。

そしてメロは、この二人の決闘を知り、双方の策略を推察し、覚悟を決め、
命を賭けて『ある状況』を作る為の『誘拐』を実行していたところだった。

そう、あともう少しで、二代目Lことキラと、ニアとメロ、この三者の対決に、全ての決着をつけられるところだった。
三人の宿敵が、それぞれの人生とプライドを賭けたひとつの決闘劇を、
いとも簡単に不条理に邪魔された。

その怒りは、激しやすいメロでさえ人生でそう何度も味わったことがないほどの、苦々しいものだった。
怒りで唇をかみしめて食い破った血の苦さの味だ。



そして、次に思い知らされたものは、驚愕と、納得。

そこで目にした、耳にした、常識を覆す数々の異様な光景と、謎のキーワード。

例えば、真っ先に反抗を試みて殺された青年の、異形の姿。そして『オルフェノク』という単語。
例えば、青年の体を突如として炎上させた、『魔女の口づけ』なる呪術式。
例えば、アカギが願い事として口にした『全ての時間軸から魔女を消し去る』、『人類の進化系が支配する世界』といった計画。

誰もが悪い夢を見たと思いかねないその異常な空間は、
しかし、受け入れなければ命に関わりかねないという現実だった。

『名前を描いただけで人を殺せるノート』が、実在したように。
持っていたノートが急に浮遊したと思ったら、死神と名乗るシドウが現れたように。
あまりに常識を覆すものを見た時は、逆にあっさりと受け入れた方が対応しやすいことをメロは経験から知っている。
ただ、今回ばかりは流石にファクターのバリエーション豊富さに、呆れかえりそうになったが。

225オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:49:48 ID:7ue3yBYw
そして提示された命令は『殺し合い』。
その目的も、『儀式』というオカルトじみた領域の産物だった。


しかし、メロは『命令に従って殺し合いに乗る』という選択をするつもりはない。


あのアカギという男は、『最後の一人』を『勝者』として願いを叶えると言っていたが、
しかしあの主催者の命令に忠実に従って『儀式』を実行したとして、それは『勝者』ではない。
その場合の『勝者』は、アカギという男、ただ一人だ。
主催者に怒りを抱き、可能なら報復を望んでいるメロにとって、それは決して望ましい形ではなかった。

また、皆殺しを実行するということは、あの決闘劇の相手だったニアと夜神月を殺害、もしくは見殺しにするということになる。
別に、このような状況下でも助けたいと思うほど、深い友誼を抱いているなんてことは全くない。むしろその逆だ。
この世でもっとも忌々しいと思っている二人が、彼らだと言っていい。

もしこの儀式に呼ばれたのが三カ月前のメロだったら、ニアと二代目Lを出しぬき、二人に勝利し、場合によっては殺害した上での生還を前提として行動しただろう。
その為ならば、ニアの悪評を振りまき、対主催陣営にヒビを入れることも厭わなかったはずだ。
ニアを倒し、Lを越えて“一番”の高みにのぼる。その為には手段を選ばないし、どんな悪事も辞さない。
それがメロの長年の悲願であり、行動方針だったのだから。

しかし、今のメロは、そこまで強引なことをして、ニアと競争しようとは思わない。

今のメロは、命がけで『ニアを夜神月に勝利させる』為の計画を実行していた最中だったのだから。

キラを止める為に命を捨てよう、などと正義感にかられたわけではなかった。
メロが生き残り、その上でニアと夜神月の二人を出しぬけるという勝算もあった暴走だった。
しかし『もし自分の誘拐計画が失敗しても、それが結果的にニアの勝率を挙げる行為になる』とまで見越して行動したことは、認めざるを得ない。

何より求め続けた“一番”の地位をニアに譲ることになったとしても、ニアに最後の最後の局面で
『メロのおかげです』とでも言わせることができれば、
『ニアの力だけでLを越えることはできないが、二人ならLを越えられる』と認めさせることができれば、
そんな結末でも、まぁいいかと妥協して納得して、メロは『俺がやるしかない』と覚悟した。
だから、こんな運と不確定要素に大きく左右される殺し合いの場で、決着の形が違うものになってしまうことは、とてもではないが好ましくなかった。

226オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:51:11 ID:7ue3yBYw
『儀式』を中断させ、ニアや夜神月と共に決着の続きをつけられることができれば、それが最善。
しかし、夜神月は、殺し合いに乗る可能性があるだけでなく、メロの排除に動きかねない。
その場合は彼を打倒し、決着をニアとの一対一に持ち越す。それが次善。
そして、最悪の場合にせよ、主催者の思惑には乗りたくないので『勝者』を狙うつもりはない。

……まぁ、あくまで“ニアと積極的に争うつもりはない”というだけで、慣れ合うつもりはもうとうないが。
(第一、こちらに競争する意思がなくとも、向こうは未だにメロを警戒しているだろう)


一度、納得して捨てた命だ。
なら、最後に命がけの難題にチャレンジするのも悪くない。


死ぬ覚悟を決めた今のメロにとって、対主催行動を取るのは、それほど決断を要す事態でもなかった。


さて、『ニア』と『夜神月』に対する対応はそれで良いとして、名簿には他にもいくつか、看過できない名前が存在する。

夜神月の部下、松田桃太。夜神月の恋人、弥海砂。この二人に関しては、夜神月との繋がりで呼ばれたと考えて良いだろう。
おせじにも使える人材とは言えないが、夜神月の派閥にいる以上はメロのことを警戒しているだろうし(それでなくともメロは犯罪者なのだ)悪評を振りまかれる可能性はある。
警戒ぐらいはしておくべきだろう。

しかし、『L』という名前が名簿上に存在するのはどういうことか。

これまでにLを名乗った人間は三人いる。

言わずと知れた、世界最高の探偵、メロとニアの目標、初代L.
そのLを殺害し、まんまと二代目Lの座に居座っている夜神月。
そして、メロが引き起こしたノート強奪事件に際して、偽証からLだと申告した松田桃太。

初代Lは、既に故人となっている。
夜神月と松田桃太の名前は、既に名簿上に存在する。

これだけなら、名簿の誤表記を疑っていたところだ。

他にも『あり得ない名前』が存在しなければ。

夜神総一郎。
南空ナオミ。

227オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:51:50 ID:7ue3yBYw
どちらも既に死んだ人間の名前だ。
といっても、南空ナオミに関しては伝聞でしか聞いたことがない。
過去に、初代Lが話して聞かせてくれた『ロサンゼルスBB殺人事件』でLの協力者となった元FBI警官の名前だ。
どうも婚約者であるレイ・ペンバーがキラ事件で殉職して以来、行方不明になったらしく、メロとしても本当に死んだのかどうかの確信は持てない。
(たまたま同性同名の人間が名簿に載っている可能性もある)

問題は、夜神総一郎だ。
彼に関しては間違いなく死んだと断言できる。

彼を殺したのは、他ならぬメロだから。

否、直接に手を下したのはマフィア時代の仲間であるホセだが、殺す決断はメロがくだしたようなものだ。

息を引き取るところまでを見たわけではないが、
撃たれた総一郎からノートを取り上げようとした時の、あの負傷は充分に致命傷だった。

主催者は、願いを叶える権利の具体例として、死者の蘇生をも可能にすると言っていた。
死神の存在を受け入れたメロでさえも、死者蘇生というのはにわかに信じがたい。
しかし、仮にも“オカルト”を受け入れると決めた以上、その可能性も念頭に置いた方がベターだろう。
もちろん、『死者蘇生』が可能と見せかける餌を撒く為に、名簿にわざと故人の名前を混ぜたという可能性もあるが。
しかし、仮に、故人が参加者になり得るとしたら……。



(初代Lも、蘇生している……?)



その仮説は、流石のメロにも形容しがたい身震いを走らせる。
あの『L』だ。
ワイミーズハウスにいた者ならだれもが尊敬し、
そしてある者は叶うはずがないと諦め、
ある者はその『後継者』の座を得ようと夢見て研鑽を重ねて来た、あの『L』だ。

彼が蘇生しているかもしれないと言われ、動揺の走らぬはずがない。
胸が高鳴らないはずがない。

228オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:52:54 ID:7ue3yBYw
希望的観測に依りかかるのが危険だとは承知している。
しかし、仮にLが蘇生しているのだとすれば、名簿の表記に関する問題は解決する。

本当に死者が蘇生しているかはともかくとして、
名簿に故人の『夜神総一郎』が書かれているように、名簿の『L』が故人である『初代L』を指す可能性は大いにある。

どちらにせよ、今の段階で断定はできない。
だからこそ、今、何よりも必要なものは『情報』だ。

その為にこそ、メロは恐れることなく大通りの真ん中を歩いていた。
まずは何より、他の参加者との接触を――


黒いカラーリングの原付自転車が、路上に停車していた。


メロは駆けより、その車体を観察する。
鍵はささっているようだ。
特に故障も見当たらない。むしろその輝きは新車のそれだ。
ニアには無いアクティブさを強みとするメロにとって、そのバイクを利用することは大きなアベレージとなる。
しかし、こんな路上にぽつねんとバイクが駐車しているのも不自然な話だ。

もしや、これは誰かに支給品として配布された物ではないか。
だとすれば、この原付を支給された持ち主は、バイクの運転ができなかったか、
あるいはここに原付を停車させて、この近辺を徘徊しているか。


――ウィィィィン


十数メートル先の建物――深夜でも明るいコンビニエンスストア――の、自動ドアが開かれた。

コンビニのビニール袋をその手にぶら下げた少女が現れ、
あどけなく大きな瞳がメロをきょとんと見上げた。



+   +   +

「お兄ちゃん……?」

ばっちりと目が合ってしまった。

襟もとと袖口を織り込んだぶかぶかのセーター。
鈴を模したような金色の髪飾りと、小さなふたつ結び。
年齢はおそらく、六歳前後。

こんな幼女まで殺し合いに放り込むとは。
子どもを巻き込むことに憤慨するほどメロは人道的ではなかったが、しかしアカギ曰くの『選ばれた戦士たち』の基準を疑いたくはなってしまう。
まぁ、あのメガネの青年がそうだったように、一見して一般人だからといって、その正体もそうだとは限らないのだが。

しかし、そのきょとんとした表情はあまりにも無防備で、頼りない。

229オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:54:03 ID:7ue3yBYw

「なんだ、ガキか」

子どもという手ゴマは、正直なところ『微妙』だった。

使い道がないわけではない。
むしろ、連れ歩くだけで他の参加者からの警戒を和らげるなど、メリットはある。
しかし、問答無用で『保護し守る義務』が発生する。
例えば、大人の参加者なら『仲たがいをして別れた』『相容れないから切り捨てた』だけの説明で済む要因でも、
その相手が子どもなら『子どもをこんな殺し合いで放置した血も涙もない男』という不和のタネになってしまう。
今ここで放置しても、この子どもが他の参加者にメロのことを話せば、決してメロに良い印象は持たないだろう。
つまり、今後のことを思えば、(道中の預け先を見つけない限り)ずっと連帯するしかなくなってしまう。

(まぁ、殺すという選択肢もあるな)

殺すという手段は、乱暴だが手っ取り早くもある。
他の参加者の恨みを買うというリスクはあるが、そもそもニアが殺したという証拠さえ残らなければ問題ないだろう。
ライダースーツの中に隠した支給品――ワルサーP38――をこっそりと確認した。

(もちろん先に情報を引き出しておく必要はあるな。)

メロは決して善人ではない。
出来る限りの努力を積み、それでも敵わないニアとの差を埋める為に、メロは“手段を選ばない”という選択をした。
何の罪もないSPKのメンバーを『ニアを出しぬきたいから』という理由だけで殺した。
使えない手ゴマをデスノートの実験台として使ったこともあった。

(しかし足手まといだから切り捨てるというのも考えものだな。
……ただでさえニアや夜神たちは俺のことを警戒しているだろうから、極力こちらも味方をつくっておきたいところだ)

しかし、そんなメロにも惜しみなく協力してくれた仲間はいた。

メロを信頼し、トップの座を実質的に譲り渡すばかりでなく、資金を惜しみなく提供したロッド・ロス。
ワイミーズハウスの同郷であり、マフィア壊滅事件以来のただ一人の協力者、マット。
無償の尽力というわけではなく、打算あっての協力関係だった。
しかしそこには確かに、裏社会で生きる者なりの信頼があった。
どちらも、メロのキラ打倒計画に加担したからこそ、メロより先に死んでいった。

彼らの犠牲の上にメロは生き延び、そして、メロは一人になった。

(俺もヤキが回ったか……)

感傷を抱くほどやわな人生を送って来たわけではない。
己の決めた道に、失敗はあっても後悔をしたことはない。
しかし、誠意をつくしてくれた『仲間』を、己のツメの甘さから死なせてしまったことは
『申し訳ない』と心から思う。

よくも悪くも、『感情』というものを制御できないし、制御する気もないのがメロなのだ。

230オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:55:18 ID:7ue3yBYw

だからこそ、少女を殺すかどうかの判断で迷ってしまう。
例えばキラなら、敵も味方も問わず『利用する』の一択であり、相手が足手まといだろうとまずは好意的に接して味方につけるだろう。
しかしメロには『信頼をする』と『利用する』の二択が存在しているだけに、かえって味方の選抜にはシビアになってしまう。

(まぁ、ひとまずは『観察』に回るか。
殺されたメガネの男からして、参加者の中には明らかに化け物じみた力を持つ奴らがいる。
そんな連中がゴロゴロしてる中で、一般人の俺が軽々しく引き金を引くのは間抜けもいいとこだ)

「ガキ、何してるんだ、こんなところで」

そんなメロの迷いも露知らず、
少女はメロの言葉に、頬をむっと膨らませた。

「ゆまはガキだけど強いんだよ! 役に立つんだよ!」

「ゆまはガキじゃないよ!」というテンプレートな反論を返さないところに、少し好印象を受けた。
だからどうだというわけでもないが。

「そいつは悪かったな。それで何やってるんだ? コンビニなんかで」
「お店に人がいなかったから、食べ物と色んな道具をもらって来たの。あと、レジのお金も」

殺し合いに巻き込まれて最初にすることが食料調達とは……冷静だと見るべきか、事態を理解していないと見るべきか。
金品にまで気が回っていることから、メロは前者だと判断する・
こんな閉鎖環境で金がそこまで魅力を持つとも思えないが、しかしあって困るものではないだろう。何より、あまりかさばることがない。
こんな異常な状況下で、しかし即座に物資の調達を考えられる少女のことを、メロは少しだけ評価した。

「お前、親は……」
「え? 何?」
「いや、いい」

よくよく見ればぶかぶかのセーターには乱暴な補修の跡があり、ずいぶんと着古されている。
保護者が娘の身なりにさえ配慮しない環境にいたのか、あるいは保護者自体がいない環境にいたのか。
己の経歴がら、貧困街に住みつくストリート・チルドレンも見慣れて来たが、彼らは下手に甘やかされた大人よりよほど抜け目がなく、生きることに貪欲だ。
この少女も、その類の人種かもしれない。

少女は、臆することなくしげしげとメロの顔を見つめた。

「お兄ちゃん、けがしてるね……」
「この傷は元からだ。別に痛かねぇよ」
「そっか……じゃあゆまの治療魔法も効かないのかな?」

『魔法』。
まさに欲していたそのキーワードが、メロの耳朶を刺激する。

231オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:56:07 ID:7ue3yBYw
主催者の言っていた『魔女の口づけ』という呪縛の名前。
そして、『全ての魔女を消し去る』という言葉。

「ガキ、お前『魔法』と言ったか?」
半信半疑が声に出たらしく、アクアマリンの瞳が強い目力をこめてメロを見つめる。

「ゆま。『ガキ』じゃなくて、魔法少女の千歳ゆまだよ」

見てて、と『ゆま』は言った。
どこからか、緑色の小さな宝石を取りだした。


宝石が発光し、その纏う衣装が一瞬にして変じた。

(変身……した……?)

その姿は、『魔法少女』という可愛らしい響きに違わず。

猫耳のような突起物をつけた白いヘアバンドに、ミドリと白のドレス。
関節部をリボンできゅっとしぼったひらひらのブーツと、白くふかふかした手ぶくろ。
まるでジャパニーズ・アニメーションに登場するキャラクターを思わせた。
ファンシーな格好に変じた少女は、首に着いた鈴のようなチョーカーをりんと揺らしてメロをにっこりと見上げる。

「これが『魔法少女』。治療魔法の他に、攻撃魔法もあるんだよ」

その手には、どこから取り出したか、己の背たけほどもある白いメイスを軽々と握っていた。

その変身はどう見てもトリックの類ではない、明らかな『異質』の法則が持ち込まれたもの。
(これは……拾いものかもしれないな)
……どうやらメロが逡巡している間に、彼女は己の価値を証明してしまった。

232オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:56:40 ID:7ue3yBYw
「なるほど、お前に力があるらしいことは分かった」
「そうだよ! ゆまはキョーコと一緒にわるい魔女をやっつけてきたんだよ」

メロは片膝をついてすわり、ゆまと目線を合わせる。
ああ、ガラにもないことをしているな、と内心で苦笑。

大丈夫、メロはニアと違って、ワイミーズハウスでも社交性のある子どもだった。
だから、子どもの対応にだって慣れている、はずだ、おそらく。

「ゆま、俺と来い」
「お兄ちゃんと……?」
「『お兄ちゃん』じゃねえ……俺はメロだ。
わるい奴をやっつけるってことは、お前は殺し合いに乗るつもりはないんだろう。
俺は決して正義の見方じゃない。しかし、あのアカギって奴の企みをぶっ潰したいと思ってる。
だからゆま、俺に力を貸せ」
ゆまは驚いたように、そして、感動したように大きな瞳を見開いた。
「メロは、ゆまの力が必要なの?」

どうやら“必要とされる”ことに喜びを見出すタイプらしい。

「あぁ、お前のその『魔法』とやらが本当に役に立つならな。
とりあえず、知っている事を話せ。『魔女』ってのは何なのか。魔法少女とやらは他にもいるのか。
それが終わったら、この支給品に乗って会場を探索するぞ。
その片手間なら、お前の知り合い探しぐらいは手伝ってやるよ」
「……うん! うんうん! じゃあ、メロお兄ちゃんはゆまの『仲間』だね」



こうして、“一番になりたかった男”と“必要とされたがった少女”は小さな同盟を結んだ。

233オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:57:54 ID:7ue3yBYw
【F−2/大通り、コンビニ前/一日目 深夜】

【メロ@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]ワルサーP38(8/8)@現実
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]基本・元世界に戻り、ニアとの決着をつける。
1・ゆまから『魔女』についての情報を得る。
2・原チャリにゆまを乗せて各施設を探索。
3・死者(特に初代L)が蘇生している可能性も視野に入れる。
4・必要に応じて他の参加者と手を組むが、慣れ合うつもりはない。(特に夜神月を始めとした日本捜査本部の面々とは協力したくない)

[備考]
※参戦時期は12巻、高田清美を誘拐してから、ノートの切れ端に名前を書かれるまでの間です。
※協力するのにやぶさかでない度合いは、初代L(いれば)>>ニア>>日本捜査本部の面々>>>夜神月>弥海砂

【千歳ゆま@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]健康、変身後
[装備]ソウルジェム(けがれ無し)
[道具]支給品一式、不明支給品0〜2、コンビニ調達の食料(板チョコあり)
[思考]基本・わるいおじさんをやっつける
1・メロお兄さんとお話する。
2・メロお兄さんと一緒にキョーコ、マミお姉ちゃんを探す(キョーコを最優先)

[備考]
※参戦時期は、少なくとも3話以降。
※原動機付自転車@現実が、コンビニの数十メートル手前で停車しています。

234オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男  ◆8nn53GQqtY:2011/07/11(月) 19:58:09 ID:7ue3yBYw
投下終了です

235名無しさん:2011/07/11(月) 20:34:08 ID:pO3D/DWs
投下乙です。
メロとゆま…どっちもよく知らないキャラだけど、なんかいいコンビだな。
ていうかゆま、かわいい!
これからに期待です!

236名無しさん:2011/07/11(月) 20:41:05 ID:It8HKFw6
投下乙です

これは以外といいコンビだな
それに二人のこれまでの境遇や考え方が微妙にマッチしてて運命めいたものを感じるよ
俺も期待してるよ

237名無しさん:2011/07/11(月) 20:42:22 ID:1Sm8n56k
投下乙です
ゆまとメロの組み合わせは完全に犯罪級の絵柄だな
不幸になりそうだけど頑張れゆま

238名無しさん:2011/07/11(月) 20:44:10 ID:H69M7EEk
投下乙っす
そういえばこの二人って、顔に火傷の古傷持ってるって共通点もあったなあ

239名無しさん:2011/07/11(月) 21:59:28 ID:4Zz3kyXQ
>>211
投下乙ですー。
親父に苦労した娘に息子に苦労した親父……なんか噛みあうなーw
しかし二人とも燃え尽きてるとか予想外にすぎたw
でもこの杏子ちゃんならきっと面識なくても邪険にはされないよ! やったねゆまちゃん!

>>234
で、そのゆまちゃんだが……なんかもう痛々しい懐きっぷり。
でもまあ杏子関連以外は多分冷静だからそんなに問題ないはずなんだけど……相手がメロか
というか絵面だけ見ると犯罪にしかならないなこれw

240 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/11(月) 22:50:54 ID:alfw4ONM
長田結花、ヒカリ、遠坂凛、投下します

241事故防衛 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/11(月) 22:52:24 ID:alfw4ONM
長田結花。
まだ17歳という若さにもかかわらず結花の人生は決して平穏と呼べるものではなかった。
それはクレインオルフェノクとして覚醒しても変わりなかった。
いや寧ろ悪化したと言えるだろう。
だから結花は心の内に秘めていた人間への憎悪を糧に力を振るってしまった。
そうして孤独になった彼女が出会ったのが木場勇治だった。
大多数のオルフェノクがオルフェノクの世界を作る事を目指す中で、木場は人間と共存する道を模索していた。
そんな木場や海堂、巧や啓太郎達と触れ合っていくうちに、結花の内にあった憎悪は次第に影を潜めていった。

だがそんな結花の想いを踏み躙るかのように人間はオルフェノクを敵視して、ついに警察の一部によって結花は包囲されて発砲される事態が発生した。
そんな人間の無慈悲な行為をその身に受けた結花は激情の赴くままに警官を返り討ちにして、自分の行動を顧みてその場から走り去った。

長田結花が『儀式』に連れて来られたのはその直後であった。


     ▼     ▼


暗く闇に包まれた森の中を一人の少女が一心不乱に駆けていた。
彼女の名は『ヒカリ』。
ポケモンコーディネーターを目指してサトシとタケシと旅をしていたシンオウ地方に住む10歳の少女だ。
それがなぜこのような場所で走っているのか。

それは人間が誰しも持っている不安と云う感情からだ。

元々ヒカリがいた世界はおおむね平和な世界だ。
そんな平和を享受していた10歳の少女がいきなり殺し合いに巻き込まれて大丈夫なわけがない。
夜の闇が支配する森に一人放り出されたヒカリが不安で押し潰されそうになるのは不思議ではない。
だから碌にデイパックの中身も確認しないまま走っていた。
ただ何も持たないのは無防備で怖かったので柄がデイパックの口から出ていたという理由で目に付いた消防斧は持っていた。
だがヒカリはただ闇雲に走っているわけではなかった。
先程一瞬だが確かに煌めく光が見えたのだ。
それが希望の光だと信じてヒカリは懐中電灯の朧気な光を頼りに足を速めた。


           ▼

242事故防衛 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/11(月) 22:53:38 ID:alfw4ONM


「はぁ、やっぱりか……」

遠坂凛。
通称“あかいあくま”のロンドン時計塔の魔術師は深夜の森の中で頭を抱えて盛大に溜息をついていた。
あのホールにいた時から魔術回路に若干の違和感があったので、もしかしたらと思ってガントの試し撃ちをしてみたら案の定だった。
結論から言うと、いつもよりも魔術が使いにくい、あるいは魔力の消費がいつもよりも激しい。
これが『魔女のくちづけ』という呪術式の影響かは定かではないが、可能性は高い。
そうなると解呪するまでは魔術だけで凌ぐよりはデイパックに入っているという品も有効に使う方が賢明だ。

「とりあえず中身を確認しておかないと……あ、これは名簿ね」

月明かりを頼りにざっと目を通したところ知った名前がいくつか見られた。
ルヴィア、イリヤ、美遊、クロ、バゼット。
他にも気になる名前があったが、判断する材料が少ないので今は保留。

「……あった」

続いてデイパックの中身を物色してみればシャンパンと一丁の拳銃が見つかった。
シャンパンの方は外れだろうが、拳銃の方は使い方ぐらいは分かるので牽制には使えるだろう。
なにより拳銃に注意を向けてくれれば空いた手で宝石魔法やガントを仕掛ける隙もできよう。
元来魔術師にとって拳銃などのような道具は縁がないから仕方がない。

(って言うか、さっそく誰か来たみたいね)

背後からこちらに向かってくる足音。
しかも間隔が短い事から走ってきているようだ。
夜の静かな森にその足音はひどく目立っていた。
凛は背後から走ってくる者に対処するために後ろを振り返ろうとして――。

「あのっ」

――背後の逆側、つまり正面から接近してきたもう一人の参加者の出現に虚を突かれる形になった。
背後から走ってくる参加者とは違って、正面から来た参加者は音を立てないように静かに近づいてきていた。
そのため余計に気付くのが遅れてしまった。
だから凛はとっさに先程の考え通りに右手に持った拳銃を牽制の意味を込めて正面からの来訪者に向けてしまった。

「――ッ!?」

そして、それが引き金となった。


           ▼

243事故防衛 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/11(月) 22:54:52 ID:alfw4ONM
「きゃああああああああああ!!!!!」

耳を貫かんばかりに響く絹を裂くような叫び声。
それを聞いて我に返った長田結花はオルフェノクから人間の姿に戻りながら今の状況を必死に理解しようとしていた。
暗い森の中に送られて途方に暮れていた結花が凛の試し撃ちを発見したのが数分前。
その時は森の中で何かが光った程度しか分からなかったが、それだけで十分だった。
光の正体を確かめるために結花はその方角へと進んでいった。
心のどこかで木場や海堂かもしれないという淡い期待を抱いて。

その結果がこれだ。

いきなり銃を突きつけられてフラッシュバックした映像――大勢の警官が自分を撃とうとする光景。
あとは同じだ。
あの時と同じようにクレインオルフェノクに変化して目の前の少女を吹き飛ばした。
その後先程の悲鳴が聞こえて、誰かが走り去る足音が聞こえた。
おそらく近くに他の参加者がいて今の光景を目撃したのだろう。
一見普通の女子が怪物に変身して人を吹き飛ばす光景など見れば誰だって驚く。
一瞬追いかけようと思ったが、なぜか身体に違和感を覚えたので止めた。

いや、それとも追いかける気がなかったのか。

「……そうだ」

ようやく落ち着きを取り戻したのか結花はひとまず逃げた少女の事は放っておいて、懐中電灯を手にして吹き飛ばした少女の方に近づいた。
ゆっくりと近づくに連れて、結花は自分の認識が半分間違っていた事に気付いた。
懐中電灯の照らす先には数本の木々と大小の岩が地面から顔を覗かせていた。
先程吹き飛ばした赤い服を着た少女はその中の木の根元に転がっていた。

ただし額がパックリと割れて頭も服同様に真っ赤になっていたが。

「……………………ぁ」

逃げた少女は結花が『怪物』だから逃げたのではない――結花が『人殺しの怪物』だから逃げたのだ。

【遠坂凛@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 死亡】

【C-5/森の中/1日目-深夜】
【長田結花@仮面ライダー555】
[状態]:若干の疲労、人間態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:???
1:私が……。
[備考]
※参戦時期は第42話冒頭(警官を吹き飛ばして走り去った後)です。
※目の前に遠坂凛の死体とコルト ポリスポジティブ(6/6)@DEATH NOTE(漫画)とデイパック(基本支給品、最高級シャンパン@仮面ライダー555)が転がっています。


           ▼


ヒカリは先程とは逆方向に走っていた。
希望の光があると思っていた場所から一刻も早く離れるために。

灰色の怪人に変身した少女が赤い服の少女を吹き飛ばした事だけでも驚きだが、次に起こった事はヒカリを恐怖のどん底に落とした。

なんと赤い服の少女はヒカリのいる場所に吹き飛ばされてきたのだ。
そして避ける暇もなくぶつかって、一瞬手に持った斧に衝撃が来て、一緒に転がって――。

「きゃああああああああああ!!!!!」

――気づいたら、目の前に全身を真っ赤に染めた死体があった。
そして当然一緒に転がったヒカリも道具諸共血まみれだった。
それを目の当たりにした瞬間、ヒカリは逃げていた。
もちろん護身用に持っていた斧を固く握りしめたまま。

ヒカリの行く先に光はなかった。

【C-5/森の中/1日目-深夜】
【ヒカリ@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:疲労(小)、軽いパニック状態
[装備]: 消防斧@現実
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:???
1:逃げる。


【コルト ポリスポジティブ@DEATH NOTE(漫画)】
松田桃太の所持している回転式拳銃。装弾数6発。
終盤YB倉庫内で月を撃つのに使用。

【最高級シャンパン@仮面ライダー555】
『仮面ライダー555』に登場するラッキークローバーの紅一点・影山冴子(ロブスターオルフェノク)が「自身が狙う標的」に対して事前に送りつける物。
原作中においては、これを送りつけられた奴は大体ろくな目に合わなかった。

244 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/11(月) 22:56:30 ID:alfw4ONM
投下終了です
何か指摘などありましたら報告お願いします

245 ◆zYiky9KVqk:2011/07/11(月) 23:02:42 ID:6XC4nDJw
皆様投下乙です

見ている劇のことはよく分からないけど
夜神父と杏子の予約段階でこんなことやってるとは想像できなかったなw
まあ二人ともがんばれ!

ゆまとメロはとりあえずは一安心か
ゆまはマミさんか杏子と会えるときはくるんだろうか
でも傍から見ればかなり危ない組み合わせだよなぁw

そして凛、久々の参戦だと思ったらこれか…
バサカが近いタケシに仮投下のサトシといいポケモン主役勢ろくな目にあってないな


あと>>199で指摘のあった敬語の件をwikiにて修正
誤字脱字の修正もしておいたので一応報告しておきます

246名無しさん:2011/07/11(月) 23:04:32 ID:JMHDS5es
投下乙です

メロ&ゆまコンビは中々に良い感じ
まぁ、それでもメロはメロだろうなので、安心はできませんが


そして凛ェ……何と言うヒトコロスイッチ
これは長田さんにとっても、ヒカリにとっても不幸な結果を招きそうだ

247名無しさん:2011/07/11(月) 23:06:20 ID:It8HKFw6
投下乙です

凜はあっけないけどうっかりさんらしい最後だわw
そして残りの二人も可哀そうに…

248名無しさん:2011/07/11(月) 23:09:25 ID:D6LaJ3G.
投下乙

凛、お前はなんといううっかりをしてくれたんだー!
自分が死んだだけじゃなく結花とヒカリを不味い方向に追いやってしまったぞ

249名無しさん:2011/07/11(月) 23:18:55 ID:pO3D/DWs
投下乙。
うっひゃ〜。
パロロワ随一のロワ充、ここで敗退か。
期待してただけに無念だ。

250名無しさん:2011/07/11(月) 23:39:44 ID:7lJgCGsg
投下乙です

ゆまにメロが接近だと…おまわりさんこっちです
冗談はさておいて意外といいコンビかも知れないな

原作未把握だけどなにこれシャンパン怖いw
ヒカリと凛がかわいそすぎるw

251魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/12(火) 00:00:10 ID:iF7x2/BE
誤爆orz

252 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 19:54:59 ID:6Ym88hlk
村上峡児、木場勇治、オーキド博士、投下します

253Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 19:55:42 ID:6Ym88hlk

 サントリーフラワーズ。
 青いバラの名称である。ほんの十年近く前までは存在しなかったバラだ。
 今は日本とオーストラリアの企業が実現を可能にした。
 発表された当時は結構なニュースになったものである。
 しかし、花びらの色は青紫に近く、完全な青とは言いがたい。
 今もバラの花びらを完全な青に近づけるべく、日々努力が行われている。
 これは人の手が加えられているとはいえ、『進化』ではないだろうか。
 ここ、バトルロワイアルの会場にも進化を追求する男が二人いた。



 村上峡児は愛に溢れている。
 それは男女間の愛という俗なものではない。友情に関してはある程度理解は持っているが、よりも優先するものがある。
 それでも愛について理解があると自認していたし、誇りに思っていた。
 人は弱い。
 ゆえに裏切るし、強いものを恐れるし、あっさりと心が折れる。
 だから彼は人類すべてがオルフェノクへと進化するべきだと考えていた。
 村上峡児の理想はアカギに近いものがある。
 不完全な人間をより完璧な存在に。より強いオルフェノクに。より強いベルトに。
 完璧を求め続けた結果、上の上から下の下までの九ランクを口にするようになった。
 下の下以下はランクにすら相当しない、切り捨てるものだ。
 いつごろから口癖と信条になったのか、もう彼自身覚えていない。
「ムラカミくん、どうしたのかね?」
 白衣の老人に声をかけられ、村上はハッと我に返る。
 過疎地の医者といった風貌の男に振り返り、品の良い笑顔を向けた。
「今ちょうどコーヒーができたところですよ、オーキド博士。話しすぎて疲れましたし、一息つきましょう」
「おお、気がきいとるのぅ。どれどれ……こりゃうまい!」
「ええ、私としても会心の出来です。やはりコーヒー豆はブルーマウンテンを四、ブラジルを五、モカを一の割合が上の上です」
「ずいぶんとコーヒーにくわしいようじゃの。かなりの立場のはずじゃが」
「自分の好みは自分で見つけるのが私の信条でしてね。それにしてもポケットモンスター……縮めてポケモンの話は大変興味深い」
「そうじゃろう、そうじゃろう!」
 村上は椅子を引き、オーキドに勧める。二人は今ビルの会議室に訪れていた。
 ホワイトボードと長椅子が存在し、十数人は集まる一室には二人しかいない。
 妙なことにこの広い島には、儀式に呼ばれた五十七人しか存在しないらしい。
 もっとも、選民思想の強い村上にとっては都合が良かった。
 その理由はオーキド博士に使徒再生を行わなかったことと重なる。
 村上は高級スーツで包まれた体の姿勢を正し、表情を厳しくした。
「特に状況や経験で通常よりはるかに早い進化を行い、完璧な存在になる。
そういった存在こそ、私が知りたかったものかもしれません」
「進化が完璧を目指す、というのは言い過ぎじゃがの。あくまで環境や状況に適応した結果に過ぎないのじゃ。
わしとしてはポケモン自身が望む姿を思い浮かべ、体が答えてくれるからじゃと考えておるしの。
しかし、おぬしは本当にポケモンの存在を知らなかったのじゃなぁ。
ポケモンが身近にいる以上、常識のことなんじゃ」

254Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 19:56:38 ID:6Ym88hlk
「ええ、恥ずかしながら私はポケモンという存在を今まで存知ありませんでした。
それに同じことはオーキド博士、アナタにも言えるのではありませんか?」
「オルフェノク……のぅ。この目で見たとはいえ、いまだ信じがたい話じゃ」
 オーキドは渋い表情で後頭部をかいた。
 オルフェノクを見た、というのは村上との接触時のことである。
 二人の出会いは少々トラブルがあった。



 現在から遡ること一時間ほど前。
 村上は夜の住宅街で一人荷物を確認していた。
 状況は察している。『儀式』と称した殺し合いに巻き込まれたことは不愉快だ。
 他人を操ることは得意であっても、好きでも嫌いでもない。あくまで目的を果たすための手段である。
 だが、その逆の操られることに関しては、はっきり言って嫌いである。
 彼には重大な使命がある。オルフェノクの王を復活させ、滅び行く種に救いを与える。
 それが村上の最終目的であり、オルフェノクの命題であった。
 ゆえにラッキークローバーの一葉を欠けさせたアカギは許さない。
 琢磨の行動は軽率であったが、四つ葉に足る力を持っていた。
 その補充は簡単ではない。余計な手間をかけさせたアカギはこの手で殺そう。
 使徒再生を行う必要すらない。ただ灰にするのみ。
 珍しく怒りに燃えながら、村上は変身をする。
 体の境界線が曖昧になり、ゼリー状の液体が崩れるような音が響いた。
 白に近い灰色の、スマートなボディライン。頭部の透けたフードの中にはバラが一輪咲いている。
 ローズオルフェノク。
 現時点でオルフェノクのトップを務める戦士であった。


 村上がローズオルフェノクとなったのは理由がある。
 通常オルフェノクは非変身時も人を超えた力を得る。
 ビルの屋上から飛び降り自殺を行った木場が、死ねなかったように。
 だが、この儀式とやらに参加して以来、思うように体が機能しない。
 夜目が効かないという久しぶりの状況下、オルフェノクとしての力がどこまで低下したのか確かめるために変化したのだ。
 そのときだった。風が人の動きを告げるように、微妙に動いた。
「隠れていないで出てきなさい」
 街灯から伸びる影が、村上の姿となって声をかけた。
 塀の角から一人の男が姿を見せる。驚愕の表情を浮かべている彼は恐る恐る近づいてきた。
 逃げなかったのはいい度胸だと思う。
 せめて苦しまないよう、一瞬で心臓を燃やそう。そう結論付けた時だった。
「お、おぬし……人に化けて話ができるポケモンなのか?」
「ポケモン……?」
 村上は怪訝に思い、無意識に問い返してしまった。
 これが、後にこの男を救う。
「最初に殺された男と……いや、あのポケモンと同種族なのか?
なら教えてくれ。お主達はポケモンは我々人間のことをどう思っているのじゃ?
お主達の進化はどこを目指しているのじゃ?」
「進化……」
 一番心惹かれる単語を耳にし、村上は考えを変える。
 目の前の老人は科学者風の雰囲気だ。でなければ村医者か。
 どこかでオルフェノクと接触し、ポケモンという名称で呼んだのだろう。
 進化する、と認識しているのも興味深い。
 オルフェノクとなって進化と言えるほど変化できる存在は稀である。
 三回までなら、死ぬたびに体を強化できるJ。
 状況に応じ力を優先するか、速度を優先するか選択できる北崎。
 村上が知る限り、この二人くらいだろう。
 オルフェノクの稀な進化について研究しているのかもしれない。
 ならば話をする価値はある。村上の判断は早かった。
 すぐに変身を解き、目の前の老人へ右手を差し出す。

255Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 19:57:13 ID:6Ym88hlk
「驚かせて申し訳ありません。私は村上峡児、スマートブレイン社の社長をやらせていただいています」
「む……人間社会に溶け込むほどの知能?
わしはポケモンの研究をしている、オーキドというものじゃ。よろしく頼む」
 握り返すオーキドに、満面の笑顔を村上は向ける。
 襟を正し、近くのビルを指さした。
「詳しい話をするため、あちらに向かいましょう。ここは目立ちすぎる」
「賛成じゃ。こんな儀式で殺そうする人間は少ないと思うが……一応のう」
 オーキドが頷いて賛成の意を示す。こうして、二人は移動を開始した。



 道中お互いの話の相違から、常識がかけ離れていることに気づくのは早かった。
 頭の回転が速い二人は、その原因を探るために冒頭まで話を続けていたのである。
 オーキド博士はポケットモンスターの話と、その研究成果をいくつか。
 村上はオルフェノクという存在と、現在の解明結果のいくつかを。
 『生命』というものに強い興味がある二人である。
 互いの話に関心を持ち、自分の知識と照らし合わせ、同時に現状の違和感を分析し始めていた。
 結果、二人のたどり着いた結論は頭の痛いものであった。
「……我々は別の世界の住人同士、ということでしょうか?」
「ギンガ団の男がいった、『数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たち』の言葉から察するとの。
しかし、他の可能性は考えられないのか? 例えばわしらはどこかで眠らされ、電脳空間でこの悪趣味なゲームに巻き込まれているとか。
あぬしやわしの常識は、ゲームで作られた設定とかの」
「オーキド博士。ご自分でも信じていない話をするのは無駄というものですよ」
「……まあの。一人の人生まるごと捏造するなんてあまりにも手間がかかるし、気が遠くなるわ。
それにそんな技術があるなら、専門知識があるわしやおぬしのような人材が知らない、というのは考えにくい」
「おまけに、我々のもつ専門知識を一から捏造する、なんて無理難題でありますからね。
とはいえ、いつもなら並行世界という結論に行き着かなかったでしょう。私に一つ心当たりがあります」
 村上はさっそくジュラルミンケースの中身をオーキドの前に見せた。
「ベルト……? それにしてはいろいろ付いているようじゃが」
「これは我が社で開発したパワードスーツを形成するデバイスです。
オルフェノクとはいえ生物ですから、その特性を活かし人と共存するには強固な鎧が必要だった。
私は災害や救助活動に必要な道具として三本のこれを作り上げるよう指示したのです」
「すごい技術力じゃ。しかし、これがどう並行世界の証明になるというのじゃ?」
「ええ。我が社が開発したベルトは『三本』なんですよ。
それぞれギリシャ文字のデルタ、カイ、ファイからとってあります。
しかし、これはまだ見ぬオメガのベルト。つまり社長であり、ベルトの開発を進めた私の知らない新型です」
「おぬしがあずかり知らぬところで開発された可能性は……あるわけないの。
短すぎる付き合いじゃが、そんな真似を見過ごす人間でもあるまい」
「ええ、その通りです。今の私がこのベルトと出会うには、未来から送られる。
もしくはベルトの開発が進んだ別世界から渡されるの二択しかありえないのです」
 村上は答えながらも、ただ一人それが可能な人物がいることを伏せておいた。
 しかし、これほどのシロモノを作るには、その男一人では無理だろう。
 三本のベルトの簡易型がせいぜいだ。自然と選択肢からは消える結論となる。
「むぅ……」

256Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 19:57:49 ID:6Ym88hlk
「オーキド博士、オルフェノクを知らないアナタを騙しても私に益はありません。
それでもこの話を信じられない、ということですか?」
「ああ、すまぬ。別におぬしを疑っているわけじゃないんじゃ。
ただ、わしの方にもこの手の話には心当たりがあっての」
 興味を惹かれ、オーキド博士へと身を乗り出した。
 相手も神妙な顔つきになり、ある伝説を語り始める。
「シンオウという地域があっての。そこに伝わる伝説のポケモンは時空を操り、もう一つの世界を創造した、ということじゃ。
あのギンガ団の男は、一瞬じゃがなんらかのポケモンを連れていた。
最悪、伝説に伝えられている時空を支配したポケモンなのかもしれん」
「なるほど、この状況も否定できないわけですね。
幾多の並行世界から人が連れられている、と判断したほうが良さそうです」
 うむ、とオーキドは頷いて、口にコーヒーカップを運んだ。
 村上は冷静な表情とは裏腹に興奮をしていた。ポケモンとはなんて興味深い存在なのだろう、と。
 ポケモンとひと括りにされてはいるが、まるで神の如き力を持っている個体もいる。
 その謎を解き明かし、オルフェノクに転嫁できないだろうか。
 上手く行けば、王の登場を待たずに寿命の件を解決できるかもしれない。
 オルフェノクの長として、当然の思考であった。
 熱くなる己の心を落ち着けるように自分もコーヒーを堪能する。
 遠くで、パカラ、パカラ、という馬の足音が聞こえた気がした。
 いや、この音は聞き覚えがある。
「なんじゃ? ポニータかギャロップでもいるのかの?」
「いえ……これは! オーキド博士、伏せてください!」
 村上はオーキド博士を伏せさせ、ローズオルフェノクへと変身する。
 同時にドアが吹き飛び、灰色の影が飛び込んできた。
 ヘルムをかぶった印象の頭部。たくましい腕は幅広い刀身の剣を持つ。
 下半身は馬そのものであり、まるで伝説のケンタウロスのような存在。
 間違いない。多少姿形が変わっているが、木場勇治に間違いはなかった。
「オオオオオオオオオオオォォォォォォォッ!」
 ホースオルフェノクから振り下ろされる剣を両手で受け止める。
 しかし、すでに知っている木場勇治よりも力が強い。
 そのまま押し切られ、窓ガラスに背中が当たった。
(なるほど。電気を消しているとはいえ、外からは丸見えというわけか。
カーテンぐらいは締めるべきだった。私としては中の下の対応。慢心がすぎたな)
 しかし、オーガのベルトは今この手にある。
 切り札を手放さないよう、村上は落下の衝撃に備えた。


 ホースオルフェノクと数手交わし、強くなっていると思い知った。
 一撃一撃の重さが段違いだ。なのに以前より速く鋭くなっている。
 だが、それらは些細なことだ。一番の違いは殺気だ。
 木場勇治の何よりも弱い部分は、人間である心を忘れていないこと。
 たとえ彼の命を狙っているオルフェノクであっても、命を奪うことを躊躇してしまう。
 その不完全さが歯がゆくもあり、愛しくもあってなんどもこちら側に来るよう誘った。
 なのに、今は彼特有の甘さが消えていた。
 村上が望んだ展開だが、違和感が強い。ゆえに間合いがとれた際、言葉を掛けることにしてみた。
 ホースオルフェノクが剣を上段に構える。いわゆる八相の構えに似ている動きから、おもいっきり振り下ろしてきた。
 バラの花びらを囮にしたワープをする隙がない。オーガのベルトを落とさないように握り、両腕で受け止めた。
 同時に後ろに跳び、衝撃を逃がす。抑えられる衝撃はたかが知れているが、やらないよりマシだ。
 耳をつんざくような音が鳴り響き、視界が大きく揺れた。
 足が舗装された道路に接触するまで意識を飛ばす。足裏に力を込めるも、簡単には止まらない。
 ようやく滑り止まったとき、ホースオルフェノクは油断なくこちらを見下ろしていた。
「木場さん、見違えましたよ。昔の君からは想像できない戦い方だ」
「……なぜだ」
 返ってきたのは謎めいた問いかけだった。
 村上は続きを促す。
「なぜ、人間と馴れ合っている! 海堂や長田さんを売り、裏切った人間はすべて殺す。
そしてオルフェノクだけの世界を作るべきなんだろう! なのにあなたは……!」
「当然です。人はすべて殺し、オルフェノクのみの理想世界を作る。それが私の目的です」
「だったら……」
「しかし、私の世界は君の世界と違って、まだオルフェノクの数が少ない。
その上、寿命の問題を解決していません」

257Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 19:58:43 ID:6Ym88hlk
 村上は木場勇治の姿形、そして思考と戦い方から未来の彼、あるいは別世界の彼だと判断した。
 同時に数が多いか、寿命の問題が解決しているかカマもかけてみた。
 特に疑問に思っていない様子から、オルフェノクの寿命問題は解決できるものだとヒントを得た。一番の収穫だ。
 オーキド博士に感謝をする。かの聡明な老人と会話をしていなければ、いつもの処分すべき木場勇治と誤解するところだったからだ。
 月明かりで薄く伸びるローズオルフェノクの影が、村上の形に変わって笑顔を見せる。
 あまりの機嫌の良さに、村上はオーキド博士を生かし、五十七人を都合がいいとした理由を彼に告げた。
「それにいまの状況はいい機会だと思いませんか?」
「なに?」
「ギンガ団と名乗った男がこう言った。『数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たち』と。
つまりオルフェノクにならずとも、我々に匹敵する力を持つものがいる。
あるいは先ほど話していたオーキド博士のように、オルフェノクに有益な専門知識を持つものがいる。
彼らがただ無駄に死ぬのは忍びない。そういう者たちこそ、我々オルフェノクの愛を受けるべきだ!
君もそう思うでしょう?」
「俺はあんたと違う。誰もかれも裏切る。それに、ほとんどはオルフェノクになれないさ」
「それなら彼らはそこまでの存在だったに過ぎません」
 村上が断言すると、ホースオルフェノクは殺気を収めていた。
 だが、敵意は消していない。変身を解かないのが何よりの証拠だ。
「そのベルトを返せ。もともと俺のものだ」
「いいでしょう。ですが、一つ質問させてください。
あなたは長田さんと海堂さんが裏切られた、と言いましたが……彼らはここにいます。
私の推測では君の過去か、私の世界からの彼らですが、どう対処をするのですか?」
 当然、これは確認しておく。木場がどの程度覚悟しているかはかるためでもある。
 ここで迷うようなら、オーガギアは託せない。
 だが、意外にも木場は怒りの宿った目を鋭くした。
「あんたの言っていることはとっくに覚悟している。
名簿に海堂と長田さんの名前があった。体のあるあんたの説明はそれでつくし、名簿の謎も解ける。
けど、俺は信じない。なぜなら…………」

258Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 20:00:07 ID:6Ym88hlk
 木場は苦痛を思い出したかのように歯を食いしばる。

「俺と同じ夢をみたあの二人は、俺の仲間であるあの二人は、人間に裏切られてお前に殺された海堂と長田さんだけだ!
俺は絶対に許さない。俺たちを裏切った人間を、殺したお前を!
たしかに過去の海堂は、優しい長田さんは自分たちを殺したことさえ許すかもしれない。
だったら、あのとき殺された二人の仇は誰がとるんだ? 誰があの二人が死んだ罪を裁いてくれるんだ!?
誰も動かないなら俺が裁く。それが間違ったものだとしても、なくした夢の代償を払わせてやる!」

 村上は木場の慟哭に内心拍手喝采を送った。
 オルフェノクがいずれたどり着く結論とはいえ、ここまで進化にふさわしい心根を手に入れるとは。
 姿形は決意の現れか。目をかけていたかいがあった。
 惜しみなくオーガギアが収められているジュラルミンケースを差し出した。
「認めましょう。君はこのベルトにふさわしい持ち主だ。そして、四つ葉の一人にも!」
「どの道、帝王のベルトはあなたが俺に渡す。それに忘れるな。すべての人間を殺したら、次はあなただ」
 木場の憎しみに濁った瞳を向けられながらも、村上は笑っていた。
 当然だ。

「よろしいでしょう。私は理想のためならどうなろうと構わない。
君が理想の世界【オルフェノクの繁栄】を約束するというのなら、私の命をいつでも差し出しましょう。
すべては王のため、オルフェノクのため!」

 目的のためなら、自分の命など安いものだ。
 別の未来で王に命を差し出したように、笑顔のまま木場の望みを受け入れた。
 木場は何も言わずオーガギアを受け取り、踵を返した。
 その背中はかつて見た時より大きく映り、四つ葉の一葉にふさわしいものだ。
 これで再び幸福を呼ぶ暗黒の四つ葉が揃った。

 四つ葉のリーダーたる北崎。
 参謀にふさわしく、常に中心を立ちまわる影山冴子。
 迷いがあるものの、こちら側に付くしか選択肢のない乾巧。

 そして、死んだ琢磨の後釜にふさわしい今の木場勇治。

 乾巧は背中を後押しする必要があるし、影山はこの場にいない。
 とはいえ、村上の手に幸運はある。
 ほくそ笑みながらオーキド博士を迎えに行った。

259Blue Rose ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 20:01:16 ID:6Ym88hlk



【D-2/オフィス街/一日目 深夜】

【木場勇治@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:軽傷、若干の疲労、人間態
[装備]:オーガドライバー一式
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:オルフェノクの保護、人間の抹殺、ゲームからの脱出
1:すべての人間を殺したあと、村上を殺す。
2:乾巧と決着をつけたい。
3:あのファイズの正体は……?
4:たとえ別世界の海堂や長田であっても、自分を止めるなら容赦はしない。
[備考]
※コロシアムでの乾巧との決戦の途中からの参戦です



【村上峡児@仮面ライダー555】
[状態]:若干の疲労、人間態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:オルフェノクという種の繁栄。
1:まずはオルフェノクにする人間を選別する。
2:ある程度選別を終えたら、使徒再生を行い、オルフェノクになる機会を与える。
3:乾巧の後押し。
4:出来れば元の世界にポケモンをいくらか持ち込み、研究させたい。
[備考]
※参戦時期は巧がラッキークローバーに入った直後。



【オーキド博士@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:ポケモンの保護、ゲームからの脱出
1:村上と合流する。
2:オルフェノクに興味。

260 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 20:03:06 ID:6Ym88hlk
投下終了。
オーキド博士のポケモン支給は保留に。
誰かオニスズメを手持ちに持っているのなら、もたせたのですが。
それとボツタイトルが『6Vゲットだぜ』だったのは特に気にしないでください。

それでは指摘、誤字などありましたら指摘お願いします。

261名無しさん:2011/07/12(火) 20:37:06 ID:nFjECaSQ
投下乙
やべぇ、社長も木場もかっけえw
そしてついに帝王のベルトが木場の手に渡ってしまった……
周辺エリアにいる人間の方々、マジ逃げてー!

ただ、指摘がひとつ
劇場版の木場は長田のことは「結花」と名前、それも呼び捨てで呼びます
意外と気づかない人が多いTV版とパラロス版の設定の違いのひとつです

262名無しさん:2011/07/12(火) 20:40:06 ID:O6ZtdzLM
投下乙です

なるほど、社長はオーキド博士と会話してそういう風に動くか。らしいといえばらしいな
完全なマーダーではないが危ういな。人間は反応しだいで処分されそう
原作キャラ以外で反オルフェノクみたいな人もちらほらいるし…
この対立がロワでどう動くか…

263 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/12(火) 20:44:46 ID:6Ym88hlk
>>261
おっと、しまった。
真理の「雅人」は覚えていたのですが。
wiki収録時に修正します。

264名無しさん:2011/07/12(火) 21:09:58 ID:8v0E0g5Q
投下乙っす
ライダー勢についても気になるところだが
「ポケモンは人間のことをどう思っているのか」というオーキドの問に答えてくれそうな参加者が何人(?)かいる件
一体今後どうなるのやら…

あと些細な誤字ですが
>>253
 それは男女間の愛という俗なものではない。友情に関してはある程度理解は持っているが、【】よりも優先するものがある。
>>255
「賛成じゃ。こんな儀式で【殺そうする】人間は少ないと思うが……一応のう」
【あぬし】やわしの常識は、ゲームで作られた設定とかの」

265名無しさん:2011/07/12(火) 21:19:50 ID:qm.HS4ak
投下乙です

村上社長とオーキド博士、どっちも良い味をだしてますな
特に社長は原作の味がよく出ている様に思います
そしてふっきれた木場さんが地味にヤバい
元のスペックが高いから、迷いを捨てればめちゃ強いんですよね馬さん
しかもオーガのベルトを……!!
草加さんとの再戦にも期待です

266 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:43:15 ID:raQvIKbQ
仮投下スレにて◆4EDMfWv86Q氏のお言葉以降意見がなかったので、
衛宮士郎、セイバーオルタ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンを本投下させていただきます。

267vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:44:47 ID:raQvIKbQ



「やっ……!!」

 轟ッ、と奔る白い刃を、物理保護壁を張って阻む。
 だが、五芒星の魔力結晶は、膨大な魔力を纏った一撃の前に容易く破られた。
 そこに迫るもう一振りの黒い刃。

『いっっ…………!!』

 杖を盾にして辛うじて防ぐ。その衝撃に大きく弾き飛ばされる。
 傷こそついていないが、ルビーが悲鳴を上げる。

「この……ッ! 斬撃(シュナイデン)!!」

 弾かれ開いた距離を利用し、魔力を薄く鋭く刃のように研ぎ澄まし放出する。
 だがその刃は、黒い剣士の周囲に現れた黒い魔力の霧に阻まれる。

「――――――」

 返すように同質の魔力斬撃が放たれる。しかも左右二つずつ、合わせて四連。
 その威力、精度、魔力密度の全てがこちらを上回っている。
 それを転げまわる様に回避する。

「ッ――――――!」

 だが回避しきる事は敵わず、最後の一つを障壁を張って防ぐ。
 肩に鋭い痛み。やはり障壁を超えて斬られた。

「いっ……! やっぱり、強い……!」
『いやー、当然と言えば当然ですけどね。しかもこっちは弱体化してますし』
「わかってたけどね!!」
『あちらさんも参加者扱いなのか、エクスカリバーを持ってませんので一撃必殺はありませんが、それでもすでに詰んでますねー』
「うう………」

 ルビーの諦め感が漂う言葉に反論できず、涙目で小さく唸る。
 そうやってちょっとしたコントをやっている間にも、黒い剣士は無言でこちらへと歩いてくる。
 その両手に握られた白と黒の双剣――干将と莫邪には黒い魔力が渦巻き、いつでも斬撃を放てる状態にある。
 こっちが何かすれば、いつでもその魔力を解き放つだろう。

『ここが鏡面界なら離界(ジャンプ)して逃げるんですけど、どうも違うみたいですし。
 どちらかと言えば、以前別世界の魔法少女と出会った世界に近いでしょうか』
「そんな事は今はどうでもいい! それよりルビーこの状況どうにか出来ないの!?」
『あー……。クラスカードもないですし、せいぜい接近戦にならないよう気を付けてくださいとしか言えませんねー。
 上手く時間を稼げば、正義の味方が助けに来てくれるかもしれませんよ?』
 諦め感が漂うどころじゃない。完全に諦めてた。

 事実。黒い剣士――セイバーとの覆せない圧倒的な能力差を前に、白い少女――イリヤに出来る事は、殺されるその瞬間まで逃げ惑う事だけだった。


「ルビー―――ッッ!!!」
『ほらほら。早く逃げないと追いつかれちゃいますよ?』
「………………ッ!?」

 ルビーの言葉に咄嗟に振り返れば、黒い剣士はもう十メートル程の距離にまで近づいていた。

「く……! 一体どうすれば………!」

 砲撃は無駄。斬撃も効かない。逃げる事も難しい。ハッキリ言って打つ手なしだ。
 ランサーのクラスカードでもあれば、一撃で倒せたかもしれないのに。
 ……ん? ……ランサー……槍……?

「……そうだ、これなら!」
 魔力を圧縮する。
 撃ってもダメ、斬ってもダメなら、槍のように貫く。

268vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:45:17 ID:raQvIKbQ

「…………!」

 こちらの動きに気付いた黒い剣士が双剣から斬撃を放つ。
 それを飛び退くように回避し―――

“もっと”
 細く、
“もっと――――”
 鋭く、
「………刺し―――」
 槍すらも越えて、
「―――穿つ―――!!」
 針のように……!!


「…………っ!!」
 レーザーのように放たれる魔力の槍。
 針の如く収斂された一撃は黒い魔力の霧を貫き、初めて黒い剣士に防御を取らせた。

「やった! これならいける!」
『おお、流石はイリヤさん! この土壇場で新たな技を思いつくとは!
 仮にも主人公なだけはありますね!』
「この調子で、もう一発――!」

 再び放たれる魔力の槍。
 それは稲妻のような早さで黒い剣士に迫り、

「………………」
「あ………」
『まあ、やっぱりこうなりますよね』

 あっさりと、僅かに屈んだだけで躱された。

 それこそが点による攻撃の欠点。
 面や線の攻撃に比べ、非常に回避が容易いのだ。
 故に槍による攻撃は基本が払いとなり、要所で突きを行う形になるのだ。

 槍を躱した黒い剣士は、そのままこちらへと駆け出す。

「このつ………!」

 後方に飛びながらもなお放たれる魔力の槍。
 砲撃も斬撃も足止めにすらならない状況では、当然の選択だった。
 だがやはりそれは躱される。

 回避を防ぐのなら、ショットガンかマシンガンのように打ちだす必要がある。
 だがそれでは逆に威力が足りなくなってしまうのだ。

 黒い剣士は槍を躱わした体制のまま、莫耶を投擲する。
 咄嗟にそれをルビーで防ぎ、弾き飛ばす。
 だがその衝撃に体勢を崩してしまう。

「――――――」
「ッ――――!」

 その間に黒い剣士はイリヤへと肉薄し、残った干将を叩きつけてくる。
 それを障壁を緩衝材にしてルビーで防ぐ。
 だが。

『しまった、罠です! 受けてはいけません!!』
「え―――!?」

 ルビーの警告に、背後からの奇襲に気付く。
 飛来するのは黒い刃。
 干将は回転し唸りを上げ、磁石のように莫耶の引き寄せられながら迫りくる。
 それを即座に障壁で防ぐが、意識が後方へ逸れた瞬間、黒い剣士にルビーを打ち上げられた。

「……ッ! 物理保護全開!!」

 咄嗟に物理防御を全開にするが、そのまま近くの民家へと叩きこまれる。
 そうして一つの家屋は、一瞬にして廃屋となった。

269vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:45:50 ID:raQvIKbQ


『大丈夫ですか、イリヤさん』
「……なんとか……大丈夫」

 どうにか瓦礫を退かしながら廃屋から這い出る。
 直後。
 ガシャン、と眼前に黒い鎧の脚部が踏みしめられる。
 恐る恐る見上げれば、月光を反す白刃と、やはり黒い騎士がいる。

「ぁ……う……」
『絶体絶命……ですね』
「……………………」

 堪らずその場で尻餅をつく。
 黒い剣士は無言で鋼の刃を振り上げる。
 次の瞬間には、その白い剣は私の血で赤く染まるのだろう。

「……ミユ……クロ……凛さん……ルヴィアさん」

 大切な人たちの名前が、口から零れていく。
 逃れようのない絶望を前に、恐怖が心を押し潰す。
 そして―――

 黒い剣士はその懇願するような声に慈悲も容赦もなく、短剣を振り下ろそうと――――


「助けて…………おにいちゃぁぁぁあん――――――!!!」

 そして気が付けば、誰よりも大好きな人の名前を呼んでいた。


「イリヤァァァア―――――――――!」

 直後。どこからかその人の声が聞こえた。

「っ………………!」

 奔る剣閃。少女を切り捨てようとしていた刃は、その迎撃に当てられた。

 黒い剣士は続く一撃を後方へ飛んで躱し、イリヤとの距離を大きく開ける。
 それによって出来た間に、イリヤを庇うように一人の少年――衛宮士郎が立ちはだかった。


        ◆


「――――――――」

 白銀の月の下、黒い剣士が立っている。
 背後にイリヤを庇ったまま、再び剣を構える剣士――セイバーを睨む。
 漆黒の鎧に身を包み、ヘルムで顔を覆い隠している彼女からは、いかなる感情も読み取れない。

「…………セイバー、どうして……」
「……それを知ってどうすると言うのです、シロウ。
 既に解っているでしょう。貴方は既に私のマスターではなく、私はもう貴方のサーヴァントではない。貴方の質問に答える必要など、もうどこにもない」
「それ、は…………」
「―――この身は既に、貴方の剣ではないのです」
「ッ――――――――!」

 その言葉に息を飲む。
 後ろで「喋った!?」とか驚いている声も耳に入らない。
 貴方の剣ではないと、そう言われただけで、心臓が鷲塚みにされた様に痛んだ。
 それを堪えるために、ただ強く、唇を噛んだ。

「私は聖杯の器を必要としている。私の邪魔をするのであれば、誰であろうと容赦なく殺す。そこに話し合いの余地などありません。
 死にたくないのであれば、そこをどく事です」

270vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:46:31 ID:raQvIKbQ
「……………………」

 セイバーが俺へと剣の切っ先を突き付ける。

 セイバーも言ったように、対話の余地などどこにもない。
 彼女はたとえ誰であれ、邪魔する者は躊躇いなく殺すだろう。
 それでも……どうしてもセイバーを止めたければ、セイバーを打ち負かすしかない。


 ――――俺達はもう、どうしようもない程に敵同士だった。


「―――もっとも。この局面で、貴方が引き下がれる筈がない。
 私が何を言おうと、貴方は身命を賭してイリヤスフィールを護ろうとするでしょう」

 セイバーの体が揺れる。
 彼女は、音もなく双剣の柄を握り、

「行きます。イリヤスフィールを護りたいのであれば、剣を執りなさい」

 静かに、未だ躊躇いを見せる俺へと肉薄した。

「……くそ。やるしかないのか」

 剣を構える。
 セイバーを止める。イリヤを助ける。
 そのどちらを成すにしても、まずは彼女を倒さなければならない。


「ハァッ………!」

 剣を振り抜く。手加減も容赦もない。
 突進するセイバーに合わせて、カウンターの要領で渾身の一撃を炸裂させる。

「っ、…………!」

 あっけなく弾かれた。
 セイバーの黒刃は俺の全力を容易く防ぎきり、弾き飛ばす。
 そのまま俺の体を両断しようと、残る白刃で俺の体を断ちに来る――――!

「ぐ…………!」
「っ……!?」
 セイバーから驚きの声が上がる。
 衛宮士郎では防げぬ一撃を俺が防いだからか、別の理由からかは判らない。
 だが明らかに、セイバーは今の攻防に戸惑っていた。

「は――――」

 防戦一方。
 攻撃に意識を割く余裕はない。ひたすらにセイバーの剣を防ぎ続ける。
 俺を確実に殺せる精度の一撃を、十を超えて防ぎきる。

「は――――、ぁ、ぐっ――――!」
 慣れぬ双剣だからもあるだろう。
 だが明らかにそれ以外の理由で、セイバーは動きに精彩を欠いていた。

 だから持ち堪えられてる。
 理由は定かではないが、これなら十分に耐えられる。

「は――――、っは――――」
 だが、それでもなおセイバーは衛宮士郎より圧倒的に強い。
 そもそも身体能力・魔力量の両面で衛宮士郎ではセイバーに敵わない。
 セイバーの一撃毎に体は悲鳴を上げて、今にも剣を手放し膝を屈しそうになる。

 ―――だが勝機はあるかもしれない。
 ギリギリだろうとセイバーの剣に耐えられるなら、まだ可能性はある。
 セイバーが慣れぬ双剣を使い、不調をきたしている限り、いつか必ず隙が見えてくる……!


「く――――!」
「っ…………!」

 後退する体。
 セイバーの一撃に大きく弾かれ倒れは、仕切り直す為に背後に跳んだ。

271vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:47:08 ID:raQvIKbQ

「は―――…………はあ、ふぅ、ふ――――」

 肩を上下させ呼吸を整える。
 剣を握ったままセイバーを見据える。
 離した間合いは十メートル。
 いかにセイバーと言えど、接近するには二歩必要とする距離だ。

「――――――はっ」

 呼吸はすぐに落ち着いた。
 だが替わりに笑いが込み上げてきた。
 こんな状況だと言うのに俺は、セイバーとマトモに打ち合えている事が嬉しいらしい。


「……その剣、竜殺しの魔剣か―――!」

 不意にセイバーが呟いた。
 俺がセイバーと打ち合えた理由。それに心当たりがあったらしい。
 その言葉から察するに、どうやらこの剣はセイバーにとって天敵であるようだ。

 ―――だが、それは瑣末な事でしかない。
 セイバーと打ち合えるのは有り難いが、一瞬でも気を抜けば殺される事に変わりはない。

「――――――」

 対してセイバーは、俺の持つ剣に対する警戒を強めた。
 たとえ俺自身の技量が大したことなくても、この剣が厄介である事には変わらない。
 僅かでも傷つけられれば、そこから切り崩されるかもしれないのだ。

 ―――それは神話における、メデューサに対するハルペーのように。

 だが。

「確かにその魔剣を相手にすれば、竜の因子を持つ私の能力は抑圧されます。ですが―――」

 それは、セイバーが引き下がる理由にはならないのだ。
 セイバーは双剣を構えなおすと、一歩、地面を強く踏みしめた。

「くっ…………」

 セイバーの突撃に備え、剣を構える。
 どれほどの一撃が来ようと耐えられるように、全力で歯を食いしばる。
 応じるようにセイバーは勢いよく一歩を踏み出し、

 二歩目で、一際高く跳び上がった――――!

「なッ――――!」
「それならば、その剣ごと砕き飛ばすだけだ!」

 セイバーはそのまま全体重を乗せ、双剣を叩き落してくる。
 剣を振り上げて迎撃するも、それだけで両手が麻痺した。

「ぎ………ッ!」
「終わりだ!」

 地面へと着地したセイバーが、双剣を振り上げる。
 セイバーの一撃をどうにか防ぐが、強く弾き飛ばされ、剣を取り落とす。

「しまった―――ッ!」

 即座に回収しようと駆け出す。
 だが、そこに俺に向かって双剣が一投され、それを転がるように回避する。
 だが。

「くそっ!」

 その僅かな隙に、セイバーが剣を回収した。
 遅かった。
 あの剣と“敵対”しなくなった以上、セイバーの能力に制限はなく、
 武器を失くし、無手となった俺に戦う術はない。


 ――――ただ一つの、切り札を除いて。

272vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:47:48 ID:raQvIKbQ


「止めだ。微塵も残さん……!」
「っ………………!」

 黒色の太陽から放たれるフレアのように、セイバーの持つ魔剣が極光を放つ。

 あんなものを受ければ、ただの人間などひとたまりもない。
 その一撃から逃れようと全力で回避をするが、

「ふん……逃がさん!」

 それよりも早く、軌道を変えた一撃が、回避しようとした先を斬り抉った。
 その光景にたたらを踏み、思わず足を止める。
 しまった、と思うがもう遅い。

「――――ッ!!」

 黒き太陽のフレアは未だ収まらず、再びその顎門を開く。
 それを地面を転がってでもどうにか回避する。

 されどその抵抗もここで終わった。

「風よ……吼え上がれ!!」

 三度放たれる黒い旭光。
 黒炎が地面を舐めるように焼き尽くす。
 その射程は広く、何をした所で逃れられない。

「く、そぉ―――ッ!」
 確約された敗北に、声を上げる。
 諦めはしない。諦めはしないが、どうする事も出来ない。
 せめてもの抵抗として、左肩に手を当て最終手段の解放しようとするが、

「ッ――――――――!!」
 そんな余裕すら与えられず、黒竜の顎門は俺の体を飲みこんだ。


        ◆


 その光景を前に、セイバーは自らの勝利を理解した。
 地面は大きく抉られ、焦がされて白煙を上げている。
 ただの人間である衛宮士郎に、その膨大な魔力の炎を耐えられる道理はない。


 今度こそイリヤスフィールを捕らえようと背を向ける。
 抵抗しないのであればそれでいいが、そうでないなら四肢を切り落とす事も、あるいは殺す事も厭わない。
 セイバーにとって、イリヤスフィールの生死などどうでもいい。必要なのはその心臓――聖杯の器、その核なのだ。

 周囲に目を巡らせ、標的を探す。
 衛宮白との戦闘中は完全に野放しになっていたが、少女を逃がさぬ程度には気を張っていた。
 イリヤスフィールがこの近辺にいるのは間違いない。

 そうして、イリヤスフィールの気配を捉え、その方向へと向きなおろうとした、その時――――

「なッ――――!」

 イリヤスフィールの気配を感じた場所。
 いまだ白煙の立ちこめる地面から、死んだはずの衛宮士郎が、飛びだしてきた。
 その奥にはへたり込んだイリヤスフィールの姿が見えた。

「限界まで魔力を籠めた五重の障壁。最後の一枚まで破られると思わなかったけど、それでも防ぎきった!」
『実剣の方で斬られてたらアウトでしたけどね。魔力による斬撃の部分だけで助かりました』

 衛宮士郎が黒炎に飲まれたあの瞬間。イリヤは全魔力を防御にまわし、衛宮士郎の盾となって彼を護ったのだ。

273vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:48:24 ID:raQvIKbQ


「オオオォォォオオ――――!!!!」

 衛宮士郎が黄金の剣を両手で握り、セイバーへと突撃する。

「――――来るか、シロウ――――!」

 刃は横に。
 収束し、回転し、臨界に達する旭光の剣。
 黒色の太陽は、そのフレアを両手に携え。

「――――!」

 セイバーの動きが止まる。
 剣を振るう事が出来ない。
 その両腕には、五芒星の魔力障壁が形成されている。
 イリヤの支援だ。
 彼女は物理保護壁をセイバーの両腕に展開することで拘束し、その動きを封じたのだ。

「この程度の足留めで……!」

 セイバーの全身に魔力が奔る。
 稲妻を帯びたセイバーは容易く障壁を粉砕する。

 だがその間に、セイバーへと一撃するに十分な距離を詰めている。
 構わずセイバーは剣を振り抜き。

「消えされ――――!!」

 ――――荒れ狂う黒い光。

 風を巻いて、セイバーの剣が灼熱する。
 衛宮士郎の担う黄金の光を断ち切らんと、最強の一撃を叩き込む。

「セイバァァァアア…………!!!!!」

 黄金の剣を渾身の力で振り下ろす。
 暴走する主を止める為か、剣の放つ光はより強く輝きを増す。


「あ…………」

 ――――瞬間。
 何か信じられない様な物を見た声と共に、黒い太陽はその輝きを鈍らせた。


 一振りの剣が打ち上げられ、その手から弾き飛ばされる。
 その隙を返す一刀で斬り上げる。
 それを紙一重で避け、後方へと飛び退きながら空中で剣を受け止める。

「私の……剣…………」

 ヘルムが砕ける
 カリバーンの一撃が掠めていたのだろう。
 剣戟に打ち負けたセイバーは、茫然と衛宮士郎の手に握られた剣――“勝利すべき黄金の剣(カリバーン)”を見つめていた。

「……………………」

 セイバーは剣を構えない。
 一瞬だけ見えた感情はもう見えず、既に表情は無に戻っている。
 だが、いつ斬りかかられても応戦できるように正眼に剣を構え、

「……いいでしょう。今回は貴方に免じて引きましょう」

 セイバーのその言葉に堰き止められた。
 その言葉に、思わず一歩、セイバーへと踏み出す。

「セイバー」
「ですが―――」

 だが、それもやはりすぐに止められる。
 セイバーは剣を納め、背を向ける。
 そこには未練など微塵も感じられない。

「次に会った時は必ず、聖杯の器を貰い受けます。
 それまで、決してイリヤスフィールを死なせぬよう心しなさい」

 そう言ってセイバーは静かに去っていった。
 後には何も残らなかった。

274vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:49:17 ID:raQvIKbQ



 周囲にはもう、セイバーの気配は感じない。
 張り詰めていた糸を緩め、意識を戦闘状態から通常へと戻す。
 疲労に膝を屈しそうになるが、それをどうにか堪える

「イリヤ……だよな。大丈夫か?」
「……うん、大丈夫だけど。
 お兄ちゃんこそ…………」

 振り返り、座り込んでいるイリヤに向かって手を伸ばす。
 イリヤはその手を握るが、どこかぎこちなさがある。

 俺達は二人とも、お互いに違和感を覚えていた。

「……まあ、詳しい話は後だ。今は早くここを離れよう」
 戦闘音を聞き付けて誰かがやってくるかもしれない。
 それが非好戦的な人物なら良いが、そうでないなら今の自分達には厳しい状況になる。

 イリヤもそれに頷き。俺達は死闘の場を後にした。


        ◇


 【H-4】から【H-5】へと掛る、冬木大橋と酷似した橋の前に立つ。

 当面の目的はマスターである間桐桜を探すことだ。
 魔術師として不安定な彼女は、いつ自滅するかも判らない。
 そうなる前に見つけ出して安全を確保し、一刻も早く彼女を優勝させなければならない。
 聖杯の器さえあれば、上手くすればある程度は安定するかもしれない。
 先ほどイリヤスフィールを襲ったのもそのためだ。

 次に、“約束された勝利の剣(エクスカリバー)”を探しだす。
 グラムは剣としての性能は高く、魔剣としての格も自分の宝具に匹敵する。
 だがその使い心地にはどこか違和感が残る。やはり自分の宝具はエクスカリバーなのだ。

 後はただ、桜のサーヴァントとして桜を優勝させる為に、出会った参加者全てを殺していくだけだ。
 その過程で、遠坂凛や藤村大河など、衛宮士郎にとって親しい人物を殺すことになるだろう。

「……それまでに、貴方は私を止められますか。シロウ」

 そう呟くと、黒き暴君は戦場に挑む様に橋を渡り始めた。


【H-4/冬樹大橋前/一日目-深夜】

【セイバー・オルタ@Fate/stay night】
[状態]:健康、黒化、魔力消費(微小)
[装備]:グラム@Fate/stay night
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:間桐桜のサーヴァントとして、間桐桜を優勝させる
1:間桐桜を探して、安全を確保する
2:エクスカリバーを探す
3:間桐桜を除く参加者全員の殲滅
4:次に士郎たちに合った時は、聖杯の器(イリヤ)を貰い受ける(積極的には探さない)
[備考]
※間桐桜とのラインは途切れています


【グラム@Fate/stay night】
衛宮士郎に支給。
「最強の聖剣」に匹敵する「最強の魔剣」、太陽剣グラム。正確にはその原典の“原罪(メロダック)”。
北欧神話における選定の剣であり、北欧最大の英雄シグルドが所有していた。
ドイツの叙事詩『ニーベルングの指輪』ではバルムンクの名で呼ばれる。
竜殺しの特性を備えており、竜の化身たる騎士王の天敵といえる武器。


        ◇

275vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:49:51 ID:raQvIKbQ


「「平行世界?」」

 和式の居間に、俺とイリヤの声が重なって響く。
 ここは【G-3】に在る和風建築の家。ぶっちゃけ衛宮邸だった。

 最初にここを見つけた時は驚いた。
 見ず知らずの町の中に、自分の家がどんと立っていたのだから。
 もっとも、生活感がなかったのですぐによく出来た偽物だと気付いたが。
 本物同様侵入者避けの結界まで張られていたので、休息を取るにはうってつけだった。


『はい。お二人の話から察するに、イリヤさん士郎さんはそれぞれ違う可能性世界から集められたみたいですね』
「それって、私とお兄ちゃんは完全な赤の他人って事?」
『いえ、違います。
 士郎さんの世界では聖杯戦争が起きたと言う事ですので、恐らくは十年前、衛宮切嗣さんとアイリスフィールさんの行動によって分岐した世界からそれぞれ集められたのでしょう』


 ――――十年前の分岐点。
 衛宮切嗣が聖杯戦争に参加して聖杯を破壊し、その十年後に再び聖杯戦争が起きた世界。
 アイリスフィールがアインツベルンを捨てた、二度と聖杯戦争の起こらない世界。

 ルビーの話では、俺とイリヤはその二つの世界から集められたらしい。
 それから察するに、地図の【F-7】にある衛宮邸は、恐らくイリヤの住んでいる方の衛宮邸だろう。

「つまり、私とお兄ちゃんはやっぱり兄妹だって言う事だよね!」
『厳密には違いますが、その認識で間違ありません』
「俺とイリヤが兄妹、か…………」

 思い出すのは、俺の世界のイリヤの事。
 切嗣を殺しに来た、俺を兄と呼んだ少女。
 可能性としては、あの少女と一緒に暮らしているかの知れなかったのだ。

「………………」

 それを想って、少し悔しくなった。

 思い出してしまったのだ。
 イリヤが俺の家に初めてきた時に見せた表情。
 おいてかれた子供の様な、あの今にも泣きそうな顔を。

 切嗣を悪く言うつもりはない。
 けれど、もし切嗣が聖杯戦争なんかに参加せず、アインツベルンからイリヤを連れて逃げていれば、イリヤがあんな顔をする事はなかったのにと、もうどうしようもない事を思った。


「お兄ちゃん、どうしたの? 具合でも悪いの?」
「え? いや、何でもない。大丈夫だ」
「……そう。それならいいけど。お兄ちゃん、つらそうな顔してたよ?」
「あ…………」
 失敗した。
 目の前にいるイリヤとは関係ない事で、彼女に心配をさせてしまった。

276vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:50:39 ID:raQvIKbQ

「本当に大丈夫だから、心配する必要はない」
『そうですよイリヤさん。おおかた、自分の世界で妹萌えが出来なかった事に悔しく思ってるんですって。
 いやー。朴念仁かと思ってましたが、士郎さんも以外にエロいですねえ! このロリコン!!』
「って、ちょ……おま……何を!?」
「〜〜〜ッ! ルビー! お兄ちゃんがそんな訳ないでしょ―――ッ!!」
『いだっ……ちょ、イタイ! 半端なくイタイですイリヤさん!! そんなに引っ張ったり捻じったり折り曲げたりしないでくださいって! あっ、そこはッ、止めて、アッ―――……!!!』
「………………」

 そのイリヤとルビーのテンションにおいてけぼりにされる。

 まあルビーのセリフはどうかと思うが、それによって助かった事には変わりない。
 もしかしたら、彼女なりに助けてくれたのかもしれない。

 もっとも、ロリコン呼ばわりされたので助ける事はしないが。


        ◇


「取り合えず、イリヤはこれからどうしたい?」

 二人のテンションが落ち着いてきたところで、気を取り直してイリヤにそう訊いてみる。

「私は…………ミユたちに会いたい。
 殺し合いなんてしたくない」
「ああ……そうだな」

 こんな殺し合いは止める。
 それはこれから行動する上での大前提だ。
 たとえこの殺し合いで本当にどんな願いでも叶うのだとしても、誰かが犠牲とならなければならない時点で論外だ。

「なら、当面の目標はみんなを探しだして、バトルロワイアルを止める事だな」
『それに、『術式』もどうにかしないといけませんね。これがある限り、主催者には反抗できませんから』
「ああ、確かに」

 確かにそれは急務だ。
 このバトルロワイアルを止める上で、『術式』の解呪は絶対条件だ。
 だがまあ。

「一応、『術式』の解除の充てはあるんだけどな」
「え、本当!?」
「ああ、ホントだ。
 これって要は、呪い――魔術とかによる一方的な契約だろ?それなら、ルールブレイカーって短剣があれば、解呪出来るかもしれないんだ」

 最初にセイバーと柳洞寺に行った時に、キャスターが持っていた短剣。
 サーヴァントとの契約すら破壊できそうなアレなら、この『術式』もどうにか出来るかもしれないと思ったのだ。

「なるほど! 確かにあれならなんとか出来るかも!」
『さすが士郎さん。鈍いと思ってましたけど、意外に鋭いんですね!』
「お前な…………」

 前言撤回。
 コイツ絶対助けてくれようとなんてしてない。

 そんなルビーに溜息を吐きつつ、話を続ける。

「もっとも、ルールブレイカーが支給されてるどうかも判らないんだけどな」
「あ、そうか。私に支給されたのはルビーと今お兄ちゃんが持っている剣で最後だし」
「俺の方は、セイバーに取られた剣と変なカード一枚だけだしな。
 一応干将と莫邪も回収したけど、あの双剣にはそんな効果はないし」
「……え? お兄ちゃん、今何て言ったの?」
「え? だから、干将と莫邪には魔術を打ち消すような効果はないって」
「その前! 変なカードを支給されたって言ったよね!」
「あ、ああ。ほら、このカードだ」

 異様に迫ってくるイリヤに驚きつつ、デイバックからカードを取り出す。

277vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:51:32 ID:raQvIKbQ

「おお! キャスターのクラスカード!」
『ドンピシャです。ラッキーですね、イリヤさん!』

 何が嬉しかったのか、イリヤ達はカードを受け取ると盛大に喜んだ。
 そして俺には、何がなんだかさっぱり解らない。

「イリヤ。そろそろ俺にも説明してくれると助かるんだか」
「あ、ごめんなさいお兄ちゃん」
『説明するよりは見せた方が早いですし、さっさとやっちゃいましょう!』
「わかった! いくよ、ルビー!
 コンパクト、フルオープン! 鏡界回廊、最大展開!
 魔法少女プリズマイリヤ、推参!!」

 イリヤはルビーを片手に呪文を唱えると、セイバーと戦っていた時の姿に変身した。
 そうしてカードをルビーへと当て。

「クラスカード『キャスター』、限定展開(インクルード)!」

 ルビーが歪な短剣――“破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)”へと変わった。

『このようにクラスカードを使う事で、わたしは一時的に英霊の宝具となる事が出来るんです』
「なるほどな」

 確かにそれなら、イリヤ達のテンションがやたら上がっていたのも頷ける。

「ルビー。さっそく試してみようよ!」
『はい、それは構いませんが……イリヤさんと士郎さん。一体どっちが試すんですか?』
「あ…………」
「確かにな。こんな簡単な事を、主催者が気付いてないはずかないよな」

 となれば誰で試すかが問題になるが、まさかイリヤで試すわけにもいかない。
 だからと言って試しても良い相手など、そうそう見つかる訳もない。いたとしても、当然抵抗されるだろう。
 それなら――――

「……よし。イリヤ、俺で試してくれ」
「へ? お兄ちゃん?」
『勇気ありますねー。どちらかといえば蛮勇ですけど』

 ルビーの言葉は黙殺する。それは俺だってわかっている事だ。
 だが。

「ここで躊躇って後回しにしている余裕もないだろ。
 なら、出来る内にやれるだけの事はやっとくべきだ」
『そうですよイリヤさん。時間制限もあるんですから、早めに決断してくださいね』

 そう言ってイリヤを見据える。
 イリヤはしばらく視線を彷徨わせた後。

「…………わかった」
「そうか。なら一息にやってくれ」
「……うん」

 『術式』のある首元を晒す。
 イリヤはルビーが変じた短剣を構え、

「えい!」

 “自分の”首元に突き刺した。

「ってイリヤ!?」
『あららー』

 止める間もなくイリヤはその真名を解放する。
 すると一瞬の怪しい輝きと共に、イリヤの首元にあった『術式』が薄くなり消えてなくなる。

 ………だが、すぐに消えたはずの『術式』がまた刻まれていく。
 イリヤの決死の行動は、無意味に終わったのだ。

 だがイリヤ自身には何かが起こっている様子はない。
 その事に、大きく安堵する。

「………どう?」
「いや。残念ながら、だ。一瞬だけ消えたけど、すぐにまた戻った」
「そうなんだ……」
「……けどな」
「あだッ!?」

 鉄拳制裁。
 イリヤの頭に、怒り心頭の拳骨を見舞う。

「いきなりあんなことするなんて危ないだろ! 今回は何も起きなかったからいいけど、もし何かあったらどうするんだ!」
「うう……。そんな事、真っ先に自分にやれって言ったお兄ちゃんに言われたくないもん!」
「ぐ……けど、それは―――!」
『まあまあ。お二人とも、落ち着いてください』
「………………」
「………………」

 ルビーの言葉に、どうにか怒りを抑える。
 イリヤも拗ねた顔をしているが、取り合えずは落ち着いたようだ。

278vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:52:15 ID:raQvIKbQ

『確かにイリヤさんの行動は無謀でしたけど、幾つかわかった事があります』
「わかった事?」
『はい。おそらく、この『術式』は端末みたいなものなんでしょう。
 どこかに『呪術式の核』があって、それが参加者に『術式』を刻んだり、術式を通じて制限とかを掛けているのだと思われます』
「術式の、核?」
『はい。おそらくこの会場のどこかにあると思いますよ?
 再び『術式』が刻まれる時間から推測して、人間業ではあり得ませんから』
「じゃあ、その『呪術式の核』を壊せば!」
「ああ、バトルロワイアルは止められる筈だ」

 その希望的観測に、イリヤは顔を明るくする。
 俺自身もこのバトルロワイアルを止められる可能性に気が逸る。
 早くも光明が見えてきたのだ。当然と言えば当然だろう。


 それからいくつか話し合い、これからの予定を決める。

「それじゃあ改めて確認するけど、今後の行動方針は、
 一、お互いの知り合いを探す。
 二、『呪術式の核』を探しだして破壊する。
 この二つでいいな」
 その言葉にイリヤが頷く。

「よし。それじゃあ休憩も兼ねて出発は三十分後だ。
 一応部屋に布団を敷いておいたから、仮眠を取ってもいいぞ」
「はい、わかりました。シロウ隊長!」
「うむ。では解散だ」
「ルビー、行こう」
『はいはい』

 そう言うとイリヤは布団のある部屋へと走っていった。
 まあ、あのセイバーに襲われてどうにか逃げ延びたのだ。疲れもしているだろう。
 俺は台所で冷蔵庫をあさり、出発前の軽食用にサンドウィッチなど作ることにした。


        ◇


 シロウの言った部屋へと入り、敷かれた布団へとダイブする。
 ベッドではないため少し痛かったが、それでも疲れた体には心地よかった。
 そのまま訪れた睡魔に身を任せようとして、

『イリヤさん。お話があります』

 程良くウトウトしたところでルビーに邪魔された。
 その事を不満に思いながらも、どこか真剣なルビーの声に顔を上げる。

「話ってなに?」
『士郎さんの左腕の事です』
「ああ、アレ?」

 赤い布で肩までグルグル巻きにされた、シロウの左腕。
 ちょっと奇抜なファッションぐらいに思っていたのだが、ルビーの様子からすると違うのだろうか。

「お兄ちゃんの左腕が、どうかしたの?」
『あの赤い布を、決して解かせないでください』
「へ……?」
『アレを一度でも解いてしまえば、士郎さんは死にます』

 ……………………。
 一体何を言っているのだろう、このボケ杖は。

「ルビー、そういう―――」
『先に言っておきますが、これは冗談でも何でもありません』
「………………それって、そういう事?」
『あの“魔力殺しの聖骸布”で気付くのが遅れましたが、あの布で拘束されているモノは、間違いなく英霊の腕です』
「英霊の……腕?」

 それって、あのセイバーとかバーサーカーとか、そう言った人の腕の事だろうか。

279vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:52:49 ID:raQvIKbQ

『はい。どういう理由かは判りませんが、士郎さんはどこかの英霊の左腕を自分の左腕にしているのです』
「それと……お兄ちゃんが死ぬ事と、何の関係があるの?」
『英霊とはつまり、精霊の領域まで昇格した英雄の事。英霊と人間とでは、魂の格が違います。
 そんな規格外の存在の腕なんて移植すれば、移植された人間の魂なんて簡単に消し跳んでしまいます』
「ッ……! お兄ちゃ――――!」

 その言葉に、眠気なんて頭の中と一緒に消し飛んだ。
 ただ真っ白になった思考で、シロウの元へと駆け出そうとする。

『落ち着いてください、イリヤさん!』
「でも!」
『今はまだ大丈夫です。あの赤い布が巻かれている限り、士郎さんが死ぬ事はありません』
「あ……よかった…………」

 その言葉に一応は平常心を取り戻し、布団にへたり込む。
 けどルビーの話は、まだ終わってなかった。

『ですが、一度でもあの布を解いてしまえば、士郎さんは間違いなく死にます。
 一分後か、一日後か、あるいは一週間後かは判りませんが、その死は、不可避なモノとなってしまいます』
「そんな………」
『ですので、イリヤさん。士郎さんの左腕を、解放させないでください』
「………………」
『……さ、とにかく今は休みましょう。バトルロワイアルを止めるにしろ凛さん達を探すにしろ、いざという時に倒れてしまっては元も子もありません』

 ルビーに言われるがままに布団を被る。
 けれど、あれほどあった眠気は、二度と来てくれそうになかった。

「……お兄ちゃん」

 小さく呼んだ名前に返事はなく、虚しく響いただけだった。


        ◇


 廊下の縁側を超えて庭を抜け、土蔵の扉を開ける。
 そこには幾つものガラクタと、床に刻まれた魔法陣だけがある。


 ――――その光景は、今でも目に焼き付いている。

 月の光に濡れた金砂の髪と、聖緑の瞳。

   “―――問おう。貴方が、私のマスターか”

 あの時、セイバーが俺の剣になると誓ったように、
 同時に、俺も彼女の助けになると誓ったのだ。

 だから―――

「――――セイバー。
 俺は必ず、お前を止めてみせる」

 彼女のマスターだった者として、そう固く決意した。


 ……だがその先にあるモノに、決意したばかりの心を揺らつかせる。

「…………桜……俺は……」

 間桐桜。
 俺にとって一番大切な、失う事さえ思いつかなかった女の子。
 そして、毎夜冬木の街を徘徊し、人々を丸飲みにしてきた影の正体。
 人々を助けたいと思うなら、彼女は殺すべきだ。
 だがそれは――――

「っ、くそ………」

 その先の考えを、頭を振って追い出す。
 それにここにいる桜がは、“平行世界の間桐桜”かもしれないのだ。
 こんな物騒な考えは、まず桜を見つけ出してからの話だ。

 だが、そう思っていても嫌な考えが頭から離れない。

「……イリヤ。俺は、どうしたら……」

 ここにいる少女と同じ、ここにいない少女に問いかける。
 当然答えなどない。
 その様はまるで、迷子になった子供のようだった。

280vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:53:16 ID:raQvIKbQ


【G-3/衛宮邸(和)/一日目-深夜】

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]: カリバーン@Fate/stay night、アーチャーの腕
[道具]:基本支給品、お手製の軽食、干将莫邪@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:イリヤを守る
2:桜、遠坂、藤ねえ、イリヤの知り合いを探す(桜優先)
3:“呪術式の核”を探しだして、解呪または破壊する
4:桜…………セイバー…………
[備考]
※十三日目『春になったら』から『決断の時』までの間より参戦。
※アーチャーの腕は未開放です。投影回数、残り五回。
※イリヤが、平行世界の人物であると認識しました。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@プリズマ☆イリヤ、クラスカード(キャスター)@プリズマ☆イリヤ(二時間使用不可能)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:おにいちゃん(衛宮士郎)についていく
2:ミユたちを探す
3:おにいちゃん…………
[備考]
※2wei!三巻終了後より参戦
※衛宮士郎が、平行世界の人物であると認識しました 。
※カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません。


[共通の備考(士郎、イリヤ)]
※『呪術式』はルールブレイカーで解呪可能。
 ただし、会場のどこかにあるだろう『呪術式の核』を解呪または破壊しない限り、完全な解呪は不可能(その場で再び呪われる)。


【クラスカード(キャスター)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
衛宮士郎に支給。
キャスターのサーヴァントの姿が描かれたカード。
限定展開する事で、キャスターの宝具“破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)”を一定時間使用できる。
ルールブレイカーの効果は、あらゆる契約を破戒し、魔術効果の一切を初期化すること。
最強の対魔術宝具であるが、物理的な殺傷力は普通のナイフと同じ程度。
一度使用すると、二時間使用不可能。

【カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに支給。
愉快型魔術礼装。マジカルルビーという名の人工天然精霊が宿っている。
機能は魔力を無制限に供給し、マスターの空想をもとに現実に奇跡を具現化させること。多元転身や障壁、治癒促進などのほか、魔力砲攻撃やクラスカードの限定展開なども可能。展開できる魔術障壁はランクA、規模は最大で半径2メートル程度。
制限により、カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられない。

【勝利すべき黄金の剣(カリバーン)@Fate/stay night】
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに支給。
王を選定する岩の剣。セイバーにとっては「約束された勝利の剣」よりもなじみが深いものだが、生前のある行動によって永遠に失われた。
「約束された勝利の剣」と比べ、より権力の象徴的で装飾もより華美。その分、武器としての精度は劣る。

【干将莫邪@Fate/stay night】
セイバー・オルタに支給。
中国のとある刀匠が、その妻を犠牲に作り上げた陰陽二振りの夫婦剣。
お互いが磁石のように弾き合う性質を持つ。
二つ揃いで装備すると対物理・対魔力が上昇する。

281vs黒い剣士〜魔法少女と正義の味方(?) ◆UOJEIq.Rys:2011/07/12(火) 21:55:00 ID:raQvIKbQ
以上で投下を終了させていただきます。
何かご意見などがありましたら、よろしくお願い致します。

282名無しさん:2011/07/12(火) 22:17:25 ID:O6ZtdzLM
投下乙です

黒セイバーはやっぱり危険だわ。かろうじて退けた士郎・イリヤも爆弾抱えてるんだよな
今はほのぼのとしてるが桜と再会したら…ステッキも相変わらずだがシリアスは避けられないぞ…
首輪解除のフラグが立つには立ったから重要な組ではあるが解除なるか?

283名無しさん:2011/07/12(火) 22:20:37 ID:6Ym88hlk
投下&修正乙です。
プリズマ出展イリヤとルビーのおかげか、序盤と違ってほのぼのしているなぁw
オルタセイバーとの殺伐したやりとりも好きだったけど。
GJでした。

284名無しさん:2011/07/12(火) 22:37:45 ID:pMRiBJqQ
>>244
投下乙ですー。
おおぅ凛が死んだか、笛側でもイリヤ側でも名前が通じる人物だけに反応は大きそうだ。
しかし、これはなんて最悪な方向にうっかりが……

>>260
投下乙ですー。
ふむ、オーキド博士もそういえば凄腕のトレーナーなのだっけw
しかしなるほど進化……か、そういう風にも考えられるのかー。

>>281
投下乙ですー。
おおぅ、何かそのまま原作で出来そうなというか出来たらうれしかったようなお話w
しかし桜は割と凄い状況な上に凛が死んでるから先行きが微妙そうなw

285 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:20:01 ID:WJfcYhIA
投下開始します

286 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:20:57 ID:WJfcYhIA






――――し……死ぬのか!?僕は死ぬのか!?





「そうだ。40秒で心臓麻痺。もう決まりだ」


――――し……死ぬ……いや……嫌だ……死にたくない。
――――死にたくない!ふざけるな!やめろ!死にたくない!


「みっともないぞ、ライト。いや、お前らしくない」
「最初に言ったはずだ。お前が死んだ時、俺がお前の名前を書く事になると」
「これはノートを人間界に持ち込んだ死神とそのノートを最初に手にした人間との間にできる掟だ」
「牢獄に入れられたんじゃいつ死ぬかわからない。待っているのも面倒だ」
「もうお前はここで終わりだ、ここで死ね」


――――い、嫌だ!死にたくない!牢獄も嫌だ!何とかしろ!何か手はあるんだろ、リューク!


「一度ノートに名前を書き込まれた者の死はどんな事をしても取り消せない」
「お前が一番よく知ってるはずだ」
「さよならだ、夜神月」


――――死ぬ……あと数秒で!!
――――いやだ……死にたくない!死にたくない!死にたくない!
――――嫌だ!逝きたくない!!





「うわぁぁあああぁああぁああっ!死にたくない!!逝きたくない――――――――――」






* * * * * *

287 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:23:37 ID:WJfcYhIA



【1】

D−4、「間桐邸」。
玄関の扉が開けられる音によって、夜神月の意識は「死亡直前の風景」から現実へと引き戻された。
自身の視界には、ノートに「夜神月」の名を刻み込んだ死神の姿は見えない。
今居る場所も薄汚れた倉庫ではなく、もう数ヶ月間足を踏み入れていなかった「夜神月」の部屋である。

(やはりあれは……夢ではない……)

最期の会話、心停止による激痛、堕ちていく意識、そして――『死』に対する恐怖。
あの場で感じたものが夢だとは、到底思えない。
「夜神月は心臓麻痺で死亡する」――それは決して嘘ではなく、この身で体感した事実であった筈。
だとしたら、何故自分はこの地で、止まった心臓を再び動かしているのだ?

(なにがなんだか分からない……一体どうなっている……?)

何から何まで、理解し難かった。
主催者に食いかかって、結果「みせしめ」として殺されたあの異形と言い、
名簿に書かれていた「既に死んだ人間達の名前」と言い、
常識を意図も容易く凌駕する出来事が連続して発生している。

(これが「死んだ者が行きつく所」……?いや、だとしたら何故ニアと松田まで参加しているんだ……?)

名簿には、自身を破滅へと追い込んだ者達の名も書かれていた。
「夜神月」=「キラ」である確固たる証拠を、本人の目の前で突きつけた「ニア」。
最後の最後で月を裏切った「松田桃太」。
どちらも思い出しただけで腸が煮えくり返る気分になる存在である。

キラに反抗し、結果勝利した側に付いていたあの2人は、まだ生きている筈。
生きている人間が参加されているということは、
この「儀式」は「死」とは無関係の位置にあるということを意味していた。
だとしたら――夜神月は、名簿に書かれた死者達は。

(「蘇り」……そんなものを認めろと言うのか!?)

「死」は誰にも覆すことの出来ない、絶対不変の摂理。
あの男は――アカギは、それをたった一人で覆してしまったと言うのか。

(有り得ない……だが……)

だが、月本人が「生き返り」という超常現象を体験してしまっている以上、受け入れるしかあるまい。
片意地を張って「非現実」を否定するよりも、柔軟な姿勢でそれらを認めるべきだろう。
それ以前に、自分は既に「デスノート」と言う最上級の「非現実」と遭遇してしまっている。
この程度の事を認めるのは、容易であった。

さて、主催についての情報――例えば、殺し合いを始めた理由、生き返りの原理――も集めたいし、
異形に変化した眼鏡の男性(「オルフェノク」と言っていたか)に関する事も気になる所だ。
だが、それらの調査に行動を移す前に、今の月にはやるべき事がある。
この家を訪れた二人の参加者の事だ。
聞こえてくる声からして、月の関係者ではないのは確か。
会話の内容から考えて、殺し合いに乗っている訳でもない。
警戒してこのまま身を隠したとしても、いずれは見つかってしまうのは目に見えている。
下手な事をして怪しまれるのは避けたい。
だとしたら――接触を試みるのが、最も利口な選択だろう。

288 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:25:57 ID:WJfcYhIA
【2】


派手な服装をした長身の男は「ゲーチス」と、制服の少女は「美樹さやか」と名乗った。
2人はほんの数分程前に行動を共にし始めたばかりらしく、
どこか安全そうな場所で情報交換を行う予定だったらしい。
そう考えると、彼らが月の居る「間桐邸」にたどり着くのはごく自然な事だと言えるだろう。

情報交換は、居間にて行われた。
その内容だが――予想の斜め上を行く話が続出したせいで、月も少々唖然としてしまった。
さやかの「魔法少女」の話はまだいい。
御伽噺の様な話ではあるが、一応「日本」で起こった話だ。
だが、ゲーチスの「ポケモン」についての話は、流石の月も一抹の疑念を抱かざるおえなかった。
何しろ、あらゆる物事が月達の世界とは根本的に違うのである。
「イッシュ」などと言う名前の地方、月の知る限りでは存在しない。
念のためさやかにも聞いてみたが、彼女も首を横に振った。

(アカギの言っていた「可能性宇宙」はこれの事を言っているのか?)

「数多の時間、空間という可能性宇宙」――すなわち、「平行世界」。
アカギの話が確かなら、「儀式」の参加者は複数の「平行世界」から選ばれているという事になる。
とすれば、地形、もしくは歴史が違う「世界」からも人間が連れて来られていてもおかしくはない。

「恐らく、ゲーチスさんとさやかと僕の『世界』は全く別のもの……いわゆる『パラレルワールド』なのでしょう」

「平行世界」という単語一つだけで、此処で聞いた全ての話を肯定できる。
ポケモンも、魔法少女も、オルフェノクも、恐らくは全て別々の宇宙から来た存在なのだろう。
「一度死ぬ以前の自分」が聞いたら、無言のまま精神病院を紹介されかねない、突拍子も無い発想ではあるが、
今は非現実を受け入れざるおえない状況なのだ――この思想を貫くしかあるまい。

それにしても、まさか此処まで無茶苦茶なものだったとは。
アカギの「どんな願いでも叶える」という発言も、嘘ではないのかもしれない。
だとすれば、「デスノートを再び手にしたい」という願いすら容易く叶えてくれるのだろう。
この地に存在する参加者を全員殺害すれば、再びキラとして君臨できるのだ。

だが――本当に優勝してしまっていいものなのだろうか?
殺し合いに乗ってしまえば、月は本当に「クレイジーな大量殺人犯」になりかねない。
キラはあくまで社会的な「悪」を滅ぼす存在である。
犯罪とは、ましてや自身と無関係な一般人を手にかけていいものなのだろうか。

(……いや、何を今更)

今更抵抗感を感じて、どうすると言うのだ。
既に自分は、犯罪を犯していない者の名を――敵対していたとは言え――ノートに書き込んでいるではないか。
それを今になって、「殺していいものだろうか」だと?
それこそ、キラに駆逐されるべき偽善者と同レベルの思想だ。


月の目の前には、彼本人も含めた多くの戦士達の運命を劇的に変えかねない選択肢が存在している。
積極的に他者を蹴落とし、最終的には優勝する道を選ぶか、
二度目の死を回避するため、ひたすらに生存を優先する道を選ぶか。

――決断には、そう時間はかからなかった。

289 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:26:45 ID:WJfcYhIA
【3】

さやかは激怒した。
怒りの矛先は、『夜神月の居た世界』に存在する「殺人ノートを所持した殺人鬼」キラと、
それに協力する集団に向けられたものである。
殺人を犯すだけでも憤りを感じたというのに、
なんと彼らは、事件を追っていた月を嵌めて「偽のキラ」に仕立て上げたと言うのだ。

「奴らは『儀式』の最中でも僕を陥れる為に暗躍するでしょうね……」

月曰く、この地に呼ばれた「悪人」は――5人。
「ニア」、「メロ」、「松田桃太」、「南空ナオミ」、「L」。
いずれもキラに加担し、月を絶望に突き落とした紛れも無い邪悪達。
この地でも、彼らは罪の無い人を苦しめようとしているに違いない。

「そんなの……許せない!すぐにでも捕まえないと!」

巨悪を前にして、さやかの正義が燃え上がる。
聞けばその6人、普段は善人を装っており、その状態で人々に接触しているらしい。
見知らぬ誰かが彼らの毒牙にかかる前に、すぐに捕まえて悪事を止めさせなければ。

元より、さやかは正義感の強い少女である。
誰かの為に必死になれる勇気と、他人を思いやれる優しさを併せ持っていた。
彼女のその側面は、魔法少女になってからさらに強くなっていく。
絶望を振りまく「魔女」を狩らなければならない「魔法少女」としての義務と、
さやかが「魔法少女」を知るきっかけになった「巴マミ」の生き様が、
彼女の「他人を護る」という使命感の増幅を助長させるのだ。

「ああ、僕もそのつもりだ……あいつらの好きには決してさせない……!」

拳を握り締めながら宣言する月を見て、
さやかは「この人もマミさんと同じ『正義の味方』なんだ」という感想を抱いた。
自身の持つ力を最大限使用して、平和を脅かす「悪」に立ち向かう姿は、
さやかが目標としていた「理想の魔法少女像」と、正しく一致していたのである。

(マミさん……)

脳裏に浮かぶのは、さやかが理想とする「魔法少女」――「巴マミ」の姿。
目の前で死んだ筈の彼女が、何故殺し合いに参加しているのか。
今のさやかに、それを知る術はない。
だが、それでも言える事が一つだけ存在していた。
それは「マミは殺し合いには乗っていない」という事。
損得を無視して人々を護っていた彼女である。
きっと、主催者を倒す為に既に行動を開始しているに違いない。

(マミさんだって頑張ってるんだ……!私だってこの力で……!)

「魔法少女」の力は、使いようではきっとたくさんの人を幸せにできる。
古びた教会で杏子に言い放った言葉を思い出す。
そうだ――この力さえあれば、まどかやゲーチスのような優しい者を護り通せる事だって、
月やマミのような「正義」の象徴のような者の手助けを行う事だって、
「絶望に彩られたストーリー」を「愛と勇気が勝つストーリー」に塗り変える事だって、不可能ではない。

さやかもまた、決心する。
この殺し合いを必ず止めてみせると。
まどかやマミを始めとする仲間を集め、そして最終的には主催者を打ち倒してみせると。
絶対に「悪人」達の思い通りにはさせはしない。


(みんなで……生きて帰ってみせる!)

290「復活祭」 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:28:34 ID:WJfcYhIA
【4】

情報交換が終わった後は、それぞれの支給品の確認を行う。
月とさやかには武器が支給されていたが、
ゲーチスに支給されていたのは金色に輝く球体一つだけだった。
「こんなものでどうしろと言うのですか」と嘆く彼に、
さやかは躊躇う事なく支給品――ベレッタM92F――を分け与える。
「魔法」という自衛手段を既に有している彼女にとって、銃など不要であった。

支給品の確認も終わり、特に何も無かったこの家から出発しようとした頃。
月は突然「単独行動をとりたい」と言いだした。
できるだけ早く、「悪人達」の情報を他人に伝えるのが目的のようだ。
さやかとゲーチスは、月を引き止めようとはしない。
例え何を言ったとしても、彼はきっと一人で間桐邸から立ち去るだろう。
それほどまでに、彼の信念は固いと分かっていたから。

最後に月は「二度目の放送が流れる時間に『病院』で合流しよう」と提案した。
それが、多くの「対主催」を集める為に必要であることは、説明しなくても理解できる。
2人はその提案を飲み込み、12時間後の再会を約束した。

「……では、僕はこれで」

月は間桐邸の前に置かれていた、洒落た西洋風の一軒家とは少々ミスマッチなバイクに跨る。
これは月に支給された「ジャイロアタッカー」という名称のバイクらしく、
「スマートブレイン社」によって開発された代物らしい。
三人の中にその会社の名を知っている者はいなかった。
恐らくは、「三人がそれぞれ居た世界」とはまた別の世界で活躍している企業なのだろう。

バイクは煙を吐き出しながら車輪を回転させ、月を運んでいった。
速度は段々と加速していき、それに比例してバイクと間桐邸の距離は開いていく。

数十秒もしない内に、月の姿は見えなくなっていた。

291「復活祭」 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:29:40 ID:WJfcYhIA
【5】


バイクで走り去って行く月の姿を何時までも眺め続けるさやかの姿を見て、
ゲーチスは内心でほくそ笑んでいた。
先のやり取りを見ていれば、この娘が「正義の味方」を目指している事は誰にでも理解できるだろう。
そういう馬鹿げた理想を持っている者は大抵、少し精神面を追い詰めてみるとすぐに心を折らすのだ。

(せいぜい、駒として使わせてもらうとしますか……)

この言葉からも分かるように、ゲーチスにはさやかを思いやるつもりなど欠片も存在しない。
それどころか、この地で生きている全ての者達を、自身が勝ち残る為に必要な駒としか思っていないだろう。
これこそがゲーチスの本性。
人の善意を貪り尽くし、他者を蹴落とす事に至上の悦びを感じる真の「邪悪」。
さやか達の前の見せた表情は、一つ残らず捏造したものなのだ。

ゲーチスが目指すのは、「脱出」ではなく「優勝」である。
この場に居る56の命を犠牲にして、造りあげるのは新たな組織。
既に崩壊してしまったプラズマ団を超えた、絶対的な力を備えた最強の軍団。
自身が世界を牛耳る世界を創造する為ならば、ゲーチスは簡単に悪魔じみた行為を行えるのだ。

(サザンドラ……もしもの時はあなたが頼りですよ……)

支給品の確認の際、ゲーチスは一つ嘘をついている。
――彼には、支給品が「二つ」支給されていたのだ。
もう一つの支給品の名は「モンスターボール」。
その中に封じられているのは、
ゲーチスの手持ちの中で『最凶』のポケモン――「『きょうぼうポケモン』サザンドラ」。
このポケモンは、言わばゲーチスの「切り札」である。
使う前に存在を他者に知られてしまっては、もうそれは切り札ではない。
故に、この支給品は隠蔽する。
今の所は、あくまで「支給品に恵まれなかった善良な人間」として活動するのだ。

「こんな場所で立ち往生していても仕方がありません。私(ワタクシ)達も他の参加者を探しましょうか」
「……そうですよね!こんな所で立ってるだけじゃ駄目ですもんね!」

さやかと共に、間桐邸を後にする。
この少女と行動するのには、彼女を駒と利用する以外にももう一つ理由がある。
「美樹さやかが絶望する瞬間が見てみたい」。
これはゲーチス自身の単純な趣味である。
せっかくの殺し合いなのだ。
この地で誕生するであろう最上級の「絶望」を、
心行くまで楽しませてもらおうではないか。



(さて……美樹さやか。あなたはどんな絶望でその表情を歪ませてくれるのですか……?)




【D−4/間桐邸前/一日目深夜】

【外道親父と不遇少女】

【ゲーチス@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:普段着、きんのたま@ポケットモンスター(ゲーム)、ベレッタM92F@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(サザンドラ)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:組織の再建の為、優勝を狙う。
 1:表向きは「善良な人間」として行動する。
 2:切り札(サザンドラ)の存在は出来るだけ隠蔽する。
 3:美樹さやかが絶望する瞬間が楽しみ
※本編終了後からの参戦
※「DEATH NOTE(漫画)」と「魔法少女まどか☆マギカ」の世界の情報を入手しました
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:北見原中学校の制服、ソウルジェム(濁り無し)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
 1:ゲーチスさんと一緒に行動する
 2:まどか、マミさんと合流したい
 3:月さんが言っていた「悪人」を捕まえる
 4:月さんとゲーチスさんは良い人だ
※7話、杏子の過去を聞いた後からの参戦
※「DEATH NOTE(漫画)」と「ポケットモンスター(ゲーム)」の世界の情報を聞きました
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました

292「復活祭」 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:34:37 ID:WJfcYhIA
【7】

夜神月がバイクを運転するのは、これが初めてだ。
昔見た映画やドラマの見様見真似で捜査しているのである。
だと言うのに、彼はまるで「最初からそれの動かし方を知っていた」かのようにそれを扱っていた。
これもまた、彼があらゆる面において圧倒的に優れているからこそ成せる芸当なのだ。
凡人では決してこうはいかないだろう。
……尤も、移動速度は遅めにしてあるのだが。

深夜の街でバイクを疾走させながら、月は思考する。
情報交換の際、月が「悪人」だと断言した5人が殺し合いに乗る確率は低い。
脱出、または主催の打倒を目指すのならば、必ずや他者と接触する。
奴らはその際、「夜神月はキラである」という情報を相手に与えるだろう。
それが広まってしまうと、月は圧倒的に不利な状況に陥ってしまうのだ。
できるだけ多くの者に、かつ迅速に「彼らは邪悪である」という情報を流し、
こちらを信頼させ、同時に奴らを追い込まなければ。

最初に会ったあの2人はどうするべきだろうか。
美樹さやかの方は、特に気にする必要はないだろう。
あの調子なら、月の思惑通り勝手に情報を撒き散らしてくれる筈だ。
だが、問題なのはゲーチスの方である。
あの得体の知れなさの裏に、何か黒いものを潜ませている可能性は否定できない。
彼については、警戒しておいても損はないだろう。

今の月は情報を欲している。
単独行動を行うのも、「病院」に参加者を集めるのも、より多くの情報を集める為でもある。
あらゆる戦いにおいて「情報」が勝利の鍵となる事を、彼は知っていたからだ。
それに、「病院に参加者を集める」という行為は、邪魔な「対主催」を一掃できるというメリットも存在する。
勝利の前に立ち塞がる障壁は、何であろうが排除しなくては。

(僕は……勝たなくてはならない)

夜神月は優勝を目指す。
いや、今の地自身の境遇を考えると、それ以外に道は残っていなかった。
例え主催の目を掻い潜って脱出したとしても、
元の世界では月を追い詰めたメンバーが待ち構えているだろう。
丸腰の状態で戻っても、刑務所に入れられて最終的に処刑されるだけだ。
だが、優勝してデスノートを手に入れたのなら、話は変わってくる。
既に奴らの本名はこの手に握っているのだ。
ノートさえ手に入れられれば、すぐに敵を全員を始末できる。「裁き」も再開できる。
デスノートの力があれば、もう一度「キラ」になれるのだ。



そう――これは夜神月が再び神の座に君臨する為に必要な「儀式」。
56の生贄によって、キラはかの「イエス・キリスト」如く、現世に復活する。



【D−4/市街地/一日目深夜】

【夜神月@DEATH NOTE(漫画)】
[状態]:健康。ジャイロアタッカー乗車中
[装備]:スーツ、ジャイロアタッカー@パラダイス・ロスト
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:優勝し、キラとして元の世界に再臨する。
 1:今は情報収集に専念。
 2:元の世界で敵対していた者は早い段階で始末しておきたい。
 3:ミサと父さん(総一郎)以外の関係者の悪評を広める
※死亡後からの参戦

293名無しさん:2011/07/13(水) 01:41:21 ID:Hxz0Stzo
投下乙です
総一郎のところ修正したんですね
月は一応父親想いだったので突っ込もうか悩んでた場所でしたが
やっぱり修正してくれて良かったと思います。
そして馬鹿っぷりに定評のあるさやかちゃんは相変わらずでホッとするわ〜

294「復活祭」 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/13(水) 01:44:05 ID:WJfcYhIA

【ジャイロアタッカー@パラダイス・ロスト】
 「オートバジンの量産型」というスタンスで開発された量産型バイク。
 コストの都合上、バトルモードへの変形機能を犠牲になっているが、
 代わりにオートバジンよりも軽量化されている。
 「パラダイス・ロスト」本編ではライオトルーパー部隊が使用していた。

【ベレッタM92F@魔法少女まどか☆マギカ】
 8話でほむらがキュゥべぇを蜂の巣にした際に使用された拳銃。
 世界中の警察や軍隊で幅広く使われている。
 ……こんな物を使う奴が魔法少女を名乗っていいものなのだろうか?

【モンスターボール(サザンドラ)】
 プラズマ団のゲーチスが持つ切り札。Lv54、あく/ドラゴンタイプ。
 六枚の羽を持った三つ首の竜。
 元々強力なステータスに加え、技構成も「なみのり/りゅうのはどう/だいもんじ/きあいだま」と
 相性補完に優れている為、かなり凶悪な強さを誇っている。
 ちなみに、ジヘッド(サザンドラの進化前のポケモン)はLv64でサザンドラに進化する。
 
【きんのたま@ポケットモンスター(ゲーム)】
 純金でできた玉。高く売れる。
 最近、「おじさんのきんのたまだよ!」と言ってきんのたまを押し付ける男が各地に出没しているとか。
 おまわりさんこっちです。

投下終了です

295名無しさん:2011/07/13(水) 01:44:44 ID:Hxz0Stzo
やっべ、割り込んですいませんでした

296 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:03:09 ID:S9.PzEsM
美国織莉子、サカキ投下します

297白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:06:04 ID:S9.PzEsM
 ――美国織莉子は困っていた。

 自身の能力である「未来視」の調子が悪い――というのも理由のひとつではあったが、目の前にいる『ソレ』とどう接すればいいのか分からないというのが、現時点においては最大の理由であった。


 『ソレ』は人間と呼ぶには、あまりにも機械的過ぎた――

 しかし、機械と呼ぶにしては、あまりにも人間的過ぎる――


 織莉子の前で堂々と、その存在をアピールする『ソレ』。

 全長約2メートル。
 最高出力2500馬力を誇る、鋼の肉体を持つ銀色の機神。
 スマートブレインモーターズが産み出した、まさに技術の結晶――


 『ソレ』の名は――オートバジンといった。


 ◇


「最後の一人になるまで殺し合って欲しい――ね。やれやれ、困ったわ……」

 話を十分ほど前に戻す。

 美国織莉子は、自身のスタート地点である城の前で、一人佇んでいた。
 彼女の足元には、ここに転移される直前にアカギという男から与えられたデイパックがひとつ、ぽつんと置かれていた。

 しばらくの間、ぼーっと目の前の光景を眺め続けた織莉子であったが、やがてあることを思い出し、視線を足元に持っていく。

298白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:08:06 ID:S9.PzEsM
「そういえば、中に地図が入っているんだったわね」
 そう言いながら、いそいそとデイパックを開け、中身を確認する。


 ――一リットル入りペットボトルに入った水が二本。

 ――学校の購買部でも売られていそうなパンが六つ。

 ――ノートや鉛筆といった筆記用具。

 ――そして、手のひらサイズの平たくて丸い形をした赤と白のツートンカラーで彩られた機械が出てきた。


「これは……?」

 よく見ると、その機械にはボタンのようなものが付いていた。
 試しにそれを指でポチっと押して見ると、機械の真ん中に備え付けられていた液晶画面がパッと明るくなる。
 そして次の瞬間には、その液晶画面に『H-8』という文字が表示された。

 ――アカギが言っていた『現在自身がいるエリアを示すデバイス』である。

「なるほど、これで私のいる場所は分かったわけだけど……」
 地図がなきゃ意味が無いわ、と再びデイパックの中をあさり、地図を探す。

「あった!」
 地図はすぐに見つかった。
 見つけて取り出すと同時に、ばさりと広げて自身のいるエリアは、この殺し合いの会場のどの辺りに位置するのかを確認する。

 が――

299白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:12:16 ID:S9.PzEsM
「く、暗くてよく読めない……」

 そう。現在の現地時刻は午前0時。
 いくら空には月と星々が輝き、織莉子の背後に建つ城は所々がライトアップされているとはいえ、暗いことに変わりはないのだ。


 美国織莉子。自身の世界においては、巴マミのような歴戦の魔法少女にすら恐怖を抱かせるほどの威圧感を持つ『白い魔法少女』――

 ――なのだが、日常面の彼女、どこか抜けている印象が否めない。
 彼女の親友である呉キリカが、それ以上に色々とアレなせいで目立たないが……


「大変、大変。明かりになる物は入っていないかしら?」
 デイパックの中をあさり始める織莉子。

 その時――

「!」

 デイパックを漁っていた手が突然ピタリと止まる。

「――誰かが近くにいる」

 そして、ポツリとそう呟いた。


 美国織莉子の魔法少女としての能力――それは「未来視」。
 数秒から数分、一ヶ月、果てにはその先まで、とにかく未来に起こる光景を「視る」ことができるチカラ――
 普段は織莉子本人が「見たい」と望むことによって発現する能力であるが、今回のように無意識下に発動することもある。

 ――だが、いつもどおり発動したはずのその能力に、織莉子は違和感を覚えた。

 「視える」光景が、何故か濃い霧がかかったかのようにボヤケているのだ。
 普段ならば、どんなに先の光景であっても、繊細に、はっきりと「視える」はずなのに――

(おかしい……)
 そう思いながらも、「視える」光景をじっくりとその目に焼き付ける。


 ――自身よりも一回りほど背が高い人影。

 ――それが自身の前に立ちふさがっている。

 ――その人影が何者なのかまではボヤケているせいで分からない。

 ――だが、うっすらとだが「視えた」場所的に考えて、そう遠くない未来で起きる出来事のようだ。


「この場所は……」
 すっと視界を背後の城へと向ける織莉子。
 そこには、城の中へ入るための大きな城門――と、その脇に停車されている一台のバイクがあった。

300白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:24:16 ID:S9.PzEsM
「…………」
 城門の横に駐車されているバイク――それは、明らかに違和感バリバリな光景だった。
 城自体は中世ファンタジーなどに登場する典型的なものとは構造が違うようだが、それでも違和感がある。

 ――近づいてじっくりと見てみる。

(変わったデザインね……)
 まだ中学生であり、かつ機械や乗り物に興味があるわけでもない織莉子でも、そのバイクは変わったデザインをしていると思った。
 特に、ハンドルの部分が、ハンドルというよりも『何かの取っ手』のようにも見え――
「あら?」
 よく見ると、そのバイクの座席にはそのバイクのマニュアルと思える薄い冊子が置かれていた。

 ――早速手に取り、一枚目のページを開いてみる。

 ――が、やはり、暗くてよく読めない。

「え、えぇと……。ハンドルの……スイッチを、押し……スイッチ?」

 バイクのハンドルの方へと目をやる。
 ハンドルの手前、丁度座席との間に位置する部分――そこには、確かにスイッチと思える部位が存在した。

「ここかしら?」

 手を触れ、ぐっと力を込めて押してみる。

 すると――


『 Battle Mode 』

「あら?」


 突然、バイクから電子音が鳴り響き、同時に黄色いランプが点灯する。

「も、もしかして、このボタンってエンジンのスイッチだったのかしら?」
 急いで切らないと、と再びボタンへ手を伸ばす織莉子。

 だが、彼女の手が再びボタンに触れるよりも先に――


 ――ガシャン!

「へっ?」

 ――ガシャン!

「え?」

 ――ガシャン!

「え? え?」

 ――ガシャン!

「え? え? え?」

 ――ガシャン!

「えぇーーーーっ!?」


 バイクが突然動き出した。

 ――否、『変形』を始めた。

301白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:26:36 ID:S9.PzEsM
 そして、数秒ほどすると、そこにはバイクではなく――


『…………』

「…………」


 左腕に盾――実際はバイクの前輪――を備えた銀色の人形ロボットが立っていた。


 ――そして、現在に至る。


 ◇


「えぇと……。あなた、魔女……ではないわね。どう見ても。うん……」

 目の前の存在に言葉が通じるのかは分からないが、そう話しかける織莉子。
 それに対してオートバジンは、ただ黙って織莉子の方を見つめたまま動かなかった。

「……も、もしかして、あなたもこの『儀式』とやらの参加者なのかしら?」

 ――ピロロロロ……

「!?」

 オートバジンの人間で言うと顔と目に該当する黒い部分が電子音を発しながら僅かに光った。
 織莉子が言った今の問に対して「いいえ、違います」とでも言っているかのように。

「…………」

『…………』

 ――黙って見つめ合う(?)二人もとい一人と一機。

302白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:32:50 ID:S9.PzEsM
「――そ、そういえば、デイパックの中には一人一人ランダムで支給される道具が入っているってあの男は言っていたわね〜」

 だが、数秒ほど経過したところで、織莉子がそのようなことを口にしながらくるりと後ろに振り返る。
 ――発言がかなり棒読みだったことはあえてここでは突っ込まない。いや、むしろ突っ込まないであげてほしい。

「もしかしたら何か武器とかが入っているかもしれないから確認しておかなくっちゃ〜……」
 そして、そう――やはり棒読みで――口にしながらオートバジンの前から離れると、置きっぱなしにしていたデイパックの方へと戻っていった。

 ――いや、この場合『逃げた』と言ってもあながち間違いではなかった。
 なぜなら、デイパックの方へと歩く織莉子は、誰がどう見ても早足であったから――


『…………』

 ――ピロロロロ……

 そんな織莉子の様子を黙って見ながら、オートバジンまるで「寂しいです」とでも言っているかのように、顔を僅かに光らせるのであった。


 ――オートバジンが自身に支給された支給品のひとつであることを織莉子が知るのは、それから数分後。
 デイパックから取り出した懐中電灯を明かりとしながら、オートバジンのマニュアルを一から読み直した時のことである。


 ◇


 ――サカキは怒っていた。

 突然このような舞台に放りこまれ、殺し合いを強制されたからという理由もあるが、再び自身の組織が表舞台に立つ時が来たというのに、それを邪魔されたからという理由もある。


 ――この舞台に放り込まれる直前、彼はある洞窟にいた。


 三年前、彼の組織はある一人の少年とそのポケモンたちによって解散に追い込まれた。
 少年から『真の強さ』――『協力』や『団結』という概念が生み出す強大なチカラ――というものを見せつけられたサカキは、再び『強さ』というものは何なのかを知るため、一人修行の旅に出た。

 ――それが結果として、最愛の息子を孤独にしてしまったのだが、そこは別の話である。

 それから三年が経ったある日、サカキが洞窟で偶然ラジオを聞いていると、突然ラジオからこのような声が聞こえてきた。


 ――こちらはコガネラジオ塔! こちらはコガネラジオ塔!

 ――三年間の努力が実り、今ここに、ロケット団の復活を宣言する!!


「!」

 修行中の身となっていたサカキにとって、それはまさに青天の霹靂であった。

 自身の組織――ロケット団の突然の復活宣言。
 当然、ボスであるサカキには全くもって覚えのないことであった。

303白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:40:43 ID:S9.PzEsM
 ――ラジオからはさらに声が聞こえてくる。


 ――サカキ様ー、聞こえますか〜?

 ――我々、ついにやりましたよー!


 それは、紛れもなくロケット団の構成員であった者たち――かつての部下たちの声であった。


 三年前、部下たちに何の事前報告もなく、突然の解散宣言をした自分。
 正直あの時は、もう二度と彼らの前に顔を出すことはできないだろうとサカキは思っていた。

 ――だが、現実は違った。

 かつての部下たちは、自身が勝手に組織を解散させた後も、残党として社会の裏側に身を潜めながら待ち続けていてくれたのだ!

 ロケット団こそがサカキという男がいるべき場所であると――ロケット団こそがサカキという男そのものであると、彼に思い出させるために――!


 ――行かなくてはならない!

 部下たちの所へ!

 未だにサカキという存在を必要としてくれる者たちの場所へ――!


 気がつくと、ラジオの電源を切るのも忘れて、サカキは歩き出していた。

 今度こそ、部下たちと世界を手にするため。
 三年前は手にすることができなかった『真の強さ』を我がものとするために――


 ――サカキが謎の黒い空間に足を踏み入れてしまったのは、その直後であった。


 ◇


「…………」

304白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:44:32 ID:S9.PzEsM
 サカキは無言で闇夜の中を歩き続ける。
 その肩にはデイパック、腰にはモンスターボール、そして右手にはスマートフォンにも携帯ゲーム機にも見える、ある端末が握られていた。

 その端末の名は高性能デバイス。
 『儀式』の参加者全員に通常支給されるデバイスを一回りほど大きく、そして機能を拡張させたもの――
 サカキに与えられた支給品のひとつだ。
 その液晶には、自身がいるエリアだけでなく、そのエリア全体の詳細なマップが表示されていた。
 さらにこのデバイス、もうひとつ『とっておき』とも言える機能が搭載されている。

 それは――『術式探知』。
 そのエリアに存在する『プレイヤー』の呪術式を感知し、現在そのエリアに何名のプレイヤーがいるのかが表示されるというものだ。

 ――現在、サカキのいるエリアには二名のプレイヤーがいることが端末の液晶には表示されていた。
 当然、そのうちの一名はサカキということになる。

 ――つまり、現在サカキがいるエリア『H-8』には彼以外にもう一人術式を持つ者――『プレイヤー』が存在するということになる。


「――いるとすれば、あそこか?」

 サカキは前方にそびえ建つ、大きな城を睨む。
 確か『ポケモン城』と言ったか、とサカキはスタート開始とほぼ同時に確認した地図の内容を思い出していた。

「…………」

 ――サカキは無言で、腰のベルトに付けていたモンスターボールを取る。
 そして、それを掴むと同時にひょいと前方に放り投げた。

305白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:49:40 ID:S9.PzEsM
 ――ポンと音をたてて開かれるモンスターボール。
 中から出てきたのは、鎧のような強靭な肉体を持つ、大型のポケモンであった。

 ――ニドキング。
 この『儀式』に放り込まれる直前までサカキが手持ちで連れていたポケモン。その一匹。
 他にもニドクイン、ドンカラス、ガルーラがいたはずだが、何故か今その三匹は今サカキの手元にはいなかった。

 ――言葉には決して出さないが、サカキはこのニドキングに対して『思い入れ』というものを感じていた。
 それは、このニドキングがロケット団のボスであるサカキとしても、かつてのトキワシティジムリーダーであったサカキとしても常に手元に置いていた一匹だからだ。
 言ってしまえば、苦楽を共にしてきた存在――
 故にこのニドキングは、三年前から一人修行の旅を続けてきたサカキにとって、唯一の仲間とも言える存在であった。

「――ッ!」

「――そうか、お前もこの茶番には怒り心頭のようだな……」

 ニドキングの顔を見ながらサカキが呟く。


 この『儀式』、サカキは、何としてでも生き残るつもりでいる。

 当然だ。三年間という長い月日の果てに、再びロケット団が世界にその名を轟かせようとしているのだ。
 自身の帰りを待っている部下たちのもとに行くまで死んでなるものか。

 ――だが、あのアカギという男に言われたとおり、ただ他の『プレイヤー』を潰し回って勝ち残る気もなかった。

 自分はロケット団のボス・サカキ。いずれ世界を手中にする男だ。
 そんな自分が、どこの馬の骨とも分からぬ輩の言いなりになるつもりなどない。
 例えそれが、相手に自身の命を握られている状況だとしてもだ。

 ――利用できるものは、他の『プレイヤー』であろうと、道具であろうと、そしてポケモンであろうと全て利用する。

 そして、最後は生き残る。

 どのような結果になろうとも、最終的に自身が生きていればそれでいい――

306白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 02:52:33 ID:S9.PzEsM
 それが、サカキのこの『儀式』におけるたったひとつの行動理念であった。


「――さて、このエリアにいるというもう一人の『プレイヤー』とやらは、いったいどんな奴なのだろうな?」
 できるのなら有用な――利用できそうな奴がいいのだが、と思いながらサカキはニドキングを連れ、城を目指して再び歩き出した。


【H-8/海岸沿いの道/一日目 深夜】

【サカキ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:高性能デバイス、ニドキングのモンスターボール@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式
[思考・状況]
基本:どのような手段を使ってでも生き残る。ただし、殺し合いに乗るつもりは今のところない
1:ポケモン城へ行く
2:同エリアにいる他の『プレイヤー』と接触したい。そして、『使えそうな者』ならば利用する
3:『強さ』とは……何だ?
[備考]
※『ハートゴールド・ソウルシルバー』のセレビィイベント発生直前の時間からの参戦です
※服装は黒のスーツ、その上に黒のコートを羽織り、黒い帽子を頭に被っています
※『ギンガ団』についての知識はどの程度持っているかは後続の書き手さんに任せます


 ◇


 一方その頃、城の前では美国織莉子が自身のデイパック、そしてオートバジンの前でがっくりと項垂れていた。

「ま、まさか本当にコレが私の支給品だったなんて……」

307白い魔法少女と黒い男と銀の機神 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 03:01:17 ID:S9.PzEsM
 ――ピロロロロ……

 そんな織莉子を見下ろしながら、オートバジンは電子音を発しながら顔を光らせていた。
 その様子は、まるで織莉子に対して「『コレ』だなんて失礼な!」と言っているようにも「まぁ、気を落とすな」と言っているようにも見えた。


 ――織莉子はまだ気がつかない。
 先ほど彼女が「視た」人影の正体は、オートバジンではなく、これから彼女のもとにやって来る、もう一人の『プレイヤー』であるということに。

 そして、織莉子はまだ知らない。
 自身の目の前に立つ、一見イロモノな銀色の存在が、実はとんでもない性能――チカラ――を秘めているということに。


 白い魔法少女と黒い男が出会う瞬間は、刻一刻と迫っていた――


【H-8/ポケモン城城門前/一日目 深夜】

【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:健康、白女の制服姿
[装備]:オートバジン@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:(いろんな意味で)これから先、どうすればいい……orz
1:本当にどうしよう、コレ(オートバジン)……
2:そういえば、まだ地図と名簿も確認してない……
[備考]
※参加時期は第5話以前(詳細な参加時期は後続の書き手さんに任せます)

【「未来視」の制限について】
1:基本的に「視える」のは最長でも十数分後までの未来です
2:「視える」未来が先であるほど、「視える」光景が霧がかっているかのようにボヤけて見え辛くなります
3:上記制限は、本人が望んで発動させた場合でも、無意識下で発動した場合でも同じです


【オートバジン(バトルモード)@仮面ライダー555】
現在の護衛対象:美国織莉子
現在の順護衛対象:なし
[備考]
※『バトルモード』時は、護衛対象の半径15メートルまでしか行動できません
※『ビークルモード』への自律変形はできません
※順護衛対象はオートバジンのAIが独自に判断します


【支給品解説】

【高性能デバイス】
通常支給されるデバイスの発展型。
自身がいるエリアだけでなく、そのエリア全体の詳細なマップが表示される。
さらに『術式探知』機能を持ち、そのエリアに存在する『プレイヤー』の呪術式を感知し、現在そのエリアに何名の『プレイヤー』がいるのかも表示される。
ただし、分かるのは人数のみで、詳細な場所までは分からない。

【サカキのニドキング@ポケットモンスター(ゲーム)】
ドリルポケモン。タイプはどく/じめん。
わざマシンや教え技により習得できる技が幅広く、見ただけでは技構成や型が読み難いことが最大の強みであるポケモン。
通称「技のデパート」。
頭部を始め、身体のいたる所にトゲがあり、その全てに毒がある。

【オートバジン@仮面ライダー555】
スマートブレイン社の子会社であるスマートブレインモーターズ製の可変型バリアブルビークル。
左側のハンドルグリップは着脱可能で、ファイズのミッションメモリーをセットすることでファイズエッジになる。
高性能AIを搭載しており、『バトルモード』と呼ばれる人型のロボット形態へ自律変形する。変形後は独自にファイズのサポートを行う。
ハンドル手前(『バトルモード』時は胸部)にあるスイッチを押すことで、任意変形も可能。
本ロワでは、制限により通常形態である『ビークルモード』時は自律変形を含む一切の自律行動が不可能になっている。
また、護衛対象もファイズではなく、“『ビークルモード』時に変形ボタンを押した者”を護衛対象とする。
護衛対象の仲間も順護衛対象として守るようになっているが、その順護衛対象はオートバジンのAIが独自に判断する。
また、護衛対象と順護衛対象が同時に敵の襲撃を受けた際は、護衛対象を優先して守る。

308 ◆vyNCf89vh2:2011/07/13(水) 03:03:32 ID:S9.PzEsM
投下終了です
アニメ見ながら作業していたので、投下速度が非常にゆっくりになってしまいましたw
申し訳ありません

誤字・脱字などがありましたら是非ご報告お願いいたします

309名無しさん:2011/07/13(水) 16:19:28 ID:LySpfh96
投下乙です

さやかちゃんはやっぱり運が悪いなwww
正義の味方をやるにしてはまずい部分がなぁ…
そして月は今回は危険対主催でなく完全に優勝狙いか。時期が時期だからな…
親父だけはスルーみたいだが親父はお前がキラだって知ってるぞw

織莉子、大当たりな支給品に近いのに贅沢なw
サカキはサカキでレーダーとは運がいいなぁ
さて、今は乗らないみたいだが織莉子と出会ったらどうなるか…

310檻の中の猫 ◆LlyH3hWzUo:2011/07/13(水) 17:03:01 ID:4Y151bf.
マオ本投下します

311檻の中の猫 ◆LlyH3hWzUo:2011/07/13(水) 17:06:27 ID:4Y151bf.

唐突に現れた舞台。
怪物となった人間。
青い炎。
そして殺し合い。



名簿を開くと、そこには見知った連中の名前があった。
あの場にいた連中は何を思っていただろうか、考えがふと頭をよぎる。
このいけ好かない枢機卿は、いつもの不敵な笑みを浮かべながら今も何か企んでいるのだろうか。
アリスは、あの持ち前の正義感であの青髪の所業に憤ってるのだろうか。


ボクは―――
ボクはただ、このどこかで見たような光景にうんざりしていた。
突然得体の知れない場所へ連れてこられ、
命を牛耳られる改造を施され、
命のやり取りをする場所に放り出される。
こんなもの、イレギュラーズに入れられた時とまるで同じた。
あの青い炎も、怪物も、“ザ・リフレイン”を手に入れたときの衝撃には到底及ばない。
世界の主観と客観、あるいは空想と現実。
その境界線の曖昧さと確固さを同時に、無理やりに受け入れさせられたあの時には。









特殊名誉外国人部隊(イレギュラーズ)は、ブリタニアの属州から集められた非ブリタニア人、
通称ナンバーズの中から、魔女の適正があるものが選ばれる。
選ばれるのは難民、それも孤児であり人権はないに等しい。
ブリタニアに誘惑されるか、それとも無理やりに連行され手術を受けてしまえば、
ギアスの力――エデンバイタルに接続し、現実を改変する力――を得るのと引き換えに、移植された魔女細胞に取り殺されないよう
その抑制剤をブリタニアからもらわない限り生きていけない体となる。


自分の命を人質にされ、ブリタニアの奴隷になり下がる。


ボクもかつてはイレギュラーズの一員だった。
中華連邦の難民から選別され、魔女細胞を植え付けられた。
イレギュラーズを脱走した今も、この肉体は変わらない。

デイバッグを開け、ごそごそと中を漁る。
見慣れた道具からよくわからない代物までつまったバッグの奥底には、水や食料と一緒に並べて抑制剤が置いてあった。
その数は、たったの一本。
それはそうだろうと思いつつも、知らず知らずのうちに舌打つ音が口から洩れる。
あの場にいた人間が全員ギアスユーザーというわけでもないだろうし、
思いのままに使わせてしまうには殺し合いの舞台でギアスの力は強すぎる。
抑制剤の数を絞れば、魔女細胞に殺されるリスクを恐れてギアスユーザーはその力を存分に使えない。
この状況はそのまま、ギアスユーザー同士の殺し合いも誘発するだろう。
能力の制限と殺し合いの誘発の一石二鳥、殺し合わせたいのなら当たり前の定石だ。
実際にボクのこれからの行動指針にも抑制剤の収集は含まれるだろうから。



このゲームはおそらく、ギアスと――無関係ではないとしても――大きな関わりを持つものでない。
理由というよりは感の類だが、既視感がそう訴えかける。

怪物と青い炎の織り成すこの世のものとも思えない半ば幻想染みた光景を見せつけられた時、ボクは言い知れない違和感に襲われた。
これはギアスではない、という感覚。
もしこれが他のギアスユーザーなら、これがギアスの一種だと拘るかもしれなかった。
しかしボクのギアスである“ザ・リフレイン”は、
他者のシナプス・サーキットを認識・改変する能力――人の思考を乗っ取るギアスだ。
ナンバーズを見下すブリタニア貴族。
ギアスユーザーを無機質に観察する研究員たち。
戦場で親しい者や生活を失い嘆き怒り悲しむナンバーズ。
彼らの脳を犯すたびに、ボクは徒人からギアスユーザーになったときの同じように、
まるで違う常識が支配する世界を認識し、また自分の常識が崩壊する音を聞いた。
要するに――ボクは自分の世界に頓着しない。

あの怪物と青髪が、“ギアス”や“エデンバイタル”といった言葉を全く使わず(それどころか
オルなんちゃらとかお聞いたこともない単語が飛び交っていた)あの光景を見せたのもそういうものなのだと素直に受け入れられたし、
名簿を見て見知った名前やあのブリタニアの魔女の名前を見つけたときでさえ、ああやっぱり、と思っただけだった。
同時にボクのおかれた現状も冷静に把握できた。

312檻の中の猫 ◆LlyH3hWzUo:2011/07/13(水) 17:07:13 ID:4Y151bf.

さて、ボクはどうすべきだろう?
まず一つ目の目的は当然のものとして決まっている。
そもそもボクは、エデンバイタル教団の情報をもとにイレブンに向かっていたところを気づいたらここに連れてこられたのだ。
なら最大の目的はただ一つ――名簿にあるナナリー・ランペルージを見つけ出し、
その魔道器を奪うことだ。
魔道器を得れば、ボクは正真正銘の魔女になれる。
魔女そのものになってしまえば、もはや魔女細胞に取り殺される心配もなくなり、ボクは苦痛から解放される。
今も魔女細胞に浸食された腕が疼き、痛む。しかしこれも、あと少しの辛抱だ。

二つ目は抑制剤の集積になる。
もちろん、この目的は一つ目の目的が達成された時点で必要なくなる。
支給品としての所持する普通の人間ならともかく、他のギアスユーザーとの奪い合いになったときのリスクは大きい。
できることなら一つ目の目標を速やかに達成するのが望ましい。
最大目標さえ達成すれば、あとはこの会場から脱出すればいいのだから。
バカ正直に殺し合いに乗るつもりなど、ない。



以上、思考終了。
気が緩み、ボクは背後の樹木を背もたれにその場に座り込んだ。
やがて左手をかざして目を多い、感覚のうち視覚を遮断する。
夜の森に映る景色は闇に覆われた虚ろだったが、聴覚のみで感じる森の風景も風と木のざわめきだけで、
虫や鳥といった生き物の気配はなく、不気味な静謐に包まれていた。
まったく何の景色も映さなくなった視界にはかつての上司の顔や枢機卿の顔が浮かんでは消えた。

そして最後に、あの青髪の――アカギの顔だけが残った。

やがて手を目から鼻、口元へと下ろす。
目の間のしわは寄り、歯は真一文字に食いしばられ、頬の肉がひきつっているのがわかる。

ボクから命の手綱を奪い、人死を強いる、人間としての矜持や尊厳を弄ぶ連中。
その行為に怒り、憎悪する感情。
これはボクの行動を促す糧になる。


ここに連れてこられ、ゲームの趣旨と置かれた状況――檻の中に再び閉じ込められたような自分の姿――を理解し、最初浮かんだのは悲嘆だった。
それから、諦念が浮かんだ。
イレブンの諺でいう、二度あることは三度ある。
ボクはブリタニアから逃げても、魔女の呪いから抜けても、どうにもならないのではないか。
だが――同時に、僕は悲嘆や諦めの無意味さを知っている。
諦念や諦め以上にどす黒い感情の奔流を知っている。
悲嘆や諦めは、自分の感情を滞らせるものにすぎない。
感情は、幸福だろうと、達成感だろうと、悲嘆だろうと、諦めだろうと、それが自分の中で完結する限り、何ももたらさない。
それで幸せになれるのは自分以外の人間だけであり――感情の繰り手、“ザ・リフレイン”の使い手である自分は、
観測者として、魔女細胞に蝕まれるギアスユーザーとして、現実から逃げられない。


だからボクは行動を起こすしかない。
そして行動起こすのに有効な感情は、苦痛からの解放、自由への渇望と他者への憎悪だ。


ボクは自分の気持ちを確認し、その場を離れた。
やがて遠目に見えた建物から、ここが【C-3】地区、アッシュフォード学園近くの森なのだと把握する。
まずはナナリーを見つけ、この苦痛から脱する。
そしてあらゆる手段を使ってでも、ブリタニアや教団、あの青髪の檻を破って見せよう。
『己が魂の存在を賭け』ボクは“自分の”目的を完遂する。





【C-3/森の中/一日目 深夜】
【マオ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:魔女細胞の浸食(小)
[装備]:左目の眼帯
[道具]:共通支給品一式、魔女細胞の抑制剤、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:ナナリーの魔道器を奪って魔女となり、この『儀式』から脱出する。
1:ナナリーを探し魔道器を奪う。
2:抑制剤を持つものを探す。
3:この『儀式』から脱出する術を探す。
[備考]
※日本に到着する前からの参戦です。

313檻の中の猫 ◆LlyH3hWzUo:2011/07/13(水) 17:07:53 ID:4Y151bf.
投下終了します

314名無しさん:2011/07/13(水) 20:24:35 ID:LySpfh96
投下乙です

原作からしてやっかいな性格でナナリーを狙ってたが完全に面識無しからの参戦化
境遇からして不幸で虚無的なキャラでやっかいなんだよな
一応、対主催ではあるが…

315名無しさん:2011/07/13(水) 21:59:11 ID:t7AkTg5I
投下乙。マオたんキター
わりかし安定だが抑制剤狙いやナナリーなど特定のターゲットがあると化けるタイプだなw
リフレインは効果抜群の相手が多いなぁ。特にさやかあちゃんとか。

ところで、WIKIの収録は書き手本人が更新って流れなんだろうか?
問題ないようならちゃっちゃと詰めときたいんだが。

316 ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:51:39 ID:3Aml4BhY
皆様、投下乙でした

それでは、議論に結論が出たようなので、改めて拙作を本投下させていただきます

317そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:52:13 ID:3Aml4BhY
 この世界に住む不思議な生き物。
 動物図鑑には載っていない、ポケットモンスター……縮めて、ポケモン。
 そのポケモンと絆を深め、共に戦う者達を、人はポケモントレーナーと呼ぶ。
 マサラタウンの少年・サトシは、世界一のポケモントレーナー――ポケモンマスターになることを目指して、日々、旅を続けていた。

「――わあぁぁぁ〜っ!?」
 そのサトシ少年はというと、たった今窮地に立たされていた。
 走る、走る、疾走する。
 情けない悲鳴を上げながら、一目散に駆け抜ける。
 私立アッシュフォード学園の、西洋建築の廊下を走る、サトシの姿がそこにはあった。
「ギャオォォォォォンッ!」
 そして現状の原因を作ったのが、背後から迫り来るこの雄叫びだ。
 ずしん、ずしんと足音が響く。
 ゆらゆらと床が振動する。
 曲がり角から姿を現し、猛然と迫りくる影がある。
 サイドン――身長1.9メートル・体重120キログラムのドリルポケモン。
 鉄骨を軋ませ走るのは、灰色の甲冑を纏った巨体。
 鼻先にその名の通りのドリルを付けた、大型のいわタイプポケモンだ。
 怪獣めいたその巨躯は、ガタイ通りの重戦車である。まともに突撃を食らってしまえば、人間などひとたまりもないだろう。
「くっそー、何でいきなりこんな目に遭うんだよ!?」
 悪態をつきながら、サトシは走った。
 「こんな危険な儀式なんて認めるもんか! 俺があいつを捕まえてやる!」――そんな宣言をした矢先に、あのサイドンが現れたのである。
 支給品のチェックどころか、名簿を読んでいる暇すらなかった。
 それどころか逃げる拍子に、名簿を落としてしまった気もする。
 とにかく、こんなカッコ悪い有り様で、いきなりゲームオーバーなんてのは御免だ。
「こうなったらやるしかない!」
 標的へ向き直り身構えると、左手にデイパックを掴む。
 空いた右手で中を探り、1つのボールを取りだした。赤と白の装飾は、ポケモンを収納するモンスターボールだ。
「……まさか、またお前と一緒に戦えるなんてな……」
 手にしたボールの感触は、見覚えのあるものだった。
 このポケモンは知っている。シンオウ地方に渡った今でも、共に戦った記憶を覚えている。
 一瞬、感慨に浸ったサトシの、ツリ目が穏やかに細められた。
「いけっ、モンスターボール!」
 次の刹那、表情が変わる。
 気持ちを戦士へと切り替え、モンスターボールを正面へ投擲。
 カッ――と2つに割れた紅白球から、眩い閃光がほとばしった。
 白熱の中より現れるのは、炎に燃える巨大な翼。
 丸太のごとき尻尾がしなった。先端に煌めく篝火が揺れた。
 長大な首が振り上げられ、青き双眸が眼光を放つ。
「頼んだぞ――リザードンッ!」
「ヴォオオオオォォォォォォッ!!」
 開く翼が爆風を起こす。
 轟く声が大気を揺らす。
 短いながらも太い両足が、がっしりとアッシュフォードの床を掴んだ。
 唸りと共にほとばしるのは、鉄をも溶かす灼熱の業火だ。
 その名はリザードン。
 身長1.7メートル、体重90.5キログラム。
 こと戦闘に関しては、相棒・ピカチュウ以上の信頼を寄せる、サトシの最強の切り札。
 蒼翼を広げる紅蓮の竜が、灼熱のプレッシャーを振りまき顕現した。

318そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:52:57 ID:3Aml4BhY
「今回はマジでピンチなんだ。かえんほうしゃはナシで頼むぜ!」
 念のため釘をさしておいた。
 かつての反抗期ぶりはどこへやら、今ではまともに友情を築いているリザードンだが、
 どうにもこいつはかえんほうしゃを、挨拶か何かだと誤解しているようなフシがある。
 こんな生きるか死ぬかの瀬戸際で、余計な怪我をするわけにはいかない。
 故にそこだけはきっちりと、普段以上に念を押しておく。
 肩越しにこちらを向くリザードンも、軽く頷いて了承した。
「よぅし、今回の相手はアイツだ! かえんほうしゃはアイツにぶつけてやれ!」
「ヴォオオオオッ!」
 サトシの指先がサイドンを示す。
 炎竜の顎が勢いよく開き、灼熱の炎が放たれる。
 深夜の学校の暗黒を、一筋の赤熱が眩く照らした。
 まさに必殺の熱量だ。
 リザードンの炎は岩石をも焼き、山火事すら引き起こすと言われている。
 いかに相手がサイドンと言えど、そう易々とは防げまい。
「ガアアァァァッ!」
 その、はずだった。
「ヴゥゥッ!?」
 瞬間、炎を掻き消し荒れるのは暴風。
 重戦車の突撃が、熱を払い竜を突いたのだ。
 かえんほうしゃを押しのけて、猛ダッシュで突っ込んできたサイドンの頭頂部が、リザードンの腹部に直撃する。
 重さ90キロにも及ぶ体躯が、ぐいぐいと押し出されていった。
「リザードンッ!」
「グゥ、オオオッ!」
 それでも、たかが一撃で倒れるほど、やわな鍛え方はしていない。
 むしろこの程度で終わるのならば、サトシと別れた意味ない。
 苦悶の表情をきっと引き締め、両足を踏ん張らせ、減速。
 そのままちきゅうなげの要領で、後方へとサイドンを投げ飛ばす。
 相手の勢いを利用した体さばきは、さながら柔道技のようだ。
 リザフィックバレーでの修業の日々は、暴れん坊を更なる高みへと導いていた。
「ガウッ!」
 ずぅん、と音を立てて激突。
 廊下の向こうまで投げ飛ばされ、壁に背中から突っ込んだサイドン。
「グゥゥゥゥ……!」
 さりとてその頑丈な巨体は、その程度ではびくともしないらしい。
 パラパラと身に積もる破片を払い、瓦礫の山から難なく立ち上がる。
 がん、がんと灰色の両腕を、威嚇するようにして打ち合わせた。
「相性が悪いからって、リザードンの炎がまるで通じてないなんて……こいつ、とんでもなく強いぞ……!」
 伊達にカントー地方を踏破してはいない。
 相手が生半可なポケモンならば、たとえこうかがいまひとつであっても、ある程度のダメージを与えられる自身はあった。
 さりとてこのサイドンは、あのリザードンの炎を受けて、傷一つ負っていないのだ。
 互いのレベルは同格か、あるいはこちらのリザードンを凌ぐか。
 生半可な鍛え方ではない。こいつを育てたトレーナーは相当な手練れだ。
 最強に対峙する最強――久しく感じたことのないタイプの、独特なプレッシャーがサトシを襲った。

319そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:53:31 ID:3Aml4BhY
「ヴォ」
 先を促すようにリザードンが唸る。
 次はどうする。俺はどう動けばいい。そう言わんばかりに視線を送る。
 互いのレベルが拮抗しているなら、勝負を分けるのはタイプの相性だ。
 それを覆すには、どのようにリザードンを立ち回らせれば――
「――ボサッとしてるんじゃないわよ! ほら、さっさと反撃しなさい!」
 思考に割って入ったのは、聞き覚えのない女の声だった。
 サトシがリザードンを動かす前に、相手のサイドンの方が先に動いた。
「ガァァァァァッ!」
 絶叫。
 そして急接近。
 どすんどすんと足場を揺らして、サイドンが猛スピードで突っ込んでくる。
 地鳴りの中に混ざるのは、ちゅぃぃぃん、と響く回転音。
 あれは必殺つのドリル――まともに直撃を食らってしまえば、一撃必殺もあり得る凶悪な技だ。
 あれを食らうのはまずい。
「っ……かわせ、リザードン! 続けてほのおのうずだ!」
 判断してからの行動は素早かった。
 即座に指示を出すサトシ。リザードンもまたそれに素早く従い、翼をはばたかせ上昇する。
 炎竜の突風と怪獣の烈風――同時に巻き起こる風圧が、ばたばたと前髪を暴れさせた。
「ヴォオオオッ!」
 渾身の突撃が空振りに終わり、無防備になったサイドンを襲ったのは、またしてもリザードンの炎熱だ。
 口から放たれた炎の線が、着弾と同時に螺旋を描く。
 あっという間に灰色の巨体は、赤熱の筒に飲み込まれてしまった。
 ほのおのうずの性質は、かえんほうしゃのそれとは異なる。
 細い炎を竜巻状に巻かせ、敵を閉じ込め身動きを封じるのが、このほのおのうずの持ち味だ。
「もうっ、火は効かないんでしょ!? だったらそんなの消しちゃいなさい!」
「グォオオオオンッ!」
 またしても響いたその声は、このサイドンを支給されたトレーナーのものか。
 若い女のヒステリックな声は、なかなかその主を現さない。
 その女の曖昧な指示に応え、灰色の怪獣が唸りを上げた。
 瞬間、足場が勢いよく揺れる。
 がたがたと窓枠が音を立て、教室では物が倒れる音が鳴った。
 じめんタイプの大技・じしんだ。
 戦場全体の足場を揺らすこの技は、床から巻き上がるほのおのうずを、あっという間に霧散させた。
 砕けた渦は火花をなし、サイドンの巨体を照らし出す。
「まだまだっ! リザードン、はがねのつばさ!」
 しかし、ほのおのうずが破られるのは先刻承知だ。
 これは本命を叩き込むための、足止めと牽制の技に過ぎない。
「ヴォオオオオオオーッ!」
 きぃぃぃん、と音を立て、急降下。
 風切り音を伴う竜が、天井から猛スピードで殺到する。
 その翼は蒼ではなく、銀。
 白銀色の鋭い光が、リザードンの巨大な翼を覆っていた。
 はがねのつばさは剣の一閃。
 推進装置を凶器へと変え、一直線に叩き下ろす。
「ギャアァァァァッ!」
 がんっ――と轟く音と共に。
 悲鳴のようなサイドンの声が、アッシュフォードの廊下に響いた。
 これまであらゆる攻撃を、ノーダメージで防いできた巨体が、うってかわってもだえ苦しむ。
 原因はやはりタイプの相性だ。
 リザードンの攻撃・はがねのつばさは、その名の通りはがねタイプ。
 岩より硬い鋼の一撃は、より脆い岩をことごとく砕く。
 いわタイプのポケモンにとって、はがねタイプの攻撃は、まさにこうかばつぐんなのだ。

320そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:53:55 ID:3Aml4BhY
「よぉし! リザードン、もう一度はがねのつばさだ!」
「ヴォオオッ!」
 命令を受けた炎竜が、翼をはばたかせ距離を取る。
 目一杯加速をつけた一撃を、再び叩き込むためだ。
 ようやく見つけた攻略の糸口――そこにはタイプ差のみならず、互いの戦闘スタイルの差も織り込まれている。
 重量とパワーに物を言わせた、サイドンの突撃戦法は確かに脅威だ。
 しかしその体格差と、飛行能力の2点によって、リザードンはサイドンよりも、遥かに高い機動力を有していた。
 当たらなければどうということはないということだ。
 スピードで大いに勝るリザードンは、ヒット・アンド・アウェイの高速機動で、サイドンを翻弄することができるのだ。
「いけぇ、リザードンッ!」
 蝶のように舞い、蜂のように刺す。
 敵の攻撃をかわし続け、一方的に攻撃し続ければ、確実に勝利することができる。
 一気呵成に攻め立てるべく、サトシはリザードンを突撃させた。
「ギャオオオオォォォォッ!!」
 その、瞬間だった。
「!? しまった! よけろ、リザードンッ!」
 突如サイドンを中心に、石の津波が巻き起こったのだ。
 巨大な質量と重量が、轟然と唸りを上げて襲いかかる。
 じしんで砕かれた床の破片が、壁となって立ちはだかる。
 いわタイプの技・いわなだれだ。ひこうタイプを持つリザードンにとって、食らえば一大事になりうる。
「ヴォオオオオッ!?」
 しかし、加速のついた竜の軌道は、そう簡単には曲げられない。
 結果リザードンはいわなだれに、真っ向から突っ込む羽目になった。
「リ、リザードン!」
 不安げな響きを宿したサトシの声を、岩の濁流が塗り潰す。
「いいわよサイドン! そのまま一気にやっちゃいなさい!」
 謎のトレーナーの指示を受け、灰の両足でスタートダッシュ。
 いわなだれを食らったリザードンの懐へ、サイドンが一直線に飛び込んでいく。
 一撃、一撃、そして一撃。
 鼻先から伸びた螺旋の角を、乱れ飛ぶように浴びせていく。
 まさにみだれづきというわけだ。
「グォォォォ……!」
 一気に体力を削られた竜は、弱々しい悲鳴と共に地に伏した。
 ずん、と軽い振動を伴い、うつぶせの姿勢で床に倒れる。
 いわなだれの強烈なダメージには、相手をひるませる効果がある。今のリザードンは、身動きを取ることすら困難なはずだ。
「よしっ、よしよし! さぁとどめよ! 一番強いのでやっちゃいなさい!」
 ずしん、ずしんと音を立て、サイドンがじわじわとにじり寄る。
 ちゅぃぃぃん、と凶悪な回転音が、サトシの鼓膜を揺さぶり続ける。
 このままじゃ駄目だ。早く何とかしなければ、確実にあのつのドリルを食らってしまう。
 ならば、どうする。どうすればいい。どうやってこの状況を打開する。
 焦りが頬に汗を垂らした。
 喉も唇もカラカラだ。
 床に倒れ伏したリザードンと、そこに歩み寄るサイドンを、交互に余裕なく見回し続ける。
 こんなところで死にたくない。
 これ以上リザードンを傷つけたくない。
 そのためにはどんな手を打つべきか。
 この万事休すの戦況を、一挙に逆転できる必勝の策は――

321そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:54:36 ID:3Aml4BhY
(……床?)
 その時、不意に。
 はっ、と目を見開くサトシの脳裏を、電撃的なひらめきが駆け抜けた。
 先ほどじしんを放ったおかげで、今サイドンが歩いているあたりは、床に亀裂が入っている。
 それはその時生じた瓦礫が、いわなだれに混ざっていたことからも窺えるだろう。
 ひび割れた床。
 そこから欠けた瓦礫。
 つまり今、その足場は――
「――リザードンッ! サイドンの足元にはがねのつばさだ!」
 無我夢中で指示を叫んだ。一分一秒が惜しかった。
 正直苦しい命令だということは分かっている。意味が分からないと言われても仕方がない。
 だが、今は自分を信じてほしい。
 疑問も懸念も後回しにして、今この瞬間に動いてほしい。
 頼む、リザードン。
 これが最後の賭けなのだ。
「ヴォウッ!」
 かっ、と見開くは青き瞳。
 ぐい、と突き出すは橙の両腕。
 ほとんど条件反射だった。声なきサトシの祈りに応え、竜は即座に行動を起こした。
 腕立ての姿勢で身体を浮かせ、再度翼を輝かせる。
 銀に煌めく破壊の翼を、足元目掛けて叩きつける。
 結果、命中。
 渾身の力を込めたはがねのつばさは、見事サイドンの足元を叩いた。
「っはははは! なぁにそれ? そんな馬鹿みたいなこと……」
 やはり、そうか。
 未だ顔を見せない相手トレーナーは、この行動の意味を理解できていない。
 ポケモンの強さとトレーナーの腕前が、全く釣り合っていないのだ。
 これまでの戦いの様子から、何となく予測できた通りに、こちらの目論見に気付かずにいてくれた。
「グォォォッ!?」
 その油断と愚かさこそが、こちらの付け入る最大の隙だ。
 刹那――サイドンの足元が沈んだ。
 轟々と音を立てながら、足を支える床が崩壊したのだ。
「え、えええっ!?」
 戸惑いも露わな、相手トレーナーの声が上がった。だが、それも今となってはもう遅い。
 細かなヒビはその幅を増し、大きな亀裂は穴へと変わる。
 じしんによって脆くなった足場が、最後のとどめをその身に食らい、一挙に叩き崩される。
 さながら蟻地獄のほうだ。
 じわじわと口を開けていく大穴に、サイドンがずぶずぶと飲みこまれていく。
「リザードン! 外に向かって飛んでくれ!」
 橙色の背に跨り、窓の方を指さし、言った。
 このまま穴へと飛び込んで、はがねのつばさで追撃をかけてもいいだろう。
 しかし、敵の頑丈さを考えれば、まともに食らってくれるのはよくて一発。
 また反撃にいわなだれを放たれれば、今度こそリザードンは戦闘不能となってしまう。
 故に、ここはもうひと押しが必要だ。
 更なる連撃を叩き込むために。
 着実に勝利をものにする、最強のコンボを叩き込むために。

322そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:55:02 ID:3Aml4BhY


「な、何よ!? 一体何がどうなってるのよ!?」
 サイドンを操るトレーナー――弥海砂は混乱していた。
 相手が攻撃を空振らせたかと思ったら、突然足場が崩壊し、サイドンが下の階へ落ちてしまったのだ。
 これは一体どういうことだ。誰も答えるはずもない問いを、狼狽と共に連発する。
「リザードン! 外に向かって飛んでくれ!」
 殺そうとした少年が、あの竜の背中に跨ったのは、ちょうどこの瞬間だった。
「ああっ、ちょっと待ちなさいよ!」
 待てと言われて待つ者はいない。
 すぐさまリザードンは離陸を開始し、程なくして廊下の奥へと到達。
 ばりん、と破砕音が鳴った。
 サイドンがへこませた壁の上の、大窓をかち割り外へと飛び出た。
 奴め、このまま逃げるつもりか。
「アイツらが外に逃げたわ! さっさと追いかけなさい!」
 そうは問屋が卸すものか。
 床の大穴へと駆け寄り、窓の方向を指さして、言った。
「ガウッ!」
 頷くと同時に、突進。
 眼下のサイドンが指示を受け取り、その方向目掛けて猛ダッシュ。
 このポケモンとやらは頑丈だ。そのまま地上2階の高さから飛び降りても、さして問題にはならないだろう。
 この時はまだそう思っていた。故に海砂はその突撃を、咎めることなく見送った。
 ばきばき、と鉄骨が軋む。
 めりめり、とコンクリートが崩れる。
 体当たりで壁を突き破り、漆黒の夜空へと躍り出る。
 その、瞬間だ。
「――ちきゅうなげだ! 頭っから叩き落としてやれっ!」
 逃げ出したはずの少年の声が、壁の向こうから響いてきたのは。



 俺はあくまでポケモンだ。
 人間のように頭はよくないし、戦術も戦略も何もかも、難しいことはよく分からない。
 だから人間の指示通りに動いたって、何がどうなるかなんて予測もできない。

 それでも、俺はこいつを信じている。
 考えることはこいつの仕事だ。俺に戦う力があれば、こいつはそれを活かす最高の策を、必ず俺に与えてくれる。
 だから、疑うことなんてしない。
 俺に理解できないからって、それは立ち止まる理由にはならない。
 それがこいつの仕事なら、戦うことは俺の仕事だ。
 こいつの策を実行し、こいつに勝利をくれてやる。
 いいや、こいつだけの勝利じゃない。俺達2人で掴む勝利だ。
 お前が俺を信じるのなら、俺もお前を信じてやるさ。
 だから、俺は立ち止まらない。どんな無茶な指示だろうと、必ず実践してみせる。

「ちきゅうなげだ! 頭っから叩き落としてやれ!」

 へぇ、なるほどそういうことか。
 そういうことなら話は早い。一発お見舞いしてやろうじゃないか。
 そのかわり、お前もしっかり掴まってろよ。
 この程度の飛行で振り落とされたら、今度こそかえんほうしゃを食らわせてやるからな。

「ガウッ!?」

 悪いな、サイドン……別にお前に恨みがあるわけじゃねえ。
 だが、こいつは俺のトレーナーの頼みだ。文句はこいつに言ってくれ。
 とにかくそういうわけだから、ここは遠慮なくいかせてもらう。
 お前とはなかなか楽しかったからな。だから、せめてものお礼として、最後にフルパワーの一撃を見せてやるよ。

 さぁ――いくぜっ!

「ヴォオオオオオオオォォォォ―――ッ!!!」

323そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:55:39 ID:3Aml4BhY


 重さ120キロというサイドンの体格は、それ自体が強力な矛であり、同時に堅牢な盾でもある。
 押し倒そうにも投げ飛ばそうにも、それだけの重量を持った相手の姿勢を、正攻法で崩すのは困難だ。
 ならば、その攻略法は3つに1つ。
 合気道や柔道のように、相手の勢いに乗りかかって倒すか。
 足場や足そのものに攻撃を仕掛け、重量を支えるのを困難にするか。
 あるいは足場のない空間に追い込み、無抵抗な状態から投げ落とすか。
「ヴォオオオオオオオォォォォ―――ッ!!!」
 最後にリザードンが取ったのは、それらのうち3番目の戦法だった。
 雄叫びと共に翼がはばたく。
 逃げ出したはずの炎竜が、突如死角から姿を現す。
 リザードンは逃げたのではない。
 サイドンの視界から己を外し、海砂が視線を逸らした隙に、アッシュフォード学園の外壁に張りついていたのだ。
「ガウッ!?」
 サイホーンよりはマシとはいえど、物忘れが酷いと言われるサイドンは、あまり頭のいいポケモンではない。
 その上これまでの適当な指示を見るに、彼を使うトレーナーは素人だ。
 具体的な内容を持たない、漠然とした命令を与えられるサイドンは、力任せに建物から飛び降りてくる。
 そう判断したサトシは、そこにリザードンを隠れさせ、この瞬間を演出したのだった。
「ヴゥ、オオォォッ!」
 がし、と灰色の巨体を掴む。
 両手で標的をホールドし、地上の石畳を睨みつける。
 空中はリザードンの独壇場だ。超重量を吸いつける地面は、この空間には存在しない。
 むしろ重力加速がつくことによって、より強烈な「投げ」を放てるだろう。
 狙うはサトシの指示通り。
 いわタイプの敵にも通用する、リザードンのフェイバリット・アーツ――ちきゅうなげをお見舞いするのだ。
「ヴォォォォォンッ!!」
 大きく振りかぶり、投擲。
 円形回転を省略し、思いっきり下方目掛けてシンプルに投げる。
 ぎゅん、と風切り音が耳に響いた。
 剛腕轟く一撃が、大怪獣を地面へと叩き落とした。
 がぁぁぁん、と鳴り響く落下音は、さながら地に落ちた隕石のようだ。
 もうもうと立ち込める粉塵の中、クレーターを作ったサイドンは、狙い通り頭から地に突っ込んでいる。
 これで条件はクリアーだ。
 どんな頑丈なポケモンでも、頭は他の部位より弱いはずだ。これだけの勢いが乗った一撃で、平気でいられるはずもない。
「とどめだ、リザードン! はがねのつばさっ!!」
 そこに真の勝機が見える。
 こうして怯ませたこの瞬間にこそ、最大のチャンスが到来する。
 あの床を崩した攻撃ですら、確実にプランを成功させるための布石でしかない。
「ヴォオオオオオォォォォッ!!!」
 銀色の稲妻が駆け抜けた。
 絶叫と共に落雷が襲った。
 さながら電光石火のごとく、眼下へと急降下を仕掛けるリザードン。
 持てるパワーとスピードを、このここ一番にこそ注ぎ込む。
 地面に倒れたサイドンの懐に、こうかばつぐんの一撃を叩き込む。
「グギャアアアアアアアアッ!!?」
 悲痛な叫びを上げた瞬間、サイドンの意識が急速に遠のいていく。
 リザードンのはがねのつばさが、地に落ちたターゲットのきゅうしょ目掛けて、寸分の狂いなく命中したのだ。
「ヴォオオオオオオーッ!」
 ――10年早いんだよォッ!
 そんな勝利の雄叫びが、ぼやけた脳裏に響いた気がした。

324そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:56:07 ID:3Aml4BhY


「どうだ! ポケモンバトルの極意は、ただ強い技を使うことだけじゃないのさ!」
 眼下で目を回すサイドンを見下ろし、サトシがガッツポーズを取る。
 少年を乗せたリザードンは、アッシュフォードの校庭を離れ、再び宙に戻っていた。
 ポケモンバトルの勝敗を分けるファクターは、レベル差とタイプ差以外にももう1つある。
 それはトレーナーとポケモン、両者の研鑽と信頼の間に成り立つ、完成されたタクティクスだ。
 ただ適当に攻撃するのではなく、攻撃の効率、更には周囲の影響も計算して、最善の戦略を展開する。
 場当たり的な指示を出し続ける素人のサイドンと、バトルフロンティアを制したサトシのリザードン。
 両者のタクティクスの差がタイプ差をも凌駕し、この勝利へと導いたのだった。
「リザードンもよくやってくれたな。ありがとう」
 強面の炎竜へと手を伸ばす。
 サトシの手に応じ下げられた頭が、優しくゆっくりと撫でられた。
 彼らのコンビネーションは、実にそのバトルフロンティア以来の御無沙汰である。
 しかしそれでも、固い絆で結ばれた両者のコンビネーションは、微塵も揺らぐことはなかった。
 これもひとえに、リザードンがサトシを信じ、サトシに応えてくれたおかげだ。
 最大限の労いを込めて、サトシは竜の頭を撫でていた。
 程なくしてリザードンは、先ほどの3階廊下へと戻る。
 サイドンは戦闘不能になったものの、それを操っていたトレーナーは、まだこの3階にいるはずだ。
「よし……」
 懐からモンスターボールを手に取る。
 タイプの相性が悪い相手と、あれだけの戦いを演じたのだ。リザードンも、そろそろ疲れている頃だろう。
「戻れ、リザー――」
 紅白色のボールをかざし、ポケモンを休ませようとした瞬間、


 ――ぱぁん。


「……え……」
 破裂音と衝撃が、不意にサトシの身に襲いかかった。
 ぐらり、と視界が歪んでいく。
 程なくして苦痛が脳にせり上がり、怪我をしたのだと悟る。
 痛みの源泉は、胸だった。
 心臓を、貫かれていた。
 耳鳴りに掻き消える聴覚と、霧散していく視覚の中、胸元を染める赤が目につく。
 傍にいるはずのリザードンの声も、今はろくに聞こえない。
 まっすぐに立っていられなくなり、遂には意識そのものが朦朧としていく。
 霞がかった視界の中に、ゆらりと人影が現れた。
 黒髪の若い女性の姿だ。すぐにその女の影が、サイドンのトレーナーだと悟った。
「どう、して……ポケモン、トレーナーが……トレー……ナー、を……」
 何故、トレーナーが直接攻撃するのか。
 何故、トレーナーを直接攻撃するのか。
 考えが、上手くまとまらない。
 疑問の先が、続かない。
 思考も、視覚も、聴覚も。胸から上る痛覚すらも、何も感じなくなっていく。
 何もかもが遠のいて、何もなくなってしまった瞬間。

「ざーんねん。あたし、そういうのじゃないのよね」

 最期に響いてきた言葉だけは、不思議とハッキリと、聞こえていた。

325そういうのじゃないのよね ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:56:36 ID:3Aml4BhY


 かつ、かつ、かつんと音が鳴る。
 小気味いいステップの靴音が、深夜の静寂に響き渡る。
「もー、全然駄目だったじゃない。次役に立たなかったら、承知しないからねっ」
 半ば可愛い子ぶったような、わざとらしい響きの不平が挙がった。
 女の手がモンスターボールを掴むと、その視線の先へと突き出される。
 瞬間、妖しく光るは赤い色。
 紅白の境界のスイッチから、真紅の光線が伸びていく。
 その先に倒れていたものは、今だ目を覚まさぬサイドンだ。
 やがて2メートル近い巨体が、光を浴びたかと思うと、それがあっさりとボールの中へ消えていった。
「でもこのポケモンとかいう生き物、不細工だけど強いわよねぇ……」
 言いながら懐から取り出したのは、もう1つの同じデザインのボールだ。
 いわの怪獣・サイドンのボールと、ほのおの飛竜・リザードンのボール。
 これで手持ちは合計2匹。それも揃って上級ポケモン。
 赤と白のモンスターボール越しに、その戦う姿を追想しながら、海砂はまじまじとそれらを見つめていた。
「……うん、こんなに強い手下がいたら、月もきっと喜ぶよね」
 にっこり、と笑みを浮かべると、2つをデイパックへとしまった。
 そうしてウキウキとした表情のまま、鼻歌交じりに歩を進める。
 彼女の名は弥海砂。
 新世界の神たらんと、超常の力を持って罪人を裁く、死神キラの盲信者。
 愛する者を救うために、彼女は笑顔と共に武器を取り、笑顔と共に壁を壊す。
 邪魔する者には、死あるのみ。
 無邪気に笑う死神は、道筋に屍を残すのみ。
 全ては神たる男の敵を、絶滅させんとするために。


【サトシ@ポケットモンスター(アニメ) 死亡】

【C−3/アッシュフォード学園・校庭/一日目 深夜】

【弥海砂@デスノート(実写)】
[状態]:健康
[装備]:コイルガン(5/6)@現実
[道具]:基本支給品、モンスターボール(サカキのサイドン・戦闘不能)、モンスターボール(サトシのリザードン・ダメージ大)、不明支給品0〜1
    サトシのデイパック(中身:基本支給品、不明支給品0〜1)
[思考・状況]
基本:月を優勝させるために、他の参加者を殺す
1:月を探して合流する
2:ポケモンを回復させて、また武器にする
[備考]
※参戦時期は、月に会いに大学へ来る直前


【サトシのリザードン@ポケットモンスター(アニメ)】
サトシがカントー編でゲットしたポケモン。ほのお・ひこうタイプ。オス。
ドラゴンタイプは持っていないが、大きな羽や長い首は、まさにドラゴンそのものである。
そのパワーとタフネスはピカチュウをも上回る、サトシの切り札に当たるポケモン。
DP編時には手持ちに入っておらず、リザフィックバレーと呼ばれる場所で修業の日々を送っている。

【サカキのサイドン@ポケットモンスター】
赤緑青ピカチュウバージョンにて、サカキが用いていたポケモン。いわ・じめんタイプ。
全身を鎧のような皮膚で覆った、怪獣然とした容姿のポケモン。鼻先には小さなドリルがついている。
トキワジムリーダーのポケモンなだけあり、かなり高い能力を有している。

【コイルガン@コードギアス 反逆のルルーシュ】
ルルーシュがクロヴィス殺害の時に使用した拳銃。
この世界では火薬式ではなく、こうした電磁石による銃技術が普及している。

326 ◆Vj6e1anjAc:2011/07/13(水) 23:57:31 ID:3Aml4BhY
投下は以上です。
本当にお騒がせして申し訳ない。そして拙作を通していただき、ありがとうございました。

327名無しさん:2011/07/14(木) 00:24:08 ID:OCXNyQ/I
投下乙です

ポケモン勝負では相手はほとんど素人だから相性悪くても勝てたのに…
でもここは殺し合いの会場なんだよな。直接攻撃上等だよね
弥海砂はやっぱりキラマンセーだよねwww
でも参戦時期が落とし穴になりそうだな。大学へ来る直前ってLや月親父とも面識なかったのでは…

328 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:28:33 ID:zaf6ieOQ
さっそく間桐桜、長田結花、ヒカリを投下させていただきます。

329monster. 〜愛故の狂気 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:30:46 ID:zaf6ieOQ



 長田結花は、茫然とその死体を眺めていた。

 私が殺した。
 私が殺してしまった。
 ただ驚いただけで、害意を向けられた訳でもなかったのに。
 私はただ、銃を向けられたというだけで、あっさりと人を殺してしまったのだ。

「……木場さん。私……やっぱりダメだったみたいです…………」

 私はもう『人間』じゃなくて、『怪物になってしまった人間』でもなくて。
 とっくの昔に。
 初めてオルフェノクの力で人を殺した時から。
 とっくに『人殺しの怪物』になっていたのだ。

 だって、悲しくない。
 人が死んだのに。
 自分が殺してしまったのに。
 心にぽっかり穴が開いた様な感じがするだけで、ちっとも悲しくないのだ。

 “酷い事をしたんだから、やり返されて当然だ”なんて言い訳はもう出来ない。
 だって私は、何もされていないんだから。
 だから私は、自分の意思で、人を殺したのだ。

「こんな私が、木場さんの夢のお手伝いをする事なんて、出来る筈がないですよね」

 でも。けれど。それでも。

「こんな私でも、木場さんのお手伝いをしても良いですか?」

 私が『人殺しの怪物』でも、出来る事はある。
 私が『人殺しの怪物』だからこそ、出来る事がある。

 『人間』は、『怪物』だけを敵視する訳じゃない。
 『人間』は、同じ『人間』だって傷つける。
 私は誰よりもそれを知っている。

「だからせめて」

 そんな『人間』に、木場さんの心が傷つけられないように。
 そんな『人間』を、『人殺しの怪物』である私が殺す。
 そして最後に、『人殺しの怪物』である私を、『人間の味方』である木場さんに、殺してもらうのだ。

「だから私を、木場さんを傷つける、最後の『人間』にさせてください」

 自分勝手な願いなのはわかっている。
 けれど、こんな形ででしかなくても、木場さんの役に立ちたいのだ。
 だから。


「………………ぇ?」

 だから。
 長田結花がクレインオルフェノクへと変化して臨戦態勢を取った理由は、

 茂みから出てきた少女に驚いた訳でも。
 その少女に見覚えかあったからという訳でも。
 その少女が辛うじて『人間』の形を保ってる、悲惨な状態だったからな訳でも。
 既に『死体』となったその少女を、宿敵ともいえる仮面ライダーが銃でなぶっていたからという訳でもない。

 長田結花はその仮面ライダーとなった人物の放つ、背筋どころか全身が凍りつくような悪寒に、本能的な防衛行動として変化したのだ。
 だがそれは――――

「あら? あなた、『怪物』なんですね。じゃあ殺さないと」

 それは、目の前の人物に対しては、最悪の行動でしかなかった。

330monster. 〜愛故の狂気 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:33:41 ID:zaf6ieOQ

「ヒッ――――!」

 向けられた感情に、比喩ではなく全身が凍った。
 逃げろと理性と本能がこの上ない程協調して叫んでいるのに、足どころか指先さえ震えるだけで動かない。

「ちぇっく」
《- Exceed Charge -》
「………………ぁ」

 向けられる銃口。
           足は動かない。
 放たれた閃光。
           指も動かない。
 青白い三角錐の光が、全身を拘束する。
           頭の中でさえ、真っ白だ。

「えいっ!」

 なって可愛いかけ声で、仮面ライダーがジャンプする。

「やあっ!」

 そのまま放たれる飛び蹴りに、ここで死ぬのだと真っ白になった頭で理解する。
 結局自分は、『人殺しの怪物』のまま、何も出来ずに死ぬのだ。

「木場さん……海堂さん……ごめんなさい」

 届く訳もないのに、そんな言葉が、口を突いて出た。


 衝撃はそのすぐ後に来た。
 体の中身を全部持っていくようなソレに、一瞬意識を持っていかれた。
 けれど、すぐにまた、別の衝撃で目を覚ました。
 肌に感じる感触で、地面に倒れているのだと気付いた。

「あ……れ…………?」

 生きている。
 全身は酷く痛むし、変化も解けている。
 頭は朦朧として、指先一つ動きそうにない。
 それでも、まだ生きていた。
 オルフェノクになっていたのと、まだ何のダメージも受けていないのが功を奏したのだろう。

 けれど、それこそが絶望だったのだと、すぐに思い知らされた。

「あら? まだ生きてるんですね。じゃあ、今度こそちゃんと殺さなきゃ」
「ぁ………………」

 クスクスと笑う声。
 どこまでも楽しそうなそれは、私が生きていた事が嬉しいとばかりに、再び銃口を突き付けてくる。

 その笑い声に、ふと気になった事があった。

「……どうして、あの子を殺したんですか?」
「え?」
「あなたは『怪物』は殺さないと、といいました。
 あの子は『人間』でしょう? どうして殺したんですか?」
「………………」

 朦朧とした頭で、目の前の人物から感じた悪寒も忘れて、そんな事を聞いてしまった。
 そしてすぐにそれを、後悔する事となった。


「……だってあの人、血塗れでしたよ? 誰か人を殺したに決まってます。
 なら、殺されたって仕方がないでしょう? 人殺しは、悪い事なんですから。
 私はただ、“悪い人”を倒しただけです」
「ァ……………!」

 くすくすと笑っている。嗤っている。哂っている。
 それが何よりも嬉しいと言わんばかりに、ワラッテイル。

331monster. 〜愛故の狂気 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:35:34 ID:zaf6ieOQ

 その声に、声にならない悲鳴を上げた。

「ああ、そうだ。いい事を思いつきました」

 そう言って目の前の人物は銃を下ろす。

「あなた、私を手伝ってくれませんか?」
「手伝う……?」
「はい。この会場に呼ばれた中で、“悪い人”を退治してきて欲しいんです」

 それは、先ほどまで私がやろうとしていた事と、表面上は何も変わらなかった。

「私のお願いを聞いてくれれば、見逃してあげても良いですよ?
 お願い、聞いてくれますか?」

 首が折れそうなほど強く頷く。
 他に選択肢などなく、それ以外は“死”しか残されていないのだから。

「では、行ってください」

 弾かれた様に起きあがる。
 身体の痛みなんて、目の前の恐怖に比べたらどうという事はなかった。

「ああ、最後に一つだけ言っておきます。
 衛宮先輩には、絶対に手を出さないでくださいね」

 その言葉を最後に、私はひたすらに走りだした。
 オルフェノクの力を使ってまで、ただひたすらに遠くへと。

「っ――――――!」

 木場さんを傷つける人を殺すためとか。
 “悪い人”を倒すためとか。
 そんな理由ではなく、
 ただ、あの人物から逃げたい一心で走り続けた。

「ァア――――――――!!!!」

 そうして今更に悲鳴を上げる。

 私は自分を『怪物』だと思ったけど、そうじゃなかった。
 あの仮面ライダーの方が、よっぽど『怪物』だった。

 私は、『人間』でも『怪物』でもない、何者でもない『何か』だったのだ。


【C-6/森の中/1日目-深夜】
【長田結花@仮面ライダー555】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(小)、怪人態、仮面ライダー(間桐桜)に対する重度の恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:???
1:仮面ライダー(間桐桜)から逃げる
2:仮面ライダー(間桐桜)に言われた通り、“悪い人”を殺す?
3:木場さんの為に、木場さんを傷つける『人間』を殺す?
[備考]
※参戦時期は第42話冒頭(警官を吹き飛ばして走り去った後)です。


        ◇

332monster. 〜愛故の狂気 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:36:21 ID:zaf6ieOQ


 『怪物』の少女が行ったのを確認して、間桐桜は変身を解いた。

 彼女はいつになく上機嫌だった。
 こんなに体が軽いのは初めてだし、
 こんなに気分が高揚するのも初めてだ。
 今の自分なら何でも出来る。
 そんな気さえしてくる。


 間桐桜がこの場所生きたのは、全身血塗れの彼女の場所に走ってきたからだった。
 その血塗れの様子と、少女が手にしていた斧が血に濡れていた所から、少女が誰かを殺したのだろうと判断し、殺すことに決めたのだ。

 さっきは身体能力を確かめたから、今度は銃の性能。
 きちんと狙った場所に当たるかとか、威力はどれくらいかとか、そう言う事を確認した。

 最初の一発は持っていた斧を撃った。
 斧は簡単に穴が開き、使い物にならなくなった。
 それでこっちに気付いた少女は、悲鳴を上げながら来た道を引き返すように逃げた。

 まるでキツネ狩り。
 逃げる少女を追うのはとても楽しかった。
 もとより、普通の少女の足で、このデルタから逃げきれる訳がないのだ。

 少女を撃つ時はとても気を使った。
 簡単に死なれたらつまらない。
 ちょっとずつ、削っていくように。

 大丈夫。
 人が簡単には死なないのは身を以ってよく知っている。
 急所にさえ当てなければ、長い事楽しめるだろう。

 そうして最後に、動かなくなった少女に向けて、銃を乱射した。
 どれだけ連続して撃てるかを確かめたのだ。
 それで少女は原形が無くなったけど、もう動かなくなっていたからどうでもよかった。

 そうして最後には、オマケまで来てくれた。
 人間相手なら強過ぎるけど、怪物相手なら必殺技を試せる。
 きちんと、どれだけの威力があるかを試したかったのだ。

 そうして試したら、怪物は大分弱ってたけどまだ生きてた。
 やっぱり、弱らせてから使わないと効果が低いのかもしれない。
 今度からはちゃんと痛めつけてから使う事にする。

 それに、いい事も思いついた。
 あの怪物を使って、“悪い人”をやっつけるのだ。
 大丈夫。あの怪物程度なら、絶対に負ける事はない。

「そうよ。今の私なら、負けない。
 セイバーさんにだって、ライダーにだって、」

 このベルトの力さえあれば。

「あの姉さんにだって、絶対に――――!」

 負けない。とは続けようとした言葉は、唐突に止められた。

「……ねえ……さん?」

 思わず口を突いて出た。
 周囲に間桐桜の姉――遠坂凛はいない。

「……なん……で?」

 遠坂凛という人物は、どこにもいない。
 辺りに人間は、自分一人だ。

「ぁ…………ぇ…………?」

 遠坂凛はどこにもいない。
 あるのはただの死体だけだ。

「……どうして……死んでるんですか?」

 遠坂凛という名前の少女はどこにもいない。
 遠坂凛という名前の死体だけがそこにあった。

「……………………」

333monster. 〜愛故の狂気 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:37:15 ID:zaf6ieOQ

 ただ茫然と、その死体を眺める。

 なんでこんな所で死んでいるのか。
 なんでこんな簡単に死んでいるのか。
 何一つ理解できないし、納得も出来ない。
 どんな事でもそつなくこなす、ミスパーフェクトとまで呼ばれた彼女が、どうしてこんなにあっさりと死んでいるのだろう。

「あ………れ………?」

 頬が熱い。
 触れてみれば、なぜか濡れている。

「なみだ?」

 それは間違いなく、私自身の涙だ。
 理由はわからないが、私は泣いているらしい。

「ああ……そっか。姉さんがいなくなったから、泣いてるんだ」

 きっとそうだ。
 ずっとずっと憧れていた姉。
 ずっとずっと妬ましかった姉。
 彼女がいなくなったから、私は泣いているんだ。
 だって。

「もう先輩が盗られる心配がないから、嬉しくて泣いてるんだ」

 こんなに嬉しい事はない。
 先輩が、姉さんに盗られる事は二度とない。
 だって、どうやってもういない人に盗られると言うのだろう。

「姉さんはもういない。先輩は、私だけのモノ」

 あの約束も。あの思い出も。あの日々も。
 もう何一つ、姉さんのモノじゃない。
 全部全部、私だけのモノ。

「あは。あはははは!」

 嬉しくて堪らない。
 もう何も心配する事はない。
 もう何も怖がる事はない。
 邪魔する人は、もうどこにもいない。

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」

 笑いが止まらない。
 こんなにも笑ったのは初めてだ。
 姉さんがいなくなっただけで、こんなにも世界が明るく感じられる。

 ――――これなら、もっと早く殺しておけばよかった。



「〜〜♪ 〜〜、〜〜♪」

 鼻歌を歌いながら、ガサゴソとさっき殺した“悪い人”のバックを漁る。
 さっきの男の人の時は、ちょっと気分が高揚しすぎてバックごと燃やしちゃったけど、今度はそんな失敗はしない。
 中から出てきたのは一枚のカードだった。

「らい、だー……ですか。よくわかりませんが、貰っちゃいますね」

 付属の説明書を見れば、英霊の力の一端を一時的に使える、としか書いてない。
 まあ何か魔力を感じるし、きっと何かの役に立つだろう。

 姉さんの死体の傍にあったバックも漁るけど、中にはシャンパンしかなかった。
 仕方がないので傍らにあった拳銃と一緒に貰っておく事にする。

334monster. 〜愛故の狂気 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:37:57 ID:zaf6ieOQ

「さようなら、姉さん。もう二度と、私の前に現れないでくださいね。
 先輩の傍には、ちゃんと私がいてあげますから。
 ……ああ、そうだ。早く先輩の所に行かなきゃ」

 先輩は“正義の味方”だから、きっとまた無茶をしちゃう。
 そうなる前に、先輩の代わりに“悪い人”をみんなやっつけちゃうのだ。
 大丈夫。今の私には、それが出来る。

「待っていて下さい、先輩。すぐに会いに行きますね。
 大丈夫です。先輩を傷つける人、悲しませる人は、みんなみんな殺しちゃいますから」

 さあ、くすくすと笑ってゴーゴーです。



【ヒカリ@ポケットモンスター(アニメ)  死亡】

【C-5/森の中/一日目 深夜】

【間桐桜@Fate/stay night】
[状態]:『デモンズスレート』の影響による凶暴化状態、溜めこんだ悪意の噴出、無自覚の喪失感
[装備]:デルタギア@仮面ライダー555(変身解除中)、コルト ポリスポジティブ(6/6)@DEATH NOTE(漫画)、
[道具]:基本支給品×2、クラスカード(ライダー)@プリズマ☆イリヤ、最高級シャンパン@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:先輩(衛宮士郎)の代わりに“悪い人”を皆殺し
1:先輩(衛宮士郎)の所へ行く
2:先輩(衛宮士郎)を傷つけたり悲しませたりする人は、みんな殺す
[備考]
※『デモンズスレート』の影響で、精神の平衡を失っています


【クラスカード(ライダー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
ヒカリに支給。
ライダーのサーヴァントの姿が描かれたカード。
限定展開する事で、ライダーの宝具“騎英の手綱(ベルレフォーン)”を一定時間使用できる。
ベルレフォーンは、あらゆる乗り物を御する黄金の鞭と手綱で、乗ったモノの能力を向上させる効果も持つ。
単体では全く役に立たないが、高い騎乗スキルと強力な乗り物があることで真価を発揮する。
一度使用すると、二時間使用不可能。

335 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/14(木) 00:39:47 ID:zaf6ieOQ
以上で投下を終了させていただきます。
何かご意見や、修正すべき点などがございましたら、よろしくお願いします。

336名無しさん:2011/07/14(木) 00:49:28 ID:OCXNyQ/I
投下乙です

これは二人ともカワイソスw
結花よ、そういう理由で戦ってるお前はまだまともだよ
だから本物の狂人の前では震え上がるしかないんだよ…

そしてヒカルは恐慌の末に惨殺されたか
もうね、運が悪すぎるわw

337 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 01:58:57 ID:g05dccNE
ニア、バゼットを投下します

338puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 01:59:43 ID:g05dccNE
聞こえるのは、ただ波の音。
砂浜で潮の満ち引きの漣(さざなみ)が、やけに耳に残っている。
もとは港町生まれだったからか、磯の香りが懐かしい。
故郷の姿を僅かに脳裏に掠めながら、スーツ姿の女性は歩いていた。
紫の髪と同じ、紫紺のスーツを違和感なく着こなす姿は、見ようによっては凛々しい美男にも映る。
だが、纏う雰囲気は大の男以上に剣呑なものだった。
適度に体を緩めつつも、戦場の兵士のように周囲への警戒は怠っていない。
事実、彼女はある組織の兵士としての職に就いている。
いや、単なる兵士よりもなお強烈で、凄惨な道に身を置いていた。

バゼット・フラガ・マクレミッツ。
封印指定執行者。
世の裏側に隠れ神秘を求める魔導の探求者、魔術師。
その中で、一代限りの才ある者に送られる最大の栄誉にして厄介の称号、封印指定。
魔術師同士の協会から逃れたそれらを強制的に、時には命を奪ってでも連行する戦闘集団。
膨大な数の魔術師のうち30余名ほどしか在籍しない選りすぐりのエリート部隊である。

そして、長年任務をこなし数々の修羅場を切り抜けてきた彼女は今、かつてない事態に見舞われている。

「幻術下にはない……強制的に転移をさせられたということですか。
もはや魔術の範疇を完全に逸した―――魔法級の業と見なすほかないですね」

冷静に状況把握に努めるも、内心には焦燥が立っている。
余りにも緊急で、余りにも異常で、余りにも不利な状態。
体内に澱む不安を吐き出すように、口を動かし現状把握に努める。

「とりあえず任務を確認しておきましょうか。記憶の改竄が行われてないという証拠はない。
私はクラスカード回収の執行者として冬木市に来訪。
与えられた任務は、現クラスカード管理者の遠坂凛、並びにルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトから全てのクラスカードを回収すること。
……よし、齟齬はない」

しかし八枚目のクラスカードの存在が発覚し一時休戦。
戦闘の折り、首に撃たれた呪印を、腕はいいが性格は最悪のシスターに解呪してもらったが、
何故か崩壊したエーデルフェルトの屋敷の修理代を自費で払わせる羽目になり路銀が枯渇。
道草を食む覚悟で日雇いのバイトを始めたあたりで記憶は途切れている。

「しかしこれだけのイレギュラー、協会側にとっても完全に想定外でしょう。
彼らが独力でここを看破し事態の解決に乗り出す確率は、まずないと見ていい。
いや、そもそもまだ失踪に気づいてない可能性すらありえる。
ゼルレッチ卿ならあるいは可能ですが……どう動くか予想できない以上あまり期待はできないか」

外部からの救助は絶望的。元より頼る気もない。
今までと同じく、独力で解決に臨むしかあるまい。

339puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:00:25 ID:g05dccNE
いずれにしても、ここで死ぬ気はない。何としてでも生き残らなければ」

バゼットとてこんな場所で無駄死にはしたくない。
死にたくないという欲求も人並みにはある。
生還するために自分に可能で、そして最も単純な選択は―――。

「優勝、ですか」

この場に集う参加者を全て殺し、勝利者となること。
それがアカギという男の提示した、唯一の勝利条件。
信ずるに値するかはかなり怪しいが、だからといって無意味に生き残りを殺すとも思えない。
わざわざ『儀式』と銘打った以上、これには必ず何らかの意味があるはずだ。
魔術師であるバゼットにとって儀式とは聞き慣れた単語だ。
形式は様々だが、そこに一つの結果を求めるものであることは共通している。
そして大規模な儀式ほど多くの術師、魔力、供物を必要とする。

「蠱毒という術でしたか。
大量の毒蟲を壺に詰め互いを殺し合わせ、最後に残った一匹に大きな力を付与する東洋の妖術。
状況だけを見れば、これとひどく近似している」

これはあくまで一例だが、やはり何らかの結果を求める儀式には違いない。
島一つを完全に隔離し、参加者は全て強制連行、更には戦いを逃れられないよう呪術までも仕込んでいる。
これだけの大がかりの準備をして無償で済むはずがない。
相手方としては、何としても望む結果を欲しているはずだ。
満足のいく結果を出し期限を損ねることなく勝つ、という必要もあるということか。

彼女は任務に忠実だ。そして任務の対象、その障害には一切の容赦がない。
例え年端もいかない女子供であろうと、敵対関係と判断すれば即時排除に移る。

「出切れば全て殺しを厭わない徒であればいいですが……そうはいかないでしょうね」

バゼット本人の気質は、本来冷酷でも残虐でもない。
相手が魔術師であり、そして上からの任務であればこそ、彼女は無心で事にあてていられた。
しかし、突然意図せぬ事態により繋がれていた鎖が切れてしまった場合、彼女自身でどう判断すればいいのかはわからなくなってしまう。
今の彼女の行動理由も、あくまで任務に復帰するためにでしかない。
任務以外での生活において、とにかく彼女は不器用なのだ。

340puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:01:10 ID:g05dccNE



「……いけない、任務に集中しなければ」

心に迷いを抱いたままで勝てるほど甘い戦いとは思わない。
ざっと見渡した中で、参加者には明らかに人間とは思えない相手も複数いた。
更にはクラスカードの英霊と思しき存在もいたのだ。
雑念を捨て、後ろを振り返る。
月に照らされた広大な空間。
陸よりも高い位置にあり、時折緩やかに足場が揺れている。

「船、ですか」

現在バゼットがいる場所、そこは船の甲板のブリッジだった。
船といっても、漁船や船舶の類ではない。
材質は固く、砲身が見え、艦首には大砲らしき形状をしている。
バゼットの知識にはないものだが、それは戦艦と呼べるものだった。

「世界の技術は日々進歩していますね。これでは魔術が効率的に劣ると言われるのも肯ける」

操舵技術を持っていれば戦力になるだろうが、生憎バゼットにその技術はない。
それに、船とは閉鎖された巨大な密室空間だ。
中に引きこもる分には便利だが、そんな臆病な選択肢は初めから考慮に与えられてない。
よって、船が動く前に陸に上がるべきだ。
ブリッジを後にし、清潔な白色の船内へと入り込む。
人の気配はないが油断はしない。歩調を乱さず自然体で進む。
そう、乱れといえば、体の不調もそうだ。

(……魔術回路の巡りが悪い。それに心なしか体が重い。この呪印のせいですか。
厄介だな)

魔術師が魔術師である所以の機能。
魔力を生み出し体内に巡らせるための擬似神経に異常が感じられる。
加えて、肉体にも何らかの不調―――重圧のようなものがかけられている。
拳での直接戦闘を基本とするバゼットにとって前者はそれほど深刻ではないが、大きな後者は問題だ。
一分一秒を争う戦闘では命取りとなる危険がある。

「――――――」

少し進んだところで、足を止める。
誰か、いる。
執行者としての経験は伊達ではない。
物音や話し声といった振動はないが、気配として生物の存在を感じ取った。
気配の出所は、閉められたひとつのドア。
ドアに取手はない。自動ドアというやつだろう。
扉の前に立ち、開かれるのを待つ。

341puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:01:43 ID:g05dccNE

「……」

十秒待つ。
扉は開かれない。

「…………」

二十秒待つ。
扉は開かれない。

「……………………」

三十秒待つ。
扉は、





「シッ――――――!!」

ばごん、という物理的にヤバイ音をたてて。

中心部をへこませて錐揉み回転をしながらぶっ飛んだ。





バゼット・フラガ・マクレミッツ。
四十秒を待つことができない、日常生活においてとにかく不器用な女である。



震脚で砕けた地面も、枠から外れたドアも気にせず、何事もなかったかのように足を踏み入れる。

「……籠城しようというなら無駄なことです。
この通り扉は粉砕しました」

果たして、力のない一般人が震えて隠れていたという発想に至ることはなかったのか。
こんな現れ方をすれば、十中八九危険人物、それどころか殺し合いに乗ったと誤解されても仕方ない。
当のバゼット本人はそれについて気づきもしなかったが。

「……失礼しました。
開けようとしたのでが、扉の操作に手間取ってしまいまして」

しかし、そんな神の視点からの不安は杞憂に終わり、更には冷静に弁明まで返してきた。
その男の印象を一言で表すなら、何も描かれていない真っ白なミルクパズルだろうか。
頭髪から、上下の服までが白で統一された姿。
運動もしてないのか体つきは小さく、心なしか肌も白い。
白と透明は違う、世界は決して白色ではない。
白い男の存在は、周囲の黒(あく)を糾弾するように世界を塗り潰していた。

「私の名はニアといいます。貴女の名前もお聞かせ願いたいのですが」

「……バゼット・フラガ・マクレミッツです」

船の中心部に位置することと、機材の多さからして、バゼットはここが操縦室だと推定した。
その前面、恐らくオペレート席に足を抱えて座り、癖毛をいじりながら、白服の男―――ニアは名を名乗った。

342puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:02:36 ID:g05dccNE
「ではミスバゼット、ここでの貴女の行動方針をお聞かせ下さい」

直球、しかし重大な意味を持つ質問だ。
この答え次第で己の行動や命がかかっていると分かった上でなら、ある意味豪胆である。

「何においても生還することです。まだ私には任務が残っていますので」

「成る程、私と同じですか」

「貴方も、任務中に此処へ?」

「ええ。私の場合は任務というより己の意思ですが、決して捨てるわけにはいかない使命です」

その目には不屈の精神、己の正義を疑わぬ信念が宿っている。
この手の相手は簡単に考えを改めることがないことをバゼットは知っている。
決断は、早かった。

「そうですか。ならば―――貴方は私の敵か」

拳を上げファイティンポーズを取る。
それに対しニアは体を動かさない。
肉体的に優れているわけではないのは体つきを見ても明白だ。
それでもバゼットが警戒の念をなくさないのは、彼女も多くの魔術師を屠ってきた戦闘者であるが故だ。
肉体の優劣などを頼みとせず、磨いた魔術で挑むのが魔術師だ。
目の視線、指の動き、マナの励起を片時も置かず注視する。

「……それは、貴女は全員を殺して勝ち残るという選択肢を取ると?」

「それしか手段が残されていないのであれば、そうしましょう」

目的のためなら選択を問わない。魔術師にとって必要な冷徹さだ。

「つまり、脱出の手段があるならそちらに移る余地もあると」

「そのような手段があるとでも?」

含みのある言い方をするニアに問いかけるバゼット。
それを待ち構えていたように、ニアは傍のボタンに手をかけた。
すると、正面のモニターに大きな画像が表示される。
細かく文字が書かれ専門的な知識が必要なものありバゼットには理解できない。
分かったのは、これが何かの設計図だということだ。

「この船の名称は斑鳩というそうです。
なんとも馬鹿らしいものですが―――空中飛行ができる戦艦、だそうです。
もっとも今は機関部をいじられてるようなので武装も没収、飛行は現状不可能で航行も低速でしか動けないようですが」

「それでは意味がない。ただ海に出るだけでここを出られるはずがない」

「はい、それは同感です。
しかし海上に位置する船というアドヴァンテージは大きい。
脱出に使う以外にも脱出派の拠点とすることも可能ですし、私もそう利用しようと思っています」

「……希望的観測ですね。そう上手く事が運ぶとは思えない」

一箇所に集まるよう呼びかけて協力できるなら苦労はない。
むしろ疑心暗鬼や権力争いでより凄惨な事態になる見込みの方が高いではないだろうか。
アカギが参加者を意図して選出したのならなおのことだ。

343puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:03:19 ID:g05dccNE


「確率が低いというのなら、優勝することも同じです。
一般人ならともかく、貴女単独で先ほどの灰色の化け物を倒せると?」

「問題ありません。私なら十分対処できます」

「複数いた場合は?ざっと周りにの人物を見回しましたが、あれと同等の存在がいる可能性はほぼ間違いないと見ていい。
それに、敵となるのは怪物ばかりではありません。死の恐怖に負け錯乱する者も少なからずいるでしょう。
無差別に殺し回れば善良なプレイヤーからも反感を買い無用な戦いを招くことになります。
それら全てと戦うことになっても、命をなくさずに乗り切れると?」

「何が、言いたいのです」

単なる命乞いではない、何らかの意図があっての言葉の羅列であることは理解できる。
そしてその考えに自分を引き込もうとしていることも。
もったいぶる話し方に琴線が揺れ、や高圧的に本題を迫る。

「脱出の計画を私が立てます。その間まで、積極的に他者を襲うのは控えて頂きたい」

「貴方には、それが可能だと?主催者を出し抜くことも、呪印を解くことも」

「さあ。しかしやらないよりはマシです。
それに、私が生き残るにはこの方法しかありませんので選ばざるを得ないのです」

自嘲とも自信とも取れるような言い回し。
否定的な意見を出し続けるバゼットだが、内心ではこの男の考えに引き込まれていることに気づいた。

「私は貴女の行動に一切の制約を求めません。貴女の思うまま自由に動けばいい。
障害や敵対する者と遭遇しても制限は課しません。
ただ、害意がない人物や有益と思しき人物に出会った場合は攻撃せず、私の存在を伝えてくれればいいだけです」

成る程、つまり広告者の役割を課そうというわけだ。
バゼット自身、戦いでそう遅れを取ることはない自負はあるし、危害を加えない相手を襲うのは、正直気が引ける。
宣伝版としては、それなりに適任といえよう。

「……その行為に対する、私への報酬は?」

別段欲望に駆られたわけではないが、確認のためだ。
協力するに足るメリットを知りたいという、打算的な面から訪ねた。

その言葉を待っていたとばかりに、ニアの口元が上三日月に動く。
それは釣り針に魚がかかったのを感じたような、勝利の笑みだった。

「脱出の算段が立った場合、優先的に貴女を保護し乗船する権利を」

予想していた通りの答え。
その分、反論する弁を考えつかなかった。

バゼットは任務を実行する側であり、発案、構築する側ではない。
それらは上に任せきりでいたため、駆け引きには疎いものがある。
結果、いつの間にか会話のイニシアチブを取られ、主導権を明け渡してしまっていた。
つまり、交渉に持ち込まれた時点でバゼットの不利は決まっていたのだ。

「……いいでしょう。一考するには値する提案です。
しかし現時点では信任するにはまだ材料が足りません。場合によれば反故にすることもありますが、それでもよろしいと?」

出会って五分も経たずして、それも殺し合いが始まり一時間もない状況で自身の性質を見抜き計画を提案した観察眼と冷静さ、頭の回転の速さ。
味方にしておく上でのメリットはあると、バゼットは判断した。

「ええ、構いません。私としても初対面でそこまで信頼を得られるとは思っていませんので。
それでは、交渉成立ということで」

そう言って、手を差し出すニア。
どうやら、契約の代わりというわけのようだ。
警戒する要素がないことを確認した後手袋を脱ぎ、白い華奢な手の平を握り返した。

344puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:04:03 ID:g05dccNE

■               □                 ■



「ひとまず……第一段階は突破しましたね」

毛先をいじくりながら、外に出ていくバゼットを見送る。
ひとまず会場を回っていき、情報を集めるという方針で動いてもらうことになった。
交渉の成果は、開始直後にしては及第点といったところだ。
初期位置も移動できる船の司令室というのが、自分の足で動くことを不得手とするニアには都合がいい。
路上の真ん中に放置されるよりはよほど幸先のいいスタートといえるだろう。

先に言った通り、ニアの目的はここからの脱出にある。
生に執着があるわけではないが、それでもこんな場所で死んでいくのは御免だ。
せめてキラ―――夜神月の敗北を突きつけた後でもなければ、死んでも死にきれない。

殺し合いを是としない者を集め、人材を集め、知識を結集させ、脱出のプランをまとめあげる。
この船がそうであるように、この会場には明らかなオーバーテクノロジーが詰め込まれている。
いかにニアといえども、これらを短時間で理解するには骨が折れる。
今のところは監視モニターと船内放送ぐらいのものだ。
アカギという男に挑み倒されたオルフェノクという化け物、瞬く間にこの場に瞬間移動させられたこと。
『死神』という存在を認知ていたニアだからこそ、ある程度までは落ち着き払うことが可能だった。
数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつと言っていたが、なるほど死神に死神界なる世界があるならそれ以外の世界があっても不可解ではない。
それなら、この船についても知識を持つ人間がいるのではないか。ニアの発想はそこである。
技術者などと手を組めれば、システムの復旧は飛躍的に進行するだろう。

パチンと、ピースが置かれる音がする。
隣り合ったピース同士は鋳型が一致し、互いを受け入れて溶け合っていく。
今ニアは、床にばら撒かれたパズルを組み立ていた。
その目的はなんのこともない、単なる暇潰しだ。
どの道システムの把握には時間が必要になり、またそれも殆どがコンピューター操作だ。どうしても手持ち無沙汰になる。
普段の感覚を取り戻す意味も含めて、こうしてパズルに興じているというわけだ。
額縁は数種類あり、それに伴うピースの量も膨大だ。しかも、ピースは全て大きな袋にひとまとめにされており、碌に判別も出来やしない。
しかし、ニアははじめから当てはまる場所が分かっているように、指を絶え間なく動かす。
一枚、一枚と、ピースは次々とはめ込まれていく。
ミルクパズルを真ん中からの組み立てを難なくこなすニアにとって、模様が入ってるこのパズルはむしろ楽なほうだ。

もとはバゼットが、「私には意味がない物だし荷物がかさばるのでお譲りします」と言って置いていったものだ。
フェアな関係を結ぶためと、こちらは使い道のない砲丸を渡しておいた。
一瞬目が輝いたような気がしたが、手にとってすぐに落胆しているようだった。

指先を止めることはせず、脳内では先ほど出会ったバゼットという人物について考えてみる。
悪人ではないが、その価値観や判断基準には一般のものとはズレがある。
人の命を見捨てるほど薄情でもないが、仕事とあれば冷徹に切り捨てることも厭わない。
警察官というよりは追跡者、警察犬ではなく狩猟犬、そんなイメージだ。

出切れば、危険人物といえど排除させるようなことはさせたくはなかったが、今のニアでは彼女を制止することはできなかった。
国家の権限も組織の武力もない現状、暴力で迫れればニアは屈するしかない。
危険思考寄りだったところを矛を収めさせるまで進展させただけ良しとしよう。
それに扉を素手で壊した腕っ節の強さは、味方として扱えれば非常に魅力的だ。
SPKのメンバーの中でもあれだけの使い手はいない。銃で武装し、複数で囲んでも勝てるかどうか。

345puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:04:24 ID:g05dccNE
ひとまずバゼットには、こちらが知る人物の情報をかいつまんで渡しておいた。
夜神月についてはあくまで、ある凶悪犯罪の容疑者であると、断片的にだけ伝えておいた。
死神のノートを口外するわけにいかないし、その上で連続殺人犯・キラの名を出しても、その殺害方法について確たる論証ができなくなる。
そもそも、キラの名は全世界にまで広まっている。
そして度し難いことに、その信奉者も国家レベルで多数に渡るのだ。
このプレイヤーの中に、キラ信奉者がいないと断言することは不可能だ。
夜神月は自分達の世界の犯罪者だ。
裁きは法が下すものであり、無法の地での私刑ではニアの勝利とはいえない。
そのため業腹だが、月もまた生かしておくということにもなる。

それに、向こう側も同様のことをしている可能性は高い。
つまり、ニアこそが凶悪犯であり自分はその名を被らされた被害者だと触れ回ることだ。
バゼットには月とかち合った場合、『その時は貴女の判断に任せます』と伝えてある。
一方的に悪情報を押し付けるのはむしろこちらに悪印象を与えがちだからだ。

そのためにも、この船に仲間を集める必要があるのだ。
数を揃え、その中で一定以上の信頼を得ることができれば、発言の信用度も上がる。
いざ月と相対した場合に、それは目に見える形で表れるだろう。
……もっとも、自分はそれほど人心掌握に長けているわけではないのだが。

死んだはずのメロに夜神総一郎、そして『L』の名。
考察するべき数多の事象。
ケースは手に、ピースは遠くに。
どんな難題(パズル)であろうと、数が揃えば解けない問いはない。
その全ての謎を解き明かしてみせよう。
世界一の探偵の正当たる後継者として。



……最後に。
既に扉の用を成さなくなった残骸を見て。
そして、未だ握られた痺れが残っている右手を見下ろして。

「……少し、人選ミスだったのかもしれませんがね」

小さく、悪態をついた。

346puzzle game ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:05:43 ID:g05dccNE



【H-2/斑鳩司令室/一日目-深夜】
【ニア@DEATH NOTE(漫画)】
[状態]:健康、右手を強く握られた痺れ
[装備]:ジグソーパズル×n
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:この会場より脱出し生還する
1:脱出のためのプランを練る
2:斑鳩の機能を把握する
3:死んだはずの人物が気になる
4:夜神月は生かしたまま連れて帰りたい
[備考]
※メロの死亡より後、月との決着より前の時期

【ジグソーパズル@現実?】
数種類のジグソーパズル。ピースは全て袋にひとまとめにされているため全て完成させるのは困難
描かれてる絵は不明

【斑鳩@コードギアス 反逆のルルーシュ】
黒の騎士団の旗艦となる戦艦。R2での騎士団再結成後に入手した。
空海両方で航行でき、艦首にはハドロン砲を搭載し各種武装も充実している
制限として火器類は没収、航行はできるが移動速度は遅めに設定されている
飛行機能は現在使用不能


【H-2/海岸/一日目-深夜】
【バゼット・フラガ・マクレミッツ@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:ルーンを刻んだ手袋
[道具]:基本支給品、砲丸
[思考・状況]
基本:何としてでも生き残る。手段は今の所模索中
1:とりあえず会場を回ってみる
2:障害となる人物、危険と思しき人物は排除する
3:安全とみなした人物、有用な人物にはニアの存在と計画を教える
[備考]
※3巻の戦闘終了後より参戦
※「死痛の隷属」は解呪済みです

【ルーンを刻んだ手袋】
バゼットの標準装備。鋼鉄並の硬度がある。
これと同じものを自身の膝、肘、爪先に刻んでいる。

【砲丸@現実】
砲丸投げに使われる鉛玉。
サイズは手のひらに収まるくらい。フラガラックより一回り小さい。
重量は一般男子が競技に使う7.260kg(16ポンド)。
人に向けて投げると当然危険。

347 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/14(木) 02:06:15 ID:g05dccNE
以上、投下終了です

348名無しさん:2011/07/14(木) 06:53:48 ID:JesqJdn6
御二方、投下乙です

桜コェェェ……松田に続いてヒカリもデルタの餌食に
長田さんも順調に原作通りの不幸街道まっしぐらとは……


<「……少し、人選ミスだったのかもしれませんがね」
このニアの台詞に一番ワロタwwww確かにバゼットはどの作品でも基本脳筋だからなぁwwww
バゼットには凛の代わりに、是非、うっかりと早とちりを極めて欲しいモノだ

349名無しさん:2011/07/14(木) 13:51:33 ID:KIt2T5Qo
投下乙です

ニアらしい駆け引きと取引だわ。 確かに二人とも重なる部分はあるが…でも取引後にニア本人も不安がるとかどんだけよwww
ただロワでは脳筋乙で終わらん様な事が起こるかもな…

350名無しさん:2011/07/15(金) 09:42:15 ID:BqOVohkE
海堂直也、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトで投下します

351シュレーディンガーの猫? ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/15(金) 09:43:23 ID:BqOVohkE
きっかけは些細な一言だった。

「そういえば貴方のデイパックには何が入っていたんですの?」

――それがあの事件の始まりだった。

「えっと“『儀式』を円滑に進行させるためにランダムで配られた様々な品”だっけか。俺のは……まあ、なんというか……」
「妙に歯切れが悪いですわね。そんなに役に立たない物でしたか?」
「いや寧ろ逆」
「ん?」
「……うん、これなんだ」

そう言って海堂がデイパックから取り出したのは一枚の紙。
よく見るとその紙には別の紙切れが貼ってある事が分かる。
ちなみにこれが海堂の唯一の支給品である。

「なんですの、この紙は?」
「いや、紙じゃなくて紙切れの方。裏の説明書きによると『名前を書いた相手が40秒後に心臓麻痺で死ぬノートの切れ端』だとさ」
「……それ本当ですの?」
「いや、いくらなんでも名前書くだけで相手が死ぬとか。どこまで信じていいんだこれ」

最初はこれを使って村上も脅せるかと思ったが、実際に使えるかどうか分からないのでその案はすぐに却下していた。
だがルヴィアは既に海堂の言う事などほとんど聞いていなかった。

「つまりこの紙切れにミス・トオサカの名前を書けば、私の勝利は確実……ニヤァ」
「まあ、これが本当なら遠坂って奴は40秒後には……って、おいちょっと待ったあああああ!?」

そこで海堂は気付いた。
オルフェノクも真っ青な俊敏な動きでルヴィアが紙切れを掠め取っている事を。
そして流れるように鉛筆で一人の名前を書いている事を。
一仕事終えたルヴィアの手元の紙切れには名前が一つ書き記されていた。

『遠阪凛』と。

「うふふ、これで私の勝利は確実ですわ」
「おい、これ間違っているぞ」
「え?」
「俺もこの手の間違いはよくやったなあ」
「あ、貴方に言われずとも元より――」
「ほらここ。遠坂の『坂』の字が微妙に……正しくはこうだな……」

そう言いつつ海堂はボールペンを走らせて名前を一つ書き記した。

『遠坂凛』と。

「よし、書けtぶへ!?」
「ちょっとなに本気で書いているんですか!? 本当だったらどうするんです!?」
「す、すまん、ついノリで……って、先に書いたのはルヴィアじゃ痛てえええええ!!!!!」
「あれはちょっとした憂さ晴らしと云うか、勢いと云うか、それに名前もわざと間違えたんです!
 ……第一ミス・トオサカをこんな手段で葬っても私としては――」
「え、わざと? それより後半の方がよく聞き取れぎゃあああああ!!!!!?????」

今更だが、海堂は現在進行中でルヴィアにプロレス技を掛けられていたりする。
ある意味羨ましい光景だが、当人にとっては降って湧いた災難でしかない。

352名無しさん:2011/07/15(金) 09:44:09 ID:BqOVohkE
「はっ、そんな事よりも早く名前を消さないと……って、なんでボールペンなんですか!」
「知らねえよ! 文句なら全員にそれ配ったアカギの野郎に言えよ!」
「ああ、もう! 貴方の責任なんですから早く何とかしなさい!」
「無茶苦茶言うな! くそっ、あ、そうだ! こういう時は燃やしちまうに限る! 火、火、火ィ!?」

海堂はルヴィアに急かされるままに火を起こせる道具を探すべく、二人分のデイパックの中身を地面にぶちまけていた。
正直とばっちりもいいところだが、実際に名前を書いたのは海堂なので半ば自棄だった。

「これじゃなくて……あれでもないし……」

地面にぶちまけた品々を必死に探る海堂。
1リットル入りペットボトルに入ったミネラルウォーター。
パン。
懐中電灯。
名簿。
地図。
デバイス。
鉛筆・ペン数本と消しゴム1個と大学ノート1冊。
何か小箱のような物。
豪勢な剣。

見事に火を起こす物はなかった。

「だあ、なんで懐中電灯なんだよ! ランタンだったら燃やせるのに!」

こうして悩んでいる間にも時間は刻一刻と経っている。
このままでは結果的に遠坂凛を殺した犯人は海堂になってしまう。
正直こんな馬鹿な事件で誰かを殺してしまうなんて御免だ。
そうならないようにしたいが、燃やす以外に紙切れを消滅させるなんて――。

ボゥッ

「へ?」

一瞬辺りが明るくなった。
その原因が何かと見てみれば、それは一枚の燃え落ちる紙切れ。
そして海堂の視線の先には片手に先程地面にぶちまけた小箱のような物を持ったルヴィアが立っていた。

「……あ、すいません。私のデイパックの中にマッチがあった事をすっかり忘れていましたわ」
「あ、あはは、そ、そうかよ……」

なんだか分からない徒労感に包まれながら海堂はぶちまけた荷物を拾う作業に入るのだった。

353シュレーディンガーの猫 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/15(金) 09:45:12 ID:BqOVohkE
【C-4/森林/一日目 深夜】

【海堂直也@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:健康、なんだか徒労感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:人間を守る。オルフェノクも人間に危害を加えない限り殺さない。
0:疲れた……。
1:ルヴィアのボディガードとして一緒に行動する。オルフェノクである事は明かさない。
2:パラロス世界での仲間と合流する(草加含む人間解放軍、オルフェノク二人)。
3:村上とはなるべく会いたくない。
4:パラレルワールドか……。
[備考]
※草加死亡後〜巧登場前の参戦です。
※ルヴィアの主観による「プリズマ☆イリヤ」世界と人物についてだいたい知りました。
※北崎≒オルフェノク説に関する信頼度は不明です。少なくとも凛はオルフェノクではないと思っています。
※デスノートの切れ端@DEATH NOTE(漫画)は灰になりました。

【ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:澤田亜希のマッチ@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品、ゼロの装飾剣@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出。
1:海堂と行動する。
2:元の世界の仲間と合流する。
3:特にシェロ(士郎)との合流は最優先!
4:オルフェノクには気をつける。
[備考]
※参戦時期はツヴァイ三巻です。
※海堂、木場、結花がオルフェノクである事を伏せた上で「パラロス」世界と人物について知りました。


          ▼


「なあ、40秒経っていなかったよな?」
「たぶん大丈夫のはずです。だいたい30秒ちょっとだったかと」
「…………」
「…………」
「……ところで……燃やしたら無効になるんだよな?」
「……………………そもそも、ミス・トオサカがあんなもので死ぬはずないですわ」
「え、今なんて――」
「何でもないです」



【デスノートの切れ端@DEATH NOTE(漫画)】
名前を書かれた人間が死ぬデスノートの切れ端。だいたい一人〜二人分の名前が書ける。
切れ端だけなので「名前を書いた相手が40秒後に心臓麻痺で死ぬノートの切れ端」という説明書きが付随していた。

【澤田亜希のマッチ@仮面ライダー555】
真理や草加同様に流星塾で育った澤田亜希(スパイダーオルフェノク)が愛用しているマッチ。
澤田は相手を襲う際には犯行予告代わりのように折り紙の作品をこのマッチで燃やしていた。

【ゼロの装飾剣@コードギアス 反逆のルルーシュ】
最終回でゼロ(スザク)がルルーシュを刺し殺す時に使った剣。
元はブリタニアの所有の物なのか、宝石などで装飾されている他は至って普通の両刃の西洋剣。

354 ◆ZtzLZ6i8bM:2011/07/15(金) 09:46:24 ID:BqOVohkE
投下終了です
何か意見がありましたらよろしくお願いします

355名無しさん:2011/07/15(金) 10:02:31 ID:AteyhoB6
>>354
投下乙です。

馬鹿だ、こいつら馬鹿だ(褒め言葉)wwww
そして凛はうっかりしなくてもどのみち死んでいたのか。不憫
…しかし放送で凛の名前が呼ばれたらこいつらどう反応するんだろ


問題点はなかったと思います
強いて言えば、海堂の状態表からゼロの装飾剣が抜けてることぐらいですかね

356名無しさん:2011/07/15(金) 10:19:19 ID:CmCd82vE
>>355
ゼロの装飾剣はルヴィアが持ってます。

ルヴィアが持っていたマッチは、海堂が地面にぶちまけた小箱のような物となってるのに、
直後のルヴィアのセリフでルヴィアに支給されていたとなっていて矛盾してます。

気付いた問題点はこれ位ですかね。

357名無しさん:2011/07/15(金) 10:20:52 ID:CmCd82vE
あ、書き忘れましたが投下乙です。

358名無しさん:2011/07/15(金) 10:27:20 ID:AteyhoB6
>>356
指摘ありがとう
しかし装飾剣は海堂がぶちまけた荷物の中から出てきたので
海堂の支給品かと思いました;

そう言えば、海堂は凛の顔を知らないから、本来これでは死なないわんだよな…
じゃあ凛の死体を見るかデスノキャラに聞けば勘違いは解けるのか…

359名無しさん:2011/07/15(金) 16:09:49 ID:iN3nd2RA
投下乙です

これは酷い(褒め言葉)www
なんてお笑いコンビなんだwww
…でも凜はもう死んでるんだよな

360 ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:12:16 ID:7G2i3G8g
南空ナオミ 本投下します

361その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:12:52 ID:7G2i3G8g

南空ナオミ
自殺
自分の婚約者を死に追いやったと
一番疑わしき犯人を
欧名美術館に呼びだすために
その犯人の恋人を人質にとって
2006年 4月15日 14時15分
電話をかけさせる
その後捜査本部に連絡をし
第三者の確認を取らせ
捜査本部監視のもと
その犯行の証拠を自白させようとするが
人質に逃げられそうになり
14時55分に阻止しようとするが
さらに精神錯乱となり
その場で銃を使い自殺



 +   +   +

『欧名美術館』。
それが、その建造物の名前だった。

美術館の二階に設えられた広いホール。
フローリングの床と、あたたかみのあるアイボリーの壁紙。

誰にとっても優しいその場所には、
しかし、死神が一人、存在した。

362その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:13:49 ID:7G2i3G8g
それは、とある画家の代表作品。

画家の名前はエクスーゾ・ケナック。
絵の題名は『仮面と死神』。

そこに描かれたのは、抽象の光景。
人間の断末魔を模したような形相の仮面が、無数にあつまって、髑髏の死神を磔刑に処していた。
磔にされた死神の胸を貫くのは、死刑囚の本来の得物であった、死神の鎌。
寄り集まった仮面が死神の武器を奪い取って死神にトドメを刺すその絵姿は、
まるで、死神に命を借り取られてきた犠牲者たちが、その無念をはらし死神に天誅をくだしているかのようで。


何かを暗示するようなその絵を、鑑賞するのはただ一人。
黒い革製のライダースーツに身を包んだ一人の女が、水色の封筒を抱きしめて嗚咽していた。
へたりこむようにして座り、絵画を見上げ、はらはらと泣いていた。


他ならぬ――この私、南空ナオミだった。



涙は、とうに枯れ果てたはずだった。

このように異常な状況下で、人目につきやすい場所で泣き崩れることが、どれほど危険なことかも、理解していた。

しかし、ディパックから出て来たその封筒は、癒えない記憶を呼び覚まさせるに十分なものだった。

『カトリック南青山教会』と印字がうたれた、『結婚』の為の書類の束。
そして、幸せな結婚式を約束する、結婚式場の紹介パンフレット。

それは、愛しいただ一人の人との、約束の証。
もう少しで手に入っていた、当たり前の幸福。
あの日、『彼』が死ななければ訪れていたはずの場所。

363その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:14:16 ID:7G2i3G8g
『創造の始めから、
神は人を男と女につくられたのです。
だから人は、その父と母を離れて、
二人のものが一心同体になるのです。

それでもはや、二人ではなく、一人なのです。』

聖書にしるされた言葉を、これほど深く理解し、噛みしめることができたその幸福。

しかし、その喪失はあっけなく訪れた。

二人が寄り添いあうことで一人と成るのなら、
今の私は半身の欠けた、ただの半身でしかない。
私の愛した婚約者は、既に欠けていた。



キラに、殺された。



誰も訪れない優しいその場所で、許される限りの涙を流し、
決して戻らない大切な人を偲んで、


そして私は、ようやく『目的』に立ちかえった。


すなわち、ここに来るまでにしていたことを思い出したのだ。

私は『自分の恋人を殺されたと一番疑わしき犯人を、欧名美術館に呼び出す』ところだったのだ。

キラである夜神月の罪を証明する為に、彼の恋人である少女を人質にとり、
彼女に拳銃を突きつけて、恋人の命惜しさに犯行を自白させるつもりだったのだ。
愛する者を失う恐怖を、キラにもまた、味あわせるために。
Lを始めとした『第三者の確認』が行われている眼の前で、夜神月を断罪するために。

私の心に、暗い復讐の情念が燃え上がる。
その復讐を支えるのは、何としてもそれを果たすという鋼の意思。

364その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:14:54 ID:7G2i3G8g
帰らなければならない。
あの時、あの場所、ここではない本物の欧名美術館に帰って『2006年 4月15日 14時15分』に戻って、
夜神月の『恋人を人質』にしなければならない。

名簿を見た限り、この殺し合いに夜神月の恋人は参加していないようだ。

つまり、私が突然に拉致された時点で、せっかく拉致した夜神の恋人は自由の身となり
今ごろは近所の交番にでも駈けこまれていることだろう。

それはとてもマズイ。

夜神の恋人を拉致できなければ、彼に私と同じ苦しみを味あわせることはできない。
つまり、たとえこの殺し合いを打倒して生還したとしても、私の復讐計画は破綻してしまうのだ。
それ以前に、この殺し合いの中で夜神月が死んでしまっても、私の復讐は達成されないのだ。

それではいけない、と私の狂気が大きく警鐘を鳴らした。

そう、それはもはや狂気と言ってよかった。

本来の私は、もっと冷静に行動ができていたはずなのに。
よく考えれば、私の計画には色々と穴もあるはずなのに、
なにより、何の関係もない少女を巻き込むなど許されていいはずがないのに、

頭の中は、『そうしなければ』という考えに取りつかれてしまっている。

ただ、元の世界に戻るのでは駄目だ。

どうしても、私は、あの時間に戻って、
『2006年 4月15日 14時15分』に『電話をかけさせる』という計画を遂行して、
夜神月を追い詰めなければいけない。

あの死神を、白日のもとに晒してみせる。
あの殺人鬼を、死刑台へと送り込んでやる。

もはや私は、己の存在意義をそこにしか見出せなくなっていた。



つまり、私の方針は『皆殺し』だ。

365その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:15:44 ID:7G2i3G8g
ただの生還ではない。
望んだ時間軸、望んだ場所に、任意で生還しなければならない。

その為には、『勝者』となるしかない。
あのように瞬間的に人間を拉致できる主催者なら、
帰る際にちょっと時間を合わせるぐらいの、サービスは効かせてくれるだろう。

それに、主催者は言っていたではないか。

『勝者』は、『今は亡き者の蘇生』をも可能となるのだと。
現代の日本にさえ、念じるだけで犯罪者を殺すような力が存在するのだ。
であるなら、『呪術』が当然に存在するような世界ならば、蘇生の秘術があったとしてもおかしくなないのではないか。
つまり、上手くいけば、皆殺しを達成した上で、夜神月を蘇生させて生還し、復讐を再開することができる。


ただ、殺すだけでは私の復讐心は満たされないのだ。
キラの『捜査穂部に連絡をし』、衆人環視の状況で屈服させなければ、復讐は達成されない。


『キラ』である夜神月は、人を操り殺す技術を持っているようだし、そんな人間が殺し合いに放り込まれれば、
バトルロワイアルを殺し扇動して引っかきまわすか、あるいは失敗して敵を多くつくることになるのは目に見えている。
私は本名が知られていないから、ひとまず殺される心配はないわけだが、当の夜神月が事態の中心として動くことが予想されるなら、こちらもうかうかしていては殺される。
仮に『死者の蘇生が可能』という前提を疑うにしても、どのみち積極的に殺し合いに乗っていた方が有利だろう。




――あれ?

366その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:16:32 ID:7G2i3G8g
私は首をひねった。

この殺し合いには、あの『L』も参加しているというのに、
にも関わらず、私はLを含めた55人全員を殺そうとしていた。
そのことが、本当に首をかしげたくなるほど、不思議だった。

私という人間は、Lを慕っていたのではなかったか?
私は、Lに絶対の信頼を置いていたのではなかったか?

Lを信じていれば、間違いはないはずだった。
Lの指令なら、どんな危険だって冒せるはずだった。

胸に手をあてて考える。
呵責はあった。
にもかかわらず私は、何の迷いも疑問もなく、目的の為にLを『不要』と断じていた

Lが見ていてくれなくとも、ワタリや『捜査本部』の人間が目撃される状況をつくれば、夜神月を公の前で糾弾することはできる。
私の復讐計画にLは必ずしも必要でない以上、殺しても支障はない――

そんな風に、容易くLを切り捨てる思考を働かせていた。

まるで、人を操る能力を持つ者に、『あの時間に、あの美術館で、夜神月を追い詰めなければならない』と命じられているかのように、

――いや、いくら何でもそれはないだろう。

例えばキラに人を操る力があったとしても、私は夜神月に名前を知られていないのだから、
キラの力を使われることはない。

私は己の執念で、復讐を成し遂げたがっているのだ。



――己の浅ましさに、吐き気がした。



これでは、まるで復讐鬼の所業ではないか。
私は、己の復讐の為に、55人の人間を皆殺しにしようと考えているのだ。
自らの保身の為にレイを殺そうとした夜神月と同じ所業を、私は行おうとしているのだ。

367その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:17:22 ID:7G2i3G8g

だが、そのことに自嘲はすれど、躊躇いはない。
そうせずにはいられないから、そうするのだ。

私は、あの時間に、あの場所で、『疑わしき犯人』に『犯行を自白』させなければならない。
そうしなければ、ならない。

そこに、『なぜ』という疑問が生まれる余地はない。



パンフレットを美術館の床に捨てた。
復讐鬼に堕ちた私に、思い出を懐かしむ資格はない。



支給品の確認を終えると、私はディパックから『モンスターボール』という個別支給品を取りだした。
いつでも取り出せるよう、ライダースーツのポケットにしまいこむ。

初見では全く用法の分からなかったそれだが、実際に開閉スイッチを押すや、
その有用性はすぐに理解できた。

解き放たれたボールからは、狐とも狼ともつかな二足歩行の獣がその姿を現した。
地面に届きそうな赤い鬣と、俊敏そうな長い手足。
私の支給武器の名前を“ゾロアーク”と言った。
“ポケモン”という生物など完全に未知だったが、実際にその異様を目にした限り、
かなりの当たり支給品を引き当てたといっていい。
説明書に書かれた使用技も、打撃技や火炎放射など各種に富んでいた。

それも、幻影を見せるという個体能力まであるらしい。

この“幻影”という能力の効果は曖昧だが、上手く応用すれば不意打ちや騙し打ちとして使うこともできるだろう。
油断させやすそうな参加者を捕まえて、試してみるのもいいかもしれない。

つまり、燃やされたメガネの男のような異能のない私でも、充分に参加者を殺せる力があるということだ。

368その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:17:51 ID:7G2i3G8g

 +   +   +

かくして、幻想に憑かれた女は、
幻想を見せる狐と共に夜を行く。

彼女は知らない。

その歪んだ復讐心が、己のものではなく
死神のノートによって植えつけられたものだということを。

夜神月は己自身の力ではなく死のノートによって人を殺している為に、
この会場では直接的な脅威となる力を持たないことを。

このバトルロワイアルに存在する夜神月が、
己の知る夜神月とは、似て非なる存在だということを。



そしてたとえ、彼女の望みが全て叶い、あの時間に戻れたとして、
その先に待つのは、己の死だということを。


【D−7/美術館/一日目 深夜】

【南空ナオミ@デスノート(実写)】
[状態]健康、デスノートに操られ中
[装備]モンスターボール(ゾロアーク)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]基本支給品一式、、不明支給品0〜1
[思考]基本・『夜神月を欧名美術館に呼び出す(デスノートの指令)』ために、何としても生還する。
1・ひとまずは皆殺しを狙う
2・死者の蘇生が可能かどうかを確かめる。可能なら夜神月を蘇生させる。
3・ルールブレイカーの効力を誰かで試したい。

[備考]
※参戦時期は、デスノートに操られて夜神月に電話をかけた直後です。
※思考が『2006年4月15日14時15分に欧名美術館に夜神月を呼びだす』ために誘導されています。
※ルールブレイカーの効果の範囲(仮面ライダーや魔法少女の変身、デスノートやギアスによる命令、エスパーポケモンの超能力、などにも効くのか)は、次の書き手さんに任せます。
※南青山教会の水色の封筒が、美術館の『仮面と死神』の絵の前に放置されています。

【南青山教会の水色の封筒@デスノート(実写)】
南空ナオミとレイ・イワマツ(実写版ではレイ・ペンバーではない)が、結婚式場の予約をする為に取り寄せた書類。
劇場版にて、南空ナオミはレイ・イワマツの死にざまを目撃するという改変が行われているが、
彼女はその現場にいた時にこの封筒を持っていた。
(その為に夜神月に教会をつてに名前を調べられてしまい、デスノートに名前を書かれて操られることになった)

【Nのゾロアーク@ポケットモンスター(ゲーム)】
Nの最終決戦時の手持ち。ちなみにオス。
ゲームでのレベルは50。使用技は“はどうだん”“かえんほうしゃ”“つじぎり”“かたきうち”。
攻撃力と素早さ、特殊攻撃の種族値が高く、手持ちの控えポケモンに変身する“イリュージョン”という特性を持つ。

369その南空ナオミをぶち殺す ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 21:18:57 ID:7G2i3G8g
ぎゃあ、備考欄のルルブレの説明を消し忘れた……orz

支給品は迷った挙句ポケモンに。投下終了です。

370名無しさん:2011/07/15(金) 21:33:56 ID:iN3nd2RA
投下乙です

これはまた面白い時期から来たな
確かにパラロワらしい展開だが可哀そうに…
ルルブレはポケモンに変わったが無差別マーダーが持つにはやっかいな…

371 ◆8nn53GQqtY:2011/07/15(金) 22:21:52 ID:7G2i3G8g
>>369に追加

ゾロアークの技ですが”はどうだん”ではなく”きあいだま”でした。
wiki収録時に直します……かさねがさねすみません

372魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:04:53 ID:ZiJ4laK6
修正完了したので、ルルーシュ、ゼロ、マミ投下します

373魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:05:31 ID:ZiJ4laK6




階段を駆け上がる。声は、未だついてくる。
振り返れば、"それ"は目の前にいるだろう。
追跡者の気配は、逃走者の息遣いを嘲笑う様に離れない。
追跡者が、語りかける。その口調は逃走者に向けているというよりは、むしろ。

「オレは魔王たる道を選び、世界に混沌をばら撒く存在となった……貴様は魔王として死に、世界に秩序を遺す」

追跡者の声が、段差に弾むように響く。逃走者は構わず駆ける。

「オレはC.C.を殺し、貴様はC.C.に生きる意志を与えた……オレは契約を履行し、貴様は契約を破棄させた」

逃走者の足がもつれ、転倒する。追跡者は足を止め、地に伏した逃走者を見下ろす。

「オレは未来を捨て、人を捨てた。お前は未来を望み、己を捨てた。
 オレ達は、こうも違いながら……どうしようもなく、その本質が、同一だ」

逃走者が、床から上げた視線を追跡者に移す。その目に絶対遵守(ギアス)の光を灯して。

「お前は……一体、何者だ!?」

追跡者がその手に還零(ギアス)の光を宿し、告げる。

「オレは死人だ。お前もそうだろう」

374魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:06:18 ID:ZiJ4laK6




俺の名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
黒の騎士団、神聖ブリタニア帝国、超合衆国の頂点に立ち、父以上の暴君として世界に君臨した呪われた皇子。
そしてゼロレクイエムによって友・スザクに討たれ、死にゆく運命めにあるはずの男だ。
そんな俺が、いつのまにか飛ばされていたオフィスビルから外に出て、周囲の地形を確認しながら物思いにふける。
数時間ほど経っていることもあり、暗かった空に僅かに白みが混ざっていた。

「だが俺は生きている……生きていると実感する……」

とある作業を済ませた後の火照る身体を眺め、変わらず機能する四肢に力を込める。
頬に当たるビルの隙間風、肌をなぞる冷気。目に映る眠った街、どこからか聞こえてくるざわめきは鼓膜を揺らし。
そして、変わらず思考する俺の脳髄がこの状況を現実だと叫んでいる。
記憶の混乱もない。ナナリーを失い、スザクと共に父・シャルルを討ち倒した記憶はあれど、
ゼロ・レクイエムを成し遂げたという記憶はない。自分の呪われた人生には、いまだピリオドが打たれていないのだ。

「神様だって見たんだ、地獄があっても驚きはしなかったがな。これは一体どういうことだ?」

アカギという男の言葉に従うわけではないが、ディパックの中の名簿を確認してみる。
……しかし、俺の困惑が収まる事はなかった。名簿に載っている名前は、俺にとってあまりに不可解すぎた。
平行世界、などという戯言が頭をよぎるが、確証のない情報を鵜呑みには出来ない。

(スザク、C.C.、咲世子は生きている人間だ。この場にいることに納得はできないが理解はできる。だが、
 死んだはずのマオやロロ……そして、ユフィとナナリーの名が何故記されている? ロロ・ヴィ・ブリタニアとは誰だ?)

「お前の疑問、この私が解いてやろう」

「!?」

思考にふける俺の隙に入り込むように響く声。
見通しの悪い市街地のどこから聞こえてくるのかは分からない。
だがその声は、不思議と俺の知っているそれに似ていた。変性されたその声は、かっての俺。今の奴。

375魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:07:17 ID:ZiJ4laK6

「死者を蘇らせるのは、実はそう難しいことではない。彼岸に渡る魂さえ固定する技術があれば、蘇るのは本人だ」

もっとも、周囲の人間にとって意味や価値があるのかは別だが……と嘯いて、デジャビュ持つ声が近づく。
俺は、未だその声の位置を掴むことができない。まるで陽炎のように薄い存在感。まるで王のように重い威圧感。

「可能性宇宙……平行世界には、異なる出自と役割を与えられた同一の魂が混在する。
 戦うナナリー……親殺しのスザク……薄汚い偽の家族としてのロロ……愚かにも魔王を僭称するロロ……
 理想を汚されなかったユフィ……魔女を求め、そして拒絶したマオと、死を求め、そして拒絶したC.C。そして。」

声が消え、唐突にその主が姿を現す。

「スザク!」

まず飛び出した頭部……仮面を見て、俺は二度ギアスの呪いをかけた友の名を呼んだ。
そう、その仮面の持主は英雄ゼロ。ゼロレクイエムによって世界の為に存在し続ける運命を背負った人格なき勇者。
そして俺を殺した後、ゼロの名と姿を継ぐのは、枢木スザクを置いて他にはいない。
思わず近づこうとして、しかし踏みとどまる。仮面に次いで現れたのは、筋骨隆々とした、怪人じみた巨体だった。

(ってこれスザクジャナーイ!)

「そうだ。私はゼロ……魔王、ゼロだ!」

心境で素っ頓狂な声を上げてしまった俺の思考が、崩壊寸前までカオスに飲み込まれる。
俺でもスザクでもないゼロ。名簿に載っているその名は全くの別人のものだと思っていたが、
確かに目の前にいるのはゼロの似姿だ。この怪人の口調だと、平行世界のゼロらしいが……。

「待て! それ以上近寄るな……来るなと言っている!」

「只人の言葉など聞かぬわ! ……ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア! 悪逆皇帝よ!
 貴様に、真の虚無(ゼロ)を教えてやろう!」

「くっ……行け! キリキザン!」

俺の手から、一個のボールが放たれる。その名はモンスターボール。
超常的な力を持つ怪物を封じ込めたアイテムで、俺の支給品の一つだ。
名簿を見ながら同時に確認していたのだ、二つ以上の作業を同時にするゼロ(俺)としての激務が役に立ったといえる。
現れた怪物は全身にスーツとプロテクターを纏った人間状の姿で、雄叫びを上げながらゼロ(筋)に襲い掛かる。
同時に俺は逃走を開始する。先ほど出てきたビルの中に飛び込み、一刻も早く屋上に向かわんとする。

「邪魔をするな!」

全力で駆ける俺の背後から、キリキザンが殴り飛ばされて目的地のビルの5〜6階の窓に突っ込んでいくのが見える。
薄々予感していたゼロ(筋)の怪物以上の戦闘力に歯噛みしながら、俺は振り向く事無くビルに飛び込んだ。
ゼロ(筋)は追いかけてくるが、積極的に追いつこう、追い抜こうとしている走りではない。
恐らくこちらを疲れさせてから捕えようと考えているのだろう。
ともかく、俺は階段を探して(エレベーターは止まっていた)、走り続けた。

376魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:08:19 ID:ZiJ4laK6




階段の踊り場で、立ち上がったルルーシュとゼロが対峙している。
ルルーシュの目に光るギアスの光は、仮面をつけたゼロに届く事はない。
だが、仮にゼロが仮面を外していたとしても、効果がないのは同じことだろう。
ゼロの手に浮かぶギアスの紋章は、ルルーシュの絶対遵守のギアスを掻き消していた。

「く……」

「エデンバイタルの高次元にアクセスし、事象の本質を知る我が魔王の力は、平行世界の貴様の行いをも看破済みだ。
 貴様はユーフェミアを殺し、スザクを憎み、罪もないシャーリーすらギアスの呪いに巻き込んだ。罪深い事だな」

「……どうやら平行世界云々の話は事実らしいな。だが、俺が罪人であることは俺自身がもっともよく知っている。
 余所者にとやかく言われることではない。顔も見せない奴には特にな!」

ルルーシュは、目の前の男の正体を探るように睨みつけながら、再び階段を上り始めた。
突如現れたゼロを名乗る怪人の言葉は、不思議とそれが嘘であるとルルーシュに思わせない。
ごく限られた者しか知らないはずのルルーシュの罪を正確に言い当てたという表面上の理由もある、が。
先ほどと同じ、追う者と追われる者の関係を維持しながら、ゼロはルルーシュの後ろで言葉を発し続ける。

「では、貴様に問おう。もしもユーフェミア達が死なず、シャーリーも失わない選択肢があったとして、それを選んだか?

「黙れ魔王! そんな質問に意味はない! 全ては終わった事だ、選び直す事は出来ない!」

「だがユーフェミア達は確かにこの地で生きている。お前の知る者たちでないとはいえ、限りなく同一の命として」

「ぐっ……」

ルルーシュの脳裏に、自分によって不幸にならなかったロロ、ユフィ、ナナリーの幻想が浮かぶ。
それは、ルルーシュが心底から求めている、彼にとっての優しい世界であった。

「やはり、迷うか。オレもそうだ……己の在り方を、迷い続けている」

どこか遠くを眺めるような眼差しでルルーシュを見ながら、ゼロがその挙動を変えた。
自分の中で何らかのケジメをつけたのだろうか、追跡から攻撃へと移る。
だが次の瞬間、それを待っていたかのように、階段のホールの壁を破って現れる影が一つ。
言うまでもなく、先ほどビルの中に殴り飛ばされたキリキザンである。
キリキザンは新たなるマスターを守る為、全力でゼロに突撃し、十数段ほどの距離を押し込んだ。

377魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:09:46 ID:ZiJ4laK6

「キリキザン! あなをほるだ! なんとしても足止めするんだ!」

「ギシャァァァァァァァ!」

ついに屋上に出るドアに到達したルルーシュの指示に従い、階段に穴を掘りながら、縦横無尽に移動するキリキザン。
その動きに翻弄されるゼロを尻目に、ルルーシュは屋上へと飛び出した。
空調機器と思しき物をすり抜けながら、屋上に設置されたある物体に近づき、脱出する為の行為に移る。
しかし、目指す位置にたどり着く前に、キリキザンが錐揉み回転しながら鉄柵に激突していた。

「さて、話の続きをしようではないか」

(役立たずが……)

舌打ちしてキリキザンをモンスターボールに戻し、新たにテッシードを召喚するルルーシュ。
トゲだらけの蛹、あえて言えばくっつき虫のようなポケモンは、見た目にそぐわぬ俊敏さでゼロに迫る。
だが、ルルーシュは焦りを隠せなかった。戦力的には、テッシードよりキリキザンの方が上のはずなのだ。
一対一では時間稼ぎすら難しい、このままでは逃げる前に追い詰められる……そう考えたルルーシュが、
捨て駒にする覚悟で傷ついたキリキザンを呼び出そうかと考慮し始めたそのとき、それは来た。

「ティロ……フィナーレ!」

「何!?」

突如屋上の室外機の陰から飛び出した、巨大な銃。その使い手すら覆いつくす威容から、熱した弾丸が放たれる。
咄嗟に飛びのいたゼロの足元が爆ぜ、コンクリートの床に易々と穴が空く。
衝撃の余波を受けたテッシードが、マミが立っているのとは別の室外機にめり込んで動きを封じられた。
巨銃は一射のみで掻き消え、使い手の矮躯だけが月夜に漂って、やがて室外機の上に舞い降りた。
闖入者の正体は、金髪の少女。両手に歩兵銃を持ち、魔王ゼロに殺意の視線を送っている。

「……貴様からは死臭を感じるぞ、無粋な小娘よ」

「魔女相手に"粋"なんて必要ないでしょう? いえ……魔王、だったかしら」

室外機から飛び降り、少女が更なる攻撃をゼロに加える。
両手に持った銃を、交互に発砲。単発式の銃を扱うにしては、あまりに無思慮な攻め手だ。
だが、この少女に限っては問題ない。魔法少女である彼女、巴マミに限っては、なんのデメリットもなかった。
何故ならば、マミの手には既に新たな武器(マスケット)が装填されている。超神速の弾込めなどではない。
完全に新調された銃器が、屋上の床に着地するまでに六丁、マミの背から手に移り、撃ち捨てられた。
総計8発の弾丸を、今度こそ過不足なくゼロに撃ち込み、巴マミはルルーシュの眼前に降り立つ。
両手両足、そして腹部に銃弾を雨霰と受けたゼロは崩れ落ち、黒い蒸気を噴出して動かなくなった。

「危ないところでしたね。あれは、私達にしか倒せない存在……あなたも使い魔のような物を持っているようだけど、
 あまり無茶をして怪我でもしたら、お友達が悲しみますよ。」

「……何故俺の知り合いがここにいると知っている?」

「あら、やっぱりそうだったのね。私のお友達も何人かここに来ているから、もしかしたら、と思ったのだけど」

してやったり、と笑うマミに、ルルーシュの目が光る。
現状が把握しきれない今、情報源である他の参加者と悠長に情報交換などしている暇はない。
助けてもらった恩義を感じていないわけではないが……と逡巡しながらも、ギアスをかける事に抵抗はない。
だが、マミの余裕も、ルルーシュの思惑も、次の一瞬で水泡と帰した。
その一瞬を支配するのは音でもなく光でもない、しかし圧倒的な速度で飛来する――――拳だった。

378魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:10:38 ID:ZiJ4laK6




「――――――ッッ!」

「ほわぁぁぁぁぁっ!」

ひ弱そうな青年を、押しのける。
まず行動するのは他人の為、それが私が魔法少女である理由。
次いで、30本出した銃の9本目を腕に添えるように構えてガード、迫る拳を受け止める。
しかし、その威力は私の想像を超えていた。腕の骨が砕ける音と同時に、暴発した銃の弾が髪をかすめた。
ガードと同時にステップを踏み、その場を離れようとしていた足が真逆の方向へ擦れて体を回転させる。
5〜6m程吹き飛ばされ、体勢を整える前に10本目の銃の引鉄を絞り、追撃の拳に銃弾を撃ち込む。

「鉛玉では、我が一撃は止まらんよ」

「な……!?」

銃弾が、魔女の拳に飲み込まれ……薬莢となって床に落ちる。射撃の反動を利用して回避はできたが。
驚愕に、心が揺れる。流暢に人語を喋り、人型から大きく変化せず、結界すら張らないこの稀有な性質にも驚かされた。
しかしこの魔女、その能力すらもここまで逸脱していたとは……ソウルジェムが探知した反応に、
バカ正直に突っ込んできた自分をほんの一瞬だけ恨む。だが、私が駆けつけなければあのひ弱そうな青年は、
この魔女に食い殺されていただろう。ならば、この戦いは歓迎すべきだ、と言い聞かせ、11、12本目の銃を手に取る。

「何発撃とうが同じ事だ。なんなら手が尽きるまで待とうか?」

「銃だけが能ってわけじゃ……ないのよ!」

髪を結うリボンがひとりでに解け、長大化する。片端を銃に繋ぎ、片端で魔女を捕らえる。
この魔女は、人間だという前提で見るならかなりの巨体だが、魔女の常識に照らせば最軽量級。
魔法少女として身体能力を強化された今の私ならば、容易くその体をリボンで振り回すことができた。
屋上に点在する機器に魔女を激突させながら、回転速度を上げていく。

「このまま放り投げてあげる……結界を張られると、彼を逃がしにくくなるからね」

「……まさか、これで私を拘束しているつもりか?」

魔女が全身の筋肉を隆起させると、魔法で強化しているリボンが簡単に弾け飛んだ。
だがそれは予想通り……否、計画通り。先ほどの言葉も、魔女のこの行動を誘う為のもの。
拘束から解かれ、空中で一瞬静止した魔女が言葉を失う。そう……今度は、彼女が驚愕する番だった。
私がマスケット銃を大量に召喚し、使った銃を片っ端から捨てていく戦闘スタイルは効率を重視した正形。
それゆえに魔女は既に攻撃力を失い、うち捨てられた銃になど関心を残さない。
それこそが、私が仕込んだ心理的盲点だとも気付かずに。

379魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:11:23 ID:ZiJ4laK6

「……小細工が上手い。しかし、何をやろうが同じ事だ」

「そうかしら?」

そう、私が今までの戦闘で捨ててきた10本の歩兵銃は、使用済みの物と入れ替えた新品。
空の歩兵銃を背中から排除し、両手に構えた銃を発砲すると同時に、床に捨てられた10本の銃が独自に回転、
照準を魔女に合わせて、放火を噴いた。12発の弾丸が全方位から魔女を襲う――――しかしこれでは不十分。
この魔女を殺しきるには全くもって足りない。それどころか、ダメージを与える事すらできないだろう。
だから私は銃弾に込める魔力を調節し、12全てのの弾丸を炸裂弾と化した。
破壊力を拡散させた弾丸は、霧を思わせる硝煙を発生させて魔女を覆う。
だが、その霧の中からは、相変わらず余裕に満ちた言葉が響いていた。

「面積を増やせば効くと思ったのか?」

「いいえ。やっぱり、強敵には面より点の、大きな一撃よね」

「……!」

「食らってみる?大玉ッ!」

飛び上がる。炸裂弾で魔女を取り囲んだのは、ダメージを期待してのことではない。
その狙いは圧倒的な全方位からの制圧射撃で、一瞬でも一秒でもその思考を奪うことにあった。
そして、その目的は。この魔女が唯一回避を選んだ、逆に言えば唯一ダメージを恐れた私の必殺技を見舞う事。
私の正義の体現……数多の魔女を屠ってきた、最大最強の一撃。

「ティロ・フィナーレ!」

「……」

無言で、魔女が吹き飛ばされる。その体は一瞬で床にめり込み、恐らく数階層下まで押し込まれた。
手ごたえは、あった。私は魔女が舞い戻ってこないことを、床に空いた穴を数十秒ほど眺めて確認し、
穴に背を向けてひ弱そうな青年に視線を向ける。彼は、意外にも狼狽した様子は見せていなかった。
そう、狼狽してはいなかった。彼は、戦慄の表情を浮かべていたのだ。
彼の戦慄が私にではなく、私の背後の空間に向けられている事に気付いたのは、背中に衝撃が走った後だった。

380魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:12:05 ID:ZiJ4laK6




「……化け物め!」

「私は魔王だよ? その言葉は貴様の想像力の欠如から来るものだと言わざるを得ないな」

魔王ゼロは、先ほどのマミとの戦闘の影響をなんら感じさせない、ルルーシュと出会ったままの態度で君臨していた。
ルルーシュの足元にはその戦闘の敗者……最後に油断して背後から殴り飛ばされた、マミの姿がある。
呼吸すらままならない状態であえぐ少女は、それでもなお1本だけ残った銃を右手に掴んでいる。
だが、それを撃つ事はもはやままなるまい……ルルーシュのその判断は正しかった。
マミがなんとか銃を構えられたとしても、それより早くゼロの拳はマミの頭を砕くだろう。

「邪魔が入ったが……貴様に聞きたい事の答えは、まだ返してもらっていなかったな」

ユーフェミア、ナナリー、ロロ。ルルーシュの大事な、そして己の所業の結果として殺した人間が、
彼の知る者としてではないとしても。平行世界の人間として、生きているのなら。ルルーシュは、どうするのか。

「例え一瞬だけの希望であっても、彼女たちに癒しを求めるか? "生きて"いる……彼女たちに」

「俺が殺したユフィは死んだ! 俺はシャルルや母さんとは違う、過去の幻影など望まない!」

吐き出すように叫んだルルーシュは、ここに到って遂に理解した。
ゼロの存在する平行世界が、自身の覚悟、悪逆皇帝として死に、
世界を壊し、世界を創るゼロレクイエムにとって、あまりに甘い毒であると。
その存在を認めてしまえば、悪行と惑いの果てに見出した確かな答えであるゼロレクイエムに、
己自身が疑問を抱いてしまうのだと。ゆえに、ルルーシュは決意する。
ロロ・ヴィ・ブリタニア、ユフィ。マオ。そして蘇ったというロロ・ランペルージ。最愛の妹であるナナリーでさえも。
自分の世界で、自分の所為で死んだ彼らを否定し、平行世界の他人という名の彼らを再び殺すことこそが、
自分に与えられた罰なのだと。エゴであっても。凶行であっても。死した者たちの影に浸る事だけは、許されない。

「そうだ……両親を殺し、腹違いの兄弟たちを殺し、最愛の妹すら殺した俺が、
 死んだだけで罪を償えるはずがなかった……。俺は、未来を望む為に過去を殺し、現在に死んでいく。
 それが、俺に相応しい終末だ。選択肢は、変わらない」

「……そうか。お前は、そういう選択をするんだな。聞きたい事は全て聞いた。ならば……」

ここで死ね、とゼロは言った。その言葉は自分がどんな選択をしていても同じだったのだろうと、ルルーシュは思った。
だが……ルルーシュは、死を容認しない。ここでは、死ねない。己の悪行を完遂するまでは。
ルルーシュの手が、目に伸びる。絶対遵守のギアスを下すその構えは、王の威厳を備えていた。

「……オレにはギアスは効かない。そこの死にぞこないを操っても無駄な事は知っているだろう」

「いるじゃないかもう一匹! お前の後ろにな! テッシード! ミサイルばり!」

「!?」

381魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:12:56 ID:ZiJ4laK6

ゼロが振り向く。
それは、偶然だったのだろうか。
あるいは、これまでの展開は、これまでの位置取りは、全てルルーシュの掌の上だったのだろうか。
ともかく、そこには。室外機の一つに埋まり、片目だけを出しているテッシードがいた。
ルルーシュが弾けるように背後に飛び、同時にギアスを飛ばす。
ゼロが手にギアスの光を生み、ルルーシュのギアスを消そうとするが……テッシードから放たれた、
無数のトゲに阻まれる。そしてルルーシュが放ち、テッシードに届いたギアスは――――。

「全力で だいばくはつ しろ!」

無慈悲なる、だが抗えぬ命令。
テッシードは一瞬の躊躇もなく、己の体を爆発させた。
その威力はギアスによって制限の大半を逸脱した、強大なものだった。
ゼロを中心に起こった大爆発は、それだけで終わることはない。条件は、全てクリアされていた。
キリキザンのあなをほるにより、構成する柱の一部を破壊され、僅かだが傾きつつあったビルが倒壊していく。
ティロ・フィナーレによる物の数倍の穴を空けた大爆発は、ゼロを再び階下に落としただけではなく、
大地震のような揺れを屋上にもたらし、床はまるで荒波のように撓んでいた。
ルルーシュが、爆風から身を隠すように屋上に設置された自分の最後の支給品に飛び乗る。
彼が屋上まで逃げてきたのは、"それ"で空に逃げ出すためだった。
そもそも一旦ビルの外に出てきたのも、低所から空を眺めて可視性を推定する為。

「……」

ルルーシュと、マミの目が合う。支給品が運べる人間は一名まで。
この地獄から逃げ出せるのは、ルルーシュだけなのだ。
ルルーシュにとってマミの登場は嬉しいハプニングだった。
キリキザンに命令した時から考えていた、いざとなればゼロを葬る為に起こせた作戦を実行させてくれたのだから。
いわば恩人を、見殺しにせざるを得ない状況。だがそれで決断が鈍るほど、もうルルーシュも子供ではなかった。

「……生きろ!」

だから、それは気休めだった。絶対に助からないと思うからこそできる呪い。
勇敢に戦った彼女に、せめて最後まで迫る死に立ち向かって欲しいという願い。
ルルーシュは知っている。これが、自分の甘さだと。もし彼女が生き延びても、自分が彼女を助ける事などないのに。
だが……そんな甘さを今全て吐き出すことで、これから自分が行う所業に、それを介在させないと誓ってもいた。
陶然と自分を見上げるマミから目を切り、空中に飛び出す。
ルルーシュは、悪逆皇帝として、己の過去の幻影を殺す旅に出た。
そう……ナナリーすらも、殺す旅に。

「フハハハハハハ! なんだかんだと言われても! 俺に他の道はもはやない! 世界を破壊し、世界を創る!
 偽りの愛を拒み、真実の悪を貫く! 神聖ブリタニア帝国第99代皇帝! ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア!
 父を殺し、世界を欺き、仲間を捨てて覇道を駆ける俺には、どんな明日も待っていない!」

黎明の空に浮かぶのは、かってロケット団が使っていた気球。
しかし……爆風を飲み込み、膨らんだ風船の部分だけが改造されていた。
崩壊する屋上で、瓦礫にうずもれながら沈んでいく巴マミがその後姿に瞠目する。

「キュウ……べぇ……?」

己の友を模した気球を、正面から見ることもなく。
巴マミは、その視界を闇に閉された。

382魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:13:32 ID:ZiJ4laK6



完全に倒壊し、廃墟と化したビル。そのクズ鉄の山には、『スマートブレイン本社』と書かれた看板が転がっていた。
そして、その看板を足蹴に佇む魔王が一人。いうまでもなく、ゼロである。
ゼロは、テッシードの大爆発と、高層ビルの倒壊に巻き込まれていながら、未だ二本の足で立っていた。

「ご苦労だったな。下がれ、ガウェイン」

なぜかハドロン砲と飛行機能がオミットされているガウェインでは、空に逃げたルルーシュを追うことはできない。
背後に佇むエデンバイタルの魔人、ガウェインに労いの言葉をかけ、ゼロは一息ついた。
彼は倒壊するビルの中で、咄嗟にガウェインを喚び出して身を包み、難を逃れていたのだ。
亜空間へ消えていくガウェインを見送るゼロが、僅かな疲労を覚える。

「ガウェインの機能に手を加えるとは、あのアカギという男は一体……ふむ」

大爆発を終え、瀕死状態となったテッシードの鋼のボディを拾い上げて握りつぶす。握力は、落ちていない。
無論無傷ではないが、すぐさま休養を必要とするほどでもない。悠々と歩き出そうとして、その足が止まる。
先ほどの戦闘で、いくらかの銃弾を食らった拳が鈍い痛みを訴えていた。本来ならば、鉛玉などいくら当たっても無意味だというのに……。
意外にも気の小さいゼロは、自分の攻撃の要となる拳を保護するべくテッシードのボディを引きちぎり、加工する。
鋼の甲殻をグローブ状に誂えて装備し、視線を移すゼロ。

「さて……行くか。"奴"の事も気になるが、"奴"が真に魔王の道を歩むなら再び遭う事もあるだろう」

ゼロの目には、濁った血が点々と垂れた、逃走の道筋が映っている。
耐えたのか、再生したのか、ゼロと同じように死を免れたマミの遺したモノであると、ゼロは直感していた。
そうして、ゼロは立ち去った。エデンバイタルより与えられた、魔王としての役割を成す為に旅立った。
混沌を振りまき、友・スザクや最愛の妹……ナナリーとすら敵対し、彼女達を殺す旅に。

383魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:14:20 ID:ZiJ4laK6





「ご……はっ」

路地裏で、マミが口から大量の血を吐き出す。
腹部からは内臓がはみ出していて、両足の感覚も殆どない。
放っておけば再生するとはいえ、その速度も目に見えて低下していた。
ゼロとの戦闘で半分ほど濁ったソウルジェムが、不気味な光を放つ。
辛うじて走ってビルを後にすることはできたが、もうそれほど動く事は出来ないだろう。

「何故……私は逃げたの……」

しかし、マミは自分を責めていた。
あの魔女を倒さなければ、必ず多くの犠牲が生まれる。
自分の命と引き換えにしてでも、あの場で道連れにしておくべきではなかったのか。

「……」

『その思考』に到ったマミの目に、再び光が宿る。
だがその光は、彼女の正義の精神が燃やす光ではない。
それは、ギアスの光だった。


【F-3/上空/一日目 黎明】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:疲労(大)
[装備]:ロケット団の気球@ポケットモンスター(アニメ)
[道具]:共通支給品一式、モンスターボール(キリキザン@ポケットモンスター(ゲーム):瀕死)、モンスターボール(空)
[思考・状況]
基本:スザクとともに生還し、ゼロ・レクイエムを完遂する
1:スザクと合流。
2:自分の世界で死んだ者たち(平行世界の存在も含む)を全て殺害する。(手段は問わない)
3:他の知り合いの事は保留。
4:ナナリー……。
[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※自分の世界と平行した世界があることを知りました
※テッシードが死んだ為、モンスターボールが空きましたが中に他の参加者に支給されたポケモンを入れることは出来ないようです。

【ギアスの制限について】
1:「死ね」など、直接対象を殺害する命令はできない。(「○○を殺せ」等は可)


【E-2/路地裏/一日目 黎明】
【巴マミ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:両足損傷、内臓損傷、消耗(大)、魔力消費(大)、ソウルジェム(汚染率25%)、絶対遵守のギアス発動中(命令:生きろ)
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:魔法少女として戦い、他人を守る
1:仮面の怪人(ゼロ)から逃げる(手段は問わない)。
2:キリカ、織莉子を警戒。発見したら排除する。
3:ゆま、杏子、ほむらと接触する。
[備考]
※参加時期は第4話終了時

【魔法の制限について】
1:銃を出せる数は完調時でも60〜80本程が限界。
2:再生の速度低下。

384魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:16:24 ID:ZiJ4laK6

【E-2/スマートブレイン本社ビル跡/一日目 黎明】
【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、ガウェイン3時間召喚不能
[装備]:テッシードのグローブ
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:参加者を全て殺害する(世界を混沌で活性化させる、魔王の役割を担う)
1:金髪の少女(マミ)を追跡し、殺害する。
2:ナナリー……
[備考]
※参加時期はLAST CODE「ゼロの魔王」終了時
※エデンバイタルとの接続により、「コードギアス反逆のルルーシュ」世界の情報を得ています。
※E-2スマートブレイン本社ビル跡周辺にビルの倒壊する音が響きました。

【能力制限について】
1:身体能力の低下
2:ガウェイン召喚の時間制限(詳細は後の書き手氏に任せます)・間隔をあけなければ次の召喚が不可能(3時間)。
  また、ガウェインのハドロン砲、飛行機能は排除されている。
3:エデンバイタルとの接続の不安定化。また、正しい情報だけが得られるとは限らない。
  ギアス世界(反逆)以外の他世界の情報は、放送毎に一つずつ開示されます。
4:ザ・ゼロによる森羅万象の消滅に制限。ある一定以上のエネルギー量は消せない。
  他参加者の肉体や体力の類は直接消せない。デスノート・ギアスなどにより、一度成立した呪いは消せない。
5:他者へのギアスの発現・魔道器の移植の禁止。

【支給品解説】

【キリキザン@ポケットモンスター(ゲーム)】
ゲーチスの手持ちのポケモンの一体。タイプはあく・はがね。
切断系の技を多く持つ、狂暴なポケモン。

【テッシード@ポケットモンスター(ゲーム)】
Nの手持ちのポケモンの一体。タイプはくさ・はがね。
防御に特に秀でる。

【ロケット団の気球@ポケットモンスター(アニメ)】
アニメ「ポケットモンスター」にて、ロケット団が逃走などに使用する気球。
出るたびに攻撃されて空気が抜け、彼方へと飛んでいくオチ担当アイテム。
このロワに置いては、ニャースの顔だった球体部分がキュウべえのどや顔に改造されている。

【ガウェイン@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
支給品ではなく、ゼロが能力として召喚するエデンバイタルの魔人。
サイズ、ハドロン砲、10指に備え付けられたハーケンなど装備・機能は『反逆』世界の物と酷似している。
原作最終局面では、高性能な足場としてゼロとナイト・オブ・ワンであるヴァルトシュタイン卿との決戦を見守った。←おい、ロボバトルしろよ。

385魔王は並び立ち、魔法少女は堕ちる ◆97SsGRff6g:2011/07/16(土) 03:16:46 ID:ZiJ4laK6
以上で投下終了です。

386名無しさん:2011/07/16(土) 07:09:41 ID:rDHxQGq.
乙です

387名無しさん:2011/07/16(土) 09:59:29 ID:r1vXDf.w
投下乙です
大筋については修正前に書いたので割愛、変更点にかんしてだけ感想を

>テッシード
くっつき虫さんがなにをしたというんや…これは発見したNが黒化フラグの予感
>気球
キュウべえなに自己アピールしてんだうぜぇwww
こんなのが飛んでたら絶対ほむらさんにタンクローリーぶつけられるぜ
あとルルーシュがムサシコジロウニャースのキメゼリフ言ってる件
ひとりぼっちは寂しいから早くスザクシーツーと合流して完全版を拝みたいところやで
>エデンバイタル
制限がかなり強化されてるのにゼロ様の強さのイメージに落ちがないのは凄いな
ガウェインの扱いに吹いたwww足場言うな
>マミさん
ダメージは減ったのに状況が悪化してるでござるの巻
この人口密集地で手負い、狂マーダーに追跡、手段選ばず逃走って…近くの人逃げてー!

388名無しさん:2011/07/16(土) 11:54:42 ID:njQAjIUc
投下乙です

ルルーシュとゼロの出会いは痛々しいというか、違いはあるがお互い破滅に向かって歩いてるというか…
ゼロは制限されてるのに強すぎるし、ルルはポケモンの使い方がばねえw
ビルも崩壊してしまって人が集まってきそう…
マミさんはとりあえずは修正前みたいに絶望はしていないし、ダメージも減ったがゼロに追われるとか状況は前より悪くなってるわw

389 ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:02:10 ID:wb6oLVac
美国織莉子、サカキ分を投下します

390殺さねばならない相手がいます ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:03:09 ID:wb6oLVac
 前回までのあらすじ。

 なんか変なバイクがロボットになった。



 ざぁん――と聞こえるさざ波の音を、小さく鼓膜に感じている。
 宵闇の先にあるはずの海から、静かに響く波の音を、耳に感じて視線を動かす。
 黒一色の景色の中、懐中電灯の白熱のみが、彼女に視力を与えていた。
「そう……ここは孤島なのね」
 美国織莉子が目にしているのは、儀式のフィールドを示した地図だ。
 謎の人型機動兵器・オートバジンとの遭遇のショックから、ようやく立ち直った彼女は、
 ひとまず現状を把握すべく、地図および名簿の確認へと戻っていた。
 既に現在地は判明している。H-8というエリアは、ポケモン城が目印の島だ。
 この島は他のエリアとは異なり、外部との繋がりが見られない、完全な孤島となっている。
 隠れて殺し合いをやり過ごすには、うってつけの場所と言えるだろう。
(でも、それでは打って出ることはできないわ)
 傍らに置いた名簿へと、視線を落とし、内心で呟く。
 儀式の参加者の名を連ねた名簿には、いくつか見覚えのある名前があった。
 ひとつは親友の名前であり、ひとつは排除すべき敵の名である。
 そして親友と合流することも、仇敵を抹殺することも、恐らくはここにいたままでは不可能だ。
 こんなところに浮いた島に、わざわざ彼女らがやって来るとは思えない。
(ここに長居するわけにはいかない)
 勝つためには攻めること。
 己が目的を果たすためには、自ら打って出ることが必要だ。
 すぐにこの島を探索し、主戦場に移動するための手段を探さなければ。
「―――ッ」
 その、瞬間だ。
 不意に織莉子の脳裏に、ピントのぼけたビジョンが浮かび上がったのは。
(これは、私が出会う未来? この光景は、あのバイクのものではなかったというの?)
 彼女の魔法少女としての力――未来視がもたらす未来のビジョンは、一度目にしたものと同じもの。
 大きな人影がぼんやりと浮かび、織莉子の前に立ちはだかる。
 直後にオートバジンを変形させたことで、その人影の正体を、この鉄の巨人だと解釈したそれだ。
 その未来を再び見たということは、あの時垣間見た未来は、まだ織莉子の身に降りかかっていないということになる。
 すなわち未来視が示したものは、オートバジンとの遭遇ではない。
 何者か――恐らくはこの儀式の参加者と、これから遭遇するという預言だ。
「………」
 かさ、かさ、かさ、と砂が鳴る。
 地を踏みしだく足音が、織莉子の耳に飛び込んでくる。
 迫りくる来訪者を察知し、ゆっくりとそちらへ向き直った。
 現れた影は、黒。
 闇に紛れ、闇に忍び、闇より浮き出たかのような。
 黒い帽子に黒いコート、その下も黒スーツで固められた、全身黒ずくめの壮年の男。
「あら……個性的なペットを連れていますのね」
 そして何より目を引いたのは、その隣に引き連れた謎の生物だ。
 屈強な2本足で立つ体躯を有し、全身から紫の棘を生やしたその姿は、さながら映画の大怪獣を彷彿とさせる。
 魔女ではない。
 しかし、まともな生物ではない。
「クク……ニドキングを見るのは初めてかね?」
 ニドキング。
 その名を口にした男の顔は、不敵な笑みに染まっていた。

391殺さねばならない相手がいます ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:03:44 ID:wb6oLVac


 ニドキングなるものと共に現れた男は、名をサカキというらしい。
 ひとまず敵意がないことを確認した織莉子は、彼との情報交換に移っていた。
「ではサカキさん……貴方はこの儀式なるものの存在を、認めないということですね?」
「あの男の言いなりになるのも癪だからな」
 悠然と構えるその姿勢は、己の力量への自信の表れか。
 高圧的な物言いや、ぎらぎらと光る眼光からは、強い野心のようなものが感じられる。
 今まで付き合ってきた大人達とは、根本的に異なるタイプの人間だ。
 その肩書きは軍人か、はたまた身一つで起業した実業家か。
 自ら目の前の壁に攻め込み、なぎ倒す強烈な攻撃性が、態度の節々から感じ取られた。
 それを隠そうともしないということは、彼の敵意の矛先は、やはりあのアカギに向けられているということなのだろう。
「君はどうする、美国織莉子? 生きるために私を殺すか?」
 にぃ、と口元がつり上がった。
 サカキの問いかけに呼応して、背後のニドキングの目が細められる。
 睨みつける眼光から漂うのは、殺意。
 敵対せぬならそれでよし。ただし刃向かうというのなら、こちらも相応の対応を取らせてもらおう。
 言外に感じ取った脅迫の意図――やはりこの男、油断ならない。
 ただの正義漢のように、理想に殉じ犬死にする気はないようだ。
 主催者・アカギを打倒する。そうして生き残るためならば、他者を犠牲にする覚悟ができている。
「………」
 己自身は、どうだろうか。
 この惨劇の舞台のさ中、美国織莉子はいかに立ち回るべきか。
 オートバジンとの遭遇もあり、すっかり後回しにしていた案件を、改めて考え直す。
 何を為すべきか。
 何と戦うべきか。
「……私には、殺さねばならない相手がいます」
 改めて考えるまでもなく、既に答えは決まっていた。
「ほう、強く出たな」
「私も貴方と同じように、この儀式を認めるつもりはありません。巻きこまれた者達を、救いたいとも思っています。
 ですが、ただ一人だけ……彼女だけは倒さなければ、世界は闇に閉ざされることになる……
 もしそれを阻む者がいるのなら、私はその者達とも戦います」
 手段を選ばないのは自分も同じだ。
 やがて最悪の魔女となる、見滝原の少女・鹿目まどか。
 美国織莉子の生涯の悲願は、かの少女を覚醒前に抹殺し、救世を成し遂げることにある。
 そのためならば、なりふり構うつもりはない。
 邪魔をする者に容赦はしない。幾千万を救うためなら、一でも十でも切り捨ててみせる。
「そのターゲットの名前は?」
「それは今は言えません」
 まどかの名前を出すことは、この場では控えておくことにした。
 かのインキュベーターの監視の目が、どこにあるか分かったものではないからである。
 奴のことだ。あるいはこの儀式の場にも、ひょっこりと姿を現してもおかしくない。
 そうして彼に見つかって、自分の意図を察知されれば、その時点で世界は終わるだろう。

392殺さねばならない相手がいます ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:04:34 ID:wb6oLVac
「ですが、貴方に危害を加えるつもりはありません。今は、これで納得していただけないでしょうか」
 交渉の場で優位に立つには、相手に強さを見せることだ。
 強い言葉と佇まいは、自らの力量をアピールし、相手を飲み込むことに繋がる。
 逆に飲み込まれないようにするためにも、自らも毅然とあらねばならない。
 確たる意志を瞳に宿し、真摯な語調で訴えかけた。
「………」
 しばし、サカキは沈黙する。
 この男のようなスタンスの人間は、自らに降りかかるリスクには非常に敏感だ。
 これで丸めこむことができなければ、自分を排除するために、ニドキングに攻撃命令を出すかもしれない。
 ここで理解を得られなければ、無意味な戦闘をすることになる。
 それだけは避けなければならなかった。こんなところで、ソウルジェムを無駄遣いしてはいられないのだ。
「いいだろう。君の言い分は理解した」
 にやり、と。
 猛禽を思わせる鋭い微笑が、再びサカキの顔に浮かぶ。
「君はそれなりに信用の置ける子のようだ。
 戦力が確保できれば、互いの生存確率も上がる……君さえよければ、私も同行させてもらおう」
「ありがとうございます」
 静かに、感謝した。
 この男は危険だが、なかなかに器の大きい雰囲気を醸し出している。
 そうでなくても、ニドキングとやらの戦闘能力が、見た目通りのものであるなら、きっと頼りになるはずだ。
 最初に会ったのが、あの訳の分からない機械だったことに比べれば、十分な進歩と言えるだろう。
「では、この離島から移動する手段を探したいのですが……」
「ターゲットを殺しに行くためか?」
「それもありますが、この儀式には、私の友人も巻きこまれています。彼女と……呉キリカと合流したいのです」
「戦力として使えるのか?」
「恐らくは。彼女は私以上に、荒事に長けた子ですから」
 これは嘘だ。
 キリカの捜索に行くという行為に、そのような打算は含まれていない。
 何故ならば、彼女は既に死に体なのだ。
 魔法少女・巴マミとの戦いで、キリカは致命傷を負っている。
 感傷、打算、ありとあらゆる想いを込めて、彼女を魔女にするつもりだったが、その前に2人は引き裂かれてしまった。
 漆黒の魔獣・呉キリカは、全ての戦闘能力を失った状態で、この儀式の場に放置されていることになる。
 もちろん、瀕死の友達を助けに行く、などと正直に話してしまえば、サカキは納得しないだろう。
 足手まといを助けるために、身を危険にさらす羽目になる。
 彼はそれを好まない。止められるか、排除されるかの未来が待つのは明白だ。
 故にここは嘘を織り交ぜ、サカキを説き伏せることにした。
「……了解した。そういうことなら引き受けよう」
 もちろん、全てを納得したわけではないのだろう。
 それでも一瞬の逡巡の後、男はそれを受け入れていた。

393殺さねばならない相手がいます ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:05:28 ID:wb6oLVac


(私が子供と手を組むとはな)
 この儀式が始まった頃には、予想だにしていなかったことだ。
 思わぬ協定を結んだことに、サカキは内心で苦笑した。
 不審な点も多い少女だ。
 ラジオでジョウト中に流れたはずの、サカキの名前を聞いていながら、何の反応も示さなかった。
 それどころか、ポケモンのニドキングを目の当たりにしても、まるでそれを知らないのだという。
(だが、美国織莉子は使える娘だ)
 直感的な判断だった。
 自らの立ち上げたロケット団を、子供に潰されたサカキである。年齢で差別をする気はない。
 そうでなくてもこの織莉子からは、独特なプレッシャーを感じるのだ。
 こいつは何かを持っている。
 それが頭脳の明晰さであれ、腕っ節の強さであれ、並の人間には持ち得ない、強い力を持っている気配がある。
 かのレッド少年を彷彿とさせる、年齢にそぐわぬ圧倒的な何かだ。
 風格、と表現してもいいだろう。文字通り、並の女子中学生とは、格の違う存在というわけだ。
 この直感が正しければ、織莉子は優秀な手駒になるだろう。
 目的のためには手段を選ばないという、その性質も気にいった。
 情がブレーキになりえないというのは、サバイバルにおいては重要な才だ。それが己だけでなく、味方さえも救うことになる。
(なりふり構わぬ正義か……せいぜい、利用させてもらうとしよう)
 にやり、と口元を釣り上げて、銀髪の少女の姿を見やった。
「あら、どうかしたの?」
 そしてその織莉子に近寄る、1つの大きな影がある。
 全身を鋼鉄色に光らせた、身の丈2メートルほどのロボットだ。
 どう見ても、ポケモンとは言い難い。完全な人工物なのだろう。
 これほど精密な人型ロボットを作るとは、大した技術だ、と感心した。
「まぁ……貴方、飛べたのね」
 そのロボットはというと、まるで織莉子に見せびらかすように、その場でホバリング飛行をしている。
 ぴろろろろ、という音と共に、得意げに目元に光を点滅させていた。
「でも、貴方の大きさではねぇ……私を運ぶことはできても、サカキさんが置いてきぼりになってしまうわ」
 しかし次の瞬間には、織莉子にばっさりと切り捨てられる。
 飛行をやめたロボットが、うなだれるように沈黙した。
 確かにあれの大きさでは、人2人を抱え込むには無理がある。
 このエリアからの移動には、何か他の手段を探さなければならない。
「では、このポケモン城を探ってみるか?」
「そうですね……何か使える物があるかもしれません」
 となれば、矛先を向けるべきは、己の眼前にそびえ立つ巨城だ。
 ここまで辿ってきた道筋には、めぼしいものは落ちていなかった。
 ならば新天地へと目を向けて、捜索をするのが一番と言えよう。
 頷く織莉子を引き連れて、サカキはポケモン城へと踏み込んだ。

394殺さねばならない相手がいます ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:06:19 ID:wb6oLVac
【H-8/ポケモン城城門前/一日目 深夜】

【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:健康、白女の制服姿
[装備]:オートバジン@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:何としても生き残り、自分の使命を果たす
1:鹿目まどかを抹殺する。ただし、不用意に他の参加者にそれを伝えることはしない
2:キリカを探し、合流する。まずはそのために、市街地エリアへ向かう方法を探す
3:積極的に殺し合いに乗るつもりはない。ただし、邪魔をする者は排除する
4:サカキと行動を共にする
5:ポケモン城に入り、H-8から出る方法を探す
[備考]
※参加時期は第4話終了直後。キリカの傷を治す前

【サカキ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:高性能デバイス、ニドキングのモンスターボール@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式
[思考・状況]
基本:どのような手段を使ってでも生き残る。ただし、殺し合いに乗るつもりは今のところない
1:『使えそうな者』を探し、生き残るために利用する
2:織莉子に同行する
3:ポケモン城に入り、H-8から出る方法を探す
4:『強さ』とは……何だ?
[備考]
※『ハートゴールド・ソウルシルバー』のセレビィイベント発生直前の時間からの参戦です
※服装は黒のスーツ、その上に黒のコートを羽織り、黒い帽子を頭に被っています
※『ギンガ団』についての知識はどの程度持っているかは後続の書き手さんに任せます

【オートバジン(バトルモード)@仮面ライダー555】
現在の護衛対象:美国織莉子
現在の順護衛対象:サカキ
[備考]
※『バトルモード』時は、護衛対象の半径15メートルまでしか行動できません
※『ビークルモード』への自律変形はできません
※順護衛対象はオートバジンのAIが独自に判断します

395 ◆Vj6e1anjAc:2011/07/16(土) 16:07:22 ID:wb6oLVac
投下は以上です

396名無しさん:2011/07/16(土) 17:59:22 ID:ke7JDxfA
投下おつです。
サカキ様しぶい……w
オリコとのやりとりはなんか腹黒いものを感じるなぁ。
GJでした。

397名無しさん:2011/07/16(土) 18:52:24 ID:q42YfKoY
投下乙です

二人とも強かな何かを感じるわw
ポケモン城で何が見つかるやら…

398 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 18:55:05 ID:YQI7.RSs
みなさん投下乙です

遅くなりましたが、ユーフェミア・リ・ブリタニア、枢木スザク投下します

399名無しさん:2011/07/16(土) 18:56:28 ID:AaMwohQU
投下乙です

ゲームには乗らないが容赦をするつもりもないと……
戦力的には安定しているのに(いや、安定しているからこそ)、何とも危ういものを感じるなぁ

そして、バシンたん可愛いよバシンたん

400偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 18:57:05 ID:YQI7.RSs

デイパックと一振りの長剣を抱えたまま、ユーフェミアは座り込み、震えていた。


青白い炎。助けを求める絶叫。灰となり消える身体――――

頭の中で繰り返し再生される惨劇を、身体の中を駆け巡る感情と一緒に、ユーフェミアはゆっくりと己の心に刻んでいく。
恐怖も。怒りも。不安も。悲しみも。
全てを等しく、忘れてはならないものとして。

どれだけの痛みを伴おうとも、起こった事実をありのまま受け入れる。
『現在』から目を背ける人間に、『現在』から繋がる『未来』を創っていくことはできない。
だからユーフェミアは、現実と正面から向かい合う。たとえそれが、悪夢よりも残酷な現実だとしても。


5分……10分……

ようやく身体の震えが止まり、ユーフェミアは自分が今まず何をしなければならないかを考える。
やるべきことは、いくらでも思いついた。
最初にすべきは所持品の確認。だが、それに必要な灯りが無い。

ユーフェミアは立ち上がり、自分の周囲を見渡す。
足元の感触で、ここが室内だということはわかる。
だが、どの程度の広さの、何のための部屋なのかはわからない。
完全な暗闇というわけではないが、微かな光は周囲の状況を把握するには足りなかった。
それでも光は、部屋の状況は教えてくれずとも窓の位置は教えてくれている。
床に張り巡らされたケーブルに何度か足を取られながらも窓まで進み、
ユーフェミアは、下ろされていたブラインドの羽を一枚、指でそっと下げた。

眼下に広がるのは、トウキョウ租界とは明らかに違う町並み。
ブリタニアよりも、以前写真で見たことのあるかつてのエリア11――『日本』に近い。
窓から灯りの漏れている建物は見当たらないが、街灯は点いている。
自分のいる部屋と同じか、それ以上の高さの建築物は近くには無かった。
外から室内を覗かれる可能性は低い。が、ブラインドを上げることは躊躇われた。

羽を下げたまま、ユーフェミアは振り返り、光の差し込む隙間が大きくなった室内を改めて見渡す。
整然と並べられた長机。ホワイトボード。パソコン。何かの機材に、大量の紙の山……

どこに何があるかをおおまかに把握して、ユーフェミアは窓から離れると
手探りで近くにあった机の上に置かれたパソコンの電源ボタンを押した。
電気が止められている可能性も考えていたが、ボタンを押したパソコンは何事もなく動き出す。
念のためディスプレイが窓とは逆に向くようパソコンを動かしてから、ディスプレイの発する光を頼りにマウスを操作した。

ネットに繋がっていれば、救助を求めることができるかもしれない。
そう思っていたが、期待は1分と経たずに砕かれた。
机の上にあった電話も試したみたが結果は同じ。
今の状況を考えれば容易に外部と連絡が取れないことくらいは予想済みだが、
それでも、はっきりと「無理だ」という現実を突き付けられれば、落胆は隠せない。

もしかしたら何か情報が得られるかもしれないと開いたいくつかのファイルも、
ユーフェミアにとっては意味のわからないものだった。

その中のひとつ、『凶悪犯罪者連続殺人事件 被害者リスト』というファイルには
知らない日本人の名前と罪状、死因がひたすら並べられていた。
記載されている死因がすべて心臓麻痺となっていることに疑問を抱いたものの、
自分の巻き込まれた『儀式』に関係することだとは思えず、ユーフェミアはリストの意味を追求することはしなかった。

401偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 18:58:33 ID:YQI7.RSs

パソコンを確認し終え、次に支給品の確認に取りかかる。
部屋の電気を点けるのはさすがに危険だと考え、ディスプレイの光を使うことにした。

まず、抱えていた長剣――バスタードソードを鞘から抜き放つ。
刃は間違いなく本物だ。
試しに構えて振り下ろしてみる。
通常よりも長くて重い剣が、自分に使いこなせる物ではないと判断するには、それだけで十分だった。
鞘に戻し、傍らに置く。

デイパックの中の物はひとつずつ、慎重に取りだし確認していく。
水の入ったペットボトルが2本。パンが6個。数本のペンとノート。コンパス。

手のひらに乗る大きさの機械は、ボタンを押すと液晶部分に『E-3』という文字が表示された。
もう一度押すと、次は時刻が表示される。
ボタンを押すたびに液晶は『E-3』と時刻を交互に表示する。
何も押さずにいると、10秒ほどで表示は消えた。

機械が表示していた『E-3』が示しているのが自身の現在地だということは、地図を見て初めて理解できた。
同時にこの機械が、アカギの言っていたデバイスであることも理解する。
とはいえ、自分の正確な位置は掴めない。
ここがE-3の北なのか南なのかは、地図とデバイスだけではわからないのだ。

もっと詳しい位置を知りたい。
そう思いながら、ユーフェミアは支給品の確認を続ける。

懐中電灯は、窓から外に光が漏れることのないように、机の下でスイッチを入れ、
電球と電池が切れていないことと、明るさの程度を確かめた。

次に出てきたスタンガンと防犯ブザーには説明書がついていた。
それによると、スタンガンの威力は一般的な成人男性を気絶させることが可能な程度。
防犯ブザーは紐を引っ張って鳴らすタイプの物で、音量は半径500mの範囲に聞こえるように設定されているらしい。
いつでも鳴らせるよう、防犯ブザーは付属のストラップを使い、デイパックにぶら下げる。

そして、最後の支給品―――この『儀式』の参加者名簿を見て、ユーフェミアは息を呑んだ。

402偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 18:59:10 ID:YQI7.RSs

枢木スザク
ナナリー・ランペルージ
ルルーシュ・ランペルージ

名簿には、ユーフェミアにとって大切で特別な存在の名前が記されていた。

何故、彼らがこんな殺し合いに巻き込まれなければならないのか。
彼らは無事でいるのだろうか。

込み上げる、不安と怒り。
それをユーフェミアは必死に押さえつける。

冷静な思考と判断を欠くわけにはいかないと自分に言い聞かせながら、もう一度、名簿にゆっくりと目を通す。
比較的、日本人だと思われる名前が多い。
スザクたち以外にも何人か、知っている名前があった。
あの異端審問官と同じ名と、ルルーシュたちの名乗る偽りの姓をもつ「ロロ・ランペルージ」という気になる名前もある。

名簿に記された参加者の確認を終えたユーフェミアは、外に出した支給品をデイパックの中に戻し、それを肩にかけた。
鞘が腰から下げることも背中に背負うこともできるようになっていたので、バスタードソードは背負うことにする。

一刻も早くスザク達をみつけたいが、手掛かりが無い。
まずは自分の詳しい位置を知るために、近くにあるはずの『警視庁』か『バークローバー』を探そうと歩きだす。
しかし、ほんの数歩だけ進んだところで、ユーフェミアは足を止めた。
そして、デイパックからペットボトル1本を取り出し、机の上に置く。

荷物を軽くする。それが、ユーフェミアの目的だった。
運べない重さの荷物ではないが、長時間持ち続け移動するとなると負担は大きい。
飲み水が貴重な物資となる可能性はもちろん考慮したが、所持品の中で何かを捨てるとしたら、水だった。
ペットボトル1本で、重さは約1キロ。
有ると無いとではかなり違う。

ショルダーベルトの位置を少し直し、外に出ようとユーフェミアが改めて一歩を踏み出そうとしたその時。


部屋の扉は、ユーフェミアではない誰かの手によって、開かれた。

403偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 18:59:39 ID:YQI7.RSs

廊下から溢れる光が室内を照らす。
蛍光灯の、人口の光。
今まで電気を点けずにいたユーフェミアの配慮は一瞬にして無駄になったが、彼女自身がそのことには気づかなかった。

光の中から現れたのは、黒。
名簿に記された参加者のうちの一人が身につけている物ととてもよく似た黒い仮面を被り、黒いマントを身に纏った人物。
ユーフェミアが知っていて、ユーフェミアの知らない人物だった。

「ユフィ……」

微かに聞こえた音に、ユーフェミアは驚きを隠せない。
ユフィ――それは、ごく限られた人間しか呼ばない、彼女の愛称。

「―――君は?」

全身を黒で覆った人物が、ユーフェミアに問いかける。
機械を通しているのであろう作られた声。
にも関わらず、ユーフェミアにはそれが、先程自分を「ユフィ」と呼んだ声とはまるで別人のように思われた。

「私は、ユーフェミア・リ・ブリタニアと申します。貴方のお名前を教えていただけますか?」

皇女として、毅然とした態度でユーフェミアは臨む。

「私は、ゼロ」

相手が名乗ったのは、ユーフェミアの知る名であり、名簿にも記載されていた名だ。
けど、違う。
少なくともユーフェミアにとっては、違うのだ。
仮面とマントがどれだけあの、黒の騎士団総帥を名乗る魔王に似ていようとも、今、目の前にいる相手は―――


「私の知るゼロは、貴方のような細マッチョではなく、もっとムキムキマッチョです」


―――ユーフェミアが知っていて、ユーフェミアの知らない人物。

『ゼロ』ではない『ゼロ』。
『枢木スザク』ではない『枢木スザク』だった。

404偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:00:24 ID:YQI7.RSs

   ◆   ◆   ◆


「ユーフェミア。君にひとつ、言っておきたいことがある」
「なんでしょうか?」
「私はゼロのコスプレをしているわけではない」
「あら、違うんですか?」
「違う」
「ですが、私の知るゼロはもっとムキムキマッチョなんです。スザクの話によると、生身でKMFの蹴りを受けても無事だったとか」
「それは私には無理だ」
「ええ。人間ならばそれが普通です。
 スザクはゼロを『タダ者ではない』なんて言ってましたけど、そういう問題ではないと私は思います」
「……ああ。それには私も同意しよう」


ムキムキマッチョのゼロとはなんなのか。
そう訊ねた結果始まった会話を続けながら、細マッチョのゼロ―――かつては『枢木スザク』という個を持ち、
今は『ゼロ』という記号となった青年は、仮面の中で戸惑っていた。

出会って数分。
机を挟んで向かい合って座り会話している相手は、自分の知るユフィではないと、スザクは思っていた。

ユフィは既に死んでいる。
そして、ユーフェミアの話す『スザク』は自分ではない。
だが、スザクがユーフェミアをユフィとは違うと思うのは、そういった理屈で説明できる理由ではなく、もっと感覚的なものだ。

違う。
彼女はユフィじゃない。

違う。

違う。

違う――――


「ユーフェミア。君はこれからどうする?」

スザクは『ゼロ』として、ユーフェミアに問う。

「スザクと、参加者の中から協力することのできる仲間を捜します」
「何のために?」
「この『儀式』を止めるために」
「止められると思っているのか?」
「止めます」

そう言ったユーフェミアは、こんなにもユフィに似ていて

「既に死んでいる参加者もいるだろう。殺し合いに乗った参加者がいないとは思えない」
「わかっています」
「君の考えに賛同しない者もいるだろう。敵対し、君の命を奪おうとする者もいるかもしれない」
「その時は……」
「その時は?」
「戦います」

そう言ったユーフェミアは、こんなにもユフィと違う。

目の前の少女と想い出の中の少女を比べて、スザクは独り仮面の中、
悲しんで、喜んで、虚しさを感じ、傷ついて、懐かしみ、嫌悪して、愛おしみ、
そしてその全ての感情を自分の中へと押し込めて蓋をする。

『ゼロ』には必要のない、『ゼロ』が抱くないはずの感情が、仮面の外へと溢れてしまわないように。

405偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:00:56 ID:YQI7.RSs

「戦う、と言っても、私は力を持ちません。
 けれど、この『儀式』を止めることも、生きて帰ることも、諦めるわけにはいきません」

ユーフェミアの纏う空気が変わる。
そこにいるのはユフィとは違う、気高き皇女。

「私に力を貸していただけませんか」

そう言ったユーフェミアの瞳に、スザクは射抜かれたような感覚を抱いた。
彼女からは自分の顔は見えていない。相手と目が合ったと感じてもそれは、自分だけの感覚だとわかっている。
それでも、心は落ち着かない。

「それは私に言っているのか。ユーフェミア」
「はい」
「私は、貴女の知るゼロではない」
「わかっています。私は、今私の目の前にいる貴方に、お願いをしています」

言葉が、出て来ない。
何も言えない自分に、スザクは慌てる。

答え自体はそれほど迷うことではなかった。

スザクの目的は、アカギを捜しだし、この『儀式』をやめされることだ。
ユーフェミアの目的と同じといって支障はない。
『生きろ』というギアスがかかっている以上、いざとなれば他人を犠牲にしてでも生き延びようとするであろうスザクにとって
いつ戦闘に発展するかもわからない状況下で他人と一緒にいることはできれば避けたいことだ。
だが、かといって女性を一人にさせるわけにもいかない。
同行することは自分から提案しようと思っていた。

だから、ユーフェミアの願いを、断る理由は何もない。
それなのに何も答えられないのはきっと、ユーフェミアが自分の知るユフィではなく、
自分がユーフェミアの知るゼロでも、スザクでもないからだ。

どんな言葉で表せばいいのかわからない感情と感覚を、スザクはどうすればいいのかわからずにいる。

「……君が他の協力者をみつけることができるまでは同行しよう。ユーフェミア」

スザクは、『ゼロ』として答えたつもりだった。
だがそれは、『スザク』としての答えだった。

本人も自覚していないが、スザクは、ユーフェミアとずっと一緒にいることには耐えられないと感じていた。
スザクにとって目の前の少女は、ユフィへの想いを残酷に抉る存在でしかないのだから。


   ◆   ◆   ◆

406偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:01:29 ID:YQI7.RSs

他の協力者をみつけることができるまで。
条件付きの協力にユーフェミアは満足していなかったが、
これから真の協力者になれるよう努めればいいのだと気持ちを切り替えた。

「それでユーフェミア。君はこれからどう動くつもりだ?
 『儀式』を止めると言っても、具体的に何か策があるわけではないのだろう?」
「デイパックに入っていた地図とデバイスだけでは、はっきりとした現在地を把握できなかったので
 まずは、『警視庁』か『バークローバー』を探そうと思います」
「ここがその、『警視庁』だ」
「そうなんですか?」
「建物の入口に堂々と書かれていたが、見なかったのか?」
「私は、最初からここにいたので……」
「なるほど。それで?」
「え?」
「現在地の把握はできた。次は?」
「他の参加者を捜しながら、政庁に向かいたいと思います」
「人が集まる場所、というだけなら他にもあると思うが」
「政庁がいちばん、スザクが向かう可能性のある場所だと思うので」

そこで、会話が止まった。
変声機を通した声は抑揚が掴み難いが、それでも何かを話してくれていれば、感じるものはある。
だが、声と言葉という情報を断たれれば、表情がまったく見えない相手からは何も感じることはできない。
沈黙は怖かった。

「あの……ゼロ?」

おそるおそる、仮面の向こうにあるはずの顔を覗き込む。
目を合わせるつもりで。
細マッチョのゼロの目がどこにあるのかは、仮面の所為でユーフェミアには見えないが。

「―――君の知らないゼロが、こうしてここにいる。
 名簿に記されている枢木スザクは、君の知らない枢木スザクかもしれない」

今度は、ユーフェミアが沈黙する番だった。

407偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:01:56 ID:YQI7.RSs

「ユーフェミア。あれは?」

沈黙を破りそう言った細マッチョのゼロが指で示しているのは、荷物を軽くするために置いて行くことにしたペットボトルだった。

「あれは、荷物を軽くしようと思って」
「水は置いて行くのに、その重そうな剣は持って行くのか?」
「はい。私の支給品には他に銃や剣の類はありませんし、こんなところに武器を放置するのも危険ですから」
「―――ユーフェミア。私と取引をしないか?」

突然の提案に、その意図を読めず、ユーフェミアは困惑する。

「そんなに堅苦しく考える必要はない。要は、物々交換だ」

言いながら、細マッチョのゼロはペットボトルを持ち上げる。

「これと、その剣を私がもらう」
「わかりました。それで構いません」
「物々交換だ。私が君に何を渡すか確認せず、そんな答えをしてもいいのか?」
「私にとっては、捨てた物と使いこなせない物ですから。貴方のお役に立つのなら差し上げます」

そこでまた、会話が途切れた。
だが、この沈黙は怖くないと、ユーフェミアは感じる。

「どうぞ」

バスタードソードを差し出す。
細マッチョのゼロはそれを左手で受け取り、右手でユーフェミアに一丁の拳銃を渡した。

物々交換と言っていたが、これではあまりに自分に有利だとユーフェミアは思った。
この場において、強力な武器を持つことが大きなアドバンテージになる。
それなのに、細マッチョのゼロは拳銃という、この場において"当たり"と思われる武器を自分に渡したのだ。

「この取引はフェアではありません。これはお返しします」
「私は満足しているが」
「しかし……」
「私に支給された武器はそれだけではない。それに、銃は私の専門外だからな」

その言葉が本当なのかどうかは、ユーフェミアにはわからない。
確かめようもないと思った。

「―――しかし、君は大胆だな」
「え?」
「君にとって私は、顔も見せない得体の知れない相手だろう」
「あ……」
「何を驚いている?」
「あ、いえ。私、貴方のことを『得体が知れない』とは思ってなかったので……」

その言葉は、ユーフェミアの本心だった。
目の前にいる細マッチョのゼロは、言われてみればたしかに『得体の知れない相手』だった。
普通に考えれば、最大限の警戒心をもって臨まなければならなかっただろう。

だが、そんな気には全くならなかった。
どうして………

408偽ニセモノ者ガタリ語 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:05:31 ID:YQI7.RSs

「ユーフェミア」

つい考え込んでしまっていたユーフェミアの思考を引き戻したのは、
いつの間にか窓のそばまで移動していた細マッチョのゼロの声だった。

「政庁に行くことに異論は無かったのだが、どうやら我々の選択肢はひとつ増えたらしい」

窓の外を見つめたままそう言った細マッチョのゼロに近づき、ユーフェミアも窓の外を見る。
遠くに、煙が見えた。
煙を下へと辿っていけば、そこには赤い炎。

ユーフェミアは、確認した地図を思い出し、見える範囲の地形と照らし合わせる。
火の手が上がっているのはおそらく『古びた教会』か、その周辺だろう。

「燃えている、ということは、火をつけた何者かがあそこにいるということだ」
「あの場で戦いが起こった可能性が高い……
 傷つき助けを求めている者と、この殺し合いに乗った者がいるかもしれない……」
「そういうことだ」

ユーフェミアの言葉を、細マッチョのゼロがあっさりと肯定する。

「どうする? ユーフェミア・リ・ブリタニア」

問われる。
ユーフェミアは、選択を迫られていた。





【E-3/警視庁/一日目-深夜】

【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:防犯ブザー
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル1本)、シグザウエルP226(16/15+1)、スタンガン
[思考・状況]
基本:この『儀式』を止める
1:細マッチョのゼロ(スザク)と共に行動する
2:スザク(@ナイトメア・オブ・ナナリー)と合流したい
3:他の参加者と接触し、状況打開のための協力を取り付けたい
4:細マッチョのゼロ(スザク)は警戒しなくてもいい……?
[備考]
※CODE19『魔女の系譜Ⅲ−コードギアス−』でゼロの乱入した戦場からロイドに連れられ避難したよりも後からの参戦
※名簿に書かれた『枢木スザク』が自分の知るスザクではない可能性を指摘されました
※『凶悪犯罪者連続殺人事件 被害者リスト』を見ました


【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:細マッチョのゼロ、「生きろ」ギアス継続中
[装備]:バスタードソード、ゼロの仮面と衣装@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル3本)、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:アカギを捜し出し、『儀式』をやめさせる
1:当面はユーフェミアと共に行動
2:なるべく早くユーフェミアと同行してくれる協力者を捜す
3:「生きろ」ギアスのことがあるのでなるべく集団での行動は避けたい
[備考]
※TURN25『Re;』でルルーシュを殺害したよりも後からの参戦


※警視庁の一室に『凶悪犯罪者連続殺人事件 被害者リスト』が入ったパソコンが置かれています。
 データからわかるのは、犠牲者の氏名、罪状、場所、死因(全員が心臓麻痺)のみ。
 DEATH NOTE(漫画)1巻頃のもので、死亡日時や死亡状況の詳細はわかりません。

※スザクの身につけているゼロの仮面と衣装@コードギアスは支給品ではなく、
 没収されなかった初期装備品です

409 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:06:01 ID:YQI7.RSs

【シグザウエルP226】
 枢木スザクに支給。
 シグ・ザウエル&ゾーン社が開発した自動拳銃。
 長時間、水や泥の中に浸けた後でも確実に作動するほど堅牢であり、耐久性は非常に高い。
 対応弾薬は主に9mmパラベラム弾。装弾数は15+1発。


【スタンガン】
 ユーフェミア・リ・ブリタニアに支給。
 相手に電気ショックを与える器具。護身用であり、一般的に殺傷能力は無い。
 支給された物は、携帯用のハンディタイプ。
 ロワ仕様ということで、少なくとも一般人なら気絶させることができる威力を持っている。


【防犯ブザー】
 ユーフェミア・リ・ブリタニアに支給。
 大音量を鳴らす事によって、周囲の人へ注意を促す防犯用品。
 大きさは手のひらに収まる程度で、紐を引っ張ることで大音量を鳴らす。音が聞こえる範囲はだいたい半径500m程度。
 カバンに付けたり首にかけたりできるストラップ付きで支給。


【バスタードソード】
 ユーフェミア・リ・ブリタニアに支給。
 16世紀〜17世紀に西洋で使われていた両手、片手持ちの両用の剣。
 斬撃と刺突、両方に優れており、片手半剣(Hand and a half Sword)と呼ばれる剣に含まれる。
 長さは1.2m〜1.4mほど(両手で握れるだけの柄を含む)、重さは2.5kg〜3kgほどで、通常の剣よりも長くて重い。
 独特の重心と使用法を持った剣であり、扱うには専用の訓練が必要。扱い難さのため、あまり普及しなかった。

410 ◆LMthJwSLQ.:2011/07/16(土) 19:06:21 ID:YQI7.RSs
以上で投下終了です

411名無しさん:2011/07/16(土) 19:20:44 ID:sLmwORvw
四作まとめて投下乙!

ナオミェ……ものすごーく危ないな。
ゾロアークもいることだし伏兵として活躍しそうだ。

マミさーん!体はボロボロだ!これで仮よりマシだからな。マジ頑張れ。
ルルーシュマジ鬼畜。テッシードのご冥福をお祈りします。しかし死後も防具として扱われる始末……
そしてゼロ様、強し、強し、強し、強し!!!!

バジンたんがとにかく可愛い。織莉子よりも愛らしいってどういうことなのさ。
対してサカキはカリスマバリバリ。危険な対主催コンビで戦力も充実してるぜ……。

まさかのスザクゼロとは。ゼロ様との対峙はなにをもたらすのか……。
こっちのユフィは結構積極的なんだよね。仮面の下に気づく日はいつなのか。

412名無しさん:2011/07/16(土) 20:12:09 ID:q42YfKoY
投下乙です

確かにスザクは最後にゼロになったからこれはありだわなw
細マッチョとかおまw
さて、これでゼロが二人居る事になるが…

413名無しさん:2011/07/16(土) 20:16:45 ID:AaMwohQU
投下乙です。マッチョなゼロにわらった。

>そういう問題ではないと思います。
ですよねーwww

さて、ゼロが2人、ルルーシュが2人、
ルルーシュと同じ顔の参加者が3人、ロロが2人いるわけだが……

ややこしいってレベルじゃねーぞw

414名無しさん:2011/07/16(土) 22:20:51 ID:INVaAu/c
ちなみにゼロ様の中からC.C.が出ることもあるからC.C.も2人いるよ!よ!

415名無しさん:2011/07/16(土) 22:23:57 ID:QOfEd//g
いや最終回後のゼロなら中身はルルーシュだけだよ

416 ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:06:45 ID:IJO0F4Wo
園田真理、タケシ、美遊・エーデルフェルト、バーサーカー投下します

417ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:07:30 ID:IJO0F4Wo
「うぅ……。ピンプク、ウソッキー、本当に何処へ行ってしまったんだ〜……」

 近くの木にもたれかかりながら、がっくりと項垂れるタケシ。
 彼の足元には、デイパックを始めとした支給品が、あちこちに散乱していた。

「えっと……。よくわからないけど、そいつ以外の仲間がいたはずなの?
 その……ポケモンとか言う……?」

 そんなタケシの様子を見ながら、呆れた感じで声をかけたのは園田真理。
 ちなみに、今彼女が『そいつ』と言ったのは、先ほどからタケシのそばで黙って頬をぷく〜っと膨らませているグレッグルである。

「はい……。ピンプクとウソッキーという俺の大事なポケモンたちなんですけどね……
 ここに来る直前までは確かに一緒にいたはずなのに……って、アレ?」

 涙を流しながら真理の方へ振り返るタケシの目に、ふと、身に覚えのない奇妙なケースが映った。

「おや? なんだろう、コレは?」

「それ……タケシさんのデイパックから出てきたものですよ。気づいていなかったんですか?」

 頭にハテナマークを浮かべながら、ケースを手に取るタケシに、未だその場に残っていた美遊・エーデルフェルトが問いかけた。

「俺のデイパックに? いやぁ、ピンプクとウソッキーを探すのに夢中で気がつかなかった……」

「……! ちょっと、ソレ見せて!」

「えっ?」

 突然、真理が慌てたようにタケシに詰め寄ってくる。
 彼女の両目は、タケシの手にあるケースに注がれていた。

「ど、どうしたんですか、マリさん? 突然……」

「いいから、早く見せて!」

「はっ、はいっ!!」

 気圧される形で、タケシは真理にケースを手渡す。
 引ったくるようにそれを受け取った真理は、すぐさまその中身を確認する。

「――やっぱり……」

418ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:09:48 ID:IJO0F4Wo
 ケースの中身を見た真理は、思わずそう呟いた。


 一見普通の銀色のアタッシュケース。
 しかし、その中心に堂々とプリントされていたスマートブレイン社のロゴマーク――

 そのケースを目にした瞬間、真理は「まさか」と思った。
 だが、実際に中身を――半ば強引に――確認させてもらったことで、それは確信へと変化する。


「……真理さん。それが何なのかご存知なんですか?」

『見たところ、何かのパーツのように見えますが……?』

 真理の背後に立っていた美遊と、彼女の側を浮遊しているサファイアも、そのケースの中身を確認しながら真理に尋ねる。
 美遊のその問いに、真理は軽く頷くと、そのケースの中に入っていたものの名を口にした。


「カイザギア――『呪いのベルト』と呼ばれる代物よ……!」


 そう。タケシのデイパックの中に入っていた謎のケースの正体――
 それは、カイザのベルトと武器を収納したスマートブレイン社製のアタッシュケースであった。


 ◇


「――つまり、コレを使って『カイザ』という戦士に変身した人間は、オルフェノクという存在に対抗できる力を与えられる代わりに……」

「えぇ。変身を解除すると同時に身体が灰になって死んでしまうの……」

 それから真理は、カイザギアの持つ強力であると同時に恐ろしい力――そして、自分の世界のことをタケシたちに簡単に説明した。


 自分たちの世界は、既に人間から人類の進化系・『オルフェノク』に支配権を奪われているということ――

 生き残っている僅か数千人の人間たちは、人間解放軍を結成し、オルフェノクによる絶対的な支配体制に抵抗を続けていること――

 真理たちの養父は、オルフェノクの総本山であり、実質世界を支配している存在である世界的大企業・『スマートブレイン社』の前社長であること――

 そして、オルフェノクの手から人間を守るためにファイズギアとカイザギアを開発し、義理の娘である真理たちにそれを託し行方不明になったこと――

 カイザギアには欠陥があり、一部の者を除いて『カイザ』に変身した者は、変身後肉体が灰化して死亡してしまうこと――


 ――大雑把にまとめると、説明したことは以上の五つだ。
 さすがに、人間との共存を望み、共に戦ってくれていたオルフェノク――木場たちのことや、『闇を切り裂き光をもたらす救世主』――『ファイズ』の変身者・乾巧もオルフェノクであることは伏せた。
 前者を説明しなかったのは、木場はオルフェノクとして生きることを決め、人間の敵となったため――
 そして、後者を説明しなかったのは――真理自身、まだ完全に気持ちの整理がついていないからだ。

419ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:10:11 ID:IJO0F4Wo
 人類とオルフェノクの戦いを、『共存』という形で終焉に導くため戦い続ける男・乾巧――
 だが、そんな彼も実はオルフェノクだった――
 それは最早変えようのない事実である。

 ――しかし、真理が巧に対して抱いている気持ちも本心であり、また事実である。
 故に、自身が巧本人に直接そのことを口にするまで、真理は巧がオルフェノクであることを他者に伝えるのは控えておこうと思ったのだ。


「……にわかには信じられない話ではありますけど、大体のことはわかりました。
 つまり、このベルトは本来の持ち主に返したほうがいいということですね?」

「うん。ただ――」

「ただ?」

「ただ、おかしいのよ。このベルトは啓太郎が変身した後、灰になって無くなっちゃったハズなのに……」

 そう。真理の記憶で知る限りでは、カイザギアは既にこの世には存在しないものだ。

 人間解放軍の武器開発担当である野村博士によって開発されたドリンク剤・『変身一発』――
 それを服用した菊池啓太郎が『カイザ』に変身し、ライオンオルフェノクを撃破した後、灰となって消失した。

 それなのに――

「――なんで、またここに……?」

『スマートブレインによって同じものが複製されたという可能性は?』

「確かに……。マリさんの言っていることが全て本当なら、一度自分たちの手で作ってる物をもう一度一から作り直すことは十分可能だろうな」

 タケシはサファイアの仮説にうんと頷きながら、先ほど自分で散らかしてしまったデイパックの整理を終えた。

「では、マリさん。このベルトと武器はアタッシュケースごと先ほど言っていたケイタロウさんという方に渡せば良いわけですね?」

「うん……。私の知る限り、現状でカイザのベルトを使える人間は啓太郎だけだし……」

 ――真理は先ほどタケシたちに自身の世界を説明する際、一緒に確認した参加者名簿の内容を思い出す。
 『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、そして『木場勇治』――真理の知る者たちの名前もそこには記載されていた。

 ――同時に、気がかりな名前もそこにはあった。

 ――『草加雅人』。
 既に死んだはずの人間の名前。
 真理の記憶の中では、草加はスマートブレインの開発した『帝王のベルト』のひとつ『天のベルト』の所有者であるレオによって殺害された――
 それも、真理と啓太郎、そして木場たちの目の前で――

(なんで雅人の名前まで……?)

420ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:11:10 ID:IJO0F4Wo
 消失したはずのカイザのベルト。
 そして、同じく自身の世界からは消えたはずの草加雅人――
 何故これらの存在がこの『儀式』の場にあるのか――真理の頭の中は軽く混乱していた。
 ――後者はまだ『同名の別人』という可能性も否定できないが。


 ◇


「――では、私たちはこの辺りで失礼します」

『真理様たちもお気をつけて……』

 その後、一行は一度森を抜け、その先にあった屋敷の前で別れることになった。
 ――屋敷の門に「美国」という表札がかかっていたため、地図に載っていた『美国邸』とはここで間違いないだろう、とは共通の談である。

「美遊ちゃんたちも気をつけてね」

「友達と無事に再会できることを祈ってるよ」

「はい……」

 美遊は軽く頭を下げると、サファイアを連れて歩き始めた。

 ――彼女たちはこれから、先にある橋を渡って町村へ向かうという。
 なんでも、町村に存在するという『衛宮邸』は彼女たちが探している友達――イリヤの実家と同じ名前らしい。
 もしかしたら、この名前に釣られる形でイリヤたちがこの場所、もしくは町村に来ているかもしれない――美遊はそう考えたのだ。

 去っていく美遊たちの姿をしばらくの間黙って見つめていた真理とタケシであったが、やがてその姿が見えなくなると、タケシが待ってましたとばかりに口を開いた。

「ではマリさん! 俺たちも早速行きましょうか!?」

「う、うん……。実は私も、みんなを探す前にちょっと行って確かめておきたい場所があるんだけど……」

「ほほう!? マリさんのような素敵な方が行ってみたい場所ですか!? さしずめ、マリさんのように美しく素敵な場所に違いない!
 いや! むしろ、マリさんのいる場所は、全て! 常に! 美しいと言っても過言では――ぐはぁっ!?」


 ――暴走したタケシを止めたのは、またしてもグレッグルのどくづきであった。


 ◇


「『人間居住地』――ですか?」

「えぇ。もしここが私の知っている『人間居住地』と同じ場所だったら、そこには人間解放軍のアジトがあるはずなの。
 人間解放軍のアジトなら何か武器があるかもしれないし、それに――」

「マリさんのお知り合いの方がいる可能性もある――ということですか?」

「うん……」

421ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:11:39 ID:IJO0F4Wo
「なるほど! さすがはマリさん、見事な推測です!
 美人なだけでなく頭も冴えているなんて……! このタケシ、ますます貴女の虜に……!」

「言いたいことはわかったから、さっさと先に進みなさい!」

「ハイ……」

 真理とタケシは再び森に入ると、コンパスを頼りに北へと進んでいた。
 先ほど真理が言っていたとおり、『人間居住地』へ向かうためである。

 ――ちなみに、現在タケシが先頭、その後ろを少し間を空けて真理、そして、そんな二人の間にグレッグルという形で一行は森を進んでいる。

 ここまでの自分と美遊に対する反応の違いから、真理はタケシという男がどのような人間なのか大体理解した。
 ズバリこの男――同年代もしくは年上の女性にとにかく目がない軟派者なのだ。
 その点を除くと、料理もできるし、美遊のような年下の子に対する面倒見の良さもあるため、頼りになりそうな男なのだが――

 啓太郎とは違う意味でしっかりしてほしい男――それが、真理のタケシに対する現時点での評価であった。
 もしここにスマートブレインの現社長である村上がいたら、おそらく『中の下』か『下の上』あたりの評価をタケシに下していたことだろう。

「そういえばマリさん。『武器があるかもしれないと』おっしゃってましたが、マリさんのデイパックの中には何か役立ちそうなものは入っていなかったんですか?」

「う〜ん……。入ってなかったというわけじゃないんだけど……」

「?」

「正直言うと胡散臭くて、本当に使える物なのかどうかわからないの」

 見た感じは武器っぽいんだけどね、と付け加えながら真理は自身のデイパックからソレを取り出そうとする

 だが――

422ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:12:19 ID:IJO0F4Wo
「――ッ!?」

「? どうしたの、タケシ?」

 突然、真理の方へ目を向けていたタケシが、言葉にならないほどの驚きの声をあげた。

「ま、マリさん……。後ろ……」

「? 後ろがどうかし――」

 ガクガクと右手を上げ、真理の背後を指さすタケシ。
 それに釣られる形で真理も振り返る。

 振り返った先――真理の数メートルほど後方。
 そこには――


 ――『怪物』がいた。


「■■■■■■――――!!」


 未だに闇からは完全に抜け出せない森に、その『怪物』の咆哮が響き渡った。


 ◇


「――!?」

 町村へと繋がる橋を、もう少しで渡り切ろうとしたところで、美遊はその音を聞いた。
 大量の木々がバキバキとなぎ倒されていく音を。
 おそらく音の発信源は、自分たちが先ほどいた森からだろう。

「まさか――」

 美遊の脳裏に一瞬、『嫌な予感』が駆け巡った。

 ――だが、顔を左右に二、三度振って、それを振り払う。


 大丈夫。真理やタケシたちは自分たちと一緒に森の外まで来ていた。
 あれからまた、森の中に戻ったとは限らないじゃないか――


『――気になりますか?』

「!?」

 側で浮かんでいたサファイアがそう尋ねてきた。

423ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:13:50 ID:IJO0F4Wo
『私は美遊様にお仕えするもの。故に、どちらの選択でも美遊様のお供をするだけです。
 ですから美遊様。美遊様も自分が本当に正しいと思う選択をなさってください』

 主の内心などとっくに見越しているとでも言うかのように、話を続けるサファイア。
 それに対して美遊は
(――あぁ、こういう時だけは自分はこいつに敵わないみたいだ)
 などと思いながら、ひとつの決断をした。


 彼女の選んだ選択は――


 ◇


 周囲の木々を文字どおり「なぎ倒し」ながら迫る『怪物』――

 そんな『怪物』からタケシと真理も文字どおり「全力」で逃げていた。


「な、なんなのよあの化け物は!?」

「ま、マリさんの言っていたオルフェノクという存在とはまた違うんですか!?」

「違うわよ! あんたが言ってたポケモンってやつじゃあないの!?」

「いくらポケモンでも、あそこまで人型で化け物染みたやつはいませんよ!」


 真理の知るオルフェノクとも、タケシの知るポケモンともまた違う『怪物』。
 その名は、サーヴァント・バーサーカー。
 元の世界では、神話の時代において最強の英雄と評された存在であり、やがて現代に最凶の英霊として召喚された者――
 言ってしまえば、人間はおろか、オルフェノクや並大抵のポケモンよりも高次の領域に位置する存在だった。 

 ――もちろん、真理やタケシがそんなことを知るわけがない。
 現時点の彼女たちからしてみれば、バーサーカーは自分たちの命を狙うただの『襲撃者』に過ぎなかった。


「――というか、なんであんたまで一緒に逃げてんの!? 命に変えても守ってくれるんじゃなかったの!?」

「そ、そうしたいところですけど、グレッグルが既に戦闘不能に追い込まれているんですよ!?
 あんな怪物、僕一人じゃ足止めするどころか、どうしようもありませんよ!」

 そう。時は数分ほど前に戻るが、バーサーカーと遭遇した直後、タケシは長い間旅を続けていたことで身についた勘から、バーサーカーを即座に危険な存在と判断した。
 そして、グレッグルにバーサーカーを攻撃するように指示を出した。

 ――だが、そのグレッグルは、バーサーカーに向かっていった直後、彼がまるで虫でも払うかのように振った太い腕によって地面に叩きつけられ、一発でノックアウトしてしまったのだ。

 当然、タケシもグレッグルをすぐさまモンスターボールに戻す。
 そして、次の瞬間には真理と共に「逃走」という行動をとっていた。

424ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:14:20 ID:IJO0F4Wo
「あぁ、もう! どうして私の周りに集まる男はどいつもこいつもろくでもないやつばっかりなのよ!」

「――! 真理さん、危ない!!」

「えっ? きゃっ!?」

 突然、タケシが真理の腕を掴み、自身の方へ思いっきり引き寄せた。
 こんな時に、この男はいきなり何をするんだ、と真理はその瞬間思ったが、その直後、一本の木が数秒前まで真理がいた場所を「通過」していった。
 バーサーカーになぎ倒された木の一本が、真理の方へと飛んできたのである。
 もし直撃でもしていたら、最悪の場合、真理の命は一瞬で失われていたかもしれない。

 だが、直撃こそしなかったから良かったものの、飛んできた木の勢いに押される形で、真理とタケシは十数センチほどその場から吹き飛んでしまう。

「ま、マリさん! 大丈夫ですか!?」

「え、えぇ……
 ――!? タケシ!」

「!?」

 真理の様子から、思わずタケシが後方に目を向けると、そこにはバーサーカーが今まさに彼に対して腕を振り下ろそうとしている姿が目に映った。
 そして、その腕の先端が形作っているものは――間違いなく『拳』。

「うわああああああああああっ!?」

 タケシは、無意識に絶叫の声をあげると同時に、肩に提げていたデイパックを、バーサーカーに向かってがむしゃらに放り投げた。


 振り下ろされる拳。
 それに真正面から当たったデイパック。

 ――バーサーカーのパンチを真っ向から受けたデイパックは、ぐしゃりという音をたてる間もなく、一瞬で四散した。

 だがこの時、デイパックの中に入っていたペットボトルも同時に破裂し、タケシとバーサーカーの周囲に大量の水が飛び散った。
 これが幸いとなり、バーサーカーの拳の軌道が若干反れ、タケシはギリギリ――それも本当にあと数ミリというところで――直撃を回避することができた。

「うわっ!?」

 だが、バーサーカーの拳が地面に直撃した衝撃で、タケシはまたしても吹き飛ばされる。
 その距離はおよそ数十センチ。
 先ほど飛んできた木の勢いで飛ばされた時の距離よりも実に二倍以上――それだけでもバーサーカーの持つパワーの凄まじさを物語っていた。

「ぐっ……!」

 すぐさま立ち上がる、タケシ。
 吹き飛ばされた際に身体を打ったのか、彼の背中や脇腹の一部が少しばかりじんと痛みを発する。

「タケシ、大丈夫!?」

「は、はい。大丈夫――っ!?」

425ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:14:49 ID:IJO0F4Wo
 駆け寄ってきた真理に無事を伝えるタケシは、自身の足元に転がっていたあるものに気がついた。


 ――スマートブレインのロゴがプリントされたアタッシュケース。
 すなわち、カイザギア。


 どうやら、デイパックが先ほどのバーサーカーのパンチで四散した際に、ここまで飛んできていたようだ。
 見たところ、アタッシュケース自体に特に目立った傷はなかった。
 運良くバーサーカーのパンチから免れることができたのか、それとも――

「…………」

 黙ってアタッシュケースを拾い上げるタケシ。
 その時、彼にはそれが自身に対して「使え」と語りかけているように思えた。

 カイザギア。
 装着した人間をオルフェノクを滅する力を持つ戦士『カイザ』に変身させ、変身後その装着者の命を奪う『呪いのベルト』――

 ――これを使って自分が変身すれば、目の前の怪物を倒すことはできなくても、真理がこの場から離れるための時間稼ぎにはなるかもしれない!
 タケシの脳裏に、ふとそのような考えが浮かぶ。

 ――だが、変身したら自分は間違いなく死ぬ。
 正直に言うと、タケシも自分の命は惜しい。こんな所で死にたくはなかった。
 真理から聞いた話では、一部の人間は変身後も死ぬことはなかったそうだが――

「…………」


 タケシはアタッシュケースを開けると同時に、中に入っていたベルト――カイザドライバーを瞬時に取り出し、自身の腰に装着した!


「!? タケシ、駄目っ!!」

 それを見た真理も、タケシが何をしようとしているのか瞬時に理解する。
 すぐさまタケシの腰からベルトを外そうと手を伸ばすが、眼前に突き出された彼の手にそれを静止させられる。

 ――その手にはグレッグルが入ったモンスターボールがあった。

「グレッグルをお願いします。今はまだ戦うことはできませんが、休ませて元気になれば真理さんを守るために戦ってくれるはずです」

「タケシ、あんた死ぬ気なの!?」

「男にはやらなきゃならない時があるんですよ。それに、自分は命に変えても真理さんを守ると言いました!」

 そう言いながら、タケシはアタッシュケースからカイザブレイガン、カイザショットを取り出し、ベルトに装着していく。

 そして最後に、カイザフォンを手に取った。

426ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:15:26 ID:IJO0F4Wo
「俺が時間を稼ぎます! その隙に、真理さんはここを離れてください! もし俺が生きていたら、『人間居住地』で合流しましょう!」

 そう言い残し、真理の元から駆け出したタケシは、自分たちの方へゆっくりと近づいてくるバーサーカーの正面に立った。

 ――変身するための方法や、装備している武器の使い方は、真理の説明と付属していたマニュアルからある程度知っている。
 後は、それを自分でもできるかどうかだが――

(いくぞ……!)

 タケシは慣れぬ手つきでカイザフォンの番号を押し始める。

 ――9

 ――1

 ――3

 そして番号を押し終わると、最後に数字の上にある『ENTER』のボタンを押した。


<< Standing By >>


 カイザフォンから変身コードの入力完了を知らせる電子音が発せられ、同時に本体が黄色く発光する。

「…………」

 無言のままカイザフォンをばっと掲げる。

 ――この時、タケシは自身の心臓が異常に高鳴っていること、全身が無意識に震えていることに気がついた。

(……まぁ、誰だって死ぬのは怖いもんな……)

 そう思い、一瞬ふっと自嘲する。
 しかし、考えてみたら大好きな綺麗なお姉さんを守って死ねるというのは自分的には本望かもしれない、とも思いながら。

 そして――


「――変身!」


 その言葉と同時に、タケシはカイザフォンをベルトのバックル部へ勢い良く下ろした。


 ――森に、一筋の光が瞬いた。


 ◇


 美国邸の前を、一人の少女が駆け抜けていく。

 美遊・エーデルフェルト。
 彼女は町村へは行かず、森へ引き返す選択をとった。

 真理たちの安否を確かめるため、そして森に存在する脅威を排除するために。

427ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:17:19 ID:IJO0F4Wo
 ――未だに森の方からは木々が次々となぎ倒されていく音が聞こえてくる。
 むしろ、森に戻るにつれ、それははっきりと聞こえてきた。

 既に、多元変身(プリズムトランス)は完了している。
 身体能力の向上により、思ったよりも早く森に戻ることができそうだ。


 果たして、目の前の森にはどのような存在が自身を待ち構えているのか。

 真理が言っていたオルフェノクという怪人か。
 それとも、タケシが言っていたポケモンという存在か。
 はたまた上記以外の別の何かか――

 未知なる脅威との接触を前に、美遊は杖状に変化したサファイアを握る手の力を僅かに強くした。


【D-7/美国邸前/一日目 黎明】

【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康、魔法少女変身中
[装備]:カレイドステッキサファイア
[道具]:基本支給品一式、支給品0〜1(確認済み)、タケシの弁当
[思考・状況]
基本:イリヤを探す
1:森にいる未知の脅威を排除する
2:園田真理、タケシの安否を確認したい
3:凛を始め、知り合いを探す
4:真理の知り合いと出会えたら、真理のことを伝える
5:『オルフェノク』には気をつける
6:町村にある『衛宮邸』が気になる。行けるなら行って確認してみたい
[備考]
※参戦時期はツヴァイ!の1話以降
※真理から『パラダイス・ロスト』の世界とカイザギア、オルフェノクについての簡単な説明を受けました
※真理から『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えてもらいましたが、誰がオルフェノクかまでは教えてもらっていません
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません


 ◇


 ――森に一筋の光が瞬いた。

 光が止むと、そこに立っていたのは――


「……え?」


 ――タケシとバーサーカーだった。


 タケシの手――そこに握られたカイザフォンは、ベルトのバックル部に装着される寸前のところで止まっていた。

 そしてバーサーカーの方も、タケシの前方数十センチのところで立ったままピタリとその動きを止めていた。

 ――いや、止めているのではない。
 バーサーカーはタケシの目の前で文字どおり『固まって』いた。


「な、なんで……?」

「タケシ!」

 何が起きたのかわからず、頭の上でハテナを浮かべ呆けているタケシの背後から真理の声がした。

「あ、マリさん。いったいこれはどういう……」

「説明は後! それよりも急いでここから逃げるわよ!」

「え? あ、ハイ……」

 突然の出来事に、タケシの頭はまだ状況が理解できなかった。
 だが、バーサーカーが固まったのは真理の手によるもののようだ。

 とりあえずタケシは、真理に言われるがまま、再び逃げることにした。


 ◇


 それから二人は十分ほど全速力で森を走り続けた。

 やがて、ある程度走ったところで足を止める。

428ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:19:41 ID:IJO0F4Wo
「こ、ここまで来れば多分大丈夫……かな?」

「そ、そうですね……。
 と、ところで、さっきの怪物はどうして固まっちゃったんでしょうかね?」

「コレよ」

 先ほどから頭の中で浮かぶ疑問を口にしたタケシに対して、真理は持っていたソレをタケシに見せた。


 一見、銃のようにも見える『ソレ』。

 偶然にも、タケシはソレが何なのか知っていた。


「それって……確か、Jのハンティング道具……」


 そう。真理の持っていたもの――それはタケシたちの世界に存在するポケモンハンター・Jが使うポケモン捕獲用の光線銃であった。
 この銃から放たれる光線を浴びたものは、それこそポケモンであろうと人間であろうと、石のように固まって動けなくなってしまう。
 先ほど森に瞬いた光の正体は、これから放たれた固化光線であった。

 ポケモンハンターJ――タケシがサトシたちとシンオウ地方を旅をしている途中、幾度となく出会い戦った犯罪者である。
 珍しいポケモンや強いポケモンを、それこそ野生であろうがトレーナーのものであろうが盗み去り、大金で売りさばくポケモンハンター。
 そして、自身が不要と判断したら、狙った獲物であろうと、自身の部下であろうと簡単に切り捨てる冷酷非道な女――
 そんなJの使うハンティング道具のひとつがタケシの目の前にあった。

「知っているの?」

「え、えぇ。俺の世界にいるポケモンハンターが使う犯罪道具のひとつです。
 実際、俺も仲間たちと何度かそのポケモンハンターと戦ったことがあるんですが――まさかコイツに助けられるとは思いませんでした……」

 呼吸を整えながら、簡単に真理の持つ光線銃のことを説明するタケシ。
 それを聞いた真理も、なるほどとばかりに頷き、ある程度の理解を示した。

「そうだったんだ……。最初コレを見たときは何かのおもちゃかと思って半信半疑だったけど……
 一緒に付いてた説明書にも『生き物に向けて撃つと、対象がしばらくの間石のように固まって動かなくなる』としか書いてなかったし……」

「なるほど……。でも、今回はマリさんのおかげで僕は死なずに済みました……」

 そういうわけなので、と付け加えたタケシは真理の手を取ると――

「本当にありがとうございます、マリさん! このタケシ、このご恩は一生忘れません! いつか必ず恩返しをさせていただきます!
 なんだったら、今すぐ先ほどの怪物の所に戻って、カイザの力で奴を叩きのめしても――ふごっ!?」

 ――真理のポケットに入っていたモンスターボールから飛び出したグレッグルのどくづきが、三度目タケシにヒットした。

「ぐ、グレッグル……。お前、復活するの早すぎ……」

 グレッグルの毒で痺れながら、その場に崩れ落ちビクンビクンと悶絶するタケシ。
 そんな彼を見下ろしながら、真理は呆れたようにため息をつく。

429ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:20:12 ID:IJO0F4Wo
「はぁ……。まぁ、この借りはいずれ返してくれればいいけど、自分の命をあんまり粗末に扱わないで。
 ただでさえ、あんたは貴重な仲間なんだから、そうあっさり死なれちゃ私としても迷惑なのよ」


 ◇


 未だに薄暗い森の中、一人の『怪物』がその活動を再開していた。

「■■■■■■――――!!」

 『怪物』は動き出すと同時に、せっかく見つけた獲物を取り逃がしたことを理解したのか、その場で一度咆哮をあげた。
 それは、獲物を取り逃がしたことに対する悔しさの表れか、それとも単に狂化

 そして、再び森の中を当てもなく歩き始める。
 次なる獲物を求めて、今度こそ獲物をその手で仕留めるために――


 サーヴァント・バーサーカー。
 彼が複数保有する命のストックは、この殺し合いの舞台では未だ一度も失われてはいない。


【C-6/森林/一日目 黎明】

【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:黒化、十二の試練(ゴッド・ハンド)残り9
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:■■■■■■
[備考]
※バーサーカーの支給品はデイパックごとエリア『C-7』のどこかに放置されてます


 ◇


「……ところで、これから先どうしましょう?」

 カイザギアをアタッシュケースにしまいながら、タケシは真理に尋ねた。

「そうだね……。このまま『人間居住地』に向かってもいいかもしれないけど、またさっきの怪物と遭遇するかもしれないし……」

 真理は先ほど自分たちが遭遇した怪物――バーサーカーのことを思い出す。
 大きさ自体は真理がこの『儀式』に放り込まれる直前までいたスマートブレインアリーナの公開処刑場で見たエラスモテリウムオルフェノクほどではなかった。
 ――だが、その内に秘められたパワーと凶暴性は、間違いなくそれに匹敵、最悪それ以上ものだ。
 正直言って、あんな怪物とは二度と鉢合わせたくない。

「――予定を変更して、このまま私たちは北上しましょう」

 地図とコンパス、デバイスを一通り確認し終えた真理は、タケシにそう言い放った。

「北上……ですか?」

「うん。今もう一度地図を確認してみたんだけど、ここから北に行くと『人間居住地』とはまた別の調べてみたい場所があることを思い出したから……」

「……何があるんです?」

430ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:22:54 ID:IJO0F4Wo
「……『流星塾』。私が幼少期を過ごした施設と同じ名前の場所」


【B-6/森林(南部)/一日目 黎明】

【園田真理@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:疲労(少)、身体の数カ所に掠り傷
[装備]:Jの光線銃(4/5)@ポケットモンスター(アニメ)
[道具]:基本支給品一式、支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:巧を探す
1:『流星塾』へ行く
2:タケシと同行。とりあえず今は一緒に行動。無駄死にされても困るし……
3:怪物(バーサーカー)とはできれば二度と遭遇したくない
4:巧以外のオルフェノクと出会った時は……どうしよう?
5:名簿に載っていた『草加雅人』が気になる
6:イリヤと出会えたら美遊のことを伝える
7:並行世界?
[備考]
※参戦時期は巧がファイズブラスターフォームに変身する直前
※タケシと美遊、サファイアに『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えましたが、誰がオルフェノクかまでは教えていません
※美遊とサファイアから並行世界の情報を手に入れましたが、よくわかっていません


【タケシ@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:疲労(少)、背中や脇腹に軽い打撲、身体の数カ所に掠り傷
[装備]:グレッグルのモンスターボール@ポケットモンスター(アニメ)
[道具]:カイザギア@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:ピンプク、ウソッキーを探す
1:真理と同行。素敵です、マリさん!
2:ピンプクとウソッキーは何処にいるんだ?
3:サトシとヒカリもいるらしい。探さないと!
4:菊池啓太郎と出会えたらカイザギアを渡す
5:イリヤと出会えたら美遊のことを伝える
6:『オルフェノク』って奴には気をつけよう
7:万が一の時は、俺がカイザに変身するしかない?
8:並行世界?
[備考]
※参戦時期はDP編のいずれか。ピンプクがラッキーに進化する前
※真理から『パラダイス・ロスト』の世界とカイザギア、オルフェノクについての簡単な説明を受けました
※真理から『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えてもらいましたが、誰がオルフェノクかまでは教えてもらっていません
※美遊とサファイアから並行世界の情報を手に入れましたが、よくわかっていません
※以下の基本支給品がエリア『C-6』の森の中に落ちています。ただし、何点かは壊れている可能性も高いです
  パン×6、デバイス、コンパス、参加者名簿、地図、懐中電灯、筆記用具


【支給品解説】

【Jの光線銃@ポケットモンスター(アニメ)】
DP編に登場する敵キャラクター、ポケモンハンターJが劇中で使用した道具のひとつ。
外見は銃のようにも見える反面、ただのおもちゃのようにも見える。
劇中では主にターゲットとしたポケモンの捕獲用に使用していた。
これから放たれたレーザー状の光線を浴びたものは、石のように固まり動けなくなってしまう。
ポケモンだけでなく人間にも効果があり、劇中では第三世代フロンティアブレーンの一人であるジンダイが、これによって固められてしまった。
これによって固められたものは、専用のカプセルに備え付けられている機能で解除する以外、基本的に元に戻す方法はない。
本ロワでは、制限により光線を浴びた生物が固化する時間は5分までに制限されている。
また、固化中の生物は、いかなる方法でも傷つけたり、破壊することはできない。いわゆるアストロン状態。

431ばーさーかーとのそうぐう ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:23:24 ID:IJO0F4Wo
【カイザギア@仮面ライダー555】
スマートブレインが開発した装着者に戦闘用特殊強化スーツを電送、形成する外部装置のひとつ。
これによって変身(実際は電送、形成された特殊強化スーツを装着)した者を『カイザ』と呼ぶ。
『カイザ』は、オルフェノクまたは『オルフェノクの記号』を埋め込まれた人間の一部(主に草加雅人)を除く『不適合者』が変身すると、変身後肉体が灰化して死亡してしまう。
ただし、変身時の身体能力の向上は、適合者・不適合者に関係なく発揮される。
以下のアイテムがスマートブレインのロゴがプリントされたアタッシュケースに収納されている。

・携帯電話型トランスジェネレーター「カイザフォン」
  通常の携帯電話としても使用できる他、「フォンブラスター」と呼ばれる光線銃に変形可能。
  フォンブラスターの性能はファイズのものと同様、コード番号「103」で光弾を単発発射する『Single Mode』、コード番号「106」で光弾を3連射する『Burst Mode』になる。

・ベルト型変身ツール「カイザドライバー」
  変身コードを入力したカイザフォンをセットすることで、装着者の全身にフォトンストリームを放出。カイザに変身させる。
  左右と後部に各種ツールを装着できるハードポイントが設置されており、右側にブレイガン、左側にショット、後部にポインターをセット可能。

・剣・銃一体型マルチウェポン「カイザブレイガン」
  ギリシャ文字の「Χ(カイ)」を模した形状をしているカイザ専用装備。
  手前にある『コッキングレバー』を引くことで「Burst Mode」の音声と共に濃縮フォトンブラッドの弾丸を放つ『ガンモード』。
  カイザフォンのミッションメモリーを挿入すると「Ready」の音声と共に『ブレードモード』が起動、グリップ下部よりフォトンブラッドを帯びた刀身が生成される。
  また、『ブレードモード』起動時でも『ガンモード』の射撃は使用可能。
  その構造上、基本的に『ブレードモード』の際は逆手で構えることになる。

・デジタルカメラ型パンチングユニット「カイザショット」
  カイザの手に装着するとで、パンチ力を強化できる。
  通常のデジタルカメラとして、画像、動画を撮影・記録することも可能。

432 ◆vyNCf89vh2:2011/07/17(日) 00:25:04 ID:IJO0F4Wo
投下終了です
誤字・脱字などございましたら、遠慮無くお願いいたします

433 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:27:26 ID:ihSCW..M
>>294
投下乙ですー。
さやかちゃん……なんでこう不遇なのか、参戦時期だけが唯一幸運か。
月もゲーチスもタチ悪いなぁ、ただ月は明確に敵が多いがw

>>308
投下乙ですー。
サカキさまは潔くかっこいいなぁ。 ゲーチスがアレだけにカリスマすら感じる。
織莉子は……まあ実はかなりぽやぽやしたキャラだしなぁw 

>>313
投下乙ですー。
マオちゃんかー、この時期だとアリスとロロしか知らないかw
原作では結構悲しいような最後だったがどうなるかー。

>>326
投下乙ですー。
サトシ……がんばったのに……orz
海砂は恐いなあ、躊躇いがない。 リサードンにサイドンとかかなり強いな。

>>335
投下乙ですー。
何この負の連鎖。 ヒカリよお前もか。
そして別人とは言え凛が死んだの見てしまった桜……これはもう無理かもわからんね。

>>347
投下乙ですー。
バゼットさんwww ダメットさんじゃないとはいえ別な意味でどうよw
ニアはさすがに凄いな、ただ竜崎と違い運動ダメそうなのが不安だ。

>>354
投下乙ですー。
そうか、あの士郎の次くらいにしぶとい凛が銃弾くらいで死ぬかと思ったが、犯人はデスノートだったんだよ! な、なんだってー
というかあんたら仲いいなおいw 放送後がつらそうだが。

>>369
投下乙ですー。
これは……また凄いことに。
美空ナオミってかなり優秀だから怖いことになったなぁ。

>>385
投下乙ですー。
テッシードー! シナリオでお世話になったのに……orz
とりあえずゼロ(筋)とQB気球に吹いたw

>>395
投下乙ですー。
うーむ、サカキ様はほんとうにかっこいいお方。
織莉子は割と好調に進んでいるのかな? ほむほむにさえ会わなければ……

>>410
投下乙ですー。
スザク……悲しいな。 そう生きるか。
だがゼロ(細マッチョ)はやめいw 笑うしかないじゃないかw

434 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:29:59 ID:ihSCW..M
と、主題忘れアンドリロ忘れorz

>>432
投下乙ですー。
タケシが……生き延びた、だと……? あれだけ死亡フラグ重ねておいてw
しかしバサカは恐すぎるw 美遊は無理するなよーw


投下直後だし自分の投下は少し時間置くかねー。

435 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:35:02 ID:ihSCW..M
と、一時くらいまで待とうと思いましたが親に怒られたのですいませんが今からでー
C.C.、ニャース、シロナ、クロエ・フォン・アインツベルン投下しますー。

436 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:35:50 ID:ihSCW..M
『魔女の口付け』


「えーっと……?」

これは、どういう状況なのだろうか。
たった今起こった事をありのまま話すなら、悪漢から少女を助けたらその少女にキスをせがまれた。
な、何を言っているのかわからないと思うが、助けたシロナにも何が何だかわからない。

悪漢「ヒャッハー略奪だー!」
村娘「あーれーお助けー」
王子「待ていそこの悪漢、必殺何たら剣!」
悪漢「ウボァー」
王子「大丈夫だったかい(ニコッ)」
村娘「は、はい(ポッ)」

という話はたまに目にはする。 しかし、だ。

王女「大丈夫だったかしら(ニコッ)」
村娘「は、はい(ポッ)」

というのは何か色々とおかしくは無いだろうか。
というか、

王子「大丈夫だったかい(ニコッ)」
少年「は、はい(ポッ)」

とかそういう事もあるのだろうか。
そういう世界がある、とは風のうわさには耳にしていたものの、シンオウ地方のチャンピオンとして、またポケモンの研究者として生活してきたシロナは、基本色恋沙汰には疎い。
見た目という立ち振る舞いといい、本人がそういう目を向けられた事は幾度と無くありそうではあるが、その辺りも疎さゆえに無縁でいられたのだろう。

(あ、もしかしたら……)

と、そこで気づく。
聞き間違い、という可能性もあるのではないか。
つまり、〇ス、またはキ〇と言って、それを聞き間違えたのだと。
あるいは、何かシロナの知らない言語やスラングにそういう物があり、それを求めているのか。

「……っ、お、お願いします……わたしと…その……ちゅーを」

が、そんなシロナのはかない希望は、いとも容易く崩れ去る。
まだ名も知らぬ少女は、苦しそうに息を乱し、頬を上気させながら、哀願するかのように手を唇に添える。
褐色の、健康的な無垢さを持つ肌の中、そこだけが誘うように赤い、唇。
幼い、まだ花開く前の少女に似つかわしくない、鮮やかな華。
普段なら何とも思わないのに、キスと口にされた事でつい、その部分を意識してしまう。

(…………っ)

少女のそれが伝播したかのように、シロナの頬もわずかに朱に染まる。
健康な成人女性な以上、シロナにも人並み程度の色恋沙汰への願望は存在する。
だが、このような同性同士、それも年端もいかない、その意味すら理解しているかも怪しいような年齢の少女に、唇を求められる。
そんなことは言語道断であるはずなのに、何故だか少女から目を離す事ができない。

「え……えっと、ね、その……」

元よりシロナは理性的な人間である。
なんだか状況がおかしな事になりつつあるが、それでも状況を冷静に判断しようとする。
一体どうしてこんな事になっているのかまるでわからないが、それでもなんとかこの場を穏便に抑えようとし、

437 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:36:42 ID:ihSCW..M
「ご、ごめんなさい!」
「んむっ!?」

少女に対して、致命的な隙を作ってしまった。
そして、その隙を逃すほどの余裕は、少女にはなかった。
少女――クロエ・フォン・アインツベルンことクロは、普通の人間と異なり、その肉体構成には魔力というものが密接な関係にある。
先ほどの戦闘でその魔力がかなり枯渇した状態である彼女の身体は、既に限界に近かった。
それも、この会場のせいか普段とは多少異なり、いうなれば圧倒的な『乾き』
砂漠で遭難した旅人のように、クロは魔力という名の水への欲求を、抑えきれなくなっていた。

「んっ……ちゅ……」
「〜〜〜〜〜〜!?」

その結果が、これである。
抱擁する少女と女性、重なる唇。
見た目こそ、母娘が交わす挨拶のようなそれであるが、実態は違う。
クロは流れ込んでくる魔力にて喉を潤し、シロナは初めて味わうその感触に抵抗できないでいる。。
そう、それは紛れもなく『捕食』という状態。

「…………ふぅ、ごちそうさま」

しばらくして、その状態は終わりを告げる。
シロナの頬に当てていたクロの手がゆっくりと離され、シロナはふらりと両膝を着く。
クロは多少ではあるが魔力が満たされたことと、充足感によって満たされた表情で。
シロナは、魔力の吸引による恍惚と脱力感から呆然とした表情で。
それはどうやっても言い逃れようのない、犯罪現場であった。

「あ、えーとおねーさんごめんなさい、でもね」
「…………ガブリアス」

そのとき、ようやく己の所業を振り返ったクロが弁解を試みようとしたが、すでに遅し。
普通の少女ならしばらくは動けないだろうが、状況ゆえにクロが多少軽めにしておいたのと、シロナ自信の強靭な精神力により、

「ぎゃわー!?」

クロは、己の所業にふさわしい罰を受ける事になるのであった。





「そう、魔力というのが枯渇して、それで、ねぇ」
「は、はい、その」

頭に大きなコブを作ったクロが自発的に正座し、自供を強要されてる最中。
怒り心頭にシロナに、クロは自分は魔法少女(のようなもの)と名乗った。
先ほどの男と対峙した事で魔力を使いすぎてしまい、説明してる余裕も無かったのだと。
まあ、仮に説明されていたとしてもシロナが承諾したかは不明な以上、クロの行動に酌量の余地は……ないか。
それでも簡単な魔術を用いた事で、一応は状況に理解は得られた。 納得はされなかったが。

438 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:37:20 ID:ihSCW..M
(ふむ)

とりあえず悪い子には反省させておくとして、別の事を考える。
まだ半信半疑ではあるが、シロナは魔力とはポケモンのPP(技ポイント)のようなものだと解釈した。
仮に体力が満タンであろうと、PPが尽きればポケモンは『悪あがき』しかできないように、クロ(魔法少女?)も魔力が無ければ戦えないのだろう。
そして、魔法少女は他人と口腔接触することで、魔力を吸い取ることが出来る。
それを吸い取られた訳だが、正直なところシロナ自身には魔力というものは必要というわけではない。
そんな物の存在自体を今知ったわけだし、多少ふらつくという弊害を除けば座れたという事実はまあ無視してもいい。
それよりも問題なのは、その方法だ。

(この子は、あの子たちと同じくらいの年かしら)

かつてシンオウ地方や、イッシュ地方で巨悪と対峙した少年少女達と、クロは同じくらいの年だろう。
だから魔法少女として戦える、という事はあまり疑う理由はないのだが……

(……問題ね)

それくらいの年の子が、他人の唇を奪おうとするなど、言語道断である。
家族相手、あるいは友達同士でじゃれあうように行う事はないでもないが、クロは明らかに理解した上でやっている。
クロ自身の精神的にもよくないし、周囲の人間としても非常によくない。
どうにかして、それ以外の方法で魔力というのを補充させるようにするべきだろう。

「そう、ね。 貴女の魔力といのは、あんなことしてもまだ完全じゃない、と」
「はい、ご、ご迷惑をお掛けします……」
「あら、いいわよ反省してるなら。 そう、反省してる、なら」
「…………」

PPのようなものなら、丁度支給品の中にあったピーピーリカバーで回復しないか、とも一瞬思うが思い返す。
何しろピーピーリカバーはショップでも売っていない貴重品であることだし、手持ちがガブリアスのみな今は可能ならば温存しておきたいものだ。

「ガブリアスも傷ついているし、貴女も魔力というのが回復しても、怪我までは治らないからそっちの治療も必要かしらね。
 そうなると、行くべきなのはポケモンセンター、フレンドリーショップ、それと病院という所かしら」

ポケモンを回復してくれる施設、ポケモンセンター。
勤務するジョーイさんに頼む事で、無料でポケモンの回復を行ってくれるという大変頼もしい施設。
この状況ではジョーイさんはいない可能性が高いが、幸いシロナはポケモンセンターの施設も操ることは出来る。

そして、ポケモンに関する道具の販売を行うフレンドリーショップ。
傷の治療、戦闘の補助など役に立つ道具が手に入る。 残念ながら、PPのみはポケモンセンターを頼るしかないが。
一度に全て回復するポケモンセンターに比べれば効率は落ちるが、何しろ道具ゆえに持ち運びできるというのが最大の強み。
今はお金が無いので、この状況では万引きすることも考えねばならないか。

どちらの施設も使えるという保障はないが、病院も含めて地図に記載してある以上、何もないとも言い切れない。
この状況下なら、どこも行ってみて損はないと思われる。 使用可かどうか確認しておくだけでも、取りうる戦術に大きな違いが出てくるのだから。

「とりあえず、ここからだと病院が一番近いのかしら」




439 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:37:54 ID:ihSCW..M
「このポケモンセンターというのはにゃ〜達ポケモンが回復出来る施設なのだにゃ〜す」
「ポケモンの病院、ということか。
 それならそのサカキというのもそこを目指す可能性はある、か」
「にゃにゃ、サカキ様がポケモンセンターなどに頼るとも思えないのだにゃ。
 でも効率よく行動するために抑えるという可能性は十分あると思うのだにゃ〜」

ニャースの言葉には、幾分尊敬の意がこもっている。
そういうのは大抵、その相手を見誤らせる原因になるので、話半分くらいに聞くべきだろう。
普通の人間であれば怪我をすればまず病院を目指すところではあるが、サカキらポケモントレーナーは最初にポケモンセンターを目指す、という所か。
多少回り道になるが病院もあるし、そこを経由してポケモンセンターを目指すのが良いか。

「にゃにゃにゃ、人間は不便だからにゃ〜」

特に反対するでもなく、ニャースは病院経由を納得する。
そしてC.C.を先導するかのように北東に歩き出す。 その動きにはまるで迷いが無く、方角などもちゃんと理解しているようだ。

(…………)

それを眺めながら、C.C.はある衝動を感じ始めた。
このニャースというポケモン、とにかくよく動く。
二足で歩くのは元より、飛ぶは跳ねるは転ぶは。
挙句の果てには腕組みして悩んだりもしている。
正直、ぬいぐるみ代わりに抱きしめたいという衝動が浮かんでこなくもない。

(持って帰って……いや、眺めている分には面白いが寝具代わりに使うには鬱陶しいか)

今は敵となった黒の騎士団、その古参メンバーにして宴会太政大臣(役立たず)の玉城という男のような、眺めている分には面白い存在。
つまりこのニャースというのは例えて言うなら、外見が愛らしくなった玉城という事か。
遠くで見ているならともかく、寝るときに抱いているのには適さないだろう。

(やはり眺めるだけに……だが……)

「ところで、それなりに距離はあるようがお前はそんなに歩けるのか?」
「にゃ? ポケモンを見くびって貰っては困るにゃ、おみゃーみたいな弱そうなのとは比べ物にならんのにゃ!」
「……そうか」

その言葉を証明するかのように、スキップするように跳ね歩く。
その速度は、確かに人が走るくらいはありそうだ。
大きく揺れる手足や尻尾がとても愛らしい。

(まあ……そのうち機会もあるだろう)

置いていかれるかとも思ったが、ああいうタイプは着いて来ていないと気づけば引き返してきて煽るだろう。
適当に返せばまた何か面白い反応をする、そう考えながらC.C.はのんびりとニャースの後を歩み始めた。



440 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:38:31 ID:ihSCW..M
「にゃにゃ〜! お、お前はシロナ!」
「喋る……ニャース…?」

しばらく、一時間ほどそうしてニャースが進んでは戻り、また先に行くを繰り返しただろうか。
これはこれで良い偵察と暇つぶしにはなっているな、と人知れず楽しんでいたC.C.の耳に、ニャースと誰かの声が届く。

(誰か知り合いとでも遭遇したか?)

距離があるため最初の叫び以外はほとんど聞こえないが、僅かに届く言葉の内容は、明らかに知り合いとのそれ。
よくわからないが、特に害はないだろうとのんびりと進む。
サカキというのと出会ったのでなければ、まだニャースを抱く機会もあるだろうと。

「あの、おねーさん、その服は何……?」
「ん? これか」

たどり着いてみれば、そこにいたのは女性が二人、と言っても見た目でいえば片方はがC.C.より年上で、片方は年下。
そのうち年上のほうは、ニャースと何やら会話している。 と言ってもニャースが一方的に騒ぎ立てるだけで、女性の方は何事か思考してるようだが。
話の内容からすると、シロナという女性だろう。 ニャースによれば一つの地方における最強のポケモントレーナーだとか。
そして、話に入れない方の少女が近寄ってきて、最初の言葉がこれだ。
言われてC.C.は思い出したが、彼女が着ているのは他人から見れば明らかに妙な服。
装飾としての要素がまるでなく、明らかに負の実用性のみの富んだ衣装。
着用者の事など全く考慮していないデザインでありながら、拘束目的のベルトによって細身ながら女らしい部分にのみ豊かな肉が、強調されている。

「まあ普段着だ、気にする事はない」
「いや、普段着って……おかしいでしょうが。
 んと、でもそういう人なら……」

ニャースとの会話の中、耳に届いたクロの言葉から、シロナは不吉なものを感じ取る。
元々、魔力というのが足りていないと先ほどから訴えてはいた。
だからといって初対面の、それもまだほとんど話もしてない相手となど……やった前例があるか。

「あとで状況が許すなら守ってあげるから……ごめんなさい!」
「ま、待ちなさい!」

遅かった。
クロが言葉で止まるはずもなく、また何も知らない少女がどうにかできるはずもなく。
元々C.C.が目線を合わせる為か下を向いていたため、少々の身長差などものともせず、その唇を合わせた。

「……?」
「にゃ!?」
「っ! 遅かった!」

見た目が多少おかしいとはいえ、何も知らぬ少女をクロの毒牙にかけさせてしまった。
おかしなニャースはそれほど悪い相手でもないようだが、カントー地方にて暗躍した組織、ロケット団の手持ちらしい。
しゃべるということはその改造の成果だろうか、などと考えていたことで、出遅れた。
まだあの少女、ニャースが言うにはC.C.というらしいが、彼女がどんな相手かわからない以上、相当こじれる事も覚悟しなければならない。
そう思い、とりあえずクロを引き離そうとして、

441 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:39:17 ID:ihSCW..M
「ん……ん〜〜〜〜!!??」

様子がおかしいと思ったのは、そのときだ。
本来驚愕を口にし、暴れて拒否するのはC.C.のはずなのに、何故か驚愕の声はクロのものだった。
C.C.の顔を押さえるように、頬から頤に添えられていたクロの両の手が、離される。
何かに驚くようにパタパタと振るわれたあと、それはC.C.を拒否するかのように、彼女の肩を押す形になる。
だが、それよりも早く、自由な位置にあったC.C.の手が、クロの小さな身体を抱きしめる。
それは母親が子にするような、愛情を感じさせるような抱擁ではあったが、当事者のクロと、傍観者のシロナとニャースには犯人確保のそれようにしか感じられなかった。
そのまま、身長に差があることも合わさりクロは抱き上げられる。
木に吊るされた獲物は、最早逃げる事はかなわず、ただもがくように届かぬ足を振るうのみ。

具体的に何が起きているのかは不明だが、普通のキスと違い、緩急を付けて動く双方の頬。
合わされた唇の隙間から、時たま覗く、絡み合った双方の舌。
そこから聞こえるかき回される液体、恐らくは唾液の音。
僅かに漏れる、足掻く獲物の声にならない喘鳴。
捕食、という二文字が、傍観する一人と一匹の脳裏によぎったという。

「ふぅ……」

しばらく、そう、砂時計の砂が落ちよりは短いくらいの時間だろうか。
当事者たちにはもっと長く感じられる時間だったのだろうが、の後それは終了する。
本来被害者であるはずのC.C.は平然と唇を指でぬぐい、魔力を吸引されたという片鱗すら感じられない。
逆に、加害者であるはずのクロは、力任せに振るわれた足が、今は力尽きたように垂れ下っているのみ。
抱擁から解き放たれても、もはや膝を尽くこともできず、腰が砕け、地面に崩れ落ちるのみ。
過度の快感と酸欠に襲われた頬は燃えるように上気し、唇の端から零れた唾液をぬぐう事もできない。
目の端から一筋の涙を零しながら、惚けた、それでいてどこか幸せそうな顔で地面に横たわるのみ。

「ふん、小娘が。
 いきなり唇を奪う馬鹿など久しぶりだが、自分でやっておいてこの体たらくか」

幼女と少女という見た目の差以上に大きな違いを感じさせる言葉。
先ほどのクロは、美味しそうな餌に引かれて底なし沼に落ちたと呼ぶのが相応しかったのだろう。
シロナは、心の中でクロの冥福を祈った。(死んでないが)

「で、これはどういう事なんだ?」

先ほど何も無かったように平然としているC.C.は、あくまでも心外だったとばかりにシロナに問う。
実際C.C.としてはやられたから反撃しただけで別にやりたくてやった訳ではないのだが。

「え、えっと、クロちゃんは魔法少女というものらしくて、魔法という力を使えるらしいの。
 でも今はその元になるっていう魔力を消耗していて、それは口付けで補充できるって……」
「魔法少女……か」

その名を聞いたC.C.は倒れているクロになんとはなしに目を向ける。
支給品でその名前は知っていたが、まさかいきなりキスしてくるようなものとは思わなかった。
未だに忘我の粋にあるクロは小刻みに震えるのみで、動きだす気配はない。
思春期前の少女らしいすらりとしたお腹の中、年齢に似合わぬ赤い紋章の刻まれた臍が、呼吸の度に上下する。

「はは、何かと思えば……成長途中にすぎない少女が魔女を食い物にしようとするとは片腹痛いな」

特に誰かに言うつもりもないが、C.C.は見た目通りの年齢ではない。
未だ人の身を保っていた時期には異性同性問わずに多数の経験もあるし、人でなくなってからは、神の代理人と名乗る輩による異端審問も一度や二度ではない。
本人としては多少不本意ではあるが、そういう方面の経験は恐らくこの場の誰よりも豊富。
不意打ちと魔力吸引だけが武器の小娘など相手にもならない。

442 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:39:59 ID:ihSCW..M
「ほら、さっさと起きて魔力とやらを吸え、守って下さるのだろう?」
「んー!?」

半ば失神状態にあるクロをC.C.は首筋に片手を添えるように抱き上げ、再び唾液に濡れた唇を合わせる。
抱き上げる動作も合わせる唇も、先ほどよりもさらにやさしく、見た目だけなら完全に愛情に溢れている。
もっとも、この場にいる誰もがそのようには受け取りはしなかったが。

結局、見かねたシロナが恐る恐る止めるまで、それは続いたという。



「ク……クロエ・フォン・アインツベルン、です。
 ど、どうかクロとお呼びください」
「C.C.だ、好きなように呼べ」

一見すると自己紹介のようではあるが、実際にはかなりニュアンスが異なる。
どちらかと言えば主従契約とか姉妹契約とかそんな響きである。 

「ああ、そういえば、これはお前に一つ渡しておこう」
「……何これ?」
「グリーフシードとかいう、お前たちの使うものだろう? そう書いてあったぞ」
「私はそんなの知らないよ……です」

クトには正直必要ない、がそれでもいらないとばかりに渡されては仕方が無い。
少し考えてもどう使っていいのかまるでわからないので、とりあえずしまっておくことにする。

と、その時、

ズゴゴゴゴゴ………………

「ん?」
「あれっ?」
「にゃ!?」
「あれは……っ!」

北の方角、当面の共通した目的地よりもさらに向こう。
一際高い大きさのビルが、崩壊していた。

「……っ!」

どうしてああなっているのかはシロナにはわからないが、崩壊する際に見えたのは、『だいばくはつ』の光。
あの場所で、誰かがポケモンにその技を使わせる事態が起きているのだろう。
そう考え、シロナは走り出そうとし、

「まあ待て」

C.C.の声に止められる。
振り返れば、C.C.はシロナを追って走り出そうとしていたらしいニャースを抱えていた。
その隣のクロは走り出そうとして、どうしようか悩んでいる風であった。

443 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:40:35 ID:ihSCW..M
「お前のことは殆ど知らんが、行ってどうするつもりだ。
 ここからではどう考えても間に合わんぞ」
「……そうね、けど」

目算でどのくらいかはわからないが、直線距離で走ったとしても20分くらいは掛かるだろう。
かなりの傷を負っているガブリアスに乗ることもできないし、他に移動手段もない。
いや、ガブリアスの現状では、付いたとしてもいつも通りに戦うことは出来ないだろう。

「別にお前が死にに行きたいなら止める理由は私には無いが、こいつらは多分嫌がる。
 あの場所に行くことに特に反対はしないが、まずは準備を整えてからにしたらどうだ?」

ニャースがどれくらい戦えるかわからないし、クロはまだ完全ではない。
なにより、その二人をシロナの都合で勝手に戦わせるわけにはいかない。
ポケモンセンターは崩壊したビルよりもさらに北にあるが、それでも病院ならここからの道のりにある。
上手くすれば、傷薬くらいはあるかもしれない。

「決まりか、なら行くぞ」

言葉に反して、まるで行く気のない緩やかな歩きで、C.C.は先に進もうとする。
その手にニャースを抱えたままなのが気になったが、とりあえずシロナも後に続くことにした。

【E-5/北部/黎明】
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康、魔力減少(中)、ニャースを抱っこ中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]
基本:とりあえず生き残る
0:思ったよりふわふわしてるな。
1:知り合いとの合流、ルルーシュ優先
2:ナナリーの保護、ゼロ、二人のロロ、マオ、ユーフェミアについて調べる
3:特に興味はないが病院を経由して崩壊したビルに向かう。
4:魔法少女か…片腹痛い。

[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※グリーフシード×2は支給品二つ扱いです
※魔法少女について誤った知識を得ました。

【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:健康、C.C.に抱っこされている。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
1:サカキ様を探し、指示をいただく
2:しばらくはC.C.と行動する
3:ジャリボーイ、ジャリガールとはできれば会いたくない
4:病院を経由して崩壊したビルに向かう。

[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※ディアルガ、パルキアへの考察はあくまで仮説レベルです
※C.C.の知り合い、アニメ版コードギアスの世界観を大まかに把握しました
※魔法少女について誤った知識を得ました。

444 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:41:31 ID:ihSCW..M
【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)、左腕不調、精神高揚
[装備]:戦闘服(胸部プロテクター無し)
[道具]:基本支給品、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
0:すごかった……
1:みんなを探す。お兄ちゃん優先
2:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
3:どうしてサーヴァントが?
4:病院を経由して崩壊したビルに向かう

[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています
※C.C.に対して畏敬の念を抱いています。

【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康、魔力減少(小)
[装備]:ガブリアス(ダメージ中)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、ピーピーリカバー×1
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
1:病院を経由して崩壊したビルに向かう。
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:ゲーチス、N、サカキを警戒

[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です
※魔法少女について誤った知識を得ました。
※ニャースの事はロケット団の手持ちで自分のことをどこかで見たと理解しています。

【シロナのガブリアス@ポケットモンスター(ゲーム)】
チャンピオン・シロナの切り札。ドラゴン、地面タイプ。メス。
細身の肉食恐竜のような体系に鮫のような鰭、頭部を持つ。
能力は全体的に高く、チャンピオンのポケモンであることも合わさってかなりの実力がある。

445 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/17(日) 00:43:22 ID:ihSCW..M
以上です。
誤字脱字展開におかしな点等ございましたら指摘お願いしますー。
魔法少女=キス魔という間違った常識が広まったらそれはとっても素敵だな、と思ってしまうのでしたまる

変なところの対応などは明日にー

446名無しさん:2011/07/17(日) 01:22:35 ID:LTnFgb22
投下乙です

魔法少女マジキス魔wていうかC.C.さん人生経験半端ないなww
しかし色々な意味で大中小の女性が揃ったな……シロナさんの周りが女の園になるのはBWから変わらないという事か!
とりあえずニャースそこ替われ!

447名無しさん:2011/07/17(日) 02:13:07 ID:aJCKkpj.
投下乙。

やだ……なにこの百合フィールド……
つまり、C.C.>クロ>シロナの順ということか。何の?練度ですよ

448名無しさん:2011/07/17(日) 02:54:09 ID:W3vZ3NeQ
期待通りだった……期待以上だったっ。
ごちそうさまでした。
投下乙。
C.C.さん半端ない。

449名無しさん:2011/07/17(日) 08:43:06 ID:6GpdRxKA
投下乙

C.C.の魔女っぷりにワロタwwww

450名無しさん:2011/07/17(日) 10:22:36 ID:3LbODiAY
投下乙

シロナの周りが女だらけ?
いつも通りですねw

451名無しさん:2011/07/17(日) 13:50:45 ID:qKrGPGQ6
投下乙です

バサカ襲来、カイザギア支給とか死亡フラグが複数あったのに生きてるだと?
タケシ、男を見せつつ生き残るとか運がいいなぁ
バサカは逆に…英霊がポケモンを狩る道具で停止とかおま…
さて、二人はそっちに行くとナナリーに出会うかも? 美遊はバサカとタイマンは危なすぎるぞ

C.C.さんばねえwww でも魔法少女すべてがキス魔ではありませんからw
ビルの方に行くつもりだがそっちはゼロとルルが、でも対面できるかどうかは…

452 ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:49:15 ID:mfpZHby2
投下乙です
魔法少女=キス魔とかその発想はなかったw
二組とも自分の書いたキャラなだけに

あと仮投下で指摘された部分の修正が終わったので投下します

453 ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:50:38 ID:mfpZHby2
薄暗い暗闇の市街地を走るバイク、サイドバッシャー。
走らせているのは魔法少女、暁美ほむら。
隣に乗っているのはギアスユーザー、アリス。
二人は武器を求めて警視庁に向かっているところだった。

「今どの辺りか確かめてくれる?」
「F-3ね。このまましばらく真っ直ぐ行けば警視庁に着くわ」

地図を見ると、近くにクローバーという施設があるようだが、何の施設なのかまでは分からない。
前を通り過ぎることもあるだろうしそのついでに確かめておけばいいだろうというところだった。

「それにしても日本が占領されてるなんていうのも驚いたものね。
 ナイトメアフレームなんてロボット、こっちには存在しないもの」
「そっちのいう魔法少女ってのも大概じゃない?
 どんな願いでも叶えてもらえるってかなり胡散臭いと思うけど」
 
走りながら軽くお互いの世界観についての情報交換も行っていた。
当然ほむらは魔法少女の真実まで話したわけではなかったが。

アリスはもしブリタニアが存在しない世界であればナナリーは皇族ではなく、普通の女の子として生きていけたのだろうかと思い。 
ほむらはそんなに戦争による武力侵略の多い世界にインキュベーターがいたらどれだけの魔法少女が祈り、絶望していくことになったのだろうかと思っていた。
サイドバッシャーの時のようにKMFがあればワルプルギスもどうにかできるのではないかなどと考えていたのは内緒である。

そんなこんなでクローバーらしき看板が見えてきた。

「これね。この地図に書いてあるクローバーっていうのは」
「ただのバーよね?」
「特に武器になりそうな物はなさそうだけど…誰かいるみたいね」
「大声で喋って無用心じゃない?」
「まあ無用心なくらいなら危険人物ってこともなさそうね。少し行ってくるわ」




454探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:52:30 ID:mfpZHby2
「たっくん!お酒なんか飲んでる場合じゃないでしょ!
 真理ちゃんがどれだけ心配してたか分かってるの?!」
「あーもう、うるさいぞ、少し静かにしろ。
 てゆうかどうしたんだよ、そんな長い間行方不明になってた奴にでも会ったみたいな反応しやがって」
「たっくんこそ酔ってどうかしちゃったんじゃないの?!」

無用心に大声で会話している彼ら、乾巧と菊池啓太郎は
どちらかといえば巧に会えた事で興奮している啓太郎の声が響いているのだが。

「真理ちゃんを早く探しにいこうよ!
 たっくんが生きてるって分かればきっと喜ぶから、ねえ!!」
「…今真理とは――だれかこっちに来てるな。ちょっと静かにしろ」
「え?たっくん?」


啓太郎には何も聞こえなかったが、オルフェノクとして覚醒した巧の聴覚はバイクの音と足音を捉えていた。


「おい、誰だ?」
「お邪魔するわ」
「うおっ?!」

入り口の方から気配を感じ、声を掛けた巧だったが、その返事は背後から聞こえてきた。
振り返ったところには長い黒髪の少女がいた。





「あなた達無用心なのよ。もっと静かに会話できないの?」
「あっ、そ、そうだよね。こんなところで大声出してたら危ないよね…」

特に危険が無いことを確認した暁美ほむらはアリスも呼んで情報交換に入ったのだが、

「ほら、たっくん!たっくんも挨拶して」
「っせえな、出会い頭にいちいち後ろ取りに行くような奴を信用できるか」

乾巧は露骨に会話を避けようとしていた。

「ねぇ、一応謝ったほうがいいんじゃない?」
「………」

アリスはほむらに対し謝るように促すも、何故かほむらは謝ろうとはしなかった。

455探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:53:26 ID:mfpZHby2
「……とりあえず話を進めましょうか」
「そうだね…」

アリスと啓太郎はこの何故か会話したがらない様子を見せる二人をおいて、情報交換に入った。

「え…?君たちオルフェノクを知らないの?」
「その口ぶりからするとどうやら当たりのようね。
 あなたのいた世界について話してくれないかしら」
「え?うん」

そして啓太郎は話した。
オルフェノクとは人間から進化した新人類の呼び名であること。
彼らの多くは人間を襲うことで仲間を増やしていくこと。
その中にも人間の心を持った者も少ないがいるということ。
そしてそのオルフェノクが数を増やし、人間世界を支配したという話に入ったところでそれまで話に加わらなかった巧が反応した。

「おい、啓太郎。そりゃ何の話だ。
 オルフェノクが人間を支配?夢でも見てたんじゃねえのか?」
「何言ってるんだよたっくん。たっくんだってスマートブレインの大部隊と戦っていたじゃん。
 それで負けちゃって行方不明になってたでしょ?酔ってそんなことも忘れちゃったの?」
「ちょっといいかしら?」

明らかに噛み合った話をしていない二人の会話に割り込んだほむら。

「つまりあなた達はそれぞれ別の世界から来たということでいいのかしら?」
「え?別の世界?どういうこと?」

アリスとほむらは二人に自分達の仮説についてを話した。
アリスも説明に入った理由は、ほむら一人に任せると話が進まない、そんな気がしたからだった。


「えっと、つまりここにいるたっくんは僕よりも過去から来たたっくんってことになるの?」
「……いや、たぶん別世界ってやつの方だ」
「え?どうしてそう思うの?」
「なんとなくそんな気がするだけだ」
「どうしてそう思うのか私からも聞いてもいいかしら?」
「お前には関係ねえだろ」
「こっちとしても確証は欲しいのよ」
「だからなんで一々お前にまで言わなきゃいけねえんだよ」
「そう。じゃあもう聞かないわ」

456探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:55:07 ID:mfpZHby2
引き下がるほむら。啓太郎とアリスはもしこの場にこの二人しかいなかったらどうなったのだろうかなどと考え始めていた。


「で、どうすんだ啓太郎。俺はお前の知ってる俺じゃないみたいだぞ」
「何言ってんのさ。たっくんはたっくんでしょ?
 僕や真理ちゃんの仲間のたっくんだよ」
「………」

そう言われた巧は嬉しそうな顔をするわけでもなく、複雑そうにして顔を背けた。
そんな乾巧の様子を暁美ほむらは静かに見ていた。


「それで、一ついいかしら?」
「何?」
「今私たち警視庁まで武器を探しにいくんだけど
 もし武器が余ってたら交換してもらえないかしら?
 同じ物が三つも支給されてたから困ってるの」
「それはわたしの支給品なんだけどね」
「うーん、でもこっちはこの銃しか武器はなかったし…
 たっくん、そっちには何かあった?」
「あ?俺のは…」

そう言ってデイパッグから出てきたのはトランクボックスの形をした何かだった。
スマートブレインのロゴが入ったそれの説明書には、これにファイズフォンをセットすることでファイズの強化形態へと変身することができると書いてあった。
ちなみに肝心のファイズフォンはここにはない。

「そういえばたっくんもファイズで戦ってるんだよね?」
「?ああ、そういう意味か。あれは木場に預けた。あいつが今持ってるかは分からねえけどな」
「そっか、木場さんに…。でもどうして?」
「色々あったんだよ」
「で、他にはないの?」
『ニャー』
「え?」

いきなり聞こえてきたネコの鳴き声。

「そいつだよ。もう一つの支給品ってやつは」

457探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:56:14 ID:mfpZHby2
クローバーの椅子の影から出てきたのは一匹の黒猫。どうやらこれが巧の支給品の一つらしい。
今まで眠っていたらしく眠そうにしながらもなぜか支給主である巧の傍には寄ろうとしなかった。。

「何でか知らねえけど俺が呼んでもこっちに来ねえんだよ
 こいつのせいで外に出にくいし」
「置いて行けばいいんじゃないの?」
「……」
「何なら私がこの猫連れて行ってもいいのよ?」
「なら勝手に連れてけ。どうせいても邪魔になるだけじゃねえか」
「別に構わないわ。その代わり、少し来てもらってもいいかしら?」





「一つ聞きたいのだけれど」
「何だよ、一々呼び出して」
「たぶん菊池啓太郎の前では聞かれたくないことだと思ってね」
「……」
「単刀直入に訊くわ。あなた、オルフェノクでしょう?」
「………だったらどうする?」
「別にどうもしないわ。彼に言いつけたりもしない。
 ただ、これだけは言わせて。
 あなたはあなたであればいいの。人間でないのは私達魔法少女も一緒なのだから」



「ねえたっくん、暁美ちゃんと何の話をしてたの?」
「いや、特に。もしまどかってやつとナナリーってやつに会ったら手助けしてやってくれって」


クローバーの外に出た二人が戻ってきてまもなく、ほむらとアリスは警視庁に向かって去っていった。
その後巧と啓太郎もバークローバーから出て目的地も決まってないものの歩きだした。

458探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:57:26 ID:mfpZHby2
「てか啓太郎、何だよそのひもは」
「あ、これはアリスちゃんがね。3本持ってるからって僕の持ってたよく分からない薬と交換ってことになって」

使い方の説明も聞いたらしいがなぜひもなのか分からない。
だがもしもの時啓太郎を逃がすのには使えそうであった。

(俺は俺であればいい、か…)

巧はデイパッグに入ったファイズブラスターを思い出しながら考える。
いずれまたファイズとして戦う時はくるのだろうか。
その時までに自分なりに答えを見つけられるのだろうか、と。


だが、もしそれが見つかったとしても、

(もしあの時真理達を襲ったのが俺なら…)

きっと真理に会う資格はないだろう。
それが例え別世界の真理であっても。
もしあれが真実なら、その時は草加か木場に殺してもらうのもいいかもしれない。
草加にはその権利があるし、オルフェノクが増えた世界でも人間として生きてくれているという木場なら後のことは任せられるだろう。

「あー、でもどうすんだよ。今の俺はファイズにはなれないんだぞ」
「そんなの気にしなくてもいいよ。たっくんと一緒にいられるってだけでも嬉しいし」

その言葉自体は巧にとって嬉しいはずのものだったが、ファイズになれない今、敵に襲われたらあの姿になるしかない。
そしてこの啓太郎は巧がオルフェノクであることを知らないのだ。

「なあ、啓太郎、ちょっといいか?」
「ん?どうしたのたっくん?」
「お前、もし俺が――いや、何でもない」

―もし俺がオルフェノクだとしたらどうする?―
その質問の答えを啓太郎から訊くことができるほどまだ巧の中の覚悟は固まっていなかった。

その時である。
彼らにとって関わりの深いスマートブレイン社、その本社そっくりな建造物の辺りから爆発音が響いたのは。

459探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 14:58:16 ID:mfpZHby2
【F-3/市街(北部)/一日目-黎明】


【乾巧@仮面ライダー555】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:共通支給品、ファイズブラスター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗らずに自分がどうするべきなのかを見つけたい
0:何だ?!
1:自分なりの戦いをする
2:木場、草加達知り合いとの合流
3:ほむらの言ったことは一応気にしておく
4:真理には会いたくない
5:もしあの記憶が本当なら……?

[備考]
※参戦時期は36話〜38話の時期です
※パラダイス・ロストの世界観について把握、啓太郎が自分の世界の啓太郎ではないことを知りました
※暁美ほむら、アリスの知り合いについてだいたい把握しました

【菊池啓太郎@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60@DEATH NOTE
[道具]:共通支給品、ランダム支給品0〜1(武器類はなし)、あなぬけのひも@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:巧と共に行動する
0:何?!何の音?!
1:真理ちゃんや木場さん達との合流
2:草加さんはどうしよう…?

[備考]
※ニューナンブM60の予備弾の有無、有していた場合の弾数などは後続の書き手にお任せします
※巧が自分の世界の巧ではないことを知りました
※暁美ほむら、アリスの知り合いについてだいたい把握しました




460探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 15:01:24 ID:mfpZHby2
クローバーを出た二人は当初の予定通り警視庁へと向かっていた。
乾巧と菊池啓太郎との遭遇は武器こそ得られなかったもののかなり有益な情報を二人にもたらしていた。
オルフェノクの存在。別世界についての仮説のある程度の証明。


「でもあの乾巧って男、信用できるの?」
「恐らく彼が殺し合いに乗ることはないわ。
 まどかやあなたの友達のナナリーの力になってくれるはずよ」

彼自身の迷いが収まれば、ではあるだろうが。
人間として生きようとするオルフェノクもいること、啓太郎のオルフェノクに対する思いへの巧の反応。
そしてクローバーに入ったときの人間離れしたように思えた五感。
確証はなく、ただそうではないかというくらいの考えで聞いてみた。

だが正直最初はそこまでのことを彼に言うつもりはなかった。
せいぜい乾巧という人物を確認するという程度のはずだったのだが。

「で、この猫どうするのよ?」

交換してもらったらしい薬の説明書を読みながらアリスは問う。
アリスの腕に抱かれた黒猫。運転中は彼女に預かってもらうことにした。

「あなたが気にする必要はないわ。とりあえず運転中だけ預かっててくれれば」
「猫好きなの?」
「少し思い出があるのよ」


無論この黒猫があの時の猫であるはずはないだろう。
この猫にはだれの、どこの世界の猫かといった情報の書かれた付属書がなかったということが気にはなったが。
そんな猫をどうして連れてきてしまったのか。

(…感傷ね)

そう、これはただの感傷。荷物にしかなりそうもない猫を連れてきたのも乾巧にあそこまでの言葉を掛けたのも。

一度死んだ後、人の心を失う恐怖と戦いながら生き続ける彼らは自分達魔法少女と似ていた。
いや、願いや祈りもなく本人の意思すら関わらないあたり人間の心を持つ彼らにはきっと魔法少女以上の苦しみがあるのかもしれない。
だからといってどうにかしてやることなど誰にもできないのだろう。己自身以外には。

461探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 15:02:27 ID:mfpZHby2

そしてふと頭をよぎった考え。
自分の答えは決まっている。ではアリスはどうするのだろう?

「ねえアリス」
「何?」
「もしあなたの友達が……なんでもないわ」

―もしこの場のナナリーという子があなたの友達であるナナリーであった時、その子が死んだらあなたはどうするの?―
訊こうとしてやめた。あの仮説を話した自分が問うべきことではないだろう。


しかしアリスの答えがどうであれ自分には彼女と同じ選択をとることはできないだろう。
自分と違って彼女には友達を失ってもやり直すという選択肢はとれないのだから。

もしその時はまたあの一ヶ月間を繰り返すことになるのだろう。
しかしもし繰り返すことになっても、せめて最善は尽くしておきたい。
だから味方と思える者はできるだけ増やしておくべきだろう。


そしてエリアも変わっただろう辺りに差し掛かったころ、彼女達の耳に爆発音が届いた。
音の方に目をやると巨大なビルが倒壊していく光景が目に入った。

一端走るのを止め、ビルの方を見ると、白い何かが飛び立つのが見えた。
ほむらはデイパッグから支給品として入っていた双眼鏡を覗いて確かめる。

赤いつぶらな眼、よく分からない構造をした耳。
無表情のはずなのになぜかとてもむかついてくる表情。
インキュベーターのドヤ顔が視界に広がる。

…思わずミサイルを発射してしまうところだった。


「ねえ、あれ」
「今私達がやることは変わらないわ。
 少し急ぐべきではあるでしょうけど」

暁美ほむら、アリスは能力こそ強力なものだが攻撃力に欠ける。このサイドバッシャーだけでは小回りが利きそうにない。
あのようなことを起こす力をもつ参加者と戦うには心もとないのだ。

462探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 15:03:16 ID:mfpZHby2
「あれに引き寄せられて多くの参加者が集まってくるかもしれない。
 警視庁に行ってからあそこへ向かうけど構わないわね?」
「まあ何かあっても逃げることはできると思うしそれでいいわ」


そう言ってサイドバッシャーを加速させる二人。
鹿目まどか、ナナリー・ランペルージ。
せめてあの場に二人の友達が巻き込まれていないことを願いながら。

『ミャァ…』

アリスの手に抱かれた黒猫の不安そうな鳴き声が響いた。

【E-3/市街/一日目-黎明】


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:魔法少女変身中、ソウルジェムの濁り(極少)、サイドバッシャー(ビークルモード)運転中
[装備]:盾(砂時計の砂残量:中)、サイドバッシャー@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜1(武器ではない)、双眼鏡、黒猫@???
[思考・状況]
基本:『儀式』から脱出し、『自身の世界(時間軸)』へ帰る。そして、『自身の世界』のまどかを守る
1:警視庁に行き、武器になりそうなものを集め、その後爆発音の方に向かう
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい。ただし、自身が「信用できない」と判断した者は除く
4:鹿目まどかを探す。もし出会えたら、その時の状況次第でその後どうするか考える
5:まどか以外の他の魔法少女や知人と遭遇した時は、その時の状況次第で対応
6:可能ならサイドバッシャーを『自身の世界』に持って帰りたい
[備考]
※参戦時期は第9話・杏子死亡後、ラストに自宅でキュゥべえと会話する前
※アリスと互いの世界について詳細な情報を得ました。
※『ギアスユーザー』とは、アリスの世界における『魔法少女』のことだと考えています
※後述する考察をアリスに話しています
※『時間停止』で止められる時間は最長でも5秒程度までに制限されています
※ソウルジェムは近くでギアスユーザーがギアスを発動しても反応することを知りました
※仮面ライダー555の世界観、オルフェノクについて把握しました

463探し物はなんですか? ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 15:04:07 ID:mfpZHby2
【アリス@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:服装はアッシュフォード学園中等部の女子制服、健康、サイドバッシャーのサイドカーに乗車中
[装備]:あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式、あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)、ヨクアタール@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:『儀式』から脱出し、『自身の世界(時間軸)』へ帰る。そして、『自身の世界』のナナリーを守る
1:暁美ほむらと行動を共にする
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい
4:余裕があったらナナリーを探す。もし出会えたら、その時の状況次第でその後どうするか考える
5:ナナリー以外の知人と遭遇した時は、その時の状況次第で対応
6:名簿に載っていた『マオ』『ゼロ』『C.C.』が気になる
[備考]
※参戦時期はCODE14・スザクと知り合った後、ナリタ戦前
※暁美ほむらとは互いの世界について詳細な情報を得ました
※暁美ほむらを『違う世界のギアスユーザー』だと考えています
※『魔法少女』とは、ほむらの世界における『ギアスユーザー』のことだと考えています
※後述する考察を暁美ほむらから聞きました
※『ザ・スピード』の一度の効果持続時間は最長でも10秒前後に制限されています。また、連続して使用すると体力を消耗します
※仮面ライダー555の世界観、オルフェノクについて把握しました



【暁美ほむらの考察】
1:アカギは『時間軸と空間軸(パラレルワールド)に干渉する能力』を持っている
2:『儀式』に参加している『プレイヤー』は、アカギの能力によって一人一人違う世界から集められている
3:上記のため、この『儀式』の舞台にいる知人は『自分の知っている知人』ではない可能性が高い
4:アカギが『儀式』を開催した裏には何か明確な理由か目的がある
5:『儀式』の『勝者』になったとしても、『自身の世界』に帰ることができるという保証はない



【ファイズブラスター@仮面ライダー555】
ファイズフォンを使うことでファイズをブラスターフォームへとパワーアップさせるトランクボックス型の強化アイテム。
普段はトランクボックスモードだが、フォトンバスターモード(銃)、フォトンブレイカーモード(剣)などに変形する。


【ヨクアタール@ポケットモンスター(ゲーム)】
使用することで一時的に命中率を上げることができる薬。
本来ポケモンの戦闘用アイテムだがポケモン以外でも使用可能。

464 ◆zYiky9KVqk:2011/07/17(日) 15:08:33 ID:mfpZHby2
投下終了です
猫の件は完全にぼかしておきました
おかしな点などあれば指摘をお願いします

465名無しさん:2011/07/17(日) 22:12:33 ID:aJCKkpj.
投下乙。
555コンビは何かと先行き不安だな……
時友コンビは安定してるか。ほむほむ、気持ちはわかるが落ち着けw
そしてぬこ。いったい誰の持ち主なのかにゃー

ところで、ヨクアタールって具体的にどう効果があるんだろう。目が冴えたりすんのかな?

466名無しさん:2011/07/17(日) 22:33:27 ID:ApyId0u6
投下乙です。
黒猫はやはりぼかした方がベターですかね。
しかし正体をぼかしてしまうと、今度は黒猫を連れていく理由が薄弱になってしまったような…

ほむらたちは現在進行形で激戦地近辺に向かおうとしているわけですし
むしろ猫は乾たちの元において行った方が安全じゃないかと思うのですが…
(ディパックが四次元じゃないから、ロワでよくある「意思持ち支給品をディパックに入れて非難させる」ができませんし)

あと、ほむらの考察がちょっと鋭すぎな気がします
いくらほむらが年齢の割に経験豊富でも、戦闘技能はともかく頭脳は中学生の範疇をそれほど出ないと思いますし…
”同じ境遇”だけでそこまで察せられるのかな……と

何かいちゃもんみたいな指摘になってたらごめんなさい

467名無しさん:2011/07/17(日) 23:24:20 ID:ZFjdiwTE
>>464
投下乙ですー。
555組はどう転ぶかな、少し良い方向に進んだようには見えるけど。
ほむほむはまあQBのドヤ顔を見たのなら撃ちたくなるのは仕方ないかーw

468 ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:56:04 ID:Ra2OXtLM
L、咲夜子
投下いたします。

469命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:56:49 ID:Ra2OXtLM



―――これが、デスノートに書かれる最後の名前です。



全世界を震撼させた最悪の連続殺人事件―――通称、キラ事件。


それは、類希なる二人の天才―――夜神月とLの、死神のノートを巡る戦いでもあった。


そして戦いは、キラの敗北……つまり、夜神月の敗北により終わりを告げた。


だが、その勝利を得る為にLが払った代償は……彼にとっては小さく。


しかし、世界にとってはあまりにも大きなものだった。



―――キラという大きな悪を、倒す為の、小さな犠牲です。



デスノートの効力は絶対であり、そこに書かれた死を覆す事は出来ない。


Lはこのルールを逆手にとり、月がキラである事を暴くべく、自らの頭脳を信じて一つの賭けに及んだ。




『自らの名前を先にノートに書き込み、後に書かれたノートの効果を無効化する』という……暴挙とも取られかねない賭けに。




そう……世界一の探偵L=Lawlietの命は、僅か23日間しかもはや残されていないのだ。



◇◆◇



(……殺し合いと言う名の儀式、ですか……)

470命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:57:30 ID:Ra2OXtLM


どこにでもありそうな、至って平凡な中学校―――見滝原中学校の校長室。
そこでLは、デイパックの中にある名簿と支給品を確認しつつ、己が置かれている立場について考えを巡らせていた。

この会場に来る直前。
夜神月がキラであるという事実を証明し、そして死神リュークの手により彼が死亡した後。
Lはキラ事件の終止符を打つべく、残されたデスノートの焼却処分を行おうとしていた。
ノートの消滅を以て、キラとの戦いに完全な決着が齎される……その筈だった。

だが、ノートに火を着ける寸前というところで、Lはあのホールに気がつけば呼び出されていた。
そして後は知っての通り、アカギによる殺し合いの強制だ。


(アカギ……彼の行動は、死神と同じぐらいに性質が悪い。
ある意味ではキラをも超える、最悪の犯罪者ですね)


何の罪もない者達を強制的に拉致し、殺し合いを強要する。
その行いを儀式と呼ぶ事で、己が所業を正当化し……あろうことかその様相を、楽しんでいる様にさえ見える。
それは地上にデスノートを落とし混乱を面白がっていた死神リュークと、同じぐらいに最悪の存在であり。
そして、その主たるキラをも超える犯罪者だ。


(アカギ、貴方にどういった意図があるかは知りませんが、貴方のやっている事は紛れもない『悪』です。
だから私は、貴方を必ず逮捕する……この事件を解決する為に)


ならば、Lがやる事は唯一つ。
一人の探偵として、この事件の主犯たるアカギを逮捕する事。
この馬鹿げた殺し合いを、自らの手でとめる事だ。

471命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:58:01 ID:Ra2OXtLM

(そうと決まれば、早速情報を集める必要がある。
一応、あのホールの出来事からだけでも推測できる事柄は幾つかあるが、それだけでは不十分だ)


その為にはまず、誰か参加者から話を聞かなければならない。
アカギと対等の土俵に上がる為の武器―――情報を得る為だ。
何分現状では、相手とこの儀式についての知識が少な過ぎる。
闘いを挑むにしても、敵の正体も目的も見えぬままというのは、不利を通り越してもはや無茶だ。
だから、どんな些細な事でも、荒唐無稽な事でもいい。
兎に角、推理材料を得たいのだ。


(誰か、この殺し合いに乗っていない友好的な人物と遭遇出来れば幸いだが……)


そう都合よく理想的な方向へと物事が運んでくれるなら、苦労はしない。
寧ろこの状況下では、殺し合いに乗った危険人物と遭遇する可能性の方がどちらかといえば高いのだ。
同じ参加者との接触は、極力注意を払いつつ行わねばならないだろう。



その様に、Lが身の振り方について考えていた……矢先だった。



―――ガチャッ。



不意に、何者かがドアノブを握る音が聞こえてきたのだ。



「む……?」


噂をすれば影とはよく言うものの、現実に起これば流石に驚かざるを得ない。
Lは素早くドアへと視線を向けると共に、己の支給品―――クナイを後ろ手に構える。
それと同時に、片足のつま先を目の前にある机の裏へと押し当てた。
もしもドアが開かれると同時に、何かしらの攻撃行為があった場合、机を蹴り上げて盾にする為だ。
理想は銃―――それも拳銃ではなく重火器の類をドアへと向けての開幕威嚇だが、生憎ながら手元にはない。
よって、これが今取れるベストな行動と言えるだろうが……それでも、ベストであって完全ではない。
例えば出てきたのが、ロケットランチャーや対戦車ライフルなんて物騒な代物を持っていた相手だったとしたら、こんな策程度は力ずくで突破されるだろうからだ。

472命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:58:37 ID:Ra2OXtLM


しかし……Lはそれを、己の頭脳で補いにかかる。


「そのドアを開けるのは、待っていただけませんか?」


ドアノブが回されようとした瞬間。
Lはすかさずドアの向こうにいる相手へと声をかけ、その動きを制止させる。
どうやら向こうも、この部屋に誰かがいるとは思っていなかったのだろうか、声に驚き動きを止めたようだ。
その様子を察するや否や、Lはすぐに口を開き、迎撃のプランを実行する。


「まずはじめに断っておきますが、私はこの儀式とやらには乗っていません。
 ですが、この状況下で他人の言う事を素直に信じろというのは、恐らく無理な話です。
 だから、例え貴方がドアを開けた瞬間に私に銃口を突き付けてきたとしても、文句は言いません。
 警戒するのは当然の事ですから」


まずLは、自分が殺し合いに乗っていないという明確な意思を相手へと告げた。
それも、己の言葉を信じてもらえなくても結構だと、断言した上でだ。
その様な行動に出た理由は、相手もまた同じ立場であると理解させる事。
『自分もまた、お前を警戒している。
 だから、例え武器を向けられたとしても仕方が無い事だ』と、前もって圧力をかける事だ。
こうしておけば、相手は少なからず自分との接触を警戒する。


ドアを開けた瞬間に、銃口を曝されたりするのではないか……と。


そうなれば、相手が殺し合いに乗っている人間であろうとなかろうと、少なくとも出会い頭にすぐさま撃たれるという可能性は低くなる。
もっとも、低くなるだけでゼロには出来ないのだが……
Lはそれを限りなくゼロへと近づけるべく、ここで最大の切り札を切った。


「しかし、私を殺すのは止めておいた方がいいです、お互いの為にも。
 何故なら今、私は、私の心臓の鼓動が停止すると共に爆発する強力な爆弾を装備しているからです。
 支給品の一つなのですが、説明書によると、この学校を一つ吹き飛ばす程に強力な威力を秘めているそうですよ」

473命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:59:08 ID:Ra2OXtLM

爆弾と言う名のブラフを。
実際には、そんな爆弾なんて支給も何もされていない。
その場を凌ぐ為だけの、出鱈目もいいとこ出鱈目なのだが……しかし。
ドアの向こうにいる相手には、それを確かめる手段が無い。
ハッタリであると、見抜く事が出来ないのだ。

こうなれば、相手が取るであろう行動は三つに絞られる。
爆発を恐れられてこのまま逃亡するか、逆に自滅覚悟のギャンブルに出てくるか。



―――ガチャッ


そして……接触を、素直に果たしてくるかだ。


「御安心ください、私もこの殺し合いには乗っておりません。
 貴方と同じ目的を持つ者です」


ドアを開けて部屋に入ってきたのは、一人のメイド服を着た日本人女性だった。
それも、ただの女性ではない。
この状況下におきながら、非常に落ち着いた言動と物腰が出来ている……そう。
Lと同じく、修羅場というものを何度か経験している人間だ。


「私は、篠崎咲世子と申します。
 貴方のお名前を、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


彼女の名は、篠崎咲世子。
アシュフォード学園に仕えるメイドにして、SPを輩出する流派・篠崎流の37代目。
黒の騎士団が誇る、白兵戦闘のエキスパートだ。



◇◆◇



「……篠崎さん、本当なのですか?
 あなたが、あのキラを一切知らないというのは……」

「はい……L様こそ、本当にブリタニアも黒の騎士団も知らないというのですか?」

474命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 00:59:34 ID:Ra2OXtLM

先の緊迫した出会いより、数分後。
二人は互いに敵意が無い事を確認すると、同じ卓について情報交換に入っていた。
まずLと咲世子は、それぞれの名前や立場、殺し合いに呼ばれた状況等を確かめようとしたのだが……
そこでかわされた話の内容は、両者にとって俄かには信じがたい事ばかりだった。

Lは咲世子に対し、自分がキラを追う探偵である事。
各国の警察組織と共に、キラ事件の解決を図る身であると説明したのだが……咲世子は、キラなど知らないという。
今や世界中が良い意味でも悪い意味でも注目している、あのキラをだ。
Lからすれば、それはあまりにもありえない話だった。

そして咲世子もまた、同様の気持ちを感じていた。
彼女はLに対し、自身がアシュフォード家に仕えるメイドであり、またランペルージ兄妹の世話役である事。
現在は黒の騎士団やブリタニアが広げる戦火より逃れるべく、エリア11から離れている事―――これは、自身が黒の騎士団のエージェントである事を隠す為の嘘なのだが―――を説明したのだが……
Lは、エリア11もブリタニアも、黒の騎士団も知らないというのだ。
咲世子からすれば、それはあまりにもありえない話だった。

己にとっては常識にも等しい事実を、まるで知らないという。
これはおかしい話だ。
その為にお互い、最初は相手にからかわれているのかとも考えたのだが……
流石にこの状況下では、そんな滅茶苦茶すぎる嘘をつく理由がない筈だ。
ならば、この認識の相違には何か原因があるに違いない。


「……なるほど、そういうことでしたか」


そして……Lはその原因を、いち早く察した。


「L様……何か分かったのですか?」

「はい、答えはあの時にアカギが口にしています。
 『複数の可能性宇宙から、私達は選ばれた』……と。
 つまり私達は、俗に言う異世界……パラレルワールドの住人ということです」


アカギが口にした、可能性宇宙という謎のキーワード。
Lは最初、その意味をいまいち掴みきれていなかったが……
こうして咲世子と話が出来たおかげで、全てはっきりした。

自分達が、異世界より呼び出されたという……俄かには信じがたい真実へと、辿り着くことが出来た。

475命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:00:19 ID:Ra2OXtLM
「異世界、ですか……?」

「はい、アカギの言う可能性宇宙とやらが何なのかを考えたところ、その確率が一番高いです。
 キラ事件の渦中にあった私の世界と、ブリタニアをはじめとする大国同士が争う篠崎さんの世界。
 それぞれより私達が呼び出されたと考えれば、全てに筋が通ります」


Lは己の推理が、限りなく正解に近いものであるという自信があった。
それは、互いの認識の違いを解消できるからだけではない。
他にも多々存在する不可解な点も、一気に無くす事が可能だからだ。

そして、何より……Lは既に、異世界という概念を知っている。


「何せ、篠崎さんには信じ難い事実かもしれませんが……そもそも私は、異世界の存在を知っているんです。
 キラ事件の背後にいた、人間とは違う生き物……『死神』が生きる世界を」


死神界。
人間達が生きる人間界に対する、デスノートを使う死神達が生きる世界。
Lはキラ事件を通じ、その存在を知った。
故に今、自分達が違う世界の住人であると、あっさり断言できたのだ。


「他にも、異世界の概念を認めれば、片付けられる問題は多くあります。
 第一があのオルフェノクと言う怪物です。
 私はあんなものの存在は当然知りませんし、篠崎さんもそれは同様の筈。
 一応、単に私達が知らないだけの、所謂社会の闇に紛れた存在と言う可能性も、否定はできませんが限りなく低いでしょう。
 逆に一番考えられるのが、異世界に生きる人間とは別の生き物という説です」


その一つが、オルフェノクと呼ばれる異形の存在だ。
人間とも死神ともまた違う、人知を超えた生き物……あれが何なのか、少なくとも自分達の常識では説明が着けられない。
ならば現時点で有力な説は、彼等が死神と同様であるというもの。
『人間が生きる世界の外にいる存在』と言う考え方だ。


「そして第二が、この名簿にある名前です。
 篠崎さん、貴方も恐らく確認している筈……正直に話してください。
 ここに、おかしな名前はありませんか?」


だが、それ以上に決定的な物的証拠がある……それは参加者名簿だ。
Lはそのページを大きく開き、咲世子に見せつけながら問い詰めた。
もしも自分の推理が間違っていないのなら、ここには彼女にとって不可解な名前が恐らくある。
仮に無かったとしても、少なくともL自身にとっては、この名簿はおかしなものなのだ。

476命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:00:51 ID:Ra2OXtLM

「……流石です、L様。
 正直、話していいものかを悩んでおりましたが……貴方の言うとおりです。
 この名簿には二人程、どうしても気にかかる名前があるのです」


そして、咲世子もそれを認め返事をした。
彼女はLの推測通り、この名簿に目を通し、そして信じられない名前を見たのだ。
既に死亡している筈の人間が一人と……正体が分からぬ、得体の知れぬ名前が二人。


「ユーフェミア・リ・ブリタニア……この方はブリタニアの皇女なのですが、ある事件が切っ掛けで既に死亡しているのです。
 ここにいる筈がありません」


一人目が、ユーフェミア・リ・ブリタニア。
彼女はゼロ―――ルルーシュの手によって、間違いなく銃殺された。
それも、死を偽装する事など出来ようも無い大々的な生放送の真っただ中でだ。
生きている筈が無い……だが、確かにこの名簿には名前がある。


「つまり……このユーフェミアという方は、貴方が知っているユーフェミアとは似て非なる人物。
 異世界より来た、同一の存在といった可能性が考えられる……ということですね?」

「はい、そういう事になります」


考えられる可能性は、このユーフェミアは並行世界から来た別人という事だ。
恐らく彼女がいる理由は、この儀式場を混乱させることが目的だろう。
死亡した筈の人間がいるという事実……それを受け入れられる者など、まずいないだろうから。


「成る程……では、ついでにお聞きします。
 その方はお名前の通り、ブリタニアの皇女と言う事ですが……同じくブリタニアの皇族らしい方が一人いますね。
 この、ロロ・ヴィ・ブリタニアという方ですが……」


そう言うと、Lはロロ・ヴィ・ブリタニアの名前を指差し。
そのまま、少し離れた位置にある名前―――奇しくも同じ名を持つ者。

ロロ・ランペルージの位置へと、指を滑らせた。

477命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:01:32 ID:Ra2OXtLM

「同じロロと言う名前の方が、一人います。
 そして、この方はランペルージと言う性……貴方が世話をしているという、ルルーシュさんとナナリーさんと同じ性です。
 これはもはや、偶然として片付ける事は出来ない」


言い終わると共に、Lは視線を咲世子へと真っ直ぐに向けた。
そして、現状で最も正解だと考えられる答えを、はっきり口にする。


「篠崎さん。
 ルルーシュ・ランペルージさんとナナリー・ランペルージさんのお二人は、名を偽ったブリタニアの皇族ではないのですか?」


ずばり、ロロ・ランペルージを除いたランペルージ性の人間は、ブリタニアの皇族ではないかと。


「…………」


正解を言い当てられ、流石の咲世子も言葉に困ってしまった。
Lの言うとおり、ルルーシュとナナリーはブリタニアの名を隠している。
だが、それはブリタニアから逃れる為だ……ここで、やたらに明かしていいものではない。
如何に証拠が揃っているとはいえ、「はい、そうです」と主の情報を漏らしては、従者として失格だ。


「……答えられない事情があるという事ですね。
 分かりました、ここは敢えて聞かなかった事にします。
 少なくとも現時点では、儀式の打破に必要と呼べる情報ではないですからね」


Lもそれを察したのか、深くは追求しなかった。
自身も危険から身を隠すため、多くの偽名を持つ身だ。
それを明かせというのは、確かに抵抗がある……
そして何より、強制をする事で折角できた味方が離れてしまうという事ばかりは避けたい。
だから……少なくとも、今はここまでだ。


「ただ、出来たらこのロロ・ランペルージという方と、ロロ・ヴィ・ブリタニアという方の素姓だけは話してもらえますか?
 答えられる範囲で結構ですので」


しかし、二人のロロについてだけは把握をしておきたい。
咲世子がランペルージに仕えている立場である以上、彼女は間違いなくランペルージの保護を優先とする。
Lとて勿論、出来る限りそれに協力するつもりだが……ロロだけは、情報が無いままに接触するのは危険だ。
ロロ・ランペルージとロロ・ヴィ・ブリタニアとを間違えて接触し、その挙句に死亡する事になったりしたら……洒落にならない。

478命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:02:15 ID:Ra2OXtLM
「はい……ロロ・ランペルージ様は、ルルーシュ様の弟です。
 ただ、少々複雑な事情がありまして、血の繋がりは無いですが……」

「では、ロロ・ヴィ・ブリタニアについては?」

「存じません。
 私が知る限りではですが、その様な名前の皇族はいない筈なのです」

「……ふむ……」


咲世子の話を聞き、Lは少々考えた。
ロロ・ランペルージがルルーシュやナナリーの家族というのは、どうやら間違いが無い様だ。
だが、ロロ・ヴィ・ブリタニアの正体は咲世子も知らないという。
これも、異世界の人間として片付ける事は簡単だが……少々厄介な物だ。
仮に、もしこの二人の容姿が全く同じで、しかし片方は善人・片方は悪人だったりしたら……


(相当、場をかき乱されるでしょうね……)


現状では、判断材料が無い。
よって、咲世子には申し訳ないが……二人のロロは、どちらともに現時点では要注意人物として考えざるを得ない。


(この極限状態で、こんなややこしい状況だ。
最悪、人間不信に陥っても無理は無い。
アカギ……あの男、ここまで計算してやっているなら大したものです)



◇◆◇



(……ルルーシュ様と同じ……いや。
それ以上かもしれませんね)


咲世子がLに抱いた感想。
それは、彼が自身の主に匹敵するか……或いは超える頭脳の持ち主だろうという事だった。
ホールでの出来事や名簿からの僅かな情報で、彼はここまでの推理を展開させた。
そして、秘匿としていたルルーシュとナナリーの正体までも見抜いてみせた。
常人離れした、冷徹な観察眼と推理力がなければ出来ぬ芸当だ。
咲世子の知る限り、ここまで頭の切れる人間は精々一人……シュナイゼル・エル・ブリタニアぐらいだ。

それだけに、頼もしくもあり……同時に恐ろしくもある。

479命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:02:50 ID:Ra2OXtLM

(この方がルルーシュ様と協力してくれたなら、きっとアカギの企みは簡単に撃ち砕けるでしょう。
ですが、逆に……もしルルーシュ様の敵に回ってしまったら、この上ない強敵になってしまうかもしれません)


咲世子が危惧している事は、Lがルルーシュの敵に回ってしまった時の事だ。
Lは、世界各国の警察組織と協力してキラ事件の捜査に当たっている探偵であり……
そしてルルーシュ率いる黒の騎士団は、世間的にはテロリスト扱いときた。
彼等は、言わば対立関係に当たる者同士なのだ。
故に咲世子は、ルルーシュが皇族である事はばれても、黒の騎士団のゼロである事だけは隠しきった。
何せ彼は、現時点では黒の騎士団を是としてくれるかどうかが分からぬ相手なのだから。


(ただ……ゼロに関しては、ばれる可能性はあまりないかもしれませんね)


しかし……咲世子にとって一つ、思わぬ幸運があった。
それは、参加者名簿に乗っていた得体が知れぬもう一人の人物。
Lにはユーフェミアとロロの『二人』のみが怪しいと言ったが……正確には、もう一人だけいる。


(この、私が知らないゼロという方がいる限りは)

それこそが、他ならぬゼロ―――名簿に刻まれた、もう一人のゼロだ。

ルルーシュこそがゼロであるにもかかわらず、彼とは別にゼロの名前がある。
考えられる事としては、Lが言う様にルルーシュとは似て非なる別人ということだが……
ゼロという名前自体は、はっきり言えば然程凝った名前ではない。
黒の騎士団のインパクトがあるからこそ固定概念として定着してしまっているが、偽名としては寧ろ、十分ありえるありふれたものだ。

もっとも、どちらであろうとも咲世子にとってはあまり関係は無い。
重要なのは、ルルーシュ=ゼロであるという真実を、これで少なからず隠せる事だ。


(ですが……この方の頭脳は油断ならない。
万が一に真実に辿りつき、もしもルルーシュ様やナナリー様の身に何かが及ぼうものなら……)


だが、それでも油断はできない。
あってほしくは無いが、もしもLが何かしらのリアクションを見せたらその時は、この手で始末する事も考えねばならない。
以前、扇が懸命に訴える中であるにも関わらず、ヴィレッタを始末しようとした時の様に。
袂に忍ばせた支給品―――スペツナズナイフの刀身が持つ冷たさを感じつつ、そう咲世子は心に決めていた。
冷酷かもしれないが、それが自身の役目なのだ。

480命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:03:15 ID:Ra2OXtLM

「それにしても、篠崎さん」


そう考えていた最中。
不意に、Lより咲世子へと言葉が投げかけられた。


「貴方……随分あっさりと、私の説明を受け入れてくれましたよね?
 異世界の事といい、死神の事といい。
 普通、もっと驚いたりするものなのですが……一応、理由だけ聞いてもいいですか?」


それは、Lの説明を咲世子があっさりと受け入れた事への疑問。
確かに彼の言う通り、驚いたり拒否したりするのが普通の反応だ。
だが、咲世子はそれをあまりにも簡単に聞きいれてしまった。

その理由は、Lの推理が的を得ていた事も勿論あるが。
もう一つに、彼女もまた人知が及ばぬ力―――ギアスや、人有らざる存在―――C.C.を知っている事が大きかった。
知らぬ者からは『ありえない』と否定するしかない、非常識の領域を知っている。
だからこそ彼女は、同じ非常識の事実を十分に受け入れる事が出来た。

しかし……それを話す事は、出来るならしたくない。
ありのままに話せば、そこからLは間違いなく多くを追及してくる。
そうなれば、間違いなく事はルルーシュにまで及ぶだろう。
よってここは、当たり障りが無く、かつ違和感を持たれることの無い答えをするしかない。


「そうですね……職業柄、でしょうか?」

「職業柄、ですか?」

「ええ、私はルルーシュ様達に仕えるメイドであると同時に、SPでもあります。
 篠崎流の37代目として、幼い頃からその術を学んで参りました。
 如何なる事があっても動じることなく、冷静に主を守れる様にと……そう教えられてきたのです」


口にしたのは、彼女自身の出自だ。
如何なる状況でも冷静である様に教えられてきた、だから今回も何とか受け入れられる。
その答えは、事実こそ隠しているものの、一切の嘘も無い。
Lにも、否定する要素は無い筈だ。

そう思い、彼を真っ直ぐに見詰めるが……

481命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:03:51 ID:Ra2OXtLM

「……SP、ですか……」

「……L様?」


その言葉を聞いた途端。
Lの表情が、僅かながらに変化したのだ。
そこから感じられるのは、今までの様に自分を疑う物ではない。

何と言えばいいのだろうか。
そう……何か、哀愁に近いモノを感じているように見えるのだ。


「L様……どうかしましたか?」

「ああ……すみません、篠崎さん。
 篠崎さんの話を聞いて、少し私のパートナー……ワタリの事を思い出したのです」


Lはこの時、咲世子の言葉からワタリの事を思い出していた。
彼は強大な事件に立ち向かう時、いつもパートナーとして側にあり、自身の身を守ってくれた。
またプライベートでも、お菓子や御茶の世話、チェスの相手など、大いに尽くしてくれた。
そんな彼に、Lは誰よりも感謝の意を寄せており……そして。


「そのワタリという方は……L様にとって、大切な人だったのですか?」

「ええ……ワタリは私にとって、最高の執事であり、SPであり。
 そして、父親の様な存在でした」


紛れもなく、父と呼べる存在であった。
それだけに……Lは、彼の死を心から悔やんでいた。
キラ逮捕における最大にして唯一の誤算は、ワタリを死なせてしまった事だった。
非常に、申し訳ない事をしたと……それだけが、無念でならなかったのだ。

だからだろうか……こうして彼の事を思うと、無意識にではあるが、僅かながらに態度に顕れてしまうのは。

482命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:04:19 ID:Ra2OXtLM

(……L様……)


そんなLの様子を見て、一時とは言え彼に殺意を抱いてしまった事を。
彼が冷徹な人間であると決めつけてしまった事を、咲世子は少しばかり後悔した。
確かにLは、僅かな物事の隙間から、真実を追求するべく容赦なき問いかけをしてきた。
執拗なその仕打ちは一見、非情な様に見えるが……そうではない。

彼もまた、ルルーシュと同じなのだ。
目的の為ならば、手段を選ばない事こそあれど……心の底では、自分以外の誰かを思っている。
ちゃんとした、最も人間らしい『情』を持っているのだ。
ただ、それを上手く表現できないだけだ。

ルルーシュもLも、きっと不器用なだけなのだ。


「でしたら……その方の為にも、絶対に生きて帰らねばなりませんね」

「ええ、その通りです。
 ここで私が死ねば、ワタリに申し訳がありません」


それが分かったから。
咲世子は、心の中に芽生えた刃をそっと収めた。
確かにまだ、黒の騎士団等といった不安な要素はある。
いざとなれば、主の為に容赦なく切り捨てる覚悟もある。
だが、今は……少なくともこの場においては、この探偵を信じてみよう。

どこか、主に似ている……この不器用な男を。



◇◆◇



(……これで、当面の行動方針は立てられましたね)


咲世子との情報交換を終えた後、Lは今後どう動くかを彼女に伝えた。
まず第一が、お互いの知り合い―――その中でも、殺し合いを是としない者達と合流する事だ。
特に咲世子は、ランペルージ兄弟達の保護を最優先にしたいと言っている。
彼女の立場を考えれば、それは当然の事だ……だからLも、この点については極力妥協するつもりでいた。

しかし……問題があるのは、寧ろLが知っている者達だ。
何せこちらには、約二人……殺し合いに乗っていてもおかしくない人物がいる。

483命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:04:49 ID:Ra2OXtLM

(月君……それに、弥海砂。
二人との合流には、最大限の注意を払わねば……)


それが、夜神月と弥海砂。
キラ事件の主犯たる、二人のキラだ。
彼等はこの殺し合いに乗っている可能性が高く……
加えて言えば、このドサクサに紛れて自分の命を狙う可能性がある。


(特に弥海砂。
彼女は月君を生き残らせる為に、殺し合いに乗る可能性が極めて高い。
それこそ、彼女がキラであるかないかは関係無しに)


Lが知る海砂は、キラ事件終了とともにノートに関する記憶を全て失った。
よって、自身がキラである事ですら忘れているが……それとは関係無しに、彼女は盲目的に月を愛している。
故にこの状況下では、月の為を思い積極的に他者へと危害を加える可能性があるのだ。
そして、もし彼女がLの知る彼女とは違う……キラとしての彼女だったなら、事態はより悪くなるかもしれない。


(一方で月君に関しては、彼がキラだったとしても、殺し合いに乗らない可能性も高い。
私を亡き者にしようと考えは、するかもしれないが……)


その一方、Lは月が殺し合いに乗る可能性は、そう高くは無いと踏んでいた。
歪んでいるとはいえ、彼は彼なりの意志に基づき、キラとしての裁きを行っていた。
しかしこの殺し合いに乗るという事は、その意志に反する行動だ。
そして何より、月は自分と同じく負けず嫌いな性格……殺し合いに乗れと言われて「はい、そうします」と答える筈もない。
寧ろ主催者を相手に、喧嘩を売るに違いない。


(それに……もしも。
もしもここにいる月君が……デスノートに出会わなかった月君だったとしたら……)


少なくとも、ここにいる月はLが知る月ではない。
何せ彼は、Lの目の前でリュークに殺されたのだ。
故にLは、淡い期待ではあるが……ここにいる月が、デスノートに出会わなかった月だったらとも考えてしまったのだ。
彼が歪んでしまったのは、デスノートを手にしてしまったからだ。
だから、もしもそうじゃなかったら……死神にさえ出会わなければ、きっと月は父親同様に立派な警察官となっていた筈だ。
それこそ、Lの名を譲ってもいいと思えるぐらいに。

484命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:05:15 ID:Ra2OXtLM
(……希望的観測なのは分かっていますが。
可能性の一つとして……ついつい、考えてしまいますね)


月は、Lにとってはじめて出来た友達だ。
はじめて、対等に語り合えた相手だ。
だから僅かな可能性とは言えど、そう考えたくなるのも、無理は無い話なのだ。

とにかく、全ては会って確認するしかない。
夜神月も弥海砂も……他にも、自分達が知る全ての知り合いが、果たして同じ人物なのかどうかは。


(出来ればその途中で、この刻印……魔女の口付けについても、どうにか謎を解きたい)


もう一つ、Lと咲世子が定めた行動方針。
それは、アカギに刻み込まれた『魔女の口付け』について知る者との接触だ。
アカギの言葉通りなら、この呪術式とやらを知る者が必ず会場のどこかにいる。
その者と出会い、情報を入手したい。


(これがある限り、私達の命はアカギに握られたままだ。
まずはこれを解除しなければ、奴に立ち向かう事は出来ない……)


アカギと闘う上で、呪術式の解除は絶対にクリアしなければならない条件だ。
問題は、呪術については素人である自分達に、それが出来るかだが……
呪術『式』という以上、きっと魔女の口付けは何かしらの法則に基づいて成り立っている。
だから、例え素人だとしても。
その法則さえどうにか崩す事が出来るならば、解除はなる筈だ。



(……この事件、考えなければならない要素はあまりにも多い。
ですが、必ず解決してみせましょう……それが、私の役目なのですから)

485命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:05:43 ID:Ra2OXtLM
Lは元より、余命である23日間の全てを、あらゆる事件の解決に捧げようと決めていた。
それがこの世を去るにあたっての、自身が果たすべき責任だ。
だから、このアカギが引き起こした事件も……必ずや、この手で解決してみせる。


(デスノートに書かれた死は絶対だ。
その上で、私がここに呼ばれたという事は……私の寿命は、ここで尽きてしまうのか。
それとも、無事に乗り切り23日目を迎えられるか……ワタリ。
どちらにせよ、私は貴方の元へと近い内に逝く事になります)



デスノートに書かれた死を覆す可能性は唯一、それよりも早く寿命で死亡してしまう事がある。

故に……Lに定められた運命は、二つに一つしかない。

ノートに記した23日間よりも早く、この殺し合いで果ててしまうか。

或いは、この事件を解決へと導き……予定通りの死を迎えるか。


残り僅かなその命を使い、何処まで足掻けるか。


(だからそれまでの間は、どうか私を……私達を、無事に見守っててください)


今は亡き、近々会いに行く大切なパートナーの為にも。


L=Lawlietは……この殺し合いを止めるべく、己の全てを賭ける覚悟にあった。



◇◆◇



「……ところで、咲世子さん。
 何か甘いものってありますか?」

「甘いものですか?
 それでしたら、私の支給品に『シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋』というものがありますよ」

「それ、ください。
 糖分はすぐにエネルギーに変わるから、考え事をするのには打ってつけなのです」


そして。
こんな時でも、甘い物の摂取を忘れないLであった。

486命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:06:21 ID:Ra2OXtLM
【E-7/見滝原中学校/一日目 深夜】


【L@デスノート(映画)】
[状態]:健康
[装備]:クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(本人確認済み)、シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋。
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:咲世子と共に、お互いの知り合いを探す。
  ただし、夜神月・弥海砂・ロロの三人については極力警戒する。
2:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
3:ルルーシュとナナリーの事情については、深くは聞かない
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※咲世子と、彼女の世界についての大まかな情報交換をしました。
※自分達が、所謂パラレルワールドから集められた存在であると推測しています。
※デスノートに自身の名前を既に書き込んでいる為、デスノートに名を書きこまれても効果がありません。
 ただし無効化出来るのはあくまで「ノートに書かれた死」だけであり、致命的な傷を負ったりした場合は、
 「ノートに書かれた期限より早く寿命を迎えた」と判断され、ルール通り普通に死亡します。
※ルルーシュとナナリーは、ブリタニアの皇族ではないかと咲世子の様子から推測しています。
※二人のロロに関しては、素姓が分からない為に警戒心を抱いています。
※月を第一のキラとして警戒していますが、同時に、デスノートに出会わなかった彼だったらという僅かな期待も持っています。
※海砂はキラであろうとなかろうと、月の為に殺し合いに乗る可能性があると考えています。
※死亡した筈の月とナオミについては、別世界の人間が呼ばれたと仮定して考えています。


【篠崎咲世子@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康
[装備]:スペツナズナイフ@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:ルルーシュとナナリーを保護し、アカギを倒す。
1:Lと共に、お互いの知り合いを探す。
  ただし、ロロについては極力・ゼロについてはなるべく警戒する。
2:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
3:今のところ、Lにルルーシュやナナリーの素姓を明かすつもりはない。
[備考]
※参戦時期は、R2の14話終了後です。
※Lと、彼の世界についての大まかな情報交換をしました。
※自分達が、所謂パラレルワールドから集められた存在であると推測しています。
※ロロ・ヴィ・ブリタニアという見知らぬ皇族と、名簿にあるゼロについては、Lの推理より別世界の同一存在という可能性が一番高いと踏んでいます。
 その為、接触する場合は極力注意を払うつもりでいます。
※Lがどこか、ルルーシュに似ている面があると捉えています。
※死亡した筈のユーフェミアについては、別世界の人間が呼ばれたと仮定して考えています。



【クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
咲世子が扱う忍び道具の一つ。
高い殺傷力を持ち、短刀としても投げナイフとしても使える万能の武器である。

【スペツナズナイフ@現実】
ソビエト連邦の特殊任務部隊『スペツナズ』で主に使われている、特殊なナイフ。
刀身の射出が可能であり、近接戦闘では勿論、中距離からの奇襲を仕掛ける際にも重宝される。
ただしその再装填は、内蔵されたスプリングの強力さから、極めて困難になる。

【シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋@オリジナル】
アカギから支給された、魔女シャルロッテの絵柄がプリントされたお菓子の詰め合わせ袋。
中には和菓子洋菓子問わずに、大量のお菓子が詰まっている。
シャルロッテはお菓子を無限に生み出す力がある魔女である為、恐らくはそれに因んだ支給品なのだろう。

487命の長さ ◆F3/75Tw8mw:2011/07/18(月) 01:07:26 ID:Ra2OXtLM
以上、投下終了です。
長らくお待たせして、申し訳ありませんでした。

488 ◆zYiky9KVqk:2011/07/18(月) 01:50:12 ID:cFCWbYEo
投下乙です
不穏そうな空気もあったが意外と面白い組み合わせかもしれんな
だが近くの参加者がなぁ…w
あとここの月はLが考えてるようなやつじゃないのもどうなることか


>>466
ほむらが鋭いということに関しては
自分の書いた印象では確証はないが可能性として訊いてみたくらいの感じですね
少し書き方に問題があったかもしれません

猫を連れて行ったことに関してはちょっと急いで修正したので少し描写が足りなかったようですね

展開自体に大きな問題がなければwiki収録された際に一、二文ほど加筆、修正しておこうと思うのですが
大筋は変わらないとはずですしそれでよろしいでしょうか

489名無しさん:2011/07/18(月) 02:15:25 ID:PT0.p0/c
投下乙です

Lとしては利害が同じ間はいい協力者を得たみたいだね
咲世子さんも現時点ではLへの印象はルルに似てて良好か
爆弾になりそうな問題もあるが頭脳で危険な天才系に対抗できるのは数少ないから頑張って欲しい

490<削除されたのは乾巧って奴の仕業なんだ>:<削除されたのは乾巧って奴の仕業なんだ>
<削除されたのは乾巧って奴の仕業なんだ>

491名無しさん:2011/07/18(月) 12:43:11 ID:iHZBTqB6
投下乙です。
SPを見てワタリを思い出すあたり、実写版Lのキャラが入ってるなという感じで良かったです。
実写版Lは平気で命捨てたりと漫画より若干、情(?)があるからなぁ…月に対する希望的観測がどう作用するか

>>488
了解です。
自分としても「他の人的には問題ないかもしれないけど、気になる」
程度の問題だったので、それでいいと思いますよ。

492 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 20:53:30 ID:jiFHHUsA
美遊・エーデルフェルト、バーサーカーを投下します。

493クレイジー・トレイン ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 20:54:34 ID:jiFHHUsA



 深い森の中、響く咆哮を目印に駆ける。

 急がなければ。
 この聞き覚えのある咆哮はおそらくバーサーカーのものだ。
 ハッキリ言って想定外。バーサーカーが相手では真理さんやタケシさんでは相手にならない。
 仮に何かの偶然か奇跡が起きて倒せたとしても、バーサーカーには蘇生能力を持つ宝具がある。
 参加者の武器は回収され、ランダムで支給されているらしい(これはかなり怪しい)が、バーサーカーの宝具は肉体そのものだ。
 それを回収する事は肉体を奪う事と変わりない。
 まず間違いなく、バーサーカーは宝具を備えているだろう。

「……サファイア。バーサーカーに勝てると思う?」
『不可能ですね。クラスカードすらない現状、バーサーカーを倒せるのは一回が精々、よくて二回が限度です。
 それ以上は耐性をつけられて、こちらの攻撃は通りません』
「そして、バーサーカーの蘇生回数はそれ以上」

 正確な残数がどれくらいかは知らないが、五回以上殺さなければならないのは確かだ。
 限度の二回にしたって、防御を度外視した全魔力投入のAランク砲撃とステッキの刃(ブレード)で一回ずつだ。
 そんな事をすれば、次の瞬間には殺されている。ハッキリ言って論外だ。
 つまり、確実を期すなら最低でも四枚のクラスカードがいる。
 この状況下でそれは望むべくもない。

「つまり、選択肢は一つだけ」
『真理様とタケシ様を救出して逃げる、ですね』
 二人を担いでバーサーカーから逃げ切れるかはわからないが、それは言ってもしょうがない。
 今するべき事はまず、バーサーカーに追いつき、真理達の安全を確保することだ。
 その為にもより急ごうと魔力を回し、

「……ん? あれは………」
『美遊様? どうしました?』

 ふと視界に移った物に、足を止めた。


        ◇


 深い森の中、狂った直感を頼りに標的へと駆ける。

 今の狂戦士を止めれる人間など、どこにも存在しない。
 彼を遮るモノは、須らく薙ぎ倒し、踏み砕いていく。
 もはや彼自身さえ思い出せぬ敵を斃すその時まで、彼は止まる事はない。

 その脚が今、僅かばかり止められた。
 狂戦士は何かを探る様に、周囲へと見えぬ目を巡らせ、

「■■■■、■■■■■■■■■―――――!」

 再び咆哮と共に走りだす。

 彼が向かう先に何があるのか、それは彼自身さえわからない。
 もっとも、それが何であれ彼のする事は変わらない。
 狂戦士はただ、全ての“敵”を叩き潰すために暴走するのみだ。


        ◆

494クレイジー・トレイン ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 20:55:15 ID:jiFHHUsA


 尽く薙ぎ倒された木々の中。美遊・エーデルフェルトは、地面に散らばった何かの残骸を確認していた。

「これは……デイバックの残骸?」
『おそらく、真理様かタケシ様、どちらかの物かと思われます』

 周囲をぐるりと見渡すが、死体も血痕も見当たらない。
 ここで何かがあったのは間違いないが、誰かが死んだという事はなさそうだ。
 なら、まだ希望が持てる。

「サファイア、急ぐよ」
『わかりました』
 魔力を更に身体能力の強化へと回す。
 真理たちが生きているのなら、一刻も早く追いつかなくてはいけない。
 その一心でより強く地面を蹴り、

「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!!」

 突如として進行方向に現れた『怪物』に、虚を突かれる形になった。

「え?」

 その姿を、茫然と見つめる。
 目の前の『怪物』はバーサーカーだ。それは間違いない。
 だが、その異様な姿は何だ。

 一体彼に何があったのか。
 全身は黒い泥に浸食され腐敗している。
 赤く光る両目は殺気を放つだけのものとなっている。
 眼前の『怪物』は、少女の知るバーサーカーと同じでありながらあまりにも違っていた。


『美遊様!!』
「っ…………!」
 サファイアの声に我に返る。
 眼前には振り被られた黒い拳。
 咄嗟に身を捩じって躱す。
 だがその拳の風圧だけで軽く五メートルは飛ばされた。

「ッ………! いつの間に……って訳じゃないか」
 単純な話だ。
 今まではバーサーカーを追う際、その咆哮や薙ぎ倒される木々の音を目印にしていた。
 加えてバーサーカーは真理たちを追っている、または戦闘していると思っていたため、既に木々が薙ぎ倒された道を引き返すように戻ってきたバーサーカーに気が付かなかったのだ。

「なんて間抜け……!」

 自分の馬鹿さ加減に嫌気がさす。
 だが幸いな事に、バーサーカーがここにいるという事は、真理たちは逃げ切れた可能性があるという事だ。
 もう一つの可能性に関しては、あえて考えない。

「サファイア、逃げるよ!」
『了解です。ですがどちらに』
「私達が向かおうとしていた方向。そっちには間違いなく、真理さん達はいない」
『わかりました。方位をナビします』

 逃げる方角を決め、即座に走りだす。
 迷っている時間はない。
 バーサーカーを野放しにする事に対する懸念はあるが、今の自分にバーサーカーを倒す術はない。

「■■■■■■■■■■――――!!!」

 いかなる方法でこちらを認識しているのか。
 五感全てがまともに機能していないだろうに、バーサーカーは迷いなくこちらを追跡してくる。

 お互いの距離は二十メートルほど。
 立ち止まればその場で死ぬ、命懸けの鬼ごっこが始まった。


        ◆

495クレイジー・トレイン ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 20:56:05 ID:jiFHHUsA


 ―――息が詰まる。
 どんなに目を逸らしても無視できない闇が、すぐそこまで追ってくる。

「っ……!」
 森を駆ける。
 背後には黒い巨人が迫る。
 私のように木々をすり抜けられない巨人は、行く手を阻む木々(しょうがい)を吹き飛ばしながら追いかけてくる。

「は―――はあ、はあ、はあ、は………!」

 息が途切れ途切れになる。
 疲労からではない。
 背後から迫る濃密な殺気に、心より先に体が悲鳴を上げている。

「っ………あ―――!」

 挫けそうになる意志に蹴りを入れる。
 走れ。
 今は何も考えずに走れ。
 逃げ切った後ならいくらでも悲鳴を上げて構わない。そんな余分はない。そんな暇がるなら少しでも多く酸素を取り入れろ。
 今は全力で巨人から逃げ切るだけ。
 全身に魔力を回せ。今にも折れそうな足を補強しろ。強化は常に限界、肉体への負荷など考えるな。

「、っは――――、………あ!」

 走れ。走れ。走れ。
 背中に圧し掛かる不安を振り払うように走れ、
 背中に迫った恐怖から目を背けるように走れ、
 つまらない弱音が真っ白になるまで走れ――――!

「■■■■■■■■■■■―――!」

 音源は耳元から。
 魂消るような断末魔が鼓膜どころか脳を揺らす。
 ソレに圧されて一瞬意識が飛んだ。

「っ――――――――!?」

 咆哮と共に振りかぶられる拳。
 そんなモノが直撃すれば、ステッキの全開の物理防壁の上からでもひき肉になってしまう。

「サファイア!! 物理保護……球形(スフィア)!!」

 必殺の勢いで振り下ろされたそれを、物理保護壁を球体形に展開して逸らし、どうにか直撃は避ける。

 イメージしたのはイリヤの防御方法。
 クロノ防げぬはずの矢を逸らした障壁形成を、自分なりに応用して再現する。


 だがそれも気休めに過ぎない。
 もとより護りなど意味を成さない相手。掠っただけでもダメージは避けられない。
 今の接触で僅かばかり距離が開いたが、回復するまでの間にすぐに詰められる。

「くっ………!」

 痛む体を押して走り出す。
 休んでる余裕はない。
 今は少しでも遠くへ、
 逃げなければ。

「■■■■■■■■■■■―――!」

 咆哮が響く。
 目も耳も機能していないはずなのに、黒い巨人の追跡に迷いはない。
 いかなる手段でこちらの居場所を察知しているのか、それを把握せぬ限り、決して逃げきれない。

「一体、どうやって………」

 逃げ切れたはずの真理たちと(希望的観測)、未だに逃げきれない私との違い(能力再確認)。
 私と真理たちの関係と(情報再確認)、私とバーサーカーの関係(共通項目)。
 その答えは、つまり――――

496クレイジー・トレイン ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 20:58:32 ID:jiFHHUsA


『美遊様、あれを!』
「あれは、美国邸―――!?」

 高速で視界を過ぎ去る木々の隙間。
 そこから見えるものは間違いなく美国邸で、ならばその近くには川がある。

「よし、それならば―――!」

 より一層足を速める。
 川を越えれば町に出る。
 如何にバーサーカーと言えど、家々を破壊して追跡し続けるのは難しいはずだ。

 しかし、空中に跳躍する事は出来ない。
 『術式』による制限からか、足場の形成が難しくなっているのだ。
 そんな不安定な足場を全力で踏めば、その魔力は簡単に霧散してしまう。

 かと言って悠長に橋を越えている余裕はない。
 川をそのまま越えるにしても、水に浸かればその分速度が落ちる。
 そんな事をしていたら、バーサーカーに追いつかれる。

 故に取れる手段は一つだけ。
 美国邸の屋根を足場に、より高くジャンプして川を超える。
 距離的にはギリギリだが、他に方法はない。

「、はっ――――!」

 目前に迫った美国邸へと、一歩で加速し、二歩目で跳躍。美国邸の屋根の高さまで跳び、


「――――え?」

 屋根へと到達する前に、身体の上昇は急停止した。

 右脚に違和感。
 まるで誰かに掴まれているよう。
 その正体を確認するために視線を下げれば、

「■■■■………」

 そこには、自分の右脚を掴む黒い『怪物』の姿が――――


「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――――!!!!!」


 そのまま空中で一回転。
 黒い巨人の渾身の力を以って美国邸へと叩きつけられる。

「、ッァ――――――――ッッッ!!!!!!」

 屋根から基礎の土台まで一気にぶち抜かれた。
 呼吸がままならない。全身が激痛を訴える。
 舞い上がる土煙りの中、僅かに見えた空からは、
 黒い狂戦士がその両腕に渾身の力を籠めて落下してくる。

「ッ――――――!!!」

 その光景に、最後の抵抗を試み――――


「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」


 美国邸に、ミサイルが落ちたかのような爆音が響き渡った。


        ◇

497クレイジー・トレイン ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 20:59:54 ID:jiFHHUsA


 瓦礫の中から、のそりと、黒い巨人が這い出てくる。
 地面には深いクレーターが形成され、家と呼べるものはもうどこにもなかった。

 巨人の足元には、ピクリとも動かない人型。
 狂戦士の一撃を受けて形が残っているのは驚きだが、それはもはや誰が見ても生き物ではなかった。
 巨人もそれを認識したのか、その人型に一瞥もくれる事なく周囲を見渡し、

「■■■■■■■■――――!」

 咆哮と共に新たな戦場へと暴走を再開した。


【D-8/橋の前/一日目 黎明】

【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:黒化、十二の試練(ゴッド・ハンド)残り9
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
0:■■■■■■
[備考]
※バーサーカーの五感は機能していません。直感および気配のみで他者を認識しています


        ◇


 それから少しして。
 ガラリ、と瓦礫を崩して新たに一人の少女が這い出てきた。
 少女はよろめきながらもクレーターの中央へと歩み寄り、自分と同じ顔をした人型の前で膝をついた。

「サファイア……無事?」
『……はい、辛うじて。現状、何の機能障害も起きていません』

 ぼむんっ、と気の抜けた音を立てて人型は消え、替わりに一本の杖と一枚のカードが現れる。
 杖は言うまでもなくサファイア。カードには髑髏のような顔の人物と『Assassin』の文字が描かれていた。

「丈夫なんだね。流石は彼のゼルレッチが作った魔術礼装。
 けどごめんね、バーサーカーの攻撃を代わりに受けてもらって」
『いえ。アサシンの役割は元より囮。美遊様が気に病む事はありません』

 あの瞬間。
 バーサーカーが美国邸ごと美遊を叩き潰そうとした直前。
 美遊はアサシンのクラスカードを限定展開(インクルード)し、美遊と同じ姿になったサファイアを囮に身を隠したのだ。
 そのおかげで多元転身(プリズムトランス)は解け全身が激しく痛むが、それでも死なずに生き延びる事が出来たのだ。
 美国邸の崩壊で潰されなかったのは、純粋に幸運からだ。

 このカードを見つけたのは、【C-7】の森の中だった。
 そこにデイバックごとこのカードが放置されていたのだ。
 中にあった支給品はカードだけだったが、それでもこのカードを置き去りにしてくれた誰かに感謝する。


『それよりも美遊様。早急に多元転身(プリズムトランス)をし、怪我の治癒を行ってください』
「それはダメ」
『何故ですか!?』
「バーサーカーに気付かれる」
『それは、どういう……』
「やっと気付いた。バーサーカーは、私達の魔力を目印に追って来ていたの」
『……!』

498クレイジー・トレイン ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 21:00:38 ID:jiFHHUsA

 そう。それこそが真理たちが逃げ切れ、美遊がここまで追い詰められた原因だった。

 バーサーカーはもうは目も耳も機能していない。
 ならば何を以って獲物を探すかと言えば、気配しかないのだ。

 そして魔力を持たない真理たちと、膨大な魔力の塊と言ってもいい美遊たち。
 魔力を感知できる者にとって、そのどちらが見つけやすいかなど考えるまでもない。


「だから暫くは、このまま待機。安全だと確信出来たら、それから転身して治癒をする」
『………わかりました。では、周囲への警戒は任せてください。それくらいならバーサーカーに気付かれる事はないでしょう』
「お願い。私はちょっと休む」

 そう言うと美優は、瓦礫の中から身を隠せるだけの隙間を見つけ出し、そこで体を横たえた。
 そのまま眠る様に目蓋を閉じる。

(真理さん、タケシさん―――イリヤ。
 みんな、無事でいて)

 そう、心から願いながら。


【D-7/美国邸跡地/一日目 黎明】

【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:ダメージ(中)、
[装備]:カレイドステッキサファイア
[道具]:基本支給品一式、クラスカード(アサシン)@プリズマ☆イリヤ(二時間使用不可能)、支給品0〜1(確認済み)、タケシの弁当
[思考・状況]
基本:イリヤを探す
1:今は休む
2:園田真理、タケシの安否を確認したい
3:凛を始め、知り合いを探す
4:真理の知り合いと出会えたら、真理のことを伝える
5:『オルフェノク』には気をつける
6:町村にある『衛宮邸』が気になる。行けるなら行って確認してみたい
[備考]
※参戦時期はツヴァイ!の特別編以降
※真理から『パラダイス・ロスト』の世界とカイザギア、オルフェノクについての簡単な説明を受けました
※真理から『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えてもらいましたが、誰がオルフェノクかまでは教えてもらっていません
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません


【クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
バーサーカーに支給。
アサシンのサーヴァントの姿が描かれたカード。
限定展開する事で、カレイドステッキがマスターの写し身に一時的に変化する。
が、その代わりマスターの多元転身(プリズムトランス)は解除される。
一度使用すると、二時間使用不可能。


[全体の備考]
※【D-7】の美国邸は全壊しました。跡地中央部にはクレーターが形成されています。

499 ◆UOJEIq.Rys:2011/07/18(月) 21:02:31 ID:jiFHHUsA
以上で投下を終了します。
何か意見や、修正すべき点などが有りましたらおねがいいたします。

500名無しさん:2011/07/18(月) 21:15:40 ID:Qq63qdLw
投下乙。
あぶねー、美遊ギリギリであぶねー!
死人が出なくてもヤバイ感がジリジリきてるわぁ……そろそろ、被害者が出るな。

501名無しさん:2011/07/18(月) 22:10:37 ID:1zMDH4Js
投下乙です

生きてるー!もうダメかなと思ったら誤魔化せれたよ
バサカはまだスコア0だが、対抗馬はいるにはいるが…

502 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/18(月) 22:49:49 ID:x7Pf2QwE
>>487
投下乙ですー。
Lは相変わらず頭脳が凄い。  咲世子さんも強力だし心強い。 
しかしこのロワ頭いいキャラ多いなw

>>499
投下乙ですー。
おお、バサカほんと怖いな。 美遊はがんばった。
本編でも思ったけどアサシンのカードは便利ねw

ちょっと自作の修正なんですが、どういう間違いか崩壊したスマートブレインビルを北と書いてました。
wiki収録後に西に直しますー。

503名無しさん:2011/07/18(月) 23:06:20 ID:P3gRKcB.
投下乙です

普通の人間無差別マーダーと違って
感情の揺れがないし、説得無理だから
存在するだけで重圧かけるな(他参加者、視聴者共に

爆音たてて美国邸全壊したから他の人きそうで
美遊心配だなぁ

504 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:25:06 ID:JIjWg/Tw
N 投下します

505「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:25:57 ID:JIjWg/Tw

ズドン! と部屋が揺れる。

バキン! と音を立てて、おもちゃが壊れる。

ダン! とボールが壁に叩きつけられて、何回もバウンドする。

ガルルルルルルゥゥゥゥッ!! と獰猛な唸り声が、部屋に木霊する。

ボクの部屋には、嵐が吹き荒れていた。
嵐の正体を『ポケモン』といった。

憎悪と怒りでその身を焦がしたポケモンたちは、
彼らは小さな体から考えられないほどの大きな暴力で、
ボクのオモチャを踏みしだき、
ドアを壊して外に出ようと部屋を揺らし、
壁に掛けられた絵画を叩き落とし、
ハーフパイプに大きな引っかき傷をつけ、
小さな部屋中に破壊を振りまいていた。

ボクは、トイボックスの中に隠れて、その嵐をやり過ごしていた。

ボクは、彼らの名前を知らない。
彼らの種族名は父親に教えてもらったけれど、それは人間が分類する為に定義した便宜上の名前であって、個体としての名前ではない。
教えてもらえるほど、彼らはボクに心を開いてくれていない。

――ガタン!

『彼ら』の鋭利な爪が、トイボックスを抉る。
トイボックスがガタガタと揺れ、ボクを守る頼りない鎧がかろうじて持ちこたえる。
ボクの体が、恐怖で震える。

ボクは、彼らに何をしたわけでもない。
だのに、彼らは怒り狂っていた。
その怒りの対象はボクであり、しかしボクではない。
過去の一時、ヒトに飼われていたはずの彼らは、
『ボクの部屋』という『ヒトの空間』が我慢できなかったのだ。

506「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:26:27 ID:JIjWg/Tw
理不尽だった。
それでも、ボクは彼らを、『ポケモン』という生き物を、
どうしても憎むことができなかった。

憎むことができなかったのは、
彼らの想いが、憎しみが、ダイレクトに伝わってしまうためだった。
彼らも、苦しくて、感情を抑えられなくて、しかたがなかったのだ。

人間が、憎いと。
人間に、傷つけられたと。
人間に、酷い目に遭わされたと。
この身を、人間のいる場所に置かないでほしいと。

暴れながら、彼らはその想いを切々とボクに訴えていた。
ボクが傷つくよりも、過去に彼らがずっと傷ついてきたことが、分かってしまった。

彼らを助けたい。
彼らと、トモダチになりたい。
それがボクの、偽らざる気持ち。

怯えながら、震えながら、ボクはどうしてこの世界に、こんな理不尽があるのか、考え続けていた。

――まだ、ボクが『ほんとうの名前』を失う前の話。



◆    ◇    ◆

「入場料は……いらないようだね」
「ピカ!」

ゆっくりとやって来たゴンドラは、Nとピカチュウの元に到着すると自動でその扉を開いた。
Nとそのトモダチは、若干のワクワクを隠そうともせずに、ゴンドラへと乗り込む。

507「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:27:10 ID:JIjWg/Tw

「ピカ〜」
トモダチは窓の桟に乗って、ガラス窓に顔をくっつけていた。

ゆっくり、ゆっくりとゴンドラが上昇し、
だんだん、だんだんと眼下の景色が広がって行くのを見守る。

「観覧車の速度が一定を保てるのは、ゴンドラが均等にバランスよく配置されているからなんだよ。
……もしこれが偏って配置されていれば、上方に行くにしたがって速度はゆっくりになり、下方に向かうに従って速度が減少する。
この働きは力学的エネルギー保存に従っているね。
高いところでは位置エネルギーが大きくなる分、運動エネルギーが小さくなり、低いところではその逆の作用が働く。
それだけデリケートな運動を、寸分の狂いもなく永久に続けられる……。
……観覧車は、力学のバランスが実に優れている乗り物なんだ」

「……………………………ピカ?」
「……キミには少し難しかったかもしれないね」

夜風に吹かれて、ゴンドラが少し揺れる。
遊園地の外の光景を見せ始めた夜景が、少し傾ぐ。
以前にライモンシティで『あのトレーナー』と相乗りした時とは異なり、
その景色はどこかわびしく、寂寥感を抱かせるものだった。
もっともNは特殊な育ちのせいで、『寂しさ』が身近なものだったのだが。
おそらく、時間帯が夜であることと、灯りのついている建物が少なすぎるせいだろう。
眼下に広がる景色は、森と草原が大部分を占める。
地図を見る限りでは、高度が上がれば市街地も見えてくるはずだ。
ただ、そんな森の中にも、ぽつぽつと点のような光が見える。
おそらく、地図に書かれていた『病院』や『フレンドリーショップ』の施設だろう。
病院はとっくに閉まっている時間のはずだが、この遊園地だって本来なら閉園しているはずの時間だ。
この会場限定で施設が営業していたとしても、おかしなことはない。

「そう言えば、キミには『サトシ』というトレーナー以外に、知り合いはいないのかな?
ボクのディパックには、参加者名簿が入っていたからね。
読み上げてみるから、知っている名前があったら教えてくれないか」
「……ピカ!」
Nにとって父にあたるゲーチスが呼ばれているように、
『サトシ』という少年にも知り合いとなる人間が呼ばれているかもしれない。
把握している参加者の数は、多いに越したことはない。

508「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:28:02 ID:JIjWg/Tw
ピカチュウが『知っている』と答えてくれた名前は全部で五つ。
『オーキド博士』
『シロナ』
『タケシ』
『ヒカリ』
『ニャース』

オーキド博士やシロナは研究者やトレーナーとして著名な存在だ。
一介のトレーナーが旅をする中で彼らと知り合い、影響を受けていたとしても特におかしなことなない。
タケシとヒカリとは、サトシ少年と共に旅をしているトレーナー仲間らしい。
そう言えば『あの子』にも『チェレン』と『ベル』という友人がいた。
ベルという少女は、危険だからと旅することを親に禁じられていたという。
なるほど、子どもには危険な道中を、仲間を作って旅しようとするのも、ありそうなことだろう。
ただ、『ニャース』という存在は少々興味深かった。
ポケモンでありながら、トレーナーに指示されるのではなく、
自らの意思で悪の組織に所属し、ポケモンを強奪する側に回っているのだという。
ピュアで嘘をつかないポケモンばかりを目にしてきたNにとって、その存在は少なからず衝撃をもたらした。
ただ、同胞を売りさばく冷酷な悪のポケモンなのかというと、あまりそういう印象はなく、むしろ失敗ばかりするこりない奴らの一人、という説明だった。

しかし、どちらにせよあのアカギという男、人間のみならずポケモンまで『参加者』の内に数え上げ、
生き延びたければその爪で人を殺して見せろと強要しているのだ。
改めて、Nの『主催者を打ち倒さねば』という決意が――


「ピカ! ピカチュ、ピ!」


窓の桟に立っていたトモダチが、窓をどんどん叩きながら警告を発した。
「何か見えたのかい?」
トモダチの視線が向かう先は、北西の山の斜面。
そこに立ち上る、一条の煙。

509「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:28:32 ID:JIjWg/Tw
Nは努めて冷静さを保ち、地図を取り出す。
双眼鏡を使い、その煙の発信源を拡大して確かめる。
やや大きな古びた建物が、炎に包まれていた。

「あれは……地図にある『古びた教会』という場所だ」

なぜ、古びた教会があのように大炎上を遂げることになったのか?
問題を数式にして組み立てるまでもなく、答えは明白だ。

あの場所で、戦闘行為が起こったから。

炎ポケモンの吐く炎が飛火したのかもしれないし、人間が爆発物を爆発させたのかもしれない。
しかし、あの場所で殺し合いを強いられた参加者同士の激突があったことは明白。

「ピカピカ、ピ、ピカッチュ!!」
トモダチも、同じ結論に達したようだ。
観覧車を降りたら、すぐにあの場所に向かおうと提案している。

「危険ではあるが、向かわないわけにもいかないな、しかし……」

トモダチの真摯な表情を見下ろして、Nの胸が痛んだ。

できることなら、トモダチの意思は尊重したい。
しかしNは、珍しくトモダチに対して迷いを見せてしまった。
「ピ……?」

あの場所では、戦闘行為が行われた。
それはつまり、あの場所には危険が存在したか、現在進行で存在するということでもあるのだ。

その場所にトモダチと向かうということ――それすなわち、トモダチの身を危険に晒してしまうことになる。

510「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:29:43 ID:JIjWg/Tw

Nは命に貴賎を持たない。
ポケモンを救おうと運動をしているのも、ポケモンと人間の共存を願うが為であり、決して人間が憎いからではない。
それでも、『人間とポケモン、どちらの命を救うか』とダイレクトに二択で突きつけられたら――その時は、苦しくとも、ポケモンの命を優先する。

Nの初心は、幼い頃、あの部屋で誓った『苦しむポケモンを救ってみせる』という想いにあるのだから。

それが『人間同士の争いを停戦させる為に、武器としてポケモンを持ちだすか』という形ならば、答えはより明確だ。

あの場所に向かうこと自体に依存はない。
ただ、あの場所で戦闘行為をしたのが、
人間と支給されたポケモンの起こした戦闘なのか、
それとも人間同士の戦闘なのかで、
Nの背負うリスクとリターンは変わってしまう。

あの古い教会には、殺し合いに乗った人間がいた可能性が高い。
そんな人間に対処する為に、トモダチを戦わせることには抵抗がある。
しかし、その人間もまたポケモンに殺人の命令を強いているとなれば、そうも言っていられない。
ピカチュウというトモダチを守りたいように、Nはそのポケモンもまた、守りたいのだ。


そして、ポケモンがいるかどうかを抜きにしても、あの場所へと向かうリターンは存在する。
この殺し合いを打開するには、仲間の存在が不可欠。
参加者の誰かが襲われているとなれば、その場所へと駈けつけ、その誰かを救わねばならない。
そういう人間との接触により、殺し合いに乗った人間の情報収集も重要となる。
というより、あの煙を見た大多数の参加者は、本来ならこちらを主目的として、あの教会に駈けつけるのだろう。


しかし、単純な『己の命惜しさに殺し合いに乗った人間同士の戦闘』にピカチュウを連れて介入するとなれば、

――なぜ人間同士の争いで、ポケモンが傷つかねばならないのか。
心の底で、そう思ってしまう己がいることを、Nは自覚した。

511「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:30:24 ID:JIjWg/Tw
なぜ、人間の都合にポケモンを巻き込むのか。
なぜ、己の欲の為にポケモンを傷つけるのか。
なぜ、人間とポケモンとが、別々の場所で住み分けることができないのか。
それは、幼少期のNがまぎれもなく抱いていた感情だったのだ。

(浅ましい考えだな……)
しかし、そういう己を恥じる心も、Nはまた持ち合わせていた。

Nは争いを好まない。
あの場所で危機にひんしている人間がいるなら、その人間を助けたいという気持ちもまた存在する。
自分のように、理不尽に攻撃され、傷つけられる人は、できれば少なくあってほしい。
敵意を向けられること、圧倒的な暴力で攻撃されること、
その恐ろしさを、Nはよく知っているのだから。
あの部屋で恐怖に震えていた体験が、『同じ想いをしてほしくない』という単純かつシンプルな感情をはじき出す。

同じ思い出から、全く異なる情動を抱いてしまう。
数式では決してあり得ない、言わば一次元方程式から二つの解を得てしまったような葛藤。
なんとも複雑な、Nのメンタリティ。


「ピカ、チュウ……?」
気づけばピカチュウがNの膝に乗り、心配するような眼でNを見ていた。
その心配の半分は、Nに向けられたもの。しかし残りの半分は……
「サトシというトレーナーが、心配なんだね……」
「ピカ……」
彼がトレーナーをどれだけ慕っているのかを、Nは知らされたばかりだ。
そのトレーナーが『あの場所にいるかもしれない』と想像すれば、
ピカチュウの『もしも……』という強い不安が、そのままNに伝わる。

迷っている場合ではないと、気づかされた。
何より、ピカチュウ自身があの場所に向かうことを望んでいるのだ。
それなのに、彼のトモダチであるNが迷っていてどうするのか。

「分かった、あの場所に向かおう。ただその前に、ボクの考えを聞いてほしいんだ」
「ピカピ…?」

512「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:31:01 ID:JIjWg/Tw
Nは下降を始めた観覧車の中で、己の策(策という程でもないが)を語った。

あの場所で戦闘行為が行われたとなれば、そこにいる人やポケモンを助けに行かねばならない。
これはNとピカチュウの共通認識。
しかし、建物があれだけ派手に燃えているとなれば、あの場所での戦闘行為は既に終了しているか、
あるいは戦闘の場所を移してしまった可能性が高い。

それならば、まずはフレンドリーショップで使えそうな道具を調達してから、教会に駈けつけた方が上策ではないだろうか。
あの戦闘で怪我をした人やポケモンが周囲にいるかもしれないし、そういう時に包帯や薬があるとないとではずいぶん違うだろう。
フレンドリーショップは基本的にポケモンの道具を扱う場所だが、薬品の中には人間に使えそうな道具だってあるだろう。
それに幸い、フレンドリーショップは遊園地からも教会からもほぼ等距離にあり、それほど遠回りにならない。

そういうことをピカチュウに話すと、トモダチは「ピカピチュ!」と感心してくれた。
トモダチばかりを戦わせることに罪悪感を感じている分、こういう面で役に立てることは嬉しいと思う。

その喜んだ姿に、
Nは、未だ面識のない『サトシ』が無事であってほしいと思った。


【C−5/観覧車のゴンドラの中/一日目 深夜】

【N@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:サトシのピカチュウ(体力:満タン)
[道具]:基本支給品、カイザポインター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:アカギに捕らわれてるポケモンを救い出し、トモダチになる
1:フレンドリーショップで準備をしてから教会跡へと向かう。
2:世界の秘密を解くための仲間を集める
3:ピカチュウのトレーナー(サトシ)を探してあげたい
4:人を傷付けはしない。なるべくポケモンを戦わせたくはない
5:シロナ、オーキド、サカキとは会って話がしてみたいな。ゲーチスも探しておこう
[備考]
※原作での主人公が男性/女性なのか、手にした伝説のポケモンがゼクロム/レシラムなのかはぼかしてあります。
※アカギおよびギンガ団についてある程度のことを知っています。
※アカギの背後にいた存在(ポケモン)の声を聞きました。Nはディアルガとパルキアと予測しています。
※ピカチュウとトモダチになりました。モンスターボールから出したままです。
※ピカチュウから、タケシ、ヒカリ、ニャースの簡単な情報を教わりました。

513「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:31:52 ID:JIjWg/Tw
投下終了です

514「No Name」 ◆8nn53GQqtY:2011/07/19(火) 01:33:46 ID:JIjWg/Tw
参考までに

Nの部屋↓

ttp://dic.nicovideo.jp/a/n%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B

515名無しさん:2011/07/19(火) 02:05:29 ID:BI1xMWX.
投下乙です

N……ピカチュウ……報われないというか、哀れだなぁ
施設としてNの城がある以上、Nの部屋もあるんだよな。誰か入った時、どんな反応するんだろ

そういや位置的にゲーチスとそう離れてないよな。遭遇したらどうなるのやら……

516名無しさん:2011/07/19(火) 02:12:26 ID:gRb8u6qw
投下乙!
既にサトシが死んでることを考えると、なんだか悲しいな…
ひとつ気になったんだけど、ピカチュウってミュウツーの名前知らないんだっけ?

517名無しさん:2011/07/19(火) 02:32:38 ID:gRb8u6qw
調べてみたら映画の最後でサトシたちって記憶消されてたのか…
ジョウトで再開した時もたぶん名乗ってないだろうし、知らなくて問題ないわけか。
というわけで自己解決しました。すいません。

518名無しさん:2011/07/19(火) 02:44:23 ID:vneGshqo
投下乙

Nの部屋は初見プレイで衝撃だったな
以前から異常とは思ってたけど、Nの部屋で人為的に異常にしたって分かった時
ショックと同時にやっぱりなと思った

Nを理解してくれる人が仲間になってくれればいいが・・・

519名無しさん:2011/07/19(火) 03:52:46 ID:gRb8u6qw
今wikipediaで「ブラック・ホワイトの登場人物」調べて知ったけど、最初に出てきた部屋の描写はゲーチスの策略だったのか…
ゲーチスマジ鬼畜だな。
Nの思想形成の裏にこんな陰謀があったとは…
うー、プレイしてみたいけど合併版まで待ちたいからなあ…

520 ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:44:55 ID:WZEIxPUo
ナナリー投下します

521The Third ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:51:49 ID:WZEIxPUo
「それは本当なの、ネモ!?」

『あぁ。その名簿の内容が嘘でなければの話だが……』

「そんな……。お兄様やスザクさん、アリスちゃんたちまでこの『儀式』に参加させられているだなんて……」

 ネモから告げられた事実にナナリーは驚きを隠せなかった。
 彼女が言うには、名簿にはルルーシュやスザク、C.C.やアリスといった自分たちに縁があるものの名前が多く載っていたという。

 ――だが、同時に疑問も浮かぶ。

「……でもネモ、変じゃないかしら? 確かゼロはお兄様と、あなたのオリジナルであるC.C.が契約して融合した姿のはず……
 何故、お兄様とC.C.、そしてゼロの名前がそれぞれ別々に載っているのかしら?」

『あぁ、それは私も一番気になっていた。
 お兄様とC.C.に関しては、アカギによって強制的に分離させられているのかもしれん。我ながら少し無茶がある仮説だがな。
 しかし……そうなると、この名簿に載っているゼロは何者なのかという疑問が残ってしまう』

「……同じ名前の別人って可能性はない?」

『ふむ……。まぁ、ありえない話ではないな。本名にしろ偽名にしろ、ゼロという名はそれほど珍しいものでもない』

 そう言いながら、ネモは先ほどナナリーに見せてもらった名簿の内容を思い返していた。


 ――ネモが名簿に目を通して最初に抱いた感想が「ナナリーと自身に関係が深い者の名が非常に多い」ということであった。

 まず、ナナリーの兄であるルルーシュ・ランペルージ。
 その旧友であり現在はブリタニアの軍人である枢木スザク。
 ルルーシュと契約した魔女にして、ネモのオリジナルであるC.C.。
 ナナリーの学園での友人であるアリス。
 ランペルージ兄妹の使用人である篠崎咲世子。
 ナナリーの異母姉であるユーフェミア・リ・ブリタニア。
 そして、人造ギアスユーザーであるマオ。

 ゼロを除いても、その数は七名。
 参加者名簿に載っていた全参加者のおよそ八分の一に相当する数だ。

522The Third ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:52:51 ID:WZEIxPUo
(この人選……まるで、ナナリーを中心に参加者を選出したように見えるが……何か意味があるのか?)


 そして、次に抱いた感想が「同姓や似たような名前の者が多い」という点だ。

 例えば、『N』と『L』、『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』と『クロエ・フォン・アインツベルン』、『夜神月』と『夜神総一郎』などがそれにあたる。
 ルルーシュとナナリーのように、親族でこの『儀式』に参加させられている可能性も十分あるが、該当する者たちが本当に全員親族なのかどうかはまだ疑問に残る。

 ――なぜなら、名簿の中に『ロロ・ランペルージ』なる名前が存在したからだ。

 元々『ランペルージ』という姓は、ルルーシュとナナリーが自らの身分を隠すために用いている『実際には存在しない家名』だ。
 そのため、本来ならこのファミリーネームを持つ者は二人以外存在しない。

(――だが、現に『ロロ・ランペルージ』という名は名簿に存在している……
 アカギの奴がナナリーたちを混乱させるために、意図的に実在しない者の名前を加えているという可能性も十分ありえるが……)

 もう一人の『ランペルージ』の名を持つ者――果たして本当に実在するのか、しないのかは定かではない。
 だが、この『儀式』の場において、ネモとナナリーが調べるべき課題が増えたことに間違いはなかった。


 ――この時ネモは、先ほど自分たちが遭遇した少年が口にしていた『兄さん』という単語を完全に失念していた。

 それが結果として、吉と出るか凶と出るかは、後々になればわかることだが――


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


『それでナナリー、次はどこに向かうんだ?
 その地図が本当に正しければ、現在私たちがいる場所は相当辺境に位置するぞ?』

「まずは人が多く集まりそうな場所を目指しましょう。
 ……ところでネモ、この端末だけど、本当に電源点けっ放しでいいのかしら?」

『バッテリーはまだ十分余裕があるのだろう? なら、常に点けておけ。
 未来線が思うように見えなくなっている以上、私が察知できる気配にも限界がある』

 現在ナナリーの手には、地図とコンパスとデバイス、そして彼女に支給されたある端末が握られている。

 その端末の形は丸く、同じく丸い形をした液晶には、赤い点を中心に周囲のマップが表示されていた――

523The Third ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:54:44 ID:WZEIxPUo
 端末の名は『呪術式探知機』。
 探知機から半径50メートルのマップを繊細に表示し、同時に範囲内に存在する『呪術式』――すなわち『プレイヤー』を赤い点という形で表示するアイテムである。
 つまり、現在液晶の中心に位置している赤い点はナナリーということになる。

『――それに、その端末は使いようによってはどのような道具よりも強力な武器になるだろう。だから、決して手放すんじゃないぞナナリー』

「ええ……」

『他にも何か役立ちそうな物が入っていればよかったんだが……。正直、他は我々には使えるようなものではないからな……』

 そう言いながらネモは、チラリとナナリーの車椅子に提げられている口が開きっ放しのデイパックを見た。
 現在その中には、水や食料といった参加者共通の支給品の他に、ある二つの道具が入っている。

 ひとつは、『ファイズアクセル』というデジタル腕時計。
 一見ただの腕時計だが、付属していた説明書によると、『ファイズ』という戦士をさらなる姿へと変身させることができる外部ツールらしい。
 ――だが、ナナリーもネモも『ファイズ』という名前には全く聞き覚えがなかったので、彼女たちからしてみれば完全にハズレに該当する品だった。

 そして、もうひとつが『プロテクター』。
 読んで字の如く、本当にただのプロテクターである。
 一応、付属の説明書には『あるポケモンに装備させると、その秘められた力が開放される』という文が綴られていたが、これまたナナリーとネモには全く聞き覚えのない名前だったため、完全にハズレだった。
 「そもそも、プロテクターを付けたくらいで何が開放されるのだ?」とは、その説明書を読んだ時のネモの談である。


『人が多く集まりそうな所というと……一番近いところは南の方にある『人間居住地』とかいう場所だな。
 だが、ここは周囲を深い森林地帯が覆っている。車椅子であるお前には行くのは少し厳しいかもしれないな』

 今いる山岳地帯も十分厳しいがな、と苦笑いを浮かべながらネモはナナリーに言う。

「――でも、この近隣のエリアで人が集まりそうな場所はそこしか無いのでしょう?」

『まぁ、そうだな……ん? いや、待てナナリー。
 人が集まりそうな場所とは言えないかもしれんが、今我々がいるエリアから最も近い場所に、一箇所名所があるようだ』

「どこ?」

『隣の『A-6』のエリアに洞窟があるらしい。そして、地図によるとその洞窟は『流星塾』という施設と繋がっているそうだ』

「塾? 名前からして教育施設かしら?」

『何故洞窟と繋がっているのかはわからんが、私たちがいる山岳地帯の数少ない名所のひとつのようだ。行って調べてみる価値はあるんじゃないのか?』

524The Third ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:55:18 ID:WZEIxPUo
「…………」

 ネモの問に、ナナリーはしばらくの間、無言で考えを巡らす。

 ナナリーたちの目的は、この『儀式』という殺し合いを一刻も早く止めることだ。
 そのため、本来ならばこのような所で道草を食う暇は無いのだが――

「……行ってみましょう。今の私たちには殺し合いを止める以前に、所持している情報があまりにも少なすぎる。
 自分たちの力だけでも得られる情報があるなら、ひとつでも多く知っておいたほうがいいと思う……!」

『そうだな……。ならば善は急げとも言う。早速出発しよう』

「ええ」


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ――ナナリー・ランペルージには、戦いを止めるための力がある。
 だが、その力も現在は何らかの要因で制限されてしまっている。

 ――故に、彼女は自分たちに今最も必要なのは情報だと考えた。
 『情報』とは、いつの時代においても、物事を動かすための強力な武器となるもの。
 たとえ、その時は全く役に立たない些細な情報であっても、後々思わぬ形で役立つこともあるからだ。


 ――だが、そんな情報を探し求めているナナリー自身が、既にひとつの情報を見落としていた。

525The Third ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:55:56 ID:WZEIxPUo
 それは、先ほど出会ったギアスユーザーの少年が、違う世界における自身の義理の兄か弟にあたる存在――
 すなわち、名簿に載っていたもう一人の『ランペルージ』の名を持つ者、ロロ・ランペルージだったということだ。

 それをナナリーたちが知る時は、果たして訪れるのであろうか?


【A-5/山間部/一日目 黎明】

【ナナリー・ランペルージ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:呪術式探知機(バッテリー残量9割以上)、ネモ(憑依中)
[道具]:基本支給品、ファイズアクセル@仮面ライダー555、プロテクター@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:『流星塾』に行く
2:とにかく情報を集める
3:人が多く集まりそうな場所へ行きたい
4:ルルーシュやスザク、アリスたちと合流したい
5:ロロ・ランペルージ(名前は知らない)ともう一度会い、できたら話をしてみたい
[備考]
※参戦時期は、三巻のCODE13とCODE14の間(マオ戦後、ナリタ攻防戦前)
※ネモの姿と声はナナリーにしか認識できていませんが、参加者の中にはマオの様に例外的に認識できる者がいる可能性があります
※ロロ・ランペルージ(名前は知らない)には、自分と同じように大切な兄がいると考えています。ただし、その兄がルルーシュであることには気づいていません
※マオのギアス『ザ・リフレイン』の効果で、マオと出会った前後の記憶をはっきりと覚えていません
※ネモを通して、ルルーシュら一部参加者の名前を知りましたが、まだ全ての参加者の名を確認していません


【ネモ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康、ナナリーに憑依中
[思考・状況]
基本:ナナリーの意思に従い、この殺し合いを止める
1:とにかく情報を集める
2:参加者名簿の内容に半信半疑。『ロロ・ランペルージ』という名前が気になる
3:ロロ・ランペルージ(名前は知らない)を警戒
4:マオを警戒
[備考]
※ロロ・ランペルージの顔は覚えましたが、名前は知りません
※ロロ・ランペルージを、河口湖で遭遇したギアスユーザーではないかと認識しています
※アカギは、エデンバイタルに干渉できる力があるのではないかと考えています
※琢磨死亡時、アカギの後ろにいた『何か』の存在に気が付きました。その『何か』がアカギの力の源ではないかと推測しています
※参加者名簿で参加者の名前をを確認しましたが、ナナリーにはルルーシュら一部の者の名前しか教えていません
※マオが自分たちの時間軸では既に死亡していることは知りません
※ナナリーに名簿に載っていた『ロロ・ランペルージ』の名前を教えたかどうかは後続の書き手にお任せます

526The Third ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:58:46 ID:WZEIxPUo
【「未来線を読むギアス」の制限について】
ナナリーおよびネモの「未来線を読むギアス」には、以下の制限がかけられています
1:争いの元である未来線を読み、アカギの居場所を特定する事は不可能
2:予知できる未来のビジョンは断片的なものであり、何が起こるかははっきりとはわからない
3:相手の攻撃を未来線で読むことについても、何かしらの制限がかかっている可能性があります


【マークネモ召喚について】
マークネモを召喚できる時間に制限があります。
召喚してから一定時間を過ぎると、強制的に量子シフトがかかりどこかへと転移します。
また、再度呼び出すのにもある程度間を置く必要があります。
(この再召喚に必要な時間の詳細は、後続の書き手にお任せします)


【支給品解説】

【呪術式探知機】
半径50メートルのマップを繊細に表示し、同時に範囲内に存在する『呪術式』(要は『プレイヤー』)を赤い点という形で表示する端末。
バッテリー式で、バッテリーが切れたら何らかの方法で充電をする必要がある。

【ファイズアクセル@仮面ライダー555】
ファイズ用のデジタル腕時計型コントロールデバイス。プラットフォームにミッションメモリーと同型のプログラムキーである『アクセルメモリー』が装填されている。
この『アクセルメモリー』をファイズフォンのプラットフォームに挿入すると、「Complete」の電子音と共に、ファイズのフォームが通常形態から超高速形態であるアクセルフォームにフォームチェンジする。
なお、上記の理由から『アクセルメモリー』を挿入する際は、ファイズフォンのミッションメモリーを別のツールにセットした状態にしておく必要がある。
アクセルフォームにフォームチェンジ直後は、『アイドリングモード』と呼ばれる待機状態であり、ファイズアクセルのスタータースイッチを押すことにより「Start Up」の電子音と共に超加速状態である『アクセルモード』に移行。
『アクセルモード』時は、あらゆる動作を通常の1000倍の速度で行うことが可能となる。
『アクセルモード』起動より10秒(『アイドリングモード』では35秒)が経過すると「Time Out」、次いで「Reformation」の電子音が発し、通常形態のファイズに戻る。
超加速に加え、クリムゾンスマッシュなどの各種必殺技をエクシードチャージ無しで連続して放つことができるようになるが、胸部装甲の『フルメタルラング』が展開するため、通常時のファイズよりも防御力が低下してしまう。
ちなみに、通常の腕時計型としても使用可能。

【プロテクター@ポケットモンスター(ゲーム)】
茶色いだけのただのプロテクターだが、ゲーム版ではこれをサイドンに持たせて通信交換をすることでドサイドンに進化させることができる。
『ダイヤモンド・パール』当時、サイドンという大きな壁に常に苦渋を舐めさせられていた全世界のゴローニャ使いをさらに涙目にさせた最大の戦犯アイテム。
『通信交換』という概念がない本ロワにおいては、サイドンがこれを装備した瞬間、ドサイドンに進化する。

527 ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 11:59:34 ID:WZEIxPUo
投下終了
誤字や脱字、ご指摘などがございましたら、よろしくお願いします

528名無しさん:2011/07/19(火) 13:39:04 ID:cq0P4Ekw
投下乙
支給品の呪術式探知機サカキと被ってね?
別物扱い?

529 ◆rNn3lLuznA:2011/07/19(火) 15:01:52 ID:WZEIxPUo
>>528
サカキの高性能デバイスは『自身のいるエリアとその詳細なマップ、そのエリアにいるプレイヤーの人数“だけ”を教える』アイテムらしいので、
『半径50メートルの詳細なマップと、その範囲内にいるプレイヤーの詳細な居場所が分かる(ただし、範囲外には何人いるかはわからない)』呪術式探知機(要はレーダー)とは別物と考え登場させました

530名無しさん:2011/07/19(火) 17:59:22 ID:chkOsxDw
投下乙です

レーダーは議論対象になりやすいけど、半径50メートルならまだ有りかな?

そして行き先が流星塾ということは…
やったねタケシ!両手に花だよ!

531 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/19(火) 18:08:36 ID:PMUiYirM
投下乙れす

むう、元々強力なアイテムであるレーダーが細部に違いはあれ二つもあるというのは後ゞバランスに影響が出そうで恐い気も。
大丈夫だ、問題ないとの意見が多ければ杞憂なのですが……
まあ、いざとなれば壊せばいいわけですが。

内容的にはとりあえずタケシ爆発しろ。

532名無しさん:2011/07/19(火) 22:36:16 ID:60OgXb4Q
投下乙です

確かに塾の方に行くかなと思ったら。タケシは…放送後の件もあるから爆発しろとは言わんわ
やっぱり名簿見たら混乱したが襲撃してきたロロと絡めて考えないか。まぁ、パラレルとか普通考えないよなw
レーダーは50メートルぐらいならいいんじゃないの。電池切れの場合もあるしw

533 ◆zYiky9KVqk:2011/07/19(火) 23:40:20 ID:w6TVfZJ.
えーとこっちでいいのかな?

wiki収録されるまで待つ気でしたが続きの予約が入られたので
とりあえず032話まで収録しておきました
ページ制作は初めてだったのでミスがないか確認をお願いします

指摘された場所の修正ですが
ファイズブラスターの説明書に変身資格についてを追加
それに合わせて各所を修正
他少し加筆修正させてもらいました
大筋に変化はないです

534 ◆4EDMfWv86Q:2011/07/21(木) 02:32:09 ID:jABnc4Fw
概ね好意的な意見が多いようなので私の意見は取り消しますよ

535 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:21:35 ID:.a2CkkOA
草加雅人、鹿目まどか、佐倉杏子、夜神総一郎を投下します

536名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:22:23 ID:.a2CkkOA


「こんなのありえない……」
 草加は鹿目まどかのつぶやきを耳にした。
 二つのふさにまとめられた髪型。幼く可愛らしい小顔。
 背丈が低く、小動物のような印象を与えている。
 昔から想っていた幼なじみを彷彿させる要素はどこにもない。しいて言えば声だろうか。
 一瞬だけ真理を重ねたのは気のせいだろうと結論つける。


 ここは休憩用に見つけた民家である。夜道に慣れていないまどかを休ませるため、というのは表向きの理由だ。
 草加は真理を心配しているとはいえ、闇雲に探しに向かうほど愚かではない。
 現状を把握し、周りを警戒して、効率よく真理にたどり着く道筋を探す。
 現状はあまりにも情報が足りない。よって、自分のために息を潜める選択をしたのだ。
「杏子ちゃんも、さやかちゃんも、マミさんも……生きているはずはないのにッ!」
 まどかは語気が荒くなり、余裕をなくしていく。もともと追い詰められていたが、名簿の確認によって拍車がかかったようだ。
 放っておくのも面倒だ。草加の判断は早かった。
「まどかちゃん、落ち着いてゆっくり深呼吸をするんだ」
「で、でも……ッ!」
「いいから。まずは落ち着くことから始めないとね」
 爽やかな笑顔を浮かべ、まどかを落ち着かせる。優等生の仮面はつけ慣れていた。
 年下の少女を自分の都合のいい方へ誘導するなど、木場勇治を騙すことより簡単である。
 彼女は素直に深呼吸をしていた。単純だが現状だと頼るべき相手は自分くらいしかいないのだろう。
 ますます好都合だ。
 五回目の深呼吸をまどかが済ませたころ、草加は優しげな声をかけた。
「落ち着いたかい?」
「はい、なんとか……。でも、マミさんも、さやかちゃんも、杏子ちゃんも本当は死んでいるはずなんです。
この儀式に巻き込まれただなんて、絶対おかしい……」
「死人が蘇るか。まどかちゃんはそういう噂を聞いたことはないかな?」
 「噂?」とまどかは可愛らしく首をかしげた。
 死人がよみがえる現象は、草加にとって好ましい現象ではない。
 そう、それは――
「ここのところ、死人が怪物の能力と心を持って蘇る事件が発生しているんだ。
奴らは生前と変わらない生活を送りながらも、バケモノとして人を襲う薄汚い連中だ。
それがさっきも話したオルフェノクの正体。つまり、連中は死人がバケモノにされた存在なんだ」
「オルフェノク……待ってください! 草加さんはさやかちゃんたちがオルフェノクになったと言うんですか?」
「残念なことだが、その可能性が高い。生前と変わらないふりをするかもしれないが、騙されてはいけない。
奴らに人間の心は残っていないのだから」
 草加が断言しても、彼女は納得しきれていない。
 当然ではある。知り合いが自分を襲った怪物と同等の存在になったと聞かされたのだ。
 だが、まどかが草加の話を否定するのは別の理由があった。
 ゆえに、このときの会話を彼は後に感謝することになる。
「それは――ありえません。だって……だって……」
 まどかは大きく息を飲み、瞳を揺らしながら草加を正面に捉えた。

「みんな、キュゥべぇに騙されて、死人同然の魔法少女にされたもの!
もう一回生き返って……バケモノにされるなんてそんなのないよ……」

 草加は似つかわしくない単語の組み合わせに眉をひそめた。
 魔法少女など馬鹿らしいが、彼女のような年頃で夢見がちなら口にしてもおかしくはない。
 しかし、そこにオルフェノクのような『死人同然』という単語が絡んでいた。
 興味ないし放っておくことも選択肢に入れたが、すぐに考えなおす。
 情報が足りないと認識したばかりだ。それにこの刺青のこともある。
 どんな些細な情報でも貴重であるため、流すわけにはいかない。涙をためる彼女に近寄り、白いハンカチを差し出す。

537名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:22:58 ID:.a2CkkOA
「大丈夫、俺は味方だ。涙を拭いて、落ち着いたら話してくれないかな?」
「あ……ご、ごめんなさい……」
「気にすることはないさ。それに俺が年上だからってあらたまって話す必要はない。自然なままで構わないよ」
「はい、わかりまし……わかった」
 まどかは感謝するようにハンカチを受け取り、涙を吹きながら身の上を語った。

 魔女と魔法少女の戦いに巻き込まれたこと。
 華やかな魔法少女の力と、影である魔女の成り立ち。
 キュゥべえという理解不能な生物の理不尽な要求。
 魔法少女たちが立ち向かわなければならない『ワルプルギスの夜』の絶望感。

 すべてを聞いた草加はさすがに情報の処理に困った。
 彼女の友人たちがオルフェノクである可能性はたしかに低くなる。
 彼女はぼかしていたが、魔法少女はいわゆるゾンビに近い。
 魂が遠隔操作するラジコンといったところか。
 さすがのオルフェノクも、魂のない死体を怪物と化すのは不可能だろう。

 ただし、彼女の話が本当なら。
 草加としては貴重な情報だが、鵜呑みにするには危険なものだった。
 まどかは少々夢見がちな少女に見える。
 何かしら強いショックを受け、現実に耐えられず創りだした妄想、という可能性も捨てきれない。
 少し思案し、乱暴でリスクがあるが確実にオルフェノクかどうか確かめる手段を使うことにした。
「そうか……君も苦労したようだ」
「いえ、辛かったのはわたしより、マミさんやほむらちゃんだから。
だから、もしみんな生き返っているなら……ちゃんと確かめたい」
「安心していい。まずは俺が対応する。オルフェノクかどうか確かめる手段があるからね。
それにオルフェノクになる以外で死者が蘇ることは心当たりあるんだ。
むしろそっちの可能性が高いかもしれない」
「本当!?」
 まどかが目を輝かせてきた。
 草加にとってあまりいい思い出がない方法だ。むしろ最悪だと言っていい。
 不快感が込みあげるが表には出さない。ただ、手が気になってウェットティッシュで拭き始めた。
「ああ。そのことに関して今は詳しくは話せないが、可能性はある」
 だから希望を持とう、と草加は締めくくった。
 素直に従うまどかを観察しながら、地図に目を通した。
 気になる施設が一つある。少し遠いが次の目的地としてちょうどいい。
 そう結論つけたときだった。

 建物が倒壊する轟音が聞こえ、スマートブレイン本社が崩れ去るのを目撃したのは。



 周囲を警戒しながらも、草加はまどかを連れて外に出た。
 街の中央にそびえていたスマートブレイン本社が跡形もなく崩れている。
 憎いオルフェノクの象徴であるため、正直胸がスッとした。
 だが、個人的感情に流されるわけにはいかない。
 これはまずい状況である。スマートブレイン社はかなり大きい。
 そのビルを破壊できるほどの力を持つものか、支給品を持った参加者がいるのだ。
 さらに真理が巻き込まれているかどうかも心配だが、ここも安全ではない以上離れるのが常套手段となる。

538名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:23:35 ID:.a2CkkOA
 まどかという足手まといを伴って向かうのは危険だからだ。
 しかし、あちらで真理の安否を確認はしたい。離れるか、向かうか、どちらかはすぐに決めねば。
 ぐずぐすしている暇はない。草加は決断の時を迫られていた。
「おお……派手に壊れてんなー」
 物見山な少女の声がやけに大きく響く。
 イラッとくる態度だ。乱暴に草加が振り向いたとき、声は意外なところから上がる。
「杏子……ちゃん……?」
「おう。なんか死にぞなったらしい」
 タハハ、と引きつった笑顔で、杏子と呼ばれた少女は頬をかいている。
 後ろに控えている厳つい中年男性が「知り合いか?」と訪ねていた。
 年季を感じさせる佇まいから、鍛えていることを察する。
 少なくとも一般人ではないだろう。しかし、人は良さそうだ。ちょろい。
 とりあえず、まどかは彼女自身の知り合いにあったようだ。
 当の本人は驚きのあまり、ぼーっと杏子を見つめているだけだったが。
 約束もあるので、仕方ないと間に割って入る。
「なんだてめえ?」
「俺は草加雅人、通りすがりの大学生さ」
「杏子ちゃん、草加さんはわたしを助けてくれたの。だからいい人だよ」
「まどかちゃん、ちょっといいかな? 君、杏子ちゃんだっけ?」
「お前にちゃん付けで呼ばれたくねぇよ」
 つんけんした態度に内心『使えない』と判断する。この手の人間は見たことがあった。
 乾巧と同じく、自分を好きにならないタイプ。いつか始末したほうが無難だろう。
 もっとも、今手を出すわけにはいかない。ひとまず、まどかの信頼をより深めたほうがいい。
 そう判断して、草加はファイズドライバーを彼女に押し付けた。
「あん?」
「こいつを巻いて携帯電話の五を三回押してから、中央にセットしてくれないかな?」
「おい、なんでそんなことをする必要が……」
「杏子ちゃん、草加さんを信頼して。きっと、悪いようにはならないと思う」
 まどかの後押しもあって、杏子が黙る。
 草加は続けて後ろにいる中年男性へと指示を出すことにした。
「あの、すみませんがアナタもはもう少し左に移動してくれませんか?」
「構わないが……なにをするつもりだね?」
「すぐにわかります」
 短く切って、杏子へとさらに押し付ける。鬱陶しそうに杏子は受け取り、こちらの言うとおりにした。
 同時に草加もすぐに動けるよう準備をする。
 ボタンのプッシュ音が響き、彼女は面倒そうに中央へと差し込んだ。
「これでいいの……うわっ!」
 エラーの電子音が高らかに鳴り響く。杏子は悲鳴をあげて、ベルトが弾かれた。
 草加は飛んでくるベルトを回収し、杏子は予め指示した位置にいた男が受け止めた。
 唖然とするまどかをよそに、草加は相手がオルフェノクではないと理解した。
 もっとも、納得しているのは草加ひとりのみ。杏子は立ち上がり姿を一瞬で変えた。
 しかし、文字通り変身する彼にとっては、杏子のそれは変身というより着替えに近い。
「てめえ、なにしやがる!」
 まどかが止める暇もなく、杏子はフリルのついたスカートを翻して槍を突き出してきた。
 自分が「変身」とつぶやいたのは一瞬のこと。赤いブラッドラインを体に巡らせて、草加からファイズへと変わった。
 杏子の槍をあっさりと受け止めて、力を流す。
 もともと本気で突き殺すつもりはなかったのだろう。軽い。
「その姿はいったい? それに君もその力は……」
「おっさんは黙っていな。少しは楽しめそうじゃん!」
 杏子が距離を取り、男が驚愕の表情でこちらを見る。
 草加はまどかが静止の叫びを上げそうだと認識して、変身を解いた。
「なんのつもりだ、おい?」
「危険な目に遭わせたのは謝罪する。だけど、こちらにも事情があったんだ」
「うるせぇ! こっちは収まりがつかないんだ。さっさと変身しなお……」
「杏子ちゃん、お願いだから話を聞いてあげて! 草加さん、わたしもどういう事か知りたいです」

539名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:23:58 ID:.a2CkkOA
 杏子は舌打ちをしながら、槍を下ろした。変身を解かないのは当然だろう。
 草加は頷いて、一歩前に出る。
「まどかちゃん、これがオルフェノクかどうか確かめる手段なんだ」
「え……どういうことですか?」
 杏子と中年男性がついていけず、疑問符を浮かべるがひとまずおいておく。
「このベルトで変身できるのはオルフェノクか……」
 草加はわざと悲壮な表情を作った。
 同情心を集めておくことに越したことはない。
 それに、これから告げる話は心の底に深く突き刺さる事実でもある。

「俺のように改造された人間のどちらかしかいないんだ」

 まどかがハッと表情を変える。
 あまり他人に言いたくない事実だが、現状を丸く収めるにはこの話しかないだろう。
 草加は多少怒りを覚えながら、オルフェノクについて杏子たちに説明した。


 真実は多少異なる。
 正確にはオルフェノクの因子を植えつけられ、適応した人間が人のままベルトを使える。
 改造人間と説明した理由は、『魔法少女』という物語に憧れるまどかがいたからだ。
 魔法少女がいるのなら、『改造人間のヒーロー』がいても不思議ではない。
 少なくとも、まどかはそう思うだろう。
「じゃあ、アタシがそのオルフェノクかどうかって試すためにああしたわけか」
「その通りさ。ファイズになったとしても、すぐに奪い返せるよう準備はしたしね」
「ケッ、気に入らねえ」
 杏子はふてくされ、こちらを睨みつけた。
 女子中学生の眼光など痛くも痒くもない。
 華麗にスルーしたまま、夜神総一郎へ向き直る。
「俺が話した事情はこれですべてです。この儀式の名簿にも何人かオルフェノクが存在する。
あなた方も気をつけたほうがいい」
「ああ、理解した。こちらもキラ事件で超常現象を体験したばかりだ。
オルフェノクなどという存在が影にいたとしても、何ら不思議ではない。
ここから脱出したのなら、手を打てるよう検討しよう」
 対応は柔軟であったが、警察らしい物言いに内心苦笑する。
 さて、ここからが本題だ。
「ところで、園田真理という女性を見かけませんでしたか?」
「すまない。私は彼女とある映画を見ていてな」
「そうですか」
 使えないな、と内心見下す。再びスマートブレイン社によるべきか判断に迷った。
 もしも彼女になにかあったら、と思うと気が気でない。
 河原で母を見失った草加にとって彼女は光なのだ。
 安心すべき居場所。自分を理解してくれる女性。
 彼女だけは何としても救う。手段を選ぶつもりはない。
 結局、自分が動くしかない。
「まどかちゃん、夜神さんたちとしばらくここで隠れていてくれないか?」

540名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:24:29 ID:gg5aY7/g
「……真理さんを捜したいの?」
「ああ、彼女は俺が守らないといけない。多少危険でも、あそこの様子は見ておかないと」
 草加は視線をスマートブレイン社跡地へ向けた。
 囮としてまどかを使えないのはもったいないが、それはそれで別にいい。
 なにより優先すべき存在が他にいるからだ。
「そういうことですので、まどかちゃんをしばらくお願いします。確かめしだい、こちらに戻りますので」
「そういう事情ならしかたな……」
「お断りだね」
 草加の提案を却下したのは、まどかの知人であるはずの杏子だった。
 訝しげに少女に視線をやる。彼女はまどかに対して好意的な態度だったはずだが。
「佐倉くん、鹿目くんは君の友人ではなかったのか?」
「それとこれは別だ。だいいち、アタシの目的のために協力してもらっただけだ。友だちってガラでもねぇ」
「杏子ちゃん!」
 ひらひらと片手を振る杏子はシニカルな態度を崩さない。
 そして、続けてでた言葉は聞き逃せるものではなかった。
「アタシはあんたと違って、草加を信用できない。キザっぽい態度が鼻につくんだよ」
 やはりこいつは始末しておくべき人間の一人だ。
 乾巧といい、この少女といい馬の合わない連中は自分を排除しようとする。
 それどころか真理に取り入り、彼女を自分から奪っていくのだ。
 杏子と真理を会わせてはならない。優しい彼女は、きっと無粋な少女にも心を許すだろう。
「杏子ちゃん、そんな!」
「黙ってな。だいたい、まどかを最初に守ってくれたのはあんただろ? だから最後まで責任持てよ、ヒーロー」
「俺は最初からそのつもりだ。だが、その前に……」
「前も後もくそもあるか。とっととまどかを連れてこっから離れろって」
 ニィ、っと彼女が生気に満ちた笑顔を見せる。

「あっちにはアタシが行ってやるよ。ヒーローとの戦いが中途半端でくすぶってんだ。
真理って奴を見かけたら、よろしくいってやる」

 そう言って杏子は足取りを、ビルが存在していた場所へと向けた。
 なるほど、まどかは彼女にとっても大切な存在のようだ。
 しかし、もしも真理がいたら先に接触してしまう。それは好ましくないが、これはこれで合理的だ。
 草加はしぶしぶ納得した。
「佐倉くん、待ちたまえ。合流場所を決めておかないと、真理という少女に接触できたとしても意味がないぞ」
「ああ……そういう面倒くさいことはおっさんに任せるよ。どうせ付いてくるんだろ? こっちで待っているからさ」
 杏子は言葉通り、総一郎を待つことにしたようだ。
 対して総一郎は気難しい娘を持った父親のように、ため息をついた。
「向こうは彼女と私が向かう。合流場所はどうする?」
「そうですね……」
 草加は地図を開き、ポケギアの現在位置と比べながらあたりをつけた。
 最初にその施設を目にした時から決めていた場所だ。
「少し遠いですが、流星塾を合流場所にしましょう。ここなら俺の仲間たちも向かうはずです。
なにもない、もしくは真理か俺の仲間を見つけたらここに向かってください。
俺の仲間は園田真理、菊地啓太郎、乾巧です。ただ、乾巧には気をつけてください。
奴は俺や仲間たちを利用しているかもしれない危険人物です。決して気を許しちゃいけない」
「了解した。しかし、期限はいつまでにする?」
「期限は二回目の放送まで。ただし俺とまどかちゃんのどちらかが呼ばれたら、近寄らないようにしてください。
もっとも、彼女は俺が命にかえても守りますが」
「……ああ」
 総一郎は少し感慨深げに返事をした。
 少し不審に思って顔を見つめていると、向こうも己の態度に気づいたらしい。
「心配かけてしまった。君と話をしていると息子を思い出してしまってな……。
年が近いだけなのに。まいったよ」
「息子さんですか?」

541名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:24:50 ID:.a2CkkOA
「良い息子だったよ。あんな事件で、あんなものさえ拾わなければ……いや、気にしないでくれ」
 そう言って総一郎はすべての決定事項をこちらに復唱し、杏子の元へと向かっていった。
 身の上話はあまりしたくないだろう。されても付き合う気はないが。
「それともう一つ。カイザギアに注意してください」
「カイザギア?」
「このファイズと同じ変身ツールです。こちらは誰でも変身できますが……俺やオルフェノク以外は死んでしまいます。
多くの仲間が命を落としました」
「なんと……」
「見つけたら俺に渡すまでは手を出さないでください。ファイズより付き合いの長いベルトですので、俺なら性能を引き出せます」
「えっ、草加さんはファイズとして戦っていたんじゃ……」
 まどかの疑問に対し、用意していた回答をする。
「ああ、少しカイザベルトを手放してしまってね。ここ数日はファイズベルトを借りていたんだ」
「そうだったんですか……」
 彼女はあっさりと納得した。確認後、草加は総一郎に向き直る。
 これでお別れだ。生きて再会できるかは、別の話である。
「それでは草加くん、鹿目くん。お互いに生きて会おう」
 草加とまどかは総一郎の言葉に返事をする。
 杏子はツンとそっぽを向いたままだ。正直どうでもいい。
 後ろ髪を引かれる思いであろうまどかを連れて、草加はその場を離れようとした。
「おい、まどか」
 杏子がまどかに振り向いて、とびっきりの笑顔を向ける。

「そっちが先にさやかに会ったら任せる!」

 それっきり、総一郎を伴って杏子も離れ始めた。
 どこか早足なのは気のせいではないだろう。
 まどかは嬉しそうに小さな手をめいっぱい振った。

「杏子ちゃんもきをつけてー!」
 
 ぴょんぴょん跳ねて返事をするまどかは、人によっては愛らしいと感じただろう。
 口にするほど空気が読めないわけじゃないが、草加には余計な行動にしかみえない。
 ふと、乾巧なら遠慮なく余計なことを言っただろう、と思った。
 そういうところだけは羨ましい。
「草加さん、ひとついい?」
「構わないよ」
「真理さんって、草加さんとどういう関係なの?」

542名前のない人々 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:25:07 ID:.a2CkkOA


【D-3/住宅街/一日目 黎明】

【仮面少女・草加☆まどか】

【草加雅人@仮面ライダー555】
[状態]:健康
[装備]:ファイズギア@仮面ライダー555(変身解除中)
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本:園田真理の保護を最優先。儀式からの脱出
1:真理を探す。ついでにまどかに有る程度、協力してやっても良い
2:オルフェノクは優先的に殲滅する
3:流星塾に向かう
4:佐倉杏子はいずれ抹殺する
[備考]
※明確な参戦時期は不明ですが、少なくとも木場の社長就任前です


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:擦り傷が少々
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
1:草加と行動を共にする
2:杏子、さやか、マミ、ほむらと再会したい
3:草加さんは信用できる人みたいだ
4:乾巧って人は…怖い人らしい
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆〜ワルプルギスの夜出現の間からの参戦


【杏子ちゃんをあんあんし隊】

【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、ストレス少々
[装備]:羊羹(1/2)印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入(手の届く所置いてある)
[道具]:印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×4、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:とりあえずビルが崩れたところへ
1:気合入った。さやかを見つけたらなんとかする
2:真理を見つけたら草加たちのことを一応伝える
3:ストレス解消に暴れたい
[備考]
※参戦時期は9話終了後です


【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康
[装備]:羊羹(2/3)羊羹切り
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD]、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:休んでいる暇はない。ビルの跡地へ向かう。
1:警察官として民間人の保護。
2:真理を見つけ、保護する。
3:約束の時間に草加たちと合流する。
[備考]
※参戦時期は後編終了後です

543 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 17:25:33 ID:.a2CkkOA
投下終了。
誤字脱字、矛盾などありましたら指摘お願いします。

544名無しさん:2011/07/21(木) 18:03:18 ID:5ak.Fnu.
投下乙です!
合流できたものの穏やかならぬ雰囲気ですね。
個人的に気になった部分としては総一郎と杏子が前の話は真っ白な灰→突然普段通りに
と途中の話を飛ばしたような印象を感じました。
己を取り戻しつつある二人の心情を追記した方がより自然になるのではと思います。

545名無しさん:2011/07/21(木) 18:26:16 ID:sJzfzvb6
投下乙です
女子中学生にまで「真理を取られる!」とか草加さんどんだけー!
杏子は何だかんだ言ってやっぱり良い子だなぁ
そして総一郎、息子のことは教えていけー!!
杏子の大事な人が息子の毒牙にかかってるんだぞー!!

ひとつ気になったのは、三人ともがオルフェノクの説明を聞いたはずなのに
誰も「死人が蘇る事件が頻発している」の部分に突っ込まなかったことですかね
中学生のまどか達はともかく、刑事である総一郎が気づかないのは不自然では?

546名無しさん:2011/07/21(木) 18:51:22 ID:pBdYuGwU
>>543
投下乙です。
杏子ちゃんをあんあんし隊にワロタw
まどか、そのお兄さんは信用しちゃだめだ。
そして杏子たちはSB社に行ったか。たっくんやゆま、ほむらが近くにいるが、どうなることやら


しかし、杏子たちは名簿に夜神姓が二つあるのを不思議に思わなかったのですかね
……まぁ、お互いの知り合いがいることばかりに目がいってそうな面子だから、仕方ないっちゃ仕方ないか
あと、状態表の羊羹の
>手の届く所置いてある
ここは修正した方がいいかと思いますよw移動中だし

547 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/21(木) 19:08:11 ID:.a2CkkOA
>>544-546
了解しました
指摘事項を修正したものを近いうちに一時投下します

548名無しさん:2011/07/21(木) 19:22:11 ID:PstNpT5c
投下乙っす
オルフェノク以外の蘇生手段の認知によってなくなったかもだけど、死者蘇生事件と死人のロワ参加について鑑みると
「死者であるはずの夜神月が参加者名簿に載っている……つまり、夜神月はオルフェノクとして復活していたんだよ!」 
ΩΩΩ<ナ ナンダッテー!!
なんて事もありえたかもしれないのか

あと誤字
>>538 「おう。なんか死にぞなったらしい」

549名無しさん:2011/07/21(木) 19:28:34 ID:pBdYuGwU
>>548
そういや杏子が死後から蘇生したと本人の確認が取れたから、
杏子と一緒に行動してる総一郎が「息子が蘇生して参加してる」ことにいつ気づいてもおかしくないのか…

550名無しさん:2011/07/21(木) 22:07:16 ID:so9Nc7Gc
投下乙です
気になる部分は修正してくれるみたいなのでいいとして

確かに合流出来たけど不穏だね。あんこちゃん組はビルへ、まどかとストーカーは塾へ行くのか
真理もそっちに行ってるけど…
草加はあんこちゃんにまで殺意を抱くのかよw

551名無しさん:2011/07/22(金) 00:10:15 ID:X6FRF6nw
>>545>>546
今回は各キャラの心理描写は深く書かれてなかったし、その辺のことは次の話でも補完できるんじゃない?
…と思ったけど修正するというなら特に異論はないです。
思いっきり亀レスですねw

552名無しさん:2011/07/22(金) 00:17:52 ID:07kUFCpc
ところで、>>540にポケギアが登場しているけど、これってデバイスの間違い?
それとも草加さんの支給品?

553 ◆qbc1IKAIXA:2011/07/22(金) 00:25:28 ID:Im8U0Wis
>>552
ルールの『ポケウォーカーに似ている』と言う部分で勘違いしていました。
そのへんも直します。

554 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:09:59 ID:GWeG1422
弥海砂投下します

555反抗 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:11:20 ID:GWeG1422
弥海砂はアッシュフォード学園を歩いていた。
先ほどの戦いにおいて、サトシ殺害に成功したもののサイドンは戦闘不能、奪ったリザードンも大ダメージを受けていた。
今はこの二匹を回復させなければこれ以上の行動は難しいだろう。

アッシュフォード学園という名は聞いたことのないものだったが、もしここが学校だというのならあるはずである。
怪我をした人が行く場所、保健室が。
ポケモンという生き物に効き目があるのかは分からない。
しかし何かしらの薬は置いてあるだろう。
そう考えて校内を探索中であった。


目当ての部屋を見つけるのにそこまで時間は掛からなかった。
そしてそこで予想外についているものを発見した。

保健室の中に不自然に置いてある機械。
彼女の知識の中にはこのような物が保健室にあるという事実はなかった。

機械の近くに使い方の書いてある紙が置いてあった。
どうやらこれはポケモンをボールにしまってからおくことで中のポケモンを回復させてくれるというものらしい。

今連れているポケモンは二匹。だがこの機械は一回一匹のみ、さらに一度使うと次に使えるのは放送を跨いでからになるらしい。
どちらを回復させるか。迷うべくもなかった。



556反抗 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:12:24 ID:GWeG1422
「さてと、あとはこいつね」

現在の海砂の居る場所はアッシュフォード学園の屋上。
海砂は機械にサイドンの入ったモンスターボールを置き、その間に保健室を漁った。
サトシから奪ったリザードンの方をどうにかしておこうと考えたのだ。
保健室にある薬のどれが怪我やダメージの回復になるのかよく分からなかったものの、その中で分かりやすくて使えそうな薬を見つけた。
いい傷薬。これを使うと怪我やダメージをある程度回復させてくれるらしい。
ある程度というのがどれくらいかは分からなかったので置いてあった三つ全部を持ち、サイドンを回収後屋上まで出た。
保健室でボールから出すにはリザードンは大きすぎたからである。


ボールからリザードンを出す海砂。

(うーん、やっぱり名前見えないな…)

死神の目をもつ彼女でも人間以外の者の名前を見るのは不可能ということだろうかな。
などと考えつつあの少年の呼んでいた名前を思い出す。

「えっと、リザードン、だっけ?」

―キッ
「グォォォアアアアアア!!!」

「きゃあ!」

話しかけた途端、リザードンは海砂にその鋭い牙で食らいつこうとしてきた。
間一髪で避けるが服の袖が破れた。

「ちょっと何なのよ?!」

557反抗 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:13:27 ID:GWeG1422
かける声に構わず今度は爪で切り裂こうと腕を振り上げてきた。

「止めなさいよ!今あんたの持ち主は私なんだからね!!」

その声を発すると同時にリザードンの動きが止まる。
リザードン本人も戸惑っているようなのが海砂には分かった。

「…?
 ……お座り」

リザードンはその場に座る。

「伏せ」

リザードンは嫌々その場に伏せる。

「なるほど、今は私の持ち物だから言うこと聞くしかないってこと?」

そうと分かれば怖くはない。伏せ続けるリザードンに近付く海砂。

「今は私がご主人様なんだから、ちゃんと言うこと聞いてくれないと困るのよ。分かった?」
「グルルルル…」

リザードンは唸りながら睨みつける。

「今は私が持ち主だって言ってんの!分かったら首を縦に振りなさい!!」

このリザードンも貴重な戦力。肝心なときに言うことを聞いてくれなかったら話にならない。
リザードンを踏みつけながら服従するよう命令する海砂。

「もうこうなったらこいつも使って……、…っ!」

それでもこちらをにらみ続けるリザードンの目を見たとき、サイドンを出そうとした海砂の脳内に一つの出来事が思い浮かび動きを止めさせた。

558反抗 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:14:21 ID:GWeG1422
あれはさくらTV祭りの時。第二のキラとして表に出た日。
キラを批判する評論家を、警察官を殺したあの時。
――この人殺し!!
他の皆がキラを崇める中、一人キラを避難する少女がいた。
本来ならばあの場で殺していてもおかしくなかった。
だが、
――人殺し!――人殺し…!
殺せなかった。
あの家族を殺された日の記憶が蘇ってきたから。
(その少女こそ夜神月の妹、粧裕だったのだから結果オーライといったところだが)


リザードンの目はその時見た目によく似ていた。
人間ですらない生き物だというのになぜかそう感じた。

(だったら何だって言うのよ…)

もう戻れないのだ。
月のために罪もない警官をあの場で見せしめにし、今また一人の少年の命をこの手で奪った。
いかに非難されようと、月のためだけに人を利用し、殺す。
これは正義のためじゃない。月のためなのだ。


リザードンを無理やり服従させる気はどこかへいってしまった。
まあ言うことは聞かざるを得ないようだし使えないことはないだろう。



と、ふと顔を上げて外を見ると、ビルが倒壊していく様子が目に入った。
音はしたはずだがどうやら聞き逃してしまったようだ。


あれほどの事ができるということはよっぽど強い力を持っているかあるいは爆弾でも使った策か何かか。
あの慎重な月があの場にいることはないだろうし行くこともないだろうが、あれは多くの人の気を引くだろう。

(ん?人の気を引く?)

「そうだ!!」



559反抗 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:15:37 ID:GWeG1422
リザードンにおとなしくしているよう指示した後、いい傷薬全てを使い回復させておいた。
その間もリザードンの目つきは変わることはなかったが。
今からやる事の前に回復を済ませておくべきだろうと思い、リザードンのダメージを回復させておいたのだ。
使い方関係で少してこずってしまっていたが。

「いい?私が合図を出したら大きく鳴くのよ。いいわね?」
「?」

さすがに怪訝そうな顔をするリザードン。
海砂はサトシのデイパッグを漁り、中から彼に支給されていた道具を取り出す。
出てきたのは拡声器。
それを外に向けて大声で叫ぶ。

「誰か助けて!!」

海砂が大声を上げて助けを呼ぶ演技を始めたとき、リザードンはようやくその意味を理解した。
殺し合いに乗った参加者に追われているふりをして人を集め、やって来た参加者をポケモンを使って殺す。
それが海砂の狙いであった。

「私…、こんな所で死にたくない!!
 お願い、誰か…きゃああああああ!!」

ぱっ、と。
海砂が大声で叫ぶと同時に合図が出る。

「グオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!」

海砂の声をかき消すこともできようかというほど大きな鳴き声を上げるリザードン。
それと同時に拡声器を取り落としてその音も響かせる。

「よし、これで大丈夫」

これで危険な何かに襲われている女の子が演じられただろう。
後は他の誰かが来るのを待ち、来たところでサイドンとリザードンで殺せばいい。
もし月が来たならば合流してこの場から去ればいい。
準備は整った。

リザードンをボールに戻す海砂。

(あれ?そういえばさっきの指示だけ妙に素直に従ってたわね…
 ん〜、ま、いっか)

そのまま保健室へと戻っていく。
やってくる参加者を二匹のポケモンを使って一網打尽にするために。



560反抗 ◆zYiky9KVqk:2011/07/23(土) 00:16:24 ID:GWeG1422
海砂はあまり頭がよくない。
流石に月やLと比べるのも酷なことであるが、月自身も彼女のその点が自身の弱点とならないよう気をつけていた。

もし月やLであればこう考えたかもしれない。
これまで反抗的だった生き物がなぜこうも素直に言うことを聞いたのか。

海砂からしてもその時の鳴き声は海砂の想像していたものより遥かに大きなもので、なんだか不自然な気はした。

だが、こんな生き物の考えることは分からないと、早々に考えることを彼女は止めてしまった。

だから海砂は気付かない。

ポケモンは彼女の思っている以上に賢いことを。
その鳴き声に含まれたリザードンの叫びの意味にも。
そして、海砂どころかリザードンすらも知らないことだが、
この会場にはその叫びの意味を理解できる者もいるのだということも。



【C-3/アッシュフォード学園 校内/一日目 黎明】


【弥海砂@デスノート(実写)】
[状態]:健康
[装備]:コイルガン(5/6)@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品×2、モンスターボール(サトシのリザードン・ダメージ小)、モンスターボール(サカキのサイドン・全快)、不明支給品0〜1 、拡声器
[思考・状況]
基本:月を優勝させるために、他の参加者を殺す
1:他の参加者を待ち、月がくれば合流、それ以外は皆殺しにする
2:ポケモンを使っても勝てそうに無い相手からは逃げる
3:リザードンは気に入らないがどうにか戦わせる
[備考]
※参戦時期は、月に会いに大学へ来る直前
※アッシュフォード学園を中心に海砂の演技の声とリザードンの鳴き声が響きました

561YAtaaman:2011/07/23(土) 00:21:06 ID:GWeG1422
投下終了です
誤字脱字指摘などあればお願いします

周辺の参加者を執筆中の方への配慮として
ビル倒壊に気付くタイミングが遅れた、リザードンの回復に少し時間が掛かった
としておきましたのである程度は融通が利くと思います

562 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:36:28 ID:aVYePVHI
投下乙……なんですが……トリバレしてますね

本投下を開始します

563 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:37:56 ID:aVYePVHI


思考回路の深淵に、「人の形をしたもの」と交流した記憶がある。


しかしそれの内容はあまりにも曖昧で、私は一種の妄想ではないかと考えている。


「人の形をしたもの」はもう何体かの生物――恐らくポケモンだろう――と常に行動していた。


引き連れていた生物が種類は何だったのか、「人の形をしたもの」がどのような容姿であったかは、どうしても思い出せない。


記憶の内容からして、私がそれらに様々な知識を教わっていたようだ。


「何処か」を飛び回り、「何か」を学んでいた。


幼い頃の私は、その生物達を信頼し、仲間意識を持っていたらしい。


だがある時、それらは突如消滅する。


消える寸前でも、「人の形をしたもの」は私に知識を与えようとした。


最後に教わった知識とは――――何だったのだろうか。

564 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:38:43 ID:aVYePVHI

* * *

大河と別れたミュウツーは、アッシュフォード学園を訪れていた。
まず目についたのは、学園に刻まれた戦いの痕跡。
コンクリートの壁は砕かれ、庭には大型のクレーターが出来上がっている。
人間にこのような所業が行えるとは、とても思えない。

(ポケモンによるものか?)

この地にてポケモンバトルが行われ、学園はその余波を受けた。
そう考えるのが妥当だが、ミュウツーにとってはどうにも腑に落ちない。
殺し合いの場で、何故ポケモン同士を戦わせたのか。

(もしや……)

ミュウツーに浮かび上がるのは、考えられる中でも最悪の可能性。
『ポケモンの殺し合いの道具として利用』するという、あのサカキの悪行と同レベルの行為。
相手の命を削る為に、ポケモンで襲撃する――認めたくないが、ありえる。
この島には(理由は不明だが)ポケモンの存在そのものを知らない者もいるのだ。
そういった者がポケモンの力を手にしてしまったとしたら、攻撃手段として使ってもおかしくはないだろう。
いや――ポケモンの存在を知っていても、武器として利用している可能性も考えられる。
「ポケモンは人を攻撃してはいけない」というのは、所詮「ルール」に過ぎない。
「ルール」は適用されないこの空間で、それを破る者がいないとは言い切れなかった。

クレーターからそう遠くない地点に、子供――まだ十代になって間もないであろう少年が横たわっているのを発見する。
微動だにしないそれが既に息絶えている事は、誰の目から見ても明白だろう。
戦闘に巻き込まれたのだろうか――いや、だとしたらあまりにも「綺麗」すぎる。
ポケモンバトルを行っている最中に隙を突かれて、銃で狙撃されたと考えるのが妥当だろう。

565 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:40:11 ID:aVYePVHI

それにしてもあの少年の死体、体格や髪型といった特徴が「彼」と一致している。
「面影を感じる」なんて次元の話ではなく、寸分違わずそっくりなのだ。


――まさか。


遺体の着ている服と「彼」が着ていた服も、どことなく似通っている。
そういえば、「彼」も帽子を着用していたか。
死体の方もデザインこそ違うが、帽子を被っている。


――まさか。


ゆっくりと、死体に近づいていく。
その死体の正体を確かめる為に。
自身の「恐ろしい仮説」を否定する為に。


――まさか。


死体の、すぐ目の前に到達した。
少年の顔は、「彼」の顔とよく似ている。
いや、「似ていた」では語弊が生じるだろう。
「同一のものだった」という言い方が正しいと言えた。
間違いない、この死体の正体は――。

566 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:40:56 ID:aVYePVHI




(…………サトシ)




目の前に横たわる亡骸は、紛れもなくサトシ本人だった。
自身に潜む「憎しみ」を取り除いたポケモントレーナー。
人間への認識を改めるきっかけになった存在。
そんな彼が、殺し合いの開幕から数時間も経たない内に、殺された。
こんな早くに、よりにもよってこんな形で再会するとは。
ミュウツー自身、思ってもみない事だった。

しかし、恩人の亡骸を発見したとしても、ミュウツーが激情することはない。
あまりにも唐突で、かつ衝撃的な出来事ではあるが、
それで復讐に走るほど彼は浅はかではないのだ。
だからと言って、彼は加害者を許している訳ではない。
彼の心中には加害者に対する怒りがこみ上げていたし、
殺人の動機によっては、その者に報復を加えなければならないとも考えている。

ミュウツーは問いたかった。
恩人の最期の姿と、殺害の理由を、加害者本人の口から聞き出したかった。
同族を殺した者の姿を通して、人間の「本質」を見抜く為に。
はたして、「人間」の根底にあるのは、
命を尊重し、憎しみを否定する「善」なのか、
命を踏みにじり、憎しみを肯定する「悪」なのか。
こんな殺伐とした場所でも答えを探そうとするのは、
その先に、「ミュウツー」というポケモンが誕生し、今もなお存在している理由があると確信していたから。
この「儀式」で自分はどう動くべきなのかも、その中に記されているだろう。

無論、一人の回答だけで結論を出すつもりは毛頭ない。
この地に呼び出された多くの人間と出会い、問い、思考し、その末に、自身の問いに答えを導き出すつもりだ。
人工的に造り出された「最強のポケモン」の力を誰に振るうべきなのか。
道を指し示すのは、この儀式に連れて来られた人間達。
示した方向次第で、最強の「いでんしポケモン」は更なる精神の進化を遂げるだろう。
尤も、それが人類にとって「最悪の脅威」となるか、はたまた「最良の盟友」となるかは、その過程によるのだが。

567 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:43:32 ID:aVYePVHI

* * *


もう二度と動かない恩人に目を向ける。
彼の表情からは、彼が死の間際に感じたであろう無念が読み取れた。
サトシの頭から帽子を取り、じっくりと見つめる。
そこら中に付けられた細かい傷からは、サトシのこれまでの旅での姿を想像できた。
ミュウツーと別れてからも、彼は多くの者との出会いと別れを繰り返してきたのだろう。
一瞬だけだが、目頭が熱くなるのを感じる。
恩人の最期の姿に、胸を打たれるものがあったのだろうか。

――ありがとう。あなたの涙

名も知らぬ誰かの声が、脳内に現れた。
ミュウツーは声の主を知らないし、それを何処かで聞いた覚えも無い。
にもかかわらず、その声は急に浮かび上がってきたのだ。
それにミュウツーには、泣いた覚えなど一切ない。
ポケモン城でのサトシとの邂逅までは、悲しみのほとんどは怒りに変化していたから、
そういった感情を持つことすらなかったのだ。

――ただ、人間の死を悲しむ事は、恐らくこれが初めてだった。

仮にミュウツーが人間だったとするのなら、
科学によって造られたコピーではない、
オリジナルのポケモンだったのなら、彼は涙を流していたのだろうか。

(……違うだろうな……)

人間も、ポケモンも、コピーも、同じ「いきもの」である。
「いきもの」である以上、喜怒哀楽が存在する。
喜怒哀楽があるのなら、「いきもの」は皆、涙を流せるのだ。
涙を流せないのは、ミュウツーがまだ自身の存在意義に悩んでいるから。
どんな形にせよその問題に決着がついたのなら、彼はどんな少量でも『涙』を流せる筈だ。
何故なら、彼もまた「いきもの」なのだから。

568 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:45:40 ID:aVYePVHI


アッシュフォード学園に、一陣の風が吹く。


風はミュウツーから帽子をさらうと、何処かへと飛ばしてしまった。


ミュウツーはそれを取りに行こうとはしない。


風の冷たさを全身で感じながら、「いきもの」の感覚に浸りながら、ただ立ち尽くしていた。



【 C−3 / アッシュフォード学園 / 一日目深夜 】

【ミュウツー@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:健康、頭部に軽い痣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:人間とは、ポケモンとは何なのかを考えたい
 1:相手を選びつつ接触していく
 2:可能なら、サトシを殺した者と接触する。
 3:サカキには要注意
[備考]
※映画『ミュウツーの逆襲』以降、『ミュウツー! 我ハココニ在リ』より前の時期に参加
※藤村大河から士郎、桜、セイバー、凛の名を聞きました。 出会えば隠し事についても聞くつもり

569 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:45:56 ID:aVYePVHI
投下終了です

570 ◆3.8PnK5/G2:2011/07/23(土) 00:46:19 ID:aVYePVHI
タイトルは「風といっしょに」です

571名無しさん:2011/07/23(土) 01:32:26 ID:ZCY9ibxw
投下乙です

弥海砂は原作からして無茶をする奴だがそれは無茶だw
リザードンと映画での出来事を結び付けるとは。微妙に揺れ動いたけど月への奉仕は変えないだろうな…
さて、なんか失敗フラグも立ったがどうなるか…

ああ、サトシの死を知ったか…
原作を知ってるだけに…ミュウツーにとって彼は影響が大きい存在だからなぁ
簡単に人間に絶望はしないみたいだが…
で、ミュウツーも学園だと? これは先が期待

572 ◆Z9iNYeY9a2:2011/07/23(土) 01:53:59 ID:GWeG1422
トリバレしたのでこっちに変更で
旧◆zYiky9KVqkです

改めて自SSを見るとどうも誤字が多いようです…
後に修正しておきます
あと>>559

>そのまま保健室へと戻っていく。
>やってくる参加者を二匹のポケモンを使って一網打尽にするために。

ここの保健室に戻るという部分は消し忘れのミスですので(サイドン回収済なので戻る意味が薄い)

>そのまま校内へと戻っていく

に変更でお願いします

573名無しさん:2011/07/23(土) 17:35:28 ID:BThXtPfY
>>513
投下乙ですー。
おお、ピカチュウがNの元にか。 なんていうかもの悲しいな。
Nの部屋はトラウマ……というか何故ポケモンは毎回変に怖いものを。

>>527
投下乙ですー。
ギアス勢は本当にややこしいw
そして中身が二人いるこのナナリーもかなりややこしいというねw

>>543
投下乙ですー。
杏子ちゃんええ子や……そして草加さんはなんてステルス危険人物w
修正のほうも乙でしたー。

>>561
投下乙ですー。
うーむ、リザードンがもの悲しい。 ポケモンてのも罪深いものよ。
海砂はなんというか止まれそうで止まれないな。

>>569
投下乙ですー。
ああ、ミュウツー……サトシを見つけてしまったか。
そういえばポケモン世界だと死って割と珍しいかな。

そしてメロ、千歳ゆま投下しますー。

574名無しさん:2011/07/23(土) 17:36:40 ID:BThXtPfY



「キョーコ……こいつか。 佐倉杏子、それで間違いないか?」
「うん、キョーコはそういう名前だよ、あとマミおねえちゃんも魔法少女だって。
 キュゥべえはいないみたいだし」
「マミ、か。 マリでは無いんだな」
「うん、多分」

脱出口としての裏口のある適当な建物の中、運び込んだ原付と共にライトに照らし出されるメロとゆま。
コンビニから頂いてきたばかりのおそろいの板チョコを噛み砕きながら、二人は向かい合っている。
ゆまと話すメロが早々に気づいたのは、精神面がどうであれ、知識面は年齢相応ということだ。
メロに支給されたのとゆまの持ち物にあった二種類の異なる魔法関連の物品はもとより、一般的な知識にも欠けがある。
まともな教育を受けさえて貰えたのかさえ怪しいゆまを相手に、メロはまず彼女に予備知識として地図と名簿を読み上げる事から始めた。
その結果として、キョーコとは佐倉杏子のことである、と二人は理解した。
マミについては、ゆまも片仮名故に名前だけは読めていた巴マミの事だろう。
もしかすると聞き間違えていて園田真理という可能性もあるが、今はその存在を確認できただけでいい。

「他には……んーと、おりこも魔法少女だと思う」
「おりこ、オリコ……こいつか?」

名前を聞いても思いつく漢字がないが、美国織莉子というのが『おりこ』と読めないこともない。
世界最高の探偵であるLの後継者の一人と目されたメロは、とうぜん日本語も解するし、漢字も並みの日本人よりは読める。
だが、元々が英語圏に人間であるメロには、日常生活に必要なものを理解しているだけで、人名などの細かい単語となると自信はない。
だから恐らく、という前提ではあるが『おりこ』とは美国織莉子のことだろう。
もっとも、ゆまの言うそのおりこがこの場所に居るという仮定での話だが。

「一応、他の名前も読み上げる、知った名前があったら言え」

具体的にどういう仕組みなのかまるで不明だが、魔法少女という名前ならば女しかいないと考えるのが妥当だろう。
だが、もしかすると聞き覚えのある名前がある可能性もあるので、メロは名簿と地図ににある全ての漢字を読み上げる。 結果は外れだが、外れとわかることも収穫である。
もっとも、乾巧は『きょう』か『たくみ』かはわからないし、藤村大河にいたっては『たいが』とは読めてもそれが人名とは思えず、保留とした。
その他、草加は『そうか』、間桐は『まきり』、鹿目は『しかめ』、暁美は『ぎょうび』と迷わず読んでしまったが、それを修正できる者はいない。

「……それで、ゆまはキュゥベぇに魔法少女にしてもらって、キョーコを助けたの。
 キョーコは『おとしまえ』っていうの付けさせるって言ってたけど、おりこが教えてくれなかったらキョーコの事助けられなかったから、ゆまは嫌いじゃないよ」
(落とし前、か)

ゆまの話を要約すると、杏子に保護されていたゆまの元にキュゥベぇという魔法少女を生み出す生物が現れたのは、おりこの言葉によるものらしい。
杏子の反対で契約はしなかったが、後に杏子の危機をおりこに知らされ、ゆまはキュゥベぇと契約、実際に危機にあった杏子を助けたと。
ゆまは理解していないようだが、おりこというのはゆまを利用した、ということだろう。
彼女の思いを巧みに利用し魔法少女とする。 それが主目的なのか何かの布石なのかは判断材料がないが。

(……捜すなら、そのおりこの方か?)

妙なカードとの交換という形でゆまから貰った、呪術入りという宝石を転がしながら思考する。
話を聞く限りでは、佐倉杏子にしろ巴マミにしろ、戦力としては強くても魔法少女という存在について深くは知らない可能性が高い。
知っていてゆまに伝えていない可能性もあるが、その場合だとメロにも教えはしないだろう。
だが、おりこは違う。
キュゥベぇすら知らないゆまの情報を伝え、杏子が実際に危機にあることを告げゆまを操った。
そこには明確に、ゆまを魔法少女にしたいという意思が存在している。
単純に魔女に対抗するために魔法少女を増やしたいのなら暗躍する必要はなく、そのことで何らかの利益がおりこに齎されると見るべきだろう。

さらに、その状況を演出出来たというのが普通ではない。
杏子より先にゆまを見つけていて、杏子や魔女、キュゥベぇという盤面を誘導し、知らせ、操るとなるとメロでもやり遂げる自身は少ない。
考えれるのは他人の行動を操る力、死を伴わないデスノートのようなもの。 それで杏子、ないし魔女を操り己の望む盤面を用意した。
あとは、莫大な知覚能力、それこそ予知といえるレベルのものか。

575名無しさん:2011/07/23(土) 17:37:47 ID:BThXtPfY
単純な破壊力よりも遥かに価値のある力と、おそらくは魔法少女という存在の根幹に近い部分の知識。
どちらも推測に過ぎないが、仮に外れていたとしても魔法少女という戦力に接触できるのならば無駄にはなるまい。
だが、その戦力について多少の疑問をメロは覚えていた。

(魔女とやらがいて、それをどうにかする為にやってきた正義の使者がキュゥベぇ?
 違うな、そのキュゥベぇと魔女は恐らく死神とデスノートのような深い関係にある存在。
 意識的にか事故でかは不明だが、キュゥベぇ達と共に魔女は現れた)

デスノートを巡る中で、死神シドウとの接触経験のあるメロは、超常的な存在そのものに懐疑的だ。
そういうものが存在している事自体は否定しようがないが、その相手にはその相手の論理がある。
絶対正義の神も、この世全ての悪もいない。 いるとしても、その存在はあくまで自身の意思で行動している。

(人間を守るなんて思考は無え。 死神共もそうだが、人間を大事だと思うのは人間だけだ。
 少なくとも佐倉杏子には人間を守る意思は希薄で、その事をキュゥベぇは気にしてもいない)

キュゥベぇというのも、人間の為に魔女をどうにかしたいのではない。 仮にそうだとしても、そこにはキュゥベぇ自身の利益が存在しているはずだ。
最初から敵対勢力にありそれを倒す為に魔法少女を生み出しているのか、
何らかの事故で脱走されその回収に派遣されたか、
あるいは何らかの目的、それこそ魔法少女を生み出す為、意図的に魔女をばらまいたか、
この場で考えても答えなど出ないし、魔法少女と魔女の件を追う事がこの状況下で意味があるという保障も無い。
ただ、メロは魔法少女についてはそれなりに重要視した。 
それは、頬にチョコの欠片を付けている少女がただ捨てるには惜しい存在であることと、もう一つ。

「おいゆま、お前はかなりの重症も治せると言ってたが、死んだ人間はどうだ?」
「無理かな。 よくわかんないけど、助けられるかどうかがなんとなく見えて。
 キュゥベぇと契約すればできるのかもしれないけど、ゆまは杏子が死ぬ前に助けたかったから」

名簿にある死者の名前に対する解が得られるかもしれないからだ。
ゆまの話では、彼女の魔法は両手足の千切れた杏子を瞬時に癒せたらしい。
実際に見てみなければ正確な判断は下せないにしても、まず破格と言っていい代物だ。
そして、その力ならあるいは、デスノートを覆すことが可能ではないか、と。
例えば、車にはねられる、ナイフで刺されるなどの外傷ならば、死ぬ前に間に合うかもしれない。
そして心臓麻痺にしても、心停止から実際の死まではわずかだがタイムラグがある。 その前に蘇生できるなら。

(いるのか……Lが?)

本物のLが、この場所にいるという可能性も、見えてくる。
無論、推論に推論を重ねた考察とも呼べない代物だが、ごく僅かな可能性の一つとしてなら、あるいは。
二枚目の板チョコに手を出そうとしたゆまに、食いすぎると鼻血を出すぞと注意しつつ五枚目を平らげたメロは、そう思考した。



576 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/23(土) 17:38:49 ID:BThXtPfY

「おい……お前はあんな事はできるか?」
「ゆまは無理。 キョーコは本気なら凄い威力の槍が投げられるよ」

ゆまと会話を終え、メロは背中にゆまをしがみ付かせながら、原付を発信させた。
はしゃぐゆまを適当にあしらいながら、ライトをつけるわけには行かない原付を慎重に運転し、北に向かう。
目指すは、恐らくはこの島では最も大きなビル――地図によればスマートブレイン本社ビル――、だった。
なぜ過去形なのかといえば、そのビルは丁度今、二人の視線の先で崩壊しているからに他ならない。

「…………」

槍など投げても爆発はしないが、何か相応に強力な攻撃があるのだろう。
落下の振動と急ブレーキで落下しそうにになっているゆまを片手で支えながら、そんなことを考える。
そうなると、あの爆発は誰か参加者が行ったものということか。
あの規模のビルそのものを破壊するだけの爆発となると、まず個人が携帯可能な装備では不可能。
相応の道具と人手があればメロにも可能ではあるが、この短時間でそれを行うのは難しい。
主催が最初から仕掛けていた誘蛾灯という可能性もあるが、それなら最初からもっと小さい会場にするか、狭い範囲に人数を集めればいい話。

(いや、ならこの近辺には他の参加者が大量に居るということもあるか……?
 どちらにしろ、あれを見れば確実に何人かはあそこに集まろうとするか、離れるかする)

必然にしろ偶然にしろ、この近辺での人間の移動は激しくなる。 
そもそも、あのような現場に向かうこと自体リスクが大きすぎるのだが。
メロ自身、可能ならどこかから監視していたいところだが、すでに爆発が起きた後では難しい。

(警視庁、政庁、さくらテレビ、高い建物はここからだとどれもあのビルの付近を通る。
 原付で移動は楽だが、既に誰かが占拠してる可能性があると簡単にはいかねぇ。
 そうなると……)
「あ、キュゥベぇだ」
「……あん?」
「ほら、あれ」
「……アレ、か?」

脳内の地図に修めた地図を読み返しながら善後策を検討していたメロは、ゆまの言葉で引き戻される。
彼女の指差す所を見れば、闇の中にそこだけ白く浮かぶ飛行物体。
謎の白い生物?のドヤ顔が浮かんでいた。

(気球、か。 飛んでくる方向はあのビル……追うか?)

ゆまが言うからには、南東に飛んでいく気球は魔法少女を生み出すというキュゥべぇを模しているのだろう。
だが、この場合重要なのはデザインではなく、その気球の飛んできた方向。
まさしく、崩壊したばかりでまだ土煙を上げているビルからに他ならない。
誰が何人乗っているのかなどはまだわからないが、追えば何らかの情報が手に入る可能性は高い。
だが、乗っている人間の情報が不明な以上、あの爆発を起こした相手が乗っている可能性もある。
ビルに向かうよりは低くとも、やはり相応のリスクがあると見るべきだ。

(どうする……?)

不安そうに見上げてくるゆまの頭に手を当てながら、メロは思考する。
ゆまの言いたい事は明らかだ。 『あの場所に杏子がいたら助けたい』と。
説得は可能だろうが、それでも不満を持たせる事は間違いない。
リスクは大きいが、向かう事で何らかの情報は手に入るだろうし、ゆまの力も試せる。
だが、それは気球を追っても同じこと。
むしろ、誰にも出会えない可能性も僅かながらあるビルとは違い、あれには確実に誰かが乗っている。

577 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/23(土) 17:39:56 ID:BThXtPfY

ビルか、気球か。
手持ちのカードは拳銃とゆまと、謎のカードと宝石が一つずつ。
ゆまの視線を受けながら、メロはどちらかを選ばなければならない。


【F−2/北、エリア境目付近/一日目 黎明】
【どう見ても誘拐犯】

【メロ@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]ワルサーP38(8/8)@現実、原付自転車
[道具]基本支給品一式、呪術入りの宝石(死痛の隷属)
[思考]基本・元世界に戻り、ニアとの決着をつける。
1・どちらに向かうか。
2・死者(特に初代L)が蘇生している可能性も視野に入れる。
3・必要に応じて他の参加者と手を組むが、慣れ合うつもりはない。(特に夜神月を始めとした日本捜査本部の面々とは協力したくない)
4・可能ならば杏子やマミよりもおりこに接触したい。

[備考]
※参戦時期は12巻、高田清美を誘拐してから、ノートの切れ端に名前を書かれるまでの間です。
※協力するのにやぶさかでない度合いは、初代L(いれば)>>ニア>>日本捜査本部の面々>>>夜神月>弥海砂
※ゆまから『魔法少女』、『魔女』、『キュゥベぇ』についての情報を得ました。(魔法少女の存在に一定の懐疑を抱いています)

【千歳ゆま@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]健康、メロの原付の後ろにしがみ付いている。
[装備]ソウルジェム(けがれ無し)
[道具]支給品一式、クラスカード(ランサー)、コンビニ調達の食料(板チョコあり)、コンビニの売上金
[思考]基本・わるいおじさんをやっつける
1・出来ればビルに行ってキョーコの無事を確かめたい。
2・メロお兄さんと一緒にキョーコ、マミお姉ちゃんを探す(キョーコを最優先)

[備考]
※参戦時期は、少なくとも3話以降。

【原付自転車@現実】
何の変哲もない50cc以下の原チャリ。
555のバイクの数々のように、特殊機能はない。

【ワルサーP38@現実】
9mmパラベラム弾8発装弾のドイツ式拳銃。
かのルパン三世の愛銃だったことで有名

【クラスカード(ランサー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
ランサーのサーヴァントの姿が描かれたカード。
限定展開する事で、ランサーの宝具“刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)”を一定時間使用できる。
ゲイ・ボルグは放てば必ず相手の心臓を貫くという効果を持つ、手加減の出来ない槍。
本来は持ち主の技量と併せて用いられる為、誰が使っても必殺とはいかないが誘導程度の効果はある。
一度使用すると、二時間使用不可能。

【呪術入りの宝石(死痛の隷属)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
主人の受ける痛みと死を奴隷にも共有させる呪いの込められた宝石。 使い捨て。
主人が宝石に血を垂らし、その宝石を奴隷に撃ち込む事で肌に生じる刻印に、主人が手を触れる事で発動。
実際には死は伝えられないし、痛みも伝えらる限度があるが、その事は説明には書かれていない。

578 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/23(土) 17:41:30 ID:BThXtPfY
以上ですー。
誤字脱字展開におかしな点などございましたら指摘お願いしますー。
新しい支給品2種類は問題ありそうでしたら適当に何かと差し替えますー。

579名無しさん:2011/07/23(土) 18:50:03 ID:dB8uFRKE
投下乙です

推理や考察でいい所ついてるな。でもまどかやおりこの原作はもっと複雑だんだよ
QBも裏では糸を引いてるし…
彼は人外の『犯罪』にどういう答えを出すのだろうか…

新しい支給品は悪くないと思います

580 ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:33:05 ID:oDtSCa4I
投下乙です。
メロさん良いところをついてるなぁ。
デスノの知能キャラの中でも、引きこもり派じゃなくて行動派だから
月からの包囲網を打開するためにも頑張ってほしい。

死痛の隷属じゃ殺せないんだけど、凛が死んじゃったからそのこと知ってる人が
もういないんだよな(ルヴィアは知ってるのか?)……

では、自分もゲーチスさやか投下します

581躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:34:07 ID:oDtSCa4I

美樹さやかには、覚悟があった。


大切な少年の才能を守るために、一生を“魔法少女”の道に捧げる覚悟があった。

“魔女”から多くの人を守り戦う為に、己の命を賭ける覚悟があった。

たとえ、誰にも顧みられなかったとしても、決して見返りを求めないという覚悟があった。

己の選んだ道を、決して後悔しないという覚悟があった。



☆   ☆   ☆

「夜神さん、だいじょうぶかな……」
ゲーチスの隣を歩きながらも、美樹さやかは未練がましげに間桐邸の方角を見やった。
先刻から何度もこの動作を繰り返しており、言うか言うまいか迷っていたことがうかがえる。
ゲーチスは、聴衆に演説をする時と同じ、優しげな笑顔を作り上げた。
「月さんは、しっかりと物事を考えられる青年に見えました。
この状況下でただの人間である彼が単独行動するというのは確かに無謀です。
しかし、単にキラを倒すという使命感だけでなく、考えがあってのことでしょう。
危険人物を見抜く目と、すぐにバイクで逃げる算段は整えているはずです」
その言葉を聞いて、分かりやすくほっとした顔をする。
「そうですよね!…………それに夜神さんも、マミさんみたいに頼れる人と合流できてるかもしれないし」
『マミさん』という名前は、夜神月との情報交換でも、何度か登場した名前だ。
そこでの紹介や、事あるごとに口にする様子から、よほど信頼をおいた相手であろうとゲーチスは推測する。

582躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:34:58 ID:oDtSCa4I
そして、そこまで美樹さやかを心配させるのは、おそらく彼女のいた『世界』が原因であろう。
美樹さやかの世界にいた『魔女』とは一般人に対処はおろか認識さえできない、『魔法少女にしか倒せない存在』だったという。
つまり彼女の世界では、夜神月のような『一般人』とは、『魔女』という超常現象に対して無力な、ただ守られるだけの存在だったのだ
そしてだからこそ、“魔法少女”である己が守らねばと言う責任感が先に立ち、単独行動させたことを後悔する。

間桐邸で見せた正義感からも、本当にごく善良な性格の少女であることが読み取れる。
だからこそ、二人は現在、間桐邸を出て東方向に歩き続けていた。

美樹さやかは、地図の東にある『鹿目家』と『見滝原中学』が気になる様子だった。

「もしまどかやマミさんが、あたしたちと合流しようと思ったら、この家か学校にいるんじゃないかと思うんです」

なるほど、支給された地図上に己の自宅や通学していた学校があれば、気にならないはずはないだろう。
ゲーチスとしても、その案に異存はなかった。
サザンドラの事を考えると、北のフレンドリーショップでアイテムを入手したいところでもあったが、サザンドラを伏せている現状でその提案をするのも不自然だ。
だいいち、単純に『物資を揃えたい』と希望するのならば、鹿目家や中学校への道中で、もっと品揃えの良さそうな施設がある。

間桐邸と鹿目邸を結ぶ直線距離の途中には、病院があるのだ。

病院での待ち合わせは第二放送の時間だが、それより先に下見を済ませておくのは悪くない選択だし、
夜神月の件を抜きにしても、病院という施設ならば多くの参加者との接触が期待できる。

「さやかさん、黙って歩いていると、余計に不安になるものです。
何より、異世界の方々と交流できる機会など、なかなかあるものではありません。
しばらく、私(ワタクシ)の話相手になっていただけますか?」
「そんなこと、頼まれるまでもないですよ! な〜んでも聞いちゃってください」
さやかは少しおどけた様子で得意げに言った。

美樹さやかを気づかっただけではない。
このまま病院に進めば、他の参加者と接触する可能性が大幅に上昇するだろう。
『二人きりでいられる間』に、彼女には確認しておきたいことがある。

583躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:35:41 ID:oDtSCa4I
「……では、さやかさんの『世界』の、『魔女』と『魔法少女』のことを、もっと詳しく話していただけますか?」

既にゲーチスは美樹さやかから充分な信頼を得ている。
彼女が話を渋る理由はなかった。
契約を勧誘するキュゥべえという存在のこと。
魔女が人を襲うやり口と、魔法少女が魔女を倒す方法。
そして、『グリーフシード』という報酬のこと。
報酬をめぐって、魔法少女同士の戦いが起こることもあるということ。
ところどころ、嫌なことを思い出したように考え込むそぶりをしたけれど、美樹さやかは嫌がることなく、己の体験したありのままを話してくれた。
そのわずかな表情の変化をも、ゲーチスは見逃さずに観察していた。

「なるほど……では、その『魔女』がどのようにして生まれるのか、そこのところは魔法少女にも分からないということですか」
「はい。……やっぱり、驚きます? ほら、アニメにしか出てこないような話だから」
「いえ、それもありますが、どちらかというと『魔女』という生態が興味深い」

小首をかしげるさやかに、ゲーチスは朗々と語った。

「先刻の情報交換でもお話しましたが、私(ワタクシ)の世界にも『ポケモン』という生き物がいたものですから。
その世界での『ポケモン』とは、人間以外のその世界で共存する全ての生き物です。
しかし、その生態、派生の起源、力学や物理学を無視した破壊力など、未知のことが余りにも多い。
そして、さやかさんの世界にも『魔女』という人間の常識を越えた生命体がいるという。
同じ『人間外の生物』であるのに、話を聞く限りその両者はずいぶんと違うものですから、詳しくお聞きしたいと思ったのです」

ついポケモン解放の演説を思い出し、長くしゃべってしまった。

「『ポケモン』っていうのは、どこにでもいて、普通の人にもちゃんと知られてるんですよね。それなのに分からないんですか?」
「はい、ポケモンというのは、非常に高い知性を持つ生き物です。
しかし我々は、まだ彼らと完全なコミュニケーションを取ることができていない。
ポケモンが持つ未知の可能性を、人間は全く理解できていないと言っていい。
だからこそ人間の中には、始めからポケモンの意思を無視し、彼らを道具のように扱っている者も多いのです」

584躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:36:23 ID:oDtSCa4I
「そんなの……すごく勝手だと思います! 人間じゃないからって道具扱いするなんて」

「もちろん、全てのトレーナーがそうだというわけでもありませんよ。
私はただ、ポケモンの承諾も得ずにモンスターボールに入れて使役するようなやり方をどうかと思っているだけですから。
きちんと、ポケモンの意思疎通を図った上で、ポケモンと共にいるトレーナーもいます」
この点には、一応フォローも入れておく。
この先、ポケモンのいる『世界』から来た参加者と出会わないとも限らなし、
その中にはゲーチスの『ポケモン解放思想』に異を唱える人物もいるかもしれない。
ゲーチスは今のところ、他の参加者と協調するそぶりを見せている。
不信の眼が向けられるような状況は、極力は避けねばならない。

「そうなんですか……でも、それならやっぱり『ポケモン』と『魔女』とは全然違うと思います。
だってあいつら、知性の欠片もあるように見えないもの。
『呪い』から生まれてくるっていうから、生き物っていうより災害に近いのかもしれない。
だから、他の人達が襲われる前に、私たちが狩り尽くすしかないんです。

……本当に、何がどうなったらあんなグロくて醜い化け物が生まれるのか、教えてほしいぐらい」

そういう彼女の顔には、まぎれもなく『魔女』という存在に対する怒りがあった。
もしや、親しい誰かを『魔女』の手によって殺された経験があるのかもしれない。

しかし、その言葉は糸口になった。
そう、この少女を『誘導』する糸口だった。
ここまでの会話は、そのきっかけを探す『データ収集』に過ぎない。

ゲーチスは笑う。
表面上は、にこにこと。
内心では、にやりと。

――ここからが、『本当の目的』だ。

585躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:37:04 ID:oDtSCa4I
「そうするとさやかさんは、例えば人間に害をなす害虫と――いえ、害虫よりもより残虐な害獣を相手にするように、
その『魔女』と戦っているということですか?」

「え? ――はい。そういうことなのかな。だと思います」

「素晴らしい正義感ですね。誰にも知られることなく、見返りを求めず、無関係の人間をも救う為に命を賭ける。
あなたの覚悟は立派だ。誰にでもできることではないと思います。」

「え? そんな……そんな立派なものじゃないですよー。
何て言うの? 『やるしかないー!』っていうか、願いごとをする理由があっただけなんですから」

言葉とは裏腹に、美樹さやかの表情は得意げに輝いていた。
そこにあるのは、ゲーチスの言葉に対する感動と、肯定。

『魔女』と『魔法少女』の戦いは、一般人に認知されないと彼女は説明した。
それすなわち、彼女は己の功績を理解され、褒め称えられた経験がほとんどないことを意味している。
いくら心の中で『見返りは要らない』と思っていても、手放しの賛辞を贈られれば心が緩む。
それが人間というものだから。どんなに高潔を保とうとしても、必ず欲を持っている。
そして、己を肯定してくれた人間に、少なからず心を開く。



――そして、心を無防備にした所に打ちこまれる一撃は、重い。



「いいえ、生半可な覚悟でできることではありませんよ。
己の信じる『正義』の為ならば同胞の『魔法少女殺し』も厭わないのでしょう?」

「え? …………殺し?」

ゲーチスは、わざとらしく首をかしげて見せた。

「おや? さやかさんは先ほど、魔法少女同士の縄張りで戦いに発展することもある、と説明なさったではありませんか。
私は、魔法少女の戦いというものを見たことがありません。
しかしさやかさんは先ほど、魔法少女は魔女と戦う為に、無数の重火器を生みだしたり、刃物でコンクリートを切り裂くほどの運動能力を持つとおっしゃいましたね。
いくら魔法少女の体がその『魔法』に守られていたとしても、そんな兵器をぶつけあっていたら、相手を殺してしまう可能性の方が高いのではないですか?」

少し間をおいて、ゲーチスは言う。

「そうすると魔法少女は、同胞の魔法少女との殺し合いを想定していることになりませんか?」

586躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:37:46 ID:oDtSCa4I

「え? …………でも、でも、あの時は……」

まるで、それまで人間に優しくされてきた子犬ポケモンが、いきなり蹴り飛ばされたかのような顔をしていた。

『魔法少女同士の戦いも起こり得る』と説明した時、さやかは表情を翳らせていた。
それをゲーチスは見逃さなかった。
そして、『あの時』という言葉に、確信する。
さやかは、実際に他の魔法少女と戦ったことがあるのだ。
それも、単なる女の子同士の喧嘩ではなく、殺し合いといっていいレベルの戦いに発展したのだ。

「おや? もしかして、自覚がなかったのですか?
それとも、その戦った相手というのは、『無条件で殺されても仕方がない』ほどの、極悪人だったのですか?」

「それは……ただ、あの時は、殺されそうになって……」

反論しようと口を開くのに、出て来るのはしどろもどろの言葉ばかり。

そこから導き出される答えは、否定。
『決して悪人とは言い難い人間を、短慮から殺そうとした』ということ。

夜神月やゲーチスの話を全く疑わなかった、思い込みの強そうな少女だ。
相手が多少なりとも攻撃的で、誤解を受けそうな性格だったならば『私利私欲の為に魔法少女の力を使う外道』と思い込んで攻撃したとしても、おかしくない。
ただ、実際に殺人までを侵していたのなら、もっとあからさまな反応をしたはずだ。
相手があまりにも強すぎて殺害できなかったか、途中で停戦になる事情が発生したか、とにかく殺害には至らなかった。
いざ停戦してみると、相手はそこまでの悪人ではなかったと悟り、ある程度の和解を得た。
そんなところだろう。

「ああ、そんな怖い顔をしないでください。さやかさんを責めているわけではありません。
さやかさんは悪くない。付き合いの浅い私(ワタクシ)にもそれは分かります。
その様子では先に仕掛けてきたのは向こうのようですし、殺さなければ殺される状況で応戦することを、誰も責めはしませんよ」

反発を持たれては意味がない。
ゲーチスの目的はさやかの『糾弾』ではなく『誘導』なのだから。

殺し合っている最中は、『殺さなければ殺される』という極限状況で、殺しに対する躊躇いが麻痺していたのだろう。
そして、『魔法少女』という法に問われない存在だからこそ、そこで為したことに向き合わずにここまで来れた。
しかし、法で問われないから殺人未遂ではなくとも、『同胞殺し未遂』には違いない。

そして、おそらくこの『正義の味方』の少女は、自分が『殺人未遂犯だ』と認めることができるほど強くない。

587躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:38:34 ID:oDtSCa4I
もし彼女が、『それがどうした』と開き直れるほどに意思の強い魔法少女だったならば。

あるいは自衛の為ならそれも已む無しと、割り切れるほどに経験を積んだ魔法少女だったならば。

ゲーチスも彼女を誘導する必要など感じなかったであろう。

「私(ワタクシ)はただ、さやかさんが心配になったのです。
もしさやかさんに人を手に欠ける覚悟がないのなら、この先のさやかさんは、酷なものを見ることになるのではないかと」

「覚、悟……?」

さやかの瞳が、揺れた。

「このバトルロワイアルでは、殺し合いに乗ってしまった人間は数多くいるでしょう。
夜神さんがおっしゃっていた『キラ』の一味のように、殺人を何とも思わない極悪人が確実にいる。
そしてその一方で、『殺し合いなどしたくないけど死にたくない』という強迫観念にかられて、殺し合いにのった善人もいるかもしれない。
しかし、そのどちらの場合にしても、彼らは生きたいが為に、私たちを本気で殺そうと迫って来るでしょう。悪人の度合いに関係なく。
さやかさんはそんな人達相手に、いちいち『この人は殺されても仕方がない極悪人かどうか』と選別をしてから応戦するのですか?
そんな悠長な判断をしていては、いざという時にさやかさんの身を危うくすることは分かりますね」

「あ……」

さやかは、何かに初めて思い至ったかのように、口をぽかんと開いた。
もしかしたら、いるのかもしれない。
以前、美樹さやかが殺し合ったらしい『悪人ではないけれど、正義の味方では決してない魔法少女』も。
その彼女が果たして、殺し合いに乗るのかどうかを、考えているのかもしれない。

「私は、『ゲームに乗った人間は殺せ』などと物騒なことを言うつもりはありません。
殺さずに無力化するという、困難だが美しい選択もまた存在する。
たとえ己の身を危うくしても不殺を貫き、殺し合いに乗った人々を殺さずに救う。
それもまた一つの考えだ。
ただし、その道を歩くには、殺さずに戦闘を終わらせるだけの力が必要となりますがね。
もっとも、その点は大丈夫でしょう。
“オルフェノク”のような明らかに人間離れした存在がいるとはいえ、さやかさんもまた“魔法少女”なのですから」

588躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:39:12 ID:oDtSCa4I
「困難だが美しい選択……」

さやかは、言葉を覚えたばかりの子どものように、ゲーチスの言葉を繰り返している。

ゲーチスのこの言葉は、ある意味でハッタリだ。

『さやかには、殺し合いに乗った人間を殺さずに救う力がある』という部分。

まず『さやかは、魔法少女になって数日しかたっていない』という事実。
『マミ』という先輩の魔法少女に対する安心感と『マミさんに会えれば大丈夫』という絶対的な期待。
そして、ある魔法少女に対して『殺さなければ殺される』という状況にまで追い詰められたという話。
これらのことから、ゲーチスが勘付いたことは一つ。
さやかは“魔法少女”の中でも“弱い”部類に属しているのではないか。
あるいは、弱い“魔法少女”でなくとも、周囲の魔法少女が才能や経験で上回っていて、コンプレックスを感じているのではないか。
そして、その劣等感を、さやか自身も気づいているのではないか。

だからこそ、敢えて『さやかさんなら大丈夫』という言い方をする。
『魔法少女だけでなく、オルフェノクのような未知の異能者もいる』ことを思い出させつつ、プレッシャーを与える。

「ただ、どちらの道を選ぶにせよ、『覚悟』を決めた上で選択してほしいのです。
半端な状態のまま敵と交戦し、取り返しのつかない結果を招けば、何よりもさやかさんが傷つくことになります。
もし戦う時が来たら、その時は相手に対して殺意を持ってぶつかるのか、
それとも、それが困難な道であることを知りながら会えて不殺を貫くのか、きちんと決めてからぶつかってください」



「…………はい」



心ここにあらずという返答。
彼女が、すぐに『選択』をできる状態でないのは明らかだ。

589躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:39:45 ID:oDtSCa4I
しかし、おそらく『殺す道』へ向かうだろうとゲーチスは推測している。
美樹さやかは優しく善良な少女だ。
だからこそ、『殺す道』へ向かうだろうという根拠がある。


何故なら、美樹さやかは『ゲーチス』という『守るべき一般人』を抱えているから。
その上で、彼女は正義感にあふれ、ゲーチスを守ろうと強い責任を感じているから。
己の生存率を下げるということは、ゲーチスの生存率もまた、下げてしまうことだから。


“魔法少女”として、ゲーチスを守らねばと思っているから。
その上で、己が決して『魔法少女としては強くない』とコンプレックスを抱いているから。


その状況でゲーチスから『さやかさんなら魔法少女だから大丈夫だ』と、重圧を背負わされてしまったから。


このバトルロワイアルに、『殺したくはないが、一度殺し合った相手』が、おそらく殺し合いに乗りかねない人格のまま、参加しているから。
その上で、その相手を殺さずに勝てるという、自信が全くないから。


それら全てを見越した上で、ゲーチスは彼女に選択肢を与えた。

590躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:40:21 ID:oDtSCa4I
ゲーチスの目的は、このバトルロワイアルで、最後の一人まで生き残ること。
その為には、常に己の身を安全圏に置き、その上で他の参加者には積極的に数を減らし合ってもらう必要がある。

手元には切り札のサザンドラを隠し持っているが、これは必要な時が来るまで伏せなければならない。
そうするとゲーチスの当面の『戦闘手段』は、この美樹さやかという少女になる。

その為に、美樹さやかには『あっさりと他人を殺すことのできる人間』であってほしいのだ。
それが『殺し合いにのった人間を殺す』という極端な信念であれ、
『己を壊そうとする人間はうっとうしいから殺す』という暴走であれ、
『殺す』という選択肢を選んでいて欲しい。
壊れる方向が予測できていれば、その行動を操ることも容易い。
また、それは『美樹さやかの絶望が見たい』というゲーチスの趣向とも完全に一致する、趣味と実益を兼ねたものだ。

その上で、ゲーチスは何も間違ったことを言っていない。

『半端な覚悟で人間を殺すという決断をしては駄目だ』

言葉だけなら、むしろ全くの正論だ。

ゲーチスは何一つ彼女に命令していない。
『さやかは悪くない』と言ったが『さやかは正しい』とは言わなかった。
人殺しを肯定することさえしなかった。
『それも一つの考え方だ』と迂遠な言い回しをしただけだ。
あくまで美樹さやかを心配している素振りをし、『決めるのは美樹さやかだ』と選択肢を与えただけだ。

よって、ゲーチスの悪意は誰にも証明できない。

591躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:41:29 ID:oDtSCa4I


きっかけは、間桐邸での情報交換。
さやかは、夜神月から『キラの一味』の話を聞いて、その連中を『捕まえなければ』と言った。
つまり美樹さやかの頭には、『敵を傷つける』という選択肢が存在していなかったのだ。

ゲーチスは思い出す。
あのイノセントなNでさえ、“己の主張を持って戦うなら、人間を傷つけることが必要だ”ということを知っていた。
その所業は“殺し合い”ではなく“ポケモンの強奪”ではあったが、それでも“闘争をするならば、敵を傷つける覚悟が必要だ”と理解していた。

にも関わらず、正義の味方として『魔女』と戦ってきたというさやかには、その発想が欠けていると感じた。
だからこそ、ゲーチスは彼女に『魔女と魔法少女の話』を所望したのだ。

『魔女』を一般人に害をなす災害のような存在だと聞いて、ゲーチスは理解した。


――遊び半分だ。


彼女が培ってきた“正義”とは、苛められっ子を助ける為に苛めっ子をとっちめるような
分かりやすい“悪役”がいる次元の正義感でしかないのだ。
もちろん、普通の少女が普通に日常を送るなら、その程度の薄っぺらい正義感でも充分に『正義の味方』でいられただろう。
問題は、その程度の薄っぺらい信念のままで、闘争の世界に飛び込んだことだ。
いくら『命を賭ける覚悟がある』と言われても。
肝心の信念がその程度では『遊び半分で首を突っ込んだ』と思われても仕方がない。

だからゲーチスは、彼女に道を示した。



(子どもを導いてやるのは、やはり良いものです)

592躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:42:05 ID:oDtSCa4I
まぶたを閉じれば、まるで昨日のことのように、幼き日の息子のことが思い出される。


――例えば、施錠された息子の部屋から聞こえる、荒れ狂う震動と騒音。

――例えば、騒音に混じって聞こえる、凶暴なポケモンの唸り声。

――例えば、ドアの向こうから聞こえる、幼い息子の泣き叫ぶ声。

(純粋で、思い込みが激しく、その上、簡単に思い通りになる……)



さやかは、ゲーチスの隣を歩く。

俯き、その表情を伏せ、先刻までの元気は嘘のように、ぎこちなく歩く。



☆   ☆   ☆

美樹さやかには、覚悟がなかった。

生き物というより、災害に等しい魔女に対して“殺す”という罪の意識など、備わろうはずがない。

命を賭ける覚悟はあっても、敵の命を奪い取る覚悟はなかった。

結局のところ、美樹さやかには、その程度の覚悟しか、なかった。


【D−5/病院近辺/一日目 黎明】

593躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:42:26 ID:oDtSCa4I
【外道親父と不遇少女】

【ゲーチス@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:普段着、きんのたま@ポケットモンスター(ゲーム)、ベレッタM92F@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(サザンドラ)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:組織の再建の為、優勝を狙う
1:表向きは「善良な人間」として行動する
2:病院を目指す。
3:切り札(サザンドラ)の存在は出来るだけ隠蔽する
4:美樹さやかが絶望する瞬間が楽しみ
※本編終了後からの参戦
※「DEATH NOTE(漫画)」と「魔法少女まどか☆マギカ」の世界の情報を入手しました
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました
※「まどか☆マギカ」の世界の情報を、美樹さやかの知っている範囲でさらに詳しく聞きだしました。
(ただし、魔法少女の魂がソウルジェムにされていることなど、さやかが話したくないと思ったことは聞かされていません)

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:見滝原中学校の制服、ソウルジェム(濁り無し)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1: ………………。
2:ゲーチスさんと一緒に行動する
3:ひとまず病院を目指す。その後、鹿目家や見滝原中学にも行ってみたい。
4:まどか、マミさんと合流したい
5:月さんが言っていた「悪人」を捕まえる
6:月さんとゲーチスさんは良い人だ
※第7話、杏子の過去を聞いた後からの参戦
※「DEATH NOTE(漫画)」と「ポケットモンスター(ゲーム)」の世界の情報を聞きました
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました


[備考]
※時間帯は「黎明」ですが、時刻はスマートブレイン社での“だいばくはつ”よりも前の時間です。

594躊躇いを、飲み干して ◆8nn53GQqtY:2011/07/23(土) 20:42:57 ID:oDtSCa4I
投下終了です。

問題点があればご指摘お願いします。

595名無しさん:2011/07/23(土) 21:04:00 ID:R.aRVQ9c
両名投下乙でした

◆7KTvmJPRwQ氏
どうみても誘拐犯です、本当に(ry
ええい、さりげなくゆまの頭に手を置くな!そこは杏子の専用地だ!
ところで、タイトルどこでしょう?

◆8nn53GQqtY
ヒャッハー!安定のさやかだあー!
ゲーチスの突き具合が上手い。流石カルト教の教祖、思考誘導はお手の物だ。
病院は早速人が集まりかけているが、果てさてどこでフラグがバーストるか…

596名無しさん:2011/07/23(土) 21:43:28 ID:dB8uFRKE
投下乙です

さすがゲーチスさん、人一人を不安にして誘導するとかお手の物か
しかも相手は安定のさやかだからなw
そういえばさやか本人は魔女になったが魔法少女が魔女になるなんて本人は知らないんだって(人魚の魔女にさやかの意識が残ってたかは不明だし)
さやかの知人ではマミさん以外知ってたんだよな…まどかがぽろりと…
さて、病院は来そうな人がいるけどどうなるやら。ビルや学園も騒がしいし…

597名無しさん:2011/07/23(土) 22:42:57 ID:noedx6Vs
投下乙!

ゲーチスさんマジ外道
さやかちゃんマジ不憫
でも仕方ないよね。さやかちゃんだから

>まどかがぽろりと…
まどか「実はさやかちゃんは魔女になっちゃうんだよ!」
さやか「な、なんだってー(泣)」
こうですねわかります

598 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/23(土) 22:46:10 ID:PN4FZxQk
>>594
投下乙ですー。
さやかあちゃんが安定すぎる……なんてイヤな予感しかしない。
そしてゲーチスはさすがだなぁ、見た目からして胡散臭さの塊のくせにw

>>595
あら、どうもすいません。
>>578のタイトルは『片手に幼女、唇にチョコレート、心に……』です。

599 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 22:51:29 ID:VxIqLz9c
少し悩んだけど、投下行きます。

600三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 22:53:03 ID:VxIqLz9c
アリスは銃を手に、握り心地を確かめていた。
何時でも狙いを定めて引き金を引けるように。

警視庁SAT(特殊急襲部隊)の銃器保管室。
暁美ほむらが手際よく鍵を盗ってきて開けたそこには、無数の銃器がひしめいていた。
この殺し合いの場においては宝の山だ。
ほむらはやたら手慣れた様子で物騒な銃器を腕に取り付けている奇妙な盾へと放りこんでいく。

しかし生憎とアリスはそんな便利な収納具を持っていない。
それに使いこなせない種類の銃を持っていても仕方がない。
普段スカート下に隠しているのと同じ位の小さな自動式拳銃、グロック19という銃を二丁だけ手に取った。
足に付ける隠しホルスターも銃ごと没収されていたから、それぞれ銃弾を装填した上でポケットに仕舞い込み、
予備のカートリッジを二つほどデイパックに放り込む。
これ以上は、不要だ。
(あまり持ち過ぎても重みが邪魔になる)
グロックは銃として非常に軽かったが、それでも二丁に予備弾の重量を全て足せば水のペットボトル2リットル分に匹敵する。
軍人かつギアスユーザーとして相応に鍛えてはいるが、余計な装備を持たないに越した事はなかった。
別に隠し持つ事に拘らず、より火力のある武器に意識が向かないでもないが。
(あのゼロみたいなのを相手にしたら、ライフルも拳銃もただの誤差だ)
この程度の銃器で戦える相手がどの程度居るのか、見当がつかなかった。

なにせアリス自身、後ろ手に縛られ銃で撃たれて高層ビルから突き落とされても、まあどうにか軽傷で済ませた経験がある。
流石に撃たれ方によっては十分死んでいたと思うし、高層ビルからの落下分はザ・スピードを駆使して凌いだ物だが、
暁美ほむらも同程度の事が可能なようだ。
更に同程度の力を持っている者が自分と彼女ら魔法少女だけと考えるのも都合が良すぎる。
この儀式において、携行レベルの銃器では絶対的に火力不足なのだ。
(特にゼロと戦う羽目になったら、ナイトメアフレームが無いと話にもならない)

ナイトメアフレームは全長十m程もあるロボット兵器であり、戦争の様相を一変させた程に強力無比な兵器だ。
人が携行できる銃器など比較にもならない、圧倒的な力である。
魔王ゼロはその精鋭部隊を一人で、しかも生身で壊滅させたらしい。
出力も何もかも並外れている最新鋭の機体に蹴り飛ばされても全然平気だったとか。
挙句、アリスが仲間達とやっとの事で追い詰めた異形のKMF・マークネモを空間転移であっさりと救出した。

人造のギアスユーザーであるアリスとは桁が違う、次元が違う。
あれと戦う為にはギアスの力を増幅する専用機に搭乗するだけではまだ足りない。
もしもあれと戦う事になれば。
「……中和剤が要る、か」
「中和剤?」
自分の分の物色を終えたのか、戻ってきたほむらが聞き返してくる。
アリスは頷いて、答えた。
「そう。……そういえばあんたの支給品、バイクと双眼鏡で全部なの?」
「いいえ。もう一つ、薬らしい物が有ったわ」
「ほんと? それ、見せてくれない」

C.C.細胞抑制剤があれば、多少無茶なギアスの使い方をしても大丈夫だろう。
それに加えて中和剤が有れば、ゼロと戦う為の条件が一つ揃う。
「構わないけど」
果たしてほむらのデイパックから出てきたものは中和剤と注射用のキットだった。
アリスは幸運に感謝し……すぐに、嫌な予感がした。
ほむらに質問する。

「中和剤、ね。それとセットで別の薬はなかった? 細胞抑制剤と書いてあるやつ」
「いいえ、これで私の支給品は全部よ」
「……くそ」
無情にも首を振られて、思わず歯噛みした。

601三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 22:54:53 ID:VxIqLz9c
C.C.細胞抑制剤、そしてその中和剤。
前者は紛い物のギアスユーザーであるイレギュラーズが、生きるために摂取し続けている薬剤だ。
アリス達イレギュラーズ体内の魔女の細胞は強い力を与えてくれるが、それは身を蝕む諸刃の剣。
生きる為には細胞抑制剤でC.C.細胞を抑え続ける必要がある。
マオほど切羽詰った状態には無いが、抑制剤が無ければ遅かれ早かれ、アリスも何れ死に至る。
そして中和剤とは、普段投与しているC.C.細胞抑制剤を意図的に中和する為の薬剤だった。
抑制しているC.C.細胞を活性化させる事により、ギアスの力を爆発的に増大させるのだ。

言うまでもなくそれはアリスにとって猛毒である。
中和剤を使った場合、二分以内に細胞抑制剤を再投与する必要がある。
細胞抑制剤の投与が遅れればたちまちアリスは魔女の細胞に“取り殺されて”しまうだろう。
無論、細胞抑制剤無しでの中和剤使用など完全に自殺行為だ。
僅か二分間の神速の後に、アリスの体は醜い肉塊と化し朽ち果てる。

「単体じゃ使えないっていうのに。まあいいわ。私の穴抜けひも一本とそれ、交換してくれない?」
「ええ、構わないわ」
とはいえ細胞抑制剤を手に入れる事が出来れば有用だ。
アリスは穴抜けひもと交換で中和剤のキットを受け取り、デイパックに放りこんでおいた。

「それと、あなたにとって武器になる物が使えなかったみたいだけど、気に病む必要は無いかもしれないわ」
「どういう意味?」
「私達の能力が制限されているという事の、意味よ」
ほむらはそう言って、壁に向けて拳銃を構えてみせる。
蛍光灯に照らされた白い壁。窓の無いこの部屋では明かりをつけても外に漏れる心配は無い。
トリガーが引かれ、乾いた音と共に壁に穴が開いた。
硝煙の臭いがほのかに漂う。
火薬式の銃の煙にアリスは眉をしかめ、足元に居た黒猫は怯えて物陰に飛び込んだ。
「銃弾の火薬量は減らされていないようね」
「それがどういう」
聞き返そうとして気づく。
「そうか。もしこの『儀式』の参加者の特異能力が抑えられていて、銃器の威力が変わらないとしたら……」
「ええ。元の世界では銃が通用しなかった相手も、銃で殺せるかもしれない。
 全体の制限が強ければ強いほど、銃で戦える私達が有利になるわ」
希望のある話だった。
要するにこの島でならゼロも、最新鋭のナイトメアフレームで蹴り飛ばせば倒せるかもしれないのだ。
だから何処から持ってくればいいんだ、そんなもの。

「……ちょっと弱体化されていても、携行火器じゃ勝てそうにないのが一人居るわ」
「危険な相手なのね」
「魔王よ」
「そう」

魔王ゼロは弱者救済を掲げる黒の騎士団の総帥なのだから、必ずしも危険とはいえない。
だが所属組織は敵対しているし、マークネモを救出に現れた時、ナイトメアフレームに搭乗していたとはいえ見られてもいる。
ザ・スピードの動きを見せれば気づかれてしまうかもしれない。
そして生身でゼロに狙われれば、逃げる他に選択肢は無い。
別世界のゼロのはずだからといって、もしも同じような能力で敵対して現れたらと思うととても楽観できない。
警戒するに越したことはなかった。

ほむらは物陰に飛び込んだ猫を宥めようとしているが、火薬の臭いが付いてしまったせいか怯えられている。
溜息を吐いて、代わりに猫を捕まえてやった。
右手で銃を握ったまま左腕で猫を抱いて、ふと尋ねる。

602三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 22:55:55 ID:VxIqLz9c
「そういえばあんたの知り合いでそういう厄介な相手って居るの?
 確か美国織莉子と呉キリカは危険だって言ってたけど」
「そうね。未来視と加速能力の連携が脅威よ。
 それ以上に闇討ちや、学校を標的にしたテロと、手段を選ばない事が危険だけれど」
「最低ね、それ」
警戒で胸がざわめく。
その二人も魔法少女で、見た目はほむらやアリスと同じく普通の少女だという。
そんな奴らがナナリーに近づいたらと思うと、怖気がした。
すぐに違う世界のナナリーだと思い直すが、やはり怖気は消えない。
(こいつはどう折り合いをつけてているんだろう)
並行世界に関してアリスは門外漢で、暁美ほむらの方が専門家だ。
それに加えて鹿目まどかについて語る時、アリスは彼女の中に自分を垣間見た。
ほむらの言葉を信じていいと判断したのだ。
だけど感情は別だった。
今だって何もかもかなぐり捨ててナナリーを捜しに走りたいと思っている。
(あんたも同じ気持ちのはず……なのよね)
並行世界という概念を知ったばかりで実感が追いついていないのかもしれない。
気持ちがざわざわと落ち着かない。
暁美ほむらは今、どんな気持ちでいるのだろう。

そんな気持ちを露知らず、ほむらは話の続きに、
「後は……ある意味では巴マミも、かしらね」
表情に明確な陰りを落としながら、付け足した。



「何か訳ありそうね」
アリスの言葉にほむらは頷き。
「ええ。でもこの話の続きはそこで立ち聞きしている男に話を聞いてからにしましょうか」
「ま、そうね」
二人で同時に振り返り、部屋の入り口へと銃を向けた。
「出てきなさい。居るのはわかってるんだ」

……ほんの少しだけ間があって。
ゆっくりと、両手を上げた青年が歩み出てきた。
「立ち聞きしてすまない。だけど話を聞いてもらえるのはありがたいよ」
申し訳なさそうな表情と、武器を持たない手に敵意は感じられなかった。
ただ、その瞳の奥には何か強い意志が秘められていた。
まるで世界すら変革しようという、強い意思が。
「僕の名は夜神月、警察官の息子だ。危険人物の情報を共有したいと思っている」

       *  *  *

警視庁の、休憩室の一つで。
コポコポという音と共に、芳しい香りが広がる。
ひとまずは落ち着いて話をしようと、コーヒータイムが提案されたのだ。

アリスは「呑気すぎない?」と疑問を呈したが、情報交換の重要性は理解している。
それに銃器の調達に掛かった時間を考えると、今から西の爆発現場に向かっても間に合わないだろう。
戦闘が終了する程度の時間は経過していた。
「まずは冷静に、落ち着く事が肝要だよ。こんな時だからこそ、ね」
そう言うと月は、アリス達が用意したカップでコーヒーを飲んでみせた。
毒殺を疑ってはいないというアピールだろう。
それでもほむらはコーヒーに口をつける事なく、淡々と問を口にした。
「それで、あなたの側から得られる情報はどんな物なのかしら」
「ああ。殺人鬼キラと、それに協力する集団の話だ」

603三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 22:58:18 ID:VxIqLz9c
月の話によるとL、ニア、メロ、松田桃太、南空ナオミの五人。
この五人は殺人鬼キラに加担し、キラ事件を追っていた月に濡れ衣を着せ偽のキラに仕立て上げた悪人だという。
また、名前を書くだけで人を殺せるノート等も恐ろしく興味深い話だった。

しかしアリスは一つだけ、聞いておきたい事があった。
「この儀式に居る五人が、あなたの知る五人だという確証は有るの?」
「……どういう事だい?」
「私が説明するわ」
月の疑問に、ほむらが答えた。
暁美ほむらの考察……この『儀式』の参加者は一人一人が違う世界から集められている、という話を。
「つまりこの儀式に居るその五人は、あなたの知る物とは違う世界の者達という事よ」
「それは……まさか。いや、ならば少しだけ訂正させて貰えるかな」
思考が早い。
数瞬で思考を整理したらしく、月は訂正を口にした。
松田桃太は、他の者達に唆された可能性が有ると。

「僕の世界の彼は、無実の僕を裏切り嵌めた男だ。だけどそれまでは信頼関係に有ったはずなんだ。
 それは僕の勘違いだったのかもしれない。
 だけど彼に出会ったらそれぞれが別の世界の人物という話と共に、確認をしてみて欲しい。
 例えば彼がもし僕をキラと言うならば……やはり彼は、同じ人物だ」
「他の人達は?」
「残念だけれど、世界が違ったとしても同じ名前を与えられ同じように育ったとすれば、分かり合える人間には思えない」

月は更に話を続ける。
ゲーチスという男と、美樹さやかという少女に出会ったという。
「そう。美樹さやかに出会ったのね」
暁美ほむらが、軽く目を細める。
「どういう風に言っていたかは予想が付くけど」
月は頷き、気まずげに口にする。
「ああ。彼女は君をひどく扱き下ろして、巴マミを賞賛していたけれど……」
「……美樹さやかとは反りが合わないし、誤解もあるけれど正す気も無いわ。
 それと巴マミは基本的に善良な魔法少女よ。おかしな事ではないわ」
ほむらはあっさりとそう認めた。
だがそれならば、ある意味で危険というのはどういう事なのか。
ほむらの表情には憂いが見えた。
「彼女は正義の味方である事に依存しているのよ。それが場面によっては危険という事。
 一度崩れれば、短絡的な行動に出てしまう程に」
「美樹さやかの話とは少し違うな」
「彼女は前しか見えないのよ。時折本質を見抜くけれど、大抵は表面上しか見えていない」
「彼女よりも巴マミについて詳しいのかい?」
「ええ。この世界の巴マミは全くの別人でしょうけど、かつて、私が居た世界の彼女は魔法少女としての、
 先輩のようなものだったわ。……多分、本質は同じはずよ」
そこまで問答を繰り返してから、暁美ほむらは息を吐いた。
「話しすぎたわね。それより聞きたい事があるのだけれど」

そう言ってほむらは質問を投げかけた。
アカギに関して判る事は無いか?

604三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:00:36 ID:VxIqLz9c
これはほぼ空振りだった。
月の世界のデスノートによる死は参加者に刻まれた呪術式を思わせたが、確証には至らず。
むしろこれについては暁美ほむらが理解できるようだが、やはり解除は難しいようだ。

アカギという人物そのものに至っては完全に判らない。
ゲーチスという男は名簿の名前に六つほど知っている物が有った(ただし殆どは一方的に知る有名人や一部種族の名前らしい)が、空振り。
月も前述の五名に加えて父親で六つほど知っている名前が有ったが、やはりアカギという男など知らないという。

「あの男を知る者は殆ど居ないのかもしれないわね」
確かに、アリス達が出会った乾巧達もアカギを知らなかった。
彼らが知る名前を全て足し合わせれば全参加者の四分の三程に上るというのに、アカギに繋がる手がかりは無しだ。
無論、その中の誰かがアカギを知っている可能性は有るが……
あの会場で上がった、アカギを知っているらしい声は誰のものなのだろう。
「そもそもそれがその人の世界のアカギかも不明なのよね」
「ええ。あの声の人物の世界より、もっとずっと強大な力を手に入れたアカギかもしれないわ」
ますますお手上げだった。

ふと、アリスは一瞬違和感を覚えた。
これまでの暁美ほむらの言葉に、何か。
「それじゃ、情報交換の続きをしましょう」
(……気のせい?)
違和感が何かは分からなかった。

その後もアリスとほむらは、しばらく夜神月と情報を交換し、別れた。
夜神月は情報収集と拡散を少しでも早く行いたいらしい。
彼はすぐに出ていき、自分に支給されたバイクで走り去っていった。
アリスとほむらもこれから、既に戦闘は終わっているであろう爆発音の方向に向かい情報を集める事になる。


アリスは、気づいていない。
暁美ほむらが美国織莉子と呉キリカの危険度を、巴マミの危うさを語った言葉。
月が松田桃太だけを訂正した理由。
アカギの情報を、彼に見覚えのあった誰かから得ようとする行為。

元の世界での知り合いの情報を判断材料にするという事は、それが元とほぼ同じ存在だと考えているという事に。

無論、それは『何もかもまるっきり同じだけれど別々の並行世界から連れてこられた』と考えても良い。
説明がつかないわけではない。
明確に矛盾しているわけではない。だけど。
それはまるで、『並行世界は別々だけれどそれぞれの世界に居る人物は共通している』と考えているようではないか。
アリスは、違和感の正体に気づかない。

       * * *

暁美ほむらは想い。
悩み。
考える。
鹿目まどかを救うために最も効果的な手段は何か。

ただそれだけを思い時間軸を渡り歩いてきた。
ただそれだけの為に本来の自分の世界と縁を切り歩き続けてきた。
何度挑んでも敵わなかった。
幾度抗っても朽ち果てた。
ただの一度の勝利さえも無く。
負けて。
負けて。
失い続けてきた。

605三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:01:35 ID:VxIqLz9c
暁美ほむらにとって、『自分の世界』という場所は存在しない。
暁美ほむらにとって、『自分の世界』とは繰り返し続けてきた全ての時間軸である。
暁美ほむらにとって、『鹿目まどか』とはありとあらゆる時間軸全ての鹿目まどかである。
暁美ほむらにとって、『鹿目まどか』とは全てである。
そう、考えていた。

だからこの島に連れて来られた時、最初は鹿目まどかの元に走ろうとして。
すぐに、アカギの言葉を思い出し取りやめたのは知っての通りだ。

(あの男は私達をこう呼んだ。『数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たち』と」

それはおぞましい囁きだった。
暁美ほむらの根底を突き崩す程に禍々しく。
同時に染み入ってくる絶望を打ち払う程の、鮮烈な希望だった。

可能性宇宙の全てが同時に存在するという事。
それにより鹿目まどかがそれぞれの世界の鹿目まどかであると考える事は、暁美ほむらにとって非常に危険な発想である。
考え方としておかしな物ではなかったが、選ばないできた解釈だ。

暁美ほむらは、何処かの世界で一度でも鹿目まどかを救えればそれで良いと思い行動してきている。
全ての可能性世界における鹿目まどかを鹿目まどかだと認識しているからだ。
そうでなければ意味が無い。
鹿目まどかが個々の世界で別々の人物だと解釈してしまえば、暁美ほむらが守るべき鹿目まどかなど最早居ない。
とうの昔に死んでしまい、失われてしまっている。
鹿目まどかをそれぞれの世界の鹿目まどかと定義するのであれば、
暁美ほむらは、全ての世界において鹿目まどかを救わなければならなかったのだ。
もう手遅れだという言葉すらも否定して。

守る事に失敗し、死に絶えた世界すらも許容した上で、もう死んでしまった鹿目まどか達を救わねばならないのだ。


これまでただの一度も守り切る事が出来なかった全てを。
守れずに失われてしまった全てを。


無理だ。
不可能だ。
絶望的な条件だ。
そもそも暁美ほむらの魔法では一度干渉し失敗した時間軸に戻る事さえも出来ないのだ。
人を生き返らせる事も、魔法少女の契約を反故にする事も出来ない。
だがしかし。

『数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつから選び出された戦士たち』

この世界であれば。
全く別の要素を持ち別の歴史を辿った世界の力があれば。
この舞台を創りだしたアカギの力があれば。
これまで暁美ほむらが辿ってきた時間軸の全てに、辿っていない時間軸の全てにまで介入し。
如何なる可能性宇宙においても、須らく、そして永遠に、ありとあらゆる鹿目まどかを救う事が出来るのではないか。

暁美ほむらよりも遥かに、守る必要が無い程に強く。
なのにもはや何をどう足掻いても手遅れな。
契約を済ませてしまっていた場合も最後まで共に抗い、しかし当然のようにどうしようもなかった魔法少女のまどかさえも。
“守る”事すら無意味なまどかさえも、“救える”のではないか。

606三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:02:37 ID:VxIqLz9c

(まどか)

ほむらは心中でその名を呟き、想う。
鹿目まどかをそれぞれの世界で別の鹿目まどかと定義するならば、
ほむらの親友にまでなれたまどかは、魔法少女である鹿目まどかだけだった。

魔法少女でない鹿目まどかには一線を引いて、隠し事をして接しなければならなかったから。
あるいはほむらが近くに居る事により余計な危険までも招き、魔法少女にまどかが殺された事すら有ったから。
ほむらは人間である鹿目まどかを冷たく突き放さなければならなかった。

ほむらが守らねばならない人間の鹿目まどかにとって、ほむらは冷酷ですらある謎の少女でしかないだろう。

(まどか)

それでも暁美ほむらが挫ける事は決してない。
立ち止まれば全てが終わってしまう。
歩き続けるしかない。
走り続けるしかない。
どれほどに終わってしまっていても諦める事は出来ない。
ただ目的とそれを果たすための手段を考え続けるしか。

(まどか……!)

目的は全ての鹿目まどかの救済。
鹿目まどかをそれぞれの世界で別の鹿目まどかと解釈した以上、暁美ほむらは全ての鹿目まどかを救わなければならない。
その為にはこれまでほむらが辿ってきた全ての時間軸にも“帰還”する必要がある。
だがそれは意味のない“帰還”であってはならない。

もしただ帰還すれば、またあの一ヶ月を繰り返すだけだ。
それはもう、手詰まりだ。
繰り返し続ければ何時か活路を見いだせると信じ続けてきた。
だけど繰り返す度に出会い失われていくまどかを救おうなんて、絶望が積み立てられていくだけだ。

暁美ほむらは希望を掴んだ上で帰還しなければならない。
それは“奇跡”と言い換えても良かった。
一度きりの、既に使い果たした願いを、もう一度この手に掴む。

『“奇跡”を手に入れた上でこれまで辿ってきた全ての時間軸に“帰還”すること』

まるで夢物語だ。
だけどもそれが、今の暁美ほむらの最終的な目的だった。

(私は必ずあなたを救って見せる。“守る”事ができなかった全てのあなたまでも)

だから暁美ほむらは、考えたのだ。
その為に何を果たすかを。

(選択肢は二つ。
 あのアカギという男に従うか、あるいはあのアカギという男の力を奪う事。
 前者は仮に勝ち残ってもアカギに裏切られるリスクが有るし、後者は前者よりも不可能に近い難題ね)

そして両方に共通する、手段を。

607三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:03:50 ID:VxIqLz9c
『この『儀式』の舞台に放りこまれた者たちは一人一人が違う世界から来た可能性がある。そういうコトよ……』

まずは味方が必要だ。
アカギから力を奪うのであれば一人でも多くの協力者が必要だし、優勝を目指すにしても損はない。
仲間だと信じている者の不意打ちに抗するのは難しい。
かつて、ほむら自身が経験したように。

本音を言えば最悪の苦手分野だ。
暁美ほむらは、自分にコミュニケーション能力が欠如している事を自覚していた。
腹芸の類も巴マミ辺りの方がこなせるだろう。
感情的な演技など出来るはずもない。

暁美ほむらに出来る詐術が有るとすればそれはただ一つ。
自らの感情を漏らしすぎず、ただ与える情報を制御する。
不器用者に出来るのはその位だった。

『私たちが本当に守りたい人は、『私たちの世界』にしかいないの。
 ここで私たちが死んでしまったら、『私たちの世界』にいるその子は誰が守るの?』

暁美ほむらにとって、自らが訪れる全ての世界は『私の世界』だ。
この世界さえも。
それでもアリスにそう騙ったのは、彼女の優先順位において、友人の捜索を後回しにさせたかったからだ。
今のところ、それは効果的に作用している。
爆発という目立つ事件の現場に最優先で急行されては、いない。

もちろん武器が必要だという理性的な判断が有ったのは間違いないだろう。
だが行き先を決めるという判断において信頼されているのも確かだ。
特に理由が無ければ、アリスはほむらの行き先に従ってくれるだろう。
上手くいけば、彼女の行動をコントロールする事も可能だろう。

(そう、有用な手駒になるわ)

心の中で呟く。
それを確かめるように。

(その為に私は、彼女を引き込んだ)





それが目的なのだと、自らに言い聞かせるように。




奇跡を前に手を汚す事を恐れる理由なんて、もう無いはずだ。
だから、ほんとうは。

感傷に囚われて、あの想い出にすら関係の無い猫を拾っている場合ではなくて。

気まぐれな優しさで、乾巧に励ましの言葉などかける事も。

罪悪感から逡巡し、アリスを誘導する偽りの否定を求める事も。

ほんの少しだけ、かつての先輩であり、後に半ば障害と化した巴マミに想いを馳せる事も。

“奇跡”を手にして救うにしても、今この儀式にいる鹿目まどかも守りたいと思う事も。

全ては余分で。

608三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:04:42 ID:VxIqLz9c

もしアカギの手がかりが見つからず力を奪えそうにないのなら、裏切られるリスク込みで優勝を目指さざるを得ないのだと。

判ってはいた。
理解しては、いた。



(……結論を出すには早いわ。まだ手がかりは有るはず)
アカギについて、少なくとも『魔女のくちづけを応用した呪術式』を使っている事は判明している。
繰り返しによりベテラン魔法少女の中でも一際長いキャリアを持つ暁美ほむらにとっては、有用な手がかりのはずだ。
しかしそれも決定的な手がかりにはならない。
魔法少女の魔法は技術ではなく能力であり、その仕組みを理解するわけではない。
殆どの魔法少女はソウルジェムが何なのか、魔女がどうやって生まれるのかも知らないのだ。
幾度も時間を繰り返したほむらと、契約時に未来視の力を持つ美国織莉子だけが例外であり、
その例外であるほむらをもってしても解除法は見えないのだ。
(もう少し情報を集めてからで良いはずよ)
それでもまだ、決断には至らない。
ほむらを信頼するアリスを手駒として使い、裏切り、この儀式の場の鹿目まどかを見殺しにして。
全てを殺し尽くす決断には。

暁美ほむらの中には躊躇いが有った。

       *  *  *

夜神月はジャイロアタッカーを走らせながら、考える。
あの二人は上手く危険人物の情報を流してくれるだろうか?
(確信は持てないな。油断のならない二人だった)

結局、暁美ほむらはコーヒーに口をつけなかった。
それは彼女の警戒心の表れだろう。
二人とも銃の扱いにも手慣れた様子で、しかも月の来訪にすぐに気づいていたようだった。
さやか達の時と違いすぐに出ていかなかったのは、慎重さを見せた方が良い相手だと判断したからと、
彼女達の立ち話にも若干興味を抱いたからだ。

その後の情報交換の内容も興味深かった。
参加者が全て別の可能性宇宙から連れてこられたというのは月にはなかった発想だ。
自らが“死後から”連れてこられた事から、死後の人間はその手段で連れて来られた物で、
人間の世界と死神界の様に大きく違う世界から拉致されたのだと思っていた。

だが暁美ほむらから少し漏れた話によると、彼女の世界では美樹さやかも死んだ人物らしい。
あの場で出会った彼女はそんな様子を見せなかった。
隠していただけかもしれないが、どうも“生きている世界から連れてこられた”と見るのが正しいらしい。

(少し違う、殆ど同じ世界の存在……平行世界説か。量子論の波動関数の解釈の一つだったかな)
魔法のような、というよりはSF的な話だ。
全ての物質は可能性の波の様な物であり、人の見ている世界はその断面であるという説だったか。

現代科学はこの平行世界説をあまり重要視していない。
もっと分かりやすい数式の出せる説が有り、そちらでも同じ答えが出せるからだ。
干渉する事が不可能ならば、平行世界が存在していてもいなくても変わらない。
重要なのは『それが現実にどう関係有るか』なのだ。

609三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:06:10 ID:VxIqLz9c
(要点はL達がキラの正体を知らない、あるいはキラが居ない世界から来たかもしれない事だ。
 松田の奴は単純だから、仮に僕と同じ世界でも『キラが別に居る平行世界の僕』と言われれば敵対は出来ないはずだ。
 信じたい別の真実を用意してやればそちらを信じるだろう。
 だけどLとニアはダメだ。
 仮に僕がキラだと知らなかったとしても、この島での僕の動きに食いついてくる……脅威になる。
 メロも『かもしれない』という疑惑があれば、僕を拷問にかける位はするだろう。
 南空ナオミも『知っていた場合』は、別の世界の僕と言った所で止まるかどうか。
 あいつらを利用するのは危険過ぎる)

やはり安全策は彼らを始末する事だ。
それは変わらない、だけど。
もし彼らと直接出会うことがあれば、どうする?

その場合は、この流言が裏目に出かねない。
キラとして嵌められたと言ってしまった以上、『キラなんて知らない、それは別の世界の出来事だ』という言い逃れが出来ない。
もちろんそんな物は苦しい言い訳にすぎないが、確実な証拠を求めるLやニアが相手なら少しは間を持たせられる。
(これまでに流した分は仕方がないとしても、内容を加工した方が良いかもしれないな)

そして考える。
もしそれぞれが別の世界から来たとすれば。
あるいはそれを言い訳にできるとすれば。
父である夜神総一郎と、今のところ情報交換で存在を伏せている弥海砂にはどんな影響をもたらすのだろうか。

(ミサの事は引き続き伏せておいた方が良いな。
 僕の為に行動するミサなら、過激な行動を取る可能性が高い。
 その場合は陰からサポートした方が効果的だし、そうでないミサはどう行動するか読めない。
 父さんは……危険はあるが、一度接触してみるのも手か?)

不安要素は有るが、月にとって利益となる可能性も低くはない。
優勝を狙うならば何れ敵対してしまうだろうが、それまでは殺人を陰に隠して行動出来るかもしれない。

思索と慎重さは有ったが、夜神月の歩みに迷いは無かった。
暁美ほむらの考察によるアカギへの不信も考慮はしたが、彼を止める理由にはならなかった。
夥しい数の世界に干渉できるアカギにとって、世界の一つにおける願いなど些細な事だろうと判断したのだ。
何かのキッカケで露呈して殺し合いを破綻させるより、本当に優勝者の願いを叶える方がリスクは少ない。
そんな悪人に縋る形で願いを叶えるのは甚だ不愉快だが、やはり背に腹は代えられない。

(どこまで通用するかも判らない以上、本命は支給品だが……こちらも、手ではあるか)
暁美ほむら達が調達した部屋とは別の、一般警官用の拳銃保管室から調達した拳銃を意識しながら。
かつて否定した銃という名の武器を意識しながら。
夜神月は月明かりに照らされた夜の路を、疾走していく。

再び神に返り咲く為に。



【E-3/市街/一日目-黎明】
【夜神月@DEATH NOTE(漫画)】
[状態]:健康、ジャイロアタッカー乗車中
[装備]:スーツ、ジャイロアタッカー@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト、コルト ディテクティヴスペシャル(6発)@現実
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2(確認済み、内一つは殺傷性の有る物)
[思考・状況]
基本:優勝し、キラとして元の世界に再臨する
1:今は情報収集を優先
2:元の世界で敵対していた者は早い段階で始末しておきたい
3:ミサと父さん(総一郎)以外の関係者の悪評を広める
情報:ゲーチスの世界情報、暁美ほむらの世界情報、暁美ほむらの考察、アリスの世界情報、乾巧の世界情報(暁美ほむら経由)
※死亡後からの参戦

610三者三様の準備期間 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:14:52 ID:VxIqLz9c

【E-3/警視庁/一日目-黎明】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ソウルジェムの濁り(極少)
[服装]:魔法少女変身中
[装備]:盾(砂時計の砂残量:中)、警視庁SAT装備等@現実(盾内に収納)、サイドバッシャー@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、双眼鏡、黒猫@???、あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:アカギに関する情報収集とその力を奪う手段の模索、見つからなければ優勝狙いに。
1:爆発音が有った方に向かい、情報を収集する
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:協力者が得られるなら一人でも多く得たい。ただし、自身が「信用できない」と判断した者は除く
最終目的:“奇跡”を手に入れた上で『自身の世界(これまで辿った全ての時間軸)』に帰還(手段は問わない)し、まどかを救う。
[情報]:アリスの世界情報(詳細)、ほむらの考察、乾巧の世界情報(詳細)、乾巧はオルフェノク、夜神月の世界情報、夜神月の流言
    ゲーチスの世界情報(月経由)
[備考]
※参戦時期は第9話・杏子死亡後、ラストに自宅でキュゥべえと会話する前
※『時間停止』で止められる時間は最長でも5秒程度までに制限されています
※ソウルジェムはギアスユーザーのギアスにも反応します

【アリス@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[服装]:アッシュフォード学園中等部の女子制服、銃は内ポケット
[装備]:グロック19(15+1発)@現実、あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式、ヨクアタール@ポケットモンスター(ゲーム)
    予備グロック19(15発)、9mm×15発カートリッジ×2、C.C.細胞抑制剤中和剤@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[思考・状況]
基本:脱出手段と仲間を捜す。余裕があればこの世界のナナリーも捜索。
1:暁美ほむらと行動を共にする
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい
4:余裕があったらナナリーを探す。
最終目的:『儀式』から脱出し、『自身の世界(時間軸)』へ帰る。そして、『自身の世界』のナナリーを守る
[情報]:暁美ほむらの世界情報(詳細)、暁美ほむらの考察、乾巧の世界情報(詳細)、夜神月の世界情報、夜神月の流言、ゲーチスの世界情報(月経由)
[備考]
※参戦時期はCODE14・スザクと知り合った後、ナリタ戦前
※『ザ・スピード』の一度の効果持続時間は最長でも10秒前後に制限されています。また、連続して使用すると体力を消耗します


【コルト ディテクティヴスペシャル】
警視庁より現地調達。
日本の警察が正式採用していた拳銃であり、デスノート(漫画)でも登場している。
遠距離での使用を想定していない短銃身の回転式拳銃であり、服の下に隠し持つ事を想定されている。
全長178mm重量660g(本体のみ)。

【グロック19】
警視庁より現地調達。
警視庁SATに採用されている、全長174mm重量595g(本体のみ)の小さく軽い自動拳銃。


【C.C.細胞抑制剤中和剤@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
C.C.細胞抑制剤を中和する薬剤、三回分。
空圧式の注射器もセットになっている。
本来は専用機のコクピットに組み込まれており、首筋後ろから注入される。
注入後の作用はかなり苦しいらしく、アリスをして悲鳴を上げて悶えるほど。
「ギアスをもたらす細胞を抑えている薬を中和する薬」である為、当然ながら人造ギアスユーザー以外には効果がない。

611 ◆H.Y.h6sins:2011/07/23(土) 23:17:43 ID:VxIqLz9c
投下終了です。
スザクとユフィは、前話の行動方針から少なくとも移動済みだと考えています。
矛盾こそ無いはずですが、問題点があればご指摘お願いします。

612名無しさん:2011/07/23(土) 23:23:55 ID:oDtSCa4I
>>611
投下乙です。

>暁美ほむらは全ての鹿目まどかを救わなければならない

この発想はなかった。そしてすごく納得した。
そうだよなぁ……「時間を巻き戻してやり直す」っていうのは、
全てのまどかが「1人の同じまどか」だという仮定があったからこそ成立したんだよなぁ…

そしてアリス……実はコマ扱いされててカワイソス。
ギアス世界は名前が同じだけど別人なキャラがいっぱいいるからなぁ。更に混乱しなきゃいいが


そして月、どの世界でもお前はキラになってるから心配はないよwww

元世界での事情が全員とも複雑だからこそ成立した行動方針だな。
それぞれの行動方針がすごい面白いと思った。

613名無しさん:2011/07/23(土) 23:42:56 ID:L6OKL/sc
投下乙っす
そっかそういえばほむほむ戦闘終了後に即逆行しちゃったからキリカの能力知らずじまいだっけなあ

614名無しさん:2011/07/23(土) 23:44:12 ID:oDtSCa4I
そして、遅れてた分の感想

海砂やめとけwww
近くにはポケモン言語が分かるミュウツーもいるし、Nもそっちに向かってるんだぞw
しかし拡声器をこういう使い方するか。なるほど…

ミュウツーの悲しみの描写が上手いと思った。
激しく悲しむでもなく、喪失感を抱くでもなく、ただその感覚に浸る…
ズガンだったけど悲しんでもらえてよかったねサトシ
ヒカリといい、ポケモン勢のズガンは火種になるな…

615名無しさん:2011/07/23(土) 23:44:46 ID:dB8uFRKE
投下乙です

ほむほむは……
まどか真理教のほむほむにとってその発想は新たな苦悩の始まりであり、ただ元の世界に戻るだけでは済まないわな
優勝か、アカギから力を強奪するかのどちらかしかない。ただまだ優勝狙いは躊躇してくれるのはほむほむの心が完全にすり減ってない証と信じたいな
これは後で組む相手の選択で更に悩みそうだ

アリスはほむほむが自分と同じだと信じたいが…
それ以前にギアス世界関係者はヤヤコシイことこの上ないんだよな

月も月で優勝を狙うしかない立場なんだよな
彼は原作での行動が行動だけに自分の首を絞めてるよw
自身の包囲網を破る為に策を巡らすが…父親と再会したら親父の方が不幸が訪れそうな予感w

いやあ、三人とも行動方針がすごく面白かったのは俺も同意だわ
GJ!

616名無しさん:2011/07/23(土) 23:49:24 ID:R.aRVQ9c
ちょっぴり指摘。
ナイトメアのサイズは五メートル以下が平均ですよん。

ほむほむ、なんということでしょう……。
アリスカワイソス。中和剤だけで抑制剤なし、ほむほむには駒にされ……。
月はほぼ四面楚歌の状況を如何に打開するかが鍵だな。できるかはわからんがw
まさに三者三様、複雑な絡み合いでした。

617名無しさん:2011/07/23(土) 23:55:13 ID:PN4FZxQk
>>611
投下乙ですー。
ああそうか、ほむほむからすれば沢山のまどかを捨ててきたというのは到底耐えられることではないのか。
そして順調に?誤解をばら撒く月。 ここからどう出れるか。

618名無しさん:2011/07/24(日) 00:11:16 ID:uwaT9k5c
言い忘れてた。銃がたくさん置かれてるってのはオーケーなのかね?今回手持ちに入れた分はいいにしても。
施設にアイテムが隠されてるのは悪いコトではないが、ほぼノーリスク無条件で武装入手という点を考慮してみてください。
まあホマンドーでもいいんだけどね!

619名無しさん:2011/07/24(日) 00:16:49 ID:VfK2yHR2
>>618
他ロワでも見かけたからなぁ…>施設にアイテムが隠されてる

まぁこのロワは、超人クラスでも銃が致命傷になるキャラが割と多いから
大量に入手できるってのはヤバいかもしれないけど

これ以上は議論スレかな?

620名無しさん:2011/07/24(日) 00:17:20 ID:LQTgvVOQ
二次元デイパックでないから持ち運べる数は有限
それでも乗り物込みなら大量に持ち運べるが使える銃は二丁拳銃しても1人には限りがある
仲間に持たせても裏切られる可能性があるから心理的抵抗はある
それに主催が殺し合いをさせる観点からではこれは自然
更に銃持ちより怖い連中がそれなりにいる状況。もっとも死ぬ時は縦断1発で死ぬがw

後は…ビル破壊か?

621名無しさん:2011/07/24(日) 16:22:55 ID:efYO6Xcs
一丁や二丁ならともかく、参加者全員に行き渡るような数の銃が、ノーリスクで誰にでも取り放題なのはさすがに不味いと思います
警視庁って参加者の半数以上が銃があるかもしれない場所として思い付く場所だし、
保管室の場所がわかりにくいといっても、参加者の中には見つけられそうな人も少なくない
元軍人のスザクが、保管室という如何にもな場所にある銃器をスルーするとは、あんまり思えないですし……

622名無しさん:2011/07/24(日) 18:49:51 ID:KDcSLvcs
ふーむ、銃器がある事自体はまあいいと思いますが、スザクが放置したのは確かに少し不自然ですかねー。

623名無しさん:2011/07/24(日) 19:01:32 ID:0Qet4viA
自分も銃器の放置は反対です。
なんのための支給品だって話になりますし。
もちろん、殺傷能力があっても包丁とかなら現地調達は歓迎なのですが。
銃器は現地調達していい一線を超えている気がします。

624名無しさん:2011/07/24(日) 19:37:11 ID:ERQ.LOxw
議論スレでやろうよ

625名無しさん:2011/07/24(日) 19:54:24 ID:eK/sPqOU
銃はあってもいいかと思うのですが、数が問題だと思います。
そういえば、ほむほむの収納能力は制限されてないのでしたっけ?

626 ◆H.Y.h6sins:2011/07/24(日) 21:41:34 ID:/kHSXY4I
ご意見ご感想ありがとうございます。
銃器については議論スレの方にレスしてきました。

>>616
ナイトメアのサイズは凡ミスでした、指摘感謝。
10メートルを5メートル程度に修正する方向で。

>>625
登場話で中身を全て抜かれているとは有りましたが、逆に言えば収納能力自体は残っているはず。
入る量に制限を受けているかは不明(未定)。

627 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/27(水) 22:23:07 ID:d9D1lxCE
こっちに書くのもアレですが、>>626修正版投下乙でしたー。

さて、呉キリカ投下しますー。

628 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/27(水) 22:24:20 ID:d9D1lxCE
『ティーブレイク』


「くしょん!」

はしたない、と思いながら口を覆い、次いでお腹に手を当てる。
……冷たい。

「ああ、やっぱり下着を乾かさないの失敗だったのかな」

最初は気持ち悪いだけだった下着が、少しずつ生ぬるくなっていく。
気持ち悪さはぜんぜん無くならないどころか、お腹まで痛くなってきた。
……それと前後して少しずつもよおしてきた感触が、どんどん強くなってる。

「……気持ち悪い」

温める為に両手をお腹に当てる。
気休めでしかないけどやらないよりはマシだと思う。
けど、根本的な気持ちの悪さは下着をどうにかしないとダメかな。

「確かこの辺りに何とかって施設があるのだっけ」

織莉子に関すること以外を記憶するのは頭の容量の無駄なんだけど地図も大体覚えた。
今居るのは多分大きな橋と川がある辺り。

私が何をおいても行くべきなのは美国邸。
あの場所こそ織莉子がいるべき所、そして、私の居られる場所。
庭を彩る数々の薔薇の名前はもう忘れてしまったけど、あの庭は織莉子に良く似合う。
織莉子がいるとしたら、多分あそこだろう。 織莉子もそこに居て、多分私を待っててくれてる。

もう一つ気になったのは見滝原中学。
私がかつていた学校の名前。
今はもうどうでもいい場所でしかないけれど、それでも私に関係ある場所。
織莉子はそのことを覚えていてくれてるかな。
私のどうでもいい事情なんかを織莉子が覚えるのは無駄を通り越して害悪でしかないのだけど、頭のいい織莉子なら覚えてくれてるかな。
そう思うと、もしかしたらそっちにも寄らないといけないかもしれない。

本当なら、魔法少女になって一気に駆け抜けたいのだけど、そうもいかない。
グリーフシードの無いこの状況だと織莉子の役に立てる時間が減ってしまう。
私の織莉子に無限に尽くすと決めてる以上、私を無駄には出来ない。
一秒でも早く織莉子のところに行かないといけないのにそれが出来ない矛盾。
その事を悔やみながら、小島を歩いている。

でも、その前に寄り道しよう。
このままだと、織莉子に見せるのも憚ることになってしまう。
ごめんね織莉子、私は君に会いに行く前に私の事情で寄り道をしてしまう。




629 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/27(水) 22:25:29 ID:d9D1lxCE
「……あったかい」

高そうなマンションの中。
高そうな部屋の高そうなバスルーム。
シャワーから零れるお湯が冷え切った身体を暖めてくれる。
川に落ちたせいでついた匂いも、戦闘でかいていた汗も、気持ち悪さの元も何もかも洗い流してく。
ついでに、手を使い良いにおいのする石鹸を使い全身を洗う。
面倒だしくすぐったいけどタオルを持って入るのを忘れてしまったのでしょうがない。

「この石鹸いい匂い……シャンプーも。
 シャンプーは無理でも石鹸だけでも織莉子に持っていこうかな」

邪魔かな?
織莉子なら私があげたものは喜んでくれるけど内心迷惑だったらどうしよう。

「うーん、そう考えると無いほうが……っと」

しまった、石鹸を落としちゃった。
泡のせいで見えないけど、この辺かな?
あれ、じゃあこっち……あれ、あれ?

「むー、どこ……ひゃっ!?
 いったーーーーー!!」

星が、星が見えたスター!
足で探そうとして石鹸を踏むとか私はまだまだどん臭いのか。
ううう、こんなの織莉子には見せられない。 見せるわけにも行かないような姿勢だし。
織莉子はあんなにふわふわして女の子らしいのに私はなんでこんななんだろ。
胸だって負けてるしお腹とか腕とかもぷにぷにだし……
うう、落ち込むなぁ。





「石鹸を持っていくのはやめよう。
 織莉子が私みたいなドジをするとは思わないけどもしかしたら危険だし」

空調が効いていて快適なのでバスタオルを巻いたままでうろつく。
脱ぎ捨てたどこかの制服は裾が長いので着てから下着を付けるわけにもいかない。
ついでにシャワーに当てた下着は電子レンジに放り込んであるからそのうち乾くだろう。
ソウルジェムさえ手元にあれば何かあってもどうにでもなる。
バスタオルに僅かに付いてる男の人の匂いが気になるけどしかたない。

630 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/27(水) 22:26:08 ID:d9D1lxCE
「きのこか……たけのこには遠く及ばないということをここの主は判ってないね。
 織莉子がたけのこのほうが良いって言ってたからたけのこが至高と決まっているのに。
 私と同じ甘党でも椅子の上に座ってるようなのはダメだね。」

味なんてどうでもいいけどそれが全てだ。
まあ食べるけど。

「むぐむぐ……沢山のモニターのある部屋とかよくわかんない資料とか変な椅子の部屋とかきのことか。
 ……ここが何の施設なのかよくわからないね。 キラ対策本部とかだっけ」

正直わけがわからないよ。
多分ここの主とは気が合わないかな。
昔はきのこの方が好きだった気がするけどそんな記憶は脳の容量の無駄だし。
正直織莉子以外の人とかどうでもいいし。

「けど、ここはどうしようか。
 対策本部ってことは何かに対策してるのだし、モニターとか壊しておいたほうがいいのかなあ?」

適当に紅茶を入れながら考える。
何かよくわからないけど重要そうなものがありそうだ。
だから壊してしまってもいいのだけど、それだと変身しないだめ。
私の魔法は人や魔女はともかく無機物の破壊にはそんなに向いてないし、何より魔力の無駄だ。

「まあ、その辺は織莉子が考えてくれるよね。 ……不味」

織莉子の入れてくれた紅茶とは比べ物にもならない。
砂糖とジャムのおかげで飲めるけど私の腕の無さはどうしようもないか。

「ああ、こうしている時間も勿体ない、早く乾かないかな。 
 こんなにも織莉子が心配なのに3時間と25分も織莉子に会えないなんて、私は恥じ入って埋まってしまいそうだよ」

焦りながら、濡れた服から外しておいたぬいぐるみをドライヤーで乾かす。
これだけは電子レンジなんかで乾かすわけにはいかないし。
濡れたまま放置するなんて論外だ、愛が死んでしまうよ。
ああ、でもこんなことをしてる時間も愛に反してるし。
早く乾かないかな。



――なお数分後、呉キリカは電子レンジでは服は温まるだけで乾かない事を知る。
へちょりながらドライヤーで下着を乾かすのに十数分。
その間に身体が本格的に冷えたのお湯を張るのに十数分。
お湯に浸かりながら泣きつかれて寝てしまい溺れそうになり十数分。
彼女の意思とは裏腹に、キリカは少なくない時間をこの場で過ごすことになってしまうのであった。

【H-5/キラ対策本部/一日目 早朝】

【呉キリカ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:精神的疲労(小)、ダメージ(中)、ソウルジェムの穢れ(2割)
[装備]:穂群原学園の制服@Fate/stay night、
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜2、キリカの私服(上着、スカート)、お菓子数点(たけのこの里他)
[思考・状況]
基本:プレイヤーを殲滅し、織莉子を優勝させる
1:織莉子と合流し、彼女を守る。 当面は美国邸が目的地。
2:まどかとマミは優先的に抹殺。他に魔法少女を見つけたら、同じく優先的に殺害する
3:マントの男(ロロ・ヴィ・ブリタニア)を警戒。今は手を出さず、金色のロボット(ヴィンセント)を倒す手段を探る
[備考]
※参戦時期は、一巻の第3話(美国邸を出てから、ぬいぐるみをなくすまでの間)
※速度低下魔法の出力には制限が設けられています。普段通りに発動するには、普段以上のエネルギー消費が必要です

※キラ対策本部は物色のため棚などが荒らされていますが、お菓子数点がなくなっている以外は元のままです。

【穂群原学園の制服@Fate/stay night】
士郎や桜の通う、穂群原学園で使われている女子用の学生服。
白いシャツにベージュのベスト、黒いスカートから成り立っている。

631 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/27(水) 22:28:41 ID:d9D1lxCE
以上ですー。
誤字脱字展開におかしな点などございましたら指摘お願いしますー。
周囲の状況的にあまり進展がなさそうなので、時間は早朝としましたが、都合が悪ければ変更します。
なお、特定のお菓子については何の意図もございません。

632名無しさん:2011/07/27(水) 23:15:34 ID:kZBilzyo
投下乙です

キラ対策本部に行くかなとは思ったら、おま、時間喰い過ぎwww
奉仕マーダーにしてはなんて悠長なw でもこいつならありえそうなのもまた…w
そして美国邸は…

633名無しさん:2011/07/27(水) 23:21:44 ID:T4UG5bbQ
投下乙です。キリカェ……
もうちょっと頑張れと言わざるを得ない。
早朝以上かかったのは弊害が出る可能性あるかな?近くにいるのはセイバーくらいだけど。どうしようもないわけでもないでしょうが。

634名無しさん:2011/07/27(水) 23:38:25 ID:QApofu4w
投下乙です。俺の嫁が可愛いぜ……!
原作の独特な可愛らしさを、見事に再現してくれたのは、さすがというほかないですね。
しかし、早朝で周辺に誰もいないということは、このまま誰とも会うことなく、放送を迎えることになりうるかも?

635 ◆7KTvmJPRwQ:2011/07/30(土) 01:40:39 ID:No9.tyno
んーまあ周りに人いなそうなので二回も単品で書くのもあれだし一気に放送付近まで進めてしまったのですが、明確に問題はない、のかな?
誰か書く方が居た場合は修正するということでとりあえず収録してしまいますねー。
それと持ち物のお菓子も間違えてたので修正と。

636 ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:07:13 ID:JOdccU5c
衛宮士郎、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、セイバーオルタの三名を投下します

637 ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:08:44 ID:JOdccU5c

「気味の悪いほど似てるな……」

 G−3エリアに存在する、月明かりに照らされた衛宮邸。その光が差し込む庭から夜空を眺めながら、衛宮士郎は呟いた。
 ここは自分が元々生きていた世界に存在する、自宅と構造が全くと言っていいほど似ていた。草木や家具の配置や、壁と柱の手触りまで何もかも。
 まるで、似ているではなくそのまま持ってきたかのよう。あるいは、自分にとって慣れ親しんだ行動である投影(トレース)を、自宅に向けて行ったか。
 だが、ここは本物(オリジナル)とは違い、立っていてもどうにも心が安まる事がない。こんな無意味な殺し合いを仕組んだ連中が用意したからか、もしくは思い出を汚されたような気分になっているからなのか。
 しかしそれは、今はそこまで重要視する事ではない。

「お兄ちゃん……か」

 つい先程の出来事を、士郎は思い返す。
 ランサーによって命の危機に陥り、聖杯戦争を知った忘れもしないあの日から、自分と契約を交わした英霊(サーヴァント)であるセイバーと戦った。
 聖杯の毒で身体が黒く染まってしまった彼女から、自分の事を『お兄ちゃん』と少女を守るために。

「結構、雰囲気が違ってたな……」

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
 自分の知る彼女は聖杯戦争に参加するマスターの一人として、凄まじい力を誇るバーサーカーと呼ばれる英霊を使役していた。一見すると普通の少女かもしれないが、妙に悟った一面が感じられて内面が見えない。
 しかしその反面、ここで出会ったイリヤは純粋に年相応の少女みたいな雰囲気を放っていた。『お兄ちゃん』と言う一言からしても、一切の影が感じられない。
 彼女が持っていたカレイドステッキ・ルビーとかいう魔法の杖が言うには、自分達二人は平行世界から連れてこられた存在らしいから当然かもしれないが。
 だとすると彼女と自分の間に、認識の齟齬がかなり生じている可能性が高い。もしもルビーがいないままイリヤと出会っていたら、互いが互いの事を誤解したまま一悶着起こる事もあり得た。

「お兄ちゃん、お待たせ〜!」

 夜空を眺めながら考える中、少女の声が聞こえる。士郎はそちらに振り向くと、見慣れた銀色の長髪を揺らしながらイリヤが現れた。
 彼女の傍らには、ルビーが羽根のような物をぴょこぴょこ動かしながら、宙を漂っている。

「もういいのか、イリヤ?」
「うん、あたしはばっちり疲れが取れたから、大丈夫だよ!」
『いつもならこういう場合、いびきをかいた挙げ句に寝坊してるはずですがね! 何とも珍しい!』
「デタラメを言うなっ!」

 笑顔から一変、激怒したような表情でイリヤはルビーを引っぱたき、地面に叩き付けた。自分の知る彼女からはまるで想像出来ない様子に、士郎の頬は思わず緩んでしまう。
 しかし、あまり気を抜くわけにはいかなかった。このような場所ではあのセイバーみたいな危険人物が、他にもいる可能性が充分にある。
 例えばあのバーサーカーと同等、あるいは奴すらも上回るような強豪が。せめて今は、出来る事は少しでもやる必要がある。
 だから少しでも体制を整えるために、認識の違いを知る必要があるかもしれない。

「そういやイリヤ、お前の事もっと詳しく知りたいんだけど、いいか?」
「えっ、あたしの事を知りたいって……?」
『なるほど、やはり士郎さんはそういう趣味があるのですね! 世界を越えた兄と妹の恋愛……凄くドラマティ――』
「ルビーは黙ってなさい!」

 またしてもイリヤはルビーを叩き、その饒舌な口を強制的に止めた。
 士郎はそのペースに付いていけなくなり、思わず溜息を漏らしてしまう。しかしすぐに気を取り直した。

638Fate/kaleid night ハンバーガーころしあむ ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:10:29 ID:JOdccU5c

「……えっと、そういう事じゃないんだ。イリヤ」
「も、もちろん分かってるから! お兄ちゃん!」
「美遊ちゃん達だっけ? 俺が聞きたいのは、イリヤの友達についての事なんだ。俺も出来る限り、俺の知っているみんなの事を教えるから」

 名簿に書かれていた、イリヤの知る人達。
 美遊・エーデルフェルト、クロエ・フォン・アインツベルン、遠坂凛、藤村大河、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。
 この中で、よく知る人物といえば遠坂凛だった。彼女はアーチャーのマスターでもあり、聖杯戦争で生き残るために色々な事をしてくれた恩人。
 先程出会ったとき、ルビーは遠坂の事を『人でなしで、ルヴィアと一緒に散々騒動を起こすトラブルメーカー』と、散々な評価を下した。ちなみに、イリヤは『お世話になっている』と言ったがルビーの発言はあまり否定していない。
 恐らく基本的には自分が知る遠坂と変わらないかもしれないが、やはり違う事には違うようだ。ちなみに、藤ねえに関しては自分が知る藤ねえとあまり変わらない。話を聞く限りでは小学校の先生らしいが、あまり気にしなくてもいいだろう。
 しかし、他の四人についてはもっと知る必要があった。同じようにセイバーやバーサーカーについても、出来る限りイリヤに教える。
 それが最優先だった。





「……」

 彼女は漆黒で染まっていた。その身体に纏う鎧もドレスも、全てが闇のように黒かった。唯一金色に輝く髪だけが、風に流されている。
 歴史上ではアーサー・ペンドラゴン王の名で残り、選定の剣(カリバーン)を引き抜いたアルトリアの真名を持つ少女。この世界では『セイバーオルタ』の名前で通っている黒き暴君。
 元々は衛宮士郎のサーヴァントだったが、聖杯の毒に触れてしまった末に今は間桐桜のサーヴァントとなっている。
 セイバーオルタは先程の戦いの後、自身の支給品を改めて確認していた。そして、この中にはとっても気になる物がある。

「……」

 やはり、と内心で思った。
 セイバーオルタの無機質な雰囲気を放つ瞳が、大きく見開く。そこにあるのは紙袋だった。セイバーオルタが開くと、中からいくつかのハンバーガーが姿を現す。
 二つのブレッドの間には、牛肉とレタスが挟まっている。しかも、大量のマスタードがかかっていて、強い刺激臭を放っていた。

「……」

 ハンバーガーは湯気を放ち、肉の香りとマスタードの香りが合わさって、極上の物へと進化させている。
 それを嗅いだセイバーオルタは思わずハンバーガーを手に取って、ゴクリと息を呑んだ。ハンバーガーは聖杯の毒に侵された彼女ですらも、関心を引くほどの威力を持っている。
 加えてセイバーは元々大食感。そんな彼女がハンバーガーを口に入れるのに、それほどの時間は必要なかった。

639Fate/kaleid night ハンバーガーころしあむ ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:11:04 ID:JOdccU5c

「……」

 もきゅもきゅと音を立てながら、セイバーオルタはハンバーガーを噛み砕く。
 少し柔らかめのブレッドを噛み砕いた途端、中の生地がカリッとしてて歯ごたえの良さを感じさせた。続けざまにレタスの新鮮さ、牛肉の汁、マスタードの辛さが舌の中で広がっていく。
 セイバーオルタは素直に美味しい、と思った。程良く冷えた野菜と、程良い熱を持つ肉と、それに添えられた調味料は見事な調和を生み出している。
 ハンバーガーの味に魅了され、セイバーオルタは勢いよく咀嚼し続けた。しかし手の平より少し大きい程度のサイズしか無いそれは、彼女によって一瞬で飲み込まれてしまう。
 当然、足りるわけがない。セイバーオルタはすぐさま紙袋に手を突っ込んだ。

「……」

 もきゅもきゅと音を立てながら、セイバーオルタは二個目のハンバーガーを口にする。
 その表情は相変わらず無表情だが、内心はとても満足していた。三つの要素によって生み出される、ハーモニーパワーが彼女の心を満たしていく。
 しかしだからといって、かの英雄王ギルガメッシュのように慢心など一切していない。セイバーオルタは決して警戒を緩めず、仮に襲撃者が現れてたとしても一瞬で対応出来るように、片方の手で太陽剣グラムを握っている。

「……」

 もきゅもきゅと音を立てながら、セイバーオルタは三個目のハンバーガーを口に含んだ。
 もしも今ここで、彼女の食事を邪魔しようとする者がいたらどうなるか? 答えなど簡単、有無を言わさずに塵一つたりとも残らない。
 マスターであるサクラや聖杯の器ならまだ長きに渡る嫌味だけで、済ませられるかもしれない。だがそれ以外の者なら、問答無用で消滅させる。例えそれがシロウだろうとも。
 それほどまで、セイバーオルタにとって至福の一時となっていた。無論、サクラを探す事も決して忘れていない。
 自らの快楽に溺れ、本業を疎かにするなど論外。

「……」

 しかしそれでも、セイバーオルタは四個目のハンバーガーを食べ出した。
 もきゅもきゅと音を立てながら。
 聖杯の毒に溺れて、この世の全てに対して憎悪を向けるセイバーオルタの行く末は、未だに闇で覆われていた。
 まるで、その身に纏う鎧のように。


【H-5/冬樹大橋前/一日目 黎明】


【セイバー・オルタ@Fate/stay night】
[状態]:健康、黒化、魔力消費(微小)、ちょっぴり幸せ 、もきゅもきゅ
[装備]:グラム@Fate/stay night
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1(確認済み)、ハンバーガーの入った紙袋@現実
[思考・状況]
基本:間桐桜のサーヴァントとして、間桐桜を優勝させる
1:間桐桜を探して、安全を確保する
2:エクスカリバーを探す
3:間桐桜を除く参加者全員の殲滅
4:次に士郎たちに合った時は、聖杯の器(イリヤ)を貰い受ける(積極的には探さない)
5:食事を邪魔する者がいたら問答無用で殺す。サクラや聖杯の器ならば嫌味で済ませられるかもしれない……多分。
[備考]
※間桐桜とのラインは途切れています


【支給品紹介】
【ハンバーガーの入った紙袋@現実】
セイバーオルタに支給。
ハンバーガーがたくさん入った何の変哲もない紙袋。
ブレッド、レタス、牛肉、大量のマスタードが程良いバランスを奏でていて、とても美味しい。
ちなみに『フェイト/タイガーころしあむ』において、セイバーオルタの好きな物の一つでもある。
どれだけ入っているのかは、後続の書き手さんにお任せします。

640Fate/kaleid night ハンバーガーころしあむ ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:12:31 ID:JOdccU5c





「あたしがバーサーカーのマスターって……本当なの?」
「ああ、俺の知っているイリヤはバーサーカーのマスターとして、聖杯戦争に参加していたんだ」

 平行世界に生きるもう一人の兄から伝えられた事実が、イリヤの想像を遙かに超えていた。
 名簿に書かれていた、バーサーカーという存在。自分の知っているバーサーカーは、冬木市に眠るクラスカードの中でもトップクラスの実力を誇り、美遊達の力を借りてようやく封印する事が出来た。
 しかしこの士郎が言うには、あっちの自分はバーサーカーと共に聖杯戦争で戦っていたらしい。到底信じられる事ではなかったが、兄が嘘を言う人間ではないのはよく知っている。

「そうなんだ……」
「こんな事を言ってごめん……でも、これは俺の世界の話だから、お前は気にしなくて良いんだ」
「……ううん、あたしは全然気にしていないよ!」

 士郎はどこか責任を感じているような顔を浮かべるが、イリヤは何とか紛らわそうとする。
 お兄ちゃんの事だから、それを知ったらきっと傷ついてしまうと考えたのかもしれない。実際、少しだけ驚いた。
 でも、それを表に出して重荷になんてさせたくない。だから、ルビーの言っていた左腕の布についても、あんまり言及しては
 いくら平行世界のお兄ちゃんでも、自分を守ってくれた大好きなお兄ちゃんな事には変わりないから。

『なんと……! つまりイリヤさんが、あのバーサーカーのマスターだったという事は、もう一人のイリヤさんはバーサーカーを操って
 無差別に人々を虐殺する、血も涙もない悪逆非道の暴君であったと……!』
「いや、それは無いから安心してくれ」
『チッ』

 速攻で士郎に否定されて、ルビーは舌打ちする。直後、イリヤはそんな彼の両端を掴み、勢いよく引き延ばした。

「ちょっとルビー! 何なのよ、今の舌打ちは!?」
『痛だだだだ! イリヤさん落ち着いて! ギブギブギブ!』
「おい、イリヤ! 落ち着け!」

 輪ゴムのようにルビーを引っ張るイリヤを、士郎は慌てて制止する。それからすぐにルビーは開放された。
 イリヤの息は荒くなっているが、すぐに整う。さっきとは違って、落ち着くのにそこまで時間は必要なかった。

「とにかく、バーサーカーに関しては気を付けた方が良いな。俺の世界から来たにせよ、イリヤの世界から来たにせよ、危険な奴だって事には変わらないからな」
「わかったよ、お兄ちゃん」
「それじゃあ、そろそろ行くか。いつまでものんびりしていられないし」
「うん!」

 そして、イリヤは士郎の言葉に頷く。もう身体は充分休んだので、そろそろ動かなければならない。
 何よりも、みんなが心配だった。基本的に四人とも強いが、あの黒いセイバーやバーサーカーだっている。
 そんな奴らに、一人で戦える可能性は限りなく低い。みんなの為に出来る事は、一刻も早く合流するために行動する事と、無事を祈る事だけだった。

(……それにしても、もう一人のあたしか)

 ここにいる士郎の生きる世界にいる、もう一人のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
 恐らくクロみたいに分離した存在ではなく、正真正銘の自分。ややこしい言い方だが、そういう事なのだろう。
 一体彼女はどんな気持ちでお兄ちゃんと向き合ったのか、一体どんな気持ちであのバーサーカーと一緒に聖杯戦争で戦っていたのか。
 お兄ちゃんの話からすれば、あの世界には美遊もクロもいない。凛さんや先生はいるだろうが、恐らくそこまで深い関係ではないかもしれない。
 だとしたら、あの世界の自分は独り。パパもママもいない。お兄ちゃんと出会うまで、一体どんな気持ちだったのか。
 気にしても意味がないのは分かっているが、やはりどうしても気がかりだった。

641Fate/kaleid night ハンバーガーころしあむ ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:14:39 ID:JOdccU5c


【G-3/衛宮邸(和)/一日目 黎明】


【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:カリバーン@Fate/stay night、アーチャーの腕
[道具]:基本支給品、お手製の軽食、干将莫邪@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:イリヤを守る
2:桜、遠坂、藤ねえ、イリヤの知り合いを探す(桜優先)
3:“呪術式の核”を探しだして、解呪または破壊する
4:桜……セイバー……
[備考]
※十三日目『春になったら』から『決断の時』までの間より参戦
※アーチャーの腕は未開放です。投影回数、残り五回
※イリヤが、平行世界の人物であると認識しました



【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@プリズマ☆イリヤ、クラスカード(キャスター)@プリズマ☆イリヤ(二時間使用不可能)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:おにいちゃん(衛宮士郎)についていく
2:ミユたちを探す
3:おにいちゃん……
4:あまりおにいちゃんの重荷にはなりたくない
5:もう一人の自分の事が、少しだけ気がかり
6:バーサーカーやセイバーには気を付ける
[備考]
※2wei!三巻終了後より参戦
※衛宮士郎が、平行世界の人物であると認識しました
※カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません



[共通の備考(士郎、イリヤ)]
※『呪術式』はルールブレイカーで解呪可能。ただし、会場のどこかにあるだろう『呪術式の核』を解呪または破壊しない限り、完全な解呪は不可能(その場で再び呪われる)。
※互いの世界、互いの世界に関する人物の関係について情報交換しました(具体的な内容については、後続の書き手さんにお任せします)。
※二人がこれから何処に向かうのかは、後続の書き手さんにお任せします。

642 ◆LuuKRM2PEg:2011/07/31(日) 12:15:16 ID:JOdccU5c
これにて投下終了です
問題点がありましたら、ご指摘をお願いします

643名無しさん:2011/07/31(日) 22:00:22 ID:eummgUnQ
>>642
投下乙ですー。
セイバー……お前もかw 単独マーダーってある意味暢気なポジなのかなw?
イリヤはまあキャラに差がありすぎるしなーw まあバサカのマスターと言われたら皆驚くよね。

644名無しさん:2011/07/31(日) 22:40:38 ID:YOB08nk2
>>643
実際自分はこれ読んで驚きましたw
バサカさんの脅威は他人からの又聞き程度にしか知らないけどさ。

645名無しさん:2011/07/31(日) 22:57:06 ID:3UyOxk6U
投下乙です

そりゃ驚くよなぁw 向こうのイリヤは……だしねw
セイバーは…いや、早朝まで飯を喰い捲らなかっただけマシだよw
セイバーならしてもおかしくなかったしw
ビルの方に行くかなっと思ったがこれは不参戦…かな?
もっとも笛勢力はビルに行ってないぽいが

646名無しさん:2011/08/01(月) 14:30:46 ID:II6yIHus
 投下、乙です。

 この士郎とイリヤが、凛の事を知ったら……特に、イリヤ。

647 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:11:09 ID:DR/c6d3U
ロロ、美遊 投下します。

648「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:12:11 ID:DR/c6d3U

「本当に、誰もいないみたい……」

空を飛べなくとも、足場があれば高い場所から地上を見渡せる。
つまり、魔力による足場の生成と、身体能力強化によって手に入れた跳躍力があれば、上空から怪我人――最悪の場合、遺体を探すこともできる。

『では、真理様とタケシ様は無傷だったと見てよいでしょう。
バーサーカーと遭遇して手傷を負わされた上で、アレから逃げ切れたとは思えません』
「そうだね」

そして、木々がなぎ倒された森の跡は、もうすぐ訪れようとする日の出に先だって、既に白く明るく地上の色を変え始めていた。

これだけ森の開けた場所で、上空から見下ろして見つからないとなれば、タケシと園田真理がバーサーカーに殺された可能性は低い。


「よかった……」


リスクは高く、リターンの少ない行動だった。
敵に見つかる危険性が大いにある。
また、美遊自身もバーサーカーとの戦いで受けたダメージを治療したばかり。正直言って万全ではない。
しかし、付近をくまなく歩き回ってタケシたちの姿――いれば――を確認していたのでは、時間がもったいないという焦燥もまた存在した。

だいいち、この行動は救命活動ですらないのだ。
二人がこの場所にまだとどまっているのは、十中八九が手遅れ――死体となって存在するケースなのだから。
つまり、美遊が己を安心させる為の自己満足である。

そうこうしている間にも、美遊の主目的であるイリヤの捜索は後回しになっているのだ。
そこに焦りがないわけではない。


――しかし、こうして二人の無事を喜ぶ気持ちがある限り、美遊は後悔するつもりはない。

649「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:13:08 ID:DR/c6d3U

温かな安堵を胸に抱いて、美遊は気持ちを切り替えた。
「確認は済んだ。今度こそイリヤを探しにいかないと……あれ?」



適度に身を隠しやすい着地場所を探して、四方を見渡した際に『それ』は目についた。



先ほどまでバーサーカーとバトルしていたのと逆の方角――西方向の河岸に、人影らしきものが動いたのだ。

「男の人……?」
『特にMS力(魔力)は感じられませんね』

いずれにせよ、殺し合いに乗っていない人物ならば、情報を聞きだす好機だった。

美遊は魔力の足場を利用して跳躍しつつ、着地に備えてサファイアの魔力を物理保護に変換した。



 ◇



火を焚けば危険人物を呼び寄せるかもしれないことぐらい、子どもでも分かる。
よって、ほんの数時間では濡れた服を完全に乾かすことなどできなかった。

しかし、服が乾くのを待って時間を浪費するなど論外だ。

休息中に目を通した名簿には、何よりも頼りになる。そして誰よりも死なせてはならない『兄さん』の名前があったのだから。

既に、滝から落ちた際の打ち身はある程度回復した。
こうなれば、立ち止まっている理由はない。

(行動しろ。そして落ちついて考えろ。
まずすべきことは、兄さんを探すこと。
そしてその過程でナナリーを始末すること。
そして、兄さんと合流したら最終的に殺し合いを打倒すること。
その為にどう動くべきか……)

動揺を抑え、頭を冷やしながら歩みを始めた時だった。



ゴオォォォォォォォォ



「な……!?」
はるか上空から、少女が落下してきたのは。

650「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:13:56 ID:DR/c6d3U



ドゴン!!!



あまりにも常識を外れた登場と、土煙と共に出現したクレーターに、さすがのロロも思考を奪われた。

「や、やっぱり魔法が使いにくい……前に落ちた時よりも高度が低かったのに」
無傷で立ち上がった少女の声が、他の誰でもない『あの』ナナリーに似ていたことが、更にロロの神経を逆立てる。

(こんな上空から跳んできた? この女の子もギアスユーザーか?)
ロロは臨戦態勢を取りつつ、残りのサクラダイトを求めてディパックに手を入れ、


『驚かせてしまったご無礼をお詫びします。
しかしどうか、警戒をお解きになってください。
私たちは、危害を加えられない限り、戦う意思はありません』


さしもの元暗殺者も、毒気を抜かれた。
何せ『言葉を話すステッキ』を目撃したのだ。



 ◇

カレイドサファイアは、ほんの数時間前に園田真理とタケシに行った説明と、ほぼ同じ内容のことをロロ・ランぺルージに解いて聞かせた。

「つまり……この殺し合いでは、『並行世界』からたくさんの人が集められている」
「はい」
無表情で頷く、やけに露出の多いドレスを着た少女。
「そして、美遊とカレイドサファイアは『魔法』が使える世界からやってきた『魔法少女』」
「はい」
「おまけに君たちの世界には、『神聖ブリタニア帝国』もなければ、『ナイトメアフレーム』もない」
「はい」
「うん、分かった……必要なところは、噛み砕いて理解できた、と思う」
『ご理解が早くてこちらも助かります。
先ほどの話に出て来たタケシ様と園田真理様は、理解されるのに時間がかかりました』
いや、誰だってそうだろう。
ロロにしても、ギアス嚮団という一般人に秘匿された世界に浸かって来たからこそ『魔法』という単語を抵抗なく受け入れることができたのだ。

(ナナリーが乗っていたナイトメアのことだけでも訳が分からないっていうのに。
『魔法』に『オルフェノク』だなんて……兄さんが聞いたらどう思うだろう……)

651「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:14:35 ID:DR/c6d3U

そう、ひとえに冷静さを保っていられるのは、兄の存在があるからこそでもある。
この殺し合いの場で兄を勝利に導く為に何が必要か。それはまず何よりも情報だ。
だからこそ、ロロは柔軟に受け入れろと、己に強く言い聞かせる。

「つまり、ここにはどんな能力を持った参加者がいるか分からないから、気をつけようってことだね……」
『はい。先ほどロロ様が襲われたという『ナイトメアフレーム』も、ロロ様の世界固有の兵器でしょう。
私たちの世界から来た魔導師でも、相当の苦戦を強いられるかもしれません』

美遊たちには打撲傷を治療してもらった際に、
『ゲームに乗った人間の操るナイトメアフレームに襲われたが、支給品のサクラダイトと、川に落ちたおかげで逃走に成功した』と説明した。

「あの……つまり、ここから北の方には、その『ナイトメアフレーム』という危険な兵器がうろついているということですか?」
美遊が律儀に手を上げて質問する。
ここから北に向かったという、別れた仲間を心配しているのかもしれない。
「いや、ナイトメアの機動力は高いから、もう移動してしまっているんじゃないかな。
今から向かったとしても、捕まえることはできないと思うよ」
「そうですか……」
実際のところ、この会場内ではナイトメアの稼働時間に制限がかかっているのだが、それはロロも知らないとことである。

「……ただ、そのナイトメアフレームの操縦士の名前は分かるよ。
僕の顔見知りだったから」
「というと?」
無表情だった美遊の顔が、わずかに緊張感を帯びる。

ロロは意識的に、冷淡な声を出した。



「ナナリー・ランぺルージ」

652「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:15:34 ID:DR/c6d3U
『ランぺルージというと……ロロ様と同じ姓を持つ名前ですが』
サファイアの返答が、心なしか気まずそうに聞こえた。

「ああ、困ったことに、僕の義理の妹なんだ。
……でも、僕がランぺルージの家に貰われた時には、ナナリーは遊学で外国に行っていたから。
直接に会ったことはほとんどないよ。
だから、なんで彼女が殺し合いに乗っていたのか、しかもナイトメアを操れるのかさっぱり分からないんだ」

ギアス嚮団の時代に身に付けた演技力をここぞと有効活用して、困惑の表情を浮かべる。
実際、白いナイトメアを見て驚愕を覚えたことは本当だ。

己の出自についても、嚮団から派遣された暗殺者だとは話せないので、ランぺルージ家の養子ということにしておく。
ナナリーがランぺルージ家からいなくなった事情も同様だ。芋づる式に、ルルーシュがシャルル皇帝の子息だということまで明かさねばならない。
兄や咲世子、C.Cならば、身分の嘘にも空気を読んで適当に肯定してくれるだろうし、そこまで致命的な偽りではない。

続いてロロは兄、ルルーシュ・ランぺルージを探していることも伝える。
もちろん、彼が『黒の騎士団』の指導者であることには触れない。
『ブリタニア』の存在しない世界から来た人物が多いとはいえ、『ゼロ=ルルーシュ』という情報は、絶対に漏らしてはならないトップシークレットだ。
名簿を見る限り、ロロの世界から来た参加者には枢木スザクや篠崎咲世子など、その秘密を知っている人間が多い。
しかし、ロロが知らないだけで、『ブリタニア帝国のある世界から来た一般人』が参加者に存在する可能性もある。
ただ、ロロ自身が『黒の騎士団』という解放運動組織に末席を置いていることだけは明かしておいた。
でなければ、『民間人であるロロが、サクラダイトを使いこなしてナイトメアフレームから逃走に成功した』ことになり、信憑性が薄れてしまうからだ。
もちろん、切り札である『ギアス』のことは伏せておく。

『なるほど。それでロロ様はこのような非常時にも落ちついておられたのですか』
「魔法が使えないなりに戦う術を身につけてはいるよ。
もちろん、だからってこんな殺し合いに乗るつもりはないけどね」

『黒の騎士団』の活動内容についても、あまり具体的なことには踏み込まない。
主張と目的こそ正当なものだが、仮にも『黒の騎士団』はテロリスト集団である。
ブリタニア帝国の圧政を知らない、それもまだ10歳の美遊には、聞こえが悪いだろうという判断だ。

653「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:16:14 ID:DR/c6d3U
「それに、頭の方は兄さんの方がずっと優秀なんだ。
いつだったか、バベルタワーで別組織のテロに巻き込まれた時も、兄さんの方がすごく冷静に行動していたしね。
だから、一刻も早く合流したいんだよ。兄さんなら絶対に信頼できる」

「お兄さん、ですか……」
「どうかした?」
「いいえ。私にも兄がいたものですから……」
気まずそうに口を濁した。
あまり深く追求しない方がよさそうだ。

『お話を聞く限り、ロロ様のご家族は、ロロ様以外にナイトメアの操縦技術など持たないようですが……』

サファイアが、当然の疑問を呈する。

「そこが本当に分からない……ナナリーはテロどころか喧嘩もできないような、大人しい子だったはずなんだ。
ナナリーが乗っていたナイトメアも、僕の見たことがない機体だったし……外国暮らしの間に、何かの陰謀に巻き込まれたとでも考えないと説明がつかないよ」

これはおおむね本当だ。
ナナリーが悪人であるかのように吹き込むという手もあるが、ルルーシュがこの話を聞いた時のことを考えると、嘘は必要最低限にしておくべきだろう。
ロロは少なくとも、ルルーシュの前でナナリーに対する嫉妬を見せたことはなかった。
だから、ロロがナナリーを殺そうとしていることには気づいていないはずだ。
その証拠に、ロロは兄から政庁へとナナリーを迎えに行く役目まで授けられている。
ナナリーがナイトメアを操っていたことは事実であるし、多少なりともナナリーに不信感を向けてくれるだろう。

サファイアは考え込むように沈黙を保っていたが、しばらくして、言った。


『そのナナリー・ランぺルージ様は、果たして『ロロ様の世界のナナリー様』だったんですか?』

「僕の世界の……?」

「並行世界説は既に受け入れていただきましたね。
『魔法少女のいる世界』と『ブリタニア帝国のある世界』のように、全く世界観の異なる世界がある。
同様に、『殺し合いに乗ったナナリー様がいる世界』という、ロロ様の世界と酷似した可能性世界が存在しているのかもしれません。
つまり、そのナナリー様は『名前と姿が同じ、違う世界のナナリー様』かもしれないということです」

思いもつかない発想だった。
と言うより、世界観が複雑すぎて頭を抱え込みたくなる。
『並行世界説』までは受け入れたとしよう。
しかし、異なる世界に、何人ものロロやナナリーたちがいるかもしれないとは。

「待って、サファイア。その仮定だと、イリヤたちも『私の知っているイリヤ』じゃないかもしれない。……そういうことになる」
『……論理的に考えれば』
さすがの美遊も、声の震えを隠せないでいる。

654「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:16:43 ID:DR/c6d3U
「いや……いくら何でもそこまで突飛な考えは…………待って。
『同じ名前の別世界の人間』だとしたら、納得できることが一つあるよ」
ロロは閃いて、名簿を広げた。

「この『ユーフェミア・リ・ブリタニア』っていう名前の人がそうなんだ。
この人は名前の示すとおり、現ブリタニア帝国の第三皇女だったんだけど……一年以上も前に亡くなってしまったんだよ。僕が黒の騎士団に入る前に」

ロロは、参考になればとユーフェミアが死んだ時の状況を簡潔に説明した。
と言っても、兄が深く関わった事件でありながら、ロロもこの件に関してはあまり多くのことを知らなかった。
嚮団から『ルルーシュ・ランぺルージの弟になれ』と機械的に言い渡され、ルルーシュの記憶操作以前の経緯は、必要な範囲でしか知らされていない。
また、ルルーシュがこの件を積極的に語りたがらないという心的要因もある。
よって、ユーフェミアに対する知識も、『ルルーシュの異母姉』という一点を除けば、他の黒の騎士団団員と似たようなのものだった。

すなわち、『虐殺皇女』としての、悪名高き人物像である。

『それは不味いかもしれませんね』
説明を聞いたサファイアが、厳しげな声で即応する。

美遊の顔も、やや青ざめている。
魔道の世界に関わった以上、血なまぐさい話とも無縁でいられないとはいえ、その本質は未だ10歳の少女である。
日本独立の悲願に釣られて集まった日本人を、その手ずからマシンガンで虐殺したなどと聞かされれば、恐怖しても無理はない。

『もしその皇女がそこまで極端に日本人を蔑視しているのだとしたら、この会場でも日本人を殺戮する可能性はあります。
名簿によると、参加者の半数以上は日本人ですから、ロロ様の世界のような虐殺事件が起こるやもしれません。
もちろん、そのユーフェミア様が、ロロ様の世界の皇女と似たような人格を持っていたらという仮定の話ですが』

「日本人――ということは、士郎さんや先生も殺害対象に入る?」
『士郎さん』と口にした時、その声には不安げな感情がこもっているように感じられた。

655「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:17:53 ID:DR/c6d3U


――この仮説は思わぬ収穫だったかもしれないとロロは分析する。


人間とは、本来なら受け入れがたい大きな衝撃を受け入れてしまうと、それより小さな衝撃を、通常よりもあっさりと受け入れてしまう傾向がある。
ここで言う『大きな衝撃』とは、ユーフェミアが起こした虐殺事件。
あまりにもスケールの大きな話だけに、美遊もサファイアも、この点についてロロが嘘をついているとは思わないだろう。
(実際、ロロは嘘をついていない)

『可能性世界のユーフェミアが日本人を虐殺するかもしれない』という強い危惧を抱くうちに、
彼女らの頭は自然と『可能性世界のナナリーがナイトメアを駆って殺し合いに乗った』という説を信じる傾向になっている。

思いつきで口にしたことが、思わぬ説得力を生んだとロロは安心して――


「ちょっと待って。並行世界の同じ名前の人間っていうのは、人格も同一人物だと考えていいのかな?
もちろん、僕の会ったナナリーみたいに、性格面で多少の差異はあるとしてもだよ。
……例えば、この会場にいる兄さんが、僕と『違う世界の兄さん』だったとして、その兄さんはやっぱり人格も違っていたりするのかな」

ふと、気にかかった。

ロロの出会ったナナリーは、車イスにのって、瞳を固く閉ざしていた。
ナナリーの怪我と失明は、幼いころに起こった特異な事件によるものだ。
だとすると、性格こそ違えど、『可能性世界のナナリー』は、ロロの知るナナリーとほぼ同じ境遇で育ったことになる。

だとすれば、ルルーシュがその『ロロと異なる世界』から来た場合、どうなっているのか。
ロロの知るルルーシュでいてくれるのか。

『それは……定義の難しい問題ですね。
たとえ同じ人格に生まれたとしても、育った環境によって人格もが大きく変わることはありますし。
極端な話、『ロロ様の知っている人格のお兄様』であっても、『ロロ様のことを知らない』という可能性さえあります
……ロロ様にはお辛い可能性でしょうが』

656「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:18:25 ID:DR/c6d3U


「ああ、それはあまり気にしてないんだ。
僕の知っている兄さんでいてくれさえすれば、それで構わないよ」


笑顔を見せてそう言い切ったロロに、美遊とサファイアがどことなく不思議そうな眼を向けた(サファイアに目はついていないが)。

「兄さんは僕に、本当の『家族』というものを教えてくれた人なんだ。
兄さんが僕を『弟』だと言ってくれたから、今の僕がある。
たとえこの場にいるのが、僕を『弟同然だ』と言ってくれた兄さんじゃなくても、
兄さんに対する感謝の気持ちが変わるわけじゃないよ」

美遊の表情に変化が表れた。

その瞳は相変わらず無感情なものだったが、口を小さく開いたまま顔をこわばらせる。
驚いているように見えた。

「何かおかしなことを言ったかな?」

尋ねると、ひと呼吸の間をおいて、美遊はぽつりと言った。



「ロロさんはすごいです」



飾り気のない賛辞。
何をもって誉められたのかが分からない。

美遊は口を小さく動かして、少しずつ語った。

「私は、サファイアの話を聞いて、友達のイリヤが『私を知らないイリヤ』かもしれないと考えて、内心で動揺しました。
ここにいるイリヤが、『私を友達と呼んでくれたイリヤ』ではなかったらどうしようと、不安になりました」

イリヤ、というのは、美遊が探していた友人の名前だったか。

「でも、ロロさんは全く気にしていませんでした。
『お兄さんのおかげで今の自分があることが大事だから、お兄さんがどんなお兄さんでも関係ない』と……本当にその通りだと思いました。
たとえイリヤが『私を友達を言ったイリヤ』ではなかったとしても、『イリヤという存在のおかげで、今の私がある』ことは変わらない。
私がイリヤを守るのに、それ以上の理由なんて必要ありません。
なら、どんな世界のイリヤだったとしても関係ない。
気づかせていただきました。
ありがとうございました」

「そのイリヤっていう子は、大切な友達だったんだ」

「はい、イリヤは私に『日常』というものを与えてくれた、――たった一人の、友達です」

その『友達』という言葉に、ロロはルルーシュに対して使う『家族』という言葉と、よく似た感触を持った。
きっと、ロロにとってルルーシュが大切だったように、この少女も友達が大切なのだろうと、そんな風に理解した。

美遊に対して、信用には至らないまでも、その警戒度を大きく緩める。

657「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:19:06 ID:DR/c6d3U
大切なものを守ろうと戦っている人間は、どんな局面でもその目的を裏切らない。
それは、己が一番によく分かっていることだ。


そう、異なる世界のルルーシュだったとしても、守る対象に変わりない。

――ならば、異なる世界のナナリーだったとしても、憎むべき対象に変わりない。

ランぺルージ姓を名乗っている以上、彼女が並行世界でもルルーシュと血縁関係にあることは明白だ。
『ロロからルルーシュを奪う』可能性がある時点で、ナナリーを生かしておくわけにはいかない。
(元の世界に帰ればそこにはナナリーが元気でいるというのも、癪に障る話ではあったが)

それだけではない。
ナナリーに、声を聞かれてしまった。
ナナリーの前で、切り札であるギアスを使ってしまった。
ナナリーに向かって、『兄さんのそばにいていいのは僕だけだ』と叫んでしまった。
いくら別世界の人間だったとしても、これだけの条件がそろえば名簿の『ロロ・ランぺルージ』の名前にたどり着くだろう。
ナナリーが他の参加者と出会い、その人物に名簿を読んでもらったとしたら、そのままロロの悪評が流れかねない。
よって、己の身を守る為にも、ナナリーがゲームに乗ったと言って追い詰めることは必要だ。



『ロロ様、もう一つお聞きしてもよろしいでしょうか』
「何かな、サファイア」
『このブリタニア姓を持つ女性が皇族ということは、『ロロ・ヴィ・ブリタニア』という男性も皇族なのでしょうか。ロロ様と同じ名前のようですが……』
「それは僕も不思議に思ってたんだ。……そんな名前の皇族はいない。それも、僕と同じ名前だなんて」
『とすると、やはり『可能性世界』で存在する皇族の方でしょうか?』
「もしかして『可能性世界』の別の僕だったりするのかな。
別の世界では王族だなんて、それは面白そ――」



ロロの頭を、天啓が駆け抜けた。

658「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:20:03 ID:DR/c6d3U
ロロが王族の、それも『ヴィ・ブリタニア』姓の人間だった場合。
それが、どういうことなのか。



(その世界の僕は、兄さんと……本当の、血のつながった――)



胸を貫いたのは、溢れんばかりの歓喜。


それは、つまり、



(どこかの世界に、『始めから兄さんの家族だった僕』がいる――!)



『そのロロ・ヴィ・ブリタニア』をロロ・ランぺルージは知らない。
しかし、どこかの世界に『生れつき兄さんと家族をしていた自分』が存在した。
その光景を想像するだけで、心が幸福感でいっぱいになる。



どこかの世界で、ルルーシュと本当の家族だったロロがいた。
それはまるで、『ロロ・ランぺルージにも、ルルーシュと本当の家族になる未来がある』と言われているようで。

それは、ロロの希望を具現化したような想像だった。

ロロの夢見る、幸福な未来予想図そのものだった。

659「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:20:40 ID:DR/c6d3U
「あの、ロロさん……?」
「ああ、ごめんね。自分が王族かもしれないなんて、何だか信じられなくて」

苦笑してごまかしつつ、ロロはその『ロロ・ヴィ・ブリタニア』について分かることがないか考察する。


どんな性格をしているだろうか。
嚮団で暗殺稼業などに手を染めていなかったのだから、『根暗』などと呼ばれることもなく、明るく闊達に育っていた可能性が高い。
あの兄さんと、生まれた時から一緒にいられたのだから、今のロロより兄さんから、より多くのことを学べていたはずだ。

――これはひょっとして、『ヴィ・ブリタニア』の方が勝ち組ではないだろうか。
知らない世界のこととはいえ、何やらちょっと悔しい。


ルルーシュがこのことを聞けば、どう思うだろう。
この会場にいるルルーシュはおそらく『ロロ・ヴィ・ブリタニアのいる世界のルルーシュ』とも違うと思う。
弟のロロがブリタニア姓を名乗れているのに、兄であるルルーシュがランぺルージ姓に身をやつさねばならない事情というのは、ちょっと想像がつかない。

ということは、もしこの会場にいる兄が、ロロの世界にいる兄だった場合、少し申し訳ないことになる。
皇族を追放された兄が黒の騎士団で奮起している一方で、何不自由ない暮らしを手に入れている『ロロ』がいるのだから。

660「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:21:09 ID:DR/c6d3U
しかし、あの優しい兄のことだ。
きっと、ルルーシュは『ロロ・ヴィ・ブリタニア』にも『弟』として接してくれるだろう。

そう、ルルーシュが、ロロ・ランぺルージを可愛がってくれたように。

『ロロ・ランぺルージ』と同じように、『ロロ・ヴィ・ブリタニア』を可愛――








――あふれる希望が一瞬で、ありったけの憎悪へと逆流した。

661「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:21:52 ID:DR/c6d3U

ナナリーやシャーリーに対して抱いた感情より、なお酷い。

ナナリーがルルーシュに可愛がられている光景を想像したとしても、ここまで腸がよじれるような苦痛は感じない。

そこにはまだ、わずかに『自分はナナリーとは違う人間だからだ』という自意識が残されている。

しかし、もしもルルーシュが『本来のロロよりも優れた、血の繋がっているロロ』を可愛がっていて、
それを蚊帳の外から見ている『血のつながりのない不出来なロロ・ランぺルージ』の身分に落とされたとしたら。

――そんな光景だけは、実現させてはならない。



 ◇

662「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:22:37 ID:DR/c6d3U
『それでは、お互いの探し人が見つかるまで、協力し合うということでよろしいですね』
「うん、続きは歩きながら話そうか。
お互い、予期しない戦闘と消耗で時間を潰してしまったようだし」
「そうですね……体調はもう大丈夫なんですか?」
「美遊が治してくれたおかげで、もう何ともないよ。それで、これからどこへ向かうんだっけ」
「はい、南の住宅街に、興味深い建物があります」
「住宅街か……人も集まりそうだし、悪くない場所だね。
『黒の騎士団』にいて分かったことだけど単純な戦力は集まるに越したことないし」

持ち前の演技力で、平常の会話を心がけながら、ロロは考えていた。




殺さなければならない、もう一人の『弟』について。






君はきっと幸せだったんだろう?
だって始めから、あの兄さんの弟として生きて来られたんだから。

始めから、
道具ではなく人間として、
『弟同然』ではなく『本当の弟』として育ったんだから。

だから、

だから、


(もう、充分、幸せを味わったはずだよね。
……なら、その分を、僕に譲ってくれても、いいよね)

663「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:24:14 ID:DR/c6d3U

【D−6/川の北岸/一日目 早朝】

【たった一人の 家族/友達 を守り隊】

【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:カレイドステッキサファイア
[道具]:基本支給品一式、クラスカード(アサシン)@プリズマ☆イリヤ、支給品0〜1(確認済み)、タケシの弁当
[思考・状況]
基本:イリヤを探す
1:ロロと行動
2: 橋を渡って東部の市街地を目指す(衛宮邸にも寄ってみる)
3:凛を始め、知り合いを探す(ロロの知り合いも並行して探す)
4:真理の知り合いと出会えたら、真理のことを伝える
5:ナナリー・ランぺルージには要警戒。ユーフェミア・リ・ブリタニアも、日本人を殺す可能性があるので警戒。
6:『オルフェノク』には気をつける

[備考]
※参戦時期はツヴァイ!の特別編以降
※真理から『パラダイス・ロスト』の世界とカイザギア、オルフェノクについての簡単な説明を受けました
※真理から『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えてもらいましたが、誰がオルフェノクかまでは教えてもらっていません
※ロロから『コードギアス 反逆のルルーシュ』の世界の簡単な情報を教わりました。
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません

664「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:25:21 ID:DR/c6d3U

【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:ギアス使用による消耗(中)、濡れた服
[装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)
[道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、不明ランダム支給品1
[思考・状況]
基本:この殺し合いを止める
1:ナナリーとロロ・ヴィ・ブリタニアを殺害し、自分の居場所を守る
2:ロロ・ヴィ・ブリタニアを陥れる方法を考える。
3:ナナリーの悪評を振りまく。
4:ルルーシュと合流する
5:殺し合いを止めるための仲間を集める。
6:美遊・エーデルフェルトと行動。衛宮邸に立ち寄りつつ、住宅街を探索
7:『オルフェノク』と『バーサーカー』には気をつける。
[備考]
※参戦時期は、18話の政庁突入前になります
※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています
 使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます
※名簿を確認しました
※ナナリーが呼び出した謎のナイトメアを警戒しています
※ナナリーに、自分の居場所を奪われるのではないかと恐怖しています
※ロロ・ヴィ・ブリタニアに、それ以上の恐怖を抱いています
※美遊から『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』の世界の情報を簡単に聞きました。
※『オルフェノクがいる世界』と『ポケモンがいる世界』が存在するらしいと聞きました。
※アカギはギアス能力者ではないかと考えています

665「ナナリー・ランぺルージって奴の仕業なんだ」 ◆8nn53GQqtY:2011/08/03(水) 02:25:49 ID:DR/c6d3U
投下終了です。

深夜遅くに長文失礼します。

666名無しさん:2011/08/03(水) 02:39:32 ID:u6nJPydM
投下乙です。
ロロ、そっちのロロを羨ましがっちゃいけない! 彼の境遇の方がもっとむごいし、おまけに兄弟仲は最悪だぞ!w
それにしても、ナナナロロへの感情をこう持ってくるとは……

667名無しさん:2011/08/03(水) 03:12:03 ID:.4mShmKc
投下乙。
希望から即憎悪へ切り替わるロロにちょっと吹いたw
嫉妬こわい。

668名無しさん:2011/08/03(水) 05:56:20 ID:aXhcHABc
乙です
ロロがナナリー以上に妬み憎む存在が出来るとは…ゾクッとしたわ
ギアス勢のパラレル家族喧嘩は周りにどう影響することやら…
先が楽しみなような怖いようなw

669名無しさん:2011/08/03(水) 06:40:52 ID:stM2bfNo
投下乙です

ルルが反逆のルルーシュの方で良かったな
ナイトメア・オブ・ナナリーは見たことないけど仲悪いらしいから

ナナリー、ロロ両方殺し合いに乗ってないけどロロは敵視、ナナリーは話し合い希望か
どうなるか楽しみだ

この2人は考察も進んでてる 2人とも戦えるし冷静
コードギアス勢に会うまでは安定しそうだ

670名無しさん:2011/08/03(水) 15:05:36 ID:c2jDymYU
投下乙です

元の世界の愛憎にパラレルが絡むとこうなるのかよwww
頭がいい分、策も練れるからやっかいな
ロロも悪評戦法か。序盤の駆け引きが今後どうなるか…

671 ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:18:04 ID:u0Fa4TPU
L、篠崎咲世子、北崎投下します。

672超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:18:50 ID:u0Fa4TPU


「なかなか美味しいですね」
 ありふれた学校の廊下で甘いお菓子をつまみながら、Lは満足そうに頷いた。
 歩きながら糖分を取るのは効率のいい手段だが、同行者はそう思わないようだ。
「L様、行儀が悪いですよ」
「はあ、すみません」
 謝罪しつつも、Lは食べるのをやめるつもりはない。
 声をかけた相手、咲世子は細い眉をわずかにひそめただけだ。
 メイド服というコスプレのような格好だが、感情のコントロールは上手い。
 数度のやり取りでLはそう確信し、相手の真に重要な情報を引き出すのは難しいと考えている。
 とはいえ、その情報は現在だとあまり価値はないだろう。
 もはや学校には用がない。咲世子を伴って外に出ようとする。

 瞬間、建物が大きく揺れた。

 Lがバランスを崩して尻餅をつくが、咲世子は平然と立っている。
 爆発音も断続的に続き、誰かが攻撃しているのだと悟った。
「L様、これは……」
「我々の存在に気づいた誰かが攻撃しているのか……」
 これは希望的観測である。敵対意思があればまだ対処はしやすい。
 最悪なのは、
「たまたま目についた学校を壊そう、と気まぐれで動いたか」
 説得も推理力も役に立たない、後先を考えない相手だった場合である。
「この儀式でそんな目立つ行動を?」
「目立つ行動をとれるということは、相応の力を持つ可能性が大きいです。一番ベターな結果は我々の存在を悟られず、この場から逃げることですが……」
 無理でしょう、とLは続ける。まだ爆発音は遠いが、ここに届くのは時間の問題だ。
 そして音から察する発信者の位置は、自分たちに一番近い出口の向こうだろう。
 おまけに逃げる場所を選んでいる暇はない。いや、咲世子ひとりなら余裕はある。
 だが、『このL』は運動が苦手だ。裏口を選択して逃げ切れる可能性は0である。
 つまり、現状は死ぬか危険人物の前に躍り出るか。あまり来て欲しくない二択だ。
「しかたありませんね……」
 咲世子はLのつぶやきに頷いた。出口を見据え、一直線に駆け抜ける。
 爆発音はどんどん近くなっていくが、肝っ玉の座っている二人は動じない。
 脚力そこそこのLを咲世子は上手くサポートし、あっさりと玄関口を抜けた。
 明かり一つない学校のグランドが目に入る。サッカーのゴールも野球のホームベースもちゃんと見える。
 暗闇に慣れた目は周囲をきちんと映してくれているようだ。
 続けて、地面が振動して爆発が発生する。周囲に飛び散った瓦礫が落ちてきた。当たらなかったのは幸いだ。
 状況認識を終えたLは素早く方向転換し、射撃主を睨みつける。
 未来的な車に誰か乗っていた。ミサイルを発射するなど、アカギもずいぶん豪華な贈り物したものだ。

673超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:19:13 ID:u0Fa4TPU
 やがて運転していた男が降りてくる。
 なんともだらしない印象の男だ。ボサボサの黒髪は伸び放題。
 サイズの大きいTシャツは裾が伸びきって、片肩を露出している。
 ただ、だらしない印象と違い、顔は整っていた。
「へえ、誰かいたんだ」
「いると確信したから壊そうとしたのでは? そうでないとすれば、この学校を攻撃した理由は何でしょうか?」
 声から察するに、見た目以上に幼いだろう。なるほど、アカギは狡猾な人間らしい。
 こんな人物にあんなオモチャを与えれば、どうなるかは眼に見えている。
 Lの質問はもはや答えが見えていた。
「あれを壊したら面白いかなぁ、って思ってさ」
「なるほど。あなたがどういう人間なのか、理解できました」
 言い捨て、思考を張り巡らせる。
 敵と認識したと同時に咲世子がかばうように前に出たのは、さすがというほかにない。
 彼女はスペツナズナイフを構えながら相手を見据えている。
 二人に支給された武器は銃を含め、彼女に持たせてあった。銃は懐に隠しているのだろう。
 もっとも、ミサイル付き車両を相手だと分が悪すぎた。
「それにしても人がいてくれてよかったよ。休むのに飽きて退屈していたところなんだ。
君たち遊んでくれないかな? あの、爆弾を受けても死ななかった女の子のようにさぁ」
 男が笑うと同時に、体の境界線が揺れた水面のように曖昧になる。
 グジュル、と肉が腐って崩れたような音が鳴り、顔に模様が浮かんだ。
 それも一瞬だけ。小柄な印象を吹き飛ばす、二メートルを超える怪物がそこにいた。
「最初に死んだ男と同類、というわけですか」
「琢磨くん? 残念だよ。彼がいたらしっぺで遊べたのに」
 灰色の巨躯が可愛らしい声を発する。
 二本角の悪魔を思わせる風貌だというのに、アンバランスだ。
 こういうのが一番怖い。警戒するLに、咲世子がささやいた。
(L様、一分だけでいいので、囮になってもらえませんか?)
(…………あの車両を奪うというわけですね)
(……ええ。わざと最初の一撃で吹っ飛びますので、それから時間稼ぎをお願いします。
必要な武器があれば、お渡ししますので)
(ええ。しかし、銃もクナイも必要ありませんよ)
(L様が運動を得意でないのはご承知ですが、今は少しでも生き残る算段を……)
(いえ、それもあるのですが……相手に聞こえてますよ。たぶん)
 え、と戸惑う咲世子をよそに、怪物を見据えた。
 灰色の怪人はこちらの視線に気づき、親指で車両を指す。
「ねえ、あれを早く取らないの?」
「……ッ! 本当に聞こえていた……」
「大丈夫です、篠原さん。それにしても耳がいいんですね」
「変身後だからさすがにね。ここに来る前なら、変身しなくても聞こえたけど。
まあそれはどうでもいいよ。ジェットスライガーを欲しくないの?」
「ええ、私たちはあなたと違って普通の人間ですので、喉から手が出るほど欲しいですね。
篠原さん、奪いに行って大丈夫ですよ。今は手を出すつもりはないでしょうから」
 Lが断言するが、咲世子はいまいち信用していない。
 こちらが信用出来ないというより、目の前の怪物が有利な武器を手放したことが信じられないのだろう。
 そのまま静かに言葉を重ねる。

674超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:19:33 ID:u0Fa4TPU
「意味のない破壊活動。なのにこちらを確認した途端、手を止めたこと。そして変身しながらも、今は様子を伺っているだけ。
以上から彼は我々を殺すことより、何をする気か……どこまでできるのかを確かめるつもりでしょう。違いますか?」
「うん、それは一応正解。ついでに言えば、あれ運転するの飽きちゃってさ。
ただの人間と戦うのもつまんないし、君たちあれ使って僕と戦ってよ。けど、逃げるなら殺すよ。僕はあれより速いからね」
 さあ早く、と竜の怪人はこちらを急かす。
 咲世子はどうするべきか、アイコンタクトを送ってきた。
 Lは静かに結論を彼女へ示す。聞きとられないように、指示を記入した紙を彼女へと向けた。
『ジェットスライガーとやらを奪ったら、一人で逃げてください』
 紙にはそう書いてある。Lは自分の結論がまっとうなものだと自信があった。
 どれほどの力があるか知らないが、学校を破壊する兵器を譲るなら相応の力があるはずだ。
 奪ったところで慣れない乗り物である。乗りこなすには時間が必要だろう。
 結果、勝ち目は薄く、二人で逃げきるには自分が枷だ。
 ならば彼女が逃げきり、自分が彼をここにとどめるのがベターだ。
 もっとも、Lも死ぬつもりはないが。
「どうしたの?」
「我々はその乗り物……ジェットスライガーですか。乗り方を知らないので、試運転時間を五分ほどいただけませんか?」
「えー、五分も待つの? 三分が限界かな。待つのは嫌いなんだ」
 意外と時間をもらえた、とLは内心ほくそ笑む。
 視線を咲世子に送り、この三分で逃げるよう紙を使って再度指示した。
 咲世子は一瞬考えこみ、やがてLを肯定した。
 油断なく怪人の脇をすり抜け、ジェットスライガーにたどり着く。
「どう? 動かせそう?」
「…………ナイトメアフレームと多少操縦方法が似ていますね。これなら何とかなりそうです」
「そう、それはよかった」
 盗られた側というのに、むしろ怪物は祝福した。サイコキラータイプなのだろうか。いや、違う。
 Lは敵対する相手の思想にだいたいあたりを付けてきた。厄介な相手である。
「さて、あなたにお願いが……」
 Lが次の策に移ろうとした時だった。
 咲世子の乗ったジェットスライガーが一瞬で方向転換し、銃口を灰色の怪物へと向けたのだ。
 ハッチが開き、ミサイルと光弾が発射される。周囲は土煙が上がって、視界が消えた。
「L様、つかまってください!」
 咲世子の大声が聞こえ、とりあえず従う。相手の頭が冷えるまで時間を稼ぐ必要があるのだ。
 同時にLは確信を持ってしまった。
 自分か咲世子か。あるいはふたりとも、死んでしまう可能性が高いと。



「うまくいきました。このまま逃げましょう」
「篠原さん、よく操縦を把握しましたね」
「……いえ。我々の世界の乗り物と似ている、と言いましたが、この操縦桿くらいです。
把握しながら運転しているので、声をかけて運転ミスをしても知りませんよ」
「はあ、それなら一つだけ。最大加速をして、射撃の用意をしてください」
 咲世子が疑問符を浮かべていたが、すぐに結果がついてくる。
 先回りした竜の怪物が正面で構えていたのだ。このジェットスライガーより速いというのは本当らしい。
 まあ、疑ってもいなかったが。
 咲世子もこの事態は想定していたようで、眉を引き締め姿勢を低くする。
 再びミサイルハッチが開き、発射トリガーに咲世子のたおやかな指がかかっていた。
「さあ、僕と遊んでよ」

675超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:19:54 ID:u0Fa4TPU
 敵の言葉がきっかけになったように、ジェットスライガーの前部が爆ぜた。
 建物を粉砕するミサイルが人間サイズの存在へと迫る。
 どれほどの戦闘力があるか、お手並み拝見だ。
 怪物は竜の頭を模した両腕を左右に振るった。
 ミサイルの一発が上に逸れて、遥か彼方で飛び散る。二発目を強引に凪ぎ飛ばし、爆発の影響を避けた。
 十発のミサイルを巧みにかわし後、一つを踏み台に上空に跳ぶ。
 月を背中に、灰色の怪人が微笑んだ気がした。
「L様、もっと強くつかまってください」
 なるほど、とLは納得する。彼女がしようとすることはだいたい理解した。
 言われた通り腰のあたりに抱きつき、成り行きを見守る。
 ジェットスライガーの機首が怪物の方向に持ち上がり、ミサイルハッチを開いたまま加速した。
「衝撃に備えて!」
 咲世子はそう叫んで、操縦席から飛び降りた。
 当然、Lもついたままだ。加速した車両から飛び降りるなど、度胸があり過ぎである。
 もはや衝撃に備えることしかできない。
 ドン、と全身に衝撃が走り、何度か地面を転がる。予想より痛みが酷くないのは、咲世子が庇っているからか。
 ようやく回転が止まったとき、全身の悲鳴を無視しながらLは立ち上がった。
 最初に心配した行方は敵のこと。
 相手はジェットスライガーを受け止め、上空に運ばれたままミサイルの雨を発射される。
 爆発が発射源を巻き込んで大きく広がっていった。ジェットスライガーもスクラップへと姿を変えるのだろう。
 多少もったいないが、あのバケモノを仕留めるというなら妥当な判断だ。
 ただし謎の速度を解明しない現時点では、不安の残る手段である。
「L様、油断してはなりません。今のうちに離れましょう」
 彼女は片腕を抑えながら、支給されていた銃を用意していた。
 おそらく右腕は折れている。さすがのプロのメイドにしてSPである彼女でもつらそうだ。
 そして負傷を負った咲世子もこれで終わったと思っていないようだ。だが、逃げることより優先してLは一言発した。
「我々の反抗はどうでしたか?」
「けっこう楽しかったよ。うん、いい暇つぶしにはなったかな」
 咲世子が急いで自分を背中に隠す。
 その背中越しにLはバケモノと向き合い、少し前との相違点を発見した。
 先ほどまでの巨躯の印象と違い、スリムな姿である。
 外装が剥がれたように四肢は細く、人のそれに近い。顔には表情が追加され、呪われそうな形相だ。
「久しぶりにヒヤッとしたよ。あのままだったら、半身は持っていかれたかもね」
「そうならないとは予想していました。その姿は我々に認識できないほど速く動ける、と見て間違いありませんか?」
「見えたの? ……そんなわけないか」
「ええ、ただ速くなるのなら、私はともかく彼女に認識されないのはおかしいですからね。
ならば速度は普通の人に認識できないほど、と考えが行き着くのはたやすい」
「よくわかったね、すごいよ君」
 相手は興奮したように拍手をする。
「面白いからもっと聞かせてよ」
「わかりました。ならば期待に答えましょう、北崎さん」
 相手が首をかしげる。それもそうだろう。
「僕は名乗ったっけ?」
「いえ、最初に死んだ方……彼が助けを求めた名前の中で名簿にあるのは北崎さんだけでしてね。
その実力からアナタではないか、と推測しました。当たってくれて私も驚きです」
「嘘ならもうちょっとわかりやすく吐きなよ。確信していたんでしょう?」
「さあ、それはどうでしょう」
 Lはとぼけながら、デイパックの菓子をひとつ摘んだ。軽いジャブはここまでだ。北崎は自分に興味を示している。
 咲世子と自分が生き残れるかどうかは、今後で決まるのだ。糖分を補充した脳を活発に動かし、次の手に移る。

「さて、北崎さん。我々から提案があります。手を組みませんか?」

 ネゴシエーションという、得意分野の一つに。


 発言の後、驚愕した咲世子が一度こちらを振り返った。さすがの彼女も表情を隠しきれなかったらしい。

676超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:20:13 ID:u0Fa4TPU
「命乞いかな?」
「まあ、一部はそうですね。ですが、あなたにも得がありますよ」
 北崎は興味深そうに「続けて」と要求した。
「私の世界にはキラと呼ばれる能力者がいます。彼の能力は名前と顔を知った相手を自由に傷つけ、殺すことが可能なもの。
あなたのオルフェノクという能力を相手に渡り合える、最強の存在です」
 へえ、と感心したようなため息混じりの声が聞こえてきた。
 Lは嘘を混じえながら平然と続ける。

「彼はあなたの退屈を紛らわせる最良の相手である、と推察します。ただ、キラは用心深い相手でしてね。
私と彼女くらいしか正体を知らないのですよ。つまり、彼との対戦を組めるのは我々しかいないというわけです。
キラとの戦いに興味がない、あるいは裏切りを恐れるなら我々を始末してもかまいません。どうでしょうか?」

 北崎は狂った存在ではない、とLは確信していた。
 戦闘狂であり、相手を嬲るような行動と言動からサイコキラーとしか他人には映らないだろう。
 事実、彼の欲求が『ただ戦いたい』というものであれば間違っていない。
 だが、Lは北崎の欲求が戦うことより、退屈を紛らわせたいというものであることに勘づいていた。
 この二つの欲求は似ているようで違う。
 傷つけることや戦うことを、食べることや睡眠と同列に扱うなら、戦わない自分たちに価値はない。
 しかし、それらすべてが『退屈を紛らわせる』という理由を挟んでいるならば話が違う。
 こちらがその退屈から開放できる、というカードをチラつかせることで交渉可能な相手と化すからだ。
 もっとも、油断はできない。目の前の男は予想以上に頭がいい。
 Lは気を引き締め、交渉を再開する。
「そのキラと戦えるだけ?」
「もちろん、それだけじゃありませんよ。アカギの言葉を思い出してください。
彼は『複数の可能性宇宙から、私達は選ばれた』と言いました。
あなたは退屈を紛らわせる相手に不足しません」
「そうだねえ。さっきもいい相手に巡りあったよ。竜を使う女と、頑丈な女の子。また会いたいなあ。
それで、僕が君たちを生かしておいて、得することって何かな?」
 北崎から発するプレッシャーが強くなった。
 そろそろ話にも飽きてきた頃だろう。相手のしびれが切れた瞬間が、一番のチャンスだ。
「ですが、生き残りたい彼らにとってあなたとの遭遇は避けてしかるべき。
どれだけあなたが求めても、彼らと満足に戦える機会はそう多くないでしょう。
ですが、私がいれば話は違います」
 ビッ、と人差し指を立て、北崎の顔を睨みつける。
 怪人の姿であるため表情は見えないが、相手が何を考えているかは手に取るようにわかる。

「私が強者を見分け、あなたと戦うように仕組みましょう。
相手がどのようなタイプで、どうすれば戦うか推理することは簡単です。
もう一度言います。隠れる強者を探り当て、あなたと戦わせることができる私と手を組みませんか、北崎さん?」

 北崎はこちらを焦らすためか、無言でこちらを見つめている。
 咲世子が緊張したように喉を鳴らした。
 しかし、Lには確信がある。

「いいよ、一緒にいこう」

 北崎がこの話に乗るのだと。



 もう一度言うならば、戦うことだけにしか興味がない、という相手ならこの話は通用しなかっただろう。
 血に飢えた獣は食欲を満たすように、破壊欲求のままこちらの話を聞く前に殺していた。

677超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:20:35 ID:u0Fa4TPU
 だが、北崎は違う。
 彼は退屈を紛らわせる、という『人間らしい』行動に出た。
 ならばこちらの話を聞く『遊び』に付き合うと、短いやりとりでLは確信を持てたのだ。

 ここからはLの推察だが、おそらく北崎は頭が悪くない。むしろ自分や月に及ばないものの、いい部類に入るだろう。
 だからこそ彼は様々な『ハンデ』を彼自身に課していた。
 ジェットスライガーを渡すという行動がわかりやすい。自分の話を聞いて隙を作ったのも、その一環だろう。
 そのままでは楽しめないと理解しているからこその行動だ。
 ゆえに交渉が通じる。ある程度なら益を得ることを選べる人種だ。
 もっとも油断はできない。
 益がないと判断すればすぐに自分たちを殺せる頭脳を持っているのだ。それは一面、考えなしの殺人鬼より恐ろしい。
 さらに、莫大な力は彼に気まぐれという悪癖を与えていた。
 自分たちは首皮一枚でつながったにすぎない。
「ケガは大丈夫ですか?」
「ええ、この程度なら移動に支障ありません」
 Lは咲世子と共に出発の準備を整えた。彼女の片腕は折れているため、添え木で固定している。
 後は動くだけだ。ただ、Lたちの準備を待つのを飽きたのか、北崎が無防備なまま近寄ってきた。
「やっぱりケガしたんだ」
「ええ、あなたにはしてやられましたからね」
「ふぅん、僕が治そうか?」
「いえ、その必要はありません」
 警戒している咲世子は当然断る。北崎は残念そうな表情を作った。演技臭い。

「そう遠慮しないでさ」

 その一言が、なぜか大きく聞こえた。
 北崎は右人差し指を触手のように伸ばす。伸びた指は鞭のようにしなり、咲世子の心臓に突き刺さった。
 一瞬だけ、青い炎が立ち上ったような気がした。
 怪我をしていたせいか反応の遅れた咲世子はなんとか振りほどき、距離をとる。
 とはいえ手遅れだ。口からつつっ、と血が流れ落ちる。
「あれ、意外と伸ばせなくなっているや」
「……怪我を治すのでは?」
「そう怒らないでくれない? 運が良ければ傷は治るし、彼女は力を得れるから」
 北崎はのんびりとした口調で、咲世子に向き直る。
「君さ、自分が弱いと思わない?」
 咲世子は膝をガクッと落とす。構えようとしたブローニングハイパワーが力なく地面をはねた。
「どういう……ことです……か……」
「僕たちオルフェノクはこうやって数を増やすんだ。上手く行けば僕のように力を持てるよ。
それを使えば、Lくんだろうが、他の誰かだろうが、簡単に守れる。感謝してよ」
 咲世子は話の半分も聞いていないだろう。倒れ、ピクリとも動かない。
 Lは北崎を不快に思った。おそらく、彼の発言は嘘ではない。何度も同じ事をやってきたらしく手馴れている。
 だがこれは、自分に対する警告なのだ。
『逃げるなら容赦はしない』
 自分の恐怖を揺り動かし、縛るために彼女の命を奪った。
 さらに北崎はLを挑発して、『何が何でも自分を殺すように仕向けさせた』のだ。
 『他の知り合いも殺すぞ。君の命だって簡単に奪ってみせる。そうなりたくなければ、約束の『強者との戦い』を実現させろ』、と。
 ただ見せしめのために犯罪を犯すキラのように。

678超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:20:52 ID:u0Fa4TPU
 予想できたこととはいえ、気分はあまりよくない。だからこそ彼女を逃し、交渉に移るつもりだったのである。
 それが二人揃って生き残る最良の手段だった。

「L様…………」

 こみ上げる不快感を抑えつけ、立ち上がった咲世子にLは向き直る。
「はい」
「私はもう無理です。彼の言うオルフェノクにはならないでしょう。
ですので、私がお話しした大事な方々のことを頼めませんか? ルルーシュ様とあなたが出会えば……」
 彼女の遺言は最後まで伝えられなかった。
 ザァッ、と灰になり、最初から砂人形だったかのように崩れ落ちる。
 艶のある黒髪も、特徴的なメイド服も残っていない。
 ただ彼女であった証拠は、残したデイパックと銃だけだった。
 Lは静かに有用なものだけを集めて、北崎に振り返る。
「あーあ、ハズレだったようだね」
「北崎さん」
 なに、と返す彼の顔を静かに見つめた。
 この世に恐れるものはなにもない、という王者の顔だ。
 ならばその顔を崩してやろう。

「私、あなたを倒しますよ。たとえどんな手を使っても、どんな相手を利用しても」

 だからこそ、Lは月との共闘を決意した。忌むべき彼の頭脳とキラとしての力が必要だ。
 たとえ最悪の大量殺戮犯だったとしても。今は誰よりも、彼がそばに居て欲しい。

「楽しみだなぁ。君がどんな手を使うのか、どんなふうに僕を追い詰めるのか。Lくん、僕の名前は北崎……さ。よろしくね」

 目を細め、フルネームを告げた北崎は猫のように笑った。
 キラに名前を教えろ。無言でそう言っているのだろう。
 その余裕、頭脳で崩すのが自分と月の役割だ。Lは自分と宿敵の仕事を定めた。

 こうして世界最高の探偵と、ラッキクローバー最強のオルフェノクの化かし合いが始まった。


【篠崎咲世子@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】

679超絶バイクと探偵とドラゴン ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:21:10 ID:u0Fa4TPU
【D-5/南東平地/一日目 黎明】


【L@デスノート(映画)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スペツナズナイフ@現実、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)、
    予備弾倉(9mmパラベラム)?5、シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋。
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:北崎を倒す。負けを認めさせる
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。


【北崎@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:ゲームを楽しみ、優勝する
1:見つけた参加者は殺す
2:Lに期待。琢磨くんの代わりにオモチャになりそう
3:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
4:シロナとガブリアスとはまた会えれば戦いたい
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
 また、灰化発生にはある程度時間がかかります



【FN M1935 ブローニングハイパワー】
9mmパラベラム弾を13発装填可能なベルギーのハンドガン。
カナダ軍をはじめ、イギリス軍の空挺部隊や特殊部隊を中心に使用されている。

680 ◆qbc1IKAIXA:2011/08/03(水) 18:21:37 ID:u0Fa4TPU
投下終了
誤字脱字、矛盾がありましたら指摘をお願いします

681名無しさん:2011/08/03(水) 19:08:30 ID:.4mShmKc
投下乙。
嗚呼、咲世子さん……怖いなあ、北崎。
強者故の気まぐれさが緩みではなく凄みになっているのは怖い。gj

682名無しさん:2011/08/03(水) 19:12:10 ID:zJddfCSo
投下乙です。
まさか北崎と手を組むとは思わなかった。
化け物じみたオルフェノク相手にも動じないLはさすがだぜ!

咲世子さん…orz
登場話の時点で、長生きできそうなタイプじゃないとは思っていたが…


しかしその位置はやべええええええ!!
北崎を敵と認識した魔法少女とガブリアス使いに、
Lを敵だと認識した魔法少女と外道親父がすぐそこにいるんだぞおおおお!

683名無しさん:2011/08/03(水) 19:23:33 ID:08zwENcM
投下乙。
うひゃあ、とんでもないことになったぞ……。豆腐レベルの同盟だな。世界一の探偵といえど手綱を握るのは容易ではないぞ。
化物対人間、勝つのはどっちか。
咲世子さん乙でした。Lが生き残ったこ代価として彼女が逝ったことを考えると気が重い。

……あれ、ひょっとして病院がとんでもないことにならないか?

684名無しさん:2011/08/03(水) 20:30:46 ID:c2jDymYU
投下乙

うん、これは怖い同盟が出来たな…
これはどうなるかハラハラするよ
咲世子さんはお疲れ様…

て、病院に行くのかよ…

北崎

685名無しさん:2011/08/03(水) 20:41:35 ID:stM2bfNo
投下乙です

病院さん逃げてー
気分で動く実力者は怖いよな
バーサーカーとは違うベクトルの怖さだな

686 ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 22:57:40 ID:sfTKlNPk
予約分投下します

687後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 22:59:34 ID:sfTKlNPk
シロナ、クロエ、C.C.、ニャースは病院へと向かっていた。
ガブリアスの回復とクロエの治療のためである。
ちなみにクロエは戦闘服を解除し、普段着に戻っていた。
胸部プロテクターが灰にされたせいで上半身は裸同然だったからである。
この場にいる人間が女性ばかりで本当によかった。

そして病院も目前に迫ったところでニャースの耳が何かの音を捉えた。

「ニャニャ?何か聞こえるニャ。誰かが遠くで叫んでるみたいだニャ」
「え?何も聞こえないけど?」
「それだけ大きな耳をしていれば人間よりは聴覚は上だろうな」

そんな会話の後、その音の確認のため静かにしていると、

―…オオオ……オオォ……ォォォォ

「にゃ!今度ははっきり聞こえたにゃ!」
「何かが吼えてるような音が聞こえたけど…」
「ポケモンの鳴き声かしら?」
「たぶんあれはリザードンにゃ。なんて言ってたのかは聞き取れにゃかったにゃが…」
「ほう、お前はそのポケモンとやらの言葉が分かるのか?」
「馬鹿にしてもらっちゃ困るにゃ!!にゃーはポケモンにゃ。
 人間の言葉が喋れるようになるまでどれだけ練習したかわかるにゃ?!」
「まあそっちも気になるけどまずはカブリアスとクロちゃんの治療が先ね」
「ニャニャ」



「さて、どこから回りましょうか」
「……」

その頃ゲーチスと美樹さやかも病院へと到着していた。
さやかは相変わらず迷っているままの様子であったが。
いや、病院に入ってからそれ以上に妙に様子がおかしい。

688後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:01:40 ID:sfTKlNPk
「どうかしました?」
「あ、いえ、なんでもないです
 ただちょっと知ってる場所にそっくりだなぁって」

なるほど、ここにあるのは彼女の世界の病院ということか。
さすがに本物ではないだろうが。

「では案内してもらえますか?」
「あ、でもちょっと知り合いが入院してるのをよくお見舞いに来てただけで…」
「構いませんよ、何も分からないよりは…おや?」
「どうかしましたか?」
「さやかさん、少しここで待っていてもらえますか?」
「何かあったんですか?」
「いえ、大したことではないですよ。ちょっと気になることがあったので」


そう言ってさやかを一人残し、歩いていくゲ−チス。


(やはりあれはシンオウ地方のチャンピオン…)

ゲーチスが様子を伺っている先にいるのは4人と1匹、いや、3人と2匹の集団。
そのうち把握できるのはニャースとガブリアス、そしてシロナ。
ニャースはおそらく名簿に書いてあったもの、ガブリアスはシロナのポケモンで間違いないだろう。
自分にもサザンドラのみだが支給されていたのだ。
ニャースがなぜ参加者なのかは分からないが。


もしシロナに自分の情報が伝達済でそれが彼らに伝わっていれば行動に差し支える。
しかし手持ちに不安の残る今あまり大きな行動に出るのは控えておきたい。

(ふむ…、多少危険はあるが確かめておくか)

その時のためにバッグからモンスターボールを取り出しておく。

「おや、あなたはシロナさんではありませんか」
「?!ゲーチス…!」
「知り合いニャ?」
「む?」

689後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:04:34 ID:sfTKlNPk
差しさわりの無い挨拶を装って出て行くゲーチス。
シロナは警戒の様子を見せるが他の者は特にそのような様子を見せていなかった。
その様から、シロナは自分のことを知っているが情報がまだ行き渡っていないと推測する。

「ええ、彼女とは少し交友がありましてね。
 ああそうだ。ちょっと二人で話がしたいのですがよろしいですか?」

ゲーチスはそういいつつシロナ以外には死角となっている位置にモンスターボールをちらつかせる。

「…え、ええ。いいわよ」

その意図を理解したようでこちらに話を合わせるシロナ。

「すぐに戻ってくるわ。それまで適当に病院の中を回ってて」

ガブリアスを伴い、シロナはついて来た。まあそのくらいの警戒はしょうがないだろう。





「シロナさん行っちゃったけど…」
「奴が大丈夫だと言っているんだ。大丈夫だろう
 とりあえずこいつの手当てと使えそうな薬を探すぞ」


「ゲーチスさんどうしたんだろ…?」
「誰だ?」




まさかこれほど早く彼と遭遇するとは。
怪人との戦いにクロとのやり取り、そしてビルの倒壊の目撃。
様々な出来事が重なったせいで情報交換が後回しになってしまったのはまずかったか。


シロナが連れてこられたのは病院の屋上。
病院内では何かの間違いで話を聞かれてしまう可能性があることを警戒しているようだ。

690後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:07:21 ID:sfTKlNPk
「それで、こんな所に呼び出してどうしようというの?」
「まあ少しお話をと思いましてね
 ワタクシのことは知っておられるのでしょう?」
「ええ、ボスであるNの裏で実質的にプラズマ団の支配をしていたことも。
 ポケモン解放を唱える真の目的も聞いてるわ」

イッシュ地方のジムリーダーや四天王とも交流があるシロナはプラズマ団やN、ゲーチスのこともある程度把握していた。
とはいっても伝聞の伝聞で聞いた情報であるから細かい所まではっきり分かるわけではないが。


「それではアナタに誤魔化しは効きそうにないですねぇ」
「それで、私を呼び出してどうしようというの?」
「ハハハ、安心してください。別にあなたをどうこうしようというわけではありません。
 今のところは、ね」
「今のところってことはいつかは行動に出るってことでしょ?」
「まあワタクシとしては別に積極的に人を殺して回るというつもりもないのですがね
 欲しているのはあの力ですよ。彼と関わりの深いアナタなら気付いているのでしょう?」
「……」
「あの二匹を手にできればNなどを使わずとも強大な力を我が物にできる。
 それもイッシュの伝説のドラゴンの物以上の力を、ね」
「それを私が許すと思うの?」
「いいえ、思いません。いずれあなたとも戦わなければいけないでしょうね。
 ただ、今は困るのですよ。手持ち唯一の戦力を失うわけにはいきませんし」
「それなら大丈夫ね。ガブリアス」
「…いいのですか?ここで戦うというならこの唯一の戦力、サザンドラを使って全力でやらせてもらいますよ
 その傷ついたガブリアスとあなたの命も保障できませんが」

サザンドラ。ポケモンとしての能力はガブリアスとも引けをとらぬ強力なポケモン。
あの戦いでダメージを負ったガブリアスでは荷が重い。
それでも勝つことはできるだろうがゲーチスの言うとおり大切な相棒を永遠に失うことになりかねない。

691後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:09:04 ID:sfTKlNPk
「……くっ」
「アナタが懸命な方で助かりましたよ。その方がお互いのためです」
「それで、こんなところに呼び出した理由は?」
「いえ、少しお話がしてみたかっただけですよ。
 シンオウ地方のチャンピオンがどういうお方なのかと」


「ああ、それとワタクシのことはまだお仲間に話されてはいないようですね
 安心しましたよ。もし話されていたなら彼らを消すことも考えておかねばいけなかったですしね
 まああと一つお願いがあるんですが。ワタクシのことについては喋らずにいて欲しいのですよ
 この場にいる間だけで構わないので」

「あまり余計なことを言うと…分かりますね?」



「あたしは美樹さやか、よろしく」
「C.C.だ」
「クロエ・フォン・アインツベルン まあクロでいいよ」
「ニャースだニャ」

ゲーチスとシロナが行った後、C.C.達はさやかと遭遇、当然の流れのように自己紹介に入った。

「へー、あんたがゲーチスさんの言ってたポケモンって生き物なんだ」
「ニャーはポケモンの中でも天才なのニャ」
「ふーん、ゲーチスさんが言ってたんだけどね、…」


ゲーチスと同行してこの病院に入ってきたらしいさやかに案内されつつ薬や道具のありそうな場所を回っていた。
どうもここはさやかの知っている場所に似ているとか。


「お前は何か変わった力を持っていたりするのか?あのオルフェノクとやらやこのポケモンのように」
「えっと、わたし魔法少女なのよね…って言っても信じてもらえるかな?」
「ほう、魔法少女ならそこにもいるぞ」
「え、マジ?!」

包帯に謎の模様を書いている最中だったクロは指名されてさやかの方を向く。
ちなみにクロの中の魔法少女はこんな感じである。

692後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:11:18 ID:sfTKlNPk
イリヤの見ているアニメの中のような魔法少女のイメージと、
そのイリヤ自身や美遊のように実際にいる、ルビー達のような魔術具を使う魔法少女。

クロはさやかを当然ながら後者と判断した。


(あ、ならもしかしたら効率よく魔力回復できるかも)

「ねえさやか」
「なに?クロエちゃん」
「キスして」
「ブッ!!は?!え?!何、キス?!」
「うん。大丈夫、優しくするから」
「ま、待ってってうわあ!!」

いきなり小学生にキスを迫られ、動揺している間に押し倒されてしまった中学生がそこにいた。


「ぐぬっ、ちょっと、どういうことなの…!」
「ちょっとで、いいから、キスさせてって、言ってるでしょ…!」
「分かんないよ!ちょっとあんた達このキス魔止めてよ…!」
「お前も魔法少女なんだろう?こいつと同類じゃないのか?」
「うがあああああ!」

見物者に出した助け舟もスルーされ、力いっぱいに押しのけるさやか。
それでもなお諦めていないクロに対し、威嚇の意味で魔法少女に変身、剣を構える。

「へえ、じゃあこっちが勝ったらキスさせてもらうからね!!」

しかしそれに対抗意識を燃やしたクロは服を黒い外套へと変化、特に宝具でもない一本の剣を投影して突っ込んでいった。
―ガキィン

「あ、おい」

C.C.もさすがにまずいと思って声をかけるが二人は剣を交わらせながら奥の方に移動していった。

「あれ、大丈夫かニャ?」
「まあ気が済んだら戻ってくるだろう」
「そうかニャ。あ、この植木鉢オボンの実が生ってるニャ」

数分後、気絶したクロを引きずってさやかが戻ってきた。
片手しか使えないのに無理をして戦うからだ、と一人と一匹は思った。

693後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:16:51 ID:sfTKlNPk
イリヤの見ているアニメの中のような魔法少女のイメージと、
そのイリヤ自身や美遊のように実際にいる、ルビー達のような魔術具を使う魔法少女。

クロはさやかを当然ながら後者と判断した。


(あ、ならもしかしたら効率よく魔力回復できるかも)

「ねえさやか」
「なに?クロエちゃん」
「キスして」
「ブッ!!は?!え?!何、キス?!」
「うん。大丈夫、優しくするから」
「ま、待ってってうわあ!!」

いきなり小学生にキスを迫られ、動揺している間に押し倒されてしまった中学生がそこにいた。


「ぐぬっ、ちょっと、どういうことなの…!」
「ちょっとで、いいから、キスさせてって、言ってるでしょ…!」
「分かんないよ!ちょっとあんた達このキス魔止めてよ…!」
「お前も魔法少女なんだろう?こいつと同類じゃないのか?」
「うがあああああ!」

見物者に出した助け舟もスルーされ、力いっぱいに押しのけるさやか。
それでもなお諦めていないクロに対し、威嚇の意味で魔法少女に変身、剣を構える。

「へえ、じゃあこっちが勝ったらキスさせてもらうからね!!」

しかしそれに対抗意識を燃やしたクロは服を黒い外套へと変化、特に宝具でもない一本の剣を投影して突っ込んでいった。
―ガキィン

「あ、おい」

C.C.もさすがにまずいと思って声をかけるが二人は剣を交わらせながら奥の方に移動していった。

「あれ、大丈夫かニャ?」
「まあ気が済んだら戻ってくるだろう」
「そうかニャ。あ、この植木鉢オボンの実が生ってるニャ」

数分後、気絶したクロを引きずってさやかが戻ってきた。
片手しか使えないのに無理をして戦うからだ、と一人と一匹は思った。

694後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:20:08 ID:sfTKlNPk
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「では、お前はキス魔ではなかったのか」
「どっから出てきたのよその発想!!こっちは危うくファーストキスを小学生に奪われるところだったのよ!!」
(ぶっちゃけわたしって魔法少女っていうより魔法そのものみたいなもんだしねぇ)
「あ、じゃあもしかしてこれ」
「グリーフシードじゃん。どうしてここに?」
「私に支給された物だ。お前の受け答え次第では譲ってやってもよいが?」
「受け答えって何よ」
「お前の持つ情報だ。魔法少女とは何だ、アカギの言っていた魔女の口付けとは何だ?」
「ああ、その事ね」

さやかはゲーチスに話した事と同じようなことを説明した。
魔女の口付けに関しては魔女の生みだす呪いのようなものでさやか自身にも詳しい説明はできなかったが。
解除するには生み出した魔女を倒すことで消えるものらしく、この場のこれがどうなっているかは分からないそうだ。


「希望を生み出す魔法少女と呪いを生み出す魔女か。なかなか興味深いな
 で?」
「で、って何?」
「どんな願いをも叶える奇跡を貰って魔法少女になったのだろう?
 まだ続きがあるはずだ」
「…」

これは自身も力を与える者であったC.C.の勘。
かつて死にたいという己の願いのために多くの者にギアスを与え、暴走させてきた彼女だからこそ感じる違和感。

「…言わなきゃダメ?」
「まあ無理にとは言わんが」
「……。分かった、言うわ」

(さやか説明中)

695後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:23:28 ID:sfTKlNPk
「その宝石に自分の魂が、な」
「随分あっさり信じるのね」
(まあ他人ごとだからだろうけど)
「魔力を使うと濁ると言ったな。なら濁りきった時はどうなるんだ?」
「あ、そういえばそこキュゥべえからは教えてもらってないや…。いつもはぐらかされてて」
(まあそんなところだろうな)

そこになにかしら都合の悪く、またそのキュゥべえとやらの目的があるのだろう。
かくいう自分もそうだったのだ。
推測くらいはできるが邪推になりそうなので保留とした。

「まあいい。私には必要のないものだ。もって行け」

グリーフシードを投げ渡すC.C.。

「その魔法少女というのはお前だけじゃないんだろう?
 その辺りも教えてくれ」
「あ、そういえばシロナから知り合いのことについて聞いてなかった…」
「たぶんニャーとある程度は一致するはずにゃからニャーから教えるニャ」
「ならついでにあいつ用に情報を紙にでもまとめておいてくれ」

さやかの知り合いは4人。
クラスメイトの鹿目まどかに正義の魔法少女(さやか談)巴マミは信用できるそうだ。
佐倉杏子は生き残るために乗るかもしれないし乗っていないかもしれない。要は不明。
暁美ほむらは何を考えているか、殺し合いに乗るかも分からないため一応警戒はしておくべきと言った。


まだ聞いていなかったクロの知り合いの情報も聞いておいた。
自分の姉妹(本人談)のイリヤスフィールに友人の美遊、遠坂凛にルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト、学校の先生らしい藤村大河。
兄である衛宮士郎にバゼット・フラガ・マクレミッツ、よくは知らないらしいがサーヴァントであるセイバーとバーサーカー。
バゼットとセイバー、バーサーカー以外は殺し合いには乗らないと言っていた。
衛宮士郎と藤村大河は一般人で特に兄の士郎は早く見つけたいらしい。

696後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:28:24 ID:sfTKlNPk
「そのサーヴァントとは一体何なのだ?」
「えーっと、分かりやすく言うととある事情で魔術師が召還した英霊って感じかなぁ?
 セイバーの方は分からないけどバーサーカーは合ったら逃げた方がいいわ。あれは間違いなく襲ってくる」
「そんなにやばいのニャ?」
「最初の広場で見たあれがバーサーカーなら、複数の命を持ってる化け物だから注意して」

ニャースの知り合いはC.C.に説明したとおり。
ただ、シロナと出て行ったゲーチスのことは知らないらしい。


「あ、思い出した。ここに来てからあった月って人から聞いたんだけど」

曰く、「ニア」、「メロ」、「松田桃太」、「南空ナオミ」、「L」の五人は悪人ということらしい。
何でも彼らは月という男を追い詰めるために貶めたのだという。
嘘をついて人を欺いている可能性がある危険人物たちだとさやかは言った。


「見つけたら絶対に捕まえないと!」
「捕まえて、その後どうするつもりだ?」
「え、それは…」

その問いかけはさやかにゲーチスから言われた言葉を思い出させるもの。
いずれは決断しなければならないが、それでも今はっきり答えが出せるものではないこと。

「……、あ」
「どうした?」
「ううん、大したことじゃないの。少し待ってて」


そう言ってさやかは一つの病室の中に入っていった。


「?」
「なんなのニャ?あ、シロナが戻ったニャ」

見ると、シロナとゲーチスがこちらに向かってくるのが見えた。

「みんな待たせたわね。何か見つかった?」
「とりあえずニャースがオボンの実とやらを見つけたらしい。あとは使えそうな薬を持ち歩けそうなだけ集めておいたぞ」
「そう、ありがとう」
「…?」

697後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:30:15 ID:sfTKlNPk
ニャースがガブリアスにオボンの実を与えている間にシロナは集めてきた薬の中から使えそうなものを漁っていた。

「グルルルル」
「何ニャ、おみゃーはこの味嫌いだったかニャ?」

「とりあえずこの傷薬はガブリアスにも使えるわ」
「そうか」
「……」

「フフフ」
「ん?何ニャ?」
「いえ、まさか喋るニャースがいるとは夢にも思わなかったもので」

「それにしてもさやか遅いね」



この病院はさやかのよく知った場所。
病院徘徊中にそこへたどり着いてしまったのは長きに渡ってそうしてきた癖だろうか。

そこは彼女にとって思い入れの深い部屋。
彼女自身が願いを心に決めた場所。
ある意味始まりの場所ともいえるかもしれない。
正確にはこの場自体はおそらくレプリカだと思いたいが。


ここにくれば原点に返って何かしらの答えが見つかるかもしれないと思った。
悪人を殺すのか、自分なりの方法で生かすのか、その答えが。

しかし実際にはそんな物はこんな場所にはない。
むしろ一つの現実を改めて思い起こさせるだけだった。

もうあの時には戻れない。

「……恭介」

もう彼にファーストキスをもらってもらうこともできないのだと。



698後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:32:09 ID:sfTKlNPk
「戻ってきたか。何か見つかったか?」
「ううん、特に何も。私の勘違いだったみたい」

さやかが戻ってきたことを確認してこれからのことを話し合う。

「私は例のビルに向かおうと思うんだけど」
「ちょっといいかニャ?ニャーはさっきのリザードンの鳴き声が気になるニャ
 そっちに行ってみたいニャが」
「さっきの鳴き声の向きと大きさからいえば…古びた教会かアッシュフォード学園か
 アッシュフォード学園なら知り合いが行っているかもしれん。私も行こう」

ニャースはリザードンの鳴き声がしたところに行ってみたいといい、C.C.もその周辺の施設に気になる場所があるらしい。

「ねえ、その鳴き声って何?」
「ニャースが聞いたものらしいが、何者かが拡声器か何かで叫んでいる後で聞こえてきたものだ」
「じゃあ誰か助けを求めてるのかも…。ゲーチスさん!」
「いいのですか?さやかさんのお仲間との合流が遅れるかもしれませんよ」
「それでも、困っている人がいるなら見捨ててはおけません」
「そうですか。シロナさん、どうやらここでお別れのようですね」
「そう」

さやかはニャース達についていくと言い、ゲーチスもそれに合わせる様子だ。

結果、シロナとクロがビル倒壊現場に向かい、ニャース、C.C.、さやか、ゲーチスが声の方に行くこととなった。

「合流場所を決めておいたほうがいいわね。
 この政庁って所に9時に集合ってことでいいかしら?」
「ふむ、分かった。ルルーシュかスザクかナナリーに会ったら連れてきておいてくれ」
「分かったわ。気をつけて」
「ガルガルッ」



699後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:34:06 ID:sfTKlNPk
シロナとクロは病院から拝借した救急車を走らせていた。

「シロナ、なんかさっきから様子おかしくない?」
「……」
「…あ、これ、ニャースがまとめた情報が書いてあるから見ておいてね
 あと一応シロナの知り合いについて教えてもらってもいい?」
「そうね、今のうちに言っておくわ」

シロナは悔しかった。
情報交換を遅らせ、ゲーチスに踊らされ、結果的にC.C.とニャースを危険な男と同行させることになってしまった。
ゲーチスの脅しに屈して何もできなかった自分が嫌だった。

(もうこんなことは絶対させない…。見てなさいゲーチス…!)

あの二人がゲーチスの毒牙に掛からないことを願いつつ、シロナは救急車を走らせる。


【D−5/南西部/一日目 黎明】


【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康、魔力減少(小)
[装備]:モンスターボール(ガブリアス)@ポケットモンスター(ゲーム) 救急車、
[道具]:基本支給品、ピーピーリカバー×1、病院で集めた道具、【情報】のまとめられた紙
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
1:崩壊したビルに向かう
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:N、サカキを警戒 ゲーチスはいずれ必ず倒す
4:9時に政庁に集合する
[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です
※魔法少女について誤った知識を得ました
※ニャースの事はロケット団の手持ちで自分のことをどこかで見たと理解しています

700後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:36:29 ID:sfTKlNPk

【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)、左腕不調(処置済)、精神高揚
[装備]:私服 救急車の助手席に乗車中
[道具]:基本支給品、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
1:みんなを探す。お兄ちゃん優先
2:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
3:どうしてサーヴァントが?
4:崩壊したビルに向かう
5:9時に政庁に集合する
[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています
※C.C.に対して畏敬の念を抱いています
※情報交換により【情報】を得ました



「それでは我々も出発しましょうか」
「ゲーチスさん、ちょっとわたし、先に行かせてください
 誰か助けを求めてるなら急がないと!」
「分かりました。こちらは大丈夫ですので気になさらないで」
「はい!」

そう言ってさやかは魔法少女の服に変化させ走り出した。

(どうやら予想以上に効果があったようですね)

病院内での彼らとの会話でなにかあったのか、あるいは別の要因か。
そこまでは分からないが、彼女は何かに急いでいるかのような様子はあった。
これは彼女をより面白い方向へ進めてくれるだろう。

(しかし喋るポケモンですか。早いうちに始末しておかねばなりませんね)

ゲーチスにはポケモンの言葉など分からない。それが普通なのだ。
ゆえにポケモン解放を唱えた際に多くの者の支持を得られた。
だが、もしポケモンが己の思いを言葉にしてトレーナーや持ち主に伝えてきたらどうなっただろうか。
きっとあれほどの人員を集められはしなかっただろう。

ポケモンを自分だけの力とする世界に自分の意思を伝えられるポケモンなど不要なのだ。

(さて、様々な要素が増えた今、切り札の切り方も考えておかねばいけませんね)



701後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:39:46 ID:sfTKlNPk

美樹さやかは走った。とにかく走った。

助けを求める人がいるのであれば助ける。
では、もし殺し合いに乗った者がいたら…?

答えは出ない。
でも迷っている暇はない。乗っているなら戦う。それだけだ。
いずれ戦っているうちに答えは見つかるだろう。
それで人が救えるのなら。
そう己に言い聞かせて。

今の自分には、戦うことしかできないのだから。


【D−5/北西部/一日目 黎明】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:魔法少女服、ソウルジェム(濁り微小)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)、グリーフシード
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:声のした方に行き、助けを求める人がいるなら助ける。
2:ゲーチスさんと一緒に行動する
3:鹿目家や見滝原中学にも行ってみたい。
4:まどか、マミさんと合流したい
5:月さんが言っていた「悪人」を捕まえる
6:月さんとゲーチスさんは良い人だ
※第7話、杏子の過去を聞いた後からの参戦
※「DEATH NOTE(漫画)」と「ポケットモンスター(ゲーム)」の世界の情報を聞きました
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました
※情報交換により【情報】を得ました


【D−5/病院近辺/一日目 黎明】

【ゲーチス@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:普段着、きんのたま@ポケットモンスター(ゲーム)、ベレッタM92F@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(サザンドラ)@ポケットモンスター(ゲーム)、病院で集めた道具
[思考・状況]
基本:組織の再建の為、優勝を狙う
1:表向きは「善良な人間」として行動する
2:さやかのを目指す。
3:切り札(サザンドラ)の存在は出来るだけ隠蔽する
4:美樹さやかが絶望する瞬間が楽しみ
※本編終了後からの参戦
※「DEATH NOTE(漫画)」と「魔法少女まどか☆マギカ」の世界の情報を入手しました
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました
※「まどか☆マギカ」の世界の情報を、美樹さやかの知っている範囲でさらに詳しく聞きだしました。
(ただし、魔法少女の魂がソウルジェムにされていることなど、さやかが話したくないと思ったことは聞かされていません)
※【情報】を得ました

702後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:42:22 ID:sfTKlNPk


「ゲーチスに気をつけろと?」
「シロナのガブリアスが言ってたニャ
 あいつは強力なポケモンを隠し持ってる。注意しろってニャ」

ゲーチスと距離をとった場所でニャースはC.C.に話しかけた。
シロナのガブリアスが出発間際にニャースにそう言ったというのだ。

(なるほどな、そうなるとあのさやかは…)

おそらくゲーチスの口車かなにかに乗せられているのかもしれない。
正義感は強いが覚悟がそれに伴っていないと思える少女。
C.C.にはあの何気なくした問いかけからは逃げたようにしか見えなかった。


C.C.がアッシュフォード学園に行くといったのは一応馴染みのある場所だからだ。
いまさらルルーシュやスザクが行くとは思えないが合流地点として考えるくらいはあるかもしれない。
ではさやかはなぜこっちに来たのか?
人を助けるならシロナ達に付いて行ったほうがいいはずだ。


それなのにこっちについてきたということは…


(もしそうなら気をつけておかねばならんな、特にゲーチスには)

C.C.がそんなことを考えている一方、ニャースはこんなことを考えていた。

(あのチャンピオンのポケモンが警戒するほどのポケモン…
 ゲットできたらサカキ様はお喜びになられるかニャ?)


【D−5/病院近辺/一日目 黎明】

703後悔しない生き方が知りたい ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:46:28 ID:sfTKlNPk
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康、魔力減少(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ 、病院で集めた道具
[思考・状況]
基本:とりあえず生き残る
1:知り合いとの合流、ルルーシュ優先
2:ナナリーの保護、ゼロ、二人のロロ、マオ、ユーフェミアについて調べる
3:ゲーチスを警戒、さやかにも注意を払う
4:声の発生源と思える場所に向かい、アッシュフォード学園にも行ってみる
5:9時に政庁に集合する
[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※情報交換により【情報】を得ました


【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
1:サカキ様を探し、指示をいただく
2:リザードンの鳴き声のした場所に向かう
3:ジャリボーイ、ジャリガールとはできれば会いたくない
4:ゲーチスのポケモンが気になる
5:9時に政庁に集合する
[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※ディアルガ、パルキアへの考察はあくまで仮説レベルです
※C.C.の知り合い、アニメ版コードギアスの世界観を大まかに把握しました
※情報交換により【情報】を得ました

※今回の情報交換で各キャラの得た【情報】は以下の通り
「まどか☆マギカ」の世界の情報(ソウルジェムの真実まで)
「ポケットモンスター(アニメ)」の世界の情報(ニャース談)
「プリズマ☆イリヤ」の世界の情報(サーヴァントについても少々)
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界の情報
バーサーカー、ボサボサ髪の少年(北崎)、ニア、メロ、松田桃太、南空ナオミ、Lは危険人物

704 ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/04(木) 23:48:54 ID:sfTKlNPk
投下終了
誤字脱字問題点などありましたらお願いします

あと北崎さんこっち来ないでw

705名無しさん:2011/08/05(金) 00:01:59 ID:nID.cIGw
投下乙です

ああ、これは禍根を残す展開だわ。駆け引きではゲーチスが上手だわ
シロナは他にやり用はあった…のだろうか? CCらが警戒し出したのは不幸中の幸いだわ
さやかちゃんはまだ不安定だが今から行く場所には完全に乗ってる奴がいるぞ
さて、別れて行動する事になったが北崎とLもそっちに近づいてるんだぞ。戦力分散は…
そういえばLらの悪評が複数に流れた状態で北崎と一緒とかこれは…

706名無しさん:2011/08/05(金) 00:29:03 ID:0ryJP48c
乙です
誤字 >>691 懸命→賢明

さやかは六話後からの参戦か。てっきり五話後六話前からだと思ってたが

707名無しさん:2011/08/05(金) 00:36:30 ID:yE.QmJnk
乙です
よい話だったと思うけど、
ソウルジェムの秘密知ってる割には、さやかが安定しすぎな気もするw

708名無しさん:2011/08/05(金) 00:46:15 ID:Ns20QnH6
仁美の告白を知らないからでは?
アニメでも仁美の告白を聞く前は杏子に後悔なんてしてないよとか言ってたし

709名無しさん:2011/08/05(金) 00:48:01 ID:kaaIfhfY
さやかは杏子の境遇知った後、仁美の告白受ける前から参戦してるからな

710名無しさん:2011/08/05(金) 01:07:44 ID:4camNzHo
投下乙。
とりあえずニャースとCCにゲーチスの情報が伝わったのは不幸中の幸いだな。
ガブリアスGJ!

711名無しさん:2011/08/05(金) 01:16:22 ID:0kxvRr/I
投下乙。
悪の首領はしたたかだな。
シロナはこっそりガブリアスを通じて警告させた(警告した?)し、ゲーチスにとってニャースは脅威となりうるのね。
……おいニャース、そこ危ないぞw

>>707-709
つまり覚悟を決めてるように見えてあと一撫ぜでぶっ壊れる所から参加ということかっ

712名無しさん:2011/08/05(金) 02:48:17 ID:c.BKK8pE
投下乙
ニャースが結構重要位置だな
ストレスマーダーでもポケモン持ちならニャースが会話してステルスばれるな
ポケモンは持ち主の命令聞くけどリザードンは嫌がってたし

病院にくるLはなにもしてないのに厳しい状況だな、悪評怖い
北崎来るしシロナ、クロエ逃げてー

713 ◆3.8PnK5/G2:2011/08/07(日) 00:16:20 ID:C9x9u2k.
投下開始します

714携帯獣の愛護と適切な管理 ◆3.8PnK5/G2:2011/08/07(日) 00:21:24 ID:C9x9u2k.

スマートブレイン社が、轟音と共に崩壊していく。
市街地の建造物の内で最も目立つであろう高層ビルは、
徐々に背を縮めていき、やがて完全に消失した。
スマートブレイン社は、この島の中でも群を抜いて巨大な施設だから、破壊によってもたらされる影響は大きい。
村上とオーキドも、それによって方針を決定した者である。
これだけ大規模な変化があれば、必ずや何人かの参加者がその地に足を運ぶだろう。
多くの参加者と接触できるチャンスではあるが、
それは殺し合いに乗った者と遭遇するかもしれないというリスクも背負っている。
例え徒党を組めたとしても、襲撃されて仲間を失ってしまっては本末転倒だ。
結果として、二人は「ビルから離れる」という選択肢を選んだのである。

ビルからの避難を決定した数分後、
今度は女性の声が二人の耳に飛び込んできた。
かなりの大音量である。拡声器で遠くまで聞こえるようにしたのだろう。

『私……、こんな所で死にたくない!! お願い、誰か……きゃああああああ!!』

内容からして、女性は何者かに襲われているようだ。
「死にたくない」と言っている事から、
既に彼女は死の危険に晒されている可能性が高い。
女性の懇願の直後に、獣の叫び声と、拡声器が地面と接触する音が響き渡る。
それを最後に、音が二人に降り注ぐことはなかった。
女性は獣に襲われ、拡声器は破壊――もしくは第三者に止められたと考えられる。

例え今駆けつけたとしても、女性が生存している可能性はそう高くはない。
それどころか、加害者に攻撃される可能性がある。
声のした方向――「アッシュフォード学園」という施設が建っている方向である――には、近寄るべきではないだろう。
しかし、どういう訳だろうか。
オーキドはスマートブレイン社の一件とは逆の道――すなわち、声のした方向にあえて向かう選択したのだ。

「あの娘の生死は分からんが……それでも行かねばならんのじゃ。行ってあのポケモンを保護せねば……」

オーキド曰く、あの猛々しい叫び声をあげた獣もポケモンの一種らしく、
自分はあのポケモンを操っているであろう者から、
ポケモンを奪還、そして保護しなければならないと村上に語った。
村上は彼を止めようとはしない――いや、止める必要性が無い。
既にオーキドからは十分な情報をもらっていたし、
本人の意思を無視して無理に引き留めようとするのは、
「下の下」の者がする恥ずべき行為だと、彼は考えていた。

六時間後に「政庁」で合流する事を約束し、村上と別れようとする際、オーキドは彼にある事を言い伝えた。
それの内容は、オーキドが持つ最後の情報である。

715携帯獣の愛護と適切な管理 ◆3.8PnK5/G2:2011/08/07(日) 00:27:32 ID:C9x9u2k.
 * * *


ほんの数分前まで高層ビルが存在していた場所を見つめながら、村上は一人、思い返す。
オーキドが去り際に伝えた情報は、「ミュウツー」なるポケモンについての話であった。

曰く、人類が創り上げた唯一無二の新たなるポケモン。
曰く、研究の末、凶暴かつ残虐な思考を得てしまったポケモン。
曰く、技術の「進化」の過程で生み落とされた、最悪にして最強のポケモン。
そして――オーキドが保護を不可能と判断している存在。
流石の彼も、ミュウツーの前では慈愛を見せるつもりはないようだ。
それは、そのポケモンがいかに凄まじい残虐性を有しているかを示している。

ミュウツーの情報を聞いた村上が感じたのは、「恐怖」ではなく「興味」。
「間違った進化」の産物が、どれほどの可能性を秘めているのかを見てみたい。
人類が創り出した最強の生命体の力は、いかなるものなのか。

未知の力を有するポケモンという存在、そしてゼロから生命を創り上げる科学力。
これらの技術を応用すれば、オルフェノクに更なる「繁栄」を与える事が可能となるだろう。
そう、全ては同属への「愛」からなる行為。
永劫の繁栄と幸福の為に、彼は更なる発展への鍵を求める。

さて、先程はスマートブレイン社を訪れる事は諦めていたが、それはオーキドと行動していたからだ。
一般人の存在は、戦闘の際に大きなハンデとなりえる。
故に、確実に戦闘が起こるであろう場所には行かないほうが賢明だと考えた。
しかし、オーキドと別行動をとっている今なら、
「スマートブレイン社に向かう」という道が出現している。


スマートブレイン社跡地に向かうか、否か――村上峡児の選択や如何に。



【 D-3 / 市街地 / 一日目 黎明 】

【村上峡児@仮面ライダー555】
[状態]:健康、人間態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:オルフェノクという種の繁栄。その為にオルフェノクにする人間を選別する
 1:SB社に向かうか、それとも別所に向かうか
 2:ミュウツーに興味
 3:乾巧の後押し
 4:選別を終えたら、使徒再生を行いオルフェノクになる機会を与える
 5:出来れば元の世界にポケモンをいくらか持ち込み、研究させたい
[備考]
※参戦時期は巧がラッキークローバーに入った直後


【オーキド博士@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:ポケモンの保護、ゲームからの脱出
 1:声の方向に向かい、ポケモンを保護する
 2:ミュウツーを警戒
 3:オルフェノクに興味

716 ◆3.8PnK5/G2:2011/08/07(日) 00:27:49 ID:C9x9u2k.
投下終了です

717 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:44:09 ID:R1u3N2R.
>>665
投下乙ですー。
ロロの愛というかなんというかは相変わらず重いなぁw
ナナリーへのネガキャンといいよい感じに場がかき回されてますね。

>>680
投下乙ですー。
咲世子さん乙……北崎はなんていうか制御が利かなくて怖いなぁ。
そしてLはすごいな。 まさしく世界最高の探偵という感じ。

>>704
投下乙ですー。
まあ、無傷の6V臆病サザンドラとかガブでも厳しいよね……だからこそニャースはナイス。
しかし手負いとはいえクロに勝つとはやるなさやかあちゃん、べ、別に残念とか思ってないよよよ。

>>716
投下乙ですー。
オーキド博士はポケモンの声には興味を示すか。
そして村上、確かにものすごく興味持つよのぅw

サイドン関連を少々修正し、あと忘れていたタイトルも含めて本投下しますー。

718 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:45:13 ID:R1u3N2R.
『不快なる快勝』


「すごい……」

ポケモン城と名付けられている城に足を踏み入れた織莉子は思わず言葉を発した。
美国織莉子はそれなりに知られた政治家の一人娘であり、なればこそ名家の子女に相応しい教育も感覚も備えている。
その彼女をして、いやだからこそ驚嘆の声を上げるほどに荘厳な造りであった。
外観からも荘厳な建造物であることは予感させてはいたが、内部の造りもそれを裏切らぬもの。
ギリシア・ゴシックの流れを汲む隔絶した空間を表現しながらも、華美な装飾とまでは取れないモダニズム様式を基本とする建造。
多くない窓にはキリスト教の流れを組むステンド・グラスが見るものの目を引き。
天井に目を向ければ大樹の枝のごとく張り出した柱が、組み合わされ、壮大な空間を作り出す。
そして、その殆どはコンクリートではなく、石とレンガを用いている。
西洋建築のさほど造詣があるわけではない織莉子でも、何かしら名のある建物であると理解させた。

「ふん、確かに良くできた建物ではあるな」
「あまり、お好きではなさそうですね」
「なに、そういう物には大して興味も無いのでね。 それよりも気を付けることだ、今の君はまるで無防備だったぞ」
「…………」

警告された事に押し黙る織莉子を余所に、サカキは悠然と城の内部へと歩みだす。
強大な建造物というものは権威として作るものであり、その持ち主、あるいは作り手の虚栄心という側面を持つ。
荘厳かつ巨大な建物という点には何の異論もないが、夢見がちな女子中学生のようにただ憧れを抱いたりもしない。
サカキにとって重要なのは見た目よりも中身であり、なおかつそれが自らの手に入るものかどうかだ。
いまのところ、この城はサカキには単なるビルの一棟と何ら変わらなかった。

「ところで、もし仮にこの城のどこにも移動手段が無いとしたらどうする?」
「……どう、とは?」

問われた織莉子は若干警戒した声を出す。
移動手段が無い場合、とり得る手は一つであり、そのことを織莉子は理解しているからだ。

「ククク、冗談だよ」

その織莉子の警戒を解くように、サカキは低く笑う。
それが最初から冗談なのか、それとも織莉子の警戒ゆえにかは、彼女には判断できなかったのだが。
そんな織莉子を余所に、サカキはモンスターボールからニドキングを呼び出す。

「このニドキングもそうだが、意思のあるものとは厄介だ。
 言うことを聞かせるには力を用いるしかなく、仮に従ったとしても何かしらの反抗手段を講じる。
 そういう相手を手下として使うのは容易いことではないよ」
「あのバイクも、そうだと?」
「さあな、ただ私ならその前提の上で行動する、ということだ」

ニドキングが織莉子に一瞥をした後、ボールに戻す。
少なくとも、ニドキングはサカキに忠実であることが織莉子には理解できただろう。
そこまでの心配をしている訳ではないが、織莉子がサカキからニドキングを奪う可能性は減少したと言っていいだろう。
逆に織莉子はオートバジンについて詳しく知らない以上、サカキに奪われた際の行動は予想できない。
仲間とは呼べない間柄であるために、自身の優位はある程度はっきりさせておく。
それはサカキ自身が己の力こそ頼れるものであると認識している証でもある。

「逆にお聞きしますが……、この城に移動手段があるとしたら、どんなものだと思いますか?」
「さて、船でも用意してあるか、はたまたワープ装置でもあるか」
「ワープ装置、ですか?」
「それも君らは知らないのか。 特定の場所同士を行き来できる装置のことだ。」

719 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:46:05 ID:R1u3N2R.
人が一人乗ることの出来る大きさの円形の床のことであり、その上に立つことでどこか別の場所にある同型の床の上へと移動できる装置。
ロケット団のアジトには導入されていなかったが、新たな本部として狙っていたシルフカンパニーには存在しており、ここ数年で普及したとも聞く。
細かい仕組みなど技術者が把握していればよいことなどでサカキは興味などないが、便利なものだとは理解していた。
基本的には同じ場所を行き来するだけのものだが、中には一方通行のものなども存在する、ということまで説明する。
この状況でそういった知識を隠すことは、最終的にはサカキにもマイナスにしかならないのだから。

「あるいはこの城に『空を飛ぶ』か『波乗り』を覚えたポケモン、または『波乗り』の秘伝マシンがあれば移動は可能になるな」

ニドキングの最大の特徴である多彩な取得技。
外見に似合わず、水タイプの秘伝技である波乗りすらも習得できるのだから、それがあれば問題は解決する。
そしてその事を抜きにしても、サカキはある程度技の変更も必要と考えていた。
多彩なタイプの使い手を相手することを考慮し、手持ちに役割を分担させていたがニドキング一体ではそうもいかない。
手持ちが増えるかも不明な以上、可能ならば現在より強化しておきたいところではある。

「その子が泳ぐのですか。 ポケモンというのは面白いものですね」
「フン……未だに信じられんな、ポケモンを知らんとは」

情報交換の結果、織莉子はポケモンの事を何も知らなかった。
それが、アカギの言っていた可能性宇宙ということだろうか。
織莉子の言う魔法少女というものは秘匿されているものであるが、ポケモンを知らないなどサカキの常識ではあり得ないのだから。

「ワープ装置が仮にあったとして、君はそれを使うわけにもいかない。 そう考えると可能なら船か水タイプのポケモンが欲しいか」
「そうですね、あの子を置いていくのはあまり得策とも思えませんし」

流石に城内の細々した場所までは入れないため、外に待機させている織莉子の支給品、オートバジン。
具体的な性能は把握できていないが、あの巨体をそのまま捨て置くというのは勿体無いと言える。
もっとも、その場合でも場所を決めておいて合流するという手段はあるのだが。





「ニドキング、シャドークロー!」

薄暗い地下に、サカキの声が響く。
やはり理想としては船が欲しいところであり、それがあるとすれば地下にしかあり得ない。
そうして地下へと降りてきた二人の目に映ったのは、これまでとはまるで異なる場所。
荘厳な城にまるで似合わぬ、薄暗い研究施設だった。
いくつもの透明なカプセルの並ぶその場所は、織莉子には不気味に、サカキにはどこと無く見慣れたものに映った。
その樹立する、と言っていいほどに並ぶカプセルの中を通り抜けようと進む中、突如襲い来る影。
織莉子が警告を発するよりも早く、サカキはニドキングに対応をさせていた。

突撃してくるオレンジ色の影に対して、カウンター気味に放たれた影の突き、現在持つ技の中では最も威力の高い、シャドークロー。
それを受け、襲撃者は吹き飛ばされる。 最も一致でもなければ弱点でもないその一撃では倒すことはできなかったようだが。
オレンジ色の身体と翼と持つ、直立したトカゲのような襲撃者は、戦闘態勢を解かない。

「リザードンか、この地下がそこまで広くないのが幸いだな」

空を飛べる相手には、攻撃できる手段は限られる。
そして今のニドキングの手持ち技ではその手段は無いのだが、この場ならその心配は不要なようだ。
最も、その口から吐き出される炎の射程を考えれば、最低もう一度は攻撃を受けることになるが。

(その際に火傷でも負えば手負いとはいえ一撃で削りきるのは厳しいか。
 すでに与えたダメージからすれば最終的に負ける可能性は極めて低いが、それでもこの状況では損耗はなるべく避けたいところだな)

ニドキングはすでに最初の一撃――鋼の翼によって傷を負っている。
上手く対応したため傷薬でもあれば回復する程度のものだが、この状況ではそれが命取りにならないとも限らない。
そんなサカキの思考を余所に、リザードンが炎を吐こうとする。
危険を冒してでもニドキングを飛びこませようとした時。

720 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:47:11 ID:R1u3N2R.
「渦のような炎を吐いてきます!」
「!?」

突如として響く織莉子の声。
その言葉に従い、とっさにニドキングを後方に下がらせるサカキ。
そして、次の瞬間にその付近一帯に巻き起こるのは、まさしく渦巻く炎、『炎の渦』
少なくない驚愕と共に織莉子の方を見れば、そこには白いドレスのような格好をした織莉子の姿。

「今度はまっすぐに炎を吐いてきます! 下がって!」

その格好をいぶかしむ間も無く、再び発せられる警告。
だが、その言葉を信じるならば……

「…………」
「えっ、あ、なるほど。 確かに横に逃げればいいのですね」

織莉子の言葉の通り、二度目にリザードンが吐いたのは真っ直ぐ伸びる炎、『火炎放射』
炎の渦よりも遠くに届く代わりに、この技は横の幅は狭い。
乱立するカプセルの陰に隠れれば、やり過ごすのは容易だ。
そうして二度の攻撃を避けたサカキは、改めて織莉子の姿を見る。

白いドレス姿の織莉子は最初にいた位置から動かず、モンスターボールよりも小さい銀色の球体を一つ投げつける。
それは爆発を起こし、サカキに注意が向いていたリザードンはまともに受けることになった。
倒れこそしないものの、最早体力は半分を切っているだろう。
そこに織莉子は再び球体を投げようとし、

「待て!」
「え?」

サカキはそれを声を上げて止める。
理屈は不明だが、織莉子は相手が出そうとしている技がわかるのだろう。
そして、威力は決して低くない爆発する攻撃。
なるほど、魔法少女という言葉は正しいようだ。
ただ、彼女はあくまで何をしようとしているのかが判るだけで、相手の事を理解しているわけではない。
だからこそ、サカキは織莉子を止めた。

「美国織莉子、悪いが渦を巻く炎を吐きそうな時は伝えてもらえるかな?」
「え、かまいませんけど、どうして」
「あれは必要以上に手傷を負わせるのは良くないポケモンなのだよ」

有無を言わせぬ調子で、織莉子の行動を抑える。
であって間もないがこういうタイプの相手ならその言葉に嘘は混ぜまいと見越した上で。

(鋼の翼、火炎放射、炎の渦……最後の一つは不明だが問題ない)

織莉子の攻撃は悪くないものだが、恐らくリザードンを仕留め切るには足りないだろう。
そうなると、リザードンは確実に『猛火』の特性を発動させることになる。
威力が倍になった炎をかいくぐってリザードンを仕留めるには、かなりの損害を覚悟することになってしまう。
だが、織莉子が相手の攻撃を読めるなら、そんなことをしなくても簡単に倒せる。

「来ます!」
「おう、ニドキング! 乱れ突きだ!」

織莉子の合図に合わせて、サカキはニドキングに命令を下す。
無論リザードンの炎の中を掻い潜る事になってしまうが、炎の渦は技そのものの威力は極めて低く、火傷状態になることも無い。
『猛火』も発動していないその攻撃ならば、ダメージなど無いに等しく、ニドキングは炎を潜り抜ける。
そして、近寄ってしまえば最早手負いのリザードンなど敵ではない。

「きあいために、乱れ突き。 ここまで動きが読めていれば五発当てるのは容易いな」

急所に当たり易くなっている攻撃を、五発。
手負いのリザードンは悲鳴を上げて倒れる伏す。

721 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:48:00 ID:R1u3N2R.
「お見事です」
「……フン」

見事、ではない。 あれだけお膳立てされれば誰でも出来るだろう。
もっとも織莉子自身はあまり理解していないようだが。

「君は、ポケモントレーナーとしての資質がありそうだな」

織莉子の賞賛に振り返りもせず、サカキは付近の探索を始める。
ポケモンの存在をさっき知ったばかりの小娘の指示に従う。
自発的に行ったことではあるし、それが効果的であったのも事実だが、それでも多少苦い感情は禁じえない。

それを振り払うように、どこかで見たことあるようなカプセルが乱立する中を歩く。
リザードンのボールは見当たらず、手持ちに加えるのは不可能なようだ。
あるいは野生ということも考えモンスターボールを捜すが、手近な机の上には技マシンが一つあるのみ。
目当ての波乗りでない事の落胆は見せずに、さらにボールを捜そうとした所で、

「ニドキング!」

横合いから響いてくる重い足音に、身構える。
近寄ってくるということは物理タイプなのだろうが、薄暗い為相手の姿が見えず、とっさに何を命じるか迷う。

「サカキさん! 岩のような身体の怪獣です!」
「……っニドキング! にどげり!」

コンマ数秒、織莉子のほうが早かった。
岩のような身体と聞こえた時点で、シャドークローではなく二度蹴りを使わせる。
その選択は正しかったらしく、襲撃してきたポケモンを僅かに後退させる。
シャドークローでは、こうはいかなかったかもしれない。

「……お前は」

だが、その事にサカキが苦い感情を抱く前に、別の感覚が彼を襲った。
たったいま襲撃してきたポケモン。
一致ではないとはいえ、弱点であるはずの攻撃を受けてあっさり立ち上がるという力量を感じさせるポケモン。
岩のような肌と鼻先のドリルが印象深い、直立した犀のような巨躯。
ドリルポケモン『サイドン』
彼自身がかつて手持ちとして使っていたのと同じ……いや、まさしく訳あって手放したその個体そのもの。

「サカキさん! 右からもう一体!
 ……っ、ニドキングです!」

一瞬呆然としていたサカキだが、織莉子の言葉に振り向く。
サイドンのように走ってはいないが、こちらにむかっているのは確かにニドキング。
その個体もまた、サカキの手持ちとして使っていたもの。
今まさに、サカキの隣にいるニドキングそのものに、他ならない。

「…………」

迫るサイドン、そしてニドキング。
どちらも見覚えがあり、そして無いもの。
いや、それだけではなく。

722 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:48:50 ID:R1u3N2R.
「これは……」

ピカチュウ、ガブリアス、グレッグル、噂に聞いたのみの三つ首のドラゴンタイプや、鋼タイプと思わしき人型ポケモン。
リザードンとの戦いを聞きつけたのであろう、沢山のポケモンがサカキ達を包囲しようとしていた。

「フ……ククク」
「サカキさん……?」
「いや、失礼。 フフ、ギンガ団とやら、噂以上にやるじゃあないか」

じりじりと後退する織莉子に構わず、サカキは愉快そうな声をあげる。
周囲の機械が何であるのか、理解できた。
いや、忘れていたというべきなのか? 何の目的で用意しようとしたのかわからないが、間違いない。
かつてロケット団でも研究していた、ポケモンのクローン装置。
研究を止めた理由は思い出せないが、どうやら彼らは完成させた。
なるほど、シンオウ地方を脅かす組織という評判は伊達ではないようだ。

「余裕がおありなのはいいですが、この場をどうにかしませんと」
「ああ、わかっているさ。 ニドキング」

そして、この場は引くしかない。
サイドンとニドキングを放置するのは屈辱ですらあるが、この場は甘んじて受けよう。 その全てが、後々の力をなるのだから。
こちらには広範囲の攻撃は織莉子のものしかないと見ての包囲だろうが、甘い。

「だいちの力」





「ふむ、あったのはこれだけか」

大地の力を用いたことで生じた揺れに際してから逃げる際、視界の端に見えたので持ち出したCD。 使い捨てである技マシン。
探査中に手に入れたものと併せて二枚。 片方はニドキングが使用することが出来るが、さし当たっては必要ではない。
そして何よりも、結局この島から出る手段は見つかっていない。

「あら、それでしたら」

そう言って、織莉子はデイパックから同じ形のディスクを取り出す。
水色をしたそれこそは、まさしく捜し求めていた秘伝マシン『波乗り』

「…………」
「ど、どんなものだか知らなかったのですから、仕方ないです!」

一応の収穫らしきものはあったとはいえ、最初からあったということは、城の探索に費やした時間は全くの徒労だったということだ。
サカキならずとも、文句の一言くらいは言いたくもなる。

「あ、えーとそれよりも、ポケモンが覚える技は4つまでではなかったのですか?」
「……まあいい。 それなら簡単なことだ、あの場で覚えたんだよ」

あの時、リザードンを倒したことでニドキングはレベルが上がった。
そして丁度『大地の力』という地面タイプの技を習得できたのだ。
特殊タイプではあるがニドキングは特殊も低くなく、そして何よりもタイプの一致した技。
乱れ突きの代わりに習得したのだが、予想以上に早く役に立った。

「波乗りを習得させるとなると少し技が厳しいが仕方が無い。 ひとまずこの島から出るとするか」
「ええ、この城の探索にはもう少し準備が必要なようですしね」

コピーポケモンたちは地下からは出てこなかった。
とはいえ、地下の捜索は断念せざるをえず、こうなると上層の探索も何かしらの危険が無いとも限らない。
幸い移動手段は確保できたのだし、ここは引くことは共通した思考となる。
最も、サカキは自らのプライド故、この場所には必ず戻ると決めていたが。

723 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:49:43 ID:R1u3N2R.
「…………」
「なんですか?」
「いや、なんでもないさ」

オートバジンに向かう織莉子に答えず、サカキは秘伝マシンを取り出す。
織莉子の能力があれば、あるいは可能なのではないか。
何十何百と最善手を選び続けられるなら、あるいはニドキングと二人であの場を突破できるのではないか。
そう、織莉子にサカキ並のポケモンの知識があるなら。

「……ニドキング」

若い才能に苦味をかみ締めつつ、ニドキングを呼び出す。
そんなもの、気の迷いだと断じながら。



【H-8/ポケモン城城門前/一日目 黎明】

【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:健康、SGの穢れ(極小)、白女の制服姿
[装備]:オートバジン@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ひでんマシン3(なみのり)
[思考・状況]
基本:何としても生き残り、自分の使命を果たす
1:鹿目まどかを抹殺する。ただし、不用意に他の参加者にそれを伝えることはしない
2:キリカを探し、合流する。まずはそのために、市街地エリアへ向かう方法を探す
3:積極的に殺し合いに乗るつもりはない。ただし、邪魔をする者は排除する
4:サカキと行動を共にする
5:海を渡る。
[備考]
※参加時期は第4話終了直後。キリカの傷を治す前
※ポケモンについて少し知りました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。

【サカキ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:高性能デバイス、ニドキングのモンスターボール@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式 、技マシン×2(サカキ確認済)
[思考・状況]
基本:どのような手段を使ってでも生き残る。ただし、殺し合いに乗るつもりは今のところない
1:『使えそうな者』を探し、生き残るために利用する
2:織莉子に同行する
3:海を渡る。
4:力を蓄えた後ポケモン城に戻る(少なくともニドキングとサイドンはどうにかする)
5:『強さ』とは……何だ?
6:織莉子に対して苦い感情。
[備考]
※『ハートゴールド・ソウルシルバー』のセレビィイベント発生直前の時間からの参戦です
※服装は黒のスーツ、その上に黒のコートを羽織り、黒い帽子を頭に被っています
※魔法少女について少し知りました。 織莉子の予知能力について断片的に理解しました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。
※『ギンガ団』についての知識はどの程度持っているかは後続の書き手さんに任せます
※サイドンについてはパラレルワールドのものではなく、修行中に進化し後に手放した自身のサイドンのコピーだと思っています。

【オートバジン(バトルモード)@仮面ライダー555】
現在の護衛対象:美国織莉子
現在の順護衛対象:サカキ
[備考]
※『バトルモード』時は、護衛対象の半径15メートルまでしか行動できません
※『ビークルモード』への自律変形はできません
※順護衛対象はオートバジンのAIが独自に判断します


【サカキのニドキング♂@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:レベル43、ダメージ(小)
[備考]
※取得技はシャドークロー きあいだめ にどげり だいちのちから
※波乗りの代りに何を忘れさせるかは次の書き手さんにお任せします。

【ポケモン城@ポケットモンスター(アニメ)】
映画ミュウツーの逆襲に登場した城。 モデルはサグラダ・ファミリア。
上層は手付かず、地下にはポケモンの研究施設があり、この島に支給されたポケモンのコピーたちが行く手を阻む。
(サカキ達が確認した範囲ではコピーポケモンだけですが、他のポケモンもいるかも?)

724 ◆7KTvmJPRwQ:2011/08/07(日) 16:53:58 ID:R1u3N2R.
以上ですー。
誤字脱字などまだございましたら指摘お願いしますー。

一時投下でも言われてましたが、この場所人あんまり来なそうなのでいっそ何か重要そうな場所にしちゃいました。
しかし物理振り(推定)のニドキングは果たして両刀でやっていけるのか。

725名無しさん:2011/08/07(日) 17:54:55 ID:YUTRL8rE
投下おつ
ポケモン城はほとんどモンスターハウス化しているw
うかつに近づいたら怖い。しかし、織莉子の力をこう見出すか
GJです

726名無しさん:2011/08/07(日) 22:29:06 ID:WIueSffo
投下乙です

二人とも切れ者なだけに織莉子の資質に複雑な感情を持ち始めるサカキ
またポケモン城も謎がすべて解けていないしどうなるやら

727名無しさん:2011/08/08(月) 17:44:14 ID:JFIzQQIg
投下乙

チートトレーナーわろた
相手の選んだ技を予知できるなんてポケモンじゃ完全に反則だよなwww
簡単に世界チャンピオンになれるような素質だわそりゃ

728 ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:25:04 ID:UY2eTmZw
SB社周辺の予約分を投下します

729ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:27:14 ID:UY2eTmZw
木場勇治は見た。オルフェノクの象徴ともいえる建物、スマートブレイン社が倒壊していく様を。
彼自身スマートブレイン自体にそこまで思い入れはない。特に仲間を殺したSBの社長、村上は憎悪の対象だ。
しかしあれがオルフェノクにとって大切な組織であることも分かっていた。
それをあのように破壊する者。少なくともオルフェノクではないだろう。

そして彼は走り出す。
あの場にいるであろう人間を、それに味方する者を殺すために。



「おい、啓太郎。お前はここで待ってろ」
「え、たっくん?」

倒壊するスマートブレイン社を前に巧は啓太郎に言った。

「お前が行っても危ないだけだろ。俺が行くからここで待ってろって言ってんだよ」
「なんでさ!たっくんがいない間僕だってずっとオルフェノクと戦ってきたんだよ!
 それにファイズギアがないたっくんのほうが危ないじゃない!」

巧としてはそれを言われるとぐうの音も出ない。

「しょうがねえな、危なくなったらお前だけでも逃げろよ」

こう言うのが精一杯だった。



「その体ではそう逃げることはできまい」
「わざわざ追いかけてくれるとはね。感謝するわ」

そうせめてもの強がりを言いつつ体はろくに動かぬ足を動かして逃げようと必死だった。

730ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:29:54 ID:UY2eTmZw
「なるほど。奴に生存の呪縛でも掛けられたか。ならば」

殺気を治めてマミに近付くゼロ。もしもあの逃げ際に掛けたギアスがそうならば殺意がなければ発動はしない。

「っ…!」

急に距離を詰めてきたゼロにマスケット銃を向けるが間に合わず、頭を掴まれて宙吊りにされる。

「生きるために予想外の抵抗をされても厄介だ。そのギアスを打ち消してから殺してやろう」

そう言ったゼロの掌にギアスの紋章が浮かび上がり、マミに触れようとしたその直前、

パァン

「誰だ?」

その腕に銃弾が放たれていた。
それは腕をギリギリの位置で掠めたもので、当然ダメージなど無かった。
しかしそれに気を取られた隙に飛び掛ってきた何者かにマミを奪取される。

銃弾を放ったのは菊池啓太郎、飛び掛ってきたのは乾巧であった。


「啓太郎!そいつ連れて逃げろ!!」
「でもたっくん!」
「いいから早く―」ドガッ

ゼロの拳が巧の胸に打ち込まれ吹き飛ぶ。

「只人が。無粋なことをしてくれるじゃないか」

「ああ…、た、たっくん…」

マミを抱えて啓太郎は逃げ出すが、少女一人抱えてでは早く走ることはできず、すぐさま追いつかれてしまう。

「うわっ!」
「終わりだ」


「うおおおおおおお!!」

啓太郎は、諦めかけたその時灰色の何かがゼロを突き飛ばすのを見た。
オルフェノクがいたのだ。

731ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:34:09 ID:UY2eTmZw
ウルフオルフェノクへと変身した巧は受け止められながらもゼロに殴りかかっていった。
一瞬無言で啓太郎の方を向き、その後ゼロを両腕で抱えて跳び上がっていった。

残された啓太郎は一刻も早くここから立ち去ろうとマミを連れて走っていった。
信じていた仲間がオルフェノクであったという事実から逃げるように。

(ああ、それでいいんだ)

こうすれば啓太郎はとりあえずこの場を離れるだろう。
去っていく啓太郎の背中に悲しみを感じつつ、ゼロを押さえつける巧。
しかしゼロはそれを振り払って着地する。


「死臭のする少女の次は灰の怪人か。つくづく死人に縁があるな」
「うるせえ!!今機嫌悪いんだよ!
 お前は殺し合いに乗ってんのか?」
「世界に混沌を撒き散らすため、と言っても分かるまい。
 とりあえず乗っている、と言って間違いはない」
「そうか、じゃあ遠慮はいらねえな」




佐倉杏子と夜神総一郎は草加、まどかの二人と別れた後、ビルの倒壊現場へと急いでいた。
急いでいたと言っても早歩きほどの速さであるが。


何かに急ぐ様子を見せる杏子を見ながら総一郎は考える。
もし先ほど見た彼女の身体能力があれば自分など置いていけるだろうに。
何か自分がいることで気を使わせてしまっているのではないか?

そしてふと気付く。自分はここに来て出会ったこの少女のことをロクに知らない。
名前と、さっきのような力で何かと戦っていること、一度死んだらしいというくらいのことしか知らなかった。

だからだろうか、このような状況でこんなことを聞いてしまったのは。


「君はずっとあんな力で何かと戦ってきたのか?」
「ん、まあな」
「両親や家族は心配なさらなかったのか?」
「……家族はもういねぇ。みんな死んだよ」
「あっ…、これはすまない。悪いことを聞いた」
「別に。おっさんはどうなんだよ?
 息子がいるんだよな?」
「ああ、正確にはいた、と言うべきだが」
「そうかい」

732ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:36:10 ID:UY2eTmZw
「なあ、向こうに着くまでにそのおっさんの息子の話、聞かせてもらっていいか?」


杏子が唐突にそう切り出す。変な沈黙を息苦しく感じたのだろうか。

本当は他人に話せることではない。だがこの場が場な以上いずれ話さなければならないことだ。
いい機会かもしれない。

「ああ、あいつは正義感の強いやつでな、私の誇りだったよ」




ゆまとメロはビルの倒壊現場に向かっていた。
メロとしては倒壊現場に向かうのは気が進む選択肢ではなかったのだが、ゆまがあまりに譲らなかったのだ。
このまま駄々をこねられ続けても面倒と思い、こちらの選択肢を選んだのだった。


そしてバイクを走らせているうちに金髪の少女を抱えた男を見つけた。

少女の方はかなりの怪我を負っており、男の方は怪我している様子はなかったが何故か足取りがおぼつかなかった。


「マミおねえちゃん!!」
「ゆ、ゆまちゃん…」
「こいつがお前の言ってた仲間か」
「この子、あそこで真っ黒な仮面をつけた男に襲われてて…。
 だから早く病院かどこかに…」 
「ゆまならなおせるよ!おにいさん、まみおねえちゃんを

そう言ってゆまが手をかざすと、マミの体が見るからに治っていった。
だが、ある程度まで治癒が進んだところで急にゆまの様子がおかしくなっていく。

「治るのが遅い…。なんでもう治らないの…?」

杏子を助けた時は切断された手足でも瞬時に治すことができたが、今はなぜかかなりゆっくりになっていた。
それだけではなく、体は完治まで行かず微妙に傷や怪我も残っていた。

「大丈夫よ。これぐらいなら戦うのにそこまで支障はないわ」
「よかった!ねえ、あそこにキョーコはいた?」
「いいえ、ゼロって言う黒い仮面の魔女がいたわ。
 それと、彼の仲間が残って足止めをされてるわ…」
「あ、う、うん。そうだ、たっくんが残って戦ってるんだ!」 
「怪我も治ったことだし早く戻って…」
「おい、何か馬の足音みたいなのが聞こえるぞ…」
「もしかしてこの足音……、木場さん!!」

733ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:40:42 ID:UY2eTmZw
見るとまるで神話に出てくるケンタウロスのような下半身をした灰色の怪人がこっちに向かってきていた。

「…!!魔女?!」

マミはマスケット銃を、ゆまはハンマーをとっさに構える。



「待って、木場さんは悪い人じゃないから。おーい、木場さーん!!」

啓太郎の知り合いというその木場という怪人は、その声に応じるかのようにこちらに向かって走ってきた。
彼は大丈夫だと言っていたが、何かがおかしかった。

なぜあの怪人はこっちに来るのに今にも剣を振り下ろしそうな体勢をしているのだろうか。

「危ない!!」

マミは叫ぶと同時に啓太郎の足にリボンを巻きつけ引っ張る。
啓太郎は叫びに反応してこちらを振り向くと同時に倒れ、直後彼の首があった辺りを剣が通り過ぎた。

「え、木場さん…?」
「あのビルはお前たちの仕業か?」
「確かにあそこにはいたけどそれが何か?」
「そうか。まあいい。ここで死んでもらう」

それは明らかに殺意を持ちながら話しかけてきた。

「ゆまちゃん、二人を逃がして!!」

マミはそう言い、木場勇治、ホースオルフェノクの振り下ろしてきた剣を受け止める。
同時に多数のリボンを木場の体に巻きつけ動きを封じる。

「分かった!お兄ちゃんたち、こっち!!」
「ま、待って、木場さん!!」

啓太郎は以前とは変わって人を襲うようになった木場に声を掛けるが木場は少しも気にする様子はない。

彼の知り合いであるということから魔女の口付けのような何かで操られていると推測し、無力化に掛かるマミ。
剣を受け止めた際にどれほどの怪力を持っているか身をもって知ったマミは距離を取ってマスケット銃を撃ちだした。

734ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:45:56 ID:UY2eTmZw
一方、逃げた三人はバイクを運転するメロと後ろに乗る啓太郎、少し遅れて二人を追うゆまという構図であった。

「ゆまちゃん、ごめん!!」
「あ、おにいさん!!」

しかし啓太郎はゆまの思いに反して来た方に戻って走りだした。

「おにいちゃん、先に行ってて。あのおにいさん連れてきたらすぐに行くから」
「あのマミってやつがどうにかしてくれるだろう、お前もついて来い」

メロとしてはゆまの力も見切ってはいない以上残して行くというのも不安であった。

また、これまで協力者をことごとく失ってきたメロにしてみればゆまという協力者を置いていくという選択肢を選ぶことへのためらいもあった。


「大丈夫だよ、ゆまつよいもん。おにいさん連れて来たらすぐに追いかけるよ」

だがゆまは言っても聞きそうにはなかった。そもそも気球ではなくこっちに来たのもゆまの強情さゆえなのだから。

「ちっ、絶対に死ぬなよ」
「うん!!」

メロはバイクを走らせ、ゆまは啓太郎を追って走り出した。



「おっさん、ちょっとここからは別行動だ」
「佐倉くん?」

気がつくと話に集中して歩みを止めていた二人。

話が終わり、移動しようとしたときにソウルジェムを手に杏子は言った。

「違う魔力を二箇所に感じるんだ。あのビル近くに強めのやつが、そこから少し離れたところに見覚えのあるやつともう一人誰かだ。
 強めのやつはもしかしたら魔女かもしんねえ。あたしはそっちに行くからおっさんはもう片方のところに行ってろ。
 あたしの知ってるやつならたぶん会っても大丈夫だ」
「君の方は大丈夫なのか?」
「まあやばくなったら逃げるさ」
「分かった。またあとで合流しよう」

735ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:48:24 ID:UY2eTmZw
杏子がこっちを選んだのは今は調子を取り戻すために戦いたかったからであった。
もしあの反応が魔女ならさやかである可能性もあるし、違ったとしてもグリーフシードが得られるだろう。
そして本人にも原因に想像のつく謎のイライラを感じていたことも理由の一つだ。

ビルの跡地を走りつつ杏子は総一郎から聞いた話を思い出す。

(夜神月…)

総一郎から聞いた彼の息子の話。
曰く、世間に蔓延る犯罪、それを裁けぬ法律を憎み、
ある力をもって犯罪者を裁き、神とも崇められた男。

「気に要らねえ」

夜神総一郎から聞いた、この殺し合いの場にいるかもしれないその夜神月。

「ああ、気に要らねえ」

なぜかひどく気に食わなかった。



「正面からでは勝てぬと判断、この地形と暗闇を生かしての奇襲で確実に倒すという戦法を取ったか」

そう一人で呟くゼロの体には無数の切り傷がついていた。

最初は正面から戦っていた巧だが、その力にかなりの開きがあることに気付くのにはそんなに時間はかからなかった。
だからこそ正面からではなく地形と暗闇を利用しての奇襲戦法を選ぶことにしたのだ。

しかし決定打はなかなか与えられず、無数についた傷もゼロの動きを阻害するほどのものではなかった

「己の能力をよく理解した上での戦い方だ。センスはあるようだな。最も―」

飛び出してきたウルフオルフェノクの体に生えた刃をテッシードのグローブを付けた掌で掴む。

「もう見切ったが」

そのまま肩の刃を握りつぶす。
掴まれた巧は巨大化させた足で地面を蹴り、そのままゼロに踵落としをしかける。
それをゼロはギアスの紋章が浮かび上がった手で受け止める。

一瞬閃光が走り、巧は吹き飛ばされる。

吹き飛んだ巧はそのまま拳を握り締め飛び掛かる。
が、飛び出して気付いた。巨大化していたはずの足が元の大きさに戻っていることに。
疾走態ではなくなり素早さの落ちたまま殴りかかるも、拳は届かず逆に顔面に拳を食らい吹き飛ぶ。

ゼロはズタズタになったテッシードのグローブを外し、巧に追い討ちをかけるために地面を蹴った。

736ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:51:07 ID:UY2eTmZw


マミの銃撃はホースオルフェノクには通用しなかった。
ダメージが無いのではなく、銃弾が驚異的な反応で弾かれているのだ。

連射のできないマスケット銃では、どれだけ素早く新しいそれを出そうと少なからずタイムラグが生まれる。
機関銃のように多くの銃弾を撃ちだせれば当てることはできただろうが単発銃では限界がある。
リボンでの拘束も剣で斬られるか脚力をもって引き千切られるかのどっちかだった。

(せめてゆまちゃんがいれば…、ダメね。大事な役割を頼んだ子をあてにするようじゃ)

ここでどうにかしないと多くの人が犠牲になってしまう。


「木場さん!!」

突如聞こえてきた声にホースオルフェノクの動きが止まる。

「あ、あなたは…、どうして?!ここは危ないわ!!」
「お願い、ちょっとだけ話をさせて!!」

止めるマミをよそに啓太郎はホースオルフェノクに近付く。
ホースオルフェノクの影が白い人影を写し、口を開く。

「菊池啓太郎、君と話すことはない」
「どうしてこんなことするの?!今までずっと人間と共存したいって言ってたじゃない!?」
「ああ、だがそれも過去の話だ。園田真理の裏切りで結花と海堂を失ったとき、俺の中からその理想は消えた」
「え、真理ちゃんが…?どういうこと?」
「もう話すことはないと言った。人間である以上君も敵だ!」
「っ!!早く逃げて!!」

マミを通り過ごし、啓太郎に向かっていく木場。

「あぶない!!」
ドンッ

剣を啓太郎に躊躇いもなく振り下ろした時、追いついたゆまが啓太郎を間一髪で押し倒した。

737ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:54:53 ID:UY2eTmZw
「ダメよ!彼とは戦うしかないわ!!」
「おにいさん!早くいこう!!」
「お願い!!少しでいいから木場さんと話させて!」

啓太郎の中には巧に対しての負い目があった。
オルフェノクであった巧から逃げてしまったことに対して。
今ここで逃げてしまえば巧と向き合うことができない気がしたのだ。


一方殺そうとしたにも関わらずまだ自分に向かってくる啓太郎に木場勇治は疑問を持つ。


「なぜ逃げない?君は俺が怖くないのか?」
「そりゃオルフェノクは怖いよ。でも、木場さんはずっと一緒に戦ってきた仲間じゃない…」
「違う!俺の仲間はオルフェノクだけだ!!」
「オルフェノクとか人間とか関係ないよ!
 たっくんも真理ちゃんも長田さんも海堂さんも、木場さんだって大事な仲間なんだよ!」


(そうだ、たっくんもずっと辛かったんだ。僕達にこう思われるんじゃないかって…)


「もう俺は君の知っている木場勇治じゃない」
「それでも僕は仲間を化け物って思いたくないんだ」
「…君は変わらないんだな。園田真理と違って」
「木場さん…」

疾走態であった姿を解き、啓太郎の元に近付く木場。
話しかける影からも険悪な表情は感じられなかった。

もう大丈夫だ、あとは真理ちゃんに対する誤解を解かなければ。


グサッ

「え…?」

胸に違和感を感じ、そこに目をやる啓太郎。

「そんな君だからこそ人間ではなくオルフェノクとして生きて欲しい」

そこには一本の魔剣が生えていた。

738ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:58:11 ID:UY2eTmZw
「君は人間として生きるべきじゃない」
「そんな…、木場さ…」

体が灰となり崩れだす。使徒再生はなさなかったのだ。

「君には資格はなかったんだな。さようなら」

(たっくん…、お願い…、木場さんを…)

啓太郎に背を向け歩く木場に向けて伸ばした手は届くことなく、灰となり崩れ落ちた。

「次はお前たちの番だ」
「……」

一部始終を見ていた二人が感じたのは怒りだった。
二人は出会ったばかりだった彼のことはよく知らない。
ただ、彼が信じていた仲間らしい者に殺された事実だけは分かった。
だからマミはこの魔女でも使い魔でもない、しかし人を襲う化け物を倒すと決めた。
しかしゆまにはそこまではっきり割り切ることはできなかった。



さっきと同じようにマスケット銃でホースオルフェノクを撃つ戦法で戦うマミ。
だが今回はさきほどとは大きな違いがあった。千歳ゆまの存在である。
彼女が接近戦を彼に仕掛け、その合間にマスケット銃で援護。
銃とゆまの双方に気を回さなければいけない状況で少しずつ、だが確実にホースオルフェノクにダメージを与えていった。

「どうしてあのおにいさんを殺したの?!おともだちだったんでしょ!?」

ゆまのハンマーと木場の魔剣がぶつかる。

「人間であれば仲間だろうと人は傷つけ、裏切るんだ!お前のような子供には分からないさ!」

マミのマスケット銃が木場を狙い打つ。木場はかろうじて盾で銃弾を防ぐ。

「そんなことはないよ!パパやママはゆまにいじわるしたけどキョーコもマミおねえちゃんもいいひとだったもん!
 みんなが悪いひとなんておかしいよ!」
「それでも人間である限り人は裏切る!
 だから俺達がそんな卑怯者のいない世界を作ると決めた!!」
「ゆまそんなのいらないよ!」

739ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 22:59:20 ID:UY2eTmZw
マミは一度に五丁の銃を構える。一人で戦っていたときは隙ができるためなかなかできなかったやり方だ。
それを一斉に放射。二発は弾かれるが残りは直撃する。

銃撃のダメージがゆまへの反応を遅らせ、ハンマーの一撃を体に受けることになる。
さすがの重い一撃に大きな隙ができる。


(今よ…!)

マミはそうしてできた隙を見逃すことなく
彼の全身に多くのリボンを巻き付け動きを封じる。
その拘束を振り払おうともがくところにゆまがハンマーを降り下ろす。
頭部に当たり、その巨体が揺らぐ。

「ナイス、ゆまちゃん!!」

その隙に手元にそれまでのマスケット銃よりはるかに大きな砲台ほどのサイズの銃を生成。
それまでにゆまは木場から距離をとる。

「ティロ・フィナーレ!!」

巨大な銃弾が発射される。
木場は銃生成を見て即疾走態を解除、それにより一瞬できたリボンの余りの部分から左腕の盾を前面に構える。

銃弾と盾がぶつかりあったことで盾は砕け、吹き飛ばされ人間の姿に戻る木場。

一気に距離を詰め、止めを刺すために銃を木場の目の前に構える。

「これで終わりね」
『Burst Mode』

倒れた木場は何かをポケットから取り出し、こちらに向ける。
瞬間、マミの体が勝手に後ろに下がり、その何かから発射された光線がマスケット銃を弾き、マミの右目を焼いた。

「マミおねえちゃん!!」
「変身」
『complete』


残った左目でマミが見たのは、駆け寄ってくるゆまと暗闇のなかで光る閃光に包まれる木場の姿であった。



740ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:04:04 ID:UY2eTmZw


「くそ、お前なんなんだよ…」
「なかなかタフなものだな」

その場に立っていたのはゼロであった。
巧、ウルフオルフェノクは地面に伏していた。
全身の刃はボロボロに砕け、
それでもオルフェノクの姿を保っているのは解除すれば死に繋がると分かっているからか。
あるいは巧自身の精神力か。

「へえ、楽しそうなことやってんじゃん」

突如頭上から少女の声が聞こえる。
見るとフリルのついた赤いドレスを着て、巨大な槍を持った少女がいた。

巧はこの姿を見て化け物と言われるのではないかと一瞬気にするが、少女は特に気に留める様子もなくゼロと巧の間に割り込む。

「で、魔女の反応出してやがったのはどっちだ?」
「ふん、魔女か。お前もあの金髪の銃使いの女と同じことを言うのだな」
「そっちか…、って金髪の銃使いってまさかマミのことか?」
「知らねえけどかなりやばかったからそいつは仲間が連れて逃げたぜ」
「そうかい、あのマミのやつをねぇ…。楽しめそうじゃん」
「待てよオイ、そいつは俺が戦ってたんだよ。たぶんお前じゃ相手にならねえ。下がってろ」
「何それ。あんたこそ随分ボロボロじゃん。こいつはあたしが倒してやるからその辺で寝てな」
「ふざけんな。こんなのどうってことねえよ」
「私を前に口論とは随分と余裕だな」

突如接近してきたゼロに対し、槍を多節棍に変化させて迎撃する杏子。
しかし全てを翻したマントで弾かれ、そのまま拳を受けそうになるもかろうじてかわす。
拳の威力とゼロが放ったプレッシャーに流石の杏子も冷や汗を流す。

「何なんだこいつ…」
「だから言ったろ。お前はその仲間を追ってろ」
「どーせあんたがやられたらこっち追っかけてくるんでしょこいつ?
 ならここで潰しとけばいいじゃん」
「ちっ、邪魔すんなよ!」

【E-2/東部/一日目 黎明】
【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、全身に切り傷、ガウェイン召喚不能
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:参加者を全て殺害する(世界を混沌で活性化させる、魔王の役割を担う)
1:目の前の二人を殺す
2:その後逃げた者を追跡する
3:ナナリー……
[備考]
※参加時期はLAST CODE「ゼロの魔王」終了時
※エデンバイタルとの接続により、「コードギアス反逆のルルーシュ」世界の情報を得ています

741ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:05:53 ID:UY2eTmZw
>>740差し替え



「くそ、お前なんなんだよ…」
「なかなかタフなものだな」

その場に立っていたのはゼロであった。
巧、ウルフオルフェノクは地面に伏していた。
全身の刃はボロボロに砕け、かなりのダメージなのは一目でわかるほどだ。
それでもオルフェノクの姿を保っているのは解除すれば死に繋がると分かっているからか。
あるいは巧自身の精神力か。

「へえ、楽しそうなことやってんじゃん」

突如頭上から少女の声が聞こえる。
見るとフリルのついた赤いドレスを着て、巨大な槍を持った少女がいた。

巧はこの姿を見て化け物と言われるのではないかと一瞬気にするが、少女は特に気に留める様子もなくゼロと巧の間に割り込む。

「で、魔女の反応出してやがったのはどっちだ?」
「ふん、魔女か。お前もあの金髪の銃使いの女と同じことを言うのだな」
「そっちか…、って金髪の銃使いってまさかマミのことか?」
「知らねえけどかなりやばかったからそいつは仲間が連れて逃げたぜ」
「そうかい、あのマミのやつをねぇ…。楽しめそうじゃん」
「待てよオイ、そいつは俺が戦ってたんだよ。たぶんお前じゃ相手にならねえ。下がってろ」
「何それ。あんたこそ随分ボロボロじゃん。こいつはあたしが倒してやるからその辺で寝てな」
「ふざけんな。こんなのどうってことねえよ」
「私を前に口論とは随分と余裕だな」

突如接近してきたゼロに対し、槍を多節棍に変化させて迎撃する杏子。
しかし全てを翻したマントで弾かれ、そのまま拳を受けそうになるもかろうじてかわす。
拳の威力とゼロが放ったプレッシャーに流石の杏子も冷や汗を流す。

「何なんだこいつ…」
「だから言ったろ。お前はその仲間を追ってろ」
「どーせあんたがやられたらこっち追っかけてくるんでしょこいつ?
 ならここで潰しとけばいいじゃん」
「ちっ、邪魔すんなよ!」

【E-2/東部/一日目 黎明】
【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、全身に切り傷、ガウェイン召喚不能
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:参加者を全て殺害する(世界を混沌で活性化させる、魔王の役割を担う)
1:目の前の二人を殺す
2:その後逃げた者を追跡する
3:ナナリー……
[備考]
※参加時期はLAST CODE「ゼロの魔王」終了時
※エデンバイタルとの接続により、「コードギアス反逆のルルーシュ」世界の情報を得ています

742ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:08:05 ID:UY2eTmZw
【乾巧@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、肋骨骨折、オルフェノク態
[装備]:なし
[道具]:共通支給品、ファイズブラスター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗らずに自分がどうするべきなのかを見つけたい
1:目の前の仮面の男を倒す
2:木場、草加達知り合いとの合流
3:ほむらの言ったこととまどか、ナナリーのことは一応気にしておく
4:真理には会いたくない
5:啓太郎……
[備考]
※参戦時期は36話〜38話の時期です
※パラダイス・ロストの世界観について把握、啓太郎が自分の世界の啓太郎ではないことを知りました
※暁美ほむら、アリスの知り合いについてだいたい把握しました


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、ストレス少々
[装備]:羊羹(1/2)印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入
[道具]:印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×4、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:とりあえず目の前の仮面をぶっ潰す
1:さやかを見つけたらなんとかする
2:真理を見つけたら草加たちのことを一応伝える
3:ストレス解消に暴れたい
4:夜神月が気に入らない
[備考]
※参戦時期は9話終了後です
※夜神月についての情報を得ました




メロはあのオルフェノクであろう怪人から逃げていた。
正直こっちに来たのは得策とは言いがたかっただろうといまさらながらに思う。
少し強引にでもあの気球を追ったほうが安全だったかもしれない。
結局出会った二人からは情報を得ていない上、同行者も一時的にとはいえ失っているのだから。


そんな風に自分の選択を後悔しつつふと前を見ると、中年くらいの日本人の男がこっちに来るのが見えた。
警戒のために銃に手を伸ばしつつ近付く。


「ちょっとすまない。この辺りに佐倉杏子という子の知り合いがいると聞いたんだが何か知らないか?」
「ああ、それなら向こうでオルフェノクとかいう怪物と戦ってるぜ。今行くのは危ないと思うけどな」
「佐倉杏子の知り合いはいるんだな?」
「ああ、すぐに合流するって……」

743ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:11:48 ID:UY2eTmZw
話しつつ相手の顔を見ているとき、ふと気付いた。

この男、自分が死に追いやったあの男に似ている、と。

眼鏡はかけていないし、髭も生えていない。
だが――

「?私の顔に何か付いているか?」
「なあ、あんたもしかして、夜神総一郎か?」

【D-2/南部/一日目 黎明】
【メロ@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]ワルサーP38(8/8)@現実、原付自転車
[道具]基本支給品一式、呪術入りの宝石(死痛の隷属)
[思考]基本・元世界に戻り、ニアとの決着をつける。
1:夜神総一郎…?
2:死者(特に初代L)が蘇生している可能性も視野に入れる。
3:必要に応じて他の参加者と手を組むが、慣れ合うつもりはない。(特に夜神月を始めとした日本捜査本部の面々とは協力したくない)
4:可能ならばおりこに接触したい。
5:ゆま達とは後で合流する。

[備考]
※参戦時期は12巻、高田清美を誘拐してから、ノートの切れ端に名前を書かれるまでの間です。
※協力するのにやぶさかでない度合いは、初代L(いれば)>>ニア>>日本捜査本部の面々>>>夜神月>弥海砂
※ゆまから『魔法少女』、『魔女』、『キュゥベぇ』についての情報を得ました。(魔法少女の存在に一定の懐疑を抱いています)

【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康
[装備]:羊羹(2/3)羊羹切り
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD]、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:休んでいる暇はない。ビルの跡地へ向かう。
1:目の前の青年から話を聞く
2:警察官として民間人の保護。
3:真理を見つけ、保護する。
4:約束の時間に草加たちと合流する。
5:月が蘇ったのなら、犯罪者として対処する。
6:佐倉杏子とは後で合流する
[備考]
※参戦時期は後編終了後です

744ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:14:33 ID:UY2eTmZw



光が消えた時、目の前にいたのは黒い鎧、オーガの力を纏った木場勇治だった。
放出されるエネルギーに気圧されつつもマミの無事を確認しようとゆまは辺りを見回す。
が、巴マミの姿はどこにもなかった。
まさか今の一瞬の内に殺されたのでは?などと考えることはこの場では致命的な隙だった。

「え?マミおねえちゃ――」

驚き辺りを見回すゆまの首をオーガストランザーが切り裂いた。

パリン



変身中に木場は見ていた。銃使いの少女が今殺した少女を放置して逃走していったのを。
この幼い少女はあの共に戦っていた少女のことをいい人だと、仲間と言っていた。
だが現実はこれだ。あの少女はおそらくこのベルトの力に恐れをなして逃げたのだろう。
仲間を見捨てて。

皆自分のことしか考えず、仲間だろうと友人だろうと己のためなら裏切り、見捨てる。
この少女が信じた仲間もそうだった。
だからこそ人間は滅びなければいけないのだ。

木場勇治の人間への怒りは未だ尽きることはない。

【E-2/E-3との境界付近/一日目 黎明】
【木場勇治@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(大)、全身に打撲、オーガに変身中
[装備]:オーガドライバー一式
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0〜3(確認済み)、クラスカード(ランサー)、コンビニ調達の食料(板チョコあり)、コンビニの売上金
[思考・状況]
基本:オルフェノクの保護、人間の抹殺、ゲームからの脱出
1:逃げた少女を追う。
2:すべての人間を殺したあと、村上を殺す。
3:乾巧と決着をつけたい。
4:あのファイズの正体は……?
5:たとえ別世界の海堂や長田であっても、自分を止めるなら容赦はしない。
[備考]
※コロシアムでの乾巧との決戦の途中からの参戦です

745ロスト・ワールド ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:16:49 ID:UY2eTmZw


突然の閃光に視力を奪われたマミは今の状況を確認しようとした。
右目を撃たれた上、暗闇の中での閃光によって失っていた視力も大分回復してきた。
治癒魔法により左目もどうにか見る事はできるようになっていた。全快まではしばらく時間が掛かりそうだが。

そして、

「ここはどこなの?」

そこには木場勇治も千歳ゆまもいなかった。
それだけではなく、さっきまで戦っていた場所とは違う場所にいた。

あの光がこの暗闇を照らした後の記憶が抜け落ちているような感覚だった。

「これは一体…?ゆまちゃん!!」

急いで今まで戦っていたと思われる場所まで走るマミ。

その目に光る、悪逆皇帝の情けでかけられた呪縛の効果を知ることも無く。


【E-3/市街地/一日目 黎明】
【巴マミ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:両足に軽いダメージ、右目視力低下(回復中)、消耗(大)、魔力消費(大)、ソウルジェム(汚染率45%)、絶対遵守のギアス発動中(命令:生きろ)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:魔法少女として戦い、他人を守る
1:ゆまの元に戻り、木場を倒す
(1):木場から逃げる(手段は問わない)
2:キリカ、織莉子を警戒。発見したら排除する
3:杏子、ほむらと接触する
[備考]
※参加時期は第4話終了時



【菊池啓太郎@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 死亡】
【千歳ゆま@魔法少女おりこ☆マギカ 死亡】


※ニューナンブM60@DEATH NOTE、共通支給品、ランダム支給品0〜1(武器類はなし)、あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム)
 以上のものがE-2に放置されています

746 ◆Z9iNYeY9a2:2011/08/10(水) 23:20:29 ID:UY2eTmZw
投下終了です
明日の昼以降しばらくPCには触れなくなるので問題点の指摘は早めにしていただけるとありがたいです

747名無しさん:2011/08/10(水) 23:27:21 ID:1kDmPmAc
投下乙です

啓太郎ううううう
ゆまああああああ

いや、生きろギアスと一緒に木場に向かっていった時点で嫌な予感しかしなかったがやはりか

木場さんェ…
「人間は必ず裏切る→キミ(啓太郎)は違うようだな→啓太郎殺害」
…これ、もはや論破ですらないよね。何やってんですか

ゆま……orz
幼女が死ぬのはやっぱ堪えるわ
すぐ近くに杏子いたのに
たっくん……やさぐれててもあんたは良い人だよ
そして総一郎、このロワでようやく月の危険性を伝えるデスノキャラがでたな。よくやった

メロは早くも因縁の相手と接触か
ゆまを行かせたくないと迷うところにぐっと来た
順調に「きれいなメロ」化しつつあるのう
(いや、原作でも根っからの悪人ではないけど)
50話にふさわしい大作でした!

748名無しさん:2011/08/10(水) 23:29:47 ID:Qovwc.OQ
投下乙でした。うーん、カオス。
ゆまに啓太郎合掌。このロワでの癒し要員が早々に逝ってしまったわ…円環の理に導かれて……。
しかしマミさんェ……スザク並にギアスの呪いを受けてるなあ…。
たっくんにあんこ、何か雰囲気が似てるツンデレコンビ。ゼロ様は相変わらずのジャスティスっぷりが流石です。
木場さん2スコア獲得。順調に修羅の道を歩んでおられます。たっくんに会ったら恐えなあ…。
殺し殺され関係のメロと総一郎。さてどうなるか。

749名無しさん:2011/08/10(水) 23:30:58 ID:Qovwc.OQ
そして50話おめでとうございました。これからの書き手氏及びパラロワの活躍を期待しております。

750名無しさん:2011/08/10(水) 23:48:47 ID:qJhvGT1I
投下乙!
木場さんっぽい自分勝手さだw
悪い人じゃないんだが、極端に走るとこうなるんだよな
ゆま……杏子は近くにいたのに。
しかし、たっくんと杏子のコンビはあまりにも似たもの同士すぎるw
ナイスキル! GJ!

751名無しさん:2011/08/11(木) 08:30:54 ID:taT2gGM6
投下乙です!
疾走感というか人数の多さを感じない展開の早さだったなぁ、そして二人は南無……
ってかマミさんがなんか死神に見えて(ryや、九割方スザクの時同様意志ねじ曲げな「生きろ!」ギアスなんぞした空回りルルのせいなんですがw
それに何が一番可哀想かってゆまが呼ばれてもまどか出典なあんこは無反応なのが、パラレルワールドの性とはいえ虚しいすれ違い……まああんこもあんこでたっくんが一緒とはいえあのゼロさん相手だしなぁ。
というかもうゼロさん(魔王)=魔女が定着しつつあるのがなんともw

752名無しさん:2011/08/11(木) 09:47:01 ID:01sJRYcY
投下乙です
これもゼロ様のひとつのジャスティスなのか…
けど立場的にはモロに悪役怪人ですぜw
マミさんのピンチにたっくん達が現れ、たっくんのピンチに杏子が現れる!
この“ヒーローは遅れてやってくる”が二度続く展開にツボったわw
啓太郎…ゆま…おまえらはよく頑張ったよ、木場さん相手に
木場さんは改めて覚悟完了かしら
更にギアスの呪いで敵前逃亡してもうたマミさんやメロと総一郎の邂逅…まだまだ先の気になる引きだなあ
改めて投下乙でした

753 ◆qbc1IKAIXA:2011/08/11(木) 18:46:01 ID:e/TQX2iM
N、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト、海堂直也投下します。

754「Namby-pamby」 ◆qbc1IKAIXA:2011/08/11(木) 18:46:36 ID:e/TQX2iM


「お、なんか店っぽいもの発見」
 一連の騒動で疲れていた態度を一変させたのは、海堂直也が最初だった。
 逆にかぶった帽子の位置を調整し、ぺろりと上唇を舐める。
 立ち直りの早さが自慢だ。はしゃぎながら店に駆け込もうとした。
 いきなり襟首を掴まれ、首が締まる。
「おまちなさい」
「ゴホッ、ゴホッ……殺す気か!」
 海堂は振り返り、止めたナマイキ女を睨みつけた。
 ゴージャスな縦ロールの金髪にはオレンジが混ざっている。
 ツンとおとがいを上に向けた顔は綺麗であるが、全身から『愚民よひれ伏せ』というオーラを発していた。
 海堂は気の強い女が好みだが、正直彼女はそういう対象に見れない。
「ワタクシはあなたを心配して忠告しているだけですのよ。
店なんて誰もがよりそうな場所に、無防備に入るなんて殺してくれと言っているようなものですわ。
そんなことも思いつかないほど、知性のない野蛮人ですのね。遠坂凛にも劣りますわ」
「誰が野蛮人だ、誰が!」
「自覚ありませんの?」
 はっきり言ってむかちゅく。
 いつもの調子でもっと文句を言ってやりたかったが、相手が臨戦態勢に入ったのを見てやめる。
 俺様は大人だ。こんな馬鹿な挑発なんかに乗ったりはしない、と思い直したからだ。
 ふふん、と決めるとナマイキ女ことルヴィアは機嫌を悪くした。
 女心は難しい。
「馬鹿なことをやっていないで、早く開けなさい」
「あ!? さっきは無防備で入るなって言ったじゃないか」
「ワタクシの準備が終わるまで、ですわ。ボディーガードなら盾になるくらい当然でしょう?」
「おま……覚えていろよー」
 海堂はあとで士郎とやらにあることないこと吹き込んでやる、と決心した。
 自動ドアに近づき、少し緊張して喉を鳴らす。だがセンサーが海堂に反応する前にドアは開いた。

「ピカチュウ?」

 そして、見たこともない可愛らしい生物に出くわした。


「これ、あなたのいっていたオルフェノクの一種ですの?」
「いや……こんな可愛いオルフェノクなんて見たことねえ。違うだろ、たぶん」
 そう言いつつも、海堂は物珍しさから黄色い小ねずみ? をしげしげと観察した。
 相手は可愛いという言葉に照れているのか、頬を染めて「ピカチュウ〜」と後頭部をかいていた。
 ますます謎の生き物だ。
「ピカ、ピカチュウ」
「なにいってんだお前?」
 答えを期待したわけじゃないが、胸をそらして元気よく発言する生物に海堂は思わずツッコンだ。
 すると、意外な方向から答えが返ってくる。
「彼は『ボク、ピカチュウ』と自己紹介をしているんだよ」
 すかしたような声が店の奥から聞こえてきた。

755「Namby-pamby」 ◆qbc1IKAIXA:2011/08/11(木) 18:47:11 ID:e/TQX2iM
 ピカチュウは「ピカー」と振り返りながら、声の方向に走っていく。
 声の主は屈んでおり、左手を差し出していた。そのまま腕を走らせて、肩にピカチュウを安定させた。
「ボクはN。君たちはポケモンの味方? それとも……敵?」
 姿を見せたNは敵のアクセントに力を入れていた。
 見た目はキザっぽいガキである。なのに最後の言葉は殺気がこもっていた。
 こういうのはロクでもない環境にいたもんだ。大人を舐めているとしか思えない。
 いつかこういう態度をあらためさせるため、お尻ペンペンが必要だな、と海堂は己の結論に満足した。
 まあ、それはさておき、ポケモンなんて知らない。
 ゆえに答えは決まっている。
「ボケモンだかデジモンなんだか知らねーよ。だいたい敵だの味方だの物騒な。俺様はそんな小さい器にはおさまんねーの」
「へえ、じゃあなんだっていうのかな?」
 ふっ、と海堂は笑う。そんなことも知らないのか。
 手近にあった机に登り、親指で自分を指す。

「俺様はただの天才さ」

 決まった。
 これ以上にないタイミングで、自分を表す言葉を発する男はそういないだろう。
 海堂は満足気に笑った。
 一方、Nはぽかんとこちらを見ている。状況を把握できていないか。自分が眩しすぎたのだろう。無理もない。
 ピカチュウは半目で「ピ……カ〜?」と唸っている。ネズミには難しすぎたか。
 ルヴィアは……
「いいかげん降りなさい。話が進まないでしょう」
 机を蹴ってきた。足場を失った海堂は地面に転がり落ちる。
 人を傷つけるなんて最低だ。さすがに温厚な(そう思っているのは本人だけ)海堂もぶち切れる。
「いって〜……てめ、なにしやがる!」
「鬱陶しい真似をするからですわ。この程度ですんで、ワタクシの人格者っぷりに感謝しなさい」
「鬱陶しい真似ってなんだ! この俺様、海堂直也が初対面のガキに最高の自己紹介をしていたっちゅーに……」
「気づきませんの? パラレルワールドの手がかりが目の前にありますのよ」
 そう言ってルヴィアはピカチュウを指した。
 Nが警戒したのを海堂は見逃さなかったが、疑問の解消が先だ。
「パラレルワールド……?」
 そう、海堂は数時間前の己の発言を忘れていた。
「あ・な・たがそう推理したんでしょーが!」
 ルヴィアのクロスチョップが喉元に炸裂する。
 ぐえっ、と呻きながらそういえばそんなこともあったなー、と思いだしてきた。
 海堂は(本人はそう思っていないが)頭が悪い。
 天性の勘の良さでパラレルワールドと考えが及んだが、その先に続けようがない。
 ルヴィアとは文字通り世界が違うので、最初のうちは覚えていたが、馴染んだ今はつい頭から追い出してしまったのだ。
「パラレルワールド? それはいったい……」
「ああ、自己紹介が遅れましたわね。ワタクシはルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトと申しますわ。覚えておきますように。
そこで