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避難所スレPart2- 1 :名無しさん:2011/06/16(木) 18:11:11
- 何らかの事情で本スレ投下が出来なかった時に投下するためのスレです。
- 2 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 20:15:07
- 投下します
タイトル:一般対プロ
登場人物:緑川美沙子、秋田良純、◆xzYb/YHTdI
- 3 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 20:15:38
- 「ここまで来れば、もう追って来ないだろ…」
その場にへたり込む◆xzYb/YHTdI。
今まで無我夢中で走って、気が付いたらA-3辺りに来ていた。
民家が立ち並び、かなり離れた場所に明かりの灯る施設がある。
「確か…スーパーがあるんだっけ…?」
別に行く気は無いが、なんとなく思い出す。
それに、スーパーまでまだ距離がある。
街灯は灯ってはいるが、暗闇に隠れることはいくらでも出来る。
「手頃な民家で休むか…」
一番近くにあった民家に入る。
幸い、鍵は掛かっていなかった。
「至って普通の家だなあ…とりあえず台所に行こう、喉がカラカラだ」
◇
冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに注ぐ。
キンキンに冷えているそれを、一気に飲み干す。
乾いた喉が潤っていく。
「ふぅ…美味しい…」
もう1杯飲もうとした時。
玄関の戸が開く音がする。
(誰だ…?まさか、さっきの…!?)
- 4 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 20:16:09
- バールを構え、相手を待ち構える。
足音がだんだん近づいてくる。
「怖いよー…誰とも会えないし、ここは暗いし…」
独り言?
その内容から察するに、ゲームには乗ってなさそうだ…。
「ああ、台所かな、ここ…コップが出してある…。だ、誰かいるのかな…?」
「俺がいるよ…」
「ひええええええええっ!こ、腰が抜けた…!」
入ってきた相手は、◆xzYb/YHTdIに驚いて腰が抜けてしまったようだ。
地面に尻餅をついてもがいている。
「こ、殺さないでええっ」
「そんなに驚かなくても、殺す気なんてないよ…」
倒れた男に手を伸ばし、立ち上がらせる。
まだ足に力が入らないようで、へなへなとまたその場に座り込む。
「おいおい、大丈夫?」
「も、物陰からいきなり出てくれば誰だって驚くでしょ!」
「ご、ごめん」
◇
何とか普通に歩けるようになるまでかなりかかった。
…10分も経ってないが。
「名前は…秋田良純でいいんだっけ?」
「はい」
「そうか…俺は◆xzYb/YHTdI。xzとでも呼んでくれ」
食卓を挟んで向かい合う。
良純は今も少しビビっている。
「武器は、何を支給されたんだ?」
「ここここここ…」
ニワトリじゃないんだから…と心の中でツッコミを入れる。
…そんなことはどうでもいい。
- 5 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 20:16:43
- 「…ショットガン?」
「な、名前は『モスバーグM500』って言うらしいです」
「そう…。なんか強そうだな」
まじまじと銃を見つめる。
その時、窓の外に気配を感じる。
「ん?…うわああっ!?」
けたたましい音と共に、窓ガラスが割られる。
床に落ちたガラスを踏み割りながら、返り血を浴びた女が入ってくる。
「ななななな…」
「むっ…」
ソファを隔てて、間合いを離す。
今撃てばまず先手を取れる。運が良ければ殺害することも…。
だが、引き金を引けない。
やはり、生身の人間を殺すことには抵抗がある。
「…撃ってやる!」
目を瞑り、半ば自自暴自棄ぎみにぶっ放す。
ドォン、とショットガン特有の轟音が部屋に響く。
「…!」
女の肩に小さな穴が開き、血が吹きだす。
肩から流れ落ちる血が、地面を赤に染める。
「…。覚えてなさい」
割れた窓から飛び出し、逃走する。
「何とか…撃退できた…」
「…。」
良純の方を見ると、気絶している。
おそらく恐怖によるものだろう。
「…大丈夫?」
【一日目・朝/A-3】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:バール、モスバーグM500(5/6)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:なんとかあいつを撃退出来た
2:…今度は気絶してる
【秋田良純@オリジナル】
[状態]:健康、気絶
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、12ゲージ弾×12
[思考・行動]
基本:とにかく死にたくない。
1:(気絶中)
※A-3にガラスの割れる音と銃声が響きました
- 6 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 20:17:14
- 「たかが一般人に負傷させられるなんて…」
肩の傷を押さえ、出血を押さえつつ走る。
一般人に負傷させられる。
プロからすると、とてつもない侮辱だろう。
(…今は肩の傷の治療が先ね…。)
【一日目・深夜/B-3】
【緑川美紗子@オリジナル】
[状態]:健康、返り血、右肩被弾(出血中)
[装備]:サバイバルナイフ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:参加者を皆殺しにする。
1:とにかく肩の治療をしなければ。
- 7 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 20:17:46
- 投下終了です
- 8 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/18(土) 20:50:32
- アニメロワ第12話:"魔眼遣い"とボーイ・ミーツ・ガール
登場:両儀式、シャルロット・デュノア
- 9 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/18(土) 21:04:26
- 失敗だった。
両儀式はそう思っていた。
魔術師・蒼崎燈子の事務所である廃ビルならば、きっとアラヤの魔術などで拉致されることはなかっただろう、と。
というより荒耶が生きていること自体、式には理解できなかった。
ーーーーあいつは確かにオレが殺した筈、なのに。
両儀式には事故で昏睡状態になってからひとつの能力が宿っている。
直死の魔眼。
ありとあらゆるモノの"死"を視覚できる最高クラスの力。
故に死の線を式に断たれた者に生き長らえることは不可能である。
荒耶は恐らく、もう一つのスペアの自分を持っていたのだろう、と式は勝手に推測し、脳内で勝手に決定する。
「いずれにせよ、やるコトは変わらない」
荒耶を殺す。ゲームに乗る奴も殺す。
限りなく殺人鬼に近い存在の式には、それがどこか甘美な響きに聞こえた。
しかし、式には真っ先に殺すべき人間がいたことを思い出す。
ーーーーーーーーー白純里緒。
これから殺すはずの相手で、かつて敵だった浅上よりずっと警戒すべき相手。
式にとって彼は真っ先に殺しておきたい存在だった。
適当にデイバックをまさぐると、そこには見覚えのあるナイフがあった。
豪華に装飾されたナイフ。
- 10 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/18(土) 21:14:21
- 全寮制のお嬢様学院、礼園で見たものだ。
黒桐鮮花に取り上げられ結局使うことはなかったのだが。
「」
無言で、適当な電信柱を斬りつける。
死の線は人だけではなく、家やガスなどにさえ見えるのだ。
柱は勢いよく倒れ、無惨にも後ろの家を押しつぶした。式はそれを見て、口元を真横に裂く。
「なんだ、十分じゃないか」
【深夜/不明】
【両儀式@空の境界】
[状態]健康
[装備]礼園のナイフ@空の境界
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る奴は殺す。勿論アラヤも殺す。
1:白純里緒を捜して殺す。
※白純と戦う前からの参加です
※直死の魔眼に規制はかかっていません
- 11 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/18(土) 21:15:00
- 投下終了。
シャル出そうと思ったけどやめました
- 12 : ◆VxAX.uhVsM:2011/06/18(土) 22:15:50
- 投下乙です。
式は揺るがないなぁ。
では投下
DOL3rd9話 指で弾くコイン見つめた
登場人物:◆8nn53GQqtY、桐山和雄、相川友
- 13 :指で弾くコイン見つめた ◆VxAX.uhVsM:2011/06/18(土) 22:16:31
- 桐山和雄はこの地に立っていた。
天国でも地獄でもなく、この世界に。
「……何故だ」
自分がここに立っていること自体が間違いだ。
人は死を迎えれば元に戻る事はない。
それは当然のことであり、必然であるのだ。
しかし、それは完全に覆された。
間違いなく自分はここに立っている。
そして、皮肉な事に『殺し合い』という舞台に。
「……まずは支給品だな」
まず出てきたのはM4カービン。
間違いなくこの場では当たりである。
そして、もう一つの支給品は数十枚のコインだった。
「……」
一枚、そこから取り出す。
それを指に乗せ、天高く打ち上げる。
表が出れば、殺し合いへの反抗。
裏が出れば、再び殺し合いに乗る。
神がどちらに微笑むのか。
コインが落ちてくる。
地面まであと90cm程の所で、邪魔が入る。
コインは何者かによって弾き飛ばされて崖から落下していく。
「……何者だ」
「あ、ごめんごめん…ちょっと、ね」
突然現れた女は少し笑いながら一歩後ろに下がる。
桐山は少し目を閉じ、考える。
「………よし」
「…?」
「お前、名前はなんだ」
「…◆8nn53GQqtY」
「変わった名前だな、偽名か?」
「偽名じゃなかったらなんなんだよって話だけどね」
- 14 :指で弾くコイン見つめた ◆VxAX.uhVsM:2011/06/18(土) 22:17:15
-
桐山は彼女を見る。
そして、言い放った。
「俺は、お前を護衛する事にする」
「…え?」
「そういうことだ、行くぞ」
「……分かった」
桐山がM4カービンを構えて、歩き始めた。
◆8nn53GQqtYも、後からついて行く。
「……フッ」
彼女は笑った。
桐山和雄を自分の仲間にする事が出来た。
それだけで、自分は生きれる可能性が上がる。
桐山和雄、彼ほど強く最高な人材はいない。
「ねえ、桐山さん」
「……なんだ?」
「よろしく頼みますね」
「ああ」
【真昼/D-1】
【桐山和雄】
[状態]健康
[装備]M4カービン(30/30)(グレネード1発)
[所持品]基本支給品、 M4カービンのマガジン(3)グレネード弾(4)、ゲームセンターのコイン(19)
[思考・行動]
基本:◆8nn53GQqtYを護衛する。
1:七原と川田を探す。
[備考]
※願いは不明です。
※マンガ版死亡後からの参戦です。
【◆8nn53GQqtY】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:桐山和雄を利用して優勝する。
1:とりあえず、どうしようか。
2:他の書き手さんは、どうしようかな。
[備考]
※願いは不明です。
※元の世界の知識はある程度残っています。
◇ ◆
- 15 :指で弾くコイン見つめた ◆VxAX.uhVsM:2011/06/18(土) 22:17:54
- 「……行ったか」
近くの岩から隠れてとある男が出てきた。
「…しかし、殺し合いか…一体何の因果なんだろうね」
相川友は、これで二度目の殺し合いだった。
あの殺し合いから生還して、10年後。
全てを終わらせたはずなのだが。
「…林の奴も生き返っているし」
殺し合いで命を落としたはずの親友。
それが名簿に書いてあった。
「……やる事は決まっているか」
彼はバックからあるものを取り出した。
残弾が三発のコルトパイソン。
これが何を意味しているのか、一瞬で理解した。
「また、こうなるのか」
皮肉だよな。
と、つぶやいた。
「さて、じゃあ行くか…」
相川友は再びこの殺し合いで決意する。
全ての殺人者を殺し、英雄になると。
【真昼/D-1】
【相川友】
[状態]健康
[装備]コルトパイソン(3/6)
[所持品]基本支給品、コルトパイソンの弾(24)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗った奴を殺す。
1:とりあえず、うろうろする。
2:坂田銀時、青木林に会う…?
[備考]
※願いは不明です。
※DOLバトルロワイアル終了後からの参戦です。
- 16 :指で弾くコイン見つめた ◆VxAX.uhVsM:2011/06/18(土) 22:18:34
- 【支給品説明】
【M4カービン@現実】
桐山和雄に支給。
ベトナム戦争時に使用された数多くのM16の短縮版(XM177E1、E2等)を基に設計されたアサルトライフル。
特殊部隊用のM4は色々なオプションが付けられる様に改造された物も多い。
光学機器やサイレンサー、ライト、レーザーサイト、M203グレネードランチャーなど、数多くのオプションが用意されている。
【ゲームセンターのコイン@現実】
桐山和雄に支給。
ゲームセンターのコイン。
サイズ的には100円玉と同じ。
【コルトパイソン@現実】
相川友に支給。
1950年代に発売されたリボルバー拳銃。
絶大な威力を誇る357マグナム弾を使用する銃として警察官からの支持を受け続け、現在でも使用されている。
残弾が三発なのは…?
≪オリキャラ紹介≫
【名前】相川 友(あいかわ とも)
【性別】男
【年齢】24
【職業】作家
【性格】面倒くさがり屋
【好きな物・事】なし
【嫌いな物・事】なし
【特殊能力】なし
【趣味】なし
【備考】DOLバトルロワイアル後からの参戦。
10年後からなので、性格も変わってしまっている。
- 17 :指で弾くコイン見つめた ◆VxAX.uhVsM:2011/06/18(土) 22:19:05
- 投下終了です。
本当は相川出す予定が無かっただなんて言えない。
- 18 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/18(土) 22:23:29
- 投下乙です 桐山対主催に回る事が多くなったなー
それでは自分も 俺得5 12話 楽しかったあの日はどこへ
登場:西川のり子、細田英里佳
- 19 :楽しかったあの日はどこ ◆ymCx/I3enU:2011/06/18(土) 22:24:23
- 12話 楽しかったあの日はどこへ
「小鉄ー! 仁ー! フグ夫ー! 春巻ー! 花丸木ー! 十三階段ー!」
閑散とした市街地の通りで関西少女、西川のり子は殺し合いに呼ばれた友人と知り合いを捜していた。
「あいつらどこにおるんや…まだ生きてるんやろーな…ん」
前方に門の開いた民家がある事に気付くのり子。
他の民家の門は何れも閉められているので、誰かいる可能性がある。
それはのり子の友人知人である可能性も、殺し合いに乗っている危険人物である可能性もあったが。
「行くか」
右手に自動拳銃コルトM1903を握り、のり子は「野崎」と表札の掛かったその民家へ入っていく。
ガチャ。
扉を開け中に入る。
「誰かいますかー?」
「いませんよー居留守ですよー」
「おるやんけ!」
「…今出て行くからちょっと待ってて」
奥から女性の声が聞こえ、のり子はやや警戒しつつ、女性が姿を現すのを待つ。
廊下の扉が開き、恐らく高校生ぐらいと思われる桃髪ツインテールの少女が出てきた。
背中にライフルと思しき物を背負っている。
「あら可愛い」
「可愛いってウチの事?」
「うん」
「……(照)」
「私は細田英里佳。あなたは?」
「ウチは西川のり子や」
互いに軽く自己紹介をするのり子と細田英里佳。
その後民家の一室にて二人は情報交換を行う。
「のり子ちゃんは友達と担任教師、知り合い二人を捜しているんだね」
「そーや。まだ生きてると良いんやけど…英里佳ねーちゃんも一人おるんか知り合い」
「うん、関直哉。私の彼氏」
「彼氏かーなら捜さんとな」
「うん…のり子ちゃんの支給品はその拳銃?」
「そうや…」
「私はこの…九九式短小銃」
九九式短小銃決戦型塹壕仕様(同口径の軽機関銃のマガジンを装着出来るよう改造された代物)を構える英里佳。
更に、デイパックから裏にカルピスの缶が入った子供用の帽子を取り出した。
- 20 :楽しかったあの日はどこ ◆ymCx/I3enU:2011/06/18(土) 22:25:19
- 「こんなのも支給されたんだけど」
「あっ! フグ夫の帽子やん! ちゃんと裏にカルピスも入ってるわ」
「えっ、本当?」
「間違い無いわ」
「じゃあ、見付けたら返してあげた方が良いかな…」
二人は互いの知人と支給品について情報を交わした後、野崎家を出た。
「それじゃ…宜しくのり子ちゃん」
「こちらこそ宜しくな、英里佳ねーちゃん」
「取り敢えずは…どこに行こうか」
これからまずはそれぞれの知人を捜索しなければならないのだが、
そのためにはどこに行くのが比較的効率が良いか。
のり子と英里佳は地図を眺めながらしばし思案する。
【早朝/D-6市街地:野崎家前】
【西川のり子@浦安鉄筋家族】
[状態]健康
[装備]コルトM1903(8/8)
[持物]基本支給品一式、コルトM1903のマガジン(3)
[思考・行動]
0:殺し合いはしない。小鉄達を捜す。
1:英里佳ねーちゃんと行動。英里佳ねーちゃんの彼氏も捜す。
[備考]
※原作最終話〜元祖!の間からの参戦です。
※関直哉の情報を得ました。
【細田英里佳@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]九九式短小銃決戦型塹壕仕様(30/30)
[持物]基本支給品一式、九九式軽機関銃のマガジン(1)、鈴木フグ夫の帽子@浦安鉄筋家族
[思考・行動]
0:殺し合いはしない。直哉を捜す。
1:のり子ちゃんと行動。のり子ちゃんの知り合いも捜す。
[備考]
※のり子の友人知人の情報を得ました。
≪支給品紹介≫
【コルトM1903】 支給者:西川のり子
コルト社がジョン・ブローニングの設計を元に製造した自動拳銃。
小型軽量で信頼性も高く航空隊の兵士や将校用の武装拳銃として使用された。
【九九式短小銃決戦型塹壕仕様】 支給者:細田英里佳
1939年(皇紀2599年)に開発されたボルトアクション式小銃、九九式短小銃の改造型。
同口径の九九式軽機関銃の30連発マガジンを装填する。
【鈴木フグ夫の帽子@浦安鉄筋家族】 支給者:細田英里佳
鈴木フグ夫が常に被っている帽子。中にはカルピスの缶ジュースが貼り付けられている(常時かどうかは不明)。
≪オリキャラ紹介≫
【細田英里佳(ほそだ えりか)】
15歳の中学三年生の少女。紫髪巨乳。犬好き狼好きで、
近所の魔犬のお兄さんと付き合い色々ヤっている。
- 21 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/18(土) 22:25:58
- 投下終了です。
- 22 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 22:43:05
- 投下します
タイトル:情報
登場人物:◆8nn53GQqtY、お守りを貰った人
- 23 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 22:43:45
- 「ホテルなんかに来てどうするんだ、何か探し物でもあるのか?」
「いや、ちょっと調べたい事がある」
ホテルの受付に置いてあるパソコンをいじる◆8nn53GQqtY。
出てくるのは宿泊者名簿など取るに足らない情報ばかり。
諦めて全てのウインドウを閉じる。
…さっきまでは無かったフォルダが、デスクトップに出現している。
「…何だこれ…」
とりあえず、クリックして開く。
中には、名前のついていないmpegファイルが1つ入っている。
「見てみるか…」
クリックして動画を再生する。
男が1人、映っている。
…ルール説明の時に出て来た男だ。
『よう。これを見てるのが、俺を倒そうとしている奴かゲームに乗っているかは知らないが…』
『いいことを教えてやる。最初の放送で誰かが参加すると言ったよな?そいつの情報を教えてやる。』
新たな参加者の情報。
予想外の収穫だ。
『そいつの名前は…◆YR7i2glCpA。中には知ってるやつもいるんじゃねーか?どうでもいいけど』
◆YR7i2glCpA…。
『そいつはあくまでただの参加者だ。ま、殆どの奴は俺が何言ってるか分からんだろうな』
『まあ、そういう事だ。それじゃ』
そう言い終わった後、映像が終わった。
「◆YR7i2glCpA…知り合いか?」
「…まあね」
- 24 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 22:44:18
- 【一日目/深夜/B-6】
【お守りを貰った人@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:鉈鎌
[所持品]:支給品一式、アロー・ヘッドのフィギュア@R-TYPEシリーズ
[思考・行動]:
基本:殺し合いなんてしたくない。
1:新たな参加者か…
【◆8nn53GQqtY@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、IMIデザートイーグル(7/7)、デザートイーグルのマガジン×2
[思考・行動]
基本(表向き):ゲームには乗らない。
基本(本心):ゲームに乗るが、その事を悟られないようにする。
1:…YR氏も参加か…。
2:乗っている事がバレたら、この人を始末することも厭わない。
- 25 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/18(土) 22:44:49
- 投下終了です
- 26 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 13:57:20
- お久しぶりです。スレ容量が限界+スレ立てできなかったのでコチラへ。
お気に入りキャラロワ28話を投下します。
- 27 :炎のさだめ ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 13:59:45
- 暗闇の森林をロイ・マスタングは歩いていた。
既に支給品の確認は終え、この殺し合いに参加させられているらしき知人の存在も把握した。
エドワード・エルリックにアルフォンス・エルリック。そしてキング・ブラッドレイだ。
エルリック兄弟については問題ない。
彼等の錬金術の腕はマスタングも知っているし、越えてきた修羅場の数も知っている。
加えてホムンクルスとの戦いで未熟な精神力も幾らかマシになった。
二人とも、おいそれと死ぬようなたまではない。
問題なのはもう一人の知人―――キング・ブラッドレイだ。
『約束の日』の戦いで、死んだ筈の男。
沢山の犠牲を払い一つの命で一つの傷を付け、致命傷を負わせ続けてようやく倒す事ができたホムンクルス。
実力だけで言えば、おそらく最強のホムンクルス。
その男の名が、何故かそこには存在した。
ホムンクルスという特性を活かせば、蘇生も可能なのか。
人体錬成については専門外であるロイには、深いところまでは分からない。
だが、この参加者名簿とやらが虚実を記してあるとは思えなかった。
ハァ、とロイは小さく溜め息を吐いた。
思ったよりも厄介な事になりそうだと、ロイは感じていた。
准将としての職務も山のようにある。
早々に解決してセントラルに戻りたいところであった。
(さて、錬金術はこの首輪に有効なのか……)
ピタリと立ち止まり、ロイは首元の鉄輪に触れる。
触感からするに変哲のない鉄で形成されているように思える。
ロイは無理矢理にではあるが『真理の扉』を開いた存在だ。
錬成を行使するのに陣は必要なく、手を合わせるだけで良い。
元来の『焔』を使用するには火種となるモノが必要だが、それは石が二つ程あれば問題ない。
もしこの首輪が鉄のみで形成されており、尚且つ錬金術に対する対策がなされてなければ、今この瞬間にも首輪を外す事ができる。
そうすれば後は、出会った人々の首輪を片っ端から外していけば良いだけの事だ。
それだけで人々が争う必要はなくなり、殺し合いは終了する。
数秒の間、地面を睨めつけ思考を回すロイ。
そして、思考の後に彼は両腕をパチンと合わせた。
一度会わせられた両手が首元へと伸びていく。
首輪に、触れた。
「……そう上手くいく筈がない、か」
結論だけ云えば首輪に変化はなかった。
錬成どころか錬成反応すら生じる気配がない。
単純に『理解』が追いついていなかった。
錬成する物質を『理解』しない限り、錬金術は発動しない。
やはり厄介な事になりそうだ、と改めてロイは思う。
- 28 :炎のさだめ ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 14:00:57
- (鋼のとは早々に合流しといた方が得策だな。単純な知識量はあちらの方が上だろう)
鋼の錬金術師はオールマイティな錬金を得意とする。
その事実はそれだけの知識を蓄えている事の証であり、また賢者の石を求める旅に於いても役立ちそうな情報は片端から詰め込んでいた。
目的を達成する為にはあらゆる努力も厭わない。
その勤勉性は他の国家錬金術師と比較してもずば抜けたものである。
ならばこそ、この首輪の解除に関しては彼の力が不可欠に思えた。
エドワード・エルリックの、その力が。
「おい、そこの優男」
と、思考に意識を回していると、ロイの眼前から唐突に声が投げかけられた。
しかも、その声は相当に近い距離から放たれたものだ。
その事実にロイは僅かな驚愕を覚える。
思考に集中していたとはいえ、最低限の警戒は行っていた。
イシュヴァール戦での経験により、周囲へ警戒を向ける事は不本意ながら得意になっていた。
多少の思考をしていたとしても、他者の存在は本能的に察知できる筈だ。
だというのに、何故?
疑問を思いながら、ロイは声のした方へと視線を向ける。
そこにはなんとも奇妙な服を纏った少女が立っていた。
「は……?」
フワリと十数センチほど宙に浮いた状態で、だ。
「単刀直入に聞くぞ。おめーは殺し合いに乗ってるのか?」
驚愕に閉口するロイに構わず、少女は質問を飛ばす。
少女の外見は相当に幼く、年齢も二桁に上がっているかどうか怪しいところ。
口調は幼くたどたどしいが、どうにもキツい印象を受ける。
そして何故だか、その見た目に反して全体の印象は大人びて見えた。
「い、いや、乗っていないが」
「そうか。ならいい」
理詰めで考えてしまうのが、錬金術師としての悲しい性か。
宙に浮くという不可思議な現象を前にして、ロイは無意識の内に論理の構築を図っていた。
さも当然のように行っているが、人間が空を飛ぶなど有り得ない。
そこには何らかの論理があり、言ってしまえばトリックはある。ある筈だ。
「お前、名前は?」
「……名前を聞く時は、先に自ら名乗るのが礼儀だと思うが」
ある、筈……。
なのだが、ロイにはサッパリ解明する事ができない。
これもまた鋼のなら解明できるのか、と考えながらロイは一旦思考を打ち切る。
それよりも、と眼前の少女に対して思考を回すことにした。
「時空管理局・機動六課スターズ分隊所属、ヴィータ三等空尉だ」
「時空管理局……?」
「おい、あたしは名乗ったぞ。お前も早く言えよ」
「ああ、そうだな。私はロイ・マスタングだ。よろしく頼む」
所々というか、その言葉の殆どが意味の分からないものであったが、取り敢えずロイも名乗っておく。
念の為軍属という事は伏せておいて、だが。
- 29 :炎のさだめ ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 14:01:59
- 「マスタング。お前、あたしと会う前に誰かと会ったか?」
「いや、誰とも会っていない。君の方はどうなんだ?」
「お前が最初だ。あたしもお前以外とは誰とも会ってねえ」
「そうか……」
自己紹介もそこそこに互いの情報を聞き出す二人。
だが、どちらも有益といえる情報は持っていないも同然であった。
「君は、これからどうするつもりだ?」
「あたしは一先ず適当に会場を見て回るつもりだ。家族と仲間が巻き込まれてんだ、早めに合流したい」
「奇遇だな。私も知人が数人巻き込まれている。一先ずその知人達を探す事を第一目標としたいのだが」
「何が言いてーんだよ」
「なに、一緒に行動しようというだけだ。こんな状況なのだ、一人よりは二人の方が良い。それに子どもを置いていくというのも気が引ける」
「別に良いけどよ。お前、魔導師じゃねーだろ? 素直にどっかで隠れてた方が良いんじゃねーの」
「む、私はそんなに頼りなく見えるかね?」
「まあ、度胸はありそうだけどな。でも、そこまで強そうにはみえねーぞ」
その歯に衣を被せぬ物言いにロイは小さく肩を落とす。
ヴィータの判別は正解といえば正解である。
ロイとて軍隊格闘技に精通しているものの、魔導師として戦場を駆け抜けるヴィータからすればそれは大したアドバンテージにはならない。
エースたる魔導師からすれば、一般市民に毛が生えた程度のものなのだろう。
だが、ロイの真価はそこではない。
『焔の錬金術師』―――それがロイ・マスタングをロイ・マスタングたらしめる力であった。
パンと両手を合わせる音が響き、ガチリと石と石とを擦り付ける音が鳴った。
直後、暗闇の森林が『焔』に照らされる。
「なっ!?」
「これでも君のナイトとなるには力不足かな?」
次に驚愕するのはヴィータの番であった。
小規模ではあるが、殆ど前触れもなく発生した爆発。
ヴィータからすれば、石と石とを擦り合わせただけで爆発を起こしたようにしか見えなかった。
魔法を発生させた様子もない。原理はまるで分からなかった。
「……魔法じゃねーよな」
「コチラからすればその魔法とやらが何なのか知りたいところだが」
『焔の錬金術師』ロイ・マスタング。
『鉄槌の騎士』ヴィータ。
二人は互いに未知なる異能との遭遇に困惑を覚えながらも、対面する。
「まあ良いや。その爆発のタネについては後で聞く」
「そうだな。魔法とやらの説明を受けるのも後にしよう」
「それより先にやる事があるな」
「何だ、君も気付いていたのか」
そして、二人は同時に振り返る。
暗闇に染められた森林の奥底へと。
錬金術師と魔導師の瞳には、どちらにも鋭い眼光が宿っていた。
年端の差はあれど、その眼光の鋭さは殆ど同等のもの。
どちらかの眼光も歴戦の戦士のソレであった。
「ああ、バレちまったか」
視線の先から現れたのは一人の男であった。
膝上までのジーンズを纏っただけの服装。
裸の上半身は隆々とした筋肉により引き締まっている。
首には髑髏のネックレス、頭には黒色の帽子が乗せられている。
帽子の上には、笑顔と泣き声の表情が描かれた、到底本来の意味をなし得るとは思えないサングラスが一つ。
その顔だちはまだ青年といえる若々しいものであった。
ロイとヴィータは暗闇から現れた青年を警戒心を以て睨み付ける。
- 30 :炎のさだめ ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 14:03:00
- 「おいおい穏やかじゃねえな。俺は殺し合いには乗っちゃいねえぜ」
二人が青年の存在に気付いたのは、ほんの一瞬前のことであった。
とはいえ、彼等がその存在に気付けたのは殆ど偶然といっても良いかもしれない。
ロイが放った『焔』。
それにより一瞬だけ照らされた世界で、二人は青年の姿を視界の端に捉えたのであった。
「俺の名前はエースってんだ。よろしく」
「誰が近付いて良いと言った。両手を上げて、そこに立ち止まれ」
笑顔で近付いてくるエースに対して二人は警戒を緩めない。
会話の最中にも最大限の警戒はしていた筈であった。
だというのに、この男は易々とその警戒網を潜り抜けて潜伏していた。
相当な手練と見て間違いはないだろう。
だからこそ、警戒のレベルは跳ね上がる。
エースは飄々とした風を崩す事なく、ロイの命令通り両手を上げる。
その様子からして殺し合いに乗っているようには思えないが……。
「……ま、早いところすませちまうか」
と、ロイが思考している中、エースは行動を始めていた。
タン、と地面を軽く蹴り、身体を正面に向けたまま後ろへと跳ぶ。
ロイは見ていた。
男の身体や装飾品に、錬成陣のようなものが存在しない事を。
ヴィータも見ていた。
男の装備にデバイスのようなものはない事を。
だから、油断があったのかもしれない。
錬金術も魔法もない以上、接近してくるならまだしも、距離を開けるのならば問題はないと。
銃撃には警戒する必要があるが、ヴィータとロイも歴戦の戦士だ。
そう易々と当りはしない。
唐突に動いたエースに対して、ロイとヴィータも動いた。
身を翻し、近くの木々の蔭へと隠れる。
これで銃撃に関しては問題ない。
あとは錬金術なり、魔法なりで、ゆっくりと拘束すれば良い。
「おい、アイツなんかヤバそうなの持ってたか!」
「いや、コチラの『力』の心配はない。君の知る『力』の可能性は?」
「大丈夫だ、心配ねえ!」
木陰に身を置きながら、二人は互いの懸念材料をなくしていく。
互いが持つ未知の技術という心配はない。
錬金術の可能性も、魔法の可能性も薄い。
ならば、後は問題ない。
「一気に決めんぞ」
「私としてはもう少し慎重に生きたいのだが……まぁ良いだろう」
言葉とともにヴィータはレヴァンティンを構え、ロイは祈るように両腕を合わせる。
その直後、彼等は思い知る事となる。
自らの考えが甘かったという事を。
違和感を感じ取れたのは、『焔の錬金術師』ロイ・マスタングであった。
ロイは、対象の周囲の酸素濃度を操作することで焔を操る。
今回もそう。手合わせ錬成により、エースのいるであろう空間の酸素濃度を少し変化させようとした。
だからこそ、気付けた。
エースの消えていった先では、彼が錬成を行うよりも早く酸素濃度の変化が現われていたのだ。
その変化はロイにも覚えのある変化であった。
そう、それは巨大な炎が噴出する寸前の、空気の揺らぎ。
酸素が炎に喰われていく、そんな変化。
ゾクリ、とロイは自身の肌が泡立つのを感じる。
「ヴィ―――」
迫る危機をヴィータへ伝えようとロイが開口した瞬間、事態は一変する。
- 31 :炎のさだめ ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 14:03:44
- 深淵に染まる森林から光が溢れ出たのだ。
赤色の、全てを灰に化す光が、森林の奥から噴出した。
それは全てを燃やし尽くす、紅蓮の炎。
その炎を前に木々など盾の意味をなさない。
木陰に隠れるヴィータとロイごと炎は全てを染め上げていった。
一瞬の発火の後に残されたのは、焼け野原となった空間。
そこには、未だ燻りを見せる焼け野原を見詰め、眉間に皺を寄せるエースがいた。
地面に水平になるように持ち上げられていた右手を、力無く降ろす。
ギリ、と噛み合った歯から音が鳴る。
握り締められた拳から血が垂れる。
エースは何も語らない。
無言で自身が創り上げた惨状を見詰め、無言で感情を殺そうとする。
世界の為、仲間の為―――そう、何度も言い聞かせて非情を押し通そうとする。
思い出すは天真爛漫に笑う義弟の姿。
子どもの時に誓った。
強くなろうと。
誰よりも強くなろうと。
誰もいなくならなくてすむようになろうと。
『くい』のないように生き、誰よりも自由に生きようと。
何故だが、そう約束した時の弟の姿が上手く思い出せない。
いや、今の自分には思い出す資格すら存在しないのではないか。
縛られ、『くい』に満ちた時を送り、誰よりも不自由な今の自分には―――、
エースは誰もいなくなった空間から視線を外し、空を見る。
遮るものがなくなり見通しが良くなった空には不自然な程に綺麗な満月があった。
今まで見てきたどんな満月よりも綺麗な満月で、でも今のエースには何故だかとてもくすんで見えた。
【一日目/深夜/D-5・森林】
【ポートガス・D・エース@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:優勝して白髭の元に帰る
1:適当に歩き回って参加者を殺す
2:ルフィとは会いたくない
◇
そして、そんなエースから五百メートル程離れた森林にロイとヴィータはいた。
そのどちらも息は切れぎれで、もはや身体を動かすことができない。
ヴィータは横たわり、ロイは木々に寄り掛かって座り込む。
荒い吐息が、場を支配していた。
「……よく……生き延び……たな……」
最初に口を開いたのは幼き外見の魔導師であった。
苦しげに言葉を区切りながら、魔導師が錬金術師へと語り掛ける。
その言葉に錬金術師は無言で顔を向けた。
錬金術師の顔に宿るは疲労と焦燥の色。
錬金術師は魔導師を見詰めたまま、何も語らない。
いや、語ることができなかった。
- 32 :炎のさだめ ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 14:04:49
- 「しか、も……殆ど……無傷か……よ……」
語る魔導師の姿は凄惨なものだった。
背中が一面が焼き爛れ、右腕と顔の右半分は黒色に変色している。
誰の目にも明らかな『死』が、そこにはあった。
「……無理に喋るな」
ようやく捻り出した言葉は、何とも無責任で意味のない言葉であった。
口を閉ざそうが閉ざさまいが、結果は変わらない。
彼女は死ぬ、その事実が変わる筈がなかった。
錬金術師は、本当に同じ攻撃を喰らったのかと思う程に軽傷である。
殆ど無傷と言っても良い。
それは彼の能力が作用しての事であった。
自らの周囲の酸素濃度を操り、エースの巨炎を減衰させたのだ。
攻撃する為にと、寸前で手合わせを行っていたのが幸運だった。
エースの攻撃が届く前に、錬金術師は錬成を成功させた。
命を救う、その錬成を。
「なあ……頼まれ……て……欲しい……ことが………あんだ……」
「……何だ」
だが、その錬成は魔導師を救うことはできなかった。
自分の周囲に錬成を行うので手一杯。
酸素濃度の操作が魔導師に届くことはなかった。
「仲間に……手を……貸してやって……くれ………」
魔導師も自身の身体に防御魔法を施行していた。
バリアジャケットという名の、魔力で形成された服の形の防御魔法。
だが、強度が足りなかった。
本来のデバイスがない状態でのバリアジャケットは、強度が大幅に落ちていたのだ。
だから、防ぎきれなかった。
もし彼女の相棒が手中にあったのならば、怪我は負ったにせよ助かった可能性も十分にあっただろう。
しかしながら、それはもう語るに及ばない。
現実は、彼女の生を数分ばかり引き延ばしただけなのだから。
「……ああ……任せておけ」
錬金術師の言葉に魔導師は笑顔を作った。
半分炭化したその顔では、何が何だか良く分からない。
だが、それでも笑顔だった。
少なくとも錬金術師にはそう見えた。
「なのはと……フェイト……シグナム……スバルと……ティアナ……それと……はや……て……」
笑顔で仲間の名を語りながら、魔導師はゆっくりと目を閉じていく。
それはまるで眠りにつくかのような安らかなものであった。
「たのん………だ…………ぞ」
魔導師が完全に目を閉じた。
それきり動く気配を見せない。
彼女は死んでしまったのだから。
「……すまない……」
死んでしまった魔導師に対して、錬金術師は一言だけ言葉を吐いた。
そして錬金術師は、死体が最期まで握っていた剣を掴み、死体の首元に当てる。
軽く横に振ると、思いの外簡単に魔導師の首は両断できた。
屈み込み、切断された魔導師の首元に手を伸ばす錬金術師。
その手が握ったのは、魔導師の首に嵌められていた首輪であった。
「約束しよう……このバトルロワイアルとやらは必ず転覆させる。君の仲間も誰も殺させない」
剣を握ったまま両手を合わせ、錬金術師は宣言する。
殺し合いの転覆を、魔導師の仲間の救済を。
そうして錬金術師は魔剣を地面に転がる石ころへと振り下ろした。
剣と石がぶつかり、火花が散る。
その直後、魔導師の身体に炎がつき、燃え上がる。
錬金術師には慣れない葬送の手段であったが、それは火葬であった。
天に伸びる煙を見つめ、錬金術師は剣を掲げる。
こうして、『焔の錬金術師』のバトルロワイアルは手痛い敗北から始まった。
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡】
【一日目/深夜/D-5・森林】
【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】
[状態]背中に軽度の火傷、疲労(大)
[装備]首輪(ヴィータ)、レヴァンティン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
1:殺し合いの打開。
2:エルリック兄弟、ヴィータの仲間達と合流する
3:自分の知らない『力』を知る。
4:ブラッドレイ、エースを警戒。
[備考]
※原作終了後から参戦しています
- 33 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/19(日) 14:08:26
- これにて投下終了。
それと何度めか不明の参加者追加。
【魔法少女まどか☆マギカ】から、
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○巴マミ/○美樹さやか/○佐倉杏子
の五名を追加します。
- 34 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/19(日) 21:27:47
- 投下乙です。ヴィータああ!
投下します。俺得5 13話 スーパー・カルマ
登場:春巻龍、志村新八、小倉敦子、イラリオン、長谷川春香
- 35 :スーパー・カルマ ◆ymCx/I3enU:2011/06/19(日) 21:28:38
- 13話 スーパー・カルマ
ショッピングモールはとても静かだ。平日の昼間だと言うのに買物客は一人もいない。
潰れている訳では無い、普通に商品は店先に並び大売り出しを知らせる垂れ幕も下がり、
電源もしっかり生きている。
「広いショッピングモールだホイ」
「僕達の他にも誰かいるかもしれませんね」
貧相な男、春巻龍と眼鏡を掛けた着物姿の少年、志村新八は、
ショッピングモール中央部の、吹き抜けとなっているセンターコートに立つ。
「一階から調べましょう、春巻さん」
「分かったちょ」
春巻も新八も、知り合いを捜していた。
見た所現在いるショッピングモールはそれなりに広い規模を誇っている。
自分達二人以外にも誰か参加者がいる可能性は十分考えられた。
ただ、いたとしてもそれが自分達の知人だとは限らないが。
「武器が欲しいツィーせめて自分の身を守る物は」
「拡声器と『OWee(オヴェェ)』ですもんね春巻さん、まあ僕も普通の文化包丁と、巫女服ですけれど…」
二人共ロクな支給品を与えられず、知人の捜索と同時進行で、
武器になる物も探さなければならなかった。
……
猫耳の少女、小倉敦子はショッピングモール二階を歩いていた。
「殺し合いなんかよりエッチな事がしたいな。はぁ、エッチな事起こらないかな…。
もういっその事全裸で歩こうか…どうせ死ぬんだし…いや、流石にやめよ」
右手に支給品の一つである散弾銃レミントンM870を持ちながら卑猥な事を考える敦子。
デイパックの中にはもう一つの支給品、閃光手榴弾が三個入っている。
そしてエステ店の前を通ろうとした時。
「……!」
「え?」
エステ店の中から物音と、小さな悲鳴らしき物が聞こえたような気がした。
「……?」
ガラス貼りの入口扉の中を覗こうとした。
ガシャアアアアン!!
「!!!」
ウィンドウが派手に砕け散り、紫色の竜が通路に吹き飛ばされてくる。
- 36 :スーパー・カルマ ◆ymCx/I3enU:2011/06/19(日) 21:29:21
- 「な、何? 何!?」
突然の事に動揺する敦子。
紫の竜は雄で、胸元にナイフらしき物が刺さり大量の血が噴き出していた。
「が……あ……た、助けてく、」
ダァン!!
銃声と同時に、竜の頭部が砕け散った。
血と脳漿、頭蓋骨の破片が辺りに飛び散る。少し、敦子にも掛かった。
「…あ? ああ!? あぁあ」
「……見たね」
「!」
恐怖に震える敦子の耳に少女の声が届く。
見ればエステ店の中から、右手に回転式拳銃を携えた猫獣人の少女が現れる。
「あなたにも死んで貰わないと」
「嘘っ、やだ――――」
ダァン!
回転式拳銃、スタームルガー スーパーレッドホークアラスカンから放たれた、
高威力のマグナム弾.480ルガー弾の銃弾は、敦子の心臓を撃ち抜きその命を容易く奪う。
猫の少女――長谷川春香は敦子の持っていたレミントンM870散弾銃、
デイパックに入っていた予備弾と閃光手榴弾を手に入れる。
スーパーレッドホークアラスカンは元々は紫の竜、イラリオンが所持していた物だったが、
春香の色仕掛けにあっさりと引っ掛かりイラリオンはそれを奪われた。
春香自身の支給品は腕にはめている「パワーバングル」なるものと、馬用の精液採取器だった。
精液採取器はともかく「パワーバングル」は非常に役に立ちそうである。現に自分より大柄な竜を蹴り飛ばす事が出来たのだから。
まともな武器も手に入れられた。
「この調子でどんどんいけたら良いな…ふふっ」
……
「何か今、銃声みたいなの聞こえたかホイ?」
「…聞こえ、ましたね…二階から、だと思います」
「行ってみるかちょ?」
「……よし」
ゴルフクラブを調達した春巻と、相変わらず文化包丁を装備している新八は、
銃声らしい音が聞こえたショッピングモール二階へ向かった。
【イラリオン@オリキャラ:死亡】
【小倉敦子@オリキャラ:死亡】
【残り:41人】
- 37 :スーパー・カルマ ◆ymCx/I3enU:2011/06/19(日) 21:30:16
- 【早朝/D-3ショッピングモール「トヨミツ」:一階スポーツ用品店「ヒラヤマ」】
【春巻龍@浦安鉄筋家族】
[状態]健康
[装備]ゴルフクラブ(調達品)
[持物]基本支給品一式、拡声器、Owee@銀魂
[思考・行動]
0:殺し合いをする気は無い。小鉄達を捜す。
1:新八君と行動。ショッピングモール二階へ向かう。
[備考]
※原作最終話〜元祖!の間からの参戦です。
※志村新八の知人の情報を得ました。
【志村新八@銀魂】
[状態]健康
[装備]文化包丁
[持物]基本支給品一式、テトの巫女服@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]
0:銀さん達と合流し殺し合いを潰す。
1:春巻さんと行動。ショッピングモール二階へ向かう。
[備考]
※原作ラブチョリス編以降からの参戦です。
※春巻龍の知人の情報を得ました。
【早朝/D-3ショッピングモール「トヨミツ」:二階エステサロン「YOU」前通路】
【長谷川春香@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]レミントンM870(4/4)、スタームルガー スーパーレッドホークアラスカン(4/6)、パワーバングル
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(8)、.480ルガー弾(6)、馬用精液採取器
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。
[備考]
※特に無し。
※D-3ショッピングモール「トヨミツ」二階二階エステサロン「YOU」前通路に、
イラリオンと小倉敦子の死体及びデイパック(どちらも基本支給品一式入り)が放置されています。
≪支給品紹介≫
【拡声器】 支給者:春巻龍
声を増幅する電池式メガホン。ロワでの死亡フラグの代名詞。
【Owee@銀魂】 支給者:春巻龍
弁天堂が開発した最新ゲーム機。ゲームの世界に入り込める「バーチャルコントローラ」が最大の売りだが、
これには現実が見えなくなるという欠点があり、OWee争奪戦では銀時達が知らぬ間に現実の人間等に多大な危害を加えてしまい、
発売中止となった。名前の由来は加藤茶が酔っ払い親父の格好をした時の持ちネタにある、
「ウィ〜ヒック、オウェ〜」(要するに嘔吐の時の音)。元ネタは任天堂のゲーム機『Wii』。
- 38 :スーパー・カルマ ◆ymCx/I3enU:2011/06/19(日) 21:31:05
- 【文化包丁】 支給者:志村新八
普通の包丁。万能、三徳とも。
【テトの巫女服@自作キャラでバトルロワイアル】 支給者:志村新八
猫巫女巨乳娘テトの巫女服。恐らくテトはほとんど裸の上にこの巫女服を着ていると思われるので、
テトの匂いがするよぉ〜(黙れ)
【レミントンM870】 支給者:小倉敦子
1950年に開発されたレミントン社の代表的なポンプアクション式散弾銃。
操作性の高さと頑丈さが評価されて狩猟はもとより警察機構の制式散弾銃としてよく使用されている。
【スタームルガー スーパーレッドホークアラスカン】 支給者:イラリオン
1979年にスタームルガー社がブラックホークに続いて送り出したマグナムリボルバー、レッドホークのコンパクトモデル。
本ロワ登場のものは.480ルガー弾モデル。
【パワーバングル】 支給者:長谷川春香
はめると力が飛躍的に上がる。回数制限等は無いので壊されない限り有効。
【馬用精液採取器】 支給者:長谷川春香
馬の精液を採取する時に使う、言わば馬用のオ○ホ。
≪オリキャラ紹介≫
【小倉敦子(おぐら あつこ)】
18歳の猫耳少女。高校を中退し風俗で働いている。痴女。
【イラリオン】
紫色の竜人体型の竜種。引き締まった身体付きで同性にも雌にも人気が高い。
精液が練乳並に甘い特異体質。
【長谷川春香(はせがわ はるか)】
灰色猫獣人の17歳の少女。露出狂でありゲーマーであり淫乱であり大食いであり爆乳である。
明るい性格だが根はかなり残虐。一応高校二年。
- 39 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/19(日) 21:31:39
- 投下終了です。
- 40 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 21:34:24
- 投下乙です。
では投下する。
支給品カオス
神谷:「これはパクリですか?――――そう、見ればわかるだろ」
- 41 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 21:35:00
- A
「……なんか面倒なことになったなぁ」
神谷潤はそう呟く。
呟いたところで場面が展開されるわけでもないが。
そう、呟いた。
彼は「刻銘学園」に所属する3年生。
その力は確かなものだった。
そんな彼は自身のディパックの中身は、異常な物ばかりだった。
遡ること、数分前
B
「……なんか面倒なことになったなぁ」
やはりそう呟く神谷潤。
「まぁ、あいつらが関わってないなら乗る気もねぇがな」
その彼は、さっそくディパックを漁る。
ゲームに乗り気は無いけれど、襲われたのなら仕方がない。
防備は必要だった。
さて、そんな彼の支給品の中身というと―――――。
「………ここはどこっスか。というかあなたなんっスか」
喋るペンギンだった。
一つ目の支給品は喋るペンギンだった。
そのペンギンは流暢にしゃべった。ペンギンにしては怠けた口調だった。
「つまりプリニ―は悪魔で、飼い主も基本悪魔で、喋るのは悪魔だからか」
神谷はオウムのよう、むしろアホみたいにプリニーが語った言葉を反復する。
それにプリニーは頷いてまた喋る。
「理解が早くて助かるッス。人間さん」
「まぁこういう事態には馴れているからな。――――ってねぇよ。主催もっと手ぇ抜かず頑張れよ。パクリとかねぇよ」
「誰に言ってるのさ人間さん」
プリニーさんは胡散臭そうな目で、潤を一瞥し、
今度は参加者名簿を読んでいる。ペンギンのくせに文字まで読めるようだった。その途中、「知らない人ばかりッス」と呟いた。
「人間さん。もしも中身が爆弾とかだったら危ないッスから他の中身も取り出してみたらどうスか?」
「あぁわーったわーった」
大抵のことだと動じない神谷はさっさと、二つ目の支給品を取り出す。
ディパックは重くずっしりしていた。
そして取り出されるは―――――。
「やあ、こんにちは。ぼくドラえもん。よろしくね」
黄色い機械だった。
二つ目の支給品は、喋る機械だった。
機械はとてもお喋りだった。機械にしてはだみ声だった。
「つまりドラえもんは名簿にいる野比のび太の所有するドラえもんの友達で、俺はお前の主人になって、ドラえもんが喋れるのは未来から来たネコ型ロボットだから喋れると」
- 42 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 21:35:59
- 神谷はそうオウムというかもはやロボットのように感情なく反復する。
それに機械は、また喋る。
先ほどと同じ様なやり取りだ。
「何だよ〜。中々理解が早いなぁ。ぼくとしても助かるよ」
「機械が喋るとか意味無いッス。うるさいだけッス。製造者の頭の中が知れるッスね」
「いやプリニー。他に言うことあるだろ。まぁ良いけど面倒くさいから」
「じゃあ次も取り出してみたら一心君」
一心。日進一心は、神谷自身が決めた自身の名だ。
それはそうとして、ドラえもんは胡散臭そうな目で、潤を一瞥し、
今度は参加者名簿を読んでいる。機械のくせに文字まで読めるようだった。その途中、「他は知らない人ばかりだなぁ」と呟いた。
その間に神谷は次の支給品を取り出した。
今度も重たく、異質な形状をしていた。
「なんじゃ。貴様らは」
おっさんくさい。そんな声を発した剣玉がそこにはあった。
三つ目の支給品は銀色の剣玉だった。
さすがにこれには神谷も、はぁ。とため息をつかざる負えなくなった。
「貴様らこ〜〜〜〜れぐらいしょぼいギンタって餓鬼見なかったか」
改めて、三つ目の支給品は喋る銀色の剣玉だった。
ツッコミどころ満載。満載万歳。
「…つまりバッボはギンタってやつの所有物でギンタは異界の住人で、バッボが喋るのはそういうことだから。と」
「逆じゃがな。ギンタが所有物だ」
「どう見たってバッボが所有物ッスよね」
「うんぼくもそう思う」
騒がしい。単純にそう思った神谷。
そして、一人と一匹と一機と一個の情報交換が始まった。
「あんま長々と話されても困るから、さっさと終わらせろよ」
「まぁワシは知り合いなんぞおらんからどうでもいいが」
「同じくッス」
「じゃあのび太くんを探すでいいかな?」
「面倒ッス」
「ワシもそう言うのは嫌じゃ。紳士のワシが何故そのような真似をせねばならんのじゃ!」
「まぁ、そう言わずお前ら勝手にやってやれよ。俺は面倒だからやらないけど―――」
「オイラも面倒ッス」
そして冒頭に戻る
C
「…なんか面倒なことになったなぁ」
本日三回目のこの呟き。
しかしこの男は、動き出す。
一人と一匹と一個で。
一機こと、四次元ポケットを神谷に奪われてドラえもんはディパックの中に戻されていった。
理由はうるさいから。
それ以外もそれ以上もない。それ以下ですらない。
それでもやはりうるさい。
一人。
考えた。
「―――――あれ?これから俺が他の参加者に会ったらカオスにならね?」
「何じゃ言いたいことがあればはっきり言わんかい」
「そうッスよ。まぁオイラは何も聞くもないッスけど」
「―――――さっきから口癖がジャックと被ってる!変えてみせんかい」
「無茶言うなッス」
再び五月蠅く口論が始まる。
それに神谷はこう言った。
「―――――俺が既に空気なんだけど――――まぁ、いいか……」
- 43 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 21:36:32
- 【1日目・昼/A‐1】
【神谷潤@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]バッボ@メルヘヴン
[道具]支給品一式、黄色のドラえもん@ドラえもん
[思考]
基本:一応抗いはする
1:こいつらが何とかするなら任せる
【黄色のドラえもん@ドラえもん】
支給者:神谷潤
まぁ、うん。本当は青色の方出したかったんだ。
けど壊れたからね。仕方ないよね。
青色の知り合い設定。
四次元ポケットの中身は不明
【プリニー@魔界戦記ディスガイア】
支給者:神谷潤
悪魔。
今ならタダで働いてくれます。
―――まぁ元から似たようなものだが。
【バッボ@メルヘヴン】
支給者:神谷潤
剣玉。―――のようなARM。
マジックストーンは三つ填まっている。
使えるかは不明。
- 44 : ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:47:05
- 投下乙です。
プリニーだから爆発ってでき(ry
では、ここで俺も新ロワを投下したいと思います。
こちら側は、昔自分が書いて「ああ、酷いなぁ…」なんて思ったので書きなおそうなんて思って書き始めたものです。
という事で、新ロワ 『Re:DOLバトルロワイアル』 をスタートさせたいと思います。
まずはOPから。
Re:DOLOP 今、語られなおされる話
登場人物:坂田銀時、志村新八、松尾芭蕉、佐々木竜也、高杉晋助
- 45 :今、語られなおされる話 ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:47:39
- 「ぎ……ん」
「ん、がぁ……」
アレ?なんだコレ。空が真っ黒だ。
アレ?真っ黒なのは俺じゃねえか。
アレ?なんで俺こんなことになったんだっけ。
アレ?ちょっとまて俺…。
「目が閉じてたら真っ暗だわな」
「何言ってるんですか銀さん」
近くにいたのは志村新八、と眼鏡掛け機だ。
そして、周りはいつも通りの万事屋で…。
なんてことはなかった。
「アレ?新八君…ここどこ?」
「いや、真っ暗なので分かりませんよ」
「いやいや、周りが真っ暗なのは分かるから。お前眼鏡かけてるんだから分かるだろ」
「なんで眼鏡そんな扱いいいいいい!?いや!見えないから!無理だからあああ!」
そんな話も終了したころ、やっと目が慣れてきた。
そこで自分の周りに何十人もの人間がいたという事が分かった。
「……これは、なんか穏やかじゃないな」
「ですね」
周りにいたのは、赤い髪の女性、青い髪の少年、緑ではなく青い狸。
そんな周りを見ている中で後ろにいた男が声をかけてきた。
- 46 :今、語られなおされる話 ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:48:14
-
「あの…すみません、ここ…どこなんでしょうか」
「ああ?俺が知りてえよそんなもん…」
「ヒィ!すみません!すみません!」
「…なんで謝るんだ?分かる?新八君」
「僕が知りたいですよ」
びくびくしている緑の着物の男を放置して歩き出そうとする。
そこで、とうとうその場所に変化が起きた。
バン!
そんな音が聞こえて、一気に光が照らされる。
その急な光に目が潰される感覚が襲う。
「うおっ!眩しっ!…とか言ってる場合じゃないな」
少しして、目が慣れて前が見えてきた。
そこに見えたのは巨大なステージ。
その場所に立っていた二人の男。
そのうちの一人を見て、坂田銀時の表情が変わる。
「高杉ぃ!テメェ…どういうことだ!」
「……よお、銀時」
「何のつもりだ!答えろ!」
「おいおい、慌てんなよ…こいつに説明させるからな」
横にいる男を指さす。
そして、高杉はすぐに舞台袖に去っていった。
「高杉!待てっ!」
「銀さん!落ち着いて!この状況じゃ行っても間に合わない!」
「……クソッ」
新八に抑えられて、仕方なく銀時が下がる。
そこで、やっとのことで目の前の男が話しだした。
いや、叫び出したが妥当だろうか。
- 47 :今、語られなおされる話 ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:49:05
-
「ヒャッハアアアアアアアア!俺は佐々木竜也様だ!
今からお前ら!殺せ!殺せ!殺せ!殺しつくせ!
容赦するな!戸惑うな!楽しめ!
今からお前らは殺人マシーンになれ!
ヒャッハアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
最初は何を言ってるか分からなかった。
そう、少しづつ考えていこう。
こいつの名前は佐々木竜也。
言ってる事からして頭がおかしいのは当然だ。
では、こいつはなんて言った?
「面倒くさい事は後で分かるようにしておくぜ!
さあ、今から重要な事だけ話す!お前ら、俺に逆らおうなんて思うなよ!
お前らの首には首輪がある。それの意味が分かるかああああああああああ!!」
首に手を触れて見る。
そこにあったのは無機質な鉄の輪。
それを聞いて坂田銀時は気付いてしまった。
この首輪の意味に。
「じゃあまず試してやるよおおおおおおおおおおおお!!
スイッチオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンン!!!
イリュウウウウウウウウウウウジョオオオオオオオオオオオオオオン!!」
そして、無機質な音が流れる。
あと10秒です。
「え?」
声を上げたのは先ほどの中年。
その首から音が流れてきた。
- 48 :今、語られなおされる話 ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:50:11
-
5秒前
「待ってよ…なんで?」
4秒前
「おかしいよね?なんでぼくが…おかしいよ、そんなのおかしいよ」
3秒前
「ちょっと待ってよ!本当に!ごめん!僕が何かしたなら謝るから!」
2秒前
「やめてよ!助けて曽良君!助けて!」
1秒前
「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!」
ボンッ
◇ ◆
「……」
首がはじけ飛んだ。
坂田銀時の目の前には先ほどまで話した男の死体があった。
「ヒャッハアアアアアアアアアアア!!!シタイ!!イイネェ!!
それじゃあ、掛け声行くぜええええええええええええええ!!!!!
レッツッ!ショオオオオオオオオオオオオオオオオウタアアアアアアアアアアアアアアアアアイム!!!!!」
ここに、殺し合いが始まる。
二度目の、二周目の殺し合いが。
【松尾芭蕉@ギャグマンガ日和 死亡】
【Re:DOLバトルロワイアル 開幕】
- 49 :今、語られなおされる話 ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:51:06
-
【??/朝】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]ワープ中
[装備]なし
[所持品]なし
[思考・行動]
基本:……
[備考]
※原作歌舞伎町四天王篇終了後の参戦です。
【??/朝】
【志村新八@銀魂】
[状態]ワープ中
[装備]なし
[所持品]なし
[思考・行動]
基本:……
[備考]
※原作歌舞伎町四天王篇終了後の参戦です。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】佐々木 竜也(ささき りゅうや)
【年齢】25
【性別】男
【職業】指名手配犯
【性格】殺人に快感を覚えている、死体を見る事も同等
【身体的特徴】185cmの長身
【服装】私服
- 50 : ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:52:04
- では、名簿投下。
11/11【オリキャラ】
○相川友/○青木林/○志賀直/○加藤勇気/○滝本豊/○津本二三也
/○相田理子/○青木百合/ ○藤本京子/○若松里美/○リーナ
5/5【ドラえもん】
○ドラえもん/○野比のび太/○剛田武/○骨川スネ夫/○出来杉英才
4/4【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○一方通行/○御坂美琴/○白井黒子
3/3【戯言シリーズ】
○いーちゃん/○零崎人識/○哀川潤
3/3【ギャグマンガ日和】
○聖徳太子/○小野妹子/○河合曽良
2/2【銀魂】
○坂田銀時/○志村親八
2/2【バカとテストと召喚獣】
○吉井明久/○姫路瑞希
2/2【めだかボックス】
○人吉善吉/○鬼瀬針音
2/2【ロザリオとバンパイア】
○青野月音/○小宮砕蔵
34/34
- 51 : ◆VxAX.uhVsM:2011/06/19(日) 21:53:29
- 0-2:深夜 6-8:朝 12-14:真昼 18-20:夜
2-4:黎明 8-10:午前 14-16:午後 20-22:夜中
4-6:早朝 10-12:昼 16-18:夕方 22-24:真夜中
【ルール】
孤島に放り込まれ、そこで殺し合いをする。
最後の一人になるまで続く。
優勝者には何でも願いを叶える権利が与えられる。
参加者内のやり取りに反則はない。
しかし、逆らおうとした時首輪が爆発する。
放送ごとに決められる禁止エリアに侵入した場合でも同様。
放送は0:00、3:00、6:00、9:00、12:00
15:00、18:00、21:00
禁止エリアは1個から3個増える。
基本支給品は
■名簿やルールなどが乗っている冊子
■地図
■懐中電灯
■メモ帳と鉛筆
■簡易医療セット
■飲料と食糧
不明支給品は1〜3個支給される。
チート能力は規制対象です。
投下終了です。
ちなみに、今回の設定は全員記憶をなくした状態での二周目という設定です。
なので、過程はもちろん結末も違います。
- 52 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 22:29:49
- 投下乙です。
……名簿がなつい。―――とはいっても当時を知らないけれど。(ウィキで見ました)
新ロワ乙です。
投下します
学園ロワ8話:仮想空間
- 53 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 22:31:31
- 第八章 仮想空間(かそうくうかん)
□
現実が何であるか私は知らない
◇
今朝、私は早く起きざる負えなかった。
9時から『あれ』が始まるから。
だからこれは去年も12回経験しているが、嫌な緊張感の中、目を覚ますというのも気持ち悪いものだね。
そんなこんなでどんなこんなで、私たち二年生は南の階段を使い、地下広場に来ている。
そこで私は驚いた。
多分500個以上あるだろう、カプセル型の機械が存在していたんだから。
生徒会長の私でも、こんな壮大な物だとは知らなかった。
実を言うと、これの存在自体は昨日あった学年集会時に知らせはあった。
だけど、実際見て見ると、圧倒されるわね。凄いなぁ。
そんな感心している中、真っ白で無骨な楕円上の塊は、私たちを見下ろしている。こんな言い方も変ね。擬人法って奴かしら。
その時、私たちの周りで、空気の漏れるような音がした。
そして、私たちを迎えるかのごとく、楕円の塊は、扉が開いた。うん、きっと入れってことなんでしょう。
だから私は、その中に入っていった。はずだけど。
――――?
中、入る場所が見当たらないけど?
綿みたいな、雲みたいな、粘土みたいな、なんかどう表現すればいいかわかんないけど柔らかいゴムみたいなものがぎゅうぎゅうに存在していた。
私はそれに手を触れてみる。
すると、それはどんどん、底なし沼の様に吸い込んでくる。
そして知らない間に私は、吸い込まれていった――――らしい。
◇
目が覚めるとそこには選択肢が存在していた。
⇒ はじめから
つづきから
せってい
こくめいがくえん NO:356
……ゲームか。私は心からそう思った。
だけど、まぁ、はじめから よね。進めなきゃいけないし。
そして、
テレェン
不思議な音がして、次の選択肢があらわれた。
なまえをにゅうりょくしてください
|←
あいうえお かきくけこ さしすせそ
たちつてと なにぬねの はひふへほ
まみむめも や ゆ よ らりるれろ
わ を ん けってい
……この方式は貫くのね。
まぁいいわ。えーと と、よ、は、し、あ、き―――と。
けってい。
- 54 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 22:32:16
- すると次は………。
こーすをせっていしてください。
⇒ DOLバトルロワイアル
俺のオリキャラでバトルロワイアル
フェアリーテールさんロワ
ドキッ男だらけのバトルロワイアル〜ポロリもあるよ〜
超カオスな自己満足するためのバトロワ
――――何かしら。これ。
……まぁ、この不思議感漂うDOLってのがよさそうね。面白そうだわ。
…何が悲しくても男だらけとかいやよ。
なんて思いながら、私は再び意識が飛んでいった。
◇
眼帯の男が目の前にいた。
「おめぇらにここに集めた理由は他でもねぇ」
「今からお前らに殺し合いをしてもらう」
――――納得したわ。ここで今からバトルロワイアルをするのね。
――――フフッ。所詮ゲームだもの。……楽しみだわ。
ちなみにその後ろでは、
「高杉・・・!?高杉か!」
「銀さん・・・!?高杉って鬼兵隊の!?」
「そうだ、言い忘れてたがもし逆らおうなんて考えてたら」
あと30秒です
機械的な声が聞こえた。―――あの人終わったわね
「え・・!?」
男がが反応する
緑の和服を着た30代くらいの男だ。好みじゃないわね。
「ちなみにそれは爆弾が入っている。」
「まあ、選ばれたことを不運に思うんだな」
あと20秒です
「え!?ちょっと待ってよ!どうして!?どうして!?まってよ!」
あと10秒です
「待ってよ!助けて!助けてよ!曽良君!」
- 55 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 22:32:47
-
あと3秒です
あと2秒です
あと1秒です
ボンッ!
無情にも爆発して、男の首が飛んだ。
ふぅん。なるほどね。
ちなみに沈黙続いているわ。だって男の首が爆発したもんね。
しょうがないわよ。
「死にたくなければ殺せばいい簡単なルールだろ?」
「それじゃあもうすぐスタート地点に行くはずだ頑張って殺しあってくれよ」
眼帯の男の声が止んだ
それと同時に視界が真っ暗となった
始まるらしいわよ。優秀な成績を残さなきゃね。
【第八章 終了】
- 56 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/19(日) 22:34:04
- 投下終了です
- 57 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:37:35
- 投下します
タイトル:宿敵との再会と…
登場人物:野村和也、守谷彩子
- 58 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:38:07
- 「まさかお前も生きてるとはな」
「私自身、予想外よ」
かつて、襲われた者と襲った者の再開。
どちらも気分のいい物では無い。
「あの日本刀は持ってないのか?」
「ええ。アレが全ての元凶よ」
「本当か?」
「本当よ」
信じられない、と言った感じで聞く。
無理も無い、妖刀に操られた、なんて言われて信じる人間はそうそういない。
…だが嘘をついている感じでもない。
「今は信じよう。だが、お前がカズヤや兄貴を殺した事実は変わらないんだ…」
「…分かってる。」
「そうか…ところで、その銃なんで血が付いてるんだ?」
言われるがまま銃を見てみる。
…確かに、微量の血が付着している。
「何で血が…?」
「俺にも分からん。そんなことより今は行動だ」
- 59 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:38:38
- 【一日目・深夜/B-5】
【野村和也@自己満足ロワリピーター】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:デイパック、血濡れの紙切れ
[思考・行動]
基本:自分の知識を活かし、このゲームを壊す。
1:彩子と行動。
2:銃に付いた血が気になる。
【守谷彩子@自己満足ロワリピーター】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92(14/15)
[所持品]:デイパック、ベレッタマガジン×2
[思考・行動]
基本:自分の知識を活かし、このゲームを壊す。
1:和也と行動。
2:何故血が…?
- 60 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:39:14
- 投下終了です
- 61 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:46:46
- 投下します
タイトル:料理好きと脳筋
登場人物:斉藤卓造、小林竜二
- 62 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:47:17
- 中を確認し、山頂の軽食店に入る男、斉藤卓造。
今まで山中をうろうろしていたが、結局ここに来てしまった。
「ここなら、ゆっくりできそうだな。丁度腹も減ってるし、何か作るか」
自慢では無いが、だいたいの料理ならそれなりにこなせる。
軽食店なら、材料はあるはずだ。
「何を作るかな…」
近くのシートに腰を下ろし、何を作るか考える。
こんな状況では、あまり手のかかる物は作れない。
「まあいい…あるもんで何か作るか」
その時、入り口の扉が開き、ガタイのいい男が入ってくる。
見た目はかなり怖そうな奴だ。
もしかして、殺し合いに乗ってるヤツかも…。
「お、お前は誰だ?まさか、殺し合いに乗ってるんじゃ…」
「いや、そんな気はない。腹が減ったんで、ここに来ればなんか食いもんがあるかなと思ってな」
「そ、そうか。名前は何て言うんだ?」
「小林竜二だ、そう言うアンタは?」
「俺は斉藤卓造だ」
とりあえず、殺し合いに乗ってないことに安堵する。
緊張が緩んだせいだろうか。
…2人の腹の虫が騒ぎ出した。
「俺、一応料理できるぜ。何か作ろうか?」
「お、いいのか?なら作ってほしいね」
- 63 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:47:50
- ◇
「…見つかったのが袋ラーメン5袋にメシ7合、卵3つに調味料…」
「これじゃ料理もクソも無いな…。」
仕方無く鍋で袋ラーメンを2人分作る。
途中で麺をほぐしつつ、卵を入れる。
「…これでできた」
「さ、食おう。メシはあるんだろ?」
「ああ、何故か炊き立てだ」
飯が炊き立てな事にちょっと違和感を抱きつつも、丼に飯をよそう。
…どう見ても、ついさっき炊けた、と言った感じの見た目だ。
誰かがここに来ていた…?
「まあ、難しい事を考えるのは飯を食ってからでもいいんじゃないか?」
「…そうだな。」
向かいあって席に付く。
テーブルの真ん中では、ラーメンが美味しそうなにおいを放っている。
「「いただきます」」
【一日目・深夜/B-4】
【斉藤卓造@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくない
1:今は食事だ。
2:食べ終わったら店内を探索したい
【小林竜二@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)×2
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくねー。
1:今はラーメンを食う。
≪キャラ紹介≫
【小林竜二(こばやし りゅうじ)】 25歳/男/建築業
見た目は怖いが実はいい人。
所謂「脳筋」。
【斉藤卓造(さいとう たくぞう)】 29歳/男/特殊清掃員
子供の頃から料理していたので大体の料理は作れる。
仕事柄、遺体は見慣れている(本人は快く思っていない)。
- 64 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/19(日) 22:48:21
- 投下終了です
- 65 : ◆xEL5sNpos2:2011/06/20(月) 20:32:15
- 規制でスレ立て出来ませんでしたので、こちらで失礼いたします。
推理キャラロワの第2話、タイトルは『捲土重来』を投下致します。
- 66 : ◆xEL5sNpos2:2011/06/20(月) 20:32:48
- えー、皆さんお初にお目にかかります。
私、警視庁捜査一課の刑事であります、西園寺守と申します。以後お見知りおきを。
……さて、突然ですが、貴方は見知らぬ男からいきなり殺し合いをしろと言われたらどうしますか?
……もちろん、私のような刑事でなくとも、圧倒的多数の方はきっとそれを拒絶するはずです。
ですが、その意思を誰よりも色濃く示した、あの関西弁の男性は無残にも殺害されてしまいました。
どこかで聞いたことのある声でしたが、確かテレビにもよく出るタレントさんだったでしょうか。
……話が逸れましたが、私は刑事として……いや、それ以前に人間として彼らの所業を許すことは出来ません。
亡くなった男性が着けていたのと同じ首輪をつけられてはいますが、怯んでなるものですか。
この事件、必ずや解決してあの男たちを監獄送りにしてみせましょうとも。
……と、意気込んでみたのはいいのですが。
気が付いたら私は見知らぬ島の森の中に佇んでいたのです。
いつの間にやら持たされていたバッグの中には、ご丁寧にもこの島の地図が入っていました。
佐渡島や、淡路島といったそういう有名で分かりやすい形ではないですし、おおよそどこかの無人島なのでしょう。
そして、先ほどまで私の近くにいたはずの古畑さんも姿を消しているではありませんか。
どういう手を使ったかは分かりませんが、この分では皆離れ離れになってしまったと見た方がいいでしょうか。
地図と一緒に入っていた名簿に目を通してみると、古畑さんの他にも今泉さんに向島さんも連れてこられたようです。
古畑さんはともかく、今泉さんあたりはきっとすぐに面倒事に巻き込まれて、ややもすると殺されてしまうかもしれませんね……。
正直言って、あまり出来るとは言い難い方ですが、知り合いが殺されていい気分になるわけがありません。
何より、古畑さんを語るにあたって、なんやかんやであの人の存在は抜きにして語れないのです。
もちろん、残る向島さんも何とかして助けていきたいものです。
そうと決まったからには、早速動き出さなければなりません。
いつどこで、このくだらない遊びに乗った殺人狂に出くわすかも分かりませんが、それは動かずとも同じこと。
それに、自分と同じくこのゲームに抗う人と出会えれば、心強いことは間違いありません。
一人では心もとなくとも、二人、三人といればいくら殺し屋とてそうそう手は出せないはずです。
古畑さんたちに出会えるに越したことはありませんが、まずは誰かに会って情報を探りたいところです。
……すると、森の中を歩いて程なく、膝を抱えて震える女性に出くわしました。
私の姿を見て、最初はビックリしたのか怯え始めましたが、私が荷物を一旦捨てて丸腰であることを見せると幾分警戒を解いたようでした。
それにしても、尋常な怯え方ではなかったので話を聞いてみると、彼女は不運にもいきなり大柄な男に襲われそうになったらしいのです。
命からがら逃げだし、森の中の茂みに身を隠していたところに私がひょっこり現れた、といったところでしょうか。
何分、状況が状況ですので彼女の話を額面通り信じていいものかどうか迷いましたが、涙を浮かべながら両手を握られて懇願されてはたまりません。
正直、これが演技だとしたら大したものだと思いますよ、本当に。
ひとまずこの場は彼女の言うことを信じてみようかと思います。その大柄な男とやらも警戒するに越したことはないでしょう。
そこまで来て、私は迂闊にも自分の名前を名乗っていないことに気づいてしまいました。
これはいけません、初対面の人に自分を信用してもらうのに名前すら名乗らないというのは。
私が先に名乗ると、その女性は「ミナミ メグミ」と名乗ってくれました。
名簿の中にも確かいましたね、「美南 恵」という名前が……恐らく彼女のことでしょう。
まずはお互いの知り合いについて情報を交換するとしましょうか……。
- 67 : ◆xEL5sNpos2:2011/06/20(月) 20:34:01
- * * *
"冥王星"に関して知りうる限り全てのことをDDSに伝えた私だが、殺人教唆の罪から逃れられたわけではない。
また、"冥王星"の残党がいつ口封じに来るか分からない、ということで私は警視庁の特別封鎖室に収監されたままだった。
このことは警視庁のTOPクラスや、あるいはDDSの幹部連中くらいしか知らないことのはず。
だが、気付けば私は拘束具を外されて、どこともつかぬ場所で群衆の中に飛ばされていた。
そして、見上げた先にはスポットライトに照らされたかつての同志……いや、私を一度は廃人にした張本人たるケルベロスがいたのだ。
何故私は、そして何故奴はここに? そもそもここはいったいどこ? 殺し合いをさせるですって……?
私が軽いパニックに陥っているうちに、炸裂音と共に何者かの命が喪われたらしい。
周囲から聞こえる囁き声から、私の首にも嵌められたこの首輪の爆発によって命を奪われたらしい。
……"冥王星"のスタイルとは異なる"処刑"に、私はさらに混乱しそうになった。
後催眠によって、組織に関する記憶を口外出来ぬようにしたり、あるいはお互いを殺し合わせたり……
とにかく自らの手を汚さない、直接手を出さない、それがルールだったはず。
我々の美学に反すると言ってもいいような手口に、何故あの男が加担しているのだろう……?
そうこう考えているうちに再び私の意識は途切れ……気が付けば見知らぬ森の中で私は目を覚ましたのだった。
ケルベロスが何を考えているかは定かではないが、とにもかくにも私に命の危険が迫っていることは間違いないらしい。
……しかし、もし私が生き残ることが出来れば……あのシックスなる男の言うことを信じるのならば、私は晴れて警察の手から逃れられるのだ。
いつの間にか傍らに転がっていたバッグを拾い上げて中身を探ると、この島の地図と思しき絵と、幾人もの名前が連なった紙が見つかった。
その紙の中には、私だけでなく"冥王星"の幹部だったはずのタナトスの名前もあった。
私と同じくルールを破ってケルベロスに処刑されたということなのだろうか……?
だが、それ以上に私の目を留めさせたのは、我らがプリンスことリュウ様をはじめとしたDDS・Qクラスの連中の名前だった。
リュウ様はともかく、あの忌々しい子供たちへの復讐の機会を与えられるとは思いもしなかった。
……確かにこの場においては私の命も危険だが、これはある意味で名誉挽回のチャンスなのかもしれない。
この程度の修羅場を潜り抜けられないようでは、"冥王星"……いや、その"選ばれし血族"なるものの名折れというものなのだろうと私は解釈した。
とはいえ、敵はQクラスのみならず、他にもゾロゾロといるのだ。
それら全てを私が退けるというのはいくらなんでも無理というもの。
ならば、ここはいつも通りに裏で手を引いて互いに潰しあってもらうのが当面はベストでしょう。
そのために私はどう振る舞っていくべきなのか……?
そうして私が考え込んでいた矢先に、目の前の茂みから小柄な男が姿を現したのだった。
もしコイツがゲームに乗っているのならいきなりのピンチだ、正直ビックリして思わずその反応を見せてしまった時はしまった、と思った。
だが、とくにこの小男が何かをしてくる様子は見られない……ということは、コイツに殺す気は無いとみていいだろうか?
そうなれば、私が女であるということを最大限に生かすのが得策だろう、私はそう判断してことさら怯えてみせた。
無意識に出た先程の反応をカバーするという意味でもこれは効果的だったらしく、小男もまた私を無害であると判断したらしい。
自分の荷物を放り出して、自分が丸腰であることをご丁寧にも示してくれた。
……ここで私が武器の一つでも持ち合わせていれば、この男をすぐさま葬り去ることも出来たのだが、生憎と武器は支給されなかったようだ。
とすると、今はこの小男と手を組むフリをしてとことん利用してやるより他に手段はなかった。
私は精一杯声を震わせて、目の前の男に対して言葉を紡いだ。
「あなたは……私を殺さないの?」
「ご安心ください。私はこの不愉快な催しに真っ向から反旗を翻すつもりですから」
ピシッと背筋を伸ばしながら、男が返事をしてくる。
どうやらこの男、仕草だけでなく頭のてっぺんからつま先まで馬鹿丁寧な男であるようだ。
お堅い口ぶりなようだが……さて、うまく騙しきることが出来るかしら?
- 68 : ◆xEL5sNpos2:2011/06/20(月) 20:35:26
- 「じ、実は……さっき殺されそうになったんです……!」
「……っ! 本当ですか!?」
「本当よ! 大柄な男に追いかけ回されて……私……怖くって……」
もちろん口から出まかせだ。普段から人を欺くことに慣れている私だ、この程度のウソを即興で生み出すことなど訳もない。
ついでに膝を抱えて顔を埋めてみる。恐怖に打ちひしがれる女としてはこんなものでしょうか。
「大柄な男、ですか……とは言っても、私より小柄な男もそうそういないかとは思いますしね……」
少し自嘲気味に小男が呟いたが、どうもこちらのことをまだ多少は警戒しているらしい。
確かに、この話が本当である証拠はない……が、逆にこれがウソである証拠もそうは見つけられないはず。
こうなればダメ押しをするしかない、そう思った私は顔を上げ、目の前にいた小男の手を両手でギュッと握りしめてみた。
小男の表情がいかにも困惑してます、といった風になった。そうそう女に目を潤ませながら手を握られた経験などないのだろう。
「お願い……! 助けて……! まだすぐ近くにいるかもしれないのよ……!」
……どうやらこれが決め手になったらしい。
分かりました、信じましょう。そう言って小男はこちらをまっすぐに見据えてきた。
これで100%信じ切ったとも思えないが、当面の危機は回避できたとみていいのかもしれない。
私が一仕事終えてホッと一息つきかけたその時だった。
何か思い出したかのように、目の前の小男が自分の名前を名乗ってきたのだった。
これはマズい、私の本名は当然この名簿には無いし、かといっていかにもコードネームですと言わんばかりのこの名前は名乗れない。
偽名を使うにしてもその名前は名簿にあるものでなければならないし、かつこの小男の知り合いであってはいけない。
一瞬の逡巡の後、私は打ってつけの名前が一つあることに気が付いた。
この小男の姿はこれまで見たことが無いし、名前すら聞いたことが無いのだ。
恐らくDDSとの関わりはほとんど無いとみていいだろう……だとすれば、この名前ならひとまずは大丈夫なはず。
「メグミ……私、美南恵といいます」
……見てなさいよケルベロス。
このミス・カオリ、必ずや這い上がってみせるわ……せいぜい寝首を掻かれないよう気をつけることね……!
【D-4 森 一日目深夜】
【西園寺守@古畑任三郎】
[状態] 健康
[装備] 自分のスーツ
[所持品] 支給品一式、ランダム支給品
[思考・状況]
1.古畑・今泉・向島との合流を目指して動く 誰かに会えば情報交換を試みる
2.ひとまず恵のことを信じて、情報交換をする ただ、完全に信頼したわけではない
3.大柄な男には一応警戒する
※ミス・カオリのことを"美南 恵"だと思っています
【ミス・カオリ@探偵学園Q】
[状態] 健康
[装備] 私服
[所持品] 支給品一式、ランダム支給品(武器ではないようです)
[思考・状況]
1.目の前の男=西園寺を騙して利用する 当面は正体を隠して自らは手を汚さない方針
2.Qクラスの面々を排除したい、リュウの扱いは現時点で保留
※西園寺には"美南 恵"と名乗っています
※Qクラスのメンバーは把握していますが、三郎丸は眼中にないようです
- 69 : ◆xEL5sNpos2:2011/06/20(月) 20:36:16
- 投下は以上になります。では、最後に人物紹介と、参戦時系列の紹介を。
【西園寺守@古畑任三郎】
小柄ながらも、古畑も一目置くほどの有能な刑事。
現場の分析、被害者や容疑者の経歴調査など、データ収集の面において古畑をサポートしている。
こうして得た情報から自ら推理を組み立てることもあるが、それが勇み足になった経験もあり、推理力では古畑に及ばない様子。
小柄な自分の身長にはコンプレックスがある。また、寺の息子であり般若心経を読むことも出来る。
寺の息子だからどうかは定かではないが、祟りや心霊現象といったオカルトの類はまったく信じていない。
階級は今泉と同じ巡査だと推察され、一応は先輩である今泉に敬意を払っていたが、時を追うに従い徐々に扱いがぞんざいになっている気がする。
【ミス・カオリ@探偵学園Q】
作中に登場する敵対組織、"冥王星"の工作員。
DDSのQクラスも関わったいくつかの事件は彼女が裏で手を引いていた。
だが、組織のルールを犯して幾度なく自ら直接手を下そうとしたがために、警察に身柄を拘束された際にケルベロスの後催眠で"処刑"される。
この結果、一度は自我を喪失してしまい廃人状態に陥って自傷行為などに出てしまったため、拘束具をつけられ監獄に幽閉された。
その後、ケルベロスから催眠を解除するキーワードを聞き出したDDSの創始者・団守彦(当ロワ不参加)によって催眠を解除される。
自我を取り戻した後は、保身の為にDDSに対して"冥王星"の情報(主にタナトスのことと思われる)を提供。"冥王星"壊滅後の処遇は定かでない。
【古畑任三郎キャラの登場時系列】
TV版で放映された全事件の解決後となっています。
向島巡査の肉親が起こしたあの事件も解決後ということになります。
【探偵学園Qキャラの登場時系列】
本編終了後、"冥王星"壊滅時点からの参戦です。
その後短期集中連載されたプレミアム版は対象外となっています。
タナトスにかけられた後催眠は解除された状態となっています。
- 70 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/20(月) 20:44:43
- 投下乙です。古畑任三郎なついな
投下します。俺得5 14話 こんなの絶対おかしいよ
登場:ゼルマ、吉良邑子
- 71 :こんなの絶対おかしいよ ◆ymCx/I3enU:2011/06/20(月) 20:45:29
- 14話 こんなの絶対おかしいよ
白い毛並みが美しい人狼の雌、ゼルマは思い悩む。
殺し合いに乗るか乗らざるか。そこが問題なのだ。
「別にねぇ、知り合いもいないし、乗ったって良いんだけれど…」
腕を組み、森の中を歩くゼルマ。
「…良し決めた」
そして行動方針を決定する。
「あんな訳分からない男の言いなりになるのもごめんだし、殺し合いには乗らっ」
突然、ゼルマは言葉を切り立ち止まった。
首にゆっくりと、赤い線が走り、そこから血が垂れ流れ、白い毛皮を赤く染める。
次の瞬間、ズルリと、ゼルマの首がずれたかと思うと、そのまま地面に落ちた。
血の噴水を周囲に撒き散らし首を失ったゼルマの身体は崩れ落ちる。
「おお、こうも簡単に成功するとは」
すぐ近くの茂みから一人の少女が姿を現した。
「切れ味良いですね、ピアノ線は…」
木々の間に仕掛けたピアノ線を、軍手をはめた手で撤去する、吉良邑子。
引っ張ればピアノ線がぴんと張られるようにしてあった。
そして、白い二足歩行の雌の狼を殺害する事に成功したのだ。
雌人狼の死体には目もくれず、邑子は雌人狼の持っていたデイパックを漁る。
そして出てきた物は日本刀と、「ジャスタウェイ」なる謎の物体。説明書を見る限り、爆弾らしい。
「これで武器は手に入った…さて…と…行こうかな」
日本刀を装備した邑子はコンパスと周囲の地形を頼りに、
森を抜けるため歩き始めた。
……
身体が動かない…。
首の下がスースーする…。
ああ、私はどうやら死ぬみたい。そりゃ、首切断されて生きていられないよね。
嫌だなあ、もっと生きたいなあ。
何でこんな事に…。
こんなの…。
こんなの絶対、おかしいよ…。
- 72 :こんなの絶対おかしいよ ◆ymCx/I3enU:2011/06/20(月) 20:46:36
- &color(red){【ゼルマ@オリキャラ:死亡】}
&color(red){【残り:40人】}
【早朝/G-4森】
【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]伊東鴨太郎の刀@銀魂
[持物]基本支給品一式、ジャスタウェイ(3)@銀魂、軍手、ピアノ線(血痕付着)
[思考・行動]
0:優勝し英人様の元へ帰る。
1:太田君達も殺す。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※G-4森に、ゼルマの死体及びデイパック(基本支給品一式)が放置されています。
≪支給品紹介≫
【ピアノ線】 支給者:吉良邑子
炭素鋼で作られた金属線。許容応力が高く、金属疲労にも強いことから、
ワイヤーやコイルばねの材料として工作機械や建設機械など幅広く利用されている。
【軍手】 支給者:吉良邑子
手袋の一種。メリヤス製のため伸縮性に富み、左右の区別がなく、現代では丈夫で安価な作業用手袋として用いられる。
「軍手」の由来は「軍用手套・軍用手袋」の略称で、旧日本軍の兵士が用いたことに由来している。
【伊東鴨太郎の刀@銀魂】 支給者:志村新八
伊東鴨太郎が使用していた刀。恐らく業物と思われる。
【ジャスタウェイ@銀魂】 支給者:志村新八
マムシの蛮蔵の工場で生産されていた強力な爆弾。魚が死んだような目をしている。
円柱に2本の棒の手が付いていて、上部の半球型の突起物に目・口が描かれただけというシンプルな外見。
工場長(蛮蔵)によると、ジャスタウェイはジャスタウェイ以外の何物でもなく、それ以上でもそれ以下でもないらしい。
≪オリキャラ紹介≫
【ゼルマ】
21歳の人狼の雌。白い毛皮。とある人狼の村の自警団員を務め、
格闘技以外にも銃や剣を使った攻撃も得意。酒豪でもある。
- 73 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/20(月) 20:48:04
- 変更。
【早朝/G-4森】
【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]伊東鴨太郎の刀@銀魂
[持物]基本支給品一式、ジャスタウェイ(3)@銀魂、軍手、ピアノ線(血痕付着)
[思考・行動]
0:優勝し英人様の元へ帰る。
1:太田君達も殺す。でもテトさんは…?
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
投下終了です。
- 74 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/20(月) 22:24:24
- アニメロワ第15話:スタートはここからさ
登場:宿海仁太
- 75 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/20(月) 22:37:16
- 『花火』を打ち上げた。
止めたかった。止めなきゃ、あいつが、めんまが消えてしまうような気がして。
花火の音は俺の意識をフェードアウトさせ、気が付けばーーーー
『これより、貴様達には殺し合いをして貰う』
取り戻した筈の仮初めの幸福は、掌からこぼれ落ちてしまった。
参加者には、『松雪集』『久川鉄道』そして、
『本間芽衣子』
おかしい。
めんまは確かに死んでいる。少なくとも世間一般には、死亡していることになっているはずなのだ。例えそのめんまが幽霊となり現れていても。
俺達以外にそれを知る者はいない。居る筈がないのだ。
荒耶宗蓮、あの男は明らかに俺達と違う次元を生きる男だ。
足が震えた。背中の産毛が逆立った。
テロリストか本当の怪物かは知らないが、決して俺たちが関わることのない世界、理解不能の世界の人間。
それが、どうしようもなく怖くて仕方なかった。
ゆきあつやぽっぽならもう動き出しているだろう。
めんまはどこかで震えているかもしれない。もしくは、あの天真爛漫な性格でもう誰か仲間を作って、このゲームへの反抗を開始しているか。
ーーー俺には、何もない
- 76 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/20(月) 22:48:25
- ゆきあつのような頼りになる一面は無いし、ぽっぽのようにムードメーカーになるスキルもない。めんまと比べても若干コミュ障な俺では仲間を作るのは難しいだろう。
正直、すぐに殺されるのがオチかもしれない。
世の中には一つの願いのために手を血に染める人は決して少なくなど無いのだ。
考えたくはないが。
ゆきあつはめんまを生き残らせるために殺し合いに乗っているかもしれない。ゆきあつは、俺なんかよりずっと一途にめんまを愛していた。俺に、あいつがめんまのために戦うのを止める資格はない。
俺は、無価値だ。
ーーーーそうだよ
ーーーー俺には強さが決定的に足りない
ーーーー無理だ
ーーーーけど
だからどうした。
俺にだって戦う理由くらいはある。
やっとみんなはもう一度一つになれるかもしれないのに、あんな屑に邪魔されて黙ったままでいられるほど俺は優しくなんかないんだ。
とびっきりのカウンターパンチを、叩き込む。
たったそれだけの目的が明確に存在すれば十二分。
人間は、たったひとつ譲れないものがあるだけでヒーローになれるんだから。
どんなに終わっていても。
どんなに価値が無くても。
俺は戦う。
- 77 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/20(月) 22:54:02
- さあ、そろそろ走りだそうじゃねえか。
ちっとばかし長いハンディはくれてやるよ。
さあ、負け犬の逆転劇の始まりだ。
【深夜/d-6】
【宿海仁太@あの花】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:主催者を倒す。
1:めんまたちを探す
※アニメ第10話、花火を打ち上げた直後からの参加です
投下完了
- 78 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/21(火) 21:38:12
- 投下乙です。
投下します。俺得5 15話 ボンボンらむーん
登場:エルフィ、花丸木
- 79 :ボンボンらむーん ◆ymCx/I3enU:2011/06/21(火) 21:40:06
- 15話 ボンボンらむーん
「誰か来る…?」
市街地のすぐ隣に広がる森の方を眺めていた灰色狼獣人のエルフィは、
森の向こうから人が市街地方面歩いてくるのを確認した。
近くの物影に隠れて様子を見る。
「誰かいたような気がするらむけど…気のせいらむか?」
「……(何だか赤ちゃんをそのまま大きくしたような人が来たなぁ)」
やってきたのは独特な口調の、エルフィが心の中で思ったように、
「赤ちゃんをそのまま大きくしたような」少年だった。
ジーパンのベルトに鞘に入れた短刀のような物を差し込んでいる。
「これからどうしようらむちゅー」
「……(見た感じ害は無さそうだけれど…)」
「はっ! そこに誰かいるらむか!?」
「うわっバレた」
あっさり見付かってしまったエルフィ。仕方無く少年――花丸木の前に出て行く。
「狼さんらむー」
「まあ狼だけど…」
「僕は花丸木らむ。殺し合いをする気は無いらむよ」
「私はエルフィ…私も、殺し合う気は無いわ…」
互いに自己紹介する二人。
近くの民家の中に入り、更なる情報交換を行う。
まずは支給品を見せ合う事になったのだがここで花丸木の持つドスの外見にエルフィが不審を抱く。
何しろ、刀身が血のような物で汚れ錆びているのだから無理も無い。
「な、何それ…」
「初めからこうだったらむよ」
「…本当?」
「本当らむー」
「……」
エルフィは疑念を拭えなかったが、殺し合いが始まってまだそれほど時間が経っていない。
しかし、花丸木の持つドスの錆び方は――その手に詳しい訳では無かったが――何日も放置された、
そのように見える。少なくとも殺し合いが始まって今の時点までの短時間でこうは錆びないだろう、
と言えるぐらい花丸木の持つドスは錆び、汚れていた。
「…分かった。ごめんね」
「良いらむよ。エルフィさんは何を支給されたらむか?」
「私は…」
エルフィは自分に支給されたランダム支給品を花丸木に見せた。
小型自動拳銃ワルサーPPKと予備マガジン3個、更に、マイナスドライバーが一本。
「本物の銃らむか…?」
「そう、みたい…」
花丸木にとっては生まれて初めて見る実銃であった。
エルフィは違ったが。
その後、話は互いの知り合いについての情報交換に移る。
途中、エルフィが口にした「太田太郎丸忠信」の名前に花丸木が反応した。
- 80 :ボンボンらむーん ◆ymCx/I3enU:2011/06/21(火) 21:42:10
- 「太田、太郎丸、忠信…!」
「どうかしたの? もしかして…会ったの?」
「襲われたらむ…刀を支給されたって言って、試し斬りさせてくれって」
「……っ」
花丸木が虚偽の証言をしているとは、エルフィは思えなかった。
太田太郎丸忠信は、クラスの中でも評判は良く無く、黒い噂も絶えなかった。
以前の殺し合いの時に一度だけ出会い、その時はクラスメイトの女子の一人に襲われていたため、
エルフィは助けようとしたが、誤って負傷させてしまい、その後は全く合う事も無かった。
「本当に死ぬかと思ったらむ…もう二度と会いたくないらむ」
「……」
「あ、ごめん、エルフィさんのクラスメイトなのに…」
「い、いや、良いんだけど…」
……
エルフィと花丸木は民家を後にし、当座はそれぞれの信頼出来そうな知り合いを捜す事にした。
エルフィは主にノーチラス、サーシャ、シルヴィア、テト、仲販遥、フラウの六人。
花丸木は主に大沢木小鉄、西川のり子、土井津仁、鈴木フグ夫の四人。
「それじゃ、行こうか…花丸木君」
「うん」
「…銃声とか聞こえたから、気を付けて」
「分かったらむ…」
エルフィはワルサーPPKを、花丸木はドスをそれぞれ構えながら、
市街地の道路を歩き出す。
しかし、数十分後。
「……!」
「う、うあ!?」
表通りで、血を流して倒れている、サングラスを掛けたハンテン姿の男性がいた。
銃で撃たれたらしく、既に息は無かった。
「し…死んでるらむ…?」
「…みたい…」
「死体…本物の、死体…」
生まれて初めて目にする本物の死体に花丸木は恐怖に震える。
確実に殺し合いは進行しているのだと、二人は思い知らされた。
「…行こう」
「……(ブルブルブル)」
男性の死体から目を背けるように、その場から逃げ去るようにエルフィと花丸木は立ち去った。
- 81 :ボンボンらむーん ◆ymCx/I3enU:2011/06/21(火) 21:44:05
- 【早朝/B-5市街地:路上】
【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ワルサーPPK(6/6)
[持物]基本支給品一式、ワルサーPPKのマガジン(3)、マイナスドライバー
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。生き残りたい。
1:花丸木君と行動。
2:信用出来そうなクラスメイト(ノーチラス、サーシャ、シルヴィア、テト、仲販遥、フラウ)を優先的に捜す。
3:太田太郎丸忠信には注意する。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※大沢木小鉄、西川のり子、土井津仁、鈴木フグ夫の四人の情報を得ました。
※エルフィが聞いた銃声とは、死体の男(長谷川泰三)が殺害された時の音です。
【花丸木@浦安鉄筋家族】
[状態]後頭部に軽い瘤、上着の腹の部分が切れている
[装備]ドス@自作キャラでバトルロワイアル
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:死にたくないらむ。帰りたいらむ。
1:エルフィさんと行動するらむ。
2:ちびっ子ギャングでも良いから会いたいらむ…。
3:もうさっきの怖い人(太田太郎丸忠信)には会いたくないらむ…。
[備考]
※原作最終話〜元祖!の間からの参戦です。
※太田太郎丸忠信の容姿、名前を記憶しました。
※エルフィのクラスメイトの情報を得ました。
≪支給品紹介≫
【ワルサーPPK】 支給者:エルフィ
1929年に当時新鋭企業だったワルサー社が開発した自動拳銃、ワルサーPPの小型モデル。
携帯性と性能に優れ、欧州各国の軍・警察で使用された。
【マイナスドライバー】 支給者:エルフィ
マイナス溝 (−) のあるネジを回すのに使われる工具。
- 82 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/21(火) 21:45:03
- 投下終了です。
- 83 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:53:23
- 投下乙です。
リピーターは頼もしいな
では投下します
雑多ロワ24話:なくしたもの 探しにゆこう
登場キャラ:シズ、レレナ・ツォルドルフ
- 84 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:54:01
-
レレナ・パプリカ・ツォルドルフは、ローマはバチカンに在籍するシスターとして、その魂を供養していた。
といっても、対象は人間ではない。
それは、エリアA―2、研究所裏庭の片隅に、ひっそりと立っていた供養塚だった。
こういう研究所や病院には、実験で殺してしまった動物を供養する為の場所があると聞く。
その小さな石碑も、そういう場所らしかった。
お墓の水汲み場に置いてあった剪定バサミで、玄関前のプランターからチューリップを剪定させていただく。
(あれ、今は春だったっけ? と混乱したけれど、深く考えないことにした)
とっくにみずみずしさを失っている桧葉の葉を捨てて、代りにチューリップをいける。
チューリップが、ふわふわと夜風にゆれた。
レレナの亜麻色の髪も、つられてふわりとなびく。
シスター服の黒いスカートが、軽くひるがえる。
日本人の母譲りの黒い瞳で、夜空に浮かぶ満月を見上げた。
月と花とそよ風。
『殺し合い』が行われているなどと信じられないぐらい、いい夜だった。
『殺し合い』の最中に動物の墓参りなど、我ながら悠長なことをしている。
別にレレナが墓参り好きというわけではなく、考える時間が欲しかったのだろう。
つまり、ちょっとした問題の先送り。
ただ、その墓に目が止まった理由は、それだけではなかったかもしれない。
さびれた石碑と、所内で飼われていた動物たちの供養塔だという簡単な説明書きを見て、
ほんのひと月前に滞在していた『組織』でのことを、思い出さなかったと言えば嘘になる。
そう、あの『檻』の中で飼われていた、ちょっと前まで『人間だった』、吸血鬼のなりそこないの者たち。
レレナにとって世界の見方が少なからず変わったし、そうなると、こんな殺し合いの会場にある、ただ『研究所』とだけ看板に記された建物も、
何らかの苦闘と人に知られない犠牲を孕んだ機関に勘ぐられてしまう。
いや、それも祈りを捧げるなら、関係のないことだ。
人間だろうとそうでなかろうと、天国の中では平等だし、
天国に行けなかったとしても、祈りによって煉獄の人々を救うことはできる。
首からさげていた小さな十字架を、両手のひらで握りこむ。
手を組み合わせ、祈る。
- 85 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:54:45
- 「主よ、われ深きふちより主に叫び奉れり。
主よ、わが声を聞き容れ給え。
願わくは、わが願いの声に御耳を傾け給え。
主よ、もし不義に御目を留め給はば、
主よ、だれかよく立つことを得ん。」
祈ると、心が澄んでいくのを感じる。
ものごころついた時から、レレナの身近にあり、励ましてきた言葉だ。
「主よ、永遠の安息をかれらに与え、
絶えざる光をかれらの上に照らし給え。
すべての信者の創造主、かつあがない主にまします天主
主のしもべらの霊魂に、すべての罪の赦しを与え給え。
願わくは、かれらが絶えず望み奉りし許しをば――」
「君は、天国や神様を信じているのかい?」
そんな風に声をかけられて、レレナはぎくりと振り向いた。
とはいえ、半吸血鬼のレレナは夜目がきく。
その正体もすぐに見極められたので、その動揺は割に軽いものだった。
緑色のセーターを着た青年だった。
特に特徴のない容姿だった。
決して平凡という意味ではない。むしろその単語とかけはなれた印象を放つ。
均整のとれた体つきに、精悍だが柔和な顔つき。
そう、こんな状況だというのに、青年はあまりに穏やかで、気が抜けたように無防備だった。
無防備だが、それが生死について達観した風にも取れるし、逆に余裕を持っているとも取れる。
その『強者特有の無防備』が、月島さんの雰囲気と似ていた。
右手には、一振りの木刀。
青年は、礼儀正しく一礼した。
「失礼……私の名前はシズ。シズだ」
+ + +
中庭には、チューリップの他にも色々な花が咲き、暗闇の底で夜風に揺れていた。
「シズさんは、これからどうするおつもりなんですか?」
「そうだね……それを決めかねて、困っているところかな」
「お知り合いは呼ばれていないんですか?」
「一応、一人だけ。つい先日いた国で知り合った、キノさんという人が名簿にいる。
……しかし、あの人は強いから自分のことぐらい自分で決められるだろう。私がどうこうすることじゃない。
私にそんな質問をするということは、レレナさんも知り合いが呼ばれているのかな?」
「はい……四人ほどいらっしゃるんですが、少しばかりこみいった事情がありまして。
……会いたい人と、あまり会いたくない人が」
- 86 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:55:22
- 二人は研究所中庭のベンチに座って、自己紹介を兼ねた談話に興じていた。
それはあまりにも無警戒で、初対面とは思えないほどなごやかなもの。
しかし両者とも、互いが『ただ者では無い』という直感を持つ。
シズという男は、特殊な『力』こそ感じられないただの人間だが、纏う空気は『強者』のそれ。
レレナとて、世間知らずな自覚があるとはいえ、何度も修羅場をくぐり抜けた半吸血鬼。
ここが殺し合いの場であり、あっさり人を信用してはいけないと理解しているし、それはシズも同じだと思う。
にも関わらず、二人はすぐにお互いを話相手と認め、一つのベンチに二人で座っている。
何故だか、身の危険は感じなかった。シズの方も、そうなのだろうと思う。
そう、それは強いていうなら『シンパシー』。
無防備さの裏に見え隠れする、やるせなさや空虚さ。
『考える時間が欲しい』という戸惑い。
己がそれに悩まされているからこそ、同じことを感じている相手は分かる。
「俺は、元々死ぬつもりだったんだ」
青年は淡々と、『コンビニに行くつもりだったんだ』とでも言うようにあっさりと言った。
「だけど、ここに呼ばれる直前に訪れた国で、死に場所だと思っていた国で、死に損ねた」
レレナは姿勢正しく座って、シズの話を聞く。
「死に場所がなくなったことには……命を助けてくれた人には、感謝している。
けれど、元々死ぬ予定だったから、これからどうするか困ってしまった。そんな時に呼ばれた」
「だから私は、死ぬつもりはないけれど、何をしたいのかが分からなくて、困っている」
それが、シズの話。
淡々と語られるその話は、あまりに抽象的で、状況がよく分からないもの。
けれど、レレナは『そうだったのか』と納得してしまった。
シズの空虚な瞳が、かつて、レレナに「死なせてくれ」と言って来た吸血鬼と似ていたからかもしれない。
そして、『何をすべきか分からない空虚』が、ここに呼ばれるまでのレレナと似通っていたからかもしれない。
そんなシンパシーにつられるように、レレナもまた、話しだした。
- 87 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:55:54
- 「私は、ここに来る前、大切な人達を亡くしました」
ほんのひと月ほど前のことだ。
ひとつ屋根の下で、笑いあっていた人たちが死んだ。
幽霊の少女がいなくなって、吸血鬼の男が死んだ。
まだ気持ちの整理はついていない。
「あの人たちが死んだ時、私はその人たちと同じ建物にいました。
けどあの人たちは、私を逃がして、私の知らないところで死に場所を決めてしまいました」
彼らは、死に場所を自分で選んだ。
それは自己犠牲からの選択だったし、絶望からの選択だったけれど。
レレナは、そんな彼らを止める言葉を持たなかった。
二人が己の道を決めてしまった時、レレナはその建物の別の場所で、
レレナにとっての戦いに必死だったから。
「あの時、私が何かしてあげられたら、あの人を死なせずに済んだのかもしれません。
逆に、私が何をしたとしても、あの人たちを止められなかったのかもしれません。
今となっては、そのどっちだったのか、分かりません。
でもひとつ確かなのは、私が何もできなかったということです」
つまり、レレナは『取り残された』ということ。
レレナは、結末を自らの手で選べなかった。
あの結末は、亮史から、舞から、起こってしまった全ての因果から、
『日常は永久に帰って来ないけど、お前は生きてくれ』と押し付けられたもの。
望んでいない結果だとしても、それを受け入れるしかなかった。
「その死んだ人たちが、この『実験』の名簿に書かれています。
死んだはずなのに……何かの間違いかもしれません。
私を混乱させる為に、名簿に嘘が書かれているのかもしれません。
私は死んだところをちゃんと見ていないので、実は生きていたのかもしれません。
もしかしたら、白スーツの男の人が言っていたように、本当に死んだ人が生き返っているのかもしれません。
……だとしたら、私にはもう一度チャンスがあることになります。」
だからレレナには、本当は何をしたいか分かっていた。
だから後は、それを決めて、言葉にするだけ。
「だから私は……今度はちゃんと、選びたい。
大事な人達を探して、会って、どうしたらいいのかちゃんと決めたいです」
- 88 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:56:29
- 祈りながら考えて、どう考えてもその答えにたどり着いた。
「そうか……君は、やり直しがきくかもしれないのか」
シズが、少しだけ『熱』のこもった声で呟いた。
その感情の動きは、羨望かもしれないし、肩入れかもしれない。
そして言う。
「でも、もしその人たちが本当に生き返っていたとして、その人たちが戻って来るとは限らないかもしれないよ。
厳しいことを言うようだし、俺はその人たちのことを何も知らないから断定はできないけど……。
例えば、『ゆっくり眠らせて欲しい』とまた死を希望するかもしれない。
逆に、その人たちが生きたいと言い出した時、自分の命かその人達の命かを選ばされるかもしれない。
ここは殺し合いの場なんだからね」
シズは、少し言いにくそうだった。
しかし、レレナの甘さを指摘したのでも、敢えて忠告したのでもなく、
ただ聞いてみたいという風だった。
そう、その恐れは、最初からレレナにもあったものだ。
生き返っていたとして、彼らは再びの生を望むだろうか。
月島亮史は望むかもしれない。
『雪村舞』が生き返っているのなら、彼が後を追うように死ぬ理由もないのだから。
しかし、一人しか生き残れないというルールに則る限り、二人以上の生還は不可能なのだ。
いや、それよりも先に、舞が殺されてしまった場合が怖い。
再び舞を失うようなことがあれば、あの人はまた壊れてしまうかもしれない。
また、誰も救われない、苦い結果を迎えるかもしれない。
レレナにできることなど、実は何も無いのかもしれない。
そもそも、幽霊の舞を『生き返らせる』とはどういうことだろう。
肉体を与えられて、生前の姿で復活するということだろうか。
レレナは幽霊になってからの舞しか知らないので、それはそれで想像しにくいのだが……。
人間の姿で生き返っているのだとしたら、なおさら舞の生存率は低くなる。
『実体化しない限りダメージを負わない』という、幽霊の圧倒的なアドバンテージがなくなってしまうのだから。
- 89 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:57:07
-
そう、このチャンスは、決して優しい奇跡ではない。
むしろ、全員が幸せに終われる可能性は、限りなく低いと言っていい。
でも、
それでも、
「私は、十字架が苦手なんです」
唐突な言葉に、シズが小さく首をかしげる。
「いえ、深い意味はなくてですね。先端恐怖症といいますか、十字架の形がダメといいますか
……とにかく、十字架を見るのが怖いんです」
私、半吸血鬼だから十字架が苦手なんです、とは言えない。
「えーと。話がそれましたね。
つまり、私は十字架を見るのも嫌なんですけど、こうして十字架を持ち歩いてます」
シズに向かって、首からさげた十字架を掲げて見せる。
「どうしてだい?」
「それは、私が、神さまとイエスさまを信仰しているからです。
確かに私は、『十字架を見るのも嫌』です。
でも、それと『十字架を大事にしている』ことは、あくまで別なんです」
シズは、「ああ」と納得したような声をあげた。
レレナがつまり何を言いたいか、察したらしい。
「シズさんは、私に『神さまを信じているか』と聞きましたね。
はい、私は、神さまを信じています。
例えば、『もし神さまがいるなら、何でこんな殺し合いをやらされるんだ』って思う人もいるかもしれません。
でも、私の場合、神さまが助けてくれることは、あまり期待してないんです。
今まで、助けて欲しい目にもあったけど、結局助けてもらえませんでしたし。
ただ見守るだけで何もしてくれなくても、私は神さまを愛してるから、信仰を持てるんです」
もしかしたら、名簿に描かれている名前が嘘で、『清隆』に、惑わされているだけかもしれない。
もし本当に生き返っていたとしても、あの人たちは『生き返りたくなかった』と言うかもしれない。
あるいは、レレナを生かそうと再び命を捨ててしまうかもしれない。
結局、レレナはまた傷つくことになるだけかもしれない。
それでも、また『取り残される』よりはマシだった。
「私は、二人のことが大切なんです。
だから、献身に見返りがあるかどうかは、関係ないんです」
二人が『いるかもしれない』ならそれで充分。
いるかもしれないのに何も行動しなかったら、『二人のことが大切』という気持ちが嘘になる。
- 90 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:57:43
- 「嘘かもしれなくても、悲劇に終わったとしても、私は二人を探したい。会いたい。
会って何ができるのかが分からなくても、会いたい。
二人の望みが私にとって辛いことでも、二人が望んでいる事を知りたい。
今度はちゃんと関わって、終わらせたい。
それが私の気持ちです」
そして、シズは納得したように頷いた。
「……そうか。それは素晴らしいことだと思うよ」
一人だけ生き残った青年と、
一人だけ生き残った少女。
過去に大事な存在を喪って、空虚になった少女と、
本当なら未来に大事な存在を手に入れる予定だった、今は空虚な男。
ある意味で対照の位置に立っていた二人は、こうして交わった。
【A−2/研究所中庭/一日目深夜】
【レレナ・パプリカ・ツォルドルフ@吸血鬼のおしごと】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
[思考]基本・月島亮史、雪村舞と再会し、過去に果たせなかった何らかの『決着』をつける
1・シズと行動する? それとも……。
2・大きな研究所だし、とりあえず調べてみようかな……。
3・月島さん、舞を探す。
※参戦時期は、最終巻以降です。
【シズ@キノの旅】
[状態]健康
[装備]洞爺湖@銀魂
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[思考]基本・死にたいとは思わないが、かといって『殺し合い』をどうこうする意思もない。
1・レレナと行動する? それとも……。
2・レレナに少し羨望
※参戦時期は、1巻『コロシアム』終了直後です。
- 91 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/21(火) 21:58:28
- 投下終了です。
これで吸血鬼勢は全員登場。
- 92 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/21(火) 22:10:18
- アニメロワ第16話:幸せの背景は不幸
登場:久川鉄道、シャルロット・デュノア、秋山澪
- 93 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/21(火) 22:22:54
- ◆
どうして、こんなことになってしまったのか。
秋山澪は血の海の上で嘆く。
◆
どうして、こんなことになってしまったのか。
久川鉄道は血の海でまた嘆く。
◆
「おいおい…やべーんじゃねえのかよぅ、これ」
さすがに顔を引きつらせる鉄道。彼は基本的に楽観的で、特に時がたった今では仲間たちの中でもムードメーカー的な存在となっている。
久川鉄道もまた、『花火』を打ち上げたところで暗転した。
荒耶宗蓮に、取り戻せたかもしれない幸福は奪われたのだ。
勿論こうしちゃいられない。早く誰かをーーーーーーーーーーーー、
「……あれ?」
胸元から、何か赤いものが吹き出ていた。
撃たれた、と気付くときには、肺が破れており、彼の生還は不可能になっていた。
「(じんたん、ゆきあつ。めんまの奴を頼むぜ。お前等が喧嘩ばっかりしてちゃあ、つるこやあなるだって悲しむだろうが。心配すんなよ、俺はいつまでも、『ぽっぽ』だからな)」
静かに、鉄道はその生涯を終えた。
◆
「……え?」
確かに澪は撃った。しかし、肩を撃って行動できないようにしようとしたはずだった。
怖かった。それだけが、人を撃つという禁忌へと駆り立てたのだ。
- 94 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/21(火) 22:35:56
- 脈など確かめるまでもなかった。
理科なんかの授業で習った肺の位置に、穴はしっかり重なっていた。
血は止まらないし、鉄道の顔色も助かりそうなそれではなかった。
血がスカートに付くのも省みず、その場にへたり込み、失禁した。
ーーーーどうして、こんなことに。
【久川鉄道@あの花】 死亡
【残り25/30人】
【深夜/c-4】
【秋山澪@けいおん!】
[状態]恐慌状態、極度の疑心暗鬼
[装備]天井の銃@とある魔術の禁書目録
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:人は殺したくない。でも死にたくない。
1:………
2:律には会いたくない。
※アニメ第二期、卒業後からの参加です
◆
「何だろう今の…銃声、だよね」
パァン、という破裂音がした。
シャルロットの支給品は対人地雷(クレイモア)。
当たりではあるが、使ってしまえば相手は確実に死ぬか体が欠損する。
対主催のシャルロットには、素直に喜べない一品であった。
「…行ってみよう」
シャルロットはおもむろに歩いていく。
不安定な壊れかけの少女、秋山澪の元へ。
投下完了。
状態表ないのは仕様というか用事があって急ぐから
- 95 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:37:25
- 投下します
タイトル:エンカウント・ミス
登場人物:◆VxAX.uhVsM、◆YR7i2glCpA
- 96 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:37:56
- 1回放送から丁度30分。
放送通りに、◆YR7i2glCpAがどこからともなく現れる。
「まさか…自分が参加する日が来るとはなぁ」
「正直、どっちでもいいと思ってるんだよなあ…って誰に言ってるんだ俺は」
ポケットを弄るが、コインは入っていない。
コインがあれば、あの桐山のようにコイントスで乗るかどうかを決める所なのだが。
無い物はどうしようも無い。
「…ここはスタンダードに乗らないでおくか」
となると、重要なのは支給品だ。
いい武器でないと、脱出するどころか、身を守ることすら危うい。
「さてさて、何が入ってるかな」
デイパックを開ける。
中から、小柄のライフルのような物が出てくる。
「何々、"VSSヴィントレス"…消音機能つき狙撃銃か…結構いい感じだな」
予備マガジンを1つポケットに入れる。
デイパックを肩にかけ、歩き出そうとしたが…。
「おおっと、早速参加者発見」
何故かフラフラと安定しない足取りで歩いている。
隙だらけだ。
「暗くて顔が良く見えん…。」
もうちょっと明るい場所に来てくれ、と心の中で願う。
相手の前方辺りに街灯がある。
そこまで来てくれれば。
「ん?…ああっ!」
フラフラと欄干にぶつかり、そのまま海に落下して行く!
少ししたあと、水中に何かが落ちる音が。
「落ちた…。仕方無い、接触は諦めよう…」
- 97 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:38:41
-
◇
水面に浮かび、呆然とした表情を浮かべる◆VxAX.uhVsM。
さっきの出来事があまりにもショックすぎて、体に力が入らない。
そのせいで足を滑らせ海に落下、なんてことになっているのだが。
落ちた時にデイパックも釘打ち機も失くしてしまった。
どこにあるか、見当も付かない。
…どこにあるか分かったところで、もう回収は出来ないだろうが。
「…どうしよう…」
それでも、生きているだけまだいい。
命あっての物種だ。
「とにかく、陸に上がらないと話しにならないや」
【一日目・朝/D-3:海上】
【◆VxAX.uhVsM@非リレー書き手】
[状態]:健康、ずぶ濡れ
[装備]:なし
[所持品]:なし
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:とにかく、陸を目指す。
「大丈夫かな、さっきの人。盛大に落ちたけど」
北上しながら、さっき落下した人の身を案じる。
心配した所で、助けられる訳ではないが。
「まあ、縁があれば、また会えるはずか」
【一日目・朝/D-4】
【◆YR7i2glCpA@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:VSSヴィントレス(10/10)
[所持品]:支給品一式、VSSマガジン×2
[思考・行動]
基本:とりあえずゲームには乗らないでおく。
1:とりあえず北上してみよう
- 98 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:39:16
- 続けて投下します
タイトル:歩く心霊スポット
登場人物:友人のK、遠山純子
- 99 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:39:48
- 「Tさん…Tさんはどこ…?」
友人のKを操り、フラフラと道を進む。
目は虚ろで焦点が合っていない。
その時、前方に1人の女を発見する。
(…あれは…ただの女…Tさんじゃないなら…)
しかし、ワンピースの女には分からなかった。
その女が、こっちに殺意を剥き出しにしている事が。
「…!」
「死ねっ!!」
間一髪、女の攻撃をかわす。
少し反応が遅れていたら、頭が叩き潰されていた。
「何するの?」
Kの声を使い、話す。
「何って、貴方を殺して優勝するのよ!じゃないと私が死んじゃうじゃない!」
「Tさんとその関係者以外は傷つけたくないけど…仕方無いわ、死んで貰うしかないわね」
一気に跳躍し、女に襲い掛かる…はずだった。
Kの体がその動きに付いてこれないのだ。
「人間の体は使いづらいわね」
「無駄口叩く暇があったら自分の心配したら!?」
大振りのハンマーが再度襲い掛かる。
体をひねりかわそうとしたが…かわしきれなかった。
頭にハンマーが激突し、血が飛び散る。
「酷いことするわね。まあ、私は痛くないけど」
「…何で?」
「この体は私の物じゃないからよ。体がいくら傷付こうと、私にダメージは無い」
たしかにワンピースの女は友人のKの体を借りているだけ。
憑依相手が死にさえしなければ、自分には関係無い。
「…流石にこの男が死ぬと私も危ないんだけどね」
「じゃあ男ごと殺してあげる」
「無駄よ。この体を捨てて誰かに乗り移ればいいだけなんだから」
そう言い終わった後、男が崩れ落ちた。
少しの間痙攣していたが、やがて動かなくなった。
- 100 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:40:20
- 「ど、どこにいるのよ!出てきなさい!」
『…次は貴方にするわ』
すぅっと女の体内に入り込んでいく。
言葉にし難い悪寒が、体中を包む。
「…出て行きなさいよ…早く…!」
『精神力は…。少しはあるみたいね。でも諦めた方がずっと楽よ?』
「……。」
意識がどんどん薄れていく。
自分が、失われる。
もう、駄目だ。
逆らえない。
――だから、諦めた方がいいって言ったじゃない。変に逆らうと苦しいだけなんだから。
完全に乗っ取られる前に、あの忌わしい女の声が聞こえた気がした。
◇
「…ようやく折れてくれたみたいね…。さっきの男よりは良さそうじゃない。」
宿主の記憶を探り、名前を探す。。
…遠山純子。
それが、この女の名前らしい。
もしも素性を聞かれた時に、名前が答えられなかったら怪しまれる。
「ついでにいい武器も探したいわね。あのTさんを殺すんだから」
普通に襲えば、また「破ぁ!」されるのは目に見えている。
無害を装って近づいて不意打ちも考えたが、やめた。
やはり相手はTさんなのだ。
ちゃんと作戦を立てないと勝てない。
「…どこかで落ち着いて考えないと」
しかし、ワンピースの女は気づいていなかった。
ゆっくり作戦を練る程余裕が無いと言うことに。
【一日目・朝/B-1】
【遠山純子@オリジナル】
[状態]:健康、憑依、返り血
[装備]:ネイルハンマー
[所持品]:デイパック
[思考・行動]
基本:この女の肉体を利用し、Tさんを殺害する。
1:作戦を立てないと…。武器も欲しいわね。
2:Tさんを探して殺害する。
※B-1に友人のKの遺体とバタフライナイフが落ちています。
【友人のK@Tさんシリーズ 死亡】
死因:撲殺
- 101 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/21(火) 22:40:50
- 投下終了です
- 102 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:44:13
- 投下乙です。
では自分も投下します
- 103 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:45:54
- 学園都市が最強の超能力者・一方通行は焦燥に満ちた思考で考察を続けていた。
全ての始まりはいつの間にやら渡されていたデイバック、その中に入っていた一枚の紙であった。
殺し合いの参加者が記載されたその紙は、一方通行から平常心を奪い取るには充分すぎた。
打ち止め(ラストオーダー)。
彼が命を賭けて守りたいと思う、大切な大切な少女。
その名が名簿に記されていた。
寸前までこの殺し合いを下らないとすら考えていた思考は、一瞬で沸騰し一種のパニック状態にまで陥る。
打ち止めが、今の自分同様に爆薬の詰まった首輪を装着され、こんな狂った殺し合いに参加させられている。
そう考えただけで一方通行は安直の選択肢を選び取りそうになっていた。
安直な選択肢―――すなわち、打ち止めを除いた参加者の排除。
第一位の能力をもってすれば余りに容易い、だが今の彼には到底選択できない行為。
『悪党』として戦い続けた一方通行は、その『悪党』という幻想さえも、とある男にぶち殺された。
その男は先の教室にて自分と同様に拘束されていた。
男は言った。
お前が決めろ、と。
傲慢だろうと何だろうが、お前自身が胸を張れるものを自分で選んでみろ、と。
男の言葉が一方通行の中で繰り返し響いていた。
自分は打ち止めを守りたい。
だが、その為に全ての参加者を惨殺するのか。
打ち止めのオリジナルたる存在・御坂美琴すらも殺害して、打ち止めを救出するのか。
それは正しいのか、どうなのか。
他に何か道はないのか。
自分はどうしたいのか。
木霊する男の声に押されるようにして、学園都市第一位の怪物は考える。
考えて、考えて、考えて―――そして、彼は聞いた。
『あ、あー、ゴホン。えー、えー、ちゃんと動いてるかな、コレ?』
市街地に響き渡る、その声を。
『えー、では……俺の名はヴァッシュ・ザ・スタンピード! お前らご存知のヒューマノイド・タイフーン様だ! 俺は今、D-8の市民館にいる!
この俺の首が欲しい奴、腕に自信がある奴は市民館に集まりやがれ! 相手になってやるぜ、ヒャッハー!!』
おそらくは、有事の際に緊急の放送やサイレンを鳴らす為に使用されるスピーカー。
市街地の各所に設置されたそれから溢れ出る、馬鹿の声。
頭のネジでもぶっ飛んじゃないかと思ってしまう、間の抜けた内容の放送であった。
(なンだァ、この放送は)
ポカンと口を開けた一方通行は、思わず放送の内容を大真面目に再考してしまう。
だが、結論は変わらず放送の主は馬鹿だという事で考察は終わる。
ヴァッシュ・ザ・スタンピード?
ヒューマノイド・タイフーン?
俺の首が欲しい奴、腕に自信がある奴は集まれ?
殺し合いという現状を理解しているのかと、問い掛けてしまいたくなる程だ。
ハァ、と一方通行の口から大きな溜め息が零れる。
「……もののついでだ、一瞬で終わらせてやるよ。ヒューマノイド・タイフーンよォ」
そして、一方通行は視線を前に向け、歩き始める。
一方通行の視線の先には、六階建て程の縦長の建物があった。
外界との仕切りとしてあるガラス戸の横には、木製の板に黒字で市民館と書かれた看板が一つ。
その建物は偶然にも、先程の放送者が語っていた市民館と呼ばれる建物であった。
別段、一方通行が開始位置から移動をした訳ではない。
開始位置の目と鼻の先に、その建物があったのだ。
- 104 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:46:38
- (打ち止めの害になりそうな奴はひとまず潰す。後の事はその後で考えりゃあ良い)
先までの苦悩の選択については結論を出さずに保留とする。
まずは危険人物の排除。それは結果として打ち止めを守護する事にも繋がる。
そう考えた一方通行は欠片の迷いも見せずに市街地へと踏み込んだ。
デイバックから取り出すは黒塗りの拳銃。
一方通行にも見覚えのあるその拳銃は、学園都市の裏にて共闘態勢にあった男が愛用していたもの。
一方通行は第一位の能力を使用せず、拳銃一つでヒューマノイド・タイフーンを撃退しようとしていた。
第一位の能力も使用可能ではあるものの、時間制限がある以上無駄遣いはできない。
何が起きるか、後に自分がどんな選択をするか、一方通行自身も分かっていないのが現状だ。
慎重すぎる事に不利益は生じない。
静寂が支配する室内にカツン、カツンと、現代風の杖と床とがぶつかり合う音が響く。
入って直ぐの所にあった案内板によると、放送室は三階にあるとの事。
一方通行は其処へ真っ直ぐに向かう。
上手くいけば放送真っ最中の奴と遭遇できるかもしれない。
そして、数分ばかりの歩行の末に、一方通行は放送室と看板が備えられた部屋へと辿り着いた。
僅かに開いた扉から顔を覗かせる一方通行。
そこには、放送だというのに身振り手振りを交えて演説をする馬鹿がいた。
ド派手な赤色のコートに身を包み、鮮やかな『黒色』の髪を左右に振って言葉を飛ばす男。
あれが先の放送者の正体らしい。
(どォやら、マジで頭の弱い奴みたいだな)
一人で盛り上がる放送者にそんな評価を下して、一方通行は扉の間から拳銃を突き出す。
銃口が狙う先には放送者の右脚。その脚部へと一方通行は拳銃を向けた。
冷静に、逡巡もせずに一方通行は引き金を引く。
オートマチックの拳銃はそれだけで撃鉄を起こし、構造内の銃弾を叩く。
弾丸が音速を越えて発射された。
「のわぁ!?」
だが、放送者―――ヴァッシュ・ザ・スタンピードと名乗っていた男は、情けない声を出しながらもその弾丸を回避せしめた。
弾丸はそのまま直進し、放送機器にめり込み小さな火花を散らせた。
三下と断じていた男が見せた予想外の回避に、一方通行の眉が上がる。
「お、思ったよりも来るのが早いね。と、えーと……ゴホン、不意打ちとはなかなか味な真似を。だが、その程度でこのヒューマノイドタイフーンが打ち取れると思ったか!
って、タイムタイム! 決めゼリフを言ってる時は攻撃しないお約束では!?」
仰々しく言葉を吐くヴァッシュに構わず、一方通行は続けて拳銃を連射する。
演技くさい態度は何処へやら、涙目で狭い放送室内を逃げ回るヴァッシュ・ザ・スタンピード。
五発ほど放たれた弾丸は、それでもやはりヴァッシュの身体に命中する事はなかった。
硝煙漂わせる拳銃を片手に一方通行はヴァッシュを睨む。
その眉は怪訝に歪んでいた。
「……てめェ、何のつもりだ」
思わず一方通行は問い詰める。
この至近距離から銃弾を回避せしめた反射神経、狭い室内で弾丸を避けきった身のこなし、後方からの不意打ちにすら反応した察知力。
その情けない振る舞いに反して男の対応は異常と評するに値するものであった。
だが、だからこそ、一方通行は疑問に思う。
何故、この男は欠片の戦意すら持たないのか。
あれだけの身のこなしだ。杖付きの男など、拳銃を持っていようと楽に撃退できるだけの実力はあるだろう。
しかし、眼前のヴァッシュという男は反撃に移ろうとすらしなかった。
わざわざあんな放送を垂れ流して参加者を呼び寄せたにも関わらず、その行動には戦意すら見えない。
意図が読めなかった。
何故、コイツはあんな放送をしてまで参加者を呼び出し、そのくせ戦おうとしないのか。
参加者の集結が目的?
それはない。あんな放送を聞いて集まるのは血気盛んな危険人物か、余程の世話好きだけだ。
参加者を集める事が目的ならば、他の手段を選択した方がマシだ。
それにあの放送を聞けば、集結した参加者の殆どがヴァッシュを危険な人物だと思うだろう。
まさに自分がそうだったのだ。
殺し合いに乗った参加者は当然として、危険人物を排除していこうと行動する世話好きすら、敵に回す。
そんな事をして、コイツに何のメリットがあるのか。
自殺願望でも持っているのではないかと、考えてしまう程だ。
- 105 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:47:29
-
「答えろ」
一方通行の言葉にヴァッシュは薄ら笑みを浮かべていたが、誤魔化しきれないと分かると同時に笑みを引っ込めた。
変わりに観念したという様子で両手を上げ、話を始める。
飄々とした振る舞いで、飄々とした口調で、ヴァッシュは一方通行へと語り掛ける。
「うーん、そこまで深く考えてた訳でもないんだけどね。ちょっと参加者の方々を集めたかったんだよ」
ヴァッシュの返答に一方通行の眉が吊り上がる。
その動機は自分も考察した。だが明らかに効率的ではない。
「なら、あの放送の内容はなんなんだ。あれじゃあ、てめェの命狙うバカしか集まんねェぞ」
そう言う一方通行は、やはり眼前の男の真意を計れずにいた。
先程思った通り本当に頭の足りないバカなのか、それとも―――と、疑惑がよぎる。
まさか、という予感が一方通行の脳裏をよぎっていた。
「ま、そうだろうね」
「……てめェは自殺志願者か何かか? そんな真似してどォなるっつうんだ」
「いや、俺が危ない人達集めて逃げ回ってれば周りの人も少しは安全になるかなーって思ってさ」
ヴァッシュの返答に一方通行は今度こそ訳が分からなくなる。
この男は何を言ってるのだ。全くもって理解できない。
自分を餌に危険人物を引き付ける?
危険人物に追われる自分はどうするつもりだ?
「…………ハァ……?」
「もしかしたら俺が逃げ回ってる間に誰かが首輪の解除法を判明させるかもしれないじゃん。そうすれば殺し合いをする理由も無くなるんだしさ。こんな怖い殺し合いなんてしなくて済むでしょ」
思わず零れた素っ頓狂な声にヴァッシュは尚も理解不能な言葉を返す。
思わず一方通行は頭を抱える。
首輪の解除を見ず知らずの他人に任せて、自分は危険人物達から逃げ回る?
首輪が解除できたら万々歳。なら、解除が出来なかったらどうするつもりなのか。
タイムリミットの72時間まで逃げ続けて、それで首輪を爆発されて死ぬのか?
他人に全ての運命を任せて、自分は命懸けの鬼ごっこを行うつもりだったというのか。
訳が分からない。
コイツは一体なんなのだ。
「それに―――」
と、愕然の一方通行へヴァッシュが更なる声を掛けようとした瞬間、事態が変わる。
放送室の壁が唐突に六つばかりに割れて、細切れの瓦礫となって崩れ落ちる。
そこから三人目の登場人物が乱入をしてきた。
- 106 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:48:26
- ◇
その時、佐倉杏子は放送室の隣室に身を置いていた。
そこは物置のような倉庫で、杏子は扉の側に胡座を欠いて座り込む。
右手に持った菓子パンをかじりながら、扉から聞こえてくる声に耳を傾けていた。
直前まで聞こえていた放送は、何発かの銃声の後に途切れてしまった。
だが、乱入者(おそらくは襲撃者でもあるのだろう)が放送室の扉を開けてくれたお蔭で、防音の筈の部屋から会話を聞く事ができる。
襲撃者とヴァッシュという男は何かを話していた。
あれだけの銃撃から生存したという事は悪運が強いのか、それとも単純にそれだけの実力者なのか、はたまた襲撃者が素人だったのか。
杏子には判断が付かないが、襲撃者が戦闘する気を無くしたというのは確かなようだ。
余りに乱暴な登場をした襲撃者も、今は大人しくヴァッシュと会話を行っている。
(何だよ、勢い良く入ってきた割には甘い奴だな)
襲撃者に対してそんな感想を抱きながら、杏子は菓子パンをかじった。
佐倉杏子は迷っていた。
突然始まった殺し合い、首輪にて命を握られてる現状。
自分は生き残る為に殺し合いに乗るべきなのか、否か。
心の大半は他者を蹴落とし生き残れと叫んでいる。
でも、心の片隅に残った良心は愛と勇気が勝つハッピーな物語を描けと言っている。
どちらが自分の本心なのかは、杏子にも分かっていた。
だが、素直にその道を選択する事ができない。
彼女はある結末の末にこの殺し合いの場へと辿り着いたからだ。
愛と勇気が勝つ物語を描こうとして、結局は絶望に満ち満ちた結末を迎えた、その記憶。
杏子はしっかりと覚えていた。
あの時の失意を、あの時の諦念を、あの時の絶望を、しっかりと覚えている。
だから、杏子は安直に自身の道を選択する事ができないでいた。
居るのが分かっている参加者とも接触せず、隣室の薄暗い部屋で一人様子を伺っていた。
「……てめェは自殺志願者か何かか? そんな真似してどォなるっつうんだ」
襲撃者の声が聞こえてくる。
あの放送の目的が何だったのか、ヴァッシュへと問い質してるようだ。
杏子も襲撃者と同じ疑問を感じていた。
周囲に自分の存在を知らせて、挑発とも恫喝とも取れる放送を流す。
放送の主であるヴァッシュにメリットがあるようには思えなかった。
「いや俺が危ない人達集めて逃げ回ってれば、周りの人も少しは安全になるかなーって思ってさ」
「…………ハァ……?」
(…………はあ……?)
続く言葉に杏子は襲撃者とまるで同じ言葉を胸中で零していた。
くわえていた菓子パンが床へと転げ落ちる。
杏子はズイと扉に耳を寄せ、ヴァッシュの言葉が良く聞こえるようにした。
更に聞こえてきた言葉はとんでもないものであった。
「もしかしたら俺が逃げ回ってる間に誰かが首輪の解除法を判明させるかもしれないじゃん。そうすれば殺し合いをする理由も無くなるんだしさ。こんな怖い殺し合いなんてしなくて済むでしょ」
聞いて、ああコイツは馬鹿なんだと、断定する。
この脳内お花畑野郎は何も分かっちゃいない。
他人の為に動くなんて、馬鹿のする事だ。
ましてや命懸けで害敵を引きつけて周囲の安全を確保するなんて、狂気の沙汰。
世の中というものを何も理解していない、まるで子どもの戯言のように中身の無い行動だ。
人生は自分だけのもの。
自分の為に生きて自業自得で全てを終わらせれば良い。
佐倉杏子は他人の為に『力』を振るった結末を、その無残で残酷な結末を、経験し知っている。
だから無性に腹が立った。
何時ぞやの新米魔法少女をも遥かに上回る利他的な思考に、憤りを感じる。
憤りに任せて、杏子は魔法少女へと変身した。
身体の調子に問題はない。
ソウルジェムも全くの穢れの無い状態へと戻っている。
寸前までは瀕死の重体だった筈だが、これもあの兵藤とやらが何かを施したのだろう。
手に馴染んだ多節槍を構え、暗闇の中で放送室と物置とを隔絶させる壁を睨む。
スウ、と小さく息を吸い、杏子は得物を振るった。
防音作用が備わった壁が、まるでケーキか何かのように切り裂かれる。
崩れ落ちる壁の間から杏子は獲物たる男を見つけ出した。
放送機器の直ぐ側に立つ男。こいつがおそらくヴァッシュ・ザ・スタンピード。
標的の発見に、杏子は口角を獰猛に吊り上げて床を蹴った。
- 107 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:50:24
- ◇
落下する瓦礫の合間から飛び出したのは、フリルの付いたファンシーなドレスに身を包んだ少女であった。
少女は髪の毛からブーツまで赤色で、ド派手の一言。
少女の手中には、身の丈と同等の長槍があった。
壁を細断したのはあの長槍なのだろう。かなりの切れ味を有しているように見える。
赤色の少女は一方通行に見向きもせず、同様の赤色で全身を染めたヴァッシュへと突っ込んでいく。
その動作は相当なもの。
『肉体強化』のレベル4程度の能力者だろうかと考えながら、一方通行は赤色の少女へと銃口を向ける。
ヴァッシュを助ける為にではない。少女が自分の方へと転進してきた際に対処する為だ。
一方通行は冷淡の瞳で変転する場を見つめていた。
アホのような絵空事を口にした男がこの突然の窮地にどう対処するのか、それを一方通行は見極めたかったのだ。
そして、そんな一方通行の視界の中で、一方的な勝負は開始された。
瞬く間に距離を詰め、手中の長槍を躊躇いなく振るう少女。
振るわれた長槍が柄を幾数にも分裂させる。
鎖により一繋ぎにされたそれは、言うなれば多節槍と呼ぶに相応しい武器であった。
少女の手の動きに合わせて鎖が動き、ヴァッシュの前方を覆い尽くす。
点ではなく面単位で殺到する鎖の壁に、さしもの一方通行も打つ手は無いかと予想した。
レベル4相当の『肉体強化』に加えて、多節棍という見慣れぬ武器を完全に使いこなす技量。
能力を使用せねば自分も手を焼くだろうと、一方通行は分析していた。
そんな敵を前に、ヴァッシュは軽い調子で動いた。
鎖の壁が直撃する寸前で、一歩だけ横に歩く。
ただ、それだけ。
ただそれだけで、ヴァッシュは幾重にもなって迫る鎖の全てを回避した。
銃弾を受けて火花を散らしていた放送機器が、鎖の一撃に今度こそ沈黙する。
ヴァッシュの近くにあった床や壁が、鎖の乱舞に破砕されていく。
少女の攻撃は一瞬で放送室を破壊し、だが標的の男は破壊の最中で無傷であった。
「なっ……!?」
少女とヴァッシュの視線がぶつかる。
少女は明確な驚きを表情に宿して、ヴァッシュは完全な余裕を表情に宿して、対面した。
静寂が場を占める。
少女が驚愕から回復し、武器を振るったのはその一瞬後であった。
多節を連結させて一本の長槍へと戻し、横薙ぎに振るう。
その横薙ぎもまた高速の一撃。
あまりの速度に穂先が欠き消え、狭い室内に烈風を巻き起こす。
だが、ヴァッシュのを捉えるには至らない。
上体を沈みこませてその一撃を易々と回避したヴァッシュは少女の後方へと回り込み、羽交い締めにして地面へと組み伏せる。
悪態を付いてもがく少女だったが、ヴァッシュの固めはビクともしなかった。
「―――それに、君みたいな悪い人を倒そうって人も集まるかと思ってね」
会話の続きを一方通行へと飛ばしながら、ヴァッシュはにこりと微笑んだ。
勝負は本当に、一方的に終了した。
「……そォかよ」
拳銃をズボンと腰の間へと差し込みながら、一方通行は気だるげに頭を掻いた。
眼前の男が何者なのか、結局のところ一方通行は理解できなかった。
ただ何となく気付いた。
コイツは『善人』なんだと。
「ちっ、何なんだよ、お前……」
「何てことはないよ。ただのガンマンさ」
組み伏せられた少女が、悔し紛れに悪態を吐く。
そんな少女へと笑顔を向けてヴァッシュが返す。
ヴァッシュは襲撃してきた少女を殺害しようとしない。
自分が襲撃した際など戦おうとすらしなかった。
自分の命を狙った相手であれど決して殺害しようとしない。
悪人だろうがなんだろうが、全てを救おうとする姿勢。
一方通行はそんな男の姿を知っている。
その男とヴァッシュの姿が僅かに重なって見えた。
少しの間一方通行は、少女とヴァッシュを見つめていた。
そして、視線を逸らし、二人に背を向けて歩き出す。
- 108 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:51:51
- 「行っちゃうのかい?」
「……あァ、探し出さなくちゃいけねェ奴がいる」
「なら、俺も探すよ。一人より二人、二人より三人だ」
「おい。もしかしてそれアタシも頭数に入ってないか?」
「あ、バレた?」
「ふざけんな!」
「……必要ねェよ。お前はお前でやる事をやれ」
背中へ投げられる言葉を振り向かずに聞き、振り向かずに返答する。
一方通行の心に巣喰っていた迷いは、既に何処かへと消えていた。
「そっか。あ、でも名前くらいは教えてくれても良いんじゃない? 探し人と、君のさ」
「……俺は一方通行。探してンのは打ち止め(ラストオーダー)っつうチビのクソガキだ」
「OK。見掛けたら君の事を伝えとくよ。アクセラレータ」
ヴァッシュの言葉に一方通行は無言で答え、今度こそ二人の前から立ち去った。
場に残されるのはヴァッシュと、ヴァッシュに組み伏せられている少女―――佐倉杏子のみ。
立ち去った一方通行を見詰めるヴァッシュを、杏子は首を回して観察する。
正直、何が起きたのかも分からなかった。
気付けば男の姿が視界から消え、羽交い締めにされていた。
幾ら暴れどうんともすんとも言わない。
魔法少女として遥かに上昇した身体能力をもってしても、まるで動く事ができない。
これは敗北だった。
紛れもない敗北。
どんな強力な魔女が相手でも此処まで一方的に負けた事はない。
「どう、落ち着いた?」
「こんな状態で落ち着くもクソもねぇだろ。早くどきなよ」
「ヤダ。どいたら襲い掛かってきそうだし」
完全に抑え込まれた状態で、やはり杏子は苛立ちを覚える。
その軽薄な態度からは想像もできないような実力者。だが、甘ちゃんで夢見がちな希望を追い求めるいけ好かない男。
「こんな時なんだからさ。少しは親睦を深めようよ。ツンツンしてても辛いだけだって」
ムカつく、と杏子は正直に感じた。
自らの安全も考えず、危険人物を呼び寄せてそれを一手に引き受けようとした男。
滅私の行為をまるで躊躇いなく選択した男。
本気で戦闘を仕掛けた自分に対して、何事もなかったかのように語り掛けてくる男。
まるで聖人君子を気取っているかのような行動に、杏子は苛立ちを覚える。
「アンタ、うざいよ」
「わお辛辣。ま、よろしくね。槍使いさん」
「……何だよ、よろしくって」
ヴァッシュの言葉に杏子は嫌な予感を感じた。
この馬鹿が、また何か馬鹿な事を言い出しそうな、そんな予感。
「え? 一緒に行動しようかと思ったんだけど」
ヴァッシュは逆に『何でそんな当たり前の事を聞くの?』といった風で杏子へと返答する。
「はあ? ふざけんな、アタシはアンタを襲ったんだぞ! 何でそんな奴と行動しようとすんだよ!」
ヴァッシュの答えに、思わず杏子は大声を上げていた。
「だって君をほっとく訳にもいかないじゃん。何だかんだで君も悪い子には見えないしさ、一緒に行動しようよ」
頭が痛くなる。
この馬鹿は何処までお人好しなんだ。
襲撃をしてきた当人さえとも手を組もうとする考えの無さ。
どれだけお気楽な人生を送ればこんな能天気になれるのか、本気で杏子は知りたくなった。
「俺はヴァッシュ。ヴァッシュ・ザ・スタンピードだ。君は?」
何処までもマイペースにお人好しを貫くヴァッシュへと、杏子は無言を貫いた。
その様子に、ヴァッシュは苦笑と共に肩をすくめ、そして唐突に杏子の拘束を解く。
戸惑う杏子の正面へ回り込んで、右手を差し出した。
- 109 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:52:42
- 「……アンタ、やっぱりうざいよ」
「つれないねえ」
駄々をこねる子どもを見るかのような暖かい表情に、杏子の苛立ちは増加していった。
差し出された右手を完全に無視して、杏子は大きく溜め息を吐く。
面倒な奴に捕まってしまったという思いが、知らずの内に溜め息となっていた。
ヴァッシュへと背中を向け、だが逃げられないだろう事を察知して、床に胡座をかく。
デイバックから菓子パンを取り出し、苛立たしげにかじりつく。
そんな杏子にヴァッシュは再び肩をすくめて、次いでその隣へと座り込む。
両足をのびのびと伸ばして座り、右手をデイバックへと突っ込む。
数秒後、取りだされたのは一本のホットドッグであった。
「お腹減ってるなら、これも食べる?」
そう言い差し出された右手を杏子は視界の端で捉える。
湯気立つホットドッグ。
とある科学都市の露店にて売られていたそれは、値段は張るがそれに見合うだけの味があり、学生にも定評がある。
鼻孔をくすぐる香りのみでも、空腹の魔法少女を注目させるには充分だった。
数秒の逡巡の末に、杏子はホットドッグを無言で奪い取る。
ヴァッシュも惚れ惚れするようなハンドスピードに俊敏性であった。
ヴァッシュは苦笑を浮かべながら、杏子を見詰める。
「……うめぇ」
「そうかい。そりゃ何よりだ」
魔法少女・佐倉杏子は、ヴァッシュをただの世間知らずの脳内花畑野郎と断定した。
杏子は知る由もないだろうが、その断定はまるで間違っていた。
ヴァッシュは誰よりも知っている。
人間の醜悪さを、人間の残虐性を、人間の利己的な思考を、誰よりも深く理解している。
知り、理解し、それでも彼は自身の信念を曲げなかったのだ。
荒廃の砂の惑星を歩き続け、人類と人外の種との間に存在した大きな溝を繋いでいった男。
それが、ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
最強のガンマンにして、一世紀半にも及ぶ因縁に終結をもたらした男である。
魔法少女は知るだろう。
横に座る男の内面を、陽気な外面の内に潜むほの暗い虚を、この殺し合いを通して知っていくだろう。
それは何処までも他人を思う男の、だが言ってしまえばそれしか知らない男の、悲しき生き様。
そんな生き様を垣間見た時、魔法少女は何を思うのか。
「ねえ、名前は」
「教えるかよ、箒頭」
赤色の男と赤色の少女が並んで座り込む。
殺し合いの場で、時間は緩やかに流れていく。
二人のバトルロワイアルが、始まった。
【一日目/深夜/D-8・市街地・市民館】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]健康、黒髪化
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:殺し合いを止める。誰も死なせない
1:眼前の少女と行動。ひとまず市民館に集まってきた参加者に対処する
2:打ち止めを探し、一方通行のことを知らせる
[備考]
※原作終了後から参加しています
※参加者名簿を確認していません
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、魔法少女状態
[装備]ソウルジェム(穢れ無し)、杏子の多節槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:殺し合いに乗る? 乗らない?
1:ヴァッシュがウザい。マジでウザい。
[備考]
※オクタヴィア戦・自爆の直前から参加しています
- 110 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:53:13
- ◇
学園都市が誇る怪物が夜の市街地を闊歩する。
ある一人の少女を救う為、ただそれだけの為に不格好な歩みを進める。
彼は既に決心していた。
自分はあの胸糞悪いじじいの言いなりにはならない。
殺し合いになど乗らずに、打ち止めを救ってみせる。
そう、決心していた。
其処に大きな理由はない。
ただ、何となく大丈夫だと感じていた。
最初の教室にて見掛けた『ヒーロー』。
自分を二度も打ち破り、その度に大きな切っ掛けを作り出してくれた男。
そして、先程の『善人』。
無謀な選択を無謀と思わずに、迷いなく行動できる男。
この場には『善人』が、『ヒーロー』がいる。
ならば、絶望なんてしなくても良いのかもしれない。
一万人の妹達を救い出した『ヒーロー』ならば、あれだけの行動を当然のように行える『善人』ならば、この殺し合いをぶち壊す事だってできるのかもしれない。
(奴らがどう動くかは分からねェし、俺には関係のない事だ。俺は、俺のやるべき事をする)
一方通行は邪悪な笑みを浮かべて夜空を見上げる。
真ん丸の満月が空には浮かんでいた。
何処かでこの殺し合いを観戦しているであろう兵藤へと警告を飛ばしながら、一方通行が道を進む。
その胸中には、理由も無い自信で溢れていた。
科学の生み出した怪物が、ただ一人の少女を救う為だけに、バトルロワイアルへと参戦する。
【一日目/深夜/D-8・市街地】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]一方通行の杖@とある魔術の禁書目録
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:打ち止めを探し、守る。
1:周辺を探索し、打ち止めを探す
[備考]
※原作22巻終了後から参加しています
◇
誰かが言った。
希望と絶望は差し引きゼロで成り立っていると。
一方通行は上条当麻とヴァッシュ・ザ・スタンピードという存在に希望を見て、己の行く道を選択した。
だが、この希望は果たして真実なのか。
この希望は一方通行の願望が作り出した幻想ではないのか。
この希望の果てには―――同等の絶望が待ち受けているのではないか。
希望。
それは、絶望と相反の位置に存在する一つの概念。
それは、人を惑わす魔法の言葉。
希望の末に待ち受ける未来は如何なるものか。
それは学園都市最強の怪物にも、希望を追い求めた魔法少女にも、人と人外の種とを繋いだガンマンにも、分からない。
混沌の殺戮劇は粛々と続いていく。
- 111 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/21(火) 22:53:44
- これにて投下終了。
タイトルは『希望』です
- 112 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/22(水) 02:26:08
- 執筆したくなったので
アニメロワ第16話:底より深い底
登場:一方通行、鹿目まどか、篠ノ之箒
- 113 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/22(水) 02:39:30
- 「ーーーーーはァン。じゃあオマエは夢と希望の魔法少女だったってのかァ」
一方通行は鹿目まどかと情報をーーー『互いの』情報を交換していた。一方通行はまどかから、自分がすべての魔法少女を消し去る『概念』となった、という話を聞かされた。
非科学方面には弱い一方通行でさえも、概念になるということはつまり、『限りなく神に近い存在』に昇華することだとは理解できた。
が、解せない。
もしもまどかの語る『ワルプルギスの夜』なる災害レベルの魔女が訪れたとしたら、『外』の世界だからとはいえ、学園都市の技術を借りない筈がない。
学園都市とその外とでは、技術の差は数十年単位とまで言われている。あの戦争の際にも、訓練を積んだロシア兵を学園都市は技術のみで圧倒していた。
一方通行自身も、戦略兵器としてフランスの地に投下されたことがある。
そのくらい、学園都市は飛び抜けているのだ。
そして、この段階で一方通行の脳裏にはとある仮説がよぎっていた。
それは、まどかに自分の情報を語った際の反応で、『確実』へと変わる。
『あの…学園都市って、何ですか?』
仮に。
もし仮に、箱入りで育てられたお嬢様が居たとしよう。
- 114 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/22(水) 02:54:17
- そういう奴等の親は、必ず学園都市に子供を入学させる。
少なくとも『外』からは、治安のかなりいい町と思われているらしいから。
その学園都市を知らないのは、もはや生きている世界が根本的に違うとしか考えられないのだ。普通の科学者なら一笑に伏すレベルの話だが。
学園最強の怪物は、誰よりも歪んだ研究に触れてきたのだから分かる。
現に一部の物好きな科学者たちは、本当に複数世界は存在するかどうか日夜議論を重ね続けているらしい。
荒耶宗蓮。
奴の肉体からは、『同僚』の肉体に近付くと感じる圧迫感を感じ取った。
それも一方通行の同僚とは段違いの。
奴は得体の知れない力で、異なる世界をひとつに束ねた。
そして、この殺し合いが始まったのだ。恐らくは娯楽性ーーーーー違う変化を辿ってきた世界を殺し合わせれば誰が強いのか、という簡易な娯楽。
「でェ…さっきからこっちをジロジロ見てやがる意地汚ねェハイエナさンはどこのどいつなンでしょォかァ?」
バン!バン!
銃声が連続した。襲撃者は一瞬驚く素振りを見せながらも、実際にはしっかり急所の頭を狙ってきた。
弾丸のベクトルが反射され、篠ノ之箒の腹に穴が開く
- 115 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/22(水) 03:08:42
- 通常より上乗せされた速度は、一撃で箒の腹から腸をあふれさせる。
・・
「鹿目ェッ!俺はコイツとお話してから行く。ちょっと待ってろ」
にやり、と一方通行の口元が裂けるように微笑みの形を作る。
すとんっ
「ぎゃあああああああああああああああああっ!?」
右手の指が、四本欠損していた。しかし、一方通行に気流のベクトル変換で拘束されているため、暴れることも出来はしない。
後は虐殺だった。
箒は、明らかに鹿目まどかのみに銃口を向けていた。あえて弱者に見えるまどかを狙う姑息で卑怯なやり方が気に入らなかった。
まず、腸を思い切り踏みつぶす。
「ゲッ…@#E$%TY%TRーーーーッ!」
大便が溢れだし、更には肛門からも脱糞していた。
失禁もしている。
「速く楽になりたきゃァ答えるこった。オマエは何のために戦った」
「い…いぢが……おりむら、いぢがのだめに、だだがいましだぁ」
そうか、と一方通行は言う。
「……オリムライチカなる奴は必ず助けてやる。だがオマエは許さねェ」
箒の顔に軽い蹴りを入れる。しかし、それでも処置歯などが折れるくらいの威力だ。
- 116 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/22(水) 03:17:05
- 「最後はァ…お靴をナメナメしながら死んでもらおォか」
靴を翳す。
「ひゃ…ひゃい…ありがとう…ございましゅぅ…こんなに汚い、私に、早く、ひゃやくぅぅうううう………げぎゃあああああああああっ!あ、あ、ひゃっと、わたひ、解放しゃれ、るのだな、ギビィッ」
箒の脳は跡形もなく四散していた。
靴を最後まで嘗めさせながら、顔を踏みつぶした。
◆
「待たせちまったなァ…アイツにはアイツでやることがあンだとよォ」
そのまま、嘘を吐いた。
【篠ノ之箒@IS】 死亡
【残り24/30人】
投下完了。またもや表はありません
- 117 : ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:10:18
- 投下します。
ごちゃ混ぜロワ 26:何かが足りないパンドラの箱
登場人物:広瀬康一、源静香
- 118 :何かが足りないパンドラの箱 ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:11:18
- かつて、ゼウスはパンドラという女性を作った。
人間に火をもたらした罰として送り込まれたともいえるパンドラに、神々は様々なものを与えた。
アフロディーテからは美しさを。
アポロンからは音楽と癒しの力を。
そしてゼウスからは好奇心を。
その好奇心から、決して開けてはいけないと言われていた黄金の箱は開かれてしまった。
そして、開かれた箱から出てきたものは――
病気、嫉妬、盗み、憎しみ、悪だくみ――そう、『災厄』。
ありとあらゆる災厄が人の世を覆い尽くした。
開かれた箱を閉じようとした瞬間、声が響いた。
「私も出して下さい、私は『希望』です……」
それから、人はどんな災厄が起きても希望をもつようになったのだった……
- 119 :何かが足りないパンドラの箱 ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:12:00
-
広瀬康一はこの殺し合いに放り込まれ途方に暮れていた。
彼にはこの殺し合いに乗るなんて事は出来なかった。
しかしだからと言ってどうする事も出来なかった。
当然ながら、彼は人を殺した事は無い。
それどころか、命の危険を覚えたような事すら経験していない……
尤も、彼はこの殺し合いに巻き込まれなければ、地元の町を舞台にした奇妙な事件に巻き込まれる運命なのだが。
康一は、行くあてもなく歩きだす。
ただ、誰にも会わないでくれと切に願っていた。
額から脂汗がじわじわと溢れ出る。
眼を閉じれば先ほどの惨劇――女性の首が吹き飛ばされた、あの光景が目に浮かび更に脂汗が浮かぶ。
怖い。
ただ、純粋に怖い。
その恐怖はどんどん膨れ上がり、康一の心を圧し潰さんと迫りくる。
それから逃げるように、康一は歩を進めていた。
そして、出会ってしまった。
地面にへたり込み、さめざめと泣いている小学生くらいに見える女の子に。
- 120 :何かが足りないパンドラの箱 ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:12:57
-
康一は、怯えていたとはいえ芯の強い少年だった。
確かに恐怖心はあった。
だがそれ以上に、目の前の女の子を放ってはおけない、そう思っていた。
「あ、あの、君。」
「すん……すん……」
目の前の女の子は顔を手のひらで覆うようにして泣いていた。
これでは名前を聞く事はおろか、その女の子の顔を拝むことすらできない。
どうしたらいいのだろうか。
「あ、あの…僕は殺し合いになんかのってないよ。」
「…本当?」
しゃくりあげる音が一瞬止まり、か細い声が聞こえてきた。
「本当だよ、僕は殺し合いに乗って無い…本当だよ。」
「……本当、なの?」
「勿論だよ。」
泣いていた女の子は泣きやむと、そっと康一の顔を見つめた。
その可憐な顔に、康一は思わず頬が染まる。
「…あなた、本当に乗ってない?」
「ああ。」
「…そう。」
「とにかくここにずっといたら危ない、ひとまず学校かどこかに」
ぱあん、と軽い、あまりにも軽い音が響いた。
それとほぼ同時に、康一の眉間に紅い孔が開き、血が溢れる。
力を失った脚が膝からがくりと折れ、先程まで広瀬康一『だった』――今は物言わぬ躯が血に倒れ伏した。
それが、広瀬康一という一人の少年の最期だった。
- 121 :何かが足りないパンドラの箱 ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:13:51
-
「…バカな人。」
先程自らが殺した少年の死体を前にして、源静香はぽつりとつぶやいた。
その表情は、先ほどまで泣いていたとはとても思えないほどに冷酷で、吐き気を催す邪悪を秘めていた。
先程までの涙は、欺くためのもの。
自分でも怖くなるぐらい、『作戦』は成功した。
とはいえ小学生(あくまでも表の顔、ではあるが)の彼女にできることなど高が知れている。
この殺し合いの場にいるのは、人種や恐らくは世界観すら違うものが多くいる、と静香はあの大広間で確信していた。
そこで、彼女は一つの作戦を考えた。
彼女――源静香の『作戦』、それは単純に言ってしまえば乗る気のない参加者をだまし、殺す事。
彼女は康一に出会う前に、彼の姿を確認していた。
静香から見た彼の姿――呆然と立ち尽くし、脂汗を滲ませているだけのその姿は、はっきりいって使えるとは思えない。
それでいて見ず知らずの自分に軽々しく声をかけてきたその不用心さ。
彼はとてもこの殺し合いに生き残れない、そう静香は判断した。
だから、こっそり隠し持っていたデリンジャーの引き金を引いた……
- 122 :何かが足りないパンドラの箱 ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:14:41
-
これは、殺した静香はおろか殺された康一本人にすら知らない事なのだが……
この殺し合いの場に、山岸由花子という女がいる。
彼女は広瀬康一の事を愛している――それも傍から見れば異常とみられるほどに。
非常に身勝手でキレやすく、思い込みの激しい性格ながらその性格をそのままに苛烈に、純粋に彼女は康一の事を愛している。
もし、そんな彼女が「康一が殺された」なんて事実を突き付けたらどうなるであろうか?
彼女は泣くだろう、それも激しく。
彼女は怒るだろう、それも激しく。
彼女は狂うだろう、それも激しく。
そして彼女は壊すだろう、何もかもを、激しく。
そうなるであろう事を、殺した静香はおろか、殺された康一も夢にも思わない。
箱は、開かれた。
開かれたその箱からは、無限とも言えるだけの災厄が津波のように押し寄せるだろう。
だが、その箱の中には、パンドラの箱のように『希望』は一切入っていない。
【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
- 123 :何かが足りないパンドラの箱 ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:15:29
-
【C−4住宅街/1日目朝】
【源静香@ドラえもん のび太のBIOHAZARD】
[状態]:健康
[装備]:ハイスタンダード・デリンジャー@BATTLE ROYALE
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、康一の支給品一式(アイテム未確認)
[思考]1:殺し合いに乗る、出来る限り自分の手は汚さないようにするが殺すことにためらいはない。
2:利用できそうな人は利用する。
3:出木杉と合流する…?
[備考]:研究所でのび太に正体を明かす前からの参戦。
[備考]:広瀬康一の参戦時期は四部開始直後、承太郎と出会う前からの参戦でした。
【支給品情報】
【ハイスタンダード・デリンジャー@BATTLE ROYALE】
源静香に支給。
原作では月岡彰に支給された。
非常に小さく、重量も軽いため奇襲や暗殺にもってこいだが、その小ささゆえに撃ち合いには向かない。また、装填できる弾数も2発と少ない。
- 124 : ◆YR7i2glCpA:2011/06/22(水) 20:16:00
- 投下終了です
- 125 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/22(水) 20:30:52
- 投下します
タイトル:確率論なんか無視して
- 126 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/22(水) 20:31:22
- 「うう…くそっ、まだちょっと痛むな」
変な男から青白い光弾をぶつけられ、今まで気絶していた。
…気絶している間に襲われなくて良かった。
気絶して倒れている所なんて無防備だし。
そんな状態で殺された、なんて事になったら死んでも死に切れない。
「…MP5も奪われてない。運がいいな」
しかし運が良かったのはここまで。
すぐに自分の運の無さを呪うことになる。
「…うわ、壊れてる…。」
引き金を引いても弾が出ない。
どうやら弾切れではなく、内部機構の異常のようだ。
構造が良く分かっていたなら、修理出来る。
だが、自分にはそんな知識も無いし技術も無い。
つまり、1回壊れてしまえば終わり(改めて言う事でもないが)。
とにかく、銃が壊れたことは変えようの無い事実。
(爪や格闘で戦えない訳じゃないが、流石にそれだけじゃキツい。銃を何とか入手したい所だが)
壊れたMP5を放り投げ、どこに向かおうか思案を巡らせる。
デイパックから端末を取り出し、地図を呼びだす。
近くにある施設は…ホテルか病院。
(どっちも誰かいるはずだな。先に病院に行ってみるか…)
ここで、もう1度不幸が◆ymCx/I3enUを襲うことになる。
ホテル側の森から、大柄の男がこっちに向かって歩いて来ている。
顔は潰れ、その上から釘が打ってある。
(うわ…何だあいつ…)
「お前も、こうなりたいのか?してやろうか?」
釘だらけの顔を指差し、ドスの聞いた声でこっちに呼びかけてくる。
体格からして差が大きい。
それにあいつが握っているノコギリ。
下手に近づけば、アレで切りつけられるのだろう。
とっさにMP5を構えようとするが…無い。
- 127 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/22(水) 20:31:59
- 「そうだ、さっき壊れたんだ…!」
さっき壊れた事を思い出し、急に恐怖心に駆られる。
心拍数が上がり、呼吸も早くなる。
こんな化け物を前にして、恐怖しない奴はいるんだろうか?
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
とにかく、今は逃げるのが先決だ。
「クソっ…」
自分の運の無さを呪い、病院目指して逃げ出した。
【一日目/朝/D-5】
【◆ymCx/I3enU@非リレー書き手】
[状態]:健康、人狼化
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、MP5マガジン×1
[思考・行動]
基本:とりあえず、ゲームに乗る。
1:あの化け物から逃げる。今はそうするしかない
2:病院へ向かう。
【一日目/朝/D-6】
【ノコギリ男@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ノコギリ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:(不明)
1:(不明)
- 128 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/22(水) 20:32:31
- 投下終了です
- 129 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/22(水) 22:49:33
- 投下乙です。俺死ぬのかやばいな、生き残って…くれ…
自分も投下。俺得5th 16話 桃源郷にグッドバイしたのならば
登場:沖田総悟、ノーチラス
- 130 :桃源郷にグッドバイしたのならば ◆ymCx/I3enU:2011/06/22(水) 22:50:38
- 16話 桃源郷にグッドバイしたのならば
「成程なァ。お前は前にも殺し合いをさせられて、一度死んだはずだと……。
おーいタウンページ持ってきてー精神科の番号調べ無いと」
「俺は正気だ! …まあ、信じられないのは分かるけど」
劇場の座席部分で、茶色の毛皮の狼獣人の少年ノーチラスと、
黒い制服姿の少年沖田総悟が会話をしていた。
「以前にも殺し合いをさせられ一度死んだ」と言うノーチラスの話を総悟は半信半疑で聞く。
「要約すると女襲おうとして死んだって事だろ?」
「人聞き悪い事言うな! い、いや、結果的にはそうなっちゃったけれど!
これでも途中まで頑張って殺し合い止めようとしてたんだよ?」
「ふーん……まァ良いや……それじゃあ、今回のこの殺し合い、
頑張って潰すとしましょうや。ノーチラス君」
「……ああ、勿論だ、総悟……今度は、前みたいな無様な死に方はしたくない」
支給されたロシアンマチェットを構えるノーチラス。
総悟もまた、自身に支給された名刀虎鉄ちゃんの刀身を確かめる。
劇場の天井照明の光が反射し二人の刃物がぎらりと光った。
無様な死に方――ログハウスの中で寝ていたクラスメイトの女子に悪戯をし、
自分の能力で全裸にしてしまった上、そこへクラスメイトの男子が怒りの形相で入ってきて、
その男子も全裸にし外に吹き飛ばし、死を覚悟して半ばヤケになり女子を犯そうとして、
ついには自分の能力の暴走により自分自身も全裸になりさあいよいよと言う時に外に吹き飛ばした男子が復活し、
ログハウス内に再侵入、今度は銃を使い撃退しようとしたがその男子も超能力者で、
銃身が胸に刺さり後悔しながら死亡。と言う感じ。
(だから今度は絶対に前みたいな死に方しないように頑張りたいと思います。あれ、作文?)
気合いを入れるノーチラス。
(ああでも…可愛い女の子とかいたら分からない…なぁ…)
しかしすぐに煩悩が彼の頭脳を蝕む。
そして冷やかな視線でノーチラスを見る総悟。
(……こいつ、役に立つのかねィ。ただの変態の狼にしか思えないけどなァ。まあ、いざって時は盾にでもなって貰うか……。
万事屋の旦那、新八君、チャイナ娘、それと…長谷川、だったっけか)
総悟にとっての当分の重要事項は自分の知り合いを捜す事。
特に坂田銀時、志村新八、神楽の三人は重要だった。
三人共このような殺し合いゲームに乗るような性質では無いと断言出来る。
合流すればこの殺し合いの主催者、荒神健児に反抗する上で大きな戦力になると、総悟は考える。
(そう簡単には死なないと思うが…さっさと合流したいもんだ。あー長谷川…あれは…あいつも一応捜すか…)
……
- 131 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/22(水) 22:50:41
- 突然ですがアニメロワ参加者追加します。
【Steins;Gate】
・岡部倫太郎 ・牧瀬紅莉栖 ・橋田至 ・椎名まゆり ・阿万音鈴羽
【CLANNAD】
・岡崎朋也 ・古河渚 ・春原陽平
【Angel Beats!】
・仲村ゆり ・音無結弦
を追加します
- 132 :桃源郷にグッドバイしたのならば ◆ymCx/I3enU:2011/06/22(水) 22:51:38
- 劇場の外に出る。静かな市街地が広がっていた。
「すぐ近くに病院があるみたいだな、行ってみるか?」
「そうだなァ」
ノーチラスと総悟は病院を目指し歩き始める。
【早朝/F-4劇場:周辺市街地の路上】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ロシアンマチェット
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:殺し合いを潰す。クラスメイトの捜索(特にエルフィ)。
1:総悟と行動。病院へ向かう。
2:もう欲望に負けない、ようにしたいと思います。あれ、作文?
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※万事屋の三人(坂田銀時、志村新八、神楽)についての情報を得ました。
※F-3病院へ向かっています。
※能力の制限については現時点では不明です。
【沖田総悟@銀魂】
[状態]健康
[装備]名刀虎鉄ちゃん@銀魂
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:殺し合いを潰す。荒神健児を斬る。万事屋メンバーの捜索。ついでに長谷川泰三も捜索。
1:ノーチラスと行動。病院へ向かう。
[備考]
※原作ラブチョリス編以降からの参戦です。
※ノーチラスのクラスメイトの情報を得ました。
※F-3病院へ向かっています。
≪支給品紹介≫
【ロシアンマチェット】 支給者:ノーチラス
ロシアの特殊部隊「スペツナズ」の多目的サバイバルナイフ。
桐の機能や刃の部分が物差しになっていたりと実用性に重点が置かれている。
【名刀虎鉄ちゃん】 支給者:沖田総悟
真選組局長近藤勲が使っていた刀。史実における「虎徹」はただならぬ切れ味を持っている「名刀」であったが、
こちらの虎鉄ちゃんはローンで購入したという代物である。平賀源外のからくりとの戦いの時に折れてしまう。
この時、まだローンは払い終えていなかったらしい。
- 133 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/22(水) 22:52:38
- 投下終了です。
>>131 追加乙です
- 134 :名無しさん:2011/06/22(水) 23:46:32
- >>116
投下乙
うわぁ…デッキブラシさん…いくら人気ないからって酷ぇ…
- 135 : ◆WYGPiuknm2:2011/06/23(木) 01:00:52
- 今のOPだとどうにも話が書き辛いので、改めて執筆したOPを投下します
- 136 :序章-神罰執行- ◆WYGPiuknm2:2011/06/23(木) 01:04:28
- インフェルシア――『神々の谷』。
広大すぎる空間の中で、人々は次々に目を覚ます。
彼らが最初に抱いたのは、「此処は何処か」という疑問。
床、空気、臭い――それらのどれもが、彼らにとっては身に覚えのないものばかりであった。
――これから何が起きようとしているのだ?自分はどうなってしまうのだ?
彼らが居る一帯では、不安からくる「どよめき」が生まれては消えていった。
そのどよめきに反応したか。
突如、彼らの頭上にオーロラが出現した。
しかしながら、それは「世間一般に認知されている」オーロラと大きく違う点が存在する。
「色」だ。色がまるで違う。
本来は、透明感のある虹の様な色をしている筈のそれは、見ただけで不安感を増幅させるような薄暗い色をしていたのだ。
オーロラが増幅させた不安によって、さらにどよめきが大きくなる。
それを止める者は居ない――――かに思えた。
「――――魔術師達よ」
地の底から響くような声が、空間中に響き渡った。
どよめきは、一瞬の内に一つ残らず消え去る。
人々は声のしたであろう方向に目を動かし――驚愕した。
そこには――見上げてしまう程に巨大な異形が存在していたのだ。
魚を模した頭をしている、赤い魔人が、つい先ほどまでに誰も居なかった筈の場所で、
仁王立ちをしているではないか。
「我が名は――冥府神ダゴン」
巨人が――ダゴンが口を動かし、声を発するだけでも、人々は押し潰されそうな威圧感に襲われる。
例え彼が「魔術師達」とほぼ同サイズであったとしても、その迫力は変わらないだろう。
「突然ではあるが、これより『神罰執行』を行う」
「神罰執行」という聞き慣れない単語に、人々の大部分は頭を傾げる。
しかし、僅かな魔術師――マジレンジャーの面々は、その言葉が持つ意味を知っていた。
冥府神による人類の大量虐殺――それが「神罰執行」の正体である。
ダゴンは目を細めながら、魔術師達の姿を見下ろす。
それはまるで、これから言う言葉で彼らがどの様な反応を示すのかを、楽しみにしているように見えた。
一呼吸置き、ダゴンは口を開く。
「貴様ら全員、最後の一人となるまで殺し合え」
- 137 :序章-神罰執行- ◆WYGPiuknm2:2011/06/23(木) 01:09:29
- その直後――まるで時が止まったかの様に、人々の動きは停止する。
あまりにも突然の宣言に、誰もが動揺せざるおえなかった。
知らぬ場所に集められて、殺し合いを強要されると、誰が思おうか。
「と言っても、納得のいかぬ者もいるだろう。そこでだ。
殺し合いの促進の為に、貴様らには首輪を付けてもらう」
ダゴンがそう言うと、魔術師達の目の前に一つの魔法陣が出現する。
それによって召還されるのは、雪のように白い服を纏った女性。
彼女は常に虚空を見つめており、辺りの様子に全く反応しようとしない。
ダゴンによって洗脳されているのだと、人々は推測した。
そして「やはり」と言うべきなのだろうか――首には彫刻品の様な首輪が掛けられている。
細部まで模様が掘りこまれたそれは、極上の美術品を思わせた。
「母さん!?」
女性の関係者と思われる、赤い服を着た少年が彼女に駆け寄る。
が、彼女の周りには結界が張られているようで、彼は女性に触れるどころか、近づくことすらできない。
「どうしたんだよ母さん!俺の声が聞こえないのかよ!」
結界に拳を叩きつけながら、少年は叫ぶ。
しかし、それでも彼女の目は、明後日の方向を向いている。
「首輪には魔法をかけられている」
少年を気にも止めずに、ダゴンは話を続ける。
女性の身に何かが起こる事は、誰から見ても明白であった。
「この女で実演しようではないか……その『魔法』をな」
直後、彼女の首輪が強く輝く。
首輪にかけられた魔法が発動した合図であった。
そうなってしまっては、もう誰にも止められない。
発動する魔法――それは『時間操作』。
- 138 :序章-神罰執行- ◆WYGPiuknm2:2011/06/23(木) 01:11:00
- 光は徐々に弱まり、やがて完全に収まった頃、彼女の肉体に「魔法」が干渉を開始する。
瞬く間に、彼女の「時間」が流れていく。
数秒の内に、肌は枯れ、服は破れ、毛髪が抜け落ちる。
魔法陣の中で、何十年、何百年という時が経ち――やがて砂となり、人の面影は完全に消失した。
少年の目の前で、女性は――小津深雪は朽ち果てていったのである。
「あ、ああ、あ…………ああぁあああぁああぁああぁああああぁぁああ!!」
悲痛な叫びと共に、少年は崩れ落ちる。
少年――小津魁が受けた精神的なダメージの大きさは、誰もが理解できるだろう。
だが、「魔術師」に理解されても、ダゴンには理解されない。理解される訳がない。
彼にとって人間とは、人類にとっての蟻と同義――それ以下なのかもしれないのだから。
泣き叫ぶ魁を尻目に、ダゴンは再び口を開く。
「勿論、鞭があれば飴もある。見事生き残った一人には、あらゆる願いを叶える権利を与えよう」
一部の者の眉が、ピクリと動く。
「願いを叶える」という最高級の褒美に、反応したのだろう。
他者を犠牲にしてでも叶えたい願いを持つ者が、決して居ない訳ではないのだ。
「さぁ、魔術師達よ……その力、この殺し合いで存分に振るうがよい」
ダゴンがそう言い放った直後。
魔術師達の真下に、巨大な魔法陣が出現する。
彼らは魔法陣によって、下へ、下へと引きずり込まれていく。
さながらそれは、底無し沼の様であった。
「魔術師達」の悲鳴が、怒号が、笑い声が木霊する。
しかし、それで引きずり込まれる速度が変わることはない。
一人ずつ、一人ずつ、魔法陣へと飲み込まれていく。
そして――一分も経たない内に、魔術師達は一人残らず消えてしまった。
神々の谷には、ダゴンが一人、佇んでいるだけである。
- 139 : ◆WYGPiuknm2:2011/06/23(木) 01:12:05
- 投下終了
- 140 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 16:14:29
- 投下します
アニメロワ第17話:何かいろいろ残念な話
登場:岡部倫太郎、春原陽平
- 141 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 16:29:44
- 「ーーーーーこれも、運命石の扉(シュタインズゲート)の選択ということなのか?」
秋葉原未来ガジェット研究所所長、鳳凰院凶真こと岡部倫太郎は空を仰いだ。
理由はただ一つ。『ありえない』ことが起こっているからだ。
荒耶の主催する殺し合いも確かに一般論では『ありえない』が、岡部の目だけは、主催者ではなく、集められてランダムに拘束されている際、隣に向いていた。
ラボメンのダルこと橋田至、助手こと牧瀬紅莉栖、バイト戦士こと阿万音鈴羽の席は岡部とはかなり遠かったが、彼らはみな一様にこう言っただろう。『ありえない』と。
『椎名まゆりは、必要ない』
そして鳴り響く乾いた銃声。
目下には、自分たちラボのことを誰より気遣ってくれていた幼なじみの死体。
ラボメン、椎名まゆりはSERNの工作員桐生に射殺された。
そこから、岡部の意識は暗転した。
勿論。まゆりに撃たれたのは麻酔弾もしくはゴム弾で、まゆりの肉体へのダメージはかなり抑えられていたというご都合主義の解釈もできたかもしれない。
が、できなかった。
あの時のまゆりは間違いなく即死していた、と『岡部倫太郎』の脳は告げる。
お得意の厨二トークでなど誤魔化せるはずなどない。
- 142 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 16:42:12
- 更に。絶望的な見方をすれば、あの場にいたのは『椎名まゆり』の替え玉で、本人はやはりあの時死亡していたと考えられる。
しかし、それもまた違う。
まゆりの焦り方であった。首輪を起爆された少女の為に涙を流すその姿は。
ーーーーどう見ても、まゆりだったじゃないかーーーー
「フ、フゥーハハハ!!まゆりが生き返った原理などはどうでもいいではないか!むしろこれは幸運だ!今度こそまゆりを救えるかもしれないのだからな!」
『鳳凰院凶真』へと交代する。
狂気のマッドサイエンティストは、今ここに主催に反旗を翻すことを決意した。
◆
「しかし…具体的には何をすればよいのだろうな」
デイバックには猛毒仕込みの短刀なる彼の好きそうな武器が入っていた。
もっともこれを持ち歩くのは敵と誤認されかねないため控えたが。
ラボメンの橋田は今ごろハッキングの準備をしているだろうし、紅莉栖と鈴羽は独自に動いているのだろう。
「おーい、そこの人!このゲームには乗ってないよな!?」
「乗っていたらどうするんだ貴様は」
はぁ、とため息を吐いて振り向くと、『いかにも』な若者がピースしていた。
間違いないな、馬鹿だろこいつは。
- 143 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 16:45:28
- 「で、何の用なのだ。黄金の新顔(ゴールデン・ニューフェイス)よ」
いきなり意味不明なことを語り出すが、そこが彼という人間である。
「黄金の新顔…やべえ超かっけえ!」
………先が思いやられるな
続きますが、後編はまた後で
- 144 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 21:09:48
- アニメロワ第18話:観測者の戦い
先のSSの後編
- 145 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 21:25:26
- 「フッ…貴様は俺の住む世界にぴったりの逸材だな」
「お前の言うこと超かっけえよ岡部!……はっ!今の俺なら智代にだって…」
岡部と春原は、互いの自己紹介から始まりいつしか、『互いの妄想自慢大会』へと変わっていた。
岡部の影響力は効く人には本当に大きいため、春原にモロに影響してしまった。
が、意外にも最初に話を切り出したのは岡部だった。
春原の知り合いなど、聞いておいて損はないだろうから。
「黄金の新顔よ、貴様はこの殺し合いに友人の類は呼ばれているのか?」
一つ仮説があった。参加者の名簿は五十音になっておらず、不規則に並んでいる。
これは『会ったことのある』人たちごとに並べているのではないかと考えられた。
まあだからどうということはないのだが、岡部は『世界線の移動』を観測者の力『リーディング・シュタイナー』で観測してきた。だからこそ更なる考察に辿り着ける。
荒耶宗蓮は、SERNとつながっていると仮定。
彼らは自分の知るタイムマシンやタイムリーブマシンより数段上の人間が乗ってもゲル化しないものを開発した。
もしくは荒耶宗蓮の『魔術』(素直には受け取れない。科学技術の暗喩と仮定)によりゲル化を免れた。
- 146 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 21:36:39
- タイムマシンで幾多の世界線を移動し、殺し合いに適した人材を拉致する。
以上のように、荒耶宗蓮の正体を探ることができる。
まゆりが蘇生しているのも、まゆりが死なない世界線からの拉致でなら可能だろう。
こうして、岡部倫太郎は今もっともこの殺し合いの真相に迫っている。
幾多の世界線移動。観測者の観点から導き出した答え。
しかし、一つ足りない。もっとも、それは科学には解き明かせない『謎』だった。
【深夜/a-5】
【岡部倫太郎@Steins;Gate】
[思考・行動]
基本:殺し合いを止める。
1:助手たちを探す
※桐生にまゆりが射殺された後からの参加です
【春原陽平@CLANNAD】
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
※参戦時期は不明ですが、伊吹風子消失の前からです
投下完了。
試験的にしばらく状態表を簡略してみる。元に戻すこともあるかもです
- 147 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/23(木) 22:28:23
- 投下します
タイトル:吹っ切れた、色々
- 148 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/23(木) 22:28:56
- ちょっと前に殺害した2人の男の最期の表情が、未だに脳裏に焼き付いている。
決して気分のいい物ではない。
最期の言葉も、未だに耳に染みついている。
それが、自分を苦しめる。
「…。いい加減、覚悟を決めろってか?」
誰に言うともなく問いかける。
答える者は誰もいない。
…何故、自分がこんなことに巻き込まれているのだろうか?
こんなことをやらされる程、悪い事はしていない。
なのに、何故。
「…。仕方無い…もう、素直に戦うことにするか」
今更思い悩んだ所で、もう引き返せない。
既に2人も殺してしまったのだ。
「…気づいてるから、出て来た方がいいぞ」
「気づいてたのか?」
塀の影から現れた、風変わりな男。
こいつが誰かは知らないが、自分の邪魔になることだけは確実だ。
邪魔者は排除する。それだけだ。
「…死んでもらう」
間髪入れず7.62mm弾を男目掛けブチ込む。
「おおっ…と!」
かわしきれずに何発か被弾したようだが、どれも
…どうやら、戦闘慣れしているようだ。直感で分かる。
だが、別にそんなことはどうでもいい。
目の前にいる敵を、排除すればいいだけなんだから。
「ぐ…マズいかな…」
- 149 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/23(木) 22:29:26
- 肩膝をつき、苦悶の表情を浮かべる男。
…隙だらけだ。
このチャンスを逃したら、後にも先にもこいつを殺すチャンスは無くなる。
「…終わりだ」
頭部目指し再度弾をブチ込む。
このスピードでは、どうかわしても致命傷は免れられない。
「くっ…」
弾丸がやすやすと男の頭を貫く。
貫通したと同時に、脳やら脳漿やらをまき散らしてその場に倒れた。
「銃は…持って行った方がいいか」
死体の傍に転がる銃とデイパック内にある銃を回収し、その場を足早に立ち去った。
【一日目・深夜/B-4】
【矢部翼@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:FN SCAR-L(14/30)
[所持品]:支給品一式、グロック18(33/33)、ワルサーP99(12/15)、SCARマガジン×3
P99のマガジン×2、グロックのマガジン×2
[思考・行動]
基本:妹を殺させないために、全員殺害する。
1:標的を探す。
【殺人鬼@Tさんシリーズ 死亡】
死因:射殺
- 150 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/23(木) 22:30:03
- 投下終了です
- 151 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/23(木) 22:44:29
- 投下乙です。
投下します。俺得5 17話 星印
登場:土井津仁、瀬戸正行
- 152 :星印 ◆ymCx/I3enU:2011/06/23(木) 22:46:50
- 17話 星印
土井津仁は病院の廊下を歩いていた。
裸足に病院の床はとても冷たく感じる。
「小鉄っちゃん達…どこにいるんだろう」
殺し合いに呼ばれている大切な友達。そして先生、友達の一人の姉の彼氏、売れない恐怖漫画家。
皆、失いたくない人ばかりだ。早く見付けたい、と、仁は思う。
この殺し合いに、なぜ、自分達が参加させられたのか、荒神健児とは何者なのか。
どちらの疑問にも、答えは出されないが、ただ一つはっきりとしている事。
「…殺し合いなんてしない…」
支給されたスタンガンを右手に持ち、握り締める仁。
「好きな願いを一つだけ叶えられる」と言う荒神健児の謳い文句に惹かれなかった訳では無い。
もしかしたら母と自分の願いである貧乏生活からの脱却が果たせるかもしれないのだ。
だが、友人達の顔を思い出し思い留まる。
優勝して一人になると言う事は、大切な友達や知り合いを失う事なのだから。
そんな事になって、優勝して願いを叶えて帰還したとしても、きっと自分は全く嬉しく無いだろう――仁はそう考えた。
「うううううううう」
「……!?」
処置室と書かれた扉が乱暴に開き、中から若い男が出てくる。
「はぁ〜見付けた…獲物ー!」
血走った目で仁を睨んだかと思うと、手にした自動拳銃ベレッタM92FSを仁に向け発砲してきた。
ダァン! ダァン!
「うあ!!」
間一髪、仁には当たらなかったが、背後の窓ガラスが砕け壁に穴が空いた。
「あた、当たらない、クソッ、う、撃つ、撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ」
青年、瀬戸正行はぶつぶつと呟きながら、仁に銃口を向け直す。
傍目から見て正気では無い事は明らかだった。
少なくとも話が通じるとは思えない。
「くっ…」
仁はイチかバチか、スタンガンで男の動きを止める事にした。
男は銃を持ってはいたが、照準をロクに定めず撃っているため、弾は外れっ放しである。
ダァン!
今度もまた、仁を狙ったのだろうが、天井の蛍光灯を撃ち抜くに留まった。
反動で仰け反っている所を狙い、仁は正行の懐へ飛び込み、スタンガンを押し当てた。
- 153 :星印 ◆ymCx/I3enU:2011/06/23(木) 22:48:05
- バリッ!!
「あがああああぁあああぁあああああぁああぁぁぁあああああ」
凄まじい悲鳴を上げ身体を激しく痙攣させる正行。
動きを止める程度にしか考えていなかった仁は戸惑う。
仁が使ったスタンガンには違法改造が施されていた。人を殺せるぐらいの強烈な電流が流れる程の。
しかし、スタンガンに添付されていた説明書にはその旨は書かれていなかった。
そのため仁は「人を殺さない程度に動きを止められる普通のスタンガン」だと思っていた。
「え、え…?」
「あああぁああごのおおおガぁああキいいいいいがあああああぁあああああああ」
思いも寄らなかったスタンガンの威力に呆然とする仁の額に、ベレッタの銃口が押し当てられた。
「あっ」
我に返った時には、もう遅かった。
ダァン!!
今まで何度も外れていた青年の銃弾は、今度は間違い無く、仁の頭蓋骨を撃ち抜き脳髄を破壊し、後頭部へ突き抜けた。
衝撃で仁の身体は吹き飛び、病院の白い床に血のペイントを施し倒れ、二度と起き上がる事は無かった。
直後、正行もまた、床に倒れ、そのまま息絶えた。
【瀬戸正行@オリキャラ:死亡】
【土井津仁@浦安鉄筋家族:死亡】
【残り:38人】
≪支給品紹介≫
【スタンガン(違法改造済)】 支給者:土井津仁
軽微な電流を相手に流し動きを止める護身用具…なのだが、本ロワの物は、
違法改造により人を普通に殺せるぐらいの強力な電流が流れるようになっている。
但し説明書にその旨は書かれていない。
【ベレッタM92FS】 支給者:瀬戸正行
イタリアのベレッタ社により1975年に開発された自動拳銃。装弾数が15発と豊富で操作性も高く、
上部が大きく切り欠かれたスライドにより排莢不良も起こりにくい上軽量で発射時の反動も比較的少ない。
現在、世界で最も信頼性が高く、知名度が高い拳銃として知られている。
本ロワに登場するM92FSはスライド脱落事故防止のために耐久性向上がなされた改良版。
≪オリキャラ紹介≫
【瀬戸正行(せと まさゆき)】
20歳のNEET。ネトゲや二次元に逃避する毎日を送り、就職活動も上手く行っていない。
最近3歳年下の妹を嫌らしい目で見るようになってきた。
- 154 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/23(木) 22:50:10
- 投下終了です。うん、オリキャラ設定適当だなうん。
まあ二度と出さないだろうからいいや。
- 155 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/23(木) 22:57:49
- 皆様投下乙です。
では自分も。キャラはサンジ、巴マミ、Xです
- 156 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/23(木) 22:58:44
- 「ん、ナミすわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!! ロビンちゅわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
探し人たる二人の女性の名前を叫びながら、男は夜の街を激走していた。
鮮やかな金髪に覆い隠された左目に、蚊取り線香の如く螺旋を描いた右方の眉が特徴的な男。
男は名をサンジといった。
麦わら海賊団のコックにして、七千七百万ベリーの賞金をその首に賭けられし男。
黒足の異名を関する、超大型ルーキーを船長とする海賊団の一員であった。
サンジは今現在全力で暗闇の市街地を疾走していた。
(ああ、可哀相なナミさんとロビンちゃん……今頃何処かでふるえているに違いない……)
探し人は二人の女性。航海士のナミと、考古学者のニコ・ロビン。
それ以外の仲間などどうでも良い。
あれだけの冒険を潜り抜けてきた野郎共がそう簡単に死ぬ訳がないし、何より野郎を助けて何になる。
まず助けなければならないのは女性である。
それが男の役目だと、サンジの信念たる騎士道が語っていた。
(待っててね、今俺が助けにいくから! おおお、今の俺は誰にも止められねぇ! ナミさんとロビンちゃんと出会うまで疾走を続ける俺は、そうまさにハリケーン!!)
良く分からない思考内容で突き進む彼だが、その心根の想いは本物である。
黒足で灰色の地面を蹴り、探し人を発見するまで止まらない。
守るべき女性の為に一陣の風となり暗闇を駆けるサンジは、確かに騎士と呼ぶに相応しい。
だがしかし、数分の後に彼はその脚を止める事となる。
一発の銃声と、夜の市街地に響き渡る声に。
「い、いやああぁぁぁあああああああああああああ!!」
もっと言えば夜の市街地に響き渡る『女性の』声に、サンジは脚を止める。
それは恐怖に染まったかん高い叫び声。 平穏の中では決して上げる事のない声だ。
サンジの決断は迅速で、行動はこれ以上なく俊敏であった。
足先を声の聞こえた方へと向け、それまで以上の速度をもって疾走する。
恐らくは危機の状況にある女性を救済する為、サンジは迷う事なく行動を取っていた。
移動の中でも市街地に視線を送ってナミとロビンとを探しつつ、声の方角へと駆け抜ける。
如何なる状況にあろうと、危機にある女性を放って置く事などサンジには出来なかった。
「ちっ、いくらこんな状況でも、レディを襲ってんじゃねえよクソ野郎……!」
サンジの騎士道は女性への暴力を許さない。
もし敵が此方の命を奪おうとしていても、それが女性ならばサンジは決して足を上げない。
彼は自身の騎士道に絶対を賭けていた。
女性に対して軽薄でおちゃらけた印象を受けるサンジだが、その騎士道に掛ける想いは本物である。
彼は自身の騎士道に則って行動をしていた。
女性を助ける為に、騎士道の男が走り続ける。
◇
巴マミは暗闇の市街地に呆然と立っていた。
訳も分からぬ間に連れてこられた殺し合いの場。
首に謎の爆弾を装着され、命を握られている状況。
マミは眼前で人の首が吹き飛ぶ瞬間を見た。
首輪型の爆弾が爆発し一瞬の閃光が走ったと思えば、血が噴水のように吹き出していた。
人を容易く殺害した首輪型の爆弾。
それと同様のものが、自分の首にも存在する。
そう考えただけで背筋に寒気が走った。
無意識の内にマミは両手を自身の身体へと回していた。
震える身体を、全力で抱き締める。
震えを抑え付けるように身体を包むも、震えが止まる気配はない。
むしろ、それ以上の激しさを以て震える。
もはやマミには震えを止める事ができなかった。
- 157 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/23(木) 22:59:24
- その時、巴マミの脳裏にはとある光景が思い浮かんでいた。
それは、あの惨劇の場に拉致される寸前の記憶。
一つの願いを叶える代償として宿命付けられた、魔法少女としての戦いの日々。
魔法少女としての戦いは如何なる時も命懸けであり、そして終焉を迎える事はない。
倒せども、倒せども、また直ぐに別の魔女が現れる。
何度戦い、何度勝利しても、決して終わる事のない戦いの日々。
魔法少女としての日々は辛く苦しいものであった。
そんな戦いの日々の中で偶然に遭遇した二人の少女。
相棒であり命の恩人でもある存在は、少女達に魔法少女としての才能があると言っていた。
嬉しかった。
自分にも後輩ができるんだと分かり、純粋に嬉しかった。
一人じゃない。孤独じゃない。
後輩が、仲間が、できる。
それはとっても嬉しい事で、後輩が見ている前では恐怖も何処かへと消えていた。
寸分の恐怖もなく戦場に立ち、舞踏を舞うかのように洗練された挙動で戦う事ができた。
その日も、そうだった。
後輩の見習い魔法少女から告白された言葉。
その言葉は、恐怖と孤独にまみれた心へ勇気と歓喜を灯してくれた。
もう何も怖くない。
心の底からそう思いた。
歓喜に満ちた心のままに魔女と戦闘し、撃退した。
必殺の一撃を直撃させ、魔女を葬った。
その筈、だった。
倒したと思った次の瞬間、視界が埋め尽くされた。
自身の身体よりも大きな口に、視界の全てが埋まる。
身を捩る事すら叶わない。
時間が静止したかのように引き伸ばされ、だがそれは永遠には続かない。
視界を埋める口が閉ざされ、全てが全て漆黒に染まり、
―――そして、巴マミは惨劇の教室に連れられた 。
「……いやっ……」
目の前で見た明確な『死』に、『死』の寸前にあった自分の姿が連想される。
眼前で首輪を爆破された男と、眼前に迫った口に噛み砕かれた自分。
首を無くし鮮血を噴き出す男と、魔女に食いつかれ首を無くした自分。
マミの中で記憶と記憶が混ざり合う。
「いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ」
心の奥底から込み上げてくる、薄ぺらな理性などでは抗いようのない感情。
身体の震えは更に大きくなり、遂には立っている事すらできなくなる。
円らな瞳に水が溜まり、せき止める事も出来ずに流れ落ちる。
身体を震わせ、地べたに座り込み、両の瞳から夥しい量の涙を流す。
「いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやっ、いやぁっ!」
もう何もかもが怖かった。
魔法少女としての勇気も、魔法少女としての矜持も、魔法少女としての孤独感さえも塗り潰して、恐怖が心を支配する。
思考は完全に止まっていた。
心中を覆い尽くす感情に巴マミはただひたすらの拒絶を示し、だがその拒絶が巴マミへ救済をもたらす訳もない。
マミは侵襲の感情に打ちのめされ、膝を折る。
「ねぇ、そこのアンタ」
そんなマミに声を掛ける者がいた。
その男は若く、少年のような外見をしていた。
無邪気な相貌に無邪気な瞳。
男は、どう見てもまともな精神状態ではない巴マミへと、印象通りの無邪気さで語りかける。
投げ掛けられた言葉に、恐慌状態のマミも少年の存在に気付く。
恐怖に潰された瞳を、上目遣いに少年へと向けた。
「ひっ」
今のマミにとっては、無害そうな少年であっても恐怖の対象であった。
悲鳴のような拒絶を吐きながら、座り込んだ状態で必死に後ずさる。
その様子に流石の少年もムッとしたような顔を浮かべる。
「何だよ、俺が化け物か何かに見える? 俺は人間だよ。紛れもない人間」
スタスタと歩み寄り、つらつらと言葉を並べる少年。
屈み込み、視線を合わせて紡がれる言葉に、それでもマミは恐怖の渦中で首を降る。
「そう、俺は人間。相棒と二人で一つの―――」
恐怖の行く末は、悲劇であった。
ドン、と銃声が鳴り響き、少年の腹部が血に染まる。
巴マミの手には何時の間にやら白銀のマスケット銃が握られていて、その銃口からは細い煙が伸びていた。
少年の身体が、ぐらりと横に傾げる。
その表情に浮かぶ感情は当惑であった。
何が起きた、と云った様子でマミを見詰め、少年が静かに倒れ伏す。
地面が、少年の身体から漏れた血液に、染まっていく。
- 158 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/23(木) 23:00:21
- 「あ、ああ……」
押し寄せる恐怖に限界を迎えた巴マミが、魔法でマスケット銃を発現させ、その引き金を引いてしまったのだ。
全てが終わってしまった後で、マミは自分の行いに気が付いた。
自分が人を殺害したという事実に直面し、恐怖と愕然とが混線する。
現実から逃避するように、惨状へと背中を向けて走り出す。
「……いったー」
そこで、声を聞いた。
十数秒前にも聞いた純粋で無邪気な声。
今度こそ驚愕が全てを飲み込んだ。
振り返るマミの視界に映った光景は、現実とは思えないものだった。
腹から血を流した少年が、平然とした様子でこちらを見詰めている、その光景。
言葉すら無くなり、マミは再び腰を抜かす。
「ひっどいなあ。普通だったら死んでるよ、コレ」
少年は血を滴らせながら近付いてくる。
表情はやはり無邪気で、だがその無邪気さが今は異様にしか思えない。
最早後ずさる事すらできずに、巴マミは迫る少年を見ていた。
ぶつかり合う歯が、ガチガチと音を鳴らす。
「ねぇ?」
息と息が触れ合う位置にまで近付いた少年が、唐突に手を伸ばす。
段々と近付く手が、マミの視界を覆っていく。
それはまるで、あの時のよう。
拉致される直前に見た『死』の記憶。
緩慢に視界を覆っていく手が、自分を噛み殺そうと開口した魔女の姿とダブる。
「い、いやああぁぁぁあああああああああああああ!!」
恐怖が、驚愕が、絶望が、声となって溢れ出した。
もう限界であった。
殺し合いが開始してからずっと、いや殺し合いが開始する前から蝕まれていた巴マミの心が、遂に限界を迎える。
限界を迎えた心は現実からの逃避を選択した。
意識が暗闇の中へと消え去り、マミの身体が真横に倒れる。
限界に迫った心が、半ば強制的に意識を喪失させた。
「あれ。やり過ぎちゃったかな」
気絶したマミをツンツンとつつきながら、少年はいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
既に腹部の傷は塞ぎ掛かっており、出血も止まっていた。
常人離れした回復力をまざまざと見せ付けながら、少年は軽い調子で頭の所で手を組んだ。
そのまま背筋を伸ばして、満月の輝く空を見る。
少年の名は『怪盗X(サイ)』。
相棒と二人で一つの犯罪者(ユニット)。
病気とも新種とも称される男のクローンとして誕生し、それでも『怪盗』としての自身を自己と理解した少年である。
「はー、それにしてもどうしよっかな」
あの時死んだ筈の自分が、何故こうして五体満足で生存しているのかは分からない。
心臓を爆破され、胴体を斜めに切り落とされた。
流石の怪盗Xであっても死は免れない傷であったし、彼自身、命の潰える瞬間を記憶している。
あの探偵を泣かせてやり、最後の変身を行い、満足感に満ちた最期を迎えた。
死の瞬間に立って思えば、中々に刺激的で、楽しかったと言える人生だった。
相棒と出会え、宿敵と呼べる存在に出会い、自分自身を知る事も出来た。
そんな人生が満足感に満たされながら閉じ、Xは相棒の待つだろう所へと旅立った。
その末の、殺し合い。
僅かな苛立ちが沸き上がるのを、Xは止める事ができなかった。
「うん、決めた。盗んでやるよ。主催者たち、それとシックス。お前たちの『命』を」
感情に任せて、決意は固まった。
- 159 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/23(木) 23:00:59
- バトルロワイアルの主催者たる兵藤、そしてシックス。
その他諸々に殺し合いの開催へ関わりを持つ人物達の『命』を盗み出すと、怪物強盗が決意する。
Xが有する能力は、完全変身能力に記憶解析。
先の教室にて兵藤を観察した時、断片的な記憶の中にシックスの名があった。
あの魔人から逃げ切る事ができたのか、新種の人類たる男は生存している。
成る程、シックスならばこの陰鬱なゲームを楽しむ事もできるだろう。
『悪意』という言葉をそのまま現実へと具現化させたような男ならば。
「お前たちの『命』を、怪盗Xがいただくよ」
Xの顔が笑みを作る。
今までのような無邪気な笑みとは違う、言うなれば獲物を眼前にした肉食獣の如き笑み。
復活の怪盗が、再動を始める。
主催者陣営の『命』を、唯一の新種たる男の『命』を盗む。
その決意を胸に、怪盗Xが始動する。
「そのレディから離れろ、クソガキ」
だが、怪盗Xが決意を果たすには、一つの障害を乗り越える必要があった。
巴マミの叫び声を聞いて駆け付けた騎士道の男。
男が見たのは、気絶中の女性を足元に置いて獰猛な笑みを浮かべる血塗れの少年。
勘違いは当然であった。
黒足のサンジが、怪盗Xを睨み付ける。
瞳にギラギラとした闘争心を宿したサンジが、怪盗Xと相対する。
現状が厄介な事になりつつあると理解して、Xは子どものように困った表情を作った。
【一日目/深夜/G-4・市街地】
【サンジ@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:殺し合いには乗らない。
1:気絶しているレディを助ける
2:ナミとロビンを探しだし、保護する
3:2の後で仲間を探す
[備考]
※少なくともスリラーバーグ編後から参加しています
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、恐怖、
[装備]ソウルジェム(穢れ無し)@
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:気絶中
1:もう何もかも怖すぎる
[備考]
※シャルロッテ戦・捕食の直前から参加しています
【X@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:主催者とシックスの『命』を盗む
1:現状を何とかする
[備考]
※原作死亡後からの参戦です
- 160 : ◆YcpPY.pZNg:2011/06/23(木) 23:02:00
- これにて投下終了です。
タイトルは『もう何も怖くない……そう考えてた時期が私にもありました』です。
- 161 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 23:13:55
- アニメロワ第19話:情報を制す者は人生を制す
登場:セイバー、中川かのん、松雪集、橋田至
- 162 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 23:26:19
- 空の色は未だ漆黒に覆われていたが、すでに殺し合い開始から二時間もの時が経過していた。松雪集は、一人空を見上げている。
既に赤いコートの男は殺した。引き返す道など無いのだ。
それに、今の集には絶対に負けない武器がある。
騎士王のサーヴァント、セイバー。
魔術云々の話は正直世界が違いすぎて意味はあまり理解できなかったが、荒耶の作った術により、魔術の志を持たない者でも契約が可能にされているらしい。
セイバーにはあらかじめ、集は自分が優勝したならお前には令呪を使って自害してもらうと包み隠さず伝えたが、嫌がるそぶりはなかった。
焦らなければ、あの日々は帰ってくるんだ。
集は自らに言い聞かせる。しかし物思いにふける時間はなかった。
「アツム、敵を発見しましたが…殺害しますか?」
「言うまでもねえよ」
◆
「面倒なことになったお…荒耶って奴はマジキチだろ常考」
ダルこと橋田至は、岡部と比べてあまり焦ってはいなかった。
自他ともに認める天才ハッカーのため、かなり危険なことにも関わってきた。現にまゆりを殺害したSERNにもハックしていた。
当然、岡部より科学の知識に乏しい橋田には、まゆりが名簿に載っている意味は不明。
- 163 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 23:42:08
- 荒耶の誤植ではないかとさえ思えてくるほどだ。
「……まあ最寄りのネットカフェにでも行きましょうかね。デイバックに確かUSBメモリが…お!ベレッタktkr」
『スーパーハカー』橋田至は、確か近くにあったと思われるネットカフェを探すべく歩き始めた。お気に入りのアニソンなんかを口ずさみながら。
◆
「(やば…見つかった…?)」
中川かのんは、スミスアンドウエスンを片手に持ちながら、集たちの動向を伺っていた。会話の内容から、簡単に殺し合いに乗っていると判断できた。
しかし、あと一歩のところで騎士王セイバーに気配を察知されてしまったのだ。
追ってくるのはセイバーのみ。片手には風のようなものーーー剣を隠す『風王結界』を持ち、人では無理な早さで走行してくる。
セイバーの頭をねらって発砲したが、この近距離からでも弾は両断された。
集だけでも倒せれば。しかし、セイバーを倒さなければ弾は当てられない。
完全な詰みだった。
「弱いもの虐めはよくないだろー」
間延びした声がした。そこにいたのは、正直とても相手にならなそうなメガネデブだ。
しかしながら知っているだろうか。
戦時下において一番恐ろしいのは情報の誤認識。
- 164 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/23(木) 23:55:38
- たった一つの誤情報を流しただけで、時には数百人単位の兵力が失われることもある。
だからこそ『スーパーハカー』はそれに頼る。相手によってはギャンブルよりずっとリスクは上がってしまうが、そこは腕の見せ所だ。
橋田はUSBメモリを見せる。
「この中には首輪の爆破コードが入ってる。もしこのメモリのコードが飛んだりすれば、そのエリアすべての首輪が爆発されるお」
明らかに集は眉を潜めた。ミスリードを誘っているのだろうか、とも考えられたが、しかし橋田の話し方はどうも嘘には思えなかった。
何分魔術なんてものを使う主催のことだから、得体のしれない最新機器を所持していたって別に不思議はない。
利口なのは退くことだろう。
どちらにせよ、次に会うときには不意を突いて殺し、USBを破壊させなければいいだけの話なのだから。
「退くぞ、セイバー。さすがに分が悪すぎる」
「し、しかしマスター、」
「いいんだよ、こいつら二人逃したってまた二人殺せば同じなんだから」
【深夜/c-6】
【松雪集@あの花】
[思考・行動]
基本:優勝してあの日常を取り戻す。
1:一旦退く。次は不意を突く
※セイバーと契約しました
- 165 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/24(金) 00:04:04
- 【セイバー@Fate/stay night】
[思考・状況]
基本:集を守り、優勝させる
◆
「はあ〜緊張したお。某アニメの生放送みてもう何も怖くないとか言ってた自分にティロフィナーレしたいお」
「あ、あの!助けてくれて、ありがとうございました!」
かのんはぺこり、と頭を下げる。
一方橋田は
「駄目だお、俺の三次の嫁はフェイリスたん…いや、でも…」
【橋田至@Steins;Gate】
[思考・状況]
基本:ゲームには乗らない。
【中川かのん@神のみぞ知るセカイ】
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
投下完了
- 166 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/24(金) 17:46:54
- アニメロワ第20話:理想の果てに
登場:美樹さやか、岡崎朋也
- 167 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/24(金) 17:59:07
- 「あれからなかなか人に会えないな…」
言葉こそ軽いが、さやかは上條恭介を生還させるためにゲームに乗っている。
その緊張と精神的疲労は、さやかのソウルジェムを少しずつではあるが、黒く濁らせ始めていた。
手には魔法少女時の剣を持っている。実際なら、先ほど既に一人を殺めているはずだったのに、あの少年には逃げられてしまった。
「でも、今度は絶対、」
バァン。
「ーーーーー、え?」
さやかの胸元から赤い華が咲き誇っていた。
直後に、形容しがたいほどに大きな激痛がさやかを襲う。
「………すまねぇ」
さやかを撃った高校生くらいの少年は、ゆっくりとさやかに背を向けて歩きだした。
追おうとはしたが、できない。
荒耶により、魔法少女の力は一部抑えられている。前までのさやかであれば、並外れた再生力で少年を返り討ちにしていたかもしれないが、今は無理だった。
ーーーそんな
ーーーこんなのって、ないじゃん
ーーー恭介の役になんて、立ててない
ーーーもう、楽になろう
ーーーみんな、死んじゃえ
ーーーあたしって、ほんとバカーーー
美樹さやかのソウルジェムが真っ黒になり、砕けてしまった。
- 168 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/24(金) 18:10:11
- ◆
もう、美樹さやかはどこにもいなかった。
そこに居たのは、人魚姫の魔女、オクタヴィア。もう彼女に自我などは存在しない。
全てを捨てた魔女は、今破滅の権化となった。
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 死亡(魔女化)
【残り33/40人】
◆
岡崎朋也は、苦虫を噛み潰したような表情で電柱を蹴りつけた。
彼は殺し合いに乗った。
最愛の彼女、古河渚だけでも生きて元の世界に帰すために。もう既に戻る道は存在しない。あの少女は確かに死んだだろう。
「……渚」
ただ、その名前を呟くことしかできなかった。
【深夜/d-6】
【岡崎朋也@CLANNAD】
[思考・行動]
基本:古河渚を優勝させるためにゲームに乗る。
1:古河と春原には会いたくない。
※渚に告白をした直後からの参加です
投下完了
- 169 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/24(金) 18:12:32
- 朋也の状態表ですが
1:渚と春原には会いたくない。
2:春原に会っても容赦しない。渚に会ったら逃げる。
に変更お願いします
- 170 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 21:57:01
- 投下乙
投下します
初めてのpsp投下なので限りなく遅くなるかもしれませんがよろしくお願いします
- 171 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 22:28:27
- 昼。
サンサンと照りつく太陽はまさしく昼のそれである。
すがすがしくその分今のこの状況に酷く似合わなくていらいらするね。
......神様ー。俺何か悪いことしましかー?何だってこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。
と、俺はここまで考えてため息を吐く。
あぁ、そうだった。
古泉が言うにはハルヒが神様なんだっけ?
ーーーはぁ、理不尽だ。
改めて実感させていただきました。ごちそうさまです。
なんと言っても状況が変わるわけ無かったので渋々俺は歩き始めたのだった。
「........やれやれだ」
俺の声は恥ずかしながら異様に乾いていた。
◇
「ぷっ!はははははははははははははははっ!べ、便座カバー!?は、腹痛ぇ.....」
俺の笑い声が場所に似合わず辺りに響きわたる。
空気読んでねぇなってのはいやでもわかるが。
い、いやでもなーーー。
- 172 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 22:38:07
- 「笑いすぎじぁアアアアア!!」
俺と同じく場違いに大きな声を出したのは、志村新八だった。
先ほど偶然出会ったのだけど。
それよりも聞いてくれ。こいつの声を。
「岡崎さん!いい加減僕をからかうのやめてもらえません!?」
そう。『あの』春原陽平と同じ声なのである。
さすがに俺は驚いた。
ーーーしかし、この声は俺にとって救いだった。
- 173 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 23:06:57
- この声は俺にとって日常と最も密接、関係している。
だからなのか、違うのか。
初めは震えていた俺の身体は、こいつと出会ってから自然と、極普通に、いつの間にかと言うべきか。
俺の身体の震えは、収まっていた。
俺の脳は単純だな、とも思ったけど今回はそれがプラスに作用した。
そして今では笑えるぐらい落ち着いた。いや落ち着いてねぇな。笑っているって。
ーーーまぁそれはいいや。
さて、もう俺のことはいいだろう。
つーわけで、次の話題。
ていうか今の話題。
今俺たちは一旦腰をおろし、自分たちの支給品を確認しあっている。
まずは新八からということに決まったので、新八からだしたのだが...。
そこで出てきたのが、便座カバーだった。
ーーーぷっ!
やべ、また笑いがこみ上げて来やがった。
こ、今度は抑えなきゃな。
しかしその感情は本当に無駄だったようだった。
草を踏みにじる音が聞こえた。
そして、俺の目の前には、いつしか男が現れた。
名前も知らない、見たことのない人だった。
- 174 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 23:28:31
- ◇
俺はあれから訳なく古泉と合流できた。
不思議なことにだ。我が親愛なる団長様へ。不思議なことを見つけたので帰らせろ。
お前の力はこういうときに使え。それができなきゃ神様なんて辞めちまえ。
ーーーまぁそれをハルヒに思ったところでしかたないんだがな。
まぁなんつーかそういう訳で、俺は今マイナス100円(意:100円寄越せ)なスマイルを
向けられて、何やら聞かされている。
が、生憎俺の耳には入ってこない。
くそー。俺の耳め。いつの間に自動雑音遮断システムなんて取り入れたんだ?憎い奴め。
「聞いていますか。今回は割と重要パートですよ?」
「聞いてねぇよ。お前の話はいちいち長い。もっと短縮できないのか」
それでもさすがに最初の方は聞いていたが、
『機関』やらなんやらが出てきたときにはドーーーンと思考は爆発しちまったさ。
- 175 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 23:51:09
- 「そんなことだろうとは思っていましたよ」
困ったものです。と古泉は嘆息をつく。
わかっているなら行動に移せ。そう言おうと思ったが、
次の句を先に古泉にとられた。
そしてそのまま俺の台詞は暫くやってきそうになかった。
古泉は至って真面目そうに、それでありながら目に見えて沈痛のオーラを声に纏わせ言い放った。
「ずばりですね。やはりこの件も涼宮さんが関わっているのではないか。と言うことです」
お前にはそれを言う以外に脳はないのか。
「で、ですが、その理由づけを先ほどまで話していたんですが、聞きたいですか?」
「...........遠慮しておく」
曲がりなりにもこいつはハルヒのエキスパートだ。
一応、信頼にもおける人物だ。
こいつが言うならそうなんだろう。
でもなんだって、こんなことをハルヒは望んだ?
- 176 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/24(金) 23:58:07
- 一回終了
後でもう一回きます
- 177 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/25(土) 00:22:23
- 何でだ、ーーーハルヒ。
そんな絶賛混乱中の俺を知らずか、古泉は次の話題を振ってきた。
「で、ですがこれからですが、
僕が今から言うこと怒らないで協力してください」
そした俺の有無を聞かず、さっさと発表しやがった。
いつもはうざいぐらいじらすこいつが、ーーーだ。
「殺し合いに乗っていただけませんか」
ーーー。
ナンテイッタ?コイツ。
- 178 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/25(土) 00:42:40
- ◇
どうやら俺は斬られたらしい。
思い出せるのは、新八が、
この男の声に、銀さーーー。という声を残し、二つの肉体に分かれ、死んで、
それを見て腰を抜かした俺の目の前に現れた男の、すまない。という声だけだった。
最後に見た景色は何故か親父と手を繋いだ、
幼き俺が見た花畑。
それはとても綺麗だった。
【志村新八@銀魂:死亡】
【岡崎朋也@CLANNAD:死亡】
- 179 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/25(土) 00:57:59
- ◇
殺した
殺した
殺した
俺がーーーーー
でも止まることは許されないんだ、俺には
だから喜んで成り染まろう。
ーーー修羅の道にーーー
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]健康?
[装備]鉄子の打った刀@銀魂
[道具]支給品一式×3、ランダム0〜7、便座カバー
[思考]
基本:?
1:?
- 180 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/25(土) 01:07:37
- ◇
ここにも死体一つ。
古泉一樹の死体だった。
「いやー。あぶないあぶない。サイテー野郎に行動させちまうとこだった」
そこには零道一弥がいた。
【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱:死亡】
【零道一弥@オリキャラ】
[状態]健康
- 181 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/25(土) 01:11:17
- 投下終了
この話は未完成です。
pcに復帰次第補完書きます。
想像以上にpspは難しく、満足にかけなくなってしまった。
すいませんでした
- 182 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 05:27:00
- アニメロワ第21話:OPEN THE EYE
登場:仲村ゆり、阿万音鈴羽
- 183 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 05:40:55
- 「ーーーどうして、こうなっちゃったのかしら」
やっと、やっと消えることができたのに、と仲村ゆりは歯噛みする。
どうやら仲間からは音無だけが参加させられているらしく、日向や直井、立華奏は参加していないようだったのはまだ救いだったかもしれない。
ポケットからAK-60を取り出し、装填する。
天使と戦っていたころ何度も繰り返してきた動作に無駄はない。仲村ゆりの決意は殺し合いを潰し、今度こそ『消える』。
次なる人生を歩み始めるために。
と、その時だった。近くの壁に投擲用のナイフが音を立てて突き刺さっていたのだ。
後数ミリで直撃していた。
「(敵ーーーーーーーー!?)」
実はナイフというものは扱いずらい武器である。
槍投げなどのように、うまく飛ぶとかなりの距離を飛んでいくのだが、下手な投げ方をするとただ隙を作ってしまうだけだと、『戦線』での戦いで学習していた。つまり、襲撃者は相当できるらしい。
AK-60で射撃する。攻撃するという威嚇に過ぎないのだが、相手はどうも平静だ。
容赦はいらない。
この女は強い。手身近に決着させなければ誰かの命が奪われてしまうのだ。
ゆりは殺人を犯す決意をした。
- 184 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 05:54:42
- ババンッ!という音の後に銀の刃が飛行する。
激しい戦いの中、敵もまた焦りを覚え始めていた。
ただの少女だと思って攻撃してきたのだろうが、ゆりは相手を鼻で笑う。
「期待外れね。終わった人生で鍛えてきた技術に、あんたたち生きてる奴にそう簡単に追いつけるほど世界は甘くできていないわ」
襲撃者の胴体に至近距離から乱射する。
あまりにも呆気なく、相手は動かなくなってしまった。
「ーーー残念だったわね」
そうとだけ言うとゆりは投げナイフの残り3本を失敬して、その場を後にした。
【深夜/f-2】
【仲村ゆり@Angel Beats!】
[思考・行動]
基本:主催を倒してもう一度成仏する。
1:音無くんを探そうかしら…
※卒業後からの参加です
※死なないなど死者としての性質はすべて封印されています
◆
しかしゆりはまだ甘かった。自分が撃ち殺した相手の脈くらいは確認しておくべきだったのだ。至近距離で撃った=即死だと経験で決めつけてしまったのはいけなかった。
襲撃者、阿万音鈴羽は気絶していた。
彼女は研究機関にしていずれ世界を牛耳る組織『SERN』に対抗するため相当な武術訓練などを積んでいたのだが。
- 185 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 06:00:46
- 投げナイフのような投擲武器を使ったことがなかったため、圧倒されてしまった。
彼女を救ったのは防弾ベスト。着ていなければ鈴羽は脱落していただろう。
鈴羽の目的は『SERNの存在しない世界線に移動したい』。
その願いは鈴羽にとって唯一無二の悲願であった。
【阿万音鈴羽@Steins;Gate】
[思考・行動]
基本:優勝して、SERNの居ない世界線に行く。
1:………。
2:岡部倫太郎たちには会いたくない。
※桐生の部下撃破後からの参加です
投下完了
- 186 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 19:53:43
- アニメロワ第22話:とある夏日の個人願望(わたしのねがい)
登場:神裂火織、本間芽衣子
- 187 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 20:07:08
- 英雄王との戦いから時間が経過した今。"聖人"神裂火織はc-4の診療所にて、先ほど助けた禁書目録にどこか似た少女を寝かせていた。
神裂は先の戦いの疲れはかなり取れているようだ。聖人の回復力の賜物であろう。
神裂は思う。
この殺し合いには、"幻想殺し"の少年は存在していない。
法の書を巡った事件では、結局神裂自身は何もできなかったが、今回ばかりはそうでは済まされない。英雄王ギルガメッシュとの戦いで、参加者には他にも英霊や聖人が存在すると考えられた。
聖人の力にも僅かながら制限が掛けられており、例えば体力の量などが低下しているのは彼女も理解していた。
が。それを差し引いても、一般人に聖人と戦うのは無謀である。
一流の魔術師ですら赤子のように扱う文字通りの怪物。
怪物の相手は怪物がする。それがこの場における神裂の流儀であった。
「しかし、武器がないと言うのは困りましたね」
神裂は戦いの場において刀を多用する。軍刀や脇差などでも代用できるだろうな、と思い立ち、少女には悪いが少し探索してくることにしよう、と立ち上がったその時ーーー、
「…ん…ここ、は…?」
どうやら少女が目覚めたらしかった。あどけなさの残る声。
- 188 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 20:41:11
- 武器が探せないのは痛いが、この手のタイプは放っておくとどこかへ行ってしまうタイプだと"ある少女"の経験で予測することはたやすかった。
「初めまして。私は神裂火織と申します。どうしてこのようになったかは覚えていられますでしょうか」
決められた台本のように言う。
少女は眠そうに目を擦ると、
「……覚えてない、なぁ。わたし、成仏できたと思ったのに」
「(成仏?やはり霊体のようですね、この少女は)」
兼ねてから感じていた違和感は意外な形で解明された。
しかし神裂は日本神道の魔術組織の元女教皇。下手な西洋かぶれの魔術師よりはずっと慣れた存在である。そもそも、更に大きな怪物と戦ったことも幾度かある。
今更霊体くらいには驚かないのだが、逆に驚いたのは少女の方であった。
「えーっ!?何でめんまが見えるの?」
少女の姿はごく限られた人にしか視覚できない。例えば、宿海仁太。相思相愛であった彼にだけは、少女を認識することが可能だった。
そして、確かな奇跡。
彼女の仲間たちにも最後のわずかな間だけではあるが視覚できた。
実は荒耶によって参加者全員に視覚できるように細工されているのだ。
そして、情報交換。
- 189 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 20:58:54
- ◆
分かったことはいくつかあったが、互いにとって大した収益となることはなかった。
しかし、少女のことをある程度知ることができた。
少女の名は、本間芽衣子。ニックネームは「めんま」。
幼少期の夏に川で溺死した(芽衣子の記憶が曖昧なため推測で)。
彼女が長い時間を経て霊体として現れた理由は、『めんまのお願いを叶えてほしい』。
友人たちに奮闘され、ようやく晴れて成仏することができた。
しかし、目が覚めれば殺し合いにいた。
というわけだ。
神裂は自分が世界に二十人といない聖人だとも明かしたが、芽衣子にはかなり難しい話だったらしく、とりあえず侍みたいなものだと言っておいた。
ひとまず、芽衣子の知り合い『じんたん』『ゆきあつ』『ぽっぽ』を探すために行動を開始することにした。芽衣子の支給品には短刀が入っていたため譲ってもらった。
ちなみにあの後神裂は芽衣子を『芽衣子』で呼んだところ、『めんま』と呼んでと強く押され、あだ名で呼ぶことを余儀なくされた。
しかも神裂のことは『かおりん』と呼ぶと言い出す始末だった。
【深夜/c-4】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[思考・行動]
基本:殺し合いの転覆
1:めんまを守る
- 190 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 21:01:50
- 【本間芽衣子@あの花】
[思考・状況]
基本:誰にも死んでほしくない。
1:じんたんたちを探す。
※最終話、成仏した直後からの参加です
※参加者全員に例外なく認識できます
投下完了
- 191 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 22:12:21
- アニメロワ第23話:未来へ駆ける
登場:牧瀬紅莉栖、椎名まゆり、音無結弦
- 192 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 22:24:37
- ーーーこれは、始まりに至る前座(プロローグ)。
◆
時は、あの悪夢の開会式から数十分前に遡る。
両手を手錠で拘束された少年だった。彼の名は音無結弦。とある地下鉄事故にて、多くの命と引き替えに若い命を散らせた少年。
やっと仲間たちと成仏できたはずなのに。
立華奏が消えた後しばらく経過してから、彼の前に明らかに異質な外套の男が現れたのだ。NPCではなく、確かに自分の意志を持っている。
『貴様の愛する者は既に私の手中にある』
男はそう言った。とっさに携帯していた銃で頭を打ち抜くが、応えている様子はない。
そのまま、気付くと今の状況だったのだ。
モニターには、鎖に拘束された立華奏の姿があった。意識は無いらしく、男曰く指先一つで生命を真の意味で終わらせることができるらしい。
男の要求はたった一つだった。
『音無結弦。貴様にはエネルギーの一部を分け与える。立華奏を守りたくば、貴様はできるかぎりゲームを盛り上げ、殺せ。働き次第では解放してやろう』
そして、音無の肉体には莫大な力が注がれ。
音無結弦は大切な者を守るために、ジョーカーとなった。
- 193 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/25(土) 22:40:05
- ◆
足元には、一人の少女の無惨な死体が転がっていた。
立ち尽くすのは牧瀬紅莉栖。呆然としたような顔でそれを見おろしていた。
「嘘……まゆ、り……」
椎名まゆりはSERNに射殺された。名簿で名を見つけた際にはうれしいやら悲しいやら複雑な気分であったが、今はもうそれはない。
奇しくも同じ箇所である額を撃たれて、椎名まゆりは絶命したのだ。
紅莉栖は手に持っていたゼットソーをかたり、と取り落とした。
「tgfde死ね」
ノイズ混じりの声ではあったが、明らかな敵意は感じられた。
【続きはまた明日書きます】
- 194 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/26(日) 14:52:21
- アニメロワ第24話:future gazer
登場:音無結弦、牧瀬紅莉栖
- 195 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/26(日) 15:09:12
- ◆
暗闇の中。殺し合いの主催者である荒耶宗蓮は、興味深げに一箇所のモニターを見ていた。映し出されているのは、天才少女牧瀬紅莉栖と、『ジョーカー』音無結弦。
ーーー働きは上々だ。
荒耶の予想を遙かに超えて、音無は暗躍していた。
彼が自我を失っている理由は力の代償のためなどではなない。彼自身が自我を捨てて行動しているのだ。立華奏を救うために、無駄な情を切り捨てるために、彼は殺戮機械となった。
荒耶の与えた莫大な力を見事に操り、指弾を用いて椎名まゆりを殺害した。
実は。本来ジョーカーとなる予定だったのは宿海仁太か岡部倫太郎であったのだ。
しかし、参加者の一人である音無は一番強い意志を持っていた。『立華奏を守るためになら他の全てを殺すこと』すら実行する。
当初のジョーカー候補の二人は今主催打倒のために動き出している。
興味深そうに荒耶はそれを眺めた。
◆
音無結弦の指先に謎の素粒子が集まっていく。
『証明はできないが確かに理論上存在する』暗黒物質に限りなく近い物質。
牧瀬紅莉栖はそう分析した。
ゼットソーを拾い上げるが、まゆりの死体を見る限りまゆりはあの素粒子の塊に頭を撃ち抜かれたのだろう、と思い動けなかった。
- 196 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/26(日) 15:23:44
- そして、かなりの速度で素粒子弾が放たれた。
紅莉栖の右肩をかすめていく。痛みに顔をしかめるが、まともに命中しなかったということからあの素粒子をまだ音無は使いこなせていないのだろうと推測する。
まだ幸運だ。音無がこの力を使いこなせるようになっていたら今の一発で紅莉栖は死亡していただろう。
ならば後は簡単だ。今はこの怪物から逃げることだけを考えればいい。
とすっ、という音がした。
投げたのは投擲用のナイフ。しかし先端から睡眠薬が分泌されるようになった。
倒れる音無。しかし一息つく暇など無い。紅莉栖はまゆりに一言謝ると、走り出した。
投下完了。表はありません。
- 197 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 22:58:17
- 投下します
タイトル:あまりに大きすぎる損失
- 198 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 22:58:52
- 暗い海上を、クルーザーでゆっくり進んでいく。
運転手は無免の素人、スピードを出し過ぎるのは怖い。
第一、スピードを出し過ぎてエリアから飛び出ても困る。
「クルーザーの運転なんてよく出来るわね…」
「いや、免許も何も無いけど?なんとなくで操縦してる」
「…え?」
「何だよ、そこまで露骨に嫌そうな声出す事ねえだろ」
誰だって、運転手が無免許だと分かれば途端に怖くなる。
例え、本人が大丈夫だと言っていても、だ。
「なんだか、急に空恐ろしくなってきたわ」
「…だ、大丈夫だよ!今んとこ上手く行ってるし」
確かに今の所は上手く行っている…。
今の所は。
だが、いつ事故を起こしたり故障したりするか分からない。
しかし、自分もクルーザーの操縦なんてできない。
今は、剛に任せるしか無い。
(…そういえば、あのガラクタの中に、「爆弾」とか言うのがあったわね…)
ガラクタ袋の中から、小さなジュラルミンのケースを取り出す。
ケースの隅に、「爆弾」と掘られている。
…怪しい。
ケースを開けてみるが、中にあるのは日用品と小さな紙。
どう見ても、爆弾にはなりそうにない。
「やっぱりガラクタ…でも、一応組み立ててみても良いわね」
- 199 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 22:59:23
- ◇
「よし、ここにでも停めるか…」
「…あそこにあるのは病院みたいね」
病院近くの小さな岸にクルーザーを停泊させる。
あくまでただの岸なので、停泊用のスペースなんてない。
仕方無く、ちょっと沖合に停める事になってしまった。
「…おい、行かないのか?」
「ちょっと待って…もう少しで出来るから」
「何作ってるんだ?呑気に工作なんてやってる場合じゃないだろ」
「…よし、できた。でも、こんな物が本当に爆発するのかしら」
試しに、起動させた後にビニール袋に入れて、沖の方に放り投げる。
綺麗な放物線を描きながら、袋に入った「爆弾」が飛んで行く。
「結構遠くまで行ったな」
心の中で10カウント数える。
5…4…3…2…1…。
カウントが0になると同時に、爆弾の落下した当たりに爆発が起こる。
眩い閃光と、大きな爆音。
「…おいおいおいおい!本物じゃねえか!マジかよ!!」
「作った私自身びっくりよ。あのケースに入ってたのって、ただの日用品だったし」
「本当に日用品だったのか…?」
クルーザー内に入り、机に出しっ放しのケースを見る。
…間違いなく、普通に店などで買えるような日用品だ。
一体、どうやれば爆弾になるのか、見当も付かない。
「…訳分からん。まあ、武器になるならいいか…」
◇
- 200 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 22:59:54
-
ドーン…と爆発音がどこかから聞こえてくる。
すかさず窓の外を見る。
…西の方で爆発があったようだ。
とは言え、ここから西と言うと海に繋がっている川があるはず。
川の上で爆発があったのか…?
「…確認する必要があるわね」
辺りを警戒しながら病室を出て、階段を降りる。
1階に降りると、血の臭いがまた鼻をつく。
自分からすると、さして珍しい物でもないが。
「さて…西の方だったわね…」
入り口は北と、西の方に急患用の入り口がある。
やはり、西を調べるなら西から出た方が都合がいい。
「…さて、西に何があるのかしら?」
◇
「…結局材料を使い切って、3つ爆弾ができた訳で」
「3つも作って、どうするのよ」
「何かの役には立つだろう、さてどうする?上陸して、病院を見て回るか?」
「いいわね、役に立つ物もありそうだし」
甲板に出て、病院に入るかどうか話し合う。
足元に、手製の爆弾を転がしたまま。
起動させてはいないので、爆発しないが。
「水ん中通っていくしかないな、濡れるけど我慢しろよ」
「仕方無いわね、我慢するわ」
水上に降りようとした時。
病院方面から、女が近づいてくる。
手には、何かを握っている。
「おい、そこにいるのはだれだ?ゲームに乗ってるなら、それ以上近づいてこないでくれよ」
「わざわざ聞かなくても、懐中電灯を使えばいいじゃない」
そう言ってデイパックから懐中電灯を取り出し、ライトを付けて相手に向ける。
右肩辺りに包帯を巻いている。
負傷したのだろう。
そして…手には、サバイバルナイフらしき物を握っている。
- 201 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 23:00:24
- 「…やっぱりゲームに乗ってるっぽいな。船を出して逃げよう」
「分かったわ!」
運転席に飛び込む。その間にも、敵はこちらに近づいてくる。
水中を歩いているお陰でスピードが遅いのが救いか。
「くっ…早く、早くかかれ!」
焦っているせいか、エンジンがなかなかかからない。
(早く早く早く!早く!)
いくら焦ってもキーは空回りするだけだ。
落ち着こうにも、そんな暇は無い。
「きゃあっ!」
甲板で、忍の悲鳴が聞こえる。
「!!」
反射的に運転席を飛び出し、甲板へ出る。
そのまま上がってくる女を体当たりで水中に叩き落とす。
勢いが付き過ぎて自分も一緒に落下する。
「ゴボッ…よくもやってくれたわね」
「へっ、よく言うぜ。俺達を殺す気でこっちに来たんだろ?」
「仲よくするために近づいたとでも思って――!?」
言い終わる前に、剛の拳が女の顔面にヒットしていた。
鼻の骨が折れたようで、鼻血を出しながら倒れた。
「質問に質問で返せって、誰が言った!!」
(えっ、怒るのはそっち!?)
妙な方向に怒ることに心の中でツッコミを入れる。
…今はそんな事を言っている場合では無い。
殴り倒された女が、憤怒の表情を浮かべ起き上がってくる。
「よくも…やってくれたわね…」
「元はと言えばそっちが悪いんだろ、正当防衛とでも言っておくか」
「絶対…許さないわよ…」
殺気を剥き出しにし、こちらを睨み付けてくる。
「うっ…」
思わず体が委縮する。
その視線が、まさしく獣のそれだったからだ。
「…隙だらけよ!」
水中を歩いているにも関わらず、素早い動きで剛に襲い掛かる。
未だ眼光にビビって、身動きがとれない。
- 202 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 23:01:10
- 「あぐっ…」
ナイフが、柄の部分まで腹に突き刺さった。
刺さった部分が、焼けるように熱い。
まるで、傷口に焼けた鉄棒でも突っ込まれているようだ。
汗が滝のように流れる。
「…クソッタレが!!」
僅かな力を振り絞り、女の首に手をかけ、絞め上げる。
自分でも驚くほどの力で絞め上げている。
これが、火事場のバカ力とか言う物だろうか?
「苦…し…放し…」
何か言っているが、耳に入って来ない。
そして、掌に厭な感覚が伝わってきた後、女は力無く崩れ落ちた。
絞め過ぎて首の骨が折れたのだろう。
首が異常な方向に捻じ曲がっている。
「まさか、この俺が人を殺めるとはな…流石に、過剰防衛か?」
再度腹の痛みが襲ってくる。
見る所出血は致死量ギリギリか…。
周りの水が、血で染まっている。
「ちょっと、しっかりしなさいよ!」
「流石に、もう無理だから。こう言うのは自分が良く分かるんだよ」
もう、忍の顔も良く見えない。
こんな下らねえ場所で死ぬなんて不本意すぎるが、仕方が無い。
これも、きっと運命だったのだろう。
「…お前の…事…ゴリラなんて…言って…悪…か…た…」
思いを最後まで伝える事無く、剛は力尽きた。
その顔は、苦しみとは無縁の表情だった。
◇
「…。」
剛の遺体を陸にあげ、草地の上に安置する。
今は、ゆっくり墓を作ってあげることもできない。
(もし、私が生きて帰れたなら…きっと、貴方を弔う)
涙をぬぐい、決意の籠る目をして、クルーザーへ戻って行った。
【一日目・深夜/C-4:岸】
【大岩忍@オリジナル】
[状態]:健康
[所持品]:支給品一式、ガラクタ袋@ロアシリーズ、日用品爆弾×3
[思考・行動]
基本:必ず、このゲームから脱出する。
1:…。
【緑川美紗子@オリジナル 死亡】
死因:頸椎骨折
【白川剛@オリジナル 死亡】
死因:失血死
- 203 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/27(月) 23:01:41
- 投下終了です
- 204 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/28(火) 19:04:07
- アニメロワ第25話:"大切な人"
登場:宿海仁太、古河渚
- 205 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/28(火) 19:21:02
- 「……じれったいな案外」
仁太は片手にコルトバイソンを握り、ぼそっと呟く。
彼は殺し合い開始から二時間半もの時間が経過しても、未だ誰とも遭遇していない。
いくつか銃声のようなものを耳にしたが、近くには敵も死体も発見することはできなかった。しかし、銃声が聞こえたことにより、殺し合いに乗った者も少なからず存在するとも証明していた。
「あのー…」
「うおぉっ!?」
勢いよく振り向くと、茶髪に大きな瞳、二本のアホ毛が特徴的な世間的に言えば『美少女』に分類されるであろう可愛らしい少女であった。
割とそういうことには無関心な仁太でさえも少し見とれてしまうくらいの。
「…ごめんなさい、驚かせちゃいましたか?」
「いや、大丈夫だ。俺は宿海仁太。殺し合いには乗ってない」
実際少女ーーー古河渚ーーーの方が年上なのだが、仁太の方が冷静さを保っていることもあり、年上に見える。
渚自身もまた、仁太は自分と同年齢もしくは年上だと感じていた。
二人は情報交換を行う。
驚いたことに、両者共に誰にも遭遇していなかったらしい。
「じゃあ、古河は岡崎と春原って奴等を探してるんだな?」
こくり、と渚は頷く。とその時。
- 206 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/28(火) 19:34:47
- かしゃり。
仁太の上着からキーホルダーのようなものが落ちた。それは団子のようなものが描かれたメタリックキーホルダーで、一時期大人気になったアニメ『だんご大家族』のもの。
仁太の居た世界線にはこのアニメは存在しなかったため知らないし、大体何故今これが支給されるのかと思いとりあえず上着に押し込んでいたのだが。
渚がこのアニメのファンだということも彼は知らなかった。
「だんご、大家族……!」
「古河これ知ってんの?俺は聞いたこともないんだが」
渚は大人気のアニメだと若干鬼気迫る勢いで説明した。
ちなみに仁太も渚は同年代だと思っている。
「まあそんなに欲しいならくれてやるよ」
放物線を描いてキーホルダーが渚の手に吸い込まれる。
直後渚からだんご大家族について長々熱弁されたのは言うまでもない。
【深夜/e-4】
【宿海仁太@あの花】
[思考・行動]
基本:このゲームを終わらせる。
1:仲間たちと合流する。
2:古河と一緒に行動し、できる限り守ってやる。
【古河渚@CLANNAD】
[思考・行動]
基本:誰も殺したくない。
1:岡崎さん、春原さんと合流したい。
2:宿海さんと行動する。
3:だんご大家族…
- 207 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/28(火) 19:35:28
- 投下終了です。
- 208 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/28(火) 22:07:18
- 投下します
タイトル:合流、ならず…
- 209 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/28(火) 22:07:56
- 「見えたぞ、あそこがスーパーだな。明かりが付いてるお陰でよく見える」
「そうですね…」
ほんのり明るい道を2人で歩く。
街灯が無くても4,5メートル先ぐらいなら何となく見えるくらいの暗さだ。
「あ、9Qさん、ここの家…ガラスが割れてますよ」
「本当か?…確かに割れている。入ってみるか」
ぐるりと大回りして、ガラスの割れている家の玄関に向かう。
…玄関は壊れていない。
もしかしなくても、中で戦闘があったに違いない。
「もしかしたら、中にまた死体があるかもな…」
「ええー…。また、ですか…」
「…仕方無いさ、ここはそう言う所なんだ」
音を立てないように、慎重に玄関を開ける。
その時、遠くから爆発音が。
(何だ!?)
- 210 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/28(火) 22:08:27
- 咄嗟に身構える。
「わあああああああ」
「落ち付けって!大丈夫だから!」
リビングであろう部屋の方向から声が聞こえる。
死人はいないようだ。
ほっ、と胸をなでおろす。
「…中に誰かいるんだろう?警戒しなくてもいいから出て来てくれ」
「ああああああ、誰か来ましたよよよよ」
「いい加減落ち付けって!すまないけれど、そっちの方から来て貰えないか」
2人組の片方はかなり怯えているようだ。
普通に生きてれば、こんなゲームに巻き込まれないだろうから無理も無いが。
それに比べて、もう片方の奴はかなり落ち着いている。
こんな状況に慣れているのだろうか?
「分かった。俺の方から行こう」
「助かるよ。…あっちから来させる事になっちゃったじゃないか」
「すすすすすみません…」
相変わらずビビっている。
剣を持ったまま行くと、失神するかも知れない。
一応、アイスソードをデイパックの中に仕舞う。
「失礼する…おっと、xz氏だったのか、驚いたよ」
「それはこっちも同じだよ」
「この男は滝沢佑馬。そっちの隅で震えてるやつは?」
「あいつは秋田良純って言うらしい。さっきから怖がりっぱなしで…」
部屋の隅でまだブルブル震えている。
見た所、20代くらいだろうか?
何歳になっても、やっぱり怖い時は怖いんだなあ、と思ってしまった。
「怖がる事無いだろう?危害を加えるつもりなんてないんだから」
「ほほほ、本当ですか」
「ああ。第一、今俺は武器を携帯してないだろ?武器を持ってない訳じゃ無いが」
「た、確かに…」
「だろう?だから俺達を信じてくれ」
- 211 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/28(火) 22:08:58
- 少しの間があったが、何とかこちらを信用してくれたようだ。
…それでも、まだビビっている。
(こいつ、本当ビビりなんだな…)
「せ、せっかく4人もいるんですから、冷やし中華でも食べませんか?」
「…何がせっかくなのか良く分からないけど、くれるなら貰うよ」
◇
「ところで、さっきの爆音は何だと思う?」
「さあ…何なんでしょうかね?誰かが爆発物でも使ったんでしょうか」
「多分、そんなとこだろう。それで死人が出てなけりゃいいんだが」
赤の他人であろうと、人が死ぬのは好きじゃない。
それは、人として当然だろう。
相手が、こっちを殺す気で来るなら、話は別だが。
現に、自分は襲い掛かってきた相手を斬っている。殺してまではいないが。
そういえば、あいつはどうなったのだろうか?
あの後、氷が溶けて失血死でもしたのだろうか?
どうなろうと、自業自得だが。
「xz氏たちは、この家に来る前にヤバい奴に会ったりしたか?」
「変な男に会った、と言うか襲われた。無我夢中で走ってたらこの家に着いてた。ここで良純にも会った」
「そうか。…秋田良純、だったか?お前は、誰かに会ったのか」
「いいえ…この家に来るまでは、特に誰とも」
「始まってから4時間近く誰にも会わなかったのか。ある意味、ツイてるな」
しかし、誰にも会わないと言うのある意味いい事なのではないだろうか?
誰にも会わないなら、仲間が増えない代わりに襲われもしない。
「さて…そろそろ出発するぞ、佑馬」
「えっ?この方たちはどうするんですか?」
「一緒に行きたいが…あまり多人数で動くのはリスクが高いからな。xz氏達には悪いけど、ここで一旦お別れだ」
デイパックを肩にかけ、さっさと家を出て行く。
呼び止める暇もなく、2人は行ってしまった。
「あっ…せっかく、一緒に行動するチャンスだったのに」
「こ、これから僕達どうしましょうか?」
「…仕方無い。とりあえず、もう少しここで様子を見よう。冷やし中華も食べかけだし」
- 212 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/28(火) 22:09:31
- 【一日目・朝/A-3:民家】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:バール、モスバーグM500(5/6)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:せっかく9Q氏と同行するチャンスだったのに…。
2:また暫く民家の中にいる。
【秋田良純@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、12ゲージ弾×12
[思考・行動]
基本:とにかく死にたくない。
1:せっかく、頼もしそうな人が来たのに…。
「本当にいいんですか?さっきの2人を置いて来て」
「ああ…。あの2人を連れて来ても、守りきれそうにないしな…」
複雑な表情を浮かべ答える。
確かに、アイスソード1つだけでは自分を除く3人を守るには心細い。
さっき、◆xzYb/YHTdIは銃を持っていたが…。
あの2人は、どう見ても銃を使い慣れてはいない。
自分も、そこまで使い慣れてはいない。
使い慣れない物を使っても、役に立つかどうか。
「…まあ、そんなに簡単に死ぬような奴じゃないさ」
【一日目・深夜/A-3】
【◆9QScXZTVAc@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:アイスソード
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくないな、でも敵には容赦しない
1:スーパーに行ってみよう…。
【滝沢佑馬@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、冷やし中華(残り11人分)
[思考・行動]
基本:人殺しなんてしたくない。
1:◆9Qさんに付いて行く。
2:9Qさんはああ言ってるけど、大丈夫なのかな…
- 213 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/28(火) 22:10:19
- 投下終了です
- 214 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 18:05:37
- アニメロワ第26話:時系列さえもっと遅ければ…いや、言うまい。
登場:浜面仕上、ランサー、暁美ほむら
- 215 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 18:22:40
- 暁美ほむらとランサーは、ひとつの惨劇の跡を訪れていた。
金髪の少女の頭は破砕し、近くには青髪の侍風の男が胴体に無数の穴を開けて絶命していた。何かマシンガンのようなもので撃たれたらしい。
ここまで明確な『死体』を初めて見たほむらは呆然としていたが、ランサーは苦虫を噛み潰したような表情で言った。
「この青髪の侍は俺と同じ英霊ーーーサーヴァントだ。確かクラスはアサシンだった。英霊を銃で殺すなんざ普通の人間じゃ不可能だ。相手はそういう事のプロだろうな」
「騙し討ちでもされたのなら有り得るわね」
口調こそ冷静ではあったが、英霊はほむら達魔法少女の最大の敵であり壁、『ワルプルギスの夜』さえ簡単に倒せるかもしれないほどの力を個々が有していると考えていたほむらは二人を殺した相手に明確な警戒心を抱いていた。
◆
「……もうすぐ放送か」
浜面仕上もまた、片手にAK-60を片手に持ちながら敵を探していた。
俗に言う『危険派対主催』といえる浜面にとっては、自分にとって不都合な存在は例え同じ立場ーーー対主催側であっても殺すことは厭わない。
現に彼はそういう世界で生きてきた。
無能力者たちの秩序となった少年駒場利徳は死んだ。
- 216 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 18:36:10
- 正義などは所詮報われない。ならば悪になろう。浜面仕上はそう考えた。もしも、荒耶宗蓮を打倒できたとしても、もう仲間の半蔵たちと同じ世界には居られない。
そんなことは理解していた。理解しながら、浜面は戦うことにした。
同じ悪の道を歩む『最強』の怪物とは何もかもが違っていた。
◆
「…誰か来るわ」
ほむらは視界に茶髪のチンピラ風の少年を捉えた。
少年とはいえ高校生くらいの、ほむらよりは幾つか年上だと思われる。
しかし、その手にはAK-60。
ほむらも戦いの中で魔法少女としては弱い彼女の力を補うために兵器に頼ったため、見覚えはあった。
「よう。俺は浜面仕上って言うんだがーーー」
「………てめえ、殺気を隠し切れてねえぜ」
ランサーが言った次の瞬間。何の前触れもなく浜面は発砲した。
弾丸はランサーの胸の中央へ飛んでいく。スキルアウト時代に少し銃については嗜んだだけであったが、火事場の馬鹿力だろうか、思いの他うまく飛んだ。
カキン、と音がした。
は?と浜面が口にした時には、発射された弾は地面に跳弾していた。
ランサーは浜面の戦ってきた相手ーーー風紀委員、警備員、能力者ーーーのどれにも属さないが、圧倒する。
- 217 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 18:49:09
- 結局、次元が違いすぎたのだ。
くそっ!と浜面は銃を構え直すが、ランサーは槍を既に構えていた。
しかし、浜面は経験で理解している。いくら強い威力の槍や鉄パイプなどでも、鉛弾の一発でもぶち込めば軌道はある程度逸らすことができるのだ。
もし槍を外せば、決定的な優位に立てる。
いくら超人じみた身体能力と胴体視力、更には学園都市製クラスの金属を用いた槍を持っていようとも、頭に撃ち込めば確実に殺害できる。
勝てる。浜面は心の中でほくそ笑み、槍で浜面を突こうとするランサーの槍の根元に、一発の弾丸を撃ち込んだ。ひゅん、と槍は空を切る。
だが。彼は疎すぎた。
科学では説明できない非科学の領域ーーー『魔術』に。
浜面仕上の胸を激痛が襲った。槍は確かに外れていた。
しかし、ランサーの槍は宝具『ゲイ・ボルグ』。例え刺突を外そうとも、ただ『心臓を貫いた』という事実だけを生み出す必殺の槍。
英霊の一人である弓兵でさえも、後退する以外に対処法がないというほどの。
「(くそっ……俺は、最後までただのやられ役かよ…)」
浜面仕上の脳裏を、いくつかの風景がよぎる。
それを走馬燈と認識することに時間はかからなかった。
- 218 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 19:02:01
- 今まで関わった人たちの顔がまるでスライドショーのように流れていく。
ーーー浜面!今が食い逃げのチャンスだぜーっ!
「(…悪い、半蔵。もうお前と馬鹿やることもできねえよ)」
ーーー女子供に暴力は、いかんぞ…
「(駒場のリーダー…あんたは本当に良い奴だったよ。俺も、もうそっちに行くぜ)」
ーーー浜面ぁ!まぁた補導されたじゃんよー?
「(黄泉川だったっけか…警備員の中でも、お前はあんまり嫌いじゃなかったよ…)」
もう終わりが近い。そもそも、即死級のダメージを受けて今まで生きていられたことがすでに奇跡であったのだ。
そして、彼が最後に見たものは。
ーーー結局、浜面は私たちのパシリってわけよ!
ーーー浜面はやっぱり超浜面ですね
ーーーはーまづらぁ!飲み物も満足に運べねぇのか役立たずがぁ!
ーーーはまづら、口づけと平手打ち、どちらをしたら目が覚める?
あるはずのない、日溜まりだった。
ーーー見たこともないのに。不思議と俺はそいつらを知ってる気がしたんだ。
浜面仕上は最期に心の中で呟いた。
死体の目からは、何か透明な液体が溢れ。どこか安らかだった。
- 219 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 19:10:13
- ◆
「さすがにショックだったかい?」
ランサーは静かにほむらに聞く。ほむらはあくまで光の中で生きてきたのだと認識していたので、人が死ぬのはショックかと思ったのだ。
「見慣れているわ。…もっときつい現実だって」
まだ会えない大切な人、鹿目まどかを想い、暁美ほむらは空を見上げた。
【浜面仕上@とある魔術の禁書目録】 死亡
【残り31/40人】
【深夜/e-2】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[思考・行動]
基本:殺し合いを転覆させる。
1:まどか…無事かしら?
【ランサー@Fate/stay night】
[思考・行動]
基本:ほむらの意向に従う。
投下完了です
- 220 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 21:19:14
- アニメロワ第27話:残酷歌劇
- 221 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 21:35:13
- 上條恭介は焦っていた。先ほど確かに聞いた、よくドキュメンタリーで見るような精神に問題を抱えた笑い声と、目の前の嗚咽する少女。
一般人である上條に正当な判断は不可能だった。
ただ、その右手には黄金の剣ーーーカリバーンが握られていた。
「ッはァ!」
自己紹介すらしてはいないのに、さっきの異常な声によく似た声がすぐ近くからした。本能が告げていた。
今すぐに逃げなければ、間違いなく殺される。しかし、目の前の少女は逃げられるような精神状態ではないだろう。それに、きっと上條は死ぬ運命だとどこか悟っていた。
確かに退院こそしたが、長らくベッドの上にいた肉体が思い通りには動かない、少なくとも追ってくる狂人などから逃げきれるほどの足の速さは期待できない。
ーーーどうせ殺されるのなら、戦おう。どこかにいる幼なじみの為にも。
その幼なじみはすでに破滅の権化に成り果てていたことも知らずに、上條は言った。
「君は早く逃げるんだ!あまり長くは保たせられないだろうから…」
少女はそれでも動かなかった。いや、動けなかった。
しかし、現実は甘くなどない。最悪の狂犬、白純里緒が、ドスを持って上條の背後に現れる。言葉などは交わさない
- 222 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 21:49:10
- ドスの刃が上條の頬を薄く裂く。上條は闇雲にカリバーンを振るうが、当然と言えば当然、あくまで闇雲に振るっている程度にしか扱えなかった。
当たれば一撃で白純に致命傷を与えるクラスの魔術的な力を秘めていながらも、本来魔術に心得のある者が扱う剣のため、上條には最大の力は引き出せなかったこともある。
刹那に勝負は決着した。
白純のドスが上條の腹を刺し貫き、二撃目で頸動脈を切り裂いた。
鮮血が飛翔し、カリバーンを持ったまま倒れてしまう。血を失う速度は思っていたよりずっと早い。視界が霞み、目の前もロクに見えなくなってくる。
結果、上條恭介はヒーローになれる器ではなかった。
白純が涎を垂らしながら、血走った目で近付いてくる。上條は知らないだろうが、白純里緒の本質は『食べる』ことだ。つまり、白純は殺した上條を補食するために近寄ってきたのだ。
「……、ひゃはははは」
白純の声さえも途切れ途切れにしか聞こえない。
が、上條の最期に取った行動はあまりに意外なものであった。
「(僕は、ーーーーー)」
考えすら満足に浮かばなかったが、上條は致死量の血液を失いながらも、最後の力を振り絞り、白純の心臓をカリバーンで一突きにした。
- 223 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 22:04:07
- カリバーンは絶大な威力を秘めた剣だ。
投影されたものとはいえ、魔術的な防護結界でも張っていなければ、一般人の肉体を貫通することなどたやすいことである。
断末魔の声もなく、カリバーンが刺さったまま白純は後ろに倒れていった。
また、上條もすでに息絶えていた。
◆
終わってしまった。エルシィは歯をがちがち鳴らしながら、再び嗚咽していた。
自分も戦っていれば。あの少年は死ななかったかもしれないのに。
「………もう嫌だよ…神様ぁ…」
「よぉし、じゃあ一瞬で楽にしてやるからな」
弾丸の雨がエルシィの全身をくまなく撃ち抜いていた。
倒れたまま、エリュシア・デ・ルート・イーマもまた絶命し、二度と起きあがらなかった。背後の襲撃者ーーーー木原数多は、邪悪な笑みを讃えていた。
最初は、白純と上條をまともて撃ち殺してしまおうと思った。
そうしなかったのは、『面白そう』であったというだけ。木原数多は根本的な『悪党』である。彼を殺害した一方通行とは明らかな違いがある。正義の心など欠片も抱いていない、人の命など雑草程度にしか見ていない『悪人』であるという点だ。
木原は無造作にカリバーンを拾い上げる。
- 224 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/29(水) 22:13:46
- 非力そうな少年が、殺人鬼の胸を軽く一突きにした剣。
学園都市製ではありえないと確信できるほどの切れ味。魔術サイドには一切の関心がない木原でさえ、これを用いれば一方通行のベクトル変換を破ることも容易かもな、なんて有り得ないとは分かっていながらも呟き、デイバッグに押し込む。
木原数多は殺した死体と転がっている死体を見ることもなく、歩きだした。
【白純里緒@空の境界】
【上條恭介@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリュシア・デ・ルート・イーマ@神のみぞ知るセカイ】 死亡
【残り28/30人】
【深夜/d-6】
【木原数多@とある魔術の禁書目録】
[思考・行動]
基本:適当に殺して適当に優勝する。
1:一方通行を探して復讐する。
投下完了。
- 225 : ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 01:09:04
- えー、罪ロワイアル、毎度お馴染み大規模規制なもんで、こちらに張り張りさせていただきます。
- 226 :08 嬲 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 01:10:22
- 【1日目、朝、海岸沿い、高樹朝子】
明け始めた空に、うおんうおんとサイレンが響き、続いてノイズ混じりのアナウンスが告げられている。
その内容を、アサコはさして聞いてはいない。
あのステージで口上を述べていた、そして鉄の棺から目覚めたときに聞いた、芝居がかった男のそれである事と、そしてやはりそこで語られた「罪を償った犯人」の中に、先程目の前で殺された、ケイイチの名が述べられていた事くらいだ。
庚塚啓一。自らをヤクザだと言い、手にした拳銃でアサコと他2人の男達を脅して、「手分けをして殺して回れ」と言い、そしてあまつさえ…アサコを陵辱しようとした男。
アサコが襲われている最中、何者かがケイイチを殴り飛ばした。
手にしていたアレは、多分スコップか何かだ。土木作業で使うような、両手持ちで土を掬い砂利を運ぶ様な、大きなもの。
それで、アサコにのしかかっていたケイイチを、後ろから殴り倒し、たたきのめし、そして最期には…喉を抉って、殺した。
殺した、のだろう。あの場、あのとき、あの男が。
あの男。
暗く、陰になっていた為、はっきりとは分からない。
分からないが、多分あの男は、アサコが最初にケイイチに脅され、あの作業場で正座させられたときに、その前から座らさせにれていた、背の低い男だろう。
だとすれば、彼はもう1人の小太りの男と共に作業場を出てから、再び戻ってきて様子をうかがい、ケイイチを殺した。
何故? 何のために?
アサコが陵辱されかけているのを見て、助けてくれたのか?
そうではないか。いや、そうであって欲しい、という気持ちがある。
であれば、彼は恩人だ。そしてこの場このとき、そのように助けてくれる誰が居るというのは、幸運であるとも思える。
けれども、そうではないかも知れぬ、とも思う。
助けるというだけなら、殴り倒し銃を奪うだけでも、なんとかなった…かもしれない。
彼はケイイチを殴り倒し打ち据えて、何等問答も逡巡も無く殺した。
打って、打って、打って、打ち据えて、完膚無きまで叩きのめし……それから、手にしたスコップで、その喉を抉り、血しぶきを浴びていた。
はなから、殺すつもりで戻ってきた。アサコが陵辱されているかどうかとは関係なく。
その可能性がぬぐえない。
従うふりをして油断させ、背後から襲う。
あの男がケイイチと出会ったハナからそういう計画を立てていたという事も、考えられる。
これらのいくつかの可能性を、アサコは明確に順序立て整理して考えていたわけではない。
ただ、不信感と目の前で人が殺された事への恐慌が、アサコを駆り立てていて、その理由を明文化するとすれば、このようになると言うだけだ。
その不信感の元は、ケイイチが口にした言葉にある。
つまり、「人を故意に殺したのは、アサコとあの小男の2人」であるという、その事だ。
- 227 :08 嬲 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 01:11:04
- 小太りの男は、車の事故で誤って人を死なせたと言っていた。
しかし、アサコは、痴情の縺れからの殺人である。
ケイイチ曰くの武勇伝はどこまで本当かは分からない。放送では彼もまた事故のようなものと言っていたと思う。
では、あの小男は?
あの暗い目を思い出す。
やぶにらみに、周囲を伺うような無表情な目。
それが、周囲への警戒心と怯えからのものととれば、ごく普通の反応とも思える。
しかしそれが、いつ誰をどう殺すべきかを周到に計算してのものであると考えると……。
安心できない。安心できないし、むしろケイイチのような粗暴で短慮なだけの男よりも、理解できず空恐ろしい。
アサコが先程感じた、ケイイチへの異質さ、恐ろしさをなお上回って、あの小男の事は理解を絶する怪物のように思えてきている。
そして、さらに。
アサコはあの小屋を出て後再度、目の当たりにしてしまった。
闘争を。
そのときのことを思い出し、そしてまた独り、アサコはぶるりと身震いをした。
放送より、数時間ほど前。
まだ日が昇りきらず、水平線より僅かに顔を出した、ほの明るい日の光が、周囲に漠とした輪郭を描き出した頃だ。
どこをどう歩き、どう進んだものか。アサコははっきりと分からぬまま、海沿いの茂みに、身を潜めるようにして居た。
この島に来て、何故だか殺し合いをするよう命ぜられ、そして出会った3人の男のうち1人が1人を殺す場面を見てしまった。
人を殺したことがある。だから、人を殺すことも、殺される場面を観ることも平気だ、等と言うことは、ない。
アサコは恐れていた。そして恐れているのにもかかわらず、警戒心が薄れてもいた。
恐れは、人の目を曇らせる。いままさに、アサコの目は曇っている。
だから、今自分がどこをどう歩いてきたのか。それが、周りから観てどれほど不用心かも、自覚できずにいるし、その男がすぐ側に来ている事にも、気がつかなかった。
始めに感じたのは、熱だ。熱い、と言っても、火傷するような高温ではない。ただ、けだるく湿った空気の中に、もわっとした体温が感じられた。
次は、匂い。酒だ。
酷く痛飲した、酔っ払いの吐き出す息の匂い。
アサコの頭上から吐き出されている荒い息が、アルコールの臭気をまき散らしている。
熱。匂い。
そして、音。
- 228 :08 嬲 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 01:11:54
-
ごり、っという音が、何の音かはしかと分からない。
ただ気がついたときは、二つの熱の塊が、アサコの周りで蠢いていた。
反射的にしゃがみ込んでいた。両足をぺたりと砂地に付けて、へたり込んだ様な姿勢で、両手で顔を覆う。
どっ。
がっ。
ぎっ。
ばっ。
肉と肉、或いは骨と骨が、ぶつかり合い、凌ぎ合い、絡み合い、伸び、縮み、そして離れる。
薄く目を開けて、やはりそれが、2人の男が絡み合い組み合うことで生じる音だと分かった。
髪を短く刈り揃えた、タンクトップを着た精悍で痩身の男と、それより頭一つほど大きな、同じく髪を刈り上げた顔を赤くした筋肉質の男。
どちらが、どの様な経緯でこうなったのかは分からない。
ただ分かるのは、顔の赤い男が、先程寸前に感じた酒気の正体だという事だけだ。
既に2人は、アサコのことなど知らぬかのように、ただお互いの体を絡め合い、或いは手刀や蹴りで、或いは腕を取り脚を極め、砂地の上で二匹の大蛇の如く争っている。
争い。
目の前で行われているそれが正に争いであり、そしてこの島が今殺し合いの場であるという事だけが、今のアサコに明確に分かっている事の全てであった。
その場から走り去ったのか、或いは這い逃げたのか。
アサコはその事すらも自覚できないでいた。
【1日目、早朝、海岸沿い、樫屋賢吾】
腕を取られる。
捻り、体をねじり、相手の力をいなして捌く。
動きはさして早くない。
酔っている。それは吐く息と顔の紅潮ですぐに分かった。
しかし、酔っているとは思えぬほどに、この男の力は強い。
特に、握力だ。
完全に掴まれれば、恐らく振りほどくのは至難の業だ。
ただ、その攻撃が鈍く精度に欠けるのが、ケンゴに利していた。
- 229 :08 嬲 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 01:12:38
-
ケンゴが見たそのとき、男は一人の女に襲いかかる瞬間であった。
女の着衣は乱れ、息も荒く怯えているように見えた。
何があったか。何をしようとしているか。
聞くよりも先に、手が出る。
少なくとも、男のしようとすしている事を制する方が先決だと思ったし、それより何よりも、この場で何をどう聞けば適切なのかが、ケンゴには分からなかった。
同行者、ではない。それは多分正解だったのだと思う。
勿論確証はないが、もしそうであれば男の動きはあまりに不自然であったし、女の方もそこで何か言ってきたはずだ。
男の動きは、酔っていることを踏まえても、格闘技経験者というには鈍かった。
ケンゴからすれば、街の喧嘩自慢程度のものだと言える。
ただ、ケンゴにとって不利な点が二つある。
一つは当然、ケンゴが最大の武器である拳を自ら封印している点。
もう一つは、男が酔っているが故に、痛みに鈍感な点だ。
これが、本当にただの街の喧嘩自慢相手であれば、ダメージが少なく、けれども痛みを与える様な攻撃をする事で、怯ませることが出来る。
平手でも良い。痛点を強く握ってやっても良い。投げ技、極め技は得意ではないが、それでも方法はある。
それが、この男には通じない。
はたいても打っても、男はぬらりとそれを受け流す。まるで堪えた様子はない。
そして再び組み付き、力任せにケンゴの体を崩し、地面に転がって締め付けてくる。
それから抜け出す度に、ケンゴは激しく消耗した。
格闘技経験は無いようだったが、それでも男は、こちらの動きに巧く対応してくる。
そしてときには、ケンゴが仕掛けようとしている様な、痛点への攻撃すら仕掛けてくるのだ。
肘の内側を強く握られ、ケンゴは悲鳴を上げる。腱の付け根であり、大人だろうと子どもだろうと関係なく、激痛が走る場所だ。
喉の奥から発せられる、ぐわっ、という声は、獣の咆吼のようでもあった。
腕を振ってはね除けようとし、今度はケンゴ肘が、男の脇腹を突く。
ぐふっ。
悲鳴か。或いは笑い声か。
しかし、ケンゴよりも肉厚で重みのあるその体は、やはりまるで堪えていないようだった。
絡めとられ、結果馬乗りになった。
仰向けに空を仰ぎ見る状態のケンゴに、覆い被さる様に男が跨り、全体重を預けてくる。
拙い。
次の一手で、この男に殺されるかもしれぬ。
絞め殺されるか、縊り殺されるか。何れにせよ楽な死に方には思えない。
- 230 :08 嬲 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 01:13:17
- ケンゴは痛めつけられなかった左手で、とっさに地面の砂を掴み、男の目に向けて投げつける。
反射的に、男は目をつぶり、両手を顔へと持って行った。
その隙に、のど輪を極めた。
ぐぶっ。
今度ばかりは悲鳴であろう。
男ののど仏と気管を強かに打ち付け、そのまま締め付ける。
左手一本。別に絞め殺そうというワケではない。こうすれば相手は、こちらに力を掛けられなくなるし、逃れようと仰け反る。そこから、体を入れ替えようというのだ。
しかし ―――。
男の次の一手は、ケンゴが想定していないものであり、同時に誰もが予想できるはずのものであった。
ぐぶぶっ。
馬乗りになったままの状態から、男はケンゴの顔面へと、ぼたぼたと吐瀉物をまき散らしたのだ。
そしてそのまま、上半身をゲロ塗れにされたケンゴの上に、ずるりと崩れ落ちる。
しばらく喘いでから、ケンゴはその下から這い出るようにして体を起こす。
酔った男は、既に意識を失っている…いや、寝ているようであった。
酔ったまま激しく動きすぎたのだ。体力の消耗も、ケンゴ以上であっただろう。
酔って、暴れた挙げ句、吐いて、寝てしまった。絵に描いたような酔漢そのものだった。
結局、ゲロまみれになったケンゴは、海でその体とタンクトップを洗い、そのまま酔って眠ってしまった男の側に座り、朝の放送を聞くこととなる。
既に女の姿は無かったが、取りあえず逃げのびたのならばそれで良いと思った。
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【参加者資料】
高樹朝子 (タカギ・アサコ)
女・31歳・教員
罪:痴情のもつれの末の殺人
備考:衣服に乱れ
ポイント:100
樫屋賢吾 (カシヤ・ケンゴ)
男・21歳・配管工
罪:暴行による過失致死
備考:空手2段
ポイント:100
- 231 :08 嬲 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 05:34:35
-
花村庄一の最期の記憶を書き出す事にする。
彼は小さな鉄工所を経営していた。破産し家族と共に無理心中を図ったが、図らずも自分一人が生き延びてしまった。
結果、彼は死ねなくなった。
妻と2人の娘を殺しながら、しかし自分だけが生き延びてしまったという現実が、あまりにも怖くなってしまったのだ。
酒に逃げ、或いは鬱々としたまま日々を過ごしていた彼は、何故かいつの間にかこのようなツアーに連れてこられ、そして今まさに死に瀕している。
ぱん、ぱん、と、破裂音がした。
その前にも聞こえていたが、恐らく自分に当たったのはその二つだ。
まずは、太腿。そして、脇腹だった。
最初、痛み、というのはさして感じなかった。
それでも地面に倒れ、その湿った感触を顔面で感じた頃から、徐々に体か現実を知り始めてきた。
痛い。
或いは、熱い。
痛みと熱の中間か、その両方がない交ぜになった感覚が、腹と太股にじわりじわりと広がりだした。
そこでようやく、ハナムラは自分が撃たれたという事を理解した。
撃たれた。
銃だ。多分そうだ。
銃撃など、映画やドラマでしか知らぬ。
あれでは確か、もっと重厚な音がしていた様にも思うが、それでもやはり、自分は撃たれたのだろう。
あの少女か?
先程、自分の目の前に現れた、天使のように愛らしい少女。
南の島に些か不似合いな、ふわりとした柔らかなワンピース。
艶やかなストレートの黒髪。
その姿ははっきりと、しかし何処か朧気で曖昧なまま、ハナムラの脳裏に焼き付いている。
だが、と、ハナムラは思う。
違うように思う。
自分を撃ったのは、あの少女ではない。
少女は、ハナムラの持っていた錆びた鎌を手にして斬りつけてきた。
そしてそのまま、慌てふためき逃げるハナムラを、走って追いかけてきていた。
銃があれば、初めから撃っている。
少女に斬りつけられたときにはあれほど狼狽していたハナムラは、撃たれて地面に倒れた今、何故だか少し、冷静さを取り戻していた。
しかしそれは、ハナムラにとって幸運なこととは言い難かった。
- 232 :09 懇願 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 05:35:32
- 少しばかり冷静さを取り戻しても、この現状を打破する術はない。
銃を持った誰かは未だ近くにいるはずで、また、少女も後を追ってきていたのだ。
そして何より、この脇腹と太腿に受けた傷は、決して軽いものではない。
脂汗が滲み、目の中に入る。
それが染みて痛むが、けれどもそれ以上に腹と太股が痛い。
死ぬ。
自分はもうじき死ぬ。
ハナムラの意識は僅かに冷静さを取り戻したことで、明確にそれを悟ってしまった。
と同時に、それがすぐさま死ぬと言うことではないことも、分かってしまった。
ぶるぶると痙攣するように震える。
息が浅く早くなる。
次第にぬらりとした濡れた感触が地面と体の間に広がっていく。
血だ。
血が、どんどんとあふれ出て、体の中から失われていく。
ハナムラの生命が、地面に染みだし吸い込まれていく。
傷口は熱く燃えるようだが、体全体は次第に冷えて寒くなっていく。
そして、動けない。
脚に力が入らぬ。腹にも力は入らぬ。
或いは、もっと気力があればそれも叶ったかもしれない。しれないが、今のハナムラにその気力は無いし、また立ち上がったところでもう一度撃たれるだけだろう。
何より、ハナムラは今、恐ろしかった。
死ぬことが、ではない。
死して、自分が殺した妻と娘に会うことが、何よりも恐ろしかったのだ。
死後の世界や、霊魂を信じるかどうかと言うこととは無関係に、ただひたすら、ハナムラはそれが怖かった。
自分は死ぬ。
その事を明確に意識してから、ハナムラは強い恐怖と混乱に襲われた。
些かでも冷静さを取り戻してしまったが故に、その恐れに追いつかれてしまったのだ。
意識が、混乱と恐怖に支配された。
痛みと熱が、それらを加速し渦となって増幅した。
その混濁した意識は、失血と共にとぎれがちになり、それでも完全に失われぬまま、かなりの時間が経ったようだった。
それはハナムラにとって数時間でも数十時間でもあり、或いは数分でも数秒でもあるかのような時間だった。
- 233 :09 懇願 ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 05:36:37
-
不意に、光が見えた。
閃光のような光が視界に入り、それはすぐに消えたが、その残滓が目の端に残っていた。
残っていた光が、徐々に大きく広がり始める。
その光の中に、誰かがいた。
誰か。
少女だ。
あの少女だろうか。
あの少女なのかも知れない。
しかしもしかしたら、自分が殺してしまった娘なのかもしれない。
既にハナムラは、それらを分別できるだけの意識を失いつつあった。
ひゅる ひへ
乾いた唇の端から、音が漏れた。
ひゅる ひて ふれ
白く耀くその少女に、或いは、自らが殺めた娘に向かい、ハナムラはただそう繰り返した。
ひゅる ひけ うれ
おほう はん ほ ひゅる ひへ ふえ
懇願、であった。
ただひたすら、それだけを祈っていた。
その声に応えて、光の中で、小さく、しかし明瞭に声がした。
「赦します」
「あなたの罪を赦します」
「あなたの罪を、浄化します」
「あなたの罪を、私が、浄化します」
あの少女か、自分の娘か、或いは、天使なのか。
何も分からぬまま、ハナムラはその言葉に涙した。
それが、花村庄一の最期に観たものであり、最期に聞いた言葉だった。
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【参加者資料】
花村庄一 (ハナムラ・ショウイチ)
男・54歳・鉄工所経営者
罪:無理心中を試みての妻子の殺害
ポイント:100
【死亡】
- 234 : ◆SIN/KBm/.Y:2011/06/30(木) 05:37:18
- >>231 は、 09 懇願 の間違いでありんす。
- 235 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/30(木) 19:35:26
- アニメロワ第28話:戦闘できる奴と天才が出会ったら最強じゃね?
登場:牧瀬紅莉栖、仲村ゆり
- 236 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/30(木) 19:50:57
- 音無結弦をどうにか撒いたらしく、牧瀬紅莉栖はやっと一息ついた。
しかし、紅莉栖の武器は失ってしまったため、残っている支給品はバードコールのみ。こんな状況下で暢気にバードウォッチングでもしろというのか、と紅莉栖は舌打ちする。
先程見たラボメンーーー椎名まゆりの死体が今も瞼の裏に焼き付いて離れない。
彼女が殺されるのを目撃したのは二度目となった。一度目はSERNの桐生萌迦に射殺されたとき。また、何故まゆりが生き返っていたのかも理解不能であり、一言で言えば非科学的すぎる状況である。
科学の世界に生きる天才少女は必死に頭を巡らせる。
提示できる仮説としては、やはりSERNによる新型タイムマシンXにより、複数の人物を複数の世界線から拉致してきたと考えるのが自然であるが、タイムマシンでの時空移動をすれば人間はゼリーマンーーー『ゲル化』してしまうのが今までの実験からも判明していた。
それに、移動する場所も不特定のため、下手を打つと宇宙空間に放り出される。
紅莉栖たちが開発した『タイムリーブマシン』ではもちろん不可能な芸当だ。
考えても無駄か、と思った矢先、
「動かないで。変な行動をすれば撃つわ」
- 237 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/30(木) 20:04:55
- 紅莉栖の背中に銃口が突きつけられていた。油断していたわけでは決してない。
まったくと言っていいほど、襲撃者の気配を感じなかった。
「………はろー。私は殺し合いには乗っていないわ」
両手をすっと挙げる紅莉栖。背後の少女ーーー仲村ゆりはそれを見ると、AK-60を構えたまま、心の中で声色などから嘘は言っていないらしい、と確信してAK-60を下ろす。
「驚かせてごめんなさい。私は仲村ゆり。この殺し合いを終わらせようとしてるわ」
「牧瀬紅莉栖よ。私も殺し合いを終わらせて、元の世界へ帰りたい。まあ、友達はひとり殺されてしまったけれど」
ゆりは顔をわずかにしかめ、もしや自分が殺害したーーーと思い込んでいるーーー少女、阿万音鈴羽のことではないだろうかと思った。
仕方が無いので、自分が正当防衛とはいえひとり殺してしまった、と紅莉栖に話す。奇妙なことに、紅莉栖の言う『友達』ではなく『紅莉栖の敵対視する』鈴羽のことであったが。
「…へえ。彼女殺し合いに乗ったのね。別に責めたりはしないわ。私もきっと、殺されそうになったらそうしただろうし。変な男ーーー名簿の『音無結弦』という男が友達を殺した犯人なのは分かっているし」
- 238 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/30(木) 20:20:52
-
「音無くんが……!?」
ゆりにとってはかなりの衝撃だった。音無結弦という人物は『いい奴』と認識していた。戦線メンバーを成仏させて救おうとした彼は、少なくとも願いに溺れるような人間ではなかったはず。
が、すぐにひとつの可能性が脳裏をよぎる。
ーーーーーーーーーー立華奏ーーーーーーーーーー
音無が殺し合いに乗るほどの理由は、あの少女以外に考えられなかった。
ゆりは歯噛みする。思った以上に『願望』は人を変えてしまうらしい。
「ごめんなさい。音無くんは私の元仲間。彼の様子を聞かせてもらえるかしら?」
「真っ当な判断はできそうになく、例えるなら麻薬依存者の判断能力に近いと思う。昔講義で知った程度だけど、ダウン系の麻薬の症状に酷似していた。」
ここではない。もっとも理解不能なのは
「彼は指先から光のようなもので攻撃してきた」
ゆりは完全に理解できなかった。彼女の知る音無にそんな芸当はできないはず。
しかし、静かに彼は決意した。
音無結弦の説得が不可能なら迷わず撃つ。
ここに、戦線リーダーと天才少女の反逆が始まった。
【深夜/f-2】
【牧瀬紅莉栖@Steins;Gate】
- 239 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/30(木) 20:24:37
- 基本:できる限り多くの人間を連れて脱出したい。
1:音無結弦に次遭遇したら必ず殺す。
2:岡部たちは…大丈夫よね?
【仲村ゆり@Angel Beats!】
基本:この殺し合いを終わらせる。
1:音無くんは説得が無理そうなら殺す。
※主催者の元に立華奏がいると確信しました
投下完了
- 240 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 20:42:57
- アニメロワ第29話:蹂躙する宝剣
登場:阿万音鈴羽、神裂火織、ギルガメッシュ、宿海仁太、本間芽衣子、田井中律
- 241 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 20:54:47
- f-2エリアの廃倉庫にて、仲村ゆりに撃破された阿万音鈴羽は目を覚ました。
腹部に受けた衝撃で気絶していたらしい。防弾チョッキを着ておいてよかった、と鈴羽は心の底から思う。
しかし、周りには二人の人影があった。
「宿海さん!目を覚ましましたよ!」
「おっ、気がついたか?倒れたから、ひとまず安全なところに運んでおいたぞ」
鈴羽は呆然となった。この殺し合いは疑心暗鬼と欲望が渦巻くものだと思っていただけに、防弾チョッキを着て倒れているいかにもな女を助けようとするとは。
「君、いい人だね」
心の底からの感想だった。SERNに支配された世界を知っている鈴羽は滅多に人をいい人だとは言わない。
そして、続いて笑顔のままもう一言言った。
「でもね、こういうときには命取りだよ」
「ーーーーーぇ」
パァン。
乾いた音がした。阿万音鈴羽が仲村ゆりとの戦いにおいて投擲ナイフを用いたのは単純な理由で、音がしないことから不意打ちに向いていると思ったからに過ぎない。
鈴羽の右手には古めかしいデザインの小銃が握られ、銃口からは硝煙が立ち上っていた。そしてその銃口は、古河渚に向けられていた。
心臓に弾を受けた際に先ほどの声。
- 242 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 21:07:05
- 古河渚は死んだ。
「お前……っ!よくも古河を!」
「…ごめん。君に恨みはないけど、死んで貰うよ」
しかし、弾は吐き出されなかった。引き金を引くより早く、極東の聖人・神裂火織の体当たりが、鈴羽の体を突き飛ばしていた。
◆
数分前。
神裂と芽衣子は、更なる仲間を探すために探索をしていた。
聖人・神裂のように超人的な体力を芽衣子が持ち合わせているとは思えなかったため、少し休憩をするために廃倉庫を訪れようとしたとき、銃声が響いた。
「行くの、かおりん?殺したりしたら、」
「心配は要りませんよ。拘束はさせていただきますが。めんまはここに居て下さい」
◆
「…へえ。君、強いね」
「紛いなりにも聖痕を持つ者です。おとなしく降伏すれば手荒には致しません」
当然。鈴羽は銃口を神裂に向けた。
神裂ならば、発射される弾を動体視力で避けることも可能ではあったが、鈴羽はどちらかといえば科学よりの人間だ。常識として弾を避けるのは不可能と断じていた。
が。神裂が弾を避けることも、鈴羽が引き金を引くこともまた無かった。
背後から出現した一本の剣が、鈴羽の肺を背後から串刺しにしていた。
「(あ、私、死ぬのか…)」
- 243 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 21:24:45
- 鈴羽の思考は死に際にあってもどこか冷静であった。
ただ一つの悔いを持って。
「(せめて、もう一度父さんに会いたかったなあ)」
阿万音鈴羽は、その壮絶な生涯の幕を閉じた。
「貴方は…ッ」
神裂は鈴羽を殺した相手を睨みつける。奇しくもそれは、彼女が最初に戦った相手。
人類最古の英雄王ギルガメッシュであった。
神裂は脇差を構える。天草式の術式を用いて極限まで強化して、一切の妥協をしないことで彼女の愛刀、七天七刀と同じクラスの強度を再現したのだ。
ギルガメッシュを殺す。
神裂火織は、最悪の害悪に向けて最大の力を使う。
◆
英雄王の背後から再び無数の宝剣が出現する。容赦無く地上を蹂躙するが、神裂は自らに降り注ぐ剣を叩き落としていく。
英雄王との距離をじりじりと詰めていく。
疾風の如く駆け、目指すのはその首。人類最古の英霊の首をめがけ、駆ける。
しかし。その進撃は止まる。
ギルガメッシュの周りから鎖が現れ、神裂を拘束した。
『天の鎖』。彼の数多の宝具の一つであり、まともな英霊では対処できない代物。
英雄王の手に、ドリルのような形の剣が現れた。
彼の最強の宝具であり、最強と言われたセイバーでも対処できない。
- 244 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 21:38:40
-
「『天地廻離す開闢の星(エヌマ・エリス)』ーーー!」
神裂の心臓を一突きにする。いくら聖人とはいえ、『刺殺』は神の子の処刑のイメージ、つまり聖人を葬るのには最高の兵器なのだ。
「逃げなさい、めんま!」
叫び声のすぐ後に、神裂火織は絶命した。
◆
「めんまーーーーーーーー!?」
そのニックネームに該当する人物は仁太の記憶には一人しかいない。
本間芽衣子。仁太の大切な仲間である。
バッ!と外へ走り出す。そこに居たのは、もう失ってしまった、親友。
仁太と目が合った直後、芽衣子は満面の笑顔でーーーー、
パァン、という乾いた音がした。
芽衣子の腹に、赤い染みができていた。背後には、惨劇を終えたばかりの黄金のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュが不満気に小銃を向けていた。
「この時代の銃器はこの程度の性能か。期待外れだが、次はそこの小僧。あの女剣士の脇差の威力を剪定させてもらーーーーー、」
バゴォォォオオオン!と、ギルガメッシュの肉体が廃倉庫の中にまで吹き飛ばされた。
立っていたのは、ハンマーを持った魔法少女。
桜高軽音部部長、田井中律だった。
「逃げろ!あいつはたぶん今のくらいじゃ死んでないぞ」
- 245 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 21:52:07
- 言葉を発した直後、律は倉庫内へと入っていく。ギルガメッシュを倒すために。
勝率は1パーセント以下。だが、田井中律は挑む。それが、魔法少女だった。
◆
「ーーーくそっ!めんま、しっかりしろよ!」
木の下。腹からの出血が止まる様子の無い芽衣子を見て、涙を流しながら仁太は叫ぶ。
芽衣子は、明らかに瀕死の状態であった。仁太の言葉のように、理想の展開にはならない。本間芽衣子の命はもう助からない。
それでも、笑って見せた。超平和バスターズの大好きな『めんま』として。
「じんたん…、大丈夫だよ。めんまは、生まれ変わってまた必ず、みんなのところに帰ってくるから。だから、ぽっぽも、ゆきあつも、助けてあげてね」
こんな時くらい自分の心配をしろよ!と仁太は叫ぶ。
助けられないのだ。自分はまたしても、芽衣子を救うことはできないのだ。
めんまと会話できる時間はもう尽きる。
本当の終わりに、いや、あるいは始まりに、芽衣子は笑顔でこう言った。
「ーーーーーだいすき」
芽衣子は二度と目を開かなかった。f-2に、仁太の叫びが木霊した。
【深夜/f-2】
【宿海仁太@あの花】
基本:このゲームを終わらせる。
1:めんま…。
- 246 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/01(金) 22:03:11
- ◆
「ごめんな、澪」
同時刻。
倉庫内でも全てが終わっていた。
無数の剣に肉体を貫かれ、律の肉体はソウルジェムごと破壊された。
「ーーー興が削げたわ」
宿海仁太を追おうとはしなかった。
そこに意図があったのかは分からないが、英雄王は次なる参加者を探して歩きだした。
【古河渚@CLANNAD】
【阿万音鈴羽@Steins;Gate】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
【本間芽衣子@あの花】
【田井中律@けいおん!】 死亡
【残り23/30人】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
基本:生き残る。その暁には主催者を殺す。
1:騎士王(セイバー)を探して殺したい。
投下完了。
- 247 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/02(土) 22:07:44
- オリ版権ミックスロワ、op投下します
第1話:題名の無い物語
- 248 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/02(土) 22:22:55
- 暗いホール。幾人もの人間たちが、イスに拘束されていた。指一本動かすことさえままならない状況の中、ある者は怒りに、ある者は恐怖や不安に身を震わせた。
ーーーただならない事態が始まる。
誰もが、それを感じ取っていた。
「はーい、ちゅうもーく」
突如光が灯され、壇上のみライトアップされる。照らし出されたのは、銀髪を腰まで伸ばしている高校生くらいの少女と、黒髪に老け顔の眼鏡男の姿だった。どちらも白衣を着用しており、何かの研究員と見て取れた。
「きゃははっ、ごめんなさいー。えーと、今日あなた達を呼びつけたのには一つ理由がありまーす!辻所長、説明をどうぞ!」
無邪気な声。しかしそれはどこか不安感と圧倒的嫌悪感を感じさせた。
所長と呼ばれた男は、険しいままの表情で淡々と述べた。
「私は辻元造。とある研究機関のプロジェクトの責任者である。こいつはリリーステイク。プロジェクトの発案者だ。貴様等に遂行してもらう"プロジェクト"はーーー、」
「皆さんにはー、ちょっと殺しあってもらっちゃいまーす☆」
リリーステイクは笑顔のまま言い放った。
辻がまるで付け足すように概要を説明する。最後の一人まで殺し合う。
- 249 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/02(土) 22:35:07
- たった一つの優勝権のために行動する人間の行動パターンの把握と考察という名目であり実際はリリーステイクの娯楽だということ。
しかし、生き残った者にはどんな願望も叶える権利が与えられる。
「ふざけんなよ」
拘束された少年ーーー人吉善吉は、しっかりと元蔵とリリーステイクを睨みつけて発言した。恐れなどはなく、あるのは娯楽のために命の尊厳を弄ぶことに怒りを燃やしている。
リリーステイクはニコニコと微笑みながら、善吉に言った。
「突然ですがクエスチョーン!人吉善吉くんの大事な大事な幼なじみの女の子は、私たちを止めるために戦いを挑んできました。しかし、私たちはここにいて、その子はここにはいませーん。さて、女の子はどうなってるでしょーかぁ?」
答えなど聞くまでもない。モニターには、ボロボロの黒神めだかが映し出されていた。
リリーステイクの口ぶりからするに推定するのは難しくない。
リリーステイクは、黒神めだかと戦い、勝利した。
「でねでね!みんなの首に首輪がついてるでしょ?それ、爆発したらーーーこうなるからね。えへへっ♪」
ボォン!という音。黒神めだかの喉笛に穴が開き、死んだ。
「めだかちゃーーーーー」
- 250 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/02(土) 22:41:55
- 少年の悲痛な叫びとともに、すべてが闇へと墜ちた。
【オリ版権ミックスロワ 開幕】
【残り40人】
【リリーステイク】
某国の機密研究機関の幹部にして今回のプロジェクトの発案者。
能力者でもあり、かなりの力。
【辻元造】
45才で、プロジェクトの責任者。優秀な人材なので、各部署から勧誘を受け続けているが、なぜかリリーステイクについていく。
参加者の一人、辻結花の叔父で、彼女に大罪の力を与えた。
投下完了
- 251 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/03(日) 19:51:19
- 『非リレーリピーターロワ暫定名簿』
【俺のオリキャラでバトルロワイアル】
・高原正封 ・志水セナ ・新藤真紀
【新訳俺のオリキャラでバトルロワイアル】
・僅武尚晶 ・葛葉美琴 ・伊賀榛名
【俺オリロワ2nd】
・浅井政喜 ・額賀甲子太郎 ・小神さくら
【美女と野獣オリロワ】
・キリル ・林良枝 ・ミリア・クリスティーナ
【もっとEX俺オリロワ】
・ジークリード ・宮崎賢也 ・由比ヶ浜智里
【DOLバトルロワイアル2nd】
・青木林 ・一方通行 ・ウィル・レベッカ
【DOLオリロワ】
・丹羽雄二 ・長谷川祐治 ・河田遥
【需要なし、むしろ−の自己満足ロワ3rd】
・矢部翼 ・大岩忍 ・Tさん
【超カオスな自己満足するためのバトロワ】
・九澄大賀 ・阿良々木暦 ・藤林杏
【マイブームバトルロワイアル】
・上条当麻 ・球磨川禊 ・相川歩
【オリ版権ミックスロワ】
・興呂史郎 ・辻結花 ・一条
【DOLバトルロワイアル3rd】
・相川友 ・三瀬竜二
【主催者】
・セイファート@美女と野獣ロワ
・古川正子@DOLオリロワ
・辻元造@オリ版権ミックスロワ
以上で終了です
- 252 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/03(日) 21:15:28
- アニメロワ第30話:定められた運命なんて乗り越えてみせる
登場:岡部倫太郎、シャルロット・デュノア、春原陽平、秋山澪
- 253 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/03(日) 21:27:48
- 「……嘘。こんなのって、酷い…!」
シャルロット・デュノアは一人の死体を見て、悲痛な叫びを漏らしていた。
IS代表候補生であり、多少の荒事には慣れているつもりだったが、シャルロットは死体をーーー少なくとも本物の死体をーーー見たことは未だなかった。
肺から血を大量に流して辺りを血の海にし、なのにどこか安らかな表情で倒れている少年を目視し続けるのはあまりにも精神的ダメージが大きすぎた。
「せめて、埋めてあげても……」
パァン。
ぐらり、と肉体の芯が揺らいでいた。
脇腹には赤い染みができていて、少年の死体と同じ、いや少し赤みの強い赤色の液体が流れる。一般的には知られていないが、脇腹を撃たれれば助かる可能性は圧倒的に高いというのは眉唾ものだ。
脇腹にもいくつかの血管が通っているため、それを切られれば致命傷になる。
倒れたシャルロットは月明かりに照らされながら、
ーーー大粒の涙を流して顔を恐怖に歪めた少女が銃を向けていた。
「そこまでだ」
とすっ。と、秋山澪の足元に一本の矢が突き立っていた。
軍事知識など皆無に等しい澪でさえ、簡単に気付くことができた。ーーーいや、本能的に悟っていた。これは威嚇射撃。
- 254 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/03(日) 21:41:26
- 二発目は確実に命を奪いに来る。
澪は不安定でいつ崩れてもおかしくない精神で、精一杯負の想定をしてしまう。
そして、矢が自らの眉間を貫くのを想像してしまうーーー。
「分かっているかは分からないが、二発目は無いぞ。次は我が"運命石の矢(シュタインズ・アロー)"が放たれて貴様の命を次元の狭間に音速の数千倍の速度で叩き込み、そこから俺は世界を次元レベルで混沌に導くのだ!フゥーハハハ!!」
高笑いするのは岡部倫太郎。その隣では"黄金の新顔"こと春原陽平が居る。
勿論これは全て妄想なのだが、実は澪をできるだけ穏便に撃退したいという目的を達成するための言葉だったりする。
澪はゆっくりと後ずさりしていく。自分は既に二人目を殺してしまったのではないか、という恐怖と不安が逃走という行動に駆り立てた。
◆
「やったな岡部。なんとか撒いたみたいだぜ」
「鳳凰院凶真だ。フン、俺にかかればこんなもの……っと、まずはこいつを止血してやらないとならないぞ。話はそれからだ」
シャルロットは薄れゆく意識の中、二人の声を聞いた。そして、震える声で岡部と春原に最後の願いを託す。
「おね…がいしても、いい…かな」
「駄目だ」
- 255 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/03(日) 21:51:28
- 岡部は言葉を最後まで聞かずに、拒否した。彼の目は確かに真剣である。彼はSERNに椎名まゆりを射殺されてから、タイムリープした。世界がまゆりの死を望んでいるとしか思えなかった。
だからこそ、諦めたくなかった。
定められた予定調和のルールや法則など跳び越えてしまえ。
勝ち取るのだ、勝利の栄光を。
「貴様は死なない。この狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真が処置を行うのだ。死のうと思っても死ねると思うな」
「黄金の新顔もいるぜ」
シャルロットはどこか安堵したように瞳を閉じた。
孤独の観測者は仲間と共に戦う。まずは、目の前の少女の救出から始めよう。
【深夜/c-4】
【シャルロット・デュノア@IS】
基本:ゲームを終わらせる。
【岡部倫太郎@Steins;Gate】
基本:主催者を打倒する。
1:少女を助ける
【春原陽平@CLANNAD】
基本:主催者を打倒する。
投下完了。澪は次に出番ありなので表なし
- 256 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 17:31:03
- オリ版権ミックスロワ第四話:悪夢に身を委ねて
登場:辻結花、氷川封、刻命裕也
そしてクールエルの紹介忘れてた
【クールエル】
19歳、灰色の毛皮を持つ人狼。種族としては戦闘に特化した種族。
高校生の頃つるんでいた友人たちにはめられ、殺人罪を着せられた。結果的には無罪放免になったが一度貼られたレッテルはなかなか消えず、今は毎日を無気力に過ごしている
- 257 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 17:46:04
- ◆
主催者ーーーーーリリーステイクが辻結花をゲームに参加させたのは、協力者であり自分の仕事仲間である辻元造に対する皮肉だった。
辻結花。彼女は世界にたった一人しか存在しない『大罪の器』と呼ばれる実験サンプルとしてリリーステイクたちの研究機関に保管されていた。
彼女を研究所へ引き渡したのは金を積まれた両親だが、その話を両親に話し、持ちかけたのは叔父にして"プロジェクト"の主催者である辻元造であった。
結花は幼少期から時折原因不明の高熱にうなされ、その度に奇怪な現象が周囲で起きるということが続き、周りのほぼ全ての村人から敬遠されていた。というか、嫌われていた。
どんなことがあっても、結花は笑ってみせるだけであった。
元造は結花の理解者であった。無口で更に狙撃などのスキルも超一級の男と、齢13たの少女の淡いつながりが確かにあった。村人は彼が居る間は結花に嫌がらせを行うことをしなかった。
主催本部。元造は、苦々しげに携帯電話の待受を眺めた。
無表情の自分と、無垢な笑顔で腹に抱きついている12歳くらいの少女が写っている。
「ーーーーーーー結花」
彼は何を望むのだろうか。
◆
「ハッ…お前、怖がらないんだな」
- 258 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 18:03:41
- 氷川封。巷を一時期騒がせた前代未聞の17人を殺害するという少年犯罪の主犯であり、偽りの精神異常で無罪となり今も時折血に手を染める外道だ。
その手には奇しくも彼が犯行時愛用するバタフライナイフが握られている。
倒れているのは『大罪の器』辻結花。意識はあるようだが、どこか悟ったように、儚い微笑みを讃えて氷川を見ていた。
「……慣れてるから。早く殺して、お兄さん」
『お兄さん』と年上の男性を呼称するのは結花の癖だ。
とはいえ20歳を越えるとさすがに呼ぶのは自重するようだが。
「へへっ。言われなくても、」
言いかけた氷川の背中に、一人の少年が体当たりしていた。
氷川は既視感を覚えていた。まるで、この光景は自分が殺人を犯すときと同じではないか?と。それは当たっている。少年は勢いよく、包丁で氷川を刺していたのだ。
「大人気ないことはよすんだな、下衆が」
氷川封を刺したのは、長身にどこかの学校の制服を着た少年だった。結花は驚いた表情で少年を見つめている。既に絶命した氷川から包丁を引き抜くと、少年は結花に顔を向けた。
「すまない。酷いものを見せてしまったな…。僕は刻命裕也。一応、殺し合いには乗っていない。」
- 259 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 18:19:34
- 刻命裕也。少年はそう名乗った。殺し合いに乗っていないと言ったため、結花は自分も自己紹介をしようと思う。
「私は…辻、結花。刻命お兄さん、有り難う御座いました」
刻命はまさかこうも簡単に信用されるとは思っていなかった。
刻命裕也は殺し合いに乗ろうと考えていた。
彼がとあるお呪いによって拉致監禁された多重閉鎖空間『天神小学校』で彼は人を殺し続けた。日頃から溜まっていた家族への不満と沸き起こる衝動にただ身を任せて、狂っていった。
脱出できないと踏んでいたが、まさかこうあっさりと脱出できるとは思っていなかった。彼が欲したのは『妹』。刻命のことを理解しない偽善の言葉を並べるだけの兄と姉ではなく、自分を理解してくれる妹が欲しかった。
ならば、この少女を、辻結花を守ろう。
もしも敵に回るような者が居たなら、容赦なく殺してやる。
刻命裕也という人間が辻結花という少女を守ろうと思ったのは、家族に愛されていないという意味では共通していたかもしれない。遠くないみらい。刻命は本来とある少女の前で狂い、鉄槌の男に撲殺される筈であった。
この物語では、彼はどのような運命を辿るのか。
- 260 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 18:26:22
- 刻命裕也を待つのは救いか、もしくは予定通りの破滅か。
答えは神しか知らない。
【氷川封@オリキャラ】 死亡
【残り39/40人】
【深夜/a-1】
【辻結花@オリキャラ】
基本:殺し合いには乗りたくない…かな。
1:刻命お兄さんについていく。
2:叔父さん……どうして…?
【刻命裕也@コープスパーティーBCRF】
基本:辻結花を守る。
1:辻結花を脅かす者は殺す。
※Chapter3、由香と合流する前からの参加です
- 261 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 18:30:09
- 【辻結花】
悪魔などのよりしろとなる素質を持つ『大罪の器』。
彼女の精神が不安定になると力が発動され、ポルターガイストなどを引き起こす。
【氷川封】
18歳の凶悪殺人犯。
狡猾で、精神不安定や証拠隠滅などを完璧にこなす。
投下終了です
- 262 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 20:07:27
- オリ版権ミックスロワ第5話:神に臨む神父
登場:エリメスト、リーム
- 263 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 20:21:41
- とある極小宗教団を知っているだろうか。
世界中で唯一、『存在しない』神、つまり架空の神を作り上げて狂信するというカトリックからは疎まれる存在。が、一つの噂があった。教団以外すべての人間を殺し、理想郷(ユートピア)を完成させようとする神父が存在すると。
件の神父ーーーエリメストは、怒りを露わにしていた。
何故、神に背く屑共、それも存在そのものを否定する最悪の敵、科学者に拉致され、このような茶番を強要されなければならないのか。
首輪などというふざけたものを装着する屈辱を晴らすために、エリメストは主催者達を殺害して神の前に死体として手向けると決意する。
勿論参加者は皆殺しにする。だが、教えを説くことは神父の仕事で、理想郷に一人でも多くの同胞を招き、共に救われたいとも思う。エリメストは教団の中でも俗に言う狂信者であり、聖書の(勿論教団特注)中身など一字一句暗記している。
まずは教えを説こう。心から神を敬う心のある者を残して、他は殺し尽くす。
「ああ……待っていて下さい、神よ」
神父エリメストはディパックからデザートイーグルを取り出し、上に向ける。
引き金を引くと、ドォン!と空に弾が発射された。
祝砲だ。
- 264 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 20:30:58
- 【深夜/c-3】
【エリメスト@オリキャラ】
基本:神に背く者を殺し尽くす。
1:主催者は必ず無惨に殺す。
◆
「…何かしら。戦い…?」
イギリス人のOL、リームは片手に注射器を持っていた。
リリーステイクの同僚が開発した完全な無痛注射器に、中には研究中に偶然完成したフグの10倍の毒性を持つ猛毒が入っている。
死にたくない。保身の為に、リームはエリメストの元に歩きだした。
【リーム@オリキャラ】
基本:死にたくない。とにかく自分優先
1:銃声の元に行く。
【エリメスト】
教団の神父。神に背くものすべてを殺すなど危ない思想家。
魔法は氷を刃にするなどできるが、あまり使わない
【リーム】
イギリス人の26歳OL。
無責任かつ自己中心的なビッチ。
- 265 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 20:31:42
- 投下終了
- 266 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 21:07:55
- オリ版権ミックスロワ第6話:殺人機械は突然に
登場:賀茂雅史、椎名みゆき、真名香織
- 267 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 21:21:43
- 「……無駄なのは分かっている」
椎名みゆきは俯き加減で言った。これはアニヲタ女子の彼女の癖で、ことあるごとにアニメキャラの台詞を持ってくる『痛い』言動。
しかし、今の台詞が意味するのは絶望感。
殺し合いにはあらがえない、椎名みゆきの人生はここで終わる。
そんな意味を込めて言い放った。
殺し合いに乗るなんて正気ではないことができる筈はない。かと言って、主催者ーーーー人の命を軽々奪ってしまうような奴等に敵うはずもない。
ーーーディパックには、任峡ものでよく見るドスが入っていた。
そうだ。
どうせ死ぬのなら、腹を勢いよく捌いて、華々しく散ろうじゃないか。
ドスに力が入る。体は正直で、手は震えて、まるで自分の体が防衛反応を起こしているような感覚に捕らわれていた。
さあ、これで死のう。16年の短い人生、楽しかった。みんな、ありがとうーーーー
「本当に良いんですか、それで」
静かな声がした。よく透き通っていて、声だけでも美人と推測できるほどに美しい声。視線を声の主に移すと、若干燈色に近い髪に小綺麗な洋服を着た優しそうな若い女性だった。
「…私は怖い。他人に殺されるのが、とてつもなく!」
- 268 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 21:35:18
- 「そのくらいで死のうとするなんて、貴女は幸せですよ。私には死ぬことも許されていない。死ぬまで永い時を、好きな人とも会えずに過ごすのですから」
ああ、とみゆきは思った。この女性は、みゆきとは根本的に違う存在だと。幸せに『なれない』悲しい運命を背負った、みゆきとは違い、『救われることは絶対にない』永遠の苦痛を持つ人。
彼女ーーー真名香織は、余生を常蛾の町の地下、櫛名田家の地下牢にて『大神様』と呼ばれ、崇められ続けるまま生涯を終える。
最初からバッドエンドしかないのだ。
「じゃあ…じゃあ、私は、どうしたら」
「一緒に、勝ちましょう。私の好きな人はここに呼ばれているんです。その人なら、必ずあなたも守ってくれる。だから、幸せになりましょう?」
嗚咽しながら、みゆきは香織に身を委ねた。
香織も優しい笑顔で両手を腰に回して、慰めるように、抱きしめてくれた。
「私は真名香織です。これから一緒に頑張りましょうね」
するっ、と香織の手から力が抜けた。みゆきは顔に何かかかったことに気付き、服の袖で拭う。それは、真紅の液体だった。
「香織さーーーー、」
香織の首を、錐が貫通していた。血管が裂け、血が溢れ出す。
- 269 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 21:43:40
- みゆきは走った。ただ、怖かった。失禁しながらも、あの殺人鬼から逃げるために。
【深夜/b-2】
【椎名みゆき@オリキャラ】
基本:死にたくない。
1:殺人鬼から逃げる。
◆
賀茂雅史という男を知っているだろうか。世界各地で総合867人もの人間たちを様々な殺害方法で殺害してきた。たった数日前、英国の騎士たちに討たれたはずであったが、ここに居たのは最悪の殺人機械、賀茂雅史本人であった。
彼には生まれながらに殺すことしかない。
最悪の男は、香織からIMIマイクロウージーを奪い取り、適当に歩きだした。
【真名香織@おおかみかくし】 死亡
【残り38/40人】
【賀茂雅史@オリキャラ】
基本:皆殺し。
1:主催者も可能なら殺す
- 270 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/04(月) 21:47:12
- 【椎名みゆき】
16歳のアニオタ女子高生。
アニメの気に入った台詞を引用する癖がある。以外と豆腐メンタル。
【賀茂雅史】
21歳、『史上最悪の殺人鬼』。
並外れた身体能力を持ち、発射された弾丸を叩き落とすくらいは余裕でできる。
英国騎士団に討たれたはずだが何故か復活している
投下終了
- 271 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/05(火) 20:48:31
- アニメロワ第33話:血の舞う夜に
登場:セイバー、両儀式、松雪集
- 272 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/05(火) 20:55:56
- セイバーは、ただひたすらに一人の少女と斬り合っていた。
事の発端は些細なことである。
集たちが次に『殺し』を行う際にどういう行動を取るのかという打ち合わせだったのだが、そこをマーダーキラーの少女に聞かれ、問答無用で戦闘となった。
『直死の魔眼』と『騎士王』の戦いは、互角であった。
「ハハ、そんなものか、期待外れだよ、おまえ」
「こちらの台詞ですね、直死の者よ」
式の攻撃は一撃が確実な致命傷となる。
セイバーは圧倒的な戦闘能力を持ちながらも、防戦に徹していた。
この戦いの終わりは、やがて訪れる。
- 273 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/05(火) 20:56:56
- 投下終了。俗に言う『繋ぎss』だったので短いし表なし
- 274 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 18:12:54
- アニメロワ第34話:破滅さえ呑み込む絶望
登場:秋山澪
- 275 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 18:32:03
- 「もう………いやだ…」
秋山澪は、もはや壊れきっていた。
どの程度かといえば、例えるなら自動射撃装置というものを知っているだろうか。
目の前を通った標的を殺害もしくは破壊するまで一切の操作なしで射撃を続ける兵器。もっとも、FPSゲームなどで見たという人がほとんどだろうが。
今の彼女に見境はない。手を取り合おうと求めてこようが、ただ通りかかっただけだろうが、自動的に引き金を引く。
ーーーきっと、今の澪は親友の田井中律でさえも届かないほどの深い闇にいる。
話は変わるが、心の弱った者につけ込む怪物を知っているだろうか。
人はそれを『魔女』と呼ぶ。
それは魔女を狩る者たちの絶望から生まれる異形の存在であり、魔女を狩る者たちがこの殺し合いにも存在する
以下の事実から導かれる解は一つ。
『魔女』はこの殺し合いに存在し、絶望した者を狙っているーーーーー。
人魚姫の魔女、オクタヴィア。
秋山澪がふと気付いたときには、そこは見知らぬ明らかな異様の空間であった。
背景にはモニターがいくつかあり、少女や少年が映し出されている。
だが、何よりも剣のようなものを持った異形の存在『オクタヴィア』がそのすべてを霞めている。
- 276 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 18:38:31
- 頭の中に、声が響く。
少女の声が聞こえる。魔法とか願いとかいう単語が度々聞き取れた。
頭が割れそうになる。澪は絶叫した。
「ぎゃああああああああああっ!?」
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないーーー死にたくない。
澪の中に絶望の闇が流れ込んできて、やがて一つになった。
秋山澪は更なる絶望に触れ、絶望を振り撒く存在となった。
【深夜/c-5】
【秋山澪@けいおん!】
基本:何も考えられない。
1:みんな、死ねばいい。
※オクタヴィアを吸収しました
- 277 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 18:39:03
- 投下終了です。次は放送です
- 278 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 19:29:35
- アニメロワ第35話:第一回放送
登場:荒耶宗蓮
- 279 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 19:39:14
- 『第一次定時放送の時間だ。今回の死亡者は18人ーーー、約半数が脱落したということになるな。
コルネリウス・アルバ
汐宮栞
セシリア・オルコット
アサシン
久川鉄道
篠ノ之箒
美樹さやか
椎名まゆり
浜面仕上
白純里緒
上條恭介
エリュシア・デ・ルート・イーマ
古河渚
阿万音鈴羽
神裂火織
本間芽衣子
田井中律
織斑一夏
以上だ。続いて禁止エリアを発表する。
a-2、a-5、b-4、b-6、c-1、c-5、d-6、e-5、f-1、f-3だ。
尚、一時間後から適用させてもらう。
では三時間後にまた会おう』
- 280 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/06(水) 19:39:52
- 投下終了です 次からはオリ版権書きます
- 281 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 12:40:29
- オリ版権ミックスロワ第7話:偉大な正義の名の元に
登場:興呂史郎、木下志保、伊藤カイジ
- 282 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 13:00:10
- ◆
「下らねえな」
警視庁に所属する若手刑事ーーー興呂史郎はそう吐き捨てた。
彼は今、麻薬取引現場を押さえるために張り込みをしていた。だが、その最中にリリーステイクと辻元造に拉致され、麻薬以上に重大な事件に関わることになってしまう。
ニュースなどでは警察の不祥事ばかりが伝えられている。きっと、史郎が殺し合いに乗るという考えもあったかもしれない。
しかし、正義の味方というものは確かにこの世界に存在する。
興呂史郎は正義のために命を懸けることさえ厭わない。だからこそ、仕事ではすべてを救おうとして大怪我を負い始末書を書かされることもしばしばある。
それでも、彼は止まらない。
過去に重い話などはない。ただ、生まれ持った正義感のみを糧に生きてきた。
「ーーーふざけやがって。刑事をなめてんじゃねえぞ屑が」
慣れた手付きで支給されたH&K MK23を手に持ち、弱者強者問わずに守るという志だけを持ち続け、正義の味方は進む。
その先に何が待っていたとしても。
◆
「悪人が…必ず殺してやる」
過去に漁師の父を事故に見せかけて殺害した人間に対する殺意だけで、彼女は怠惰の悪魔『ベルフェゴール』を身に宿した。
- 283 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 13:18:30
- そして、明確な悪人を『断罪』し続けてきた。既に数十人をも殺し続けていても、警察には彼女が犯人だと見極めることはできない。悪魔を操ることで、ただ相手を呪殺する。
彼女もまた正義を探し続けた。
たとえそのベクトルが一般論と違っていても、血塗れの道を歩き続ける。
木下志保はそれしか求めていなかった。
◆
伊藤カイジは、正義の味方タイプではない。
欲に溺れて博打を打ち、底辺の中の底辺まで落ちぶれても更に堕落し続ける。しかし、這い上がろうとする過程の中でいつしか様々なものを救っていく。
時には汚い、みっともないこともする『野良犬』である。
今までにも『野良犬』を侮った人間たちは居た。帝愛グループ幹部、利根川幸雄、同じく幹部の一条。地の獄においての班長大槻。
カイジは激闘のギャンブルにおいてそれらを破った。
野良犬が牙を剥けば、どんな違いをも噛み殺していく獅子となりえる。
『野良犬』が最後に喰らう相手。幾度となくカイジの前に立ちはだかる帝愛グループの総帥、兵藤和尊。そう考えたのは単純明快に、この殺し合いを裏で操り手綱を引くのはまたも帝愛グループだと考えたに過ぎない。
「(どう動くか……最初の問題だっ……そうだ)」
- 284 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 13:34:23
- まずは志を同じくする仲間を探すことが必要だろう、とカイジは頭の中をフル回転させて考える。望ましいのは傭兵やスナイパーだが、都合よく殺し合いに居るとは考え難いし、ゲームに乗っていたら目も当てられない。
「駄目だっ……!!やはり望ましいのは一般人っ…」
格闘家や警官なんかが一番安全だろうと考えたが、もしそれすらも居なかったら?
そもそも、まずは知り合いを頼るのが一番早いのではないか?
カイジは名簿を取り出し、食い入るように見つめる。
「大槻、一条に遠藤さん……畜生っ…どいつもこいつも信用できねえっ……」
まず大槻は論外だ。あいつは言葉巧みに人を騙し、頃合を見て一気に殺戮を開始するだろう。和解など考えるだけ無駄だ。
一条。カイジが苦悩と試行錯誤の果てに打ち破った人喰いパチンコ『沼』を作った裏カジノのオーナーである。だが、一条は帝愛の地下労働1050年を命じられていたはず。
つまり、一条は信頼できない。元から帝愛側に居た人物はジョーカーになりかねない危険性を秘めているのだから。
遠藤も同じだ。そもそも遠藤は利根川の失脚により追いつめられていたのだから。
知り合いは信用できない。カイジは結論を出す。
- 285 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 13:37:03
- 「やっぱ…歩き回って探すしかないか……」
不幸なスタートをカイジは切った。
各々の正義に生きる者たちは、各々の道を行く。
- 286 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 13:37:42
- 投下終了
- 287 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 20:16:28
- 参加者にオリキャラ五名追加します
【男】・西郷銀蔵/・白崎迅
【女】・エネティア/・アイリスメール/・ハメルン
- 288 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 21:15:34
- オリ版権ミックスロワ第8話:負(マイナス)と闇(マイナス)の共同戦
登場:エネティア、球磨川禊
- 289 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 21:28:18
- 『暗黒物質』という言葉を知っているだろうか。科学、ーーーーー宇宙粒子学理論などに触れたことのある者ならば聞いたことくらいはあるだろう。
理論上存在するはずだが、まだ確認されていない物質。
重力などが部類されるだろうか。しかし、この物語に登場する暗黒物質とはそれとは違う。だからとはいえ某ラノベに出てくる常識の通用しないレベル5の方では決してない。
『科学』の代わりに『魔術』が発展していくことを世界が選んだあったかもしれない未来の世界。そこには、『魔物』が存在し、一度生まれれば人々を性欲に任せて暴走させる最悪の魔物もまた存在した。
ーーーーー『ダークマター』。
黒髪の少女を基点に周りに黒い闇が絡みついている生物で、魔物形態ーーー戦闘形態時には下半身を黒い球体が包み込み、まさしく闇の化身となる。
リリーステイクはそれを手に入れ、殺し合いに招いた。
ーーーーーこれは、魔物にして圧倒的な『闇(マイナス)』と、人間にして底辺的な『負(マイナス)』の交差するまでの過程を記した物語。
- 290 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 21:44:43
- ◆
「『ああ下らない』『せっかく夢の裸エプロン学園が叶うかと思ったのに』『邪魔するなんて』『よし』『決めた』『あの二人は過負荷的に敗北させてやろう』」
"過負荷"球磨川禊は、両手に巨大なネジを持ちながら、そのまま言った。
彼には不思議なことが一つあった。生徒会長にして見せしめに選ばれた少女、黒神めだかに倒された際に失った過負荷(マイナス)ーーー"大嘘憑き"が不完全ながら使えるようになっている。あれは安心院なじみから借り受けた一京分の一のスキル。故に与えられるのは安心院しかいない。
「『やれやれ参ったな』『また僕らは君の手の上なのか』『安心院さん』」
あの怪物を相手取れば全開の球磨川でさえも只では済まないかもしれない。
しかし彼は元から失う誇り(プライド)などは持ち合わせていない。ならば今回は敗者的に過負荷的に、怪物たちをねじ伏せる。
そうと決まれば早速行動だ、と思い立つと、首輪に手を当てた。
カラン。
首輪が足元に転がっていた。
大嘘憑きは『すべてをなかったことにする』過負荷。首輪さえも例外ではない。たとえ失敗しても自分の死をなかったことにしてしまえばいいのだから。
鎖から解き放たれた球磨川禊。
- 291 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 22:00:13
- 次に見たのは、眼前に迫る闇の鞭の数々であった。
◆
バババババァァン!!という音。球磨川の肉体が吹き飛ばされていく。
鞭の先にいたのは、背の低い、しかし肉体の所々にまとわりつく闇の断片が幼女らしい無邪気さを台無しにしている『少女(ダークマター)』エネティア。
闇の鞭は殺傷性は低いが、あれだけ打ち込まれれば間違いなく死亡する。しかし攻撃した理由は『殺し合う』ルールに則ったプレーをしてみただけ。
生まれながらの魔性、エネティアには感情が一部欠落している。数多くの民を欲に溺れさせる性質のために、『愛情』の類の感情が一部欠落。
球磨川禊に目も向けずに歩きだそうとしたその時。
ーーー目の前に居た殺した筈の球磨川禊が、エネティアの纏う闇の一部を大きなネジで地面に串刺しにしていた。
「……ぇ、?」
「『危ないなあ』『僕に力が戻ってなかったらきっと』『頭蓋骨陥没』『全身打撲』『脊髄骨折』『内蔵破裂』『明らかに死んでたぜ』」
球磨川は『自分の死ぬ間際に負った怪我』をなかったことにした。
そして闇の防御力をなかったことにして、地面に縫いつけた。
「『さあて』『お仕置きが必要かな』『何がいい?』」
- 292 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 22:10:00
-
「わたしは、悪いことなんてしてない。だって、こういう"遊び"なんでしょ?久しぶりだったんだよ、遊んでくれるひーーーーーーー」
どすっ。
エネティアの顔の少し横の地面に勢いよくネジが突き刺されていた。
「『じゃあ僕も』『ルールに則って君を殺そうかな』」
球磨川禊の目は、確かにそれが冗談ではないと物語っていた。
明らかな異質の力を持つ目の前の少女がどう攻撃してくるか、と思っていると。
「ひぅ……えっく、えぐっ」
エネティアの喉から嗚咽が漏れ、瞳からは涙が流れていた。
ダークマターとは基本的に幼体のまま永遠の時を過ごす生物だ。
しかし、親から生み出されて日が浅いエネティアにはいかんせん経験が足りなすぎた。
「(『困ったなあ』『どうしていいものかさっぱり分からない』)」
二つのマイナスが交差するとき、世界は想定外に展開されるーーーーー。
- 293 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/07(木) 22:10:46
- 投下終了
- 294 : ◆xEL5sNpos2:2011/07/08(金) 01:36:17
- 規制のためこちらで投下致します
推理キャラロワの第3話、タイトルは『あっ、ども。はじめまして』
- 295 : ◆xEL5sNpos2:2011/07/08(金) 01:36:59
- さて、おおよそ一般庶民と呼ばれるような者が、人の死に触れる機会といえばなにがあるだろうか?
せいぜいが、自分の肉親や親戚筋の臨終に立ち会うとか、知人の葬儀に出るのがいいところだろう。
もし運悪く見ず知らずの他人が命を絶つ場面に遭遇しようものなら、焼きついた記憶はトラウマと名を変えることが多い。
人は必ず死ぬ……だが、それは日常生活の中では縁遠いものであり実感する機会は非常に少ないのである。
……ただし、例外はある。
たとえば医者なら? たとえば葬儀屋なら? たとえば捜査一課の刑事なら? たとえば"マグロ拾い"のアルバイトなら?
もちろん、こうした事例は"一般的"と呼ぶには差支えのあるものばかりだろう。
だが、彼女たちの場合はそうした事例よりもさらに"一般的"からかけ離れたものであることに触れねばなるまい。
"類は友を呼ぶ"という言葉がある。
フィクションの世界で言えば、"スタ○ド使いはス○ンド使いと惹かれ合う"という似たような意味の言葉も存在する。
この惨劇の舞台においては、意図して同類項に分類される者たちが集められているという経緯は確かにある。
……とはいえ、そうした中にあって、さらにより共通点の多い者が一所に集まりつつあった。
偶然として片づけるには、あまりに出来すぎとも思えるほどに。
* * *
夜の森の中。
月明かりさえ僅かにしか差し込まないこの場所で、膝を抱えて顔を埋める一人の少女がいた。
「平次ぃ……」
後ろに髪を束ねたその少女は、外見さえ取り上げれば快活さを連想させるような風貌である。
しかし、いくら快活とて内面はまだ成人もしていないただの少女だ、人の死を目の当たりにして動揺しないわけがない。
おまけに、先刻彼女が目撃したのは、彼女の地元ではもうおなじみとなっているTVタレントの首が吹っ飛ぶ瞬間である。
見ず知らず、というには少し違う人物の死を目にした彼女は、その原因ともなった首輪が自らにも嵌められたのを知ってさらにふさぎ込んでいた。
現実逃避に走って、今のは夢であると言い聞かせることも普通ならできたのかもしれない。
ところが、幸か不幸か彼女は世間一般の同世代の少女よりもはるかに多く、人の死というものに触れてきたという経歴を持っていた。
幼馴染の少年にくっついてあちこち行く間に巡り会ってきたその光景は、彼女に"死"に対する意識を色濃く持たせるには十分であった。
また、自分が危険な目に遭ったことも少なくないこと、いつもは傍らにいる幼馴染がいなく独りぼっちであるということ。
いつも以上に迫っている自分の生命の危機を前にして、彼女は一歩も動けずにいたのだった。
- 296 : ◆xEL5sNpos2:2011/07/08(金) 01:38:35
- 「イヤや……アタシ、まだ死にたないわ……」
うっすらと涙を浮かべながら一人ごちるが、状況は変わることはない。
神に……というよりも、幼馴染の少年に祈るかのように首から下げたお守りをギュッと握りしめた。
ポニーテールの少女――遠山和葉の祈りが届くかどうかは知る術もない。
* * *
遠山和葉が膝を抱えて途方に暮れている地点から、程ないところ。
普段は頼りない……けれど、一度スイッチが入れば誰よりも信頼できる幼馴染。
そんな人物を探して、一人の少女が茂みの中を進んでいた。
周りに危険な人物がいないかを確かめながら慎重に進んでいくその歩みは、女性の足としても相当に遅かった。
それでも、彼女は動かずにはいられなかった。
先刻の闇の中で、この"バトルロワイヤル"の開催を高らかに告げた人物のうちの一人を少女は知っていた。
過去に何度も彼女と幼馴染の前に現れ、奇想天外なトリックや巧みな心理誘導で罪を重ねてきた男、高遠遙一のことである。
彼女もまた過去に幼馴染と共に人の死には多数直面してきたし、また自分が危険な目に遭ったことも少なくなかった。
足がすくんで動けなくなりそうなところではあったが、黒幕の一人が自分のよく知る男であったことが彼女を突き動かした。
自分だけでは何とかできなくとも、その頼れる幼馴染に会えれば……あるいはそのことを他人に伝えられれば……
「はじめちゃん……どこなの……?」
一種の使命感のようなものに突き動かされ、黒髪の少女――七瀬美雪はなおも茂みをゆっくりとした足取りで進んでいった。
……と、その時であった。
不意に美雪の横の茂みから、ガサガサと人が進んでくる音が聞こえてきたのだ。
都会なら気にも留めないほどの音だったのかもしれないが、静寂に包まれた夜の森の中ならば話は別だ。
その音に思わず足を止めてしまった美雪が、迫りくる何者かにどう対処するかを逡巡する。
無害な者ならいいが、もしこの殺し合いに乗ってしまったものだとしたら……?
どうしよう? どうしよう? そう思っている間にも、美雪よりもずっと速いペースで音が近づいてくるのが分かった。
そして、思わず身構えた美雪の前に現れたのは――
- 297 : ◆xEL5sNpos2:2011/07/08(金) 01:39:32
- * * *
悪路をものともせずに茂みをずんずんと進む一人の少女がいた。
栗色の髪を後ろに縛ったその印象そのままに、その運動神経に彼女は自信を持っていた。
スポーツと名のつくものなら初見でもある程度こなすことが出来たし、好奇心と度胸にかけては人一倍のものを持っていた。
彼女もまた、ある級友と行動を共にすることで、人の死というものに多く直面してきた経験を持っていた。
彼女に先述の二人との相違点を探すとすれば、それは彼女自身が危険に晒されたことが極めて少ないということである。
人は死ぬもの、と理解はしているが、その恐怖以上に持ち前の負けん気が彼女を突き動かしていた。
もう一つ、彼女を動かす原動力として、名簿に記載されていた件の級友の存在があった。
浮世離れはしているが、頭脳労働に関しては右に出る者がいないその級友とて、身体能力は同世代の男子の中でも見劣りするものがあった。
自分が守ってやらないとやられちゃうのではないのかという、一種の母性本能のようなものがその原動力の正体である。
かと言って、決して彼女が無警戒に茂みを進んでいたわけではない。
彼女は、その懐に支給されたバッグに入っていたスタンガンを忍ばせていたのだった。
身のこなしには自信があるとはいえ、万一の備えは必要であり、この武器はその目的に適うものとして十分すぎる、彼女はそう判断した。
確かドラマとかではこれで悪い奴を撃退できたわよね、そう呟きながら彼女はなおも茂みをかき分けてずんずんと進んでいった。
一際背の高い草むらをかき分けたところで、この少女――水原可奈は視界に自分と同世代の少女の姿を捉えていた。
彼女自身他人に遭遇する可能性を見落としていたがために、一瞬動きを止めてしまっていた。
もし目の前の相手がゲームに乗ったものであればその一瞬が命取りになったのかもしれない。
……が、何はともあれ双方に攻撃を仕掛ける素振りが無かったことで、この邂逅は一組の仲間を生むことになる。
「……あっ、ども。はじめまして」
沈黙を打ち破るように切り出したのは可奈の方であった。
* * *
美雪と可奈は簡単にお互いの自己紹介を済ませた。
共に頼れる知己の存在があったことで、まずはさらに仲間を増やして情報を収集することで話をまとめる。
そして可奈が前を、美雪が後ろを警戒しながらさらに茂みを進んでいくこととなった。
周囲を気にする美雪のペースに合わせ、可奈も先程よりはグッとその歩調を緩めての進行である。
- 298 : ◆xEL5sNpos2:2011/07/08(金) 01:40:28
- 「え〜っと、それで……例のその"はじめちゃん"、だっけ? 見た目はどんな感じなの?」
「見た目……といってもね……背は私よりちょっと高いくらいのフツーの高校生だし……強いて言えば髪を後ろに縛ってるってくらいかな」
一刻の猶予もないということで、歩きながら小声で情報交換を行う。
「じゃあ……水原さんの知り合いの……」
「あ、いいよそんな他人行儀じゃなくって」
「そ、そう? じゃあ可奈ちゃんの知り合いの……燈馬君、だっけ? 特徴は?」
「う〜ん……背は私よりちょっと低くって……パッと見だと弱っちそーな感じかな。あとは見た目はごく普通の高校せ……」
そこまで言いかけた可奈が不意に足を止める。
思わずその後頭部に自分の顔をぶつけてしまいそうになるのをなんとかこらえた美雪が問いかける。
「ど、どうしたの……?」
首をひょっこり出して可奈の向こうにある風景を見た美雪が、思わずあっ、と声を漏らす。
二人の視線の先には、体育座りでこちらを怯えた目で見つめる、やはり自分たちと同じ年頃の少女が一人。
そして、先程のやり取りをリフレインするかのように二人が声を揃えた。
「……あっ、ども。はじめまして」
――かくして、遠山和葉、七瀬美雪、そして水原可奈の三人は運命共同体となったのである。
【C-4 森 一日目深夜】
【遠山和葉@名探偵コナン】
[状態] 健康
[装備] 私服
[所持品] 支給品一式、ランダム支給品
[思考・状況]
1.平次に会いたい
2.目の前の娘たちと情報交換をする
3.人殺しなんて真っ平御免や
【七瀬美雪@金田一少年の事件簿】
[状態] 健康
[装備] 私服
[所持品] 支給品一式、ランダム支給品
[思考・状況]
1.一と合流したい
2.黒幕(高遠)の情報を伝えて団結して状況の打破を目指す
3.殺し合いなんて嫌だ
【水原可奈@Q.E.D. -証明終了-】
[状態] 健康
[装備] 私服、スタンガン
[所持品] 支給品一式
[思考・状況]
1.燈馬と合流したい
2.情報交換の後、さらに動いて仲間を増やしたい
3.誰かを殺すなんて考えられない
- 299 : ◆xEL5sNpos2:2011/07/08(金) 01:42:15
- 投下は以上です
最後に、今回登場したキャラたちの紹介と、該当作品の時系列を
<<人物紹介>>
【遠山和葉@名探偵コナン】
大阪在住の高校生。父親は大阪府警の本部長である。
明るく面倒見のいい性格。服部平次とは幼馴染であり、彼の姉役を自称して行く先にしばしばくっついて行く。
お互いに相手のことをただの幼馴染以上の存在として思っている節があるが、この手の関係のお約束として一向に進展が見えない。
合気道二段の腕前ではあるが、学校では剣道部のマネージャー的な存在に収まっている。
その特技で刃物を手にした男を取り押さえたことがあるが、年相応の女の子並に怖いものは苦手。
首から下げているお守りに、幼少時に誤って平次と手錠で繋がれてしまった時の鎖が入っている。
このお守りがコナンの命を救ったこともある。
【七瀬美雪@金田一少年の事件簿】
私立不動高校2年生。演劇部とミステリー研究会を掛け持ちしているうえに生徒会長まで務める才色兼備。
金田一一とは幼馴染であり、彼と行動を共にしながら様々な殺人事件に巻き込まれていく。
お互いに相手のことをただの幼馴染以上の存在として思っている節があるが、この手の関係のお約束として(ry
ギャグ描写で物を投げつけることはあれど、基本的にはインドア派でこれといって運動神経がいい描写は見られない。
一と共に出くわした事件で、危うく殺されかけたり、親戚を殺されたり、誘拐されたり、容疑者にされかかったりと酷い目に遭っている。
学校では男女問わず人気があり、何度も愛の告白を受けているがそのすべてを断っている。
そのうえで一と行動を共にしていることは学校内での七不思議のひとつとされているらしい。
【水原可奈@Q.E.D. -証明終了-】
咲坂高校在学の高校生。父親は捜査一課の刑事で当ロワにも参加している水原幸太郎。
男勝りな性格で行動力は人一倍。巻き込まれタイプのヒロインとは異なり、自ら燈馬想を事件に巻き込んでいくことが多い。
燈馬とは高校からの知り合い。MITからの編入でクラスから浮き気味の彼を、当たり前の日常に引き込んだ張本人である。
双方ともに相手のことはただの友人以上に思っている節があるが、この手の(ry
困っている人を見ると放っておけない性格で、周囲のまとめ役を仰せつかることも多い。
天性の運動神経を持ち、腕っぷしは相当なもの。情報収集に動く時には変装もお手の物で、機転を利かせることもある。
そうした能力を持ちながらさらに料理上手という一面も持つ。ただし、学校の勉強は不得手な様子。
【名探偵コナンキャラの登場時系列】
44巻までの時系列。黒の組織ではベルモットとの対決を終えたあたり。
そこから先はいい加減に話を進めろよとキレたので切ってしまっています(爆)
【金田一少年の事件簿キャラの登場時系列】
原作の『金田一少年の逃避行』までの時系列。
その後の定期的な読み切りや、シリーズは不採用となっています。
【Q.E.D. -証明終了-キャラの登場時系列】
既刊39巻までの内容を全て採用。
上述の二冊と違い、基本的に読み切りスタイルなうえにこれといった敵役もいないので特に問題はないかと。
- 300 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 19:53:37
- アニメロワ第36話:消
登場:岡崎朋也
- 301 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 20:05:15
- ◆
俺の人生は、どんな人生だっただろうか。
ああそうだ、俺は確かバスケが得意だったんだっけか。
結局親父と喧嘩してバスケが出来なくなって、………俺の人生は一度終わったんだ。
高校に入ってから、金髪のルームメイトと毎日自堕落で適当な日々を適当に過ごしていたんだ。いつしか俺は不良と呼ばれるようになってて。
ーーーでも、俺は古河渚と出会って確かに変われた、いや始まったんだ。
思えば、その前から始まるチャンスはいくらでもあった。なのに、俺は渚と出会うまでそれに触れることができなかったんだ。
まずは幽霊少女のーーー、畜生、何で今まで忘れてたんだろうな。
しっかり思い出したぜ、風子。
幼なじみの天才少女とも関わった。
そして、俺は渚について深く知っていったんだ。
学園祭が終わって、やっと俺たちは恋人になった。
なのに。それは唐突に闇に閉ざされてしまったんだ。
俺は間違ってしまった。
あいつを、渚を守るために他の全てを殺そうとしてしまった。
その果てには、死んだ目をした少年に蜂の巣にされて殺されるのか。
畜生、ろくでもねえくそったれな人生だった。
けど、何故か俺は終わることを望んでいない。終わりたくない。
- 302 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 20:09:43
- 終わったら、二度と渚には会えないかもしれないんだ。
世界が白くなっていく。
『朋也くんっ』
ああ、お前はいつまでも俺の側にいてくれるのか。
………何つーか、嬉しいな、くそったれ。
◆
岡崎朋也は死んだ。
彼が救われたのかどうかを確かめる術はもう無い。
しかし、彼の死に顔はどこか安らかな、幸せそうな表情だった。
【岡崎朋也@CLANNAD】 死亡
【残り21/40人】
- 303 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 20:10:26
- 投下終了です
- 304 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 20:55:25
- アニメロワ第37話:魔女演舞~槍兵~
登場:ランサー、暁美ほむら、秋山澪
- 305 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 21:06:34
- 「ーーーーーまどかはまだ死んではいないようね」
ほっ、と安堵の表情を浮かべるほむら。いつも何か気張ったような堅い表情をしている彼女の表情が若干笑顔に近い表情に変わったのを見て、ランサーはカラカラと笑いながら言う。
「そういう顔もできんじゃねえか」
黙りなさい、とほむらは言う。
ランサーの知り合いはアサシン以外に死んではいなかったが、騎士王セイバーはともかくとして最強の英雄王が生き残っているのは好ましい状況とはとても言えなかった。
奴は英霊さえ瞬時に殺害するレベルの力を持っている。
ランサーも一度戦ったが、結果的には鎖で拘束されて剣に打たれ死亡した。
見つけたら逃げねえとな、と思っていると、急にほむらの顔色が険しくなった。
「どうしたんだ、ほむら」
「魔女の気配がするわ。それもかなり特大の…」
ワルプルギスの夜並みの魔力を放つ魔女。
この殺し合いの場で魔女化する可能性があるのは鹿目まどかと美樹さやかしか存在しないが、まどかはまだ契約していない筈。つまり、この魔女は美樹さやかーーー『人魚姫の魔女』オクタヴィアということになる。
ーーーありえない。
さやかが魔女になる時間軸はかなり多く見てきた。
- 306 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 21:19:12
- しかしオクタヴィアはほむら単体でも撃破できるクラスの力だったはず。もし因果律の影響を受けていたとしても、ワルプルギスクラスになるには早すぎる。
「どうなっているの……?」
「チィッ!ほむら!その魔女ってのが来るみてえだぜ!かなり魔力が高い!」
やがて現れたのは、体の周りに見慣れた『魔女の結界』を発動させた黒髪の少女。
だがその目に光は無く、明らかに異常な存在だと気付かせてくれる。
「ーーー危険ね。消し飛ばすわよ、ランサー!」
「さすがに賛成だな。こいつはきっと元には戻れねえ。殺しちまった方が楽だろう」
ほむらはいきなり時を止めると、浜面仕上から回収したAK-47の弾に魔力を込めて一気に撃ち込む、撃ち込む、撃ち込む。
しかし、魔女ーーー秋山澪には傷一つついてはいない。
後は一緒だった。ランサーの高速の槍撃すら一筋の傷もつけられない。
『死にたくない』という澪の意志と、オクタヴィアの前身である美樹さやかの魔法少女としての性質が混ざり、異常な耐久力になっている。
しかも、澪の放ってくる攻撃は一撃一撃がかなり重い。
ほむらなら一発でも瀕死になること請け合いの威力である。
- 307 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 21:31:02
-
ーーーーーもう。
ーーーーーもう、諦めるしかないのか。
「逃げやがれ、ほむら」
諦めかけたほむらの耳に、ランサーの静かな声が届いた。
今、ランサーは逃げろと言った。
つまり、彼はこの怪物を一人で倒そうとしているのだ。
「駄目よ…!貴方でも勝てる相手じゃないわ」
「だが、あいつを殺せるようにすることならできる。あいつに捨て身で一発ゲイ・ボルクを叩き込む。それであいつの命そのものに大ダメージを与えれば、きっとただのナイフでも殺せるようになる」
じゃあ、とほむらは言う。
ランサーは死ぬ気なのだ。魔女の力を直に浴びればサーヴァントといえどもただではすまない。彼らで言う「聖杯の泥」ーーー。莫大な負荷に耐えきれず消滅するだろう。
「いいか、ほむら。俺はサーヴァントだ。勝利云々よりも、マスターの命を優先するに決まってんだろ」
「分かったらもう迷ってんじゃねえ」
「とっとと……」
「消えやがれ!」
ほむらは駆けだした。ランサーの想いを無駄にしないために。
鹿目まどかを必ず守る。そのために、ただ駆けた。
【暁美ほむら】
基本:鹿目まどかを守る。
1:まどかを探す。
2:もう振り返らない
- 308 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 21:40:28
- ◆
「さあて、これで俺の命運は決まっちまった訳だが…それはてめえも同じだ、怪物」
ランサーが最速の脚力で一気に駆け出す。
迸る澪の魔力を槍で殺し、喰らい、澪の心臓めがけて駆けていく。
幾多の攻撃が、ランサーに降り注ぐ。
汚染されていく肉体。
消えていく存在。
それでも、ランサー、いや槍兵クー・フーリンの槍は澪に向いていた。
「ーーーゲイ・ボルク!」
澪の命を一気に人間レベルまで削り取る。
そして、澪の絶叫とともに放たれた魔力の大放出に飲まれ、ランサーは消えていく。
「(ほむら、……望みを叶えて見せろ。鹿目まどかって奴を、必ず救ってやれ)」
そして。槍兵クー・フーリンは消失した。
- 309 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 21:42:54
- 【ランサー@Fate/stay night】 死亡
【残り20/40人】
【秋山澪】
基本:全てを絶望に突き落とす。
1:………
※理性が残っていないため、放送の意味を理解していません
- 310 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 21:43:27
- 投下終了です。
- 311 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 22:06:31
- アニメロワ第38話:どんな夢も断てる気がするんだ
登場:牧瀬紅莉栖、宿海仁太、仲村ゆり、音無結弦
- 312 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 22:20:17
- 「ーーーーーめんま…」
宿海仁太は、本間芽衣子を埋葬した。
しかし、立ち直れそうにはなかった。あれだけ守り通したかったものを、たった一発の弾丸で奪われてしまったのだから。
ーーーもう、無理だ。
そして無気力のまま、宿海仁太の後頭部から額にかけてを指弾が撃ち抜いていた。
目を開いたまま、ヒーローになろうとした少年は死んだ。
「gggg奏fderghv」
音無結弦は、腹から出血しながらもまったく堪えることはなく、殺戮を行う。その姿はもはやジョーカーなどではない。見る者からすれば魔王のような、異様な存在。
ダンッ、ダダダダダン!!
AK-47の弾丸の数々が勢いよく音無の胴体に吸い込まれ、その肉体が痙攣した。
しかし倒れることはなく、音無は襲撃者の方を見つめる。
仲村ゆりと牧瀬紅莉栖。
かつての仲間と彼が殺した少女の仲間である。
「牧瀬さんの言う事は本当だったようね。……残念だけれど、音無君。あなたはここで殺させてもらうわ」
「はろー、音無結弦。……まゆりの仇、取らせてもらうわよ」
二人が同時に走った。ゆりにはAK-60、紅莉栖はナイフを持って。
音無は指を前方に向ける。
- 313 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 22:32:27
- 高速の指弾が嵐のように放たれる。
ゆりは参ったな、と思う。紅莉栖の言ったよりずっと厄介な力だ。ゆりの肉体をかすめ、飛んでいく指弾の嵐。
紅莉栖は接近すると、一本のナイフを投擲する。
音無の鎖骨付近に勢いよく突き刺さり、音無の肉体がぐらり、と揺らぐ。
ゆりは掃射し、ついに音無の右腕が肘のあたりからちぎれて落下した。
しかし、左手から一際早い光の指弾が放たれ、ゆりの胸元に穴を開けた。
「仲村さーーーーー」
「今よ、牧瀬さん!」
音無の一瞬の隙を突いて懐に潜り込み、ナイフでその喉を勢いよく突き刺し、一気に真横にスライドする。
ぶしゃあああああああああああああああああああっ、と霧のように血が噴き出した。
まだ立ち直ろうとする音無に、紅莉栖はゆりのAK-47を拾い、胸元に至近距離から一気に弾を吐き出した。さすがの音無も限界だったらしく、地面に倒れ、
「か………なで」
とだけ、霞む声で言い残して息絶えた。
「ミッションコンプリートね、牧瀬さん」
そのまま、ゆりもまた安らかな表情で息絶えた。いや、成仏したと言うべきかもしれない。彼女に対する最大の幸福であったのかもしれない。
「………けてよ」
- 314 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 22:37:22
-
「助けてよ……岡部…」
天才少女とはいえ、目の前で三人もの死を目撃したショックは余りにも大きかった。
【宿海仁太@あの花】
【音無結弦@Angel Beats!】
【仲村ゆり@Angel Beats!】 死亡
【残り17/40人】
【牧瀬紅莉栖】
基本:できるだけ多くの人を連れて脱出したい。
1:助けてよ……。
- 315 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/08(金) 22:38:00
- 投下終了です。
- 316 :誤解が生んだ爆炎 ◆YR7i2glCpA:2011/07/09(土) 22:14:39
-
【支給品情報】
【グレネードランチャー@のび太のBIO HAZARD】
黒崎朝美に支給。
グレネード、すなわち手榴弾を打ち出す重火器。
出典元が出典元のため、小学生にも扱う事が出来る。
【支給品情報】
【グレネードランチャー@のび太のBIO HAZARD】
黒崎朝美に支給。
グレネード、すなわち手榴弾を打ち出す重火器。
出典元が出典元のため、小学生にも扱う事が出来る。
- 317 :誤解が生んだ爆炎 ◆YR7i2glCpA:2011/07/09(土) 22:15:11
- 投下終了です。
- 318 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 09:37:34
- オリ版権ミックスロワ第11話:ペテン師は含み笑う
登場:長谷川遙、大槻、人吉善吉、チルノ
- 319 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 09:49:49
- 「ーーーはぁ。どうしようかしら」
狐獣人の少女、長谷川遙はそう呟いた。
殺し合いに乗るのもいいかもしれないし、乗らずに刃向かって漫画的・アニメ的な『結束による勝利』を勝ち取ってみるのも楽しいかもしれない。
遙には、どちらでも良かった。ただ、そこら辺の誰とも知れない馬の骨に殺されて犬死にするのは御免だ。つまり、生き残っていられれば後はどうでもいい。
支給品は特殊警棒。触れると相手を気絶させるレベルの電流が流れて相手を昏倒させることができるらしい。しかし、これでは銃や爆弾に対処することはできないだろう。
後者はともかくとして、やはり銃や爆弾などの兵器が欲しかった。
「死体からでも奪い取ろうかしら」
まともな思考ではないが、それが一番確実な選択であることは確かであった。
こんな狂ったゲームに乗る奴は必ず存在する。今ごろにはもう何人かは死亡している可能性が高い。というか、間違いなく始まっている。先ほどから幾つか聞こえる銃声がそれを証明していた。
まずは武器だ。遙は不明瞭な目的のために歩きだした。彼女はいわゆるペテン師的な思考を持っている。裏切りなどは日常茶飯事に行う。
もう一人のペテン師はどう動くのか。
- 320 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 10:03:48
- ◆
地下労働施設ーーー通称『地の獄』の班長である男、大槻は怒りを隠せなかった。
恐らくはこの殺し合いも帝愛グループ総帥・兵藤和尊の仕組んだ『ギャンブル』ーーーーーー、優勝者当てのトトカルチョ賭博でも奴等はワインでも飲みながら堪能しているのだろう。
自分を含む多くの人間の人生を狂わせておきながらも奴は安全な部屋でただ笑っているだけ。兵藤にギャンブルで勝つのは不可能に近い。兵藤にはイカサマ云々を抜きにして何者にも追いつけない幸運があるからだ。
「くそっ……許せんのぅ……!!」
「あんたもそう思う?」
大槻は若干ぎょっとして、声の先に視線を移すと10歳に達するかどうかくらいの少女が確認できた。水色の髪に小さな身長が特徴的などちらかといえば『幼女』である。
「君みたいな小さな子まで呼ばれたのか……」
「本当に許せないわ!殺し合わせるなんて、正気の沙汰じゃないバカよっ!」
大槻はこの少女はゲームに乗っていないのだと確信する。というか今の会話で分からない方が異常かも知れない。また、何となく地下で自分を打ち負かした『野良犬』に似ている気がした。
野良犬ーーーー伊藤カイジ。
- 321 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 10:17:49
- 地下において積み上げた地位・財産・信用を全て食いちぎっていった大槻の最も憎んでいる相手。正直、カイジと出会ったら殺してしまわない自信がない。
「(あいつは許さんっ……しかし……ああいう奴は真っ先に死ぬっ……焦るなっ……わし、焦ってはいかんっ…)」
「大丈夫か?あ、あたしはチルノ!妖精さ!」
妖精?そんなものはこの世には存在しない筈だ。まあこの年頃の少女は多少夢見がちなことが多い。話半分に聞き流すのが利口な選択だろう。
チルノ、という名前はどう見ても日本人の名前ではない。外国人としか思えなかったが、それにしては日本語が達者だ。偽名かとも思ったが、この少女に限ってそれは無さそうだ。
「わしの名前はーーーー」
「君に教えるほど馬鹿じゃあないさ」
ダァン!ダァン!と二発の銃声が連続した。
「ぁ……へ……?」
チルノの顎に一発は着弾して歯を吹き飛ばし、二発目は額に着弾してその頭部をぐちゃぐちゃに吹き飛ばした。違法改造銃と銘打たれただけのメーカー不明銃だからこそ危険とも感じたが、反動も大きくはないし威力はそれでいて高い。かなりの当たり武器のようだ。
大槻は俗に言うペテン師だ。
- 322 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 10:31:10
- 地下ではシゴロサイコロを用いて部下の石和たちと共謀して姑息なイカサマを働き、チンチロリンで多額のペリカを荒稼ぎしていた。勿論、外に難病の娘が居るだの、上から脅迫されているだのといった理由はない。私利私欲のために行っていた。
その結果、策を見破った伊藤カイジにサイコロを掴むという逆転の発想で秘策のシゴロサイコロを破られ、敗北しただけでなく貯めてきたペリカと信用を一気に失ってしまった。
だからこそ彼はカイジを憎悪していたのだ。
大槻に何故人々は騙され、堕落してしまうのか。それは彼の心理に訴える言動だ。笑顔と怒り顔を使い分け、ごくごく自然に騙し所へと持っていき、一気に畳み掛ける。
それが、姑息に生きる外道・大槻の生き残る手段であった。
「確かにあのジジイに怒りはあるが、それとこれは話が別だっ……カカカッ…」
「そうかい。じゃあこんなのはどうだ」
バッ!と振り返ると、金髪に制服、『庶務』という腕章をつけた少年が立っていた。
言葉だけなら立派な対主催の人間に聞こえるのだが、様子は明らかにおかしい。まず目が、明らかに狂った者の目付きにしか見えなかった。
ダァン!
今度は言葉も無く違法改造銃を少年に向けて発砲。
- 323 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 10:44:27
- 大槻は想像する。あの狂った少年の頭が弾け飛び、自分がどうなったかも理解できずに死んでいく様を。死体を見おろしながらほくそ笑む自分の姿を、想像するーーーーーが。
大槻の思い通りに事は運ばなかった。少年は横に跳ねるようにして、銃弾をかわして見せたのだ。あり得ない、と大槻は思う。銃の弾速はまさに瞬速だ。この改造銃なら更に速い。それを、いとも簡単に避けてみせた。
こいつは、化け物かーーーーーーーー!?
闇雲に発砲するが、超高速の弾は一発も当たらない。少年が近付いてくる。くそっ、当てなければ。当てなければーーーーー!!
少年の肩を、至近距離から発砲した一発がかすめていった。至近距離からでさえ、少年の命を奪うには至らなかった。そして、多くを騙した大槻に罰が下る時が来た。
ドスッ!と、大槻の額に少年は何かを『蹴りで』打ち込んだ。
「が……ぎぃっ…」
大槻は少し痙攣した後、やがて絶命した。額に突き刺さっていたのは一本のごく普通のアイスピック。堅い頭蓋骨をも貫けたのには一つ理由があった。
少年ーーーー人吉善吉は、『普通(ノーマル)』に属する人間である。13組のような生まれ持った『才能(アブノーマル)』は無い。
- 324 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 10:55:21
- 勿論、−13組のような生まれ持った『過負荷(マイナス)』も持たない。
しかし彼は、幼なじみであり見せしめとされた少女、黒神めだかと共にそれらと熾烈な戦いを繰り広げてきた。その度に、彼もまた異常な身体能力に進化していったのだ。
彼は自分が殴るより蹴る方が威力が高いことを理解していた。例えば、刀を蹴り上げて天井に突き刺したりできるのだから。それを踏まえた上で、蹴りを応用してアイスピックで堅い頭蓋骨を貫くことに成功したのだ。
「最後の弾を当てられなかったのはあんたのミスだ。その気になれば俺は今逆に倒れていただろうさ………くそっ、まだ足りねえ…!!」
黒神めだかを生き返らせる。それが善吉の望みであった。
たとえそれを本人が望まず、それを行った善吉に強い拒絶を示したとしても。人吉善吉は100%後悔しない。世界にはあの少女が必要なのだから。
「………待っててくれ、めだかちゃん」
【チルノ@東方project】
【大槻@賭博破戒録カイジ】 死亡
【残り40/45人】
- 325 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 11:00:28
- 【深夜/a-2】
【人吉善吉】
基本:優勝して黒神めだかを生き返らせる。
1:知り合いは騙し討ちで殺す。
2:全てが終わったなら主催者も殺す。
※球磨川が候補生を撃破した後からの参加です
※『欲視力』は封印されています
【長谷川遙】
17歳の狐獣人。
常に冷静な考えができ、人を陥れることに抵抗のないペテン師気質。
- 326 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 11:01:00
- 投下終了です。長かった……
- 327 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 14:10:58
- オリ版権ミックスロワ第12話:金融幹部の憂鬱/作曲家の退屈/処刑人の悲壮=+α
登場:石黒恭子、ハメルン、遠藤、櫛名田眠
- 328 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 14:23:50
- ◆
「はぁ……不幸だよな、これって」
某ラノベの主人公の口癖を呟き、帝愛グループ幹部ーーーーー遠藤は頭を抱えた。
伊藤カイジに上司の利根川幸雄を失脚させられ、地位はガタ落ち。金銭的にも苦しい生活を強いられていたが、そのきっかけとなったカイジと協力して人喰いパチンコ『沼』を破ったーーーーー筈だった。
その矢先に、この殺し合いだ。とんでもない額の金を入手できたのに、またも人生は遠藤に幸福をもたらさなかった。ふざけるなよ、と遠藤は思う。
だが、殺し合いに優勝さえすれば願いが叶えられるらしい。
例えば、一生かかっても使いきれないくらいの金を手に入れて、兵藤の目的としていた核シェルターの内部に理想郷を建築してしまうこともできる。
「……悪くねえ話だな」
ディパックには一丁の拳銃が入っていた。見るのは初めてではないが、撃つかもしれない機会に恵まれたのは今回が初めてであった。
それを構えると、とりあえず参加者名簿を一瞥しておく。
伊藤カイジ。一度共闘した相手とはいえ、彼を追いつめたのは間接的にカイジ本人なのだ。正直、個人的な鬱憤が無いといえば嘘になってしまう。
一条。こいつは殺し合いに乗ると確信できた。
- 329 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 14:37:35
- それも、姑息に対主催に紛れ込んで時を待ち、一気に殺戮する手を使うだろう。
とりあえず元世界の知り合いは殺せないというほど思い入れのある奴はいない。
遠藤はとりあえずゲームに乗ることにした。優勝さえすれば、死ぬかもしれないリスクがあってもそれに釣り合う報酬が得られる。どうせ何もしなければ殺されるのだから、殺し合いに乗るというギャンブルに出るのもまた一興だろう。
数分後。遠藤は一人の"処刑人"と戦うことになる。
◆
笛吹きハーメルンといえば聞いたことのある者も多いだろう。
そしてまた、同じ名を持つ猫獣人の『作曲家』ハメルンも世界に名を広く知られている天才であった。未だ偏見を持たれることも僅かながらあった獣人への差別意識を更に薄くするのにも一役買った人物であり、彼女のファンは下手なアイドルよりも多い。
そんな彼女もまた、殺し合いに招かれていた。
「困ったなあ…どうしよう」
ハメルンは口ではそう言ったが、彼女には殺し合いに乗ることはきっとできないだろう。彼女は平和主義者だ。悪人を殴ることにさえ動揺してしまうくらい争いを嫌う。
支給された武器はまさかのクレイモア地雷ーーーつまり対人地雷だ。
- 330 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 14:51:42
- 間違いなく相手は死ぬ、ある意味最高の当たり武器だった。
「……こんなもの使ったら、……」
想像してしまう。自分の仕掛けたクレイモア地雷で相手の体が吹き飛ぶのを。飛び散る鮮血を。相手の断末魔を。耳をつんざくような爆音を。
思わず吐き気がこみ上げてくる。しかしそれを何とか我慢して、再び立ち上がるーー
その時、一発の銃声が響いて、ハメルンの右の太股から血が噴き出した。
◆
神様はつくづく残酷なことが好きだ、と櫛名田眠は思う。
彼女に支給されたのは大鎌。幸か不幸か、それは眠が日常的に行うとある『義務』に用いる凶器と同じ武器であった。
ーーーーー処刑。
色欲に走った『神人』ーーーつまり普通の人間から甘い、魅惑的な匂いを感じる特殊な種族ーーーを取り押さえて、この鎌で首を跳ね飛ばす。
櫛名田の家に生まれたために行ってきた義務。それは、とある事件によって解消されつつあった。あの日。賢木俊一郎の起こしたクーデターにより、神人の存在は公にされた。
それなのに。あの悪魔たちは、再び残虐な贈り物を贈ってきた。
「ーーーーー許せませんね」
静かな怒りを燃やして、櫛名田眠は立ち上がりーーーーー
一つの銃声を聞いた。
- 331 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 15:02:23
- そして、櫛名田眠は駆ける。見知らぬ誰かを助けるために。
◆
「ーーーチッ。やっぱり慣れねえと当たらねえな」
「い…た……っ?」
遠藤は片手から硝煙の立ち昇る拳銃を持ちながら言った。
そして、次の瞬間。遠藤の髪数本をかすめて鎌が振り抜かれていた。
「ンだ…あぶねえな」
「申し訳ありませんが、このようなゲームに乗るというなら『祓い落とさせて』頂きますーーー覚悟を」
ダァン!という銃声と同時に、血生臭い戦いが幕を開けた。
【深夜/d-2】
【遠藤】
基本:優勝して、莫大な資産を手に入れる。
1:無理そうな相手なら撤退する。
※『沼』攻略後からの参加です
【櫛名田眠】
基本:主催者を倒す。
1:目の前の男を祓い落とす。
2:九澄くんと合流したい。
※解答編終了後からの参加です。
- 332 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 15:10:13
- ◆
「あら……酷い傷」
女ドクター石黒恭子は、眠と遠藤の戦いが続く中、ハメルンに近付いていった。
弾は貫通しているようだが、石黒は名医だ。支給された包帯と水があれば簡単に止血することができるだろう。
おびえた瞳で見つめるハメルンに、石黒は言った。
「大丈夫よ…私はドクターだから」
【ハメルン】
基本:誰にも死んでほしくない。
1:怖い……
【石黒恭子】
基本:殺し合いはしない。
1:ハメルンの傷を治す。
【ハメルン】
15歳の猫族で天才作曲家。
争いごとを何より嫌い、平和な日々を何より愛する。
【石黒恭子】
26歳の若さにして天才ドクター。
脳腫瘍の末期や皮膚移植などの難しい手術も簡単にやってのける。
- 333 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 15:10:44
- 投下終了です。
- 334 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:50:31
- 本スレ>>433からの続きです
※ ※
――失敗した。
志村新八を倒した一撃に対する、カノンの評価はそれだった。
本当は、なのはを狙ったのだ。その低い位置にある頭は、カノンの滞空する角度から狙いがつけやすかったから、
しかし、志村新八はとっさに動いていた。死角の外からの完全な不意打ちに、とっさに対応した。
カノンは狩猟で培われた驚異的な動体視力から、それを確認した。
サブマシンガンは、なのはを突き飛ばした新八のうなじに突き刺さった。
結果を見れば、二人の内どちらかを攻撃して、動きさえ止めれば良かったのだから成功したと言える。
しかし、一撃で仕留め切れず、苦痛を長引かせる結果となってしまった。
(まだ迷っているのか……?)
考えられる可能性は、カノンの迷い。
無関係の『一般人を殺す』という行為に、投擲速度が鈍ったこと。
しかし、心揺らされている暇はない。眼の前の少女は、躊躇いながら倒せるほど容易い相手ではない。
「ひとつ教えてあげるよ」
凍りついた少女に、コンマ一秒で肉薄。
蹴った。
ギリギリで津村斗貴子が着地していたことはわざわいした。
完全な隙をついての一撃だったのにも関わらず、後方に飛んで受け身を取ったのだ。
「がぁっ…………!」
しかし、それでも小柄な体がたっぷり数メートルは吹き飛び、太い樹木の幹へと激突。
げほっ、と咳を吐くと、肺に衝撃を受けたらしく呼吸が止まる。
本当なら、この一撃で血を吐いて死んでいるはずだったのだが……。
「この世界に悲劇はなくならないし、
諦めを知らないのは途方もなく愚かだよ」
しかし、しばらくは起き上がれないだろう。
カノンは余裕を持って、先ほど倒した少年たちの元へと歩み寄った。
志村新八の言っていたことは、全く正しかった。
ひとたび人を殺してしまえば、取り返しはつかない。
既に何十人も殺してきたカノンは、その『取り返しのつかなさ』を誰よりも知っていた。
新八の主張は間違いなく正しい。そしてその正しさは、そのままカノンに跳ね返る。
カノン・ヒルベルトはもう取り返しのつかないところまで来ていたのだから。
- 335 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:51:31
- イングラムの銃身が、新八のうなじ、首の皮膚にめり込んで刺さっていた。
なのはがそんな新八の体を、狂ったように揺さぶる。
「なの……ちゃ…………ニゲ……」
重要な神経を損傷したのか、その言葉はたどたどしかった。
イングラムを1メートルの距離で照準。
こればかりは、どんなに迷っていても、撃ち損じるはずがない。
――ぱららっ
ほんのちょっとだけ引き金を搾ると、パラベラム弾が新八の頭部を破壊した。
――『殺した』のではない。『楽にした』のだ。
カノンが殺さなくとも、いずれはほとんどの参加者が清隆の生贄となるのだから
そう己に言い聞かせる。
詭弁だった。
分かっている。
たった今この瞬間から、カノン・ヒルベルトは『殺人鬼』になったのだ。
“敵”だけを殺す『ハンター』ではなく、正しい人間をも見境なく殺す『殺人鬼』に。
「新八、さん……」
なのはは凍りついた瞳で、破壊された頭部をじっと見上げている。
怒るでもなく、悲しむでもなく、ただ恐怖している。
カノン殺されると怯えているのではない。
起こったことが『理解できない』が為に恐怖しているのだ。
当たり前の反応だ。
9歳の小学生が、人の頭が撃ち抜かれる光景を見慣れているはずがない。
それ以前に、人の『死』自体さえ、そう何度も経験するほどの年端に達していない。
――だから、せめて、その絶望を理解する前に楽にする。
カノンはイングラムの銃口を、きっちりとなのはの頭に照準した。
- 336 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:52:18
-
キュン、と風を切る音がした。
「何……?」
引き金を引く指が急激に重くなり、カノンはイングラムを再確認。
トリガーの間に、ちょうどいい大きさの小石がはさまり、イングラムの引き金を封じている
『小石を投げた誰か』が、引き金をひくことを妨害した。
「こんなもので……!?」
流石のカノンも絶句する。
こんな小さな石を投擲して、ピンポイントでトリガーの小さな隙間を狙えるとは、
いったいどういう人間なのか。
しかし驚く暇は与えられなかった。
『何か』が唸りを上げて迫り、カノンは横っ跳びに回避。
『銀色』の人影が、カノンのいた地面へと鋭い飛び蹴りを叩きこんでいた。
地面がえぐれ、銀色のコートが大きくひるがえる。
※ ※
「せ、戦士長!?」
気力だけで立ち上がった津村斗貴子は、現れたその姿に、まず己の眼を疑った。
全身を――顔さえも立てた襟で隙なく覆う白銀のコートに、同じく白銀のウエスタンハット。
――防護服の武装錬金、シルバースキン。
その鎧をまとえる人間は、この世にたった一人しかいないはず。
しかし、と斗貴子は思いなおす。
支給品の核金から、バルキリースカートではなくモーターギアが呼び出されたことを。
ならばあの人間は、
- 337 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:53:07
- 「どうやら、お前は津村斗貴子の言っていた『化け物』にあたる人間らしい」
感情の読み取りずらい淡々とした声で、彼は敵に呼びかけた。
「桐山君? 何故、ここに。待機しろと言ったはず」
斗貴子は打ちつけた体を鞭打って立ち上がり、桐山の元へと走り寄る。
「やれやれ……君たちは傭兵か何かかい?」
流石のカノンもシルバースキンの異様には驚いたらしく、距離をとってマシンガンの弾倉を詰め替えている。
桐山は、コートの詰め襟の奥の瞳で、斗貴子をまっすぐ見据えた。
「俺は戦える。そして俺はこの命を、お前の言った『目的』の為に使いたい」
恐れも濁りもない。ただただ純粋な瞳だった。
(……こんなに迷いなく戦いに飛び込んでくるとは……この少年、戦士としての素質がある?)
桐山は「すまない」となのはに声をかけて志村新八の遺体から引き離し、ディパックを回収。
そして遺体が持っていた日本刀を掲げて、敵に対峙し――
「待て」
斗貴子は右腕を出して、戦闘態勢に行こうした桐山を制止した。
蹴撃のダメージは、だいぶ癒えた。
彼ならば、この少女を預けても大丈夫だ。
それに斗貴子は、カノンの知らない支給品をまだ二つ持っている。
まだ、戦える。勝算はある。
「桐山くん……少し、キミに、興味がわいた。それでも、私は君たちがいない方が戦いやすい。
桐山君は、その少女を連れて走れ。何としても守ってほしい。
これは君を認めたからこその命令だ。それに」
チャクラムを再び指先に搭載。
「――こいつは、私の“敵”だ」
彼女を駆り立てるのは、簡単に罪のない人間を殺した、“敵”に対する憎悪。
そして、簡単に犠牲者を出してしまった己に対する激しい怒り。
「了解した」
「あ……」
桐山は命令を肯定するや否や、なのはを小脇にかかえる形で抱き上げ、シルバースキンの重装甲も苦にせず疾走した。
「感情をそのまま攻撃力に転化できるタイプか……これは少々、骨が折れそうだね」
二対一は不利と判断したのか、敵は桐山たちの逃走をそのまま見送る。
「それ以上、喋るな」
斗貴子にとって、敵とおしゃべりを交わす余地などはない。
この男は、無辜の少年を殺した。
例え殺し合いの場だとしても、殺戮を生む存在はその理由いかんを問わず、
斗貴子にとって完全な“悪”だった。
敵は、全て、殺す。
「貴様は私が、今ここでブチ撒ける!」
- 338 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:53:51
-
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]左腕の骨にひび、腹部に打撲、桐山に『少し興味』
[装備]モーターギア@武装錬金
[道具]基本支給品一式、不明支給品2(武器らしい)
[思考]基本・力無きもの(民間人)は保護し、化け物(殺戮者)は殺す。
1・眼の前の男を確実にブチ撒ける。
2・しかる後に桐山くんたちを追う。
3・ゲームの打倒
※桐山和雄を、正義の心を持った人間と判断しました。
【カノン・ヒルベルト@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]まぶたを負傷(眼球に異常なし)、殺人による精神的苦痛
[装備]装甲@吸血鬼のおしごと
イングラムM10サブマシンガン@バトルロワイアル
[道具]基本支給品一式、予備弾倉残り1
[思考] 基本・『実験』を早く終わらせる為に殺し合いに乗る
1・目の前の女性を殺す
2・ブレード・チルドレンでなかろうと殺す。
3・アイズ、浅月、亮子はできれば直接手にかけてやりたい。
4・アイズ・ラザフォードは、殺せる機会が来るかは分からないが、殺せると思っている。
5・機会があれば、鳴海歩がミズシロ火澄を殺すように仕向ける。
※参戦時期はスパイラル5巻、来日する直前です。
(鳴海歩とは面識がないものの顔を知っています。ミズシロ火澄とは面識があります。結崎ひよののことは完全に知りません)
「あの女の人、大丈夫かな……」
なのはは桐山に抱えられたまま、後ろを振り向こうとする。
しかし、男の右腕はなのはの体をがっちりと捕獲していて動けない。
コートの男の人は淡々と言った。
「俺は津村斗貴子から、あの場は任せてお前を保護するように指示された。
だから、俺は彼女の判断に従うしかない」
あの女の人もコートの人も、殺し合いには乗っていないようだけど、しかし襲って来た敵を迎え撃つことはちゃんとできていた。
あの場で、なのはだけが何もできなかった。
その事実が、なのはの心を軋ませる。
せめて、レイジングハートがあれば良かった。
魔法が使えれば、なのはだって、いつものように――
――本当にそう?
なのはの心にいた冷静な部分が、冷やかにそう尋ねた。
水をかけられたように、なのの温度が下がる。
――魔法で戦ったとして、本当にあの人を止められたの?
確かに、レイジングハートがあればシールドで銃撃を防ぐことも、砲撃でカノンを打ち倒すこともできただろう。
しかし、魔法でカノンを行動不能にしたとして、その後はどうしていただろう。
説得してあのカノンを反省でもさせるつもりだったのか?
あの戦いは、なのはの知る戦いではなかった。
フェイトとぶつかりあった時とは、根本から違っていたのだ。
- 339 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:54:27
- フェイトという少女に対しては、お話がしたいと思った。
何度もぶつかって、戦ってきたけれど、寂しそうな瞳に共感し、友達になりたいと思った少女。
彼女は確かに悪いことをしていたけれど、それはそうしなければならない悲しいことがあったからであり、それを助けてあげられたらと思った。
だから、全力でぶつかりあって、そして私が勝てば、その時はお話を聞いてもらえると思った。
でも、あの時のカノンという人は違った。
言葉が通じないと、思った。
フェイトのような、悲しげな瞳ではなかった。
乾いた瞳だった。
人間の瞳をやすりにかけてボロボロに研磨したような、擦り切れた目だった。
なのはの言葉では、あの人は止まらない。
フェイトちゃんの時のように、戦ってぶつかり合えばお話を聞いてもらえるという自信が、欠片も持てない。
お話がしたいんだ、と
本来なら当たり前のように言えた、その言葉が言えない。
カノンを食い止めようとした津村斗貴子さんという女の人も、あの人を殺すつもりでいるように見えた。
あの戦いは、本当に“殺し合い”だった。
現に、新八さんが、死んだ。
なのはの魔法は非殺傷設定を搭載していて、それを解除しない限り敵を傷つけることはできない。
バインドで動けないようにしたとしても、なのはの今の技術では、殺し合いが終わるまで拘束しっぱなしにしておくことなどできない。
つまり、あの人を止めるためには、あの人を殺すしか――
できない、と思った。
人を殺す、ということを視野に入れたその瞬間、心が『できない』と言った。
なら、高町なのははこの『殺し合い』を止められない?
高町なのはは、無力でいるしかない?
――9歳の少女は、生まれて初めて覆しようのない『理不尽』を目の当たりにしていた。
- 340 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:54:57
- 【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]精神的ショック(大)、桐山にだっこ
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜1、『跳』のカード(6時間以内使用不可)
[思考]基本・殺し合いには乗らない……
1・新八さん……。
桐山和雄は、その対峙を見て、装甲の男を『化け物』、襲われた少女を『弱者』と断じた。
状況から津村斗貴子が彼と交戦したことは明白であったし、何より看過すれば少女はそのまま撃ち殺されていた。
そして、津村斗貴子の『少女を保護して逃走しろ』という命令によって確信を得た。
この少女は、津村斗貴子の定義するところの『保護すべき弱者』である。
桐山和雄は少女を抱えて走りながら、頭の中に会場の地図を描く。
津村斗貴子は合流場所を指定しなかった。
万が一にも襲撃者を取り逃がした場合、合流場所に先回りされる危険性を考えてのことだろう。
しかし、この会場には人の集まりそうな施設が幾つか配置されている。
戦闘を終えた津村斗貴子が、その内のいずれかを探索する可能性は高い。
近辺の施設は、警察署、病院、そしてコンビニ。
……津村斗貴子は負傷していたようだし、病院に向かう可能性が高いか。
桐山はそう考え、川の上流へと駈けた。
その少女、“高町なのは”は、決して弱者ではない。
人を殺す覚悟も備わっておらず、またあったとしても現状ではその
桐山和雄の住んでいた世界の常識からすれば、充分に“異端”と言える魔道の潜在能力を有している。
もしその事実を知った時、彼は、
【桐山和雄@バトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]シルバースキン@武装錬金、鉄子の刀@銀魂
[道具]基本支給品一式×2、不明支給品0〜2、竹田千愛のノート@〝文学少女〟シリーズ
イエローの麦わら帽子@ポケットモンスターSPECIAL、テニスラケット@テニスの王子様
[思考] 基本:「力なきもの(一般人)」を保護し、「化け物(強者と判断したもの)」は殺す。
1・少女を保護しつつ、病院へ移動。
2・装甲服の男を『化け物』と認識
【竹田千愛のノート@〝文学少女〟シリーズ】
竹田千愛が己の半生を回顧して書きつづった自伝とも言えるノート。
これを読めば、彼女の気持ちが理解できるかも……。
【鉄子の刀@銀魂】
村田兄妹の妹、鉄子が鍛えた日本刀。鍔の部分にウ○コのような形のとぐろを巻いた竜が彫られている。
鉄子の願いが込められた一振りであり、紅桜と互角に渡り合う切れ味を持つ。
- 341 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:55:42
- 投下終了です。
斗貴子さん以外は(デバイスなしなのはも含めて)全員一般人です。
……え? 信じられない?
- 342 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 21:56:15
- あ、タイトル忘れてた。「Gun with Wing」です
- 343 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/10(日) 22:04:15
- すみません、ラストの桐山パートこっちに差し替えです↓
桐山和雄は少女を抱えて走りながら、頭の中に会場の地図を描く。
津村斗貴子は合流場所を指定しなかった。
万が一にも襲撃者を取り逃がした場合、合流場所に先回りされる危険性を考えてのことだろう。
しかし、この会場には人の集まりそうな施設が幾つか配置されている。
戦闘を終えた津村斗貴子が、その内のいずれかを探索する可能性は高い。
近辺の施設は、警察署、病院、そしてコンビニ。
……津村斗貴子は負傷していたようだし、病院に向かう可能性が高いか。
桐山はそう考え、川の上流へと駈けた。
その少女、“高町なのは”は、決して弱者ではない。
人を殺す覚悟も備わっておらず、またあったとしても現状ではそのデバイスも備えていないが、
後に『エース・オブ・エース』と呼ばれる膨大な魔力量は既に顕在。
桐山和雄の住んでいた世界の常識からすれば、充分に“化け物”と言える魔道の潜在能力を有している。
もしその事実を知った時、彼は、
【志村新八 死亡確認】
【残り65人】
【桐山和雄@バトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]シルバースキン@武装錬金、鉄子の刀@銀魂
[道具]基本支給品一式×2、不明支給品0〜2、竹田千愛のノート@〝文学少女〟シリーズ
イエローの麦わら帽子@ポケットモンスターSPECIAL、テニスラケット@テニスの王子様
[思考] 基本:「力なきもの(一般人)」を保護し、「化け物(強者と判断したもの)」は殺す。
1・少女を保護しつつ、病院へ移動。
2・装甲服の男を『化け物』と認識
- 344 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 22:27:35
- アニメロワ第39話:きっと、終わりは始まりの時。
登場:岡部倫太郎、橋田至、木原数多、中川かのん、シャルロット・デュノア、春原陽平
- 345 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 22:40:31
- c-6エリア、ネットカフェにて。橋田はキーボードを打つ作業に追われながら、怒りを覚えていた。放送にて、ラボメンの一人である椎名まゆりの死が告げられたのだ。
許せなかった。その肉体を八つ裂きにして、火にくべてやりたくなる。
「(……落ち着け。冷静さを欠いたらハッカーは負けだお)」
そして、橋田は続ける。
だが、彼はまだ知らない。最悪の科学者と最高の親友が奇しく同じタイミングでこの場所に向かっていることを。彼は知らない。数分後ここに広がる光景を。
◆
「………ダル?」
橋田至は、ついに成し遂げた。
常に首輪を起爆されるリスクと戦いながらも荒耶のセキュリティをわずかに、少しずつ切り崩していき、ようやく首輪の解除コードを入手した。
それと同時に、彼の最大の親友の声がした。
「オカリィィィン!!イッツアグゥゥゥッドタイミィィィングだお!」
「何かテンション変だぞこの人……」
ようやく、喜びを分かち合うときがやってきたのだ。
しかしーーーーー。
乾いた銃声が連続した。
「橋田さ…逃げ…」
中川かのんは胴体に無数の穴を開けられながらも、その言葉だけ言い残して息耐えた。戦慄が走る。銃声の先を凝視する。
- 346 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 22:52:17
- 「こっちだよ、馬鹿が」
「ーーーーー岡部!!」
岡部を突き飛ばして、陽平が前に出た。そして再び銃声が連続する。
春原陽平の肉体を無数の弾丸が抉り、そのまま彼に致命傷を与えた。あの騒がしい、お世辞にも賢いとはいえなしような少年が、真っ赤に染まって倒れていた。
「生き……ろ…」
「陽平ッ!大丈夫か、おいっ!!」
「よそ見してると危ないぞ〜ってかァ!?ギャッハハハハハァ!!」
最悪の科学者ーーーーー木原数多は、一人異様なテンションで爆笑する。
追撃を放とうと引き金に力を込めた瞬間、橋田の巨体が木原に体当たりし、木原を突き飛ばした。しかし弾は放たれ、橋田の左腕の肘から先が損失していた。
呆然としているシャルロットの腕を掴み、物陰に連れ込む。
「ダル!お前……」
「皆まで言うなよ常考……っ、いいかよく聞け。これは首輪解除のUSBだ。首輪の端子に突き刺せばいい…。こっちは、ーーーーーーーーーーーー。分かったな、オカリン。」
橋田は岡部に耳打ちすると、そのまま復活して迫る木原に突撃していく。
が、吐き出された弾が橋田の肉体を抉り散らすのは明確といえる。
橋田は最後の力を振り絞り、声を大にして叫んだ。
- 347 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 23:03:17
-
「跳べよ、オカリン!お前が全て救っちまえぇぇえええええええっ!!」
橋田の肉体から血が噴き出し、やがて動かなくなった。木原はにやりと笑う。
そして、銃口を岡部たちの隠れ場所に向けーーーーー、
「待ってくれ。こちらは首輪の解除コードを持っている。今発砲したなら、弾が俺を撃ち抜く前にこいつを壊してやる。こいつを貴様に渡してやる代わりに、俺だけでも見逃してくれ」
「……は?」
木原は拍子抜けした。あれだけ橋田が守ろうとしていたのはこんな小物だったのか?
だがそんな思考もすぐに笑いに変わった。
解除コードを使って解除しちまってから、岡部を撃ち殺す。いいだろうと木原は言うと、岡部は無言でメモリを投げて渡した。
後は迷うこともなく首輪に突き刺しーーーー
てから気付いた。
橋田至の持っていたのは、赤いUSBメモリではなかったか?
今木原の刺したのは白だ。これが意味することを、木原は一つしか思いつかなかった。
「ってめえ!ふざけやがーーーーーーー」
ボンッ
くぐもった音と同時に木原の喉笛が爆発して、一撃で絶命させた。
「ーーーーー地獄に墜ちろ、ゲス野郎が」
岡部は冷酷に呟いた。
- 348 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 23:07:51
- しかし。物語はここでは終わらない。
絡み合った幾多の想いはやがて収束し、一つの線へと飛躍するのだ。
ーーーきっと、終わりは始まりの時。
【中川かのん@神のみぞ知るセカイ】
【春原陽平@CLANNAD】
【橋田至@Steins;Gate】
【木原数多@とある魔術の禁書目録】 死亡
【残り13/45人】
- 349 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/10(日) 23:08:24
- 投下終了です。表なし
- 350 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/12(火) 21:13:33
- 本スレピンチなのでこちらに投下します
DOL3rd17話 戦線、再結成
登場人物:仲村ゆり、三枝由貴、花卉久家子
- 351 :戦線、再結成 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/12(火) 21:14:46
- 【仲村ゆり視点】
「……許さない」
彼女は崖の前に立っていた。
成仏して、気が付いたらこの場所にいた。
戦線でリーダーとして神にあらがっていた彼女は、この場でも主催に抗うことを決めた。
しかし、仲間のうち二人は殺し合いに乗っている。
その事を彼女は知らない。
それでも、彼女には関係のないことなのかもしれない。
「音無君、日向君、直井君の三人ね」
音無は信頼できるが、もし願いが悪かったら乗ってしまうかもしれない。
日向は、長く付き合ってるから分かる、絶対に大丈夫だ。
直井…一番心配である。
「まずは仲間を集めて、戦線を作らないと」
彼女はすぐに支給品であるトンプソンM1A1を装備し、そこから移動し始めた。
【三枝由貴&花卉久家子視点】
「「誰か助けてーーーーーーーー!!!!」」
二人が崖の前で叫んでいた。
しかし、誰も来る様子はない。
「どうしよう…拡声器使っても誰も来てくれない…」
花卉久家子は支給品である拡声器を持ってつぶやいた。
そこに、もう一人の少女、三枝由貴が話しかける。
「大丈夫、きっといい人が来てくれるよ…」
「だといいけど…」
二人はまだそこに居座っていた。
そこに来るのは、誰か。
- 352 :戦線、再結成 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/12(火) 21:15:22
- 【仲村ゆり視点2】
「……声が聞こえるわね」
再び仲村ゆり…。
彼女は二人の声を聞いていた。
「味方が増えるに越したことはない…行こう」
彼女は走って声が聞こえてきた方向に向かう。
もし、敵が先についていたら交戦する。
そう言ったことも考えながら向かっていった。
「そこの貴方達!無事!?」
「え…ああーっ!やった!花卉さん!人が!」
「あ…本当だ!」
ここでやっと遭遇した三人。
しかし、二人はその後すぐにまたおびえ出してしまった。
「えーと、私は仲村ゆり…私は乗ってないから安心して」
「………分かりました、信頼します」
「……はい」
二人を何とか信頼させる。
そして、実直に用件を言う。
「貴方達にお願いがあるの…戦線に入ってくれない?」
「え…?戦線って…」
「貴方達は戦わなくても良いわ、でも仲間は多いほうが良いってね」
「……どうする?三枝さん」
「……私は、入るよ」
「そう、ありがとう三枝さん…えーと、花卉さん…だっけ?貴方は?」
「……私も入ります」
「よし、じゃあ私についてきて…絶対にあの男を倒すわよ」
ここに、再び戦線が組まれた。
死んだ世界の戦線でもない、神にあらがう戦線でもない。
殺し合いに対抗する戦線だ。
- 353 :戦線、再結成 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/12(火) 21:15:52
- 【真昼/E-1】
【仲村ゆり】
[状態]健康
[装備]トンプソンM1A1(20/20)
[所持品]基本支給品、トンプソンM1A1のマガジン(2)
[思考・行動]
基本:殺し合いからへの対抗。
1:戦線メンバーを集める。
2:音無君、日向君、直井君との合流。
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は本編最終回後です。
【花卉久家子】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、拡声器
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:三枝さん、仲村さんを信頼する。
[備考]
※願いは不明です。
【三枝由貴】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:二人と行動する。
[備考]
※願いは不明です。
【支給品説明】
【トンプソンM1A1@現実】
仲村ゆりに支給
第二次世界大戦時に米軍が装備していた代表的なサブマシンガン。
同時期に装備していたM3グリースよりも多く装備され、主に下士官が使用していた。
米陸軍は第二次世界大戦前までサブマシンガンを装備しておらず、ドイツ軍が大量に装備していたMP40やMP38に苦戦を強いられる事になった為、急遽このトンプソンを採用した。
【拡声器@現実】
花卉久家子に支給
声を増幅するために用いられる器具のことである。
メガホンより大きな声を出せる事が出来る。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】花卉 久家子(かき くけこ)
【性別】女
【年齢】18
【職業】大学生
【性格】人を信頼しにくい
【好きな物・事】なし
【嫌いな物・事】なし
【特殊能力】なし
【趣味】なし
【備考】昔の事から、人を疑うことを当然としている。
【名前】三枝 由貴(さえぐさ ゆき)
【性別】女
【年齢】16
【職業】高校生
【性格】明るい
【好きな物・事】牛乳
【嫌いな物・事】なし
【特殊能力】なし
【趣味】なし
【備考】明るい性格であるが、父親から性的虐待を受けていた。
- 354 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/12(火) 21:16:22
- 投下終了です。
一通りキャラ出したぜええええええ!!
- 355 : ◆ymCx/I3enU:2011/07/13(水) 18:51:27
- 投下乙です では自分も
俺得5 36話 Satan's boy
登場:太田太郎丸忠信、安達洋子、宮本春樹、クライヴ、シルヴィア、サーシャ、大谷裕次郎、レオポルト
- 356 :Satan's boy ◆ymCx/I3enU:2011/07/13(水) 18:52:39
- 36話 Satan's boy
「ふーん、また餓夫の奴は早死にしたか…ノーチラスに、銀鏖院、あー畜生、仲販も死んじまったか。
まあ良いか…一応、洋子の奴で満足感はあるからな……」
「私の身体が不満ですか、ご主人様」
「いや…」
太田太郎丸忠信とその奴隷安達洋子は公民館の休憩ホールにて放送を聞いた。
奴隷と言っても実際には立場はほとんど同等になっているのだが。
「…残り24人…」
「結構、減っていますね」
「…荒神の奴の言う通りかなり早いペースだ…次の放送の時までに、今度は何人死ぬやら。
…まあ俺にはどうでも良い事だが…」
忠信が考える事はまず己が無事でいる事。
はっきり言ってクラスメイトの事などどうだって良い、以前の殺し合いでも似たような行動を取っていた。
上物の奴隷をも従えられた今では、尚更である。
「これからどうしますか?」
「そうだな、しばらくここにいるか」
「…分かりました」
無理して動く必要も無いと判断し、太田は洋子と共にしばらく公民館に留まる事に決める。
(そういやあの花丸木って奴、てっきりもう死んでると思ってたけど、まだ生きてんのかよ。
結構しぶといのかねあういう奴って……?)
……
市街地内のとある駐車場に、白い軽トラックが停まっていた。
宮本春樹、クライヴ、サーシャ、シルヴィア、大谷裕次郎の四人は放送を聞く。
「24人も死んでいるなんて、それに、ノーチラス…仲販さん…」
クラスメイトの名前が四人呼ばれ、サーシャが悲しむ。シルヴィアは無言だったが同様のようだ。
前回の殺し合いでも、サーシャはノーチラスの死を聞き悲しんでいた。
「…くそっ、主催者の野郎」
クライヴが主催者の荒神健児に対し怒りの声をあげる。
今こうしている間にも、荒神は高見の見物で楽しんでいるのだろう。
出来る事ならあの顔を爪で引き裂いてやりたいとクライヴは思った。
「…近くに公民館があるみたいだから、そこに行ってみよう」
サーシャとシルヴィアの様子を気にしつつ、春樹が提案する。
「…そう、ですね」
「分かった」
そして当の二人も承諾した。悲しいが、まだ立ち止まる訳にもいかない。
四人が荷物を纏めようとした時だった。
- 357 :Satan's boy ◆ymCx/I3enU:2011/07/13(水) 18:53:26
- 「うがああぁあああ!!」
「あっ――!?」
突然、獣の雄叫びが響く。クライヴの物では無い。裕次郎が驚きの声をあげた。
軽トラックの荷台から飛び出した影が、クライヴに飛び掛かり、その喉笛を鋭い爪で引き裂いた。
鮮血が噴き出し、周囲が真っ赤に染まる。サーシャ達にも飛沫が掛かる。
「ガッ……コ、イ、ツ」
崩れ落ちるクライヴから、PPSh41短機関銃を奪い取った、全身に殴打の跡がある茶色の人狼、レオポルトは、
銃口を呆然としている四人に向けた。
「お前ら、良くもやってくれたな、俺をコケに、しやがって」
レオポルトの手首付近は血塗れになっていた。先程クライヴの首を切り裂いたためだけでは無い。
拘束していた業務用のロープを自分の爪で切り、解いた跡と思われた。
茶色の人狼の目は怒りの光が宿り険しい。それは完全に逆恨みだと言い聞かせても、無駄だろう。
「ぶっ、殺、してやる!!」
そして、PPSh41の引き金が引かれた。
ダダダダダダダダダダダダ………!
対空射撃性能も期待され、900〜1000発と言う高速レート射撃機能が持たされたPPSh41から放たれた無数の弾丸は、
一瞬で、宮本春樹、サーシャ、大谷裕次郎を蜂の巣にしてしまった。
しかし、シルヴィアだけは何とか銃撃をかわす事が出来た。
「この野郎ォオオオオオ!!!!」
シルヴィアの持つSKSカービンの銃口がレオポルトを捉えた。
ダァン!!
放たれた銃弾は、レオポルトの首輪に命中し、誘爆させ、レオポルトは呆気無く絶命した。
「……あ、あ」
全てが終わった後、シルヴィアは一人ぼっちになった。
さっきまで会話していたサーシャや同行者達は、今や物言わぬ屍となり地面に横たわっている。
「サー、シャ」
掠れた声で名前を呼びながらサーシャの死体の元へ歩み寄るシルヴィア。
身体中に穴が空き制服が真っ赤に染まっていたが顔だけは綺麗だった。
開かれたままの目を、シルヴィアはそっと閉じさせてやる。
――今度は出会えたのに、また死んでしまった。
――目の前にいたのに、守れなかった。
「…う…あ……あああぁぁあああぁあ」
大粒の涙が自分の目から溢れ出すのを、シルヴィアは止める事が出来なかった。
悔恨と懺悔の入り混じった感情が、シルヴィアに涙を流させる。
- 358 :Satan's boy ◆ymCx/I3enU:2011/07/13(水) 18:54:18
- 【宮本春樹@オリキャラ:死亡】
【サーシャ@自作キャラでバトルロワイアル:死亡】
【大谷裕次郎@オリキャラ:死亡】
【クライヴ@オリキャラ:死亡】
【レオポルト@オリキャラ:死亡】
【残り:19人】
【午前/E-5公民館:休憩ホール】
【太田太郎丸忠信@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスターM1873(13/14)、ライトバン(公民館外に停車、調達品)
[持物]基本支給品一式、.45LC弾(20)、一〇〇式機関短銃後期型(30/30)、一〇〇式機関短銃のマガジン(5)
[思考・行動]
0:取り敢えず自分優先。
1:クラスメイトや仲間は特に捜す気は無いがテトは会ったら…。
2:安達洋子を奴隷として連れて行く。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※花丸木の容姿、名前を記憶しました。
※会場と外界を仕切る目印がある事に気付きました。
【安達洋子@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]菊一文字RX-7@銀魂
[持物]基本支給品一式、ワルサー カンプピストル(1/1)、26.6㎜炸裂榴弾(3)、コルトM1917(2/6)、フルムーンクリップ(.45ACP弾6発×3)
[思考・行動]
0:取り敢えず太田君の奴隷として行動。
[備考]
※太田太郎丸忠信が運転するライトバンの助手席に乗っています。
【午前/E-6市街地】
【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]慟哭
[装備]シモノフSKSカービン(9/10)
[持物]基本支給品一式、SKS装弾クリップ(3)
[思考・行動]
0:……。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
- 359 : ◆ymCx/I3enU:2011/07/13(水) 18:55:22
- 投下終了です。
- 360 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/13(水) 21:29:55
- 投下乙です。
一気に減ったああ
では自分も投下します。
DOL3rd18話 Fight of person who fights again mutually
登場人物:天野雪輝、七原秋也、◆YR7i2glCpA
- 361 :Fight of person who fights again mutually ◆VxAX.uhVsM:2011/07/13(水) 21:30:57
- 「なあ、七原君…誰もいないけど…」
「確かにな…で、YRさんの知り合いってどんな人なの?」
「うーん、まあ…まずはym氏…彼は一言で言うとエロの巨匠だな」
「どういうことだよ」
「そういうこと、で…6L氏…彼はとにかくすごい、メンタルが」
「精神力?」
「で、8n氏はとにかくあれだな…凄さがにじみ出てる感じだな」
「全員見てみないと分からないじゃないのか?」
「まあ、そんなかんじだね」
七原秋也と◆YR7i2glCpAはE-3を歩いていた。
仲間となる人物を探しながら。
「とりあえず、川田さんと合流するのが最初かな…?」
「あんたの知り合いは良いのかよ?」
「まあ、簡単に死ぬ人じゃあないしね」
それは信頼からくるものなのか…。
その真実は彼のみぞ知るということだ。
◆ ◇
-------------------------------------
13:18
[E-3]
二人の男を発見する。
銃を持っているようだ。
-------------------------------------
「銃を持っている…か」
天野雪輝は無差別日記をしまいながら言う。
18分まであと2分…つまりもうすぐ会うという事になる。
だから、それまでに心の準備を整えなければ。
僕は由乃と会って、HAPPY ENDを掴まなければいけないんだ。
「……殺さなきゃ」
グロック18Cを構えて、歩き出した。
- 362 :Fight of person who fights again mutually ◆VxAX.uhVsM:2011/07/13(水) 21:31:59
-
◆ ◇
「……誰かに見られている気がするな」
「え?どういうことだ?」
「いや、なんて言うか…後ろから誰かに…」
パラララッ
「うわあああああああああああ!!!?」
「YRさん!クソ!どこだ…!?」
周りに見えるのは、木…岩…。
ミスったら、殺される。
嫌だ…死にたくない…でも、行かなきゃ殺されるんだ…。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
勘しかない…どこにいる!?
音が聞こえてきた方向…分からない。
岩に隠れるのはありきたり…なら木か…?
いや、これは……。
「わっ!!!!」
大声で叫んだ。
これで、一つだけ見る事が出来るものがある。
それは…影だ。
「木から何か動いた…そこだあああ!!」
七原は引金を引いた。
火花が飛び散り、銃弾が木に隠れている雪輝に襲いかかる。
「くそっ…逃げよう!」
雪輝はすぐにその場から逃げる。
七原は一切追わなかった。
そして、すぐに◆YR7i2glCpAの所に急ぐ。
「だ、大丈夫か!?」
「ぐ…だ、大丈夫…」
「すぐに治療する!待っててくれ!」
「う…ありがと…」
そうして、二人は危機を避けた。
一人は怪我を負ってしまった。
一度生還した男は、この後どんな風な行動をするのか。
【真昼/E-3】
【七原秋也】
[状態]健康
[装備]レミントンM870(4/4)
[所持品]基本支給品、こっくりさんセット、レミントンM870の弾(8)
[思考・行動]
基本:殺し合いに反抗。
1:◆YR7i2glCpAと行動。
2:川田との合流、桐山を最大限に警戒。
3:さっきの奴に注意。
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は漫画版本編終了後からです。
【◆YR7i2glCpA】
[状態]右足に銃創(応急処置中)
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:殺し合う気はない、死にたくない。
1:七原秋也と行動。
2:他の書き手さんは信頼できそうか…?
3:さっきの奴に注意。
[備考]
※願いは不明です。
※元の世界の知識はある程度残っています。
【真昼/E-3】
【天野雪輝】
[状態]健康
[装備]グロック18C(12/18)、無差別日記のレプリカ
[所持品]基本支給品、グロック18Cのマガジン(2)
[思考・行動]
基本:ハッピーエンドをつかむ。
1:我妻由乃と合流したい。
[備考]
※原作本編終了後からの参戦です。
※願いがなにかは不明です。
- 363 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/13(水) 21:32:41
- 投下終了です。
しずかちゃんを忘れていた事を許してください。
本当にすみません…。
- 364 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/13(水) 22:01:02
- 投下します
タイトル:恐怖の思考改革
登場人物:大岩忍、秋田良純、◆xzYb/YHTdI
- 365 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/13(水) 22:01:33
- 「え…9Q氏まで…そんなバカな」
「あああ、あんなに強そうな人が殺されちゃうなんて…」
どんなに強い人でも、死ぬ時は死ぬ…理屈で分かっていても、やはり受け入れ難い。
その上、自分の知り合いと言うのも、ショックを増幅させるには十分すぎるほどだった。
(急に怖くなってきた。もしかして…次は自分…?)
ブンブンと首を大げさに振り、嫌な考えを振り払う。
こんなときに、マイナス思考になってしまうのは良くない。
かと言って、あまりプラス思考すぎるのも問題だけど…。
あんまりいい事ばかり考えると、現実との落差で受けるダメージが大きくなってしまう。
「これからどうしたらいいんでしょうか?」
「何回も聞かないでよ、こっちもどうしたらいいか分からないんだから…」
「ごごご、ごめんなさい」
ついつい、苛立った口調で返してしまう。
この人には、何も罪はないのに。
(駄目だ駄目だ、やっぱりいつまでもここに閉じこもってる訳にはいかないな)
「…ここを出よう、出てどこかへ行くんだ」
「どこかって…どこに…?」
「…もう1回、ホームセンターへ行こう」
- 366 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/13(水) 22:02:06
- スッと立ち上がり、ズンズン玄関へ歩いて行く。
自分を襲ってきた奴がいるかもしれないし、いないかもしれない。
それは、行ってみなければ分からない。
せめて、あいつの名前を知る事ができていたら、放送で死亡確認出来たのだろうが。
「まま、待って下さいよ」
「分かってるよ、早く来て」
行動した結果が、必ず自分にプラスになるとは限らない。
むしろ、取り返しの付かないマイナスになるかもしれない。
でも、ウジウジ思案を巡らせるだけよりはるかにいい。
(…何とかなる…かどうかは分からないけど、少しでも事態を好転できるなら、行動は無駄にはならないはずだ…)
最初の一歩を踏み出そうとした瞬間。
何かがこっちに向かって飛んでくる。
「あ、危ないっ!!」
背後から声がした後、突き飛ばされ道路に転がる。
その瞬間、後ろでもの凄い爆音が響く。
「うあああああああああっ!」
良純の悲痛な叫びが、爆音と同時に響く。
突然の事で、何が起こっているのか把握できない。
後ろで何が起こっているかは、大体想像は付くが…。
恐る恐る、振り向いてみる。
「…嘘だ…こんな、あり得ない」
さっきまでいた民家の玄関は、見るも無残に吹き飛んでいる。
そこから、家の中の様子が伺えるほど吹き飛んでいる。
所々火も点いていて、暫くしたら火事にでもなりそうだ。
全部燃えるのと、バランスを崩して崩壊するのとどっちが早いだろうか?
「…あいつは!?」
- 367 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/13(水) 22:02:37
- ハッと我に返り、上部が吹き飛んだ塀を乗り越え、庭に侵入する。
庭は爆発時に吹き飛んだであろう木切れ等が散乱し、中には火が点いている物もある。
あんまり考えたくは無いが、この爆発では…。
(一体誰がこんなことを)
再度通りの方に出て、辺りを見渡す。
しかし、敵の姿は見当たらない。
「……腕が…」
今まで気が付かなかったが、右腕に火傷を負っている。
きっと庭に行った時にでも負ってしまったのだろう。
範囲は狭く、我慢できないほどの痛みでは無い。
(…1人だけでも、行ってみよう)
【一日目・朝/A-3】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]:健康、右腕に火傷
[装備]:バール、モスバーグM500(5/6)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:…1人でも、戦う。
【秋田良純@オリジナル 死亡】
死因:爆死
- 368 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/13(水) 22:03:09
- (剛が殺された時、私は決意した。何が何でも生きて帰ると。そして、他人を信用できないこの場では…)
人と組んであの男に反抗するより、ゲームに乗って優勝するほうがいい。
そう思ったから、さっき民家から出て来た2人組にいきなり爆弾を投げた。
あの爆発に巻き込まれれば、確実に死ぬ。
…しかし、爆発する前に、後から出て来た奴が前の奴を庇っていた。
もしかしたら、死んだのは1人だけかもしれない。
それでもいい。
1人でも減らせるならそれで十分だ。
もう、躊躇う必要はない。
生きて帰る。ただ、それだけだ。
【一日目・深夜/A-3】
【大岩忍@オリジナル】
[状態]:健康
[所持品]:支給品一式、ガラクタ袋@ロアシリーズ、日用品爆弾×2
[思考・行動]
基本:必ず、このゲームから脱出する。
1:脱出するために手段を選ばない。
- 369 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/13(水) 22:03:40
- 投下終了です
- 370 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 20:50:03
- 投下します。
DOL3rd19話 届かない、とどかない、トドガナイ
登場人物:源静香、三瀬竜二、志村新八
- 371 :届かない、とどかない、トドガナイ ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 20:50:42
- 「怖い…のび太さん…」
C-2市役所の事務室に隠れている源静香。
彼女はこれまで仲間と一緒にどんな冒険でもやってのけた。
しかしそれは仲間がいたからであり、自分一人ではどうにもできない。
「怖い…誰か助けて…」
そう声を出した瞬間、入口に誰か入ってきた。
静香はその人間を見る。
見た目はやつれていて怖そうな人間。
でも、信頼できるかもしれない…。
「あの、すみません…」
「あ…よかった…人がいたのか…君の名前は?」
「源静香です」
「そうか…静香ちゃんか…早速だけどさ…」
「死んでくれない?」
男は大脇差を右手に持ち、静香を刺した。
静香は、驚愕の表情をしてこう言い放った。
「ひど…い…あなた、こんなこと…して、なんとも、」
「は?思う訳ないじゃん…てかうるさい、早く死ねよ!」
「……のび、太さ」
静香は前に倒れ、そのまま動かなくなっていた。
「ははは!やったやった!二人目…余裕だなぁ…!」
静香のデイバックを漁る。
そこに入っていたのは、FNハイパワー…銃である。
「やった…これさえあれば古川なんて…」
喜びのあまり、踊り出すよな勢いで飛びあがる。
そこに、一人の男が入ってくる。
- 372 :届かない、とどかない、トドガナイ ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 20:51:14
- 「うっ……この状況…貴方が…?」
眼鏡をかけた男、志村新八だ。
その目は怒りで燃えていた。
「なんであなたはこの子を殺した!」
「決まってるだろ?金のためだよ」
「か……ね………?」
「そうだよ、それ以外に理由なん「ふざけるな!」!」
「そんな物のために、人の命をおおおおおおおお!!!」
新八は我を忘れて殴りかかった。
三瀬竜次は焦ることなく、FNハイパワーを新八に向ける。
そして、ためらうことなく引金を引いた。
バン!
乾いた音…。
その弾丸は志村新八に襲いかかった。
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
「な……!?」
新八は弾丸を腹にうけた。
それだけで倒れるだけの痛みがあるはずだ。
なのに、何故倒れない。
三瀬に焦りの色が出る。
「捕まえたっ…ぞおぉ!」
「ぐ、離せ!」
「……お願いだ…もう人を殺さないでくれ…」
「……え?」
「家族だっているだろう…なのに、人を殺すなんて…駄目だ…」
「……」
「だから、殺しちゃだめだ…お願い…だ」
「分かった」
「!!」
「俺は絶対に人を殺さない。大事な物も守る…だから…」
「よか…た」
新八は、最後に笑いながら死んでいった。
そして、三瀬の表情は悲しそうだった。
悲しそう『だった』。
- 373 :届かない、とどかない、トドガナイ ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 20:51:54
-
「なーんて、言うとでも思ったか?」
「ふ、ははははははは!!馬鹿だなぁ!大事な物!?金だよ!
こんな笑み残して死ぬなんて、馬鹿だなああああああ!!!」
そう、これがこの男だ。
自分の娘よりも金を取り、己の欲のためなら悪魔に他人の魂を差し出す。
「その顔に、三発撃ち込んでやるよ!ハハハハ!!!」
バン、バン、バン
新八の顔が、その弾丸でつぶれてしまった。
それでも、彼の顔は笑っていた。
【源静香@ドラえもん 死亡】
【志村新八@銀魂 死亡】
- 374 :届かない、とどかない、トドガナイ ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 20:52:25
-
【真昼/C-2市役所】
【三瀬竜二】
[状態]健康
[装備]大脇差、FNハイパワー(9/13)
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:優勝して金をもらう。
1:古川は絶対に殺す。
[備考]
※願いは『一生遊んで暮らせる金』です。
【支給品説明】
【FNハイパワー@現実】
源静香に支給
天才銃器設計者と言われたジョン・M・ブローニングが設計した自動拳銃。
1935年に発表され、第二次世界大戦を経て現在も現役で使用されている。
ちなみに第二次世界大戦までは木製グリップだったが、現在ではプラスチックになっている。性能も値段もスタンダードな拳銃。
投下終了です。
再びスレ立てピンチか…。
- 375 : ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:16:31
- 投下乙です。新八ー!! 静香ちゃんー!! くそぉ外道があ!! 三瀬!!
自分も投下します。俺得5 37話 信じる事で憎しみを消して欲しい
登場:志村新八、フラウ、相馬祐実、大崎綾、関直哉
- 376 :信じる事で憎しみを消して欲しい ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:17:51
- 37話 信じる事で憎しみを消して欲しい
「何だって、長谷川さんに沖田さんが死んだなんて……!?」
死亡者の名前として長谷川泰三と沖田総悟の名前が呼ばれた事にショックを受ける志村新八。
信じられない、あの二人が死んだなど。ただ単に放送で名前を呼ばれただけで。
しかし主催者が嘘を言うとは思えなかった。首輪が爆発すると言う事を開催式の時実演してみせたのだから。
「くそっ、何て事だ…!」
「新八君…」
「…すみません、フラウさん…」
「い、いや、謝る事は無いよ」
悲しむ新八を気遣うフラウ自身もまたクラスメイトの名前が数人放送で呼ばれていた。
そんな彼女に心配をかけさせている事は新八は申し訳無く思う。
「…怪我の方は、大丈夫? 相馬さん」
「何とか…動けるぐらいにはなったよ、ありがとう」
医務室のベッドの上に座るピューマ獣人の女性相馬祐実にフラウは声を掛ける。
発見した時、重傷を負い血塗れになっていたが、新八とフラウによる応急処置が功を奏し、一先ず歩けるようになるまで回復した。
彼女の知り合い二人は放送では呼ばれなかったが、だからと言って祐実は安心する事は出来ない。
一度死に掛け、祐実は更に二人に会いたいと強く思い始める。
「…移動しましょうか、そろそろ」
「どこへ行く…?」
移動を提案する新八に大崎綾が訊く。
「…うーん…東の方に行くと、市役所があるみたいだから…そこに行きしょうか」
「市役所…分かった、大崎さん、相馬さん、良いかな」
「大丈夫」
「分かった…」
次の行き先が決まり、四人はそれぞれ荷物を纏め始める。
……
黒い毛皮を持つ魔犬、関直哉は絶望し、悲嘆に暮れていた。
先刻、市役所で虎獣人の少女に襲撃され、同行者を殺されたが、その襲撃者も彼自身が返り討ちにした。
だが、その後、一旦冷静になった直哉は、最悪の光景に出くわす。
最初は気付かなかった。ただ単に、市役所の中に複数死体が転がっているとしか思っていなかった。
だが、その、転がっている死体の一人に見覚えがあった。
「英里佳……俺は……もうどうしたら……」
細田英里佳、自分の恋人。
幾度となく身体を重ねる仲にまでなっていた。
この殺し合いに呼ばれているのだと分かった時から絶対に捜し出して守ってやらねばならないと思っていた、のに。
「…ああ、痛いなぁ」
銃撃され失明した左目と、胸元が痛んだ。
◆
とある夜。
英里佳の家の二階、英里佳の自室に予定通り忍び込んだ黒い魔犬は、
持参した毛布の上に英里佳を全裸で四つん這いにさせ、圧し掛かり激しく味わう。
「ああ、気持ち良いよ、直哉ー」
「グルル…英里佳、今日も、沢山、種付けしてやるからな」
「うん、ズボズボ突っ込んで、ビュクビュクってして…直哉の濃いの、奥に欲しいの」
「興奮させる事言うね、それじゃ遠慮無く沢山注いであげるから…」
「ああー」
ぐちゅぐちゅと淫らな水音、そして少女と獣の声を押し殺した喘ぎが部屋に響く。
◆
- 377 :信じる事で憎しみを消して欲しい ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:18:38
- 「…もう出来ないんだな、英里佳とは…」
在りし日の思い出に胸を馳せ、いつしか残った右目から涙が溢れていた。
「…あはははっ、あははははっ、なーんかあれだな! もうどーでも良くなってきたな!」
そして何か吹っ切れたように笑い始める。
「ははははっ……もう良いや……英里佳もいないし、頑張る必要無いな……みんな殺してやろーか、うん」
そして己の支給品の一つを魔力により背中に構える。
対戦車ライフル、PTRD1941。
前方に見えるはショッピングセンターの正面入口。
そして、中から人が出てくるのを確認した。
「ははははは、もう何も怖くない」
乾いた笑いを浮かべながら、直哉はPTRD対戦車ライフルの照準をショッピングモール内から出てきた、
四人の参加者に向けた。
……
ドゴォォン!!
まるで爆発音のような音が市街地に響く。
「えっ…」
志村新八が言葉を失う。
フラウも。
相馬祐実も。
大崎綾の頭部が破裂して無くなった。
ドゴォォン!!
次に、相馬祐実の身体が下半身と上半身に分かれ肉片と血が飛び散った。
「…う、あ、ああああぁああああ!!!?」
突然の、同行者二人の凄惨な死に様に新八が悲鳴をあげた。
「新八君、こっち!」
フラウが新八の首根っこを掴みすぐ近くに停まっていた大型トラックの陰に走る。
とにかく、銃撃してくる襲撃者から身を隠さねばならないと、フラウはそう思った。
しかし。
ドゴォォン!!
「きゃああぁあ!?」
「ひっ!?」
三発目の銃声と同時にトラックのコンテナに大きな穴が空く。
銃弾が貫通したのだ。相手が使っている銃は銃声や威力からして普通の銃などでは無いと、
新八とフラウは悟る。
- 378 :信じる事で憎しみを消して欲しい ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:19:22
- 「一体どんな銃使ってるんだ!?」
「銃って言うか、何て言うか、対人用じゃないと思う、もしかしたら対戦車ライフルとか…」
「嘘おおお!? そんなもんで撃たれたら一溜まりも無い…」
新八とフラウの脳裏に、ついさっきの、綾と祐実の死に様が蘇る。
自分達もああいう風に、頭が破裂したり、身体が真っ二つになって死ぬのか。
ドゴォォン!!
「うあああああ!!」
「きゃああ!」
今度は運転席下のタイヤが炸裂してしまった。
もしガソリンタンクでも撃ち抜かれたらこのトラックは大爆発を起こすのでは。
ドゴォォン!!
フラウのすぐ傍を大口径銃弾が貫通しトラックの破片が飛び散る。
「ぐぅっ」
「フラウさん!?」
フラウが苦鳴をあげる。
破片が左肩に突き刺さったのだ。
「しっかり!」
「い、痛い……!」
破片が突き刺さったフラウの肩からはドクドクと鮮血が溢れ、
フラウは涙を滲ませ苦痛に苦しむ。
ドゴォォン!!
再び爆音のような銃声が響き、トラックと荷台の連結部分が破壊されてしまった。
(くそ、ここまでなのか……!?)
下手に身を出せばあの強烈な破壊力の銃撃に身体を粉砕される。
既に二人殺され、一人は重傷、残る一人――自分は、持っている物は先刻綾から譲り受けたスティレットと、
巫女服。フラウは銃を持っているが新八が扱っても命中率はたかが知れているだろう。
状況は最悪。新八は半ば諦念を抱いていた。
しかし、爆音のような銃声は突然聞こえなくなった。
代わりに足音が新八とフラウの耳に入る。獣が走って近付いてくるような音。
「……っ、フラウさん、待ってて」
「……?」
新八はスティレットを構え、覚悟を決めたかのように前方を見据える。
……
PTRD1941を全弾撃ち尽くし放棄した直哉は二人が隠れていると思われる大型トラックへ走る。
大型トラックはPTRD1941の銃弾を何度も受け、穴だらけになり大破している。
恐らく向こう側へ貫通しているだろう、二人が無事でいるとは考え難い。
銃器が無くとも、直哉には魔犬としての俊敏性と、鋭い爪と牙がある。
相手が生きていて、銃を持っていたとしてもある程度ならかわせる自信があった。
- 379 :信じる事で憎しみを消して欲しい ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:20:03
- 「はははは」
笑いを浮かべながら、直哉がトラック運転席側から二人がいると思われる方へ回り込む。
「は―――」
笑い声が止まる。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
眼鏡を掛けた、着物姿の少年が自分に向かって突進してきた。
身構えるが、次の瞬間、その少年の姿は消えた。
いや、消えたのでは無い。跳んだのだ。
それに直哉が気付き上を向こうとした。
しかしそれよりも前に、後頭部に衝撃を感じた。
「……ァゥ」
身体が動かせなくなった。喉の奥から何か熱い液体が込み上げる。
首からしたの感覚が消え失せ意識が遠退く。
喉の下あたりから、何かが突き出しているような――感覚が消え失せる一瞬前に感じた。
(英里佳、えり、か、えりかえりかえりか――――――ごめん、な。)
絶命する間際の、最後の脳の働きが彼にさせた事は、愛していた少女を守れなかった事に対する懺悔だった。
……
襲撃者の、黒い大きな犬は倒した。
後頭部から刺し貫いたスティレットを引き抜く志村新八。
すぐにフラウの元へ駆け寄る。既に破片は引き抜いていた。
「しっかりして下さい、フラウさん」
「う、う」
手に入れていた手拭いで傷口をしばり止血をする新八。
「…襲撃者、は」
「…倒しました、僕が」
「そう……」
「……」
「死んじゃった…二人…」
「……はい」
目を背けたくなるような有様となっている綾と祐実の死体。
ついさっきまで会話していたと言うのに。
不可抗力だったのかもしれないが、守る事が出来なかった。
それが、新八がとても悔しかった。
- 380 :信じる事で憎しみを消して欲しい ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:20:42
- 【相馬祐実@オリキャラ:死亡】
【大崎綾@オリキャラ:死亡】
【関直哉@オリキャラ:死亡】
【残り:16人】
【朝/D-3ショッピングモール「トヨミツ」:周辺市街地】
【志村新八@銀魂】
[状態]肉体疲労(中)、悲しみ、やり切れない思い
[装備]スティレット(血塗れ)
[持物]基本支給品一式、テトの巫女服@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]
0:銀さん達と合流し殺し合いを潰す。
1:……くそっ……。
[備考]
※原作ラブチョリス編以降からの参戦です。
※春巻龍の知人の情報、フラウのクラスメイト、相馬祐実の知人の情報を得ました。
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]肉体疲労(中)、左肩負傷(応急処置済、出血多)、悲しみ
[装備]Cz85(15/15)
[持物]基本支給品一式、Cz85のマガジン(3)、レミントンM870(0/4)、12ゲージショットシェル(8)、
スタームルガー スーパーレッドホークアラスカン(4/6)、.480ルガー弾(6)、パワーバングル
[思考・行動]
0:殺し合いを潰す。
1:……。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※春巻龍の知人の情報、万事屋トリオ及び長谷川泰三、沖田総悟の情報、相馬祐実の知人の情報を得ました。
- 381 : ◆ymCx/I3enU:2011/07/14(木) 21:21:29
- 投下終了です。時間は「午前」です。修正します
- 382 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 21:23:50
- 投下乙です。
新八が格好いい…自分もこんな感じに書きたい…。
では投下します。
DOL3rd20話 ある意味恐ろしいこの男
登場人物:球磨川禊、遠藤清丸、ブリッジ女(名簿外)
- 383 :ある意味恐ろしいこの男 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 21:24:21
- 『うわぁ、これは、ひどいなぁ』
C-3の八十神学園に球磨川禊は来ていた。
そして、骨川スネ夫の死体を見つけたのである。
『まぁ、僕がどうこうできる訳じゃないしね!』
その死体を見捨て、階段を上っていく。
位置的に、この階段が怪しいであろう。
『しかし、急に暗くなったなぁ…気味わりぃ』
階段を上っていく。
そして昇っても何もない。
『あーあ、期待はずれかよ…』
階段を降りようとしたところで、音が聞こえた。
球磨川は笑って振り向いた。
そして、そこにいたのは…。
骨川スネ夫を殺した、ブリッジの女であった。
『おいおい、女の子がそんな肌を見せるもんじゃないぜ…と、僕が言えるセリフじゃないか』
ブリッジ女は気にせず球磨川に近寄ってくる。
球磨川はやっとここであることに気付く。
ああ、この女に殺されたのか…あの子。
『とりあえず、いきますか』
大螺子を構え、女に向かう。
彼女への対処法は違う。
しかし、その常識を螺子曲げるのが球磨川禊だ。
大螺子が女に刺さり、存在が消え去ってしまった。
そう、『無かったことになった』かのように。
『まったく…僕と戦うなんて…』
この男の勝利に見えた。
しかし、これは決して勝利ではない。
相手はすぐに消えた。
屈服したわけではない。
『あーあ、また負けっちゃったなぁ…』
球磨川禊は、大螺子をしまい歩き始めた。
【ブリッジ女 封印】
【残りの七不思議…六つ】
- 384 :ある意味恐ろしいこの男 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 21:25:16
-
◆ ◇
「…おや、客人かい?」
『やぁ、初めまして!僕は球磨川禊だよ!』
「……僕は遠藤清丸だ、ちょっとある事をしているから相手は出来ないよ」
『ふーん…でも、別にここにいても問題ないでしょ?』
「それは問題ないよ」
遠藤清丸は、再び何かに戻った。
球磨川はその作業を見ていた。
【真昼/C-3八十神学園図書室】
【球磨川禊】
[状態]健康
[装備]大螺子
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:『あの男をぶっ殺そう☆』
1:『めだかちゃん達を探そう』
2:『清丸ちゃんがある事を終わらせるまで待っていようかな…?』
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は生徒会戦挙編終了後からの参戦です。
【遠藤清丸】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:???
1:今の作業が終わったら佐々木君と鈴木君を探す。
2:球磨川君は一旦保留。
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は本編終了後からの参戦です。
- 385 :ある意味恐ろしいこの男 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/14(木) 21:25:46
- 投下終了です。
本来の倒し方?球磨川にそんな常識は通じません。
- 386 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:50:27
- では自分も投下します
雑多ロワ29話: 想いがすべてを変えてゆくよ
登場キャラ 木之本桜、美樹さやか
- 387 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:51:06
- この広い空の下には、幾千、幾万のひとたちがいて、
色んなひとが、願いや想いを抱いて暮していて、
その想いは、時に触れ合って、ぶつかり合って、
けれど、その内の幾つかは、きっと繋がってゆける――
これから始まるのは、そんな出会いと触れ合いのお話
☆ ☆ ☆
「魔法って……もしかして、さくらちゃんも『魔法少女』だったりするの?」
「そうですよ。まだ魔法を習い始めて1年ちょっとしかたってませんけど」
「そんなに!? 私なんか、ついこの間契約したばかりだよ。
そっかぁ〜、じゃあさくらちゃんの方が先輩なんだ〜」
「ほえぇぇ! 私の方がずっと年下なのに、後輩とか言えません!」
さやかが茶化すように言うと、さくらは真に受けてわたわたと手を振る。
その仕草は撫で撫でしてあげたくなる可愛さだ。
いや、本当に『可愛い』以外の表現が見つからないぐらいに可愛い。女の子のさやかから見てもそう思う。
――この子も、魔法少女……
さやかは魔法少女になって日が浅く、魔法少女の仲間もいない。
そもそも『善良な魔法少女』に出会ったのは、巴マミ以来だった。
同じ立場の『仲間』を見つけたという喜びが、さやかの胸を瞬く間に満たす。
こんな小学生ぐらいの少女でも、命がけで『魔女』と戦っているのだ。
もっと詳しく魔法少女としての話を聞きたい、色んなことを分かち合いたいという想いから、さやかは口を開き、
果たしてこの子は、『知っている』のだろうか?
言葉が凍った。
- 388 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:51:55
-
キュゥべえは、『あのマミでさえ、最後まで気づかなかった』と言っていた。
ということは、大半の魔法少女は『ソウルジェムの正体』を知らないはずなのだ。
つまりこの子は――
――言えない。言えるわけないよ。
さやかを信じ切っている純真な笑顔に、胸がズキリと痛む。
言えるわけがない。
本当のことなど、言えるわけがない。
あなたは既に死んでいるのだと。
あなたは魔法少女ではなくゾンビにされたのだ、などと。
「さやかさん……どうしたんですか?」
こんな良い子に向かって、言えるわけがない。
「いやー、魔法少女仲間に会うのは初めてだから、何聞いていいのか分かんなくなっちゃって!
そうだ、さくらちゃんはどんな姿に変身するの?
フリフリのドレス? 意外にもゴシックロリータ系? それとも猫耳が生えたりとか?」
「ほえ? 変身するんですか? 着替えるんじゃなくて……」
着替える?
さやかは思わず、己の魔法少女姿――へその出た青いドレスに、白いマント――を見下ろした。
「え? 当たり前じゃないの? だってこんな衣装、自前で着てから来たら、ただの痛い人じゃん……」
「ただの痛い人、なんですか……」
「うぁっ……ごめん! そういう意味じゃなくて。
……つまりさくらちゃんは、変身するんじゃなくて自分で着替えてるってことなんだよね。
それって、ソウルジェムはどうなるの?
普通、変身した時は体にくっついてるよね?」
しかし、さくらはあり得ないことを言った。
「ソウルジェム……って、何のことですか?」
『魔法少女』がソウルジェムを知らないはずがない。
『魔法少女』の契約と同時に生み出されるのがソウルジェム。
それは、契約の絶対条件だ。ジェムを知らない魔法少女がいるはずない。
「どういうこと? さくらちゃんは、キュゥべえと契約した『魔法少女』なんじゃないの……?」
「ううん。わたしは、『封印の獣』のケロちゃんと契約した『カードキャプター』なんです」
「カードキャプター……?」
そしてさくらが話し始めたのは、驚くべき話だった。
さくらが戦っていたのは『魔女』ではなく『クロウカード』という意思を持つ魔法のカードであり
さくらは集めたカードを魔法の『鍵』で発動することで、始めて魔法が使えるらしい。
- 389 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:52:51
- 現実に魔法少女をやって来たさやかでさえ、にわかには信じられないアニメの出来事のような話だ。
しかし、嘘と思えない根拠もあった。
「クロウカード……って言ったよね。
あたしの支給品に、そういうのがあったかもしれない」
ディパックの中を探り、一度だけ確認した支給品を取り出した。
裏面には、金文字で描かれた太陽のような魔法陣。
表には、樹木を身にまとった妖精のような少女が描かれている。
「わぁ! 『樹(ウッド)』のカードさんだ!!」
さくらは歓喜して、そのカードに飛びついた。
大切な友と再会したかのように、全力でカードに頬ずりする。
「あれ? でもカードさんがクロウカードに戻ってる」
「戻ってる?」
「はい、カードさんは皆、私が魔力をあげて『さくらカード』になったんです。
クロウカードはカートさんの魔力で動くけど、さくらカードは私の魔力を使って発動するんです。
そうだ。『鍵』があったから、また変えることができるかも」
ごそごそと、上着の内がわからキーホルダーのようなものを取りだした。
よく見るとそれは、星の飾りをいだいた小さな鍵だった。
それまでのほわほわした表情から一変。
凛とした声で、高らかに唱える。
「星の力を秘めし鍵よ! 真の姿を我の前に示せ!
契約の元、さくらが命じる!」
『鍵』がふわりと空中に浮かびあがる。
青い光の粒子が鍵を取りかこみ、さやかは息を呑んだ。
「『封印解除(レリーズ)』!!」
光の粒子が渦巻き、『鍵』から大きな風の奔流がほとばしる。
その姿を少女の腕に吊りあうステッキへと変えた『鍵』は、
頭部に抱く『星』をくるくると回す
さくらが、『樹(ウッド)』をその手から放し、星の杖でそのカードに触れる。
「クロウの創りしカードよ。古き姿を捨て生まれかわれ。
新たな主、さくらの名のもとに!」
地面に描かれたのは、金色の魔法陣。
その四方は羅針盤のように東西南北を意味する記号が描かれ、
西と東には、太陽と月が等距離で中央の少女を守護する。
星の冠から光の翼が生えた。
翼が大きくそれを広げると同時、カードが透明の輝きに包まれる。
- 390 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:53:23
- 輝きはやがて収束し、空中に浮いていたカードは己の意思を持つように、
さくらの手の中に帰還した。
「よかった。ちゃんとさくらカードには変わるみたいだね」
見てみると、確かにカードのデザインは微細に変わっていた。
太陽が中央で大きく輝いていた魔法陣は、太陽と月の位置が対象な位置へと並び、
妖精が頭上に抱いていた太陽のマークも、星のマークへと変わっている。
なるほど、その現象は明らかに常識やトリックとして説明することができない。
さやかたち『魔法少女』の魔法と同じものかは分からないけれど、
それも確かに『魔法』なのだ。
さやかの頭に、天啓が降りて来た。
「あのさ、さくらちゃん。そのカードのこととか、さくらちゃんがどうやって『カードキャプター』になったかとか、
もっと詳しく聞かせてもらっていいかな?」
「いいですよ? でも、どうしてですか?」
「うん、あの白スーツの男が言ってたけど、私たちには『魔女の口づけ』っていう刻印がされてるって言ってたよね」
首が爆発した少女を思い出したのか、さくらが顔を暗くしながら頷く。
「実はあたしたちの知ってる魔法で『魔女の口づけ』っていう呪いがあるの。
でもね、あたしが聞いた限りでは、『魔女の口づけ』に人の首を爆破する力なんてないんだよ」
「ほえ、本当ですか!?」
「うん、だからあたしたちの知ってる『魔法』だと、ちょっとよく分からないんだ。
でも、さくらちゃんの説明を聞いて、あたしの知る魔法以外にも色んな魔法があるって分かったじゃない?
だったら! この『呪い』ってやつは……
……そういう色んな『魔法』の技を複合させて造られたものなんじゃないか!
さやかちゃんの灰色の脳細胞はそう結論したのだよ!」
我ながら、会心の説だったと思う。
さくらもがぜん生気を得て、さやかの仮説にこくこくと頷いた。
「そっか! クロウさんの魔術も、東洋魔術と西洋魔術の複合だって言ってました。
だったら、ぜんぜん違う魔法同士を混ぜることだってあるかもしれません。
さやかさんスゴイです!」
純真な感想で、手放しに褒められるとやはり得意げになるのを抑えられない。
「ううん、これってまだ仮説なんだけどね。そういうわけで、できるだけ詳しく話して欲しいんだ。
さくらちゃんが、どうしてカードキャプターになったのか。どういう風に魔法を使ってるのか」
「はい、全部お話します!」
☆ ☆ ☆
- 391 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:54:00
- さくらは、これまでにあったこと全てを話した。
家の屋根裏部屋で、クロウカードの封印されていた本を見つけた日から、
すべてのカードがさくらカードに変わった終わりの日まで。
クロウカードのことだけでない。
カードを集めるまでの物語を語るには、手伝ってくれた友達や好きな人のことも、必要不可欠だった。
だからさくらは、己を取り巻く人達のことまで、とても詳しく話した。
話しているうちに、大切な人達のことを思い出したから。
あの人達が待っている町に、早く帰らなければと思ったから。
だから決意をこめて、さくらは話した。
どんな時でもさくらを心配してくれてる、『封印の獣』のケロちゃんのこと。
――さくらが前に言うたんやろ。あるじとかとちゃう。わいらと『なかよし』になりたいって。
さくらがわいのこと考えてくれるのと同じように、わいらもさくらのことが好きなんや。
魔法を使えないけれど、聡明で優しくて、いつも手伝ってくれる知世ちゃんのこと。
――さくらちゃんが笑顔でいてくだされば、何も悲しいことはありませんわ。
わたしの幸せは、さくらちゃんが幸せでいてくださることですから。
クロウカードのもう一人の守護者であり、素っ気ないけれど献身的にさくらに尽してくれた月(ユエ)さんのこと。
――お前を決して泣かせないと約束したんだ。
悪さをしたこともあるけれど、さくらと『仲良し』になってくれた十七枚のカードさんたちのこと。
――だいじょうぶ、わたしがいなくてもあなたの心は光でいっぱいだし、あなたには無敵の『絶対だいじょうぶだよ』の呪文があるもの
月(ユエ)さんのもう一つの人格で、初めてさくらが好きになった雪兎さんのこと。
――きっと見つかるよ。さくらちゃんが一番好きになれる人が。
その人もきっとさくらちゃんを、一番に想ってくれるから。
さくらが困ったらすぐに助けにきてくれる、一番大好きな人のこと。
――おれがいちばん好きなのは、お前だ。
離れた場所から見守ってくれて、いつも助言を与えてくれた観月先生のこと
――みんな、さくらちゃんのことが大好きだから。
始めは、悪いことをしている振りをしていたけど、本当はさくらを大事に想ってくれて、
さくらを成長させる為に試練を与えてくれた、クロウさんのこと。
――これから『わたし』がご迷惑をおかけすると思いますが、あなたなら『絶対だいじょうぶ』ですよ。
彼らがみんな手伝ってくれたから、みんながさくらを好きでいてくれたから、
さくらは今、『この世で最強の魔術師』として、大切なカードたちと一緒にいられるのだ。
☆ ☆ ☆
- 392 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:54:31
- さくらは、一生懸命に、いとおしむように、自らの体験を話してくれた。
それは、ただの小学生が、皆に助けられて、『この世でいちばん強い魔法使い』になるまでの物語だった。
………………ナニソレ?
- 393 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:55:02
- ――カード探しを頼んだんはわいやけど、さくらに大けがさせたり泣かせたりするんはいやや。
『肉体の痛覚がどれほどの刺激を受けるかっていうとね。
…………これが本来の痛みだよ。ただの一発でも動けやしないだろう?』
危ない目にあっても、いつも守護者が助けてくれて。
――だいじょうぶ、わたしがいなくてもあなたの心は光でいっぱいだし、あなたには無敵の『絶対だいじょうぶだよ』の呪文があるもの
『魔女は呪いから生まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を撒き散らす』
誰かを本気で憎んだり命を奪ったりする敵なんかどこにもいなくて。
――…きっと見つかるよ。さくらちゃんが一番好きになれる人が。その人もきっとさくらちゃんを一番に想ってくれるから。
――みんな、さくらちゃんのことが大好きだから。
『さやかは、僕を苛めてるのかい?』
誰も彼もが、さくらの知っていることを分かっていて、手伝ってくれて、
みんながみんな、さくらのことが大好きで
――さくらちゃんが笑顔でいてくだされば、何も悲しいことはありませんわ。
わたしの幸せは、さくらちゃんが幸せでいてくださることですから。
『普通はちゃんと損得を考えるよ。誰だって報酬は欲しいさ』
悪い人なんて一人もいなくて。
――これから『わたし』がご迷惑をおかけすると思いますが、あなたなら『絶対だいじょうぶ』ですよ。
『殴っても分からねえ馬鹿となりゃ……もう、殺しちゃうしかないよねえ!!』
この世に禍いをもたらすはずの“敵”からも応援してもらって。
――きっと好きになれる。ううん、もう『好き』だよ!
あるじとかじゃなくて、『なかよし』になってほしいな。
『あれはねえ、正真正銘、殺し合いだったよ。お互いナメてかかってたのは最初だけ。
途中からは、アイツも私も本気で相手を終わらせようとしてた』
自分の前に立ちはだかる敵と、殺し合いどころか憎み合うことすらせずに、『仲良し』になってハッピーエンド。
「……さやかさん、どうしたの?」
心配そうな声が鼓膜を叩き、さやかは我に帰る。
――あたし、今何を考えた?
- 394 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 21:59:51
- ――あたし、今何を考えた?
「……ごめんごめん、いい話だなーって感動して」
「ほええ! そ、そんなでもないですよ」
さやかは笑う。
噴出した感情を抑えつけて、笑う。
駄目だ。
そんなこと思っちゃ駄目だ。
あたしは、決して魔法少女になったことを後悔しないと決めたんだ。
だから、こんな嫌な気持ちになってはいけないんだ。
さくらちゃんは何も悪くないんだ。
だから『羨■し■』と思ったり、『■まし■』と思ったりしてはいけないんだ。
「さくらさんは、『魔法少女』として何をしてるんですか?」
悪意を欠片も持たない、可愛らしい少女が尋ねた。
◆ ◆
その想いは、時に触れ合って、ぶつかり合って、
時には、ほんの一滴だけ、『恨み』や『妬み』が溜まって――
これは、そういう物語。
【C―6/森の中/一日目 深夜】
- 395 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 22:00:21
- 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、魔法少女(変身後)
[装備]ソウルジェム(穢れ、5%)
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜2
[思考]基本・殺し合いに乗っていない人たちを助ける
1・…………………
2・まどかを探し、守る
3・マミさん、生きてるの……?
4・暁美ほむらと佐倉杏子には最大限の警戒
※7話、杏子に呼び出されて話しをする前からの参戦です。
※雨苗雪音を危険人物と認識しました。
※ジェムが少し穢れました
※さくらを『違う魔法を使う少女』と思っています(別の世界から来たと気づいていません)
【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]腹部に軽度の打撲 、魔力を少し消費
[装備]ぬんちゃく@スパイラル・アライヴ、さくらカード『樹』@カードキャプターさくら
[道具]輸血用血液(A型)@吸血鬼のおしごと、拡声器@現実
[思考]基本・殺し合いには乗らない
1・さやかさんのお話を聞く
2・小狼くんに会いたい
※雨苗雪音を危険人物と認識しました。
※さやかを『違う魔法を使う少女』と思っています(別の世界から来たと気づいていません)
※『樹』がクロウカードからさくらカードに変わりました。
さくらカードに変わると、15分制限がなくなります(ただしカードがダメージを受けると6時間使えなくなる制限はそのままです)
ただし、さくら以外には使えなくなり、使用時にさくらが魔力を消費します
【『樹(ウッド)』のカード@カードキャプターさくら】
樹の精霊の姿をしたカード。
能力は植物の操作、生成で、ツタを利用した拘束、落下を受け止めるクッションなど様々な状況で使用された。
カードの相性として『地(アーシー)』に強く『火(ファイアリー)』に弱い。
- 396 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/14(木) 22:00:57
- 投下終了
まどマギキャラとCCさくらのキャラが出会ったら、絶対にこうなると思う
- 397 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/14(木) 22:05:41
- アニメロワ第40話:黒
登場:一方通行、セイバー、両儀式、松雪集、鹿目まどか、暁美ほむら
- 398 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/14(木) 22:19:31
- 放送が鳴ってから、一時間半ほどが経過していた。だが、直死の魔眼の少女と騎士王のサーヴァントの戦いは未だ終わる兆しを見せない。
当然。有り余る魔力を持つセイバーと体は人間である式とでは明らかに式の分は悪い。『風王結界/インビジブル・エア』の見えない太刀筋を勘で捉え続ける式の戦闘センスは本物であった。
それでも。ここで数奇な人生を送った直死の少女の物語は幕を閉じる。
それは奇しくも、相手の攻撃ではなく。セイバーのマスター、松雪集の手によるものであった。胸を貫く鋭い痛み。胸から生えている古刀。皮肉にもそれは式の使っていた名刀『九字兼定』であった。
「(幹也、ごめん。オレはもう帰れそうにないや)」
両儀式は淡い思いを抱いたまま、眠るように絶命した。
「めん、ま……誰が!誰が殺しやがったんだ!ぶち殺してやる!」
セイバーは何度も人間の怒りを見てきている。
集の怒りは、大事な何かを失った怒り。こうなった者は止まらない。
破滅にしろ栄光にしろ、必ず明確な結末を迎える。
◆
「はぁ…っ、はぁ…っ。ランサー…」
ランサーが死んだ。
それは、何故か感じ取れた。そして放送では、美樹さやかと上條恭介の名前が呼ばれる。
- 399 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/14(木) 22:31:07
- 魔女。魔法少女の絶望から生まれる存在。
暁美ほむらのソウルジェムが少しずつ濁りはじめていた。
「まど…か……」
疲れた。極限状態における大きなストレスと疲労は、ほむらの意識を霞ませていく。
もう、楽になってしまおうか。
一番簡単な話だ。まどかの為に戦い続けたのも、いたずらに因果を収束してしまうだけであった。もう諦めよう。魔法少女は救われない。明るい未来は来ない。
霞む視界に見えたのは、愛しい愛しいまどかのーーーー
「オイ。何勝手に話終わらせようとしてンだよ」
頭に手が置かれたかと思うと、急に意識が覚醒した。
白髪の少年ーーー『一方通行』によるベクトル変換による荒療治であった。
そしてほむらは、一番会いたかった親友との再会を果たす。
「まどか、」
「ほむらちゃんっ!!」
勢いよく抱きつかれた。ほむらはまどかはこんな性格だったろうかと思ったが、このまどかは概念となった後の『まどか』のため、ほむらと会話するのは不可能のはずだったからだ。
「………まどかも無事で良かった」
優しくまどかの頭を撫でる。その顔は笑顔だった。
ささやかな幸せの時間。交わらない二人が交差する時間ーーーーー、
- 400 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/14(木) 22:42:33
- 「チッ!敵みてェだ」
一方通行にいきなりセイバーが斬りかかる。
いつものように、ベクトル変換によりセイバーの攻撃を弾き、触れれば相手の命を奪うことができる両腕を振る。
「ーーーーー約束された(エクス)ーーーーー」
「ーーーーー勝利の剣!!」
「ぐァァああああああああああああああああああああッ!?」
反射越しに伝わる威力。一方通行の肉体が跳ね飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられた。ほむらはAK-47を構えるが、セイバーは更に早く、その銃身を切断する。
集がその首を刈るために刀を構えて走る。
「ーーーーーーーーーーやめろ」
迫る刃。暁美ほむらのソウルジェムめがけて突き出されーーーーー、
その体を突き飛ばして前にでた鹿目まどかの胸元を貫いていた。
「まどかっ!?何で、何で、こんな…」
「う…うん。私、うれしい」
「最高の、友達を助けられたんだから」
集の刀は、次にほむらの首に迫りーーー、
「やめろっつってンだろォがァァァァあああああああああああああああッ!!」
突風が吹き荒れた。集の肉体が宙を舞い、木にぶつかって止まる。
その場の全員が確かに見た。
- 401 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/14(木) 22:52:26
- 最強の超能力者の背中から、黒い翼が噴射されていた。
「dfcfghtggf殺fcffdswet」
セイバーには分かる。あれがどれほど危険なものかが。
エクスカリバーを構え、先ほど『反射』を破った一撃を放とうとする。
だが、それより早く。操作された気流の刃が、セイバーの右腕を切断した。
「ーーーーーシロウ」
以前のマスターの名を呆然と呟いた。それが最後であった。
「fgtfds死zmkilk」
黒き翼の乱舞が、セイバーの肉体を甲冑ごと潰した。
松雪集は駆けだした。死ぬわけにはいかない。
必ず、目的を果たすために。
最後に、黒い殺意を振り回す『最強』と失意に沈む『遡航者』の姿が残された。
【両儀式@空の境界】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【セイバー@Fate/stay night】 死亡
【残り10/45人】
- 402 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/14(木) 22:53:06
- 投下終了です。表は無し
- 403 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:41:17
- 投下します
タイトル:油断大敵は基本
登場人物:アンドレー・アヴェルチェフ、川内一輝、夜釣りの人、杉谷守
- 404 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:41:50
- 「しかし、本当に良かったんですか?さっきの3人組をスルーして」
「良いんだ。もうこの車には乗れそうもないし、第一何かヤバイ物を感じたからな」
「まあ、お前が言うんなら間違い無いんだろう」
病院が目前に迫る道路を、トラックに乗って走る3人。
やっぱり、仲間の人数が増えるのはメリットとデメリットが増加する。
命が懸かっている以上、下手な行動はできない。
それが、3人の結論だった。
「…駐車場に入ったが…どこに停める?」
「適当でいい。こんな状況じゃ、どんな停め方でも文句は言われまい」
言われるまま、本当に適当に停める。
地面に引いてあるラインを完全に無視した停め方だ。
「適当でいいとは言ったが、限度って物があるんじゃないか」
「すまん」
◇
- 405 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:42:23
-
「おい、見てみろよ。もしかして、これって血じゃないのか?」
「…ああ。確かに、少々乾いてはいるが、確かに血だ。おまけに、何かの形になっている…まるで、肉球だ」
「肉球?犬でもいるのか…?こりゃ、中を調べる必要があるな」
もしもの事を考え、戦闘経験のあるアンドレーを先頭にし、その後に一輝が付いて行く。
武器を持たない、丸腰の夜釣りの人を最後尾に付けて、病院へ入っていく。
「!!…いきなり遺体とご対面するとはな」
「いつか見るとは思ってたが…気分悪いぜ」
ロビーに転がる2つの遺体。
名前も、素性も分からない。
遺体の傍にしゃがみこみ、喉の傷を調べる。
「…両方とも喉を一突き。この2人を殺したのはかなりの手練れのようだ」
「本当かよ…まだ、この近くにいるんだろうか?」
「いや、もうこの近くにはいないだろう…。現場の近くに長く留まっていても、メリットは無いからな」
「言われてみれば、確かにそうだ」
ふっ、とさっきの足跡の事を思い出す。
あの足跡は、外に向かっていたような…?
もしかしたら、あの足跡を辿れば、この2人を殺した奴がどこに向かったか、分かるのでは。
「…あの足跡。あれを辿るぞ」
「足跡を?…よく分からんが、やってみよう」
言われるがまま、3人で血の足跡を辿る。
足跡がだんだん薄れて、判別不能になってしまっている所まで追いかけたが、人影は見当たらなかった。
- 406 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:42:55
- 「何だ、結局誰もいなかったな」
「でも、歩いて行った方向は大体分かる。多分、南にでも行ったんだろう」
「南か…なら、ルートは限定されそうだな。D-3の橋は禁止エリアだし」
「いや、そうとも言い切れない。禁止エリアになる前に、橋を通ったかも知れないだろう?」
「あー、確かに、それもありえるな」
実際の所、この足跡の主がどこに向かって、今どこにいるのかは分からない。
どこにいるか分かった所で、説得したりすることもできない。
「…仕方無い。一回、病院に戻るぞ」
「そうするか」
一行が病院へ戻ろうとしたとき。
アンドレーの頬を、何かが掠めて行った。
「敵か!お前ら、気を付けろ!」
ミニミを構え、更なる攻撃に備える。
一輝も、慣れない手つきだがMP7を構える。
(さっきの銃撃は…背後からか?)
「姿を現せ!卑怯な真似はするな!」
「はいはい、出て来てやるから、そんな怖い顔すんなよ」
- 407 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:43:26
- そう言って、姿を現したのは、飄々とした男だった。
俗に言う、「チャラい男」と言った感じか。
「…すぐに消えろ。怪我もただのかすり傷だった。今なら、お前を撃たない」
「何言ってるんだ?中途半端でやめるのは良くないことだろ?」
「最終警告だ。今すぐ消えろ。でなければ撃つ」
「全員一気に射殺…と行きたいところだが、お前の銃強そうだし、素直に従っとくか」
「物分かりのいい奴は嫌いじゃない。さあ、早く消えろ」
依然ミニミを向けたまま、威圧的に話す。
「はいはい…」
仕方ない、と言った調子で溜息を1つつき、D-4への道を歩いて行った。
「…さて、病院に戻るか」
「隙だらけだッ!!馬鹿野郎が!」
大声に気づき、振り向いた瞬間。
何かが、左肩を貫いていた。
「…っ!!!」
傷口を押さえ、痛みでその場に膝をつく。
一体、何が起こっているんだ…?
「あいつが、あいつが戻って来てるぞっ!!」
「何…?」
迂闊だった。
あいつが、完全に立ち去るまで、背を向けるんじゃなかった…!
いまさら悔やんでも、もう遅いが。
「に、逃げるぞ」
「ああ!」
「逃がす訳ねえだろ!」
素早くマガジンを装填し直し、銃を向ける。
その先は、いきなりの事で呆然としている夜釣りの人に向けられていた。
「クソが!!」
片手でMP7を持ち、奴に向けて弾をバラ撒く。
飛び交う弾にひるみ、敵の銃の標準がブレる。
「っああっ!」
敵の弾を右足に受け、倒れこむ夜釣りの人。
- 408 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:43:57
- 「一気に2人も手負いになるなんてな…俺の責任だ…」
「今はそんなこと言ってる場合じゃねえだろ!とにかく逃げるんだ!」
「逃がす訳ないだろ!…おいおい、予備のマガジンが無ぇ…」
(今が、逃げるチャンスだ!)
脂汗をだらだら流しながら痛みに悶えている夜釣りの人を抱え、一気に走り出す。
「そうだ、さっき拾った銃!これでお前ら皆殺しだ!」
デイパックから、拾ったMP5を取り出し引き金を引く…が弾が出ない。
「せっかく良いところだってのに故障かよ!!畜生、待て…」
「その銃、使えないようだな?これで、形勢逆転だ」
「く…」
「警告はさっきしたからな。もう警告しない。お前を…殺す」
「ま、待ってくれ!嫌だ、死にたくない、せっかく生き返れたのに…」
ミニミが火を吹くと同時に、全身を7.62mm弾が貫いて行く。
そのまま全身から血を吹き出し、息絶えた。
「…早く、2人と合流しなければ」
痛む傷を押さえ、病院へ向かっていった。
- 409 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:44:30
- 【一日目・深夜/C-4:病院付近】
【川内一輝@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:H&K MP7(32/40)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ちょっとダルいが、ゲーム脱出の為に動く。
1:夜釣りの人を連れて病院へ戻る。
【夜釣りの人@Tさんシリーズ】
[状態]:健康、右足負傷(出血中)
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、トラックのキー
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。
1:うう…足が痛い…
【アンドレー・アヴェルチェフ@オリジナル】
[状態]:健康、右肩負傷(出血中)
[装備]:FN ミニミ(157/200)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲーム脱出の為に動く。
1:2人に追いつかないと。
※C-4とD-4の境目付近にH&K G36(0/30)と壊れたH&K MP5が落ちています。
【杉谷守@自己満足ロワ2ndリピーター 死亡】
死因:射殺
- 410 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/14(木) 23:46:16
- 投下終了です
- 411 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 17:59:24
- アニメロワ第41話:相生のランデブー/破壊英雄のドグマ
登場:ギルガメッシュ、浅上藤乃、桂木桂馬
- 412 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 18:15:36
- 「……僕は、ダメな男だな」
b-5エリアにて。桂木桂馬は言葉を漏らしていた。
彼と契約した悪魔エルシィと、攻略対象の一人、汐宮栞の名前が呼ばれた。守るべき者たちを守るどころか、会うこともできなかった。
『神様』なんかじゃない。僕はただの偽善者じゃないか。何が落とし神だ、何が地獄の悪魔との契約者だ。何もかもが馬鹿馬鹿しかった。
浅上藤乃。
自分が『助けた』つもりの少女は、今少し仮眠している。
この少女だってどうだっただろうか。本当は、助けてほしくなんてなかったのではないか。胸を張って正しいことをしたとは言えない。
「……藤乃。お前を助けたのも、本当にお前のためになったのかな」
「そうに……決まってるじゃないですか……んん」
藤乃が眠そうに目を擦る。寝ぼけているのかもしれないが、ふらふらと立ち上がって桂馬の方に迫ってくる。まるで『攻略』されるような気分。
「桂馬さんが助けてくれなかったら…わたしは死んでいたのですから……だから、」
寝ぼけているんだ。
桂馬は脳を抑えるようにそう強く思う。
まさか、この展開はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
- 413 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 18:34:14
- ちゅっ。
そんな感触が唇にあった。
「好きです、桂馬さん」
桂馬は藤乃を抱き寄せる。
ランデブー
ああ。願わくば、この時 をずっと過ごしていたい。
しかしながら。バトルロワイアルという悪夢はそれさえ許さない。
「逢瀬の最中を我に見せつけるか。非礼を弁えろ、雑種風情が」
勢いよく振り返ると、潜伏していた小屋のドアが吹き飛び、そこから金色の髪、そして金色の鎧の『英雄王』が不敵な笑みを讃えていた。
そしてその背後の空間が不気味に歪む。
ゲート・オブ・バビロン
「王 の 財宝」
無数の剣が、二人を貫くために降り注ぐ。
藤乃はそれを視認すると、『あの日』以降封印していた力を使うことにした。
大切な、『想い人』を守るために。
「ーーーーー凶れ」
剣を吐き出す歪みが捻れ、途中で剣の放出を止める。
更に、飛んでくるものに対しても大規模な"歪曲"を発動して撃ち落としていく。
式との戦いの最後に、力が増強された。
まさかこの力にもう一度頼ることになるとは。
「ほう、魔眼か」
「藤乃っ!!」
桂馬が藤乃の片手を勢いよく引く。小屋の勝手口を蹴破り、そのまま駆け出す。
- 414 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 18:36:42
- 「『時臣』の時代では、確か鬼ごっこというのであったな」
人類最古の英雄王は、怒ることもなくただ笑った。
そしてすぐに彼も勝手口に足を向ける。
「この勝負、乗ったぞ」
【桂木桂馬、浅上藤乃 逃走開始】
- 415 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 18:37:29
- 投下終了。ラストスパートなのでこれからは表無しで
- 416 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 20:29:49
- アニメロワ第42話:闇へと消ゆ
登場:ギルガメッシュ、松雪集、秋山澪
- 417 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 20:44:19
- 「ーーーーー全部、失っちまったな……」
松雪集は、夜空を見上げて呟いた。
夜空、というのにはもう明るすぎるかもしれない。黎明の時間帯になっている。
仲間たちはもう二人だけ。あの"リーダー"が生き残っているかさえ疑わしい。
自分の右手から、令呪と呼ばれる刻印が消えていた。それが、自分のサーヴァント、セイバーの死亡を意味しているのは明白だった。当然だ。あの怪物の黒い翼に滅茶苦茶に潰されたのだから、いくら英霊とはいえ耐え抜くのは不可能だろう。
すべてを失い、残ったのは血塗れの刀のみ。
何を迷うというのか。もう後戻りなどはできないのだ。三人を殺めたその罪は決して赦されない。待ち受けるのは死か生か。集の運命は一つしかないのだ。
ーーーそう、例え目の前に体中から闇を放ち続ける少女が居たとしても。
彼には『殺す』しか道はないのだ。
「………ハァッ、ハアッ」
秋山澪の息はあがっていた。
ランサーの『ゲイ・ボルク』を受けて異常増強した生命力をほとんど奪われ、今は本来以下の生命力しかない。残念ながら、いくら歪んだ力を振りかざしたとしても、全力の殺し合いを生き抜くのは不可能であっただろう。
集は無言で斬りかかる。
- 418 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 20:58:16
- 闇が鞭のようにしなり、集に進むが『九字兼定』に無慈悲にも切り裂かれる。
魔術的な意味を多く秘めた名刀の前には、破滅さえ無力であった。
斜め一直線に、澪の胴体が切り裂かれた。
血が噴出し、闇と絡み合って得体の知れない色となる。
「ぎゃああああああああああああっ!!」
澪の断末魔が響くが、それでは終わらなかった。
体から噴き出す闇に支えられ、集に再び襲いかかりーーーーーー、
背後から現れた剣の雨に肉体を複数箇所貫かれ、澪は今度こそ絶命した。
微塵の救いもない、バッドエンドのシナリオを辿った結果である。
集は攻撃の主ーーーギルガメッシュに向き直ると、再び刀を構える。
「人間には惜しい宝具だな。我の全力を以て手に入れさせて貰おう」
「言ってろ、化け物」
「天地廻離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」
九字兼定は確かに宝具級の名刀だ。しかし、それでも『エア』との格は違いすぎた。
鍔迫り合いにすらならない内に、その刀身が砕け散り、集の肉体を勢いよく差し貫いた。集はそれでも、最後まで英雄王の顔を睨み続けていた。
「…見事な迄の闘志。その生命、我が友により終わらせることができ光栄だな」
英雄王は往く。
- 419 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 21:01:53
- ◆
暗くなっていく。ああ、この熱いのは…俺の血か…
はっ、あいつのこと言えた義理じゃねえな。俺には、間違った方法しかできなかった。
もしも。この罪を償って来世を生きられるなら。
「また……あいつらと…一緒に……」
【秋山澪@けいおん!】
【松雪集@あの花】 死亡
【残り8/45人】
- 420 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/15(金) 21:02:37
- 投下終了
- 421 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/15(金) 22:31:53
- 投下します
タイトル:歯車は乱れて
登場人物:◆8nn53GQqtY、◆YR7i2glCpA、お守りを貰った人
- 422 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/15(金) 22:32:23
- 「…9Q氏が、か…」
「あのノコギリ男は殺されたのか…助かった」
「…。」
放送を聞き、それぞれが違った感想を浮かべる。
いくら知らない奴だとしても、2桁人が死ぬとやはり辛い。
そして、1回目の放送で呼ばれた人数と合わせると、参加者の半分近くがすでに殺害されている。
冷静に考えなくても、異常な事だと分かる。
「…話は変わるが…さっきのは一体何のつもりだ?」
「何って?」
「何故さっきのトラックを呼び止めなかった?あっちは3人いた。仲間にできれば心強いだろうに」
「何故って、YR氏は素性の分からない相手を素直に信用するのか」
「まあ、確かにそうだが…」
言っていることは間違ってはいない。
間違ってはいないが…。
「まだ、何かある?」
「…いや、もういい。行こう」
「あ、ちょっと待ってくれ」
- 423 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/15(金) 22:32:54
- 先に進もうと思った時、お守りを貰った人が◆YR7i2glCpAを呼び止める。
「何だ?」
「…ちょっと耳を貸してくれ」
言われるがままに耳を貸す。
(何で、8nに突っかかってるんだ?もしかして、仲悪いのか?)
(いや、別にそう言う訳じゃ無いが)
まあ、確かに俺が8n氏に食ってかかってるようには見えるが。
でも、ここでわざわざ喧嘩でもして不仲にでもなったらヤバい。
それでは8n氏を監視できなくなってしまう。
(別に突っかかってる訳じゃない。ただ聞きたかっただけだ)
(そうか…?それならいいが)
「おい、何やってるんだ。置いて行くぞ」
「悪い、すぐ行く」
今は、まだ自分の真意を悟られる訳には行かない。
しかし、人の心の内を見るのは簡単な事では無い。
(…仕方ねえ、もしもの事があったらやっぱ始末させて貰うか)
- 424 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/15(金) 22:33:27
- 【一日目・朝/A-4】
【お守りを貰った人@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:鉈鎌
[所持品]:支給品一式、アロー・ヘッドのフィギュア@R-TYPEシリーズ
[思考・行動]:
基本:殺し合いなんてしたくない。
1:自分含めて3人か、これは心強い
2:この2人、もしかして、仲悪いのか…?
【◆8nn53GQqtY@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、IMIデザートイーグル(7/7)、デザートイーグルのマガジン×2
[思考・行動]
基本(表向き):ゲームには乗らない。
基本(本心):ゲームに乗るが、その事を悟られないようにする。
1:YR氏を警戒。
2:早めにYR氏を始末したい。
【◆YR7i2glCpA@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:VSSヴィントレス(10/10)
[所持品]:支給品一式、VSSマガジン×2
[思考・行動]
基本:とりあえずゲームには乗らないでおく。
1:8n氏を警戒。何かあればすぐ始末できるようにする。
- 425 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/15(金) 22:34:01
- 投下終了です
- 426 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/15(金) 23:06:02
- 投下乙です…。
雰囲気がすごいギスギスと…。
では投下します。
DOL3rd21話 やることとやらせることは別です、同じではありません
登場人物:◆ymCx/I3enU、長谷川智美
- 427 :やることとやらせることは別です、同じではありません ◆VxAX.uhVsM:2011/07/15(金) 23:06:33
- D-6のデパートから移動して、E-6に入ろうとしていた◆ymCx/I3enU…。
もうそろそろ1時間40分経つのかと時計を見る。
「うーん、あれから誰も会えてないな…」
坂田銀時と別れてから誰とも会えていない。
もうそろそろ誰かと会えてもおかしくないのだが…。
「あー、誰もいねー…ん?」
そう、ベンチにはある女がいた。
ネコ族の獣人…その彼女がベンチに座っていた。
彼女は、◆ymCx/I3enUを見つける。
(ウホッ…良い女)
「私…長谷川智美っていうんだけどさ」
「ん?ああ…」
長谷川が真剣な目をしてこう言った。
「やらないか」
「だが断る!」
「え」
◆ymCx/I3enUはその女の後頭部を強打した。
強打された女、長谷川はそのまま倒れた。
「まあ、気絶するくらいにしておいたし…大丈夫だろ」
別に彼はやる事が好きなのではない、やらせる事が好きなのだ。
そして、最後に彼はこう思った。
(さすが、Vx氏は長谷川となるとこう言うの揃えるよな)
【真昼/E-6】
【◆ymCx/I3enU】
[状態]健康
[装備]ワルサーPPK/S(7/7)
[所持品]基本支給品、ワルサーPPK/Sのマガジン(3)
[思考・行動]
基本:特にどうしたいわけでもない。
1:とりあえず、首輪をはずしたい。
2:他の書き手さん、どうなってるかな。
[備考]
※願いは不明です。
※青と白の毛の人狼の姿になっています。
【長谷川智美】
[状態]気絶中、後頭部に痛み
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:この状況を愉しむ。
0:…
1:とりあえず、良い男を探す。
[備考]
※願いは不明です。
- 428 :やることとやらせることは別です、同じではありません ◆VxAX.uhVsM:2011/07/15(金) 23:07:30
- 投下終了です。
- 429 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 19:39:24
- アニメロワ第44話:『すくわれるもの』
登場:ギルガメッシュ、浅上藤乃、桂木桂馬
- 430 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 19:51:59
- 桂木桂馬と浅上藤乃の逃走劇は、続いていた。
人間は窮地に立たされるとありえない力を発揮する。火事場の馬鹿力とはよく言ったものだ。桂馬はすでに自らの体力の限界を超えながらも、藤乃の腕を引いた。
背後から迫る英雄王の足音。
聞こえはしなかったが、確かに感じられる。あの威圧感を。
「もう終わりか?我を退屈させるでないぞ雑種」
当たっていた。足元に降り注ぐ剣の雨がそれを証明していた。
くそっ!と桂馬はディパックからデリンジャーを取り出し、闇雲にギルガメッシュに発砲した。しかし、その鎧を少し凹ませる程度しかできない。
英雄王の余裕は崩れない。
まるで、藤乃を守ろうとする桂馬を踏みにじるように。
「さあ、出番だぞーーーー『朋友(エア)』よ」
エア。ギルガメッシュ最強の宝具が現れ、切っ先が桂馬に向けられた。
桂馬は一歩も退かずにデリンジャーを構えている。ギルガメッシュは鼻で笑うと、そのまま突撃する。だが、桂馬はその瞬間に体を反らした。左腕を犠牲にして弾を当てるためだ。
ダァン!と破裂音が鳴り響いた。そして、ギルガメッシュの肉体が崩れ落ちる。
左目を撃った。桂馬は対価に失った右腕など安いものだと思う。
- 431 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 20:04:57
-
ーーーーー彼らの失敗は。
サーヴァントの中で最強という意味を理解していなかったことである。
桂馬の胸元に赤い華が咲いた。
英雄王の手元の小銃が火を噴き、桂馬を撃ち抜いたのだ。ゆらり、と立ち上がる英雄王の顔は憤怒に歪んでいた。
「……調子に乗るなよ、雑種が!貴様達では王の俺には勝てぬのだ!」
藤乃を確実に殺すために手をかざす。
背後の空間から無数の剣が現れるーーーーーーーーーーーーーーーの、だが。
英雄王の翳した右腕が、桂馬と同じように地に落ちていた。しかし、それは切断ではない。『捻切った』傷口であった。英雄王ギルガメッシュはこの能力を知っている。『鬼ごっこ』の前に見た能力。
「歪曲の、魔眼ーーーーー!!」
「凶れぇぇえええええええええええええええええええっ!!」
今度は鎧が捻れ、歪み、滅茶苦茶に破壊される。
しかしそれは藤乃の命を守ることにはつながらなかった。『王の財宝』の内一本が、藤乃の腹を貫通していたからだ。盲腸と同じような痛みだった。
「…くそ、が。嘗めるなよ、雑種…」
ダァン!
再び、銃声が響いた。それはギルガメッシュの小銃からではない。桂木桂馬が瀕死の状態で放った一発。
- 432 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 20:16:17
- 弾の行く先は、ギルガメッシュの首輪であった。
何者をも即死させる威力を持つ首輪を抉り、くぐもった音が周囲に鳴り響く。
こうして。古代ウルクの英雄王は魔術師でもないただの少年に引導を渡された。
倒れた、血塗れの二人が残されていた。
◆
「…終わりみたいですね、桂馬さん」
「そうだな。僕は生きてるのが不思議な怪我なんだから、もう終わりだな」
「桂馬さん」
「何だ」
「天国って信じますか」
「あるんじゃないのか、一応」
「桂馬さんは、きっと天国に行けますよ。貴方は、最高のヒーローでした」
「ふざけるな。僕は一人で天国なんて御免だ。地獄の閻魔大王様を討ち取ってでもお前を一緒に連れていく」
「桂馬さん」
「何だ」
「ありがとう。あなたのことが、大好きです」
「そうか、」
「僕の方が好きに決まってるだろ、畜生」
◆
恋人達がどうなったのかは別のお話。
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
【浅上藤乃@空の境界】
【桂木桂馬@神のみぞ知るセカイ】 死亡
【残り5/45人】
- 433 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 20:17:12
- 投下終了です。
- 434 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 21:06:42
- アニメロワ第45話:いつか見たあの空へ
登場:岡部倫太郎、牧瀬紅莉栖、一方通行、暁美ほむら、シャルロット・デュノア、荒耶宗蓮
- 435 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 21:19:21
- 参加者達の残りはわずか五名。殺し合いの意志を持つ者はもういない。
そんな時、全てが暗転した。
きっと誰もが思っただろう。『まるで最初の時みたいだ』とーーーーー。
五名の参加者が集められたのは一軒のマンション。
それは『相克スル螺旋』ーーーつまり、荒耶のフィールドとでもいったところか。
『ようこそ、我が城へ』
「荒耶宗蓮ッ……」
「……姿を現しなさい!荒耶!!」
『我が目的についてまず話さねばなるまい。私の目的は莫大な負のエネルギーによる『根源の渦』への到達ーーーー。だが。そのエネルギーは既に回収できた。つまり』
『貴様等はもう用済みという訳だ』
どたどたどたっ。
大勢の足音がして、瞬く間に数百人もの人間が彼らの周りを囲んでいた。
「くそっ!戦うしかないか!そこの二人!俺は岡部倫太郎!そっちは牧瀬紅莉栖にシャルロット・デュノアだ!」
「ーーー私は暁美ほむらよ。こっちは一方通行」
最低限の、本当に短い自己紹介。
それが終わるや否や、一方通行は首筋のチョーカー型電極のスイッチを入れる。
彼の前に立っていた人々を気流の砲弾で吹き飛ばす。
背後から襲いかかってきたなら、『反射』で腕を折る。
- 436 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 21:42:24
- 単純な、だが絶対的な戦闘のスタイル。
その内に、一方通行はあることに気付く。人体のベクトルさえ操作できる能力者だからこそ気付けたこと。この者たちには心音がない。
「オマエら!こいつらはハナっから生きてなンざいねェ!荒耶のクソッたれの人形みてェなモンだ!容赦なンざいらねェ」
ほむらはそれを聞いた直後には、すでにAK-47を取り出していた。時間を停止しての一斉掃射。まさか魔女退治以外にこんなことをすることになるとは微塵も思っていなかった。
無数の弾が人形を的確に射抜き、倒していく。
岡部たちも、非力ではあるが銃器での射撃によって徐々に数を減らしていく。
勝てる、と誰もが思った直後。
ダァン!
というもはや聞き慣れてしまった音がした。
視線の先に見たのは。胸に赤い華を咲かせて崩れ落ちるシャルロットの姿であった。
第二に見たのは、岡部倫太郎が最も憎む相手。
ーーーSERNの構成員、桐生萌迦。
「萌迦ァァああああああああああああああああああッ!!」
飛びかかっていこうとしたが、桐生の姿は霧のようにぼやけて、消えていく。
「りんた…ろう…みんな…」
「シャルロット!目を開けろよ!シャルロット!」
- 437 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 21:56:44
- 「岡部!デュノアさんの想いを守るためにも、ここは進むわよ!」
「キリがねェ…ここは進むのが善策だ」
ベクトル操作した気流が横薙ぎに人形を薙払い、そのまま道を作る。
気味の悪い、不安を覚えさせるような螺旋階段を駆け上がる。
ベクトル操作は無造作には打てない。バッテリーが切れれば、荒耶には勝てない。
ほむらの射撃でわずかな追っ手を倒し、どんどん階を上っていく。
そしてその先に居たのは、さっきと同じ量の人形たち。
「邪魔なンだよォォおおおおおおおおおおおおッ!!」
背中から黒い翼が噴出し、一気に蹴散らしていく。
「(鹿目の奴…この翼のオンオフを可能にしたのか。ありがてェこった)」
「容赦ないわね」
一度流れに乗ったならもう止まらない。
荒耶の待つ最上階へと、歩みを進めていく。
◆
「……ふむ。思ったより手間取ってしまったとはいえ、まさか貴様等が上ってくるとはな。一人欠けたとはいえ上出来だ」
荒耶の眼前に立つのは、四人の生存者。
会話などは無い。怒りを堪えきれなかった『最強』の黒い翼が荒耶の右腕を毟り取り、他三人の一斉射撃が荒耶を蜂の巣にしていく。
「無駄だ。もはや私に攻撃などは通じない」
- 438 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 22:09:30
- ◆
「私は今から時を越える」
「手段は暁美ほむらのようなものではない」
「SERN…と言えば分かるな?」
「タイムマシンを入手した」
「まあ、その為に組織の『ラウンダー』なる連中は皆殺しにしてしまったが」
「桐生萌迦は私の生み出した幻だ。さすがに人形には出来なかった」
一方的な荒耶の言葉が続く。
そして、荒耶の背後から照らす『タイムマシン』に荒耶は乗り込み。
ーーーそのまま、消えていった。
◆
「これが、帰還装置か」
岡部の指さしたのは、座席だった。
皮肉にも紅莉栖の作ったタイムリーブマシンにそっくりの装置がついた座席。
しかし、その席数は三つ。
これが意味するのは、最悪の答えである。
ーーーーー誰か一人は、帰れない。
正確には、この世界に留まることは不可能であった。
現に、岡部たちの居る部屋は崩れていき、白い世界に呑まれ始めている。
世界の崩壊。
主を失った世界は崩れていき、やがて消えていく。
「俺が残ろう」
岡部は、きっぱりと言い放った。その瞳には、冗談の色は欠片もない。
「駄目よ!そんなことしたら、あんたは…」
「止めるなよ、助手……いや、紅莉栖。お前には未来があるんだからな」
- 439 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 22:20:05
- 岡部は座席に近付くと、そのままキーボードを叩いた。
画面には、
『牧瀬紅莉栖』『一方通行』『暁美ほむら』以上三名を生還させますか?
カチッ
帰還装置が起動した。三人が粒子のように少しずつ消えていく。
「岡部!嫌、嫌ぁあ!!」
「助手よ!もしも、運命石の扉(シュタインズ・ゲート)が俺達を選んだなら!」
「貴様には、再び未来ガジェット研究所ラボメンナンバー4を与え、そしてまたラボの頭脳として活躍してもらおう!フゥーハハハ!!」
世界が消えた。
今ここに、一つの物語が終わりを告げる。
【シャルロット・デュノア@IS】
【岡部倫太郎@Steins;Gate】 死亡
【牧瀬紅莉栖@Steins;Gate】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【以上三名、アニメ・ロワイアルより生還】
【GAME END】
- 440 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 22:20:43
- 投下終了です。次からはエピローグ
- 441 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/16(土) 23:07:32
- ちょっと早いけど
【俺が主催するバトル・ロワイアル】
【参加者】
【オリキャラ】
・最上晋太郎 ・谷口慶太 ・小川拓也 ・西村清一郎 ・伊東学
・code;003 ・ジューダス ・山寺千加 ・東唯 ・松嶋茜 ・戸部繭子
・有馬一葉 ・西山佳子 ・長瀬祐未 ・ペリーヌ
【School Days】
・伊藤誠 ・桂言葉 ・西園寺世界 ・清浦刹那
【銀魂】
・坂田銀時 ・神楽 ・志村新八 ・桂小太郎
【自作キャラでバトルロワイアル】
・テト ・太田太郎丸忠信 ・貝町ト子 ・朱広竜
【リトルバスターズ!】
・直枝理樹 ・宮沢謙吾 ・神北小毬 ・朱鷲戸沙耶
【戦国BASARA】
・真田幸村 ・片倉小十郎 ・石田三成 ・明智光秀
【ドラえもん】
・野比のび太 ・剛田武 ・骨川スネ夫 ・源静香
【とある魔術の禁書目録】
・上条当麻 ・番外個体
【Steins;Gate】
・天王寺祐吾
【主催者】
・◆9QScXZTVAc@非リレー書き手
- 442 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/18(月) 19:46:20
- アニメロワエピローグ1:「これもまた、運命石の扉の選択…ふふっ、馬鹿みたい」
登場:牧瀬紅莉栖
- 443 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/18(月) 19:55:25
- 私、牧瀬紅莉栖は元の世界へ帰ってきた。
一瞬、すべてが夢だったりするのかな、と馬鹿馬鹿しい希望を抱いてもみたけど。
ラボに岡部たちの姿はなかった。荒耶の言う通り、SERNは壊滅同然。
世界には、確かな爪痕が残っていた。
これからは、独りだ。
また、ここからスタートを切らなくちゃーーーーー
「な訳ないでしょ、馬鹿らしい」
結局、私はお人好しみたい。ラボには幸い私の作ったタイムリーブマシンがあった。私はヘッドホンのようなそれを耳に当て、時間を3日間遡る。
これで世界線は移動し、『本来の未来』に進むはず。
たとえどんな事が待っていたとしても。私は進み続ける。
「これもまた、運命石の扉の選択…ふふっ、馬鹿みたい」
【牧瀬紅莉栖@Steins;Gate TRUE END】
- 444 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/18(月) 19:57:15
- 続いて
アニメロワエピローグ2:「…抗ってやる。どンなルールにだってなァ」
登場:一方通行
- 445 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/18(月) 20:09:03
- 「行けるか、ヒーロー」
「こっちの台詞だ、最強」
ロシアの極寒の天空に浮かぶ巨大な星、『ベツレヘムの星』。
それに、交わることのない二人の主人公が乗っていた。
一方通行はあの殺し合いから帰ってきた。しかし、彼の周囲にはさほど変化はなかった。ただ一つ、本来の世界と大きく違う分岐をしたのは。
『殺し合いにおける一方通行の心の変化』。
殺し合いの後、本来は再起不能にするはずだった第二位・垣根帝督と一戦交えたが、最後には和解し、暗部間の争いは激減した。
そして、現れた存在『エイワス』によりロシアに導かれ、幻想殺しの少年と再会。
戦争の黒幕、『右方のフィアンマ』打倒のための戦いになり、彼らはベツレヘムの星に進撃。地上では大天使を『未元物質』『超電磁砲』『原子崩し』『念導砲弾』四人の超能力者と数多の魔術師により互角以上の戦いを見せている。
「…抗ってやる。どンなルールにだってなァ」
【一方通行@とある魔術の禁書目録 TRUE END】
- 446 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/18(月) 20:09:57
- 投下終了です。
- 447 : ◆lYiZg.uHFE:2011/07/18(月) 21:47:57
- 俺リピーターロワ9話投下します。
- 448 :命題「シークレットゲーム」 ◆lYiZg.uHFE:2011/07/18(月) 21:48:36
- 「まず最初に自己紹介をしておこう。
俺の名前は天童世死見、天使バイ!」
突然そう名乗った黒服の男。
その言葉にフーリエが初めに感じたのは歓喜であった。
フーリエは敬虚な教徒である。
主の教えを信じ、御心のままに愛を説いていた。
例え殺し合いを強いられようと。
例えその言葉を否定されようと。
ただひたすらに、全てを救おうとしていた。
その道は苦難の道だった。
茨の上を歩くようなものであった。
年端も行かぬ少年の命を助けることも出来ず。
殺人を望む罪人の心を救うことも出来ず。
侍の履き違えた正義を治すことも出来なかった。
出来たことと言えば、一人の老婆を刃から庇う事だけ。
ただそれだけしか出来ずに命を落としてしまった。
凶刃から老婆を守れたのだからそれでいい。
無駄な死ではなかった。
確かにその通りではあった。
しかし。
あの罪人はこれからも罪を犯し続けるだろう。
あの侍はこれからも改心の余地ある者をも斬るだろう。
それだけがフーリエの心残りであった。
だから。
目の前に天使を名乗る人物がいて。
今ここに、傷一つ無くなっている自分の身体があって。
思いは報われたのだと。
自分は正しかったのだと。
ただただ神に感謝をするばかりであった。
しかし。
しかしであった。
フーリエのその思いは、次の瞬間脆くも崩れ去っていた。
天使が告げた言葉。
言わば神託。
「突然だが、お前たちにはゲームをしてもらうバイ!
と言ってもただのゲームではないぞ。
お前たちには神様からそれぞれ違う命題が課せられているバイ。
『全てのプレイヤーの皆殺し』とか『首輪を3つ集める』とか。
それを達成できなかったら即死亡!
名付けてシークレットゲームバイ!」
呆然。
その言葉に尽きた。
理解が追いつかなかった。
何を言われたのか分からなかった。
皆殺し。
およそ天使の口から出るような言葉ではなかった。
天使らしからぬ格好。
そして発言。
堕天使。
一瞬、その言葉がフーリエの脳内に浮かんでいた。
それでも。
フーリエはその言葉をすぐに脳裏から消し去った。
背信を行なうところだったと。
主の教えを説く者が天使を疑ってどうするのだと。
無理矢理その思いを押さえつけた。
その時。
- 449 :命題「シークレットゲーム」 ◆lYiZg.uHFE:2011/07/18(月) 21:49:24
-
「くだらん」
一人の男が前へと進み出た。
金色。
男を表現するなら、まさにその一言であった。
その場の誰よりも力強く。
その場の誰よりも神々しい。
英雄王ギルガメッシュ。
それがその男の名前である。
フーリエは英雄王の姿に目を奪われていた。
王。
それは天使と比べると格下の称号。
であるのに。
にもかかわらず。
フーリエは一瞬にして男に敬服していた。
しかし天使への畏れも失われたわけではない。
黒色の天使。
金色の王。
フーリエは両者の対峙を固唾を飲んで見守る。
「よもや貴様、この我」
「―――待て、それ以上反抗するな!」
進む王。
慌てる天使。
これだけを見れば決着はついたようなものであった。
事実。
英雄王と天使の実力には天と地程の差があった。
天使に勝ち目はないはずであった。
普通であれば。
しかし。
「破アアアアアアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
「―――ガッ!」
遥か遠くから衝撃波のようなものが飛来して。
英雄王の首輪へと衝撃波が吸い込まれ。
爆音と共に英雄王の首が空を舞っていた。
驚愕。
その結果にフーリエは愕然とするしかなかった。
遠方からの衝撃波。
示し合わせたものでない事は確かだった。
偶然。
そうとしか呼べないものだった。
何しろここは室内。
外から一参加者の首輪を狙うなど普通は無理な話である。
実際。
それは、どこかで戦闘中だったTさんの攻撃の流れ弾であった。
英雄王をも一撃で倒すなんて、【寺生まれってスゴイと改めて思った。】
だが。
天使はさして驚いた様子は無かった。
その事で、フーリエは一つの可能性を思いついた。
この天使は偶然を操るのだと。
天使。
神に使えるもの。
なればその程度出来たとしてもおかしくは無いと。
事実は違ったが、全くの見当ハズレでもなかった。
- 450 :命題「シークレットゲーム」 ◆lYiZg.uHFE:2011/07/18(月) 21:49:56
-
「あいたーっ、お前に下された命題は俺に反抗をしない事だったバイ!
だから警告したバイよ!」
命題。
為さねば命が無いもの。
例えどれだけ強くとも。
例えどれだけ頑丈であっても。
神の見えざる手により必ず死んでしまう強制力。
もはやフーリエに天使を疑う余地はなかった。
「詳しいルールは全員に配るこのPDAに記してあるバイ。
あの男のようになりたくなかったら、キチンとルールを熟読しろよ」
そしてその場にいた者はみな、次々と会場へとワープをしていった。
天使、天童世死見を残して。
「まぁったく、神様もとんだ命題を下してくれたもんバイ」
憂鬱そうにした天童の手元。
そこには。
『20XX年XX月XX日XX時までに殺し合いを開き成功させないと即死亡』
と書かれた紙が握られていた。
【一日目/深夜/不明@不明】
【天童世死見@オールジャンルバトルロワイアル】
[時期]:103話『命題に翻弄される者たち』でユーフェミア・リ・ブリタニアに殺された後
[状態]:普通
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:シークレットゲームを成功させる。
【フーリエ@オリジナルキャラ・バトルロワイアル】
[時期]:112話『瞼の裏には母の姿』で鍵谷美和子に看取られた後
[状態]:不明
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:不明。
【一日目/深夜/不明@不明】
【寺生まれのTさん@ドキッ☆男だらけのバトルロワイアル 〜ポロリもあるよ〜】
[時期]:0話『OP』で脱出した後
[状態]:不明
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:不明。
【ギルガメッシュ@ミニリピーターバトルロワイアル 死亡確認】
★パロロワ一口メモ★
【寺生まれってスゴイと改めて思った。】
元ネタは寺生まれのTさん。
初めてパロロワに登場した『ドキッ☆男だらけのバトルロワイアル 〜ポロリもあるよ〜』で
見せしめとして選ばれた男の首輪を止めて脱出するという偉業を行なった。
今ロワでは外部から首輪を破壊して見せしめを作ると言う全く逆の行為を行なっている。
- 451 :名無しさん:2011/07/18(月) 21:50:32
- 投下終了です
- 452 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 18:40:14
- アニメロワエピローグ3:「交わした約束、忘れないよ」
登場:暁美ほむら
- 453 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 18:52:35
- 元の世界に戻った暁美ほむらが取った行動は、単純明快だった。
"鹿目まどか"との出会いをやり直す。未だ叶っていない望みを叶えるために、再び時を繰り返す。しかし、ほむらにはとある秘策があった。
皮肉にもそれは、あの殺し合いでまどかの力を確認したからこそ成立する策なのだが。
まずは、最初のCDショップ。ここで巴マミ達と遭遇するのは既に確認済みだ。今までの時間軸では、ここで巴マミに敵と確信させてしまっていた。しかし今回は違う。巴マミの死を回避するには、彼女が魔女シャルロッテと戦う際に拘束されてはいけない。
つまり、最初からすべて話しておく。
ソウルジェムの真相を知ったマミが錯乱するのは確認済み。なら、策についても当然教えておく必要がある。勿論、美樹さやかにも。
そして、上條恭介へのさやかの恋を不完全な形では終わらせない。
失敗にしろ成功にしろ、さやかの絶望が崩壊を生む可能性は捨てきれないのだから。
そして佐倉杏子。彼女は一番楽に仲間にできる。
少なくとも、今までの時間軸で杏子と露骨な敵対をしたことはない。
そして、五人で『ワルプルギスの夜』を迎え撃つ。いや、正確には『四人』か。
- 454 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 19:05:58
- ワルプルギスは障害物にすらならない。何故なら、こちらにはそれを一撃で撃破できるクラスの力を秘めた『最終兵器』があるのだから。
◆
「ーーーーー予定通り、行くわよ」
「りょーかいっ。あたしと杏子が接近戦ってことね」
「ちっ、危険な場所。…まあいいよ、しっかり時間は稼いでやるよ」
「暁美さんの作戦なら、何もかもを救うことができる……ね。…乗ったわ。円環の理に導かれる人が誰一人いませんように」
「厨二病乙。円環の理(笑)に導かれる人がいませんように(笑)…似てたかしら」
「もうやめて!マミさんのメンタルはとっくに0だよ!」
まるで普通の少女達の会話。
でも、目の前にはもう『怪物』がいる。
マミが大量のマスケット銃を発射したところで時を止め、自分もありったけの弾を発射する。時を戻すと、すべてがワルプルギスを直撃した。
それでも暇は与えない。打ち上げられたワルプルギスを地上からさやかと杏子が迎え撃ち、更にマミとほむらの追撃がそれを叩き落とす。
時を止めれば攻撃の大半は回避できたが、やはり格がまったく違う。
ピンピンしているワルプルギスの夜を見て、ほむらは笑顔を浮かべる。
「私、魔法少女になる」
- 455 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 19:19:17
- 「私の願いは、」
「魔法少女からソウルジェムの概念を消失させること」
ソウルジェムが割れた。
しかしそれは死を意味している訳ではない。意味するのは、作戦の成功。
ソウルジェムが魔女を生むなら、みんな死ぬしかない。なら、それを消し去ってしまえばいい。それが、暁美ほむらの答えだった。
まどかの放った矢が、ワルプルギスを射抜き、消し飛ばす。
すべて、終わった。
神となるほどの因果が蓄積されたまどかに更にもう一つ因果を集めた。
なら、もうそれは『存在』しながら神を越えた存在。魔法少女を生き返らせるなど造作もない。
最悪の終わりの代わりに、永久に戦い続ける未来を選んだ。
ーーーけれど、私は後悔していない。
ーーーたとえ、戦う未来しかなくったって
ーーー夢と希望と、仲間達がいればきっと乗り越えられる。
あれから様々なことがあった。
例えば、杏子が突然現れた親戚に引き取られて見滝原中学校に通い始めたり。
さやかと仁美の仲を取り持つために暗躍?したり。
マミの厨二病を止めようとしたり。まあ途方に終わったが。
- 456 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 19:22:16
- もう、絶望は生まれない。今の彼女たちは、本当に楽しそうに青春を謳歌している。
「ねえ、まどか」
「何、ほむらちゃん?」
「交わした約束、忘れないよ」
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ HAPPY END】
【アニメ・ロワイアル 完】
- 457 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 19:23:16
- 続けて
アニメロワネクストプロローグ:微笑む"魔王"
- 458 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 19:33:45
- 「…あーあ。失敗かよ。荒耶の奴も使えねえな」
真っ暗な部屋で、一人の男が舌打ちをする。煙草を消すと、計画書のような書類に目を通し、今度は口元をにやり、と歪めた。
表紙には『プログラム2』とだけ明記されている。
男は、鎖に繋がれていた。なのに、少しも惨めには見えない。
ーーー数年前
とあるテロ組織が現れ、警察は主犯の"魔王"と名乗る男を射殺したと報じた。
しかし、"魔王"は拘束され、地下に軟禁されただけであった。
「……そろそろいい頃だよな、Vx氏」
コードネーム・◆9QScXZTVAcは、『DOLバトルロワイアル』と呼ばれる一つの惨劇の首謀者ーーー◆VxAX.uhVsMに話しかけた。
「そろそろ始めようぜ、Vx氏。次のゲームをさ」
二人の男は、ただ笑った。
- 459 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 19:34:40
- 投下終了です。
Vx氏、勝手に黒幕側にしてごめんなさい
- 460 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 20:05:21
- 俺主催ロワの名簿に一部追加
【非リレー書き手】
・◆ymCx/l3enU ・◆xzYb/YHTdl ・◆WYGpinknm2
・◆8nn53GQqty ・◆6LQfwU/9.M ・◆YR7i2glCpA
【主催者】
・◆9QScXZTVAc ・◆VxAX.uhVsM
に変更お願いします
- 461 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 21:14:57
- 俺主催ロワ第1話:綴り手(テラー)
登場:◆9QScXZTVAc、◆VxAX.uhVsM、伊藤誠、西園寺世界、桂言葉、清浦刹那、加藤乙女
- 462 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 21:28:20
- ………ん?ここは何処だろう?
俺の記憶に残っているのは、言葉が俺と世界の目の前で飛び降り自殺をしたまで。
少なくとも、こんな場所に足をのばした記憶はなかった。
ふと、隣を見る。そこには、『何か』を睨み続ける恋人ーーー、西園寺世界がいた。その視線の先に顔を向けて、俺は今までの人生で最大の『驚き』に包まれた。
「言葉……?」
「何で…私を殺したのよ…桂さん……」
「………?何を言ってるんですか」
おかしな光景だった。世界は言葉に『殺された』と言っている。でも俺の記憶では死んだのは言葉のはず。一方の言葉はまったく心当たりが無い様子だった。
「……二人とも、何言ってるの?ことぴーが私と伊藤の仲を取り持ってくれたのに」
ことぴー?刹那は言葉をそんな風には呼んでいなかったはずだ。それに、俺は刹那と付き合ってなんかいない。俺の恋人は確かに世界のはず、だよな?
『はーい、そろそろ注目しろよ』
男の声がした。空中に、二人の男が映し出されている。バーチャル映像のようだ。
片方の男は千切れた鎖を腕につけて、邪悪な笑みを浮かべている。
『俺は◆9QScXZTVAc。こっちは◆VxAX.uhVsM氏。偉大な協力者だ』
- 463 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 21:37:09
- 何だ、こいつらは?しかし、俺の目はあるものに釘付けになっていた。
ーーー今、隣に映されているのはクラスメイトの加藤乙女ではないのか?
『これから、お前たちには殺し合いをしてもらう。逆らうとこうなるからな』
◆VxAX.uhVsMが手に持っていた黒いリモコンのボタンを押す。
ピィーーー、バァン!!
加藤の首に大穴が開き、そのまま床に倒れ込んだ。
ナンダコレ?
『その首輪は特別製でな。まず破壊は無理だ。しようとすればこうなる』
◆9QScXZTVAcは笑う。そして、体に電気が走り、俺は意識を失ったーーーー。
【加藤乙女@School Days】 死亡
【俺の主催するバトル・ロワイアル 開幕】
【残り48/48人】
- 464 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/19(火) 21:37:52
- 投下終了
- 465 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/19(火) 23:28:57
- psp投下します。
Re:DOL3話 我は修羅となろう
登場人物:河合曽良
- 466 :我は修羅となろう ◆VxAX.uhVsM:2011/07/19(火) 23:37:37
- 河合曽良はD-2で目を覚ました。
そして、周りを見回す。
「…芭蕉さん」
死んでしまった師匠である松尾芭蕉…。
スランプという状況を彼はずっと見続けてきた。
それだから分かる、彼の本来のすごさ。
自分は期待していたのだ。
しかし、現実は非情である。
「僕がやること…」
そう、殺し合い…これで優勝してあの男を殺すことだ。
「待っててください芭蕉さん。そっちにあの男を送ってやりますから」
そんな言葉を、彼は真剣な目をしながら言い放った。
ここに、最強のドS男…いや、最強の弟子が動き出した。
- 467 :我は修羅となろう ◆VxAX.uhVsM:2011/07/19(火) 23:44:11
- 【D-2/朝】
【河合曽良@ギャグマンガ日和】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:殺し合いに優勝して、主催を殺す。
1:どこにいくか…
投下終了です
- 468 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/20(水) 21:49:44
- 俺主催ロワ第2話:涙が滲むほどに真っ直ぐ
登場:松嶋茜、◆xzYb/YHTdl、清浦刹那、宮沢謙吾
- 469 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/20(水) 22:03:28
- 「殺し合い……か」
銀色の髪に剣道の胴着。端正な顔立ちの青年、宮沢謙吾は一人呟いた。
彼の居た世界は、閉ざされた虚構の世界。『理樹』と『鈴』の二人の心を強くして、あの事故から生還させるために作られた世界。
結果、彼は虚構を繰り返すことを望み、『リーダー』の前に敗れた。
その矢先にこの事態。しかも名簿には理樹と神北の名前まである。泣きっ面に蜂とはまさにこういうことを表すのだろうな、と場違いにも考えてしまう。
「おーーーい!そこの兄ちゃん、ちょっとあたしと遊ばない?」
「生憎俺は貞操の緩い女は好まなくてな」
誘ってくるのは初対面の少女。謙吾と同い年か少し下かもしれない。
女は、松嶋茜と名乗った。
「宮沢くんはどうするの?その『ナオエリキ』って子を探す?」
「いや、あいつなら大丈夫だ。俺は仲間を集めてあの男共を打倒するさ」
「そう来なくちゃね、そうと決まれば行こうか」
茜は謙吾の先を歩いていく。
そして、まるで鮮魚を捌くような音と同時に、茜の背中がスイカのように真っ赤に染まっていた。謙吾が握っているのは、一本の刀。所有者は柳生九兵衛だ。
「すまない、松嶋」
血飛沫を浴びながら、謙吾は言う。
- 470 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/20(水) 22:24:28
- 「俺は理樹の為に、すべて殺す」
宮沢謙吾は苦々しげに、だが確かに言った。
◆
「大丈夫か、清浦」
「何とか。あの子には悪いけど、透明マントは便利」
透明マントを脱いだのは、◆xzYb/YHTdlと清浦刹那。
二人は茜が殺されるところから見ていたのだが、さすがに助けられなかった。
二人の目的は、主催者を倒し、このゲームを終わらせること。
親友の為に全てを捨てる者と、全てを守ろうとする者。
ここから、彼らの物語は始まる。
【松嶋茜】 死亡
【残り47/48人】
- 471 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/20(水) 22:25:03
- 投下終了。状態表はしばらく書かない
- 472 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/21(木) 23:00:02
- 投下します
タイトル:真意はどこにあるか
登場人物:◆uA7Hz14RQg
- 473 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/21(木) 23:00:33
- 「…何が起こってるんだ」
小石だらけの地面に腰を降ろし、頭を抱える。
ただ、VIPPER達と真剣勝負をしようと思って、スレを立てただけなのに。
釣りなんかじゃなく、マジで勝負をしようと思っただけなのに。
…そして、封筒を取りに来た人間を…。
「…このバッグに、何か入ってるのか」
自分の近くに適当に転がしておいたデイパックを引き寄せる。
適当に開けて、中身を取り出す。
…出て来たのは、ただのティッシュ1箱。
悪ふざけにしても、度が過ぎている。
「ふざけんな!!」
怒りに任せてティッシュを地面に叩き付ける。
その衝撃で箱が壊れ、辺りにティッシュが散らばって、風に乗って飛んで行った。
(…こんな目に遭う程悪い事したのかな)
それからデイパックの隅から隅まで探したが、武器になりそうな物は出てこなかった。
がっくりと肩を落とし、その場に膝から崩れ落ちる。
「どうすればいいんだ…」
【一日目・深夜/C-3:橋の下】
【◆uA7Hz14RQg@オカルト(この謎解けるかな?一日限定)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:どうしたらいいのか分からない。
1:もう夢も希望も無い。
※スレを立てた直後からの参戦です
- 474 :名無しさん:2011/07/21(木) 23:01:08
- ≪備考≫
【この謎解けるかな?一日限定】
2006年にVIPに立ったスレ。「東京に5万入れた封筒を隠した」と言い、住人に暗号を出す。
しかしスレの59にて「見つけた」と書き込みがあったが、結局本当かどうかは分からなかった。
その後スレは進んで行くが突然1が「封筒が無くなっている」と書き込む。
もしかしたらホームレスが持って行ったのかも…とスレ内で騒ぎになる。
1も結局封筒を諦め、改めて1万隠し暗号を再度出す。
…が、その後の書き込みで5万を回収したのは自分だと告白し、隠した1万に4万を足しに行く。
その後720辺りで1がネタばらしを始める。明かされる真実に住人はガッカリ。
しかし突然1が豹変、妙な書き込みを残し消える。
住人たちは困惑、1の狂気じみた書き込みを解読しようとするも、1の真意は分からずじまいに終わった。
- 475 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/21(木) 23:01:38
- 投下終了です
- 476 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/22(金) 22:28:55
- 俺主催ロワ第4話:逆境も跳ね返して
登場:◆6LQfwU/9.M、直枝理樹、志村新八
- 477 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/22(金) 22:41:53
- 「参ったな……殺し合い、まさか俺が参加することになるとは」
◆6LQfwU/9.Mは夜空を仰いだ。彼はネット上にこれと同じ設定の創作物をいくつか投稿していたが、まさか書き手の二人が本当に主催してしまうとは。
エリアは海沿いーーーーa-1。
海からの脱出なんて考えてはいなかったが、つい海を見てしまう。
「「殺し合いには乗らない」」
声が重なり、すぐにうおぉぉおおおお!?という叫びが木霊した。
目の前に居る自分と同じく尻餅をついた眼鏡の少年。
だが、言葉が被ったということはつまり相手も殺し合いには乗っていないのだろう。
「悪いな、驚かせて。俺は◆6LQfwU/9.M。長いから◆6Lでいい」
「こちらこそ、驚かせてしまって…僕は志村新八です」
互いに支給品を確認する。
◆6LQfwU/9.Mにはテニスラケット。外れだ。
新八にはマンガとかでよく見られる日本刀が支給されており、扱えるらしい。
一体どんな日々を生きていたんだ、と苦笑するがそれも当然。
二人はまったく別の世界から呼ばれたのだから。
とりあえず互いに知り合いを探して協力し、◆9QScXZTVAcたちを倒す。
そう決めた矢先、『三人目』が来る。
- 478 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/22(金) 22:54:27
- 中性的な、女装すれば十分女に見える気弱そうな少年だった。
だが、その目には主催への強い怒りが感じられた。
片手に握るCz75があまりにも似合っていたのが意外なくらい。
「僕は直枝理樹。一緒に行動しても構わないかな?」
「◆6Lさん、いいんじゃないですか…って銃!?」
「大げさだな……。こんな状況だ、有り得る話だろ。俺も賛成だ。よろしくな理樹」
…簡単に同盟は成立した。実はこの直枝理樹という少年、男女を問わずやたら人に好かれるのだ。
そんな彼が、ついさっきの世界で最愛の親友たちを救ったことを、二人は知らない。
【深夜/a-1】
【◆6LQfwU/9.M】
基本:殺し合いへの対抗。
1:他の書き手さんたちを探す。
2:新八、理樹と行動。
【志村新八】
基本:殺し合いを終わらせる。
1:◆6Lさん、理樹くんと行動。
2:銀さんたちは…大丈夫かな?
※かぶき町四天王編終了後からの参加です
【直枝理樹】
基本:誰も死なせない。
1:謙吾、小毬さんを探す。
2:二人と行動。
※Refrain後からの参加です
※朱鷲戸沙耶について知りません
- 479 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/22(金) 22:54:57
- 投下終了です。
- 480 :名無しさん:2011/07/23(土) 23:25:11
- 「何なんだこの状況は」
川辺の小さなベンチに腰かけ、数少ない情報を整理して行く師匠。
いつものように自分の部屋で眠って、目が覚めたら、妙な場所にいた。
そして、妙な男が妙な説明を始め、気が付いたらこの川辺に。
(霊より、厄介なことになりそうだな)
今まで、色んな霊を見たり祓ったりしていたが、今回はそうも行かない。
「幽霊より人間の方が怖い」と言う言葉が頭に浮かぶ。
今の状況はまさにそうなのだ。
「殺し合い」である以上、皆殺しを狙う奴も、出てこないとは言い切れない。
そんな奴を相手にして、勝てるかと言われれば…正直、自信が無い。
霊感がどれだけ強くても、それを戦闘に生かられる訳が無い。
「しかし、これからどうするか…ッ!」
立ち上がろうとする師匠の頬を、何かが掠める。
頬をかすめたその「何か」は、そのまま前方の闇に飲み込まれていった。
(ここは逃げた方が良さそうだな…)
自分のデイパックを拾い上げ、ダッシュでその場を走り去った。
◇
「…逃げられたか」
師匠の走り去った方向を見つめる◆WYGPiuknm2。
せっかく、不意打ちで仕留めようとしたのに。
狙いが少しズレたせいで、頬を掠めるだけに終わり、しかも仕留めそこねる事態にまでなってしまった。
(今からでも遅くない。追うか
- 481 :名無しさん:2011/07/23(土) 23:25:41
- 途中送信です、申し訳ありません
- 482 : ◆YR7i2glCpA:2011/07/24(日) 00:54:35
- さるさんくらったのでこちらに続きを投下します。
- 483 :『愛』という名の『覚悟』 ◆YR7i2glCpA:2011/07/24(日) 00:55:12
-
「…ク、ククククク…実にすばらしいものが見れたよ…」
この惨劇を、高階ヨイチは高みの見物を決め込んでいた。
その結果、非常に有益な情報を得る事が出来た。
HU599菌のもたらす人体への影響と感染経路、そして感染した場合の弱点。
ヨイチは目の前で起きた戦闘からデータを得てほくほくとなっていた。
「さて、それじゃああの男のバックでも貰うとするかね…?」
そう呟き、踏み出そうとした瞬間だった。
「動くな。」
後ろから、声をかけられた。
ゆっくりと振り返ると、そこにはショットガンを構えた男の姿があった。
その姿を見ても、ヨイチは眉一つ動かすこともなかった。
「警察だ。お前に聞きたい事がある。」
「フン。」
とるに足らない男だ、とヨイチは思った。
ヨイチは自分の力を重々理解している。
更には、目の前の男はただショットガンを装備していると言うそれだけで、自分より優位に立っていると誤解している。
そう言う相手を、ヨイチは何人も見てきた。
数の上で勝っていると高をくくった軍団も、装備品が良いとそれに頼りきりだった大隊も、この目の前の男と同じような顔をしていた。
そして、その相手がどうなったかは――ヨイチ自身が、一番良く理解していた。
- 484 :『愛』という名の『覚悟』 ◆YR7i2glCpA:2011/07/24(日) 00:55:42
-
【高階ヨイチ@カオスウォーズ】
[状態]:健康
[装備]:ホッキョクツバメのライフル(弾無し)@ブシドーブレード弐
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、沙夜子の支給品一式、空の注射器@クロックタワーゴーストヘッド
[思考]1:皆殺し。特に兵真、雫、ライゲン、シェリーは自分の手で殺す。
2:目の前の男をどう相手するか考える。
3:全員殺したら『楽園』へと向かう。
【礎等@クロックタワーゴーストヘッド】
[状態]:健康、怒り
[装備]:ショットガン(残弾4)@クロックタワーゴーストヘッド
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:目の前の男に対処、場合によっては発砲も辞さない。
2:優を見つけたら保護する。
[備考]:第二章、優を病院に運んだ直後からの参戦。
【黒崎沙夜子@まほらば】
[状態]:HU599菌によるゾンビ化(寄生脳がどこにできたかは不明、少なくとも肩ではない)、後頭部に傷(ほぼ完治)、ダウン中、右肩にアイスピックが突き刺さっている。
[装備]:アイスピック@BATTLE ROYALE
[道具]:なし
[思考]1:朝美……
[備考]:杉村弘樹の支給品の入ったデイバックが放置されています。
中身は不明ですが少なくとも武器になりそうなものは入っていません。
- 485 :『愛』という名の『覚悟』 ◆YR7i2glCpA:2011/07/24(日) 00:56:19
-
【支給品情報】
【アイスピック@BATTLE ROYALE】
北川理央に支給。
原作では千草貴子に支給された。
元々氷を砕くための道具だが、原作では作中随一の惨い死の立役者となった。
【かんしゃく玉@ブシドーブレード弐】
杉村弘樹に支給。
元々は鳴鏡の剣士、墨流のサブウェポン。
異国の火薬技術を駆使して作られた対人の火薬兵器。
爆風でひるませるのが目的だが、破壊力もある。
【ショットガン@クロックタワーゴーストヘッド】
礎等に支給。
原作では第二章以降で手に入る強力な武器。
散弾を発射するため、標準をいちいち合わせることなく寄生脳を撃ち抜けるすぐれもの。
だがその分弾数も4と少ない。
ちなみに、第二章の最後での病院脱出の時に礎が使っているショットガンとは別物。
- 486 : ◆YR7i2glCpA:2011/07/24(日) 00:56:58
- 投下終了です。
- 487 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 20:52:57
- 俺主催ロワ第6話:拳の音
登場:小川拓也、code;003
- 488 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 21:08:12
- 小川拓也は俗に言う『DQN』と呼ばれる人種である。
少しかじっているボクシングのパンチを生かしたカツアゲ、恐喝、暴行………とにかく、あまり大袈裟ではない『小悪党』だから更に性質が悪い。
「…ッハァ!やってやろうじゃないの!」
優勝者には一つどんな願いすらも叶える権利が与えられる。
女、金、名誉。どんなものでさえ思いのままに手に入る。
たった47人殺せば、一生遊んで暮らせるのだ。悪くない話ではある。
次に、ランダム支給品なるものを確認してみる。出てきたのは鋼鉄のグローブ。説明書には『銃弾20発を耐えきる耐久度』と書かれていた。
「来たんじゃねえのこれ。さあ、まずは適当に…」
その時、視界の隅に一人の女の姿を拓也は視認した。
相手はこちらが気付いていないと思い込んでいる。拓也は口角を上げ、下品な笑みを浮かべて鋼鉄のグローブを構え、一気に女との距離を詰める。
パァァァアアアアアン!!という破裂にも似た音がした。
それは、女の顔が砕け散った音ではない。拓也の拳を、女の右手が受け止めた音だ。
手に女が力を込めると、グローブごと拓也の左手首を握り潰した。
「ぎゃああああああああああああああああああっ!!」
- 489 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 21:20:13
- 拓也の絶叫。次に女は右の拳で拓也の腹を捉える。それは勢いよく腹を破り、そのまま中身をまき散らした。既に絶命した拓也の頭に、女はとどめの拳を叩き込んだ。
残ったのは、頭が潰れた無惨な死体だけだった。
◆
『参加者、小川拓也の殺害を完了。残り46人』
code;003という『女の姿をした兵器』は、機械的に呟いた。
彼女ーーーというと語弊があるかもしれないが、code;003は主催者たちに用意された『サクラ』役である。フォルムは人より明らかに強度が高い。
全ての動作のスペックは各種の格闘技動作がプロ級、それに見合う作られ方をしている。ありとあらゆる能力を最高まで引き上げたまさに『殺戮機械』。
【小川拓也@オリキャラ】 死亡
【残り46/48人】
【深夜/f-2】
【code;003】
基本:参加者を減らす。
※主催のサクラなので、死亡状況などを常に把握しています
- 490 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 21:24:37
- 【小川拓也】
19歳のDQN。ボクシングを習っており、それを悪事に利用するクズ。
一応彼女は居るが、ヤンデレ気質のため困っている。
【code;003】
◆9QScXZTVAcと◆VxAx.uhVsMにより開発された殺戮兵器。
code;001と002も存在するが今回は未導入。
投下終了です
- 491 :『主人公』 ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 21:51:51
- 野比のび太ーーーーー。彼はこの殺し合いにおいて、常識で見れば生き残れる確率はかなり低い人間だ。運動音痴、頭の悪さ、どちらも最悪クラス。
只、彼には主人公となる素質がある。射撃能力は現役のガンマンを当に超えている。
更に大きな問題に巻き込まれたときの決断力は高い。
バトル・ロワイアルという状況において、のび太はとある決断を強いられることになる。それはこれから綴られる物語に大きな変化を起こすこととなるのであったーーー。
◆
「うぇぇえええん、怖いよー、ドラえもーーん!!」
のび太はいつものように叫んでいた。
しかし、どれだけ喚こうともドラえもんはこの殺し合いに呼ばれていない。
ーーーなのに。
『のび太君、聞こえるかい?』
最高の親友の声は、確かにのび太の耳に届いていた。
それが何かの秘密道具なのは理解できたが、それらしいものは確認できない。
『いいかい、時間はあまり残されていないんだ』
「ドラえもん!どこなの、助けてよ!」
『……ごめんね。でも、君には一つできることがあるんだ』
できること。
例えば、大魔王デマオンや鉄人兵団と戦ったときのように、何かできるのだろうか。
- 492 :『主人公』 ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 22:02:12
- しかし。のび太の期待したような、優しい言葉が掛かることはなかった。
『君が全てを殺して、何もかもなかったことにするんだ。それで全部救える…!』
「ーーーーーえ?」
殺せ。その悲しそうな声色の言葉の意味が、のび太は理解できなかった。
そしてすぐに。のび太はある『賞品』を思い出す。
「願いを、かなえる権利…。」
『そうだよ。君はそれを手に入れるために、ジャイアン達も殺すんだ』
あまりにも残酷な方法。だが、のび太には守りたいものがあった。自分が居て、皆が居て。そんな暖かい日常が、きっと数多に繰り広げられているのだろう。
なら、殺し合いがあった事実を消し去ってしまえば?
何もかもを守るには、確かにそれしかない。野比のび太に、事実は押し寄せる。
ーーーーーそれでも。
「分かった。僕、やるよ。殺し合いに乗る」
返事はなかった。通信が途切れたのだ。
もう頼らない。支給された実銃ーーーワルサーP99を右手に持ち、ゆっくり歩き出す。
【野比のび太】
基本:優勝して『殺し合い』をなかったことにする。
1:仲間には会いたくない。でも、会ったら覚悟を決める。
- 493 :『主人公』 ◆9QScXZTVAc:2011/07/25(月) 22:03:05
- 投下宣言忘れてたorz
タイトルは『主人公』でお願いします
- 494 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 06:12:10
- 俺主催ロワ第7話:夜叉と書き手とヤンデレ少女
登場:◆YR7i2glCpA、桂言葉、坂田銀時
- 495 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 06:27:32
- 攘夷志士。その中でも、"白夜叉"と呼ばれ恐れられた男が居た。
坂田銀時。
今は万事屋の主人として二人の従業員と日々穏やかでどこかカオスな日常を謳歌していたのだが、異星人『江蓮』との戦いの後急に意識を奪われた。
目が覚めればこの悪夢。そして、銀時は罪の無いーーーーというと語弊があるが、一人の少女を無惨に見せしめとした二人に激しい怒りを覚えていた。
「許さねえ…◆9Q、◆Vx…てめえ等は俺が斬る」
「おー。さすが銀さんだ。俺は運が良いな」
「うおぉっ!誰だお前!」
「俺は◆YR7iglCpA。◆9Q氏達とは知り合いだ」
何故自分の名を知っているのか、と銀時は不思議に思ったが、敵意は無いようなのでとりあえず安心する。◆YRは主催と知り合いらしいが、どのような関係なのかも気になった。
そんな時、『三人目』が現れる。
黒く長い髪。身長はやや小柄だが、胸は爆乳と言ってもいい大きさだ。
一言で言うなら『美少女』であった。
「私は桂言葉です。殺し合いに乗る気はありません」
しかし、その少女の右手には、あまりに立派な日本刀が握られていた。それでも、日本刀の存在感に負けない気品が言葉にはあった。
- 496 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 06:37:46
- 言葉はくすり、と笑うと、
「模造刀ですよ。居合いに心得があるので、護身用に」
「あぁ…。」
正直、本物だったら二人は成す術無く殺されていただろう。言葉がゲームに乗っているならの話ではあるが、その実力はプロ級だ。
銀時たちはひとまず知り合い達を探すことにし、歩き出した。
【坂田銀時】
基本:主催者を斬り、ゲームを終わらせる。
1:◆YR、言葉と行動する。
2:神楽、新八と合流したい。ヅラは…大丈夫か
※江蓮編終了後からの参加です
【◆YR7iglCpA】
基本:殺し合いには乗らないがとりあえず生存優先
1:他の書き手さん達を探す。
【桂言葉】
基本:殺し合いには乗らない。
1:伊藤誠と清浦刹那を見つけだし護衛する。もし死亡したら…?
2:西園寺世界については保留。敵対するなら始末する。
※『Summer Days』刹那トゥルーend終了後からの参加です
- 497 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 06:38:35
- 投下終了。少し参加者増やそうかな…二名ほど
- 498 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 13:59:07
- 俺主催ロワ第8話:運命は通行止め
登場:最上晋太郎、ジューダス、石田三成、源静香
- 499 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 14:17:33
- ここはc-3エリアのレストラン。下品な食事をする銀毛の狼が、ただ笑っていた。
殺し合いに対する喜び、数多の肉を喰らえる楽しみ。
ジューダスは食べる事に異様な執着を見せる狼で、この殺し合いには◆9QScXZTVAcが是非参加させたいと言ったお墨付きの狂人ーーーー。
厨房の肉を一通り喰い終わると、今度は酒蔵のワインを一気に煽る。
至福の時間であったが、それさえ凌駕する至福の訪れをジューダスは感じ取った。家畜の肉では意味が無い。香るのは確かに人間の香り。
「人間かぁ…ヒヒヒ、こりゃあいいスタートだ」
ジューダスは狼の中でも異様な嗅覚を持ち、それをレーダーにして人間の居場所を探す。近くに居るのは三人。これで空腹は満たせそうだ。
そして、爛漫と光る瞳が、一人の少女を捉えていた。
あの細い首を噛み切り、喰らい尽くす。
そのために、ジューダスは人間離れした動きで少女に飛びかかろうとする。
ーーーーーガキィィイイイイン!!
と、ジューダスの爪に、トンファーが激突した。
攻撃したのは最上晋太郎。彼はただの人間である。しかし、最上には正義感がある。そのためにならどんな危険な事さえ冒す覚悟もあった。
「何してんだ」
- 500 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 14:39:03
- 「補食だよ。人の肉は格別だからな」
そうか、とジューダスが飛びかかり、再び二つの影ぎ衝突した。
◆
「嫌…どうすればいいの…?」
源静香は、二人の戦いを見て泣きながら呟いた。
殺し合いなどできないが、さっき最上が助けに入らなければ殺されていただろう。
しかも、武器があるとはいえ身のこなしでジューダスがわずかだが勝っている。
「もう………嫌ぁ……」
ごとり、と嫌な音がした。
最上とジューダスの動きが固まる。今のは、まるでーーーーーー人の首を、*り*としたような音ではないだろうか?と。
見れば、そこには二人の予想に反さぬ惨状が広がっていた。
静香の首と胴体が泣き別れになり、その後ろには刀を持った男が立っている。
"君子殉凶"石田三成。
今は亡き覇王・豊臣秀吉の仇討ちとその意志を継ぐ為に天下を狙い、宿敵・徳川家康や独眼竜・伊達政宗を討ち天下を統一。世界への進出を果たしたのだ。
彼の瞳は怒りに燃え、銀色の髪は彼の真っ直ぐさを象徴するように輝いている。
「秀吉様……あの者達を、斬滅する許可を」
正に刹那。ジューダスと最上の居た場所を、刀が斬り裂いていた。
二人ともとっさに身を反らして回避した。
- 501 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 14:52:32
- しかし、幾ら優れた戦闘センスを持とうと、あの速さの斬撃相手には太刀打ちできない。それは、正義と悪の相反する性質の二人に同じ感情を抱かせた。
ーーーーーーーー逃げよう。
「おい偽善者」
「黙れ鬼畜。大方言おうとしているのは同じだろう」
「「話は後だ。まずは逃げるぞ」」
最上は支給されたかんしゃく玉を地面に炸裂させ、僅かだが三成に隙を作る。
後はただ一つ。全力で走る。二手に別れれば、片方は逃げきれるだろう。
もう後ろは振り返らない。後は全力で走るだけである。
◆
「……腰抜けが」
石田三成は苦々しげに吐き捨てた。二手に別れて逃げたようだが、別に追う気はなかった。どうせ出会い頭で斬り続ければ一撃で『斬滅』できる。
豊臣秀吉の後を継ぎ、仇討ちをした。そして、秀吉を侮辱した独眼竜も斬滅した。
やっと手に入れた天下。次は世界を目指そうとした、のに。
「……私が一体何をした」
不幸すぎる運命に対してそうとだけ言い放ち、次は名簿に目を通す。
真田幸村。西軍の仲間であったが、彼もこの殺し合いに呼ばれているとは。
片倉小十郎。奴に関しては恐らく自分に大きな殺意を持っているだろう。
- 502 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 15:09:09
- 主を討たれる怒りは、三成には痛いほど分かる。だが同情しようとは思えない。彼本人ではないとしても、伊達政宗が憎悪の対象であることに変わりはない。
明智光秀。奴は死んだはずだと記憶していた。
山崎の戦いにおいて、他ならぬ豊臣が討ったはずである。生き永らえていたのは驚きであった。しかし、三成は知らない。明智光秀は確かに死んだのだ。
それを生き返らせた。だがそれは三成には理解できなかっただろう。
【深夜/c-3】
【石田三成】
基本:優勝して元の世界に帰る。
1:弱者・強者は問わずに殺す。
2:『願い』でもし秀吉様と半兵衛様を生き返らせるなら……?
※天下統一後からの参加です
◆
「……ッ、危ねえ…」
ジューダスはやっと一息つく。
どうやらあの男が追ってきてないらしいことを確認したためだ。
そして、恐怖と同時にある種の期待さえ芽生えていた。
「何度見てもよ…ヒヒッ…人間は旨そうだよなぁ」
もっと食いたい。家畜と安酒では全然足りない。最上も、三成も喰らいつきたい。
更に優勝すれば、自らの求める至福の食事を堪能できるかもしれないのだ。
あまりにも魅力的な話であった。
- 503 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 15:19:43
- 【ジューダス】
基本:人間を喰らい、堪能する。
1:獣はどうでもいいから勝手に死ね。
2:死体は食わない。
◆
最上晋太郎もまた、少し離れた場所で一息ついていた。
武器のトンファーに視線を落とし、さっきの光景を思い出す。
「……畜生。情けねえ」
罪の無い少女を守れず、あまつさえその場から逃げ出してしまった。もしも粘って戦えば、0.0000001%でもあの男を殺害できる可能性はあったかもしれないのに。
だが、立ち止まることはできない。
一度掲げた正義を、絶対に投げ出したりはしない。たとえこの身を散らしても尚、一人でも多く殺し合いの意志を持つ者を抹殺する。
歪んだ正義の名の元に、最上は進んでいく。
【最上晋太郎】
基本:殺し合いに乗る奴を一人でも多く殺す。
1:自分の命は顧みずに、少しでも多くの殺人者を殺す。
2:石田三成とジューダスは次会ったら必ず殺す。
【源静香@ドラえもん】 死亡
【残り47/50人】
- 504 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 15:22:58
- 【ジューダス】
26歳の雄狼。体毛は黒。
食人を生き甲斐としており、その為にならすべてを投げ出してもいいと豪語する。
【最上晋太郎】
18歳で、ある高校の生徒会長。
しかし、どんな理由であろうと違反を許さないなど堅いことから忌まれている。
- 505 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 15:23:49
- 投下終了です。光秀=天海説は無視の方向で
- 506 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 19:23:30
- 俺主催ロワ第9話:幸せスパイラル?
登場:伊藤誠、神北小毬
- 507 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 19:33:57
- 「何なんだよっ…これ……!!」
悪夢のような状況だった。噛み合わない会話。確かに死んだ筈の言葉が生き返り、世界は死んだのは自分だなどと言い出す。そして、加藤の首が破裂した。
不謹慎だが、吐きそうになってしまう。
どうすればいいのかなど、もうとっくの昔から分からなかった。あの日ーーー言葉が自分と世界の前で飛び降り自殺をした時から。
「……死んだ方がいいのかな、俺は」
「そんなこと言っちゃ駄目ぇーっ!」
突然の大声。驚いて顔を上げると、どこからか金髪をボブにまとめ、星のアクセサリーをリボンで留めた少女が走ってきていた。
「あのねー。生きていれば必ず、良い事があるんだよー。あなたが幸せ、私も幸せ。みーーーーんな幸せ、という訳です。」
「何だそれ。幸せスパイラルとでも言うのか?」
正解、という風に小毬は親指を突き出して前に出した。
誠と小毬は簡単な自己紹介を終えると、暫くはここに居ようとなった。
- 508 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 19:38:02
- 【伊藤誠】
基本:とりあえず殺し合いはしない。
1:神北を守り、行動する。
2:世界、刹那を探す。
3:言葉に関しては保留
※badend『我が子へ』からの参加です
【神北小毬】
基本:殺し合いはしない。
1:理樹くんたちを探す。
2:誠くんと行動
※Refrain、鈴に別れを告げた後からの参加です
- 509 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 19:38:43
- 投下終了です
- 510 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/26(火) 21:24:57
- 久々に需要なし3rd投下します
タイトル:ドンパチ大決戦
登場人物:大岩忍、◆xzYb/YHTdI
- 511 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/26(火) 21:25:28
- 「…駄目だ、見当たらない」
爆弾を投げ込んで来た奴を探して、B-2辺りまで走って来てみたが、結局それらしい人間は見当たらなかった。
目当ての人間を見つけられず、がっくりと肩を落とす。
(仕方無い…遭遇しないように進もう)
ホームセンター目指し、再度歩き出す。
…それが、いけなかった。
突然、背中に何かが当たる。
「痛っ…」
投げつけられた物を探そうと思ったが…。
とてつもなく嫌な予感がした◆xzYb/YHTdIは、すぐにその場から離れる。
その瞬間、閃光と爆風が◆xzYb/YHTdIを襲う!
「ああああっ!!??」
一瞬、反応が遅れせいで、全身にダメージを負ってしまう。
(くそ、右目が良く見えない。ゴミでも入ったのか?)
右目を確かめようと触ってみる。
…何だか、生温かくぬるりとした物が手に触れる。
もしかして、これは…血?
「…目を…やられた…」
爆風でやられたのか爆発で飛んで来た何かが当たったのか、それは分からない。
しかし、こんな状況で片目が使えなくなったとなると、かなり不利になってしまう。
いままで両目を使っていたのにいきなり片目になってしまったのでは、遠近感もつかみづらい。
- 512 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/26(火) 21:26:03
- (今襲われたら…全身のダメージも相成って危険だ)
とはいえ、敵の姿を探そうにも辺りはさっきの爆発の煙がまだ残っている。
煙のせいで、視界は最低だ。
気配を探ろうにも、自分にはそんなこと出来そうにない。
(どこだ…そもそも、近くにいるのか?)
だんだん煙も薄れ、視界がクリアになっていく。
痛む体を押さえ、何とか立ち上がる。
そのまま辺りを見るが、あまりの惨状に唖然とする。
「…これはひどい」
爆発の影響か、橋は崩れB-3には行けなくなってしまった。
橋もボロボロで、端に近づくと壊れてしまいそうだ。
しかし、爆弾を投げつけてきた奴の姿は見えない。
(投げつけてきた奴は、あといくつ爆弾を持ってるんだ)
さっきので最後だったのか、それともまだ残っているのか。
アレで最後なら、もう攻撃されることはないだろう。
銃は、おそらく持っていない。持っているなら、わざわざ爆弾を使うなんて回りくどいことはしないはずだ。
しかし、まだ持っているなら厄介だ。
どれほど腕力があるか知らないが、再度投げつけられたらもうかわせない。
「とにかく、ここから離れた方がよさそうだ」
痛む体にムチ打って歩き出す。
右目がダメになり、体もボロボロになんてしまったが、死ぬよりいい。
幸い、右目の出血も、弱まってきている。
- 513 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/26(火) 21:26:37
- (この橋がダメになったと言う事は…向こうに渡る手段は無くなった、ってことか)
これでは、傷の治療もできない。
ホームセンターに行っても、治療器具があるかどうか分からない。
そもそも、こちら側に危険人物がいないと言う確証もない。
今の自分では、応戦どころか逃げることもままならない。
(…ないない尽くしだな…)
無いことをいくら嘆いても、無い物が手に入る事はない。
「…いつの間に、俺より先に?」
「煙だらけなお陰で、近くを素通りするくらい欠伸が出る程簡単だったわ」
「俺を殺す気か?」
「今更そんな事聞いてどうするの」
「質問に質問で返したら駄目だろ」
相手に銃を向けようとするが、体が痛んで素早く構えられない。
「そんなゆっくりな構えで撃てるの?」
「撃つのに構えるスピードは関係ない」
構えている間にも、相手が爆弾のスイッチを入れる。
「それじゃ…死になさい」
…妙だ。異常な程、爆弾の動きが遅い。
相手の動きも、スローモーションに見える。
自分も、精一杯速く動こうとしているのに、ゆっくりとしか動けない。
…自分は、ここで死ぬのか?
死の直前、全てがゆっくり見える事があるとか聞いたことあるが、まさか、これが?
「…もう迷うことなんてないか」
引き金を引くと同時に、散弾が、ゆっくり敵に向かって飛んで行く。
その瞬間、目の前で爆弾が――。
◇
「最期に、こんなことするなんて…」
◆xzYb/YHTdIが死の直前に放った散弾は、忍の胴体にヒットしていた。
出血が酷く、傷口も広いせいで内臓まで露出している。
「こんな状態で、生きてる方がキツいわよ」
もの凄いスピードで意識が遠ざかっていく。
もう、抗ったところで何にもならない。
(剛…今そっちに…)
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手 死亡】
死因:爆死
【大岩忍@オリジナル 死亡】
死因:射殺
※B-2の橋が壊れました。
- 514 : ◆6LQfwU/9.M:2011/07/26(火) 21:27:08
- 投下終了です
- 515 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 22:12:34
- 俺主催ロワ第10話:"The God"
登場:テト、貝町ト子、真田幸村
- 516 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 22:25:56
- 『よう。お前はテトで合ってるな?』
「そうだけれど。呼びつけた理由は何?場合によっては殺すわよ」
暗い闇の中で、◆VxAx.uhVsMは参加者の一人となる『予定』の猫族少女テトを、ゲームの開始前に呼び出していた。テトは薄々自分たちの殺し合いを模倣する気だとは気付いていたし、ようやくラトと一緒になれたのにこんな目に遭うとは、◆VxAx.uhVsMを殺してやりたい気分だった。
だが、この男からは得体の知れない何かを感じる。だから、大人しくしていた。
『いや、待てって。さすがにお前の力振り回されたら危ないから。話だけでも聞いてくれ。…なぁに、決して悪い話じゃあないぞ』
悪い話じゃない。それに、テトの眉がぴくっ、と動く。
無言で床を靴のつま先で叩いたのは、早く続きを、という意思表示なのだろう。
『◆9Q氏も化け物みてえなサクラを用意してるんだがな。機械ということもあり少し不安がある。だから、お前にも同じように行動してほしい。援助として、お前の力の反動を抑えておくし、制限はかけない。』
「美味しい話ね。願いもしっかり叶えてくれるのかしら?」
◆VxAx.uhVsMは更に続けた。
『いや』
- 517 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 22:38:36
- 「……?」
『お前には、最初から報酬付きだ。太田太郎丸忠信は参加者だから無理だけど、吉良邑子、愛飢夫、壱里塚徳人を生き返らせてある。…憎いんだろ?好きなように殺させてやる』
テトの口元が邪悪な笑みを浮かべる。
彼女が壊れてしまった最大の原因である奴等。それを無惨に殺すのは、どれほど楽しく、魅力的なことだろうか。
条件は成立した。
幾らかの時が経ち。個室から、血塗れで微笑むテトの姿が現れた。
◆
「また殺し合いか」
前回の殺し合いではあと一歩のところで殺害されてしまった。
貝町ト子は、殺し合いに乗るかどうか思案していた。
麻薬の禁断症状は現れていない。まだ、理性的な思考ができる状態である。
しかし、そんな時。ト子がかつて見捨てた一人の猫族少女の姿を、確かに捉えた。
「テト………っ!!」
「あら、貝町ト子。こんなところで会うなんて偶然ね」
彼女には、謝っても謝りきれないほどのことをしてしまった。
今なら、戻れるかも知れない。そんな淡い期待を抱きながら、ト子は口を開く。
「テト……私は、」
「いいのよ、謝らないで」
優しい微笑みだった。本当に心の底から、ト子は安堵した。
そして、直後に倒れた。
- 518 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 22:51:13
- 貝町ト子は動かない。テトの力によって高圧電流を流され、そのまま死んだ。
もし。相手がト子でなくとも、きっとテトは同じことをしただろう。
「……何か暑苦しいのがいるわね」
「貴様……その方に何をしたのでござるか!!」
「殺したけど」
真田幸村。武田軍の一番槍で、あの独眼竜の好敵手。
熱く燃えたぎる彼の手には、矛のようなものがあった。そのまま、テトに真っ直ぐ進む。いくらテトでも、あれを真っ向から喰らえば間違いなく死ぬ。だからこそ彼女は、策に頼った。
幸村の肉体が燃え上がる。彼の纏う気とは違う、本物の業火。
だが、幸村は倒れない、肉体が焦げようとも、倒れずに進む。
「あら、本当に化け物ね」
「真田…幸村……燃え尽きること…無し……」
そして、燃え尽きた。少し力を追加したら、さすがに耐えられなかったらしい。
【貝町ト子@自作キャラでバトルロワイアル】
【真田幸村@戦国BASARA】 死亡
【残り45/50人】
【深夜/a-2】
【テト】
基本:主催のサクラとして優勝する。
1:太田太郎丸忠信は必ず殺す。
※本編終了後からの参加です
※『神の力』の規制は無く、反動が軽減されています
- 519 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/26(火) 22:51:48
- 投下終了です。
- 520 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/27(水) 19:17:07
- 色々カオスロワ第1話:狐の儀式
登場:こっくりさん、七原秋也、高坂桐乃、新垣あやせ
- 521 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/27(水) 19:31:48
- 『目を覚ませ』
心の中に流れ込んでくるような声で、七原秋也は目を覚ました。
ここはどこだろう。七原の記憶にあるのは、『プログラム』の職員たちを殺害し、逃げだそうとして、戦友である川田章吾の最期を看取るまでだ。
こんな所に、最も守りたい相手の中川典子を置いてまで来るはずがない。
頭を掻きながら辺りを見回すと、七原はまさに、『有り得ない』ものを見てしまう。
「三村……相馬さん…………桐山……!?」
おかしい。
七原の記憶では、三人はプログラムの中で死亡した筈だった。
しかも、三村信史と相馬光子はともかくとして、だ。桐山和雄は七原の目の前で確かに死んだ。見間違いようもない、頭を撃ったのだから。
何がどうなっているのだろう。必死に考えたが、分からなかった。
三村たちに話しかけようとしたが、声が出ない。恐らくは混乱で大騒ぎになるのを防ぐため、なのだろう。だが、それこそ何のために?
……なんて現実逃避は、所詮幻想だった。
『注目しろ。私は狐神ーーーーいや、こっくりと言った方がイメージは沸くかな』
「(こっくり…?こっくりさん、ってことか?)」
確かに、金色の尻尾が見られた。にわかには信じがたい話だが。
- 522 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/27(水) 19:45:04
- こっくりさん、と見るのが一番自然だ。
人型で、狐の部位は耳と尻尾だけ。胸は小さいが膨らみがある。
『悪いな。貴様等を召喚したのは、とある儀式をーーー正確には、私の封印を完全に解き明かすための儀式を行ってもらうためだ』
儀式。普通は演舞でも舞うのだろうが、わざわざこれだけの人数を集める理由はない。
やはり、どうしても七原には、最悪の想像しかできなかった。
そしてそれは、最悪の形で現実となる。
『これより貴様等には、最後の一人まで殺し合いをして貰う』
最悪だ。またしても、この悪夢が七原の希望を砕くのだ。
これには三村たちも呆然とした様子であった。桐山だけは冷静であったが。
『だが。何もタダで殺し合えとは言わない。勝者には、どんな願いも叶える権利を与える。私は弱っているとはいえ神格の力はあるのでな。死者の蘇生なども可能だ』
状況は改善された?いや、七原はより悪化したことに気付いていた。
殺し合いという極限状態はただでさえ混乱による殺人を生むのに、それに願いを叶えるなんて『ご褒美』を与えたら、殺し合いに乗る者は更に増える。
そこで、七原はすっ、と手を挙げる。質問の合図だ。
こっくりは七原を指差す。
- 523 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/27(水) 19:54:13
- 声が急に出せるようになったが、相変わらず体は固まったままだ。
「……俺が知っている『プログラム』には首輪があった。今回は無いのか」
『首輪では無いがな。貴様等の逃亡を防ぐために、ある呪いをかけさせて貰った』
ぱちん、と指を鳴らすと、こっくりの横に茶髪の美少女が急に出現した。
声は出せないし体は動かないと、七原たちと同じ状態にあるようだ。
しかし、彼女はこれが殺し合いだと知らないようにきょとんとしている。
『儀式を放棄すると、こうなるからな』
メキャッ、という音。
少女の体が、空間ごと潰されていた。四方から潰された体は、跡形も残らない。
こっくりの笑い声だけがしばらく響いて。
世界が白く染まり、『それ』は始まった。
【色々カオスなバトル・ロワイアル 儀式開始】
【残り30/30人】
【高坂桐乃@俺の妹がこんなに可愛いわけがない】 死亡
- 524 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/27(水) 19:54:50
- 投下終了です。
- 525 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/28(木) 20:23:24
- 規制されたので都築投下します。
- 526 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/28(木) 20:23:55
-
「大丈夫かい?」
『大丈夫?』
「あ、はい…ありがとうございます」
戦いが終わり、三人は話していた。
放送などの情報を交換もした。
◆ymCx/I3enUを弔い、銃をもらって、死体を教室に隠してきた。
そして清丸に首輪も解除してもらった。
もうこれでやらなくてはいけない事はやった。
「実は今から最後の鍵になるかもしれない所に行くんだけど…行く?」
「え、どこですか?」
「屋上………だよ」
そして、最後の戦いが始まる。
- 527 :集合と算数 ◆VxAX.uhVsM:2011/07/28(木) 20:24:29
- 【??/C-3八十神学園図書室】
【球磨川禊】
[状態]健康、首輪無し
[装備]大螺子
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:『あの男をぶっ殺そう』
1:『清丸ちゃん達と屋上に行くよ』
2:『七不思議とやらを封印しようか』
3:『ごめんね、蛾ヶ丸ちゃん、めだかちゃん、善吉ちゃん』
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は生徒会戦挙編終了後からの参戦です。
【遠藤清丸】
[状態]健康、首輪無し
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:七不思議を封印する。
1:球磨川君たちと屋上に行く。
2:いちろ君が死んだ…ね。
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は本編終了後からの参戦です。
※首輪解除の方法を知りました。
【◆YR7i2glCpA】
[状態]右足に銃創(応急処置済み)、精神的疲労(極大)、頭に強烈な痛み、首輪無し
[装備]ワルサーPPK/S(7/7)
[所持品]基本支給品、ワルサーPPK/Sのマガジン(2)、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:殺し合う気はない、死にたくない。
1:球磨川君、風丸さんと屋上に行く。
2:◆ymCx/I3enU氏…ごめん。
3:WYG氏は……?
[備考]
※願いは不明です。
※元の世界の知識はある程度残っています。
※右足の痛みになれたので歩けるようにはなりました。
- 528 : ◆VxAX.uhVsM:2011/07/28(木) 20:26:33
- 投下終了です。
- 529 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/30(土) 00:54:22
- 雑多ロワ32話、状態表だけさるさん食らったのでこちらに投下します
【G−5/劇場前大通り 裏道の酒場/一日目 深夜】
【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]城岩中学校の学ラン
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]基本・殺し合いには乗らない
1・ラザフォードと行動する? それとも…
2・三村信史、桐山和雄、相馬光子とは合流したい(三村信史を最優先)
【アイズ・ラザフォード@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]健康
[装備]核金@武装錬金
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]基本・鳴海清隆を打倒する為に鳴海歩をサポートする。
1・ナナハラと行動するかは彼次第
2・他の参加者と出来る限り多く接触し、鳴海清隆の目的を考察する。
3・知り合いとは合流したいが、ブレードチルドレンに関しては最悪『スイッチ』が入った場合も想定し、一応は警戒しておく。
4・カノン・ヒルベルトの蘇生に疑念。
※参戦時期は最終巻、火澄との決着後から、歩と清隆が対決する日までのどこかです。
投下終了です。
タイトル元ネタはシューマンの「ダヴィッド同盟舞曲集」から
- 530 : ◆8nn53GQqtY:2011/07/30(土) 01:02:01
- アイズの[装備]にS&M M59(15)@現実を追加します
やっちまったい……
- 531 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/30(土) 21:42:31
- 色々カオスロワ第4話:『』
登場:浅川智弘、鹿目まどか
- 532 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/30(土) 21:57:50
- 「ほむらちゃんにマミさんまで…。」
鹿目まどかは、浮かない顔で言った。
もしも彼女が、『概念になった』時間軸の鹿目まどかだったのなら。恐らくはあの場で、こっくりの心臓に風穴を開けるくらいは容易であっただろうが、この鹿目まどかは『一周目』のまどかである。
人とは違う力を有している。その程度では、このゲームを壊せない。
それを、鹿目まどかは知らなかった。それが、彼女の命運を左右するなど知らずに。
夢と希望の魔法少女物語など、どこにも存在しないというのに。
パパパァン!という破裂音がした、弾は右の肩をかすめて飛んでいった。
まどかはとっさに武器である弓を取り、引き絞る。
殺しはしない。足を撃てば、とりあえず動きを止めて安全を確保できる。
そんな思考は、襲撃者には通じなかった。
矢が、まるで飴細工のようにどろどろに溶けーーーーーいや、矢が消滅して、液体のような波紋を見せる球体になっている。
「…え?」
「『衝撃圧縮』」
球体はそのまま、ゆるやかに前方にふわふわと飛んでいき、空中で静止した。
ドゴッ!という轟音の後に、衝撃波のようなものが放射されたのだ。
まどかの肉体が飛んでいく。しかし男は動かない。
- 533 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/30(土) 22:13:00
- しかしそこは日が浅いとはいえ、魔女との戦いを繰り広げてきた魔法少女。すぐに体勢を立て直し、今度は高速性に特化した矢を放つ。
が。男の前でそれは吸い込まれるように消えていく。
そして、まどかがそれを理解するより早く、まどかの体を男の前から猛烈な速さで射出された無数の槍の内一本が串刺しにしていた。
「何で……」
「残念だが、何も考えない攻撃では俺には届かないぞ」
ぐらり、とまどかが揺らぎ、そのまま仰向けに倒れてもう二度と動かなかった。
不思議な事に、その胸元に傷口はない。しかし、確かに攻撃を受けた箇所は内出血でどす黒く変色を始めていたことから、血管は切断されているようだ。
浅川智弘。彼はとある研究施設で開発された『超能力者』である。
能力名は設定されていないが、彼を見た者はこう形容した。
ーーーーー『衝撃ATM』ーーーーーダメージバンク、と。
自分の受けた衝撃を、攻撃15発分まで溜めることができる。更に、手で触れたものの衝撃は彼の思い通りに形を為し、時には爆弾にもなる。
智弘が何故超能力者になったか。それは、最愛にして唯一の理解者で決して成り合えない存在の妹、夕。彼女をあらゆる理不尽から守るため。
- 534 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/30(土) 22:27:20
- 浅川夕。彼女は『コア』と呼ばれる存在だ。
その場に存在するだけで、超能力を人に発現させられる素質を持っている。
研究者は血眼で夕を捕らえ、生命維持装置に投入して脳を開発、『コア』を覚醒させるために一生を研究所で過ごさせるために奮闘している。
学校では、陰湿な虐めにあい、すでに智弘と『優しい人』にしか心を開かずに家に引きこもるだけ。そんな日々が、ずっと続いていた。
彼は研究者に開発を申し込み、『化け物』になった。
全ては、妹のために。妹を狙う奴等は皆殺しにした。妹を虐めた奴等は顔が滅茶苦茶に腫れ上がるまで痛めつけ、主犯は尋問した。
『いつでも笑顔を絶やさないのが妬ましかった』
ふざけるな。
お前のせいで夕は滅茶苦茶になったんだ。
お前のせいで他人とはキャンノットスピーク状態。
『死ね、死ね死ね死ね死ね死ねっ!お前は知ってるのか!あいつは、夕が絶対にお前等を悪く言わないんだよ!なあ、知ってるのかよ!一度壊れちまった奴が、本当に心からの笑顔を浮かべるのがどれほど大変なのか!想像もできないなら死ね!その汚え中身を撒き散らせよ、屑がぁぁああああああっ!!』
潰した。上から、フルチャージの衝撃をかけてプレス。
- 535 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/30(土) 22:36:23
- 人間の中身は意外とピンクと灰色なんだと初めて知った。
あいつだけが幸せならいいんだ。
あいつだけでも笑って暮らせる世界を作る。だから俺は、夕を連れて主催者に交渉する。二人の優勝という特例を認めてほしいと。無理なら、俺はその場で舌を噛む。
「必ず、お前が安らげる世界を作ってやる。……待ってろよ、夕」
『お兄ちゃん』と無邪気に呼ぶ夕の声が、脳内で反響した。
【浅川智弘】
基本:主催に交渉を持ちかける。無理なら自害する。
1:夕以外の参加者は殺す。
【浅川智弘】
19歳の大学生。前述の通り超能力者。
妹の浅川夕を溺愛しており、彼女の為なら命さえ辞さない覚悟。
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 死亡
【残り29/30人】
- 536 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/30(土) 22:37:04
- 投下終了。
タイトルはミスじゃないので気にしないでください
- 537 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 19:17:26
- 色々カオスロワ第5話:死のティータイム
登場:リカちゃん、巴マミ、向井均
- 538 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 19:31:29
- d-2。少し小綺麗な町並みが特徴的なエリアである。中でも、一軒のデパートが一際目を引く。恐らくはこのデパートもいずれは殺し合いの舞台となるのだろうか。
魔法少女巴マミは、内部にある喫茶店で紅茶を飲んでいた。
端から見れば、暢気だとか現実逃避だとか思われるかもしれないが、それは違う。人間とは、自分の安らぎを得ることで普段より集中して物事を捉えられるようになる。
彼女にとってはそれが紅茶だっただけの話だ。
「(暁美ほむら……注意した方が良いかもしれないわね)」
『一周目』のマミは暁美ほむらと協力して魔女退治をしているのだが、彼女の時間軸ではほむらが鹿目まどかに固執したため、ほむらとは実質的に敵対していることになる。
彼女の真意など露知らず、マミはただ警戒心だけを強めていく。
もっとも、魔法少女としては彼女の方がベテランで、魔法の才能もほむらを優に超えている。ある程度ほむらがイレギュラーな力を行使してもそれなりには対応できる自信があった。
もう一度名簿に視線を落とし、眉をひそめた。
『鹿目まどか』の名前が、マミの脳内を埋め尽くしていく。
まどかは孤独な戦いを繰り広げてきたマミの初めての『仲間』だ。
- 539 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 19:44:40
- 魔女シャルロッテの戦いの最中、とどめを差そうとした瞬間に召還されたので、まどかがあの場所に取り残されていないか不安だったが、いざ名簿に名を見つけると、不安は何故かより大きくなっていった。
まどかだけではない。美樹さやかもあの結界に置き去りにしてしまった。もう遅いかもしれない。ただ、さやかが魔法少女になってシャルロッテを倒していることを祈ることしかマミには出来なかった。
「情けないわね…可愛い後輩を守ることも出来ないなんて」
自嘲的な笑みを浮かべると、マミは行動を起こすために席を立ち上がった。
紅茶をわざわざ片付ける辺り、やはり彼女には極限の状況にもわずかな余裕が見られた。しかし、彼女は知らなかった。いや、心のどこかで否定したかったのかもしれない。
主催者は『こっくりさん』ーーーー彼女は知能を持った魔女だと判断したのだが、それはミスリードである。こっくりは正真正銘の『狐神』なのだ。
同時に、名簿にある『人ならざるモノ』の名称もまた、魔女ではない。
いや、それはある意味魔女よりも数段恐ろしい『異形』の存在ーーーーーーーー。
「ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ!!」
- 540 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 19:57:20
- かしゃん、と音を立てて紅茶の入っていたカップが床に落ちて割れる。
突如響いた甲高い笑い声に、マミの背筋が凍り付いた。
そして悟る。これは魔女などではない。本物の化け物だーーーーー。
服が変わっていき、その手にマスケット銃が握られる。魔法少女としての巴マミは今までに無い明確な恐れを抱きながら、笑い声に銃口を向けた。
心臓が止まりそうになる。マミが見たのは、三本の足で不気味に歩く「リカちゃん人形」の姿であった。両手にはメスがあり、笑い声を響かせながらマミに迫る。
マスケット銃から弾が吐かれるが、人形はふらふらした足取りでかわし、三本の足による考えられないような速度でマミに迫っていく。
歯がかちかちと鳴る。その場にへたり込めば楽になれたかもしれないが、それをしなかったのは『仲間』であるまどかにもう一度会いたかったからだろうか。
「ァッ」
人形の足の一本が吹き飛び、か細い悲鳴をあげて人形が吹き飛ばされた。
射撃があった。それもかなり正確なレンジでの射撃が。
「お嬢さん!とりあえず逃げるのが得策っ!」
小柄な男だったが、まずマミよりは年上だろう。その手にあるドラグノフ式狙撃銃の持ち方から、軍人かミリオタか。
- 541 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 20:10:28
- ただ、声に従って走った。恐怖も背中を押し、今ならどこまでも走れそうなくらい。
残されたのは、二本と半分の足を奇妙に躍らせながら前に進む人形のみ。
"それ"はマミたちを追う。まだ、恐怖の夜は終わらないーーーーー。
【深夜/d-2】
【リカちゃん】
基本:皆殺し。
1:マミ達を追いかけて殺す。
◆
「間一髪、ってとこですかな」
「はい…あの、本当にさっきは有り難う御座いました」
ミリオタにして、『NEET探偵事務所』の一員。先ほどの射撃精度も、どれだけ銃に触れてきたかによるもので、間違っても軍隊で鍛えたりはしていない。
彼の名を向井均といった。
「私は巴マミといいます。殺し合いには乗っていませんが…あれは何だったのでしょうか?」
ストレート過ぎたかな、とも思ったが聞かずにはいられなかった。聞くことで、少しでもさっきの得体の知れない怪物を説明できるかも知れないという期待があったからだ。
しかし向井は首を振り、『それは僕の仕事じゃないんですがね』と前置きした後、話し始めた。探偵事務所の一員として調査をしている時にあったことから行われる考察を。
「この世には、ああいう化け物が確かに存在する……」
- 542 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 20:19:41
- 誰もそれを笑い飛ばすことはできないだろう。
向井自身も、わずかにおびえるような素振りを見せたが、すぐにマミに向き直る。
「きっとあれは追ってくる…だから、僕らはあれを始末するしかない」
「…やるしかないですよね。私も、少々人とは違う力を持っていますから」
ドラグノフ式狙撃銃とマスケット銃。どこか人とはずれた二人は、真の意味で人とは違う存在を討つ為に、もう一度戦いの場に赴くーーーー。
【巴マミ】
基本:殺し合いには乗らない。
1:あの人形を破壊する。
2:鹿目まどかを守る。
※魔女シャルロッテに殺される直前からの参加です。
【向井均】
基本:殺し合いを終わらせる。
1:あの人形を破壊する。
2:アリス(紫苑寺有子)を探して保護する。
※一巻終了後からの参加です
- 543 : ◆9QScXZTVAc:2011/07/31(日) 20:20:16
- 投下終了です。
- 544 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/02(火) 22:30:46
- 投下します
タイトル:惨劇に次ぐ悲劇
登場人物:野村和也、守谷彩子、斉藤卓造、小林竜二、矢部翼
- 545 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/02(火) 22:31:19
- 「…爆発音?」
何処からか、爆発音が聞こえてくる。
1回目からちょっと間を開けて、2回目が聞こえてくる。
「…関係無いか」
それよりも気になるのは、目の前の集団。きっと、全員驚いているだろう。
何せ、返り血浴びた男が、仁王立ちしてるんだから。
むしろ、これで驚かない奴なんているのか?
まあ、いようがいまいが関係無い。どのみち、殺す事には変わりはないんだから。
見た所、強そうなのは2人。
「それじゃ」
最初から、強そうな奴狙いで行く。
「あああっ!」
「うおおおっ!?」
片方の女は仕留めたが、もう片方はなんとかかわしたようだ。
この2人が怯んでいる内に、弱い方を襲う。
「う…撃て!撃つんだ!」
「そんなこと言っても…手が動かないんだよ!」
ビビってるのか、それとも演技か?
どっちにしても、意味のないことだ。
「死んで貰おうか」
ダダダダッ、とSCARが火を吹くと同時に、ザコの1人が崩れ落ちる。
せっかく銃を持っていたってのに、自分の弱さが、死を招くんだ。
「そんな…俺は…ここで…」
- 546 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/02(火) 22:31:50
- 最期に、蚊の鳴くような声で呟いた後、そいつは動かなくなった。
素早く空になった弾倉を取り変え、呆然としている筋肉野郎にブチ込んでやる。
一言も発することも出来ずに吹き飛ばされ、そのまま息絶える。
「あと2人…いや、実質1人かな」
「…いいえ、2人よ」
驚いて振り向いた瞬間、眉間に銃口が押し当てられる。
あの2人を殺すのに集中しすぎたせいか、いつの間にか背後に回り込まれていたようだ。
「…しまった…」
「怪我だけなら武器没収で許してやろうと思ったが…今回はそうもいかねえ」
「…っ」
死を覚悟した。
その瞬間。
「うっ…」
出血のせいか、女がフラつく。
その隙を、見逃すはずが無かった。
「悪いな…俺の勝ちだ」
零距離で全弾全て撃ち込む。
その勢いで、女が吹き飛ばされる。
「もう許さねえ!」
男の怒号が聞こえたと同時に、自分の頭を何かが貫通していた。
意識が消える一瞬、最期に思ったのは…これから、自分なしで生きて行く妹の事だった。
(由美…子…)
- 547 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/02(火) 22:32:23
- ◇
「おい、しっかりしろ!!」
もはや虫の息の状態の彩子を抱える。
体の至る所に被弾し、特に腹部の傷が酷い。
すぐにでも治療しなければ危険だが…治療器具なんて持っていない。
もしも持っていたとしても、この傷では治せるかどうか分からない。
「私の怪我…どんな感じ…?」
「……酷い」
「そこは…嘘でも、大したことないって…言うとこでしょ…」
「悪いな…気がきかなくて」
会話している間にも、出血量は増して行く。
もう殆ど意識も無いのだろう。
無意識に近い状態で、彩子は和也の手を握ってくる。
「貴方は…必ず、生きて…帰ってよ…」
「…ああ」
手を握ってくる力が、急に無くなる。
それが、どんな意味を持つかは、考えなくても分かる事だった。
「くそっ…畜生…」
【一日目・深夜/A-3】
【野村和也@自己満足ロワリピーター】
[状態]:健康
[装備]:コルトパイソン(5/6)
[所持品]:デイパック、血濡れの紙切れ
[思考・行動]
基本:自分の知識を活かし、このゲームを壊す。
1:何てこった…畜生
※A-3に4人の支給品が散らばっています
【守谷彩子@自己満足ロワリピーター 死亡】
【斉藤卓造@オリジナル 死亡】
【小林竜二@オリジナル 死亡】
【矢部翼@オリジナル 死亡】
死因:射殺
- 548 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/02(火) 22:32:53
- 投下終了です
- 549 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 18:04:59
- 投下します
色々カオスロワ第8話:『最悪だ』
登場:ベッドの下の男、新垣あやせ
- 550 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 18:17:29
- 高坂桐乃が、死んだ。
無惨にも、全身を押し潰されて、辞世の句を吐くことさえ許されずに。
それは、新垣あやせという親友に依存した少女を大きく変えることになる。
◆
失った時は二度と戻らず、それはやがて螺旋となる。
◆
「………」
ベッドの下の男、という都市伝説がある。元々は売春宿に潜む泥棒がモチーフらしいのだが、確かにベッドの下は逃げ込みやすい場所でもあり。近代、インターネット上ではかなりポピュラーな話として語られている。
そして、名前も知れないその男は、儀式の参加者に選ばれた。
ここで、一つ補足しておこう。
『ベッドの下の男』は幽霊や妖怪ではない。正体は大半が殺人鬼や強盗である。
つまり、彼は普通の、ありふれた殺人犯でしかないのだ。
手に堅く握られた斧。
原始的な武器ではあるが、殺傷力は下手な刃物よりずっと高い。
殺人鬼はそれを知っていたのか知らないのか、ただおもむろに歩いていく。足取りはどこかふらふらとおぼつかず、目には光彩が無かった。
一言で言えば『怪人』という表現が一番近いだろうか。
ーーーーーだが。この儀式において、彼の望む悲鳴や血は彼には手に入らない。
- 551 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 18:29:35
- 『生きている』人間がいつも狩られる側だというのは間違いだ。
日本や世界の神話には、様々な妖怪や怪物、時には神さえ人間に殺されることがある。
人間が追いつめられた時、狂った時。その力は発揮され、いかなるものをも寄せ付けないほどの殺意と悪意を振り巻き、『異形』は呑まれて消える。
この世のセオリーには、抜け道が存在するのだから。
彼ーーー『ベッドの下の男』が、それに気付くことはあるのだろうか?
答えは否。
頭に矢が突き刺さった死体に、答えなどは与えられない。
◆
罪は罪。正義は罪。時には罪こそ正義となる。
◆
「あははっ、やったよ、やったよ、桐乃ぉ」
光の無い瞳で笑い続ける少女が、足元の死体の矢を引き抜いた。
後頭部に刺されたボウガンの矢には、脳の断片がべっとり付着していたが、新垣あやせは気にも留めない。頭にあるのは、親友への報告だけ。
新垣あやせは、基本的に高坂桐乃に依存している。
生活の話ではなく、感情面など心の支えとして、依存している。
だからこそ、桐乃が惨殺された今、拠り所を失ったあやせが求めるのは、あの狐神や自分をも含めた儀式に関わる全ての生命の殺害。
罪を犯していないものも関係ない。
- 552 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 18:37:47
- もしも、あやせがこっくりの言葉ーーー『願いを叶える』をそのまま信頼していたなら、きっと全てを断とうとはしなかったのかもしれない。しかし、あやせは逃避しなかった。願いの存在を認めず、現実の常識を認めて、高坂桐乃を取り戻す方法は無いと自己解決してしまったのだ。
壊された人形がひとつ。
残された人形もひとつ。
残された人形は悲しみに溺れ。
すべての人形を壊しに向かう。
【ベッドの下の男@都市伝説・2ch】 死亡
【残り27/30人】
【深夜/d-3】
【新垣あやせ】
基本:儀式に関わるすべての生命を殺した後自害する。
1:狐神は一番悲惨に殺す。
※原作8巻終了後からの参加です。
- 553 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 18:38:19
- 投下終了です。
- 554 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 21:42:44
- 色々カオスロワ第9話:負の連鎖
登場:浅川夕、メリーさん、桐山和雄、三村信史、ルクス・ゴドウィン
- 555 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 21:55:18
- f-2エリア。そこのエリアには一軒の洋館が不気味に建っている。
窓は何があったのか割れて蜘蛛の巣が張られ、壁には植物のツルが伸びているという一言で言うなら『いかにも』な容貌をした洋館だ。
三村信史は、配布されたPDAをいじっていた。
本来これは禁止エリアや死者の詳細などを確認するためのアイテムなのだが、三村の目的はそこにはない。単純に、こっくりにハッキングを仕掛けてみようと思ったのだ。
『こっくりさん』ーーーーそれは三村も知っている有名な怪談だが、やはり心のどこかに認めたくないという思いがあったのだろうか。
「……どうなってんだよ、電波の発信源が掴めねえぞ」
PDAを乱暴に地面に叩きつけてから、しまったと思う。
あれが無いとこの先非常に不便だ。壊れていたら困るーーーーーそう思ったときに、三村は初めて気付いた。彼の居る一階の更衣室のクローゼットの中から、誰かがこちらを見ているのを。
「……こ、こんにちは」
「こんにちは」
あっちから話しかけてくるとは思わなかったが、どうやら相当おびえているらしい。
この極限状態における恐怖だけではない、もっと大きな恐怖によるものか。
少女の名前は、浅川夕。
- 556 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 22:07:35
- とある優しい兄に溺愛され、自らは周りからの理不尽な心理的暴力によるトラウマを植え付けられた悲しい運命の少女である。そして、超能力の研究を何十年分も進める『核』とされる。
◆
「……何だ、悪かったな。嫌な事思い出させちまって」
夕から全ての話を聞いた三村は、さすがにばつが悪そうな顔をした。
最初ずっと隠れていたのは、他人に対するトラウマのせいだったのだろう。
「…でも、何で俺に話してくれたんだい?」
「……信史君は、優しい人。だから、大丈夫、みたい」
にこっ、と笑顔を見せる夕。
しかし、三村は胸を締め付けられるような思いがした。儚げな笑顔を、何度この少女は壊されてきたのか。『研究所』に追われるというのはどれほど過酷なのか。
彼女に比べれば、自由がないだの言っていた大東亜の生活の方がよっぽどましだ。
浅川智弘。
夕がどんなに悲惨な目に会おうとも、身を挺して夕を守ろうとする『自慢のお兄ちゃん』。この少女を唯一真に理解できる人物だと言うことを信史は知った。
きっと、そいつは七原のような奴なのだろう。
明るくて、正義感が強いクラスメイト。
案外桐山和雄のように、空虚な奴なのかもしれない。
- 557 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 22:19:33
- 桐山和雄。『プログラム』にて、自分と相棒ーーーー瀬戸豊を殺した張本人。
今回も殺し合いに乗っているのだろう。もし殺し合いに乗っていないのならこれほど頼もしいこともないが、それは期待するだけ無駄だ。
やれやれ、と思ったその時だった。
夕の肉体が小さく揺れ、その胸元に一つの赤い傷口を作っていたのだ。
直後に三村を、桐山に撃たれた時と同じような激痛が襲う。
夕と信史は呆気無く倒れ、ただ襲撃者を睨みつけることしかできなかった。
銀髪の男。若くはないが、中年というのは早いような。
目は血走り、明らかに正気の目ではない。信史たちをあざ笑うような笑みを浮かべて、窓から身を乗り出した。
逃がすものか。近くにあった適当な鋏を持つが、間に会わない。
しかし、一発の銃声が、男を窓の外に吹き飛ばした。
◆
「信史……君、だいじょうぶ…?」
「なわけあるかよ」
二人とも重傷だったが、やはり夕の方が傷が深い。
「おにい…ちゃん……に、つたえて…」
口からは血がこぼれ、次第に目から光が失われていく。
信史も、意識が遠のいていく『二度めの死』を確かに感じていた。
「私は、お兄ちゃんの妹でいられて、幸せでした」
- 558 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 22:31:15
- 直後に、夕の肉体からすべての力が抜け、二度と動かなくなってしまった。
信史は、先ほどの男を撃った人間に、あくまで予想で声をかける。
「……桐山か」
「……ご名答だ。よく分かったな」
桐山は、ひとりの少女を連れていた。中学生ではあるだろうが、どこか浮き世離れした印象を受ける少女。あの桐山が子連れとはな、と苦笑する。
「…殺し合いには乗っていない」
「……それは、いいんだけどな…一つ、頼まれちゃくれないか」
桐山は三村の止血をしようとはしなかった。
それは、三村の傷がもう助からないものだと暗に示していた。
「浅川智弘って奴に、夕ちゃんのーーー最期の言葉を、伝えてほしい」
「…会ったなら伝えよう」
「……頼んだぜ、桐山」
三村信史ーーー"第三の男"もまた、沈黙した。
「…和雄、どうするの?」
「ルクス・ゴドウィン。それがさっきの男だ。血痕が無い、つまりは防弾服だろうな。わざわざ追う気は無いが見つけたら殺す」
やはり結果しか考えてはいない。
三村信史と浅川夕の死が、感情の無い桐山に心を与えることはなかった。
しかし、桐山が他人の言葉を他人に伝えようとすることは大きな変化なのかもしれない。
- 559 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 22:38:08
- 【深夜/f-2】
【桐山和雄】
基本:この儀式を終わらせる。
1:三村の言葉通りに浅川夕の言葉を浅川智弘に伝える。
2:見つけたらルクス・ゴドウィンを殺す。
【メリーさん】
基本:儀式を終わらせる。
1:これが殺し合いなの…?
2:和雄についていく
【浅川夕@オリキャラ】
【三村信史@バトル・ロワイアル】 死亡
【残り25/30人】
◆
ルクス・ゴドウィンは幸運だった。
防弾越しでもかなりの衝撃の桐山の射撃により、崖下の木に転落したのだ。
まだ目は覚まさない。
【ルクス・ゴドウィン】
基本:『神』になるために優勝する
※遊星に倒される前からの参加です
- 560 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/04(木) 22:38:39
- 投下終了です
- 561 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/04(木) 23:22:53
- 本スレ>>516以降をこちらに投下します
――まだ、攻撃の手は終わっていなかった。
この場での、銀時たちにとっての弱点は一つ。
二輪車は、初速から最高速度に達することなどできないが、
『暗殺』を生業としていた元『人斬り』の脚は、――『神速』には及ばずとも――それに近い俊足を一歩目から生みだすのだ。
「ッシャアァァァァァァッッッ!!」
射とめられない距離ではない。
甲冑の男が、銀色の疾走を生み出す。
剣気が大気を振るわせ、二輪車のマフラーが放出する排気を吹き飛ばす。
初速の跳躍をそのままに、人斬りは矢のように二輪車へと突撃して、
ポイ
銀時の膝に乗せられていた少女が、『何か』をディパックから出して放り投げた。
小型の爆弾だった。
それだけなら、苦もなく大剣で弾き飛ばし、そのまま斬りかかっていただろう。
しかし、彼はその『爆弾』に見覚えがあった。
小さな円筒形の小型爆弾。
「ちっ……!」
それは、手投げ式炸裂弾。
志々雄真実が、その資材の五分の三以上を通して調達した甲鉄艦『煉獄』を、
たった三個の爆発で沈没させた、驚異的な炸裂弾だった。
「……運がねぇな」
甲冑のかかとでアスファルトに急ブレーキをかけると同時。
その剣を両手持ちで大きく振りかぶる。
放物線を描いて飛来する炸裂弾を、はっきりと視界に捕らえる。
- 562 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/04(木) 23:23:27
-
カッキーン☆
剣身の芯で炸裂弾を捕らえ、空高く、遠くへ遠くへと打ちあげた。
続け様に腕を振りかぶり、
びゅお、と大剣を円を描くように振り抜く。
打ち上げられた炸裂弾は、見る間に小さくなり、地上十数メートルで最高点に達して、
カッ――
白い灼熱がほんのひと時、地上を煌々と照らしだした。
ズドォォォォン
続け様に唸る、轟音。
地面が揺れた。
爆炎がぼたぼたと川面に降り注いだ。
その爆風の最中に、志々雄真実は、いた。
無傷で立っていた。
火の玉が降り注ぐ中を、動じずに立っていた。
ある意味で奇跡的な現象だった。
爆風が円を切り取るように、男の周囲だけを避けていた。
男の真上に落ちて来た炸裂弾の欠片は、彼の頭上で反射されたように跳ね返った。
まるで、彼が剣を振り抜いた軌道上の立体だけに、謎の壁が出現したかのようだった。
「……どうやら、こっちの剣の方の効果も本物だったようだな」
“永”の鎧と対をなす、その大剣の名前は“瞬”。
その効果は、『剣の軌道上に侵入したあらゆる攻撃を“跳ね返す”というもの』
「どさくさで銀髪の野郎には逃げられちまったが……しかし収穫はあったな。
異世界征服の前座のつもりだったが……なかなかどうして、この殺し合いも楽しめそうだと分かった」
- 563 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/04(木) 23:23:59
- ――俺の剣の届く範囲が、俺の国だ。
なるほど、『国』に何のしがらみも抱くことなく、ただやりたいことだけをやって生きていれば、
そこは確かに、征服するまもなく己が所有物たる国だろう。
抜刀斎と似た甘い男ではあったが、その行動原理は『偽善』ではなく『奔放』とでも称すべきもの。
そして何より、その主張が一貫しているところが、悪くないと思った。
「勝ちに行くのに一番手っ取り早い方法としてガキを使ったが……まぁ一対一で殺ってみるのも悪くはねぇな」
再戦をしてみたいという欲求はあったが、焦る必要はないだろう。
何より、“永”の鎧のおかげで、体の調子がすこぶる良い。
そう、体内の時間を『かぎりなくゆっくりにする』ということは、『体温の上昇も限りなく穏やかになる』ということで、
志々雄真実が、15分の時間制限を無視して、永遠に戦い続けられるということに他ならない。
つまり、この鎧がある限り、思う存分、体が動くままに戦いを楽しめるということ。
それを思うと、楽しくて仕方がない。
「支給品の効能も確かめられたし、適当にぶらつくとするか……まだ有象無象が、地図のあっちこっちに散らばってる段階だろうしな」
二輪車が駈け去ったのとは逆の方向を、悠々と歩き始めた。
その覇道の果てに何があるのかは、彼自身にも分からない。
しかし、目の前の道がどこに続いているからは、支給された地図から読み取れる。
「旅館か……。旅籠っていうんなら、広い風呂のひとつは期待してもいいよな?」
頬が緩む。
――志々雄真実は、無類の温泉好きでもあった。
【C−4/川の北岸/黎明】
【志々雄真実@るろうに剣心】
[状態]健康、鎧のおかげで体調万全
[装備]“永”の鎧@ポケットモンスターSPECIAL
“瞬”の剣@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]基本支給品、不明支給品0〜1
[思考]基本・優勝し、願いを叶える権利で『異世界の通行券』を手に入れる。
1・適当にぶらつく。まずは旅館へ。
2・戦いを愉しむ
3・坂田銀時(名前は知らない)に興味。
※死亡後からの参戦です
※“永”の鎧の効果で、体温上昇が抑えられています。戦闘時の十五分制限がありません。
- 564 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/04(木) 23:25:35
-
「何だあの爆発は……。
どう見ても火薬の量と爆発の規模が一致してないだろ。
あれ、炸裂弾じゃなくて核兵器じゃないの!?
……あれ、包帯男が空に打ち上げてくれなかったら、俺たちも巻き込まれてたよね。
むしろ俺たち、あの包帯男に救われたよね」
銀時は、キャリアへと移動した白髪の少女を恨めしげに振り返った。
「…………」
少女は無言で、爆発の余韻が残る空を見入っている。
花火か何かを愉しんでいるようにも見える。
「それで、このガキをどうするつもりだ」
ツキが少女に抱っこされた状態のまま、不機嫌そうに尋ねた。
「まぁ、助けておいて放りだすわけにもいかんだろ。
つーかツキくん。化け猫なら加勢してくれよ。銀さんすごくピンチだったんだよ」
「メスガキがぎゅっと抱きしめてきやがったから飛びかかれなかったんだよ」
「あーあ。……二人乗りは重たいんだけどなぁ」
さんざんに乱暴な運転をされたエルメスが、憂鬱そうに呟く。
ちなみにレイジングハートは、「腹話術だと勘違いされて引かれたくない」という銀時の英断によって、ディパックの中で休息していた。
少女は喋るバイクと喋る黒猫にも、何ら驚かない。
そんなことよりも、さっきの爆発の方がよっぽど楽しかったとばかりに、首を限界までひねって、爆発のあった方を見ている。
- 565 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/04(木) 23:26:34
- ……そんなに爆発が好きなのだろうか。
嫌な予感がした。
「お嬢ちゃん、もしかして……あんな爆弾を、まだ持ってたり、しないよね?」
少女はふるふる、と首を左右に振った。
「本当に持ってない? それから、『また爆発が見たいなー』とか、思ったりしてない?」
ふるふる
「そ、そう。ならいいんだ」
ひきつり笑いの男と仏頂面の少女を乗せて、モトラドが川沿いの車道を走って行った。
【C−4/川の南岸/一日目 黎明】
【ティー@キノの旅】
[装備]炸裂弾(残り2)@るろうに剣心
[道具]ツキ@吸血鬼のおしごと
[思考]基本・???
1・残り二つの炸裂弾は、取り上げられるかもしれないので隠しておく。
2・炸裂弾の爆発はキレイだった。またやってみたい。
3・シズと陸(いれば)には合流したい。
【坂田銀時@銀魂】
[状態]腹部に打撲、疲労(小)、冷や汗
[装備]虎徹Z−Ⅱ@銀魂
エルメス@キノの旅
ツキ@吸血鬼のおしごと
[道具]レイジングハート@魔法少女リリカルなのは
[思考]基本:殺し合いを何とかする
1・包帯男から遠ざかる
2・ティーの面倒をみる。
3・新八、神楽を探す(土方は……まぁ、いないよりはマシか)
※C−4エリア上空で爆発が起こりました。
付近の森林に引火する可能性があります。
- 566 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/04(木) 23:27:41
- 【虎徹Z−Ⅱ@銀魂】
真選組の局長、近藤が愛用している虎鉄シリーズの新作。
柄の部分に特殊な金属を装着することにより、お部屋掃除のコロコロとしても仕様できる一品。
銀魂世界の刀としてはかなりの大業物なので、普通の刀よりキレ味強度ともに強いと思われる。
【炸裂弾@るろうに剣心】
相楽佐ノ助の親友、月岡津南が開発した新式の炸裂弾。
月岡は“護身用”と称していたが、甲鉄艦を外装ごと破壊して沈没させるなど、明らかにオーバーキルな破壊力を持っている。
【“永”の鎧@ポケットモンスターSPECIAL】
要するに、持病を抱えた人間や、怪我をした人間がこの鎧を着れば『症状の進行が、数千倍もゆっくりになる』のである。
「ちょっと待て、何でそんなチート対人兵器が、『ポケモン』の漫画に出て来るんだ」という突っ込みは禁止。
【“瞬”の剣@ポケットモンスターSPECIAL】
“永”の鎧と一組で製造された武具。
凪ぎ払ったリーチに防御璧が発生し、あらゆる物理攻撃、特殊攻撃を反射することができることができる。
その反射能力は、“大型ポケモン4匹の一斉攻撃を、全て凪ぎ払った”ことから、相当に高いと思われる。
ただし、ゴールドのバクフーンの火炎放射(強化版)は弾き切れずに吹き飛ばされたため、弾ける攻撃の威力にも限度があるらしい。
「ちょっと待て、何でそんな(ry
投下終了です。
あ、ティーの状態表ミスった(基本支給品と不明支給品忘れ)……収録時に直しとこう
- 567 :剣と鎌と 前編 ◆YR7i2glCpA:2011/08/05(金) 00:11:20
- さるさん食らったのでこちらに
【F−3役所/1日目午前】
【灰原由起夫@まほらば】
[状態]:疲労(小)、精神の動揺(中)
[装備]:流星ジョニー@まほらば、六爪の一本@戦国BASARA、寸胴鍋@現地調達、プラスチックのまな板@現地調達、鍋のふた@現地調達
[道具]:基本支給品一式(食糧小消費)、ヴァージニアメンソール@BATTLE ROYALE、詳細名簿@現実、六爪の一本@戦国BASARA
[思考]1:学校へ逃げ、長谷川を治療する。
2:梢をはじめとした、鳴滝荘の住人を捜索して保護する。
3:初老の侍(空蝉)に感謝。
4:殺し合いから脱出。
[備考]:忍術学園の情報を得ました。
【長谷川泰三@銀魂】
[状態]:腹部に切り傷(命に別条はないが、止血をしていない)、精神の動揺(中)
[装備]:六爪の一本@戦国BASARA、行平鍋@現地調達、鍋のふた@現地調達
[道具]:基本支給品一式(食糧小消費)、ヴァージニアメンソール@BATTLE ROYALE、ライター@現実、六爪の一本@戦国BASARA
[思考]1:痛い…死にたくねえ……
2:銀さん達と合流したい。
3:鳴滝荘の住人は保護したい。
4:メガネの男(日野)に対抗したいが策は思いついていない。
[備考]:忍術学園の情報を得ました。
【環樹雫@カオスウォーズ】
[状態]:健康
[装備]:雫のハリセン@カオスウォーズ
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:学校へ逃げ、グラサンのおじさん(長谷川)を治療する。
2:兵真を探す。
3:空蝉が心配。
4:メガネの男(日野)はぶっ飛ばす。
[備考]:第9章、ライゲンとの最終決戦直前からの参戦。どの技を装備しているかは不明。
- 568 :剣と鎌と 前編 ◆YR7i2glCpA:2011/08/05(金) 00:12:07
-
【空蝉@ブシドーブレード弐】
[状態]:健康
[装備]:ブロードソード@ブシドーブレード弐
[道具]:基本支給品一式、ミコシサマ@クロックタワーゴーストヘッド
[思考]1:光秀と戦闘し、無力化する。最悪殺すことも辞さない。
2:光秀をあしらったら学校へ向かう。
3:『日下兵真』に興味。
4:保護すべき人は保護する。
[備考]:名簿を確認していません
【明智光秀@戦国BASARA】
[状態]:健康、精神高揚
[装備]:バルキリースカート@武装錬金、袴はいてない
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、小林の支給品一式(アイテム未確認)
[思考]1:目の前の男(空蝉)と殺し合いを楽しむ。
2:いずれ政宗、幸村、小十郎とも戦いたい。
3:空蝉を倒したら、学校へ向かってみる。
[備考]:長谷川の装備していたプラスチックのまな板@現地調達は役所の一階に真っ二つになって放置されています。
- 569 :剣と鎌と 前編 ◆YR7i2glCpA:2011/08/05(金) 00:12:39
-
【支給品情報】
【行平鍋@現地調達】
F−4レストランで長谷川泰三が失敬した鍋。
ごく普通の行平鍋。
決してかぶるものではないが、かぶれば頭をガードできる。
【寸胴鍋@現地調達】
F−4レストランで灰原由起夫が失敬した鍋。
ごく普通の底の深い寸胴鍋。
そこが深いのでしっかりかぶれば顔全体をガードできるがそれだと前が見えない。
灰原は浅くかぶっているものと見て下さい。
【鍋のふた@現地調達】
F−4レストランで灰原と長谷川が失敬した鍋のふた。
ごく普通の鍋のふた。
某国民的RPGの冒険の最初の盾装備品として有名だが、本来盾として使うものではない。
【プラスチックのまな板@現地調達】
F−4レストランで灰原と長谷川が失敬したまな板。
プラスチック製のごく普通のまな板。
強度はそれほどでもないが、ないよりまし。
- 570 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 16:40:13
- 色々カオスロワ第10話:王の去った今
登場:イレーヌ、武藤遊戯
- 571 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 16:53:49
- 武藤遊戯という少年が居る。
高校生にしては小さなその体駆と内気な性格は、まず万人に『頼りない』『弱そう』という印象を抱かせるだろう。しかし、本来はその逆である。
武藤遊戯ーーーー『デュエルキング』は強い。
かつて彼の中には古代エジプトの王の魂が宿っており、そのおかげで彼は強くなっていった。そして、王『アテム』を倒して王に引導を渡すまでに成長した。
そんな遊戯が殺し合いの場においてどう動くのか。答えは勿論決まっている。
◆
「許せない」
静かに、だが確かな怒りを瞳に宿して遊戯は小さな震える声で言った。
人の命を使う悪趣味な事態に陥ったことは遊戯も何度かある。
バトルシップでマリク・イシュタールと行った闇のゲームを筆頭に、自分や他人の命を賭けたデス・ゲームを何度も行い、勝利してきたのだが。
彼らには何かしらの理由があった。例えば、金を求めた者。恋人との再会、より激しい戦い、時にはファラオの魂を狙う者もあった。
しかし、あの狐には罪の意識が無い。
それが、遊戯の怒りを買った。
ゲームの天才、武藤遊戯のスタートは順調かと思われた。その筈だったのだが。
◆
「うわああああああああああああああああああ!!」
- 572 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 17:05:47
- 絶叫が響いた。少女の、恐怖に満ちた絶叫が夜の闇に木霊する。
声の主は、銀の髪を肩で切り揃えた15歳くらいの少女だった。
イレーヌ。参加者の中でも数名、関わっている極悪非道の施設『研究所』において『飼われている』奴隷の少女。超能力開発の失敗によって寿命を縮められ、今は試薬品の投与実験を受けるモルモット扱いだ。
彼女の余命はもう数年と無い。肉体に過度の負担をかける薬品の大量投与に、時にはその苦痛を強力な麻薬で打ち消し続けてきたツケが回ってきた結果である。
彼女の取る行動は、ただ恐怖を消すために、視界に入った全てを殺すことだった。
遊戯の背中に向けて走り出すイレーヌ。命を賭けた『ゲーム』が始まるーーーー。
【武藤遊戯】
基本:儀式を潰すために主催者を倒す。
1:背後の少女から逃げる。
2:海馬瀬人を探す。
※原作終了後からの参加です
【イレーヌ】
基本:恐怖の元を消す。
1:怖い。
【イレーヌ】
15歳の少女で、研究所の奴隷。
余命は数年と無いが、まだ運動などは可能な模様。
- 573 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 17:06:34
- 投下終了です
- 574 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 17:23:27
- 色々カオスロワ第11話:それは希望か、絶望か
登場:辻結花
- 575 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 17:39:26
- 『第127号文書・『大罪の器』に関する考察』
我々が長きに渡って続けてきた超能力者量産計画に終止符を打つ時が来るのは近い。
超能力を越えた非科学の領域に到達した試験体・『辻結花』の確保に我らの同志・辻源造研究員が成功した。その後様々な実験を続けていく内、驚くべきことが次々明らかになっていく。
辻結花は『大罪の悪魔』を全て宿すことのできる生まれながらの素質を持ったまさしく『怪物』だ。その性質として、超能力開発に対する拒絶反応、毒薬投与に対する異様な耐性などが挙げられる。
本人の精神は度重なる苦痛により擦り切れているが、自害することさえできない拘束を掛けているため心配は無用だ。
世界の夜明けは近い。故に、あの方が英雄となる日もまた近い。
『第17号緊急報告』
辻結花の力を侮っていたようだ。拘束ごと第14研究区画を吹き飛ばされた。
更に異常気象が始まり、件の区画は永遠に冬のままという驚くべき事態となっている。
辻結花は逃亡中。
人間的尊厳を気にする必要は無い為、武力を行使してでも再度捕縛する。
この件に関して、上層部には核兵器の使用の許可を依頼したい。
研究報告員・坂上唯
- 576 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 17:50:56
- ◆
高熱。辻結花は、民家で倒れるように絨毯に横になっていた。
大罪の力を行使した代償。余りにも巨大すぎる力は、彼女の幼い肉体に大きすぎる負荷を掛けることになる。それが高熱という形で兆候を表したのだ。
解除方法は単純。『大きな罪を持つ者に触れる』こと。
幸いこの儀式の場において条件に合う人間はそれなりに居る。
結花は立ち上がり、壁に体重を預けながらふらふらと歩きだした。
思い出すのは研究所に送られる前の寒村のこと。
「(帰りたいよ…お母さん……お父さん…………はる、き…)」
自分を安い金で売り飛ばした両親と、彼女を迫害から守ってくれた一人の少年。
『桜庭春樹』ーーーーこの儀式には参加していない、しかし結花が今日まで生きてこられた『希望』の人物であった。
【深夜/f-3】
【辻結花】
基本:儀式には反対。
1:罪人を探して体の負荷を取り払う。
- 577 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 17:51:41
- 投下終了です。
- 578 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 18:47:24
- 投下します
色々カオスロワ第12話:疾走のオートマーダー
登場:佐々木圭、テケテケ
- 579 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 19:02:58
- c-3エリア。廃団地が広がり、夜の闇も相俟ってより不気味な雰囲気となっている。
30代後半という年齢で会社をリストラされ、妻と息子を道連れに無理心中を計った哀れな男、佐々木圭は誰からも理解されない。それは、いかなる恩さえも保身のために捨てるいわば『ヘタレ』な性格のためである。
心中には失敗して息子は死に、妻に通報されてめでたく刑務所行きに。
失敗しかなかった人生は、失敗で終わってしまうと思っていた。
「ふ…へへ……優勝すれば、一生遊んで暮らせるなあ…!!」
それだけだった。
彼の行動方針がではない。彼のこの儀式における『時間』のことである。
「あ…?」
体が突然落下した。足の感覚がなかった。何か熱いものが通り抜けていった。
纏めれば、一本のレイピアが圭の上半身と下半身を分断して、圭を殺害したのだ。
圭が最後に見たのは走馬燈などではない。
下半身がなく両手だけで高速で走り去る、女性の姿だった。
◆
テケテケは最悪の危険度を誇る妖怪である。
その移動速度は車など易々と追い越し、その手に持つ大鎌で獲物を一撃で殺す。
しかし、テケテケの厄介なところはそこではない。
その異様なまでの怨念と執念。
- 580 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 19:11:30
- 獲物をどこまでも追跡し、確実に獲物を殺す。
かつて電車に轢かれた際の恨みだけを原動力にして、無差別な殺戮を行うのだ。
自動追跡者は、儀式など関係なく。ただ、より多くの悲鳴を求めて、血を浴びる。
【佐々木圭@オリキャラ】 死亡
【残り24/30人】
【深夜/c-3】
【テケテケ】
基本:儀式に興味は無いが、より多くの血を求める。
1:一人たりとも逃がさない。
【テケテケ】
若くして鉄道事故で死んだ女性の霊。
時速100km以上で移動し、その手に持った鎌で獲物を必ず仕留める。
- 581 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 19:12:35
- 投下終了です。しばらく色々カオスに集中します
- 582 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 20:51:48
- 色々カオスロワに参加者追加します。
【非リレー書き手】
・◆VxAx.uhVsM ・◆ymCx/l3enu・◆9QScXZTVAc
・◆YR7i2glCpA ・◆xzYb/YHTdl ・◆6LQfwU/9.M
・◆8nn53GQqty ・◆9FxqcGTlOc
【リトルバスターズ!】
・井ノ原真人
【STEINS;GATE】
・天王寺綯
- 583 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 20:56:27
- 色々カオスロワ第13話:虐殺天使綯ちゃん
登場:小畑瞬、長谷川多香子、首無しライダー、七原秋也、◆9QScXZTVAc、
◆9FxqcGTlOc、天王寺綯
- 584 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 21:09:18
- 首無しライダーは疾走していた。
その暴走族風のジャケットの首から上には何も無い。その不気味なシルエットとは裏腹に、首無しライダーは殺し合いに乗ろうとはしなかった。
そもそも首無しライダーとは、特に何かに危害を加えるようなものではない。
ただ、走り続ける。生前最後にしていたことを繰り返すだけ。
この『儀式』において、それがただ悪戯に目立つだけの行動でしかなかったのだが。
首無しライダーは走り続け、そして崖の近くでカーブしようと旋回した。
その瞬間に、バイクに飛びかかった一人の幼女がライダーの胸を銀に光る包丁で刺し貫いていた。
壮絶にドリフトし、包丁が抜かれた直後に崖下に真っ逆様に転落していった。
生死などわざわざ確かめるまでもない。
◆
凶悪殺人犯、小畑瞬は一人の少女を追い回していた。
彼の目的は彼女を殺すことではない。彼女を強姦し、その後に殺す。
小畑は変態だ。女の物ならそれが手鏡でも欲情する自信があるくらいだった。
「いや!来ないで!」
「ひゃははは、待てよぉ。ヤらせてくれたら命は助けてやるかもなぁ、ひゃはは」
追われる少女の名は長谷川多香子。17歳にしては小柄な外見だ。
- 585 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 21:22:38
- それでも、その豊かな胸は男の性欲を刺激するには十分すぎた。
だが、小畑は忘れていた。かつて自分が同じことをしようとしたクラスの委員長にガラス片で顔に傷をつけられ、その怒りから初めての殺人を犯したことを。
パァン、という音がした。
それは多香子の手にあったワルサーPPKから放たれた弾丸の音だ。
直後に小畑の右肩に穴が開き、その動きを一瞬だけ止めた。
しかし、多香子は優しすぎた。傷を負った小畑に駆け寄り傷の手当をしようとした。
「こンの……クソアマぁぁあああああああああ!!ぶっ殺してやる!」
「かふっ!?」
多香子の首に手を掛け、物凄い力で圧迫する。
多香子は死を覚悟した。息が出来ない。目の前の男の荒い息が気持ち悪かった。
が、多香子は小畑に殺されることはなかった。
小畑の首が、乱暴に銀の刃によって切り裂かれたのだ。血が噴き出して多香子を濡らし、更に後ろを振り返った小畑の顔面には包丁が突き刺された。
小畑は情けない悲鳴をあげて痙攣し、やがて動かなくなる。
「……助けてくれたの?」
立っていたのは、小柄な多香子よりも更に小さな、小学生くらいの女の子だった。
女の子は笑顔で頷き、そして
- 586 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 21:35:22
-
多香子の右目を包丁で突き刺した。
「ぎゃああああああああああああああ!!痛い、痛いぃぃ」
「……お姉ちゃんを助けてあげたから、文句言っちゃやだよ☆」
女の子は絶叫する多香子の心臓に、再び包丁を突き立てて絶命させた。
復讐者ーーーーー天王寺綯は、血塗れの顔で笑顔を見せた。
次の獲物も近くに三人いる。
「たのしみだねー、あはっ♪」
◆
「まさか9F氏と真っ先に会えるとはラッキーだったよ」
「俺もですよ、9Q氏」
◆9QScXZTVAcと◆9FxqcGTlOcは、再会に安堵していた。
まさか殺し合いを本当にすることになるとは思ってもいなかったため、知り合いである書き手と真っ先に会えたのはラッキーであったと言える。
ただ、それが『復讐者』の近くでなければの話であったが。
「逃げろ!」
少年の声がした。驚いて声の方を見ると、一人の少年が血塗れの片足を引きずって、9Qたちに近付いてきていた。
誰かに襲われたのかーーーーー!?
と9Fが認識した頃には、もう遅かった。
天王寺綯の投げたのは、一つの石。
小さな石に、9Qは一瞬だけ気を取られてしまった。それが、最大のミスだったのに。
「は?」
- 587 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 21:48:07
- 9Qの胸元に、深々と包丁が突き刺され、心臓まで到達した刃が9Qを絶命させた。
少年ーーーーー七原秋也はとっさに支給された破片手榴弾を綯に投げつける。
桐山和雄に前回の殺し合いで使われた武器であるが、人一人を確実に殺害する威力だと言うことを考えている暇はどこにもなかった。
そこが秋也のミスだったのだ。
かつて秋也自身は、桐山の手榴弾をどうやって回避したのだったか?
綯は笑いながら、手榴弾を秋也の後方まで蹴り飛ばした。
ドォン!という爆発音と同時に破片が秋也と9Fの全身に襲いかかる。
綯は足元の9Qの死体を盾にして破片の嵐を見事に防ぎきって、狂気の笑みを崩さないまま9Fに馬乗りになる。9Fの敵意のこもった視線を見て、綯はより楽しそうに笑顔を浮かべ、9Fの胸元に包丁を降り下ろした。
虫の息の9Fは最後にしっかりと綯を見て言葉を吐いた。
「待て……これ以上…罪を重ねるな…」
9Fが動かなくなったのを見て、満足気に綯は笑う。
最後の一人である七原を見ると、七原はもう手を下す必要もないくらいの傷だった。
七原はそれでも綯を睨みつけている。
「(典子……俺は、帰れそうに…ないな…)」
心の中で最愛の恋人に謝る。
- 588 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 21:57:19
- 七原秋也は、この殺し合いの大きな『希望』はここにその命を散らせた。
絶命を確認すると綯は今まで押し殺していた感情を爆発させた。
「あはは、あはははははははははははは!ざまあ見ろ岡部倫太郎!お前を殺しに行くために、みんなみんな殺してやる!待っててねお父さん、綯は必ずあいつを殺すからね!あはははははははははははははははははは!!」
【首無しライダー@都市伝説・2ch】
【小畑瞬@オリキャラ】
【長谷川多香子@オリキャラ】
【◆9QScXZTVAc@非リレー書き手】
【◆9FxqcGTlOc@非リレー書き手】
【七原秋也@バトル・ロワイアル】 死亡
【残り28/40人】
【黎明/e-2】
【天王寺綯】
基本:皆殺し。
1:主催者も殺す。
2:元の世界に帰ったら岡部倫太郎に復讐する。
※桐生萌郁を刺殺した後からの参加です。
- 589 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/05(金) 21:59:02
- 投下終了です。9F氏ごめんなさい
- 590 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 15:44:09
- 色々カオスロワ第14話:嵐を呼ぶ筋肉旋風
登場:◆xzYb/YHTdl、井ノ原真人
- 591 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 15:57:21
- 殺し合いーーーー『バトル・ロワイアル』。
◆xzYb/YHTdlは、インターネット上でそのパロディ作品を連載している『書き手』という立ち位置の人物である。勿論、ある程度殺し合いについても知っている。
だが、まさか実際にそれが起こるとは思ってもいなかった。
「参ったな……」
支給されたのはレミントンM119。扱えない武器ではなかったが、◆xzにはやはり不安の方が大きかった。殺し合いに乗るということは罪悪感を覚えてしまうし、多少ゲームの理を知っている程度ではどうこうすることなどできない。
とその時。
「ふっふっ、畜生めスクワットの野郎!やり始めたら止まらねえ〜!」
「うわ…」
馬鹿が居た。それもとびっきりの常識外れが。
赤い鉢巻に学ラン、大柄な体格はそれだけで彼の筋肉の屈強さを伝える。
やはり書き手の人たちに出会いたかったが、◆xzは『馬鹿』に話しかけてみる。
◆
数分後。
◆xzはすっかり馬鹿ーーーー井ノ原真人のペースに呑まれてしまっていた。
共に腕立てをしながら互いの情報を交換するその光景は余りにもシュール。
「ふう、いい汗かいたぜ」
「悪いね、僕に協力して貰って」
筋肉を鍛えた二人は汗だく。
- 592 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:10:05
- だが、二人ともどこかすがすがしい表情を浮かべていた。これこそが『筋肉馬鹿』井ノ原真人の必殺奥義、『筋肉旋風』である!
どこかというかもう色々不安な二人は、ひとまず書き手達を探すことにした。
【深夜/d-3】
【◆xzYb/YHTdl】
基本:儀式には乗らない。
1:真人と行動する。
2:他の書き手さんたちと合流したい。
◆
井ノ原真人は、心の中で冷静に考えを巡らせていた。
自分は修学旅行の大事故で重傷を負い、二人の親友達だけを生かすために、世界を幾度となく繰り返してきた。いわばリフレインし続けたのだ。
恭介の茶番では無さそうだ。大体、宮沢謙吾に仕掛けた『罠』の時とは違い、もうそんな小細工をする理由はどこにもない。
あの二人は強くなった。もう自分達ーーーーーリトルバスターズが居なくても彼らは絶望しない。虚構の世界で繰り返した旅路は終わったのだから。
もしかしたら、これは最後通告なのかもしれない。
最後に井ノ原真人という一人の人間に与えられた誰かを救うチャンス。
真人は戦う。
それは決して、最期は華やかに散りたいなどという浅はかな考えではない。
彼は泣かなかった。親友との永遠になるかもしれない別れ際に。
- 593 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:15:00
- 真人だって別れたくなかったのだ。もしも、この儀式を主催するあのふざけた狐をぶっ倒してあの二人の元に帰れたら。それはどれほど嬉しいことだろう。
「(……待ってろよ、理樹、鈴。必ずお前等のところに帰るからな)」
【井ノ原真人】
基本:儀式を止める。あの狐を倒す。
1:◆xzの言う『書き手』たちを探す。
※Refrain、真人が消滅した直後からの参加です
- 594 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:15:33
- 投下終了です
- 595 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:19:06
- 色々カオスロワ第15話:神さえ砕く力で微笑む君に会いたい
登場:◆VxAx.uhVsM、◆8nn53GQqty、暁美ほむら
- 596 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:35:16
- ◆VxAx.uhVsMは困惑していた。ちなみに、この◆Vxは平行世界の◆Vxで、『DOLバトルロワイアル』と呼ばれる惨劇の首謀者ではない。
まさか殺し合いに呼ばれるなんて。
書き手さん達も参加させられているようだが、全員をあっさり信用するのは余りにも危険すぎる気がした。そして彼は、一番手取り早い方法に出る。
早い話が、儀式に乗るということだ。
「…みんな殺してしまおう」
願いはどうしようか。そんなことは後回しで構わない。
彼に支給された道具は非常に便利な品ーーー『首輪探知レーダー』。
近くには二つ、首輪の反応がある。
後ろから近付いて襲いかかれば、一般人の彼でも強者を殺せるかもしれない 。
しかし、それは甘かった。
彼が目星を付けた黒髪の少女はそもそも人間ではないのだから。
ダァン!という音の後に◆Vxの脇腹に赤い点が生まれ、そのまま後ろに倒れ込む。
急所は外したのだから死には至らなかったが。
暁美ほむらは、◆Vxを退けたのを確認すると、今度は斜め右前にデリンジャーを構えて、威嚇するような眼光で睨み付けた。
「さすが、Vx氏を一撃でどうにかしてしまうとは」
女性だった。
- 597 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:41:04
- 書き手◆8nn53GQqty。この儀式に呼ばれた者である。
「私と、手を組みませんか」
ほむらは無言で頷く。
ただし、それは偽りの協力である。◆8nnは暁美ほむらを利用してこの儀式を勝ち上がるために、ほむらに協力を持ちかけたのだ。つまり、いずれは始末するつもりである。
また、暁美ほむらが優先して守ろうとする少女ーーー鹿目まどかはもう既にその命を散らしている。それを知った時彼女はどうなってしまうのだろうか。
- 598 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/06(土) 16:41:46
- 表無しで投下終了。次もVx氏が出ます
- 599 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/06(土) 22:28:41
- 本スレが容量オーバーになってしまったのでこちらに
- 600 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/06(土) 22:29:16
- 無駄だと分かっていても、命乞いをする。
命乞いが受け入れられても、受け入れられなくても、死は確実だ。
「嫌だ…………死に……た………な…」
どんなに死にたくないと思っても、もう手遅れだった。
急速にマウンテンバイクの意識は闇に飲まれていった…。
◇
「…やっと、1人」
射殺した男が置いて行ったデイパックを漁る吹原。
中からは、拳銃1丁とその予備弾、そしてなぜか黒ずんでボロボロのお守り。
「銃…よかった」
手に入れた銃と予備弾、ついでにボロボロのお守りをデイパックの中に仕舞う。
そして、辺りを見回した後、その場を後にした。
【一日目・深夜/B-5】
【吹原和彦@クロノス・ジョウンターの伝説】
[状態]:健康
[装備]:イングラムM10(17/30)
[所持品]:支給品一式、不明支給品×1、イングラムのマガジン×3、ワルサーP99(15/15)
P99マガジン×3、ボロボロのお守り@オカルト(Tさんシリーズ)
[思考・行動]
基本:最後まで生き残って、来美子さんを救う。
1:今、助けにいきます
【マウンテンバイク@オカルト(かなりやばい集落見つけました。) 死亡】
死因:射殺
- 601 : ◆6LQfwU/9.M:2011/08/06(土) 22:29:49
-
「…そろそろ行ったかな」
辺りが静まったのを感じ、押入れから出てくるネタフリ。
実は、ネタフリは吹原がマウンテンバイクを襲う前からこの街に来ていた。
一番近くにあった民家の中を探索していた時に…。
「…あああああああああ…」
突然、誰かの悲鳴が聞こえたので、慌てて民家の中の押入れに飛び込んだのだ。
その後、もう1回悲鳴と銃声が聞こえた後、静かになった。
そして大事を取って、辺りがまた静かになるまで待っていたのだ。
(ふぅ、やっぱり自分の命が一番だよなあ)
自分の支給品、イサカM37を抱え自分に危害が及ばなかったことを喜ぶ。
軽い足取りでリビングまで歩いて行き、ソファに腰を下ろす。
「この暗い中を歩いて行くのは危ないよなあ…家の中にいよう」
そう言って、デイパックからもう1つの支給品であるピザを取り出す。
パッケージには「テリヤキコンビ」と「あつあつグラタンピザ」と書いてある。
「丁度いいや、お腹減ってたし食べちゃおう」
バッグの中に入ってたのに全く崩れたりしていない事に何か引っかかるが、別にどうでもいい。
とりあえず、今はピザを食うことに専念することにした。
【一日目・深夜/B-5:民家】
【ネタフリ@オカルト(本当に怖い現実の話)】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[所持品]:支給品一式、12ゲージ弾×12、テリヤキコンビ(残り4/6)@オカルト(Tさんシリーズ)
あつあつグラタンピザ(未消費)@オカルト(Tさんシリーズ)
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:ピザうめぇ
≪支給品紹介≫
【ボロボロのお守り@オカルト(Tさんシリーズ)】
マウンテンバイクに支給。
Tさんが八尺様と戦った際に主人公に渡した物…のなれの果て。
(おそらく)八尺様の力でボロボロにされてしまった。
ちなみに、このお話では珍しくTさんが勝利したかどうかがうやむやになって終わった数少ないもの。
【ピザ2種@オカルト(Tさんシリーズ)】
ネタフリに支給。
誰かに念を込められてしまったシャムネコの影を祓った時にTさんが持っていたピザ。
なぜピザを持っていたのかは不明。
多分、ピザ屋でアルバイトでもしていたのだろう。
≪参加者紹介≫
【ネタフリ】
事の発端は2004年11月に、オカルト板に立った1つのスレだった。
この事件、かなり長いのでここに書くとキリがないのでまとめサイトを参照。
- 602 :名無しさん:2011/08/06(土) 22:30:20
- 投下終了です
- 603 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 08:09:18
- 色々カオスロワ第15話:それが悪かの基準なんてどこにもないから
登場:◆VxAx.uhVsM、◆ymCx/l3enu
- 604 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 08:24:01
- 痛む脇腹を押さえて、◆VxAx.uhVsMは歩いていた。幸い傷は大したことはなく、ちょっとした処置でどうにかなる程度の怪我だった。
襲撃する相手は選ぶ必要があるな、と少し反省する。
だが、Vxにはまだ躊躇いがあった。ネット上だけの付き合いとはいえ、書き手の人たちを無慈悲に殺せる自信がない。こんなことでは殺し合いを制することなんてできるはずもないというのに、Vxはどうしても気にしてしまう。
そんなVxの心境を一気に変える人が現れるまでは。
◆
「おっ、Vx氏。その傷、もしかして乗ってるのか?」
「ym氏…!!ーーーーーええ、俺はこの殺し合いに乗りますよ」
「俺は適当に逃げ回って漁夫の利を狙うとするよ」
ym氏らしいな、とVxは暢気に思う。
しかし、殺し合いに乗るのなら今ここでymを殺害するのが一番だ。
ymはVxに背を向けて歩いていく。
「ーーーーー迷うなよ、Vx氏」
その言葉が、◆VxAx.uhVsMの迷いを全てを断ち切ったのだ。
ym氏は殺さなかったが、次に会ったら容赦無く殺す。
【深夜/b-2】
【◆VxAx.uhVsM】
基本:優勝する。
1:誰にも容赦はしない。
- 605 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 08:26:17
- 【◆ymCx/l3enu】
基本:適当に逃げ回って漁夫の利を狙う。
1:襲われてもなるべく逃げる。
投下終了です
- 606 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 20:49:22
- 色々カオスロワ第16話:"悪魔"
登場:渋井忍、イレーヌ、◆6LQfwU/9.M
- 607 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 21:04:14
- 血の海が広がっていた。それは、とある研究機関に人生を潰された哀れな奴隷。
それが、胸から心臓を抜き取られて死体となっていた。
襲撃者ーーーーー渋井忍は、血塗れの顔で邪悪な笑みを浮かべるのみ。
◆
大罪の悪魔。
傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲。
それは人類のタブーとされ、『研究所』が求める最大の悲願。
渋井忍は、『暴食』の大罪人である。
カニバリズム。同じく人類の食文化における最大のタブーとされ、その嗜好を持つ者は異端どころでは済まされないほどの圧倒的な『異常者』と呼ばれる。
渋井忍は被害者から始まった。
度重なる報道規制により知る者は少ないであろうが、4年前に起きたとある誘拐監禁事件がある。小学校教師が数名の児童を誘拐し、二週間も絶食状態で放置した事件。
事件現場は凄惨。鎖に繋がれた児童はほとんどが餓死。一人は精神を病み、回復の見込みはもう無いらしい。忍は、その事件唯一の生き残りにして唯一の殺人者だ。
迫る死の恐怖。空腹の苦しみ。死んでいく友達。追いつめられた忍に、悪魔は囁いた。
『食が欲しいか?ならば我の器となるが良い』
牛の角を持ち口が耳まで裂け、背中から骨が突き出たまさに『悪魔』。
- 608 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 21:19:56
- 忍には帰らなければならない理由があった。
最愛の恋人、××××の*******はまだ終わっていないのだ。小学生の自分を魅力的だと言ってくれたあの人のためには、帰る必要があった。
「わたしを、助けて」
『そうか…我はベルゼブブ。食を求めた者。好きなだけ喰らって喰らって喰らい尽くすが良い。幸いこの世界には億以上もの食べ物があるのだからな』
そこからはよく覚えていない。
残っていたのは、胸を滅茶苦茶に喰い荒らされた『犯人』の死体だけ。
事件は結局不可思議な結末となった。
渋井忍は行方不明となり、その後その地区では『獣』に襲われた死体が増えた。
◆
総計387人と67匹。それだけの生命を生きたまま喰らってきた。
ベルゼブブの力が宿った腕は人くらいならあっさり刺し貫いてしまうほどだ。
奴隷ーーーーーイレーヌは、運が悪かったとしか思えない。
【イレーヌ@オリキャラ】 死亡
【残り27/40人】
【黎明/c-1】
【渋井忍】
基本:参加者を喰らい尽くす。
1:最後にはあの狐も食べたい。
◆
「やべえな……」
◆6LQfwU/9.Mは絶句した。あの凄惨な状況を見て驚かない方がおかしいだろう。
- 609 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 21:23:39
- あれほどぶっ飛んだ奴がいる。それは6Lの心理に大きな動揺を与えた。
書き手達は大丈夫だろうか。そんな不安だけが頭をよぎる。
【◆6LQfwU/9.M】
基本:儀式には乗りたくない。
1:書き手さんたちは大丈夫だろうか…。
- 610 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/07(日) 21:24:11
- 投下終了です。
- 611 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/08(月) 07:13:38
- 色々カオスロワ第18話:反撃の狼煙
登場:興呂史郎、◆YR7iglCpA、紫苑寺有子
- 612 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/08(月) 07:28:09
- アリスから『大罪の器』について聞いた史郎は率直な感想を抱いた。
ーーーーー許せない。
未成年者誘拐、挙げ句の果てには非人道的な『実験』を行い、現在は追跡中。
史郎は『器』の少女を不憫に思うと同時に、『研究所』に対して激しい怒りを覚えていた。まだ幼い、中学生になってもいない少女に卑劣な行為をしているのだから。
アリスもまた、一度はこの一件について動いたらしい。
しかし、結果は『あちら側』からの圧力が掛かり、団員の身を案じた。
「……必ず、俺がその『研究所』とやらを潰す。単独でもやってやる」
「相手は超能力などの未知にも踏み込んでいるのに、それでもやるのかい?」
「構わん」
アリスは苦笑し、まずはこの儀式を潰そう、と言う。空は白み始めている。黎明の時間帯になってきたらしい。そろそろ本格的に行動した方がいい時間だ。
儀式に対抗しようとする同志たちを集め、仲間を増やす。二人でできることには限界があるとアリスが考えた結果だ。最低でも四人いればかなり違う。
しかし、先ほどから何発か銃声が聞こえている。
近くに敵が居るのだとしたら、うかつに動くのは危険だ。
だが今はアリス一人ではなく、格闘技術に優れた史郎が居る。
- 613 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/08(月) 07:38:11
- その時、前方から人影が現れる。
「俺は◆YR7iglCpA。悪いんだけどさ、仲間に入れてくれないか?」
【興呂史郎】
基本:この儀式をぶっ潰す
1:『大罪の器』辻結花を保護したい。
2:アリス、YRを護衛。
【紫苑寺有子】
基本:儀式の主催者を倒す。
1:小佐(向井均)を捜す。
【◆YR7iglCpA】
基本:儀式には乗りたくない。
1:史郎、アリスと行動。
2:書き手さん達と合流したい。
- 614 : ◆9QScXZTVAc:2011/08/08(月) 07:38:55
- 投下終了です。
- 615 : ◆8/nMNV.J2w:2011/08/08(月) 22:24:30
- 初めまして、突然ですが新ロワ開始させて頂きます。
【愛好作品バトルロワイアル】
【参加者】
【屍鬼】
○結城夏野 ○尾崎敏夫 ○室野静信 ○村迫正雄
【これはゾンビですか?】
○相川歩 ○ハルナ ○セラフィム ○京子
【銀魂】
○坂田銀時 ○志村新八 ○土方十四郎 ○沖田総吾
【バトル・ロワイアル】
○七原秋也 ○川田章吾 ○桐山和雄 ○滝口優一郎
【DEATH NOTE】
○夜神月 ○弥海沙 ○L ○松田桃太
【探偵オペラ ミルキィホームズ】
○シャーロック・シェリンフォード ○譲崎ネロ ○明智小衣 ○小林オペラ
【未来日記】
○天野雪輝 ○我妻由乃 ○戦場マルコ ○美神愛
【うみねこのなく頃に】
○右代宮縁寿
【学校であった怖い話】
○日野貞夫
【主催者】
○ベルンカステル@うみねこのなく頃に
○古戸ヱリカ@うみねこのなく頃に
○リューク@DEATH NOTE
- 616 :戦力差がカオスなロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/08(月) 22:58:04
- 新ロワ楽しみにしてます。
投下します
4話「処刑人」登場人物:桜、アレン
- 617 :戦力差がカオスなロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/08(月) 22:59:11
- まだ死にたくはない。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
(殺し合い!?嫌だ・・・殺される・・・。)
デメリットでしかないゲームに何故参加しなければならない。死にたくないのに死ぬ可能性のが高いだろう。
「永遠の命と言うのはどうだ?」
(フロウフシ・・・?死なない・・・!!。)
“なんでも願いがかなえられる。”だったら僕は殺し合いに参加する。
王族の息子である少年は、殺し合いに参加することを決意し会場をあとにした。
◇
参加者の中には、ゲドとテルーがいる。テルーはともかく、ゲドは大賢人で勝てるわけがないしテルーはただ殺したくない。
支給品は、どこの国か分からない文字がゴタゴタと書かれている手帳だ。武器じゃないことは確かだ。
数字のようなものがところどころに書かれているがどういう意味なのかどういう意図で書かれているものなのかは判らない。
他の支給品は、木製の長細い棒に文字が書かれた不気味なものと変な貝。
あとは言われたとおり懐中電灯、食料、時計、地図、名簿があったが食料のほうは三日間凌げる量ではない程だ。
(これだけでどうしろって言うんだ・・・。)
剣の代わりに木の棒を構えた。民家の中に食料があるかもしれないという数少ない可能性に頼る。
- 618 :戦力差がカオスなロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/08(月) 23:00:12
- 「武器を置け。動いたら撃ち殺す・・・。」
「お前が僕の死か?」
「死にたいのか?」
「殺せよ。」
「理由になっていない。」
太ももの激痛に、思わず声を上げてしまった。耳が張り裂けるような音が遅れて聞こえてくる。
剣で刺されたわけでも、弓矢で射られたわけでもなく、たった一瞬のうちに黒い鉄の塊から丸くて長細い鉄が太ももめがけて飛んできた。
歩けそうにないぐらいの激痛と傷口からの多量の出血で他の参加者からのいい的になるだろう。
そうしたらみんな殺しに来る。
殺される?死ぬ?殺される?死ぬ?殺される?死ぬ?殺される?死ぬ?殺される?死ぬ?殺される?死ぬ?
死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
「うああああああああああああああああ!!」
男の参加者の頭を木の棒で殴った。鈍い音と共に長身の男が倒れた。
男が持っていた黒い鉄の塊を奪い取り、民家を飛び出す。
力いっぱい走った。傷口から血が出ていることを忘れていたかのように激痛が体中を走る。
「うあああああああああああああああああ!!」
「理由になってない。」
腹部にまた太もものような激痛が走った。今度は出血が酷い。そして遅れて爆音が聞こえる。
「銃は返してもらう。」
男の参加者はまるで死神のように見えた。長髪で長身のまるで見たことのないような・・・。
反撃する力も出ない。ひびの入ったバットが転がっていたが届きそうにもない。
(こうやって僕は死ぬのか・・・)
国王である父親を衝動的に殺して、逃げるように旅に出てゲドやテルーに会った。
出来たらもう少し生きたい。と言うよりも死にたくはない。
(でもこのままじゃ死ぬ。どうすればいいんだ・・・。)
一人の少年は眠るように意識は遠のいていった。
- 619 :戦力差がカオスなロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/08(月) 23:02:19
- 【一日目・早朝/B-2ロープウェイ近く】
【桜@オーデュボンの祈り】
[状態]:頭部に打撲と出血
[装備]:トカレフ(7/8)
[所持品]:基本支給品一式、FN ファイブセブン(19/20)
[思考・行動]
基本:出会った奴を基本的には射殺する。
【一日目・早朝/B-1山小屋近く】
【アレン@ゲド戦記】
[状態]:錯乱状態 太ももと腹部に銃創
[装備]:ジョーダンバット
[所持品]:基本支給品 人体練成の書 ダイアル
[思考・行動]
基本:優勝して不老不死になる。
典型的なマーダーだけど・・・
「支給品紹介」
【ジョーダンバット@重力ピエロ】
木製バット。マイケル・ジョーダンのサインが書いてある。鈍器にもなる。
重力ピエロでは春が武器に使ったりとか意外と活躍している。
【人体練成の書@鋼の錬金術師】
エドワードとアルフォンスが母親を人体練成するために作った書。結果はご存知の通り。
比喩表現や暗号などでわざと複雑に書かれていて到底普通の人には解読でいないように書かれている。
【FNファイブセブン@カウンターストライクオンライン】
P90の利点をハンドガンに圧縮したような銃。
頼りない発砲音だが他のハンドガンと比べて威力減衰が少なく、精度がよいので遠距離も対応出来る。
弾種が5.7x28mmのためベスト貫通力が高く、また遠距離での威力減衰も他の銃と比べ少なく、装弾数も多いが、威力は低め。
装弾数20発。
【トカレフ@現実】
ロシアの軍用拳銃。安全装置のない中国製のコピー品。装弾数は8発。
使用弾薬は電話帳を3冊貫通することの出来るほどの威力の「7.62mmトカレフ弾」。レベルIIのボディアーマーを易々と突き抜ける。
しかし、命中してもそのまま人体を貫通してしまうためにストッピングパワーは低いと云われている。
- 620 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 08:47:43
- 愛好作品ロワop投下します。
- 621 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 08:49:06
- 暗闇がどこまでも広い、とても広いホールを満たしていた。
この光景は、まさに僕のかつての相棒ーーーーーいや、思い出したくもない。あいつは僕を裏切った。あの場であいつが敵の名をデスノートに書けば、僕を阻む壁は何も無いはずだったのに。この狂いきった世界は、作り直さなければならない。
悪を裁く神ーーー『キラ』が支配する、新世界に。
僕の名前は夜神月。今本来この場に存在しているのは『おかしい』存在だ。
ニアーーーーーあの憎らしい探偵に認めたくないが敗北した僕は、あいつに裏切られて永遠の無に葬られるはずだったが、今僕は確かに此処に存在している。
誰がやったのかは知らないが、有り難い話だ。おかげで僕にはまだ新世界の神となる可能性があるのだから、実に有り難い。
しかし、冷静になってみるとここは"無"とはほど遠い空間だと気付く。
僕の他にも連れてこられた奴が何人も居るらしく、驚愕する声や悲観する声、或いは怒りに身を焦がす声が会場の闇を満たしていた。
そして、ついにその時はやってくる。
会場の何もかもを塗りつぶすような闇の中に、ぼうっと光が点った。
眩しいとは不思議と感じない、むしろ神々しいと言える。
とにかく、不思議な気持ちになる光。天使の光の輪はこんな感じの光を放っているのではないだろうか、と僕は珍しくそんな事を考え、苦笑した。
苦笑の理由は自分の想像ではない。
これだけの人数を誘拐し、僕のような死者までも蘇らせるような輩が、天使などである筈が無い。今回の首謀者は間違いなく、何かを目論む犯罪者だ。天使などではない。
『皆様、本日はお集まり頂き誠にありがとうございます』
光の中から、まるでバーチャル映像のように足元から具現化していく『誰か』。
それは意外にも、僕や海沙より年下に見える青い髪をした少女だった。
にこやかな笑顔に安堵する者も居たようだ。しかし、何人かは険しい表情のままだ。きっと僕もその一人にカウントされる。
あの少女の笑顔は、嘲笑だ。
例えるなら、蟻の群れを無邪気に踏み潰す子供のような、残酷な微笑み。
「(あいつはまずいな……完全に何かが飛んでる)」
死神のノート『デスノート』を手にした人間がしている目にどこか近い。
海沙や火口卿介も、同じような目をしていたはずだ。
背筋に鳥肌が立つ。以前までの僕なら、ここで何か一言言っていたかもしれないが、僕には出来なかった。
- 622 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 08:50:18
- 深層心理が警告する。彼女に逆らってはいけない。あれはきっと探偵Lや僕を死に追いやる一つの要因となったニアを優に超える『恐ろしい相手』だ。彼女に逆らえば、僕は間違いなくここで今度こそ生涯を終えることになる。根拠のない恐怖が僕を震えさせた。
『私は、探偵の古戸ヱリカと申します。以後お見知りおきを』
スカートの裾を掴んで礼をするその姿は優美すぎて、下品さを欠片も感じない。
ヱリカと名乗った少女は、会場を見渡すと満足気に微笑む。
「(駄目だ……夜神月……あの子の、ヱリカの警戒を解くな…!!)」
『皆様にお集まり頂いた理由は、ただ一つです。それは我が主の願いでもあり、私の願いでもある、誰にも汚すことの出来ない理由があるのです』
ヱリカの声色が急に変わった。それは人に対する申し訳の無さなど欠片もない、まさに堪えきれないほどの笑いを必死に我慢しているような。
会場の無知な奴等も、さすがに何かおかしいと気付いたのか、ざわつきが大きくなる。
間違いない。これから古戸ヱリカは僕たちに絶望的な何かを言い渡すのだ。
吐き気のするようなことでも、決して声を荒げてはいけない。
『皆様には、これより喜劇をーーーたったひとつの優勝枠を巡って、殺し合いをして頂きます。……ぷっ、あははははははははははは!!』
笑い続けるヱリカ。僕は笑うことさえ出来なかった。
喜劇?優勝枠を巡った殺し合い?そんなのは死刑どころじゃ済まない。
公開処刑クラスの、人間ではない悪魔の所行。
『キラ』として悪を殺し続けて、時には人を見捨ててきた僕でさえもあまりの狂気に圧倒されていた。こいつは危険なんてものじゃない。
だが、僕は自分を必死に抑えつけた。ここであいつに反論してはいけない。これほどのことをやってのける奴が、反逆者に何の対策もしていない筈がない。
それに、『その役割は僕じゃない』。
確実に、この中からヱリカに怒り、反旗を翻す者が出てくるーーーーー。
焦る必要はない。僕はただ、そいつの末路を観察し続ければいい。
『……あら。神楽さん、何か言いたげですね、どうぞ?』
- 623 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 08:53:37
- 神楽と呼ばれたのは、チャイナ服を着たまだ年端もいかぬ少女だ。しかしその目は明確な敵意と殺意を持ち、古戸ヱリカに向けられている。一方のヱリカは涼しい顔でそれを見ているだけ。
「何で殺し合いなんかしなきゃいけないアルか!生憎、私も含めたここに居る全員が、お前なんかの為に命を使うのは御免のーーーー、」
言葉が途切れた。だが、それはヱリカが何か行動を起こしたからではない。
神楽自身が、言葉どころか体の全ての動きを止めたのだ。
ヱリカはそれを見てまた笑い、銀髪の男が駆け寄ってきた――――その時。
神楽の肉体が内側から弾け飛び、不謹慎だがハンバーグに使う挽き肉のような無惨な死体に―――――いや、死体とも取れないほどの無惨な『肉の塊』と言うべきか。
吐き気を押し殺して僕は考える。あの死に方は有り得ない、と。
何らかの手段で僕たちの体内に爆弾を仕込んだのかもしれないが、それならあそこまで綺麗には崩れず、四方八方に飛び散る。
デスノート。それが僕の出した答えだ。
ヱリカはさっき『我が主』と確かに言った。『主』はきっとあいつら――――死神からデスノートを手に入れていると考えるのが一番自然。
ならば、主催に歯向かうのは自殺行為としか言えない。デスノートに書かれた死は覆すことのできない絶対の死だと、僕はよく知っている。
「てめえ…よくも神楽をやったな!ぶっ殺してやる!」
まだ逆らうのか。だが逆に幸運だ。人数が減れば殺し合いは自然と有利になる。
確かにヱリカは吐き気がするほどの悪人だが、新世界の神になるチャンスを棒に振ることはできない。つまらないプライドなど、極限の場においては意味を為さない。
残念ながら、近くに居た数人が銀髪を止めに入ったために二度目の執行はなかった。
『皆様にタダで命を賭けろとは言いません。こちらで用意した賞品は『願望』――――愛があれば、私たちにはそれさえ可能なのですから』
願望。何人かの顔色が変わるのを僕は見た。彼らの中には、今の一言で殺し合いに乗ることを決意したものも少なからず居る。競争率はむしろ高まってしまったようだ。
僕も、また同じ。
『あの時』に、ニアや松田などのあの場に居た奴等を皆殺しにするという願いがある。
それで今度こそ僕は―――新世界の神になる!
ヱリカが再び一礼すると、頭に鈍器で殴られたような衝撃が走り、僕の意識は落ちる。
さあ、最高のボーナスゲームの始まりだ。
【神楽@銀魂】 死亡
【残り30人】
【愛好作品バトルロワイアル】 GAME START
- 624 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 08:55:02
- ■ルール■
1:最後の一人になるまで殺し合いをする。優勝者にはどんな願いも叶える権利が与えられる。(某白い淫獣のように説明を省略したけれど(ドヤッ とかはない。)
2:参加者たちの所持品は没収され、ランダムに支給品が与えられる。
3:4時間ごとに死者の告知放送を行う。
4:尚、4時間の間死者が出なかった場合全員の『呪縛』を発動させる。
5:放送ごとに禁止エリアが設定され、そこに進入した者も『呪縛』が発動する。
【マップ】
1 2 3 4 5
A 港 崖 崖 港 浜
B 灯 庭 屋 庭 研
C デ 病 学 廃 住
D 九 映 森 塔 旧
E 浜 シ 遊 墓 崖
港:港 崖:断崖絶壁 浜:砂浜 灯:灯台 庭:薔薇庭園 屋:右代宮家屋敷
研:研究所 デ:デパート 病:病院 学:小学校 廃:廃団地 住:住宅地
九:九羽鳥庵 映:映画館 森:森 塔:塔 旧:小学校旧校舎
シ:ショッピングモール 遊:遊園地 墓:墓場
- 625 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 08:57:36
- ◆
「……ご苦労様、ヱリカ」
高級そうな洋椅子に腰掛けて紅茶を口に運んでいるのは、ヱリカと同じ青い髪をしている――――だがヱリカより格段に幼い体をした、目に光の無い少女だった。
"奇跡の魔女"ベルンカステル卿。
数多の世界のカケラを記憶し、その世界の人々を観測して時に弄ぶ大魔女である。
彼女こそが古戸ヱリカの『主』であり、一筋縄ではいかないほどの悪い性格をしたヱリカを服従させるだけの力を持つことが窺える。
その傍らにはもう一人。
いや、一人と言うよりは『一体』と言うのが適切かもしれない。
恐ろしい風貌をしていた。彼を見た人は誰もがこう思うに違いない。『悪魔だ』『死神だ』と。彼―――リュークは後者であり、かつてキラと呼ばれた少年にデスノートを与えた張本人でもある。
「……リューク。貴方の役割は分かっているわね?」
『ああ、分かってる。お前にデスノートを貸す、そしたらお前は俺にとびっきり面白いもんを見せてくれる―――だろ?』
ベルンカステルはリュークが手渡してきたデスノートを手に取り、ページを開く。
このノートに名前を書かれた人間は、死ぬ。
それを読んだベルンカステルはただ笑って見せた。どこまでも黒い笑顔を。
リュークもまた、下品な笑い声をあげる。ベルンカステルの考えたゲームはなかなかに面白い。夜神月の起こしたキラ事件に勝るほどに、魅力があった。
探偵と魔女と死神。
異なる立場の三人が作り上げる一つの『ゲーム』。結末は神のみぞ知る――――――いや、もしかするとこの結末は神でさえも知らないのかもしれない。
狂気、絶望、恐怖。どろどろに混じり合う感情は、時に予想もできないことを起こす。
『バトル・ロワイアル』の幕は、開かれた。
- 626 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:00:01
- 投下終了です。タイトルは「ボーナスゲーム・スタート」でお願いします
続けて第1話投下します
- 627 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:03:03
- ボサボサの髪に無精髭。精悍な顔立ちを台無しにしてしまっている。そんな『残念』な風貌に医者の着る白衣を合わせた男。外場村にて『屍鬼』たちと戦い、屍鬼を駆逐することを目的に孤独に禁欲的な戦いを繰り広げてきた。
彼は外場村の救世主などではない。
屍鬼を駆逐するために自らの妻を実験に使い、彼の手で妻『だったもの』に止めを刺す。『屍鬼』駆逐に侵された男の名を、尾崎敏夫といった。
「……クソッ!俺には…もうあの村には時間がねえってのに…!!」
近くの電信柱を渾身の力で殴りつける。拳から血が滲むが気にしてはいられない。
外場村が屍鬼に完全に支配されるのは遠くないのだ。一分一秒の時間も惜しい状況下で、こんな茶番を仕掛けた古戸ヱリカには激しい怒りを覚えた。
――――俺の戦ってきたことを無駄にする気か
そうだ。敏夫の屍鬼に抱くのは既に敵意や殺意を通り越してしまっている。
この世から根こそぎ狩り尽くし、二度と現れないよう徹底的に駆逐する。
彼は屍鬼を殺すことに関してはきっと村内の人間では一番詳しいはずだ。
尾崎敏夫は帰らなければならない。敏夫の自己満足かもしれないが、屍鬼の駆逐を諦めることだけは許さない。
敏夫は長い自問自答の果てに、ようやく支給品の入ったディバックを確認する。
まず第一に目に入ったのはデリンジャー。
比較的有名な銃である。敏夫も名前だけは知っていたが、まさかこれを引けるとは思っていないのだから、言いもよれない安堵感が敏夫を包む。
もう一つはカッターナイフだ。これもまた凶器であり様々な応用が可能な『当たり』なのだが、敏夫はそれを見て思わず眉を顰めた。カッターには血がべっとりと付着し、まだ完全には乾ききっていない。確実に、誰かの命を奪った痕跡があるのだ。
贅沢を言っていられる状況じゃないのは確かだが、さすがに不気味だ。
一旦カッターをディバックにしまい、今度は参加者の顔写真付き名簿に目を通す。
まず『結城夏野』『村迫正雄』は殺し合い以前に尾崎敏夫の敵―――――『屍鬼』だ。
夏野には少しばかり思うところがあったが、すぐに甘い感情を振り切る。
『屍鬼』を野放しにすれば連中は参加者の血を吸って仲間を増やす。つまり、分かりやすく言えば吸血鬼。心臓に杭を打ち込むことで殺害することも可能、即ち伝説上の吸血鬼と弱点は何ら変わらない。日光の下に長く居ても連中は燃え尽きて死ぬ。
- 628 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:05:20
- 敏夫の妻は『屍鬼』だった。連中に噛まれて彼女もまた屍鬼となり、敏夫に襲いかかる―――はずが、冷酷な敏夫はその妻をモルモットにして屍鬼の弱点を炙りだした。
後悔はしていない。敏夫にとっては妻さえも―――きっと親さえも屍鬼となれば皆平等に『殺すべき害悪』とみなされるのだろう。
「………奴等を殺しに行くか」
結論から言って、敏夫は殺し合いに乗る気は無かった。
尾崎敏夫は医者である。村民たちも安心して身を任せられる、患者のためになら過労死寸前まで働き続けることも多い『善人』―――――。
古戸ヱリカの所行は許されることではない。必ず、あの頭に鉛弾をぶち込んでやる。
殺された少女の分の怒りも燃やし、敏夫は静かにデリンジャーを右手に持った。
第一に、彼の理解者であり友人の僧侶・室野静信を見つけて行動を共にすること。
『屍鬼』の抹殺より先に、唯一無二の親友である静信を探すことを第一にした。静信は敏夫と比べても圧倒的なまでの『善人』―――つまり、殺し合いに乗る可能性はほぼ0%。
この極限状況で信頼できるのは彼しか居ない。
空を見上げる。漆黒に包まれた一面の暗闇に、珠のような星がいくつも散りばめてある。美しい光景だった。
これが殺し合いの最中でなければもっと良かったのに、と敏夫は苦笑した。
その時だったのだ。確かに草の陰から、銃の弾を装填するような音が聞こえた。
「誰だ。出てこなければ―――――――――」
ダァン!という音の後に敏夫の頬を一滴の血が滴う。
警告の段階で発砲してきた。それは敏夫の脳内で殺し合いに乗っていると認識される。
敏夫もまたデリンジャーを構え、何の躊躇いもなくその引き金を引いた。
「っ!!」
「待ちやがれ!」
出てきたのは、黒髪の少年。肩からポーチを提げてその上に青いジャケットを着用し、年は中学生くらいと推測できた。敏夫は彼の目を見て瞬時に判断を下す。
この少年は危険人物だ。今ここで殺害するべきほどに。
敏夫の判断は正しいといえる。襲撃者の名前は天野雪輝。『ツインタワービル』のテロ事件の犯人の上、未来を予知できる日記を用いた殺し合いの参加者『1st』。
敏夫は発砲するが、雪輝は見透かしたかのように逃げ回るばかりだ。
弾切れを狙っているのか――――、と脳内で推測。
残る弾数は3発。再装填できないのは痛い。
「(考えろ。あいつは何故俺の行動をああも的確に読んでいるんだ―――――?)」
- 629 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:07:45
- 雪輝は思った。殺し合いに呼ばれた時はどうなるかと思ったが、彼には心強いまさに彼だけのアイテムーーーー未来日記『無差別日記』が与えられたのだ。
周りの未来を予知する日記。我妻由乃の『雪輝日記』―――天野雪輝の未来を予知する日記―――があれば完全な予知を実現できて尚良いのだが、『日記所有者』で無ければ『無差別日記』だけでも十二分に何とかなる。雪輝はそう考えたのだ。
実際。相手側に未来日記が無ければまず未来日記の有る側が有利となる。だがそれは、あくまでも『有利になる』というだけの話である。
例えば探偵・秋瀬或。
彼は後に未来日記『探偵日記』―――所有者の行動を予知する日記を手にし、雪輝たちを追いつめたが。彼は日記を手にする前から、雪輝たちの強力な敵だった。
尾崎敏夫は間違いなく、この状況下では逃亡しない。
雪輝が自分の行動を読める理由を探り、対策を講じてくる。
そして天野雪輝は一つ忘れている。
未来日記の所有者に追加される言うならば『もう一つの心臓』。
未来日記の媒体を破壊されることは、その日記の所有者の死を意味することを。
「(……いける!日記が無い相手になら、楽勝だ!)」
敏夫がデリンジャーを再び構える。
敏夫の弾を放つ方向を予知するために雪輝は携帯に目をやる。
――――――――――――――――――――――――
0:10[B-2薔薇庭園]
弾は相手から見て真っ直ぐ僕に放たれる。
――――――――――――――――――――――――
「よお、その携帯には何が書いてあるのかな?」
確かに弾は真っ直ぐ放たれた。
ただし『天野雪輝』に向けてではなく『未来日記』に向けて―――――。
「このっ!」
地面を転がるようにして避け、雪輝は自分に支給されたM9ミリタリーを敏夫に向けて発砲する。しかし、不安定な体勢から放たれた弾は敏夫には当たらずその横を突き抜けていく。
まさに形勢逆転。
実際に敏夫は雪輝の携帯電話が『未来日記』であるとの確信は無かった。だが、攻撃される間際に携帯を開く行為に理由が無いはずは無い。
だから、敏夫はカマを掛けたのだ。
そして雪輝の今の反応で確信する。どんな物かまでは分からないが、あれは敏夫の放つ弾の飛ぶ方向を確認できるなど不可思議な性能を持つ携帯電話だと。
更にあれが破壊されると雪輝にとっては非常にまずいということも。
- 630 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:09:14
- 「(まずい、まずいまずいまずい!日記の意味に気付かれた!)」
雪輝には対抗して戦う勇気ももう残っていなかった。目の前の男は未来日記の存在に気付き、日記を狙って攻撃してくる。故に長期の戦いは逆に雪輝を滅ぼすことにつながるのだ。
どうにかして逃げなければならない。雪輝は必死に、目の前の男から逃げる策を考える。
その時、足元に生えていた薔薇に足元を掬われ、雪輝は盛大に転倒する。
「(……哀れだな)」
「ひぃっ…来るな、来るなぁぁああああああああああ!!」
雪輝は闇雲にディバックから取り出した『何か』を敏夫の後ろに放り投げた。
破片手榴弾ならまずい。この距離でも敏夫に致命傷を負わせることができる。
だが、それは手榴弾ではない。
それは、起爆と同時に大音量の爆音を炸裂させる『音響爆弾』であった。
キィィィィンンン!!と、とてつもない音が鳴り響く。敏夫の行動が封じられ、雪輝の聴力も一時的に奪われる。今敏夫を撃てばよかったのだが、雪輝は一目散に走り出した。後には、敏夫だけが残された。
◆
「…っ、ぁあ…くそ、逃げられたか」
耳が聞こえない。一時的だが、あの大音響にやられてしまったらしい。
惜しかった。最初から相手の弱点は携帯だと気付けていれば、勝つのは敏夫だった。
聴力が戻るまではあまり動かない方がいいな、と誰にともなく呟き、敏夫は立ち続けた。彼は何を考えたのだろうか。殺した妻のことか、『屍鬼』のことか。
それは、彼にしか分からなかった。
【深夜/b-2薔薇庭園】
【尾崎敏夫@屍鬼】
[状態]聴力低下(一時)
[所持品]デリンジャー、カッターナイフ@学校であった怖い話
[思考・状況]
0:殺し合いの主催者を殺す。
1:『屍鬼』である結城夏野、村迫正雄は必ず殺す。
2:『屍鬼』が他にも居た場合それらも殺す。
※漫画版七巻終了後からの参加です
※天野雪輝の声・服装・容姿を記憶しました
- 631 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:10:03
- ◆
失敗した。未来日記を見破られたくらいで、情けない話だ。
僕は止まるわけにはいかない。父さんと母さんを生き返らせるまでは、止まれない。
僕は殺し合いに乗る。優勝して僕はみんなを『ハッピー』にするんだ。
【天野雪輝@未来日記】
[状態]砂埃が付着、疲労(中)、聴力低下(中)
[所持品]M9ミリタリー@現実
[思考・状況]
0:優勝してみんなをハッピーにする。
1:由乃は利用して、最後には全てを話してから殺害する。
2:無理そうな相手ならすぐ逃げる。
※10巻、ツインタワービル脱出後からの参加です
※未来日記に制限は無く、本物です
【支給品説明】
【カッターナイフ@学校であった怖い話】
語り手の一人、岩下明美の物。
岩下1話目のバッドエンド時に主人公を殺害したもので、血はその時のもの。
【音響爆弾@未来日記】
9th『雨流みねね』の持つ爆弾の一つ。
作中では刑事の西島と通り魔である3rd・火山高夫の撃退に用いられた。
- 632 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 09:11:15
- 投下終了です。これから改めて皆さんよろしくお願いします
- 633 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 14:11:25
- 二話の題名は『鬼退治』でお願いします
- 634 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:43:42
- バトル・ロワイアルには様々な人物が呼ばれている。普通の人間から異形なる者、ゾンビと呼ばれる者、不可思議な力を行使する者。
主催者であるベルンカステルが幾多のカケラの中から厳選した30名はまさに十人十色の殺し合いを演じるだろう。A-5の砂浜エリアでは、数分後に異能を持つ者の殺し合いが起こることになるのだが、その結末は誰にも分からない。
役者は二人。『探偵』と『魔装少女』にして『連続殺人鬼』の殺し合いだ。
◆
『探偵』とは、『怪盗』と対になり、常に怪盗を捕らえるという仕事だ。
帝都ヨコハマ。
日々財宝と金を目当てに暗躍する『怪盗』とそれを捕らえようと奮起する『探偵』のあまりに激しい戦いが日夜繰り広げられている。
『怪盗』のトップに輝くのは怪盗アルセーヌ率いる『怪盗帝国』。対してそれを何度も追い続けて時には撃退し時には逃げられの攻防を繰り返してきた有能な探偵グループがあった。
メンバーは個性豊かで、それぞれ強力なトイズ―――一般的に言えば『超能力』を持つ。その連携で、最強と謡われる怪盗アルセーヌを幾度も追いつめてきた。
だが。彼女達『ミルキィホームズ』は既に落ちぶれてしまったのだ。
謎の落雷により『トイズ』を失ってからは、『ダメダメ探偵』と呼ばれるほどまで堕ちた。ーーーあの日までは。アルセーヌとの決戦において彼女達は再びトイズを取り戻し、再度栄光を手にする。
今ここに呼ばれたのは、ミルキィホームズをメンタル面で支えるチームの一角。
名探偵シャーロック・ホームズの子孫、シャーロック・シェリンフォードである。
「人の命を……何だと思ってるんですか…!!」
いつも温厚で、他人に激情することなど無いシャロであるが、今回は違った。
極めつけは、神楽と呼ばれた少女を見せしめに殺して見せたところだった。
人とのつながりや仲間への思いやりを人一倍大切にするシャロには、人の命を見せ物のように扱った古戸ヱリカを許すことは決して出来なかった。
殺意という感情をここまで明確に感じたのは初めてかもしれない。
しかし、古戸ヱリカを殺してしまえば彼女はきっと罪の意識も感じずに死んでしまう。
生きて罪を償わせたい。
一生を捧げて見せしめにされた少女に贖罪してほしい。
シャロの願いはそれだった。どんな悪人でも、必ず時間をかけて分かり合うことができる。相手の痛みを知れば、きっと分かりあえる。
- 635 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:46:10
- それが叶えば、きっとシャロはヱリカにこう言うのだろう。
『お疲れさま、ヱリカちゃん』
シャーロック・シェリンフォードはお人好しだ。だから人を憎むことができない。
だが。
それはバトル・ロワイアルにおいては欠陥にしかならないのかもしれない。
■
夜の王。とある少女は彼のためにと戦い続けた。
複数個の命を得るという禁忌を犯すために、連続殺人により命を集めるという更なる禁忌を犯す。そうして少女はどこまでも、這い上がれないほどに堕落していった。
それが、京子という名の『魔装少女』の生き様だ。
彼女は相川歩に敗れ、魔界に送還された。そしてすぐに、夜の王もまた敗北した。
そうして数奇な人生を送り続ける京子を次に待ち受けたのは、殺し合い。
古戸ヱリカと名乗る少女により開催された喜劇は、とある魅力的な賞品が存在する。
たったそれだけで京子に殺し合いに乗ることを決意させるほどに、魅力的だった。
―――――願望の成就。
嘘やハッタリではない。ヱリカの目は嘘を吐いている目ではなかった。
求めるのは何か?答えは簡単に、夜の王を蘇らせることだ。
相川歩やユークリウッド・ヘルサイズを殺すのは一筋縄ではいかない。
相川歩は人間ではない。不死――――言わばゾンビだ。
故に、人間が無意識に制限してしまう領域が存在しない。100――――いや、300%以上の力さえ発揮してくる怪物。一撃でも貰えばそれだけで危ない。
ユークリウッド・ヘルサイズはネクロマンサーと呼ばれる地獄の使者だ。
口にした『言葉』をかなりの頭痛を代償に現実にする性質を持っている。
もしもあの力がフルに使用可能なら、恐らく殺し合いの決着はすぐに付いてしまう。
戦いですらない、一方的な暴力である。
しかし、彼らとも戦ってきた。夜の王を復活させるための賞品を諦める理由にしては軽すぎる。殺す。今回は、今回こそは全ての力を使い果たしてでも殺さなければならない。
「(あら…丁度良さげな獲物が居るじゃありませんかぁ)」
『探偵』シャーロック・シェリンフォードの姿を京子は視界にとらえる。
シャロもまた、ほぼ同時に京子に気付く。
だが、シャロの望む『分かり合う』間も与えられずに、京子の周りから二つの竜巻がシャロに迫っていった。ただの竜巻ではない。触れた相手を潰すくらいの破壊力を秘めた京子のメインウェポン。シャロはそれを知ってか知らずにか、両手を前に出す。
- 636 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:47:23
- 「………?」
不思議だった。あの竜巻の真の力を知らなくとも、敵がわざわざ放った不可思議な攻撃を両手で防ごうというのか。あれは生半可な防御なら突き破る威力だ。
次に見るのはシャロの両腕がぐちゃぐちゃの挽き肉にされ、悲鳴をあげる光景だと、京子は確信していた。だが、違う。シャロは京子とは違うベクトルで『不可思議』な力を所持しているのだ。その能力の名は念道力ーーーーサイコキネシス。
京子の放った竜巻が衝突し、見事に相殺して形も残らず消滅する。
驚く京子の肉体が、急に何か見えない力で拘束され、身動きを封じられる。
「――――へえ。結構やるんですねぇ」
「大丈夫です!話せばわかり合え」
京子の拘束が、急に解けたのだ。
シャロが解いた訳ではない。いくらお人好しとはいえ、自分を殺しにかかってくる相手の警戒をそう簡単に解いてしまうほどシャロは探偵として無知ではない。
京子の周りに、大分小さくなった竜巻が幾つも浮遊していた。
「驚くほどの事じゃありませんよ。あなたの拘束を内側から破っただけの話です」
京子は自身の拘束の内側から竜巻を発生させて強引に拘束を破壊したのだ。
自身のトイズをあんな方法で破られるとは思いもしなかった。
京子は小さな竜巻を一気にシャロへと放つ。シャロは再びそれらを一点に集め、攻撃を無力化する。しかし、何度も同じ手を喰うほど京子は馬鹿ではない。
今度はシャロに向けて二次波・三次波の竜巻を放つ。彼女の読みでは、シャロは三次波を防ぎきることはできないと踏んでいた。最初の攻撃の際、京子の竜巻を無効化した後に京子自身を拘束するまでにタイムラグがあった。
それはつまり、一度力を使えばあまりにも早い連続使用はできないということになる。
それは弾幕状に竜巻を配置することであの力は破れる計算になる。
だが、物事はそう上手くは進まない。
シャロはとっさに横向きでサイコキネシスを使用した。それで地面を叩くことで自分は竜巻を避け、竜巻は行き場を失ってしまう。偶然に生まれた応用形の使い方は、京子の講じていた策を破るのに十分すぎる働きを見せた。京子は歯噛みする。
考えれば、あの能力は自分のものより使い勝手が格段に上だ。
予想される使い方としては、相手の足場を崩したり、相手を地面に叩きつけるなど殺しのバリエーションがあまりにも豊富すぎる。
- 637 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:48:23
- さっきの拘束でもし首に力を掛けられでもしたら、京子はもう死んでいただろう。
いきなり厄介な相手に出会った、と嘆息する。
京子のような放出攻撃はシャロのサイコキネシスに対して相性が最悪だ。
次はシャロからの攻撃だった。
再度力が京子を拘束するために体にまとわりつくのが分かる。
竜巻を放ち、再びそれを破るが、今度はさっきとは違う。
シャロに向かって突撃したのだ。確かに遠距離戦ではこちらに分が悪いが、至近距離でならシャロを力ごとすり潰すことだって不可能なことではない。
竜巻を走りながら生み出し、同じパターンでシャロに向けて放つ。
ヒュゴォォォォオオッ!!という竜巻の風の音が、見えない力に押さえつけられてまるでもがき苦しむかのように暴れた後で消滅する。
その瞬間に、京子はシャロの懐に飛び込んだ。まだタイムラグの内のはずだった。
竜巻の噴射力を応用した拳を、シャロの腹に思い切り打ち込む。
「あぁぁああああああああっ!!」
「やっと…一発入りましたねぇ。お楽しみはまだこれからですよぉ」
サディスティックな微笑みを浮かべ、京子は起きあがろうとするシャロの顎を蹴りあげる。体の重心を失って再び倒れるシャロ。
シャロの顔を足で踏みつける。鼻血が噴き出した。
それと同時に、サイコキネシスの弱々しい力が京子を拘束しようとする。
「それっ」
笑い混じりのかけ声が響き、シャロの絶叫が一帯に更に大きく響き渡った。
シャロの右腕は肘から先が吹き飛ばされていた。竜巻を一つ使い、威力を確かめる。
勝った。そう京子は確信する。
確かに京子はシャロに勝った。もう血は足りなくなっており、放っておけば死ぬのは近い。だから、ここからは勝ち負けが関係ない。シャロの悪足掻きだ。
「……う、ああああああああああああああああっ!!」
猛るような声の後に、シャロの力は砲弾の形になり京子を跳ね飛ばした。
シャーロック・シェリンフォードが何故最後にこんなルール無用の戦いを始めたか。
それは、ここまで無慈悲に人を殺せる人間から、自分の大切な人を守るため。
ふらふらと立ち上がり、京子の方へと歩いていく。
京子は意識を持っていかれるかと思った。相川歩の拳よりずっと上の衝撃だ。
シャロは真上に手を掲げる。そこに巨大な力が収束しているのは明らかだった。
喰らえば間違いなく一撃で終わる。
冗談じゃない。ここで犬死になんかできない。
- 638 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:49:40
- 「(……冗談じゃない。無駄死になんて…馬鹿馬鹿しいっ)」
京子もまたふらふらと立ち上がり、無数の竜巻を出現させてシャロに放つ。
振り下ろされた『力』は竜巻を簡単に跳ね除け、その衝撃だけで京子を更に吹き飛ばす。もう京子に策は無い。後はシャロの力に潰されるだけだ。
しかし、力はいつになっても京子に降りなかった。
降りるはずがない。何故なら、シャーロック・シェリンフォードの胸元から一本の刃が生え、その一撃で彼女は完全に絶命したのだ。
シャロの背後に立っているのは、不敵な笑みを讃えた眼鏡の男。
シャロから刃を抜き取るとその血を舌でぺろっ、となめとる。
手慣れていた。人の刺し方も、人からの刃の抜き方も。
それもそのはずだ。彼は鳴神学園の闇のクラブ『殺人クラブ』の部長・日野貞夫である。ゲームと称して気に入らない奴を次々と殺していくことに快楽を覚える『エリート』―――――。
日野は愉快そうに笑う。足元に転がっている無惨な死体を軽く蹴り飛ばして。
連続殺人犯の京子でさえ分かる、あまりにも異常な男。
日野貞夫は、さぞ愉快そうに倒れている京子の方を向く。
「よお。今の殺し合い、見てたぜ。お前は殺しの才能がある」
「それはどうも。私、一応連続殺人事件の犯人なので」
常人なら逃げ出すか腰を抜かすかしそうな事だが、日野はやはり不敵に笑うだけ。
日野は楽しそうに、最高に楽しそうに京子にある『誘い』を持ちかけた。
「お前……俺達の殺人クラブに入らないか?」
「……殺人、クラブ?」
「この世を楽園とするエリート達のクラブだ。お前なら、きっといい殺しをするぞ」
日野のこの殺し合いにおける立場は、極めて異常な立場である。
参加者は『部員』として優秀な奴のみをスカウトし、後はすべて殺し尽くす。
そして最後には、主催者にこんなところに呼びつけたことに対しての『復しゅう』だ。
「いいですけど、一つ条件があります。願いを叶える権利を私に下さい」
「……いいだろう。あのガキは脅せばそのくらい簡単だ」
日野は一つ京子に話していないことがある。日野貞夫は、『あの日』にクラブ活動の標的によって殺害されたーーーーー正しくは自ら命を絶った。
つまり、日野はここには存在しないはずの『死人』であり、彼自身が『学校であった怖い話』と呼べる存在だと。
京子は知らない。何もかも。
- 639 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:50:25
- 【シャーロック・シェリンフォード@探偵オペラ ミルキィホームズ】 死亡
【残り29/30人】
【深夜/A-5】
【京子@これはゾンビですか?】
[状態]疲労(大)
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
基本:日野さんに協力する。
1:相川歩とユークリウッド・ヘルサイズに最大の注意を払う。
2:日野さんが裏切ったなら容赦しない
※原作三巻終了後からの参加です
【日野貞夫@学校であった怖い話】
[状態]高揚
[所持品]ドス@現実、不明支給品1
[思考・行動]
基本:参加者と主催者を殺す。
1:良い奴がいたら『部員』として勧誘する。
2:俺は死んだよな…?
※新堂七話目で死亡後からの参加です
- 640 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/09(火) 18:52:36
- 投下終了です。投下開始宣言を忘れてましたorz
題名は「とある探偵の最終兵器」でお願いします
- 641 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 12:35:27
- 参加者に一部変更。
【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○イスカンダル/○ディルムッド・オディナ
【めだかボックス】
○黒神めだか/○球磨川禊
を追加します
- 642 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:41:06
- 愛好作品ロワ第四話投下します
- 643 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:42:04
- D-2エリアの映画館は、つい最近まで営業していたような痕跡がある。
座席に散らばっているポップコーン、残されたままの炭酸飲料、上映終了時のままの映画のフィルムが残されてあるその光景は、あまりにも異質すぎた。
例えば、映画館の映画上映中に乗客全員を『強引に』追い払ったような。
蛍光灯は灯されたまま、無機質な空間を照らしている。
松田桃太は、その光景から発せられる違和感に恐怖していた。
「終わったんじゃ…ないのか……?」
呆然と呟く松田。
松田桃太は人類の歴史史上最悪クラスの凶悪犯『キラ』対策捜査本部の一員である。
本部の中では一番頼りない存在であったし、多少キラに共感してしまうこともあった。
だが、結果的にはキラ――――『夜神月』を糾弾し、その最後の悪足掻きを阻止して見せた。その後に夜神月は味方であった死神に裏切られ、皮肉にも月が悪を『裁く』際に利用していた最悪の殺人兵器ーーーーーー『デスノート』により殺害された。
何もかも終わったと思っていた。松田たちの長い戦いは終わったのだと。
だが違った。何も、終わってなどいなかった。世界を―――否、時代を揺るがすほどの超巨大な『悪』は、世界に君臨する。
「古戸ヱリカ……!!」
松田は強い憎悪を主催者に感じていた。夜神月の『キラ事件』は、絶対に許されない悪行だとしてもそこには『悪の無い世界』を作りたいという真っ当な理由があった。
だが、古戸ヱリカにはそれが無い。
人の命を弄び、見せしめと称してまだ年端もいかない少女の未来を奪う。そこには夜神月が持っていた歪んだ正義さえも無い、正にただの『悪』ーーーー。
先程ホールで行われた『開会式』において、無惨な死体を晒すのは本来松田の方だったかもしれない。彼は許せなかった。冗談だとしても殺し合いを喜劇と称したことに、声を張り上げて反論しようとした。彼を寸でで止めたのはあの世界的な名探偵にして松田の『戦友』ーーーL。
信じられなかった。Lは夜神月の策略により殺害されたはずだったが、目の前で松田の肩を掴むのは確かに松田桃太の知る『L』であった。
その極端なほどの猫背をする人物を松田は他に知らない。
「L……!?どうして貴方がここに!?」
思わず大声を出してしまう辺り自分はまだ足りないなと実感したが、そう言わずにはいられなかった。Lは『キラ』である月が死んだことを、事件が解決したことを知っているのだろうか。
- 644 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:43:41
- 死人が生き返るというまるで漫画やアニメの世界のようなあまりにも突拍子もない『非科学』を突きつけられたことにうろたえ、思考がぐちゃぐちゃにかき乱される。
落ち着かなければならないのに、落ち着くことができない。
「……落ち着いて下さい。私も何故自分が生き返ったのかは分かりません」
「L…やはり貴方は……」
L自身も自らの死を認識しているらしい。これはどういったことだろうか。
死者を蘇生させる技術。それを主催者・古戸ヱリカは保持している――――。
一番現実的で非現実的。
その事実に対する解答はLにも出せないようだ。
それは当然の話。夜神月やLにはこの現実に解答を出すことは出来ない。いや、彼らには『解答が理解できない』。この会場には解答を出せる者も何人かは存在するが、彼らにはそれは不可能だ。
死人を生き返らせる魔法なんて答えを、彼らは信じられずに自ら拒絶する。
主催者の一人であり実質的な黒幕"奇跡の魔女"ベルンカステルはとてつもなく強大な力を有する。彼女ら『魔女』にとっては一桁の足し算より死者を蘇らせることは容易いし、逆に生者を殺害することも容易いことである。
彼らも、その力を受けた。
L。世界的な探偵さえ井の中の蛙。それが人の理から外れた『非科学』の力。
「…貴方が声を張り上げたところで、何も変えられませんよ」
「変えられるかもしれないじゃないか…賛同者が出ればきっと、」
「彼女は私たちに何かを仕掛けていると思われます」
松田の声を遮ってLはそう耳打ちした。これは単なる考察で、確信となる証拠は無い。
だが、ただ殺し合いを行えと言われれば、当然反対者が力づくの抵抗に出るだろうし、殺し合いの場から逃走される可能性もまた非常に高い。
一度は死んだ者さえ蘇らせ、これだけの人数を誘拐してまで殺し合いを遂行しようとするような輩が、こんな簡単なことに気付かない筈が無い。間違いなく気付いている。
だからこそ、古戸ヱリカは何かしらの『対策』を講じている可能性が高い。
もしかしたら彼女の配下には屈強な兵士達が居て、武力で反乱を制圧するのかもしれないが、だとすれば殺し合い自体がパニックになった参加者により成立しなくなることも有り得る。とすれば、ヱリカは参加者である自分達の体に何か細工を施し、反乱を抑止できるようにしているとLは考察した。
松田に反論することは出来なかった。
やはり、L本人だ。
- 645 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:45:07
- この冴え渡る頭脳はあらゆる可能性を考慮し、常に答えを導きだしていく。
松田の知るLと何一つ違いはない。そして松田もいつしか冷静に戻っていた。
その後すぐに。神楽と呼ばれたチャイナ服の少女が『反乱対策』に殺害された。
無惨すぎる。松田は嘔吐する。胃の中の吐寫物を吐き出して、やっと立ち直った時にここまでの対策の効果を確かに知る。こんなグロテスクな対策を取る意味を、理解する。
これほどの惨状を見せつけられれば、立て前の正義などでは立ち上がれない。
恐怖による感情の操作。ここにキラ事件につながるものがあった。
夜神月―――『キラ』は、悪人を大量に殺害していった。死神のノートによって。
その効果は、悪事を犯せば死ぬかもしれないという恐怖を人々に与えていった。
月がキラとして君臨している間、世界中の犯罪の数が激減した事実もある。
「……酷い。何てことするんだ!」
「松田さん」
Lはただ松田の事を呼んだ。それは確かに窘めるようにも聞こえたが、ある感情がある。
―――――激しい怒り。
Lは激情していた。感情を表に出しはしないが、主催に対する怒りが声にはあった。
人の命を命と思わない行為。それは卑劣。
「絶対に、古戸ヱリカを逮捕しましょう」
「……こちらもそのつもりですよ、L」
◆
松田は支給品の確認をするためにデイパックを開く。まず真っ先に目に飛び込んできたのは、あまりにも衝撃的な物。松田の知る限り、最悪の殺人兵器―――『デスノート』。
何故これを主催者が所持している。あまつさえ、支給する意味が分からない。
古戸ヱリカが偽名でない限り、ヱリカ自身の首を絞めることになってしまう。
だが、ヱリカも馬鹿ではない。
松田に支給されたのはLの後継者のニアが部下に作らせた偽物のデスノート。
勿論、名前を書かれても何も起きない。
松田はそれに気付かずに自分の中で必死に考えを巡らせる。
「(もし……これにヱリカの名前を書けば、誰も死なずに終わるんじゃないか?)」
ここは映画館だ。探せば筆記用具の一つや二つすぐに見つかるだろう。
書くとすれば二人。蘇ったキラ『夜神月』と憎むべき主催者・『古戸ヱリカ』。
更に言えば、これを持ち帰れば、この先何か大事件が起きたときに対処できるのだ。
これを手にすると月の、キラの気持ちが分かる。
どんなに最悪な人間でも名前を書くだけでこの世から排除できる。
闇の誘惑だった。
- 646 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:46:30
- 正しい方向にこのノートを使えば、世の中を導ける。それこそ『キラ』のようにーー。
邪な考えが次々と頭に浮かぶ。偽物とは知らずに、松田は誘惑に酔う。
「(駄目だ、松田桃太……それじゃあ月君と、キラと同じじゃないか)」
首をぶんぶんと振って偽物のデスノートをデイパックに押し込み、もう一つを取り出す。それは光っていた。日本昔話御用達の木こりが使うようなごく一般的なサイズの斧。
殺傷能力は十二分にあるのだが、松田は外れという感情を抱かざるを得ない。
殺し合いに呼ばれている人物を一人一人把握している訳ではない。例えば、凶悪犯やテロリスト、蘇った死刑囚などが紛れている可能性も考慮すべきだ。
名簿には『シャーロック・シェリンフォード』や『ディルムッド・オディナ』などの洋名が記載されている。もし時代の垣根を越えて参加者が選ばれているのだとすれば、松田の知らないだけで歴史に名を残す極悪人がこの殺し合いに参加させられているかもしれない。
そう言った人物相手には、拳銃を使って対処するのが一番望ましい。
ロクに触れたこともない斧で敵を制圧するのは非常に困難だと松田は考える。
結局支給品はそれだけ、残念だが外れだった。
顔写真付きの参加者名簿を眺める。そして再度眉を顰めた。
視線は二つの名前を行ったり来たりする。
――――――『夜神月』と『弥海沙』の名前を、深刻な面持ちで見つめる松田。
どちらも超が付くほどの危険人物だ。
月はまだ殺し合いに反発する可能性があるとして、弥海沙はほぼ確実にこの殺し合いに乗ってくる。夜神月を生還させるために、平気で人を殺す。
松田自身、この殺し合いを打開するには月の頭脳が必要だと悔しいが思っていた。
夜神月の頭脳でLの頭脳を補完すれば殺し合いだってどうにかできるかもしれない。
あの場でLには言わなかったが、Lも同じことを考えていた可能性は十分にある。Lは『キラ』として月を疑う中で、月の頭脳に関しては非常に高い評価を下していた。
キラと頭脳戦を繰り広げてきたからこそ、この状況で最も頼もしい相手だと言わざるを得ない。Lがそう考える可能性は高いだろう。
皮肉なものだった。自分たちが滅亡に追い込んだ相手を自分が今度は求めている。
自分一人では何もできないのだと松田は実感させられる。
「(僕は…どこまで不甲斐ないんだ…。)」
自己嫌悪に陥る彼の背後から、一人の少女が近付いてきている。
- 647 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:47:53
- この殺し合いにおいてトップクラスの危険人物、未来日記所有者『2nd』我妻由乃。
その手に持つのは、銀の光を放つ刃―――――短刀だ。
彼女は少なくとも二度、殺し合いのサバイバルゲームを経験している。
故に、わざわざ声をあげて襲撃したりはしない。
ただ静かに背後に忍び寄り、狂気に満ちた笑顔を浮かべながら、刀を――――
松田に刀を振り下ろすことはなかった。
直前に第三者の射撃が的確に刀の刀身に当たり、由乃の手から弾き飛ばしたのだ。
刀が砕けないのが不思議なほどの見事な当たり。
松田は驚いて振り返るが、状況を理解するのに少々時間が掛かってしまう。
やっと状況を理解した松田は、一か八か支給された斧を構えてみせる。
「――――君は逃げるんだ。相手は相当手慣れているようだからね」
「…嫌だ。僕も、あの子を止めるのを手伝う」
「背後からの殺気に気付かないような素人は足手まといだと言ったつもりだけど」
男の口調は厳しかった。
松田も、まさかこれほどまでに強く拒絶された事に微かな苛立ちを覚える。
だが、冷静になるとあれほどの射撃精度を持つ彼はプロの傭兵か何かかもしれない。
だとすれば松田の力では足手まといになる。
「……僕に出来ることは」
「ここから立ち去る事が一番助かる」
くそっ!と叫んで、松田は走り出した。どこまでも不甲斐ない自分を猛烈に嫌悪して。
【深夜/D-2映画館】
【松田桃太@DEATH NOTE】
[状態]強い自己嫌悪
[所持品]デスノート(偽)@DEATH NOTE、斧@現実
[思考・行動]
0:この殺し合いを止める。
1:………くそっ
2:Lと合流したい。
3:月君の協力を得たい。
4:弥海沙を警戒。
※原作終了後からの参加です
※デスノートを本物だと思いこんでいます
- 648 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:48:53
- ■
松田桃太が去った後。射撃の主―――衛宮切嗣は襲撃者・我妻由乃に銃を向けた。
銃の銘柄はデザートイーグル。使ったことは無いが、慣れれば問題は無い。
由乃もまた落ちた刀を取る。
ここで一つ説明しておくと、由乃の持つ刀は普通の刀ではない。
魔界の偉大な鍛冶が打った刀で、弾丸くらいでは破壊することは出来ない。
由乃はそれを再び掴み取ると、切嗣に向けて走り出す。闇雲に走っているわけでは無い。危険な賭けだが、切嗣の放ってくる弾を何とか避けられる角度から攻撃を加えられるように計算されている。
切嗣はそのまま由乃に向けて弾を放つが、由乃に当たってはいない。由乃の近くの足元に弾は着弾し、わずかに由乃のバランスを崩した。それで十分だった。
由乃の刀による突きを避ければ、先ほどバランスを崩した効果が出てくる。
体勢の立て直しに僅かではあるがタイムラグが発生したその一瞬を切嗣は見逃さずに、一気に由乃の懐に潜り込み、拳をその腹に打ち込む。更に動きが止まった側頭部に横から蹴りを打つ。
由乃が吹き飛び、切嗣は更にまだ体勢を立て直さない内に発砲する。
頭を反らすが、頬に一筋のかすり傷が生まれていた。
由乃は日記所有者を殺害する中で、多くの戦いを繰り広げてきた。
この男は戦場マルコに近い格闘センスを持っているが、根本的な人間としての部分で決定的にマルコとは違う。衛宮切嗣には一切の躊躇い・迷いが無いのだ。
敵と認識したなら容赦無く急所に射撃してくる、まるで殺し屋のような。
あながち間違ってはいない。彼は魔術師を幾人も破り、葬ってきた『魔術師殺し』の異名を持つ男なのだから。彼の前には泣き落としは通用しない。
「チィッ!この……っ!!」
弾が由乃に向かい、接近することさえ許さない。
由乃は映画館の椅子の陰に隠れて体勢を立て直そうとする。しかし、それは切嗣にとっては有り難いことである。弾を詰め直すと、今度はディパックに入っていた『もう一丁の銃』を取り出す。
イングラムM12。要するにサブマシンガンだ。
それを由乃の隠れたと予想される座席に向け、一気に弾を放つ。ぱらららららららっ、という銃声が続くが、切嗣は眉を顰めた。由乃の姿が無い。
後ろを振り返るまでも無かった。我妻由乃は隠れたと見せかけて別の場所に隠れた。
ならば、背後にむけてイングラムを放つ。
反動で弾道は大幅に反れたが、確かに弾は放たれた。
- 649 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:49:41
- それでも。背後に我妻由乃の姿は確認できなかった。
「………さっきの」
先ほど逃がした男を追ったらしい。確かに賢明な判断であったといえる。
だがやる事は変わらない。追って我妻由乃を射殺する。
二人を救うために一人を殺し、万人を救うために千人を殺す。
歪んだ正義の味方、衛宮切嗣は駆けた。
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]健康
[所持品]デザートイーグル@現実、イングラムM12@バトル・ロワイアル
[思考・行動]
0:殺し合いに乗った者を殺し、乗っていない者を助ける
1:我妻由乃を追跡し、殺害する
2:サーヴァントにはなるべく近付かない。
※少なくとも聖杯の泥を浴びる前からの参加です
■
我妻由乃は、衛宮切嗣の読み通りに松田桃太を追跡していた。
『雪輝日記』には、最愛の恋人・天野雪輝が殺人に失敗したと表示されている。
返り討ちには遭わなかったらしい。
由乃の求めるのは天野雪輝、もしくは自分の優勝。どちらかが生き残れば、もう片方を蘇生させることができる。それさえあれば、既に『救われた』彼女には何も必要なかった。
【我妻由乃@未来日記】
[状態]腹部にダメージ(中)、疲労(小)
[所持品]魔界の刀@うみねこのなく頃に、不明支給品1
[思考・行動]
0:天野雪輝もしくは自分が優勝できるようにする。
1:松田桃太を追って殺害する。
2:衛宮切嗣は後で必ず殺す。
※原作終了後からの参加です
- 650 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/10(水) 18:50:14
- 投下終了です。やはり一般人バトルは難しい…
- 651 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:39:46
- 第五話投下します
- 652 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:40:20
- C-1のデパート内には、殺し合いにおける便利グッズになりそうな物がたくさんある。
例えばガムテープ。拘束用、時には破壊された武器の補修を受け持つことが可能だ。
他には包丁やカッターナイフなど本格的な凶器、マッチやロープなど『あって困らない』物が置いてあるため、最初にこのエリアに飛ばされた者はラッキーかもしれない。
そこに、早速物色をしている青年の姿があった。
「まず、ロープは絶対必要……場合によっちゃあガムテも使えるかもなァ」
一つ確認しておくが、彼の言う『使える』は、殺し合いの為に使うという意味ではない。彼の嗜好をよく知る者なら、すぐに意味を理解してため息を吐くだろう。
青年の名は沖田総吾。
真選組一番隊隊長にして、どんな女性をも調教するドSな性格をしている。
しかし。残虐非道の主催者・古戸ヱリカにはそんな感情さえ芽生えることはなかった。
斬る。あの悪女には必ず自分の手で引導を渡したいという気持ちが、沖田を支配していた。ヱリカは彼の知り合いであり時には戦友にもなった夜兎族の少女を見せしめと称して殺した。
どうやって自それと同時に、自分の中に燃え上がる怒りの感情も押し殺す。
冷静さを欠いた戦は死に戦になる可能性が高い。確実にヱリカに一矢報いるには、ここは冷静に仲間を集めたり、弱者の保護に勤めるのが得策だと思ったからだ。
デイパックを乱暴に開くと、まず最初に目に入ったのは明らかに危険な薬品の瓶。沖田は顔をしかめ、瓶の蓋をそっと開け、床に一滴滴を垂らしてみる。
ジュウウゥゥウウウウ、というまるで焼けた鉄板の上に油を敷いたような音がして、床から煙が立ち昇りはじめる。彼は知らないかもしれないが、それは物理的に見ればこの世で最悪クラスの危険薬品ーーー濃硫酸。よく推理もので用いられる、死体を溶かしたりできる薬品。
「(こいつを使う機会は…無い方がいいな)」
これを人間が浴びればどうなるかなど想像もしたくない。
慎重に瓶に蓋をし、デイパックからもう一つの支給品を取り出す。
……イヤホン付きの、携帯型音楽プレーヤー。つまりip○d。完全な外れだ。
神様は俺に何か恨みでもあるのかね、と心の中で毒づき、顔写真付きの参加者名簿に視線を落とす。そこには、彼のよく知る人物たちの名前が記載されていた。
坂田銀時、志村新八、土方十四郎。分を此処に連れてきたのか、一体此処は何処なのか。そんな疑問を全て押し殺す。
- 653 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:41:25
- 皆殺し合いに乗るとはどうしても思えないし、各個が主催打倒の要になるような人物たちと沖田は記憶している。心配は無用だと思い、名簿をディパックにしまう。
「(さて…頼りにしてますぜィ土方さんよ)」
自らが命を狙う『鬼の副長』土方十四郎に心の中で告げ、沖田は立ち上がる。
デパートの店内に調理具置き場があったのを沖田は記憶していた。支給品の代わりに失敬しようと考え、三階・調理品売場に足を動かす。数分後に、彼は早くもバトル・ロワイアル最初の戦いを経験するとは微塵も知らずに。
■
■
沖田総吾が調理品売場に向かっているのと同時刻に、調理品売場には先客がいた。
帝都ヨコハマ。探偵と怪盗の戦いの影で治安を維持する『警察』内でも指折りのエリート集団『G4』のリーダー、明智小衣。彼女もまた、殺し合いの参加者である。
殺し合いの主催者、古戸ヱリカの逮捕に向けて探索行動を開始していた。
その小柄な体駆からは想像もつかないほどの正義感は、恐れというものを捨てている。
「(馬鹿のシャーロックに、譲崎ネロ…後は小林オペラか。あの馬鹿が一番危なっかしいわね)」
小衣の言う『あの馬鹿』は既にこの世には居ないのだが、そんな事は知る由もない。
まず、一番頼りになるのはあの名探偵ーーーー小林オペラ。
使い物にもならなかったミルキィホームズを優秀な探偵に育て上げたのは彼の実力があってこその功績だ。小衣は皮肉りながら、内心彼を高く評価していた。
まずはシャーロックとネロを探すために小衣は探索を行っていたという訳だ。
「……刀なんて扱える訳ないじゃない」
口を尖らせて小衣は毒づく。
彼女の支給品は刀。かつて妖刀『紅桜』に対抗するために打たれた刀である。
だが、剣の心得など皆無の小衣には無用の産物。
- 654 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:44:02
- せめて仕事上訓練を受けている銃なら良かったのに、とぼやきながら小衣は探索する。
彼女には、一つだけ幸運だったことがある。
彼女の着用しているのは、支給された防弾服だったこと。
それが、明智小衣の運命を変えた。
ダァン!という銃声がしたな、と小衣は最初他人事のように感じていた。
直後、小衣の胸元に強く鈍い衝撃が走り、彼女の意識を奪い去った。
意識を失う前に見たのは、一人の少年が銃を向けている姿。
「(死ぬ、の――――――?)」
そこで小衣の意識は途切れた。
だが、襲撃者の少年からの攻撃が来ることもまた無かったのだ。
少年はとっさに横に飛び退いた。背後から近付いた沖田総吾の飛び蹴りをかわすために。背後からのわずかな殺気を察知できた時点で、沖田はこの少年を侮ってはいけないと確信する。
少年にとっては誰が相手でも変わらない。
手にしたジグザウアーH226を沖田に向けて発砲する。
そこには慈悲も罪悪感も、更には殺意も無かった。空虚。そうとしか形容できない。
沖田は棚の陰に気絶した小衣を抱えて飛び込み、その手の刀を見てにやり、と笑む。
「―――――借りるぜィ」
やっと自分らしい武器が手に入った。
緊張に震える暇があるなら、一手でも多く攻撃をして相手を潰せーーーーー!!
沖田が一歩踏み込もうとするが、桐山の射撃のせいで近付くことさえままならない。
沖田も、桐山の射撃はこちらの命を正確に奪いに来ると理解している。
「(……やっぱり厄介だな。これじゃあ近付けねえ)」
「…」
一旦距離を取ると、桐山は弾を装填する。
その隙を沖田は見逃さない。刀を構えてその懐に潜り込む。
しかし、桐山も応戦するためにジグザウアーH226を沖田に向ける。
ヒュンッ!という風を切る音と、ダァン!という破裂音がほぼ同時に鳴った。
「がっ……!!」
「……」
沖田の右肩に穴が開いて、致命傷にこそならないが血が染みだしてくる。
一方の桐山も、沖田の斬撃によって脇腹を浅く斬られている。
止まっている暇は無い。二人は同時にそれぞれの武器を持ち、再び攻撃しようとする。
沖田の刀は桐山の首の手前で止まり、桐山の銃は沖田の額に突きつけられている。
まさに膠着状態。指一本でも動かせばそれが引き金となって互いに終わる。
沖田はため息を吐いた後、ゆっくりと口を開く。
「…どうだい、ここは一つ」
「……良いだろう」
- 655 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:44:47
- 言葉の意味を理解すると、両者共に武器を下ろす。あの場で意地を張って戦いを続けていれば、確実に死、もしくは致命傷を負う事になるのは見えていた。
桐山と沖田はここで戦いを中断し、互いに互いを見逃すことにしたのだ。
最初に桐山が沖田に背を向けて歩き出す。
不用心にも思えたが、桐山は前回の殺し合いで背後からの奇襲に対して応戦し、逆に射殺している。沖田はそれを桐山の自信と見て苦笑した。
沖田も桐山に背を向け、寝かせてある小衣の元に戻る。
「……どうするかねィ」
ひとまずこいつが起きるまでは動けないな、と沖田は呟き、肩の手当を始める。
【深夜/C-1】
【沖田総吾@銀魂】
[状態]疲労(小)、肩に銃創(処置中)
[所持品]鉄子の刀@銀魂、濃硫酸@現実、ip○d@現実
[思考・行動]
0:殺し合いを潰して、主催者を斬る。
1:ガキ(小衣)が目覚めるまで待つ。
2:万事屋の旦那、新八君、土方さんを探す。
※ラブチョリス編終了後からの参加です
【明智小衣@探偵オペラ ミルキィホームズ】
[状態]気絶中
[所持品]防弾チョッキ@バトル・ロワイアル
[思考・行動]
0:古戸ヱリカを逮捕する。
1:……
2:シャーロック、ネロ、小林を探す
※ゲーム、怪盗L撃破後からの参加です
- 656 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:45:27
- ■
桐山和雄は、一階に居た。
沖田との戦いで負った傷への処置を行っている。
彼には感情がない。彼に優しさや人としての常識を求めるのは間違いだ。
彼は今回の殺し合いにおいてはどう動くのだろうか。
【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]脇腹に刀傷(止血中、行動に支障なし)
[所持品]ジグザウアーH226@現実、不明支給品1
[思考・行動]
0:優勝する。
1:滝口は死んだのではなかったか…?
※七原たちに殺害される前からの参加です
- 657 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/11(木) 16:46:02
- 投下終了です。
- 658 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/12(金) 17:36:17
- 再び、参加者追加します…何度もすみません
【魔法少女まどか☆マギカ】
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○巴マミ
【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○ステイル=マグヌス/○ヴェント/○フィアンマ
【BLOODY MONDAY】
○高木藤丸/○神崎潤/○折原マヤ/○高木遥
【めだかボックス】
○人吉善吉/○日之影空洞
【空の境界】
○両儀式/○黒桐幹也
以上16名追加します
- 659 :トラブル・イン・ホスピタル ◆YR7i2glCpA:2011/08/14(日) 22:27:41
- 本スレでさるさん食らったのでこちらに続き
と言っても状態表と支給品情報だけだけど
【C−6病院/1日目午前】
【七原秋也@BATTLE ROYALE】
[状態]:健康、困惑
[装備]:カッツェのリボルバー(残弾10)@ブシドーブレード弐
[道具]:基本支給品一式、隆子爆誕セット@まほらば
[思考]1:この場をどうする…?
2:殺し合いには絶対乗らない。
【白鳥隆士@まほらば】
[状態]:健康、困惑、冷や汗
[装備]:才堂の鉈@クロックタワーゴーストヘッド
[道具]:基本支給品一式、縄標@忍たま乱太郎
[思考]1:この場をどうする…?
2:梢を探して守りたい。
3:殺し合いには乗らない。
【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:この場をどうする…?
2:伊作の怪我を早く治してやりたい。
3:なんでクレイジーダイヤモンド一発で治らねーんだ?
4:殺し合いはさっさと潰す。
[備考]:スタンドの力が制限されています。
【善法寺伊作@忍たま乱太郎】
[状態]:左腕にヒビ(軽度)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式
[思考]1:この場をどうする…?
2:保健委員長として、病院でけが人を治す。
3:殺し合いには乗らない。
- 660 :トラブル・イン・ホスピタル ◆YR7i2glCpA:2011/08/14(日) 22:28:12
-
【日下兵真@カオスウォーズ】
[状態]:健康
[装備]:打刀@ブシドーブレード弐
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:この場をどうする…?
2:男(本郷)をどうにかしたいのに…
3:殺し合いには乗らない。
【本郷武尊@ブシドーブレード弐】
[状態]:気絶中、しびれ薬でしびれている。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]1:気絶中
2:辰美と決着をつけたい。
【出木杉英才@ドラえもん のび太のBIOHAZARD】
[状態]:健康
[装備]:紅斬@戦国BASARA
[道具]:基本支給品一式
[思考]1:この場をどうする…?
2:ステルスに徹したいのに。
3:優勝する。
- 661 :トラブル・イン・ホスピタル ◆YR7i2glCpA:2011/08/14(日) 22:28:54
-
【支給品情報】
【カッツェのリボルバー@ブシドーブレード弐】
白鳥隆士に支給。
捨陰党に雇われた殺し屋、シュヴァルツ・カッツェの選んだリボルバー銃。
見た目は無骨だが、その威力はカッツェを満足させるだけのもの。
【隆子爆誕セット@まほらば】
七原秋也に支給。
元は桃乃恵の私物で、酔いつぶれた白鳥を女装させた時の衣裳。
元々女顔の白鳥はこれを着る事により親友さえも騙せるほどの美貌を誇る。
余談だが、白鳥は原作で二度、自分の意思で女装している。
【縄標@忍たま乱太郎】
白鳥隆士に支給。
忍術学園六年ろ組の生徒、中在家長次の得意武器。
元々は「金票」という棒手裏剣に似た武器に縄をつけたもの。
縄がついているため、外しても引き戻すことができるが、その扱いは難しい。
【打刀@ブシドーブレード弐】
日下兵真に支給。
全長98センチ、刃長73.8センチ、重量1.6キロのごく一般的な日本刀。
【紅斬@戦国BASARA】
出木杉英才に支給。
元は真田幸村の第四武器。
三又の大きな穂先が特徴的な長槍。
クリティカルヒットが出やすいのが特徴。
- 662 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/16(火) 15:22:57
- 第4・5話の題名を書き忘れていました…
第4話:『魔術師殺し』と『神になった少女』
第5話:冷戦
でお願いします
- 663 :ガンバレトリガー ◆8nn53GQqtY:2011/08/17(水) 21:18:05
- 最後の最後でさるさん食らったのでこちらに
【ビリヤードのキュー@ポケットモンスターSPECIAL】
ゴールドが愛用している伸縮式のキュー。
主にビリヤードの要領でモンスターボール射出装置に使われることが多いが、
つっかい棒になったり武器としてレイピアのような使い方をしたなど、頻繁に活用されている
キューとしては異常に頑丈で、あの“瞬”の剣と斬り結べるほど。
【リフレクターペンダント@ポケットモンスターSPECIAL】
グリーンがお守りとして身につけているペンダント。
ポケモンの使う技“リフレクター”と同じ効果を持つバリアアイテム。
【沙夜の猟銃】
魚谷沙夜が、祖父母の実家から持ち出した猟銃。
普通の狩猟用。
投下終了です。
いらんかったんや! 地の文なんていらんかったんや!
- 664 : ◆VxAX.uhVsM:2011/08/17(水) 22:40:10
- さるったので
【3】
「く…あの野郎……絶対殺してやる」
長谷川は二人がいなくなったときに目が覚めた。
近くには粉々になった銃があった。
つまり、武器が無くなったということだ。
「……研究所が近くにあったな」
研究所なら、爆弾を作るための材料がある。
昔女を脅すために爆弾を作った事があるから、作り方は知っている。
「待っていろよ、俺を潰した奴」
【真昼/D-3図書館内】
【長谷川祐治@オリキャラ】
[状態]体にダメージ(中)
[装備]
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:優勝はしたい。女は気に入ったら奴隷にし、気に入らなかったら殺す。
1:研究所に行く。
[備考]
※DOLオリロワ参戦前からの参戦です。
※D-3図書館内に破壊された銃(種類不明)があります。
投下終了です。
- 665 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/18(木) 21:15:52
- 【ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
○霧切響子/○十神白夜/○大神さくら/○セレスティア・ルーデンベルク
【ロウきゅーぶ!】
○湊智花/○三沢真帆/○袴田ひなた/○長谷川昴
【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○間桐慎二/○セイバー/○アーチャー
【CLANNAD】
○岡崎朋也/○藤林杏/○伊吹風子/○春原陽平
【金色のガッシュ!】
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/○カフカ・サンビーム/○ロデュウ
【化物語】
○阿良々木暦/○戦場ヶ原ひたぎ
【Fate/Zero】
○ウェイバー・ベルベット/○サー・ランスロット
【緋弾のアリア】
○星伽白雪
以上24名を追加します。
もう変更はない…はず
- 666 :戦力がカオスナロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/19(金) 21:51:25
- 久しぶりの投下します。
「死の数列 前編」
登場キャラ:黒崎一護
- 667 :戦力がカオスナロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/19(金) 21:51:56
- あの島には、話す案山子がいた。
彼は未来を予知し、一匹の絶滅した鳥を助けるためにバラバラになって死ぬ事を選んだ。
死んだはずなのに、案山子は何も無い草原のど真ん中に立っている。
「あなたが来るのを待ってましたよ。」
◇
死神はこういう場合でも死ぬのか?
不気味な疑問が俺の頭の中を錯綜しているが、眠気からかそこで思考は止まっていた。
死神だが所詮はただの高校生。
会場にいた、男を思い出す。確かに愛染はあの会場にいたはずだ。
いくら、鏡花水月を持ってないにしても実力がどれくらいのものかは知っている。
奴は仲間だろうと見切りさえつければすぐに殺す。
そんな悪魔を、多くの犠牲を払って封じ込めた。
ここで死んだら、愛染は恐らく優勝してしまうだろう。愛染に勝てるものなどいるはずが無い。
黒崎一護は、そんな愛染とだけは交戦したくない。
- 668 :戦力がカオスナロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/19(金) 21:52:28
- 何も無い草原。ただ草だけが生い茂り、辺りは死角のみでどこから狙撃されてもおかしくない。
襲撃者から交戦できる余裕ももちろん無い。
武器になるはずの支給品ですら、黒いノートと画面付の機械に紅色をした石だけで戦えるわけが無い。
「あなたが来るのを待っていましたよ。」
確かにどこからか声が聞こえたような気がした。
背の高い草が生い茂って、何があるのかは分からない。
ただ、不気味に案山子が立っているだけでそのほかは何もなくほかの参加者も見当たらない。
「ここですよ。黒崎さん。」
声は案山子から聞こえている。案山子が喋っている。
テープが隠してあるのかと思い調べても、何もないただの案山子だった。
殺し合いが今起きていると言うことも信じられないが、案山子が喋っていることが信じられない。
「これは夢なのか?」
生まれて初めて案山子に喋り掛けた。自分は案山子にしゃべりかけるほど馬鹿ではないはずだ。
もしかしたら、本当に夢なのかもしれない。浦原さんの気味の悪い発明品かもしれない。
しかし案山子から帰ってきた言葉は俺を絶望に追いやった。
「残念ながら、現実ですよ。黒埼一護さん。」
「何で・・・なんで案山子がしゃべるんだよ!!」
「珍しい反応ですね。島の外の人とは二人の人に出会いましたが、怒られたのは初めてです。」
彼の話し方や落ち着き方などからすれば、本当に現実かもしれないと言う錯覚に陥った。
「南の方に、地図に書かれていない場所があります。そこに時計を埋めてください。」
「なんで?」
「それは言えません。」
案山子に意見は、不気味で信じることは出来ないが、彼の言葉で何かが変わるなら試してみたい。
- 669 :戦力がカオスナロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/19(金) 21:54:22
-
【一日目早朝・c-4/優午の前】
【黒崎一護@BLEACH】
[状態]:軽い疲労
[装備]:なし
[所持品]:基本支給品 デスノート(まだ触れていない)、賢者の石、セキュリティポッドを見る機械
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:愛染との合流は避けたい。
2:ロワを夢か何かと思っている
3:一応、優午に言われた事をするつもり
※エリア中にセキュリティポッドが仕掛けられていますが誰も気づいていません
※一護の支給品は相当危険なものですが本人は気づいていません。
※デスノートには触れてません。死神ですがデュークは見えません。
「支給品紹介」
【デスノート@DEATHNOTE】
黒いノートで、顔を見たことのあるひとの名前を書いたらその人を殺すことが出来る。
そのほかのルールは、英語で書かれている。
【賢者の石@鋼の錬金術師】
これがあったら、錬金術が何回も出来るという幻の代物。人を何人も代価に作られる。
【セキュリティポッドを見る機械@ゴールデンスランバー】
実際には原作に出てきて無い。セキュリティポッドから音と映像が見れる。
実は本ロワオリジナル。
- 670 :戦力がカオスナロワイアル ◆sWPde7Q8zk:2011/08/19(金) 21:54:53
- 投下終了です。
- 671 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/19(金) 23:25:29
- さるったのでこちらに
「………はぁ、困ったものね」
たったあれだけでここまで言うなんて………並の子じゃできない。
「僕とお前とじゃ格が違うんだよ。格が」
「それは置いといて。まぁ概ね納得できたわ。確かに言われると矛盾だらけだったわね」
「なるほどね。少年なのになんで魔法の存在を知っているかは後で聞くとするわ」
「ん? なら僕と組むってことでいいのかい」
「とりあえずね。今の私はある1種類の技以外何にも使えないのよ」
「けど僕は小学生だぜ? そんなんで大丈夫か?」
自分の小学生の形を生かしての作戦。
今まで通りあくどい子なのね。この数分で分かるというのはある意味凄いわ。
けれど、こんな子でも。
「言っておくけど私はある一人の人物を守るだけなら何でもするつもりよ。
逆に言うのであれば利用できるものは利用するつもりなだけ。例え小学生とてその価値があるのであれば利用する」
そう、まどかを救うためならば私は手段を選ばない。
「はん、まぁいいよそれで。――――ただし、僕の側に付くなら僕の言うことは聞けよ」
このぐらいの屈辱だって。
「…………納得できる範囲内ならやってあげるわ。………それにしても本当にあなたは小学生なの?」
「生憎これでも僕は小学生だ。悪いか?」
このぐらいの悪態だって。
「いえ? さっきも言ったけど、別に役に立つようならばどうでもいいわ」
「そう、なら僕は思う存分お前を使うとしよう」
このぐらいの恥じぐらい。
何だってない。
「………………まぁだけど、私が満足に動けるようになったらあなたを殺して自由に動くとするけど」
ここは譲れないけどね。
「随分な余裕だな。っは! しかし安心していろ。直ぐに僕のそばから離れなくしてやるさ」
「随分な余裕ね。けど安心して。私の身体はそう軽いつもりはないから」
ちなみに私がこの子と同盟を結んだ理由は、
ただ単純に魔法についての知識があること。
- 672 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/19(金) 23:26:00
- そんな子を意味もなく敵に回すことはほぼ無力である今の私としては勘弁してほしいところだ。
あと、使えそうだから。
この子の技術は確かに認めるところだわ。
そこは、そこだけは。
あとは………武器を持っているかもしれないから、かな。
「じゃあ、同盟成立ってことでいいかな」
「ええ、今の私にあなたを殺すほどの力はない訳だし。やれたとしても面倒なだけ。魔力は取っておきたいの」
こうして、私たちは同盟を結ばれた。
じゃあ、とりあえず、情報の共通化といきましょう。
〜終わる〜
この子の名前は供犠創貴と言うそうだ。
『魔法使い』と『魔法』使いの存在は知っているが、
魔法少女の存在は知らないらしい。
まぁ具体的に言うならその『魔法使い』、『魔法』使いの子が少女だから、『魔法少女』の方は知っているらしいけど。
それでもキュゥべえ、インキュベーダーは寡聞にして知らないとのこと。
その世界の『魔法』は、呪文を呼ぶことで魔法が具現化し、初めて魔法が使えるらしい。
そこにソウルジェム、魂を吸い取られることや、魔女との戦いなんてものはない。
しかしその分、痛覚やら、死という概念は普通にある。
差異としてはこのぐらいか。
ちなみに私の能力やら魔法のことを端的に、事務的にさっさと済ませて、
唯一の目的を伝えるだけで終わらせた。
まどかと合流することということを。
それに、供犠創貴は面白そうに頷きを繰り返して、
いつしか口に手を当てて真剣に何やら考え出していた。
恐らく、作戦でも練っているのだろう。
彼を信用しきっては勿論いない。
しかし、ただ唯にして分かったことは、
この子はゲームに乗っていないということだ。
「僕の目的は、皆を幸せにすることだ」
そんな事を言った彼の目は、それこそ小学生みたいにキラキラと輝き、純朴さがにじみ出ていた。
生憎普段のブラックなオーラがそれを完全な白とするのを邪魔していたが、
この子は乗っていない。
けれど、私はそれすらもいつかは殺さなければならない。
心が痛いような、痛くない様な。
いや、痛くない。
- 673 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/19(金) 23:26:32
- 私は既に人として終わっているんだ。
まどかの為なら、私は修羅になれる。
まどかの為なら、私は鬼神になれる。
まどかの為なら――――――――――――――――。
「行こうぜ、ほむら」
「ええ、分かったわ。供犠創貴」
まどかの為なら道化にだってなれる………………。
【一日目/深夜/H-2 劇場】
【供犠創貴@りすかシリーズ】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1〜3)
[思考]
基本:ゲームを潰す
1:ほむらを上手く使える策を見出す
2:まどかという女の子を探す
[備考]
※九州ツアー中からの参戦です
※魔法少女まどか☆マギカの世界について知りました
※暁美ほむらと同盟を結びました
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、変身中
[装備]ソウルジェム(魔力少量使用)
[道具]KS×1、RS(1〜3)
[思考]
基本:まどかのためにゲームに乗るつもり
1:まどかを探す
2:供犠創貴と行動。
[備考]
※漫画版の第11話から、ワルプルギスの夜が到来するまでのどこか
※RSは、殺傷能力のない、もしくは限りなく低いものです
※新本格魔法少女りすかの世界について知りました
※供犠創貴と同盟を結びました
- 674 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/19(金) 23:27:23
- 投下終了
- 675 :ガンバレトリガー ◆8nn53GQqtY:2011/08/20(土) 20:18:35
- さるさん食らったのでこちらに
- 676 :魔導師VS吸血鬼 ◆8nn53GQqtY:2011/08/20(土) 20:19:13
-
――何と言うことはない。先入観にとらわれていたのだ。
敵は『異能の力を持つ』という先入観に。
多くの『異能の力を持つ』妖怪と戦ってきた上弦は、だからこそある一点を忘れていた。
少女は確かに『力』を持っていたが、結局のところ『人間の小娘だ』ということを。
人間ならば、血を吸うことができる。
手加減などする必要はなかった。
いくら内臓を食い破ったとしても、それで即死することはないはずだ。
ならば、死ぬ前に捕まえて血を吸ってしまえばよかったのだ。
血を吸って殺せば、吸血鬼になるのだから。
吸血鬼にすると、簡単に死ななくなるから
――どんなに拷問しても、どんなに楽しんでも、死なずに済む便利な体になったのに。
どす黒い憎しみが、上弦の体で暴れ狂う。
屈辱は、何倍にしても返す。
今度会った時は、決して手加減も容赦もしない。
――潰してやる。
皮膚を潰して骨を砕いて、――『膜』を引き裂いて。
奴隷にした人間で『遊ぶ』方法も、上弦は多く知っている。
あの年ならば、間違いなく処女であるはずだ。
ならば、『膜』も再生する。
それも上弦は経験から知っている。
『その光景』を想像して、上弦は少しだけ気分を良くした。
怒りで火照った顔に、夜風が冷たい。
気分が上向きになったところで、空を見上げる。
そこにあるのは、先刻まで見ていたのと同じ、まんまるのお月さまだった。
もちろん、月というものはどこの夜空にもあるものだが。
しかし。
「ここは……」
幼い子どものように不思議そうに小首をかしげた。
それは、何の邪念もない純粋な疑問。
そのあどけない表情を見れば、誰もこの少女が殺戮を楽しむ化け物だとは思わないだろう。
――ここは、どこだろう?
- 677 :魔導師VS吸血鬼 ◆8nn53GQqtY:2011/08/20(土) 20:19:57
- 【F−1/森の中/一日目 深夜】
【上弦@吸血鬼のおしごと】
[状態]『力』を消費(小)、肩を負傷(再生中)、腹部損傷(再生中)、
全身に軽度の火傷(再生中)、右腕のひじから先、消失(再生中)、
激怒の真っ最中
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
[思考]基本:魎月(月島亮史)とツルを連れて生還する。手段は問わない。
それが不可能なら、せめて魎月だけは生還させる。
1・ここはどこだ?
2・少し休んで、傷口の『再生』を待つ。
3・従者を使って人数減らしをさせる。自らも参加者を殺していく。
4・金髪の小娘はただでは済まさない。
5・人間風情と慣れ合うつもりはないが、『魔法』の関係者はとりあえず確保。
6・魎月と再会する。ツルとは早めに合流する。
7・日がのぼった際の拠点を確保する。(地下鉄に興味)
8・全てが終わったら、『清隆』を八つ裂きにする。
※4巻、亮史と再会する直前からの参戦です。(舞を知らない時期から来ているので、名簿の「雪村舞」には気づいていません。)
※会場の外に出ため、F−8からF−1へとワープしました。
※会場にはワープ機能があります。会場の外に出ると、南端から北端へ、東端から西端へ移動します。(当然、その逆にもワープします)
投下終了。
……うん。自分で描いといて何だが、言わせてくれ。
どうやって倒すんだこんなん。
- 678 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/21(日) 16:54:41
- 自分の力量的にもうやばいが…皆さんのロワに感化されまして、
【非リレー書き手】11/11
○◆6LQfwU/9.M/○◆VxAx.uhVsM/○◆ymCx/l3enU/
○◆YR7i2glCpA/○◆xzYb/YHTdl/○◆8nn53GQqty/
○◆9QScXZTVAc/○◆sWPde7Q8zk/○◆Viscawnzc6/
○◆WYGpiuknm2/○◆meUMrrZs9o
を追加します。
もうこれ以上の追加はない…はず
- 679 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/23(火) 21:44:25
-
僕の心も激しく踊った。
〜ゾウエン〜
それはまたしても一瞬の出来事だった。
「はあぁぁ!!」
なんてどこからか聞こえた気がする。
そんな事をボーッと考えていると横から、棒が伸びていた。
その棒は伸びて、伸びて、天使の様な女を強引にどこか見えない彼方にまで押し出した。
「ええっと………まぁ何君だか知らないけどここは一旦退いて!」
「……………ぇ」
「早くっ!」
横を振り向くと、栗色のツインテールの女の子がいた。
ただそれだけのことしか分からなかった。
それ以上に早く、僕は天使から背中を見せて逃げ出した。
何て弱いなんて奴なんだ僕は。
僕は、僕は。何がしたいんだろう。
あの天使を倒したいんだろう?
ありすちゃんを殺したあいつを。
たった一瞬だけだったけど、仲間になったアリスちゃんを殺したあいつが憎いんだろう?
じゃあ何で逃げるんだよ。
分からない。
僕のことなのに。
僕しか知らないのに。
僕以外知りえないのに。
当の僕が分からない。
情けない。
服に手をつける。
するとドロリという気持ち悪い感触があり、ぬるい液体が手に付いた。
…………。
なんで、だよ。
- 680 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/23(火) 21:46:04
- 腕にはハンドソニックは消えている。
「…………」
エステルは如意棒を構える。
こういった言葉の通じない相手と言う者は今までに何度も巡りあってきた。
その最もたる最悪は、ワイスマンといったところだろう。
言葉が通じないという者は、戦うしか今までになかった。
今回もその例に漏れることはない。
「あんたには悪いけど眠っててもらうわよ!」
そんな事を云い放つと、
エステルはその場で回り始める。
回り回り回り回り。
そのうち、棒が徐々に伸びていく。
ぐんぐんぐんぐんぐんぐんぐん、と。
すると。
木が薙ぎ倒される。
林が薙ぎ払われる。
森が薙ぎたてられる。
遠心力に任せ、力をませていき、暴力の嵐と成り果てる。
嵐は大きくなる。
巨大になり、膨大になり、暴走となり、破壊し、破滅し、殲滅し、
天使に向かう。
「はああああああぁぁぁぁぁぁ…………!」
当たる。
当てる。
もうすぐ。
あとすこし。
あと十数センチ。
もう
もう
もう
もう。
「ガードスキル《handsonic》」
キン。
甲高い音が響く。
- 681 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/23(火) 21:46:36
-
防がれた。
一瞬の静止。
一時の生死。
棒と剣が絡み合う。交じりあう。弾きあう。
暴と顕が絡み合う。交じりあう。弾きあう。
さて、ここで一つ。
エステルが放った、溜めたエネルギーの塊はどこに行ったでしょう。
分散された?否。
消え去った?否。
反射された?否。
この場合。
きちんと、正常に、天使に届く。
届いたらどうなるか。
それは、ずばり簡単。
物凄い勢いでぶっ飛んでいった。
遠く彼方で物凄い音が聞こえた。
「……………はぁ、はぁ。無傷だったわね」
如意棒の大きさを元に戻しながら呟く。
辺り一面、木が円状になるように折れていた。
エステルの目的は、一般人………民間人の保護。
遊撃士の形をそのままこの計画でも実行している。
その為に先ほどの少年、橘純一を逃がすのがあの時の彼女にとっては一番だった。
勿論、近くで落ちている少女の死体を見ると悲しい。
涙が出てきそうだった。
だけども、そんな事をしている間に新しい被害者が出てしまう。
それを彼女は許さない。
だから動いた。
しかしここで予想外の事態が起こった。
倒せないのだ。
攻撃はものの見事に防がれた。
攻撃が通らない相手ならいた。
例えば、霧の様な身体をもち物理攻撃の効かない相手だったり。
例えば、光り輝き天使の輪をもつ魔法攻撃の効かない相手だったり。
ただ、そのような敵でも、対処方法があった。
物理がだめなら魔法で。
魔法がだめなら物理で。
両方がだめなら必殺奥義で。
けど、こいつは違う風に思えた。
- 682 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/23(火) 21:47:07
- まるで、機械仕掛け………いや、それだけならば戦ったことがある。
パテル・マテルのような巨大兵器にだって打ち勝ったことはある。
じゃあ、なんで。
こんな気持ちになるのかと言えば、それはやはり。
「まるで…………というか、人じゃない、あれ」
違和感があった。
初めは、機械かと思った。
特に理由はないけれど、そう思った。
しかし、対面してみるとあら不思議。
表情は変えるは、喋り出すは、人間にしか思えない行動を取り出した。
だけども、ここでまた違和感。
それでも人間と確証持てない不思議な違和感。
「…………?」
考えても分からない。
思っても分からない。
叩いても分からない。
「まぁ、悩んでいても仕方ないか。………?」
「って、そうよ! さっきの男の子を追いかけなきゃ!」
エステル・ブライト。
A級遊撃士はこのバトルロワイアルでも、人を救えるか。
【一日目/深夜/B-4 森】
【エステル・ブライト@空の軌跡】
[状態]健康
[装備]如意棒@童話
[道具]KS×1、RS(0〜2)
[思考]
基本:遊撃士として民間人を救う。攻撃を加えている者は気絶程度に
1:さっきの男の子(橘純一)を追いかける
2:ヨシュア達とも合流したい
[備考]
※A級遊撃士になり、SCからの参戦で、技はその時覚えれるものは覚えている
この立華かなでは偽物である。
と。
いうのも正しくは正しくないかもしれない。
この立華かなでも、立華かなでで。
他の立華かなでも、立華かなでで。
「harmonics」の暴走によって現れた一体である。
いや、一体であるとはいえども、もう一体いるかと言うと分からない。
もういないのかもしれないし、100体以上いるかもしれない。
どっちにしろ、データを改竄され何かしら攻撃的に変換された天使の姿がここにあるというのは事実。
ありすを殺したのも事実。
はたして、ここでのかなでは「absorb」によって元に戻ることができるのか。
このまま野放しされて殺戮マシンになるのか。
それは、まだ分からない。
戻ったとして、再び、かなでの意識が元のままになっているのか。
問題が山積みのまま、この物語は幕を下ろす。
【一日目/深夜/B-4 森】
【立華かなで#harmonics(非参加者)@AngelBeats!】
[状態]健康
[装備]
[道具]
[思考]
基本:とりあえず、校則を破っているような人は直ぐに殺す
1:ブラブラしてみる
[備考]
※何かしら改竄を加えられた「harmonics」です
※「ANGELPLAYER」は制限を受けています
- 683 : ◆xzYb/YHTdI:2011/08/23(火) 21:48:01
- 投下終了。
タグで終わる話。
後戦闘が変かもしれないけど、ご愛敬
- 684 : ◆VxAX.uhVsM:2011/08/24(水) 22:57:58
- さるさんのためこちらに投下します。
「ええええええええええええええええ!!!!?」
「いや、叫ぶなって…人来たらどうするんだよ」
「え!?嘘……?」
「いや本当だって……」
会話がつながらないのでカットするよ。
「えーと…つまり、薬を間違えて飲んじゃって小さくなったの?」
「小さくなっただけじゃなく女になっちまったよ、どうしよう」
「で、でも…刀とか持てるよね?」
「さぁ…筋肉は落ちてるはずだし」
筋肉は少なくなって腕が異常に細くなっている。
それどころか背丈もすごく減っている。
このまま戦えば普通に笑子の方が強いだろう。
「んー…どうやって戻るんだろう、分かんないかな」
「……さぁ?薬の説明書でもないの?」
「そんな便利な物、あるわけ」
「あったよ」
「嘘だろ」
笑子が何やら冊子を持っている。
それがいわゆる説明書と言うものであった。
で、そこに書かれている内容は…と。
「幼体化は3時間で直ります、しかし性別変換は1週間しないと治りません…だって」
「だってじゃないよね?それ大変だよね?」
自分で飲んでおいてあれだが大変なことになった。
しかし、服が大きくて着ているというより羽織っている状態だ。
これをもし変態が見ていたらどうする?
ロリコンに限らずどんな年齢もバッチコイな男がいたら…。
- 685 : ◆VxAX.uhVsM:2011/08/24(水) 22:58:54
-
「……みぃーつけた」
背筋が震えた。
危険だと俺の体は察知している。
急いでラグネルを持って構える。
……しかし重くて構えられない。
あれ?これって異常なほどのピンチじゃない?
「笑子!小さい刀ないか!?包丁でもいい!」
「え、ちょっと待って……あ、これなら大丈夫!?」
そう言って笑子が取り出したのは刀身が細い剣。
何故かピンク色だが気にしないでおこう。
「分かった…それを貸して」
「え…逃げないの!?危ないよ!」
「言っただろ、守るって」
「………」
「外に出てろ、俺が出てこなかったらどこかに行ってくれ」
「……ごめんね」
「何謝ってんだよ、約束しただろ」
「……」
笑子が外に行ったのを確認して、剣を構えた。
相手は不気味に笑っている。
「いいのか?1対2の方がいいんじゃないのか?」
「お前の考えが読めるんだが…もういいわ、俺はお前を殺すつもりでかかるぞ」
「ただのガキがそんな口を叩いていいのか?」
「……じゃあ、やってみるか?」
「そうだな」
古川は一気に長谷川に近づく。
長谷川は落ち着いて古川を蹴り飛ばして距離をとる。
「っ痛…テメェ、容赦なさ過ぎだなぁ」
「殺すつもりで来るんだろう?」
「そうだな…」
古川はここで考える。
どうすれば倒せるのか。
単純な筋力差では勝ち目は0だ。
腕を掴まれればお終い、ゲームオーバーだ。
- 686 : ◆VxAX.uhVsM:2011/08/24(水) 22:59:34
-
「……一か、八かっ!」
再び相手に突進する。
しかし今度は細身の剣を構えて、だ。
長谷川も次で決着をつけようと身を乗り出した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「はあああああああああああああああああ!!!!!」
二人が交錯する。
そして、決着がつく。
その場に立っていたのは………。
【7】
「……正人、大丈夫かな?」
三瀬笑子は言われた通り正面入り口前で待っていた。
待っている時間は長いもので、5分が1時間に感じる。
しかも、恋人の命がかかっているのだから。
ガチャ
後ろから戸が空く音が聞こえた。
体が固まって、後ろを向けなかった。
信じたいが、怖い。
死んでしまっていたら、私は酷い目に会う。
- 687 : ◆VxAX.uhVsM:2011/08/24(水) 23:00:09
-
「待たせたな、笑子」
彼は、いや彼女は後ろから声をかけてくれた。
いつも通りの、あの笑顔で。
私はうれしくて再び抱きついてしまいました。
「だーかーらー!抱きつくなよ!」
彼の声はもう聞こえていません。
だって私の心は幸せいっぱいなんだから。
助けに来てくれた。
約束を守ってくれた。
それだけで、すごいうれしいから。
【長谷川祐治@オリキャラ 死亡】
【残り 63人】
【真昼/E-3研究所前】
【古川正人@オリキャラ】
[状態]幼体化&性別変化
[装備]必殺255の細身の剣@ファイアーエムブレム蒼炎の軌跡
[所持品]基本支給品、ラグネル@ファイアーエムブレム蒼炎の軌跡、不明支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:さっさと帰りたい。
1:笑子を守る。
2:師匠とアイクと言う人を見つける。
[備考]
※DOL2nd参戦前からの参戦です。
※薬品により幼体化&性別変化しています。
幼体化(残り3時間)
性別変化(残り1週間)
※ラグネルの衝撃波は出せるが殺傷能力は一切ありません。
【三瀬笑子@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]
[所持品]基本支給品、不明支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:正人と行動する。
[備考]
※DOL2nd参戦前からの参戦です。
- 688 : ◆VxAX.uhVsM:2011/08/24(水) 23:00:42
- 投下終了です。
- 689 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/27(土) 00:28:20
- さるさん食らったので、雑多ロワ37話、最後だけ投下します
近づくのは得策ではない。
しかし、『森下こよみを見捨てるかもしれない』選択肢を、選びたくはない。
何より聡史郎自身も、本音では『争いごとから逃げる』ことを、潔しとしない。
現実というのは、いつだってじっくり考える時間を与えてはくれない。
決断を要す為の時間は、限られている。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
姉原聡史郎は、考えた。
そして、走り出した。
爆発の起こった、F−8エリアへ向かって。
【G−8/工業地帯/一日目 深夜】
【姉原聡史郎@よくわかる現代魔法】
[状態]健康
[装備]デリンジャー@バトルロワイアル
特殊警棒@バトルロワイアル
[道具]シアン化カリウム@バトルロワイアル
卵のコード(in携帯電話)@よくわかる現代魔法
[思考]基本・殺し合いは否定
1・爆発の起こった近辺に行き、何が起こったのかを確認
2・森下こよみ、一ノ瀬弓子、坂崎嘉穂と合流(森下こよみを最優先)
【デリンジャー@バトルロワイアル】
本家バトルロワイアルで月岡彰に支給された。
2発しか撃てない、超小型拳銃。
破壊力も低く、暗殺より護身目的で携行されることが多い。
【特殊警棒とシアン化カリウムのセット@バトルロワイアル】
本家バトルロワイアルで榊祐子に支給された。
警棒は普通に通販で手に入る警棒(伸縮式)。
シアン化カリウムは、あの『カレーの悲劇』の引き金になった危険薬物。
【卵のコード(in携帯電話)@よくわかる現代魔法】
携帯のアプリケーションに飼育できる魔法生物。
何が生まれるかは……。
- 690 : ◆8nn53GQqtY:2011/08/27(土) 00:29:12
- 以上。
「それって幻想殺(ry」とか言っちゃいけない。
発売された時期はほとんど同じなんだから
- 691 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/27(土) 17:32:54
- 本スレに入れないのでこちらに、愛好作品ロワ投下します
- 692 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/27(土) 17:34:16
- 何度でも繰り返そう。孤独な男はそう言った。
失った時間を取り戻したかった。武道に打ち込んだ男は涙を流した。
こんな馬鹿と一緒に居てくれてありがとう。常に少年の隣に居た『馬鹿』は笑った。
繰り返される虚構の果てに、少年の辿り着く先は何処なのか。
■
殺し合い。突然言い渡された死亡通告に皆が絶望に嘆く中、『普通の少年』直枝理樹を先に迎えたのは喜びであった。参加者に『ありえない』人物の名前があったからだ。
朱鷺戸沙耶。学園の闇に生きるスパイにして、理樹の唯一無二の相棒。
隠された秘宝を探して、毎晩闇の執行部と戦いながら地下迷宮を探検する中で、最初は嫌々だった理樹の中に、違う何か胸が苦しくなる感情が生まれ、朱鷺戸沙耶の不憫すぎる運命に怒りを燃やすようになっていく。
一言で言えば、恋。
そのどこか抜けている性格、時折見せる凛々しい一面。全てが直枝理樹を魅了した。
もっとも、彼は沙耶が幾度の『リプレイ』を行ってきたかも知らない。
彼女が何故戦い続けるのか、闇の執行部とは何かも、何一つ彼は知らない。
自分が戦っているモノの正体も明確に分からないなんて、と思うかもしれない。
しかし、結果的に『時風瞬』を倒した。
最強の敵にして最高の親友を撃ち、自らはまた一つ成長した。
何もかも、終わったと思っていた。
秘宝を手に入れ、沙耶と約束したデートにやっと行けると思っていた、のに。
理樹は彼女の真意を最後まで知ることができなかった。
銃口。
こめかみ。
生物兵器。
タイムマシン。
秘宝。
涙。
時風瞬。
最後に。愛する彼女は世界に別れを告げて、自ら命を断った―――――筈だった。
バトル・ロワイアル。古戸ヱリカの主催する狂気のゲームに理樹は参加させられる。
彼の近くには『憎めない筋肉馬鹿一直線』こと井ノ原真人が居た。
あの真人が明確な怒りを見せたのは驚きだったし、理樹にも怒りが沸いてきた。
が。いざ開始されてから参加者名簿を見て、物語は冒頭へと戻る。
井ノ原真人、三枝葉留佳、二木佳奈多。
よく知る三人の名前の後には、愛しい愛しい彼女の、もう会えない筈の彼女の名前。
『朱鷺戸沙耶』
不謹慎ながらも、理樹は喜びを隠せなかった。
沙耶と再会できる確率はほぼゼロに等しい。死人が生き返るなど彼には考えることもできずに、世界の秘密を見過ごしていた。
棗恭介が生み出したキャラクター。それが沙耶の正体だ。
- 693 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/27(土) 17:35:25
- ゲームマスターの恭介になら沙耶と理樹を再会させることも容易だったろうが、やはり理樹は世界の秘密に触れていない。恭介の正体を知る由などなかった。
大きな喜びの後には、彼を大きな不安が襲う。
スパイである沙耶なら生半可な敵との戦いは楽勝だろう。
だが、参加者の中に闇の執行部部長のような、彼女を越える実力の持ち主が居るなら?
理樹では到底敵わないような、まさしく『強敵』が居るのなら?
「それでも……僕が沙耶を守らなきゃいけないんだ」
覚悟は完了した。
どんな強敵が目の前に現れようと、それが沙耶の敵になるなら容赦しないという覚悟。
が。直枝理樹、彼は数分後に一人の少女と出会う。
その出会いが、理樹のバトル・ロワイアルにおけるスタンスを決定するものとなることを、彼はまだ知らない。
■
黒神めだかは、激しい怒りに身を焦がしていた。
どんな悪人も見捨てずに手を差し伸べる、そんな『生徒会長』がここまでの怒りを見せるのはまさに、バトル・ロワイアルの狂気や卑劣さを見事に表しているとしか言いようがなかった。
「古戸ヱリカ……貴様だけは絶対に許さない……!!」
歯が砕けそうな力で噛みしめられた歯が、ぎりっと音を鳴らす。
しかし、冷静になれば怒りを燃やしている場合ではない。
今めだかが怒りに身を任せていた時間にも、誰かが泣いているかもしれない。
得体の知れない恐怖におびえ、過ちを犯す者がいるかもしれない。
立ち止まっている暇など彼女には無いのだ。
箱庭学園第98代生徒会長は、凛とした瞳で遠い敵、古戸ヱリカを睨みつける。
「待っていろ。私が必ず貴様の野望を粉々に破壊してやる」
正しすぎる少女は駆けだした。何処かに居るかもしれない弱者や、志を同じくする者に仲間たち、或いは殺し合いを決意した者達か。
全てを守り全てを救うために、生徒会長・黒神めだかは駆け抜けていく――――。
■
「銃か…」
直枝理樹は、支給されたワルサーP99を構えてそう言った。沙耶との戦いで理樹は使い慣れている。
- 694 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/27(土) 17:36:25
-
しかし、やはり生身の人間に対して使うのはどうしても気が引けてしまう。
だらしないわね、甘いのよ理樹くんは、と懐かしい声が頭の中で再生される。
気を引き締め、ワルサーP99に弾を装填し始めたまさにその瞬間だった。
「貴様、殺し合いになど乗ってはいるまいな」
凛としたよく通る声が、理樹の鼓膜にまで届いた。
声に視線を向けると、紫色の髪をしたかなり『キワドイ』格好の少女の姿があった。
理樹より年下に見えるが、その圧倒的な雰囲気は年を感じさせない。
「僕?うん、殺し合いには乗ってないけど……」
「そうか。ならば質問を変えさせて貰おう」
凛とした声色が少しだけ穏やかになり、纏う雰囲気も若干近寄りやすくなる。
「貴様は、何を悩んでいる?」
理樹の時間が凍り付いた。そして瞬時に思い知る。目の前の少女は、彼の親友であり尊敬の対象―――棗恭介と同じく、隠し事は通じないタイプなのだと。
「何故それを、といった風だな。何、簡単なことだ。貴様は『けど』と言った。つまり、乗るか迷うくらいの悩みがあると私には分かる」
参ったな、と理樹は思う。
この少女に自分の『悩み』を相談するのは簡単だし、話せば幾らか気が楽だ。
しかし、闇の執行部や地下の秘宝、それを狙うスパイなどと話して誰が信じる?
頭の変な人と思われて終わりなのは目に見えているし、理樹もそんなのは御免だ。
「(でも、隠し通せそうな子じゃないしなあ…)」
嘘を言ってみるのもいいが、もしも見抜かれてしまったなら非常に厄介な話になる。
理樹は嘘が下手でもあった。ため息を吐いてから、理樹は引かれる覚悟で話し出す。
不思議と、覚悟さえ決めれば後はスラスラと話せるものだった。
話している内に、これを小説の新人賞に応募したら佳作くらいには入れるんじゃないかと思えてくる。あまりに現実離れしていて、まるで夢の話をしているようだ。
いや、違う。朱鷺戸沙耶という一人の女の子は確かに存在しているんだ、と理樹は弱気になった自分に強く言い聞かせる。
少女は相槌を打ちながら聞いてくれていたが、どうせ『面白そうな映画だね』などと評されて終わりなのは目に見えていた。
「―――というわけなんだ」
「うむ。実に興味深い話だった」
少女はうんうんと首を縦に振り、そう語る。
話だけでも聞いてもらえた分幸運だろう。
理樹はそれじゃあ、と言って少女に背を向けた。
「待て」
- 695 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/27(土) 17:37:13
- 呼び止められる声に振り向くと、少女は一歩も動かずに理樹を見据えていた。
「貴様の悩みは分かったぞ。その朱鷲戸沙耶なる人物を助けたいのだな」
「そ…そりゃあそうだけど……ってまさか、信じてくれるの?」
「当然だ。私は箱庭学園第98代生徒会長だぞ」
意味は理解できなかったが、この少女は基本的に『善人』のようだった。
少女の名前は、黒神めだかというらしい。
理樹は自分の名前を名乗ると、めだかはいい名だ、と一言誉めた後毅然と言い放つ。
「直枝二年生、必ず貴様の恋人は私が救う!箱庭学園第98代生徒会長黒神めだか!この場に―――――生徒会を執行する!」
【深夜/D-1】
【直枝理樹@リトルバスターズ!】
[状態]多少の困惑
[所持品]ワルサーP99@現実、不明支給品1
[思考・行動]
0:朱鷺戸沙耶の保護を最優先する。
1:黒神さんと行動
2:真人、葉留佳さん、佳奈多さんとも合流したい
※沙耶ルート、沙耶死亡後からの参加です
【黒神めだか@めだかボックス】
[状態]健康、強い決意
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:この殺し合いを完全に潰す。
1:直枝二年生と行動
2:朱鷺戸沙耶は必ず守る。
3:球磨川たちとも合流したい
※生徒会戦挙編終了後からの参加です
- 696 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/27(土) 17:38:37
- 投下終了です。
題名は「誓いの星」でお願いします
- 697 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/29(月) 10:51:49
- wikiの名簿に間違いがあったので追加を兼ねて訂正。
【参加者】
【非リレー書き手】11/11
○◆6LQfwU/9.M/○◆VxAx.uhVsM/○◆ymCx/l3enU/
○◆YR7i2glCpA/○◆xzYb/YHTdl/○◆8nn53GQqty/
○◆9QScXZTVAc/○◆sWPde7Q8zk/○◆Viscawnzc6/
○◆WYGpiuknm2/○◆meUMrrZs9o
【緋弾のアリア】5/5
○神崎・H・アリア/○遠山キンジ/○星伽白雪/○エル・ワトソン/○ヒルダ
【STEINS;GATE】5/5
○岡部倫太郎/○牧瀬紅莉栖/○阿万音鈴羽/○桐生萌郁/○天王寺裕吾11
【オリキャラ】5/5
○狩崎教示/○阿見子弘之/○天王寺深雪/○クレリエル/○赤坂フィーネ
【非リレー型バトルロワイアル・リピーター】5/5
○相川友/○青木百合/○新藤真紀/○小神さくら/○矢部翼
【Fate/Zero】5/5
○衛宮切嗣/○ウェイバー・ベルベット/○イスカンダル/○ディルムッド・オディナ/○サー・ランスロット
【リトルバスターズ!】5/5
○直枝理樹/○井ノ原真人/○三枝葉留佳/○二木佳奈多/○朱鷺戸沙耶
【ドラえもん】4/4
○ドラえもん/○野比のび太/○剛田武/○骨川スネ夫
【屍鬼】4/4
○結城夏野/○尾崎敏夫/○室野静信/○村迫正雄
【これはゾンビですか?】4/4
○相川歩/○ハルナ/○セラフィム/○京子
【銀魂】4/4
○坂田銀時/○志村新八/○土方十四郎/○沖田総吾
【バトル・ロワイアル】4/4
○七原秋也/○川田章吾/○桐山和雄/○滝口優一郎
【DEATH NOTE】4/4
○夜神月/○弥海沙/○L/○松田桃太
【探偵オペラ ミルキィホームズ】4/4
○シャーロック・シェリンフォード/○譲崎ネロ/○明智小衣/○小林オペラ
【未来日記】4/4
○天野雪輝/○我妻由乃/○戦場マルコ/○美神愛
【魔法少女まどか☆マギカ】4/4
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○巴マミ
【とある魔術の禁書目録】4/4
○上条当麻/○ステイル=マグヌス/○ヴェント/○フィアンマ
【BLOODY MONDAY】4/4
○高木藤丸/○神崎潤/○折原マヤ/○高木遥
【めだかボックス】4/4
○黒神めだか/○球磨川禊/○人吉善吉/○日之影空洞
【ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】4/4
○霧切響子/○十神白夜/○大神さくら/○セレスティア・ルーデンベルク
【ロウきゅーぶ!】4/4
○湊智花/○三沢真帆/○袴田ひなた/○長谷川昴
【Fate/stay night】4/4
○衛宮士郎/○間桐慎二/○セイバー/○アーチャー
【CLANNAD】4/4
○岡崎朋也/○藤林杏/○伊吹風子/○春原陽平
【金色のガッシュ!】4/4
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/○カフカ・サンビーム/○ロデュウ
【カイジシリーズ】3/3
○伊藤カイジ/○利根川幸雄/○一条
【空の境界】2/2
○両儀式/○黒桐幹也
【化物語】2/2
○阿良々木暦/○戦場ヶ原ひたぎ
【Angel Beats!】2/2
○仲村ゆり/○立華奏
【うみねこのなく頃に】1/1
○右代宮縁寿
【学校であった怖い話】1/1
○日野貞夫
120/120
【主催者】
○ベルンカステル@うみねこのなく頃に
○古戸ヱリカ@うみねこのなく頃に
○リューク@DEATH NOTE
○棗恭介@リトルバスターズ!
○???@???
○???@???
に訂正&追加します
- 698 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/29(月) 18:14:36
- 重ねがさねすいません。上の名簿に記入漏れが…
【AIR】4/4
○国崎往人/○神尾観鈴/○神尾晴子/○遠野美凪
の記入漏れでした。すみません。
- 699 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/30(火) 17:27:35
- ◆
『FB』こと天王寺裕吾は、現実を受け入れられずに困惑していた。何故なら、本来天王寺がここに存在していることは有り得ないからである。
天王寺は世界規模の研究機関『SERN』の武力制圧や暗殺を生業とする部隊『ラウンダー』の幹部で、一般人としての顔はあくまで表の顔に過ぎない。
彼は岡部倫太郎たちのタイムマシンを回収する任務を請け、任務成功の暁として自殺した。ラウンダーは使い捨てで、必ず口を封じられる。
娘の天王寺綯に危害が及ぶことだけは、絶対にあってはならなかった。
だからこそ、彼は潔く自害する道を執ったというのに。
「これじゃあ……意味が無えじゃねえか……!」
固く握った拳を近くの電信柱に叩きつける。
その鍛えられた肉体から出される拳の威力は絶大だったろうが、彼はそんなこと気にも留めない。結局自分はSERNに利用されていたのだ。
「―――――――――――やるしか、ねえ」
殺し合いに乗る。
『FB』は静かにそう決意した。全ては娘を、大切な何物にも代えがたい宝物を守るために。天王寺は自ら修羅の道を決断したのだ。
願いはたった一つ。娘への永遠の幸福。
その願いが叶えられるなら、天王寺裕吾は喜んで鬼にも悪魔にもなれた。
後は何も感じない。人を殺すのは初めてではないし、殺人が生ぬるい軽犯罪に思えてくるようなことだって天王寺はたくさん見てきたのだから。
岡崎朋也に背後から銃口を向け、後は迷わずに発砲する。
僅かな、本当に僅かな時間さえあれば、人は簡単に殺せるのだと天王寺は改めて実感し、物言わぬ死体に自然と手を合わせた。
「――――すまねえ。俺は、綯を守らなきゃいけないんだ……」
支給品に入っていたのは二つ。
まずは彼が殺人に使った銃、H22ベレッタ。これは扱いやすい銃だし、威力も対人用としては申し分ない。間違いなく当たりの支給品だろう。
もう一つは『どろり濃厚ピーチ味』と書かれたジュースだった。
実は一部の人を除いて驚異的なまずさを誇るのだが、天王寺は見向きもしない。
『FB』天王寺裕吾は実質二度目の人生にして、再び闇へと落ちていく。
【岡崎朋也@CLANNAD】 死亡
【残り116/120人】
【深夜/C-6】
【天王寺裕吾@めだかボックス】
[状態]健康、微かな罪悪感
[所持品]H22ベレッタ@現実、どろり濃厚ピーチ味@AIR
[思考・行動]
0:優勝して娘に『永遠の幸福』を与える。
1:岡部達には会いたくない。
※死亡後からの参加です
- 700 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/30(火) 17:28:05
- さるさん喰らったのでこちらに。投下終了です。
- 701 : ◆meUMrrZs9o:2011/08/30(火) 17:44:05
- ミス発見。
【深夜/C-6】
【天王寺裕吾@STEINS;GATE】
[状態]健康、微かな罪悪感
[所持品]H22ベレッタ@現実、どろり濃厚ピーチ味@AIR
[思考・行動]
0:優勝して娘に『永遠の幸福』を与える。
1:岡部達には会いたくない。
※死亡後からの参加です
が正しいです。スレ汚しすいません
- 702 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:44:54
- さるったのでこちらに
- 703 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:45:39
- D-6エリアは軍事施設だ。
当然、便利な銃器も常備されているため、最初にここを目指す者は多いだろう。
竜卒公姫(ドラキュリア)・ヒルダも最初にD-6エリアを訪れた。
しかし、彼女がD-6を訪れた理由は何だったのだろうか?
銃器?否。仲間探し?否。逃走の為?これもまた否。
ヒルダの狙いは、『様々な理由でここを訪れる者の殺害』―――殺し合う為だ。
竜卒公(ドラキュラ)・ブラドの娘。それがヒルダの正体で、例に漏れず彼女もまた吸血鬼。更に超能力を兼ね備えた『怪物』の名にふさわしい女性であった。
その能力は雷。
空の雲からの落雷に自分からの放電など、非常に汎用性の高い能力である。
が、彼女たち吸血鬼の恐ろしい部分はそこではない。
吸血鬼特有の臓器『魔臓』―――。体中に四つ存在するそれらを、『全て同時に』破壊しなければ、吸血鬼を倒すことはできない。更にヒルダは、独自に手術を行って四つの魔臓の位置を体内にランダム配置している。
難攻不落。破壊の方法に活路を見出そうが、ヒルダの能力を越えるのがまず難しい。
彼女が殺し合いに乗っている。
彼女を知る者なら絶望してもおかしくない圧倒的な不安要素。
ヒルダは微笑む。
「……楽しみよねぇ。どんな風に足掻いてくれるのかしらぁん」
それは恍惚の笑み。声色には白々しいまでのサディズムが見え隠れしている。
ヒルダはその恵まれた生まれからか、その若さに似合わないサディストである。
奴隷や使用人がミスをすれば、見るのも辛いほどの責め苦を与えて一人ごちる。
相手に反抗の気力さえ与えない、与えるのは圧倒的な恐怖のみ。
相手の心をとことんまでへし折り、人間としての尊厳までも貶める―――恍惚。
ヒルダが恐れられる訳だ。精神従属状態に半強制的に追い込まれるのだから、相手にとってはただ一方的な暴力でしかない。
だが。実はヒルダにも一つ、弱点が存在するのだ。
戦闘においては致命的な損害を出す可能性さえある、それこそ魔臓以上の弱点が。
強者の宿命か。力を持つ者にとってのさだめなのか。
一番致命的なのは、それに彼女自身が気付いていないことかもしれない。
- 704 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:46:30
- ■
◆ymCx/l3enu。本来『殺し合いの外側』の人間だが、今の彼は一参加者であった。
「バトルロワイアルか。……まさか参加する日が来るとは思わなかったな」
溜め息混じりで、呆れたようにそう誰にともなく呟いた。
荒神健児。彼は『殺し合いに参加する』日が来るとは思っていなかったと言った。
間違いではない。荒神健児は殺し合いに参加したことなど一度も無い。
――――あくまで、『参加したことは』ないというだけの話だが。
荒神健児は、殺し合いの外側―――殺し合いの『主催者』である。
つい最近では『俺得バトルロワイアル5th』という殺し合いを主催し、彼に牙を剥いた優勝者のテトを殺害した。気が付けば、彼は参加者にされていた。
彼にとっての異常はそれだけではない。
彼が持っていた『能力』が剥奪され、代わりに別な能力が与えられていたのである。
慣れないものではあったが、案外使ってみると使い心地のいいものだ。
荒神は特に不満な訳ではなかった。
「―――――優勝してみるか。夢物語じゃ無さそうだしな」
彼に自身を与えたほどの能力。その破壊力は素晴らしいと言わざるを得なかった。
その威力の大きさを、無惨にも破壊された巨大なシェルターが物語っていた。
荒神健児が最初に視界に捉えた人物は、果たして運が良かったのか悪かったのか。
竜卒公姫・ヒルダ。
最悪の吸血鬼と最悪の元・主催者が交差したとき、最後まで立つのは一体どちらか。
■
―――――馬鹿な奴。
ヒルダは、嘲るように身動き一つしない荒神健児の頭を軽くつま先で小突く。
恍惚を覚える間もない。この男はあまりにも弱すぎた。
――――――数分前
最初に仕掛けたのは荒神の方だった。施設内で入手した銃、ワルサーWA2000でヒルダの頭を撃ち抜く狙撃を行い、殺し合いの幕がゆっくりと開けた。
頭を撃ち抜く弾丸。しかし、魔臓による再生能力に対しては無力な鉄くずでしかない。
ヒルダは反撃の一発―――雷を指先からそれこそ弾丸のような形にして放ち応戦する。
「がぁあっ!?」
痺れと熱さに悶える荒神。実際、少し鍛えたなら耐えられる威力だったが、荒神は致命傷を負ったかのように悶え苦しみ続ける。完全な詰み(チェックメイト)であった。
最初の被害者である荒神を痛めつけるために近付き、右の手を真上に掲げる。
荒神は情けなく叫ぶ。
- 705 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:47:43
- 刹那、ヒルダの手の真上から雷が放たれ、荒神健児を撃ち抜いた。
荒神は倒れ、僅かに痙攣した後ピクリとも動かなくなった。
拍子抜けすぎる幕切れに、ヒルダは恍惚に至ることさえ無く。殺し合いは終わった。
―――――現在
「……拍子抜けだわ」
不満そうに眉を寄せ、ヒルダは最後に一際強く荒神の頭を踏みつける。
何の楽しさもないことにやはり不満気ながらも、ヒルダは荒神に背を向け―――、
衝撃が、ヒルダの肉体を跳ね飛ばした。
地面と濃密なキスを交わす羽目になるヒルダは、怒りより先に何が起きたのか理解できなかった。間違いなく。荒神健児は死亡した。殺した。ヒルダの雷に打たれて死んだ。
なら、片腕に拳を作って前に突き出しているあの男は、荒神以外の誰なのだろうか?
「鳩が豆鉄砲喰らったみてえな顔しやがって。こいつが俺の能力だよ」
荒神健児は不敵な笑みを浮かべながら、地面に這いつくばるヒルダを見下ろす。
しかし、竜卒公姫のプライドは高い。
怒りに顔を歪ませながら立ち上がり、肉体の周りに雷がまとわりつき始める。
「いいわよ―――――、殺してあげるわ」
バリバリバリバリバリィッ!!という何かを引き裂くような音。
次の瞬間には、ヒルダの周りを雷の球体が幾つも浮遊していた。
今度は一切の加減がない、本気で『殺し』を行うための雷。
荒神は一歩も動かずに、ただ拳を作ってみせるだけ。その余裕がヒルダに油を注ぐ。
球体それぞれが雷の槍の形状に変化し、バラバラの速度で荒神に向かっていく。
荒神はそれに向けて拳を引き、真っ直ぐにそれを押し出した。
雷の槍が押し戻され、少しずつではあるがその大きさが小さくなっていく。
まるで、拳のエネルギーの前に雷が少しずつ消されているかのように。
「――――な、っ――!?」
「言っとくが、勘違いするなよ。俺は雷を『消す』なんてことはしてないんだ」
荒神が右足で地面を蹴り、ヒルダの元に移動する。その速度はまさしく異常な速度。自動車並の、人間の限界速を優に超える超人的な速度による高速移動だった。
拳をゆっくりと引き、ヒルダを嘲るように言い放つ。
「受けて、体内で殺してるだけだよ」
ヒルダはとっさに防御として雷を使う。
- 706 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:48:30
- 雷を盾のように貼り、触れた瞬間に相手を感電させて殺す凶器の盾。
が。荒神は雷を体内で殺していると言った。即ち、この盾など紙程度でしかないのだ。
それにヒルダが気付くより先に、自慢の雷はあっさりと突き破られていた。
勢いの残った拳が、ヒルダの右腕に叩き込まれる。
「がぁぁあああああああっ!?」
妙な方向に腕が折れ曲がり、醜い悲鳴が漏れる。
ほぼ本能的に叫んだが、魔臓の再生能力は健在だ。腕など数分あれば治るだろう。
「死ね!この――――愚民風情が―――!!」
一際大きな落雷。ヒルダも疲労を強いられる威力だが、荒神はそれを全身で受ける。
「さすがに痺れるな。だが、お前じゃ俺には絶対勝てない。『絶対に』な」
次は足が振るわれ、ヒルダの脇腹から嫌な音がする。
次に拳がヒルダの顔面に叩き込まれ、その華奢な肉体を再び跳ね飛ばした。
立ち上がろうとするヒルダ。良いね、と小声で言い、荒神は再び拳を握る。
しばらくは、肉を拳が打つ音と、短い悲鳴や叫びだけが続いた。
■
「……すげえな。こいつ不死身かよ」
ヒルダの肉体はぼろぼろだった。腕や足は全てあらぬ方向に曲がり、顔は幾度もの殴打により腫れ、歯が後何本残っているのかさえ分からない有り様だった。
しかし、呼吸は止まらない。
ひとえに『魔臓』の影響が大きいからだ。きっとこの傷も、あと一時間もすれば完治してしまうかもしれない。吸血鬼の性質を知らない荒神には彼女は殺せないだろう。
ここで一つ解説しなければならない。
荒神健児は能力『悪星(イビルスターダスト)』の試し撃ちをするために、一度拳銃自殺をしている。彼の能力の発動条件は『心臓の停止』。つまり、死が引き金となる。
性質の悪いことに、彼を殺すには『悪星』使用時に殺害しなければならない。
『悪星』。身体能力の異常なまでの増強と、熱、電気、水、寒さへの異常な耐性。
一度オフにすれば30分の能力発動不可時間が発生するのが唯一の弱点か。
荒神はヒルダの体を適当に蹴り、一言だけ言い放った。
「お前の弱点は慢心だよ、雑魚が」
- 707 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:49:20
- 【深夜/D-6】
【◆ymCx/l3enu(荒神健児)@非リレー書き手】
[状態]健康、『悪星』発動
[所持品]ワルサーWA2000@現実、不明支給品1
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。
1:ヒルダは放置。反撃してきたなら再び潰す。
2:主催者もできれば殺したい。
【悪星(イビルスターダスト)】
自分の心臓の停止によって発動することができる。
熱、電気、水、寒さに対して異常な耐性がつき、異常な身体能力が手に入る。
制限時間は無いが、一度オフにすると30分オンにできない。
ちなみに、肉体の耐久は普通なので頭を撃ったら死ぬ。避けられるかもしれないが
【ヒルダ@緋弾のアリア】
[状態]気絶、全身がぼろぼろ(再生中)
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。
1:……………。
※魔臓による再生が遅くなっています
※少なくとも、キンジ達に倒される前からの参加です
- 708 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:49:59
- 【次から四話目です】
- 709 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:50:46
- ――――神楽ちゃんが、死んだ。
最後まで殺し合いに逆らい続け、あまりにも無惨に、あまりにも悲しい最期を迎えた。
肉を撒き散らして、もう『神楽ちゃん』であったモノは跡形も残っていない。
僕は、今まで恵まれていたのかもしれない。
万事屋の主人の銀さんに、それこそ神楽ちゃんみたいな、苦楽を共にできる家族同然の仲間が居た、たったそれだけで僕は恵まれていたんだ。恵まれすぎていたくらいに。
「ふざける、な」
本当に本当に大切な人が死んだときには、流す涙も枯れ果ててしまうと初めて知った。
僕は、志村新八は、涙も流せずにただ立ち尽くすだけ。
銀さんや土方さん、沖田さんも同じ思いをしているのだろうか。
みんないい人だから、きっと怒ってくれるだろう。
「ふざけるなァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
良いよね。僕も、『怒ったって』良いよね?
神楽ちゃんの無念の思いを考える度に、思い出したかのように激しい怒りが沸く。
腸が煮えくり返るとはこういうことをいうんだろう。
「―――古戸ヱリカ。お前は僕が必ず斬ってやる」
斬る。僕は紛いなりにも剣術道場の跡取りだ。『殺す』のではなく『斬る』。
僕は支給品に手を伸ばす。その鋭い手触りは僕の指の薄皮を裂き、僅かな痛みの後に少しばかりの血が出始める。何の偶然だろうか。それは真剣の刀だった。
説明書きには『宝具・物干し竿』と書かれている。
アサシンとか、サーヴァントなどよく分からない言葉があったけれど、気にしない。
物干し竿を手に持つ。
その光る刀身は何者さえ切り裂く光沢を放ち、僕の闘志に拍車を掛ける。
でも。次の瞬間には、僕の頭に冷たい何かが押し当てられていたんだ。
■
新八の頭に突きつけられるのはM1ガーランド。引き金一つでいつでも彼を殺せる状態。
背後に立つ髪を三つ編みにしたジャージの少女は、慣れた口調で新八に言う。
「命が惜しいなら動くな。動けば君の命は一瞬で尽きるよ」
「君は……まさか」
殺し合いに乗っている相手なら最悪だ。いくら剣の腕前が高い新八でも、この状況から行動を起こすのはリスクが高すぎる。頭を撃ち抜かれるかもしれない。
少女は新八の危惧を読みとったのか、声色を少し和らげて彼に質問する。
- 710 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:51:44
- 「君、殺し合いには乗ってるの?もしそうなら、ここで君を殺さなきゃいけない」
「僕は――――絶対、殺し合いなんかしない」
迷いなどない。ただ毅然と新八は自分の言葉で言い放った。
背後の少女がため息を吐き、ゆっくりと銃を下ろす。
新八が振り返ると少女はばつが悪そうに笑い、新八の方を見て言った。
「あたしは阿万音鈴羽。……にゃはは、ごめんね。あたしいつもの癖でさ」
いつもの癖?新八は僅かに違和感を抱いた。
それを彼はすぐに些末なことだと切り捨てたが、それもまた正解である。
『大江戸の志村新八』には『タイムトラベラー・阿万音鈴羽』に届けない。
知識の壁は、時に努力で乗り越えられないのだ。
「……僕は、志村新八。宜しく、鈴羽さん」
うむ、と笑顔で首を縦に振り、鈴羽はデイバックからお菓子の箱を取り出す。
中のポッキーを一本取り出すと新八に差し出し、
「食うかい?」
「それ別のアニメですよ鈴羽さん」
馬鹿馬鹿しいやりとりの後に、新八は鈴羽に自分の周囲のことを話し始める。
その時、鈴羽の表情が確かに強ばった。
「世界線が大きく違う――――ねえ、志村新八の世界にはSERNは居たの?」
「せるん?」
SERNは存在しないのか、と鈴羽は興味深げに呟き、新八に向き直った。
「志村新八。あたしは――――2036年の、未来から来たんだ」
未来。それは確かに阿万音鈴羽の真実だった。
阿万音鈴羽の正体は『タイムトラベラー・ジョンタイター』。
SERNに反逆するレジスタンスの人間にして、彼らを憎む者。
世界線。タイムマシン。ディストピア。人工衛星。Dメール。ダイバージェンス。
未来の知識を得た志村新八は、何を思うのだろうか。
- 711 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:52:15
- 【深夜/B-1】
【志村新八@銀魂】
[状態]健康
[所持品]物干し竿@Fate/stay night
[思考・行動]
0:殺し合いを潰し、主催者を斬る。
1:未来…?
※参戦時期は不明です
※未来の知識を得ました
【阿万音鈴羽@STEINS;GATE】
[状態]健康
[所持品]M1ガーランド@現実、杏子の菓子@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。
1:岡部倫太郎たちを探す。
※橋田が父親だと知った後からの参加です
- 712 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/02(金) 18:52:46
- 投下終了です
- 713 : ◆xR8DbSLW.w:2011/09/06(火) 00:11:45
- さるったので
目の前に在ったのは、炎の塊だった。
「――――――――――――ん?」
当然上がったのは、驚きの声。
あがったというより、漏れたという感じだが、
「悪いけどさ、死んでくれないか」
魔法を使った。
オーブメントによる攻撃。
ファイアボルト。
天才は、時に理解を超える。
このハルナにとって、初めて使う者だからって、使えないということはない。
- 714 : ◆xR8DbSLW.w:2011/09/06(火) 00:13:14
-
「………………」
当然の如く、炎は、さやかを包み込む。
ボゥボゥ、そんな擬音を醸し出しながら。
「…………。まっ、お前には悪いと思わなくもないけどな」
そう、何とも思わず表面上だけなぞった様な声を出し、柵からおろした身をさやかの方から遠ざけて。
「お前―――――――――――気持ち悪い」
その言葉と、とある置き土産を最後にして、ハルナは去っていった。
「……………」
置き土産は、勿論のこと。
炎の塊、ファイアボルトである。
そして、直撃する。
公園から、少し離れた場所にて、ハルナは小休憩を入れていた。
「………まぁ、一発目は死ななかったけど、さすがにあれで、死んだだろ」
- 715 : ◆xR8DbSLW.w:2011/09/06(火) 00:13:54
-
と、もうここでさやかのことは忘れよう、そう言う結論に至った。
理由はただ一つ。
気
持
ち
悪
い
か
ら
ただそれだけである。
ちなみに、今の彼女に、自前の攻撃魔法は使えない。
主催により封印されたからだ。
「――――――――そんなことするなら、こんなもん渡すなよな!」
たすかってるけどさ、と。
オーブメントをいじりながら言う。
………まぁ、確かに一般人から見るとただのチート以外何者でも無かった。
と、本当に小休憩だったようで、
もう立ち上がり、ハルナは、仲間――――――――――アユムたちを探し始めた。
「………よしっ!」
魔装少女は、歩き始める。
どこか、まだわからないけど。
【一日目/深夜/H-5 公園外】
【ハルナ@これはゾンビですか?】
[状態]健康、魔装少女化
[装備]ミストルティン@これゾン、オーブメント@空の軌跡
[道具]KS×1、パイングミ×9@TOA
[思考]
基本:皆と一緒に帰る
1:皆を探す
2:襲ってくる者は、邪魔になりそうなものは殺しておく
[備考]
※三巻後からの参戦です
- 716 : ◆xR8DbSLW.w:2011/09/06(火) 00:14:25
-
結果的に言って、美樹さやかはまだ生きている。
というかピンピンしている。
「……………」
魔法少女の力。
祈りから生まれた力。
“とある身体異常を治してほしい”から生まれた力。
強力な治癒力。
まるで、ゾンビの如くの治癒力。
それにより、幸にも、不幸にも。
彼女は生き残った。
傷痕は、もうすぐ完治する。
「……………あたしって」
彼女の目的はただ一つ。
救われたい。
それだけだった。
救われ方は、忘却の彼方に放り投げられたが。
【一日目/深夜/H-5 公園】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]火傷(小、治癒中)、精神異常、魔法少女化
[装備]ソウルジェム(穢れ九割)@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]KS×1、RS(0〜2)
[思考]
基本:何が―――――――――正しいのか、教えてほしい
1:あたしって………
2:…………
[備考]
※電車から降りてベンチに座った辺りからの参戦です
※これ以上穢れが増えるのは、よほど魔力を使用しなければなりません
- 717 : ◆xR8DbSLW.w:2011/09/06(火) 00:15:30
- 投下終了
- 718 : ◆xzYb/YHTdI:2011/09/19(月) 00:28:23
- さるったので、こっち
- 719 : ◆xzYb/YHTdI:2011/09/19(月) 00:29:17
- それの応用に過ぎないあのような行為、容易かったはずだった。
「…………」
現実は、辛い。ツライ。
現実は、辛い。カライ。
「…………」
目的と動作が、組み合わない。
そんなな現実に、そんな事実に。
「―――――――――俺は」
救いたい。
全員助けるなんて綺麗事だ。
知っている。
知っている。
だからこそ、彼は人を殺めるしか方法は無かった。
ナノニ、ドウシテ。
「クソオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!」
ショウネンハ、ウケイレガタイ、ゲンジツニ、タダタダ、ホウコウシタ。
【一日目/深夜/B-7 森】
【野村和也@他の書き手様のオリキャラ】
[状態]疲労(小)、精神疲労(中)
[装備]菊一文字RX-7@銀魂
[道具]KS2、RS(3〜5)
[思考]
基本:守谷彩子を救いたい
1:俺は…………
2:人を殺す
投下終了。
何でこうなったんだろう。
本当はいい対主催で押さえるはずだったのに。
注)野村君はこんなキャラではありません
- 720 :蟷螂の正義 ◆YR7i2glCpA:2011/09/19(月) 21:52:42
- さるったので支給品と備考だけだけどこっちに投下
[備考]:杉村弘樹の支給品の入ったデイバックが放置されています。
中身は不明ですが少なくとも武器になりそうなものは入っていません。
【支給品情報】
【毒薬と解毒薬のアンプル@学校であった怖い話】
高階ヨイチに支給。
元々は殺人クラブが殺人ゲームをやる際に相手に飲ませる毒薬。
遅効性ではあるが猛毒であり、数時間で死に至る。
付属の解毒薬を呑む事によって完全解毒が可能。
一体どんな毒なんだ。
- 721 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:32:06
- 【規制につきこちらで投下】
百年の迷路に閉じ込められたことはあるだろうか?
あるならおめでとう。貴方は立派な悲劇のヒロインだ。
無いなら、貴方の知る苦難はまだ甘く、温い。
死が決められた運命を生き、再び―――否、幾十、幾百の世界を繰り返す。
例えば暁美ほむら。
鹿目まどかという存在を守るために、幾度も時間軸を繰り返した少女。
例えば岡部倫太郎。
自分の周りの世界を救うために、体感時間約100年の時と世界線を越え続けて、やっと勝利を勝ち取った『救世主(マッドサイエンティスト)』。
そして、その二人と同等の痛みと苦しみと絶望と希望を見てきた少女。定められた死の運命に反逆し、愛する仲間たちと過ごす未来を目指して世界を繰り返し続ける。
周りの何もかもが狂い壊れ外れていく世界と戦い続ける『百年の魔女』――――――古手梨花は、未だ救われてはいない。正確には『この時点では』だが。
梨花は後に、『祭囃し』と呼ばれる世界で文字通り『ハッピーエンド』といえる結末と未来を勝ち取ることになるのだが、幸か不幸かこの梨花は『罪滅し』と称される世界時点から最悪のゲームに招待されたのだ。
「殺し合い……また、妙な世界ね」
妙と云うよりは奇怪だ。
今までの惨劇は、たとえ村民2000人を犠牲にしようが、どれだけ救いの無い結末だろうがあくまで『雛見沢村』の中での話でしかなかった。
が、今回は違う。
雛見沢の外で、今まで名すら聞いたことも無い人間たちと殺し合いのゲームを行うという、絶望的過ぎるイレギュラー世界。
普通なら孤独と恐怖に発狂してもおかしくはないが、古手梨花の精神は既にこの程度の恐怖など些末なことと捉えられるほどに疲弊しきっていた。
それに、梨花は今一人ではない。
他者からは視覚することさえ叶わないが、彼女のすぐ傍に、梨花にとって最大の味方であり最高の家族といえる存在が居る。
その名は縁結びの神『オヤシロさま』こと『羽入』。
梨花を理不尽な死の運命から救い、幾度と無く『リトライ』し続けてこられた理由となる力を持つ存在。
「…………羽入、あなたはどう思うの?」
『僕は、諦めるべきだと思うのです』
欠点を、挙げるなら。
羽入は、惨劇の迷路に囚れ続ける梨花を見続ける内に彼女もまた、精神が疲弊しきってしまった。だから、彼女は諦めに走る。
そして、今回も。
「そうね―――――今回は、諦めた方がいいかもしれないわね」
- 722 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:33:13
- 熟知してさえいる世界さえ越えられないのだ。
未知の世界の惨劇に立ち向かうのは余りにも無謀といえるだろう。
「―――それでも、私は諦める気は無いわ」
きっぱりと、未練や迷いを断ち切るように、梨花は言い放った。
泥臭くみっともなく無様に滑稽に足掻いてでも、この惨劇の世界には屈しないと。
『あぅ……梨花は、分からず屋なのです』
羽入は困ったようにおずおずと言った。
尤も羽入自身もまた、梨花が諦めないと感付いていたのかもしれない。
『罪滅し』の中で見た一抹の希望。前原圭一による狂気の浄化。
まだ、希望にすがりつくことは許されている。ならば、古手梨花が戦うのには十分だ。百年の間、絶望しか見てこなかったのだから。
先ずは、『支給品』の確認だ。
大げさな銃などよりも、何度か使っている催涙スプレーや園崎詩音が用いていたスタンガンなどが望ましい。あくまで殺し合う気は無いのだから。
適当に取り出したのは、一本の鎌。
ありきたりな、工具店の園芸用具コーナーに売っているような。
『巫女』の仕事で鍬なら扱うが、鎌を扱った試しなど梨花には皆無。
あまり当たりの武器とはいえないのが残念だ。
それでも、モップで戦わざるを得なかった時に比べればマシだ。
こんなものは諦める理由にすらなりはしない。
むしろ幸運とさえ取ることができるくらいだ。
「見ていなさい、羽入。この程度の運命、私は今度こそ打ち破ってみせるわ」
『ぁぅ…僕は「そこの少女。独り言を言うのはこの場では命取りだぞ」
声が割り込んだ。透き通った、凛々しさを感じさせる声だった。
梨花から少し離れた場所に、声の主は立っている。黒い優美な髪を風に靡かせ、顔には僅かな笑みすら貼り付けて。梨花の友人たちとは違う雰囲気―――『美少女』というよりは『美女』に近いかもしれない、優美な姿。
そもそも、梨花よりも五〜六才は歳が離れているだろう。
「――――ふむ、驚かせてしまったようだな。おねーさんは来ヶ谷唯湖だ」
「…………殺し合いには、乗っていませんですか?」
『百年の魔女』ではない表の『古手梨花』の顔でおずおずと梨花は言う。
勿論だ、とすぐに返事が返ってくる。その声色には恐怖の感情は微塵も感じられず、動揺の色すら窺えない。
梨花からすれば、それは頼もしくもあり、また不気味でもあった。
「ボクは古手梨花といいますです。唯湖、宜しくです。にぱー☆」
- 723 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:34:49
- 「……待て、君は私を萌え殺しにする気なのか?」
来ヶ谷唯湖。彼女はその凛々しい見た目に反して、可愛い美少女をこよなく愛し、時には少々変質的なこともする。そんな彼女にとって、通称『萌え落としの梨花』の仕草や言動は彼女の変態脳を加速させる要因となる。
悶えながら微笑む来ヶ谷を若干引き気味に見つめる梨花――――――だが。こんな和やかな光景を、一人の少女が見事に引き裂いた。
「――――ゆらぁり」
<<闇突>><<狂戦士(ベルセルク)>>―――西条玉藻。
□
両手にコンバットナイフを持ち、時折霧のように揺れる少女。
西条玉藻の放つ雰囲気は、幾百の世界を越えてきた梨花でさえ、明らかに異常と見えた。まず、彼女は玉藻のような人間を見たことさえ無かったのだが。
来ヶ谷もまた、玉藻と平和的に話し合うことは不可能だと悟る。
「……君は、何を求めて殺し合いに乗る?」
「とりあえずー、二、三刃刺してから説明しますよぅ」
話し合いは無理だ。
戦うしかない、と来ヶ谷は暗に悟り、デイバックに手を入れる。
神は彼女にも味方した。中から出てきたのは、一本のナイフ。
峰理子という『武偵』の少女が愛用していたそれなりの品。
「梨花くん、下がっていたまえ――――なぁに、心配は要らない。所詮は―なのだからな」
一部が聞こえなかった。
来ヶ谷が玉藻の前にゆっくりと歩み出て、玉藻を見据える。
痺れを切らしたのか、<<闇突>>は来ヶ谷に突撃する。来ヶ谷は二本のナイフを受ける前に、今まで彼女が仲間たちと行ってきた遊びの経験から考察していた。
"――――成程、彼女は相当の腕前のようだな――――"
と。
ガキィィイイイイイイインンン!!という音がした。
西条玉藻の戦闘における、特にナイフを用いた場合のセンスは来ヶ谷を優に超える。しかし、来ヶ谷は体術でその差を何とか補って玉藻に対抗しているのだった。
仲間たちとの『バトル』でも最強クラスの実力を持つ彼女でさえ、防戦一方になってしまう。
玉藻の攻撃を受け、押し返し、また受ける―――鼬ごっこは必至だ。
「(……あまり良い戦況では無いな……だが、運動能力ではこちらに分があると見たぞ)」
キィィイン!!
来ヶ谷が一際強く、力を込めて真横から玉藻のナイフに攻撃を加える。
これでナイフを片方でも取り落としてくれればラッキーだが、そんな初歩的なミスを<<闇突>>は犯さない。
- 724 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:36:02
- しかし、それでも来ヶ谷のささやかな狙いは達成された。
戦いにおいて、今のように鼬ごっこを演じる際。優勢な相手は大抵何かしらの『ペース』や『パターン』を構築しながら戦っている場合が多い。
相手のそれに飲まれたまま戦いを続けることさえ時には要求される。相手が人間である限り疲れは溜まるのだから、辛抱強く戦い、相手を押し切ることも重要だ。
しかし、それはあくまで実力が拮抗もしくはこちらが勝っている場合のみだ。
来ヶ谷は驕らなかった。明らかに、西条玉藻の力量は来ヶ谷唯湖の力量を超えている。そんな悠長な戦いをしていれば、打ち負けるのは来ヶ谷の方だろう。
だから、彼女は玉藻のペースを乱す戦い方に切り替えたのだ。
「随分と、『こしゃく』な?戦い方なんですねぇ―――」
「戦略的と言ってほしいものだな。おねーさんは策士なのだよ」
「策士はー、二人も要りませんよぅ」
疲れの色は両者共に見えない。
まだ軽口を叩けるだけの余裕はあるよう―――――――――だが。
二人の肉体には、高速で行ってきた戦いの疲労が蓄積している。
この勝負も、もう長くは続かない。
片方が倒れて片方が立つ。もしくは、それ以外か。
「では、仕切り直しといこうかね」
「ゆらぁりぃ……!!」
再びの激突。しかし今度は来ヶ谷がペースを生み出す番だ。
ナイフだけでの戦いに一石を投じる行動――――体術を混ぜる。
来ヶ谷のナイフ捌きもなかなかのものだが、かつて筋肉の塊のような少年を圧倒した体術を今度は『攻撃』に活かしていく。
勿論危険も加算される。蹴りを放ったところで、玉藻の腕前なら下手な隙を見せればそのまま切断されかねない。ハイリスク・ハイリターンな戦いとなるだろう。
"だが――――そんな事柄、恐るには足らないな"
賭けでは意味がない。全力の戦いだからこそ、正確さが求められる。
なら、正確に補正して戦えばいいだけのことだ、と来ヶ谷は断じた。
玉藻のナイフが再度来ヶ谷のナイフに激突した時。
来ヶ谷の鋭い蹴りが、一切の容赦無く玉藻の顔面に放たれた。
目を見開いて驚いたものの、玉藻はとっさにナイフを交差させてそれを止める。さすがは澄百合学園――――『首吊学園』期待のホープといったところか。
「(これも止めるか……全く、実に素晴らしい)」
今度はナイフ。止めたら蹴り。止めたらナイフ。止めたら蹴り。
ペースは作られた。
- 725 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:37:25
- 玉藻としても、ナイフでなら互角以上の戦いをすることが出来るとはいえ、それでもそのナイフ捌きに見合うだけの身体能力を持ち併せている。
だが、常日頃から『遊び』として戦いを行っている来ヶ谷の方が、戦い方のパターンも広い上、如何なる外れ武器でも使いこなすことが要求されるのだから一枚上手なのは当然である――――――――――。
ここで、戦況が再度大きく動く。
来ヶ谷がナイフで攻撃を仕掛けた瞬間に、玉藻は力と速度でそれを押し返し、一気に距離を詰めることに成功したのだ。
まさに一瞬。
「――――ゆらりぃ」
「(そう来たか……くっ、手痛いが致し方あるまい)」
来ヶ谷唯湖がほんの一瞬の時間に下した決断は、常軌を逸していた。
誰が。
誰が片方の眼球を捨てて、攻撃を利用した反撃に出ると思うか。
しかし、来ヶ谷唯湖にも西条玉藻にも確信があった。
"この打ち合いで、決まる―――――。"
それは、どちらの勝利にしろ戦いが決着するという意味だ。
眼球を捨てた捨て身の攻撃か、ナイフ使いの刺突か。
―――しかし、決着はそのどちらでもなかった。
玉藻が、予定した攻撃に出る前に後退する。それは本能的なもの。
圧倒的な、もはや威圧に近いだけの殺気。それを感じ取った刹那、玉藻が居た空間を不健康すぎる白色の閃光が高速で通り抜けていった。
学園都市第四位の超能力者・『原子崩し』麦野沈利が、君臨する。
■
「……シケた見世物見せてんじゃねえよ、私は今頗る機嫌が悪いんだ」
長身に、右手首に未だ閃光を溜めながら麦野は二人に言い放った。
逆らうことを許さない絶対の殺意。
手を出せば、一瞬で肉塊にされるのは目に見えている。
麦野は二人を一瞥し、来ヶ谷の後ろに居る梨花の姿を捉え、両者の立場をある程度把握する。次の瞬間には、玉藻の方に体を向けていた。
「どうするよ?かかってくるなとは言わねぇけど」
閃光が渦を巻く。
麦野の匙加減一つで、『原子崩し』―――――粒子波形高速砲が玉藻に向けて放たれる。避けて戦うことも勿論可能だし、玉藻もそのつもりだった。
「――――ゆらりぃ」
コンバットナイフを構える。それに向けて麦野も右腕を向ける。
「――――――――バン!!」
空気の塊が、砲弾のように麦野に迫っていく。
しかし、学園都市第四位の少女を止めるためには余りにも力不足だった。
『原子崩し』が空気砲弾を呆気なく破る。
- 726 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:39:06
- 視線で人を殺せるとしたら、きっとそれは必殺の視線だったろう。
救援に入った眼鏡の少年を、余りにも明確な殺意の視線で射抜く。
しかし、少年は震えながらも、麦野に向けてこれまた敵意を向け続けた。手に装着した空気砲を麦野に向けて、勇敢に立ち向かおうとしていた。
「チッ……私の気が変わらねえ内にそのガキ連れて消えろや、ヒーローさんよ」
闘志を殺がれた。
麦野は拍子抜けしたように手を振り、少年は玉藻の手を引いて走り出した。
その行動力は大したもんだがな、と呆れ果てたように麦野は一人ごちた。
◇
「助かったよ、生憎私一人では痛み分けが良いところだったろう、麦野女史」
「はいはいそいつぁどうも」
梨花を後退させて、麦野と会話する来ヶ谷。麦野のやや暴力的な言動に梨花が怖がらないための配慮であった。
来ヶ谷から麦野に尋ねたのは、彼女の用いた能力は何かということ。
学園都市の存在しない世界の来ヶ谷に説明したところで、納得できるはずもない。麦野はここで、来ヶ谷は不可思議にも学園都市の存在しない世界・即ち『平行世界(パラレル・ワールド)』から来たのだと考察した。
来ヶ谷はそれ以上食いつくことはない。
「じゃあ我々はここで別れることになるか。名残惜しい限りだよ」
「そうかよ―――――――そうだ、一つだけアンタに聞きたいことがあるんだ」
麦野沈利は、暗部組織『アイテム』のリーダーは、来ヶ谷唯湖に対して素朴な、だが無視できない疑問を抱いていた。
「来ヶ谷――――アンタは何だ?」
――――アンタは何だ?
麦野は玉藻と来ヶ谷の戦いを途中まで見ていた。そこで、来ヶ谷に一つの疑問を抱いたから横槍を入れたのだが。
普通の日々を謳歌している少女に、あんな戦い方が出来るはずはない。
少なくとも、眼を捨てて敵を断つ覚悟を瞬時に決められるなど異常だ。
「アンタはどうしてここまで物怖じしない?」
「おかしな事を言うなぁ。こんな物は、私の生み出した夢に過ぎないのだよ。目が覚めれば、全てリセットされるのだからな」
麦野は無言で背を向けた。そして、口元を僅かに歪ませる。
「"アンタ"は私寄りだな、壊れすぎてる」
- 727 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:39:58
- 【深夜/C-6】
【麦野沈利@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康、高揚
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:『敵対』する輩をブチ殺していく。
1:来ヶ谷唯湖に興味。
※新約一巻終了後からの参加です
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]健康
[所持品]鎌@現実
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。
1:圭一たちを探す。
2:唯湖……?
※罪滅し編、死亡後からの参加です
【羽入(非参加者)@ひぐらしのなく頃に】
0:梨花を見守る。
1:どうせ今回の世界は無理なのです……
【来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
[状態]疲労(中)
[所持品]峰理子のナイフ@緋弾のアリア
[思考・行動]
0:殺し合いという『夢』を楽しむ。
1:殺し合いに乗っている相手は殺す。
2:梨花くんを守る。
※来ヶ谷ルート、理樹に告白される前からの参加です
※殺し合いは自分の新たな夢の世界と思っています
- 728 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:40:54
- □
少し離れて。少年・野比のび太は、やっと一息吐いた。
自分より年上の人を連れて逃げるという慣れない経験に、疲労したのだ。
西条玉藻は、霧のように時折揺れながら、ぼうっとのび太を見ている。
「良かった、逃げ切れたみたいだね、本当に――――」
ざしゅっ、ぷしゃあああああああああああああっ。
野比のび太から、赤い、真紅の飛沫があがった。
首が深々と切り裂かれ、とめどなく血が溢れ、地面に吸い込まれていく。
彼は、玉藻が危険人物だという可能性を失念していたのだ。
薄れゆく意識の中。
最期に、最愛の友たちと、最高の家族のロボットに想いを馳せた。
「ドラ……えも…ん…」
「ゆらぁりぃ」
血塗れの少女・西条玉藻は狂気混じりの呟きを漏らした。
狂戦士(ベルセルク)が、殺し合いを開始する。
【野比のび太@ドラえもん】 死亡
【残り134/141人】
【西条玉藻@戯言シリーズ】
[状態]疲労(小)、返り血(中)
[所持品]コンバットナイフ@ひぐらしのなく頃に
[思考・行動]
0:とにかく殺していく。
1:ぶらぶらする
※『クビツリハイスクール』、いーちゃんと会う直前からの参加です
- 729 : ◆meUMrrZs9o:2011/09/30(金) 22:41:55
- 投下終了です
題名:殺戮舞曲〜<<闇突>>と壊れ物の夢〜
でお願いします
- 730 : ◆VxAX.uhVsM:2011/10/02(日) 21:28:30
- さるさんなのでこちらに
【真昼/C-4工場医務室】
【桜井咲夜@ドラえもんのび太のBIO HAZARD G2版】
[状態]気絶中、Gウイルス覚醒
[装備]FNハイパワー@現実(9/13)
[所持品]基本支給品、FNハイパワーのマガジン(2)、不明支給品(0〜1)
[思考・行動]
基本:殺し合いの阻止。
1:この人が起きるまで待つ。
2:のび太君達と合流する。
[備考]
※本編開始前、飛行機に乗る前からの参戦です。
※Gウイルスが目覚めました。以下の状態となります。
○怪我の治りが早くなる
○筋肉量の増加
他にも増える可能性があります。
- 731 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:38:43
- 規制につきこちらで投下
まずは愛好作品ロワ
- 732 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:39:57
- 匂宮出夢が地面を蹴り。
ランサーが地面を蹴り。
戦いが始まった。
出夢は槍使い(ランサー)の槍の間合いと強度を脳内で把握しながら、それこそ殺人的な威力の蹴りをランサーに向け低い体勢から放つ。
ランサーもまた、その蹴りを体を後退させることでかわす。
そしてまた、最初の激突で互いに相手が危険な相手だと察した。
匂宮出夢の必殺《一喰い》を防ぐ強度の槍と、殺し屋の蹴りをかわすほどの身体能力。今まで殺し合った相手の中でもかなりやばい相手だ―――と、出夢は苦笑する。
宝具『刺し穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』の上から、ここまで攻撃を響かせる馬鹿げた威力の平手打ち。更に驚異的な身体能力。本当にガキかよ、とランサーも苦笑。
しかし、互いに闘志の萎えは見せない。
むしろ、未知の強敵に心を躍らせるように瞳をぎらつかせている。
「おぉぉぉらぁぁぁぁぁぁッ!!」
「……ッ、やっぱその槍おかしいだろ――――だァが!!それでこそ殺し甲斐があるってもんかねぇ!!ぎゃっははは!!」
ランサーの槍が出夢の眼前に迫るが、逆にその一撃を流し、カウンターの一撃を放つチャンスを自ら出夢は作り出す。そして、一気に間合いを詰める。
出夢の取る構えは《一喰い》ではない。
連続で攻撃するためにも、隙の小さないわば『弱攻撃』で攻めていく。
ランサーの無防備な腹部に一撃目を叩き込み、出夢はにやり、と笑む。
「そう何発もよぉ―――食らってやるほど俺はお人好しじゃなくてな」
膝蹴りが出夢の首元にヒットする。僅かに体勢を崩すが、まだ攻撃可能な間合いだ。しかし、匂宮出夢は敢えて、退いた。優位に立てていた筈なのにも関わらず。
ランサーの槍撃を警戒しての行動だ。
あの槍は一撃貰えばそれだけで致命傷になりかねない。
何せ《一喰い》を受けて尚びくともしない程の強度なのだから。
再び両者が地を蹴り、前へと進む。
ランサーの槍と、出夢の肉体。どちらも立派な凶器であった。
更に。拳と槍を交える中で、出夢はランサーの槍の特性をある程度理解し始めていた。強度こそかなり硬いが、止められないものではない。うまく衝撃を逃がせば止めることも可能だ。
確かに常人なら難しいだろうが、《人喰い》の彼になら不可能ではない。
その隙に《一喰い》をランサーの肉体に叩き込む。
それさえ決まれば、出夢の勝ちは確定したも同然だろう。
カキン、という音。
ランサーは舌打つ。
- 733 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:41:57
- 匂宮出夢の攻撃が今まで簡単には通らなかった訳。
それは彼の宝具を出夢が必要異常に警戒してくれたからでもある。しかし、出夢は既に『刺し穿つ死翔の槍』を流して、逆に攻撃に繋げる方法を見出しているのだ。
これは非常に厄介。
格闘戦ではランサーのステータスで出夢を倒すことは難しい。
――――いや、不可能に近いだろう。
「ハッ――――僕の勝ちかぁ!?」
「嘗めてんじゃねえよ――――――!!」
取られた構えは《一喰い》。
槍を戻して防ぐには時間が少々足りない。
だが、この一撃を貰えばランサーの敗北は決定的なものになってしまう。
不思議と高鳴る、沸き立つ、闘争心。
英霊クー・フーリンの誇りに懸けて。
《人喰い》匂宮出夢を打ち倒さなければならない―――
「―――上、等だ。やってやろうじゃねえか―――!!」
槍を引き戻すまでも無い。
ランサーはそのまま、左腕で出夢の肉体を横に押し退ける。
当然。この方法では《一喰い》を防ぐことは出来ない。
ランサーの取った戦略は、被害を最低にすること。
即ち、左腕を捨ててこの状況を打開する、捨て身の策だった。
鈍い音がした。
不思議と一切痛みは無く、ランサーの左腕が《散らされた》。
しかしこの場では。
匂宮出夢の《一喰い》の、『痛みを感じる前に神経を破壊する』性質が、ランサーの勝率を余計に高めてしまうことにつながる。
静かに、ランサーは口を開いた。
紡がれる言葉は、まさに彼の切り札。
サーヴァントだけに許された、必殺の言葉――――
真名解放。
「刺し穿つ(ゲイ)―――――死翔の槍(ボルク)!!」
槍を、投げた。
不気味な赤い光を発する槍が、出夢に向かい死翔する。
そして。出夢の右目を、槍の切っ先が抉った。
出夢の回避がどうにか間に合ったのがせめてもの救い。
脳まで破壊される事態だけは避け、失明に止めた。
五分五分、だろうか。
ランサーは片腕を、出夢は片目を失っている状況。
ランサーは指で自分の腕の破壊面をなぞる。瞬く間に燃え上がり、出血を止め、いびつな破壊面が整えられる。
さて、これはどうしたものかな―――と、両者は思案していた。
この後戦い抜いたとして。勝利の代償は更に大きくなるだろう。
最悪相討ちになるかもしれない。それに、出夢の場合は紫木一姫もその後で相手にしなければならないのだ。正直、勝ち目は無いに等しい。
- 734 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:43:17
- □
「すげえな……どうなってんだその指」
「ただのルーン魔術だ」
結局。ランサーと出夢、二人の戦いは打ち止めとなった。
ランサーが提示したのは紫木一姫を見逃すこと。
匂宮出夢が提示したのは左目の処置をすること。
話を聞いてみれば出夢自体殺し合いを積極的にする気は無いらしく。
勿論ランサーにもそんな気は無い為、戦う理由が無くなった。
紫木を出夢が殺さなければ、別段ランサーに文句はない。
「………俺はとりあえず代わりの腕を探す。形なんざいじっちまえばいいだけだからな」
「僕はぶらぶらさせて貰うとするかねぇ。ぎゃははは」
それじゃあな、とだけ短く言って、匂宮出夢はそのまま立ち去る。
「あのう。姫ちゃんも糸を探したいのでご一緒させてもらうです」
「あー……紫木っていったか……?」
ランサーには、一つ躊躇っていることがあった。
彼が英霊としての力をフルに使うためには、彼と魔術回路を繋ぎ、契約を結ぶ必要があるのだ。
が。この殺し合いでは相手が魔術師である必要は無いようだ。
せいぜい『奇跡の魔法』とやらの恩恵だろうが。
この子供に、契約が理解できるかも怪しい気がする。
「……何か凄い失礼なことを思われている気がするですよ」
しかし。着ているのはセーラー服。つまり、女子高生だろうか。
駄目元だ、と半ばヤケクソでランサーは持ちかける。
「良いだろう……ただし、俺のマスターになるならな」
「良いですよ」
ザ・即答。
■
紫木一姫の右の腕には、奇妙な三画の文様『令呪』が浮かび上がっている。彼女が契約した英霊・クー・フーリンに対する三度までの絶対命令権の徴。
魔術師としての才能は皆無な紫木でも契約できたのは非常に幸運。
《人類最強の請負人》にさえ匹敵する戦闘技術と。
決して折れることの無い闘志を胸に抱いて戦う英霊。
ここに、まさに《ジグザグ》なコンビが誕生した。
- 735 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:44:30
- 【深夜/E-5】
【紫木一姫@戯言シリーズ】
[状態]健康、ランサーとの契約
[所持品]トンプソン・コンデンダー@Fate/Zero
起源弾@Fate/Zero
[思考・行動]
0:《師匠》を探して守る。
1:殺し合うつもりはないが、敵には容赦しない。
2:ランサーさんと行動する
3:《糸》を探す
※『ヒトクイマジカル』死亡後からの参加です
※ランサーと契約しました(令呪残り三画)
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]左腕欠損(処置済)
[所持品]刺し放つ死翔の槍@Fate/stay night
[思考・行動]
0:バトルロワイアルを潰す。
1:一姫を守る。
2:衛宮士郎、遠坂凛、一姫の≪師匠≫を探す。
3:義手を探すか……。
※UBWルート、死亡後からの参加です
※紫木一姫と契約しました
- 736 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:45:25
- ◆
おいおい。いきなりこんなになっちまった。
まさかこの僕が最初の殺しで目玉を抉られるとはな。
しかし、あそこまで心地良い殺し合いは久しくしてなかったっけか。
さて。もうここらで匂宮出夢(ぼく)の、《人喰い》の物語は終わらせたい。妹も失ったし、目が効かなきゃ仕事も満足に――――いや出来るけど、やりずれえ。
何より、殺して潰して殺して潰すのにも疲れた。
僕はこの殺し合いに命を散らせてやる。
勿論タダでとはいかねえ。
僕を満足させるような、とんでもねえ殺し合いの果てに死んでやる。
さあ。
殺戮奇術の匂宮兄妹、最後の殺しをさせて貰おうか。
おっと、もう《兄妹》じゃなかったな。
「…………ぎゃはははは」
【匂宮出夢@戯言シリーズ】
[状態]右目失明(処置済)
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:戦う。
1:最高の殺し合いの果てに殺される。だが手は抜かない。
2:出来れば《死色の真紅》とも殺し合いたい。
3:弱者に興味はない。
※『ヒトクイマジカル』、哀川潤と戦う前からの参加です
- 737 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:46:49
- 愛好作品ロワ投下終了
題名:糸切り(意図霧)≪後編≫
続いてSchoolオリロワ投下します
- 738 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:48:12
- 生徒会長・黒沼光貴。
礼儀正しく学問も出来る、テンプレートな優等生である。
ネット上で『お気に入りキャラ・バトルロワイアル』という創作作品を連載する書き手の側面も併せ持ち、更に他の書き手からの信頼も物凄く厚い――――。
「(さて……どうしましょうかね)」
光貴から見て。優先して保護しなければならない人物が何人かいる。
他の書き手達も心配だが、彼らは知識がある。
きっと、他の参加者達を上手く導いてくれるだろう。
九柳やよい。
虚弱体質で欠席も多い。双子の姉・九柳祠織に付き添われて生活している。
夜坂文香。
優等生だが、彼女は致命的な欠陥を抱えている。
新型の心臓異常につき、まさにいつ死亡しても不思議ではない。
そして――――柄部霊歌。
彼女は兄を失ってからとても不安定だ。そして、光貴は彼女の正体を知っている。それでいて尚、光貴は霊歌を保護対象とした。辻斬りの犯人だと知りながらも。
黒沼光貴の心は余りに広い。
きっと彼は、唐突に刺されたとしても笑顔で窘めるのだろう。
それを長所とみなすか、欠陥とみなすか。
デイバックを開けてみる。
中から最初に出てきたのは、何とも物騒な代物であった。
日本刀。模造刀なんかではない、正真証明の真剣だ。
勿論光貴には扱った経験などないし、これからの人生で扱う予定も無かった。それに予想以上にこの刀は重い。易々とは振れそうにもなさそうだ。
木刀やら模造刀なら、光貴はその場でそれなりに使いこなす自身はあったのだが、本物となるとまず彼の良心がどうしても手加減してしまう。お人好し故に。
もう一つはパイナップル―――――ではなく、立派な爆弾だ。
見ただけでは分からないが、触ると微妙に質感が違う。
支給品の説明用紙のようなものを見ると、高威力な爆弾らしい。
「……なるべく、使う機会は無い方がいいですね」
微笑を浮かべて、二つの支給品をデイバックにしまう。
さて。黒沼光貴は保護対象の捜索に出向いた訳だが。
ここで一つ。
『黒沼光貴』についての、お話といこうか。
□
彼の家―――――黒沼家は大財閥である。
沖崎翔の家も相当だが、黒沼家はその比ではない。
世界規模に膨大なコネクションを持ち、彼の一声で誰かが動く。
商品開発から暗殺まで何でもござれと黒服は笑う。
が、光貴はその環境から逃亡した。
父親に一方的に絶縁を叩き付け、僅か三分の間に彼は家と決別する。
- 739 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:49:20
- 無一文からアルバイトで徐々に生計を立てていく生活の中で、光貴はゆっくりと庶民の感覚に慣れ始めた。そしていつしか、『テンプレート優等生』と呼ばれるようになっていったのだ。
しかし。光貴の実家・黒沼家に居た頃、光貴はある人物に会っていた。
黒い髪に端正な、正に若者受けしそうな顔立ちの男。
黒服の中からは拳銃を出すところさえ見たことがある。
明らかに堅気の人間ではないと子供ながらに光貴は理解していた。
どこまでも《黒》尽くしだったあの男。その名は、黒崎刑梧といった。
光貴の殺し合いにおける最終目的は、そこにある。
誰も憎まない、そう形容された生徒会長が唯一憎んだ男を、×す。
―――――――――黒崎刑梧の抹殺。
自分の学友を弄んだ罪は、その生命の喪失を以て償わせる。
双貌に怒りを称えて、光貴はそっと呟く。
「◆YcpPY.pZNg」
自分の書き手としての名前を呟く。
それで優等生の自分との線引きとすることで。
黒沼光貴はバトルロワイアルへの反逆を開始した。
【深夜/C-5】
【黒沼光貴(◆YcpPY.pZNg)】
[状態]健康
[所持品]日本刀、パイナップル型爆弾
[思考・行動]
0:殺し合いを潰し、黒崎刑梧を抹殺する。
1:九柳やよい、柄部霊歌、夜坂文香を保護する。
【黒沼光貴(◆YcpPY.pZNg)】
生徒会長。そして書き手の一人。
『テンプレート優等生』といわれるほどの優等生かつ人格者。
- 740 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/15(土) 19:50:05
- これにて投下終了。
題名:憎悪殺し
でお願いします
- 741 : ◆YR7i2glCpA:2011/10/20(木) 19:53:06
- さるったので状態表と支給品情報だけですがこちらに
【E−4住宅街/1日目午前】
【灰原由起夫@まほらば】
[状態]:疲労(中)、精神の動揺(小)
[装備]:流星ジョニー@まほらば、六爪の一本@戦国BASARA、寸胴鍋@現地調達、プラスチックのまな板@現地調達、鍋のふた@現地調達
[道具]:基本支給品一式(食糧小消費)、ヴァージニアメンソール@BATTLE ROYALE、詳細名簿@現実、六爪の一本@戦国BASARA、雫の支給品一覧(アイテム未確認)
[思考]1:雫、どこに行ったんだ!?
2:学校へ逃げ、長谷川を治療する。
3:梢をはじめとした、鳴滝荘の住人を捜索して保護する。
4:初老の侍(空蝉)に感謝、でも……
5:殺し合いから脱出。
[備考]:忍術学園の情報を得ました。
【長谷川泰三@銀魂】
[状態]:腹部に切り傷(命に別条はない、応急処置済み)、精神の動揺(小)
[装備]:六爪の一本@戦国BASARA、行平鍋@現地調達、鍋のふた@現地調達
[道具]:基本支給品一式(食糧小消費)、ヴァージニアメンソール@BATTLE ROYALE、ライター@現実
[思考]1:…死にたくない……
2:銀さん達と合流したい。
3:鳴滝荘の住人は保護したい。
4:メガネの男(日野)に対抗したいが策は思いついていない。
[備考]:忍術学園の情報を得ました。
[備考]:ブロードソード@ブシドーブレード弐は役所の一階に放置されていますが、ひかり玉の爆発でほぼ使い物にならなくなっています。
空蝉の基本支給品一式とミコシサマ@クロックタワーゴーストヘッドは燃え尽きました。
【支給品情報】
【ひかり玉@忍たま乱太郎】
小林あかねに支給。
忍術学園六年い組の生徒、立花仙蔵特性の焙烙火矢。
劇場版アニメ忍たま乱太郎で使われたもの。
仙蔵の特殊な調合により、普通の焙烙火矢よりも光が強い。
- 742 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/21(金) 18:19:14
- さるったのでこちらに
投下終了です。
題名:きぼう―――――hope
でお願いします
- 743 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/23(日) 20:57:11
- 9Qです 突然引退してしまい申し訳ありませんでした。
しかし、やはりロワを書きたくなったため、もう一度ここで書きます
リアルでかなり鬱になっていたこともあり、皆様にはご迷惑をかけてしまいました。
psp投下オンリーになるため、基本は避難所投下になります
新ロワ名簿を続けて投下します 今までのロワは打ち切りと思っていただいて構いません
- 744 :な:2011/10/23(日) 21:25:29
- 【速度重視ロワ】
【参加者】28/28
【オリキャラ】
○宇佐見沙斗史/○海道蓮/○小倉冥/○辻結花
【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○インデックス/○ステイル=マグヌス/○騎士団長
【戦国BASARA】
○織田信長/○明智光秀/○長宗我部元親/○毛利元就
【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○遠坂時臣/○ケイネス・エルメロイ・アーチボルト/○バーサーカー
【未来日記】
○天野雪輝/○来須圭悟/○秋瀬或/○日野日向
【CHAOS;HEAD】
○西條拓巳/○咲畑梨深/○西條七海/○楠優愛
【バトル・ロワイアル】
○七原秋也/○中川典子/○桐山和雄/○相馬光子
【主催者】
○辻十三@オリキャラ
○ムルムル@未来日記
- 745 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/23(日) 21:29:51
- ↑の名前はミスです
続けてop投下します
op:神に至る系譜
登場:辻十三、ムルムル、天野雪輝、高坂王子
- 746 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/23(日) 21:41:23
- 暗い。暗い暗い暗い暗い、小ホール。
そこに、『僕』ーーーー天野雪輝は、立っていた。
辺りには誰もいなく、僕だけが孤独に立ち尽くしている。拘束されているなんてことはなく、身動きは自由に取れるようだ。
だが、何故だか声だけは出ない。
暫くすると、目の前に見慣れたシルエットが浮かび上がる。
時空と空間を司る神ーーーデウス・エクス・マキナの使い魔。
ムルムル。僕の日常を破壊したサバイバルゲームの実質的な黒幕。
ムルムルは不敵な、朗らかな笑みを浮かべて僕を見つめる。
そして、言い放つ。
「新しいゲームの開幕じゃーーー」
目の前に一つだけ。見慣れた顔の人影が唐突に現れる。
高坂王子。僕のクラスメイトーーーただし、首と体が離れていた。
始まりは唐突に簡潔に。
【速度重視ロワ 開幕】
【残り28人】
- 747 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/23(日) 21:42:36
- 投下終了
一ヶ月以内の完結目指して、頑張ります
- 748 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/24(月) 18:59:00
- 投下します
速度重視ロワ第1話:魔王
登場:織田信長、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト
- 749 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/24(月) 19:16:55
- 魔術の名門家系・アーチボルト家の嫡男。
水銀を用いた強力な魔術を用い、魔術師の専門学校・時計塔の講師も勤める。
彼の名をケイネス・エルメロイ・アーチボルト。『ロード・エルメロイ』の通り名を持つ凄腕の魔術師だ。今は万能の願望器・聖杯を巡る戦争に参加している最中。
なのだが、彼は今とても憤慨していた。
「ふざけおって……この私を愚弄するか、使い魔風情が」
彼は非常にプライドが高い。故に、殺し合いという茶番劇に、自分をーーー戦争の最中に呼びつけたムルムルに憤慨していた。
殺し合いに乗るか否かは別問題として。
しかし、いくらプライドが高かろうが彼はお人好しではない。
結果的に、自分が元の世界に帰れれば他の27人がどうなろうと知ったことではないのだ。そして彼には、自分の身を守り、殺し合いを制するだけの力がある。
『月光随液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』。
水銀の魔術礼装だが、それは彼にとって最強の槍にも盾にもなる。
真っ向からの撃ち合いになろうが、彼の勝ちは揺るがない。
ただ、水銀が相手の命を無造作に断つだけだ。
そう。まさに、無造作に。
その時。ケイネスは視界に奇妙な風貌の男を捉えていた。
銀の兜。
- 750 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/24(月) 19:35:00
- 銀の鎧。
持つのはこれまた異様な形状の大剣だ。西洋のもののようだが、あまりにその形状は異質すぎる。まるで、超巨大な何かと戦うために用意されたかのような、無骨な姿。
しかし、恐れることはない。
ケイネスは冷静に、傍らの瓶から水銀を浮上させる。
男もケイネスに気付いたのか、不機嫌そうな、威圧するような瞳でケイネスを睨みつけた。しかし、怯まずにケイネスは『月光随液』を起動させる。
「ーーーーーー指定攻撃」
鞭のように水銀がしなり、男に向かって振るわれる。勢いはかなりのものだ。
直撃すればあの鎧では耐えられない。
だが、男は剣を振るうことなく、マントを勢いよく『翻す』。
「ーーー笑止ィィィィィイイイイイイイイイイイイ!!」
何が起きたのか分からなかった。
ただ、凶々しい焦気を放つマントが、水銀の鞭を振り払った。
「な、ッーーーーー!?」
「……この程度で余に盾突くなど片腹痛し」
大剣を、男は担ぐ。
その両目には殺気というより、軽蔑するような色があった。
それが、ケイネスの逆鱗に触れた。
「私を……愚弄するかッ!!」
鞭では無く剣となり、男目がけてそれが飛んでいく。
男が、剣を面倒臭そうに引く。
- 751 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/24(月) 19:46:21
- 軽々とそれを振るい、水銀の剣を大剣で、破壊した。
そして。
魔王が、ケイネスの前に君臨した。
「来………るな……、来るなーーーーーー!!」
あまりにも呆気なく。ケイネスの首を、大剣が斬り飛ばしていた。
第六天魔王・織田信長。
怪物としか思えない身体能力と多彩な攻撃。
彼もまた、バトルロワイアルに憤怒していた。
だが、彼の至る結論は皆殺し。神さえ殺す魔王の暴虐。
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】 死亡
【残り27人】
【深夜/A-1崖際】
【織田信長@戦国BASARA】
[状態]健康、憤怒
[所持品]大剣アスカロン@とある魔術の禁書目録、不明1
[思考・行動]
基本:全て滅ぼす。
1:皆殺しにする。
2:明智光秀は必ず殺す
※本能寺の変開幕直後からの参加です
- 752 : ◆9QScXZTVAc:2011/10/24(月) 19:47:02
- 投下終了です
- 753 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:52:04
- さるったのでこちらで
一話目:奇妙な邂逅
二話目:走り出した想いは何時までも――――
でお願いします
そしてもう一話投下。
- 754 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:53:20
- 殺し名。
裏の社会で有名な戦闘集団の総称であり、圧倒的な殺人能力を誇る。
《匂宮》《闇口》《零崎》《薄野》《墓守》《天吹》《石凪》。
裏の世界の人間なら誰もが知っている、恐怖と忌避の象徴でもある。
圧倒的な殺人能力。
比喩でも何でもなく、彼らは殺しにとにかく秀でている。
《匂宮》は頼まれれば誰でも殺す《殺し屋》。
《闇口》は主の為に殺す《暗殺者》。
《零崎》は理由なく殺す《殺人鬼》。
各個が異常。殺人を躊躇しない、一般人には理解できない境地。
対極に《呪い名》があるが、ここでは関係ない事柄だ。
話は変わってバトルロワイアル。この殺人ゲームにも、二人だけ招かれている。片方は匂宮の史上最高最大の失敗作、匂宮出夢。片割れを失った人喰い。
もう片方は闇口の一族・闇口崩子。ただし、一族からは家出中の身。
とはいえ殺し名としての性質は持ち合わせている。
既に匂宮出夢は槍使いと戦い、痛み分けに持ち込んでいる。
そして今度のお話は、闇口崩子。殺し名から外れた少女のお話。
彼女のバトルロワイアルの《はじまり》のお話。
彼女が、とある男と出会う、ただそれだけのお話だ。
既に主を定めた彼女。
その彼女が、どう動くか。
これは、彼女のスタンスが確定するまでの過程。
それでは、物語を始めよう。
□
殺し合い。
岡部倫太郎の語彙を漁っても『イレギュラー』としか形容できない。
数多くの運命を経験してきた彼は、不測の事態――――即ちイレギュラーを人より確実に多く経験している。少なくとも心が擦り切れそうなくらいには。
しかし、これはあまりに予想の範疇を越えすぎている。
一人の少女を救うために幾多の世界『線』を越えてきた彼の経験上、《シュタインズゲート》に至るまでの物語は秋葉原の、自分の身近で展開されなければならない。
そういう法則(ルール)だ。
法則(ルール)が破綻した式は、存在できない。
「…………嘘だろ」
まさか。
まさか。まさか。
まさか。まさか。まさか。
岡部の脳内を、絶望に限りなく近い恐怖が駆け巡る。
死など今更恐れてはいないし、死と比べて尚勝る恐怖。
だって、考えてもみろ。
殺し合いなんてものが、世界に紛れ込むなら。
ただでさえ数多の広がりを見せる世界が、更に分岐する。
参加者一人一人の行動がもたらす結果の一つ一つが結末を左右。
- 755 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:54:58
- そして、何よりも最悪なのは。
俺の頼みの綱、タイムリーブマシンが手元に無いことだ。
それはつまり、今まで当たり前だったやり直しが出来なくなる。リセットボタンが無いゲーム機のようで、人間のあるべき姿。
シュタインズゲートに辿り着けない。
俺のやってきた事は。
―――何もかも、無駄だったってこと―――
「……っ、ふざけるな……ふざけるなぁぁああああああああッ!!」
ただ、やり場のない怒りを、絶望を、ぶつけて叫んだ。
それで何か道が開ける訳でもなく、ただの酸素の無駄に過ぎない。
だが、そうしなければ。
自分で自分を壊してしまいそうで、たまらなく怖かった。
岡部倫太郎は、観測者だった。
本質は大きく異なったが、それが彼を表すのに一番適していたろう。
もう、そんな甘ったれた立場は終わりだ。
岡部はこの世界線においては、《参加者(プレイヤー)》にならなければならない。観測して考察する立場はもう、通用しない。
失敗なんて許されない。
傲慢かもしれないが、岡部以外に、あの幼なじみの少女を救うことの出来る人間はこの世に居ない。否、自分が救わなければ。
この地球に存在する630000000人の人間の誰にも、背負わせない。
救世なんて大袈裟なものでなくたっていい。
あの少女の終わりだけは、認めない。
岡部倫太郎の命を懸けてでも終わり(バッドエンド)を否定する。
絶望してはいられない。
岡部が目指したのは148人全員の救済。
誰も最終的に泣かなくて済む、そんな終わりを成し遂げたい。
『最終的に』。
岡部倫太郎は、覚悟を決めた。
今まで繰り返した途方もない時間の苦痛を越えるほどの苦痛に苛まれようが、彼という一人の人間の価値観を破壊しようが、絶対に止まらず理想を成し遂げる覚悟を。
「やってやる――――――何もかも壊してから、何もかも救ってやる―――――――――――――――――――エル・プサイ・コングルゥ」
道なき道を往く。そこに居ても、待っていても、何も始まらない。
《観測者》から《参加者》に。
《救世主》から《極悪人》に。
変革の時は来た。
さあ、物語を始めよう。
その果てに何が在ろうと、後悔だけはしないと誓って。
■
面倒なことになりましたね――――――と、闇口崩子は険しい顔で言う。
彼女の記憶では、自分は病院に居たと記憶していた。
《橙なる種》。
- 756 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:55:56
-
想影真心によりアパートが破壊され、病院に搬送された。
早い話が、何らかの方法で拉致されたということなのだろう。
しかし、殺し合いときた。
闇口崩子はつい最近、傷を負わされている。肉体より心の方の。
《十三階段》と関わる中。
先の《橙なる種》に惨敗した帰りに、大切な人を一人、失ったのだ。
それは彼女を一度、壊した。
戯言遣いに、もう戦えないと判断させるほどまでに。
今は不完全ながら立ち直ったものの、本当に酷く、破壊された。
だからといって、この状況でその理由は通らない。
崩子は戯言遣いを守らなければならないのだから。
主と定めた相手を、守る。闇口の姓を持つ者として、大前提だった。
たとえ誰を殺めても。
たとえ自分がされたような手段を用いてでも。
《戯言遣いのお兄ちゃん》を守るために、行動する。殺す。
覚悟を決めるのに時間は必要なかった。むしろ、とっくに出来ていた。
殺そう。戯言遣いを守ることにつながるのなら。
守ろう。戯言遣いを守ることにつながるのなら。
矛盾は無い。主のために、殺す一族。それが《闇口》だ。
「……待っていてください、戯言遣いのお兄ちゃん」
強く宣言した。
崩子はすぐに支給品の入ったデイバックを開き、中身を確認する。
一つ目。何の拘りもなさそうな、シンプルなナイフ。
本来、直死の魔眼遣いの少女の所持していたナイフだ。
所持者・両儀式にすれば一撃必殺の手に馴染む最高の武器だったのだろうが、魔眼の類を一切持たない崩子にはただのナイフでしかない。
だが、ナイフが支給されたのは彼女にとっては幸運だった。
オーソドックスながらも手に馴染む、彼女の好む凶器がナイフだ。
二つ目は杭。
たった一本の、不気味なオカルティックな装飾の杭。
さすがにこれは使えそうにない。
間違ってはいない、闇口崩子にはこの杭の真価を引き出せない。
この杭の真名は『傲慢のルシファー』。
煉獄の七姉妹と呼ばれる悪魔の杭。七つの大罪『傲慢』の罪を抱えた者になら使役することが出来る。魔力の有無は関係なく、呼び出せるのだが。
主に尽くしたい、という崩子の思想では、傲慢の罪とはほど遠い。
「とりあえず、このナイフは役に立ちそうですね」
杭をデイバックにしまい、ナイフを巧妙に隠し持つ。
まずは戯言遣いを探す。危険な相手・邪魔な相手は排除していく。
逆に、利用できそうな相手は利用。
- 757 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:57:05
- 闇口崩子のバトルロワイアルは始まった。
◇
ダァン!と、破裂音が響く。
銃の型はジグザウアーH226。
覚悟を決めていた少女と決めた男は、早速開戦していた。
しかし、抜けているとはいえ《殺し名》。一般人の殺しのスキルとではセンスが違う。銃とナイフの差でも、素人に銃ならナイフを持った《殺し名》の方が上手だ。
「(……くそっ!!)」
「温いですよ――――――あなたは、とても温い」
ナイフの切っ先が前髪を少し掠める。
岡部は若干の冷や汗を流すが、体格差を利用した攻めに出る。
蹴りを交えた、自己流かつ超即席の格闘術。
通用するとは思っていない。あくまで、牽制のための一時凌ぎだ。
隙があったら、容赦なく射殺する。覚悟はとうに決まっている。
崩子は身を少し屈めて岡部の蹴りを避ける。
不安定な体勢からの発砲。あまりに不安定なそれは崩子を掠めもしない。
直後。岡部の胸元を、崩子のナイフが浅く切り裂いていた。
だが、違和感。
殺しのセンスを持つ者だからこそ分かる。今の攻撃は、避けられた。なのに、目の前の男は受けた。たまたま距離のせいで致命傷にはならなかったが、危険はあった。
直後岡部は怯みもせずに白衣を翻す。
「(しまった――――視界を、封じて―――!?)」
崩子の肉体は白衣を払おうとするが、体格差はどうにもならない。
やっと視界が戻った時には、銃口が崩子の胸に向いていた。
ダァン!と、乾いた音がした。
が、崩子の肉体に傷はない。胸元に、空気を感じただけだった。
つまり、空撃ち。素人こその、凡ミスだ。
王手は回避した。今度は崩子の王手だ。むしろ、チェックメイトか。
岡部は迫る死に恐れも見せず、まだ闘志を漲らせている。
負ける訳にはいかない。
たとえどれだけの卑劣に成り果てようが、負けられない。
銃床。意外とそれは堅く、殴るだけでもそれなりの威力になる。
岡部はそれを振りかぶろうとし、そして――――――――
意識を、失った。
結論、最初の傷が痛かった。
決して深くは無いが、決して浅い傷でも無かったのだ。
そして、結果的にこうなる。
「………それじゃ、わたしの勝ちですね」
後は簡単だ。崩子はその手にあるナイフで、岡部の首を裂けばいい。
子供でも至れるような簡単な選択。ゆらり、と崩子は近寄っていく。
岡部の表情は悔しげだった。意識は失っているが、とても、悔しげ。
崩子は何も知ることはない。
- 758 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:58:07
- 彼が全てを賭して、修羅道を歩んでさえ求めた目的を知ることはない。
ここで、闇口崩子と岡部倫太郎の因果は切断される。
彼の死により、彼女の手で。
二度と繋がることはない。どうせ代替可能なのかもしれないが。
「―――――――――――――――さようなら」
◆
「ちょぉぉぉおおおっと待ったぁぁああああああああああ!!」
甲高い声がした。そして、高校生くらいの少女が走ってくる。
崩子は相手のうかつさに呆気に取られるが、すぐに岡部の肉体を抱き寄せ、首元にナイフを当てる。脅しだ。妙なことをすればこの人の命はない、と、暗に警告する。
崩子は何も皆殺しなど考えてはいない。
《戯言遣い》を守る、そのためだけに行動するのだ。
だから、戦意がない相手に危害は加えない。ただ、視界から外す。
だが、この少女に敵対の意思があったなら話は別だ。それは闇口崩子の排除対象になる。当然、容赦情けは一切掛からない。血飛沫をあげて斬り殺されるだけだ。単純ゆえに残酷。
ひとまず彼女の脅迫は効いているらしく、相手はただ睨みつけるだけだ。
「……動かない限り、わたしはあなたに危害を加えません。ただこの人を殺して、おしまいです」
「やだなぁ、はるちん、そんなに穏やかな性格してないよ」
『はるちん』と名乗る少女・三枝葉留佳は、敵意を剥く。
彼女はデイバックから支給された刃――――かつて世界の終わりを夢見たとある組織の『刀鍛冶』が捜し求めた逸品《無銘》を取り出し、崩子に向ける。
その瞳は挑発の色を含んでいたが、諦めの色さえ見えた。
しかし彼女は止まらない。否、ブレーキはとっくに破損している。
ブレーキの壊れた車は、ただ走るしか能の無い猪と成り果てる。
「はるちんと戦え。もし私が勝ったら君を殺す」
返事は無かった。
崩子は言葉も無しに勢いよく駆け出す。今の宣言を以て三枝葉留佳は完全に彼女と敵対した。葉留佳の武器は彼女のものより強力だと理解していたが、勝算はある。
そして、再び殺し合いが始まった。
□
「………俺、は…………?」
岡部倫太郎は、血生臭い目覚めを迎えた。その命は、保たれて。
胸の傷にはある程度の処置がされており、傷の大きさからしても命に別状は無さそうだ。だが、何故自分は生きているのか?あの場で、行き永らえられたのは何故だ?
答えは本当に、すぐ近くにあった。
- 759 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 15:59:55
- 「あ―――――――目、覚めたね」
少女が、倒れていた。腹には一つ、明らかに深い刺し傷がある。
そして理解する。この血生臭さは彼女の血によるものだと。
更に、自分が生きているのは、この少女のおかげなのだと。
「………おいっ!死ぬな……待ってろ、今、止血を……」
「やはは……無理、だよ。血が、足りなすぎるから……君の、傷は、あの子が、処置してくれたんだよ」
何があったのかは岡部には分からない。
ただ一つ言えるのは、彼が気絶している間にここで一つの殺し合いがあったこと。闇口崩子はその果てに、岡部を助ける選択をしたこと。
結論、岡部倫太郎の生命は一人の少女の命と引き替えに救われた。
「……最後に、おね、がい」
「………何だ」
「君が、私を、殺して。私を、終わらせて―――」
儚い願いだった。
きっと三枝葉留佳は、岡部が殺し合いに乗っていると気付いていたのだろう。その上で、彼を助けた。自分の命よりも、殺人者の命を優先した。
岡部はデイバックからジグザウアーH226を取り出し、弾を一発だけ、装填した。すぐに、彼女の願いを叶えてやるために。
安全装置を外し、発砲できる状態にする。
即死させる。
そのために、葉留佳の額の真ん中に銃口を当てた。
後は引き金を引くだけで、儚い消えかけの命は失われる。
人差し指に意を決して力を込める。最期に、葉留佳はこう紡いだ。
「――――――がんばれ、かなた」
乾いた破裂音と、一人の男の叫びが木霊した。
家系に翻弄され、疲弊しきり、死を望んだ少女、三枝葉留佳。
彼女は、ようやくすべての鎖から解き放たれた。
最期に想ったのは愛しい仲間たちのことか、それとも。
敵対していた、けれどどこか心配な、姉のことか。
【三枝葉留佳@リトルバスターズ!】 死亡
【残り140/148人】
- 760 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 16:01:03
- 【深夜/B-6】
【岡部倫太郎@STEINS;GATE】
[状態]胸に切り傷(処置済)、悲しみ
[所持品]ジグザウアーH226@現実、無銘@戯言シリーズ
[思考・行動]
0:殺し合いを勝ち抜き、殺し合いをなかったことにする
1:くそっ――――――――。
2:紅莉栖たちには会いたくない。
3:闇口崩子にとりあえずは警戒しておく。
※『境界面上のシュタインズゲート』前からの参加です
■
闇口崩子は、血に汚れたナイフをデイバックにしまった。
殺した。殺人の経験は無かったが、思ったより来るものがある。
まさか、刺された直後に殺人者の処置を乞われるとは思わなかった。
慣れない処置だったが、とりあえずは大丈夫の筈だ。
ついこの前『壊された』ばかりの彼女の心に、このバトルロワイアルは彼女の把握するより遙かに大きな負荷をかけている。何時、また壊れるかは分からない。
しかし不幸にも。B-6エリアには、最悪の男がいる。
人を壊し、人の悲しみや呪詛の声を糧とする自覚した破綻者が。
『神父』言峰綺礼と、闇口崩子が遭遇するまで、遠くない。
【闇口崩子@戯言シリーズ】
[状態]健康、心に負荷
[所持品]式のナイフ@空の境界、ルシファーの杭@うみねこのなく頃に
[思考・行動]
0:戯言遣いのお兄ちゃんを守る。
1:お兄ちゃんに危害を加えそうな人物、邪魔な人物は殺す
2:岡部倫太郎は次に会ったら殺す
※『ネコソギラジカル』、いーちゃんが見舞いに来た後からの参加です
※無自覚ながら殺人行為がストレスとして蓄積しています、何時再び壊れるかは分かりません
※言峰綺礼が接近しています
- 761 : ◆meUMrrZs9o:2011/10/30(日) 16:07:30
- 投下終了です
題名:過程上のバッドエンド
でお願いします
- 762 : ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:45:53
- スレ容量がいっぱい+スレ立て出来ず……のため、こちらで投下致します
推理キャラロワの第6話です
- 763 :いち刑事として……(1) ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:46:37
- 正義とは、一体何だろうか?
勝てば官軍、負ければ賊軍。
この世界の歴史は往々にしてそうやって積み上げられてきたものだ。
だが、時代は移り変わり、それと共に人間の価値観も多様化してきた。
最早"善"と"悪"という単純な二元論で全てを語れるほど、世の中は単純ではなくなっている。
そんな世においてさえ、警察という機構に身を置くからには、定められた法の下に善と悪に区分けを行っているのである。
それが警察官としての、刑事としてのあるべき姿だし、この道を志すからには大抵が悪を憎む気持ちを持っているはずなのだ。
そうした身分でありながら、なおこの若き刑事――松田桃太は揺れていた。
彼は世間を騒がす殺人鬼……いや、そう呼ぶのは不適当かもしれない人間を追っている刑事である。
殺人鬼と形容しておいて、それが不適当かもしれないとするのにはいくつか理由がある。
彼の追う、キラと一般に呼ばれるその人物が、基本的には犯罪者のみをターゲットとしていること。
そうした側面から、キラを一種の世直しと見る向きが、ある程度の大きな潮流となっているということ。
その結果として、今となってはキラを追うことそれ自体が、逆に悪とみなされるような世になりつつあるということ。
そうした様々な要因が複合した結果が、先の表現に結びつくことになる。
松田は、キラがどういった形で殺しを行っているのかを知る、数少ない人間の一人であった。
真摯に職務に励み、その最期までキラを追うことをやめようとはしなかった尊敬できる上司。
その上司の息子で、とにかく頭がキレることにかけては他の追随を許さぬ期待の後輩。
そして、個性豊かながら人を殺めることを憎むことに変わりはない、頼れる同僚たち。
少数精鋭ではあったが、それぞれがもう長いことキラを追いかけてきた、"戦友"と喩えてもいい者たちである。
……だが、ある日ふと松田はこう考えてしまったのだ。
"キラは完全に悪なのだろうか?"
捜査本部でも思わず吐露してしまった、こんな考え。
キラを捕まえるためなら命だって懸けられる、そんなはずだったのに。
キラがターゲットとしているのが、基本的には世間一般で言うところの"悪"に絞られていたがためにそんな考えに至ってしまったのだ。
殺戮による恐怖で成り立つ平和など、真の平和でないことなど百も承知だというのに。
- 764 :いち刑事として……(2) ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:47:17
- その後も捜査は続いたが、松田はどうしても先の考えを捨てきることが出来なかった。
キラは殺人犯だ、だが犯罪者が間引きされて結果的に世の中が良くなっているように見えるのもまた事実。
持ち前の軽いキャラクターでその思いは他の捜査官に知られることはなかった。
しかし、心の奥底にモヤモヤを抱えながら松田は職務に当たっていたのだった。
そうして、SPKのニアといよいよ対面し、キラ捜査も大詰めを迎えようとしていた、その時だった。
横浜・大黒埠頭へと向かう車中、松田の記憶はそこで途切れていた。
その次の記憶は群衆の中、そしてシックスと名乗る男たちの告げたゲームの話に爆破された男の姿。
そこで再び記憶が飛び、気がつけば真夜中の森の中で……そして現在に至る。
シックスという男については松田も知っていた。
日本中に恐怖と悪意を振りまく、異能の男だということ。
キラなら真っ先にそんな男を殺すのではないかと思ったのだが、不思議とシックスはいつまでも死ぬことが無かった。
本当の名前が知られていないからなのだろう、松田はそう考えていた。
いずれにせよ、今の警察はシックス対策に大わらわであり、閑職とされていたキラ捜査班にいる松田にそれ以上の情報は無かった。
警察も表立ってキラの捜査に動けない以上、それが閑職であることも致し方ないことではあったのだが。
ここで松田は考え込んでしまう。
あの群衆の中、遠目に見えたシックスの傍らに立っていた、よく知る"死神"の存在である。
「何故……? 何故リュークがシックスって奴の傍に……?」
思索に耽った松田が、ある結論に至るまではさほどの時間を要しなかった。
「まさか……キラの正体はシックス、だったってことか……?」
それならば、いつまでたってもシックスが裁きを受けないことへの理屈が成り立つ、松田はそう考えたのだった。
犯罪者を殺して良い世の中を作る、というのも一種の建前で、実は悪意ある者たちを間引いていただけなのではないか。
我ながら突拍子もない考えだ、松田はそう自覚もしてはいたが半ば筋が通っているように思えるだけにたちが悪い。
自分の推理に軽く酔いしれ、彼は今後の方針を定めた。
「何はなくとも……ひとまずは月くんと合流しよう。
やっぱりキラはとんでもない極悪人だ、一瞬でも迷った自分がバカみたいだ」
自分の推理など一笑に付されるかもしれない……が、それでも聞いてもらいたかった。
その推理が的外れだったとしても、頭の切れるあの夜神月が仲間にいれば心強い。
この時点の松田は、夜神月=キラという構図を信じてはいない。
おまけに、自分の中でシックスこそキラなのではないかという考えが芽生えたことから、月を完全に頼りにしていた。
それは、キラ捜査班の他のメンバーが誰一人としていなかった、というのもあったのだが。
- 765 :いち刑事として……(3) ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:48:04
- 「あとは……ミサミサくらいかな、知っているのは……」
支給された名簿を眺めながら、松田はここで首をひねる。
まずは"ミハエル・ケール"の名前に目を留めた。
ミハエル・ケール……すなわちメロは高田清美アナの誘拐という暴挙に出、その結果死んだと目されたはずだった。
もっとも、死体の身元確認は難航を極めており、もしかしたら実は生きていたのかもしれない、松田はそう思うことにした。
……だが、納得できないのはもう一人の名前の方だった。
"火口卿介"……今はすっかり落ちぶれてしまったヨツバグループの重役で、第2のキラとされていた男だった。
「だけど……火口は確かに死んだはずなんだ……それも僕らの目の前で……」
そして、腕を組みながらしばらく考え込む。
ふと、何かを思いついたかのように松田はポン、と手を打った。
「そうか……リュークは死神なんだから、その気になれば地獄から引っ張ってくることくらい出来なくもないかもしれないじゃないか」
リュークにそんな力があるかどうかなど、確かめようもない。
だが、そもそも殺人ノートにしたって人智を超えた死神の道具なのだ、人智を超えて死人を蘇らせることだって出来るかもしれない。
これもまた、傍目にはそれなりに筋の通った推理であったので、松田はうんそうだ、そうに決まってると自らに言い聞かせた。
ある程度モヤモヤも晴れてきたところで、松田はいよいよ動き出そうとした。
「おっと、その前に武器とやらを一応確認しとくか……」
殺人鬼の言いなりになるようで気分は悪かったが、万一の時に護身すら出来ないのも拙い。
そう思った松田がバッグを漁ると……よく見覚えのあるモノが中から出てきた。
「これ……拳銃じゃないか……それもニューナンブだなんて……」
ニューナンブM60。
徐々に後継機に取って代わられつつあるものの、長きに渡って日本警察が愛用してきた回転式拳銃だ。
もちろん、松田本人も射撃の訓練で幾度となく使ってきたものであり、馴染み深い武器である。
ちなみに、このニューナンブは他ならぬ松田本人のそれが偶然にも支給されたのだが、本人は知る由もない。
「使い慣れたモノか……ひょっとして当たり、ってことかな」
一人ごちながら松田はニューナンブをいつでも構えられるように装備した。
自慢じゃないが、拳銃の腕にはそこそこの自信があると彼は自負していた。
突然何者かに襲われても、相手を殺すのではなく無力化するだけの技量は持ち合わせているつもりだった。
- 766 :いち刑事として……(4) ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:48:35
- そして、松田はゆっくりと歩を進め始めた。
夜神月との合流、そして憎きキラとの合流、それを目指して。
* * *
森の中を慎重に歩いているせいか、距離の割に随分と時間が経っているような気がしていた。
草を分ける音もなるべく抑えるようにしているせいか、なおさらだった。
松田は依然として誰にも出会っていなかった。
「とはいえ……気を抜くわけにもいかないんだけどね」
周囲を警戒しながら、牛歩のごとく道を行く。
歩き始めてもう30分以上は経ったかな……松田がそう思った次の瞬間だった。
視界の片隅に、女の子らしき後ろ姿が目に入る。
所在なさげにあちこちをキョロキョロと見回しているようだった。
父親を探しているのか、お父さーんと呼ぶ声、そして知り合いなのか幾人かの名前を呼ぶ声も聞こえる。
「……なんてこった」
通りかかったのが偶々警察官である自分だからよかったようなものの、これがもしゲームに乗った殺人鬼ならどうだったか。
視線の先の女の子など、格好のターゲットでしかないじゃないかと松田は思った。
「とにかく、あの子は何とかして保護しないと」
いち刑事として、一般市民を守るためなんだからな。
断じて、女の子の前でいいカッコしたいからじゃないんだからな。
誰かが聞いているわけでもないのに、松田はそう言いながら驚かさないようにゆっくりと近づく。
徐々に女の子の背後に近づき、きっと高校生か大学生くらいかな、と推測しながら声をかけた。
「ちょっと、キミ……」
その刹那。
「アアアアアア……」
目の前の少女が一声発したかと思うと、身体を鋭く捻らせる。
次の瞬間、左足を軸にして回転し、風を切りながら右足がまっすぐ松田の頭部に飛んできた。
- 767 :いち刑事として……(4・訂正版) ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:49:41
- そして、松田はゆっくりと歩を進め始めた。
夜神月との合流、そして憎きキラの打倒、それを目指して。
* * *
森の中を慎重に歩いているせいか、距離の割に随分と時間が経っているような気がしていた。
草を分ける音もなるべく抑えるようにしているせいか、なおさらだった。
松田は依然として誰にも出会っていなかった。
「とはいえ……気を抜くわけにもいかないんだけどね」
周囲を警戒しながら、牛歩のごとく道を行く。
歩き始めてもう30分以上は経ったかな……松田がそう思った次の瞬間だった。
視界の片隅に、女の子らしき後ろ姿が目に入る。
所在なさげにあちこちをキョロキョロと見回しているようだった。
父親を探しているのか、お父さーんと呼ぶ声、そして知り合いなのか幾人かの名前を呼ぶ声も聞こえる。
「……なんてこった」
通りかかったのが偶々警察官である自分だからよかったようなものの、これがもしゲームに乗った殺人鬼ならどうだったか。
視線の先の女の子など、格好のターゲットでしかないじゃないかと松田は思った。
「とにかく、あの子は何とかして保護しないと」
いち刑事として、一般市民を守るためなんだからな。
断じて、女の子の前でいいカッコしたいからじゃないんだからな。
誰かが聞いているわけでもないのに、松田はそう言いながら驚かさないようにゆっくりと近づく。
徐々に女の子の背後に近づき、きっと高校生か大学生くらいかな、と推測しながら声をかけた。
「ちょっと、キミ……」
その刹那。
「アアアアアア……」
目の前の少女が一声発したかと思うと、身体を鋭く捻らせる。
次の瞬間、左足を軸にして回転し、空気を切り裂きながら右足がまっすぐ松田の頭部に飛んできた。
- 768 :いち刑事として……(5・終) ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:50:13
- 「ひっ……!?」
少女の突然の攻撃に松田の体は反応できず、情けない声を発するだけだった。
少女の右足は松田の頭を捉えることはなかった。
ちょうど松田の横に立っていた大木に突き刺さり、ミシ……と軋むような音が聞こえた。
スカートを穿いて後ろ回し蹴りなど放つ物だから、その中身が見えたような気がしたが、松田にとってそんなことはどうでもよかった。
思わずその場にへたり込んでしまう松田の横で、軋む音を徐々に大きくさせた木がゆっくりとへし折れていった。
「……何の用ですか?」
鋭い眼光でこちらを見下ろす少女を目の当たりにして、松田は思った。
(あれ……? 別に僕が守らなくてもいいんじゃね?)
【E-5 森 一日目深夜】
【松田桃太@DEATH NOTE】
[状態] 健康
[装備] ニューナンブM60(松田桃太・5/5)、自分のスーツ
[所持品] 予備弾丸10、支給品一式
[思考・状況]
1.この女の子は一体……?
2.月、弥砂との合流を目指す。メロと火口は警戒
※キラの正体をシックスだと考えています
※ニューナンブM60は、警察関係者の人数分支給されています。
ただし、拳銃を持たない主義の約1名分は除き、中にはその性格から整備不良のものもあったりします。
【毛利蘭@名探偵コナン】
[状態] 健康
[装備] 私服(下はスカート)
[所持品] 支給品一式、ランダム支給品
[思考・状況]
1.この男の人は一体……?
2.知人(コナン、小五郎、哀、平次、和葉)を探す
- 769 : ◆xEL5sNpos2:2011/11/10(木) 01:51:26
- 投下は以上です 月報までにもう一話くらいいけたらいいな
ま、今後もマイペースにやっていくつもりですので、皆さんお互いに頑張っていきましょう
最後に一応人物紹介を
<<人物紹介>>
【松田桃太@DEATH NOTE】
キラの日本捜査本部に所属する刑事。
警察にはコネで入ったらしく、今どきの若者らしい軽めの言動が目につき、そのことを上司や同僚に諌められることも多い。
こうした性格は、第1部から第2部で5年が経過しても変わることはなかった。
文中でも挙げたが、さりげなく射撃の腕は立つようで、ターゲットの手やペンを弾き飛ばして無力化する場面がある。
登場当初から、夜神月の父親である夜神総一郎(本ロワでは登場せず)を心から尊敬している。
その息子である月も信頼していたが、原作のラストでは総一郎を殺めたことに怒りを震わせていたことから尊敬の度合いがうかがえる。
【毛利蘭@名探偵コナン】
帝丹高校2年生で、工藤新一の幼馴染。父は毛利小五郎、母は妃英理(本ロワでは登場せず)。
得意の空手は都大会・関東大会での優勝経験もあり、特に連載初期においてはギャグ描写とはいえとんでもない破壊力を誇った。
逆に苦手なものは怪談をはじめとした幽霊や怪物の話など。仮装と分かっていても船上パーティーに気乗りしなかったほどである。
自宅の居候であるコナンの正体が新一であるということに気づいていない。
真に迫ることもままあるが、それでも気づかない。とっくに気づいてんだろ実は、と思う描写も少なくないが気づいていないんです。
男勝りな性格であるが、母と別居しているということもあり一通りの家事は華麗にこなす。
- 770 :名無しさん:2011/11/10(木) 11:08:01
- 次スレたてましたー
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part24
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1320888213/
- 771 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 08:54:38
- この世には二つの種類の人間が存在する。
――――と云うのは既に使い古された文句であるが、ここではその意ではない。
一言で言えば、『常人』か『異常者』か。そのどちらかに、世の中の人間たちは綺麗に区分される。尤も、大半は前者だろうが。
だが、ここで挙げる『異常者』の定義は、恐らく『常人』には理解できない境地。もしかすると同族である『異常者』でさえ理解できないかもしれない。
―――――――――能力者。
能力といえば何を思い浮かべるだろうか。精神感応、発火能力、念導力。
そういった能力も確かにこの世には存在する。
が、それを宿す素質のある人間は一握りの更に一握り程度しか居ない。それに、アニメや漫画で見るほど派手な能力行使はまず不可能。脳にかかる負荷が大きすぎるからだ。
とすれば、多いのは何か?
単純に多いといえば――――それでも少ないが、千里眼能力者。続いて念話(テレパス)だろうか。とはいえ、そこまで大きな範囲の発動は普通不可能だが。
そして。
この殺し合いに呼ばれている参加者たちの中には、片手の指で足りる程度の数、『異常者』が紛れ込んでいる。彼らがどうその能力を使うかもまた、予測不可能。
殺し合いに背く切り札(ジョーカー)となるか、殺し合いを促進させる危険札(ジョーカー)となるか。
良くも悪くも彼ら次第。
では最初に、『千里眼』『感知(レーダー)』能力者のお話といこうか。
□
夜坂文香。医者は彼女をこう呼んだ。『改悪品』と。
文香は正しく生まれてきた人間ではない。彼女の戸籍上の両親が生み出した試験管ベイビー。――――それも、正常ならざる異常を持った能力者になるように操作した個体。
《個体》――――それは間違いや比喩ではない。
ドクター夜坂。近代のマッドサイエンティストは、彼女のような個体を計35体製造している。結果、ほぼ全てが1歳前に死亡し、三体のみが残った。
夜坂葵、夜坂美織、夜坂文香の三体が。
結果的に『葵』は最強クラスの《怪物》となり、『美織』は能力が宿らずに勘当。『文香』は優秀な千里眼能力を持っていたが、高負荷により不治の病に。
彼女はドクターに溺愛され、異常な薬剤投与により運動神経を犠牲に延命。つい半年前までは無菌室での入院生活を送っていた。
その片手間にやってくる『客』、行方不明の肉親を探す者たち。
そんな彼らに文香は淡く微笑んで真実を告げるのだ。
- 772 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 08:55:45
- 『――――――――コンクリートの下に、埋まってるよ』
色々な人が居た。殆どは既にこの世から退場していたが。
人の気持ちが分からないまま育ってきたお嬢様気取りの悲劇のヒロインは、半年前に自分の本質を理解して、そして全てを悟った。
自分の力は、ただ見渡し、探す能力のみではないと。
自分の力は―――『人ならざる人』―――霊体の視覚だと。
因みに彼女はもう長くない。医者の見立てでは保ってあと二年だそうだ。
二年後に、確実に彼女は『視覚できなく』なる。その前に。
■■■■■■■■。
◇
福沢正也は、だるそうに片手でクロスボウの矢を弄ぶ。
彼はいつだってそうだ。いつでもいつまでも気だるそうに、目を逸らし続けてきた。そのツケか、友達などは居なく、出席日数もあまり多くはない。
登校しても授業にはほぼ出ていない。図書室で文学に耽るのみだ。
この学校は緩い。出席数が足りていてある程度の成績があれば卒業できる。
それを理解して、正也は無気力に青春を謳歌していた。彼なりの。
修学旅行に行こうとしたのも、ただ単に珍しい土産目当てだ。
もし無事に宿泊先に着いたなら、妹への土産を数時間かけて吟味しただろう。
彼が唯一大切にする妹。
過去に『とある事件』があってから、唯一彼が守ると誓った人間。
つまり彼は、殺し合いに乗る気だ。妹・福沢沙耶の元に帰るために、皆殺しにする。
がさり。
彼は近くの木陰に、多少の音を立てながら滑り込んだ。
理由は単純。早い話が、敵の姿を確認したからだ。相手もこちらを認識したのだろう、獲物と見られる軍用ナイフ片手に走ってくる。
残念ながらクラスメイトの顔など覚えていないから誰かは分からない。
やる事は何一つ変わらない。
木陰に入ったことにより、相手の視界から外れ、準備する。
矢を装填し、誰かさんの顔面に放つ。
矢は綺麗に誰かさんの額に突き刺さり、誰かさんを絶命させた。
だが、彼は直後に気付く。
殺した相手の背後から、足をひきずって少女が歩いてきていたのだ。
黒髪を腰まで伸ばし、動きやすそうな特注の制服に身を包み。
しかし歩き方は少しぎこちない。
顔には安堵のような笑みを浮かべ、正也にゆらり、と向かってくる。
正也は何一つ躊躇わずにクロスボウを構える。
この距離なら一発、頭に撃ち込むことだって簡単だ。
が、少女は唐突にその場に転倒してしまう。膝をついて、あっさりと。
- 773 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 08:56:43
- その力無い微笑みに、正也はある記憶を重ねてしまう――――、絶対に、重ね合わせてはいけない記憶と。後悔してももう遅かった。
二年前、当時中学三年生の妹が、学校で悪質な虐めを受けていたことを。
確かあの時。妹は完全に擦り切れた。
――――そして《僕》は――――皆、皆皆皆皆皆、ぶち壊した。
比喩ではない。執拗な闇討ちで彼らを破壊した。
ちょっと前までは大したニュースになっていたのだったか。
福沢正也は、あの日初めて人間になったのかもしれない。
気がつけば、クロスボウを取り落として、彼女に駆け寄っていた。
「……大丈夫か、夜坂文香」
いくら彼でも知っている。つい最近まで入院していた重病の少女。
気にかけていた訳ではなく、ただ記憶していたに過ぎなかったが。
きっと、もうこの子は永くない。
正也は知らないが、余命二年の身だ。しかし、明らかに相当具合が悪そうだ。
この殺し合いどころか、修学旅行さえかなりの無理をしていたのだろう。
彼は知らない。
夜坂文香の視界に、何が写っているのかを―――――。
【夜坂文香】
身長148cm、黒髪で色白。
同年代の子供と比べて体型が幼いが、それは彼女が受けている負荷の影響。
先天的な霊能力者で、更に優秀な千里眼能力を持つ。
幼少期は行方不明者の捜索を依頼されたりしたが、自分の告げる言葉の残酷さを知ってからは受けていない。尚、彼女の見る霊たちの負荷が彼女の体に押し寄せている。
余命は保って一年。
【福沢正也】
素行不良。しかし一般的な不良とは異なり、彼は授業を受けないだけで喫煙や暴力行為などを進んで行わない。
沙耶という妹を持ち、彼女の敵に回る人物を闇討ちして精神或いは肉体を破壊するという行為を習慣にしている。類希なる身体能力を持ち、弾丸くらいなら視覚してから避けられる。
- 774 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 08:57:28
- 投下終了です。
題名:時間が来る前に、きっと
でお願いします
- 775 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 16:23:04
- 修正。上のss、状態表の前に
【小野高貴】 死亡
【残り43/47人】
を入れておいてください。
そしてschoolオリロワ投下します。pspなので時間はかかります
- 776 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 16:54:41
- 唐突だが、俺の名前は宮崎黒鷹という。
いやはや全く以て参った。それなりの場数は踏んでいるとはいえ、まさかこんな酔狂な宴に参加させられるとはね。
しかし、俺はただの吹奏楽部員だ。
楽器はトランペット。正直あまり上手いとはいえないんだがな。
正直部に入った理由もボーカルの夜坂目当てだったりする。
でも本命は違うんだなこれが。
あー、引かれちゃうかもだけど、俺の趣味はストーキングっす。
俺の本命は九柳やよいたん。
ああいう大人しい娘って可愛いよなあ。
彼女になら何でもくれてやる。内臓の一つや二つ、いや全部あげちゃう。彼女が失明したら俺の眼球をやよいたんにプレゼントだ。
そして死んだら俺も死ぬ。
俺の人生はやよいたんの為にあるんだぜ、知ってたか?
例えばやよいたんに告白という名の殺害予告したあいつが首吊ったのって、俺が執拗に嫌がらせしたからなんだよね。ペットが八つ裂きにされてたのはきつかったかにゃ?
でもそのくらいのことが出来ない奴なんて人を好きになった奴じゃあいないだろ。え、いる?そいつには俺が良い病院紹介してやるからちょっと連れてこい。
しっかし、殺し合いね。
まあ優勝くらいは余裕だけどさあ。
黒崎刑梧。
- 777 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 17:11:21
- 貴様は何をしてるか分かってるのか?
俺はいいさ。俺が殺されるなんて些末なことどうでもいい。
だけどよ。てめえ何考えてんの?
参加者にやよいたんを混ぜたってどういう事だよ、あぁ?
ぶち殺されてえのかてめえは。あの娘に殺し合いなんて出来る訳ねえだろうが。つーかもうブチ切れた、てめえは確実にぶち殺すわ。滅茶苦茶にな!
という訳で俺は殺し合いには乗りません。みんな、きれいな黒鷹をよろしく!
□
「…………ふざけてんなぁ、こいつは」
サッカー部員、小川海斗は怒りを押し殺した声で呟いた。
殺し合い。カツアゲや万引きはしたが、殺しとなれば話は別だ。
人の命は弄んだらいけないものだ、と彼は父から言われていた。
絶賛DQN街道まっしぐらの彼でも、その言いつけだけは守っている。
彼の友人の沖崎翔なんかは殺しもやってるって噂があった。
もし本当なら拳を叩き込んでいただろう。
しかし本人は否定していたし、彼もそれを信じていた。
海斗は決意する。このふざけたゲームを壊滅させると。
そしてそれが可能なだけの戦力もいる。
宮崎黒鷹。彼の隣に立っている端正な顔立ちの男子生徒だ。
お調子者の癖に、喧嘩は異常に強い。
そんな奴が味方。
- 778 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 17:20:43
- これは、神が祝福しているとしか思えない。
そんな時、黒鷹から声が掛けられた。
「なあ、小川。お前さ、九柳やよいのことどう思う?」
「あ?俺はこのクラスの女には興味ねえし、普通だな」
普通の、当たり障りのないよくある答え。
なのに、次の瞬間には海斗の下顎が吹き飛んでいた。
「!?………ァ、アアアアガ、ミィィィャザ、ギィィィ!!」
「黙れよクズ野郎が!普通だと!?てめえにはあの可憐さが分からねえのか!!ほかの奴等と一緒にするな、そしててめえは早急に!速やかに!死ね!」
凶器となったのはコルトガバメント。
弾丸が幾度も幾度も海斗を抉り、潰し、殺害した。
何と言ってもーーーー九柳やよいを愚弄した、それが彼の運の尽きといえよう。
【小川海斗】 死亡
【残り42/47人】
- 779 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 17:27:38
- 【深夜/C-2】
【宮崎黒鷹】
[状態]健康、怒り
[所持品]コルトガバメント
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。黒崎殺す。やよいたん愛してる。
1:やよいたんを馬鹿にした奴はブチ殺す
【宮崎黒鷹】
身長176cm、吹奏楽部トランペット担当。
病的に九柳やよいを愛しており、彼女をストーキングしている。
怪物揃いのこのクラスの中でも戦闘能力は純粋に最強。
【小川海斗】
サッカー部員、DQNだけど殺人を嫌う。
特筆事項なし。運が悪かった。
- 780 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/23(水) 17:29:34
- 投下終了。
題名:サイコラバーズ
で、前投下したxz氏登場回のssを後日修正するので、wikiにはそのときまとめます
- 781 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 21:08:03
- さて、EDL投下します pspからとなりますので遅いですがご了承ください
- 782 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 21:22:33
- 眩しい、とあたしは呟いた。
事実眩しいので異論は受け付けない。
四月一日。
始まりを予感させる日。
エイプリルフール。
嘘をついても許されるアホみたいな日。
こんな出来事も、貴則くんが死んだのも嘘であれば全てが
全くの虚実であれさえすれば、あたしは何もいらない。
ねぇキリストさん。あなた今何処で何をやらかしているのでしょう。
こんなバカげた催しが行われて何が楽しいのでしょう。
嗚呼、神様。
神様神様神様神様神様神様神様神様神様神様。
あたしはこんなにも神様を愛しているのに。
あたしはこんなにも神様に尽くしているのに。
どうして、こんな仕打ちにあうのでしょう。
意味がわからないです。
あたしに恵みをささやかなるものでいいので神のご加護を。
神様神様神様神様神様神様神様。
嗚呼どうかあたしにーーーーーーーーーーー
○
- 783 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 21:47:00
- おれの名前を紹介しておこう。
赤羽紅葉だ。
決してアカバアカバではないのでそこんとこ注意だ。
さて、んなこと言ってる場合ではなくなった。
大変な事態におれは立ち会ってしまったらしい。
殺しあい。
意訳、二年の時のクラスメイトを殺したり、殺されたりしてください。
いや意味わかんないし。
未だにおれは既にクラスメイトを一人失っているという事態に頭が追いついていない。
あんな惨劇が起こったにも関わらず、まだあいつが隣にいるんじゃないかという錯覚。
あいつと俺は友達だった。
小学校の頃から仲良くやっていたいわば幼なじみ。
そこにプラスして桜江のやつと三人でよく遊んだのを覚えている。
ーーーなのに死んだ。
首が飛んで生き返ったと思えば刺殺され。
もう一度だけ言う。
意味がわからん。
おれらの人生はいつからこんなとち狂った?
バカいえ、おれの人生に狂う要素など全くない。
なのに、それなのにーーー。
「ーーーちっ」
舌打ちが反響する。
おれが今いるのは、体育館の倉庫のマットの上。
そこでおれはのんびりとしていた。
もちろんおれは、貴則のことは悔しいと思っているし、
校長に、一手お見舞えさえたい。それは事実。
- 784 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 22:01:39
- だが、だからといって。
「殺しあいなんてできるわけねぇだろうが」
それに尽きる。
もし、今おれが他の懐かしきメンツにあったら、
その全てをねじ伏せれる。
そう断言できるぐらいになら
いまのおれは憤慨していた。
だから、おれは大人しくしているというわけだ。
おれは「赤」をその名に刻んでようが、マンガやアニメの「赤」い主要登場人物等みたいに、
リーダーシップがあるわけでもなしに、ましてや主人公なんて持っての他だ。
だからこそ息を潜める。
目立ちたくなんてない、ひっそりと。
静かにおれは終わりを迎えたい。
そんなときだった。
ダァァン
一発の銃声が倉庫を倉庫を揺らしたのであった
- 785 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 22:13:19
- おれはさすがにそれにはいても立ってもいられなかった。
そりゃ無視するなんてーーーできるわけねぇだろ。
と、おれはマットから身を降ろし、すぐさまドアに手を掛ける。
そこで俺は息を飲んだ。
もしかしたらそこには、銃を持った誰かがいるかもしれない。
血濡らした顔の元クラスメイトがいるかもしれない。
だけど。
ここで引いたらさすがに漢じゃない。
事実に立ち向かわなければ、いけないんだ。
それにまだ、仲のいいクラスメイトは当然として。
桜江のやつも残っているしな。
あいつは、おれが守ってやらなきゃな。
そうしておれは、ドアを開けた。
そこにいたのは、十字架を持った、見知った顔。
村崎未来の姿がそこにあった。
○
- 786 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 22:28:43
- 「まさか紅葉くんーーーあなたが神の使いだったの?」
あれ?
確かにおれは未来といった。
だけどこいつってこんな性格じゃ……。
「は、は、はいっ!?」
「はい、ってことはやっぱりそうなのね! くっ、この村崎未来。一生の恥だわ。
こんな身近に潜んでいるとはね、おみそれいったわ」
「だっ、だからおれの話を少しは」
「わかっているわ、紅葉様」
「様っ!?」
こいつ絶対頭打ってやがる、
だって未来はこんなキャラじゃねーし!
「これからはあたしが献身してあげるわ。なるほど得心いったわね。
確かにあたしはクラスメイトに対する愛がなかった。だからこんな殺しあいなんてさせられているのね」
「あ、あのー未来さん?」
「安心して。紅葉様。不肖村崎未来、
全力を持ってあなた様をお守りいたします」
「安心できるかっっ!」
銃声よりも大きかったのではないかという
大きな声でおれはつっこんだ。
どうやらこの女、
盲目的な信仰崇拝主義者らしい。
てゆーかおれの緊張感を返してほしかった
- 787 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/23(水) 22:29:59
- 投下終了
題名:赤い神様に紫の信仰者
- 788 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 17:19:04
- pspでEDL投下します
- 789 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 17:48:39
- ぁあ、だるい。
わたしは思う、空を見上げながら。
ぼんやりと、呆然と。
今、どこか遠いところで銃声が鳴った。
いやー、夢じゃないんすよねー。
まあどっちでもいいんだけど。
ところでひとつ。
わたしは今までにがむしゃらになってまで頑張ったことなんて一度もなかった。
たとえばこの狼煙ヶ丘学園の受験だってそう。
妥協に妥協を重ね、怠惰と怠惰を掛け合わせ。
結果的に勉強しなくとも入れるような中級の高校を喜んで志望した。
その応報からなんかよくもわかんねー無茶苦茶な騒ぎに巻き込まれたんだけど。
閑話の休題。
つまるところわたしは無気力な人間なんだ。
なにをするにも、一度挫折し。
どうしようにも、一回挫折し。
生きてるのすら、つらいときも多々ある。
現に今わたしはつらい。
息をするのさえおっこうとなっちゃって。
だからわたしの目には希望なんてなく、ただただ絶望ーーーもしくは。
まあいいや。
考えるもだるさの極みだ。
うん、そうよね。
どうせ生きてたっていいことないし。
受験だって面倒くさいし。
願いすらもつのも一手間だし。
うん、いつも通りにいきましょう。
「うっし、覚悟は決まったわ」
そして、
- 790 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 18:00:39
- 一本のサバイバルナイフを握り直し。
一つの目標に突きつける。
さすがに、汗ばむ。
油断していると、ナイフが落ちてしまいそう。
「はあ」
ため息をつく。
わたしは今頃なにやってんだ。
さっさと殺せばいいのに。
そしたらきっと楽になるんだから。
さあ、やりましょうか。
躊躇わず、ひとおもいに。
ふ。
これで、すべてが終わるから。
そしてわたしは、自分の喉を深くーー深く斬りさいた。
【黒岩鉄子:死亡】
- 791 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 18:01:56
- 投下終了
題名:黒き果て
- 792 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 18:46:31
- さっきのの追加
- 793 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 18:47:06
-
○
驚いた。
さすがの俺も驚いた。
女子更衣室から悠々と抜け出してみたら、あらま不思議。
元同級生の黒岩鉄子さんが喉を掻っ切って死んでいるではございませんか。
「こりゃあひでぇ」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
普通人ってもんは自殺なんて簡単に出来やしない。
だからこそ昔、武士の時代に切腹をしようと考えりゃあ、死にきれなかった人間の為に始末人がいるんだ。
そもそも腹に刀を刺した時点で、相当の激痛で横に切り裂くなど難関も難関に違いない。
「まっ、ご愁傷さまってことで」
と言う訳で俺は、鉄子んとこにいって、黒色のディパックを拾い上げる。
ついでにこいつのもってるナイフもな。
俺の支給品はメダル。ゲーム用メダル、何に使えってんだ。
というわけでさておいて。
俺もいっけん悲しんでいない様に視えるがそれは大きな間違えである。
違うんだ、俺の話を聞いてくれ。
俺は――――慣れたんだ、人の死に。
たった一回―――いや二回か。
ともあれ俺は、貴則の死を以て死になれた。
いっつも俺はそうだった。
どんなときでも、どんなことでも。
一回やればできちまう。
たとえば、スポーツ。
たとえば、芸術創作。
たとえば、勉強。
まあ数え上げたらきりが無い。
慣れて、やれる。
そんな単純なこと。
ただそれだけともいえる。
所謂、適応能力がずば抜けて高いのが俺。
つまり今、俺が女子更衣室から出てきたのにだって理由があってだな。
…………。
まあ、んな感じで。
俺は良く分からないが、殺し合いと言うものに参加させられた。
だが乗るつもりもない。
逆に言えば乗らないつもりもない。
攻撃されたら、殺しちゃうかもしれないし。
勧誘されたら、仲間になるのかもしれないし。
それは周りの環境次第だけど。
ま、何はともあれだ。
そんなわけで俺の語り部タイムは終了終了。
最後、鉄子に一瞥してから、俺はその場を立ち去った。
- 794 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 18:48:36
- 今度こそ終了。
それに伴い題名も。
題名:黒き果てに緑の変則
- 795 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 21:05:43
- psp投下 EDLロワです
- 796 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 21:27:22
- 余談話。
現在みゃーこと大内灯里は自室のベッドに潜り込んでいる。
理由はない。
ただそんな事実があるというだけ。
「……だって怖いんだもん」
そう口に出して後悔する。
思い出してしまった、あのときの光景を。
ーーーーー茶畑くんを処刑したあの光景を。
泣きわめき、助けの声を求め、
しまいには脱力して声すらもでなくなったようであり
力なきその首をしっかりと固定され、そのままズバン。
首は放物線を描いて落ちてゆき、不思議と目があったような錯覚を覚えた。
怖かった。
たしかに試合をしたことのある
バスケ選手にガンつけられたときも本当に怖かったけど、そんなのとは種類が違った。
みゃーはバスケ部の主将である。
ただそうはいっても、みゃーには実力があるわけではない。
あったのは、自分で言うと心許ないが
厚い信頼と、正確な観察眼。
ただそうは言っても、どれは天性のものではない。
この恐がり故の、副産物といっても過言でもないがここではおいておこう。
ただ、みゃーはそんな目を以て観てしまった。
茶畑くんの顔を、瞳を。
(よくも助けてくれなかったな)
そんな視線を、イヤと言うほど身を感じた。
- 797 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 21:45:55
- さっきも言ったがみゃーはそれなりに信頼には厚い。
それにバスケ部主将という肩書き。
確かにみゃーは助けにきてくれてもおかしくない人材だったのかもしれない。
「……ママー、パパー?……」
不意に生みの親の名を呼んだ。
むろん応えてくれるわけがない。
わかっている、理解はしている。
ただそれでも……。
みゃーは、一人がイヤだった。
なのに部屋で一人きり。
寂しい。悲しい。空しい。苦しい。
広いとはお世辞にもいえないけど、ただただ広く感じる。
まるで世界でひとりぼっちにされた、そんな感覚。
だめだ、潰される。
だめだ、殺される。
けれど、みゃーのところには慰めてくる人は愚か、殺しにかかる人もいません。
けーたいを使えば、誰かがすぐにでもくるでしょう。
けれど使えない、使いたくない。
もしも使って呼び出した人が殺す側の人間だったら。
そうなったらみゃーは、もうだめでしょう。
きっとすぐに崩壊する。
なにが? なにかが。
ーーーーあぁ今すぐにでも眠ってしまおう。
そしたらすべてが夢であって。
みんな生きてて、校長先生もいつも通りで。
みんなみんな笑って三年生になる。
そんな日常を。
だから
- 798 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 22:04:18
- ばいばい。
おやすみなさい。
そしてーーーーおかえりなさい。
○
おかしいな
俺はけいたいをいじってある番号を呼び出し続けている。
その先は、大内灯里ちゃん。
小柄でおどおどしているけど
部活の主将を任されていたりと何かとすごい子だ。
けど。
だからこそ。
「殺しやすいと思ったんだけどなぁ」
俺は人目をはばからず、静かにそういった。
自分でもぞっとするような声。
恐ろしいことを言う奴もいたもんだーーーまぁ俺だが。
俺とて人を殺したくなんてない。
ましては元としてでもクラスメイトなんてもってのほかだ。
ーーーけれど、優勝もしたい。
願いを得るために。
願い
それは、俺の弟の病気を消すこと。
不治の病だと言われた。
もう近いと言われた。
奇跡でも起こらない限りと言われた。
なら奇跡を起こそうではないか。
クラスメイト13人と弟1人。
天秤に計るまでもなく、弟の方が大事である。
まってろよ。
まっててくれよ。
今すぐ俺がーーーお兄ちゃんがーーーいや、お姉ちゃんが。
ーーー助けてやるからな。この銀河清美の名に賭けて!
- 799 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/24(木) 22:08:28
- 投下終了です
題名:だいだい(漢字が見あたんなかった)の震え、銀の鍍金
- 800 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/25(金) 19:06:59
- schoolオリロワ、psp投下します
- 801 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/25(金) 19:40:00
- 逆打裕美と佐藤和人。
クラスの中でもズバ抜けて熱々なカップルだ。
彼らは双方の家庭公認で結婚前提の交際生活を送っている。
ある者は羨望しある者は憎悪するーーーそれが彼らだった。
そんな彼らは、殺し合いの最中だというのにいちゃいちゃしていた。
桃色の背景が見えてくるような気さえする。
唇を重ね、もはや使い古されたような言葉が続いていく。
結論から言って、彼らにとって殺し合いなどどうでも良かった。
殺し合いを潰そうとする勇敢な連中に付いていくだけ。
だが、裕美と和人のどちらかが死んだら生き残った方は自殺する。
後は野となれ山となれだ。
M4カービンを和人が持ち、その後を裕美が付いていく。
「ねえねえ、和くん!帰ったらさ、沖縄行こうよ!」
「良いな。どうせ大丈夫さ、世の中は上手くいくようになってるから」
何を隠そうこの二人、危機感など一切抱いていない。
なるようになる、それが彼らの考えであった。
「愛してるよ裕美。俺達は永遠にーーーーー」
だが。バトルロワイアルは決して甘くはなかった。
ぱらららららっ、という音を裕美は聞いた。
それが敵襲だと気付くのは和人の体が倒れてからであったーーー。
- 802 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/25(金) 19:59:30
- 和人の背中に、無数の穴が開いていた。
頼もしかった背中を真っ赤に染めて、和人は永遠の沈黙に堕ちる。
断末魔の悲鳴は、あがらなかった。
「………和くん、和くん。何で、何で………」
「ーーーーそんなの優勝するために決まってんだろ?」
黒髪の男が立っていた。
黒髪に眼帯、口元を不敵に歪めて片手にはステアー機関銃が握られている。
彼の名は、緑川暁里。もう一つの名を◆YR7i2glCpA。
バトルロワイアルに精通する者たち、『書き手』である。
その銃口を、無慈悲にも裕美の頭に向けた。
憎悪の言葉を唱える逆打裕美を殺害しようとして、そしてーーー。
彼女は動いた。
ポケットから取り出したのは対人手榴弾。
彼女は、自分の命諸共暁里を葬り去るつもりだった。
走る。ピンは抜いた。もう直に、爆発が起きるだろう。
が、暁里は動かない。
ドゴォォオオオン!!という轟音が響き渡り、爆発が起きた。
ーーーーー緑川暁里は無傷だった。
涼しい顔で立ち、機関銃の引き金に指を掛けている。
逆打裕美の右腕は肘の辺りから抉れ、顔は焼け爛れていた。
「が………ァ……」
ぱらららららっ。
弾丸の嵐が吹き荒れ、逆打裕美を蹂躙した。
- 803 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/25(金) 20:15:31
- 「あーあ。存外つまんねえのな、殺人ってのは」
緑川暁里は残念そうに呟く。
彼は普通だ。普通なのに、彼は人間として壊れている。
幸せな生活の中で生じた原因のない歪みを彼は受け入れ、身を任せた。
二人の支給品を回収し、彼は惨劇を後にした。
【佐藤和人】
【逆打裕美】 死亡
【残り40/47人】
【深夜/D-4】
【緑川暁里(◆YR7i2glCpA)】
[状態]健康
[所持品]ステアー機関銃、M4カービン
[思考・行動]
0:適当に殺す。
1:つまんねえの……
2:書き手さんたちも殺してみるか
【逆打裕美】
黒髪、上の中くらいの顔。佐藤和人と交際している。
【佐藤和人】
茶髪、筋肉質。逆打裕美と交際している。
【緑川暁里(◆YR7i2glCpA)】
黒髪を肩くらいまで伸ばし、身長177cmの帰宅部員。
平和な生活を送りながらも歪み、殺人衝動を内に秘めている。
- 804 : ◆meUMrrZs9o:2011/11/25(金) 20:16:37
- 投下終了です。
題名:リア充爆発しろ
でお願いします
- 805 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 22:11:26
- edl投下 pspです
- 806 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 22:32:42
- 簡単に言うと、桃沢結衣は。
つまりアタシは妄想癖があるようなんです。
それはもう昔から。
中二病とかそんな生優しいものではありません。
確かに妄想の『一つ』として似通ったことを考えることもあります。
ですがあくまで一つ。
時には被害妄想もします。
時には加害妄想もします。
時には色恋沙汰な妄想もします。
時には流血沙汰な妄想もします。
つまるところ何でもします。
貶されようがやる。
罵られようがやる。
これがアタシのアイアンディティであり、個性であり、特徴であるかぎり、
アタシはアタシでなければならないんです!
ーーーあ、今のも妄想はいってましたね。
いけないいけない。
さて、そんなアタシは殺しあいに巻き込まれました。
脈絡なく、抵抗する暇さえなく。
もちろんのこと怖いですよ?
ものすごく、強烈に、途方もないぐらいには。
あのー、チャバタくん? だったと思うんですが、死にましたね。
なんかのギャグなのか。
そりゃあもう、見事に面白いように。
アタシはもちろんのこと。
そんな彼をみて罪悪感がーーーわくことはなかったんですけど。
むしろ。
そのときのアタシはゾクゾクしてました。
- 807 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 22:51:29
-
あぁ妄想していたことが実現してるーーーと。
ある種の歓喜すら覚えていました。
先ほど言ったとおり、アタシは流血沙汰の妄想だってしています。
たとえば、クラスメイトを好きなように殺す。
みたいな妄想だってなんべんもしてきました。
見るからに残酷なものだね、
ってアタシはそんな妄想に興奮して。
同時にそんなイケナイ妄想をしている自分に興奮しました。
自己淘汰といわれたらそうなんでしょう。
否定する気もないですよ。
全く持って、アタシが悪いんですから。
でもですよ。
妄想をマイナスなものだと捉えられると困ります。
それにバカにする人なんて大っ嫌いですよ。
いいですか。
妄想というものは現実逃避のもっとも手軽な手段なんです。
それを奪われたら誰しもが現実と向き合わなければなりません。
とても辛いことです。
融通が効いてない、効率が悪い。
大変燃費の悪い行為です。
時には逃げなければいけないでしょう。
時には狂わなければいけないでしょう。
真面目なだけな人間は痛い目にあうのは世の中の摂理です。
ものごとを柔軟に。
たまには向かい合い、
たまには逃げ出して。
妄想はそんな機能すら持っています。
- 808 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 23:10:21
- とはいったものの。
ま、これまでのやつ。
全部ひっくるめてーーーーー妄想ですけど。
一回言ってみたかったんですよね。
こういう一見して正論みたいだけど実を言うとただの戯言みたいな?
さてはて。
そんなアタシが語り部をやってもしょうがないですし。
それに。
もうそろそろ時間も近いみたいですので、最後にアタシはこう言うのであった。
「では、刺してください。ミドリカワくん」
○
と、いうわけで俺ー人を殺しちゃいました。テヘッ☆
まあ、なんつーか殺人っつーのもなんか飽きるな。
快楽殺人鬼とか言われるやろーどもはなにが楽しいんだろうかね。
で、だ。
俺がこいつを刺したのにはちゃんと深い訳がある。
聞いてくれ、お願いだから。
ーーーコホン、では静聴に。
なんとこいつ、自分から死にたいだの言ってきたからさぁ?
やむ終えず刺したって訳よ。
うんうん、我ながらこれは仕方ねぇよなー。
理由?
あぁうん理由ね。
なんかね、
このままだと歓喜のあまり
『本当』に人を殺しそうなっちゃうから、その前に殺してほしかったそうだよ。
よくわかんないけどそういうことらしいぜ。
- 809 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 23:19:34
- 『没頭怪奇』の名は伊達じゃねーってか。
いやー憧れるねー。
しっかし一切の抵抗がなかったのはそれほどまでに意志は固かったってことかな。
すげぇな。この女。
ホレボレしちゃう。ーーーさすがに屍姦の趣味はねーけどよ。
まあなにはともあれ。
「おまえもご愁傷様ってこった」
ご冥福に。
そう俺は残して立ち去っていくのであった。
ーーーあぁ? もうそろそろこのナイフもだめか?
ま、ナイフの知識なんてないんだけどね。
ともあれ、俺は行くあてもなく歩きだしたのであった。
ーー太陽が、眩しいな。
- 810 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 23:21:42
- 投下終了
題名、「桃の世界と緑の狂い」
- 811 : ◆xR8DbSLW.w:2011/11/26(土) 23:28:05
- 追記>>809
【桃沢結衣:死亡】
以上で終わり
- 812 : ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:50:17
- 新スレ早々規制ということでこちらで
四字熟語ロワ13話&14話(放送)です。
- 813 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:51:23
-
巨大な商店街をそのまま閉じ込めて建物にしてしまったかのような、娯楽施設の一角。
本来なら何十、何百もの人が買い物のために練り歩いている広い通路には、
いまはまったくと言っていいほど人がいない。
何せ、今回この施設は買い物のために作られたのではないのだから、当たり前だった。
B-1エリアの一階にあたる場所にいるのはたった二人だけ。
殺し合いという名の悪夢の実験に呼ばれてしまった、哀れな男と、哀れな少女だけだ。
そして通路の真ん中で少女は目を覚ました。
モノクロの夢から覚めて、悪夢じみた現実へと帰還した。
でも視界は真っ暗なままだ。
だってもう、彼女にすべてを見通す眼は存在すらしないんだから――それも当たり前だった。
「あ、……気が付いたかい?」
だから少女にとっては、突然聞こえた男の声は恐怖の対象でしかなかった。
どうして何も見えないのか? なんで自分は気絶していたのか?
色んな記憶が混同してわけが分からなくなりそうで、思わず床から体を起こして、後ずさって「声」から距離を取ろうとした。
するといきなり、少女の頬に暖かい手が触れて――優しく、丁寧に、ゆっくりと撫で始めた。
「傷、痛くないかな? ……僕は医療に明るくなくてね、
君を置いて書店に行くわけにもいかないから、自己流で処置してみたんだけど。
いやあ、鋏を持ってきてなかったから、大きい包丁で包帯を切ってさ、地味に大変だった」
言われて少女は自分の顔に包帯が巻かれていることに気付く。
ぐるぐる巻きで、でも窮屈にはならない絶妙な巻き方だ。
いまだにあまり思い出せないが、とにかく自分はこの人に助けられたらしい。
そう認識した少女は、相手を動揺させないような柔らかな物腰と、優しい声をした男の前に、警戒心を解くことにした。
――大丈夫、あんまり痛くないです。
答えてその後、自己紹介をし合う。……男は軽妙洒脱。少女は、一望千里と名乗った。
「軽妙洒脱、ってのはまあ呼びづらいだろうから、僕のことはケイおじさんとでも呼んでくれればいいよ。
君は……千里ちゃん、でいいかな」
「あ、はい。おかまいなく。――あの、ケイ、おじさん。あ、ありがとうございます。その、助けて、くれて」
「いやあ、僕が勝手にやったことだよ。気にしないでくれ。
通りすがりに血まみれの女の子が倒れてたら、手当をするのが大人ってものさ」
「え……あの、わたしの怪我って、そんなに酷いんですか」
「ああ、そりゃあ――、まあ、ね。
階段から転げ落ちたようだから……それより千里ちゃん、お腹空いてないかな?
なぜか時計がどこにもないから正確な時間は分からないけど、
もう実験が始まってからかなり時間が経っているはずだ。そこのベンチで何か食べよう」
「は、はい」
何か言葉を濁されたような気がしたが、深く考える前に軽妙洒脱に手を引かれ、一望千里は立ち上がる。
見えない世界では平衡感覚を保つのも難しい。
ふらつきそうになるたびに繋いだ手に体重を預けて、助けてもらいながら歩く。
もう一人で歩くこともままならないんだ――と、考えるのも束の間、ベンチは近かったらしくすぐ着いた。
軽妙洒脱が先に座る音、そしてぽん、ぽん、と何かを叩く音。
「ここに座って。分かるかい?」
「あ、はい」
音で示された場所に、こわごわ腰を下ろす。
どうやらベンチはクッション地で出来ているらしく、ふわりと一望千里の体重を受け止めてくれた。
ふう、とひと息。
重く圧し掛かる申し訳なさも、このクッションが受け止めてくれた気がする。
横で、軽妙洒脱がビニール地の何かをくしゃくしゃとしている音。
次いで一望千里の手が取られて、手のひらに食べ物が乗せられる。
- 814 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:52:43
-
「はい、どうぞ。こんなのしかなくて悪いけど、これなら食べられると思うよ」
渡されたのは冷たいおにぎり。
全体が海苔に包まれている、コンビニで売られている感じのアレだ。
「どうも……本当にごめんなさい、わたし、何でこんなになっちゃったか……あんまり覚えてなくて」
「その話は後にしよう。とりあえず、生きているんだからいいじゃないか。
さ、まずはこいつを食べてしまおう。渡したのが何の味か、千里ちゃんは分かるかな?」
言ってくしゃりと海苔を噛む音。一望千里も見習って、おにぎりにかぶりつく。
口に運ぶとやっぱり、ちょっと冷たい。でもこのおにぎりには、人の優しさと温かさが詰まっているみたいだった。
もぐもぐ、と咀嚼するたびに、心の震えがおさまっていくのが分かる。もぐもぐ、もぐもぐ。
食べられる幸せに感謝しながら味わっていくと、次第に中心の具の部分に行き当たった。
やわらかいお肉と、さっぱりした風味。これは……
「ねぎ塩……カルビ味?」
「おっ、すごいなあ。よく分かったね。体力を付けるならお肉、っていう発想だったんだけど」
「……普段は安いツナマヨしか食べないんですけど、ちょっと豪華なのを食べたい時って、これにしてたので」
「分かるよ。名前からして豪華だもんなあ、ねぎで塩でカルビだし。ちなみに僕のはツナマヨだけど、食べるかい?」
「いえ、お気持ちだけで。……これ、おいしい」
「あはは、そう言ってくれると僕も嬉しいな。ゆっくり食べていいよ、今のところ周りには誰もいないから」
「ふぁい」
もぐもぐ。
作れない笑顔を声のトーンで表現しておにぎりを美味しそうに食べる一望千里を、軽妙洒脱は微笑ましく見つめる。
嬉しそうな人を見ていると、自分まで嬉しくなってくる。
それが自分の助けた少女であるなら尚更だ。
このまま、こんなゆったりとした時間が続く――そういうシナリオだったらどれだけいい事だろうか。
軽妙洒脱はぱくりとツナマヨをほおばり、静かに手を合わせて、この時間に感謝した。
「千里ちゃん、食べ終わったかい」
「はい……ごちそうさまでした」
「うん、僕もごちそうさまだ。さあ、そしたら。本題に入ろう」
でも、微笑ましい時間なんて、長くは続かない。
「――千里ちゃん。君は、顔に傷を負ったのが何でなのか覚えていないらしいけど……、
じゃあ、ここに来てからのことは、全部忘れてしまったのかな? 何か覚えていることはないかい?」
少なくとも。一望千里の顔をあんな状態にした犯人が分からない限り、
この殺し合いの場において安心することなんて出来ないのだ。
「君にとって、例えそれを思い出すのがどれだけ辛いことだとしても、忘れたままにしておくのは危険だ。
落ち着いて聞いてほしいんだけど、君の怪我はとても普通の人間が負わせられるようなものには思えなかった。
かなり、ひどい。僕はこれは、誰かのルール能力に因るものだと見ている」
「ルール、能力……ん、いや、」
「僕のルール能力は殆ど使えないものだったけど、きっと強力な能力も――何か思い出したのかい?」
「い、いえ……何か、思い出せそうな気がしたんですけど……なんだか気分が悪くなって」
「きっと君の脳が思い出すのを拒絶してるんだ。
怪我人に無理はさせたくないけれど、思い出して。何かきっかけがあれば――そういえば」
軽妙洒脱は思い出したようにデイパックを漁ると、
沢山のものが入って膨れているそこから何かを取り出して一望千里に握らせる。
- 815 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:53:38
-
「これ、は?」
「君の倒れていたそばに落ちていた。もう壊れてしまったが、エリア内の首輪の位置を探るレーダーらしい。
これが落ちていたおかげで、僕は君を見つけることができたんだ」
「そうなんですか……わたし……何だろう、これを、握ったことがあるような、気がします。
ううん、覚えてる。……思い出して、きました。
わたしはこれを持って、最初、二階のレストランのテラスに居たんだ……。それで、そこから、外を見て――」
顔を上げて、天井を見上げる。見えない目が一望千里の脳裏に映しているのは何なのか、推測はできない。
嫌な予感が脳裏をよぎった。軽妙洒脱は、少女に声をかけようとする。
「千里ちゃん、」
「……ああ――思い出し、た」
「え、」
「わたしの、せいなんです。……わたしが、わたしの顔を破かれたのは、自業自得、なんです」
壊れたレーダーを強く握りながら、一望千里はそう告白した。
思い出すのはさっき見た夢――その中の自分の姿と、最初に居たテラスでの出来事。
一望千里のルール能力は、《会場全体を透視できる》だった。
そう、あくまで《できる》ことだ。
勝手にそうなってしまうわけじゃない、意識しないとこのルール能力は発動しない。
だから、自業自得なのだ。
「わたしが、すべてを見ようとしていたから。
すべて見通した気になっていたから――罰があたったんだと、思います」
一望千里はうつむきながら、娯楽施設に転送されてから気絶するまでの顛末を語った。
全てを見るルール能力を惜しみなく使った結果、破顔一笑のルール能力に返り討ちに遭った一コマを。
語りながら――同時に。
自分が一望千里という四字熟語に選ばれてしまった理由も、彼女は分かってしまったようだった。
「昔からわたし、人と話すのが苦手なんです。
いつも相手の顔色ばっかりうかがってしまって、何を言えばいいのか分からなくなっちゃうんです。
だからわたし、いつからか会話するのがめんどくさくなっちゃって。クラスでも出来るだけ一人で過ごすようになって。
……どんな話でも盛り上がれるような友達を、作ることさえしようとしませんでした」
それでも学校というシステムは、一望千里にクラスメイトとの関わりを要求する。
運動会、文化祭、修学旅行なんて大それたイベントで。
日直や、グループワークや、忘れてしまった宿題みたいな、日常めいた生活の一場面で。
そんな場面において、人と関わろうとしない者はどうなるか。
「高校生にもなると、よくテレビで取り上げてるみたいな、表面的で攻撃的なイジメはもう起こりません。
年を重ねていくごとに……頭がよくなっていくごとに、
いけ好かない一人をクラスから弾き出す方法はあまりにも単純で、無意識的なものになるんです。
食物連鎖の中で自然淘汰が起こるみたいに、わたしは数か月であのクラスから除外されていきました。
気付く暇もなかったなあ。……いつの間にかわたしは、あのクラスから浮いちゃったんだ」
お昼休みに一人でお弁当を食べたり、グループでいつのまにか勝手に話が進んでたり、
話しかけられることが少なくなったり、授業中に落とした消しゴムが拾われなくなったり。
好きの反対が無関心なら、嫌いの延長もまた無関心。
嫌いを表現しようとエネルギーを使うくらいなら、無関心を貫いた方が省エネだと人は知る。
だから、一望千里はクラスから浮いてしまった。
それはもう、ぷかぷかという音が聞こえてきそうなほどに。
クラスの輪から外れて――クラスを見下ろせる位置で、浮いていた。
- 816 :13◇お仕舞い(ここまで前編) ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:55:12
-
「わたしはクラスのみんなを、見下ろすようになっていきました。見下ろすなんて言い方は、甘えかな。
見下していました。教室の一番後ろで。みんなを観察しながら、クラス全体を見下してたんです。
男子がバカな話をしてるのも、女子が彼氏がどうの洋服がどうの言ってるのも、わたしは気に食わなかった。
わたしを除外しておいて、安全圏で慣れ合ってるあいつらが……憎かった。
だからわたしは、妄想の中で何度もなじってやった。
みんなで輪の中だけで誉めあってるお前らより、一人でがんばってるわたしの方が偉いんだって、
聞こえるように耳元で囁く妄想をして。そうやってわたし、日々を過ごしてたんです」
「……」
「笑っていいですよ。原因を作ったのはわたしなのに、それを相手に責任転嫁して、
しかも根拠のない理由で見下して、優位に立った気になってたんだから。
一望千里だなんて、皮肉もいいところで。わたしはここに来ても、見通した気になっていただけで――だから、」
「その目を奪われてしまった、かい?」
「……うん、そうです。きっとそうなんじゃないかなって、思う」
「だから自業自得、か。あまり納得したい話じゃあないね」
と、語り終わった一望千里が聞いたのは、何故か落ち着きのないトーンで答えた軽妙洒脱の声。
手を握って、ぷるぷると震えているのが分かるような、譲れないものを見つけたときのような、強くて静かな声だった。
「悪いけど僕は、それを認めちゃいけない立場にあるんだ。
だって――してしまった、と言うならば。僕だって君を助けてしまったんだからね。
君がどれだけ正論めいた諦め方をしていても。
それが救いのない考え方なら……僕には君を、救う義務があるんじゃないかな」
「……」
「確かに千里ちゃんの考え方は、間違った方向にひねくれていたかもしれない。
でも、そのくらいの間違いは、誰にだってあることじゃないか。
いつか気づいて、直していこうと努力すれば、なんとかなる類のものであるはずだ」
「それは。」
「僕は。……君のように若くない。
間違いを直そうとしても、もう残りの人生ではあまり意味が無いくらい、それを積んでしまっている。
でも君はまだ、やり直すことだってできる。変わることが出来るんだ。
それを忘れてしまっては、いけないよ。
……僕は自分の間違いを直そうともしてこなかった。この娯楽施設に来るまで、僕の人生は諦めだらけだった」
「ケイ、おじさん……?」
「悪いけど、君を笑う資格は僕にはないよ。千里ちゃんのその傷が自業自得だというなら。
どんなことでも、自業自得だと信じてやってきた結果が、僕の人生なんだからね。
むしろ僕の生き方のほうが――たちが悪いかも、しれない」
「……おじさんは、どんな人生を?」
「聞きたいかい?」
短く。軽妙洒脱は実に軽々しい調子で、一望千里に問いかけた。
一望千里はすぐには答えない。
軽く放たれたその言葉の、重さがどれくらいなのかを測りかねていたから。
娯楽施設の一角、大通りの隅のベンチに、息を呑む音が聞こえるくらいの静寂が訪れる。
いち、にい、さん、よん。
例えばレストランで間違ったメニューが届いてきたときくらいの気まずさが場にただよって。
五秒目を数えた時、一望千里は決心した。
「聞きたいです……教えて、ください。
わたしの《一望千里》じゃ見ることができない、おじさんの過去を」
分かったよ、と言って軽妙洒脱は、自らの人生について語りだす。
勝ち組になろうとしなかった、負け組の人生を。
「例えば僕はあのとき、君を殺すことができた……でも、
包丁を持ったはずの僕はいつのまにか、君を、助けてしまった。
そのとき僕は思ったんだ。これは、筋金入りだって――僕は永遠に、負け組のままなんだ、ってね」
一望千里の口の中では……美味しいおにぎりの後味が、ようやく消えるころだった。
- 817 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:56:15
- 「僕は今までの人生で、ずっと負け組だった。
いっそ消してもらいたい記憶があるくらい、思い出したくないことだらけさ。
学生時代、部活の先輩にいちばん殴られたのは僕だった。受験があれば、一度は必ず失敗した。
家はもちろん裕福じゃなくて、家族の記憶は消されているけれど、かなり苦労したように思う。
社会に出てもそう。会社を二回クビになっていろんな人から疎まれて、結局は場末の酒場でショー芸人だ。
どうして生きているんだろうって悩んだことも、一度や二度じゃなかったよ」
軽妙洒脱はいわゆる、良い人すぎて損をするタイプだった。
片づけを率先して行うばかりに係を押し付けられたり。
貸した本が返ってこなくても、傷をつけられていても、怒ることが出来なかったり。
いろんな場面で、本来負うべきじゃないことまで自分のせいにして、やってしまうほどのお人よし。
結局はそれは――ほとんどの人に利用される役回りを買って出ることに他ならないのに。
それでもしてしまう。
人生を転がり落ちていくと知っていながらも、自分から転がってしまう。
知らない内に増えていた借金は膨れ上がり。最後にたどり着いたバーのショー芸人も、前座扱いの低賃金。
何度も自分で命を絶とうとして、でも弱い軽妙洒脱はその選択肢すら取れなかった。
そしていつしか、自分に降りかかることは全て自業自得だと思って、軽妙洒脱は諦めてきたのだという。
「人生で損をするのはね、自分がどんくさいからだって思うことにしたんだ。
あるいは、自分が損をすることで誰かが得をするのなら、それでいいやって思うことにしたんだよ。
そうやって頼まれない自己犠牲を続ける自分に、僕は酔いつぶれていた。
勝つことを、諦めた。負け組になることを、受け入れてしまった」
「そこだけは……諦めちゃ、いけなかったのに?」
「察しがいいね。そうだよ。本当なら、どんなに負け続けても、勝つことを諦めちゃダメなんだ。
やりたいことをやろうと努力する。こんな単純なことを諦めるだけで、人間は途端にダメになってしまう。
千里ちゃんの諦め方は……僕と筋は違うけど、同じだ。きみはクラスという社会の中で、人と関わることを諦めた。
でも、ホントは友達を作りたかったんだろう?
だったら、諦めちゃいけなかったんだ。諦めた結果は、悪い方にしかならない」
……でも。
と、一拍置いて。軽妙洒脱は最後の言葉を、言い放つ。
「でもね、千里ちゃん。君がその《一望千里の目》でこの会場を見回したとき――君はまだ、勝とうとしていたはずだ」
「……!」
「諦めてなかったはずだ。
だから、君のそれは自業自得なんかじゃないと僕は断じるよ。
もう一度言うけど……君は、僕と違って、まだやり直せる。勝ち組になれる。変われるんだよ。だから……」
「でも! ……わたしにはもう、目がないじゃないですか。
さっきだって、手を引いてもらわなきゃ満足に歩くこともできなかったのに。
殺し合いに勝つには……生き残るには、力が必要なのに。ルール能力も使えないわたしが、」
「ああ。だから。僕が君を守ろう」
「……え、」
「君が、この娯楽施設で満足にやりたいことができるように。僕が、君の目になろう。
僕はもう諦めてしまっている人間だ。だけど、君が諦めないかぎり――僕は君の力になることができる。
そのことに気付くのが、遅かった。
ショー芸人なんて、まさにそんな仕事だっていうのに、気づいていなかった。
結局僕は……誰かが喜んでくれるようなことがしたいだけだったんだよ。だから、僕は君を守りたい」
だから。君の力にならせてくれないか。
軽妙洒脱は一望千里に面と向かってそう言うと、一望千里の手を取って、祈るように彼女の手のひらを掴んだ。
最初から、軽妙洒脱はこれを言うタイミングを計っていた。
おにぎりを分け与えたのも、顔の傷の顛末を聞いたのも、
自分の存在が彼女にとって必要なものかどうかを計る意味を含んでいた。
……少しずる賢いやり方だ、と非難されることは覚悟の上だ。
守りたいだなんて申し出ることは、一望千里の弱みに付け込んでいるのと同じようなものだと、分かっていた。
それでも。
この道が、やりたかったことを叶える唯一の道だということを――軽妙洒脱だけでなく、二人とも、肌で感じていた。
- 818 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:57:36
-
だけど。一望千里は、それだけでは終わらせたくなかった。
「あ、あの……目をつむって、くれますか」
「?」
何でいきなり?
突然の要求に驚いた軽妙洒脱はあらためて一望千里を見るが、
包帯に包まれて長い前髪を垂らした少女の表情はまったく読めずに、困惑度が増すばかりだった。
「一体どういう――まあ、いいか。ほら、つむったよ」
「ほんとですか」
「ああ、というか、嘘をついてもメリットはないしなぁ……」
「本当に、ほんとです……よね?」
「もちろんだ」
目をつむる。
一望千里が何でこの要求をしたのか全く分からなかったが、軽妙洒脱はとにかく従っておいた。
何が起こるのか想像してみようとしてもできない。
視界が暗闇に包まれた不安感が、数秒続いた。
……例えば、彼女の顔に巻いた包帯を切るのに使った包丁は、まだデイパックから柄を出している。
もしかして、強くせまりすぎたとか。
やっぱり怪しいと思われて、包丁で刺されるのかもしれない。
不安感は嫌な推測を生んで、軽妙洒脱の動悸を少しずつ早くしていく。
一望千里は何も言わない――どうやら、こちらが本当に目をつむってるかどうか試しているらしい。
ぶんぶんと手が空を切る音がして、なぜだか怖いより先に、かわいいなと思った。
その瞬間だった。
「……えいっ」
ぺた。
と、一望千里の手のひらが、軽妙洒脱の肩を叩いたかと思ったら。
ぐいっと強い力がその肩にかかって、さらにもう片方の手が脇から入ってきて――抱きつかれた。
軽妙洒脱は、一望千里に、抱きつかれた。
「え?」
「あ、あの! 目は開けないで下さい……、は、恥ずかしいので」
「いや、あの……千里ちゃん?」
「だから、絶対に目を開けないでくださいよ?」
離さないと言わんばかりに強く抱きしめられたまま。次に何がくると思ったら、
軽妙洒脱の頬に、暖かい何かが触れた。
ちゅ、……と、音がしたような気がする。
何が起こっているのか理解できずに、軽妙洒脱の心臓だけが早鐘を打つ。
「え? おいおい、ちょ、ええ!?」
「あの……え、ええっと! お、お礼で! あの、うれ、嬉しくて。おにぎりおいしかったし、あの、その、ああもう!」
ぎゅう、と今度は、ふてくされたように軽妙洒脱の肩にあごを乗せて、でもさらに密着してくる。
女子高生に、抱きつかれていた。
いいや、それ以前に……人に抱きつかれたことなんて、
数十年単位でなかった(気がする)軽妙洒脱は、抱きつかれているという状況をいまだに認識できなかった。
抱き返すこともままならない――心臓がもはや、爆発しそうだ。
落ちつかせる、落ちつけ、別のことを考えろ。思春期の少年じみた心の葛藤が軽妙洒脱の中に流れこんできて、
- 819 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 21:58:58
-
「……いいこと、ありますよ」
「え?」
その一言で、我に返った。
「っ、あ、あの! わたしだけじゃなくて……ケイおじさんにも、まだいいこと、ありますよ。
わたしを守るだけじゃなくて。それだけで満足しなくても、他にも、できることってあるはずじゃないですか」
「千里ちゃん……」
「おじさんがわたしを守ってくれるなら、わたしも、おじさんを手伝います。
こんなわたしにだって、出来ることの一つや二つあるかもしれない……いいえ、あるって、信じたいから。
だから、その。……協力、しましょうよ! 二人でここから、どうにか脱出して。
わたしと、展望台とかで、広い景色を、一緒に見て……失敗話とか、しましょうよ」
そこまで言うと一望千里は、ぎゅっと抱きしめるのをやめて、軽く抱きつく感じに戻った。
言いたいことを言い終えて、気が抜けてしまったらしかった。
一望千里が……目がいきなり見えなくなってしまった少女の感じている恐怖は重いはずだ。
恐怖におびえながら、勇気を振り絞って言ってくれたのがさっきの言葉だと、軽妙洒脱は理解していた。
そっと。
軽妙洒脱は、静かにそのか細い体を抱き返す。
目を開けたら、涙がこぼれてしまいそうだったから。
だから目は、閉じたまま。抱き返すと、一望千里は少し嬉しそうに、ふふ、と笑った。
――軽妙洒脱は、一望千里を救ったとばかり思っていた。
それは間違いだった。……本当に救われていたのは、自分の方だったのだ。
「べつに寒くはなかったはずなのに。こうしてるとなんだか、温かいですね」
「ああ、そうだね」
「ずっとこうしている訳にはいかないけど……もう少しだけ、いいですか」
「いいよ」
「ありがとう、ございます。じゃあ……」
足音も聞こえない、静寂の中。
目を失った少女と負け組だった男は、お互いの弱さを埋めあうために、何も言わずただ抱き合った。
言葉も、行動も。相手の姿を見ることも、いまは必要なかった。
心がつながっていれば――目を開くことが出来なくても、どこまでだって理解できるのだ。
10秒。
20秒。
二人はただじっと、互いの暖かさを感じた。
「……」
「……」
1分。
1分と30秒。
抱きつきながら軽妙洒脱は、これから何をしようか考え始めた。
守り、守られる……救いながら救われる仲間が出来て。
ここから二人で、いやもっと沢山仲間を集めて、そう、脱出を図るのだと少女は言った。
「……」
「……」
2分。
3分……。
軽妙洒脱のルール能力は貧弱なものだったし、一望千里はもうルール能力を使えない。
だけど他の参加者の中には、使い方によっては、あるいは力を合わせれば、
ここから脱出できる可能性を持つルール能力もあるかもしれない。
望みは薄いが、それに賭けるしかないだろう。
- 820 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 22:00:43
-
方針は――決まった。
それでもやっぱり、まだほんの少し怖いから。軽妙洒脱はまた、一望千里をぎゅっと抱きしめる。
「……」
「……」
目をつむったまま、抱きしめた。
「……」
「……。ん?」
何かがおかしいことに気付いたのは、抱き合いはじめて3分半が経ったときだった。
「……」
「千里ちゃん?」
「……」
「まさか、寝てしまってる?」
3分40秒。
3分50秒。
抱きしめている一望千里から――反応は、ない。
眠り込んでしまったみたいに、身体をだらんと垂らして、軽妙洒脱に寄りかかっている。
「……?」
「……」
「いや、でも……寝息の音は、しないし……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「千里、ちゃん? なあ、いつまで、抱き合えば」
「あはっ」
「え?」
――別の声。
あまりにもそれは、突然に。
一望千里とは違う、別の声が軽妙洒脱の耳を貫いて……、
驚いた軽妙洒脱は、その目を開ける。
「……!!」
「それは、死ぬまで、でしたね♪」
4分を、数えて。
少女がそこに居た。
明るい栗色の髪を、鈴のような形の髪どめで留めて、おさげの形にし。
服は――白い生地に緑の襟をあしらえてある制服のボタンをなぜか乱して、胸元を大きく開けながら。
額や首、開けた胸元から見える肌を、玉のような汗で濡らして。
まるで近くで激しい運動をしてきたあとのように、ときどき息を切らせつつ。
少女、勇気凛々は――いつのまにかそこに立っていて。
がっくりとうなだれる一望千里にさっきからずっと、静かに突き刺していたそれを、
じゅぼ、と嫌な音をさせながら引き抜いた。
「ひっく。
ふふ……また一つ覚えました。人間の血って、こうやったらこのくらい垂れるんですね」
- 821 :13◇お仕舞い ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 22:01:42
-
とたん一望千里の身体はびくんと跳ねて。
おそらく湧き出る泉のように流れてきた血液が、抱き合っている軽妙洒脱の腹部に垂れてくる。
生ぬるい赤い液体。
だらだらと、だらだらと。
……その光景を受け止められずに、思わずそらした視界の端で――また一つ、軽妙洒脱は見た。
一望千里が転がり落ちてしまった、中央階段。
屋上まで吹き抜けになっているそのフロアの2階部分から、面白そうな顔でこちらを見つめている男の姿を。
その手に握られた、少女の革靴を。
「ああ、そうですよ。私、勇気凛々は、2階からあなたたちに向かって飛び降りたんです。
だって――この殺し合いの場で、仲間を見つけて抱き合ってるなんて。
もうなんか、笑えるくらい守りたくなる光景で――《だから、殺したくなったんですよ》」
どこから持ってきたのか分からない大きな剣を、木の棒を振るうかのように振りかざし。
悪いことを覚えたばかりの高揚感が隠しきれない笑みを浮かべて、
妙に艶めいた声で襲撃者の少女は言った。
「いいですか? 教えてあげます。
なんだかおかしなことを考えてたらしいですが……この殺し合いからは――逃げられませんよ?」
だって、《善人はみいんな、私が逃がしませんから》。
もう息をしていない一望千里に向かって、《りんりんソード》を振り下ろしながら……、
勇気凛々はまるで罪悪感を感じてない純粋な子供そのままに、そう言ってはにかむのであった。
次の瞬間、一望千里の頭蓋は、真っ二つに割られた。
「……」
軽妙洒脱は、声も出せない。
【一望千里:死亡――残り十二名】
【B-1/娯楽施設・中央大通り一階から二階にかけて】
【軽妙洒脱/ショー芸人】
【状態】声も出ない驚き
【装備】なし
【持ち物】基本支給品、壊れたレーダー、包丁×2、二日分の食糧、
ショーに使えそうな楽器、金属バット、フライパン
【ルール能力】不明
【スタンス】―――――――。
【勇気凛々/女子中学生】
【状態】笑顔
【装備】なし
【持ち物】化粧用の手鏡、ボウガン
【ルール能力】勇気を出すとりんりんソードを具現化できる
【スタンス】ヒーロー(反転)
【酒々楽々/わるいおじさん】
【状態】面白くなってきた
【装備】なし
【持ち物】酒瓶×7、空の酒瓶×3
【ルール能力】不明
【スタンス】適当
こうして四人目の死者が出て――ルール通り、これから10分ののち。
第一放送が、流れ出すことになる。
- 822 :14◇第一放送 ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 22:03:20
-
ぴーんぽーんぱーんぽーん。
気の抜けた炭酸飲料と見まごうほどのベルの音が、娯楽施設全体に響きわたる。
ルールに乗っ取ったイベント――「店内放送」の始まりだ。
もしここが本当にただのショッピングセンターであったなら。
ベルの音で始まるこの「店内放送」は、迷子の子供の名前やタイムセールの情報を提供してくれるような、
平和的な要素に満ちたものだったはずだろう。
しかし、まことに残念なことに。
今この娯楽施設に満ちているのは、平和の二文字からは無縁の単語ばかり。
『――殺戮。死体。血液。騙し合い。
ああ、そんな単語だらけのこの施設、わたしたちはずいぶん娯楽として楽しむことができました』
そう、ここは――殺し合いのための、施設。
だから聞こえてくる放送は、血にまみれたおぞましいものでなければ意味が無い。
とある場所。
娯楽施設の中なのか外なのかも分からないその場所で。
マイクに向かって声を出した白衣の女の心中は、きっとどす黒く歪んでいるように思われた。
『はい……みなさん、私の声が聞こえたことで察しがついたと思われますが。
ついさっき、この場における四人目の死者が出ました。
よって! 店内放送を、始めさせていただきます。
ちなみに進行役は……私の声を聴きたくなかった人も多いでしょう、どうもお久しぶり、奇々怪々でございます』
お辞儀を一つ。
誰も見ていないのにそれをする礼儀正しい狂気の研究者は、奇々怪々。
”文字紙の招待状”を発行して四字熟語たちを集め、この倫理無き実験を開始した幻想言語学者のひとりにして、
この実験の進行役であった。
『――いやはや全く、みなさん開始からずいぶん飛ばしていくこと突風のごとしですねぇ!
開始から約5時間。
4時間52分と43秒での第一放送となったのは、私たちの予測を大きく上回っています。
”もうこの実験も、かなりの回数を重ねてきましたが”――こんなに早く死んでいくのは初めてかもしれませんね。
データも非常によく取れていますし、このままどんどんやっちゃってくれて構いません。
むしろ歓迎します。
ルール能力を確かめて、駆使して、裏をかいて――いろんな貴方がたの姿を見せてください。
殺人に手を染めて生きることを選んだ者……うっかり殺してしまった者。
未だにスタンスを決めかねてる哀れなお方は、うーん? さすがにもう居ないかな?
まあ、いろいろ居るとは思われますが、最後にこの地に立つのは一人です。
お忘れなきようにお願いしますよ。
”この地に最後に立っていられるのは、たった一人だけですからね”。
……さて、前置きはこのくらいにして。
今からわたくしが提供いたしますのは。死んだ四字熟語と、禁止エリアの発表でございまーす。
はい拍手。ぱちぱちぱちぱち! テンション上げていきましょう!』
開始時に集められた広間でのルール説明のときに比べ、奇々怪々の声は心なしか弾んでいる。
大会会場で中間報告をする司会進行役のあのテンションだ。
そのテンションのまま……まず読み上げられたのは、四つの四字熟語だった。
- 823 :14◇第一放送 ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 22:04:32
-
『では、発表します。この第一放送までに実験から退場したのは……、
猪突猛進
東奔西走
心機一転
一望千里
の四名です! あらら、ただでさえ少ない女性の参加者がもう二人も死んでしまいました。
まあ、勝負は時の運。
殺し合いは神様の気まぐれ、とはよく言ったもので、これはデータにも残す価値が無い偶然と処理しますが。
残った三名の女性参加者にはがんばっていただきたいものですね』
他人事らしいあっさりとした口調で、奇々怪々はマイクの向こうの参加者たちに語りかけて。
さて、と話題を変える。――次は少し、説明を加えながら読み上げる。
『では、禁止エリアについて。
これから一時間ののち、以下の二つのエリアを禁止エリアとします。
A-1
C-3
以下の二か所に一時間後に入ってしまうと、少しの待機時間ののちに首輪が爆発。
焼肉定食さんのようになってしまうのでお気をつけて下さい。……焼肉定食さんのこと覚えてる人いますかね?
まあ、あの人はホントに見せしめのためだけに連れてきた人なんで別にいいんですが。……っと、口が過ぎましたか』
こほん、一つ咳をする。
『はい、……もう伝えることもないし、邪魔しちゃわるいので終わりにしますか。
最後にひとつ。ルールブックの隅に書いてありますが、この文面を繰り返して締めといたしましょう。
”死んだ四字熟語は――放送の後。この場から消えてしまいます”。
……察しのいい人は、この言葉の意味に気が付いていたかもしれませんね。ではまた、残り七人の時に。アデュー♪』
ぼーんぱーんぱーんぽーん。
気の抜けた炭酸飲料と見まごうほどのベルの音が再び、娯楽施設全体に響きわたって。
娯楽施設を支配する「店内放送」は、その第一回目の役割を終えた。
さあ、残りは十二人。しかして、実験は終らない。
この地に最後に立っていられるのは……たった一人だけなのだから。
- 824 : ◆YOtBuxuP4U:2011/11/29(火) 22:05:14
- 投下終了です。くそー規制めー
- 825 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/11/29(火) 23:22:56
- 投下乙です。
自分も規制くらったのでこっちに。俺ニコロワ3話投下します。
- 826 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/11/29(火) 23:23:53
- 俺ニコロワ3話:その視聴者が最後に見たアナタの姿は全力でした
◇
「今度は、死なせてもらえるんやろうな……」
それは、二度目の死だった。
一度目の死とはまるで違って、何も怖くなどなかった。
やっとだ。
やっと、この地獄が終わる。
「誰も死なせずにやろうなんて……そうそうできるもんやないで……難しすぎるっちゅうねん」
「俺もそう思う」
二度目の死の傍らには、一人の男がいた。
生き残りの中で、唯一アイツを知る男。
気に食わないモジャモジャ頭の男だ。
「面倒なもんに絡んでもうたで……まったく」
「ああ、そうだな」
聞こえてきた同意の言葉は、本心からのように感じた。
そう、何とも面倒な出来事だった。
面倒で、最悪で、最低の、喜劇であった。
「悪運の強い連中やで……」
「死んだ人間にしてやれることはない。同じように、死んだ人間ができることなんてのもないんだ。
仮に俺達を皆殺しにできたとしても、お前はそうやって惨めに笑ってただろうさ」
「言ってくれるで……好きで死人やってた訳……ちゃうっちゅうねん」
自分の下らない最後の足掻きは、結局何もなすことはなかった。
生きるべき者は生き、死する者は死すだけだ。
死ねるのか。
今度こそ、死ぬ事ができるのか。
「なぁ……分かるか……二度目の生っちゅうもんが……地獄やった気分が」
「……あぁ、分からんでもない」
「最悪、やろ……?」
「いや」
お馴染みの、ドカンという炸裂音が響き渡った。
男が最後に何を言ったのかは、聞こえなかった。
◇
目を覚ます。
そこは地獄だった。
思わず笑えていた。
地獄だ。また、地獄だ。
これが仕打ちなのか。
畜生に身を染めた男の、末路。
地獄が、続いていた。
- 827 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/11/29(火) 23:24:23
- ◇
「おい〜〜〜! どうなってんだよ、おい!! スタッフ〜〜〜〜!!」
一人の死をもって始められた殺し合い。
自分以外の死をもってでしか生き延びる事のできないゲーム。
そんな殺し合いの場に、男は立っていた。
「おいしすぎるだろ、オイ!! どーーして、これに他の芸人を参加させる!! 俺だけで充分だから、こういうの!!」
事態を完全に勘違いした状態にて、男は叫ぶ。
男はこう考えていた。
これはドッキリだと。
何処かでカメラが回っていて、こういう極限状態にある自分を面白おかしく撮影しているのだろう、と。
ならば、自分は何時もどおりに動くだけだ。
スタッフや視聴者の望んでいる通りに、お茶の間に『笑い』を届ける為に、身体を張りまくる。
それが芸人としての自分が行うべきことだ。
(ん? あいつは……?)
そして、男は発見した。
暗闇の中で陰鬱な表情で俯いているタキシード姿の男。
何というか、一目で分かる陰鬱さだ。
生きる気力というものが見受けられない。
下手すれば今すぐにでも自ら死を選択してしまいそうな、そんな雰囲気を醸し出している。
この世のネガティブというもの全てを引き受けたかのような雰囲気。
そんなタキシード姿の男を見て、もう一人の男は自身の中で何かを燃やし始めていた。
これはスタッフからの挑戦状だ、と思う。
この鬱全開の男を、この状況下で笑わせてみろと言っているのだ。
「ン〜〜〜〜!」
男は、全力疾走をもってタキシード男へと近付いていく。
止まる気があるのかという勢いで。
というか、近付くにつれて速度を増していきながら。
男は走る。
走り、近付き、そして
「ドーーーーーーーーン!!!」
思い切り、そのケツからタキシード男へとぶつかっていった。
タキシード男は、受け身すら取ろうとせずに地面へと転がっていく。
「ンンン〜〜〜〜!!」
地面へ転んだ男を見詰めながら、男は流れるような動きで必殺の技を繰り出す。
脚を上に、頭を下に。
両腕と頭を地面に付けての三点倒立。
そして三点倒立からの、前転。
前転による急接近と共に、男は唯一身に纏った黒タイツを流れるような動作で脱ぎ捨てる。
倒れる男をまたぎながら仁王立ちし、そのまま前後に腰を振るう。
「どうだ〜〜〜〜〜〜!!」
渾身だった。
渾身の動きだった。
今頃スタッフはあわてふためき、会場のお客さんも女は口に手を当て、男は笑い転げている筈だ。
腰を振り続ける男。
男の名は、江頭2:50。
『1クールのレギュラーより一回の伝説』をモットーに活動するお笑い芸人である。
戒めから解放された粗末な一物が前後左右に揺れ動く。
だが、一人盛り上がる江頭とは対照的に、もう一人の男は無反応だった。
何も言わずにただ虚空を見つめる。
その瞳は、江頭は勿論、宙で回る粗末な一物すらも捉えていない。
強敵であった。
渾身の動きすら通用しない、笑いも引きもせずただ無表情を貫き通す男。
紛れもない強敵だ。この男からどう笑いを取る。
江頭は思考する。
必死に思考するも、元々勢いと体を張ったギャグでゴリ押しするくらいしか芸はない。
静寂の中で一物を振り回しながら、無情にも時は過ぎていく。
「へ、」
そこで、救済の神は舞い降りる。
- 828 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/11/29(火) 23:25:12
- 「変態だーーーーーーーーーーー!!」
何時の間にやら其処にいた少女が、江頭と男との情事を見ていたのだ。
これ幸いと、江頭はネタの矛先を変える。
ギラリと光った視線が叫び声を上げた少女を捉えた。
「誰が変態だ、コラあああああああああ!!」
「ぎゃあ、こっちくんなああああああああああ!!」
一物はそのまま自由奔放に解放したまま、江頭は走る。
全裸の男に走り寄られる少女は当然逃げる。
何とも不毛な追いかけっこが開始される中、江頭はほくそえんでいた。
目の前の赤毛の少女に見覚えはなかった。おそらくは素人の参加者なのだろう。
このパターンはスタッフからのストップが入るだろうが、確実に笑いは取れる。
どんな欝野郎だとしても、表情の一つくらいは変える筈だ―――そう、思考しながら江頭は脇目で男を見る。
そして、
―――パン
そして、軽い炸裂音と共に、余りに呆気なく一つの命が終わった。
「「え」」
声が、重なる。
呆然の言葉。
理解が追い付いていなかった。
「……今…………度は……」
男が倒れていた。
頭の半分を吹き飛ばした状態で、明らかに致死量の鮮血を黄色い何かと一緒に撒き散らしながら―――笑って。
その手には何時の間にか握られていた拳銃。
自殺だ。
男は拳銃を用いて自らの脳天を吹き飛ばして死んだのだ。
「死な………せて…………も…………ら…………」
頭の半分を吹き飛ばした男は、その状態から見るならば、雄弁であった。
脳髄をなくし、それでも一言だけ言葉を遺せたのだから。
江頭と少女は、その空虚な言葉を、その空虚な瞳を、見詰めていた。
言葉を無くし、ただ見詰めていた。
【ニコラス・D・ウルフウッド@アニロワ2nd 死亡確認】
【一日目/深夜/C-2・森林】
【江頭2:50@現実】
[状態]健康、全裸
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:????
1:え
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]なし、ソウルジェム(濁りなし)
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:????
0:どういうことだ、おい……
- 829 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/11/29(火) 23:26:35
- これにて投下終了です。
トリが変だ…
- 830 : ◆YOtBuxuP4U:2011/11/30(水) 00:00:10
- 投下乙ですー
今気付いたけど放送ちょっと訂正。禁止エリアはC-3じゃなくてB-3だった
3×3しかないくせによくエリア間違えるんだよな……
- 831 : ◆9QScXZTVAc:2011/12/03(土) 13:01:31
- 才能ロワ第一話投下します。
題名:仮想世界
- 832 : ◆9QScXZTVAc:2011/12/03(土) 13:02:50
- 殺し合い。絶望。失望。希望があってその先にこれまた絶望。
――――――いいねえ、素晴らしい。
絶望は最高の調味料になるんだよ、絶望のない人生なんてルーのないカレーみたいなものだと俺は思うね。生憎俺はそんなカレーは食いたくないから、味付けをしてやるんだ。
しっかし最高にぶっ飛んでやがるねぇ、高宮の旦那もよぉ!
アンタは最高だ、サイッコウに最高だ。
バトルロワイアルだか何だか知らねえが、俺は気に入った。
俺は別に生き残りたいわけでもない。だからと言って無駄死には御免被る。
バトルロワイアル―――この最高に最悪な宴のスパイスになってやるよ。
俺にはそれが出来る。
それを可能にするだけの『才能』が俺にはあるんだからな。
人は俺の才能を『蠢く怪異(ワンダートリック)』と呼ぶ。
簡単に言えば人の気持ちや決意を滅茶苦茶に引っ掻き回す能力だ。
昔はこれでもそこそこ売れてたタレントだったんだぜ俺。
まあ、ラジオ番組で才能を使ったらここに幽閉されたけど。
その時は楽しかったねぇ、その日の犯罪件数がいつもの数倍だったとか。
あれで、俺は才能を使いこなせるようになったんだっけ。
代わりに隔離生活だけどさ、俺は好きだった。
俺はもう何処にも行かない。
勝ち残ったとしても、俺は一人寂しく首でもくくるだろうさ。
どうせ終わりしかないならスマートな終わりを見たいだろう?
俺がそこまで導いてやるさ、この白崎ミュートンが、終わらせる。
この物語を滅茶苦茶にしてバラバラに壊して血みどろに終わらせてやるさ。
なぁに、心配は要らねえ。
人の心―――そんな陳腐な障害物は俺の才能でお掃除だ。
弱者でも意外と強くなれるかもしれないぜ、まあ壊しちまうかもだがな。
さあ――――――存分に蠢かせてもらうかね。
□
―――――――――あっ、れー?
何だこれ。どうなってんの。ちょっと待てって。
今、何があった?こいつは俺に何をした?状況が理解できないんだが。
何で俺の右肘から先が、無くなってるんだ?
やべえな、血が止まらない。
今すぐ止血すれば何とか助かるかも知れないが、無理だろうな。
目の前の『コイツ』がそんな隙与えちゃくれるとは思えない。
まともにやり合って勝てる相手でもないし、俺の才能も利かない。
『コイツ』は、『蠢く怪異』をどうやら既に攻略してしまったらしい。
ったく、出鱈目過ぎんなぁ……。
『コイツ』は直に俺を殺す。
ほら。
- 833 : ◆9QScXZTVAc:2011/12/03(土) 13:03:57
-
その綺麗な手が、振り上げられた。
『俺』は死ぬ。恐らくはこのゲームで一番最初の脱落者になる。
―――――でも、よ。正直滅茶苦茶楽しみなんだ。
俺は下らねえ筋書きを早速狂わせた。最悪の怪物を呼び覚ましちまった。『コイツ』は絶望になる。善良な心を持った奴等の希望を根絶やしにする絶望に。
――――なら、俺はもう十分だ。死ぬのも悪くないさ。
「地獄でゆっくり見届けさせて貰うよ、じゃあな―――詩織ちゃん」
ぐしゃっ。
『コイツ』―――柳詩織の手刀が、俺の頭蓋を叩き潰した。
おしまい。
【白崎ミュートン 死亡】 【残り17人】
■
―――――時は数分前に遡る。
一人の可愛らしい顔つきの少女が、しゃがみ込んでいた。
瞳からは大粒の涙が流れ、ただただ、押し寄せる恐怖に打ちのめされている。『才能』保持者である彼女は、幼かった。他の保持者に比べて、どこまでも心が幼かった。
元より彼女は、こういう性格だ。
争いや暴力を好まず、常にクラスでも独りぼっちでいる大人しい少女。
彼女には自分の『才能』とやらにずっと心当たりが無かった。
柳詩織にできたのは、ただ現実から逃避することだけ。
逃げ続ける。
例えばクラスの奴等に椅子で頭を殴られても。
鉄パイプで腕の骨を叩き折られても、腹を蹴られ続けても。
彼女は抵抗しない。
泣き喚きこそしても、決して抵抗することはないのだ。
振り返れば詩織の人生は常に痛みに耐え続ける人生だった。
幼い頃には虐待を受け、それがきっかけで抵抗が出来なくなった。
小学校では孤立し、いつも損な役目ばかり。それも耐えた。
そして中学三年生現在。彼女は度を超えた虐めに耐え続けていた。
詩織は数ヵ月前に幽閉された―――施設内では一番の新入りだ。
尤も彼女にすれば、幽閉されるようなことをした覚えはないのだが。
「やだぁ………怖いよぅ………また、逃げよう………」
泣きながら、やっと紡ぎだした弱音。
逃げる―――彼女の唯一の特技。
如何なる状況であろうとも、現実から逃避して空想が出来る。
並外れた想像力と集中力の賜物だ。
「あはっ……遊ぼうよ、『アイ』ちゃん……今日は何する……?」
たった二秒での逃避。
実は虐待を受けて心身とも疲弊し切った児童の空想への逃避は珍しくない。虐めや暴行でも同様だ。しかし、柳詩織のそれは明らかに異常だといえる。
柳詩織は間違いなく―――天才的な逸材だ。
- 834 : ◆9QScXZTVAc:2011/12/03(土) 13:05:26
-
現実の一時的忘却。世界観の脳内再構成。仮想人格の形成。
更には会話の内容、即席のシナリオ、道往く人の一人一人まで。
これをたった二秒で構成してしまうのだから。
「アイちゃん――――アイちゃんだけは、大好きだよ―――」
『ありがとう、しーちゃん』
白い帽子に小柄な体駆。可愛らしい衣服はまるで人形の服のよう。
『アイ』―――仮想人格。
このまま幸せに逃避して、幸せなまま終わる―――筈だった。
理想の世界が破れていく。
黒く歪み、漆黒の渦が全てを吸い込み潰していく。
恐怖。逃避して尚、押し寄せる負の感情が詩織を苛む。
―――――残っている空想は『アイ』だけ。
彼女だけは、優しく微笑みながら詩織の手を握っていた。
「く、はは。妄想に逃げるなよ、『しーちゃん』!?」
男の声が黒い二人だけの世界に不気味に響いた。
下品な、楽しむような口調で、詩織の世界を壊していく。
『蠢く怪異』による精神破壊。到底耐えられるような苦しみではない。
「出て、いけ………私とアイちゃんの世界から消えろ………」
「嫌なこった。早く目を覚ませよ――――『しーちゃん』?」
「おまえ、が……わたしのなまえを、よぶ、な……」
初めての抵抗。
しかしながら侵略者・白崎ミュートンは止めない。
そしてこの言葉が、柳詩織の精一杯の抵抗を塗り潰し、黒く染めた。
「―――――君さあ、何と話してるの?」
崩れた。
柳詩織を支えていた大切な何かが音を立てて崩れ去っていた。
そして、再起動。
ゆらり――――と詩織は立ち上がり――――そして。
「しーちゃんを壊したな」
紅い瞳の怪物(おんな)に、変わった。
その纏う雰囲気は柳詩織のものでは無く、別の何か―――――。
白崎がそれに気付く前に、その右腕の肘から先が引き千切られていた。
◇
白崎の最期の言葉では、確かに詩織のことを『詩織ちゃん』と呼んだ。
白崎は最期に気付いたのだろう。『これは詩織ではない』と。
だから、『詩織ちゃん』。
正確にはそれも違っている。彼女は『アイ』だ。
そして『アイ』の存在こそが、柳詩織の才能だった。
『夢画夢中(ドリームチェンジャー)』。
夢の中の仮想人格と自分を取り替える、まさに居場所の交換。
だが、そうそう使えるものではない。
『アイ』が現れるには、『詩織』が壊れる必要がある。
その時に、才能が発動するのだ。
今は白崎が詩織を壊した。
- 835 : ◆9QScXZTVAc:2011/12/03(土) 13:07:01
-
彼女の楽園を破壊したことにより、詩織が壊れてアイになった。
過去にも、アイが現れたのはたった一度だけである。
10ヵ月前。詩織を×そうとしたクラスの男子に、詩織が壊された。
アイは笑いながら、その場に居合わせた全ての人間を『破壊』したという。
白崎の死体は頭が破壊されているが、その時は全身が破壊された。
それこそが、詩織が幽閉された理由。
『××氏中学生虐殺事件』の加害者。
「大丈夫だよ、しーちゃん。ボクが皆殺して、君を助けてあげる」
あははははははは、と狂ったように笑う。
「さあ――――ゲームスタートだね、ボクを楽しませてくれよ!!」
【深夜/A-2崖】
【柳詩織/『アイ』】
[状態]健康、返り血
[所持品]サバイバルナイフ、ロープ
[思考・行動]
0:しーちゃんの為に優勝する
1:殺しちゃえっ☆
※A-2エリアに白崎ミュートンの死体が放置されています
- 836 : ◆9QScXZTVAc:2011/12/03(土) 13:07:37
- 投下終了です
- 837 : ◆xR8DbSLW.w:2011/12/04(日) 02:03:10
- 投下乙です、自分もEDL投下します PSPからですがご了承を
- 838 : ◆xR8DbSLW.w:2011/12/04(日) 02:24:46
- ああ、どうしてこうなんだろうか。
どうしてこう上手くいかないのだろうか。
私、金井哲一は考える。
手には、クロスボウ。
矢は先ほど一本使ったので残りは二本だ。
そう。
私はすでに矢を一本ばかし使わせてもらった。
白神康平委員長。
彼を殺すために。
どうやら幸運、あるいは不運なようで私の命中力は中々のものだった。
いやはや、まさかここまで殺人がつまらないものだとは想定外だ。
私は殺人というものは少しばかりは楽しいものだと思っていたのだが、
どうやらその考えは撤回した方がよさそうだ。
もし、殺人が楽しいものであったなら。
私はこんなにも悩まなかったのに。
一人を、たった一人を勇気をもって殺してしまえば。
あとは野と成れ山と成れ、といった具合に狂気に走ることも可能であったのだが。
それも叶わぬ夢のようだ。
これからも私はこんな、辛い辛いしがらみに捕らわれなければならないようで。
そもそも私が人を殺すのは生きたいからだ。
それは変わらない。
だからこそ、私は悩み悩み悩む。
「私がそこまでして生きたい理由……」
はたして何だったのだろうか。
白神委員長を殺してからそれが行方不明。
- 839 : ◆xR8DbSLW.w:2011/12/04(日) 02:43:51
- 完全に見失ってしまった。
確かにあったはずなんだ。
私の心には。
だからーーー殺した。
白神委員長の苦虫を噛み潰したような顔が脳裏に浮かぶ。
私のせいでああなったのだ。
無論のこと、私なりに考えてみた結果。
一番悪いのはこの学校、もしくは校長だろう。
しかし、だ。
私、金井哲一という存在が彼、白神康平という存在を消したのもまた事実。
この事実に対しては、校長のせいではなかろう。
悪いのは、私。
これを校長のせいにするにはあまりに責任転嫁。
ご都合主義も甚だしい。
故に私は自責の念……というよりも、自害の念に潰れていくのだろう。
自業自得。
そんなありふれた言葉が私を射抜いて砕く。
贖罪だったらまだよかったのに。
悔恨だったらまだよかったのに。
けれど違う。
これは自業自得で自己満足な自己犠牲だ。
白神委員長は出る隙間がないくらい、私の心は自分で一杯だったのだ。
悔しかった。
こんな私が悔しかった。
あまりにも救いようのなさに、どうにかなってしまいそうだった。
またこんな私のために人が死んでしまう。
駄目だ。
危険だ。
それはやってはいけない最低最悪の行為だ。
自暴自棄。
- 840 : ◆xR8DbSLW.w:2011/12/04(日) 02:58:23
- そうなってしまう前に一つの手段。
それを行使していこうと思う。
もう後腐れもない。
元から腐った鉛のような人物だったのだ今更だ。
腐ったものは廃棄処分。
それが一番。
そう思ったが早く。
私は構える。
一本の矢を、喉に当てる。
いわゆる自殺。
それ以上もそれ以下も無論あるわけがない。
「ヤ、どうしようもないね。私」
ということで。
私には殺したあいつの分まで生きようなど
図々しく烏滸がましいヒーローのような思想は持ち合わせていないので
ただ単純にその身をもって、終わらそうと決めたのだ。
だから終えよう。
だから朽ちよう。
てなわけで。
私は剥きだしの矢を深々と喉に突き刺した。
ああ、なるほど。
死ぬとはこういうものなのか。
覚悟を持って死んでこれなのだから、不意打ちされた白神委員長はもっと痛かったのだろう。
いやもしかすると逆に痛覚など消え去ったのかもしれないが。
ともあれだ。
私の人生はこれにておしまい。
次回の金井先生の作品にご期待ください。
そんなわけで、おやすみなさい
【金井哲一:死亡】
- 841 : ◆xR8DbSLW.w:2011/12/04(日) 03:03:31
- 投下終了。
wiki収録時にまた変わるかもしれんがとりあえず以上
- 842 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/04(日) 19:59:33
- 投下乙です。
では自分も俺ニコロワ4話投下します
- 843 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/04(日) 20:00:37
- 04話:俺たちはガンダムか!? 〜クーガーのT0MMYとグラハム・ガンダムの武力介入に、吸血鬼が武力介入する!〜
クーガーのT0MMYはエースボーダーである。
全国から選抜された二十の精鋭たち。
その選ばれし二十名の内の一人がT0MMYである。
T0MMYは暗闇の森林に立ち、一人思考していた。
唐突に参加させられた殺し合い。
先程の存在は一体何者だったのか。
エースボーダーたるT0MMYには察知できていた。
先程の存在は強い。おそらく純粋な一対一では勝利を掴む事は難しいだろう。
しかもそれは自分を縛る枷がない状態での話だ。
首輪を外す方法が分からない現状では、勝負に持ち込むことすら困難極まる。
言ってしまえば、状況は最悪である。
T0MMYは思考する。
生き延びる方法を、ではない。
勝利する方法―――ただそれだけを思考する。
ボーダーとして数多の戦場に赴き、時に勝利し、時に敗北の苦汁を飲んだ。
エースボーダーたる彼であっても常勝などある訳がない。
味方との足並みが揃わなかった、味方がミスを犯した、自分が致命的に判断を誤った。
敗因は戦場によって違う。
だがしかし、そのどの戦場でもT0MMYは変わらず勝利を目指した。
何時如何なる戦いでも、勝利を目指した。
敗北を思って戦ったことなどない。
ただひたすらに勝利を目指し続けた末に、T0MMYはエースボーダーとなったのだ。
生き延びるのではなく、勝つ。
その思考こそが、エースボーダー・クーガーのT0MMYである。
T0MMYは何時の間にか持たされていたデイバックの中を確認する。
ヴォルペ・スコーピオ、強化型Gランチャー、SW−ディアダウナー、AC−マルチウェイ。
自分が愛用している武装は最初から装備されている。
他に何か役に立つアイテムはないか、そう考えてのチェックであったが、アテは外れた。
おそらく他の参加者の名前が記された紙に、おそらくこの殺し合いの会場が記されているのであろう地図。
他に一つ何に使用するか分からないアイテムが一つ。
長細い棒状の金属が一本だけ。
表面には六文字の言葉が刻まれている。
『GUNDAM』―――その単語が何を意味するのか、T0MMYには分からなかった。
T0MMYはその棒状の金属を手で弄びながら、ふと気付いたように暗い森林の中に視線を向けた。
視線と共に、己の主武器たるヴォルペ・スコーピオも掲げて。
T0MMYは暗闇を見る。
「ほう……最初の出会いがまさか君とはな」
突き付けられた銃口をものともせず、その男は森林から現れた。
癖のついた金色の髪に、和な雰囲気を醸し出す緑色の服、そして何より目を引くのはその顔面部を覆う仮面。
男は一言でいうならば異質な恰好であった。
T0MMYは警戒を強めるよう、ヴォルペ・スコーピオを揺らす。
だが、男は語る口も近付く足も止める様子はない。
「会いたかった……会いたかったぞ、ガンダム!!」
こうしてT0MMYが最初に出会った参加者は、ガンダムという存在に心を奪われた男であった。
- 844 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/04(日) 20:01:48
- ◇
「そうか、ガンダム。君は殺し合いを止めようとしているのだな」
T0MMYの警戒は本人が思っているよりも遥かにあっさりと解けていた。
会話(といっても殆ど一方的なものではあるが)をしていくにつれ、T0MMYは眼前の男というものが何となく分かってきていた。
主に頭とが少々可哀想な人。
それが、T0MMYの下した男の人物像であった。
「ならば私も共に行こう。ガンダムとしてあのような存在を許す訳にはいかん」
何故だか、押し付けるように額に付けられてしまった『GUNDAM』のプレート。
正直邪魔でしかないが、男は外すことを許そうとしない。
男―――自らをガンダムと呼び、またT0MMYをガンダムと呼ぶ男。
男は自らの名をグラハム・ガンダムと言った。
完全に偽名としか思えない名であったが、名簿の中にグラハム・エーカーという名があった。
グラハム・ガンダムとは通称のようなものなのだろう。
「行くぞ、ガンダム! 私と君とでこの悪趣味な催しを叩き壊す!!」
悪い男ではないのだろう。
少なくともT0MMYにはそう思えた。
T0MMYは少しばかり思考しながら、首を縦に振る。
了承したのだ。
グラハムと共に殺し合いを打開することを、グラハムと共に戦うことを。
「…………」
「む? どうしたのだ、ガンダム?」
だが、行動は始まらない。
グラハムから視線を外したT0MMYは、押し黙ったまま暗闇の森林を睨み付ける。
追随する形でグラハムもT0MMYの見詰める方角へ視線を送る。
しかしながら、グラハムが視線を向けたことに意味はなかった。
視覚よりも先に、最も本能的な感覚が察知していたのだ。
トップエースとして数多の空を飛んできたグラハムの第六感が指し示す。
「―――やぁ、ヒューマン。そして鋼鉄の機械人形君」
圧倒的な力を持った、害敵の存在を。
「我が名はアーカード。ただのしがない吸血鬼だ」
闇の中から現れた人物は、赤色の外套と帽子を身に付けた大男であった。
その姿恰好はまるで血を頭から被ったかのよう。
表情は何とも歪んだ笑みに染まっており、本能レベルでの警戒心を植え付ける。
饒舌だったグラハムは押し黙り、ただ呆けたかのようにアーカードを見詰めていた。
身構えることすらできずに見惚れてしまっていた。
人外の存在との初めての邂逅に、グラハムは初めてガンダムを見た時と同様に見惚れていた。
だが、心中に高揚はなく、種族という枠すら異なる存在に心胆を寒からしめるだけであった。
「さぁ、始めるぞ。我が再びの闘争を――――――!!!」
動けぬグラハムを後目に、吸血鬼が跳ぶ。
再開された殺し合いに胸をときめかせながら、一足飛びで開かれていた間合いを詰める。
一瞬で間合いはその両腕が届く間合いとなった。
- 845 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/04(日) 20:02:45
- 「下がれ」
そして、吸血鬼の脳髄が弾け飛ぶ。
ヴォルベ・スコーピオから放たれた三点射の弾丸が、アーカードの頭部を吹き飛ばしたのだ。
銃撃は止まらない。豪雨の如く降り注ぐ弾丸がその身体をも削り殺す。
ワンマガジンを打ち切って、ようやく銃撃は止まった。
場に残されたのは、ボロボロのゴミクズのようになったアーカードの残骸だけであった。
「……すまない、助けられた。流石はガンダムといっておこう」
申し訳なさげな表情を浮かべるグラハムに、T0MMYは視線を向けない。
ただ沈黙をもってアーカードだった物体を見下ろすだけであった。
ヴォルペ・スコーピオの銃口も下がらない。
グラハムの眉根が当惑に吊り上った。
ガンダムは何を警戒している? と思いつつ、グラハムも自身の警戒心を上げる。
「く、はは、」
同時に、再び感じ取った。
本能へと押し寄せる脅威を。
まるでそれぞれが生きているかのように蠢き、赤色が集結していく。
「いいぞ。いいぞ、ヒューマン」
集結した赤は形を成し、個体と化す。
怪物に、アーカードという不死王へと回帰する。
グラハムは今度は驚愕に言葉を失った。
完全に死亡した筈の存在が、まるで何もなかったかのように復活したのだ。
驚愕するなという方が、遥かに無理がある。
「……逃げろ」
ポツリと呟かれたのは、相棒たる存在からの逃亡の指示。
その言葉に、自失にあったグラハムは我を取り戻す。
「ふっ、それはナンセンスだな」
グラハムはデイバックから一丁の拳銃を取り出し、構えた。
決して引かず、T0MMYと並び立ち、復活したアーカードを睨む。
「如何なる物の怪が相手であろうと、私は退かんよ。何故なら、私は―――」
向けられた二つの銃口に、人外の怪物は心底楽しそうな笑みを浮かべる。
その狂気の視線に、グラハムは怯まない。
何故なら、
「―――ガンダムだからだ!!」
彼は、ガンダムだから。
エースボーダー、ガンダム、不死王。
混沌極まる戦いが始まろうとしていた。
【一日目/深夜/B-3・森林】
【クーガーのT0MMY@T0MMYのボーダーブレイク】
[状態]健康、クーガーS型、ガンダム(?)
[装備]ヴォルペ・スコーピオ@T0MMYのボーダーブレイク、強化型Gランチャー@T0MMYのボーダーブレイク、
SW−ディアダウナー@T0MMYのボーダーブレイク、AC−マルチウェイ@T0MMYのボーダーブレイク、『GUNDAM』のプレート@武力介入できないCB
[道具]基本支給品一式、
[思考]
基本:殺し合いを阻止し、勝利する
1:グラハムと共にアーカードを倒す
2:ガンダム……?
[備考]
※姿はクーガーS型そのままです
【グラハム・エーカー@武力介入できないCB】
[状態]健康、ガンダム
[装備]拳銃@現実
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
基本:私がガンダムだ!
1:ガンダムとしてアーカードを倒す
2:T0MMYもガンダムだ!
- 846 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/04(日) 20:06:38
- 【アーカード@パロロワMAD(アニロワ1st)】
[状態]健康
[装備]ジャッカル@アニロワ1st
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:見的必殺。殺し合いを楽しむ
1:眼前の人間達と戦う
【動画紹介】
・T0MMYのボーダーブレイク
ハイスピードロボットチームバトル「BORDER BREAK」のプレイ動画。
その腕はまさにクーガー全一。数あるボーダーブレイクプレイ動画の中でもトップレベルの腕前。
脅威の目押しとAIM、グレネード狙撃、マルチウェイを使用しての変則高速移動からの近接攻撃など戦闘技術が半端ではない。
・武力介入できないCB
機動戦士ガンダムOOのMAD。本編のシリアスさからはかけ離れたネタMADである。
(ド外道集団)ソレスタルビーイングが織り成す人類革新の物語にこうご期待。
【支給品紹介】
・『GUNDAM』のプレート@武力介入できないCB
武力介入できないCB2nd part3にて、ビリー・カタギリの手によってマスラオに装備されたパーツ
これを付ければ誰でもガンダムに。その効力たるや凄まじいもので、ガンダム馬鹿もガンデレ上級大佐すらもガンダムと認める程の効果がある。
俺も、お前も、ガンダムだ!
- 847 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/04(日) 20:32:37
- 投下終了です
- 848 : ◆Hades.lnSM:2011/12/14(水) 19:40:09
- schoolオリロワ、psp投下します
- 849 : ◆Hades.lnSM:2011/12/14(水) 19:57:23
- ◆sWPde7Q8zkこと蒼浦誠都は、D-2の映画館で映画を鑑賞していた。
彼はバトルロワイアルのパロディ小説の書き手だったが、いざ本番の殺し合いともなれば行動指針が全く固まらない。乗るか乗るまいかもまだ迷っている、そんな状態。
そこで映画館の中を探索していると、偶然にもまだ公開されていない新作映画のフィルムを見つけた。誠都が好きなシリーズの映画だったこともあり、つい鑑賞を始めてしまった、という訳だ。
しかも見ているとこれがまたなかなかどうして面白い。
今までの過去作とは比べられないほど面白く、上映開始20分で手に汗握る展開となっている。誠都はもはやバトルロワイアルということを忘れていた。
「すげえ……これ、やべえよ……!!」
目を輝かせる誠都。
スクリーンの中では二人の人間が激しい攻防を繰り広げている。
しかし彼は気付かない。その背後に立つ少女の姿に。
ダァン!!
という、鋭い破裂音が響いた。
「が……ぐぅッ……!?」
誠都の首に弾丸が着弾したが、即死には至らず血が迸る。
放っておけば死ぬだろうが、誠都は素直に死を受け入れる気はなかった。
ポケットに入っていた、支給品のシャープペン。
- 850 : ◆Hades.lnSM:2011/12/14(水) 20:17:34
- 「喰らってーーーーみやがれっ!!」
それを、背後の『誰か』に振り返りざまに投げつけた。
死に際とは思えない力で投擲されたそれが襲撃者に当たったかは誠都に知る術はない。知る前に、FN SCAR-Lの弾丸がその頭蓋を撃ち抜き、命を奪っていたのだから。
蒼浦誠都は今度こそ確実に絶命した。それは確かめるまでもない。
「手こずらせ、やがって………はぁ、ッ……!!」
阿蘇部亜紀は、片目から血を流しながら吐き捨てる。
まさか反撃されるとは思ってもみなかった。
その顔面を憎悪に歪めて、絶命した誠都に更に弾丸を撃ち込む。
悪鬼のように、何度も。
「あら?………先客かしら」
上映室の入り口に立つ銀髪碧眼の日本人離れした少女。
阿蘇部はその顔を見て、無言で銃口を向ける。
少女・九柳祠織を認識した刹那に、殺害することを決断した。
「諦めろ、悪人。あたしは今からあんたをぶち殺す」
「ふふっ。いきなり随分な言い草ねえ、亜紀」
「死ね」
引き金を引いた。ただそれだけ。
何も変わらない。
弾は出ないーーーーー即ち、弾切れを意味していた。
祠織が近付く。
半ば自暴自棄になった阿蘇部が殴りかかるが、組伏せられる。
そして。
- 851 : ◆Hades.lnSM:2011/12/14(水) 20:25:23
- 邪悪な笑みを浮かべた祠織のポケットから、一本のメスが取り出された。
この世で最もしなやかな刃物、メス。
「ちょっ、ちょっと!九柳ィ!!待てよこの、」
「九柳ねえ。出来の悪い妹を思い出すからその名字嫌いなのよね、私」
血が飛び散った。
残されたのは、血の海で微笑む殺人鬼ただ一人。
武道の達人、別名『完璧超人から心を取った何か』。
九柳祠織は、ただただ壊れ物の笑みをその顔に浮かべた。
【青浦誠都(◆sWPdk7Q8zk)】
【阿蘇部亜紀】 死亡
【残り38/47人】
- 852 : ◆Hades.lnSM:2011/12/14(水) 20:32:24
- 【深夜/D-2】
【九柳祠織】
[状態]血塗れ、恍惚
[所持品]メス、FN SCAR-L
[思考・行動]
0:とにかく楽しむ。
1:出来損ないの妹は必ず殺す。
【蒼浦誠都】
書き手。映画好きで、部活には所属していない。
【阿蘇部亜紀】
不良グループの一員。九柳祠織に並外れた忌避感を覚えている。
【九柳祠織】
女子空手部主将、何をやらせても武術なら完璧に会得して使いこなす。
九柳やよいの双子の姉で、自分に劣るやよいを激しく嫌っている。
また、人間らしさが欠けており、基本的に躊躇うことがまずない。
- 853 : ◆Hades.lnSM:2011/12/14(水) 20:33:00
- 投下終了
題名:狂咲き
- 854 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/14(水) 21:52:44
- 投下乙です。
規制されてたのでこちらに投下します。
DOL4th37話 魔法(装)少女のタタカイカタ
登場人物:相川歩、鹿目まどか、イムカ
- 855 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/14(水) 21:53:53
- 37話 魔法(装)少女のタタカイカタ
----
「……あのー、起きてくださーい」
「…………ん」
女の子の声に俺は起こされる。
今のは何時だろうか。
周りに時計はないけど、明るいから昼間だということはわかる。
よし――――寝よう。
俺は再び意識を闇の中へ―――――。
「起きてください!」
「……はぁ」
やっぱだめだった。
重い体を起こしながら女の子を見る。
ピンク色の髪の、そして何やらフリフリな服を着ている。
そして手には―――弓をもっている。
持ってはいるが使ってこないということは、攻撃する気はないようだ。
「……えーと、俺を起こすのはあんたか?」
「かれこれ2時間くらい起こしていたんですが…」
どうやらそんなにも起こされていたらしい。
しかし、昼間から起こされたらたまらない。
現にこの俺の敵のお天道様が…。
「あれ?」
「え、どうかしましたか…?」
「い、いや…なんでもない」
どういうことだ?
俺は確かに今…陽にあたっている。
それがどうした、と普通の人なら言うだろう。
だが、俺は違う。
俺は――――ゾンビなのだ。
だから、日にあたって無事なんて、あるわけがない。
「……」
あの男が、ユーの力を超えているのか。
それとも、あの太陽が偽物なのか。
それは今の現状では分からない。
- 856 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/14(水) 21:54:31
- まあ、正直言って分かったところで、あいつをぶっ飛ばせば済む話だ。
◆ ◆
「……えーっと、魔法少女?魔装少女じゃなくて?」
「魔法少女です…」
「時をすっ飛ばした」とかいった感じだ。
過程は省略する。
……さて、今俺は自己紹介途中に意味不明な単語を聞いた。
魔法少女―――魔法を使ってキャキャルーンとかやるあれだ。
だが、それはあくまでテレビとかでやるもの。
しかし、目の前には魔法少女を名乗る女の子。
……普通なら信じないが、ゾンビがいるならきっと魔法少女もいるんだろう。
そんな簡単な理由で、俺は話を信じた。
「……まぁ、別に疑う理由もないしさ…信じるよ」
「あ、ありがとうございます」
まどかちゃんはニコッと笑った。
ああ、可愛いな。
そう思った。
だが、その油断が原因なのかわからない。
俺の右腕は、地面に落ちた。
そこからは異常な量の血液が―――。
「きゃあああああああああああああ!!」
おいおい、叫ぶなよまどかちゃん。
俺はこんなもんじゃ死なないさ。
だって俺は―――ゾンビだからさ。
「………あんた、誰だ」
「名乗る義理はない」
俺が振り向いた先にいたのは、鎧を着たこちらもかわいい女の子。
だが、雰囲気が全然まどかちゃんとは違う。
人殺しの雰囲気…殺気だけでいえば、京子を彷彿とさせる。
「……何故あんたは殺し合いに乗るんだ」
「答える義理はない」
少し、こちらに近づいてきた。
向こうが持っているのは、普通の剣だ。
グラディウス…だったっけか?
それには俺の右腕を切った時に出た血液がついている。
「……100%」
ゾンビだからこそできる、人間の限界を超えること。
相手がその気なら、俺だって使わせてもらうぜ。
右足に力を入れ、放つ。
一気に女の子のところに飛ぶ。
右手は今現在切られて無い、だからと言って左腕でやってもダメージはないだろう。
だから、飛んだ勢いでそのまま蹴る。
俗に言う、ライダーキック状態だろう。
だが、それは見事に避けられてしまう。
そしてそのまま壁に激突して、外にまで出てしまう。
器物損害で訴えられるぞ俺。
「……甘い」
今度は剣を俺の頭に突き刺そうとしている。
あれ、なんで動けないんだよ。
早く逃げなきゃ動けなくなるぞ、俺。
- 857 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/14(水) 21:56:31
- あ―――――そうか、足が切られているんだ。
もう駄目だ、こりゃあ死にかけるな。
「死なせたくない…絶対!」
声が最後に響いた。
そして、俺の意識は再び闇に消えた。
◆ ◆
「……歩さん」
戦いは終わった。
結果的に、鹿目まどかは勝った。
敵は逃がしたが、それがまどかの優しさである。
誰も殺したくない――――それが鹿目まどかの願いである。
そして、誰も死んでほしくない。
しかし、彼女の眼の前に会ったのは、足が二本、腕が一本切られて血まみれになった死体だけだ。
「ごめんね…私がもっと早く助けていれば……」
彼女は涙を流した。
しかし、彼女には一個だけ間違いがあった。
それは、相川歩が死んでいないことだ。
相川歩は、辛うじて生きてはいる。
この後どうなるのかは、また別のお話。
【午後/F-3温泉旅館】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]弓矢、ソウルジェム(濁り微量)
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:歩さん……
2:さっきの人は…?
3:ほむらちゃんを見つけたい
4:マミさんとさやかちゃんと杏子ちゃんは…?
[備考]
※アニメ版9話終了後からの参戦です。
※魔法少女化の代償である願いについては不明です。
【相川歩@これはゾンビですか?】
[状態]右腕、両足切断、出血(極大)、気絶
[装備]
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:どうしようか…。
1:……
2:ユーとハルナを探す
[備考]
※小説1巻終了後からの参戦です
※ゾンビとしての治癒力は大分制限されています
「……油断した」
相川歩と戦った後、イムカは温泉旅館から離れていた。
彼女は最後までは圧倒的に有利だった。
しかし、彼女の唯一の油断―――鹿目まどかが戦えたこと。
相川歩の腕を切った時の反応は、一般人同然だった。
それが、まさかあれほどとは。
右手に残っている、刀身が折れたグラディウスを見る。
たったの1度で壊された、この刀。
「……もう油断はしない」
だが、これしきで止まっていられない。
敵をとるために、止まれない。
イムカ―――彼女は武器を求めて歩き出した。
【午後/F-3】
【イムカ@戦場のヴァルキュリア3】
[状態]健康
[装備]グラディウス(破損)@現実
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:復讐のため、死ぬわけにはいかない
1:武器がほしい
2:クルト、リエラは…
[備考]
※第18章「月夜の決闘」開始前からの参戦です。
- 858 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/14(水) 21:57:28
- 投下終了です。
- 859 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:37:48
- 投下乙です。
自分も俺ニコロワ投下します
- 860 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:39:09
- 俺ニコロワ05話:スザクを探せ
「くそっ、殺し合いだなんて何て事を……!」
暗闇の森林を走り抜ける人影があった。
足元も安定せず、周囲も暗闇に染まった中でその人影は物凄い速度で駆ける。
心中に宿るは、余りに真っ正直すぎる正義感。
こんな殺し合いでは誰も殺させない。例え殺し合いに乗った人がいても説き伏せてみせる。
少年は純粋だった。
純粋なまでに正義を心酔し、それを実行するべく駆けていた。
少年の名は枢木スザクという。
スザクは己が信じる正義を想って、行くあてもなく疾走していた。
弱きを助け、殺し合いを打開する為に。
軍人として、何より大きな罪を犯してしまった罪人として。
枢木スザクは夜中の森林を駆け抜ける。
既に殺し合いが始まって数十分の時間が経過している。
スザクは殺し合いの時間の殆ど全てを走り続けているが、不運なことに他の参加者と出会うことはなかった。
本当に殺し合いが始まっているのか、疑問に思えるほどの静寂がスザクを包んでいた。
(早く殺し合いを止めなければ、犠牲者が増えていく……! だが、止めようにもこの首輪がある。
首輪により命が握られている現状で、人々を止めることができるのか……!? ルル−シュ、君だったらどう動く……!)
心中を占める正義感の裏には、誤魔化しようのない焦燥感があった。
命が握られている現状に、活路が見出せない。
首輪を外し、殺し合いを止め、先の謎の存在を打倒する。
思わず脳裏に、自分より遥かに頭脳明晰な親友の姿が浮かぶ。
彼ならば、彼ならば、もしかしてこの五里霧中の状況すらも打開できるのではないか。
この場に呼ばれてもいない親友の姿に、ありもしない希望を抱いてしまうスザクであった。
森林が開ける。
建物があった。
横長の四階建てほどの巨大な建物が、脈絡もなく唐突に森林のど真ん中へ鎮座していた。
「……これは……」
視界一面を覆う建築物にスザクは走りを止める。
スザクはデイバックから地図とライトを取り出し、灯りを灯しながら地図を見た。
この殺し合いの場は五キロ四方の森林から成り立っているようであった。
五キロ四方の会場は、更に一キロ四方の二十五の区域にて分けられている。
殺し合いの場にはいくつかの施設があるようであった。
おそらく自分が辿り着いたこの建物も何らかの施設なのだろう。
そう思考しながら、スザクは地図と建物とを見比べる。
建物の正面口。ガラスの自動ドアの上部に、看板が設置されていた。
本来は存在しなかったものを後から追加したのだろうか。
その看板はスザクからすると何だか浮いているように感じた。
看板には『機動六課隊舎』と記されている。
機動六課とはどのような組織なのか、今は亡き日本軍にもブルタニア軍にもそのような名の部隊はなかった筈だ。
スザクは小さな疑念を思いながらも自動ドアの前に立つ。
この施設の中に誰かいるかもしれないと考えての行動であった。
「あ……!!」
そして、彼の予想は見事に命中した。
自動ドアを開いて直ぐのところにあるロビー。
大きく開けたその空間に、一人の女性が立っていたのだ。
肩まで伸びた茶色がかったショートヘアに、服装は……何というか奇抜なものであった。
白を基調としたジャケットに黒のインナーにミニスカート。
何より目を引くのがその背中に光る、黒色の翼(?)のようなものが六枚。
そしてその華奢な手が握る、円と十字架が組み合わさった作り物が先端に付けられた金色の杖。
容姿からしてスザクよりも大分年下、おそらく小学生だろうが、どうにも大人びた印象を受ける女性だ。
何より顔が整っている。後数年もすれば美人な女性になるのだろう。
少女は堂々と入口から入ってきたスザクに気付く様子はない。
一人で真っ暗なロビーの真っ暗な天井を見上げている。
「あの、ゴメン」
念のための警戒を抱きつつ、何があろうと直ぐさま対応できるよう身構えながら、声を掛ける。
女性は驚いたように体を震わせ、スザクの方へと顔を向けた。
正面から見る少女は、やはりながら可愛らしいものであった。
「僕は枢木スザクっていうんだ。えっと、君は……」
殺し合いに乗っていますか、という問いを何とかオブラートに包んで言おうとした瞬間であった。
スザクは、気付く。
眼前の少女が醸し出す異様な雰囲気に。
- 861 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:39:48
- 「ほう、興味深いな。少年、私に気付かれることなくどうやって接近した」
整った顔立ちとは裏腹の、歪と断じるには些かの躊躇いも覚えぬほどの、殺気。
スザクは女性の問いに、返事を返すことができなかった。
外見からはまるでかけ離れた殺気に、スザクは動きを忘れていた。
「警戒を怠っていた訳ではない。ここには、花も散らさぬ顔をして中々味のある魔法少女もいることだしな」
その少女……少女のような姿をした何かは、笑みを浮かべてスザクを見据える。
数秒の時間の経過が、スザクを窮地から救った。
無言で息を吸い、スザクは裂帛の気合いとともに右足を振りぬいた。
歪んだ笑みをたたえた女性の顔面へと。
「効ーかなーいよーー」
スザクのハイキックは、少女の笑みを崩すことさえできなかった。
余裕綽綽で受け止められた一撃に、スザクの表情が焦燥で染まる。
手加減などない全力の一撃であった。
なのに少女は易々と反応し、受け止めた。
見た目は小学生程でしかない少女が、日本拳法の熟練者であり、軍人として体を鍛えぬいてきたスザクの蹴りを止める。
異質な光景が薄暗い世界に広がっていた。
何より掴まれた足を通して伝わる女性の力。
人間離れした何かを、スザクは感じ取っていた。
「く……そぉっ!」
掴まれた右脚を軸にして、スザクは完全に身体を地面から浮かし、左脚を振るう。
不安定な体勢で放たれた筈の一撃は、少女からしても予想外の一撃だったのか、その側頭部を叩く。
右脚の戒めが僅かに緩み、少女も僅かに体勢を崩す。
その隙に、スザクは全力で疾走した。
スザクの瞳は赤色に染まっていた。
「私から逃げるつもりか。だが、そう簡単に逃がすと思うか?」
スザクを追って、少女も動く。
スザクが飛び出していったガラス戸から外に出て、周囲の様子を確認する。
少女とスザクのタイムラグはほんの数秒。
幾ら外が暗闇で周囲が森林であったとしても、たった数秒で少女の知覚の外域へと逃げられる訳がない。
だが―――、
「……ほう」
スザクの姿は、消えていた。
少なくとも、少女が認識できる範囲からは。
まるで存在そのものが消え失せてしまったかのように。
忽然と消えてしまった。
少女は笑みをより深く、歪なものへと変貌させた。
「面白い。面白いぞ少年。私から、この私から、犬畜生のように逃げ果せるというのか」
堪え切れぬ笑い声を外へ漏らしながら、少女はどのような原理か空に飛びあがった。
そして金色の杖を掲げ、スザクが逃げて行ったであろう眼下の森林を見やる。
白銀の光が掲げられた杖の先端へと集結していき、球体状に蓄積されていく。
光は徐々に巨大化していき、遂には少女の身長と同等程の大きさとなった。
「―――ディアボリック・エミッション」
そして、振るわれた杖に伴って、光が炸裂した。
光は森林へと直進し、地面に激突すると同時にドーム状に広がっていく。
木々を薙ぎ倒し拡大していく光の渦に、数瞬ながら世界を染め尽くされた。
破壊は凡そ十数秒にも及び、世界に甚大な傷跡を残して消え去った。
およそ半径二百メートルほどのクレーターが出来上がり、森林が焦土と化す。
これに巻き込まれれば人間の一人や二人など影も残さないだろう。
壊滅の森林を見下ろしながら、少女は大きく笑った。
狂ったように、笑い続けていた。
【一日目/深夜/B-5・機動六課隊舎前】
【八神はやて(DFMG)@遊戯王なのはMAD】
[状態]健康、レベル3、CV(中田譲治)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:殺し合いを満喫する
1:参加者を殺害して回る
2:なのは(WDMG)、フェイト(BKMG)はどうするか保留。とりあえず警戒はしておく
[備考]
※再戦! 遊戯・獏良vs社長・凡骨 【中編Cパート】からの参戦です
- 862 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:40:36
- ◇
「ハッ、ハッ……何なんだ、あの女の子は」
そして、破壊し尽された森林の直ぐ近くで、枢木スザクは肩で息をしながら座り込んでいた。
おおよそ彼が出せる全力で逃亡をした。
その超常的な身体能力も相まって、驚異的な範囲攻撃からも逃げ切ることができたのだ。
「くっ、あの特技がなければ今頃は……!」
何より、もう一つ。
枢木スザクが先の少女から逃げ果せるのに必要不可欠な能力があった。
いや、この能力があったからこそ逃げられたと言った方が正しいだろう。
その特技とは、『背景にまぎれ、自分の存在を他者から限りなく認識しづらい状態にする』といったもの。
特技というよりは最早能力というべきか。
少女が外に飛び出し周囲を見渡していた時、スザクは、その視界内で隠れることもできずに森林に向かって走っていた。
だが、そのスザクの姿を少女は認識できていなかったのだ。
最初の邂逅時、スザクが少女の警戒網を縫って接近できたのもそう。
スザクの能力があったからこそ、少女はスザクを認識できていなかった。
この能力がなければ少女に捕まり、スザクは早々に死亡していただろう。
「どうする……あの女の子は何としてでも止めなくては……! くそっ、そもそも何故僕はあの女の子から逃げたんだ……!?
あのような危険な存在こそ、僕が止めなくてはいけないのに……!」
軍人としての自分と自分が選択した行動とのギャップに戸惑いながら、スザクは小さく舌を打つ。
その戸惑いは『ギアス』というまた別の理由が存在するのだが、それは今の彼に知る由はない。
「ニャ、君はレアモノかにゃ?」
そしておそらくは、これから先の未来も―――。
『他者から認識がされない』スザクの目の前に現れたのは、先の少女以上の奇抜な恰好をした存在であった。
中性的な顔立ちにネコのような獣耳と尻尾。
ピコピコと耳と尻尾とを愛くるしく震わせながら、その存在はスザクを正面から見据え、『認識』していた。
ただ愛くるしい様相とは裏腹に、やはりながらの殺気が―――ともすれば先の少女以上に禍々しい殺気が、スザクを包んでいた。
どうやって自分をこの森林の中から探し出した?
何故、自分を認識できる?
何故? どうして?
疑問が限り無く沸き立つ混乱状態の中、スザクは無意識の内に動き出していた。
ただ『生きる』為だけに。
「うーん。今は王もこの場にはいないし、君はさっきの子と違って戦力にはならなそうだし……」
だが、弱者が見せる儚い抵抗など、絶対的強者からすればないに等しい。
逃げ出すスザクの背中を見詰めながら、それは余裕綽綽に楽しげな笑顔を浮かべるだけであった。
「―――食べちゃおっか♪」
言葉の後で、それは一歩だけ前に踏み出した。
軽く踏み出したその一歩は、スザクが見せた全力の逃亡に易々と追いすがる。
(生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ……!!)
―――ガブリ。
(生き―――あ、)
スザクが最後に認識した音は、ただ生々しいものであった。
【枢木スザク@ニーサン 死亡確認】
◇
- 863 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:41:24
- ◇
「うーん、レアモノじゃなかったのかな? あんま美味しくないや」
スザクを殺害した存在―――ネフェルピトーは、期待外れといった様子でそんなことを呟いた。
遠くから見た森林を焼き尽くす光に、光を放った人間。
そして『円』にて発見した、森林にて隠れていた人間。
何故だか、自分を見て信じられないものを見たかのように驚いていたが何だったのだろうか。
隠れているにしては不用心であったし、『円』ではその存在が克明に感じ取れた。
食べてみても、あまり美味しくない人間であった。食用としても及第点に届かないハズレだ。
もう一人の光を放っていた人間は利用価値があると感じた。
見た感じでは殺し合いに乗っている様子であったし、何よりあの強大な力。
利用できる、とピトーは思っていた。
「……『円』の範囲にはさっきの人間以外はいないみたいだにゃ」
今、ピトーがやらねばならぬことは二つ。
王の元へいち早く帰還する事と―――とある人物の排除。
優先度で言えば、今現在は後者の方が遥かに高いものとなっていた。
ゴン=フリークス。
王にも届きうる牙を有した最重要危険人物だ。
(……ゴンを倒す為には力がいる)
ピトーには記憶があった。
驚異の変貌を遂げたゴン=フリークスに殺害されるその記憶。
ゴンの強さ、恐ろしさを、ピトーは身を以て知っていた。
そして、そのゴン=フリークスは先の場にいた。
殺し合いが始まる寸前に集められた、あの謎の空間。
謎の存在が人間を殺害したあの空間。
ゴン=フリークスがいたのだ。自分と対峙した時と同様の、圧倒的で絶対的な力を有した状態で。
(大きな代償を払わねば成しえないと思っていた変貌……だが、奴は変わらぬ力とオーラであの場にいた……)
あの変貌は、自分と戦う事で終了するものとばかり思っていた。
自分を倒すためだけの、多大な代償を払うことによる超常的なパワーアップ。
それがあの姿だと思っていたのに、予想は外れていた。
ゴンは変わらぬ強大さを以て、あの場にいた。
寒気がする。
王にも届きうる牙。
実力的にも、精神的にも、人間の中で最も危険だと断定のできる存在。
奴がこの殺し合いで生き残り、王の元へと辿り着いてしまったら。
今までは皆無だった可能性が、万が一ではあるものの、浮かび上がってしまう。
許せない。許すことのできない事態である。
(ならば、殺す……! どんな手段を使っても、例えこの命が失われようとも、アイツは絶対に……!)
だから、ピトーは考える。
ゴンを殺害する方法を。
- 864 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:42:23
- (幸いこの殺し合いにはされなりに腕の立ちそうな人間がいる。その人間とゴンとをぶつけ合わせれば……)
他の参加者とゴンとを戦い合わせる。
勿論、こんな事でゴンが殺害できるとは思えない。
ただ少しだけ、ほんの少しだけでも、その力を削ぎ取る事ができれば良い。
体力でも、オーラでも、精神的なものでも良い。
少しでも弱まったところを、自分が突く。
全力で戦い、命を捨ててでもゴンを殺害する。
それが叶うのならば、後はどうでも良い。
ただ、王の為に。
それが自分の生きる理由である。
(強者は泳がせ、ゴンとぶつかるまで待つ。邪魔となる弱者はいち早く王の元へと帰還する為にも排除していく)
ピトーは暗闇の森林を行く。
他の為に命を賭けられる生物。
滅私のキメラアントがバトルロワイアルの会場に立つ。
「王……」
ただ一人の少年を殺害する為だけの剣。
それが今のピトーであった。
【一日目/深夜/B-5・森林】
【ネフェルピトー@HUNTER×HUNTER】
[状態]健康、満腹
[装備] なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:ゴンを殺害する
1:強者は泳がせ、ゴンと戦わせる。弱者は殺害する
2:『円』で周囲を探りながら参加者を探索。
[備考]
※原作、死亡後からの参戦です
【動画紹介】
・ニーサン
ニーサンを探せ。背景にさり気無く混ざるニーサンとスザクを探せ!
・HUNTER×HUNTER
ボ
・遊戯王なのはMAD
様々なキャラを、遊戯王のオリジナルカードとして参戦させたクロスMAD。元動画は削除されました。
外道王AIBOが繰り出す数多のリリカルカード……この残虐非道な魔法少女たちを止める術はあるのか!?
- 865 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/14(水) 22:43:15
- これにて投下終了です。
- 866 : ◆6LQfwU/9.M:2011/12/14(水) 23:33:06
- 久々にマイナーロワ投下いたします
タイトル:世界違い
登場人物:滝沢佑馬、◆9QScXZTVAc
- 867 : ◆6LQfwU/9.M:2011/12/14(水) 23:33:38
- しまった、本スレと間違えて書き込んでしまいました……
- 868 : ◆9n1Os0Si9I:2011/12/15(木) 19:28:17
- 投下乙です。
自分も投下します。
変哲オリ1-2です。
- 869 : ◆9n1Os0Si9I:2011/12/15(木) 19:29:01
- 「よし、ではいいな…では名簿番号1番浅倉翔から荷物を受け取って出ていけ!」
どうやら俺かららしい。
異常なほどの吐き気を抑えながら立ち上がる。
俺、浅倉翔は正直言って、人を殺すなんてしたくない。
それも、クラスメイト同士でと来た。
荷物を受け取り、廊下に出ようとする。
「………」
ああ、駄目だ……怖い。
このまま外に出たらどうなるんだ?
すぐに殺されるかもしれない。
出たくない、死にたくない。
でも……行かなければ、俺も津村のようになる。
行かなくてはいけない…。
だから動けよ、俺の足……。
行かなきゃ殺されるんだぞ?
頼むよ、なんで震えて動けないんだよ。
「……何を呆けている、行くぞ」
後ろから救世主の声が聞こえた。
それはいつも聞きなれている声―――宇田川龍磨のものだ。
背中を押されて、俺はそのまま外に出る。
廊下に出る、龍磨は相も変わらず俺を押す。
こいつは俺を殺す気なのか。
わからない、でも―――これは殺し合いなんだ。
一人しか生き残ることはできないんだよ。
それが例え……「生き別れた双子」であってもだ。
- 870 : ◆9n1Os0Si9I:2011/12/15(木) 19:29:31
- 昔の話をしたいと思う。
俺は5月9日に生まれた。
しかし、珍しいようなことがあった。
二卵性双生児、この世にともに生まれてきた人間が一人だけいた。
それが――――宇田川龍磨だ。
俺たちは生まれて、2年間で別れてしまった。
理由は簡単、親の離婚だ。
何かいざこざがあって、俺達は離れ離れになった。
だが、俺が龍磨と再開した。
中学に入って、すぐにあった入学式。
そこで俺は、再び出会った。
しかし、長らくは離れていた俺達は性格などもすべて変わってしまった。
双子であろうとも、違う。
俺―――浅倉翔は優柔不断な奴に。
あいつ―――宇田川龍磨は日本男児が似合う硬派な人間に。
変わってしまったのだ、いつの間にか。
それからは、毎日喧嘩のようなものばかりしていた。
喧嘩するほど仲が良い、というのが本当なら、俺はどれだけ嬉しかったか。
でも―――あいつは俺を恨んでいる。
次はあいつ―――宇田川龍磨がどんな人生を歩んできたか教えてやろう。
俺の人生は、母さんに優しく育てられた幸せな人生だった。
不自由はあった、それでも楽しく過ごしていた。
だけど、あいつは俺とはまるで正反対だった。
いや、金が無いという点が一緒ではある。
あいつは父親に虐待を受けていた。
人には見せたがらないが、体中に傷があるのだ。
それほどにまで傷が残る虐待をあいつは、12年間も受けていた。
3歳から15歳―――普通ではありえないようなことだ。
でもあいつは、虐待に耐えた。
そしてこの前、父親が死んだ。
闇金の奴らに追われたあげく臓器を売られ死んだとは聞いた。
ざまぁない終わり方だとは思ったが―――その代わり残った借金はあいつが背負っている。
つまりあいつの人生は最悪そのものだった。
でも―――このゲームでそれは逆転できるかもしれない。
俺と龍磨は知っていた。
このバトルロワイアルと呼ばれるプログラムについて。
正確には、教えられていた――の方が正しいかな。
龍磨の父親―――俺達の父親に教えられたのだ。
バトルロワイアルが復活すると。
そしてそれに優勝すれば、その後の人生が保障されると。
あのクソ父親は俺らを見てニヤニヤしていたが、まさか俺らが参加者と知っていたのかもしれない。
だが、それとなっては今はわからない。
あいつは殺されたんだから。
- 871 : ◆9n1Os0Si9I:2011/12/15(木) 19:30:02
- 「……俺を殺してくれ、翔」
外に出て俺が最初に言われた言葉は、衝撃そのものだった。
あいつが今言ったのは、自分を殺せだった。
普通なら、お前を殺す―――とでも言うのであろう。
「………待てよ龍磨、なんでだ?」
俺は、できる限り冷静を装って返した。
当然であろう―――弟に殺せと言われたら誰でも驚く。
驚かない方がおかしいというものだ。
だが、龍磨は何も言わずに日本刀を取り出した。
「りゅ、龍磨…まさかお前……」
「大丈夫―――兄上が僕を殺さないなら、僕が殺すだけだから」
「そういう問題じゃねぇんだよ!」
思ったよりもこれは重症だ。
どう話したところで聞いてはくれないだろう。
俺はバックを開いた。
そこに入っていたのは、でかでかとしたサバイバルナイフ。
これで、人を殺さなくてはいけないのかもしれない。
そう思うと、怖くなってきた。
「頼む兄上、それで僕を殺してくれ」
「―――――いやだよ」
「なんで死ななきゃいけないんだよ!殺さなきゃいけないんだよ!
俺達は何も悪くない!悪いのはあいつらなんだ!
戦争をもう一度したいからなんて理由のために俺達を戦わせるあいつらが悪いんだよ!
俺達が殺し合いをする義理なんてないんだよ!
なのに―――なんで殺せなんていうんだよっ!龍磨ぁ!」
俺の思いをぶちまける。
主催が聞いてたら、殺されるかもしれない。
そうは思うが、それとこれとは話が別だ。
弟が道を間違えたら正すのが兄だ。
だから俺は叫んだ、はずだった。
「運が、悪かったんだよ」
弟の考えを改めさせることなんてできなかった。
俺の思いを、たったの一言で消された。
叩き斬られたようだ。
「だったら、俺が優勝する―――さようなら、兄上」
龍磨が刀を振り上げる。
ああ―――――俺は死ぬのか。
弟はこのまま、俺を殺して他の奴も殺すのだろうか。
そんなことはわからない。
でも―――たったの一つだけわかることがあった。
- 872 : ◆9n1Os0Si9I:2011/12/15(木) 19:30:38
-
俺は、死にたくない
気付いた時には、俺の体に赤い染みがついていた。
その染みは鉄の匂いを放ち、鼻に触る。
そして、だんだんと現実に戻される。
現実に戻った時
「――――――――あ」
少年は壊れる。
「ああ、あああ…」
ただ呻き声を上げる。
自分が殺してしまった。
殺し合いなんてしないと言いながら。
弟を正すと言いながら。
しかし――――自分が間違えた。
自分が偉そうに言いながら、自分も命が惜しかった。
だから彼は――――弟を―――――宇田川龍磨殺した。
「あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
浅倉翔は、その重圧に耐えられなかった。
幸せに生きすぎていた彼に、この事実は酷すぎた。
そして彼はサバイバルナイフ片手に駆けた。
舞台は、分校前へと移る――――。
【残り 30人】
- 873 : ◆9n1Os0Si9I:2011/12/15(木) 19:31:09
- 投下終了です。
- 874 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/16(金) 19:44:53
- 投下乙です。過去が、悲しい……。
諸事情により、こちらへ投下します。
聖杯戦争っぽいオリロワ 4話 shady
- 875 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/16(金) 19:45:23
- 「ほぉ…私にお客様とは随分と珍しいではありませんか。」
精神異常者――――長谷川雫。
何重にも巻かれた手錠と足枷に被せられたヘルメット。
厳重に拘束された囚人服姿の女性は、不気味な姿に似合わず、流暢な敬語を話していた。
異常犯罪者。両性愛者。終末思想家。そして、未成年の男女十二名を強姦し惨殺した犯人。
彼女の表情はヘルメットで隠されていたが、何処からか不気味な笑い声が聞こえたような気がした。
「すごいな、超能力とか使えるんじゃないの?」
「聞いたことの無い声ですね。ご用件は何でございましょうか?」
「ここから出たい?」
◇
◇
『緊急ニュースです。連続暴行殺人の容疑で服役中の長谷川雫受刑者が脱獄しました。
警察の調べによると、何者かにより襲撃され、看守七名が死亡。
市長選挙も近く、テロの可能性も高いと見て警察は警戒を強めています。』
◇
◇
- 876 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/16(金) 19:46:07
-
「やれやれ、こりゃあ物騒な世の中になったもんだな。」
伊達坂浩二。階級は巡査長で、見た目はただの中年男。
カップラーメンをすすりながらニュースを見て、やる気があるのか無いのか分からない態度をとっている
横に座るのは、その相棒である私、海棠凪。
しばらくの間、関勝宏に代わって語り手をさせてもらいます。
ってなワケで、お喋りはここまでにしようかな。
「ったく、やる気あるんですか?」
「あったら、さっさと動いてホシをあげているっての。」
はいはい、やる気が無いんですね。
無いなら無いと言ってくださいよ。
そう言えば、長谷川雫といえば。
「そういえば、長谷川って先輩の
「おい!!!海棠。聞き込み続けるぞ!!!」
長谷川雫。女性なのに、連続強姦殺人犯。
って言っても、標的は女性と男性だったのであっているかどうか分からないけど。
これを話したら、伊達坂さんのかみなりがおちるからなぁ〜。
それは、伊達坂さんの……とっ、それについては追々、話すことにしよう。
今度、あなた達とお話できればのことですが。
「サボルなら、バレ無いようにしろっての。」
「サボってません!!」
パトカーのドアを開けると、辺りには梅雨時の五月雨が降り注いでいた。
渋々、諦め半分で買ったばかりの少々値のはるコートを濡らしながら走る。
走ってせいで、皮製の靴とスーツやズボンに泥が跳ねて、汚いまだら模様が完成した。
寒気が走り、鳥肌が立ち、あまりいい気分ではなかった。
黒いスーツに出来た、迷彩柄を丁寧にふき取ると、雨宿りするようにコンビニの屋根の下に入る。
「あっ、平沢さん。」
コンビニから出てきたのは、平沢健雄。麻薬組織と親密に結びついているという噂が立っている。
余り勤務態度もいいとはいえない。だが、警視庁のお偉いさんの甥にあたるため特別扱いを受けているらしい。
あくまでも噂。見た目は感じもよさそうで、勤務態度以外は真面目。
「海棠。ちょっと話したいことがあるんだ。来てくれないかな?」
手招きされるように入ったのは、人気のすくない裏路地。
見通しが悪く、地面にはゴミや不法投棄された物で埋め尽くされ悪臭が立ち込めている。
ふき取ったばかりのズボンのすそには気持ちの悪い小麦色の物体がこびれついていた。
いったい、こんなところで話をすることなどあるのか。と疑問に思うほど。
頭によぎったのは、平沢という男が、汚職警官であるということ。
嫌な予感はしていた。
「もしかして見ちゃったとか?」
「何を?」
「おっとぉ、見ちゃったか。出て来い、ゲオルク。」
誰かの名前を叫んだ。叫んだ相手は誰かも知らない。
西洋風の名前であり、なおかつ私の知らない奴の名前だとはすぐに分かった。
何人?と、下らない事を考えることしか私の脳みそじゃ出来ない。
私は、誰かも分からない奴に対して身構えるしか出来なかった。
「閣下。御用は何か?」
「この女、全て見ちゃったらしいから……殺せ。」
◇
- 877 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/16(金) 19:46:54
- ◇
海棠凪は死んだ。体中を血を噴出して、失血死したのだろう。
ピーピー叫んでいたが、もう死んでいる。応答は無い。
平沢にとって、殺されざる終えない状況だった。
海棠の携帯電話で、笑いそうな声をこらえながらも、救急車に電話する。
そしてわざとらしく、大声を上げて、海棠を心配したフリをした。
「女にまで殺すとか、こりゃ、好かねー奴だわ。」
「おっと、面倒なことになっちゃった。」
背後から聞こえた声。
平沢の肩に一発の銃弾が掠めると同時に、ポケットから携帯が許されたばかりの拳銃を取り出す。
テンガロンハットを被った青年は、動きが分かっていたかのように銃弾を回避する。
だが、青年の手には銃器は握られておらず、丸腰で笑っている。
銃器を捨てて勝負を諦めた、と平沢は油断した。
「バーカ。油断するんじゃねーよ。」
油断している。そう読まれていた。
人差し指から何かが発射されたところまでしか常人の平沢には分からなかった。
手に持っていたニューナンブM60の中心部分が大きく陥没した。
それはまるで、銃弾を受けたかのように。
「どうやら、お前は精霊のようだ。」
ヨハン・ゲオルク・エルザーは勘付くと同時に、襲撃者である青年、ビリー・ザ・キッドを睨みをつけた。
犯罪者であり英雄である二人。時代を超えた二人はお互いを警戒する。
固有能力。先に手の内見せてしまった、ビリー・ザ・キッドは不利である。
そして、ヨハン・ゲオルク・エルザーもまた不利な状況。
所有者の負傷。幸い軽傷であるが、戦闘に巻き込んで死ぬかもしれない。
両者が警戒して、一歩も動けない沈黙の空間。
ただ、そこには雨がアスファルトに落ちる音しか聞こえない。
「動くな。動いたら撃たせてもらう―――」
ビリー・ザ・キッドの首元に突きつけられた銃口が沈黙の空間を打ち破る。
彼の首元に、銃を突きつけるのは一人の中年刑事。
死体となって転がる海棠巡査の先輩である、伊達坂浩二。
彼の顔は無表情だが、言葉には感情は篭っておらず、冷たく聞こえた。
そして、聞こえたサイレン。すなわち、それを表すものは、警察が来たということだ。
「この場から、さっさと消えろ。そこに隠れているガキもだ。」
「ひいいいいいいすみません。」
「ったく、ビビりすぎなんだっつーの。逃げるぜ。」
闇の中へと消えていく、二人を見ながら、伊達坂刑事は銃口を平沢刑事へと向けた。
引き金には、殺意と力がこもり、今からでも射殺しそうな勢いであった。
平沢はその姿を見ても動じることはない。余裕の笑みを浮かべている。
精霊――――ヨハン・ゲオルク・エルザーも動きを見せていない。
「生憎、俺には高校生の子供がいるんだ。まだ死にたくは無い。」
「そうかい。俺が、浩二さんを殺しちゃうとでも思った?」
その言葉を聞いてもなお、銃口を向けたままであった。
そして、伊達坂はニューナンブM60の引き金に力を入れて、発砲しようとする。
が、その拳銃から銃弾が発射されることは無かった。
- 878 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/16(金) 19:48:40
-
「――――――――!?」
悲鳴にもならない声が、一人の中年刑事の口から漏れた。
伊達坂浩二は力なく膝から崩れ落ち、腹部が遅れて破裂する。
辺りのアスファルトには、内臓の液体と胃液、そして腹部の臓物が無残にも飛散した。
ドロリと赤き血の水溜りが、パックリと開いた伊達坂刑事の腹部から作られていく。
死んだ。即死。一目見るだけで、助かる見込みは無いと判断できる状況だった。
平沢刑事はその死体を、後目に落ちているニューナンブM60を拾い上げる。
そして、サイレンの音は徐々に近づいていた。
「ゲオルク、殺しちゃいけないだろうが…。」
「仕方ありません。癖なものなので。」
【2012 6/3 Sunday 】
◇
CLASS: 傲慢
所有者: 平沢健雄
真名: ヨハン・ゲオルク・エルザー
性別: 男
身長・体重: 187cm75kg
固有能力:不明
ステータス:筋力C 俊敏さB 耐久C 知能B 幸運A 能力別
[所有者紹介]
平沢健雄:男
29歳。南雲市警察捜査係の刑事。汚職警官。階級は不明。
見た目は感じ良さそうで、勤務態度以外は真面目。(勤務態度はサボり気味)
警視庁のお偉いさんの甥にあたる。実は裏で森久保組と親密に結びついている。
- 879 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/16(金) 19:50:00
- 投下終了です。なんか、参加者じゃない人ばっかり死ぬなぁ…。
- 880 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/16(金) 23:02:02
- 投下乙です。
投下します。
DOL4th38話 思わぬところの?
登場人物:◆VxAX.uhVsM、ユン・ジョウン、津本二三也、丹羽雄二
- 881 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/16(金) 23:03:29
- 「く………あ、あれ?」
◆VxAX.uhVsMが目を覚ますと医務室に居た。
なぜこうなっているのかすぐには思い出せなかった。
だが、時間が経つにつれて、記憶が鮮明になっていく。
殴られて気絶させられ、誰かに運ばれたのか。
周りを見回すが誰もいない、運んだ人の顔くらいみたいと思ったが、仕方ない。
「誰もいないのか…しかし…殺し合いって、本当だったのか」
最初はタチの悪い冗談だと思っていた。
しかし、そんなことは無く…本当に起きていた。
そして、自分は狙われた。
主催と同じ容姿であるがために。
「はめられたのか……?」
普通に考えたらそう言うことになる。
主催と同じ容姿で放り込まれるなんて、狙ってくださりやがりませこの野郎と言ってるようなものだ。
もしかしたらさっきの人もそうだったのかもしれない。
いや、そうに違いない。
ああ、そうだよな。
「………あ、あれ?つーことは俺、やばくね?」
身の危険を一気に感じた。
これは俺自身が大ピンチだ。
もしこのままさっきの奴が俺を見つけたら?
―――きっと今度こそ殺されるだろう。
「に、逃げよう…それしかない」
ベッドから慌てて起き上がる。
だが、体に力が入らず倒れてしまう。
結果的にベッドから転がり落ちるような形となる。
「い、つつ……」
ベッドから落ちたことないので、その痛みに驚いた。
結構痛いのな、ベッドから落ちると。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ッ―――!」
声をかけられて反応してしまう。
普通、人に会えてうれしいと思うはずだろう。
だが、今は違う。
人に殺されかけた俺としては、人が恐ろしいのだ。
「よ、寄るな!……って、あれ?」
ここで気づいた。
さっきまであった荷物…バッグがなくなっている。
あれには武器が入っていたかは覚えていないが、何故なくなってるんだよ。
まさか――――取られた?
- 882 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/16(金) 23:04:28
-
「僕は怪しい者じゃないよ…ユン・ジョウン、心山拳老師だ」
「……老師……?」
見た目からしてそうは見えない。
どう考えても青年っていうイメージだ。
老師とは、かけ離れている。
「君の名前を教えてくれないかい?」
「……俺は」
俺は…俺は…。
俺は―――――――?
あれ、待てよ。
なんで思い出せないんだよ。
俺は、俺の名前は…◆VxAX.uhVsMだ。
いや、違う、こんな名前じゃない。
もっと普通の名前だよ。
名字があって、名前があって。
こんな英数字が並んだ名前じゃない。
「……思い、出せない」
「え?」
「思い出せない、駄目だ……訳わかんねぇ」
「………大丈夫、落ち着いて…きっと思い出せるよ」
青年、いや…ユンは笑った。
その笑顔が偽物とは、思えなかった。
だから俺は―――信じることにした。
それから数十分後である。
事務室―――俺は二人の人間と遭遇していた。
津本二三也、丹羽雄二の二人だ。
俺の顔を見ても二人は何も言わなかった。
というより、気づいていない感じだった。
「……津本さん」
「なんだい、謎の青年」
「ハッキングって…あとどれくらいかかるんですか?」
「……5時間は、いるな………レベルが高すぎる」
「そうですか……」
- 883 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/16(金) 23:05:43
-
長い、とは思わなかった。
あんな不気味な男のセキュリティが5時間で突破できるんだから。
でも、何か嫌な予感がする。
その予感は――――的中していた。
【午後/E-6軍事演習場事務室】
【◆VxAX.uhVsM@非リレー書き手】
[状態]体にダメージ(中)
[装備]なし
[所持品]なし
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:津本さんのハッキングを待つ
2:さっきのは…?
[備考]
※バトル・ロワイアルの事を一切知りません。
【ユン・ジョウ@LIVE A LIVE】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:このバトルロワイアルを止める。
1:彼(津本)を護衛する
[備考]
※功夫編終了後からの参戦です。
【津本二三也@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]ノートパソコン
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:この計画を潰す。
1:ハッキングする、そのために集中したい。
2:とりあえず、護衛がもう少し欲しい。
3:こいつ(◆VxAX.uhVsM)はきっと主催との戦いの何かに使えるだろう…
[備考]
※◆VxAX.uhVsMの容姿を見て、主催側関係者と判断しました
【丹羽雄二@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考・行動]
基本:遥を見つける…その後は……。
1:ユンと護衛をする。
2:遥が死んだら、殺した奴を絶対殺す。
- 884 : ◆VxAX.uhVsM:2011/12/16(金) 23:07:40
- 投下終了です。
そして最後の参加者変更(未登場が変更する一人のため)
【LIVE A LIVE】
サンダウン
を
【非リレー書き手】
○◆9n1Os0Si9I
に変更
- 885 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/17(土) 22:23:31
- 自分も参加者変更します。
【もし譲二が犯人扱いされていたら】からの二名を削除して【とある魔術の禁書目録】に御坂美琴を追加します。
MAD好きでも原作未把握じゃ書けないですね>うみねこ
- 886 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/18(日) 20:45:02
- 俺ニコロワ6話投下します。
- 887 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/18(日) 20:45:40
- 俺ニコロワ06話:俺たちはガンダムか!? 〜ガンダム馬鹿とAO勢長兄がバトルロワイアルに武力介入……できるのか!?〜
「どうなってんのコレwwwwww意味不明すぎワロタwwwwwww」
そこは薄暗い通路の中であった。
等間隔に電灯は設置されているものの、長い長い通路の全てを照らしきるには至らない。
長く幾多にも枝分かれしている通路の真ん中で、ガンダムエクストリームVSプレイヤー・セシールは笑っていた。
「極限の絶望をくれてやるwwwwwwwwwだっておwwwwwwwww
なwwwwwんwwwwwでwwwww具現化しちゃってんすかwwwwwww中二病はwwwwwwwゲームの中だけにしろwwwwww」
まぁ大爆笑という言葉がこれ以上似合う表情もないだろうという勢いでの笑顔。
それもその筈、自分が慣れ親しんだゲームのキャラにいきなり殺し合いをしろと告げられたのだ。
夢にしても酷過ぎる。思わず笑えてしまう。
「あぁ……ワロタ……」
まぁ、そんな笑顔も実のところを言うとカラ元気満載の無理やりなものなのだが。
最初は冗談ですんだ出来事も、実際に眼前で人が一人死ねば話は違う。
セシールも流石に夢と現実くらいの分別は付く。
現状は異常だった。
いや、異常という言葉では片づけられない程の、まるで映画のなかのような出来事だ。
「相方ェ……どうなってんだよ、これ」
先のエクストリームガンダムがいた場にて、共に笑い合っていた相方。
その姿を思い出し、思わず助けを求めるように名を呼ぶ。
正直に訳の分からないことだらけであった。
いきなり始まった殺し合い。この時点で既に訳が分からないとか、そういう域を超越している。
何故、しがない一市民である自分をこんな殺し合いに参加させるのか。
何故、本名ではなくゲームのプレイネームで名前が登録されているのか。
そもそも先のエクストリームガンダムのコスプレ野郎は何だったのか。
てか、本当にさっきの人は死んでしまったのか。あれ、そういえば何だか本名思い出せなくない?
などと、もう本当に訳が分からないことだらけであった。
思わずその場にへこたれてしまうセシール。
余りに理不尽かつ理解不能な事態に、思わず口から長い長い溜息が吐かれる。
「あぁ、笑える……笑えるなぁ、兄弟」
と、暗い通路で一人ごちるセシールであったが、彼の身に起きているもう一つの『異常事態』に気づくのはもう少し先のことであった。
その『異常事態』に気付くよりも先に、彼は一つの出会いをなすこととなるのだから。
「……ガン、ダム……?」
「うおおっ!?」
そう、それは奇妙な出会いであった。
セシールにも何処か聞き覚えのある声が薄暗闇の中から飛んできたのだ。
いきなりの他参加者との接触に、セシールは驚愕し跳ね起きる。
兎にも角にも距離をとり、何をどう出来る訳でもないがファイティングポーズを取るように身構える。
そして、見た。
その声の主を正面から。
見て、セシールは呆然とした様子で言葉を零していた。
- 888 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/18(日) 20:46:17
- 「は……? せ、刹那……刹那・F・セイエイ……!? えええ! マジでか!?」
そう、その人物は彼がゲームの中やTVの中で何度となく見てきたキャラクターの一人。
刹那・F・セイエイ。
機動戦士ガンダムOOの主人公にして、歴代有数のネタ的な側面を有したキャラその人であった。
「うおお、何だこれ!? 訳が分からねーぞ! ふんすに引き続き、何でせっさんまでも!? マジか、俺は何時の間にか二次元の壁をボソンジャンプしていたのか!!?」
驚愕はもう止めることができなかった。
興奮と驚きとがブレンドされ、セシールの口を動かす。
そんなセシールを見詰めながら、刹那は肩を震わせていた。
「違う……」
「……は……?」
わなわなとした揺れは、遂には身体全体を支配する。
震える体から紡がれた言葉には、怒気が含まれていた。
「違う!!」
「うお! いきなり怒鳴るな!」
「俺は刹那・F・セイエイなどではない!! ガンダム・刹那・FF・セイエイだ!!!」
「いや、何だよそれ」
目の前の刹那・F・セイエイはよくよく言えば、セシールの知る彼とは違っていた。
ガンダム馬鹿である刹那・F・セイエイ。
そんな、彼が知る刹那よりも数段上のガンダム馬鹿―――それが眼前の人物であった。
「そもそもお前は何だ!」
「何だって言われても……俺はセシールっていうんだけど」
「そういうことを聞いてるのではない! お前は……」
と、再度口を開いたところで刹那が押し黙る。
それまでの饒舌ぶりは何処へ行ったのか。
どうにも刹那はその質問を口にしたくない様子であった。
何のことだか分からないセシールは、刹那の言葉を待つ。
「お、お前はその……………………………………………………………………ガンダムなのか?」
「は? あー、いや違うと思うけど」
いやに溜められて放たれた問いに、セシールは僅かに答えあぐねる。
刹那・F・セイエイにとっての『ガンダム』がどういったものなのかは、知っている。
争いを止める存在―――それが『ガンダム』。
セシールだって争いを止めたいとは思う。だが、しがないゲームプレイヤーでしかない自分に何ができるのか。
力がある訳ではない。頭だって特別良いわけではない。
こんな自分が何をできるのか。いや、できる訳がない。
精々殺し合いにのった人々から逃げ惑うことくらいだろう。
「そうか、違うのか」
「いきなり冷静になるのな」
「ああ、外見がどうであろうと、お前がガンダムじゃないのなら興奮する必要もないからな。むしろ腹立たしさで一杯だ」
「はぁ、何でだよ?」
「ガンダムでもない貴様が、何故そのような姿形をしている。それはガンダムに対する侮辱でしかない」
「……はぁ? 外見がどうとか姿形がどうとか、どういう意味だよ」
「気付いてないのか? そこの角を曲がった所に洗面所がある。見てくると良い」
言葉に従い、セシールは角へ姿を消した。
そして数秒後、
「はああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」
「!?」
物凄く大きな叫び声が轟いた。
これまで上げた驚きの声の中でも、段違いで格別の絶叫。
さしもの刹那もビクリと身体を震わせ、洗面所へと向かう。
そこには鏡の前で自身の顔に両手を当て、驚愕に絶句しているセシールがいた。
「ど、どうした」
「な、何で、何で俺が……俺が、ガンダムに……!?」
そう、鏡に映ったセシールの姿は彼もよく知るものであった。
だが、いつも見慣れた自身の姿とはまるでかけ離れている。
言ってしまえば、まるで機械のような造形。
『ガンダム』。それが今の彼の姿であった。
「違う! お前はガンダムではない!! さっき自分でそう言った筈だ!!」
「い、いや、そうなんだけど、それで合ってるんだけど! で、でも、この見た目はどう見ても完全にガンダムじゃねーか!」
「ちがああああああああう!! お前はガンダムではない! 俺が、」
「な、何で……何で俺が、」
混乱極める洗面所にて、二人のガンダムの声が響きあう。
セシール……ガンダムエクストリームVSプレイヤーにして、今現在は姿がガンダムとなっている青年。
刹那・F・セイエイ……ソレスタルビーイングのガンダムマイスターにして、自身をガンダムと言い切る青年。
二人のガンダムが、バトルロワイアルの場にて交差する。
「―――ガンダムだ!!」「―――ガンダムに!?」
そう、お前が、お前達が―――ガンダムだ!
- 889 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/18(日) 20:48:15
- 【一日目/深夜/A-1・プトレマイオス艦内】
【セシール@セシール&相方(EXVSプレイ動画)】
[状態]健康、ガンダム
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:死にたくないけど、殺し合いになんか乗れない
0:何だ、こりゃあああああああああああああ!?
1:相方を探す
[備考]
※姿はガンダムでありますが、どの機体かはまだ不明です。
【刹那・F・セイエイ@武力介入できないCB】
[状態]健康、ガンダム
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:俺が、ガンダムだ!
1:ガンダムとして行動する
2:セシールはガンダムではない!
・動画紹介
セシール&相方(EXVSプレイ動画)
ガンダムEXVSやガンダムVSガンダム、ガンガンNextなどの(ネタ)プレイ動画。
援誤という造語を作り出す程の(ネタ)プレイや最大ダメージの検証などを主とする動画。
ネタ面もさることながら、普通にプレイヤーの腕も高い
- 890 : ◆pA8Bpf.Qvk:2011/12/18(日) 20:48:48
- これにて投下終了です
- 891 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/28(水) 14:41:36
- 投下乙です。
諸事情によりこちらに投下します。
聖杯戦争っぽいオリロワ なんだかんだで最終話「Game reset」
- 892 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/28(水) 14:42:09
- 真っ暗な、グレーの天井。
遅れて、コンクリートの冷たい感触がひしひしと伝わる。
点滴もベットも、傷口も無い。
少なくとも、病院ではないことはすぐに分かった。
首には違和感がある。鞭打ち、という感じではなく何かがくっ付いている。
重くて、首を動かすことが、少し辛く、少し痛い。
手で探るとあったものは、鉄。というよりも首輪だ。
「もう、起きたんだ。関勝宏君。」
目の前にいるのは、青年。
紅い目が不気味な印象を与える。
その青年は、笑っている。
恐らく、精霊だろうが、抵抗できないため、諦めていた。
「どうなっているんだ?僕は病院にいたはずだ。」
病院で、重傷を負って入院していたはず。
精霊とか所有者とか、殺し合いとか言われて、爆弾をまともに喰らった。
どうなっている?どうなっているんだ?
「まだ気づかないんだ。君は鈍感だねぇ。」
「‥‥気づかない?何をだ。」
「じゃぁ、君さぁ今までどこにいたの?」
「簡単だ、市民病い‥‥。」
言葉が出なかった。
確かに市民病院にいたはずだが、記憶が薄らいでいる。
思い出そうとすると、記憶が混乱してくるのだ。
頭の中が、ぐちゃぐちゃになっていきそうになる。
心理攻撃か?
だが、記憶自体がおかしい。
- 893 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/28(水) 14:42:47
- 「矛盾ばかりだと思わなかった?偶然すぎるよ。」
偶然、殺し合いに巻き込まれて。
偶然、同級生に銃撃されて。
偶然、フルフェイスヘルメットの奴に襲撃されて。
偶然、他の精霊が登場して。
偶然、入院した先に兄貴がいて。
偶然、僕を調べた刑事が死んだ。
偶然すぎる。
『偶然すぎるよ。』
「これが僕の能力、『永遠の苦しみ』。完全な催眠能力さ。」
全部、催眠術だったというのか。
兄貴と久しぶりに出会ったことも、赤毛の女と会ったことも。
嘘だった。嘘でしかなかった。
「どこまでが‥‥どこまでが、幻影なんだ?」
「六月一日。君が、自転車の鍵を失くしたところからだ。」
父と母は死んだのは本当。
あの日、あの時、細身の男に殺されたことは本当。
「何が目的なんだ?」
「僕のゲームに参加してもらうためさ。そうバトルロワイアルにさ。」
【夢オチだったオリロワのキャラでロワ STRAT】
- 894 : ◆sWPde7Q8zk:2011/12/28(水) 14:44:51
- 投下終了です
すんげぇ、カオスなオチだけど目を瞑ってください。
ッと言うことで、また、本スレのほうでOPと名簿を投下します
- 895 :破ァ!!:破ァ!!
- 破ァ!!
- 896 : ◆SENAs8NCE2:2012/01/10(火) 09:48:19
- サイキッカーロワ第三話を投下します
- 897 : ◆Hades.lnSM:2012/01/10(火) 09:49:00
- 酉ミスしましたすいません
- 898 : ◆Hades.lnSM:2012/01/10(火) 09:49:56
-
どうしてかな。
どうして、この世界はこんなにも狂っているのかな。
世界だけじゃない。この世界を創った神様だって、頭のおかしい狂人だ。
歴史は繰り返されるなんていうけれど、戦争なんてものが繰り返されるのは神の頭が狂っているからに違いないし、もし私が神だったなら戦争なんてものは無くす。
神様は人間が大好きだって言ってた某シリアルキラーの言うことにも頷けるよ。
天上の神様は人間で遊ぶのが大好きなんだ。
小さな子がお人形遊びをするように、小説家がプロットを組むように。
いつだって必死に生きている人間を弄んで一人笑う。
私はそんな神様が許せない。
私はそいつの世界が許せない。
そんな私の糾弾も空しく、また狂った物語が始まる。
私の行っていることは、無駄なこと。公園の砂場の砂粒を数えるような途方もない旅。
まともな神経を持つ人間ならきっとすぐに挫折してしまうこと間違いないけれど、私はまともな人間じゃないからこんなにも無駄なことを延々続けられる。
小さい頃から、私は狂っていると呼ばれ続けてきた。
幼稚園では友達を泣かせてもただ笑い続けて気味悪がられた。
―――――現在は。
馬鹿みたいな憧れを捨てきれない狂人だ。
特撮ヒーロー。いつの時代も子供たちの憧れの的・正義の味方。
日曜朝なんかに放送しているのが大抵そうだ。
実写だったりアニメだったりするけど、私はどっちも大好き。
幼少期、狂っていた自分を変えたのはきっとこのヒーロー達だ。
正義は必ず勝つ―――安っぽい台詞ではあるけど、悪くない響きでもある。
小学一年生から見始めたのは大分遅いと思うけど、これに出会って私は変わった。
少なくとも人を泣かせたら謝る、人をいたわる心というものを得た。
――――ただし。歪んだ正義も同時に私の頭の中に叩き込まれた。
誰も死なせない。
誰も不幸にならない結末を望み、それに向かい行動する。
もしも誰かが不幸になる結末なら、それが最善でも破り捨てる。
例えば子供同士の間で主張が衝突したら、是が非でも両者納得の結末に至らせる。
そんなことを続けていたら、私は児童会の会長になっていた。
教師・生徒問わずに人気があり、正義のヒーローなんて呼ばれている。
でも、私は。
あまりにも『よくある』善行を行い、最悪の物語に足を踏み入れた。
バトル・ロワイアル。
異常能力者たちの殺し合いの宴に。
私こと死神舞凪(しかみ・まいなぎ)は。
- 899 : ◆Hades.lnSM:2012/01/10(火) 09:50:57
-
車に轢かれそうなクラスメイトを助けて。
私は、死んだ。
次に目を覚ましたのは妙な美術館のホール。
後は説明せずとも分かるだろうけど、私は殺し合いに巻き込まれた。
当然、ヒーローとして善悪問わずに参加者を救おうと動いた。
そして私はとある男に殺される。銃で胸を撃たれて、ほぼ即死だったはず。
それは終わりでも何でもなく、永劫に繰り返す正義の始まりに過ぎなかった。
私の能力はとっても優秀な、まさに当たりといえるもの。《相手の考えていることが分かる》なんて、ヒーローにとってふさわしくない能力だとは思うけれど。
でも、私には覚えがなかった。
12年間生きてきて、ただの一度も読心なんてしたことがない。
常に発動されているような能力なのに、覚えがないのはおかしいよね?
断言してもいい、私は異常能力者なんかじゃ《なかった》。
物凄くフィクションじみた話だけど、可能性としては《事故》が挙がる。
呼ばれる前の事故で死にかけた拍子に、秘められた才能が開花した!なーんてアホらしい煽り文句がついちゅいそうな話だけど、これくらいしか考えられない。
まあそういう超展開はヒーローらしくて好きだけどさ。
それでも私は殺された。
よく考えてみれば読心なんて大した力じゃないんだよ、少なくとも私みたいに非力な小学生が持っていてもただの宝の持ち腐れっていうもの。
最後までまともに力を生かせず仕舞いだったっけ。
しかし、私はヒーローを志す者。
ヒーローは倒れない、何度だって立ち上がらなければヒーローではない。
次に瞼を開いた時、私は自分がこの物語の『鍵』だと知った。
脳裏に焼き付いた美術館。
その光景を脳が認識した時、私は全てを悟り、自らを見舞った《不運》に感謝した。
繰り返された。
殺し合いの物語が、巻き戻された。それは即ち、救えるということ。
約束された悲劇の未来を、塗り潰す為の一抹の希望になり得る能力。
《自分が死亡した時特定の時間を巻き戻す》なんて力を、私は潜在的に保持していたようだ。
恐らく楓坂闇薙もこの能力には気付いていない。
この能力が発現するのはあくまで『死神舞凪』が死亡した時。
殺し合い開始時点では《人の考えていることが分かる》能力しか持たない。
だけど。
私を待っていたのは、死と絶望の螺旋。
繰り返した時間は総合してまだ半年分くらいだけれど、辛いなんてものじゃない。
一度に戻せる時間が短いのも厄介。
- 900 : ◆Hades.lnSM:2012/01/10(火) 09:51:56
- もたもたしていれば、開始数分で殺されてしまうことだってある。
余裕が持てない。それがある意味一番辛いかもしれないな。
でも私は諦めない。
《死神(しにがみ)》なんて悪役じみた名字を持っているけれど、私は悪に屈しない。
死神になんかならない。
ヒーローじゃなくたっていい。
ただ、ハッピーエンドを勝ち取れたらそれだけでいいんだ。
『誰もが』笑っていられる未来、たとえ夢物語でも私はそれを目指す。
どんなに青臭い、世界を知らぬ若者の台詞だとしても、私は救いたい。
幾度となく見てきた因縁の星空を見上げて、私は決意新たに告げた。
「私は、天使になってやる」
死神の名と対極の存在を、目指して。
□
さて。ここで一つ補足説明を加えておこうと思う。
死神舞凪という少女の父・死神麻次(しかみ・あさつぎ)は極道一家の総長である。
死神一家、ありとあらゆる手段を以て害敵を始末することで恐れられた一家。
尤も今は麻次が殺し屋に暗殺されたことで、力が衰えているのだが。
最悪の一家の最凶の長を殺害した殺し屋を戦慄させた、それが死神舞凪である。
しかし彼女はそれを覚えていない、そもそもそれは彼女ですらない。
死神舞凪を騙る狂戦士が存在する。
その狂戦士は―――バトルロワイアルに招かれているとだけ、言っておこう。
■
「あー……普通じゃねえなこれ……」
俺は佐原裕二。普通を愛し普通に生きる、何処にでもいたらおかしい無個性な高校生。
そんな俺は今、改めて自らが置かれている状況の異常さを再実感していた。
バトルロワイアル。
15人の『異常能力者』とやらを集めて、最後の一人まで殺し合いをさせる。
まあ何とも頭のおかしい奴が考えそうなことだ。現にあの楓坂って女は相当イカれているように見えた、俺の大嫌いな狂人ってやつだな。
俺は決めた。この殺し合いは叩き潰してやる。
―――『普通』なら、ここは保身に走って無様に人殺しをするところだ。
だけどもう疲れた。
正直な話、無難な人生って滅茶苦茶つまんねえから。
毎日厄介なことを避け続けて、毎日無難に生きてきた俺が言うんだ、間違いねえ。
普通はつまらん。
普通に生きてたら人生損するよマジで。
思えばさ、俺ってのは本当につまらない男だったと思うんだ。
17年も生きてきて、やっと俺はそんな当たり前のことに気付いた。
俺は今まで、『普通じゃないこと』『異常』を嫌ってきた。
- 901 : ◆Hades.lnSM:2012/01/10(火) 09:53:19
- だからここらで、佐原裕二の価値観をかるーく改革しておこうと思う。
「普通はお終いだ。これからは、異常に生きることにしよう」
異常って言っても、まさか快楽殺人鬼や強姦魔を目指す訳じゃないぜ。
俺は手始めに、普通の人なら避けて通るか諦める『理想像』になってみようと思う。
簡単に言えば、ヒーロー。正義の味方とも言うかな。
だけど正義の味方なんて仰々しい肩書きは要らない、万人に等しく味方する『ヒーロー』であればいいんだ。
たとえ悪人だろうが殺さない。
誰もが心に描く理想像に、誰もが望みながらも異常として切り捨てる理想像に。
そうでもすれば―――俺は、誰もが望む『異常者』になれるだろう?
「ははっ、違えねえ」
俺の腕っぷしは元からちょっと普通ではない。
親父に叩き込まれた拳法を幾つか習得しているから、下手な格闘家よりは強いぞ。
肝心の能力とやらには心当たりがないが、別に無くても戦えそうだ。
ヒーローが念力使ったりするのはどうも俺のイメージじゃあないしな。
「んじゃ一丁始めてみますか、ヒーロー」
佐原裕二の冒険はここから始まる!!―――なんてな。
□
「佐原裕二さん…………?」
「…………えーっと、どちら様ですか?」
佐原裕二は、一人の小学生に詰め寄られていた。
小学生こと私死神舞凪は、信じられないといった顔で佐原さんの体をぺたぺたと触る。
有り得ない。なのに、此処に有り得ている。あれ、日本語おかしいかな?
佐原裕二という青年が、殺し合いに乗っていないなんてこと、今まではなかった。
繰り返してきた殺し合いで、佐原さんはいつも『普通』の人間として『異常』な人間たちを殺すという奇特な役割だったはず。しかも腕っぷしも冴えるから、かなり厄介なマーダーだった。
なのに、私の読心能力はとてもイレギュラーな事態を知らせている。
―――ヒーローになって殺し合いを潰す。
ヒーローという存在は、現実的に考えてみれば『異常』な存在のはず。
それを誰よりも『普通』に執着している佐原さんが目指すということは。
佐原裕二という人間の価値観が、良い意味で崩壊しているということになる。
「あっ………と、すみませんっ、私は死神舞凪という者ですっ」
「俺は佐原裕二。宜しくな舞凪ちゃん」
◇
「私は天使になりたいんです」
「俺はヒーローになりたいんだ」
狂人だらけのバトルロワイアルにて、二つの希望が交差した。
【深夜/B-2アミューズメントパーク】
【死神舞凪《人の考えていることが分かる》《自分が死亡した時に特定の時間を巻き戻す(封印中)》】
《状態》健康、決意
《所持品》不明支給品
《思考・行動》
0:《天使》としてこの殺し合いをハッピーエンドで終わらせる。
1:佐原さんについていく。
2:今度こそ全てを救って元の世界に帰りたい。
※巻き戻しの力は彼女が生命活動を停止するまでは封印されており、誰にも感知できません
【佐原裕二《少し先の未来を直感かつ無自覚で予知する》】
《状態》健康、決意
《所持品》不明支給品
《思考・行動》
0:《ヒーロー》としてこの殺し合いをハッピーエンドで終わらせる。
1:舞凪ちゃんを守る。
※能力を自覚していませんが、無自覚に使用しています
※能力の効果は《何となく直感が優れている》くらいです。
- 902 : ◆Hades.lnSM:2012/01/10(火) 09:53:54
-
【死神舞凪(しかみ・まいなぎ)】
12歳、身長135cm。髪色は水色で赤いカチューシャを付けている。服は白いワンピースを着用。
元は『正義の味方』を目指していたが、今は『天使』を目指している。
バトルロワイアルの時間を繰り返しており、既に数十回ループしている。
《相手の考えていることが分かる》能力は一番近くに居る人間の思考が頭に流れ込む。
死を引き金に《自分が死亡した時特定の時間を巻き戻す》能力が発現し、《サイキッカーバトルロワイアル》の時間をループさせる。尚このバトルロワイアル以外では発現しない。
【佐原裕二(さはら・ゆうじ)】
17歳、身長176cm。黒髪で、黒い学ランを着用。
《普通》に執着し続け、能力を無自覚に使用して無難な人生を送ってきた。
《未来を直感的に予知する》能力はあくまで《直感的》なものでしかなく、故に予知できる未来は非常に断片的なものになる。また本人は自覚していない。
父に様々な拳法を叩き込まれ、ある程度極めているため腕はかなり立つ。
これにて投下終了です
- 903 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 13:59:33
- 投下乙です。
夢オチロワ三話:バカには十分気をつけろ
投下します
- 904 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 14:00:08
- 黒い服に、カーキのジーパンを履いた、ただの男。
特徴的なモン?‥‥強いて言うなら、この京都訛りの混じった方言やな。
俺の紹介やなんて、そんなモンやろ。
そいやあ、忘れとった。俺の名前を言ってなかったな。
俺は、諏訪悠磨って言う奴や。ヨロシク頼むで。
って、誰に自己紹介してんのやろうか?
「また、面倒なことに巻き込まれてもうたなぁ。」
殺し合い‥‥ホンマにこれ、爆発すんのか?
首輪っていうのもな‥‥何か信じがたいし‥‥。
普通なら、日本で拳銃を買うとしたら、凄い面倒なことになる。
けど、拳銃を普通に支給しとる。
それに、民間じゃ買えへん、マシンガンやライフルまでもな。
となると、主催できるって事は、相当なことや。ましてや、個人規模じゃ出来んはずや。
どういう組織やろうか?
麻薬カルテル、犯罪組織、軍事国家‥‥心当たりはあるんやけどな‥‥
なんやろう?イマイチ、こうパッとせぇへん。
「ああ、良かったッス。人ッスね。」
アホそうな、ツラしとって、茶髪で鶏冠頭。銀のウィンドブレーカーを着とる。
怪しい、って言うよりは、バカって感じ。
特徴って言うたら、こんなモンか。
どっかで見たことありそうねんけど‥‥パッとせぇへん。
「コレ、なんの祭りッスか?」
「祭り?何言うてんの?」
「‥‥変な首輪つけられて、ドッキリって奴ッスか?」
コイツアホや。
話し聞いてへんかったのやろうかな?
「そーそ、このドッキリは俺にそのバック渡したら、終わるんや。」
- 905 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 14:00:45
-
そのバック=デイパック。
支給品一式と武器が入っとる、便利袋や。
失うとバカみたいに、ボーとしとるしかあらへん。
罠やと気づいて、殺しにきたら、ポケットの中のナイフで殺せばええ。
「良かったッス。俺、早く練習したいんスよ‥‥。」
コイツ‥‥バカや。
殺してええかな?
ま、そこまで落ちぶれてはおらんから、止めとこか。
「んじゃ、スタッフが、近くにおるから、適当に探して、声かけてな。」
【一日目/深夜/A-3・家】
【諏訪悠磨@出すつもりだったキャラ】
[状態]健康
[装備]食用ナイフ
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2 大塚英哉(参加者)のデイパック
[思考]
基本:あ〜どうしようかなぁ‥‥
1:首輪爆発するんか?
2:ホンマ馬鹿やな
◇
大塚英哉は、ブラブラと歩いていた。
間違えて、受けたトライアウトに合格し、千葉ロッテに入団した期待のエース。
足が速く、ヒットを量産するため、チームを支えていた。
そんな、彼は人生初めてのドッキリの反応を考えている。
(ちょー、どんだけッスかぁ〜、いや‥‥予想外ッスのが、いいッスね!!)
諏訪が言った嘘を本当と信じている。馬鹿といわれる、種類の人間だ。
休憩のために、彼はレストランに入った。
経営していないのに、扉が開く店舗は怪しいと踏むはずだが、彼は馬鹿なので不審に思わない。
真っ暗な店舗に座席数はそこそこ。
綺麗な内装で、ドリンクバーも完備されている。ファミレスという奴だ。
「すみません。誰かいないっスか?」
いないよ。だって、島自体、殺し合いのフィールドなのだもの。
車も何台か、止まっていたから、勘違いしたのだろう。
誰も居ない、ファミレスの呼び出し器を何度も押している。
「えーと、どう反応すればいいのかな?」
金髪の青年‥いや女性が、物陰から散弾銃を構えて、出てくる。
さすがに、罠と踏んだのだろうが、無論、罠ではない。
女性の名前は、ジェイミー・バセット。元アメリカ陸軍の軍人。
動きも、構え方も、一流。
「あースタッフさんッスか‥‥いやぁ、予想外ッスね!!」
「それは、どういうこと?」
「何言っているんスか?もう、ドッキリは終わったんスよ。」
「ドッキリ‥‥えーと、さっきの話聞いていた?」
「カバン渡して、アンタらに声かけるんスよね。」
「えーと‥‥貴方、もしかして、バカ?」
- 906 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 14:01:55
-
◇
「え!そんな、嘘だったんスか!?」
「うん‥‥多分‥‥。」
あー逆に面倒臭くなったな‥‥なんでこうバカに会うのかな‥‥
逆に殺しておけば、多分楽になったのだろうけど。
出来れば引き金は引きたくないし、けど鬱陶しいし。
「食料探しに行かないと。」
「兄貴って呼んでいいッスか?」
あーあ、私、女なんだけどな‥‥
失礼な事って気づかないのかな‥‥でも無理だよな、バカだから。
そもそも、この殺し合い自体、馬鹿げている。
精霊を投入などしたら、一般人は少なくとも勝てることは無い。
あの、主催者の男は何を考えているのか分からない。
「フーフーンフー♪」
鼻歌が聞こえた。
調理室から、そんな鼻歌が聞こえた。
そして、とても嫌な予感がした。
「動くな。動いたら撃つ。」
金髪のモジャモジャ頭の男が、寝ている黒髪の美女に何かしようとしている。
と、言うより、女性が着ているジャージのファスナーを下げている途中だった。
バカばかり、なのかな?
「とりあえず、その女の人から離れて。」
「ちょ、ちょい‥僕も男だよ!!魔が差したんだ!!」
「分かるッスその気持ち。」
「共感するな!!」
とりあえず、バカばかりのパーティーになりそうだ。
「えーと、私はジェイミー・バセットです。」
「俺は、大塚英哉ッス。野球選手していたッス。」
「僕ちんは、天才名医のDr,グラニットさ!!」
白人で金髪テンパーにアロハシャツ、上には白衣を着ている。
俗に言う、白衣を着た変態って言う奴。
出身は、アメリカ。いや、欧州かそんなものだろうか。
大塚英哉というバカは便所に行き、白衣を着たバカはコーヒーを飲んでいる。
コーヒーを入れて、黒髪の女性の目覚めを待っているが、なかなか起きない。
恐らく、コレでも起きない彼女もバカ。
- 907 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 14:04:23
-
「寝ているとでも、思ったの?」
黒髪の女性は目を開くと、そう呟いた。
残念ながら、その言葉は本当。
彼女は、羽織った軍服のようなコートの内ポケットから、軍用ナイフを取り出した。
コーヒーカップが倒れると共に、グラニット医師の首を絞めながら、ナイフを向ける。
「人間を殺すことに、躊躇いは無いわ。」
「殺せば私が撃つ。」
殺したら。
この男を見殺しにしないとならないということ。
見殺し。これじゃ、あの戦場と同じじゃない。
仲間を見殺しにしか出来ない。最悪な一人の兵士。
引き金に指をかけた。
もしも、グラニットに銃弾が当たったら?
もしも、グラニットが先に殺されたら?
- 908 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 14:05:04
-
「どうしたんスか?」
あのバカが、来てしまった。
しかも、女の背後という絶好のポイントに。
「殺すんだ!!」
「え!?ダリーン!!!」
コイツの恋人?
ちょっと何!?
まさか、大塚英哉もグルだったってわけ?
詰めが甘かった。失敗した。
「ちょっと、誰ッスか!?」
「アタシよアタシ、ヴェル・ロペス。ヴァンパイア族の参謀の。」
「知らないッス!ちょ、そこ、アッハハハハハ!!くすぐったいッス!!」
こういう場合‥‥どうすればいいんだろう‥‥
「いいねぇ若いって。」
「逃げるな。変態バカ。」
【一日目/深夜/A-3・レストラン】
【大塚英哉@一般人】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考]
基本:ドッキリじゃないんスかぁ‥残念ッス。
1:あはははは!!ちょっと!!!!はははは!!!
【一日目/深夜/A-3・レストラン】
【ジェイミー・バセット@元所有者】
[状態]健康
[装備]ベネリM4(7/7)
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:呆れている
【一日目/深夜/A-3・レストラン】
【エヴァン・グラニット@一般人】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜3
[思考]
基本:不明
1:不明
【一日目/深夜/A-3・レストラン】
【ヴェル・ロペス@一般人】
[状態]健康
[装備]軍用ナイフ
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2
[思考]
基本:人狼を排除する
1:ダーリン!!
※茶髪で、ジャージ姿であれば、大抵は恋人と勘違いします
[オリキャラ紹介]
諏訪悠磨
謎の多い男。伊勢弁。
大塚英哉
野球バカ。野球選手。実は、高校までバスケをしていた。
ジェイミー・バセット
詳しくは、前ロワ参照
エヴァン・グラニット
国境なき医師団の医師。自称天才名医。
ヴェル・ロペス
ヴァンパイヤ。美女。
※日光を浴びると死にます。しかし、血を吸えばセーフです。
- 909 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/10(火) 14:05:42
- 投下終了です
- 910 : ◆YOtBuxuP4U:2012/01/11(水) 23:43:14
- 四字熟語ロワ 字余り(番外編)
「EX01#宇佐原椎也の報告書」
- 911 : ◆YOtBuxuP4U:2012/01/11(水) 23:44:10
-
#external-01
◆”文字紙の招待状”についての報告◆
最初にこの都市伝説の存在が確認されたのは少なくとも四か月前ほどのこと。
夜寝るときに枕の下を見て、不思議な虹色のインクで文字が書かれた「文字紙」があったらそれが招待状。
文字紙を貰ってしまった人は、そのあと何もせずに寝てはいけないのだ。
もし寝てしまったら、起きたときにはそこは異次元。
まるで別の世界に飛んできたように、それはそれは不思議な空間に連れ込まれて――帰ってこれなくなる。
これがB県のある学校の生徒の間で噂になったものの、最期の一文以外の内容だ。
しかしこれも、この学校の裏ネット掲示板に書き込まれていたのを見つけただけだから、
本当はもっと前から広まっていた可能性もあるが。
とりあえずこの都市伝説、ここまでは脚色されることなく今も広まっている。
問題はこのあとの一文で、パターンが十から二十ほどもある。
枕のそばに塩を置いておき、招待状に染みこませれば大丈夫である、とか。
招待状を焼却炉で焼きながら、止めて、止めてと連呼するべし、であるとか。
そこまではまったく同じ内容なのに比して、
”連れて行かれない方法”があまりに違っているのがこの都市伝説の特徴だ。
それだけじゃない。
この都市伝説は全国での確認事例があるが、口裂け女やメリーさんなどの”異質な存在”を指すものではなく、
あくまで招待状が届くというだけの陳腐な内容で、他の都市伝説と比べるとそう話題性に富んでいるわけじゃない。
にも関わらず全国からの報告があり、さらにその報告は増え続けている。
学校だけではなく、社会全体でだ。
飲み屋で、ゲーセンで、会社の休憩室で――様々な人がこの都市伝説について話している。
これではまるで、本当に連れて行かれてしまった人がいるかのようだ。
だが。
警察の記録に、ここ数か月で”ベッドから消えてしまった”なんていう行方不明者の報告はゼロ件なのだそうだ。
そもそも、本当に”文字紙の招待状”があったとしたら、
都市伝説の通り、帰ってくる人は誰もいないはず。
この都市伝説は不可解だった。
発祥も伝搬速度も、その広がり方も、矛盾を多く抱えている。
筆者の個人的な見解では、この都市伝説の裏には何かがある。
巨大な陰謀とか悪の組織とか、使い古された表現で申し訳ないが、そんな感じの何かが動いているのではないか。
と、考えざるを得ない状況であると思う。
これからも筆者はこの”文字紙の招待状”に対しての情報を集めようと思う。
一応、念のために身の回りに気をつけながら。
----
「また何か調べ始めたの? しーや」
「……ああ、小草か。まあな、ちょっと最近学校で噂の都市伝説があるんだが、それが気にかかって」
都市伝説”文字紙の招待状”について、ひとしきり報告書を書き終わった俺がふと後ろをみると、
そこにはいつのまにか、幼なじみの野町小草(ノマチ・コグサ)が居た。
いつものように黒髪で前髪を隠して、休日だというのに通っている高校の制服を着ている。
今俺がいるのは自分の部屋だが、小草とは家族ぐるみで仲がいいから、親に言って勝手に上がったのだろう。
いろんなことに首を突っ込む俺の代わりに引っこみ思案なところのある小草にしては珍しい行動だが、
さっきまとめたばかりの都市伝説に比べたら驚くほどのことじゃない。
- 912 : ◆YOtBuxuP4U:2012/01/11(水) 23:46:38
-
俺の名前は宇佐原椎也(ウサバラ・シイヤ)。
近くのT高校に通う高校一年生で、ルポライターを目指している。
世界にはまだまだ暴かれていない闇があって、それを少しでも暴いて伝えていきたい。
そんな中二的な欲望が、どうやら人より俺は強かったらしい。
いろいろな事件を調べ、知り合いの刑事さんにもさりげなく協力してもらって、
自宅のPCにこうして”いつか発表できるかもしれないネタ”を書き溜めるのが俺の日課だ。
「でもホント、小草が俺の部屋に勝手に入ってくるなんて珍しいな。どうかしたのか?」
「え? ううん、ちょっと会いたくなったっていうか、暇だったから……気まぐれかな」
「俺は大歓迎だけどな。お前、自分からじゃ何もしないとこあるからなー。もっと積極的になっていいと思う」
前髪上げればそれなりにかわいいんだし。
と言うと、小草は分かりやすいくらい顔を赤くして俯いた。
やっぱり根本的なところは変わっていないらしい。
「恥ずかしいこと、言わないで……」
本当にもうちょっと積極的になればいいのにな、と思う。
学校であんまり友達もいないようだし、将来が心配というか。
「まあそれはそれとして、せっかく来たんだし小草も見ていけよ。
警察からの情報もあるから、俺の報告書はネットに上げれなくてさ、見てくれる人がいないんだ」
「あ、うん。というか、それを見に来たの」
「そうなのか」
「うん。暇だったから」
あくまで暇だったから、を強調する小草に少し違和感を感じないでもなかったが、
俺はPCのスリープモードを解いて、報告書を保存してあるワードを開く。
この前見せた分を除くと新たな報告書は三件。そのうち一件はさっきの”文字紙の招待状”だ。
小草が興味を示したのは、やはり旬である”文字紙の招待状”だった。
「これ、知ってる。最近いろんなところで聞くよね。
しーやが興味を持ちそうだなーって思ったけど、やっぱしーやだ。ちゃんとまとめてある」
「ああ。俺もこの前聞いたばっかなんだが、やっぱ気になってな。まとめてみた。
そしたら、ちょっと不可解な点が多すぎるんだよな。
藺生さん(刑事)の情報が確かなら、間違いなく行方不明者は出てないんだが……」
「うーん、本当にね。枕の下に招待状なんて、夢みたいな話なのに。
――ああ、でもね、実際これって夢なのかもしれないよ?」
「ん?」
「これに連れ去られた人たちは、夢から帰ってこれなくなるんだよ。永遠に」
やけにはっきりした口調で小草はそう言った。
脈絡のないその発言に、俺は今まで感じていたのの比じゃない違和感を感じる。
普段の小草はこんなはっきりとしたことは言わない。
口数自体も少なくて、いつも会うときは俺から会話を振っていたはずだ。
……思えばやはり、部屋に勝手に入ってくるなんて小草がやるだろうか?
- 913 : ◆YOtBuxuP4U:2012/01/11(水) 23:47:54
-
「小草、どうした? 今日なんかお前、おかしい」
「え? 私は私だよ。……ねえしーや、テレビつけていい?」
俺は小草にいぶかしげな視線を送るが、前髪を隠している小草と俺の目が合うことはない。
小草は俺のそんな視線を全く意に介してないのか、勝手にリモコンを取って部屋の小さなテレビをつけた。
そこで俺は、もう一つ不可解なことに気付く。
小草は、リモコンを取った左手の中指に、指輪を一つつけていた。
「なんだ、それは。指輪?」
「ねえしーや、見て。面白いニュースをやってるよ」
『――次のニュースです。建設中の東京スカイツリーの高度444メートル地点で、不可解な変死体が発見されました』
小草が指差す先のTV画面を見る。
すると、毅然とした話し方をするアナウンサーが、
みんなに警戒を求めるような深刻な顔をして衝撃的なニュースを伝えている。
『なぜか変死体は胸部がえぐられたように焼失しており』
『建設中のスカイツリーの鉄柱に、頭から刺さるようにして死亡していました』
『……死体の身元は都内の焼肉チェーン店、MTH新宿店のチーフを務めていた火邦正志さん(27)とみられ』
「なんだ、これ……?」
「おかしいね。スカイツリーの柱に頭から刺さってたなんて、人間業じゃないよ。
これからこんな事件がすごく増えるかもしれない。私もしーやも気を付けなきゃ、ね」
俺は事件の詳細を伝えるアナウンサーの声を聴きながら、小草のほうに目をやった。
横顔を見る形になっているからだろう、きれいな黒髪の隙間から、普段見えない小草の片目が少しだけ見える。
その目は――こちらを見ていないその目は、爛々と、不思議な虹色の虹彩を放っている。
人間の目じゃ、無かった。
あまりのことに一瞬目を奪われて。
俺は次の瞬間、小草の腕を掴んだ、はずなのに。
「……!?」
「どうしたの、しーや。顔色悪いよ?」
その腕には温かみが全くない。
小草の腕は、まるで冷蔵庫から取り出したばかりのように冷たくて――死人のような、白さだった。
なのに、今までにないくらい無邪気な声を出す小草は、俺が絶句しているのにも気づいてない。
ただきょとんとした顔をして、小首をかしげてこちらを見ている。
自分が”おかしい”ことに、気が付いていないのか……!?
「小草、お前――」
「あ、そうだしーや。これ、渡せって頼まれてたんだった」
- 914 : ◆YOtBuxuP4U:2012/01/11(水) 23:49:33
-
急に、小草の虹色の目が黒に戻った。
と思ったら、ものすごい勢いで身をひるがえして俺の手を振りほどく。
弾かれるようになって俺が体のバランスを崩している間に、
小草は懐から茶封筒を取り出して部屋の机の上に置いた。
「はい。じゃあね。また明日」
そしてそそくさと部屋から出ていく。おい、と声をかけようとしたが、得体のしれない恐怖がそれをためらわせる。
部屋の扉が閉まる音がして、部屋には再び俺一人になった。
ニュースが終わってバカげたCMが流れるだけになったTVの音だけが、部屋の中に残った。
――なんだったんだ、今のは?
俺は呆然として、しばらく瞬きをすることさえ忘れてしまっていた。
さっきまで俺の部屋にいたのは、確かに俺のよく知っている野町小草と同じ姿をしていた。
喋り方のイントネーション、照れてうつむいたときの仕草もそうだ、
確かに最近は月一くらいでしか合わないとはいえ、
幼稚園からずっと小草を見ている俺が見て断言できるくらいにはそれらも小草と同じだった。
しかし、違う。
虹色の眼に冷たい手、何か悟ったような態度。
俺を振りほどいたときの人並み外れた力……これらは野町小草とは違う何かだった。
事実、あれは一回も、自分のことを野町小草だと言わなかった。
”私”は”私”だと、そういっただけで。自分が何者であるのかは、とうとう最後まで言わなかった。
「小草は、どこに行ったんだ」
俺は机の上に小草が置いて行った茶封筒を見る。
差出人は「天飼千世」となっている。住所は不明、印もなく、俺にそんな名前の知り合いはいない。
わずらわしいTVを消して、何かすがりつくような気持になりながら俺は封筒を開けた。
中に入っていたのは虹色のインクで書かれた手紙だった。
そこには、たった三行の文字が大きく描かれている。
◆拝啓 宇佐原椎也 様◆
”野町小草はもういない”
これ以上、招待状には関わるな
お前は監視されている
◆ 天飼千世 ◆
次の週明け、小草は学校に来なかった。
どうやら学校へ行くと言って居なくなったらしい。
小草の姿は町から消えて、普通の行方不明者の扱いになった。
そしてそれを知らせてくれた知り合いの刑事、藺生さんも、急な転勤が決まってから連絡が取りづらくなった。
もう一つの不可思議、スカイツリーの事件も進展はない。
奇怪な事件だけに、報道から二か月ほどは新聞を騒がせていたが、すぐに他のニュースに埋もれてしまった。
小草のいない、平和な日常。
俺は普通に学校に通って、普通に学校から帰って、勉強したりゲームしたりして一日を過ごすようになった。
環境が変わって、俺は変わらざるを得なくなっていく。
――たまにそれでも奮起して、PCに向かってみるのだが。
スカイツリーの事件や招待状のことに触れるたびに、どこからか視線を感じるのだ。
けして嘘でない、どこか遠くから。小草でないあの、”私”と名乗ったアレが、俺をじっと見て呟くのだ。
「ダメだよ」、と。
帰ってこなくなる前の小草と同じ声で、そう呟いてくるのだ……。
#external-01 終
- 915 : ◆YOtBuxuP4U:2012/01/11(水) 23:54:34
- 投下終了。
字余りではexternal(外部)のEXとextra(余剰)のEXの二種のSSがある予定。
19話が難航しそうだったので息抜きに書いたら筆が進む進む。
ただ、外部のほうのEXは正直ロワじゃないにもほどがある上、設定が変わる恐れがあるので
本編完結まではwikiにはページを作らないと思う
- 916 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/14(土) 09:13:48
- 皆さん投下乙です
夢オチロワ五話『怠慢な革命家』投下します
- 917 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/14(土) 09:14:19
-
むかーし、むかーし、あるおんなのひとがいました。
あるおんなのひとがみずうみのほとりでぶらぶらしていると、
どんぶらこどんぶらこと、しきゅうひんがながれてきました。
「ってなんでやねん!!」
しきゅうひんである、でいぱっくをあけるとそこには‥‥
そこには、おおきなおおきな、『大塚英哉語録集』がでてきました
「ってどないやねん!」
◇
『恥を知るなら、野球のルールを知ってくれッス』
『バカの俺でもわかるッス。だから、アンタはバカっスね!』
とにかく、ハチャメチャなことが書いてる、詩集のようなものだ。
もちろん武器にも、役が立ちそうにも無い。
ただの、バカの言葉を集めただけの本だから。
「期待はせぇへんだけどな‥‥。」
鎧を着た、長い髪の女性、巴御前。
精霊であるが、固有能力は武器に頼っていたものであったので、今は使えない。
今では、最弱の精霊といっても過言ではない状況である。
鎧の装甲も厚くは無い。その手前、ただのお荷物に近いが、無いとあるとでは大違いだ。
開始地点は、湖のほとり。どっかの、誰かさんが溺れて、紛失した支給品を拾ったわけである。
湖から流れてきた、支給品は『大塚英哉語録集』とお手玉。食料が手に入っただけ幸いだ。
そんな彼女が居るのは、学校。小学校、中学校、高校が同じ校舎にあるため、かなり大きい。
「運がええのか、運が悪いのか分からん。」
スタータスの幸運はB。どちらかといえば、ツイているはずだ。
二度も死ななければいかない。それは、どちらかといえば運がないかも知れない。
だが、ジャック・ザ・リッパーとの交戦中の幻影から覚めただけでも、運が良かったのかもしれない。
彼女がいる校庭から見える位置にある、校門に人影があった。
でかい。大きい。ごつい。
様々な表現が出来るが、巴御前はさすがに声が出ない。
頭二つ分、大きな体格。片手に持っている。いや、片手自体が鉄の塊となっている。
- 918 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/14(土) 09:14:51
-
「ああ、面倒くせぇなぁ。」
「なんや?アンタも精霊か?」
「あぁ?小さくて見えねぇよ。探すのも面倒くせぇな。」
「なんやと!?デカブツ!!」
源氏の武将である、巴御前のクラスは憤怒。短気というわけである。
相手が持っている武器、体格、そして今置かれている状況。分かっていても動かざる終えない。
砂を蹴っている。野球のコートをコートを横断しながらも走る。
丸腰。彼女は素手で挑もうとする。勝ち目が無いとは分かっていても。
そんな中、一つの乾いた音が、グランドに響く。
撃たれた。
鎧が弾け、開いた穴からは赤黒い血がポツポツと流れていた。
幸い、彼女が撃たれた部位は、急所が外れている。
死ぬことは無いが、苦しみと疑問は消えない。
「面倒くせぇんだよ。いちいち戦うことがな。」
「何をやった?」
「説明しなきゃいけねぇのか?面倒くせぇな。」
死ぬ。
死ぬ。
死ぬ。
何度も、彼女は覚悟した。
「ガルルルルルウルルルル!!!ガガガアアアアア!!!!」
狼の遠吠えと共に、オールバック姿の巨体は、後ろに吹っ飛んだ。
◇
僕は狼男。
日本では最後の生き残りらしい。アジアでも十人いるか、いないかぐらいだ。
人を喰らい命を永らえる狼であり、満月じゃない日はただの人間でもある。
普段は、南雲駅前の交番でただの警察官をして、バカみたいに人を助けていた。
特に、吐き気がしたのは、道案内。人を助ける職業である手前、、絶対にしないといけない。
満月の夜は、適当に死んでいる奴の匂いを感知して、それを食うしかなかった。
最近の生きている奴を食おうとすると、絶対にいいことをしてしまう。
僕は人に対していい事をするのは、絶対に嫌だ。死んだほうがましだ。
けど‥‥死にたくはないな。
- 919 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/14(土) 09:15:23
-
幸い、満月の夜。
生きている女の肉。そういえば、最近食ってねぇな。
僕は、美しい灰色の毛並みを乱すことなく、匂いだけで探している。
ああ、食いてぇなー食って、食って食い尽くしてやる。
そうしても、一般人にばれることなく、生きている人間の肉を食える。
パン、というデカイ音が聞こえた。
聴覚が優れているため、うるさい音は耳を塞ぎたくなる。
男と、女の匂い。後は‥‥火薬の匂いか?
とりあえず、二人とも食わせてもらうぜ。
「ガルルルルルウルルルル!!!ガガガアアアアア!!!!」
僕の狙いは的確。
相手がデカイので狙いは定めやすかった。首、頚動脈を食いちぎる。
しかしながら、失敗してしまった。首輪を噛んだため、歯が何本か持ってかれた。
一瞬。
生身の肉だった人間の手が、ライフル銃のバレルみたいに変形した。
ヤバイと感じたときには遅い。
左前足――――人間でいう左手を銃弾で射抜かれた感覚があった。
銃なんて持っていなかったはずだぜ。
「ガウウガウウウウウウウウ!!!ガアアアルルルルルル!!!」
「反応に困るんだよ。人間の言葉で話しやがれっての‥‥。」
痛ぇ!!!痛すぎる!!!生身の姿で撃たれると痛ぇ!!!
クソ‥‥ただのデカイ奴じゃねぇのかよ‥‥
あああああ‥‥何眠そうな顔で、酒飲んでんだよ!!クソ、なめた真似しやがって!!
「バウバウ!!!ガルルルルウウウウウゥゥガアアアアア!!!」
ドスッ‥‥なんだコノ音?
ってか、なんだか意識が朦朧としてきたような‥‥あれ?
女が僕の腹を殴って‥‥いる‥‥?
◇
「何や起きたんか?」
「さっきの女‥‥痛ででででででででで!!!」
香坂幹葦の腕には乱暴に、木の枝と長い草でで応急処置されている。
暗い倉庫の中。マットや、野球のバットなどが収納されている、体育倉庫と呼ばれる場所。
グレーのコンクリート覆われた屋根と床と壁はひんやりとして不気味だ。
石灰が充満し、あまり空気が良いとも言えない。
- 920 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/14(土) 09:16:06
-
「いや、ビックリしたで。狼が、人間に代わるなんて。」
「あのデカブツは?」
「酒飲んどるだけみたいや。」
「はぁ?」
チェ・ゲバラ。クラスは怠惰。酒を飲んで怠けているデカイ男。
髭面で、オールバック。特徴はそのくらい。だが、体の一部を重火器に変える能力を持つ。
恐らく、強い精霊。戦おうとする性格でなかったのが、幸いだ。
「アンタも撃たれてみたいだが、大丈夫か?」
(何、俺様、人の心配している?あぁ、ダメだ、吐き気がしてきた。)
「大丈夫や。あんま、傷は深ないみたいや。」
(何やコイツ?自分、上半身裸なん知らんのか?)
ドンドンと、鉄で作られた体育倉庫の扉が叩かれる音がした。
誰かに気づかれた。と、二人は確信して、危険を察知する。
二人を殺すことなど、あの大男からすれば簡単であるのだから。
二人に武器は無い。相手は武器を作り出すことが出来る能力者。
香坂の人狼化は、満月の光が届くところしか使えない。
つまり、扉を開けた瞬間、コンマ数秒が勝負の決め手となる。
ガラリ、と鉄製の扉がスライドして開いた。
二メートルを越す大男が、月の光をさえぎりながらも立っている。
そして───あまりにも意外なことを言い放った。
「酒はねぇか?切らしちまったんだ。」
放たれた言葉が耳に届くと同時に二人は無意識のうちに声を揃えて言った。
「「はぁ?」」
【一日目/深夜/A-2・学校】
【巴御前(憤怒)@精霊】
[状態]健康 銃創(部位不明)
[装備]なし
[道具]基本支給品×2、戦利支給品×0〜5、『大塚英哉語録集』
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:なんでやねん!!
【一日目/深夜/A-2・学校】
【香坂幹葦@一般人】
[状態] 人間 銃創(左腕)
[装備]不明
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜3
[思考]
基本:悪いことはしたい。いいことはしたくない。
1:はぁ?
- 921 : ◆sWPde7Q8zk:2012/01/14(土) 09:16:42
-
【一日目/深夜/A-2・学校】
【チェ・ゲバラ(怠惰)@精霊】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜3 、空瓶(大量)
[思考]
基本:面倒くせぇなぁ‥‥
1:酒くれよ
《大塚英哉語録集》
※大塚英哉がロッテを退団する前に出版された語録集です。
※二千語録、全五百ページ。野球には何の役にも立ちません。
※たまに同じ言葉が書いてあります。
[オリキャラ紹介]
香坂幹葦(こうさか・みきよし)
警察官であり人狼。悪い事をしたがるが、何故か出来ない。
巴御前(憤怒 ともえ・ごぜん)
長い黒髪の女性。短気かつ関西弁で鎧姿。正体は、源氏の武将である巴御前。
武器に頼っていた固有能力であるため、使用は不可能。
チェ・ゲバラ(怠惰)
オールバックの髭面大男。怠慢で酒飲み。正体は、革命家であるチェゲバラ。
固有能力は『人間兵器』。体の一部を銃器や刃物に変形できる。
投下終了です
- 922 : ◆SIN/KBm/.Y:2012/01/23(月) 01:12:25
- おさしみぶりの罪ロワ・アワー。
しかしアクセス規制なので、あーる。
- 923 : ◆SIN/KBm/.Y:2012/01/23(月) 01:13:16
- 「一番のポイントは、このゲームのルールにある」
朝の潮風を頬に感じながら、ミチオはさほど明確でない意識のままモトヤマの言葉を聞いている。
「各々持ち点が100。それを個々のプレイヤーが奪い合う。
基本はそうだ。
しかし、誰からもポイントを奪えなかったからといって、どうなるわけでもない。
何のペナルティも無いわけだ。…少なくとも、明示されたルール上は、な」
ポイントを奪う。その意味することは、誰かを殺すという事だ。
誰かを殺して、ポイントを稼げ。
ミチオ達はそう言われて、今この島を彷徨っている。
しかし、同時にモトヤマの言うとおり、誰も殺さず、最初の持ち点100しか持たないままこのゲームを終えたとしても、ただそのまま帰るだけ。
信じるかどうかは別として、最初のルール説明ではそう言っていた。
「…そう…かもだけどよォ…」
そうだろうけれども、しかし。
ミチオがそう考えるのは、出会っているからだ。既に。
あの、桃色のひらひらとしたドレスを着た少女。
闇の中から銃撃してきた謎の人物。
そして、「手分けをして殺して回れ」等と言ってきた、チンピラ男。
この島の、『ミステリーツアー』が始まってから、ミチオは既に、3人もの「殺意」と出会ってしまっている。
そして何より…。
伏し目がちに、前を歩くモトヤマを見る。
目の前で、実際にチンピラ男…ケイイチを殺したのは、小柄で猪首、やぶにらみで妙に蛙じみた顔立ちのこの男なだ。
正に、殺人の現場を目撃してしまっている。
「そうかもだけど…、だ。
まさに、そいつさ」
ミチオの言葉を受けて、モトヤマはさらに言葉を続ける。
「この手のデスゲーム。
いわば、殺し合いのバトルロワイアルってので何が一番難しいかと言えば、参加者全員に、"是が非でも殺さなきゃならない"という動機を与える事だ。
簡単に言えば、殺さなきゃ死ぬ、殺される。
そういう状況を作るのが、一番良い。
例えば、『最後の一人になるまで殺し合いをして貰う』、『時間切れになる前に最後の一人が決まっていなければ全員殺す』
そういうルールにすれば、ただ何もせずぼーっとしているワケにはいかない。
文字通り、『殺らなきゃ殺られる』状況だからな」
物騒な事をさらりと言うが、たしかにその通りだとミチオも思う。
「この『ミステリーツアー』のルールは違う。
全員が、『別に金なんかいらないし、人も殺したくない』 と、そう言ってゲームを放棄すれば、誰1人死なずに終わりを向かえる。
そういうルールなんだよ」
たかが100万。人1人殺すにしては、安い報酬だ。つい数時間前にミチオはそう思った。
そう。確かに、安い。
いや、勿論100万という金額自体をはした金という気はない。しかし、人を殺してまで手に入れたいかと言われれば、ミチオはNoと答える。
これが1千万、1億…等という金額なら、分からない。ちょっとは心が動くかも知れない。
少なくとも、それで心が動く人間はそう少なくないだろうと思う。
動くかも知れないが……やはりミチオは嫌だ。
人を殺す。人を死なせる。
もうそんな思いは、したくない。
二度と、人を死なせる苦しみなど、味わいたくはない。
- 924 :12 設定 ◆SIN/KBm/.Y:2012/01/23(月) 01:13:59
- だが…。
先程の放送を思い出す。
3人。既に3人の人間が死んだ…いや、殺された。
それが恐らく嘘でないと言うことをミチオは知っている。
3人のうち1人、ケイイチを目の前で殺したのは、他ならぬ目の前に居る小男、モトヤマなのだから。
他に挙げられた名前2人は、男のようであった。
もしかしたら1人は、モトヤマと会う前、森の小路で銃撃されたときに居た、中年男かもしれない。
モトヤマの言うとおり、誰もが殺し合いを放棄すれば、誰も死なずに終わるゲーム。
しかし既に、人は死んでいる。
「お前は、金になるからッて率先して人を殺そうなんて考えない。そういう奴だろう」
モトヤマの言葉に、うんうんと頷く。
「けど、既に3人死んでいる。つまり、殺した奴が居る。
『そうかもだけど』さ。
全員が、過失か故意かは別として、人を殺した、死なせた経験がある。
だから、誰もがつい考える。
『自分が誰も殺さないつもりで居ても、他の奴らは違うんじゃないか?
この島に、快楽殺人鬼や、連続殺人犯が居ないと、誰が言い切れる?
もしかしたら…やはり殺らなきゃ、殺られるんじゃないか…?』」
さっきのモトヤマの言葉通り、ルール上は決してそうではない。
けれども疑心暗鬼から、そう考えてしまう。
「或いはこうも考える。
『ここに居る連中がみんな人殺しだというのなら、そんな奴らは死んで当然じゃないか』」
例えば以前の日常の中で、そういう状況を聞いたのであれば、自分もそういういう考えを持ったかもしれない。ミチオは思う。
殺人者なんかみんな死刑にしてやればい、なんて事を何の思慮もなく口にしていたかもしれない。
ただし、自分自身が殺す役割を担うという前提はナシで、だ。
「つまり、さ。
このゲームは、所謂殺人ゲームの形式を取っているが、『是が非でも殺さなきゃいけない理由』は用意されていないんだよ。
ただ、『殺しても良い口実』だけがある。
殺人を正当化しても良い理由が、だ」
殺さなきゃ殺されるかもしれないじゃないか。みんなが殺人者なら仕方ないじゃないか。
モトヤマの言う通り、このルールにおいては全て言い訳なのだろう。
明確に、殺さなければ殺される状況に追い込まれているでもなく、又相手が真に殺意ある凶悪犯だとはっきりしているわけでもないのに、そうだろうという前提で誰かを殺すというのなら、まさにそれは言い訳であり口実だ。
しかし、と思う。
モトヤマの言う理屈は、分かる。
では、その当のモトヤマ自身はどうなのか?
ケイイチを殺した際、モトヤマは言った。
『俺のシナリオじゃ、俺が殺すのは、こいつみたいな、他人を殺して稼いでやろう、と考える。そんなヤツだけだ』
つまりこの、『殺さなければならない理由』の存在しない殺人ゲームにおいて、それでも能動的に殺人を犯そうと考える者達。
そういう者だけを選んで殺す。
そういう事だろう。
だがしかし、それもまたただの言い訳、口実ではないのか?
ミチオは改めて思う。
自分はこのモトヤマという男のことを、まるで知らない。
知っているのは、この男は目の前で人を殺し、そして自分に対しては「お前は殺さない」と言った、という事だけだ。
ただ、このゲームとやらが始まってから、立て続けに「人を殺そうとする殺意」に遭遇してしまったミチオにとって、その言葉が信頼できる出来ない以前の事として、ホッとしたのも又事実なのだ。
「あんたが死ねばよかった」
事故で親友を殺してから、何度かそう言われていた。
それは決して褒められた言葉ではないだろうし、そう口にしてしまった当人自体、それが正当な言葉だとも思っては居ないかもしれない。
けれども、ミチオ自身そうも思う。
俺が死ねば良かった。
なんであいつが死んだんだ。
俺が死ねば、良かったんだ。
引き籠もり気味になって、部屋で1人鬱々としたまま、そう自分を責めてもいた。
次第に被害妄想気味になり、友人知人や近所の人はもとより、親や妹までもが自分を責めているように感じ始めてもいた。
- 925 :12 設定 ◆SIN/KBm/.Y:2012/01/23(月) 01:14:46
-
だからこそ。
初対面。しかも相手は殺人者。
だというのに。だというのにも関わらず。
「お前は殺さんよ」
モトヤマは、ミチオを一切責めなかった。
その言葉に、ミチオは微かに助けられていた。
その事を、ミチオもモトヤマも勿論気付いては居ないし、モトヤマに至っては気にもしていないだろう。
◆◆◆
潮風が爽やかだった。
島の中央辺りの高台にある展望所からは、きらめく青い海と白い雲。そして島の南東部全体が一望でき、穏やかな空気が漂っている。
混乱の一夜を過ごし、偶々知り合った小男、モトヤマの後を追うようにして、ミチオはこの展望所にまで来ている。
一度通った、白い石段の道。
ここは、最初に集められた城塞。ヨーロッパの城の設計図を元に建設されたというあのホテルへと続く道だ。
モトヤマは、この展望所を通り過ぎ、さらに上へと向かう階段を進む。
周りを見渡し、それから100メートルほど先にある高台の城を見て、及び腰になりながらミチオが後を追う。
「…なあ」
力のない声で、ミチオが話しかける。
「大丈夫なのか、その…」
「それを、確かめに行く」
ミチオの問いに、モトヤマは簡潔にそう返した。
最初に集まっていて、ゲーム開始の場となったこのホテル。
薬か何かで、一旦意識を失わされた各参加者は、その後鉄の棺のような装置に入れられ、島の各所へと運ばれている。
であらば、このゲームを仕組んだ、いわば主催者に当たる人物たちは、このホテルを拠点として居るのではないか?
その考えはごく自然な帰結だ。
だからミチオには、はなからこのホテルに戻ろう等という考えは無かった。
しかし、どうやらモトヤマは違うらしい。
ミチオからすれば、虎の巣に自ら首を突っ込むかのような行為。しかし、今のミチオはモトヤマを振り切って自分だけ何処かへ逃げる等という事すらも出来ない。
だから、ただおっかなびっくりの態で、モトヤマの後ろをついて行くだけだ。
そのミチオの足元に、ガツ、という鈍い音がした。
硬い何かが、石畳の歩道に当たったらしい。
「ひっ」
息を呑んで何事か、と見回すが、ミチオには何も目視できない。
前を歩いていたモトヤマは、元から低い背をさらに低く屈めて、腰に差していた拳銃を手にして前方を凝視している。しかしカエルのようなぎょろついた目は、しかし決して視力が良いとは言えないようで、やはり何かを確認できた風ではない。
「よお」
声がした。
「今のは一応警告だ。悪いね、こっちもそれくらいはさせて貰わないとな」
男の声だ。若いのか、年を取っているのかよく分からないが、老齢ではないだろう張りがある。
些かしわがれているが、声量もあり伸びやか。この状況にしては、怯えや緊張が内容に思える。
「あんた、ホテルの中か?」
較べると、いかにも内にこもった通りの悪い声で、モトヤマがそう聞き返す。
「おたくらの武器を確認するまで答える気は無いね。フェアにいこうや。こっちがさっき放ったのは、ただの石だ。勿論、手で投げたワケじゃない」
姿の見えぬ男がそう言う。
たしかに、手で投げたとしたら相当な速度。メジャーリーガーですら無理だろうと思える。
モトヤマは暫し思案するが、少しの間の後に応える。
「俺が持ってるのは拳銃だよ。弾丸の予備はない」
「うしろのデブは?」
不意に水を向けられるミチオ。
目線をちらりとこちらに向けるモトヤマ。それら二つの問いに、ミチオは慌てて、
「俺、これ……よく、分かんねぇッ!!」
まるで要領を得ない回答をする。
- 926 :12 設定 ◆SIN/KBm/.Y:2012/01/23(月) 01:15:24
- これには、モトヤマも鼻白んだような、呆れたような顔を見せる。
バカにされた、と感じて一瞬にして気が縮こまるが、かと言ってど応えて良いかがまったく分からないのだ。
「なんか、金属の弁当箱みたいなのが、入ってて……。けど、武器なのか何なのかとか、俺、全然わかんねぇからっ……その……。文字書いてあるけど、読めねーしっ……!」
実際の所、ミチオに言えるのはこの程度なのだ。
姿を見せぬまま相対する男はしばしの沈黙。
した後、大きく笑う声が聞こえてきた。
「はっ! OK、まあいいや。使い方も分からねーってんなら、とりあえず問題ねぇやな。
……で、本題だが、どうすんだ、おめーらよ? この状況」
ひとまず、ミチオはほっと息をつく。
「ホテルの中…」
モトヤマは即座に男の声に反応した。
「誰か、居たか?」
当初の目的を確認すべく、そう直接的に問う。
「この糞ツアーの主催者が居るか居ないか……、って事か?
なら答えはNoだ。あらかた調べたけど、人っ子ひとり居やしねーぜ」
再び、少しの沈黙。
「…分かった。じゃあ俺達は立ち去る」
あっさりと、モトヤマはそう言って、前を見たまま後じさり始める。
ミチオはただひたすら、この姿を見せぬ男から逃げ去りたいとだけ考えていたのだが、とはいえこのモトヤマの行動には驚いた。
しかしそれ以上に驚いたのは相手の男の方のようで、
「おいおいおいおい、ちょっと待てよ、それだけかよ!?
こういうときゃギブ&テイクだろう? 俺も情報を出した。ならそっちも何か寄越せってよ!」
まあ、言われてみればもっともだ、と、ミチオは思う。
「あんたは姿を見せてないし、投擲武器でこっちを狙っている。
ここで情報を出したら、俺達の身を保証するものが何も無くなる。
それに、俺の持っている情報は、はっきり言って今のとは釣り合わないくらい、でかいぜ」
モトヤマの返答に対しても、ミチオはなるほどもっともだ、とそう思う。
再びの沈黙。
数分程が酷く長く思えるその沈黙に、結局は相手の男が音を上げたように再び声を返す。
「分かった、分かった。フェアにいこーや。
1,2,3,で、武器をお互いの間に向かってなげる。それから俺は姿を現す。
で、ゆっくりと近づいて、がっちりと握手、ってー事で、よ。どうだ?」
ミチオはモトヤマの表情を伺う。しかし相変わらずの無表情で、何を考えているかは読み取れない。
「了解した」
簡潔な答え。
モトヤマは右手に持った拳銃を高く掲げる。
「おっと、そうだ。デブの弁当箱は投げなくていいぜ。得体の知れんもんなら、むしろ投げられても困る」
補足して、それから双方で声を合わせてカウント。
お互いが武器を投げ、男は姿を現す。
サングラスをかけ、日に焼けた肌と野性味のある風貌の男は、極彩色のアロハを着て、いかにも南国のツアーに似合った雰囲気を漂わせていた。
「渡海亮次。渡る、海、と書いて、トカイ、だ。
それで仕事も船員だってんだから、ピッタリだろ?」
ホテルの入り口前の空間で、3人は適度な距離を保ちつつ相対し、サングラスの男がおどけた調子で自己紹介をする。
つられて、ミチオももごもごと名乗る。ラッパーとして「M.C.ミッチ」と名乗ろうかと一瞬逡巡したが、無難に本名を口にした。
モトヤマは相変わらずの低くくぐもったような声で、「元山洋。小説家」と言いながら、ミッチのバッグの中にあった例の弁当箱を手にしていた。
「トカイさん。あんたならこれ、何か分かるんじゃないか?」
トカイがそれをのぞき込み、瞬時に蒼白になる。
「お互い、フェアにいこう。
あんたが爆弾に詳しい理由とか、そういうのも全部含めて、さ」
ミチオは1人、そのやりとりの意味が分からずにいた。
ミチオのバッグに入っていた支給品。金属の弁当箱みたいなもの。
それは、対人地雷のクレイモアだったのだ。
これが起爆すれば、今ここにいる3人が一気に死にうるだけの、破壊力のある兵器だったのだ。
----
【参加者資料】
須鹿満千夫 (スガ・ミチオ)
男・23歳・無職
罪:交通事故による過失致死
備考:自称ラッパー、ゾンビT、対人地雷クレイモア
ポイント:0
元山洋 (モトヤマ・ヒロシ)
男・38歳・小説家
罪:知人女性の殺人
備考:参加者情報のリスト、スコップ、改造トカレフ
ポイント:300
渡海亮次 (トカイ・リョウジ)
男・35歳・船員
罪:爆弾による殺人
備考:アロハシャツ、サングラス、ボウガン
ポイント:100
- 927 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/25(水) 22:03:40
- おお、お久しぶりな作品wktk
そして俺もアクセス規制。
オリ俺得ロワ第七話「サンドイッチ」
登場人物:アリサ・スカーレット、ツクモ・サーシャ
- 928 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/25(水) 22:04:12
- それほど足場が良いわけでもない道を走って走って、それから走った。
転がるように走って、本当に転がって、膝やら肘やらを擦りむいて、血が滲んで、それでも走った。
とっくに息は切れていて、足は重い。けれど、だって、死にたくないから。
死にたくない、死にたくない、と。ただただ、それだけで走った。
「……っ、も、ダメ……!」
だけど私の体力にはやっぱり限界があって。走り出したところから数百メートル離れた木の陰で、私は膝から崩れ落ちた。振り返れば、もうあの場所は見えない。だけど、私は足が速くないから、きっとあまり距離は離せていないのだろう。
けれどもがくがく震える足は限界を訴えていて、はあ、はあと荒い息を繰り返し、落ち着きたくて水を飲もうとデイパックを探したところではじめて気づいた。
「あ、デイパック……置いてきちゃった」
地図も見なかったせいで、ここがどこかも、走り出した場所がどこかもわからない。多分、「彼女」から逃げる際においてきてしまったんだ。
そう、彼女から。
彼女。
チトセ・ダン。
- 929 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/25(水) 22:04:45
- この恐ろしい島の中、偶然見かけた友人の後姿。頼る人がいなかった私に、それはたまらない安心感を生んだのだった。
「チトセ……っ!」
三つ年上の友人、チトセに、思わず後ろから駆け寄った。彼女は私に気づいていなかったようで、びくりと肩を跳ねさせ、ばっとこちらを振り向いた。
彼女の目元にはいつもと変わらず赤い化粧が施されていて。いつものチトセに、私は涙ぐんで問うた。
ああ、チトセ。怪我は無い? 私は無傷なのだけど、とっても怖いの。どうしてこんなことになっているのかしら? 私、昨日はいつも通りエヴァンジェリン様のお相手をさせていただいてから寝たのだけれど。あなたは昨日変わったことした? どうして私たちはここにいるのかしらね――――。
聞きたいことは沢山あったのに。言いたいことも沢山あったのに。
彼女がデイパックから槌を出した瞬間、そんなものは全て消し飛んだ。
面は私の顔より大きく、柄は私の腕の長さ以上。そんな巨大な槌を、彼女はデイパックから引き出したのだ。彼女の顔を見たら、彼女の表情はまるで雪のように冷たかった。
驚いて動けなくなっていた私に向かって、彼女は槌を振り上げる。槌を持ち上げた両腕が小さく震えている。私を殺すことを躊躇しているのだろうか。
違う。
ただ、重いだけなのだ。
彼女の目は私を捕らえていたが、その瞳は私を「今から壊す」と伝えているのだ。ただ、女性の身体には大槌が重いのだ。だから、多分そろそろおろす。……私に向かって!
そこまで考えて頭が冴えた。
きゃああ、と悲鳴を上げて、私は一気に駆け出した。振り返らずに走ったけれど、どうやら追いかけてくる様子は無い。……よかった、私はまだ生きられる。
だけど、デイパックがなければ何も出来ない。どうしよう。
あの場所に帰るのが一番いいのかもしれないが、場所はわからないし、あの場所には帰りたくない。……チトセが怖い。
次にいいのはなんだろう。他の人に会うことかな。……でも、他の人もチトセみたいだったらどうしよう。怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い……!!
「どうしよう……」
私は独り言が多いのかもしれない。思わず呟いたその言葉が。
「……そこに誰かいるの?」
誰かに聞かれてしまった。
「…………!!」
息がつまった。次の瞬間には心臓が騒がしくなり始めた。思わず傍の木に身を隠す。口を押さえてうずくまっている状態の私を、声の主が見つけているのかはわからない。
「……返事をしてよ。私からいくわよ」
綺麗な女性の声。怖い。出て行くなんて出来ない。怖い怖い。私は隠れられているだろうか。怖い怖い怖い。心臓の音は聞こえていないだろうか。怖い怖い怖い!
「見つけた」
うずくまっていた私を、女性が見つけるのにさして時間はかからなかった。ものの十数秒で、上から声が降ってきた。
「……!」
彼女の顔を見る。金髪の、美しい女性。年は……チトセさんくらいだろうか。彼女のデイパックはチャックが開いているが、中を見ることは出来ない。彼女は安心させるように私に微笑み。
「大丈夫よ。怖がらないで」
「え……?」
「怖かったのでしょう、今まで。もう大丈夫よ」
私を安心させるようなその口調。そしてその美しい微笑に、私が微笑み返そうとした次の瞬間。
「あなたはノエルのために今死ねばいいのだから」
デイパックの中から銃を取り出した彼女に、至近距離で腹を撃ち抜かれた。
「あ……!」
最期に見上げた女性の顔は。
酷く。酷く美しく。
歪んでいた。
【8-E/道/一日目-午前】
【アリサ・スカーレット@Rondo】
[状態]:健康
[装備]:銃(なんの種類かはわかりません)
[持物]:基本支給品
[方針/目的]
基本方針:奉仕(ノエル)
1:ノエルノエルノエルノエル
2:ノエルのためならなんでもする(詳しいことはまだわかりません
[備考]
※ 詳しいことはまだわかりません
※ ただひとつ言えるのは、「ヤンデレ」です。
【ツクモ・サーシャ@UNKNOWN:死亡】
【残り50名】
- 930 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:54:44
- なんかアクセス規制ですなきたひ。
オリ俺得ロワ、二話連続投下します。
八話:だからわたしにあいをちょうだい
登場人物:チトセ・ダン
九話:だからわたしをあいしてちょうだい
登場人物:アリサ・スカーレット
- 931 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:55:16
- チトセ・ダンは王宮に勤めるメイドである。
豊かな自然や強力な軍事力を誇る国、ルキフェシル王国。その王宮にて、主に掃除・洗濯を任されているメイドの一人。それがチトセだった。
チトセはルキフェシル王国出身ではなく、ルキフェシルと友好関係にある小さな島国・サイ国の生まれだ。
チトセはなぜ海を渡ってまでメイドをしているのか? 答えは一言。
シャオリン・ユウと共にありたいからだ。
シャオリン・ユウ。サイ国出身の女性で、現在はルキフェシル王国王国軍一番隊副隊長。チトセは彼女を愛していた。
叶うことならシャオリンと同じように自分も軍に入りたかった。しかし、チトセにはシャオリンのように戦う技術が無い。だから彼女はメイドとして働くことを決めたのだ。
シャオリンと対等の立場でなくても良い。シャオリンに傅いても良いから、シャオリンの傍にいたかったのだ――――。
- 932 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:56:14
- 「シャオリン……」
そして、現在の状況。愛して愛して愛してやまないシャオリンが今まさに死にかけているかもしれないのだ。もしシャオリンが死んだら、死んだら!!
「殺させない。シャオリンはこれからもずっとずっとかっこいいんだから……!」
自分よりシャオリンのほうが強い。そんなのは知っている。シャオリンの前にチトセ自身が死ぬかもしれない。そんなのは知っている。三日間生き延びても、その間にシャオリンに会えるかどうかはわからない。そんなのは知っている。シャオリンは守られることを望まないかもしれない。そんなのは、
そんなのは知ったことか。
「シャオリン、今から私は無駄なことをするよ。怒ったら殴っていいよ。私が死ぬまで殴っていいの。でもね、そうじゃなかったら……私を、抱きしめてね」
にこりと微笑んだ彼女の顔は、とても美しく。美しく崩れていた。
チトセは決意してから、まずデイパックの中をくまなく調べた。入っていたのは、一般的な支給品と、大きな槌。槌が武器のようだった。
「……重いわね。こんなの振り下ろすの、大変そう」
流石に常に手に持ってはいられない。小さく舌打ちをしてチトセは槌をデイパックの中にしまう。
そのときだった。
「……チトセ?」
後方から、聞きなれた声がした。
ツクモ・サーシャ。王女の所謂「お気に入り」である、メイド仲間。ツインテールの金髪がさらりと揺れる。瞳は不安げに揺れていた。恐らく知り合いを見つけて安心しているのだろう、チトセが振り向けば、瞳に映った不安さはいくらか和らいだ。そしてじわりと涙が滲む。
「ああ、チトセ! 無事だったのね、怪我は無い?」
ツクモがこちらに向かって微笑んだ。チトセが何を思っているかなんて知らないで、純粋に安心していた。
チトセが何も返さないのを疑問に思っていないようで、ツクモは言葉を紡ぐ。紡ぐ。紡ぐ。彼女の言葉は「答え」を要するものも多かったが、今は全てしゃべってしまいたいらしい。
(……さて、どうしよう)
悩んではみるものの、答えは決まっている。
ツクモ・サーシャを殺す。全てはシャオリンのために。
友人であるとか、かなり不安がっているとか、そんなことはどうでもいい。
全てはシャオリンのために。
全てはシャオリンのために。
全てはシャオリンがこれからも強くあるために。
- 933 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:56:44
- (はやく殺そう。無駄な時間を使っている暇は無いわ)
それほど覚悟などせずに、チトセはデイパックから槌を取り出す。ずっしりとした重みが腕に響いた。
勢いをつけて振り上げる。ツクモは槌に気づいている。
更に勢いをつけようと仰け反る。ツクモは驚いて動けない。勢いのまま槌を振り下ろす。ツクモは驚いて動けない。しかし槌がツクモに当たる前に、ツクモは逃げた。
追いかけようかとも思う。しかしやめた。
チトセにはそれほどの体力も無い。たかが「一匹」の獲物に時間をかけられる余裕は無いのだ。
(あんな子供、誰でもいつでも殺せるわ)
チトセはぼうっとつくもの後姿を目で追う。数秒で、彼女の姿は林の中に溶けた。
「……あら?」
足元に置き去りにされたデイパック。ツクモのものだろう。それの中身を確認してから、デイパックの中に槌をしまう。
「ごめんねシャオリン。でもこっちのほうが賢いと思ったの。だってシャオリンは、ツクモに負けるほど、弱くないもの」
チトセは空に向かって手を伸ばし、まるで宙を抱くようなポーズをとる。
「ああでもね、怒ったら私を殴ってもいいのよ。あなたになら殺されてもいいの」
「でも、もしよかったら……私に、愛を、愛を、ちょうだいね」
【8-D/道/一日目-午前】
【チトセ・ダン@UNKNOWN】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:基本支給品+ツクモのデイパック(中身はわかりません)
[方針/目的]
基本方針:奉仕(シャオリン)
1:シャオリンシャオリンシャオリンシャオリン
2:シャオリンのためならなんでもする(傅いても良い)
[備考]
※ 「ヤンデレ」です。
- 934 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:57:21
- (以降第九話)
アリサ・スカーレットはとある天才ピアニストの恋人である。
そのピアニストの所有する巨大な家を一人で掃除し、そのピアニストの生活を手伝い、そのピアニストと、「そのピアニストの恋人」の名に恥じぬよう、自分を磨いた。
しかし、その恋人はアリサを愛してはいない。
アリサはなぜそんな生活を送っているのか? 答えは一言。
ノエル・ドルチェと共にありたいからだ。
ノエル・ドルチェ。音楽に興味の無い者でも大抵は知っている有名人で、音楽界では若き天才と称されるピアニスト。アリサは彼を愛していた。
叶うことならノエルと「本当の恋人」になりたかった。ノエルの興味は殆どピアノにしか向かない。だから彼女は彼に愛してもらうことを決意したのだ。
ノエルと対等の立場でありたい。友人から初めてでもいいから、ノエルの傍にいたかったのだ――――。
- 935 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:57:56
- 「……ノエル」
そして、現在の状況。愛して愛して愛してやまないノエルが今まさに死にかけているかもしれないのだ。もしノエルが死んだら、死んだら!!
「殺させない。ノエルはこれからもずっとずっと私と一緒なの……!」
自分よりノエルのほうが身体能力は良い。そんなのは知っている。ノエルの前に自分が死ぬかもしれない。そんなのは知っている。三日間生き延びても、その間にノエルに会えるかどうかわからない。そんなのは知っている。ノエルは守られることを望まないかもしれない。そんなのは、
そんなのはありえない。
「ノエルは私がいないと生きられないの。ノエルは私のなの。ノエルは私以外のいかなるものを拒絶しても、私を拒絶するわけが無いのよ。今度会ったら、大丈夫よって抱きしめてあげるわ」
ふわりと微笑んだ彼女の顔は、とても美しく。美しく歪んでいた。
アリサは決意してから、まずデイパックの中をくまなく調べた。入っていたのは、一般的な支給品と、銃。弾も沢山ある。
「説明書が、入っているのだったわね」
ごそごそとデイパックの中から説明書を取り出し、代わりに銃をしまう。説明書によると、銃の名前はコルト・ガバメントというらしい。
そのときだった。
「どうしよう……」
道の端の林の中から、少女の声がした。
彼女の名前は当然ツクモ・サーシャだが、アリサにそれを知る術は無い。
「……そこに誰かいるの?」
アリサが問い返してみると、林の中の一箇所だけ、露骨に空気が固まった。アリサは「殺し」や「隠密活動」のプロではないので、普段ならそんなことなどわからないだろう。しかし、相手も素人だったのだ。アリサですら、相手の緊張を感じ取れる。
(……さて、どうしましょう)
悩んではみるものの、答えは決まっている。
林の中の少女を殺す。全てはノエルのために。
見知らぬ少女であるとか、かなり怯えている様子だとか、そんなことはどうでもいい。
全てはノエルのために。
全てはノエルのために。
全てはノエルと自分の将来のために。
- 936 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:58:26
- (すこし時間をかけても良いわ。油断させて殺しましょう)
それほど覚悟などせずに、アリサはデイパックのチャックをあける。銃は出さない。警戒されては困るからだ。
「……返事をしてよ。私からいくわよ」
とっくに場所は特定できている。だけど私に対する恐怖を植え付け、それをひっくり返すために、わざとゆっくりとそちらに近づいた。
「見つけた」
蹲っていた少女に、立ったまま声をかける。少女は既に泣いていた。アリサは彼女を安心させるように、極上の笑みを湛える。
「大丈夫よ。怖がらないで」
安心させるように。優しい口調で語りかけた。
「え……?」
「怖かったでしょう、今まで。もう大丈夫よ」
すこし優しい言葉をかけてやれば、すぐに見えた、彼女の「隙」。アリサ・スカーレットはそれを逃さなかった。
「あなたはノエルのために今死ねばいいのだから」
デイパックの中からコルト・ガバメントをとりだし、彼女の腹を撃った。ぱん、と言う音と、腕への衝撃は比例していない。
蹲った彼女の腹を狙うのは少々面倒ではあったのだが、仕方がなかったのだ。
(だって女の子の顔を痛めつけたらノエルに嫌われちゃう。でも心臓を撃ったら、すぐに死んじゃうわ)
アリサは償ってほしかったのだ。死ぬまでの数秒、少女――ツクモ・サーシャに与えられた使命はひとつ。
ノエル・ドルチェを一秒でも不安がらせたことについての懺悔。
ツクモはこの指名を知らされなかった。だから知らなかった。だから、アリサの歪んだ笑みを見て、悲鳴も上げられずに絶命した。アリサはそれを確認してからデイパックの中に銃をしまう。
「ノエル、私はやったわ。まだたったの一人だけれど……あなたを不安がらせた下郎と下女は、私が絶対に消すからね。安心してね」
アリサはツクモの頬に唇を寄せ、その柔らかい皮膚を「べろり」と、舐めた。
「帰ったら、私を、愛して、愛してちょうだいね」
【8-E/道/一日目-午前】
【アリサ・スカーレット@Rondo】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:基本支給品+銃(コルト・ガバメント@真田麻緒)
[方針/目的]
基本方針:奉仕(ノエル)
1:ノエルノエルノエルノエル
2:ノエルのためならなんでもする(対等でありたい)
[備考]
※ 「ヤンデレ」です。
- 937 : ◆F0XrL54NJs:2012/01/31(火) 22:58:56
- 投下終了です。
二人の対比がうまくいってたらいいなあ。
- 938 : ◆Hades.lnSM:2012/02/16(木) 23:55:08
- サイキッカーロワ、短めですが投下します
登場するのは楓坂闇薙ですが、放送ではありません
尚、執筆しながらの投下です
- 939 : ◆Hades.lnSM:2012/02/17(金) 00:08:02
- 「さて……今のところ、つつがなくゲームは進行しているようね」
若い女性が、簡素な部屋で小さなモニターを前にして紅茶を啜っていた。啜っていたといえば聞こえは悪いが、その振る舞いには優雅さこそあれど下品さは全くない。
誰もこの彼女、楓坂闇薙を『殺し合いの主催者』とは思わないだろう。
だが闇薙は、間違いなく現在彼女自身が生み出した仮想空間にて行われている異常能力者(サイキッカー)の殺し合いを主催した悪逆の主催者である。
(へぇ……あの子がこんな奴とね……ま、精々頑張るのね)
誰のことを指しているのかは分からないが、闇薙は興味深げな表情を見せる。
モニターに映し出されているのは参加者の現在位置を示したレーダー。
15の参加者から1人の参加者が消え、残っている反応は残り14。
なかなか上々な進み方ではないか、と闇薙は笑う。
(あのイカれた"研究者"共も何かを始めたらしいけど……私は、私の目的を達成する)
ぎり、と歯軋りをして、楓坂闇薙は紅茶のカップをテーブルに置いて立ち上がった。
レーダーの反応を見る限り、そろそろ"二人目"の犠牲者が出てもおかしくない頃だろう。
放送の準備を始めておくに越したことはない。
楓坂闇薙の思惑通りに、ゲームは進んでいく。
残り、14人。
- 940 : ◆Hades.lnSM:2012/02/17(金) 00:09:20
- 投下終了です。
番外編にするには少し重要な回でした。
- 941 : ◆ymCx/I3enU:2012/02/19(日) 21:13:46
- さるったので残りをこちらに
カイテルからの提案に二人は少し顔を見合わせていた。
突然現れた人物の提案を安易に承諾して良いものかどうか。
しかし、二人は行く先も特に決めていなかったので、結局提案を呑む事にした。
「…分かった、俺はレックス」
「私は源静香です」
「提案を呑んでくれるか。ありがとう、宜しく二人共」
「宜頼」
「え?」
「あの…何て?」
「あ、ああ…『よろしく頼む』って。この子ちょっと喋り方が独特なんだよ、勘弁してやってくれ。
でもすぐに慣れるさ、俺も最初は戸惑ったけど結構すぐに分かるようになったから」
「そ、そうか」
「はい…あ、あの、眼鏡を掛けた男の子を見ていませんか」
「い、いや、見ていないな」
「不見」
「そうですか、のび太さんどこにいるのかしら……」
四人は互いに知っている情報を交換しつつ、学校への道を歩いて行く。
【朝/E-3、D-3境界線付近】
【河田遥@◆VxAX.uhVsM氏のオリキャラ】
[状態]健康
[装備]SKSカービン(10/10)
[持物]基本支給品一式、7.62mm×39弾(20)
[思考・行動]
基本:殺合不乗。目的脱出。
1:カイテル、レックス、静香行動。
[備考]
※DOLオリロワ本編死亡後からの参戦です。
【カイテル@オリキャラ】
[状態]賢者タイム
[装備]シモノフ対戦車ライフル(5/5)
[持物]基本支給品一式、14.5mm×114弾(5)、アインリアの首輪
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。首輪を調べたい。
1:遥ちゃん、レックス、静香ちゃんと行動。情報交換及び学校へ向かう。
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です。
- 942 : ◆ymCx/I3enU:2012/02/19(日) 21:15:12
- 【レックス@オリキャラ】
[状態]胸元と腹に銃創(命に別条無し)
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1〜2)
[思考・行動]
基本:葉月を捜す。殺し合いはしたくないが必要なら戦う。
1:静香ちゃんと行動。
2:カイテル、河田遥との情報交換。
[備考]
※ドラえもん、野比のび太、剛田武、骨川スネ夫の情報を得ました。
【源静香@ドラえもん】
[状態]左上腕に銃創(処置済)、悲しみ
[装備]蕎麦切包丁
[持物]基本支給品一式、W&SウェブリーリボルバーMkVI(4/6)、455ウェブリー弾(1)、
MkII手榴弾(2)、工事用ロープ、日本刀
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。のび太さんを捜す。
1:ドラちゃん、武さん、スネ夫さん……。
2:カイテルさん、遥さんとの情報交換。
[備考]
※稲垣葉月の情報を得ました。
- 943 : ◆ymCx/I3enU:2012/02/19(日) 21:21:02
- 投下終了です
- 944 : ◆193R5b5IKU:2012/02/25(土) 16:05:40
- 本スレ規制されていたのでこちらに投下します。
無鉄砲・適当ロワ第9話。
登場キャラ 八雲紫、樺地崇弘
- 945 : ◆193R5b5IKU:2012/02/25(土) 16:07:13
-
第9話 無口な少年と動かない少女。
「ガガァァァ………ゴゴォォォ……!!」
G―3の民家内で爆睡する少女がいた。
彼女は昨日、とある激戦を終えて、死ぬほど疲れていた。
起こさないでくれ、死ぬほど疲れているんだと言っても過言ではない。
……と言うのは冗談である。
「……霊夢ぅ……私の酒が呑めないっていうのぉ……」
彼女は昨日の宴会で飲み比べをして、酒飲みの友人たちと張り合った。
が、酔いつぶれて、途中で寝てしまった。
そして、なんやかんやでこの殺し合いに巻き込まれた。
でも、見てください、彼女の幸せそうな寝顔を。
貴方はこんな状況でゆっくり寝れますか?
「グガガガァァァァ……」
◆◆◆
その少女が寝ている隣の民家に一人の少年がいた。
名を『樺地崇弘』。氷帝学園に通う中学二年生だ。
「…………」
樺地少年はとても驚いた。
何故ならばデイバックの中に兵器が入っていたのだから。
だが、迅速かつ丁寧にデイバックにしまう。下手に扱うと暴発しそうだからである。
樺地少年は普通の中学生である。
そして、キング・跡部様の忠実なる従者でもある。
だが、殺し合いにその跡部様は呼ばれていない。
ならば、跡部様の下に帰るために全員を殺してでも生き残るか?
それも躊躇いが生じた。
名簿に知り合いの名前があったのだ。
「………………」
彼らを殺してでも生き残る意味はあるのだろうか?
そこでも心優しい樺地少年は悩んでいた。そんな時である。
- 946 : ◆193R5b5IKU:2012/02/25(土) 16:07:49
-
「グガガガァァァァ……」
隣の民家から騒音にも近いいびきが聞こえてきた。
樺地少年は様子が気になり、隣の民家の様子を見に行った。
そっと、民家のドアを開けて中を確認する。
そこには女性が一人寝ていた。
樺地少年が見た限りは自分よりも少し年上のようだ。
そして、樺地少年の存在に気付いたのか、その女性は話しかけてきた。
「……むにゃ……そこのぉ……」
「……?」
だが、半分以上寝ぼけていた。
ここで樺地少年はこの状況を伝えようとする。
「ここにいたら……危険です」
「……んっ、そうなの……だったら……運んでよ……」
心優しい樺地少年は考える。
こんなところで一人寝ていたら、非常に危ないだろう。
だったら、心優しい樺地少年が取るべき行動は一つだった。
「ウス……」
樺地少年はただ一言、寝ていた女性に言うと背負って歩き出した。
そして、またその女性は樺地少年の背中で眠り始めた。
その数時間後、金将軍の増えるワカメがその民家街を押しつぶしたのはまた別のお話。
【G―3・深夜】
【八雲紫@東方Project】
【状態】爆睡、樺地に背負われている
【服装】いつもの服(妖々夢ver)
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダムアイテム(0〜3)
【思考】
基本:???
【備考】
※参戦時期は非想天則より後です。
※OPの説明を全く聞いていません。
【樺地崇弘@テニスの王子様】
【状態】健康
【服装】黒いジャージ
【装備】無し
【道具】支給品一式、核ミサイル@スーパーロボット大戦OGシリーズ 、ランダムアイテム(0〜2)
【思考】基本:跡部の下に帰る。
1:知り合いとの合流。(仁王さんを優先的)
2:女性(紫)を安全な所に運ぶ。
3:もしもの場合は……
【備考】
※参戦時期は仁王王国の国民になった辺りです。
【支給品紹介】
核ミサイル@スーパーロボット大戦OGシリーズ
誰がどう見ても普通の核ミサイル。それ以上でも以下でもない。
なお、威力の制限は全くされておらず、強い衝撃を与えると爆発する。
みんなも守ろう、非核三原則!
- 947 : ◆193R5b5IKU:2012/02/25(土) 16:08:33
- 投下終了です。
- 948 : ◆KIVA/FUoBo:2012/02/26(日) 00:51:51
- ブラッディ・ローズロワイアル 1986ver.の第弐話「禿山・テニスボールの脅威」を投下します
登場人物は石田銀、園崎詩音
- 949 : ◆KIVA/FUoBo:2012/02/26(日) 00:52:50
- 「殺し合いか……。一、中学生が随分と物騒なもんに巻き込まれたものやな」
頭を剃り、まるで修行僧のような格好をした男――石田銀は、この緊急事態でも冷静に落ち着いていた。
テニスボールを殺人道具に使用するというのはあまり納得がいかなかったが、それだけが心当たりだ。
基本的に礼儀を重んじ、どんな相手であろうが全力を以て試合を臨むという姿勢を一貫している彼は、スポーツマンとしては超一流だ。
全力を以て試合を行なってしまったが故に重傷を与えてしまった相手もいたが、それは相手のことを考えてのこと。事実、相手は石田銀に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えていた。
観客に「バケモン」、「殺される」と言われたことがある彼だが、殺生をしたことなど一度もない。マナーはしっかりと弁えており、むしろ試合前に相手の身を案ずるほどだ。
そんな心優しきテニスプレイヤーにとって、開幕式直後に行われたテニスボールでの殺害はあまりにも許し難い行為。
テニスボールは本来、テニスの試合を行うために使用するものであって、誰かを傷つけたり殺したりするために存在するものではない。テニスプレーヤーならば、その程度のことは知っていて当然だ。
にも関わらず、あの男はテニスボールで人間を殺した。それは即ち、『テニス』というスポーツへの冒涜だ。
そんな極悪鬼畜なテニスプレイヤーによって殺されたあの少年は、あまりにも哀れ。石田銀がどれだけ哀れもうとも、お経を読もうとも、その命は一生現世へと戻ることが出来ない。
あの後にせめてもの情けでお経を詠んでやったが、今の自分が出来るのはそれだけだった。
「テニスボールをあないなことに使用するとは……。あれは一体、何者やったんや」
あの少年の死因はおそらく出血多量によるものだろう。人体の血液が極端に減ってしまうと、人は簡単に死んでしまう。
しかし、テニスボールで人体を貫くことなど出来るのだろうか?石田銀の誇る最強の技、「百八式波動球」ですらあんなことが出来るかどうかはわからない。
今まで様々な人間と試合をしてきた石田銀だが、あれは最早人間がするテニスの域ではない。あんなことが出来るのは、本当の化物くらいだろう。
「バケモン」と呼ばれた石田銀だが、彼は列記とした人間。本物の化物が出てきたら、その死合に勝利することが出来るかどうかわからない。
しかも今の自分には替えのラケットがない。もしもガットが貫かれたりしたら、テニスをするのが困難になってしまう。それだけはなんとしても避けねば、他の参加者への対抗手段がなくなる。
自分以外の知人がいない今、頼れるのは自分と自分の持つラケットのみ。デイパックを持つ自分の手が、より一層強くなったのを石田銀は実感した。
- 950 : ◆KIVA/FUoBo:2012/02/26(日) 00:53:40
- 「考えてても仕方あらへん。とりあえず、まずはこの殺し合いから脱出するための仲間を探さな――ッ!?」
不意に、野球ボールが石田銀の腹へ打ち込まれる。
鉄壁のような肉体を誇る巨漢である石田銀はその程度の攻撃はそこまでのダメージにならなかったが、何よりも痛かったのはその直後の追撃。
気付いたら、自分の腹にバールが命中していた。バールを持つのは、緑色の髪をした少女。
なんとかせねばとテニスラケットを手に握るが、相手は一般人だ。無意味に殺生をするわけにはいかない。何より、今此処でテニスボールによる殺生を行なってしまえば自分もあの男と同じ畜生へと成り下がってしまう。
が、それの一瞬の油断が命のやり取りでは致命的だった。女は続けて呆然と立ち尽くす巨漢に、もう一撃バールを叩きこむ。
流石に同じ箇所に二度もバールを叩き込まれると石田銀とは言え、ただでは済まない。油断が原因で状況が更に悪化してしまった。
「何をしてはるんや。こないなことしても、おぬしは何一つ救われへんぞ!」
石田銀の問いかけに動じることはなく、女は更に追撃を加える。これで三度目。
急いでその場から走りだしたが、女は必死の目をして追いかけてくる。間違いなく自分を殺す気だ。
これ以上の攻撃を食らえば、間違いなく自分は気絶してしまうだろう。それはなんとしても避けたい。
あまり乗り気にはなれないが、こうなってしまえばやむを得ない。百八式波動球を使ってやり過ごすしかなかろう。
「弐式波動球!」
ドゴォ!という、まるで何かが爆発したような大きな轟音をたてて石田銀のラケットから放たれるのは、紛れも無いテニスボール。
そしてそれは、容赦無く自分を追跡してくる女の腕へと命中。大きな衝動と絶大な威力によって手に握られていたはずのバールは、地面へと落下してしまう。
女は完全に無防備になった。これが河村隆のようなタフネスな人間ならば新たな武器を取り出して追跡を続行してきたかもしれないが、相手は女だ。
痺れてしまった手で新たな武器を取り出すことも出来ることが無く、追跡はそこで終了。石田銀は無事に逃げ出すことに成功した。
「もしもおぬしが自分以外を皆殺しにしてしてでも元居た場所に戻ろうとすると言うんやったら、哀れやな」
石田銀は静かに呟く。
先程の女がどのような事情を抱えているのかはわからない。だが、突然の状況に気が狂ったように攻撃してくる彼女の姿は、あまりにも哀れだった。
- 951 : ◆KIVA/FUoBo:2012/02/26(日) 00:55:17
- 【一日目/朝/B-3】
※テニスボール(1/1)@新テニスの王子様が放置されています
【石田銀@新テニスの王子様】
[状態]ダメージ(中)、疲労(小)
[装備]石田銀のテニスラケット@新テニスの王子様
[道具]支給品一式、テニスボール(13/12)@新テニスの王子様、不明支給品0〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いから抜け出す。殺生は行わないが、ある程度の正当防衛は已む無し
1:この殺し合いを共に脱出するための仲間を見つたい
2:テニスボールで殺生を行ったあの男は、同じテニスプレイヤーとして許し難い
※園崎詩音の姿を確認しましたが、名前は知りません
【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]ダメージ(小)、右手に痺れ、右手に弐式による打撲痕
[装備]なし
[道具]支給品一式、バール@現実、野球ボール(13/12)不明支給品0〜1
[思考・状況]
1:全員殺して殺し合いから抜け出す。特に紅音也は確実に殺す
※石田銀の姿を確認しましたが、名前は知りません
- 952 : ◆KIVA/FUoBo:2012/02/26(日) 00:56:04
- 投下終了です
- 953 : ◆KIVA/FUoBo:2012/03/01(木) 21:11:21
- ブラッディ・ローズロワイアル 1986ver.の第三話「英雄行進曲・戦いの神」を投下します
登場人物はキング、次狼、加賀美新
- 954 : ◆KIVA/FUoBo:2012/03/01(木) 21:12:26
- 紅音也――彼は、ファンガイアのキングたる男を倒した人間。
キングは紅音也によって、その人生を滅茶苦茶に荒らされた。
結ばれる運命である筈のクイーンは取られ、自身に強力無比な「闇のキバの鎧」を装着させるための生物であるキバットバットII世すらも音也に取られ、最後には自身の息子によって殺されるという始末。
更にキング本人は知っていないが、2008年にはビショップによって蘇生され、自分の息子と音也の息子の協力によって再び殺されてしまうというあまりにも悲惨な運命を辿っている。
しかし、そんなキングに思いのよらぬチャンスが与えられた。何者かは知らないが、死んだ筈の自分を「完全な形」で蘇生してくれたのだ。
それに加え、紅音也を殺せばどんな願いでも叶えられるときた。果たして本当にどんな願いでも叶えられるのかは不明だが、死んだ筈のファンガイアを蘇生出来たのは事実。自分が今、こうして生きていることが何よりの証拠だ。
ファンガイアの王たる自分がこのようなことに巻き込まれるのは少々不満だが、それも憎き紅音也を殺すため。生憎と紅音也の息子はいないようだが、紅音也さえ死ねば、その息子もいないことになるだろう。
あの時は「黄金のキバ」と「闇のキバ」を同時に相手にしたから敗北したのだ。紅音也一人ならば、殺すことなど造作も無い。事実、闇のキバとなった紅音也を殺しかけたこともある。
恐れる必要は何もない。ファンガイアの王がたかが人間風情に負けることなど有り得ないのだから――
「お前は……」
獲物が現れた。
淡い茶色のサングラスをかけたこの大男は、ウルフェン族の生き残り。
一度は封印してキャッスルドランの飾りとしていたが、紅音也によって解放されてしまった者だ。
紅音也とコイツは間違いなく何かしらの繋がりを持っている。でなければ、わざわざキャッスルドランに乗り込んでまで助けようとはしないだろう。
それにコイツは己の身を犠牲にしてまで紅音也を庇っていた。ウルフェン族唯一の生き残りが何の関わりもない人間にそこまでするとは思えない。
ならばここでウルフェン族を絶滅させたら――紅音也はどうなるだろうか?
幸い、今はキバットバットII世もこちら側についている。たかがイクサで闇のキバやファンガイアの王たる自分を倒すなど、絶対的に不可能だ。
「絶滅せよ」
「喜べ、絶滅タイムだ」
「変身」
キバットバットII世がキングの腕へと噛みつき、魔皇力を注入する。
するとキングの身体に黒い線が浮かび上がり、漆黒の鎖が巻き付き――やがて人間だったキングの姿は、闇のキバへと変貌していく。
次狼も負けじとウルフェン族としての姿へと変身するが、キング相手に1対1ではあまりにも不利。次狼に残された手段は、逃げるしか無かった。
だが、それを逃すキングではない。闇のキバが指を指すと、蝙蝠のような漆黒の紋章が地面に浮かび上がり、やがては次狼に追いつき、次狼の往く道を壁のように遮り、拘束する。
紋章によって拘束され、身動きが取れなくなった次狼の身体は何一つ対抗することが出来ず、闇のキバが腕を引き寄せることで次狼も引き寄せられる。
引き寄せは殴り、引き寄せは殴り――こんな一方的な虐待が長時間続いた。
- 955 : ◆KIVA/FUoBo:2012/03/01(木) 21:13:01
- ☆ ☆ ☆
「ぐ……!」
あまりもの猛攻に次狼は人間の姿となり、地面に俯せになってしまうが、それでもキングの虐待は続く。
この男がいなければ紅音也はあの時に死んでいた筈なのだ。そう簡単に殺すつもりは無い。
だが、その考えが殺し合いの場においてはあまりにも甘すぎた。
確かにキングは強い。しかし、ここにはどのような強力な敵にも勇気を持って立ち向かう者も連れてこられている。
そう、天の道を往き総てを司る男と共に数々の死線をくぐり抜けてきた男も――
「やめろ!」
突如、クワガタの姿を模した青色の機械が闇のキバの周囲を周り、その身体を使って攻撃を仕掛ける。
闇のキバは邪魔なクワガタを叩き落とそうとするが、圧倒的なスピードで撹乱され、その拳がクワガタに当たることはない。
クワガタの名はガタックゼクター。選ばれし男のみが使用することが出来る特殊な機械だ。
キングは知らない。ワームという未知の生命体と戦ってきた心優しき熱血漢がいることを。
「変身!」
『HENSHIN』
クワガタの猛攻が止んだと思ったら、直後に現れたのはゴテゴテの装備をした未知の戦士。
「変身」という掛け声からキバのようだが、その姿はキバのソレとはかけ離れている。
となれば、イクサの新たな系譜か?という疑問が思い浮かんだら、それにしてはあまりにもイクサとかけ離れている。
尤も、それが何であろうと今のキングには関係ないことだ。闇のキバとバットファンガイア、これらの最強の能力を併せ持つキングにとって、男が変身した戦士など取るに足らない。
「キャストオフ!」
『Cast Off』
電子音が鳴り響き、ゴテゴテとした装甲が弾き飛ぶ。
その威力は絶大なモノで、ガタックゼクターの猛攻には全く動じなかった闇のキバですら多少のダメージを受けてしまった。
だが、この程度ならばキングにとっては大したダメージではない。ワームと呼ばれる未知の生命体の最弱形態を一気に滅するマスクドフォームの装甲も、ファンガイアのキングにはまるで無意味なのだ。
『Change Stag Beetle』
「貴様……キングに歯向かうのか?」
先程まで居た戦士の装甲が弾き飛び、その直後に現れたのはクワガタを模した青色の戦士。
流石のキングも目を疑ったが、黄金のキバのように封印を解いたと考えれば多少は理解することが出来た。
新たに現れた戦士の装甲は太陽に照らされ輝いており、戦士が只者ではないことをキングは直感する。
これこそがガタックの――加賀美新の真の姿。戦いの神と呼ばれし戦士は2本の剣を握り締め、闇のキバと対峙する。
「どうしてその人を殺そうとした!」
ガタックへと変身した加賀美新は、2本の剣で闇のキバへ立ち向かう。
理由は簡単、ここで倒れている人を助けるためだ。
コウモリのような不気味な姿をした男は新たなライダーなのか、それとも別の何かなのか――それはわからない。
だが、だからといってここで怯えて戦いとは無関係な一般市民を見殺しをするつもりはない。
相手が誰であろうと、逃げずにひたすら立ち向かう。それが加賀美新という男なのだ。
加賀美が今助けようとしている人間の姿をした男は、実は人間とはかけ離れた異形の怪物なのだが、そのことを加賀美はまだ知らない。
尤も、知っていたとしても加賀美新は地面に傷だらけで俯せになっている見知らぬ怪物を助けていただろう。何故なら加賀美にはワームであるにも関わらず人間の心を持ってしまった友がいるのだから。
- 956 : ◆KIVA/FUoBo:2012/03/01(木) 21:14:23
- 【一日目/朝/D-5】
【キング@仮面ライダーキバ】
[状態]ダメージ(極小)、ダークキバに変身中
[装備]キバットバットII世@仮面ライダーキバ、
[道具]支給品一式、不明支給品0〜3
[思考・状況]
1:紅音也と紅音也の親しい人物を絶滅させる
【次狼@仮面ライダーキバ】
[状態]ダメージ(大)、疲労(大)
[装備]なし
[道具]支給品一式、不明支給品0〜3
[思考・状況]
1:まずはキングから逃げ出す
2:音也とゆりに合流する。特にゆりは心配
【加賀美新@仮面ライダーカブト】
[状態]健康、ガタックに変身中
[装備]ライダーベルト@仮面ライダーカブト、ガタックゼクター@仮面ライダーカブト
[道具]支給品一式、不明支給品0〜3
[思考・状況]
基本:殺し合いには絶対に乗らない。殺し合いに巻き込まれている人は助ける
1:倒れている人を助ける
- 957 : ◆KIVA/FUoBo:2012/03/01(木) 21:15:00
- 投下終了です
- 958 :第一回放送(DOL4th) ◆VxAX.uhVsM:2012/03/12(月) 16:30:59
- 規制されたのでこちらに
よぉ、二時間って早いよな。
と言う事で放送だ、元気だったか?
とは言っても面倒なんでやることやって終わるぞ。
まずは死者の発表だ。
苗木誠
湯田浩一
◆6LQfwU/9.M
丹羽雄二
キサラギ
六道仁
レッド
石丸清多夏
青木林
桑田怜恩
十神白夜
以上だ。
続いて禁止エリアの発表だ。
A-2
D-4
この二つを放送後一時間後に設定するからな。
それじゃあ、元気でやれよ。
大事な人が死んでも、生き返らせれるんだからよ。
では、頑張ってくれよ。
【残り 20人】
- 959 : ◆VxAX.uhVsM:2012/03/12(月) 16:31:58
- 投下終了です。
- 960 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 00:50:56
- 投下乙です
規制されてるのでこちらにEX俺オリロワ2投下します
一方通行な想い 登場:ドーグラス、平田洋明
- 961 :一方通行な想い ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 00:51:40
- 9話:一方通行な想い
廃墟と化したラブホテルを住処にする野良の妖犬。
彼、ドーグラスは自由気ままな野良生活を送っていた。
それがある日、彼の人生に大きな潤いがもたらされる事になる。
「ドーグラスさん、お願いがあります、私を犯して下さい」
「……は?」
それは、廃墟探検が好きだと言う、中学生の少女からの突然の願いだった。
彼女はドーグラスと知り合いたまに食糧を持ってきてくれるなどそれなりに親しい仲になったとは、
ドーグラス自身も思ってはいたがまさかこんな願いをされるとは。
そしてドーグラスは少女の願いに、答えた。
普段滅多に交尾も出来ないのにわざわざ女の方から願われているのだから断る理由など無い。
「ああ! あああ〜! 犬のおち***が奥まで来てるよぉ!」
「締まりが最高だぜ! ウウッ、クウウッ気持ち良いぞォ! もっと締めろや!」
「あひぃ! 締めます! 締めますぅ! ああああ!」
ドーグラスは中学生の割に発育の良い身体をした少女を心ゆくまで味わった。
そしてその日からドーグラスと少女はより親密な仲になった。
◆
「ふぃー」
廃集落の廃屋の壁に小水を掛けながら白い毛皮の妖犬、ドーグラスは一息つく。
「出た出た……さてと、凛花捜すか……あいつこの殺し合い生き残れないかもしれんけど」
片桐凛花――――廃墟探索を趣味とする中学生の美少女でありドーグラスの性欲処理相手。
彼女がこの殺し合いに呼ばれていると知った時からドーグラスは凛花を捜し出すと決めていた。
彼女の事が大切と言うよりも、折角手に入れた性欲処理要員を失いたく無かったと言うのが大きい。
「あいつは俺の大事な性処理道具だからなー。
食べ物持ってきてくれたりするしおまけに最近知ったがあいつすげぇ金持ちの家の娘らしーじゃねぇか。
お嬢様を性的に独り占めなんて俺はツイてるなぁ。
よーし、さっさとあいつを捜し出して死ぬまで犯してやろう! どうせ生きて帰れる訳ねーしwww」
そしてドーグラスはこの殺し合いからの生還を諦めていた。
首には爆弾付きの首輪がはめられ無理に外そうとしたり逃げようとすれば、
開催式の時に首輪を誤って爆破されて殺された許田拓斗のようになる。
首輪をどうにか出来るような人物が都合良くいるとも思えない。
以上の事から、ドーグラスは片桐凛花を捜し出したら命ある限り凌辱しようと決めていたのだった。
- 962 :一方通行な想い ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 00:52:20
- 「凛花はどこにいるのかなーっと」
ダダダダダッ!!
「うおお!」
突然、ドーグラスの足元辺りに銃弾が複数撃ち込まれる。
幸いにもドーグラスに当たる事は無かったが。
「何だよ!? ……ああ? あいつ……」
自分を銃撃したと思われる人物を見付け、ドーグラスは驚く。彼はその人物を知っていた。
「見付けたぞ……ドーグラスぅ!」
「お前、凛花のクラスメイトの」
「気安く彼女の名前を呼ぶなぁ!!」
ダダダダダダッ!!
「ぬおお! 危ねぇだろ!」
「畜生、上手く避けやがって……!」
ドーグラスに向けデジニトクマッシSR-2短機関銃を乱射する中学生風の少年。
彼が目の前の妖犬を見るその目には殺意が滲んでいた。
「俺を殺そうってか、んな事したって凛花はおめぇのモンにはならねーよ、平田洋明君よォ!」
「うるさいうるさい! お前のせいで、彼女は変わってしまったんだ!」
少年、平田洋明はドーグラスが弄んでいる片桐凛花のクラスメイトで、
凛花に片想いをしていた。最近では凛花に対しストーカー行為を働き、
そして彼は目撃してしまった、凛花が廃墟で野良犬と性交しているのを。
学校では清楚で可憐な雰囲気を漂わせていた凛花が、
廃墟で野良犬の赤黒いそれを股に咥え込んでよがり狂い、身体中に精液を掛けられ嬉しそうにしている様子など、
洋明には到底受け入れ難いものだった。
だから彼は現実を認めなかった。自分の都合の良いように解釈してしまう。
「お前が片桐さんを無理矢理犯したんだろう……お前が片桐さんを淫らにしたんだろう!
そうだ、そうに決まっている、片桐さんが自分から喜んであんな事する訳が無いじゃないか……」
悲しげな声でそう言う洋明を、ドーグラスは憐れむような表情を浮かべながら言った。
「はぁ、お前、凛花の奴を美化し過ぎじゃね? あいつはお前が思ってるような清楚な女じゃ」
「うるさいって言ってるだろぉおお!! 糞犬がぁああ!!」
- 963 :一方通行な想い ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 00:52:58
- ダダダダダダダッ!!
洋明が吼え、ドーグラスに向けSR-2を乱射する。
しかし本人が銃に不慣れなせいとしっかり照準を定めていないせいもあって、
銃弾はドーグラスに掠りもしなかった。
「何で当たらないんだ!!」
「ちゃんと狙えやストーカー野郎! じゃあな! いつまでも付き合ってられないんだよ!」
「ま、待てっ……くそっ、弾が切れた!!」
逃げ去るドーグラスに向けて再びSR-2を掃射しようとした洋明だったが、
弾が切れ発砲する事が出来なかった。
予備の弾倉に替えている間にドーグラスを見失ってしまった。
悔しがって、近くに放置されていた廃車のドアに蹴りを入れる洋明。
「あの糞犬め! 馬鹿にしやがって……! はぁ、はぁ……今度会ったら、今度こそ殺して、
あの汚いチ*コを切り取って、燃やしてやる! ……片桐さん、貴方は僕が生き残らせます、
僕が、あの汚い野良犬から解き放ってあげますから」
そう言う洋明の目にはかなりの狂気が宿っていた。
とても想い人のために、と言うような様子には見えない。
彼はもう誰にも止められないであろう、もしかしたら彼が一方的に想っている少女さえも。
◆
「チッ、あのストーカー野郎、マジで俺を殺そうとしやがった……」
廃集落は規模が大きく、平田洋明からそれなりに離れたはずだがドーグラスはまだ廃集落内だった。
遺留物もほとんどないがらんどうの廃屋の中で息を潜める。
平田洋明については凛花本人から話を聞かされていた。
「最近ストーキングされている」と。
洋明の想いも虚しく当の凛花からは「ストーカー」としか認識されていない。
その事も知らず――知る由も無い洋明はドーグラスを殺して凛花を救うなどとほざいた。
滑稽過ぎるな、とドーグラスは笑みを浮かべる。
「あそこで殺しときゃよかったかなあいつ、あれだと凛花まで殺しそうだが。
……まあ良いか、あんな奴勝手に自滅すんだろ……」
出来ればもう平田洋明とは会いたくない、関わりたくないとドーグラスは心から願った。
- 964 :一方通行な想い ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 00:53:39
- 【早朝/C-2廃集落】
【ドーグラス】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1〜2)
[思考・行動]
0:片桐凛花を捜し出し死ぬまで弄ぶ。
1:殺し合いに乗る気も抗う気も無いが襲われたらそれなりの対処はする。
2:平田洋明にはもう会いたくない。
[備考]
※平田洋明から離れた場所にいます。
【平田洋明】
[状態]健康
[装備]デジニトクマッシSR-2(20/20)
[持物]基本支給品一式、デジニトクマッシSR-2の弾倉(4)
[思考・行動]
0:片桐さんを優勝させ、自分は自害する。
1:ドーグラスを殺したい。
[備考]
※特に無し。
----
≪キャラ紹介≫
【ドーグラス】
35歳の妖犬の雄。白い毛皮だがボサボサで汚れ、痩せ気味。
気ままな野良生活を送っており廃墟のラブホテルを住処にしているが、最近、
近所の中学に通う少女と親密になっている。ドーグラス自身は少女を性欲処理相手としか考えていない、
訳ではないかもしれない。過去にオスケモ好きの変態男に捕まり尻穴調教され尻が敏感。
【平田洋明】 ひらた・ひろあき
14歳の中学二年の少年。大人しく特に目立った特徴の無い普通の中学生。
同じクラスの美少女・片桐凛花に想いを寄せストーカー行為を働いてしまっていたが、ある日、
凛花が廃墟で野良犬とまぐわっているのを目撃し思い詰めるようになってしまう。
凛花本人からは単なるストーカーとしか思われていない事に彼はまだ気付いていない。
名前の元ネタは声優の平田広明。取り敢えず本人にごめんなさい。
≪支給品紹介≫
【デジニトクマッシSR-2】
平田洋明に支給。予備弾倉5個とセット。
1999年にロシアで開発された小型短機関銃。
ボディアーマーを着用したテロリストなどを相手とすることを想定し高い貫通力を持つ弾薬を使用する。
ロシア国内の法執行機関にて使用されているらしい。
----
- 965 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 00:54:56
- 投下終了です
- 966 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:32:21
- 投下乙です。平田広明……一応ヤンデレですねww
デジニトクマッシSR-2を乱射する中学生か……恐ろしい。
投下します。
第七話 嘘つきセッキーと信じたなっちゃん ―過去の代価は復讐―
- 967 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:33:04
- ◇
これは、過去の話。
だが、あの日の事を忘れられない。
雨の降りしきる日。
血の海の中で、倒れている自分。
腕を切られた。
ナイフで切られた。
けど、致命傷にはなっていない。
出血も酷くない。
気絶もしていない。
だけど、俺は動けなかった。
怖くて動けなかった。
死にたくなかった。
母が死んでいる。
喉を切り開かれて死んでいる。
父が、母を殺した男に腹を刺された。
父は腹部を抉られ、出血が酷い。
父は助からないとすぐ分かった。
弟は、ただ殺した男を見ているだけだ。
男は、弟に話しかけているが、内容は聞こえない。
何が起きているか、そのときは分からなかった。
そのときは。
◇
世間にとって復讐は虚しい物らしい。
今から、俺は復讐をする。
虚しい事をする。
その為に、人生を捨てて道を踏み外した。
復讐は虚しい。
所詮は戯言だ。
あの男を許すことは出来なかった。
家族を殺したアイツを許すことは出来なかった。
だから、俺はアイツと■■■を殺しに行く。
殺す為に生きている。
奴は殺されるために生かしたのだろう。
ならば、復讐じゃないだろう。
それから、数年後の話。
今から、数日前の話。
そのために、わけの分からない男と出会った。
黒髪、赤い瞳。
名前は、アンドレイ・チカチーロ。
アンドレイ・チカチーロ。彼はそう名乗った。
偽名であるのは一目瞭然。
- 968 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:33:38
- 本物は、禿げのジジイ。
本物は変態だ。
本物より、紳士的。
本物より、不気味さはあった。
本物は、処刑された。
本物のわけがない。
目的も不明。
正体も不明。
不気味さだけが、そこにある。
気持ち悪さが、どこかにある。
何をするつもりだ?
何を喋るつもりだ?
と、考えても分からない。
行動予測不可能。
「情報を渡すから、ゲームを盛り上げて欲しいんだよね」
携帯ゲーム?
レクリエーション?
前者でも後者でもない。
ゲームとは、殺し合いのこと。
と、後から説明された。
誰を殺しても許される。
そして、あの男もいた。
家族を殺したあの男もいた。
何年も捜し続けたあの男もいる。
憎み続けて、殺したいくらい憎み続けて。
だが、不気味な男。
目的も分からない。
殺し合いなどする目的が。
リスクしかない殺し合いをする目的が。
騙す。
騙されている。
恐らくそうだ。
俺は、コイツに騙されている。
ハメるつもりだ。
いや、殺すつもりか。
「信用できないね。アンタが誰かさえ分からないんだ」
名乗っていた。
けど、信頼が出来ない。
慎重に。
神経を尖らせて。
話を聞く。
復讐の計画がこの男のせいで。
殺すための計画がこの男のせいで。
復讐の計画が。
殺す計画が。
崩れたら、最悪だ。
もしも、嘘なら。
もしも、情報が偽者なら。
- 969 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:34:30
-
信じれない。
偽名を使うような男のことが。
信じれるわけが無い。
「……なーんだ。ノリ悪いじゃないの」
「信じる人を選べって、親父に言われたんだ」
父は殺された。
幼い頃に。
だから、覚えているわけが無い。
嘘。
コイツだって、嘘は吐いている。
俺だって、嘘は嫌いだ。
人を騙すことは嫌いだ。
それも嘘。
嘘には嘘を返す。
「ふーん。結局どうするわけ? 僕と契約はせずに、ここで死んだほうがマシって事かい?」
「……死ぬのは嫌だな」
「まあ、いいよ。君は━━━━━だからね」
「……分かった。協力はするよ」
◇
撃たれた傷はもう直っている。
幻影。
見せられていた幻影の中で撃たれた。
弟に。
弟と、病院で出会った。
久しぶりの再会だったが嬉しくはない。
あの男が言う殺し合いは病院から始まった。
病院のベッドの上で目を覚ます。
少なくとも、普通の病院ではない。
窓は数枚割れて、誰もいない。
それはまた、不気味だった。
「支給品という奴はコレか」
デイパック。
この中に支給品一式が入っている。
あの青年が言ったことが嘘ではないと言うのならの話だが。
それは、丁寧の病院のテーブルの上に置かれていた。
- 970 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:35:13
-
武器。
人を殺すための。
武器。
ゲームを盛り上げるための。
武器。
復讐のための。
武器。
虚しいことをするための。
中身は、通信用の携帯。
中身は、青酸カリ。
中身は、M92。自動拳銃だ。
丁寧に、弾奏とサイレンサー付き。
面白く、ゲームを運んで欲しいらいい。
けど、復讐するつもり。
目を抉って、八つ裂きにする。
焼き殺す。原形を留めいないほど。
それが、長年の復讐。
父と母を殺した復讐。
誰かいる。
情報によれば、刑事。
海棠凪とかいう、ただの雑魚。
ヤバイ。
公安や上層部からはマークされている。
顔を知られている。
正体も知られている。
テロリスト。
過激思想者。
親を殺され、
死にかけた時から、
始まっていたんだ。
追加情報。
とっさに見る。
海棠は、南雲市警察の刑事。
経歴によると、警視庁には勤務してない。
無論、SATなどの特殊部隊の所属経験も無い。
テロリスト捕縛にも関わったことは無い。
運が良かったと言える。
初っ端から、軍人と出くわしていたら、
初っ端から、殺人鬼と出くわしていたら、
俺は死んでいた。
復讐できずに。
「動かないでもらえますか? 出来れば殺し合いはしたくありませんので」
考え事をしているうちに、来た。
小口径の自動拳銃を構えている。
名称は不明。
背後から、少し離れて突きつけている。
反撃は出来そうに無い。
携帯以外の支給品は、デイパックの中。
運が悪かったといえる。
支給品が奪われたら、■■■を殺せない。
素手で殺せるわけが無い。
返り討ちに遭う。
復讐にも失敗する。
「ちょいちょい、撃たないでくれよ!! 俺もワケ分からない殺し合いに巻き込まれただけなんだ!!」
嘘。
嘘。
コイツだって、嘘は吐いている。
『殺したくない』
それは嘘。
人は皆、殺人衝動を持っている。
殺したくて堪らない。
絶対にそうだ。
死にたくない。
絶対にそうだ。
嘘ばかりの汚い人間。
- 971 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:36:18
-
俺だって、嘘は嫌いだ。
人を騙すことは嫌いだ。
それも嘘。
嘘には嘘を返す。
ワケの分からない殺し合い。
巻き込まれただけじゃない。
少なくとも、志願した。
殺す。殺すために。
復讐。復讐するために。
この場を切り抜けるには最適だ。
自分にしては、上出来だ。
「良かった。あの、一緒に行動しませんか?」
「はい!!」
コレも演技。
恐らくコイツは殺しに来る。
その瞬間、返り討ちにして殺す。
支給品は奪う。
いや、今から殺してやってもいい。
だが、もう少し、待ってもいい。
銃口を人に向けているが。
撃つつもりはなさそうだし。
アイツと■■■を殺すためなら、魂は売る。
合流して、アイツと■■■を殺して、コイツも殺す。
「あのお名前は?」
「関春翔です。よろしくお願いします!!」
これは本当。
殺す相手には、名乗る。
ソイツが礼儀だろ。
殺す奴だ。
邪魔なら、殺す。
利用して殺す。
何よりも復讐を。
どんなことよりも復讐を。
長年、恨んできた男に復讐を。
【一日目/深夜/C-1・病院】
【関春翔@単なる伏線キャラ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、青酸カリ、携帯電話、M92(フル装鎮)、追加弾奏(個数不明)、サイレンサー
[思考]
基本:ジョーカーとしてゲームを盛り上げる
1:■■■を殺し、コイツ(海棠凪)も殺す。
【海棠凪@単なる伏線キャラ】
[状態]健康
[装備]拳銃(種類は不明)
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:関春翔と共に行動する。
関春翔(せき・はると)
関勝宏の兄。気さくな青年だが、実はテロリスト。
幻影の中では、フルフェイスヘルメットの男として高校を襲撃した。
海棠凪(かいどう・なぎ)
南雲市警察の刑事。伊達坂浩二の相棒だった。
幻影の中では、平沢に裏切られて精霊に爆殺された。
- 972 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/19(月) 14:37:34
- 投下終了です。繋ぎの話なので、文が雑です(キリッ
- 973 : ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:42:04
- 投下乙です。
この兄危険すぎるだろう。
では、ある程度まで一気に投下します。
22話〜28話
- 974 : ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:42:49
- 「6L氏が死んだ……ねぇ」
僕の隣でこの男は放送の結果をまとめていた。
知り合いが死んでも眉一つ動かさずに、名前を消して言っている。
ある意味、異常ともいえるだろう。
「……で、山の中に入っても何もないけど……何がしたいんだよあんたは」
「いいや……ここらへんに面白いモノがあるかなーってさ」
「……まさか、勘で来たのか?」
「その通り」
「ッ――――――ふざけんなよ」
「怒る事でもないだろう?」
「怒る事だよ!」
もう意味が分からない。
面白いだと?殺し合いの最中だぞ?
まったく訳が分からない。
「……さて、相川君……これからは君の好きにするといい」
「は?」
「君についていくと言う事さ」
「…………意味が分からない、本当に」
冗談だけで構成された人間だ、こいつは。
本心と言うものが全くないような。
操り人形ともいえる。
「……じゃあ、戻りましょうか」
「そうかい……じゃあついていくよ」
xzが俺の後ろについてくる。
帰る途中、人影を見つけた。
少しガタイが良いような、そんな普通の人間だ。
「……ym氏か」
「あんたの知り合いか?」
「まぁ、その通りだね」
こいつの知り合いと言うと、信頼できない。
けれども、そうは言ってられない。
味方は多い方がいいし、変人の知り合いが変人とも限らない。
気が進まないが、声をかけよう。
「すみません、ちょっと良いですか?」
声を書けると男は振り向いて近寄ってくる。
どうやら特に怪しい人でもなさそうである。
「……っと、xz氏じゃないですか……元気でした?」
「一応ねー……」
どうやら友人と言うのは本当の様である。
しかしながら、ここまで普通に接せれるなんてある意味変人だなこの人。
「……さて、感動の再会のところだし……死んでもらおうかな」
「え?」
ymと言われた人は、僕の体をドンと押した。
山の四分目のところであっても、高いところである。
そこから落とされれば、どうなるかくらいわかる。
ああ、死ぬのか、最悪だな。
僕の意識は、すぐに闇へと消えた。
◆ ◆
- 975 :意【イト】 ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:43:23
-
「……乗ってたんですね、ym氏」
「一応な……悪いけどx氏も殺すつもりだ」
そう言ってym氏はコルトM1908ベストポケットを取り出した。
だけれども、僕にとっては関係ない。
相川君が落ちた場所に向かう。
「どうした、まさか落ちるとか言うんじゃないんだろうな」
「え?その通りです」
「……は」
僕は空中に身を投げ出した。
自由落下するときの風の圧力が気持ち悪い。
悪いけど、相川君を死なせるわけにはいかないんだよね。
だって――――――――。
◆ ◆
「……」
呆然、ただそれだけだった。
相川友を落とし、そしてらxz氏も落ちていった。
殺した、と言う事になるのだろうか。
分からないが、嫌な予感を感じた。
何の対策もなく落ちていくとも思えない。
また会うかもしれないから、警戒しておこう。
そう思いながら、ymは山を下りて行った。
【相川友@オリキャラ 生死不明】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手 生死不明】
【B-4山/午前】
【◆ymCx/I3enU@非リレー書き手】
[状態]健康
[装備]コルトM1908ベストポケット(3/6)
[所持品]基本支給品、コルトM1908ベストポケットのマガジン(2)、謎のDVD
[思考・行動]
基本:殺し合いに優勝する
1:書き手さんでも容赦しない
2:……嫌な予感しかしないな
[備考]
※DOL3rdとは別の時間軸です
※二人が死んでない可能性もあると考えました
- 976 :最悪な災厄 ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:43:58
- 「……なんでだよ、トモエ!!」
「悪いとは……おもっとるよ」
二人の人間が向かい合っていた。
両方とも剣を持ち、今にも戦おうとしているところであった。
「そんな事をしたって……オヤジは喜ばないのはわかってんだろうが!」
「……たしかに、そうかもしれんね……」
トモエは寂しげに言う。
だがしかし、武器を下ろそうとしない。
それどころか、武器を握り直す。
「それでもなぁ……ウチは、やらなくてはならないのよ……!」
「そうかよ、じゃあ……容赦しないぜ?」
「勿論――――」
トモエがまずは苗刀でランに斬りにかかる。
その攻撃をランが受け止め、払い距離をとる。
次に攻撃に出たのはランだ。
横からの攻撃をトモエはしゃがんで避け、ランを斬りつける。
「ッ――――!」
反応したため致命傷は避けれたが、わき腹から血が出てくる。
だがランもそれで止まらない。
上から思いきり剣を振り下ろす。
それをトモエは刀で防ぐ。
だが、単純の力勝負ならランの方が格上だ。
無理やり剣を払い、肩を斬りつけた。
「いたた……やるやない……」
「お前もな…………」
ランは再び攻撃に出る。
下段からの攻撃もトモエは受け流れる。
そしてそのまま反撃を繰り出される。
今度は腹部にもろに食らい、血が噴き出す。
「く、そ……」
「もう価値は確定したような物や……もう立たなくても」
「嫌だ……お前の考えを改めさせるまで、立ち続けてやる」
「……なら、もうウチは殺すしかないの?」
「それで、考えを改めるならな……」
「……勘忍な、ランはん」
刀で心臓を刺す。
もうこれで、助かる事はない。
けれども彼女は止まるわけにはいかない。
だから、泣くわけにはいかなかった。
「行こう……目的のために……」
【ラン@クリミナルガールズ 死亡】
【B-2/午前】
【トモエ@クリミナルガールズ】
[状態]ダメージ(中)、身体的疲労(大)、精神的疲労(大)
[装備]苗刀
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:優勝して、元の世界にリューグはんと帰る
1:……もう、迷わへん
[備考]
※トモエルート終了後からの参戦です
- 977 :解-かいとうへん- ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:45:16
- 「……研究所ねぇ」
俺は研究所の前にいた。
何やら中は荒れていて、人が入っている様子があった。
今人がいるか分からないが、とりあえず入る。
何やら怪しい薬が多い場所である。
「…………うーん」
とりあえず、階段を見つけたので上に行く。
そこにあったのはたくさんの仮眠室である。
取り合えずすべての部屋を探そうかと思ったその時だった。
「……話し声?」
部屋を覗くと、三人の人間が何かをやっていた。
正確には、1人がパソコン画面に向かって、二人で話し合っていた。
その中の1人は、見覚えがあった。
「なぁ、アンタ……あんときの」
俺は扉を開けて声をだした。
三人がこちらを向いて驚いている。
一人だけ、女性が俺に向かって銃を突き付けている。
「アナタ……あの主催……何をしに来たの……!?」
「え、いや……違う!俺は……」
「落ち着け、そいつは無害だ」
話した事があったその男が女性を止めてくれる。
仕方がない、そういった表情をして銃を下ろした。
リューグがこちらに向かってくる。
「お前の名前を聞いてなかった、知りたい」
「……◆VxAX.uhVsMだ」
「やっぱりトリ名か、Vxねぇ……ねぇ、ちょっと来てもらっていいかい?」
「え、あ……はい」
パソコンに向かっていた青年がやっと喋った。
画面を見ると、浮かんでいたのは # の文字だ。
これが意味するものは何だろうか。
そう考えていたら彼はこういった。
「お前はあいつと双子じゃないかって踏んでいる、だってそっくりだしな……。
しかもトリ名と来たところだ。ここは期待にかけてみてもいいかなって思ったから、何でもいいから入れてくれないか?」
「……じゃあ、やってみますよ」
トリ名と言われても、正直分からない。
あまりこういった掲示板に書き込んだことないし。
でも、何か分かるような気がする。
とりあえず、間違えてみてもいいんだ。
ためしに数文字適当に打ち込んでみた。
#―――――――
打ちこんだ文字が全部線に変わってしまった。
これでいいのか分からないが、青年にこれを渡す。
「さぁって……合っているかな?」
タンッ、とエンターをわざとらしく押す。
数秒の時間の後、機械の中から音が鳴った。
ピーン
- 978 :解-かいとうへん- ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:45:50
- 「……う、おおおおおおおおおお!!!通ったぞ」
「――――――嘘だろ」
奇跡だった。
自分にしかできない事だった。
何か嬉しいような気分になって、顔が綻ぶ。
あと少しで、脱出の可能性が高くなる。
そう、思っていた。
カラン、という音が自分の近くに鳴った。
足元を見ると、楕円形の物体があった。
それは、映画でも見た事がある。
「ッ、それを投げッ――――――――――――」
その青年の声も虚しく、熱さが覆った。
皮膚が焼けていく。
自分はここで死ぬのかと思うと、猛烈に怖くなった。
他のみんなも、全員倒れている。
ああ――――ここで死ぬのか。
「……死にたく、ないなぁ」
俺は最後にそれだけ願うと、目を閉じた。
数十年生きただけの短い人生であった。
【津本二三也@オリキャラ 死亡】
【リューグ@クリミナルガールズ 死亡】
【霧切響子@ダンガンロンパ 死亡】
【◆VxAX.uhVsM@非リレー書き手 死亡】
◆ ◆
「……4人、か」
研究所から出てきた男がいた。
その男――――◆ymCx/I3enUは手榴弾を手の中で弄びながら笑った。
「これなら優勝も狙えるな……あいつらの支給品は燃えちまっただろうからいいとして、まさかxz氏が手榴弾持ってたとはな」
山から落ちていったxzの支給品から出てきたのは、手榴弾だった。
何かの役に立つと思い持ってきたが、それが正解であった。
「……さぁて、あと少し、気合い入れていくか」
【B-4山/午前】
【◆ymCx/I3enU@非リレー書き手】
[状態]健康
[装備]コルトM1908ベストポケット(3/6)、炸裂手榴弾(2)
[所持品]基本支給品、コルトM1908ベストポケットのマガジン(2)、謎のDVD
[思考・行動]
基本:殺し合いに優勝する
1:書き手さんでも容赦しない
2:……嫌な予感しかしないな
[備考]
※DOL3rdとは別の時間軸です
※二人が死んでない可能性もあると考えました
- 979 :死なば諸共 ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:46:28
- 「ッ――――」
「逃げるな!正々堂々勝負をしろ!」
放送終了後から一時間後、二人の人間未だ争っていた。
戦況は言わずもがなである。
加藤清正は体中に傷を負いただ逃げることしかできていない。
だが行木団平は傷が一切ない。
このまま行けば確実に勝負が決まる。
「……」
「ふん、やっと止まったか、それじゃあ……行くぞ!」
行木が清正に跳びかかる。
清正はそれを避ける。
行木は着地し攻撃に移ろうとした。
だが、その瞬間とある声が聞こえた。
『禁止エリアです――――5秒以内に退出してください』
その声を聞き、清正は行木の元に飛び込む。
そして、均衡状態にもつれ込んだ。
行木は早く禁止エリアから出ようとするが清正はそれを許さない。
「そこをどけ!貴様――――死ぬぞ!」
「……貴様のような奴を生かすよりも、話氏自ら死んでも貴様を殺した方がよい」
「クソッ、どけ、俺は――――この殺し合いを止めなければッ――――」
『警告無視――――即座に対抗手段を発動します』
二人の体に黒い入れ墨のようなものが刻まれる。
それが徐々に赤くなっていく。
数秒後、そこから大量の血液が噴出した。
二つの肉塊はそこに倒れ込み、動かなくなった。
【加藤清正@オリキャラ新規組 死亡】
【行木団平@オリキャラ新規組 死亡】
- 980 :重なり合う ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:47:05
- 「……師匠、大丈夫か?」
古川はいつまでたっても来ない師匠を心配していた。
あの人が負ける事は彼にとっては考えがつかない。
だから生きている――――そう信じたい。
「……」
今から助けに行こうか。
そう思うが、自分が言ったところでどうにもならない。
師匠の足手まといになる事は確実だ。
だから今はここで待つしかできないのだ。
「クソ――――って、誰かいる」
そう言っていると、少し遠いが人がいるのが見えた。
師匠でも先ほどの警察官でもない。
おっとりとした雰囲気を醸し出した女性である。
話しかけようか悩んでいると、向こうからこっちに近づいてきた。
「えーと、初めまして……俺は古川正人と……ってうおッ!」
その女性は刀を抜いていた。
古川の胸の部分の服が切れていた。
反応が遅れていたら死んでいただろう。
そう思いつつ、刀を構える。
「……あんたは、乗っているのか?」
「…………そう、やね……」
「考え直そうっていう気はあるのか?」
「それは、絶対に……ない」
「そうか……なら仕方ないよな」
古川は女性のところに走りだした。
それにその女性は反応するだけで精いっぱいだった。
なんとか刀ではじき、体勢を整える。
しかし動きはどこかぎこちない感じであった。
(――――怪我をしているのか?)
そう思う中で向こうが攻撃を仕掛けてきている。
それを何とか受け流す。
そして、駄目もとで剣を突き刺した。
「ッ――――!」
避けようとしたのだろうか。
いや、避けようとしていたのだ。
彼女はそこで顔を苦痛にゆがませた。
そしてそのまま、刀は彼女の体を貫いた。
- 981 :重なり合う ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:47:39
- 「……ごめんね、先生」
そう言って彼女の体は崩れ落ちた。
そこで古川は一つ気づいてしまった。
自分は、人を殺したのだと。
正当防衛ではあるが、人を殺したのには変わりはない。
少しだけ、心に負荷がかかった。
だが、ここで止まるわけにはいかないのだ。
そう自分に言い聞かせて、自分が殺した人物に黙とうをして動きだした。
【トモエ@クリミナルガールズ 死亡】
【B-2/午前】
【古川正人@オリキャラ】
[状態]身体的疲労(大)、精神的疲労(大)
[装備]打刀
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:このバトルロワイアルを壊す、今度こそ笑子を護る
1:すぐに笑子を探す
2:師匠……無事なのかな?
3:人を殺した……か
[備考]
※DOLロワ2nd死亡後からの参戦です。
- 982 :Delete ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:48:16
- 「……ん?」
市街地に来た2Cはとある光景を見つけた。
向かい合っている三人の人間。
そして、倒れて動かなくなった女性。
離れて行く二人。
「…………負負負」
不明支給品にあった肉切り包丁を取り出す。
自分の支給品はガムというはずれだったが、殺した少年は上等なモノを持っていた。
締めたようなタイミングで2Cは動かなくなった少女の元に向かう。
「初めまして……大丈夫ですか?」
「……」
「生きているのにだんまりって、なかなかひどいことするよね」
負負負、と2Cは笑う。
「……だったら貴方はもう用済みだね、情報聞こうと思ったのに」
「――――え?」
肉切り包丁で少女――――青木百合の頭を割った。
サクッと切れた感触が手に残り、心地が良い。
少しづつ笑いが漏れてくる。
最高にハイな気分、これまでに味わった事がない。
「はは、ははははははっはははは!!!」
パァン
と、乾いた音が後ろから鳴った。
自分の腹に激痛が走り、前のめりに倒れる。
後ろに立っていたのは、彼も知っている人物であった。
先ほどは遠目で気づかなかったが、書き手仲間のHa本人であった。
「ひ、酷いな……Ha氏、俺を殺そうとするなんてさ」
「人を殺した人が何を言っているんだか……まぁ、私もそうなんだけどね」
「負負負……俺を殺して、どうするつもりだ?」
「どうもしないよ……なんとかして協力して脱出しようってだけ」
「……負負負」
「Haちゃん……」
「大丈夫です、確実に殺すので」
銃を頭に押し付ける。
これで引き金を引けば、死ぬのだ。
相手はこのまま放置しても死ぬかもしれない。
だが、回復して再び敵になったら。
そう考える方が怖い。
「さようなら、2C氏」
引き金を引いた。
それと同時に、背後にカランと言った音が鳴った。
置かれているのは、楕円形の物体。
それが何かなんて、言わずもがなだった。
急いでどこかに投げなければ、そう思ったが体が動かない。
恐怖だろうか、分からない。
だけれども、目の前でその物体は爆ぜた。
そして、意識が消えた。
◆ ◆
- 983 :Delete ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:48:58
-
「……Ha氏に2C氏か、悪いな」
先ほどの犯人と言える人物……ymは少しだけ後悔を感じながら言った。
ネット上での付き合いでも、知り合いなのだ。
かなり精神的に来るものがある。
「だけど、これでだいぶ減ったよな……はは、やってやろうじゃないか」
Haの支給品であったベレッタM82を拾い、歩き始めた。
【青木百合@オリキャラ 死亡】
【◆2C/2roNgWQ@非リレー書き手 死亡】
【加賀咲@オリキャラ新規組 死亡】
【◆Hades.lnSM@非リレー書き手 死亡】
【C-2/午前】
【◆ymCx/I3enU@非リレー書き手】
[状態]健康
[装備]コルトM1908ベストポケット(3/6)、炸裂手榴弾(1)
[所持品]基本支給品、コルトM1908ベストポケットのマガジン(2)、謎のDVD、ベレッタM92(10/15)
[思考・行動]
基本:殺し合いに優勝する
1:書き手さんでも容赦しない
2:……嫌な予感しかしないな
[備考]
※DOL3rdとは別の時間軸です
※二人が死んでない可能性もあると考えました
- 984 :悪夢開始 ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:49:38
- 「……ん?」
古川の耳にとある音が聞こえた。
とある音、と言うのは詰まる所爆音である。
爆音が鳴っていると言う事はどういう事だろう。
それは考えるまでもなかった。
「……行こう」
走って爆音がしたところまで走る。
人が死んでいないといいのだが、そう思いながら走る。
鼻に嫌な臭いがするようになった所で足を止めた。
後ろに感じた気配、殺気だ。
それを感じたからである。
「……出てこい」
「うげ、気づいたのか……流石古川君だな」
出てきた男は20代前半の感じの男だ。
どこか恐怖を感じる雰囲気である。
そして何より、体中についている血がそれを引き立てていた。
「……これは、容赦する必要もなさそうだな」
「…………そうだな、残りも少ないみたいだし……君が一番厄介だろうからな」
「つーか、俺を知ってるのかよ、アンタ……どういう事だよ」
「それはご自由にお考えください……それじゃあ、行くぜ」
ymは銃を連射する。
それを古川はなんとか避けながら行く。
全部避けれるわけではないが、最低限に致命傷にならないようにはじきながら走る。
腹部に一発、左腕に二発、それだけの傷でymの所についた。
キックを顔面に繰り出して、ymを倒す。
そして、刀を喉の部分に突き付ける。
- 985 :悪夢開始 ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:50:16
- 「……はは、まさかここまでとはな……やっぱ差があるな」
「悪いけど、あんたを殺さないという選択肢はない……それだけの人間を殺してきたんだろう」
「まあな」
「――――――それじゃあ、死んでくれ」
刀をそのまま突き刺した。
ymは少しの間もがいていたが、動かなくなった。
これからどうしようか、そう考え始めた頃であった。
背後から、1人の声が聞こえた。
「……古川正人さんで間違いありませんね」
「――――誰だ、アンタ」
「軽木流――――しがないマジシャンでございます」
「……マジシャン?」
マジシャンと名乗る軽木と言う男。
男の後ろには一人の人間がいた。
それが誰か最初は分からなかった。
だが、古川は気づいた。
それが誰かと言う事を。
「笑子!お前……無事だったのか!」
「――――――」
「笑子?どうしたんだよ……」
「彼女は私の洗脳下に置きました……返してほしくば、私を殺してください」
「……ははは、上等だ」
古川は再び刀を構える。
そして、今までにないくらいの殺気を出す。
間もなく、古川は軽木のところへと走りだした。
【◆ymCx/I3enU@非リレー書き手 死亡】
- 986 : ◆VxAX.uhVsM:2012/03/19(月) 16:50:47
- 投下終了です。あとは本スレで投下して行く予定。
- 987 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 21:27:12
- 投下乙です
EX俺オリロワ2投下します
10話:アミューズメントパーク動乱 登場:レスター・コリンソン、御代田優太郎、コーディ、沖元実沙
- 988 :アミューズメントパーク動乱 ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 21:28:04
- 10話:アミューズメントパーク動乱
潮風に晒され、廃墟の遊園地の遊具や建物は酷く傷んでいた。
ジェットコースターの枠組みはもはや半分が倒壊しており、観覧車も籠が部分的に落下してしまっている。
レスター・コリンソンは支給されたグルカナイフを装備し廃遊園地の敷地内を歩く。
「ヴィヴィアンとセシリーの奴捜すか……もう死んでんじゃないかあいつら。
全く殺し合いなんてふざけた催ししやがって……ん」
前方に誰かを発見するレスター。
狐獣人の少年である。
「おい」
「ひっ……こ、殺さないで」
「殺さねぇよ。俺はこのゲームに乗る気は無いから、安心しろって」
「本当ですか?」
「ああ、本当だ」
「……分かりました、信じます、僕は、御代田優太郎です」
「俺はレスター・コリンソンだ……乗っていないなら一緒に行かないか? 仲間は多い方が良いだろ」
「は、はい! 宜しくお願いしま」
優太郎の元気の良い挨拶は途中で中断された。
彼の細い首を矢が貫いたためだ。
「!」
「痛っ! ……何、もう……うわ、矢が刺さって……る」
自分の身体に何が起きたか理解した直後、優太郎はその場に崩れ落ち、息絶えた。
ヒュッ
「ちぃっ!」
舌打ちをしつつレスターは自分目掛けて放たれた矢を回避する。
建物の屋根の上に人狼の姿が。
手にはクロスボウらしき物が装備されている。
人狼は手早く次の矢を装填し、レスターに狙いを定める。
レスターはベルトに差していた投げナイフを一本引き抜き、人狼に向けて力一杯投げ付ける。
「グウッ!」
人狼が悲鳴を上げる。
腹から少量の血が噴き出し大きくよろめいた。
「今だな」
相手は建物の屋根の上におり、手近に屋根に上がれそうな場所は見当たらない。
出来れば屋根に上がって人狼を始末してやりたいが上がる場所を探す余裕は無さそうだ。
ここは一旦逃げた方が良いだろう。無様ではあるが。
「あばよ!」
「グウ、ま、待て……!」
レスターは全速力で駆け出した。
◆
- 989 :アミューズメントパーク動乱 ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 21:28:50
- 「痛てて……投げナイフを持っていたなんて、油断したな」
濃いグレーの毛皮を持った少しやせ形の人狼の雄、コーディは、
腹に刺さった投げナイフを引き抜きながら呟く。
ナイフ自体はまだ使えそうなのでその辺に落ちていた布切れで血を拭き取って自分のデイパックに押し込む。
建物から下りて、先程射殺した狐少年の元に歩み寄る。
「……うぐっ、げほっ」
「あら、まだ生きていたのか」
意外にも少年はまだ生きていた。
もっとも放っておけばすぐに完全に死に絶えるだろうが。
「痛い、よぉ……痛い……身体が、動かないよぉ……えぐっ、ぐすっ」
「……可哀想にな、俺が楽にしてやろう」
コーディは先程の投げナイフを取り出し、少年の心臓に突き刺した。
少年は短い悲鳴を上げた直後、今度こそ確実に生命活動を停止させた。
ナイフを引き抜き今度は少年の衣服で血を拭うコーディ。
そして少年の首に刺さっていた矢と地面に刺さった矢を引き抜き回収する。
支給されたクロスボウの矢には限りがあるので可能な限り再利用した方が良い。
少年のデイパックを漁ってみると、手榴弾が3個と粉末ジュースの袋が3袋入っていた。
それらも回収し自分のデイパックに押し込む。
「さてと、バイロンさんにアドレイドにクローイちゃんがいるけど、
そうだな、バイロンさんは取り敢えず放置だ強いから」
コーディは次の獲物を捜し始めた。
◆
- 990 :アミューズメントパーク動乱 ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 21:29:28
- コーディから逃げたレスターだが今度は別の襲撃者に襲われていた。
「死んでよ! お願いだから!」
鶴嘴を振り回しレスターに迫るドーベルマン種犬獣人の女性。
「くそっ、またか! また殺し合いに乗ってる奴か!」
鶴嘴の攻撃を避けながら、レスターは悪態をつく。
相手は殺し合いに乗っているとは言え女性である。
正直言ってレスターは女性を殺したくはなかった。
「ううっ、上手く避けるんだから……」
中々相手に攻撃が当たらない事に苛立ちと焦りを募らせるドーベルマン女性。
「悪いが少し寝て貰うぜ!」
レスターは女性の腹目掛けて渾身の蹴りを放つ。
鶴嘴による攻撃は威力は高いが物の重量が多い分大振りになり易く隙が大きかった。
その隙を突かれ、女性は男性の重い蹴りを鳩尾の部分に食らい、唾液と空気を吐き出す。
「かっ……」
呼吸困難に陥り、一気に意識を失いその場に倒れ込んだ。
「ハァ、ハァ……ったく、どいつもこいつも、何だってこんな馬鹿なゲームに乗り気なんだっつの」
うんざりしたようにそう言うと、レスターは遊園地の出口を捜し始める。
女性の事が少し気になったが殺し合いに乗っている者をわざわざ助ける義理も無い。
もしかしたらまだやる気になっている者が他にも隠れている可能性もあった。
これ以上連戦は御免だ、レスターはそう思いさっさと遊園地から出る事を決めた。
【御代田優太郎 死亡】
【残り 37人】
【早朝/F-2廃遊園地】
【レスター・コリンソン】
[状態]健康
[装備]グルカナイフ
[持物]基本支給品一式、投げナイフ(2)
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。首輪をどうにかしたい。
1:殺し合いに乗っている奴でも女性は出来る限り殺したくないが……。
2:ヴィヴィアンとセシリーを捜そう。
[備考]
※知人はヴィヴィアン・ルーク、セシリー・バーンズの二人です。
【コーディ】
[状態]腹部に浅い刺傷
[装備]クロスボウ(1/1)
[持物]基本支給品一式、クロスボウの矢(10)、投げナイフ(1)、ミルズ型手榴弾(3)、
粉末ジュースオレンジ味(3)
[思考・行動]
0:殺し合いに乗り優勝する。
1:バイロンさんは放置。アドレイド、クローイちゃんは敵いそうなので会ったら始末する。
[備考]
※知人はバイロン、アドレイド、クローイの三人です。
【沖元実沙】
[状態]腹部にダメージ、気絶中
[装備]鶴嘴
[持物]基本支給品一式、???
[思考・行動]
0:死にたくないので殺し合いに乗る。
1:(気絶中)
[備考]
※特に無し。
- 991 :アミューズメントパーク動乱 ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 21:30:22
- ----
≪キャラ紹介≫
【レスター・コリンソン】
とある冒険者ギルド所属の戦士。26歳。無精髭で筋肉質の身体。
魔法は全く使えず余り難しい戦術を考えるのは苦手な脳筋もとい戦士系。
白兵戦に関してはかなりの強さで格闘術にも長ける。そしてタフガイ。
【御代田優太郎】 みよだ・ゆうたろう
名門私立学園の中等部に通う金持ち家の息子。13歳の狐獣人。
この年にしてエロ同人誌やエロゲの愛好家(両親の影響)で、更にそれだけでは物足りず、
発展場に通い快楽を享受するエロケモショタ。最近では肉便器プレイにハマっているらしい。
【コーディ】
とある塔のエンカウントモンスターの人狼。濃いグレーに白っぽい毛皮。
22歳。飄々としているように見え、人を殺し嬲る事には全く躊躇しない性格。
痩せ型で少し不健康そうな印象。そして、かなりの巨根。
【沖元実沙】 おきもと・みさ
ドーベルマン種犬獣人の女子大生。19歳。怖がりで泣き虫。
怖さが限界を超えると思考能力が麻痺し平常時には出来ないような大胆な行動を取るようになる。
一応彼氏がいるが最近何度も行為をせがまれ断れず疲労の色を滲ませている。
≪支給品紹介≫
【グルカナイフ】
レスター・コリンソンに支給。
「ククリナイフ」とも。ネパールのグルカ族をはじめとする諸種族、およびインドで使用される短刀。
農作業、家事、狩猟に使われるのが主だが戦闘行為に使用される場合もある。
【投げナイフ】
レスター・コリンソンに支給。3本セット。
投擲に適するよう工夫された形状を持つナイフ。素人でもある程度正確に投げれるようになっている。
【クロスボウ】
コーディに支給。予備矢10本とセット。
機械式の弓。競技や狩猟で使用される。銃声がしない分場合によっては銃より頼れる。
【ミルズ型手榴弾】
御代田優太郎に支給。3個セット。
1915年にイギリス軍制式採用となった最初期の手榴弾。
有効殺傷範囲は半径10メートル。
【粉末ジュースオレンジ味】
御代田優太郎に支給。3袋セット。
水に入れて使用するジュースの素。正直言って余り美味しく無い。
【鶴嘴】
沖元実沙に支給。
先端を尖らせて左右に長く張り出した頭部をハンドル部分に直角に連結した道具であり、
主に固い地面やアスファルトを砕くために使われる。
----
- 992 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/19(月) 21:31:20
- 投下終了です。
- 993 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/20(火) 20:56:35
- 投下乙です。ミルズ型手榴弾か、これまたレトロな支給品ですな。
では、投下します。八話:短い話(ズガンもあるよ)
- 994 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/20(火) 20:57:10
- 「うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああああ!!!!!!
あああああああああああ!!!!!!
あああああああああ!!!!!!
あああああああ!!!!!!
あああああ!!!!!!
あああ!!!!!
ぁ?」
と、間抜けな叫び声が、森一帯に響き渡る。
声の主は、丸坊主で、ヤクザのような容姿をしたスーツ男。
ゲームやアニメなどのサブカルチャーの特化しており、武器などにも詳しい。
性格は、傲慢のその物だったが、五条ひとみとニアミス、能力によりネガティブになっている。
ただ叫ぶだけで、恐怖に顔を歪ませて、ただ、走っているだけ。
殺し合いに乗っている、殺人鬼よりよっぽどたちが悪い。
その男を、一人の少女は刺した。
水の混じった粘土を刺すような音が聞こえる。
あまり心地のいい音色ではない。
刃は、背中を一突き。
ネガティブな男は、嗚咽しながら、白目を剥き、少女を見る。
ゆっくりと口を開けて、吐血した。
「ガッがはぁッ!!!」
男は、言葉にならない声を漏らして、倒れる。
臆病な顔をして、倒れて、痙攣していた。
しばらくすると、動かなくなり、脈も止まる。
【ク・ラナドナ・キゲー 死亡】
【第一回放送まで 九人】
◇
「お姉ちゃん。絶対に死なせないから」
殺害者の少女は、そう呟く。
【一日目/深夜/D-1・森】
【山口美砂@名前が出てこなかった奴】
[状態]健康
[装備]日本刀
[道具]基本支給品、戦利支給品×0〜2
[思考]
基本:不明
1:不明
※返り血を浴びました。
※何かたくらんでいますが不明です。
- 995 : ◆sWPde7Q8zk:2012/03/20(火) 20:57:47
- 投下終了です。
- 996 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/20(火) 23:50:46
- 投下乙です。
投下します。EX俺オリロワ2 11話:愉快なお医者さん
登場:愉快なお医者さん
- 997 :愉快なお医者さん ◆ymCx/I3enU:2012/03/20(火) 23:51:35
- 11話:愉快なお医者さん
「フフフフ、全く困ったものですねぇ……」
長い白髪、白い肌、細身、不気味な笑い。
白衣姿で無ければ彼の事を「医者」だと思う者はまずいまい。
病院の診察室にて椅子に座るのは医者には見えない医者、高光明秀。
「殺し合い、ですか……あの吉橋と言う人も酔狂な事をやりなさる……。
隣にいた朋佳と言う少女も気になりますが……まあそれは置いておいて」
机の上に置かれたダガーナイフ。
この一本のナイフが明秀の支給品である。
「殺し合う気はありませんが……襲われたら、それなりに対処しなければなりませんねぇ」
ナイフの刃を愛おしそうに擦りながら明秀が言う。
「私は怪我人を治すのは勿論、作るのも得意ですよ……フフフ……アハハハハハ……」
正気とは思えない笑い声が診察室に響いた。
「……ふぅ……少し独り言が多いですね……しばらくはここにいましょうか……」
椅子から立ち上がると、明秀は室内の戸棚等を物色し始めた。
【早朝/E-6病院:一階診察室】
【高光明秀】
[状態]健康
[装備]ダガーナイフ
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:殺し合いをする気は無いが襲われたら容赦しない。
1:しばらく病院にいるつもり。
[備考]
※特に無し。
----
≪キャラ紹介≫
【高光明秀】 たかみつ・あきひで
とある病院に勤める外科医。32歳。白い長髪に細身、死人のように白い肌、不気味な笑いと、
医者と言うより死神。腕は確かで決して悪人では無いのだが同僚や看護師、患者から畏怖されている。
実際、血を見るのが好きで、少々危険な香りを漂わせている。根は悪くは無いのだが。
モデルは戦国BASARAシリーズの明智光秀。
≪支給品紹介≫
【ダガーナイフ】
高光明秀に支給。
短剣。刀身は頑丈に作られ刺す事に特化している。
----
- 998 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/20(火) 23:52:27
- 投下終了です。
- 999 : ◆ymCx/I3enU:2012/03/20(火) 23:54:18
- 容量が限界なので避難所スレpart3立てました
- 1000 :名無しさん:2012/03/21(水) 01:04:19
- 1000
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