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避難所スレ- 1 :名無しさん:2010/04/09(金) 21:20:09
- 何らかの事情で本スレ投下が出来なかった時に投下するためのスレです。
- 2 : ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:23:40
- 規制されているのでこちらで。文練ロワ18話、土見稟、綺堂渚投下します。
- 3 : ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:24:24
- 「プリムラ……ごめんな、守れなくて」
木々に囲まれ鬱蒼とした深夜の森。
草木が眠り、静寂な空気が辺りをひんやりとさせる。
その深夜の森にはあまりにもミスマッチ過ぎる異端、ブレザーを着た青年、土見稟はグスグスと泣いていた。
「俺は……何もできなった。ただ家族が無残に殺されるのを見ているだけ。
なんだよ、俺酷すぎるじゃねえか。屑にもほどがあるぜ」
自傷する稟の表情はあまりにもひどく見るに耐えないものだった。
涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃで瞳には意志の光がない。
全てに絶望したかの表情だった。
「俺に生きる価値はあるのか?……なぁ、プリムラ。
俺はもう限界だよ。楽になりたいよ」
返事は帰ってこない。当然だ。プリムラはもうすでに“死んでいる”。
意味が無いのだ。いくら嘆いても、涙を流しても、怒りを顕にしても。
還ってこないものは還ってこない。
もう楽になりたい、こんな辛い気持ちになるぐらいならいっそ、と思っていた稟を留めているもの。
それは。
「楓、シア、ネリネ、真弓、樹」
稟と同じようにこの島で行われる殺し合いに参加している友人達。
それが稟を死という逃げ道に向かうのを妨げていた。
仲間を残して自分だけ勝手に死ぬことは自分勝手すぎるんじゃないか?
稟の気持ちは搖れに揺れていた。
「俺は……」
稟は顔を上げ、夜空を見上げる。
再び頭に浮かぶ自分の知り合いの笑顔。
「だめだ……やっぱり」
- 4 :稟の燈と歌うゴスロリ女 ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:25:13
- みんなを助けないで死ぬのはひどすぎる。
顔を上げた稟はぐちゃぐちゃの表情は依然としてかわりないが目は違っていた。
「まだ死んじゃ駄目だよな。助けないといけない奴らがいるもんな。
それに、俺なんかよりも楓にシア、ネリネ、真弓の方がよっぽどショックなんだ」
“眼”。
さっきのように絶望に濡れて終りを感じさせる“眼”ではない。
どれほど叩かれても諦めない不屈の眼力。
燈――希望の意志。
「まだ諦めるには早い。ここには樹もいる。俺なんかと違ってあいつは冷静だ。
いろいろと脱出方法について練ってるはずだ。俺がこんな風にグズっててどうする!」
稟はまだ全てを失ったわけではない、と強く自分に言い聞かせる。
自分に尽くしてくれる幼なじみ。
こんな自分を好きだと言ってくれた二人のお姫様。
仲の良い二人の友人。
稟は心に、そしてプリムラに誓う。
(悪い、プリムラ。そっちに行くのは遅くなる、俺は頑張って生きなくちゃいけないから。
みんな無事に帰ったら、プリムラのお墓を作るよ。
だから見守っていてくれ)
稟は止まっていた自分に喝を入れて一歩を踏み出す。
この殺し合いを終わらせるための一歩を。
それに。
『稟……頑張れ……』
プリムラのそんな声が稟には聞こえたから。
◆ ◆ ◆
- 5 :稟の燈と歌うゴスロリ女 ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:25:43
- 稟が誰か他の参加者と接触するために歩き始めて数分後、何かが聞こえたのだろうか、耳を澄まして立ち止まった。
「何だ、これは?話し声にしちゃ大きすぎるな」
何とも言えない気分になってしまった稟はその場に立ち止まり考える。
(どうする?接触するべきか。リスクは……五分五分だな。
これが殺し合いに乗ってない人を呼び寄せるなら、当然のごとく危険だ。
逆にこの状況を理解していない場合だったら早急に止めないといけない)
どう行動すべきか。これは大きな分岐だ、と思いながら。
「見てみなきゃ始まらないか……
遠巻きに見て怪しそうじゃなかったら接触、その逆なら即座に逃げよう」
とりあえずは近づこうと思い、稟は声の震源地を目指す。
吉と出るか、凶と出るか。それは行ってみなくちゃ分からない。
万が一乗ってる参加者だった時の威嚇用に腰には支給品として入っていた大型のリボルバーを二挺差して。
「できれば使わないことを祈りたいけど、もしもの時はこれを使うしかないんだろうな」
そう願って森の中を進む稟を待っていたものとは。
◆ ◆ ◆
- 6 :稟の燈と歌うゴスロリ女 ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:27:58
- (あれは本気でやっているのか?この状況で……)
待ち受けていたのは、稟の目に映るのは黒のゴスロリ服を着た薄紫色の長い髪の女性。
稟より少し年上だと言ったところか。
だが、そんなことを差し置いて稟が一番驚いたことがある。
「あふれーるそのやさーしさー」
歌を歌っていることだ、それも、満面の笑みで呑気に。
傍から見ればかなり変な人である。稟は思わず大きなため息を吐き、頭を抱える。
(この人、どうしよう、このままだとまずいよなぁ。こんなの、自分はここにいますよ、
早く殺しに来て下さいと言ってるようなもんだ。自殺行為にもほどがあるぞ
やめさせないと!)
「おい、あんた!」
「だからいまはもー……ふぇ?」
稟は思い切って隠れていた茂みから飛び出し、女性に声を掛ける。
女性も呼びかけを聞き、歌うのをやめ、稟の方へ体を向ける。女性の顔は相変わらずの満面の笑みだった。
「はいー、なんでしょうかー」
女性が間延びした声で答える。アニメで聞くような柔らかく聞く人をほんわかさせるような声だった。
だがこの非常事態では、意味をなさない。
「何で歌ってたんだ。ここで大きな声を出すのは自分から死ににいくようなもんだぞ!」
稟は引き続きこの女性がなぜあんなに大声で歌っていたのかを問いかける。
(この人……裏があるのか?それともただの天然なのか。まだわからないな。
話を聞いてみないことには始まらない)
残念なことに真剣に考えていた稟のをあざ笑うかのように女性の出した答えは想像の遥か斜め上のことだった。
「うーん、寂しかったから、かなぁ」
「へ……それだけですか?」
- 7 :稟の燈と歌うゴスロリ女 ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:29:22
- 「うん!それだけだよー!だって一人は寂しいじゃない。
一人よりは二人、二人よりは三人って言うじゃない」
あっけらかんとした答えに絶句する稟に依然とニコニコとした女性。
実におもしろい構図である。
「あのさ……えっと「綺堂渚だよ、私の名前」……渚さん、今自分がおかれている現状とか理解していますか?」
「はいー、殺し合いですよね、嫌になっちゃいますねー」
これからの事を思い浮かべるだけで頭痛がしてくる。
稟はそう思った。
稟が渚に大きな声をだすのが危険だということをわからせるのに時間がかなりかかったのはまた別の話――
【C-3/一日目・深夜】
【土見稟@SHUFFLE!】
【状態】精神疲労(大)
【装備】『死』@操り世界のエトランジェ、『死』@操り世界のエトランジェ
【持ち物】 ディパック(支給品一式)、特性予備弾@操り世界のエトランジェ、不明支給品0〜1
【思考】
0.ゲームには乗らない
1.綺堂渚をどうするか
2.知り合いとの合流。
【綺堂渚@キラークイーン】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.稟君っておもしろーい
1.稟君の話を聞く
※綺堂渚の歌声がF-3に響きました。その周りにも聞こえてる可能性もあります。
【『死』@操り世界のエトランジェ】
闇宮冥の特注武器『刻死夢葬』の『死』の部分。
かなり大型のリボルバー。威力が普通の拳銃の何倍。
掠っただけでもアウトである。ちなみに二挺セット。
- 8 : ◆5ddd1Yaifw:2010/04/11(日) 19:30:09
- とーかしゅーりょー。
- 9 :名無しさん:2010/04/19(月) 12:28:49
- さるったのでこちらに最後部分載せます。
◇ ◇ ◇
ジャスティスが去った後、そこに残されたものはなく、ただ破壊の爪痕が全てを荒らした形跡しか残されていなかった。
そして、その場にいた筈の少女は文字通り消滅し、彼女の生きていた証は、その場に残された一本の腕しかない。
そして、残された右手の中に、一つの道具が握られていた事を知るものも、今は無く。
【F-4南東/街入り口、道路/一日目/深夜】
【ジャスティス@GUILTY GEAR】
[状態]: やや疲労
[服装]:
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×?
[思考]
基本:力を取り戻し、人類を抹殺する
0: どこかに移動、殺戮を繰り返す
1: フレデリック(ソル)がいたら必ず殺す
2: 自身の力に違和感
[備考]
※ソルに破壊された後からの参戦です
※首輪に気付いていません、そもそもロワの事を理解していません
※ラトゥーニの右手に何かが握られています。
※F-4南東の道路は、ジャスティスのインペリアルレイで破壊されました、歩いて通る分には問題ありません。
【ラトゥーニ・スゥボータ@スーパーロボット大戦オリジナル 死亡】
- 10 :名無しさん:2010/04/19(月) 12:29:24
- 投下終了です。
実はラトは当初からズガンで出す気でした、ごめんね。
- 11 :<削除>:<削除>
- <削除>
- 12 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:18:53
- 規制なのでこちらに。
お二方投下乙です。
それと>>184さんの言葉に全俺が泣いた。
こんなヘタレ書き手を期待してくれてる人がいるんだね……。
そして、文練ロワ20話投下します。
- 13 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:20:10
- 草原。
ゆらゆら揺れる草。そよそよと吹く風。黒の空に浮かぶ金色の月。微かに灯る月明かり。
一面に広がる鮮やかな緑も夜の闇にかかれば黒に染まり、草の原もたちまち黒の原となる。
その黒の原に一人の異質の黒。否、正確に言えば一人の少年が立っていた。
華奢な体を黒の執事服で身を包み胸には黒のタイ、
少し跳ねたややブルーがかった髪が全身の黒と対比して目立っている。
そして目を惹くのが少年の顔。
女顔かつ童顔で幸薄い容姿が一部の人の保護欲を引き立てるであろう。
綾崎ハヤテ。
両親が残した1億5680万4000円の借金返済のため三千院家の執事を努める少年である。
「……殺し合いですか。見たところドッキリではなさそうですね」
ハヤテは深妙に手を顎に当てながらなぜ自分がこの殺し合いに巻き込まれたかを考える。
(思い当たる理由なんていくらでもある。僕を倒せば三千院の遺産は全て手に入る。
そのためにこんな殺し合いに僕を参加させたのかもしれない。
そんなことを考えるよりも今は、現状の確認が優先ですけどね)
次々と思い浮かぶ理由に頭を抱えながらも、今はそんなことを考えるときではないとハヤテは思考を切り替える。
今の最優先事項は自分が今の状態で何を目標としてどう行動すべきか。
とりあえず、ハヤテはデイバッグを開け、まずは名簿の確認を行う。
あのホールでは人が多すぎて知り合いがいるかどうかわからなかったためだ。
できれば僕の知り合いが誰もいませんように、そう願いながら名簿をパラパラとめくり確かめる。
だが、その願いは粉々に打ち砕かれる。
「お嬢様!?それにマリアさんまで、ということはやはり遺産狙い……!
ここで現時点での相続者であるお嬢様もろとも亡き者にするつもりなのか!
汚い手を使ってくれますね」
ハヤテは自分の大切な人達がこの殺し合いに参加していることに憤りを表情に表し、
両手を強く握りしめる。
- 14 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:21:29
- その怒りに呼応したのか吹く風も強くなり、草が大きく揺れる。
(でも、遺産にはマリアさんは関係ないはず。どうして呼ばれた?
ついでに?わからない。あの女――郷田真弓が何を考えているか。
それに遺産だけなら僕らだけを狙えばいいはず。
他の人達が参加している理由は?
だめですね、ごっちゃになってまとまらない)
ハヤテはうんうんと唸りながらこの殺し合いの開催の理由を考えてみるが一向に思い浮かばない。
それもそのはず。初めて会った人の考えなどいきなりわかるはずもない。
心を読む超能力でも持っていなければ到底無理な話だ。
(僕を覗いてこの島には77人の参加者がいる。
そんな人数を警察にバレずに誘拐することなんて可能なんでしょうか?
それに三千院家のセキュリティをどうやってかいくぐり僕達をここに?
だめだ、今はそんなことを考えるよりもお嬢様とマリアさんだ。
こんな危険な島に一人で……早く見つけないと!)
焦りが何も生まないことぐらいハヤテにもわかっている。
だが、自分の大切な人達が今こうしている間にも危険にさらされていると考えたらじっとしていることなんて到底できない。
ハヤテは他の支給品を確かめた後、ナギ達を探すために歩き始めた。
だがその歩みはすぐに止まる。
「……はぁ」
ハヤテは支給品として入っていたナイフを手に持ち、突然何を思ったのか後ろに振り向き茂みに投げつける。
「いいかげん出てきたらどうです?」
「バレていましたか。これでも気配の隠し方には自信があったのですけど」
暗闇から現れたのは紫のロングヘアの少女。
ハヤテが見た感じではとてもじゃないが殺し合いに乗れるような悪人面ではなく、
秩序を重んじる昔ながらの大和撫子。
そう感じたハヤテであったがどうやら違うと思考に区切りをつける。
- 15 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:22:54
- 「それにナイフの投擲の腕もなかなかのようで。尊敬しますわ」
「それは光栄ですね。で、どのようなご用件でしょうか?」
少女は笑顔で言葉を放ち、ハヤテもその言葉を受け取って喜びの表情を作る。
だが二人ともそれは表面だけのように見える。
少なくともハヤテの内心は喜びとは程遠い。
ハヤテの内心としてはこの人が黒か白かはまだ測りかねず、
表面上がどうであれ信用するには材料が足りなさすぎると判斷。
ひとまずは話を聞こうと問いかけるが。
「いえ、悪いのですけれど死んでいただけたらなと思いまして」
その間は一瞬にして終わる。
その言葉が言い終わるのと同時に少女は地を駆け一息でハヤテの懐まで跳ぶ。
「惨たらしく死んでくれませんか」
少女はデイバッグから取り出した槍で突きを放つがハヤテはしゃがんで躱す。
「お断りです、ってそのデイバッグから出したんですか!?明らかに物理法則おかしいですよ!」
「そんなことを気にしてる余裕あるんですか?」
「……っ!申し訳ありませんが、少しは痛いのを覚悟して下さいよ」
ハヤテは地をはうように回し蹴りを少女の脇腹に叩き込もうとするがそれは直接通らない。
少女は素早く槍の先端部分で受け、さらに出来る限り衝撃を受けないように横に跳び、蹴りの衝撃を殺す。
そこに間髪入れずにハヤテはナイフをくるぶし辺りの高さに投げつける。
「ははっ、なかなかですね。ですが、狙うなら頭を狙った方がいいと思いますよ」
少女は槍を横薙ぎに振るうことで飛んできたナイフを弾き飛ばす。
「ご教授感謝します、よ!」
ハヤテは再びナイフを放つ。そして少女が槍で弾き迫る。
少女の槍による斬撃をハヤテがナイフで受け流し後退。
そこから三度目の正直と言わんばかりに投擲。
- 16 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:24:17
- その繰り返しが何回か続く。
しかし、その繰り返しも終わる。ハヤテのナイフの投擲がなくなることによって。
「っ!もうない!」
「あらあら、それは残念ですね。隙ありです」
ナイフが飛んでこないのに気づいたのか少女はハヤテに迫り槍で刺し殺そうとするが。
「くそっ…………なんてね」
「!?」
それよりも早くハヤテは袖からナイフを出し顔面目がけて投擲する。
少女はその場で足を止め、落ち着いて槍で飛んでくるナイフをなぎ払う。
「そこだ!」
その一瞬の間にハヤテは迫り少女の持っている槍の柄を思い切り上に蹴り上げる。
少女は耐えきれず槍を手放してしまう。
槍はくるくると上に高く舞い上がり少女の後ろの地面に突き刺さる。
「嘘も方便ですよ。これでチェックメイトです」
少女は槍を取ろうと後退しようとするがハヤテがそれをさせない。
ハヤテは即座に少女の懐に迫り拳を放つ。
「チェックメイトにはまだお早いと思いますけど!」
少女はハヤテの拳を叩き落とし貫手を放つ。
それをハヤテは腕を掴むことで貫手を止め、そのまま均衡状態が続く。
それからどのくらいたったのだろうか、均衡が破れる。
第三者の乱入によって。
「おいおい、俺も混ぜてくれよぉ」
その声が聞こえたのと同時に二人は逆の方向に大きく跳躍する。
二人は何か嫌な予感を察知したのだ。
- 17 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:25:07
-
「ひゃっはー!」
次の瞬間、二人の立っていた場所を銃弾が蹂躙した。
暗闇の中から現れたのは一人の少年。まだ中学生くらいだろうか。
半袖のパーカーに半ズボン、それに加えて背丈と顔から判斷するとまだ幼い印象が見受けられる。
しかしそんな少年の手には普通ではありえない、無骨なアサルトライフルが握られていた。
先程の銃撃はこれでやったのだと二人は判斷した。
少年は嫌な笑みを浮かべながらアサルトライフルを二人に向ける。
そこからの二人の行動は迅速だった。
「くそ!おい、逃げるなぁ!」
これを見た二人は脇見もせずにそれぞれ全速力で別の方向へ逃亡を開始した。
重火器相手に手ぶらでかなうはずがなく、それに武器も心許ない上にまだ序盤だから。
無理をする必要はない。
ハヤテも少女も状況を理解して、戦略的撤退を選んだのだ。
「どこだどこだどこだ!」
少年はアサルトライフルを乱射するが二人はもうすでにいない。
行動の迅速さが銃撃から逃れることを可能にしたのだ。
「畜生!逃がしたか。ああ、もう!もっと使い易い銃を寄越せよ!重くて撃ちにくいんだよ」
少年は悪態をつきここに居もしない主催者に対して憤りを表す。
この少年の名は長沢勇治。ひきこもりであり、日頃から人を殺してみたいなど危険な思考を持つ少年である。
そのような思考を持つ勇治がこの殺し合いに乗るのはもはや必然だった。
両親も知り合いもいないので気兼ねなくこのゲームに参加出来る。
勇治の気分はウキウキだった。
それにこの島で人を殺しても罪には問われない、むしろ推奨されているということが拍車をかけている。
勇治にとってこのバトル・ロワイアルはゲームなのだ。クリアは全員殺しての優勝。
- 18 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:25:50
-
ゲームはクリアしなくちゃいけないだろう?と考えながら勇治は嘲う。
「まぁいいさ。次会ったら殺せばいいんだし。僕、いや俺にはこのアサルトライフルがある。
それにあの女達が落としていった武器もここにある」
勇治は少女の落とした槍とハヤテの投げたナイフを丁寧に拾う。
ランタンをつけて明かりを灯せばナイフがどこに落ちているかなどもすぐに分かる。
このような地道なこともゲームのクリアに繋がる。むしろこれは王道だ。
武器集めは他人に対して有利になることだ、と勇治はそう考えていた。
「っし。たぶんこれで全部だな。辺りは大体は見て回ったし。
見てろよ、全員俺が血祭りに上げてやるんだ。ははははは!」
どこまでも自分勝手な少年は高笑いをしながら草原を去っていった。
【A-2/一日目・深夜】
【長沢勇治@キラークイーン】
【状態】健康
【装備】コルト M4 カービン(10/30)
【持ち物】支給品一式、予備マガジン×2、献身@永遠のアセリア、スティンガー×12@魔法少女リリカルなのは
不明支給品0〜2
【思考】
0.人を殺したい
1.優勝を目指す。
【コルト M4 カービン】
米国の特殊部隊統合軍SOCOMが、コルト社に開発依頼したM16A2のカービンモデル。
汎用性は極めて高く、ダットサイトやスコープ、レーザーサイトなどといった照準用光学機器だけでなく、
フラッシュライトやスリング用スイベル、バイポッド、バーチカルグリップ等の補助器具が状況に応じて自在に交換可能。
- 19 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:27:13
- 【献身@永遠のアセリア】
槍型の永遠神剣。位は第七位。
【スティンガー@魔法少女リリカルなのは】
チンクの固有武装であるナイフ。何の変哲もないただの金属のナイフである。12本セット。
◆ ◆ ◆
「どうやら……逃げ切れたようですね」
B-2の北部にハヤテはいた。あの逃亡で少女とは別の方向へ逃げたため一人である。
「アサルトライフル、あんな物まで支給されているとは。
この殺し合いどうやら一筋縄ではいかないようですね」
いくらハヤテが常人より鍛えているとはいえ、銃で撃たれたら死んでしまう。
アサルトライフルならばなおさらだ。
それ故の逃走。だが仕方が無い、ハヤテはまだ死ねない。そう思ってしまったのだから。
「僕はまだ死ねない……お嬢様とマリアさんを無事に、平穏な生活に返すまでは」
大切な人達の笑顔を守るためにハヤテは再び自分に言い聞かせるように決意する。
その決意は何よりも固く、自分を犠牲にしてもいいと言えるぐらいだ。
(早く、銃火器に値する武器を見つけないと。あれに対抗するには必要だ。
さっき、ナイフは全部使っちゃったし武器はもうない。
残るのはこれだけだ)
ハヤテがデイバッグから取り出したのはパイプ椅子と女の子の人形。
どちらも殺し合いに向く物ではない。
改めて見ても使えそうにないとハヤテは判斷しデイバッグの中に二つを戻す。
- 20 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:27:43
- 「無事でいて下さい、お嬢様、マリアさん。僕が行くその時まで」
ハヤテは再び走る。かけがえのないものを護るために。だがハヤテは知らない。
護るべき者の片方が既に死に至っていることに。
哀れな執事はこのまま知らずに踊り続ける。
殺し合いの島で道化のように。
【B-2北部/一日目・深夜】
【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
【状態】疲労(中)
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、上海人形@東方Project、パイプ椅子@SHUFFLE!
【思考】
0.お嬢様とマリアさんを探す
1.殺し合いには乗らない。
2.銃火器に値する物が欲しい。
【上海人形@東方Project】
アリス・マーガトロイドが持つ人形。上海かわいいよ、上海。
【パイプ椅子@SHUFFLE!】
リシアンサスが父親である神王を自重させる時に武器に使う椅子。
正直、これで叩かれるとそれなりに痛そうである。
◆ ◆ ◆
「疲れた……」
ハヤテと反対の方向、B-1の北東部に少女はいた。
少女の名は真田設子。アイギスの敵対組織に属し、セント・テレジア学園に潜入している暗殺者である。
- 21 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:28:20
-
「しかしなぜ、このような所に私はいるんだ。私は確か、学園の寮の自室にいたはず。
おかしいな……私がなすがままに攫われたということか」
設子はお嬢様口調を止め、普段の口調に戻す。どうせここでは誰も聞いていないので演技の必要もないということもある。
「それに、ここには私の他に山田妙子、いや本当の名は如月修史か。あいつもここにいる」
なぜか自分と同じようにここにいるアイギスのエージェントのことを設子は思い出す。
最も設子には彼がどう動こうと関係なく、興味もないのだが。
「どっちにしろ私のやることは変わらない。この島で優勝してさっさと戻ることだ。
幸いのことにここには私を楽しませてくれる奴がたくさんいることだしな」
設子はそう言ってついさっき戦った執事服の少年のことを思い出す。
(あの執事服の奴は槍による鋭い一撃を躱し、それだけではなく一撃を加えようとした。
ナイフの投擲の腕も申し分ない)
設子は心が踊っていた。自分と互角に渡り合える強者に。
バトルジャンキーと言われるほど戦いに渇望しているわけではないが、
それでも強者と戦えるのは嬉しいと設子は思う。
「奴とはもう一度戦いたいものだな。今度はお互い万全な状態で。
次は邪魔を入れさせんぞ」
あの邪魔さえ入らなければもっと戦えたのに、と設子は愚痴を漏らす。
(然るべき武器があればあの邪魔をした少年を殺していたのだがな。
生憎、銃はなく槍もどこかへ飛んでしまった。逃げて正解だったんだ、あれは)
今の手持ちの武器は槍がなくなった今、他に入っていた鉄パイプぐらいしかない。
仕方なく鉄パイプを現在の主戦武器にして設子は進む。
「ここはB-1の北東部。この先は劇場があるはず。地図に乗るほどなんだ、大きな施設だろう。
人がいるに違いない……楽しみだな。私を満足させてくれる奴がいればいいが」
設子はニヤリと嗤う。
これから進む先に自分を満足させてくれる好敵手がいてくれるといいと願いながら。
(如月修史、お前もだ。そう簡単に死んでくれるなよ。
ここでは殺さず生け捕りは難しいしな。殺す気でかかって来ることを願うよ)
最後に自分と同じ場所に潜入しているエージェントを思い浮かべて。
設子は夜の帳に消えた。
【B-1北東部/一日目・深夜】
【真田設子@恋する乙女と守護の楯】
【状態】疲労(中)
【装備】鉄パイプ
【持ち物】支給品一式、不明支給品0〜1(武器はなし)
【思考】
0.優勝狙い。戦いを楽しむ 。
1.街に向かう。
2.銃が欲しい。
【鉄パイプ】
何の変哲もないただの鉄パイプです。特殊能力もついてません。
- 22 :dorchadas ◆5ddd1Yaifw:2010/05/09(日) 00:31:17
- とうかー終了。うむむ、もっとうまくなるよう努力しないとなぁ……
- 23 : ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/09(日) 18:17:05
- 投下乙です。規制は辛いですよね。
ハヤテはこれからどうなるのか。楽しみです。
- 24 :名無しさん:2010/05/12(水) 23:42:17
- 鈴木と銀塵院。元中ボスマーダー同士で殺し合うとは因果よのぉ…。
しかし規制でPCでも携帯でも書き込めんとは何事だ?
- 25 :<削除>:<削除>
- <削除>
- 26 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:22:38
- きせry
投下乙です。
ウホッ、いい濡れ場!
そろそろ忘れ去られそうなんで文章練習ロワ、21話とーかします
- 27 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:24:50
- 「ここ……どこ?」
純和風の部屋、つまるところの和室に、私――麻弓=タイムはいた。
壁に立てかけてある掛け軸、机の上に置いてある花瓶を見ればここが旅館の一室だとわかる。
でも、今の私にはそんなことはどうでもいい。
それよりこれは何?
「寝ぼけてて聞いてなかった……」
寝起きだったし全く頭に入らなかった。
なんかおばさんが壇上でしゃべってるのは覚えてるんだけど。後、周りがすごくうるさかった。
がやがや騒いでいて悲鳴のようなものまで聞こえてた気がする。……たぶんだけど。
覚えているのはそれだけ。
それに私は自宅の自分の部屋で寝てたはずなんだけどな。
何時の間にこんな所に運んだのよ。
「あ〜、いらいらする。しかも何で制服なのよ……」
これも謎だ。私が今着ている服は私の通うバーベナ学園の制服。
ちゃんと自分の制服であることも確認した。
でもおかしい。
私は寝る前に寝間着に着替えてた。これは頭の中にしっかりと残ってる。
じゃあなんで私は制服を着ているわけ?
「まさか……寝ている間に勝手に!?」
そうとしか考えられない。服を着せ替える魔法なんて聞いたことないし。
「ということは、私のあられもない体が見・ら・れ・ただと……?」
これが女だったらまだいい。ぎりぎりだが許容範囲。男だった暁には。
ハッとして私は両手で胸を隠す。でも今更だ。もう遅い。
「もし見た奴が男なら、この麻弓ちゃんの悩殺ボディを見たのが男なら、」
- 28 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:25:34
-
そう、しなければならないことある。それは絶対の決定事項であってとても重要なことだ。
「ギタギタのメタメタにしないと、ねぇ。私の裸を見たのが男なら同じ目に……
いやそれだけじゃ飽きたらないわ。町中を裸で引きずり回してやる……!」
乙女の裸は何よりも重い。鉄則だ、特に私のは。
「さて、どうしようか、ってうわぁ!」
私は立ち上がりこんな目に合わせてくれた奴をボコリに行こうと思ったが、その一歩は早くも妨げられた。
何かにつまづいて転んでしまった。
「何なのよ、人がせっかく意気込んでいるのを邪魔したのは」
下を見ると黒いデイバッグがちょこんと置いてあった。
私がつまづいたおかげで中身が一部飛び出してしまっている。
「この冊子は……?それにこれってPDA?」
とりあえず飛び出していた冊子をとってめくる。
そしたらズラリと名前がびっしりと載っていた。同じようにここに居る人の名前だろうか?
「私の名前は、あった。それに緑葉くんのも」
驚いたことに私の知り合いである緑葉くんの名前もある。
「緑葉くんがいる?何で?このイベントって女の子脱がすだけじゃなかったんだ……」
他の名前も目を通してみると土見くんにシアちゃん、リンちゃんと楓、土見ラバーズがほぼ大集合だった。
「みんなもここに居るんだ。安心していいんだか悪いんだか」
はぁと溜息を吐いて私は名簿を閉じる。他の名前は誰も知らないし、これ以上見ていても何も起こらないだろう。
- 29 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:32:03
- 次にPDAを見る。どうやら現在位置と地図を表示するようだ。
「ここは……C-6、旅館。それにここ島なんだ」
全体の地図を見てみるとここは大きな島のようだ。正直、びっくりだ。
ただの嫌がらせにしては規模が大きすぎるし、変なイベントか何かなのだろう。
「ひとまず外に出ようかな……」
地図によるとここは旅館。ということは当然温泉があるはずだ。
この部屋にはテレビがないことだし行こうかな。何もしないのは暇だし。
私は立ち上がって押し入れに入っていたタオルを取り出し、机に置いて会ったこの部屋の鍵をとる。
丁寧にも玄関には靴もあった。用意のいいことだ。
私はさっさと靴を履いてドアを開ける。
ガチャッとノブを回してドアを開けた先には少し薄暗い廊下が待っていた。
廊下は……普通だ。至って何の変わりのない。
あ、そういえばPDA持ってくんの忘れたな。デイバックも。
ま、いいか。温泉入りに行くだけだし。鍵ももうかけちゃったからめんどい。
たいして重要なものなんて入ってないっしょ。
「すいませーん誰かいますかー」
静寂を破るかのように上から一人の声が聞こえてきた。
若い女の人の声だ。私と同じように突然連れてこられて困惑しているんだろう。
ここは私がこれは何かのイベントですよ〜って教えてあげるべきだ。
麻弓ちゃんってばなんて優しい!
そうと決まれば即行動。温泉に行く前に上へ向かおう。
廊下を早足で私は歩き、階段を見つけた。
さっさと登って上の階に進んでしまおう。
「誰かー。誰かいないんですかぁ……」
女性の声が近い。もう少し。
- 30 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:32:46
- 私は階段を登りきり、廊下へ出る。
「あのー」
「あ!やっと人がいましたー。よかったです、誰もいないんじゃないかと思いましたよ」
目の前にいたのは中国風の服を着た赤い髪の女性。
……胸大きい。服からでもわかるあの大きな質量。
パットを入れてる?落ち着け、クールになれ、クールになるのよ麻弓=タイム!
でもあの確かな重みを感じさせるのは、むむむ。
これはひとつ確かめ……いやいや初対面の人の胸を揉むなんて変態じゃない。
何考えてんだか、私は。
「私は紅美鈴といいます。すいません、これはいったい何の騒ぎでしょうか?
情けないことにさっきまで寝ていまして何も聞いていなくて。えっと……」
「ああ、私の名前は麻弓=タイム。気軽に麻弓でいいわ」
「あ、そうですか。麻弓さん、改めて聞きますがこれは一体?」
「実は私も寝ててよく聞いてなかったんだよねー。でもこれってただのイベントだと思う。
終わりの時間が来たら迎えがくるんじゃない?」
正直、私には何が何だかわからない。いきなりここにいたことも含め何かおかしなことに巻き込まれたのかと疑っている。
でも、私の中の常識的な部分がそれを否定する。……はぁ。何で寝ちゃったんだろ、私。
よく聞いておけばよかった。
「それなら安心ですけどね。咲夜さんに香霖堂の店主さんもいることですし。
すいません、わざわざ」
「別にいいよ、これぐらい。ところでさ、美鈴」
「はい、何でしょう」
「今さ暇?私はこれから温泉に入りに行こうと思うんだけど、よかったら一緒に来ない?」
一人でポツンと温泉に浸かるより誰かと浸かった方が気持ちいい。
銭湯の娘としてはそう思うのですよ。
「申し出はありがたいんですが、その……」
「ん、何か問題あったかな」
- 31 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:34:31
- 「はい、実は私以外にもう一人、女の子が居るんです」
少し驚いた。まだこの旅館に人がいたなんて。
いや、不思議でも何でもない。この広さの旅館だ。
私達以外に人がいてもぜんぜんおかしくない。
「へえー、その子は今何を?」
「寝ています。ぐっすりと。一応呼びかけてはみたんですが。
全然起きないんです〜」
こんな変な状況でもまだ寝ていられるとは結構図太いのね。
最初の開会式みたいなのを寝ぼけていた私や美鈴が声を大にして言えたことじゃないが。
「じゃあさ、その子が起きたらどう?もちろんその子も一緒にね」
「ええ、構いませんよ。あっ、ついでですので部屋に来ます?」
いいよ。ああでもその前に荷物撮ってきていい?置いてきちゃってさ」
めんどくさいことにデイバックを私がいた部屋にそのまま置き去りにしてしまった。
こんなことなら持ってくるべきだったわ。
「いいですよ、私とその子が居る部屋は203です。
鍵は開けとくので勝手に入ってきちゃって下さい」
そこで一旦美鈴と別れて、元居た部屋に戻った。
そしてさっさと荷物をとって203の部屋に向かう。
やっぱりこの島には私以外にも人がいたのね。名簿を信じると土見君達もいる。
いったい何だっていうのよ。何度自問自答しても答えは見つからない。
「本当に訳わかんない……。それにどうやって家から運んだの?」
私をつれていくのに親は気づかなかったのだろうか。
それとも親には了解をとってあるっていうの。
「あ〜考えれば考えるほど嫌になってくる。怖くなるじゃない」
そんなことを考えているうちに美鈴達が居る部屋に着いた。
- 32 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:35:02
- 203……うんあってる。
「美鈴〜入るわよ」
奥からどうぞーと声が聞こえてきた。さっさとあがろう。
靴を脱ぎ、奥の部屋に行くと、そこには美鈴の言った通り女の子がいた。
頭にちょこんと乗った薄いピンク色のリボンに金色の長髪、白雪姫のような儚げな幼さが顕著な寝顔、華奢な体つき。
女の私から見ても文句なしに美少女だ
「私が起きたときに隣で寝ていたんです。起こそうとしても全く起きないですし……
麻弓さんがいて助かりましたよ」
「大げさよ、そこまで感謝されるような事してないって」
しかし不思議だと思う。このイベントといい、私をどうやってここに連れ去ったことといい本当に、不思議だ。
この寝ている女の子は果たして何かを知っているだろうか。
「何か嫌な予感がするのよね」
可能性は低いけど、この子が開会式みたいなのをきちんと聞いていて私の心の奥の不安を取り除いてくれることを願うしかない。
「憂鬱だわ……」
【C-6旅館/一日目・深夜】
【麻弓=タイム@SHUFFLE!】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
1.女の子が起きるまで待つ
2.その後温泉にでも行く
※ゲームを理解していません。
【紅美鈴@東方project】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
1.女の子が起きるまで待つ
2.その後温泉にでも行く
※ゲームを理解していません。
【椎名真冬@生徒会シリーズ】
【状態】睡眠中
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
1.????
- 33 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 01:36:51
- 投下終了です。
タイトルは
「たまたま〜出会った彼女は華人小娘。たまたま近くにいた見知らぬ少女は……」
元ネタが分かる人は握手しましょう。
- 34 : ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/21(金) 01:44:29
- 投下乙です。っていうか規制長くね?
- 35 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/21(金) 02:00:46
- ですよね。いつになったら規制から開放されるのか……
- 36 :名無しさん:2010/05/22(土) 04:49:09
- 投下乙です。この旅館という狭い範囲に寝ていて話を聞いてないのがこんなに集まるなんて。
郷田の悪意をひしひしと感じますな。あと温泉でのお色気タイムに期待。
そして文章練習という事で、おせっかいで見当外れかもしれない指摘。
>そう、しなければならないことある。
もしかして字が抜けている? なんか中国人みたいになってる。
>「この冊子は……?それにこれってPDA?」
?の後は空白を空けた方がよいと聞いた事があるのです。
>ズラリと名前がびっしりと載っていた。
ズラリもびっしりも似たような表現だと思うので、片方だけでいいかな?
>廊下は……普通だ。至って何の変わりのない。
『廊下は……至って普通だ。何の変わりばえもしない。』とした方がいいような気がする。
>「それなら安心ですけどね。咲夜さんに香霖堂の店主さんもいることですし。
>すいません、わざわざ」
二行目の最初に空白を空け忘れています。他の台詞では空いているので統一しよう。
>いいよ。ああでもその前に荷物撮ってきていい?置いてきちゃってさ」
荷物撮影してどうするの麻弓ちゃん! 誤字ですね。あと「を打ち忘れてますね。
>それとも親には了解をとってあるっていうの。
『あるっていうのだろうか。』とするか最後に?をつけるかがいいのかもしれません。
>女の私から見ても文句なしに美少女だ
句点を打ち忘れてますねー。
>このイベントといい、私をどうやってここに連れ去ったことといい本当に、不思議だ。
何か違和感。どうやってを抜くなり『どうやって私をここに連れてきたのだろう。本当に不思議だ』とかにした方がいいかも。
最初に服装を変えられてる事に疑問を浮かべてたから、その事を加えるのもあり?
- 37 : ◆5ddd1Yaifw:2010/05/22(土) 11:37:37
- あ、感想ありがとうございます。
全然いいっすよ、どんどん指摘しちゃって下さい。
後で修正しときます
- 38 : ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/28(金) 00:17:22
- なぜか本スレに繋がらないのでこちらに投下します。
俺得ロワ66話「須牙巡査の病院探索」
登場:須牙襲禅
- 39 :須牙巡査の病院探索 ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/28(金) 00:18:48
- 66話 須牙巡査の病院探索
調達した車、ホワイトカラーの430グロリアを運転し、
エリアG-8の病院に到着した狼獣人の警官、須牙襲禅は、玄関を通った先の惨状に驚いた。
「何だこりゃ。どうやらここでドンパチやらかしたみてぇだな」
受付ホール奥にガラスで仕切られた小さな喫煙室があるのだが、
そのガラスが粉々に砕け散り、その向こうの喫煙室の壁に無数の小さな穴が空いている。
他にも、柱や合成革張りの長椅子、果ては天井にも同様の穴が数え切れない程空いており、
また、床に空の薬莢――恐らく.45ACP弾の物――が大量に転がっている事から、
この病院のロビーにて銃撃戦が有った事は疑いようがない。
最も被害が大きい喫煙室の周辺を調べるが、蜂の巣にされた死体も、血の跡もない。
状況から推測するに、恐らく柱の影に隠れた人物を玄関付近の人物が一方的に銃撃したものと思われる。
これだけ大量の弾痕や、空薬莢が存在するという事は短機関銃或いは機関拳銃などの、
フルオート射撃が可能な銃器を使った可能性が高い。
拳銃弾の中でも口径が大きい.45ACP弾を使う短機関銃は、
トンプソン、M3グリースガン、イングラムなどが考えられる。
「ん……」
調査していた襲禅の、人間より何倍も嗅覚に優れた鼻に嫌な臭いが届いた。
それは血の、いや、警官である彼も何度か嗅いだ事のある臭い。
その臭いのする方向に歩いて行ってみる。
「……こりゃまた」
廊下の途中に、首と胴体が分かれた惨殺死体が転がっていた。
清潔な病院の床に広がる血溜まりは黒く変色し乾燥し切っている事から、
この死体の主が死亡してからかなり時間が経っている事が分かる。
先程の臭いは、この死体から発せられる死臭だったのだ。
元々は、露出が多い衣装や悪魔のような尻尾に翼、身体付きから、
恐らくはサキュバスなどの悪魔っ娘の類の女性だったのだろうが、
すっかり血の気の失せた肌は白く変色し腐敗を始め、見開かれたままの目は濁っていた。
かつての美貌、おおよそ想像もつくが、見る影もない。
傍にこの悪魔っ娘の物と思われるデイパックも転がっていたが目ぼしいものは何も残っていない。
殺害者が持ち去ったのだろう。
玄関ロビーで戦闘を行っていたのはこの悪魔っ娘と、その殺害者なのだろうか。
「ご愁傷様、と」
もっとも、それは襲禅にとっては少し推測してみただけで大して気になる事でもなかったのだが。
何も使えそうな物がない事が分かると、襲禅は死体には興味を失い、
病院一階の探索を開始した。
- 40 :須牙巡査の病院探索 ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/28(金) 00:22:28
- 診察室、事務室、院長室、厨房、トイレ……どこにも人の姿は見当たらない。
「二階に行ってみるか」
一階の探索を切り上げ、襲禅は病院二階に上がるため階段を目指した。
エレベーターもあったが、機能が停止しており使用できない。
右手に自動拳銃・ブローニングハイパワーを持ち警戒しながら階段を上がって行く。
「ん……またか?」
ここで、再び襲禅は死臭を嗅ぎ付ける。
どうやら二階にも死体があるらしい。
階段を上がり、二階に到達した襲禅は臭いの元があると思われる方向へ歩いて行った。
「こいつは……あん時のガキじゃねぇか」
死臭が示した通り、二階にも一人の死体が転がっていた。
休憩用のホールと思しき広間に、学生服姿の少年の死体が横たわっている。
襲禅はその死体に見覚えがあった。
それは、この殺し合いが始まって襲禅が初めて遭遇、襲い掛かった少年であった。
「くたばりやがったのか、呆気ねぇな」
血塗れで床に倒れる少年の死体を見下ろしながら襲禅が嘲った。
例によって少年の物と思われるデイパックが近くに落ちていたが、やはり何も使えそうな物は残っていない。
「死体ばかりじゃなくて生きてる奴に会いたいもんだ……」
役場にて銀髪の女性と交戦して以来、かなり長い事生きた人間と遭遇していない。
死体ばかりに遭遇する現状に襲禅は愚痴をこぼす。
少年の死体の周辺にも目ぼしい物は落ちていない事を確認すると、
襲禅は二階の探索を開始した――。
- 41 :須牙巡査の病院探索 ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/28(金) 00:24:19
- 【一日目午前/G-8病院】
【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】
[状態]:右脇腹に散弾二発被弾(処置済)
[装備]:FNブローニングハイパワー(13/13)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×4)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。
1:病院内の探索。
2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。
3:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※日宮まどか(名前は知らない)の容姿を記憶しました。既に死亡していますがその事を知りません。
※銀鏖院水晶には気付いていません。
投下終了です。
- 42 : ◆UwuX8yY6RQ:2010/05/28(金) 00:31:12
- もう一度、投下終了宣言。こういう時にしたらばって便利だよね。
したらば作ってくれた方に感謝。
- 43 : ◆.zgv6iGxXE:2010/06/20(日) 10:10:09
- 規制がかかってるのでこっちで告知を・・
ラノベ
バカとテストと召喚獣
パパの言うことを聞きなさい!
ひだんのアリア
RPG
fate zero
ロウキューブ
ぼくフル
今日からマ王
生徒会シリーズ
さよならピアノソナタ
これはゾンビですか
アキカン
漫画
ドラゴンボール
学園アリス
魔方陣グルグル
るろうにけんしん
ゲーム
メタルギア
エロゲ
77
マギウギ
マジスキ
ライクアバトラー
ステラシアター
天真爛漫
暁の護衛
ぐらいから出そうかと、詳しいことは近日ちゅうにでも・・
- 44 : ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 01:55:49
- 久しぶりに投下するんだぜぃ。
- 45 :バベルの階段をあがれ ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 01:56:35
- 「かったるい」
黄金の月が煌めく夜の空。
木が多数そびえ立つ林で金髪の青年――手塚義光は本当にくだらなそうに呟いた。
いきなりの殺し合い。最後に残るのは一人だけ。
いわゆるバトル・ロワイアルというもの。
義光はこれに対しての最初の感情は“おもしろそう”だった。
(別に殺し合いに乗んのはいいんだけどよぉ、人殺すのにも抵抗ないしな)
義光は最初はこのゲームに乗るつもりだったのだ。
人を殺して、良さそうな女がいたら犯す。要は気の赴くままに行動する。
それが義光の行動原理だった。
「そのつもりだったんだがこれはねえだろ……」
手にあるのは人形。それも開会式の場で主催者を名乗った郷田麻弓のだ。
義光は郷田のようなおばさんは好みの範囲外、むしろ嫌いである。
「このスイッチにしてもよぉ」
義光は人形の後ろにあるスイッチをポチっと押す。
『郷田真弓、十七歳です♪』
ポチっ。
『きゃるーん、怖いわぁ』
ポチポチっ。
『お酒持ってこーい!』
「……うぜえ」
義光はそう言って手に持っている人形を空高く投げた。
これはいらない。見てるだけで吐き気がする。
- 46 :バベルの階段をあがれ ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 01:56:51
-
「おいおい殺し合いさせる気ねえだろが、これは。
こんな年増のおばさんの人形なんざいらねえわ!」
そして義光は他に何かないかデイバッグを漁る。
次に手に引き当てたのは。
「……あのババアマジで殺してやる」
義光の手に握られているのは一枚の写真。
しかし、ただの写真であったならここまで憤怒の念を表さなかった。
「誰があんなババアのスクール水着のプロマイドなんざ見るんだよ……」
写真に写っているのは郷田真弓の水着姿。しかもスクール水着だ。
義光は先程の人形と同じように写真をクシャクシャにして思い切り空へ放り投げた。
「くそっ!俺をこけにしやがって……むかつくぜ。
乗ろうと思ってたけど、こんな手持ちじゃゲームに乗ることなんざ出来るかよ」
とてもじゃないが、ほぼ素手でゲームに乗るなど無謀もいいところだ。
せめてナイフなどの刃物が欲しい、と義光は思った。
「ったくよぉ…ふざ「ふいーやっと出られたぜ!シャバの空気はうめえなあ!」……な?」
デイバッグの中から出てきたのは白くて細長い生き物――オコジョだ。
それだけでは義光は驚かなかった。
だが、問題はオコジョが人の言葉を喋ることである。
(現実的にありえねえだろうが!喋る動物なんざこの世の中にいるわけ……
まあ、この殺し合いに巻き込まれた時点でんなこといってるばあいじゃねえよな)
とりあえず頭の中にあった常識を破棄して今目の前にあるありのままの現実を受け入れる。
それが一番だ、と。
「おい、お前」
- 47 :バベルの階段をあがれ ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 01:57:36
- 「ん?なんだアンタ?」
「手塚義光――ただの会社員だよ」
◆ ◆ ◆
「なるほどねえ、殺し合いか。俺っちとしてはなかなか信用できねえが。
まあ、今の現状を見るとそれもうなずけるもんだぜ」
「信じるのも信じねえのもカモ、てめえの自由だ」
「いやいや、信じさせてもらいますぜ手塚の旦那。嘘を言ってるようには見えねえですしねえ」
義光とオコジョ――アルベール・カモミールは軽い情報交換をしていた。
二人?の頭の回転が速いことからスムーズに進行している。
「で?手塚の旦那はこのゲームにはどのようなスタンスなんすか」
「俺か?もちろんこんなゲームには断固反対だね。人を殺すなんてとてもじゃないができねえ」
無論、義光のこの言葉は大嘘だ。
今だって別に乗ってもいいんじゃね的な思考を持ち、人を殺すことにも抵抗は皆無である。
(ククッ、当然嘘だけどな、カモ。でもしょうがねえよなあ、騙される方が悪いんだからよぉ!!)
顔では微笑み心で嘲う。嘘を付くことなど何の躊躇もない。
「旦那ぁ、」
「なんだよカモ。おかしいことでも言ったか?」
「そいつは“嘘”だ」
空気が凍り、沈黙が場を支配する。
「おいおい、どうしたよカモ。それじゃあ俺が嘘を言ってることになるじゃないか」
「ああそうだぜ、手塚の旦那。あんた、乗るつもりだろ」
「何を根拠にそう思うんだ教えてくれよ」
- 48 :バベルの階段をあがれ ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 01:58:08
- 「匂いさ。俺っちカタギじゃねえんで。だからそういう同じ気質の奴は感覚でわかるんだ」
「ははっ、そいつが本当だとしたらどうすんだ?殺すのよくない!とか説教するのか、おい」
もしそんなことで言い出したらくびり殺してやるがよ、と心の中で考えながら問う。
「いいや、別にいいんじゃないっスか」
だから平然と人を殺すことを肯定したカモに義光は驚いた。
「おいおい、いいのかよカモ」
「第一俺っちもそんな褒められた生き方してないんで。だから否定する気もねえッス。
“必要”なら殺るべきですぜ」
できればそんなことしたくないんスけどねー、とカモは呟きながら義光の肩に乗る。
「この状況からして絶対に殺しちゃ駄目だとか言ってられねえっすよ。
もし殺し合いに乗ってる野郎がいたら?撃退しただけじゃ駄目だ。
ここは島っすよ?いくら撃退したところで逃げ場なんてない」
「だろうな。じゃあ何だ?殺し合いに乗って優勝でも目指すか?」
軽い口調で義光は喋る。この質問にカモがどう返答してくるか。
単純に気になってしまったのだ。
「そいつはいただけねえ。駄目だぜ、全然駄目だ、旦那ぁ」
「ほう……」
殺しを許容しておいて優勝を否定する。
面白い。義光はそう感じた。
「そもそも主催の野郎が本当のことを言ってるかどうか怪しいもんだぜ。
ちゃんと元の生活に帰してくれるのか?願い事?はん、どう考えても騙しだろ」
「まあ、な。安易に信じられるもんじゃねえ」
「そういうことっすよ。それならギリギリのラインで粘ってた方がいい。つまるところ反主催ってことだ」
「……一理あるか、オーケー。カモ、てめえの案に乗ってやろうじゃねえか」
そう言って義光はニヤリと笑う。自分みたいなアウトローがゲームに乗らないで反逆するというのだ。
- 49 :バベルの階段をあがれ ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 01:59:24
- おかしくて笑いが出る。
「さてと、それじゃあまずは」
「ああ。とりあえず、」
「「そこに隠れてる奴出てこいよ」」
この呼びかけを受け、数瞬おいて。そびえ立つ木から一人の少女が降りてきた。
「あはは、バレてましたか」
「俺っちの鼻は誤魔化せないぜぃ?何となく視線を感じたしな」
「俺はただの勘みたいなもんだがな。まあ今回はたまたま当たったってことだ」
樹から降りてきた少女の名は藤堂晴香。
義光の動向を伺うために晴香はずっと木の上にいたのだ。
「それでよ、てめえはこのゲームに乗ってます〜って野郎か?」
「別に……乗るつもりはないですよ。強いて言うならば私は元の日常に帰りたいだけです。
というか私が乗ってたら貴方はもう死んでます。危機感が足りませんよ?」
「そうなったら俺のツキが最悪だったってことさ。ただそれだけだ」
義光は踵を返して歩き出す。晴香も同様に義光と反対の方向へ向けて歩き出した。
「まあお互い死なないように努力しようぜ」
「ええ、可能な限り。そこの喋るオコジョさんも。ネギ君と会えるといいわね」
「ありがとよ嬢ちゃん。死ぬなよ」
この二人が生きて再開する時は果たして来るのか。
答えが出るのはまだ先のこと。
二人の参加者の行く末は――
- 50 :バベルの階段をあがれ ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:00:29
-
【B-3/一日目・深夜】
【手塚義光@キラークイーン】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、アルベール・カモミール@魔法先生ネギま!
【思考】
1.今は乗らない。ただし殺しに躊躇はない
2.何か武器が欲しい
3.そう言えば何か聞こえたような……
※近くに郷田人形と郷田プロマイドが落ちています
【藤堂晴香@寄生ジョーカー】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
1.ゲームには乗らない。脱出狙い
【郷田人形】
郷田真弓のデフォルト人形。後ろのスイッチを入れると郷田真弓のいろいろな声が出るよ!
【郷田プロマイド】
郷田真弓のプロマイド。ちなみにスクール水着着用。歳考えろ。
【アルベール・カモミール@魔法先生ネギま!】
オコジョ妖精カモ君!ネギの使い魔みたいなものでもある。
- 51 : ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:01:03
- まだ俺のターンは終了していないぜ!続いてとうかー
- 52 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:03:15
- 「はぁっ、はぁっ」
夜のオフィス街。普段なら静寂が支配するはずだがこの場は違う。
断続的に吐かれる息の音と地面を踏む足音。
その音を出す原因――それは二人の少女の“鬼ごっこ”。
竹内理緒は逃げていた。この夜の街を全速力で疾走して、時には後ろをふり返りながら。
ツインテールがゆらゆらと揺れる。髪が乱れに乱れてしまったがそんなのを気にしている余裕はない。
「抵抗はしないほうがいい」
後ろから追いかけてくる外敵はセーラー服の少女。鼻より少し上に横一文字に残っている傷が印象的だ。
津村斗貴子。“錬金の戦士”として活動していた少女、だが今は逃亡の身であり“錬金の戦士”とも敵対している。
「大人しく殺されろ!」
斗貴子はこのゲームを即座に理解し、自分の取るべき方針を決めた。
それは。
「……カズキのためなんだ。剛太でさえ殺さなくちゃいけないんだ。
私は――カズキをこのゲームで優勝させるって決めたんだ」
逃げている理緒には聞こえない小さな声でぼそっと斗貴子は言葉を吐いた。
もう斗貴子の意志に迷いはない。
ただ殺すために。目の前で逃げ回っている無力な少女を殺すために。
駆ける!
(やばいな、これは。逃げ切れない)
一方、理緒は逃げながらも頭の中では冷静に分析をしていた。
ブレードチルドレンで破壊の魔女と呼ばれるのは伊達ではない。
有事の時の判断力に加えて行動力の高さ、どれをとっても常人より遥か上に位置している。
だがその理緒であっても今の状況は厳しいと言える。
理緒は再び後ろを振り返って斗貴子を見る。
「……っ!」
- 53 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:04:06
-
まだついてきている、逃げ切れない、と理緒は苦い表情を作り舌打ちをする。
(いきなり襲われたから武器の確認もしてないあたしに比べて……
あっちはあの腰に下げている刀、あれ一つでも十分脅威。八方塞がりだね)
武器の優劣の差。素手と得物が有るのとでは訳が違う。
それはどうあがいても揺るがないものであり、理緒が明らかに不利だと言うことを物語っている。
だから理緒は走る。下手に何かをするよりは逃亡した方が生きのこれる確率が上がると判斷したためだ。
(全然振り切れないなんて。ホント、嫌になっちゃう)
だが理緒の誤算は斗貴子を普通の女子高校生だと思ったことだ。
斗貴子は“錬金の戦士”として訓練していたこともありそこらの一般人とは違うのだ。
そして“鬼ごっこ”は唐突に終わりを告げる。
「はうっ!」
理緒が転んでしまうことで。即座に起き上がろうとするが、
(足を捻った?どうしてこんな時に!)
起き上がろうとしても起き上がれない。そのために必然と歩みはそこで止まる。
「好機……だな」
斗貴子は理緒が動けないのを見て刀を抜き、斬り殺そうと迫る。
理緒の頭にあるのは――
(あたしはここで斬り殺されて終わるの?でも不思議。そんな感じが全然しない)
危機が目の前に迫っているというのに、なぜか浮かびあがる安堵感。
まるで“運命”がそう語っているかのような。
(おかしい、あたしは“死ぬ”――“死なない”
これは何?この――)
- 54 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:04:43
-
あたしが“操り人形”になっている感覚――――
その予告じみた“運命”の通り。
竹内理緒は死ななかった。
「おい」
理緒の耳に届くのは男――自分と同じくらいの年代の声だろうか、声に若さを感じる。
「何やってんだよ、ちびっ子苛めて」
声の発せられた方を見ると黒のブレザーを着て、顔は不機嫌そうで。
「あんたにとっちゃあ俺はお邪魔なんだろうが」
それでも不機嫌そうな表情とは裏腹に優しさを感じさせる声。
「人吉善吉だ。止めるぜ、あんたを」
そう名乗って斗貴子に向かっていった。
◆ ◆ ◆
金属音が鳴り響く。戦いの、殺し合いの音が小刻みに辺りを支配する。
「おらっ!」
「はあっ!」
- 55 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:05:13
-
津村斗貴子、人吉善吉――――二人の少年少女が武器を持ち争っている。
斗貴子は刀を。善吉は左手には手甲を。
「これで!」
斗貴子は突き、薙ぎ払いと高速の勢いで斬撃を繰り出す。
全ては人の命を一撃で刈り取れる代物。
だがそれを。
「はっ!遅いよ、あんた。この程度なら……」
善吉は意にでも返さない。
突きを手甲をつけた左手で弾き、薙ぎ払いを何もつけていない右手でなめらかに受け流す。
「めだかちゃんの方が数倍速いんだよ!」
そして、右足で渾身の蹴りを斗貴子の腹目がけて繰り出す。
当たったら一撃で地に沈むように重い一撃。
「お前の方こそ……遅いんだよ!」
斗貴子は咄嗟に後ろに跳ぶことで蹴りを悠々と躱す。
善吉は再び駆ける。先手必勝と言わんばかりに、斗貴子の懐に潜り右手でアッパーを放つ。
「その程度で、私を打倒出来るとでも?」
斗貴子は安々とアッパーを躱し、刀で首を刈ろうと刃を走らせる。
だがその一撃は惜しくも空を切り、首を刈るまでにはいかない。
「おい、お前何ぼさっとしてんだよ、速く逃げろ!」
「すいません足をくじいてしまって」
「だったら匍ってでも行け!俺だっていつまでも守ってらんねぇぞ!」
「余裕じゃないか、私を相手によそ見などとはな」
善吉が理緒に意識を向けた僅かの間、斗貴子は善吉の顎めがけて掌底で叩き上げる。
- 56 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:05:53
-
「――!」
声をあげる暇もなかった。善吉はそのまま吹っ飛び理緒の横に堕ちる。
(なんて威力だよ。こいつただのちょっと武道とかやってる女子高校生じゃねえぞ)
追撃。刃による振り下ろし。死がもうすぐやってくる。
おいおいここで終わるのか――いいや、まだだ。終わらせない。
「てめえのほうこそ、余裕ぶっこいてんじゃねえ!!!!」
振り下ろしが善吉の身体を裂く前に。
動く。
「なっ!」
善吉は旋転しながら振下ろしを避けて刀の側面を全力で蹴りつける!
ガキン、と鉄が折れる音があたりに響いた。
「これで武器はなくなったぜ!」
善吉の蹴撃により刀身は折れてもはや使い物にならない。
斗貴子は一旦後退しようとするが。
「逃がさねえ」
善吉は再び右足での渾身の蹴りを叩きつける。
腕を交差してなんとか直撃を避けた斗貴子だがその威力に押されて吹っ飛んだ。
そのまま地面にゴミのように転がり動かない。
もう起き上がる気配はなく終りの空気があたりに漂う。
「おい大丈夫か」
「は、はい。どうもありがと……!?」
理緒の言葉が途中で止まる。
- 57 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:06:52
- そしてなにか信じられない物を見るかのような顔を――
「――ぁ」
それに数瞬遅れて善吉も振りかえる。理緒と同じように先程までの余裕の表情が一瞬にして霧散した。
「なっ!?」
「効いたよ。なかなかの一撃だった」
そこにいたのは幽鬼のように立つ津村斗貴子だった。殺気は消え去り、静かな空気が辺りに蔓延する。
表情は何も感じさせない無。
「最初だからいろいろと温存しておこうだとか」
ヤバイ。これはヤバイ。
理緒と善吉は怖気のような感触を斗貴子から感じた。
「せめて安らかに死なせてやろうとか」
善吉は理緒を抱えて今すぐにでも逃げ出そうと駆け出す。
「もう止めだ。お前ら二人とも――」
斗貴子がそう言ってデイバッグから取り出したものは。
「臓物をブチ撒けろ!」
その言葉と同時に善吉は全力で横に跳ぶ。
その一秒後、善吉がさっきまでいた場所を銃弾が蹂躙した。
斗貴子の手にあるのは無骨な突撃銃。アーマライトAR18。
「ちくしょう!?あんなの相手に真正面からやれるかよ」
その言葉を捨て台詞として跳んだ勢いそのままに善吉はすぐそばにあったビルに入った。
斗貴子が銃を使い慣れてないのか運がいいのかわからないが銃弾は奇跡的にも善吉達に一発も当たらなかった。
- 58 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:07:28
-
「っ!一発も当たらないとは。まあいいさ。このビルの中に追いつめた。ゆっくりと狩ろうじゃないか」
マガジンを交換して斗貴子は善吉達の逃げたビルに入る。
急がず慌てず冷静に。慢心はもうない。
「カズキ……こんなことぐらいしかできない私を許してくれ」
再び“鬼ごっこ”が始まった。
◆ ◆ ◆
「……なかなか広いな」
斗貴子はビルの三階にいた。隅々まで探しているため上の階に登るのが遅くなっているためにそれなりの時間が過ぎてしまっている。
だが、この“鬼ごっこ”にも転機が訪れる。
この三階もあらかた調べ終わって次の階へ行こうかと考えていたその時。
「っ、何だこれは!」
ビルの中の火災報知器の大きなベルの音が鳴り響いた。
ジリリリリとやかましいくらいに鳴り続ける。
「今度は……水か」
ベルのうるさい音と同時に襲来したのは上から降りかかる水。
火災報知器によって天井にあるスプリンクラーが発動したのだ。
「冷たい……!まふざけた嫌がらせをしてくれるじゃないか奴等」
斗貴子を水の雨が襲う。まるで傘もささずに台風の吹き荒れる外にいるかのようだ。
- 59 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:08:48
- あっという間に全身びしょ濡れになってしまった。
「殺してやる。臓物を盛大にブチ撒けてグシャグシャにしてやる」
そして斗貴子は上へ上へ登っていく。
善吉達を一刻も早く見つけて殺すために。その“鬼ごっこ”は突然の終焉を迎えた。
「よお」
「!?」
突然の陽気な声。まるで親友に挨拶するかのような気軽な口調で。
人吉善吉が現れた。
「ほう、わざわざ殺されに来てくれたか。あの小さな女の子は?」
「さあ?」
「ふざけるな、ヤケになったのか。お前の命を握っているのは私だぞ?」
斗貴子はアーマライトAR18の銃口を善吉に向けて威嚇する。いつでも撃てるように安全装置も外した。
これでチェック。この場は津村斗貴子が支配している。
斗貴子の頭の中にはすでに善吉を殺すシュミレートが出来ていた。
「それよりさ」
「何だ、命乞いか?それならもう……」
「違う。一つ聞きたいことがあってさ。アンタ、こんな殺し合いの場でも落ち着いていられる胆力に加えて、戦闘もできる。
それなのになぜあいつら……主催者に反抗しない?」
「……」
善吉の問いに斗貴子は沈黙で答え、そのまま数秒過ぎる。
「やっぱ、自分が生き残りたいから「違う!!そんなくだらない理由じゃない!!!」……っ。
じゃあ何だよ」
そして再び数秒過ぎ、沈黙が二人を包む。二人の耳に入るのはスプリンクラーから吐き出される雨の音のみ。
善吉が何か言葉を発しようとしたその時。斗貴子がポツリと声を出した。
- 60 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:09:20
-
「大切な……私の命を投げ売ってでも守りたい人がいる。そのバカはお人好しでな。
どんな奴も無条件で信じようとする。……そいつを死なせたくない!……ただそれだけだ」
斗貴子の小さな声は段々と大きくなり、善吉にはそれは哭くような悲しい声色に聞こえた。
「……主催者に抗う?私達は既に命を奴等に握られているんだぞ?それに私達をさらう手際の良さ。
勝てると思うか?私は思わない。だったらいくら悔しくても乗るしかないだろう!!
文句など言わせない。私だって必死に考えたんだ。それで、この道を選んだのだから」
「……そうかよ」
斗貴子の言葉を善吉は静かに返す。説得は今は不可能。そう悟った。
「じゃあ俺はあんたを倒す。生憎とあきらめが悪いんだよ、俺は。
こんなところで死ねない。あのふざけたおばさんに一発かますまではな」
「勇ましいな、だがそれは無理だ。お前はここで死ぬんだからな」
「だから言っただろ……」
瞬間。
「一発かますまで死ねないって!」
善吉が斗貴子に向けて走り出した。斗貴子は冷静に銃口を善吉の胸に向けて、トリガーを引く。
それで終わり。善吉は弾丸に貫かれて死ぬ、そして理緒をいぶり出して殺す。
だがその考えは粉々に打ち砕かれた。
「な!?なぜ弾がでない!!」
斗貴子の持つ突撃銃、アーマライトAR18は何の動きも示さない。
銃弾がでない、なぜ?
さっきまでは使えたはずなのに、なぜ?
「何でだ、何で出ない!!!くそっ!!!!」
斗貴子は子供がわめき散らすように叫ぶ。その間にも善吉は斗貴子の元へ勢いよく迫って来る。
- 61 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:10:06
- 「くそっ!」
斗貴子は使えない突撃銃を捨てて迎撃しようとするが。
「もう遅い」
善吉は懐に入り、黒い何かを斗貴子の腹部に押し当てる。
「しばらく寝てろ、そんで頭冷やせ」
バチッ、と小さな音が鳴った。
斗貴子は腹部に当てられた黒い何かによる痛みに苦悶の声を上げて気絶した。
◆ ◆ ◆
ここで時は少し前に戻そう。
まだスプリンクラーの雨が吹き荒れる前のビルの中。善吉と理緒は二人で相談をしていた。
「このビルは十三階建てか、不吉な数字だ。どっかの会社みてえだけど今はそんなことより――」
「はい、そのようですね。善吉さんすぐにあの人はやってきます、早々に戦略を立てないと」
二人は斗貴子を何とか撃退するためにどう動くべきか思考を重ねている。
(おいおいどうするよ、あれ。あんなのに立ち向かえるか!
拳銃ならともかくあんな突撃銃だと蹴り飛ばす前に蜂の巣になっちまう)
善吉の内心は焦りでいっぱいだった。
かっこをつけてみたはいいが、やっぱり失敗したかなどと考えがネガティブの方向へ向かってしまう。
自分は普通の男子高校生なのだ。幼なじみの黒神めだかとは違うんだ。
ただの凡人には荷が重すぎるだよ、と善吉は自嘲する。
「善吉さん」
- 62 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:10:58
- 「ん?何だ理緒ちゃん?」
「何だじゃないですよ、戦略を立てなくちゃって言ったじゃないですか。
それと理緒ちゃんとか子供扱いしないで下さい!これでも高校二年生です!」
「本当に?」
「冗談でこんなこと言いますか。こーすけ君といい亮子ちゃんといい。善吉さんも!
そんなにあたしは子供に見えますか!ロリですか!」
「まぁ落ち着けって。そんなことどうでもいいじゃんか」
「どうでもよくありません!」
理緒はむすっとした顔で善吉を見る。
くりっとした目に子供のような愛らしい顔、身体も発育途中の小さな体。
これで高校二年生とは何の冗談だと善吉は苦笑する。
こんな時じゃなければかわいいものだとか笑って考えれるが今はそんな状況ではない。
命がかかっているんだ。
頭の中の余計な思考をやめて理緒とこれからについて相談する。
「わかってるって。竹内は高校二年生、そうだろ?」
「何度も言ってるじゃないですか、ってこんな口論してる暇はありません。
戦略ですよ、戦略。速く考えないとあたし達二人とも血の海に沈みますよ」
「縁起でもないこというなよ。だけどよ戦略っていっても奴がどうするんだ。
俺の支給品にはあんな突撃銃に太刀打ちできる物はないぞ。
さすがにこの篭手じゃあ無理だ」
そう言って善吉は腕を振り上げて理緒に篭手を見せる。
「これ……何です?かなり大きくて、面白い形状をしてますね」
「リボルバーナックルって言うらしい。
何かストレージデバイスだの何だかんだ書いてあったが役に立ちそうもない。
他には……これだ。奴を無効化出来るかもしれねえけど……」
デイバッグからとり出されたのはスタンガン。
近づいてこれを使えば相手を気絶させられることが出来るかもしれないが、そもそも近づくことができないのだ。意味はない。
「あたしもこんなのしか……」
- 63 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:11:41
-
理緒が出したのもあまり戦闘に向くものではなかった。当然突撃銃相手には何の役にも立たない。
(だめだだめだめだめだ!これじゃあ勝てねえ。やっぱりあの女が来るのを見計らってどっかに隠れてる。
階段近くとかがいい。そしてあいつが出てきた瞬間に強襲……いや、リスクが大きすぎる!)
強襲作戦はリスクがあまりにも大きすぎる。故に善吉は頭の中で却下とし、ゴミ箱行きを決める。
(うまく隠れて、あの人が隙を見せているうちに階段に全速力で向かって逃げる……
こんなの戦略ですらない。分が悪すぎるよ、本当)
理緒もいろいろと考えるがどれも現実味のないもので成功する可能性も低い。
(俺達二人があいつをなんとか撃退出来る方法)
(あの銃をかいくぐれる何か……)
二人は押し黙って自分の世界に入る。生きてこの場を抜けるための策を深く考えるために。
(つーか銃をどうにかしないと始まらないだろ。あの銃さえなければ)
(銃を封じるだけじゃ駄目だ。あの人は近接戦闘もできる。それに善吉さんの蹴りを受けて立っていられる人だ。
仮定としてまず銃を封じたとする。何か一撃で意識を刈り取れるのは……)
さらに考える。考える、考える。
(ああいう銃の弱点は水だ。水に浸れば動作不良を起こして銃弾が発射されないはずだ。
だがここに水はない。飲み水でも使うか?)
(スタンガンなら……!でもこれ程度で気絶するとは思えない。
水でもかければ電気が良く通って効くと思うけど)
考えろ、考えろ考えろ!頭をフル回転させてどう動くべきかをさらにさらに考える!!
((水を安全に相手にかけるには……))
- 64 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:12:20
- ――――思いついた。
◆ ◆ ◆
「はぁ、疲れた」
そして今に至る。善吉達の考えた戦略は簡単なものだ。
火災報知器を鳴らし、スプリンクラーを発動させる。上から降る水によって銃はびしょ濡れになり動作不良を起こす。
斗貴子自身も水に濡れることによってスタンガンの通りもよくなる。
これだけだ。
理緒は足の怪我の都合で別の安全な場所で待機している。善吉が出てきても足手纏いになるだけだと言ったためだ。
「さて、竹内のところにでも戻るかな。こいつが起きる前にさっさと逃げねえと」
善吉は身を翻し、理緒のいる場所に戻ろうと歩き出した。
「……ズ…………に」
小さな囁きのような声。
「………ズキ…………めに」
善吉は気づかない。
「……ズキのために」
斗貴子が勢いよく起き上がり善吉に弾丸のような速さで駆ける。
「カズキのために!貴様を殺す!!」
- 65 :コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:13:47
-
やっと善吉が気づいた。
「!?」
そして半ば無意識に“左腕”で横一閃に振り抜いてしまった。
それは鬱陶しい虫を払うかのように。
「え?」
グシャッ、と肉が潰れる音が辺りに響いた。
- 66 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:14:49
- 斗貴子の身体がフラッと倒れる。
「え、あ、」
自分の左手を見て善吉は驚愕した。
血と肉が染み付いている。
次に斗貴子を見る。顔が潰れている。そこにあるはずの顔がただの肉の塊。
脳みそがピューピュー出ていて、辺りを赤で染める。
血の特有の鉄臭い匂いも広がる。
「俺が……殺した?」
善吉は決して殺してやろうなんて考えていなかった。ただ、斗貴子が迫ってきて。
敵意を感じて思わず腕を振り抜いた。
だが結果はこれだ。鉄の塊であるリボルバーナックルを全力で振り抜いたらこうなることぐらい善吉にもわかるはずだ。
それでも振り抜いてしまったものは振り抜いてしまったのだ。
時間は戻るわけもなく、そこには血で濡れた一つの肉塊と一人の哀れな青年が残った。
「あ、ああああ、ああ」
- 67 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:15:22
-
――――掠れた声が出る。あれおかしいな、声でねえよ。どうした声帯壊れてんのか。
嘘だよな、俺殺してないよな!ほらお前も起きろよなぁ。おい起きろよ起きて嘘だと言ってくれ。
揺すっても揺すっても揺すっても起きない……。赤い液体が顔に降りかかるな。なんだよこの塗料臭いな。
ベチャッとした肉もついてるし。気持ち悪い――――
でも残念。その幻想は現実。
「――――」
――――認めちまえよ、お前は。人吉善吉は――――
「ち、がっ!俺はっ!」
“人殺しなんだよ”
そんな声が善吉の耳に入った。
「あああああああ、ああああぁぁああ、ああァあ嗚呼ァああ、あああ、ぁああぁ!!!!」
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し!
「やめてくれ!俺は、おれは……何も悪くねえ!!!!
俺はただ、後ろから襲いかかれたから振り払っただけだ!」
脳内を駆け巡る人殺しというリフレイン。紅の呪縛が善吉を攻め立てる。
「だけど……」
人吉善吉は狂わないでいられるだけの意志の強さがあった。
それ故に狂えない。何も考えなくてすめばどれだけ楽なことか、と善吉は思った。
- 68 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:15:56
-
「俺が……俺が!!!!」
真実は一つだけ。
「殺しちまったんだ」
頭を抱えて、蹲り、何も聞きたくない、見たくない。
目の前のことから目を背けたくて。
人を殺したこと。それが泥のように自分の頭の中にへばりつく。
されど、この恐怖劇は終わらない。
何かが善吉の肩に触れて、そのまま飛んで行った。
数瞬後に善吉は遅れてやってきた痛みに顔をしかめる。
見れば肩に抉れたような傷があるではないか。
何だこれは?まだ敵がいたのか?善吉の頭の中はもはやグチャグチャで何を考えればいいのかさえわからない。
それでも自分を襲った相手の顔を確かめようとうしろを振り向いたその時。
善吉をさらなる衝撃が襲った。
「何でだよ……」
自分でもびっくりするくらい小さな声だった。善吉は呆然としながらそんなことを思った。
- 69 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:16:31
-
「竹内……」
そして振り返った廊下の先にいたのは仲間だと思っていた少女――竹内理緒だった。
手には大きなクロスボウを持ち、こちらに向けて射ったところか。
「外しましたか。大型のクロスボウだから手に余りますね」
「お前……最初から俺のこと騙していたのかよ。答えろよ、竹内……」
善吉の言葉がフロア内に木霊する。
嘘だと言ってくれ。質の悪い冗談だってよ、と善吉は泣きそうな顔で呟く。
「ご苦労様でした、あの人を殺していただいて。おかげであたしが危険な綱渡りをしなくてすみました」
「何だと……」
だが返答として返ってきたのは無情な事実。竹内理緒が殺し合いに乗ってるということ。
ただそれだけ。
「騙しててごめんなさい。でも仕方ありませんよね?これは殺し合いなんですから」
善吉が黙っている間も理緒の言葉は続く。
「あたしにもいろいろとあるんですよ、いろいろと」
「…………な……」
「はい?」
掠れたつぶやきのような音が理緒の耳には聞こえた。
スプリンクラーの雨のせいで余り聞き取れなかったが確かに声のようなものが善吉から発せられた。
「……ふ……け……な……」
善吉はふらりと立ち上がり、前を見る。
「ふざけんなよ……」
この言葉に込められた感情は何であろうか。
怒り――――いいえ。
哀しみ――――いいえ。
絶望――――いいえ。
失望――――いいえ。
狂気――――いいえ。
- 70 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:17:29
-
どれも違う。今の善吉に。
人吉善吉の頭の中に存在するのは。
「“どうして”、なんだよ?」
感情が感じれられない無機質な言葉が善吉の口から出る。
無。ひたすらな無。虚無のココロ。
何かが。善吉の大事な境界線が。無くなったような。
理緒はそんなことをふと思った。
「どいつもこいつもよ、殺すのがそんなに好きなのかよ」
淡々と善吉は喋る。理緒はそれを訝しみながらも聞く。
理緒は今すぐ善吉を撃つことは出来る。
クロスボウには矢を装填している。
だができなかった。なぜか、そうしてはいけない気がしたから。
「こいつは護りたいものがあるからみんな殺す。
竹内はいろいろあるから殺す。……何でだよ。どうしてそんな簡単に人を殺すって言えるんだよ」
その言葉は理緒に響いた。そしてとあることを思い出す。
ブレードチルドレン。呪われたヤイバの子供達。
そのブレードチルドレンを排除するために動いていた“ハンター”と争っていた時のことを。
理緒はブレードチルドレンとして、敵対する者を容赦なく殺してきた。
それも仕方はない。殺らねばこちらが殺られるのだから。
だが人を殺したことには偽りはない。
自分の意志で――明確なる意志で殺したのだから。
(あたしは人を殺してきた。あっさりと、時には凄惨に。
だけどそれは簡単だった?違う。それだけはありえない。だって――)
- 71 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:18:07
-
理緒は言う。苦々しく、顔を歪めながら。
「簡単な訳ないじゃないですか……」
「なら、」
「それでも殺さないといけないんです、“希望”を護るために!」
「“希望”を護るため?」
善吉は問う。ということはこいつもとある奴を護るために殺し合いに乗ったのか、と考える。
「そうです。その人は私達の“希望”。呪われたあたし達のたった一つの光」
理緒は語る。呪われた自分達の定めを。そして“希望”の存在の尊さを。
善吉は黙って残酷と言えるブレードチルドレンの“運命”を聞く。
「それで?結局はそいつの、“希望”のためにこのゲームに乗ったってことだろ」
「ええ、あたしは決めたんです、あの人の剣とも盾ともなろうって」
その理緒の一言に善吉は――――
「アホらしいな」
冷酷に否定した。
「俺にだっているよ。ここに。この島に大切な幼馴染が。俺にとっての“希望”が。
でも、俺が護りたいからなんて言って殺し合いに乗ったらそれこそ本末転倒だ。
めだかちゃんはそんなことされても喜ばない。だから俺は乗らなかった。
だから俺は人を殺すことを否定した」
それでも人を殺しちまったんだけどな、と善吉は呟く。
依然と言葉は淡々としていて、感情めいたものはない。
人を殺してしまい壊れてしまった心の残りカス、
その残骸で起動している“人吉善吉”の“ロボット”が喋っているかの様に。
- 72 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:18:42
-
「竹内は“希望”を護るために殺し合いに乗った。
それでその“希望”とやらが死ぬってことも当然考えてんだよな?
まさかこのどこよりも危険な島で五体満足で無事でいるとでも思ってんのか」
え?そんな言葉が理緒の口から漏れた。その考えは予想外で考えもしなかった。
それは理緒が無意識に頭の奥に仕舞っていたこと。
そして考えたくもなかったこと。
“希望”である鳴海歩が――――
「もう死んでるかもしれないぜ、な」
「そんなことありません!彼は!弟さんは死にません!!!」
善吉の言葉を遮って理緒は叫ぶ。それだけはあってはならないことだから。
もし鳴海歩が死んだとしたらブレードチルドレンは破滅あるのみだ。
それに自分の決意はどうなる。ここにアイズや浅月などの仲間がいて尚殺し合いに乗ることを決意したのだ。
ただ鳴海歩を護るが為だけに。
「それに救い?ばかじゃねえのか」
理緒が頭の中でぐるぐると思考を重ねている間も善吉は否定の言葉を紡ぐ。
「そんな血まみれで救われるわけねえよ。ただのエゴで人を殺して、よ」
「あ――――」
それは鳴海歩が死ぬことより奥深くに眠って、いや考えてすらいなかったこと。
理緒にとってそんなことは一度も考えたこともなかった。
「でも、それでもあたしは救われたいんです」
救われたい、その一心で理緒は生きてきた。
そして、誰よりも鳴海清隆と鳴海歩を信じてきた、それは狂信とも言えるだろう。
その狂信を捨てることなどできるのだろうか。
- 73 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:20:30
-
否。考えというものはそう簡単に変わるものではない。
ましてやこの極限状態。あらゆる面からみても最悪の環境で有る。
「そうか、もういい。悪いけどさ俺、まだ死にたくねえんだよ」
「奇遇ですね、あたしもです」
二人は向かい合う。互いの距離はそれなりに離れていて飛び道具のある理緒が圧倒的に有利だ。
「この場を切り抜ける。それには、俺は、俺、は。人を殺すしか――でも俺は。人を殺すことを否定した。
でもこの場合は仕方ないよな、そうだよ、仕方がない」
「……」
自分に無理やり言い聞かせるように善吉は狂ったように独白を続ける。
もうこの人は普通には戻れない、と理緒は思った。
目は濁っていて、浮かべる薄笑いは気持ち悪い。
「だからさ――死んでくれ」
理緒がクロスボウの先を善吉の頭に向け矢を放つ。
それよりも早く善吉が懐から何かを取り出す。
そして理緒がクロスボウのトリガーを引く前に善吉が手に持った何か――スタンガンを理緒に向けて投げる。
理緒はそれにより標準が少しずれた。そのせいで少しずれて矢が飛んでいく。
「……っ!」
矢は狙っていた顔ではなく右肩に突き刺さった。理緒は急いで予備の矢をクロスボウ装填するが。
「残念だったな」
それは遅すぎて。
「い、や」
理緒のもう善吉は楽に殺せるという油断がこの結果を生んだ。
「まだ、私は死にた」
再び血の華がこの廊下に咲く。
- 74 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:21:20
-
◆ ◆ ◆
「俺は……」
善吉はスプリンクラーの雨に濡れながら一人佇んでいた。
足元には先程まで生きていた竹内理緒の成れの果て。
顔は斗貴子と同じように潰れて原型をなさない。
「殺したんだ。あいつはともかく、竹内は純然な意志で」
そういってこの廊下に転がる二つの死体を見る。
――眼に刻め。これはお前がやったんだ、人殺し。今更善人ぶるな――
――よくも殺してくれたな。生きたかったのに、救われたかったのに――
善吉の頭の中では微かに残る人を殺したことを咎める常識的な心、殺した二人の恨み声が鳴り響く。
無論、声など実際には聞こえない。それは善吉の被害妄想的なものに過ぎない。
「殺しを許容――受け入れてしまったんだ、俺は」
だが、善吉は心身ともにボロボロだった。
右肩に刺さった矢は丁寧に抜き、制服を引きちぎって無理やり止血したが痛みは残る。
精神的にも普通の高校生では考えられない激動の一時だった。
(狂ってしまったんだろうな、俺は)
そう心中つぶやいて、気分を変えようと無理やり笑ってみる。
- 75 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:22:25
- 窓に映った自分の顔は酷く歪んでいた。
いつもの皮肉げな笑みはどこに行ってしまったのだろうか。
「行こう……もう終わったんだ」
善吉は落ちているデイバッグにクロスボウなどを全部拾いこの場所を後にする。
ここにいたら余計なことを考えてしまう。
そして階段をおりビルから外へ出た時ふと考える。
(めだかちゃん……できれば、今は会いたくないな)
心の整理がつかない今、幼馴染の黒神めだかに会ったら余計な心配を絶対にかけてしまう、と善吉は苦笑しながら思う。
(ははっ、こんなことがあった後でもめだかちゃんの事を考えるなんて、馬鹿だな俺は)
その時の善吉の顔が少しはましになっていた気がするが、それもすぐに消えて。
再び、歪んだ顔に戻る。
(疲れた。少し……休んでもいいよな)
そしてそのままふらっと地面に倒れて善吉の意識は闇へと落ちていく。
だがその前に何かの音が善吉の耳に聞こえた。
(誰だ……どうでもいいか。もう俺、何も考えたくねえ)
今度こそ善吉の意識は闇に落ちていった。
これから人吉善吉は立ち直れるのか。それとも負の螺旋に囚われるのか。
今はまだどちらともいえない。
【竹内理緒@スパイラル 〜推理の絆〜 死亡】
【津村斗貴子@武装錬金 死亡】
- 76 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:23:30
- 【H-7/一日目・深夜】
【人吉善吉@めだかボックス】
【状態】気絶、びしょ濡れ、肉体疲労(大)、右肩に刺突痕(応急処置済み)、右肩上に切り傷(応急処置済み)、
精神崩壊?
【装備】左手用リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは
【持ち物】 支給品一式×3、スタンガン、アーマライト AR18(使用不能)、予備マガジン×3、
クロスボウ、竹内理緒の不明支給品1〜2(銃に立ち向かえる武器はない)
【思考】
0.―――――
※折れた宗像形の日本刀@めだかボックスはビルの前に転がっています。
【宗像形の日本刀@めだかボックス】
宗像形がいつも手に持っている日本刀。
特に何の変哲もない。
【スタンガン】
電圧により相手にショックを与え無力化する道具。暴漢に襲われた際にでも使うのが適切。
当て所が悪ければ当てられた相手は死ぬ可能性もある。
ちなみに携帯型のハンディータイプである。
【アーマライト AR18】
アメリカ、フェアチャイルド社のアーマライト事業部が、アーマライトIncとして独立後の1963年に開発した突撃銃。
製造権をコルト社に売却してしまったAR15に替わる、新たな5.56mm口径ライフルとして、アーサー・ミラーらによって設計された。
作動機構には、オーソドックスなガスピストン方式のガスオペレーションを採用している。
ちなみにこの銃はなぜかどこの国の軍隊にも採用されないというかわいそうな銃でもある。
【左手用リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは】
ギンガ・ナカジマが左手に装着している非人格式・拳装着型アームドデバイス。
リボルバーナックルが持つオートパーソナライズ機能により、
使用者の身体に合わせたサイズに変化すると同時に、色彩も使用者が設定した色合いに変化することができる。
【クロスボウ】
矢などを発射する武器。拳銃型で大きい。
- 77 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:24:10
-
◆ ◆ ◆
「どうするのこれ?」
「そりゃあ、このままにはしない。どこかに運んで治療するさ」
倒れ伏した善吉の前で喋る二人の男女、十六夜咲夜と睦月透真。
二人は銃声が聞こえたので知り合いが襲われてないかと様子を見に来たのだ。
結果、見つけたのは傷付いた人吉善吉だ。
「でもこの子の腕を見なさい、血が付いているわ。
もしこの子がゲームに乗っていたとしたらどうするのよ」
「その時は俺らで止めればいいだろ。それにもし乗ってなかったとしたらどうする。
このまま見捨てろってことかよ」
「はぁ……あなた馬鹿でしょ?」
「馬鹿でいいよ。目の前の人一人救えないで何がゲームからの脱出だ!そんなの認められるかっ!」
咲夜の冷静な指摘にも透真の考えは搖れない。
彼の心の中では善吉を助けることは既に決定事項だ。
「止めても無駄だぞ。俺は一人でもこいつを助ける」
そう言って透真は善吉を背負って歩き出す。
「わっ」
「その子の片方の肩を貸しなさい。二人の方が疲れないでしょ?」
「咲夜……!」
「勘違いしないで。その子が少しでも怪しかったら私は切り捨てるわよ?」
「それでも、ありがとう咲夜」
透真が笑うのに咲夜も仏頂面ながらしっかりと答える。
二人は少しよろけながらもどこか安心して治療ができる場所を探すため夜の闇に消えていった。
【H-7/一日目・深夜】
【睦月透真@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.善吉をどこか安全に治療できる場所に運ぶ。
1.今は乗らない。
【十六夜咲夜@東方Project】
【状態】健康
【装備】ミセリコルデ
【持ち物】 支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
0.善吉をどこか安全に治療できる場所に運ぶ。ただし何かあったらそれなりの対応を取る。
1.今は乗らない。
- 78 :コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:25:02
- 投下終了。代理投下に支援の人達にはお礼を。
どうもありがとうございました。
- 79 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:33:29
- 規制はもうええねん!はい、投下します。
- 80 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:34:35
- おいおいおい、何だよ、このあほな催しは!
殺し合い?日本語でおk。
いや日本語だけどさ、わけわかんねえし、笑える冗談じゃねえぞ、こら!
つーか、私は確かネギ先生と愉快な仲間達に巻き込まれてなんやかんや……
あ〜!考えるだけで頭がおかしくなりそうだ。
とにかくなんか超鈴音の野望、魔法が世界にバレるのを防ぐために過去に戻ったはずなんだが。
何で私殺し合いに参加することになってんだ?
おい責任者はどこだ?
悪いが私はちょっとパソコンができるだけの女子中学生だぜ?
断じて不思議パワーとか持ってねえし。
桜咲みたいな超人でもねえし。
大声で言ってやってもいい。
長谷川千雨は正真証明普通の一般人だってな。
はぁ……アホらしいにも程があるぜ。
私が殺し合いに参加する理由?
「あるわけねえだろうがあああああああああああああああああ」
はぁ、はぁ、はぁ。
叫んだらすっきりした。
よしクールになるんだ、長谷川千雨。
ここはどこだ?
周りを見渡してもビル、ビル、ビル。
オフィス街みたいなとこか?
ああ、そういや、現在位置とかわかるデバイス配るって言ってたな、あの女。
目の前にあるデイバッグに入ってんだろう。
んと、ここは……H-6か。いい位置なんだかわからんが。
とりあえず近くにあんのはデパートぐらいか。
まずはデパートに行ってどっか隠れそうなところを探す。
そしてそこにずっと隠れる。完璧だな。
禁止エリアになったら近くのホテルとかに逃げ込めばいい。
- 81 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:35:47
-
殺し合いに乗る?
無理無理、乗っても優勝できるとは思えねえし。
私に人殺す勇気なんてない。
このことは別に今考えなくてもいいだろ。
次は、名簿か。
どいつがいるんだか。
……あれー?
いるのは私とネギ先生、それと那波にネギ先生の友達とか言ってた小太郎とかいう奴だけ?
他の愉快な仲間達はどこ行ったんだよ。
まぁ、私の知ったことじゃねえけど。
さて、行くかな。さっさと安全なところに逃げようかな。
「やあ、こんにちは」
「うわあああああ!?」
後ろを振り返ると軍服を着た女性が立っていた。
見た感じデキル女って感じだ。鋭いサファイアのような色の目。
いかにも実直そうな、例えをあげるなら桜咲のような顔つき。
これだけだと驚かなかった。
驚くべきは手に持っているバカでかい刀。
何で持てるんですか、と質問したくなる。めんどいから質問しねえけど。
「早速で悪いんだけどね」
「あ、何すか」
名前ぐらい名乗れよと言ったが次に出てきた言葉が私の言葉をかき消した。
「死んでくれない?」
私はその言葉に心底恐怖を覚えた。それになんつーか身体はすぐに対応してくれた。
即座に私は後ろに跳んだ。その数瞬後、私がさっきまでいた場所があの女性の持ってる刀で薙ぎ払われた。
うわーすげー、地面が抉れてるよ。
あれ当たったら即死だなーとか痛いだろうなーとか場違いにも思った。
「よく避けたねー、ぱちぱちぱち」
「あ、あ、あ」
思いきり叫びたいけど声が出ない。やばい、怖い。恐い。
「まあわざと避けさせるように遅く振ったからよけて当然だよね。
でもすごいね、運もあったと思うけど」
知らずの内に涙が出てきた。そりゃ泣くさ、あんなの見せられちゃあよ。
こいつ、どんだけ強いんだよ!
「さて、戯言はこのくらいにして。死んで、醜く、ね」
ああ、私死ぬんだなって柄でもなく思った。
逃げることなんざ無理だ。あれから逃げれるとは微かにも思わない。
どうせ死ぬんだったら、痛みもなく死にてえなと思ったとき。
「は?」
奇跡が起こった。
「む?」
何か白い塊があの女の所に飛んできた。それをあっさりと刀で一刀両断にする。
だがそれだけで終わらなかった。
「うわっぷ、何これ」
女が白い粉まみれ、あの袋に入ってた奴だな、それに塗れてとても苦しそうにしている。
今逃げるチャンスじゃね?と思ったが腰が抜けて動けねえ。ヤバイ、ピンチ私。
そしてまた白い塊が女の所に飛んでくる。
それを今度は刀で斬らずに躱して、投げた奴がいるであろう所に迫る。
ああ、悪いけど投げた奴死んだと思った。でも、死ななかった。
「あれ?いない」
- 82 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:37:06
-
だってそこには誰もいなかったから。
「おいいいいいいいいい、捕まれええええええええ!」
と、思ったらナニカに乗った男が高速で迫って私の手をとった。
私は男の手を握り返して、私はその手を差し伸べてくれた人の身体に転がり込んだ。
そのまま逃走。かなり早い。
下を見ると僅かに浮いてるし。また魔法かよ。
「おお、お、お、おい無事か」
吃った声を聞くのと同時に私の命の恩人の顔を見るために上を見上げる。
見たら私の命の恩人はなんか冴えねえ顔のメガネの野郎だった。
◆ ◆ ◆
ありえない。殺し合いなんてありえない。ただのドッキリだ。
そう思っていた時も俺にはありました。
可愛い女の子の首が爆発するまでは。
「もう勘弁してくれよぉ……」
無理にも程があるぜ、殺し合いとか。
俺以外にもレオ達に姫によっぴーまで。残念なことに俺の名前、鮫氷新一もきちんと載っていた。
つうか俺にレオ達を殺すことができるわけねえだろ。
大切な仲間達を……殺すことなんざ死んでもお断りだ。
「レオ〜スバル〜カニ〜」
どこにいるんだよ、あいつらは。一人は正直恐い。
誰かこの近くにいねえのかよ。
周りはビルしかねえしよ。
そんなことを考えている時声が聞こえた。女の子の。
よしいこう。カワイイ子だったら一緒に行動すればいいし。
そう考えていた時も俺にはありました。
何あれ?あのデカイ刀?あれおかしいだろ、人が持てるレベルじゃねえぞ!
いやそれよりも、あの女の子殺されちまう。
でも、あんなデカイ刀持ってる奴に立ち向かえるか?
……正直厳しいというか恐い。足が震える。小刻みな搖れが俺の全身を支配する。
幸いのことに二人とも俺には気付いていない。今のうちに遠くへ逃げても大丈夫だということだ。
よし、逃げよう。あの女の子は運が悪かっただけさ。それに、俺じゃない誰かが助けるかもしれない。
俺には……関係ないんだ。
じゃあよ、あそこにいるのがレオ達だったら俺はどうした?
怖くても助けにいったんじゃないだろうか。
レオもスバルもカニも、皆いい奴だ。俺みたいなヘタレとも仲良くしてくれるいい奴等だ。
そんないい奴等がこんな光景を見て助けに行かないとかないだろう。
でも、俺は違う。自分の命が惜しいんだ。死にたくないんだ!
それなのにばかだよな、俺。
何で助けようとして動いてんだよ。
ここで逃げたら確かに死なねえかもしれない。でも、俺はこの光景を一生忘れられねえと思う。
それによ……平然と逃げてちゃなんか気分が悪いし、レオ達に合わせる顔がねえよ。
人見捨てて生きのびましたなんて誇れるかよ!
俺は刀を振り上げようとしている奴に支給品の粉袋を投げつける。
これでほんの少し時間は稼げたはずだ。そして、俺はある“もの”を取り出す。
ライディングボード。これのサブフライトシステムで上に乗ってあの女の子のところまで行ったら、
後は女の子抱えて全力でぶっとんで逃げればいい。
やべ、こっち見た。
俺はもう一個あった粉袋を投げつけてる片手間にライディングボードを起動させて乗る。
サーフボードに乗るような感覚だ。低空飛行にしてるし、足場も安定してるから落ちはしないだろう。
つーか危なかった。起動させるのがもう少し遅かったらあの女の刀の錆になってる所だった。
- 83 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:37:49
- 「おいいいいいいいいい、捕まれええええええええ!」
女の子の手を無理やり引っ張り体ごと俺の元へ寄せる。
そのままライディングボードを加速させて逃げるだけだ。
後ろは怖くて見れない。見たら止まっちまう。
未だに震えが収まらねえよ。情けないとかそういう問題じゃない。
あの女、一瞬だけ顔を見たけど笑っていやがった。この状況で。
人を殺すのに笑ってやる奴がいるかよ、あいつは狂ってる。
そろそろ逃げれたか?
「おお、お、お、おい無事か」
どもってしまった。声にまで震えが出るとは。
さて、これから俺らはどうしようか。
◆ ◆ ◆
「逃げられちゃったか、まあいいや。別に無理して殺すつもりもなかったし」
うまくやられちゃったね、あの少年に。僕も遊んでたってのもあるけど。
粉まみれになっちゃったし。
「しかし何だろうね、この殺し合いは……」
僕は確か透真君達と城で別れたはずだったんだけどな。いつのまにこんな変なゲームに参加させられているんだろう?
まあどうでもいいや。僕の目的が変わるわけではないし。手段が変わるだけだ、問題はない。
透真君に僕を殺してもらうために。殺し合いに乗るってことに決めたしね。
僕は『極限』を成長させすぎた結果が死ねない体――永遠に生きるハメになった。
もう生きるのに疲れた、死にたいなーと思っても死ねない。
でも彼の葬糸術だったら僕を殺せる。なら殺してもらうにはどうしたらいいか?
そしてこの殺し合いの状況。答えは簡単だった。殺し合いに乗ればいい。
殺し合いに乗ったこの“姿”を見れば彼ならば止めるだろうし。殺してでも、ね。
ひとまずは無理をしない程度に人を殺してまわろうかな。
支給品も当たりで、変装専用のマスクと葬剣が入っていたしね。
これで取り敢えずは礫に変装したけど、まあいいか。この島には礫もいないし。
これで思う存分にできる。もし顔で危険がばれてもマスクをとればいいだけだしね。
いるのは透真君、冥ちゃんに蒼蓮。僕の名前である“山田太郎”もちゃんと載っていた。
透真君以外は別にどーでもいい。死のうが生きようが僕には関係ない。
「さぁてと。これからどこに行くかな。さっきの子達は追いかけるには遠すぎるし。
気の向くままに巡ってみようかな」
この命を絶ってもらうために、生きてもらわないと困るよ、透真君?うふ。
【H-6/一日目・深夜】
【長谷川千雨@魔法先生ネギま!】
【状態】精神疲労(大)、ライディングボードに乗っている
【装備】
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.どうしようか……
1. ここから逃げる。
2. どこか安全なところに隠れる。
【鮫氷新一@つよきす】
【状態】精神疲労(中)、ライディングボードに乗っている
【装備】ライディングボード@魔法少女リリカルなのは、粉セット
【持ち物】 支給品一式
【思考】
0.とりあえず今は乗らない。仲間を殺してまで生きたいとは思わない。
1.逃げる。
2.対馬ファミリーとの合流。
【山田太郎@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康、粉まみれ、礫の顔
【装備】葬剣@操り世界のエトランジェ、変装用マスク@操り世界のエトランジェ
【持ち物】 支給品一式、葬剣@操り世界のエトランジェ
【思考】
0.睦月透真に殺してもらうために殺し合いに乗る
1.次の目的地をどこにするか考える
※第六幕、城の前で透真達と別れてからの参戦
※闇宮礫の顔に変装しています。
【ライディングボード@魔法少女リリカルなのは】
盾でもあり、砲撃装置でもあり、移動手段でもある汎用性の高い大型プレート。
射撃装置は設置弾・直射弾・誘導弾・砲撃の射撃魔法の基礎には対応済み。
盾にした場合は人一人丸々防御できる大きさを持っている。
移動手段とした場合表側を上にして、サーフボードのようにウェンディが乗って移動する。
【粉セット】
古今東西の粉セット。どんな粉もこれで全部揃います。
【葬剣@操り世界のエトランジェ】
闇宮冥の特注武器『刻死夢葬』の『葬』の部分。
葬剣と呼ばれていて刃渡りが軽く一メートルは超えている。二つセット。
【変装用マスク@操り世界のエトランジェ】
山田太郎が変装に使うマスク。
- 84 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:39:18
- とーか終了です。
- 85 : ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 03:05:47
- ここでみなさんに意見を求めたいことがありまして。
我がロワの話を書いてくれる人募集!ええ、無計画に78人とか出した弊害であり、
さばくのに時間がかかりすぎという俺の不甲斐なさが原因です。
ですのでこのようなことを書かせていただきました。
ただこれは非リレーのルール上違反ですからね。
それなら俺ロワに行くべきかなとも思ったんで。
ここの住民の意見も聞きたいと思いまして書かせていただきました。
一応書いときますが、基本はほぼ俺が書きますし、全部他人任せにはしません。
無論、書こうという人がいないのでしたら全部俺が書くよーということになるのは
承知の上です。
誰も来ないということもきちんと視野に入れています。
以上です意見をお待ちしています。
それとこの文を代理投下してくれると助かります。
- 86 :名無しさん:2010/07/04(日) 03:20:20
- 投下乙です!
ヘタレかっこいいなこのフカヒレは
このまま突っ走るかそれとも途中で堕ちるのか先が非常に楽しみです
非日常世界の一般人代表として千雨の活躍にも期待したいところ!
っていうか最初のハイテンションっぷりには正直笑った
そして把握してないから何とも言えないが
作中で何度も女女言われてたやつの名前が……山田太郎?
女に変身してるのか? 多分そうだよな?
- 87 :名無しさん:2010/07/04(日) 03:21:07
- 誤爆すいません
- 88 :名無しさん:2010/07/05(月) 01:07:19
- 新規ロワ予告
【CHAOS;HEAD NOAH(5/5)】
西條拓巳/咲畑梨深/蒼井セナ/折原梢/野呂瀬玄一
【リトルバスターズ!(5/5)】
直枝理樹/棗鈴/能美クドリャフカ/朱鷺戸沙耶/棗恭介
【ロウきゅーぶ!(5/5)】
長谷川昴/湊智花/三沢真帆/袴田ひなた/荻山葵
【蟲と眼球とテディベア(5/5)】
眼球抉子/殺原美名/殺原蜜姫/肉山カヂリ/ダメージヘア
【よくわかる現代魔法(5/5)】
森下こよみ/姉原美鎖/一ノ瀬・弓子・クリスティーナ/坂崎嘉穂/姉原総一郎
【範馬刃牙(5/5)】
範馬刃牙/愚地克己/烈海王/ビスケット・オリバ/純・ゲバル
【剣客キャラでバトルロワイアル(5/5)】
坂本龍馬/川添珠姫/岩本虎眼/屈木頑乃助/座波間左衛門
【ギャルゲバトルロワイアル2nd(5/5)】
柚原このみ/桂言葉/西園寺世界/衛宮士郎/羽藤桂
【自作キャラでバトルロワイアル(5/5)】
玉堤英人/太田太郎丸忠信/苗村都月/吉良邑子/二階堂永遠
【オリジナル(5/5)】
◆pWqyOhv3V2/◆6W1WO7wWA/◆1qTSkwaklA/◆elQfX86hgg/◆/PL6lGt/f.
【主催者:不明】
【50/50】
来週あたりにOPを投下するかもしれません
- 89 :名無しさん:2010/07/05(月) 04:14:38
- >>88
ちょっと待って、まだ元のロワで生きてるキャラがいるんじゃない?
GR2も剣客も完結してないロワだし、前例はあるもののリピーター嫌う書き手さんも
少なくない(実際、リピーターロワは巧くいかなかった)から、そこはちょっと考えた
ほうがいいんじゃないかと。あなたは好きでやるのかもしれないけれど、ロワに入れて
色々させられるのを見て、元のロワの書き手さんがいい顔出来るとは限らないですしね。
- 90 :名無しさん:2010/07/05(月) 04:59:42
- >>89
良かった、自分以外もそう思う人いたんだ
いくら非リレーとはいえ今もつづいている企画から生者を出すのは私もどうかと
リピーター以前にネタ潰しになりかねないし
シチュエーションはともかくまだ使ってない原作ネタとかは被りかねないかも
これが通ったからとこれから先継続中の既存ロワから生者を登場させる人が出てきて、
非リレー全体が顰蹙買ってしまいかねないのはいただけないかと
- 91 :88:2010/07/05(月) 08:48:19
- うむ流石に存続中のは不味いですね
では剣客とGR2は外して40人にします
- 92 : ◆5ddd1Yaifw:2010/07/05(月) 22:54:20
- たくさんのご意見ありがとうございました。
やはり自分としてはリレーをしてみたいという気持ちも強くなっていまして。
結論としましては俺ロワの方に移転しようかと思います。
無論、これからも書き続けますし、未完で終わらないよう努力するつもりです。
最後にロワの応援、感想、代理投下、支援をしてくださった皆様ありがとうございました。
- 93 : ◆6LQfwU/9.M:2010/07/08(木) 21:20:49
- 規制中なのでこちらの方に書きます、前投下した「期待と結果は真逆だった」は取り消させて頂きます。
誠に申し訳ありません…
- 94 :見て^^:2010/07/15(木) 20:38:56
- 一見、普通の女の子の日記ですが、
ある事をした後に更新しています。
かなり中毒性が高いので注意が必要かもしれないです。
ttp://stay23meet.web.fc2.com/has/
- 95 : ◆PWBsZlQ2kI:2010/07/22(木) 12:08:05
- 皆さま投下乙です。
自分も久し振りに投下をしたいと思います。
お気に入りキャラロワ第12話「新世界の神と神に立ち向かう者達」
登場人物は志村新八、天王路博史、スバル・ナカジマ、天道総司です。
規制されていたのでコチラで
- 96 : ◆PWBsZlQ2kI:2010/07/22(木) 12:09:31
- 「で、ですぺらあどおおおおおおおおおおおお!」
その少年は全力全開で夜中の市街地を駆け抜けていた。
どうにも時代ズレした和服にこれといった特徴もない平凡な脇役顔。
特徴を無理やり挙げるとするならば、その顔に掛かった眼鏡が僅かに印象的というくらいか。
そんな地味を極めたかのような少年……名は志村新八という。
「何あれ! 何あれ! 何あれぇぇええええ!! ホンット勘弁して下さいぃいいいいいいいい!!!」
黒色に塗りつぶされた夜天には幾数もの星々が散らばっている。
また淡い金色色の満月も浮かんでおり、深夜とは思えない程に周囲は明るかった。
その事が幸いしてか新八は蹴躓く事もなく疾走を続ける事が出来ている。
後方に迫る脅威からの逃走を―――続けられていた。
「これはなかなか……良い逃げ足を持っているじゃないか」
新八の後ろには一人の異形が歩を進めていた。
新八の全力疾走を嘲け笑うかのようにゆったりと悠然とした動作で、異形が歩いている。
そう、異形だ。新八を追跡するそれは将に異形と言うより他がなかった。
漆黒に包まれた体躯に、要所要所に付けられた金と銀の装飾品。
両肩と右膝には童話に出て来るような鬼を模した装飾が一つずつ。それらもまた輝かしい金色である。
その左腕には数十cmにも渡る銀色の鉤爪が二本。人体など易々と貫くであろう巨大な凶器が左腕に在住していた。
そして、これら異形の中でも更に異質な部位が二箇所ある。
それは顔面部と胸部。
顔面部は狼のような、少なくとも人間のものとは掛け離れた外見。
そして胸部には人間の頭部が上半分……まるで胴体の中に空洞があり、そこから覗き見ているかのように置かれてあった。
「だが、君みたいな者に付き合っている程、私も暇じゃあないんだ」
異形の口から人語が漏れた。
その言葉と共に右肩と左肩に備わった鬼の面が発光し、次の瞬間、火の玉の如く燃え盛った砲弾が発射される。
とはいえ、新八もただの一般人と言うわけではない。幼少期から剣術を学び、鍛錬を続けてきた侍だ。
加えてここ最近はある男との出会いにより様々なドタバタ劇にも巻き込まれ、そしてその中で幾つかの死線を潜り抜けてきている。
それら経験が反射的に身体を動かしていた。
迫る砲弾に対し、新八は思い切り地面を蹴る。その急激な動作により彼は砲弾の直撃を回避した。
砲弾が炸裂した場所は彼の十数メートル先の地面であった。
「うわぁっ!」
だがしかし、直撃でなくとも砲弾の威力は凄まじいものであった。
膨れ上がる灼熱の熱風に煽られ、新八の身体がなすすべもなく宙へ浮く。
そして数瞬の時間を挟んだ後に、地面へと叩き付けられた。
(な、何で僕は……こんな目にあって……)
背部から突き抜けた衝撃に視界がぼやける。
新八にとっては何もかもが分からない事だらけであった。
目を覚ませば、理解不能なスプラッタショーが眼前で行われ。
この謎の土地に着いたかと思えば、到底人間とは思えない姿の化け物に襲われる。
完全に彼の思考能力を越えていた。
全てが意味不明で、現実とは思えない出来事の数々。
様々な事件や珍騒動を経験してきた新八であったが、まだ事態を呑み込むには至れなかった。
そして、事態を呑み込めぬまま彼は生と死の瀬戸際に立たされていた。
無慈悲に、不条理に、ただ現実は新八を追い詰める。
- 97 : ◆xkf1s1CVio:2010/07/22(木) 12:11:19
- 「さて、これで一人目」
そうして、必殺の鉤爪が新八の首筋をなぞるように振るわれた。
「はぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」
だがしかし、斬撃は彼の首を切り落とすには至らず、
『ほうこう』と共に横合いから吹き抜けた青色の流星が、異形の立ち位置を僅かばかりにズラしていた。
その僅かなズレが新八の命を救った。
鉤爪は薄皮を裂くに終わり、若い侍は九死に一生を得た。
「た、助かっ……き、君は……?」
異形を退かせ、新八を死から救った者は、少女と呼ぶに充分な若い女性であった。
少女は異形の脇腹に拳をめり込ませた体勢で、焦燥感に顔を歪ませる。
少女が打ち放った拳は渾身のもの。
充分すぎる程の助走と、完璧な体重移動。
加えて少女の得物に似たローラーブレードのような支給品を活用しての、超加速を注ぎ込んでの一撃。
彼女は、異形を戦闘不能に追い込む気概で拳を振るったのだ。
だがしかし、異形は僅かな後退を見せただけで、呻き声の一つも上げようとしない。
姿勢を崩す事も出来やしない。
ただ拳を通して、異形の異常な強さを感じ取った。
数ヶ月に渡る地獄のような訓練と、潜り抜けてきた沢山の経験が、彼女に伝えていた。
勝ち目はない、と。
正面からの戦闘では万に一つも勝てはしない、と。
「早く……逃げて!」
だが、彼女は引かない。
本能が告げる警告を抑え込み、傍らで腰を抜かす少年へと声を飛ばす。
同時に少女は、息も止まらぬ連撃を叩き込む。
左、右、左、右、そしてトドメの左ミドル。
少女の全力を込めた五連撃は、異形に更なる後退をさせた。
異形はさも面白いものを見るように、手を出さず沈黙のまま少女へと視線を向けていた。
その様子に、ダメージは見られない。
「―――早く!」
少女は異形と向き合い、新八へと背中を向けたままに、叫んだ。
その叫びを受け、新八は弾かれたように駆け出す。
せわしなく手足を動かして不格好に立ち上がり、不格好に闇夜の森林へと走り出した。
「その細身からは考えられない剛力にスピード……仮面ライダーやアンデッドには届かないが、素晴らしいものだ。実に、興味深い」
逃げ出す新八には一瞥すら送らず、異形は殴打された脇腹を撫でながら少女を見つめていた。
表情は未だ変わらないが、その口調から異形が笑っている事が判別できる。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「悪人に、人を殺そうとする化け物に、名乗る必要はない!」
少女は、構えを取る。
憧れの人に少しでも近付きたくて、誰かを守れるように少しでも強くなりたくて、鍛え続けた格闘術(マーシャル・アーツ)。
相棒であるデバイスは、今現在少女の元には無い。
代わりとして脚部を覆うは、とある砂の惑星にて戦闘狂の剣士が使用していたローラーブレード。
相棒がいない不利は彼女自身が最も感じている。
だが、引けない。
人々を救う為に、少女は立ち向かう。
若きストライカー、スバル・ナカジマは信念を胸に構えを取る。
「そうか、では覚えておきなさい。私の名は天王路博史……新世界の神となる男、そして君を殺す者だ」
異形は構えすら取らずに、悠然と少女を見る。
圧倒的な余裕が、その振る舞いから見て取れた。
「君の力の源も知っておきたいんだ。少しは保ってくれると、此方も助かるね」
返答は、無い。
変わらぬ構えで、異形を見据えるスバル・ナカジマ。
変わらぬ姿勢で、少女を見つめる天王路博史。
「―――行っくぞぉぉぉおおおおおおおおお!」
戦闘が、始まった。
【一日目/深夜/F-6・森林】
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]健康
[装備]雲泥のローラーブレード@トライガン・マキシマム
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
0:殺し合いを止める。皆を救う
1:眼前の異形(ケルベロスⅡ)を倒す
2:仲間と合流したい
3:眼鏡の少年(新八)が心配
【天王路博史@仮面ライダー剣】
[状態]健康、ケルベロスⅡ、スバルへの興味
[装備]ラウズカード(ケルベロス)
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
0:新世界の神となる。その為にも早々に殺し合いを終わらせ、元の世界へ戻る。参加者、主催者ともに皆殺し
1:眼前の少女(スバル)を殺す。
2:スバルの力の源に興味。できればその原理を知りたい
- 98 : ◆PWBsZlQ2kI:2010/07/22(木) 12:12:49
- 「さて、これで一人目」
そうして、必殺の鉤爪が新八の首筋をなぞるように振るわれた。
「はぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」
だがしかし、斬撃は彼の首を切り落とすには至らず、
『ほうこう』と共に横合いから吹き抜けた青色の流星が、異形の立ち位置を僅かばかりにズラしていた。
その僅かなズレが新八の命を救った。
鉤爪は薄皮を裂くに終わり、若い侍は九死に一生を得た。
「た、助かっ……き、君は……?」
異形を退かせ、新八を死から救った者は、少女と呼ぶに充分な若い女性であった。
少女は異形の脇腹に拳をめり込ませた体勢で、焦燥感に顔を歪ませる。
少女が打ち放った拳は渾身のもの。
充分すぎる程の助走と、完璧な体重移動。
加えて少女の得物に似たローラーブレードのような支給品を活用しての、超加速を注ぎ込んでの一撃。
彼女は、異形を戦闘不能に追い込む気概で拳を振るったのだ。
だがしかし、異形は僅かな後退を見せただけで、呻き声の一つも上げようとしない。
姿勢を崩す事も出来やしない。
ただ拳を通して、異形の異常な強さを感じ取った。
数ヶ月に渡る地獄のような訓練と、潜り抜けてきた沢山の経験が、彼女に伝えていた。
勝ち目はない、と。
正面からの戦闘では万に一つも勝てはしない、と。
「早く……逃げて!」
だが、彼女は引かない。
本能が告げる警告を抑え込み、傍らで腰を抜かす少年へと声を飛ばす。
同時に少女は、息も止まらぬ連撃を叩き込む。
左、右、左、右、そしてトドメの左ミドル。
少女の全力を込めた五連撃は、異形に更なる後退をさせた。
異形はさも面白いものを見るように、手を出さず沈黙のまま少女へと視線を向けていた。
その様子に、ダメージは見られない。
「―――早く!」
少女は異形と向き合い、新八へと背中を向けたままに、叫んだ。
その叫びを受け、新八は弾かれたように駆け出す。
せわしなく手足を動かして不格好に立ち上がり、不格好に闇夜の森林へと走り出した。
「その細身からは考えられない剛力にスピード……仮面ライダーやアンデッドには届かないが、素晴らしいものだ。実に、興味深い」
逃げ出す新八には一瞥すら送らず、異形は殴打された脇腹を撫でながら少女を見つめていた。
表情は未だ変わらないが、その口調から異形が笑っている事が判別できる。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「悪人に、人を殺そうとする化け物に、名乗る必要はない!」
少女は、構えを取る。
憧れの人に少しでも近付きたくて、誰かを守れるように少しでも強くなりたくて、鍛え続けた格闘術(マーシャル・アーツ)。
相棒であるデバイスは、今現在少女の元には無い。
代わりとして脚部を覆うは、とある砂の惑星にて戦闘狂の剣士が使用していたローラーブレード。
相棒がいない不利は彼女自身が最も感じている。
だが、引けない。
人々を救う為に、少女は立ち向かう。
若きストライカー、スバル・ナカジマは信念を胸に構えを取る。
「そうか、では覚えておきなさい。私の名は天王路博史……新世界の神となる男、そして君を殺す者だ」
異形は構えすら取らずに、悠然と少女を見る。
圧倒的な余裕が、その振る舞いから見て取れた。
「君の力の源も知っておきたいんだ。少しは保ってくれると、此方も助かるね」
返答は、無い。
変わらぬ構えで、異形を見据えるスバル・ナカジマ。
変わらぬ姿勢で、少女を見つめる天王路博史。
「―――行っくぞぉぉぉおおおおおおおおお!」
戦闘が、始まった。
【一日目/深夜/F-6・森林】
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]健康
[装備]雲泥のローラーブレード@トライガン・マキシマム
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
0:殺し合いを止める。皆を救う
1:眼前の異形(ケルベロスⅡ)を倒す
2:仲間と合流したい
3:眼鏡の少年(新八)が心配
【天王路博史@仮面ライダー剣】
[状態]健康、ケルベロスⅡ、スバルへの興味
[装備]ラウズカード(ケルベロス)
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
0:新世界の神となる。その為にも早々に殺し合いを終わらせ、元の世界へ戻る。参加者、主催者ともに皆殺し
1:眼前の少女(スバル)を殺す。
2:スバルの力の源に興味。できればその原理を知りたい
- 99 : ◆PWBsZlQ2kI:2010/07/22(木) 12:13:42
- ◇ ◆ ◇ ◆
「そ、そこの人! 刀を……い、いや何でもいい! 何か武器になるような物を持っていませんか!?」
そして、ストライカーとアンデッドが戦闘を開始したその時、逃亡した新八にも新たな出会いがあった。
挨拶も、自己紹介も、遭遇した人物への警戒すら忘れて、一つの質問を飛ばす。
刀を、武器を求めるその言葉。
新八と相対した人物は、唐突な質問に呆れたような視線を送り、溜め息を吐く。
青年は、新八の知るダメ侍と似たような天パを揺らし、だがダメ侍とは似ても似つかない凛々しい顔を向けた。
その瞳には、自信という名の光が満ち満ちていた。
「おばあちゃんが言っていた。男はクールであるべき。沸騰したお湯は、蒸発するだけだ。少し冷静になれ」
「む、無駄な話をしている時間はないんです! 早くしなくちゃ、彼女が……彼女が!」
新八は逃げ出した訳ではなかった。
戦う為の力を求めたのだ。
幼少時から剣術を学んでいた彼であったが、素手で戦う術は知らない。戦えたとしても素手では素人に毛が生えたようなもの。
あの異形を相手取るには物足りないどころか、少女の足手まといにすらなってしまう。
そう考えたから、新八は逃げた。
刀を、武器を、せめて少女の足を引っ張らない程度の力を新八は求めた。
デイバックの中身は既に確認したが、武器になりそうな物は一つも無かった。
絶望し、ならばせめて素手で立ち向かおうかと思考したところで、新八はその青年と出逢った。
星光があるとはいえ、暗闇の中を灯り一つ点けずに走り抜けてきた青年を、呼び止めた。
「……ただの腑抜けでは無いみたいだな」
青年は独りで納得したような言葉を吐くと、新八の質問に答える事もなく、走り出す。
その対応に慌てるのは新八だ。
是が非でも武器を譲ってもらい、自分を救ってくれた少女を助けなくてはいけないのだ。
一分一秒すら、今は惜しい。
「お、おい、あんた! ぶ、武器を……」
「最初の叫びはお前のものだな。あの恥もへったくれもない、情けない叫び声が俺を呼び寄せたんだ。お前は運が良い、結果としてお前は『彼女』とやらを救ったんだからな」
「いや、話聞けよ、お前えええええええ!! 会話はキャッチボールだよね!? 何でスルー? 何で投げ返すどころかキャッチすらしてくれないの!?」
この極限状態でさえツッコミが出てしまうのは彼の日常的ポジション故か。
だが、走り続ける青年はそのツッコミすら無視して、懐から掌より少しばかり大きな、玩具のような物体を取り出す。
新八は、青年の取り出した物体がカブト虫のような造形をしている事に気が付く。
「変身!」
『HENSIN』
青年がその物体を腰へと当てた瞬間、その事象は発生した。
青年の腰に巻き付けられたベルトを起点として光が発生し、光が上下に分かれてその全身を覆い隠していく。
闇夜を切り裂く発光。
光が晴れると同時に、青年の後を追い掛けるように走っていた新八の表情が、驚愕に染まる。
青年の姿が、変わっていた。
全身を覆う銀色に、要所要所を染める赤色。
天パに包まれていた筈の頭頂部も銀色に覆い隠され、銀色の間から、赤色の角が一本天へと聳えていた。
顔面部を覆うは青色。
その唐突な変化は、まさに変身というに相応しく、新八は更なる異形の光臨に目を見開いていた。
- 100 : ◆PWBsZlQ2kI:2010/07/22(木) 12:14:38
- 「お前は後からゆっくりと着いてこい、俺が総てを終わらせておいてやる」
ダン、と後方の新八にすら足音が聞こえる程の強さで、銀色の異形は地面を踏み抜いた。
それと同時に急激な加速を見せる、銀色の異形。
必死に脚を動かす新八であったが、異形との距離は瞬く間に離れていく。
遂には異形は闇の中へ消えてしまい、目視すら出来なくなる。
それでも新八からすればこのタイミングで運良く出会えた参加者だ。
スバルの力になる為にも、武器の一つは譲り受けなくては話にならない。
疾走の連続に悲鳴を上げる身体に鞭を打ち、銀色の異形が消えていった方角へと走る。
疲労と焦燥に支配されている新八は気付いていないが、異形が走り去ったその道は遂数分前に彼が走破した道と全く同様であった。
つまり銀色の異形は、彼が逃げ出した方角へと走っているのだ。
そんな事も露知らず、新八は走る。
侍の魂を不器用に燃やして、新八は走り続ける。
(なんなんだアイツは、結局こっちの発言全部無視しやがったああああああ! てか、なんだよ、さっきの!? 化け物しかいないのか、ここには!!)
心の中で終ぞや憤りを爆発させながら、それでも彼は走り続けていた。
【一日目/深夜/F-7・森林】
【志村新八@銀魂】
[状態]身体中に擦り傷、疲労(中)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3(武器になりそうな物は無い)
[思考]
0:訳が分からない……
1:銀色の鎧(カブト)を追って武器を譲ってもらう
2:武器を手に入れたら、青髪の少女(スバル)を助けにいく。武器が手に入らなそうだったら、素手でも助けに入る
◇ ◆ ◇ ◆
森林の奥から響く戦闘音を頼りに、銀色の異形は疾走していた。
その速度は既に人類の限界を遥かに超越している。
まるで烈風のような速度で、異形は目的地を目指す。
(兵藤とか言ったな。お前は一つ、余りに大き過ぎるミスを犯した)
心中で呟かれるは、この殺し合いの主催者である兵藤へ向けられた、同情の色すら見える呟き。
それは強がりでも何でもなく、彼の本心から生まれたものであった。
(この俺を殺し合いに参加させてしまった事、これはどんなミスより大きい。何故なら俺は―――)
彼は信じて疑わない。
自分ならば何でも出来ると。
自分ならば総てを、それこそアメンボから人間まで世界中にある総ての命を救済できると。
自らの力を信じて疑わない。
男の名は天道総司。
またの名を仮面ライダーカブト。
世界を救うと大言を吐き、その大言通りに世界を救った男が、殺し合いの会場を駆け抜ける。
自らの使命通りに総てを司る為に、仮面ライダーが、走る。
(―――天の道を往き総てを司る男だからな)
ただ、彼は知らない。
行く先に待ち受ける敵の実力を、この殺し合いに参加させられた人外共の強大な力を。
確かに天道は、仮面ライダーカブトは、強い。
ランダムに支給される筈の三つのアイテムが内二つもが、仮面ライダーへの変身に必要な物であった事は、彼の生まれもっての強運を意味しているのだろう。
強く、知識もあり、運も良い。
成る程、天の道を往き総てを司る男というのも納得だ。
だが、そんな彼とはいえ決して無敵ではなく、ましてや全知全能の神ではない。
天道総司は他人より強く、知識があり、運が良い……だが言ってしまえば、ただそれだけの人間だ。
自分より実力のある敵と戦闘すれば、敗北する事だってある。
彼の知識の至らない事柄だって、山のように存在する。
そして、彼が行く先にいる異形は、十中八九彼より強い。
人の手により創られし、最強のアンデッド。
天道の世界とはまた別の世界にて、四人の仮面ライダーを同時に相手取り、互角以上に渡り合った究極のアンデッド。
そのような化け物を相手にして、天道総司は果たして総てを護りきれるのか。
それはまだ、誰にも分からない。
【一日目/深夜/F-7・森林】
【天道総司@仮面ライダーカブト】
[状態]健康、仮面ライダーカブト(C.Off)
[装備]カブトゼクター@仮面ライダーカブト、ライダーベルト(カブト)@仮面ライダーカブト
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜1
[思考]
0:天の道を往き総てを司る者として、全てを救う
1:戦闘音のする方へ向かい、眼鏡(新八)の言っていた『彼女』とやらを救う
2:加賀見と合流する
- 101 : ◆xkf1s1CVio:2010/07/22(木) 12:19:46
- 以上で投下終了です。
多重投下申し訳ありませんでした……というかトリが違う……これで合ってるかな?
- 102 : ◆wNGm.hcUKk:2010/07/22(木) 12:22:15
- じゃ、じゃあこれか?
- 103 : ◆YcpPY.pZNg:2010/07/22(木) 12:24:12
- 駄目だ、トリを忘れてしまったみたいです……。
取り敢えず以後はこのトリで書かせてもらいます
- 104 : ◆YcpPY.pZNg:2010/07/22(木) 12:26:58
- あ、合ってる…?
取り敢えず投下終了です。
グダグダとスレを消費してしまい申し訳ありませんでした
- 105 :名無しさん:2010/07/23(金) 19:21:38
- 投下乙です
早速三人に死亡フラグが…
- 106 : ◆YcpPY.pZNg:2010/07/27(火) 15:05:54
- 参加者変更を。
【2ch・ネタ】からの参加者を削除。
代わりに【トライガン・マキシマム】からレガート・ブルーサマーズを追加させていただきます
- 107 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/28(水) 21:41:47
- 規制されたのでこちらに。
俺得ロワ2nd 27話 ボウソウ、ジメツ
登場 フラウ、ライコーオー
- 108 :ボウソウ、ジメツ ◆ymCx/I3enU:2010/07/28(水) 21:44:27
- 27話 ボウソウ、ジメツ
右手に自動拳銃スタームルガーP85を握り締め、
狐の獣人の少女フラウは森の中を歩いていた。
「あら……」
前方に何かを発見する。
咄嗟に近くの木の陰に隠れ様子を窺う。
(何あれ……ドラゴン?)
機関銃らしき物を持ちぎらついた目で周囲を見回している、
青い身体をした、ファンタジー世界に出てくるようなドラゴンが、
フラウの前方数十メートルの所にいた。
ドラゴンの方はフラウには気付いていないようだった。
(何だろ、涎垂らしてるし、目がギラギラして……え?)
「……」
ドラゴンとフラウの目がバッチリ合った。
イコール、ドラゴン、狐の少女を補足。
イコール、狐の少女、ピンチ決定。
イコール。
「逃げよう」
命の危機を感じたフラウは一気に駆け出した。
直後、ドラゴン――ライコーオーはフラウに向け、手にした九六式軽機関銃の
引き金を引き、掃射を開始した。
ダダダダダダダダダダダッ!!
「うわああ!」
思わず頭部を両手で保護するフラウ。
視界の端で地面から幾つもの土煙が噴き出し、木の幹が削られるのを目撃した。
「ハァ、ハァ、に、逃がさない……!」
違法薬物で淫らに蕩け切ってしまった思考回路でも、ライコーオーは、
前方の木々の間に見える狐の頭を持った学生服姿の少女を捕捉し、
九六式軽機関銃を突撃銃のように構えフラウを追走しながら掃射する。
「タクミ、の元に、帰る、ために……殺す!」
ダダダダダダダダダダダッ!!
弾丸は木々や地面に当たり、肝心のフラウには掠りもしていなかった。
「こんな所で死ぬ訳には……!」
やむを得ずフラウも持っているP85を青いドラゴンに向け発砲する。
しかし銃に関しては全くの素人である彼女が逃げながら、しかもロクに照準も
定められない状態で発砲してもまず当たらない。
そもそも拳銃は少し離れただけですぐに当たらなくなってしまう。
連射が利き弾幕を張れ、また射程も拳銃と比べて長い、
ライコーオーの九六式軽機関銃の方が有利であった。
まともにやり合っても勝ち目は無いと判断したフラウはとにかく逃げ回った。
しかし、突然、九六式軽機関銃の発砲が止んだ。
- 109 :ボウソウ、ジメツ ◆ymCx/I3enU:2010/07/28(水) 21:45:16
- 「……??」
思わずフラウは足を止めライコーオーの方を振り向く。
「どうしたんだ? 急に弾が……?」
まだマガジン内に弾は残っている筈――マガジンに付けられたカウンターで
それを確認した――だがなぜか引き金を引いても弾は出ない。
添付されていた説明書で九六式軽機関銃自体の使い方は分かっていたが、
ライコーオーもフラウ同様銃そのものに関しては全くの素人である。
弾詰まり――ジャムの事など知る由も無かった。
「くそ、一体どうなって――」
それ故、弾が装填された状態で銃口を覗き込むという銃を扱う者にとっての
禁忌も知る筈が無かった。
黒々とした穴の奥をライコーオーが右目で覗き込んだ直後。
バァンという銃声と共にライコーオーの右目が吹き飛び、代わりに穴が空いた。
パートナーの元へ帰ろうと優勝を目指した青いドラゴンは、
まさかの自滅という最期を遂げた。
「……」
右目が吹き飛んだ青いドラゴンが地面に崩れ落ちるのを、
フラウは呆然と見詰めていた。
【ライコーオー@ドラゴンドライブ 死亡】
【残り 30人】
- 110 :ボウソウ、ジメツ ◆ymCx/I3enU:2010/07/28(水) 21:46:08
- 【一日目/午前/C-3森東部】
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、呆然
[装備]スタームルガーP85(10/15)
[所持品]基本支給品一式、スタームルガーP85予備マガジン(15×3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。脱出方法及び首輪の解除方法を探す。
1:じ、自滅しちゃった……。
2:クラスメイトに会いたい。だがもし殺し合いに乗っていたら……。
3:自己防衛のためなら戦う。
[備考]
※自作ロワ本編開始前からの参戦です。
※C-4、C-3一帯に銃声が響きました。
※C-3森東部にライコーオーの死体と所持品が放置されています。
- 111 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/28(水) 21:47:37
- 投下終了です。くそ、ついに規制が……。
でも避難所あるから投下は出来るし一応話は進められるぞ
- 112 : ◆VxAX.uhVsM:2010/07/29(木) 06:11:35
- 規制ですか・・・自分もいつかなってしまうのか心配です
規制が解けるのを待っています
- 113 : ◆YcpPY.pZNg:2010/07/29(木) 18:43:18
- お気に入りキャラロワ13話投下します
- 114 :『相川始』 ◆YcpPY.pZNg:2010/07/29(木) 18:44:11
- 気付けば相川始は、一棟の民家の中に立ち尽くしていた。
視線を左右に這わせ、何者かの存在を探索する。
人の気配はなし。少なくともこの家の内部には誰も居ないと、相川は判断した。
判断すると同時に、その場にて立ち尽くしたまま思考を始める始。
思い出されるは、つい数分前、唐突に行われた惨殺事件。
何時も通りに仕事を終え、束の間の団欒を過ごし、寝床についた筈だった。
しかしながら、覚醒と共に眼前で繰り広げられたものは、凄惨極まる反吐がでるような虐殺劇。
抵抗する気配すらなかった男を、一方的に殺害した兵藤という老人。
兵藤の口から語られる、バトルロワイアルと称された殺し合い。
人間が皆善人だとは思わない。
だが、ここまでの所業を愉悦を以て執り行える人間がいるとは、思いたくなかった。
アイツが救おうとした世界は、アイツが救おうとした人類は、こんな醜悪なものではない。
「……兵藤……」
それは、静かな怒りであった。
表面上は冷静に、だが心中には怒りという名の熱い奔流が渦巻く。
相川始はある男に救われた。
命ではなく、『相川始』という存在自体を、救われた。
そして、その男は同時に『世界』をも救った。
『相川始』と『世界』……そのどちらもを救った代償は、男自身の存在。
結果として男は、人間を止め化け物とならざるを得なくなったのだ。
それは男の存在の消滅と殆ど意味は変わらない。
人間を止めた男には、もう今までの生活を送る事など出来ないのだから。
始は許せない。
男がそうまでして救った『世界』で、こんな殺し合いを行う兵藤が、始には許す事ができない。
「兵藤……俺は貴様をぶっ殺す」
決意と共に、始は歩き始める。
静かな怒りを胸に、誰も殺させないと決意して。
アンデッドとしてではなく、ジョーカーとしてでもなく、『相川始』として戦う事を決意して。
始は進む。
(誰も殺させはしない……アイツのように人々を守ってみせる)
始の心中に浮かぶは、自分を救ってくれた男の姿。
何時いかなる時も人々を救う為に戦い続けた男。
奴のように戦おうと、始は思う。
幸い始には常人以上の力と、制限はされているものの不死者の身体もある。
ハートの2以外のラウズカードは没収されていた。その為カリスに変身する事は出来ないものの、それでも人並み以上に戦う事は可能だ。
(……ジョーカー化への欲求が強くなっているか……)
だが一抹の不安が無い訳ではない。
それは心の奥底に沸き立つ破壊への衝動。
今は気に掛ける程のものでもないが、その欲求は確実に殺し合いに参加させられる前よりも強くなってはいる。
そもそも殺し合いに参加させられるより前の時点では、ジョーカー化への欲求は皆無と言える状態だったのだ。
恐らくは、ラウズカードを手放した事により抑制が不充分になっているのだろう。
一度暴走してしまえば見境を無くし、自力で立ち直る事は困難になる。
目に映るもの全てを破壊するまでジョーカーは止まらない。
早々にカードを探し出す必要があるか、と始は思考した。
「俺はもう二度とジョーカーにはならない……相川始として戦う、この殺し合いを止める為に」
最強がアンデッドにして人間の心を得た存在―――相川始。
始の心にもはや迷いはなく、ただ自身の想いに任せて進み始める。
彼を救ったある男のように、その生き様を目指して、戦う。
相川始はもうジョーカーではなく、正義の使者・仮面ライダーとして、戦う。
ただ彼はまだ気付いていない。
彼を救ってくれた男がこの殺し合いに参加させられている事に、気付いていない。
ただ今は迷わず前へ。
自らの想うがままに、自らの心が求めるがままに、相川始は進んでいく。
【一日目/深夜/G-7・民家内】
【相川始@仮面ライダー剣】
[状態]健康、ジョーカー化への欲求(極少)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ラウズカード(ハートの2)@仮面ライダー剣、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:殺し合いを止める。兵藤の元へ行き、兵藤をぶっ殺す
1:他の参加者を探す
2:ラウズカードの確保
※原作終了後から参加させられています
- 115 : ◆YcpPY.pZNg:2010/07/29(木) 18:46:01
- 短いですが投下終了。
私も初めて規制に巻き込まれましたが思ったよりも厄介ですね…。早く解けないかなー
- 116 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/30(金) 00:06:06
- 投下乙です。自分もば。
俺得ロワ2nd 28話 Wind of death(死の風)
登場:セイファート、レックス
- 117 :Wind of death ◆ymCx/I3enU:2010/07/30(金) 00:06:59
- 28話 Wind of death
私ことセイファートは、市街地――恐らくエリアF-4――にある、
民家の一つに身を潜め、先刻入手した首輪を調べていた。
家にあった工具を使って無理矢理に外装を剥がし中身がどうなってるか調べる。
同じ事を自分の首にはめられている首輪で行えば、
間違い無く今自分は生きてはいないだろう。
無理矢理外そうとすれば爆発する、と、主催者の比叡は言っていたし。
「成程、こうなってるのね」
おおよその内部の構造は理解出来た。
爆薬、起爆装置、繊細な配線や基盤、それと、生体反応感知センサーと小型マイク。
センサーは分かるけど何故マイク? と思った。
だけど少し考えれば分かる。これは盗聴用だ。
ルール説明の時は一言も言っていなかったけど、参加者の会話は、
主催者側に全部筒抜けって事なのね。
で、肝心の解除出来るかどうかについてだけど、これはもう少し調べてみないと……。
「!!」
背後に何か殺気を感じた。
振り向いた時にはもう遅かった。私目掛けて飛び掛かる、黒い巨大な狼。
机の上に置いておいた拳銃を取る暇も無く。
ガブリ。
鋭い牙が私の喉笛に深く突き刺さった。
そのまま床に押し倒され、ぶち、という嫌な音と共に喉の肉が食い千切られた。
視界が真っ赤に染まる。魔法も使えなくなっている今、もうどうする事も出来ない。
油断した。まさか知らない内に入って来られているなんて。
首輪についての情報を得たけど、もう意味をなさない。
首輪を手に入れるために人を一人殺したって言うのに。
ついてないなぁ……。
- 118 :Wind of death ◆ymCx/I3enU:2010/07/30(金) 00:07:41
- 女の匂いを嗅ぎ付けて民家の一つに入ってみたけど、
いたのは年増の狼獣人の女一人だけだった。
見た目は可愛いし若そうだしおっぱいもデカいけど騙されないよ。
多分、魔法使いか何かで、年を取らない魔法か何かでもかけてたんだろう。
実年齢はとっくに100は超えている筈だ。
さて、また牙を使って殺した訳だけれども、今の所、
俺の支給品であるサブマシンガン、スオミM1931の出番は無い。
俺、狼だけど器用だか銃とかも使えるには使えるんだぜ? 凄いだろ。
「ん? 何だこれ……分解された首輪?」
机の上に工具でバラされた首輪がある事に気付く。
この狼獣人の女、首輪について調べていたらしい。
でも、首輪はどうやって……あれ、デイパックが二つあるな。
そうか、多分、他の参加者を殺して……腰にバスタードソード差してるから、
これで首を切断して首輪を手に入れたんだろうな、多分。
一つ目のデイパックの中には基本支給品の他、小型拳銃用と思われるマガジン数個が
入っていた。机の上に小型の自動拳銃があるから多分これの物だろう。
もう一つのデイパックの中には、基本支給品に続いて、
発炎筒3本と、パンを切る時に使うナイフが入っていた。
「一応、拳銃と予備のマガジンと、バスタードソードを貰っていくか」
俺は机の上に置かれていた拳銃と、デイパックの中に入っていた予備マガジンを抜き取り、
更に狼獣人女の腰からバスタードソードを取って自分のデイパックの中に押し込んだ。
「さてと、女の子捜しに戻るかな、まだ近くにいそうな気がするんだ」
きっとこの殺し合いには俺好みの可愛い女の子がまだいる筈。
見付けたら、思う存分犯して殺す。
守備範囲外の女や男はさっさと殺すつもりだ。
ついでに優勝も狙うという算段。こんな殺し合いで死にたくも無いしね。
「お、また女の子の匂い」
長年女の子を漁り、犯し続けてきた俺の女の子センサー、もとい、鋭敏な鼻が、
目当ての匂いを再び探り当てる。
今度は当たりだと良いな。ふふ。
【セイファート@オリキャラ・再登場組 死亡】
【残り 29人】
- 119 :Wind of death ◆ymCx/I3enU:2010/07/30(金) 00:08:14
- 【一日目/午前/F-4市街地民家】
【レックス@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康、口元が血塗れ、返り血(中)
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、スオミM1931(71/71)、
スオミM1931予備ドラムマガジン(71×5)、USSRマカロフ(8/8)、
USSRマカロフ予備マガジン(8×2)、バスタードソード
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。とにかく生き残る。女を犯す。
1:男は即、殺で。
[備考]
※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。
※F-4市街地の民家の一つ、その内部にセイファートの死体、
首輪(牧野慶、分解済)、セイファートのデイパック(基本支給品一式入り)、
牧野慶のデイパック(基本支給品一式、発炎筒(3)、パン切りナイフ入り)が
放置されています。
≪支給品紹介≫
【スオミM1931】
フィンランドで開発された短機関銃で、1931年にフィンランド国防軍制式になった。
同時代の短機関銃に比べ重いがその分反動は小さい。
旧ソ連の短機関銃「PPSh41」の原型でもある。
【発炎筒】
鮮やかな赤い炎を上げる筒状の道具。
信号用に用いられる。
【パン切りナイフ】
その名の通りパンを切るためのナイフで、刀身が波打っている。
- 120 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/30(金) 00:09:15
- 投下終了です。どんどん脱落させるぜ。
- 121 : ◆6LQfwU/9.M:2010/07/31(土) 20:12:20
- 本スレの方が見れないのは鯖移転の影響でしょうか?
いつごろ終わるんでしょうね
- 122 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:22:56
- >>121
自分は本スレ見れますけど、どっちにしても規制で書き込めないという…。
それはともかく投下します。俺得ロワ2nd 29話 もうどうにも止まらない
登場:レックス、ヘレン、皐月眞矢
- 123 :もうどうにも止まらない ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:23:45
- 29話 もうどうにも止まらない
新たに嗅ぎ付けた少女の匂いを辿り、
黒狼レックスはエリアF-5の市街地の道路を歩いていた。
殺し合いに優勝する事を狙うついでに自分の欲望を満たすため、
自分好みの少女は犯してから殺すという歪んだ行動指針に基づき、
レックスは鋭敏な嗅覚を駆使して、頭の中で妄想しながら匂いの元たる少女を捜す。
金髪エルフの少女、ヘレンはエリアE-5の小中学校にて、
一人の参加者を不意討ちにて殺害した後、その参加者が持っていた
大型回転式拳銃タウルス レイジングブルを携え、
今はエリアF-5市街地の道路を歩いていた。
「……!」
前方に、デイパックを携えた黒い巨躯の狼を発見した。
どうやら参加者の一人のようだ。
向こうもヘレンの事を捕捉したらしく、ヘレンに向かって歩いてくる。
「う……何だか……」
その黒狼の顔を見た時、何とも言えない不快感をヘレンは感じた。
赤い瞳には情欲の色が宿り、涎を垂らしている。
この感じは以前にも、いや、日頃良く感じているそれに似ている。
魔王軍の変態ストーカーエロフの男と対峙した時のそれだ。
「先手必勝!」
ヘレンはレイジングブルを黒狼――レックスに向けて構え、
引き金を引いた。
ドォン!!
「ぐっ……!」
.44マグナム弾を超える威力を持つ.454カスール弾を使用するレイジングブルは、
強烈な反動をヘレンに与えた。
肩と手の痛みに耐えながら、ヘレンは尚も引き金を引く。
ドォン!! ドォン!!
しかし、元々銃に関しては素人であるヘレン。
その上銃の威力が勝ち過ぎており、更に黒狼は素早い動きで
弾丸を回避するため命中率など惨憺たるもの。
あっという間に黒狼レックスの接近を許し、飛び掛かられ、地面に倒される。
- 124 :もうどうにも止まらない ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:24:38
- 「きゃあっ!」
「捕まえた!」
倒された拍子に銃を落としてしまい、そしてヘレンは
あっと言う間にうつ伏せにさっれ、尻を高く突き出した状態にされる。
「な、何を……ああ!?」
ビリビリ、という音と共に、ヘレンの下半身の衣服が、
黒狼の爪牙により下の肌を傷付けないように器用に、しかし大胆に
引き裂かれ、綺麗な尻と秘部が露わになる。
恥ずかしさと恐怖にヘレンは急いで逃げようとしたがレックスが即座に
ヘレンに覆い被さり前足でガッチリと腰の辺りを掴んでそれを許さなかった。
耳元に吹きかかる獣の熱い吐息、だらだらと流れる涎、そして、
秘部に当たる熱く固い物に、ヘレンはこれから自分が何をされるのか、今までの経験から、
容易に察する事が出来た。
「そ、そんな! 嫌、やめて、お願い……!」
「悪いけどそれは出来ないなぁ。人が来るとアレだし、
さっさとヤってさっさとイかせてもらうよ」
「う、うわ、あ、駄目! 駄目! あ、あああああ――――」
〜十数分後〜
「オオッ……い、イくっ!」
「ああ……」
声を押し殺しながら黒い狼は達する。
下で涙を流しされるがままにされている金髪のエルフの少女は、
絶望の表情を浮かべていた。
「ふぃ〜。気持ち良かった〜。あのディオナって子より良かったよ」
「え……?」
黒狼レックスの口から出たディオナという名前にヘレンが反応を示す。
「あれ? 知ってるの?」
「一応知り合い……なんだけど、あなた、ディオナにもこんな事を……!?」
「中々理解が早い」
「そ、それで、その後ディオナは……」
「殺したよ」
「!!」
レックスの言葉にヘレンが凍り付く。
黒い狼の顔からは淫靡な物は消え、凶暴な獣の表情になっていた。
- 125 :もうどうにも止まらない ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:25:10
- 「こうやってね」
ガブリ。
「がぁ――――!!」
レックスの鋭い牙がヘレンの喉元に容赦無く突き刺さる。
気道が、頸動脈が傷付けられ致命的な損傷と出血が起きる。
(嘘、私、こんな所で、終わりなの? お、狼に、獣に犯された上に、
こ、殺され、る、の?)
自分の死を悟ったヘレンの脳裏に様々な思い出が蘇っては消えていく。
走馬灯だとヘレンは冷静に思う事が出来た。
そして一番最後に思い出したのは、頭に白い鉢巻を巻いた青年の笑顔。
(あ、アレックス、私は――――)
ブチッ。
嫌な音と共にヘレンの喉の肉が食い千切られ、大量の鮮血を路上に撒き散らし、
金髪のエルフの少女はその人生に幕を閉じた。
レックスはヘレンの体内から自分のそれを引き抜き、
ふぅ、と満足そうな溜息を吐く。
「良かったよ……あ、名前聞くの忘れちゃった。まあいいか。
さて……」
持っていた装備を拾って再び獲物――女の子捜しに出掛けようと、
レックスが近くに落ちている筈の回転式拳銃を取りに行こうとした。
だが。
「ッ!!」
殺気を感じ、レックスがその場から前方に向かい、
ヘレンの死体を飛びこえるような感じで跳んだ。
ドォン!!
つい数瞬前までレックスがいた辺りの歩道のアスファルトが大きく穴が空いた。
改めて前方を見据えるレックスの視線の先には腰に刀を差し、
両手でついさっきまで金髪エルフ少女が持っていた大型回転式拳銃を構える、
その手のマニアなら涎が出そうな黒髪ポニーテールの巫女服姿の少女が立っていた。
「巫女ktkrwwwwwwwwwwww」
レックスのテンションも大いに上がり思わず跳び上がってしまう程。
その黒狼の様子に巫女少女――皐月眞矢はやや困惑するも、
気を取り直して銃口をレックスに向け直す。
- 126 :もうどうにも止まらない ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:26:24
- 「あなた……この女の子をレ○プして殺したのね……何と言う外道」
「そうさ外道さ、外道で何が悪い!」
「草磲乙」
「草磲か今の?」
「まあそれはともかく……死んで下さい」
ドォン!!
「おっと」
再び放たれた.454カスール弾の弾丸を、相も変わらず華麗に避けるレックス。
「くそ……あ、弾切れ……くっ」
弾が空になったレイジングブルを投げ捨て、咄嗟に腰に差していた刀、
五郎入道正宗を抜こうとする――が。
「ガアア!」
「うわあっ!!」
それよりもレックスが眞矢を押し倒す方が早かった。
必死に抵抗する眞矢だったが筋力に関して言えばレックスの方が遥かに上。
あれよあれよという間に、衣服を引き裂かれ、瑞々しい身体を露わにされる。
「うはwwwノーパンノーブラktkrwwwwおっきしたおwwww」
「ああ、や、やめて! じゅ、純潔は思い人に捧げたいっ!」
「ハァハァ巫女少女たまらん」
「あ、あああ、うわああ――――」
〜また十数分後〜
「ま、また、イく! オオオオ……!」
「純潔\(^o^)/……熱い物が……奥まで……注がれるぅ……ああ」
遠くを見詰め身を震わせ快感を貪る黒い狼の下で、
半裸にされた巫女服姿の少女は諦念に満ちた表情を浮かべていた。
これから自分が辿る末路をもう眞矢は大方予想していた。
「ハァ、ハァ、連続してこんな気持ち良い女の子と遭遇出来るなんて、
ラッキーだなぁ……」
「……これで、私を見逃してくれるという事は……」
「……ごめん、それは出来ない」
レックスは先程ヘレンにそうしたように、鋭い牙を眞矢の喉笛に突き立てる。
「あなたも殺し合いに乗っているのね……。まあ、精々頑張って」
ブチッ。
再び嫌な音が響き、そして眞矢の視界が真っ赤に染まる。
そのまま、皐月眞矢の意識は闇に消えていった。
- 127 :もうどうにも止まらない ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:27:17
- 金髪エルフの少女が持っていた銃と予備弾、そして、
巫女服姿の少女が持っていた日本刀を拾った黒狼レックスは、
上機嫌な様子で、二人の惨殺死体が放置されたその場から立ち去った。
「はぁ……今日は良い日だ。ふふふ」
【ヘレン@VIPRPG 死亡】
【皐月眞矢@オリキャラ・新規組 死亡】
【残り 27人】
【一日目/午前/F-5市街地】
【レックス@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康、口元が血塗れ、返り血(大) 、満足
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、スオミM1931(71/71)、
スオミM1931予備ドラムマガジン(71×5)、USSRマカロフ(8/8)、
USSRマカロフ予備マガジン(8×2)、タウルス レイジングブル(0/5)、
.454カスール弾(15)、五郎入道正宗、バスタードソード
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。とにかく生き残る。女を犯す。
1:男は即、殺で。
[備考]
※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。
※F-4一帯に銃声が響きました。
※F-4市街地にヘレンと皐月眞矢の死体、及び二人のデイパックが放置されています。
- 128 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 21:28:51
- 投下終了です。
- 129 : ◆6LQfwU/9.M:2010/07/31(土) 21:29:27
- あ、いやスレ自身は見れるんですがdat落ち状態なんですよね…
- 130 : ◆WYGPiuknm2:2010/07/31(土) 21:41:58
- そんなあなたに 新スレ
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1279618563/l50
- 131 : ◆6LQfwU/9.M:2010/07/31(土) 22:00:56
- いえ、そのスレがdat落ちになってるんです。
鯖移転と関係あるんでしょうけど良く分かりません…
- 132 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 22:22:19
- 死亡者が多いので放送を4時間おきに変更します。
それに伴い多少SSの修正も行います。
- 133 : ◆ymCx/I3enU:2010/07/31(土) 22:23:39
- ↑すいませんやっぱり変更なしでいきます。
- 134 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 14:30:03
- 投下します。俺得ロワ2nd 30話 テトは犠牲になったのだ……。
登場:テト、費覧
- 135 :テトは犠牲になったのだ……。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 14:30:40
- 30話 テトは犠牲になったのだ……。
喉を負傷した灰色の猫獣人の少女テトは、
スタート地点及び襲撃された地点からほとんど動いていなかった。
喉元に負った傷は命に別条は無いものの、それなりに深く、
余り無理すると大量出血を起こす恐れがあったからだ。
「とは言っても……ここじゃ手当ても何も出来ないし……」
周囲は森で、治療を施せそうな物など何も無い。
せめて包帯ぐらい巻いておきたいものだが。
「あら、こんな所に仔猫がいるわ」
「え……?」
チャキ、と、何かを突き付ける音がテトの猫の耳に入る。
恐る恐る音のした方向を向くと、そこには冷たい銃口があった。
その向こうには自分を見下ろす、黄金色の二足歩行の雌狐が立っていた。
テトが知る狐族の獣人とは、足の形状が異なる。
「あ、あ」
銃――恐らく散弾銃――の銃口を突き付けられ、テトは死を覚悟した。
だが、狐の女――費覧は引き金を引こうとはしなかった。
「……可愛い」
「へ?」
可愛らしい外見の猫獣人の少女テトを、一目見て、気に入ってしまったのだ。
費覧は銃を地面に置き木にもたれかかって座るテトに近寄り、喉元の怪我に気付く。
「あら、喉……獣か何かに噛まれたの?」
「え、あ、ちょっと前に、青と白の狼に襲われて……」
「ふぅん……」
「ひゃっ!?」
費覧はテトの首の傷をペロペロと舐め始めた。
くすぐったさにテトは思わず声を上げる。
「や、やめ……く、くすぐった……ああ!?」
いつの間にか費覧の左手はテトの背中を回り、その豊満かつ柔らかな乳房に、
そして右手はスカートの中、下着の中に入り、テトの敏感な部分をまさぐっていた。
「私は費覧。あなたは? 仔猫ちゃん」
「あんっ、ん、あっ、て、テト、ですぅっ、ああ、やめっ、てっ、ひゃあう!」
「そう……テトちゃん、あなた、私の飼い猫にしたげる。
そしたら命は助けてあげるわ」
「ええ!? そ、それ、うぇえええ、あ、あああああああ!
らめええええええええええええ〜〜〜〜〜〜」
そうしてテトは何度も絶頂を迎えた。
逃げ出そうとしたが、身体は正直で逃げられなかったので、
その内テトは、考えるのをやめた……。
- 136 :テトは犠牲になったのだ……。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 14:32:07
- 「あら、刺激が強すぎたかしら」
気付けば、自分がいじり回していた灰色の猫の少女は、
恍惚の表情を浮かべたまま息絶えていた。
数百年という長い年月によって培われた妖狐の性技は、
ほんの十数年しか生きていない少女に殺人的な快楽をもたらし、
結果、猫少女――テトはその快楽の波に身体、精神共に耐えられなかったのだ。
「可愛い仔猫だったのに……ごめんなさいねテトちゃん。
あなたの柔らかいおっぱいの感触は忘れないわ」
テトが持っていた回転式拳銃、S&W M27を拾い、
デイパックから予備弾と水、食糧を抜き取り自分のデイパックに入れた費覧は、
森を北の方角へと進み始めた。
【テト@自作キャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り 26人】
【一日目/午前/D-3森中央部】
【費覧@オリキャラ・再登場組】
[状態]肉体的疲労(小)
[装備]レミントンM1100(3/4)
[所持品]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(12)、ショートソード、
コルト ローマン(6/6)、.S&W M27(5/6)、357マグナム弾(36)、水と食糧(2人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:次はどこへ行こうかな。
[備考]
※個人趣味ロワ本編開始前からの参戦です。
※ザックからアルベルトの情報を得ました。
※D-3森中央部にテトの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式、
コンバットナイフ入り)が放置されています。
- 137 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 14:33:32
- 投下終了です。正直すまんかった。
- 138 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 17:06:49
- 投下します。俺得ロワ2nd 31話 忍び寄るもの
登場:宮田司郎、姫路礼華
- 139 :忍び寄るもの ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 17:08:34
- 31話 忍び寄るもの
「ここは……役場か」
白衣姿の男、宮田司郎は白髪に猫耳、猫の尻尾を生やした少女と交戦した後、
市街地を歩いた末にエリアE-6にある島役場に来ていた。
駐車場には何台か車が停められているが、人の気配は無い。
右手に自動拳銃シグザウアーP226を持って警戒しながら入口の扉を開ける。
妙にひんやりとした空気が宮田の身体を包んだ。
受付のカウンター、奥にあるオフィス、待合所、トイレ。
いかにも田舎の小さな街役場といった風情だ。
「誰か隠れているかもな」
それなりに広い建物なので、他の参加者が隠れている可能性はある。
また、隠れていなくとも、地図にも表示され比較的目立ち易い建物なので、
これから誰か尋ねてくる事も十分にあり得る。
とにかく、建物内を探索し、誰かいないか確認するべきだろう。
宮田はカウンターを通り過ぎ、オフィス内を注意深く探り始めた。
机の上にはデスクトップパソコン、ノートパソコン、
筆記用具、書類の詰まったファイルなど多くの物で溢れている。
掲示板に書かれている事項や貼られた貼紙は、いずれも、
この殺し合いにおいて役に立つ情報では無い。
緊急用に武器でも置いていないかと机の中を、持ち主に謝りながら漁るが、
武器になりそうな物はカッターナイフ程度の物しか見付からなかった。
「何も無いし、誰もいないか……他の部屋に行ってみよう」
宮田は一階の他の部屋の探索に移る事にした。
ほぼ同時刻、島役場の屋上に向かって飛行する、
一人の雌の獣竜――姫路礼華がいた。
「あれが地図に載ってた島役場……誰かいるかもね」
翼を羽ばたかせながら、礼華は先刻殺害した参加者から奪った突撃銃、
H&K XM8のグリップを握り締める。
早くこの突撃銃を撃ちまくってみたいと、礼華は心の中で思っていた。
「楽しまないとね。ふふふ」
不敵な笑みを浮かべながら、礼華は翼を羽ばたかせる。
- 140 :忍び寄るもの ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 17:12:19
- 【一日目/午前/E-6北部島役場】
【宮田司郎@SIREN】
[状態]健康、E-6方面へ移動中
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[所持品]基本支給品一式、シグザウアーP226予備マガジン(15×3)、不明支給品(本人確認済)
[思考・行動]
基本:殺し合いをする気は無いが……。
1:島役場内の探索。
2:牧野さんが少し心配(ただ、捜す気は無い)
[備考]
※須田恭也が羽生蛇村を訪れるよりも前からの参戦です。
※シルヴィア(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
【一日目/午前/E-6付近の上空】
【姫路礼華@オリキャラ・新規組】
[状態]健康、返り血(中)、飛行中、E-6島役場へ移動中
[装備]H&K XM8(15/30)
[所持品]基本支給品一式、H&K XM8予備マガジン(30×5)、
ベレッタ90-Two(10/15)、ベレッタ90-Two予備マガジン(15×3)、
傷薬、玩具のゴルフクラブ
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:島役場へ向かう。獲物を捜す。
[備考]
※特に無し。
- 141 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/01(日) 17:16:23
- 投下終了です。短っ
- 142 : ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 19:56:07
- 投下乙です。
エロいよ、全体的にエロすぎるよ。そしてその速さがうらやましい
では、自分も投下をば
- 143 :鬼に金棒/永遠の想い ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 19:57:46
- 「いやー! 何なのよ、あの子供はぁ〜〜〜!!」
その時、市街地では奇妙な光景が流れていた。
走者は二人。
前方にオレンジ色の髪の毛を揺らし疾走する少女―――ナミ。
後方に銀色の髪の毛をたなびかせ悠然と歩く少年―――ヘンゼル。
少年より一歳か二歳は年上であろう少女が、少年から全速力で逃亡を計っていた。
「待ってよお姉さん。折角のゲームなんだ、精一杯楽しもうよ」
少女とは対称的な何処か余裕の感じられる走りを見せながら、少年は一定の距離を保っている。
泥棒時代、海賊時代と数多の海賊たちから逃げおおせてきたナミの逃げ足を考慮すれば、コレは相当な所行。
逃げられそうで逃げ切れない……逃亡をする身からすれば現状は最もキツい状態であった。
「ハァッ……ハァッ……何でこんな目に……」
この逃亡劇の始まりは、ほんの数分前。
唐突に参加させされたバトルロワイアルというゲームに混乱中のナミを、ヘンゼルが襲撃したのだ。
うずくまり思考するナミのその脳天へ短刀を振り被り一閃。
だが、ナミも数々の修羅場を生き抜いてきた海賊である。
その一撃を寸でのところで察知し、辛うじて横っ飛びに成功。
短刀は、ナミが座り込んでいた地面を引っ掻くに終わった。
地面に転がりながら、襲撃者へと視線を移すナミ。
そこには、両手に銀色の刀を装備した少年が笑顔を携え立っていた。
そのあどけなさが残る容姿とは裏腹に、泥沼のように濁りきった瞳。
その双眸を見ると同時に、ナミは本能でヘンゼルの異常性を察知した。
そして、脱兎の如く疾走を始めるナミ。
こうして、開始された奇妙な追いかけっこ。
鬼は一人の少年。逃亡者は一人の少女。
捕まった際のペナルティは死。
一人は本能に従い生き抜く為に、一人は本能に従い殺す為に、駆け始めたのだ。
「ルフィ〜〜〜! 誰か〜〜〜! 助けて〜〜〜〜〜!!」
甲高い悲鳴が市街地に浸透していき、消えていく。
返答を寄越してくれる者は誰も居らず、ナミは涙目のまま静寂の市街地を駆け続ける。
幾ら角を曲がり、幾ら路地裏に逃げ込んだとしても、その距離は全く変化しない。
まるでいたぶるような追走に、ナミの体力は徐々に削られていった。
「うーん、そろそろ良いかな?」
そんなナミの後方で一言呟くヘンゼル。
その言葉を告げると同時に、ヘンゼルは右手に握った短刀を掲げ、思い切り振り被る。
両目を細め狙いを定める。
投擲に自信がある訳ではないが、背中を見せてただ無防備に逃亡する女を仕留める分には問題ない。
それに時間を掛けた追走により獲物の体力は大分削り取られている筈。
命中するには充分な要素が揃っていた。
「そ……れ!」
ヒュンと、空気を切り裂く音がその右手から放たれる。
一本の短刀は銀色の閃きと変化し、前方を走るオレンジ髪の少女へと急迫。
刃が、ナミの足元へと襲い掛かる。
「ちょっ……とぉ!」
だが、ナミは寸でのところではあったが、刃の回避に成功した。
倒れ込むように右側へと跳ね、後方から飛来する銀刀を避けた。
短刀が金属音と共に地面を斬り付け、灰色のそこに痕を残す。
「な、何すんのよ! 危ないでしょうが!?」
肩で息を吐きながらも、その口は止まらない。
冷や汗に染まった顔へ怒りを浮かべ、ナミがヘンゼルへとがなり立てた。
対するヘンゼルはどこ吹く風。
柔和な、それでいて寒気を感じさせる笑顔で、ナミを見詰めていた。
「やっぱりお姉さん、素人じゃないね」
数秒の観察の後、その口から零れたものは感心したような声。
その言葉を紡ぐと共にヘンゼルはより一層笑みを深め、ナミを見る。
初撃の際に見せた回避、そして先の投擲の際に見せた回避。
その避け方は危なっかしくギリギリのものであったが、少女はしっかり反応している。
幼少ながら歴戦の殺人鬼から、不格好ながらも逃げ切れているのだ。
- 144 :鬼に金棒/永遠の想い ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 19:58:36
- 「ふふ、思ったよりも楽しめそう。綺麗な肌してるし、切り刻むのも楽しみ」
にんまりと笑顔を一層に深めヘンゼルは、地面にへたり込むナミへと走り出す。
その行動にナミも慌てた様子で立ち上がり、またもや逃走を始める。
もう嫌だ、誰か助けて……と、涙目になりながら静寂の市街地を走るナミ。
再開する追いかけっこであったが、しかし―――
「ハハ、行き止まりだねお姉さん」
時間にして数分ほど経過したその時、これまで常に逃げ回っていたナミが、唐突に立ち止まった。
いや立ち止まるを得なかった。
逃げ切る為、裏路地を走り続けた末に辿り着いたのは、行き止まり。
前と左右は三方共にビルで囲まれ、後方は殺人鬼により塞がれている。
どんな逃げ足を持ってしても、空にでも飛べない限り逃亡は不可能な状況。
ヘンゼルに背中を向けたまま、ナミは茫然とした様子で空を見上げていた。
「どうするの、お姉さん? 諦める? それともやっと遊んでくれる?」
その背中に降り懸かるは無邪気な少年の声。
楽しくて仕方が無い……そんな雰囲気に包まれた声に対して、ナミは答えを返さない。
無言のまま空を見上げ続ける。
それは自分の不幸に絶望しているのか、それとも死地を前にして過去の思い出を浮かべているのか。
ただナミは無言で空を見上げ、立ち尽くす。
「諦めちゃうの? それじゃあツマラナいよ、遊ぼう。ね? 遊ぼう」
そんなナミへ、ゆっくりと、ゆっくりと近付いていくヘンゼル。
ニコニコと天使のような笑顔を浮かべた少年が、海賊の背中に接近する。
右手に握られた白銀の短剣をぎらつかせ、可愛げな笑顔とは裏腹の血みどろな感情を抱きながら、少年は進む。
笑顔の奥に鎮座する両眼が、ビルとビルの間から差し込んだ淡い月光に照らされる。
その瞳は何も映してはいない。
ただ漆黒に染められ、哀れな獲物を捉えるだけであった。
その哀れな獲物も今や身体を震わせ、少年の方へと振り返る事すらしようとしない。
心が折れてしまったのだろうかと、ヘンゼルは思わず心配してしまう。
無抵抗な獲物で遊ぶのも面白いが、沢山抵抗してくれる獲物と遊ぶ方がもっと面白いのだ。
このまま無抵抗を貫かれてはツマラない。
元気を出してくれるように声を掛けようとするヘンゼル。
ただ一つ彼は読み違えをしているとするならば、それは眼前の獲物が持つ度胸と性格。
ナミという少女は、大人しく死を受けいれるような性格ではないし、また此処まで小馬鹿にされて黙っているほど寛容ではない。
そうナミは絶望や恐怖で押し黙り、震えている訳ではない。
怒りで言葉を無くし、震えているのだ。
ようするに、一言で言うなればナミは―――
「なめんじゃ……ないわよーーー!!」
―――ブチ切れていた。
唐突に声を張り上げたと思いきや、ナミは豹変の態度でヘンゼルへと振り返る。
そして右足で器用に地面へと転がっていたボロボロの角材を蹴り上げ、掴む。
その角材を頭上に振り被ると、バトン回しのようにクルクルと器用に回転させ、突き付ける。
獲物の唐突なキャラ変に呆然としているヘンゼルの、その顔先へと、突き付ける。
「何よ、さっきから黙って聞いてれば! 遊ぶ? 諦める? あんたみたいなガキに指図される事じゃないわよ! これでもアイツ等と一緒にバカみたいな冒険をしてきたの! ガキに屈するほど落ちぶれちゃいないわ!!」
その覇気たるや覇王色の覇気も裸足で逃げ出す迫力。
これにはさしものヘンゼルも言葉を失ってしまう。
キョトンと目と口を開け、ナミを見詰めていた。
「ふ……ふふふふふ。良いよお、やっぱりお姉さんって面白い」
が、その沈黙も僅かなもの。
人の手で狂わされた少年は、歪んだ笑顔と濁った瞳を海賊の少女へと向け、武器を掲げる。
そうしたいから、そうする。
殺したいから、殺す。
小難しい事は必要ない。
そこに理由は存在しない。
ただ心が望むままに。
そうしたいから、そうするのだ。
それに世界は殺すか、殺されるか。
そして殺せば殺す程、自分達は生きていられる。
永遠(ネバーダイ)。
少年は短い人生で、狭い狭い世界で、そう学んだから。
彼が知る世界はそれだけだから、彼は殺す。
目前の活きの良い少女を、殺す。
- 145 :鬼に金棒/永遠の想い ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 19:59:14
- 「いくよ、お姉さん」
「来なさい! ボコボコにしてやるんだから!」
だから、少年は武器を片手に駆け出し、少女もそれに応戦しようと構えを取る。
片方はそれしか知らないから、片方はただ生きたいが為に、戦おうとする。
接近する少年、待ち構える少女。
互いの距離は段々と近付いていき、
『Plasma Lancer』
バアン
二人は結局接触する事はなかった。
その理由は至極単純。
接触する寸前で、少年の上半身が花火のように弾け飛んでしまったから。
天使のように愛くるしい姿をしていた少年は、汚く見苦しい赤色の肉片となって市街地を汚した。
結局、自分の信じていた世界が間違っていたとも気付かず。
結局、自分の信じていた思想が間違っていたも気付かず。
何処までも不運な少年はあっけなくこの世を去った。
永遠(ネバーダイ)なんて嘘っぱち。
でも、その思想だけは永遠(ネバーダイ)。
他を殺している限りは死なないと想い続け、その想いを抱いたままに即死できたのだから。
【ヘンゼル@BLACK LAGOON 死亡】
◇ ◆ ◇ ◆
「え」
突然として変化していく事態にナミの思考はついて行く事が出来ないでいた。
思考停止。
全身を汚す『少年だった物』を取り除く事すら出来ず、ペタンと腰を抜かして座り込む。
直前の威勢も、今や何処か空の彼方。
視線だけが右往左往。上半身の無くなった少年や、血や肉片まみれの自分や、―――路地の入り口に立つ小さな子供など色々なものを映しては動いていく。
そんなパンニック状態のナミを、ヘンゼルを殺害した子供が見ていた。
銀色のマントに銀色の頭髪。
手には、その小さな身の丈を上回る漆黒の鎌。
鎌が刃と握り手との接合部には金色の球体が埋め込まれており、淡い光を放っている。
その子供の名はゼオン・ベル。
手中の得物はバルディッシュと名づけられていた。
『……標的の生命活動停止を確認しました』
「見れば分かる。次は違う術を試すぞ、術式を教えろ」
ゼオンがバルディッシュの存在に気が付いたのは、丁度ナミとヘンゼルが命懸けの鬼ごっこを開始した瞬間と同時刻であった。
時間にして凡そ二十分程前の事。
何の気なしに支給品を確かめたゼオンは、デイバックの奥に沈んでいた三角形を形どった金色のブローチのような物を発見した。
それは、理論と科学とほんの少しの異能により魔法という概念が構成されている世界にて、製造された武器。
同伴の説明書によりそのブローチが如何なる武器なのか把握し、自身の魔力を注いで起動に成功させたのだ。
未知の技術で造られていたそれは、ゼオンからすれば恰好の玩具であった。
そして、遠方から届いたナミの叫び声によりその存在を知ったゼオンは、玩具の試運転として近付いていったのだ。
試運転の結果は一人の狂人の死。
印象は上々。人間を相手にする分には威力も問題ない。
胸中を占める満足感に、ゼオンも獰猛な笑みを浮かべていた。
『……Yes, Sir』
ただ一つ不満を上げるとするならば、一介の道具である筈のデバイスが持つ思考能力。
単純に戦闘でのサポートを行うだけならば良い。だがこのデバイスとやらは違う。
無機質な言葉の端々に僅かな不満が感じ取れるのだ。
口調そのものは淡々としたもの。しかし、言葉と言葉の間にある沈黙や反応の遅さは、まるで不満を正面から口に出す事の出来ない子供を喚起させる。
武器として優秀な事はゼオンも認めよう。ただ玩具としては落第の域。
感じ取れてしまう不満の感情が、どうにも面倒であった。
- 146 :鬼に金棒/永遠の想い ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 20:00:26
- 「プラズマスマッシャー……砲撃型の魔法か」
『……魔力を込めれば込める程、比例して威力が上昇する魔法です』
とはいえ自分が道具であると自覚はあるのだろう。此方の指示に背く事はしない。
ならば別段問題はなかった。
多少の面倒を我慢すれば、この玩具は非常に心を沸かしてくれるし、十分過ぎる程の戦力ともなる。
非殺傷設定とやらでガッシュをいたぶるのも楽しそうだ、と思案しながらゼオンは魔力をバルディッシュへと注ぐ。
闇夜を切り裂き、空中に浮かび上がる魔法陣。
その矛先にいる少女は未だ自失から復活を果たしていない。
魔法陣が中心に金色に輝く光の球体が出現し、暴力的な音を鳴らす。
それはゼオンが有する雷の力と相まって、本来の術者が行使するものと同等に近い威力を生み出していた。
その事象にバルディッシュは戦慄すら覚えていた。
現在の持ち主が持つ異常なセンス。
元々から持っていた常識離れの魔力に、魔法という概念を受け入れるに抵抗のない世界から参戦している経緯。
それらはまだ分かる。
先天的に高い魔力を持つ魔導師をバルディッシュは何人も知っている。
だが、ゼオンが持つセンスは桁外れのものであった。
ゼオンがバルディッシュの存在に気付き、彼の知るものとはまた別種の『魔法』を教わり、まだ一時間と経過していない。
だというのに射撃魔法どころか砲撃魔法すら発動させ、それどころかSランク魔導師と同レベルの威力すら実現させている。
天才という言葉すら生温い。
あのエース・オブ・エースすら越えるやもしれぬ才覚が、バルディッシュを操っていた。
『Plasma Smasher』
そうして放たれた金色の奔流。
それは一瞬の間、暗闇の路地裏を照らし尽くし、そして全てを破壊する。
路地裏に在る全て―――ヘンゼルの死体は勿論、あちらこちらに転がるガラクタすらも魔力奔流が内に蒸発する。
それでも尚、金色の暴風は勢いを止めず、遂には前方に立ち塞がるビルすらも貫き、一つのビルを一直線に横断した。
たった数秒の破壊。だがしかし、世界は一変していた。
黒こげとなり異臭を放つ地面に、行き止まりだった筈の路地裏に空いたまん丸の穴。
「くくく……これは面白い」
破壊が残滓の渦中に立って小さく笑う雷帝。
魔界に於いてすら神童と崇められ、恐れられたら子供。
その才覚が発揮できる玩具を得て、ゼオンは高揚感を覚えずにはいられない。
その手中にてデバイスは危機感を募らせる。
この異常な才覚を相手に、デバイスが知る仲間達は、元来の主は太刀打ちできるのか。
明晰な思考力を有したデバイスであっても予想がつかない。
ただ今は、バルディッシュは一介の道具に過ぎない存在。
現在の持ち主に従う事しか、バルディッシュにはできない。
そして、雷帝はそこが惨劇の場を歩き去っていった。
【一日目/深夜/B-3・市街地】
【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]健康
[装備]バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]基本支給品一式、魔本(ゼオン・ベル)@金色のガッシュ!!、ランダム支給品×0〜1
[思考]
1:ガッシュを苦しませて殺す。またそのパートナーである高嶺清麿を殺す
2:この『ゲーム』を楽しむ。ひとまずバルディッシュで参加者を殺す
3:デュフォーと合流し、『ゲーム』から脱出する
[備考]
※魔力の制限に気付きました
「……や、やばかったあ! 何やの、あの子供は……」
そうして誰も居なくなった路地裏を、ビルの屋上から見下ろす者がいた。
茶色を基調としたスーツを着こなした女性。
年は二十歳前後か。肩まで伸びた茶髪に、ばってんを描くように付けられた髪留めが印象的である。
- 147 :鬼に金棒/永遠の想い ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 20:04:25
- 「あれだけバルディッシュを使いこなすとは……相当名のある魔導師なんかな。魔導師にとって見た目と実力は一致するものやないし」
去っていったゼオンについて自分なりの推測を立てる女性。
その傍らにはもう一人、女性が寝転がっていた。
オレンジ髪にグラマラスな体型……それは路地裏にて消し飛んだ筈のナミであった。
「まぁ、この子だけでも助けられて良かったわ。ありがとな、クーラルヴィント」
自身の右手に声を掛けると、女性は気絶しているナミへ視線を移す。
その口から漏れる安堵の息。
タイミングは非常にシビアなものだった。
誰かの叫び声を聞き、飛行魔法で近付いたまでは良かった。
だが辿り着いた先にあったのは、一人の死体と雷光の魔法を使う子供、そして動きを止めた少女が一人。
加えて今にも砲撃魔法が発射されようかという瞬間。
支給品に在った物はクーラルヴィントのみ。
遠隔からのサポートを主とするこのデバイスでは、正面きっての防御は不利。
下手すれば助けに入った自分ごと消し飛ばされる事だって有り得る。
ならばと、発動したのは簡易の極短距離型転移魔法。
砲撃により全てが閃光に包まれるその一瞬に全てを賭け、転移魔法を発動。
その試みは何とか成功を収め、一人の少女を助け出す事ができた。
「……ごめんなぁ。もう少し早く着いてればもう一人も助けられたかもしれないのに……」
彼我の戦力差を考慮すれば、ナミを救出したという結果は称えられるに充分なもの。
だが、女性―――八神はやては喜ぶ事もせず、ただ助けられなかった犠牲者に哀悼を示す。
「……早くなのはちゃん達に合流せんと。これは予想以上に厄介な事になりそうや」
そして、はやてはナミを背負って歩き出す。
空を飛ばずに、徒歩で移動を開始。
屋上の端にある扉を開き、階段を下っていく。
「でもまあ、この子が目ぇ覚ますまではひとまずビルの中にでも隠れとくか……。これ以上、この子を危険な目に合わせる訳にはいかんしな」
泥棒猫を背負って、灯り一つ無いビルの中を歩く魔導師。
時空管理局に於いても異色のエース集団『機動六課』。その長にて、『機動六課』内最高ランクの魔導師・八神はやて。
彼女の幾末に待つものは果たして―――
【一日目/深夜/B-3・市街地】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]健康
[装備]クーラルヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]基本支給品一式
[思考]
0:殺し合いを止め、兵藤とその一派を逮捕する
1:仲間との合流を目指しつつ、殺し合いに巻き込まれた人々を救う
【ナミ@ONE PIECE】
[状態]疲労(中)、服や身体が血塗れ、気絶中
[装備]ボロボロの角材@現実
[道具]基本支給品一式 、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:気絶中
1:訳が分からない。取りあえず仲間がいるのなら合流したい
[備考]
B-3市街地の裏路地が破壊されました。破壊痕にアンデルセンの短剣@HELLSING×5が散らばっています。
- 148 :鬼に金棒/永遠の想い ◆YcpPY.pZNg:2010/08/01(日) 20:07:26
- これにて投下終了です。
次回はレガート、アーカード、ダンテ、ゾロ、圭一あたりで投下したいと思います
- 149 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/02(月) 08:42:37
- とうとう規制が・・・
それでは久々の投下
14話 ボウソウ、カナシミ、ショウジョ
登場人物青木百合、土御門元春
- 150 :ボウソウ、カナシミ、ショウジョ ◆VxAX.uhVsM:2010/08/02(月) 08:43:26
- 14話 ボウソウ、カナシミ、ショウジョ
ここはE-3にある病院だ
放送を聞き終わり少女は唖然としていた
兄が死んだ…?
それだけが心に重くのしかかる
「兄さん…」
「フフフ…フフフフフ」
「上等ですね、兄を殺した奴は絶対に殺します」
「そして」
「兄のいない世界なんていらない!
皆殺しにしてやる!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「うーん…これはいったい何なんだんだにゃ?」
しょうねn…というよりはチンピラみたいな見た目の青年がいた
「うーん、まぁカミやん探してさっさと帰りますか」
と言っていると
「すいません」
と声をかけられた
「ん?何なんだぜい?」
「私の兄を、ご存じないですか?私の背と同じくらいの黒い髪の人ですが…」
「いんやー、見てないんだぜいまあ何なら一緒に探そうかにゃ?」
「いや、いいです」
「あなたはもう用済みなので」
バンッ!
「な…あんた…殺し合いに乗ってたのか…」
「ええ、まあそうですね」
「く…そ…」
(舞夏…く…そ…すまねぇな…)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はぁ…相川君と会ったらどうしましょ…
彼を殺しても絶対に兄さんは喜ばないし…」
それでもひとつだけ言えることがある
彼女は狂ってしまっているということだ
【一日目/朝/E-3病院】
【青木 百合@オリキャラ】
[状態]精神不安定? 健康
[装備]改造ハンドガン(20/20)予備弾40発
[所持品]基本支給品×3 不明支給品1〜3 手榴弾(残り5)
[思考・行動]
基本:優勝し兄を生き返らせるように頼む
1:とにかく優勝を目指す
2:相川については…
【土御門元春@とある魔術の禁書目録 死亡】
- 151 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/02(月) 08:44:14
- 投下終了
くそ…とうとう規制か…
- 152 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/02(月) 08:47:41
- おっと、ハンドガン(20/20)を(19/20)に訂正します
- 153 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/02(月) 22:37:07
- 投下乙です。自分も投下します。
俺得ロワ2nd 32話 珈琲屋に寄って一休み極めたら
登場:弟子五郎、エルフィ、藤堂リフィア、シルヴィア
- 154 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/02(月) 22:39:55
- 32話 珈琲屋に寄って一休み極めたら
病院を出た後、弟子五郎とエルフィは市街地の一角にあった、
少し小洒落た珈琲屋に寄っていた。
「ふぅ……師匠やダーエロさんはどこにいるっスかねぇ……。
エルフィさんのクラスメイトも」
珈琲は口に合わないのでギリギリいける紅茶を飲む弟子五郎。
「広いから、中々見付からないでしょうね……」
自分で入れた珈琲を飲むエルフィ。
珈琲屋の中には店員や他の客の姿は無く、
外からはたまに銃声らしき音が聞こえてくる事を除けば、
それなりにまったりとした時間なのだが。
ガチャ。カランカラン……。
「!!」
「!」
不意に珈琲屋の出入口の扉が、飾り付けられた鈴を鳴らしながら開いた。
弟子五郎は腰に差した刀をいつでも抜けるよう柄を掴み、
エルフィはスカートに差していた大型自動拳銃コルト デルタエリートを引き抜き構える。
「待って、えーと、刀を抜かないで、撃たないで」
店内に入ってきた、エルフィの着ているものとは違う制服に身を包んだ、
銀と白の狼獣人の少女――藤堂リフィアは、両手を上げて戦意の無い事をアピールする。
「あんたは殺し合いをする気は無いっスか?」
「無い無い」
「それじゃ持っている武器とデイパックを床に置いて欲しいっス」
「分かった。ちょ、ちょっと待ってて……」
リフィアは肩から提げていたデイパック、装備していた自動拳銃ワルサーP99を
床の上に置く。そして弟子五郎の反応を窺う。
「これでいいでしょ?」
「……どうやら本当みたいっスね。すみません、こんな事して」
「いいのよ。殺し合いだもの、警戒するのは当然よね。私は藤堂リフィアって言うんだけど、
あなた達の名前も聞かせてくれる?」
「俺は五郎っス、名簿には弟子五郎で登録されてるんで弟子五郎で良いっスよ」
「私はエルフィと言います。弟子五郎さんと一緒に行動しています」
互いに自己紹介する弟子五郎、エルフィ、藤堂リフィア。
「リフィアさん、殺し合う気が無いなら俺達と一緒に行きませんか?」
「私を仲間に入れてくれるの? ……うん、分かった、よろし――」
リフィアが礼を言い掛けたその時、再び出入口の扉が開いた。
今度入ってきた者は、エルフィと同じ制服に身を包んだ、
白髪に猫耳、猫尻尾を持った少女。その手には抜き身の刀が握られている。
そしてその目には明らかなる殺気が籠っていた。
「? あなた……」
リフィアが少女――シルヴィアに話し掛けようとした。
だが、途中でそれは中断される。何故か。首が飛んだからだ。
首を失った胴体は断面から鮮血を噴き出し崩れ落ちた。
首の方はと言うと、テーブル席のテーブルの一つの上に落ち、バウンドした後、
床にゴロゴロと転がった。当人は恐らく何が起きたかを知る前に意識が消えたのだろう、
その表情はシルヴィアに話し掛けていた時と何も変わらなかった。
- 155 :珈琲屋に寄って一休み極めたら ◆ymCx/I3enU:2010/08/02(月) 22:40:58
- 「う、うあ、あああ、ああ」
「……!!」
目の前で起きた惨劇に、エルフィは口をパクパクさせ驚愕し、
その前に立つ弟子五郎は同じく驚愕しながらも必死で我を保とうとする。
「し、シルヴィアさん、何で……!?」
「シルヴィア……!? この人がエルフィさんのクラスメイトの一人……!」
「アンタ、エルフィ、だっけ? そこの男は、見た事無いな」
返り血を浴び白い髪に赤い斑点模様が付いたシルヴィアは、
刀を構えながら弟子五郎とエルフィに近付く。
「く、来るな! それ以上近付いたら斬るっス!」
刃の切っ先をシルヴィアに向けながら弟子五郎が威嚇する。
「シルヴィアさん、何でこんな事……!?」
「……殺し合いで優勝するって決めた、それだけだよ」
「くっ、殺し合いをする気でいるなら、容赦しないっスよ!」
「やってみろオラァ!」
啖呵を切ると共にシルヴィアが二人に斬りかかる。
振り下ろされた刃を弟子五郎が受け止め、そのまま剣の打ち合いが始まった。
ガキィン、ガキィンと金属音が店内に響き渡る。
「うおおおおっ!」
剣豪である師匠、ムシャから教わった剣術を駆使して戦う弟子五郎。
「らああああっ!!」
かつて習っていた棒術の知識を剣術に流用しつつ戦うシルヴィア。
「ど、どうすれば……」
どうしていいか分からずオロオロとするエルフィ。
しばらく戦いは拮抗していたが徐々に体力面で多少勝るシルヴィアに、
弟子五郎が押され始めてきた。
「おいどうした侍? 息が上がってきてるぞ」
「くそっ……!」
にわか仕込みとは言え棒術の流れを組み込んだシルヴィアの剣技は、
本物の剣豪から鍛錬を受けた弟子五郎の剣技にも引けを取らないものだった。
更にシルヴィアは獣人のハーフと言う事もあり普通の人間である弟子五郎よりも、
体力や筋力の面で多少ではあるが勝っていた。
- 156 :珈琲屋に寄って一休み極めたら ◆ymCx/I3enU:2010/08/02(月) 22:41:47
- 二人の戦いを離れた場所で見ていたエルフィは困っていた。
(このままじゃ弟子五郎さんが……シルヴィアさんは本気だ。
止めなきゃ……でもどうしたら……あ)
二人の戦いを止められる方法を模索している内に、エルフィは自分の手に握られた、
黒光りする拳銃に目をやった。
「ゼェ、ゼェ、ま、まずい……!」
「次で決める!」
すっかり息が上がっている弟子五郎に、刀を腰溜めに構えたシルヴィアが突進する。
「だああああああ!!」
弟子五郎は来たるべき一撃に備え、防御の構えを取った。
ダァン!!
「ぐぁ……!?」
「え!?」
店内に一発の銃声が響いた。
と同時にシルヴィアが苦鳴を上げて突進を止める。
口から赤い液体が垂れ始めていた。
「え、エルフィ……」
「ごめんなさい、シルヴィアさん……!」
シルヴィアがよろけつつ振り向いた先には自分に向け銃を構えるエルフィの姿があった。
どうせ恐怖で動けないだろうとシルヴィアはエルフィを後回しにした。
それが失策であった事を彼女は思い知った。
「……ははっ……畜生……」
最後に出た自嘲気味の乾いた笑いは自分の無様な最期へのものか。
床にうつ伏せに倒れたシルヴィアは、もう二度と起き上がらなかった。
「エルフィさん……」
「……」
エルフィは悲しそうな、罪の意識を感じているような、複雑な表情を浮かべていた。
それを見た弟子五郎は掛ける言葉が見付からなくなった。
恐らく彼女は自分を助けようと、或いはただ単に自分とシルヴィアの戦いを止めようと、
クラスメイトの背中に銃弾を放ったのだろう。
だが、理由はどうあれクラスメイトをその手に掛けてしまったのだ。
エルフィの心境は察して余りある。
首を飛ばされた狼獣人の少女と、背中から撃たれ床に伏した猫耳の少女。
二つの死体が横たわる珈琲屋の中は異様な程、静かだった。
- 157 :珈琲屋に寄って一休み極めたら ◆ymCx/I3enU:2010/08/02(月) 22:42:46
- 【藤堂リフィア@オリキャラ・再登場組 死亡】
【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り 24人】
【一日目/午前/F-6市街地珈琲屋】
【弟子五郎@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]蒼鬼
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。師匠(ムシャ)とダーエロを捜す。
1:エルフィさん……。
2:エルフィと行動する。
3:襲われたら戦う。
[備考]
※エルフィからクラスメイトの情報を得ました。
【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、悲しみ、罪悪感
[装備]コルト デルタエリート(7/8)
[所持品]基本支給品一式、コルト デルタエリート予備マガジン(8×3)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。クラスメイトと会いたい。
1:……。
2:弟子五郎と行動する。
[備考]
※弟子五郎からムシャ、ダーエロ、その他の知人についての情報を得ました。
※屋内での発砲のため銃声が外にはほとんど漏れていないようです。
※F-6市街地喫茶店内に藤堂リフィアとシルヴィアの死体、
二人の所持品が放置されています。
- 158 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/02(月) 22:43:51
- 投下終了です。
- 159 : ◆6LQfwU/9.M:2010/08/02(月) 22:53:06
- 本スレ立てられないんすかね?
dat落ちしたまんまだし…
- 160 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/03(火) 10:19:03
- しばらくはこちらでも問題ないと思います
それでは投下
16話 友【ドラえもん】
登場人物野比のび太、人吉善吉、鬼瀬針音、いーちゃん
- 161 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/03(火) 10:19:45
- 16話 友【ドラえもん】
「よかった…鬼瀬は死んでねぇが…」
しかしのび太の友達が2人も死んでいた
「ジャイアン…ドラエもん…津本さん…」
さっきからのび太はずっとああ言うのを繰り返している
「のび太…」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(僕はいったいどうすればいいんだ?僕ができることなんて…)
≪簡単じゃないかみんな殺してしまえばいいんだ
ドラえもんを殺した奴もジャイアンを殺した奴も
何でもない奴もみんな殺してしまえ≫
声が聞こえてきた
(そんなのダメだ!そうしたら津本さんの言ったこと
に背いてしまう!そんなの…)
≪じゃあその津本って言うやつは死んでるんだろ?
それにそいつを殺した奴も殺しちまえよ≫
(でも…僕は…)
≪あきらめろよ、そいつらが≫
(うるさい…黙れ…黙ってくれ…)
≪ニクインダロウ?≫
(うるさい!黙れ!黙ってくれ!)
≪ニクイナラミンナミンナコロシテシマエバイイジャナイカ≫
- 162 :友【ドラえもん】 ◆VxAX.uhVsM:2010/08/03(火) 10:20:18
- 「うわあああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああ!
!!!!!!!!」
「のび太!」
善吉が駆け寄る
しかし
「近寄るな!僕は今から殺人鬼になってやる!ドラえもんを殺した奴も
ジャイアンを殺した奴も津本さんを殺した奴もみんな殺してやるんだ!」
そう言われて善吉の眼が変わった
「それがテメェの答えかのび太」
「ええ、そうですよこれが僕の…」
「ふざけてるな、そんなんでそいつらが喜ぶとでも?
そこの青い奴も津本さんもみんなお前に人を殺してほしいとでも思うか!?
それこそ考え違いだ!」
「うるさい!僕はドラえもんを殺した奴らが憎いんだ!だから…」
「だったら、今度は自分が殺す?ふざけんな!
そんなのマイナスの連鎖じゃねぇか!」
「………」
「青い奴はお前に人を殺してほしくないと思っているはずだ…」
「だから…助けてやろうぜ…まだ生きている友達を」
「僕は…僕は…」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「すみません…僕…」
「気にするな…それよりこれからどうするか…」
考えていると違う所から声が聞こえてきた
「あれ!?人吉君!?」
「その声は…鬼瀬か!」
鬼瀬ともう一人が近寄ってくる
「よかった!生きてたんだ」
「当たり前だろまだ死ねねぇよ」
「あ、言い忘れてたね後ろにいるのは」
「えーと…とりあえずいーちゃんと呼んでください」
「え?なんで本名じゃ?」
「僕、本名は言わない主義なんで」
「ああ、そうか(しかし気になるな…)」
話していると突然
「そうだ!思い出した!」
「ん?どうした?のび太」
「津本さんにPCを見てくれって言われてたんだ!」
「なんだと?」
- 163 :友【ドラえもん】 ◆VxAX.uhVsM:2010/08/03(火) 10:20:51
- 「これは…」
書かれていたのは首輪の構造と相手の拠点の場所だった
「これがあれば…」
「でもどうします?これ…」
「そうだ、いいことを思いついた」
そう言い急に紙とペンを出した
(ここに人を集めよう)
(え?どうやって?)
(拡声器が近くにあると思うそれを使う)
(え…でも…それじゃあ乗ってる人も来てしまうんじゃ…)
(だからまずは近くを探して乗ってない人を見つけるんだ)
そうして作戦が始まった
【一日目/朝/E-2住宅街】
【野比のびた@ドラえもん】
[状態]健康 固い決意
[装備]ベレッタM92(14/15)
[所持品]基本支給品 予備弾30発 炭酸飲料(現地調達)
[思考・行動]
基本:この殺し合いを止める
1:大切な人のために絶対に殺し合いには乗らない
2:友人を探す
3:危険人物とあったら逃げるか戦う
【人吉善吉@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]日本刀 スタンガン(ポケットに入っています)
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:殺し合いを止める
1:作戦実行の準備をする
2:津本さんを殺した奴は…
【鬼瀬針音@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]メリケンサック
[所持品]基本支給品 顔付き名簿
[思考・行動]
基本:殺し合いを止める
1:作戦実行に移す準備をする
2:いーちゃん達と行動する
【いーちゃん@戯言シリーズ】
[状態]健康
[装備]不明
[所持品]基本支給品 不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:この島から脱出したい
1:潤さん…死ぬわけないよな…
2:鬼瀬達と行動する
3:零崎については…どうでもいいか
- 164 :友【ドラえもん】 ◆VxAX.uhVsM:2010/08/03(火) 10:21:23
- 投下終了です
- 165 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/03(火) 10:22:41
- 次はだれの奴書こうかな…
- 166 : ◆DuWpHWx8tA:2010/08/05(木) 21:51:48
- 新規ロワを始めさせてもらいます。
一応コンセプトロワでありますが、将来的にもリレー企画で行われることは無いと思うので非リレーで。
更新は遅くなるでしょうが、よろしくお願いします
- 167 : ◆DuWpHWx8tA:2010/08/05(木) 21:54:55
- ハローミシェーラ、元気ですか?
兄ちゃんは元気です。
ヘルサレズム・ロッドに来てからもう一月ばかりが経ちました。
外からはとやかく言われる事の多い街だけれど暮らしてみれば意外に居心地もよく、しなしながら残念な事にあまり平穏な日々は送れていません。
まあ、それでもそれなりに楽しく、飽きの来ない日々だとは思います。
さて、そんな兄ちゃんですが今現在とんでも無い事に巻き込まれています。
というか、なんなんでしょうか、これ。
真っ暗闇の空間に人がひい、ふう、みい……ざっと数えて三十人ほどが椅子に座っています。
というか、兄ちゃんみたいに座らされているものが殆どなのでしょう。
今現在、兄ちゃんは手足を椅子につなぎ止められ椅子から立つ事もできません。
多分みんなそんな感じなんだと思います。
加えてなんか、それらの人々は不自然な黒色にベタ塗りされていて、その外見を把握することができません。
普通の闇ならば『眼』のお陰で見通す事ができるのですが、何故かこればっかりは無理みたいです。
いやはや、さっぱり理解不能。
頼むからドッキリとかであって欲しいんですけれど、どうなんでしょうか。
「―――いや、待たせてしまったかな」
とか何とか言ってる内に事態は進展していきます。
唐突に灯るスポットライト。その中心に悠然と立つ一人の男。
……何か見覚えのある男です。もういやな予感しかしません、助けて。
「さてまず自己紹介といこうか。僕は堕落王フェムト。このゲームを仕切る者さ」
堕落王フェムト。
それはヘルサレズム・ロッドに住む者であれば誰もが誰も、それこそ人間から化け物までが知る怪人。
普通と退屈を嫌う、変人奇人の化け物だ。
つい数週間前にもヘルサレズム・ロッド中を震撼させた『ゲーム』を行い、何十もの犠牲者を生み出した。
……と、その怪人が眼前にいます。
もう何だろう。お先真っ暗としか言えません。
ミシェーラ、このままお兄ちゃんはグッバイしそうです。
「まあ何だ、回りくどいのは君達も嫌だろう。単刀直入に言うと、ゲームとは―――殺し合いだ。ルールは単純明快。最後の一人になるまで殺し合い、生き残れば良い」
……案の定でした。
なんですか、そのバイオレンス溢れるゲームは。
ゲームって単語の意味理解してんのかな、このひとは。
一回ゲームって単語辞書で引いてみろよ、頼むから。
しかもニヤニヤと笑ってるしよお。ああ腹たってきたな、もう。
- 168 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/05(木) 21:55:27
- 間違えて代理投下のところに書いてましたww
がんばってください
- 169 : ◆DuWpHWx8tA:2010/08/05(木) 21:55:54
- 「フェムト、我が輩がそのような『ゲーム』を許すと思うか」
フェムトの演説に立ち上がる人物が、一人いた。
その人は僕も良く知る人物で、こういう場面でこの人以上頼りになる人を僕は知らない。
クラウス・V・ラインエルツ。
秘密結社ライブラの一員であり、僕等のボス。
強く優しくそれでいて短気で理不尽で、世界を軽く数十回救っている(らしい)男だ。
先程まではベタ塗りされていた筈の全身が、何故か今は普通に戻っている。
フェムト同様にスポットライトがクラウスさんを照らし、暗闇を切り裂いて、その姿が浮かび上がっていた。
クラウスさんの側には、ひしゃげた拘束具を無惨にもぶら下げた椅子が在る。
どうやら拘束具を無理矢理に壊して立ち上がったようである。
流石というか、クラウスさんなら当然に思えるから不思議だ。
「僕もそこのジェントルマンに賛成かな。そんなツマラナそうなゲームやんなくても良いでしょ、ねぇ? フェムトさん。何が目的かは知らないけどさ」
驚いた事にそんなクラウスさんに追随する人が一人現れた。
クラウスさん同様に、拘束具を無理矢理ぶっ壊して立ち上がる男。
ド派手な赤コートと天に向かってトンガラがった黒髪が印象的だ。
表情は柔らかいけど、この人もクラウスさん的なトンデモ人間なんだろう。
……こんな人達と殺し合わせるつもりだったんですか、あの変人は。
「ああ、クラウスにヴァッシュ君か。いやはやその椅子は魔界で作らせた特注品なんだが、君達を抑えるには至らなかったみたいだね。
で、なんだっけ、理由を聞きたいのか? ヴァッシュ君。このようなゲームを開催した理由を。 まあ、そうだね。一言で言うなればやっぱり―――」
そして、フェムトは一度そこで言葉を切り、息を吸い込む。
その後に吐かれる言葉は、容易に予想できた。
「―――退屈だからかな」
……思った通りだ。
この男は、そうなのだ。
自分が退屈だから、世界が退屈だから。
それだけの理由で何十もの人々を巻き込んで、こんなどうしようもなく狂ったゲームを行う。
そんなどうしようもなく狂った男が、フェムトなのだ。
「退、屈?」
「そう、世界は退屈だ。誰もが誰も反吐がでるくらいに退屈ないつもを過ごしている。観てても何ら面白くない。
だから、僕は『ゲーム』を起こすのさ。分かったかね、ヴァッシュ・ザ・スタンピード」
フェムトの話を聞いていくに従い、ヴァッシュと呼ばれた男の表情が険しいものへと変わっていく。
フェムトを知っている者であれば、あの返答に驚く事はない。
トンデモ人間ではあるようだが、裏の世界については余り詳しくはないのだろうか。
「退屈ねえ……そっか、なら僕と戦りあってみるのはどうだい? 非常にスリリング且つ楽しい勝負ができると思うけど」
「む、ならばその役目は我が輩が。一般市民を危険に晒すことは……」
「いやあ、心配はいらないよ。僕はこれでも結構厄介事には馴れてるんで」
「ちょっと待った! 何で僕を抜かして話を進めてるんだ! 確かにそれも面白そうではあるが、僕はどっちかと言うと観てる方が好きなんだ。その案は却下させてもらうよ―――」
と、ヴァッシュとクラウスさんとフェムトが掛けあい、微妙に緊張感が削がれ始めていたその時だった。
「―――もう良い、黙れ」
世界が一変したのは。
僕もヘルサレズム・ロッドの一員だ。
多少の事では動じないつもりではある。
だから、今回の出来事だって、思ったよりも冷静に受け止められている。
フェムトに拉致されたことも、殺し合いを強要されかけていることも、何となく受け止められる。
ヘルサレズム・ロッドならこんなことも有り得るんだと、頭の片隅で仕方なしに理解しているからだ。
でも、次の瞬間、僕の世界の矮小さはまざまざと見せ付けられた。
- 170 : ◆DuWpHWx8tA:2010/08/05(木) 21:56:35
- 「う……ゲえっ……!」
その存在を目にすると同時に、僕は胃の中のものを全部吐きだしていた。
視線の先には何かがいた。
全身が白色の何かで構成され、顔だけが人間の、何か。
この程度の異形などヘルサレズム・ロッドにはごまんと居る。
でも、それでも僕はその存在を理解できない。
ただ吐き気が身体を支配し、震えが止まらない。
何なんだ、あれは。
分からない。
分からない。
分からない。
「俺をここに連れてきたのは、貴様か」
「……そうだが」
「元の場に戻せ」
「それは……出来ない、ね」
あのフェムトが明らかに気押され、ヴァッシュも、クラウスさんでさえも押し黙る。
それ程の存在感が、その異形からは在った。
身体の震えが止まらない。心臓が気持ち悪い程に早く、脈を打つ。
「なら―――死ね」
「ッ! だめだ、ナイブズ!!」
その何かが何をしたかは、僕には分からない。
その何かを直視する事ができなかったからだ。
だから、僕には何がどうなったか分からない。
ただ、何かの声とヴァッシュの声が聞こえ
ドン!
―――直後、爆音にしては小さな破裂音と何かが滴るような音がが響いたことだけは分かった。
「……貴様」
「聡明な判断だよ、ミリオンズ・ナイブズ。これ以上抗うというのなら、残念だが君にはそこの彼と同じ末路を辿ってもらう事になる」
「フェムト、貴様!」
「クラウスもヴァッシュ君もだ。今は静粛に話を聞いていてくれ」
破裂音の先に視線を動かすと、そこには凄惨が広がっていた。
二頭身の、異形といえば異形の人間が、死んでいた。
胴体と首を泣き別れにして、おかしい程の血液を零しながら、死んでいる。
それは何時も通りといえば、何時も通りの光景だった。
少なくともあの存在を見た後では、どうにもインパクトに欠ける。
「君達も気付いたかな? 先程この男を殺害した物と同じ物を君達にもプレゼントしておいた。
抵抗するのは自由だけど、まあ無駄骨は覚悟しておいた方が良い」
でも、自分もああなる可能性があるとなると話は別だ。
首元に手をやると、どうにも金属質な感触。
冷や汗が噴き出す。
どんな状況でも、こんな状況でも、クラウスさんが居るなら大丈夫だと思っていた。
あのヤバすぎる異形も、フェムトも、この状況も、クラウスさんなら何とかしてくれると思っていた。
でも、流石にこの状況はマズイ気がしてならない。
だってクラウスさんの首にも、首輪が巻きついているのだから。
抵抗の術は封じられたも同然だ。
「最低限の武器と食糧はこちらで支給させてもらう。とはいえ、君達から奪ったものが殆どだが。
あと三時間に一度死者の発表をさせてもらうよ。君達の悲観に暮れた顔を見るのも楽しそうだ。
……それじゃあ、そろそろ始めようか。この状況はちょっと僕にとっても心臓に悪いんでね」
チラリと、おそらくあの異形がいる方へと視線を向けて、フェムトは一度手を叩く。
「じゃあ精々楽しませてくれ、諸君」
その言葉を言い切ると同時に、フェムトやクラウスさん達を照らしていたライトが消え、周囲に闇が戻った。
暗闇に包まれた世界。
そして数秒の時間が経った後に、変な感覚が身体を包む。
何かに引っ張られるような、吸い込まれるような、変な感覚。
その感覚を最後に、僕は再びのドタバタ劇に巻き込まれる事となった。
ハローミシェーラ、それでもってグッバイミシェーラ。
兄ちゃんは、大変なことに巻き込まれたようです。
【僕様@トライガン・マキシマム 死亡】
【内藤泰弘キャラ・バトルロワイアル―――開催】
- 171 : ◆DuWpHWx8tA:2010/08/05(木) 22:02:32
- オープニング投下終了です。
オープニングタイトルは「そこは既に終わりの始まり―――オープニング」で。
最後にあるようにロワ名は【内藤泰弘キャラ・バトルロワイアル】。
まあ内藤さん原作の漫画やアニメのキャラでロワを行おうというコンセプトです。
参加者は以下の通り。
【血界戦線】4/4
○クラウス・V・ラインエルツ/○レオナルド・ウォッチ/○ザップ・レンフロ/○チェイン・皇
【トライガン/トライガン・マキシマム】 14/14
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○メリル・ストライプス/○ミリィ・トンプソン/○リヴィオ・ザ・ダブルファング/○ミリオンズ・ナイブズ/○レガート・ブルーサマーズ/○エレンディア・ザ・グリムゾンネイル/○モネヴ・ザ・ゲイル/○マイン・ザ・EG・マイン/○雲泥・ザ・ブレード/○ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク/○ホッパード・ザ・ガントレット/○レム・セイブレム
【ガングレイヴ】 12/12
○ビヨンド・ザ・グレイヴ/○ブランドン・ヒート/○ハリー・マクドゥエル/○浅葱ミカ/○Dr.トキオカ/○九頭文治/○ベア・ウォーケン/○バラッド・バード・リー/○ボブ・パウンドマックス/○浅葱マリア/○ビッグ・ダディ/○ブラッド・ウォー
30/30
【主催者】
堕落王フェムト
- 172 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/05(木) 22:15:09
- 投下乙です
先ほど投下中にコメントしてしまった事を謝罪します
- 173 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/06(金) 08:57:31
- 投下します
17話 骨川スネ夫の間違い
登場人物相川友、坂田銀時、上条当麻、骨川スネ夫
- 174 :骨川スネ夫の間違い ◆VxAX.uhVsM:2010/08/06(金) 08:58:53
- 17話 骨川スネ夫の間違い
相川友、坂田銀時、上条当麻は行き先を考えた後
放送を聞いていた
「林…先生…クソ…」
となりで相川友が落ち込んでいる
さすがに友人が死んでしまったとなると落ち込むのも仕方ない
しかし
「新八…」
従業員の新八が死んでしまったのだ
「高杉の野郎ぉ…絶対ぇに許さねぇ!」
―――――――――――――――――――――――――――――――
一方
「ドラえもんが…死んだ!?」
それじゃあ…みんなと帰れないってこと?
ジャイアンも死んじゃったし…
「ああ、もういいや」
「みんな殺してしまおう」
そう言いメガネの男のデイパックに入っていた電磁法を持って
近くにある薬局へ向かった
――――――――――――――――――――――――――――――――
「ん?また誰か来たぞ」
癖のある髪の少年がやってきた
「……フフフフフ…」
「おいおい、あいつ頭いかれてんのか?笑ってるぞ」
「さあ、でも気をつけた方が…」
ビシュッ!
「うおっ!」
「これは…」
「なんかあるのか?上条」
「ああ、予想どうりなら勝てるぞ…」
「死ねェェェェェぇぇぇぇ!!!」
ビシュッ!
(いける!)
上条は右手を差し出した
電撃が右手に当たった瞬間電撃が消え去ったのだ
「な…なぜ…」
その後スネ夫は気絶した
- 175 :骨川スネ夫の間違い ◆VxAX.uhVsM:2010/08/06(金) 08:59:26
- 「えーと…とりあえず聞かせてもらうが…
お前がデイパックを3つ持ってるってことは
何人か殺したんだな?」
「ああ、そうだよ」
「そいつはどんな奴だ?」
「眼鏡をかけたやつと黒い髪をした無駄に暑そうな男だよ」
『!!』
2人が反応した
「お前が…」
「お前が新八を殺したのか!!!!」
「銀さん!落ち着いて!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(ハハハ…ジャイアン…ぼくももうすぐそっちに行くから…)
グシャッ
「…ぎん…さ…」
「え…?」
(俺は…人を殺しちまったのか…)
(俺は…こいつと同じことをしちまったのか…)
銀時は自分自身を許せなかった
【一日目/朝/C-2薬局】
【相川 友@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]コルトパイソン(5/6)予備弾24発
[所持品]基本支給品 スポーツドリンク 救急ボックス お菓子ジュース多数
[思考・行動]
基本:銀さんと一緒にこの殺し合いを潰す
1:銀さん…
2:青木百合と合流したい
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康 精神不安定(軽)返り血
[装備]銀時の木刀
[所持品]基本支給品×2 不明支給品0〜4(確認済み) いちごオレ
[思考・行動]
基本:この殺し合いを潰す
1:殺しちまったのか…俺…
2:仲間を募る
[備考]
※原作次郎長編以降の参戦です。
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品 不明支給品1〜3(確認済み、武器になりそうなものはない)
[思考・行動]
基本:この殺し合いを潰す
1:白井…坂田さん…
2:御坂、土御門を探す一方通行は危険視
[備考]
※幻想殺しの能力規制はありません
※スネ夫の支給品が店内に落ちています
【骨川スネ夫@ドラえもん 死亡】
- 176 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/06(金) 09:00:12
- 投下終了です
- 177 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 10:38:44
- 規制されたのでこちらに投下します。俺得ロワ2nd 38話 集え、学び舎に
登場:東風谷早苗、アルベルト、女賢者、レックス、鈴仙・優曇華院・イナバ
- 178 :集え、学び舎に ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 10:40:25
- 38話 集え、学び舎に
緑髪の巫女、東風谷早苗は、小中学校の保健室にて、
銃撃された傷を治療し身を潜めていた。
「痛い……これで、大丈夫かな……」
かなり適当に包帯を巻き付けただけで治療と呼ぶには粗末な処置である。
左上腕は.357マグナム弾が貫通し、本来であれば、
専門の医師による適切な治療が必要なレベルの怪我だった。
当然、早苗にそのような治療など出来ない。
左腕は少し動かすだけでかなりの激痛が走るため、今後の行動に、
大きく影響する事は明白だった。
「うう……何でこんな事に……私、何か悪い事したっけ……?」
いきなり言葉を喋る何かの妖怪の類と思しき狼に殺し合えと言われ、
訳も分からぬまま見知らぬ土地に放り出され、銃で撃たれ大怪我をした。
早苗はここ数カ月の自分の生活を思わず振り返る。
このような理不尽極まりない殺し合いに参加させられるような、
落ち度は無かったはずだが。
「……!」
微かに足音らしきものが聞こえ、早苗の身体が強張った。
(誰か……来る!?)
銃撃された時の恐怖が蘇る。
また襲われると思い、急いでパイプベッドの下に隠れた。
(……あ……でも……)
誰かが来る事は間違い無い、だが、その人物が、
数時間前の青髪の少女のように襲い掛かってくるとは限らないのではないか。
この殺し合いを拒否し、脱出手段を模索している人物かもしれない。
ガララ。
(! 入って来た……!)
そうこうしている内に、保健室の引き戸が開き、何者かが入ってくる。
履物やズボンから、どうやら男のようだった。
男は何やら、刀のような物を持っている。
「……ん? これは……」
男が何かを見付けたようだ。
その時、早苗はある事を思い出しハッとする。
(私のデイパック……! ベッドの上に忘れた……!)
「誰かいるのか? ……この下とか?」
男が正に早苗が隠れているベッドの下を覗き込もうと、床に片膝を付いた。
(う、うわああああああああもう駄目だああああああああ!!)
- 179 :集え、学び舎に ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 10:42:21
- 「す、すみませんでした、悲鳴あげちゃって」
「いや、こんな状況だからな、無理も無い。えーと、早苗さんだったかな」
「はい、そうです。アルベルトさん」
金髪の美男、アルベルトは小中学校の保健室で発見した、
巫女服姿の緑髪の少女と会話していた。
最初ベッドの下に隠れている所を見付けた時、少女――東風谷早苗は、
かなり大きな悲鳴をあげアルベルトを驚かせた。
「怪我してるな、これは……撃たれたのか?」
「はい……」
アルベルトが早苗の左上腕の傷に気付き尋ねる。
早苗は肯定の意を表し、撃たれた時の状況を出来るだけ詳しく説明した。
「そうか……大変、だったな……俺は君が始めて会った参加者だ」
「そうなんですか……アルベルトさんは、この殺し合いには」
「殺し合いなんてするつもりは無いさ。何とかして脱出したいと思っている。
早苗さん、良かったら仲間にならないか?」
「は、はい。私で良ければ……」
この先一人で行動するのは危険と考えた早苗はアルベルトの申し出を受けた。
同時刻、アルベルトと早苗のいる小中学校に近付く三人の参加者がいた。
西南方面より一人目。
「あら、あれが小中学校かしら」
早苗に重傷を負わせた張本人、女賢者ことフィーナ。
南方面より二人目。
「女の子の匂いがするなぁ。ふふふふ」
三人の乙女を己の欲望で汚した末殺した淫獣、黒狼レックス。
北方面より三人目。
「そろそろ森を抜けられる」
早苗と直接的な面識は無いものの、この殺し合いにおいて、
唯一早苗と同じ世界の出身の参加者、兎耳娘の鈴仙・優曇華院・イナバ。
動機・行動指針に差異はあれど何れもこの殺し合いのルールに則り、
殺し合いをしている者達である。
小中学校内の二人は殺人鬼が一気に三人も近付いてきている事に気付く由も無い。
- 180 :集え、学び舎に ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 10:46:12
- 【一日目/午前/E-5小中学校一階保健室】
【東風谷早苗@東方Project】
[状態]肉体的疲労(中)、左上腕に銃創(処置済)
[装備]鉈
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:アルベルトと行動。
[備考]
※特殊能力は一切使えなくなっています。
※女賢者(フィーナ、名前は知らない)の容姿を記憶しました。
【アルベルト@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]マグロ切り包丁、防弾チョッキ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。仲間を集める。ザックと合流したい。
1:東風谷早苗と行動。
2:殺し合いに乗っている者に対しては出来るだけ説得、
駄目なら戦闘もやむを得ない
[備考]
※防弾チョッキは衣服の下に身に着けているので外見からは分かりません。
【一日目/午前/E-5小中学校周辺】
【女賢者@ドラゴンクエストⅢ】
[状態]健康
[装備]コルト パイソン(3/6)
[所持品]基本支給品一式、.357マグナム弾(18)、手斧
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:女勇者(エリス)、女遊び人(ミルカ)とは出来れば会いたくない。
[備考]
※ゾーマ討伐以降の参戦です。
※呪文は一切使えなくなっています。
※本名は「フィーナ」という設定です。
※小中学校へは西南から近付いています。
【レックス@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康、口元が血塗れ、返り血(大)、小中学校へ移動中
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、スオミM1931(71/71)、
スオミM1931予備ドラムマガジン(71×5)、USSRマカロフ(8/8)、
USSRマカロフ予備マガジン(8×2)、タウルス レイジングブル(0/5)、
.454カスール弾(15)、五郎入道正宗、バスタードソード
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。とにかく生き残る。女を犯す。
1:男は即、殺で。
[備考]
※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。
※小中学校へは南から近付いています。
【鈴仙・優曇華院・イナバ@東方Project】
[状態]健康、小中学校へ移動中
[装備]ツァスタバCZ99(14/15)
[所持品]基本支給品一式、ツァスタバCZ99予備マガジン(15×3)、
RSAFエンフィールドNo.2(6/6)、.380エンフィールド弾(18)、顔写真付き参加者名簿、
水と食糧(2人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:次はどこに行こうか……。
[備考]
※特殊能力は一切使えなくなっています。
※小中学校へは北から近付いています。
※E-5小中学校図書室の女勇者の死体は発見されていません。
- 181 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 10:53:10
- 投下終了です。
- 182 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 22:29:01
- 投下します。俺得ロワ 39話 勇気を出せばきっと何かが変わる
登場:ブライアン、聖徳太子
- 183 :勇気を出せばきっと何かが変わる ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 22:30:46
- 39話 勇気を出せばきっと何かが変わる
「なぁ、ブライアン……」
B-2市街地の倉庫に隠れていたブライアンと聖徳太子の二人だったが、
不意に聖徳太子がブライアンに話し掛けた。
「……何だ? 太子」
「……私は考えていたんだ。逃げて隠れてばかりで良いのだろうかって」
「太子……」
神妙な面持ちで太子が続ける。
「隠れてばかりではこの殺し合いから脱出する手段も、
呼ばれている知り合いも何も探す事が出来ない。何も進まない。
いや……勿論、私だって無理に危険を冒そうなどとは思わないさ。
さっきの青髪の男のような奴と会うのはもう二度とごめんだ。だが……」
「……太子、言いたい事は分かった」
「ブライアン」
「確かに……逃げて隠れてばかりじゃ、しょうがないよな」
ブライアンが立ち上がり、バトルアックスを持ち上げ刃を見詰める。
その目には何かを決心したような、光が宿っていた。
太子も立ち上がる。
「……今、俺達は多分、エリアA-2の教会からそう離れていない場所にいるんだと思う」
「何で分かるんだ?」
「いや、逃げている時に、遠くの方、多分北だな。
北の方にそれらしい建物が見えたから……」
「ほうほう」
先刻、青髪の剣士から必死に逃亡している際、一瞬ではあるが、
確かにブライアンは遠方の、先端に十字架をこしらえた塔を目撃した。
ほぼ間違い無く教会であろうとブライアンは確信する。
地図にはエリアA-2に教会とあった。最初に青髪の剣士と遭遇したエリアE-1の塔から、
今まで逃げてきた経路を照らし合わせると、やはり教会と見て間違い無さそうだ。
「行く宛ても無いからな……教会へ行ってみないか」
「そうだな……」
例の青髪の剣士がまだ近くにいる可能性、また、その青髪の剣士が、
教会に向かった可能性も否定出来なかったが、多少の危険は覚悟しなければならないだろう。
だが、聖徳太子には別の悩みがあった。
「私、そろそろ武器が欲しいんだが」
「そう言われてもな」
聖徳太子に支給された物は右腕に装着している籠手と、デイパックに入っている
双眼鏡で、武器らしい武器は支給されなかった。
これから先の事を考えると自分の身を守るための武器は必要だったが。
- 184 :勇気を出せばきっと何かが変わる ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 22:31:50
- 「この倉庫の中に何か無いか……?」
ブライアンと聖徳太子は倉庫内を探索してみる事にした。
何やら古い家電製品や家財道具、ゴミなのか荷物なのか判別し難い雑多な物で、
倉庫の中は溢れ返っていた。
「お、聖徳太子! これなんか良いんじゃないか?」
「どれどれ……これは……」
ブライアンが見付けた物は、古びた後装式の単発銃――スナイドル銃と、
予備弾20発であった。
「使えるのだろうか、これは」
「試しに撃ってみたらどうだ?」
聖徳太子はブライアンに言われるがまま、スナイドル銃を手にし、
慣れない手つきで弾を込め、近くにあったタンスに向けて銃を構え、引き金を引いた。
ドォン!!
「「うぉっ」」
発砲音の大きさに二人が驚きの声をあげる。
狙った先のタンスに大きな穴が空いていた。
「中々威力があるみたいだな……どうだ太子?」
「そうだな。反動が強いが……武器が無いよりはマシだ。持っていこう」
聖徳太子はスナイドル銃と予備弾19発を入手した。
なぜ仮にも飛鳥時代の人間である彼が銃の扱いを知っているのかについては
言及しないで頂きたい。
「それじゃ……行こうか太子」
「ああ」
ブライアンと聖徳太子は勇気を振り絞り、倉庫の外へ続く扉へ歩き出した。
- 185 :勇気を出せばきっと何かが変わる ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 22:34:05
- 【一日目/昼/B-2市街地西部倉庫内】
【ブライアン@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]バトルアックス
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。リリア達を捜す。死にたくない。
1:聖徳太子と行動。教会へ向かう。
[備考]
※聖徳太子から小野妹子の情報を得ました。
※勤武尚晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
【聖徳太子@ギャグマンガ日和】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]スナイドル銃(0/1、調達品)、籠手
[所持品]基本支給品一式、スナイドル銃予備弾(19、調達品)、双眼鏡
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。妹子を捜す。死にたくない。
1:ブライアンと行動。、教会へ向かう。
[備考]
※ブライアンからリリア達友人知人の情報を得ました。
※勤武尚晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
≪調達品紹介≫
【スナイドル銃】
1866年にイギリス陸軍制式となり、旧日本陸軍草創期の制式でもあった、
前装式エンフィールド小銃を改造した後装式小銃。
命中精度が良くないなど欠点も多かったが前装式に比べ連射性に優れていた。
- 186 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/12(木) 22:34:52
- 投下終了です。
- 187 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 00:00:51
- 投下します。俺得ロワ2nd 40話 男は愛する人のために、女は己のために
登場:ダーエロ、エロリア
- 188 :男は愛する人のために、女は己のために ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 00:01:54
- 40話 男は愛する人のために、女は己のために
己の手で、己の同僚であり仲間を手に掛けたダークエルフの男は、
首輪探知機機能を無理矢理付けられたニンテンドーDSを片手に、
閑散とした市街地の通りを歩いていた。
そして、DSが首輪の反応を探知する。
上画面に表示された首輪の位置は自分の前方300メートル先。
下画面に表示された首輪の所有者の名前は。
「エロリア……」
ダーエロも多少は知っている名前である。
勇者勢、自分達魔王勢と敵対関係にあるアンデッドナイ軍に在籍する、
この殺し合いにも呼ばれている勇者勢の一人、リリアの偽物。
しかし本家よりも妖艶かつ巨乳で、女性としての魅力はエロリアの方が上である。
「あら、あなたは確か、魔王軍四天王の……」
「ああ。ダーエロだ。お前は確かアンデッドナイ軍の、エロリア、だったな」
「知っていてくれたのね」
路上で対面し、多少言葉を交わす二人。
「……エロリア、お前はこの殺し合いに乗っているのか?」
ダーエロがエロリアに尋ねる。
「ええ。そう言う貴方は?」
「……」
ダーエロはしばらく間を置いてから、答えた。
「……乗っている。もう、三人殺した」
「へぇ……私は四人よ」
「そうか……」
どちらも、片や(一方的に)愛している人のため、片や自分の享楽のためとは言え、
この殺し合いに乗り、既に数人の参加者をその手に掛けていた。
その事を双方が確認すると、そのまま互いに沈黙する。
「……」
「……」
互いに互いの目を見据えたまま、動かない。
聞こえるのは自分の呼吸と心臓、それに風の音のみ。
「……!」
先に動いたのはエロリアであった。
手にした突撃銃大宇K2の銃口をダーエロに向け、引き金を引く。
五発の5.56㎜NATO弾がダーエロに襲い掛かった。
それを上手く回避し、続いてダーエロが自動拳銃ベレッタM92FSの銃口をエロリアに向け、
発砲した。
- 189 :男は愛する人のために、女は己のために ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 00:02:34
- ダァン! ダァン! ダァン!
「おっと!」
大宇K2のマガジンを交換しながら、ダーエロの放つ銃弾の弾道を見切り、
紙一重で避けるエロリア。
そして再び大宇K2を掃射する。
「ちぃっ……! やべぇ……っ!」
ダーエロは自分に向けて放たれる銃弾の雨を走ってかわしながら、
心の中でかなり焦っていた。
自分が持っているのは単発の自動拳銃、相手が持っているのは、
連射可能な小銃。明らかに正面から戦うには分が悪い。
このままでは押し負ける。そうなれば、自分は殺される。
(ここで、死ぬ訳には……!)
ダーエロは、一か八か、北方向の林へ伸びる細い道へ逃げ込んだ。
自分の記憶が正しければ、この先には湖があるはず。
ここは、一度退却し、体勢を立て直すべきだとダーエロは判断した。
「逃がすか!」
ダダダダダダダダダッ!!
逃げるダーエロの背に向け、大宇K2を掃射するエロリア。
しかし、交換したマガジンが空になるまで撃ち続けたが、その弾丸が
ダーエロに当たる事は無かった。
「逃がしたか……まあいいか。無理に追う事も無いでしょ……」
エロリアはダーエロを追撃はせず、捨て置く事にした。
空になったマガジンを交換し、ふぅ、と一息付く。
「そう言えば……もうすぐ放送ね……一旦どこかで休んだ方が良いかしら」
デイパックから懐中時計を取り出し、エロリアは時刻を確認する。
現在の時刻は午前10時20分。まだ放送時刻まで1時間40分程あるが、
他参加者と戦闘となったり、追撃されたりされる可能性を考えると、
余裕を持って放送を待った方が良いだろう。
幸い周囲には身を潜められそうな建物が沢山ある。
「ディオナの奴、まだ生きてるのかしら……まあ、死んでいたとしても、
どうでも良いっちゃどうでも良いけど」
既に凄惨な末路を遂げている事など知る由も無い同僚の事を考えながら、
エロリアは適当な民家の門をくぐった。
- 190 :男は愛する人のために、女は己のために ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 00:03:54
- 美しく、澄んだ水を湛えた湖の畔に、息を切らせたダークエルフの男がやって来た。
肩で息をし、呼吸を整えた後、振り向き追跡者がいない事を確認する。
ほっと安堵すると、その場に座り込んだ。
「アサルトライフルを支給されてたなんてな……あいつと今度やり合う時は、
正面からは避けるべきだな」
あの掃射の雨から、無傷で逃れられたのは殆ど奇跡に近い。
エロリアに限らずこの殺し合いには連射に優れる機関銃系の武器を
支給された参加者も多数いる事だろう。
自分が持っている銃は二丁とも単発――そういった者と相対する時は、
不意を突くなどして正面からの戦いは避けるべきだ。
「もう、この殺し合いが始まって結構経つな……。
今何人生き残っているんだ……ヘレンたんはまだ大丈夫か……?」
既に高く昇った太陽を見上げながら、ダーエロが言う。
あと二時間もしない内に、第一回目の定時放送が始まる。
その放送では死亡した参加者の名前も発表されるらしい。
自分が最初に殺した狐獣人の少女、伊賀榛名。
そして先刻手に掛けた自分と同じ魔王軍四天王の一人、ムシャと、
ムシャに同行していた新藤真紀という緑髪の女性の名前も呼ばれるだろう。
その死者の中に、ヘレンの名前が無い事を、ダーエロは切に願った。
【一日目/昼/A-5市街地南部】
【エロリア@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]大宇K2(30/30)
[所持品]基本支給品一式、大宇K2予備マガジン(30×3)、青竜刀、
デ○ルド、M24型柄付手榴弾(2)、拳銃型催涙スプレー(容量満タン)、
水と食糧(2人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。知り合いや同僚(ディオナ)と遭遇しても容赦しない。
1:放送を待つため、しばらく民家に身を潜める。
[備考]
※特に無し。
【一日目/昼/B-5中央部湖の畔】
【ダーエロ@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)、精神不安定(軽度)
[装備]ベレッタM92FS(6/15)
[所持品]基本支給品一式、ベレッタM92FS予備マガジン(15×2)、Cz75(15/15)、
Cz75予備マガジン(15×3)、千鳥、改造ニンテンドーDS、特殊警棒、ハンティングナイフ、
水と食糧(1人分)
[思考・行動]
基本:ヘレンたんを優勝させる(自分は自害する)。
1:放送も近い。少し休むか……。
[備考]
※魔法が一切使えなくなっています。
※A-5一帯に銃声が響きました。
- 191 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 00:04:40
- 投下終了です。
- 192 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 14:28:45
- 投下します。俺得ロワ2nd 41話 自重しない狼君
登場:アルベルト、東風谷早苗、女賢者、レックス、鈴仙・優曇華院・イナバ
- 193 :自重しない狼君 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 14:39:03
- 41話 自重しない狼君
「ん……」
「どうしました? アルベルトさん」
閉め切られたカーテンの隙間から校庭の様子を窺っていたアルベルトが何かを発見する。
ベッドに座っていた東風谷早苗は何事かとアルベルトに近付く。
「正門から誰か入ってきた。青い髪の……女、だな」
「え……? ちょ、ちょっと良いですか」
青い髪の女、というアルベルトの言葉に早苗が反応を示し、
半ば強引にアルベルトに代わり校庭をカーテンの隙間、窓ガラス越しに覗く。
そして、その両目が見開かれ、早苗の背筋が凍った。
「あ、あの人です。間違い無いです。牛の女の子を殺して、
私を撃ったのは」
「何だって……!」
アルベルトが再度、校庭を恐らく小中学校の正面玄関に向かって歩く、
青い髪にマント、白い丈が短いローブ姿の少女を確認する。
確かに、早苗から聞かされた襲撃者の特徴と一致している。
右手にはリボルバー拳銃と思しき物を持っているのも見えた。
「入ってくるな……逃げた方が良いか」
「そうしましょう……あ、あれ?」
「どうした早苗……ん? あれは」
二人がある物に注目する。それは――――。
女賢者ことフィーナは、古めかしいながらも立派な佇まいの木造校舎の玄関を目指し、
校庭を真っ直ぐに歩いていた。
放送時間も迫っていたため、どこか休める場所を探すのが目的だった。
「けど……結構大きいし目立つ建物だから誰か先客がいるかも」
「そうだねぇ。いきなり襲われたら事だもんね」
「そうね…………て、え?」
「こんな風にさぁ!」
背後から聞こえた若い青年の声に振り向いた時、もう手遅れだった。
女賢者は黒い巨大な雄の狼に、校庭のよく均された地面に押し倒された。
その拍子に右手に持っていたコルト パイソンを落としてしまう。
「い、嫌! 放して! 放せ!」
「本当にこの殺し合いは良いもんだ。こんな極上の身体の女の子が大勢いるんだもんなぁ」
「ひっ……!?」
黒狼――レックスは女賢者の衣服を、肌を傷付けない程度に引き裂き、
その豊満な乳房を露わにした。
何も締め付けが無くなった乳房がぷるんと揺れ、欲情し切った獣の前に曝け出される。
レックスはすかさず女賢者の乳房の先端にある突起に吸い付いた。
- 194 :自重しない狼君 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 14:40:59
- 「あ、そ、そんな、あ、駄目! す、吸わないで、い、嫌、あ、あああ」
抵抗をする女賢者だが、身体は正直と言う奴か、
絶妙とも言えるレックスの吸い技に身体をよじらせ、嬌声を上げ始める。
(う、嘘、私、感じてる!? こんな、獣におっぱい吸われて……!?
獣って言うか、多分、モンスターだと思うけど……い、いやそうじゃなくて!
ど、どうしよう、このままじゃ私……)
「……ふぅ、美味しかった。それじゃ、ちょっと早いけど、メインディッシュ行かせて貰うよ」
「え? あ、嫌、駄目! 駄目ぇ! それだけはっ!」
「おお、この感じ……君は処女だね? あぁ、良い感じだ……。初めての相手が狼ってどうよ?」
「どうよって、良い訳無いでしょうが!!」
「だがそれが良い」
「何がだァァァァァァ!! 良い事なんて一つもアッーーーーーーーー!!」
校庭に、純潔を獣の肉槍で貫かれた乙女の断末魔が木霊する。
保健室内。
顔を赤らめた金髪男と、緑髪巫女服の少女が、カーテンの隙間から、
校庭で黒い大きな獣にクリムゾンされる青髪の少女の様子を、
まじまじと見詰めていた。
「……」
「……」
二人共無言。終始無言だった。
「ウグォォォオオオ……!」
「あ……あ……」
「ふぃ〜滅茶苦茶気持ち良かった〜」
蕩けた表情を浮かべるレックス。
女賢者は虚ろな目で、レックスの身体を見た。そして、ある事に気付く。
(……何、この狼、よく見たら血だらけじゃない……!?)
黒い毛皮のために分かり難かったが、目の前の狼の毛皮は、
返り血と思しきもので汚れていた。
「ねぇ……君、名前なんて言うの? 俺はレックス」
「わ……私は、フィーナ……名簿には、女賢者で登録されているけど……」
「そっかぁ……気持ち良かったよフィーナちゃん……じゃあね」
ガブリ。
「っ……!!」
鋭い牙の並んだ顎が少女の喉笛を容赦無く噛み裂いた。
凄まじい量の鮮血がレックス、女賢者、そして校庭の土を赤く染めた。
女賢者は黒い狼の返り血の意味を今、身を持って知った。
(……喉が熱い……目の前が真っ赤で何も見えない……何も感じない)
意識が遠退く。身体中の感覚が消えて行くのを、女賢者は感じていた。
(こんな死に方嫌だよ……嫌……だ…………)
- 195 :自重しない狼君 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 14:43:08
- 「何てこった……ただの変態狼じゃなかったんだな」
校庭で黒狼が青髪の少女を蹂躙した上、惨殺した様子を目撃し、
アルベルトと早苗は小中学校からの逃亡を決意する。
荷物を速攻で纏め、二人は保健室から飛び出す。
ダァン!! ダァン!! ダァン!!
「ぐあっ!」
「きゃっ!」
しかし、廊下に出た瞬間、三発の銃声が鳴り響いた。
アルベルトも早苗も銃など持っていない、それに、アルベルトの衣服の腹の辺りに、
小さな穴が空いていた。
「アルベルトさん!?」
「だ、大丈夫だ……それより」
幸い、アルベルトは衣服の下に拳銃弾程度なら防げる防弾チョッキを着込んでいたため、
大事には至っていないが、それでも衝撃までは殺す事は出来ないため、腹を押さえて片膝を突いていた。
「……悪いけど、死んで貰うわ」
二人に自動拳銃ツァスタバCZ99を向け、冷酷な言葉を放つのは、
ブレザーを着た、兎耳の少女――鈴仙・優曇華院・イナバ。
アルベルトと早苗は身動きが取れない。相手は完全に自分達を銃の射程に捉えている。
下手に動けば確実に頭部を狙われ、終わる。
しかし、そんな二人の窮地を救ったのは意外な人物だった。
「兎耳少女ぉぉぉぉ!!」
「きゃあああ!?」
「あ、さっきの変態狼」
血塗れになった黒い巨躯の狼が、鈴仙に飛び掛かり床に押し倒した。
黒狼レックスはつい先程解放したばかりだというのに未だ固さを保っている
真っ赤な愚息を揺らしながら、息を荒げ鈴仙の衣服を引き裂きに掛かる。
「ちょ、い、嫌! やめて! やめてよ!」
必死に抵抗する鈴仙だったが、レックスは聞く耳など持たない。
その間に、アルベルトと早苗は小中学校東側の昇降口へそそくさと走って行った。
「ああそんな! お願い助けて! さっき撃った事は謝るからぁ! ねぇ!」
鈴仙の願いも空しく、アルベルトと早苗は昇降口から外へ飛び出した。
「んっ、はぁ、君もおっぱい大きいねぇ……」
「や、やだぁ、そんなものお腹に擦り付けないでっ……!」
「ハァ、ハァ、ハァ、いい、いいよ、いい! いい! あっw」
「やあああああ! な、何これぇ、白く濁ってて……凄く生臭いぃ」
「これはウルフザミルクさ……下のお口で飲んでくれい。
ああもうこんなボロみたいになった服なんていらないよね」
「う、うああ、お願い、やめて、やめて」
「口ではそう言ってても身体は感じてんじゃねえのかこの変態兎が!」
「そ、そんな」
「もうどうあがいても逃げられないよ。さあ本能に忠実になるんだ……己を解放しろ」
「本能に忠実なのはあんたでしょ! そして私の中で解放する気かァァ」
「誰が上手い事言えとwよっしゃ時間も押してるからさっさとイくよ。
本日五発目逝きまーす」
「ひ、ひゃあああ嫌だ嫌だ駄目そんなぶっとくて長くて根元に瘤があるの入らなアッーーーーーーーー!!」
木造校舎の中に、哀れな兎の悲鳴が響いた。
- 196 :自重しない狼君 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 14:44:10
- 「ハァ、ハァ、流石にちょっと疲れちゃったよ」
喉笛を食い千切られた、ほぼ全裸の兎耳少女の死体の傍で、
黒狼は自分の息子を舐め後始末をしていた。
僅か4、5時間の間に彼は6人もの参加者を殺害、内5人は性的暴行の末惨殺。
他人から見れば凶悪この上ない行いをしているが、当の本人に罪の意識など全く無い。
それどころか本人は短時間に五人の乙女と行為をする事が出来、
満足感と幸福感で満たされていた。
「さっき二人逃げたのがいたな……片方の女の子も可愛かったなぁ。
今度会ったら絶対食べよう。勿論隣にいた金髪男は殺した後で」
自分が兎耳少女を襲っている間に、東側の昇降口から外へ逃げた二人組の事を思い出すレックス。
その時一瞬だけ後ろ姿を見た緑髪の少女に思いを馳せる。
「さて……放送も近いし、一旦休むか。
後で女の子達が持ってた装備回収しとこ」
レックスはご機嫌に鼻歌を歌いながら、保健室へ入って行った。
【女賢者@ドラゴンクエストⅢ 死亡】
【鈴仙・優曇華院・イナバ 死亡】
【残り 19人】
【一日目/昼/E-5小中学校周辺の市街地東部?】
【アルベルト@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]マグロ切り包丁、防弾チョッキ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。仲間を集める。ザックと合流したい。
1:東風谷早苗と行動。
[備考]
※防弾チョッキは衣服の下に身に着けているので外見からは分かりません。
【東風谷早苗@東方Project】
[状態]肉体的疲労(中)、左上腕に銃創(処置済)
[装備]鉈
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:アルベルトと行動。
[備考]
※特殊能力は一切使えなくなっています。
【一日目/昼/E-5小中学校一階保健室】
【レックス@オリキャラ・再登場組】
[状態]肉体的疲労(中)、口元が血塗れ、返り血(大)
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、スオミM1931(71/71)、
スオミM1931予備ドラムマガジン(71×5)、USSRマカロフ(8/8)、
USSRマカロフ予備マガジン(8×2)、タウルス レイジングブル(0/5)、
.454カスール弾(15)、五郎入道正宗、バスタードソード
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。とにかく生き残る。女を犯す。
1:放送が近いのでしばらく休む。後で殺害した少女達(女賢者、
鈴仙・優曇華院・イナバ)の装備を回収する。
2:男は即、殺で。
[備考]
※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。
※E-5小中学校の校庭に女賢者の死体及び所持品、
小中学校一階廊下に鈴仙・優曇華院・イナバの死体及び所持品が放置されています。
- 197 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 14:45:39
- 投下終了です。レックスはきっとロクな死に方出来ないだろう。
- 198 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/14(土) 17:14:27
- レックスは殺された(犯られた)人の仲間に殺されそうな・・・ダーエロとか?
- 199 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:36:25
- 投下します。俺得ロワ2nd 42話 如何なる事が待ち受けてようと
登場:宮田司郎、姫路礼華、弟子五郎、エルフィ
- 200 :如何なる事が待ち受けてようと ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:38:13
- 42話 如何なる事が待ち受けてようと
島役場の二階を探索していた宮田司郎は、
階段付近にてある物音を耳にする。
どうやら、階段を下って来る足音のようだが、コツ、コツといった足音では無い。
ひた、ひた、という、裸足で固い床を歩く時のような足音だった。
(一旦隠れて様子を見るか)
宮田は急いで、階段を確認出来る柱の陰に身を潜めた。
しばらくして、足音の主が姿を現す。
(何だあれは……人間じゃないぞ……着ぐるみという訳では無いんだろうな)
それは赤毛の狐に蝙蝠の翼と、長い尻尾、角を付けて二足歩行にしたような感じの、
人外の女性――胸元が出ている事や身体付きから判断――だった。
手には玩具のような外見の突撃銃を持っている。
(どうする……接触するか?)
思い切って声を掛けてみる事も考えたが、
相手が殺し合いに乗っているか否か分からない状態では、
迂闊な行動に出る事は出来ない。
「……」
翼が生えた獣人女は、しばらく階段ホールを見回した後、
階下――一階の方に目をやる。耳がピクピクと動いている事から、
何かの音を察知したようだ。
獣人女はそのまま、一階へ続く階段の方へ進み出した。
(……? どうしたんだ? 誰か、この役場に来たのか……?)
宮田は獣人女の頭が見えなくなる頃を見計らって、こっそりと後をつける事にした。
珈琲屋での一件の後、弟子五郎とエルフィは、
殺害された狼獣人の少女と、襲撃者でありエルフィのクラスメイトの
装備を回収し、エリアE-6の島役場を訪れていた。
「大丈夫っスか、エルフィさん……」
「うん……だ、大丈夫……」
目の前で人が惨殺された事に加え、その惨殺した者が自分のクラスメイトであり、
更にそのクラスメイトをやむを得なかったとは言え、自分の手で殺してしまった事に、
エルフィは負い目を感じ、すっかり元気が無くなっていた。
そんなエルフィを励ましながら、弟子五郎は役場入口へと歩みを進める。
だが。
- 201 :如何なる事が待ち受けてようと ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:39:05
- 「!」
「えっ」
突然、弟子五郎がエルフィの身体を抱き、横に跳んだ。
直後、数瞬前まで二人が立っていた場所を、無数の弾丸が通過する。
「な、何……!?」
「襲撃っス! 多分、役場の入口から……!」
「避けられるとは思わ無かったわ……凄い反射神経ね」
島役場入口で、赤と白の雌獣竜――姫路礼華は、
装備した突撃銃、H&K XM8の空になったマガジンを交換しながら、
ゆっくりと弟子五郎とエルフィに近付く。
弟子五郎は腰に差した刀・蒼鬼を抜いて身構え、
エルフィは拳銃――コルト デルタエリートを抜き、銃口を礼華に向ける。
「あんた……殺し合いに乗ってるっスか?」
弟子五郎が目の前の雌獣竜に尋ねる。
「乗ってなかったら、いきなり撃ったりなんてしないと思うんだけど」
「た、確かに……エルフィさん、下がって下さいっス」
「え? 弟子五郎さん……?」
エルフィを下がらせ、弟子五郎は先刻入手したもう一本の刀、
童子切安綱を抜き、二刀流の構えを取った。
師匠である剣豪ムシャから伝授された、ムシャ流剣術の構えである。
「銃に剣で勝つつもり? しかもこっちは突撃銃なんだけど」
「……」
礼華の挑発にも動じず、弟子五郎はただじっと、隙を窺う。
(もうエルフィさんの手は穢させないっス……ここは俺がやるしか無い!)
「あなた達に恨みなんて無いけど……悪く思わないで、ね!」
礼華が弟子五郎に向け、XM8を掃射する。
「弟子五郎さん!!」
エルフィが叫んだ。
だが、弟子五郎は。
「うおおおおおおおおお!!!」
「……え!? 嘘……そんなの、アリ?」
信じられないといった表情を礼華が浮かべる。
自分の銃から放たれた無数の小銃の弾丸を、相手の侍姿の青年は、
二本の刀を目にも止まらぬ速さで振りまくり、全てを弾いている。
弾かれた弾丸は侍青年と、その後ろにいる学生服姿の灰色の狼獣人少女を避け、
近くに停めてある車や塀、植え込みに着弾していた。
- 202 :如何なる事が待ち受けてようと ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:40:48
- カチッ、カチッ。
「! 弾切れ――――!」
侍青年が見せた非現実的な離れ業に呆気に取られている内に礼華の持つ突撃銃XM8の
マガジンが底をつく。
チッ、と舌打ちしながら急いでマガジンを交換しようとする礼華。
その表情にはさっきまでは無かった焦りの色が浮かんでいた。
「させるか!」
弟子五郎は右手に持っていた刀、蒼鬼を赤と白の雌獣竜に向け渾身の力で投げた。
その刀は空中で回転しながら綺麗に放物線を描き。
グサッ!!
「がああぁああっ!!」
礼華の左肩甲骨の辺りに深々と突き刺さった。
突然の激痛に、思わず持っていたXM8を手放し地面に落としてしまう礼華。
この機を逃すまいと、弟子五郎は残ったもう一本の刀、
童子切安綱を腰溜めに構え、礼華に向け一直線に突進した。
「でりゃあああああああっ!!」
「――――!!」
礼華が自分に向かって突撃する侍の青年の姿を認めた時、勝負は決まっていた。
ズゴォッ!!
「ぐぁ――――」
礼華の背中から、真っ赤な液体で濡れた刀の刀身が生えた。
ごほっ、と、狐に似た礼華の口から鮮血が溢れ出す。
刃は肺を刺し貫いていた。漏れなく致命傷である。
身体中の力が抜け、礼華はズルズルとその場にへたり込み、
両膝がまず地面に付く。弟子五郎が刀を胴体から抜くと、傷口から、
夥しい量の血液が溢れ出した。
そして、身体を横にして寝るような形で倒れ、姫路礼華は物言わぬ屍となった。
「ハァ……ハァ……」
「弟子五郎、さん……」
息を荒げる弟子五郎と、それを心配するエルフィ。
- 203 :如何なる事が待ち受けてようと ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:41:34
- 「……なぁ」
「! 誰っスか?」
「え……?」
二人に声を掛ける者が現れる。
白衣姿の人間の男――宮田司郎。
「待て、落ち着け、私は殺し合いをする気は無い。君達もそうだろう」
「……何でそんな事が言えるんスか」
戦闘の直後でやや興奮気味の弟子五郎は、知らず知らずの内にきつい口調になっていた。
エルフィの方は、突然現れた白衣の男を警戒の眼差しで見詰めている。
「戦いの様子を役場の一階の窓からこっそり覗いていたんだ。
ブラインド越しにだったから、恐らく君達は気付かなかっただろう」
「見てたんスか……」
「それなら助けてくれても良いじゃないですか……その右手に持っている物は銃でしょう?」
宮田の右手には軍用大型拳銃シグザウアーP226が握られていた。
見ているのならそれで助けて欲しかった、と弟子五郎とエルフィは思う。
少しばつの悪そうな顔をしながら宮田は話を続けた。
「私は宮田司郎だ。君達の名前も聞かせてくれるか?」
「……五郎っス。名簿には弟子五郎で登録されてるッス」
「私はエルフィと言います」
「弟子五郎に、エルフィ、か……放送も近い。役場の中で情報交換しないか?」
「「……」」
宮田の事をかなり怪しむ弟子五郎とエルフィだったが、
白黒の判断を付けるのは話を聞いてからでも遅く無いと判断し、
雌獣竜の装備を回収した後、宮田と共に島役場内へ入っていった。
【姫路礼華@オリキャラ・新規組 死亡】
【残り 18人】
- 204 :如何なる事が待ち受けてようと ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:42:14
- 【一日目/昼/E-6北部島役場】
【弟子五郎@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)、戦闘直後のため興奮状態
[装備]蒼鬼、童子切安綱
[所持品]基本支給品一式、H&K XM8(0/30)、姫路礼華のデイパック
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。師匠(ムシャ)とダーエロを捜す。
1:宮田司郎と情報交換。そして放送を待つ。
2:エルフィと行動する。
3:襲われたら戦う。
[備考]
※エルフィからクラスメイトの情報を得ました。
【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]コルト デルタエリート(7/8)
[所持品]基本支給品一式、コルト デルタエリート予備マガジン(8×3)、
S&W M39(8/8)、S&W M39予備マガジン(8×3)、ワルサーP99(14/15)、
柴田行隆のデイパック
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。クラスメイトと会いたい。
1:宮田司郎と情報交換。そして放送を待つ。
2:弟子五郎と行動する。
[備考]
※弟子五郎からムシャ、ダーエロ、その他の知人についての情報を得ました。
【宮田司郎@SIREN】
[状態]健康
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[所持品]基本支給品一式、シグザウアーP226予備マガジン(15×3)、不明支給品(本人確認済)
[思考・行動]
基本:殺し合いをする気は無いが……。
1:弟子五郎、エルフィと情報交換、そして放送を待つ。
2:牧野さんが少し心配(ただ、捜す気は無い)
[備考]
※須田恭也が羽生蛇村を訪れるよりも前からの参戦です。
※シルヴィア(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※E-6一帯に銃声が響きました。
※E-6北部島役場の正面駐車場に姫路礼華の死体が放置されています。
- 205 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 20:43:50
- 投下終了です。
ぶっちゃけ言う。今回のロワは失敗した。
でも何とか完結させる
- 206 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 21:17:17
- 投下します。俺得ロワ2nd 43話 迫る、事実を知る刻
登場:小野妹子、女遊び人、フラウ
- 207 :迫る、事実を知る刻 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 21:18:38
- 43話 迫る、事実を知る刻
教会を目指し市街地を歩いていた小野妹子、女遊び人ことミルカ、
フラウの三人は、路上で射殺された和風鎧武者の男と、
緑色の髪を持った若い女性の死体を発見していた。
「ここにも死体が……」
妹子が沈痛な面持ちで路面に横たわる死体に手を合わせる。
ミルカもフラウも同じように祈りを捧げた。
「気が引けるけど……このままにしておくしか無いわ……」
埋葬などする方法が無い。おまけに隠すために掛けられる布も無いため、
死体はそのままにしておくしか無かった。
「……もうすぐ放送がありますね。フラウさん、一旦どこかで休みませんか?
放送のメモを取る必要がありそうですし、教会へ向かうのは放送を聞いてからでも……」
「……確かにそうね……適当な家に隠れて放送を待つとしましょう」
妹子の提案により、迫り来る定時放送に備え、
一旦適当な民家で休息を取る事に決定した。
民家の居間で、小野妹子、女遊び人ことミルカ、フラウの三人は、
支給品の食糧で食事を取っていた。
これから先、いつ何時襲われるか分からない。
食糧は食べられる時に無理してでも食べた方が良い。
(太子……無事だろうな……)
妹子はカレーパンを頬張りながら、自分の上司の倭国の摂政、
聖徳太子の無事を祈る。もし彼が死ぬような事があれば、倭国は大変な事になるだろう。
アホな面が多い彼だが、それでも倭国の重要人物である事に変わりは無い。
中々生命力が強くしぶといので、簡単に殺されはしない、と願いたいが。
(エリスにフィーナ……大丈夫かな)
女遊び人ミルカは殺し合いに参加させられる以前に共に旅をした、
女勇者と女賢者の事を思う。
(ノーチラスや、他のクラスメイト、大丈夫かな。出来ればみんな無事であって欲しいけど、
希望的観測過ぎるわよね……多分一、二人は死んでると思う)
フラウもまた心の中で、この殺し合いに呼ばれているクラスメイトの無事を祈るが、
先の二人に比べるとやや現実的であった。
時刻は午前11時15分。昼の第一回目の定時放送まで後僅かである。
- 208 :迫る、事実を知る刻 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 21:19:29
- 【一日目/昼/A-4市街地中央部民家一階居間】
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]スタームルガーP85(10/15)
[所持品]基本支給品一式、スタームルガーP85予備マガジン(15×3)、
九六式軽機関銃(5/30、不具合を起こす可能性有)、九六式軽機関銃予備マガジン(30×5)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。脱出方法及び首輪の解除方法を探す。
1:小野妹子、ミルカ(女遊び人)と行動を共にする。放送を聞いた後、教会へ向かう。
2:クラスメイトに会いたい。だがもし殺し合いに乗っていたら……。
3:自己防衛のためなら戦う。
4:小野妹子に聖徳太子……? まさか……。
[備考]
※自作ロワ本編開始前からの参戦です。
※小野妹子と聖徳太子を歴史上の人物と同姓同名の別人と考えています。
【小野妹子@ギャグマンガ日和】
[状態]健康
[装備]ドス
[所持品]基本支給品一式、競馬用鞭
[思考・行動]
基本:聖徳太子を捜す。殺し合いから脱出する方法を捜す。放送を聞いた後、教会へ向かう。
1:ミルカ(女遊び人)、フラウと行動する。
[備考]
※ミルカ(女遊び人)から仲間二人の情報を得ました。
※フラウからクラスメイトについての情報を得ました。
【女遊び人@ドラゴンクエストⅢ】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、木製ハンガー(2)、使用済みコンドーム詰め合わせ
[思考・行動]
基本:生き残る。仲間と会いたい。放送を聞いた後、教会へ向かう。
1:小野妹子、フラウと行動する。
2:まともな武器が欲しい。
[備考]
※ゾーマ討伐以降の参戦です。
※使用済みコンドーム詰め合わせの事を隠そうと思っています。
※小野妹子から聖徳太子の情報を得ました。
※フラウからクラスメイトについての情報を得ました。
- 209 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 21:20:19
- 投下終了です。
- 210 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 22:34:04
- 投下します。俺得ロワ2nd 44話 血塗られた聖堂
登場:森井俊政、永倉萌、勤武尚晶
- 211 :血塗られた聖堂 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 22:35:02
- 44話 血塗られた聖堂
教会の中から、何発かの銃声が響いた。
その後、まず、若い青年の断末魔が、その次に、少女の断末魔が響く。
そして、何も聞こえなくなった。
一ヶ所に留まって出来るだけ動かなければ安全だ。
そう考えていた時期が私にもありました。
でも、現実はそんなに甘く無くて。
だってほら――――。
教会にずっと隠れていた私、永倉萌と、人狼の森井俊政さんは、
不意に訪れた、青い髪に赤い鉢巻の男の人に、刀でズタズタにされちゃった。
痛い。痛い。身体中が痛くて、動かす事が出来ない。
僅かに動く首を必死に、森井さんが倒れている方向へ向ける。
「も゛…………もえ……ぢゃ…………」
……森井さん、だよね。
でも、森井さん、あんな、車に轢かれた小動物のように、内臓がぐちゃぐちゃに飛び出してて、
片方の目が斬られて潰されてたりしてたっけ。
ドカッ!
「あ」
森井さんの頭に刀が突き刺さって、串刺しになっちゃった。
森井さん、もう動かない。
森井さん、死んじゃった。
青い髪の男の人は、森井さんの頭から、刀を抜き取って、
私の方に、歩いてくる。
逃げなきゃ。じゃないと殺される。森井さんみたいに、お腹斬られて内臓ぐちゃぐちゃにされちゃう。
あれ? 痛い。痛い。痛くて足も手も動かない。でも逃げなきゃ。
- 212 :血塗られた聖堂 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 22:35:58
- グサ。
あ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
嫌だやめて痛いよ何でそんな事するの何で何で私の足を斬っちゃうのもう歩けないよ
駄目だよそこ赤ちゃん生まれる所なのに赤ちゃん産めな■なっちゃうよ何で何で斬っちゃうの
何で中の物掻き■すの膣と子宮が見える見える見えるお願い■いよやめてよ声でない
ああそんなずた■■にしないでよ痛い■い痛い痛いよああやめてくれた■ももう赤■■■■めないよ
あれあの白い液■って森井さんの■液かなもしかし■■■■さんの赤ちゃ■出来てた■■■■ないのに
えどうして何■痛いよ痛い■い痛い痛■お腹斬らないでお■斬ら■いで中から■い色んな物が
■■ク色のソ■■■■みたいな■■びゅるびゅる出■溢れ嫌痛い痛■刀で掻■回さない■
い■いいたいいたい■いいいいいたいい■■いた■■■■どうして■たしがこん■めにあうの
わたしなにも■る■ことして■■■におかあさん■とうさ■■■■■よたす■てよおね■い
し■■■■い■
たす■て
あ
おとこ■ひと わ■って る
- 213 :血塗られた聖堂 ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 22:37:42
- 礼拝堂に、人狼と少女の死体が転がっていた。
いや、転がっている、と言うよりは、広がっていると言った方が良いだろうか。
どちらも、内臓が掻き出され、更にその臓物が刀によりズタズタに切り刻まれていた。
更に四肢も切断され、もはや直視する事もはばかられる状態となっている。
苦悶に満ちた死に顔が、その最期が決して楽では無かった事を物語っていた。
女神の姿が描かれたステンドグラスを見上げながら、
下手人である青髪に赤い鉢巻、赤い瞳の青年、勤武尚晶は、
少女――永倉萌の衣服の切れ端で、自分の刀に付着した血や体液、肉片を拭き取っていた。
廃墟となった雑居ビルで休息を取った後、
地図に載っていた教会を訪れた尚晶は、そこで二人の参加者を発見した。
一人はパールグレイに墨色の人狼種の男、もう一人はセーラー服姿の桃髪ツインテールの少女。
こちらが襲い掛かると、人狼は自動小銃を、少女は小型自動拳銃で応戦した。
左肩に一発、小銃弾を食らってしまったが、大した事は無かった。
血の臭いを嗅いでる内に、興奮してきてしまい、
ついつい不必要に相手の身体を弄んでしまった。
今思えば、胴体が原型を留め無くなるまで切り刻む事は無かったと尚晶は反省する。
とは言っても彼に罪の意識は全くと言っていい程無いのだが。
「もうすぐ、放送だな……」
懐中時計を取り出し、時刻を確認し呟く尚晶。
放送を聞くため、人狼と少女の持っていた銃と予備弾を回収し、
尚晶は奥の部屋へと歩いて行った。
【森井俊政@オリキャラ・新規組 死亡】
【永倉萌@オリキャラ・再登場組 死亡】
【残り 16人】
【一日目/午前/A-2北部教会礼拝堂】
【勤武尚晶@オリキャラ・新規組】
[状態]肉体的疲労(小)、返り血(少)
[装備]備前長船兼光
[所持品]基本支給品一式、九八式軍刀、S&W M36(5/5)、38sp弾(15)、
SVT-40(0/10)、SVT-40予備マガジン(10×5)、FNポケットモデルM1906(0/6)、
FNポケットモデルM1906予備マガジン(6×1)
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:放送を待つ。
[備考]
※ブライアン、聖徳太子(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※僅かに屋外へ銃声が漏れたようです。
※A-2北部教会礼拝堂に森井俊政、永倉萌の惨殺死体及びデイパックが放置されています。
- 214 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/14(土) 22:38:52
- 投下終了です。鬱ENDまっしぐら。
- 215 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 00:52:12
- 投下します。俺得ロワ2nd 45話 女狐と狼
登場:費覧、シクルゥ
- 216 :女狐と狼 ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 00:53:17
- 45話 女狐と狼
鉄骨が錆に覆われた、朽ち果てた鉄塔の基部、コンクリートの部分に
腰掛け、一息付く黄色い毛皮を持った雌の狐の姿があった。
雌狐――費覧は、持っていた半自動散弾銃レミントンM1100を脇に置き、
デイパックから懐中時計を取り出し時刻を確認する。
第一回目の定時放送まで、後20分を切った。
「そろそろ放送ね……ふぅ、お昼にでもしようかしら」
費覧はデイパックの中に懐中時計を戻し、
代わりに食糧を取り出し、食事を取り始める。
「……今何人残ってるのかしらね」
ゲーム開始から6時間が経過したが、現在何人の生存者が生き残っているのだろうか。
今までに費覧は二人の参加者を殺害している。
一人は半自動散弾銃で綺麗に頭を吹き飛ばし、もう一人は…………。
最も、この殺し合いに彼女の知り合いは一人も呼ばれておらず、
彼女にとって放送に関する重要事項は、禁止エリアと残り人数の確認なのだが。
適当に取り出した食べ物を食べながら、費覧は放送の時を待つ。
費覧からそう離れていない茂み。
青と白の狼――シクルゥは、前方数十メートル先の、
二足歩行の雌狐を目標に捉えていた。
(向こうは俺に気付いていない……今なら殺せる……が、
もうすぐ放送だ……多分、向こうも放送を聞くつもりなんだろう。
……俺も、残り人数や、禁止エリアなんかを確認する必要があるしな)
放送を聞き終えた後、襲撃する事に決め、
シクルゥは茂みの中で息を潜めた。
そして正午12時。
島の至る所に設置されたスピーカーから耳障りなハウリング音が鳴り響く。
第一回目の定時放送が、始まる。
- 217 :女狐と狼 ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 00:56:02
- 【一日目/昼/D-4中央部鉄塔】
【費覧@オリキャラ・再登場組】
[状態]肉体的疲労(小)、食事中
[装備]レミントンM1100(3/4)
[所持品]基本支給品一式(食糧消費中)、12ゲージショットシェル(12)、ショートソード、
コルト ローマン(6/6)、.S&W M27(5/6)、357マグナム弾(36)、水と食糧(2人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:放送を聞く。
[備考]
※個人趣味ロワ本編開始前からの参戦です。
※ザックからアルベルトの情報を得ました。
※シクルゥに気付いていません。
【シクルゥ@サムライスピリッツシリーズ】
[状態]返り血(大)、左脇腹に刺し傷
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、ウィンチェスターM1897(5/5)、
12ゲージショットシェル(10)、フランベルジェ
[思考・行動]
基本:優勝し、レラの元へ帰る。
1:放送を聞いた後、目の前の狐(費覧)を始末する。
[備考]
※性格などは作者の独自要素が多分に含まれています。
- 218 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 00:57:16
- 投下終了です。
- 219 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 09:33:09
- 投下します。俺得ロワ2nd 46話 第一回放送(俺得ロワ2nd)
登場:比叡憲武(◆ymCx/I3enU)
- 220 :第一回放送(俺得ロワ2nd) ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 09:34:14
- 46話 第一回放送
『えー、参加者の皆さん、6時間振りです、比叡憲武です。
いやあ、自分が思っていたよりも、この殺し合いハイペースに進んでまして、
正直驚きました。
じゃあまず禁止エリアですね。
今から一時間後に、A-2、B-5、D-2、E-4の四つが禁止エリアとなります。
禁止エリアになった後にそのエリアに入ると首輪が作動するので気を付けて下さい。
もう一度言いますよ。今から一時間後に、A-2、B-5、D-2、E-4の四つが禁止エリアとなります。
覚えましたか? 三回も言いませんよ。
それではいよいよ死者の発表なんですが、いや、随分多いですよ。
えーと一応死んだ順番です。
女勇者、柴田行隆、ディオナ、大宮正悳、シリウス、石川清憲、
牧野慶、ノーチラス、久保遼平、サーシャ、伊賀榛名、ザック、
中村アヤ、倉敷静美、レイ・ブランチャード、リリア、石川昭武、
ライコーオー、セイファート、ヘレン、皐月眞矢、テト、藤堂リフィア、
シルヴィア、ムシャ、新藤真紀、浅井きらら、女賢者、鈴仙・優曇華院・イナバ、
姫路礼華、森井俊政、永倉萌
以上、32人! 残り、16人です。
いやはや、まさかたった6時間で半数以上が脱落するとは思っていませんでした。
これなら優勝者が決まるのもそう遠く無いかもしれませんね。
では、次の放送は夕方6時となります。
とは言っても、その前にゲーム終了、と言う事も有り得ますが……。
まあ、現在生き残っている皆さん、頑張って戦って下さい。
それでは放送を終わります。健闘祈ってますよー』
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「にしても、もう残り19人かあ。今回は本当にハイペースだな。
そろそろ次の奴の構想でも練っとくか……」
予想を遥かに上回るゲームの進行速度に、憲武は早くも次なるゲームの構想を練り始めた。
【一日目/???/?-?主催本部・メインルーム】
【比叡憲武(◆ymCx/I3enU)@???】
[状態]健康
[装備]不明
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:バトルロワイアルの完遂。
[備考]
※外見はライブオン CARDLIVER 翔のタテガミウルフです。
本家とは違い獣人形態に変身可能です。
- 221 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 09:35:34
- 投下終了です。
- 222 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 10:24:53
- 投下します。俺得ロワ2nd 47話 狂わば死鐘
登場:ダーエロ
- 223 :狂わば死鐘 ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 10:26:53
- 47話 狂わば死鐘
第一回放送が終わった後、ダーエロは絶望と悲しみに打ちひしがれていた。
死者の発表で呼ばれた32人の名前の中に、自分の思い人の名前があったからだ。
「ヘレンたんが……そんな……嘘だろ……」
今まで、ヘレンのために、自分は見知らぬ狐獣人の少女、
同僚であり仲間、親友である剣豪、その剣豪と同行していた見知らぬ緑髪の女性を手に掛けた。
だが、ヘレンは死んだ。どこか知らない所で。
今まで自分がやってきた事は全て、無駄だった。
「……俺は、何の、ため、に……」
自分でも気付かぬ内に、ダーエロの目から涙が溢れる。
自分はもう殺人鬼だ。思い人のために手を血に染めた。
だがもう思い人はいない。
――そんな事して、その大事な人が喜ぶと思う?
私だったら絶対無理。逆に殴ってでも目を覚まさせるよ
――……ホント、馬鹿、みたい。いつか後悔する時が、来るよ
初めに手に掛けた狐の少女の言った言葉がダーエロの頭の中で再生される。
後悔する時が来る――今が正にその時だった。
だが、いくら後悔した所で、もう後に戻れないのだ。
「……ふふ」
不意に、ダーエロが笑い出した。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
笑い声はどんどん加速していく。そして、突然止んだ。
「……もう、どうでもいいや」
笑うのを止めたダーエロの目には、明らかな狂気の光が宿っていた。
自動拳銃ベレッタM92FSを手に取り、構える。
「……壊してやるよ、何もかも。あは、はははははは」
希望を失った哀れな男の心は、壊れてしまった。
【一日目/昼間/B-5中央部湖の畔】
【ダーエロ@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)、精神崩壊
[装備]ベレッタM92FS(6/15)
[所持品]基本支給品一式、ベレッタM92FS予備マガジン(15×2)、Cz75(15/15)、
Cz75予備マガジン(15×3)、千鳥、改造ニンテンドーDS、特殊警棒、ハンティングナイフ、
水と食糧(1人分)
[思考・行動]
基本:皆 殺 し 。
[備考]
※魔法が一切使えなくなっています。
※精神に異常を来しています。
- 224 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 10:28:00
- 投下終了です。
- 225 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 12:03:58
- 投下します。俺得ロワ2nd 48話 人は何故……。
登場:小野妹子、女遊び人、フラウ、エロリア
- 226 :人は何故……。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 12:07:56
- 48話 人は何故……。
放送で呼ばれた32人もの死者。
その中に、小野妹子の捜し人である聖徳太子の名前は無かったが、
妹子は素直には喜べない。
何せ、同行者である女遊び人ことミルカの仲間二人と、
フラウのクラスメイト5人の内4人の名前が呼ばれてしまったのだ。
特に女遊び人のショックは大きいようだった。無理も無いだろう。
この殺し合いに呼ばれていた彼女の知り合いは、彼女と再会する事も無く、
全員が命を落としてしまったのだから。
「う、うあああああ……エリス……フィーナぁ……」
「み、ミルカさん……」
「……」
床に泣き崩れる女遊び人を気遣う妹子。
フラウは女遊び人にどう声を掛けていいか分からず立っているしか出来なかった。
「……妹子さん、ミルカさんをお願い出来る?」
「は、はい」
フラウは泣きじゃくる女遊び人の事を妹子に任せ、洗面所へと向かった。
蛇口を捻り、コップに水を注いでその水を口の中に注ぎ、飲み干す。
「まさか、もう32人も死んでいるなんて……残りは私達を入れてたったの16人……」
生存者16人、自分達三人を除けば13人しかいないが、
この生存者の中に、殺し合いをする気でいない者はどれくらいいるのか。
もしかしたら、自分達以外は全員、殺し合いに乗ってしまった者ばかりではないのか。
たった6時間で、参加者の4分の3が死に絶えるとはフラウは予想していなかった。
放送での口振りから察するに主催者も予想外だったのだろう。
「悠長にしてると、取り返しがつかなくなりそうね」
脱出手段を探すのは放送が終わってからでも十分だと思っていたが、
残り16人となると、のんびりしていられない。
早急に行動を起こす必要があった。
そのためにはまず、女遊び人ことミルカに立ち直って貰わなければならない。
「……どうなったかしら、何だか静かになってるけど」
いつの間にか、ミルカの泣き声は聞こえなくなっていた。
様子を見に行こうとフラウが振り向き、脱衣所の扉を開けた。
直後、腹に何やら、灼熱を感じた。
喉の奥からごぼごぼと、鉄錆の味がする熱い液体が込み上げる。
何が起きたのかフラウは分からなかったが、分かっていた事は、
目を腫らした女遊び人が何故か目の前にいるという事。
ゆっくりと視線を下に向ける。
女遊び人が柄を握り締めたドスの刀身が自分の鳩尾の辺りに根元まで食い込んでいる。
そこから広がった真っ赤な花はその滴りを床の上に落としていた。
ズル、と刀身が抜かれる。ふらふらと数歩後ずさりし、フラウは両膝を床にガクリと突いた。
- 227 :人は何故……。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 12:11:52
- 「ど……う……して……」
何故、女遊び人がこのような行動に出たのか、
それをフラウが考えるには余りに残された時間は少なかった。
女遊び人ことミルカは先程までいた居間に戻った。
そこにはついさっき自分が刺殺したノースリーブの赤いジャージ姿の青年の死体が横たわっていた。
「もう、もう嫌……」
突然、この狂った殺し合いに巻き込まれ、自分の知らない所で、
大切な仲間二人が命を落とした。
その現実は元々殺し合いという状況で神経がすり減り続けていた彼女の心に、
暗い影をもたらしてしまっていた。
気付いた時、彼女は自分を慰めてくれていたはずの青年を、
青年の持物であるドスで滅多刺しにしていた。
何故、そんな事をしたのか、自分でもよく分からない。
だが、知らず知らずの内に、女遊び人の身体はドスを持ったまま、
洗面所の方へと向かい――狐の少女を、刺して殺した。
「……」
女遊び人は、ドスの切っ先を自分の喉に押し当てる。
「エリス、フィーナ、今から私も、そっちに行くからね」
そして。
真紅の華が、咲いた。
黒髪の妖艶な女性エロリアは放送後、食事を取り荷物を纏め市街地の通りを歩いていた。
放送で呼ばれた名前の中には先刻戦ったダークエルフの同僚である侍、
ストーカー相手のエルフの少女、そしてその偽物である自分の同僚の名前が呼ばれた。
「ディオナの奴、もう死んじゃったか……最期まで影の薄い奴だったわね……。
ダーエロの奴はまだ生きているみたいだけど……」
ダーエロが殺し合いに乗っていたのは、
放送で死者として名前が呼ばれた、彼のストーカー相手である、
ヘレンのためである可能性が高い。
となると、彼女の死を知ったダーエロはどうなるのだろうか。
自殺か、或いは暴走か、それとも目が覚めて殺し合いを拒否するのか。
どれにせよ、もう残り人数は自分を入れ16人しかいない。
今更殺し合いを止めた所で脱出手段が見付かる望みなど薄いのだが。
殺し合いをする気でいる自分には関係の無い事だ、とエロリアは思う。
「次はどこへ行こうかしら……そう言えば、地図に教会ってあったわね。
この道をずっと真っ直ぐ行けば着くらしいから、行ってみよう」
エロリアは次なる行き先をエリアA-2の教会に定め、通りを進む。
- 228 :人は何故……。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 12:13:05
- エロリアは気付かなかった。
何気無く通り過ぎた民家の内部に、三人の参加者の死体と、
所持品が放置されている事に。
【小野妹子@ギャグマンガ日和 死亡】
【女遊び人@ドラゴンクエストⅢ 死亡】
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り 13人】
【一日目/昼間/A-4市街地中央部】
【エロリア@VIPRPG】
[状態]健康、A-2教会へ移動中
[装備]大宇K2(30/30)
[所持品]基本支給品一式(食糧一食分消費)、大宇K2予備マガジン(30×3)、青竜刀、
デ○ルド、M24型柄付手榴弾(2)、拳銃型催涙スプレー(容量満タン)、
水と食糧(2人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:教会へ向かう。
[備考]
※小野妹子、女遊び人、フラウの死体には気付いていません。
※A-4市街地中央部民家の内部に小野妹子、女遊び人、フラウの死体及び
所持品が放置されています。
- 229 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 12:16:21
- 投下終了です。
- 230 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 14:39:25
- 投下します。俺得ロワ2nd 49話 衝撃のアルベルト
登場:アルベルト、東風谷早苗
- 231 :衝撃のアルベルト ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 14:40:32
- 49話 衝撃のアルベルト
「ザックが死んだなんて、くそ、ザック……」
「アルベルトさん……」
簡単に死ぬはずは無いと思っていたザックの名前が、先程の放送で呼ばれた。
それだけでは無い、他にも何人か知っている名前が呼ばれた。
既に32人の参加者が脱落し、残りは自分と同行者の東風谷早苗を含め、
生き残りはたった16人。
脱出する手段の手掛かりも何も見付かっていないというのに、
参加者は最早4分の1にまで減ってしまっている。
この事実は、アルベルトと早苗に大きな衝撃と絶望感をもたらした。
悲しみにくれるアルベルトを、早苗は何とか元気付けようとする。
だが、アルベルトと違い知り合いはこの殺し合いに一人も呼ばれていない早苗は、
どうしていいのか分からず困っていた。
「……早苗さん、ありがとう、もう、大丈夫だ……」
そう言いながら顔を上げたアルベルトの頬に光るものがあった。
「アルベルトさん、無理しないで下さい……悲しい時は、
無理に我慢しようとしない方が良いですよ」
「いや……もう、本当に大丈夫だから……ごめん、心配かけて。
……なあ、早苗さん」
「え?」
突然、アルベルトの声の調子が変わる。
「ちょっと向こうの方、向いてくれるかな」
アルベルトは早苗に自分が立っている方向とは反対方向に向くよう頼んだ。
何の事か理解出来なかったが、早苗はアルベルトの言う通り、
アルベルトに背を向ける形で言われた方向へ身体を向けた。
早苗は少なくとも、アルベルトの事を完全に信用していた。
それ故、突然の彼の不可解な指令にも多少は不審に思いつつも、
素直に従った。
「あの、アルベルトさん、一体な――――」
ザシュッ!
ブシュウウウウ……ゴト。
アルベルトの真意を早苗が知る機会は永遠に失われた。
もっとも彼女にとっては知らない方が幸せだったかもしれない。
- 232 :衝撃のアルベルト ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 14:42:44
- 「……」
マグロ切り包丁にて、同行者の緑髪の巫女の首を落とした金髪の男は、
無言でその場にしばらく立ち尽くしていた。
そして、数分後に、自分のデイパックを持ち上げ、
血塗れになった部屋を背に、現在隠れている民家の出口へと向かい歩き始めた。
親友のザックは死んだ。
生き残っている参加者ももうかなり少ない。
最初は何とかなると思っていた。きっと脱出出来ると。
だが、今となっては、それらはただの自分の希望的観測に過ぎなかったのだ。
自分はまだ、こんな場所で死にたくはない。
生きて帰る方法はただ一つ。
この殺し合いに優勝する事。
残り16人となった今なら、少しは容易いはずだ。
「こうなったら……俺だけでも、生き残ってやる……!」
親友の死と、生存者の数に絶望したアルベルトは、すっかり心変わりしてしまった。
【東風谷早苗@東方Project 死亡】
【残り 12人】
【一日目/昼間/E-5東部小中学校近くの民家】
【アルベルト@VIPRPG】
[状態]健康、悲しみ、決意
[装備]マグロ切り包丁、防弾チョッキ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗り優勝する。
1:獲物を捜す。
[備考]
※防弾チョッキは衣服の下に身に着けているので外見からは分かりません。
※E-5東部小中学校近くの民家に東風谷早苗の死体と所持品が放置されています。
- 233 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 14:44:23
- 投下終了です。
- 234 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 21:37:21
- 投下します。俺得ロワ2nd 50話 The desire is not exhausted.(欲望は尽きない)
登場:レックス
- 235 :The desire is not exhausted. ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 21:39:06
- 50話 The desire is not exhausted.
黒い巨躯の狼、レックスはエリアE-5の小中学校保健室にて放送を聞いた。
「随分死んでいるなぁ……もう俺入れて16人しか生き残ってないんだ」
32人分の名前が横線で消された名簿を見ながらレックスが言う。
禁止エリアはいずれも現在いる小中学校があるエリアからは遠いので、
取り敢えずは気にしなくて良さそうだ。
「これからどうしようかな……近くに島役場とやらがあるからそこへ行ってもいいけど……。
ここは考えを変えて……森を抜けて北の方に行ってみようか」
次の行き先についてレックスは思考する。
特に宛ても無いので、会場の北にある市街地を目指そうと考えた。
だが、そのためには島の中央にある山、そして森を抜けなければならない。
一応海沿いを迂回すれば行けるのだが、遠回りになってしまう。
考えた末、レックスは一度森の中のエリアC-6にあるという処刑場を目指し、
そこから北の市街地へ向かうというルートを編み出した。
ルートのすぐ近くの湖があるエリアB-5が禁止エリアに指定されているが、
十分に注意すれば、恐らくは大丈夫だろう。
「あ、そうだ」
何かを思い出し、レックスは寝そべっていたベッドから下り、
保健室から出た。
廊下に転がる、喉を食い千切られたほとんど全裸の兎耳少女の死体。
先刻、レックスが凌辱した末、牙に掛けた者だった。
その傍に落ちている自動拳銃ツァスタバCZ99を口で拾いデイパックに入れる。
更に兎耳少女のデイパックから、ツァスタバCZ99の予備マガジン、
中折れ式のリボルバー拳銃と予備弾、更に顔写真付きの名簿を発見する。
「顔写真付き……成程……ほうほう、まだ結構可愛い女の子残ってるみたいだね」
自分を除く、生き残りの15人の顔を確認し、まだ自分好みの女性が残っていると、
レックスは笑みを浮かべる。
「にしても、俺の写真なんていつ撮ったんだ?
いや……これはどう見ても隠し撮りされたアレだな。まぁいいけど」
顔写真付き名簿を自分のデイパックに入れる。
校庭に放置された同じく喉を食い千切られた青髪の少女の死体からも、
銃器と弾薬を回収した。
保健室に戻るレックス。
武器が無くても一応、困る事は無いが、折角の武器をそのままにしておくのも勿体無い。
「腹減ったし……メシ食ってから出よう」
自分のデイパックから食糧を取り出し、レックスは腹ごしらえを始めた。
【一日目/昼間/E-5小中学校一階保健室】
[状態]健康、口元が血塗れ、返り血(大)、食事中
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式(食糧消費中)、スオミM1931(71/71)、
スオミM1931予備ドラムマガジン(71×5)、USSRマカロフ(8/8)、
USSRマカロフ予備マガジン(8×2)、タウルス レイジングブル(0/5)、
.454カスール弾(15)、ツァスタバCZ99(11/15)ツァスタバCZ99予備マガジン(15×3)、
RSAFエンフィールドNo.2(6/6)、.380エンフィールド弾(18)、コルト パイソン(3/6)、.
357マグナム弾(18)、顔写真付き参加者名簿、五郎入道正宗、バスタードソード
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。とにかく生き残る。女を犯す。
1:食事が終わり次第、処刑場経由で北へ向かう。
2:男は即、殺で。
[備考]
※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。
- 236 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/15(日) 21:41:26
- 投下終了です。このロワももう終わりに近づいている(早っ)
- 237 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/16(月) 22:48:42
- 投下します。俺得ロワ2nd 51話 油断大敵を絵に描いたような
登場:費覧、シクルゥ
- 238 :油断大敵を絵に描いたような ◆ymCx/I3enU:2010/08/16(月) 22:49:39
- 51話 油断大敵を絵に描いたような
「もうそんなに死んでるんだ……まだ6時間しか経ってないのに」
エリアD-4鉄塔の基部のコンクリートに腰掛けながら、
費覧は32人分の名前が消された名簿に目を通す。
最初に殺害したザックから聞いたアルベルトという人物の名前は呼ばれなかった。
「この分ならもうすぐこの殺し合いも終わるね……。
あの主催者が言ったように」
名簿をしまい、傍に立て掛けてあった半自動散弾銃レミントンM1100を手に取り、
腰掛けていたコンクリートから立ち上がる費覧。
周囲を見回すが、見えるのは風に揺られる草木や樹木のみ。
「風気持ち良いね」
何気無くそう呟く。
直後に素早い一陣の風が吹き抜ける。
「うぁ……!?」
ブシュゥッ、と、費覧の白い柔らかな毛皮の腹に真一文字の傷が出来、血が噴き出した。
苦痛に顔を歪める雌の狐は、内臓が溢れる危険がある傷口を左手で押さえながら、
右手でM1100を構え周囲を警戒する。
「痛たたた、だ、誰……あれは」
「グルルルル」
費覧が見付けたのは、主催者の比叡憲武に似た、青と白の体毛を持った狼だった。
口に血が付いている事から、たった今自分を襲ったのはこの狼だと費覧は確信する。
「首輪にデイパック……参加者の一人、か」
どうやらやる気になっているようだ、と推測する。
先程の攻撃で分かったが、この狼はどうやら戦闘の訓練を受けているようだ。
ドォン!! ドォン!!
先手必勝と、費覧はM1100を片手で連射した。
元々片手で撃つ事は想定されていないので、いかに常人より筋力がある彼女と言えど、
右肩に来る強烈な反動は堪える。
放たれた散弾をシクルゥは避けようとしたが、やはり避け切れず数個身体に食らってしまう。
痛みに顔を歪めたが、それでもシクルゥは動くのを止めなかった。
- 239 :油断大敵を絵に描いたような ◆ymCx/I3enU:2010/08/16(月) 22:50:40
- 「ガアアアアッ!」
「!!」
鋭い牙の斬撃。
ザシュッ!
費覧の喉笛が切り裂かれ、鮮血が辺り一面を真っ赤に染める。
そのまま費覧の身体はうつ伏せに崩れ落ちた。
「ゼェ、ゼェ、ゼェ」
(何とか勝てた……)
散弾を幾つか食らってしまったが、どうにか目標の雌狐を仕留める事に成功した。
安堵する青と白の狼。
(それにしても、もう残り16人か……これなら優勝する事も……)
シクルゥは先程の放送で知った残りの生存者の数の事を考えながら、
雌狐の死体に背を向ける。
喉笛を深く掻き切ったのだ、生きてはいまい。
シクルゥはそう考えていた。
ドォン!!
爆ぜるような音と、後頭部に感じた灼熱、そして、シクルゥの視界はブラックアウトした。
「うふふ……げほっ、げほっ、私も一応妖狐の端くれよ?
喉笛掻き切られたぐらいで死ぬもんですか。ごほっ、苦しいけど」
首から上が粉々になった狼の死体。
それを見下ろす、首元と腹に深い傷を負い血塗れになった雌狐――費覧。
右手には銃口から煙を噴き出す半自動散弾銃が握られている。
デイパックから予備弾を取り出し、装填する費覧。
「さて、この狼君は何を持ってるのかしら……。
あら、また散弾銃。こっちは手動式ね……それとこれは、
フランベルジェって奴ね。どっちも有り難く頂戴しましょ」
シクルゥのデイパックからポンプアクション式散弾銃ウィンチェスターM1897と、
現在自分が使っているM1100にも使用可能なショットシェル10発、さらに、
刀身が波打っている長剣フランベルジェを入手する。
- 240 :油断大敵を絵に描いたような ◆ymCx/I3enU:2010/08/16(月) 22:51:55
- 「痛た……ごほっ、ちょっと休んだ方が良いかな……無理すると流石にヤバいし。
んでちょっと休んだら……東の方の処刑場にでも行こうか」
重傷のためしばらく休んだ後、東にある処刑場に行くと決め、
費覧は再び鉄塔の基部コンクリートに腰掛けた。
【シクルゥ@サムライスピリッツシリーズ 死亡】
【残り 12人】
【一日目/昼間/D-4中央部鉄塔】
【費覧@オリキャラ・再登場組】
[状態]喉笛と腹に深い切り傷(命に別条無し、治癒中)、血塗れ
[装備]レミントンM1100(4/4)
[所持品]基本支給品一式(食糧一食分消費)、12ゲージショットシェル(18)、
ウィンチェスターM1897(5/5)、コルト ローマン(6/6)、.S&W M27(5/6)、
357マグナム弾(36)、 ショートソード、 フランベルジェ 、水と食糧(2人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:怪我の治癒のため少し休んだ後、エリアC-6処刑場を目指す。
[備考]
※個人趣味ロワ本編開始前からの参戦です。
※ザックからアルベルトの情報を得ました。
※D-4一帯に銃声が響きました。
※D-4中央部鉄塔の下にシクルゥの死体と
デイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。
- 241 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/16(月) 22:52:43
- 投下終了です。
- 242 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/16(月) 23:05:36
- 訂正。残り11人です。
- 243 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/18(水) 22:41:02
- 投下します。俺得ロワ2nd 52話 侍、狼少女、医者、幕間
登場:弟子五郎、エルフィ、宮田司郎
- 244 :侍、狼少女、医者、幕間 ◆ymCx/I3enU:2010/08/18(水) 22:44:12
- 52話 侍、狼少女、医者、幕間
「し、師匠が……!? そんな、信じられない……あの師匠が死んだなんて……!」
師匠――ムシャの名前が放送で呼ばれた。
呼ばれたと言う事は、師匠は死んだ、という事。
信じられない、まさか、あの師匠が死ぬなんて……。
他にも知っている名前が何人か呼ばれたが、俺は師匠の事で頭が一杯だった。
「ノーチラスにサーシャさん……」
「牧野さん……まあ、予想はしていたが」
エルフィさんのクラスメイトの名前も何人か呼ばれた。
市街地の珈琲屋で出会った藤堂リフィアという狼獣人の女子学生を首を刎ねて殺し、
――当然リフィアさんの名前も呼ばれた――自分と交戦し、
背後からエルフィさんに銃撃され死んだエルフィさんのクラスメイト、
シルヴィア、当人から聞かされていたノーチラスの名前も。
放送前に会ったばかりの宮田さんも知り合いの名前が呼ばれたらしい。
ただ、それ程親しい訳では無かったのか悲しんでいる様子は無い。
ただそれよりも、俺は師匠が死んでしまったという現実を、
中々受け入れられずに、苦しんでいた。
「師匠……」
「弟子五郎さん……」
エルフィさんが心配そうに俺に声を掛ける。
「……」
悲しい。胸が張り裂けそうな程に。
だけど……悲しんでばかりもいられない。
じゃないと、師匠に叱られそうだ。しっかりしろ、と。
「……すみません、エルフィさん、取り乱してしまって」
「いえ、無理しないで……」
「……悲しいのは本当っス。でも……いつまでも悲しんでたら、
師匠にどやされてしまいすから……」
まだ悲しみに浸る訳にはいかない。殺し合いはまだ終わっていないから。
- 245 :侍、狼少女、医者、幕間 ◆ymCx/I3enU:2010/08/18(水) 22:49:06
- 弟子五郎さんの師匠や知り合い、私のクラスメイト数人の名前が放送で呼ばれた。
クラスメイトの一人は、私が殺した。
ああしなければ弟子五郎さんが殺されていたかもしれない。
でも、今でもあの行動が正しかったかどうか、悩んでいる。
「……すみません、エルフィさん、取り乱してしまって」
「いえ、無理しないで……」
「……悲しいのは本当っス。でも……いつまでも悲しんでたら、
師匠にどやされてしまいすから……」
弟子五郎さんはどうにか悲しみから立ち直ったように見えるけど、
多分、無理をしているんだろう、声が少し震えていた。
彼自身から聞かされた話でしか彼の師匠の事は分からないけれど、
きっと固い師弟関係で結ばれていたんだと思う。
そう言えば、放送前、襲ってきた赤い翼の生えた獣人の女性と弟子五郎さんが戦い、
弟子五郎さんが女性を倒した後に役場の中から現れた、
医者と思しき格好の男性、宮田司郎さんも、知り合いが呼ばれたみたいだけど……。
牧野さんの名前が死亡者の発表で呼ばれた。
はっきり言って想定内だ。
あの人がこの殺し合いを生き延びられるとは思っていなかった。
それより、これからの行動について考えるのが先決だろう。
先刻会ったばかりの二人の参加者。
顔に傷のある、侍の格好をした青年、弟子五郎(本名は五郎らしい)と、
灰色の狼の顔を持った学生の少女、エルフィ。
二人共殺し合いには乗っていないとの事だ。
特に弟子五郎……先刻、翼の生えた獣人の女と戦った時、
彼は突撃銃の掃射を、二本の刀で完璧に防ぎ切った末、獣人の女を倒した。
剣に関して常人離れした腕前を持っているらしい事は分かる。
「二人共……悲しんでいる所悪いが……これからの事について話したいんだが、
良いだろうか」
「あ、はい……」
「そうですね……」
抵抗感を露わにされると思ったが意外とあっさり承諾してくれた。
- 246 :侍、狼少女、医者、幕間 ◆ymCx/I3enU:2010/08/18(水) 22:50:23
- その後、弟子五郎、エルフィ、宮田司郎の三人は島役場二階の会議室で、
今後の予定について話し合った。
互いの知人や所持品については放送の前におおよそ情報交換している。
宮田司郎の二つ目の支給品、お徳用う○い棒チーズ味には、
弟子五郎とエルフィは驚かされた。
基本支給品として食糧が既にあると言うのに何ゆえまた更に
ランダム支給品に食糧を入れるのか、主催者の考えが分からなかった。
また、弟子五郎とエルフィが出会った藤堂リフィアが持っていた、
リフィアの物とは別のデイパックの中には、基本支給品の他に拳銃用のマガジン三個、
先刻倒した翼の生えた獣人の女のデイパックには、
女が装備していた突撃銃の予備マガジンと、自動拳銃一丁と予備マガジン、
傷薬、玩具のゴルフクラブが入っていた。
突撃銃H&K XM8のマガジンを交換し、銃本体と予備弾薬は宮田が所持する事となり、
リフィアが所持していた拳銃二丁の内、比較的小型のS&W M39と予備マガジンを、
万が一の時のために弟子五郎が、ワルサーP99と予備マガジン、そして最後に残った
拳銃ベレッタ90-Twoと予備マガジンをエルフィが所持する事となり、
傷薬は医者である宮田、二人分の食糧は宮田は遠慮し弟子五郎とエルフィで分ける事になった。
残された二人分のデイパックと玩具のゴルフクラブは放棄された。
「これからどうしましょう」
「そうっスね……とりあえず、食事を取って、その後、隣のエリアにある小中学校に
行ってみましょう。どうっスか宮田さん」
「良いと思うが」
三人は食事を取った後、隣のエリアE-5に存在するという小中学校に向かう事にした。
【一日目/昼間/E-6北部島役場】
【弟子五郎@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)、悲しみ
[装備]蒼鬼、童子切安綱
[所持品]基本支給品一式、S&W M39(8/8)、S&W M39予備マガジン(8×3)、水と食糧(1人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。ダーエロを捜す。
1:エルフィ、宮田司郎と行動する。食事後、小中学校へ向かう。
2:襲われたら戦う。
[備考]
※エルフィからクラスメイトの情報を得ました。
- 247 :侍、狼少女、医者、幕間 ◆ymCx/I3enU:2010/08/18(水) 22:52:00
- 【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、悲しみ
[装備]コルト デルタエリート(7/8)
[所持品]基本支給品一式、コルト デルタエリート予備マガジン(8×3)、
ワルサーP99(14/15)、 ワルサーP99予備マガジン(15×3)、
ベレッタ90-Two(10/15)、ベレッタ90-Two予備マガジン(15×3)、水と食糧(1人分)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:弟子五郎、宮田司郎と行動。食事後、小中学校へ向かう。
[備考]
※弟子五郎からムシャ、ダーエロ、その他の知人についての情報を得ました。
【宮田司郎@SIREN】
[状態]健康
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[所持品]基本支給品一式、シグザウアーP226予備マガジン(15×3)、お徳用う○い棒チーズ味(30)、
H&K XM8(30/30)、H&K XM8予備マガジン(30×4)、傷薬
[思考・行動]
基本:殺し合いをする気は無いが……。
1:弟子五郎、エルフィと行動。食事後、小中学校へ向かう。
[備考]
※須田恭也が羽生蛇村を訪れるよりも前からの参戦です。
※E-6島役場内に柴田行隆、姫路礼華のデイパックと玩具のゴルフクラブが
放置されています。
≪支給品紹介≫
【お徳用う○い棒チーズ味】
う○い棒チーズ味が30本入ったお徳用。
- 248 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/18(水) 22:57:36
- 投下終了です。ああ、色んな意味でこのロワ終わりだ(笑)
- 249 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/20(金) 01:13:50
- 投下します。俺得ロワ2nd 53話 空を仰ぐ――――
登場:ブライアン、聖徳太子、勤武尚晶、エロリア
- 250 :空を仰ぐ―――― ◆ymCx/I3enU:2010/08/20(金) 01:17:50
- 53話 空を仰ぐ――――
「そう言えばブライアン」
「何だ、太子」
「そろそろ放送だな」
「あ! そうだ、忘れてた!」
目的地の教会を目前にして、ブライアンと聖徳太子は大事な事を忘れていた事に気付く。
どこからか、ハウリング音が鳴り響き、続いて聞き覚えのある男の声が島中に鳴り響いた。
『えー、参加者の皆さん、6時間振りです、比叡憲武です』
「やべぇ、始まった!」
「まずい、メモ、メモを……」
定時放送を聞き取るための準備を全くしていなかった二人は狼狽した。
そして、放送が終わった。
どうにか放送内容を聞き取る事が出来たブライアンと聖徳太子。
「良かった、妹子は呼ばれなかったな……」
部下の名前が呼ばれず安堵した太子だったが、横のブライアンの様子を見て気まずそうな表情を浮かべる。
ブライアンは知り合いの名前が五人も呼ばれてしまった。
内、特に親しいリリアとヘレンの死は、彼に大きな衝撃を与える。
「何てこった、リリアが……ヘレンまで」
「ブライアン……」
この島のどこかで骸を晒しているであろう二人の死をブライアンは悼んだ。
「……悪いな太子。もう大丈夫だ」
「あ、ああ」
「……それより……教会のあるこのエリアが一時間後に禁止エリアになるらしいな。
これは教会を調べている場合じゃ無さそうだ。さっさとこのエリアから出よう」
「そうだな……」
目指していた教会はすぐ目の前だが、
教会のあるエリアA-2は他の三つのエリアと共に一時間後に禁止エリアとなる。
禁止エリアに侵入すると、放送で主催者比叡憲武が言っていたことには、
首輪が作動するらしい。作動とはその場で爆発するのか何らかの警告が起きるのかは
分からないが、とにかく禁止エリアには近付かない方が身のためであろう。
踵を返し元来た道を戻ろうとした二人。
ギイイイ……。
その時教会の玄関の大扉が音を立てて開いた。
振り向いたブライアンと聖徳太子の目に映ったものは、良く知っている人物だった。
「お、お前は……!」
「……あの時の二人か。また会ったな」
青髪に赤い鉢巻姿の青年、勤武尚晶は、クスクスと薄ら笑いを浮かべながら、
右手に刀を持ち、教会入口の階段をゆっくりと降りる。
その白いシャツと、灰色のズボンは、返り血で汚れていた。
- 251 :空を仰ぐ―――― ◆ymCx/I3enU:2010/08/20(金) 01:19:47
- 「くっ……!」
ブライアンはバトルアックスを構えた。
太子も調達品であるスナイドル銃の銃口を尚晶に向ける。
「やる気か?」
「……ここで逃げてもまた追ってくるつもりだろ?
だったらここで倒してやるよ! 勿論禁止エリアになる前にな!」
「ま、前までの私達と思ったら大間違いだぞ!」
「そこの烏帽子ジャージ、足ガクガク震えてるんだが」
「うるさい!!」
必死に怖いのを我慢しながら、太子は虚勢を張る。
「……さっさと済ませたいのは、俺も一緒、だ!」
尚晶が二人に向け、刀を構えながら突進した。
今度はブライアンも聖徳太子も逃げない。ここで逃げてもどうせまた追われる。
太子はスナイドル銃の引き金を引いた。
ドゴォン!!
しかし、古く銃身のライフリングが摩耗しており尚且つ、元々命中精度が良く無い銃、
そして射手の太子が銃に関して完全に素人だった事が災いし、
放たれた銃弾は虚空を切り裂くに留まった。
「うおらああああっ!!」
ブライアンがバトルアックスで、尚晶の斬撃を受け止めようとした。
だが、尚晶の振るった刃はブライアンに向かうと見せかけ、太子の胴体を薙ぎ払った。
「あ……」
アスファルトの上に真っ赤な液体がぶちまけられ、ずるずると、
太子の上半身が横にずれ、地面に落ちた。
残った下半身も、動かす指令を送る頭を失い、ただの肉塊としてアスファルトの上に転がった。
「太子ぃぃ!!!」
ブライアンが叫ぶ。
尚晶は刃を返し、続けざまにブライアンに斬り掛かる。
ビュンッ!!
紙一重で後ろに跳び回避するブライアン。
そして二人は一旦距離を取り、対峙する。
(……次で、勝負が決まる!)
(さっさと始末して、このエリアから出ないとな……しかし、この戦士の男、中々やる)
それぞれの思いを胸に抱きながら、双方、武器を構え、睨み合う。
そして、数秒後。
「うおおおおおおおおおおお!!」
「……!!」
雄叫びをあげながらブライアンが、無言のまま尚晶が、互いに相手に向かって突撃する。
静かな市街地に金属音、そして、何かを斬り裂いた音が鳴り響いた。
- 252 :空を仰ぐ―――― ◆ymCx/I3enU:2010/08/20(金) 01:20:52
- (……俺は、負けたのか)
胴体に強烈な斬撃を食らった尚晶は、大量の血液をアスファルトの上に流し、
両膝を突き、持っていた刀を落とした。
痛みは無い。いや、それどころか身体中の感覚が消えていくのを感じる。
視覚も聴覚も、段々とその機能を果たさなくなっていく。
(フ……血の池地獄でも見に行くか……)
薄れゆく意識の中、勤武尚晶は薄ら笑いを浮かべた。
戦いには勝った。だが、大切な仲間を失った。
「太子……すまねぇ……俺がついていながら」
身体が腰で真っ二つになってしまった聖徳太子の死体の傍で、
ブライアンは悲しみに暮れる。つい先程放送で多くの知り合いが死んだ事を知ったばかり
だと言うのに、今度は目の前で同行していた仲間が死んでしまった。
「くそ……お前の死は無駄にしねぇ……絶対にこの殺し合いかr」
ダダダダダダダダダダダッ!!
突如響いた連射音と同時に、ブライアンは身体中に灼熱を感じた。
「な……?」
何故か動かし辛い首を無理矢理下の方に向けると、鎧に無数の穴が空き、
そこから血が溢れ、鎧を伝って路面に垂れ落ちているのが見えた。
撃たれた、のだとブライアンは確信する。
確信した途端、視界がぐるりと暗転し、ブライアンはうつ伏せに血に伏した。
「こいつは確か、ブライアンだったっけ……」
突撃銃大宇K2を携えた黒髪の美女、エロリアが、たった今銃撃した、
紅白鎧の男の死体を見下ろしながら言う。
「にしても、上手い事行ったわ。漁夫の利って奴?
さっさと武器回収して、このエリアから出ないとね」
意気揚々と、エロリアは放りだされた武器の回収を始めた。
目的地の教会付近で、青い髪の剣士と思しき青年と、どこかで見た事のある紅白鎧の男と、
ジャージに烏帽子というミスマッチな外見の男の二人組が戦っているのを見付け、
このまま互いに殺し合って貰い、残った生き残りを襲って殺し武装を奪うという、
エロリアの目論見は成功した。
成功した、と、彼女は思っていた。
- 253 :空を仰ぐ―――― ◆ymCx/I3enU:2010/08/20(金) 01:23:10
- ガシ。
「……?」
誰かに足を掴まれエロリアの動きが止まる。
誰か、誰かとは誰か? ここには今、自分一人しか生きている者はいないはずだ。
だが、足は確かに掴まれ――――。
「――――!!!?」
エロリアの顔が驚愕の色に染まった。
「ふふ、はは、ざまぁ、みやがれ……油断したなぁ?
まさか……俺が生きているなんて……思わ無かった、ろ?」
驚愕の表情のまま、胴体を切り裂かれ絶命したエロリアの死体を見下ろし、
口から血を吐きながらも、ブライアンは笑みを浮かべエロリアを嘲る。
「ああ、だけど……俺ももう、駄目だな、こりゃ」
しかし、ブライアンにも、死の時が訪れようとしていた。
全身に5.56㎜NATOライフル弾を食らったブライアンの身体は、
最早後数分も生命活動を維持出来ない。
アスファルトの上に仰向けに寝そべり、天を仰ぐブライアン。
気持ち良いぐらいに晴れた青空が見えた。
「俺にしちゃ……頑張ったよ、な……? アレックス…………」
戦士の男が最期に呟いたのは、この殺し合いにはいない、親友の名前だった。
【聖徳太子@ギャグマンガ日和 死亡】
【勤武尚晶@オリキャラ 死亡】
【エロリア@VIPRPG 死亡】
【ブライアン@VIPRPG 死亡】
【残り 7人】
- 254 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/20(金) 01:25:40
- 投下終了です。脱出ENDはもうあり得ないね。
- 255 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 20:34:20
- 投下します。俺得ロワ2nd 54話 救いなんて有りはしない、どこにも。
登場:アルベルト、弟子五郎、エルフィ、宮田司郎
- 256 :救いなんて有りはしない、どこにも。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 20:46:18
- 54話 救いなんて有りはしない、どこにも。
アルベルトは島役場の建物に裏側から近付いていた。
確証は無いが、中から人の気配がする。
(裏口があるな……よし、入るか)
裏口の扉のノブに手を掛け、開く。
役場内部は静まり返っていた。しかしよく調べない事には、人の有無は分からない。
武器であるマグロ切り包丁を握り締め、アルベルトは奥へと進む。
弟子五郎、エルフィ、宮田司郎の三人は食事も終え、いよいよ、
島役場を出立しようとしていた。
荷物を整理し武装を整え、三人は一階への階段を降り始める。
そして、まず弟子五郎、次にエルフィ、最後に宮田が、一階に下り立った。
「……?」
ふと、宮田は背後に気配のようなものを感じた。そして、振り向く。
「!!」
長い金色の髪を持った男が、自分に向かって刀のような物を振り下ろす瞬間。
その光景を、宮田の両目はしっかりと捉えていた。
振り下ろされた刃が自分の胸元の肉を深く斬り裂き、肋骨、肺、心臓、
生命活動を維持するために必要不可欠な臓器器官を容赦無く破壊する様子も。
真っ赤な液体が金髪の男と床を汚す。
斬られた部分が焼けるように熱い。喉の奥から鉄の味の生温い液体が込み上げるのを感じる。
「きゃああぁぁああ!?」
「宮田さん!!」
床に倒れゆく中、背後から侍の青年と狼獣人の少女の叫び声が聞こえた、ような気がした。
だが既に耳に入る音も遠く、視界も狭まってきている。
宮田は医者である。それ故、自分がもう死ぬという事も容易に理解出来た。
(ここで死ぬのか、俺は…………それも、悪く無い、かもな)
今まで、羽生蛇村の暗部を担う者として生きてきたが、正直な話、
死ぬ事によってそれから解放されるなら、それはそれで良いかもしれないと、
宮田は薄れゆく意識の中で思った。
弟子五郎は突然現れ、宮田を斬り捨てた金髪の男に見覚えがあった。
「あんたは……! 確か、アルベルトさん……」
「そう言うお前は魔王軍四天王のムシャの弟子の……」
エルフィは拳銃を構えたまま何も言わ無かったが、二人の会話から、
互いに多少なりとも面識がある事は理解出来た。
- 257 :救いなんて有りはしない、どこにも。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 20:47:41
- 「……よくも宮田さんを! 殺し合いに乗っているなら、容赦しないっスよ!」
弟子五郎は腰に差していた刀を抜き、アルベルトに向かって構える。
対するアルベルトもマグロ切り包丁を構え直した。
そして、互いに相手に斬り掛かり、壮絶な打ち合いが始まった。
双方、斬撃を受け止め、僅かな隙を窺いつつ、必死に相手の急所を狙う。
ガキィッ、ガキィッ、という金属と金属のぶつかり合う音が役場一階のロビーに響く。
「チッ……やるな……」
「はぁ、はぁ……」
一進一退。まだ弟子五郎もアルベルトも頬や肩口に軽い切り傷しか負っていない。
「……っ」
エルフィは何とか拳銃の照準をアルベルトに合わせようとするも、
二人の動きは身体の一部が機械化されている事以外は普通の女子高生の少女に
過ぎないエルフィにはとても捉えられない程速かった。
下手に発砲すれば、弟子五郎を誤射してしまう恐れがある。
「だぁっ!」
「くっ!」
弟子五郎とアルベルトが鍔迫り合いを始め、動きが止まった。
(――今だ!)
アルベルトの背中に向けて、エルフィがコルト デルタエリートの引き金を引いた。
だが。
発砲する、ほんの数瞬前、体勢が入れ替わり、
アルベルトの背中があった場所には、弟子五郎の背中が。
発砲音とほぼ同時に、弟子五郎の背中から血が噴き出した。
「ぐ……あ……!?」
何が起きたか分からない弟子五郎。それはアルベルトも、撃った本人であるエルフィも同じだった。
弟子五郎は持っていた刀を床に落とし、うつ伏せに崩れ落ちた。
「……え?」
何故? 自分は確かに金髪の男の背中を狙ったはずなのに。
いや、間違い無く狙っていたのだ。だが、直前に体勢が入れ変わってしまった。
事故。これは不慮の事故。だがエルフィにとっては、同行者を撃ってしまった事には変わり無い。
- 258 :救いなんて有りはしない、どこにも。 ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 20:53:33
- (何故か知らんがこれはチャンスだ!)
アルベルトは弟子五郎が持っていた刀を拾いマグロ切り包丁から持ち替え、
エルフィに向かって斬り掛かった。
自分は防弾チョッキを服の下に着込んでいる。相手は拳銃を所持しているが、
拳銃弾程度なら防いでくれるはず。何より相手は仲間を誤射したショックで呆然自失となっている。
今なら十分仕留められる。
アルベルトはそう考えていた。
ドンッ!!
いくら防弾チョッキを着ていても、着ていない部分を撃たれれば何の意味も無いのだが。
額に小さな穴が空き、後頭部辺りから鮮血と何やらピンク色の物体が噴出したアルベルトは、
後ろへ吹き飛び、仰向けに倒れ、動かなくなった。
「……」
エルフィは呆然と、床に転がる二人の男の死体を見詰めていた。
二人共自分が殺してしまった。しかも、片方は、本当は殺してはいけないはずだったと言うのに。
事故とは言え、自分の手に掛けてしまった。
「……あ……あ」
もう何も考えられない。何をしていいのか分からない。
エルフィは、デルタエリートの銃口を、狼族の長い口に咥え込んだ。
その両目からは、涙が溢れていた。
……ォォン……。
島役場の中から、一発の銃声が響いた。
その後はもう、何も聞こえなくなった。
【宮田司郎@SIREN 死亡】
【弟子五郎@VIPRPG 死亡】
【アルベルト@VIPRPG 死亡】
【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り 3人】
- 259 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 20:56:30
- 投下終了です。
- 260 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 23:21:14
- 投下します。俺得ロワ2nd 55話 THE END OF THE GAME
登場:レックス、ダーエロ、費覧
- 261 :THE END OF THE GAME ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 23:22:01
- 55話 THE END OF THE GAME
森の中に存在する、多くの使い込まれた処刑器具が設置された、
煉瓦作りの高い塀に囲まれた広場。
黒狼レックスは、森を抜け、どこからか死臭の漂うその広場に足を踏み入れた。
「……近くに死体があるな」
辺りを警戒しながら、レックスは漂ってくる死臭を辿る。
処刑器具に染み付いたそれよりも、嗅いでいる死臭は真新しい。
「……うお」
そしてレックスは発見する。顔面に斧が刺さった露出の高い装具の若い女性と、
胴体が直視しかねる程損壊された同じく若い女性の、二つの死体を。
「これは酷い……」
今まで何人もの女性参加者を性的暴行の末その牙で殺害した彼でさえ、
思わず凄惨さに言葉を失う。
「ねえ」
「?」
ふと、レックスに声を掛ける者が現れる。
レックスが声のした方向を振り向く。
ドォン!!
「ぐあ!!」
爆ぜるような音が響き、直後にレックスの身体が軽く後ろに吹き飛んだ。
「があああ……い、痛ぇ……これは……散弾か?」
身体中に走る激痛にレックスが自分の身体を見ると、所々に小さな穴が空き、
そこから血が噴き出しているのが分かった。
辺りを見回すと、銃口から煙を噴き出す散弾銃と思しき銃をこちらに向け構えた、
血塗れの二足歩行の雌狐の姿を見付けた。
ドォン!!
「ぎゃあああぁぁああああぁああ!!」
再び爆ぜる音。そしてレックスの腹部が弾け、鮮血と内臓の破片が飛び散った。
「がはっ……がああ」
「ごめんなさいね、狼君」
雌狐――費覧はレックスを見下ろしながら、銃口を今度は黒狼の頭部に向ける。
- 262 :THE END OF THE GAME ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 23:22:51
- 「う……」
自分は腹に大穴を開けられ動く事が出来ない。
いや、もしこの場を凌げたとしても、腸を滅茶苦茶にされ出血も酷い。
どちらにしてももう自分は助かりそうにない。
レックスは覚悟を決め、固く目を瞑った。
「それじゃ……さよなら」
費覧はニヤリと笑みを浮かべながら、持っていた半自動散弾銃レミントンM1100の引き金を、
ダンッ!
「がはっ……!?」
引けなかった。一発の乾いた銃声が響いた直後、費覧は背中に衝撃を感じた。
「ふふふふふふ、あはははははは。みんな、殺してやる」
明らかに正気とは思えない笑い声を上げながら、
費覧に向け自動拳銃ベレッタM92FSの銃口を向ける、色黒のダークエルフの男。
男――ダーエロに向け、レミントンM1100を発射しようと費覧は銃口を向ける。
だが、間髪入れず、ダーエロはベレッタM92FSを費覧に向け乱射した。
ダンッ! ダンッ! ダンッ! ダンッ!
「ぐっ、うあっ、あっ」
レミントンM1100の引き金を絞る間も無く、次々と費覧の身体に穴が開けられていく。
その度に雌狐の毛皮は新鮮な赤で染まり、口から血反吐が溢れる。
「ははははははははははははは!!」
狂った笑い声を上げながら、ダーエロは尚も費覧を撃ち続けた。
(狂ってやがる……)
ダークエルフの男の様子を見て、心の中でレックスが呟く。
「がぁ……げほっ……な゛……なめ゛るなぁぁああ!!」
最早身体中に拳銃弾を食らい、立っている事もやっとになった雌狐だったが、
最期の力を振り絞り、レミントンM1100を構え、ダーエロに向けて発砲した。
- 263 :THE END OF THE GAME ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 23:23:29
- ドォンッ!!
「ぎゃあぁあああぁぁあああああああああ!!!?」
ベレッタM92FSを構えていたダーエロの右腕の肘から先が吹き飛んだ。
肉の塊と化した右腕の肘から先が、ベレッタと共に地面に落ちる。
血が噴き出す傷口を半狂乱になりながら押さえようとするダーエロ。
ドォンッ!!
そこへ、費覧がレミントンM1100の弾倉内に残った最後のバックショット弾を撃ち込んだ。
ダーエロの身体が後ろへ吹き飛ばされ、地面に仰向けに倒れる。
胴体と顔に細かい穴が数多く空き、見開かれたままの目はどこも見ていなかった。
思い人のために殺し合いに乗り、見ず知らずの人間や大切な同僚までも手に掛け、
挙句の果てに思い人の死によって狂ってしまった哀れな男の最期であった。
男が倒れ、動かなくなった事を見届けると、費覧はガクリと両膝を地面に突き、
仰向けに倒れ、血溜まりを作って、同じように動かなくなった。
「……」
それを見たレックスも、既に意識が朦朧としていた。
どこか寒気を感じる。痛みも無い。と言うより、身体中の感覚が消えていっている。
間も無く自分も物言わぬ屍となるだろう。
(……死ぬのは嫌だったはずだけど……いざ死ぬってなると、結構冷静でいられるもんだな)
どうしようもなく眠くなってきた。いよいよだろう。
レックスはいつも寝床で眠りにつくように、ゆっくり目を閉じた。
(……色々可愛い子とヤれたし……もう、いいや……)
【ダーエロ@VIPRPG 死亡】
【費覧@オリキャラ・再登場組 死亡】
【レックス@オリキャラ・再登場組 死亡】
【残り 0人】
【ゲーム終了】
【優勝者無し――――ゲームオーバー】
- 264 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/21(土) 23:24:27
- 投下終了です。全滅ENDですね。はい。
- 265 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/21(土) 23:30:54
- 投下乙です
ちょwwwまさかの全滅ですかww
- 266 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 00:07:06
- 投下します。俺得ロワ2nd 56話 反省
登場:比叡憲武(◆ymCx/I3enU)
- 267 :反省 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 00:08:34
- 56話 反省
「全滅かぁ……これは初めてだな」
参加者全員の生存表示が死亡を示す表示に変わったモニターを見ながら、
青と白の狼の外見を持った男、比叡憲武こと◆ymCx/I3enUは溜息をついた。
「って言うか、今回のロワ、グダグダだったな。っていうか、
リスタートの時点でもう駄目な気がしてたけどさぁ。
何だろ、性急過ぎたのかな。もうちょっとプロット練るべきだったかなぁ。
序盤で殺し過ぎたんだよなぁ……と言うより、再登場組多過ぎたか。
今度はもっと少なくして、オリキャラなら新しいキャラ多めにしとけば良いか。
って言うか、もうあれだよ……俺、知っている作品のジャンルが偏ってるからな。
よく出てくる「トラ○ガン」とか「な○はシリーズ」とか「Fa○e」とか、
ギャルゲとかガン○ムとか、知らないもん俺。いやまあ全く知らないって訳じゃ無いよ。
ちょっとどんな作品かなってググってみたり、○のはシリーズは第二期と第三期は
よう○べで見て結構面白いなって思ったり。でもはっきり言ってあれは、
ロワに出すには俺如きが手を出して良いレベルじゃねーよ。
もっと魔法とかの描写が上手い人とかキャラの性格を大いに活かせる人の方が良いよ。
俺やったら「普通の人」になってしまう気がする。
だから、凄いと思うわ俺。ギャルゲからアニメ、ラノベまで幅広く参加者用意出来る人。
本当にどうやって情報集めてるんだろって思う。全部見たり読んだりしてるんだろうか。
ふぅ、ちょっと無駄話が過ぎたかな。さて、今回のロワは全滅という結果に終わった訳だけど。
機を取り直して次のロワを考えよう。
今度は、そうだな……」
惨劇は繰り返される。
【俺得バトルロワイアル2nd 完】
【To Be Continued......】
- 268 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 00:11:38
- 投下終了です。俺得ロワ2nd これにて終了となります。
はっきり言って失敗作って感じがします……。
比叡憲武の台詞はまんま自分の気持ちでもあります。
前回の俺得ロワで力を使い果たした感が否めませんね。
今度のロワは全員オリキャラで行こうと思っています。
応援ありがとうございました。これからも宜しくお願いします。
- 269 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 02:09:45
- ちなみに今OPを書いているロワの名簿がこれです。言わば「俺オリロワ2nd」です。
【参加者名簿】
○鐙代正隆/○鐙代柚希/○アリシア・ルクルス/○石田佳奈子/○伊東結/
○石清水成道/○碓井守夫/○ウラジーミル・コスイギン/○狼我秀秋/○狼我秀則/
○狼我真夕美/○狼我美由紀/○鐘上真生/○蒲生重勝/○神庭龍徳/
○楠野洋祐/○倉持房/○黒崎奈桜/○香瀧宏叔/○狐閉レイナ/
○紺野優佳/○ザガート・マキシム/○桜川あいり/○坂上正男/○佐藤文博/
○シーザー/○静間文徳/○シップウジンライ/○宿禰千恵/○セルゲイ・ルシコフ/
○高村紀嗣/○武田周治/○竜錬アイ/○トレディア/○内藤行光/
○長野高正/○二宮嘉光/○ハヤト/○平崎吉治/○平沢まりな/
○福井知樹/○冬月蒼羅/○ヘルムート/○宝霆政家/○マティアス/
○マリア・ベーラヤ/○マレーネ/○身崎徹也/○水鏡名雪/○宮永正子/
○森林源五郎/○リュティ/○レックス/○ロディオン/○脇坂忠行
55/55
レックスはお気に入りなのでまた出す気でいます……。
- 270 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 13:35:32
- 俺オリロワ2nd OP 投下します。
本当なら本スレにやりたかった……。
- 271 :試合開始〜オープニング〜 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 13:38:03
- 0話 試合開始〜オープニング〜
ある広間に、首に黒い金属製の首輪をはめた、55人の人々が集められていた。
種族も年齢も様々だが、ほとんどの者は同じように困惑の表情を浮かべていた。
静かに事態を静観している者も数人いたが。
ここにいる全員は、何の前触れも無く突然、日常からこの見知らぬ部屋へ連れて来られたのだ。
いつ、どうやって連れて来られたのか全員、その記憶は全く無い。
だが、今考えるべき事はそれでは無いだろう。何にせよ、今自分達は、
謎の首輪をはめられ、覚えの無い広間にいる。
広間には前方に大きなモニターが設置され、後方には重厚な両開きの鉄扉がある。
鉄扉は向こう側から施錠されているようで開く様子は無い。
突然、モニターに映像が映し出される。
画面に現れたのは黒い長髪の、白衣姿の若い男だった。
「この映像を見ている皆さん、初めまして。
私は香取亮太(かとり・りょうた)と申します。皆さんに本日集まって頂いたのは、
皆さんにとあるゲームをして頂く為です」
香取亮太と名乗ったモニターの向こうの男はしばらく間を置いてから、
「ゲーム」の内容を語った。
「皆さんにして頂くゲームは、バトルロワイアル……殺し合いです。
これから皆さんに、ちょっと殺し合いをして頂きます。最後の一人になるまでです。
反則は有りません」
人々がざわめき立つ。最早話についていけない。
いきなり連れて来られいきなり殺し合えと言われれば無理も無い反応である。
何かの冗談か? タチの悪いテレビ局のドッキリ企画か何かか?
そう考える者も何人かいたが、深刻そうな表情でモニターを見詰める者も多かった。
「皆さんの首に、首輪がはめられていますね?
それは、ゲームをスムーズかつ確実に行うための物です。
くれぐれも無理矢理外そうとしたりしないで下さい――――爆発しますよ」
首輪に触れていた何人かが手を離した。
「その爆発と言うものがどの程度の威力かと言うのをお見せします」
香取がそう言った直後、画面が切り替わり、
洋服店によく置かれているようなマネキンが映し出された。
首には人々と同じ黒い首輪がはめられている。
「良いですか、よく見ていて下さい」
香取の声がした直後、マネキンの首輪からピーという電子音が鳴り、
ボンッ、と爆発音が響き、首輪の丁度喉元に当たる部分が炸裂した。
その光景を見た人々は戦慄する。
首輪が爆発したマネキンの喉元には大きな穴が空いた。
あれが生きている人間や獣だとしたら、待っているのは間違い無く、死。
画面が再び切り替わり、笑みを浮かべた香取の顔が映し出される。
- 272 :試合開始〜オープニング〜 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 13:38:56
- 「お分かり頂けたでしょうか……」
理解したく無くとも、理解せざるを得まい。
下手な事をすれば首にはめられた首輪は爆発する。
ここはおとなしく香取の言う事に耳を傾けた方が良さそうだ。
人々のほとんどはそう判断した。
「ではルール説明に移りましょう……。
先程も言った通り、皆さんで最後の一人になるまで殺し合って貰います。
最後まで生き残った一人が優勝となり、帰る事が出来ます。
参加者の間のやり取りに反則はありません。ゲーム会場の施設の利用も自由です。
首輪に関してもう少し詳しく……。
首輪は無理に外そうとしたり、禁止エリアに進入したり、
ゲーム進行に大幅な支障を来すような行動を取った場合、爆発します。
ゲーム開始の際、支給品の入ったデイパックを渡します。
デイパックは特別製でして、死体を含む参加者、明らかに規格外の物以外は、
何でも入れる事が出来、重量も変わりません。
最初から入っている物はゲーム会場の地図、参加者名簿といった、
基本支給品一式と、武器等のランダム支給品が1〜複数個です。
ランダム支給品は役に立つ物ばかりとは限りません。これはハンデを少なくするためです。
一応会場にも色々な物が落ちていると思いますので、
もし武器が貧弱だったならば、すみませんが自弁して下さい。
0:00、4:00、8:00、12:00、16:00、20:00の四時間おきに、定時放送を流します。
内容はその時刻までの新たな死亡者と、禁止エリアの発表です。
禁止エリアはその名の通り、入ると首輪が作動するエリアです。
放送から一時間後に指定のエリアが禁止エリアになります。
また、地図の外や上空100メートル以上も禁止エリア扱いです。
侵入すると同じく首輪が作動します。
24時間新たな死者が出なかった場合、その時点での生存者全員の首輪を爆破します。
つまり優勝者無し、ゲームオーバーです。 また、参加者が全員死亡しても同様です。
以上です」
知り合いがいる者もいない者も、周囲の人々と顔を見合わせる。
これから自分はこれらの人々と、知り合いと、殺し合いをしなければならないのか。
一体なぜ、何のために。なぜ殺し合いをしなければいけないのか。
モニターの向こうの香取亮太にその理由を是非問いたい。
だが、それは叶わない。
- 273 :試合開始〜オープニング〜 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 13:40:14
- 「それでは、バトルロワイアルを開始します……皆さん、ご健闘をお祈りします。
ククク……ハハハハハハ……」
香取が笑い声を上げるのとほぼ同時に、人々は強烈な眠気に襲われた。
勘の良い者は、それが催眠ガスだと分かったが、分かってもどうしようも無かった。
次々と床に伏し、眠りに就く人々。
そして、全員が深い眠りに落ちた。
&color(red){【バトルロワイアル 開始】}
&color(red){【残り55人】}
----
≪キャラ紹介≫
【名前】香取亮太(かとり・りょうた)
【年齢】30代半ば
【性別】男
【職業】科学者?
【性格】自尊心が高く他人に心を開かない(幼馴染であり助手の稲村由布子は別)
【身体的特徴】黒い長髪、長身
【服装】スーツの上に白衣
【趣味】研究、音楽鑑賞(クラシック系)
【特技】機械工学、エネルギー工学、物理学に関する豊富な知識
【経歴】かつては有名大学の教授で、学会にて時空転移や異世界の存在の可能性を
発表したが、余りに異端的かつ現実離れした論理だったため、黙殺される。
二年前に失踪し行方不明になっている筈だったが……。
【備考】その性格故友人らしい友人はおらず、唯一心を開ける相手は、
幼馴染であり助手でもある白狐獣人の女性稲村由布子のみ。
と言うより稲村由布子に依存している
- 274 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 13:42:58
- 投下終了です。やべwww色付けコマンドがwwwww
キャラ設定は大まかなものなので反映されない部分もあると思います。
名簿は既に投下したのでマップをば。
||01|02|03|04|05|06|07|08|
|A|森|森|森|森|健|街|ホ|街|
|B|森|街|シ|街|街|住|住|住|
|C|森|街|川|川|川|橋|川|川|
|D|森|街|橋|役|住|住|住|図|
|E|川|橋|川|住|学|公|住|住|
|F|警|街|病|住|森|森|森|森|
|G|街|街|住|森|森|村|村|森|
|H|平|平|遊|森|森|森|森|森|
森……森林地帯
健……健康センター
街……オフィスや店舗がある市街地
ホ……ホテル
シ……ショッピングモール
住……民家が建ち並ぶ住宅街
川……幅が広く深めの川
橋……普通の橋
役……市役所
図……図書館
学……小学校
公……公民館
警……警察署
病……病院
村……廃村
平……平野部
遊……遊園地
以上でOP投下終了です。
- 275 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 22:01:51
- 投下します。俺オリロワ2nd 1話 満月照らす夜の森
登場:神庭龍徳、石田佳奈子
- 276 :満月照らす夜の森 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 22:03:53
- 1話 満月照らす夜の森
夜空に輝く満月と満天の星空のおかげで、
深夜の森は影が出来る程明るく歩くには余り困らない。
首都特務警察隊の紺色の制服に身を包んだ黒い東洋龍人の男、
神庭龍徳(かんば・たつのり)は、夜空を見上げながら思考を巡らせていた。
「殺し合い……か。ふざけていると言うレベルでは無い」
気が付いたら、見知らぬ広間に数人の仲間と共に居り、
モニターに現れた白衣姿の男に「殺し合え」と命じられる。
何とも異常な状況。首には爆薬内蔵の危険極まり無い首輪がはめられている。
「ふぅ……」
足元に置かれていた黒いデイパックを拾い、適当な木の根元に座り、
中身を確認する。
「名簿か……全部で55人……」
あの広間にいた自分の同僚や後輩の他にも、この殺し合いには、
大勢の人間、獣人、獣が参加させられている。
全員が全員殺し合いに乗るとも思えないが、この中で自分のように、
殺し合いに乗る気が無い奴は何人いるのだろう。
「何だ、狼我姓が四人も……ああこの二人は知っているな」
同僚の狼我真夕美とその従兄弟、狼我秀秋の他に二人、狼我姓の参加者を見付ける。
狼我姓はそれ程多く無い姓なので何か関わりがあるかもしれない。
龍徳は名簿をしまい、次に地図、コンパス、メモ帳とボールペン、懐中電灯、懐中時計、
水と食糧の基本支給品一式がある事を確認し、次にランダム支給品の確認に移る。
「ナイフに、何だこれは…薬草か。食べれば良いのか? 不味そうだな…」
鞘に収められた軍用ナイフと麻袋に入った大量の薬草。
この二つが龍徳の支給品のようだ。
「さて、どうする…取り敢えずは仲間を捜すか……ああだが、
香瀧と狐閉の二人は……」
ダンッ!
「!!」
思案していた時、銃声と同時に龍徳の鼻先数センチ前を音速で何かが飛んで行った。
(銃!? チィッ…早速やる気になっている奴が出たか!)
龍徳はデイパックを拾い上げ、一目散に駆け出した。
相手は銃、こちらはナイフ。正面からやり合っては勝ち目が薄い。
無様だが逃げるしか無かった。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
逃げる龍徳の背に向け、襲撃者は何度も銃撃を放った。
だが、暗く見えにくい上、襲撃者自身が銃に慣れていない為か当たる気配は無かった。
- 277 :満月照らす夜の森 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 22:12:56
- 「ふぅ…逃げ切ったか」
開けた場所に出た龍徳は、襲撃者を振り切った事を確認する。
乱れた呼吸を整え、辺りを見回す。
「ここは……廃村か?」
古びた木造家屋が建ち並び、錆に覆われた廃車や古井戸が見える。
どうやら廃村のようだった。そう言えば地図に廃村というエリアがあった。
恐らくここがそうだろう。
「この辺を調べてみるか……」
龍徳はナイフを携え、警戒しつつ廃村の探索を始める事にした。
森の中、息を荒げながら周囲を見渡し、標的を見失った事を確認する一人の若い女性がいた。
黒髪の先端を赤く染めた変わった髪色のポニーテールで、
服の下の非常に豊満な乳房が動く度揺れ動いていた。
「はぁ、はぁ、逃げられちゃった……銃なんて初めてだもんなぁ」
そう言いながら、女性――石田佳奈子(いしだ・かなこ)は、
装填されていた全弾を撃ち尽くしスライドオープン状態となった自動拳銃、
ヘックラーウントコッホUSP.40S&W弾モデルを見詰める。
「でも……まあいいか…他にも沢山いるんだから」
空になった弾倉を取り出し、予備の弾倉を入れる佳奈子。
その目には若干狂気じみた光が宿っていた。
「福井君……私、あなたの為なら何だってするよ……例え、思いが伝わらなくても……。
私は福井君を…絶対勝たせてあげるから……」
この殺し合いに呼ばれている、思い人の名前を呟きながら、
女性は満月照らす夜の森を歩いて行く。
【一日目/深夜/G-7廃村東部】
【神庭龍徳】
[状態]健康
[装備]軍用ナイフ
[所持品]基本支給品一式、薬草袋(30)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。脱出手段及び首輪の解除方法を探す。
1:廃村の探索。
2:仲間と合流したい。但し香瀧宏叔と狐閉レイナには注意。
[備考]
※襲撃者(石田佳奈子)の姿は見ていません。
【一日目/深夜/F-8森】
【石田佳奈子】
[状態]健康
[装備]H&K USP(13/13)
[所持品]基本支給品一式、H&K USP弾倉(13×2)
[思考・行動]
基本:福井知樹を優勝させる。その為に参加者を殺していく。自分は最後には自害する。
1:取り敢えず森を抜けたい。
[備考]
※襲撃した相手(神庭龍徳)の姿はよく確認していません。
※G-8一帯と周辺に銃声が響きました。
- 278 :満月照らす夜の森 ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 22:13:55
- ----
≪キャラ紹介≫
【名前】神庭龍徳(かんば・たつのり)
【年齢】29歳
【性別】男
【職業】首都特務警察隊上級隊士
【性格】冷静沈着
【身体的特徴】黒い東洋龍系の竜人。引き締まった身体。鋭い目付き
【服装】紺色の首都特務警察隊男性上級隊士用制服
【趣味】読書
【特技】剣術、格闘術どちらも達人級。但し銃の腕は余り良く無い
【経歴】幼少時に父親を亡くし母親との母子家庭で育つ
【備考】同じく上級隊士の石清水成道、狼我真夕美とは同期で仲が良い。
恋愛経験に乏しく女性に奥手だが、一応童貞では無い
【名前】石田佳奈子(いしだ・かなこ)
【年齢】19歳
【性別】女
【職業】洋品店従業員
【性格】温厚
【身体的特徴】黒髪の先端を部分的に赤く染めたポニーテール、スタイル抜群の巨乳
【服装】私服(白いカッターシャツに薄い灰色のチェック柄スカート、水色のジャケット)
【趣味】妄想
【特技】これと言って無し
【経歴】一年前に不良に絡まれていた所を通りすがりの福井知樹に助けられ、
一目惚れし以来彼をスト―キングするようになった。そして福井がゲイである事を
知ってもなお彼に対する思いは変わらない
【備考】外見のモデルは某ゲーム登場キャラの楠○神○
≪支給品紹介≫
【軍用ナイフ】
切れ味鋭く頑丈に作られた軍隊で使われるナイフ。
【薬草袋】
食べる事によって効果を発揮する薬草が30枚入った麻袋。
薬草は軽傷には効くが重傷には効かない。
【H&K USP】
ドイツのH&K社が1993年に開発したプラスチックフレームの自動拳銃。
USPは「Universal Selfloading Pistol(汎用自動拳銃)」の略。
本ロワに登場するのは装弾数13発の.40S&W弾モデル。
----
- 279 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/22(日) 22:16:39
- 投下終了です。首都特務警察隊についても後で簡単に説明的な物を書くか…。
ちなみに神庭龍徳の仲間は石清水成道、楠野洋祐、香瀧宏叔、宝霆政家、
狼我真夕美、狐閉レイナ、桜川あいり、宿禰千恵、水鏡名雪の9人です。
一部修正のうえwikiに載せます。
- 280 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/23(月) 23:22:00
- 投下します。俺オリロワ2nd 2話 自殺志願の竜とお節介な女
登場:セルゲイ・ルシコフ、紺野優佳
- 281 :自殺志願の竜とお節介な女 ◆ymCx/I3enU:2010/08/23(月) 23:23:44
- 2話 自殺志願の竜とお節介な女
青と白の竜、セルゲイ・アナトーリエヴィチ・ルシコフは、街灯が灯る橋の欄干から、
満月の光が反射する川の水面を眺めていた。
「《……何でこんな事に……》」
溜息を吐きながらロシア語で呟く(《》で囲まれた台詞はロシア語だと思って下さい)。
セルゲイの祖国は、彼のような獣人、竜、獣に対する差別が酷かった。
彼自身ももれなく差別を経験しており、父親は自分が物心付く前に、
冤罪で処刑されたと母親から言われた。
その母親も二年前に病死し、独り身となった彼は、獣人、竜、獣と人間が差別無く暮らすという、
俗に日本と呼ばれている国に、裏ブローカーの手を借りて密入国を果たした。
日本語は日常生活に困らない程度には習得はしていた。
だが、差別から解放されたものの、身元がはっきりしない遠い異国の者であるセルゲイが、
働き口と住居を確保するのは至難の業。
密入国者とばれれば祖国へ強制送還される恐れもある。
同じ竜や、獣人達からも奇異の目で見られる毎日が続いた。
そして最終的に彼が行きついた職業は。
男娼。
彼のように理由があり祖国から逃げてきたり、或いは家出人だったりと、
訳ありの竜、獣人、竜人、獣達を専門に雇う、少し危ない雰囲気の男娼館で、
セルゲイはそこの支配人にスカウトされ、悩んだ末男娼になる事を決意した。
毎日のように、不特定多数の男に弄ばれる毎日。
慣らしもせず無理矢理突っ込まれた日は、激痛で眠れなかった事もある。
給料はとても良いし、生活には困らない。
だが、セルゲイは自分の人生の結末を見てしまったようで、絶望していた。
自分は男に弄ばれ、一生を過ごすんだと。
そして、突然巻き込まれた、この殺し合い。
「《もう嫌だ……俺の人生って何なんだろう………もう…生きていくのが嫌になっちゃったよ》」
殺し合い――香取亮太と名乗ったあの白衣姿の男はそう言っていた。
首には黒い金属製の首輪。無理に外そうとしたり、逃げようとしたりすれば、
爆発するらしい。いや、爆発する事は確実だろう。マネキンによる実演を見たのだから。
生きて帰るには、参加者達を殺して最後の一人になるしかない。
だが、セルゲイは人殺しはしたくなかった。他人を殺してまで、生き延びたくない。
それに、生きて帰れたとしても、また夢も希望も無く、男に抱かれる日々に戻るだけだ。
「《そうだ……死のう》」
セルゲイは橋の片足を上げ、橋の欄干を乗り越えようとした。
だが。
「ちょ、ちょっと! やめなよ!」
「《……え?》」
少女と思しき声が、セルゲイを引き止めた。
- 282 :自殺志願の竜とお節介な女 ◆ymCx/I3enU:2010/08/23(月) 23:24:45
- ■
遠目から、橋の上にいる青い竜の様子を窺っていた、
青い髪に白い鉢巻を巻いた少女、紺野優佳は、
竜が明らかに欄干を越えようとしているのを見て、考えるよりも先に身体が動いていた。
「ねえ、馬鹿な真似はよしなって。命は無駄にするもんじゃないよ」
取り敢えず飛び込みは阻止するべく、竜を宥める優佳。
「《か、関係無いだろ! 放っといてくれ! あっち行けよ!》」
「……え? な、何語?」
竜が返した返事は、優佳には理解不能なロシア語だった。
優佳自身はそれがロシア語だという事すら分からない。
ただ、声の調子と竜の表情から、拒絶している、向こうへ行けと言っているらしい
と言う事だけは推測出来た。
「え、えーと、ごめん、日本語出来る?」
「……」
何やらハッとしたように、青い竜は軽く咳払いをした後、
やや訛りのある日本語で優佳に話し掛け始めた。
「あんたには、関係、無い。あっちへ、行け」
「あ、日本語話せるんだ。良かった……訛ってるけど。
あのさ、私、紺野優佳って言うの」
「……こん、の…ゆう、か」
「そうそう。あなたは? 名前教えてよ。ここで会ったのも何かの縁だしさ」
「……セルゲイ・アナトーリエヴィチ・ルシコフ」
「うーん、長いなあ……セルゲイで良い?」
「……」
その問いにセルゲイは答えない。優佳は肯定の意と取った。
「ねえセルゲイ、そこ、欄干の先何も無いから危ないよ?
何だか、下川みたいだけど、深そうだし……」
「……」
「確かに、いきなりこんな殺し合いに参加させられて、嫌になっちゃうのは分かるけどさ。
だからって自分で死ぬのは駄目だよ。生きていれば何とかなるかもしれないじゃん」
「……そんなん、じゃ、無い。もう、いいから、あっち行ってくれ」
優佳の説得に、セルゲイは余り耳を貸さない。
だが、優佳としては自殺志願者を目の前にして見て見ぬ振りは出来ない。
「出来ないよ。見ちゃったから。そうだね……もうあれだね。
あなたが飛ぶなら私も飛ぶわ」
「……は??」
優佳の言う事に目を丸くするセルゲイ。
次の瞬間、優佳はデイパックを地面に置き、自分の靴を脱いで欄干を登り始めた。
「お、おい!?」
「うはぁ〜……結構高いね。落ちた衝撃もかなりのものかも。
って言うか、今夜結構寒いね……水温低そう」
「……っ」
一体どこまで本気なのか分からないが、優佳の行動により、
セルゲイはどんどん、飛び降り辛くなっていく。
「私が死んだらあなたのせいね」
「……お前、馬鹿じゃ、ないのか?」
「よく言われる。けど言わせて貰うけど、そこから飛び降りようとするあなたはどうなの?」
「……」
しばらくセルゲイは考え込んだ。
自分一人が死ぬならまだしも、見ず知らずの会ったばかりの女性を巻き添えにするのは後味が悪い。
と言うよりこの女性も初対面の自分になぜここまで構うのか分からないが。
少なくとも女性の瞳に、嘘偽りと言ったものは見当たらない。
- 283 :自殺志願の竜とお節介な女 ◆ymCx/I3enU:2010/08/23(月) 23:25:52
- 「……負けた、よ」
遂に、セルゲイは欄干から足を下ろした。
それを見た優佳は笑顔を浮かべ、欄干から下りる。
「ふぅ……良かった」
正直な所、優佳はあれでセルゲイを止められそうになかったらもう後が無いと焦っていた。
靴を履き、デイパックを拾い上げ、優佳がセルゲイに近付く。
「セルゲイ。折角だから一緒に行動しようよ。良いでしょ?」
「……ああ。宜しく」
「うん、こちらこそ!」
青い竜と、青髪の女性は手を取り合い、共に行動する事となった。
【一日目/深夜/E-2橋の上】
【セルゲイ・ルシコフ】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いをする気は無い。
1:紺野優佳と行動。
[備考]
※可能な限り日本語で喋りますが、興奮した時はロシア語に戻るかもしれません。
【紺野優佳】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。
1:セルゲイと行動。
[備考]
※特に無し。
----
≪キャラ紹介≫
【名前】セルゲイ・アナトーリエヴィチ・ルシコフ(Сергей Анатольевич Лужко́в)
【年齢】21歳
【性別】男
【職業】男娼
【性格】大人しい、内向的
【身体的特徴】青と白の竜人体型の竜。身体付きは良い
【服装】全裸(服を着る習慣が無い)
【趣味】祖国の歌(カチューシャ、スラヴ娘の別れ等)を歌う、聴く事
【特技】翼を使い飛べる。竜なので筋力と体力はある
【経歴】人間至上主義の国に生まれ、人間から様々な差別を受けてきた。
物心つく前に父親を亡くし、二年前に母親も病死し天涯孤独の身となる。
裏ルートを経て日本風の国家(俗称日本)に密入国し、働き口に困った末、
訳有りの危険な匂いのする男娼館で男娼として働く事になり今に至る
【備考】男娼としての腕はそれなりに良いらしい。自分の人生に半ば絶望している。
女性(雌)との経験は無し。名前は「ルシコフ家のアナトリーの息子のセルゲイ」という意味。
人間は嫌いでは無い
【名前】紺野優佳(こんの・ゆうか)
【年齢】20歳
【性別】女
【職業】大学生・ピザ屋でバイト
【性格】明朗、お節介
【身体的特徴】青い髪に白い鉢巻を巻いている。鉢巻は本人曰く「ファッション」、胸は大きく無い
【服装】私服(赤色の半袖ジャケットに白いシャツ、オリーブ色のミニスカート、黒いリストバンド)
【趣味】料理、メール
【特技】料理
【経歴】両親と妹のいる普通の家庭で育った
【備考】世話好きだが度が過ぎウザがられる事もしばしば。
また困っている人を放っておけないタチでもある
----
- 284 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/23(月) 23:27:39
- 投下終了です。セルゲイの国は旧ソビエトをイメージしています。
- 285 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/25(水) 23:50:13
- 投下します。俺オリロワ2nd 3話 人は案外、簡単に一線を超える
登場:狼我秀秋、碓井守夫
- 286 :人は案外、簡単に一線を超える ◆ymCx/I3enU:2010/08/25(水) 23:54:11
- 3話 人は案外、簡単に一線を超える
エリアB-3に存在するショッピングモールの屋上。
灰色と白の毛皮を持った狼獣人の青年、狼我秀秋(おおか・ひであき)は、
室外機の陰に隠れ、デイパックの中身を漁っていた。
「バタフライナイフか。武器にはなるな。それと……」
銀色に光るバタフライナイフの他に、彼の支給品は二つあった。
「うぉ……こいつは馬の○ン○型デ○ルドじゃねえか。
碓井さんもこんなの使ってたな……ローションまである」
黒色の硬いゴム素材で作られた、牡馬のいきり立ったナニを模した玩具と、
内容量が多めのローションが出てくる。
「後で使うか。デカい事は良い事だ」
馬型動物デ○ルドとローションをしまい、バタフライナイフを装備する秀秋。
「しかし、殺し合いか……現実感湧かねえけど」
昨夜は特に変わった事は無かった。
いつものようにハッテン場仲間でありこの殺し合いにも呼ばれている、
虎獣人の長野高正、人間の暑苦しいオヤジ碓井守夫と殺し合いに呼ばれていないもう一人に、
夕方から深夜まで輪姦して貰い就寝した。
だが、一体いつどうやって自分はこの殺し合いの場に連れて来られたのか。
全く記憶が無い。
「さて、どうしようかな……」
秀秋は尻尾を振りながら思案する。
殺し合いの参加者の中で知っている者は何人かいる。
ハッテン場仲間の長野高正、福井知樹、鐘上真生、二宮嘉光。
ハッテン場のある公園に住み付く野良犬のハヤト。
元競走馬で今は乗馬用の馬として牧場暮らしのサラブレッド種の牡馬、シップウジンライ。
自分の年の離れた従兄弟で首都特務警察隊にいる狼我真夕美。
名簿には他にも二人自分と同じ名字の者がいたが覚えは無い。
知り合いは多い。この全員と殺し合わなくてはならないのだろうか。
秀秋は更に考える。
ハッテン場仲間は仲は良いが、友達と言う程でも無い。
ましてや犬と馬の方も尻を掘って貰っただけで親しくは無い。
従兄弟の真夕美はたまに会う程度で、やはり親しい訳では無い。
「むぅ……」
「おい、誰かいるのか? いるなら出て来てくれ」
「ん?」
秀秋が身を隠す室外機の向こう側から呼び掛ける声が聞こえた。
- 287 :人は案外、簡単に一線を超える ◆ymCx/I3enU:2010/08/25(水) 23:55:42
- 「その声は……」
秀秋はその男の声に聞き覚えがあった。
「碓井さんか?」
「ん? 何で俺の名前を、いや、その声、狼我君か!」
室外機の陰から狼青年が出る。
スーツ姿の妙に爽やかそうな中年男性の姿を認め、思わず笑みをこぼした。
中年男性――碓井守夫(うすい・もりお)は綺麗な歯並びの白い歯を覗かせながら、
心の底から嬉しそうな表情を浮かべた。
「いやあ、こんなにも早く知り合いと再会出来るとは。嬉しいよ狼我君」
「俺もだ。碓井さん」
「しかし、大変な事になった。殺し合いとはな……」
打って変わって深刻そうな表情になる守夫。
「…碓井さんは、この殺し合い、どうするんだ」
「何? どうするって決まっているだろう。こんな殺し合いなんかに乗らん!
何とかして殺し合いを潰すんだ」
この正義感の強さ、熱血さ。これと男好きのゲイという側面は余りにギャップがあると、
秀秋は心の中で思う。もっともそれは普段接している時から常々思っていた事だが。
それ故、碓井守夫は殺し合いには乗る事は無いだろうと考えていたが当たっていた。
そして、守夫の方も、自分は殺し合いに乗るなどとは微塵も考えていないようだ。
つまり自分の事を信頼している、と言う事なのだろう。
ある意味でそれは嬉しい。
しかし――――。
「勿論、君も協力してくれるだろう? 狼我君」
狼の青年に協力を仰いだ守夫は、その言葉の直後に腹部に打撃を感じた。
だが、ただ打撃されただけで、このように焼けるような熱さを感じるだろうか。
「……あ、ああ?」
何やら生温い液体が流れ出ている。
視線を下に向けると、毛皮に覆われた狼獣人の手が見えた。
この手で自分の息子を何度も扱いて貰い快感を得た。
しかし今握られているのは金属製の柄。その先は自分の腹に埋もれているが、間違い無く刀身。
刀身が引き抜かれた。秀秋は守夫に肉薄し、右手に持ったバタフライナイフを、
突き上げるように何度も何度も守夫の腹に突き刺した。
一度刺される度に守夫は声にならない呻き声を発し、遂には血反吐を吐いた。
そして十回目ぐらいだろうか。腹部が血塗れになった守夫は、
ズルズルと屋上の地面に崩れ落ちて行く。
秀秋は右手に真っ赤になったバタフライナイフを持ったままその様子を静観している。
- 288 :人は案外、簡単に一線を超える ◆ymCx/I3enU:2010/08/25(水) 23:57:23
- 「………狼我……君……どうして…こん……な………」
掠れた声でそう言った直後、守夫は地面に倒れ、血溜まりを作り、死んだ。
「…悪いな碓井さん。だけど……生き残るためだから」
秀秋はそう言うとナイフと手に着いた血糊を守夫の衣服で拭き取り、
守夫のデイパックの中身を漁り始めた。
基本支給品の他に出てきた物は、ひんやりと冷たい青い水晶三個、
リボルバー式の拳銃と予備の弾薬だった。
説明書によれば、青い水晶は「アイスクリスタル」と言い、投げ付ければ、
相手に冷凍によるダメージが与えられる、らしい。
「クリスタルって何だろうな……まあ拳銃があるから良いや」
リボルバー拳銃、コルト パイソン.357マグナムをズボンに差し、
予備弾をポケットの中に入れ、アイスクリスタルを自分のデイパックに移し替える。
もう後戻りは出来ない。秀秋は守夫の死体を見下ろしながらそう思った。
自分はこの殺し合いに乗ると決めた。
優勝し生きて帰るために、知り合いも身内も、皆殺すつもりだ。
首には爆弾付きの首輪がはめられ逃げたり無理矢理外そうとしたりすれば爆発する仕組みになっている。
守夫が殺し合いを潰すと言っていたが、正直、それが可能とは思えない。
「それなら俺は確実な方を取るよ………ああでも、
人を殺したって言うのに、随分冷静だな。俺」
拭い切れなかった血の付いた手を見詰めながら、秀秋が言う。
【碓井守夫 死亡】
【残り 54人】
【一日目/深夜/B-3ショッピングモール屋上】
【狼我秀秋】
[状態]健康、右手に血痕付着
[装備]コルト パイソン(6/6)
[所持品]基本支給品一式、.357マグナム弾(18)、アイスクリスタル(3)、
バタフライナイフ、馬の○○○型デ○ルド、ローション
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗り、優勝を目指す。知り合いも身内も殺すつもり。
1:次はどうしようかな。
[備考]
※特に無し。
※B-3ショッピングモール屋上に碓井守夫の死体と、
碓井守夫のデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。
- 289 :人は案外、簡単に一線を超える ◆ymCx/I3enU:2010/08/25(水) 23:58:12
- ----
≪キャラ紹介≫
【名前】狼我秀秋(おおか・ひであき)
【年齢】20歳
【性別】男
【職業】大学生
【性格】怠惰、若干マゾ
【身体的特徴】灰色と白の狼獣人。中肉中背
【服装】私服(白いシャツの上に黒いジャケットを羽織っている、カーキ色のズボン着用)
【趣味】ネトゲ、ハッテン場通い、ア○ニー、輪姦される事(男に)
【特技】締まりがとても良い(何の?)
【経歴】17歳の時からハッテン場通いを始めている
【備考】男一辺倒では無く女も好き。狼我真夕美というかなり年上の従兄弟がおり、
たまに会って肉体関係を持っている(二回妊娠させたが本人が堕胎している)
【名前】碓井守夫(うすい・もりお)
【年齢】43歳
【性別】男
【職業】サラリーマン(詳細は不明だがそこそこ偉いらしい)
【性格】明るく正義感、道徳心が強い、けど、ゲイな人
【身体的特徴】黒髪でがっしりとした体格。色黒
【服装】灰色のスーツ
【趣味】ドライブ、ゴルフ、釣り、カラオケ、ハッテン場通い
【特技】握力がかなり強い
【経歴】一年程前、ハッテン場仲間の狼我秀秋、二宮優光と共に深夜の牧場に侵入し、
繋がれていた元競走馬のサラブレット種の牡馬・シップウジンライと、
決死のア○○プレイを試みた(当然碓井が入れられる側)。その様子は優光により
ビデオに撮影されネットにも流れている。無事に生還、秀秋と優光もシップウジンライに掘られる。
以後何度か他の仲間と共にシップウジンライの元を訪れ、掘って貰っている。
そのためかシップウジンライとは仲が良い
【備考】
馬の○○○型デ○ルド愛用者でもある。妻子がいるが妻とは10年前に離婚、
子供も妻が育てている。離婚の理由は決して本人の趣味が原因によるものでは無い
≪支給品紹介≫
【バタフライナイフ】
折畳式の小型ナイフ。
【馬の○○○型デ○ルド】
その名の通り牡馬のいきり立った○○○を模した大人の玩具。
成人男性の腕程もあるので使用出来る者は上級者に限られるだろう。
恐らくローション必須。
【ローション】
性交時、挿入困難な場合に使用する潤滑剤。
強い粘性と潤滑性をもった水溶液で摩擦を軽減させる効果がある。
【コルト パイソン】
1955年に登場した.357マグナム弾を使用するリボルバー拳銃。
芸術品を思わせる形状ながら協力な.357マグナム弾の発射に耐えうる剛性を持ち、
「リボルバーのロールスロイス」と呼ばれている。
【アイスクリスタル】
強力な氷の魔法を封じ込めた水晶。青色で触ると冷たい。
投擲し砕けると半径三メートル以内が凍り付き、効果範囲にいた者は、
凍り付いて凍死、或いは凍傷によるダメージを負う。
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- 290 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/26(木) 00:00:35
- 投下終了です。そうだね、ウホッ、な人達だね。
規制が全然解除されないよったく…。
- 291 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/28(土) 10:18:02
- 投下します。俺オリロワ2nd 4話 食物連鎖
登場:シップウジンライ、ロディオン
- 292 :食物連鎖 ◆ymCx/I3enU:2010/08/28(土) 10:21:25
- 4話 食物連鎖
満月の光が照らす深夜の市街地。
一頭のサラブレッド種の牡馬がアスファルトの道路の上をとぼとぼと歩いていた。
首には黒い首輪、背中にはデイパック。
この殺し合いの参加者の一人、元競走馬のシップウジンライである。
(殺し合いなんて……何でそんな事しなくちゃいけないんだよ)
心の中でシップウジンライが呟く。
支給品を確認しようにも、馬である彼はデイパックが開けられない。
それ以前に喋れないため、他の参加者と遭遇しても意思疎通が図れるかどうか。
(碓井さんとか、碓井さんの友達の人もいるみたいだけど……)
開催式の広間にいた、かつて自分を薬で欲情させ、自らの尻を掘らせた、
好色家だが好人物の碓井守夫とその友人達の事を思い出す。
特に碓井守夫とはその後、かなり親密となっているため、この殺し合いにおいて、
信用出来そうな人物ではあった。
(碓井さん達を捜そうか…うん、そうしよう)
一人ぼっちで心細いシップウジンライは、碓井やその友人達の姿を捜そうと決めた。
その時、背後に何かが降り立った。
「ブルルッ!?」
気配を感じ、シップウジンライが振り向くと、そこには、
大鷲と獅子を合わせたような外見の、翼を持った魔獣がいた。
その魔獣の外見に、シップウジンライは覚えがある。
(確か、グリフォン、だっけ? そう言えばあの開催式の時にも見たような……)
「おお、これは美味そうな馬だ……」
人語を話しながら、グリフォンはご馳走でも見付けたような目でシップウジンライを見詰め、
舌舐めずりをする。
シップウジンライは知る由も無いが、グリフォンの大好物は、馬なのだ。
(あ、あれ、やばいかな。逃げた方が……)
シップウジンライがそう考えた時にはもう遅かった。
「頂きます」
バリッグシャガツガツガツブチッバリバリバリッ………。
深夜の市街地に、形容し難い、生々しい音が響いた。
- 293 :食物連鎖 ◆ymCx/I3enU:2010/08/28(土) 10:22:18
- 数十分後。
「ふぅ…美味かった」
ほとんど骨だけになった牡馬の死体の傍で、口元や胸元、両前足を血塗れにした、
雄のグリフォン――ロディオンが少し膨れた腹を擦りながら満足そうに言う。
「さて……食事は取ったが、これからどうするかな。
取り敢えず、ヘルムートとマレーネの奴でも捜すか……」
殺し合いに呼ばれている二人の知人の名前を呟き、
ロディオンは牡馬が持っていたデイパックと、
「ん………首輪……」
何と無く、転がっていた血と脂塗れの参加者用の首輪を拾い上げた。
【シップウジンライ 死亡】
【残り 53人】
【一日目/深夜/A-8市街地】
【ロディオン】
[状態]健康、血塗れ、満腹
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)、シップウジンライのデイパック、
シップウジンライの首輪(血と脂塗れ)
[思考・行動]
基本:殺し合いをする気は無い。ヘルムートとマレーネを捜す。
1:襲われたら戦う。
[備考]
※特に無し。
※A-8市街地にシップウジンライの死体が放置されています。
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≪キャラ紹介≫
【名前】シップウジンライ
【年齢】人間で言えば20代半ば
【性別】雄
【職業】乗馬用の馬(元競走馬)
【性格】至って温厚
【身体的特徴】茶色のサラブレッド種の馬。肉付きは良い
【服装】無し
【趣味】走る事
【特技】やっぱり走る事
【経歴】競走馬だったが怪我により若くして引退。乗馬用の馬として余生を送っていた。
一年程前、飼育されている牧場に侵入した碓井守夫、狼我秀秋、二宮優光に、
欲情させられる薬を飲まされ、碓井守夫の尻を掘ってしまった。だが以来、
碓井守夫と親密になった
【備考】足を怪我したが、一応走る事は可能
【名前】ロディオン
【年齢】30歳
【性別】雄
【職業】野生のグリフォン
【性格】飄々としている、何気に残虐
【身体的特徴】白い大鷲の頭と翼と前足、獅子の身体と後足、尻尾を持ったグリフォン
【服装】無し
【趣味】毛繕い、水浴び
【特技】翼を使っての飛翔、風を起こす事が出来る
【経歴】冒険者との交戦歴あり
【備考】三十路だと言うのに未だに独り身なのでそれを気にしている。
ドラゴンのヘルムート、エルフのマレーネの二人の友人とよく行動している
----
- 294 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/28(土) 12:02:25
- 投下終了です。
- 295 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 17:49:50
- 突然で申し訳有りませんが、俺オリロワ2ndは無かった事にして下さい…。
やはりオリキャラ+版権キャラのロワで行こうと思います。
勝手な事言って申し訳ありません…。
- 296 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 17:55:06
- 俺オリロワ2ndは打ち切らせて頂きます、すみません。
代わりに考えたロワのOP投下します。すみません。
ロワ名:俺得バトルロワイアル3rd
0話 試合開始〜オープニング〜
登場:野比のび太、源静香、剛田武、骨川スネ夫、クレアス、エロリア、ディオナ、香取亮太、稲村由布子
- 297 :試合開始〜オープニング〜 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 17:56:06
- 0話 試合開始〜オープニング〜
「おい、のび太起きろ! 寝てる場合じゃねえよ!」
「う…ん……何? 今日は日曜日じゃない」
「のび太! いい加減に起きろって!」
「のび太さん!」
「ん……この声…ジャイアンに、スネ夫に、静香ちゃん? あれ?
何でみんながいるの?」
目を覚ました眼鏡の少年、野比のび太は、自分の寝室に何故か友人達がいる事に驚く。
だが、周囲を見渡し、今自分が寝ていたのは自分の寝室などでは無い事に気付き更に驚いた。
前方に巨大なモニターが設置された、壁も天井も床も白一色なホール。
窓は無く、入口らしき場所はあるがシャッターが下りている。
また、大勢の人間や、動物の頭を持った獣人のような人間、漫画に出てくるような怪物がいる。
皆、一様に混乱や困惑の表情を浮かべているが平然としている者も何人かいるようだった。
「ここは…!?」
「分からねえ……俺達も、いきなりこんな部屋にいたんだ」
ジャイアンこと剛田武がのび太に大まかに状況を説明した。
「何なの一体…怖いわ……明らかに人間じゃない人も一杯いるし」
「うう……しかも、見てくれのび太、僕達の首に、黒い首輪がはまってるだろ?」
「あ、本当だ」
スネ夫の言う通り、この場にいる全員の首に、黒い金属製の首輪がはめられているようだった。
勿論、自分の首にも。触ってみるとひんやりと冷たい感触が伝わってきた。
ブツ……。
突然、巨大なモニターの電源が入った。
のび太達を含め、人々がモニターを注視する。
そしてモニターに映し出されたのは、二人の人間。いや、片方は人間では無い。
一人は黒い長めの髪を持った白衣姿の男。もう一人は白い毛皮の狐獣人の綺麗な女性。
女性も同じように白衣姿だった。
『この映像を見ている皆さん、初めまして。
私は香取亮太(かとり・りょうた)と申します。隣は助手の稲村由布子(いなむら・ゆうこ)。
以後お見知りおきを』
香取亮太と名乗った男と、稲村由布子と紹介された白狐獣人の女性は軽く一礼する。
『皆さんに本日集まって頂いたのは、とあるゲームをして頂く為です』
ゲームという単語に人々はざわめき立つ。一体何のゲームをやらせようと言うのかと。
のび太達も気になったが、状況からして楽しい類のものとは考え難かった。
そしてその考えは正しかった事がすぐに証明された。
『皆さんにして頂くゲームは、バトルロワイアル……殺し合いです。
これから皆さんに、ちょっと殺し合いをして頂きます。最後の一人になるまでです。
反則は有りません』
人々が更にざわめき立つ。最早話についていけない。
いきなり連れて来られいきなり殺し合えと言われれば無理も無い反応である。
何かの冗談か? タチの悪いテレビ局のドッキリ企画か何かか?
そう考える者も何人かいたが、深刻そうな表情でモニターを見詰める者も多かった。
- 298 :試合開始〜オープニング〜 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 17:57:51
- 「こ、殺し合い? な、何言ってるんだよあの人!」
「落ち着けスネ夫! 最後まで話を聞こう…」
「……」
スネ夫は動揺し、ジャイアンはそんなスネ夫を宥め、静香は不安気な表情を浮かべる。
のび太は必死に頭の中を整理しようとしていたが、上手く行かなかった。
『皆さんの首に、首輪がはめられていますね?
それは、ゲームをスムーズかつ確実に行うための物です。
くれぐれも無理矢理外そうとしたりしないで下さい――――爆発しますよ』
爆発する。その言葉が言い放たれた瞬間首輪に触れていた全員が一斉に手を下ろした。
『その爆発と言うものがどの程度の威力かと言うのをお見せします』
そう言った後香取は稲村に何かを促した。
すると稲村は机の上に置かれていたノートパソコンのキーボードを叩いた。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……。
「え? 何これ?」
一人の色黒の肌を持ったダークエルフの少女の首輪が、電子音を一定間隔で響かせ始め、
赤い小さなランプがその音に合わせて点滅し始めた。
『皆さん、ディオナさんから離れた方が良いですよ』
「え? 何これ、何なのこれ!? 音が段々速くなって…ッ!?
い、嫌! クレアス! エロリア! 助けて! 助けて!」
ディオナと呼ばれた少女の言う通り、電子音の鳴る間隔がどんどん速くなっていく。
間違い無く、とても嫌な事が起きると誰もが予感した。
だが、助ける事は出来ない。どうして良いのか分かるはずが無い。
助けを請われた二人の彼女の仲間も同じであった。
ピィーーーーーーーーー。
「あ―――」
バァン!!
ホール内に爆発音が響き、ディオナの首輪の喉笛に当たる部分が炸裂した。
ディオナは喉笛に風穴が空き、真っ赤な液体を噴き出しながら、床にうつ伏せに倒れ、
血溜まりを作り動かなくなった。
ホールはしんと静まり返り、火薬と硝煙の臭いに混じり、血生臭い臭いが漂い始めた。
「デ、ディオナ……」
「……」
ディオナが死の直前、名前を呼んだエロリアとクレアスの二人は、
呆然とただの血塗れの肉塊と化した仲間のダークエルフの少女を見詰めていた。
「う、あ、ああ……!」
「マジ、かよ…」
「酷い……」
「……っ」
のび太達は、生まれて初めて人が死ぬ場面を目の前で目撃する事となった。
『お分かり頂けたでしょうか……』
理解したく無くとも、理解せざるを得まい。
下手な事をすれば首にはめられた首輪は爆発する。ディオナという少女の二の舞になる。
ここはおとなしく香取の言う事に耳を傾けた方が良さそうだ。
人々のほとんどはそう判断した。
- 299 :試合開始〜オープニング〜 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 18:00:29
- 『ではルール説明に移りましょう……由布子、頼んだ』
『うん、分かった……では、ルールを説明します。
先程も言った通り、皆さんで最後の一人になるまで殺し合って貰います。
最後まで生き残った一人が優勝となり、帰る事が出来ます。
参加者の間のやり取りに反則はありません。ゲーム会場の施設の利用も自由です。
首輪に関してもう少し詳しく。 首輪は無理に外そうとしたり、禁止エリアに進入したり、
ゲーム進行に大幅な支障を来すような行動を取った場合、爆発します。
ゲーム開始の際、支給品の入ったデイパックを渡します。
デイパックは特別製でして、死体を含む参加者、明らかに規格外の物以外は、
何でも入れる事が出来、重量も変わりません。
最初から入っている物はゲーム会場の地図、参加者名簿といった、
基本支給品一式と、武器等のランダム支給品が1〜複数個です。
ランダム支給品は役に立つ物ばかりとは限りません。これはハンデを少なくするためです。
一応会場にも色々な物が落ちていると思いますので、
もし武器が貧弱だったならば、すみませんが自弁して下さい。
0:00、4:00、8:00、12:00、16:00、20:00の四時間おきに、定時放送を流します。
内容はその時刻までの新たな死亡者と、禁止エリアの発表です。
禁止エリアはその名の通り、入ると首輪が作動するエリアです。
放送から一時間後に指定のエリアが禁止エリアになります。
また、地図の外や上空100メートル以上も禁止エリア扱いです。
侵入すると同じく首輪が作動します。
24時間新たな死者が出なかった場合、その時点での生存者全員の首輪を爆破します。
つまり優勝者無し、ゲームオーバーです。 また、参加者が全員死亡しても同様です。
なお、魔法や超能力、特殊能力の類は一切使用出来なくしてあります。これもまた、
ハンデを少なくするための措置です……以上です』
『ありがとう。由布子』
知り合いがいる者もいない者も、周囲の人々と顔を見合わせる。
これから自分はこれらの人々と、知り合いと、殺し合いをしなければならないのか。
一体なぜ、何のために。なぜ殺し合いをしなければいけないのか。
モニターの向こうの香取亮太にその理由を是非問いたい。
だが、それは叶わない。
「それでは、バトルロワイアルを開始します……皆さん、ご健闘をお祈りします。
ククク……ハハハハハハ……」
香取が笑い声を上げるのとほぼ同時に、人々は強烈な眠気に襲われた。
勘の良い者は、それが催眠ガスだと分かったが、分かってもどうしようも無かった。
次々と床に伏し、眠りに就く人々。
(殺し合い、なんて…僕は……みんなを…殺さなくちゃ…いけない……の………!?)
薄れゆく意識の中で、野比のび太はこれからの自分の行く末を案じた。
【ディオナ@VIPRPGシリーズ 死亡】
【残り51人】
【ゲームスタート】
- 300 :俺得ロワ3rd・詳細 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 18:05:30
- ≪参加者名簿≫
20/20【オリキャラ】
○伊東結/○ヴォルフ/○神庭龍徳/○黒崎奈桜/○香瀧宏叔/○紺野優佳/
○桜川あいり/○坂上正男/○佐藤文博/○シーザー/○シリウス/○宿禰千恵/
○高村紀嗣/○トレディア/○冬月蒼羅/○ヘルムート/○マティアス/○リーヴァイ/
○リュティ/○脇坂忠行
9/9【VIPRPGシリーズ】
○アレックス/○リリア/○ブライアン/○ゴメス/○ドラゴナス/○ダーエロ/○ムシャ/
○クレアス/○エロリア
6/6【自作キャラでバトルロワイアル】
○森屋英太/○銀鏖院水晶/○エルフィ/○テト/○ノーチラス/○フラウ
4/4【銀魂】
○坂田銀時/○志村新八/○土方十四郎/○沖田総悟
4/4【ドラえもん】
○野比のび太/○源静香/○剛田武/○骨川スネ夫
2/2【かのこん】
○小山田耕太/○源ちずる
2/2【そらのおとしもの】
○見月そはら/○アストレア
2/2【東方Project】
○鈴仙・優曇華院・イナバ/○東風谷早苗
2/2【モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
○ライガー/○ギンギライガー
51/51
≪主催≫
2/?【オリキャラ】
○香取亮太/○稲村由布子
【時間帯表記】
深夜:0〜2 黎明:2〜4 早朝:4〜6
朝方:6〜8 午前:8〜10 昼:10〜12
昼間:12〜14 午後:14〜16 夕方:16〜18
日没:18〜20 夜:20〜22 真夜中:22〜24
【会場マップ】
||01|02|03|04|05|06|07|08|
|A|森|森|森|森|健|街|ホ|街|
|B|森|街|シ|街|街|住|住|住|
|C|森|街|川|川|川|橋|川|川|
|D|森|街|橋|役|住|住|住|図|
|E|川|橋|川|住|学|公|住|住|
|F|警|街|病|住|森|森|森|森|
|G|街|街|住|森|森|村|村|森|
|H|平|平|遊|森|森|森|森|森|
森……森林地帯
健……健康センター
街……オフィスや店舗がある市街地
ホ……ホテル
シ……ショッピングモール
住……民家が建ち並ぶ住宅街
川……幅が広く深めの川
橋……普通の橋
役……市役所
図……図書館
学……小学校
公……公民館
警……警察署
病……病院
村……廃村
平……平野部
遊……遊園地
- 301 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 18:08:48
- 投下終了です。
マップやルール、オリキャラの一部は俺オリロワ2ndのものを流用しています。
また、ヴォルフ、リーヴァイ、シリウスの三人は以前の自分のロワに
登場したものと同一人物で、いずれも以前のロワに参戦する前からの参戦です。
例によって出典有のキャラはキャラ崩壊が激しいと思われます。
今度こそ頑張る!
- 302 : ◆VxAX.uhVsM:2010/08/29(日) 19:45:37
- 新ロワですか、がんばってください
自分も明後日くらいから新ロワ始まると思います
名簿、あと3人が決まらないですww
- 303 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 21:35:40
- >>302 新ロワ楽しみにしておりますw
投下します。俺得ロワ3rd 1話 満月照らす夜の森
登場:坂田銀時、エルフィ
- 304 :満月照らす夜の森 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 21:37:44
- 1話 満月照らす夜の森
銀色の天然パーマの侍、坂田銀時は、気が付いた時には夜の森の中にいた。
夜空には満月が輝きそれなりに明るい。
「殺し合いねえ、何てこったい……」
頭をかいて現状に嘆息を漏らす銀時。
「新八に真選組のマヨネーズ中毒とサド王子もいるしなぁ。
取り敢えず奴らを捜すか…その前に」
傍に落ちていた、いや、置かれていたデイパックを拾い上げ、
近くの木の根元に座り込み中身を確認する。
参加者名簿を開くと、自分の営む万事屋の従業員志村新八、
江戸のチンピラ警察、もとい武装警察真選組の副長、土方十四郎と、
一番隊隊長、沖田総悟の三人の他にも大勢の名前が五十音順で記載されている。
名簿を地面に置き、次に地図を取り出す。
開くと川の流れる市街地、周囲に存在する森や廃村が描かれていた。
現在位置である森はどの部分に当たるのだろうか。
「まあそれは後で調べるか…さて……」
コンパスや食糧と言ったその他の基本支給品を取り出し、銀時はランダム支給品の確認に移る。
まず取り出したのは全体的に黒色の刀――黒作大刀であった。
「刀か。当たりだな」
侍である銀時には十分適性のある武器であった。
更に支給品はもう一つ入っていた。
「うおっ、イチゴ牛乳じゃねーか」
パック入りのイチゴ牛乳が五本。銀時の好物である。
基本支給品をデイパックの中にしまい、腰のベルトに黒作大刀を差し込む。
そして何気無く首にはめられた首輪に指を触れる。
この首輪がどういう物かはあの開催式でよく思い知らされた。
「あの香取ってヤロー、何者なんだ……攘夷志士って感じじゃ無さそうだしな……」
このような殺し合いを開く理由は何なのか。
銀時には己の想像の範囲を超えているのでそれは分からなかったが、
ただ一つ言える事は、このような殺し合いには絶対に乗らないと言う事だ。
だが、自分を含め全部で51人もいる参加者。
きっと殺し合いに乗る者も大勢出てくるだろう。そういった者に襲われたら戦うつもりではある。
「何にせよ、この首輪をどうにかしねーと…新八達捜すついでに、
首輪を外せそうな奴も……ん?」
背後の茂みから物音が聞こえたような気がした。
「……おい、誰かいるのか?」
銀時が茂みに向かって声を掛ける。
すると、ゆっくりと茂みから一人の参加者が出て来た。
灰色の狼獣人の少女、エルフィは、怯えた様子で目の前の銀髪天然パーマの男に話し掛け始めた。
- 305 :満月照らす夜の森 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 21:38:43
- 「あ、あの、あなたは殺し合いには…」
「あぁ? 乗ってねーよ。お前は?」
「の、乗ってないです」
「そうか。俺は坂田銀時っつーんだ、お前は?」
「エルフィです…」
互いに自己紹介を交わす銀時とエルフィ。
「エルフィ、折角だし一緒に行かねーか?」
「良いんですか?」
「おう。殺し合いに乗ってない奴捜してた所だからな」
「ありがとうございます……宜しくお願いします、坂田さん」
「あー、銀さんで良い。坂田さんだとどっかの猫耳娘思い出して腹立つ」
「え? わ、分かりました、銀さん」
こうして銀髪天然パーマの侍と狼獣人の少女は共に行動する事となった。
「エルフィ、お前、何を支給されたんだ?」
「私は、この拳銃です」
そう言ってエルフィがスカートの腰の辺りから取り出したのは、
.45ACP弾を使用する大型軍用自動拳銃、インベルM911だった。
「そうかい…良い武器で良かったじゃねえか」
「はい、使う時が来ない方が良いんですけど…」
「…同感だ。だがそうも言ってられねえだろうな。
取り敢えず歩きながら話そうぜ。ずっと立ち止まってても仕方ねえ」
「はい……」
銀時とエルフィの二人は満月が照らす夜の森の中を歩きながら、
互いのこの殺し合いに呼ばれている知り合いの事などを話し合い始めた。
【一日目/深夜/A-2森】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康
[装備]黒作大刀
[所持品]基本支給品一式、イチゴ牛乳(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。そのために首輪を何とかしたい。
1:エルフィと行動。
2:新八と真選組の二人を捜す。
[備考]
※原作かぶき町四天王篇終了後からの参戦です。
- 306 :満月照らす夜の森 ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 21:39:21
- 【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]インベルM911(7/7)
[所持品]基本支給品一式、インベルM911マガジン(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:銀さんと行動。
2:クラスメイトと合流?
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
≪支給品≫
【黒作大刀】
7世紀〜8世紀頃の日本で使われた刀で、金具の材質が銅もしくは鉄であり、
握りには糸、紐、革等を巻き付けられている。そして木で作った鞘には黒漆が塗られている。
このように全体的な色の割合が黒で占められている為、黒作大刀(くろづくりのたち、こくさくたち)、
或いは黒漆太刀(くろうるしのたち、こくしつたち)と呼ばれる。
【イチゴ牛乳】
普通の牛乳パック入りイチゴ牛乳。
【インベルM911】
有名な45口径の自動拳銃コルト ガバメントのブラジル産コピーモデル。
ブラジル軍元制式拳銃で、数あるガバメントクローンの中では古株。
取り立てて特徴はないが、軍用拳銃らしい無骨さ・素っ気なさが逆に魅力。
- 307 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/29(日) 21:39:59
- 投下終了です。
- 308 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/30(月) 21:40:30
- 投下します。俺得ロワ3rd 2話 Gold&Silver
登場:源ちずる、ギンギライガー
- 309 :Gold&Silver ◆ymCx/I3enU:2010/08/30(月) 21:41:31
- 2話 Gold&Silver
狐の耳と尻尾、艶やかな金色の髪、そして爆乳を持った美少女、
ビーストオブエロスこと源ちずるは、何故か、住宅街のとある民家の車庫に停められていた、
セダン車の屋根の上にうつ伏せになっていた。
「何これ、い、痛い痛い…何でこんなスタートなの…」
かなり長い事固い車の屋根の上に居たのだろう、身体中が痛む。
ズルズルと傍に置かれていた黒いデイパックと共に車の屋根から下りるちずる。
「ふぅ……それにしても、殺し合いかぁ…何でこんな事に……。
しかも、何だか正体出てる状態だし、力が湧いてこない……。
外部がら防がれてるって感じ…いや、それよりも何よりも」
ちずるの目の色が変わった。
「耕太君がこんな殺し合いに参加させられてるなんてっ…!
どうしたら良いの…耕太君が死んじゃったら私……!」
この殺し合いには彼女の意中の相手が呼ばれていた。
最悪の事態を想定し動揺するちずる。
「い、いやいや、悲観的になるのはよそう。
まず、耕太君を捜さないと……そう言えば私の支給品って…」
ちずるは屈んでデイパックの中身を漁り始めた。
地図や名簿、懐中電灯の他、食糧も入っている。コンビニおにぎりやサンドイッチが主だ。
そして基本支給品の次に出てきた物は小さな催涙スプレーの缶と、
缶切りや栓抜きなど様々な機能が付けられた小型ナイフ、アーミーナイフだった。
催涙スプレーをブレザーのポケットに忍ばせ、アーミーナイフのナイフ機能を取り出し装備する。
「心許ないけど、無いよりマシだよね」
ちずる自身に進んで殺し合う気は無かった。
耕太のために殺し合いに乗ろうと考えなかった訳でも無いが、
そんな事をして、耕太は決して喜ばない事は良く分かっていた。
「耕太君…私が見付けるまで無事でいて」
愛する少年を捜すため、ちずるは車庫から道路に出た。
「!」
しかし、出て早々、他参加者と遭遇する事となった。
月明かりと街灯の光に照らされ銀色に輝く毛皮を持った、狼のような獣。
耳は見当たらない。代わりに二本の角が見受けられる。
その目は明らかに友好的なそれでは無い。
「早速獲物を見付けた」
「……」
銀色の獣は殺気の籠った視線をちずるに向けながらゆっくりと距離を詰める。
- 310 :Gold&Silver ◆ymCx/I3enU:2010/08/30(月) 21:42:14
- 「悪いが、死んで貰うぞ」
そして、ちずるの喉元を見据え、真っ直ぐに突っ込んできた。
ちずるはアーミーナイフを地面に落とした。
絶望したためか? 否。アーミーナイフを持っていた手をブレザーのポケットに突っ込んだ。
そして、取り出したそれを突進してくる獣の顔面に向け――――。
「ガアアアアアアアアア!! 目が! 目があああああ!!」
両目を押さえのたうち回る獣を尻目に、ちずるは空になった催涙スプレーの缶を捨て、
アーミーナイフを拾い一目散にその場から逃げ出した。
◆
雪山にて、彼、ギンギライガーは、自分を裏切った憎き兄と対決していた、はずだった。
しかし、気付いた時には周囲に大勢の見知らぬモンスターや人間がいるホール。
首には黒い金属製の首輪がはめられていた。
そして香取亮太と名乗る人間の男が殺し合いを宣言した。
殺し合いの参加者の中には兄、ライガーの姿もあった。
丁度いい機会、この殺し合いの中で決着を着けてやろうと、彼は考えた。
他の参加者の事など眼中に無いが、折角だ、殺し合いを楽しむのも良い。
だが、一人目、狐耳尻尾の妙な人間の娘を襲った矢先にこの有様だった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
涙と鼻水が溢れ見るも無残な顔になってしまったギンギライガー。
段々と視力が回復し、ゆっくりと立ち上がる。
「くそ…油断した……何なんだあれは……」
自分が目に受けたガスが、護身用具の催涙スプレーによる物などと、
ギンギライガーは知る由も無い。
何しろ彼の世界には存在しない物なのだから。
「……だがあの女…今度会ったら絶対に殺してやる……」
悔しげに牙を噛み締めながら、ギンギライガーは次の獲物を捜しに歩き始めた。
- 311 :Gold&Silver ◆ymCx/I3enU:2010/08/30(月) 21:43:02
- 【一日目/深夜/B-6住宅街】
【源ちずる@かのこん】
[状態]健康、C-6方面へ走っている
[装備]アーミーナイフ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:耕太君を捜す。この殺し合いから脱出する方法を探る。
1:殺し合う気は無いが襲われたら対処するつもり。
2:耕太君が死んだら……?
[備考]
※参戦時期は少なくとも漫画版で小山田耕太と親密になった後です。
※妖狐状態で容姿は固定されています。また妖力その他は封じられています。
※ギンギライガー(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
【ギンギライガー@モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
[状態]目が痛い、A-6方面へ移動中
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:ライガーと決着を着ける。ついでに殺し合いを楽しむ。
1:獲物を捜す。
[備考]
※アニメ27話、一対一の対決直前からの参戦です。従ってワルモンです。
※源ちずる(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※催涙スプレー(内容量空)はB-6住宅街の道路に放棄されました。
≪支給品紹介≫
【催涙スプレー】
護身用具の一つで、相手の視力を一定時間奪うスプレー。
【アーミーナイフ】
十徳ナイフとも。缶切り、栓抜きなど多様な機能が搭載された小型折畳ナイフ。
- 312 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/30(月) 21:44:16
- 投下終了です。前から源ちずるは出したいと願っていた。
- 313 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/31(火) 23:50:55
- 投下します。俺得ロワ3rd 3話 勇者と女子高生の遭遇
登場:アレックス、伊東結
- 314 :勇者と女子高生の遭遇 ◆ymCx/I3enU:2010/08/31(火) 23:51:56
- 3話 勇者と女子高生の遭遇
エリアE-6の公民館。
非常灯が灯る廊下を、頭に白い鉢巻を巻いた青年、アレックスが歩く。
「暗いなぁ……べ、別に怖い訳じゃないけど」
デイパックの中に入っていた懐中電灯を使いたい所ではあるが、
下手に明かりを灯せば窓から見付かるかもしれない。
「殺し合いか…」
首にはめられた首輪に触れるアレックス。
この首輪によりアンデッドナイ軍のヘレンの偽物、ディオナが惨殺された。
傍にいた同じアンデッドナイ軍の自分の偽物、クレアスとリリアの偽物、エロリアは、
一体何を思ったのだろう。その心境は推し量れない。
アレックスは殺し合いに乗る気は無い。
仮にも勇者である自分が自分の命のために他人を殺して回るなどあってはならない事だ。
仲間を集め、この殺し合いを潰す。アレックスはそう決めていた。
しかし、不安な事も多い。この殺し合いに呼ばれている自分の友人、知り合いの事。
全員、このような馬鹿げたゲームに乗るはずは無い、と信じたいが、
例えば魔王軍四天王の一人ダーエロ。ストーカー相手であるヘレンのために、
殺し合いに乗る可能性もある。
ヘレンもまた然り。最近の彼女は、自分にも原因はあるのだが、どんどん性格的に黒くなりつつある。
アンデッドナイ軍の二人は最も警戒するべきであろう。
仲間を目の前で殺された時も、大して悲しんでいる様子は無かった。
本当は全員信じたいが、それは甘過ぎるだろう。
「はぁ…」
思わずアレックスが溜息をつく。
「支給品、思いっ切り外れだったしなぁ」
アレックスのデイパックの中には、基本支給品の他、硬式野球ボールが3個入っていた。
この野球ボール3個が彼のランダム支給品である。
野球でもしろと言うのか。いやそれ以前に相手もグローブもバットも無いので、
投擲以外には使えない。これなら木の棒でも振り回していた方がマシである。
「まず武器が欲しい所だな……」
魔法も、もしもの力も使えない今、頼りに出来るのは自分の腕のみ。
襲われた時のためにも武器の確保は必須だった。
そしてアレックスは適当な部屋の扉のノブに手を掛けた。
- 315 :勇者と女子高生の遭遇 ◆ymCx/I3enU:2010/08/31(火) 23:54:27
- ◆
伊東結は、公民館内の会議室で目を覚ました。
一瞬、さっきまでの出来事が夢のように感じられたが、首にはめられた首輪を確認し、
あれは夢では無かった事を知る。
「マジ有り得ないって…何よ殺し合いって。ふざけてるってもんじゃないよコレ。
一応ウチの国って法治国家でしょ? こんなの許される訳無いよ。
ああ、夢であってくれたら良いのに…………」
しかし、現実。残念ながら現実。頬を抓れば当然痛い。
「私、ただの女子高生なのに…何か悪い事したっけ……ああ、
もしかして万引きしたから? それともアイスの当たりクジ偽装して駄菓子屋のおばあちゃん、
何度も騙したから? それとも…って、心当たりが有り過ぎて困る」
ぶつぶつと今まで犯してきた覚えている限りの罪を言う結。
何か喋っていないと気がおかしくなりそうだった。
「…あ、デイパック」
傍らに置かれていたデイパックに気付き、手に取って中身を調べる。
名簿が出てきたので開いて見るが知らない名前ばかりだ。
「私、独りぼっちなんだ……」
殺し合いという状況下で誰も頼れる存在がいないという事実に結は孤独感に襲われる。
それを無理矢理振り払い、次に地図を開く。
地図には街と、少しの森が描かれていた。ホテルや警察署、健康センターなど主要な施設が載っている。
また、マス目でエリア分けされており、これは恐らく主催者の香取が言っていた「禁止エリア」と関係があるのだろう。
今自分がいるのはエリアE-6にある公民館だろうか。
地図をテーブルの上に置き、更にデイパックを漁る。
すると、鞘に収められた鋼鉄製の長剣と、小型のリボルバー拳銃と予備弾薬十数発が出て来た。
剣も拳銃も本物。人を殺傷出来る武器である。
「これで殺し合いを……どうしよう、知り合いもいないし……乗っちゃう?
いや……無理無理無理。殺し合いなんてやっぱり出来ないよ……」
知り合いがいないので殺し合いに乗る、と言える程割り切れはしない。
そう簡単に人としての一線は超えられない。
「マジどうしよ……………………」
結の言葉が止まる。
さっきまでいなかったはずの青年と目が合ったから。
「どの辺りから?」
「私、独りぼっちなんだ、の辺りから」
「そうか」
公民館の中に少女の悲鳴が響いた。
- 316 :勇者と女子高生の遭遇 ◆ymCx/I3enU:2010/08/31(火) 23:55:39
- ◆
「ごめん、悲鳴上げちゃって」
「いや、良いさ…俺も驚かせてすまなかった」
数分後、どうにか少女を落ち着かせ、アレックスは少し疲れた様子で話し始める。
「それで……結、さっきの君の独り言から察するに、
君は殺し合いには乗っていないと見て良いか?」
「え? あ、うん……そうだね、殺し合いはする気無いよ」
「そうか……」
「アレックス、だったっけ? あんたは……」
「乗ってない。何とかして、この殺し合いを潰そうと思ってるんだ。
結、君も協力してくれないか」
「…………良いよ。一人で寂しかったし」
結はアレックスの申し出を受け入れた。
アレックスの意志に共感した、と言うよりも、独りでいるのが嫌だったから、
単独より二人の方が生存率は上がると踏んだためであるが。
「なぁ、結、何か…武器になりそうな物持ってないか?
俺、支給品がこれだけなんだ…」
そう言いながら自分のデイパックから野球ボールを3個取り出すアレックス。
「私は、この二つ……」
結も自分の支給品である鋼鉄製の長剣ロングソードと、
小型リボルバー拳銃コルト ディテクティヴスペシャルをアレックスに見せる。
「剣と銃か…結、ロングソード俺にくれないか?」
「良いよ…じゃあ、私は銃ね」
結はロングソードをアレックスに手渡し自身はディテクティヴスペシャルを装備した。
生まれて初めて持つ実銃の感触にごくりと生唾を飲み込む。
この引き金を引けば弾丸が発射される。その先に人がいればいとも容易く殺傷する事が出来る。
そう思うと怖い、という言葉だけでは説明出来ない感情が湧いてくる。
一方のアレックスは、当座の武器を確保出来た事に少し安心していた。
「それで、これからどうするのアレックス」
「そうだな。この殺し合い、俺の仲間や知り合いが大勢呼ばれてるんだ。
そいつらを捜しながら、この首にはめられた首輪を外せそうな奴も捜そう。
まず何よりもこの首輪を何とかしないと、脱出なんて無理だろうからな」
「アレックスの知り合いって…?」
「ああ。教えとくよ」
アレックスは名簿を取り出し、この殺し合いに呼ばれている自分の仲間、知人について、
結に一人ずつ簡単に説明した。
「成程ね…分かった」
「まあ、ちょっとクセのある奴が多いけど、会ったら宜しく」
「オーケー」
- 317 :勇者と女子高生の遭遇 ◆ymCx/I3enU:2010/08/31(火) 23:56:14
- 【一日目/深夜/E-6公民館会議室】
【アレックス@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康
[装備]ロングソード
[所持品]基本支給品一式、硬式野球ボール(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。仲間や魔王軍の連中を捜す。首輪を解除する方法を探す。
1:結と行動。
2:エロリア、クレアスは警戒。
3:やむを得ない場合は戦闘も辞さない。
[備考]
※魔法は一切使えなくなっています。
【伊東結@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)
[所持品]基本支給品一式、.38SP弾(18)
[思考・行動]
基本:生き残る事優先。死にたくない。
1:アレックスに守って貰う。
[備考]
※アレックスの仲間、知人の情報を得ました。
≪支給品紹介≫
【硬式野球ボール】
硬式野球で使う、何の変哲も無い普通の野球ボール。
【ロングソード】
鋼鉄製の量産型の長剣。
【コルト ディテクティヴスペシャル】
1927年に発売されたコルト社製の小型リボルバー拳銃。
「ディテクティヴ」とは「探偵、刑事」を意味し、私服の警官や探偵の護身用として設計された。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】伊東結(いとう・ゆい)
【年齢】17
【性別】女
【職業】高校生、CD屋でバイト
【性格】勝気だが、根は怖がりだったりする
【身体的特徴】茶髪のポニーテール、赤い瞳
【服装】高校制服(赤い縁取りがされた黒いブレザーに、チェック柄のミニスカート)
【趣味】携帯いじり、買物、友達と遊ぶ事
【特技】足が早い
【経歴】小学校二年の時に父親が蒸発し、以来母子家庭で育つ
【備考】不良ぶっているが、緊急時には怖がりな部分を露呈する。
万引きなど軽犯罪行為も行っているが今のところバレたり補導されたりはしていない。
身体を売るような真似はしないと決めている。
- 318 : ◆ymCx/I3enU:2010/08/31(火) 23:57:46
- 投下終了です。伊東結は元々、唯我独尊的な探偵少女という設定でした。
ただの不良娘になりましたけどw
っていうかいつになったら規制解除されるのだろう?
- 319 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/01(水) 23:37:37
- 投下します。俺得ロワ3rd 4話 時と場合によっては誤解されるのは致命的
登場:野比のび太、ヘルムート、桜川あいり
- 320 :時と場合によっては誤解されるのは致命的 ◆ymCx/I3enU:2010/09/01(水) 23:38:23
- 4話 時と場合によっては誤解されるのは致命的
ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーラウンド、ゴーカート、プール……。
様々な遊具が設置されたエリアH-3の遊園地。
従業員も客もいないと言うのに、機械だけが勝手に動き営業していた。
野比のび太はコーヒーカップの前に設置されたベンチに座っている状態で目を覚ます。
「ここは…遊園地?」
周囲を見渡し、自分が今どこにいるのかを把握する。
「そうだ、僕は確か……」
殺し合い。最後の一人が決まるまで終わる事の無い狂気のゲーム。
自分は今、数人の友達と共にその状況に身を置いている。
首にはめられた冷たい金属製の首輪。
「……」
この首輪によって引き起こされた惨劇も思い出した。
「うっ…」
吐き気が込み上げたが、何とか耐える。
そして、傍に置かれているデイパックに気付き、手に取って中身を漁り始めるのび太。
名簿や地図、メモ帳、コンパス、時計、そして、
小型の自動拳銃グロック26と、予備のマガジンが3個出てきた。
小学生であるのび太の小さな手にも十分なサイズであり、性能も抜群である。
元々、射撃が得意なのび太にとって当たりの支給品であった。
「玩具じゃ、無いよね…本物……」
以前スネ夫にこの銃のエアガンを見せて貰った事があった。
外見は寸分違わないが、スライドは金属製、重みも感触も異なる。
試しに近くの植え込みに向けて、引き金を引いてみた。
ダァン!
「!!」
大きな発砲音と同時に銃口から火が噴き、スライドが勢い良く後退して空の薬莢が排出された。
のび太の手と腕、肩に反動が伝わる。
「本物だ……」
日本では民間人が持っていれば即銃刀法違反で逮捕される実銃が自分の手の中にある。
そう思うと不思議な高揚感を感じた。
だが、のび太はこの銃でこの殺し合いに乗る気は無い。
ドラえもんはいないが、三人の大切な友達がいるのだ。彼らを殺す事など出来るはずが無い。
みんなを探し、この殺し合いからの脱出手段を探す。
そうのび太は決意していた。
首輪が爆破され人が一人殺されるのを見た時は怖かった。
だが、みんなで力を合わせればきっと何とかなるはず――――。
「うぐ……ぁ……ぁ」
「え?」
のび太の思考が中断されたのは、銃弾を撃ち込んだ植え込みの中から、
漫画に出てくるような、黒と赤の体色、大きな翼と尻尾を持ったドラゴンが出てきたからだ。
しかし様子がおかしかった。
喉元を押さえ、ふらついている。押さえている部分からは夥しい量の血が流れているようだった。
「ま、まさか、さっきのが……」
「………俺……何も………してな………の……に…………」
くぐもった声でそう言った直後、ドラゴンは地面に崩れ落ち、身体をピクピクと
痙攣させ血溜まりを作り、そのまま静かになった。
- 321 :時と場合によっては誤解されるのは致命的 ◆ymCx/I3enU:2010/09/01(水) 23:38:59
- 「…そんな、僕……そんなつもりじゃ……」
試し撃ちのつもりだった。まさか植え込みの向こうに参加者がいるとは思わなかった。
このドラゴンが殺し合いに乗っていたかどうかは今となっては分からない。
だが、これだけは言える。
「僕、殺しちゃった……」
人間では無いにしろ、自分に何の危害も加えていない参加者を殺害してしまった。
罪の意識がのび太に圧し掛かる。
その時、ふと、視線を感じた。
「!」
「……っ!」
感じた方向に顔を向けると、狐の頭を持った――体型や衣服からして恐らく女性――人間が、
恐怖に顔を引き攣らせて自分の方を見ていた。
目が合った直後、狐の女性は踵を返しかなりの速さで逃げ去ってしまった。
「あっ、待っ…!」
声を掛けた時にはもう狐の女性はいなくなっていた。
「ど、どうしよう、何の事情も知らないでこの状況見たら、
完全に僕は殺し合いに乗っていると思われるよ……!」
女性はなぜ逃げたか、この状況、女性は自分を殺し合いに乗ったものと勘違いしたためであろう。
すぐにでも追おうと思うのび太だったが、走りと体力には自信が無い上、
闇雲に動き回るのは危なかった。
「悪い方向に転ばないで欲しいけど……」
そう願いつつ、のび太はドラゴンの持っていたデイパックを開ける。
正直気が引けるが、生き延びるためであると必死に割り切る。
基本支給品の他、片手長剣のサーベルと、相手の動きを封じる事が出来ると言う、
蜘蛛糸玉を3個見付ける。
「貰っておこう……」
のび太はサーベルと蜘蛛糸玉を自分のデイパックに移し替えた。
「…ごめんなさい……ごめんなさい…本当に……」
誤射とは言え殺害してしまったドラゴンに、のび太は何度も謝った。
- 322 :時と場合によっては誤解されるのは致命的 ◆ymCx/I3enU:2010/09/01(水) 23:41:41
- ◆
赤いジャケットに黒いシャツ、暗い灰色のスカート姿の、
狐獣人の若い女性、桜川あいりは息を切らせながら遊園地内を出口に向かって走っていた。
つい先刻、ドラゴンを殺害していた眼鏡の少年から逃れるために。
(あんな小さな子供も殺し合いに乗るなんて…!)
自分より大柄な竜人体型のドラゴンを、少年は無傷で殺害していた。
現場を目撃する前に聞いた銃声はその時のものだろう。
間違い無い、あの少年は始めたのだ。
(何で、何でこんな事に…! 訳分からないよっ……!)
半べそをかきながら、狐の女性はただひたすらに走る。
自分の考えは誤解だと言う事に、気付くはずも無く。
【ヘルムート@オリキャラ 死亡】
【残り50人】
【一日目/深夜/H-3遊園地】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]健康、罪悪感
[装備]グロック26(11/12)
[所持品]基本支給品一式、サーベル、蜘蛛糸玉(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。友達と合流する。
1:狐の女性(桜川あいり)に今度会ったら事情を離して誤解を解きたい。
[備考]
※桜川あいり(名前は知らない)の容姿を大まかに記憶しました。
【桜川あいり@オリキャラ】
[状態]健康、遊園地北部出入口へ走っている
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:眼鏡の少年(野比のび太)から逃げる。
[備考]
※野比のび太(名前は知らない)の容姿を記憶しました。また、
のび太が殺し合いに乗っていると思っています。
※E-3一帯及び周辺に銃声が響きました。
※E-3遊園地内にヘルムートの死体、ヘルムートのデイパック(基本支給品一式入り)が
放置されています。
- 323 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/01(水) 23:43:31
- 投下終了です。
- 324 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/02(木) 23:22:50
- 投下します。俺得ロワ3rd 5話 サド王子は空を仰ぐ
登場:骨川スネ夫、沖田総悟
- 325 :サド王子は空を仰ぐ ◆ymCx/I3enU:2010/09/02(木) 23:23:33
- 5話 サド王子は空を仰ぐ
骨川スネ夫は怖かった。
この暗い森の中に一人ぼっちだから、というだけでは無い。
首には爆弾内蔵の死の首輪がはめられ、最後の一人が決まるまで、
戦わなければ、殺し合わなければならない殺し合い――バトルロワイアルの真っ只中にいる。
いつ襲われるか、いつ死ぬのか。
全く分からない死と隣り合わせのこの状況は、
スネ夫には到底、耐えられるものでは無い。
デイパックを乱暴に漁り、スネ夫はコンバットナイフと、双眼鏡を見付ける。
コンバットナイフを鞘から抜き、装備し、血走った眼で辺りを見回す。
「死にたくない、死にたくない、死にたくない……」
うわ言のように、同じフレーズを何度も呟くスネ夫。
「畜生、やってやる。やってやるよ……!」
恐怖心によって固まった彼の思考回路は誤った答えを導き出してしまった。
即ち殺し合いのルールに則り、殺し合いを行うという事。
最早スネ夫の頭には自分が生き残る事しか無かった。
同じく殺し合いに呼ばれている自分の友達の事などどうでも良くなっていた。
「おい、そこのー」
「!!」
若い青年の声が聞こえ、スネ夫が声の方へ向く。
月明かりに照らされた、黒いかっちりとした制服に身を包んだ好青年が立っていた。
「ちょっといいか?」
青年はスネ夫に何か話し掛けようとしていたが、スネ夫の耳には入っていない。
「う、うわああぁぁぁあああぁぁあああ!!」
「ッ!?」
叫び声を上げながら、スネ夫はコンバットナイフを振り上げ、青年へと向かっていった。
夜の森に、真紅の液体が飛び散った。
- 326 :サド王子は空を仰ぐ ◆ymCx/I3enU:2010/09/02(木) 23:24:35
- ◆
「チッ……襲い掛かってきたもんだから反射的に斬っちまったが、
まだガキじゃねえか…チャイナ娘や新八君より年下だな」
沖田総悟は頭をかきながら、正当防衛とは言え斬り殺してしまった、
狐のような顔の少年の死体を見下ろす。
殺し合いという状況に気でも触れたのだろうか。
だが総悟にとって、職業柄、人を斬るなどという事は日常茶飯事である。
例えそれが女子供であったとしてもだ。
なので罪悪感など微塵も無い。すぐに頭を切り替え、少年の荷物を調べ始めた。
「ナイフに双眼鏡ね……双眼鏡だけ貰ってくか」
双眼鏡だけ自分のデイパックに移し替えると、総悟は少年の死体に背を向け、
コンパスを見ながら東の方角へと歩き出した。
武器は自分の支給品である打刀がある。それで十分に戦える。
「にしても殺し合いたァ、酔狂な事考えるぜあの香取って野郎ォ。
首に首輪まではめやがって…はめられるんのは土方さんで十分だィ。
………まぁとにかく、万事屋の旦那、新八君、土方さんを探すか」
殺し合いに呼ばれている腐れ縁の銀髪天然パーマの侍と、
眼鏡ツッコミ少年、自分の上司のマヨラー男の事を考えながら、
サド王子こと、真選組一番隊隊長・沖田総悟は夜空を仰いだ。
【骨川スネ夫@ドラえもん 死亡】
【残り49人】
【一日目/深夜/D-1森】
【沖田総悟@銀魂】
[状態]健康
[装備]打刀
[所持品]基本支給品一式、双眼鏡
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らないが、襲い掛かる者には容赦しない。
1:坂田銀時、志村新八、土方十四郎の三人を捜索する。
2:可能なら協力者も捜す。
[備考]
※原作かぶき町四天王篇終了後からの参戦です。
※D-1森に骨川スネ夫の死体、コンバットナイフ、
骨川スネ夫のデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。
≪支給品紹介≫
【コンバットナイフ】
戦闘用ナイフ。頑丈な作りで切れ味も鋭い。
【双眼鏡】
望遠鏡の一種で、遠方の物を両眼で拡大して見る光学器械。
【打刀】
いわゆる日本刀。切れ味鋭い刃を持つ片刃の両手剣。
- 327 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/02(木) 23:25:05
- 投下終了です。
- 328 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 02:40:47
- 投下します。俺得ロワ3rd 6話 夜の病院は怖い
登場:土方十四郎、佐藤文博
- 329 :夜の病院は怖い ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 02:42:39
- 6話 夜の病院は怖い
泣く子も黙る武装警察真選組の鬼の副長・土方十四郎。
剣の腕は一流、頭も切れる彼だが、重度のマヨラーであり、
ヘビースモーカー、お化けの類や歯医者が怖いなど、人間らしい(?)部分も多い。
深夜の病院。部分的に非常灯しか灯っていない廊下。
「……」
いかにも何かが出そうな雰囲気の場所に、土方は一人で立っていた。
意識を失う前、大勢の人間や獣人――天人だろうか――が集められた広間。
そこには自分の部下である真選組一番隊隊長沖田総悟や、
万事屋の銀髪パーマ甘党侍坂田銀時、その従業員の眼鏡少年志村新八もいた。
モニターの向こうの白衣の男、香取亮太が殺し合いを宣言し、
一人の色黒の少女が、首輪を爆破されて殺された。
あれは、自分達に逆らったり首輪を無理に外そうとすればどうなるのかをわざわざ実演したのだ。
土方は、殺し合いをする気など毛頭無かった。
どこの馬の骨とも分からないような男に従う義理などあるはずも無い。
だが、今はそれよりも何よりも。
「……」
土方の身体が若干震えている。それは本当に近くまで来ないと分からない程、ではあったが。
前述したが、彼はお化けや幽霊の類が苦手なのである。
当人は決して認めようとしないが、身体は正直だ。
(よ、夜の病院、か…ケッ、主催の野郎ォ、中々上等な事してくれんじゃねェか。
い、いや、怖くねーよ? 別に怖くなんかねーし)
心の中で必死に取り繕うが、ここに一番隊隊長のサド王子がいれば、
間違い無くこう言っただろう。
「あれ? 土方さん震えてますぜ。まさか、怖いんですかィ?」
と。
「へっ、怖くなんかねーよ。さて、と。支給品の確認でもすr」
「すみません」
「ぬおわあああああああああああああああ!!!」
「……」
静寂な病院内に、男の悲鳴が響き渡った。
- 330 :夜の病院は怖い ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 02:43:25
- 「……ってオイゴルァ!! 驚かせんじゃねえええ!」
「え、いや、驚かせるつもりは無かったんですけど」
思い切り胸倉を掴まれ引き攣った表情を浮かべる、
病院という場所に似合う白衣姿の眼鏡の男――佐藤文博。
「チッ…それで、何だよ? 声を掛けてきたって事は、お前はやる気にはなってねーのか」
「やる気って、殺し合いに乗ってるかって事ですか? はい、乗ってませんよ。
えーと、って言う事はそちらも…」
「……ああ。乗ってねーよ。俺は土方十四郎だ。お前は?」
「佐藤文博です」
「そうか。佐藤。ここで立ち話も何だ。そこの病室で話しようや」
「そうですね……」
土方と文博は手近な病室の中へと入る。
その病室は誰か入院患者がいたのだろうか、使用された形跡のある、
ややしわの出来たシーツと布団が乗ったパイプベッド、
半分程残っている点滴のパックが吊るされた点滴用の柱。
棚の上には干からびたリンゴと錆の浮き出た果物ナイフが置かれている。
洗面台もあったが、なぜか、鏡が叩き割られていた。
「……」
何なのだろう、このホラーゲームに出てきそうな雰囲気の病室は。
棚の辺りを調べればハンドガンの弾か、入院患者の日記が入手出来そうだ。
土方は冷や汗をかきながらそう思っていた。
土方が椅子に、文博がベッドに座り互いに向かい合う。
まず、支給品の確認を行った。
「俺は……直刀に、煙草1カートンか」
土方の支給品は、鍔の無い真っ直ぐな刀身を持った片刃の長剣、直刀と、
何の変哲も無い煙草が1カートン分。
どちらも土方にとっては適性がある。
「えーと僕は……」
文博が自分のデイパックの中を漁り、そして支給品を取り出す。
木製の銃床、被筒を持った筒型弾倉型ボルトアクション小銃、二十二年式村田銃と予備弾十数発。
そして、大きなボトルに入れられた業務用のマヨネーズが彼の支給品のようだった。
「マヨネーズか。良いな」
「土方さんマヨネーズ好きなんですか?」
「まぁ、な」
「それじゃあ差し上げますよ」
「おお、こいつは有り難い」
元々マヨネーズが余り好きでは無かった文博は業務用マヨネーズを土方に手渡す。
もしここで文博が土方にマヨネーズが好きでは無い事を公言したら大変な事になっていただろう。
その後、土方は病室内で見付けた100円ライターで煙草を吸いながら、
殺し合いに呼ばれた自分の部下及び知り合いについて大まかに話した。
- 331 :夜の病院は怖い ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 02:44:05
- 「…とまあ、こんな所だ」
「成程…僕は……名簿を見る限りじゃ、知り合いはいません」
「そうか……」
土方の言った「真選組」「江戸」「天人」といった聞き慣れない単語に疑問を抱きつつも、
この状況では敢えて言及する必要も無いと判断した文博は、
そのまま流し、自分には殺し合いに呼ばれている知り合いはいないと告げた。
「それで、これからどうしましょう、土方さん」
「そうだな…下手に動き回るのも危ないが、かと言ってじっとしたままでも
いられんだろ。病院を出るか」
正直な所、土方が「病院を出よう」と提案した理由の大半は、
知り合いを捜しに行く、や、同じように殺し合いに乗っていない参加者を集める、
と言うよりも、不気味な夜の病院には長居したくない、というものだったが、
当然それを表に出すような土方では無い。
「……分かりました」
だが、初対面の時の土方の様子を見た文博は、何となくではあるが、
土方が病院を離れたい理由が分かってしまっていた。
【一日目/深夜/F-3病院】
【土方十四郎@銀魂】
[状態]健康、喫煙中
[装備]直刀
[所持品]基本支給品一式、煙草(1カートン分、消費中)、業務用マヨネーズ、
100円ライター(残りガス少ない、調達品)
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。首輪を何とかしたい。襲い掛かる者とは戦う。
1:佐藤文博と行動。坂田銀時、志村新八、沖田総悟を捜す。
2:病院から出たい。
[備考]
※原作かぶき町四天王篇終了後からの参戦です。
【佐藤文博@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]二十二年式村田連発銃(8/8)
[所持品]基本支給品一式、8㎜×53R弾(16)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。脱出手段を見付けたい。
1:土方十四郎と行動。
[備考]
※坂田銀時、志村新八、沖田総悟についての情報を得ました。
※土方の言う「真選組」「江戸」等の単語に疑問を抱いていますが、
特に言及するつもりは無いようです。
- 332 :夜の病院は怖い ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 02:44:54
- ≪支給品紹介≫
【直刀】
鍔のない、真っ直ぐな刀身を持った刀。
【煙草】
1カートン分ある煙草。
【二十二年式村田連発銃】
1889年(明治22年)に旧日本陸軍制式となった、初の国産連発小銃。
装弾数は当時としては破格の8発だが、筒型弾倉により装填が面倒、
故障が多い、命中率が悪いなど欠点が多く兵士からは不評だった。
【業務用マヨネーズ】
大容量のボトルに入ったマヨネーズ。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】佐藤文博(さとう・ふみひろ)
【年齢】25
【性別】男
【職業】医師
【性格】温厚で真面目
【身体的特徴】茶色の短髪、中肉中背、近眼なので眼鏡を使用
【服装】白衣姿
【趣味】映画観賞(アクション物やサスペンス物)
【特技】一通りの医療知識に精通している
【経歴】やや裕福な家庭の二男として生まれ育った。三歳年上の兄・文定は、
国防軍の地方駐屯部隊司令官となっている
【備考】道具があれば応急手当、簡単な外科手術が出来るかも
- 333 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 02:45:33
- 投下終了です。
- 334 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 04:03:41
- 投下します。俺得ロワ3rd 7話 家族を愛する父親の最悪の愚行
登場:志村新八、ドラゴナス
- 335 :家族を愛する父親の最悪の愚行 ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 04:05:04
- 7話 家族を愛する父親の最悪の愚行
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
眼鏡を掛けた着物姿の少年、志村新八は至る所に車が停められた、
オフィス街の道路をひたすら走り続けていた。
左腕の上腕を右手で押さえている。その部分は赤く染まり、
彼が走り過ぎた後には血痕が続いていた。
新八を追う一人の影。右手に刀身の波打った長剣、フランベルジェを持った、
水色の髪に竜の翼、尻尾、そして高い露出の格好の美少女。
殺し合いが始まって間もなく、新八少年はいきなり翼と尻尾を持った少女に襲われ、
左上腕を斬り付けられた。支給品など確認する間も無く、新八は逃避行を余儀無くされた。
(に、逃げなきゃ! あの女の人、間違い無く、僕を殺そうとしている!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!)
新八少年はとにかく必死で走り続けた。
息が切れ、心臓が破裂しそうになりながらも。
立ち止まれば、待っているのは間違い無く、死。
「うあっ!」
だが、運命の悪戯か、新八は思い切り転倒してしまった。
回転しながら、数メートル前進した後、動きが止まる。
「ぐ……うう」
身体中に走る痛みに顔を歪める新八。眼鏡もフレームが破損し、レンズが割れ使い物にならない。
「……っ!」
それでも、今まで自分が走ってきた道の方を振り向いた。
そして、ぼんやりとだが、目の前に自分に傷を負わせ、追ってきた少女が
立っているのが見えた。
「すまないが……死んでくれ」
「う、うわあぁぁああ!!」
冷然なる死刑宣告に、少年は絶望し、立ち上がって逃げようとした。
だが、その背中に、フランベルジェの刃が無慈悲に突き刺される。
「うご……ぉ」
口から血を吐き、呻き声を上げる新八。
痛い、と言うより、身体が熱い。灼熱のように熱かった。
少女がフランベルジェを少年の身体から引き抜くとそのまま少年はうつ伏せに倒れ、
アスファルトの上に血溜まりを作る――だが、まだ息はあった。
- 336 :家族を愛する父親の最悪の愚行 ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 04:05:43
- 「し……死にたく…な……い……」
地面を這いずり、尚も逃れようとするが、視界は霞み、身体中から
力がどんどん抜けていくのをはっきりと彼は感じていた。
目から溢れ、頬を伝う雫。
「銀…さん……神楽……ちゃん……姉………上――――」
ドスッ。
フランベルジェの刃が、新八の背骨と心臓を刺し貫き、抉った。
その瞬間、志村新八の命は、消えた。
「やっちまった…」
竜人の少女――の姿をした雄のワイバーン、ドラゴナスは小さく溜息をつきながら言った。
本当ならば、こんな事はしたく無かった。見ず知らずの人間の少年を手に掛けるなど。
だが――この殺し合いでは、生きて帰れるのはたった一人。
首には爆弾が内蔵された死の首輪がはめられ、無理に外そうとしたりすれば、
アンデッドナイ軍のディオナのような運命を辿る事になる。
自分には家族がいる。妻、娘、息子、一応、義理の妹も数に入れておくが。
こんな所で、死ぬ訳にはいかない。まだ死にたくは無い。家族のためにも。
そのために、この殺し合いに優勝する。
アレックス達も、四天王の仲間も、他の参加者達も、全員殺すと、ドラゴナスは決心したのだった。
盲目的な家族愛から来る狂気とも言うべき決心を。
ドラゴナスは新八の持っていたデイパックを手に取り中身を調べる。
自分の支給品はフランベルジェのみ。これだけでは心許無いため、もっと武器は欲しかった。
「これは……?」
基本支給品の他に出て来た物は、赤色の変わった紋章が描かれた小さな水晶玉3個だった。
説明書によればこれは「ファイアクリスタル」という物で、
投げ付けると火焔瓶のような効果があるらしい。
「ふぅん…そうか…持っていこう」
武器として使えそうな物ではあるため、ドラゴナスはそのファイアクリスタル3個を
自分のデイパックに移し替えた。
そしてドラゴナスは立ち上がり、遠方に視線を移す。
前方に微かに見える、かなり巨大な建造物。どうやらショッピングモールのようだ。
地図に載っていたものと同一であろう。
- 337 :家族を愛する父親の最悪の愚行 ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 04:06:19
- 「あそこに行くか……」
飛んで行こうとも考えたが、高く飛び過ぎると首輪が作動する、といった事を、
開催式の時に主催者である香取亮太が言っていた事を思い出し断念した。
また、地上からの狙撃にあう可能性もある。
ドラゴナスはショッピングモールに向けて歩き出した。
「にしても…何で俺は女体化してるんだろう。
元の姿には戻れないっぽいし……まあいいか」
【志村新八@銀魂 死亡】
【残り48人】
【一日目/深夜/B-4市街地】
【ドラゴナス@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康、狂気、B-3ショッピングモールへ移動中
[装備]フランベルジェ
[所持品]基本支給品一式、ファイアクリスタル(3)
[思考・行動]
基本:家族の元へ帰るために優勝する。そのために参加者を皆殺しにする。
1:ショッピングモールへ向かう。
[備考]
※特殊能力は一切使えません。また、女体化しています(元の姿には戻れません)。
※B-4市街地の路上に志村新八の死体、志村新八のデイパック(基本支給品一式入り)、
志村新八の眼鏡(破損しており使用不可)が放置されています。
≪支給品紹介≫
【フランベルジェ】
刀身が炎のように波打っている長剣で、斬り付けると抉り取るように肉片を飛び散らせ、
傷が癒えにくいため高い殺傷力を持つ。
【ファイアクリスタル】
炎の魔法を封じ込めた水晶で、赤い色をしておりほんのり温かい。
投擲すると火焔瓶のように炎を広範囲に巻き起こす。
- 338 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 04:08:59
- 投下終了です。新八はどうしても、
生き残れる気がしなかった。反省はしていない。
にしても女体化ドラゴナスは可愛い
- 339 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 20:21:58
- 投下します。俺得ロワ3rd 8話 HAKAISHA
登場:剛田武、クレアス
- 340 :HAKAISHA ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 20:22:51
- 8話 HAKAISHA
普段、ガキ大将として尊大に振舞っている彼だが、
流石にこの状況には気が滅入っていた。
首に爆弾付きの首輪をはめられ最後の一人になるまで殺し合いをさせられる、
日本のような法治国家では到底有り得ない狂気のゲーム。
それは小学校高学年の彼――ジャイアンこと剛田武にも分かる。
「何だこれ…有刺鉄線?」
森の中で、ジャイアンは歩いていた獣道を塞いでいる有刺鉄線のバリケードに遭遇した。
よく見ると、どうやら道だけでは無く、何かをぐるりと囲むように有刺鉄線は張り巡らされているらしかった。
しかし、隙間があったので、試しにそこから有刺鉄線の向こうへと出てみる。
すると。
ピーーーー。
『警告。会場の外です。直ちに引き返して下さい。
引き返さない場合、30秒後に首輪を爆破します』
「うおおおっ!? やべぇ!」
首輪から警告音と無機質な女性の声でアナウンスが流れ、
ジャイアンは焦ってすぐに有刺鉄線の中へと戻った。
『会場への復帰を確認。カウントをリセットします』
再び無機質な女の声でアナウンスが流れた後、警告音が止んだ。
ともかく命の危機は去った事を知りジャイアンは安堵する。
「会場の外…って言ってたよな…? って事はこの有刺鉄線は、
会場と外の境界線って事か」
地図の橋にはこの有刺鉄線のように、何らかの目印が置かれているのだろう。
だが、わざわざ通り抜けられるぐらいの隙間を作ってあるなど、
主催者の悪意も感じられるが。
「引き返すか……」
やむを得ず、ジャイアンは元来た道を引き返し始めた。
懐中電灯で前方を照らしながらジャイアンは道を進む。
彼の右手には支給品である小型リボルバー拳銃ニューナンブM60が握られている。
ズボンのポケットには予備弾が押し込められていた。
日本の警察も使用する小型の拳銃のため、説明書を読めばジャイアンでも十分に扱えた。
これで人を撃つ機会が来ない事をジャイアンは祈っていたが、
そうも言っていられないだろう。
彼自身は殺し合いに乗る気は無いが、名簿には自分や友達を合わせ、
51人もの参加者の名前が書かれていた。これだけの人数ならば、一人や二人、
殺し合いに乗る者が出るのが必定と言うものだろう。
そういった者に襲われた時、自己防衛する事は必要だ。殺されては意味は無い。
- 341 :HAKAISHA ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 20:24:02
- 「のび太、静香ちゃん、スネ夫、みんな無事でいてくれよ…」
三人の友達の安否を気遣いながら、ジャイアンはほとんど手入れされていない
獣道を道なりに進んで行く。
◆
ジャイアンが進む道の先にある、廃屋となった木造家屋が点在する廃村。
その廃屋の一つの中で、黒い髪に黒い衣服、赤みがかった瞳に赤い鉢巻という出で立ちの
青年、クレアスは、傷んだ畳の上に寝そべりながら夜空に浮かぶ満月を眺めていた。
「殺し合いか……面白そうではあるな」
開催式で彼は同僚であるダークエルフの少女を首輪を爆破され殺害された。
だが、彼は大して悲しんでいない。
それどころか今となってはほとんど気にしていなかった。
「アレックスや、魔王軍の四天王の連中もいるみたいだな。
それとエロリアも…あいつはまあ、そう簡単にくたばらんだろうが」
ふと起き上がり、自分のデイパックを漁り、
地図や懐中電灯、コンパスなどを掻き分けランダム支給品を探す。
すると出てきた物は、一般的な文化包丁と、少し古めのポータブルMDプレーヤーだった。
MDプレーヤーにはヘッドホンが付属しており、既に何らかのMDが入っている。
試しにヘッドホンを耳に装着し、電源を入れて音楽を聞いてみる。
『……鉛の空、重く垂れ込み、真白に澱んだ……』
『……焼け付く想いは憂い募らせる……』
『……罪と言う名の、追憶の罰……』
『……今吹き荒れる、嵐の中そう抱き合って……』
『……昔々男ありけり、降り注ぐ試練の雨嵐……』
「成程ね」
それなりにいい歌が入っているようなので暇な時にでも聞こうと、
クレアスはポータブルMDプレーヤーをデイパックの中に戻した。
「にしても武器が包丁だけってのは……もっと良い武器を探さねえと」
クレアスは文化包丁の刀身を眺めながら言った。
- 342 :HAKAISHA ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 20:24:44
- 【一日目/深夜/H-7森】
【剛田武@ドラえもん】
[状態]健康、G-7廃村方面へ移動中
[装備]ニューナンブM60(5/5)
[所持品]基本支給品一式、.38SP弾(15)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。のび太達を捜す。
1:襲われたら……。
[備考]
※特に無し。
【一日目/深夜/G-7廃村・瀬川家】
【クレアス@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康
[装備]文化包丁
[所持品]基本支給品、ポータブルMDプレーヤー(MD挿入済)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
1:もっと強力な武器が欲しい。
[備考]
※魔法は一切使えなくなっています。
≪支給品紹介≫
【ニューナンブM60】
日本警察の拳銃として余りに有名な小型リボルバー拳銃。
【文化包丁】
三徳包丁、万能包丁とも言われる最も一般的な包丁。
肉、魚、野菜など幅広い材料に対して様々な切り方ができるので使いやすい。
【ポータブルMDプレーヤー】
携帯音楽プレーヤーのMDモデル。携帯して音楽が聞ける音響機器。
既に幾つかの曲が入れられたMDが入っており、ヘッドホンも付いている。
- 343 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/05(日) 20:25:39
- 投下終了です。
- 344 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 00:14:26
- 投下します。俺得ロワ3rd 9話 狐はエロいというイメージ
登場:香瀧宏叔、神庭龍徳
- 345 :狐はエロいというイメージ ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 00:15:11
- 9話 狐はエロいというイメージ
「殺し合い、か……」
自身の通う高校の制服である紺色のブレザーに灰色のズボンという格好の
狐獣人の青年、香瀧宏叔はエリアA-7に存在する中規模なホテルの四階にある客室の一つで、
ベッドの上に座りながら考えていた。
「……殺し合いなんて……何か、面白そうだね。俺、優勝狙っちゃおうかな。
知り合いもいないみたいだし、武器も結構良い物が支給されたし」
そう言いながら、支給品の一つである自動小銃M1ガーランドライフルを手に取って眺める。
セミオートで8発連続で撃てる優秀な自動小銃である。
名簿を見る限りではこの殺し合いに知り合いもいないようなので、
宏叔は優勝を目指す事をあっさりと決めた。
「にしても、こんなものが支給されるとは」
ガーランドライフルをベッドの上に置き、宏叔はもう一つの支給品、
ディ○ドを手に取る。長く、かなり太い上級者向けの代物である。
「折角だし入れよう」
宏叔はズボンと下着を脱ぎ、ディ○ドを口で舐め回した後、
一気に突き刺した。
「アッー!」
軽い痛みと共に快感が訪れる。
普段、後門自慰行為を何度も行っている宏叔のその部分はすっかり慣らされ、
快楽を容易に感じるようになっていた。
「気持ち良い……はぁ、はぁ…うっ」
ベッドの上で下半身丸出しとなった狐の青年は、左手でディ○ドを前後させ、
右手で固くなり涙を流す己の愚息を弄る。
部屋の中に荒い息使いと嬌声が響く。
◆
同時刻、ホテル三階のフロアを探索する一人の参加者がいた。
警官の制服を着た黒い竜人、神庭龍徳。
懐中電灯を左手に、右手に支給品である小型短機関銃イングラムM10を握っていた。
「誰もいないな……」
今の所、龍徳は誰とも遭遇していない。
彼は自分と同じく、殺し合いに乗っていない参加者を集め、
この殺し合いを潰す手段を探そうとしていた。
警官である自分がこのような殺し合いに乗り、一般の民間人を殺害するなど考えられない事。
きっと自分以外にも、殺し合いを拒否する者がいるはずだ。
龍徳はそう考えながら、フロアを探索する。
「……上から何か聞こえるな……誰かいるのか?」
上の階から微かに響く物音を、普通の人間より鋭敏な竜人の聴覚が聞き取った。
「この階は一通り探索したしな……行ってみるか」
龍徳は物音の正体を確かめるべく、四階へ向かった。
- 346 :狐はエロいというイメージ ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 00:16:03
- ◆
「ああっ」
全ての服を脱ぎ捨て全裸となっていた狐の青年が、身体を仰け反らせて果てた。
息子から放たれたフォックス・イン・ザ・ミルクが青年――宏叔の身体を汚した。
これで何度目の絶頂になるか、彼自身にも分からない。
「最高〜……自分の家じゃないからもっと興奮する………もっとやろ」
狐の青年の淫らな一人宴は続く。
すぐそこに近付いてくる者がいる事など彼は知る由も無い。
【一日目/深夜/A-7ホテル】
【香瀧宏叔@オリキャラ】
[状態]肉体的疲労(小)、快楽、全裸、白濁液まみれ
[装備]M1ガーランドライフル(8/8)、ディ○ド
[所持品]基本支給品一式、M1ガーランドライフルクリップ(8×5)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:気持ち良い……。
2:取り敢えずしばらくは一人遊びで。
[備考]
※ホテル四階の客室にいます。
【神庭龍徳@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]イングラムM10(32/32)
[所持品]基本支給品一式、イングラムM10マガジン(32×5)
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。そのために仲間を集う。
1:ホテル四階を探索する。
2:襲われたらそれなりに対処する。
[備考]
※ホテル三階の廊下にいます。
≪支給品紹介≫
【M1ガーランドライフル】
1936年に米軍制式となった優秀な部類に入る自動小銃。
弾が8発入ったクリップごと装填し、弾を撃ち尽くすと空になったクリップが自動で排出される。
その際「チャリーン!!」という独特の甲高い金属音が鳴る。
「スプリングフィールドM1」が正しい名前(だと思う)。
【ディ○ド】
まあ、あれだ。うん。男のアレを形取った大人の玩具だ。うん。
結構長くて太いタイプみたいだ。うん。
【イングラムM10】
軍用小型短機関銃で、ほとんどの部品がスチール板をプレス加工して成型されている。
このため非常に生産性に優れ、構造も単純なために堅牢である。
フルオートでの連射サイクルが非常に速く熟練者でなければ制御するのは難しいといわれる。
本ロワに登場する物は9㎜パラベラム弾使用モデル。
- 347 :狐はエロいというイメージ ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 00:16:45
- ≪オリキャラ紹介≫
【名前】香瀧宏叔(こうたき・ひろとし)
【年齢】17
【性別】男
【職業】高校生
【性格】飄々、やや淫乱
【身体的特徴】狼にも似た風貌の狐獣人、外見だけならイケメン
【服装】学校の制服である紺色のブレザーと灰色のズボン
【趣味】TVゲーム、読書(漫画)、ア○ニー
【特技】学校での成績はそれなりに良い、後門に指を四本入れられる
【経歴】小学生の頃から○ナ○ーにはまっている
【備考】個人趣味ロワの参加者の一人、神田修次と同じ高校に通っており同学年だが面識は無い
【名前】神庭龍徳(かんば・たつのり)
【年齢】29
【性別】男
【職業】警察官
【性格】正義感が強い
【身体的特徴】黒い竜人。筋肉質だがスマートに見えそれなりに美形
【服装】警察官制服
【趣味】スポーツセンター通い
【特技】柔道三段の腕前
【経歴】同期の親友だった警察官の殉職を経験している
【備考】女性に奥手だが体験済(中学生の時の保健体育の先生だった美人の竜人の女性と)
- 348 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 00:18:09
- 投下終了です。痴女の方が重要あるような希ガス
- 349 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 01:27:11
- 投下します。俺得ロワ3rd 10話 ゴメス…
登場:ノーチラス、ゴメス
- 350 :ゴメス… ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 01:28:06
- 10話 ゴメス…
エリアG-1市街地、一角にあるカラオケ屋。
「やめろおおおお! やめてくれええええええ!!」
茶色の毛皮を持ったノーチラスは半べそをかきながら必死に懇願していた。
殺し合いで死んだと思ったら、今度は別の殺し合い。
身体の傷は癒え、服も元通りになり、自分と同じく殺し合いに参加させられた、
自分のクラスメイト数人の姿も確認出来た。
首には爆弾付きの首輪もはめられ、生き返ったとは言え、状況は好転していない。
ノーチラスは主催者である香取亮太がルールの説明をしている時から、
既に殺し合いを潰そうと決意していた。
やる事は変わらない。今度は自分の欲望でヘマをしたりはしない。
超能力は使えなくなっているようだがそんな事は問題では無い。そもそも、
殺し合いで役に立つような能力でも無かったので未練は然程無い。
(今度こそは、自分がやるべきことをやる!)
そう、ゲーム開始前、ノーチラスは決心していた。
だが。ゲーム開始早々、ノーチラスはカラオケ屋にて髭面の巨漢に追い回される事になった。
「悪いが、いつ死ぬのか分からんのでな。楽しませて貰うぞ」
ゴメスと名乗った男は、ズボンを下ろし、いきり立った己の巨大な分身を露わにする。
黒々としたそれは、さながら肉の凶器。大砲とも呼べる代物である。
それを見せられたノーチラスの恐怖はいよいよピークに達した。
このままでは、間違い無く、自分はあの肉槍で尻を貫かれてしまう。それだけは嫌だった。
だが、現在位置はカラオケ屋の個室。防音設備もバッチリ整っているだろう。
逃げ場が無い。大声で叫んでも外に届く事は無い。
万事休す。詰み。お終い。
ノーチラスの脳裏にそんな絶望的な単語が浮かんだ。
「う、うわあ、あああ」
ノーチラスは自分のデイパックの中を必死に漁る。
何とかしなければ。焦りと恐怖でまともに思考が働かない頭でそう考える。
そして、基本支給品を掻き分け、ノーチラスは刀の柄らしき物を握り――――――。
- 351 :ゴメス… ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 01:29:01
- 何が起きたのか、ゴメスは分からなかった。
分かっているのは、自分の胸元に真一文字の深い傷が入り、鮮血がほとばしっている事。
そして、今から性的な意味で食べようと思っていた、学生服姿の茶色い狼獣人の青年が、
刀身に血の付いた刀を横に突き出すような体勢で静止している事。
身体が、熱い。痛いのでは無く熱い。
狼青年の目と自分の目が合った。
先程までの怯え、混乱したそれでは無く、何か、恐ろしい、狂気の光を宿した目だった。
狼青年がなぜこんなにも豹変を遂げたのかは、分からない。
知ろうとしてもそんな時間は、ゴメスには残っていなかった。
殺し合いという状況で、いつ死ぬか分からないと言う事から、欲望に忠実になった結果がこれだ。
因果応報、自業自得と言う四文字熟語がよく似合うだろう。
間もなく自分は死ぬ、ゴメスはそう感じ取った。
アレックス達はこの殺し合いでどう動くのだろう、きっと殺し合いを潰す方向で行動してくれる、と信じたい。
もうアレックスの尻を掘る事も出来ない。
もう、何も出来ない。
悔いはあった。
沢山あった。
狼青年の尻を掘るより重要な事が。
成さねばならない事を今更ながらにいくつも見つけてしまった。
しかし、もう――
「ワシも焼きが回ったな……」
それが最期だった。
瞼を閉じると、ゴメスの身体は静かに活動を停止した。
ゴメスの意識は、急速に闇に捕われていった。
「くくく……ふははははは……ざまあ見やがれ…俺の尻を掘ろうとするからだ…変態が」
息絶えた髭面の巨漢の死体を見下ろしながら、明らかに先刻までとは雰囲気の違う
ノーチラスが言い放った。
「ああ、何だろうな、凄く楽しい気分だ……こんな気分、初めてだ……ふふふ」
どこか視線は遠くを見詰め、薄ら笑いを浮かべるノーチラスは、
普段の彼を知る者なら即座に異常だと思うだろう。
右手に持っている刀の刀身は、ぼうっと、紫色の光を放っていた。
しかし、持ち主のノーチラスはそれを気にする様子は全く無い、そればかりか、
刀身に付いた血を美味しそうに舐め始める。
「美味い…血の味…血ってこんなに美味かったんだな……。
もっと……もっとだ……もっと血を吸わせないと……こいつに……」
愛おしそうに、紫色に光る刀を見詰めるノーチラス。
「薄桜鬼……これからお前に、もっと血を吸わせてやるからな。
く…くくく…ふははは…あははははははははははははははははははははははははは」
刀の操り人形と化した狼は、狂ったように笑い続けた。
- 352 :ゴメス… ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 01:29:55
- 【ゴメス@VIPRPGシリーズ 死亡】
【残り47人】
【一日目/深夜/G-1市街地カラオケ屋】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]精神被支配、高揚感
[装備]妖刀「薄桜鬼」
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:薄桜鬼に血を与える。
1:あははははははははははははははははははははははははははははは
2:クラスメイトは…。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※妖刀「薄桜鬼」の力で身体能力が飛躍的に向上しています、が、
その内に身体が悲鳴を上げる可能性があります。
※妖刀「薄桜鬼」により精神を支配されていますが、ある程度自我はあります。
但し、薄桜鬼に基づいて行動するようになっています。
※G-1市街地カラオケ屋の個室の一つにゴメスの死体及び所持品が放置されています。
≪支給品紹介≫
【妖刀「薄桜鬼」】
装備した者の精神を操り、身体能力を限界まで向上させ自分に血を捧げさせるための
殺戮マシンに変貌させる妖刀。刀身はうっすら紫色の光を帯びており切れ味も抜群。
薄桜鬼(はくおうき)の持ち主はやがて身体が壊れ、死に至ると言う。
その支配から救うには、刀を持ち主から引き剥がすしか無い。
名前の元ネタは某漫画及びアニメのタイトルから。
- 353 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/07(火) 01:32:05
- 投下終了です。ノーチラスは性格上、
どうしても対主催にしかならないと思ったので、
妖刀の力を借りる事にしました。
- 354 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/08(水) 21:02:38
- 投下します。俺得ロワ3rd 11話 月光
登場:ライガー
- 355 :月光 ◆ymCx/I3enU:2010/09/08(水) 21:03:25
- 11話 月光
青と白の毛皮を持った狼のような獣、ライガーは見知らぬ住宅街の路上で目を覚ました。
夜空には美しい満月が輝き、月光は夜の街はぼんやりと浮かび上がらせている。
「俺は……そうだ、確か……」
意識を失う前の事を思い出す。
自分はワルモン四天王の一人であり、ムーに攫われた自分の弟である
ギンギライガーと対決していたはずだった。
だが気が付けばそこは決闘の舞台の雪山では無かった。
首に首輪をはめられ、見知らぬ人間の男に一方的に殺し合いを宣言されたのだ。
「殺し合い…馬鹿馬鹿しい、知りもしない人間の指図なんか受けん」
ライガーは不機嫌そうに殺し合いを拒絶した。
元々ノラモンとして盗賊団を率いていた彼は、プライドも一級品だった。
仲間であるゲンキやホリィならまだしも見知らぬ人間の言いなりになるなど、
彼のプライドが許さなかった。
「だが…ギンギライガーとは決着を着けないとな」
この殺し合いにはギンギライガーも呼ばれている。
他に知り合いはいない、ならばこの機会に決着を着けようと、ライガーは考える。
但し、雷撃やブレスが全く使えなくなっている――使おうとすると何らかの力で邪魔される――のは、
彼にとって多少痛かった。
「技が一切使えなくなっているとは……肉弾戦で頑張るしかないか。
……そう言えば、支給品があると言っていたな、何だろう」
傍に置かれていた黒いデイパックを、前足を器用に使って開けるライガー。
「……」
色々探ってみるが、彼が興味を引く支給品は無かった。
他の者が見れば喜ぶ強力な支給品だったとしても、銃や剣の知識に疎い
ライガーにとっては無意味の長物だったのである。
デイパックを背負い、ライガーはギンギライガーを探すために歩き出した。
「ギンギライガー……今度こそお前を倒す」
- 356 :月光 ◆ymCx/I3enU:2010/09/08(水) 21:05:16
- 【一日目/深夜/D-7住宅街】
【ライガー@モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済、1〜2個)
[思考・行動]
基本:ギンギライガーと決着を着ける。
1:殺し合い自体はする気は無いが襲われたら戦う。
[備考]
※アニメ27話、ギンギライガーとの一対一の対決直前からの参戦です。
※支給品の中にはライガーが扱えそうな物は無かったようです。
- 357 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/08(水) 21:06:20
- 投下終了です。短っ
- 358 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 00:04:54
- 投下します。俺得ロワ3rd 12話 彼は意外にも理性的だった
登場:ダーエロ、ヴォルフ、リーヴァイ
- 359 :彼は意外にも理性的だった ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 00:06:30
- 12話 彼は意外にも理性的だった
ダークエルフの男、ダーエロは悩んでいた。
突然始まった、バトルロワイアルと言う殺し合い。
首には爆弾付きの首輪がはめられ、下手な事をすれば爆発する。
生きて帰るためには最後の一人にならなければならない――。
この殺し合いには多くの知り合いや、自分の仲間が呼ばれていた。
中でも、金髪のエルフの少女、ヘレンは自分の恋慕の相手。
このような殺し合いで死んで欲しく無かった。
「そう言えば、俺の支給品は何だ…?」
自分のデイパックを開け、支給品を確認する。
そして出てきた物は除草作業で使われる普通の鎌と、粉状の除草剤一袋。
「おいおい、草取りでもしろって言うのかよ……これは外れだな………」
鎌と除草剤、これではまるで草取りでもしろと言わんばかりの酷い支給品である。
仕方無くダーエロは鎌を装備するが、当然これだけではこれから先心許無い。
早々にまともな武器になり得る物を探す必要があったが、現在位置は森の中で、
適当な物は見当たらなかった。
武器の件は一旦保留にし、ダーエロはこの殺し合いでどう行動するべきか考える。
愛するヘレンを優勝させるために、殺し合いをしようとも考えたが。
「……いや、駄目だ」
冷静になり思い止まった。
ヘレンを優勝させると言う事は、自分と同じ魔王軍四天王であるドラゴナス、ムシャや、
アレックス達も殺害すると言う事だ。いくらヘレンのためでも、大切な仲間や知人を、
自分の手に掛けるなど、とても出来るとは思えなかった。
それよりも、ヘレンや仲間達と合流し脱出手段を探した方が良いだろう。
自分は機械には強い、この首にはめられた首輪もどうにかして内部構造を知る事が出来れば、
或いは解除する手段が見付かるかもしれない。
そうと決まれば行動あるのみ、ダーエロはデイパックからコンパスと懐中電灯を取り出す。
そしてコンパスで方角を確認した。
「取り敢えず東に行ってみるか」
行き先を東方向に決め、コンパスをしまい、ダーエロは懐中電灯で前を照らしながら歩き始めた。
- 360 :彼は意外にも理性的だった ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 00:07:21
- ◆
「リーヴァイ…こんなに早く再会出来るとは思わ無かった」
「お兄ちゃん…」
銀と白の人狼の青年・ヴォルフと彼の義理の妹の水色と白の雌人狼・リーヴァイは、
ゲーム開始直後、奇跡とも言える早い段階での再会を果たしていた。
「これからどうしよう、お兄ちゃん」
「そうだな…問題は首輪だな」
ヴォルフは首にはめられた金属製の首輪を触りながら言う。
「脱出しようにもこの首輪をどうにかしないと……無理に外そうとしたり、
逃げようとしたりすればこいつは爆発する」
「うん…」
「だが、俺達じゃ完全にお手上げだ。となると、誰かそういう機械的な知識に
長けた奴を捜す必要がある」
「だけど……参加者の中に、そんな人がいるのかな?
もしいたとしても、協力してくれるのかな」
「……」
リーヴァイの懸念も尤もだ、とヴォルフは思う。
自分達兄妹を含め、この殺し合いの参加者は全部で51人。
この中に首輪を解除出来る可能性のある人物は果たしているのだろうか。
いたとしてもその人物が殺し合いに乗っていたら?
「…悪い方向に考えていても仕方無いよリーヴァイ。
とにかく仲間になってくれそうな人を探そう」
「そうだね……あれ?」
「どうした………ん?」
ヴォルフとリーヴァイはある物に気付く。
それは暗い森の奥から揺らめく、懐中電灯の光だった。
「誰かいるのか?」
懐中電灯の主――ダーエロは、懐中電灯の光の先の人影を見付け声を掛ける。
人影――人では無く二足歩行の狼のヴォルフとリーヴァイは警戒し身構えた。
「待ってくれ。俺は殺し合うつもりは無い」
「本当か?」
「本当だ。俺はこの殺し合いから脱出したいと考えている。
そのために仲間を捜していたんだ。あんたら、殺し合いには……」
「……乗っていない」
「乗っていないよ」
「そうか……俺はダーエロ。あんたらは?」
「俺はヴォルフだ。そしてこっちが妹のリーヴァイ」
だいぶ警戒感も薄れてきた所でダーエロとヴォルフ、リーヴァイ兄妹は互いに自己紹介し合う。
そしてダーエロが二人に共闘する事を提案した。
「…どうする? お兄ちゃん、私は大丈夫だと思うけど」
「良いなぁお兄ちゃんなんて」
「何か言ったかダーエロ」
「いや何も」
「……」
ヴォルフとリーヴァイはダーエロの提案を受け入れる事にした。
その後、ダーエロは自分の支給品を見せた。
- 361 :彼は意外にも理性的だった ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 00:08:05
- 「俺の支給品はこの鎌と、除草剤なんだ…もし武器があったら貸して欲しいんだが」
その言葉に、二人はまだ自分達が支給品を確認していなかった事を思い出し、
デイパックを開けて中身を漁り始めた。
そしてヴォルフのデイパックからは8㎜南部弾を使用する短機関銃、
一○○式機関短銃と予備のマガジン5個、鋼鉄製のショートソードの二つが、
リーヴァイのデイパックからは3点バースト射撃が可能な機関拳銃、
ベレッタM93Rと予備のマガジン3個が出て来た。
ダーエロはヴォルフから一○○式機関短銃と予備マガジンを譲って貰った。
これで武器の確保は一応完了である。
「さて……どうするダーエロ」
「周囲は森だしなぁ…宛ても無いから、東の方へ行ってみようと思うんだが」
「何で東なの? ダーエロさん」
「いや、何となくなんだけど」
「…まあ辺りには道らしい物も無いからな。ここはダーエロの言う通り東へ行ってみよう」
ダーエロ、ヴォルフ、リーヴァイの三人は東方向に森を歩いてみる事にした。
【一日目/深夜/G-5森】
【ダーエロ@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康
[装備]一○○式機関短銃(30/30)
[所持品]基本支給品一式、一○○式機関短銃マガジン(30×5)、農作業用鎌、除草剤
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法を探す。
1:ヴォルフ、リーヴァイと行動。
2:ヘレンやドラゴナス、ムシャと合流したい。
[備考]
※魔法は一切使えなくなっています。
【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]ショートソード
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。リーヴァイを守る。
1:リーヴァイ、ダーエロと行動する。
2:襲われたら戦うつもり。
[備考]
※ダーエロの仲間、知人の情報を得ました。
【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]ベレッタM93R(20/20)
[所持品]基本支給品一式、ベレッタM93Rマガジン(20×3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。ヴォルフから離れない。
1:ヴォルフ、ダーエロと行動する。
2:襲われたら戦うつもり。
[備考]
※ダーエロの仲間、知人の情報を得ました。
- 362 :彼は意外にも理性的だった ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 00:08:37
- ≪支給品紹介≫
【農作業用鎌】
除草作業に使われる、普通の手鎌。
【除草剤】
不要な植物(雑草)を枯らすための農薬。
【一○○式機関短銃】
旧日本軍が開発、使用した純国産の数少ない短機関銃。
物資の欠乏により生産数が限られてしまったり輸送船が撃沈されるなど、
兵站が崩壊しかけていたことから前線に数が届かず、「義号作戦」など
一部を除き活躍の場はほとんど無かったと言う。
【ショートソード】
その名の通り短い剣。切り先が鋭く先端にいくに従って幅が狭くなっていくのが特徴。
乱戦や刺突などを考慮し丈夫に作られている。
【ベレッタM93R】
ベレッタM92をベースに改良を加えられ開発された機関拳銃。
セミオートと3点バーストの切り替えが可能。トリガーガード前部に折畳式の
フォアグリップがあり、これは3点バースト射撃時の制御を容易にするための物。
本来は公的機関のみの販売で市販されていないが、
結構な数が流出し市場に出回っているとの事。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】ヴォルフ
【年齢】20
【性別】男
【職業】野生の人狼
【性格】冷静
【身体的特徴】銀色と白の毛皮を持った獣足型狼獣人。引き締まり程良く筋肉が付いている
【服装】全裸(服を着る習慣が無い)
【趣味】狩り、走る事、妹とじゃれる事
【特技】自己流格闘術、多少銃も扱える
【経歴】両親が物心つく前に他界し、10歳の時に同じ境遇の雌人狼の子供と一緒になった
【備考】リーヴァイという2歳年下の義理の妹がいる。
【名前】リーヴァイ
【年齢】18
【性別】女
【職業】野生の人狼
【性格】朗らかで明るく、ちょっと子供っぽい
【身体的特徴】薄い水色と白の毛皮を持った獣足型狼獣人。魅力的なスタイル
【服装】全裸(服を着る習慣が無い)
【趣味】ボール遊び、兄と遊ぶ事
【特技】兄から手ほどきを受けた格闘術。結構強い
【経歴】人間が捨てたエロ本で性の知識を養った
【備考】ヴォルフという2歳年上の義理の兄がいる
- 363 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 00:09:51
- 投下終了です。一○○式機関短銃は
前々から出してみたいと思っていた支給品。
- 364 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:06:08
- 投下します。俺得ロワ3rd 13話 Dark field
登場:ヘレン、エロリア
- 365 :Dark field ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:07:01
- 13話 Dark field
黒髪の妖艶な美女、エロリアはエリアC-2市街地の川沿いにある道路で目を覚ました。
近くを流れる川の音に誘われ、柵から月の光を反射する黒々とした川を見下ろす。
そして、しばらくして川を見るのをやめ、近くの路上に置かれていた黒いデイパックを見付けた。
「これが私の支給品かしら」
手に取り、街灯の近くで中身を調べる。
そして取り出したのは大型自動拳銃H&K MARK23と、参加者の顔写真が付いた名簿であった。
打刀を装備し、顔写真付参加者名簿に目を通してみる。
顔写真は証明写真らしい物や、隠し撮りされたらしい物まで様々だ。
「結構可愛い女の子もいるみたいだけど…そんな事言ってる場合じゃないか」
元々同性愛の気があるエロリアは自分好みの女性を見付けるが、
殺し合いという状況を考慮し自重した。
「にしても…ディオナ…気の毒に…」
開催式で首輪を爆破され見せしめに殺された同僚の事を思い出す。
普段それ程仲間意識も強くなかったため余り悲しくは無かったが、
だからと言って何の感情も抱かないという訳でも無い。
「何者なのかしら、あの香取って男…傍にいた白い狐の獣人の女もちょっと気になるし、
あ、いや、変な意味じゃないけど。とにかく…これからどうしようか」
これからの行動についてエロリアが考えようとした、その時。
エロリアは建物の路地から気配を感じた。
「…誰? 出てきなさい」
半分気のせいかと思いつつも、エロリアは路地に向けて声を掛ける。
そして数秒もしない内に気のせいでは無かった事が分かった。
暗い路地から出てきたのは美しい金髪を持ったエルフの美少女。
それはエロリア自身も良く知る人物であった。
「あなたは…ヘレンだったかしら」
「そうよ…そう言うあなたはアンデッドナイ軍の…」
「エロリアよ」
金髪のエルフ――ヘレンは右手にナイフらしき物を持っており、
尚且つ、平静を装ってはいるが僅かながら殺気を漂わせていた。
「…率直に聞くけど、ヘレン、あなた、この殺し合いに乗っているの…?」
「……」
しばらく間を置いてから、ヘレンはナイフの切っ先をエロリアに向け、言った。
「…私は、アレックスを優勝させる。そのために、殺し合いに、乗る」
その瞳には強い決意が宿っていた。
それを聞いたエロリアはMARK23をヘレンに向けて構える。
彼女は殺し合いに乗る気は無かったが、自分の身を守るためなら戦うつもりでいた。
今、目の前にいるエルフの少女は、この殺し合いに呼ばれている勇者アレックスの
ために殺し合いに乗ると宣言した。口調や雰囲気からして冗談とは思えない。
ならば、恐らく自分を殺しに来るだろう。
- 366 :Dark field ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:07:38
- 「…悪いけどそう簡単に殺されはしないわよ」
エロリアはMARK23の引き金に指を掛けいつでも発砲出来る状態にする。
向こうはナイフ、こちらは拳銃。こちらの方が優位のはず。
少なくともエロリアはそう考えていた。
ヒュッ、ドスッ!
風を切る音と共に、何かが突き刺さる嫌な音が響いた。
「……え?」
胸元に感じる熱に、エロリアは視線を下に落とす。
ナイフの刀身らしき物が自分の丁度心臓の真上に当たる部分に深く突き刺さっていた。
そこから流れた赤い液体は自分の衣服、果てはアスファルトを汚す。
何が起きたのか分からなかった。分からぬまま、エロリアは地面に崩れ落ちた。
ヘレンは柄だけになったナイフ――スペツナズナイフを投げ捨て、
地面に崩れ落ち血溜まりの中で動かなくなったエロリアを見下ろす。
そして彼女が持っていた大型自動拳銃を拾い、デイパックの中を漁って
予備のマガジンと顔写真付参加者名簿を手に入れた。
「最初説明書を見た時どうなのかと思ったけど、結構役に立ったわね、
スペツナズナイフ」
エロリアが単なるナイフだと思っていた物は、
柄の部分に仕込まれたスイッチを押すと勢い良く刃が飛び出す仕組みになっている、
スペツナズナイフという特殊なナイフであった。
ただ、外見は至って普通のナイフのため、エロリアは気付かなかった。
それが命取りになってしまったのである。
「これで…良いんだよね。ううん、もう後戻りは出来ない。
……私はアレックスを……優勝させる」
やや狂気じみてはいるが、強い意志を胸に秘め、ヘレンは殺し合いに身を投じて行く。
◆
愛する人のために修羅になる……ね。
まあ、そういう生き方も悪く無いと思うけどさ。
一体、どういう結末になるのか気になるけど、見れないのが残念だわ。
ディオナ、私ももうすぐそっちに行くみたい……。
はぁ…こんなにあっさり終わるなんて、格好悪いな、私……。
消えゆく意識の中で、エロリアは自分自身を嘲笑っていた。
- 367 :Dark field ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:10:26
- 【エロリア@VIPRPGシリーズ 死亡】
【残り46人】
【一日目/深夜/C-2市街地】
【ヘレン@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康
[装備]H&K MARK23(10/10)
[所持品]基本支給品一式、H&K MARK23マガジン(10×3)、スペツナズナイフ(2)、
顔写真付参加者名簿
[思考・行動]
基本:アレックスを優勝させるために殺し合いに乗る。自分は最後には自害する。
1:アレックスとは出来れば会いたくない。
[備考]
※魔法は一切使えなくなっています。
※C-2市街地の路上にエロリアの死体(胸にスペツナズナイフの刀身が刺さっている)、
エロリアのデイパック(基本支給品一式入り)、スペツナズナイフの柄が放置されています。
スペツナズナイフの刀身はスペツナズナイフの柄に戻して再使用する事が可能です。
≪支給品紹介≫
【H&K MARK23】
1991年に開発された特殊部隊向けの大型自動拳銃。
堅牢な構造で命中精度も高いがかなり重い。
日本では「SOCOM」または「SOCOM PISTOL」という名前で広く知られている。
【顔写真付参加者名簿】
参加者全員分の顔写真が載った名簿。
顔写真は証明写真や盗撮写真など様々。
【スペツナズナイフ】
旧ソ連の特殊部隊・スペツナズが使用していたと言われる、刀身を射出可能な特殊ナイフ。
グリップ内に30㎝程の強力なスプリングを備えており、鍔の位置に配置されたレバーを押す事で、
刀身を前方に射出する事が出来る。有効射程は10M程度。勿論ナイフとしての使用も可能。
- 368 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:12:09
- 投下終了です。
- 369 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:18:06
- すいません12話と13話は無かった事にして下さい。
なぜかって? ヘレン参加者にいなかった事を忘れてましたorz
馬鹿だろ! 俺馬鹿だろ!
- 370 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:35:04
- 12話の修正版投下します。
- 371 :彼は意外にも理性的だった(修正版) ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:37:37
- 12話 彼は意外にも理性的だった
ダークエルフの男、ダーエロは悩んでいた。
突然始まった、バトルロワイアルと言う殺し合い。
首には爆弾付きの首輪がはめられ、下手な事をすれば爆発する。
生きて帰るためには最後の一人にならなければならない――。
この殺し合いには多くの知り合いや、自分の仲間が呼ばれていた。
中でも、自分と同じ魔王軍四天王のドラゴナスとムシャ。ドラゴナスは妻子もいる。
このような殺し合いで死んで欲しく無かった。
「そう言えば、俺の支給品は何だ…?」
自分のデイパックを開け、支給品を確認する。
そして出てきた物は除草作業で使われる普通の鎌と、粉状の除草剤一袋。
「おいおい、草取りでもしろって言うのかよ……これは外れだな………」
鎌と除草剤、これではまるで草取りでもしろと言わんばかりの酷い支給品である。
仕方無くダーエロは鎌を装備するが、当然これだけではこれから先心許無い。
早々にまともな武器になり得る物を探す必要があったが、現在位置は森の中で、
適当な物は見当たらなかった。
武器の件は一旦保留にし、ダーエロはこの殺し合いでどう行動するべきか考える。
殺し合いに乗る事は考えていなかった。ドラゴナスやムシャ、アレックス達と合流し、
脱出手段を探そうと考えていた。
自分は機械には強い、この首にはめられた首輪もどうにかして内部構造を知る事が出来れば、
或いは解除する手段が見付かるかもしれない。
そうと決まれば行動あるのみ、ダーエロはデイパックからコンパスと懐中電灯を取り出す。
そしてコンパスで方角を確認した。
「取り敢えず東に行ってみるか」
行き先を東方向に決め、コンパスをしまい、ダーエロは懐中電灯で前を照らしながら歩き始めた。
◆
「リーヴァイ…こんなに早く再会出来るとは思わ無かった」
「お兄ちゃん…」
銀と白の人狼の青年・ヴォルフと彼の義理の妹の水色と白の雌人狼・リーヴァイは、
ゲーム開始直後、奇跡とも言える早い段階での再会を果たしていた。
「これからどうしよう、お兄ちゃん」
「そうだな…問題は首輪だな」
ヴォルフは首にはめられた金属製の首輪を触りながら言う。
「脱出しようにもこの首輪をどうにかしないと……無理に外そうとしたり、
逃げようとしたりすればこいつは爆発する」
「うん…」
「だが、俺達じゃ完全にお手上げだ。となると、誰かそういう機械的な知識に
長けた奴を捜す必要がある」
「だけど……参加者の中に、そんな人がいるのかな?
もしいたとしても、協力してくれるのかな」
「……」
リーヴァイの懸念も尤もだ、とヴォルフは思う。
自分達兄妹を含め、この殺し合いの参加者は全部で51人。
この中に首輪を解除出来る可能性のある人物は果たしているのだろうか。
いたとしてもその人物が殺し合いに乗っていたら?
「…悪い方向に考えていても仕方無いよリーヴァイ。
とにかく仲間になってくれそうな人を探そう」
「そうだね……あれ?」
「どうした………ん?」
ヴォルフとリーヴァイはある物に気付く。
それは暗い森の奥から揺らめく、懐中電灯の光だった。
- 372 :彼は意外にも理性的だった(修正版) ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:38:16
- 「誰かいるのか?」
懐中電灯の主――ダーエロは、懐中電灯の光の先の人影を見付け声を掛ける。
人影――人では無く二足歩行の狼のヴォルフとリーヴァイは警戒し身構えた。
「待ってくれ。俺は殺し合うつもりは無い」
「本当か?」
「本当だ。俺はこの殺し合いから脱出したいと考えている。
そのために仲間を捜していたんだ。あんたら、殺し合いには……」
「……乗っていない」
「乗っていないよ」
「そうか……俺はダーエロ。あんたらは?」
「俺はヴォルフだ。そしてこっちが妹のリーヴァイ」
だいぶ警戒感も薄れてきた所でダーエロとヴォルフ、リーヴァイ兄妹は互いに自己紹介し合う。
そしてダーエロが二人に共闘する事を提案した。
「…どうする? お兄ちゃん、私は大丈夫だと思うけど」
「良いなぁお兄ちゃんなんて」
「何か言ったかダーエロ」
「いや何も」
「……」
ヴォルフとリーヴァイはダーエロの提案を受け入れる事にした。
その後、ダーエロは自分の支給品を見せた。
「俺の支給品はこの鎌と、除草剤なんだ…もし武器があったら貸して欲しいんだが」
その言葉に、二人はまだ自分達が支給品を確認していなかった事を思い出し、
デイパックを開けて中身を漁り始めた。
そしてヴォルフのデイパックからは8㎜南部弾を使用する短機関銃、
一〇〇式機関短銃と予備のマガジン5個、鋼鉄製のショートソードの二つが、
リーヴァイのデイパックからは3点バースト射撃が可能な機関拳銃、
ベレッタM93Rと予備のマガジン3個が出て来た。
ダーエロはヴォルフから一〇〇式機関短銃と予備マガジンを譲って貰った。
これで武器の確保は一応完了である。
「さて……どうするダーエロ」
「周囲は森だしなぁ…宛ても無いから、東の方へ行ってみようと思うんだが」
「何で東なの? ダーエロさん」
「いや、何となくなんだけど」
「…まあ辺りには道らしい物も無いからな。ここはダーエロの言う通り東へ行ってみよう」
ダーエロ、ヴォルフ、リーヴァイの三人は東方向に森を歩いてみる事にした。
【一日目/深夜/G-5森】
【ダーエロ@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康
[装備]一〇〇式機関短銃(30/30)
[所持品]基本支給品一式、一〇〇式機関短銃マガジン(30×5)、農作業用鎌、除草剤
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法を探す。
1:ヴォルフ、リーヴァイと行動。
2:ドラゴナス、ムシャと合流したい。
[備考]
※魔法は一切使えなくなっています。
【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]ショートソード
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。リーヴァイを守る。
1:リーヴァイ、ダーエロと行動する。
2:襲われたら戦うつもり。
[備考]
※特に無し。
【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]ベレッタM93R(20/20)
[所持品]基本支給品一式、ベレッタM93Rマガジン(20×3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。ヴォルフから離れない。
1:ヴォルフ、ダーエロと行動する。
2:襲われたら戦うつもり。
[備考]
※特に無し。
- 373 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 10:39:38
- 投下終了です。ヘレンに関する記述を削除しました。
- 374 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 12:04:48
- Dark field修正版投下します。登場:エロリア、冬月蒼羅
- 375 :Dark field(修正版) ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 12:12:56
- 13話 Dark field
黒髪の妖艶な美女、エロリアはエリアC-2市街地の川沿いにある道路で目を覚ました。
近くを流れる川の音に誘われ、柵から月の光を反射する黒々とした川を見下ろす。
そして、しばらくして川を見るのをやめ、近くの路上に置かれていた黒いデイパックを見付けた。
「これが私の支給品かしら」
手に取り、街灯の近くで中身を調べる。
そして取り出したのは大型自動拳銃H&K MARK23と、参加者の顔写真が付いた名簿であった。
打刀を装備し、顔写真付参加者名簿に目を通してみる。
顔写真は証明写真らしい物や、隠し撮りされたらしい物まで様々だ。
「結構可愛い女の子もいるみたいだけど…そんな事言ってる場合じゃないか」
元々同性愛の気があるエロリアは自分好みの女性を見付けるが、
殺し合いという状況を考慮し自重した。
「にしても…ディオナ…気の毒に…」
開催式で首輪を爆破され見せしめに殺された同僚の事を思い出す。
普段それ程仲間意識も強くなかったため余り悲しくは無かったが、
だからと言って何の感情も抱かないという訳でも無い。
「何者なのかしら、あの香取って男…傍にいた白い狐の獣人の女もちょっと気になるし、
あ、いや、変な意味じゃないけど。とにかく…これからどうしようか」
これからの行動についてエロリアが考えようとした、その時。
ダァン!
「!!」
一発の銃声と共に、エロリアのすぐ近くの柵から火花が散った。
続けて、二発、三発と銃声が響く。
銃撃されていると判断したエロリアはデイパックを拾い急いでどこかに身を潜めようとした。
だが、四発目の銃声と同時にエロリアの胸元から鮮血が噴き出した。
「ぐぁ…!」
衝撃で手にしていたMARK23を地面に落とし、柵に寄り掛かるエロリア。
肺が傷付いたのだろうか喉の奥から鉄の味のする液体が込み上げ、息苦しい。
そして五発目の銃声が響いた。再びエロリアの胸から鮮血が噴き出した。
二発の銃弾は彼女の生命維持器官を破壊した。
エロリアの口から更に大量の血が溢れる。
「……」
柵にもたれていたエロリアは、そのまま後ろ向きに、柵の向こう側へと落ちた。
ドボン、と、川に水しぶきが上がった。
- 376 :Dark field(修正版) ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 12:13:43
- 「はぁ、はぁ」
銃口から煙を噴き出す自動拳銃、南部十四年式拳銃を携え、
カーキ色の学校の制服に身を包んだ白い狼の少女、冬月蒼羅は、
柵から身を乗り出し、エロリアが落下した辺りの水面を見下ろす。
暗くて良くは分からないが、波紋が広がっているのが分かった。
「…殺しちゃった、私、人を……」
やや震えた声で蒼羅が言う。
その後、地面に落ちていたMARK23を拾い上げ、デイパックの中に突っ込んだ。
予備のマガジンもあっただろうが、恐らくあの女性と共に水の底だろう。
それでも銃は多い方が良いに越した事は無い。
自分の支給品はたった今女性を殺害するのに使った南部十四年式拳銃と、
指にはめているスピードリングなる、素早さが上がるらしい指輪。
指輪については説明書を読んだ際、真偽を疑ったが、いざはめてみると、
確かにはめる前より素早く身体を動かせるようになった。
「こんなトコで死にたくない…絶対に」
金色の瞳をぎらつかせながら、狼少女――冬月蒼羅は次の獲物を捜し始めた。
◆
水底へと沈んで行く中、エロリアは不思議と苦しくは無かった。
それどころか妙に穏やかな気分だった。
まさか、こんなにあっさり死ぬ事になるなんて……。
油断したな……ごめん、ディオナ、私もそっちへ行くしかないみたい……。
クレアスは…多分大丈夫、でしょ。まあ、殺し合いに乗るかどうかは別と、して。
ああ、でも…出来る事なら、もっと長生きしたかった…。
こんな……冷たくて、暗い水の底で……………。
- 377 :Dark field(修正版) ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 12:14:19
- 【エロリア@VIPRPGシリーズ 死亡】
【残り 47人】
【一日目/深夜/C-3川沿いの市街地】
【冬月蒼羅@オリキャラ】
[状態]健康、精神不安定(軽度)、スピードリングにより素早さ向上
[装備]南部十四年式拳銃(3/8)、スピードリング
[所持品]基本支給品一式、南部十四年式拳銃マガジン(8×3)、
H&K MARK23(10/10)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:誰であろうと容赦しない。
[備考]
※スピードリングの力により瞬発力や動体視力が向上しています。
※C-3一帯と周辺に銃声が響きました。
※C-3川の底にエロリアの死体、エロリアのデイパック(基本支給品一式、
H&K MARK23マガジン(10×3)、顔写真付参加者名簿入り)が沈んでいます。
浮かんでくる可能性もあります。
≪支給品紹介≫
【H&K MARK23】
1991年に開発された特殊部隊向けの大型自動拳銃。
堅牢な構造で命中精度も高いがかなり重い。
日本では「SOCOM」または「SOCOM PISTOL」という名前で広く知られている。
【顔写真付参加者名簿】
参加者全員分の顔写真が載った名簿。
顔写真は証明写真や盗撮写真など様々。
【南部十四年式拳銃】
旧日本軍の制式拳銃。日本陸軍の技術将校だった南部麒次郎が、
かつて自身が開発した南部式自動拳銃をベースに改良を施し開発した。
日本陸軍の代表的拳銃として大正から昭和の旧軍解散直前まで製造され続け、
将校や憲兵の携帯火器、またはパイロットや戦車兵の護身火器として終戦まで活躍した。
【スピードリング】
素早さが上がる魔法が施された指輪。
某RPGのアイテムが元。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】冬月蒼羅(ふゆつき・そら)
【年齢】16
【性別】女
【職業】高校生
【性格】温厚だが、やや淫乱の気がある
【身体的特徴】白い毛皮の狼獣人、金色の瞳、巨乳
【服装】高校制服(カーキ色のブレザー、暗い緑のスカート)
【趣味】小説執筆(凌辱系)、妄想
【特技】性的な語彙が豊富
【経歴】小学5年の時に近所の公園にてホームレスの男に性的暴行を受けるが、
本人はトラウマにはなっていない様子(むしろ気持ち良かった良い思い出らしい)。
以来性に関して陰で貪欲になりつつある
【備考】発育が良く、小学校4年の頃から胸が大きくスタイルが良かった
- 378 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 12:15:06
- 投下終了です。修正してもエロリアは死んだw
- 379 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 19:25:51
- 投下します。俺得ロワ2nd 14話 ゆけむりのおとしもの
登場:見月そはら、高村紀嗣
- 380 :ゆけむりのおとしもの ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 19:26:34
- 14話 ゆけむりのおとしもの
エリアA-5、健康センターの大浴場。
ずぶぬれになった一人の少女が、デイパックを引き摺りながら、
脱衣所の方へと歩く。
「何で…私のスタート地点がお風呂の中なのよぉ……」
少女――見月そはらは、下着まで完全に濡れた重い身体を、
必死に脱衣所まで運び、長椅子に同じように濡れたデイパックを置く。
たまらず、濡れた制服と下着を脱ぎ捨てた。
中学生とは思えない、豊満な裸体が露わになる。
取り敢えずロッカーの中に入っていたバスタオルを身体に巻き、
濡れた衣服を備え付けと思われる乾燥機の中に放り込み、スイッチを入れた。
ようやく一息付いたそはらは椅子に座り、状況を整理する。
「何でこんな事に…殺し合いって……」
ただの中学生でしか無いはずの自分がなぜ殺し合いをしなければならないのだろう。
首に爆弾付きの首輪がはめられ、50人以上もの人間や、明らかに人間ではない人と、
殺し合わなければいけないなど。
知り合いは幼馴染の桜井智樹の命を狙いに来たという、
イカロスやニンフと同じくエンジェロイドのアストレアのみ。
しかし、果たしてこの殺し合いで彼女はどう動くのか分からない。
正直、そはらにとって安心出来る知り合いでは無かった。
「智ちゃんがいないのは喜ぶべきなのか分からないけど……。
あ、そうだ、支給品……濡れてるけど大丈夫かな」
濡れたデイパックを開け、中身を調べるそはら。
驚いた事に中身は全く濡れている様子は無かった。防水加工は完璧のようだ。
「地図に、名簿に、筆記用具に…これは……!」
基本支給品の他に出て来た物は、大型のリボルバー拳銃、
コルト アナコンダと、予備弾である.44マグナム弾18発だった。
持ってみると、ずっしりと金属の重みが手から伝わってくる。
以前、祭りでひょんな事から実銃を撃った時の感覚と良く似ていた。
言うまでも無く、この銃も本物だ。これで殺し合いをしろと主催者は言うのだろう。
アナコンダを椅子の上に置き、考え込むそはら。
自分はまだ死にたくは無い、だが殺し合いをする勇気も無い。
殺人を犯すという人としての一線を超える勇気は彼女には無かった。
だが――。
「……服、早く乾かないかな」
ゴトゴトと音を立て稼働する乾燥機を遠目に見詰めながら、そはらが呟いた。
- 381 :ゆけむりのおとしもの ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 19:31:39
- ◆
同健康センター二階のホールにある館内地図の前で、
着崩したスーツ姿の虎獣人の男が地図を見ていた。
「随分広いなぁ…一階に大浴場があるのか、成程」
虎獣人の男――高村紀嗣はおおよその健康センターの構造を把握した。
「それにしても殺し合いか…参ったな、明日朝早いのに……。
これはもう遅刻確定か…部長にどやされそうだ」
自分の命よりも、仕事の事を心配する紀嗣。
殺し合いという状況を余り理解出来ていないのか天然なのか、
どちらにせよ彼にとってこの殺し合いからの脱出は急務であった。
「支給品…アイスクリスタルだったか?
まるでRPGにでも出てきそうな道具だが……」
紀嗣はズボンのポケットに入れてある、水色のひんやりと冷たい水晶玉を一つ取り出し、
まじまじと見詰める。説明書には相手を凍らせる事が出来るといった事が書かれていたが、
日頃ビルやパソコン、地下鉄が周囲にある紀嗣には信じられる内容では無い。
試しに適当なベンチに向けて水晶玉を一つ投げ付けてみた。
ガキィィン!!
「うおおおお!?」
水晶玉が砕けた瞬間、一瞬にして砕けた部分から半径2メートル以内が氷漬けになった。
そして、氷結したベンチは音を立てて崩れ去ってしまった。
「……こいつぁ面白い」
率直な感想を述べる紀嗣。その表情は半ば呆然としていたが。
「だけどちょっと使い所がアレかな…まあこいつもあるから大丈夫か」
そう言うと、紀嗣はズボンのベルトに差し込んであるサバイバルナイフに触れる。
どちらかと言えばこちらの方が彼にとって頼れそうな武器ではあった。
「まあいいや。とにかく一階に行ってみよう」
辺りを警戒しつつ、虎獣人の男は健康センター一階へと向かい始めた。
- 382 :ゆけむりのおとしもの ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 19:32:54
- 【一日目/深夜/A-5健康センター】
【見月そはら@そらのおとしもの】
[状態]健康、全身濡れている、全裸の上にバスタオルを巻いている
[装備]コルト アナコンダ(6/6)
[所持品]基本支給品一式、.44マグナム弾(18)
[思考・行動]
基本:殺し合いには……。
1:早く服が乾いて欲しい。
[備考]
※原作でアストレアが登場した後からの参戦です。
※一階大浴場女湯の脱衣所に居ます。衣服は脱衣所内の乾燥機で乾燥中です。
【高村紀嗣@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]サバイバルナイフ
[所持品]基本支給品一式、アイスクリスタル(2)
[思考・行動]
基本:殺し合いをする気は無い。何とかして早く帰りたい。
1:健康センターい一階の探索。
[備考]
※健康センターのおおよその構造を把握しました。
※二階にいます。一階へ向かっています。
≪支給品紹介≫
【コルト アナコンダ】
1990年に発売されたコルト社製.44マグナムリボルバー。
同社の有名な.357マグナムリボルバー・コルト パイソンに酷似した外見。
【サバイバルナイフ】
軍事行動中に遭難などで他装備を失った場合に、
それのみで生存を計る目的で設計された大型のシース(鞘付き)ナイフ。
刃の背に金属を切断する鋸刃が設けられている。
武器としての威力と堅牢性は高い。
【アイスクリスタル】
氷の魔法を封じ込めた水晶で、水色をしておりひんやりと冷たい。
投擲すると冷凍弾の如く広範囲を凍結させる。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】高村紀嗣(たかむら・のりつぐ)
【年齢】28
【性別】男
【職業】サラリーマン
【性格】真面目
【身体的特徴】筋肉質な虎の獣人。緑色の瞳
【服装】着崩した灰色のスーツ
【趣味】インターネット
【特技】それなりに力が強い
【経歴】両親と弟のいる普通の家庭で育つ
【備考】これと言って無し
- 383 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/12(日) 20:13:23
- 投下終了です。
- 384 : ◆VxAX.uhVsM:2010/09/20(月) 10:35:55
- 本スレが投下中だったのでこちらに投下します
10話 男なら誰かのために強くあれ
登場人物坂本雄二、マリオ
- 385 : ◆VxAX.uhVsM:2010/09/20(月) 10:36:51
- 10話 男なら誰かのために強くあれ
「ピーチ姫…」
ここはB−5デパート内
「くそ…こんなとこさっさと出てピーチ姫を助けないと…」
動き出そうと立ったその時
バババババババババババババババ
音が聞こえる
なんだ?と振り向くと
急に目の前が暗くなった
(ああ…すみません…ピーチ…ひめ――――――)
■
「すまねぇなあんたに恨みがないんだが」
「俺には守らなきゃいけねぇやつがいるんだ」
「俺はあいつらと帰らなきゃいけないんだ…」
赤いツンツン髪の男坂本雄二は移動を始めた
【一日目/朝/B-5デパート2階】
【坂本雄二@バカとテストと召喚獣】
[状態]健康 多少の戸惑い
[装備]ヘッケラー&コッポMP5(15/30)
[所持品]基本支給品 ヘッケラー&コッポMP5の予備弾90発
[思考・行動]
基本:明久たちと合流し優勝する
1:????を守るために殺す
[備考]
※如月ハイランドに行った後からの参戦です
【マリオ@のび太戦記ACE 死亡】
- 386 : ◆VxAX.uhVsM:2010/09/20(月) 10:37:42
- 投下終了です
ネタがない→短い
が多い自分
- 387 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/20(月) 12:05:35
- 投下乙です。ま、マリオがあああ!
- 388 : ◆xEL5sNpos2:2010/09/21(火) 20:55:31
- 予告ってしていいもんなのでしょうか?
近日中に筆力とスピードUPを目的としてロワをスタートさせたいと思います。
題して「推理漫画・ゲーム・ドラマキャラロワ」。
ただ、推理中心の頭脳戦よりは、そういうキャラを使いたいがための普通のロワになりそうですのでご容赦を。
参加候補(多すぎるのでいくらか削るかもしれません)
10/10【DEATH NOTE】 夜神 月/エル・ローライト/ネイト・リバー/ミハエル・ケール/魅上 照/弥 海砂/ステファン・ジェバンニ/松田 桃太/火口 卿介/渋井丸 拓男
10/10【魔人探偵脳噛ネウロ】 脳噛 ネウロ/桂木 弥子/吾代 忍/笹塚 衛士/石垣 筍/怪盗X/アイ/葛西 善二郎/至郎田 正影/デイビッド・ライス
9/9【金田一少年の事件簿】 金田一 一/七瀬 美雪/剣持 勇/明智 健悟/速水 玲香/いつき 陽介/佐木 竜二/真壁 誠/怪盗紳士
8/8【名探偵コナン】 江戸川 コナン/毛利 蘭/毛利 小五郎/灰原 哀/服部 平次/遠山 和葉/怪盗キッド/ウオッカ
8/8【探偵学園Q】 連城 究/美南 恵/天草 流/鳴沢 数馬/遠山 金太郎/三郎丸 豊/タナトス/ミス・カオリ
5/5【ミシシッピー殺人事件】 チャールズ/ワトソン/テーラー/ウィリアム/ヘンリー
5/5【秘密警察ホームズ】 西鍵 健一/北原 真古/明石 小五郎/原田 三郎/アル
5/5【相棒】 杉下 右京/亀山 薫/神戸 尊/米沢 守/伊丹 憲一
4/4【Q.E.D. -証明終了-】 燈馬 想/水原 可奈/水原 幸太郎/シド・グリーン
4/4【古畑任三郎】 古畑 任三郎/今泉 慎太郎/西園寺 守/東国原 音吉
4/4【人形草子あやつり左近】 橘 左近/橘 薫子/秋月 四帆/沖 克己
4/4【スパイラル〜推理の絆〜】 鳴海 歩/鳴海 清隆/結崎 ひよの/鳴海 まどか
4/4【探偵 神宮寺三郎シリーズ】 神宮寺 三郎/御苑 洋子/熊野 参造/今泉 直久
3/3【さんまの名探偵】 明石家 さんま/島田 紳助/吉本 あやこ
1/1【ファミコン探偵倶楽部】 橘 あゆみ
1/1【ポートピア連続殺人事件】 間野 康彦
85/85
- 389 : ◆ymCx/I3enU:2010/09/21(火) 22:25:56
- 新ロワはいつでも大歓迎ですよー。
秘密警察ホームズとか懐かしいんだがw
- 390 : ◆VxAX.uhVsM:2010/09/21(火) 22:27:41
- 推理のロワですか。
人数が多いでしょうががんばってください
- 391 : ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:21:47
- 久々ですが投下行きます(2ch規制中)
「兄貴降臨」
- 392 :兄貴降臨 ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:22:21
- 「どういう事なの…」
ガチムチのいい男、ビリー・ヘリントンが困惑した様子で呟く。
いきなり訳の分からない「ゲーム」とやらに参加させられたのだから当たり前だが…。
「殺し合いか…こんなことする奴はだらしねぇな」
心の中でさっきの男たちに対する怒りが膨らんでいく。
「だが…流石に俺一人じゃマズいな…仲間を――!」
途端、何かが頬を掠める。
(何だ!?)
とっさに物陰に隠れる。
「外したか」
銃声の聞こえた方を向くが、暗くてイマイチ分からない。
(闇討ちなんてだらしねぇな…)
どっちにしろ、この暗さではまともに太刀打ち出来そうにない。
それに、まだ武器を出していない。
このままでは、ゲームを壊す前に死んでしまう――
「今度は外さない」
未だ銃撃の手を休めず追撃してくる「敵」。
精一杯、闇の中を走る――!
- 393 :名無しさん:2010/09/22(水) 21:23:06
-
どれだけ無我夢中で走っていただろうか。
気が付くと、街の入り口に立っていた。
「撒いたか…一体、どういうことなの…?」
近くにある塀に手をつき、乱れた息を整える。
…ふとある男の顔が浮かぶ。
――木吉カズヤ。
彼とは、今まで互いにしのぎを削ってきた仲だ。
こんなところで死ぬようなタマではないだろうが…
…やはり、心配だ。
「そう言えば、このカバンにはなにが…」
背負っているデイパックを下ろし、中の物を物色する。
中から食料や地図なんかが出てくる。
そして…
「…あんかけチャーハンか。どーりでカバンが海老臭いはずだ…」
そういえば、さっきかなり走ったせいで少しお腹が減ってしまったな。
「いただきます」
【一日目/深夜/D-6:街入り口付近】
【ビリー・ヘリントン@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康、腹八分目
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:殺人なんてだらしねぇ事はしない。
1:これからどうするか…
2:カズヤを探す。
3:脱出に必要な物や、それができるような人を探す。
※チャーハンが盛られていた皿@本格的ガチムチパンツレスリングはD-6の入り口付近に放置されています。
- 394 : ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:23:39
- もう1本いきます。
「現実離れした現実」
- 395 :現実離れした現実 ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:24:17
- 「一体どうなってるんだ?」
高級マンションの一室で椅子に腰かけながら溜息を付く不死鳥。
(ゲーム…にしちゃ現実味がある…ってか現実か。)
「しっかし…これ本物かな…やっぱ重いな」
その重みが、しっかりと不死鳥に「これは現実だ」と思い知らさせる。
その銃をゲームのように構えた途端…
…間違えて引き金を引いてしまった。
予想以上の反動と驚きでその場にぺたりと座り込んでしまう。
「…撃っちまった…こんなに反動あんのか」
パァン…
乾いた音が耳に入る。
「なんだ!?」
マンションの入り口で立ち往生していたvもんがが音に反応する。
(中から音がしたな、やっぱり中に誰かいるんだな)
ドアを壊して入らなくてよかった…と思う。
「…相手はゲームに乗ってるのかな…」
自分に支給された武器は…良く分からない物質だった。
一緒に付いていた紙には「注意」と「適量を守れ」だけ書かれていた。
(訳わからん…とはいえ捨てるのもアレだし、一応持っておこう)
謎の物質をデイパックにしまい、他の入り口を探すためにエントランスを出た…
- 396 :現実離れした現実 ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:24:57
-
「これからどうしよっかな…ここから出ても、どこにも行くアテはないし」
銃をしまい、リビングをうろうろする。
「とはいえ、ここでジッとしてても何も始まらないし…どうしよう」
ふいに、眠気が襲って来る。
(昨日良く寝てなかったからかな…ちょっとだけ、寝ておくか…)
寝室の大きなベッドの上に寝転がる。
精神的な疲れのせいか、すぐに眠りに落ちた…
【一日目/深夜/G-6:高級マンション:寝室】
【不死鳥@板対抗BR】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:89式小銃@現実
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:とりあえず人殺しはしない。
1:(睡眠中)
2:少し眠った後、仲間を探す。
【一日目/深夜/G-6:高級マンション付近】
【vもんが@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、危ない物質@その他
[思考・行動]:
基本:ゲームに乗る気も人を殺す気もない。
1:マンションへの入り口を探す。
2:中にいるであろう人を探す。
≪支給品紹介≫
【危ない物質@その他】
中に入っている物質は「白い粉状の物」。
これが何なのかは使ってみないと分からない。
- 397 : ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:25:59
- さらに1本「九死に一生…?」
- 398 :九死に一生…? ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:26:32
- 「ああ、最悪だな…まあ死ななかっただけよしとするか」
浜辺に横たわり、空を見上げて呟く下痢。
「しかし…何で乗ることにしたんだろうか…」
誰かを優勝させるためか?
有りえないことじゃない。
めろりんにベタ惚れしてるからな、もしかしたら…
「…こんなとこだろうな、多分」
それなら、めろりんを守るために同行するはずだ。
何とか、めろりんだけと接触する方法はないものか…。
―と、考えている内に、足音が聞こえてくる。
聞こえてくる方向に銃を構えようと思ったが、まだ体が痛んで思い通りにいかない。
(ああ、クソっ…もし相手が乗ってたなら、確実に…!)
「誰かいるの?いるなら返事してくれ」
…話しかけて来た声は、勝手に想像していたものとは、真逆の物だった…。
「…いないみたいだな…仕方無い、見に行くか」
病院裏の浜辺に通じる階段を、ゆっくり降りてくる。
「人が倒れてる…!だ、大丈夫か!?」
- 399 :九死に一生…? ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:27:03
-
「屋上から落ちたのか…よく生きてたな…」
「運が良かったのが幸いしたってとこかな…名前は?」
「俺か?俺は…妖怪だ、よろしく」
その名前を聞き、下痢は自分の耳を疑う。
「…まあよろしく…」
妖怪がいきなり立ち上がり、階段へ歩いて行く。
「おい、どこ行くんだ?」
下痢の呼びかけに、妖怪が立ち止まる。
「どこって…病院に行くんだよ。下痢さん、ボロボロじゃないか」
「そうか…良ければ…背負ってくれないか?まだ十分に歩けないんだ」
仕方無く下痢を背負い、病院へ向かう2人だった…。
【一日目・深夜/D-4:浜辺】
【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、全身打撲(中)
[装備]:M9@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。でも襲われたら戦う。
1:とりあえず、怪我をどうにかしないとな
2:あいつ(◆PURIN//46E)がゲームに乗っていることを伝える。
【一日目・深夜/D-4:浜辺】
【妖怪@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:トンファー@板対抗BR
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:とりあえず下痢を治療しないと…
2:E-4に向かい、「いいもの」を回収する。
- 400 : ◆6LQfwU/9.M:2010/09/22(水) 21:27:39
- 投下終了です。
- 401 : ◆6LQfwU/9.M:2010/09/24(金) 01:23:29
- やっぱ規制はイヤですねえ…
- 402 :名無しさん:2010/10/18(月) 15:10:54
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- 403 : ◆YcpPY.pZNg:2010/11/11(木) 21:41:59
- 最後の最後でさるった。
◇
レガートが倒れ伏す地点より、凡そ十数メートル程の所に一つの死体が転がっていた。
腹部から夥しい量の血を流し、地面を染め上げている男。
それは狂人達の死闘に割って入った者の成れの果て。
もう少し状況を理解していれば、男もこのような目に合わずにすんだであろう。
心底から『男も』そう思っていた。
「……物語のスタートにしては少々ハードなもんだぜ」
何処からか声が聞こえたかと思いきや、ピクリとと動き出すものがあった。
それは既に死んだ筈のもの。
腹に大きな穴を開け死亡したと思われていた男が、まるで何事もなかったかのように立ち上がった。
種を明かせば何てことはない。
男もまた人外の域に存在する者なのだ。
悪魔と人間の間にできた子ども。ようするに悪魔と人間のハーフ、それが男だ。
名はダンテ。何でも屋・『Devil May Cry』の店主、凄腕の悪魔狩りにして半魔半人の人外である。
「くそ、やってくれたな。せっかくの一張羅がパーだ」
身に纏った赤コートの裾を摘まんで愚痴を零すダンテ。
服よりもまず自分の身体を気に掛けろとも思うが、彼にとっては身体よりも服の方が重要らしい。
「……殺し合い、ね」
マントに空いた穴を眺めたり、手を通してみたりと、数分ばかり時間を無駄にしたところで、ダンテはようやく面を上げる。
その脳裏に浮かぶは、この風穴を作った二人の人外。
多少の油断があったとはいえダンテの後ろを易々と取り、常人であれば致命傷となりうる傷を刻んだ人外達。
ダンテであっても警戒に値する化け物達であった。
「ハッ、忙しくなりそうだ」
あれだけの存在がこの会場にどれだけいるのか、ダンテには分からない。
だが、決意はする。
何があろうと魂の思うがままに行動しようと、堅く決意する。
偉大なる父から受け継いだ高貴なる魂の導くままに進もうと、決意する。
そして、ダンテは前に進もうと足を一歩出す。
「お?」
だがしかし、此処で彼にとっても予想外の出来事が起きる。
前に進もうとする意志に反して、身体がパタリと横に倒れたのだ。
それは制限が影響しての事だった。
本来の彼ならば腹に穴が空こうと、脳天を銃で撃ち貫かれようと行動に支障はでない。
その馬鹿げた耐久力と治癒力が、まさに半魔半人を象徴していると云っても過言ではない。
悪魔と人間のハーフは伊達ではないのだ。
だがしかし、この殺し合いの場ではそう上手く事は進まない。
参加者全員に掛けられている『制限』が、彼の耐久力と治癒力を著しく低下させているのだ。
「……とりあえず休憩だな」
動かない身体に見切りを付けて、ダンテは大人しく目を閉じる。
いつも通りとまではいかないが、傷の治癒はされている。
一、二時間も休めれば問題はない筈だ。
そう考え、ダンテは休息に全霊をかけることにした。
―――こうして様々な受難の末にダンテのバトルロワイアルは開始された。
【一日目/深夜/A-3・森林】
【ダンテ@Devil May Cry】
[状態]腹部に貫通傷(治癒中)、気絶中
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:気絶中
1:殺し合いを止める。ひとまずは他の参加者と会いたい
2:傷が治るまで休息をとる
3:赤コートの大男(アーカード)と白コートの男(レガート)を警戒
[備考]
※制限の存在に気が付きました
※Devil May Cry3終了直後から参戦しています
- 404 : ◆YcpPY.pZNg:2010/11/11(木) 21:43:15
- これにて投下終了です。
タイトルは「人類最強VS吸血鬼最強 〜観客はお馴染みのネタに命を賭ける〜」です。
それと恒例の参加者変更を。
ロブ・ルッチ@ONE PIECEを除外。
以下の十三名を追加します。
【とある魔術の禁書目録】 7/7
○上条当麻/○一方通行/○浜面仕上/○御坂美琴/○滝壺理后/○麦野沈利/○土御門元春
【ガンダムシリーズ】 6/6
○アムロ・レイ/○カミーユ・ビダン/○シャア・アズナブル/○キラ・ヤマト/○シン・アスカ/○ラウ・ル・クルーゼ
取り敢えずこれでもう参加者変更はしないつもりです……うん、たぶん
本スレへの投下は自分で行いますので気にしないで下さい
- 405 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/15(月) 21:43:42
- 投下乙です。
規制されたのでこちらに投下します。
新訳俺オリロワ15話 とあるガンナーの少女
登場:レイ・ブランチャード
- 406 :とあるガンナーの少女 ◆ymCx/I3enU:2010/11/15(月) 21:46:12
- 15話:とあるガンナーの少女
エリアD-2に存在する警察署二階のオフィスの窓から、
ブラインド越しに外の様子を窺う、某ゲームのナルガ装備に酷似した
露出の高い装具に身を包んだ少女、レイ・ブランチャード。
「むぅ…どうしたものか、これから」
レイには殺し合いに乗る意思は無い。そうなればこれからの行動指針は、
この殺し合いからの脱出を目指すと言う事になる。
同じく殺し合いに呼ばれている同じ冒険者ギルドの知人、エルザ・ウェイバー程では
無いにしろ、機械の知識も多少はある。
首輪の内部構造がどうなっているのか分かれば、首輪を解除する手立ても見付かるかもしれない。
「エルザ以外にも、フォナと、エイミスがいるんだったな」
殺し合いに呼ばれているレイの知人はエルザ以外にも二人、
女魔道士のフォナ・アンシュッツ、女狼獣人剣士のエイミス・フロリッヒャーがいる。
但し、エルザ以外の二人はほとんど交友関係が無かった。
「エルザは一応捜すか…後の二人は放っておこう」
レイは近くの机の上に置いてある、自分のデイパックと、
支給品である半自動小銃、M1ガーランドに近付いた。
ガンナーであるレイにとって適性のある支給武器である。
「出来ればいつも使っている方が良かったが、この際文句は言えまい……」
M1ガーランドを構えながら、レイが少し低めの声で言った。
「もう少し、この建物の中を調べてみよう…さっきから独り言多いな私」
レイはデイパックを引っ提げ、M1ガーランドを装備し、
警察署内の探索に赴いた。
【一日目/早朝/D-2警察署二階】
【レイ・ブランチャード】
[状態]良好
[装備]M1ガーランド(8/8)
[持物]基本支給品一式、M1ガーランド装弾クリップ(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。首輪の調査を行いたい。知人についてはエルザは捜索する。
1:警察署内の探索。
[備考]
※特に無し。
- 407 :とあるガンナーの少女 ◆ymCx/I3enU:2010/11/15(月) 21:47:33
- ----
≪支給品紹介≫
【M1ガーランド】
レイ・ブランチャードに装弾クリップ(弾薬8発入り)5個とセットで支給。
1936年に米軍制式となった優秀な部類に入る自動小銃。
弾が8発入ったクリップごと装填し、弾を撃ち尽くすと空になったクリップが自動で排出される。
その際「チャリーン!!」という独特の甲高い金属音が鳴る。
「スプリングフィールドM1」が正しい名前(だと思う)。
≪キャラ紹介≫
【名前】レイ・ブランチャード
【性別】女
【年齢】17
【職業】ガンナー
【身体的特徴】深い青色の髪に赤い瞳、グラマーで豊乳。大人びた魅力がある。
某モンハンのナルガ装備に非常に酷似した露出度の高い装具
【性格】冷静沈着で思慮深い、が、抜けた部分もある。男っぽい口調で話す
【趣味】射撃、銃器の手入れ
【特技】精密射撃
【経歴】同じくガンナーであった父の影響で、ガンナーとしての道を歩む。
父親は現在は後進の指導に当たっている
【好きなもの・こと】銃器の製作
【苦手なもの・こと】近接武器
【特殊技能の有無】射撃技能が高く、ある程度機械知識もある
【備考】RPGファンタジー風異世界出身で、エルザ・ウェイバー、フォナ・アンシュッツ、
エイミス・フロリッヒャーは同じ冒険者ギルド所属の知人。
エルザとは会話が弾む方。最近は性への興味が尽きないとか
----
- 408 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/15(月) 21:54:45
- 投下終了です。
- 409 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/16(火) 23:02:49
- 投下します。新訳俺オリロワ16話 人間なめんな!
登場:四宮勝憲、ロディオン
- 410 :人間なめんな! ◆ymCx/I3enU:2010/11/16(火) 23:03:58
- 16話:人間なめんな!
唐突だが、四宮勝憲(しのみや・かつのり)は窮地に立たされていた。
ゲーム開始して程無く、森の中で殺し合いに乗っている参加者に襲撃され、
追い回され、現在中々に流れが速い川を背にして追い詰められている。
「最悪だ、最悪だぁぁ! 何でだぁぁ!」
「ククク、もう終わりか人間」
余裕の笑みを浮かべ青年、勝憲に立ちはだかるのは、
銀色の毛皮を持った、かなり大柄の狼。
身体中に鎖のような物を巻き付けている、明らかに普通の狼では無い。
「何か反撃でもしたらどうだ? 逃げる兎を追うばかりもつまらん」
「反撃出来るもんならしてるっつーの!」
勝憲が攻撃出来ないのは、支給品が余りに粗末過ぎたためであった。
シャボン玉セットと賞味期限が五年も前のカップラーメン5個。
ほとんどゴミである。これでどうしろと言うのか。
(主催の野郎ォォ! もっとマシなもんよこせよ! 外れにも程あんだろが!)
心の中で主催者に悪態をつく勝憲。
「安心しろ…無駄に動かなければ一瞬で楽になれるぞ」
「……ッ」
狼――ロディオンは突進するべく身構えた。
(まずい…こうなったらもうヤケだ、一か八か…)
勝憲はむざむざ殺されてたまるかと、賭けに出る事にした。
そして、ロディオンがついに駆け出す。狙うは前方の青年の喉笛。
「ガアアッ!」
雄叫びを上げ、ロディオンが勝憲に飛び掛かる。
だが、勝憲は即座に、ジャンプしたロディオンの下を前転するように潜り抜けた。
(ほぅ、やるな)
人間ながら大した運動能力だと、ロディオンは笑みを浮かべながら感心する。
だが、彼が地面に着地したその時。
「取ったああああ!!」
背後から青年の叫び声が響き、そして――。
- 411 :人間なめんな! ◆ymCx/I3enU:2010/11/16(火) 23:04:39
- 「うぎっ!?」
ロディオンが情けない悲鳴を上げた。口をパクパクさせ、
先程とは打って変わってブルブルと震え何かに耐え出した。
「おうおう、狼さんよ、名前は何だよ」
「ろ、ロディオン、だが」
「ロディオンねぇ。俺は四宮勝憲だ覚えておけ。ロディオンさんよ、
随分立派なキンタマ持ってるじゃねーか」
「あっ、がっ、あ」
ロディオンの、雄の象徴の根元にある黒い玉を、勝憲の右手が鷲掴みにしていた。
いかに屈強な獣と言えど、ここばかりは鍛えようも無く、握られる苦しみは耐え難い。
「……なぁ、知ってるかロディオンさん。サカりの付いた雄の獣はな……」
勝憲の、ロディオンの玉を握る手の力が強くなる。
「や、やめ」
「去勢すると大人しくなるんだぜ!!」
ぷちっ。
「ギャアアアァァァァアアアアアアアアアァァアアァアァアアアアアァアアアァアアア!!!!!」
森に、狼の絶叫が木霊した。
◆
「あ……あぅ…うっ、あ」
大事な子種の貯蓄袋に壊滅的なダメージを受けた妖狼・ロディオンは、
泡を吹きながら、股間を押さえ、涙を流し悶えていた。
もはや、先程までの威勢も威厳も、綺麗に消し飛んでしまっている。
そんな彼を無視し、玉を潰した張本人である青年、四宮勝憲は、
ロディオンの持っていたデイパックの中身を漁る。
「おっ……」
そして、中からリボルバー拳銃、コルトM1917とフルムーンクリップにまとめられた状態の、
自動拳銃用.45ACP弾18発が出てくる。
「これでまともに戦えそうだ」
「ぎぃ、い、き、貴様ぁぁ…許さん、許さんぞ……よくも、よくもぉ」
「うるせぇなぁ。自業自得だろうが」
勝憲はM1917を携えロディオンの元に近寄り、銃口を向ける。
- 412 :人間なめんな! ◆ymCx/I3enU:2010/11/16(火) 23:06:12
- 「ぁ…あ、に、人間のぉ、ぶ、分際でぇ…!」
「人間なめんなよ…じゃあなクソ犬!」
ロディオンの胸に六発の銃弾が撃ち込まれ、睾丸を潰された哀れな雄の狼は息絶えた。
予備の弾をM1917に装填し、一息付く勝憲。
「たく…殺し合いなんざ…面倒な事になった……さっさと麗雅と美琴を見付けねぇと。
取り敢えずこの川を下流に下って…ああ、西の方だな…川を西に下って行けば良いか。
街に出られるだろ」
幼馴染と近所に住む狐獣人の女子高生の少女を捜すため、勝憲は川を伝い街を目指す。
彼は知る由も無い。その幼馴染が彼ともう一人、狐獣人の少女を生かすために、
この馬鹿げた殺し合いに乗ってしまった事を。
【ロディオン 死亡】
[残り44人]
【一日目/早朝/D-8森北部川沿い】
【四宮勝憲】
[状態]肉体疲労(中)
[装備]コルトM1917(6/6)
[持物]基本支給品一式、.45ACP弾6発入りフルムーンクリップ(2)
[思考・行動]
基本:殺し合う気は無いが襲い掛かる者には容赦しない。朱雀麗雅と葛葉美琴の捜索。
1:街に出たい。
[備考]
※特に無し。
※D-8森北部周辺に銃声及びロディオンの悲鳴が響きました。
※D-8森北部川沿いにロディオンの死体、ロディオンのデイパック(基本支給品一式入り)、
シャボン玉セット、賞味期限切れのカップラーメン(5)が放置されています。
- 413 :人間なめんな! ◆ymCx/I3enU:2010/11/16(火) 23:07:50
- ----
≪支給品紹介≫
【シャボン玉セット】
四宮勝憲に支給。
読んで字の如くシャボン玉を作って遊ぶ玩具。
【賞味期限切れのカップラーメン】
四宮勝憲に支給。
5年以上前に賞味期限が切れたカップラーメン。
食べるのなら食中毒を覚悟しなければならない。
【コルトM1917】
ロディオンに.45ACP弾6発入りフルムーンクリップ3個とセットで支給。
第一次大戦中に米軍で.45ACP弾を使用するコルトガバメント自動拳銃の
生産供給が追い付かなくなったため同じ弾薬を使用するリボルバーをと言う、
軍からの要望により誕生した.45ACP弾使用のリボルバー拳銃。
S&WM1917という開発元の異なる同コンセプトの銃も存在する。
≪キャラ紹介≫
【名前】四宮勝憲(しのみや・かつのり)
【性別】男
【年齢】26
【職業】雑貨店経営
【身体的特徴】中肉中背、黒髪、細い目、黒いTシャツにジーンズ、スニーカー姿
【性格】粗野で冷酷、だが友人は大切にする
【趣味】ドライブ、射撃場通い、ゲーム
【特技】銃の扱いに慣れている
【経歴】高校二年の頃、空手の全国大会で準優勝を取った事がある
【好きなもの・こと】ジャガイモ
【苦手なもの・こと】モツ
【特殊技能の有無】空手、柔道の有段者。民間人にしては射撃技能が高め
【備考】曾祖父の代から続く雑貨店を経営しているが、営業中にカウンターで煙草を吸う、
万引き犯を血祭りに上げるなど接客態度が極めて悪く客の評判は芳しく無い。
ただ品揃えや商品の鮮度は上々のため客足は多いらしい。
幼馴染の剣道道場主である朱雀麗雅と子分的存在となっている狐獣人の高校一年生、
葛葉美琴と仲が良い。
【名前】ロディオン
【性別】雄
【年齢】27(妖狼は人間と年の取り方が同じ)
【職業】野生の妖狼
【身体的特徴】銀色の美しい毛皮、タテガミ。筋肉質な巨躯の狼
【性格】尊大
【趣味】狩猟
【特技】爪牙を使った格闘術、素早い動きでの翻弄
【経歴】不明
【好きなもの・こと】人間の女(食糧的な意味で)
【苦手なもの・こと】銃
【特殊技能の有無】体力が高い
【備考】生粋の妖狼だが、生命力はなぜか普通の狼並
----
- 414 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/16(火) 23:09:00
- 投下終了です。
- 415 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/18(木) 22:29:54
- 投下します。新訳俺オリロワ17話 DRUNKENNESS DRAGONESS
登場:神山アキナ、ジョン・ハワード、ライゲ
- 416 :DRUNKENNESS DRAGONESS ◆ymCx/I3enU:2010/11/18(木) 22:31:12
- 17話:DRUNKENNESS DRAGONESS
「うぐあああああああああっ!!」
「!!」
それは突然、廃工場内に響いた。
機械の陰に隠れていた、廃工場には似つかわしく無いバニーガールの格好の
少女、神山アキナは身体をビクッと震わせ、突如聞こえた男の悲鳴に驚く。
(何!? 何なの…!?)
何が起きたのかと思ったが、殺し合いと言う状況を考えれば何が起きたかは想像がつく。
アキナは悲鳴の聞こえた方向へ音を立てないようにしながら向かった。
そして廃材の陰からその光景を覗く。
「……!」
そこには想像を絶する光景が広がっていた。
金髪を持った緑色の、竜人体型のドラゴンが立っていた。
身体付きからして恐らく雌だろう。
その雌のドラゴンの右手には血塗れの長剣が握られている。
そして足元には、血塗れになった外国人風の若い男が苦しみ悶えていた。
「〈…あ…が……い、痛い…痛いぃ……〉」
男は英語と思しき単語を発し、床を這いずって何とか雌の竜から逃げようとする。
だが、それは叶わなかった。
雌の竜は長剣を振り上げ――――。
「!」
アキナは思わず固く目を瞑った。直後、グサッと言う嫌な音、男の短い悲鳴が聞こえた。
「……」
もう男がどうなったのかは分かる。出来ればこの瞑った目は開きたく無い。
だがいつまでも閉じている訳には行かない。
早くここから逃げなければ、下手をすれば今度は自分があの雌竜に殺される。
そう思ったアキナは目を開いた。
「…誰!? そこにいるのは」
「あ…!?」
開いた瞬間、雌竜とバッチリ目が合ってしまった。
◆
- 417 :DRUNKENNESS DRAGONESS ◆ymCx/I3enU:2010/11/18(木) 22:32:32
- ライゲは廃工場内で二人目の殺人を行おうとしていた。
「お、お願い、殺さないで下さい…! 嫌だ、死にたくないよぉ…!」
追い詰められ、目の前のバニーガールの少女は恐怖に怯え切った目で命乞いをする。
死にたくないのはライゲ自身も同じだった。だからこそ殺し合いに乗ったのだ。
「私も死にたくないのよ…だから、全員殺して生きて帰る!」
「い、嫌だああああ! 誰かあああああ!!」
少女――神山アキナは形振り構わず、助けを求めようと大声で叫ぶ。
広い廃工場の中に悲痛な叫びが木霊した。
ここで本当に誰かが加勢に来ると面倒である。
ライゲは持っていた長剣、ロングソードをアキナ目掛けて突き出した。
「がっ……」
アキナの右胸の乳房を貫通し、深々と刀身が突き刺さった。
ロングソード越しに刃が骨を、肉を裂く嫌な感触がライゲの手に伝わる。
ドクドクと刺さった部分から血が溢れ、アキナの口からもドス黒く見える血液が溢れ出す。
ライゲがロングソードを引き抜くと、アキナの身体は床に倒れ、血溜まりを作り絶命した。
「はぁ、はぁ……」
二人目の獲物を仕留める事に成功した金髪を持った緑色の雌竜は、
どこか複雑な面持ちだった。
「……後悔なんか無い……後悔なんか……」
僅かに残る罪の意識を振り払い、ライゲは死体となった二人の荷物を漁り始める。
そして、最初に殺した男のデイパックには高級ワインのボトルが三本と長さ10メートル程の
太めの頑丈そうなロープ、二人目の少女のデイパックには玩具のピコピコハンマーと、
ダーツセットが入っていた。
「……」
ライゲはロープを自分のデイパックに押し込むと、ワインのボトルをこじ開け、
惜しげも無く一気にラッパ飲みした。
ゴクゴクと、高級ワインが雌竜の喉の奥へと流れていく。
「……ぷはぁっ」
ワインボトルがあっと言う間に空になり、それを投げ捨てた。
「…ヒック」
そして早速効果が表れる。元々ライゲは酒に強くは無い。
ましてや高いアルコール度数の高級ワインを一気飲みして、ただで済むはずが無い。
顔が紅潮し、目が虚ろになり、息が荒くなる。
- 418 :DRUNKENNESS DRAGONESS ◆ymCx/I3enU:2010/11/18(木) 22:33:02
- 「…ふっ、うふふふっ、身体、あつぅい…ひゃはっ! いける、いけるよぉ!
あははははっ! いまなら何れもれきちゃうよぉ!」
酩酊状態になったライゲは異様にテンションが高くなり、
先程まで抱いていた迷いや後悔の念も吹き飛んだ。
酔って感覚を麻痺させようと、飲めもしないワインを一気飲みしたのだが。
予想以上の効果が表れたようだった。
「あはは! みんらころひてやるろ〜!」
ロングソードを振り回し、呂律の回らなくなった口で喚きながら、
緑の雌竜はおぼつかない足取りで工場の外を目指し始めた。
【ジョン・ハワード 死亡】
【神山アキナ 死亡】
[残り42人]
【一日目/早朝/F-1廃工場】
【ライゲ】
[状態]酩酊状態、ハイ
[装備]ロングソード
[持物]基本支給品一式、ロープ、高級ワインボトル(2)
[思考・行動]
基本:みんらころひれやる〜!www
[備考]
※酩酊状態のため、正常な判断力が鈍っています。また、痛みを感じにくくなっています。
※F-1廃工場内にジョン・ハワードの死体、ジョン・ハワードのデイパック(基本支給品一式入り)、
神山アキナの死体、神山アキナのデイパック(基本支給品一式、ピコピコハンマー、ダーツセット入り)
が放置されています。
- 419 :DRUNKENNESS DRAGONESS ◆ymCx/I3enU:2010/11/18(木) 22:33:50
- ----
≪支給品紹介≫
【ロングソード】
ライゲに支給。
その名の通り長い剣。鋼鉄製で頑丈、切れ味も良い。
【ロープ】
ジョン・ハワードに支給。
長さ10メートル程の丈夫なロープ。人一人吊るしても千切れません。
【高級ワインボトル】
ジョン・ハワードに3本セットで支給。
30年物の高級ワインが入ったボトル。アルコール度数が高い。
【ピコピコハンマー】
神山アキナに支給。
叩くとピコピコ音がするハンマー型の玩具。
【ダーツセット】
神山アキナに支給。
ダーツの矢三本と的のセット。
≪キャラ紹介≫
【名前】神山アキナ(かみやま-)
【性別】男
【年齢】18
【職業】バニーガール
【身体的特徴】淡い桃色の髪、透き通るような肌、スタイルは良い
紺色のバニーの服、うさ耳姿
【性格】怖がり
【趣味】一人カラオケ
【特技】これと言って無し
【経歴】平和な家庭で育つ
【好きなもの・こと】一人カラオケ、チーズ
【苦手なもの・こと】脂っこい物
【特殊技能の有無】一般人
【備考】伊藤文子は職場の先輩に当たる。本庄忠朝とは面識無し
【名前】ジョン・ハワード
【性別】男
【年齢】24
【職業】雑誌編集者、アルソンズ・ベイルの担当
【身体的特徴】茶色の短髪、特に際立った特徴の無い体型。
明るい灰色のスーツ着用
【性格】ヘタレ
【趣味】釣り
【特技】これと言って無し
【経歴】小学校の時いじめの標的にされ一時不登校になった
【好きなもの・こと】魚料理
【苦手なもの・こと】アルソンズ・ベイル
【特殊技能の有無】一般人
【備考】いつも何かしらアルソンズにどやされている
【名前】ライゲ
【性別】雌
【年齢】23
【職業】野生のドラゴン
【身体的特徴】金髪を持った緑色の竜人体型のドラゴン。美人。
身長185cmと人並みの種族
【性格】自己中心的
【趣味】水浴び
【特技】翼を使っての飛行(疲れるので余り長い時間は飛べない)
【経歴】不明
【好きなもの・こと】生肉、歌を歌う事
【苦手なもの・こと】酒
【特殊技能の有無】高い運動能力
【備考】酒に致命的に弱い。笑い上戸らしい
----
- 420 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/18(木) 22:34:46
- 投下終了です。
- 421 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/21(日) 01:23:00
- 投下します。新訳俺オリロワ18話 時計仕掛けのマリオネット
登場:日宮まどか、ヘルムート
- 422 :時計仕掛けのマリオネット ◆ymCx/I3enU:2010/11/21(日) 01:23:47
- 18話:時計仕掛けのマリオネット
森の中に建つ、木造の和風の旅館。
だが、瓦は壊れ、窓は割れ、微妙に建物自体も歪んでいる。
営業しなくなり久しいようだった。
比較的綺麗な状態の客室で、銀髪の売春婦、日宮まどか(ひみや-)は、
廃旅館にて遭遇した自分好みの黒と赤の身体を持った竜人体型の雄竜、ヘルムートとの
幾度もの行為の後始末を行っていた。
「うわぁ、濃〜い……流石ドラゴンね」
「はぁ…はぁ…」
ヘルムートは恍惚とした表情で、畳の上にしかれた布団の上で仰向けになり、
ぼんやりと天井を眺めていた。
彼に取っては生まれて初めての異性との関係。
しかも相手は同族の竜では無く人間の女性。
言いしれぬ興奮と背徳感が、より一層彼を興奮させ、激しく女性の身体を味わう結果となった。
「…凄いです、ね…まどかさん…」
「まあね。商売でやってるし」
「……それで、まどかさん……結局、まどかさんは……」
「…ああ、その話…」
ヘルムートが布団の上で上体を起こしながらまどかに問う。
「…取り敢えず、疲れたでしょ。甘い物欲しく無い?」
「え? …あ、はい」
「これあげる。私の支給品の、激甘イチゴミルク」
まどかはヘルムートの問いには答えようとせず、自分のデイパックから、
瓶に入ったイチゴ牛乳三本を取り出し、ヘルムートに手渡した。
「全部飲んで良いよ」
「あ、ありがとうございます」
特に何の変哲も無い、ただ異常に甘くしてあるだけのイチゴ牛乳にしか見えなかったため、
ヘルムートは警戒もせずにその激甘イチゴミルクの一本を開け、口に注いだ。
ゴク、ゴクと、ヘルムートは激甘イチゴミルクを飲む。
「…甘! 甘ったるいんですけどコレ」
「そりゃあ激甘だからねぇ」
「あ…でも、おいしいです」
ヘルムートは味をしめたのか、一気に三本全てを飲んでしまった。
流石に気持ちが悪くなったのかヘルムートは口元を押さえる動作をする。
「うぷ…」
「大丈夫? ヘルムート君」
「だ、大丈夫……です……?」
ここでヘルムートは、頭の中が急に熱っぽくなるのを感じた。
いや、頭ばかりか身体そのものの体温が急上昇し始めている。
心臓の鼓動が早まり、次第に息が荒くなる。
- 423 :時計仕掛けのマリオネット ◆ymCx/I3enU:2010/11/21(日) 01:24:29
- 「ねぇ、ヘルムート君…?」
まどかの声がどこか反響しているように聞こえた。心の底にまで響くような気さえする。
黒と赤の雄竜青年は自分の下腹部に飛び出している赤い―――を握り、
優しく上下に手を動かしながら語り掛けてくる銀髪の美女が先程までよりも妖艶かつ魅力的に見えた。
明らかに自分の様子がおかしくなっている事にも気付いてはいたが、
本能の方がそれに勝った。
「私ね…この殺し合いで優勝したいの…でもね」
「…あ…はい…」
「私一人じゃちょっとキツイのよ…だからね、ヘルムート君、手伝って欲しいの。
私のために、戦ってくれる? 盾になってくれる?」
「……ッ」
次第に高まる自身の象徴への快感の中、ヘルムートはふやけた思考でまどかの願いを
聞き入れるかどうか考える。
もし平時の彼ならばいくら初対面の自分の童貞を卒業させてくれたとは言え、
自身に全く得の無い、言ってしまえば自己中心にも程がある願いなど即座に拒絶しただろうが、
この時の彼は「願いを聞き入れる」という選択肢を作ってしまっていた。
「…願い、聞いてくれるなら…ね? 私の身体…いつでも味わって良いんだよぉ?」
「……!」
「このおっぱいも…お尻も…――――も、みんな、ヘルムート君の好きにして…」
「ハァ、ハァ、ハァ、ま、まどかさん、俺、まどかさんのために戦います!
まどかさんの盾になります! まどかさんのためなら死んでも良いです!
だから、ああ、ウオオォォオオォオオオオ!!」
「あ――――!」
ついに辛抱出来なくなったのか、ヘルムートは雄叫びを上げながら、
まどかを布団の上に押し倒し、大きく股を広げさせ、己の猛々しい雄を
一気に突入させた――。
◆
(こうも上手く行くなんて、凄いなぁ、あの禁止薬物入り激甘イチゴミルク)
涎を垂らし、焦点の合わない目で激しく自分に腰を振る黒と赤の雄竜青年を
眺めながら、計画通りと言った様子でまどかは思う。
先程雄竜青年――ヘルムートに飲ませた物は、
禁止薬物が仕込まれた激甘イチゴミルクであった。
説明書に寄れば惚薬の違法改造版のような薬物が入っているらしい。
実際その効果はまどかの予想を遥かに上回るレベルで実証された。
「ウゥッ!」
「あっ…」
ヘルムートが身体を大きく震わせ達する。
そしてまどかに覆い被さり、余韻に浸り始めた。
- 424 :時計仕掛けのマリオネット ◆ymCx/I3enU:2010/11/21(日) 01:25:19
- (どうやら完全に私の操り人形になってくれたみたい……。
ドラゴンだからそう簡単には死なないだろうし、良い手駒になってくれそうね……。
…私が生きて帰るために、頑張って貰うからね、ヘルムート君?)
「まどかさん…」
「うふふ…可愛い子」
優しくヘルムートの頭を撫でるまどか。
無論、ただ単に愛おしいだけでは無く、これから自分の都合の良い駒として、
その働きを期待するという意味でもあった。
全て嵌められたという事に、当然本人は気付く由も無い。
狡猾な女の操り人形と化した哀れな竜が誕生した。
(あ…きららの奴、今頃どうしてるかな…ま、いいか。どうせ全員殺すし)
【一日目/早朝/H-5廃旅館二階客室】
【日宮まどか】
[状態]肉体疲労(大)、全裸、快楽、ヘルムートと結合中
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、???
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。ヘルムートを最大限に利用する。
1:浅井きららはどうでも良い。
[備考]
※特に無し。
【ヘルムート】
[状態]肉体疲労(大)、快楽、日宮まどかと結合中、薬物により日宮まどかに夢中
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、???(1〜2)
[思考・行動]
基本:日宮まどかのためにこの身を捧げる。それのみ。
[備考]
※薬物の効果により日宮まどかに心底惚れ込んでいます。効力が切れるかどうかは不明です。
※禁止薬物入り激甘イチゴミルクは全て消費されました。
- 425 :時計仕掛けのマリオネット ◆ymCx/I3enU:2010/11/21(日) 01:26:04
- ----
≪支給品紹介≫
【禁止薬物入り激甘イチゴミルク】
日宮まどかに3本セットで支給。
日本風異世界国家で販売されている乳飲料、激甘イチゴミルクに、
禁止薬物を仕込んだトラップアイテム。惚れ薬を強くしたような薬が入っている。
≪キャラ紹介≫
【名前】日宮まどか(ひみや-)
【性別】女
【年齢】28
【職業】売春婦
【身体的特徴】銀髪で、豊乳。まだ20代前半に見える。
緑色の着物、黄色い腰帯、編上靴、黒いマフラー状の布を首に巻いている
【性格】さばさばしているが、時折冷酷
【趣味】音楽鑑賞(バラード系が好き)
【特技】ベッドテクニック、おねだり、甘える事、割と鋭い洞察力、推理力
【経歴】父親が14歳の時に事故で他界し、再婚相手の義父から性的暴行を受けていた。
現在、その義父はアルコール中毒で死亡。17の時から娼館で働き始める。
母親は現在一人暮らしをしている
【好きなもの・こと】セックス、童貞の男、チョコレート
【苦手なもの・こと】辛い物
【特殊技能の有無】一般人
【備考】浅井きららは売春婦仲間
【名前】ヘルムート
【性別】雄
【年齢】23
【職業】野生のドラゴン
【身体的特徴】黒と赤の竜人体型の竜。鋭い瞳、引き締まった身体付き
【性格】好奇心旺盛
【趣味】探検(遺跡、洞窟など)
【特技】翼による飛行
【経歴】冒険者との交戦経験有り
【好きなもの・こと】探検
【苦手なもの・こと】氷系魔法
【特殊技能の有無】口から炎が吐ける(体力を使う)
【備考】年の割に子供っぽい
----
- 426 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/21(日) 01:27:04
- 投下終了です。
- 427 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 02:02:42
- 投下します。新訳俺オリロワ19話 お客様三名ご案内
登場:稲苗代儀重、エイミス・フロリッヒャー、平崎吉治
- 428 :お客様三名ご案内 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 02:03:53
- 19話:お客様三名ご案内
ショッピングセンター屋上、小さな遊園地のようになったその場所で、
二本の尾を持った二足歩行の銀色雄狐、稲苗代儀重(いなわしろ・よししげ)は、
フェンス越しに見える市街地を見下ろしていた。
首に手をやり、はめられた金属製の首輪の感触を確かめる。
「……これ、下手な事すると爆発するんだよなぁ……厄介だな」
首輪から手を離し、近くのベンチに置いてある自分のデイパックに近付き、
チャックを開け中身を漁り、「それ」を取り出す。
ストックと先台が黒く塗られ、銃身とレシーバーが銀色に輝く散弾銃、
レミントンM870マリーナ・マグナムと、12ゲージ散弾12発。
更に煙幕手榴弾3発も入っていた。
「…殺し合い…か……知り合いもいないし、乗っても良いかな……」
M870マリーナ・マグナムを抱えながら、儀重は言う。
「取り敢えず、ここ、ショッピングモールか? 中でも見て回るか」
雄の銀狐はショッピングモール内を探索するため、中へ続く階段へと向かった。
◆
ショッピングモール中央の吹き抜けがある広場。
「広いなぁ…」
茶色の狼獣人の女戦士、エイミス・フロリッヒャーは吹き抜け広場の天井にある、
大きな天窓を見上げていた。
バーゲンセール等を宣伝する垂れ幕が幾つか吊り下げられている。
ベンチやテーブルも設置され、平時は買物客の憩いの場だったのだろう。
今となっては物寂しく感じるだけだが。
エイミスは適当なテーブルの上にデイパックを置き、中身を漁り、
ランダム支給品を取り出してテーブルの上に置く。
それはスローイングナイフ――いわゆる投げナイフだった。
5本セットでエイミスに支給されていた。
「出来れば剣が良かったんだけどなぁ…この際文句は言えない、か」
スローイングナイフの内一本を手に取り、数十メートル先にある柱に向け、
エイミスは狙いを定めて投げ付けた。
- 429 :お客様三名ご案内 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 02:04:34
- ドスッ
狙った場所からややズレたが、ナイフは柱に突き刺さった。
「良い感じ…」
思いの外コントロールが良かった事に満足し、エイミスは刺さったナイフを引き抜きに行った。
(…だけどやっぱり投げナイフだけじゃあね…これから先戦って行くには…。
ここ、ショッピングモールだし、武器屋的な所って無いのかしら)
スローイングナイフだけではどう考えても不安である。
エイミスはマシな武器を探しに、ショッピングモール内を回って見る事にした。
◆
ショッピングモール裏手に広がる森の中。
平崎吉治は先刻殺害した白い狼獣人の女性から奪い取ったデイパックの中身を漁っていた。
基本支給品一式に混じって出て来た物は、黒塗りのアサルトライフルと、
予備のマガジン5個であった。
吉治は口元をニヤリと歪め、興奮した様子で装備していたトカレフをベルトに差し込むと、
アサルトライフル――コルトAR-15に装備を切り替え、再び森の中を進み始める。
「あれは…」
そして、遂に森を抜け、大規模な建物を見付ける。
搬入口らしき入口などから、どうやら地図のエリアB-3のショッピングセンターのようであった。
「……」
吉治はショッピングセンターで獲物を探すべく駆け出した。
【一日目/早朝/B-3ショッピングセンター屋上】
【稲苗代儀重】
[状態]良好
[装備]レミントンM870マリーナ・マグナム(4/4)
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(12)、煙幕手榴弾(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
1:ショッピングモール内を探索してみる。
[備考]
※特に無し。
- 430 :お客様三名ご案内 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 02:05:07
- 【一日目/早朝/B-3ショッピングセンター一階中央吹き抜け広場】
【エイミス・フロリッヒャー】
[状態]良好
[装備]スローイングナイフ(5)
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いには……。
1:ショッピングモール内の探索。もう少しマシな武器が欲しい。
[備考]
※特に無し。
【一日目/早朝/B-3ショッピングセンター裏手の森】
【平崎吉治】
[状態]錯乱気味
[装備]コルトAR-15(20/20)
[持物]基本支給品一式、コルトAR-15マガジン(5)、トカレフTT-33(8/8)、
トカレフTT-33マガジン(2)
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:友人(石川昭武、香瀧宏叔)、学校の先生(立沢義)相手でも容赦しない。
2:ショッピングモールにて獲物を捜す。
[備考]
※レックスの存在には気付きませんでした。
----
≪支給品紹介≫
【レミントンM870マリーナ・マグナム】
稲苗代儀重に12ゲージショットシェル12発とセットで支給。
レミントン社製の信頼性が高いポンプアクション式散弾銃、レミントンM870に、
錆びにくいようクロームステンレス加工を施したモデル。
日本の海上保安庁の特別警備隊が採用している。
ストックと先台が黒、銃身とレシーバーが銀色で、ちょっとカッコ良い。
【スローイングナイフ】
エイミス・フロリッヒャーに5本セットで支給。
いわゆる投げナイフ。普通にナイフとしても使える。
投げて相手に刺すにはかなりの技術が必要。
【コルトAR-15】
冬月蒼羅にマガジン5個とセットで支給。
1957年にユージン・ストーナーが開発した突撃銃で、M16シリーズの大元に当たる。
5.56㎜NATO弾を使用しフルオートでも反動が少なく撃ち易い。
様々な改良を加えられる前の古いモデルなので後のM16シリーズに比べると欠点も多い。
- 431 :お客様三名ご案内 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 02:06:32
- ≪キャラ紹介≫
【名前】稲苗代儀重(いなわしろ・よししげ)
【性別】男
【年齢】不明(外見年齢20代半ば)
【職業】とある稲荷神社のお稲荷様(と言う名の神社管理人)
【身体的特徴】銀色の人狐。尾が二本ある。引き締まった身体付き、獣足
【性格】飄々
【趣味】ツーリング
【特技】掃除
【経歴】代々大きな稲荷神社の管理を務める家系に生まれる
【好きなもの・こと】稲荷寿司
【苦手なもの・こと】神社に来るDQN共、悪ガキ共
【特殊技能の有無】それなりに妖力はあるが戦闘に役立つ程では無い。生命力は強い
【備考】ビッグスクーターを駆る異色狐でもある
【名前】エイミス・フロリッヒャー
【性別】女
【年齢】18
【職業】戦士
【身体的特徴】茶色と白の狼獣人。目の下に赤い模様がある。スタイルは普通。
灰色の丈が短めのローブの上に軽装鎧を着用
【性格】勝気
【趣味】剣術の稽古
【特技】剣術の達人、銃も使えるが下手
【経歴】14歳の時に家を出て世界中を旅している
【好きなもの・こと】紅茶、剣の手入れ
【苦手なもの・こと】魔道士
【特殊技能の有無】優れた反射神経
【備考】レイ・ブランチャード、エルザ・ウェイバー、フォナ・アンシュッツは
同じ冒険者ギルドの知人だが、特に親しい訳では無い
----
- 432 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 02:08:33
- 投下終了です。
- 433 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 16:07:53
- 投下します。新訳俺オリロワ20話 私の殲滅華
登場:伊藤文子、本庄忠朝、皐月眞矢
- 434 :私の殲滅華 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 16:08:27
- 20話:私の殲滅華
恐怖心を抑えながら、バニーガールの女性、伊藤文子は、
支給品の大型自動拳銃を装備し警戒しつつ無人の住宅街を進む。
時折聞こえる、銃声と思しき音が、確実に殺し合いは進んでいる事を示していた。
先刻殺され掛けた、赤髪の女剣士のように殺し合いに乗っている者は多数いるのだろう。
「…忠朝君…アキナ……二人共無事なら良いんだけど…」
知り合いの竜人の少年と後輩の無事を祈りつつ、文子はある曲がり角を曲がる。
「……あ?」
そこで、歩道の上に倒れている、見慣れた灰色の竜人の少年を発見した。
だが、着ている赤いブレザーの色では無い、赤い色で染まっていた。
そして、仰向けになったまま、動く様子が無い。
「う、嘘…? 忠朝君!」
少年の名前を呼びながら、文子は駆け寄った。
だが――身体を揺さぶって生死を確認するまでも無い。
大きな血溜まりの中で、竜人の少年はまるで眠っているかのように、息絶えていた。
「そ、そんな……」
ガクリと膝を突き、拳銃を落とし、絶望感と深い悲しみに打ちひしがれる文子。
「忠朝君…どうして、どうしてこんな……こんなのって無いよ…あんまりだよ……」
ポロポロと、文子の頬を伝い涙がアスファルトの上に落ちる。
「……これは?」
忠朝の死体の傍に、メモ帳とペンが落ちていた。
恐らく忠朝の物であろう、文子はメモ帳を取って、開いた。
そこには震え、薄れ行く意識の中で書いたのだろうか、形が著しく崩れてはいたが、
確かに彼の字で書かれていた――――本庄忠朝の遺書が。
- 435 :私の殲滅華 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 16:10:08
- 『凄く、寒い。手が ふるえて、 うまく字が書けない。
撃たれたおなかが■ごくいたい。血がとまらない。
口の中が、鉄■さびのあじ がして、 気持ち悪い。
こんな所で死にたくない、まだ 死にたくないよ
もっと生きたい も■と まだやりたい事、た■■ん ある のに
伊藤さん、ぼくはもう だめです せめていとうさんだけ でもいきのこって下さい
いたい ■■■■■という つばさのはえた人■の男に撃たれた
お腹が凄く いたい
さむい ねむい いやだ しにた■■い
あいたい おとうさん ■■ちゃん いとうさん
もういち■あいたい
ひとりでしぬのは こわい しにたく ない こわいよ こわ い』
余りに字が崩れていたり血で汚れていたりして読めない部分もあったが、
どうやら忠朝は誰かに撃たれて、その出血が元で死亡したようだった。
その犯人の名前も書かれていたようだが、判読不能になっていた。
「…あ…う…ああ…」
再び、文子の目から涙が溢れる。
見知らぬ土地で、恐怖と悲しみ、絶望の中死んでいく少年の心情がメモ帳には書かれていた。
「…忠朝君…ごめんね…間に合わなかった…ごめんね…」
文子は物言わぬ屍と化した少年に謝り続けた。
そして、彼女は気付かなかった。
すぐ背後に立つ、青いベストを着た女子高生の少女の存在に。
少女は文子が落とした拳銃を拾い上げ、その銃口を文子の後頭部に向けた。
その時点でも、文子は気付かなかった。
ダァン!
銃声と同時に、文子の意識は途絶えた。
◆
- 436 :私の殲滅華 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 16:11:25
- 皐月眞矢(こうづき・まや)は、たった今射殺したバニーガールの持っていた銃、
その銃の予備のマガジン、更に、竜人の少年の死体の持っていたリボルバー拳銃と、
予備の弾薬を手に入れた。
元々自分に支給されていた物が、何の縁か自分のコスプレ衣装の一つのナース服だった
事を考えると、一気に武装は良くなった。
バニーガールの銃を奪おうとこっそりと後をつけていたが、こうも簡単に奪えるとは思っていなかった。
「武器の確保は終わった…これで戦える」
眞矢は竜人の少年の拳銃を腰に差し、バニーガールの持っていた拳銃を装備し、
その場を後にした。
「リフィーもいるけど…私は自分の命の方が大切なのよ…ごめんね」
【伊藤文子 死亡】
【本庄忠朝 死亡】
[残り40人]
【一日目/早朝/D-5住宅街】
【皐月眞矢】
[状態]良好
[装備]レイ・ブランチャードの拳銃(10/14)
[持物]基本支給品一式、レイ・ブランチャードの拳銃マガジン(3)
コルトパイソン(1/6)、.357マグナム弾(18)、皐月眞矢のナース服
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:友人(藤堂リフィア)には出来れば会いたくない。
[備考]
※特に無し。
※D-5一帯に銃声が響きました。
※D-5住宅街路上に本庄忠朝と伊藤文子の死体、二人のデイパック(どちらも
基本支給品一式入り)が放置されています。
- 437 :私の殲滅華 ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 16:12:02
- ----
≪支給品紹介≫
【皐月眞矢のナース服】
皐月眞矢に支給。
ちょっと透けてるエロいコスプレ用ナース服。
裸の上に身に着けているため眞矢の匂いが良く染み付いている。
≪キャラ紹介≫
【名前】皐月眞矢(こうづき・まや)
【性別】女
【年齢】18
【職業】高校生、ピザ屋でバイト
【身体的特徴】黒髪ポニーテール。中々スタイルが良い。
学校の制服である青いベストにスカート着用
【性格】間延びしている
【趣味】コスプレ、古書店漁り
【特技】中学まで剣道をかじっており、それなりに剣術が出来る
【経歴】両親と祖父母、姉、妹のいる家庭で育つ
【好きなもの・こと】コスプレ
【苦手なもの・こと】跳び箱
【特殊技能の有無】一般人
【備考】藤堂リフィアはクラスメイトであり友人
----
- 438 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/22(月) 16:12:37
- 投下終了です。
- 439 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/25(木) 20:46:30
- 規制解除されないよーなのでこちらに投下
新訳俺オリロワ 21話:「友」
登場:高原正封、藤堂リフィア、久保遼平
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21話:「友」
道無き道、と言うよりただの森を、コンパスを頼りに狐の青年、
高原正封は突き進む。
「…迷ったんじゃないだろうな…」
しかし目印も何も無いこの緑深い森の中、コンパスを使っているとは言え、
本当に自分が前進しているのかどうかも怪しい。
最悪、ただ同じ所をぐるぐると回っている恐れさえある。
何としても森を抜けたいと思う正封。
「……!」
その時、前方数十メートル先、木々の間に何かが見えた。人影だ。
息を殺し、気付かれないように人影に近付く。
右手のリボルバー拳銃、スタームルガーGP100のグリップを握る力が強まった。
(あれは…)
人影――他参加者は二人おり、どちらも正封に背を向け、気付いている様子は無い。
また、正封はその内の一人を知っていた。
(……会っちまったか。だけど、もう後には引き返せない……)
正封は自分に背を向けて森を進む二人にゆっくりと近付き始めた。
それは、自分の迷いを断ち切るためでもあった。
◆
灰色と白の毛皮を持ち、青いベストにスカートを着た狼獣人の少女、
藤堂リフィア(とうどう-)と、白いジャケットにジーンズ姿の青年、久保遼平(くぼ・りょうへい)は、
薄暗い森の中を市街地方面へ出るため歩いていた。
「…それにしても、良かったよ。最初に遭遇したのが、リフィアちゃんみたいな子で」
「そうですか?」
「殺し合いに乗ってる殺人鬼だったら俺どうしようかと思ってたし……」
二人はこの殺し合いが始まって程無く森の中で出会い、
互いに殺し合う気が無い事を確認し、脱出手段を探すために共に行動する事となった。
だがその前に森からの脱出が急務であった。
「それ、凄いね、直刀だっけ?」
「はい…使いこなせるかどうか分かりませんけど。久保さんも、
中々良い武器を支給されて良かったじゃないですか」
「いやぁ…俺も、銃なんて使った事無いしな……」
リフィアは直刀、遼平はクリップ装弾式の自動拳銃、ロス・ステアーM1907を装備している。
- 440 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/25(木) 20:47:27
- 「使いたくないなぁ」
「そうですね…私も、出来ればこれで人を斬るなんてしたくないですけど…」
「……」
しばらくの会話の後、二人は沈黙した。
「……?」
その時だった。リフィアが背後から妙な音がするのを聞いた。
嫌な予感がし、リフィアは後ろを振り向いた。
ダァン!
「がぁ…!」
直後、銃声が響き、リフィアの心臓を弾丸が貫通した。
銃創から鮮血が噴き出し、激しく吐血しながら、リフィアはうつ伏せに倒れた。
「……え?」
突然の銃声、そして突然倒れた同行者、そして――自分に銃を向ける友人の狐獣人の姿。
「た、高原…?」
「久保…」
「…な、何、してんだよお前…何で銃なんて向けんだ? 何で、何で――リフィアちゃんを、殺した!?」
信じられない状況に狼狽しながらも遼平は正封に問い質す。
正封は至って冷静な口調でその問いに答えた。
「リフィア…その女の子の事か…何でって……決まってるだろ。優勝するためだよ」
「お、お前…! こんなふざけた殺し合いに乗るってのかよ!? 俺や、戸高、冬月も殺すのかよ!?」
「……ああ。殺すさ。殺してやるよ! 全員!」
「――!!」
ダァン! ダァン!
二発の銃弾が遼平の胸元を撃ち抜き、血が噴き出し緑の草を赤く染めた。
遼平はその場にガクリと膝を突き、ゴホッ、と口から赤い液体を溢れさせた。
「…高原…何、でだよ…」
薄れ行く意識の中、遼平は、殺し合いに乗るはずが無いと思っていた、
自分と同行者を撃った友人に、問い掛けた。
「俺は……お前の、事…友達だ、と…思っ、て……」
「……」
「……ほ、本当の…お前、は……そ、そんな…奴じゃ……ない…だ、ろ……?」
ダァン!
更に一発の銃弾が、遼平の命の火をかき消した。
- 441 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/25(木) 20:50:02
- 「……」
正封はGP100の空薬莢を排出し、予備の弾を込めると、遼平の持っていた拳銃と、
デイパックの中からクリップにまとめられた予備弾を回収し、
狼の少女の持っていた刀には目もくれず、逃げるようにその場を立ち去った。
これでもう本当に引き返せない所に来てしまったと正封は嫌でも自覚する。
――俺は……お前の、事…友達だ、と…思っ、て……。
――……ほ、本当の…お前、は……そ、そんな…奴じゃ……ない…だ、ろ……?
「……くそっ」
今わの際の友人の言葉が、正封の頭の中で反響していた。
◆
森の中に二人の死体が横たわっていた。
いや、正確には一人であった。
と言うのも、もう一人は完全には死んでいない。仮死状態、とも言うべき状態なのだが、
意識はしっかりあった。
(…心臓、やられちゃった……しばらく動けないなぁ……)
僅かに空が見える、生い茂る葉を見上げながら、
意識だけははっきりとした、それ以外は死体と化している狼少女、リフィアは思った。
彼女は「不死身」であった。
心臓を刺されようが、喉を掻き斬られようが、車に撥ねられようが、
頭部が切り落とされるか身体を焼かれたりしない限り絶対に死ぬ事は無い。
どんなに悪くても仮死状態にしかならない、一億人に一人の特異体質である。
(……久保さん……折角仲間になれたのに……)
傍で本当に死んでいるであろう、同行者の青年を悼むリフィア。
(あの高原って人…久保さん、良い友達だって、話してたのに、
どうして……どういう気持ちか何て分からないけど……間違ってるよ……)
先程自分を撃ち――恐らく自分は死んだと思っているだろう――そして遼平を撃った、
狐獣人の青年の事は、遼平本人から他の二人の事と共に、リフィアは話を聞かされていた。
話の内容からは、遼平と高原は仲の良い友人だと窺えた。
なのになぜ――それ程自分だけが生きて帰りたいのだろうか。
この殺し合いに呼ばれている自分のクラスメイトであり友人の皐月眞矢も、
もしかしたら高原と同じ事になっているかもしれない。
(…皐月さん…殺し合いに乗ってたらどうしよう……ああその前に、
早く動けるようにならないかな……)
様々な不安を抱えながら、リフィアは身体の自由が利くようになるのを待つしか無かった。
- 442 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/25(木) 20:50:59
- 【久保遼平 死亡】
[残り39人]
【一日目/早朝/F-6森】
【高原正封】
[状態]良好、西へ移動中
[装備]スタームルガーGP100(6/6)
[持物]基本支給品一式、.357マグナム弾(9)、ロス・ステアーM1907(10/10)、
ロス・ステアーM1907装弾クリップ(弾薬10発入り×3)
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。もう迷わない。
1:誰であろうと殺す。
[備考]
※藤堂リフィアを死んだと思っています。
【藤堂リフィア】
[状態]銃撃による心臓損傷及び一時停止(治癒中)、仮死状態(意識はある)
[装備]直刀
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:動けるようになるのを待つ。
[備考]
※仮死状態のためしばらく動けません。意識はありますが喋れません。
※高原正封、戸高綾瀬、冬月蒼羅の情報を得ました。
※F-6一帯に銃声が響きました。
----
≪支給品紹介≫
【直刀】
藤堂リフィアに支給。
鍔の無い、真っ直ぐな刀身を持った刀。
【ロス・ステアーM1907】
久保遼平に装弾クリップ3個とセットで支給。
1907年にオーストリア軍に制式採用された自動拳銃。
ボルト式の動作機構やクリップを使用して装弾する方式など典型的な黎明期の自動拳銃である。
外見は不格好だが優れた拳銃。
- 443 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/25(木) 20:53:10
- ≪キャラ紹介≫
【名前】藤堂リフィア(とうどう・りふぃあ)
【性別】女
【年齢】18
【職業】高校生
【身体的特徴】銀色と白の狼獣人。巨乳。
【性格】温厚、若干天然。だが芯は強い
【趣味】小説執筆
【特技】動体視力が高い
【経歴】外国人の母を持つ。
【好きなもの・こと】ハンバーグ
【苦手なもの・こと】長時間の運動
【特殊技能の有無】生命力が尋常では無い。首を切り落とされるか脳を破壊されるか
焼き殺されるかでもしない限り死ぬ事は無い。但し一定以上のダメージを受けると意識を保ったまま
仮死状態になる。また痛みに対して類まれな耐性を持っている
【備考】通称「リフィー」。皐月眞矢はクラスメイトで友人。
【名前】久保遼平(くぼ・りょうへい)
【性別】男
【年齢】20
【職業】大学生
【身体的特徴】黒髪、中肉中背。白いジャケットにジーンズを着ている。
【性格】人当たりは良いが怠惰な面がある
【趣味】ゲーセン通い
【特技】これと言って無し
【経歴】高校時代にバスケ部に所属していた
【好きなもの・こと】ドライブゲーム
【苦手なもの・こと】朝
【特殊技能の有無】一般人
【備考】高原正封、戸高綾瀬、冬月蒼羅は大学の友人
----
- 444 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/25(木) 20:54:49
- 投下終了です。安西先生…本スレに…投下したいです…
- 445 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 03:14:29
- いまだ規制解除されないよーなのでこちらに投下
新訳俺オリロワ 22話:隠れていれば安全……とは限らない
登場:勤武尚晶、フォナ・アンシュッツ、平池千穂
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
22話:隠れていれば安全……とは限らない
廃村の、とある廃家の土壁に真っ赤な液体が大量に付着した。
くすんだ白色だった壁が赤く染め上げられる。
壁のすぐ下の地面には、胴体と首が泣き別れになった少女の死体が転がっていた。
胴体から少し離れた所に転がる頭部が浮かべる表情は恐怖そのもの。
「……」
青い髪に赤い鉢巻を巻いた青年――勤武尚晶(きんぶ・なおあき)は、
血の付いた刀身を少女の衣服で拭き取る。
大勢の人間や獣人、獣を最後の一人が決まるまで殺し合わせるこの狂気のゲーム・バトルロワイアル。
だが彼にとって、人を殺す事など日常茶飯事であった。
闇に紛れての辻斬り、政治家や犯罪組織の用心棒、傭兵紛いの仕事。
今まで尚晶が斬り捨ててきた人間は、恐らく百を超える。
そんな彼がこの殺し合いを享受するのは、ある意味で当然の流れだった。
故に廃村で発見した青髪の少女を殺害した。
――嫌だ! 死にたくない! お願いです、何でもしますから、命だけは――
少女の最期の言葉である。
命乞いをされても、尚晶にはそれを受け入れる選択肢など持っていない。
「……」
少女のデイパックを漁る。
中からは基本支給品一式と催涙スプレーが出てきた。
尚晶は軽く溜息をつく――決して残念がった訳では無く興味のある物が無かったため――と、
立ち上がり、廃村内の探索に乗り出した。
すぐ近くの、倉庫と思しき小屋。
その中で、青髪の青年による凶行の一部始終を、小さな穴から目撃した
黒いブレザーを着た少女、平池千穂(ひらいけ・ちほ)は震えながら息を潜めていた。
(冗談でしょ…!? あんな危険な人が…いるなんて!)
何の躊躇も無く、命乞いをする少女の首を刎ねた青い髪に赤い鉢巻を巻いた
若い人間の男。どうやら運良く自分には気付かなかったようだが、
まだ近くをウロついていると思うと千穂は恐怖した。
見付かったら確実に、殺される。
(お、落ち着いて、落ち着くのよ私。あの男は私には気付いてない。
だから、じっとここであの男が遠くに行くのを待つのよ)
千穂は自分の心を必死に落ち着かせ、自分なりに最善の策を考える。
下手に動くとあの男に発見される危険性が高い。
今はこの倉庫の中でじっと息を潜めるべきだと千穂は判断した。
それは男が自分に気付いていないと千穂が思っていたためである。
(そう言えば、伊賀さんに中村さん、大丈夫かな…早く会いたい)
殺し合いに呼ばれている二人のクラスメイトの事を考える。
- 446 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 03:15:49
- ドスッ
だが、その思考は中断された。そして、そのまま二度と再会される事は無かった。
千穂の額から、刀の刀身が生えていた。
◆
「……」
倉庫の引き戸越しに、試しに刀を刺した所、どうやら読みは当たっていたようだ、と、
尚晶は倉庫の引き戸を開け、外に向かって倒れた黒いブレザーを着た少女の死体を
見下ろしながら思う。
この倉庫からは何となく人の気配はしていたが一度は素通りしようとした。
だが気になったため、引き返し、そして現状に至る。
先程の青髪少女の時と同じく少女のデイパックを漁る。
中には自動拳銃スタームルガーP85と予備のマガジンが入っていた。
銃は得意では無かったが、持っていれば何かしらの役には立つと、
尚晶はP85とマガジン3個を自分のデイパックに押し込んだ。
「……」
そして改めて廃村内の探索に向かった。
【フォナ・アンシュッツ 死亡】
【平池千穂 死亡】
[残り37人]
【一日目/早朝/G-7廃村】
【勤武尚晶】
[状態]良好
[装備]九五式軍刀
[持物]基本支給品一式、スタームルガーP85(15/15)、スタームルガーP85マガジン(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:廃村内の探索。
[備考]
※特に無し。
※G-7廃村にフォナ・アンシュッツの死体(首切断)、フォナ・アンシュッツのデイパック
(基本支給品一式、催涙スプレー入り)、平池千穂の死体、平池千穂のデイパック
(基本支給品一式入り)が放置されています。
- 447 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 03:16:39
- ----
≪支給品紹介≫
【九五式軍刀】
勤武尚晶に支給。
昭和10年(皇紀2595年)に下士官兵用の三十二年式軍刀の後継として開発された軍刀。
実戦に耐えうるよう頑丈に設計されている。
本ロワに登場するのは柄や鞘が金属製の初期型。
【催涙スプレー】
フォナ・アンシュッツに支給。
相手の視力を数分間奪う事の出来るガスを発射するスプレー。
護身用具として広く普及している。
【スタームルガーP85】
平池千穂にマガジン3個とセットで支給。
スタームルガー社が1987年に発売した自動拳銃。
価格が安いにも関わらず頑丈で、安全面でも必要十分な機能を備えている。
≪キャラ紹介≫
【名前】勤武尚晶(きんぶ・なおあき)
【性別】男
【年齢】20代後半?
【職業】人斬り
【身体的特徴】青い髪に赤い瞳、身長は178㎝と高め、整った顔立ち。
頭に赤い鉢巻、白い半袖のカッターシャツに濃い灰色のズボン、革靴
【性格】冷静、無口
【趣味】不明
【特技】剣術(超一流)
【経歴】赤子の時に孤児院の前に捨てられていたのを保護される。
12歳の時にその孤児院から突如失踪し、現在に至る。
実は人間の売春婦と野良の妖狼との間に生まれたハーフで、純粋な人間では無い。
青い髪と人間の身体は母親、赤い瞳は父親である妖狼譲り。
人間と妖狼の間に子供が出来るのは極めて稀なケースでもある
【好きなもの・こと】不明
【苦手なもの・こと】不明
【特殊技能の有無】常人を遥かに上回る運動能力
【備考】別名「人斬り勤武」。多くの辻斬りを働き、またその剣の腕から武装組織、
犯罪組織、政府高官等から傭兵或いは用心棒として雇われる事も多い。
人斬りになった原因については謎が多い。
名前の「勤武尚晶」は、苗字が彼を保護した孤児院職員の一人から、
名が孤児院職員一同で考えて付けられた。
なお、剣術一辺倒では無く、場合によっては銃も使う(腕は良くない)
【名前】フォナ・アンシュッツ
【性別】女
【年齢】16
【職業】魔法使い、薬師
【身体的特徴】青い艶やかな長髪、童顔だが身体は魅力的。
白い丈の短いローブに革製のニーソ状の履物、編上靴
【性格】ドジっ娘(笑)
【趣味】薬の調合
【特技】薬品の調合により治療薬、毒薬、爆薬などが作成可能
【経歴】12歳の時に薬師だった両親を戦災で亡くし、以来一人で主に薬師として生計を立ててきた。
しかしやはりそれだけでは生活は苦しいようで、魔法能力を利用して傭兵紛いの事もやったり、
身体を売った事も一度や二度ではない(避妊用の魔法を掛けて凌いでいたらしい)
【好きなもの・こと】目玉焼き
【苦手なもの・こと】身体を売る相手の男が明らかに嫌な奴だった場合
【特殊技能の有無】炎系、氷系、雷系の攻撃魔法、及び低級ではあるが回復魔法を行使、
だが本ロワでは封印されている
【備考】レイ・ブランチャード、エルザ・ウェイバー、エイミス・フロリッヒャーは
同じ冒険者ギルドの知人
【名前】平池千穂(ひらいけ・ちほ)
【性別】男
【年齢】18
【職業】高校生、バスケ部所属
【身体的特徴】黒髪ストレートヘアの美少女、身体付きは普通。
学校の制服である赤ネクタイ付きの黒っぽいブレザーとスカートに白い靴下着用
【性格】明るい
【趣味】小説執筆(主に恋愛系)
【特技】ジャンプ力がある
【経歴】至って平穏に育った
【好きなもの・こと】アイスクリーム
【苦手なもの・こと】夜の道
【特殊技能の有無】一般人
【備考】伊賀榛名、中村アヤはクラスメイト
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- 448 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 03:17:19
- 投下終了です。
- 449 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 19:20:13
- 全く規制解除されないよーなのでこちらに投下
新訳俺オリロワ 23話:立沢義の憂鬱
登場:立沢義、本間秀龍
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23話:立沢義の憂鬱
虎の耳に尻尾を持った女物のスーツ姿の女性、立沢義(たちざわ・よし)は
病院と思しき建物の中を支給品であるSVS-1936自動小銃を構えながら探索していた。
病室一つ一つ見て回るのは正直言ってかなり骨の折れる作業だが、
大切な生徒がいるかもしれないという思いから義は作業を続ける。
「平崎君、香瀧君、石川君…みんな無事だと良いけれど…。
どこにいるのかしら……」
殺し合いに呼ばれた教え子の名前を呟きながら、義は病室を見て回る。
そしてある病室の扉――この病院の扉は窓は無く木製の扉になっている――を
開けた直後。
「グォォウ!」
「え?」
雄叫びが聞こえたのと同時に義の顔に何かが掛かった。
とても粘っこく、生臭く、白く濁った色をしていた。
「……あ」
「……」
呆然とする義は、前方、病室のベッドの上にいる竜人体型の雄竜を発見する。
黒と白の身体を持った雄竜は驚愕の表情を浮かべ固まっていた。
大きく股を広げ、そこには先端から先程義の顔に掛かった液体を噴き出す、
いきり立った雄の――――。
「こ…この変態がああああああああああああ!!!」
「ま、待ってえええぎゃあああああああああああ!!!」
◆
「すみませんでした、本当に」
「…もう良いわよ」
顔を病室内で発見したタオルで拭きながら、義は不機嫌そうに返事をする。
冷たい床に土下座をする黒と白の竜――本間秀龍(ほんま・ひでたつ)は、
ただひたすらに義に詫び続けた。
病室内には幾つかの銃弾の跡が残り、秀龍自身も致命傷では無いが
腹部に一発食らっていた。義による怒りの発砲によるものである。
「その…支給品に、あの、俺好みのエロ本があったんで…誰もいないと思って」
「エロ本が支給されたの…?」
「い、いや、エロ本ともう一つ、大型のリボルバーと予備弾が入ってました」
「そう…」
エロ本が入っていたからと言って殺し合いの最中に自分を慰めるのはどうだろうか。
心の中で雄竜に呆れる義。
- 450 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 19:24:26
- 「それで? 本間秀龍さんだったっけ?」
「は、はい」
「あなたは殺し合いをする気はあるの?」
「…いえ、無いです。他人殺してまで生き残ろうとは思ってませんし…」
「それじゃあ…私と一緒に来てくれない?」
「え?」
「私…高校で教師をしているんだけど…大事な教え子が三人呼ばれてるのよ。
その子達を捜して…何とかしてこの殺し合いから脱出したいの。だから、協力して欲しいのよ」
正直、顔に雄の種を掛けられるという女性として最悪の行為をされた事は
許す気にはなれなかったが、今はそんな事を言っている場合でも無い。
秀龍が殺し合う気は無いならば是非とも仲間になって貰いたかった。
教え子三人の捜索、首にはめられた爆弾内蔵の首輪の解除方法の捜索、
そして殺し合いからの脱出を目指すには自分一人の力では無理があるためだ。
「た、立沢さん…顔に○液掛けた俺が同行していいんですか」
「その事は言わないで…もう忘れたいから」
「すみません」
「あなたが殺し合う気が無いなら良いわ…」
「……分かりました。俺もこんな殺し合い嫌ですからね、一緒に、頑張りましょう」
秀龍は先程の自分のしでかした事への負い目もあってか、
義の申し出を受け入れる事にした。
「ありがとう、本間さん」
「ええ、いや……」
「……取り敢えず、病院内を見て回りましょうか。その途中で教え子達の事も話すわ」
「そうですね」
ハーフの虎獣人の数学女教師と、竜人体型竜種のとある教会の警護竜は、
共にこの殺し合いから逃れる術を探す事になった。
「…本間さん」
「はい?」
「いい加減しまって、それ」
「……!! す、すみません!」
「手洗ってね」
「はい…」
義に指摘され、収納口から飛び出したままのナニを秀龍は急いでしまった。
(…何か不安)
もしかしたら仲間にすべき人物を間違えたかもしれないと、義は心の中で若干後悔していた。
- 451 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 19:25:21
- 【一日目/早朝/F-3病院3階】
【立沢義】
[状態]良好
[装備]SVS-1936自動小銃(7/15)
[持物]基本支給品一式、SVS-1936自動小銃マガジン(5)
[思考・行動]
基本:教え子(平崎吉治、香瀧宏叔、石川昭武)の捜索及び脱出手段の模索。
1:本間秀龍と行動。
[備考]
※特に無し。
【本間秀龍】
[状態]腹部に銃創(応急処置済)
[装備]S&WM500(5/5)
[持物]基本支給品一式、.500S&W弾(10)、エロ本(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。
1:立沢義と行動。
[備考]
※特に無し。
※F-3病院周辺に銃声が漏れました。
----
≪支給品紹介≫
【SVS-1936自動小銃】
立沢義にマガジン5個とセットで支給。
1936年に旧ソ連が採用した自動小銃。使用弾薬や構造上の問題で
作動不良が多く信頼性は低かった。
【S&WM500】
本間秀龍に.500S&W弾10発とセットで支給。
S&W社が「世界最強の拳銃」として2003年に発表した超大型リボルバー拳銃。
威力も反動も凄まじく下手に撃つと射手が危険。
【エロ本】
本間秀龍に5冊セットで支給。
読んで字の如く。
- 452 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 19:26:11
- ≪キャラ紹介≫
【名前】立沢義(たちざわ・よし)
【性別】女
【年齢】33
【職業】高校数学教諭
【身体的特徴】ハーフの虎獣人。赤みがかった髪に虎の耳と尻尾、
二十代前半に見え巨乳でスタイル抜群、スーツ姿だが、実は
虎柄のビキニを着けている
【性格】思いやりがあり優しい
【趣味】料理
【特技】暗算
【経歴】高校で数学の教師を務めている。分かりやすいと評判
【好きなもの・こと】カレーライス、教え子
【苦手なもの・こと】豆腐
【特殊技能の有無】 数学教諭なのでそれなりに数学的思考力は高い
【備考】平崎吉治、香瀧宏叔、石川昭武は高校の教え子
【名前】本間秀龍(ほんま・ひでたつ)
【性別】男
【年齢】24
【職業】とある有名教会の警護竜(要は竜の警備員)
【身体的特徴】黒と白の身体を持つ竜人体型の竜。引き締まった身体
【性格】やや軽いが基本的に善人
【趣味】ネットでエロ画像集め
【特技】剣術がそれなりに上手い、射撃もそれなり
【経歴】至って平穏に育つ
【好きなもの・こと】人間の女性のエロ画像、焼き鳥
【苦手なもの・こと】騒音
【特殊技能の有無】人間より体力、生命力は強い
【備考】勤務先の教会の聖堂で自慰をした事がある(今の所バレてはいない)
----
- 453 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/27(土) 19:26:54
- 投下終了です 巨乳キャラ多いのは仕様
- 454 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/28(日) 19:59:00
- 投下します。新訳俺オリロワ24話:絶望の末の行動はやはり絶望そのもの
登場:セルゲイ・ルシコフ、平沢まりな、水鏡名雪
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
24話:絶望の末の行動はやはり絶望そのもの
「う…うぇ…え」
「……」
健康センター二階のトイレで、少女、平沢まりな(ひらさわ-)と、
青みがかった銀色と白の毛皮を持った巨躯の狼、セルゲイ・アナトーリエヴィチ・ルシコフは、
個室内で自殺したと思われる女性の死体を発見していた。
胸元に穴が空き、床に拳銃が転がっている。
「…こ、こんな…こんなのって…さっきまで…この人、生きてたんだよね…?」
「さっきの銃声が聞こえる、までは、ね…多分」
二人で健康センター内を探索していた時、突然銃声が響いた。
外からなどでは無くセンターの中からだった。
セルゲイが血の臭いを嗅ぎ取り、そしてそれを辿って行った結果、死体を発見した。
「…これは」
凄惨な死体に耐え切れず嘔吐するまりなに代わり、
セルゲイが女性の死体の傍に置かれたメモ帳を発見し近付く。
開いてみると、それは予想通り、遺書であった。
----
私は殺し合いなんて出来ない。この支給された銃で他人を殺して
生き延びるなんて真似とても出来そうに無い。
でも、殺されるのも嫌。脱出も望めないなら、
自分から自分の人生の幕を引く。
死ぬのは怖い。怖いけど、もうどうしようも無い。
お母さん、お父さん、今まで育ててくれてありがとうございました。
先立つ娘をお許し 下さい
美雪 俊哉 お姉ちゃんの こと わすれないで
ごめんね
みんな さようなら
----
最後の文の後には「水鏡名雪」と名前が書かれていた。
この女性の名前だろう。後半は泣きながら書いたのか、字が震え、
雫の跡が残っていた。
覚悟の上での自殺だった事は間違いないようだ。
美雪、俊哉とは妹、弟の名前だろう。
セルゲイは少し気が引けたが、女性が自殺に使ったと思われる自動拳銃、
FNブローニング・ハイパワーを拾い、また女性のデイパックから予備のマガジンも回収した。
- 455 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/28(日) 20:02:23
- 「まりな」
「う…セルゲイ…」
「大丈夫かい…?」
「だ…大丈夫……」
「余り長居はしない方が良いね…早く出よう」
「し…死体はどうするの…?」
「…片付けている余裕も無いし、残念だけど放っておくしかないね…」
「…分かった」
後ろ髪を引かれる思いだったが、セルゲイとまりなはトイレから出た。
セルゲイは炸裂手榴弾3個、まりなは何と手持ち携帯扇風機が支給品だった。
「これ…さっきの女の人が持ってた銃…まりなにあげるよ」
「あ…ありがとう…」
セルゲイはブローニング・ハイパワーと予備マガジンをまりなに手渡す。
彼の体型では拳銃を扱うのは難しい。
それに、セルゲイは素手でも一応戦えるがまりなはそうは行かない。
武器がなければまともに戦う事も出来ないだろう。
「……もう少し、探索してみようか」
「そうだね……」
セルゲイとまりなは健康センター内の探索に戻った。
【水鏡名雪 死亡】
[残り36人]
【一日目/早朝/A-5健康センター2階】
【平沢まりな】
[状態]死体を見て気分が悪い
[装備]FNブローニング・ハイパワー(12/13)
[持物]基本支給品一式、FNブローニング・ハイパワーマガジン(3)、手持ち携帯扇風機
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:セルゲイと行動。健康センター内の探索。
[備考]
※特に無し。
【セルゲイ・ルシコフ】
[状態]良好
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、炸裂手榴弾(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。脱出手段を探す。
1:平沢まりなと行動。健康センター内の探索。
[備考]
※特に無し。
※A-5健康センター2階女子トイレに水鏡名雪の死体、水鏡名雪のデイパック
(基本支給品一式入り)が放置されています。
- 456 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/28(日) 20:04:13
- ----
≪支給品紹介≫
【FNブローニング・ハイパワー】
水鏡名雪にマガジン3個とセットで支給。
天才銃工ジョン・ブローニングが晩年に設計し、
その死後FN社の技術陣によって1934年に完成した自動拳銃。
開発当時としては装弾数が13発と多かった事から「ハイパワー」と名付けられた。
【炸裂手榴弾】
セルゲイ・ルシコフに3個セットで支給。
普通の手榴弾。安全ピンを抜いて投げ付け爆発させる。
【手持ち携帯扇風機】
平沢まりなに支給。
小型の扇風機で持ち運び易いが余り涼しく無い。
≪キャラ紹介≫
【名前】平沢まりな(ひらさわ-)
【性別】女
【年齢】17
【職業】高校生
【身体的特徴】青髪サイドテールの美少女。胸はかなり大きい。
学校の制服である白と黒の可愛いデザインのセーラー服着用
【性格】臆病だがそれを無理して隠そうとする
【趣味】インターネット
【特技】ブラインドタッチ(かなり早い)
【経歴】中学生の時飼い犬を目の前でひき逃げされた事がある
【好きなもの・こと】シチュー
【苦手なもの・こと】体育
【特殊技能の有無】一般人
【備考】「パンツをはかない健康法」というものを行おうとしているらしい。
本ロワではちゃんとはいている
【名前】セルゲイ・ルシコフ(セルゲイ・アナトーリエヴィチ・ルシコフ)
【性別】雄
【年齢】23(妖狼は人間と年の取り方が同じ)
【職業】無職
【身体的特徴】青みがかった銀色と白の巨躯の狼、筋肉が引き締まり、
タテガミフサフサ
【性格】柔和
【趣味】これと言って無し
【特技】ある程度爪牙で戦える
【経歴】不明
【好きなもの・こと】鶏肉
【苦手なもの・こと】ハンター
【特殊技能の有無】人間より体力、生命力は強い
【備考】旧ソ連風国家から日本風国家に観光(密航で)に来ていた所、
今回の殺し合いに巻き込まれてしまった不幸な狼君。
日本語をほぼ完璧にマスターしている
----
- 457 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/28(日) 20:05:25
- 投下終了です。
- 458 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/28(日) 20:22:47
- 水鏡名雪のプロフィール入れ忘れてたので これにて本当に投下終了です
【名前】水鏡名雪(みずかがみ・なゆき)
【性別】女
【年齢】25
【職業】通訳
【身体的特徴】茶色の長い髪の美人。私服の茶色いジャケットに濃い緑のスカート着用
【性格】穏やか
【趣味】朝風呂
【特技】英語、中国語、ロシア語など数ヶ国語に通ずる
【経歴】幼い頃から世界を旅したいという夢を持ち通訳になった
【好きなもの・こと】世界各地の名所見学
【苦手なもの・こと】飛行機(我慢して乗っている)
【特殊技能の有無】頭は良いがそれだけ
【備考】元はセルゲイの通訳要員だったが色々あり没になった
- 459 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/29(月) 22:23:22
- 投下します。新訳俺オリロワ25話 酔っ払いはマジ勘弁
登場:ライゲ、葛葉美琴、アルソンズ・ベイル
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
25話:酔っ払いはマジ勘弁
「うぃ〜。ヒック……ろみすぎらなぁ……」
完全に呂律が回らなくなった言葉を発しながら、
金髪を持った緑の雌竜、ライゲは千鳥足で市街地を歩く。
ゴクゴクと、ワインの瓶を口に運び惜しげも無く飲む。
「ぷは〜っ! え、えものはいらいろかれぇ〜」
据わった目で辺りを見渡すライゲ。
「むにゃっ!」
しかし、何も無い所でつまずき、アスファルトの上に転んでしまう。
その拍子に身体のあちこちを擦り剥くが、酩酊状態の彼女は余り痛みを感じなかった。
「あぅ〜。転んじゃったぁ……う〜……おしっこしたい……」
ワインの飲み過ぎでライゲは尿意を催すが、便所を探すのは今の彼女にとって、
酷く面倒な事に感じられた。
「…良いやぁ。ここでしちゃお〜」
そして正常な判断力も低下していたライゲの脳は羞恥心をも薄れさせ、
あろう事か道路のど真ん中で用を足すと言う選択肢を選ばせてしまった。
◆
狐獣人の少女、葛葉美琴とコート姿の外国人の壮年の男、アルソンズ・ベイルは、
互いの知り合い、そして殺し合いに乗っていない参加者を集めるために市街地を歩いていた。
殺し合いが始まって既に二時間経過しているが、死者は何人出ているのだろうか。
(四宮さんに朱雀さん、大丈夫かな…)
(〈ハワードの奴、もう殺されてるんじゃないだろうな…〉)
双方、知り合いの無事を祈りつつ、とある曲がり角を曲がった。
「あれ…? 誰かいる」
「〈誰かいるな…あれは…竜か、それも雌の〉」
二人は路上の中央でしゃがみこんでいる金髪を持った緑色の
竜人体型の雌竜を発見した。
こんな殺し合いの最中、見晴らしの良い道路の真ん中で、なぜしゃがんでいるのだろうか。
疑問に思った二人がその雌竜に近付いた。
「〈おい、君〉」
アルソンズが英語で話し掛ける。
だがそこで二人はある事に気付く。
アスファルトの上に液体が広がっている。黄色っぽい液体。
僅かに漂うアンモニア臭。そして雌竜の股の付け根の部分からその液体が
流れ出ていた。
「〈……!〉」
「ちょ…! あ、あなた、何してるの?」
明らかに雌竜は用を足していた。こんな道路の真ん中で。
衝撃的な光景に美琴もアルソンズも少し驚いた。
- 460 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/29(月) 22:23:59
- 「……んにゃ、あらたらちられぇ? ヒック…」
二人にやっと気付いた雌竜――ライゲが相も変わらず据わった目で二人を見る。
「〈酒臭いな…こいつ、相当酔ってるぞ〉」
「〈酔っ払いですか……嫌だなぁ……〉」
相手が酒に酔っていると分かり、美琴もアルソンズも余り関わりたくないという表情を浮かべた。
用を足し終えたライゲがふらふらと立ち上がり、ロングソードを片手に二人に近付く。
「…らによぉ、いいれしょ別に、おしっこしらってぇ!」
「〈あ…いや、あのな〉」
「うわっ、酒臭…!」
「…れも、丁度良かっらぁ」
「〈……ん? 何だって?〉」
次の瞬間、アルソンズの身体が袈裟に斬られ、鮮血が辺りに飛び散った。
アルソンズ本人は何が起きたか理解する間も無く、意識が途絶えた。
すぐ隣にいた美琴も一瞬何が起きたのか分からなかったが、雌竜が血の付いた長剣を
手にしているのを見て、すぐに理解した。
「う……あ……ああああ!?」
「ヒック! 丁度ぉ良いろよぉ、おしっこしてたらぁ、獲物が、ヒック…かかっれきらんらからぁ!」
ライゲは興奮した様子で、美琴にロングソードを振り上げた。
ガキィン!
「なっ……」
「こ、こんな所で、死にたくない…!」
だが、寸での所で美琴は持っていたピッケルでその刃を受け止める。
「うぎぃ…! さっさとぉ、死になさいよぉ!」
酒臭い息が美琴の顔に掛かり、美琴は嫌悪感を覚える。
ギチギチと、ピッケルの柄とロングソードの刃が鍔競り合う音が響く。
このまま膠着状態が続くのかと思われたが――――。
「そぉい!」
「ぎゃんっ!?」
美琴がライゲの柔らかい腹に革靴による渾身の蹴りを入れた。
全く無防備な、竜種の弱点とも言える柔らかな腹に固い革靴の底での一撃を入れられて、
無事で済むはずが無い。酔っていて感覚が平時より鈍っているとは言え、
その効果は大きかった。
「ぐ…あ……」
ロングソードを落とし、ライゲが腹を抱えて悶える。
- 461 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/29(月) 22:25:07
- 「……っ!」
この機を逃すまいと、美琴はライゲに背を向け、東方面へと全速力で走り去った。
(アルソンズさん…ごめんなさい…!)
たった二時間程とは言え殺し合いの中共に行動した作家の壮年紳士の死体を
放って逃げるのは忍び無かったが、自分の命まで失っては元も子も無い。
辛い気持ちを我慢し、美琴はただひたすらに走った。
後に残されたのはアルソンズの死体とその所持品、そして腹を擦る酔っ払い雌竜、ライゲ。
ライゲはギリギリと牙を鳴らしながら、美しい顔を怒りに歪めた。
「舐めやがって…! 今度会ったら食ってやる…あの狐ぇ…! ヒック」
【アルソンズ・ベイル 死亡】
[残り35人]
【一日目/朝方/F-2市街地】
【葛葉美琴】
[状態]悲しみ、F-3方面へ走行中
[装備]ピッケル
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いから脱出する。四宮勝憲、朱雀麗雅の捜索。
1:酔っ払い雌竜(ライゲ)から逃げる。
2:首輪を何とかして外したい。
[備考]
※ジョン・ハワードの情報を得ました。
※英語が喋れます。
※ライゲ(名前は知らない)の外見を記憶しました。
【ライゲ】
[状態]酩酊状態、腹部にダメージ、身体中に擦り傷、葛葉美琴に対する怒り
[装備]ロングソード
[持物]基本支給品一式、ロープ、高級ワインボトル(1)
[思考・行動]
基本:みんらころひれやる〜!www
1:あの狐ぇ(葛葉美琴)…許さならひ…! あの狐を追う…?
[備考]
※酩酊状態のため、正常な判断力が鈍っています。また、痛みを感じにくくなっています。
※葛葉美琴(名前は知らない)の外見を記憶しました。
※F-2市街地路上にアルソンズ・ベイルの死体、アルソンズ・ベイルのデイパック、仕込杖、
(基本支給品一式、エアソフトガン(BB弾20/20)、BB弾300発)が放置されています。
- 462 : ◆ymCx/I3enU:2010/11/29(月) 22:25:52
- 投下終了です。ホント酔っ払いは勘弁
- 463 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/01(水) 22:06:12
- 投下します。新訳俺オリロワ26話 オヤジはそんな高位存在だったのか
登場:川田喜雄、石川昭武
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
26話:オヤジはそんな高位存在だったのか
「おーい、そこの!」
「……あ」
市街地を宛ても無くウロついていたオヤジ、川田喜雄は、
灰色のブレザーを着た青い狼獣人の青年を発見し躊躇無く声を掛けた。
青年――石川昭武は少し驚いた様子で自分に近付いてくる中年男性を見た。
「……何、ですか?」
「いや、突然で悪ぃな。お前、この殺し合いに乗っているか?」
「……」
殺し合いに乗っていると思っているならわざわざ声を掛けるだろうか。
そう思いながら昭武は喜雄の問いに答えた。
「…乗ってませんよ…でも」
「でも…何だ?」
「……」
昭武は少し間を置いてから、言った。
「一人、殺した…」
「な…!?」
喜雄の表情が強張った。この状況下で嘘を言うとも思えない。
たった今殺し合いには乗っていないと言っていたが。
「…殺されそうになって…無我夢中で……それで……」
「…ああ……そう言う事か……」
青年の話を信じるのであれば、殺されそうになり、その相手を逆に殺してしまったらしい。
それならば十分に正当防衛の範囲である。青年の話が真実であれば、の話だが。
真実かどうかは確かめようが無かったが、喜雄には青年がどうしても、
殺し合いに乗っているようには見えなかった。
「……殺されかけたんだろ? だったらそりゃ正当防衛だ。余り気に病むなよ…って言っても、
無理、だよな……」
「……ありがとうございます。ちょっと楽になりました……」
自分の命を守るためとは言え、人を一人殺してしまった罪悪感に
苛まれていた昭武にとって、この見知らぬオヤジの言葉は大きな救いとなった。
罪悪感が消えて無くなる、までは行かなかったが、だいぶ和らいだ。
「…俺は川田喜雄っつーんだ。川田屋って食堂やってんだよ」
「…石川昭武です。高校生です」
「そうか。あ、敬語じゃなくていいぜ」
「……分かった」
「なぁ昭武よ。折角だし一緒に行動しねぇか?」
「……ああ。良いよ。宜しく川田さん」
◆
- 464 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/01(水) 22:11:17
- 近くのオフィスビルの中に入り、喜雄と昭武は互いの支給品や、
知り合いの事を話し合った。
「分かった。お前の知り合いは香瀧宏叔、平崎吉治、立沢義の三人だな?」
「ああ。それで、川田さんは志水セナって子の一人だけか…」
「そうだ…だけど、正直言って会いたくねぇんだよなぁ。
こういう殺し合いにやる気になってそうな気がしてならねぇんだよあいつ」
「そうなのか…?」
「……まあ、とにかくだ……脱出しようにも首輪をどうにかしなくちゃいけねぇよな」
そう言いながら喜雄は首輪に触れる。
「爆発するって言ってたしな、主催者…だけど、どうすればいいんだろう」
「機械に詳しそうな奴捜して何とかして貰うしかねぇだろ。
ただ…都合良くそんな奴いるかどうか分かんねぇし、それに、
首輪の構造がそんな簡単とも思えねぇけど……だがこんな殺し合いに乗るよか
ずっとマシなはずだ。そうだろ?」
「…そうだな」
ほぼ喜雄が主導する形で今後の基本行動方針が決まる。
そして二人は地図を広げ、行き先をエリアF-3の病院に決定した。
と言うより現在位置と思われるエリアG-2周辺には、
廃工場と病院ぐらいしか目立つ建物が無かったのだが。
廃工場に行っても何も得られそうな気がしなかったため病院を選んだ。
「それじゃ行ってみっか?」
「ああ…」
喜雄と昭武は荷物を纏め、病院へと向かい始めた。
- 465 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/01(水) 22:12:40
- 【一日目/朝方/G-2市街地】
【川田喜雄】
[状態]良好
[装備]FNポケットモデルM1906(6/6)
[持物]基本支給品一式、ポーション(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出を目指すが自分の命最優先。店の常連客志水セナは放置。
1:石川昭武と行動。病院へ向かう。
[備考]
※香瀧宏叔、平崎吉治、立沢義の情報を得ました。
【石川昭武】
[状態]良好、スピードリングにより素早さ上昇中
[装備]Nz75(15/15)、スピードリング
[持物]基本支給品一式、Nz75マガジン(2)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしないが自衛のためなら戦う。
1:川田喜雄と行動。病院へ向かう。
2:友人二人(平崎吉治、香瀧宏叔)、学校の先生(立沢義)と合流したい。
[備考]
※志水セナの情報を得ました。
- 466 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/01(水) 22:13:18
- 投下終了です。規制がぁ…解けない…解けない…。
- 467 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/03(金) 23:59:18
- 投下します。新訳俺オリロワ27話 EVE〜逃亡劇〜
登場:四宮勝憲、志水セナ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27話:EVE〜逃亡劇〜
俺こと四宮勝憲は川を下流へ向け伝うように、森の中を移動していた。
このまま行けば市街地に出れるはず、多分。
殺し合いが始まって結構経つよな…時計を見る限り、2時間ちょっとか。
あと2時間もすれば放送が入る。その放送で麗雅や美琴の名前が呼ばれなけりゃ良いが。
「手ェ洗いてぇ…」
一時間程前か、俺を殺そうと襲い掛かってきやがったデカい狼を返り討ちにしてやった。
その時、キン○マ掴んで潰してやったんだ。
いやあ、ちょっと前まで威風堂々としていたのに、涙流して苦しむ様と来たらお笑いもんだったなありゃ。
だけど…汚ねぇキ○タマ直に触っちまったから、手を洗いたい。物凄く。
だったら側に流れている川の水で洗えば良いだろうって?
それが出来たらとっくにしてるよ。川の両岸は崖みたいになってて届かねぇんだよ!
下手したら川に落ちてドザエモンだ。俺は泳ぐのが苦手なんだ。
「あれ」
おっといけない、気付いたら川沿いから大分それちまってた。
ここで迷ったらイコール遭難イコール致命的だ。
俺は川沿いに戻ろうとした――――。
「……!」
背後の茂みから誰かが飛び出してきた。その手にはぎらりと光る刀。
ビュン!!
俺が地面に身体を伏せるのと、少し前まで俺の胴体があった位置を
風切り音を鳴らしながら刀の刀身が通過するのはほぼ同時だった。
おいおい勘弁してくれよ、またかよ。
「ちぃっ! 何しやがんだ!」
俺は前に転がり襲撃者と距離を取る。そして改めて相対した。
それは恐らく美琴と同年代の、セーラー服姿のハーフ狐獣人の少女だった。
「何をするって…殺し合いですよ」
「お前も…さっきの狼みてぇにこんな馬鹿げた殺し合いに乗るってのかよ…。
ったく…どいつもこいつも狂ってやがんぜ…!」
「狼…? なるほど、誰かに襲われたんですか」
「ああ…返り討ちにしてやったけどな」
「殺したんですか」
「…言っておくけどな、お前らみてぇに進んで殺し合ってる訳じゃねぇぞ」
- 468 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/03(金) 23:59:51
- まるで自分と同類だとでも言いたげな狐娘の視線が気に食わねぇ……。
「…実は私も一人殺しました」
「ふーん、そうか」
「そして、あなたで二人目です…覚悟!」
狐娘が剣を構え向かってくる。
馬鹿が。俺が手に持ってるのが見えないのかよ。
さっき狼から奪ったコルトM1917リボルバーを、俺は狐娘に向ける。
こいつもヤる気みたいだからな、悪いが女でも手加減無しで行かせて貰う。
ダァン! ダァン!
「甘い!」
「ちょ、マジか」
冗談がきつ過ぎる。かなり至近距離で撃ったのにかわしやがった。
まずい、これ以上距離を詰められると銃と刀の優位関係は逆転する。
そうなると俺の勝ち目は薄くなる一方だ。
ここは……逃げるか。
「おっと俺、今日頼んでたDVD届くんだった。料金引き換えだから帰らねぇと。
じゃ、そう言う事で」
適当な嘘を言って俺は川の下流の方向へと駆け出した。
「……逃がしませんよ」
当然、狐娘も追ってきた。
ちなみにDVDを頼んでいたのは本当だ。ただし代金はコンビニで払っちまったけど。
いやそう言う事じゃなく早い所逃げるか。くそっ、銃持ってるのに剣相手に
優位に立てねぇってどう言う事だ……!
◆
- 469 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/04(土) 00:00:25
- 相手は銃を持っている。銃と刀でどちらが有利か、と聞かれれば、
ほぼ全員が銃、と答えるだろう。
だが事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、現に今刀を装備した私は、
銃を持った男を優位な立場で追撃している。
ダァン!
「おっと」
たまに振り向いて発砲してくるけど、当たらなければどうと言う事も無い。
「当たらねぇえ! 俺はこんなに銃が下手だったのかよ!」
「嘆く事ありませんよ。走りながら狙いを定めるのは銃の名手でも難しいはずです」
「お前が言うんじゃねぇよ! っていうかお前、名前は!?」
「志水セナです」
「そうか俺は四宮勝憲だ! 別に覚えなくても良いけどな!」
ダァン!
再び男――四宮さんが手にしたリボルバー銃を振り向きざまに発砲した。
耳元で空気を切り裂く音が聞こえた。かなり近かったみたい。
でも当たらなかった。なら大丈夫。
向こうの弾薬の数も無限じゃ無いはず。弾切れになれば私はもっと優勢になれる。
その調子で無駄弾をどんどん撃って頂戴、四宮さん。
「畜生…! ガキが…舐めやがって…!」
「うふふ……」
しばらく、この追いかけっこは続きそうね。
【一日目/朝方/D-7森】
【四宮勝憲】
[状態]肉体疲労(中)、D-8方面へ移動中
[装備]コルトM1917(1/6)
[持物]基本支給品一式、.45ACP弾6発入りフルムーンクリップ(1)
[思考・行動]
基本:殺し合う気は無いが襲い掛かる者には容赦しない。朱雀麗雅と葛葉美琴の捜索。
1:取り敢えず志水セナを倒したいが、今は逃げる。
2:手を洗いたい。
[備考]
※特に無し。
【志水セナ】
[状態]良好、四宮勝憲を追跡中、D-8方面へ移動中
[装備]エイミス・フロリッヒャーの刀、パワーリング
[持物]基本支給品一式、コンバットナイフ、折込鋸
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:四宮勝憲を追撃し、殺す。
2:川田喜雄は放置。会ったら殺す。
[備考]
※特に無し。
D-7一帯に銃声が響きました。
- 470 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/04(土) 00:01:15
- 投下終了です。
- 471 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 02:04:59
- 訂正。二人はD-8では無くD-6方面に向かっています。
てな訳で投下します。新訳俺オリロワ28話 心の奥までは偽れない
登場:朱雀麗雅、志水セナ、四宮勝憲
- 472 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 02:05:46
- 28話:心の奥までは偽れない
森の方から、銃声が響いてくる。誰かが戦っているのだろうか。
しかし、赤髪の女剣士――朱雀麗雅にとってはどうでも良い事であった。
「……」
麗雅の心は早くも揺らぎ始めていた。
殺し合いに呼ばれた幼馴染と近所の知り合いの少女のために、
この殺し合いに乗ると、迷わないと決めたはずだった。
だが、しばらく他の参加者とも、二人とも遭遇せず、一人でいる時間が多くなると、
自分の行動方針を改めて考えずにはいられなかった。
(私は……どうすれば良いのだろう)
一度殺し合いに乗ると決め、麗雅は先刻、バニーガール姿の見知らぬ女性を襲った。
結局手傷を負わせただけでその女性を殺す事は出来なかったが、
自分が殺し合いに乗っていると、女性は間違い無く認識しただろう。
例え今更殺し合いをやめたとしてもその女性から自分の特徴、殺し合いに乗っていると言う事を、
他の参加者――最悪、幼馴染、四宮勝憲と知り合いの少女、葛葉美琴――が
伝わり、広まっているかもしれない。
この殺し合いと言う状況下、そんな事態に陥って自分は信用されるはずも無い。
(…くそっ…自分の撒いた種とは言え……)
自分の行いを悔いながら、いつしか麗雅はすぐ隣に鬱蒼とした森が広がる道路に出ていた。
「! いつの間に…」
反対側は住宅街が広がっていると言うのに、もう反対側は未開の土地のような深い森。
「…思えば私はずっと同じような場所をうろついているだけだな…。
こんな事で他の連中が見付かるはずも無い……」
それとも、無意識の内に最初いた場所から動かず、他の参加者と遭遇するのを避けているのかと、
心の中で麗雅は付け加える。
やはり自分は――――。
ガサッ!
森の方向の、背の高い茂みから物音が聞こえた。
この時麗雅は考え事に夢中になる余り、警戒を怠っていた。
いつもの彼女なら防げたはずである。
ザシュッ!
「……ぐ、あ……」
左腕を切り落としたその斬撃を。
ボトッと生々しい音を立てて麗雅の左肘から先がアスファルトの上に落ち、
切断面から真っ赤な液体が壊れた蛇口のようにビチャビチャと流れる。
激痛と急速に血液が身体から失われていく感覚を耐えながら麗雅は襲撃者と距離を取った。
「う…ぐ…」
「惜しかったですね…左腕だけでしたか。ですがすぐ、命も頂きますよ」
刀を携えたセーラー服姿の、美しい金髪を持った半狐獣人の少女――志水セナは、
やや疲労の色が強い表情を浮かべながらも、余裕と言った様子で言い放つ。
「…フフ、私も、落ちたものだ…不意討ち、如き、防げただろう、に…」
- 473 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 02:06:59
- 麗雅は自嘲気味に笑った。
そして、残った右手で持った刀の切っ先を、霞む視界の先の少女に向ける。
少女は自分を殺す気でいる。恐らく手当てをする暇など与えてはくれない。
片手剣でも少女を戦闘不能にするのは可能だが、
その後で手当てを試みても手遅れだろう。
要するに、自分はここで死ぬ。少女に負けようと勝とうと。
それが自分の人生の結末。
「ふぅ…四宮さんを追っていたら見失ってがっかりしてたけど…」
「…何?」
セナが口にした苗字に、麗雅は反応する。
「…おい、お前、勝憲を知っているのか」
「え? 知り合いですか? …さっきまで追い掛けてたんですよ。森の中で」
「……そう、か」
どうやら捜し人の内、一人はまだ無事らしい。先程の森の方から聞こえた銃声はそれだろうか。
少女の口ぶりだともしかしたら近くにいるのかもしれない。
麗雅は安堵した。切断された左腕の痛みも、血が失われていく感覚も次第に麻痺していく。
もう自分は長く無い、その前にやらなければならない事があった。
「ちょっとお喋りが過ぎましたね。さっさと」
「全くだ」
セナは自分の言葉が言い終わらない内に胸部に違和感を覚えた。
喋ろうとしたが口が上手く動かない。それどころか身体が上手く動かない。
手足から力が抜け、持っていた刀を道路の上に落とした。
目の前の、赤髪の女性が突き出した右手の先が自分の胸元に伸びている事を確認すると、
セナの脳裏に、自分の背中から血に濡れた刃が生えている光景が浮かび上がった。
「…一応、私も、ある剣術道場の師範をしていてね……刀の扱いには長けているつもりだ。
少なくとも君よりは、な」
麗雅がセナの胸――心臓を貫いていた刀を引き抜くと、
糸の切れた操り人形のようにセナはアスファルトの上に崩れ落ちた。
意識が遠退く最中、なぜかセナの脳裏にはこの殺し合いにも呼ばれている、
行き付けの食堂のオヤジの顔が浮かんだ。
なぜ、親でも友人でも無く、あのオヤジの顔が浮かぶのか。
自分でも訳が分からず、乾いた笑いを浮かべながら、セナは逝った。
「……勝憲……取り敢えず、これで、大丈夫、か……?」
力の無い掠れた声で麗雅が言う。
大切な幼馴染を追っていた少女――なぜ名前を知っていたのかは分からないが――は、
ここで始末した。これで幼馴染の安全は、多少は確保されるだろう。
「……」
アスファルトの上に麗雅は両膝を突いた。
もはや、立っている事もままならない。身体中の感覚が消えていく。
切断された左腕の痛みもほとんど消えていた。
それに、寒気がする。眠気も感じる。
ふと切断面を見ると流れ出る血の量が少なくなってきていた。
これは治癒しているのでは無い、身体の血液がもう無くなっているのだろう。
間も無く、自分は死ぬ。麗雅はそう確信した。
- 474 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 02:07:47
- 「……ふふっ……罰、か…これは……私への」
一時は幼馴染と知り合いの少女のためとは言え殺し合いに乗り、見知らぬ女性を傷付けた。
だが、結局迷い、やはり殺し合いはやめようと思っていた時に、この様。
このような中途半端な覚悟で、改心しようなど、虫の良過ぎる話だ。
だから――罰が下った。麗雅はそう思った。
「…あ、あ……馬鹿だな…私は……こんな、事なら……最初から……素直に、
二人を…探せば良かった…んだ……馬鹿だ…大馬鹿、だ……私………は」
麗雅の目から、頬を伝い涙が流れた。
死への恐怖では無い、自分の愚かさへの悔恨の涙。
そして、もう二人に会えない事への悲しみの涙。
「……勝憲……美琴………出来、るなら…もう……一度………お前達に…あ……い…………」
会いたいと切に願った。
それが彼女の最期の願いだった。
そしてその願いは、彼女が生きている時に叶う事は無かった。
◆
「何とか市街地には出れたな…しかし、銃弾もう3発しか残ってねぇぞ…。
あのセナって奴は振り切れたけど…どうすっかなこれから」
森を抜けた四宮勝憲は、そのまますぐ傍にあった道路を北上していた。
彼の右手には追跡者との命がけの鬼ごっこの際に酷使したコルトM1917リボルバー。
シリンダー弾倉内に残っている三発の.45ACP弾が、最後の弾であった。
何とか追跡者である志水セナと名乗った半狐獣人の少女を振り切る事には成功したが、
すっかり弾が少なくなってしまったのは痛い。
「全くよぉ…どこかに銃器店とか無いのか…………え?」
勝憲の足が止まった。
前方数十メートル先に血溜まりの中に倒れる二人の女性がいた。
遠目からでもはっきりと分かる、炎のように赤い髪。
幼い頃から見慣れた、赤の色。
「……!」
勝憲は居ても立ってもいられず駆け寄った。
- 475 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 02:08:41
- 「……お、おい……嘘、だろ……」
そして勝憲は確認する。倒れて物言わぬ屍となっている赤髪の女性が、
紛れも無く自分の幼馴染と同一人物であると。
良くみればもう一方の死体はついさっきまで自分を追っていた少女のようだったが、
今の彼にはそんな事どうでも良かった。
「れ……麗雅。お前…何、死んでんだよ」
震えた手で、麗雅の頬を触る。
まだ温もりがあった。ついさっきまで生きていた事を示していた。
死に顔はまるで眠っているようだったが、頬には涙を流した跡がある。
そして、左腕が、切断されていた。
断面から大量に出血したようだった。
「……麗雅……嘘だろ、こんな、こんなのってアリかよォ!! 折角、折角見付けたのに、
……馬鹿野郎…馬鹿野郎……ぐ……うう…………」
アスファルトに突っ伏して、勝憲は慟哭する。
正直、喧嘩している時の方が多かった。色々小言を言われ鬱陶しくも思ったりした。
それでも、大切な友人であり幼馴染だった。
散々森の中を逃げ回った末に彼を待ち受けていた現実は、余りにも非情だった。
【志水セナ 死亡】
【朱雀麗雅 死亡】
[残り33人]
【一日目/朝方/D-6住宅街東部】
【四宮勝憲】
[状態]肉体疲労(大)、深い悲しみ
[装備]コルトM1917(3/6)
[持物]基本支給品一式、
[思考・行動]
基本:殺し合う気は無いが襲い掛かる者には容赦しない。美琴の捜索。
1:麗雅……。
2:手を洗いたい。
[備考]
※特に無し。
※朱雀麗雅、志水セナの死体の周囲に二人の所持品も放置されています。
- 476 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 02:09:57
- 投下終了です。
- 477 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 19:39:17
- 投下します。新訳俺オリロワ29話 こんな村おこしは嫌だ
登場:伊賀榛名、志村正隆、津野美鈴、一色利香、八房利徳、勤武尚晶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
29話:こんな村おこしは嫌だ
「ここは…廃村、だなぁ」
「そうね…」
430セドリックを運転した青年、志村正隆と助手席に乗る狐獣人の少女、伊賀榛名は、
崩れ掛けた廃家が建ち並ぶ廃村を訪れていた。
道路は雑草が生い茂り瓦礫やゴミが散乱し、お世辞にも車での移動が楽な道では無い。
また、折れた木製電柱が道を塞いでいたりもしており、思い通りには進めなかった。
「どうする榛名ちゃん、下りて調べてみる?」
「…埃っぽそうだし嫌。多分ここ調べても何も得られないと思う。
廃墟プレイは好きじゃないのよ身体痒くなるもん。全くやらない訳でも無いけど」
「……」
何かとそっちの話に持っていきたがる榛名を半ば呆れた目で見る正隆。
とは言え既に彼女においしい思い(勿論そっちの意味で)をさせて貰っていたので、
表立って文句を言う事は無かったが。
「それじゃ、さっさとこの村でる?」
「そうね…西の方行ってみようよ。あ、そこの道左に曲がれば西よ」
地図とコンパスを見ながら榛名が正隆に指示を出した。
言われた通り、セドリックのハンドルを左に切ろうとした正隆だったが。
「…ん?」
「どうしたの? …あら、誰か来る」
フロントガラス越しに、自分達の車に向かって走ってくる、
榛名とは違う制服に身を包んだ金髪桃色身体の竜人の少女が見えた。
車を止め、拳銃――シグザウアーP226を携えた榛名が助手席から下り、
竜人の少女に向け銃を構える。
「止まって!」
「!」
「持ってるそのナイフを捨てて。大丈夫、言う通りにしてくれれば何もしないから…」
「う…」
竜人の少女、津野美鈴は手にしていたバトルナイフを地面の上に置き、両手を上げる。
「あ、デイパックも置いて」
「……」
そしてデイパックも地面に置いた。
「…私は伊賀榛名。それで車に乗ってるのが志村さんって言うんだけど、
あなたは?」
「つ、津野美鈴」
「そう。津野さん、あなた、殺し合いには乗ってるの?」
「いいえ」
榛名の問いに美鈴は即答した。
二人のやり取りを正隆も運転席から下り、心配そうに見詰める。
- 478 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 19:40:11
- 「…そう。私達もよ。それなら私達と一緒に行かない?
そのつもりで車に寄ってきたんでしょ?」
「…良い、の? ありがとう……」
「ね? 志村さんも、良いよね?」
「あ、ああ…構わないけど」
「決定ね…それじゃ、宜しく津野さん」
「え、ええ。こちらこそ。伊賀さん」
榛名は新たに仲間に加わった美鈴を車へと案内した。
◆
廃村を訪れていた婦警、一色利香と青年、八房利徳は凄惨な遺体を二つ見付けていた。
「……酷いわね」
「うう…」
一人は首を切り落とされた青髪の少女、もう一人は後頭部から額にかけて
何かに刺し貫かれた黒髪の高校生と思しき少女の死体だった。
「死後数時間って所かしら…この殺し合いが始まって程無く殺されたみたい」
首の落ちた少女の死体を冷静に分析する利香。
職業柄、人の死体を見るのには慣れていた。
一方の利徳は黒髪の少女の死体を見ていたが、吐き気を催していた。
彼は普通の大学生である、従って本物の死体を見るのは初めてであった。
見開かれたままの目には微かに生気が宿っており、それが不気味さを際立たせた。
(本当に、死人が出てるんだな…畜生…やべぇよ…俺、この先生き残れんのか…?)
今一つ実感の湧かなかった殺し合いと言う状況が、
二人の少女の惨殺死体を目の当たりにして明確に見えてきた。
首を切り落とす、頭を串刺しにする。このような惨い殺し方をする者が、
この殺し合いの場をうろついていると考えるとたまらなく恐ろしい。
(冗談じゃない…せめて死ぬ前に一発ヤらないと…でも、相手がなぁ。
運良くヤらせてくれる変態女でも現れないもんかね)
状況を理解はしたが相も変わらず煩悩まみれの思考で利徳は考える。
「…そろそろ行きましょう八房君…余り長居するのも危険だわ」
「そうっすね…」
少女の死体が持っていたデイパックには使えそうな物は入っていなかった。
これ以上調べる事も無いと判断し、利香は利徳を連れてこの場を後にしようとした。
ガラッ。
「?」
利香が被る婦警棒の上に埃と、小さな木材の破片が降り注いだ。
目の前の老朽化した蔵からのようだった。
何気無く、利香と利徳は蔵の屋根の方を見上げる。
そして見た。屋根から刀と思しき物を振り上げ、飛び降りる人影を。
- 479 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 19:41:10
- 「えぇ――――」
ドカァ!!
次の瞬間、利香の身体が、文字通り裂けた。
鮮血が辺り一面に飛び散り、利香の着ていた青い婦警制服が黒く染まる。
一瞬でただの肉塊と化してしまったシェパード犬獣人の婦警は、
血溜まりの中に崩れ落ちた。
「…え? い、一色さ、え?」
利徳は目の前で起きた事が一瞬理解出来なかったが、血溜まりの中にある、
さっきまで一色利香と言う婦警「だったもの」、そして返り血を浴び着ている白いカッターシャツが
赤く染まっている、刀を持った青髪の赤い鉢巻をした青年を交互に見て、嫌でも状況を理解した。
「うあ、あ、あああぁあああぁあぁあああああああ!!!」
そして理解した時には、利徳は絶叫しながら持っていた自動拳銃、
タウルスPT92を青年に向けて乱射していた。
◆
「…ねえ、今の、銃声じゃない?」
「…そうね、銃声ね」
「しかも…結構近かったぞ。誰かこの廃村にいるんじゃないのか?」
閉め切った窓越しからでも、銃声がはっきりと車の中の三人に聞こえていた。
430セドリックを運転する正隆は周囲に目を配る。
助手席の伊賀榛名、後部座席の津野美鈴も同様だ。
そして、前方の建物の陰から人影が飛び出し、正隆はセドリックを停めた。
それは血まみれの狼獣人の青年だった。
青年は恐怖に怯え切った表情で辺りを見渡し、正隆達の乗る茶色のセドリックを確認すると、
助けを求めるように腕を伸ばしながら近付いた。
よく見ると、右腕が切断されていた。
「た、助け、」
ザシュッ!
しかし青年は助からなかった。首が宙に舞い、鮮血が断面から噴き出した。
「ひっ、あ、ああぁああ!?」
「ちょ、え? う、嘘、何よあれ!?」
「……!」
激しく動揺する三人。正隆は急いで車をバックさせようとした。
だが焦っていたのか手元が狂い、前進してしまった。
それがたった今、狼青年の首を飛ばした青髪の赤い鉢巻を巻いた青年との距離を一気に縮める事となった。
「し、志村さん! 早く! 早く出して!」
「わ、分かってるよ! 今……」
ガスッ!
「……あ」
聞いた事の無い音が車内に響いた。
そして榛名と美鈴は見た。運転席に座っていた正隆の左目から後頭部にかけ、
刀の刀身が刺し貫いている様子を。
青年がフロントガラス越し突き刺した刀身は、いとも容易く正隆を亡き者にした。
- 480 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 19:41:43
- 「あ、ああぁあ!? アァアアァアアァアーーーーーー!!?」
完全に恐慌状態に陥った榛名は狂ったように叫び、助手席から飛び出し走り出した。
「嫌ああ! 待って! 置いてかないでよぉ!!」
背後から美鈴の声が聞こえたが、足を止める事など出来ない。
逃げなければ殺される。あの狼青年のように、志村さんのように、殺される。
逃げなきゃ。逃げなきゃ。逃げなきゃ――――。
涙を流し、息を切らせ、制服が乱れるのも構わず一心不乱に逃げる狐獣人の少女。
そこにいつもの淫乱ながらも穏やかな彼女の姿は無かった。
◆
勤武尚晶は、桃色の身体の竜人少女が着ていた制服で刀に着いた血糊と脂を拭き取る。
竜人の少女は、心臓を刺し貫かれ、苦悶と絶望の表情のまま息絶えていた。
この集落で彼は、これで6人もの参加者を殺害した事になる。
「……一人逃がしたな。まあ、いい……」
一人取り逃がした黒いブレザー姿――そう言えば二人目に殺した少女も
似たような制服を着ていたが――の狐獣人の少女の事が気になったが、
無理して追う事も無いと、尚晶は殺害した者達の所持品回収に移った。
「…そろそろ移動するか…車も手に入ったからな」
◆
どれくらい走ったのだろうか、気付けば伊賀榛名は森の中の廃道に立っていた。
どこをどう走ったのか覚えていない。だが、あの男は追っては来ていないようだった。
「はぁ…はぁ…」
適当な木の幹の根元に座り呼吸を整える榛名。
「…何なのよあいつ…チートにも程あるでしょ…化け物じゃない…!」
頭を抱え震えながら、先程の青髪赤鉢巻の青年の事を思い出す。
恐らく津野美鈴はあの後殺されたのだろう。
自分は逃げ切れただけまだ運が良かった。
しかし、これでまた一人になってしまった。
「…ああ、もう嫌だ…」
一緒に殺し合いに呼ばれたクラスメイト二人の安否も分からず、
折角出来た仲間も殺されてしまった。
かつて感じた事の無い絶望感が榛名の心を支配した。
「…疲れた…ちょっと休もう……」
精神的にも肉体的にも疲弊し切っていた榛名は、芝生の上に身を横たえしばしの休息を取る事にした。
(志村さん…結局、一回しかヤれなかったな…)
- 481 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 19:42:21
- 【一色利香 死亡】
【八房利徳 死亡】
【志村正隆 死亡】
【津野美鈴 死亡】
[残り29人]
【一日目/朝方/H-6森】
【伊賀榛名】
[状態]肉体的疲労(大)、精神的疲労(大)、服装に乱れ
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[持物]基本支給品一式(ポケットティッシュ一個消費)、シグザウアーP226マガジン(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。平池千穂、中村アヤの二人の捜索。
1:少し休む。
2:首輪を外せそうな人物も捜索する。
[備考]
※勤武尚晶(名前は知らない)の外見を記憶しました。
【一日目/朝方/G-6廃村】
【勤武尚晶】
[状態]良好
[装備]九五式軍刀
[持物]基本支給品一式、スタームルガーP85(15/15)、スタームルガーP85マガジン(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:殺害した参加者の武装を回収後、廃村を出る。
[備考]
※伊賀榛名(名前は知らない)の外見を記憶しました。
※G-6一帯に銃声が響きました。
※G-6廃村に一色利香、八房利徳、志村正隆、津野美鈴の死体及びそれぞれの所持品、
430セドリックが放置されています。勤武尚晶が武装を回収しています。
- 482 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/05(日) 19:43:46
- 投下終了です。利徳と榛名を性的に絡ませる展開もあったが
gdgdになったので没った
規制まだ解けない
- 483 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/07(火) 21:12:35
- 投下します。新訳俺オリロワ30話:アザヤカナキセキ
登場:レックス、稲垣葉月
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
30話:アザヤカナキセキ
黒狼レックスは森を抜け、市街地へと出ていた。
ここに来るまで、誰にも襲われ無かったのは運が良かっただろう。
「葉月…一体どこにいるんだ…」
最愛の女性の名前を呼びながら、レックスは静かな市街地を歩き回る。
殺し合いが始まって二時間程経つ。
遠方から時折響く銃声。微かに耳に届く悲鳴や怒号。
それを聞くたびに、果たして葉月は無事なのかと不安になる。
もしかしたら、もう既に――――。
「いや、そんな事無い! きっと生きてる…きっと」
最悪の結末を考え無いようにしながら、レックスはひたすらに、
赤髪の女性の姿を追い求めた。
「……!」
そして、それは唐突に訪れた。
レックスの鼻が、良く嗅ぎ慣れた匂いを嗅ぎつけた。
それは、いつも彼女が料理をしている時、一緒に風呂に入っている時、
寝台の上で熱い交わりをしている時に良く嗅いだ、彼女自身の香り。
「…葉月」
気付いた時にはレックスは走りだしていた。匂いを辿りながら、周囲を警戒する事も忘れ。
ハッ、ハッ、と息を切らせながら、あの曲がり角、この路地を曲がって行く。
そして、ついに見付けた。
「…葉月! 葉月! 葉月ぃぃぃぃ!」
「レックス…? レックスね!? レックスぅぅぅぅ!!」
エリアA-4、B-4の境界線付近の市街地にて、二人は再会を果たした。
黒き妖狼レックス、赤髪グラマー美女稲垣葉月は道路の中央にて熱い抱擁を――――。
「げふぅ!?」
交わせなかった。
レックスの方が葉月より体重もあり、質量も大きく、走る速度が速い。
故に、葉月はさながら小型車に撥ねられたぐらいの衝撃を受け後ろに吹っ飛ばされた。
「ああ、葉月! ごめんよ、大丈夫!?」
「だ、大丈夫…」
吹き飛びアスファルトの上に倒れ空を仰いでいる葉月をレックスが謝りながら心配する。
スカートがめくれあの部分が丸見えになりながら葉月は無事を伝えた。
- 484 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/07(火) 21:16:18
- 「会いたかった、会いたかったよ、葉月…もう離さないよ」
「私もだよぉ…レックス…レックスぅ…」
改めて抱き合い、涙を流しながらレックスと葉月は再会の喜びを分かち合った。
「積もる話もあるけどさ葉月…まずは愛を深めようよ」
「うふふ、レックスったら…」
葉月を自分の背に乗せ、レックスは嬉々とした様子で近くの建物の中に入って行った。
その建物は何の変哲も無い、焼き肉屋だったが、二人にとっては行為を行うには
十分な場所だった。
【一日目/朝方/A-4、B-4境界線付近の市街地】
【レックス】
[状態]良好、嬉々
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、狩猟ナイフ、皐月眞矢の巫女服
[思考]
基本:殺し合いをする気は無い。
1:葉月と××する。
2:自分の身、葉月の身を守るためなら戦う。
[備考]
※平崎吉治(名前は知らない)の外見を大まかに記憶しました。
※巫女服についた皐月眞矢の匂いを何となく記憶したかもしれません。
【稲垣葉月】
[状態]身体中に軽いダメージ、嬉々
[装備]S&WM10(6/6)
[持物]基本支給品一式、.38スペシャル弾(18)、ケモノデ○ルド(狼)
[思考・行動]
基本:レックスに会えた…。
1:レックスと××する。
2:リュードに注意。
[備考]
※リュードの外見を記憶しました。
- 485 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/07(火) 21:17:55
- 投下終了です。なんか途中でモチベ死んだ
- 486 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 00:51:04
- 投下します。新訳俺オリロワ31話:Police station where meaning doesn't exist
(無意味な警察)登場:戸高綾瀬、香瀧宏叔、レイ・ブランチャード
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
31話:Police station where meaning doesn't exist
ギイイ……。
「……」
「……」
警察署の裏口を警戒しながら青竜刀を持った戸高綾瀬が開け、
そしてトンプソンM1921サブマシンガンを持った香瀧宏叔が続く。
警察署の中は不気味な程静まり返り、朝方で電気も点けられていないため、
妙に薄暗かった。
「誰か、いるんでしょうか…」
「地図にも書いてある建物だし、いる可能性はあるわね……」
小声で会話する二人。
それぞれの友人や知り合いを探すため警察署にやって来たが、
殺し合いをやる気になっている者も集まっている可能性が高い。
下手に音を立てない方が得策だと、綾瀬も宏叔も考えていた。
様々な部署のオフィス、取調室、被疑者確認室、会議室…部屋を見て回るが今の所誰もいない。
そして二人が一階のトイレの前を通り掛かった時。
「くそっ、水が出ないとは…」
何やら不機嫌そうな女性の声がトイレの中から聞こえた。
直後、露出の高い格好をした少女がトイレから廊下に出る。
「! 誰だ!」
少女――レイ・ブランチャードはM1ガーランド自動小銃の銃口を綾瀬と宏叔の二人に向ける。
「ま、待って! 私達は殺し合う気は無いわ!」
「何?」
「ぼ、僕達、知り合いを探しているんです。一緒に何とかして脱出しようって……」
「……そうか。私もだ。殺し合いには乗っていない」
レイが銃口を下ろすと、綾瀬と宏叔はホッと胸を撫で下ろす。
「私はレイ・ブランチャードだ」
「私は戸高綾瀬…」
「僕は香瀧宏叔です」
「知り合いを捜していると言っていたが…」
綾瀬と宏叔はそれぞれ、自分の知り合いの情報をレイに話した。
しかしどの人物にもレイは会っていない、それ以前にこの殺し合いが始まってから、
綾瀬と宏叔の二人が最初に出会った他参加者だった。
- 487 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 00:52:14
- 「……すまない、この殺し合いで出会ったのはお前達が最初だ」
「そう…」
「そうですか…」
残念そうな表情を浮かべる二人。
レイ自身も知り合いは三人程呼ばれていた(内一人以外は捜す気は無い)ので、
気持ちは察する事が出来た。
「私も知り合いが呼ばれているからな…気持ちは分かる」
「レイさんも…大変ね…はぁ、本当、殺し合いなんてふざけてるわ」
「そうだな。酔狂も良い所だ……おまけに、首には爆弾付きの首輪と来た。
どうにかして外せないかと思っているんだがな……」
首にはめられた首輪を鬱陶しげな顔をしながら触るレイ。
「私も外す方法を探そうと思ってるのよ」
「ほう…奇遇だな。だが……まずは首輪を調べなくては何とも言えんな」
「そうよね……」
「首輪のサンプルを手に入れる必要があると見た」
「あ、私もそれ考えてたんだ。でも、どうやって手に入れればいいかな」
疑問を呈すように綾瀬が言うが、本人も薄々気付いていたように、方法は一つしか無い。
「死体の首を切れば良いだろう」
「ちょ……レイ……た、確かにそれ以外に無さそうだけど……」
分かってはいる事だが、実際に死体を損壊すると言う事は凄まじく抵抗があり罪悪感も半端では無い。
例えこの殺し合いから脱出する手段を捜すためだとしてもである。
そもそも綾瀬は普通の(変態趣味は除いて)大学生、宏叔も普通の(やはり変態趣味は除いて)高校生なのだ。
エンカウントモンスターと戦いある意味死と隣り合わせの生活を送るレイは二人とは場数が違う。
それ故、綾瀬が抵抗を感じて言い出せなかった首輪入手の方法もさらりと言ってしまった。
「お前が持っているその刀なんて打ってつけじゃないか? 綾瀬」
「切れ味、良さそうですもんね…」
「そう、だね……」
レイと宏叔の視線が綾瀬の持つ青竜刀に向けられる。
「…ところで、レイさんはここで何をしてたんですか?」
「警察署内を探索していたんだ。と言っても役に立ちそうな物は何も無かったが…。
それでさっき急にトイレに行きたくなってな、用を足したんだが、えらいもので、水が出なくてな」
「ああ、だからさっき…」
水が出ないと不機嫌な声を漏らしていたのかと、綾瀬と宏叔は思った。
「断水でもしてるのかな」
「いや、水道の水は出たから、多分、私が入った個室が故障中か何かだったのかもしれない。
……正直どうでも良い話だな。すまん」
「…いいよ別に。緊張してばっかじゃあれだし」
いつ襲われるか分からない緊張感と恐怖の中で、レイとの会話は久方ぶりに、
綾瀬と宏叔の心を和ませた。
- 488 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 00:53:29
- 「どうだ二人共、しばらくこの警察署を拠点にしては」
「うーん……」
二人は友人知人を捜したいと言う気持ちはあったが、
歩き疲れてもいたし、下手に動き回って危険な目に遭うのも避けたいとも考えていた。
「…しばらく、休みましょうか、宏叔君」
「え…で、でも」
「無理に捜しても危ないし……もしかしたらこの警察署に来るかもしれないよ?
ここ、目立つ建物だし……」
「……分かりました」
友人達が心配ではあったが、疲労の色は隠せず、綾瀬と宏叔は警察署でしばらく待機する事にした。
【一日目/朝方/D-2警察署】
【戸高綾瀬】
[状態]肉体的疲労(小)
[装備]青竜刀
[持物]基本支給品一式、ファイアクリスタル(2)
[思考・行動]
基本:首輪の内部構造の調査及び解除。友人達を捜す。
1:香瀧宏叔、レイと行動。しばらく警察署で休む。
2:首輪のサンプルをどうやって入手するか…。
[備考]
※石川昭武、平崎吉治、立沢義の情報を得ました。
【香瀧宏叔】
[状態]肉体的疲労(小)
[装備]トンプソンM1921(50/50)
[持物]基本支給品一式、トンプソンM1921ドラムマガジン(5)、ファイアクリスタル
[思考・行動]
基本:死にたくない。友人達や先生を見付けたい。
1:戸高綾瀬、レイと行動。しばらく警察署で休む。
[備考]
※久保遼平、高原正封、冬月蒼羅の情報を得ました。
【レイ・ブランチャード】
[状態]良好
[装備]M1ガーランド(8/8)
[持物]基本支給品一式、M1ガーランド装弾クリップ(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。首輪の調査を行いたい。知人についてはエルザは捜索する。
1:とりあえず綾瀬、宏叔と行動。
[備考]
※石川昭武、平崎吉治、立沢義、久保遼平、高原正封、冬月蒼羅の情報を得ました。
※警察署内を探索しましたが特に収穫は無かったようです。
- 489 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 00:54:02
- 投下終了です。
- 490 : ◆6LQfwU/9.M:2010/12/12(日) 01:06:14
- 久々ですが規制中なのでこちらに…
タイトル「歪み無き男」
- 491 : ◆6LQfwU/9.M:2010/12/12(日) 01:06:45
- 「ここはどこなんだ…ゲイ♂パレスじゃなさそうだが…」
街の入り口で仁王立ちで佇む男、木吉カズヤ。
彼もまた、高名なパンツレスラーであり、かの兄貴とも親交深い男だ。
(この状況は…俺に「強くなれ」と言っているのか?いや、こんなことで得られる強さなんて…)
心の中で、揺れ動く決意…
その時。
誰かの足音がしてきた!
(隠れるか?いや、ここは様子を見てみよう)
「…っこう、駅からここまでって遠いですね…」
「ああ…もっと近いと思ってたんだがなあ…」
2人組…か。
敵意は…今のところ感じない。
声をかけようか――そう考え、行動に移そうと思った時、
「…そこに誰かいるのか?」
あっちから声をかけられた。
「…ああ。」
「…殺し合いをする気は…あるのか」
ゆっくり、声のする方に振り向く。
「する気があるなら、既に襲い掛かっているさ」
- 492 : ◆6LQfwU/9.M:2010/12/12(日) 01:07:27
- 街の入り口で話をするのは危険だ、と言うことで、近くの民家に入る。
「勝手に入って大丈夫ですかね?」
「…どうせ、参加者以外はここにはいない。構わないさ」
食卓の周りの椅子に腰かけ一息つく一同。
「一応自己紹介と行くか。俺は◆WYGPiuknm2。こっちの人は…『妖夢の中の人』って言うらしい」
「まあ妖夢でいいんですがね…貴方は?」
一呼吸置いて、カズヤが話しだす。
「俺は、木吉カズヤだ。職業はダンサーだが、レスリングもやってる。」
「レスラーか…頼りになりそうだな。武器は何を?」
「…なぜか、ティッシュが一箱入っていた。」
そう言って、デイパックからティッシュを取り出すカズヤ。
「まあ、俺はこの肉体があれば十分だ。心配はいらない」
【一日目・深夜/E-2:民家内】
【妖夢の中の人@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:COP.357マグナム@現実
[所持品]:支給品一式、「はずれ」と書かれた紙@その他
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らないけど、襲われたなら応戦する。
1:病院へ向かう。
【◆WYGPiuknm2@非リレー型BRを発表するスレ】
[状態]:健康
[装備]:火炎瓶@板対抗BR
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない。
1:病院へ向かう。
2:もうちょっといい武器が欲しいな
【木吉カズヤ@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、ティッシュ@現実
[思考・行動]:
基本:ゲームには乗らないし乗りたくも無い。
1:2人と行動する。
2:ビリーと合流したい。
- 493 : ◆6LQfwU/9.M:2010/12/12(日) 01:08:31
- もうひとつ。
「試し撃ちは危険」
- 494 : ◆6LQfwU/9.M:2010/12/12(日) 01:09:08
- 「うーん、まさか自分自身が参加することになるとは…」
うっすらと明るくなったもののまだ暗い廃屋内をうろつく◆5ddd1Yaifw。
(上手く行動しないとやっぱ殺されちゃうよなあ…当たり前だけど)
と、突然何かにつまづく。
「うひゃあ…何だ…?あれ、死体かー」
足でつっついてみるが反応は無い。
「下手すると自分もこうなるのか…まあ、何とかなるでしょ」
ゆっくりした足取りで廃屋を出る。
(支給品が銃だったのはラッキーだったなあ…ゲームに乗るのもいいかもしれないなあ)
そんなことを思っている内に、誰かが向こうからやってくる。
「ちょっと試してもいいよね」
あっちがまだこちらの存在に気づいてない内に、射撃を加える。
1発、2発と銃撃を加えて行く。
当たる度に大きくフラつき倒れかける影。
さらに2発ほど撃ったところでやめた。
「さて、どのくらい当たってるかな」
人影がいた方向に向かってゆっくり歩く◆5ddd1Yaifw。
どうやら弾丸が足を貫き、動けなくなったようだ。
「いやー、ちょっと試し撃ちしてたら当たっちゃったんですよー、今楽にしてあげますから」
手に持つ銃をゆっくりと頭に向けて―引き金を引いた。
手足をだらりと伸ばし、倒れている男は…生きてはいないだろう…。
「…まあ、痛みでもがき苦しむよりいいよね」
死体の近くに転がるデイパックを開け、中身をブチまける。
「鉄心入り木刀に…催涙スプレーか…一応スプレー貰って行こう」
小型のスプレーをポケットにしまい、辺りを見回す。
(…3時か、あと1時間で放送の時間だ…)
【一日目・深夜/B-6:マヤカン・入り口付近】
【◆WYGPiuknm2@非リレー型BRを発表するスレ】
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント(5/9)@現実
[所持品]:支給品一式、.45ACP弾(リロード3回分)
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る。
1:どこいこうかなー
【パフェニー@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
- 495 : ◆6LQfwU/9.M:2010/12/12(日) 01:09:50
- あっ、状態表の名前書き換え忘れてた
…まあ投下終了です
- 496 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 09:52:44
- 投下乙です。お久しぶりです。
自分も投下をば。新訳俺オリロワ32話:Jam Cession
登場:葛葉美琴、ライゲ、立沢義、本間秀龍、須牙襲禅、レオーネ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
32話:Jam Cession
息を切らせ走り続け、辿り着いた場所は緑の十字が目印の病院。
葛葉美琴はとにかく中に隠れようと、必死に病院の入口を探す。
緊急搬入口を発見し、自動ドアをくぐって中に入る。
カン、カン、と、美琴の履く革靴が床を蹴る音が廊下に響いた。
「はぁ、はぁ、はぁ…だ、誰もいないのかな」
遠目からでも目立つ建物なので既に先客がいる可能性が高い。
自分を追って来ているはずの金髪を持った緑の雌竜のように殺し合いに乗っている
危険人物が潜んでいる可能性もある。
「ど、どこか、隠れられそうな場所……」
美琴は適当な扉を手当たり次第に調べるがどこも鍵が掛けられており開かない。
「ええ、ちょっと…サイレントヒルじゃないんだから…有り得ないぐらい施錠されてるよ」
愚痴をこぼしながら、美琴は扉を調べて行く。
その時、「診察室」と書かれた扉が開いた。
美琴が開けたのでは無く、第三者によって開かれたのだ。
「!」
「取り敢えず、医療品は手に入れられ…あら?」
「どうしたっすか、立沢さ…あ」
診察室から出てきた半猫獣人の女性、立沢義と黒と白の雄竜、本間秀龍は、
いつの間にか現れていたカーキ色ブレザーの狐獣人の少女に驚く。
「あ、あの、すみません、私、襲われてて…追われてるんです」
「追われてる…?」
美琴が状況を説明しようとした時、緊急搬入口の方向から凄まじい物音が響いた。
「!! あ、ああ」
振り向いた美琴が恐怖の眼差しを、緊急搬入口の自動ドアをロングソードで切り裂き
侵入した雌竜――ライゲに向ける。
相も変わらず酩酊しているライゲは酒臭い息を吐きながらふらふらと病院内に入り、
前方に自分が追い掛けている狐の少女の他、二人の参加者の姿を確認した。
「ヒック…追い付いたよお、狐ちゃん…追いかけっこはお終い…ヒック」
「…あなた、名前は?」
「く、葛葉美琴です」
「そう、葛葉さん、下がってて。私達に任せて頂戴」
「え…」
「……何か知らないけど、女の子のピンチなのは分かる。俺らに任せてよ美琴ちゃん」
「は、はい」
義はSVS-1936自動小銃、秀龍はS&WM500の銃口を、前方のライゲに向ける。
- 497 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 09:53:31
- 「ヒック! らによぉ、あんたら…邪魔する気ぃ?」
追跡の邪魔をしている二人にライゲは剣の切っ先を向けた。
「あなた、殺し合いに乗っているの?」
「ハァ?」
「答えなさい…」
義がライゲに尋ねた。ライゲは笑いながら答える。
「あははっ! 乗ってるよぉ? だったらどうだっての? 止める? その銃であたしを撃つぅ〜?
ん〜? ヒック! うー」
「そう…」
「立沢さん、あいつ相当酔ってますよ、酒の臭いが凄い。良い雌だけど」
「うん、分かってる」
「コソコソらにはらひてるろよ! ああ!? もういいよ、あんたらも殺してやる!!」
業を煮やしたライゲがロングソードを構え義と秀龍に向かって突進した。
やむを得ないと判断した義と秀龍は、互いに持っている銃の引き金を引く。
ダァン!
ドゴォ!
二種類の銃声が病院の廊下内に響き、二人の後ろにいた美琴が思わず耳を塞いだ。
そして、雌竜が死んだと思った、のだが。
ライゲは咄嗟に身体を伏せ、銃弾をあっさりかわしてしまった。
そして一気に距離を詰める。
「このっ…!」
義が二発目を発射しようとしたが、引き金を引いても弾が発射されなかった。作動不良である。
「死ね!!」
ライゲの剣が一直線に義の心臓目掛けて突き出される。
ドゴォ!!
「うぐぁああぁあああぁあぁあああ!!?」
しかし、間一髪で、秀龍の放ったS&WM500の超強力な弾丸がライゲの右脇腹を吹き飛ばした。
肉片と鮮血が白い清潔な壁や床に飛び散り、ライゲはたまらず崩れ落ちた。
「ひぎ、ィ、ギイイイイイイイイッ!!? ぁ、あ゛…ああ!! がはっ、ごぼ」
口から血を吐き、裂けた腹から鮮血と臓物を溢れさせ、金髪の雌竜は激しくのたうち回る。
余りにおぞましく凄惨な光景、義も美琴も堪らず目を逸らす。
秀龍だけはじっと見ていたが、自分が作り出した地獄絵図に震撼していた。
- 498 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 09:54:13
- 「い…ゃ…がぁはっ…ア゛…ぃに…ゴホッ、た、ぐ…ゲフッ…ぃ、い…よぉ、オ゛」
途切れ途切れの音声を発し、激痛に悶え、ガクガクと震え、
目から涙を流し糞尿まで漏らし、そして、ライゲは動かなくなった。
廊下に血と糞尿の臭いが混ざった強烈な悪臭が漂い始める。
「う……うごぉ!」
「うえ…ええぇええ」
悪臭と、凄絶な光景に耐え切れず、義と美琴は嘔吐してしまった。
すえた臭いが加わりいよいと廊下の激臭は極まる。
秀龍も口元を押さえ嘔吐を我慢した。
「…おい、お前ら、大丈夫か?」
「う……あ……ひ、酷い状況……」
「え…?」
突然の秀龍以外の男の声と、美琴と義以外の少女の声に三人が声のした方を向く。
そこには警官の制服に身を包んだ茶色い狼獣人の柄の悪そうな男と、
紫がかった黒と赤の毛皮を持った雌獣竜の少女がいた。
狼警官――須牙襲禅と雌獣竜――レオーネは自分達の事を警戒の眼差しで
見る三人に殺し合いに乗っていない事をアピールする。
「あー、安心しろ。俺達はそこの緑の竜みてぇに殺し合う気はねぇよ」
「わ、私もです…」
「本当…ですか?」
美琴が嘔吐の直後のため青ざめた表情で尋ねる。
「本当だ」
「本当です…お姉ちゃん、捜してるんです」
「お姉ちゃん…? あなたも捜し人がいるの…?」
「…取り敢えずその死体片付けちまうか。臭くてかなわねぇ。おい、黒白竜、手伝え」
「お、俺か? ああ、分かった…」
襲禅は秀龍と共にライゲの死体の後始末を始める。
そして義、美琴、レオーネの三人は近くの診察室にて情報交換を行う事にした。
- 499 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 09:54:54
- 【ライゲ 死亡】
[残り28人]
【一日目/朝方/F-3病院一階】
【葛葉美琴】
[状態]肉体的疲労(大)、気分が悪い
[装備]ピッケル
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いから脱出する。四宮勝憲、朱雀麗雅の捜索。
1:半猫獣人の女性(立沢義)と雌獣竜(レオーネ)と話す。
2:首輪を何とかして外したい。
[備考]
※ジョン・ハワードの情報を得ました。
※英語が喋れます。
【立沢義】
[状態]気分が悪い
[装備]SVS-1936自動小銃(6/15、作動不良中につき発射不能)
[持物]基本支給品一式、SVS-1936自動小銃マガジン(5)、調達した医療道具
[思考・行動]
基本:教え子(平崎吉治、香瀧宏叔、石川昭武)の捜索及び脱出手段の模索。
1:本間秀龍と行動。雌獣竜(レオーネ)と話す。
[備考]
※特に無し。
【本間秀龍】
[状態]腹部に銃創(応急処置済)
[装備]S&WM500(3/5)
[持物]基本支給品一式、.500S&W弾(10)、エロ本(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。
1:立沢義と行動。とりあえず狼警官(須牙襲禅)と共に雌竜(ライゲ)の死体を片付ける。
[備考]
※立沢義の教え子(平崎吉治、香瀧宏叔、石川昭武)の情報を得ました。
【須牙襲禅】
[状態]良好
[装備]IMIウージー(32/32)
[持物]基本支給品一式、IMIウージーマガジン(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る気は無い。何とかして脱出したい。
1:レオーネと行動。とりあえず黒白竜(本間秀龍)と共に雌竜(ライゲ)の死体を片付ける。
2:朝倉清幸、一色利香と合流?
[備考]
※リュードの情報を得ました。
【レオーネ】
[状態]良好
[装備]朱雀麗雅の刀
[持物]基本支給品一式、癇癪玉(5)
[思考・行動]
基本:お姉ちゃんを見付ける。殺し合いから脱出したい。
1:襲禅さんと行動。半猫獣人の女性(立沢義)と狐獣人の少女(葛葉美琴)と話す。
2:襲われたら…。
[備考]
※朝倉清幸、一色利香の情報を得ました。
- 500 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/12(日) 09:55:34
- 投下終了です。
- 501 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/13(月) 22:08:10
- 投下します。新訳俺オリロワ033:ライフル持った狂牛娘
登場:平沢まりな、セルゲイ・ルシコフ、中村アヤ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33話:ライフル持った狂牛娘
湯気立ち込める女湯。
今は客の姿は無いがその代わり、すすり泣く少女の声が響いていた。
「ごめん…本当にごめん…」
「うう…酷い、酷過ぎる…セルゲイがそんな人…いや狼だったなんて…うう」
土下座する妖狼の傍で、足の付け根の辺りを赤と白の液体で汚した、青髪の少女が泣いていた。
少女――平沢まりなはこの健康センターを探索途中、女湯に入りたくなったのだが、
少女の裸を見て欲情してしまった同行者の妖狼、セルゲイ・ルシコフに襲われ純潔を失ってしまった。
セルゲイの事を多少なりとも信頼していたまりなにとって悲しむべき裏切り行為であった。
セルゲイ自身も自分の欲求を抑えきれなかった事を陳謝するが失われた純潔は永遠に戻らない。
「……もういいよ。いつかは失う物だったもんね…でも、好きな人に奪われたかったよ…」
「う……」
「…あそこ洗うから、セルゲイ、脱衣所で待っててくれる?」
「分かった…」
罪悪感で押し潰されそうになっている妖狼は尻尾をだらりと下げながら脱衣所に向かった。
バシャバシャと局部を、痛みに耐えながら湯で洗うまりな。
「…でも、気持ち良かったなぁ…腰遣い凄かったし…背中に爪が食い込んで痛かったけど…。
前に飼い犬の交尾見た事あるけど…妖狼もあれが根元膨らんで抜けなくなるんだね…」
純潔を失った喪失感と同時に初めての獣との交わりの快感を思い起こし、
まりなの頬は風呂場の熱とは別に赤く熱くなっていた。
◆
「<何してんだよ俺…強姦なんて最低だ…>」
女湯脱衣所、まりなの衣服が脱いである椅子の傍で頭を前足で抱え自責の念に苦しむセルゲイ。
まりながいないため母国語であるロシア語で喋っていた。
「<嫌われちゃったな、きっと…もう駄目だ、一人でこの殺し合いを生きるなんて出来ないよ…>」
大切な純潔を奪った獣である自分と、少女がこれから共に行動してくれるとは考えにくい。
風呂から少女が出てきたらきっと手切れの話を持ち出されるだろう。
セルゲイはこの殺し合いを単独で行動する自信が無かった。
勿論、悪いのは自分だ。それは分かってはいたが。
「<…でも、気持ち良かったな凄く、まりなの中…おっぱいも凄く柔らかかったし…。
……何言ってるんだよ俺……最低にも程が……>」
ガチャ。
「あ…」
浴場へと続く戸が開く音がセルゲイの耳に入る。
身体を洗い終わった青髪の美少女が脱衣所に足を踏み入れた。
湯気を立ち昇らせ、汗に塗れた肢体は、妖狼の本能を刺激した。
慌ててまりなから目を逸らすセルゲイだったが包皮内の分身は本人の意思とは無関係に脈打った。
- 502 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/13(月) 22:09:15
- 「…セルゲイ」
ビクッと妖狼の身体が震える。
「…その、ね…これからも宜しく」
「…え?」
だが、まりなの口から出た言葉はセルゲイの予想を裏切っていた。
まりなは顔を赤らめながら、備え付けのバスタオルで体を拭き始める。
そして、吹き終えると自分の衣服を着始めた。
(<…宜しくって…え? 俺と一緒にいてくれるの? だって俺…君を…>)
「…正直、許せないけど」
「……」
「気持ち良かった…んだよね、すっごく」
「まりな…」
「…もしその…あれだったら…また、いい?」
制服のシャツまで着たまりながねだるような目で見ながらセルゲイに言う。
「……今度は、優しくするから」
セルゲイは恥ずかしげに目をそらしながら、言った。
そして衣服を着終えたまりなと、妖狼セルゲイは脱衣所の出口に向かおうとした。
だが、二人が脱衣所出口に辿り着く前に、黒いブレザー姿の桃髪の半牛獣人の少女が現れた。
「!」
「……ッ」
少女――中村アヤは青髪の少女と妖狼の姿を認めると、無言で持っていた自動小銃、
SKSカービンの銃口を二人に向けた。
「<危ないッ!>」
「ひっ!」
ダァン!
銃声が響き、二人の背後の壁に穴が空いた。
まだ会話も何もしていなかったがあの半牛獣人の少女が明確な殺意を持っていると言う事だけは、
まりなとセルゲイにも理解は出来た。
「逃げよう!」
「う、うん」
セルゲイはまりなを背中に乗せ、浴場に向かって走り出す。
その速さは風の如く。運動音痴なアヤに追い付けるレベルでは無い。
それでも獲物を逃さまいとアヤも浴場に向かって走り出す。
ガシャァン!!
「あ…!?」
アヤが驚きに目を見張る。浴場の大きなガラス窓の一部を突き破り、妖狼と少女は外へ逃げたのだ。
ガラス窓の向こうは高い柵のある露天風呂だったが柵をも飛び越えたらしい。
残念に思いつつも次の獲物を捜すためにアヤは健康センターの出口へ向かい始めた。
◆
- 503 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/13(月) 22:10:29
- 「ハッ、ハッ、ハッ…ふぅ、ここまで来れば、大丈夫でしょ」
「はぁ、はぁ…」
住宅街の路地で、周囲の安全を確認した妖狼セルゲイは背中に乗せていたまりなを下ろす。
死の危険から取り敢えずは逃れられた安心感からかまりなはその場にへたり込んでしまった。
「…その辺の民家で休もうか。放送もあるし」
「そうだね…」
放送時刻である午前8時が迫っていたため、
まりなとセルゲイは一旦適当な民家で休息を取る事にした。
【一日目/朝方/B-7住宅街】
【平沢まりな】
[状態]処女喪失
[装備]FNブローニング・ハイパワー(12/13)
[持物]基本支給品一式、FNブローニング・ハイパワーマガジン(3)、手持ち携帯扇風機
[思考・行動]
基本:死にたくない。
1:セルゲイと行動。
[備考]
※中村アヤ(名前は知らない)の外見を記憶しました。
【セルゲイ・ルシコフ】
[状態]まりなに対する罪悪感
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、炸裂手榴弾(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。脱出手段を探す。
1:平沢まりなと行動。
[備考]
※中村アヤ(名前は知らない)の外見を記憶しました。
【一日目/朝方/A-6健康センター一階】
【中村アヤ】
[状態]発狂寸前、死への恐怖
[装備]SKSカービン(4/10)
[持物]基本支給品一式、SKSカービン装弾クリップ(5)、
参加者探知機(バッテリー残り90%)
[思考・行動]
基本:殺される前に殺す。友人二人も同じ。
1:死にたくない。
[備考]
※正常な判断力、思考力が低下しています。
※セルゲイ・ルシコフ、平沢まりな(どちらも名前は知らない)の外見を記憶しました。
※健康センター一階女湯の露天風呂側のガラス窓が割られました。
- 504 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/13(月) 22:11:44
- 投下終了です。規制…おい…
- 505 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/15(水) 21:25:20
- 投下します。新訳俺オリロワ34話:第三者の介入
登場:稲苗代儀重、エイミス・フロリッヒャー、平崎吉治、リュード
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
34話:第三者の介入
ドゴォン!
銃声と共に100円ショップの陳列棚が弾け、商品だった物の破片が周囲に飛び散る。
「ちぃっ!」
100円ショップ内の柱の陰に隠れる狼獣人の女戦士、エイミス・フロリッヒャーは
苦い表情を浮かべながら舌打ちする。
散弾銃を持った、二足歩行の銀色の雄狐に襲撃され危機的状況に陥っていた。
銃に疎い彼女でも散弾銃の殺傷力については知っている。
複数個の細かい散弾を撃ち出し、距離が近ければ近い程威力が増す。
近距離で食らえばほぼ間違い無く命は無いだろう。
「逃げたって無駄だよ…」
レミントンM870マリーナ・マグナムに12ゲージショットシェルを込めながら、
銀狐・稲苗代儀重は呟く。
「悪いけど…俺も死にたくは無いからね…死んで貰うよ」
静かな声でそう言う儀重。銃など初めて使うと言うのに、自分でも気持ち悪い程冷静だった。
「くそっ…これ、まずいかな…」
エイミスが持っている武器はスローイングナイフ、いわゆる投げナイフ5本のみ。
他に武器になりそうな物は無いかとショッピングセンター内を探索したが、
武器屋や銃器店はもぬけの空になっており、他の店にも武器になりそうな物は見付からなかった。
投げナイフには自信はあるが陰から身を乗り出せば撃たれると言う状況で、
正確に相手に投げるとなると話は違ってくる。
改めて今自分の置かれている状況が非常にまずいと、エイミスは自覚する。
しかし思わぬ助けが入った。
ダダダダダダダダダダッ!!
「…あ…がはっ…ぁあ……!?」
機関銃のような射撃音が響き、儀重は身体中が無数の灼熱に貫かれるのを感じた。
激痛に耐えながら後ろを振り向くと、黒っぽい長物の銃を持った、
灰色のブレザー姿の少年が立っていた。
少年の目は血走っており、正気には見えなかった。
(いつの間に後ろに…くそっ……油断、した……)
「あぁぁぁあああぁああーー!!」
ダダダダダダダダダダッ!!
少年――平崎吉治が叫びながら手にした突撃銃、AR-15を銀狐に向け再び乱射した。
血塗れの銀狐は持っていた銀色の散弾銃を床の上に落とし、崩れ落ちた。
「ふぅ…ふっ、ふへへ…やったぞ…二人目だ……二人目殺した…!」
狂った笑いを浮かべる吉治。
そのままゆっくりと、銀狐の持っていた散弾銃を拾おうと死体に近付く。
- 506 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/15(水) 21:25:53
- 「ねぇ」
「…え?」
ふと、女性の声が響く。女性の声のした方向に吉治が顔を向ける。
荒れた100円ショップ内の柱の陰から、茶色と白の毛皮を持った、
灰色のローブに軽装鎧という姿の狼獣人の女性が出て来るのが見えた。
その手には小さなナイフらしき物が握られていた。
突然まともに声を掛けられたため、吉治は銃を撃つのを忘れていた。
ヒュッ、ドス。
「……っ!?」
風を切る音、そして鈍い音が吉治の耳に届く。
喉元が異常な程熱くなり、ひゅー、ひゅーという音が聞こえた。
まともに息が出来ない。視界の下から真っ赤な液体が噴き出すのが見えた。
喉元に手を当てると何かが刺さっているのが分かったが、抜こうとする前に、
身体中の力が抜け、意識が遠退くのを感じた。
「……ッ、ごぼ、ぉ、ゴホッ……!!」
(あ…息が、出来、ねぇ…鉄錆の味が…口一杯に…!
し、死ぬのかよ、俺……!? え…死ぬ? 誰が……? 嘘、だろ…!?)
暗くなっていく視界、異常な程の寒気、無くなっていく感覚。
全ての状況が吉治に己の死を認めさせようとしていた。
(嫌だ………死にたく、ねぇ……石川、香瀧、立沢先生………)
最後に彼の脳裏に浮かんだのは、仲の良い友人達と、信頼出来る数学教諭の顔だった。
少年が完全に動かなくなったのを確認すると、エイミスはふぅ、と安心したように溜息を吐く。
他に侵入者の影は見当たらない。取り敢えず命の危機は去ったようだ。
灰色ブレザーの少年の死体を足で転がし喉に刺さったスローイングナイフを抜き取る。
抜き取った傷口から再び血液が溢れ出した。
血に濡れた刀身を少年のブレザーの端で拭き取る。
そして、突撃銃コルトAR-15を拾い上げ、観察し始めた。
(銃なんて余り使った事無いけど…正直投げナイフだけじゃ不安だし…貰っていこう)
エイミスはAR-15を装備し、少年のデイパックから予備のマガジン、
自動拳銃トカレフTT-33とその予備マガジンを入手した。
(余り持って行っても仕方無いか…さっきの銃声でまた誰か来るかもしれないし…。
確か向こうに非常口があったわね。さっさと逃げよ……)
銀狐が持っていた、先程まで自分を苦しめていた銀色の散弾銃は敢えて構わず、
エイミスは東方向の非常口へと向かった。
◆
- 507 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/15(水) 21:26:36
- 「…北に向かっていたつもりなのにどこでどう道を間違ったのか、
私はショッピングセンターに来ていました。おかしいよね地図もコンパスもあるのに。
第三者の意図を感じる。まあメタ発言は置いといて…」
「銃声が聞こえた、けど……」
ショッピングモール正面入口で青色の雌獣竜リュードは耳を澄ます。
先程まで初っポングモールの奥から銃声が響いていたが、今は何も聞こえなくなった。
交戦していた者の誰かが死亡したのだろうか。
「…放送も近いし……妹も、心配だけど……どこかで一度、休もうか……」
外から見た限りではショッピングセンターはかなりの広さを持っているように見えた。
中に戦う気がある参加者が残っていたとしても気を付ければ簡単には遭遇しないだろう。
リュードはベレッタM92FSを持って警戒しつつ、飲食店やゲームセンターなどを見て回り、
休めそうな場所を探し始めた。
そしてスタッフ用と思われる休憩所を発見した。
「ここなら良いかな…ブラインドも下りてるから外からも見えない、と思うけど」
背後に誰もいない事を確認しリュードは休憩室の扉を閉めた。
「はぁ…」
折畳式のパイプ椅子に座り一息付く。
壁には連絡用のプリントやカレンダー、古い壁時計などがある。
壁時計は午前7時20分を差していた。
この殺し合いが始まって、3時間と20分が経過した事になる。
自分が殺害した白髪頭の女戦士を含めて何人の犠牲者が出ているのだろうか。
放送になれば犠牲者の名前も呼ばれるだろうがその中に大切な妹であるレオーネの名前が
どうか呼ばれ無い事を、リュードは祈っていた。
「レオーネ、もし、あなたに万一の事があったら、私は……」
最愛の妹の無事を祈りながら、青い雌獣竜はしばしの休息を始める。
◆
「う……ぐぅ、げほ! げほぉ…うぐ、ぇ…はぁ、はぁ」
口から大量の血反吐を吐きながら、ガクガクと震える身体を起こす血塗れの銀狐。
身体中に穴が空き、床は正に血の海と形容するのが相応しい状況となっている。
稲苗代儀重は生きていた。辛うじて、ではあったが。
「う…ぐ…痛、ぇ…! 身体が穴だらけだよ…ごほっ、ごほっ…うわ…口の中、
鉄錆の味が……」
まだ霞む視界で周囲を見渡すと、自分が襲っていた狼女戦士の姿はどこにも無い。
代わりに見知らぬ灰色ブレザーの少年の死体が横たわっていた。
いや、知っている。この少年は自分を背後から銃撃した人物だ。
- 508 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/15(水) 21:27:25
- 「死んでいる…俺が、気を失っている間に、殺されたのか…?
……ご愁傷様」
皮肉のように言うと、儀重は身体を引き摺り、近くに落ちていた自分の散弾銃を拾い上げる。
「良かった…銃は無事か……だけど、少し、休んだ方が、良いな……ふぅ」
身体中を銃弾で貫かれ満身創痍のまま行動するのは無理がある。
しばらく休み傷が癒えるのを待つ必要があった。
儀重はふらふらと、休めそうな場所を探し始めた。
【平崎吉治 死亡】
[残り27人]
【一日目/朝方/B-3ショッピングセンター二階東】
【エイミス・フロリッヒャー】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]コルトAR-15(0/20)
[持物]基本支給品一式、コルトAR-15マガジン(5)、トカレフTT-33(8/8)、
トカレフTT-33マガジン(2)、スローイングナイフ(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いには……。
1:ショッピングモールから離れる。
[備考]
※稲苗代儀重(名前は知らない)を死んだと思っています。
【一日目/朝方/B-3ショッピングセンター二階】
【稲苗代儀重】
[状態]全身に銃創(行動に若干の支障あり)、血塗れ
[装備]レミントンM870マリーナ・マグナム(3/4)
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(6)、煙幕手榴弾(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
1:しばらく休み傷が癒えるのを待つ。
[備考]
※エイミス・フロリッヒャー(名前は知らない)の外見を記憶しました。
【一日目/朝方/B-3ショッピングセンター一階南部スタッフ用休憩室】
【リュード】
[状態]良好
[装備]ベレッタM92FS(15/15)
[持物]基本支給品一式、ベレッタM92FSマガジン(3)
[思考・行動]
基本:妹のレオーネを優勝させるために、殺し合いに乗る。
1:放送を待つためしばらく休む。
[備考]
※稲垣葉月に気付いていません。
- 509 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/15(水) 21:28:49
- 投下終了です。規制はもう嫌だああああああああ
- 510 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/16(木) 21:20:32
- 投下します。新訳俺オリロワ35話 寂しがりなおさげ、旋風に揺れて
登場:皐月眞矢
・・・・・・・・
35話:寂しがりなおさげ、旋風に揺れて
皐月眞矢は公民館の建物を訪れていた。
館内に入ると、昔の本や日用品などがガラスのケースに入れられ展示された
歴史史料室や、家庭科室、広い和室、図書室、多目的ホールなど様々な部屋、
施設が存在している。
「公民館か…そう言えば昔、子供会か何かで公民館でカレー作った事あったっけ…」
公民館にまつわる思い出を蘇らせつつ、誰かいないか警戒しながら眞矢は公民館内を歩く。
よく見れば壁には銃痕があったり、床に血痕が残っていたり、
窓ガラスが割られたりしていた。
やはりここでも戦闘があったようだ。
砕けて床に散らばったガラスの破片を踏み、革靴の裏からパキンという音が鳴る。
「誰もいないのかな…放送も近いしちょっと休もうかな」
人の気配がしない事を確認すると、眞矢は広い和室へと入る。
いつでも逃げられるように土足で畳の上に上がった。
壁に寄り掛かり、一息付くと、この殺し合いに呼ばれているクラスメイトの狼獣人の少女、
藤堂リフィアの事を思い出した。
「リフィー、今何してんだろ…あの子凄い不死身だし…簡単には死なないと思うけど」
トラックに撥ねられようが、首を吊ろうが、溺れようが、頸動脈を切ろうが、
藤堂リフィアという少女は死ぬ事は無かった。
痛そうに、苦しそうにしていても数分か数時間すれば傷は癒え、けろりといつも通りになる。
何万人に一人という特異体質らしいが、本人は「余り嬉しく無い特異体質」と言っていた。
とは言っても特異体質など嬉しい物はそうは無いと思うが。
「……ちょっと、横になろうか」
眞矢は座布団を枕代わりにし、身体を横たえた。
【一日目/朝方/D-4公民館和室】
【皐月眞矢】
[状態]良好
[装備]レイ・ブランチャードの拳銃(10/14)
[持物]基本支給品一式、レイ・ブランチャードの拳銃マガジン(3)
コルトパイソン(1/6)、.357マグナム弾(18)、皐月眞矢のナース服
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:しばらく休んで放送を聞く。
2:友人(藤堂リフィア)には出来れば会いたくない。
[備考]
※特に無し。
- 511 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/16(木) 21:22:21
- 投下終了です。
- 512 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 12:49:31
- 新ロワに続き自分も投下します。
新訳俺オリロワ36話:甘美なるネクロマンス
登場:ヘルムート、日宮まどか、伊賀榛名
- 513 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 12:50:37
- 36話:甘美なるネクロマンス
デグチャレフ・ペクホトノイ28、旧ソ連製の軽機関銃。
日宮まどかのもう一つの支給品だが、彼女には重過ぎて扱えない。
故に、まどかはヘルムートに支給された回転式拳銃・スーパーレッドホークアラスカンと、
予備弾である.44マグナム弾と交換して貰った。
「ん…ふぅ…」
「あん…」
黒と赤の竜は、銀髪の全裸の女性の乳房を舐め回し、右手で自分のいきり立つ分身を握り、
激しく上下に手を動かす。
その瞳はすっかり蕩け切っており、快感に支配されている事が窺えた。
計画通りだとまどかは心の中で思う。
(ここまで私に入れ込ませれば…大丈夫でしょ? ただ、ずっとこんな事しててもアレなんだけど。
お腹パンパンだし、身体中ヘルムートの涎と精○まみれだし…)
自身に支給された禁止薬物入りのイチゴミルクを飲ませた結果、
ヘルムートは完全にまどかの虜となった。
今や、ヘルムートはまどか無しではいられなくなってしまっている。
まどかが指示すれば、どんな事でもその指示を履行するだろう。
人を殺せと言われれば殺し、盾となれと言われれば盾となり、死ねと言われれば死ぬ。
もっともヘルムート本人は、自分がそんな状態になっているとは気付いていなかったが。
いや、例え気付いていたとしても、彼はまどかからは離れられなくなっていただろうか。
(いつの間にかもう放送の時間が近付いているし…行動起こすのは、
放送聞いてからにしよ…結局ずっとエッチしてただけだったなww)
「アウウッ!」
「あっw」
ヘルムートの右手の中の彼の息子が震え、勢い良く白濁を吐き出した。
大量のそれはまどかの身体を更に汚す。
人間の男のそれより濃く、粘り気があり生臭いそれにまどかも多少興奮していた。
後始末がきっと大変だろう、と心の隅で思ってもいた、が。
◆
- 514 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 12:51:41
- 森の中の廃道にて、黒いブレザーを着た狐の少女伊賀榛名は、
道の脇の木の根元に座っていた。
デイパックから時計を取り出し時刻を確認する。
午前7時45分。残り15分で第一回目の放送が主催者から入るはずだ。
「中村さんに平池さんは大丈夫かな…何か希望持てないよ」
数刻前に廃村にて青髪赤鉢巻の刀を持った男に襲撃され、同行者全員を失ってしまった
榛名の気分は沈みがちになってしまっていた。
「…私はいつまで生きられるのかな」
悲観的な事ばかりが頭によぎってしかたない。
友達と喋ったり、適当に男を捕まえて行為に及んだり、夜の公衆トイレに繰り出して
不特定多数と乱交していた日常が遠い日のように思えた。
「…駄目だ、マイナスの方ばかりに考えちゃ…それは分かってる、けど」
いつまでも悲観的になっていてはいけないと榛名は自分に言い聞かせる。
クラスメイト二人は脱出を目指して奮闘しているかもしれないのだから。
「……放送、待とう」
榛名は名簿とメモ帳、地図と筆記用具を取り出し、放送を待つ事にした。
【一日目/朝方/H-5廃旅館二階客室】
【日宮まどか】
[状態]肉体疲労(大)、全裸、ヘルムートの体液まみれ
[装備]スタームルガースーパーレッドホークアラスカン(6/6)
[持物]基本支給品一式、.44マグナム弾(18)
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。ヘルムートを最大限に利用する。
1:放送を待つ。
2:浅井きららはどうでも良い。
[備考]
※特に無し。
【ヘルムート】
[状態]肉体疲労(大)、快楽、薬物により日宮まどかに夢中
[装備]デグチャレフ・ペクホトノイ28(47/47)
[持物]基本支給品一式、デグチャレフ・ペクホトノイ28パンマガジン(5)
[思考・行動]
基本:日宮まどかのためにこの身を捧げる。それのみ。
[備考]
※薬物の効果により日宮まどかに心底惚れ込んでいます。効力が切れるかどうかは不明です。
- 515 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 12:52:20
- 【一日目/朝方/H-5東部の森の廃道】
【伊賀榛名】
[状態]肉体的疲労(大)、精神的疲労(大)、服装に乱れ
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[持物]基本支給品一式(ポケットティッシュ一個消費)、シグザウアーP226マガジン(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。平池千穂、中村アヤの二人の捜索。
1:放送を待つ。
2:首輪を外せそうな人物も捜索する。
[備考]
※勤武尚晶(名前は知らない)の外見を記憶しました。
※悲観的な考えが多くなっています。
≪支給品紹介≫
【デグチャレフ・ペクホトノイ28】
日宮まどかに予備パンマガジン5個とセットで支給。
1928年に旧ソ連赤軍に採用された軽機関銃。
本体はシンプルな構造で信頼性が高かったがパンマガジンの強度や使用弾薬の形状などで、
ジャム(装弾不良)が多かったと言う。
デグチャレフとは開発者のバジリー・デグチャレフにちなむ。
【スタームルガースーパーレッドホークアラスカン】
ヘルムートに.44マグナム弾18発とセットで支給。
回転式拳銃スタームルガースーパーレッドホークのコンパクトモデル。
- 516 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 12:53:10
- 投下終了です。
- 517 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 17:55:46
- 新訳俺オリロワ第一回放送投下します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
37話:甘美なるネクロマンス
----
『…あーあー、マイクのテスト中マイクのテスト中。
皆さん聞こえますか? 柴田でーす。お久しぶりです。
今から第一回目の定時放送を始めますので傾聴願います。
まず禁止エリアから。
午前9時より、B-2、D-7、E-3、F-1、F-7。
午前9時より、B-2、D-7、E-3、F-1、F-7です。
時間以降に進入しないようにして下さい。じゃないと首輪が作動しますよ。
それでは、いよいよ死亡者の発表です。
浅井きららさん、朝倉清幸さん、アルソンズ・ベイルさん、一色利香さん、伊藤文子さん、
エルザ・ウェイバーさん、神山アキナさん、久保遼平さん、志水セナさん、志村正隆さん、
ジョン・ハワードさん、朱雀麗雅さん、津野美鈴さん、平池千穂さん、平崎吉治さん、
フォナ・アンシュッツさん、冬月蒼羅さん、本庄忠朝さん、水鏡名雪さん、八房利徳さん、
山本良勝さん、ライゲさん、ロディオンさん……以上、23人です。
素晴らしいペースですなぁ。僅か4時間で約半数が死亡とは。
この調子で頑張って下さい。
では残り27人の生存者の方、次の放送は昼の12時です。
次も放送が聞けるよう、健闘を』
----
[残り27人]
- 518 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 17:56:41
- 投下終了です。
- 519 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/19(日) 18:02:25
- タイトルが間違っている、スルーお願いします直すので
- 520 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 19:14:09
- 投下します。新訳俺オリロワ38話 相反する二人
登場:藤堂リフィア、皐月眞矢
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
38話:相反する二人
「う…う」
気だるさが残る中、仮死状態から蘇生して間も無い狼の少女、藤堂リフィアは、
第一回放送で発表された情報を纏めていた。
「皐月さんは…生きてる、みたいだけど」
友人の無事は確認出来たが、既に50人いた参加者の内23人がたった四時間の間に
死亡しているという事実には衝撃を受けた。
次の四時間後には一ケタになっているのでは無いか。
いや、それまで自分が生きていられればの話だが。
同行していた久保遼平の名前も当然呼ばれたが、遼平を殺害し、自分を仮死状態に追い込んだ、
遼平の友人の狐獣人、高原正封の名前は呼ばれ無かった。
代わりに二人の友人と言う冬月蒼羅の名前は呼ばれた。
「……よい、しょ、と」
感覚が鈍っている手足で、リフィアは何とか立ち上がろうとする。
何度か転倒しつつ、どうにか立つ事が出来た。
傍に横たわる遼平の死体に目をやる。
このまま放置するのは忍び無かったが、埋葬する余力も道具も無い。
手だけ合わせ、リフィアはふらふらとその場を歩き去った。
まだ脱出する事を諦めた訳では無い。生きていれば何とかなるとリフィアは信じる。
◆
「リフィーはまだ生きてるんだ…」
公民館内で皐月眞矢は放送を聞き、クラスメイトの不死身狼娘の生存を確認する。
「それにしてもたった四時間で23人…凄いな…」
思っていたよりペースは早かった。
僅か四時間の内に参加者の約半数が死亡。
先程呼ばれた名前の中には自分が殺した二人も含まれているだろう。
禁止エリアはいずれも現在位置の公民館のあるエリアからは離れている。
取り敢えずは気にする必要は無さそうだ。
眞矢は支給された食糧で軽い食事を取る事にした。
「カレーパン…これで良いか」
包装を開けカレーパンを頬張る。
咀嚼しながら眞矢はこれからについて考えた。
(西に警察署があるみたいだし…そこに行ってみようかな)
地図を広げ、眞矢は次の行き先をエリアD-2の警察署に定めた。
「優勝…夢じゃないかもねぇ、ふふふ」
- 521 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 19:15:18
- 【一日目/午前/F-6森】
【藤堂リフィア】
[状態]胸元に貫通銃創(心臓は治癒)、手足の感覚がやや鈍っている
[装備]直刀
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:森を抜ける。
[備考]
※手足の感覚は時間が経てば元に戻ります。
※高原正封、戸高綾瀬、冬月蒼羅の情報を得ました。
【一日目/午前/D-4公民館和室】
【皐月眞矢】
[状態]良好、食事中
[装備]レイ・ブランチャードの拳銃(10/14)
[持物]基本支給品一式(食糧消費中)、レイ・ブランチャードの拳銃マガジン(3)
コルトパイソン(1/6)、.357マグナム弾(18)、皐月眞矢のナース服
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:しばらく食事、その後警察署へ。
2:友人(藤堂リフィア)には出来れば会いたくない。
[備考]
※特に無し。
- 522 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 19:16:22
- 投下終了です。
- 523 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 22:47:27
- 投下します。新訳39話:ある意味幸せな死に方
登場:戸高綾瀬、香瀧宏叔、レイ・ブランチャード
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
39話:ある意味幸せな死に方
「嘘…平崎が…死んだって…」
「そんな、蒼羅に遼平が…」
「…エルザにフォナが…死んだのか」
放送後、警察署内で、レイ・ブランチャード、香瀧宏叔、戸高綾瀬の三人は
それぞれ放送で知った知人友人の死に放心していた。
実感がわきにくかったが、嘘を言っているとは思えない。
「う、うあああ…何で、何で蒼羅が、遼平が…!? あの二人が何したって言うの…!」
「綾瀬さん…」
泣き崩れる綾瀬を宏叔が宥める。
宏叔自身も頬を涙が伝っていた。
レイは普段会話する機会も多かった女戦士エルザの死を、涙こそ流さなかったが悼んだ。
「ぐすっ…ヒック…あ、ありがとう、宏叔君…もう、大丈夫、ごめんね、宏叔君やレイも悲しいのに」
「い、いや…無理、無いですよ」
「…悲しい時は素直に泣いた方が良い」
「……レイは泣いてないように見えるけど」
「…それ程親密では無かったしな…悲しいのは事実だが」
「そう……」
所持品の医療ケースの中に入っていたポケットティッシュで涙を拭き取る綾瀬と宏叔。
二人が落ち着いた事を確認すると、レイは23人分の名前が横線で消された自分の
参加者名簿と、禁止エリアが書き込まれた地図に目をやる。
最初の四時間で参加者の約半数が脱落した。
(思っていたより進行のペースが速いな…そんなにやる気になっている奴がいるのか?
いや、それとも…)
単独で大勢殺害している実力者がいるのか、とレイは推察する。
(この分だとあまり猶予は無いのかもしれないな…なら)
「レイ?」
「……」
「どうかしたんですか?」
突然レイの様子が変わった事を不審に思う綾瀬と宏叔。
少し間を置いてレイが二人に話し始めた。
- 524 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 22:48:21
- 「綾瀬、宏叔、前に話したな。首輪の入手には死体から首輪を剥ぎ取るしか無いと」
「……うん、言ったよ」
「言いました、けど」
「……そうだ、だから……」
レイは持っていた自動小銃M1ガーランドの銃口を二人に向けた。
「すまないが死んで貰う」
ダァン!
「……あ?」
一発の銃声と同時に綾瀬は胸元に衝撃を感じた。
そして急速に意識は遠退いて行く。
何が起きたか分からなかったが、脳が機能を停止する最期の数秒間は、
彼女に自分の身に起きた事を理解させる事が出来た。
(私、撃たれ……? 何で、何でよ、レイ――――?)
ドサ、と言う重い音を部屋に響かせ綾瀬の身体を床に崩れ落ちた。
穴が空いた胸元から赤い液体が床に広がっていく。
「…え? え? 綾瀬さ、え? あ? あぁあぁああああああああああぁ!!? 何で!? 何で!!?」
宏叔が亡骸となった綾瀬に縋り付く。
だが、命を失い物体となった綾瀬は二度と動く事は無い。
「何で、何で殺したんですか!? 何で!!?」
大粒の涙を流し牙を剥き出しながら狐獣人の少年は噛み付くようにレイに怒りの咆哮をあげる。
レイは冷徹な表情を浮かべながら答えた。
「だから言っただろう。首輪を入手するには死体から奪うしか無いと」
その一言で、宏叔は全てを理解した。
「ま、まさか、綾瀬さんの首輪を…!?」
「思っていたより死者が出るペースが速いからなぁ。余りモタモタしてると手遅れになりそうだ。
悪いがお前ら二人は足手纏いと判断したんだよ」
「……!! こ、このおおおおぉおお!」
余りに非道なレイの言い分と手口に怒り狂った宏叔が飛びかかろうとするが、
即座に鳩尾にレイの重い足蹴りが入った。
- 525 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 22:49:35
- 「うぐっ!? ぉ、おお」
一瞬で呼吸が困難になり苦しみ悶え始める宏叔。
「弾が勿体無いな…これで死んで貰うぞ」
レイは下着を脱ぎ、宏叔のマズルを掴むと、そのまま腰をマズルに向け下ろした。
「むぐぅうぅ!?」
宏叔の狐のマズルがレイの温かな中へ入り込む。
狐少年の顔の上にしゃがむような体勢でレイがふぅ、と息を吐いた。
そしてマズルが入り込んだ中を力んで締め付ける。
「う……ん、ぐぅ、うぅうう!! う、ウ」
「どうだ? 私の中は…中々良い締まりだろう?」
鼻と口が真空状態のレイの内部にある宏叔は全く呼吸が出来なくなる。
手足をバタつかせ何とか逃れようとするがレイ自身の筋力は普通の女性より遥かに強い。
ましてや同年代の少年と比べても体力も力も無い宏叔がどうあがいても無駄だった。
「ゴ……おぉ、オ、ォ、…う……ウ………ぁ…………」
次第に宏叔の抵抗が弱くなってくる。
そして、数分後、ついに宏叔は数回身体を痙攣させた後、動かなくなった。
「逝ったか……んっ」
ズルッ、と、そこから宏叔のマズルを引き抜くレイ。
「この前発情期のワーウルフに襲われた時に即興で繰り出した技だったが、
まさかまた使う事になるとは……痛……少し濡らしてから入れるべきだったな……」
所持品のティッシュで軽く後始末をした後、下着を穿き、
二人分の死体に目をやる。
これで二つの首輪を入手できる事になる。
「すまんな…宏叔、綾瀬。短い間だったが楽しかったぞ……」
そう言いつつ、レイは綾瀬が持っていた青竜刀を拾い上げ、作業を開始した。
- 526 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 22:51:21
- 【戸高綾瀬 死亡】
【香瀧宏叔 死亡】
[残り25人]
【一日目/午前/D-3警察署】
【レイ・ブランチャード】
[状態]良好、局部に痛み
[装備]青竜刀
[持物]基本支給品一式、M1ガーランド(7/8)、 M1ガーランド装弾クリップ(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。首輪の調査を行いたい。手段は問わない。
1:綾瀬、宏叔の死体から首輪を取り、解析する。
[備考]
※石川昭武、平崎吉治、立沢義、久保遼平、高原正封、冬月蒼羅の情報を得ました。
※銃声は警察署の外に少し漏れたようです。
- 527 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/21(火) 22:53:18
- 投下終了です。端折れる所は端折ろう 省力化
宏叔は普通に撃ち殺される予定だったが気が狂…変わった
- 528 : ◆VxAX.uhVsM:2010/12/22(水) 04:52:51
- 規制されたためこちらに投下
16話 強さと破壊は比例する?
登場人物火神大我、阿久根高貴
――――――――――――――――――――――
16話 強さと破壊は比例する?
B-7ここに二人の人間がいた
正確に言うと一人の人間と一つの死体だ
どうして、なぜこうなったのか
状況をまとめてみよう
■
「なんなんだ?これ、何の間違いだ…」
ガタイのいい男火神大我
アメリカ帰りの帰国子女
そんな彼はなぜかこのバトルロワイアルに巻き込まれていた
「うーん…」
カサカサ
「うーん…」
カサカサ
「ん?」
後ろを見ると
鉄パイプを振り上げる金髪の男が
その鉄パイプを
振り下ろした
「がっ」
その場には死体だけが残っていた
【火神大我@黒子のバスケ 死亡】
■
「悪いな…」
男はその死体を見て黙祷する
自分が今殺した男を見て
ここにいる希望、彼女を死なせないために
元破壊臣阿久根高貴は鉄パイプを持って
歩きだしていった
【一日目/7時24分/B-7】
【阿久根高貴@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]鉄パイプ
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:黒神めだかを殺させない、守るためなら人殺しもする
1:生徒会メンバーを守る
【支給品説明】
【鉄パイプ@現実】
鉄製(鉄の合金製)の管。
- 529 : ◆VxAX.uhVsM:2010/12/22(水) 04:53:55
- 投下終了です。
短いとは思いながらも短くなってしまう。これが自然の摂理。
- 530 : ◆VxAX.uhVsM:2010/12/22(水) 12:07:37
- 休み入りました―
今日から投下ラッシュ・・・目指して頑張ろう
では投下します
17話 赤鼻の海賊の憂鬱
登場人物バギー、ニコ・ロビン、山本武
出落ちです気をつけて。
今回から句点をつけることにしました。
- 531 :赤鼻の海賊の憂鬱 ◆VxAX.uhVsM:2010/12/22(水) 12:08:14
- 17話 赤鼻の海賊の憂鬱
バギーは死にました。
【バギー@ONEEPIECE 死亡】
■
は?ちょっと待てよ!
いったい俺が何をやってどうなったかなんて!
何にも!書かれてねぇじゃねぇか!
ふざけんなよ!まさかこれで出番終了とか言うんじゃねぇだろうな!
ちょ!待ってください!お願いします!
ほんとまって…。
■
「ごめんないね、あなたは悪くないの」
「ねぇ、赤鼻のバギー」
黒い髪の美しい女性ニコ・ロビン。
「貴方の事だからこの殺し合いに乗ると思ってね」
「先に、始末してしまったわ」
冷静に表情を変えずに彼女は言い張った。
正当防衛のように。
そして、
彼女はその場を離れて行った。
- 532 :赤鼻の海賊の憂鬱 ◆VxAX.uhVsM:2010/12/22(水) 12:08:46
- 「…おいおい、穏やかじゃねぇな…これ」
目の前の惨状、男が女に絞殺された。
「助けられなくて…すまない…」
その男は山本武。
ボンゴレの雨の守護者である。
「せめて…埋めておいてやるか」
そう言い山本は近くの民家からシャベルを持ってきて土を掘り始めた。
【一日目/7時36分/B-4山】
【山本武@家庭教師ヒットマンREBORN】
[状態]健康、土を掘っている
[装備]シャベル@現実
[所持品]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:ツナたちと合流する。
1:この男を供養してやる。
[備考]
※参加時期は水野薫に攻撃を食らう寸前からの参戦です。
※シャベルは現地調達品です。
■
「……」
彼女は黙っていた。
「甘いわね…私も」
実は彼女は気づいていた、山本武の事を。
でも彼女は知らないふりをした。
「でも…迷っていてはいけない」
彼女は山から下り周辺を探索し始めた。
【一日目/7時38分/B-5】
【ニコ・ロビン@ONEPIECE】
[状態]多少の迷い?
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:ルフィを優勝に導く。
1:仲間とは会いたくない
[備考]
※参加時期は不明です。
【支給品説明】
【シャベル@現実】
そこそこの大きさのシャベル。
園芸用スコップとは違うんです。
- 533 : ◆VxAX.uhVsM:2010/12/22(水) 12:09:33
- 投下終了です。
やっぱり出落ち、実は最初から決定してたバギー。
- 534 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:01:50
- tesu
- 535 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:03:07
- 投下します。新訳40話「救いなど無い」
登場:石川昭武、川田喜雄、須牙襲禅、レオーネ、葛葉美琴、立沢義、本間秀龍、マティアス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
40話:救いなど無い
病院のすぐ近くに建つ民家の一つの内部で、
石川昭武は放送により友人の死を知り衝撃を受ける。
「ひ、平崎が…! 畜生…何で…!」
「昭武…」
悲しみに暮れる青狼青年を気遣う同行者の中年男性、川田喜雄も、
唯一の知り合いであり自分が営む食堂の常連客、志水セナが放送で名前を呼ばれた。
ただ親しいと言う訳でも無かったのでそれ程悲しんでいる様子は無かったが。
「ふざけんなよ…くそっ…許さねぇ…許さねぇぞ…柴田ァ、セイファート…!」
「落ち着けよ昭武……」
「……すまない…川田さんも、確か知り合いが……」
「ああ、呼ばれた。まあ…そんなに仲良く無かったけどよ……」
「……」
昭武は制服の裾で涙を拭う。
まだ同じく友人の香瀧宏叔、教師の立沢義の名前は呼ばれていない。
彼らを捜さなければ。まだ落ち込むには早い。
「禁止エリアは…遠くだな、どれも」
「ああ」
「…それじゃ、放送も聞いたし、行こう」
昭武と喜雄は荷物を纏め、再び病院へ向かい始めた。
◆
病院一階。須牙襲禅、レオーネ、立沢義、本間秀龍、葛葉美琴の五人が第一回放送を聞いた。
「…何てこった……」
須牙襲禅は同僚が二人共、再会もせずに死亡した。
「お姉ちゃん…」
レオーネは姉の無事を確認し内心喜んだが、周りの雰囲気を見て大っぴらにはしなかった。
「平崎君…!」
義は教え子の一人が死んだと聞かされ、ショックを受け涙する。
「……」
秀龍は知り合いはいなかったが、教え子の情報を貰っていた義を気遣った。
- 536 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:03:39
- 「朱雀さん…! そんな…」
美琴は知り合いの女性が名前を呼ばれた。
知り合いや家族の名前が呼ばれた者、呼ばれなかった者も重い表情を浮かべていた。
放送後、狐獣人の少女、美琴が嗚咽を漏らし始めた。
「うっ……ぐっ」
「葛葉さん…」
義が美琴の傍に行き宥める。
学校こそ違ったが自分の教え子と同じ高校生である美琴に対し、
教師である義は自然と教え子達と同じように接するようになっていた。
「一人になっちまったな…ったくあいつら、もっと頑張れっつの…」
襲禅はどこかから見付けてきた煙草を吹かしながら言う。
同僚二人、朝倉清幸と一色利香はどちらも優秀な警官だった。
この殺し合いの中、恐らく二人は脱出のための手段を模索していただろう。
だが死んでしまった。急襲されたのか、同行者を庇ったのか、交戦の末敗北したのか、
或いはもっと別の何かかは分からない。
「襲禅さん…」
「レオーネか…良かったな、お前の姉貴、呼ばれなかっただろ」
「うん…」
「何だよ、嬉しくねぇのか?」
「そうじゃないけど…」
「……喜んどけよ。お前は幸せなんだから。知り合いが、家族がまだ生きてるんだからよ」
「……」
そうは言われても、とてもそのような雰囲気では無かった。
「…すみません、俺、ちょっと……」
「どうしたの本間さん」
「……お手洗い、の方に……」
「ああ…行ってらっしゃい」
黒と白の竜、秀龍が、気が引けつつも便所へ向かうために立ち上がり、通路の奥へ歩いて行った。
◆
- 537 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:04:10
- 一階の男性用トイレで、秀龍は収納されているそれを取り出し用を足す。
「こんな状況でも小便は出るんだな…はぁ」
正直な所、放送で知人の名前が呼ばれ沈んでいる者が多い中、
用を足すためにその場を離れると言うのはかなり勇気が必要だった。
「……もう半分近くも死んでるなんて」
たった四時間の間に、23人もの参加者が死亡してしまった。
自分が今こうして生きていられるのは奇跡に近いと秀龍は考える。
最初、立沢義と遭遇した時、自分が病室でGに耽っていた時にもどこかで死者が出ていたのだろう。
「…どうなるんだよ、俺…俺達……」
自分や、仲間達の行く末が不安になる秀龍。
だが、その答えは秀龍に限り出される事になった。
シュル、と、背後から秀龍の首に白い帯のような物が巻かれた。
直後、凄まじい力で、秀龍の首が絞め上げられる。
「あがっ!? …ガ……アア……!」
ぎり、ぎり、と、容赦無く帯紐には力が込められ秀龍は呼吸を強制的に遮断された。
口から涎を垂らし、何とか紐を解こうともがくが徒労に終わった。
(く、苦しい…このままじゃ、死ぬ…! だ、誰だ…誰……!?)
襲撃者の顔を見ようとしたが、その前に意識が遠退いてくる。
(い、嫌だ、やめてく、れ…死にたくない…嫌だ…誰か…助け……て)
ボキッ。
鈍い音と共に、抵抗していた黒と白の竜はガクリと脱力した。
目からは涙、口からは泡と涎、血反吐を吐き、飛び出したままのそれからは、
黄色い液体が床に流れ落ちた。
頸骨がへし折れたのである。
「……フフ」
襲撃者―――青と白の毛皮に蝙蝠のような翼を持った人狼は、
にいっと口を歪め、鋭い牙が窓から入り込む日光に反射し白く輝く。
◆
- 538 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:04:50
- 「遅い、ですね…本間さん」
用を足しに向かったにしては妙に帰りが遅い秀龍を心配する美琴。
確かに少し遅過ぎるとその場にいた全員が思い始める。
「私、見てくるわ…」
「あ、立沢さん…気を付けて下さい」
義が様子を身に、SVS-1936自動小銃を携え秀龍が歩いて行った通路の奥へと向かった。
「ん…? 誰だ?」
入口付近で見張っていた襲禅が病院に近付いてくる二人の人影を発見し、
装備していた短機関銃IMIウージーを構える。
美琴、レオーネもそれぞれ身構えた。
「待ってくれ! 俺達は殺し合いをする気は無い」
灰色のブレザーを着た青狼青年が両手を上げ戦意が無い事を訴える。
隣にいた中年男性も同様だった。
「……俺は須牙襲禅だ。名前は?」
「い、石川昭武」
「川田喜雄」
ウージーを突き付けられながら二人は名前を言う。
しばらくして、襲禅がウージーを下ろし警戒を解いた。
「…分かったよ。入れ。他にも仲間がいる」
「あ、ありがとう…信じてくれて…あ、あんた警官?」
「そうだ」
石川昭武、川田喜雄の二人は襲禅に連れられ病院の中へと入った。
「石川昭武…? おい、お前んトコの先生が俺らの仲間にいるぞ」
「え? 立沢先生がいるのか!?」
「良かったじゃねぇか昭武」
「ああ…で、どこに?」
「ん…あれ? おい、立沢は? レオーネ、美琴」
秀龍に続き義もいなくなっている事に気付き襲禅が二人に尋ねる。
「あの、本間さんの帰りが遅いんで様子を見に行きました」
美琴が答えた。それを聞き、襲禅は顔をしかめる。
「…おいおい、秀龍の奴、まだ戻ってねぇのかよ?」
遅いと言うレベルでは無い。もしや何かあったのでは。
嫌な予感が襲禅の胸をよぎった。
- 539 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:05:56
- ダァン!
そして銃声により、予感は現実となった。
一発の銃弾が美琴とレオーネを貫通し、二人はその場に倒れ込んだ。
「!!」
驚いた襲禅、昭武、喜雄の三人が倒れた二人に駆け寄ろうとしたが、
奥の通路から自動小銃を携えた青白の有翼の人狼が姿を現した。
そして、残った三人に向け自動小銃を乱射する。
ダァン! ダァン! ダァン!
三人共銃を持っていたが、発砲する間も無く身体を貫く熱に倒れた。
喜雄は心臓に銃弾が命中し、即死だった。
襲禅は肺を銃弾が貫通、昭武は腹部に命中、どちらも致命傷である。
有翼の人狼――マティアスは、血の海となったロビー周辺を見渡し満足そうに笑う。
翼を使って飛行し屋上から病院内に侵入したが、こうも上手く事が運ぶとは。
「フフフ……」
マティアスは笑みを浮かべながら、襲禅達の武器を回収する。
その時、青い毛皮に覆われた手がマティアスの獣足を掴んだ。
「ん」
「げほっ…! テ、メェ……! 立沢先生を……どうした………!」
血を吐きながら、昭武が怒気の籠った口調でマティアスに問う。
「立沢……ああ、あの虎耳の女? 殺したよ」
「……!」
「殺す前に、ちょっと……ヤらせて貰ったけどね」
「な……!?」
有翼の人狼の股間にぶら下がるそれは、何かの粘液に塗れ、
先端からは僅かに糸を引く白い液が出ていた。
全てを悟り、マティアスの足を掴む昭武の手に力が入る。
「こ、のぉぉおおおぉお……!!」
「いやぁ、気持ち良かったよ。おっぱいも大きくてね……それで、いい加減足、放してくれる?」
ガスッ!!
「ウガァ!!!」
もう片方の足で、昭武の腹を思い切り踏み付けるマティアス。
昭武の口から夥しい量の血反吐が吐き出された。
- 540 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:06:39
- 「ご……ぉあ…あぁああぁああああああぁあああああ!!!」
「ヒヒヒヒヒヒヒッ!! ガキが!! いきがるんじゃね〜ぇ〜よ!!
ホラ! ホラ! ホラ! 痛い? 痛いよねぇ!? ん?」
何度も、何度も、マティアスは昭武を踏み付けた。
「うぎゃああぁ、あ、アエ、あうあー、ぁ、ああああ」
「あれ〜? 泣いてるの? 泣いてるのぉ? でも許さないよぉwwwwwwあはwwww
面白そうだねぇお前。もっと遊んであげるよ」
涙に滲む昭武の視界に移り込んだマティアスの顔は、
今まで見た事の無い、邪悪な笑みを浮かべていた。
マティアスは鋭い爪の付いた手を舐め、目を見開き、牙を露わにして嗤った。
「う……あ…あ、あぁああぁああアアアァアアアァ゛ッア゛ァア゛――――――!!!!」
◆
「……うう」
レオーネは鳩尾当たりの痛みに耐えながら目を覚まし身体を起こす。
「あれ…私…どうなったんだっけ」
どうやら気を失っていたようだが、なぜ自分は気を失っていたのだろうか。
記憶を辿ろうとするレオーネの鼻に、濃密な血の臭いが入り込む。
「……!?」
そして周囲を見渡し、愕然とした。
そこは病院と言う清潔な場所には全く似つかわしく無い、赤色に彩られた世界だった。
まずカーキ色のブレザーを着た狐の少女の死体が横たわっている。
そして先程入ってきた二人組の内一人の中年男性の死体がある。
この二人の死体は原型を留めていた分マシであった。
- 541 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:07:29
- 「あ……ああ!? 何、これ……!?」
レオーネの視線の先には――大きな肉の残骸が血溜まりに広がっていた。
壁や天井にまで肉片や血の跡が飛び散っている。
白い棒状の物は骨だろう。ピンク色のものは脳だろうか。チューブ状のものは――――。
「う、うぉうええぇええ」
堪らず、レオーネは戻した。
今まで見た事も無い凄惨な死体である。
――死体? 誰の?
レオーネは勇気を振り絞ってもう一度、肉の残骸の方を見て、調べた。
赤く染まった布の切れ端は衣服の残骸だろうか。
毛皮のようなものも見える。血で赤くなってはいたが、青、白、茶色が確認出来た。
顎の骨と牙からして、狼。それも二人。男――――。
「こ、これ……襲禅さんと、石川、さ、ん……!? あ、ああ、そんな、何で!? 何でこんな」
ついさっきまで一緒に行動していた狼警官が、
ついさっき自分達のいる病院にやって来た狼の高校生が、
一緒に肉の塊となっている。
非情などと言うレベルでは済まされない現実に、レオーネはただただ呆然とするばかり。
「……襲禅さん……こんなのって…死に顔さえも分からないなんて………。
……そうだ、立沢さんは……本間さんも……」
レオーネは傷口を押さえながら、トイレに行ったきりの秀龍と様子を見に行ったきりの
義を捜しに向かった。
そして一階男性用トイレにて二人を発見する。
死体となった二人を。
「あ……あ」
秀龍は首の骨をへし折られていた。
義は……白い帯か何かで猿ぐつわをされ、衣服を引き裂かれ全裸にされ、
喉笛を切り裂かれて絶命していた。
その局部からは白く濁った液が垂れ落ち、身体にも付着していた。
性的暴行の末に殺されたようだった。
見開かれたままの瞳からは涙が流れ、恐怖と絶望の色が見て取れる。
- 542 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:08:43
- 「ひ、酷い……誰が……こんな事を」
ガクガクと震えその場にへたり込むレオーネ。
恐らく自分を撃った人物の仕業だろうとは思っていた。
トイレの二人も、ロビーの四人も。
だが、姿を見ていない。
「……もう、嫌だ…こんなのもう嫌だよぉ……うっ…うっ……」
一瞬にして孤独に落とされた雌獣竜の少女は、孤独感と絶望感に襲われ嗚咽を漏らし始めた。
「お姉ちゃん……お姉ちゃん……!」
どこにいるかも分からない、最愛の姉を呼びながら、レオーネは泣き続けた。
◆
エリアE-4住宅街のとある民家。
血で汚れた身体を、マティアスはシャワーで洗い落としていた。
身体中に付いた血が、湯と共に排水溝へ吸い込まれて行く。
「ふぅ…大量に武器が手に入ったし…良い女とヤれたし、取り敢えず満足かな」
シャワーを浴び終え、身体をバスタオルで拭き、居間で一息付く。
カーテンは閉め切ってあるため外からは見えない。
「しばらく休むか…久々に解体やって、疲れたし……」
- 543 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:10:00
- 【本間秀龍 死亡】
【立沢義 死亡】
【葛葉美琴 死亡】
【川田喜雄 死亡】
【石川昭武 死亡】
【須牙襲禅 死亡】
[残り19人]
【一日目/午前/F-3病院一階】
【レオーネ】
[状態]鳩尾付近に貫通銃創、絶望、慟哭
[装備]朱雀麗雅の刀
[持物]基本支給品一式、癇癪玉(5)
[思考・行動]
基本:お姉ちゃんを見付ける。殺し合いから脱出したい。
1:……。
[備考]
※朝倉清幸、一色利香、四宮勝憲、朱雀麗雅、石川昭武、香瀧宏叔、平崎吉治の
情報を得ました。
【一日目/午前/E-4住宅街・黒崎家】
【マティアス】
[状態]右脇腹から背中に掛け貫通銃創(処置済)
[装備]レイ・ブランチャードの半自動小銃(0/10)
[持物]基本支給品一式、レイ半自動小銃装弾クリップ(5)、S&WM500(3/5)、
.500S&W弾(10)、IMIウージー(32/32)、IMIウージーマガジン(5)、Nz75(15/15)、
Nz75マガジン(2)
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:獲物を捜す。
[備考]
※レオーネの生存に気付いていません。
※病院一階ロビー付近に原型を留めていない石川昭武、須牙襲禅の死体と、
原型を留めている川田喜雄、葛葉美琴の死体が放置されています。
また一階男性トイレに本間秀龍と立沢義の死体があり、立沢義の死体の口には
根性鉢巻が巻かれています。
※以下の物が残されています。
FNポケットモデルM1906(6/6)、ポーション(5)、スピードリング(肉塊に埋もれている)、
SVS-1936自動小銃(6/15、作動不良中につき発射不能)、SVS-1936自動小銃マガジン(5)、
調達した医療道具、エロ本(5)、ロングソード
- 544 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/23(木) 19:11:33
- 投下終了です。根性鉢巻はマティアスのもう一つの支給品だが、
もう面倒だしどうせ説明不要だと思うので説明は省く。
- 545 : ◆VxAX.uhVsM:2010/12/24(金) 09:05:51
- 投下します
18話 その男、危険につき
登場人物笛吹和義、鰯田逃次、支倉モト、蒼井華、神埼一
- 546 :その男、危険につき ◆VxAX.uhVsM:2010/12/24(金) 09:07:36
- 18話 その男、危険につき
『うーん?ここは…』
そうだ、さっき薬局の壁にぶつかって…薬局だからC-3か……。
ああ、そうだ思い出した。
『あの女から逃げようとして…』
「あ、起きましたか?」
声がした方向を向くと女が立っていた。
『…君は?』
「あ、私は蒼井華と言います」
「お、その人起きたの?」
「あ、支倉さん」
影から出てきたのは肌が黒い男。
「俺は支倉モトっていうんだ、あんたは?」
『笛吹和義、ちょっといろいろあって逃げてきた』
「逃げてきたってどういうことですか?」
- 547 :その男、危険につき ◆VxAX.uhVsM:2010/12/24(金) 09:09:30
- 「そんなことが……」
「まさか本当に乗るやつがいたなんて……」
『なあ、あんたら以外に誰かいるのか?』
「ああ、あと一人いて周りを見てくるって言って…」
「みんな!隠れて!」
声が聞こえる。
「鰯田君なの!?」
「ここに不良みたいなやつが…」
その男が姿を現した。
「!!鰯田君…そのケガ…」
鰯田と言われた男は頭から血を流していた。
「そんなことより早く隠れないと!」
「おぉ、大量だなぁ」
振り返ると、どう見ても不良にしか見えない奴がいた。
「あ、あいつだ!俺を後ろから殴った奴!」
鰯田が叫ぶ。
「あぁ?さっきのやつか」
男は笑いながら言う。
「お前、しぶといな普通ならさっきので死んでるはずだが」
「これくらいで死ぬかよ!」
「ふん、どっちでもいい」
その男は手に持っている物を構えた。
「どうしましょう、支倉君、鰯田君、笛吹君」
「まぁ……どうにかしないといけないよな」
『ああ、そうだな』
そうして、全員ばらばらの方向に走り出した
【一日目/7時48分/C-3薬局内部】
【笛吹和義@SKETDANCE】
[状態]背中にダメージ(小)
[装備]マンドセル@SKETDANCE
[所持品]基本支給品、ホバーシュズ@SKETDANCE
[思考・行動]
基本:ボッスン、ヒメコと合流を優先。
1:目の前の男から逃げる。
[備考]
※生徒会メンバーが5人集まった後からの参戦です。
※雨宮桜子(名前は知らない)を危険人物と認識しました。
【鰯田逃次@SWOT】
[状態]頭から出血(行動に支障あり?)
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:アニキとの合流を優先する。
1:目の前の男から逃げる。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
【支倉モト@enigma【エニグマ】】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:死にたくない。ただそれだけ。
1:目の前の男から逃げる。
[備考]
※能力発覚後からの参戦です。
【蒼井華@逢魔ヶ刻動物園】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:園長と合流する。
1:目の前の男から逃げる。
[備考]
※イガラシ奪還のために潜入する前からの参戦です。
【神埼一@べるぜバブ】
[状態]健康
[装備]出張保健室@保健室の死神
[所持品]基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・行動]
基本:男鹿を倒す。それまでは死なない。
1:4人を全滅させる
[備考]
※六騎聖編終了後からの参戦です。
【支給品説明】
【出張保健室@保健室の死神】
本来は派出須逸人が怪我した人のために作ったもの。
今ロワでは手軽な鈍器サイズにまで小さくなっています。
結構最近の話で町に放置された。
- 548 : ◆VxAX.uhVsM:2010/12/24(金) 09:10:05
- 投下終了です。
一気に未登場を4人登場させました
- 549 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 09:22:55
- 投下乙です。自分も投下します。新訳41話:出来るなら、戻りたい、あの頃に
登場:高原正封
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
41話:出来るなら、戻りたい、あの頃に
「なあ高原ー。今度の土曜空いてる?」
「え? 何だよ久保」
「いやさ、合コンやんだけどちょっと男の数足りなくてさー」
「合コンね…どうせ割り勘だろ? やだよどうせおごらされるの目に見えてるし」
「そこを何とか!」
「石田とか宮村とかは?」
「あのねぇそいつらが呼べんならお前を呼んだりしないよ」
「何か突っかかるなその言い方」
「頼むよ〜」
「……ハァ、分かったよ。今度ラーメンおごれよ」
「サンキュー!」
つい数日前の遼平との会話を思い出していた。
遼平はもういない。俺が殺した。
放送でも当然名前が呼ばれた。同じく友人の冬月蒼羅の名前も。
だけど――なぜか撃ち殺したはずの、遼平と同行していた少女の名前は呼ばれ無かった。
あれで生きていると言うのか?
ともあれ、放送の時点で生き残りは俺を含め27人になったらしい。
今もリアルタイムで死者が出ていると思うが。
たった四時間で半分近く脱落するなんてな。
俺が生きていられるのは幸運だって事か。
「…腹減ったな、飯でも食うか」
デイパックから支給された食糧――適当におにぎりやサンドイッチを取り出し、
民家の台所を漁って見付けたサイダーと一緒に口に入れる。
どうにもおいしく感じられないが、こんな状況で食う物などおいしいはずも無いか。
……何だかしょっぱいな。
塩なんてかけた覚えは……。
あれ…何だこれ…何で俺泣いてんだ?
何で今更…涙なんて出るんだよ……。
…止まらない…。
…くそっ…。
今更…今更後悔したって遅いんだよ…もう手遅れなんだよ…。
分かってるのに……。
「うっ……ぐ……」
- 550 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 09:24:34
- 二度とあの平穏な日常には戻れないのかと思うと、どうしようも無く涙が溢れた。
【一日目/午前/F-4住宅街・今林家】
【高原正封】
[状態]良好、嗚咽、食事中
[装備]スタームルガーGP100(6/6)
[持物]基本支給品一式(食糧消費中)、.357マグナム弾(9)、ロス・ステアーM1907(10/10)、
ロス・ステアーM1907装弾クリップ(弾薬10発入り×3)
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:…くそっ…。
2:誰であろうと殺す。
[備考]
※藤堂リフィアの名前と外見を記憶しています。
- 551 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 09:26:02
- 投下終了です。
- 552 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 17:54:34
- 投下します。新訳42話:廃墟探索に気を付けなければイケナイ事の一つ=崩落
登場:ヘルムート、日宮まどか、伊賀榛名
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42話:廃墟探索に気を付けなければイケナイ事の一つ=崩落
「きららは死んだのね…まあ別に良いけど」
身体中を雄竜の白濁液まみれにした銀髪の全裸の女性、日宮まどかが、
23人の名前が横線で消された名簿を見ながら言う。
その脇ではすっかり体力を使い果たした黒と赤の雄竜が伸びていた。
まどかはその雄竜――ヘルムートの分まで情報をまとめていた。
友人の死にも特に動揺する事も無く、まどかは鉛筆をテーブルの上に置き、
ヘルムートの所へ寄る。
「ヘルムート」
「あ…まどかさん…」
「あなたの名簿と地図にも買いておいたから。死亡者と禁止エリア」
「ありがとうございます…」
「うふふ…可愛い」
自分の手足となって貰う雄竜の頭をなでる。
ヘルムートは本人の知らない内に薬物を飲まされ、幾度にも渡るまどかの愛撫により、
すっかりまどかの虜になっていた。
「ああ…またおっきしてきました」
「仕方無いなぁ…後一回だけよ?」
「ハッ…ハッ…」
興奮するヘルムートの股間付近にいきり立つヘルムート自身を握り、
まどかは口に含んだ。
ギシッ、バキッ。
自分達のいる客室跡の床から音が響いた事に、二人は気付かなかった。
見た目は比較的綺麗な客室跡だったが、畳の下の板や基礎部分は二人が思っている
以上に腐食が進み、傷んでいたのだ。
そもそも老朽化が激しい木造の廃旅館で、激しく行為を行う事自体が危険だった。
ミシィ……。
「あふぅ…むぅん…ヘルムートの―――――おいひい…」
「ああ、ん…気持ち、良い……!」
ベキッ。
崩壊の音に、色欲に蕩け切った二人は気付かない。
◆
- 553 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 17:55:04
- 「平池さんが…そんな…」
狐の少女、伊賀榛名はクラスメイトの一人の死を知る。
同行していた志村正隆、津野美鈴の二人もやはり死んでいた。
「何で…」
自然と目から涙が溢れる。
理不尽極まりないこの殺し合いに巻き込まれ、ごく普通の女子高生だったはずの平池千穂。
一体どこでどのような最期を迎えたと言うのだろう。
もう一人のクラスメイトの中村アヤはまだ生きているようだったが、
運動神経に難がある彼女がこの先も生き延びられるとは思えない。
「……悲しんでばかりも、いられないや…中村さん捜さないと……。
平池さん…あなたの事は忘れないよ…あなたの美しい花びらの事……」
シグザウアーP226を携え榛名は廃道の先に進み始めた。
しばらくすると廃墟と思しき木造二階建ての建物が見え、榛名はその建物の外観を観察する。
屋号らしき物が見えたため、どうやら元旅館のようだった。
地図にH-5エリアに廃旅館とあったので恐らくそれだろうと考える。
「誰かいるかな」
榛名は壊れた戸口から廃旅館の中に侵入を試みた。
中は埃っぽく、カビ臭く、廊下の床板は腐り、天井板がぶら下がり、ゴミや備品が散乱していた。
歩く度にミシミシと床板が悲鳴を上げる。
非常に危険な状態である事は明らかだった。
◆
「ウッ…ハァ、ハァ、ハァ」
「ああ…温かい…でもちょっと薄くなってるね」
布団に身を横たえたまどかの顔にヘルムートは自分の体液を振り掛ける。
何度も射出されたせいか色は少し薄くなっていた。
バキッ。
「……?」
一際大きな物音が響き、さしものまどかも異変に気付いた。
程無くヘルムートも同様に物音に耳を傾ける。
- 554 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 17:55:38
- 「何の音、これ…?」
「あれ…まどかさん、何だか床が沈んでいるような――――」
そして、その瞬間は唐突に訪れた。
バキッ、メキメキッドガアアアアア…………。
激しい轟音と共に、客室跡の床が崩落し、ヘルムートとまどか、及び二人の所持品は、
階下へと瓦礫と共に落下した。
釣られて客室の壁と天井、屋根までも共に崩落し、ガラス片、木材、腐った配線、
様々な物がヘルムートとまどかに降り注ぐ。
まどかの、雄竜の液にまみれながらも美しい裸体を瓦礫やゴミが容赦無く切り刻み、
ヘルムートの首に重い梁が落下し、鈍い音が轟音の中に響いた。
二人は自分達がどうなったのか理解出来ないまま、視界が闇に覆われた。
◆
ズズズッ……。
廃旅館全体が振動し、天井から埃が降る。
「な、何!?」
頭を両手で覆い保護する榛名。
しばらくして揺れが止み、榛名が轟音の響いた方向へ向かう。
「な、何これ…崩れたの?」
そこで見た物は完全に瓦礫の山となった旅館の一部だった。
埃が舞い、まだ上から瓦礫が落ちてきている。
「古そうな建物だしなぁ、無理も無……え?」
榛名は瓦礫の中に混じって埋もれた「それ」に気付く。
竜と思しき尻尾と――――人間の、足。
それが瓦礫の中から顔を覗かせていたのだ。
「うわっ……!?」
驚き後ずさりする榛名。
落ち着いて良く見ると、赤い液体が瓦礫から滲み出していた。
尻尾も足も動く様子は無い。恐らくもう死んでいる。
例え生きていたとしてもこの瓦礫を掻き出す力は榛名には無かった。
「……お気の毒に」
崩落に巻き込まれた二人の冥福を祈りつつ、二次被害を避けるため榛名は旅館の出口に向かった。
その出口は最初入った場所とは違う、北の方向の正面玄関だった。
- 555 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 17:56:20
- 【日宮まどか 死亡】
【ヘルムート 死亡】
[残り17人]
【一日目/朝方/H-5廃旅館一階】
【伊賀榛名】
[状態]肉体的疲労(大)、精神的疲労(大)、服装に乱れ
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[持物]基本支給品一式(ポケットティッシュ一個消費)、シグザウアーP226マガジン(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。中村アヤの捜索。
1:首輪を外せそうな人物も捜索する。
[備考]
※勤武尚晶(名前は知らない)の外見を記憶しました。
※悲観的な考えが多くなっています。
※廃旅館の一部が崩壊しました。
※日宮まどかとヘルムートの死体及び所持品は瓦礫に埋まっています。
- 556 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/25(土) 17:57:16
- 投下終了です。結局この二人はパヤパヤしてただけになった
- 557 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 00:08:26
- 投下します。新訳43話:身体交われど血は交われず
登場:レックス、稲垣葉月、エイミス・フロリッヒャー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
43話:身体交われど血は交われず
A-4、B-4境界線付近に存在する焼き肉屋店内。
何度もの行為を一旦止め衣服を整えた葉月と黒狼レックスはここで放送を聞いた。
「もうそんなに死んでるのか…何てこった」
「うう……」
二人はお互い以外に知り合いなどいなかったが、
予想以上の死者の数にレックスも葉月もショックを受けた。
「この辺は禁止エリアにはなってないからすぐ動く必要は無いみたい」
「そうだな……何回もヤって、ちょっと腹減ったし…飯にしようよ葉月」
「うん」
それぞれ支給された食糧を取り出し、食事を取る事にした。
レックスはおつまみ用と思われる焼き豚、葉月はカレーパンである。
「むぐ…食べた後はどうしようか…」
「そうだな…まっすぐ北に行くと公民館らしいし、行ってみない? どうせ宛ても無いしさ」
「ショッピングセンターの方が近くない?」
「そうだけど…もぐ…何か俺の勘が行かない方が良いと告げている」
「把握した」
「食事が終わったら一発ヤらせてね」
「オーケー」
次の行き先を公民館に定めた黒狼と赤髪の女性は、食事を終えた後、
個室内で激しく交わり始めた。
◆
エイミス・フロリッヒャーはエリアB-5住宅街の一角にある民家に潜み放送を耳にした。
三人の知人の内二人の死を確認する。
いや、一人、エルザ・ウェイバーに関しては放送前にその死亡を確認していた。
隠れている場所のすぐ近くの路上にて、頭部を何度も殴られ殺された彼女の死体を発見したためだ。
「エルザだけじゃなくてフォナも死んだのね…レイは生きてるみたいだけど…」
知人一人は無事のようだが、今どこにいるかなど見当も付かない。
「…どうする私。もういっその事…殺し合いに乗ろうか」
- 558 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 00:11:44
- 今まで特に行動方針を決めていなかったが参加者人数が約半分にまで減ったと聞き、
エイミスはここに来てようやく行動方針を決めるに至った。
生き残りの知人、レイ・ブランチャードは特に親しい訳では無く殺す事には躊躇は無かった。
「食事を取った後に…獲物捜しと行きますか」
エイミスは自分のデイパックから適当に食べ物を取り出し始めた。
【一日目/朝方/A-4、B-4境界線付近の市街地。焼き肉店】
【レックス】
[状態]興奮、稲垣葉月と結合中
[装備]無し
[持物]基本支給品一式(食糧微量消費)、狩猟ナイフ、皐月眞矢の巫女服
[思考]
基本:殺し合いをする気は無い。
1:あああああ! 気持ち良い! 気持ち良いよぉぉぉ!!
2:自分の身、葉月の身を守るためなら戦う。
[備考]
※平崎吉治(名前は知らない)の外見を大まかに記憶しました。
※巫女服についた皐月眞矢の匂いを何となく記憶したかもしれません。
【稲垣葉月】
[状態]興奮、レックスと結合中
[装備]S&WM10(6/6)
[持物]基本支給品一式(食糧微量消費)、.38スペシャル弾(18)、ケモノデ○ルド(狼)
[思考・行動]
基本:レックスと一緒にいる。
1:もっとぉぉぉ! もっと激しくしてぇ!!
2:リュードに注意。
[備考]
※リュードの外見を記憶しました。
【一日目/朝方/B-5住宅街・石原家】
【エイミス・フロリッヒャー】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]コルトAR-15(20/20)
[持物]基本支給品一式、コルトAR-15マガジン(4)、トカレフTT-33(8/8)、
トカレフTT-33マガジン(2)、スローイングナイフ(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:食事を取った後、獲物を捜す。
[備考]
※稲苗代儀重(名前は知らない)を死んだと思っています。
- 559 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 00:15:11
- 投下終了です。
- 560 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 17:59:24
- 投下します。新訳44話:その道が正解とは限らないから
登場:リュード、稲苗代儀重
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
44話:その道が正解とは限らないから
リュードはレオーネの無事を確認するやすぐさま行動に移った。
他の死者の事などどうでも良い。禁止エリアも現在位置のショッピングモールからは
離れた位置だ。特に気にする必要は無いだろう。
心のどこかで、もしかしたらもう既にどこかで息絶えているのでは無いかと諦めていた妹が、
少なくとも放送の時点までは生きている事が分かった。
「レオーネ…お姉ちゃんが必ず迎えに行くからね」
自動拳銃ベレッタM92FSを携え、ショッピングモール奥へ進む。
そして大きな吹き抜けになっているホールに辿り着く。
「ん……」
血の臭いを感じ取ったリュードはベンチに座っている血塗れの二足歩行の銀狐を発見した。
尾が二つあるため妖狐の類だろうか。
「! ……誰?」
銀狐――稲苗代儀重がリュードに気付き振り向く。
傍には銀色に輝く散弾銃らしき物が見えた。
あれを相手に持たせる訳にはいかない。
散弾銃の威力をリュードは知っていた。近距離で撃たれればまず命は無い。
(先手必勝……!)
リュードは無言のままベレッタM92FSを銀狐に向けて構え、引き金を連続で引いた。
ダン! ダン! ダン! ダン! …
「くそっ…!」
遠距離だったためか銃弾は儀重を逸れてしまった。
儀重は傍に置いてあったレミントンM870マリーナ・マグナムを咄嗟に手に取り、
横に転がりながら青い雌獣竜に向けて発砲した。
ドォン!
「……っ!」
数瞬前までリュードが立っていた位置に数個の粒弾が着弾し抉れた。
リュードは横に跳び逃れたが右足に熱を感じた。一発掠ってしまったようだ。
(こんな所で死ぬ訳にはいかないのよ…! レオーネを…妹を迎えに行かなくちゃ…!)
痛みに耐えながらリュードは再び銀狐に向けて発砲した。
- 561 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 18:00:17
- 「ウガァ!?」
「!」
儀重が苦鳴を上げる。右腕を銃弾が切り裂き、血が噴き出した。
そのために動きが止まる。視線もリュードから逸れた。
ここで一気に勝負を決めるべきだと、リュードは儀重との距離を一気に詰めようとした。
ドォン!
だが、儀重は自分でも意図しない内にM870の引き金を引いた。
「う、あ…あぁああぁあっ!? あ、きゃああぁああぁあ!!」
「あ…!?」
そして放たれた銃弾はリュードの左足を吹き飛ばしていた。
リュードは銃を落としその場に倒れ、激痛にのたうち回り苦しんだ。
千切れた左足の断面から真っ赤な鮮血が噴き出しホールの白い床を赤く染める。
今まで感じた事の無い激痛に、ただただ悲鳴を上げる事しか出来ない。
「あぁあぁ、痛い、痛いーっ、い、痛いよ…ああああああ!」
「……」
ジャキッ、と、先台を前後させ空薬莢を排出し、自分のデイパックを持つと、
苦しむ雌獣竜を無視して拳銃と、彼女のデイパックの中からマガジンを回収し、
ショッピングセンターの出口へと向かった。
(放っておいても死ぬさ……)
◆
左足の膝から先の感覚が無い、もう痛みも感じなくなってきた。
とても寒い、身体がガクガクと震える。
身体中の感覚が消えていく。
あれ、どうしよう、これ、死んじゃうよ。私。
だ、駄目…レオーネを捜しに行かなくちゃ…。
私が死んだら、あの子はどうなる、の? あの子、一人になっちゃう。
でも、立てない…這いずる事も、出来ない…腕、動かない。
レオーネ、待っててね。
お姉ちゃん、今、迎えに行くから。
レオーネ。
レオー……ネ。
迎え、に、行くから、ね……。
む、か……え…………に……………。
- 562 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 18:01:25
- 【リュード 死亡】
[残り16人]
【一日目/朝方/A-4、B-4境界線付近の市街地。焼き肉店】
【稲苗代儀重】
[状態]全身に銃創(行動に若干の支障あり、治癒中)、右腕が抉れている、血塗れ
[装備]レミントンM870マリーナ・マグナム(1/4)
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(6)、ベレッタM92FS(4/15)、
ベレッタM92FSマガジン(3)、煙幕手榴弾(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
1:ショッピングモールから出る。
[備考]
※エイミス・フロリッヒャー(名前は知らない)の外見を記憶しました。
- 563 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 18:03:19
- 投下終了です。
- 564 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 18:09:18
- 訂正。稲苗代儀重の現在位置は
【一日目/朝方/B-3ショッピングセンター一階】
です。
- 565 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 19:48:00
- 投下します。新訳:45話:朱の色と空の色
登場:四宮勝憲、勤武尚晶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45話:朱の色と空の色
「美琴はまだ生きてんのか…」
エリアE-5住宅街の一角。
四宮勝憲は放送にて二人いる内のもう一人の知人の生存を知る。
「くそっ…主催の連中…絶対ェ許さねぇ」
幼馴染をこの殺し合いで失った事で、勝憲は主催者の柴田行隆とセイファートに対し
更に怒りの炎を燃やす。
「……だけど、もう半分近くも減ってんのか……こんな殺し合いに、
そんなにやる気になってる奴がいんのかよ……狂ってるぜ」
吐き捨てるように言うと、幼馴染の持っていた刀を携え、隠れていた民家の庭先から出る。
そしてこれからどこへ行こうかと思案していた時。
南の方角にある曲がり角から一人の男が現れた。
青い髪に赤い鉢巻を巻いた青年だったが、その衣服は血塗れになっていた。
「……!」
その男――勤武尚晶が血塗れになっているのは怪我をしているからでは無いと勝憲は
遠目からでも理解した。
右手には自分と同じく抜き身の日本刀を所持している。
雰囲気的に、穏便な考えを持っているとは思えない。
(何だこいつ……すげぇ殺気だ……)
男との距離は数十メートル離れていたが、それでも男から発せられる殺気は痛い程
勝憲に伝わっていた。
男――尚晶は前方に立つ男、勝憲を捕捉し、舌舐めずりをする。
「獲物を見付けた」と。
ガキィ!!
「――――!!」
次の瞬間、勝憲は持っていた刀で、尚晶の斬撃を間一髪で防いでいた。
- 566 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 19:48:47
- (は、早ェ…!)
「……へぇ……大抵の奴は見切れないはずなんだけどな……中々やるな、あんた」
自慢の瞬速の斬撃が見切られた事に驚きつつ、賞賛の言葉を勝憲に対し述べる。
(じょ、冗談じゃねぇ、化けモンだぞこいつ…! 駄目だ、ここは逃げ――――)
「だが、これで終わりだ」
そう言うと、尚晶は勝憲の刀を弾き飛ばし、
一気に持っていた刀を横に薙ぎ払った。
それは丁度、勝憲の腹の辺りだった。
「……?」
最初は何が起きたのか分からなかった勝憲だったが、すぐに異変は訪れた。
「ゴフッ…!?」
腹の辺りから下の身体の感覚が消え、喉の奥から生温かい、
鉄錆の味がする液体が大量に溢れ出た。
ズルリ、と、動いてもいないのに視界が横にずれた。
この時点で、勝憲は自分がどうなったのかを悟る。
(く……そぉ)
間も無く自分は死ぬ。その現実を、勝憲は受け止めざるを得なかった。
尚晶はもうする事は無いと、勝憲に背を向け歩き去り始めた。
せめて死ぬ前に、一手報わなければ。
勝憲は最期の力を振り絞り、腰の辺りに手をやった。
そして、「それ」を取り出すと、尚晶の背中に向けて声を掛けた。
「おい!」
「……ん」
「ちゃんと…止め刺しとけよ……油断、大敵……て、なぁ!!」
勝憲は、コルトM1917リボルバーの、最後の三発を全て、尚晶に撃ち込んだ。
その内の一発が、尚晶の額の中心を正確に撃ち抜き、尚晶の意識はその時点で消失した。
「人斬り勤武」と恐れられた男の余りに呆気無い最期であった。
そして、勝憲の最後に煌めいた命の灯も、遂に燃え尽きる。
空になったM1917を路上に落とした直後、勝憲の上半身がずり落ち、
続いて下半身が倒れ、血と臓物がアスファルトの上にぶちまけられた。
- 567 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 19:49:24
- (あー……青いな……空………)
絶命するまでの数秒間、勝憲の目が彼に見せたものは、
白い雲が浮かぶ綺麗な青空であった。
【勤武尚晶 死亡】
【四宮勝憲 死亡】
[残り14人]
※E-5住宅街路上に勤武尚晶と四宮勝憲の死体と所持品が放置されています。
- 568 : ◆ymCx/I3enU:2010/12/26(日) 19:50:30
- 投下終了です。尚晶は志村から奪ったセドリックで廃村から住宅街に
移動したと思って下さい
- 569 : ◆VxAX.uhVsM:2011/01/02(日) 07:08:00
- 新スレ立てさせていただきました
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1293919500/
- 570 : ◆VxAX.uhVsM:2011/01/09(日) 08:20:34
- 本スレがいろいろなってるのでこちらに投下。
33話 道連れロマンティック
登場人物 青田坊、藤崎佑介、真城最高
- 571 : ◆VxAX.uhVsM:2011/01/09(日) 08:21:42
- 33話 道連れロマンティック
「うわ…でかいホテルだな…」
「ああ、そうだな」
E-2のホテルに来ていた。
「なぁ、俺たち本当に脱出できるのかな?」
「え、どうしたんだよいきなり」
「別に…」
最高は藤崎のそばで青い顔をしていた。
「…まぁ確実にできるわけじゃないんだよな」
「……」
「でも」
藤崎は無理やりに笑顔を作り。
「希望を持ってた方がいいんじゃないのかな?」
「…そうだよな」
そう言い最高は少し笑った。
「ん…なんだ?あいつ…」
「…走ってきてるが…」
向こう側から走ってきている男?を発見したが敵か味方か分からず戸惑う。
しかし、答えはすぐに出た。
「避けろ!藤崎!」
「え、どういう…」
「どうもこうもない!危険な感じがする!」
「ああ、分かった!」
二人とも逆の方向に飛び避ける。
最高の予想は当たった。
二人がいたところは飛んできた巨体の男の拳が落ちていた。
「な……なんんじゃこりゃ」
「ぐちゃぐちゃ言ってる暇があったら対処法を考えろ!」
「死ねぇ!」
再び拳が飛んでくる。
「避けろ藤崎!」
「分かってるよ!」
しかし、そこで問題が起こってしまった。
「っ、最高ぉ!!」
- 572 :道連れロマンティック ◆VxAX.uhVsM:2011/01/09(日) 08:23:22
- 避けたはずなのに吹っ飛ばされていた。
「く…風圧とかマジふざけてんじゃねぇよ……」
青田坊がとてつもないスピードで走ってくる。
「終わりだ!」
どんどん体に拳をたたきつける。
「が、はぁ…藤崎……聞こ、える……か?」
「……」
「あとは、頼ん」
グチャッ
「……」
「さぁ、あとはお前だ」
「う、うわああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああ!!?」
恐怖としか言いようがなかった。
化物のそばに転がっているさっきまで生きていた物体。
そこにはぐちゃぐちゃにされたぶったいがころがって
(あ、やべえ…腰ぬけたよ…)
「じゃあな」
「なぁ…お前は大事な奴はいるのか?」
「なぜいきなりそんな事を言う?命乞いか?」
「な訳ないだろう…こんなんじゃ逃げれねぇのはわかってる」
「……大事な人はいるさ、その人のためにやってるんだ」
「そうか」
「これで、終わりだよ」
「……」
ニヤリと藤崎が笑った。
手から出したのは手榴弾だった。
- 573 :道連れロマンティック ◆VxAX.uhVsM:2011/01/09(日) 08:25:56
- 「な、テメェ!」
「俺にだって大事な奴はいる!そいつらを守るためなら何だってやってやる!」
「死ぬのが怖くないのか!」
「どっちにしろもう殺されるんだ!なら」
「あいつらのためにしてやれる事をしてやるのが大事なんだよ」
ピンを引き抜いて青田坊の足をつかむ。
「くそ!テメェ!離せ!」
「…………」
「ヒメコ、スイッチ、死ぬなよ……椿、俺も今そっちに」
そして、爆発が起きた
■
「……は」
青田坊が起き上がる。
「生きて…いたのか」
周りを見渡し二人の黒焦げの死体を発見する。
「残念だったな…俺を殺すには至らなかったようだな」
青田坊はふらふらの足取りで歩きだした。
【真城最高@バクマン。 死亡】
【藤崎佑介@SKETDANCE 死亡】
【一日目/11時00分/E-2ホテル跡】
【青田坊@ぬらりひょんの孫】
[状態]腹に大量の銃創、体中に重度の火傷、体中に大量の手榴弾の破片、
肉体的疲労(極大)
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:若を優勝させる。
1:若とは会いたくない。
[備考]
※清明復活後からの参戦です 。
※能力に規制がかかっています。
※放っておけば確実に死にますが治療しても助からない可能性があります。
※E-2のホテルは崩壊しました。
【支給品説明】
【M67破片手榴弾@現実】
アメリカ陸軍およびカナダ軍で使用されている破片手榴弾である。
第2次世界大戦以来使用され続けていたM61手榴弾の代わりとして導入された。
爆発時5メートル範囲以内の人間は致命傷を受け、15メートル範囲に殺傷能力のある破片が飛散する。
更に、一部の細かな破片は230メートルまで飛散したとの記録もあり威力の大きさがうかがえる。
- 574 :道連れロマンティック ◆VxAX.uhVsM:2011/01/09(日) 08:26:37
- 投下終了です。
- 575 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/09(日) 16:11:32
- 投下乙です。では自分もこちらに
俺得4th 17話:もう一度与えられた命で彼は
登場:ノーチラス、佐藤真由美
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17話:もう一度与えられた命で彼は
「……あの〜」
女子大生佐藤真由美は、廃墟のホテル内の一室に倒れていた、
学生と思われる茶色毛皮の狼獣人青年に声を掛けていた。
「…うう」
「! 生きてる…良かった」
「……ん、ここは……」
狼青年――ノーチラスは頭を擦りながら周囲を見渡す。
コンクリートの壁、廃材と言った無機質な風景に混じり美しい女性の姿が。
「気が付いた?」
「ええと…あんたは」
「私? 私もついさっき目が覚めて…ここで倒れてる君の事見付けたんだけど。
あ、私、佐藤真由美。君は?」
「…ノーチラス…」
女性が自己紹介したため自分も名前を言うノーチラス。
立ち上がり、改めて周囲を見渡す。
壁紙も床板も天井板のほとんど無くなり、錆びた脚立や鉄パイプ、段ボール箱と言った、
建築廃材や不法投棄物が目立ち、窓ガラスも割られているが、間取り的に、恐らく元はホテルか
何かだったのだろう。使われ無くなって久しいようだ。
(俺は…そうだ。俺は、死んだはずじゃ…)
ノーチラスは一度、別の殺し合いにてその命を落としていた。
だが、死んだはずの自分はこうして生きており、失ったはずの衣服も元通りになり、
致命傷だった胸の傷も綺麗に無くなっている。
(俺…生き返ったのか?)
「ねぇ、どうしたの?」
「あ、いや…こっちの事だ」
「?」
事情を知らない真由美は怪訝な顔をする。
ノーチラスは首にはめられた首輪に触れた。
前回の殺し合いの時にも同じような物がはめられていた。当然だ、今いるこの場も「殺し合い」なのだから。
「殺し合いか…くそ、乗ってたまるか……佐藤さん、だったっけか?
頼む、協力してくれ。この殺し合いを潰すために……」
「……分かった。私もこんな殺し合いなんてしたくないし、一緒に頑張ろ」
共闘する事を約束した二人は、まず支給品の確認を始めた。
ノーチラスのランダム支給品は自動拳銃ベレッタM92再初期型と予備マガジン3個、
佐藤真由美は短剣ミセリコルデと、旧日本軍が使用していた九九式手榴弾5個。
三個の九九式手榴弾を、真由美はノーチラスに渡す。
一人で全て持っているよりも分けた方がいざと言う時戦術が広がり易い。
- 576 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/09(日) 20:33:35
- そしてノーチラスは参加者名簿に目を通す。
そこには43人の参加者の氏名が印刷されており、
クラスメイトの名前も幾つか見受けられた。
一方真由美は、知っている名前は見当たらないようであった。
「これからどうしようか、ノーチラス」
「うーん、取り敢えずこのホテルの中を見てみよう。と言っても、
何も無さそうだけどな……」
ノーチラスと佐藤真由美は廃墟ホテル内部の探索に向かった。
【一日目/早朝/B-6ホテル跡四階】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]良好
[装備]ベレッタM92(15/15)
[道具]基本支給品一式、ベレッタM92のマガジン(3)、九九式手榴弾(3)
[思考]
1:殺し合いからの脱出。
2:佐藤さんと行動。クラスメイトも捜したい。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
【佐藤真由美@オリキャラ・女】
[状態]良好
[装備]ミセリコルデ
[道具]基本支給品一式、九九式手榴弾(2)
[思考]
1:殺し合いからの脱出。
2:ノーチラスと行動。
[備考]
※特に無し。
≪支給品紹介≫
【ベレッタM92】 支給者:ノーチラス(予備マガジン3個とセット)
1975年にイタリアの老舗銃器メーカーベレッタ社が開発した自動拳銃。
スライド上部を大きく切り欠いているのが外見上の大きな特徴。
幾多の実戦経験と実績に加え、メディアへの露出が高いことから、
現在、世界で最も信頼性が高く知名度が高い拳銃として知られている。
本ロワに登場する物は最初期型で、現行の物とは安全装置の位置等が異なる。
【ミセリコルデ】 支給者:佐藤真由美
長く棒状の刀身を持つ短剣。「ミセリコルデ」とはフランス語の「慈悲」を意味する。
14〜15世紀の西欧にて、落馬や戦においての重傷を負った者を苦しめずに、
とどめを刺すために用いた為、こう呼ばれた。
【九九式手榴弾】 支給者:佐藤真由美(5個セット)
1939年(昭和14年・皇紀2599年)に大日本帝国陸軍で開発された手榴弾。
起爆筒に付属している安全ピンを抜いた後、起爆筒を叩くことで内部の導火線部に
摩擦発火させ投擲を行い使用する。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】佐藤真由美(さとう・まゆみ)
【性別】女
【年齢】20歳
【職業】大学生
【身体的特徴】黒髪に赤いリボン、胸はそこそこ
【好きな事・もの】テレビゲーム(ホラー系が好き)
【苦手な事・もの】シュミレーション系のゲーム
【特技】暗記
【趣味】ゲームショップ巡り
【特筆すべき能力】頭の中に独自のゲーム攻略本があると言われる
【備考】動画サイトにゲームの実況動画を投稿していたりする女ゲーマー
- 577 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/09(日) 20:34:19
- 投下終了です。すみません成人式の二次会行ってまして
- 578 : ◆VxAX.uhVsM:2011/01/09(日) 21:02:37
- 投下乙です。
成人式かー・・・確か自分が住んでるところも今日なんだよなー確か。
- 579 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 02:25:06
- 投下します。俺得4th 18話:もはや立派な動物虐待
登場:浅井きらら、シクルゥ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18話:ここまで来るともはや立派な動物虐待
その日、金髪の売春婦浅井きららはやや遠出をし、深い森の中に繰り出した。
助手である友人の男と共に、長靴に裸コートという格好で森の奥へと歩いて行く。
男の持つリードの先には息を荒げる大型のシェパードの雄犬がいた。
そして少し開けた場所で、きららは助手に指示を出す。
「よし、ここにしようか…良人、カメラの準備お願いね」
「はいはい…(全く、難儀な趣味だこと……)」
心の中で呆れながら良人と呼ばれた助手はシェパードが繋がるリードを適当な木に巻き付け、
デジタルビデオカメラの準備を行う。
その間にきららはコートを脱ぎ、それを地面に敷き、長靴を脱ぎ全裸の状態で寝転がった。
そして犬用の首輪を自分の首に着ける。
ちなみになぜこの良人と言う男は、きららの豊満な裸体を目にしても平静でいられるのか。
答えは一つ、彼は重度のショタコンのためだ。女性には興奮出来ないのである。
「こっちは準備完了よ」
「こっちもだよ…」
「それじゃ、始めましょう…ふふっ、良人、お願い」
「あいよ」
良人はきららの指示通り、リードからシェパード犬を離す。
すると、シェパード犬は真っ直ぐきららの元へ駆け寄り、激しく息を荒げながら抱き付いた。
「やん、元気ねぇ」
シェパード犬を可愛がりながら淫靡な表情を浮かべるきらら。
良人はデジタルビデオカメラを一人と一匹の方に向ける。
そして録画開始の合図をきららに送った。
「はぁ…はぁ…んっ」
きららは四つん這いの体勢になり、シェパード犬はきららに圧し掛かり――――。
その日の夕方頃、とある獣姦動画サイトに新たな動画が投稿された。
内容は深い森の中で金髪の美女とシェパード犬の――――というもの。
その投稿主の他の動画同様、その動画も投稿から数分で数万もの閲覧数になった。
「……と言う訳なの……私にとって犬や狼とのセクロスはもはやライフワークなのよ。
それは、爆弾付きの首輪をはめられた、この殺し合いと言う状況でも変わらないわ…!
だから、青と白の狼君っ、お願い…!」
「グルルルル……(い、嫌だっ、よせ…! 何だこの女、怖いよ…!)」
エリアG-2豪邸跡。二階奥の部屋。
ぎらぎらと目を光らせ、涎を垂らしながら目の前にいる青と白の大きな狼、シクルゥに迫るきらら。
勇猛なシクルゥではあったがきららの得体の知れぬ執念と威圧感に気圧されていた。
このままでは食われる。別の意味で食い尽くされる。
- 580 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 02:25:52
- 「さあおとなしく私にヤられなさい」
「ガァウ!(だが断る!)」
やむを得ないと、シクルゥはきららに飛び掛かる。
ここは気絶でもさせない限り切り抜けられないと考えたのだ。
そして目論見通りきららはシクルゥに押し倒される。
「ああっ、乱暴ねぇ。でも、嫌いじゃないよ…ふふふふふふ」
「ウガアアアア!(勘違いすんなこの痴女!)」
ガブッ。
「痛いっ!」
シクルゥの牙がきららの首を捉える。
しかし致命傷には至らない程度の絶妙な力加減である。しかし出血は多い。
このまま気絶させようと、シクルゥが牙に力を込めようとした。
「甘いわね! 噛み付きプレイも慣れてるのよ! ハッ!」
「!!」
きららの右手が、シクルゥの下腹部を握り締めた。
「グゥ…!(あっ…!)」
その瞬間、今まで感じた事の無い快感がシクルゥの脳に伝わり、思わずシクルゥは牙を離した。
その隙をきららは逃さない。一気に体勢を覆し、シクルゥに馬乗りになった。
「ギャン!(し、しまった!)」
「うふふ、幾多もの雄を泣かせてきた私の右手はどうだった?
さあ〜気持ち良くなろうね〜ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「ア、アァ、アオオオオオオオオオオオン!!!(あ、ああ、嫌だあああああああああああああ!!!)」
シクルゥは、何度も何度も絶頂に達せさせられた。
達する度に、謎の香水のような物を吹き付けられ、強制的に欲情させられ。
例え空になろうと、悪魔のような痴女により空撃ちを繰り返させられた。
気が狂うような快楽はもはや生き地獄。
涙を流し悲鳴を上げても許される事は無い。
まともに息も出来ず、何度も過呼吸に陥りその度にきららに治療された。
その内に、シクルゥの意識は消し飛び、身体だけが本能のまま動くようになった……。
- 581 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 02:27:01
- 「ふぅ〜満足満足〜」
身体中を獣臭い白濁液塗れにした金髪の女性が言葉通り満足そうに言う。
その傍では完全に気絶した青と白の毛皮の狼が横たわっていた。
「これのおかげもあるねぇ」
そう言いながらきららが手に取った物はきららの支給品の一つ、催淫剤。
もう一つの支給品はデイパックの中に入っている回転式拳銃S&WM686プラスと
予備弾21発である。
「そう言えばこの狼君は何を支給されてるのかな」
逆強姦に飽き足らずきららはシクルゥのデイパックを勝手に確認し始める。
そして基本支給品の他に混じり、それは出てきた。
7.62㎜×51NATO弾使用の西ドイツ製突撃銃H&KG3A3を、
民間用にセミオート限定にした自動小銃――H&KHK91と、予備のマガジン5個。
試しにきららはそれを持って腰溜めに構えてみるが、中々重く、大きい。
元々女性が使用する事はほとんど考慮されていないため当然と言えば当然だが。
「強そうだけど…リボルバーの方が扱い易そう」
この銃では自分は持て余してしまうだろうと、きららはHK91をシクルゥのデイパックに戻した。
「身体拭かなくちゃ…お風呂場にバスタオルとか残ってないかな」
汚れた身体を拭くための物を、きららは探しに部屋を出た。
シクルゥはうなされているようだった。
【一日目/早朝/G-2豪邸跡二階】
【浅井きらら@オリキャラ・再登場】
[状態]首に噛み傷(軽度)、満足、全裸で白濁液塗れ
[装備]S&WM686プラス(7/7)
[道具]基本支給品一式、.357マグナム弾(21)、催淫剤(残り4分の1)
[思考]
1:殺し合いはしない。欲望のままに生きる。でも出来れば脱出したい。
2:青と白の狼君(シクルゥ)は私が頂きました。
[備考]
※設定は俺得ロワ2ndに準拠しています。但し俺得ロワ2nd参戦前からです。
【シクルゥ@サムライスピリッツシリーズ】
[状態]シクルゥは ひからびて しまっている
[装備]無し
[道具]基本支給品一式、H&KHK91(20/20)、H&KHK91のマガジン(5)
[思考]
1:(気絶中)
[備考]
※浅井きららにより身体に快感を覚えさせられました。
≪支給品紹介≫
【S&WM686プラス】 支給者:浅井きらら(.357マグナム弾21発とセット)
1980年にS&W社が開発した.357マグナム弾使用の回転式拳銃。
686プラスはステンレス製の7発装弾モデル。性能、耐久性共に優れている。
【催淫剤】 支給者:浅井きらら
化粧品の香水に偽装した鼻先に噴き付けるタイプの催淫剤。
法律で流通が禁じられている程強力なものである(裏のツテを頼れば入手可)。
【H&KHK91】 支給者:シクルゥ(予備マガジン5個とセット)
H&K社製の突撃銃G3の民間向けバージョン。セミオートオンリーの他、
細かい改修がなされている。
- 582 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 02:27:59
- 投下終了です。ビールたくさん飲んだからこんな話を…
- 583 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 13:45:14
- 投下します。俺得4th19話:お狐さま、射殺する。
登場:月神雄牙、費覧
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19話:お狐さま、射殺する。
古びた煉瓦作りの壁に囲まれた広場。
今はただ雑草が生い茂るだけの不毛な場所となっているが、
かつては様々な処刑道具が設置された処刑場だった。
青みがかった毛皮を持つ人狼の姿をした青年、月神雄牙は血が滲む腹を押さえ、
息を荒げていた。
「…何か言ってみなよ、遺言を」
「……」
雄牙の目の前には、自動拳銃――トカレフTT‐33の中国製コピー、
五四式拳銃の銃口を、雄牙に向ける二足歩行の雌狐が立っていた。
「ゴホッ……お前…何でこんな殺し合いに乗るんだ……?」
「……何でって」
しばらく間を置いてから、雌狐は笑みを浮かべながら言った。
「面白そうだからに決まってるじゃない。それ以外に何の理由があるのよ?」
「……ッ」
大勢の人々が強制的に殺し合わされるこの狂ったゲームを、
目の前の狐の獣人の女は「面白そう」だと言い放った。
身勝手な理由で数々の獣人化実験を繰り返してきた製薬会社に対してのものと
同様の怒りを雄牙は雌狐に覚えた。
出来る事なら、ここで彼女を止めたかったが、それはもう出来そうにない。
(駄目だ…身体に、力が入らない…腹と胸に食らい過ぎた……)
生温かい液体が際限無く流れ落ちる腹と胸元の感触に、雄牙は諦念を抱く。
いかに生命力に優れる獣人と言えど腹部や胸部に弾丸を食らえばタダでは済まない。
「喋り過ぎたね。それじゃあ……死んで」
ダァン! ダァン! ダァン! ダァン!
四発の銃声が響き、雄牙の頭部と心臓、首から鮮血が噴き出した。
(…真、白……すまない、俺は…もう…帰れそうに………無い………)
血飛沫に混じって見える青空を見ながら、心の中で雄牙はパートナーである兎の少女に謝った。
雌狐――費覧は五四式拳銃の空になったマガジンを抜き取り、
デイパックから予備のマガジンを取り出して装着した。
- 584 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 13:46:17
- 「ふぅ…」
そして、射殺した人狼が持っていたデイパックの中を漁る。
すると基本支給品に混じり、CZ75のこれまた中国製コピーNZ75と予備マガジンが
顔を出した。
「こっちもノリンコの? ふぅん…奇遇」
費覧は威力は高いが装弾数の少ない五四式拳銃をしまい、
威力はやや低いが装弾数の多いNZ75に装備を変えた。
殺し合いにおいて装弾数がより多い方が有利だと考えたためだ。
「さて、と…これからどこに行こうかな…知り合いもいないし……」
崩れ掛けた煉瓦の壁が囲む広場で、費覧は次の一手を考え始めた。
【月神雄牙@ブラッディロアシリーズ 死亡】
【残り35人】
【一日目/早朝/C-6処刑場跡】
【費覧@オリキャラ・再登場】
[状態]良好
[装備]NZ75(15/15)
[道具]基本支給品一式、NZ75のマガジン(3)、五四式拳銃(8/8)、五四式拳銃のマガジン(2)
[思考]
1:面白そうなので殺し合いに乗る。
2:次はどこに行こう……。
[備考]
※設定は個人趣味ロワに準拠しています。但し個人趣味ロワ参戦前からの参戦です。
※C-6一帯に銃声が響きました。
※C-6処刑場跡に月神雄牙の死体及びデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。
≪支給品紹介≫
【五四式拳銃】 支給者:費覧(予備マガジン3個とセット)
旧ソ連製の拳銃トカレフTT-33を中国がコピー生産した物。
ほぼオリジナルのままだが本家より火薬量の多い弾薬を使うため強力。
かつて日本に密輸されていた黒星拳銃ことトカレフは大抵これ。
【NZ75】 支給者:月神雄牙(予備マガジン3個とセット)
チェコスロバキア製の拳銃CZ75の中国ノリンコ社によるコピー生産モデル。
精度はそれなりだが、安価なCZ75と考えれば妥当か。
ちなみに「NZ」の「N」はノリンコの「N」。
- 585 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/10(月) 13:47:31
- 投下終了です。
- 586 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/11(火) 23:59:01
- 投下します。俺得4th 020:命の儚さ
登場:篠原世以子、三浦京太、ガオガモン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
020:命の儚さ
篠原世以子は廃墟と化した街を歩きながら、同行者の犬獣人の少年、
三浦京太にこの殺し合いに呼ばれている自分のクラスメイトの事を大まかに話していた。
「…とまあ、こんな所かな」
「面白そうな人達だね」
「ハハッ、まあね〜」
一度悲惨な死を遂げた事が自分でも信じられないと世以子は思っていた。
こうして生きて地面を歩き、他の人と会話をしている事自体もう有り得ないはずの事なのだ。
(うーん、どうしよう、一回死んだ事、京太君に言っておくべき?
……いや、いいか。ややこしいし、特に重要な事じゃ無いでしょ、多分)
考えた末、世以子は自分が以前一度死んだ身である事は京太に話さない事にした。
中嶋直美と再会出来れば、恐らくその時にばれてしまうだろうが、ばれた所でまずい訳でも無い。
今、確かに自分は生きている。それだけで世以子は十分だった。
二人が街中を歩いていると、路地から背中に赤い二本の触手が生えた、
青い毛皮を持つ巨大な犬が姿を現した。
その触手の片方には長剣らしき物が握られている。
「!」
青犬――ガオガモンは世以子と京太に気付き、鋭い視線を向ける。
その目は少なくとも友好的で無い事は確かだった。
次の瞬間、長剣――エグゼキューショナーズソードを持った方の触手が二人に向かって伸びた。
「きゃあ!?」
「うあっ!!」
間一髪でそれを避ける二人であったが、触手は向きを変えて、
その刀身を世以子目掛けて振り下ろした。
世以子はそれに気付いたが、回避するには余りにも残された時間は少なく。
「――――ッ!!」
大きく目を見開き、自分の脳天目掛けて振り下ろされる剣を黙って見詰めるしか無かった。
(直――――)
「危ない!!」
ドンッ!! ザシュッ!!
思い切り付き飛ばされ、世以子はひび割れたアスファルトの上に投げ出される。
腰を強か打ち付けたが軽傷のようだ。
「いった…………あ?」
そして腰をさする世以子の視界に、悪夢のような光景が映り込む。
- 587 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/11(火) 23:59:50
- 「ぎゃあああああぁぁぁああ、あああああああ!!」
三浦京太が地面に倒れて悲鳴を上げていた。
両足が、膝の辺りから切断され、その辺に血塗れで転がっている。
切断面からは真っ赤な液体が止め処なく溢れ出、灰色のアスファルトに赤黒い水溜りを作って行く。
「チッ、邪魔するからだ」
ガオガモンが吐き捨てるように言う。
「ああぁああ、う、あああああああああああああああ!!!!」
だが次の瞬間、ガオガモンにとって予想外だった事が起きる。
両足を切断された少年が、まさか軽機関銃を自分に向けて乱射するとは考えていなかった。
ダダダダダダダダダダダッ!!!
凄まじい連射音が響き渡り、無数の7.62㎜弾がガオガモンの身体を貫通した。
断末魔を上げる前に頭部が半分弾け飛び、ガオガモンは呆気無くただの大きな血塗れの肉塊と化した。
やがて京太の持つM1918の弾が無くなった。
「け、京太君!!」
呆然と横で見ていた世以子が我に帰り京太に駆け寄る。
「し、の、はら、さん、う、ぐううううう、はぁ、はぁ」
「京太君、しっかり……!」
「ぶ、無事で、良かった、篠原さん、、が、、し、の、はら、さん、、、ぶ、じ、、、で」
それだけ言うと、京太の動きがピタリと止まった。
そして脱力し、目を開いたまま、動かなくなった。
「……! そ、そんな……! 京太君……」
自分を庇い死んだ犬の少年の目を閉じさせ、世以子は涙した。
- 588 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/12(水) 00:01:06
- 【ガオガモン@デジモン 死亡】
【三浦京太@オリキャラ・男 死亡】
【残り33人】
【一日目/早朝/F-6市街地跡】
【篠原世以子@コープスパーティーBCRF】
[状態]腰にダメージ、悲しみ
[装備]S&WM36(5/5)
[道具]基本支給品一式、.38スペシャル弾(15)、鉈
[思考]
1:殺し合いはしない。直美、委員長(篠崎あゆみ)、岸沼君を捜す。
2:京太君……。
3:私は死んだはずじゃ……?
[備考]
※本編死亡直後からの参戦です。
※F-6一帯に銃声が響きました。
≪支給品紹介≫
【エグゼキューショナーズソード】 支給者:ガオガモン
斬首用の長剣。刺突する必要は無いため切っ先は丸い。
- 589 : ◆ymCx/I3enU:2011/01/12(水) 00:02:43
- 投下終了です。
- 590 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:37:43
- どうもお久しぶりです。
規制中だったのでこちらに投下させていただきます。
- 591 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:39:13
-
剣崎一真は人間ではない。
いや、人間ではなくなったというのが正確か。
不死たる存在・『アンデッド』により繰り広げられていた、種の存亡を賭けての戦い―――バトルファイト。
圧倒的な力を有する不死の怪物達により行われていた騒乱。
アンデッドからすれば非力な人間など餌や路端の石ころに過ぎないのだろう。
数多の人々がその戦いに巻き込まれ、死んでいった。
何の罪もない人間が、ただ平凡な毎日を過ごしていただけの人が、アンデッドにより殺害されていく。
だから、剣崎一真は仮面ライダーとなった。
人々を救う為に、ただそれだけの為に、剣崎一真は仮面ライダーとなりアンデッドの封印を続けていった。
仮面ライダーとしての、長きに渡る戦い。
数多のアンデッドと戦った。
数多の出来事があった。
数多の出会いと喪失があった。
誰もが誰もを救う事ができた訳ではない。
それでも剣崎は戦い抜き、そして『世界』と『親友』を救った。
『世界』と『親友』、そのどちらもを救った代償はあまりに大きく、剣崎は『人間』を止めた。
剣崎一真は人間ではない。
人間からも、アンデッドからも忌み嫌われる存在―――『ジョーカー』。
それが今の剣崎一真の正体であった。
◇
剣崎一真は暗闇の森林に身を置いていた。
額に浮かぶは多量の脂汗。
顔は苦悶に歪み、まるで何かを抑えつけるかのように自らの腕で自らの身体を抱き締めていた。
何が起こっているのか、と剣崎は思う。
気付けば連れて来られていた謎の部屋。
数十人にも及ぶ人達が、自分と同様に椅子へと拘束されていた。
そして、首に仕込まれた爆弾により強要される殺し合い。
許せない、と剣崎は思う。どんな手を使ってでも殺し合いを止めてやるとも、思った。
ジョーカーであろうと、剣崎一真は変わらない。
人々を守る為に戦う。その信情に変化などありえない。
だが、この会場へと転送させられたと同時に、剣崎は自身に襲いかかる異変に気が付いた。
強大な衝動が心を埋め尽くすのだ。
闘争を、破壊を、死滅を望む衝動が、心の奥底の奥底から噴出する。
それは、剣崎の意思すらも飲み込んで心を埋め尽くす。
衝動が鳴り響く。
殺せ。
滅ぼせ。
死を与えろ。
全てに破滅をもたらせ。
それが、お前の存在理由。
万物に死を与え、万物に破壊を齎す破壊者。
それが、お前だ。
―――ジョーカー
- 592 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:40:52
- 「ッ、ああああああああああああああああああああああああああああ!!」
抑えきれぬ感情が咆哮となって喉から放出する。
獣を思わせるその暴力的な咆哮が、剣崎の抵抗の証であった。
両手で抱えた頭を近くの木へと渾身の勢いで打ち付ける剣崎。
割れた頭部から零れ落ちるは、化け物の証である緑色の血液。
しかし、その裂傷がもたらす痛覚ですら、心中の衝動を惑わすには至らない。
殺せと、滅ぼせと、響く。
この衝動に従わねば自分が自分でなくなるような、
でも、この衝動に従えば自分が自分でなくなるような、
剣崎は、ジョーカーと自意識との狭間で苦悶する。
「俺は……俺、はああああああぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」
世界を救った男の、その苦しみを無くす事のできる者などいない。
この世界の誰もが、彼を救う事はできない。
ジョーカーとは『バトルファイト』を開催する、およそ神と称するに値する存在から送り込まれた『鬼札』。
不死なる存在すら殺戮の対象とする、文字通りの『切り札』なのだ。
それは、本来ならば人間如きが抗えるものではないのかもしれない。
だから、ジョーカーたる彼を現状から救出とするとするのなら、
彼を救えるのだとすれば、
それは―――
「やっぱり……剣崎さんだ!!」
―――おそらく、彼自身。
苦悶にうめく剣崎の前に現れたのは、彼も良く知る人物であった。
上城睦月。
剣崎に憧れ仮面ライダーを目指し、数多の仲間に支えられる事で紆余曲折の道のりを乗り越え、ようやく仮面ライダーとなりえた少年である。
剣崎からすれば唯一の後輩であり、無二の仲間である。
その姿を視界に捉えた瞬間、剣崎は内なるジョーカーの衝動を―――
「……睦月か……」
―――無理矢理に抑え込んだ。
心が軋み、悲鳴を上げる。
それでも彼は必死の思いで自身を保つ。
これが、剣崎一真。
他者を守る事で真なる力を発揮する男。
他者を守る為に全てを投げ打てる男。
剣崎は今この瞬間も守ろうとしていたのだ。
ジョーカーという脅威から、眼前に現れた上城睦月を。
「剣崎さん! どうして黙って行っちゃったんですか!」
睦月は正直に怒りの感情を剥き出しにしていた。
こんな異常な状況だというのに、殺し合いという状況だというのに、
睦月は黙って消えた剣崎に対して怒りを向けてくれる。
その怒りの大源が、何処にあるのか剣崎は気付いていた。
- 593 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:41:36
- 「……ごめんな。でも、今の俺じゃあ絶対みんなに迷惑を掛ける。
自分を見失ってしまうかもしれない。ジョーカーに取り込まれてしまうかもしれない……それに……始がいる」
今現在、ジョーカーは二人いる。
ジャーカーが二人いる事で、世界は滅亡を回避している。
だが、二人のジョーカーは決して相容れる事はない。
互いがジョーカーである限り、もしそのジョーカー達が親友同士であっても、殺し合いに突入する。
アンデッドを破壊する事がジョーカーの本懐であり、それは抗う事のできない衝動だからだ。
剣崎が仲間達の前から姿を消したのは、それが理由であった。
このまま仲間達の元に、もう一人のジョーカーの側に身を置けばいずれジョーカーの欲求に抗いきれなくなる。
その先に待っているのは、凄惨極まる殺し合いだ。
仲間も、友達も、全てを巻き込んでの殺し合い。
神より齎されし『鬼札』同士の、世界の滅亡が決定付けられた、殺し合い。
そんな未来を許す事など、剣崎には出来なかった。
だから、仲間達の前から姿を消した。
もう一人のジョーカーに居場所を残して、修羅の道を自ら選択したのだ。
「そんなの関係ないですよ! 剣崎さんはみんなを助けてきたんだ! なら、今度は僕達が剣崎さんを助ける番です!」
だが、しかし、睦月は許せない。
剣崎だけが救われないその結末を、否定する。
もっとも近い所から剣崎の所業を見てきた一人である睦月だからこそ、その結末を許せない。
剣崎には幸福を受ける権利がある。
剣崎自身が拒絶しようと、巨大な危険があるとしても、それだけは譲れない。
剣崎は幸せになるべきなのだ。
あれだけの事をしてきたのだから。
「……睦月……」
「剣崎さん、僕や橘さん達と一緒にこの殺し合いを打開しましょう。それで皆の所に帰るんです。ジョーカーのことは僕達が何とかしてみます、絶対に」
「……だけど、俺は……」
「剣崎さんが暴走しちゃったとしても、僕が、僕達が止めますよ」
上城睦月は、ジョーカーである剣崎一真を受け入れる。
仲間として、救われた者の一人として、剣崎を救うと宣誓する。
屈託のない微笑みと共に差し出されるのは、右手であった。
剣崎の眼前にあるのは希望。
一度は捨て去った筈の希望が、そこにはあった。
一分、二分と時が過ぎていく。
剣崎は逡巡に次ぐ逡巡を重ねて、そして覚悟を決めた。
「分かったよ、睦月」
睦月の覚悟を受け入れる、その覚悟を決めた。
剣崎の右手が睦月の右手へと伸びる。
―――バン!
そして、絶望のファンファーレが鳴り響いた。
「え?」
剣崎の左手には、何時の間にやらある物体が握られていた。
掌にすっぽりと収まる程度の、極小サイズの拳銃。
おそらく剣崎に支給されたアイテムの一つであろう。
それが何時の間にか手中にあった。
まるで奇術のように、気付かぬ内に、だ。
- 594 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:42:09
- 「む、つき?」
その拳銃の銃口からはうっすらと煙が漂っていた。
何がどうなっているのか、剣崎の理解は追いつかない。
希望をつかもうと伸ばされた右手。
びりびりと痺れのような衝撃が支配する左手。
左手の中には硝煙漂う拳銃が一丁。
眼前には―――打ち砕かれた希望。
「あ、ああ」
眉間からはか細い一筋の血液を、後頭部からは血液と何かが混ざり合った大量の液体が。
その目は見開かれ、ピクリとも動かない。
数分前まで仲間を救おうとしていた男が、倒れていた。
数分前まで仲間を救おうとしていた男が、死んでいた。
「ああああああああああああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
心が、爆発する。
何が起きた。
何が起きた。
何が起きた。
何が起きた。
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- 595 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:44:04
-
―――俺が、
何が起きた。
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―――俺が、
- 596 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:44:52
- 何が起きた。
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何が起きた。
何が起きた。
何が起きた。
何が起きた。
何が起きた。
何が起きた。
―――俺が………………………………………………………………………………………撃った?
そして、崩壊する。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
現出するは『鬼札』。
剣崎の姿がおとぎ話に出てくる悪魔のような姿に変化した。
ジョーカーは、地面を蹴り抜き闇夜の森林へと疾走していく。
『剣崎一真』はここに一度目の死を迎える。
『剣崎一真』は『ジョーカー』に支配され、死んだ。
ここから始まるのは絶望に満ち満ちた喜劇にして悲劇。
もう誰にも止められない。
唯一の切り札は無残にも破り捨てられ、鬼札となってしまったのだから―――、
- 597 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:45:25
- 【上城睦月@仮面ライダー剣 死亡】
【一日目/深夜/B-2・森林】
【剣崎一真@仮面ライダー剣】
[状態]ジョーカー化
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
0:全てを破壊する
※原作終了後から参加させられています
◇
そして、誰もいなくなった悲劇の現場。
その場を数十メートル程後方で見つめる者がいた。
ニコ・ロビン。
海賊王を目指す若き青年を船長とする新鋭海賊団が一員である。
(これで一人……)
ロビンは無表情に惨劇の場を見つめながら、冷酷に思考を回していく。
ハナハナの実の能力を利用しての殺害は非常に上手くいった。
まず最初に剣崎のデイバックの内部へと『手』を咲かせ、拳銃を探す。
拳銃がなくともナイフでも刀でも良い。ひとまず人を殺害できる武器を探索する。
次に、剣崎の左手へ『手』を咲かせて拳銃を抜き取る。
そして剣崎の左手に『目』を咲かせ、狙いを定めて撃つ。
後は、剣崎の左手に銃を持たせるだけで良い。
多少の疑心暗鬼を煽れれば良いと思っての策は、『化け物』が不安定な精神状態にあったせいか、大ハマり。
結果として『化け物』の覚醒を促した。
(それにしても……何だったのかしら、あの男は)
絶叫の聞こえる方向に歩を進めれば、森林にて立っていた青年。
もがき苦しみ、何かに耐えていた青年。
途中現れた仲間らしき少年を殺害した直後、青年は『化け物』へと姿を変えた。
まるでタカが外れたかのように『化け物』となった青年は暗闇を駆け抜けていった。
(あれも悪魔の実の能力……? でも、あれは……)
本来であればロビンはあの青年も殺害するつもりでいた。
仲間を殺す要因と成りうる者は、全て排除するつもりだったからだ。
- 598 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/01(火) 23:46:10
- だが、動けなかった。
現出した『化け物』に、その地底をも震わす叫びに、あらゆる闇を経験してきた筈のロビンですら動きを止めてしまった。 驚愕と、恐怖に。
あれは悪魔の実の能力といった生易しいものではない。
まるで悪魔がそのまま君臨したかのようであった。
(……殺さなくちゃ)
本能で察知する。
あの存在は、十二分に仲間達の脅威たりうる者だ。
ならば、殺害せねばならない。
その役割を担うのは自分でなくてはいけないのだから。
ロビンは睦月の死骸からデイバックを奪うと、『化け物』が走り去った方角へと足を向ける。
相手が何であろうと彼女の成す事は変わらない。
仲間の為に。
ただそれだけを想いに、走り出す。
【一日目/深夜/B-2・森林】
【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
[状態]健康、迷い
[装備]なし
[道具]基本支給品一式×2、ランダム支給品×2〜6
[思考]
0:仲間以外の参加者の抹殺。また会場からの脱出法、首輪の解除法も考える
1:『化け物』を追い、始末する
これにて投下終了です。
キャラは剣崎一真、上城睦月、ニコ・ロビン。
タイトルは『Round ZERO ――オワリノハジマリ――』です
- 599 :名無しさん:2011/03/06(日) 02:37:30
- 投下乙です!
ロビンちゃんマジ策士!
そして剣崎が暴走してしまった……始が見たらどう思うことか
- 600 : ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:08:42
- 規制食らったのでこっちに投下します。
ごちゃ混ぜロワ 5:その男、危険につき
登場人物:吉良吉影、武藤カズキ
- 601 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:09:57
- その男――吉良吉影が求めているものは二つあった。
一つは、『平穏』
「植物の心のような生活」、それを求め常々生活していた。
大きな成功もない代わりに、大きな失敗もない。
目立たずに、何事も起こらない生活を送るように心掛けていた。
『勝ち負け』にこだわらず、頭を抱えるような『トラブル』も作らず、夜眠れなくなるような『敵』を作らないで生きていく事。
それが彼の生きていく上で最も重要なものの一つだった。
それゆえに、彼は『争い』を好まない。
『争い』とはすなわち、『平穏』とは対極の位置に存在するものだからだ。
そして最初に言った、求めているもう一つのもの。
それは……『女性の手』
生まれながらにして人を殺さずにはいられない性質を持つ彼は、美しいと思った女性の手を集めて楽しむと言う奇癖を持っていた。
その奇癖のために闇へと葬られた命はいくらになっただろうか、それはもう彼は覚えていない……
- 602 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:10:41
- (…仗助に、康一までいるとは……奴らは一刻も早く殺してやりたいところだが…無駄に戦闘をするのは得策ではないな…)
支給された名簿に存在した忌むべき二つの名前。
東方仗助と広瀬康一の名を見て吉良はギリ、と歯を食いしばる。
彼らの存在は厄介だが、この場は殺し合いの場だ。
彼らのような存在は確実に主催者のメガネの男に立ち向かうだろう。
それに自分のようにこの殺し合いに『乗っている』参加者に対しても。
ならば今は放っておけばいい。
いずれ時が来たら、このキラークイーンで葬ればいい……
吉良吉影の横に現れたスタンド――キラークイーン。
彼が殺人を犯す上で欠かせない存在であるそれは、不気味な存在感を醸し出していた。
物体を爆弾化するこのスタンドさえあれば、自分の前に敵はいない。
そうだ、何も恐れることはない『平穏』がそこには待っている……
安堵しかけたその瞬間だった。
「おい!そこにいる君たち!君たちはこの殺し合いに乗っているのか!?」
後ろから、声がした。
- 603 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:11:24
- (…まずい!スタンドを見られた!だがこの声は仗助でも康一でもない……だとすると誰だ?)
あふれ出そうになる汗を必死に食い止め、吉良はキラークイーンと共にそっと振り返った。
そこに立っていたのは仗助と同い年くらいの若い少年だった。
その眼には正義感にあふれ、この殺し合いを何が何でも止めるんだと言う強い意志が感じとられた。
それゆえに、吉良は心の中で舌打ちをした。
こいつは、自分の正義のためならば闘いの中に身を投じても一切後悔しない男だとそう感じたためだった。
「俺は武藤カズキ!この殺し合いを止めたく思っている!君たちはどうなんだ!?」
武藤カズキと名乗る少年は吉良に対し『君たち』と言った。
これは何を意味するか……?
そう、彼には『見えて』いる。
吉良吉影のキラークイーンが。
どうする?
今ここで口封じに殺すか?
だがそれは得策ではないと吉良は考える。
何故ならカズキと自分の間には距離があり、キラークイーンで届くかどうかわからない。
それにカズキが銃火器のようなものを所持していた場合不利なのはこちらの方だ。
ならばどうするか…?
(…やむを得ん、ここは一旦偽るか……)
吉良は両手を挙げた。
- 604 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:11:55
- 「…いや、私は乗っていない。」
「本当か!?」
安堵の表情を浮かべ、カズキが吉良の元に駆け寄ってきた。
「すると吉良さん、その横にいるキラー…クイーン?でしたっけ、は貴方の幼いころからずっとそばにいる存在だったと。」
「ああ、こいつのために私は友人も作れず孤独な半生を過ごしたものだよ。」
吉良はカズキと情報を交換し、自身のスタンドにかけられた制限の事を知った。
カズキはスタンドというものについては引っかかるところはあるものの知らないようであった。
その彼にスタンドが見えていたと言う事は、考えられる事は一つ。
この世界には何らかの制限が加えられている。
そのカギを握るのは恐らく70人全員にとりつけられた枷――首輪だろう。
「吉良さん…あなたも大変だったでしょう。」
「いや…孤独には慣れているものでね。」
カズキに対しては『悪霊に取りつかれている』という稚拙な嘘を咄嗟についてしまったが、カズキはそれを頭から信じ込んだ。
どうやらこの男は正義感に溢れてはいるのだがどうも頭は足りないようだな。
奥泰みたいな男だ、と吉良は思った。
だが、そう言う人間は自分の想像の斜め上を言った行動をとるだろう。早めに手を打っておかねばな。
- 605 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:12:40
- 「で、だカズキ君。君はこれからどうするつもりだ?」
「斗貴子さんを探そうと思っている。彼女ならきっと心強い味方になってくれる。」
「しかし…どこにいるのか君には分かるのかい?」
「いや、分からない。だけどまずは病院へ行こうと思うんだ。」
「病院?」
彼らがいる現在地はE−7の草原だった。
なるほどそこからC−6の病院へはそう遠くない。
そこに行けば誰か知らいるだろうとカズキはそう主張した。
だが吉良の内心は違うところにあった。
(人の多いところに集まる、だと?そこにもし仗助や康一がいたら私の本性がばれてしまうではないか!)
吉良にとって一番困るのは自分の嘘がばれ、本性が知られてしまう事。
この目の前の少年はもし自分の本性を知ったら自分の平穏を乱す障害となるだろう。
確実にだ。
それだけはなんとしてでも避けなくてはならない。
だが、情報は重要だ。
集めるのも悪い話ではないが…
どうするべきか。
吉良は考える。
だが、いくら考えてもいい案が浮かばないので、吉良はひとまず気になっていた事をカズキに聞く事にした。
「…そう言えばカズキ君、君のその…武装、錬金術?とやらは何なのかね?私はそういう類のものは一切知らないのだが…」
「ああ、そうだった。見せてあげるよ……武装錬金!!」
特撮ヒーローのような構えをとったカズキの両手から大きな槍が現れる。
スタンドとも違うその様に、吉良はしばし言葉を失ってしまった。
「…驚いたな、私の『悪霊』の他にもそう言うのがあったとは……」
「ああ、これさえあればどんな奴が相手でも大丈夫だ吉良さん!」
そう言うカズキの顔には絶対の自信が存在していた。
…気にくわない。
つばを吐きたくなる気持ちを必死に抑えると、吉良は出てきた武装錬金…サンライトハートをしっかりと観察した。
- 606 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:14:08
- 「…カズキ君、君のその武器は非常に素晴らしいが私達には一つ問題がある。」
「え?」
「君のその武装…武装錬金といったかな?それは近接戦闘には特化しているようではあるが、相手が遠距離攻撃を取るタイプの相手だった場合は不利になる。私のこの『悪霊』も私からそう遠くへはいけない。」
あ、と言った感じでカズキが口を開ける。
「そこでだ、カズキ君、君の支給品を見せてくれないか?ちなみに私のはこんなのしか入っていなかったよ。」
そう言って吉良がデイパックから取り出したのは一本のギターと一本の出刃包丁だった。
「うーん……すまない吉良さん、俺の支給品も遠距離の相手に対しては役に立たなそうだ…」
カズキのデイパックから出てきたのはアニメ等でよく見る魔法少女が持っていそうなステッキ、それに真っ赤な刺又だった。
「…仕方ないな、やはり病院へ行こう。そこで『銃』を持った無害そうな人がいたら譲ってもらおう。」
「そうですね。」
デイパックに荷物を戻し、カズキから譲り受けた刺又を握ると吉良は病院への方角を向いた。
ぼんやりと、それらしき建物が見えた。
「そうだ、吉良さん。」
「なんだ?」
「俺たちは…仲間だ。一緒にあのメガネの男を倒そう!」
何を言うかと思いきや、くだらない事を言う男だ。
吉良は内心溜息をついたがカズキはそんな吉良に右手を差し出した。
「…何の真似だ?」
「握手しましょう。俺たちは仲間なんです。」
なんで私が男の手を握らなくちゃならんのだ……
そう思いかけた吉良だったが、その頭に妙計が浮かんだ。
「そうだ、握手すると言うのならばキラークイーンにもしてもらいたい。」
「え?」
「こいつも私の一部のようなものだからな。」
「OKです。」
カズキはキラークイーンとも握手をした…右手で。
(ククク……これでいい、これでこの少年の命は私が握ったも同然だ。)
吉良が内心そんな事を考えているとは、カズキは知る由もない。
「それじゃ、行こうか吉良さん。」
「ああ。」
二人は、病院へと向かう。
風が、吹いてきた。
- 607 :その男、危険につき ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:14:38
- 【E−7草原/1日目朝】
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]健康、軽いイラつき、『キラークイーン』第一の爆弾起動(カズキの肉体)
[装備]レッド刺又@カオスウォーズ(カズキから譲ってもらった)
[道具]基本支給品一式、音石明のギター@ジョジョの奇妙な冒険、出刃包丁@現実
[思考]1:生き延びる
2:今はカズキと共に行動、機を見て爆弾を起動する
3:メガネの男(日野)は自分の手で殺す
[備考]川尻浩作外見になった直後からの参戦です。
【武藤カズキ@武装錬金】
[状態]健康(キラークイーンによる爆弾化)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、魔法大作戦!@戦国BASARA
[思考]1:斗貴子と合流するため、病院へ向かう
2:この殺し合いを止める。
3:吉良を信用
- 608 : ◆YR7i2glCpA:2011/03/21(月) 17:15:13
- 投下終了です。
- 609 :名無しさん:2011/03/21(月) 19:53:28
- 投下乙
収録の際にタイトルのページが既にあったため
(ごちゃ混ぜ)と分けて収録しました。
- 610 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:26:17
- 投下乙です。
やはりのステルスか、吉良…カズキ逃げてー!
で、自分も規制かかってしまったのでコチラに。
お気に入りロワ25話投下します
- 611 :ケンカとは先に手を出した方の負けである ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:27:16
- 淡い緑色の光が周囲を包み込んでいた。
装備もなく大気圏に突入しているというのに、不思議と熱は感じない。
寧ろ想い人の懐に包まれているかのような心地良い暖かさが其処にはあった。
『そうか、しかしこの暖かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ! それを分かるんだよ、アムロ』
心地よさの中で、苛立ちにまみれた宿敵の声が響く。
その言葉はまるで我が儘を云う駄々っ子のもののようであった。
理解を求め、でも受け入れられない。
何故受け入れられないのかが分からない。
分からないからこそ、苛立ちが増していくのだろう。
『ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ! そのララァを殺したお前に言えたことか!』
聞こえてきた言葉はおそらく本心なのだろう。
追い詰められて、追い詰められてしまったが故に噴き出した言葉。
母になってくれるかもしれない女性。
やはり、分からない。
いや、何となく共感はあったのかもしれない。
だが、否定する。
彼女は死んだ。もういない。
人類の革新した姿とされるニュータイプであっても、死から解放される事はない。
生ける者には死が存在する。
それが世界の理だ。
だから、捕らわれてはいけない。
死者に捕らわれては、いけない。
だからこそ、止める。
これ以上死者に捕らわれる者を増やさない為にも、
人類に希望を見せるにも、
この石ころを止めてみせる。
ガンダムは、νガンダムは、伊達ではない。
―――第二次ネオ・ジオン戦争。
―――地球連邦軍独立部隊ロンド・ベルの活躍によりアクシズ落下は阻止される。
―――この戦いにより地球連邦軍パイロット『アムロ・レイ』、ネオ・ジオン総帥『シャア・アズナブル』の行方は不明。
―――死亡した者と扱い、此処に記録を残す。
◇
「殺し合えだと……くそっ、ふざけた事を……!」
暗い暗い世界の真ん中で、アムロは顔をしかめて言葉を吐いた。
唐突に開始されたバトルロワイアルという名の殺し合い。
不条理に殺害された富竹という男。
愉悦に満ちた兵藤の高笑いに、富竹の死に愕然とする圭一という名の少年。
憤りを感じずにはいられなかった。
アムロは其処まで正義感が強い訳ではない。
戦争の最中では何十という敵機を葬ってきたし、今更そこに躊躇いは覚えない。
戦争を無くそうなどとも考えてはいない。
戦場に於いては、一人のパイロットとして出来る限りの事をするだけであった。
だが、今回の場合は余りに話が違う。
富竹という男も、圭一という少年も、覚悟を持って戦場に立っている兵士とは違う。
戦場の事など何も知らない一般人だった筈だ。
そんな一般人を戦場へと拉致し、殺し合いを強制させる。
まさに悪魔の所業。
少なくともアムロにはそうとしか思えなかった。
- 612 :ケンカとは先に手を出した方の負けである ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:27:58
- (まずはこの首輪をどうにかしなくては……)
しかしながら、現状は最悪と言えた。
爆薬の詰まった首輪に何処だかも分からない謎の場所。
そして、拉致された何十人という人間。
どう考えても状況は悪い。絶望的といっても過言ではなかった。
(ひとまずは首輪の解除だ。何処か首輪を解析できるような場所があれば良いが)
それでもアムロは打開策を考えていく。
諦めはしない。
数多の戦乱を生き抜いてきたアムロは、この程度の窮地で諦観してしまうような人間ではない。
(現在地は森林か、近場に首輪を解析できるような施設があれば良いが……)
アムロは、パイロットとしてだけでなく、技術屋としても一流とされていた。
MSの設計から愛玩用ロボットペットの作製までをも行える。
最低限の工具と綿密な解析さえできれば首輪の解除も可能だと、アムロは考えていた。
(……施設を見て回り、工具を探すか。そう簡単に解除はできないだろうが……やるしかない)
ある程度の目的を決定し、アムロは行動を開始する。
デイバックの中身を確認し、中にあった武器を装備。
アムロにとっては馴染みのない刀という武器であったが、愚痴は言っていられない。
武器が入っていた事を僥倖と思う他ないだろう。
歩き出すアムロ。
その脳裏には、ある光景が蘇ってきていた。
殺し合いに呼ばれる直前の記憶。
寸前までの記憶は鮮明であった。
因縁の宿敵との戦いの末に地球へと落下を始めた小惑星アクシズ。
アクシズの落下を阻止する為にνガンダムを駆り、押し出そうと取り付いた。
その結果は分からないが、寸前まで宿敵と交わした言葉の数々は鮮明に記憶へと残っている。
大義名分も、上辺を誤魔化す言葉もない、混じりっ気なしの本音。
宿敵は最期まで捕らえられたままであった。 十年前に出会い、そして永遠の離別をした少女に。
とはいえ、自分も人の事を言えた義理でもない。
宿敵程とまではいかねど、自分も彼女に魂を引かれている。
当時から十年以上の時が経過しているというのに、夢を見るのだ。
彼女の、夢を。
「……ダメだな、今は殺し合いの最中だ。集中しなくては」
アムロは小さく首を振り、思考を打ち切る。
ニュータイプもモビルスーツから降りれば只の人だ。
それはアムロも理解している。
だからこそ、最大限の警戒を持ち得なければならないのだ。
「―――誰か……いるな」
と、僅かに警戒心を引き上げたその時、アムロの直感が走った。
近くに誰かがいる。
まだ視界に入っていないが、確実に。
幾度となく感じてきた、幾度となくアムロの命を救ってきた感覚。
『ニュータイプ』の察知能力。
理論で説明できるものではないが、アムロには感じ取れるのだ。
其処に居る人の存在を。
そして、直感通りに人は現れた。
木々の間から降り注ぐ月光を浴びて現れた男の姿を見て、アムロは思わず息を飲む。
灰色を基調とした軍服のような服に身を包む男。
鮮やかな金髪は首元まで伸びている。
そして、何より目を引くのは―――その顔の半分以上を覆う仮面であった。
十年以上前、出会ったばかりの宿敵を連想させるその仮面。
瞬間、アムロの中に直感が走った。
「すまない、驚かせてしまったかな」
仮面の男は無防備にも両手を上げてアムロの前に立つ。
男の口元には柔和な笑みが浮かんでいて、まるで此方の警戒心を解きほぐすかのようであった。
まるで無防備な男の様子にアムロは困惑を覚える。
自分の直感が告げる内容と、眼前の男の様子とが余りにかけ離れているのだ。
刀に手を掛け、仮面の男を睨むアムロ。
その警戒は未だ解ける様子を見せない。
- 613 :ケンカとは先に手を出した方の負けである ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:29:24
-
「私の名はラウ・ル・クルーゼ。ザフトで士官をやらせて貰っている。私も余りの事態に些か混乱していてね、少し情報を教えて欲しいんだ」
クルーゼと名乗った男は両手を上げたまま立ち止まり、アムロへと話し掛けた。
距離にして凡そ5メートル程。
アムロは刀を抜き、その剣先を男に突き付ける。
「クルーゼ。悪いが、俺はお前を信用できない。情報の交換はこの距離を維持したまま行おう」
「ふむ、まあこの殺し合いの中だ。それ位の警戒は当然だろう。了解した、情報を交換しよう」
「協力に感謝する。俺は……エド。エドワード・エルリックだ」
アムロは殆ど反射的に偽名を名乗っていた。
眼前の男を信用できないからだ。
その不信には、彼なりの理由がある。
自身の直感が告げている。
この男は信用できないと、告げている。
男の底に眠る『悪意』がうっすらと感じ取れるのだ。
ドロドロに歪み、凝縮に凝縮を重ねた悪意を感じるのだ。
誰を恨んでいるという訳ではなく、世界そのものを恨んでいる。
その悪意は、これまでの人生でアムロが感じてきたどんな悪意よりも強大であった。
何故、此処までの悪意をこの仮面の男が抱いているのかは分からない。
だが、その危険性は察知できる。
この男は危険だと、頭の中で警告灯が鳴り響いていた。
「エドはここがどこだか分かるかな?」
「いや、分からない。空を見る限り、コロニーではなさそうだが」
「では、あの兵頭という男、私たちを拘束していた光の原理やワープについては何か分かるか?」
「君と同じさ。さっぱり分からない」
「そうか……協力に感謝する、エドワード。では、此処で別れる事としよう。君がこの殺し合いを生き延びれるよう願っているよ」
情報交換は一分と満たない短い時間で終わった。
余計な言葉のない、本当に情報を交換するだけの会話。
だというのにクルーゼは最後まで紳士的な態度であった。
その一貫したクルーゼの態度に、自分の直感が外れたのか、と思わずアムロも当惑を覚えてしまう。
が、その直後―――、
―――アムロは刀に備えられていた引き金を引いていた。
鍔に仕込まれていた火薬が爆発し、刃が音速に迫る勢いで撃ち放たれる。
クルーゼは抵抗をするどころか、声を発することすらできない。
飛来する刃にピクリとも反応できず、直撃してしまう。
刃が刺さった箇所は、その右の脇腹。
刃は胴体を貫通し、その中にあった内臓をズタズタに斬り裂く。
鮮血が口から溢れ、クルーゼの身体を支えていた力が途端に抜ける。
膝から崩れ落ち、クルーゼは横倒しに倒れた。
脇腹の傷から染み出した鮮血が地面を染めていた。
- 614 :ケンカとは先に手を出した方の負けである ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:30:06
-
「……何故……分かった……?」
そう言うクルーゼの手元は腰のベルトに触れていた。
キラリと光るベルト。
アムロが知る由はないだろうが、それはとある世界のテロメイドが暗器として使用していたベルト。
仕掛けを起こす事により、ベルトのバックルから小口径の弾丸が発射される武装であった。
その暗器を使用しようとした直前に、クルーゼはアムロに腹を貫かれた。
クルーゼは納得できない。
人を騙くらかすのは得手中の得手であった。
心中の悪意をひた隠して、ナチュラルだという事もひた隠して、人生の半分をコーディネーターの軍属として過ごしてきたのだ。
今更、誰かに真意を読み取られる事など有り得ない。
それは驕りではない、事実。
結局クルーゼは、最期の瞬間までも仲間内から疑惑をもたれる事はなかったのだ。
一種の才能といっても良いのかもしれない。
ラウ・ル・クルーゼをラウ・ル・クルーゼたらしめる才能が、誰にも疑われる事のなかった演技力である。
それが、その演技が、初対面の人間に易々と暴かれた。
情報を収集し、不意をついて参加者を減らしていくという行動が、読まれた。
その事実に、クルーゼは納得する事ができない。
「……貴様の悪意は余りに強く、純粋だ。だから攻撃の瞬間が、手に取るように分かったんだ」
アムロの回答は、クルーゼに納得を与えるものではなかった。
漠然とした回答。
それもそうだろう。
アムロ本人ですら、ニュータイプの力を理解しきれていないのだ。
その感覚を説明できる訳がない。
強いて言葉にするなら『分かったから』……そうとしか言いようがなかった。
そして、説明にならない説明を終えると同時に、アムロはクルーゼに背を向けて歩き出す。
その歩調に迷いや後悔はない。
「……そうか……貴様も生まれもって力を持つ者か……」
アムロの背中にクルーゼは声を飛ばす。
膨れ上がる悪意をアムロは感じていた。
混じり気のない、圧倒的な悪夢。
引き寄せられる、とアムロは僅かな焦燥を覚える。
「……ふ……ふふ……世界は欲しがるだろうな、君の力を……欲しがり、そして妬むのさ……その、力を……!」
何故だか、クルーゼの言葉は的を得ているように思えた。
そして、死にかけの男のソレとは思えぬ程に強さがあった。
立ち止まるな、耳を傾けるな、と自らに言い聞かせながらアムロはクルーゼから離れていく。
「……それは……これからの殺し合いでも……同じ、さ……人々の欲求と……嫉妬が……君を待つ、の……だ……はは……ハハハハハハハハハ……」
言葉は笑い声となり、だがしかし笑い声は直ぐに小さくなっていく。
徐々に声が細くなり、遂には呻きのようなものになって消えた。
その声はクルーゼの命が潰え掛けている事を示していた。
アムロは何も語らず、振り向きもせずに、その場から離れていく。
潰える命とは裏腹に、その悪意は信じられぬ程に膨張していく。
その悪意の強大さに、アムロはただ戦慄を覚えていた。
【一日目/深夜/B-5・森林】
【アムロ・レイ@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】
[状態]健康
[装備]雷泥のブレード(柄のみ)@トライガン・マキシマム
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2(武器になりそうな物はない)
[思考]
0:殺し合いの転覆、襲ってくる敵には容赦はしない
1:施設を回り、首輪を解析する
2:クルーゼに対する戦慄
[備考]
※原作終了後から参加しています
- 615 :ケンカとは先に手を出した方の負けである ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:31:12
- ◇
そしてアムロが去り、クルーゼ一人が残される。
残されたクルーゼは、自身の鮮血で汚れていく地面を見詰めて、自嘲の笑みを浮かべていた。
全てに破壊を齎そうとしていた者の、哀れな末路。
やはりこの世に救いなどはない。
少なくとも自分の人生に救いなどなかった。
出来損ないのクローンとして生み出され、異常な速度で亢進する老化現象に苦しみ、そして死ぬ。
余りに無意味で、虚無しか存在しない人生。
こんな世界などいらない。
壊れてしまえば良い。
心底からそう感じていた。
心中を占める悪意を噛み締めながら、クルーゼは終焉へと迫り寄る。
そんな彼に救いの手が差し伸べられたのは、彼の意識が消失する寸前であった。
少女は、暖かい淡い光を持って現れた。
(……誰、だ……?)
少女の手にはガラス瓶が握られており、その中には光輝く石ころが数個入っていた。
石ころの一つを少女は取り出し、クルーゼの身体に触れさせる。
ただそれだけでクルーゼの身体から痛覚が引いていき、流出する血液が止まる。
何が起きたのか、と疑問を覚えながらクルーゼの意識は暗闇の中に沈没していった。
「ホントに、血が、止まった」
少女はクルーゼの傍らにしゃがみ込みながら、手中の小石をクルーゼへと押し当てていた。
『月の石』と説明書に書かれていた小石は、説明書に書かれていた通りの効果を示す。
直接接触させただけで、『月の石』はクルーゼの傷を癒やし、出血を止めた。
これには流石の少女も驚く。
脱力感が占める瞳を驚きに僅かに開いて、少女はクルーゼを見詰める。
少女の名前は滝壺理后。
レベル4の大能力者『AIMストーカー』にして、学園都市が暗部組織『アイテム』の一員である。
滝壺はクルーゼに『月の石』を握らせながら、その身体を引きずっていく。
身体を貫通した刃に触れる事はできない。
クルーゼは既に血を流し過ぎており、抜けば出血多量で失血死だろう。
せめてあと一、二時間は『月の石』で体力を回復させてからでないと、危険であろう。
そう決断して滝壺はクルーゼを、近場の木蔭へと引き摺っていった。
まだ近くに殺人鬼はいる、と考えながら滝壺は地面に腰を降ろして警戒をする。
滝壺はアムロを殺し合いに乗った参加者であると誤解していた。
滝壺の視点からすれば、アムロの行動は殺人鬼のそれであった。
無抵抗のクルーゼへと攻撃するアムロ。
ニュータイプとしてのアムロの直感や、クローン人間としてのクルーゼの悪意など知る由もない滝壺は、当然のことながらアムロを危険人物として認識する。
完全な第三者視点からすれば、アムロが加害者でクルーゼが被害者であった。
アムロを殺人鬼だと断定した滝壺は、クルーゼの回復を待つ。
眼前の男が持つどす黒い本性を知らずに、滝壺はその男の治癒を続けていく―――、
【一日目/深夜/B-5・森林】
【ラウ・ル・クルーゼ@機動戦士ガンダムSEED】
[状態]右わき腹に貫通傷、失血(中)
[装備]ロベルタのバックル型銃@BLACK LAGOON、月の石@金色のガッシュ!!
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
0:気絶中
1:世界を壊す
【浜面理后@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]月の石(残り二個)@金色のガッシュ!!
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
0:殺し合いには乗らない。浜面と麦野と合流したい
1:クルーゼが治るまで隠れている
2:茶髪の天パ(アムロ)を警戒
3:『一方通行』、『超電磁砲』については様子見
[備考]
原作22巻終了後から参加しています
- 616 : ◆YcpPY.pZNg:2011/03/21(月) 21:33:22
- 以上で投下終了です。
登場キャラはアムロ・レイ、ラウ・ル・クルーゼ、滝壺理后でした
- 617 : ◆WYGPiuknm2:2011/03/22(火) 21:57:02
- 投下乙です!
・その男、危険につき
吉良はブレないなぁw
カズキが人間爆弾になってしまったか。こりゃ詰んだも同然だw
・ケンカとは先に手を出した方の負けである
滝壺ー!ソイツを治療しちゃ駄目だー!
そして無関係のエドに災難が降りかかるフラグが立ちました!やったね!
滝壺の状態表の名前が浜面になってますぜ
- 618 : ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:54:10
- 規制まだ食らってたのでこちらに投下します。
ごちゃ混ぜロワ 6:惨劇
登場人物:柊かがみ、安藤守
- 619 : ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:54:40
- 「一体何なのよこれ!」
その表情にあるのは怒り、そして恐怖。
少女――柊かがみはつい先ほど起きた惨劇に怒っていた。
それと同時に怯えてもいた。
彼女は一介の高校生なのだ。
成績こそ優秀であれども、その体力精神力は一般の域を出ない。
だから先ほどの惨劇に怒りの感情こそわけども、何をすることもできなかった。
「こなたにみゆきに―――つかさも、いるのよね……急いで皆と合流しなきゃ!」
親友と妹の名前が名簿に存在していたことにショックを覚えながらも、かがみは朝日に照らされている住宅街を歩く。
と、目の前に大きな建物が見えた。
「…これはまた、ずいぶんと大きなレストランじゃない。」
いつの間にここまで歩いてきたのか、エリアを一ついつの間にか超えていたようだ。
それを主張するかのように、ぐう、と腹が鳴る。
「……もしかしたら、誰かいるかもしれないわね。」
そう自分に言い聞かせ、そっとドアを開けた。
- 620 :惨劇 ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:55:18
- カランカラン、とドアベルが鳴る。
中は広々としているが、誰もいない。
「…どうやら誰もいないようね。」
近くのテーブル席に腰かけると鏡はほう、と息を吐き天井を見上げた。
(つかさ、こなた、みゆき……死んでないわよね?)
一瞬頭をよぎる、首輪を爆破された桃色の髪の女性。
その最悪の光景が、探している三人の仲間とダブり嫌な汗が出る。
ぶんぶん、と首を振ってそのイメージを振り払った瞬間だった。
がたん、と厨房の方から音がしたのは。
「……誰?」
恐怖は、確かにあった。
もしかしたらそこに潜んでいるのは殺し合いに乗った人間であるかもしれない。
だが、もしかしたら自分の探している人間でもあるかもしれない、
とくに妹であるつかさは怖がりなのだ。
こういう暗い所で膝を抱えて震えているかもしれない。
かがみは意を決して、厨房へと向かった。
- 621 :惨劇 ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:55:56
- 「…誰かいるの?」
厨房は電気も付いておらず、暗かった。
ひょっとしたら誰かいるのも気のせいかもしれない、とも思ったが、さっき聞いた物音は確かに空耳なんかじゃない。
かがみは電気のスイッチを探すために壁に手をかけた。
そしてスイッチを見つけ、つけた。
パッと、電気がつき部屋が照らされる。
「……え?」
かがみの目の前に、太ったメガネの男が立っていた。
というより、かがみを確認すると立ち上がった、というのが正しい表現か。
そして彼の手に握られているのは……ショットガン。
そしてその銃口が火を噴き……
かがみが最期に感じた感覚は、全身を細い針で貫かれたような熱さと痛み、そして電気で照らされた天井の無機質なクリーム色だった。
- 622 :惨劇 ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:56:26
- 「うあ、あ…………」
男は震えていた。
目の前に現れた少女を、反射的に撃ってしまった。
その体躯からたらたらと鮮血が溢れ、床を汚していく。
自分が殺した。
自分が殺した。
見ず知らずの、それも女の子を。
彼―――安藤守は、ただ怖かった。
自分の犯した罪が。
自分のおかれた境遇が。
いつ誰が襲ってくるかもわからない状況が。
自分に支給されていたショットガンという凶器が。
ここなら安全だと思いずっと隠れていた厨房の暗闇が。
突然に着いた電気が。
何もかも、怖かった。
だから、引き金を引いた。
「うわあああああああああああーーーー!!」
響く絶叫。
何もかもを忘れたいかのように、安藤はレストランを飛び出した。
――その手には、二人分の荷物を持って。
安藤守、彼を知るものはこう述べる……
クズ、と。
- 623 :惨劇 ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:57:24
- 【柊かがみ@らき☆すた 死亡】
【A−3レストラン/1日目朝】
【安藤守@カイジ】
[状態]:健康、錯乱気味
[装備]:レミントンM31RS@BATTLE ROYALE
[道具]:荷物基本支給品一式(アイテム確認済み、少なくとも武器になると判断されたものは他にはない)、かがみの初期支給品(アイテム未確認)
[思考]1:怖い
2:死にたくない
- 624 :惨劇 ◆YR7i2glCpA:2011/03/25(金) 16:57:55
- 投下終了です。
- 625 : ◆f4XlXniIK6:2011/03/29(火) 20:47:39
- では、コチラで。
『相棒』バトルロワイアル、オープニング投下します
- 626 : ◆f4XlXniIK6:2011/03/29(火) 20:48:35
- 目を覚ますと其処には良く分からない光景が広がっていた。
薄暗い部屋に何人かの人の気配。
立ちあがろうとするも両手両脚が椅子に固定されていて動く事ができない。
動かせるのは首ぐらいで、それでも左右に振るので精一杯だ。
暗い部屋で四肢が拘束されているという状況に、思考が沸騰しかける。
ここは何処だ?
何がどうなっている?
誘拐? 拉致?
何が目的で僕を捕まえたんだ?
?マークが浮かんでは消える。
僕―――梶隆臣は、殆どパニック状態になっていた。
唯一動く首を必死に左右へ回し、状況を把握しようとする。
だが、駄目であった。
纏まらない思考で何をしようが意味がない。
何となくではるが、僕は察知した。
これは何かに巻き込まれている、これは異常事態だ、と。
ここ最近での経験が語っているのだ。
何か良くない事が、とても良くない事が始まろうとしている。
「全員起きたようだな」
そして、それが始まった。
この一言がゲームの開始を告げる合図であった。
唐突に灯った照明が暗闇を照らし、僕達がいる空間を明晰にする。
小学校の体育館のような空間に、僕を含めて四十人ばかりの人々がいた。
誰もが僕と同じ様に手足を椅子に縛り付けられている。
その光景は異常の一言だった。
「俺は切間撻器。賭朗・零號立会人だ。今回のゲームを取り仕切るにあたり、ルールの説明をさせてもらう」
そうこうしている内に事態は進展していく。
賭朗。
立会人。
零號。
その言葉の数々は僕にも覚えのあるものだ。
だが、いきなり、こんな形で、ゲーム?
賭朗が立ち会うゲームとは、対戦相手と対戦相手が合意を取った上で行われる。
でも、僕は何も知らされていない。
そもそもこの人数でゲームを行うのか?
全てが全て異例づくめ。
僕の理解が追い付く事はない。
「このゲームは二人一組のチームで行って貰う。つまりは『相棒』だ。『相棒』と『プレイヤー』は一蓮托生。何をするにも『相棒』の事を思考にいれながらゲームは進行していくだろう」
そんな僕を置いて切間立会人は説明を続けていく。
ゲームはコンビで行うものらしく、恐らくは十数組のコンビで競っていくものなのだろう。
僕だって色々なゲームを行い生き抜いてきた。
その中では自ら命を賭けた事もあったし、卑劣なイカサマを破り勝利した事もある。
ゲームに関しては、以前と比べてそれなりの自信があった。
「では、先にゲームの内容について話してしまおう。今回のゲームは、品のない言い方をさせて貰えば―――殺し合いだ。最後の一組か最後の一人になれば勝利となる」
だが、その自信も一瞬で崩れ去る事となる。
ころしあい?
コロシアイ?
殺し合い?
仮にも法治国家である日本で、殺し合い?
殺し合いが、ゲーム?
そりゃ今までだって数多の異質なゲームを経験してきた。
でも……殺し合い?
ゲームに敗北し、罰として死に至るのではなく?
殺し合い???
「君達の腕に時計が巻かれているだろう? そこに二時間毎に『相棒』の情報が伝達される。健康体か、怪我をしているか、満身創痍か、死んでしまっているか……その時により送られてくる情報には違いがあるだろう」
混乱する僕はその後の切間立会人の言葉を上手く聞き取れない。
何が何だか分からない。
- 627 :『業』 ◆f4XlXniIK6:2011/03/29(火) 20:49:14
- 「気付いてる奴もいるだろうが、お前たちが寝てる間に首輪を付けさせてもらった。その首輪から情報は送信される。それと首輪には爆薬が仕込まれていてな。ま、人一人なら容易く即死させられる代物だ。
二時間毎の定時報告にて『相棒』が死亡していた場合、その定時報告から六時間後に『プレイヤー』の首輪は爆発する。ゲームオーバーだ」
首元に手を触れると、そこには確かにヒヤリとした金属の触感がある。
軽く引っ張ってみるがビクともしない。
さっきまでは気にならなかったのに、認識した途端なんとなく息苦しくなってくる。
「ゲームオーバーを回避したければ他の参加者の首輪を集めろ。首輪は一つにつき1ポイントが加算される。2ポイント集めれば『プレイヤー自身』か『相棒』の怪我を完全に回復させる『回復コマンド』、3ポイント集めれば『プレイヤー自身』か『相棒』の首輪の爆発機能を止められる『首輪爆発解除コマンド』が使用できるぞ。
『回復コマンド』はどんな致命傷だろうと生きてさえすれば完全に回復する。その点については約束しよう」
切間立会人はつらつらと事務報告のように、ルールを語っていく。
その表情は至って真剣であり、実は冗談でしたといった雰囲気は微塵も感じない。
「各コマンドはポイントを貯めれば腕時計に現れる。また首輪を手にした時点で、自動的にポイントは加算される。自分が有するポイント数は腕時計に常時表示されている。また一旦入手した首輪を手放そうと、ポイントは減少したりしないので心配せず首輪を集めろ。
それとお前達の装備には手を付けていない。素手もあり、武器もあり、魔術や超能力、ギアスに悪魔の実の能力といった異能も勿論ありだ。気兼ねせず使え。それと装備の譲渡、強奪は自由になっている。
また六時間毎に先の定時報告とはまた別に放送を行い、それまでの死者を発表させてもらうぞ。各々絶望なり、歓喜なりを味わってくれ」
僕は切間立会人が嘘を吐いているようには思えなかった。
傷を治すやら異能やらと、言葉の端々に意味不明な事を混ぜているにも関わらず、だ。
「会場は賭朗が所有する3km四方の市街地だ。会場と枠されている空間から出ると警告が鳴る。それも無視して進んだ場合は首輪がドカンだ。会場の地図は支給する。それと食糧もな。まあ、そう長引く事もないだろうから、そんなに大量ではないがな。
……それと優勝者には特典が贈与される。特典の内容は『好きな願い事を何でも叶える』との事だ。死者の蘇生も可能だぞ? 言ってしまえばこのゲームで死亡した全ての参加者を蘇らせる事も可能とのことだ」
そして、切間立会人は一度言葉を区切って、グルリと辺りを見回す。
その顔は歪に歪んでいた。
愉悦という感情に歪みきっていた。
思わず身体が震え、肌が粟立つ。
この男は楽しんでいるのだ。
これから起こる殺し合いを、人々が殺し合う姿を、楽しんでいる。
異常だ、と感じずにはいられなかった。
「では、これよりゲーム―――『バトルロワイアル』を開始する」
地獄の扉は開かれた。
この先に待っていたのは想像を遥かに越える陰惨なゲームであった―――、
- 628 : ◆f4XlXniIK6:2011/03/29(火) 20:52:25
- 『相棒』バトルロワイアル・ルール
・参加者にはそれぞれ『相棒』がおり、『相棒』が死亡して六時間が経過すると『プレイヤー』も死亡する。
・『相棒』の状態は、二時間ごとに支給された腕時計へと報告される。
・首輪を一つ入手すると1ポイント入手できる。
・2ポイント以上持った状態だと腕時計に『回復コマンド』が現れる。『回復コマンド』を使用すると『相棒』か『プレイヤー』自身の体調を全快することができる。
どちらを選択するかは『プレイヤー』に委ねられる。『回復コマンド』を使用すると2ポイント消費される。
・3ポイント以上持った状態だと腕時計に『首輪爆発解除コマンド』が現れる。『首輪爆発解除コマンド』を使用すると、『相棒』か『プレイヤー』自身の首輪爆発機能を解除できる。
どちらを選択するかは『プレイヤー』に委ねられる。『首輪爆発解除コマンド』を使用すると3ポイント消費される。
・装備は回収されない。装備の強奪、盗難、譲渡は自由である。
・最後の一人となるか、『相棒』と自分以外の参加者が死亡すれば、勝利となる。報酬として好きな願い事が叶える権利が贈与される。
『相棒』バトルロワイアル・参加者
【とある魔術の禁書目録】 10/10
≪○上条当麻、○インデックス≫
≪○一方通行、○打ち止め≫
≪○御坂美琴、○白井黒子≫
≪○土御門元春、○土御門舞夏≫
≪○ウィリアム・オリウェル、○ヴィリアン≫
【ジョジョの奇妙な物語】 8/8
≪○空条承太郎、○空条徐倫≫
≪○東方仗助、○虹色億泰≫
≪○DIO、○エンリコ・プッチ≫
≪○ジャイロ・ツェッペリ、○ジョニィ・ジョースター≫
【金色のガッシュ!!】 4/4
≪○ガッシュ・ベル、○高嶺清麿≫
≪○ゼオン・ベル、○デュフォー≫
【トライガン・マキシマム】 4/4
≪○ヴァッシュ・ザ・スタンピード、○ニコラス・D・ウルフウッド≫
≪○レガート・ブルーサマーズ、○エレンディラ・ザ・クリムゾンネイル≫
【魔法少女リリカルなのはA's】 4/4
≪○高町なのは、○フェイト・T・ハラオウン≫
≪○八神はやて、○シグナム≫
【嘘喰い】 2/2
≪○斑目貘、○梶隆臣≫
【血界戦線】 2/2
≪○ザップ・レンフロ、○レオナルド・ウォッチ≫
【コードギアス 反逆のルルーシュR2】 2/2
≪○ルルーシュ・ランペルージ、○枢木スザク≫
【ベルセルク】2/2
≪○ガッツ、○パック≫
【ONE PIECE】 2/2
≪○モンキー・D・ルフィ、○ロロノア・ゾロ≫
40/40
※≪≫内の二名がコンビとなっています。
以上で投下終了です。
非リレーでしかできないようなロワを考えていたらこうなりました。
トリが変わっていますが、創作板の方のトリをwikiには登録して下さい
- 629 : ◆ymCx/I3enU:2011/03/29(火) 22:01:04
- 新ロワ乙です 自分も以前似たようなロワを構想しましたが挫折しました
頑張って下さい
- 630 :『俺リピーターロワ最終回』 ◆lYiZg.uHFE:2011/04/01(金) 21:27:47
- 【フェアリー・テールさんロワ】の主催を辞任して、責任をとらなくて済むと安堵してた私ですが、
そんな時に感電の神と名乗る、どう見ても某ラジオMCにしか見えない人にリピーターロワの主催に誘われたのです。
正直、主催のモチベーションが下がって辞任したわけですから断ろうかと思ったのですが、
パロロワオールスターが揃っているのにフェアリーテイルさんを呼ばないわけにはいかない、
なんて言われてしまえば断るわけにはいかなかったのです。
よくよく考えれば私は非リレーロワ初の完結ロワ主催者。
感電さんが私を誘うのも当然というものです。
それに創発板代表としてパロロワオールスターの中活躍すれば、もっともっと人気になれるはずです。
え、マルクさんと似たような理由ですって?
早速目的が被ってしまってちょっとショックです。
パロロワでは、似たようなキャラは殺されてしまう事が多いです。
私は勿論まだ死にたくありません。
ですから殺される前にマルクさんを殺してしまおうと思います。
パロロワとは斯くも無常なものなのです。
そう思っていたとき、ちょうどマルクさんが現れました。
これがいわゆるご都合主義ってやつです。
非リレーロワなのでそんな展開も思いのままです。
そんな訳で。
「あ、フェアリーテイルさん、リピーターロワ打ち切りにするのサ」
私がマルクさんを殺そうとした時、マルクさんはそう言いました。
これは予想外です。
どれだけ予想外というと、予想GUYが予想崖だった時くらいです。
ええ、あの崖鉄平さんです。
まあそれは兎も角、私のマルクさん殺害計画は未遂に終わったわけです。
なんでも、打ち切りの理由は
「作者が飽きたらしいのサ」
だそうです。
実も蓋もありません。
せめて作者の都合によりとか言ってほしかったです。
なんにせよ打ち切りのリピーターロワなんかには用はありません。
責任を取るのも、最高責任者の感電の神さんと現場責任者のマルクさんですので私は関係ありません。
ブーイングは彼等に言ってください。
というわけで、これにて俺リピーターロワイアルは見事に完結です。
作者さんの次回作にご期待ください。
めでたしめでたしどっとはらい。
「というのは真赤な嘘なのサ」
マルクはあなた達にそう言うと、してやったりといった顔で笑った。
「今日は4月1日なのサ」
その言葉にあなた達のうち何人かが、エイプリルフールかと納得した様子で呟く。
しかし他の数人は、やっぱりなと言った様子で呆れていた。
「え、騙されてない。それは残念なのサ」
マルクは口ではそう言いながらも満足げにしていた。
その様子にあなた達のうちの誰かが、なんでそんな顔をしているのかと問う。
「それはね、皆はあまり騙されなかったけど、フェアリー・テイルさんが面白いほどに引っ掛かったからなのサ」
マルクはその時の様子を思い出しているのか、口に羽をあてプククと笑っている。
だがそこに水を差すように一人の読み手が、でもフェアリー・テイルさん本当に帰っちゃいましたけどと口を挟んだ。
「あっ……、フェアリー・テイルさんには嘘だって言うの忘れたのサ!」
マルクは慌てるも、最早手遅れだった。
【フェアリー・テイルさん@フェアリー・テールさんロワ 主催確認及び生還確認】
★パロロワ一口メモ★
【フェアリー・テールさんロワ】
記念すべき非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ初の完結作品。
その最終回は主催が飽きて帰るというとんでもないブン投げであった。
ちなみにこのロワ自体が魔法少女軍事系おかわりの伏線だったとかそうでないとか。
- 631 : ◆lYiZg.uHFE:2011/04/01(金) 21:28:35
- 久しぶりに投下するのがこれってどういう事なの……
- 632 :名無しさん:2011/04/09(土) 22:55:19
- スイマセン。自己満足をするためのロワをダブって作成してしまいました。
超カオス〜と書いてない方のページの削除をお願いします。
- 633 : ◆VxAX.uhVsM:2011/04/09(土) 23:48:40
- 本スレ投下中のためこちらに投下。
DOL2ndおまけSS
beforestory1和歌山純太の甲子園
登場人物 和歌山純太、部員達
初psp執筆でさあ
- 634 :和歌山純太の甲子園 ◆VxAX.uhVsM:2011/04/09(土) 23:54:25
- 『甲子園優勝!!やりました××高校!!』
俺は優勝投手となった。
イチロー二世なんてあだ名ももらって、まさに野球街道爆進中だった。
そんな俺には、好きな子がいる。
野球部のマネージャーだった。
甲子園に優勝したら告白する。
そのためだけに努力して、優勝した。
明日、とうとう告白することになった。
楽しみで、怖くて、眠れなかった。
明日、頑張ろう。
俺は、暗い夢の中に引きずり込まれた。
- 635 : ◆VxAX.uhVsM:2011/04/09(土) 23:55:55
- 投下終了です。
死んだキャラの呼ばれる前の話をたまに書いていく予定です。
あと、モノクマ劇場も。
- 636 : ◆VxAX.uhVsM:2011/04/29(金) 13:10:51
- 規制されたショボーンなので投下終了宣言はこちらに。
誰か気づいて!
- 637 : ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 22:18:55
- 本スレで雑多ジャンルバトルロワイアルOPを投下したものです。
ホスト規制くらっちまったので、>>312からの続きをこちらに投下します。
- 638 : ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 22:20:47
- ※ ※
参加者が転移させられ、がらんとした空間に鳴海清隆は立つ。
「さて、それでは彼らが『彼女』の予想以上の成果を上げてくれることを期待しようか。
君たちのやり方では『エントロピーを凌駕する』と表現するのだったか?」
彼の背後で、その独白に答えるように、
赤い瞳が輝き、白いしっぽがふわりとひるがえった。
【竹内理緒@スパイラル〜推理の絆〜 死亡】
【ゲーム スタート】
【残り70人】
- 639 : ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 22:22:25
- 以上になります。
参加者名簿の参加作品の時点でばれてると思いますが、厨二趣味です。
続けて、1話目もこちらに投下させていただきます。
1時間くらいしたら投下します。
- 640 : ◆VxAX.uhVsM:2011/04/30(土) 22:28:24
- 新ロワ乙です。
名簿が結構好きなキャラが多い。
文も上手いですね…見習いたいです。
楽しみにしています。
- 641 : ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:23:48
- >>640
感想ありがとうございます
そして、新ロワの開催乙です。
(本当に早いですね!こちらこそ見習いたいです)
前回の生還者が今回の主催者に…何と言う負のスパイラル
では、さっそくですが1話目投下していきます
雑多ジャンルバトルロワイアル1話:意思持ち支給品は参加者を食わないように気をつけよう
登場キャラ:坂田銀時
- 642 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:25:23
- 「はぁ〜誰か新八くん呼んできてー。この状況、突っ込みどころが多すぎて銀さん一人じゃさばききれねーよー。
あのオッサンいい歳して厨二病ですか? “生き残り”とか“実験”とか“魔法”とか“運命”とか。
そういうのは万屋じゃなくて灰葉スミオくんとかアレン・ウォーカーさんに頼んでこい。
銀さんじゃ手に負えませ〜ん。毎回毎回、人情と主人公補正で何とか乗りきってる銀さんに何を期待してんだよ」
ひとつだけあった切り株の上に座り、坂田銀時はルールブックおよび名簿を熟読していた。
そして、とにかく突っ込みを入れる。不条理にぶつくさ異議を申し立てる。
それは、とにかく愚痴を全て吐き出してしまおうという浄化作用でもあり、また、彼が彼であることを保つ為に必要なことでもあった。まぁ、世界観的な意味で。
「大体なんだよこの名簿。『レッド』とか『L』とか明らかに名前っぽくないのはまだいいとして、『仮面の男』って何だよ。『師匠』って何だよ。
『名』簿の機能果たしてないよね。誰かの師匠をやってる人が、世の中に何百人いると思ってんだコラ」
こんな調子でしばらく突っ込みを続けていたが、ひとしきりしゃべり終えると、気持ちを切り替えるように肩をすくめた。
- 643 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:26:59
- 「こんだけ喋っても覚めないってことは……やっぱり夢じゃねーな。
だいいち、夢の中で女の子の首を吹き飛ばすほど銀さん精神を病んでないし
……なら、とりあえず動いてみるとしますか。新八や神楽もいるみてーだしな」
死んだ魚のような目に微かな光を宿すと、ディパックに名簿をしまって支給品を漁り始めた。
銀時の行動方針は、いつだって単純明快だ。
そこに守りたいものがあるなら動く。剣を抜く。
どんな非常識な場所だろうとも、それは変わらない。
「“魔法”とか使うオッサンが用意したんだから、なんかゴージャスな破壊兵器とか入ってねーかな。
『あなたの支給品はドラえもんです』みたいな…………いや、やっぱ期待すんのはやめとこ。
そうやってちょっと期待してるところを落とすのが銀魂ギャグのお約束だからな。うん、ここは謙虚にいこう。
ナイフでも何でも、とにかく武器の形をしたものが入ってりゃいいや」
ぶつくさ呟きながら、手応えのあったモノをむんずとつかみだし、
- 644 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:28:41
- 「何だ人間。ずいぶんとやかましい奴だな」
黒猫が出て来た。
一つめの支給品は、喋る猫だった。
黒猫はとても流暢にしゃべった。猫にしてはどすのきいた声だった。
「つまりツキくんは、名簿にいる月島亮史さんの猫で、月島亮史さんは吸血鬼で、ツキくんは化け猫だからしゃべれると」
黒猫の語ったことをオウムのように復唱する。
猫は頷いて、またしゃべった。
「何だ、理解が早いじゃないか、人間」
「いやー想像力はジャンプを読んで鍛えてますから……って、ねーよ! あの白スーツも、もうちょっと考えて支給品選べよ。
銀さんは今、わけ分からんこと言われて呪いだか魔法だかかけられて、殺し合いの中にとばされて、いっぱいいっぱいなの!
この上化け猫まで受け入れろってか。神さまだか知らねぇが人間の適応力には限界があるんだよ。
ジャンプ読んで鍛えられた漫画脳の銀さんでもこれは限界なの!」
- 645 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:30:10
- 「誰に言っている」
ツキは胡散臭そうな目で銀時を一瞥すると、参加者名簿を読んでいる。
話すだけでなく、字を読むこともできるらしい。読みながら、「おい、舞は真田に消されたはずだぞ?」とか何とか呟く。
「それより人間、支給品の確認をするんじゃなかったのか。ないとは思うが、万一モザイクやユキがいたりしたら面倒だ。開けてみろ」
やけに態度のでかい猫だ。
「へいへい」
銀時は、もう大抵のことには動じないだろうと思いつつ、それでも期待をこめてディパックをあらためる。
(頼むよ、今度は現実的な武器が来てくれよ。本当、三味線糸とかスプーンでいいから、現実にあるものが来てくれよ)
ディパックから重たい手応えとともに引きずり出されたのは
- 646 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:31:45
-
「ふぁー。よく寝た。あれ、おっちゃんだれ? キノはどこ?」
ピカピカの大きな車体に、二つの車輪。
二つめの支給品は――喋るバイクだった。
「つまりエルメスくんは、名簿にいるキノさんの愛車で、キノさんは旅人で、エルメスくんがしゃべるのは『おしゃべりだから』と」
「そうそう。ねえ、おっちゃんは二輪車の運転できる?
キノがいない以上、僕を運転してくれる人が必要なんだけど」
子どものように高い声で、バイクが返事をする。
さっきと同じような遣り取りだ。
「フン……バイクにしゃべらせるメリットが分からんな。うるさいだけだろうに」
「いやツキくん、もっと別のとこ突っ込もうよ。だってほら、おしゃべり以前に、口ないじゃん。
脳みそないじゃん。生き物ですらないじゃん……っていうかどういう構造してんだこのリュック! 四次元ポケットか!」
突っ込みながらも、銀時はとにかく三つめの支給品を求めてディパックを漁る。
とにかく、この驚き役のような作業を早く終わりにしたかった。
最後に手応えがあったのは、細い紐のようなものだった。
銀時は少しほっとする。
この小ささからして、きっとこれは外れ支給品に違いない。
よかった、まともな武器が出て来た……あれ? 今の文章、前後がおかしくね?
- 647 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:32:52
-
「Excuse me?」
女性の機械的な音声が聞こえた。
二度あることは三度……嫌な格言が、銀時の頭に浮かぶ。
出て来たのは、赤い宝石をぶらさげたペンダント。
「Do you know where is my master?」
三つめの支給品は――喋る宝石だった。
先ほどの『脳みそないじゃん』という突っ込みに、『それがどうした』と言い返された気がする。
「つまり、レイジングハートさんは魔法アイテムで、持ち主は名簿の高町なのはちゃんで、
なのはちゃんは魔法少女で、しゃべれるのは人工知能を搭載してるから、と」
「理解が早い方で助かります」
銀時は悟った。
もう、突っ込んだら負けだと思うことにしよう。
その方が精神衛生上いい。
- 648 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:34:05
- こうして、一人と一匹と一台と一機の情報交換が始まった。
「えーと皆さん? 俺はウチの従業員を探したいから言いたいことがあるなら手短に……」
「俺も主人を探している。しかしこの会場は妙だな。『感知』を使いにくい気がする」
「ちょっとー。ヒトの荷台に乗らないでほしいんですけどー?」
「荷台っていうのは乗せる為にあるんだろうが。
どのみちお前は俺の『足』として利用させてもらうぞ。俺もそれなりの速さで走れないことはないが、体力は温存したいからな」
「いやいやいや、このバイクは俺の支給品だから。利用するのは銀さんだから……」
「私も早急にマスターと合流しなければなりません。ミスター・エルメス、同行を願います」
「むっかー!猫のくせに態度がでかいぞ。猫がどんだけの速さで走れるっていうんだよ。
それに『バイク』じゃなくて『モトラド』だってば!」
「ひけらかすつもりはないが、俺はただの猫ではない。とはいえ、一方的に『借り』を作るのも無礼な話だな。
お前の主人もついでに探してやろう。使い魔たるもの、まずは己の主人を優先させてもらうがな」
- 649 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:34:49
- 「モトラドですか……ミスター・エルメスのご出身の次元世界の言語なのでしょうか」
「あのさ、銀さんに分かるように話してくれないかな。頼むから……」
「次元世界……キノが読んでた小説で聞いたことあるよ。“パワフルワールド”ってやつだね」
「ミスター・エルメス。それは“パラレルワールド”ですか?」
「そうそれ!」
「おいバイク、かなり苦しいぞその言い間違いは」
「ところでミスター・ツキ。その『感知』とは探索魔法のようなものですか?」
「『探索魔法』とやらの主旨は分からんが、『探索』を行う術に違いはないな。『魔法発動デバイス』ということは、お前も人探しに有効な術が――」
「いえ、私は乗り物と同じです。乗り手がいなければ――」
……主に、一匹と一台と一機の情報交換と化している。
銀時は強制的に話に割り込んだ。
「お前らいい加減に自重しろ!さっきからすごい台詞量だろうが。
こんなんじゃ他の参加者と会った時に余計カオスになんだろうが。それとも何か?
これは銀さんに当分ぼっちでいろってことなんですか!? 銀さんが誰とも会わずに空気になったらお前らのせいだからな!」
- 650 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:36:05
- 【C−5/森の中/真夜中】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康、精神的疲労
[装備]エルメス@キノの旅
レイジングハート@魔法少女リリカルなのは
ツキ@吸血鬼のおしごと
[道具]基本支給品一式
[思考]基本:殺し合いを何とかする
1.お前らうるさい……
2.新八、神楽を探す(土方は……まぁ、いないよりはマシか)
【ツキ@吸血鬼のおしごと】
吸血鬼、月島亮史の使い魔猫。ツキはあだ名で、真名は『三日月』。
『範囲よりも精度』に特化した感知能力を持つ。
百年の時を生きた化け猫なので、戦術戦略にもかなり通じており、戦闘経験も豊富。仲間の野良猫を救う為に保健所職員数人をフルボッコにしたほど。
ぶっちゃけ、下手な一般人参加者より強い。大丈夫かこんなん支給して。
【エルメス@キノの旅】
キノの相棒のモトラド(キノ世界でのバイク型の二輪車のこと)。
喋る理由は、「おしゃべりだから(by作者)」
【レイジングハート@魔法少女リリカルなのは】
ロワではお馴染みレイハ姐さん。
高町なのはのインテリジェントデバイス。(要するに、人工知能搭載の魔法の杖)
今回はシーリングモード(ペンダント)の形で支給。
- 651 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:37:50
- 以上です。
普通なら繋ぎにくい話ができるのも非リレーの良いところだと思う。
次の投下までには何日か空くと思います。
- 652 :意思持ち支給品は(ry ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:45:53
- ……時間帯「真夜中」はミスです
「深夜」に修正します
- 653 :名無しさん:2011/04/30(土) 23:47:29
- 投下乙であります!
銀さんの支給品は全部意思持ちかよwww
でもこれで寂しくならないね!やったね銀さん!
代理投下しておきましょうか?
- 654 : ◆8nn53GQqtY:2011/04/30(土) 23:54:29
- >>653
感想ありがとうございます。
そして代理投下お願いします。願ってもないことです。
- 655 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/04(水) 02:59:55
- すいませんが、本スレでやっぱり規制されたのでとりあえずこっちに投下します。
- 656 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/04(水) 03:00:36
-
4
マク・アヌについた。
とはいってもすることも無いので適当にエリアに向かおう。
そうだな。ここでいいか。
隠されし 禁断の 虚無
よし転送しよう。
そこには、とある男がいた。
【1日目/朝/隠されし 禁断の 虚無】
【戯言遣い@戯言シリーズ】
[状態]健康
[ステータス]
LV:10 HP:245/258 SP:47/47
ATK:32 DEF:36 SPD:14
[装備]スタンガン、対ロングレンジ用エプロンドレス@戯言シリーズ
[道具]支給品一式、いやしの水×5
[所持金]365
[思考]
基本:何もしない
1:こいつは…?
- 657 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/04(水) 03:01:28
- 以上。
やっぱり投下しすぎた。
反省。シュン
- 658 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:21:25
- 本スレが容量超えたのでこちらに投下します
本スレ>>584の続きからになります
- 659 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:21:58
-
+ + +
「魔法の刻印かー。ロープレにありがちだけど、これは現実なんだよね……」
泉こなたは、溜息をつきながら支給されたディパックの中身をごそごそ漁っていた。
首が爆発した少女とこなたはけっこう近い位置にいたが、生々しい肉の焦げる匂いと、すさまじい鉄の匂いがした。きっとあれがいわゆる『血の匂い』というやつなのだ。
「私はネットでグロ画像に飛んじゃったり、18禁ゲームしてるからちょっとは耐性あるけど、きっと純真無垢なゆーちゃんにはショックだろうなぁ……おりょ?」
指先に冷たい手応えを感じて、触ったものを握って引き抜く。
「うわぁ……」
出て来たのは、黒光りする銃身だった。
グリップの部分に紐付きで説明書がぶらさがっている。
【違法改造エアガン】
カノン・ヒルベルトの改造により、150気圧のエアで4グラムの鉛弾を秒速150mで発射することが可能。実銃には劣るが、当たり所が悪ければ致命傷になる。
「カノン・ヒルベルトって誰さ……?」
実銃ではない、という部分に何やら安心するものを感じるけれど、使いどころが難しい武器には違いない。何せ、泉こなたは銃を撃ったことなどないのだから。
それでも、身を守る手段に少しの頼もしさを覚え、こなたはバイ○ハザードなどでの見よう見まねでエアガンを構えてみせた。
真夜中の住宅街。
その四つ辻で、見えない闇の中に銃口を向けるセーラー服の少女。
「雰囲気だけはホラゲみたいだね。ここで蝙蝠の群れとかがばさばさばさっーて飛んできて、中ボス出現フラグが立ってさ……」
そんなことを想像していると、
ぱたぱたぱた
- 660 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:22:42
- その銃身の先に、小さな生き物が飛んできてとまった。
手のひらサイズの黒いそいつは、エアガンの上で器用にバランスを取る。
「わぁ、本当に蝙蝠だ。初めて見たよー」
蝙蝠は赤い瞳で恐れる気もなくこなたを見上げ、
きぃ、と鳴いた。
+ + +
手の甲に、赤く光る瞳がぎょろりとうごめいた。
指は羽根に。
手のひらは黒い体毛に。
たちまちの内に、右手は『蝙蝠』に変化し、腕から切り離されて一匹の生き物になった。
『蝙蝠』は夜の中をまっすぐ飛びたつ。
小さな翼をはためかせて、ぐんぐんと飛び去る。
ぐんぐんと高度を上げながら漆黒の空へと――
べしゃり
透明な壁にぶつかったように、『蝙蝠』が飛行を阻まれる。落下した。
「どうやら、そう遠くへは行けないようになってるみたいだ……」
すごすごと帰ってきた『蝙蝠』を右手に合体させ、亮史は内心で舌打ちをする。
「部分変換」で創り出した生き物の、動ける範囲が限られている。
「この調子だと、先に捜索に飛ばした『もう一羽』の方も、近くでへばってるかな」
四つ辻を曲がってみえなくなった『蝙蝠』を少し気遣いながら、亮史は目算で蝙蝠の飛距離を計る。
――おそらく、半径五十メートルが限度。それ以上は、亮史本体から離して動かせない。
千年余りの人生で、数多の化け物と戦って来た月島亮史にも、未知の枷だった。
『聖水』や『祝福を受けた道具』など、吸血鬼の力を奪う道具にも心当たりはあるし、能力を自在に使えない苦境で戦ったことも一度や二度ではない。
しかし、吸血鬼の『特定の能力にだけ』制限をする方法は、亮史の知る限り存在しなかった。
どういう仕掛けでこのような『制限』を施しているのかは分からない。
しかし、仕掛けを施した意図は理解できる。
知り合いとの合流を防ぐ為、だろう。
「最後の一人になるまで」というルールを課した以上、同盟を組む参加者が続出するのは好ましくないはずだ。
特に、知り合い同士を参加させるのなら合流を防ぐ措置を取ってもおかしくなないだろう。
現に月島亮史も、ここに呼ばれた三人の少女を捜索する為に、蝙蝠を飛ばそうとしたのだから。
- 661 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:23:32
- その内、二人は大事な『家族』であり、一人は愛憎半ばする『同族』だ。
『家族』の存在がなければ、亮史の頭には『優勝する』という選択もあっただろう。
千年もの間、数多くの人間や化け物を、殺害し、搾取し、血を吸って生き延びてきたのだ。どころか、先日の『組織』との戦いでも――苦い想いはしたが――数十人の吸血鬼部隊を単独で壊滅させた。
いまさら、たかだか数十人程度を殺すことに呵責を感じたりはしない。
しかし、レレナと舞もこの会場にいるとなれば、話は別だ。
――月島さん……あたしの、『家族』になってくれる?
幽霊少女、舞は亮史にそう言ってくれた。
――私も……私も、月島さんとは、別れたくありませんから。
半吸血鬼の少女、レレナは亮史にそう言ってくれた。
“人間”として里に降りてから何百年もたったが、“家庭”というものを実感できたのは、彼女たちといた間だけだ。
亮史に初めて“欲望”ではない“ぬくもり”をくれた二人。
彼女たちは、何としても守らねばならない。
数日前の、『組織』との戦いを亮史は思い出していた。
亮史が戦いにかまけている間にレレナが拉致されたと知った時、亮史の顔はゆがみ、胸は激しくきしんだ。自分で、自分の心臓を喰い破ってしまいたいと思ったほどに。
生まれて初めてのことだから分からないが、あれが“後悔”という感情なのかもしれない。
同じことを決して繰り返してはならない。
何よりも優先すべきは、レレナと舞の保護。
- 662 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:24:34
- 『蝙蝠』による捜索が不可能である以上、足を頼りに探すしかない。
それだけでなく、日が昇っている間は亮史も動きが取れないから、二人を見つけた後の『拠点』の確保も必要だろう――
きぃ
「案内ありがとう。こっちでいいんだね」
鳴き声と、少女の声が角を曲がって現れた。
鳴き声の主は、ぱたぱたと亮史の元へ飛んで来て、亮史の左手と同化した。
声の主は、それを見て目を丸くしている。
『蝙蝠』が、女の子を連れて来た。
青くて長い髪の、小学生ぐらいの少女だった。
『力』が感じられないから一般人なのだろう。
だとすると今の『変化』に動転しているに違いなく、亮史は対応に焦った。
舞に初めて『変化』を見せた時、すごくおっかなびっくりな反応をされたことを思い出す。
しかし少女は、予想に反して目を『きゅぴーん!』と輝かせていた。
そして亮史の傍にとことこ歩み寄り、言ったのだ。
「お兄さん……もしかして、クリーチャー?」
「はぁ……?」
無礼な問いかけだが、あながちハズレではなかった。
- 663 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:25:04
-
+ + +
「案内してくれるみたいに飛んでいくからね。これはクリーチャーフラグかとも思ったけど、小さくて可愛い感じだったから、むしろお助けキャラだろうと思って……まあ、昨今のアニメだとメタ要素強いから、マスコットっぽいからとって中身もそうだとは限らないんだけど」
少女の話はよく分からない部分もあったが、つまり蝙蝠が彼女に友好的だった為に、蝙蝠の後を追って来たらしい。
どう考えても怪しいだろう蝙蝠の後を追うとは、ずいぶんな度胸の持ち主だ。
泉こなたと名乗った。
友達と妹分もこの会場に呼ばれているので、一緒に探してほしいと頼まれた。
亮史は考える。
泉こなたと行動を共にするメリットはなかった。
亮史の目的はレレナ、舞との一刻も早い合流であり、戦力のない少女を抱え込むことは、どう考えてもデメリットが大きい。
けれど、亮史は“もし”を考えてしまった。
もし、“足手まとい”と判断した少女を見捨てて、その上で舞やレレナと合流したら――
――彼女たちの顔をまともに見ることができない。
そんな風に考えてしまった。
そして、『人間』なら、そう考えるはずだ、とも思った。
- 664 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:25:55
-
「ふむふむ。それじゃ、こなたくんが探しているのは、友達の柊かがみくんとつかさくん姉妹。それに従妹の小早川ゆたかくんと、その友達の岩崎みなみくんと田村ひよりくん。で、いいのかな?」
「そうだよ。特にゆーちゃんは身体が弱いから心配なんだ。月島さんが探してるのは、イタリア人ハーフのレレナちゃんと幽霊の舞ちゃん……それに、上弦っていう女の人と、ツルって女の子は危険なんだよね」
亮史が吸血鬼だということや、舞が幽霊だということも、こなたは――驚いたものの――あっさりと受け入れてしまった。
会ったばかりの頃のレレナや舞は“信じられない”という反応だったから、おそらくこなたの方が珍しいのだろう。
この手のタイプは初めてだ、と亮史は少々おののく。
「うん……上弦は僕と同じ吸血鬼で、ツルはその『使い魔』だよ。上弦は僕と違って……人間を獲物だと思っている。だから殺人にも躊躇はないだろう。危険なんだ」
「でも、月島さんと上弦さんって知り合いなんでしょ? 月島さんが頼んだら言うこと聞てくれたりはしないの?」
かつての『同族』を悪しざまにいうのは、以前なら気が引けただろう。
しかし、亮史は今の上弦が、――おそらく亮史に対する嫉妬から――レレナを拉致したことを知っている。彼の中で、既に上弦は『敵』になっていた。
「いや……僕とアイツは、価値観の相違から別れたんだ。……その、僕の方が一方的に切り出したから、アイツは僕に想うところがあるようだけれど……僕の言うことを聞くとは思えない。アイツは自分の方が正しいと思ってるから」
ぶっちゃけた話、上弦と亮史は知り合いどころか深い関係にあり、そして上弦は今でも亮史のことを想っていて、その為に今現在、舞とレレナに狂気に近い嫉妬を抱いている。だが、幼いこなたにそんなドロドロした話を聞かせるわけにもいかない。
- 665 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:26:55
- しかし、少なくとも上弦の方は亮史を探すだろう。そうなれば、こなたにも敵意を向けて来ることは必至だ。
「だから、僕がアイツの『力』――気配を感じたら、こなたくんは隠れていてほしい。僕と人間の女の子が一緒にいたら……上弦は何をしてくるか分からないから」
こなたはそれを聞いて、納得したようにうんうん頷いた。
「そっかー。もしかして上弦さんって“ヤンデレ”?」
「やんでれ?」
ぎゅぴーん、とこなたの瞳が輝いた、ように亮二には見えた。
長々と講釈を始めた。
「ヤンデレっていうのは、心が病んでるんじゃないかってぐらい依存心が強い女の子のことだよ。テンプレとしては「あなたがいないと生きていけないー」とか「あなたの為にやってるのに、どうして分かってくれないのー」とか。エロゲーやギャルゲーだと、必要以上に愛情表現やそっちの行為を求めてくるケースも多いね。あと、絶対に外せない特徴として、男の周りに他の女がいるのを見たら、絶対に切れる。お人形から鬼になるみたいに凶暴になるんだよ。その場合、男の方が鈍感だったり女性の扱いに慣れてないせいで、事態が悪化して暴力沙汰に発展することが多い。でもねー、わたし的にはやっぱりヤンデレよりツンデレの方が……」
最後の方は、聞こえていなかった。
こなたの観察力と洞察力に、亮史は驚嘆する。(よく分からない単語も混じっていたが、それは最近の子の『流行語』というやつなのだろう)
こんな年端もいかない少女に、上弦の人物像(吸血鬼像)や二人の関係を、たやすく看破されてしまうとは。
どうやら自分はまだまだ人間をなめていたらしい。
人間、恐るべし。
- 666 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:27:27
-
【F―7/住宅街/一日目真夜中】
【月島亮史@吸血鬼のおしごと】
[状態]健康、『力』を微消費
[装備]なし
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3(確認済み)
[思考]基本:ゲームには乗らない。レレナと舞を失うことに対する強い恐怖。
1.こなたくんと行動。
2.レレナくん、舞くんと何としても合流。並行して、こなたくんの友人も探す。
3.日中の陽射しを避けられるような拠点を確保する。
4.上弦、ツルは最大限に警戒。
※参戦時期は、5巻と6巻の間。
※こなたを、小学生ぐらいの年齢だと思っています。
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]健康、陵桜高校の制服
[装備]違法改造エアガン(残弾10/10)@スパイラル〜推理の絆〜
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜2(未確認)
[思考]1.吸血鬼って本当にいたんだー。
2・月島さんと行動。
3.かがみやつかさ、ゆーちゃん、岩崎さん、田村さんと合流したい。
※高校三年時からの参戦です。
※亮二とこなたの名簿には、以下の人物に丸がついています。
雪村舞、レレナ・パプリカ・ツォルドルフ、柊かがみ、柊つかさ、小早川ゆたか、岩崎みなみ、田村ひより
- 667 :The style of Otaku ◆8nn53GQqtY:2011/05/06(金) 21:28:06
- 投下終了です
当時は「ヤンデレ」という単語も無かったなぁ……
- 668 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/08(日) 20:40:50
- てす
- 669 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/08(日) 20:43:44
- やはりあなたは投下しすぎです。
とのことらしいのでこっちに投下。
- 670 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/08(日) 20:44:53
-
その叫びはもはや声ではなかった。雄叫びだ。
そしてさすがのエステルもその異変に警戒し棒術具を構える。
――――あとの2人はもうその叫びすら聞こえていないような反応だった。
しかしそんなことは悪魔には関係ない。
乙女3人に問答無用で襲いかかる!
「――――――――」
その標的は
――――森あい。
そして獣は走りだす。
「―――――――――――――――!」
「―!あい!危ない!」
と。
ここでようやくヒメコと森が意識を戻した。
が。
反応できなかった。
所詮ただの高校生と所詮まだまだ中学生。
こんな、魔物なんか初めてみて簡単に対応できるわけがなかった。
「――――――――――――――――――へ?」「―――――――――――――――え?」
気がつけば森の目の前に悪魔が立っていた。
「■■■■■■■■■!」
そして腕は振りかぶる。
が。
「どぉりゃああああああああああああ!!」
エステルが叫び、
悪魔は吹き飛んだ。
「金剛撃」。
「だ、大丈夫!?二人とも!」
「「うん…」」
二人の声が重なるが、
その声に元気がなかった。
そして再び悪魔が襲いかかる。
「■■■■■■■■■■!」
走る。
走る。
今度の標的はヒメコのようだ。
今度はしっかりと見ている。
- 671 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/08(日) 20:45:24
- 見ているだけ。
身体が動かない。
絶叫の一つもあげられない。
恐怖。
それは今までの日常からはどうやっても体験できないもの。
今の陣形はエステルと森が近くにいるが、ヒメコは少し遠い。
エステルは間に合いそうにない。
そして、悪魔が来る。今度は、邪魔されないようヒメコを盾にするように後ろに。
こんなところで、九澄の戦いの知識が悪魔にも表れた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
そして悪魔の腕がヒメコの胸を後ろから貫く。
そしてヒメコは考える。
なぜこんな目にあっているのか。
なぜ昨日までみんなと駄弁っていたのに
考えれば考えるほど分からない。
熱い熱い。自身の血液は燃えるように熱かった。
寒い寒い。自身の体温は凍えるように低かった。
赤い赤い。自身の血液は赤かった。
青い青い。自身の身体は青かった。
「―――なん、や、ねん。こ、れ…」
悪魔の手が引き抜かれる。
同時に血が吹き出る。
もちろん悪魔の身体にも当たる。
けれどそれを気にせず次の標的を見定める。
そしてその標的は…。
モンスター。
そしてそれを滅するべく悪魔は走りだした。
◇
2人になったエステルと森。
2人の間に言葉は無い。
エステル。彼女はヒメコを守れなかった自責の念で心が満たされた。
森。彼女はただただ今の現実に絶望しているだけ。それ以上もそれ以下も無かった。
ただ呆然と立ち尽くしていた。
- 672 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/08(日) 20:46:15
- 【鬼塚一愛@スケットダンス:ログアウト(死亡)】
【1日目/午前/隠されし 絶望の 聖域】
【九澄大賀@エム×ゼロ】
[状態]悪魔化
[ステータス]
LV:25 HP:327/551 SP:25/25
ATK:35 DEF:31 SPD:32
[装備]悪魔の手@化物語
[道具]
[所持金]
[思考]
基本:…
1:…
[備考]
※願いを皆殺しに変えました。(モンスターも含め)
※九澄の戦闘方法もできます。(本能のまますることが多いが)
【エステル・ブライト@空の軌跡】
[状態]健康、精神疲労(小)
[ステータス]
LV:6 HP:112/137 SP:65/84
ATK:9 DEF:9 SPD:8
[装備]棒術具
[道具]支給品一式、いやしの水×3
[所持金]69
[思考]
基本:主催者を倒す
1:…
【森あい@うえきの法則】
[状態]精神疲労(中)
[ステータス]
LV:6 HP:117/140 SP:62/62
ATK:7 DEF:10 SPD:9
[装備]鉄丸(飲み込み済み)@烈火の炎
[道具]支給品一式、いやしの水×3
[所持金]61
[思考]
基本:?
1:…
- 673 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/08(日) 20:47:00
- 以上。
いつも見にくくてごめんなさい。
本スレに投下できたらするかも
- 674 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/21(土) 21:58:07
- 本スレでさるさん食らったので>>392からの続きを投下します
- 675 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/21(土) 21:59:06
- 【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]健康、罪悪感、魔力消費(小)
[装備]バルディッシュ@魔法少女リリカルなのは
[道具]基本支給品一式×2、
『盾』のカード@カードキャプターさくら(六時間後まで使用不可)
『幻』のカード@カードキャプターさくら(六時間後まで使用不可)
[思考]基本:お母さんを助けるために殺し合いに乗る
1・???
※H−6の森が一瞬激しく照らされました。
※「リリカルなのは」9話、なのはとの決闘前からの参戦です。
※名簿の「高町なのは」の名前には気づいていません。
(なのはの名前をきちんと覚えていないため)
※クロウカードに関する制限……木ノ本桜以外の人物にも使用可能。
(カード自体の魔力で発動するため、一般人にも使用可能)
一回の発動時間は15分。一度使用すると、次の六時間までは使用不可。
攻撃を打ち破られた場合は、十二時間の間使用不可となる。
投下終了。色々と冒険した……。
CCさくらだけ魔法が一般人使用可能は不公平かとも思ったけど、
カードが支給品的にすごい便利だったんだ…
(ぶっちゃけ、カードと『鍵』と二つもさくらの手に揃えるのが不便(ry)
- 676 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/21(土) 23:23:11
- 同じくさるさん食らったのでこっちに
- 677 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/21(土) 23:24:22
- 【1日目/午前/隠されし 絶望の 聖域】
【岡崎朋也@CLANNAD】
[状態]精神疲労(中)
[ステータス]
LV:35 HP:419/701 SP:54/54
ATK:57(+5) DEF:58 SPD:42
[装備]日本刀@現実
[道具]支給品一式
[所持金]1708
[思考]
基本:杏と共に生き延びる
1:杏を守る
2:春原と智代をいい加減見つけたい
【藤林杏@CLANNAD】
LV:32 HP:351/650 SP:27/57
ATK:56 DEF:53 SPD:38
[装備]帝釈廻天@烈火の炎
辞書セット@不明
[道具]支給品一式、快速のタスマリン×1
[所持金]1098
[思考]
基本:朋也と共に生き延びる
1:―――幸せ
- 678 : ◆xzYb/YHTdI:2011/05/21(土) 23:25:24
- 以上。
詳しい気持ちはあまり載せませんでした。
まぁ勘弁してやってください。
あとヨシュア…ごめん
- 679 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:26:49
- さるさん食らったので本スレ>>472の続きをこちらに投下します
- 680 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:27:36
- 彼女の得体の知れなさや、ななせの知らないことを知っているという見透かした様子が、つい数日前から頻繁に届くようになった、メールの送り主を連想させた。
――心葉に近づくな。泥棒猫。
――お前は心葉のことを何も知らない。
――人のものを盗ろうとしたら呪われる
――呪われろ。
――呪われろ。
――呪われろ。
――呪われろ。
始まりはいつだったのだろう。
この間までは、森ちゃんと放課後にクレープを食べたり、夕歌とメールをしたり、井上と一緒に資料整理をしたり、そんな毎日だった。
そんな当たり前の、幸せな毎日だったはずだ。
それが、夕歌が行方不明になって、家は幽霊屋敷になったみたいに荒れ果てていて。
“ミウ”から呪いのメールが来るようになって、井上も何だか苦しい顔をするようになって。
夕歌を探したけれど、どこに行ったのか全然わからなくて、そうしたら、夕歌の家族が一家心中をしていたと聞かされて。
胸が押し潰されそうになって、気づけば家を飛び出し、夜の町をさまよっていた。
夕歌の家に向かっていた。
窓ガラスが破れ、電気もつかなくなり、お化け屋敷のようになった家でうずくまっていた。
謎の“天使”に連れて行かれた夕歌のこと。
“ファントム”から“呪われろ”というメールを送られたこと。
気がつけば、白いスーツの男に拉致されたこと。
“魔女の口づけ”がどうのと言われたこと。殺し合えと言われたこと。
頭を吹き飛ばされた女の子のこと。血まみれで人を殺したという少女のこと。
呪いを持っていると言ったその子のこと。
どこまでが夢で、どこからが現実なのだろう。
「井上、井上、井上っ……」
ここにいない、でもどこかにいる会いたい人の名前が、口をついて出ていた。
もしかして、あたしはとっくに現実の世界を踏み外していたんじゃないか。
踏み外してはいけない、危ない世界に落っこちていたんじゃないか。
だとしたら、帰る方法なんて――
「そこの人! 何があった?」
「きゃっ……!」
進行方向に、小柄な男が回り込んでななせの逃走を止めた。
- 681 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:28:39
-
ななせは突然の出現に驚き、その彼の頬に大きな刀傷があるのを見てさらに委縮する。
「すまない。怖がらせてしまった」
しかしその彼は、ななせの顔を見て慌てたように深々と謝罪した。
持っていた鋸のような形の刀を、二人の間の地面に置く。
ななせを斬るつもりはないし、ななせ自身がその刀で反撃しても構わないということだろうか。
刀と言えば、その格好もさっきの少女とは逆の意味で変だ。
まるで、時代劇の侍のような和装。
しかし、その逆ベクトルにおかしな格好が、かえってななせの動揺を鎮めるのに役立った。
彼はななせと目を合わせる。最初の印象よりずいぶん穏やかな、優しそうな顔になっていた。
「大丈夫だ。俺は相手が危険人物ではない限り、刀を向けたりしない。
だから、何があったのか、誰かから逃げていたのか、教えてほしい」
ななせを安心させるためにつくったぎこちない笑顔が、がんばって笑おうとする時、夕歌を探してくれると言った時の井上を連思い出させた。
ただでさえ、男子と話すのは苦手なのだ。
以前よりだいぶマシになったとはいえ、それでも一生懸命に話そうとするほど、言葉につまり、どもってしまう。
でも、それでも頑張って分かりやすく伝えなければいけない。
少なくともこの人は、本当にななせのことを心配してくれているのだから。
言葉は淡々として不器用なものだったけれど、ななせの話を辛抱強く、何も言わず待ってくれた。
そして、『呪いが使えると言われた』だの『誰か殺されたかもしれない』だのと要領を得ない話を、口をはさまずに聞いてくれた。
ななせ自身、どう説明していいのか分からないところもあった。
ここに来るまでのことと、ここに来てからのことで頭がごちゃごちゃになりそうで。
だから混乱を必死に抑えつけて、ぽつりぽつりと話した。
浜辺で、血みどろの外国人らしき銀髪の少女と出会ったこと。
彼女が、人を殺したと告白したこと。
ただならぬ感じから、つい逃げ出してしまったこと。
逃げた後で、少女の事情をきちんと聞かなかったと後悔していること。
「分かった。それなら、その人が本当に人を殺めたのかどうか、俺が行って確かめてこよう」
「でも……もしかしたら、本当に危険な人なのかもしれないし」
「大丈夫だ。こう見えて腕に自信はあるし、刀もある。
それに、武器を持たない君を襲わなかったというなら、武器を持った俺を攻撃する確率はなお低いだろう。
それでも一応用心は必要だし、話がこじれるかもしれないから、君にはここで待っていて欲しい」
「でも、逃げて来たのは私なのに、緋村を危険な場所に向かわせるなんて……」
少女のことを気にしているのはななせなのに、彼を危険かもしれない少女の元へ送り出すのは罪悪感があった。
それに、彼はよく見ればななせよりも年下ではないか。
「いいや、どっちみち殺し合いをするつもりがないなら、他者と接触して情報を得ることは重要になる。それに……」
少年は、穏やかな表情に少しだけ照れを混ぜた。
「それに、こう見えて結婚を約束した相手もいるんだ。俺はこんなところで死んだりはしない」
- 682 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:29:11
- 【2】
彼は、このふざけた殺人遊戯でいかに行動すべきかを考えていた。
彼はまず、見慣れぬ材質の荷籠から、支給された個別武器を取り出した。
「この刀は……奇剣、か?」
鋸のようないびつな刃の、長い刀だった。一般的な武士が身につける大刀よりも、ずっと長い。
刃には鋸のようにぎざぎざと牙が並んでいる。刀身は油らしきもので、一面にべとべとしていた。
彼には、その油の正体がすぐに分かった。
人の肉の油だ。
相当数の人の血を吸ってきたにも関わらず、その油をぬぐうことなくそのままにしている。
言わばそれは、人を斬ることを楽しむ為の刀。
「趣味の悪い刀だ」
しかし、命のやり取りが行われる場で刀の種類をどうこう言ってもいられない。
むしろ、人斬りを生業とする己に刀が支給されたのだから、運の良さを喜ぶべきなのだろう。
とはいえ、彼はその刀で殺し合いに乗るつもりはなかった。
今更、殺生をしてはならないなどとキレイごとを言うつもりはない。
既に、何十人殺してきただろうか。
両手には、とうに血の匂いが染みついている。
彼だけではない。
何らかの思想を持って動く志士なら誰もが、直接であれ間接であれ他者を蹴落とし、手を汚し、修羅を歩く覚悟を持って生きているだろう。
しかし、それは“次の時代をつくる”という大義あってこそ。
あの男は、己の欲求の為に無辜のばかり民を集めて『殺し合い』を主催しようというのだ。
彼が見知ってきた、どんな外道にも劣る振舞いだった。
ただ、彼には参加者を縛る『呪い』とやらに対抗するすべがなかった。
ならば彼はいかに振舞うべきか。
『呪い』に対抗できないならば、対抗できる力を持った者を探し、その人物に協力する。
彼は、そう考えた。
いくら何でも、『殺し合え』と命令されて『分かりました』と殺し合う者ばかりとは思えない。
必ず、仲間を集めて主催者に逆らおうとする者たちもいるはずだ。
現に、あの奇妙な空間には『清隆』と呼ばれた男に憎しみの目を向ける者たちもいた。
ならば、同じく対主催を掲げる者を、探し出して護る。
そして、その者たちを阻む者、殺し合いに乗った者を始末する。
障害をすかさず排除するような汚れ役は、人斬りにしかできないことであり、また、己のような人斬りができる唯一のことだろう。
彼の仕事は、ある維新志士直属の暗殺請け負い人だ。
- 683 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:30:07
- たとえ本意でなく戦う者でも、一人を殺すことで、他の数十人を助けられるなら。
その大義を通す為なら、彼には手を汚す覚悟があった。
「井上、井上、井上っ」
悲鳴のような呼び声に、彼は左前方を注視した。
見慣れぬ洋装の少女が、一心不乱に走ってくる。
闇の中で、躓いて転びかけた。
どうやら、状況も把握できずに、何かから文字通りやみくもに逃げているらしい。
となると、誰かに襲われた可能性もある。見捨ててはおけない。
「そこの人! 何があった?」
「きゃっ……!」
少女の顔が青ざめるのを見て、突然に呼びとめたのは失敗だと悟る。
服装こそ奇妙な洋装だが、命のやり取りなどしたことのなさそうな、市井の少女に見えた。
こんな状況で刀を持った男に呼び止められたら、動揺して当然だ。
彼は、今の仕事に就いてから染みついた冷たい表情を捨てるよう努力する。
「すまない。怖がらせてしまった」
先ほどまでの『人斬り』としての思考を切り替え、なるべく穏やかに話しかけた。
【5】
「茶髪の少女から聞いた。君が、既に人ひとり殺したという話は本当か?」
「……はい、殺しましたわ」
浜辺にいたその女は、驚くほど素直に彼の問いに答えた。
虚ろな瞳は、この国ではまず見られない紫色をしている。
血まみれのドレスを着た、銀の髪と紫の瞳を持つ少女。
ななせという少女の言と一致している。
(銀髪とは聞いていたが、やはり異人、か……)
そしてその隣には、異常を通し越して奇矯な扮装をした蝶々仮面。
こちらは、少女とは違う意味で異質すぎて、逆にどう話しかけたものか困る。
異人、という点も彼の対応を困らせていた。
外交に関しては全く門外漢の彼だが、所属する本来の思想は――少なくともこの元治元年の夏の時点では――尊王攘夷、すなわち外国人の排斥派だ。
しかし、いくら何でも人種で人に偏見を持つほど頑迷ではない。
ましてや、このような『実験』の場で、国籍の違いを理由に争うなど愚かの極みだということも承知している。
問題は、彼がそういった――舶来の文物に関する知識を、全く持たないということだ。
主催者が言っていた“呪い”にしても、どこかの国にそういう超常の術が存在するのではないかと、半ば本気で想ってしまうほどだ。
しかしそのように超常の術を受け入れてしまうと、少女の示すものは何ら判断材料として使えなくなってしまう。
見た限りでは、ななせという少女が言っていたほど危険そうではないし、むしろ戦意を喪失しているようにも見える。
しかしそれは演技なのか、それとも彼女の危険性が戦意とは関係のないところにあるのか、あるいは演技をごまかす術でも存在するのではないか。
色々なことに疑い深くなり、己の判断力や殺気を感じる力に自信が持てなくなる。
ましてや、彼はほんの数日前まで、どこに密偵が紛れ込んでもおかしくない長州藩士の隠れ家で生活していた。
なまじ、世の中には驚くほど巧みな『演技力』を持つ人間がいると知っているだけに、迷ってしまう。
それが、ななせと話した時とうって変わり、目つきを鋭く剣呑にした原因だった。
- 684 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:30:40
- 「君は、襲われてそうなったのか? それとも、積極的に誰かを襲ってそうなったのか?」
もし彼が「君には殺意があったのか?」と聞いていたのなら、彼女は即座に「いいえ」と否定していただろう。
しかし彼はそう聞かなかった。
だから、その言葉は弓子を責める言葉になった。
あの時、姉原美鎖は危険だから帰ってほしいと言った。
その警告を無視して、邪魔をするなら力づくでもと喧嘩を仕掛けたのは弓子の方だ。
あの事故を生んだ原因は弓子にある。彼女は、そう考えた。
「平和的に近づいてきた相手を襲った結果、殺してしまいました。加害者はわたくしです」
「では、これからも人を殺すと言ったことは本当か?」
もしここで彼が、「君は殺し合いに乗っているのか?」と聞いていれば、彼の誤解は解けていたかもしれない。
だが、彼はそう聞かなかった。
「はい――」
だから弓子は肯定をして、
「ちょっと待て。女と先に話していた俺を無視して、勝手に会話を始めるとはどういうことだ」
蝶々仮面の男が、弓子を庇うようにして二人の間に立った。
「そもそも、さっきからなんだお前は。人にものを尋ねる時は、自分から名乗るということを知らないのか?」
せっかくのお節介を邪魔されたことから、パピヨンは不機嫌に割り込んだ。
せっかく女をパピヨンのペースに持ち込もうとしていたのに、剣呑な態度で水を差されたという苛立ちもある。
「俺は緋村……剣心。一介の浪人だ」
彼は、噂で知られた通り名ではなく、本名を名乗った。
たとえ非常時とはいえ、世間に秘匿されている『人斬り』だということを、ここで名乗るわけにはいかないと判断したためだ。
パピヨンはその『浪人』という時代錯誤な言葉と、同じく時代錯誤な衣装に眉をひそめたものの、
「嘘だな……お前のその眼は、とても『一介の』存在には見えない」
ひとまず、当面の危険性について言及した。
「『殺すと決めた者は全て殺す』という眼だ。おそらく、過去に複数の人間を殺傷したことがあるだろう。
似たような眼をした女を知っているから、分かる」
そう、その荒んだ人相が、どこかのブチ撒け女の、最も荒れていた時期と酷似していた。それも、パピヨンの警戒度を上げていた理由のひとつ。
- 685 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:31:20
- 「確かに、人を殺したことがある。しかし、この殺し合いに乗るつもりはない。
それに、故あってこの身の正体を明かすわけにはいかない」
彼一人だけの秘密ならともかく、身元を明かす行為は雇い主である桂小五郎一派の身をも危うくする行為だ。
彼にとっては、己の生存率を下げてでも、守らねばならない機密だ。
「己には語れないほど後ろぐらいところがあるのに、この女は人を殺したから危険だと言う。筋が通らないな。
そもそも俺が見た限り、この女は人を襲うようには見えないが……」
銀髪の女は、どう見ても戦意を喪失している。
にも関わらず赤毛の侍は、過剰な警戒を抱き、殺意すらにおわせている。
あまりに過敏な対応だと言わざるをえない。
別に、パピヨンは眼の前で困っている人間を放っておけないというお人好しではない。
しかし、明らかな愚行を行っており、それを愚行と気づけない赤毛の男にはイライラした。この手の頭が悪い人種とは、いまいち剃りが合わない。
そしてどうやら、今の女には自衛の意思がない。
誤解があると理解できないわけではないだろうに、何も言えないでいる。
思考と対応が追いつけていないのだ。
パピヨンが間に入らなければ、そのまま赤毛の侍に切り捨てられかねない萎れようだ。
「それに、この女から“呪い”の情報を得ようとしていたのは俺だ。
もしお前が女の返答次第で刀を振るうようなら、見過ごしてはおけないな」
女が立ち直ったら、その時はたっぷりと借りを返してもらうことにしよう。
勝手にそう決めて、パピヨンは女に味方することにした。
「その女はまた人を殺めるかもしれないと言っている。
ことと次第によっては、犠牲者が出る可能性もある。それを看過はできない。
お前がどんな情報目当てかは知らないが、まずは事実をはっきりさせる方が先だ」
「この女が誰を殺すかなど、俺にはどうでもいい。
少なくとも俺の知り合いは、こいつに殺されるほど弱くはないだろうしな。
俺は欲しいものを得る為に、生かしたい奴を生かしておくだけさ」
パピヨンの言葉のどこかが気に障ったらしい。
氷のような殺気が一段と濃くなり、赤毛の侍は声を低くした。
「俺の周りにいる人たちは皆……敵でも味方でも、大義の為、人の為に、正義だと思うことをしようとしている」
そう言えば、この少年にも、顔に『ひと筋の』傷がある。
それが、険のある目つきをより凶暴に見せていた。
どおりで、すぐにぶち撒け女を連想したはずだ。
「けど、お前にはそれがない。あるのは己の欲望を満たすこと。
それで犠牲が出ても知ったことじゃないというその態度が、気に入らない」
- 686 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:32:13
- ……どうやら、この侍とパピヨンは本当に相性が悪いらしい。
『大義』の為ならば殺人も為そうとする、その正義。
偽善を『偽善と呼ばれる行為』だと自覚していないだけ、どこかの偽善者よりもよほどタチが悪い。
「そうだな、俺もお前のように、問答無用の類は苦手だ」
少年の挙動を警戒しつつ、長い鉄棒を準備運動のようにくるくると弄ぶ。
(――手加減に失敗しても怒るなよ。何せ戦闘は久しぶりなんだ)
パピヨンを責めるような顔をした、頭の中の武藤カズキに言いわけした。
琴吹ななせは、少年の安否を気に掛けながらも、彼の言葉通りに待っていた。
一ノ瀬弓子クリスティーナは、己を庇おうとする蝶々仮面の男に、戸惑っていた。
パピヨンは、気に入らない女を赤毛の侍から庇っていた。
緋村剣心こと『人斬り抜刀斎』は、銀髪の女が処断対象になるのかどうか、その判断を迷っていた。
こうして深夜の渚で、人斬りと人食いが対峙することになった。
【H−2/浜辺/深夜】
【緋村剣心@るろうに剣心】
[装備]無限刃@るろうに剣心
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2(未確認)
[思考]基本・暗殺者、緋村抜刀斎として、対主催の邪魔になる者を始末する
1・目の前の仮面の男と、血まみれの女性を……斬る?
2・ゲームには乗らないが、襲われたら容赦しない。
3・ゲームを打倒して、京都に帰る。
※参戦時期は抜刀斎時代、禁門の変の直後です。
※無限刃の発火機能に気づいていません。
※蝶々仮面の男(と、あるいは銀髪の少女)を危険人物だと認識しました。
【蝶野攻爵@武装錬金】
[状態]健康
[装備]先端に輪のついた鉄棒@吸血鬼のおしごと
[道具]基本支給品一式
大五郎@テニスの王子様
携帯電話(withジオイドのコード)@よくわかる現代魔法
[思考]基本:殺人に躊躇はないが主催者は気に入らない
1・「魔法」の知識を得る為に目の前の少女を保護
2・なんだこの赤毛は……
3・武藤カズキ、津村斗貴子と合流したい
4・ニアデスハピネスを探したい
※ピリオド終了後からの参戦です
※目の前の男は、殺し合いにのっているかはともかく危険人物だと認識しました。
- 687 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:32:56
-
【一ノ瀬弓子クリスティーナ@よくわかる現代魔法】
[状態]健康、血まみれ、
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
[思考]基本・元の世界で姉原美鎖の無事を確認したい。でもどうしたら…
1・目の前のやり取りに茫然
2・こよみ、嘉穂に会わす顔がない…
※姉原美鎖を誤殺した(と思い込んだ)直後からの参戦です。
【H−2/防砂林の中/深夜】
【琴吹ななせ@“文学少女”シリーズ】
[状態]健康、不安
[装備]聖条高校の制服
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
[思考]基本・殺し合いはしたくない
1・緋村が心配だけれど、ひとまず信じて待つ。
2・井上……
【先端に輪っかのついた鉄棒@吸血鬼のおしごと】
月島亮史が学校を舞台にした攻防戦で、宿直室から拝借して武器にした鉄棒。
作者によると、『バスケットゴールを出し入れする道具(みなさんの学校にもあると思いますよ)』らしい。
【大五郎@テニスの王子様】
菊丸英二のテディベア。すわりが悪く、よく倒れる。
器物でしかもモブなのに、人気投票で50票も獲得した熊。
【ジオイドのコード@よくわかる現代魔法】
支配下にいる物体に影響するジオイド面を傾ける魔法。
ようするに、その場にいる全員が急な坂道にいる状態になる。
作中では、自分自身に使用して加速に用いたり、敵に使用して転倒させるなどした。
【無限刃@るろうに剣心】
志々雄真実の愛刀。
刀身に塗り込められた人の油が、刀を振るった時の摩擦熱で発火して『焔玉』を生みだす。
他にも、志々雄の包帯に仕込んだ火薬で誘爆を起こさせる『紅蓮腕』、
刀身全体を燃え上がらせて炎の竜巻を創り出す『火産霊神』という奥義がある。
- 688 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/24(火) 22:34:26
- 投下終了です
分かりにくかったかもしれませんが、時間的には
起こった順番【1】→【2】→【3】→【4】→【5】→【6】です
いくら何でも時期が酷過ぎたかもしれない……すまぬ
- 689 :名無しさん:2011/05/26(木) 02:13:33
- 投下乙
果たして弓子ちゃんに救いは訪れるのか、ええい、こよみは何処にいる!?
やばい刀をゲットした剣心にトリックスターなパピヨンの動向も期待
- 690 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/27(金) 22:28:00
- 規制中につき。
自己満足オリロワ第四話:胡蝶の少女
登場:長谷川慶、関川智、宮本葉月
- 691 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/27(金) 22:42:59
- 「なぁ、いいだろ?一発くらいヤらせろって」
「……はっ、はっ…嫌、よ。貴方みたいな獣になんか」
a-2エリアのデパートにおいて、追いかけっこが行われていた。
追うのは連続強姦魔、長谷川慶。
静脈注射系の麻薬を服用し、体質により目は充血して真っ赤、という明らかな『異常者』。
警察からはまさに獣のような運動神経で逃げ続けてきた、最悪の性犯罪者。
しかし彼は愚かだった。
悪漢に追われる脆弱な少女。『仁義』の男が、それを見逃せるわけはなかった。
「ーーー兄ちゃん。そんくらいにしとけや」
金髪に僅かな髭を生やした、ダンディズム漂う男。
引き締まった肉体に不敵な笑み。
『見せしめ』の組織における本来の組長候補、関川智。
ーーーーー『鎖のサトシ』と呼ばれた男を、本気にさせてしまったのだ。
「男に興味はねえ!死n」
ベキャッ。
長谷川の顔面に智の拳が炸裂し、勢いよく吹き飛んだ。
「…あのよぉ。俺がやめとけって言ったらもう命令だ。年上の言うことは聞け」
はあ、とため息をつく智は、追われていた少女、宮本葉月の方を見るーーー
と、葉月の姿はどこにもなかった。
「怖がらせちまったかな…」
彼は知らない。
- 692 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/27(金) 22:59:13
- 宮本葉月は、生きながらにして妖の境地にたどり着いた怪物なのだと。
◆
「………ごめんなさい」
葉月は、そっと呟く。
彼女は殺し合いを盛り上げるサクラーーージョーカーなのだ。
人質は彼女の唯一の肉親の弟。
葉月の周りには、彼女が妖怪となったゆえんの物体ーー「死神胡蝶」がひらひらと舞っている。
触れたものに一撃で致命傷を負わせてしまう最強の能力。
【一日目/深夜/a-2】
【宮本葉月】
[状態]健康
[装備]“死神胡蝶”
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:ジョーカーとして行動する。
【関川智】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:主催者をぶっ殺したい
1:弱者を守る
【長谷川慶】
[状態]気絶
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:女を手当たり次第に犯す。
1:………
【宮本葉月】
人の身にして妖怪となった17歳の少女。
モットーは純潔で、最愛の弟がいる
【関川智】
××組の組長候補筆頭。
圧倒的かつ仁義に乗っ取った戦いを行い、通り名は『鎖のサトシ』
【長谷川慶】
巷を騒がせている連続強姦魔で、前述の通り異常者。
もっとも麻薬をやる前から強姦魔
- 693 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/27(金) 23:00:13
- 投下完了
- 694 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/27(金) 23:15:17
- 本スレ>>532からの続き投下します。
右手から流れ込んだ奔流は、こよみの左手からほとばしった。
それは光の羅列。
0と1を描く数字が細い糸状に連なり、指先からほとばしる。
羅列のラインは空中へと放たれ、空中に溶け、そして――
「……ほへ?」
オオワシの変化が解けた。
音もなく、何の溜めもなく、時間にすれば一秒もかからず、
ツルは本来の形態――小さな子狐――の姿に戻る。
「え?」
「あ、あれ?」
こよみもリョーマも、流石にその姿は想像していなかったらしく、揃って困惑の表情を浮かべる。
問い、この状況で、オオワシが狐の姿になったら、その後はどうなりますか?
越前リョーマの回答……そりゃ落ちるでしょ。
森下こよみの回答……落ちます、よね。も、もしかしてやり過ぎましたか? ごめんなさいっ。
ツルの回答……え? ………………えぇ?
重力にひっぱられ、変化の解けたツルの体はそのまま落下を開始した。
しかし、ツルとて齢数百歳の化け狐。緊急時の対処を知らないわけではない。
(落ちる!? ……どうにかして着地! 着地を!)
唐突な変化の解除にも思考を切り替えてみせ、せめて岩肌につかまろうと着地に備えた姿勢を取った。
しかし、『それ』は無慈悲に、ツルの真上で煌めいた。
変化の解除とほぼ同時、何の先触れもなく出現した『それ』は、空中で優雅に一回転。
満月に照らされて、きらりと光の弧を描く。
そして、等加速運動にのっとってそれは降下を始める。
すなわち、空中で足掻くツルの頭上に、落下。
ツルの視界が、『それ』の影で暗くなる。
「へっ――」
がごっ
それは、金だらいだった。
大きさはひとかかえほど。深さは小さめのビニールプールほど。
中に大根を丸ごと入れて、じゃぶじゃぶと洗えそうな立派な金だらいだ。
何故かツルの頭上に出現した立派な金だらいが、その脳天を直撃した。
- 695 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/27(金) 23:15:55
- それが、とどめになった。
気絶したツルの体は金だらいと共に、夜の海へと吸い込まれていった。
二つの水音が、ほぼ一つの音に重なって響く。
【G−1/海上/一日目深夜】
【ツル@吸血鬼のおしごと】
[状態]狐形態、頭に大きなコブ、気絶、金たらいの上、海上漂流中
[装備]なし
[道具]支給品一式(一緒に海に落ちました)、不明支給品1〜3(確認済み)
金たらい(六時間ほどで消滅します)@現地調達
[思考]基本:上様(上弦)を優勝させる
1・気絶中
2・上様を優勝させる為に皆殺し
謎の変身少女とか、プリンの技とか、疑問は多かったけれど、とにかく危機は回避された。
そのことを理解して、こよみとプリンと少年は深々と溜息。
二人並んで、岩壁にもたれて座る。
「何、あれ……?」
少年が尋ねる。
「よく分からないけど……落ちてきて、襲ってきたの。
あ、でも下の方でコードが動いてるから、まだ生きてると思う」
「コードって何……?」
「コードっていうのは……えっと、魔法の素、みたいな。本当はコンピュータのプログラムなんだけど……あれ? コードの方が先にある呼び方だったっけ……」
「……やっぱり、いい。今、一気に言われてもたぶん余裕ないから」
「あ、うん……えっと。さっきはプリンを助けてくれてありがとう。それから、落ちそうになった時も……」
「別に。何となく手が出ただけだから……」
「うん」
「ないと思うけど一応聞いとく。あんたは、殺し合いに乗ってないんだよね……」
「うん……あ、そうだ。わたし、森下こよみ」
「越前リョーマ」
「リョーマくんだね。あっちはプリン」
「あの風船みたいなのが?」
「……うん。風船みたいになっちゃったのが」
プリンの体が、ふよふよと浮いていた。
その丸い身体が、アドバルーンのように膨らんでいる。
- 696 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/27(金) 23:16:26
- その丸い瞳に微かに得意げな色を浮かべて、プリンはその短い手で己のふくらんだ体をぺしぺしと叩いた。
「乗れって言ってるのかな?」
「他のことを言ってるようには見えないけど」
「乗れるのかな? どうしよう……」
「乗りたくないなら、自力で登るしかないけど」
「だ、ダメ。それはダメ。崖なんて登ったことないもん。
っていうか、登ったことある人なんてなかなかいないよ。
山岳部とかロッククライミング部とかの人ぐらいだよ」
こよみがそう言うと、リョーマは奇妙な反応をした。
気まずそうに目を逸らし、ぐい、と帽子をずらして、表情を隠す。
こよみは、もしかして、と察する。
(あるんだ……きっと、ロッククライミングとかぜんぜん関係ない理由で崖を登ったことが、あるんだ……)
【F−1/崖の中腹/一日目深夜】
【越前リョーマ@テニスの王子様】
[状態]健康、疲労(小)
[装備]ハバネロ水入りウォーターガン@よくわかる現代魔法
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜2(確認済み)
[思考]基本・どうにかして元の世界に帰る
1・プリンに乗って崖の上へ
2・この場からできるだけ離れる。
3・部長、不二先輩、菊丸先輩と合流したい。
【森下こよみ@よくわかる現代魔法】
[状態]健康、白華女子高校の制服、疲労(小)
[装備]プリン@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2(未確認)
プリンのモンスターボール
[思考]基本・殺し合いには乗らない
1・プリンに乗って崖の上へ
2・この場からできるだけ離れる。
3・嘉穂ちゃん、弓子ちゃん、聡史郎さんと合流
※高校二年生時点からの参戦です。
【ブルーのプリン@ポケットモンスターSPECIAL】
ブルーの手持ちレギュラーの一匹。ニックネームは“ぷりり”。
原作中で確認された技は“うたう”“かなしばり”“トライアタック”“おうふくびんた”“すてみタックル”“まるくなる”。
身体を風船のように膨らませることで気球のように空を飛んだり(人間三人を体の上に乗せて飛べるほどでかくなる)
追手がやってくる通路をふさいだりと随所で活躍。
というか、ポケモンバトルでの活躍より、風船として活躍している時の方が多(ry
- 697 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/27(金) 23:17:07
- 投下終了です
投下中に気づいた……ジャンプSQ主人公コンビだ
- 698 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 20:35:06
- 規制…またこちらで
自己満足オリロワ第五話:時計塔の罪人
登場:賀茂雅史、星川良太、小池千夏、荒井千秋
- 699 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 20:51:17
- 【ある日の英国新聞より抜粋】
英国全土で147人もの犠牲者を出した連続殺人鬼がついに逮捕された。
犯人は東洋人の男、賀茂雅史。
凶器はその場にあるものを用いる傾向が強く、刀や鈍器はもちろんのこと、シャー芯ケースで目を引き裂いたなどの事例もある。
罪人は現在幽閉中だが、一週間後に絞首刑が確定している。
尚、幽閉、処刑場所は非公開とされている。
◎
「ーーーーー」
沈黙の中を、最悪の連続殺人鬼、賀茂雅史は歩き続けていた。
右手に握っているのは、かなりの業物と見受けられる、鈍い光沢を放つ日本刀。普通なら扱いにくいが、賀茂には扱いなれた代物である。
素振りなどしないし、型も存在しない我流の剣技はどこか美しく、雅であった。
賀茂にとっては、刀もアルミ缶も、輪ゴムなどさえ等しく殺人を円滑かつ確実に実行するためのモノ。
扱いやすいかなどはすでに問題外である。
「ーーーーー」
バァン!と破裂音がした。
賀茂が視線を向けた先には、デザートイーグルを構え、泣いている少年であった。
今ゲーム最年少参加者、星川良太。
12歳にして、血まみれの遊技に招かれた少年に正常な思考の維持は不可能であった。
- 700 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 21:02:36
- ーーーーーしかし
良太は眉を顰める。何故なら、銃撃した賀茂が倒れないだけでなく、傷一つ負っていなかったからだ。
賀茂雅史は、人間の動体視力でどうにもならない弾丸を、刀を適当に振って斬った。
良太には、まったく意味が理解できなかった。
理解できないうちに、賀茂の刃が良太の首に迫っていた。
「ぁ、やばーーーー!?」
スパッ、ことん。
星川良太少年の首が、一撃で斬りとばされた。賀茂に飛沫が浴びせられるが、賀茂は顔色一つ変えず、ただデザートイーグルを拾う。
良太の死体には目もくれず、賀茂は人を探して歩きだした。
【星川良太】 死亡
【残り27/29人】
【一日目/深夜/a-2】
【賀茂雅史】
[状態]返り血(大)
[装備]日本刀
[所持品]デザートイーグル、不明1
[思考・行動]
基本:殺人衝動のままに行動する。
1:武器を集めたい
※星川良太の死体が放置されています
- 701 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 21:18:45
- それから数分後。
「千夏ちゃん…見ちゃ駄目よ…」
「うっ…こんなの、ひどい…」
保険医、荒井千秋は、彼女の担当する中学校の生徒、小池千夏と行動していた。
千夏は不登校生であったが、近頃保険室登校を始めたこともあり、千秋は彼女を守り、助けようと決めていた。
ーーー千夏ちゃんは私が守る。
ーーー千夏ちゃんの為になら、誰だって*してやる。
荒井千秋は、支給品のバタフライナイフを握りしめた。
【荒井千秋】
[状態]健康
[装備]バタフライナイフ
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:小池千夏を守り抜く。
【小池千夏】
[状態]精神的ダメージ(大)
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:殺したくない。
1:千秋先生のそばにいる。
【賀茂雅史】
イギリスにて147人を殺めた連続殺人鬼。英国警察に逮捕され、処刑が決まっている。
異常な身体能力を持つが、殺人のみにしか使わない。
空虚な性格で、「ーーーーー」としか喋らない。
【星川良太】
最年少参加者で、ゲーム好きな小学生。
逆境や困難に滅法弱く、支離滅裂な言動をとってしまう。
【荒井千秋】
中学校の保険医で、とても生徒思い。
- 702 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 21:21:07
- 実は執刀できる資格を持っており、医者にも転職できる。
【小池千夏】
14歳。髪の毛を三つ編みでまとめた小柄な少女。
不登校生であったが、荒井千秋との出会いから変わっていった。
投下終了
- 703 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 22:02:37
- 投下します
自己満足オリロワ第六話:ざわ…ざわ…した結果がこれだよ!
登場:大岩大祐、小野知加子
- 704 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 22:18:21
- ざわ……ざわ……
俺、大岩大祐の頭の中に響く声っ…危険っ…殺し合いに乗るか…否か…
「ちくしょうっ…どうすりゃい」
ばらららららっ。
某福本作品をパロったことに対する天よりの制裁だろうか、大岩の頭は吹き飛び、ぴくりとも動かなかった。
背後に立っていたのは、30代半ばの美しいというよりはどこか艶やかな女性であった。
日本の芸能界での超有名人、小野知加子。名演技とその人柄、さらに要領の良さを生かして、大物女優となった。
しかし、裏では麻薬の密売を行い金を稼ぐ、まさに『悪女』。
もっともそれだけではない。彼女の肉体にとりつく悪魔『色欲のアスモデウス』により人ならざる誘惑の力を得た愚者。
すべて騙して、生き残る。
【大岩大祐】 死亡
【残り26/29人】
【一日目/深夜/a-1】
【小野知加子】
[状態]健康
[装備]イングラムM12
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:生き残りたい。
1:男は誘惑して、油断させ殺す
【小野知加子】
大物女優。だが実は長谷川慶らに麻薬を売る密売人。
大罪の悪魔「色欲のアスモデウス」に見入られたことから、男性を手中に納める誘惑を可能とした。
- 705 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 22:19:59
- 【大岩大祐】
21歳の福本マンガオタ。
デスクワーク技術が非常に優秀
投下終了
- 706 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 23:37:50
- 自己満足オリロワ第七話:悪魔を視る少女
登場:二条直哉、木下志保
- 707 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/28(土) 23:50:24
- 怠惰の悪魔、『怠惰のベルフェゴール』の取り付く少女は、とある特殊な力をその瞳に宿していた。
ーーーー悪魔を”視”る能力。
それが、木下志保に与えられた定めである。
始まりは二年前の夏。あの日は梅雨の真っ直中で、ものすごく蒸し暑い日であった。
木下志保の父は、漁師であった。
厳しくも優しい、最高の父。母が若年で病死したため、男手ひとつで立派に志保を育ててきた。
しかし、梅雨の大雨の中、漁に出たきり父は帰ってこなかった。
海に転落しての溺死。
志保にとって、理解できないことだった。あの屈強な父が、死んだ?
その日以降、志保は同じくして漁に出て帰還した叔父に引き取られた。
優しく志保を慰めてくれる優しい人だったーーーはず。
『あんな厄介者殺して保険金か!あーいい気分だ!』
酒に酔った叔父は確かにそう言った。
気がつけば、叔父の肉体はめちゃくちゃにつぶされていた。
『力、欲する也か』
黒い人型の物体、怠惰の悪魔。
『……ほしい。世の中の悪者を倒せるような、力が』
結果的に、力は思うようなものではなかった。
しかし、志保はあの日、全ての悪を断罪すると確かに天に誓った。
- 708 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 00:03:05
- a-1。二条直哉は、片手にウィンチェスターを構えて立っていた。
殺し合う気は微塵もないが、襲われたなら容赦はできない。
気を引き締めている中。視界の片隅に、少女が映る。
「ああ、俺は二条直哉ーーーーて!何だその格好!?」
黄色の薄着一枚である。これで胸があったら、直哉は一線を超えただろう。
金髪のアホ毛少女は、気にせず言う。
「ファッションね、ファッション。私は木下志保」
二人が如何様に動くかは、まだ分からない。
【一日目/深夜/a-1】
【木下志保】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:悪人を断罪する。
【二条直哉】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスター
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:雪菜を探す
【木下志保】
怠惰の悪魔を宿し、悪魔を視る力を手にした。
過去の出来事から悪人を許せなくなっている
【二条直哉】
資産家の息子で、二条雪菜の兄。
やたらモテるが、かなりヘタレだったりする。
投下終了です
- 709 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 00:23:57
- 自己満足オリロワ第九話:研究員(坂上結)
登場:坂上結
- 710 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 00:42:32
- 『大罪の器』辻結花の実験にたずさわった研究員、坂上結。18歳にしてストイックに結花の研究をしてきた。
坂上に人としての愛情などは欠落している。
それが、彼女が寂しそうと思うものがいない所以である。
坂上結の本性は、目的のためなら手段を選ばぬ狂気の科学者である。
組織内からも敬遠されるほどの彼女が、殺し合いに乗らないはずはなかった。
【一日目/深夜/b-1】
【坂上結】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
【坂上結】
結花の研究者で、関係者も軽く引いたほど
投下完了
- 711 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 13:05:41
- 自己満足オリロワ第十話:大切なモノを守るために
登場:岡田春樹、須崎史奈
- 712 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 13:18:14
- 『けが、してるの?』
俺、岡田春樹は昔とある寒村に住んでいた時期がある。その頃から喧嘩に明け暮れ、村の中では忌まれる存在であった。
そんなある日。数人の不良と大乱闘をした。
何とか勝ちはしたが、かなり怪我をしてしまった。情けないが、当時の俺には不意打ちされて無傷でいられるほどの力はなかったのだ。
そんな時、村中で春樹より嫌われる存在であった、『あの少女』が現れた。
彼女は俺の傷を手当してくれた。完璧な手当てであった。
俺はそれからたまに、少女ーーー辻結花を理不尽な暴力から守ってやった。
しかし。あの日、すべてが終わってしまったのだ。
辻の親が、あいつをどこかに売り飛ばしたらしい。俺は冷静ではいられず、辻の家に殴り込んだ。
『疫病神を祓っただけ』というのがアイツラの言い分だった。
父親を殴りとばした。もう理性など存在しない、圧倒的な暴力。
結局俺は村に居られなくなってしまった。
俺は今も、荒れている。しかしそれは、ありとあらゆる理不尽を正すために。
ーーーーいつか、辻を助けに行くんだ。
16歳の俺にそこまでの決意をできたのは上等だろう。
そして俺は今、何年も待ち望んだ機会に恵まれたのだ。
- 713 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 13:51:49
- やっと、会えたんだ。
ーーーーー必ず、俺は辻を守り抜くんだ
【一日目/深夜/b-1】
【岡田春樹】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:辻結花を守る。
時を同じくして、強欲の悪魔『強欲のマモン』の宿主、須崎史奈は殺し合いの準備を進めていた。
片腕にはワルサーPPKを持って。
強欲の悪魔の能力は『増殖』ひとつの武器を無限に増殖する欲望の能力。
デイバックの15丁のワルサーPPKを片手でいじりながら、史奈は笑っていた。
【須崎史奈】
[状態]健康
[装備]ワルサーPPK
[所持品]ワルサーPPK×15
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
【岡田春樹】
不良少年。一般人のようではあるが、実は妖狼の血を引いている。
辻結花の救出を第一とする。
【須崎史奈】
強欲の悪魔マモンの宿主。
契約により、武器増殖の能力を手に入れた
投下完了
- 714 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 19:13:29
- 自己満足オリロワ第11話:三人寄れば悲劇の予感
登場:戸塚大介、富士野英彦、河崎舞子、樋口奈緒
- 715 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 19:31:00
- 『中二病』ーーーーという言葉を知っているだろうか。
俺、富士野英彦は自他ともに認める中二病患者である。
そんな俺の『助手』はーーー正真証明の超能力者なのだ。現にあいつは俺に近付く女子たちを痛い目に逢わせている。
まったくはた迷惑な話だよ。
俺にだって思春期の性衝動ってもんがあるんだからな。
そんな俺は、今殺し合いの中で、二人の人間と合流できたのだが、また一癖も二癖もあるような奴らばかりなのだ。
赤髪の青年、戸塚大介。
天才プログラマーとして名高いが、日常においては異様なまでに寡黙。
黒髪の少女、河崎舞子。
ネットアイドルとしてかなりの知名度を誇っているが、実際はおとなしい文学少女。ネット上のハイテンションな人格とは大違いだ。
まったく、不安でしかたないな。
【一日目/深夜/c-3】
【富士野英彦】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:樋口奈緒は保留
【戸塚大介】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:脱出したい
1:脱出のためになら多少の悪事は覚悟
【河崎舞子】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
- 716 : ◆9QScXZTVAc:2011/05/29(日) 19:45:49
- [思考・行動]
基本:死にたくない。
「ああ、英様。どこにいらっしゃるのかしら」
桃色の髪をボブにした少女ーーー樋口奈緒は、最愛の人である富士野英彦を探していた。
樋口は嫉妬の悪魔「嫉妬のレヴィアタン」の宿主だ。
能力は『嫉妬心』ーーー常に相手+1の状態で戦うことのできる、かなり凶悪な能力。
しかし彼女の『嫉妬』は悪魔さえ領我した。
世界最悪クラスのヤンデレである。
【樋口奈緒】
[状態]健康
[装備]コルトバイソン
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:富士野英彦を優勝させる。
1:英彦が抵抗したなら…?
【富士野英彦】
17歳にして中二病。
樋口奈緒に懐かれているが、本人的にはどうでもいい
【戸塚大介】
凄腕のプログラマー
だが、性格は自他ともに認める根暗気質。
【河崎舞子】
有名なネットアイドル。
ハイテンションなネット面とは違い、実は文学少女
【樋口奈緒】
嫉妬の悪魔の宿主であるが、逆に悪魔を取り込んだ。
雪菜以上のヤンデレ
投下終了
- 717 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:45:37
- 長さ等の関係でこちらに投下いたします
タイトル:収束する世界
登場人物:ネイキッド・スネーク、一ノ瀬進、阿部高和、vもんが、07、◆6LQfwU/9.M、◆ymCx/I3enU
- 718 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:46:09
- 「…よし、これで、ここにいる奴全員の首輪が外れた。」
「すまないな。」
5人全員の首から、首輪が外れる。
これで、禁止エリアも意味を成さない。
「でも、これからどうしましょうか?あいつらの居場所が分からないことには…」
「それだ…それが一番問題なんだ」
『心配する必要は無いぜ』
さっき外したスネークの首輪から声が聞こえる。
デイパックの中からも声が聞こえる…。
「!?」
『そう身構えるなよ。こっちは知ってるんだ…お前らが、首輪を外したのをさ』
「何だって…?」
何故だ、と言った表情で呟く一ノ瀬。
『一ノ瀬とか言ったか?盗聴の可能性に気づいたのは誉めてやる』
「お褒めに与り光栄だね」
もの凄くイヤミったらしく言う。
『だがまだまだ甘いな。俺達以外が首輪を解除した時にも、こっちに信号が送られてくるんだよ。』
「くっ…そんな物が…」
『ま、普通に解除してたんじゃ気づかないし…ご褒美として、こっちに招待してやる』
- 719 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:46:46
- ◇
眩い光が全員を包んだ瞬間、気が付くと全員最初に連れてこられた体育館に立っていた。
「…どこにいる?」
『そう力むなよ』
ステージのライトが点く。
真ん中に立っているのは…◆6LQfwU/9.Mと◆ymCx/I3enUだった。
「やっとお出ましか。いい身分だな」
「おいおい、俺が喋る番だぜ。順番を守らないやつは…」
シュッ、と風を切る音がしたかと思うと、vもんがの額にナイフが突き刺さっていた。
唖然とした表情で、その場に倒れる。
「なっ…」
「ああはなりたくねーだろ?だったら、黙るのが頭のいい選択だぜ」
ここで、無闇に攻撃しても、さっきのように…殺されるだけだろう。
「ちっ…話すなら話せ」
「オッケーオッケー。まず、何でこのゲームを開催したか教えてやろう」
(ろくな理由じゃねーだろうけどな…)
「ああ、碌な理由じゃ無いと思うぜ。ただやりたくなった、ってだけだからな」
「何…?」
信じられない。
そんな下らない理由で、俺達をこんな目に遇わせたと言うのか?
「ま、お喋りはここらにして…そろそろゲームをやめる時間だ」
「…君らにとって、最悪のバッドエンドで終わる。僕達にとってはグッドエンドだけど」
「そんな事、俺達が許すとでも?」
「どのみち、お前らはここで死ぬんだから――」
一発の銃声。
- 720 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:47:16
-
「…!…いくらなんでも…あっさりすぎる…」
その弾丸は、間違いなく◆ymCx/I3enUの胸を貫いた。
傷口から血を流しながら、その場に崩れ落ちた。
「お前ら…俺の話が終わってないだろ?何勝手な事してんの?」
「お前の話を聞く義理なんて、無いね」
そのまま◆6LQfwU/9.Mに向けて散弾をブチ込む。
散弾をモロに食らい、吹き飛んでステージの壁に当たる。
「痛ってぇ…お前…自分が何してるか分かってるのかよ」
「知らねえよ。お前の都合なんて知ったことか」
そのままベレッタを頭に突き付ける。
「…撃てよ。お前は確か傭兵だったな。殺人は慣れてるんだろ」
「…ああ。だから、俺は躊躇わん」
言葉どおり、全く躊躇わなかった。
弾丸は容易く◆6LQfwU/9.Mの頭を撃ち抜いた。
「…終わった。全てが。」
「…終わったんだな」
- 721 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:47:49
- ◇
その後全員で手分けして体育館周辺を捜索し、あいつらが使っていたと思われる部屋を見つけた。
ついでに、元の世界に戻れそうな機械も。
「…07、お前から先に行っていいぜ。」
「…いいのか」
「ああ。時間はたくさんあるからな」
転送装置内に、07が入る。
「それじゃあ…皆、元気でな。」
「ああ。お前も、達者でな」
光が転送装置内を照らしたかと思うと、既に07の姿は無かった。
「次は…スネーク、行っていいぜ」
「すまない。こうだ、これを受け取ってくれ。」
「M500…いいのか?」
「元々俺のじゃないしな。」
「アンタの思い出として、大事にしまっとくよ」
スネークも、元の世界へと転送されて行く。
- 722 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:48:45
- 「さて…後は俺とお前だけか」
「…俺も一緒に行っていいか?」
「何故だ?」
「結局、一回もアッー!してないからな」
ほんの少しの沈黙。
「…分かった。一緒に行こう」
「ありがとう。帰ったら… や ら な い か 」
「…考えておこう」
転送装置内に2人で入る。
「このスイッチを押すんだろ?」
「ああ。行くぞ!」
スイッチを押した途端、辺りが光に包まれて…
それぞれが、それぞれの世界へ帰っていった。
【ネイキッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ 生還】
【一ノ瀬進@オリジナル・カオス 生還】
【阿部高和@ニコニコ動画 生還】
【07@板対抗BR 生還】
以上、4名の生還を確認。
【vもんが@板対抗BR 死亡】
【◆ymCx/I3enU@非リレー型BRを発表するスレ 死亡】
【◆6LQfwU/9.M@非リレー型BRを発表するスレ 死亡】
以上3名――内2人主催者――の死亡を確認。
- 723 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:49:17
- 投下終了です
- 724 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/30(月) 23:52:54
- タイトルの被りを確認したのでタイトルを「ゲームは終わり」に変更します
- 725 : ◆VxAX.uhVsM:2011/05/31(火) 20:03:02
- 規制された…フフフwww
こちらに投下します。
-------------------------------------------
「……」
「…………なんで行かないの?」
「……」
「何か答えてよ」
「……今出たら、殺されるぞ」
「………さっきからそればかり」
放送が終わり、相変わらず二人はテレビ局に隠れてた。
葛西英明、妖刀に願った男から逃げるために。
「……!」
「葛西…!」
「……」
テレビ局に入ってきた葛西。
彼の眼には生気はなかった。
「なんで…」
「……!」
葛西が走りだす。
狙いは簡単、河内憲二だ。
「く…!」
河内はバックからあるものを取り出す。
それは拳銃、しかし偽物である。
俗に言うエアガンというものだ。
「止まれ!これで撃たれたくなかったら…」
「………」
「て、止まらな…」
- 726 : ◆VxAX.uhVsM:2011/05/31(火) 20:04:25
-
ザシュ
「ぐ、わあ…い、、いてぇ……」
「…………河内、さん」
「…?」
「葛西、なんでこんなことするの?」
「……」
その声を無視せんとばかりに、葛西はとどめを刺そうとする。
「駄目!!」
「…!」
その剣筋は、確実に西山の首を通った。
そして、彼女の首を跳ね飛ばした。
「……」
「ぐ、、ぞぉ…で、め」
河内も次第に声が薄れ、彼の目は光を失った。
「う、うがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ
叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ
叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ
叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ
彼は生きる目的をなくした。
それでも、死にはしない。
あとは、刀の思うがまま。
彼の支配は、解かれぬまま。
悪魔の刀に喰われるのだった。
【河内憲二】【西山恵理香】【死亡確認】
【人数状況 22/38】
【一日目/午前/B-4テレビ局内】
【葛西英明】
[状態]妖刀による人形状態
[装備]妖刀「花菱」(四人斬りモード)
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:斬る。
1:殺す。
[備考]
※自我は完全に崩壊しました。
※妖刀「花菱」は斬っていく毎に強くなるようです。
※願いは無くなりましたが、支配は解かれません。
- 727 : ◆VxAX.uhVsM:2011/05/31(火) 20:05:31
- 投下終了です。
本スレの運営は俺が嫌いなの?
忍法帳消えるだけじゃなく規制まで…!
ちくしょおい。
- 728 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/31(火) 20:57:49
- 自分も規制くらいました…というわけで続き投下します
【ケリュケイオンの魔杖】
古典魔法使いカルル・クリストバルドの愛用していた杖。
無数の魔法自動実行コードが記録されている。
大魔女ジギタリスの遺産である「魔女のライブラリ」が封印されている。
さっぱり分からない……。
「ジギタリス……っていうのも、この魔女の一種なのかしら?」
魔女図鑑には描かれていないが、大昔の魔女だというから収録されなかっただけかもしれない。
この杖の用法も分からない。使える人間になら使えるのかもしれないが、“魔女”でなければ使えないのか。使い方を知っていればブルーにも使えるのか。
使い方と言えば、魔女図鑑にしてもそうだ。
武器としては期待できないし、ハズレ支給品にしても、だいぶ意味深だ。
まるで、何かのヒントを与えているように。
「たどり着けるものならたどり着いてみなさい、ってこと? ずいぶんと余裕じゃない」
人の命をもてあそぶような主催者の態度には怒りを覚えるが、しかし手がかりがあるならそれはそれで活用させてもらう。
ブルーは、したたかなのだから。
考えごとに没頭していたブルーは、その時になってやっと気づく。
背中を預けていた校舎の、いちばん奥手の窓に、明かりがついていたのだ。
部屋の灯りではない、こっそり懐中電灯をつけたような小さな明かりが、カーテンの向こうからぼんやりと浮かんでいる。
つまり、そこに誰かがいるということ。
カーテンは閉まっている。
ブルーは、せめて立ち聞きでもできないかとそろそろ歩み寄った。
※ ※
さて、ここに集まった三人、いずれも当面は『脱出』を目ざす人間たちである。
そして、三人とも、自らの握っている“秘密”に、“思い違い”を抱えている。
- 729 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/31(火) 20:58:25
- まず、三村信司。
彼は一度、このバトルロワイアルと酷似した“実験”に参加した経験を持っており、そのゲームの中で死亡した記憶を持っている。
また、学校のPCからネットに接続したことにより、会場限定の掲示板の存在をいちはやく確認している。
そして、彼は知らない。
かつて自分を殺害した仇敵が、この場では当面殺し合いに乗っていないことを。
次に、沢村史郎。
彼はこのゲームの主催者、鳴海清隆と直接の面識があり、彼の人間性もある程度は看破している。
また、高町亮子から“ブレード・チルドレン”の存在を聞かされており、この会場にいるチルドレンの危険性もそれなりに把握している。
そして、彼は知らない。
主催者の鳴海清隆が、自分の知る時間軸の鳴海清隆ではないことを。
そして、彼が探している雨苗雪音もまた、彼にその正体と目的を偽っていることを。
そして、この場にいるただ一人の少女。ブルー。
彼女は“魔女図鑑”を支給されたことで、“魔女のくちづけ”の“魔女”が何を意味するのか、それに繋がる手がかりを手に入れている。
そして、彼女は知らない。
彼女が持っている『魔女図鑑』の『魔女』と『魔女の杖ケリュケイオン』の『魔女』は、意味が異なるということを。
さて、この三人の会合がどのような化学反応をもたらすのか。
その結果が出るには、今少しの時が流れなければならない。
- 730 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/31(火) 20:59:32
- 【E−5/学校/一日目深夜】
【沢村史郎@スパイラル・アライヴ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
[思考]基本:雨苗雪音を救う。
1・扉の向こうにいる人物との接触。
2・仲間を探す(高町亮子を優先)。
3・この状況を打開する為の情報を集める。
※アライヴ5巻、雨苗と再会する直前からの参戦です。
※当たり前のことですが、鳴海清隆、高町亮子を、『アライヴ』(二年前)時点の二人だと思っています。
※この『実験』がブレード・チルドレンに関わるものではないかと推測しています。
【三村信司@バトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
[思考]基本:ゲームには乗らない
1・扉の向こうにいる人物との接触
2・桐山和雄には最大限の警戒
3・七原秋也との合流
4・この状況を打開する為の情報を集める。
※死亡後からの参戦です。
※ネット空間の掲示板に気が付きました。
【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]健康
[装備]麻酔銃(6/6)@スパイラル〜推理の絆〜
[道具]基本支給品一式、魔女図鑑@魔法少女まどか☆マギカ
ケリュケイオン@よくわかる現代魔法
[思考]
1・レッド、シルバーとの合流(シルバー優先)
2・仮面の男に最大限の警戒
3・この状況を打開する為の情報を集める。
※参戦時期は、シルバーをテレポートさせてからウバメの森に向かうまでのどこかです。
【麻酔銃@スパイラル〜推理の絆〜】
カノン・ヒルベルト戦で使用された麻酔銃。
作中の描写を見る限りかなり強力な麻酔が使われており、被弾して十秒以内には意識を奪うことが可能。
【魔女図鑑@魔法少女まどか☆マギカ】
見滝原市に出没した魔女の姿を図入りで紹介した冊子。
内容は、まどか公式サイトの魔女図鑑とほぼ同じもの。
……メタアイテム? 非リレーだしってことで、勘弁してください。
【ケリュケイオン@よくわかる現代魔法】
一ノ瀬弓子が曽祖父から引き継いだ魔法の杖。
魔女のライブラリ(ジギタリスが創り出した6万5千の魔法コード及び、魔女ジギタリスの全記憶)が封印されている。
封印が解けると炎の魔女ジギタリスが復活すると言われている。
魔女のライブラリの他に、弓子の曽祖父が使っていた魔法コードも記憶しているので、魔法の素質があれば杖が記憶した術を使うことは可能と思われる。
某機動六課の幼女が使ってるデバイスじゃないよ。
- 731 : ◆8nn53GQqtY:2011/05/31(火) 21:01:03
- 投下終了です
したらば出したいけど新漫画と被るよなぁ
……でも現代魔法勢がいるからどっちみちネットを出さなきゃダメだよなぁ
と葛藤した挙句、こんなふうになった
- 732 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/31(火) 22:40:56
- 長さの事情でこちらに。
タイトル:勝利を掴んだ男達
登場人物:一ノ瀬進、阿部高和
- 733 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/31(火) 22:41:31
- 俺(と阿部)は何とか生きて帰って来れた。
「…丁度いいな、俺の家の前だ」
「…こんな高級マンションに住んでるのか?以外と金持ちなんだな」
「傭兵は常に命懸けな分、給料も結構…死のリスクもあるがな」
オートロックのドアを開ける。
「そういや、阿部…お前、これからどうする?お前、こっちじゃ職が無いじゃないか」
「あー、そう言えばそうだな。まあ、何とかなるだろ」
「呑気だな…俺も今は無職とほぼ同じ状態だが…」
「ま、細かいことはまた後で考えよう。」
エレベーターを待つ間に、あることに気づく。
…返り血が消えている。
結構な量だったはずだ。それが綺麗さっぱり消えている。
(…ま、いいか…)
12階…13階…14階…。
階数表示が15階で止まる。
「15階か…こんな高級そうなマンション、テレビでしか見た事ないぜ」
「その分、家賃も高いけどな」
部屋の中に入り、ソファーに腰かける阿部。
リビングからしてかなり広い。
「皆は、無事に元の世界に帰れたんだろうか?」
「ちゃんと帰れただろう。多分…。確認しようにもする方法がないから、あくまで想像だが」
「なら安心だ…。」
- 734 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/31(火) 22:42:13
- ◇
10分ほど経って、脱衣室からパンツのまま出てくる。
かなりガチムチな体で、そっちの趣味が無くても見惚れる。
体には沢山の傷跡が残っている。
銃創や切創の痕…。戦地で付いた傷だ。
「よう、進。結構いい体してるぜ、流石だな」
「あっ、阿部…」
何を聞かれるのか、半ば分かっていた。
ゲーム中も、何度も聞かれたのだ。
「 や ら な い か 」
暫しの沈黙。
ものすごく長いような、短いような…。
…答えは決まっている。
「…分かった。いいだろう。」
阿部の表情がこの上ないほど笑顔になって行く。
天にも登る気持ちだろう。
(まさか、初めてを男に捧げるとはな…)
「じゃあ、早速…力抜かないと痛いぜ」
「おいおい、ここでやるのか?ベッドで頼むぜ」
仕方無く2人でベッドに移動する。
「よし、それじゃ早速行くぜ…」
「…よし、来いっ!」
「「アッ――――――!!」」
◇
…結局、阿部はこっちの世界で自動車整備工場に務めるらしい。
俺は…生憎、世界が平和なお陰で仕事がない。
まあ、蓄えはあるから無問題なんだが…。
「進、またやらな「遠慮する」
…こいつと暮らしてる限り、俺のケツは常に平和じゃなさそうだ…。
【エピローグ:一ノ瀬進・阿部高和編 完】
- 735 : ◆6LQfwU/9.M:2011/05/31(火) 22:42:50
- 投下終了です
- 736 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 19:53:11
- 自己満足オリロワ第11話:出会ってはいけない『モノ』
登場:賀茂雅史、常盤裕治、荒井千秋、小池千夏
- 737 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 20:05:19
- a-2家電量販店にて。
荒井千秋と小池千夏は、身を潜めていた。殺し合う力がない彼女らには、隠れて時間を稼ぐのが定石であった。
荒井は、油断していた。
まず『普通』なら見つけられなくとも。『異常』の目からは逃れられないのである。
ヒュンッ
風切り音がした。
何だろう、と思って見た。
誰かの*が、転がっていた。未だ新しい傷口からは血が噴出している。
「ち、なつちゃん」
荒井千秋が壊れるのは、ほんの一瞬であった。
「死、ね。死ねぇぇええええええッ!」
バタフライナイフ片手に突進する。
二度めの風切り音で、荒井の右腕が肘から失われ。
三度目で両足が切断された。
四度目で頭が無くなった。
こうして、生徒を愛しすぎた保険医は生涯を終えた。
【小池千夏】
【荒井千秋】 死亡
【残り24/29人】
【一日目/深夜/a-2】
【賀茂雅史】
[状態]返り血(大)
[装備]日本刀
[所持品]デザートイーグル、バタフライナイフ
[思考・行動]
基本:衝動のままに殺し尽くす。
- 738 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 20:13:55
- 賀茂雅史が去った。
一分足らずの間に、結束していた二人を斬り殺したのだ。
その後。
超能力者の『出来損ない』とされた個体、常盤裕治が通りかかった。
辻結花の研究機関内の部署に、『超能力研究』という巨大部署があった。
投薬と電気信号の変換により、うまくいけば魔法のような超能力を得られる。
が、9割は失敗して、理性のタガが外れた野獣になってしまう。
常盤裕治も、その一人であった。
【常盤裕治】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:???
※理性は崩壊しています
【常盤裕治】
18歳。
超能力の開発に失敗した出来損ないの野獣
投下終了
- 739 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 22:10:26
- 自己満足オリロワ第12話:勘違いの最高作品
登場:興呂史郎、堀内達也、小原佐織、辻結花
- 740 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 22:23:14
- 超能力開発機関にて、過去最高の個体といわれる超能力者が開発された。
個体名『絶対治癒(コンプリートシフト)』
超回復能力者。体内の腫瘍や血栓を外側から高速治癒を施すことのできる未知の力。
理論上は死体でも損壊と腐敗が進んでいなければ蘇生できる。
第45回『絶対治癒』試用実験結果報告
銃撃による頭部半壊:蘇生成功。目覚めるに要した時間は2分。その後の生活に支障は一切なし。
コンクリートによる圧死:蘇生成功。しかし、歩行に支障。目覚めるまでの時間は5日。
焼却:DNAの破壊により蘇生不可。
以上により、『絶対治癒』の実験報告を終了する。
尚、本実験では『失敗作』を使用。
科学者:高城燕
- 741 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 22:39:19
- 「ーーーーうん、これで治癒は完了。この子は眠ってるだけ」
「ははは…超能力者だったっけか。あと俺はロリコンじゃない」
史郎はあまりにも異質な非科学に打たれた。
小原佐織は超能力者らしい。
「そうそう。ひとつ交換条件があるの。『研究者』から私を護ってほしい、以上」
研究者。
『バトル・ロワイアル』を口実にし、最高傑作『絶対治癒』の遺伝子複製を行うために脳髄を手にしようとする野心家。
どうも小原のいる機関とかいう奴等はイカれた奴等らしい。
ーーーー許せねえな
「ほら、噂をすれば来た来た」
「『絶対治癒』発見…★」
明らかに不健康なやつれ方をした中年男性、堀内達也。
片手にスタンロッドを持っているあたり、話し合いはどう見ても期待できなそうだ。
佐織はデイバックからおもむろに散弾銃を取り出すと、
「死体だって蘇生できるって、証明してあげる」
バァン!
「ぐぎぁっ」
堀内の胸元が弾ける。
史郎は馬鹿野郎、と叫び、佐織の胸ぐらを掴みあげる。
「蘇生できるだと!?だからって人を殺して許されんのかよ!」
「しつこいなぁ。もうじき蘇るはず……えっ?」
堀内はいつになっても目をあけない。
- 742 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/01(水) 22:44:27
- 「え、何、で。また、わた、しのせい、で?い、や。もう、人殺し、なん、て、呼ばれ、たく、な、い、………嫌ぁぁああああっ!!」
佐織はその場に崩れ落ちる。彼女の過去の映像が、超能力電気信号により史郎に伝えられる。
「何だよ、こりゃーーーー!?」
【堀内達也】 死亡
【残り23/29人】
投下終了。
状態表がないのは仕様。
- 743 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:48:53
- 新ロワOP投下します
タイトル:非情な現実の始まり
- 744 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:49:27
- (…ここはどこだ?)
かなり広い…。映画館のような場所だ。
映画館に良く置いてあるような椅子に座っている。
周りにも人の気配は感じるが、良く分からない。
「一体…何だ…?」
訳が分からない。
どうして、俺はこんな所にいるのか?
「はーい、注目」
突然、電気が付く。
暗闇に目が慣れていたせいか、目が痛い。
改めて、周りを見てみる。
…同じように、椅子に座っている人達が見える。
「お前ら、こっち見ろよ。今から大事な話するんだからさ」
あいつは…誰だ?
中肉中背の、どこにでもいそうな男。
「今から…お前らには、殺し合いをして貰う。」
- 745 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:50:03
- (殺し合い…?)
急に騒がしくなる。当然だ。
見ず知らずの奴に「殺し合いをしろ」なんて言われて、騒がない訳が無い。
男は懐から何かを取り出す。
漫画やアニメで良くあるような、シンプルなスイッチだ。
「よし、連れてこい!」
舞台袖から、黒い服に身を包んだ奴が出てくる。
一緒に、磔にされた男が連れてこられる。
良く見ると、首に何かを付けている。
「お前ら、良く見とけよ!」
あの男が、スイッチを押す。
その途端、連れてこられた奴の顔から血の気が引いて行く。
「…うわああああっ!やめろ!早く取り消せ!やめてくれ!」
「無理無理。」
男が叫び声を上げる。
そして――
- 746 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:50:38
- ドカァン…
男の首が、爆発した。
だらだらと血が流れ、もはや生きてはいないだろう。
(何だ…何なんだ…!)
「お前らにも、首輪が付いてる。これが何を意味するか、分かるだろ」
一瞬にして静まり返る。
男が合図すると、黒服の奴らが死体を舞台袖に運ぶ。
「今からゲームの説明するから、静かに聞けよ。うるさい奴は…分かるだろ?」
そう言って、静まり返った中で淡々と話し始めた。
- 747 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:51:15
- ---
【ルール】
とにかく最後の1人になるまで殺しあう。
【支給品について】
小型端末、メモ帳と筆記用具、懐中電灯、ランダム支給品(1〜3個)の入ったデイパックが配られる。
参加者の私物は、基本的に没収される。
ただし、武器にならなそうなもの(ハンカチ等)はそのまま。
【小型端末の機能】
以下の4つの機能がある。
ルールの確認:説明されたルールや優勝者への特権の再確認ができる。
地図の表示:全体地図と施設の場所、禁止エリアの確認ができる。
時刻の表示:今の時間と、ゲームが始まってからの経過時間を知る事が出来る。
名簿の表示:参加者の名前を知る事が出来る。顔までは分からない
【放送について】
4時間ごとに放送が行われ、前の放送から今の放送までで死亡した参加者の名前と、禁止エリアが放送される。
【時間表記】
4時間ごとに、深夜・朝・午前・午後・夜・夜中。
【その他】
1.デイパックの中には、常識で考えて入る物しか入らない。
それ以外の物は、入れようとしても弾き出される。
2.最後に死者が出て、12時間経ったら全員の首輪が爆発、ゲームオーバーとなる。
3.施設にある物はなんでも自由に使用可能。食料も自給自足。
- 748 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:51:46
- 【地図】
1 2 3 4 5 6 7
A海海街森森山山
B橋橋平平森ホ山
C平海海病森森平
D平街橋平平平平
E森森海海海森平
F海崖海海海海街
G海海海海海海海
平…平地。普通の道。
山…ただの山。
森…普通の森。
街…普通の街。
病…病院。
橋…島と島をつなぐ橋。
ホ…ホテル。
海…ただの海。
崖…サスペンス御用達の崖。
【施設】
A-3:大型スーパーがある。
D-2:ホームセンターがある。ちょっと離れた場所にコンビニもある
F-7:アパートが沢山ある。
A-7:山頂に東屋とおみやげ屋、展望台がある。
---
「それじゃ、スタート!」
男が指を鳴らした途端、光が自分を包んだ。
【自己満足、むしろ−の自己満足ロワ3rd 開始】
【残り人数:42人】
【◆6LQfwU/9.M@非リレー書き手 死亡】
死因:首輪爆発
- 749 :名簿 ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:52:20
- 【主催者】
富山 由起夫
【スタッフ】
○黒服A/○黒服B/○黒服C
【オリジナル(25/25)】
○白川剛/○滝沢佑馬/○堀川祥太/○川内一輝/○矢部翼
○尾上純一/○三田村哲也/○近田一也/○小原雄二/○秋田 良純
○五十嵐弘/○五十嵐健児/○永野隆也/○斉藤卓造/○小林竜二
○藤波栄太郎/○群馬洋一/○パート・スティーヴン/○ガイエル・アゼリン/○アンドレー・アヴェルチェフ
○大岩忍/○遠山純子/○三沢里沙/○緑川美紗子/○神谷茜
【Tさんシリーズ(7/7)】
○Tさん/○お守りを貰った人/○夜釣りの人/○原付の人/○友人のK
○殺人鬼/○ノコギリ男
【自己満足ロワリピーター(2/2)】
○野村和也/○守谷彩子
【自己満足ロワ2ndリピーター(1/1)】
○杉谷守
【非リレー書き手(7/7)】
○◆VxAX.uhVsM/○◆ymCx/I3enU/○◆WYGPiuknm2/○◆xzYb/YHTdI/○◆8nn53GQqtY
○◆9QScXZTVAc/○◆CgtB2nWsWk
以上、42名。
【見せしめ】
◆6LQfwU/9.M
- 750 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/01(水) 22:52:50
- 投下終了です。
- 751 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/02(木) 21:54:32
- 自己満足オリロワ第13話:AYAKASHI FIGHT
登場:杉田静香、宮本葉月
- 752 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/02(木) 22:11:12
- 杉田静香。本来は一ヶ月前に病死した、死霊。
生きながらに呪いを撒き散らす災いの自縛霊であり、主催、高城燕が優勝候補として見ている。
静香の片手には、まさに死霊にふさわしい獲物、大鎌。
例えば。最悪の死霊と最悪の妖怪が戦えば、どれほどの呪いとなるのだろう?
a-1エリアにて。宮本葉月と杉田静香は、交戦していた。
葉月は銃で戦うが、静香に当たった弾は彼女をすり抜けるのだ。
振るわれた鎌は一気に間合いを詰め、追撃で距離のアドバンテージは零になる。
「………呪ウ…殺ス」
「はあ。分からない人ね。私は逃げる猶予を与えてあげたのに」
葉月の周りを、色鮮やかな蝶がひらひらと舞う。
死神の使いと呼ばれ忌み嫌われた死を呼ぶ蝶。
「手向けの花は必要かしらね、バケモノ」
そして、正真証明の妖魔、宮本葉月の『処刑』が始まった。
【一日目/深夜/a-1】
【杉田静香】
[状態]霊体化
[装備]大鎌
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:皆殺し。
※ほぼすべての物理攻撃が効きません
- 753 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/02(木) 22:15:17
- 【宮本葉月】
[状態]疲労(小)
[装備]拳銃
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:ジョーカーとして行動する。
1:目の前の女を殺す。
【杉田静香】
18歳の若さにして病死した。
原因が医療ミスであったことから、人を恨む地縛霊となった。
投下完了
- 754 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/03(金) 20:13:31
- 自己満足オリロワ第13話:断罪の交響曲
登場:二条直哉、小野知加子、木下志保
- 755 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/03(金) 20:24:35
- a-1内の古びた洋館内。
二条直哉と木下志保は、のんびりと紅茶を楽しんでいた。何してんだこいつら。
直哉は腐っても金持ちの息子だ。紅茶の入れ方は人並み以上にこなせる自信はある。
余談だが妹の雪菜の紅茶は絶品で、彼らの頑固でケチな父親も感激するレベルだ。
「(雪菜……どうしてっかな)」
直哉は死ねない。
直哉がもし死ねば、雪菜は確実に暴走する。
身内の色目抜きにして、雪菜は天才だ。きっと優勝も目ではないだろう。
「どしたの、直哉」
「あ?ああ、ちょっと考え事をしててな」
そんな時。直哉は志保の肩がびくり、と震えるのを確かに見ていた。
志保の視線の先にはーーーー
年を感じさせない美貌を持つ大物女優、小野知加子の姿があった。
▲
失敗した。
まさかこんなにあっさりと悪魔に出会うとは。
志保は心の中で吐き捨てた。
「あなたもこの殺し合いに呼ばれたの!?小野知加子さん」
「知っていてくれて嬉しいわ」
元気に言ってみせるが、志保はすでに決意を固めていた。
「ーーーーー紅茶、飲みます?」
- 756 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/03(金) 20:35:40
- 「ええ。頂くわ」
◆
「私、思うんですよね」
「悪人は許せないって」
「私が倒さなきゃ」
「悪魔なんて」
「殺してやる」
一気にまくしたてる志保。
「ーーーー盛ったわね。あーあ。お金がもっと欲しかったわ」
げぼっ。
大量の血を吐いて、知加子はもう動かなかった。
「木下…この殺人者が!」
直哉が怒鳴ってくる。
さすがにショックだ。目の前で凶弾されるのはね。
バァンッ
ウィンチェスターの弾が放たれる。
「やりなさい、ベルフェゴール」
二条直哉。
彼は無知すぎたのだ。
木下志保は唯一、大罪の悪魔を操れる器であった。
メキャッ
弾が潰れ、黒いのっぺりとした怠惰の悪魔は、真っ直ぐ直哉に向かい。
その肉体を、一瞬で黒に侵食した。
悪魔が生命を奪うためには、本来契約により奪う生体エネルギーを一気に奪うだけで、どんな人間すら殺せるのだ。
【小野知加子】
【二条直哉】 死亡
【残り22/30人】
- 757 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/03(金) 20:37:42
- 【一日目/深夜/a-1】
【木下志保】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:悪人を断罪する。
投下完了
- 758 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:52:16
- さるさん食らったので19話続きをこちらに
例えば、歩が推測しているある仮説――あのおさげ少女の正体――をぶつけるだけで、歩の心は充分な痛手を受けるだろう。
ただ、万が一、『殺し合いで歩を精神的に追い詰める』こと自体が目的だとしたら、その企みは――今のところ大成功といっていい。
正直、かなりのストレスになっている。
こうやってテキパキと動いているが、その実、なかなかに胃が痛い。
もっとも、『長いこと行方不明になっていた兄が呪いの力を得て帰って来て、家族含めたおおぜいの人間を拉致し殺し合いを強要しました』
という状況でストレスを感じない人物がいたとしたら、そいつはここに呼ばれる前から既におかしくなっているに違いない。
いっそおかしくなれたら、それはそれで楽かもしれない。
けれど、頭は狂うより先に色々なことを考えてしまうし、
そうすると、この狂った企みに巻き込まれた他の参加者のことだとか、
ここで歩が根を上げたときに、鳴海清隆が浮かべるであろ意地の悪い嘲笑だとかが浮かんでしまう。
そうすると『おかしくなっている場合ではない』ということまで理解できてしまうのだ。
だから歩は、即座に支給品の確認をするような真似ができたし、
こうやって状況の打開策を練りながら前に進めている。
清隆にこんなことをする必然性がないなら、この『実験』は清隆の『計画』の外、
ブレード・チルドレンや火澄問題とは無関係、ということだろうか。
この事態が清隆にとってもイレギュラー、という可能性は高い。
大きな根拠は、名簿に死んだはずの『カノン・ヒルベルト』が存在していることだ。
鳴海清隆は意味のない偽証をするようなやり口を取らない。
単に参加者を混乱させて殺し合いを誘発させる目的なら、他に効果的なやり方がいくらでもある。
清隆の言う『魔法』による技術では、『死者蘇生』をも可能とする。
カノン・ヒルベルトは確かに生きて、この会場にいる。
そういう考えの元に動いた方が妥当だろう。
しかし、そんな技術があるのだとしたら、そもそも『世界の異分子を全て殺してしまおう』とする清隆の企み自体がひっくり返ってしまう。
全てが終わった後に安寧な死を望んでいる(と歩は推理している)清隆が、
死人を叩き起こすような技術の存在を知って、その技術に興味を持ち、活用するとは思えない。
清隆が自身の生を望んでいなくとも、清隆の権力、知力、影響力を欲し、その蘇生を企みかねない存在はそれなりにいるのだから。
清隆にとってもそれは不本意なはずだ。そんな技術を見せつける意味はない。
- 759 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:52:58
- そもそも『どんな願いも叶う』のなら、誰よりも清隆自身が『どうか神の座から解放してください』という願いを叶えたくて仕方がないはずだ。
清隆の言動には矛盾が多すぎる。
それまで何の無駄もなく整えられていた『神の盤面』が、『魔法』という新しい要素が加わったことで、逆に複雑に、矛盾をはらんだものになっているのだ。
ならばこの実験は、清隆の意思とは別の思惑によって動いている、とするのはどうか。
清隆はその『魔法』という技術を持つ未知の相手から『実験』を依頼され、何らかの理由があってその実験に乗っている。
つまり、清隆には『黒幕』ないし『同盟相手』が存在するという可能性だ。
とはいえ、これも歩には納得がいかない。
『あの』清隆に、不測の事態、対等な立場で渡り合える相手、それらが存在するとは思えない、との経験則もそうだが、何よりの根拠は清隆自身が演説した言葉。
――いずれ、殺される者は殺され、殺す者は殺す。
最初にいた空間で、何かの間違いだと訴えかける竹内理緒に、無慈悲に宣告した言葉。
それは、かつての戦いで清隆が言い残していった言葉と同じものだ。
事態の思わぬ展開に、計画に歪みが出たのではないか、という問いかけを受けて、清隆はそう続けてみせた。
その言葉を改めて口にしたということは、この戦いは『元からの計画』の延長戦として存在する可能性が強い。
「つまり、『黒幕』や黒幕の使う『魔法』という要素に遭遇したことは兄貴にとってもイレギュラーだが、
兄貴はそのイレギュラーを使って、自分の『計画』に新たな可能性を見出した、ってところか……」
とはいえ、断定は危険だ。
あらゆる可能性を疑ってかかれ。
それが歩の思考法、そして戦い方だ。
現時点では、両方の可能性から考えた方が賢明だろう。
- 760 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:53:54
-
しかし、
これが今までの戦いの延長線上だというのなら、
いや、仮に今までの戦いとは次元が異なるとしても、
ならば、鳴海歩には、できることがある。
全ての手がかりを集めて、推理する。
全ての証拠を手元に揃え、論理の力で『殺戮』という暴力を倒す。
つまり、いつもと同じことをすればいい。
診療所が、見えて来た。
地図にわざわざ記されていることから、単に目印としてだけでなく、
実際に『診療所』としての医療設備を備えている可能性が高い、と歩は踏む。
それは、施設の用途に惹かれて集まった参加者と出会う可能性が大きい、ということだ。
参加者との接触は必要なことだ。
仲間と情報。どんな方法で主催を打倒するにせよ、それらは絶対に不可欠。
しかし、ただ一言『仲間をつくる』といっても、アプローチの方法は色々と考えられる。
例えば、あの奇妙な空間で清隆が言っていたこと。
――ファーストネームだけで失礼させてもらうよ。私の身元が知られると、余計な面倒を背負う参加者もいるからね。
『余計な面倒を背負う参加者』――すなわち、名簿に『鳴海歩』とフルネームで書かれており、
清隆が『鳴海清隆』と名乗っていれば、明らかに関係性を疑われていた、歩自身のことだ。
歩の安全を気遣った――わけではないだろう。決して。
清隆本来の『歩に清隆を殺させる計画』(現段階では推測だが)には、歩が必要だ。
しかし、歩の生存率を上げたいならそれこそもう少し使えるアイテムを支給したっていいし、殺し合いに放り込むこと自体が不合理だ。
むしろ、歩に選択肢をゆだねる意味合いの方が大きいと思う。
主催者の弟だという身分を明かせば、それなりに情報は得られやすくなるだろう。
しかし、歩に打倒清隆の過剰な期待をする参加者と、歩に不信感を持つ参加者。その双方が確実に存在するだろう。
こんな状況では誰しも藁にもすがりたい思いだろうし、『清隆の弟』という印籠を持つ歩は、さぞかし魅力的な藁にうつるだろうから。
しかし、歩は『魔女』の知識などを持たないし、“刻印”の原理などさっぱり分からない。
その点では、他の一参加者と何ら変わらない。
大きく損ねられた期待というものは、失望と不信に反転しやすい。
いざ“刻印を解く目途が立たない”となった時に、“期待していたのに裏切られた”との感情論から、必要以上の不和を招く可能性もある。
つまり、『鳴海清隆』を名乗って名簿の『鳴海歩』に参加者を注目させるよりは、それさえも歩の選択として任せた方が面白いと踏んだのだろう。
- 761 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:54:38
- ――とは言っても、歩はそう隠しだてするつもりもない。
どのみち隠せることだとは思っていない。元々この顔は、兄である清隆に生き写しなのだ。
清隆とは16も歳が離れているし、初見の人間に気づかれるほど致命的ではないだろう。
しかし、長いこと行動を共にすれば勘づいてくる参加者もいるはずだ。
ただし、身分を明かすタイミングと相手は機を見ておこなうこと。それを頭に留めておく。
歩としても『あの清隆の弟ならきっと何とかしてくれる』などと、親の七光りのような理由で信用されても、あまり嬉しくないのだから。
思考を続けながら、鳴海歩は診療所の外壁を一周する。
これは、いざというときの逃走経路が何通りあるか、その確認の為。
期待、か……。
歩のことを信じ切っていた小さな少女を思い出す。
――どうか全ての残酷な神を倒し、あたしたちの行く先に、殺戮以外の物語を置いてください。
この身の死以外に罪を償う時間を、どうかお与えください。
夜空を見て、謝った。
「すまないな……幸せな物語をプレゼントしてやれなくて。
だが、あんたの守りたかったものは、代りに守ろう。
あんたの未来を奪った残酷な神は、俺が倒そう」
今はもういない少女に向けて。
そして、歩は診療所に入った。
- 762 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:55:10
- 死角からの狙撃を恐れて、塀に囲まれ窓も小さい裏口から侵入。
裏口は、検査室に繋がっていた。
懐中電灯で照らしながら歩き回ってみるが、人がいる痕跡も、人がいた痕跡もゼロ。
スチール棚に置かれた薬品も試薬ばかりで、特に物色すべきものはない。
隣のレントゲン室も一応のぞいてから、見るべきものはないと廊下へ。
懐中電灯の細長い灯りで照らすと、足跡が続いていた。
まごうことなき、人が侵入した痕跡。
正面入り口から堂々と侵入し、まっすぐ診察室へ。
診察室を歩きまわったらしく、部屋から出て行く足跡はだいぶ薄くなっていた。
その足跡は、二階への階段へと続く。
そして、診療所から出て行く足跡はない。
足跡が途中で完全に消えたのかもしれないが、『実験』開始からまだそう時間は立っていない。
まだ診療所内にいる可能性の方が高いだろう。
おそらく、そいつは二階にいる。
それを頭に留め置きながら、歩はまず診察室へと侵入する。
※ ※
キノは家探しを続けます。
診療所の二階は、主に従業員が使う部屋になっていました。
ロッカールームとリネン室。台所。食堂兼、休憩室。トイレ。シャワー室もあります。
キノは真っ先に台所に入りました。
食堂の棚を開けて、缶詰など日持ちするものや、お茶菓子を優先して回収します。
がめた食糧は、ディパックに放り込んでいきます。
ついでに台所から調達した包丁も一本、布でくるんでディパックに入れます。
小さめの果物ナイフは、すぐに抜けるようベルトに差しました。
そして冷蔵庫を開け、
「……………………これは」
冷蔵室に、色とりどりのフルーツをのせたホールケーキを発見し、
そのおいしそうな、しかしディパックに入れるには日持ちのしないケーキを、
いささか、だいぶ、かなり、恋しげな視線で見つめます。
少し迷った後、食器棚からフォークを取り出し、
家探しを中断して、休憩室のテーブルに座り、
パースエイダーをテーブルの上、いつでも手にとれる位置に置いて、
ホールケーキを丸のまま、もりもりと食べ始めました。
- 763 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:55:43
-
※ ※
鳴海歩はその部屋を観察する。
診察室には、物色の痕跡が濃く残っていた。
薬品棚は、すっかり空になっていた。
真新しいスチール棚の、それでも微かにのこった丸い日焼け跡が、そこに薬品の瓶が多く置かれていたと証明する。
つまり、この場所には診療所としての用途に見合った医薬品が置かれていたが、
歩より先に潜入した者――おそらく足跡の主――によって持ち去られてしまったのだろう。
どういうしかけかあの大鍋を呑みこんでしまったディパックなら、容量の心配をする必要もない。
それに、タイル張りの床には、まだ渇いていない薬品の染みがあった。
傷の手当てをしてこぼしたにしては、瓶の原液をそのままこぼしたような不自然な染みだったし、ゴミ箱の中身が空であることからもここで治療をした可能性は低い。
おそらく、ここで薬品の中身を移し替えるような作業をしていたのだろうと推測する。
包帯やガーゼが収納されていたらしきダンボール箱も、ことごとく空になっていた。
めぼしいものはあらかた取られていると判断して、歩は部屋を出る。
次に侵入したのは、受付のカウンター奥の部屋。
何故なら、部屋から液晶画面の灯りが漏れていたからだ。
光源は、事務机の上に置かれた一台のノートパソコン。
フタに備品であることを示すシールが貼ってあることから、支給品の類ではないだろう。
椅子に座ると、PCの隣に置きっぱなしの裁縫箱が目についた。
ぎっちり詰められた糸巻きの収納場所の一部に、不自然な空洞。
針山に刺さった針の本数も、針山の大きさに対して少ない。
どうやら先客は、この部屋でも物色を行ったらしい。
- 764 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:56:56
- 階段へと意識を向ける。
侵入者が降りて来る気配はない。
そして、問題のパソコン。
スクリーンセイバーがとけると、幾つものウインドウが目に入って来た。
やけに多くのウインドウが開かれている。
「これは……ネットが繋がってるのか?」
とりあえずドキュメントやらゴミ箱の不要な画面を次々と閉じてから、PCの履歴を確認。
これを操作した先客が何を見たのか、ひととおり同じ手順を踏む。
『バトルロワイアル@wiki』の画面には仰天し、続いて兄のセンスを思いげんなりする。
そして、最後に先客が開いた画面、『バトルロワイアル専用掲示板』へとたどり着いた。
書き込みが、3件あった。
「3:キノ 投稿日:一日目 深夜 ID:8nYRymLQ0
診療所を探索しましたが、医療品はほんの数人分しか残っていませんでした。
病院へ行くことをお勧めします。
ボクの回収した医薬品ですが、求めている人がいれば弾薬やパースエイダーその他武器、食糧などと物々交換でお譲りしたいと考えています。
欲しい医薬品などがあれば、この掲示板で声をかけてください。
ボクの持っているものがあれば、取引に応じます。
安全に取引を行う方法などは、状況によって相談していきましょう。」
それを読み、少しだけ沈黙する。
そして、おもむろにキーを叩き、新たな書き込みを行った。
「4:迷える子羊な名無しさん(sage) 投稿日:一日目 深夜 ID:8nYRymLQ0
てすと」
IDは同じ。
つまり、“キノ”の書き込みは間違いなく、ここにいる先客によって書かれたもの。
鳴海歩は、笑った。
会心の笑みだった。
- 765 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 21:57:51
-
※ ※
ホールケーキを丸ごと全部食べてしまったキノは、
「幸せだ……ボクは今すごく幸せだ……」
テーブルにもたれ、とても殺し合いの最中とは思えない発言をして、余韻に浸っていました。
しかし、階下からカツンという足音を聞いてはね起きます。
「くつろいでいたいのは山々だけど、やるべきことはやらないと」
パースエイダーを手に取り、開け放しだったドアの近くへと即座に移動します。
先刻から階下で薄々と感じていた気配が、階段を上がって来たからです。
靴音が規則正しく、階段をのぼって近づきます。
靴音を隠そうともせず、良く言えば堂々と、悪く言えば無警戒に上がってきました。
その足取りの軽さから、少なくとも重火器の類は持っていないようです。
(ディパックの中に入っている可能性もありますが、殺し合いの場で相手を見てからモタモタと武器を取り出すような人間はすぐに死ぬでしょう)
キノはドアのすぐそばの死角に立ち、侵入者の額にパースエイダーを突きつける準備をして待ちます。
しかし、足音は休憩室ではなく、その隣のロッカールームへと入っていきました。
ドアを開ける音が聞こえて、閉める音は聞こえませんでした。
キノが隣室へ侵入すべきかどうか一瞬逡巡して、このまま待ち伏せようと即決した時、
「“キノ”さんだな。俺は鳴海歩だ」
- 766 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 22:00:17
- そこそこよく響く声が、壁越しにキノへと届きました。
少年のような、しかし少しだるそうな、緊張感のない声です。
キノは、隣室には聞こえないぐらいに小さく息をのみ、
「ボクの名前は、掲示板で?」
少し沈黙してから、そう尋ねました。
「ああ、下の階でアンタの書き込みを見た。そこで俺はアンタと交渉がしたい」
「壁越しに話しているのは、用心の為ということですか?」
「まぁ、そういうことだ」
ドアを開放したまま会話しているので、二人の声はよく通ります。
キノは少年の声を傾聴します。
その声に不審な――妙に早口だとか、声色が媚びているとか――狼藉を企む人間特有の感じはありません。
むしろあまりにも緊張感がなく無防備ですが、その無防備さが逆に底知れなさをかもします。
まるで、キノがパースエイダーを持っている可能性をみじんも考えていないか、
持っていると考えているのに全く怯えていないか、そのどちらかのようです。
「交渉とは、つまり物々交換の申し出ですか?」
キノの問いかけに、
「そういうことだ。……ただし、交換したいのはモノじゃない。『情報』と『信頼』だ」
少年はさらりと答えました。
「情報は分かりますが、『信頼』とは?」
「俺の目的は、この『実験』からの脱出し、主催者のくだらない企みを潰すことだ」
あまりにも簡単そうに発言した少年に、キノは少しだけ眉をひそめます。
しかし、キノは、決して少年の考えを見下しているのでも、呆れているのでもありませんでした。
ただ、疑問視しているだけでした。
しかし、次の瞬間、その『ただの疑問視』は、『こいつ大丈夫か』という顔に変わります。
なぜなら、彼は続けてこう言ったからでした。
「その為に、“殺し合いに乗っている”あんたを仲間に加えたい。
俺の考えでは、あんたは殺し合いに乗っているはずだ」
―――――
すごい中途半端ですが、ここで「問題編」は終わりです。
「解決編」は一時間後に投下します(できたらいいな……)
さぁ。皆も歩が何を考えているのか推理してみよう。(できるか)
- 767 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/03(金) 22:26:51
- 投下します。
カオス エピローグ(植木編):戦いの終わり、そして始まりの法則
登場人物:森あい、植木耕助、友情出演さん
- 768 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/03(金) 22:27:24
- 「って私がこんなことするかーーーーーーーーーーーー」
森あいが目を覚ます。
冷や汗をたっぷりとかきながら。
夢の中では、ツインテールの遊撃士の首を絞めていた。
夢ではないのだけど。
「―――て何よこれ……」
そんな中、森はとあるものを見つける。
目の前には、茶色い封筒。
結構分厚いようだ。
そしてその封を切る。
「な、何?この大金……」
その封筒の中には、大金。しかもその額は並々ならぬ額であった。
その時、封筒の中から、一通の手紙が落ちた。
「えーと何なに?」
近くの机に置いてあった眼鏡を掛けて、そこに書いてあった文を音読していく。
「『The World、特別イベントを受けてくださった皆様方へ。
弊社が行った特別イベントを受けてくださって誠にありがとうございます。
しかしながら、弊社の都合によりこのイベントの事が 森 あい 様に正しく通達されていなかったようでした。
- 769 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/03(金) 22:27:57
- その謝礼と参加されてくれた元々の賞金を 森 あい 様に届けさせていただきました。
何か、ご不明な、不鮮明な点がございましたら下記の番号にまでお気軽にご連絡ください。
それではまたのご利用、心よりお待ちしております。
住所:×××〜 電話番号:△△△―〜
CC社より』」
「ご不明な点って……、一杯あり過ぎて聞けないわよ……けど、夢じゃ、なさそうね」
森は知らない。
この伝達はほとんど出鱈目である。
住所、電話番号も。
だからといって彼女にとっては関係ない話であるが。
「そうだっ!!植木たちは!?」
彼女は思い出したように、携帯電話を取り出して、植木の番号にかける。
プルルル プルルルル
「出ないし……」
森は明らかに焦っていた。
植木が電話に出ないことに。
すぐにそれが杞憂であることは思い知らされるが。
しかしそれを知らない森は出かける準備を急いで行った。
そして準備が終わった頃。
「ん?お出かけかい」
「いってきまーす!!」
「あ、そうだ。あい!帰りメロンパン買ってきて。最近はまって「行ってきます!!」
「ついでに、最近この辺で『ダブル長谷川』って強姦魔がいるらしいから気をつけてね〜」
「どこの佐藤よっ!!っていうかそれをしってながらあんたはお使い頼んだのっ!?」
- 770 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/03(金) 22:28:29
- 「まぁいいかなって」
「よくないわぁ!!」
と。いって勢いよく家から飛び出した。
◇
「変態だぁあああああ!!」
森は逃げていた。
『長谷川』という連続強姦魔から。
偶然にしては偶然。
奇跡にしては必然。
麻薬犯でもある『長谷川』は狂うように森を求める。
勿論森は逃げる。誰であってもそうするのかも知れないが。
しかしそんな時だった。
『長谷川』という者の頭の上から、木が、降ってきた。
「―――――へ?―――へぶしっ!!」
その木は、見事『長谷川』に命中した。
そんなことができるのは、植木耕助しかいなかった。
それが意味するは森は、植木を見つけた。ということ。
植木からしたら最悪の場面で。
簡単に説明すれば、能力で無能力者(一人)を傷つけた場面での再会だった。
「ってなにやってんのよーーー!!」
「―――ぶはっ!!」
殴られた。
しかし、彼も阿呆では無い(馬鹿だけど)。
これも彼の信念、一日一善の心がけの下、強姦魔から森を守った。
- 771 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/03(金) 22:29:00
- だけれども、
「――――はぁ…、何やってんのよあんたはっ!!」
再び殴られていた。
助けてもらった身でありながら。
「はぁ……起きなさい」
「―――――へんじのないただのしかばねのようだ」
「起きなさい!」
「うぅぅ……」
「あんたはホントに消滅したいのっ!?―――あんたは覚えていないの?殺し合いって感じの奴」
「――――うーん?あんま覚えてないなぁ。なんか夢で怪物に追いかけ回された夢をみたけど」
植木の出番はあまりに短い。
それゆえにあまり記憶にもない。
それはそれで考えものであるが。
そんな時だった。
「植木様!森様!お迎えに参りました!」
上空から、大きな笠が二人の前に降り立つ。
森は忘れていた。
今日から、第三次試験が、再開されるのだから。
「わ、忘れてた――――――――!!」
しかし、容赦なく神の使いは植木たちを天界に引き連れる。
植木は本来の歴史より才が1個減っている。
森は本来の歴史より眼鏡の代えは少ない。
これがどう修正されるかは分からない。
もしくは修正されないのかもしれない。
けれど、歴史は動き出す。
平和を手に入れるために――――――!!
【うえきの法則:終了】
- 772 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/03(金) 22:30:25
- 以上。
次はおそらくCLANNAD
ちなみに友情出演さんは9Q氏のオリロワ長谷川さんです
- 773 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:52:13
- 本スレ>>339の続きから。解決編です
一気に証拠を上げて、一息つく。
実のところ、根拠薄弱で想像頼りの部分もそれなりにある。
しかし、おおよそ当たっていればそれでいい。
要はキノに、いかにも見透かした風に、“それっぽく”聞こえていればいいのだ。
「そして縫道具は必要な分しか持ち去られていないのに、薬品類や包帯はほぼ全てがなくなっている。
用心してあらゆる怪我や病気を想定したとしても、いくら何でも多すぎる量だ。
怪我をした仲間でも抱えている可能性もなくはないが、それにしたって多い。
そして、一度小さめの瓶に薬品を詰め替えようとして、戻した痕跡があった。
最初は必要最低限のものだけ持って行こうとしたが、ディパックの容量が無限だと気づいて荷造りをやり直したってとこだろうな。
あるいは、いつもの癖で荷物を少なくしようとして、荷造りの途中で気づいたのかもしれない。
あんたが旅慣れた人間であることがうかがえるな。
つまり、あんたは自覚的に医療品を独占している。
あんたは他の参加者が怪我を治療できなくても構わないと思っているし、むしろ治療を受けられない方が都合が良いと思っている」
ここでまた一息。
長い溜めをおくと、壁向こうからキノが問いかけた。
「……それで、殺し合いに反抗するあなたはボクを否定しますか?」
- 774 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:53:03
- キノは挑発しているのでも、反発しているわけでもなかった。ただ聞いていた。
歩は、正直に答えた。
「ああ。それはアリだと思うぞ」
壁の向こうから、わずかに驚く気配。
「俺は、子どものころから血と硝煙の漂う世界で育ってきた連中を知ってる。
そいつらは、自分の身や仲間を守る為に、もう何十人も殺してる。
そして、俺はそいつらとそれなりに時間を共にしてきたし、信頼できる奴らだと思っている。
そいつらの人生を肯定する俺が、あんたを否定する理由はないな」
鳴海歩は、相手を人殺しかどうかでは判断しない。
『己が生きる為に人を殺して来た人間』を否定するということは、ブレード・チルドレンを他ならぬ鳴海歩が否定することと同義。
チルドレンを守ろうとしてきた歩が、キノを否定する理由はない。
当然、イコール人殺しが許されるとは決して思っていないし、ブレード・チルドレンにしても、いずれ何らかの手段で罪を償わなければならない。
しかし、歩はキノの背景を何も知らないし、おそらくこの殺し合いの場限定での付き合いになるだろう人間だ。
まず何よりも殺し合いからの脱出が優先される状況で、最初から罪を償うべきだの人殺しは信用できないだの言い出していも始まらない。
それに、
「そして俺があんたに交渉を持ちかけたのもそこにある。あんたは『殺すこと』が目的ではなく『生存』を目的としたマーダーだからだ。
あんたは、生存の為に必要なら、他人を殺すことを躊躇わない。
しかし、不必要なら殺したくない程度には殺人を好まないし、殺人をしんどいと思う程度の嫌悪感もある。
そういう人間だと俺は推理した」
キノはもう、問い返すことはしない。
この際、歩の推理を最後まで聞きたいということなのか。
- 775 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:54:30
- 「もしあんたが人を殺したくて仕方ない人物なら、あの掲示板にはこう書いていたはずだ。
『診療所には多くの医薬品が残されていました。ボクは必要な分だけもらって行きますから、皆さんも利用することをお勧めします』。
自ら積極的に参加者を狩ろうとするなら、狙撃手段を持つアンタの場合、多くの参加者が通りそうな要所で待ち伏せて、狙撃する方法が最善だ。
それなら、むしろ診療所に人を集める方法を取るのが自然だろう。この建物は小さい割に窓が多いから、狙いがつけやすく逆に攻め返されても逃げやすい。
あんたみたいなタイプには地の利が生かせる場所だな。
しかしあんたは、素直に診療所には医薬品がなく、自分は医薬品を持っているから取引に応じられると書いた。
シャワー室や休憩室や毛布のある診療所を、できれば拠点として長く使いたかったのか。
あるいは武器は支給されたが、最後まで戦い抜くには予備弾薬に不安があったか。
俺はその両方ではないかと思ってる。
あんまり大量の予備弾薬が支給品に入っていると、他人からディパックを奪うような戦略性が損なわれるだろうからな。
そして誰が見るかも分からない掲示板に物々交換の取引を持ちかけたことから、あんたは利害が一致すれば信頼関係を築く余地がある奴だ。
殺し合いに乗った人間、乗っていない人間、化け物じみた強さの人間、弱い人間、そんな誰が見ているか分からない掲示板で取引を持ちかけている。
ビジネスライクなの関係の作り方や、信頼の築き方を知ってる人間でなきゃできない芸当だ。
それに、相手が狼藉を働こうとしないか、裏切って襲って来ないか見極める判断力や、帰り打ちにする実力も備えていると推測できるな。
あんたが腕の立つ人間だと判断した理由のひとつがそれだ」
一気に説明し終えて、長く息をはく。
流石に喉が疲れた。
「……当たりです。今のところ、一言一句違わずに」
淡々と、しかし感嘆のこもったキノの言葉。
初めて、キノの歩に対する評価を聞けた。
「そして、交渉の通じると思ったから僕に声をかけたんですか?」
「そもそも、ルール上、ゲームに乗らなくても最後の二人までにはなれるんだ。なら、あんたが当面、人を殺す必要はどこにもない。
そして、当面の生存を考えなきゃならないのは、マーダーのあんたも対主催の俺も同じだ。
もし俺が主催の打倒に成功したら、余計な面倒をかけずに元の世界に帰れる。
俺の目的が失敗したとしても、あんたのデメリットは何もない。悪い取引ではないはずだ」
ここで、一度、キノの返答を待つ。
- 776 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:55:38
- キノはゆっくりと、答えを返して来た。
「じっくりと慣れ合った人間を、後で殺す。
ボクとしては、そういうやり方はしんどいから好きじゃありません」
ここで否定されることも、歩には織り込み済みだ。
ここから、キノにアプローチをかける為の論理を展開すればいい。
そして、この答えでキノの覚悟のほどをある程度把握する。
赤の他人を殺すことに躊躇いはないが、親しくなった人間を殺すことには抵抗感がある。
そこは歩にとって有利な要素でもある。
都合よく情にほだされてくれることを期待はしないが、歩に対してビジネスライク以上の信頼を築けるなら、マーダー路線転換の可能性も充分にある。
しかしそれでも、『好き嫌い』の次元で語れる程度には、キノにとって歩の命は軽いのだ。
そのことも肝に銘じておく。
歩は、キノを攻略する為の一言を斬りだした。
「どんな手を使ってでも生き延びたいんじゃなかったのか?」
壁の向こうから、不可解を示す沈黙。
それはそうだろう。相手は『どんなことをしても生き延びたいから皆殺しを目指そう』という主旨で動いていたのだから。
「この殺し合いで生き延びる為には、ただ武器があればいいってわけじゃない。情報が不可欠だ。
物々交換の交渉をするにしても、手持ちの札しだいでは引き出せるメリットが何倍も違う。
……例えば」
ここで一旦、溜め、
「この殺し合いに呼ばれた人間が、国どころか全く違う世界――いわば異世界から呼ばれた可能性が高いってことだ」
何度目かの沈黙から、歩はその言葉がキノに沁みとおったことを確認。
「SF小説は読むか? いわゆる“パラレルワールド”だと理解するのが一番手っ取り早いと思う。
まぁ、いきなりこんな話を聞いても、俺の頭がおかしくなったと思うかもしれないな」
「あなたがそう思うに至った根拠には興味があります」
そしてキノは食いつく。どうやら、自分の嫌いなことには怠惰だが、好奇心はそれなりに強いようだ。
「アンタの世界に『日本』はあるか?」
「いいえ。それは何ですか?」
読みが外れていれば、とても間抜けな質問だ。
しかし歩の読みは当たり、キノは日本を知らなかった。
そしてここで、歩の『異世界説』も100%クロだと確信できる。
- 777 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:56:22
- 「『日本』は俺の国だ。人口は約1億3千万。国土面積は約38万平方キロメートル。
建国はおよそ二千四百年前。世界中探しても、知らない奴はそういない程度には大国だな」
壁の向こうから、絶句する気配。
もしかすると、キノの世界には、そこまで大規模な国家が無かったのかもしれない。
「そしてこの参加者名簿には、日本人の名前がとても多い。名簿にある名前の、3分の2以上が日本人名だ。
俺の国の言語はかなり独特だから、この人名で日本以外の生まれだという確率は低いだろう。
そしてあの掲示板に書かれていた『桐山和雄』という名前も日本人のものだ。
しかし、あの書き込みにあった『プログラム』という催しは、俺の国には存在しない」
「あの書き込み主は、日本人なら誰でも『プログラム』が殺し合いだと知っているような書き方をしていた。
しかし、俺の国にそんなものはないし、そもそも俺の国は殺し合いが当たり前にあるほど治安が悪くない。警察組織も世界でトップレベルに優秀だと言われてる。
つまり、あの書き込み主は、『俺の知らない日本から来た』とでも考えない限り説明できない。
名簿には他にも、どこの言語圏の出身なのか計りかねる名前があったしな。
そもそも、“魔法”や“呪い”なんて人知を超えたもの事態、俺の世界にはないぞ。
奇妙なオカルトじみたシステムはあるが、あんな物騒なものじゃない。
“異世界”とまではいかなくとも、未知の“概念”が存在することは認めざるをえないな。
そして、そんなトンデモ能力者が、参加者としてこの舞台にいるかもしれない以上、
狙撃や荒事が得意というだけで、優勝するには不安があることもな」
- 778 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:57:14
- ついでに、軽い意地悪もこめて言っておく。
「もうひとつ言っておくと、俺の国では『弾薬を使う武器』に『パースエイダー』という呼び方は使わない。
『パースエイダーが欲しい』なんて言っても、参加者の大多数には意味が分からないぞ。
俺はあの文脈から、武器のことだと分かったけどな」
壁の向こうからは、またしても沈黙。
知りようがないことを突かれて恥ずかしくなったのか、悔しかったのか。
「たったそれだけでボクを異世界人と判断したんですか?」
声が少しムキになっている。どうやら後者だったらしい。
そして、これはキノの無知を露呈させ、『情報が必要だ』という歩の言葉に説得力を増した形にもなるのだ。
「もちろんそれだけじゃない。パソコン――あの機械の履歴を見せてもらったが、アンタはどうもあの機械の使い方に疎いようだった。
俺の国の人間で、したらばに書き込みができるほど、ネットの仕組みを理解しているのに、
画面――ブラウザというんだが――それを閉じる方法が分からず、ましてや
ゴミ箱やドキュメントが何を意味するのか知らない奴がいるとは考えにくい。
にも関わらず、殺し合いが始まって一時間たたないこんな序盤から、すぐさま殺し合いで電子掲示板を利用するという。
いくら交渉能力に自信があったとしても、機械音痴なら躊躇するところだな。
つまりアンタは、『電子空間でのやりとり』は知っているが、『パソコンの使い方』は知らない。
そういうちぐはぐな文明から来たのではないかと考えた」
そして、キノがパソコンに疎いということが、歩に新たな推測を立たせる。
いくら交渉術を知っているとはいえ、そこまでパソコンに疎い人間が、不特定多数が覗く『したらば』で、取引の日時を相談したりするだろうか。
『状況によって相談』などを行えば、取引の現場を邪魔される要素が大きすぎるのだ。
いや、実際はチャットのささやき機能を使えば他者に聞かれずに済むのだが、sageも知らないキノにその知識があるかどうかは怪しい。
つまりキノは、邪魔されずに交渉を行う手段を持っている。
キノの支給品には、高確率で携帯電話か、ノートパソコンか、何らかの通信道具がある。
それが、キノを仲間に引き込んでおきたい最大の理由。
- 779 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:57:45
- 正直なところ、銃器という武器とそれを扱う腕前と覚悟を併せ持つ、キノの力は確かに魅力的だ。
しかしそれは、キノがマーダー路線に再転換した場合、キノによる歩たちの殲滅を招きかねない諸刃の剣。
当然、そうならないようにキノをコントロールする心構えはある。
そもそもキノを勧誘するもう一つの理由が、『マーダーを一人でも減らしておくことで、犠牲者に少しでも歯止めをかける』ことでもあるのだから。
ただ、それでも厳然とリスクは存在する。
しかし、『持ち運び可能な通信機器』というアイテムは、それらのリスクを大きく上回るリターンをもたらしてくれる。
何より、『移動と掲示板の考察を同時に行える』というメリットが大きい。
いちいち施設でしたらばをチェックしたりチャットに参加して考察に専念していれば、
どうしてもその分動きは止まってしまい、現場で進行中の事態に乗り遅れるという失敗を招きかねないのだから。
だから歩は、キノに対して最後の論証を行う。
「これで、いくらアンタがすぐれた銃の腕と、それを撃てる覚悟や判断力を持っていても、それだけでこの殺し合いを優勝するには不安要素が強いという証明は終わりだな。
つまりこの実験で生き残るには、多少なりとも誰かから情報を得たり、仲間を作ることが必要になる。
誰かと慣れ合ったことでそいつの殺害に『しんどい』と躊躇いが出るような奴なら、どのみち生き残ることは難しいさ」
正直、この言い分は倫理的にどうかとも思うのだが、キノにとっては手痛い言葉となるだろう。
- 780 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:58:16
- 「そこでだ、今まで説明した通り、俺はあんたの知らない世界のことを知っているし、あんたの知らないパソコンもそれなりに扱える。
それなりに信頼のおける知り合いも、この殺し合いに何人かいる。
さっきあんたが認めてくれたように、目端もそれなりに効くな。
ついでに言うと、料理も得意だ。そこいらのレストランよりは美味いものが作れるという自負もある」
『料理』と口にしたとたん、壁の向こうからすさまじい“気配”が放出され、思わず後ずさった。
何故そこに食いつかれたのだろう、それは“殺気”ではなく“闘志”に近い何かだった。
……だが、悪いものではなかったので続ける。
「正直なところ、俺はあんたに仲間としてゲームに反抗してほしいととも思っている。
だが、当面この“呪い”を解く手段が見当たらない以上、アンタが俺を信用できなくても無理ないということも分かる。
だから今は、“実験に反抗する為”じゃなく、“当面を生き延びる”為の協力関係で構わない」
これで、説得の言葉は全ておわり。
そしてキノは、答えた。
「『助け合いの契約』ですか」
『助け合いの契約』。
キノの世界の言い回しかも知れないが、いい響きだと歩は思った。
「そうだよ。さっき言った通り、俺はあんたが人殺しであることを断罪するつもりはない。
ただ、その為に対主催派の犠牲者が増え、俺の目的を邪魔されるのがいただけないだけだ。
だから妥協点があるなら探したい」
- 781 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:59:10
- 「『契約』といっても、具体的にボクはどうすればいいんですか?」
歩は、キノから見えない壁の向こうで、密かに笑う。
『契約』の内容を聞いた。
それはつまり、内容次第では『契約』に乗ってくれるということ。
「俺は別にあんたを雇おうとか命令しようとは思っていない。
今から四つの条件を提示する。あんたはそれを守ってくれるだけでいい」
互いの世界観や価値観が異なる以上、下手に条件を擦り合わせると齟齬を生みかねない。
条件はあくまで緩く。なおかつ、あらゆる状況――特にキノが心変わりした時――に対応できるように。
歩は指を四本立てた。キノには見えないけれど。
「まず、互いに契約の破棄することはいつでもできるという条件。つまりいつ見限っても構わないってことだ。
ただし、破棄する時は必ず相手に聞こえるように、はっきりと宣言すること」
これはキノにとって、契約を引き受けやすくすると同時に、『キノの裏切りを未然に防ぐ』という意味を持つ。
つまり、キノから不穏な気配を感じたら、それより先の歩の方から契約を切って、離れてしまえば問題ないのだ。
「二つ目。契約中は、正当防衛以外の理由で人を殺さないこと。
どんな世界からどんな価値観を持った相手が参加しているか分からない以上、うかつに引き金を引けば無駄に敵を増やすことは分かるよな?」
殺し合いに乗っているのに殺せないという条件を提示されるのは、本来なら厳しい条件だ。
しかし、キノの目的は生存であって人を殺すことではない。
ならば、この条件はのんでくれるはず。
「三つ目。お互い、相手に嘘はつかないこと。ただし、言いたくないことを黙っているのは構わない。
もちろん、相手はいつでも契約を破棄して見限れるんだから信用を損ねるかの兼ね合いを考える必要はあるが」
嘘をつかなくても人を騙すことはできるが、嘘をつけない相手に、自分が騙されているのかを確かめることはできる。
キノの真意を確かめる手段は、用意しておいた方がいい。そして、言いたくないことは黙っていて構わないということで逃げ道も用意してやる。
「四つ目。契約破棄から10分の間は、互いに誰も殺さないこと」
初めてキノの方から問い返された。
「それは……殺し合いに乗ったボクから逃走する時間を稼ぐ為、ですか?」
「そういうことだな」
- 782 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/03(金) 23:59:41
- 『“誰も”殺さない』と前置きしたのは、契約破棄の時点で歩の人間関係がどうなっているかが分からないからだ。
歩本人だけでなく、歩の仲間も攻撃される事態も避けたいし、下手したらそれが原因で『鳴海歩は仲間が殺されるかもしれないのを止めなかった』という悪評が流れかねない。
「その条件だと、ボクが不利ですね。ボクは10分の間、行動を控えないといけないけど、
あなたはその10分の間にボクが乗ったことを掲示板に公表して、参加者に警戒を呼び掛けることができる」
「あんただって、逆に俺の悪評を振りまくことはできる。
それにアンタは元々、乗っていない振りをして近づくより、標的を見つけるなり一方的に狙撃して終わらせるタイプだろう? そこまで不利にはならないな」
しかし、悪評の振りまきあいなら、情報戦に持ちこめる。
その時の状況にもよるとはいえ、歩の方がまだ得意分野だ。
警戒すべきは、キノが歩を見限った上で、歩と同じ策謀を使うタイプのハンターと手を組んだ場合だ。
そうならない為にも、キノからは目を離さないようにしておく。
気を許すつもりはあっても、気を緩めるつもりはなかった。
そして、歩の体感からすれば、ずいぶんと時間が流れた。
- 783 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/04(土) 00:00:31
- キノが、ゆっくりと喋り出した。
「信じられないかもしれませんが、ボクは人を殺すことが好きではありません。
そして、ボクに人殺しを命令して、ボクが人を殺すところを見て、
それを楽しんでいる人がいるのは、より好きではありません」
淡々と、あくまで淡々と、キノは語る。
「しかし、ボクは生きる為に必要なら、好きではないこともやります。
例えば、ケーキが大好きだけど野菜はそこまで好きじゃない人が、
野菜も摂ることが必要だから野菜も食べるように、
人殺しが必要ならボクは人を殺します」
それは、キノの方からの、初めてのスタンス表明。
「ですから、実利と嗜好の両方をかんがみて、ボクは『助け合いの契約』を受けます」
そして、二人の利害はここに一致する。
「分かった。なら、今この瞬間から『契約』は成立だ」
歩は出さん抜きで笑った。
「分かりました。今から成立ですね。
ではそろそろ姿を見せてもらえませんか? 契約が成立したので、ボクはもうあなたを撃ちません」
「ああ、今行くよ」
そして、歩は隣室へと歩いて行く。
実は、壁越しの会話には、もう一つの意味もあった。
それは、演出効果。
歩は、『主催者の弟だから』などという理由で根拠のない期待をされることを好まない。
だから、キノとの交渉中も、そのことを伏せていた。
しかし、一度契約が成立したならば、ここで改めて『正体』を明かすことで、
キノに『後戻りできない』という意識を植えさせる。
鳴海歩はロッカールームを出て、キノの前に姿を現した。
鳴海清隆の面影を持つ顔を、キノに見せた。
「『契約』が成立したところで、改めてあんたに話さなきゃならないことがある。
あの主催者――鳴海清隆は、俺の兄だ」
※ ※
ドアから現れたのは、やけに見覚えのある印象の少年でした。
「あの主催者――鳴海清隆は、俺の兄だ」
その少年は、この『実験』の始まりに、壇上で話していた男と似ていたのでした。
鳴海歩はそこで言葉を区切って、キノがどんな顔をしているかを見ました。
キノの形容しがたい表情を見て、少しだけ笑いました。
- 784 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/04(土) 00:01:06
- 【B−8/診療所2階/一日目深夜】
【鳴海歩@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]健康
[装備] なし
[道具]基本支給品一式
猫耳ヘアバンドと肉球手ぶくろ@スパイラル〜推理の絆〜
ベーコントマトのリゾットと舞ちゃん特製オリジナルトマトスープ@吸血鬼のおしごと
フルフェイスのヘルメット@DEATH NOTE
[思考]基本:『実験』の打倒
1・実験を打倒する為の仲間を集める(ブレードチルドレン、結崎ひよのを優先)
2・『魔法』に関する情報を集める。
3・キノと協力する。(キノを対主催に転換させる。それが無理ならキノを利用する)
※参戦時期はカノン・ヒルベルト死亡後から火澄と対決する間のどこか。自らがクローンであることや清隆の計画、『結崎ひよのの正体』にも見当をつけている時期からです。
※この『実験』を、鳴海清隆の『計画』の延長線上にあると考えています
※キノの性別に気づいているかは不明です。
【キノ@キノの旅】
[状態]健康
[装備]レミントンM31(4/4)@バトルロワイアル、果物ナイフ@現地調達
[道具]基本支給品一式、包丁@現地調達、
不明支給品0〜2(確認済み、歩の推測では高確率で通信道具がある)
[思考]基本:生存優先
1・は……?
2・鳴海歩との契約を守る。
3・鳴海歩と行動を共にする。皆殺しによる優勝が現実味を帯びて来た場合、契約を破棄。
4・鳴海歩の手料理に興味。機会があればぜひご馳走になりたい。
5・使い慣れたハンドパースエイダー、できればカノンか森の人、なければそれに近い型のものを手に入れたい。
※参戦時期は、少なくとも『必要な国』以降。
※鳴海歩とキノが交わした契約内容は以下の通り。
1.契約期間中は、互いの生存の為に協力しあう
2.契約を破棄する時は、はっきりと相手に聞こえるように宣言する。
3.互いに嘘はつかない。ただし黙秘する権利はあり。
4.契約破棄から10分の間は、誰も殺さない。
【ヘルメット@DEATH NOTE】
ヨツバキラ確保の際に夜神総一郎が被っていたヘルメット。
キラ対策として完全に顔が見えないようになっている。
【猫耳ヘアバンドと肉球てぶくろ@スパイラル〜推理の絆〜】
竹内理緒が校内銃撃戦に備えて用意した秘蔵のアイテム。
その効果は、見た目を可愛らしく演出する。以上。
でも、原作ではチート能力の中ボスを倒す切り札になったんだよ。ほんとだよ!
【ベーコントマトのリゾットと舞ちゃん特製オリジナルトマトスープ@吸血鬼のおしごと】
雪村舞(実体化)が月島亮史の為に丹精こめて作った手料理。
その味は、(舞の為に)完食した亮史をして『千年の長きの中でもっとも辛かった戦い』と言わしめた代物。
- 785 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/04(土) 00:02:07
- 投下終了です。
長かった……描いても描いても終わらなかった……
もう考察なんて見たくも聞きたくもありません。
- 786 :名無しさん:2011/06/04(土) 00:14:09
- いろんな意味で乙ですw
かなり読み応えがありました!
- 787 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/04(土) 20:52:08
- 忍法帳の事情でこちらに
タイトル:寺生まれはスゴいけれど
登場人物:Tさん
- 788 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/04(土) 20:52:50
- 「やれやれ…大変な事になってしまったな」
山頂のおみやげ屋内の軽食店で溜息を付くTさん。
大概のことは、「破ぁ!」で解決してきたが…。今回は、そう簡単にはいかなそうだ。
(これほど手強いと感じたのは…八尺様以来だな。)
おもむろにデイパックを机の上に置く。
さっき確認したが、中にはあの男が言っていた物と、棒のようなものと普通のガムが入っていた。
附属していた説明書によると…。
『特殊警棒:伸び縮みさせる事ができ、持ち運びに便利。』
「…こんな物騒な物、あまり使いたくはない」
とは言え、ここは殺し合いの場。
丸腰では、Tさんと言えど流石に危ない。
(ここは1つ冷静になって、殺し合いに反対する人を集めよう)
ガムを口に放り込み、おみやげ屋を後にした。
【一日目/深夜/A-7:山頂】
【Tさん@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:特殊警棒
[所持品]:支給品一式、ガム
[思考・行動]:
基本:このゲームを壊し、主催者を破ぁ!する。
1:仲間を集めるにはどこに行くのが良いだろうか?
- 789 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/04(土) 20:53:21
- 投下終了です
- 790 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/04(土) 21:21:03
- 投下乙です
自己満足オリロワ第14話:よしかずタイガー
登場:桜井良和、坂上結
- 791 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/04(土) 21:35:34
- 「……あー、実験したい。早く生きた個体に毒薬打って行動パターンの把握プランabcのどれが正しいのか検証実験途中だし」
………見ての通り脳内回路がぶっ飛んでいる。
が、口では悪態を吐きながらも、結は上機嫌であった。
何故ならば、大罪の悪魔の力を抽出して、強引に人間を獣人化させる特殊薬品、H352が結に支給されたのだ。
そして更に。
鳥の刷り込み効果のように、最初に見た人間の忠実な下僕となるのだ。
そして、早速哀れなモルモットがやってくる。
「く…何す…」
通り魔のような姿勢で、ホスト桜井良和の腹に注射器を突き刺していた。
見る見るその肉体は虎に変化していく。
虎獣人化する種類のやつだったか、と結はわくわくしたように見つめる。
坂上結はこうして、一匹の虎を下僕とした。
【一日目/深夜/b-1】
【坂上結】
[状態]高揚感
[装備]なし
[所持品]H352
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
1:下僕を増やす
- 792 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/04(土) 21:37:35
- 【桜井良和】
[状態]虎獣人化
[装備]なし
[所持品]手榴弾×2
[思考・行動]
基本:結に仕える
投下終了
- 793 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:23:25
- 投下
カオス〜 CLANNADエピローグ:ANOTHER STORY
登場人物:岡崎朋也、春原陽平、相楽美佐枝
- 794 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:23:55
- 「ぁあ!?お前に友達だってーー!!」
「何で友達できたぐらいでそんな驚かれなきゃいけないんすかねぇ!?」
俺は帰ってきた。
今は夜。『いつも通り』に春原の部屋でくつろいでいる。
あの狂気に満ちた殺し合いから……。
夢の様で夢であってほしかったあの、殺し合いから。
いやまぁ杏と付き合えたのは良い事ではあるんだが……。
あと、この今まで俺がバイトで貯めた金とは比べ物にならないほどの金。
……。
まぁ、いいのか?生きている訳なんだし。
現に俺は今幸せなんだし。
良いのか?本当に?
「…なぁ春原。お前は昨日の出来事どう思うんだ」
「別にどうも思わないよ。僕的にはお金がもらえてラッキーって感じだけどね」
「そうか」
そんなもんか。やっぱり。
いいんだろうな。そういう風で。
いいんだ。それで――――。
まぁそれでこの話題は切ろう。
話してて盛り上がる話ではない。
「んで、誰だよその友達って」
「阿良々木暦っていうんだ。今度の土曜は阿良々木がこっちにきてくるらしいよ」
「ふぅん」
まぁこいつの友達っていうぐらいだから
◇
以下は朋也の妄想です。
阿「ぐきゃきゃきゃきゃ」
春「くけーーーーーーー!」
阿「ぐきゃーーーーーー」
春「くけくけくうけえーーーーーーー」
以上までが朋也の妄想でした。
◇
って感じなんだろうな。きっと。
- 795 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:24:41
- 変態だ。
うん。きっと小学生とか狙ってそうな感じだ。
だって春原の友達だぜ?
まともなわけないだろう?
だから俺は。
「ぐきゃーーーーーーーーーー!!」
「うおっ!何ふぁ岡崎」
ふぉって何だ。
「いや、お前の友達はこんな風に話すんだろ?」
「あなたとても失礼ですねぇ!?」
「いやいや、当たり前のことを言っただけだろ?」
「ちげぇよっ!!」
「じゃあどんなやつだよ」
「気になるんだったら、土曜日ついてきたら?」
と。にやけ面が気に入らなかったので殴っておくとして。
――――まぁ気になるっちゃあ、気にはなるな。
と。
まぁそんな時だった。
勢いよくドアが開かれて、
「岡崎いるぅ?」
美佐枝さんがやってきた。
「ちーす。何か用すか?」
「なんか彼女って名乗る人があんたに用事があるらしいわよ」
「ふーん。じゃあ変わります」
まぁ杏だろうな。というか杏しかありえん。
そして立ち上がったその時。
「え――――」
と。呆然となっていた奴が俺のズボンを引っ張ってきた。
「キモいから離せ」
「酷いっすね!?――――え?で?は?」
「何が言いたいんだお前は」
- 796 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:25:13
- 「――――彼女って何だーーーーーーーーーーーーーーー?」
「――――お前も知ってる奴だよ」
「何?渚ちゃん?委員長?あのちっちぁいの?それとも智代?」
「どいつでもねぇよ」
「―――――え?じゃあ、まさか――――――藤林杏?」
「そうだ」
「―――――ふぅん」
と。なんか意味深な顔をしていたので蹴飛ばして、俺は電話の方へ向かった。
◇
「デート?」
『そう。あんたのとこにもお金届いたんじゃない?あのイベントの報酬で』
「まぁ、そうだな」
『というわけで、あんたも奢れるだけの甲斐性は得たんだから、デートに行きましょうって話』
「おう、わかった。じゃあ―――今度の土…じゃなくて日曜に行くか」
『分かったわ。じゃあそれだけよ。おやすみ』
「あぁそうだ。杏」
『ん?何よ』
「萌え台詞言ってくれ」
時が止まった気がする。
けどな、俺はこんなところで満足はできない。
高みを目指さなければ。
「ん?どうした?」
『本気で言ってる?』
「ああ」
『………あなたの事、愛してるよ?』
「萌えッ!!」
やべー。
俺の彼女ちょー可愛い。
俺の彼女がこんなに可愛い訳がない。いや、そんなことありません。
『もう、切るわよ?』
「あぁ、おやすみ」
『おやすみ』
ガチャ
うん、彼女っていいね!殺し合いが何だってんだ。
……まぁ、最後が気に食わないけどな。いーさんは確かに死なないとはいったけど、何も殺すことねぇだろ。
そういや、何か主催者と何か関係があったっぽいが……。考えても仕方ないか。
「あら、終わった?」
後ろから美佐枝さんの声がした。
というかいた。
「もう帰るのかしら」
「……まぁ、そうだな。帰ります」
「そう、じゃあまた明日……っていうのも変なんだけどねぇ」
「変ですね」
何せ俺はここの寮生じゃねぇし。
「あ、そうだ。最近日本では『ダブル長谷川』ていう強姦魔がいるらしいわよ。気をつけなさいね」
「男の俺に言うことか」
「それもそうね。…まぁ気をつけることにこしたことは無いわよ」
「へーい」
「んじゃね」
「はい」
- 797 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:25:50
- それを最後の会話にして、俺は寮を出る。
風が吹いた。
とても清々しい。
あの、ゲームの世界ではなかったものだ。
改めて感じる。
すばらしい、このせかいのことを。
……。家には帰りたくねぇけどな。
――――はぁ。
と俺はため息をつき、家路につく。
そこで、俺の通う学校が目に着いた。
……。
何故だが無性に学校に行きたくなった。
あの殺し合いのせいで、恋しくでもなったのだろうか?
気が付いたら、俺はこの長い坂道の前にいた。
普段だったらサボっても行きたくない学校。
だけど、今日は日曜日。しかも夜だというのに何故俺はここにいるのだろう。
その時だった。
俺の目の前に、光が現れた。
俺はそれを、いつの間にか、自然に、手に取っていた。
しかし、手の中を見ると何もなかった。
……。気のせいだったのか。
しかし、俺は歩みを進める。何故だか勝手に。
学校の方へと。何かに吸い込まれるようだった。
この先にはいつもと変わらない学校があると思う。
それを分かっていながら、俺は止まらない。
……それでもいい気がした。
俺は心の中でさっきから何回も言ってるが何故だかそう思う。
そして、俺は歩く。
この長い長い、坂道を――――――
【CLANNAD:終了】
- 798 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:26:21
- 以上。
- 799 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:36:06
- 投下
カオス
スケダンエピローグ:ギャグ漫画日和、再開
登場人物:ボッスン、ヒメコ、スイッチ
- 800 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:36:40
- この部室にとある3人あり。
その3人の事を人は『スケット団』という。
「つーかよ。……お前ら俺に安否の連絡とかねぇんだな!?」
「それはお前を甘やかすことになる」
『そうだぞ』
「そうだぞ。―――じゃねぇよ!!結構悲しかったわ!!」
「いやそんなんいわれても、なぁ?」
『なぁ?』
「ちくしょーーーーーーー!!」
と、嘆き悲しむのはボッスン。
普通括弧で話すのは、ヒメコ。
『』で話すのはスイッチ。
仲良し3人コンビ。
それは、絆はヒメコの心を打ち砕くまでのもである。
しかし、日常は続く。楽しい楽しい、まるでギャグ漫画のような日々は。
【スケットダンス:終了】
- 801 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/04(土) 22:37:17
-
「ってもう終わりかああああああああああああああ!」
と。
ボッスンが叫んだので、もう少し続けさせていただこう。
「ってもなぁ。別に特別話すことなんてないわ」
『そうだな。そういう話はジャンプでやってくれ』
「何でそんな悲しい事言うの!?せっかくなんだからさぁ!」
「うーん?そうやねぇ。じゃあ今日、新聞見たら『ダブル長谷川』の一人が逮捕されたようだわ」
「だからどうしたああああああああああああ!!」
「じゃあ何がしたいねん」
「いやだから、今回の殺し合いについてとかさぁ、何かあるだろ!?」
「なら
ボッスンはこの殺し合いを通じて、目立つことの大切さを学び、
私は、精神の強さの大切さを学び、スイッチはパソコンの大切さをそれぞれ改めて知った。これでいいやろ」
「何?早く終わりたいの!?俺たちの出番これだけでいいの?」
「『おう・そうだ』」
「――――何でだよ」
「何でってよりゃあ思いだしたくもないからや」
『同じく』
「はぁ!?」
「そんなんおもいだしたくもないやん。一歩間違えば精神病患者行きやで」
「ふぅんそんなもんか?」
「それときたらボッスンは空気も読まず殺し合いのこと思い出さす様なことばかりいいおって。あほか!」
「――――――ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!」
「というかさっきからなんなん?その銀魂みたいな伸ばし。いろいろ鬱陶しいわ」
「すいませんでしたっ!!」
「あっ、拗ねた」
「どうせ俺は主人公に似つかわしくありませんようだぁ!」
そんな感じで、そんな風に、そのようにして。
今日からまた始まる。
面白き日常が。
【スケットダンス:終了】
- 802 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 19:24:46
- すっかりこっちの住人な僕は投下する。
学園ロワ5 生徒会長
- 803 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 19:25:17
- 第五章 生徒会長(せいとかいちょう)
□
難しそうで簡単で。
簡単そうで難しい。
そんな生徒会長のお話。
◇
まぁなんていうか私は飛ばされたわね。
春日君酷いわ。春日君って誰かしら。
それはそうとして前置きね。
ちなみに私の名前は豊橋 亜紀 (とよはし あき)よ。
よろしくね。
…いい加減に前置きを言わなきゃね。
あぁでもこれは必要な情報だから言っておくけど、私は生徒会長です。
そして私は二年生です。
はっきりいってこれは珍しい事かなぁって思うわ。
しかし、これはこの学校の嫌な特色であっちゃう、
『殺し合い』があるからだと私は考えるわ。
『殺し合い』に置いて、目立つということは、意外と欠点なんだわ。
まずなにより、スタンスが特定されやすい。
これは日常生活から、なんとなく特定できるもの。何も知らない者どおしの殺し合いじゃないんだから。
そして会話の流れ上察しはついたと思うけど、生徒会長って目立つのよね。
うん、目立つわ。
だから三年生はやりたがらないし、仕方ないっちゃあ仕方ないわよね。
まぁなんかもう時間らしいから、前置き終わりますわ。
え?やってないって?気のせいですわ。
◇
ここは生徒会室。
私は会長席に着き、昨日決まった新生徒会の面々を見渡す。
まず、副会長席には、白
次に、書記席には、青
次に、会計席には、赤
次に、庶務席には、茶
ちなみに会長席には、黒
これは第一印象ですわね。何かって髪の色。
うん。中々カラフルだね。この高校はこういうのには疎いからね。
ちなみに、名前は。
副会長:白虎 大我 (はく たいが)
書記:青龍 螺魂 (せいりょう らごん)
会計:朱雀 尽 (すざく つくす)
庶務:玄武 蛇取 (げんぶ たとる)
……なんか後半に行くにつれ適当になっているのは気にせいよね?
まぁいいわ。なんか私が疎外されているような気もするけど。
……いいわよね?
うん、そういうことにしときましょう。
まぁなんて一人でブツブツしていても仕方ないし、新生徒会の初生徒会活動でもしましょうか。
「というわけで、私は新生徒会長、2‐豊橋亜紀です」
どういうわけなのかしらね。と一人ツッコミ。何だか悲しいわ。
- 804 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 19:25:47
- だけど、それに答えてくれて、副会長から順番に自己紹介をしていった。
「俺の名前は白虎大我だ。以後宜しく」
「ボクは青龍螺魂です。変な名前だけどよろしく」
「わたしは、朱雀尽ね。まぁよろしく」
「俺玄武蛇取。俺変、宜しく」
まぁ、個性豊かってわけではなさそうね。漫画じゃないんだし。
ちなみに、玄武君はO組で、蛇と亀のハーフってのも変だけど、そんな感じらしいわ。
……生態系が崩れているわね。
まぁいいんだけどね。よくわからないから。
さてと、今日はこれで終わりよ。
もう?
って感じる人がいるかもしれないけど、今日はただの顔合わせよ。それが仕事。
だからしょうがない。しょうがないのよ。
そうね。
だけど、これが私の大まかな日常。詳しい事は後々言うわ。
けど、このままだと、前置きいれても、人物紹介の方が長くなりそうね。
それもしょうがないんだけどね。
だから、これにて、
本日の生徒会活動、終了!!
第五章 終わり
- 805 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 19:26:11
- 【豊橋 亜紀 (とよはし あき)】
[性別]女
[種族]人間
[適性]遠距離
[職業]高校二年生
[容姿]黒髪ショート、目つき鋭い、けど可愛い(エー
[性格]明るいが、独り言が少し多い。苦労人
[備考]
生徒会長。何でこいつがなったかはおいおい。
主要キャラの一人。けどキャラが地味な感じがするねぇ。
だからここから崩せるといいな。と思う。
【白虎 大我(はく たいが)】
[性別]男
[種族]人間
[適性]近距離
[職業]高校二年生
[容姿]目つき鋭いパートⅡ、白髪白眼。
[性格]勝気、正義感はあるが、協調性は皆無。ボサボサ髪
[備考]
生徒会の面子。
虎の獣人とかより虎の獣人っぽい。
まぁ仕方ない。
名前は虎の英語、タイガーより。
四人で一番まともな名前。
【青龍 螺魂 (せいりゅう らごん)】
[性別]男
[種族]人間
[適性]中距離
[職業]高校二年生
[容姿]青髪碧眼、背は高い
[性格]不良、オールバックしかし協調するのを好む
[備考]
生徒会の面子。
龍の獣人は多分にいないからいいだろう。
名前は龍の英語だと思うドラゴンより。
無理やりだよねぇ。
【朱雀 尽 (すざく つくす))】
[性別]女
[種族]人間
[適性]中距離
[職業]高校二年生
[容姿]紅髪紅眼。髪はロングストレート。可愛い、というか子の作品に出る女は基本可愛い設定。たんに僕の趣味。
[性格]被虐趣味、強がり
[備考]
生徒会の面子。
不死鳥もいねぇと思うからいいよね。
名前は不死鳥の英語だったと思う、フェニックスのックスから。
無理やり?そう無理やり。
【玄武 蛇取 (げんぶ たとる)】
[性別]男
[種族]蛇と亀のハーフ
[適性]近距離
[職業]高校二年生
[容姿]茶髪、目は糸目。髪はショート
[性格]温厚
[備考]
生徒会の面子。
つーかなんだろうね。蛇と亀のハ―フって。
名前は亀の英語だったはずのタートルから。
無理やり。無理やり。
- 806 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:09:32
- 投下します
タイトル:獣のように、ってか獣じゃん
登場人物:◆ymCx/I3enU、群馬洋一
- 807 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:10:02
- 「まさか、現実でバトロワする日が来るとは…」
アパートの一室で、椅子に腰かけ呟く◆ymCx/I3enU。
書き手として、何度も人の命を奪ったことはある。
しかし、現実ではそんなことは1つもない。
「とは言え、ゲームに乗らない理由もないし…乗ってみるか」
ゲームに乗るなら、重要な物は支給品だ。
一体何を支給されているのか…。
「何だこれ、薬?」
『変身薬:なりたい物を想像して飲むと、飲むときに思っていた物に変身出来る。』
『無機物・他の参加者・大きすぎる物には変身できない。』
「へー…それじゃ、早速」
カプセルを口に入れ、そのまま飲み込む。
頭の中で、狼を思い浮かべながら。
「変身する時はどんな感じなんだ…?」
そのまま、2・3分待つが、特に変わった感じはしない。
…もしかして、騙された?
「鏡でも見てみるか…」
- 808 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:10:33
- トイレに向かい、鏡を見る。
「…うおおおおおおっ!本当に、変身してる…!」
流石に、完全に狼と言う訳ではなかった。
狼と人の中間――「人狼」とでも言うべきか?
手には、鋭い爪が。
口元には、鋭利な牙が。
(なかなかいいんじゃない?)
そう思ってしばらく人狼に変身していた自分を眺めていた。
◇
「あーあ…何で俺が…」
アパートの中に声が響く。
通路が思っているより狭く、音が反響しやすい。
(早速、仕留めさせて貰うか)
気配を殺し、出口のドアの前まで歩いて行く。
声の大きさからして、この部屋の前を通ると予想される。
「やってらんねーよ、こんな…!」
声の主が扉を開け…絶句する。
「そんなにやってらんないなら…ここで死んで貰う」
手で、男の喉元を突く。
爪が、想像以上に簡単に食い込む。
簡単に刺さり過ぎて、拍子抜けするくらいだ。
「あっ…が…」
手を引き抜く。
そのまま、喉元から血を流して倒れた。
「銃持ってたんなら、何で使わなかったんだ?まあ、使ってた所で結果は同じだろうけど」
足元に転がる銃を拾いあげ、デイパックから予備マガジンを抜き取る。
(病院にでも行ってみようかな、人が集まりそうだし。)
- 809 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:11:05
- 【一日目・深夜/F-7:アパート:A棟302号室】
【◆ymCx/I3enU@非リレー書き手】
[状態]:健康、人狼化
[装備]:H&K MP5A3(30/30)
[所持品]:支給品一式、MP5マガジン×1
[思考・行動]
基本:とりあえず、ゲームに乗る。
1:病院へ行ってみる。
2:書き手さんは…どうしようかな…。
【群馬洋一@オリジナル 死亡】
死因:刺殺
≪キャラ紹介≫
【群馬洋一(ぐんま よういち)】 28歳/男/無職
生来の口の悪さ、そして学の無さで無職に。再就職をすることもなく、日々怠けて生きていた。
ちなみに群馬には行ったことが無い。
- 810 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:11:40
- 投下終了です
- 811 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:53:39
- 投下します
タイトル:スカウトマンとスターの卵
登場人物:◆xzYb/YHTdI、殺人鬼
- 812 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:54:12
- 「これは一体何がどうなってるんだ」
(いつものようにロワを書いていたのに、いつの間にかあんな所に連れてこられて…)
急にさっきの光景がフラッシュバックする。
俺が見ている前で、6L氏が…。
「そして、支給品はバール…これくらいなら探せば見つかるし…」
確かにこれくらいなら、探せば見つかるだろう。
なぜなら…。
「だってここ、ホームセンターだし…」
バールなんて沢山ある。
現に、今目の前に沢山並んでいる。
「…もうダメだ…」
その場にへたり込む。
(さっさと退場するのが関の山かな…この分じゃ)
その時。
目の前を、銃弾が掠める。
- 813 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:54:44
- 「…!!」
気が付いたら走り出していた。
右も左も分からずに。
(逃げないと…今は…とにかく…
◇
「スターをスカウトし損ねたぜ。まあ、いいさ」
拳銃を握り、厭らしい笑みで呟く殺人鬼。
(殺し合いだか何だか知らないが、おおっぴらに殺人ができるんだから、あの男には感謝しないとな)
【一日目・深夜/D-2】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:モデルガン
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:今はとにかく逃げる。
【一日目/深夜/D-2:ホームセンター】
【殺人鬼@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP99(15/15)
[所持品]:支給品一式、P99のマガジン×2
[思考・行動]:
基本:参加者を殺して、死体をサイトに飾る。
1:とりあえず、次の標的を探す。
2:今の男は…別にいいか。
- 814 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 20:55:15
- 投下終了です
- 815 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 22:07:34
- 新ロワ投下します
「アニメ・ロワイアル」
【参加者】
【とある魔術の禁書目録】
・一方通行 ・浜面仕上 ・神裂火織 ・木原数多
【空の境界】
・両儀式 ・浅上藤乃 ・コルネリウス・アルバ ・白純里緒
【Fate/stay night】
・セイバー ・ランサー ・アサシン ・ギルガメッシュ
【魔法少女まどか☆マギカ】
・鹿目まどか ・暁美ほむら ・美樹さやか ・上條恭介
【神のみぞ知るセカイ】
・桂木桂馬 ・エリュシア・デ・ルート・イーマ ・中川かのん ・汐宮栞
【あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。】
・宿海仁太 ・本間芽衣子 ・松雪集 ・久川鉄道
【IS】
・織斑一夏 ・篠ノ之箒 ・セシリア・オルコット ・シャルロット・デュノア
【けいおん!】
・秋山澪 ・田井中律
【以上30/30名】
【主催側の人物】
・荒耶宗蓮@空の境界
続いて
アニメ・ロワイアル第1話:解放された物語
登場:荒耶宗蓮、桂木桂馬
- 816 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 22:23:41
- 僕は『落とし神』こと桂木桂馬。ギャルゲーに生きギャルゲーに散る男だ。
そんな僕は、今何故かやばいことになっている。
ーーーーバトル・ロワイアルに巻き込まれた。
「つまり、今から貴様等には殺し合いをして貰う」
黒いコートに陰鬱な表情を張り付けた男が言った。名を、荒耶宗蓮。
『根源の渦』に辿り着くとか何とか言っている。中二病、乙!
とか思っていたが。
一気に、事態は最悪の方向へ傾いたんだ。
「では、その首輪の効果を見せよう」
でかいモニターに、見覚えのある少女が映る。
高原歩美。
最初に攻略した女子であり、小阪ちひろの攻略は歩美がいたからこそなせたものだと思える存在であったんだ。
『桂木。見ているなら、必ず、この歩美ちゃんの言葉を守りなさいよ』
「荒耶!何の真似だ、お前!」
『ぜったい、殺し合いに乗っちゃ駄目だよ』
ピィーーー、バァン!
歩美の喉笛から血が噴出して、歩美は動かなくなった。
荒耶はこう言った。『見せしめ』と。
「待ってろよ荒耶宗蓮!必ず、お前をぶっ殺してやるからな!」
そして、僕の意識は闇に消えた。
【高原歩美@神のみぞ知るセカイ】 死亡
【アニメ・ロワイアル 開幕】
- 817 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 22:24:13
- 投下終了
- 818 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:45:51
- 新ロワ乙です
僕も新ロワ開始。また掛け持ちです
支給品がカオスロワ
ということで
OP:◆xzYb/YHTdI「――書き手さん?」
- 819 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:46:22
- 暗いホールの中。
僕は目を覚ました。
うん。なんか聞き覚えのあるフレーズだ。
つーか何?
ははは。こういうときって、首に手を触れるのが一般的だよね。
何も…あ、るはずが、ないのにな?
――――首輪?
首輪首輪首輪。
――――え?マジ?
マジでそう言う感じ?
あれ?あれ?あんれぇ?
………はぁぁ!?
ウソだろっ!?
その時だった。
僕の視線の先に光が現れた
眩しい。
んー?あれ?
「起きろ、お前ら」
起きてます――――じゃなくて、この最近聞いたばかりのフレーズは…。
「一応言っておく、ここには40人の人間がいる」
数こそ違うが、この言葉も聞いた覚えがある。
うん。この声は―――。
「それじゃあ、用をさっさと言うからなー、よーく聞けよ」
「今から、お前たちに」
この先に続く言葉は大体予想はついている。
きっとあれだろ。
「「殺し合いをしてもらいます」」
◆VxAX.uhVsMの声だった。
―――意味わかんねぇ。
まぁ例の如く例の通り周りがざわめきだす。
Vx氏風にいうなら、
驚く者、泣く者、笑う者。
三者三様だった。
- 820 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:46:53
- ちなみに僕の感想としては、笑っているという現実で説明づいていると思う。
「では、簡単な説明を出すぞー」
あれ?今度は◆ymCx/I3enUの声がする。
あれあれ?仲間はずれっすか?
そう思うが無情にも説明は進んでいく。
まとめるとこうだ。
施設に放り込まれ、そこで殺し合いをする。
放送は0:00、3:00、6:00、9:00、12:00
15:00、18:00、21:00 。
スタートは12:00から。
禁止エリアは1個から3個増える。
基本支給品は
■名簿と地図とメモ用紙と筆記用具
■懐中電灯
■簡易医療セット
■飲料と食糧
不明支給品は1〜2個支給される。
優勝者は決められた願いを叶えることが出来る。
そして、元の生活に帰る事が出来る。
だって。
まぁシンプルだな。だって僕じゃないんだもん。
「まぁ以上ですので。では皆さま、また会えることを祈ります」
あら。◆8nn53GQqtYの声じゃないか。
畜生め。――――しかし僕、◆xzYb/YHTdIの意識はここで終わった。
周りが光に包まれた。
【支給品がカオスロワ:スタート】
- 821 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:48:26
- OP投下終了
続いて
一話:上条「その幻想をぶち殺す!!」
- 822 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:48:57
- 相変わらず暗いホールの中。
モニターがいまだ光を放っている。
そんな中。一人の少年が取り残されていた。
幻想殺し、上条当麻であった。
「おい!てめぇら!さっきから黙ってりゃいい加減にしろよ!」
モニターに向かって怒鳴る。
そしてそれに答えたのは―――
「ん?ああ上条じゃねぇか」
◆WYGPiuknm2だった。
「あぁそうだ。何で俺の名前を知ってるかはこの際どうでもいい。だけどなぁ―――」
「あぁいいからいいから。そういうのはもうお気に入りの人がやってるから」
上条の言葉を適当に流す。
それに、上条は。
「てめぇらは人の命を何だと思ってやがるんだ!答えろよ!?てめ―――――」
「お前らが何者なのか、何でこんな訳の分からねえ殺し合いを開いたのかは知らない。お前達にも何か深い理由があるのかもしれないし、考えたくはねーけど何の理由もないのかもしれない。
俺は何も分からないし、何も知らない。そこまで深く考える頭もないしな。 ただそれでもこんな殺し合いに人々を、俺の仲間達を巻き込もうというのなら―――」
「ぁあ!?」
「―――その全てを、命ですらも思い通りにできると思っているのなら―――」
「何なんだてめぇ!?」
「その幻想をぶち殺す!!」
「でしょ。上条が言いたいのは」
「………」
黙らざるおえなかった。
何故なら今似たようなこと言おうとしていたのだから。
先回りされた。としか言い表せない。
それを見た◆WYGPiuknm2はにやりと頬を歪め、
「流石は、お気に入りの人だな。見事に言い当てやがった。こりゃ傑作だわ」
- 823 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:49:45
- 「っていうかWYG氏いい加減遊んでないで、上条さん連れて行ってくださいよ」
◆8nn53GqqtYが言った。
「おおそうだな。じゃあさらばだ。上条。再び会えることを願っているぜ―――なんてな」
「――――頭が……」
「おう、いいぞ。流石に酸素の量を減らへば気絶ぐらいするか」
「ありゃVx氏。いつの間に」
「最初からだ。ははは、わりーけどこいつ運んでってくれねぇ?」
「最高だぜVx氏。じゃあそれは俺がやっておくよ」
といって、◆9QScXZTVAcが◆VxAX.uhVsMによって転送され、上条を運んで行った。
「しかしym氏。なぜxz氏が参加しているんです?」
「ん?いやだってあの人ロワ舐めてるでしょ。全員生還とかねーよ。だからその身をもって学んで来いって感じでだ」
「あぁ、成る程」
と会話を終え、笑い声が木霊する。
今、殺戮のゲームが始まる。
以上。書き手さん方。俺はこんなんじゃねぇ!!人は言ってください
- 824 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:52:01
- 名簿
1:【球磨川禊@めだかボックス】
2:【江迎怒江@めだかボックス】
3:【戯言遣い@戯言シリーズ】
4:【想影真心@戯言シリーズ】
5:【岡崎朋也@CLANNAD】
6:【岡崎直幸@CLANNAD】
7:【ルイージ@マリオシリーズ】
8:【クリボー@マリオシリーズ】
9:【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
10:【佐天涙子@とある科学の超電磁砲】
11:【志村新八@銀魂】
12:【長谷川泰三@銀魂】
13:【トモエ@クリミナルガールズ】
14:【ラン@クリミナルガールズ】
15:【神原駿河@物語シリーズ】
16:【羽川翼@物語シリーズ】
17:【野比のび太@ドラえもん】
18:【骨川スネ夫@ドラえもん】
19:【鏑木真哉@保健室の死神】
20:【美作蓮太郎@保健室の死神】
21:【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
22:【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
23:【串中弔士@不気味で素朴な囲われた世界】
25:【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
26:【野々原渚@ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD】
27:【河本綾瀬@ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD】
28:【◆xzYb/YHTdI@現実】
29:【岡島 幸喜@オリキャラ】(♂)
30:【零道 一弥@オリキャラ】(♂)
31:【桜乃 春香@オリキャラ】(♀)
32:【重森 真矢@オリキャラ】(♀)
33:【永沢 みくる@オリキャラ】(♀)
34:【神谷 潤@オリキャラ】(♂)
35:【恋咲 愛鎖@オリキャラ】(♀)
36:【攻檻 絵本@オリキャラ】(♀)
37:【小牧 晴斗@オリキャラ】(♂)
38:【長谷川 真@オリキャラ】(♂)
39:【唯城 大和@オリキャラ】(♂)
40:【伊吹 静江@オリキャラ】(♀)
- 825 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/05(日) 22:52:32
- 以上です
- 826 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 22:59:35
- 投下乙です
アニメロワ第2話:愛する貴方へ花束を
登場:コルネリウス・アルバ、セイバー、松雪集
- 827 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 23:13:52
- 「アラヤ………裏切ったな」
まだ幼さの残る20代くらいの男、コルネリウス・アルバは憎々しげに吐き捨てる。
自分を蒼崎橙子に殺させたのも、この為の布石であったのではないか、という疑念すら沸いてくる。
しかし、コルネリウスに魔術がある。
封印指定こそ受けてはいないが、それでも上級の魔術師である。
注意すべきは、直死の魔眼遣いーーーーー両儀式。
彼は知らないが、荒耶宗蓮は彼の死後、両儀式に殺害されている。
あれはバケモノだ。
あんなものがゲームに乗っていたら、それこそ勝ち目は一寸も無いだろう。
「ーーーーー考えても仕方無いか」
何より、コルネリウス・アルバの目先の問題は。
明らかな殺気を放つ目の前の少年であった。
◆
「めんま、だと。ハハッ、あんな奴まで俺をおちょくってやがんのかよ!」
松雪集ーーーゆきあつは、心に一つの心的外傷(トラウマ)を持っている。
参加者の一人、本間芽衣子。
何故この名がここにあるのか、彼には到底理解できなかった。
彼女ーーーーめんまは、幼少期に事故死したのだから。
あの時。
自分が告白していなければ、めんまは死ななかったのではないか?
それが、彼のトラウマであり彼の生きる理由。
- 828 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 23:26:57
- だが、最近彼の周りで、めんまが見えるという旧友にして、昔の仲良しグループ『超平和バスターズ』リーダー、宿海仁太が現れた。
仁太は変わっていた。引きこもり、ゲームをして暮らす生活から、緩やかではあるが、確かに脱出していったのだ。
ーーーーあぁ、くそ。めんまが見えるなんて、嬉しくてたまらないはずなのに。認めたくないんだ。あの無垢な、自分が死なせたかもしれない少女の存在を。
だからこそ、名簿の『本間芽衣子』の名も信じるのは難しかった。
でも、今はそんなこと関係ない。
ーーーー俺は優勝して、もう一度『俺達』をやり直すんだーーーー
デイバックに入っていたのは、一本の刀。
本来魔術的な観点から見れば、生半可な結界など貫通するレベルの古刀。元の所有者は両儀式。
「上等じゃねえか。やってやるよ」
そして、コルネリウス・アルバとの闘いが始まる。
◆
「やあ、きみ、いい武器を持っているね」
「その気色悪い作り笑いを今すぐやめろ。斬り殺すぞ。ーーーーまあ、やめなくても今この場で斬り伏せさせてもらうがな」
その言葉を皮切りに、二人の闘いが始まった。
コルネリウスの手からは、軽い魔弾が放たれる。
- 829 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 23:39:21
- それをゆきあつは刀に当てるだけで粉砕していく。
構えも型も滅茶苦茶だが、魔術的な神器は使用者の想いに対して力を増幅させる。
ゆきあつの強い意志は、今一つの宝具を生み出した。
一気にコルネリウスに接近していく。弾を切断し、結界を切り裂き。
「………クソ餓鬼が。よもや私に“これ”を使わせるとはな」
コルネリウスは呪文を詠唱する。
荒耶や蒼崎では使えない、攻撃タイプの魔術。
青い炎は波となり、ゆきあつの肉体を飲み込もうと迫る。
避けるのは無理だ。
一か八か。ゆきあつは一歩前にでる。炎の波に、自らの宝具を向ける。体育で習った剣の振り方に近い、横薙ぎの払い。
ブォォオオオアアアアア
そんな轟音とともに、青き炎が破られる。
「馬鹿な!」
「斬り、拓けぇぇええええええええッ!!」
コルネリウスの肉体を斜め一直線に勢いよく、深く切っ先が裂いた。
「き、さま。貴様ァァああああああああああああああああああああああッ!!」
「コールドゲームってとこだな」
ゆきあつもまた、地に膝をつく。さすがに疲れた。
しかし、背後には、甲冑姿の優美な女性ーーーセイバーこと騎士王アーサーが立っていた。
「問おう」
- 830 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/05(日) 23:47:42
- 「貴方が、私のマスターか」
【コルネリウス・アルバ@空の境界】 死亡
【残り29/30人】
【一日目/深夜/a-6】
【松雪集@あの花】
[状態]疲労(大)
[装備]式の古刀@空の境界
[所持品]不明2
[思考・行動]
基本:優勝して、『過去の俺達』をやり直したい
1:何だこいつ…?
2:宿海たちはひとまず保留
※アニメ四話、過去を仁太に告白した直後からの参戦です
※名簿の『本間芽衣子』の名前を信じていません
投下終了
セイバーのがないのは仕様
- 831 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 23:50:28
- 投下乙です
自分も投下します
タイトル:勝利への鍵現る
登場人物:野村和也
- 832 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 23:51:02
- 長い静寂。
暫くの間、何もない空間を漂っていた。
気が付くと森の中に立っていた。
「ここはどこだ…?」
イマイチ状況が理解できない。
確かに自分は、あの時宇理炎の代償で死んだはずなのに…。
足元にあるデイパック。
そして、独特の空気。
…自分はまた、殺し合いの場に呼ばれている。
「…なら、今回も生きて帰るしかないな」
カズヤや兄貴たちの分も、生きなければならない。
それが、自分の使命だからだ。
(とはいえ、俺の知識が今回も通用するかどうか…。首輪も、同じ物とは限らないだろうし)
- 833 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 23:51:34
- デイパックを開ける。
…紙切れが入っている。
何か書いてあるようだが…血が付いていて、何だか良く分からない。
「これ以外には何も入ってないのか…。仕方無い。」
紙をポケットに入れ、森の中を歩き出した。
【一日目・深夜/A-4】
【野村和也@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:デイパック、血濡れの紙切れ
[思考・行動]
基本:自分の知識を活かし、このゲームを壊す。
1:武器の調達をしたい。
≪支給品紹介≫
【血濡れの紙切れ】
血が付いて何が書いてあるか分からなくなっている。
…実は、需要-ロワ2ndで一ノ瀬進が首輪の解除方法を書きとめておいた紙。
しかし◆6LQfwU/9.M(2nd)の返り血で汚れて解読不可能になっている。
- 834 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/05(日) 23:52:04
- 投下終了です
- 835 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/06(月) 00:09:48
- 投下します
タイトル:宝の持ち腐れを体現する男
登場人物:川内一輝
- 836 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/06(月) 00:10:26
- 「殺し合いか…バトル・ロワイアルは読んだことあるけど」
興味なさそうに呟く男、川内一輝。
(いっそのこと、桐山みたいにコイントスで決めてみるか)
財布から小銭を取り出し、指で弾く。
空中でくるくる回転し、月の光に照らされキラキラ輝く。
「…よっと」
コインを手の甲で受け止める。
出たのは…表。
「まあ当然と言えば当然だな」
財布に小銭を仕舞い、その場に寝転がる。
「…ゲームに乗るのも、あの男を倒すのもダルい」
【一日目・深夜/A-3:スーパー屋上】
【川内一輝@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:FN ミニミ(200/200)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:あー、ダルい…。
1:歩くのもダルい。何かするのもダルい。
2:銃も強そうだけど、重いから使うのダルい。
≪キャラ紹介≫
【川内一輝(かわうち いつき)】年齢:24歳 性別:男 職業:無職
全てがグダグダ。
職探しもダルいと思い、毎日をゴロゴロして過ごしている。
- 837 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/06(月) 00:11:18
- 投下終了です
- 838 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/06(月) 21:14:14
- 投下乙です
アニメロワ第3話:やがて来る悲劇を
登場:田井中律
- 839 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/06(月) 21:31:11
- c-4エリアの遊園地。お化け屋敷に身を潜める少女がいた。
「どうなってるんだよ……ちくしょう…」
桜高軽音部部長ーーー田井中律。
部活「放課後ティータイム」の部長ではあるが、彼女も齢18の少女だ。
いきなり殺し合いなどという非日常に放り込まれた事実をありのままに受け止めるほど強靱な精神力は持ち合わせていない。
しかし、一人だけ絶対に守ってやりたい少女が居る。
しっかりしていて、優等生で、歌も上手くて、見た目もかなり可愛い。
なのにいつも恥ずかしがって、恐がりな、律の親友。
「澪…………。」
◆
主催者の荒耶宗蓮は、一つの殺し合いにおける『平等案』を考案していた。
とある世界線にて、人々の呪いや恨みを糧に生まれ出る偉業の怪物がいた。
そこで、ある種族は怪物に対抗するという名目で、本来はエネルギーの回収のために、少女たちに力を与えた。
ーーーーーー魔法、少女。
その原理は、根源の渦に到達するを悲願とする荒耶にとっては魅力的だった。
荒耶宗蓮は結界術師である。
彼らーーーインキュベーターの用いた原理を彼なりに再構築することで、魔法少女を疑似的に再現することに成功した。
- 840 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/06(月) 21:41:50
- だが。荒耶の術式では、不完全な再現しかできないことが発覚した。
魔法少女の力の源、ソウルジェムの汚染速度が通常の数倍の速度で進むというリスク。
浄化する術のない極限状況のため、契約者にはバットエンドしか待っていない。
巡り巡り。『即席契約紙』は、田井中律に支給された。
◆
「魔法少女…?何それ」
にわかには信じ難いことだが、荒耶の芸当は確かに非科学的なものだった。
説明によれば、命の源のソウルジェムが濁らない限り、生命活動の停止しない体ーーーーーーーーーー不死身になる。
律は理解していない。
かつて幾多の魔法少女たちが絶望してきたこの契約の罠を。
更に言えば、願いをかなえるという条件さえ、荒耶のものでは消されていた。
「契約、しよう。澪を守るために」
律の体を、白い光が包み込んだ。
投下終了、またも状態表なし
- 841 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:46:30
- 投下乙です
では本スレの続き
- 842 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:48:02
- 「柊父。俺は、もう駄目だ」
「あっそう」
といって去る。
「あれ?そこは『考え直すんだ!お前はそんなやつじゃない!!』とかなんとかいう場面じゃないですかぁ!?」
「何で俺がそんな事言わなきゃいけねぇんだ」
「いやいや、あのなぁ!?」
「悪いが俺はもうそんな事を思い出したくもない」
「――――はぁ?」
「俺は割とすぐ消えたからな。そこまで強烈な事を覚えてもないし、恐怖という恐怖もねぇからな」
「―――何怒ってんだよ!?」
「まぁ、忘れたいってんなら別に忘れさせてやる。それぐらいなら簡単にできる」
「――――それは……」
「まぁいい。一日ぐらい猶予はやる。さすがに今回の事は俺もわかんねぇ事ばかりだからな」
そこで九澄と柊は別れた。
◇
俺は、人を襲った。
襲ったどころか殺した。
……、確かに最初は守るためだった。
だけど……最後の方は。
そんな時だった。
「九澄君。どうしたの?」
「柊………?」
柊愛花がそこにいた。
◇
柊には全部ではないが、胸の内を晒していまった。
けど、改めて思う。
やっぱ俺は柊が好きなんだなぁて思う。
うん、そうだよ。
そうだ。俺は柊の為に動かなきゃいけないんだ。
そう、黄金色の栄光をつかまなきゃいけないんだ。
その為には――――
こんなところで立ち止まってちゃあいけないな。
俺は動き出さなきゃ。
【エム×ゼロ:終了】
- 843 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:49:04
- 以上、続けて
化物語エピローグ:僕らしい幸せの在り方
- 844 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:49:51
- 殺し合いから一週間が経ち、僕の日常はとてもへいわて――――
「兄ちゃん起きろ!」
「うおおおおおおおおおお!!」
なんか殺し合いより殺されそうになったところで僕は目を覚ます。
うんまぁ馴れちゃったけどね。この僕をもってすれば、妹のやることなど一から十までしってるぜ。
「けど百は知らねぇだろ」
「――――へ?」
「χショットネス!!」
「だから横文字使ってんじゃねぇ!!」
ツッコミどこはそこでは無い気がするが。
だけどマジで師匠呼んで来い。僕がしかるべき対処してやるから。
…そして気づいた時には僕の身体は宙を舞っていた。
なんで柔道、空手の部類の競技の技で身体が浮いてんだよ。
僕の常識っておかしかったかな?
そんなこと考えていると。
「ぶはっ!!」
見事僕の身体は床に叩きつけられた。
受身なんてとれねぇよ。
何でこんなに暴力的なんだよ、寝起きの人にすることか。
「兄ちゃんさすがだぜ。今のは殺人法だたりするんだぜ」
「やっぱ師匠呼んで来い!!」
暴力的どころか殺人的だったよ!
ダメだ。これは決定的だ。
火憐ちゃんの口から殺人法って出てきたぞ。
この平和な世の中で詐欺がこんなに堂々と行われているなんて!!
とここで僕はある異変に気づく。
「――――――あれ?月火ちゃんは?」
「月火ちゃんは、『ダブル長谷川』をお仕置きしているよ。あそこ、浪白公園で」
「ふぅん。確か先週片方逮捕されたっていう、強姦魔のことか――――ってお仕置き?」
「うん、運が悪かったな。私たちを襲おうとするからこうなるんだぜ」
「――――物騒な世の中だね」
どいつもこいつも。
「そうだぜ。全く、この街にはまだ捕まえ切れない、小学生を襲う高校生がいるってのにな」
「あ、ああそうだな。ちゃんと僕に言えよ。僕がしかるべき対処取ってやるから」
「やっぱ兄ちゃんは炎より熱いぜ」
惚れるよ。と火憐ちゃん。
いやー。どこのどいつだろうなぁ、小学生を襲うやつなんて。
全くもって許せないぜ。
「ってあれ兄ちゃん。今日は確か出かけるんじゃなかったのか?」
「うん、出かけるよ。友達と遊びに行くんだ」
と。
ここで、昔の少女漫画だったら背景が雷で覆い尽くされるほど、驚いていた。
- 845 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:50:22
- そこまで驚くか。
「えっ!?兄ちゃんに友達がいるの!?」
「まぁ、まぁ。落ち着くんだ火憐ちゃん。確かに羨ましいのは分かるが―――」
「いや、羨ましくはねぇけど」
妙に口調は冷めていた。
なんか悲しい。
「ふぅん。『あの』兄ちゃんがな」
「あのを強調するな」
「『こんな』兄ちゃんがな」
「言葉を変えても駄目だ!!」
「まぁいいんだけどな。楽しんできなよ」
「分かってるって」
そして僕は妹を追い出し、着替え、駅へと向かった。
親友と精一杯遊ぶために。
◇
八九寺を見つけた。
……僕はもうくだらない前置きは入れないよ。
入れたところでまた忍に邪魔されるのが落ちだ。
そもそも、思わせぶりすぎたんだよな。どうせ展開は分かっているんだから。
そういうのするのは餓鬼餓鬼。僕は違う、大人だ。
するべき仕事はさっさと終わらすタイプだ(夏休みの宿題は最終日まで全部残していたが)
――――というわけで、僕はこれ以上なき勢いで八九寺に向かい走り出した。
「はっちっくじーーーーーーーーーーーーーー!!もう会えないかと思ったぞ!!」
「きゃー!キャー!!ぎゃあああああああああああああああああ!!」
例の通り八九寺に腹を思いっきり蹴られた。
「いってぇ!!何しやがんだ!!」
やっぱりこの場合、痛いも、何しやがんだも。やっぱり僕な訳だけど。
つーか何度見てもこいつの身体はどうなってんだ?
人間じゃねぇ。髪が金髪になって逆立って…って超サイヤ人じゃん!!
「ってまて!その状態で攻撃されたら僕でも危ないって!僕だって僕!よく見ろ!」
この場合でも僕だから何だって話なんだけど。
やっぱり話し合いは大事だね。
八九寺も徐々に落ち着きを取り戻し、
「フゥウウウウウウウウウ!!―――――――ってあれ?」
髪も元通りに戻り(やっぱ人間じゃねぇ)、僕を見る。
「あらぁ、ラギさんじゃありませんか」
「ふふふ、八九寺ぃ!甘ぇな。そのラギはもうすでに神原とやってるぜ!」
と。
ここで何故か八九寺は僕を蔑む視線を僕にたっぷり浴びさせる。
――――あれ?何か間違えたかな?何だろ?
そして八九寺は溜息交じりで口を開いた。
「はぁ…、阿良々木さんも落ちぶれたものですね。
今のは、『あら、ラギ』さんで読点が余計だっていうツッコミでしょう」
「一度に二個も重ねてんじゃねぇ!!」
「けどこれは意外と簡単な部類でしたよ。きっと読者の皆様は『こいつ何言ってんだ?』って嘲笑っているに違いありません」
- 846 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:51:53
- 「何だとぉ!」
「ていうより阿良々木さんは何で普通に私と喋っているんですか。堕ちて逝ったんじゃないんですか」
「まず何でそれをお前が知ってるんだ」
「八九寺Pを舐めないでください。あなた方の物語は私が考えたも同然ですよ」
「まじかよっ!八九寺Pすげぇ!!」
何だよただのプロデュウサーじゃねぇのかよ。
監督どころか全部指揮してやがった。
「しかし、それにしては今回の物語は構成も文も下手糞だったよな」
「まぁ私が書いたってのは嘘ですので。今回の物語は◆xzYb/YHTdIっていう架空の書き手が書いた物語ですよ」
「誰だよっ!すぐに責任転嫁しやがって。なんだその記号だらけの人物は!?」
「なんだっていいじゃないですか。それより何で阿良々木さんは堕ちてないんですか」
「まるで僕が堕ちてた方が都合が好さそうな言い分だな」
「次あたりホントに私の貞操が危険ですので。エロパロと違い、この私は阿良々木さんには辛辣ですよ」
「――――まぁ、僕が吹き返ったのは、ヶ原さん関係だよ。僕がこんなんじゃやっぱいけないな。って」
「何かご都合主義ですね」
「仕方ないだろ、◆xzYb/YHTdIってのに文句は言えよ」
なんて、僕が笑って言えるのも、やっぱり人間強度が下がったからだろう。
これが春休み前だったら感じたことも違うだろう。
……人間万歳。人間じゃねぇけど。
そして僕は歩みを進める。
新たなる物語を切り開くために――――。
「っていやいやいや。私を無視して話を終わらせないでください。どっか行かれるのですか?」
「ん?あぁ、そうだよ。親友に会いに行くのさ」
「……どうしましょう。とうとう阿良々木さんが夢を見始めました」
「夢じゃねぇよっ!!」
「しかし『あの』阿良々木さんがねぇ」
「妹と同じ事言うな」
どんだけ僕に人望がねぇんだよ。
進化するんだよ。僕でも。
「はぁぁ。つくづく私の知ってる阿良々木さんはどこか遠く彼方へと行かれてしまいましたね」
「なんでそんな悲しい事言うの!?僕に友達できるのがそんなに不思議か!?僕だって一度折れた心を持ち直したんだぞ」
「どうでもいいですけどさっきから感嘆符使いすぎですよね。いつもの阿良々木さんはそこまで使いませんよ」
「そ、それは◆xzYb/YHTdIの技術不足だって。僕の所為じゃ無くない!?」
「人のせいにして……。私の知ってる阿良々木さんは我が身を犠牲にしても人を救ってくれるような方でしたよ」
「な、何だとっ!僕の評価、意外と高かった!!」
「それだというのに阿良々木さんときたら……。ご愁傷様です」
「くそおおおおおおおおおおおお!!」
◇
何て感じで僕の日常は再び動き出す。
今回のこの殺し合いだって意味のないことはなかった。
僕が僕であるべき指針を改めて見つめなおさしてくれた。
僕、阿良々木暦という者が、ぶれることのないように。
そして、僕は、成長をする。
このすばらしき日常が続くように。
【化物語:終了】
- 847 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/06(月) 21:52:33
- 以上。
- 848 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 00:02:21
- 投下します
支給品がカオスロワ2話:シン「何なんだよっ!お前はっ!!」
- 849 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 00:02:51
- 宇宙。
彼はそこを駆けていた。
己の守りたい者を守るべく。
その為に彼は何人もの命を散らしてきた。
あの『自由』の名を翳すモビルスーツでもだ。
いつしかエースパイロットとまで言われ、『運命』を背負い操り、宇宙を駆けた。
しかし、今この現実はどうしても受け入れられなかった。
殺し合い。
(何だってんだよ―――――この状況は)
気が付いたら、首輪で束縛され、
気が付いたら、混乱するまま宣言されて、
気が付いたら、この場に追放され、
きっと今頃、殺戮の遊戯に巻き込まれた人は、
この『異常』な状況下の中、愚考、負の感情が身体を貪り、蔓延るだろう。
それはシンとて例外ではない。
確かに、彼の思考は既に少し犯されている。
しかし、彼は決意していた。
殺し合いはしない。
それだけでは無く、殺し合いに乗っている者は、皆止めるよう動いてやる。と。
本来命を殺してきた彼が命を守るというのは皮肉な物だろう。
だけど同時に譲れない一線という物もある。
目の前で、父が死に、母が死に、妹が死に。
そんな彼だからこそ、この決意は揺るぎないものとなった。
強く、あろう。と。
どんなことにも挫けない、鋼の心を手に入れようと。
しかしそれが何であれ、彼の運命は既に変わってしまっている。
喧嘩なんて生ぬるい、戦争は生温かい。
その感覚は馴れている。
だが、ここは違う。
誰もが確固たる目的があるとも知らない。その事実が、その衝撃が、彼の思考に激震する。
こんな嫌味なまでに皮肉な『衝撃』は、彼の『運命』までも変えていく。
◇
まだ殺し合いが始まって、5分と経ってない頃。
シンはあきらかに動揺していた。
- 850 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 00:03:22
- この目の前の『ナニカ』を見て。
「何なんだよ…――――――こいつは!?」
目の前にいるのは、茶色き物体。
形状はまるでキノコのよう。
大きさはシンより少し小さいと言ったところだ。
まぁこの記述を見れば分かると思うが、人でない。
名称はクリボー。
ただしこれはクリボー全般の事言い、あるクリボーは普通に名前があったりする。
ここでは、便宜上クリボーで統一させてもらうが。
さて、そのクリボーはシンの前に現れた。
理由は極めて簡単。人を殺すべく。
大魔王クッパの手下である彼は、そのクッパの意志を尊重するべく、いつも通り行動している。
人を見つけたら、追いかける。そして殺す。
何のことはない。
ただそれだけ。それ以上もそれ以下もそれ以外もそれ以内もない。
それにかの、赤いお方は、踏みつけたり、炎をぶつけたりして対処していた。極めて簡単である。
しかし、そんなことはもちろんシンの知る由では無い。
ただただ困惑が戸惑いを呼ぶだけだった。
「クリクリィ!」
そして、いつも通り、いつもの通り、人を見つけ、体当たりを試みる。
「―――うおぉ!!」
それはとても早かった。
遺伝子操作を受け、身体能力を引き上げられたシンでも、素直に驚くべき速度でこちらに近づいてきた。
こいつをどうするか、シンは思考する。
思考した結果、考え付いたその結論は、
「逃げよう」
逃亡だった。
だから全速力で逃げる。
対処のしようがない。
人型であれば、最悪護身術の類で行動を封じることもできたのかもしれないが、クリボー相手には無理だった。
人型ですらないのだから。
いきなり、想像を絶する出来事に、驚愕という言葉しかなかった。
クリボーはシンが走った方向とはあさっての方向に歩きだした。
別にシンにこだわる理由など、クリボーには無いのだから。
そうして開始早々の戦闘は一旦幕を閉じた。
【一日目・昼/B−2】
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
【状態】健康、驚愕
【装備】
【道具】支給品一式、ランダム(1〜3)
【思考】
基本:殺し合いを阻止する
1:一旦状況を整える
2:今のは一体?
【備考】
※ディステニィーを受け取った後からの参戦
※ある程度身体能力は下がっています
【クリボー@マリオシリーズ】
【状態】健康
【装備】
【道具】
【思考】
基本:クリクリィ(皆殺し)
1:クリィクリィ(殺す)
【備考】
※64からの参戦です
※支給品ともどもはB−2に放置しています。
- 851 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 00:04:22
- 以上
- 852 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 18:47:49
- アニメロワ第4話:いつか君が瞳に映す
登場:暁美ほむら、ランサー
- 853 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 19:01:42
- 「ーーーーーどうして」
魔法少女暁美ほむらは、信じられないといった風に呟く。
話せば長くなるので割愛するが、彼女は参加者の一人、鹿目まどかという少女を守るために、幾度となく時間を遡った。
様々な悲劇を見てきた。仲間たちは次々と、ある者は敵に敗れ、ある者は魔女となり、ある者は友の為に散り。
そして最後には、大いなる絶望がほむらの運命を再び閉ざす。
繰り返す旅の中で、荒耶宗蓮なる人物が登場したことは一度もない。
増してや、このようなゲームなどあった試しはない。
イレギュラーの一言では片付けられないほどの、あまりにも大きすぎる世界の綻び。
更に厄介なのは、ほむらの能力ーーー時間停止の大幅な弱体化と、時間を遡る能力の完全な封印。つまり平たく言えば、コンティニューできない。
もう誰にも頼らない。
かつて繰り返す中で決めたこと。しかしこの先、本当にそれでまどかを守れるのか?
極限の状況下に置かれた人間は時に予測不可能な行動を取る。
かつての世界で、とある魔法少女が真実を知ったときのように。
もう、諦めるしかないのか。
運命の迷路は八方塞がりの行き止まり。
ほむらを待つのは、真の終わりだけなのだ。
- 854 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 19:16:42
-
ーーーーーそれでも、守りたい。
あの優しくてお人好しな、最高の友達を、守りたい。
暁美ほむらの戦う理由は、それだけでQ・E・D(証明終了)なのだ。
行き止まりの迷宮を抜け出す方法は、ただ壁を越えてしまえばいい。
「でも。さすがに私だけでこのゲームを潰すのは無理ね」
誰か仲間を探そう、と思い立った矢先。
林の中から、目立つ青色を基調とした格好をした男が現れたのだ。
「よう、嬢ちゃん。もし良かったら俺のマスターにならないか」
「………名も名乗らずにいきなりそんな事言われても信憑性に欠けるわよ」
「俺はクー・フーリン。クラスはランサーのサーヴァントだ。……おかしいな。嬢ちゃんの体から魔力を感じたんだが、魔術師じゃないのかい?」
ランサーは怪訝そうに言う。
ほむらも怪訝そうな顔をする。
英霊の居ない世界線の人間云々の前に、ほむらは魔法少女なため、魔術師という存在自体を知らないのだ。
「……魔術師?言葉の意味は分からないけれど、私に魔力があるのは本当よ。私は魔法少女、暁美ほむら」
「………まあいいか。とりあえず、魔力があるなら俺のマスターにならないか?優勝するも主催に楯突くも全力で支援するが」
- 855 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 19:29:58
- 確かに、魅力的な話であった。
ランサーの説明する契約は、インキュベーターのものよりずっと安心できると思えるに足るものであった。
彼を従わせるには、令呪なる力を使えばいいらしい。
「……分かったわ。その代わり約束して頂戴。鹿目まどかという少女を絶対に守り通して。あの子を守るために腐心してくれれば、私はそれで構わないから」
不思議な奴だ、とランサーは思う。
彼の前のマスターは、聖杯を手にするために多くのマスターを裏切り、最後にはあの黄金の英霊に自分を殺させた。
人のために英霊を使うマスターは、彼ら英霊にとって新鮮な感覚だった。
「ああ。宜しく頼む、ほむら」
【一日目/深夜/b-3】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明2
[思考・行動]
基本:鹿目まどかを守る。殺し合いも潰す。
1:美樹さやかたちはひとまず保留。
※時間停止は数秒間だけ、一回ごとに30分インターバルが発生します
※ランサーと契約しました
※アニメ11話、ワルプルギスの夜と戦う前からの参加です
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]健康
- 856 :名無しさん:2011/06/07(火) 19:33:42
- [装備]ゲイボルグ@Fate/stay night
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:マスター(ほむら)の方針に従う。
1:鹿目まどかという少女を優先して守る。
2:強そうな奴とは戦いたい。
※死亡後からの参加です
※暁美ほむらと契約しました
- 857 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 19:34:13
- 投下終了
- 858 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 20:53:07
- 投下します
タイトル:この身を捧げる
登場人物:矢部翼
- 859 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 20:53:37
- ゲームが始まる数時間前。
机と椅子しか無い部屋に、参加者の一人である矢部翼は呼びだされていた。
(一体、こんな所に俺なんか呼びだしてどうするつもりだ…)
高校生の時に事故で両親を失ってからは、妹と一緒に2人暮らしをしていた。
頑張って入学した高校もやめ、数少ない仕事を見つけて食いつないでいた。
それに、自分の分も妹にいい学校に行って貰いたい。
そう思い、毎日一生懸命働いていた。
「てのに、何でこんな所に連れてこられなきゃならないんだ」
『そんな事をお前が考える必要は無い』
どこからか声が聞こえる。
空から聞こえてくるようでもあり、背後から話しかけられているようでもある。
「どこにいやがる!姿を見せろ!」
『まあそう熱くなるなよ。お前にはある"課題"を出す。それをクリアしてもらう』
「課題だと…?」
『そうだ。お前には、後から始まる殺し合いで優勝して貰う』
殺し合いで優勝…。
意味不明だ。
『イヤとは言わせねえ。これを見ろ』
突然、モニターが目の前に現れる。
それに映っているのは…。
- 860 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 20:54:07
- 「…由美子!?何でこんな所に…」
自分の大切な妹、矢部由美子が椅子に縛りつけられていた。
その首には、奇妙な首輪が嵌められている。
『"課題"を途中で投げ出したりしようとすれば、お前の大事な妹が死ぬぞ』
「…!!」
『さあどうする?やるか、やらないのか、どっちだ』
「…やればいいんだろう…やれば」
『そうか。それじゃ、スタートまで眠っててくれ』
辺りを霧が包む。
その霧を吸い込んだ途端、眠たくなってくる。
『一応、武器には色つけてやるから。妹の為に、頑張って殺せよ』
◇
時間は過ぎ、今へと至る。
「…由美子…お前のために殺人鬼になる俺を許してくれ」
病院の屋上で、支給品のFN SCAR-Lを片手に妹への懺悔を捧げる。
自分が優勝しないと、妹が殺される。
さっきの男の最期を見る限り、俺がやらなければあいつは本当に妹を…。
「…やるしかねーか」
【一日目・深夜/C-4:病院:屋上】
【矢部翼@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:FN SCAR-L(30/30)
[所持品]:支給品一式、SCARマガジン×3
[思考・行動]
基本:妹を殺させないために、ゲームで優勝する。
1:他の参加者を探さないと…。
≪キャラ紹介≫
【矢部翼(やべ つばさ)】年齢:18歳 性別:男 職業:アルバイト
大体の説明は本文内にあるので割愛。
- 861 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 20:54:44
- 投下終了です
- 862 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 22:15:05
- 投下します
タイトル:そうなりたくない
登場人物:Tさん、◆WYGPiuknm2、ノコギリ男
- 863 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 22:15:44
- ◆WYGPiuknm2はゲームが始まって早々、おかしな男に見つかって追いかけられていた。
…顔が無残にも潰されて、その上釘が顔中に打ち付けられているのだ。
最初見た時は正直ビビった。
というか、怖くて失神しそうだった。
(本当に人間か、あれは)
今はそんなことはどうでもいい。
あいつは自分を見失ってから、ずっと道の真ん中で陣取っている。
今はどう動いても、あいつに見つかる。
(ここで、ずっと隠れてる訳にもいかねーしなぁ)
初っ端から八方ふさがりだ。
そう思っていた時。
誰かが、山頂方面から歩いてくる。
「…あれが、後輩が行ってた夢に出て来た奴か」
「お前もこうなりたいのか?お前もこうなりたいのか?してやろうか?してやろうか?」
「悪いが、俺はそんな悪趣味な顔になる気はないぜ…」
坊主の男が妙な構えを取る。
そして…。
「破ぁ―――――!」
男の手から、青白い光弾が出た。
- 864 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 22:16:15
- (えーーー!?)
その光弾は真っすぐ釘野郎の顔に向かって行く!
巨体が邪魔して素早く動けないのか、モロに食らう。
「…どうも、調子が狂うな」
本調子ではなかったようだが、あの危険な男を気絶させるには十分すぎた。
「そこに隠れてるのは分かってるぜ。襲ったりしないから、出てこいよ」
「本当か?」
「ああ」
嘘をついている様子ではない。
よく分からない相手をすんなり信用するのは危険だが、この人はなんだか信用してもいい気がする。
◇
「助かった、ありがとう」
「礼なんていい。それより、さっきの男…」
「知ってるのか?あいつの事」
「ああ。前に、バイトの後輩の夢に出て来たらしい。俺のお守りで、半身を吹き飛ばしたはずなんだが」
とは言え、あの男がまだ生きていたのは確かだ。
気絶してはいるが…。
「そういえば、その釣りざお…俺のだぜ」
「何故か、支給品として俺のデイパックの中に入ってたぞ」
- 865 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 22:16:47
- 【一日目/深夜/B-7:山道】
【Tさん@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:特殊警棒
[所持品]:支給品一式、ガム
[思考・行動]:
基本:このゲームを壊し、主催者を破ぁ!する。
1:とりあえずこの男を守る
2:さっきのノコギリ男が、なぜここに…
【◆WYGPiuknm2@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:Tさんの釣りざお@Tさんシリーズ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:Tさんに付いて行く
2:寺生まれってスゴイ、初めてそう思った。
【ノコギリ男@Tさんシリーズ】
[状態]:健康、気絶
[装備]:ノコギリ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:(不明)
1:(気絶中)
≪支給品紹介≫
【Tさんの釣りざお@Tさんシリーズ】
夜釣りのお話で、Tさんが影を引き裂いた時に使った物。
寺生まれはスゴイ、俺はいろんな意味で思った。
- 866 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 22:17:24
- 投下終了です
- 867 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 22:57:58
- 投下します
支給品カオス3話:長谷川「やめられない、とまらない」
- 868 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 23:00:33
- 長谷川。
それは何の因果のなのだろう。
その名を名乗る者は大勢いる。
勿論その大半は一般人や偉人だっていただろう。
しかし、その中で、ダメ人間も数人紛れ込んでいる。
例えば今この場で殺し合いに巻き込まれたマダオ(普通、まるでだめなオッサン、もしくは夫の略を指す。この場合エロくは無い)。
例えば同じ様にかつて殺し合いに巻き込まれた強姦魔(普通、相手の了承も無しに相手を性的な意味で襲う奴の事を指す。この場合とてもエロい)。
例えばまたしても殺し合いに巻き込まれた強姦魔にして麻薬中毒者 (普通、強姦魔に加え、麻薬を継続的に続ける奴の事を指す。この場合ただの狂人)。
そして、彼、長谷川真も同じ種族であった
さて、彼は今とあるモノを見ている。
それは――――。
◇
「で、どうすんの?何なら別に俺の手で殺してもいいんだぜ。長谷川よぉ」
「………」
小学校教師(ちなみに1年生の担任をもつ)にして近頃日本で話題になってる強姦魔の一人。
長谷川 真 (はせがわ まこと)。
彼の目の目に居座るは◆ymCx/I3enU。今回の殺し合いの主催者の一人である。
◆ymCx/I3enUはとある目的をもって、長谷川をここに呼んだのだった。
それは―――――
「別にお前の好きな[ピッーー]なことを犯っときゃいいんだぜ。俺を満足させりゃあそれでいい」
なんてトンデモ提案だった。
しかしそれは常人。一般人では、の話であった。
「ククク…wハハハハハッハハハハハハハ!!いいぜ。俺はその話に乗った。まさかこんな堂々と人を犯せるなんて思ってもみなかったぜ!!」
大きな声で遠吠えの様な叫び声をあげ、大喜びする長谷川。
その顔は、歪に歪み、醜く醜悪な姿を晒している。
そしてその声に応じる様に◆ymCx/I3enUの声も若干喜びの色を見せ始め、
「いいねいいね。それでこそ変態だ。ただ、狙うといろんな意味で面倒な奴とかいるから気をつけろよ」
「ハァハッハッハッハハ!なんだっけか。えーと」
- 869 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 23:01:04
- 「◆y…っていうか荒神健児だ」
「荒神でいいか。言っておくが俺は自由に動くからな」
「おう、別にそれは勝手にすればいいが、地図で言うラインGからはでるな。俺の監視外だ」
「ふぅん。まぁいいだろう。では俺は早くイきたいのだが」
「全くせかすな、わーったわーった。さっさと行って来い、この変態」
「誉め言葉はいらねぇぜ」
「さすがだな」
その言葉を最後にして、◆ymCx/I3enUと長谷川は別れた。
二人の顔は、そうとう酷く幸せそうな表情をしていた。
◇
湯けむりの立ち込める中。
二人の人間と一匹のカエルがここに存在していた。
「ハーハッハハハハ。流石だぜぇ。えーとガマたん。いーぜ。もっとやれwwwww」
男、長谷川はカエルを誉める。
カエルはその言葉に、
「ゲコッ!」
素直に喜んだのか何なのか。
主人の役に立つべく行動を再開する。
口から液体をぶちまける。
服を溶かすというこの液体。
その液体は的確にこの少女を狙う。
それは簡単に避けられてしまう、が。
しかし液体というものは、流体だ。
避けた、と思っても、完全に避け切るのはこれは中々難しい。
地面に当たり、そして勢いよく、四方に飛び散る。
それを避けることはできなかった。
「――――きゃ!!」
そして、ここは温泉だった。
床が滑る。
そんな中、あっちこっちに跳びまわるのがそもそも無理な話なのだった。
ようするに、彼女、永沢みくるは、最初っから追い詰められていたのだ。
「――――お、お願いしますわ!助けてください!!」
- 870 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 23:01:35
- 「あぁあ、助けてやるぜ。俺は皆の味方、先生だぜぇ?」
「ほ、ホントですの!?」
「あぁ。そんな事考えないくらい、気持ちよくしてやんよぉ。感謝しな」
「―――――へっ!?ど、どういう」
「ゆけっ!モンスターボール!!」
一瞬、希望の光を取り戻した彼女であったが、再び絶望の闇に飲み込まれる。
そんな永沢の言葉を聞かず、長谷川は手にモンスターボールを握る。
そして、永沢に投げられたのだ。
モンスターボールは、投げられて行く途中に、口を開き、的確に永沢を捕らえたのだった。捕らえてしまったのだ。
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
その叫び声虚しく、少女は、この球体の中に閉じ込められてしまった。
そしてその球体は、
一回。
二回。
三回。
プーン
三回揺れた後、甲高い機械音が響いた。
―――それは、捕獲完了の合図であった。
「ハーハハハハハハハハハハッ。愉快だ!」
地面に転がるモンスターボールを拾い上げ、高らかに笑う。
笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。
それと同時に、モンスターボールは赤き光は滲みだし、とある人影を現した。
「……………」
「よし、お前の名前は?」
「名付けてください」
「――――うーん。雌豚って一回やってみたかったんだよな。小学生じゃ無理あるしな」
「はい、分かりました。私の名前は メスブタ です」
「フフフ。じゃあ、一緒に温泉でも入って色々『イイコト』しようか♪」
「分かりました」
「ゲコッ」
「あぁお前は一回戻っとけ」
と、モンスターボールをカエルに翳し、赤き光に包まれて消えていった。
そして、主人と奴隷の関係になってしまった長谷川と永沢、もといメスブタは温泉に浸かる。
【1日目・昼/G−4】
【長谷川真@オリキャラ】
[状態]健康、気分高揚、入浴中、[ピーーー]なことの最中
[装備]モンスターボール×4、ガマたん@To LOVEる、永沢みくる@今ロワ
[道具]支給品一式×2、ランダム(1〜3)
[思考]
基本:老若男女問わずいきのいい奴は手に入れる(性的な意味で)
1:ヤるか
2:Gラインからでないようにはしなきゃな
【永沢みくる@オリキャラ】
[状態]長谷川の奴隷、入浴中、[ピーーー]なことの最中
[装備]
[道具]
[思考]
基本:長谷川についていく
1:長谷川についていく
【◆ymCx/I3enU】
スタンス:主催
【ガマたん@ToLOVEる】
服がとけるという液体を吐きだす生物。
変態っす。
ちなみに長谷川の支給品として支給され、その後逃亡するも、モンスターボールにて捕獲される。
【モンスターボール@ポケットモンスター】
強制奴隷装置。原作同様、相手が弱ったりすると捕まえやすくなる。
今ロワでは人間も捕獲できる。
(全ては長谷川のた(ry)
- 871 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 23:02:32
- 以上
- 872 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 23:04:05
- あ、オリキャラ紹介投下忘れたので
【長谷川真 (はせがわ まこと)】
[性別]男
[年齢]25歳
[性格]両刀――どこか、何でもこい、な色々危ない人。
[職業]小学校教師(1―1担任)
[備考]
長谷川の法則の巻き添えを喰らった可哀相(?)な人。
例の通り強姦魔やってます(まだばれていない)。
もう一回確認するけど公務員だよ。―――小学生?ハハッ、ナンノコトカナ。
【永沢みくる (ながさわ―――)】
[性別]女
[年齢]18歳
[性格]お嬢さまタイプな感じ
[職業]大学生
[備考]
長谷川の餌食に遭った可哀相な子。
まぁご愁傷様。
ちなみに体型は貧乳に黒ニーソ。
- 873 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/07(火) 23:04:37
- 以上
- 874 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 23:09:48
- 投下乙です
自分も投下します
タイトル:一瞬の出来事でした
登場人物:◆CgtB2nWsWk、三田村哲也
- 875 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 23:10:34
- 「…た…助かった…」
E-1のはずれの砂浜で、その場に寝転がり、乱れた息を整える◆CgtB2nWsWk。
スタート地点は、何故か岸から50mほど離れていた海上だった。
「全身ずぶ濡れだ…。困ったな」
デイパックの中を探るが、着替えの服なんて入っていない。
代わりに、武器が入っている。
「ナタか…無いよりはマシかな…」
服を適当に絞り、水を抜く。
着替えを見つけるまでは、これで我慢するしかない。
「民家にでも行けばあるかな、着替え」
砂浜を後にしようと思った、その時。
パシュッ、と小さな発射音が聞こえた。
「何だ?」
気が付いた時には、もう手遅れだった。
自分の目と鼻の先に、何かが迫っていた。
…ボウガンの矢だ。
矢は、易々と頭に突き刺さった。
何が起こったかも理解出来ず、◆CgtB2nWsWkはその場に倒れた。
「矢はそんなにねえからあ、これは返して貰うぞお」
頭に刺さっている矢を、乱暴に引き抜く。
傷口から血が流れる。
「まず1人目だああ」
【一日目・深夜/E-1:海岸】
【三田村哲也@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:ボウガン
[所持品]:支給品一式、ボウガンの矢×5
[思考・行動]
基本:なんとなくゲームに乗る。
1:次は誰を狙おうかなあ
【◆CgtB2nWsWk@非リレー書き手 死亡】
死因:刺殺
≪キャラ紹介≫
【三田村哲也(みたむら てつや)】年齢:20歳 性別:男 職業:無職
所謂ピザ。
その上要領も悪く、どこの職場でも長続きしなかったため無職に。
- 876 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/07(火) 23:11:06
- 投下終了です
Cg氏ごめんなさい
- 877 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 23:16:58
- アニメロワ第五話:俯瞰せよ、人々よ
登場:白純里緒、エリュシア・デ・ルート・イーマ、汐宮栞、上條恭介
- 878 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 23:31:44
- d-4ーーー古びた屋敷の中で、地獄の悪魔エルシィは、ただ歩き回っていた。
地獄から逃げ出した悪人の魂通称『駆け魂』を狩るエリート部隊の一員である彼女は、本来かなりの落ちこぼれであった。
が、協力者の桂木桂馬の力添えもあり、計4匹の駆け魂を捕まえ、一躍エリートとなる。
本人にその自覚は無いようではあるが。
「……どうしよう。歩美さん、死んじゃったよ…」
不安を口にすると同時に、内心かなりの驚きがあった。
新悪魔であるエルシィを、拉致するという時点でふつうの人間には不可能である。
そして、荒耶宗蓮は悪魔とは違う。
解析不可能な相手に、エルシィは言い知れぬ不安を覚えていた。人間相手に、これほど大きな恐怖を抱いたのは初めてかもしれない。
例えば、同じ悪魔のハクア・ドゥ・ロット・ヘルミニウムならばきっと今ごろは何かしらの方針で動いただろう。
桂木桂馬と離れている状態で、彼女に判断を委ねるのはかなり無謀であった。
「……神様……」
譫言のようにつぶやいた直後。
エルシィの胸元から、一本の刃が生えていた。
間違いなく心地点を貫通しているため即死している。
背後で口を真横に引き裂くように笑うのは、哀れな殺人鬼。
- 879 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/07(火) 23:44:41
- ▲
「は、ははは。やっぱり簡単だ、殺すのは。アハハハハハハハハハハハハハ!」
白純里緒。
可愛らしい名前と同じく、中性的な顔立ちをした青年。
数年前、とある少女に振られてから堕落の道を歩み、荒耶宗蓮の手のひらで踊らされた哀れな連続猟奇殺人鬼。
『食べる』という起源の覚醒と、依存性が桁違いの麻薬、ブラッドチップの売人であることから、彼は両儀式に狙われ、殺された。
だが、この白純里緒は殺された記憶を意図的に消されている。
恐怖を抱かない狂犬。
その次の標的を見定めると、白純は食欲を抑えきれないというように舌なめずりをした。どこから見ても、獰猛な野獣であった。
獲物に選ばれた少女ーーー汐宮栞に、まっすぐ駆けていく。
■
本を愛しすぎた少女、汐宮栞は、屋敷の中の古い本を読んでいた。
しばらくするとはっとなって、
「……ぁ、いけない。こんなことしてる場合じゃないや」
文学少女で若干天然な栞は、不安を感じていないわけではなかった。
ただ、栞にとって『砦』である書斎に入ることは、彼女に確かな落ち着きを与えた。
かつて、『駆け魂』に取り入られた際、桂木桂馬に助けられたのだが、その記憶は確かに残ってなどいない。
- 880 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/08(水) 00:00:26
- ただし、脳裏には、古ぼけて消えかけた記憶として薄く残っている。
だから、栞が桂馬を求めないのだ。
デイバックの中は一応確認したが、中には黄金の剣一本が入っていた。栞は運動神経はまったく無いのだから、持つだけ無意味だ。
そろそろ仲間を探しておこう、と書斎を出た直後。
殺人の瞬間を、目撃した。
白純里緒の恍惚に満ちた表情に、思わず歯ががちがちと鳴る。
ふっ、と栞の方を見る白純。片手にはドスを構え、怪物じみた身のこなしで突撃してくる。目は正気を失っている、狂人の目だった。
「ひゃはははっ!」
一気に距離を詰めた殺人鬼。
栞は思わず反射的にデイバックを振るった。白純の手からドスが落ちるが、そのまま栞に覆いかぶせるように、拳を作る。
そのまま、栞の顎を横から掠めるように殴り飛ばす。
重心を維持できなくなった栞は倒れ込む。
殺される、と栞は確信したが、現実は更に非情だった。
白純は倒れた栞の腹にのしかかり、そのまま拳を振りあげる。
「や…め……………ぎゃぐっ!あぎっ!ぎゃふッ!」
栞の顔に叩き込まれる暴力の嵐。歯が折れ飛ぶ。
一体何分、肉を打つ音が鳴り響いたろうか。栞の口は脱力したように開かれていた。
- 881 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/08(水) 00:17:39
- 顔はぼこぼこに腫れ上がり、片方の頬肉は無くなって、歯茎がむき出しになっていた。
「もう…ゆるひ…て」
拳は振りおろされ続けた。
殴殺。
刺殺斬殺撲殺補食を行ってきた白純は、ただ新鮮さだけを追い求めていた。
「ブッ!…@#E$%&*%$#…」
顔面を足で踏みにじる。踏みにじる中で、栞は二度と動かなくなった。
▲
エルシィは、ただ逃げ回っていた。
彼女の幸運は、親友のハクアの羽衣のおかげで、白純を騙せたことだろう。
「君、大丈夫?」
【汐宮栞@神のみぞ知るセカイ】 死亡
【残り28/30人】
【深夜/d-6】
【白純里緒@空の境界】
[状態]拳が血塗れ(栞の唾液、歯などが付着)
[装備]ドス
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
【エルシィ@神のみぞ知るセカイ】
[状態]恐怖
[装備]ハクアの羽衣(残り二回まで)
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:???
投下終了
さすがに一行だけの上條くんに状態表はいらないよね?
- 882 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/08(水) 20:44:51
- アニメロワ第6話:リア充爆発しろ
登場:織斑一夏、美樹さやか
- 883 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/08(水) 21:00:09
- e-4、かなり古い、不気味な洋館の中に、織斑一夏は居た。
IS。
女性だけが作動させることのできる、本来軍事兵器として生み出された機械ユニットーーーが、様々な問題が浮き彫りとなり、『競技』へと変わっていった。
各国は代表候補生を選出して、世界大会優勝を目指して死に物狂いで足掻く。
国によっては一部の財閥や機関が候補生を作り出すため、適合手術などを行う事例もあるらしい。
その中で、一夏は唯一男性でISを作動できるイレギュラーであった。
IS学園で彼にフラグをたてられた少女たちも、殺し合いに呼ばれていた。
「セシリアやシャルは勿論だけど、箒の奴も放ってはおけないな」
そうまで言った時、一夏はようやっと、接近してくる少女に気付いた。
青い髪に、活発そうな印象を受けるが、どこか影のある少女である。
そして、少女は無言で、片手に握った剣を勢いよく振るった。
一夏は逃げる。
追うのは少女。速度はあまり早くはないが、何にせよまるで体力は無尽蔵のよう。
一夏は地下室に潜り込みやり過ごそうとした時。
ぐらり、と電気スタンドが、一夏の頭を打った。
【一日目/e-6】
【織斑一夏@IS】
[状態]気絶
- 884 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/08(水) 21:21:06
- [装備]なし
[所持品]不明
[思考・状況]
基本:???
美樹さやかは、ゆるやかに壊れていった。
上條恭介を生かすために。
投下終了
実は次回へ続くためにさやかを出した
- 885 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/08(水) 22:26:19
- 投下乙
投下、学園ロワ6話:確認試験
- 886 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/08(水) 22:26:59
- 第六章 確認試験(かくにんしけん)
□
努力が何であるか俺は知らない
◇
まぁなんつーかテストだ。
中学校の内容確認テスト。
まず説明したくないけどやっておかなきゃいかん気がするのでやっとく。
面倒だなぁ。
で、テスト。
それってこの学校に限るなら、成績に加え(ほぼ意味無いんだけどな成績って)、ボーナス金である。
約五百位〜一位まで順位が付けられ、その分だけどボーナスが与えられる。
それは今回のテストも例外ではないらしい。
別にドベでも普通に食って寝れてと、普通の生活はできるらしい。
しかし、やっぱり贅沢はしたいだろう。
同じ学食でも値段というものに差はある。(ちなみに学食ってのはレストラン「KOKUMEI」の愛称)
だから頑張る者は頑張るし、頑張らない者はまるっきし放棄する。
けれどそれまでといったらそれまでなんだが。
………あぁ俺?
俺は勿論――――――
◇
後日、学年順位が確定した。
現代文 95点
古典 91点
現代社会 94点
英語Ⅰ 89点
数学Ⅰ 97点
数学A 98点
理科総合A 92点
学年五位。
俺の順位。
―――――まぁこんなもんか。
やっぱ『本気』を出すってのも疲れる。しかも面倒。
……でもやっぱいい生活はしたいからね。俺でも。
テスト少し真面目にやるだけで金が手に入るんだったら、それがいいや。
―――――しっかし…やっぱ上には上がいるもんだなぁ。
まぁなんつったって俺はスポーツ生だからなぁ。
今思うと何で俺はA組とかにいねぇんだろう。
全くいい成績なんての残してないのになぁ。…どうでもいいが。
まぁしかし何であれ第五位ってのはいいんじゃないのか?
いいはずだ。俺はいい生活ができるってわけだ。そう願いたい。
ふんっ。ザマ―見ろってんだ。俺だってやればできるんだぜ。
まぁまぁ。
それはいい。完全に思い出しちまうとこだったぜ。
と。
その時、
「おいおいおいおいおいおいおいおいおい。一心くんよぉよぉよぉよぉよぉよぉよぉよぉよぉ」
なんて面倒くさいやつがやってきた。
「さぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ。答えなさい、何でこんないい点をとってんだよだよだよ「以下省略」―省略すんなぁなぁなぁ〜〜〜」キュ
「これで、あのうざい響き声は聞こえてこないな。始めからこうしときゃよかったなぁ。我ながらめんどくさいことをしてしまった」
「テメッどうやってやりやがったったったった〜〜〜!!」「声がでねーーーーーーーーーーーー」
「まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ。落ち着けって」
「パくんなんなんなんなんな〜〜〜!!」
「めんどくさいからいいよ。もうやらない。俺だって暇じゃないんだよ」
「なにやんだよだよだよだよ〜〜〜」
「いや別に、あんたと話したくないってだけで別に」
- 887 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/08(水) 22:27:59
- 「本人の前で言うなよなよなよなよ〜〜〜」
っていうかいつまでその語尾つけてんだ。ノリじゃなかったのか。
ノリの方がよかったんだが。
………それよりもさ、
「―――――つーかよ、お前誰よ」
そう、俺はこいつなんか知らないぞ。
クラスメイトでもなかったはずだ。
「突っ込むの、遅くね?」
「喋り方戻すなよ、いちいち覚えるの面倒くさい」
「お前ねぇ……」
明らかに呆れた顔されたので睨み返しといた。
それに特別怯む様子もなく、自己紹介をしていく。
―――つまんねぇな。
「何か失礼なこと考えてないか?」
「気のせいだ」
「……あっそ。まぁいいや、じゃあ考えといてくれよ」
「――――へ?何をだよ」
え?何?何か言ったっけ。聞いてるわけねぇじゃん。
と、言ってみたら今度も呆れた顔されたので、舌打ちをしてみた。
が、無視。ひでぇなぁ。まぁ面倒事も嫌だから別にいいんだが。
「―――――はぁ、聞いてなかったのかよ、風紀委員の勧誘だ」
「……ふぅん、断る」
「まぁ、そういわず考えといてくれよ。俺は3年のO組だから。決心ついたら顔見せな」
「あっそ」
「――――じゃあそう言う訳で」
と言って去っていった。
もう一回何言ったか知らんが言ってくんねぇかなぁ。
どう考えてもあれだけじゃねぇだろ。勧誘理由とか何も聞いてねぇぞ。
それにしても、O組ねぇ。特異組とかいうやつじゃん。人間にしか見えなかったが……。
―――――まぁ、いいか。
どうせ入るわけないんだし。
そう思って、俺は机に伏せ惰眠を貪っていった。
それを誰も起さなかった。
【第六章 終了】
- 888 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/08(水) 22:28:39
- 以上
- 889 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 20:42:32
- 投下します
タイトル:心の中までは見通せない
登場人物:◆8nn53GQqtY、お守りを貰った人
- 890 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 20:43:04
- 「一体、何がどうなってる?」
ノコギリ男の件で、改めてお礼を言いに行くためにTさんの家に向かったのだが…。
Tさんの家の前まで来た所で、記憶が途切れている。
(訳が分からない。Tさんに相談しようにも、どこにいるか分からないし)
少なくとも、自分の周りにはTさんはいない。
辺りはまだまだ暗い。その上、ここは森だ。
「…とにかく、懐中電灯を出した方がいいな」
デイパックから懐中電灯を取り出し、スイッチを付ける。
その拍子で、支給された物が転がり出てくる。
鉈のような物と、小さなフィギュアだった。
「鉈…?それに、このフィギュアは一体何だ?…とりあえず持って行こう」
- 891 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 20:43:38
- ◇
「かなり暗いな…まあ、真夜中だしな…」
鉈鎌を握り、暗い森の中を進んでいく。
一応、懐中電灯で照らしてはいるが、それでも暗い。
「一人じゃやっぱり心細いな…早く、Tさんを見つけないと」
その時、誰かの足音が。
「誰だ?」
「そんなに警戒しなくても、何もしないよ」
…確かに、武器を持っている様子はない。
隠し持っている可能性を、否定出来ないが…。
「名前を先に言ったほうがいいかな。俺は◆8nn53GQqtYだ」
「◆8nn53GQqtY…。」
なんだか良く分からない名前だ。
とはいえ、丁度仲間が欲しかった所だった。
いきなり声をかけて来た事に、何となく疑念を抱きつつもいっしょに行くことにした。
(…武器も中々だったし、いざと言うときにはこの人に罪を被って貰おう)
- 892 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 20:44:14
- 【一日目/深夜/E-6】
【お守りを貰った人@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:鉈鎌
[所持品]:支給品一式、アロー・ヘッドのフィギュア@R-TYPEシリーズ
[思考・行動]:
基本:殺し合いなんてしたくない。
1:ちょっと怪しいけれど、とりあえず仲間がいるのはありがたいな
【◆8nn53GQqtY@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、IMIデザートイーグル(7/7)、デザートイーグルのマガジン×2
[思考・行動]
基本(表向き):ゲームには乗らない。
基本(本心):ゲームに乗るが、その事を悟られないようにする。
1:とりあえず、標的を見つけないとな…
2:乗っている事がバレたら、この人を始末することも厭わない。
≪支給品紹介≫
【アロー・ヘッドのフィギュア@R-TYPEシリーズ】
全てのR戦闘機の礎とも言える機体。
流石に本物を出す訳にも行かないので、ミニサイズのフィギュアとして登場。
- 893 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 20:44:46
- 投下終了です
- 894 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/09(木) 20:52:09
- 投下します
アニメロワ第6話:凛として咲く花の如くーーー。
登場:神裂火織、ギルガメッシュ、本間芽衣子
- 895 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/09(木) 21:18:13
- 「salvere000!!」
「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!」
金色の英雄王の周辺から数十本の宝剣が一気に地上の"聖人"神裂火織に降り注ぐ。
神裂はそれらをただの日本刀でことごとく斬り落としていく。
宝具特化の英雄王とは違い、神裂は肉体能力を高めたおかげで、乱れ飛ぶ剣の雨をただの日本刀で切り落とす。
もっとも英雄王ギルガメッシュも負けてはいられない。
隙を見ては近接戦闘に持ち込むが、聖人の並外れた反射速度は英雄王の力をも上回る。
神裂は驕らない。
どんな敵にさえすべての力を叩き込み撃破する。
それが、一流の剣士の流儀であった。
一方ギルガメッシュは、一歩後退して不敵に笑む。
「ーーーー天地廻離す開闢の星(エヌマ・エリス)」
ドリルのような槍のような形状をした、彼最高の宝具。
神裂もその脅威を察知して、再び彼女の意志でもある魔法名を口にする。
「ーーーSalvere000(救われぬ者に救いの手を)」
二つの光が走り出す。
「ハァァァアアアアアア!!」
「真説・唯閃!」
二つの光は、ぶつかり合った。
■
風が吹き荒れた。
神裂火織の姿は無く、日本刀の先端の破片が落ちていた。
- 896 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/09(木) 21:29:57
- 結果、神裂は運が悪かったのだ。
英雄王の最大の宝具による最大の一撃は、ふつうの刀で耐えられる衝撃では決してない。刀の方が破壊されてしまったのだ。
「逃げおったか」
憎々しげに吐き捨てる。
【深夜/b-6】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]疲労(大)
[装備]なし
[所持品]不明(捨てた)
[思考・行動]
基本:生き残り、後に主催者を殺す。
1:弱者は基本放置。強者とは戦う。
2:騎士王(セイバー)を探して戦う
※宝具の力が大幅に抑えられています
■
神裂は逃走したわけではなかった。
戦いの中、刀が破壊されると同時に、白っぽい髪をした小さな少女を発見した。
弱者の保護を戦いより優先したのだが、それだけではない。
神裂の守るべき相手。
禁書目録の少女に、どこか似ていた。
すぐに気付いたのだが、少女の肉体は霊力で構成されていた。幽霊のたぐいを知る神裂には、さほど驚きもしなかった。
気絶している少女を安全な場所に寝かせ、やっと一息ついた。
- 897 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/09(木) 21:33:36
- 【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[状態]疲労(大)
[装備]折れた刀
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:殺し合いを終わらせる。
1:人は殺さない。
※第二期六話からの参加です
投下終了。
- 898 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:06:16
- 投下します
タイトル:冷やし中華始めました
登場人物:◆9QScXZTVAc、滝沢佑馬
- 899 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:06:50
- 「まさか支給品があのアイスソードとは…」
「知ってるの?◆9Qさん」
「まあね」
どこからどうみても、アイスソード。
持つだけで、何だか辺りの気温がちょっと下がってる気が…。
誰かが殺してでも奪い取りたくなるのも、分からなくもない。
「とは言え、自分は殺されたくはないけれど」
「何言ってるんですか?」
「…いや、別に」
デイパックを見るが、武器はこれだけのようだ。
これだけでは、銃を持った相手に対して不安が残るが、文句を言っても仕方無い。
「ま、なんとかなるか…」
仕方無く、アイスソードを装備して歩き出す…が。
「ちょっと、置いてかないで下さいよ」
置いてく訳ないって。お前が武器を持っているなら別だけど」
「…まあ…確かにそうですけど」
確かに、冷やし中華(15人前)は武器にはならない。
というか、武器じゃない。
- 900 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:07:21
- 「味は結構良かったけどな」
「確かにそうですね」
「支給品として当たりか外れかで言うと…ある意味当たり。食べるぐらいしか使い道がないけど」
とにかく、戦う力があるのは◆9QScXZTVAcだけだ。
不運にも冷やし中華を支給された男…名前は滝沢佑馬。
こいつは戦えそうにない。
(確か、美術部に入ってるって言ってたっけ…。せめて、運動部だったなら…)
「どうしたんですか?ボーっとしちゃって…」
「あ…いや、何でもない。ちょっと、考え事してた」
とりあえず、今は行動あるのみ。
「こっちに看板がありますよ」
「なになに…西にホムセン、北西に病院、北東にホテル、南東にアパート…」
どこも、人がいそうな場所だ。
ホームセンターは…首輪解除に役立つツールを探している人がいるかも。
病院は…医療器具を調達しに来てる人がいるかも。
ホテルは…誰がいるんだろうか?休みたい人がいるかも…?
アパートは…正直、あんま行きたくない。入り組みすぎてて、危険かも。
「よし、決めた。ホームセンターに行こう」
「ホームセンターに?」
「何か役に立つ物があるかもしれないからな。よし、行こう」
【一日目・深夜/D-5】
【◆9QScXZTVAc@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:アイスソード
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくないな、でも敵には容赦しない
1:とりあえず、ホームセンター行ってみるか。
【滝沢佑馬@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、冷やし中華(残り13人分)
[思考・行動]
基本:人殺しなんてしたくない。
1:◆9Qさんに付いて行く。
≪キャラ紹介≫
【滝沢佑馬(たきざわ たくま)】 17歳/男/高校生
どこにでもいる様な、平凡な高校生。
- 901 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:08:00
- 投下終了です
- 902 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/09(木) 22:28:38
- 投下乙です
投下します、
支給品カオスロワ4話:戯言遣い「ぼくと君は似ている」
- 903 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/09(木) 22:29:54
- 0
始まりが始まるとは限らない
1
目覚めた先にあったのは、崖だった。
――――おぉう。
いきなり大ピンチじゃん。あぶねぇ。
戯言か。
しかし高いなぁ。
落ちたら即効死亡じゃん。
そうなったら、ぼくは何のために来たのって感じだよね。
……まぁそうなっても誰が悲しむとかそんないい話にはならないだろうけどね。
そして改めて名簿を見て見る。
………真心ってあの真心?
いや、そんなはずないだろう。何せぼくの目の前で紅蓮の業火に焼かれて死んだんだぞ?あいつは。
だから、そんな事があってはいけないんだ。
そう、ぼくは自分に言い聞かせる。
だから真心がいたとしてもそれは偽物。
ぼくは、そいつを真心とは思わない。
そんな時。
『ねぇ、ちょっといい?』
後ろから声をかけられた。
学ラン姿の男の子だった。
………何だろうか。この感覚。
ぼくは戸惑う。
平然、ただただ普通に不偏な平凡に弊害などない、当たり前な戸惑い。
そこには鏡――――ではなくどちらかというとぼくの未来図というものを見た気がする。
可愛らしい顔こそしているが、どこもかしこも突き抜けて派手なこともない。ぼくと同じ。
だから鏡では無い。ぼくのスケッチ。
零崎とも違う。この感覚。
だからこそ、ぼくは戸惑う。
そして、相手も戸惑った。
だからこそ、何もできない。
否、ぼくは彼が何をしたいのかがよく分かる。
『ねぇ、僕は球磨川禊って言うんだ。君は?僕にそっくりさん』
驚きの表情を手で覆い、直し、相手――――球磨川くんはぼくに尋ねる。
それは。
さながら。
自分の名前を自分自身で確認するかのよう。
とても違和感のある問いかけだった。
『ねぇ、僕と友達になってよ』
「別にいいよ」
これが。
これこそが。
傍観者、戯言遣いと過負荷、大嘘憑きの邂逅だった。
奇しくも、それは、常に崖っぷちなぼくらにお似合いでの出会いだった。
- 904 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/09(木) 22:30:26
-
2
『いーちゃんって呼んでいいかな?』
「それは……ちょっとやめてほしいな」
『なら、僕は戯言ちゃんって呼ぶね』
「それならいいよ」
ぼくのあだ名、どんどん増えてくなぁ。なんて思いながら球磨川くんを見る。
ぼくの、スケッチ。過去像、もしくは今の自分。
なるほど、思えば思うほど確かに思わなくもない。
ぼくは完成不可な欠陥製品。
彼は負荷完成した欠陥製品。
天才の住む絶海孤島でも。
同級生との出会いや邂逅でも。
赤色からの依頼からの高校での出来事でも。
青色からの頼みから行ったあの研究所でも。
どんなところでも体験できなかった、できるわけなかった感覚をぼくは今感じている。
とても不思議な感じだ……戯言だけどね。
――――で、だ。
「上条くんって、誰?」
『当麻ちゃんはこの「とある魔術の禁書目録」ってラノベの』
と、ある本を見せてきた。
表紙には、銀髪のシスターみたいな人が描かれている。
―――まぁ本当に見ての通りラノベであった。
「どうしたの?これ」
『このバックに入ってたんだぁ。全く差別だよ差別――――けど、面白そうな人は見つけられたけどね』
「まぁ、別に何だっていいんだけど、探すの?」
『うん。手伝ってくれる?』
「いいけど。ぼくと君は馬が合いそうだから」
『奇遇だね。僕も似たようなこと考えていたんだ』
零崎とはやはり違うな。
とも思うが、同じだな。とも同時に思う。
矛盾。
しかし正論。
似て非なるもの。
見よう見まねな幻術師。
模写模倣の天才画家。
偽善正当な勇者一行。
どれをとっても当てはまり、もっと言えば当てはまらない。
中途半端な外れ者。
未完成な負完全。
負け犬どもは吠えていく。
戯言を。
大嘘を。
見栄を張って。
格好をつけて。
身を張って。
括弧つけて。
ぼくたちは、そんな何でもない何者か。
それを理解する。させられる。
それもやっぱり戯言なんだけど。いや大嘘か。結局何だっていい。
そして球磨川くんが、ぼくに尋ねる。
『で、戯言ちゃんは何が入っていたの?』
「あぁ、まだ見てなかったね。今出すよ」
そしてぼくはディパックに手を突っ込む。
まさぐる。
そして出てきたものは――――
「ドラゴンボール?」
『正確には四星球だね』
……なんで?
あれって架空の話じゃないの?
ま、まぁ気を取り直して………。
- 905 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/09(木) 22:30:56
- 再びぼくはディパックに手を突っ込み、
「―――螺子?」
『あ、僕の』
大きな螺子があった。
それは、球磨川くんの物だったようだ。
「じゃあ、返すね」
『ありがと、僕はこの恩をきっとすぐ忘れるけど覚えておくね』
「それでいいよ」
さてさて、では気を取り直して、
「今度は――――銃……」
『二丁あるね。…見ない形してるけど』
ちなみに、炎刀『銃』というらしい。
どっちなんだ。
………。
まぁなんてね。
「球磨川くんは何が入ってたの?」
『僕はこの「ナゾのえきたい」っていうのと、このラノベだけだったよ』
「……」
ナゾのえきたいって、あれじゃね?
なんかヌルヌルしてるよ。テカテカしてるんだけど。
まぁ、いいんだけどさぁ……。
『行こうか☆』
「ん?ああ、そうだね」
ぼくたち、奇妙な間柄の2人は『幻想殺し』を探す旅に出る。
【1日目・昼/H−8】
【戯言遣い@戯言シリーズ】
[状態]健康
[装備]炎刀『銃』@刀語
[道具]支給品一式、四星球@ドラゴンボール
[思考]
基本:何もする気はないが、真心は処理する
1:球磨川くんと行動。上条くんとやらを探す
[備考]
※サイコロジカル後からの参戦です
【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]大螺子@めだかボックス
[道具]支給品一式、『とある魔術の禁書目録(1〜3巻、読破済)』、ナゾのえきたい@クリミナルガールズ
[思考]
基本:主催者どもを潰す☆
1:戯言ちゃんと行動。上条くんを探す。
[備考]
※生徒会戦挙編庶務戦からの参戦です
※上条くんは名簿を見て、同姓同名だからという理由だけで探しています。
- 906 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/09(木) 22:31:52
- 以上。
色々と僕の趣味です。
いーちゃんが支給品に恵まれすぎなのは
理由があればいいなと考える
- 907 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:57:04
- 投下します
タイトル:「年寄りをナメるなよ」
登場人物:藤波栄太郎、永野隆也
- 908 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:57:40
- 明かりの灯るホテル内を、警戒しつつ進む藤波栄太郎。
自分の父親が開いた剣術、藤波流の唯一の継承者である自分が死ぬわけにはいかない。
だが、こんなふざけた殺し合いに乗るつもりもない。
そして、自分に支給されたのは日本刀…。
(ワシも、今年で70じゃ。無理はできぬ。…まあ、この状況じゃあ、多少の無理は必要じゃが)
自分でも、肉体の衰えは自覚している。
いくら鍛えようと、結局は衰えを緩やかにするだけ。
「…ワシと同じ志を持つ者は、必ずおるはずじゃ。同じ志の者同士で集まれば、必ず…」
その時。
誰かが声を荒げながらこちらへ向かってくる。
「おらおら!!クソジジイ、んなところにつっ立ってるとぶっ殺すぞ!!」
「ほう…お主、ワシのことをクソジジイと言ったのか?」
「ああん?お前以外に誰がいる?生き残るべきは俺なんだよ!てめーなんぞここで死ねばいいんだよ!!」
「そうか…どうやら、話しあいは無理そうじゃな…」
そう言うと、栄太郎は刀を鞘に収め、独特の構えを取る。
敏感な人間なら、発せられる殺気に恐れおののくだろう。
しかし、当然と言うべきか、粗野なヤンキーには分かるはずが無かった。
「ああ?テメー、隙だらけじゃねーか!そんなに早死にしてーなら、今すぐ――」
一閃、その瞬間。
日本刀が、鮮やかなほど滑らかに滑り、ヤンキーの喉笛を切り裂いていた。
「…な…に…?」
勢いよく首から血を吹き出し、その場に倒れた。
「藤波流壱の型。…ふう、年寄りをもっといたわらんか。この技、結構疲れるんじゃぞ」
- 909 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:58:12
- 【一日目・深夜/B-6:5F廊下】
【藤波栄太郎@オリジナル】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:日本刀
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いなぞやるつもりは無いが、襲って来るものは斬る。
1:近頃の若い者は…まったく
【永野隆也@オリジナル 死亡】
死因:失血死
≪キャラ紹介≫
【藤波栄太郎(ふじなみ えいたろう)】 70歳/男/無職
父親が開いた藤波流の2代目継承者。
継承者を探しているが、なかなか見つからずに困っている。
【永野隆也(ながの りゅうや)】 17歳/男/無職
学校を暴力事件が原因で退学処分にされた後、暴走族に入る。
が、毎日毎日パシリに使われていた。
- 910 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 22:58:44
- 投下終了です
- 911 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 23:32:58
- 投下します
タイトル:贖罪のための反抗
登場人物:守谷彩子
- 912 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 23:33:35
- 「…私は、あのとき死んだはず…」
妖刀に操られ、何人も斬り殺した後、マッチョの男に射殺された。
それは確かなはずだった。
でも、自分は生きている。
「一体、何なの…?あの刀は、無くなっちゃったみたいだけど」
確かに、あの忌わしい妖刀は消えていた。
「私は、解放されたのね…。」
あの時と違い、今は「自分の意思」で生きている。
それだけで、嬉しい。
しかし、その喜びはすぐに消える。
「でも…この感じ…また、殺しあいなのね」
今度は、絶対に人殺しはしない。
そして、必ず生きて帰る。
(操られていたとは言え、私が人を殺したのは事実…。罪を償うためにも、私は生きなきゃいけない)
支給品を取り出す。
…ハンドガンが出て来た。
どこかで見た事があるような…無いような…。
「何かしら…この感覚。どこかで…?」
【一日目・深夜/B-3】
【守谷彩子@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92(14/15)
[所持品]:デイパック、ベレッタマガジン×2
[思考・行動]
基本:自分の知識を活かし、このゲームを壊す。
1:武器の調達をしたい。
≪支給品紹介≫
【ベレッタM92】
なぜか1発減っている。
これがどう言う意味を持つかは…。
- 913 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/09(木) 23:34:09
- 投下終了です
- 914 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/10(金) 19:15:52
- アニメロワ第7話:悪人は女神と交差する
登場:一方通行、鹿目まどか
- 915 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/10(金) 19:30:42
- ◆
「どうして……こうなっちゃったの?」
鹿目まどかは、"あの日"、ワルプルギスの夜が来た日に、魔法少女となった。
自らの存在そのものを世界の"概念"とすることで。
すべての魔女を生まれる前に消し去るという、夢物語のような願いを叶えた。
最高の友達とは、二度と会えなくなってしまったが。
概念となったまどかに再び肉体を与え、拉致するなど容易ではない。
荒耶という魔術師の得体の知れなさに、まどかは一抹の不安を感じていた。
「でも、ほむらちゃんに会えるのは、やっぱり嬉しいな」
暁美ほむら。
鹿目まどかの最高の親友であり、逆にほむらはまどかを守ろうとする。
彼女に会うことを、まずは第一目標とした。
◆
「………ふざけた野郎だ」
一方通行は、静かに憤っていた。
白い髪に赤い瞳。華奢な体駆からは想像もつかないような恐怖を感じさせる怪物。
科学の町、230万人の住む学園都市最強の超能力者。
とある実験にて町の闇の底へと墜ちてから、ついこの前武装集団(スキルアウト)のリーダーを殺害したばかりで、ここへ呼ばれた。
デイバックには、メダルゲームのメダルが数枚。
ベクトル変換射出すれば弾丸より役に立つ。
- 916 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/10(金) 19:39:01
-
「さァて。血みどろに救ってやンぞォ」
◆
まどかは、道先でばったりと最強の怪物と出会った。
「ーーーそンなにビビンなよ。俺も殺し合いに乗っちゃァいねェ」
安堵の空気が流れ、二人は情報交換を始める。
【一日目/d-2】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
※まど神の力は封じられています
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]メダル数十枚、不明1
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。
投下終了です
- 917 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/10(金) 20:47:03
- 投下します
支給品ロワ:野比「ドラえもん、待っててね」
- 918 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/10(金) 20:47:56
-
バァァン
乾いた音が、洞窟内で鳴り響く。
その音はいつまでも洞窟内で反響し、とどまっている。
いや違う。その音は、消える、唐突に。
音を立てながら。
しかし音を聞いたものはいない。
否、最後の消えゆくまで聞けたものはどこにもいない。
時間を遡るとしよう。
これは、野比のび太と、岡島幸喜の、不幸話である。
◇
「俺って何かしたかなぁ」
岡島幸喜は、溜息交じりの声でそう呟く。
その声は本当にボヤッとしたもので、それを聞きとれる者はいないだろう。
もしかしたら本人すらも分かってないかもしれない。
ここは洞窟。
しかし対して反響もせずに、途切れていく声は、何やら哀愁漂うものだった。
そんな時。
コツコツコツ
足音が、響く。
それは、岡島の声よりも響いたんではないだろうか。
そんな描写をおしている内に、その足音の主は現れた。
真選組バズーカを構えて。
「ごめんなさい」
「―――――――はぁ?」
ここで冒頭に戻る。
◇
では、野比のび太の方を見ていこう。
まず、野比が目を覚まして、そこにいたのは、◆VxAX.uhVsMだった。
「のび太。てめぇ、殺し合いに乗って、あ。これ命令ね」
「―――――へ?」
素っ頓狂な声を挙げる。
それも仕方ないのかもしれないが。
何せいきなり殺し合いの中で、本当に人を殺せと命じられたんだから。
「ちゃんと俺の方で理由付けさせとくから。ほらこれみろよ」
野比は◆VxAX.uhVsMに手渡されたDVDプレイヤーの眺める。
初めは少し驚いたが何て事は無い。映っていたのはただの野比の家だった。
しかし、それは壊れていく。
そこに映っていたのは、父、母、そして機械。それらの残骸とも呼べる品物があったからだ。
家は血に塗れ、血に汚れ、血が映えて、血が光る。
そして、一旦砂嵐が入り、次に移されたのは、源しずかの家だった。
「―――――まさか」
野比の予感は的中した。
それは野比にとって、いい情報では無い。最悪な報告だった。
未来の婚約者が、ぐちゃぐちゃになって死んでいた。
「―――――――――――――――――ぁ」
声が漏れた。
何も感じることことない、抑揚も、感情もないものだった。
- 919 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/10(金) 20:48:33
- そんなことを知ってか知らずか、プレイヤーの画面は次の場面へと移っていた。
ジャイアンこと剛田武。彼も毒牙にかかる。
彼もまた、死んでいた。間違っても生きているとは思えない。
その小学生の割にがたいのいい身体がねじ曲がり、曲がり、曲がり曲がり曲り曲り曲曲曲まがまがまがままままま―――――。
とにかく、原型を留めてなかった。
野比も、彼の家という物が映っていなければ、それを彼と信じる、見分けることはできなかったであろう。
「―――――――――――おぇ……」
嘔吐感が身体を襲う。
怠惰感も身体を襲う。
自責感は身体を襲う。
そんな野比の心中を察することもなく、物語は終焉へと向かって行く。
最後に映されるは、野比たちが通う、学校だった。
教室の中には、いつも通りに先生が出席を取っている。
空席が4つ、それを知っても特に触れることもなく、出席を終えた。
その時だった。
日常が、終わった。
迎えるものは、何もない。
一斉に、生徒、先生、その全てが腹から二つに裂かれた。
そして痛みを感じる暇もなく、楽しむことも、哀しむことも、怒ることも、喜ぶことも、何もすることなく終わった。
そしてその血の池に、死体の山に、腐臭を放つ空の中、佇むもの一人。
◆VxAX.uhVsM。
そして、今野比の目の前にいる彼自身の言葉を代弁するかのように、話し始める。
「以上だ。まぁ安心していいよ。のび太が優勝さえすれば、皆生き返る。だから、殺し合え」
その言葉を最後に、プレイヤーの電源は、切れた。
「………………」
「というわけで、やってくれるよな?」
むしろそれは、脅迫の様な声色だったが、それを無視して、
自分の意思で、自分の決意で、自分の醜悪で、宣言した。
「僕は皆を殺す。――――そうしないとみんな帰ってこないんでしょ?」
「御明察」
と。
◆VxAX.uhVsMは余裕の笑みを浮かべる。
野比のび太は悲痛の苦笑いを浮かべる。
「まっ。頑張ってよ、応援してるから」
「本当に、生き返らせてくれるんだよね」
「勿論。約束は守るぜ、俺は」
「本当に?」
「本当さ」
「「……」」
無言のまま、野比は転送された。
そして、目を覚ました先にあったのは、洞窟。
ここで冒頭に戻る。
◇
そこに誰もいない。
ただの、洞窟だったはずの残骸だけ。
野比の放ったバス―カの弾は岡島に当たらず、背後の岩場に命中してしまった。
そもそも、小学生という身体がまだ成長しきっていない身体で、バズーカなんて反動が大きいものが満足に撃てるわけがなかった。
そしてその理論は見事に破られることは無く、的外れな場所に着弾した。
……
さて、洞窟に直接着弾したら、どうなるのだろうか。
答えは簡単明瞭。
洞窟が崩れるだけ。
崩れる。音を立てて。
豪快に、静寂に。
派手に、地味に。
勿論二人はその巻き添えを食らう。
圧死。
だから、誰もいない。いなくなった。
◇
◆VxAX.uhVsMは呆れた顔をする。
「いやいや、これねぇだろ。幾らのび太でもこりゃねぇって」
「まぁいっか。次はどいつを刺激してみようかな?」
◆VxAX.uhVsMは面白そうに、楽しそうに、笑い声を堪えながら、監視を再開する。
【岡島幸喜@オリキャラ:死亡】
【野比のび太@ドラえもん:死亡】
【◆VxAX.uhVsM】
スタンス:主催
【岡島幸喜 (オカシマ コウキ)】
[性別]男
[年齢]22歳
[性格]自分不信
[職業]大学生
[備考]
自分不信とはようは自身の無いって感じ。
なんか既にキャラが適当になってるのは気のせいか?気の所為だ。
- 920 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/10(金) 20:49:21
- 以上
- 921 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/10(金) 20:53:09
- 地図をまだ投下してなかったと思うから投下
12345678 64マス
A森森森田田橋港港 ◆8nn53GQqtY の管轄下は ラインA
B森森学学駅川公公 ◆6LQfwU/9.M の管轄下は ラインB
C森図穴森森橋森浜 ◆9QScXZTVAc の管轄下は ラインC
D住住住塔診川研浜 ◆CgtB2nWsWk の管轄下は ラインD
E森教森洞駅橋デ浜 ◆VxAX.uhVsM の管轄下は ラインE
F山山ホ遊山川住浜 ◆WYGPiuknm2 の管轄下は ラインF
G診駅海温森橋森山 ◆ymCx/I3enU の管轄下は ラインG
H森海島海平川塔崖 ◆YR7i2glCpA の管轄下は ラインH
- 922 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/10(金) 23:47:14
- 投下します
タイトル:兄弟愛には程遠い
登場人物:五十嵐弘、五十嵐健児
- 923 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/10(金) 23:47:48
- 「また負けた。これで10連敗だよ」
殺し合いの場だと言うのに森の中で呑気にPSPで遊んでいる男、近田一也。
「もう1回だ、もう1回…。今度は勝つ」
状況を理解してないのか、それともマイペースなのか。
どちらなのかは分からないが、度胸があるのは確かだ。
(まあ、時間はあるしもうちょい頑張るか)
またPSPの画面に集中する。
「こんな時にゲームか?随分呑気なんだな」
話しかけてきた男は…自分とそっくりの顔をしていた。
当然だ。兄弟なんだから。
「よう兄貴。流石にまだくたばってなかったか」
「言うじゃねーか。一緒に行くか?」
「いいぜ。兄貴は武器何持ってんの?」
「神樹の木刀とか言う物らしい。かなり堅いぜこれ」
手に持つ木刀を見せびらかす。
名前に「神樹」と付くだけあって、神々しいような気がする。
- 924 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/10(金) 23:48:24
- 「おい、いいかげんPSP切れよ!出発するんだからさ」
「ちょっと待ってくれ、セーブするから」
データをセーブし、電源を切ってデイパックにしまう。
「よし、行くぞ」
「待ってくれよー」
【一日目・深夜/B-4】
【五十嵐弘@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、PSP+R-TYPE TACTICSⅡ
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくねぇ
1:兄貴と行動する。
2:ゲームしたかったのによ…邪魔しやがって…。
【五十嵐健児@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:神樹の木刀@龍が如く2
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくねーな。
1:とりあえず弘を守るか。
≪キャラ紹介≫
【五十嵐健児(いがらし けんじ)】 22歳/男/会社員
結構頭の回転が良く、そのお陰で仕事を良く任される。
それを上手にこなすので、色んな人から信頼されている。
【五十嵐弘(いがらし ひろし)】 21歳/男/アルバイト
兄程では無いが頭がまあまあいい。
でもそれを活かせる仕事には就けなかった。ゲーム好き。
≪支給品紹介≫
【神樹の木刀@龍が如く2】
基本的に非売品。その分、性能も良く耐久力も高い。
木刀系の中では一番強いんじゃないだろうか?
- 925 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/10(金) 23:49:06
- 投下終了です
- 926 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 13:11:22
- アニメロワ第9話:世界最悪(きはらあまた)
登場:木原数多、アーチャー、セシリア・オルコット
- 927 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 13:26:38
- 【ミス、アーチャーではなくアサシン】
■
「殺し合い……ですの?」
現実味があまりにも無い状況に、セシリア・オルコットは言葉に一度出して確認する。
彼女の想い人、織斑一夏も参加している殺し合いにて。
代表候補生のセシリアですらも、すぐに対応することは不可能だった。
取りあえずは一夏を探そう、と歩き出すと、青い髪に長身の侍が居た。
■
「私は佐々木小次郎。クラスはアサシンのサーヴァントである」
「さー…ヴァント?」
どうやらこの少女は魔術には疎いようだな、とアサシンは嘆息した。
とりあえずマスターになってほしい、とは伝えたが、しっかり理解してもらえただろうか、と少し不安になった。
「まあいいですわよ」
前言撤回。
かなりあっさり決められてしまった。
マスターとしての器はどうか分からないが、アサシンの剣技が最大限に発揮される。
まあ結果オーライだな、と想った瞬間に、アサシンの足元の土が弾けた。
銃弾の先には、顔面半分に入れ墨を入れた白衣の男が、アサルトライフル片手に不敵な笑みを称えていた。
木原数多。
優れた研究者にして、『猟犬部隊』のリーダー。
学園都市において、アレイスターに近い存在。
- 928 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 13:27:27
- 投下終了。後半に続きます。
後半は後で
- 929 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 19:32:26
- アニメロワ第10話:世界最悪(きはらあまた)2
登場:木原数多、アサシン、セシリア・オルコット
- 930 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 19:45:55
- いきなり発砲してきた。それは、木原が敵という根拠としては十分であった。
アサシンは刀を構える。足場が水平な今、アサシンーーーーー佐々木小次郎最強の剣技が使用できると踏む。
木原はにやり、と笑むと、何かをポケットから放り投げた。
黒い球体。
アサシンには何か分からなかったが、ある程度軍事知識のあるセシリアにはすぐに理解することができた。
「目を閉じて!スタングレネードですわ!」
■
「ーーーーおいおい。あんた人間じゃねえのか?あれだけの光を受けて立っていられるのかよ、そそらせてくれるじゃねえか!?」
「……侍の目を、みくびるなよ」
だが耳はほぼ使いものにならない。
木原の語尾が強く言われたことは理解できた。あとは口の動きで何を話しているかを読みとって返答しているに過ぎない。
本来佐々木小次郎という人物は存在しない。
架空の人物像が語り継がれる中で、いつしか英霊へ昇華していた。
サーヴァントとしてはとびきりのイレギュラーなのだ。
ーーーしかし、彼の侍としての意地、誇り、志は代えようのない本物であった。
木原に向けて、刀を水平に構える。
前人未到、達人の境地。
剣を振るい続けた孤独な孤高の侍。
- 931 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 19:59:12
- 剣に費やした時間の中の集大成。
あの騎士王セイバーさえも容易には打ち勝てない、最速の秘奥義の構えを取る。
「何だぁそりゃあ!?ギャハハハハ、お侍さんってかぁ!」
「秘剣ーーーーーーーーーーーーー、」
「ーーーーーーー燕返し!!」
風だけが、通り抜けた。
木原数多の肉体を、確かに切り裂いた獰猛な感覚があった。
しかし。
足元にあるのは、子供の描いた絵のような"偽物"であった。
はっ、とセシリアの方を見る。
そこには、木原『しかいなかった』。
足元には、頭を失った少女の亡骸が、倒れていたが。
「木原ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
バババババンッ!
続く鉛弾の雨に打たれ、佐々木小次郎は肉体に無数の赤い華を咲かせて散った。
■
「まんまと引っかかりやがったな、バァカが」
口で言うのは簡単だが、きっとセシリアのような一般人には不可能な芸当で、木原はアサシンを欺き、たった一手で王手をかけた。
まずはアサシンを罵倒しながらも、剣技の速度を脳で計算。
割り出した速度より早いと見て、一定の数字xを足し、アサシンの実際の剣戟速度の方程式を作り、答えを仮定する。
- 932 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 20:08:42
- 後は距離から木原までの到達速度を割り出せば、その速度に合わせて行動できる。
アサシンが構え終わるまでの数秒より更に早く、この流れを脳で行った。
だが、真に滅茶苦茶なのはその格闘センスである。
アサシンのコンマ一秒にも満たない超高速の剣戟の到達とほぼ同時に、『悪魔の羽衣』を配置して、盾に使った。
そして木原は距離を取り、唖然とするセシリアを射殺。
アサシンが再び剣を構える前に、発砲してアサシンを射殺した。
木原数多。彼は人間である。
歪んだ思想と天才的な頭脳、更には圧倒的な格闘センスを合わせ持つ、
"最悪の天才"木原数多。
【セシリア・オルコット@IS】
【アサシン@Fate/stay night】 死亡
【残り26/30人】
- 933 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 20:14:18
- 【深夜/d-4】
【木原数多@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]アサルトライフル
[所持品]エルシィの羽衣×2@神のみぞ知るセカイ
[思考・行動]
基本:適当に殺して適当に生き残る。
1:勝てそうになかったら迷わず逃げる。
2:グループを組んでいる者に取り入り利用したい。
3:一方通行は必ず殺す。
※死亡後からの参加です
投下完了
- 934 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 20:20:38
- 投下します
タイトル:スタードラフト戦闘
登場人物:殺人鬼、パート・スティーヴン
- 935 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 20:21:18
- 「全く…殺し合いなんてクレイジーなことやってられるかよ」
道の真ん中でブツブツ不満を漏らす男、パート・スティーヴン。
ささいなトラブルから友人を射殺し、逮捕されていたはずだったのだが…。
煙草に火を付ける。気持ちが、幾らか落ち着く。
「しかし…支給された武器がグロック18とはな。とんだ皮肉だ。」
友人を射殺するときに使った銃も、これと同じ銃だった。
偶然か、わざとか…。
どちらかは分からないが、嬉しくは無い。
(だが、こいつは装弾数が多い。30発はあるな…)
まじまじと銃を見つめていた時。
誰かが息を切らして走ってくる。
(様子がおかしいな…一応、隠れて様子を見るか)
走ってきた男は、こちらに気づく事なくそのまま通り過ぎていった。
と言うか、こちらの事を気にする余裕も無いようだった。
「…追いかけるか…」
そう思い、物陰から身を乗り出した瞬間。
パァン、と銃声が響いた。
- 936 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 20:22:42
- 「うぐっ!?」
咄嗟に隠れなおす。
しかし、このままでは殺される。
(まずい…いや…)
このまま、殺されてもいいんじゃないか?
そんな考えが浮かんでいた。
(俺が死んでも、悲しむ人間はいない。あの事件以降、親からも友達からも見放され…)
そう考えている内に、自分の前に誰かが立っているのに気づいた。
この距離では反撃もできない。
銃は持っているが、手が動かない。
「おめでとう。お前が1人目のスターだ。」
「ありがとよ」
◇
「刃物は…持ってないのか。あれがあると便利なんだがなあ」
白目をむいて倒れるパートを尻目に、デイパックを漁る。
共通支給品は適当に捨てた。
2つ持っていてもあまり意味はないからだ。
「この銃も、貰っておくか」
グロック18を拾い上げ、ワルサーP99を仕舞う。
「スターの写真を撮りたいけど、カメラがないな。仕方無い、こいつは置いて行こう」
【一日目/深夜/D-1】
【殺人鬼@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:グロック18(33/33)
[所持品]:支給品一式、P99のマガジン×2、ワルサーP99(12/15)、グロックのマガジン×2
[思考・行動]:
基本:参加者を殺して、死体をサイトに飾る。
1:次の標的を探す。
2:せっかく殺したのに、残念だ
【パート・スティーヴン@オリジナル 死亡】
死因:射殺
≪キャラ紹介≫
【パート・スティーヴン】 27歳/男/無職
アメリカ系の男。それ以外の説明は文章内にあるので割愛
- 937 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 20:36:57
- 遅れましたが投下終了です
- 938 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/11(土) 20:58:41
- 毎度のことですがさるさん食らったので21話続き投下します
- 939 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/11(土) 20:59:26
-
神楽はそんな男に、どうしてやったらいいのか分からなくて、
とにかく、例えば傷の手当てでもするものでもないかとディパックを探して、
そして、ビニール袋に入った『それ』を見つけた。
「はい」
ディパックを探っていると、さっきの小娘が右手を差し出していた。
手の中には、棒状のお菓子。
それは、誰にでも買える安価なお菓子。
○まい棒コーンポタージュ味。
それだけでなく、左手には大量のお菓子が入ったスーパーの袋も差し出している。
「腹が立つ時は、暴れるかやけ食いするといいアル。
銀ちゃんはお酒飲めばいいっていうけど、お前は未成年だからこれで我慢するよろし」
もし前後の状況を知らない者が、この行為だけを見たら、例えば志村新八なら大いに驚いていただろう。
あの神楽が、自らの食べ物を、それも○まい棒を、人に分け与えている光景に。
浅月は、ぽかんとその菓子を眺めて、
それを差し出す少女の、やけに殊勝になった表情を見て、
「ああ、そうだな」
この『殺し合い』に呼ばれてから、初めて笑うと、
○まい棒を受け取り、包装を破いて、かじった。
- 940 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/11(土) 21:00:21
-
【A−7/森の中/一日目深夜】
【浅月香介@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]ボコられ済み
[装備]なし、メガネにヒビ
[道具]基本支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
[思考]基本・理緒の仇を取りたいが、まずは亮子を守る。
1・ひとまず、菓子を食べながら支給品を確認
2・知り合いとの合流(高町亮子、鳴海歩を優先)
※参戦時期は少なくとも10巻終了後です。
※名簿をまだ見ていません。
【神楽@銀魂】
[状態]健康、寝起き
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、大量のおかし@魔法少女まどか☆マギカ、
不明支給品0〜2(未確認)
[思考]基本・殺し合いには乗らない
1・銀ちゃん、新八と合流
2・銀ちゃんたちが見つかるまではダメガネ2号に付き合ってやってもいい
【大量のお菓子@魔法少女まどか☆マギカ】
佐倉杏子がホテルに溜めこんでいた菓子袋の中の一つ。
○まい棒の他にも、ポッキーやポテトチップスなど色々と入っている。
投下終了です。
実は『妹のいる兄貴』と『兄貴のいる妹』な2人
- 941 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 21:07:37
- 投下します
タイトル:見せしめから参加者へ
登場人物:杉谷守
- 942 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 21:08:14
- 「あれ!?俺はあのとき…」
謎の男が何かを操作した瞬間、全てが闇に閉ざされた…はずが。
気が付いたらここに立っていた。
「訳分かんね、一体何なんだ?まさか幽霊にでもなっちまったのか?」
足元を見るが、普通に足がある。
とりあえず、幽霊なんかじゃないことを確認する。
「いきなり殺されたから鬱憤が溜まってるんだ。殺し合いしてやろうじゃねえか」
いきり立ってデイパックを開ける。
殺し合いをするのに丁度いい銃が入っていた。
「H&K G36か…強そうだな」
試しに構えてみる。
結構重いが、なかなか使いやすそうだ。
「…腹が減ったな。」
冷蔵庫を開ける。
ここに住人がいたのかは分からないが、残り物が沢山入っている。
「おっ、ラッキー。メシもあるし、食事にするか」
【一日目・深夜/F-7:B棟301号室】
【杉谷守@自己満足ロワ2ndリピーター】
[状態]:健康
[装備]:H&K G36(30/30)
[所持品]:デイパック、G36マガジン×2
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る。
1:今はとりあえず食事にしよう
- 943 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/11(土) 21:08:47
- 投下終了です
- 944 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 21:14:19
- アニメロワ第11話:▼神様は ふじのんルートにはいったようだ!
登場:桂木桂馬、浅上藤乃
- 945 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 21:29:22
- 両儀と浅神。二つの名家があった。
両儀の家には、多重人格の優秀な娘が生まれた。
名を、シキといった。
これは、浅神の家に生まれた、一人の外れた少女と 二次元のキャラを攻略し続けた『落とし神』の極限状態における
ひとつの恋慕。
【神のみぞ知るセカイ 浅上藤乃ルート】
◆
凶れ。凶れ。凶れ。
あの廃墟の中で、幾度となく悪漢たちに叫び続けた。
痛覚のない欠陥品の少女(いじょうしゃ)がとった行動は、自分を陵辱した悪漢たちを生まれながらに宿る力で捻り殺すということだった。
手を触れずに物を曲げる能力。
痛覚のあった頃に使えた、異常すぎる力。
周りの人々は気味悪がり、父は抗生物質の投薬を続けていった結果、浅上藤乃という少女は人間が成長するために必要な"痛み"を、幼くして失った。
最初は、*されても何も感じることはなかった。
痛覚がないーーーーー、それは、彼女の人としての感情ーーー羞恥、屈辱、喜び、怒りさえも、全て失うことにつながった。
大方、人を強姦するような連中に快楽を与えるのは、屈辱と苦悶に満ちた表情だ。
それら全てが欠落した藤乃を、男たちは気味悪がった。
- 946 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 21:45:21
- 藤乃にとっては、彼らもまた風景にしか見えていなかったのだ。
が。ある日のことであった。
一人の少年は、表情を変えない藤乃を気味悪がり、バットで背中の骨をへし折った。
それは、浅上藤乃が『人間』になった瞬間であり、同時に悪漢たちの命運が尽きる最後の一瞬でもあった。
捻じ切られた死体。逃げた一人を探すうちに、藤乃は快楽殺人者となった。
そして、数奇にもここで両儀の少女と戦うこととなる。
藤乃の能力を捨て身で防ぎ、最後に無痛症に戻った彼女を、シキは腹の病ーーー虫垂炎ーーーを殺して見逃した。
幾度となく。
自らの起こした惨劇が脳裏にリフレインした。無痛症が消える度に、何度も何度も、嘔吐した。
そして、物語は殺し合いへとシフトする。
■
「わたしが……生きているのはなぜ、なの?」
最初の『見せしめ』ーーーー。
あれに、自分が選ばれていればどれほど楽だっただろうか。
痛覚は戻っている。痛みのない状態でなら、冷酷な殺人機械となれたのかもしれないが、無駄な同情をしてしまうようでは能力を生かしきれない。
ーーーそうだよ、浅上ぃ…
ーーーおまえは…俺たちを、コロシタんじゃねえか…
ーーーいた、かった
- 947 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 21:58:57
- ーーーオマエ、モ
「や、めて」
ーーーお前も、死ね
ーーーお前も、死ね
ーーーお前も、死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
「やめてぇぇえええええっ!!」
それは、極度の恐慌状態における一種の幻覚に過ぎなかったのだが。
藤乃の心を砕くには、あまりに十分すぎた。
「わたしも、死ぬから、もう、やめて」
荒い息づかい。ふるえる手先でデイバックからアーミーナイフを取り出す。
喉元に冷たい刃先が当たる。
かつて両儀式に殺されかけたのとはまた違う恐怖。
失禁しそうになるが、おさえて勢いよく喉に刃先をーーー、
「やめろぉぉおおおおおおっ!!」
■
実に参った。
僕、桂木桂馬はひとまず冷静になろうとしたのだが、一番最初に出会ったのが自殺しようとする一人の少女だったのだから。
リアルに興味はないと言いながらも、思わず駆け出していた。
走りながら、
ーーーああ、僕は案外リアルを大事にしてるのかもな。
なんて考えながら。
少女に半ば飛びかかる形で、ナイフをたたき落とした。
が。不可抗力で、少女を押し倒す形になってしまった。
- 948 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 22:13:07
- ギャルゲーなら、ここはお互いがテンパるシーンだろうが、この展開をゲームで幾度となく見てきた僕は、自分でもびっくりなことを考えていた。
「(………かわいいな、この娘)」
駆け魂退治の際も、粒ぞろいと言っていい面子が揃ったのだが、このおとなしそうな少女には惹かれるものがあった。
僕としたことが、リアルに欲情するとはなーーー
「はな、れて」
しかし。当の少女の反応は、恐怖であった。
男に対するトラウマのような感じではない。このエロティックな構図に対するトラウマがある、そんな印象であった。
僕は、言われるままに、俗に言うラッキースケベ構図を崩した。
■
桂馬は他人であった。あの悪漢たちではない。
なのに、藤乃の中の痛覚が戻ったことによる『陵辱される恐怖』は、圧倒的な拒絶を示してしまった。
「あ、あの。わたし、おとこのひと、に。むり、やり………」
「待て、過呼吸を起こしてる。……ちょっと待ってろ。近くに病院があったから」
半ば強引に、藤乃を背中に背負い、桂馬は走り出す。
「(何してるんだ、僕は。リアルにギャルゲー的なことするなんて)」
二人の物語。
- 949 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/11(土) 22:22:31
- 心にトラウマを抱えた少女と、リアルの藤乃に今まで感じたこともない『恋心』を感じる『落とし神』。
決して交わらないふたつのストーリーが交差して、新たなる物語が紡がれる。
【深夜/f-2】
【浅上藤乃@空の境界】
[状態]過呼吸、恐慌状態
[装備]なし
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:もう誰も殺したくない。
1:………
【桂木桂馬@神のみぞ知るセカイ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明2
[思考・行動]
基本:このゲームを潰す。
1:藤乃を病院に連れていく。
2:エルシィ、かのん、栞を探す。
投下終了
- 950 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/11(土) 22:26:07
- 投下乙です
投下します
学園ロワ7:開幕前日
- 951 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/11(土) 22:26:45
- 第七章 開幕前日(かいまくぜんじつ)
□
恐怖が何であるかはあたしは知らない
◇
私のあらすじ、…というか今の現状。
明日はとうとう殺し合い演習の時がやってくる。
もちろんあたしは緊張する。
明日何をやるのかは不明なのだが、その分、不安もあり、不謹慎だけど、どんなものかという期待もある。
っていうのも悲しきながら事実でもあるんだよね。
だからといってどうというわけでもない。
ただただ緊張して、身体がバクバクいっているだけである。
そりゃ、明日あたしが死ぬってことはないと思うけど、信じたいけど、きっと明日誰かは死ぬだろう。
思いたくもないけど、そう思ってしまう。
嫌な現実だけど、現実逃避をしたくはない。
さて、今あたしは、マツドシ、いわいる自室で、ゆったりしている。
既に今日はお風呂も済ませ(ちなみに、ここは自室の風呂と、露天風呂で温泉があって今日は温泉に行った)、
自慢の寝巻に着替えて、ベッドの上でごろごろしている。
あたしのルームメイトである、碧南優香ちゃんはというと……。
淡い青色の髪にそこまで似合わないグレーのスウェットに、大学ノート(いつも思うが何故大学ノートなのだろう)を広げて、ベットにうつ伏せに寝転がる。
その巨大な胸は低反発ベッドにより押しつぶされ、はみ出していた。――――えぇそうよ、羨ましいわよ!!それでいて「邪魔」なんて言い出すんだから……。
話が逸れたね。
さてさて、そんなところからあたしの物語は語られる――――はず。
そして今の話題はというと―――――
「何で優香ちゃんは前日にそんな事言ってられるのよ……」
「いやいや、あの子ムチャクチャカッコよかったんだよ。春日正樹くん」
「いや、誰よ……」
あれ?
今日は、というか明日はもうあれだよね?月末の殺し合い演習。
あたしが間違ってたかな?不安になってくんですけど。
何で優香ちゃんはこんな冷静なのかしら。
あたしが合ってるはずよね。合ってなきゃおかしいんだけど。
- 952 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/11(土) 22:27:53
- うん、やっぱあたしが合ってるわ。――――何で自分の事でこんな疑心暗鬼にならなきゃいけないのかな?
「――――何で優香ちゃんはそんな溌剌としてんのよ…。あたしは明日の事気になり過ぎて仕方ないんだけど」
「別に―。私はそんなことで緊張なんてする性質じゃねぇし、第一明日は悩んでてもやってくんだぜ。楽しまねぇと損だぜ」
「いやまぁね。そうなんだけどね」
まさかここでいいセリフが返ってくるなんて思ってもみなかったわ。
けど、確かにそうなのかな?
悩んでいても仕方ないのかしら。
――――確かにその通りなのかもね。
「だから私は春日くんをものにするためにこんなに一生懸命計画をたててるんだからさ」
どうしよう。前言撤回したくなってきなぁ。
何で?
せっかくのいいセリフを何で潰したの?
今のセリフがなければ、中々いい感じだったのに。
っていうか春日君ってマジで誰なのよ。凄く気になってきたんだけど。
「いやいや、そんな目で見ないでよ。春日君は入学してまだ
2週間近くなのにファンクラブができるほどの逸材なのよ。ハーレムの一員になってもらわないでどうするのよ!!」
「――――いや、そんなに威張られても……。というかどっちかっていうと優香ちゃんが混ぜてもらう方じゃないの?」
ファンクラブって……。漫画か。
なんて突っ込んでもしかたないんだけどね。
……けど何か面白そうね。こんなにも一人の男に固執する優香ちゃんも珍しいし。
いい人なのかしら……。会ってみるのもまた一興かもね。
「おやおや、舞ちゃんどうなさいましたか?まーさか、春日くんに気があるなんて少女漫画みたいな事言わないよな」
「い、言いません」
びっくりしたぁ。
微妙にイントネーション違ったけど、何か言い当てられたわ。
すごっ!
「まぁ、別に気があってもいいんだけどな、そしたら舞ちゃんが私のハーレムの一員になるんだから」
「何か言ったかしら」
「いや何も」
毎回思うんだけどなんでこんなにもハーレムに拘るのかしら。
聞いたところで話逸らされていつの間にか、優香ちゃんペースに乗っ取られるし。
――――まぁ、話したくないんだったら無理に言わせる必要もないんだけど。
さて、今はもう0時を回っている。
この寮には消灯時間というものは決まって無い。
だから無理して早寝する必要もないし、遅寝する必要もない。
しかし、さすがに眠たい。
「もう寝たいんだけど優香ちゃん」
「いや、まだ春日君の話は終わってないよ。せっかく舞ちゃんという高価なおまけがついてきそうなんだからさ」
「聞きたくなくなったわ」
本人の前で言わないでほしいんだけど。
どう考えてもあたしに言う話じゃないし。
「待ってくれよ、舞ちゃん。この子は私のハーレムに必要不可欠なんだって!」
「知りません」
まだ見ぬ春日くん、ご愁傷様です。としか言えない……。
ていうか本当に眠たいんだけど。
もういいや、寝よう。
「お休みなさい、優香ちゃん」
「へ?あぁ寝るの?んにゃおやすみ」
あたしは、ここですぐに意識を閉じた。
- 953 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/11(土) 22:28:25
-
◇
あたしは夢を見た。
とても怖い夢だった。
血。
肉。
眼。
尿。
涙。
声。
叫。
腐。
疲。
死。
もみくちゃに。
ぐちゃぐちゃに。
くちゃくちゃに。
だらだらと。
きりきりと。
ふらふらと。
しみじみと。
ふかぶかと。
わくわくと。
くるくると。
ざくざくと。
ばんばんと。
だんだんと。
さくさくと。
するすると。
もりもりと。
ばきばきと。
ぼきぼきと。
めきめきと。
どんな擬音で表そうが、表しつくせない、
壮大に、醜悪で、壮絶に、終焉だった。
そこであたしは理解する。
あぁ、明日の惨劇をみているんだなぁ。と。
正夢にならないことを祈ってみる……けどどうせ無駄なんだろうなとも思う。
あたしが夢を見るときは大概正夢になる。――――なんていうどうでもいい性質なんかじゃなく、
殺し合いが、始まるのは、変わりないからだ。
さて、ここで一つあたしの物語を語ろうと思う。
そもそもあたしがこの学園にやってきたのは、とある先輩の影響である。
名前は神楽坂 神菜 (かぐらざか かな)先輩の影響であった。
- 954 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/11(土) 22:29:20
- 彼女は、いい人だった。
だった、ってことは今は――――違う。
彼女はこの異常なる学園の中変わってしまった。洗脳された、とでも言える。
あたしは2年ぶりの再会を楽しみにしていたっけ。けど、期待した再開なんて程遠いものだった。
詳しい描写はしない。
したくないな。
ただ一つ言えることは、ここで常識を保てない人間だって、数多くいること。
常識が異識になり、最悪が、最善となっちゃう。
逃げの一手が逃げにならない。
攻めの一手が攻めにならない。
この学園においては。
だからあたしは混乱する、困惑する、混沌する、困却する。
そんなあたしだから、あの優香ちゃんの性格に甘えているんだろう。
あの包容力のある性格に。―――もちろんハーレムの一員になるわけもないけど。
そのあたしは明日、何かをやる。何かを。
しかし、あたしは挫けない。
何があってもだ。
深淵の中。
あたしはそういう夢をみたらしい。
そして、演習当日を迎える。
それはとても晴れた日であった。
【第七章 終了】
- 955 : ◆xzYb/YHTdI:2011/06/11(土) 22:30:08
- 投下終了
- 956 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/13(月) 22:31:27
- アニメロワ第12話:路地裏と舞台の反逆同盟
登場:浜面仕上、中川かのん
- 957 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/13(月) 22:45:17
- 『落とし神』ーーーーー桂木桂馬。
本人はリアルに興味はなく、ギャルゲーに生きていると自負しているが、いざ攻略となればリアルでも次から次へとフラグを立てていく人物だ。
日本中で大人気のアイドル、中川かのんもまた、桂馬に攻略されたひとりであった。
記憶こそ残っていないが、彼に攻略されなければかのんはゲームに乗っていたろう。
かのんに確かな変化をもたらした人物の名にぼんやりとした突っかかりを覚えながらも、かのんはc-5に居た。
殺し合いには乗らずに、ひとりでも多く穏便に生還させるために。
武器はスミスアンドウエスン。
護身用としては十二分だろう、と安堵して、かのんは時計を見た。
ーーーもう、一時間弱経過していた。
【深夜/c-5】
【中川かのん@神のみぞ知るセカイ】
[状態]健康
[装備]スミスアンドウエスン
[所持品]不明1
[思考・行動]
基本:殺し合いから一人でも多く生還させる。
※桂馬に攻略された後からの参加です
※透明化能力は失われています
◆
「………畜生。無能力者(おれたち)をどれだけナメるつもりだ」
浜面仕上は、憎々しげに吐き捨てる。
彼は武装集団『スキルアウト』の実質的リーダー。
- 958 : ◆9QScXZTVAc:2011/06/13(月) 22:52:52
- 能力者に対する劣等感は人一倍抱いていた。
だからこそ、能力者共に反逆して痛い目に遭ってもらった。
ありとあらゆるルールに反逆してきた彼が、生け簀かない魔術師に従わないことはすぐに予想できた。
しかし、浜面が呼ばれた時間軸は、幻想殺しの少年に倒される前の時間軸であった。
【浜面仕上@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:主催の野郎をぶっ殺す。
1:ゲームに乗る者、役にたたない者は殺す。
2:自分と徒党を組むことを断った場合敵と見なして殺す。
※上条当麻に倒される前からの参加です
投下完了
- 959 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/14(火) 20:52:07
- 雑多ロワ22話、続き投下します
【H−7/森の中/一日目黎明】
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]吸血鬼化(従者)、上弦の『支配』の影響下
[装備]陵桜高校制服
[道具]基本支給品一式×2、不明支給品1〜3、つかさの支給品1〜3
[思考]基本・『支配』の命令に従い、参加者を減らしつつ魔法の使い手を探す。(本人の意思と無関係に発動)
1・???
2・上弦への恐怖と強い憎しみ。
3・誰かに殺して欲しい。
+ + +
息をとめろ。
落ちつけ。
落ちつけ。
落ちつけ。
よし、アイツはいなくなった。
息を吐け。
高町亮子は、息を吐く。
笑っていた。
「狂ってる……」
あいつは、妹を殺して、笑っていた。
あのツインテールの少女の演技は、完璧だった。
最初は、感動的な再会の場面だと思った。
ラザフォードや浅月ほどではないにせよ、多くの荒事を経験した亮子の眼から見ても、あの泣き笑いに嘘はないように見えた。
仲の良い姉妹が、過酷な環境の中で再会を果たして、心から喜びあっていたようにしか、見えなかった。
妹の方は、完全に姉を信頼しているように見えた。
だからこそ亮子は、その再会に水を差したくなくて、声をかけられなかったのだ。
なのに、あの姉は、いともたやすく妹の首をもぎ取った。
「殺人のスイッチが入ったブレード・チルドレン?
いや、それなら双子の妹の方もブレチルのはずだし、ブレチル同士なら殺人衝動は働かない。
だいいち、素手で人間の首を捻じり切るなんて、カノンにだって不可能な芸当だ」
- 960 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/14(火) 20:53:03
- ブレード・チルドレンの遺伝子は、旧人類(つまりブレチル以外の全人類)に対して作用する。
主義思想から対立するブレード・チルドレンはいても、己の命惜しさで仲の良い妹を惨殺するブレチルなど見たことがない。
亮子にも、数か月早く生まれた『兄』がいる。
単なる戸籍上の繋がりではなく、物心ついた時からいつも一緒の、兄妹同然に育った兄だ。
例えばその兄が、ようやくの再会を果たした亮子を殺すなど、想像するだにおぞましい。
逆の場合もまたしかり。
そんなことを平然と行い、狂ったように笑えるなど、“呪われた子”の亮子から見ても、完全な『化け物』だ。
「お兄ちゃん……」
何かと無茶をしがちな兄貴、兼幼なじみのことが、急に心配になっていく。
彼は確かに、亮子よりも多くの修羅場をくぐり抜けている。
頭の回転が鈍いところもあるものの、いざという時の判断力も優れている。
何より、死んだら許さないと釘もさしている。
だからこそ、亮子も亮子のやりたいこと優先で動こうとしていたが、
あんな規格外の化け物がうろうろしているとなれば、そうも言っていられない。
こうなっては合流優先だ。
ひとまずエリアの端を確認しようと東に向かっていたけれど、その作業は後回し。
逆方向へ、人の集まりそうな市街地へと引き返そう。
あの『化け物』の危険性を多くの参加者に伝え、犠牲者を減らすために。
しかしその前に、
亮子は、ディパックから大きなシャベルを取りだした。
まず、せめて彼女の亡きがらを埋葬しなければならない。
【H−7/森の中/一日目深夜】
【高町亮子@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]健康
[装備]シャベル@現実
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]基本・殺し合いには乗らない。
1・少女を埋葬する
2・ツインテールの少女の危険性を、他の参加者に伝える。
3・鳴海歩、ブレードチルドレン、結崎ひよのらと合流(浅月香介を最優先)
4・なんで沢村たちが……?
5・余裕があれば、会場の端がどうなっているのか調べたい。
投下終了です。
言いわけはしない。
(忍法帳がないって素晴らしいね!)
- 961 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 21:46:23
- 投下します
タイトル:どうしてこうなった…?
登場人物:神谷茜、◆VxAX.uhVsM、滝沢佑馬
- 962 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 21:46:55
- 「ちょっと休んで行こうか…」
「…うん」
ホームセンターの前に座り込み、休憩を取る。
自分はこの程度ではあまり疲れはしない。
だがこの子は違う。まだ幼い。
この異常な状況で感じているストレスも、計り知れない。
「…ホームセンターか…何かあるかもな…」
武器になりそうな工具があるかもしれない。
バールとか、パイプとか。
お互い、碌な武器も無い状態ではあまりにも危険だ。
「よし、ホームセンターの中を見てみよう。歩ける?」
「…はい」
(ついでに、飲み物か何かあるといいな…口の中までかさかさだ)
◇
- 963 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 21:47:28
- 「こんなもんか…」
武器になりそうな工具をデイパックに入れる。
バール、釘、そして小型釘打ち機。
「こんな感じで十分かな…飲み物はどこだろう」
「あ、あっちにジュースがありますよ…」
カップ麺や缶詰がたくさん置いてある。
その傍には、ペットボトルに入ったジュースやお茶が。
「1、2本持って行こうかな…」
ペットボトルに近づこうとした時。
棚のボトルが弾ける。
「うわあっ!!」
「俺の名前は堀川祥太。お前等を殺しに来た」
肩にライフルを抱え、ニヤニヤ笑いながらこちらを見つめてくる。
咄嗟に釘打ち機を相手に向けるが、とても敵いそうにない。
一方、相手は悠々とリロードしている。
「は、早く逃げて!」
「無駄さ、第一子供にも当たってるっつーの」
茜の方を見る。
…腹から出血している。流れ弾が被弾したのか…?
「…くそっ、いいところで故障か!?」
祥大が銃を抱え怒号を発している。
どうやら、動作不良のようだった。
「…そっちがやる気ならこっちだって!!」
「てめぇ!!ざけんなコラ!」
「先に仕掛けたのはそっちだろうがー!!」
頭に釘打ち機を押し当て、そのまま引き金を引く。
作動音が、そして肉を釘が抉る音が響く。
「あうぇあdyhgtじゅcvhk!!」
声かどうかも分からない悲鳴を上げ、祥太は息絶えた。
- 964 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 21:48:00
- ◇
「はぁ…はぁ…」
肉の破片や脳漿のこびり付いた釘打ち機を握ったままその場に立ち尽くす。
急に、茜の事を思い出す。
「…大丈夫か!?」
出血が激しい。
この体の大きさで、これほど出血しては、もう…。
「私、もう…死んじゃうの?」
「そう…かもしれない…」
「…ここで最初に会ったのが…お兄さんで…よかった…」
最期の言葉を振り絞り、神谷茜は幼い命を散らした。
「…そんな…」
何も出来なかった自分が憎い。
守れなかった自分が憎い。
「何で…こんなことになってしまったんだ…」
【一日目・深夜/D-2】
【◆VxAX.uhVsM@非リレー書き手】
[状態]:健康、血塗れ
[装備]:釘打ち機(バッテリー残り98%)
[所持品]:支給品一式、バール、釘箱×3
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:…。
※ホームセンター店内にL85A2と神谷茜、堀川祥太の遺体が置いてあります
【神谷茜@オリジナル 死亡】
死因:失血死
【堀川翔太@オリジナル 死亡】
死因:頭部破損
- 965 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 21:48:31
- 投下終了です
- 966 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 23:26:03
- 投下します
タイトル:ダイナミック入店
登場人物:アンドレー・アヴェルチェフ、川内一輝、夜釣りの人
- 967 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 23:26:42
- 「9人も殺されたのか…」
店内をフラフラしながら放送の内容を記憶する。
「流石に…めんどいなんて言ってる場合じゃねえか…」
急に腹が鳴る。
寝ていても腹は減る物だ。
ここはスーパー、食う物には困らない。
「…コロッケか、旨そうだな」
とりあえず、目に付いたコロッケを貪る。
ジャガイモと肉のスタンダードなコロッケだ。
ご飯が欲しくなる味だ。
「メシはないのか…ああ、あったあった」
惣菜コーナーにある白飯を取り、コロッケと共に食べる。
やっぱり、コロッケと白飯は合う…。
「動くな」
「…!」
急に頭に銃を突き付けられる。
「床に伏せろ」
「…分かったよ、そう急かすな」
下手に反抗しても、殺されるだけ。
そう感じた一輝は、素直に伏せた。
「質問に答えてもらおうか」
「何だ…」
「…お前は、殺し合いをする気があるか?」
- 968 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 23:27:12
- その質問をするなら、なんで床に伏せさせるんだよ…と思ったが、口には出さなかった。
「…する訳ないだろ。第一、する気があるならこんな所でメシなんか食ってねーだろ」
「まあ、確かにそうだが。万が一を考えてだな…」
「まあ何でもいいけど、もう起きていいか?」
「あ、ああ…すまなかった。」
床に置いたミニミを拾い上げ、服の埃をはらう。
…食べかけのコロッケが、床に落ちている。
「ああ、もったいねえ…ん、アンタ、ロシアの人か?」
「いかにも。俺はアンドレー・アヴェルチェフ。アンドレーでいい」
「よろしく。妙に銃を使い慣れてるっぽいが、軍人か何かか?」
「ああ。昔、特殊部隊にちょっと、な。銃のことはそれなりに分かる」
そう言って、持っている銃を見せてくる。
自分の持っている銃よりかなり小さい。
名前はH&K MP7とか言うらしい。
「装弾数は40。使用弾丸は4.6mm×30。かなり使える」
「そうなのか、俺は一般人だしな。銃は良く分からん。俺のはどんな感じなんだ」
「お前の銃か、名前はFN ミニミ。装弾数は…200発のようだ。弾は7.62mm×51だ。」
聞いてはみたものの…さっぱりわからない。
「とりあえず…この重いのはお前が使った方がいいんじゃねえか?」
「そうか。じゃあ俺のと交換だ」
◇
「…これからどうする?今は…4時7分か。出歩くにはまだ暗い…」
「なら、もうすこし明るくなるまで待つか?」
その時。
豪快な音を立てて、入り口がブッ壊れた。
丁度2人がいる所からは良く見えないが、ただ事では無いのは分かる。
- 969 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 23:27:43
- 「何だ何だ!?えらくダイナミックな入店方法だな、おい」
「とにかく行ってみるぞ」
「…おいおいおい…何だこりゃ?トラックが突っ込んでるぞ」
「中に誰かいるぞ、注意しろ」
その「誰か」が、トラックから降りてくる。
アンドレーが素早くそいつに銃を向ける。
「うわあああっ、銃なんて下ろしてください!」
「…お前、何でこんなことをしたんだよ…」
「じ、実は操縦ミスで入り口につっこんじゃって…」
嘘を付いているようには見えない。
「お前、名前は?」
「夜釣りの人だ」
◇
「面倒だから夜釣りでいいか?」
「いいですよ」
突っ込んだトラックを何とか駐車場の方に送る。
フロントガラスやライト等はボロボロだが、まだ走れるようだ。
「とりあえず、この車があれば移動に便利だろう。」
「でも、ライトが壊れたからな。暗い中での走行は無理だ」
「仕方無い。とりあえず、キーを抜いてスーパー内に戻ろう」
【一日目・深夜/A-3:スーパー駐車場】
【川内一輝@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:H&K MP7(40/40)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ちょっとダルいが、ゲーム脱出の為に動く。
1:とりあえず、明るくなるまで待つか
【アンドレー・アヴェルチェフ@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:FN ミニミ(200/200)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲーム脱出の為に動く。
1:明るくなるまで待つ。
【夜釣りの人@Tさんシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、トラックのキー
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。
1:明るくなるまで待つ。
※駐車場にボロボロのトラックが停めてあります。
≪キャラ紹介≫
【アンドレー・アヴェルチェフ】 35歳/男/元・特殊部隊隊員
ロシア系の男。
細かな説明は本文中にあるので割愛
- 970 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/14(火) 23:28:15
- 投下終了です
- 971 : ◆ymCx/I3enU:2011/06/16(木) 18:12:03
- 容量近いのでPart2立てました
- 972 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 22:56:49
- 投下します
タイトル:惨状
登場人物:藤波栄太郎、五十嵐弘、五十嵐健児
- 973 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 22:57:22
- 「アンタ名前は何て言うんだ?」
「藤波栄太郎じゃ。お主らは?」
「俺は五十嵐健児。こいつが俺の弟で弘だ」
「そうか、よろしくの。」
病院の前で鉢合わせた老人と一緒に行動することにした兄弟2人。
院内に入った途端、異臭が鼻をつく。
…どこからか漂ってくる、血の臭い。
「どこからだ…?」
「…多分、向こうじゃろう…」
栄太郎が指差す先には…血の付着した手すりが。
誰かが怪我をして、血の付いた手で手すりに触ったのだろう。
「血の跡が付いておる…。あの部屋に入っていったようじゃな」
第一診療室、と書かれた扉に付着している血。
さっきの手すりの人物と同じだろうか?
「…入ってみるか?」
「中に怪我人がいたら大変じゃ…じゃが十分注意して入るんじゃぞ」
栄太郎が刀を抜く。
それに合わせて、健児も木刀を構える。
ついでに健児も戦闘体勢を取る。
「…入るぞ!」
ドアを思いきり開け、一気に部屋の中へ入る。
中は照明が付いておらず、真っ暗で良く分からない。
濃厚な血の臭いが部屋に充満している。
「弘…電気を点けてくれ」
「分かった…」
- 974 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 22:57:56
- 照明のスイッチをオンにする。
一気に部屋の中が明るくなる。
「…やっぱり…」
予想通りの光景が広がっていた。
2人の男が、折り重なるようにして倒れている。
両方ともピクリともしない。
生存は絶望的だろう。
「…ここで、何があったんだ…」
一歩後ずさりした弘の足に何かが当たる。
…血の付いたビデオカメラだ。
「…これ、落ちてたぞ…」
「ビデオカメラ…犯人が、映ってるかもしれぬが…」
「あんま、見たくねえな…だが、この2人を殺した奴を特定するためにも…」
「…中身を、確認せねばなるまい」
一旦診察室を出てロビーへ戻る。
血の付いたビデオカメラを机に置く。
「…再生するぞ」
- 975 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 22:58:27
- ◇
『支給された物がビデオカメラなんて…』
『役に立つ物なだけまだいいじゃないか。俺なんかティッシュ一箱だぜ』
男の顔が撮影されている。
『雄二に会えてよかったよ。中学生以来か?』
『ああ。俺も純一に会えて良かったよ』
2人は幼馴染だったのだろう。
談笑している場面が映っている。
『俺、死にたくないよ…。せっかくお前に会えたのに』
『死にたくないのは俺も同じだ…。』
『どこかの部屋に閉じこもろう。そうすれば安全だ』
暫く移動するシーンが続く。
そして、さっきの診察室が映る。
『第一診察室…ここがいい。鍵もかけられるし、道具もたくさんある』
『早速入ろう』
ここで少し映像が途切れる。
ちょっとの間があった後、映像が再開する。
- 976 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 22:58:59
- 『今、何時だ?』
『…3時59分だ』
『もうそんなに経つのか…。どれだけの人が殺されたんだろう』
丁度4時になり、放送が流れる。
『…9人も殺されたのか…!』
『やっぱり、殺し合いをする気がある人がいるんだ…』
『なおさら、ここから出られないよ…』
その時、雄二と呼ばれていた男が立ち上がる。
『トイレに行ってくる…。』
『1人じゃ危ないぞ!武器も無いのに』
『トイレに行くぐらい大丈夫さ』
そう言って鍵を開けて出て行く。
『無事に帰って来てくれよ』
その時、銃声が響いた。
連射音だ。
『!?』
誰かの走ってくる音が聞こえる。
扉を乱暴に開き、転がるように室内に入る。
血だらけだ。
『ゆ、雄二っ!!何があったんだ!!』
『…襲われたんだ…銃を撃ってきた…体中を撃たれて…何とか逃げてきた』
『そんな…』
『俺、もうダメだ。お前だけでも生きて…』
手がだらりと伸びる。
『そんな…。何でだよ…雄二……お前…』
誰かが部屋に入ってくる。
顔は良く分からない。
『教えてくれよ…なんで、雄二を殺したんだよ…』
『…許してくれ。妹が人質に取られてるんだ…』
『お前の名前…最期に教えてくれよ…』
問いに答えることなく、ダダダダッ、と連射音が響いた。
『矢部…翼だ。許してくれ』
その後は、2人の遺体が淡々と映っていた。
わざわざ遺体を見るのもアレなので、そこで映像を止めた。
- 977 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 22:59:30
- ◇
「酷いな…。」
「これほどの者がおるとは…」
「矢部翼」と名乗った男。
こいつは間違いなくゲームに乗っている。
(もしも遭遇したら、何の罪もない者たちのためにも、斬らねばならんな)
【一日目・深夜/C-4】
【藤波栄太郎@オリジナル】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:日本刀
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いなぞやるつもりは無いが、襲って来るものは斬る。
1:「矢部翼」に注意。
2:治療器具を探す。
【五十嵐弘@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、PSP+R-TYPE TACTICSⅡ
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくねぇ
1:…。
【五十嵐健児@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:神樹の木刀@龍が如く2
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくねーな。
1:「矢部翼」とか言う奴…危険だな
※弘を除く2人が矢部翼の姿を確認しました。
【小原雄二@オリジナル 死亡】
【尾上純一@オリジナル 死亡】
死因:射殺
- 978 : ◆6LQfwU/9.M:2011/06/17(金) 23:00:01
- 投下終了です
- 979 : ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:16:30
- 容量オーバーのためこちらに続き投下します。
- 980 :混乱の予兆 ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:17:26
-
「あ、のび太さんちょっと待って下さい。」
「どうしたんですかみゆきさん?」
「二つあった光点のうち、一つがこっちに近づいています。」
見ると、確かにこちらに何ものかが近付いている事が分かる。
のび太はそっと持っている銃のグリップを握りなおしていた。
「…一応、話せるようなら話してみますか。」
「そう、ですね……」
志村新八、高良みゆき、野比のび太、ライゲン・ボルティアーノ、赤坂早紀、相馬光子。
この六人が接触する事によって何が生まれるのか。
それは、誰にも分からない。
- 981 :混乱の予兆 ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:18:18
-
【E−2住宅街/1日目朝】
【志村新八@銀魂】
[状態]:全身あちこちに打撲傷と擦過傷(命に別条はない)、気絶、声枯れ気味、精神の動揺(中)、肉体疲労(大)
[装備]:高性能拡声器@現実(電源オフ)
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:気絶中
2:銀時、神楽、長谷川と合流したい。
3:…逃げなきゃ。
【ライゲン・ボルティアーノ@カオスウォーズ】
[状態]:健康、ちょっと耳が痛い
[装備]:小太刀@ブシドーブレード弐
[道具]:基本支給品一式、にんたまの友@忍たま乱太郎
[思考]1:シェリーを守る
2:なんなんだこいつは?
3:もし兵真と会ったら…?
4:殺し合いから脱出したい、最悪手段は問わない。
- 982 :混乱の予兆 ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:18:57
-
【D−2住宅街/1日目朝】
【高良みゆき@らき☆すた】
[状態]:健康、若干耳が痛い
[装備]:首輪探知機@BATTLE ROYALE
[道具]:基本支給品一式、モデルガン@クロックタワーゴーストヘッド
[思考]1:近づいてくる者への警戒
2:声の主のところに行く…?
3:こなたと早く合流したい。
【野比のび太@のび太のBIOHAZARD】
[状態]:健康、若干耳が痛い
[装備]:旧型ガスガン@カオスウォーズ
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:近づいて来る者への警戒
2:みゆきと共に行動する。
【相馬光子@BATTLE ROYALE】
[状態]:健康
[装備]:手甲鉤@忍たま乱太郎
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:『奪う側』にまわり、全員を殺す
2:徒党を組んで行動しているグループがあったらそこに取り入る。
- 983 :混乱の予兆 ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:19:42
-
【C−1港/1日目朝】
【蒼葉梢@まほらば】
[状態]:健康、『赤坂早紀』の精神、激しい怒り
[装備]:不明(何か武器になるものであった事以外は不明です)
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:メガネの男(日野)は絶対に許さない。
2:鳴滝荘の住人は保護。白鳥最優先。
3:殺し合いに乗った相手は誰であろうと容赦しない。
4:殺し合いに乗っていない相手なら保護する。
[備考]:『蒼葉梢』の人格は眠っています。
参戦時期は原作8巻39話、白鳥に告白された後からの参戦。
- 984 :混乱の予兆 ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:20:18
-
【支給品情報】
【小太刀@ブシドーブレード弐】
ライゲン・ボルティアーノに支給。
元々は辰美のサブウェポンで、古武士が馬に乗るとき、太刀と一緒に携帯していた小型の太刀。
歴史的には脇差しの原型となった刀である。
【にんたまの友@忍たま乱太郎】
ライゲン・ボルティアーノに支給。
忍術学園にて使用されている教科書で、中には忍者としての知識や情報が細かく書かれている。
- 985 : ◆YR7i2glCpA:2011/06/18(土) 19:20:54
- 投下終了です。
- 986 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:24:14
- 新スレ立つ気配がないのでこちらに投下します
雑多ロワ23話:偶然の一致
登場キャラ:小早川ゆたか、手塚国光、夜神月、関口伊万里
- 987 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:25:07
- 深夜の公園の街灯の下で、二人の学生が支給品の確認をしていた。
一人は、教師だと言われても全く違和感のない、『威風堂々』という四字熟語の似合う男子中学生。
一人は、小学生だと言われても全く違和感のない、『ちんまり』という擬音の似合う女子高生。
男子中学生の名は手塚国光。
女子高生の名は小早川ゆたか。
手塚は少女の怯えた様子と純粋さを見て、また、ゆたかは少年――正直彼を『少年』と表記するのは違和感がゲフンゲフン――の実直さを見て、『殺し合い』に乗っていないことをすぐに理解する。
ならば共に行動しない理由はないと、二人はベンチの上で支給品を広げていた。
そして、ゆたかはここで初めて己の支給品を目にする。
それは、意外な、しかし、あまりにもなじみ深いものだった。
「こなたお姉ちゃんの携帯電話だ……」
黒いカラーリングに、四角いフォルム。
そしてアニメヒロインの待ち受け画像は、まぎれもなく従姉こなたの愛用携帯電話。
「これで外と連絡できたりは……しないよね」
「それができたら『殺し合い』として成り立ちません」
手塚はにこりともせず、眉間にしわを入れて答えた。
「……そ、そうだよね」
ちなみに、その表情は手塚の地顔であり、ゆたかに苛立ったわけでは決してない。
しかし、しょぼんと沈んだゆたかを見て、流石の彼も誤解を招いたと気づく。
「しかし、電話を支給したからには、どこかにかけられる仕様かもしれません」
とフォローを入れた。
ちょうどそのタイミングだった。
ぶるる、という震動がゆたかの手をはしった。
「きゃうっ……!」
場違いに、女の子の高い歌声が響く。
――みっ、みっ、ミラクル、みっくるんるん
アニメ声の着メロが鳴り響き、手の中で携帯が震える。
ゆたかの心臓が、ばくんばくんと限界量まで大きく鳴った。
手塚も、表情こそ変わらないが動揺しているようだった。
着信には『携帯電話A』としか書かれていない。
この着信の電波の先には、誰がいるんだろう。
行方不明のこなたを心配したそうじろうがかけているとは思えない。
電話の主は、他の参加者か、……もしかして、もしかすると主催者か。
手塚のように友好的な人か、もしかすると危ない人かもしれない。
危ない人だったらどうしよう……。
- 988 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:25:42
- 「俺が代りに出ましょうか」
手塚の声で、ゆたかは我に返った。
そうだ、危ない電話かもしれないけど、ここは電話を取らないといけないところだ。
情報を手に入れることは、こなたやみなみたちを探すために必要なのだから。
「ううん。わたしが出る! それぐらいしたいからっ。
お姉ちゃんにちゃんと電話を渡せるように、ちゃんと管理したいから」
あの暗闇の中で、手塚が声をかけてくれなかったら、
ゆたかはずっと座り込んで怯えていたままだったと思う。
だから、ゆたかも動けるように、誰かの役に立つようになりたい。
せめてできることから、少しずつ成し遂げていきたい。
……とはいえ、もし危険人物だったらどう話したらいいんだろう。
いや、そもそもゆたかには、危険人物と安全な人の見分け方も分からないのだけど。
「偽名を使えばいいのではないでしょうか?」
もう一人の『彼』が、そう助言してくれた。
「そんなことをして、先方の信頼を損ねるんじゃないか?」
手塚が生真面目な顔で反論する。
「信頼できそうな相手だったら、改めて名乗り直せばいいんです。
関係を切る時に偽名だと言っておけば、借りた名前の人にも迷惑をかけません。
私の主も、少々胡散臭い仕事を引き受ける時など、たまにそうしています」
その重く低い声は、こういう場数を踏むことに慣れている感じがした。
だからゆたかは、『彼』の言うことを信用しようと思った。
嘘をつくことには心が痛んだけれど。
勇気を出して、『通話』ボタンを押す。
「はい、もしもし……」
『もしもし。良かった、繋がった。
どうか落ちついて、警戒しないで聞いてください。
僕は殺し合いなどするつもりはありません』
穏やかな口調の、男の人の声だった。
その誠実そうな声に、少しだけゆたかの緊張がゆるむ。
『僕は夜神月といいます。東応大学の法学部一回生です。
父が警察庁の刑事局に勤務していて、僕自身も警察官を志望しているので、
多少は非常時の心得があります。
とは言っても、この状況では身分を証明するものなどありませんが』
- 989 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:26:22
- 警察官志望。
だからこんな状況でも冷静なのだろうか。
名乗ってくれたのだから、ここはゆたかも名乗るところだ。
参加者名簿の中から、とっさに使う名前を探す。
これにしよう、と思った。
ぱっと見で『その名前』を選んだのは、名字に親近感を覚えたからだった。
昨年新婚したばかりの、大好きな姉の新しい名字と同じ読み方。
「私は、鳴海歩(あゆみ)です。高校生です。
……でも、夜神さんは、どうしてわたしに支給された電話にかけられたんですか?」
ゆたかの問いかけを聞いて、夜神青年は少しだけ黙った。
言うことをまとめているような、間。
『実は僕の支給品も鳴海さんと同じ携帯電話だったんです。
電話帳を見た限り、一件だけ電話番号が登録されていまして。
もしや、他の参加者にも携帯電話が支給されているのではないかと思って、こうして電話したんです』
「そうだったんですか。……えっと、乗ってないってことは、夜神さんは、知り合いを探すために、電話をかけたんですか?」
『それもあります。僕の友人も一人、この実験に参加していますから。
しかし、一番の目的は、仲間を集めることです。
この実験を止め、主催者を逮捕する為の仲間を集めたい。
警察官を目指す者として、いや人として、こんな人の命を何とも思わない所業を許せない。』
青年の声には、真摯な決意がこもっていた。
その言葉に、ゆたかは胸を打たれる。
ゆたかは、『生き残れるのは一人だけ』と聞いただけで怖くなって、座り込んでしまった。
でもこの人は、全然希望を捨てていない。
夜神さんは、“呪い”なんて恐ろしいものを見た直後に、あの主催者を倒そうと考えたのだ。
そして即座に仲間集めを考え、こうして携帯でゆたかに呼びかけてくれたのだ。
ひょっとしたら、殺し合いにのっている人にかかるかもしれないのに、
仲間を集める為に、勇気を出して電話したのだ。
その行動力を、ゆたかはすごいと思う。
この人は、すごい人だ。
ゆたかは、青年に対する尊敬の目盛をぐっと上げる。
『どうか僕に協力してもらえないでしょうか』
誠実そうな声だ。
ゆたかは、この夜神という人に協力したいと決める。
でも、ここにはゆたかの他に手塚と、それと『もう一人』いる。
決めるにしても、まずは彼らと相談したい。
ただ、それでもゆたかのスタンスを表明しておくぐらいはしたい。
交渉や約束事なんてゆたかにはさっぱりだけれど、この場でそれぐらいは言ってもいいんじゃないか。
- 990 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:26:53
-
「私も、殺し合いなんてするつもりはありません」
だからゆたかは、そう言った。
『ありがとう。そういう勇気ある人がいることを、心強く思います。
そこで、鳴海さんが信用のおける人だと分かったところで、ひとつお尋ねしたいことがあるのですが……』
彼から心強いと思われるほどのものをゆたかが持っているとは思えないけれど、答えられることがあるならとても嬉しい。
何を聞かれるんだろうと、緊張だけでなく期待で胸をどきどきさせ、
『貴女は、ナルミキヨタカ氏の御親族の方でしょうか……?』
ひゅっと、息を呑んだ。
どうして、その名前がここで出てくるのだろう。
ナルミキヨタカ。
それは、あまりにも唐突な、しかし、耳慣れた名前だった。
その名前の人はゆたかにとっても、『家族』といっていい間柄なのだから。
その上、この殺し合いの場にはいない、全く無関係そうな人なのだから。
成実きよたか。
ゆたかの姉、成実ゆいこと旧姓小早川ゆいと、中学生の時から付き合っていて、
昨年めでたく結ばれた、ゆたかの義理の兄。
どうしてこの人は、これだけの会話で、このタイミングで、お義兄さんの名前が分かったの?
疑問がゆたかの頭を埋める。
ゆたかが『ナルミ』と名乗ったから間違えた?
いや、それはない。名簿にはちゃんと『鳴海』という字で書いてあったし、青年はちゃんと名簿を呼んでいる風だった。
もしかして、この人は義兄の知り合い?
でも、それにしたってゆたかの声を聞いただけで分かるのはおかしい。
ここはぜひとも、その理由を教えてもらわなくては。
だからゆたかは、質問をあっさりと肯定した。
「はい、成実きよたかは、わたしのお義兄さんです」
通話器の向こう側で、少しだけ沈黙が降りた。
- 991 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:27:27
- 「そうだったんですか。勇気がいったでしょうに、よく話してくれました。
その告白に感謝します」
感謝されてしまった。
別に、そんなに勇気の要る答えではなかったけれど。
「あの、どうして――」
ピー、ピー、ピー
携帯から警告音が鳴り響いた。
びくっとして、携帯の画面を見る。
そこには、『バッテリーが切れました。充電してください』の文字。
そして、すっからかんになった電池の目盛。
「あ、ごめんなさい。携帯の電池が……」
日頃から、アニソンの着メロ視聴やネットでの情報収集目的で頻繁にパケット通信をしているこなたである。
その電池は、平均的な女子高生の持つ電話よりも消費されているし、その分電池が切れやすくもなっている。
きっと、ここに呼ばれる直前まで、お姉ちゃんが携帯を使っていたんだろう。
ゆたかはそうと理解する。
でも、困った。
すると、夜神が気を使ってくれた。
『では、改めて充電ができましたらそちらの都合のいい時にかけてください。
近くに充電ができそうな場所はありますか?』
こちらからいつでもかけていいというのは、申し訳ないけどありがたい。
ただ、問題はどこで充電ができるかということで……。
「はい。えっと、充電器も持ってないから、充電器がある場所は……」
相談するように、『彼』と手塚を観る。
『彼』は「その機械は初めて観るので、充電の仕方までは分かりません」とシンプルな答え。
「デパートに行けばあるんじゃないですか?」
そう助言したのは手塚だ。
……確かに、デパートならモノには困らないだろう。
コンビニも確実に置いていそうだけど、少々遠い。
「……デパートに行ってみようかと思います。ここからエリア二つ分ぐらいの近さなので」
夜神月に伝えた。
『分かりました。道中の方は大丈夫ですか?
電話口にお仲間がおられるようですが……』
「大丈夫です。仲間が二人もいるので
……あう、もう本当に電池が危ないので、後で紹介しますね」
『分かりました、では、それまでお互いに無事でいましょう。
大丈夫です。たとえあなたが何者だったとしても、僕たちはあなたを仲間として受け入れます』
また少し分からないことを言われて、通話は切れた。
- 992 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:28:14
-
☆ ☆
「……偽名を訂正できなかったけど、大丈夫かなぁ」
『彼』が即座に答えをくれた。
「また次の機会に訂正すれば大丈夫でしょう。
この短時間で、本物の『鳴海歩』さんに誤解や迷惑がある確率も低いはずです。
それよりも、なし崩し的に協力関係が成立してしまったことが少々気にかかります」
「でも……悪い人には思えませんでしたよ?」
少々分からないところもあったけど、ゆたかを安心させるよう優しくしてくれた人を、疑いたくない。
でも、『彼』の考え方はゆたかよりシビアだった。
「騙すことに長けた人物ほど、人に好印象を与えるものです。
旅の道中では、好意的に接する連中の方が危険な場合が少なくありません」
「はう……。でもそんなこと言ってたら、わたし、誰を信じたらいいのか分からなくなりそう」
『彼』のいうことも本当なんだろうとは思うけれど、それでも人を疑いの目で見るような真似は苦手だった。
しかし手塚がきっぱりと言い切った。
「信じることと疑わないことは違います。
小早川さんが信じたい人ならそうすればいい。
その分俺と陸が、油断せずに見ていればいいだけのことです」
何の迷いもなく、なすべき課題を挙げるように当たり前に言った。
そうだ。ゆたかには仲間がいる。
一人では難しいことでも、手塚や『彼』は手を貸してくれる。
手塚への感謝と安心感で、胸がぎゅっと熱くなった。
目つきが鋭くて一見怖そうに見えるけれど、
さっきからゆたかを気づかってくれて、頼もしい人だと思う。
無表情で冷静な、しっかり者の親友を思い出した。
彼女もよく誤解されるけれど、本当はとても優しいのだ。
「うん……ありがとう、手塚くん」
そして、仲間はもう『一人』。
「では、デパートに向かいましょうか。
私としても、シズさまたちを探すのに、場所を変えるのはやぶさかではありません」
「うん、陸くんもありがとう」
『彼』――手塚に支給された喋る白い犬は、笑っているように優しい顔をしていた。
親友の飼っているハスキー犬のように、抱きついてみたいと思ったのは内緒だ。本人が嫌がりそうだから。
- 993 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:29:03
-
「あ……」
移動中、電池の完全に切れた携帯電話を見て、ゆたかがぽつりとつぶやく。
「充電器探さなくても、公園なら公衆電話があったんじゃないかな……」
【D−6/公園出口/一日目深夜】
【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]健康
[装備]陵桜高校制服
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2
泉こなたの携帯電話(電池切れ)@らき☆すた
[思考]1・どうして夜神さんは、お義兄さんの名前を知ってたんだろう……?
2・携帯電話を充電する為に、いったんデパートへ向かう。
3・こなたお姉ちゃんやみなみちゃんたちと合流したい。
※夜神月を信用しました。
※主催者が『清隆』と名乗っていたことは、竹内理緒の爆死のショックで忘れかけています。(指摘されない限り思い出すことはなさそうです)
※夜神月の携帯電話の番号を記憶していないので、携帯電話が充電されるまでは月と連絡を取ることができません。
【手塚国光@テニスの王子様】
[状態]健康
[装備]青学レギュラージャージ、参加者探知機
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜1
陸@キノの旅
[思考]
1・小早川さんと共にデパートへ向かう。
2・不二、菊丸、越前と合流する
【陸@キノの旅】
シズの連れている白い大型犬。
楽しくて笑っているかのような、愛きょうのある顔が特徴。
(本人は、『地顔であり別に楽しくて笑っているわけではない』と強調する)
自称『シズ様の忠実なる従僕』。言葉を話す。
※支給品の携帯電話には、一件だけ他の携帯電話の番号が登録されています。
(支給された他の携帯電話も、そうなっている可能性があります)
☆ ☆
「なんだ、結局知らない相手だったか」
伊万里ががっかりした声をあげる。
「しかし、ゲームに乗っていない人と連絡がつけられたのは収穫です。
こんな状況では、まず仲間が必要ですから。
特に、主催者の妹さんならば、何らかの事情を知っているはずです。
肉親にこんな目に遭わされてショックを受けているでしょうが、だからこそこの『実験』を共に止めさせたい」
不満そうな伊万里をなだめつつ、月は内心でほくそ笑んでいた。
互いの知り合いのことを話しながら支給品を確認していたのだが、途中でまず電話をかけてみてはどうだと提案してきたのは伊万里だ。
電話先の相手が沢村だったらどうすると伊万里がさんざん急かしたのでかけざるを得なくなったのが本当のところだが。
とはいえ、相手の充電が切れそうだったこと――電池切れを知らせる音が聞こえていたから嘘ではないだろう――を考えると、結果的に電話しておいて正解だったことになる。
そう、“主催者の妹”と接触を持てたのだ。
- 994 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:30:09
-
――もしや、鳴海清隆氏の御親族の方でしょうか……?
そう尋ねた時、鳴海歩は驚愕したように息を呑んだ。
単に、主催者の名前を出されたというだけでは、あんな悲鳴のような呼吸はしない。
あれは『痛いところを突かれた』『大いに心当たりがある』人間の反応だ。
それに、単に偽名を名乗っていたなら、その後の質問を肯定する理由がないのだ。
『主催者の親族だ』という発言が嘘だったとして、それで彼女の得になる要素などどこにもない。
そこまで大胆な嘘はすぐに化けの皮が剥がれるし、嘘が大きくなるほど喪われる信用も大きい。
どんな馬鹿でもそれぐらいの計算はできる。
そもそも偽名で『鳴海歩』を使ったという可能性自体が低い。
名簿の中から適当な名前を見つくろって、鳴海歩を引き当てる確率は69分の1
――明らかな女性名に限定したとしても、29分の1だ。
仮に、鳴海歩の関係者が恣意から名前を騙ったのだとしても、鳴海歩を陥れるような言動をするはず。『鳴海歩』の身分で好意的に接する必要もない。
――はい、鳴海清隆は、わたしのお兄さんです。
つまり、この発言が真実である可能性は、限りなく高い。
ということを、関口伊万里に話した。
しかし伊万里は感心するかと思いきや、
「そんな断定していいのか? もしかしたら、たまたまその子の兄貴が主催者と同性同名だったのかもしれないぞ?」
「いや、いくら何でもそこまで偶然が重なったりしないでしょう。
『清隆』なんて、珍しい名前じゃないけど、ありふれた名前でもありません」
「そうか?」と伊万里はあごに指をあて、納得いかなそうに考えている。
霊長類が、野生の勘で何かを嗅ぎ取った時のような顔だった。
「では伊万里さん、情報交換の続きをしましょうか」
「分かった。さっさと済ませて施設を回るぞ!」
公開した支給品をせっかちにディパックへ戻しながら、伊万里が気合いのこもった声を上げる。
☆ ☆
(ふふ……どうやら運はこの僕に味方しているようだ……!)
伊万里に向けたにこやかな仮面の下、心の中で大きく口の端を吊りあげて笑う。
これほどの強運を持った参加者は他にいないだろう。
ゲーム開始から一時間も立たずに、一級重要人物と連絡を持てたのだから。
- 995 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:30:54
- ただし、ここまでご都合主義のような幸運に恵まれて、疑わないほど月も愚かでは無い。
実際、不可解な部分もある。
(……話した限りでは取るに足りない相手のようだったが……)
鳴海歩が何らかの『役割』を期待して送り込まれたのだとしたら、余りにも頼りない人材だと言わざるを得ない。
言葉はたどたどしく緊張に満ちていたし、何より声の質があまりにも幼い。
高校生だと言っていたが、第一印象では小学生かと錯覚した。
だが、主催者に送り込まれた人材だからと言って、有能な相手だとも限らない。
鳴海清隆はこの企画を『運命の為の、意味ある戦い』だと言っていた。
ならば、参加者に問われるのも単純な頭脳と戦闘力ではなく、
例えばこの“口づけ”のようなオカルト要素や、その他の実力と無関係な要素かもしれない。
(……あるいは、同行者がいたようだから、そちらが本物の『鳴海歩』で、少女は影武者
……いや、それはないな。いくら何でも、『大人』が二人いるのに子どもに影武者をやらせるなんて非現実的すぎる)
そう、携帯の充電について尋ねた時、電話の向こうで『鳴海歩』と誰かの会話が漏れていた。
ゆたかは二人仲間がいると言っていたし、実際聞こえてきた声も二人分。
電話越しにとぎれとぎれにしか聞こえなかったが、低く落ちついた男の声と、それよりも更に低く老繪な声。
微かな声だったが、低く見積もっても二十代以上の人間の声だった。
プロファイルできる推定年齢は二十代か三十代といったところか。
そしてもう一人は、四十代以降の成人男性。
……幼い少女の外見なら、逆に警戒されることもなく駒を集められるのだろう。
ろくな話しも聞き出せないまま電池が切れたことは残念だったが、機会はいくらでもある。
こちら側の余裕を示して信用を得る為にも、敢えて『そちらの都合のいい時にかけてくれ』と言った。
その間に、こちらは会場内を探索し、月なりの仮説を立てておくとしよう。
それに、『鳴海歩』から情報をしぼれるだけしぼり取るには手札が揃ってからの方が良い。
まずは関口伊万里から、情報を聞きだす。
- 996 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:31:25
-
もし、『鳴海歩』が鳴海清隆の回し者だったら、利用できるまで利用する。
そして殺す。
罪人に加担するものとして、粛清する。
逆に、兄の鳴海清隆と敵対するものだったら、利用できるまで利用する。
そして妨害する。
必要なら殺す。
罪人の身内などに先を越されることは、月のプライドが許さない。
【A−1/森の中/一日目深夜】
【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]携帯電話(ガーベージコレクトのコード@よくわかる現代魔法)
基本支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[思考]基本・手段を問わず生き残り、その上で鳴海清隆を殺す。
1・これはついている……!
2・関口伊万里から鳴海清隆の情報を聞きだす。
3・それが終わったら、各施設を探索する。まずは近くにある研究所を目指す。
4・自らの生存に有利な情報を集める。Lと協力するかは状況しだい。
※鳴海歩がジョーカーとして参加している可能性を考えています。
※小早川ゆたかの名前を『鳴海歩(あゆみ)』だと思っています。
【関口伊万里@スパイラル・アライヴ】
[状態]健康
[装備]はやぶさ号@スパイラル・アライヴ
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[思考]基本・雨苗の好きにはさせん!
1・気のせいか? 夜神月がにやついてるように見える……
2・沢村を探す。雨苗が死ぬのも断固阻止する。
3・とりあえず月について施設を探索する。
【ガーベージコレクトのコード(with携帯電話)@よくわかる現代魔法】
人間の瑣末なゴミ記憶(ガーベージ)を抹消するコード。
多人数の人間が一斉に機動すれば、増幅効果によってその場にいる人間の記憶を全て永久に抹消できる。
……のだが、本ロワのように携帯電話一個程度では、使用者が
「頭がすっとして前向きになる(瑣末な記憶を忘れてしまう副作用)」程度の効果しか得られない。
- 997 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:32:13
- 投下終了です。
本当はもっとシリアスにする予定だったんだ。月をもっと賢くする予定だったんだ……
きー兄さんの本名を知るまでは。
- 998 : ◆8nn53GQqtY:2011/06/18(土) 19:36:48
- そして埋め
- 999 :名無しさん:2011/06/18(土) 19:36:52
- 残り3レスのため埋め
- 1000 :名無しさん:2011/06/18(土) 19:37:22
- そして新レスへ
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