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【日常γ】春一番、元気ですかぁッ!?【その10】- 1 :名も無き異能都市住民:2012/03/16(金) 22:34:08 ID:.6prKP66O
- ≪ルールとか≫
・基本age進行で
・コテもコテ無しもどんどん来い
・レスの最初に自分のいる場所を明記してくれるとやりやすいです
・イベントを起こしたい場合は空いているイベントスレをお使い下さい
・多人数へのレスは可能な限り纏めて行うようにしましょう
・無意味な連投・一行投稿はできるだけ控えるよう心がけてください
・戦闘可能ですが、長引く場合や大規模戦闘に発展した場合はイベントスレへ移動してください
・戦闘が起きた場合、戦闘に参加したくない人を無理に巻き込むことはやめましょう
・次スレは>>950を踏んだ人にお願いします
前スレ(その9)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1315576869/
- 2 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/20(火) 00:03:32 ID:2gQ38VP60
- 前1000
「…理由」
復唱。それは余りにも身体に馴染み過ぎた出来事を、再確認するための物であった。
ゆっくりと、時間を掛けて。頭の中で作り上げていく。
「契約、だから……?」
幼くして命を落とした少女が、この世の地を踏む為の契約。
地獄の最奥で交わした契約が「地獄の掟に従って、この世の物を連れてくる」事。
正に死神。
それが、
「レラと、シノンに……会いたかった」
幼くして命を落とした少女が、契約に従ってでも成したかったこと。
たった二人だけの友人の顔が見たかった。そして、もう一度手を取りたかった。
そうすれば、唯一の有人が悲しむのが嫌だった。だからずっと傍に居たかった。
「……生きたかった」
既に少女に命は無い。今、生きて居るように感じられるそれも、所謂紛い物。
それでも、『生きる』と言う事を味わう時間が少なかった少女は、無意識の内にそれを欲していた。
- 3 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/20(火) 00:20:36 ID:.6prKP66O
- >>2
「契約……」
うんうんとゼオラの話に耳を傾ける
それほどまでにゼオラは生きていたかったのだろう
友人に会いたかったのだろう……しかしだ……それなら何故?
「だったらどうして?何故飽きたなんて言うんですの?
生きたいんですわよね?友達に会いたかったんですわよね?」
殺す事でゼオラは現世を生きる事が出来る……人を殺める事が正しいとは言わないが
アウテリートだってゼオラには生きてほしいし、その生を紛い物とは思わない
その想いをゼオラに必死に伝えるのだ
「あんな風に、全てに飽きたなんて言われると……貴方が消えてしまいそうで……」
ゼオラを抱き締める腕に力が籠もる
自分はゼオラの事を知る事は出来たのだろうか……心の中で自分に問い掛け
- 4 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/20(火) 00:35:59 ID:2gQ38VP60
- >>3
「飽きた……。
世界は、狭い。詰らない……」
アウテリートの胸の中で、ポツポツとつぶやく言葉。
- 5 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/20(火) 00:44:26 ID:.6prKP66O
- >>4
「うん、うん……」
何故急にこんな事を言いだしたのだろうか……
アウテリートは少し疑問に思う
「どうして飽きちゃったか、私にちゃんと話して?お願い」
ゼオラは何を考え、こういっているのだろう
いつも無表情ながら楽しそうだったゼオラの姿を思い出す
- 6 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/20(火) 01:21:18 ID:2gQ38VP60
- >>5
「弱い……自分が。
ここだと、できる事が、少ない……」
彼女の根は地獄にある。
所謂『蘇生技術』が完全でないのか、こちらだと完全な力は発揮できないのだろう。
- 7 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/20(火) 01:43:32 ID:.6prKP66O
- >>6
「そう……つまり……現世で自由に動けるようになったら……貴方の悩みは解決するって訳ですわね?」
しかし妙だ……アウテリートがゼオラの願いを叶えたとして……
そうする事でゼオラの飽きが簡単に解決するのだろうか?
真意を知る為にもやはり……
「それで……貴方が私に頼もうとしてる事は……なんなのかしら?
それは貴方が現世で自由に動けるようになる手助けになるんですの?
それとも……全く関係ない事なんですの?」
自分でも緊張している事がわかる
まだ、願いを聞くには早いか…この子は、何を求めているのだろうか?
- 8 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/20(火) 01:48:15 ID:2gQ38VP60
- >>7
「……」
黙って、ただ一度だけ頷いた。
目的が達成されれば、今より確実に良い物となる。
「解ってるはず……」
アウテリートの瞳を眺めて、言い放つ。
いつも通り、抑揚も無く、小さな声だったが、今だけは強い意志が感じられて。
「……一度、死んでしまいたい」
- 9 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/20(火) 01:58:47 ID:.6prKP66O
- >>8
二人の少女の視線が交わる……
なるほど…ゼオラ自身が自らの死を望んでいたのか……
アウテリートは一瞬だけ泣きそうな表情を浮かべるが、すぐに真剣な表情に戻す
「他に方法は無いんですの?
お父様にも、レラやシノンにも会えなくなっちゃいますわよ?簡単に言ってはいけませんわよ?」
ゼオラを助けるにはこれしかないのか?
アウテリートは必死に、必死に考えを巡らせる
一度、とはまた生き返ると言う意味か?
しかし、現世に生きる為にもう十分な対価を払っているはずなのだ……
また生き返ると仮定しても、さらなる対価を払うことになるかもしれない……
- 10 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/20(火) 02:12:11 ID:2gQ38VP60
- >>9
「……そう、したい。
方法、じゃあ……無くて」
意思を感じる声ではあるが、本人の身体が追い付かないようで。
次第に声や雰囲気が衰えていき、最後には突っ伏してしまった。
「面倒……」
- 11 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/20(火) 02:43:15 ID:.6prKP66O
- >>10
「……私は死んでほしくありませんわ……」
死にたいと言ったり、急に脱力したり……今のゼオラの状態に戸惑いを隠せない……
「……」
しかし、ゼオラが死ぬことで何が起こるのか尋ねるべきである
これは大事な事なのだ……
「貴方が死ぬことで……何かが変わりますの?解決しますの?」
確認したい……もし、ゼオラが求めるのがアウテリートの考え通りだとしたら……
この役目は他の誰にも譲りたくない、自分で……遂げたいから
- 12 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 00:06:53 ID:2gQ38VP60
- >>11
机に右の頬を付けて、少女から見て左の壁をぼーっとみている。
今までと同じように感じる無気力だが、「何も感じさせない」のではなく、「本当に何もない」。そんな感じ。
「うん……」
衰えに衰えて、ただひたすらに無気力な返事のみになってしまった。
- 13 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 00:18:37 ID:.6prKP66O
- >>12
「もし、そうなったら……また私の前に現われてくれますの?」
アウテリートは既に決心を固めた
この選択が絶対に正しいとは思えないが、ゼオラの役に立ちたくて
少しだけ声が震える
- 14 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 00:24:17 ID:2gQ38VP60
- >>13
「……」
返事は、無い。
虚ろに壁を眺めるだけだった瞳も、机に向かって伏せられている。
「はぁ……」
溜息。
- 15 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 00:33:58 ID:.6prKP66O
- >>14
「こら、いくら面倒だからってそれはやめなさいな!こんな美少女の顔を見ないなんて失礼ですわよ?」
ゼオラの頭を両手で掴み、こちらに向かせようと試みる
「って言うかなんで急にやる気無くなったんですのよ!?私真剣なんですわよ?」
意図せずして、アウテリートはいつもの調子を取り戻す
頭ではわかっている、ゼオラは強い子だ
だから心配はいらない……
「(もし何かあっても私が命を懸けて救いますけどね)」
- 16 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 00:50:21 ID:2gQ38VP60
- >>15
身体全体に力は入っていないので、思う以上に簡単にできてしまう。
仕方なく。と言った様子で目を合わせるが、やはりそこにあるのは無。
「面倒……全部」
- 17 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 00:56:48 ID:.6prKP66O
- >>16
「もう、だからその悩みを解決するのを私が手伝ってあげるって言ってますのよ!
シリアスが台無しになったじゃありませんの!?」
事実、場の空気は先程より柔らかいものにはなっただろうが
事の重大さは変わり無い
でも、アウテリートにはこれが合っているのかもしれない
- 18 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 01:05:08 ID:2gQ38VP60
- >>17
「煩い……」
一言でアウテリートに静止を掛ける。
瞳の中には無。明るい黄色の中には深淵の暗黒が詰まっているように感じた。
「無駄……自分で、やる」
話を持ちかけてきたのがアウテリートだったから、話す事は出来た。
だが、やはり。自らの口では全てを理解してもらうには至らなかった様だと結論付けて。
- 19 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 01:11:49 ID:.6prKP66O
- >>18
「……!」
不意にゼオラの冷たい視線がアウテリートを射抜く
一瞬だけ言葉を詰まらせるがすぐに表情を取り戻し
「いや、私がやりますわ……
貴方は自らの死を望んでいるんですわよね?
自殺でもしますの?それとも他の誰かに頼む?
いけませんわよ?その役目を他の誰かに譲る気はありませんわ」
深淵の瞳を見つめ返すのは虹の瞳……
- 20 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 01:20:09 ID:2gQ38VP60
- >>19
向けたのは舌打ち。
指先で鉄板からはみ出たナイフの柄を跳ね上げ。
跳び上がり回転するナイフの柄を掴むとその流れのまま投げつけた。
ナイフはアウテリートの顔面横を掠め、店の壁にぶつかって金属音を鳴らした。
その音が聞こえた時、既に少女は背を向けていた。
席を立つと、視線すら向けずに厨房奥のバイト控室に向かって歩いて行く……。
- 21 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 01:23:54 ID:.6prKP66O
- >>20
「……ぐぬっ!?」
頬を掠め、赤い線が入り血が流れる
しかしアウテリートはゼオラを見失わずに
「……まちなさいな」
怒る事もせずにそれに付いていく
- 22 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 01:29:19 ID:2gQ38VP60
- >>21
問いかけには答えない。
足を止める事は無論無く、返事を返す為の口も開きはしない。
このままだと扉の向こうに行ってしまうのだろう。
しかし、それを止め様とする場合、下手をすれば彼女の暗黒性が牙を剥く……。
- 23 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 01:35:52 ID:.6prKP66O
- >>22
しかし、それを止めなければ終わってしまう
恐れてる暇は無い
アウテリートは走り出し、ゼオラの前に立ちふさがる
「私から逃げようとしても無駄ですわ!」
さぁ、鬼が出るか蛇が出るか
- 24 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 01:40:39 ID:2gQ38VP60
- >>23
立ちふさがる。だけならまだ良い。
自らの能力で闇と化し、アウテリートの背後に現れ再び歩みを進める。
それだけに過ぎないのだから。
- 25 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 01:48:26 ID:.6prKP66O
- >>24
「……っ!」
前に立ちふさがっても簡単に抜かれる
だったらアウテリートがやる事はこれしかない
「ゼオラッ!」
勢い良く足を床に叩きつけ、ゼオラの腰に目がけて掴み掛かるようにタックルを繰り出す
- 26 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 02:03:13 ID:2gQ38VP60
- >>25
捕まる訳が無かった。
闇と同化して移動を可能にする少女。
ましてや、その凶暴性が前面に曝け出されているとき。
空中に浮いたアウテリートの背中目掛けて闇の大鎌『知性と感情の環』の柄の部分を突き立てようとするだろう。
古典的な、人々の想像の上に存在する、山羊をモチーフにした悪魔がそのまま鎌の形を取った無骨かつ禍々しいデザイン。
その柄の先端は山羊の悪魔の角の様な赤黒い棘が二本、牙を覗かせていた。
もし、アウテリートを地に伏せる事に成功したら、最早蚊帳の外。そう言わんばかりにドアを目指す。
アウテリートの存在を認識していないかのように振る舞い、踏みつけて進んでいく。
作り上げた暗黒の腕に大鎌を預ける。曲線では無く、歪に歪み、曲がりに歪んだ刃の先端をアウテリートの頭頂部に僅かに触れさせたままホールドさせた。
「動くな」。そう言う事だろう。頭を動かせば切っ先が突き刺さるのだ。
本人はそのままドアの向こうに消えて行ってしまう……。
- 27 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 02:22:33 ID:.6prKP66O
- >>26
「……なるほど……容赦ありませんわね……」
衝撃が来る直前にそんな事を考え、床に叩きつけられる……
ゼオラに踏まれ、ゼオラが扉の向こうに消えていく……
その瞬間、アウテリートの体が青い光に一瞬だけ包まれる
光が消えると同時に両手を床に叩きつけ体が宙に跳ねる
ホールドされ頭に鎌の切っ先を当てられてもなんのその
体を捻り、闇の手が持つ鎌の柄を蹴り上げる
ここでやられる訳にはいかない、辺りに清らかな水飛沫が舞う
水のマナが持つ護りの力、これなら鎌を防げる筈だ
「逃がしませんわよ!」
もう一度体を捻り、回転すると床を蹴りその反動で扉の方へ
「でりゃあッ!」
扉を蹴破り再びゼオラのそばへ
- 28 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 02:47:59 ID:2gQ38VP60
- >>27
カギを掛けた筈の扉が開く。
扉が如何にかして破られることも想定の内にあったのだろう。
少女は現れたアウテリートに向かって真正面を向いていた。
再び目を合わせると、少女の表情が目に入るだろう。
右頬は不自然に吊り上り、瞳はいつもより薄く鋭い視線。
その上から吐かれる溜息。この上無い程の不快感が前面に滲み出ていた。
- 29 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 02:53:59 ID:.6prKP66O
- >>28
扉を蹴破った後、体を回転させて着地する
不快そうなゼオラとは真逆に、アウテリートは笑う
「愛しいゼオラ?酷いですわね、踏み付けるなんて……」
父親譲りの髪色の巻き髪が揺れる
美しい水飛沫を払いながらアウテリートはゼオラを見据えた
- 30 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 16:29:28 ID:2gQ38VP60
- >>29
アウテリートに向けられた視線は酷く鋭く。
普段の彼女を良く知るアウテリートだけに、不快感を押し出して作られた表情は信じられないだろう。
しかしながら、この表情はある一つ。それも、信じがたい可能性を想像させるかもしれない。
この表情こそが真実で、今までの少女の方が闇に紛れて居たのだと……。
- 31 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 16:47:39 ID:.6prKP66O
- >>30
「随分とおっかない顔ですわね?可愛い顔が台無しですわよ?」
これがゼオラの本質を表す表情なのだろうか?
これは面白い……アウテリートはニヤリと白い歯を覗かせる
普段のゼオラからは信じられないその表情……
アウテリートもしばらくは信じられなかった……だが
「たまりませんわ……」
アウテリートは考える
あんなにおとなしい少女の本質がこの相手を射殺すような物なのだとしたら……
「私にだけ、素顔を見せてくれたのですわね」
- 32 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 17:16:46 ID:2gQ38VP60
- >>31
つくづく。
「……何?」
少女は顔を歪めたまま、抑揚に乏しい声で尋ねた。
この表情を浮かべて居ても、やはり本質は変わることなく。
表情と声質の動と静との歪みが言い様のない違和感を生み出していた。
- 33 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 17:22:56 ID:.6prKP66O
- >>32
「どうして急に怒ってしまったのかしら?ほら、理由を言ってもらわないと私はわかりませんわよ?」
アウテリートの体が橙色の光に一瞬だけ包まれる
普通ならば見逃してしまう程に瞬間的に
違和感に気付かないアウテリートでは無いはずなのだが……
「ん〜……もしかして、私に呆れてらっしゃいますの?」
- 34 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 17:35:32 ID:2gQ38VP60
- >>33
「煩い……」
一瞬だけ襲い掛かった光に顔を更に歪ませる。
光と言う物は瞬間的に向けられると、通常よ増して感じられる。
光を苦手とする少女なら、それは尚更の事で。
「そんな所……解ったら、消えろ」
- 35 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 17:45:56 ID:.6prKP66O
- >>34
「んふふ……」
腰に手をあて、ゼオラの顔を見て笑う
しかし、いつもの優しい笑みではなく、相手をからかうような笑みで
「い・や・だ♪」
その笑顔は普段ならば何気ない友人に向けられる悪戯な笑い
しかしそれは今のゼオラを憤慨させるには十分なのではないかという程に憎たらしく
- 36 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 17:49:54 ID:2gQ38VP60
- >>35
左腕を伸ばし、拳を握る。
拳の中から噴き出た暗黒の瘴気が大鎌のシルエットを作り出す。
始めは曖昧だったそれはより鮮明に、先程の禍々しい刃をもう一度作り上げた。
切っ先を下から向かわせ、アウテリートの顎に触れさせる。
「お前のその態度が……面倒」
- 37 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 17:58:29 ID:.6prKP66O
- >>36
「あらあら?じゃあどうすればいいんですの?
キャッ!わかりましたわ!貴方の言う通りに帰りますわっ!ふぇ〜んっ!!」
口をへの字に曲げ、問い掛けた後
演技かかった台詞を吐きながら嘘泣きを披露
しばらくの嘘泣きの後にはニィッと歯を見せて挑発的な笑みを浮かべ
「こんな感じ?泣き虫な女の子の方が好みでしたか?」
触れる鎌も意に介さず、アウテリートは不適な笑みを浮かべたままだ
- 38 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 18:05:03 ID:2gQ38VP60
- >>37
鎌を翻させる。
顎から離れた刃は回転して先端を下に向ける。
柄の中腹を持った左の手首を曲げて、一度アウテリートから離す。
手首の不利と共に再び向けられた刃は躊躇なくアウテリートの右脚を狙っていた。
避けなければ確実に突き刺さる。だが避ける事も難しい速度で。
- 39 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 18:20:02 ID:.6prKP66O
- >>38
ゼオラの鎌は簡単にアウテリートの右足を…いや、両足を切り裂く
「あらあら酷いですわね、あんな速度でそんな大きなものを振り回して……」
しかし、血は出ない……
アウテリートも苦悶の表情を浮かべるどころか余裕の笑みで
「んふふふ……」
不意にゼオラの耳元でアウテリートの笑い声
しかし、アウテリートはゼオラの目の前に存在する
足が鎌によって霧のように飛散したアウテリートが…
「貴方の前にいるのは陽炎……私はここ……」
ふわっと、眼前のアウテリートが霧散する
それと同時にゼオラの首に腕が回される
「あぁ……もしかして、私と戦う気だったり?」
回された右手がゼオラの左頬を撫で上げ、アウテリートの舌が右頬に迫る
先程アウテリートが一瞬だけ放った光は、自身の分身を生み出す為のものだったらしい
- 40 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 18:29:53 ID:2gQ38VP60
- >>39
「悪かった」
こんな事になるなら軽くでも話すべきでは無かった。
無視を決め込むか、適当に切り刻んでおけば良かったと後悔。
尤も、既に『毒』は打ち込んであるのでいつでも好きには事はできるのだが。今は遊ばせておく。
あの光が攻撃の布石だったと知るのはこうなってからだと容易いことで。
相変わらずの態度と純粋な心を見せる反面での『保険』。つくづくの面倒くささに根を挙げて、アウテリートに視線を向けた。
舌を這わせられると言う事実はどうでもいいのだが、感触が気に喰わない。頬を右手で隠す。
- 41 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 18:46:16 ID:.6prKP66O
- >>40
「あら、いいんですのよ?私は優しい淑女ですわ
でも、お詫びに頬を……」
ゼオラが打ち込んだ毒にアウテリートは気付いているのだろうか?
それは事が起こってからでなければわからない
「あら残念、もう少しでしたのに……手を退けなさいな」
さて、ゼオラを捕まえたアウテリートは変わらず笑い続ける
このまま逃げてもアウテリートはどこまでも追い続けるだろう
- 42 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 18:48:40 ID:2gQ38VP60
- >>41
既に準備はできたと言える。
今からの攻撃全てが通らなくても、今までに受けた攻撃は既に防ぎようが無い。
「遊ぶとは……言ってない。
話すぐらいなら、構わない……」
- 43 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 19:03:02 ID:.6prKP66O
- >>42
一瞬だけ、目を細めるもアウテリートはすぐに表情を取り戻す
「意外に物分かりが良くて助かりましたわ、さて……もはや何から話していいか……」
何を話そうか?アウテリートは考えを巡らせる
力になりたい、ただ、ゼオラから何をしてくれと言われなければ動けない……
しかし、ゼオラは受け身の娘…自ら何かを告げてくれる事は滅多にない……
ならば、言わせるか……
勝手に手伝うしかないのだろうか?
「ゼオラ、貴方の手伝いは私にしか出来ませんわ……
だから、ほら……何をして欲しいか言ってくださいな」
- 44 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 19:18:44 ID:2gQ38VP60
- >>43
観念したかの様に、首を振って。溜息を一つ吐いた。
表情は既に消え去っていて、そこにあるのは無気力のみ。
「じゃあ……呼ぶ。
それまでは……待ってて」
- 45 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 19:31:16 ID:.6prKP66O
- >>44
「……」
これまた意外、まさかこんなにトントン拍子に話が進むとは
「……まぁまぁ!良かったですわ!私の想いが通じましたわね!」
パァッと明るく、まるでアウテリート自身が光を放つような、お花畑のような笑顔を浮かべる
「絶対、絶対ですわよ!約束!!」
小指を出し、指切りげんまん
- 46 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 20:20:07 ID:2gQ38VP60
- >>45
「……うん」
半ば無理やり小指を引っ張り出され、そのままの勢いで約束。
もう一度、深い溜息を吐くが、不思議と不快感は感じさせなかった。
- 47 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 20:41:43 ID:.6prKP66O
- >>46
指切りげんまん……ゆびきった!
アウテリートは勢い良く指切りを終える
「よし!じゃあ、帰りましょうか、ゼオラ?」
手を差し出し、そう告げる
しかし、思い出したかのようにゼオラに視線を合わせ
「……で、次は何を企んでいますの?」
虹の瞳が黄色い瞳を射抜く
先程のゼオラを見たのだ、急におとなしくなったのも怪しい
「何も隠してないなら、ほら、ここにチューしなさい」
頬を指差し、そう告げる
どの答えを聞こうが、アウテリートの得である
- 48 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/03/21(水) 21:16:02 ID:2gQ38VP60
- >>47
「……断る」
ポケットから透明の液体が入った小瓶を取り出した。
それを指ではじいてアウテリートに差し向ける。
「飲んで……」
それは解毒薬。以前上弦には渡したことのある、非常に強い苦みを持つそれ。
アウテリートの頬を傷つけたナイフ。それには勿論、少女の唾液がついていた。
常に強力な毒針を含んでいる少女の唾液にも、同じように強力な毒が含まれているのだ。
「……それじゃ」
アウテリートに背を向けると、足元の影が闇となり、少女を引き摺りこんでいく。
そのまま無抵抗に飲まれるようにして、少女は消息を絶った……。
- 49 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/03/21(水) 21:29:24 ID:.6prKP66O
- >>48
ゼオラがその場から消息を断つと、アウテリートは受け取った解毒剤を片手にポツンと立ち尽くす
「はっ!?……くぅっ!頬の傷をペロペロして貰えると思いましたのに!!」
悔しさの為か、解毒剤を一気飲み
「うぇっ……にがっ……」
舌を出し、扇ぐように手をパタパタ
ゼオラは先に消えてしまった……少しだけ残念
「ふぅ……今日は久々に一緒に寝れるかと思いましたのに……しゅん」
アウテリートもトボトボ歩き、その場を後にしたのだった
- 50 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/22(木) 22:47:44 ID:WVrfsEdY0
- 【異能都市の中央公園】
「・・・うう、うっかりねそうになったの・・・」
【持っていた銀の刀を杖がわりにしてコックリコックリとしていた】
「・・・うーん、なんだかまわりがさわがしくなってきたのかもしれないの・・・
だいじょぶかなの。」
【不安げな表情であたりの匂いをくんくんとかぐ】
- 51 :月夜:2012/03/22(木) 23:24:33 ID:dL8H4NjE0
- >>50
公園の脇に設置されている転送装置、
そこから出てくる黒髪の少女が一人。
「――ふぅ……今日はこのぐらいで……ん?」
公園内にいるディスに気づく月夜。
「こんばんは、ディスさん。どうかされましたか?」
不安げな表情に気づいた月夜は、少し心配そうに話しかける。
- 52 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/22(木) 23:29:51 ID:WVrfsEdY0
- >>51
「ん?あうー。こんばんわなの〜。『つくよ』なの〜」
【軽く顔を上げて手を振る】
「あうー、おそとがなんかあぶないかんじになってきたみたいなの。
いままでとおんなじかとおもってたんだけど、なんかちがうかんじがするの〜」
【ディスもまた心配そうな顔をして返す】
- 53 :月夜:2012/03/22(木) 23:36:33 ID:dL8H4NjE0
- >>52
「覚えてくれてましたか、ありがたい限りです」
にこやかに笑って、軽く頭を下げる
「危ない感じ、ですか……」
確かにいまの異能都市は何かが変わってきている。
心当たりについてふと思ったことを、月夜はディスに聞いてみることにした。
「そういえば、ディスさんって『人外』の存在をどう思ってます?」
- 54 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/22(木) 23:40:56 ID:WVrfsEdY0
- >>53
「あうあうー、おぼえるのはよくやってるからなの〜」
【少し微笑んでいる】
「そうなの、あぶないかんじなの…じんがい?」
【不思議そうに首を傾げる】
「あうー、よくわからないけどひとじゃないひとってことかなの?」
【そう言ってから口を開いた】
「でもねこさんいぬさんはいつもちかくにいるから、ひとじゃないひとがいても
べつになんでもないなの」
【あっさりと返す。】
- 55 :月夜:2012/03/22(木) 23:48:06 ID:dL8H4NjE0
- >>54
「そうですよね……」
安堵の表情を見せる月夜。
「なんか人外を排除するために活動してる集団があるっていう噂を聞いたので……」
本当に噂だといいんですけど……と呟く。
月夜の中では人外に関する問題は中々の不安要素らしい。
- 56 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/22(木) 23:55:59 ID:WVrfsEdY0
- >>55
「あうあう、そうなの。
ひとにもこわいひといるし、ひとじゃないひとにもこわいひといるもんなの!」
【笑顔でそう答えた】
「ほんとにそんなのいるのかなの・・・
いないといいけど、なんかこわいなの」
【改めてディスは心配そうな顔になった】
- 57 :月夜:2012/03/23(金) 00:00:28 ID:dL8H4NjE0
- >>56
「人じゃない人にも怖い人……?」
ニュアンスとしては分かるが、少し考える月夜。
まあ人の形をした人外もたくさんいるし、あながち間違ってはないかと結論づける。
「いないといいんですけどね……まあ、いたらいたで一人残らず消しますけど」
笑顔で言う。
直接表現はしていないが、この少女は笑顔で殺戮をすると言っている。
- 58 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 00:06:23 ID:WVrfsEdY0
- >>57
「あうー、むずかしいかなの?
それとも、いいかたへんだったかなの?」
【首をかしげて返す】
「うん、えっと・・・そうだねなの・・・
そうしたくないから、いないほうがいいなの・・・」
【少し落ち込んでいる様に見えるが…】
- 59 :月夜:2012/03/23(金) 00:10:16 ID:dL8H4NjE0
- >>58
「変じゃないけど変というか……」
否定も肯定もできない微妙な感覚に戸惑う。
「……ディスさん?」
少し雰囲気がおかしいディスに、心配そうに話しかける
- 60 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 00:16:25 ID:WVrfsEdY0
- >>59
「よくわかんないなの…」
【不思議そうに言う】
「あう?えっと…
どしたのかなの」
【顔を上げて慌てて答える】
- 61 :月夜:2012/03/23(金) 00:21:52 ID:dL8H4NjE0
- >>60
「え?いや、何か雰囲気が変だったというか、残念そうというか落ち込んでいるというか……」
少しあわてながら返答する。
見間違いだったか、と思わなくもないが、確かに表情が暗かった感じがする。
まあやっぱり月夜の見間違いでした、という可能性もあるのだが。
「そういえば、ここで何をしてたんですか?」
とりあえず場のつなぎで思いついた話題を口にする
- 62 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 00:27:59 ID:WVrfsEdY0
- >>61
「あう…やっぱりそうみえたかなの…
ともだちにひとじゃないひとがおおいからなの…
もしほんとうにいたら…っておもってなの」
【少し暗い表情だったのに対して返答する。不安によるものだったようだ】
「ここで?あうー、さっきまでこれをつかってたの」
【そう言って抱えたままの刀を見せる。当然鞘に収まったままである】
「ちゃんとつかえてるかときどきやってるんだよなの〜」
- 63 :月夜:2012/03/23(金) 00:41:28 ID:dL8H4NjE0
- >>62
「人じゃない友達ですか……」
確かにこの異能都市には他の都市に比べてかなりの数の人外がいる。
友達に人外が多いのも納得だ。
「刀ですか、片刃の剣はあんまり使ったことないですね」
といっても使う近接武器が両刃の光の剣しかないせいだが。
- 64 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 00:45:12 ID:WVrfsEdY0
- >>63
「だから、まもりたいっておもったときは…なの」
【ぐっと刀を握る】
「うん、ちょっとつかいにくいけどなの…
やってみたらけっこうつよいよなの〜!」
【そう言って刀を抱え上げてみせる。全体的に銀色の装飾である】
- 65 :月夜:2012/03/23(金) 00:50:58 ID:dL8H4NjE0
- >>64
「護りたい人がいるっていうのはいいことです」
微笑みながらディスの頭をなでる。
「刀に限らず近接武器は極めれば凄いことになりますからね」
「私も早く上達したいんですけど、まだまだです……」
無能力者で剣の達人が銃弾を切ったなんて言うこともあるくらいだ。
人間も中々あなどれないと思う月夜である。
- 66 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 00:56:15 ID:WVrfsEdY0
- >>65
「うん、もうなくしたくないからなの…」
【ディスもまた微笑み返した。撫でられて嬉しそうである】
「あうー、そうなりたいなの〜。
でもつかうのむずかしいの。ふるのはむずかしくないんだけどなの…」
【そう言って少女の身の丈ほどの刀身のある刀を軽々と振る】
「でも、ちゃんとふるのはとってもむずかしいなの、
なんかちからいっぱいだけじゃないみたいなの…」
- 67 :月夜:2012/03/23(金) 01:05:39 ID:dL8H4NjE0
- >>66
「……絶対に、失くさないでくださいね」
真剣な表情でディスに言う。
大切な物を失うことの喪失感は、どんな苦痛よりも勝る。
そんな苦痛を、月夜は他の人に味あわせたくなかった。
「振った後うまく止めたりできないってことですか?」
いくら素振りができようが、それが実践に役立つかというと必ずしもそういうわけではない。
どちらかというと刀を振るう感覚に慣れる目的でやっているのではないか、と月夜は考えている。
- 68 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 01:09:01 ID:WVrfsEdY0
- >>67
「うん、そのつもりなの…」
【ディスの方も真剣な顔で答える。】
「あうー、そうなの。ふったあとにぴったりとめることできなくて、
ちょっところんじゃいそうになったりするかなの…」
【恥ずかしそうに頭を掻く。要するに振り回されているような状態なのだろう】
- 69 :月夜:2012/03/23(金) 01:15:26 ID:dL8H4NjE0
- >>68
「なら良し」
真剣な表情からまたにこやかな笑顔に戻り、もう一度ディスの頭をなでる。
「完全に止めるのは私でも出来ないですねー……」
基本二刀流で闘う月夜は、勢いをわざと余らせて他の剣で追撃したりすることが多い。
我流なせいもあって、闘うときは普通の人より少し多めに回る。
「参考までに、振った後は止めようとせず力を受け流す感じで振ってみるといいですよ」
「私はその力を利用して追撃したりしますし」
- 70 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 01:20:39 ID:WVrfsEdY0
- >>69
「うん、ありがとなの!」
【元気を取り戻したようで、にっこり笑い返した】
「あうー、やっぱりむずかしいんだなの」
【悩む顔をする】
「うけながすかんじ…?
えーっと、とめないでやってみるってことかなの?」
【首をかしげながらも考える】
- 71 :月夜:2012/03/23(金) 01:23:24 ID:dL8H4NjE0
- >>70
月夜は何かいい例がないかと考える
「あ、ほら、字を書くときだって一度書いて止めたりせずにそのまま線を繋げて書いたりするでしょ?」
「あれみたいなものですよ」
言った後に、「自分で言っといてアレだけど分かりづらい……」と呟く。
- 72 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 01:26:16 ID:WVrfsEdY0
- >>71
「あうー、えっとなの…
とめないでつなげて…」
【うーん…と唸りながらしばらく腕を組んで考えて】
「ようするにまっすぐにってことかなの?」
【一つの答えに達する】
- 73 :月夜:2012/03/23(金) 01:30:28 ID:dL8H4NjE0
- >>72
「真っすぐ……真っすぐ……?」
何か話がうまく噛み合っていない感じがする。
我流で戦い方を身につけてきた弊害がここで出てくるとは思わなかった。
「ああ、頭がこんがらがってきた……」
自分の闘っている時を思い出そうとするが、うまくいかない。
本格的に混乱してきたようだ。
- 74 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 01:34:09 ID:WVrfsEdY0
- >>73
「あうー、なんかちがうのかなの…
つまり…えーっとなの…」
【ディスの方も月夜の反応を見てよくわからなくなってきたようだ】
「うーん…『でぃす』もこんがらがってきたの…」
【次第に頭から湯気が出始めた…】
- 75 :月夜:2012/03/23(金) 01:45:24 ID:dL8H4NjE0
- >>74
「違うというかなんというか……」
「ちょ、ちょっと中断しないこの話題……?」
あーうー、と呻きながら頭を押さえる。
「飲み物買ってきます……何か飲みたいのありますか?」
ポケットから財布を取り出して、ディスにそう質問する。
- 76 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 01:47:19 ID:WVrfsEdY0
- >>75
「あうー、そうするなの…
なんかあつくなってきたからなの〜」
【軽く汗をかきながら手を振る。まだ頭から湯気が出ている。顔も若干紅い】
「あうー、じゅーすのみたいかなの…」
【そう言って額の汗を拭う。ちょっとつかれた表情である】
- 77 :月夜:2012/03/23(金) 01:53:33 ID:dL8H4NjE0
- >>76
(本当に湯気って出るんだ……)
流石に驚きを隠せない様子の月夜。
「ジュースね、分かった」
自販機からジュースと無糖のコーヒーを買い、ディスのところに戻る
「はい、どうぞ」
ディスにジュース(オレンジ)を渡して、缶コーヒーのプルタブを開ける。
- 78 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 01:58:15 ID:WVrfsEdY0
- >>77
「あうー、じゅーすありがとなの!」
【大喜びでジュースを手に取る】
「ふー、あつくないなの〜」
【そう言いながら腕の包帯の一部を伸ばしてプルタブを器用に開けた】
「ごくごくごく、ふーおいしいなの〜」
【癒された顔になって笑う】
「なんかむずかしいのはにがてなの〜。
その、かんがえるのもちょっとむずかしいからかなの…」
【クールダウンしたようで先程から出ていた頭のゆげも収まった】
- 79 :月夜:2012/03/23(金) 02:10:44 ID:dL8H4NjE0
- >>78
「甘いものは好きだったりします?私は少し苦手なんですけど」
というより甘いものをあまり口に入れたことが無い。
食事を楽しむようになったのは異能都市に来てからで、それまでは栄養が取れればいいという感じだったからだ。
「まあ、慣れですよ慣れ。結局は」
自分も場数を踏んで上手くなりましたし、とつけたす。
- 80 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 02:19:47 ID:WVrfsEdY0
- >>79
「あうー、あまいのはだーいすきなの。
いちばんすきかなの〜」
【そう言って微笑んだ】
「そっかなのー…もっとかんがえないとかなの〜」
【そう言って首をかしげた】
- 81 :月夜:2012/03/23(金) 02:27:36 ID:dL8H4NjE0
- >>79
「そうですか」
ディスの微笑みに、月夜も微笑み返す。
「闘うときに一々考えてたら負けちゃいますよ」
「考えるより先に反応してなければ間に合いませんし」
だから、闘い方について深く考える必要はないですよ、と言って笑う。
もちろん煙に巻くような言い方で、詭弁でしかないが。
「さて、休憩も十分とりましたし、そろそろ戻りますね」
月夜はコーヒーを飲み干すとゴミ箱に投げ入れ、再び転送装置に向かう。
- 82 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/23(金) 02:32:25 ID:WVrfsEdY0
- >>81
「うん、ここのちかくにおいしいのあるよなの〜」
【そう言って微笑む】
「あうー、かんがえないでなのー。
そのほうがあってるかもしれないかなの!」
【どうやら納得したようである】
「きゅうけいおわったなの?
わかったのー。またねなの〜!」
【そう言って転送装置に向かう月夜に向かって手を振った】
「いつかしゅぎょーいっしょにしよなの〜!」
- 83 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/24(土) 20:36:57 ID:51FZPppw0
- 都市の東南に位置する公園のベンチに、青年が胡座をかいている
目は自然な感じに閉じられ、肘を膝のあたりで支え―――所謂瞑想を行っていた
(……はて、どうするかな…物質解析能力者と複製能力者……そう簡単に見つけられるようなもんじゃぁ、ないよなぁ…)
青年の服装はなかなかに稀有なもので、TシャツにGパンと少々寒そうである
Tシャツには『ごぅとぅへゔん』と筆字でプリントされており、センスを疑うようなデザインである
そして何より、青年の付近だけやけに仄暗く―――まるで光が奪われてしまったかのような感じだ
(とかく、鍛錬終わったら手当たり次第に調査してみるか)
(…集中集中……)
完全に警戒心を損ねている青年
ただ、時たま腹の虫がなって―――人のものとは思えない音がなっていた
/レス遅いですが、よろしければ…
- 84 :アイリス:2012/03/25(日) 22:47:30 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
普段はカウンター席に陣取っていたアイリスだが、今日はテーブル席だった。
テーブルいっぱいに広げられたのは、この都市の寂れた工業地帯の地図。
幾つか筋を挟んで大通りに出る場所を幾つかピックアップし、持ち込んだ万年筆で何かを書きこんでいく。
今回必要なのは、適度な広さと、大通りまでの適度な距離、魔術がありふれた場所、そして、大量の魔力があること。
「しかし…、あえて木の葉を森に隠す必要はあるかな。しかし…、引っかかる」
小さな独り言。店の入口には黒猫が丸くなっており。
違和感。言葉では表現しづらい違和感。喉に引掛った小魚の骨のようなもの。
なぜ自分を知っていたか?違う。どうも埒があかない。
誰かが淹れておいたのだろうか、サイフォン式のコーヒーメーカーからコーヒーを拝借し、カップに注ぐ。
席に戻ればミルクと砂糖は少なめに淹れて、スプーンでかき混ぜれば、枯葉色に染まる液体。
ソレを一口含み。
コーヒーを口に含んだ所で違和感の正体は掴めない。
違和感を知るために、アイリスは頭の中で情報を整理する。
そこはアイリスがテーブル席を乗っ取っているだけで、普段と何も変わらぬAGカフェの店内であった。
- 85 :名も無き異能都市住民:2012/03/26(月) 22:32:40 ID:wezxvRSg0
- 「解らないな……」
路地裏には静寂が支配していた。
闇に純白の閃光が嘶いただけ。
束の間の喧噪が泡立つ暇なんてものはそこには無かった。
3人程の男が一つの白の周囲に転がっていた。
白は困ったような表情で三人を眺めた後、溜息を吐いた。
- 86 :?:2012/03/26(月) 22:43:29 ID:dL8H4NjE0
- >>85
「何が解らないのかが私にはわからないけど」
その少し先。
路地裏から通りの方へとつながる場所。
そこに、桃色の髪を持つ一人の少女がいた。
「とりあえず、そこの男たちは生きてんの?」
相手がどういう出方をしてくるかわからないからか、近づかず、
遠くから倒れてる男たちを指さして言う。
- 87 :名も無き異能都市住民:2012/03/26(月) 23:02:37 ID:wezxvRSg0
- >>86
「色々、さ」
現れた少女に驚く風も無く言葉を返す。
声のする方に真紅の瞳を向けて眺める様は至極冷静。
「例えば、この人達の素性や動機。
尤も、今からそれを探るんだけどさ」
そういうと、視線を少女から外し、男たちの元へ。
適当に一人を選ぶと、屈み所持品を漁り始めた。
「殺しはしないよ」
一人目からは大したものは得られなかった様で。
立ち上がると二人目へ移動する最中に其方に視線を向けた。
- 88 :?:2012/03/26(月) 23:11:31 ID:dL8H4NjE0
- >>87
「ああなに、襲われたのを返りうちにでもしたの?」
それなら君たちに過失がありますなー、と笑って男たちの方へ歩く。
確かに、死んではいないようだ。
「襲うならもーちょっとか弱そうなのを選びなさいよねー」
気絶している男の頬をつんつんとつつきながら言う。
「あ、私は偶然通りかかったものです、敵意はないんで安心してくださいなー」
相手の視線に気づき、少女は軽く頭を下げる。
その口調、動作の一つ一つが、どこかおどけているようにみえる。
- 89 :名も無き異能都市住民:2012/03/26(月) 23:27:54 ID:wezxvRSg0
- >>88
「悪かったね。怖がらせてしまったかい?」
三人の男たちは、何れも気絶しているだけの様だ。
全員、目立った外傷などは一切なく、後頭部に強い打撲の跡が一つずつあるのみ。
「……まぁ、要は相手の見極めってことかな?」
少女の言葉に溜息を見せる。
純白に視線を注げば解るだろうが、そうとうにか弱そうだった。
身長は175弱程度はあるのだろうが、腕や足が酷く細い。
三人を伸してしまう様な人間の細さでは無く、そこらの一般人と比べても圧倒的に華奢だった。
それと同時に、視線を注げば解る事がもう一つ。
純白の人間は正しく純白であった。
肌は不健康な青白さでは無く、純粋に白。衣服も美しく統一された白。
頭髪は月の光を受けて白金に輝き、視線は紅い。間違いなくアルビノの人間だった。
「こちらこそ。余り戦闘は得意では無いから、そこの所よろしくね?」
苦笑いに近い笑みを浮かべて。
- 90 :?:2012/03/26(月) 23:44:46 ID:dL8H4NjE0
- >>89
「いえいえ、別に死んでようが生きてようが大して関係ないですし」
声をかけられると、すぐに興味の対象は男たちからそちらへ
「ま、そんな感じですね」
異能都市で外見と強さが比例していることは多くない。
見た目が明らかに弱そうな人物は逆に注意した方がいい、とさえ少女は考えている。
アルビノなんて警戒心を強くする材料にしかならない。
だからこそ、最初無闇に男に近づかず様子見したわけだ。
「成人男性を三人も倒しておいて何をいいますか」
それだけできるなら、普通は得意な部類に入っている。
まあ、その普通が通用しないのが異能都市なのだが。
「それで?何か手がかりとかあった?それともただのかつあげ?」
こちらもガサゴソと男たちの所持品をあさり、金目のものを片っ端から取っていく。
この少女の辞書に遠慮の2文字はないようだ。
- 91 :名も無き異能都市住民:2012/03/26(月) 23:56:05 ID:wezxvRSg0
- >>90
「へぇ……成程」
少女の言葉を聞くと、疑問を投げかける為にそちらを向いた。
しかし、少女の行動を見るなり、掛けようとしていた言葉をしまい、変わりに最後の一言を。
因みに、金品には手を付けていないらしく、男達の身に付けている分全てが取り放題だった。
「偶々、だよ。
僕との相性が良かった。と言う事かな?」
ククッ。
喉を鳴らして笑みを浮かべつつ答えた。
少女が再びこちらに掛けてきた声には、表情を一変させ、真面目な顔で答える。
「全く。ただのあつあげみたいだね」
残念だ。そう言いたげな表情をして、ため息をついた。
- 92 :?:2012/03/27(火) 00:16:04 ID:dL8H4NjE0
- >>91
「相性、ね……」
少し眉をひそめて呟く。
こういう底が知れないタイプの人間はどうも好きになれなかった。
「そうっすかー……」
こちらは少し安心したように。
何か面倒事に巻き込まれてしまうと厄介だからだろう。
なので、男の残念そうな表情に対し、少女は少し訝しげな表情をした。
- 93 :名も無き異能都市住民:2012/03/27(火) 00:29:57 ID:wezxvRSg0
- >>92
「……何かあるのかい?」
少女の眉を潜めた表情。訝しげな表情。
感情の全てを感じ取って、首を傾げた。
素性が解らないのは、お互い。
少女が訝しげに此方を見る様に、此方も少女に疑問は抱く。
ただ、少女が眉をひそめても、此方は微笑みを絶やさずにいるが。
「十分に頂けたかな?」
表情、声色。どちらも楽しげな物に変わって。
金品を盗んでいる事を、本人は咎めているつもりは無いのだが、図らずもそう聞こえてしまうのだろう。
- 94 :?:2012/03/27(火) 00:39:54 ID:dL8H4NjE0
- >>93
「いいえー何もー」
相手がわざと聞いてきたことなど分かり切っている。
ならこちらもわざとらしく言うだけだと、少女は笑う。
「ええ、それはもう」
とがめていようがいまいが少女には関係のないことだ。
元々この男たちも金品を強奪しているのだし、罪悪感など一切なかった。
少女は男たちの持っていた財布から金を取り出し、いくらか相手に渡そうとする。
「分けあいっこしましょうか」
笑顔で言う。
もちろん、念のための口止め料であることは言うまでもない。
どうせならこいつも巻き込んで共犯にしてしまえ、というわけだ。
- 95 :名も無き異能都市住民:2012/03/27(火) 00:56:47 ID:wezxvRSg0
- >>94
「……それなら良いんだ」
意外と呆気なく退いていく。
興味が薄かったのか、それとも深い意味は無かったのか。
「成程……そう言う事なら貰っておくよ」
口止め料と理解したらしく、少女の差し出した幾ばくかの金を笑顔で受け取る。
「今から買い物に行く途中だったからね、足しに使わせてもらうよ」
- 96 :?:2012/03/27(火) 01:04:24 ID:dL8H4NjE0
- >>95
「ええ、是非もらってください」
そうすればあなたも共犯になりますし、とはもちろん言わない。
少女は満面の笑みを顔に浮かべ、「確かに渡しました」という。
「買い物ね、私はとくに用事もないし、そろそろ帰るとするよ」
男に背を向け、背中ごしに手を振って。
少女は通りに向かって歩き出した。
- 97 :名も無き異能都市住民:2012/03/27(火) 01:14:20 ID:wezxvRSg0
- >>96
「そうさせてもらうよ」
自分の分け前を減らしつつ、身の安全に回す。
少女の世渡りの上手さ感じ、一人でに「ふむ」と呟いて。
「ああ、それじゃ」
そう言うと、少女に小さく手を振って見送る。
もう一度男達を眺めた後、やはり溜息を吐くとその場を後にした。
- 98 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 14:22:09 ID:j3F3Rpmc0
- 異能都市、とある大通り。
「……文明ってのは偉大だなあ、全く」
快晴、という程でもない。
むしろ雲の方が多いくらいの天候なのに、その男は日傘をさしていた。
「僕みたいに日に弱い連中でも、大手を振って外歩けるなんてのは実にいい事だ」
パーカーについたフードを深く被り、彼は歩く。
猫背気味で独り言を呟き、口元は楽しそうに口角が上がっていて。
不審者もいい所ではあるが、この街ではさして珍しい風体でもないのかもしれない。
- 99 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 14:26:42 ID:WVrfsEdY0
- >>98
「あったかくなってきたかなの〜…」
【前の方から包帯を全身に巻いた少女が空を見上げて歩いてくる】
「こんなひは」
【そう言ってホット一息ついて】
「なにかしようかわからないなの〜…」
【気の抜けた声でぼーっとした顔をしていった】
- 100 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 14:32:48 ID:j3F3Rpmc0
- >>99
「いやはやしかし凄いな、日傘教とかあったら迷わず入っちゃうぜ全くへへへ」
遂に笑い声まで漏らし始めた。もはや外界は見えていない。
下を向いて歩く青年と、上を見上げて歩く少女。
二人がそのまま一直線上を歩けば、どうなるかは言うまでもないが―――
- 101 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 14:35:28 ID:WVrfsEdY0
- >>100
「なんかあかるいなのー」
【雲の切れ間から日が差してくる】
「どうしようかなの…わかんないの〜」
【などとよそ見したまま歩いていると】
ドンッ
「あう!」
【前方から歩いてきていた伏見にぶつかってその場に尻餅をついてしまった】
- 102 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 14:40:21 ID:j3F3Rpmc0
- >>101
「おっ、と、と……」
体格差もあり、ぶつかった(あるいはぶつかられた)彼は、倒れたりはしなかった。
しかし、突然の事に驚いてか、その手に持っていた日傘を落としてしまう。
日の照りは強くなってきている。
「悪い悪い、立てるか? ……って、ああ。誰かと思えばこの間の」
落とした日傘にちらりと目を遣るが、伏見はまず倒れた少女に手を差し伸べた。
- 103 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 14:43:46 ID:WVrfsEdY0
- >>102
「あうー、まえみてなかったの…」
【反省した顔をしている…】
「あうー、『ふしみ』なの〜。
へーきへーきなの!」
【差し伸べられた手を軽く握って立ち上がる】
「なんかあったかくなってたから、ちょっとぼーっとしてたかもしれないの〜」
【恥ずかしそうに返す】
- 104 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 14:52:54 ID:j3F3Rpmc0
- >>103
「全く、前くらい見て歩けっつーの」
第三者がいれば「お前が言うな」とでも言っていただろう事を宣う。
「……、おう、そうだ、伏見さんだぞ」
(ああそういえばこの娘には苗字で呼ばれているんだった)
なんて事を思い出し、少しの間を置いて答える。
ディスが立ち上がったのを確認すると、彼は落とした日傘を拾い上げた。
「奇遇だな、僕もこの陽気にやられていたのかもしれない。
そうでもなきゃ、今日日誰かとぶつかったりなんかしないだろうよ」
拾い上げた傘は面倒になったのか差さない。
- 105 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 14:57:04 ID:WVrfsEdY0
- >>104
「あうー、きおつけるなの」
【見てなかったからなのか、ディスは素直に謝っている】
「うんうん、ちゃんとおなまえおぼえてたよなの〜」
【うれしそうに頷いて返す】
「やっぱりそうなんだなの〜!
そうだよねなの〜。あったかくなってくるとなんか、きぶんよくなるの〜」
【軽く微笑みながら答える。ディスの顔もなかなか朗らかである】
- 106 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 15:08:07 ID:j3F3Rpmc0
- >>105
(まあ、伏見でも樺根でもいいって言ったのは僕だったし……)
自分の適当さを少し省みて、伏見は溜息をついた。
「あー……まあ、暖かいのに関しては、僕も別に構わないんだが」
と、そこで言葉を切り、上を見上げる。
正確には頭上、広がる空に燦々と輝く太陽を。
「ちょっとアレは、僕には眩しすぎるんだよな」
呟く彼の顔が、ちりちりと音を立てながら焦げ始める。
再び溜息を履くと、彼は面倒そうに傘を差した。
- 107 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 15:12:30 ID:WVrfsEdY0
- >>106
「そうだよねなの〜。
あう?なんかへんなの…」
【どこか様子が悪そうなのを見て、不思議そうに伏見の顔を見る】
「…あう、なんでそういうふうになるなの?
えーっと…きゅーけつきさんだったっけなの?」
【必死になって考えて、答える。】
- 108 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 15:24:03 ID:j3F3Rpmc0
- //溜息履くってなんだ……"吐く"ですハイ
>>107
「吸血鬼って……難しい言葉知ってんなあ」
感心したように頷き、呟く。
「別に血吸ったりする訳じゃないけど、まあ、大体そんなもんか。
僕は“不死族(アンデッド)”の血筋を引いててな。まあ、寿命でしか死なない人間みたいなモンさ」
人間に“生ける屍”の属性が付与された、そんな血族。
手に持った日傘をくるくると回しながら、彼は言う。
「日光で焼かれてもすぐに再生するから、別にいいかな、って思ってたんだけど。
やっぱ痛いもんは痛いし。慣れれば別にいいんだけどー……と、悩んだ結果の“傘(コレ)”だ」
- 109 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 15:27:40 ID:WVrfsEdY0
- >>108
//どんまい!
「あうー、かぞくとおともだちにいるんだよなの〜」
【微笑みながら答える】
「あうー、あんでっど…しらないのがいっぱいあるんだなの〜…
でもなんかすごそうなの〜」
【どこか納得した風に答える】
「いたいなの?それはたいへんなの…
これくらいでもだいじょぶなんだなの?」
【日傘をじーっと見て答える】
- 110 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 15:36:28 ID:j3F3Rpmc0
- >>109
「マジか!? ……こほん、いや、随分すごい環境だな。
この街ってそんなに吸血鬼多かったっけか?」
思わずびっくりして、改めるように咳払い。
「一、二年は住んでるけど、吸血鬼なんか殆ど会ったことないぞ」
外出をあまりせず、しかも友人関係が希薄なこの青年。
身近に吸血鬼がいても、それを知る機会がないだけなのかもしれないが。
「ああ、思ってたより効果はあった……ただな、面倒なんだこれ差すの」
自分の肌が焼け焦げるのと、傘を差す手間を天秤にかける。
どこか価値観がずれているのは、不死族として生きてきたからだろう。
- 111 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 15:41:09 ID:WVrfsEdY0
- >>110
「そうなの!ほかにも、とにかくいーっぱいなの!
いっぱいいるなの!」
【大きく両手をひろげて言う】
「あうー、いろんなところあるいてたらあえるんじゃないかなの」
【首をかしげて言う】
「そんなにめんどうなのかなの〜?
それだったら『でぃす』がてつだってもいいんだけどなの」
【じーっと傘を見つめ始めた】
- 112 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 15:48:17 ID:j3F3Rpmc0
- >>111
「色んな所……ああ、やっぱいいかな。うん、直に会う時が来るだろう」
自分から行動する気はないらしい。
「いや、女の子に傘持たすのも悪いし―――つか、第一届かないだろ」
いいよいいよ、と、手を振って遠慮する素振りを見せる。
後半は、何を言っているんだというような雰囲気で。
「僕は別にしゃがんでまで傘差して貰おうとは思わないぜ?」
- 113 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 15:55:25 ID:WVrfsEdY0
- >>112
「あうー、おみせとかにもいるかもしれないよなのー」
【じっと顔を覗きながら言う】
「あうー、かさをもつのだったらこういうことができるなの〜」
【ディスがほほ笑んでいった途端に】
【ニュルニュルと腕に巻かれていた包帯がヘビのように伸び始める】
「これでかさをもっていけるなの〜」
【誇らしげにうねりを見せる包帯を動かしている】
- 114 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/31(土) 16:09:44 ID:j3F3Rpmc0
- >>113
「そんなもんか。んー、少し気になってきたな」
そういう店があるなら、と、腕を組んで。
「え? うお、何だそれッ……!」
自由自在に動く包帯に驚き、目を丸くする。
「すっげえ……まさに能力者っぽい能力だな、てか、マジちょっと、うお、うおお」
感動しているのか、言葉が出ない。
わなわなと慄き、死人のような瞳にはキラキラと光が差す。
ふと、手からまた傘が落ち―――
「あ」
風が吹き抜けた。
伏見の手からすっぽ抜けた日傘は、風に乗ってふわふわと遠く遠く……段々と小さくなってゆく。
ただでさえ青白い伏見の顔が、更に青くなっていく。
「わ、悪い、ちょっと、傘、追いかけないと……! じゃあ、な!」
適当な挨拶を残して、伏見はその場を去っていった。
駆けて、というより、跳躍しながら、傘同様に小さくなって、その姿は見えなくなった。
- 115 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 16:15:11 ID:WVrfsEdY0
- >>114
「あうー、みつけてみたらいいとおもうよなの〜!」
【そう言って微笑んだ】
「そんなにすごいかなの…のーりょくっていうのだからなの…
そんなにびっくりされるとなんかてれるなの」
【照れくさそうに言った】
「あ、かさがとんでっちゃったなの!」
【びっくりした顔で傘を見つめる、慌てているのはディスも同じ様であるが】
「わかったの、いそいでねなの〜!」
【大きく手を振って見送っていった】
「そらもとべるのかなの…」
【不思議そうな顔でじっと見つめていた】
- 116 :欠け耳のボロッブ:2012/04/06(金) 23:38:45 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「――ふう。」
ムール貝がごろごろと入ったパエリアを
自前の木製の器に入れ、カウンターへ。
最近は都市中を商談で飛びまわり休む暇もないボロッブであったが、
ようやく暇を見つける事ができたのであった。
- 117 :柊宇都 綾:2012/04/06(金) 23:58:05 ID:wezxvRSg0
- 「……」ムグムグ
同じくAGカフェ。
隅の方の席でパンを口にしている綾。
一口サイズ程度に千切り、バターを塗って口に運ぶ。
ヴァージニアを探すにあたって、外の世界に出るようにしたのだが、特にあては無く。
そんなとき、ヴァージニアに『蘇生』技術を施したとき、傍に人が居たのを思い出した。
それがここの店長だとしって来てみたのだが、姿を現す様子が無い。
取り敢えずは、『普通』の生活に慣れる為にこうして普通の食事をとっては見ている。
>>116
顔の左半分が髪に覆われて、機能している視界は右のみ。
その視線は目前のパンでは無く、ボロッブへと向いていた。
数年前まで『一般普通』の人間であった綾にとって、ニュアンスで言えばファンタジー系のそれは珍しく見えたのだろう。
観察。と言った様子で視線を注いでいるのだが、どうにも無表情なのでそれが伝わる可能性は薄く。
- 118 :欠け耳のボロッブ:2012/04/07(土) 00:14:34 ID:SSMHlh/20
- >>117
小鬼は成長してもあまり背が伸びないのか、
それなりに年を取っているようにみえるボロッブでも、
子供ほどの背丈しかなく、椅子に座ると足が地に付いていない。
「……ん、なんぞ?
あっしの顔に何かついてるかねえ?」
カフェ内のTVで流れていたニュースのスポーツコーナーを眺めていたボロッブであったが、
じいと視線を注がれていれば、さすがに気づく。にい、と人が良さそうに笑って見せたが
歯は黄ばみ、人間と比べて大きな鼻の頭はなにやら煤のような汚れがつき、黒くなっていた。
- 119 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 00:20:54 ID:wezxvRSg0
- >>118
視線は耳の先から順に下って行き、鼻を通って足へ行く。
一通り眺めたところで目に戻る。
「珍しい」
パンを飲み込むと、そう答えた。
言葉はぶつ切りの上に単品。
声も小さく、抑揚に掛けていることから喋る事自体が得意でないと推測するのは容易だろう。
- 120 :欠け耳のボロッブ:2012/04/07(土) 00:30:12 ID:SSMHlh/20
- >>119
「ほへえ、珍しいかい?
なあるほど、どうやらあっしらみたいなのが
居ない世界からこの街に来たんだなあ。」
この小鬼はどうやら陽気な性質らしく、
ふぇっふぇっと笑い声を漏らし、瓶ごとラムをあおった。
「ここから少しはなれたところに、あたしらみたいなのが
多い区画があるから暇な時にでも行ってみな。きっと面白いと思うよ。」
- 121 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 00:57:35 ID:wezxvRSg0
- >>120
「うん」
やはり、会話のボキャブラリーに乏しかった。
会話を広げると言う事も難しいようで。
ボロップの酒にもチラリと目をやったが特になし。
「知らなかった。行く」
珍しい生物に興味が無い訳では無い。
単純にその地を知らなかったので行ってみる価値はある。
新しい場所へ行けばヴァージニアについても何かわかるかもしれない。
ボロップの耳をじっと眺めながら、
「触っていい?」
やはり興味があるらしく。
人語を喋ると言うところも彼女には興味深く。
- 122 :欠け耳のボロッブ:2012/04/07(土) 01:04:07 ID:SSMHlh/20
- >>121
「おう、じゃあ一応地図を描いてやろう。
まー、この辺の人に聞きゃあわかるかもだがねえ。」
ポッケから、ボロボロの羊皮紙を取り出すと
その上に羽ペンをひょいと投げる。
――カリカリカリッ
すると、ペンは独りでに宙を舞い精巧な地図を描き始める。
「ん、ええよ。ほれほれ。」
もふもふとした毛皮の帽子をとると、長い耳がぴんと立つ。
右耳はどういうわけか先端が少し欠けてしまっていた。
// ごめんよ、なんか眠いからそろそろ寝ちゃう。おやすみ……。
- 123 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 01:10:17 ID:wezxvRSg0
- >>122
自動的に書き進めていく羽ペン。
それを眺める瞳は僅かに見開かれていた。
パチパチと何度も瞬く様子は驚きを現していた。
「ふむ」
了承を得ると手が伸びる。
早速。と言った風で間髪入れずに手が伸びるあたり、興味の色合いを知るだろう。
結構長い間触った後「ありがとう」と礼を言い、羊皮紙を受け取って店を去って行った。
//うむー。おやすみなさいませー!
- 124 :シロード・スィヴェア:2012/04/08(日) 18:18:17 ID:1sJsd2CgO
-
都市に謎の飛翔体が墜落した。
アスファルトにぶっ刺さったひたすらに真っ黒な塊――
風を受ける翼も、推進力を生み出すプロペラも、一切合財なんにも無い。
騒ぎを聞きつけ増える人集り。
関心を注がれた黒い塊、ずるりと表面が真四角に開いた。
「……うおっ、眩しッ!
ナンジャコリャ、目が痛てぇ」
中から男の人が出てきた、全裸で。
それからしばらくして。
通報を受けた警官に現行犯として取り押さえられた。
「ここは何処だ、アンタ等何者だ」
「俺は掘削機から脱出しただけだ」
「(太陽を指差し)あの赤い光を消せ」
など意味不明な事を叫びながら抵抗していたが、問答無用で連行された。
その後の取り調べによると
男の名前はシロード・スィヴェア(自称)
偶然、異世界から歪みを通して都市に迷い込んだ『旅人』であるらしい。
- 125 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 18:50:42 ID:WVrfsEdY0
- 【異能都市の人だかりの中に一人の包帯を巻いた少女が居た】
「・・・んー?よくみえないの・・・
なんかさわいでるみたいなの」
【不思議な顔で人だかりを見ていたが・・・どうにも入れないために断念したようだ】
【それからしばらくして】
「・・・あうー・・・なんだったのかなの・・・
あのひとだかりはなの」
【不思議そうな顔でそのへんを歩き回っていた】
- 126 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 18:51:25 ID:WVrfsEdY0
- //アンカーを忘れてました
//>>125は>>124あてです
- 127 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 21:23:27 ID:.6prKP66O
- >>125
少女が道を歩いていると、物凄い大きな歌声が聞こえてきた
「私はアウテリート♪プリティアウテリート♪」
声の主は真っ白な服に身を包んだ少女
プリーツのミニスカートを遠慮なしに翻し、まだまだ肌寒いこの時期にもかかわらすワキ丸出しのその服装
首からネックレスの様にぶら下げる古びたゴーグル
白いミニスカートと白いサイハイソックスの間に見える健康的な太もも
それに巻き付くように装着された細目のホルダーには神秘的な装飾の施された短剣が輝く
白いブーツを鳴らして道を行く
巨乳とまでは行かないが少し大きめの胸を張り道を行く
その名は!
「プリティ・アウテリート!!」
- 128 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 21:32:47 ID:WVrfsEdY0
- >>127
「あう?へんなうたがきこえるなの…」
【不思議そうに首をかしげ、歌のする方を見る】
「ん〜!『あうてりーと』なの!
なんでへんなうたしてるのかなの〜?」
【嬉しそうな顔をしてアウテリートの方へと歩いていった】
- 129 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 21:41:28 ID:.6prKP66O
- >>128
ノリノリで歌っていたお嬢様はディスの姿を確認すると歌を止め
「あらディス……貴方、そんな笑顔で私の歌を変だなんて……実は毒舌?」
本人はかなり自信があったらしいが……これはディスが正しい
「なぜ歌っているかと言いましたわね?そりゃ、私のこの溢れ出る可愛さ、可憐さ、美しさ、妖艶さ……全てが全て!完璧過ぎるからですわ……」ドヤァッ
凄いドヤ顔でディスに歌っていた理由を語る
- 130 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 21:45:00 ID:WVrfsEdY0
- >>129
「あうー、ごめんなさいなの…
おもわずへんなのっておもっちゃったなの」
【天然なのか全くのフォローも至らずに謝った】
「そんなにすごいうただったのかなの…
うーん、へんなのとおもったのはちがうのかなの」
【どうやら感心しているらしい…】
- 131 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 21:54:03 ID:.6prKP66O
- >>130
「あ、また!……これは貴方……マッドドッグの才能がありますわよ……」
ぐぬぬと唸りながら苦虫を噛み潰した表情を浮かべる
「変じゃないですわよ、それはそれは高尚な歌ですわ……ん?……謳って言ったほうが……いや、謡?」
なんやかんやで適当さが伺えるお嬢様
- 132 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 21:56:43 ID:WVrfsEdY0
- >>131
「まっど…?あうー、どういうさいのーなんだろなの…」
【ディスの顔は全く悪意が感じられない。余計に立ちが悪いかも知れないが】
「あうー。うた…っていろんないいかたがあるのかなの?
その…いっぱいあるからかなの〜」
【漢字で読めないディスは違いを比べることがよくできないようである】
- 133 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 22:05:07 ID:.6prKP66O
- >>132
「ふ、知らない内はまだいい子でいれますわよ……」
遠い眼をしながら空を見上げる……また考えなしに口から出た言葉である……しかし中々的を得ているという事を……二人は知らない
「格好良いかどうかの違いですわよ……あ!思い出した!!ディス、貴方……ちょっと来なさいな」
お嬢様が道の隅に移動すると、仕えていたメイドもついていく
- 134 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 22:10:25 ID:WVrfsEdY0
- >>133
「あうー。そういうことなのかなの…」
【不思議そうな顔で答えた。】
「そっかなの〜…さっきのはかっこいいでいいのかなの」
【そう言って納得したように頷いた】
「あう?なんなの?なにかあるの?」
【首をかしげながら後をついていった】
- 135 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 22:18:49 ID:.6prKP66O
- >>134
「ディス……注射は好きかしら?」
お嬢様がそう言うと、メイドが流れるような手捌きで簡易テーブルと注射を用意する
メイドは水のマナ、なので消毒等々……注射をする時の心配事はナッシング
「お父様に頼まれましたの、貴方の血を採って来るようにと」
- 136 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 22:22:42 ID:WVrfsEdY0
- >>135
「ん?ちゅーしゃ?
あうー…がっこでやったことあるかなの…」
【予防接種みたいなのを学園でもやっているのだろう。】
「ぜんぜんへーきなの!」
【腕を大きく振って答える】
「あう?ちをとってきてなの?
なにかにひつよーなの?」
【不思議そうに言う】
- 137 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 22:30:00 ID:.6prKP66O
- >>136
「あら、それなら良かった……大体の子は嫌がるんですのよ」
注射とは子供にとって、圧倒的恐怖の対象である
しかし、ディスは平気な様で、お嬢様は安心
「何に使うかは私も知りませんのよ、まぁでもお父様ですから、きっと素晴らしい事ですわ!」
- 138 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 22:39:44 ID:WVrfsEdY0
- >>137
「あうー。ぜんぜんいたくないしなの〜」
【どうやらそういう感覚のないディスには何とも無いものらしい】
「あうー。でも『じょうげん』のことだから…
だいじょぶなの」
【あっさりと納得した】
- 139 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 22:47:51 ID:.6prKP66O
- >>138
「そう言えばそうでしたわね……じゃあ、やりますわよ〜」
お嬢様がそう言うとメイドが椅子に座り、テーブルを挟んで迎えに座るようにディスに促す
- 140 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 22:49:59 ID:WVrfsEdY0
- >>139
「あうあう、わかったの。
そこにすわったらいいなの?」
【促されるままディスはそのイスに座る】
「このひとはだいじょぶなのかなの?
いすになってるけどなの」
【さっきメイドだった人が椅子に変わったので気になっているらしい。椅子を軽くさすっている】
- 141 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 23:03:34 ID:.6prKP66O
- >>140
「それじゃあ、手を出して……」
メイドがディスの手に太いゴムを巻き付ける
「はい、ニギニギしなさいな」
お嬢様はそう言いながら後ろで見ていた
するとメイドがディスの腕を指先で撫でる、するとその部分はまるでアルコールを塗られた様にスーッと冷える
- 142 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 23:06:25 ID:WVrfsEdY0
- >>141
「あう、こうすればいいんだねなの」
【軽く頷いて手を出し、腕をニギニギする動作を行う】
「あうー、なんかあつくないなの〜」
【アルコールを塗られる感覚には慣れてないようだ。少し不思議そうに見つめている】
- 143 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 23:14:30 ID:.6prKP66O
- >>142
「それじゃあ、行きますわよ」
お嬢様の合図と共に、注射器がディスの腕、血管へと打ち込まれ
空の注射器中に血がドンドン貯まっていき……
メイドは注射器を慣れた手つきで丁寧に抜く
「はい、おしまいですわよ!」
注射跡に脱脂綿をあてがいテープで固定する
- 144 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 23:17:22 ID:WVrfsEdY0
- >>143
「あうあう、どうぞなの」
【ディスは目を瞑ることなく注射器が刺されるのをじっと見つめていた】
「なるほどなの〜。
こんなふうなんだなの」
【血液を興味深そうに見ている。単なる興味だろうか】
「…あうー。おしまいなんだなの〜。
おもったよりはやかったの〜」
【にこにこして答える】
- 145 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 23:27:00 ID:.6prKP66O
- >>144
「そりゃあ、こういう事をモタモタやる訳にはいきませんわよ」
その間にもメイドは素早く注射器とテーブル等をしまいながら
「うん、完璧ですわね!後はお父様に届けるだけですわね!」
お使いを果たした子供のように、お嬢様はやりきった顔をする
- 146 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 23:30:20 ID:WVrfsEdY0
- >>145
「あうあうー。なんだかはやかったなの〜」
【軽く驚いているが、嬉しそうだ】
「あうー。でもそんなに『でぃす』のちはそんなにすごいのかなの〜?
なににつかうのかきになるかなの〜」
【若干機になっているようである】
- 147 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 23:34:46 ID:.6prKP66O
- >>146
「私にもわからないんですのよ……一体何に使うんでしょうね?」
お使いを頼まれただけのお嬢様は何に使うかはわからない
「ディスは何に使うと思います?私はさっぱり見当がつきませんわ」
- 148 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 23:41:38 ID:WVrfsEdY0
- >>147
「あうー?なににつかうんだろなの…」
【しばらく唸ってから口を開く】
「うーん…なにかつくったりするのにひつよーなのかなの…」
【なんとなく答えてみる。とは言え自信なさそうだ】
- 149 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/04/08(日) 23:47:20 ID:.6prKP66O
- >>148
「ん〜……どうなのかしらね……私も聞いておけば良かったですわね」
お嬢様も首を傾げながら
「まぁ、わからないのを考えても仕方ありませんわ!
とりあえずこれをお父様に届けないといけませんわ!」
そう言うと、ゆっくりと歩きだし
「ディスも気を付けて帰るんですわよ?じゃあね!」
笑顔で手を振り、アウテリートは帰路に着くのだった
//お疲れさまでした!
ちょうどいいタイミングで終われたと思うでござる!
- 150 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/08(日) 23:54:21 ID:WVrfsEdY0
- >>149
「あうあう、とりあえずきいてみてなの〜。
『でぃす』もおしえてほしいっていってたってなの〜」
【大きくうなずき答える】
「わかったの〜。
きおつけてかえってねなの〜」
【大きく手を振りながら見送っていった】
「あうー。ちゃんとおうちにかえってるかなの…」
【同居する人のことを心配しながらその場を去っていった】
- 151 :名も無き異能都市住民:2012/04/12(木) 23:03:11 ID:WVrfsEdY0
- 【異能都市…の一角にて】
「ぬおおおおおおおお!」
【横断歩道を凄まじい勢いで走り抜けていく姿がある】
「だらっしゃ!!」
【その女性は背中におばあちゃんを抱えている】
「ふう…ここまで来れば大丈夫だよ!!
おばあちゃん!気をつけてね!」
「おー…ありがとうねぇ、これからも頑張るんだよぉ」
【おばあちゃんはよぼよぼとその場から歩きさって言った】
「ようし!なかなかいいことしたかもね!」
【その女性は、額の汗を拭う動作をして爽やかに微笑んだ】
【しかしよく見るとその女性は…?】
- 152 :アイリス:2012/04/12(木) 23:11:52 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
出入り口のドアが開かれ、音がなる。
アイリスの手には小さな紙袋。照明に照らされ、映える黒地。
実物の金箔を使用されており、鮮やかな輝きを放つ、5ミリ程度のラインは紙袋の右下で交わっており。
中身は以前クロスが欲した、三種の茶葉。
それぞれにアルミ缶にラベルが貼られており、伸縮性に富む金色の糸と紙を繋ぐものは蓋に引っ掛けられており。
コチラの言葉に訳した、茶葉の特徴を書いた紙。アイリスの手書きなのか、若干丸字である。
『レフェクティオ』
癖は少なく、甘みを持つ茶葉。独特のフレーバーを持っている。
色は濃茶
『アルマ・フェレス』
レフェクティオより甘みが強い茶葉。フレーバーは非常に薄い
色はオレンジ
『ヴォル・イグニス』
渋みと甘みのバランスが良い。甘いフレーバーは強い。
色は濃赤
三種類の茶葉が入った紙袋をカウンターに置く。
おまけにと、コーヒーの新種のサンプルを一緒に入れておく。
これはアケルプスという名の豆。
既に挽かれている状態で有ろうとも、開封すれば上品な香りが漂う一品だ。
味は僅かな酸味と強いコクがある。それらを一纏めにして、アイリスはAGカフェを去って行った
- 153 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/12(木) 23:17:37 ID:HnkBBDEo0
- >>152
「おお、いらっしゃい」
カウンターの奥、男は振り向いた。
眼帯の位置を直しつつ、片手でオーブンから金属製の容器を取り出す。
どうやらマドレーヌを焼いていたようだ。
「そろそろ来ると思っていたぜ」
マドレーヌを冷まし器の上に乗せ、クロスはカウンターから顔を出す。
「来たな来たな……いやー、楽しみにしてたんだー」
そう言うと目を輝かせながら、ヤカンに水を入れて火にかけた。
- 154 :欠け耳のボロッブ:2012/04/17(火) 23:20:51 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
本誌独占情報入手!人外連続殺害事件は
連続放火事件と同一犯の犯行と特定!この記事が読めるのは本誌だけ!
……などと、いかにも大衆受けを狙った謳い文句が表紙にデカデカと踊る3流タブロイド紙を片手に、
カフェの冷蔵庫に会ったレンズ豆の缶詰をサルサなどで適当に煮た物に口を付けるボロッブ。
「世も末だあねえ、こういう類の事件は一文の得にもなりゃあしねえからなあ。
はてさて、明日はもっと景気のいいニュースでもありゃあええが。」
- 155 :ヴァージニア:2012/04/18(水) 23:03:05 ID:EKf.bKhc0
- ヴァージニアは現在、紅紫の園で一日二度の給仕を務めている。
いや、正確には務めさせられている。庭園の主が、彼女を気に入ったのだ。
そもそもこの庭園の主がちょっと変わった趣味を持っていて、その為に連れ去られた。
彼女は既に使い魔のような存在で、主人となる者の存在もあるが、
庭園の主は彼女に魔眼の力を掛け、暗示により強制的なコントロールを受けているようだ。
そんな彼女は現在、珈琲豆の買い付けを命じられ、街へと出ている。
庭園の主は、支配能力に自信があるのか、枷など付けずに外へと送った。
誰かを誘き寄せるといった意図も少なからずあるのだろうか。
メモ用紙を見ながら向かった先は、小さな珈琲専門店。
庭園の主は特に味や匂いにこだわりがないので、一番高いものを買ってこいと告げた。
中の人は銘柄を特に知らないのだが、キリマンジャロとか高級そうなイメージがあるので、
それが店の中で一番高い品物となった。その値を自慢するかのように、彼らは高みより庶民を見下す。
というのも、一番上の棚にあるので、どうしても構図がそうなるのだが。
ヴァージニアは身長的に低い方なので、棚の一番上へは手が届かない。もどかしい様子だ。
- 156 :欠け耳のボロッブ:2012/04/19(木) 01:03:58 ID:SSMHlh/20
- >>155
「いやはや、高級な豆をお探しのようで。
いやあ。メモ書きの内容が見えてしまいましてなあ。」
ヴァージニアの背後から、声が投げかけられる。
そこに居たのは、店内に豆を搬入していた商人風の小鬼であった。
「ちょうど我がボロッブ商会がこの店に納入した品がありますぞ。
キリマンジャロも良いですが、コナのエクストラファンシーなど如何でしょう。」
- 157 :ヴァージニア:2012/04/19(木) 01:18:29 ID:EKf.bKhc0
- >>156
「一番高いの、買ってくるように、言われた」
その口調はどこか機械的で、言わされているようにも見える。
視線は明後日の方向を向き、何も見てるようで見てないような雰囲気を感じ取ることができる。
魔眼による操作を受けているのだからそうなっても仕方がない。
「それは高い?」
判断基準が値段が高いか否かなので、そう問いを出す。
懐から庭園を出る前に握らされた、何かを提示して。
「これで買える?」
それはクレジットカードだった。
名義にはきちんと、庭園の主の名が刻まれている。
- 158 :欠け耳のボロッブ:2012/04/19(木) 01:33:34 ID:SSMHlh/20
- >>157
「一番高い物でございますか、少々お待ちください。」
都市にはアンドロイドだとか、ロボットの類も普通に暮らしている。
それが逆に働き、特に不審には思わなかった。
ボロッブは一旦店の奥に引っ込み、店員と少し話をすると
今しがた搬入した、陳列前のパッケージをヴァージニアへと一袋持ってくる。
「ブルーマウンテンの最高級ランクの物です。
指定農園で栽培した物ですから、これはなかなかの物ですぞ。」
一般の喫茶店ではなかなか手が出しづらい、ブルーマウンテンの正規品で間違いない。
値段もそれなりに張るが、クレジットカードで問題なく買う事ができるようだ。
- 159 :ヴァージニア:2012/04/19(木) 01:42:01 ID:EKf.bKhc0
- >>158
「それにする」
最高級という言葉の響きから、それしかないと踏んだのだろう。
買うことに至るまで、即答だった。
「はやく帰らないと、怒られる」
ブルーマウンテンがどんなものなのか彼女は知らないが、
とにかく目的を一つ一つ、迅速に達成するように仕込まれているらしい。
その勤労意欲からか、清算を急かすこととなった。
- 160 :欠け耳のボロッブ:2012/04/19(木) 01:46:12 ID:SSMHlh/20
- >>159
「これは良い物ですよ。今後も、御ひいきに!」
対するボロッブは、無邪気に笑みを投げかける。
カードである以上、決済は一瞬。時間は掛からない。
他に購入する物があれば、ボロッブに相談すれば都合してもらえるかもしれない。
- 161 :ヴァージニア:2012/04/19(木) 01:59:27 ID:EKf.bKhc0
- >>160
「ありがとう」
無骨に謝辞を述べ、珈琲ショップを後にする。
その後、転移アイテムを用いて、指示通りに庭園へと帰還する。
彼女は操り人形の状態であるため、機械的な動きをするが、
庭園の主は、それを望んではいない。
母体となる吸血鬼を探しだし、金でこの使い魔を買い、懐柔。
後は自分のことを心から思う人物として作り上げ、それで庭園の主の心は満たされるのだ。
「今日は、掛からなかったな……」
椅子に座り、珈琲を待つこの男は、今か今かと待っている。
全てを手にしなければ満足しない、難儀な性格の持ち主だった。
// ここまでかな。お疲れ様でした。
- 162 :アーベント ◆AVEND/4h42:2012/04/20(金) 21:01:18 ID:p48pYyyY0
- かつかつと革靴を鳴らしながら、夜の路地裏を歩いて行く黒い人影があった
身長はおおよそ180cm、全身を黒いローブで覆い顔は半分ほどしか伺えない
「しかしまぁ、物騒な世の中だな…」
人影は少々悩んでいた
最近化け物狩りなるものが多発しているらしく、すでに何人かの同朋が昇天したと聞く
確かに、ここの所嫌な雰囲気の人間と何度かすれ違うことが多い
「明日は我が身、かと思うと飯を狩る気にもならんなぁ…」
化物の寄せ集めのような存在たる人影は、登りかけの月を見て静かに呟き―――五感を研ぎ澄まして警戒しながら、割りとひと気の少ない道を歩いて行く。
- 163 :月夜:2012/04/20(金) 21:17:35 ID:dL8H4NjE0
- >>162
その向こう側から歩いてくる人物が一人。
ファストフード店の紙袋を抱え、ハンバーガーを加えている。
「夜食にしては買いすぎちゃったかなっと……」
漆黒の長髪を月明かりにさらし、月夜は呟く。
「……む」
前方の黒いローブの人物に気づいたのか、少しだけ警戒する。
- 164 :アーベント ◆AVEND/4h42:2012/04/20(金) 21:32:16 ID:p48pYyyY0
- >>163
目の前から歩いて来る少女の気が、自分への警戒へと変化したのを感じ取り
男は立ち止まって、静かに月夜を見つめ始めた
「―――……」
アーベントの目が、紅く染まった
一瞬の食欲が彼の脳内を駆け巡り、それをなんとか抑制しようとするが―――どうしても抑えきれない
にぃっ…と鋭い八重歯を見せ、笑う
- 165 :月夜:2012/04/20(金) 21:44:36 ID:dL8H4NjE0
- >>164
殺気に似た何か。
自分が敵ではない、しかし殺戮の対象とみなされている感覚。
何度も経験したあの感覚だ。
「……こんばんは、突然ですけど買いすぎちゃったんでいります?これ」
笑顔で近づき、右手に持ったハンバーガーを差し出す。
それと同時に袋を持った左手を後ろに回し、光の剣を錬成する。
もし襲われても即座に対応できる状態だ。
- 166 :アーベント ◆AVEND/4h42:2012/04/20(金) 22:05:06 ID:p48pYyyY0
- >>165
「―――……ククッ」
差し出されたハンバーガーに少し驚き戸惑い―――それから小さく笑った
そしてハンバーガーを受け取らんと腕を伸ばす
と、同時に赤かった瞳も元の黒い瞳に戻った
「すまないな――化物の性だ」
ぱっ、と両腕を広げて何も持っていない…襲う意思のないことを示す
- 167 :月夜:2012/04/20(金) 22:15:37 ID:dL8H4NjE0
- >>166
「そういうのには慣れてましてね、
とりあえず人しか食べられないようなタイプじゃなくてよかったです」
剣を錬成した拍子に落ちてしまった袋を拾い上げる。
飲み物を入れていなかったのが幸いしたのか、大した被害はない。
ひとまずそのことに安心すると、中からポテトを取り出す。
一人で食べようとしたら軽食の領域を遙かに越えている。
「ま、私なんか食べてもおいしくないですし」
追加でポテトはいかがでしょうかー、と店員の真似をしながら差し出す。
- 168 :アーベント ◆AVEND/4h42:2012/04/20(金) 22:30:03 ID:p48pYyyY0
- >>167
「純正品じゃあないからな」
「こういう時、出来損ないは便利なんだよ」
当方も相手が化物を忌み嫌う存在ではないらしいことを確認し、少しの警戒も解いた
ハンバーガーの包みを丁寧に剥ぎ取り片手で器用に畳んでからポケットにしまい、ハンバーガーを一口で一気に頬張る
それを咀嚼し飲み込むと―――追加のポテトも頂くことにした
「処女の血ならば、不味い者などないさ」
「肉はやはり、育ちの良さが関わって来るがな」
ポテトを口の端に咥え、タバコのように味わいながら彼なりの食人論を説いてみる
…常人には全く縁のないものなのであるが
- 169 :月夜:2012/04/20(金) 22:51:00 ID:dL8H4NjE0
- >>168
「色々混ざってると食べられるのが多くて便利らしいですね」
近くの壁に軽く寄りかかる。
「ふっふっふ、いつから私が処女だと勘違いしていた?」
ニヤリと笑いながら言う。
あまりにも芝居がかった口ぶりなので真実かどうかは分からないが。
「私の肉を食べるのはおすすめしませんよ、あまりいいものは食べてないですし」
「まあいいもの食べてようがきっとクソ不味いでしょうけど」
ポテトを口に放り込む。
最近になってやっと塩辛さをおいしいと思えるようになった。
月夜は小さくため息をついて、意味もなく空を見上げる。
- 170 :アーベント ◆AVEND/4h42:2012/04/20(金) 23:00:40 ID:p48pYyyY0
- >>169
「―――…ほう?」
「飲んでみれば、すぐに分かるが…?」
芝居がかった言葉に、アーベントも牙を見せて笑う
月夜が壁に寄りかかったのに倣って、少し感覚を開けて同じ壁に凭れた
「お前、やけに自虐屋だな」
やたらと自分の肉の味に消極的な月夜を軽く笑い、空を見上げる
月と幾つかの星が瞬き、少し物足りない気がするが―――都会の夜にはもう慣れた
狼男の魂が疼き、武者震いをした
「なんなら、味見してやろうか…?」
- 171 :月夜:2012/04/20(金) 23:21:13 ID:dL8H4NjE0
- >>170
「……いたいのはあまり好きではないので」
やんわりと断る。
「味見……ですか」
その言葉に少し俯き、
「……吸血鬼、ゴブリン、鷹、狼、竜、……だめだ忘れた。ああ人間があるか」
月夜は突如様々な種族の名前を上げ始める。
その顔はうって変わって無表情になっていた。
「とりあえず他にもいろいろ混ざってるんで、やめた方がいいですよ」
「たしか毒性のやつも入ってましたし」
何にそれらが混ざっている、とはいわない。
あまりにもぐちゃぐちゃに混ざりすぎて、月夜自身なにが何なのか分からないからだ。
- 172 :アーベント ◆AVEND/4h42:2012/04/20(金) 23:41:15 ID:p48pYyyY0
- >>171
「そうかい」
なんだつまらん、と言いたげな表情で視線を地面に戻し――腹が減り始めていることに気づいた
適当に野犬でも狩って食らうか…などと考えながら壁から離れ
「私はゆく」
「―――…さらばだ」
と短く言い残して、歩き始めた
- 173 :?:2012/04/21(土) 23:23:12 ID:dL8H4NjE0
- 「ぬふぅ……」
人気の少ない寂れた公園。
少女は缶コーヒーをのみながら静かに息をはく。
「あったかーい……」
静かな公園の中、少女の言葉だけが響く。
- 174 :シロード・スィヴエア:2012/04/22(日) 20:52:31 ID:1sJsd2CgO
-
ぬぅ、と闇から染み出すように白い腕が歩いてきた。
黒い服に色素の薄い肌、サングラスをかけたひょろい男の腕だ。
「やあやあ、こんばんは。
冷えるねぇ、春は何処にいってしまったのだろうか」
彼は公園に佇む見知らぬ少女に馴れ馴れしく話し掛けた。
酷く親しげな言葉とは裏腹に少女とは全く面識が無い。
つまり怪しいことこの上ない。
- 175 :?:2012/04/22(日) 21:56:43 ID:dL8H4NjE0
- >>174
「おっと、こんばんは」
男の調子に合い乗るように、こちらもなれなれしい態度。
飲み終わった缶コーヒーをごみ箱に直接投げ入れ、男の方に顔を向ける。
「で、全く面識がない私たちですけど何か用でしょうか」
にこにこと笑いながら問う。
口調こそ親しいが、言葉の隅々に警戒心が表れている。
//遅れてすいません、気づかなかった……
- 176 :シロード・スィヴエア:2012/04/22(日) 22:22:08 ID:1sJsd2CgO
- >>175
「これから面識があって、お互いイロイロと仲良くなろう的なご用だねぇ」
ふと、男は前のめりになって少女とサングラス越しに視線を合わせる。
よく見れば、瞳が赤い。
「シロード・スィヴエア、俺の名前」
へらへらとした笑い顔、である。
- 177 :?:2012/04/22(日) 22:24:17 ID:dL8H4NjE0
- 「ageたほうがいいのかな?」
意味不明なことを突如呟く少女
- 178 :?:2012/04/22(日) 22:29:54 ID:dL8H4NjE0
- >>176
「ほう、私と仲良くなりたいとは見る目がありますなあ」
にやりと笑う。
警戒心は解かずに、視線を合わせる。
サングラス越しでは、相手の表情は伺えなかった。
「我が輩は少女である、名前はまだない」
「というわけで、好きに呼んで」
にこりと笑いながらいう。
- 179 :シロード・スィヴエア:2012/04/22(日) 22:30:23 ID:1sJsd2CgO
- 「おお、メタいメタい
個人的には乱入も歓迎だったり?」
何処にとも無く応える男。
- 180 :シロード・スィヴエア:2012/04/22(日) 22:37:01 ID:1sJsd2CgO
- >>178
「うーん、なかなか。好いね、キミ」
頭を上げ、少女の容姿をまじまじと見つめる。
「そうだな、出来れば見た目から連想したいところだけどー……キミ、趣味ってある?」
あ、俺は今のところ会話ねー。と一方通行に話し続けながら。
- 181 :月夜:2012/04/22(日) 22:43:42 ID:dL8H4NjE0
- >>180
「いやーん」
限りないほどの棒読みで照れたような様子を見せる。
「趣味、といえるかどうかは分かんないけど」
そう言って懐からトランプの束を取り出す。
「たまに手品を」
- 182 :?:2012/04/22(日) 22:44:52 ID:dL8H4NjE0
- >>181
名前を月夜→?で
- 183 :シロード・スィヴエア:2012/04/22(日) 23:10:44 ID:1sJsd2CgO
- >>181
「手品かあ、イリュージョニスト。カッコいいねー、なかなかクールな趣味だ」
トン、と後ろに跳んで無意味に指を差す。
「……と、今日はこれまでか。この街でも生きるには仕事が必須、アルバイターにゃ世知辛いっ!
じゃー、またねー」
と言って何処かへと去ってしまった。
//明日早いので落ちるー
//一方的だったけど、ありがとう
- 184 :?:2012/04/22(日) 23:15:56 ID:dL8H4NjE0
- >>183
//乙っしたー!
- 185 :神無 鏡華:2012/04/24(火) 20:59:01 ID:dL8H4NjE0
- 「あふ……」
大通り。
人目を引く少し派手な格好をした少女が、小さくあくびをする。
髪の色は紫。蒼と翡翠のオッドアイには、少し涙がたまっている。
「……はあ」
ベンチに座って、人混みを眺める。
いかにも退屈そうな感じだ。
- 186 :神無 鏡華:2012/04/24(火) 21:00:14 ID:dL8H4NjE0
- //ageわすれ
- 187 :欠け耳のボロッブ:2012/04/24(火) 22:13:19 ID:SSMHlh/20
- >>185
「いらんかねー。魔法の品、触媒、家具、お菓子はいらんかねー。」
――ごろごろ。
アスファルトと木造の車輪の摩擦で起きる、小気味よい音。
その方向を見てみれば、ロバに引かれた台車が車道をのんびりと走っている。
台車には、マジックアイテムの類が陳列されている。
と、バスを待っていた女学生が積荷の一つであった
アクセサリーに興味を持ち、ロバの背中に乗っていた小鬼を呼び止めたため
鏡華の近くに停まる……。
- 188 :神無 鏡華:2012/04/24(火) 22:20:40 ID:dL8H4NjE0
- >>185
「魔法の品、ね……」
気だるそうに視線だけを台車に向ける。
小鬼の言葉通り、色々なマジックアイテムなどが視界に入る。
「――ふむ」
たまには仕事をさぼって油も売るのもいいかもしれない。
ゆっくりとベンチから立ち上がり、ボロッブの方に向かう。
「マジックアイテムとか、あとなんか派手な奴。見せて」
小さくあくびをしたあと、言う。
なんともアバウトな注文だが、当の本人は気に掛けた様子はない。
そういう性格なのだろう。
- 189 :欠け耳のボロッブ:2012/04/24(火) 22:38:46 ID:SSMHlh/20
- >>188
「はいはい、派手なヤツかィ。
これなンてどうかねえ。」
既に学生はアクセサリーの手ごろな値段のものを買っていったので、
他に客はおらず、店主も手を焼いてくれる。
がたがたと荷台に積んであった棚を漁ると、
いくつかのアイテム――紙で作られた鳥、大きな花火、
そして、稲妻なロゴが印象的なスプレーの3つをそこから取り出した。
「ええと、この紙の鳥が、東洋の魔術が篭められてるとかで
『おはよう。ピヨピヨ。』ってコマンドワードを唱えると、生きてる様にそのヘン飛びまわります。」
店主の言葉に反応し、ほんとうに生きているような柔軟さで
その辺を飛びまわる紙の鳥。
「んで、片付けるときは『おやすみ。ピヨピヨ。』ほら、落ちてきた。」
同じく、コマンドワードを唱えると動きを止め、その場にぽとりと落ちる。
- 190 :神無 鏡華:2012/04/24(火) 22:50:03 ID:dL8H4NjE0
- >>189
「ふーん……」
右手で鳥を拾い上げ、不思議そうに眺める。
東洋の魔術にはあまり触れたことがないので、なかなか興味深いものがあるようだ。
「うーん、とりあえず保留かな、他は?」
ボロッブに紙の鳥をわたし、聞く。
- 191 :欠け耳のボロッブ:2012/04/24(火) 23:04:55 ID:SSMHlh/20
- >>190
「あヤ、ちょいとお気にめさんかったかね。
……よっこい、と。こいつぁ派手ですぞ。」
次は側面に『超弩級火龍砲』と書かれた
一抱えもある真っ赤な筒を抱え、空へと向ける小鬼。
その側面にあった紐を行き追いよく引っ張ると……。
――ズゴゴゴゴ!
地鳴りにも似た音と共に、筒の中から青白い炎でできた中華風の龍が飛びまわり、
そこらじゅうに火を吐き散らしている!
「こいつも同じく、東洋の花火でさあ。
なんでも、春節とかいうお祭りの時なんかに使うんだとか。」
龍はしばらく飛びまわると、再び筒の中へと飛び込み消える。
- 192 :神無 鏡華:2012/04/24(火) 23:17:05 ID:dL8H4NjE0
- >>191
「おおー……」
空を飛び回る龍に、感嘆の声をあげる。
「これぐらいなら改造すれば実用可能かな?大きくてもストックしちゃえば関係ないし……
いやでもボク東洋のには詳しくないんだよな、下手な事件をおこすと面倒かもな……あの子にも気づかれるかもだし……
いやでも新しい魔術の研究にはもってこいか……」
しばらく一人でブツブツと呟き、悩むような様子を見せる。
そして、
「よし、買おうじゃないか。いくらだい?」
ポケットから財布と思われるものを取り出して言った。
- 193 :欠け耳のボロッブ:2012/04/24(火) 23:27:45 ID:SSMHlh/20
- >>192
「お気に召しましたか。ええと、これは銀貨6枚でお譲りしましょう。
新品でだいたい、5,6回ほどつかえますぞ。」
棚の中から、新たな花火を取り出す小鬼。
棚にも魔法がかけられているのか、どう考えてもサイズが合わない物が
時折覗くが気にしてはいけない。
「ややや、魔術の研究と言うなら魔術の触媒――。
カエルの卵の干物ですとか薬草類、硫黄、純度の高いアルコールなども
取り扱っております、ご一緒にどうですかな?」
- 194 :神無 鏡華:2012/04/24(火) 23:42:22 ID:dL8H4NjE0
- >>193
「銀貨……あった、はい」
銀貨を取り出し、ちょうど六枚、ボロッブに手渡す。
その後花火を受け取り、右手の指、正確にはそこについている指輪で花火に触れる。
なんでも失っても大丈夫なように、こうして能力を使ってストックするのが彼女の癖だった。
「触媒はこっちにくる前にため込んでおいたから必要ないなあ……
でもまあすぐなくなるだろうし、その時はよろしく」
花火を肩に担ぐと、身体を反転させる。
「それじゃあまた」
背中越しに手を振って、鏡華は別れを告げる。
//明日早いんですいませんがこちらは〆で
- 195 :欠け耳のボロッブ:2012/04/24(火) 23:47:23 ID:SSMHlh/20
- >>194
// っとと、おやすみですー。
- 196 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 11:55:21 ID:mbXTFaJQ0
- 「できたー!」
真昼の公園。
今日は学校は休みなので朝から家を出て素材集めに勤しんでいた。
ナツメを連れて出向いたのは何時もと同じ、花のある公園。
幾分かの花を摘み取るとベンチに腰掛け簡易調合セットを取り出して錬金作業に没頭していた。
出来たのは奇抜としか言えない物体。
花が乱雑に絡み合った塊の様な何か。
大よそ一般人のセンスでは理解しえないものなのだが、嬉々とした表情でそれを被る辺り彼女には大成功だったのだろう。
- 197 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 12:07:56 ID:de4VQzbg0
- >>196
そこへよく周りに響く音楽が聞こえ
段々とそちらへ近付いてくる。
「こんにちは、お嬢さん。」
ギターを奏でながら、なんとも奇妙な男が現れる。
白く大きなハット、黒い手袋、黒いギター
そして紅いスカーフを靡かせながら。
- 198 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 12:18:36 ID:mbXTFaJQ0
- >>197
「こんにちは!」
調合セットをポーチに片づけていた最中、聞こえてきた声に振り向く。
満面の笑みを浮かべる少女だが、頭上の塊を筆頭に服装はやはり奇抜。
現実的な人間が見ると何かのコスプレにしか見えないような衣装。例えば魔法少女の様な。
背中には大きなリボンが蝶々結びされていて、それはわき腹を通り臍の当たりでもうひとつ蝶々結びを作っていた。
これでもか、と言う程に額にもそれ。束ねた前髪がその上から狐の尻尾の様にだらりと垂れていた。
「おっきなギターですね!」
ギターに興味を示したらしく、視線を釘づけにしている。
少女の横でベンチに寝転がっていた銀色の狼がムクリと起き上がり、地面に降りる。
青年の座るスペースにしろ。ということだろうか。少女の足元で再び寝転がると欠伸をする。
- 199 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 12:23:16 ID:de4VQzbg0
- >>198
(なんとも奇抜な格好だな。)
お前も十分人の事言えないぞ。
「お、気になるのかい?」
そういうと何処か腰掛ける所を探す。
ベンチがあったが狼がねっ転がっているのを見て諦めようとするが
その狼がいきなり降りたので少し驚く。
「その子は君のペットか何かかい?」
ベンチに向かって歩きながら聞く。
- 200 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 12:41:31 ID:mbXTFaJQ0
- >>199
「ペットじゃありません、おともだちです!」
青年に向かってプクッと頬を膨らませ剥れた表情をみせる。
しかし、次の瞬間にはそれも消えて、直ぐに笑顔に戻るとお友達に向かって両手を開いて向ける。
銀色の狼は身体を起こすと跳び上がり、オリアの膝にのっかった。
「うぅ、おもいよナツメー……」
ずしりと来る銀の感覚に顔を曇らせると辛そうな口調でそう言った。
それを聞くと仕方なく。と言った様子で飛び降りて、また地面に転がる。
- 201 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 12:44:23 ID:de4VQzbg0
- >>200
「フフ、そうかそうか。
それじゃ家族は大事にしてやるんだな。」
爽やかに笑いながら言う。
「ま、動物なら大抵キロ単位だからな。」
そう言うと、ベンチに腰掛ける。
「なんかリクエストはあるかい?」
- 202 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 12:55:59 ID:mbXTFaJQ0
- >>201
「うん!」
ニコニコと明るい笑顔を浮かべ、大きく頷く。
その頭上で青い塊がわさわさと揺れていた。
キロ単位。と言っても少女にナツメと呼ばれたお友達は重そうだった。
狼の方も中型犬よりも大きく、単体で見れば余程少女には似合わない凛々しく雄々しい外見をしていた。
一方少女の肉付きは悲惨そのもの。腕は鳥の骨、スカートから伸びる脚は幼さが見える細さというよりかは貧弱さが際立つ。
年齢比に対して身長が高い分、それが更に際立ってしまっている結果も……。
「えっと……あかるいうたがいいです!」
首を大きく傾げて考えるそぶりを見せた後、表情も明るくして青年に告げる。
- 203 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 13:09:38 ID:2XPPpPfA0
- >>202
(こうして見ると頭の塊も似合うな)
何処か妙なことを考える。
「結構肉つきも良いな、健康な物をよく食べているようだ。」
「明るい歌か…、じゃあこんなので良いかな。
ある番組のオープニング曲なんだがな。」
http://www.youtube.com/watch?v=rxZ8s50YVQ4
※映像と声はイメージです、実際は音は大体表現できていますが、壊滅的に下手な歌唱力です。
- 204 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 13:25:05 ID:mbXTFaJQ0
- >>203
幾つもの花が乱雑に絡み合った塊。
少女の雰囲気と同じように柔らかく、ふわふわと揺れるそれ。
錬金術の賜物らしく、帽子として機能して居る様だ。
※どうしようもない程に貧相。ダッシュは10mが限界。
「……すごいです!」
歌を聞き終わった後、少女は笑顔を見せて青年を見ていた。
歌唱力が如何とか言うのは少女には関係の無い事だったようで。
「か、かっこよかったです!」
- 205 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 13:36:57 ID:2XPPpPfA0
- >>204
「フフ、ありがとう。」
少し嬉しそうに笑う。
「しかし……、君は基本的にどんな物を食べているのかな?」
- 206 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 13:47:25 ID:mbXTFaJQ0
- >>205
「どういたしまして!」
えへへ。と声を漏らしながら僅かに俯く。
真正面からお礼を言われることになれていないのか照れているようだ。
青年の問いかけには首を傾げる。
余りにも唐突な質問に意図が理解できないと言った風だ。
暫くすると意図を理解しようとする努力がある一つの思いだしによって消し去られてしまう。
「あ、おひるごはんたべるのをわすれてました!」
と、ポーチの中から小さな包みを取り出す。
膝の上でそれを広げると中には小さなお弁当箱。
- 207 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 13:55:46 ID:2XPPpPfA0
- >>206
「…。」
笑いながらも何処か曇った雰囲気を出す。
(もし『アイツ』と子供が出来たならこんな子だったのだろうか)
「もう昼から結構経ってみたいだけどな。」
腕時計を見る。
「俺も喰うか。」
ギターをギターケースにしまい、裏側を持ち上げ、スイッチの様な部分を押す。
するとパカッと開き、そこから弁当箱を取り出す。
- 208 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 14:08:12 ID:mbXTFaJQ0
- >>207
ファンシーなキャラクターの描かれた箸箱を取り出す。
中入っていたピンクとオレンジの色鉛筆……に見える箸を左手で持つと弁当箱のふたを開ける。
年頃の少女の物として見ても割に小さい弁当箱から、オリアが小食なのは伺えるだろう。
その内容も野菜中心。主食と言える白米のスペースは三分の一も無い。
目の前の昼食に嬉しげな笑みを浮かべる少女。
ギターケースから出てきた弁当箱に驚きを隠せず、それを告げようと青年の顔を見れば僅かに陰りが見えたので、
「?」
不安げな表情を見せ、そちらを眺めている。
子どもと言うのは人の心を感じ取る力が強いと言われている。この表情もそれから来るところなのだろう。
- 209 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/28(土) 14:11:56 ID:7gFzKdaU0
- >>207,208
二人が、食事を始めてから、それほど時間を置かずに、一つの気配が近づいてきた。
「――――ほぉう、美味そうなものを食べているじゃあないか、人間」
唐突に、上から声が聞こえてくるだろう。
鈴の音に砂糖を混ぜたような、凛としつつも甘さを隠し切れない声色。
そして、天から風を叩く音が聞こえて、一つの影が地面へと降り立った。
白い髪、灰色の瞳、白い角、白い尻尾、白い翼。
悪魔に属する外見だというのにその色彩は白一色で彩られている。
そんな白い姿を包むのは、黒い細身のパンツスーツ。
腰ほどまで有る白い長髪はポニーテールに纏められていた。
「――、お腹、へったなぁ」
ちらっ、ちらちらっ。
二人をチラ見しつつ、聞こえるか聞こえないか程度の声でそう言ってみる。
なんというか、外見こそ凛々しいのだが、案外中身はアレだった。
- 210 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 14:21:00 ID:2XPPpPfA0
- >>208
「ふうん、今時珍しく野菜中心か。」
そう言うと、健治もギターの様な形をした弁当箱を開ける。
中身は、おかずしかなかった。
「おっといけない。」
またギターケースの裏側の空洞部分から何かを取り出す。
それはおにぎりだった。
「ん?、どうかしたのかい?」
こちらを不思議そうに見てくるオーレリアに対して言う。
>>209
突然聞こえた声に全く動じずにそちらを向く。
「……、そちらこそ、随分と腹が減ってそうだな。
悪魔さん?」
その天使の様な姿にも騙されずに言い返す。
しかし表情と雰囲気は柔らかく、暖かい。
「ま、腹が減っているんならなんか渡そう。」
そう言うと、おにぎりを2つ渡してくる。
- 211 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 14:29:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>209
「ふえっ?」
唐突に影が落ちた自らに驚く。
目の前に何かがある訳でも無い。ともすれば……上。
思考の後に見上げると、声と共に翼を生やした人間が下りてくるのが見えた。
額には蝶々結びにされたリボンに狐の尾の様な前髪が垂れている。
頭に乗せた青い花の塊をわさわさと揺らしながら落ちてきた人間を眺めた。
全体(主に翼)を眺めながらも、聞こえてきた第二声に驚きの声を上げる。
「おなかすいてるんですか? じゃあ……これ!」
ピンク色の色鉛筆で小さなお弁当箱から卵焼きを引き上げた。
突き刺したそれと満面の笑顔を其方に向ける。
>>210
「……なんでもないです!」
一瞬、不安に感じられたが判断材料が小さすぎるので「気のせい」と言う事にする。
深くは考えない性質なので、キレイサッパリと忘れてしまい、笑顔を向ける。
「えへへ。わたしが『つくった』んですよ!」
野菜中心と言えば聞こえがいいが、その実比重が偏りすぎている。
自分で作ったとも言うが、野菜を切って並べてソースを掛けただけにしか見えないのが現状。
他には差し出している卵焼きなどの簡単なメニューしかなく、少女程度の年齢なら楽に作れるものだろう。普通に作れば。
- 212 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/28(土) 14:33:48 ID:7gFzKdaU0
- >>210
「それは当然というものだ。顕界、それも人の世界に居る以上、食という欲望からは逃れられぬもの。
天界の食事は味気なくてな、やはり天上よりも地上が私には性に合う」
小難しいことを並べ立てているものの、要するに人間の食事が好きだと言いたいらしい。
悪魔らしからぬ白さと、何処か聖性を感じさせる雰囲気、天上というキーワード。
それらから、普通の悪魔とは何処か違う存在とも感じられるかもしれなかった。
「お、いいのか。これは借りだな。貴様が何か困ったことが有れば、30秒ほど手を貸してやろう。
悪魔は契約を裏切らん。天使とは違ってな」
おにぎりを受け取って、えへへ、と相好を崩しつつ。
悪魔は楽しそうに目を細めて、借りは返すと返答を。
契約を生業とするが、取り過ぎもせず、平等な契約を取り付ける事をこの悪魔は好む。
要するに、おにぎり二つと30秒程の助力は悪魔にとっては等価なのであった。
ワクワクしつつも、おにぎりを包みから取り出して、口に頬張るだろう。
中の具にもよるが、幸せそうな表情で食事を食べる図は、見た目の年齢相応か。
実際は数百年は生きている、悪魔の中では若輩だが、人間基準ならば年上の存在なのだが。
>>211
「ははは、いい子だな貴様は。後で頭を思いっきり撫でてやろう!」
高笑いを上げながらも、指先で卵焼きをつまんで口に放り込む。
もっきゅもっきゅと頬張って、ごっくんと飲み込むことだろう。
悪魔の外見でこそあるが、かなり親しみやすい雰囲気だ。
口調は尊大だが余り圧力も放たれていない。
飲み込んで、うむうむ、と頭を縦に振って。
「美味だな。やはり既成品よりも人の手で作られたものの方が性に合う。
何か礼を――――うむ、そうだな」
手を握りしめて、もきゅもきゅと手を動かし始める。
手を開けば、綺麗なピンクと透明なビーズで出来た指輪が表れる。
其れを少女に差し出すだろう。お礼のようだ。
- 213 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 14:42:41 ID:mpAoOIeE0
- >>211
「うん?、そうか。」
そう言って区切る。
「それが…、作った物か。」
何処か難しい顔をする。
そして自分の弁当箱の具から
ミニハンバーグを取り出す。
「ほら、こういうのも喰わないと、体に悪いぞ。」
そして無理矢理オーレリアの弁当箱の空いている部分に入れる。
>>212
「30秒か、10秒で良い。」
謙虚にも減らす。
「…、天国か。」
アイツは天国で幸せにしているのだろうか、と誰にも聞こえない声で言う。
「天使は契約を裏切ったりするのか。」
少し驚いたように言う。
因みに今食べたおにぎりの中身は、イクラだ。
…早見川地震が海で獲ってきた…。
- 214 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 14:55:03 ID:mbXTFaJQ0
- >>212
良い子。と素直に褒められて嬉しいようで。
右手を頬に当て照れる様子を見せると人差し指で小さく掻いた。
「よかったです!」
美味しいと言われると笑みは一層明るみを帯びる。
其方の動作に不思議だ。と言わんばかりに首を傾げていたが、
出てきた指輪を渡されると驚きを顔いっぱいに広げる。
「わあっ! すごいです!
てじなですか? これ、もらってもいいんですか?」
二重の驚きから喋りも纏まっておらず、全ての答えを求めようと尋ねる。
>>213
「ふえっ、なんでですか?」
青年がそうする理由が理解できずに思わず尋ねる。
単純に少女が貧相だから。というだけなのだが、少女に自覚は無いらしい。
移されたミニハンバーグを疑問に思いながらも、左手の箸二本で器用に摘まんでみせると口に運ぶ。
「おいしいです」
一口で三分の一を齧り、笑顔を向ける。
- 215 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/28(土) 15:04:56 ID:7gFzKdaU0
- >>213
「契約は等価で無ければいかん。増やしても減らしてもそれは望ましくないことだ」
天秤を保つためには、片方が軽くても重くても問題となる。
故に、報酬は貰いすぎても行かず、貰わなさ過ぎてもいかない。
諭すような口調で悪魔は相手を見ながら、眉根を寄せた。
「私自身天界に居たからな、あいつらはたしかに正義であり、正しいものだが。
己等の正しさが絶対と知る故に、人との約束を破る事も正しいならば行使するな。
逆に悪魔の場合は、己の身の破滅が待つと知っても、契約を果たすものは多い。少なくとも、私の知る真っ当な悪魔はそうだ」
真面目な顔で、天界の悪魔は天使と悪魔の価値観の差を語る。
正しきを絶対と信じるがゆえに、正しさのためならば裏切りも辞さない者。
正しくなくとも約束を絶対とし、破滅が待てども契約を果たす者。
その何方もが、正しく、そして間違っていると言えただろう。それはこの悪魔も認識している。
「……いくらか、魚卵は私の好物だ。10秒追加しておこう」
口の中でぷちぷちと弾ける食感と味がたまらない。
もきゅもきゅと、気づけば2つとも食べてしまっていただろう。華奢ながら結構な健啖家だ。
>>214
「はっは、構わんさ。貴様が私に卵焼きを呉れただろう?
それと同じくらいの価値だからな、要するにお礼のようなものと思っておけばいい」
そう言って、ビーズの指輪を相手に渡そうとする。
ビーズの指輪に触れれば、少し暖かいような不思議な気配を感じるだろう。
悪魔の術に天界の静謐な気が混ざりこんで居るために、浄化の色を含んでいる。
持っていれば、ストレスが微妙に軽減されたり、マイナスイオンが出てたりして少し毎日が幸せになる。
「うむうむ、今日は良い日だ。おにぎりはもらえるし、卵焼きも食べれた。
人間はこれだから好きだ、ありがとうな」
にこり、と笑いかけて、軽く相手の頭をくしゃりと撫でる。
ほっそりとしている白魚の手が軽く髪の毛をかき回しただろう。
- 216 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 15:13:10 ID:mpAoOIeE0
- >>214
「いや、野菜だけだと体に悪いんだ。
肉や魚もある程度は食べないとな。」
説明するように言う。
「そうか、よかった。」
>>215
「なるほど。
要は調和は完璧にしなければならないということだな。」
感心したように言う。
「……、やっぱり、天使より悪魔の方が信頼できる、か。
皮肉なものだな。」
僅かながら失望感を露わにする。
「アンタは今までに契約を誰かとした事があるのか?」
なんとなく気になって言う。
「ふぅん、魚介類が好きか。
そして現在は40秒か。」
- 217 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 15:27:56 ID:mbXTFaJQ0
- >>215
貰っていい。と言う事で笑顔で受け取ることにした。
右手の人差し指に填めて、うっとりと眺めて時折「わあぁ……」と感嘆の呟きを上げる。
良い日差しにビーズが反射して光る様が美しい。早くもお気に入りの品になったようだ。
説明されていない効果も少女には効果的だろう。日々の探索がきっと捗ることだ。
頭を撫でようとしたところ、障害があった。
頭上の青い塊。周囲に咲いている花が乱雑に入り組んだそれが頭に乗っかっていた。
少女曰くアクセサリー……なのだが、大方一般人には理解しがたいセンスで、ただの塊にしか見えない。
兎に角、そのアクセサリーによって頭上が埋め尽くされている以上、頭を撫でる事はできない。
肘程度まで伸びた後ろ髪か、垂れ下がった尾の様な前髪があると言えばあるのだが……。
「あ、もうおなかいっぱいになりました?
よかったら、わたしがもっとつくってあげますよ!」
トン。と胸を叩いて誇らしげにする。
そう言う物の、周囲には料理ができるスペースなんかはありもしない。
あふれ出る誇らしさと何かのコスプレにしか見えないファンシーな衣装には関係がある……気がする。
>>216
ミニハンバーグを更にもう三割齧りながら青年の話を聞く。
口は小さく、小刻みに咀嚼行動を繰り返している。
言い終わると同時に大きく頭を動かして飲み込んでしまった。
「おにくとかおさかなはおうちならたべるんですけど、じぶんでつくるのはまだむずかしいです……」
腕を組んで、「むぅ」と唸りながら。
- 218 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/28(土) 15:31:26 ID:7gFzKdaU0
- >>216
「ま、そういうことだ。だからありがたく約束しておけば良い」
ふん、と鼻を鳴らしてふんぞり返る。
偉そうだが、何となく人間臭く、接しやすい気配。
「……ま、頼まれれば契約するぞ、私はな。
と言っても、契約というのはする方、される方双方にリスクが伴うもの。
しっかりと話して後悔がない事を確認してからでないと私はしない。
人を愛して地に堕ちたのだ、我が祖先は。ならば、人を不幸に貶める様な事はしたくないからな」
人を愛し、人とともに生きることを選び、自ら地へと降りていった悪魔。
それが、この悪魔を当主とする一族の者。
故に、悪魔である事も、契約にも、己が貴族という事にも、全てに関して悪魔は誇りを持っていた。
「ああ、もっと私を喜ばせればより増えるかもしれないぞ?」
くく、と笑い声を漏らしつつ、翼をぱたぱたと動かして、しっぽがうねうねと蠢いた。
>>217
「……凄い頭だ」
なぜか、おー、と関心すら返してみせる悪魔。
そして、相手の言葉を聞いて、うーむ、と腕を組んで。
「食べたいのはやまやまなんだが、少々呼ばれているようでな。
また今度会ったらなにか食べさせてくれ、よろしく頼むぞ?」
そう言って、額にとん、と人差し指を触れさせて、口元を笑いの形にする。
僅かに距離を離すと、空中で宙返り。
悪魔が地面に着地したかと思うと、その姿は消えていた。
どうやら、何処かへ召喚されたようだった。
- 219 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 15:35:52 ID:mpAoOIeE0
- >>217
「ふぅん、そうかい。
じゃあ今度オジサンが料理教えてあげようか?」
見た目は滅茶苦茶若いのに自分の事をオジサンと呼ぶ。
>>218
「分かったぜ。」
「ふむ、やはり契約をするなら悪魔だな。」
うんうんと頷く。
「いや、ヘタに喜ばせようとして死ぬのは勘弁だからな。
パスだ。」
すると何処かへ召喚されようとするのを見て慌てて言う。
「あ、じゃあな。」
- 220 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 15:43:13 ID:mbXTFaJQ0
- >>218
「えへへー。すごいでしょ!」
言葉の意味をそう解釈したのか、さらに誇る。
頭上で揺れる塊はわさわさと揺れ続けていた。
「あっ」
急に消えてしまったので思わず声を上げる。
「せなかのはねのつくりかた、こんどおしえてもらおうかな」
どうやら翼を作り物だと思って居るらしかった……。
>>219
「わぁ、ほんとうですか?
シュークリームならつくれるんですけど……」
何故か引き合いに出てくるシュークリーム。
やはり年頃の女の子らしく料理には興味がある風だ。
青年の一人称が気にかかったのだが、
「おじさん? じゃあ、わたしのせんせいみたいですね!」
既に上弦という人物の前例があるので難しくは考えなかったようだ。
- 221 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 15:45:25 ID:mpAoOIeE0
- >>220
「シュークリームか。
俺も好物だな。」
と、答える。
「フフ、まぁ、そういうことだな。
ところで譲ちゃん名前は?
俺は早見川 健治だ。」
- 222 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 15:56:23 ID:mbXTFaJQ0
- >>221
「ほんとうですか!
……。いまからつくってみましょうか?」
先程、羽の生えた人に見せることが出来なかったので代わりに。と言った風だ。
「せんせいはもう40さいらしいんですけど、まほうでとしをとらなくしてるっていってました!
みんなは「わかづくりだ〜」っていうんですけど……わたしにはちょっとりかいできなくて」
自分の知恵不足を恥ずかしがってか、頬を掻く。
先生。と言う事は学校に通っているのだろう。
「わたしはオーレリア=グラムハイトです。みんなからは「オリア」ってよばれています!」
なんども見せる笑みは屈託のない少女らしい良い物だ。
- 223 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 16:07:20 ID:mpAoOIeE0
- >>222
「いや、良いさ。
そろそろ俺もお暇させてもらうしね。」
そう言うと弁当を平らげる。
「40…、か。」
(『あの事件』が起きなければ俺はもう数百年前に死んでいるんだがな。)
顔を曇らせるが、直ぐに笑う。
「オリアちゃんね、それじゃ、また会おう。」
そう言うと、ギターケースにギターを仕舞って、去る。
- 224 :オーレリア=グラムハイト:2012/04/28(土) 16:15:20 ID:mbXTFaJQ0
- >>223
「むぅ……ざんねんです。またこんどにしましょうね」
青年が立ち上がると、此方もそれに習う。
去っていく姿に大きく手を振りながら見送った。
「はい、またあいましょうね!」
四分の一程の残った弁当箱のふたを閉め、包みに直すとポーチに容れる。
「ナツメ、わたしたちもかえろっか」
しゃがみ込んでナツメを優しく撫でてから揃って帰路についた。
- 225 :?:2012/04/29(日) 21:50:15 ID:dL8H4NjE0
- 大通り。
「……うーん?」
人々から向けられる視線が痛い。
あたりを見回すと、数人がおびえるように視線を逸らす。
皆が少女に向けているわけではないが、一部の人々がとてつもない恐怖の目で見てくる。
「おっかしーな……」
どうしたものかと頭を掻く。
その場にいるのが危険に思えてきて、人混みから少し離れ、ビルの壁によりかかる。
何か恨みを買うようなことでもしたか。
(カジノでイカサマ……は少し違うか)
(狂人にでも目をつけられたかな)
- 226 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 21:57:46 ID:WVrfsEdY0
- >>225
【大通りに向けて歩いてくる少女の姿が見える】
「なんか騒がしいですね…
また何かあったんでしょうか?」
【ビルのほうから歩いてくる影がみられる】
「…ん?そこに誰かいるんですか?」
【人混みから外れたところに誰かの影を見つけたのか、
じっと少女のほうに顔を向ける】
- 227 :?:2012/04/29(日) 22:03:36 ID:dL8H4NjE0
- >>226
「……ん?」
視線に気づき、顔をあげる。
見慣れた顔が目に入り、
「ういっす、久しぶりー」
右手をあげて挨拶する。
- 228 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 22:07:57 ID:WVrfsEdY0
- >>227
「ええ、お久しぶりです…
というほどあってないわけじゃないと思いますが…」
【そういって少女の姿を見る。鶫のほうは出会ったのは数日ほどだと思っている】
「何かあったんですか?
なんだか騒がしいようですが」
【人混みを指さしながら尋ねる】
- 229 :?:2012/04/29(日) 22:17:39 ID:dL8H4NjE0
- >>228
「最後にあったのは……忘れた、いつだっけ?」
顎に手をあて、考え込む素振りを見せる。
「いや、なーんか私が一部の人に怖がられているというか悪者扱いされているというか」
単に人混みは遠巻きから少女をみる人が点在しているせいで流れが悪くなっているだけだ。
ちなみに少女がいる通りは先日二人が戦闘をおこした通りだ。
その犯人が少女であることはこの近辺に住む人ならば全員が知っている。
視線の原因はおそらくそれだろう。
- 230 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 22:22:05 ID:WVrfsEdY0
- >>229
「その、数日前にあそこの通りで…
あなたがお仕事をしていた時にあったと…」
【不思議そうな顔で言う。】
「それはおそらく…
あの時の出来事が原因では」
【あたりを見回しながら言う】
(誰かが通報してるかもしれません…ひとまずあたりを警戒しておかないと…)
- 231 :?:2012/04/29(日) 22:31:11 ID:dL8H4NjE0
- >>230
「……お仕事?カジノでイカサマして金稼ぐくらいしかやることない無職だよ?」
「手品を仕事っていうならわかるけど、ここで披露したことないし」
きょとんとした顔で答える。
「え、ちょっと待ってあの時って?え?」
いったい何のことだといいたそうにする少女。
その顔には困惑の表情が浮かんでいる。
- 232 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 22:34:22 ID:WVrfsEdY0
- >>231
「え?でも鎌を振って…
もしかして…」
【じーっとその少女の容姿を確認する】
(他人の空似…なんてことはないでしょうかね)
【注意深く外見を見て、本人かどうかを改めて確認している】
「あの…数日前ここであったことを何か知りませんか?」
- 233 :?:2012/04/29(日) 22:42:23 ID:dL8H4NjE0
- >>232
「こんな大通りでそんな物騒なことできるわけないじゃん」
あっけらかんと答える。
顔をまじまじと見られるても首を傾げるだけだ。
「んー?ニュースでなんかやってたかなーってことぐらいかな」
それがどうかしたの?と続ける。
記憶がないのか、それとも別人か。
少なくとも数日前のできごとを知らないということは確実そうだ。
嘘をついているということもあり得るかもしれないが。
- 234 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 22:50:08 ID:WVrfsEdY0
- >>233
「そうですか…
それなら…ええ、いいんです」
【視線を戻して大きくうなずいた】
「確かにニュースでやってましたが…
…もしかしたら犯人がいるのかもしれませんね、このあたりに」
【そういってあたりを見渡す。警戒の理由はそれだけではなさそうだ】
(誰かが警察を読んだりはしてない…と思いますが)
- 235 :?:2012/04/29(日) 22:58:17 ID:dL8H4NjE0
- >>234
「……?そう言われるとこっちが気になるなあ」
「知ってる範囲でいいから何があったのか教えてよ」
あらぬ疑いをかけられていたりしたらたまったものではない。
少なくとも何かがあったことは確実なのだ。情報はあるにこしたことはない。
「犯人ねえ……」
何がなんだかさっぱりわからないという顔をする。
今のところ少女たちを見ているのは数人、そのどれもが唖然としている。
殺し合っていた二人がふつうに話しているのだから当たり前といえば当たり前だが。
- 236 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 23:04:03 ID:WVrfsEdY0
- >>235
「……わかりました。」
【少し考えた後に口を開く】
「あの時…死神さんが、死ぬべき人間の首を狩るという事件が起こりまして。
それで、私はたまたまその現場に立ち会ったんです」
【そういってじっと少女の顔を見る】
「あなたと全く同じ姿でした…」
【鶫は本人だろうとは思っている。
しかしそれは当人に言うつもりはなさそうだ】
- 237 :?:2012/04/29(日) 23:10:10 ID:dL8H4NjE0
- >>236
「…………ふむ」
珍しく真剣な表情を見せる。
何かを考え込んでいるようで、しばしの静寂が流れ、
「……ごめん、心当たりがないや」
困ったように笑った。
「そもそも、死神なんて存在すら知らなかったし」
「ブリ○チは好きだけど」
首を横に振って否定の意を示す。
- 238 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 23:21:48 ID:WVrfsEdY0
- >>237
「どうでしょうね?」
【鶫も黙って答えを言うまで待っている】
「心当たりありません…か」
【うなずいて返す】
「もしかしたら別人かもしれませんね。
ひょっとしたらドッペルゲンガーでしょうかね」
【周囲の視線を気にしつつもやさしく答える】
- 239 :?:2012/04/29(日) 23:31:54 ID:dL8H4NjE0
- >>238
「ドッペルゲンガーねー、会いたくないなあ」
そういうものには必ず会ったら死ぬなどの逸話がある。
まだ死ぬような年でもない少女からしたら迷惑な話だ。
「死神ねえ……そんなこと言ったら私なんかよりあの時のあいつのほうがよっぽどそれっぽいんだけど」
ぽつりと少女が呟く
- 240 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 23:36:42 ID:WVrfsEdY0
- >>239
「確かに…
自分の顔にそっくりの人に会うのはあまりいい気分はしない…かも知れませんね」
【少し考えていう】
「あいつ…?それはいったい誰ですか?」
【つぶやきを聞いて、不思議そうに顔を見る】
- 241 :?:2012/04/29(日) 23:46:03 ID:dL8H4NjE0
- >>240
「ほら、少し前に怪我負わされて少しだけど路地裏で手当てしてもらったじゃん?」
「あの時戦った奴」
覚えてる?と今度は少女が心配そうに聞く。
「黒いローブ羽織ってて、鎌持ってたからそれこそ死神っぽいなあって」
見た目どんなんだったかな、と思いだそうとする。
- 242 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/29(日) 23:51:04 ID:WVrfsEdY0
- >>241
「えっと…あの時ですか…」
【少し考えてから口を開く】
「確かに…それっぽく見えるかもしれませんね…」
【少し思い出しながら言う】
「でも…あの人とはまた違う感じがしますね…」
- 243 :?:2012/04/29(日) 23:58:56 ID:dL8H4NjE0
- >>242
「まあ死神っていったら全身真っ黒って感じだもんね」
「それにしては少し派手な服装だった気がする、ローブの下」
「髪の毛も紫だったし」
それは関係ないかと訂正する。
「できれば二度と会いたくないけどねー、あいつとは」
- 244 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/30(月) 00:02:08 ID:WVrfsEdY0
- >>243
「ふむ…いろいろ特徴がいっぱいありますからね…
鮮烈です」
【うなずきながら答える】
「そうですね…
できれば戦いたくはありません」
【その時の闘いを思い出しながら言う】
「ところで…ここにずっといたら危なくないですか?」
【あたりを見回していう。逮捕とか心配しているようである】
- 245 :?:2012/04/30(月) 08:34:23 ID:dL8H4NjE0
- >>244
「危ない……まあ確かに」
どうしてこんなにも警戒されているのかが分かった以上、ここにはもういない方がいいかも知れない。
世間一般からすれば少女はもう『無差別大量殺人犯』なのだ。
「住みづらくなるなあ、じゃあ私はそろそろ……」
と、歩きだそうとした時だった。
『いたぞ、アイツだ!』
遠くからそんな声が。
人数などは不明だが、少なくとも数人、
かつその声が少女に向けられていることは間違いなさそうだ。
- 246 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/30(月) 13:04:03 ID:WVrfsEdY0
- >>245
「そうですね…
ひとまず身を隠したほうがいいと思いますが…?」
【急に遠くから聞こえてくる声】
「これはまずいですね…
ひとまず逃げましょう!さ、行きましょう」
【鶫はその声から逃げるように少女の手を引っ張って走り出そうとしている】
(私は…私はどちらのほうがいいんでしょう…死神さんのやってることは人殺しでも…
その枠の中では義務を全うしているだけ…でも人から見れば確実に殺人…どうしたら・・・)
【迷いながらも鶫は手を取って走り出す】
- 247 :?:2012/04/30(月) 19:14:25 ID:dL8H4NjE0
- >>246
「あ……」
急に手を引っ張られ、自然と足が前に出る。
逃げるのは構わない、が、そうすると少女はともかく
目の前の人物にまで共犯ではという疑いがかけられる可能性がある。
「ちょい待ち」
前に出る足を止め、握られた手を振り払う。
「その場の流れで犯罪者の手助けなんかしない方がいいよ」
「仲間だなんて思われたらそっちだって大変なことになるよ?」
それが真実かどうかは置くとしても、今少女が大量殺人犯として扱われていることに変わりはない。
「ほら、私から離れて離れて」
しっしっと手首を振って離れるよう促す。
- 248 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/30(月) 19:23:28 ID:WVrfsEdY0
- >>247
「・・・え、あ。」
【ふり払われて、黙って少女の話を聞く】
「…そうなんですか?
その、追われる身でも大丈夫、なんですか?」
【かなり心配しているようだ】
- 249 :?:2012/04/30(月) 19:39:05 ID:dL8H4NjE0
- >>248
「というか、一緒に逃げても追われることに変わりはないでしょ」
疑いがかけられるのが自分だけかもう一人巻き込むかという話。
それなら、一人だけの方がいいことは明白だ。
「ま、そんなわけで」
ダイヤのAが描かれたカードを取り出し、大箱を召喚。
「あ、そうだ」
「『アイツ』に殺し合いは勘弁って言っておいて、知り合いになってるんでしょ?」
それだけ言って、大箱の中に飛び込み、転移しようとする。
- 250 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/30(月) 20:03:05 ID:WVrfsEdY0
- >>249
「そうですね…
結局は私も一緒に追われるだけですね」
【恥ずかしそうに答える】
「あいつ…やっぱり何か知っていたんですね…
わかりました…説得しておきます」
【鶫はうなずいて少女を見送ろうとしている】
- 251 :?:2012/04/30(月) 20:11:39 ID:dL8H4NjE0
- >>250
「うっし、それじゃ」
大箱の扉が勢いよく開かれ、中から黒い霧のようなものが吹き出す。
辺りを包み込んだ後、しばらくして霧が晴れれば。
跡形もなく少女と箱は消え去っていた。
『……目標を見失った、探すぞ』
少女を追っていた警察もそんな声と共に去っていく。
- 252 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/30(月) 20:22:44 ID:WVrfsEdY0
- >>251
「…あの子は無事に逃げられたみたいですね」
【小さくつぶやいた鶫は】
「しばらく…私も辺りを見まわってみますか」
【その場からゆっくりと立ち去って行った】
(…しかし…どうしたらいいのでしょう)
【心の中にいろんな思いを抱えたまま…。】
//お疲れ様でしたー。
- 253 :シロード・スィヴエア:2012/04/30(月) 21:28:56 ID:1sJsd2CgO
- 【イデアの箱庭・――】
「ふむ、どーすっかな。無難に大空洞? いや、鍾乳坑洞みたいなのも……」
銀髪オールバックのグラサン男がそこにいた。
電子網で造られた情報空間、俗にベーシックと呼ばれるエリアのまま箱庭のシステムで唸っている。
「しかし、そういや。ここには“地上”があるんだよな、むむむ……」
悩みに悩んだ指先は『闘技場』を示してぷるぷると震えている。
周辺を観客席という名の壁に覆われた空間、戦場の箱庭である。
あと少しで、この男はそのフィールドに召喚されるだろう。
- 254 :神無 鏡華:2012/04/30(月) 21:42:54 ID:dL8H4NjE0
- >>253
「……驚いたね、まさかこんな仮想空間があるなんて」
男が悩んでいる最中、すぐそばに一人の少女が出現する。
紫色のショートヘアー、派手な服装に身を包み、辺りの空間に目を奪われている。
「……ん?何をしているんだい?」
男に気が付き、背を伸ばして肩に手を置く。
男が振り向いたなら、そこにはジト目で不審そうに睨みつけてくる13、14くらいの少女が見えるだろう。
- 255 :シロード・スィヴエア:2012/04/30(月) 21:58:48 ID:1sJsd2CgO
- >>254
「――ぬぉうっ!?」
ポチっとな。
肩に置かれた手に異常なほど驚いて、ビクついた指先がエリアを『闘技場』に指定した。
すると、どうだ。
電子的な情報空間が、あっという間に闘技場に早変わり。
「……う、えぇとだなぁ。
このフィールドを見て分かる通り、対戦相手の募集中。みたいなもんさ」
ビクビクしていた男の態度も早変わり。
急に不敵に笑み、仕切り直しと言わんばかりに空咳一つ。
「俺の名前はシロード・スィヴエア。よろしく、名も知らぬお嬢さん」
- 256 :神無 鏡華:2012/04/30(月) 22:16:51 ID:dL8H4NjE0
- >>255
「無機質な空間の次は闘技場か、飽きさせないね」
感嘆の声を上げる。
その様子は未知の物に触れた子供のようだ。
「……?ああ、この空間は死んだりすることが無いんだったね」
男の言葉に少し不思議そうにしていたが、その事を思い出し納得する。
「――最高じゃないか、この空間は」
途端に顔を俯かせ、クツクツと笑いだす。
その様子はかなり不気味だ。
「ボクの名前は神無 鏡華(かんなし きょうか)だ
「よろしく、シロード《オモチャ》」
笑いはそのままに自己紹介。
変なルビが振られているが、気のせいだ。
- 257 :シロード・スィヴエア:2012/04/30(月) 22:28:36 ID:1sJsd2CgO
- >>256
「そうらしいね。鏡華ちゃんはもしかしてここが初めてかい? ――俺もハジメテ、仲間だねぇ」
シロードは神無に馴れ馴れしく話しかける。
口はにこやかに、眉根も笑みを見せている――目だけはサングラスで分からない。
「ああ、そうだ。
もしよければ、俺の相手をしてもらえないかな。
こんな所で会ったのも何かの縁だし……なに、正々堂々バトるだけさ」
――アソブニハチョウドイイダロウ。
笑った口の動きがそう見える。
- 258 :神無 鏡華:2012/04/30(月) 22:37:45 ID:dL8H4NjE0
- >>257
「ありがたいねえ、初めて同士、ナカヨクシヨウ」
顔をあげて普通の笑顔を見せる。
眼はもちろん獲物を狩るもののそれだ。
「いい案だね――いい案だ」
くるりと背を向けて、シロードから距離をとれば、
「始めようじゃないか。――正々堂々と、ね」
両手を広げて嗤いながら言った。
瞬間、神無を中心として巨大な魔法陣が浮かび上がる。
複雑怪奇な文字と紋様がつづられたそれは、淡い光で神無を照らす。
「いつでもどうぞ?」
- 259 :シロード・スィヴエア:2012/04/30(月) 22:51:28 ID:1sJsd2CgO
- >>258
「お? 自らライトアップして演出家だねー、その紋様Gooood」
(引いたか……これはなかなか賢明だ、ククク)
観察されている。
注意でもって、様子を見られている。
この事実に興奮を禁じ得ない。
「んじゃ、いくぜ?」
腰を低く半身を引き、両手を後ろに揃えて……
神無に向かい真っ直ぐに駆ける。
得物は無い。
何かを掴んでいるような諸手が下段に構えられているだけだ。
- 260 :?:2012/04/30(月) 23:00:37 ID:dL8H4NjE0
- >>259
「本当に変人が多いね、この都市は。」
「……まあいい、せっかくだ。楽しもうか、このコロシアイをさあ!」
瞬間、紅蓮の炎が魔法陣から噴き上がる。
紅い壁は鏡華ごと包みこんで円を描く。
このままシロードが突っ込めば耐熱性能でもない限り身を焼かれるだろう。
- 261 :シロード・スィヴエア:2012/04/30(月) 23:13:39 ID:1sJsd2CgO
- >>260
「ぬぅお、こりゃ、アッチィ!」
炎の壁までおよそ3メートル。
急速に駆ける足を踏み留め、左脚を軸に身体を左へ捻る。
そのとき……
右半身下段に構えた諸手が、何も無い空間から真っ黒な矛を抜き出した。
「炎の幕とか、向こう側が見えないじゃないか!!」
などと言いながら、抜き出した矛を“とても正確に”神無へと投げ放つ。
……ただ、発動した地点から彼女が動いていなければ、だが。
矛の命中の如何に依らず、シロードは炎の幕、その外側を時計回りに走り出す。
- 262 :神無 鏡華:2012/04/30(月) 23:32:40 ID:dL8H4NjE0
- >>261
矛が鏡華に当たった感じはない。
「ほらほらどこに投げてるんだい?ボクが動かないとは限らないよ?」
変わりに挑発的なそんな声が。
「くっそ……今の投擲は『視たかった』な」
少し悔しげな声でつぶやく。
鏡華は一度見た技術を殆ど同じレベルで真似できる。
しかし今の投擲は炎で見えなかったせいで、真似することができないのだ。
「さ、次の手と行こうか」
今度は炎の内部で風を巻き起こす。
地面の小石が巻き上げられ、炎によって高温に熱せられながら上空へと飛んでいく。
そしてある一定の距離まで噴き上がれば、風は弱まり落ちるのみ。
炎の幕の外へと、高温の石つぶてが満遍なく落下する。
無論、シロードにも。
- 263 :シロード・スィヴエア:2012/04/30(月) 23:57:15 ID:1sJsd2CgO
- >>262
「やっぱり、当たんねぇか……見えないんじゃしょうがない。ま、それも折り込み済みってな」
炎の幕を時計回りに走るシロード。
もちろん足跡の大多数は炎の幕を取り囲むように配置されるだろう。
そして、それぞれの座標に一つずつ、これまた真っ黒なバリスタが設置されている。
バリスタには浮き立つ影のように黒い矢が装填されていた。
それら総ては炎の幕の中を狙っている、だが――
「――ほっほーう! こりゃ見事に『読まれて』いたか!」
巻き起こる旋風、吹き上げられ美しい放物線を描き石が――炎の幕、その外側を満遍なく打ち下ろす。
その結果、炎の幕外周に設置されていたバリスタは瞬く間に故障し、使い物にならなくなった。
「……ところで、知っているのか? 上昇気流によって炎がどのような挙動を起こすのか。
知っているとすれば、お嬢ちゃん……あんたかなりの耐熱性を持っているんだな?
なぜなら炎は下から上へ“中心に向かって集束”していくんだからな! 石を持ち上げられる程の風力ならそれこそ問答無用だぜ!?」
炎の幕の中に居るであろう神無へ聞こえるように、シロードは叫ぶ。
降り注ぐ石の雨、それらの音を聞き空気の流れを読み、完全とはいえないものの大半を避けながら駆け抜ける。
時折、石が彼の白い肌に当たりじゅっと微かに火傷を残していくが、その表情は嬉々としている。
- 264 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 00:13:00 ID:dL8H4NjE0
- >>263
「……まさか、ボクの魔術の炎だよ?」
「そんじょそこらの炎と一緒にしないでほしいな」
鏡華自身の魔術でダメージを受けたら本末転倒だ。
元から鏡華だけ効果を受けないよう術式を組んである。
もちろんその分複雑になるので消費魔力の量は増えるが、
「ほらほら次の手を見せてよ!やられっぱなしじゃつまらないよ?」
この死神の魔力を全て削りとるには、このペースだと少なくとも半日はかかるだろう。
もし魔力を枯渇されるなら、少なくとも更に上級かつ複雑な術を連発させるしかないだろう。
- 265 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 00:41:31 ID:1sJsd2CgO
- >>264
「へぇ、魔術ってのは至極便利に組み上がってるんだな。特定の対象には機能しない……と、なると炎の熱も、その竜巻もお嬢ちゃんに干渉する事はないんだな?」
何かを企てているかのように、シロードは確認をとる。
そして、炎の幕から離れた場所に未だ残っていたバリスタ――シロードが最初に立っていた座標――から奇妙な紋様が刻まれた漆黒の矢が放たれる。
それは高く、とても高く、遥か上空から炎の幕の中心へと落ちていく。
次の、そのまた次のあなたの行動時に到達するくらいだろう。
「生憎と、俺は武器か兵器を作ることしか能が無くてね、だからまぁ……」
ずるり、と空間から取り出すのは棒苦無。
取り出しては投げ、取り出しては投げの下手な鉄砲なんとやら。
そのほとんどは石に撃ち落とされ、炎の熱に焼かれ、風に巻き込まれながら降り注ぐ石に混じっていく。
――だが、如何せん数が多い。
熱され、旋風の中を乱雑に集束し上昇していく真っ黒な塊を避けきれるのだろうか?
シロードは未だ、降り注ぐ石の霰を出来うる限り避けながら時計回りに走っている。
微々のダメージと疲労がじわりじわりと蓄積していく。
- 266 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 01:00:41 ID:dL8H4NjE0
- >>265
「どんな簡単な魔術にも死の危険がまとわりつくけどね」
だが、死神には死の概念が存在しない。
つまり、どんなに危険なものでも失敗を恐れずに何回でもやれる。
鏡華の技術と底無しの魔力は何回もの無茶な実験で無理矢理底上げされたものだ。
「……そろそろ、ただ待ってるだけっていうのも飽きて来たね」
「出血大サービスさ、これを取り払ってあげるよ」
その言葉と同時に、炎が下から『凍っていく』。
瞬く間に炎は巨大な氷の彫像となり、
「どーん」
中からの巨大な爆発音と共に、一斉に砕け散った。
破片は外に飛んでいくように散ったので、多くの石はそれにはじかれ遠方に落ちた。
ちなみに、矢は弾かれることなく、鏡華を狙っている。
- 267 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 01:25:00 ID:1sJsd2CgO
- >>266
投げた棒苦無が、下から凍り付いた炎に突き刺さる。
その奇怪極まりない現象にシロードはサングラスの奥で赤い目を見開き、瞬間硬直する。
「――しま……ッ!?」
爆ぜる氷壁。
頭の上当たりでビクついて、身をかばうにはあまりにも滑稽な諸手から……
今度は逆、空間に生えるように現れる、肉厚で幅広い西洋大剣。
シロードはこれを盾に凌ぐつもりだったが、反応が遅れ、踏ん張る事が出来ない。
その結果、柄を握ったまま大剣ごと吹き飛ばされ無様に地を転がる。
そして神無へ降り落ちる一本の矢。
これには、シロードの作った黒い物質を避ける式が紋様として組み込まれている。
旋風に巻き上げられる棒苦無を避け、その隙間を縫い、術式に意図して組み込まれた安全地帯へ誘われる。
そのような応用を、炎の幕が張られた時から考えていた。
だが、現在は炎の幕が消えている――つまり予測していた状況が異なる。
果たして、黒い矢は何処に向かうのか。
- 268 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 01:48:58 ID:dL8H4NjE0
- >>267
「……ちょっと見た目にこだわりすぎた」
先ほど鏡華がやったのは、炎の障壁の術式を術に矛盾が起きないように書き換え、
更にそれと同時に無属性の爆発魔法を発動する、といったものだ。
術が消えないように別のものに書き換えるのは以外と難しく、かなりの労力を要する。
更にそれを別の魔法と平行して急ぎでやったのだからなおさらだ。
「あー疲れた……っ!?」
完全に油断していた時に降ってきた矢。
軌道こそ少し外れるもののそれは鏡華の右腕に突き刺さり、貫く。
人間と同じ紅い液体が吹き出し、地面を染める。
「やってくれるね……」
仮想空間といっても、その痛みは本物だ。顔をゆがめ、傷口を抑える。
「まあいい、これで準備は整ったんだから」
血に染まった左腕を天高く上げ、ブツブツと何かをつぶやく。
すると、黒い魔法陣が鏡華とシロードの上に出現する。
「とっておきを見せてあげるよ」
- 269 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 02:32:18 ID:1sJsd2CgO
- >>268
受け身をし損ない、背面を強打した痛みに歯を軋ませながら立ち上がる。
「っぐ……、こりゃあまた。打って変わって不穏な……」
黒い紋様の広がった空を仰ぐ顔は、ニヤリとした喜色に染まる。
この状況を心の底から楽しんでいる、そういった表情だ。
黒い衣服の脚筒に裂け目が口を開いている。
そして、赤く湿っぽい。
負傷した左足を少し引き摺るようにしながら、幅広い西洋大剣を上段に構える。
これもやはり黒く、表面片側には奇っ怪な紋様……。
シロードと神無の距離は離れている。
「さぁて、こっちも数少ない摩訶不思議を御披露しよう……。
式はハウリング。共振だ。
振るった斬撃が乱雑に輻射し拡散しながら直進する。
こっちの世界じゃあ、割とメジャーなようだがな……俺のコレは“耳障り”だ」
そう宣言して、大剣を袈裟に振り下ろす。
剣撃は重量と加速により叩き付けた地面を抉り……
宣言通り、物凄く耳障りな高音域の騒音を伴って、衝撃のような斬撃が高速で直進していく。
進行方向の地面を扇状に陥没させ、やたらめったらに傷痕を残す様子から、
あの“斬撃”は360度全方位から、針を刺すような圧力に変じたものと分かる。
それが神無へと拡散しながら迫っていく。
距離が離れているため、拡散し密度が薄くなったとはいえ耳障りな圧力は健在である。
- 270 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 17:20:15 ID:dL8H4NjE0
- >>269
「――――」
眼を閉じ、左手の3つの指輪に意識を集中させながら。
術式を完成させるための言葉を紡いでいく。
「――ッ!?」
耳障りな音に集中が乱れ、築き上げた術式が崩壊しそうになる。
が、そこは流石というべきか、崩壊しない程度に術式を組みたてながら、並行でもう一つ魔法を発動する。
鏡華の周りを風が包み込み、迫りくる衝撃波に対する防護壁となる。
しかし瞬時に組み立てた上、別の魔法と並行してやったのだ。
気休め程度にしかならず、体に嫌な感覚が広がり、体勢が崩れる。
「ざん……ねん……止まらないよ」
それでもまだ、術式の構築を続ける。
スピードは格段に遅くなったが、すでにその大半は終わってしまっている。
彼女の能力の発動まで、5秒前後といったところか。
- 271 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 19:12:09 ID:1sJsd2CgO
- >>270
「ほーう、音要素を阻害しても乱れないのは意外だなぁ。
式の構築は術者内部で、その投影があの紋様って感じかな。
……まるで正反対の式だ。
いや、俺の能力とプロセスは似てるか……」
真っ黒な西洋大剣が剣先から消失していく、見れば転がる棒苦無もいつの間にか塵一つ残さず一掃されていた。
壊れたバリスタも同様。
紋様の刻まれた黒い矢も矢尻から徐々に消え失せる。
「――さて、何が来るのか……」
状況から見て“様子見”が最良と判断した。
黒い式の紋様、魔法陣から相手の思惑を読み取るかのように、赤い眼光は天に刺さる。
- 272 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 19:40:04 ID:dL8H4NjE0
- >>271
「――。」
そして、詠唱が終わる。
左手の指輪に嵌めこまれていた宝石を中心として、球体の黒い魔法陣がそれぞれ一つずつ展開される。
「さあ、追い詰めてあげるよ。ジワジワとね」
戦闘の前に見せた嗤いをその顔に浮かべ、言う。
その言葉と同時に魔法陣から一際強い暗闇が放たれ、
一瞬にして鏡華とシロード、二人を包み込むだろう。
暗闇の中は今までいた場所とは完全に別世界となっている。
たとえ強烈な光で照らそうが何も見えないし、叫んでも何も聞こえない。
『安心するといい、この世界でボクは攻撃の手段を持たないよ』
『ただ、少し大人しく話を聞いてもらおうと思ってね』
ただ、どこからともなく響く鏡華の声を除いて。
- 273 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 20:13:53 ID:1sJsd2CgO
- >>272
「――っ!?」
予想外だった。
目の前の状況が一変し、視界はおろか聴覚まで奪われたような感覚がする。
顔の横で指を擦り、パチンと破裂音を鳴らそうと試みる。
このうえ触覚まで奪われていたならば、この空間でどうすることも出来ない。
「ふむ……お嬢ちゃんと二人きり、暗闇でお話か。たまにはこういう趣向も悪くない」
発した声も相手に届くのか些か怪しい。
とりあえず、彼女の宣言に耳を傾ける事にした。
- 274 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 20:55:53 ID:dL8H4NjE0
- >>273
『ああ、触覚まで失わせて前に発狂されたことがあってね』
『それ以来触覚は封じてない。あと、ボクからはちゃんとキミの姿は見えてるし、声も聞こえてるよ』
クツクツと笑い声を響かせて、
『これからボクがすることはたった一つ』
『キミにボクの能力の説明をするだけだ』
突然、シロードの前に指輪が二つ現れる。
暗闇の中ではっきりと見えるその二つは、片方に蒼い宝石が、もう片方に透明な宝石が埋め込まれている。
『ボクの能力はその指輪で触れたものをコピー、召喚することだ』
『蒼いやつは物質をコピーできるんだけど……まあ今はどうでもいい、大事なのはもう一つだ』
蒼い指輪が消え、代わりに透明な指輪が更に二つ出現する。
『そっちがコピーできるのは生物の魂、つまりキミ自身ってことさ』
『だけどこの能力を使うには色々面倒なことがあってね』
『完全にコピーするには三つ全部使わないとダメなのさ』
『ほかにも色々あるけどとりあえずは省こうか、伝えることは伝えたし』
『それじゃあ……』
その言葉で暗闇が消え、元の世界に戻れば、
「再開しようか」
シロードの目の前で今まさに指輪を触れさせようとしている鏡華が目に入るだろう。
- 275 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 21:27:52 ID:1sJsd2CgO
- >>274
パチン、と破裂させた空気が頬をうつ。
その右手は顔の横で軽く握られたままだ。
「なるほど、なるほど。確かに“触覚はある”な……よく出来た空間隔絶か、はたまた幻術の類か」
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
つり上がる口元には余裕が見て取れる。
「種明かしか? そんな事を言って、警戒されてしまえば元も子もないだろう……」
シロードは、神無の言葉を“聞いた”指輪についての説明もしっかりと。
――そして、再開。
指輪はシロードの身体に触れた――と、同時。
顔の横で構えられた右手から生えるようにして真っ黒な小太刀が逆手に現れる。
「触覚も消しとくべきだったな! おかげで近づいてくるのが丸判りだったぜ!」
シロードは左手で、その指輪を付けた腕を押さえつけようとし、さらにはそこに小太刀を振り下ろす。
- 276 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 21:46:36 ID:dL8H4NjE0
- >>275
「仕方ないだろう、聞かせなきゃ効果を発動できないんだ」
それに、そもそも鏡華の目的はその警戒にある。
コピーされることは相手の戦力の増加につながる。それを防ぐために相手は鏡華を接近させまいとする。
そうすれば鏡華が得意としている遠距離戦に向こうから持ち込んでくれるというわけだ。
そうそうきれいにかかってくれるとも思っていないので、相手のコピーも視野に入れているが。
「……わかってくれるって信じてたよ」
振り降ろされた小太刀は鏡華を通り抜ける。
と同時に、鏡華の体が蜃気楼のように消える。
彼女がもっとも得意とする魔法である幻覚魔法。その基本ともいえる技だ。
「わざと触覚を残してあげて正解だった。あ、さっき話した触覚を消して発狂っていうのは嘘だから」
シロードの背後で魔力による矢を形成し、放つ。
その数総勢5。その全てがシロードに寸分の違いなく放たれている。
- 277 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 22:23:47 ID:1sJsd2CgO
- >>276
「チッ、そこまで『読んでいた』とは――」
そうだ、あれは視界が開けただけであり。
幻術が解けたわけではない。
さらに、与えられる情報を制限可能ならば操作も可能でなければ道理が通らない。
(――間に合わない!)
後ろの声へ振り向くと見える五本の矢。
咄嗟に二本へ小太刀を投げつけ、身をよじって一本を避けるも二本は左腕に突き刺さる。
突き刺さった一本は貫通し、あと少しで胸部へ辿り着こうとしていた。
そして、右手に掴む真っ黒な大太刀。
シロードは魔力の矢が飛んできた方へ駆ける、接近戦を仕掛ける気だ。
- 278 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 22:35:02 ID:dL8H4NjE0
- >>277
「――チッ」
接近してきたシロードを見て、鏡華は小さく舌打ち。
鏡華の身体能力は見た目通り少女のそれだ。コンマ数秒以下の世界で殺し合う力などない。
(どうやってもう一度引き離すか……)
本体で指輪に触れていないため、影を召喚して囮にはできない。
(接近戦で一度でも触れられればいいんだ、覚悟を決めるか……)
鎌のシルエットが象られた首のネックレスに触れる。
そこから召喚されるのは一振りの漆黒の大鎌。
「たまには接近戦も悪くない……行くよ」
両手で大鎌を構えると、下段で受けるような姿勢を見せる。
- 279 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 22:49:29 ID:1sJsd2CgO
- >>278
神無の反応を見てから、自らの左腕を気にする。
どうやらあの矢は幻術ではないようだ、とでも思ったのか。
「おーう、鎌とはなかなか。面白いチョイスだ」
神無の正面へ肉薄する。
刃は上段より中段。
中途半端な袈裟切り。
切っ先が肌に触れるか否かのスレスレで振るわれる。
- 280 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 22:55:31 ID:dL8H4NjE0
- >>279
鎌を縦に構え、持ち手の部分でそれを受ける。
「ッ……」
ただの袈裟切りだというのに、それでも重く感じる。
真っ向から挑むのはやはり無理があったかと今さらながらに思う。
「――らぁっ!」
しかし、今更後悔しても遅い。
鎌をクルリと回転し、刃を下から上に構え直しながら、相手に切り上げを食らわせようとする。
- 281 :シロード・スィヴエア:2012/05/01(火) 23:29:21 ID:1sJsd2CgO
- >>280
「……」
受けられた。
わずか後ろに引けば避ける事も出来たはずだ。
というのに、あえて神無は柄で受けた。
その結果、大太刀の薄い刃はいとも容易く欠ける。
だが、それだけだ。
未だ、刀身は健在。
シロードは大太刀ごと右半身を引くため、左足を軸に腰を時計回りに僅か捻る。
右足が弧を描いて地を擦る。
ぐっと、下げる重心に追従させるように、左手を下から噴き上がる鎌の刃へと打ち下ろした。
シロードの左腕に込められた力はインパクトこそ威力はあれど、負傷部位故持続はしない。
さて……
鎌の刃の切れ味は如何なる程か、肉を裂き骨をも容易く断つものか?
振るう少女の腕の力は如何なる程か、一思いに男の腕を竹の如くに割り斬るものか?
どちらかを満たすのならば、捨て身のカウンターをスルーし俯いたシロードの上半身をバッサリと断てるだろう。
- 282 :神無 鏡華:2012/05/01(火) 23:54:26 ID:dL8H4NjE0
- >>281
「……」
振り抜いてもおそらく致命傷には至らない。
それは鏡華自身分かっていることだ。
鎌の切れ味は関係ない、ただ鏡華の力量不足というだけのこと。
(だったら……!)
足元に魔法陣が浮かび上がる。
無から一瞬にして組まれたその陣が意味するのは音、シロードも使った振動系統の技だ。
鎌は超高速の微振動をはじめ、切れ味を限界の更に上へと高める。
耳障りな音を発しながら、当たれば確実にその身を切り裂く一撃が振り上げられる。
- 283 :シロード・スィヴエア:2012/05/02(水) 00:24:07 ID:1sJsd2CgO
- >>282
左手に伝わる微細な振動。
目には見えない幽かな動きは、切れ味など力量など歯牙にも掛けず……
ただ、肉を抉り引き千切り、分子レベルの鋸となって左腕を刻み始める。
だが、もとより左腕なぞくれてやる心算。
浮き上がる鎌に合わせて、更に時計回りに腰を回し、上体を引き起こす。
軸足が180度反転する。
地を擦る右足が、ドスンと地を踏み締め、重心が移り変わる。
左腕が掌から肘にかけてスライスされる。
左耳が削ぎ落とされながらも振り返り、大外から神無へ上体が右腕ごと迫る。
遠心力と重みを乗せ、真一文字に振るう大太刀。
やや大振りな軌道、鎌の範囲から一歩半内側へ進入して弧を描き迫る。
- 284 :神無 鏡華:2012/05/02(水) 00:35:07 ID:dL8H4NjE0
- >>283
間にあわない。
直感的にそう感じ取った少女は、反射的に右手首の腕輪に手を伸ばし……
「……っ!」
しかしなぜかその手を止める。
横一文字にバッサリと切られ、赤い液体が吹き出す。
体勢を崩すがそれでも踏みとどまった少女は、
「人間なら致命傷だね……まあいい、ボクの負けだ」
少し悔しそうに言った
- 285 :シロード・スィヴエア:2012/05/02(水) 00:50:43 ID:1sJsd2CgO
- >>284
――参った。
そういう事でいいのだろうか。
……いいのだろう。
ぷしゅう、と緊張感が抜けてへらへらした表情で立ち上がる。
「負けを認めるとは清々しい。お疲れさん」
黒い大太刀は蜃気楼のように掻き消えた。
「……だがまぁ、その理屈でいくと俺も致命傷だがな」
左腕、楕円形の切り口を掲げる。
ベロリと垂れたそこから拍動に合わせて赤い噴水。
間違いなく失血死である。
「痛すぎてもう逆になーんも感じないが、死んでも平気な箱庭ならではの戦法だぁな。これは」
思わず苦笑い。
- 286 :神無 鏡華:2012/05/02(水) 00:57:55 ID:dL8H4NjE0
- >>285
「全くすごい世界だねここは」
やれやれとため息をつく。
どばどばと血が吹き出していることを考えるとかなりシュールな光景だ。
「痛いものは痛いし、ボクはさっさと帰るよ、さよなら」
転送装置を呼び出し、鏡華はさっさと帰っていった。
「次があったならその時こそはもっと奥の手を見せてあげるよ、それじゃ」
- 287 :シロード・スィヴエア:2012/05/02(水) 01:07:15 ID:1sJsd2CgO
- >>286
「じゃあ、その時を楽しみにしておくよ」
言って、転送されていく神無を見送る。
深く息を吐いて、寒気のしてきた身体をさする。
さすがヴァーチャルリアリティだと思う。
「……ま、次がリアルじゃない事を祈るか。確実に死ねる」
そう言い残してシロードは現実に還っていった。
//乙ー。
- 288 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/02(水) 21:44:03 ID:7gFzKdaU0
- 住宅街の小さな路地、そこに人の叫び声が響き――やがて消えた。
ちかちかと点滅する街灯の下には、一つの影が有る。
学生服を着た、眼鏡の青年だ。特筆するような外見が無いほどに何処にでもいる、という形容詞が付けられる青年。
但し、良く見ればそうそう居ない事には即座に思い至っても可笑しくはないだろう。
眼鏡の奥の黒い瞳に光は無く、光すらも飲み干しそうな闇がただただ広がっている。
「――――ひ、っはは。不幸、不幸だなぁ、お前ら。
可哀想だなぁ、オイ。本当に――――可哀想だ」
びちゃり、足元の何かを踏み潰せば響くのは水音。
ちかり、ちかり。点滅する電灯が、明るく輝き、彼の周囲の光景を照らしだした。
そこにあったのは――数人分の死体と血を浴びて泣き笑いのようにしている一人の青年。
青年は両の手から血を零して、一人口元を喜びの形に歪めて独り言をつぶやいていた。
狂気ではない、ただ、理性的な絶望と不幸がその空間を侵略し、支配しているのだった。
- 289 :ノア:2012/05/02(水) 21:54:05 ID:1BBSxSE20
- >>288
「何がさ?」
べちゃっ。
遠慮も容赦も慈悲もなく、血液と肉塊と青年の影を踏み踏み、現れる人影。
青年――鬼門は目にしたことがあるだろう、黒衣を纏った少女のような少年のような、あやふやな人物だった。
「かわいそうなの? 僕はそう思わないよぉ、だってほら見てごらん。
この子なんか如何にも生に絶望してまーすって顔してるでしょ?
だからほら生の世界から解き放ってくれた君に感謝してるかもよォ全然かわいそうじゃない!!
……まあ僕この子の事なんか知らねーんだけどさ。想像力って大事じゃん?」
適当にそこら辺に転がっていた首を拾って、語って、飽きて、投げた。
その動作にはいっさいの意味は含まれず、ただなんとなく、思い付きでやっているような軽さが混じる。
けれども彼(若しくは彼女)はさも意味があるとでも言いたげに、にっこり微笑んで見せるのだった。
- 290 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/02(水) 22:02:57 ID:7gFzKdaU0
- >>289
「いや、なんど襲いかかっても『不幸にも死んでしまう』のにそれでも俺を討伐させられるのは可哀想だな、って思っただけだ」
ぐりん、と首だけを動かして、相手の方を向く。
そして、前よりも表情豊かに、裂けるような笑顔を浮かべて、相手に答えてみせた。
とても嬉しくなさそうに嬉しそうな笑みを浮かべるのは、とても不健康的で素敵なんかじゃあり得ない感じ。
ただひたすらに、淀み、汚れ、腐り果てる事をよしとする有様がそこにいる。
「想像力が欠如している現代の高校生にはそういうものは難しい。
別に救われたいわけでもないし、かわいそうなら可哀想なままでいいし。
屑なら屑でいいし、ゴミならゴミでいいし、ダメならダメでそれでいい。
変わるのは面倒だし、変わらないのも面倒だし、想像するのも面倒だし、生きるのも面倒だし、死ぬのも面倒だし」
ため息を深く吐きながら、血痕と肉片のこびりついた壁に背中を預ける。
べちゃり。背中で潰れる肉塊の感触に、気色悪いと思った。
だからとして、それで動くのも面倒なため、結局な所なにも行動をそれ以上には起こさない。
「で、なんか用。ノア――だったっけ?」
眼鏡を直しつつ、黒い瞳を不安定に揺らして、目なんか決して合わそうとせずに。
興味なんて欠片もなさそうなほどに情熱無く問いかける気もなくただ口にだした。
- 291 :伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/05/02(水) 22:05:52 ID:j3F3Rpmc0
- >>288 >>289
(……何だこの光景)
その青年は、路地に置かれたゴミ箱の影に座り込んでいた。
血と肉の色彩と匂いに対して、その瞳は恐怖しているように見える。
(なあオイ、僕はコンビニにふらっと買い物に出ただけだろう?
それなのになんでこんなブラッディな空間に―――)
異様な状況に怯える彼は、正直言って場違いそのものであった。
唯一この場に馴染む理由があるとすれば、その死人のように濁った瞳くらいのもので―――しかしそれもあくまで生者のもの。
本当の“死”が、その辺の石ころ程度に扱われる空間の中では、それこそ浮いていた。
ふと、ゴミ箱の影で息を潜める彼の足元で、一匹のねずみが飛び出した。
緊張しきっていた彼は、その小さなねずみを見た途端
「ッ……―――!」
小さく、声を漏らしてしまった。直後、彼は慌てて口元を押さえたが。
- 292 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/02(水) 22:11:43 ID:7gFzKdaU0
- >>291
「ああ――、こんばんは。でいいのか」
ゴミ箱の方に向かって、首から上だけを動かして、律儀に挨拶をする青年。
殺意なんて欠片もなく、敵意も欠片もなく、暴力を振るう気なんて有ろうはずが無い。
そんな事をするくらいならなにもしないほうがはるかに有意義と認識しているのだから。
だが、足元の血を見ていれば分かるが、段々腐臭が広がっている。
紅い血が、段々黒くなっていき、死体からはすでにウジが沸き始めている。
なんとも、退廃的な気配、空気が、徐々に相手のほうにも流れていくはずだ。
青年が、壁に背をもたれかけさせた状態で。
少し居心地が悪くなったのか、足の置き場所を変えた。
足を上げて、下ろす。その動作で、ピキィ、と何かの鳴き声とぐちゃり、と肉の轢き潰される音が響く。
足元には、ネズミの死体。
たまたま、偶然、不幸にも。ネズミは青年の足元で踏み潰されていた。
- 293 :ノア:2012/05/02(水) 22:16:17 ID:1BBSxSE20
- >>290
「へー、討伐。……討伐? うわあ大変だねぇー相手すんのめんどくさそう」
捨てた首を相手のゴールにシューッ(ただしゴールなどない)!
ふんふん、と適当な相槌を打ちながら息を吸い込めば、鉄の香りが鼻孔に張り付いた。
「そーいうの甘えって言うんだよォー難しいと思うならレッツトライレッツトラーイ!
頑張って! いつかは夢がかなうんだから! 君は若いまだ時間がある!
まあ、君が死に物狂いで頑張ったとして、それで成功しなくても、僕は責任とらねーよ面倒臭ぇし
……おっと話が逸れに逸れたねまるで……あっだめだ上手いこと思いつかない」
ガッツポーズ! ののち、面倒臭げにそれを解除。
下唇を人差し指でちょんちょん、ウインクをひとつ投げてみた。
「そう。お客さんを呼んだんだよぉー仲良くなれるかもしれないから挨拶をね、」
>>291
「――――させようと思ったんだけど、僕の知らないお客さんまでいるようだァ。
ねえこういう状況にはち合わせるのは美少女って相場が決まってるよね?
そのはずさそれ以外考えられないそのことで頭がいっぱいさーーーーーーーあ出ておいでよ美少女!!!」
大きく手を広げて、抱擁を求めるポーズ。
歓迎を表すボディランゲージ、音がしたほうへ身体を向けた。
- 294 :伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/02(水) 22:24:54 ID:j3F3Rpmc0
- //酉間違えてたしのう
>>292
「っ、……こん、ばんは、だろうな。
今は夜だし、僕は別に今起きた訳でもない。
挨拶をするんなら、こんばんはで合ってる筈だ」
汚れた壁に手をつきながら、青年はふらふらと立ち上がる。
声色からして、顔を出した途端殺されるような事はないだろう、と思ったらしい。
と同時、今までゴミ箱に隠れて見えていなかった凄惨な光景が、彼の視界に入る。
「……別に映画やなんかの撮影って訳じゃあないんだよな、これ。
何があったらこんな事になるんだよっつーか……うえ」
>>291
「……非常に申し訳ないが、根暗男子なんだこれが」
顔を覗かせた青年が、申し訳なさそうにへこへこと頭を下げる。
(あっちの眼鏡君もかなりこえーけど、こっちは洒落にならないタイプだろ……!
美少女とかなんとか言ってるし消されかねないやばいやばい―――)
- 295 :伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/02(水) 22:26:39 ID:j3F3Rpmc0
- //しかもレス番間違えとる291→293ですッ……
- 296 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/02(水) 22:31:03 ID:7gFzKdaU0
- >>293
「襲われる時点で俺も不幸だけど。どうせ怪我しても死なないし。
適当にやれば適当に死ぬんだから、俺にとっちゃどうでもいい事だし」
飛んでいく首を無感動に観察しながら、青年はだらだらした口調で、ぼそぼそと口を動かす。
微妙に動く気になったのか、服についた肉片を落とそうとする。
だが、面倒になったためやっぱりやめる。
「甘えが許されるなら永遠に甘えていたいし、だらけていたいし、そのまま朽ち果てたい。
成功しない可能性があるならやらなきゃいいじゃん、面倒くさい」
相手のテンションが天に舞い上がる中で、青年は正反対に地を這いずりまわっていた。
はぁ、と息を吐き出して、ずず、と地面に座り込んだ。体育座りだ。
「……へぇ、興味ないから勝手にしてくれ」
止めるのも面倒なために、相手が何をしようとも、そのまま受け入れることだろう。
>>294
「へぇ。どうでもいいけど」
血溜まりで体育座りをしながら、長めの前髪の奥から黒い瞳を向けて、目が合うと即座に目線をずらす。
相手が根暗を自称するならば、こちらの根暗っぷりはどうしようもないレベルだろうか。
そして、相手が気持ち悪そうにしているのを見て、嘆息。
「不幸だな。お前も、不幸だ。見たくなかっただろ、こういうの。
まあ、お前が不幸でも俺が不幸に成るわけじゃないからどうでもいいけど。
ただ、あんまり一緒にいるとこうなるかもしれないぞ」
早口で、怯えたように素早く口にされる言葉。
そして、言葉を口にし終えれば、また俯いて会話を拒否しようとする。
- 297 :ノア+???:2012/05/02(水) 22:40:38 ID:1BBSxSE20
- >>294
一秒、二秒、三秒――、――たっぷり十秒はたっただろうか。
とにかくそれくらいの間があって、黙っていた黒い少女?が口を開いた。
「………………構わん、それでも好きだ――――!」
ストライクゾーンには入った、らしい。
「でぇ、何何のぞき?
やだなぁ今からちょっと人には見せられないプレイ始めるからぁ嘘だけど。
まあ今の状況が人には見せられないんだけどね、君はヒトじゃないから大丈夫でしょう?」
ぽーんと軽く、何でも内容に掛けた言葉は、質問の意図を含んでいる。
伏見が「何」であるのかを問うようなそれは、切り売りされた肉を値踏みをするような視線を伴って、向けられた。
>>296
「うわぁニート。ニート予備軍。社会は君の事を屑と呼ぶのだろうねぇ。
僕はどっちかってーと屑ってより生ゴミと呼びたいね肥料には成り得るという観点からねー
……勝手にしていい? ならするするーっていうかもうすでに『一人』ついてきてるし」
おいでおいで、壁の向こうへ手招きをする。
するとそこから現れる人影、折れそうなほど細く潰れそうなほど小さい、子供だ。
薄汚れた白髪とぺらぺらの紙のような質感の不健康そうな肌。
そしてぐるぐると澱み腐ったドブ川の底を浚ったら出てくるような、夜闇を煮詰めればできるような、くろぐろとした瞳が特徴的だ。
『……あのぉ、刺しても、いいですか?
先っぽだけでいいので、先っぽをちょっと入れたらすぐ、終わるので……』
「こーら駄目って言ったでしょうがぁ!」
白髪の子供ははぁあと熱い息を漏らしながら、手にした長物――刃物、刀剣のようなものの切っ先を向けて、
ノアに叱られて、ちょっとだけしゅんとしていた。
- 298 :伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/02(水) 22:52:25 ID:j3F3Rpmc0
- >>296
(上には上が……いや、下には下が、か?
……いやはや、こんくらいのレベルだと一周して尊敬するね)
案外自分は目付きが悪いだけなのかもしれないな、なんて考えながら、彼は言う。
「いいや、別に、不幸だとかじゃなく―――普通驚くだろこんな状況。
一応血には慣れてるつもりだったけど、改める必要があるかもな」
そこまで言い切ると、青年は深く息を吸い、死臭にむせてからまた続ける。
「げふっ、げふ……あー、どうだか。頭潰されたくらいじゃ僕ぁ死なないけどな。
いやまあ、死なないっつー訳でもないから何とも言えないけど―――あー……」
頭を掻きながら、答える。
場が静かになったのを無理やり繋ごうとする男子高校生のようだった。
というか、そのモノだった。繋ぐ必要はないのに、その沈黙に耐えられない様子で。
>>297
「……、ストライクゾーン広すぎだろ」
長い、長い間で高められた恐怖が、一瞬にして霧散する。
死の匂いが充満しているにも関わらず、伏見は毒気が抜かれた気分になって、軽く冗談交じりに答える。
「偶然通りかかっただけだよ……僕はビビリだからな、つい隠れちまった。
……ああ、何さ、お二人はそういう関係? 逢瀬? 悪い事したねこいつは」
「―――いや、確かに僕はヒトじゃあないが。まさか食ったりするつもり?
死人の肉は美味くないぜ、僕は死人じゃないけどな……あ、タンマ、半分くらいはそんなもんだけど」
青年は言った。
自分がヒトという枠から少し外れている事を見抜かれ、目を丸くしながら。
- 299 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/02(水) 22:58:21 ID:7gFzKdaU0
- >>297
「ニートでもなんでも、なにもしなくていいならなんでもいい。
生ゴミでも屑でも、なんでも勝手にすりゃいい、訂正するのも面倒臭い」
驚いた様子も無く。同じような色彩の瞳を僅かに子供に向ける。
どことなく、同類のように見えて、目を逸らした。
屑は屑でも、親近感をもつとより堕ちてしまう。それが感動的で魅力的で仕方がない。
本当の意味で、鬼門は相手に向かって笑うという行為を数年ぶりに浮かべてみせた。
何となくの、親近感と、勘が青年の心を数ミリ程度動かした。
「いいぞ。別に。刺されるの、慣れてるし」
むくり、と起き上がって。
両手を開いて、ほら、と言って。青年は子供を見下ろした。
刺されても文句は言わないだろう。さしていいといったのだから。
>>298
「普通驚くだろうな、知ってた。
別に改めなくてもいいだろ。面倒くさいし」
血溜まりで、肉片を指先で弄り回しながら。
淡々と青年は口を動かす。会話ができないわけでもないが、目を合わせたがらない。
そして、全く楽しそうな様子も見せないのも、もう一人の少女に比べて、より目立つ要素と成るだろう。
「別に、面倒なら話さなくてもいいんじゃないか。無理は面倒だし、面倒な事をするのは辛いし面倒だ。
はぁ――、このまま此処で寝ちまいたい。けど、血溜まりは嫌だし。動くのも面倒だし」
あふぅ、とあくびをしつつ、髪の毛にこびりついた肉を緩慢な動作で取っていく。
全くもってやる気が感じられないし、今の時点では危険な様子も見せない。
だがしかし、この光景を作ったのはこの青年で間違いないのだった。
- 300 :ノア+???:2012/05/02(水) 23:16:15 ID:1BBSxSE20
- >>298
「ワシのストライクゾーンは108まであるぞ、ってなー。
まあ怖がらなくてもいいよぉ、僕も彼もその気にはなってないはず、だし」
イコール、その気になれば何かするよ。
暗にそう伝える言葉の端には笑みを添えて、ちょいちょいと手招き。
「いや? 僕ら一度会ったことあるだけのまだ他人だよぉ。
ふぅん……ヒトじゃないんだねぇ、けっこう当てずっぽうで言ってみたんだけども。
ねえ、ヒトじゃないんだってよぉ? 君はストライクゾーンなの?」
『……血が出て、肉の感触があって、痛がるのなら。
ねぇ、先っぽだけ入れさせて? ――この刀』
黒衣の少女――ノアが声をかけた先には、刀を持った白髪の子供。
ノアが口にしていた「鬼門に会わせたいお客さん」とは、この子の事なのだろう。
白い子供は、手を引く遊女のような妖しさを湛えた笑みを伴って、刀の切っ先をそちらに向けていた。
>>299
「あっこら、この子調子に乗せちゃあ――――」
ノアの言葉が終わる前に、白髪の子供が動いていた。
切っ先を鬼門に向け直し、地を蹴って走り出す。
手を広げた鬼門に駆け寄る子供は、手に刀さえ持っていなければ、抱擁を求めて駆けているようにも見えたはずだ。
爛々と輝く喜色を浮かばせて、白髪の子供――少女は、その刀を鬼門に突き刺そうとしたところで、
「――――駄目って言ってるでしょうがっ」
ノアに首根っこを掴まれた。
ぎちぎちと音を立てて、細い首を折らんとばかりに掴むノア。子供は一拍置いて、呼吸が出来ないことに気付く。
刀の刃部分を掴んで(勿論斬れて血が出た、しかし気にも留めていないようだ)、自身の首を掴むノアの手を、引っ掻くように浅く斬った。
「この子の刀、呪詛が沁み込んでるんだよぉ……痛いっ。
調子に乗せちゃだめだってばぁ」
斬られた傷口から、ぐじゅりと音を立てて黒いものが零れ落ちる。
その様を見やりながら、ノアははあと溜息をついた。
- 301 :伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/02(水) 23:27:52 ID:j3F3Rpmc0
- >>299
「なあ、こんな殺伐とした色彩の中でよくそんなにくつろげるな。
僕はさっきから未だに心拍数が平常値に戻ってくれないんだが」
などと言いながらも、さっきまで隠れていたゴミ箱にそっと腰掛ける。
異常な空間で平静にしている―――そんな“異常”が、少しだけ伝染したようだった。
「面倒を回避する面倒くらい惜しむなよ。余計面倒が引き寄せられるぞ。
……ああ、駄目だ、面倒がゲシュタルト崩壊する」
がしがしと頭を掻いて、伏見は腕を組み尋ねた。
「……と、いうか。何がどうなったらこんな事になるんだ?
生憎、僕はこういう物騒な事をさほど経験してなくて、皆目検討もつかないんだけど―――」
今まさに刺されようとしている青年に、相変わらず死んだようなあくまで生者の視線を送りながら。
>>300
「まさに煩悩……って、適当に言ったのかよ。別に知られて困る事じゃないけども。
死ねる生ける屍もどき、だな。生ける屍もどきなんだけど、お恥ずかしい事に死ぬんだわ僕」
適当な言葉ぶりやら、自身の情けない肩書きやらに、伏見は肩を落とした。
「……ああ、多分血も出るし肉の感触もあるけど、生憎僕には受けの気はないんだ。悪いね」
ぱたぱたと手を振って、丁重にお断りした。
そうして、白い童女の行動やらを目の当たりにして、
「……ベビーシッターか何か?」
と、つぶやいた。
- 302 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/02(水) 23:33:34 ID:7gFzKdaU0
- >>300
ノアの言葉には、なんで自分が刺されるわけでもないのに止めようとするのか、という疑問を覚えて。
首を傾げつつも、こくり、と首肯を返す。
「呪われるのも、刺されるのも別にいいんだけど。
まあ、今度。ノアの、居ない時に、な」
そう言って、何らかのが貫通していたのか、掌に大穴が空いた掌を子供に向けて。
くしゃり、と柄にもなく頭を撫でてみようとするだろう。
ガサガサで、死人のように白くて、彼岸花のように紅い血痕のついた手は、気色悪い。
ノアの様子を眺めて、ふぅん、と何とも言えない声を漏らした。
「手。出せ」
そう言って、青年はノアの手を取ろうとするだろう。
もし、傷口に触れれば、即座に手を離して。次の瞬間には傷はなくなっているはずだ。
鬼門の手の上に傷が摘出されているはずである。
>>301
「慣れ。週に何度か有れば慣れるし。
目瞑れば、濡れてるくらいで大したことじゃない」
ふぅ、と息を吐き出しながら、青年はのそのそと動き出す。
生きてるのにゾンビのように生気の欠片も無い動作。
いつの間にか、学生鞄を拾ってきていた。
「面倒を回避する面倒をするのが面倒で仕方ないから、なにもしない。
面倒なことになれば、てきとうにやれば適当になんとかなるだろうし、面倒だし」
鞄を肩にかけながら、相手の質問に対して、あー、と呟いて。
青年は、制服のポケットからナイフをおもむろに取り出して。
それをそのまま右の手のひらに突き刺した。びちゃり、と血が周囲に飛び散り始める。
ナイフは掌から手の甲へと貫通しており、それをぐずり、と引きぬいた。
掌を近くの壁に押し付け、離す。
掌のついていたコンクリートの壁には、掌の傷をほとんど同じ傷が、プリントアウトされたかのように出現していた。
手から吹き出す血を制服で拭いながら、こういうこと、と小さくつぶやいた。
- 303 :ノア+???:2012/05/02(水) 23:40:06 ID:1BBSxSE20
- >>301
「ベビーシッターって死と隣り合わせの職業だっけぇ、おっかしいなぁ……」
手から滴り落ちる黒いぐじゅぐじゅを払い、冗談を零してみるノア。
しかし呪詛を受けて相当に弱っているらしく、同時にひゅうと息を漏らしていた。
『……生ける屍、素敵じゃあないですか。
殺してももう一回殺せるんでしょう? ああ、いいなあ……
斬って裂いて刺して潰したい、……一回くらい受けに回るのも、素敵だと思いますよ?』
にたにた笑いながら、刃の切っ先を向け直す。
きらりと月光を反射するその銀色には一切の汚れも無く、――――
――――“ノアを斬った”はずなのに?
>>302
『ええ、ええ。「呼主」さんの、居ない時に、楽しみましょう』
白い子供は、自分に向けられた手が汚れていようとも、何とも思わなかったらしい。
血に慣れているからなのか、自身も汚れているからなのか、はたまた。
とにかく頭を撫ぜるその手を享受して、目を細めて見せた。
「お、……おおー。すごぉい、傷なくなっちゃった。
でもねぇその傷危ないよぉ、『死に至る病』の呪いだからねぇ。
身体にすっごく悪いんだよお」
すっごく悪い、程度では済みそうにはない。
傷をそのままにしておけば、倦怠感や頭痛、吐き気など。
まるで“毒”を食したらこうなるような、不快感が身体を駆けまわるはずだ。
- 304 :伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/02(水) 23:57:01 ID:j3F3Rpmc0
- >>302
「週に何度もこんなイベントがあるのかよ」
確かに言われてみればそうだけど―――なんて呟きながら、首を傾げて唸る。
それにしたって、血に慣れるなんて状況下にあるという前提自体が、何かおかしいんじゃないだろうか。
ぬるま湯のような日常に浸かっていた彼には、どうもそこで納得がいかないようだった。
「面倒臭がり極めてんなあ……むしろそっちの方が面倒に思えるよ、僕には」
ふう、と息を吐いた彼は、おもむろに自分の手を突き刺した青年を見てゴミ箱から転げ落ちそうになる。
「うお、っ、とと……何だそりゃ、傷の転写?
攻撃されたら傷を写し返して攻撃されたら写し返して―――ってのを繰り返したらこうなる?」
うわあすげえ能力者っぽい、と、ゴミ箱の縁から身を乗り出して目を見張る。
>>303
「最近の親御さんは怖い人が多いらしいからなあ、何があるか分からないぜ」
冗談で返してきたならば、やはり再び帰るのも冗談。
弱ったような息遣いに、ほんの少し心配したような表情が浮かんだ。
「……いやあの、今僕死んじゃうんすよって言ったよな。あとほら、未開発だから色々。
普通に風邪引くレベルの不死だからね。マジ不治の病とか勘弁ですって―――」
武器―――それも曰くつきのアイテムを持っているとはいえ、童女に対して全力で許しを請う姿は滑稽だった。
両手をめいいっぱい広げて後退りする最中、彼はその刃に目を遣った。
「―――あれ、さっきそれ、そっちの子を斬って……ん? んんん?」
なにかおかしい、と、感じたようだったが、それよりも先に命の危機を感じたようで……
「……これ以上ここにいたらマジで死ぬ気がする、ので、僕はちょっと、ああ、逃げるよ!
逢瀬を邪魔する訳にも行かないしな!」
自分で行った冗談がツボに入ったのか、もう一度同じフレーズを繰り返して、彼はゴミ箱の蓋を蹴る。
がんっ! と金属の蓋が大きく凹み、青年は姿を消した―――もとい、逃げ去った。
//自分はこの辺りで失礼致します
//おつありでしたん!
- 305 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/03(木) 00:02:38 ID:7gFzKdaU0
- >>303
「……ああ。そうするか」
適当に髪をかき回して、青年は相手の頭から手を離す。
髪の毛には、血がもしかしたらこびりついていたかもしれない。
黒い、腐臭の漂う腐った血が、である。
「…………不幸だけど、不幸に浸かり続けるのは、嫌いじゃないんだ。
それに、良い収穫物、だしな」
ぐらり、と身体が傾いで行き、血溜まりに叩きつけられるように倒れこんだ。
顔色は蒼白になり、息を荒げて、口の端から泡立つよだれを零してみせる。
『不幸にも』咒いは特に鬼門に対してとてもひどい影響を与えるようだった。
だが、その顔はむしろ心地いいようにすら見える様。
不幸、不幸。落ちるところまで落ちて、上を見上げること無く下を這いずるその恍惚。
その感覚にどっぷりと浸かって生きてきた身としては、むしろ此れでこそだ。
しばらく苦痛に浸り、不幸を感じて。
腰に指していた守り刀の様な物の柄を呪いの傷の有る手で握りしめる。
数分後には顔色が紫色になってはいたが、呪いの効力のほとんどが失われていたことだろう。
>>304
血溜まりの中で胡乱な瞳を相手に向けて。
「良くある。偶然、不幸にもみつかりやすいから」
望んでいるわけでも、呼び寄せているわけでもなく。
ただ、狙われるだけの存在であるし、狙うものにとっては幸運な事に青年はなぜか見つけられやすい。
だが、不幸なことに狙うものは返り討ちにされるし、不幸なことに鬼門も討伐寸前まで血だらけになる。
要するに、血溜まりは見慣れるしか無いのだ。
「……考えるのも、面倒くさいけど」
髪の毛に血が大量に付着して、びちゃびちゃと周囲に飛び散った。
腐臭、血臭。此処は不快の極みにあるようだろうか。
「説明、面倒だけど。そんな、感じ。俺の傷は、消えないけど」
掌からは依然として血がこぼれ続けていて。
逃げていく相手を、無感動な瞳で見据えて、追うことも無く、声をかけるまでもなく、ただ見て、消えるのを見ただけだった。
- 306 :ノア+???:2012/05/03(木) 00:13:29 ID:1BBSxSE20
- >>304
『ああ、残念。次は殺させてくださいね……』
「はいはい派手に動かなーい。ばいばーい!」
手を振って見送る、黒と白と。
半分死んでて半分生きてる、面白いものだったなあと、思った。
『……何を、笑ってるんです?』
「べっつにぃ。ちょっとだけ、いいなあって思って」
>>305
『ええ……待ってます』
蕩けたような視線で、血塗れの鬼門の手をじっくりと眺める。
自身の白髪を撫ぜて、付着していた黒い血液を、手の中で弄び始めた。
「……マゾ?」
対して。うわー引くわー、と軽い感想を零しながら、鬼門の様子を眺めるノア。
そして、呪いが消えゆく様子を見、目を丸くした。
「えーなにそれ。べんりー!
主にこの子に襲われた時に役立ちそーう、どういう原理になってるのぉ?」
- 307 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/03(木) 00:19:53 ID:7gFzKdaU0
- >>306
「俺の、絶望論。最初っから、どん底まで絶望して、最悪な位置に居れば。
それ以上悪くなりようがないから、一番マシ、って事。
だから、俺としちゃ。不幸で、辛くて、痛ければ痛いほど、下であれば下で有るほど、居心地がいいだけだ」
マゾ、という言葉には、首をふるふる、と振って。
独自の理論をその場で鬼門は展開してみせた。
一番下にいれば、それ以上落ちることはないから、努力も何もしなくていい。
最初から期待せずに、なんの努力もしなければなんの裏切りも起こることはない。
だから、何にも期待しないし、努力もしないし、不幸を回避もしないのだ。
「――――俺、鬼だし。
一族の、守り刀呪って。呪い刀にして、呪いとか、傷とか、不幸とか。
そう言うの、餌にして、育ててるんだ。俺が、持ち運ぶだけで力は溜まっていくし」
そう言って、汚されて、カビの浮かんだ守り刀を引きぬいた。
びちゃり、と鞘から腐り果てた水の様な物がこぼれ落ち、刀身が顕になる。
その刀身を眺めれば、切れる筈が無いと分かるはずだ。刃はぐずぐずに崩れ、錆びて、カビと血痕に侵食されている。
近づけば、それだけで吐き気や不快感を喚起する空気が充満して感じられるだろう。
- 308 :ノア+???:2012/05/03(木) 00:52:49 ID:1BBSxSE20
- >>307
「ふぅん、つまり落ちるのが怖いから、最初から底に居るってわけ」
しぱ、しぱ。瞬きの間隔が長くなり、すうと細まる瞳、静かになっていく声色。
いやに赤い唇の隙間から漏れ出るのは、不思議な声だった。
「……底から、其処から、何が見えるの?」
はっきりとした位置に立たない、あやふやな境界線から訊ねる言葉は、
きっと憐憫だとか悲哀だとか、浅いものは含まれぬ、ただ単純に軽い興味の色。
知りたいから訊ねる、こども特有の澄み渡った音だった。
『……本当、私、良い餌になるんですね』
でしたらもっと、斬りましょうか?
などとのたまう白い子供の頭を、ノアが軽く押さえつけた。
- 309 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/03(木) 00:57:46 ID:7gFzKdaU0
- >>308
「臆病で、面倒くさがりだからな。そこの底に俺は居る」
血溜まりで大の字になりながら、目を僅かに開いて星空を見上げた。
特に感動なんてしやしない、都会の星など、たかが知れている。
「――なにも。何も見えやしない。
おもしろいも、つまらないもなくて。ただ、なんだか良くわからない灰色だけだ。
だから、なにもない。それだけ」
淡々と、良い物も悪いものも何も見えないと答えてみせる。
深海の奥底に、一体何があるというのか。きっと、大したものなど有りはしない。
空の上の上に、一体何があるというのか、きっと、雲ぐらいしか無いことだろう。
だったら、登るより降りたほうが楽だ。そう鬼門は、ふと思考に至って。
自嘲するような笑みが、わずかに口元に浮かんだ。
- 310 :ノア+???:2012/05/03(木) 01:11:03 ID:1BBSxSE20
- >>309
「……つまんないのかぁ。
じゃあ君は、面白い物を求めよう、とか、思いもしないの?」
ただ自分の基準と比較して、相違があれば興味を持ち、訊ねる。
その行動のためだけに、ノアというこどもは他人を知りたがり、愛したがる。
そうし続けた先に求めるものは未だ不明瞭だけど、とにかく、そうするのだ。
「君は、欲しいもの、何もないの?」
鬼門の隣に座りこむ。黒いスカートが血を吸って、黒さを増した。
白い子供は壁に寄りかかって退屈そうに、二人の様子を眺めていた。
- 311 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/03(木) 01:16:24 ID:7gFzKdaU0
- >>310
「多分。昔は思ってたけど。もう、諦めたから」
うつろな瞳を揺らしながら、淡々と青年は答えていく。
引きぬいた守り刀の醜悪な見た目を眺めて、気持ちを落ち着かせて。
そのまま、鞘に収めるとベルトに挟み込んでしまい込む。
「なんだろうな。何がほしいのか、欲しかったのかも。わからないし。
ただ――――、一人ってのは、なんとなく。辛いかもしれない。わからないけど。
だから、肉を裂かれたり、傷を付け合ったり、一緒に血溜まりに、沈みたいのかも、しれないな」
仲間がほしいのかも、と小さくひとりごちる。
ただし、仲間がほしいから、人のいる所に居るのではなく、仲間がほしいから仲間も同じどん底に引きずり落とそうとする在り方だ。
そのあり方は、歪で、どうしようもなく理解の得づらいものだろう。
- 312 :ノア+???:2012/05/03(木) 01:26:43 ID:1BBSxSE20
- >>311
「……確かに君、呪われ鬼だねぇ。
諦めることに呪われた、地の底深ぁくに棲んでる、鬼だ」
けらけら笑って、転がっていた肉塊を爪先で弄ぶ。
くちゃりと不快な音が微かに響いて、それだけだ。
「引き摺りこみたいんだ、地の底に。
もし引き摺りこめたらどうしたい? 鎖でも付けて、逃げないようにしようか?」
首に巻きつく拘束具、の、ジェスチャー。
分かりにくいけれどそうしてみせて、やはり笑った。
- 313 :艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/03(木) 01:35:07 ID:7gFzKdaU0
- >>312
「親にも言われたし、集落の他の鬼にも言われてた。
ま、全員呪われて死んだり消えたりしたんだけど」
鬼の中での鬼子だからな、俺、と小さく付け足して。
全く楽しくなんてなさそうな顔で、鬼門は相手に首を向けて、見据えてみた。
「それも、いいかもしれないな。まあ、鎖つけても、鎖が『不幸にも』腐り落ちて逃げられそうだけど」
報われないことは知っているから、報われない定めを憎むことも止めてしまった。
だけれど、地の底を共に這いずるものが欲しいという感情を発見したのは、鬼にとっては新鮮なものだった。
まだ、自分のなかに色彩の残っている感情が有ったのか、とそう思ったから。
鬼はムクリと起き上がる。粘着く血が、あとを引き。
腐り落ちた果実のように、肉片からウジが湧いて、地面に落ちていく。
「そろそろ、帰る。眠いし。またな、ノアと――、そこの餓鬼」
ノアと、後ろにいる子供に視線を流して。
血だらけの男子高校生は、ふらふらと何処かに消えて行くのだった。
- 314 :ノア+???:2012/05/03(木) 01:47:10 ID:1BBSxSE20
- >>313
「そっかー、君はひとりぼっちなんだねぇ」
ばいばいと手を振りながら、消えてゆく鬼門の影を見る。
何処へ行くんだろうと考えて、首を傾げて、戻した。
「……んふふ、寂しんぼさんめ。
そんなに欲しけりゃ手を伸ばせばいいんだよ、引き摺り降ろして繋ぎ止めて。
それで君が幸せなら、僕は嬉しいけどなぁ」
『……本当にそう思ってるんですか、あんな社会の塵に肩入れして。
あなた頭おかしいんですね、やっぱり』
「お前が言うなって突っ込みが欲しいのかいやしんぼさんめ。
まあ頭がおかしいってのは否定しないけどー」
白と黒と、子供が二人。残された血の海で、はしゃいでいた。
無邪気の三文字がこんなにも似合うのに、こんなにも世界は生臭い。
「…………あっそうだ、『あと三人』、何処行った?」
『さあ。遊んでるんじゃあないですか?』
- 315 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/06(日) 21:22:40 ID:mbXTFaJQ0
- ―――???
ここは一体何処なのだろうか。
異能都市の一部ではあるのだろうが、
ただ一点の明りを除き、漆黒が夜空を支配する草原。
明確な座標を示すものは存在せず、指標になる物も無い。
何処からかは絶対に繋がっては居るのだが、それが認識できない孤立したスペース。
そらに昇る金色の珠のみが光として君臨するエリアひただ一人。黒いドレスの女が立っていた。
月に向いて、何をする訳でも無く、佇む。
- 316 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/06(日) 22:13:34 ID:.6prKP66O
- >>315
「まぁた、迷子ですの?はぁあ、なぁんでこんなに迷うんですの?」
突如草原に拡がる甲高い声
真っ黒な空間には不釣り合いな腋丸出しの真っ白な服
明るい緑の巻髪……白いプリーツのミニスカート
それに白いサイハイソックスが健康的な太股を包む
白銀の小手と白銀の具足を身につけ、首から古びたゴーグルを下げ
スカートとサイハイの間から見える絶対領域には、ホルダーが装備され、それに不思議な光とマナを放つ短剣が収められている
そう、最近衣裳が派手になってきたお嬢様です
気弱そうな風のマナのメイドと草原を歩いている
- 317 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/06(日) 22:29:22 ID:mbXTFaJQ0
- >>316
「そう―――」
何かを呟いた女は、月から視線を外す。
目には光を遮断するようの布が掛けられては居るが、見える様で。
アウテリートの方に向き合うと、じっと眺めた。
- 318 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/06(日) 22:39:18 ID:.6prKP66O
- >>317
「全く、街から急に草原て……どんな迷子ですのよ私たち!」
すいませんすいませんと謝るメイドにツッコミを入れつつ、辺りを見回してみる
不思議な場所だ……ただ、今はお使いの途中
急いで帰らないと怒られてしまう
「はぁ……ってあんな所に人がいましたわ!道を聞きましょう!」
ドタドタと二人で女性に近寄っていく、また正体には気付いていないようだ
- 319 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/06(日) 22:51:37 ID:mbXTFaJQ0
- >>318
歩みを進め、近づいてくる少女。
以前見たときとの相違を感じて、僅かに首を横に倒す。
彼女からは制御の出来ない魔力が奔流を起こしていた。
強力すぎる魔力は底にあるだけで周囲の物に干渉してしまう。
風が無いのに揺れる草原は、魔力に恐れざわめいているのだった。
無論、その魔力は生物にも影響を与える。
耐性の無い人間なら一瞬で意識を飛ばしてしまう程の威力。
アウテリート達は魔力の伝導率が高いはずだが……。
- 320 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/06(日) 23:04:38 ID:.6prKP66O
- >>319
「お、あちらもこっちに近づいてきましたわ!おーい!おーい!」
二人でどんどんと近づいていく
風が無く揺れる草の不自然さにも気付かぬほどのハイテンション
マナと人間のハーフであるお嬢様とマナの精霊であるメイド……確かに魔力の伝導率は人間の比ではない
しかし同時に耐性も人間の比ではないのだ
しかし妙だ、いくら耐性が高くてもお嬢様達がこの量の魔力に対して無関心な筈が無い
お嬢様達は気付いていない、ゼオラは気付くだろうか?
お嬢様の太股で不思議に輝く短剣を……それがお嬢様達を魔力の驚異から護っているのだ
- 321 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/06(日) 23:10:29 ID:mbXTFaJQ0
- >>320
アウテリートの方を見たまま、一切動かず。
近づいてくる少女を眺め、手に届く範囲にまで近寄れば腕を伸ばし頭を撫でるだろう。
彼女の引き起こしている魔力の奔流は無自覚な物だった。
だが、魔力の流れを感じ取る事の出来る彼女は、その短剣が不思議な力を持っているのが解る。
魔力の流れを弾き、持ち主を護る短剣が余程不思議な物に見えるのだろう。視線はそっちにくぎ付け。
- 322 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/06(日) 23:25:06 ID:.6prKP66O
- >>321
「申し訳ないですが道を……って大人版ゼオラじゃありませんの!」
つい先日、小さい方と色々あったお嬢様……何とも言えない表情で頭を撫でられている
「よかったですわ、ちょっと帰り道を……」
お嬢様はゼオラの目線が下方を向いているのに気付く
ゼオラの眼は布で覆われているものの、視線を感じるのだ
なので、自分も同じく視線を落とすとそこは自分の太股……
「ちょっ!ちょちょッ!どこ見てるんですの!えっち!」
The・勘違い
- 323 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/06(日) 23:42:13 ID:mbXTFaJQ0
- >>322
視線をどことなく感じるとは言え、目自体が見える訳では無い。
元々ゼオラは表情に乏しく、この存在は少女期の物よりも更に貧しいと言うのも知って居るだろう。
内面も闇その者だったり手を加えられ食い荒らされたりされてしまっている。
そんな彼女の行動が読める人間は全くと言って良い程存在しないであろう。
膝を折った女の目線はアウテリートを同じ高さになったと思ったら更に下降を続ける。
胸元、腰を通り過ぎ、脚に着く。
在ろうことかお嬢様のスカートに手を伸ばし、邪魔だと言わんばかりに払うと短剣に手を伸ばし引き抜こうとする。
暗黒スカート捲り。
- 324 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/06(日) 23:55:05 ID:.6prKP66O
- >>323
「ん?何をして……」
隙だらけで一連の流れを眺め……
「ちょっと、だから人の太股を……」
その刹那、白いレースの入った淡く薄い緑色があらわにされ
「ちょっ!?えっ!?エェェッ!?」
顔を真っ赤に染めてスカートの裾を両手で押さえるお嬢様、そして、ゼオラが短剣に触れようとした瞬間
その手は弾かれる
- 325 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 00:09:16 ID:mbXTFaJQ0
- >>324
弾かれた掌を眺めている様だ。
短剣に尤も接していた中指と人差し指の先からはじわりと血が滲み出ていた。
暫くは紅く、黒くもある血が流れていたが、次第に黒に染まると途中からは闇になり替わる。
指先をあふれ出した漆黒が覆ったと思うと、靡いて消える。指は元通りになっていた。
太腿のホルダーに填められた短剣をじーっと眺めていたが、
唐突に顔を上げてアウテリートに視線を合わせる。眺めるだけ。
- 326 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 00:23:06 ID:.6prKP66O
- >>325
「な、なんですのよ……」
むすっとしたまま見下ろすが、先程ゼオラの手が弾かれたのを見て、大体予想が付いた
「なんですの?もしかしてこの『アゾット剣』に興味があるんですの?」
そういい、ホルダーから短剣を取出してみせる
アゾット剣と呼ばれた短剣には錬金術で施したと思われる術式が存在し、それがどんな物かは一切不明であった
「お父様に貰いましたの!いいでしょ?」
それは以前戦ったときに上弦が光の刄を発生させ振り回していた物だった
- 327 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 00:33:07 ID:mbXTFaJQ0
- >>326
「――――!」
アウテリートの発した言葉に妙な反応を見せる。
『この』ゼオラ自体には一切関わりのないワード。
それが知って居る様な反応を見せると言う事は、余程彼女の頭に根付いて居たのだろうか。
やはりと言った所か、本人には記憶が無いのでそれが何かまでは解らなかったらしい。
『聞いた事は有るが、何処で聞いたのか思い出せない』。故にそこで途切れてしまう。
立ち上がるとアゾット剣を眺める。
腰を突き出して身体を曲げ、顔を近づけようとする様子から興味の度合いが知れるだろう。
- 328 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 00:43:23 ID:.6prKP66O
- >>327
「おぉ!何だか不思議な反応ですわね?」
ゼオラの様子がおかしいのか、お嬢様はくすくす笑う
興味深くアゾット剣を眺めるゼオラに少し警戒、顔を近付けたりして……
もしさっきみたいに不思議な力で怪我をしたらどうするのか
「気を付けないな、さっきみたいにバシッてなるかもしれませんわよ?」
- 329 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 00:54:48 ID:mbXTFaJQ0
- >>328
耳に入った言葉がに忠実に従って、僅かに後方スライド移動。
足元を魔力で覆い、自らを浮かび上がらせる。とい手順を取った。
もうしばらく眺めていたが、大方満足したのか視線を外す。
再び、金色の光を降らす月に向かっている……。
- 330 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 01:05:04 ID:.6prKP66O
- >>329
「……もういいんですの?」
月を眺めるゼオラを見ながら一呼吸
お嬢様はアゾット剣をホルダーに収めるとゼオラに歩み寄る
「私、帰り道をお聞きしたんですの……でも貴方……ここで何をやっていましたの?」
こっちも興味がある、大人ゼオラは不思議な存在だ
あの小さな少女が大人になると、こうまでミステリアスになるのか
- 331 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 01:30:59 ID:mbXTFaJQ0
- >>330
「月――――」
少女に視線は向けず。
言葉にしたものをずっと眺めたまま答えた。
視線を同じくすれば、スーパームーンと呼ばれる何時もより大きく見える月がそこにはあるだろう。
何時もより14%程大きいとされるそれは、30%程明るい光を草原に照らしていた。
- 332 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 01:39:30 ID:.6prKP66O
- >>331
「……なるほど月ですわね、そう言えばスーパームーンなんてありましたっけ」
同じく、空を見上げ月を眺める
月、アウテリートにとっては素敵な存在である
「いいですわね、素敵ですわ……貴方も案外ロマンチストですのね?」
月を見上げる黒い女性、その姿は一枚の絵のよう……
それにため息を吐いた後、そんな事を言って笑う
- 333 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 01:49:41 ID:mbXTFaJQ0
- >>332
ロマンチストだ。そう評されるも特に思うところは無い様子。
彼女の意識からロマンチストという単語が抜け落ちてしまっているのかもしれない。
ただ、月が美しかったからよく見えるところに出向いた。それだけの様だ。
再びアウテリートの頭に手を伸ばすとポンポンと手を置き優しく撫でる。
数年の間に色んなことは忘れたが、他人に対する優しさの表現はまだ覚えているらしい。
- 334 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 01:55:10 ID:.6prKP66O
- >>333
「あ、また急に……もう……」
頭を撫でられて、口では反抗するが、お嬢様もまんざらではないようで
えへへと、笑うように眼を細めた
優しさを覚えてくれるのは嬉しい、きっと優しさはゼオラ自身が気付いていないだけで、本人にとってはかけがえの無い大事なものの筈なのだ
アウテリートはそう思う
- 335 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 02:04:26 ID:mbXTFaJQ0
- >>334
月から少女へと視線を移す。
あれから随分と身体も成長し、アウテリートを優に超してしまう背丈になった。
上から見下ろす様な視線にも拘わらず、不思議と優しい視線だった。
アウテリートから手を離すと、その手は背後の虚空を差す。
示す先では闇が湧きあがり、漆黒の木で作られた扉が出来上がった。ここから帰れる。と言う事だろう。
- 336 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 02:13:11 ID:.6prKP66O
- >>335
優しい視線を感じる、やはり……ゼオラは優しい子なんだ……
ふと、ゼオラが背後を指差すそこには扉が……ゼオラは一緒に行かないのだろうか?
しばらく、ゼオラを見上げながら問い掛ける
「行きますわよ」
メイドを呼び、扉に向かって歩きだす
「……」
だが、扉の前で立ち止まり、少女は急に振り替えってゼオラに向かって走る
そして抱きついた
「私、貴方の事が大好きですから……いつだって味方ですわよ……」
そう言って、額を押しつける
- 337 :ゼオラ=アドヴァルド:2012/05/07(月) 02:22:59 ID:mbXTFaJQ0
- >>336
抱きつかれると、少しよろめく。
多くくなっても、力に乏しいのは相変わらずの様。
アウテリートに念を押されると小さく頷いて、扉を潜るのを見届けた。
一人になると、もう一度月を眺める。
しかしもう見飽きたのか、直ぐに目をそらしてしまう。
背を向けて、扉を潜る訳でも無く、闇にまぎれて消える訳でも無く。ゆっくりと歩き去って行った。
- 338 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/07(月) 02:34:04 ID:.6prKP66O
- >>337
扉をくぐり、アウテリートとメイドは街に戻る
街はこんな時間でも明るく、昼間と変わらず大勢の人々が行き交っている
「さぁ、帰りますわよ!」
アウテリートは街の様子をしばらく眺めた後、そう言ってメイドを連れて家路に着いた
- 339 :欠け耳のボロッブ:2012/05/07(月) 22:15:55 ID:SSMHlh/20
- 異能都市は何も、地上だけに広がっているわけではない。
地下に住まう物、宙に住まう物。中には水の中に居を構える者たちもいる。
異能都市港湾部から船をチャーターし、
沖合いに30分ほどいった場所でダイビング用の道具を用い、
海にある程度潜ると、そこには独自の加工品や海産物交易で
生計を立てるマーマンたち水棲種族の集落が存在する。
「ふう、水にもぐるのは中々骨が折れるなァ。
しかしまあ、いい取引が出来た。これは売れる。」
今日のボロッブは、品物を仕入れるためにこの集落を訪れていたのだった。
交易品を船から港に積み下ろし、馬車に積み込むと伸びをしてぽきぽきと背骨を鳴らした。
- 340 :寒田 レイ:2012/05/07(月) 22:35:31 ID:mbXTFaJQ0
- >>399
「行商の人〜!」
細楽ボロッブを指すのだろう。
何処からか軽快な声で発せられた呼び声が聞こえる。
声の方向を探せば、一人の少女がボロッブの居る岸へ泳いでくるのが見えるだろう。
水色の髪をした少女がそちらに向かって手を振っていた。岸からの距離は50m位だろうか。
其方に近づくためだろう。一旦潜ると、そのまま泳ぎ始め、息継ぎをすることも無く瞬く間にボロッブの元へたどり着く。
「行商の人!」
勢いよく水から顔を出すと同時にもう一度呼ぶ。
一見人間にしか見えないが、顔所の持つ泳力と周囲の土地柄から、そう言った人間なのだと理解できるだろう。
- 341 :寒田 レイ:2012/05/07(月) 22:36:03 ID:mbXTFaJQ0
- //はい、>>339でした。
- 342 :欠け耳のボロッブ:2012/05/07(月) 22:47:56 ID:SSMHlh/20
- >>340
「おやまあ。」
なにやら元気の良い声が、ボロッブの長い耳に飛び込んできた。
そちらの方向に顔を向けると、一部では既に海開きした地域もあるとはいえまだまだ
泳ぐには適さない冷たさの海を、一人の少女が泳いでくるのが見えた。
「なにかね?」
先ほどの集落の子供だろうか。
とりあえず、岸壁にしゃがみ込んで話を聞いてみる事にする。
- 343 :寒田 レイ:2012/05/07(月) 23:04:05 ID:mbXTFaJQ0
- >>342
「行商の人だよな?」
やはり、外観は人間そのもの。
高く上げた腕や、質の良く良く透き通る海を見れば、彼女がウェットスーツを着用していることが解る。
「薬は持ってないか?」
- 344 :欠け耳のボロッブ:2012/05/07(月) 23:12:43 ID:SSMHlh/20
- >>343
「おうおう、薬だね。ちょっとまっとくれよ。
今あるのは……ふぅーむ。」
馬車の荷台に上がり、積んであった箪笥の【医薬品】、【漢方】などと
タグの付けられた棚をガサゴソと漁ると、いくつかの箱や包みを持って降りてくる小鬼。
「何が入用かね?珊瑚の粉末、エルフの丸薬。
東洋から仕入れた河童の塗り薬、ガマの油なんかもあるでよ。」
- 345 :寒田 レイ:2012/05/07(月) 23:26:40 ID:mbXTFaJQ0
- >>344
「良く解んないのばっかだな……」
サンゴやらエルフやら。トーヨーとか。
ぷくりと頬を膨らませて、困った様な顔をする。
ふー。と息を吹き、たくさんの包みを持った小鬼を眺めて。
「いや、私が欲しいのは頭痛薬なんだが」
どこか申し訳なさそうにそう伝える。
- 346 :欠け耳のボロッブ:2012/05/07(月) 23:31:17 ID:SSMHlh/20
- >>345
「ふむ、それならちょうどこれがええかねえ。
さっき海の民らと交易に持ってったあまりものだからタダでええよ。」
少し湿っている物の、都市で一般的に流通する
見慣れたラベルの頭痛薬をレイへと手渡す。
- 347 :寒田 レイ:2012/05/07(月) 23:52:19 ID:mbXTFaJQ0
- >>346
「幾らあまり者と言っても……いいのか?」
向けられた頭痛薬を受け取るが、不思議がる表情だ。
頭痛薬とボロッブを交互に眺めていると、少女の背後に何かが浮かび上がった。
金属製の、ミサイルの様な形状の物質だ。大きさは大方少女と同じくらいだろうか。
それをキャッチした少女は頭頂部を螺子って蓋をあけ、中に頭痛薬を放り込んだ。
「まぁ、ともかくこれで私の上司も助かりそうだ!」
ニコリと笑顔を浮かべ、ボロッブに手を振る。
- 348 :欠け耳のボロッブ:2012/05/07(月) 23:56:52 ID:SSMHlh/20
- >>347
「ああ、既に海水で湿っちまったモンだから
陸地では商品に並んでな。捨てるよりはよかろーもんよ。
もらっとけい。もらっとけい。」
にかーっと黄色い歯を見せて笑うボロッブ。
少女の背後に浮かび上がった物は、ボンベのようにも
推進器のようにも見えるが、収納も兼ねているらしい。
なんとも多機能なアイテムだな、と感じたボロッブであったが、
魔術的な気配を感じ取らなかったためそれ以上の追求はしなかった。
- 349 :寒田 レイ:2012/05/08(火) 00:12:54 ID:mbXTFaJQ0
- >>348
「そういうことか! わかったぞ!」
一転して明るい表情を見せる少女。
謎の物質の蓋をきつく締めると、軽く掴んで水上に留めている。
「ん、なんだ?
これがきになるのか?」
興味深げに眺めるボロッブを見て、金属製の物体を軽くたたく。
- 350 :欠け耳のボロッブ:2012/05/08(火) 00:19:01 ID:SSMHlh/20
- >>349
「あれかい、ほら。深夜なんかにやってた
古い海外スパイ映画に出てくる水中スクーターみたいなモン。
ハイテクっていうのはようわからんなあ。」
どちらかといえば魔術畑の出身であるボロッブにとって、
こうした機械文明的なアイテムはあまり身近ではない。
ドワーフらの開発した蒸気で動くゴーレムなどを見た事はあるが、
やはり知らない物を見るのは新鮮な驚きがある。
- 351 :寒田 レイ:2012/05/08(火) 00:37:54 ID:mbXTFaJQ0
- >>350
「水中スクーター?
まぁ、そんなものなのかな」
頭の中で描いた言葉からのイメージだけで作り上げた水中スクーター。
水中での高速移動に使用するそれは恐らく同等の働きをするのだと結論づけた。
「多分、私の作ったコレの方が凄い物だぞ!」
自慢の品らしく、金属製のそれに強く抱きつく。
「と、いうより、これは余りハイテクとは言わないぞ?
私の国ではこれくらい普通だ。これくらい案外簡単だぞ」
フフン。と得意げに鼻を鳴らして見せる。
- 352 :欠け耳のボロッブ:2012/05/08(火) 00:43:00 ID:SSMHlh/20
- >>351
「ドワーフ連中のマジックアイテムの中には、
機械じかけと魔術の混合みたいなのもあるが、
これは純粋な機械のみなんだろう?」
観察モードに入ったボロッブ。
魔術とは違う技術体系のものではあるが、
魔術師も技術者も本質は似ているのだ。
「すごいのじゃ、空中戦艦だとか機械仕掛けの龍なんかがあるよなァ。
たまに空を緑やら赤の光の帯を引きながら飛んでるのを見かける。」
- 353 :寒田 レイ:2012/05/08(火) 00:55:02 ID:mbXTFaJQ0
- >>352
「そういうことだな……。
私が余り魔術に詳しくは無いんだ」
ボロッブとは逆に、この少女は機械一辺倒な様だった。
種族的には扱えるのだが、本人は深く学ぶ気が無いらしい。
「私みたいな田舎者からしてみれば、ここは色々な事が新鮮に映る。
魔術だってそうだ。私は生まれつきで氷だけなら軽く扱う事はできるが、他は全くだ。
機械に関しては学びと技術は努力しだいだが、魔術の潜在と言う物はどうしようもないみたいだな」
再びぷくりと頬を膨らませると金属製の物質に身体を預けて水上を漂う。
「何事も上手く行かないな」
- 354 :欠け耳のボロッブ:2012/05/08(火) 01:06:30 ID:SSMHlh/20
- >>353
「この街にゃあ、なんでもあるからなあ。
あっしもここに初めて来た頃は何にでも腰を抜かした物さね。
声のする自販機や勝手に開くドアに驚いたよ。」
ハハハ、と軽く笑うボロッブ。
機械の発達していない世界から訪れた者は
自販機やタッチパネルと言ったものにも苦労している者も見かける。
「なんでも、最近は危険な薬品で無理やり魔術の素養を得ることもできるらしい。
非合法な品だから、進められても絶対に手を出しちゃあなんねえぞ。」
- 355 :寒田 レイ:2012/05/08(火) 01:22:55 ID:mbXTFaJQ0
- >>354
ボロッブの示した話は少女にはただ当たり前の事であって。
それを面白い様に語る小鬼の様子に、思わず笑みを零す。
「そんなもの、普通だよっ。
もしかしたら、エレベーターにも驚いたりしたのか?」
自称田舎者だとは言ったが、それでも機械技術の進歩した土地出身の様だ。
「私の場合だと……そうだな。
まずこの都市は物騒だ。良くない事に武器や魔法を振り回す奴が多い。
機械も魔術も確りと管理されていれば問題はないのだろうが……それも難しそうだしなぁ」
水面に映った顔とにらめっこをしながら、悩んでいるようだ。
その表情がどうやら真剣なあたり、正義感と言う物は人並み以上に在りそうだ。
「そんな危険なものもあるのか……大丈夫だ、私にはこっちがあるからな」
こつこつ。ともう何度目になるか解らないが機械を叩く。
- 356 :欠け耳のボロッブ:2012/05/08(火) 01:33:19 ID:SSMHlh/20
- >>355
「ああ、昇降機はあれだよ。転移の魔術式はみたことがあったし
同じ仕組みの物はあっしらでも使ってたからなあ。規模のちがいはあろうが。
……っとと、もうこんな時間か。あっしはそろそろお暇させてもらうよ。」
時間がたつの早い物で、いつのまにか時間がたっていた。
このままでは次の取引に遅れてしまう。
ボロッブは話を切ると、ロバに台車を引かせてこの場を立ち去っていった。
// ねむいいい。ということでおやすん。
- 357 :寒田 レイ:2012/05/08(火) 01:42:25 ID:mbXTFaJQ0
- >>356
「転位の魔術か……それを使えば似たことが出来るのか」
転位の魔術なら見たことがある。と、言っても、それに近い物だが。
レラが機械の補助を加えた転位式を良く展開しているのを見ていた。
「幅が広いな、魔術と言うのは。
……あぁ、それではな! 薬の例はいつか必ず!」
海から身体を引き上げ、金属製の物体に乗る。
バランスよく立ち上がった方がよく見えるはずだ。と、ボロッブが見えなくなるまで手を振っていた。
ふり返り、再び海に潜ると水中を泳いでいく。
ここから数日間泳ぎ続ければ、彼女の出身地である機械都市に付く。
//お疲れ様でした! おやすみなさい!!
- 358 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 20:41:39 ID:WLJO8ZL20
- 〜早見川探偵事務所・前〜
「う〜む、久しぶりに事務所に帰ってきたなぁ〜。」
早見川は、自分の事務所を見上げて言う。
「うわ、看板もホコリだらけ。
ちゃんと掃除しないとな。」
- 359 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 20:52:07 ID:WVrfsEdY0
- >>358
【事務所前…の道】
「うー…なんかひどくだるいです…」
【元気がなさそうな顔の少女が事務所前を歩いている】
「やはり入院は元々の体力の消耗も招くのでしょうか…
ちょっと体が鈍ってます…」
【伸びをしたりしながらも元気があまりなさそうである】
- 360 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 20:53:51 ID:WLJO8ZL20
- >>359
パシパシと看板を払っていると
防人の姿を見かける。
「お、お譲ちゃんじゃないか。」
見れば看板から早見川探偵事務所の文字があるだろう。
- 361 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 20:56:38 ID:WVrfsEdY0
- >>360
「あら?そこにいるのは健治さんじゃないですか?」
【振り返って健治の姿を確認する】
「…はあ、ここがその探偵事務所ですか…
あまり掃除してないんですか?」
【埃かぶってる看板を見ながら言う】
- 362 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 20:59:39 ID:WLJO8ZL20
- >>361
「ちょっと前振りだなぁ。
怪我は治ったかい?」
ゴホゴホとせき込みながら言う。
「あぁ、数百ね…、しばらく振りに帰って来たんでね。」
思わず、ある言葉を言いかけたが、すぐ違う言葉を出す。
- 363 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 21:05:25 ID:WVrfsEdY0
- >>362
「はい、怪我はひとまず治りましたよ。
ちょっとひどい怪我だったのでしばらく動けませんでしたけど」
【そう言って胸から腹にかけてをなぞった】
「しばらくぶりですか…
さすがに依頼が忙しくても掃除は必要ですよ。
何ならお掃除ロボットを買ってみてはどうでしょう?」
【どうやらちょっと前の言葉には気づいてないようだ。笑顔で提案する】
- 364 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 21:08:50 ID:WLJO8ZL20
- >>363
「そうか、すまんな、あの時俺が話しかけなければ。」
拳を震わせる。
「いや、掃除するなら自分の力だ。
なんでもかんでも便利な物に頼るんじゃねぇぜ?」
笑いながら言う。
- 365 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 21:17:56 ID:WVrfsEdY0
- >>364
「ああいえ、もういいんですよ。
ご覧のとおりもうなんともありませんからね」
【大きく両手を広げて言う】
「まあ確かに…自分で掃除したほうが運動になりますよね。」
【感心している…】
「しかしこれを一人でやるのは大変そうですね」
【事務所を見上げて言う】
- 366 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 21:20:36 ID:WLJO8ZL20
- >>365
「そうか、よかったよかった。」
安心したように笑う。
「そうだろう、自分の物は自分でやった方が気持ちいいのさ。」
「あぁ、そうだな。
おっと、譲ちゃんに手伝ってもらおうなんとおもってないから安心しな。」
- 367 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 21:29:00 ID:WVrfsEdY0
- >>366
「ええ、心配の必要はありませんよ。
怪我は私にはよくあることなので…戦闘では」
【軽く笑っている】
「まあ時間をかけたいっていう人もいるかも知れませんね。
もちろんきにしませんが…どれくらいかかるんでしょうねぇこの掃除は」
【じっと掃除しているところを見ているようだ】
- 368 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 21:41:42 ID:WLJO8ZL20
- >>367
「そうか。」
あまり深くは考えない。
「う〜ん、一日くらいでは終わらなそうだな。」
そう言うと、事務所の玄関のドアノブに手を掛けるが。
バキッ
「…ありゃ?」
折れてしまった。
- 369 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 21:44:37 ID:WVrfsEdY0
- >>368
「そうですか…
まあゆっくりやるのであればそれでもいいんでは…」
【と、底まで行ったところで突如響くへし折れる音】
「…ん?どうかしましたか」
- 370 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 21:46:20 ID:WLJO8ZL20
- >>368
「…。」
そっと防人に出す。
……取れたドアノブを。
「どうしようか。」
- 371 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 21:51:59 ID:WVrfsEdY0
- >>370
「これは…うーん…」
【ひどく困った顔になっている】
「ひとまずこじ開けましょうか?」
【ドアノブのとれた扉を指さして言う】
- 372 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 22:00:49 ID:WLJO8ZL20
- >>371
「さて、どうしようか。」
困った顔をする。
「やっぱそうするしかないか。
…いやまて。」
ギターケースの裏側から小さなプラスチックの棒を取り出す。
- 373 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 22:05:53 ID:WVrfsEdY0
- >>372
「えっと、それじゃ…っと」
【力を入れようとしたが…
制止されて手を止める】
「む?それは何に使うんですか?」
【じっとプラスチックの棒を見つめている】
- 374 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 22:09:54 ID:WLJO8ZL20
- >>373
「フフフ、これはキーピックと言ってな。」
そう言うとドアノブが付いていた場所に差し込む。
「むっ、ぐっ。」
なにか四苦八苦しているようだが。
パキン
「よし。」
キィイイと、扉が開く。
- 375 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 22:14:44 ID:WVrfsEdY0
- >>374
「なるほどぉ…
それで開けられるんですね」
【心配そうな顔をしながら返す】
「お、開きましたね。
…にしても手入れが行き届いていないにもホドがあるような気がしますね…」
【あまりに事務所を開けてるなどとは知る由もないだろう】
- 376 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 22:19:22 ID:WLJO8ZL20
- >>375
「ま、慣れてないと苦労するがな。」
笑いながら返す。
「あ、あぁ、少し人探しをな。」
そう言うと中に入るが
「ゲホッ、ヤバいこれちょっと無理。」
開けた瞬間、中から埃が漏れ出す。
- 377 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 22:54:23 ID:WVrfsEdY0
- >>376
「腕前はかなりのものなのですね…
ちょっとうらやましいですよ」
【軽く微笑んでいる】
「人探しですか…
それは探偵としての依頼ですか?それとも自分自身の…」
【まで言おうとしたところで】
「ごほっごほっ…すごいホコリですねこれ…
まるで何年も、ごほっいなかったみたいです」
【漏れだしたホコリを受けて鶫も鼻を塞いだ】
- 378 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 22:56:49 ID:WLJO8ZL20
- >>377
「今度教えてやろうか?」
「ん?、あぁ、依頼と自分自身のりょうほ、ゴフッ!」
ホコリの山に埋もれる。
「出してくれぇ〜!、せめてギターケースだけでもぉ〜!」
山の上から手を出してギターケースを掲げる。
「うえっ、これ腐った卵!?」
- 379 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 23:10:44 ID:WVrfsEdY0
- >>378
「使いどころがよくわかりませんけどね…」
【鶫はちょっと苦笑いを浮かべた】
「なるほど、げほっ!
結構複雑…ごほごほ!なんですね」
【ホコリが激しくてむせまくっている】
「あえっと、とりあえず預かりますね」
【掲げられたギターケースを手にとって、ホコリのない外へと持って行こうとしている】
- 380 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 23:12:54 ID:WLJO8ZL20
- >>379
「まぁ、例えば何処かの屋敷に侵入するときとか。」
「ウワップ、ちょ、これ腐った牛乳の匂い!?」
と、ギターケースが持ち上げられたことに驚くが
「あ、サンキュ、じゃなくて!
出してくれ!」
- 381 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 23:24:08 ID:WVrfsEdY0
- >>380
「そ、そんな空き巣みたいなことはしませんよ」
【軽く驚いているようだ】
「一体どんなのがあるんでしょうか…
あ、そうですか!」
【なるほど、と頷いて】
「ちょっと引っ張りますよ!」
【出ていた手を握って引っ張りだそうとしている】
- 382 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 23:26:06 ID:WLJO8ZL20
- >>381
「いや、そんなふうに言ったわけじゃなくてな。」
「スマン!」
ズボッと引き上げられる。
体中から異臭がしている…。
- 383 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 23:30:56 ID:WVrfsEdY0
- >>382
「んん?何か侵入するような機会あるでしょうかね?」
【不思議そうに言う】
「うわっと…ゲホゲホ」
【引っ張りだした勢いで尻餅をついてしまった】
「しかしなんですかこの匂い…
色々とものすごいですよ…」
【鼻をぐしぐしこすりながら言った】
- 384 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 23:33:25 ID:WLJO8ZL20
- >>383
「例えば謎の組織に拉致られて逃げる時とか。」
「すまない、助かった。」
ホッとした顔で言う。
「レディの前でこんな醜態をさらすとはな。
今日は運が悪い。」
ハァ、と溜息をつく。
「さて、どうするべきか。」
- 385 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 23:36:13 ID:WVrfsEdY0
- >>384
「はぁ…
そんなこと…無いといいですね」
【少し迷っているようだ。といってもなんとなくのレベルだろうが】
「いえいえ、お互い様ですよ」
【ホコリをポンポンと払いながら言う】
「あんまり気にしないでいいですよ、そういうのは。
にしても…」
【あたりを見回して鶫はため息をついた】
「廃墟のような状態を立て直すのはなかなか難しそうじゃないですか…?」
- 386 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 23:38:11 ID:WLJO8ZL20
- >>385
「ま、それが一番さ。」
「やっぱり、新しい事務所を作った方が速いかな?」
うーんと唸る。
- 387 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 23:42:13 ID:WVrfsEdY0
- >>386
「なにもないほうがいいですねぇ」
【同意するように頷いた】
「うーん、やはり大改装した方がお金はかからないんじゃないでしょうかねぇ。
他の空き家を探したりとか…」
【近くの柱を叩いてみる】
「ただ単に埃かぶってるだけならばいいんですけどね」
- 388 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 23:48:08 ID:WLJO8ZL20
- >>387
「そうだなぁ。」
柱を少し押す。
ボギン
「…?」
ゴゴゴゴと事務所が揺れ始める。
「ねぇ、譲ちゃん、これってもしかして…?」
- 389 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 23:55:04 ID:WVrfsEdY0
- >>388
「今の音は…なんでしょうか?」
【あたりを見回し、不安げに言うと】
ゴゴゴゴゴ
【事務所全体が揺れ始めたのを見て】
「えっと…ひとまず…」
【健治の手をとった鶫は】
「退却しましょう!」
【全速力で出口の方へと向かっていく】
- 390 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 23:57:37 ID:WLJO8ZL20
- >>389
「っこれは、…予想は簡単だな。」
手を掴まれたことに少し驚くが
「レディを走らせるわけにはいかねぇな。」
ジャケットを脱ぎ捨て、防人の事をお姫様だっこする。
- 391 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:05:02 ID:WVrfsEdY0
- >>390
「え、あ?!」
【突然お姫様抱っこの体制になったのを見て】
「ちょ、ちょっとこれは…
恥ずかしいですよぉ!」
【真っ赤にした顔を両手で覆いながら抱っこの姿勢になっている】
- 392 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 00:07:03 ID:WLJO8ZL20
- >>391
「ちょっと我慢してな!」
世界記録にでも出そうなほど速い足の動きになる。
「恥かしくなんかないぜ?、むしろこうされてもアンタは違和感がないほど可愛い。」
そう言うと、入口から出る。
「ふぅ、出たぜ。」
そして…事務所は崩壊した。
- 393 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:11:55 ID:WVrfsEdY0
- >>392
「は、はい!」
【そのまま身を任せたままでいる】
「いや、可愛いだなんて変なこと…
変なこと言わないでくださいよ!」
【余計に恥ずかしそうである】
「…やっぱり壊れちゃいましたね…」
【がっかりした顔で崩れゆく事務所を見た】
「いくらなんでも脆過ぎないですかねぇ…
ちょっと押しただけでなんて…」
- 394 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 00:14:29 ID:WLJO8ZL20
- >>393
「フフ、良い子だ。」
そうして、降ろす。
「いやいや、冗談抜きでお嬢さん、貴方は可愛く、綺麗だ。
自信を持ちなさい。」
真顔で、真剣に言う。
「まぁ、数百年もほったらかしにしてたからなぁ。」
- 395 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:23:46 ID:WVrfsEdY0
- >>394
「ふう、あんまりそういう事言わないでくださいよ。
わ、私なんかあんまり…」
【そのまんま口ごもってしまった。】
「なんというか…ありがとうございます」
【改めて頭を下げた】
「数百年?えっと…放ったらかしの時間が長すぎるように思えますが」
【目を丸くして返す】
「…以外に普通の人間じゃないんですかね」
- 396 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 00:25:14 ID:WLJO8ZL20
- >>395
「ま、自分に自信を持つことだな。」
フッ、と笑う。
「あ、いや、その、言葉のあやだ。
物の例えだよ。」
- 397 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:34:00 ID:WVrfsEdY0
- >>396
「自信ですか…
あんまりそういうのに縁がないものですから…
耐性薄いんですよね」
【ちょっともじもじしている。そのスタイルの良さとは裏腹である】
「あ、そうですか…
それぐらい放置されてたのかと」
【結構すぐに考えを改める】
「それよりも…どうしましょうか。
事務所が崩れてしまった以上…ここでは出来なそうですが。」
【じっと心配そうに見ている】
- 398 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 00:36:15 ID:1HvFMesQ0
- >>397
「そんなに自信がないなら俺が貰ってあげようか?」
10割冗談のつもりで言う。
「あぁ、そういうことだ。」
こいつ天然か、と呟く。
「とりあえずしばらくはホテルに行くよ。
事務所は土地を買ってから。」
- 399 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:39:34 ID:WVrfsEdY0
- >>398
「えっ?やややや!
それはまだ勘弁して下さい!」
【両手を激しく振って顔を真赤にして返す。冗談通じないのだろうか…】
「しかし、古い作りを使うのはよくありませんね」
【そう言って頷く】
「わかりました。
ひとまず心配はないようですね。
あっ…そういえばあずかっている荷物などは問題ありませんか?」
【ちょっと心配になったようだ】
- 400 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 00:43:20 ID:1HvFMesQ0
- >>399
「おいおい、譲ちゃん冗談に決まってるだろ?
このくらいの冗談なら誰だって見破れるのに。」
ハァ、と息を付く。
「いや、振るい作りもバカになんないぜ。」
「ん、あぁ、心配いらないよ、ギターに鉄が付いているっていえば良いさ。
駄目なら男だったら金を握らせる、女性だったら口説く。」
これも冗談だ。
- 401 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:49:30 ID:WVrfsEdY0
- >>400
「す、すいません…
さっきからの流れのせいで頭がちょっと…」
【顔が真っ赤である】
「そうですか…一体どんなことが?」
【興味津々である】
「は、はぁ…
それは私には難しそうですね…」
【さすがについて行き切れないようだ】
「私の持ち物もやはり無事・・・ですよね?」
- 402 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 00:52:45 ID:1HvFMesQ0
- >>401
「そうか、少しからかいすぎたな。
すまん。」
「ま、そう言う所は自分で調べな。」
「心配いらん、大事なお客様の所有物だしな。」
ニヤリと笑う。
「それじゃ、ホテルを探さなければいかんのでこれで、グッバイ」
//ここらへんで落ちます、すみません、ありがとうございました。
- 403 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/09(水) 00:57:36 ID:WVrfsEdY0
- >>402
「あ、いえ・・・
私も早とちり過ぎましたから」
【そう言って鶫は頭を下げた】
「わかりました。調べてみたいと思います・・・
そうですか、大丈夫なら嬉しいですよ」
【笑顔で返す】
「あ、はい。わかりましたー。
さようならー!」
【大きく手を振って見送っていった】
「ひとまず・・・私も」
【鶫もその場から去っていった】
//おつかれさまでした〜。ありがとうございます
- 404 :ヴァージニア:2012/05/09(水) 22:12:50 ID:dpRgPfxw0
- 今宵は吸血鬼らしく、血を欲していた。
なので、その為の専門店を訪れていた。吸血鬼専用の血液バーである。
古今東西、あらゆる地から、あらゆる種の血液を仕入れている場所だ。
ヒトから提供された血を筆頭に、獣の血や竜の血など種類多様な血液が置いてある。
人間の肉は美味しいか否かという命題がある。
肉食動物は草食動物を食べる時に、生存の為に美味しさを感じると言われる。
ならば、人間を餌とする吸血鬼にとって肉食動物の血は美味しいのではないか。
だから、獣や竜の血も置いてある、ということだ。
ヴァージニアはどれも食したことが無いので悩む。
特に違いはなさそうだが、竜の血などは魔力補給量などがケタ違いなので値段も高い。
「高い……」
しかし、手が出せない。
- 405 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/09(水) 23:37:17 ID:wGD96thI0
- >>404
そんなところで、少し窓の方を見ればある少年がいた。
奇妙なことにその少年の両手は真っ赤な血に染められていた。
そして分かるだろう、『魔力がダダ漏れ』だということに。
「…子に、…はさ…ない。」
微かながら声が聞こえる。
そしてその目は、真っ赤で、口元には、血が滴っていた。
- 406 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 00:02:59 ID:dpRgPfxw0
- >>405
ヴァージニアは特に拘りはないので、安価な獣な血を注文することにした。
独特の臭みが鼻を突くが、我慢すれば相応の役割は果たしてくれる。
彼女の体内に魔力――もしくは生命が満たされる。吸血鬼はやはり血を摂取することが大事だ。
彼女から離れた席には、吸血鬼が散在していた。
いずれも己の欲求を満たす為に利用し、血を飲みすぎた果てに潰れる客も多かった。
特に彼ら吸血鬼からすれば珍しくもない光景だ。
今、吸血鬼たちは人外狩りの被害にあっている。ゆえに、やけ酒…もといやけ血もよくあることなのだった。
- 407 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 00:06:53 ID:4PYvoSn.0
- >>406
ふと、横の店に気付く。
「血の専門店、…吸血鬼の血もあるかしら。」
まるで女性の様な口調で言う。
そしてジーンズのポケットをまさぐる。
「……、小銭ばっかりだけど2496円、これで買える血があればいいけど。」
そう言うと、その店に入る。
- 408 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 00:26:07 ID:mbXTFaJQ0
- 以前、ヴァージニアの捜索の手掛かりにと、ボロッブなるファンタジー生物にもらった地図を思い出した。
彼の様なファンタジー生物等が集まる地区。……だと彼は言っていた。
「一体、何が」
そのファンタジーさは想像を絶する者だった。
都市の町並みから、気が付けば周囲は鬱蒼と生い茂る森。
自分の背丈の倍ほどもある花が立ち並ぶ謎空間。
草葉の影から姿を現した、花よりも巨大なカマキリと対峙して、如何にか勝利を手にしてきた。
その後にも様々な混乱を巻き起こす光景と壮絶な窮地を繰り返し、やっとのことで都市に戻ってきた。
巨大な綿毛が張り付いた頭は、妙な安堵感と極度の疲労感を現していた……。
- 409 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 00:32:32 ID:dpRgPfxw0
- >>407
店の内部は、予想通りだと思うが、血の匂いで充満していた。
客はほとんどが吸血鬼で、物好きな一部の人間の商人だったりする者がそこにいる。
メニューを見れば大体の値段が分かると思うが、手持ちの額で贅沢なものを購入するならば、ヒトの血が精一杯だ。
竜の血はもはや一城の主人が飲む、貴族の吸血鬼が飲むべきもので、下等な、さらに言えば富のない者はそれ相応の血のみしか買い付けができない。
>>408
都市に帰り着くや、すぐ前方には吸血鬼たち御用達の血液の専門店があった。
気配を伺えば分かると思うが、ヴァージニアは既にこの店の中にいるらしい。
一般の吸血鬼も多く通える為か、店内を構成する客たちはならず者で構成されている。
一城の主たちは特にここを利用することはないが、懐の温かい者たちに対しては相応の血液を提供できる場となっている。
- 410 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 00:40:17 ID:4PYvoSn.0
- >>408
(あの子…、人間と吸血鬼の両方の血の匂いがするわね。)
しかし興味が無いという風に見て店の中に入る。
>>409
「…。」
品揃えを見ていくがやはり買えそうなのは人間の血のみ。
「ま、仕方ないわね。」
そう言うと、その人間の血の入ったパックを取り出す。
「えっと、買い取るにはどうすればいいのかしら。」
周りから見れば少年がお姉口調で言ってるようにしか見えない。
- 411 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 00:51:43 ID:mbXTFaJQ0
- >>409
感じた気配の中に、見知ったものがあった。
少々の同族の物と、一人のさらに近しい物。
「ヴァージニア」
少女の姿を見つけると、すぐさま近寄っていく。
>>410
店に入ると、少年が目はいる。
通常の吸血鬼よりかは、自分に近しいそれ。
しかし、理解できない部分も多い。未だ感知できる力があまり強くない為だろう。
- 412 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 00:59:01 ID:dpRgPfxw0
- >>410
店主はちょっと訝しげに章の様子を眺めている。
円と言う単位は結構面倒臭いらしい。そもそも都市の通貨は厳密には決まっていない訳だが。
ヒトの血液パックを店主は渡すと、千円札を二つ勝手に取って、全自動両替装置に札を入れる。
すると、何十枚の金貨に変わったので、その内の1/5を章に手渡した。
きっと日本円の値段で考えると、人の血液は1600円程度ということらしい。
>>411
「あ、リョウ様……」
彼女は少し自分の行為を恥じていた。
綾が食料として血を摂取することそのものを嫌っていることを、彼女は分かっていた。
この場に来させてしまった事自体、あるべきではなかったのだ。
- 413 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 01:02:07 ID:4PYvoSn.0
- >>411
(ふぅん、まだ吸血鬼にはなりきれていないのかしら?)
少し興味を持ったようだ。
>>412
「円単位は無理、という解釈でよろしいでしょうか?」
少し疑問になったので聞く。
とりあえず買うことはできた。
- 414 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 01:11:35 ID:mbXTFaJQ0
- >>412
次いで、店内の様子を見渡す。
血液の売買を行う、『そういう者』向けの専門店。
あれから、少々在り方について考えた事は有る。
一度否定しまった血液を摂取することについても、自分の在り方でしかない。
「欲しい?」
ポンポン。と、優しくヴァージニアの頭に手を置いて。
>>413
詳しく知ることはできないが、感知することはできる。
先程から感じる視線。一体何の意図があるのだろうか……?
- 415 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 01:18:43 ID:dpRgPfxw0
- >>413
「通貨が安定しないなら、各々が利用しやすい形に変える。それだけだ」
店主はそれだけ告げて、他の客の応対に追われている。
>>414
本来ならば、使い魔としての立ち位置にある彼女は主人を困らせてはいけない。
しかし、金銭に関しては問題ないという言葉もあったし、多少の値段が張る商品であっても許されるはずだろう。
飛龍の血液を見て思う。ここ数日間における空腹感を満たすならば、あれが最も最適で贅沢だろうと。
「はい……」
自分の欲求を、素直に主人へと告げる。
感情を偽ることも可能だが、それを綾は望まないはずだ。
- 416 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 01:22:13 ID:4PYvoSn.0
- >>415
「なるほどね、分かったわ、ありがとう。」
そう言うと、パックを取り、椅子に座る。
「…。」
微笑を浮かべながら品揃えを見る。
しかしそれは借り、盗み聞きをしていた。
>>414>>415
(なるほど、主君と下僕、そんな関係かしら。
随分と硬い忠誠を誓ってるのね、あの主君も人柄もよさそうだし
当然ね。)
おそらく少し周りを警戒すれば気付くだろう。
- 417 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 01:34:56 ID:mbXTFaJQ0
- >>415
「なら、それを」
ヴァージニアが感覚的に欲したそれを指差す。
飛龍の血。一般的に言えば決して安い代物ではない。
が、彼女にはそれを軽く支払う事の出来る財力がある。
ヴァージニアが欲しいのなら二つ返事で買い与える事も厭わない。
>>416
不愉快だ。
晒される必要の無い感覚が、心の中を這いまわる。
余程性質の悪い人間なのだろう。
- 418 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 01:44:03 ID:dpRgPfxw0
- >>416
視線を向けられているのに気付いたのか、そちらを見やる。
その視線は、警戒心によるものが強い。
もしかしたら、人外排斥団体の手の者かもしれない。
こういう場にスパイを送りこまないとも考えられないからだ。
「考え過ぎかもしれない……」
よくよく考えれば、気負いすぎであった。
必要以上に意識を集中しすぎて、疲れがたまっていたのかもしれない。
>>417
「ありがとう、ございます……」
少し悩んでから、彼女はそれを手の内に入れ、それから綾の表情を伺う。
後、付属品のストローをパックに刺し、飲み始める。
疲労が幾分か回復したように感じた。まともな養分にありつくのは久々だったのだ。
人外狩りの調査の為に日夜外に出かけるのはいいが、さすがに己のことを考えてなさすぎる。
「でも…、リョウ様を護れなかったら……」
その時は、自分も生きてはいない身だ。
- 419 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 01:47:18 ID:4PYvoSn.0
- >>417
(あらあら、警戒されちゃったみたいね。)
そう思うが全然動じない。
(ま、『私』は嫌われていいけど、『この子』の事は嫌いにならないように
気を付けないとね。)
>>418
「あら?、どうかしましたか?」
白々しく対応する。
- 420 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 02:01:46 ID:mbXTFaJQ0
- >>418
「?」
表情には一切の変化は無い。
感じ取れるものも、普遍的な物。
つまり、特になんとも思って居ない。至って普通。
「気負う必要は無い」
>>419
「なんだ、お前は。
さっきから僕の事を見続けて。何か用があるなら言ったらどうだ。
人を上辺から、自分一人で観察して……見物のつもりか、少年」
余りにも不快。
- 421 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 17:28:14 ID:.g8wdXM60
- >>419
「い、いえ、別に……」
世の中には変な言葉づかいをする人も居るんだなぁと思う。
しかし、それは誤りだとすぐに考え直す。
事情によるだろうが、精神的なショックにより人格に乱れが生じているかもしれないのだ。
例えば、この子の場合は婦人の人格が芽生えてしまったとか。
ヴァージニアの場合は、吸血鬼としての本能が心を浸食し始めているので
それに似たような感じなのかな、と彼女は思ったが、深入りすることはやめた。
>>420
ある意味、綾は全く金銭感覚がないのかもしれないと彼女は考える。
それでも、現時点では困るようなことでもないはずなのでそのことは控えることにする。
そもそも、綾はずっと一人で生き抜いてきたはずなのだから、自分が出しゃばる必要はない。
感謝の気持ちを持ちつつ、竜の血を飲みほした。体全体に活動に必要なエネルギーが行き渡る。
血の味も日に日に美味しさを増し、次第に彼女は吸血鬼として成熟しつつあった。
それと同時に、気になることもあった。
「リョウ様はやっぱり……飲まないんですか?」
綾も吸血鬼であることは間違いない。
吸血鬼の主食は血だ。しかし、それを飲む姿を彼女は見たことが無い。
何か理由があるのかもしれないと、彼女は思っていた。
- 422 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 18:40:58 ID:9VjMC2hM0
- >>420
「見物なんてそんな、そんなことが出来るほど今の私に余裕何てありませんよ。」
肩をすくめてやれやれと首を振る。
「そもそも私は自分が上の存在だと思っていませんわ。
むしろ貴方の様な人が私より下の筈がないでしょう。」
クスクスと笑う。
「ただ、何故見ていたかと言えば、随分と中が良いので羨ましく見えましてね。」
これは無論、本心だ、なぜなら彼は大切な存在である『子』には全く知らない存在だから。
>>421
「安心してください、私は『この子』の『本当の人格』ではありませんから。」
さらっと言う。
- 423 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 20:41:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>421
「必要が無い」
軽く握った拳を胸に当て、静かに告げる。
一般的な吸血鬼は血を主食とし、人間が普段食する物を一切口に入れない者もいる。
しかし、一部ながら例外も居る。『格』の高い吸血鬼は一般社会に混じって、所謂『普通』の生活できる程に吸血鬼である必要を消せる。
だが、綾は生まれつきの吸血鬼ではない上に、吸血鬼になった『原因』と言える存在からも別段『格』と言う物を感じたことは無い。
また、ヴァージニアの異常な忠誠心は綾の抱いている謎の一つであった。
綾も生まれつきの吸血鬼では無い以上、今ある様に『種としての繋がり』を感じざるを得ない場面と言う物はあった筈。
しかし現実を返せば『血を飲む必要は無く』、『種に縛られることも無い』。さらには『日光への耐性も他と比べ少しはある』。
綾と言う存在は取り分けイレギュラーに見える。
現に、ヴァージニアに指摘され、今こうやって思い直している……が、答えは出ない。綾自身も謎に思い、未だ闇から抜け出せては居ないから。
「今は」
同時に、光に身を寄せる勇気も無い。
>>422
「勝手な愛情を向けられても困る。
用が無ければ来ないで欲しいのだが」
氷の様に張り付いた表情から感じられる極度の冷たさ。
右の半分しか見えない顔が不安感を煽るのではない。
綾と言う人間は至って閉鎖的な人間だと言う事をその口と瞳が現していた。
閉鎖的に故に人間関係の構築も得意では無い。
見ているだけの風間に対して去れ。と言うのは余りにも傍若無人だと言える。
彼女がそれ程の感情を風間に対して抱いている事が直接伝わる。と言う事だ。
- 424 :ヴァージニア:2012/05/10(木) 22:19:35 ID:q/lQoGyc0
- >>422
(…操られてるのかな)
その様子をやはり訝しげに見ていた。
>>423
「そう、なんだ……」
綾は自分自身を吸血鬼として肯定していないのだろう。
だからこそ、そちらの方面の知識に疎く、ヴァージニアの存在も異質に思えてしまう。
しかし、吸血鬼という種であることは変わりないのだ。
真祖吸血鬼から血を分け代を追うごとに劣化、末端はより単純な生物となる。
血を分けた上位の吸血鬼が存在すれば、その為に仕えるのは当然。
自由意思を持つものは、上位の個体が存在しない場合にある。例外ももちろんあるが。
- 425 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/10(木) 22:26:59 ID:9VjMC2hM0
- >>423
「あらあら、ごめんなさい。」
笑いながら謝る。
「そこまで不快にさせちゃったなら本当にごめんなさいね。
私がこれ以上いたら貴方にとってもかなり不愉快でしょうしね。」
そう言って背を向けて、出口に向けて歩き出すが。
>>424
なんとなく変な想像された様な気がしたのでヴァージニアに近付く。
「もしかして、『私』の事、悪く思ってません?
『私』は、『私の息子』を守っているんですからね。」
そう言うと振り向きざまに言う。
「そうそう、『この子の名前』は風間 章、覚えなくても良いけど
『この子の人格』に逢ったら仲良くしてね。
それと貴方。」
綾に向けて言う。
「その子を大事にしなさいね。」
おそらく、『その子』とはヴァージニアの事だろう。
バァイ、と言うとそのまま店を出る。
無論、パックを持って。
//すみません、先に脱落します、ありがとうございました。
- 426 :柊宇都 綾:2012/05/10(木) 23:48:08 ID:mbXTFaJQ0
- >>424
「解らない。
如何言う物で、如何在るべきか」
自分よりも背の低く、まだ幼いヴァージニアを見る為に首を下へ。
自分の定めを受け入れ、吸血鬼としてどうあるべきかに向き合うヴァージニアを凄いと思う。
「父の背を越すことが出来ない」
>>425
一時目線が合うが、その際に強く睨む。
冷たく鋭い雰囲気から放たれる空気は酷い嫌悪感を示していた。
内向的過ぎる余りに直接的な表現しかできない少女だった。
- 427 :ヴァージニア:2012/05/11(金) 00:00:20 ID:q/lQoGyc0
- >>425
「守ってるって、いえるの……?」
ヴァージニアに難しいことは分からないが、勝手に体を利用しているだけなのではないか。
情緒の発育などを考えると、自分の意思で行動させるべきではないのか。
しかし、何が正しいことなのか、彼女には分からない。
その家にはその家の教育方針があるのだ。他人が突っ込むのは野暮だろう。
>>426
自分自身と向かい合わず、変化を望まぬ結果、時間が止まってしまったかのようだ。
その暮らしもまた、本人が納得するならばいいのだろう。
「越えられない、立ち止まっていては、永久に……」
思わず口に出てしまったその言葉を飲み込む。出過ぎた真似だろう。
ベクトルはどうあれ、少しずつだが綾は前に進みだしている。
心の内に閉じこもらないようにしなければならないのに、迂闊な発言であった。
- 428 :柊宇都 綾:2012/05/11(金) 00:16:42 ID:gnFD0n6o0
- >>427
越えられない。
追うだけでは、越すことは出来ない。
ヴァージニアの噤んだ言葉は、的確な答えだった。
「近付くだけでは……」
「……帰ろう」
何か、解った気がする。
明確に道が見えた訳ではないが、前に進むことができる。と言うことが理解出来た気がする。
まだ。聞くべきではない。もう少し、自分の事が良く解ったら、聞いてみる事にしよう。
- 429 :ヴァージニア:2012/05/11(金) 00:32:28 ID:q/lQoGyc0
- >>428
「……はい、リョウ様」
怒られることも覚悟していたが、却って綾の為に良かったのかもしれない。
彼女は店のドアを開けて、帰路を確認する。もうすぐ夏の訪れなのだろうか、夜でも暖かかった。
この冬物のコートも季節に合わせてしまう時期だろう。
久々にスラム街の廃品置き場で夏服を漁ろうか、などと考えている。
- 430 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 15:53:43 ID:mbXTFaJQ0
- ―――アトリエ前。
ドアを叩く少女の姿があった。
かなりハイテンポな音がする事から少女は相当なせっかちなのだろう。
ハイテンポな割にはドアへの衝撃が弱く思える。
ドアを叩く少女は相当に貧弱な腕力を持っているのだろう。
- 431 :名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 16:18:35 ID:.6prKP66O
- >>430
叩かれた扉の向こうから落ち着いたが聞こえてきた
『はいはいはい』
扉が開かれ、その向こうには黒いメイド服で身を包んだ闇のマナの姿があった
『おや?どんな用件で?』
店に用ならば店に入ればいい、だが目の前の少女は扉をノックした
しかし、アトリエの主からは来客の知らせは無い
メイドは少々不思議そうに尋ねた
- 432 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 16:27:38 ID:mbXTFaJQ0
- >>431
「店主を出せ」
何故かキレ気味。
少女にとっては何時もの事だが、初対面の闇のマナには不思議に思う事だろう。
左腕の小型端末から刃を発生させ、切っ先を顔面に向けている。テロも良い所である。
- 433 :名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 16:37:41 ID:.6prKP66O
- >>432
『……?』
普段ならば軽く通してくれただろう
だがレラの性格故か、行動のお陰で事は面倒な方向に
『なるほど、旦那様を狙う刺客ですか……こんな白昼堂々……』
片眉を釣り上げ、指を鳴らす
次の瞬間にはマナの執事やメイドがレラを囲むように存在していた
いずれも戦闘力は高いマナだ……面倒事は避けるべきだろう
- 434 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 16:51:03 ID:mbXTFaJQ0
- >>433
「何のつもりだ、貴様ら」
取り囲むマナたちをキツく睨む。
淡い緑色の光を放つ剣を向けて一回転し、全員に威圧をかける。
少女単体の運動能力は壊滅的。
それを知るマナが居れば、簡単に取り押さえる事が出来るのだろうが……。
- 435 :名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 17:11:16 ID:.6prKP66O
- >>434
その時、レラの背後から白い西洋鎧の金のマナが近付き、鎧とは思えぬ素早さでレラを捕らえる
頑強な金のマナは力もとても強く、レラでは到底適わない
マナ達は先程の動きでレラの運動能力の低さに気付いたようだ
『貴方、本当に刺客?確かに危険な武器を持ってるけど……』
- 436 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 17:17:42 ID:mbXTFaJQ0
- >>435
「……なんだ貴様は。
僕は上弦に話があるんだ。さっさと出せ」
金のマナに捕らえられながらも、威圧的な態度は変わらず。
相変わらず強く睨みを効かせながら。掴んでいる腕をペチペチと叩く。
- 437 :名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 17:26:25 ID:.6prKP66O
- >>436
『話?いいわ、連れていきなさい……変な真似をしたら今度こそ突き出してやりなさい』
闇のマナにそう言われ、金のマナはレラを持ち上げたままアトリエ内へ
しばらく廊下を歩き、主の部屋をノックする
『旦那、変なの捕まえた』
金のマナがそう言うと、勝手に部屋に入っていく
「変なのってなんだい?」
椅子に座り、机に没頭する上弦の後ろ姿が、レラの目に映った
- 438 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 17:34:31 ID:mbXTFaJQ0
- >>437
「貴様、この天才である僕を変なの呼ばわりだと?」
金のマナに対し、そう言いながらペチペチを継続する。
振り返れば、酷く機嫌の悪そうな顔をした少女が見える。
- 439 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 17:42:12 ID:.6prKP66O
- >>438
振り向いた男は笑顔であったが、レラの姿を見た瞬間……“うわぁ”と表情を浮かべる
「あぁ……その子は私の友人だ……それと変な“の”じゃなくて、変な“子”だ」
金のマナは渋々納得したようにレラを離す
『変な子、失礼な事しないようにな』
そう言うと、部屋から出ていく
金のマナの退室を見送ったと、男はレラに向き直り
「何したんだレラ?って言うかなんか悪者に乗っ取られたと聞いたが……」
心配してたはずなのだが、急にこんな現われ方をしたものだから呆れてしまう上弦であった
- 440 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 17:47:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>439
「なんなんだアイツらは!
教育すらもできないのかお前は!!」
解放されるなり上弦にずんずんと歩み寄り怒号を散らす。
近寄るなり、手当たり次第に……届く範囲内にある上弦の足に当たり散らす。
- 441 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 17:53:23 ID:.6prKP66O
- >>440
「え?普段は礼儀正しい筈なんだが……レラ、君が何かやらかしたんじゃ……」
いくら当たり散らされても痛くは無い……それにレラがこんな状態なのはいつもの事である
「そんな事よりペロペロキャンディ食べるか?」
机の引き出しから包装されたキャンディを取出し、与える
もはや、慣れたものである
- 442 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 18:03:38 ID:mbXTFaJQ0
- >>441
「なんで来て早々に引っ掴まれる必要があると言うんだ。
貴様のもてなしと言う物が相当ずれているか貴様が嫌われているかもどちらかだ」
相変わらずムスッとした顔をしている……。
いつも通り、彼女には自覚が無いだけだろう。
「……フン」
乱暴な仕草な物の、しっかりと飴を受け取る。
本人は否定しているが、やはり子どもらしい。
- 443 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 18:08:15 ID:.6prKP66O
- >>442
「……絶対何かしたなこの子」
小さく、レラに聞こえない声で呟き
後で話を聞いてみようと思った上弦だった
「それで、君から訪ねてくるなんてどうしたんだい?珍しい」
本題に入ろうと、レラの分の椅子を用意しながら問い掛ける
- 444 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 18:13:12 ID:mbXTFaJQ0
- >>443
「コイツをな……」
ごそごそとポケットを漁り、中から一枚の布を取り出した。
余り大きくない布きれだ。端の方には焼けた後がある。
「探偵は全く役に立たなくてな。
仕方がないから貴様にコイツの複製を頼みに来たんだ」
椅子に乗ると少女の小ささが際立ってくる。
足は床に付かず、宙をパタパタと舞っている。
- 445 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 18:17:29 ID:.6prKP66O
- >>444
「……」
うわぁ、改めて見るとレラ小さいなぁ……なんて考えながら少女の話を聞く
「これ、何の布だ?」
ジーッと布をいろんな角度から見つめ
- 446 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 18:32:27 ID:mbXTFaJQ0
- >>445
目測でも120cm以下だと言う事が解るだろう。
本人は18歳を自称しているが、これでは小学一年生程度しかない。
「光や魔術を跳ね返す力がある。
と、言う事は解っているんだがな」
- 447 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 18:47:50 ID:.6prKP66O
- >>446
「ふむふむ、焦げてる理由とかはわかるかい?っていうか焦げも複製するのかい?あと、レラってかなり小さいな」
光や魔術を跳ね返す力、確かに似たようなものは錬金術であれば作ることは可能だろう
しかし、複製となれば話は別、まずは布の正体を知らねば
- 448 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 19:04:07 ID:mbXTFaJQ0
- >>447
「さぁ……解らないな。僕も記憶が無いうちに所持していた。
布の性質を複製しつつ、ローブの様に纏えればな、と……ってあぁ!?」
真面目な表情で返答していたが、最後に向けられた言葉に声を荒げて反応する。
一転して怒りを露わにすると、キツく睨む……。
- 449 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 19:12:55 ID:.6prKP66O
- >>448
「なるほど、大体わかった……完璧な複製は無理だけど限りなく近いって感じなら出来るよ……どうする?」
レラが怒っていることなど意に介さず、話を進める男うざく爽やかな笑顔が実に憎たらしい
- 450 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 19:29:27 ID:mbXTFaJQ0
- >>449
「……やってもらおうか」
明らかな不快感を露わにし、視線は更にきつくなる。
溜息を付き、胸を大きく揺らすと溜息を吐いた。
- 451 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 19:36:26 ID:.6prKP66O
- >>450
「ははははは!では早速私のアトリエに行こうじゃないか!」
笑いながら立ち上がり、部屋にある二つ目の扉を開く
そこには長い道が続く謎の廊下がある
「さぁ、そんな不貞腐れて無いで行くぞ!」
上弦は先にどんどん歩いていく
久しぶりにレラが訪れたので機嫌がいいのだ
- 452 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 19:48:00 ID:mbXTFaJQ0
- >>451
舌打ちをもう一度。
ジェットブーツを起動させると上弦の後を付いていく。
「なぁ、アイツは今いるのか?」
周囲をキョロキョロを見まわす。
どうやら誰かを探しているようだが……?
- 453 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 20:03:03 ID:.6prKP66O
- >>452
「ん?アイツって?」
上弦は歩きながら辺りを見回すレラに聞き返す
- 454 :てんさい:2012/05/12(土) 20:12:14 ID:mbXTFaJQ0
- >>453
「アウテリートを……いや、居ないならなら良いんだが」
ふぅ。と、安心したかのような溜め息を吐く。
- 455 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 20:17:02 ID:.6prKP66O
- >>454
「え、いるよ?今日は自分のアトリエで錬金術の練習するんだってさ……行ってくるかい?」
レラはそんなにアウテリートに会いたいのか!
上弦はそう思いながら笑顔になる
「君たちが遊んでる間にやっておくから、遠慮せずに行きなさい」
- 456 :てんさい:2012/05/12(土) 20:20:44 ID:mbXTFaJQ0
- >>455
「い、いい! 必要無い!」
レラはアウテリートの様な人間が少し苦手だった。
居ないと解って安堵していたのだが、唐突な提案をされて驚きを見せる。
- 457 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 20:32:27 ID:.6prKP66O
- >>456
「ん、そうか?アウテリートも喜ぶと思うんだがなぁ」
少し残念そうにそう言うとアトリエが近づいてくる
その時だった
ドタドタドタドタ!
騒がしい足音が二人の背後から聞こえてくる
「お父様あぁぁぁぁッ!!」
やつが来た!
- 458 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 20:37:45 ID:mbXTFaJQ0
- >>457
「……!!」
聞こえてきた騒がしそうな足音。
廊下に響く騒がしい声。
それが耳に届くと驚きのあまりビクリと背中を跳ねさせる。
- 459 :アウテリート&上弦 ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 20:46:02 ID:.6prKP66O
- >>458
「お父様ぁ!やっぱり爆薬しか出来ないですわぁ!教えてくださいなぁ!!手とり足とりでぇ!」
ミントグリーンの巻髪を揺らしながら走ってくるアウテリート
上弦に向かって飛び付かんばかりの勢い、しかしそこで上弦が一言
「アウテリート大変だ!レラがいるぞ!」
そう言った瞬間、アウテリートはレラに飛び付く
「キャーッ!レラですわぁ!!久しぶりですわね!頬擦りしちゃいますわよ!!」
- 460 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 20:50:18 ID:mbXTFaJQ0
- >>459
アウテリートは上弦に飛び付く様子。
ファザコン具合に僅かに安堵の様子を見せ、逃げ出そうとした矢先、
上弦の放った一言でアウテリートがこちらへ向かってくる。
「なっ、上弦! 貴様あぁぁ!!」
無論、逃げられる訳も無くガッチリと捕まっている。
- 461 :アウテリート&上弦 ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 21:00:22 ID:.6prKP66O
- >>460
アウテリートはレラに頬擦り三昧
「いいですわぁ、プニプニしてて最高ですわぁ!」
他人から見ると……いや、誰が見てもレラが被害者である
その様子を楽しそうに、嬉しそうに眺めながら上弦は言う
「ははははは!レラ、やっぱり会いたかったんじゃないか!ほら、二人で遊んできなさい、アウテリートも後で教えてあげるから」
笑いながら、上弦はアトリエの扉を開けて中に入っていく
「はぁい!わかりましたわぁ!」
上弦のアトリエの扉はすぐ近く、だがレラはアウテリートの餌食である
さぁ!どうする
- 462 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 21:07:19 ID:mbXTFaJQ0
- >>461
「どうもこうも……えぇい、離せ!!」
アウテリートに捕まっている以上、身動きが取れない。
脱出を試みて暴れるもレラの貧弱さでは抵抗にすらならず、むしろ構えと催促して揺れるだけにしか感じないだろう。
- 463 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 21:15:26 ID:.6prKP66O
- >>462
「うふふ、そんなに嬉しいんですの?もう、レラったら!私の部屋に招待しますわよ!」
ずるずーるッ
レラを引きずりながらながらアウテリートは鼻歌を歌う
久しぶりに会うレラに、その後は父親からの錬金術の指導……アウテリートは満面の笑みである
「私はアウテリート♪プリティアウテリート♪」
- 464 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 21:25:32 ID:mbXTFaJQ0
- >>463
「上弦、貴様……覚えていろ!!」
アウテリートに引き摺られながら去り際に捨て台詞を吐いた。
不服そうにアウテリートを眺めていたが、はぁ、と溜め息。
視線で訴えても、口で訴えても聞きはしないだろうと考えていた。
「えぇい、ままよ!」
覚悟決めた様子。
引き摺られながらの思考の果てに、悟りを開いたかの如く。
「……引き摺るのはやめろ」
取り敢えず。
- 465 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 21:32:25 ID:.6prKP66O
- >>464
「ふ〜ん♪ふ〜ん♪あら?」
やめろと言われて手を離す
お嬢様はニッコリしながらレラに言う
「ほらほら、寝転んでいるなんて行儀良くありませんわよ?」
訝しげに眉を下げる
大体お嬢様のせい
- 466 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 21:37:38 ID:mbXTFaJQ0
- >>465
「っ」
いきなり手を離され、床に頭を打ち付けた。
数秒の間痛みに悶え、起き上がると強く睨む。
「……フン」
相当不愉快らしく、お嬢様を鼻で笑う。
- 467 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 21:41:05 ID:.6prKP66O
- >>466
「なっ!?なんで私を見て急に笑いましたの!?」
むっとした顔で腰に手を当ててレラを睨む
「ちんちくりんの貴方に笑われる筋合いはありませんわよ!」
- 468 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 21:50:26 ID:mbXTFaJQ0
- >>467
「何? 貴様、今なんと言ったか?」
無視して先に進もうと思ったが、アウテリートの放った一言に足を止める。
やはり身長を気にしているらしく、それに触れられるとプライドの高すぎる余り、自制出来ずに頭に血が上るのだろう。
「貴様の様な品の伴って居ない人間も珍しい……なんだ? 僕は優しいからな、もう一度聞いてやろう」
- 469 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 21:58:03 ID:.6prKP66O
- >>468
「ふん、ちんちくりんって言いましたわよ?」
胸を張りながら貴方を見下ろす
少し大きな胸が強調される
「品が無いとはどっちの事かしらね?ちんちくりんのレラ!」
- 470 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 22:08:14 ID:mbXTFaJQ0
- >>469
「ほぅ……訂正する気は無いらしいな。品のない金持ち程扱いに困る物も無いな」
見上げる形になる視線でも威圧感は十分。
鋭い目つきと冷たく放たれる言葉は酷く攻撃的。
「無鉄砲で後先考えず突っ込むお前の何処に品があると?
バカも休み休み言ったらどうだ? 貴様程のバカだと錬金術も録に扱えないのではないか? 父が仮にも優秀だと言うのに……残念な事だなぁ」
- 471 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 22:18:07 ID:.6prKP66O
- >>470
「おほほほほ!私ほど上品なレディがどこにいるんですの?貴方こそ、そのすぐに人を見下すのは下品でしてよ?それに」
余裕だけは父親と負けず劣らず……レラの攻撃的な発言も全て流す……かに見えたが
ある一言で、お嬢様がピクリッと反応する
「今なんて?わ、私が錬金術をろくに扱えないぃ!?」
わなわなと震えながら頬に手を当てる
一番突いてほしく無い所だったらしい
- 472 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 22:24:21 ID:mbXTFaJQ0
- >>471
「貴様程の馬鹿だと上弦も手を焼くだろうに……」
はぁ。と溜め息を吐きながら攻撃続行。
やれやれ。と言わんばかりの呆れムードを出している……。
- 473 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 22:40:39 ID:.6prKP66O
- >>472
「まさか、そんな訳ありませんわよ……ははは……お父様は私を大切に思ってくださってますわよ」
目を勢い良く泳がせ、あたふたあたふた
最終的には母親譲りの慌てようで、両腕をわちゃわちゃ
- 474 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 22:49:35 ID:mbXTFaJQ0
- >>473
「お、おい……大丈夫か?」
珍しく取り乱し慌てる素振りを見せるアウテリートをチラリと眺める。
ちょっと言い過ぎたかなーとか思っているらしい。
近寄って、アウテリートの顔を見ながら顔には届かないので太腿をペチペチするだろう。
- 475 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 22:55:59 ID:.6prKP66O
- >>474
急に太股を触られたのでビクッとお嬢様が跳ねる
しかし、案の定取り乱している最中で
「き、急に何をするんですのレラ!?まだ私になにか……はっ!?」
何かに気付いたのか、自身の体を抱き締めるようにして一言
「私に乱暴するつもりですのね!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!!」
- 476 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 23:00:05 ID:mbXTFaJQ0
- >>475
「訳の分からん事を口走るな」
アウテリートの行動を興味なさげに一蹴する。
兎も角、調子を取り戻したようで、わずかに距離を取るとじっと見つめる。
「もう……大丈夫か?」
- 477 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 23:12:13 ID:.6prKP66O
- >>476
「ふん、平気ですわ!だけどレラ……
私の錬金術を馬鹿にしましたわよね?いいでしょう!来なさいな!私の本気の錬金術を見せてあげますわ!」
勢い勇んでアウテリートは歩きだす、自分の部屋へと
アウテリートの部屋は見た目通り、女の子らしい部屋であった
父の写真、母の写真
大量のぬいぐるみ
なんかよくわからないキャラクターのグッズなど、女の子らしさを数え切れたらキリがない
今はマナのメイド達が数人、寛いでいるようだった……
お嬢様なのに召使い達には気楽に接しているようだ
- 478 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 23:16:05 ID:mbXTFaJQ0
- >>477
「わ、わかった」
アウテリートに促されるままについて行く。
部屋に入ると、先に中にいたメイドや執事を睨み付けて威嚇する。入り口での出来事を忘れては居ない。
「……それで? ここで何をするつもりだ?」
- 479 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 23:26:25 ID:.6prKP66O
- >>478
メイド達はまだ警戒している様子だが、それもお嬢様の今の気迫には勝てない
「この部屋じゃありませんは隣ですのよ」
アウテリートの部屋にもう一つの扉があった、そこを開けるとアウテリートのアトリエが広がっている
アトリエにも扉が二つあり、アウテリートの部屋に繋がる扉と廊下に繋がる扉
本来ならアウテリートの部屋をわざわざ経由しなくても真っすぐアトリエに行けたのだが……勢い勇み過ぎて自室に入ってしまったらしい
- 480 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 23:32:11 ID:mbXTFaJQ0
- >>479
「ここは……アトリエか」
部屋に入ると、巨大な釜が目に入ってそう呟いた。
錬金術を職業とする者の商売道具。無くてはならないものだ。
「アウテリートが僕に錬金術の腕を見せてくれると?」
- 481 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 23:47:01 ID:.6prKP66O
- >>480
「その通りですわ!まず、これを見なさいな!!」
アウテリートが取り出したのは紙に包まれた粉の様な物
「これはお父様が三馬鹿騎士達の為にたくさん作った謎粉ですわ!
武器等に塗ると刀身に火や雷、風など様々な魔法を纏わせる事が出来る言わばエンチャントアイテム!」
聞くとそれは魔術などを一切使えない三騎士の為に上弦が作った物だという
「ちなみにこれは雷を纏える種類の物ですわ!だから、これを今から錬金してあげますわ!!」
- 482 :レラ=バニッシュ:2012/05/12(土) 23:54:53 ID:mbXTFaJQ0
- >>481
「ほぅ……成る程」
何度か頷き、アウテリートの思惑を理解した様。
椅子に飛び乗ると、腰を下ろし足を組む。
「見せてもらおうか。アウテリートの錬金術の性能とやらを!」キリッ!
- 483 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/12(土) 23:59:39 ID:.6prKP66O
- >>482
「ふん、言った事を後悔させてあげますわ!」
アウテリートの錬金術が今始まった
「まず、雷の粉なんですもの、ドナー石を……ちょっと来てくださいな」
アウテリートは誰かに呼び掛けると……サイの様な見た目のマナがやってくる、岩のマナだ
「はい、あーん」
アウテリートは岩のマナの口の中にドナー石を入れ、噛み砕かせる
- 484 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 00:07:18 ID:mbXTFaJQ0
- >>483
「ふむ……成程」
アウテリートの錬金作業を興味深そうに眺めている。
錬金術はどちらかと言えば魔術より科学向き。興味をそそられるものだった。
- 485 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 00:20:37 ID:.6prKP66O
- >>484
ガリッゴリッと音を立てて噛み砕かれ、岩のマナは口から粉々になった石をアウテリートの手に吐き出す
「ありがとう、また後で何か頼むかもしれませんわ、だからそこで休んでなさい」
岩のマナは頷くとノシノシ歩いてアウテリートの部屋で寝転がる
「はい次!これを地底湖の溜りに入れて……雷は光るものだし……光る粉を入れて……混ぜますわ!」
次に現われたのはメイド姿の風のマナ
風を起こしてミキサーの様に素材を混ぜ合わせる
混ぜ終わると、お嬢様に頭を下げ、すぐにお嬢様の部屋に戻る
お嬢様の部屋では、マナ達がレラに対して気の毒そうにしていた
- 486 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 00:30:35 ID:mbXTFaJQ0
- >>485
仕事を終えるとアウテリートの部屋へ戻っていくマナたち。
その何れもが去り際に自分に向かって謎の視線を向けるのを感じていた。
何処か憐みにも近いそれ。
だが、入口での出来事を思い出し、それが嫌味の視線であると決めつける。
そうしてマナには例外なくキッと睨みつけておく。情けの目であるとは気が付かなかった。
- 487 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 00:43:57 ID:.6prKP66O
- >>486
「さぁ!ついに釜に入れる時が来ましたわ!これはもうバッチリですわ!」
先ほど出来た混合液を勢い良く釜にぶちまける
釜の中の液体が緑、黄、青と様々な色に光る
グツグツと言う音はパチパチと言う音に変わり
「あ、そうですわ!少しアレンジを加えてみましょう!
ふふふ、それでお父様が私にレシピを聞きに来て手とり足とり……ぐふふ……」
アウテリートがアレンジとばかりに手当たり次第に材料を入れていく
すると釜から強烈な光が放たれる
「レラ!出来ますわよ!来なさいな!!」
はしゃぎながらレラを呼ぶ
- 488 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 00:47:49 ID:mbXTFaJQ0
- >>487
「ん、なんだ?」
呼ばれるままに付いていく。
よもやこれが死亡フラグだとは知りもせず……。
- 489 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 00:50:59 ID:.6prKP66O
- >>488
「さぁ!見なさいな!これが私の錬金術ですわ!!」
釜が光り輝く、マナ達は耳を塞ぎ、アウテリートは勝利の歌を
「さぁ!かんせ……」
ちゅどぉぉおぉおおんッ!!
強い光を放ち、雷が入り乱れる程の爆発が、アウテリートのアトリエで起きた
- 490 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 01:10:06 ID:mbXTFaJQ0
- >>489
「ん、何か物凄い光が……うわあぁぁッ!!?」
強い輝きを見せる釜に顔を近づける。
が、光の後に出てきたのは強烈な爆発。
「れ、錬金術の化学反応は化け物か……くっ」
爆発に吹き飛ばされ、床に転がっている。
力無く呟くと、ガクリと倒れ伏してしまった。
- 491 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 01:16:14 ID:.6prKP66O
- >>490
「またですのぉぉぉ!?」
お嬢様も同様に、何度も味わった失敗時の爆発に声を上げる
倒れる時は優雅に煌びやかに……アウテリートも地に伏せた
その後、マナ達がやれやれと言うように、二人を運び出し、アトリエの掃除に移った
どれくらい経っただろうか?
二人はベッドの上にいた
- 492 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 01:23:41 ID:mbXTFaJQ0
- >>491
「……ん?」
ゆっくりと目を開ける。
爆発に巻き込まれてからの記憶が無い……。
ここはどこだろうか。
身体を起こし、周囲を眺めて情報を得ようと思ったが……体が動かない。
同時に身体に痛みが走る。どうやら爆発で飛ばされた際に身体を打ち付けてしまったらしい。
- 493 :アウテリート&上弦 ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 01:30:11 ID:.6prKP66O
- >>492
近くで、アウテリートが泣いている声が聞こえた
メイドに慰められているようだ
「また失敗してしまいましたわ〜!!」
爆発に慣れているのか、アウテリート自身は元気である
ベッドで動けないレラの顔を覗き込む様に、上弦の顔が視界に入る
「ははは、少々はしゃぎ過ぎたみたいだね?大丈夫かい?
レラ、マナのみんなに感謝しなよ?君を手当てしてくれたんだからね」
上弦は笑う、大事には至らないらしい
- 494 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 01:49:22 ID:mbXTFaJQ0
- >>493
「元はと言えばアイツが悪いんじゃないか……」
目線の端でチラリとアウテリートを見る。
視線を上弦に戻すと、少々笑顔を浮かべる。
「後で、アイツと二人っきりにしてくれないか……?」
- 495 :アウテリート&上弦 ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 02:04:00 ID:.6prKP66O
- >>494
「ははは!その前にこれ」
上弦も笑い、大きな布をレラのお腹に乗せる
かなり大きい、後は自分で好きなサイズに加工しろと言う事らしい
「やはり、同等のものは出来なかったよ、でもそれだってちゃんとした物だからね?」
ニッコリと笑うと上弦はまな達を連れて部屋を出ていく
「レラ、可愛いアウテリートをいじめるなよ?」
- 496 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 02:13:28 ID:mbXTFaJQ0
- >>495
「……ご苦労」
少し力を込めて、身体を起こす。
ベッドから降りて、アウテリートの元へ向かう。
- 497 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 02:19:33 ID:.6prKP66O
- >>496
泣いていたお嬢様だが、レラが近づいて来たのを感じ、身構える
「くすんっ……はっ!?レラ!なんですの!?また私にひどい事を!?」
- 498 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 02:50:41 ID:mbXTFaJQ0
- >>497
「お前、僕を何だと思ってるんだ……」
溜め息をそこそこに、アウテリートを眺める。
少女に向けられているであろう瞳は泳いでいる。
「あ、あの……だな、その……」
時に俯いたりして、何かを伝えようとしてうまく行かない様子。
- 499 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 02:55:16 ID:.6prKP66O
- >>498
「え?ルール無用の悪行幼女(見た目)ですわよ?」
お嬢様は正直です、しかし、レラが今から何をしようとしてるのかは雰囲気で伝わる
だから、お嬢様もついついツンツンしてしまう
「な、なんですの?急にしおらしくなって……気味が悪いですわよ?」
- 500 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 03:06:23 ID:mbXTFaJQ0
- //眠気が限界……。
//すっごい中途半端だけどここで一旦切らせてもらっても良いでしょうか……。
- 501 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 03:07:13 ID:.6prKP66O
- >>500
//いいよ!
- 503 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 15:02:25 ID:mbXTFaJQ0
- >>499
「うっさい、誰が幼女だ」
照れ隠しにお嬢様を叩く。
尤も、それが照れ隠しなのはバレバレである。
「う……だ、黙れ!
その、だな……悪かった」
視線を落とし気味にして、目を合わせないようにする。
何時もとは違い、正にしおらしく呟くような声で謝罪をする。
- 504 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 16:00:15 ID:.6prKP66O
- >>503
「……」
返事が来ない、やはり許さないのか……いや、それは違う
お嬢様の方を見ると、両手を祈るように握り合わせ
凄いキラキラした目でレラを見つめていた
「キャーッ!レラぁ!私も悪かったですわぁ!今の凄く可愛いですわぁッ!!」
そう言ってまた飛び付いてきた
- 505 :レラ=バニッシュ:2012/05/13(日) 16:18:23 ID:mbXTFaJQ0
- >>504
「……何っ!?
わ、馬鹿、やめろっ!!?」
レラの運動能力は壊滅的。
アウテリートから逃げる反射神経も無ければ、受け止める力も無い。
身長の差もあって堪える事も敵わず抱きつかれると同時に倒れて潰されてしまう。
- 506 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/13(日) 16:28:36 ID:.6prKP66O
- >>505
「ふふふ!また頬擦りしちゃいますわよ〜!」
先程と同じように、レラに頬擦りをする
少し大きな胸を押しつけながら頬擦り
「これ病み付きになっちゃいますわよね〜?レラ〜?」
その後、メイド達が止めるまでアウテリートの頬擦り天国、レラにとっては頬擦り地獄が続いたという……
- 507 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/14(月) 23:14:46 ID:trmDr2BE0
- 「いた・・・たた・・・」
【脇腹を軽くさすりながら少女が街の中を歩いていた】
「流石に能力だよりではこんなものですか・・・
以前みたいにボコボコにされるのは防げましたが・・・」
【あちこちに殴られたような跡が見られる】
「うーん・・・もっと力がほしいですね・・・」
【そう言って軽くため息をついた】
- 508 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/14(月) 23:31:05 ID:We1ZKQKI0
- >>507
そこにある影が近付いてくる。
(…、女か、こんな時間帯に歩いているとはな。
まったく、しかもまだ若いくせして。)
影は防人に近付くと声を掛ける。
「おいそこの女!」
パーカーについているポケットに手を突っ込みながら言う。
- 509 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/14(月) 23:34:35 ID:trmDr2BE0
- >>508
「んんん!?
び、びっくりしました」
【急に声をかけられたので一瞬肩をビクッとさせた】
「え、えーっと・・・
何のようでしょうか?」
【影の方を振り向いて言う。制服の上から見てもかなりのスタイルの女性である】
「あれ?影・・・?」
【首を傾げていう】
- 510 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/14(月) 23:37:16 ID:We1ZKQKI0
- >>509
「チッ、ここからでも分からないなんて。」
毒づくと、ビルの陰から出てくる。
そこから現れた者は、あまり防人と変わらなそうな年齢層の青年だった。
「お前はここで何をしているんだと聞いているんだ。
こんな時間帯に出歩いて…、まったく。」
不機嫌そうな声で青年は言う。
- 511 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/14(月) 23:42:00 ID:trmDr2BE0
- >>510
「いえ・・・なんかすいません。」
【素直に頭を下げ謝る】
「たまたま暴れていた人がいたので
取り押さえに言ってたんですよ・・・その結果がこうなんですが・・・」
【あちこちを押さえながら言った】
- 512 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/14(月) 23:46:32 ID:We1ZKQKI0
- >>511
「チッ!、まったく。」
また舌打ちする。
「その前に何故、夜に出歩いている。
しかもこんな遅い時間帯に、あぶないとは思わないのか。」
据わった眼で防人を見ながら言う。
「そもそも怪我をするようなことに首を突っ込むな。」
- 513 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/14(月) 23:51:58 ID:trmDr2BE0
- >>512
「夜に出歩いてるのは・・・
まあこの街では意外に人多かったりするんで変だと思ったことはなくて」
【恥ずかしそうに答える】
「そうですか・・・でも私能力を手に入れたのが割と最近なので
能力を活かしたいとずっと思っていまして」
【うつむいて言う】
- 514 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/14(月) 23:56:36 ID:5mspXYmo0
- >>513
「変ではない…だと?
ならば2歳の赤ん坊が道端を一人でハイハイしていたり
7歳の少年が大人用のカラオケで歌ってるのもおかしくないというのか!?」
一歩近づき問い詰める。
「能力に目覚めただと?
ならば聞こう、お前は能力をマスターしたのか?
自分の能力をほぼ完全に把握しているのか!?」
さらに一歩近付いて問い詰める。
- 515 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/15(火) 00:00:53 ID:trmDr2BE0
- >>514
「い、いえ・・・さすがにそういうのは見た事無いですが・・・」
【あまりの気迫に思わずたじろいでいく鶫】
「まだマスターしたとは・・・あ、えっと
とてもいえません・・・」
【少し驚いた顔で答える】
- 516 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 00:05:08 ID:5mspXYmo0
- >>515
「見たことないだろう、それはそうだ、俺だって見ていない。
だが俺からすればお前のその夜に出歩くという行為はさっきの例えと同じなんだよ!!」
さらに不機嫌な声で言う。
「……、まったく、能力に目覚めたから活かしたい?
マスターしていないのにもかかわらずか?
まったく、これだから女は嫌だ、男もそうだが直ぐそう言った能力に目覚めると
そう言って使いたがる。」
ハァ、と溜息をついてうなだれる。
が、パッと顔を上げる。
「お前、名前は?、学校は?」
- 517 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/15(火) 00:11:04 ID:trmDr2BE0
- >>516
「そうですね。なんか…
ひどい状態ですよね」
(なんか真面目な人みたいだなぁ…)
【感心しながら話を聞く】
「…よく考えてみれば能力のテストは
箱庭で行えますよね…でも…」
【顔を下に向け、何処か落ち込んだ顔になった】
「名前ですか?
えっと…名前は防人鶫(さきもりつぐみ)です。
制服を見ればわかると思いますが千夜学園の学生です」
【そう言ってその制服を見せてみる。スタイルがいい。】
- 518 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 00:15:25 ID:5mspXYmo0
- >>517
「まったく、早めに分かるべきだったな。」
ハァ、と溜息を付く。
「そうだ、そもそも。
人間相手に未完成の能力を使うなんて馬鹿げている。
そんなんで犯罪者とも戦うなんてな、ハッキリ言っておく。
お前、直ぐ死ぬよ?」
据わりながらも射抜く様な眼で言う。
「防人か。
お前の様な奴が俺と同じ学園の生徒なんてな。
まったく、学生は学生らしく、勉強でもやってろ。
アホ。」
- 519 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/15(火) 00:21:29 ID:trmDr2BE0
- >>518
「ええ…まあ」
【納得した風に言う】
「やはりもっと自分の能力を高めないといけませんね…
確かにそれで以前は…」
【そこまで行ったところで口を閉じる】
(…でもそんなこと我慢できるんだろうか…)
【心のなかでふと、そう思った】
「貴方も生徒なんですか?
勉強の方は…特に問題ありません」
【少し妙な返し方をした】
「えっと、じゃあ貴方のお名前は?」
- 520 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 00:25:50 ID:5mspXYmo0
- >>519
「今頃気付くな!!、バカ者め!」
「フン、なにか心当たりがあるんだな。
だったらその時を忘れるな。」
相変わらず不機嫌な声で言う。
「あぁそうだ。
そうか、それなら箱庭で自分の能力を把握しろ。
一人じゃダメなら知り合いを呼べ。」
「フン、お前なんかが、知る必要なんかないだろ。」
- 521 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/15(火) 00:37:31 ID:trmDr2BE0
- >>520
「ど、どうもすいませんでした!」
【素早く頭を下げた】
「ええ…そうします…」
【反省している…ように見える】
「わかりました。
これからは修行はそこで行うことにしますよ。
それで、協力して貰える人を探してみます」
【納得しているようだ】
「うーん…でもこちらに聞いたんですから
自らも答えるのが普通なのでは?」
【不思議そうな顔で言う】
- 522 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 00:41:03 ID:5mspXYmo0
- >>521
「本当に反省しているんだろうなぁ?」
探る様な眼で防人の顔を見る。
「まったく、これだから正義感の無駄に高い奴は。」
ハァ、とまた溜息を付く。
「チッ、変な所にだけ常識があるなお前は。
まったく、答えてやるよ、ライン・オード・トランギス。
千夜学園の二年、お前の先輩だ。」
- 523 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/15(火) 00:47:12 ID:trmDr2BE0
- >>522
「はい…そのつもりです…
このままだったらいけないってきっと言うと思うから…」
【一瞬その表情が暗くなったように見えた】
「正義感以外も伸ばしたいですね」
【納得したように言う】
「ライン・オード・トランギスさんですか。
先輩、ですね。よろしくお願いします」
【大きく頭を下げて挨拶した】
- 524 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 00:50:10 ID:5mspXYmo0
- >>523
「まったく、分かったらいい。」
「何処を延ばすつもりだ。」
目を補足して言う。
「チッ、防人とか言ったな。
俺の言った言葉を忘れるなよ。
ちゃんと自分の能力を把握しているのとしていないのとは違うからな。」
そこまで言うと切って、背を向ける。
「じゃあな。」
//すみません、ここらへんで切り上げます、それでは。
- 525 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/15(火) 00:57:04 ID:trmDr2BE0
- >>524
「はい…
えっと、何処って言うとやっぱり強く慣れたらいいなーとかですよ」
【そう言って軽く下を向いた】
「わかりました…
さすがにああいうことは二度とごめんですからね…
じゃあまた」
【そう言って鶫は手を振って見送っていった】
「まずは…特訓ですね」
【そう言うと鶫も背を向け歩き出した】
//了解です!お疲れ様でしたー。
- 526 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 21:50:55 ID:NntjvIzM0
- 「空気……センサー……感覚……」
帽子を被った青年が、公園のベンチに座ってつぶやいている。
難しい顔で、恐らく何か考えているのだろう。
「探す……探索……気流を……気流!
おい!気流眼って名前はどうだ?」
大きく手を叩いて立ち上がり、問いかけるように大声で叫んだ。
しかし、公園には青年の姿しか無く、返事も返ってこない。
「なんだよ、返事ぐらいしろって。
ノリ悪いなあ」
どさっとベンチに倒れこみ、わざとらしく頬を膨らませた。
しかし、すぐに顔をほころばせた。
「気流眼……うん、悪くない」
そう言って、首筋に手を当てた。
- 527 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 22:00:24 ID:7gFzKdaU0
- >>526
「――――っかか。
そんな、屁糞みたいな力に大層な名前をつけやがるじゃぁないか?
なぁ? 坊主」
喧嘩を売るような口調で、少年のようでもあり、老人のようでもあり、青年のようでもある声が聞こえる。
足音が続き、倒れこむ相手の顔を覗きこむように、二つの視線が顔を向く。
そこに居たのは、一人の男だ。男のようでも、女のようでも、子供のようでも、老人のようにもみえる。
その原因は、存在が朧気なのではなく、それらの要素を総て内包してしまっているからであった。
眼の色は、星空を思わせる、暗黒と輝き。膝ほどまで伸びる髪は、夜を覆う天蓋の絶黒。
口元には、己以外の総てを馬鹿にしている様な、高慢という言葉が何よりも似合う笑みが有る。
羽織と袴の色は深紫。時代錯誤な格好だが、この男にはそれが似合っていた。
「邪気眼、ねぇ。ちっぽけな力だが。いつの間にか、そんな力があるたぁ。
ちぃと、寝過ぎたかねぇ――」
顎をぽりぽりと掻きながら、あくびを漏らす男。
先程の大言壮語に対して、男からは何の力も感じられない。文字通り、何もだ。
魔力も、妖気も、闘気も、異能の気配も、何もかも。何一つとして、この男からは漏れだしていなかった。
体捌きも、特段として優れているようにも見えない。
要するに――――一般人並、ともすれば、それ以下の存在だった。
- 528 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 22:10:12 ID:NntjvIzM0
- >>527
「……なんだアンタ?
大層なのがいいんじゃないか、でっかく行こうよでっかく」
司朗は突然現れた顔に、怪訝そうな顔をした。
「確かに俺はまだ一月も経ってないへっぽこ邪気眼使いだ。
でもこの街にはものすごい能力の邪気眼使いだっているんだよ。
俺もいつかそんな風になってやるよ!」
勢いよく立ち上がり、拳を空に向かって掲げた。
- 529 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 22:16:31 ID:7gFzKdaU0
- >>528
「へ。蟻がどれだけ大層にしようが限度があるだろうが。
ちっぽけだよ、坊主。雑魚だ、雑魚。俺に比べりゃお前なんざ糞で耳カスだ」
子供のように、ムキになったかのように。
そして、それでいて尚、年季を重ねた物特有の確信を帯びた口調で。
男は、己こそが最強、他は蟻に過ぎないと語ってみせた。
悪気は無い。ただ、己が最強だと疑う理由が存在しないだけ。
だからこそ、思うがままに他者を揶揄し、己を引き上げるのだ。
「種類の違う蟻や糞で何が違うってんだよ。
お前がもしそうなっても、大した差はねーんじゃねーの?」
半眼で、男はだるそうに腕を回しながら、喧嘩を売るような言葉を口にし続ける。
敵意は無いし、強そうでもないのに、なぜか異常な程の自分への自信を、この男は持っていた。
- 530 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 22:26:49 ID:NntjvIzM0
- >>529
「まあ、確かにアンタには勝てないかも知れないけどね。
俺はまだ力を手に入れたばっかりだし。
そこらの能力者よりも圧倒的に弱いよ、自身を持って言える」
そう良いながら空を見上げた。
「でも、蟻に対して説法する奴なんていないんだよな。
蟻の耳に念仏ってところか?
そこのところよーく解った方が良いと思うよ」
そして、振り向きざまに星を指差した。
- 531 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 22:31:49 ID:7gFzKdaU0
- >>530
「――弱いことに自信持ってどうするんだか」
吐き捨てるような言葉には、どんな感情が宿っていたのか。
それは、この男のみぞ知ることで、この男も実の所把握していないのかもしれない。
「慣用句が間違ってる。なんだ、人と思ってたが、脳みそは虫並だったか。
そして、俺より弱くて愚かな奴の言うことを聞く筈がねーだろうが、馬鹿か」
どっちかというと、相手のほうが大人な対応だったろう。
此方の言葉は、どこまでも自分本位、自分勝手なものだった。
- 532 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 22:36:45 ID:NntjvIzM0
- >>531
そう言う星に向かって苦笑い。
いわば、冗談にムキになってどうするんだか、と言うような笑みである。
「……アンタ、この近所に住んでる?」
問いかけた。
「答えてくれないかな。人間様?それとも神様かな。
住所じゃなくて良いから、この公園の近所に住んでるかどうかだけ。
この虫ケラめに教えてくださいませんか?」
どういう意図かはわからないが、問いかけた。
- 533 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 22:41:53 ID:7gFzKdaU0
- >>532
「あん? 住処なんざねーな。
さっき起きたばっかでよ、何が何だか分からねーが、でかい石の塔が並んでるし。
あと、俺ぁ人でも神でも妖怪でもねぇ。あと、そのへりくだった態度がきにくわねぇ」
要するに、何にでも文句を言いたいのだろうが。
それでも、思案しつつ、相手の質問に答えていく。
公園の外へと視線を向けて、ビルを見上げて。
見下しやがって、ぶち殺してやるか、などと呟いていた。
ぶつぶつと己に埋没し、己を中心に考える姿からは、他者を思う姿などは欠片も見当たらなかった。
- 534 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 22:51:34 ID:NntjvIzM0
- >>533
「そうか、アンタがこの近所の人間だったら、
"俺が気流眼に決めた!"
って言って騒いでるのを騒音公害で文句言う権利はあったんだけど」
ふう、とため息をついた。
「でも、アンタがこの近所に住んでるんじゃあないって言うなら、
アンタに文句言われる筋合いは無いってわけだ。
解った?あ、愚かで弱い奴の言うことは聞かないんだっけ」
からかうように言う。
- 535 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 22:58:22 ID:7gFzKdaU0
- >>534
耳をほじり、相手の言葉を聞き流しているようで居て、青筋が額に立った。
我慢など、する理由は無いし、するつもりもない。
ただでさえ、寝て起きたら周りが変わっている上に、己を見下してくる建築物だらけ。
寝起きの不機嫌さも相まって、今の男に理性という物は文字通り欠片ほどしか残っていない。
そして、その欠片ほどの理性も特段男の行動も言動も止める筈は無く。
「あ――――なんだ、虫の分際で喧嘩売ってんのか。
売るなら相手選んで売れよ、羽虫。
さっきから、ピーチクパーチク、羽音がうるさくてうるさくて、仕方がなくてよォ――――!」
腕を振りかぶって、男は唐突に相手の顔面に殴りかかった。
体格こそ良いし、身体能力も悪くない。だが、その程度にすぎない。
当たれば普通に痛いが、それ以上もそれ以下の事もあり得ないだろう。
- 536 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 23:08:58 ID:NntjvIzM0
- >>535
「うおっ!?」
星の拳は、頬をチョッピリ掠めて外れた。
司朗は慌てたように星と距離をとる。
「持ってて良かった"気流眼"……殆ど俺の身体能力だけど」
気流眼――気流を操る能力、では無く、気流を感じ取る能力である。
つまり、相手の動きを視覚と触覚により、多角的に観察することが出来るのだ。
――とは言え、見えない場所を知覚することが本来の使い方なので、
半分以上は司朗の身体能力である。
「そのまま返すぞ、買うならあいて選んで買えよ。
って言うか喧嘩なんて売ってねえよ。
仲良くしたいぜ蟻の巣コロリ」
明らかに挑発しているが、司朗の能力には攻撃能力はまったく無いのである。
- 537 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 23:15:52 ID:7gFzKdaU0
- >>536
「チッ……!」
拳が空振りして、体勢が崩れる。
一瞬たたらを踏むも、踏みとどまって、もう一度拳を握る。
顔に有るのは、自信と苛立ち、歯ぎしりの音がぎしぎしと聞こえている。
「――――だ、か、ら! うるっせぇんだよォッ!!
俺は最強だし、お前らみたいな劣等種においそれと話しかけられていい存在じゃねーんだよッ!
ふざけんな、その減らず口、二度と叩けないようにしてやらァッ!!」
まるで、子供が駄々をこねる様に、男は叫び声を上げた。
挑発の言葉に、男は乗らないはずは無く、ある意味御しやすい。
相手へとタックルを仕掛け、身体を羽交い締めにして、引き倒そうとするだろう。
相手とは違い、何の力も使用せず。
無様に戦いを挑む様と、先程からの尊大な態度。
それらは、妙に噛み合わず。変な違和感も感じさせるだろうか。
- 538 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 23:23:39 ID:NntjvIzM0
- >>537
「話しかけてきたのはどっちだよー。
あ、やだ、俺ちょっと泣きたくなってきた」
ひえええ、とわざとらしくも心からの叫び声をあげ、
気流眼で相手の動きを監視しながらひらりと避ける。
おちょくりながら攻撃は当たらず、まったく攻撃してこない(と言うか出来ない)。
ものすごく相性の悪い能力である。
「悪かった!謝るから許してくれ!
……土下座とか靴舐めろとかそう言うのは勘弁してね。
蟻の巣コロリとか言ってごめんなさい!喧嘩売ってごめんなさい!」
相手の攻撃が届かない安全圏から頭を下げた。
- 539 :星 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/15(火) 23:27:50 ID:7gFzKdaU0
- >>538
しばし、そうして、追いかけ続けていたが。
息が荒れていき、顔色も悪くなって。
「――――っち、寝起きだったから全力が出せなかっただけだ!
今度有ったらぶちのめす!絶対だ!」
そんな、言い訳めいた捨て台詞を残して。
男は、舌打ちを残して、走り去っていった。
- 540 :高向谷 司朗:2012/05/15(火) 23:33:18 ID:NntjvIzM0
- >>539
「……ちょ……ちょっと疲れた」
星が走り去り、司朗はベンチに戻った。
「なんだったんだアイツ?
結局何の能力も使ってこなかったし……」
首を傾げながら、また戻ってこないか周囲を見渡す。
「なあ、何か感じた?」
そう言って、腰にぶら下げてある、板状のアクセサリーを見下ろした。
「……静かだと思ったら寝てんのかよ。
まったくなあ」
ぶつぶつ良いながら、司朗は呼吸が整え、帰路に着いたのだった。
- 541 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 22:05:55 ID:NntjvIzM0
- 「そういえば……炊飯器の保温ボタンってあるだろ」
「……」
司朗はベンチに座り、ぶつぶつと独り言を言っていた。
「あれって、冷めたご飯中に入れてから押したら暖めなおしとか出来るのかな……」
(すごくどうでもいいな……)
しかし、その小言は明らかに誰かに向けたものである。
返事は返ってこないものの、何かの意思がそこには存在していた。
「あーあ、邪気眼もっと上手く使えないかなあ」
そう言ってため息をついた。
- 542 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 22:10:36 ID:trmDr2BE0
- >>541
【近くの箱庭転送装置から一人の姿が実体化する】
「ふー、たのしかったの〜」
【笑顔で包帯を前進に巻いた少女が転送装置からでてきたようだ】
「たまにやらないとわすれちゃうかもしれないからねなの〜」
【そう言って少女は大きく伸びをした】
- 543 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 22:16:50 ID:NntjvIzM0
- >>542
「お前に頼らないと殴る蹴るしか出来ないもんな。
平和な能力だね、まったく」
そう言って、新聞を広げる。
「見ろよこれ。
最近はーって言うほどいつもと変わってるわけじゃないけどさ。
物騒な事件なんていくらでもあるぜ」
様々な殺人事件や街の破壊写真の記事を開いた。
「修行したほうが良いのかなあ。
箱庭とか使ってさ。
ほら、あんな小さい子も箱庭使ってるぐらいだ。
修行かどうかはしらないけど」
司朗は返事の帰ってこない何かに延々と話し続けている。
- 544 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 22:20:07 ID:trmDr2BE0
- >>543
「…あう?
だれかのこえがするの…」
【誰かに尋ねるかのようなその返答に思わず振り向いた】
「その…『でぃす』のことよんだかなの?」
【不思議そうな顔をして司朗に近づいていった】
- 545 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 22:26:36 ID:NntjvIzM0
- >>544
「……ん?
ああ、違う違う、こんな小さい子でも箱庭で修行してるって偉いなって話。
でもちょっとむなしいぞ、修行しなきゃいけない理由があるような子供なんて」
ため息をついて、自分の腰を見下ろした。
そこには、ドラゴンの頭の尻尾のエンブレムの、
板状のアクセサリーがぶら下げられていた。
「ったく、ちったあ返事しろって。
一人で空気に向かって話してる変人みたいじゃないか」
しかし、返事は無い。
- 546 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 22:27:59 ID:trmDr2BE0
- >>545
「ん〜?
だれとおはなししてるの〜?」
【旗から見れば不思議な人に見えるのだろうか。興味が一心に向けられている】
「なにしてるなの〜?」
【首を傾げつつ言った】
- 547 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 22:34:16 ID:NntjvIzM0
- >>546
「こいつだよこいつ。
ここが動いて喋るんだよ」
クリップを外し、アクセサリーをディスの前にぶら下げて見せる。
司朗が指で、竜の模様の顎の部分を動かしてみせる。
「……やめろ」
「ほら喋った」
顎が司朗の指から離れ、カチカチと音を立てて動いた。
なんと、瞬きまでしている。
同時に、司朗のものとは思えない低い声が響き渡る。
「だから無視してんなってば」
「……寝ているのを邪魔するな……」
「目開いてたの知ってるぞ」
このアクセサリーは生きている。
司朗はこれに話しかけていたのだ。
- 548 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 22:48:49 ID:trmDr2BE0
- >>547
「ん〜?しゃべってるなの?」
【そう言ってしばらくジーっと見ていると】
「あうっ!しゃべったの!」
【驚いて飛び上がった】
「こんにちわなの〜。
いろんなひとがいるんだねなの〜」
【アクセサリーに対して割りとフレンドリーに接し始めるディス】
- 549 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 22:54:56 ID:NntjvIzM0
- >>548
「ひと……か?私が……?」
表面は明らかに鉄製なのだが、眉間に皺を寄せたり意外と動いている。
その度に、カチカチと小気味良い音が鳴る。
「この角と尻尾の意匠を見てそんなことが言えるとはな……。
確かに……自分が何者かなどと解りはしないが……」
そう言って、何かに思いをはせるように目を瞑った。
「いいだろ、骨董市で600円で買ったんだ」
- 550 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 23:01:00 ID:trmDr2BE0
- >>549
「だってこのまちにはいーっぱいいろんなひとがいるからなの〜。
さいしょはちょっとびっくりしたけど、なれちゃうなの〜」
【そう言って微笑んだ】
「だからそういうふうなかたちでもだいじょぶなの〜」
【アクセサリーに軽く触れてみようとする】
「ろっぴゃくえん…それってやすいのかなの…
たかいのかなの?」
【不思議そうに首を傾げる】
- 551 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 23:08:40 ID:NntjvIzM0
- >>550
「安いんじゃないか?
最初はちょっと高いと思ったけど、話し相手に邪気眼能力がオマケについてくるんだぜ」
触れても特に劇的な出来事は起こらない。
ただ、鉄と木のアクセサリーがひとりでに動くだけだ。
トリックは無い。
「欲しいか?
あげないぞ」
- 552 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 23:12:20 ID:trmDr2BE0
- >>551
「そうなんだなの〜。いいのかえたんだねなの〜
あうー?じゃき…って
なんなの?」
【少し微笑んでいったあと、不思議そうな顔をした】
「あうあう、べつにいいなの
それがきっとたいせつなの…になるかもしれないからなの」
【手を離していった】
- 553 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 23:20:03 ID:NntjvIzM0
- >>552
「能力者の分類だな。
俺も詳しくは知らないけど……目に見える能力じゃないのが残念だな。
君は何か能力持ってるのか?」
「何かを感じる……正体は解らないがな」
アクセサリーは、ディスが能力者であることを感じているようだ。
「まあ、この街では珍しいことじゃないよね。
……あ、そうだ、これぐらいなら見せられるな」
そう言って、後ろを向く。
背中側の首の付け根を見せ付けるように襟をめくった。
そこには縦に一本、スジが入っている。
まるで、閉じた目のようなスジだ。
- 554 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 23:26:27 ID:trmDr2BE0
- >>553
「あう〜。そういうなまえなんだなの
・・・ちょっとむずかしいおはなしなの〜」
【納得したように言っている】
「あう?『でぃす』は…
こういうのもってるなの」
【そう言って片手を上げると】
しゅるしゅるしゅるしゅる
【右手の包帯が解け、蛇のようにうねり始めた】
「そうだとおもうなの〜。
…ん?」
【首の付根に見えたすじを見て】
「それはなにかののーりょくなのかなの?」
【気になっていそうな顔で言った】
- 555 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 23:33:32 ID:NntjvIzM0
- >>554
「おおー……やっぱりか。
応用も利きそうで羨ましいな」
司朗は包帯を見て唸った。
「これは俺の邪気眼で、気流眼……こないだ名前付けたばっかりだけど。
気流……ようは微弱な風を感じ取る能力なんだけど……」
首の一本筋が開き、瞳が露になった。
同時に"能力"が発動する――のだが。
「まあ、人の目には見えないんだよね、この能力」
今、司朗は後ろを向いていながらにして、
ディスの包帯の動きが手に取るように解っている。
が、あくまで司朗が感じていることなのでディスには解らないだろう。
- 556 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 23:36:13 ID:trmDr2BE0
- >>555
「あうー。そうなの!
いろいろつかえてべんりーなんだよなの」
【うれしそうに答えた】
「あうー、かぜがみえるようになるってことなの?
その、めでなの」
【じっと目を見つめながら言う】
「よくわからないけどべんりなのかなの〜」
- 557 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 23:41:29 ID:NntjvIzM0
- >>556
「まあ、この目で実際に見えてるわけじゃなくて、
感じるようになるだけだけど。
これで見えてたら使う度に襟めくらなきゃいけなくなるし」
気流眼そのものには視覚能力は無い。
あくまで目の形をした、能力を司る器官である。
「ただ目に見えない場所の出来事がちょっとばかしはっきり解るだけのものだな」
- 558 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/16(水) 23:46:13 ID:trmDr2BE0
- >>557
「あうー、みえてるわけじゃないんだなの〜。
なるほどなの…」
【納得しているようである】
「さわってもいたくなったらいたくなったりしないのかなの?」
【不思議そうに見ている】
「こういうのもわかるのかなの?」
【そう言うと包帯がうねりをあげてちょうどドリルのようにグルグルになっていった】
- 559 :高向谷 司朗:2012/05/16(水) 23:50:47 ID:NntjvIzM0
- >>558
「いや、流石に触ったら痛いと思うけど……怖くてやったことないし。
ん?円錐……いや、回ってるな。ドリル?」
少し手間取ったが、大体理解していた。
「小さすぎたらわからないし、
障害物の近くでジッとされてたらわかんないんだけどな。
鍛えたら顕微鏡みたいになるのかなあ」
- 560 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 00:00:10 ID:trmDr2BE0
- >>559
「やっぱりいたいなの〜」
【大きく頷き答えた】
「あうーおおあたりなの!
すごいなの〜」
【なぜかとても嬉しそうだ】
「なるほどなの〜。
でもたしかにとっくんしたらもっとつよくなるんじゃないかなの!」
【包帯を動かしながら言う】
「『でぃす』もとっくんしていっぱいできるようになったからなの〜」
- 561 :高向谷 司朗:2012/05/17(木) 00:08:43 ID:NntjvIzM0
- >>560
「そりゃあ強化はされるだろうけどなあ。
強いかどうかは別の話だなあ」
苦笑いする。
気流眼は今のところ、直接的な戦闘能力は持たないのだ。
「特訓か……ちょっと面倒だな……。
楽に強化できないかなあ……。
なあ、なんか良い方法無い?」
「……そうだな……特訓するなんてどうだ……?」
甘いことを良いながら、気流眼を閉じ、向き直った。
- 562 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 00:11:19 ID:trmDr2BE0
- >>561
「あうー…それならそのめいがいのことで
つよくなったらいいんじゃないかなの!」
【気軽な調子で答える】
「あうー、すぐにかんたんにつよくなるってことはできないんじゃないかなの?」
【じっと見つめて言う】
- 563 :高向谷 司朗:2012/05/17(木) 00:18:36 ID:NntjvIzM0
- >>562
「気流眼以外のこと?
……これとか?」
スッとアクセサリーを構えると、後ろの木にむける。
「ええっと……威力抑え目で……っと」
アクセサリーの前に、見たことも無い文字と紋章が浮かび上がった。
10秒ぐらいそのまま構えていたが、不意に空気が歪み、木の幹に、切り裂かれたような傷が付く。
真空の刃を飛ばしたのだ。
「こいつから魔術を"借りてる"んだけど、俺の力じゃないからなあ」
「……無駄遣いするな。見世物ではない」
- 564 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 00:21:21 ID:trmDr2BE0
- >>563
「あうー。そういうのあるんだなの!
すごいすごいなの!」
【驚きながらも拍手をした】
「あう、その、そのひとのちからなんだなの…
じゃあからだをきたえたりとかどうかなの〜」
【そう言って大きく拳を振る】
- 565 :高向谷 司朗:2012/05/17(木) 00:27:26 ID:NntjvIzM0
- >>564
「まだこれだって一つ二つ借りるのが限度だし……。
牽制技と必殺技しか持ってないようなもんだよ、極端だなあ」
うむむ、と俯いた。
「それが一番手近な方法かな。
能力者に対抗出来るとは思わないけど、やらないよりは良いし」
立ち上がると、ディスのまねをするように腕を振り回した。
「というわけで、走りこみ行って見るか?
どうだ?」
「……私に走れというのか」
「ジョーダン!……ゴー!」
そう言って、司朗は走り去ってしまった。
特に一般人と大差無い速度だった。
- 566 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 00:36:00 ID:trmDr2BE0
- >>565
「あうー。
たのんだらもっとやらせてくれるんじゃないかなの〜」
【ペンダントをジーっと見て言う】
「あうあう、そうなの。
がんばれがんばれなの〜!」
【やる気を見せたのを見てディスも嬉しそうに腕を大きく振り続ける】
「あうー。がんばろうねなの〜!」
【そう言って走り去っていく司朗を見送っていった】
「あっ、なまえきくのわすれてたなの」
【うっかりした。そんなふうな顔でディスは頭を掻いた】
//お疲れ様でした
- 567 :神無 鏡華:2012/05/17(木) 23:17:08 ID:dL8H4NjE0
- 人がちらほらと見られる通り。
紫色の髪を黒いフードでかくして、鏡華はビルの壁によりかかる。
「はい、まあそういうわけなんで、間違いでした、はい」
通話を切り、ふうと一つ息をついてからフードを脱ぐ。
「とりあえず一つ、めんどくさいのは終了、と」
携帯をポケットにしまう。
どうやら何か用事をすませていたようだ。
「自分が蒔いた種とはいえ、こういう細かいのは好きになれないね」
- 568 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 23:20:52 ID:trmDr2BE0
- >>567
「さすがに…単なる訓練では…」
【なにかボソボソ言いながら一人の学生がそこを通りかかる】
「…うーん…?」
【その場で立ち止まってあたりを見回し始めた】
「誰かちょうどいい相手は…」
- 569 :神無 鏡華:2012/05/17(木) 23:28:39 ID:dL8H4NjE0
- >>568
「ぱーっと仕事ついでに日頃の鬱憤を……?」
聞いたことのある声に反応し顔をあげると、やはりそこには以前会ったことのある少女の姿が。
鏡華の中のセンサーめいたものが戦いの匂いを察知したのか、少し好戦的な笑みを浮かべる。
「やあ、久しぶり」
片手を軽く上げて挨拶する。
- 570 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 23:32:40 ID:trmDr2BE0
- >>569
「ん?」
【振り返って鏡華の顔を見つめる】
「ああ、久しぶりですね。
こちらこそ、どうも」
【鶫も大きく手を上げて挨拶した】
「調子は…どうでしょうかね?」
【何かを探るように質問をする】
【どうやら戦闘するという流れにしたいようである】
- 571 :神無 鏡華:2012/05/17(木) 23:41:44 ID:dL8H4NjE0
- >>570
「ぼちぼちだねえ」
「面倒事が終わったから精神的には調子いいかな?」
相手の求めているものはなんとなく気がついている。
「こういうのを終えた後はパーっと一つやりたいね。……戦いとか」
なので、まわりくどいことはせずそう切り出した。
- 572 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 23:44:41 ID:trmDr2BE0
- >>571
「そうですか。
それは…とても良いことですよ」
【嬉しそうに頷いていった】
「戦い…あ、そうですね!
私もちょうどそうしたいと思っていたところなんですよ!」
【なんか安心した表情で答える】
「ちょうど近くにありますし、やりませんか?」
【どうやら鶫にとっては願ったり叶ったりのようだ】
- 573 :神無 鏡華:2012/05/17(木) 23:51:19 ID:dL8H4NjE0
- >>572
「奇遇だねえ、じゃあ立ち話もなんだし、早速いこうか」
ニコニコと笑いながら言う。
自身の狂気は獲物を狩る前の肉食獣の如くひそませて。
「場所はどこがいい?キミに任せるよ」
- 574 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/17(木) 23:53:57 ID:trmDr2BE0
- >>573
「はい、そうしましょう!」
【そう言って箱庭の装置の方へ歩いて行く】
「そうですね…
特に考えていませんが、ひとまずこんなのでどうでしょうね」
【そう言って慣れた手つきで装置を操作し始めた】
【画面には「荒野」と表示されている】
- 575 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 00:01:43 ID:dL8H4NjE0
- >>574
「ん、じゃあそこで」
特に異論はないようで、同意の言葉を返すと転移を開始する。
「電脳世界と現実世界の座標関係さえわかればなあ……」
あたり一面に広がる広野を見ながら鏡華はつぶやく。
箱庭から新しい魔法のヒントを得ようとしているらしい。
しかしすぐに一人言をやめると、
「まあいいや、ボクは機械系には疎いんだ、さっさと始めてしまおう」
何歩か距離をとりながら言う。
- 576 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 00:13:50 ID:trmDr2BE0
- >>575
「わかりました。どうぞ」
【そう言って鶫は転移していった】
「なんか色々考えていらっしゃるようですね…
興味深いですが今は特訓のお手伝いをしてもらいますよ」
【いつのまにか鶫は背中に風呂敷を抱え込んで立っている】
「それはありがたいですよ。
ではいきましょうか!」
【そう言うと鶫は全身に力を入れるように両の手をぐっと握った】
【周囲に砂混じりの風が回り始める。力が金色の光となって少しづつ鶫から溢れだしているように見えるだろう】
- 577 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 00:25:38 ID:dL8H4NjE0
- >>576
「そういえばキミの能力を見るのは初めてだね」
金色の光を興味深そうに眺める。
どんな能力かはまだ見当がつかないが、背中の風呂敷を見る限り道具か何かを利用するのだろう。
「よし、やろうか」
その言葉と同時に、鏡華の足元に魔法陣が浮かび上がる。
色は赤。魔法陣から時折火花が散っていることから、炎系の魔法であることがわかる。
魔法陣からサッカーボール程度の大きさの火球が三つ、出現する。
鏡華はそれを立て続けに相手に向けて発射。
単なる牽制なので、そこまで速くはない。よけるのは簡単だろう。
- 578 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 00:33:23 ID:trmDr2BE0
- >>577
「ええ、こちらこそ
戦うのは初めてですね」
【そう言うと鶫は袋から何かをとり出し始めた】
「いいですよっ!」
【攻撃が突然襲いかかってくる。それは3つの火の玉】
「これくらいならっ!」
【鶫は直ぐに右に飛び、火の玉を避けにかかる】
「次はこちらが行きますよ!」
【鶫はそう言うとおもちゃの鉄砲を取り出して構える】
【みるみるうちにその鉄砲に先ほどまで全身にまとっていた光が集まっていき】
ドォン!!
【引き金を引くと同時、その鉄砲から弾が発射される】
【その弾丸はまるで本物の拳銃のような威力・速度である】
- 579 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 00:48:38 ID:dL8H4NjE0
- >>578
「なるほど、強化能力か!」
鏡華は右手に風を纏わせ、そして横に振る。風は鋭いカマイタチとなり、
打ち出された弾は二つに切られ、バランスを崩して軌道がそれる。
「なかなか面白いね、自分が触れた物の力を底上げするって感じかい?」
「機会があれば是非その体いじってみたいね、強化魔法のバリエーションが増えるかもしれない」
何気なくかなり物騒なことを言う。
死神という種族はやはりどこか倫理感が人間とは違っているらしい。
「それじゃあ次の一手といこうか」
再び火球が出現、発射される。
そしてある程度距離が縮まると、火球はその場で爆発する。
小さな無数の火球が、速度も方向もめちゃくちゃに、四方八方へと飛び散る。
- 580 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 00:54:41 ID:trmDr2BE0
- >>579
「っと、さすがに一筋縄では行きませんね」
【鶫はその能力を見て驚く】
「だいたいお察しのとおりですよ。
私の能力は確かに・・・貴方の方は、属性魔法ってくらいしかわかりませんね。」
【そう言うと少し嬉しそうな顔をしたが】
「…勘弁して下さいよ。
私は体を探られるのは嫌いなんですから」
【軽く引いているようだ。しかし鶫は慌てずに再び力を貯める】
「また同じなら・・・」
【鶫は先程と同じと思い、再び回避しようと横に動くが】
「!?っと・・・!」
【突然四方八方に飛び回り始める火の玉】
「これはちょっとっ・・・くっ!」
【鶫は腕を組み、その制服の腕の部分に光を集める】
「あちち・・・でも、なんとか!」
【幾つかの炎をその腕で防ぎながらも走り続ける。あちこちに火傷ができているようだ】
【鉄砲はまだ力を貯めたままのようだ】
- 581 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 19:23:39 ID:dL8H4NjE0
- >>580
「人間の体は脆いからねえ、コピーさせてもらえるならそれで妥協するんだけど」
自分と全く同じ姿と心を持つ人物を好き勝手にいじります、
といっていい顔をする人間はいないことはなんとなくわかる。
結局鏡華はひとまず胸の内の好奇心を抑えることにした。
「まだまだ行くよ、この程度じゃまだ足りない」
足元の魔法陣が白と緑が入り交じった模様になる。
鏡華を中心に何十本もの鋭い氷の刃が召喚され、魔法陣から吹き上げる風で上空へと飛んでいく。
「今日の天気は晴れ、ところにより氷刃が降ってくるでしょう」
高く舞い上がった氷の刃は落ちてくるまでに若干のタイムラグがある。
それ以外に魔法を発動している様子はない。攻め入るなら今の内か。
- 582 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 19:41:31 ID:trmDr2BE0
- >>581
「コピー?・・・やり方はわかりませんが
悪用だけは勘弁して下さいよ」
【少し警戒した顔である】
「何かしかけるつもりのようですね・・・
ですが、」
【上空に飛び上がった氷の刃を見て】
「今が攻撃のチャンス!かもしれませんね!」
【そう言うと鶫は鏡華の元へと走りだし】
ドォン!
【同時におもちゃの鉄砲も発射していく】
- 583 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 21:30:18 ID:dL8H4NjE0
- >>582
「そーそー、今が攻撃のチャンスだよ」
近距離戦闘は鏡華にとって最も苦手とするもの。
しかし鏡華に慌てた様子は全くなく、むしろそれを望んでいるようにさえ見える。
放たれた銃弾は鏡華の左腕に当たる。
しかし鏡華は怯むことなく、血に塗れた左腕を天に掲げる。
鏡華の足元の魔法陣が、突然黒く染まり、今までの倍以上の大きさになる。
そして全く同じ魔法陣が、鏡華へと向かってくる少女の上にも浮かび上がるだろう。
「さあ、早く来てよ」
「その光、闇で絡めとってあげるから」
狂気に満ちた笑みでそう告げる。
ちょうど同じ頃、舞い上げられた氷の刃が落ちてくる。
鏡華を中心として周囲に無差別に落ちる刃は、直接相手を狙っているものではない。
しかし、その物量が物量なだけに、完全によけきるのは難しいかもしれない
- 584 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 21:54:18 ID:trmDr2BE0
- >>583
「攻撃を物ともしないとは・・・
確かに厄介そうですね!」
【銃を構えたまま近づいていくが・・・】
「ん!降って来ましたね!」
【空から降ってきた氷の刃】
「念のためにと持ってきたこれを・・・!」
【そう言うと鶫はポケットの中から折り畳み傘を取り出した】
「なんとか、少しは避けないと・・・!」
【氷の刃をかわしながらも傘の方にも力を溜め始める】
【そしていくつかよけきれない刃がやってくると】
「今です!」
【光り輝く傘を開いて、氷の刃をいくつも弾いてしまった】
【とはいえなかなか近づけないでいるようだ】
- 585 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 22:16:46 ID:dL8H4NjE0
- >>584
「近づいて来ないならまあそれでもいいよ。ちょっと準備するから聞いててね」
左手を上げたまま、鏡華はそんなことを言う。
「今ボクがやろうとしていること、それはキミという存在の複製だ」
「ボクの左手にある指輪でキミに触れると、キミの身体や魂をコピーできる」
「他にもいろいろ条件はあるんだけど、とりあえずこれだけ覚えておいて」
いいたい事を一息で全部言って、魔法陣の構築に戻る。
左手の能力の発動まであと少しといった感じだ。
「面白い使い方をするね、やり方と道具次第でいくらでも戦い方を増やせそうだ」
傘が刃を防ぐほどの強靱な盾に早変わりするのだから、それこそ道具次第でいくらでも強くなれそうな気がする。
「ますます興味が沸いてきた、その身体もらいたいなあ……」
目をうっとりとさせ、小さく呟く。
- 586 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 22:23:03 ID:trmDr2BE0
- >>585
「うむ?…私のコピーですか?」
【突然のことを言われて戸惑う鶫】
「それは一体どんな能力なんでしょうね…
ですが実験台というのが…」
【少しいい気分ではなさそうだ】
「少なくとも、私の体そのものはお断りですがね!
それじゃあ次は…」
【そう言うと今度は風呂敷からプラスチックの模造刀を取り出した】
「近づいて戦わせてもらいます!」
【再び力を溜めながら近づいてくる】
- 587 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 22:34:26 ID:dL8H4NjE0
- >>586
「安心しなよ、この戦いで使うつもりはない」
どちらにしろやろうとしていることはあまりいいものではないが。
鏡華は本体がダメならコピー体をいじればいいじゃないという理論で、噤みをコピーしようとしている。
戦いの最中に実行したのは、どうせ許可をとろうとしてもダメだろうと思ったからだ。
「望むところ、っていいたいけど生憎と近接戦は苦手なんだよボク」
ため息混じりに「しかたないか」と呟いて、ネックレスに触れる。
召喚されるのは死神特有の大鎌。『あの少女』と戦ったことのある者ならば、見覚えがあるだろう。
- 588 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 22:40:27 ID:trmDr2BE0
- >>587
「なるほど、それなら…
ええ、まあ妥協ポイントです」
【なんとか自分に言い聞かせるように言う。自分のコピーが現れるのは
誰でもいい気分ではないだろう】
「っと!?その鎌は…」
【見覚えのある大鎌を見て驚きの声を上げる】
「あの子もコピーしてるんですっ…か!」
【と質問しつつも模造刀を大きく奮って斬りかかった】
- 589 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 22:49:12 ID:dL8H4NjE0
- >>588
「ありがたいね、なんとかして二回は触りたい」
というのも相手の能力を複製できるのが二回相手に触れた場合だからなのだが、
まあそんなことは知る由もないだろう。
「残念だけどその解答は不正解だよ」
「この鎌を持つことは死神の証。ただ単にあの子とボクとが同種の存在っていうだけさ」
切りかかりを柄で受け止める。
が、非力な鏡華はそれだけでも大きく後ろに押される。
「っとと……」
バランスを崩しながらも、鎌を横に振る。
相手と距離を取る為の牽制なので、リーチは長いものの威力は大してない。
- 590 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 22:53:43 ID:trmDr2BE0
- >>589
「二回触れば盤石なんですか?
まあ、私にはあんまり関係ありませんけどっ!」
【そう言いつつ大鎌の一撃を刀を構えて受け止めにかかる】
ガキィン!
「っと…なるほどっ…貴方もおんなじ死神さんってことですか…
でも、知っているのは間違いなさそうですねっ!」
【そのまま大鎌を押し戻そうとしている】
- 591 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 23:12:47 ID:dL8H4NjE0
- >>590
「言ってなかったっけ?まあ詳しい話はまた今度しようか」
押し戻されそうになる鎌をなんとかこらえる。
「ところで、この足元の魔法陣だけど」
刀と鎌とを押し合いながら、鏡華がそんな風に切り出す。
「実はさっき言った左手の複製能力と何の関係もないって知ってた?」
二人の魔法陣はほぼ重なり合い、より暗い闇を放つ一つの魔法陣のようになっている。
「疲れるし大して長持ちしないからたまにしか使わないんだけどね」
「今回は特別だ、本当の闇の中へ招待するよ」
瞬間、魔法陣から吹き出た闇が二人を包み込もうとする。
その前に魔法陣から抜け出さない限り、光が存在しない暗闇に包み込まれるだろう。
- 592 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 23:18:11 ID:trmDr2BE0
- >>591
「ええ、まあそうしたいですね」
【鶫の方も比較的真面目な顔で答える】
「もう少し…ふんぬ!」
【そのままの勢いで一気に押し切ろうとしたが】
「えっ、関係無いですって?」
【鶫はその言葉に動揺を隠せない】
「じゃあこれは一体…わっ!」
【なんとか鶫は離れようとしたが、鎌を押し戻そうとしていたために反応が遅れてしまい】
「な、真っ暗…!」
【魔方陣が生み出した闇の中に少しづつ飲み込まれていった】
- 593 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 23:35:11 ID:dL8H4NjE0
- >>592
「真っ暗闇とかを人間は嫌うらしいけど、やっぱりキミもそうなのかい?」
「こんなに落ち着くのに、なかなか変な感性を持ってるよね」
光という概念すら存在しないこの魔法陣の中では、
例え中から強力な光で照らしても何かが見えるということはない。
「この中はさっきまでいた世界とは別だと思っておいた方がいい」
「ある程度ならボクの意思でいろんなルールをねじ曲げられる」
「その分魔力消費がひどいから、長くはもたないけどね」
どこからともなく楽しそうな、その下に何か別の感情をかくしていそうな鏡華の声。
「だから、せいぜいボクを楽しませてよ?」
しばらくしてそんな声がもう一度すれば、
突然あなたの右足に刃物で切られたような激痛が走るだろう。
- 594 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 23:38:50 ID:trmDr2BE0
- >>593
「暗闇を怖がるのは…
夜行性の動物以外は皆そうです」
【鶫はどうにか光を発し用と力を集中させるが…あたりは見えない】
「厄介ですね…
相手のホームグラウンドに誘い込まれたってことですか…?」
【鶫はあたりを見ようとするが…やはり何も見えない】
【その時】
「った…!!」
【突然右足に襲う激痛。鶫は思わず体を屈めて切られた?部位を触りに行く】
(どうすればいい…?あっちには多分見えている…音は…?)
【耳をそばだててあたりの音を聞こうとする…最も普通の人間では意味はなさそうだ】
- 595 :神無 鏡華:2012/05/18(金) 23:53:49 ID:dL8H4NjE0
- >>594
痛みがした場所に触ると、なま暖かい液体が手につく感触がするだろう。
いうまでもない、血の感触だ。
「うーん、もうちょっといい声出してくれないかなあ」
「こう、絶望に満ちた感じで泣き叫んでもらえるとベストなんだけど」
残念そうな鏡華の声。
方向ははっきりしないが、そこまで遠くないことが分かる。
「時間もないし、今度は強めにいってみようか」
こんどは右腕と左足に切られたような痛みがするだろう。
先ほどより強く切ったのか、痛みは増しているはずだ。
- 596 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/18(金) 23:57:33 ID:trmDr2BE0
- >>595
「幻覚ではなく、ほんとに斬られてるってわけですか…」
【その顔は痛みに歪んでいるが、真っ暗なので確認はできない】
「近くにいるなら、やらせてもらいますから…!」
【そう言って鶫は剣を構えるが】
「あぁっ!!うっ…!
悪趣味…です…ね、さっくりとやらないとは…」
【先程よりも大きな悲鳴を上げるが…それでも泣き叫ぶことはなく、じっと怒りの目を当たりに向ける】
- 597 :神無 鏡華:2012/05/19(土) 00:13:46 ID:dL8H4NjE0
- >>596
「芯が強い子程屈服させたくなるものだけど……」
「残念、時間切れだ。よかったね」
真上から一つの光が差し込めば、二人を包み込んでいた暗闇が払われる。
元の荒野に戻り、光が戻れば、切りつけられたはずの傷は消え、血の痕跡や痛みもなくなっているだろう。
「はい、ボクの最大級の魔法を幻覚魔法で再現してみたんだけど、どう?楽しめた?」
少し離れた場所で鏡華が言う。
どうやら魔法陣から暗闇から、全て鏡華が作り出した見せかけの幻だったようだ。
いつの間にか、鏡華の左手の三つの指輪の内、二つが黒く染まっている。
幻覚を解いたのは目的を果たしたからだろう。
- 598 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 00:17:26 ID:trmDr2BE0
- >>597
「時間切れ…?
あ、痛みが消えて行く…」
【光が元に戻り、鶫の体にできていた傷が消えた】
「ふう…私を屈服させたいなら
そんなセコい戦い方では無理ですよ…!」
【幻覚が消えた…それ故なのか鶫にも若干余裕の言葉が出た】
「単なる幻覚ですか…実際に使われてたら危険でした…
攻撃されるのはいい気分ではありませんよ!」
【そう言って模造刀を構えた】
「見えてしまえば…こっちのものです!」
【そう言って再び剣を勢い良く振り抜きに言った】
- 599 :神無 鏡華:2012/05/19(土) 00:37:44 ID:dL8H4NjE0
- >>598
「戦いにセコイもなにもないよ、むしろあそこで幻覚を解いただけまじめに戦ってる方だけど」
勝てばよし、が鏡華のスタイルだ。
「この方法じゃダメか……」
「じゃあ過去のトラウマでもほじくり返せばいいのかい?知らないからできないけど」
「いった……」
鎌で刀を防ごうとするが、あまりの衝撃に手からはじかれる。
今の鏡華は完全に無防備だ。
- 600 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 00:43:01 ID:trmDr2BE0
- >>599
「まあ、貴方の戦い方を批判したわけじゃありませんよ」
【少しやわらかな顔になっていった】
「過去をほじくられるのも私は好きじゃありません!」
【そう言って口をぐっと結んだ】
「ええい、チャンスです!」
【そう言うと一気に刀を前に突き出す。そのまま鏡華を突き刺しに行く】
- 601 :神無 鏡華:2012/05/19(土) 00:56:24 ID:dL8H4NjE0
- >>600
「っ……」
鏡華は反射的に左手首の腕輪に手を伸ばし、
「……」
直前でその手を止める。
刀は鏡華の胸を貫通する。
紅い液体が地面に滴り、鏡華の身体が若干よろめく。
「ったー……、人間なら勝負あったね、これは」
刀を右手で引き抜くと、吹き出す血を気に止めもせず、そんなことを言う。
「一応続けられはするけど……どうする?キミに任せるけど」
首を傾げて平然とした顔で聞く。
- 602 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 01:00:48 ID:trmDr2BE0
- >>601
「っと、倒せた…と思ったんですが」
【平然と立っている鏡華を見てため息をついた】
「なるほど、さすが死神さんですね。
この程度のダメージは物の数でもないようです」
【引きぬかれた刀を軽く振って言う】
「まあ、私としては勝負はつけたつもりですが…
貴方の目的はどうなんですか?」
【模造刀を構えたまま言う】
【コピーなどの話だろうか…】
- 603 :神無 鏡華:2012/05/19(土) 01:11:52 ID:dL8H4NjE0
- >>602
「そもそも死なないからね、痛覚はあるけど」
血を流しながら平然とそんなことを言う鏡華の様子はどこかシュールだ。
「まあボクの負けって形でいいんじゃないかい?ボクも目的は果たしたし」
左手の三つの指輪を見せる。
三つの内二つが黒く染まっているので、能力まで複製できたということになる。
「じゃあこれでお開きにするかい?」
- 604 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 01:19:01 ID:trmDr2BE0
- >>603
「痛覚があってもなんだか平気そうですね」
【突き刺された部位をジーっと眺めて言う】
「なるほど…
もしかして見えなくなっていた時にこっそり触ってたんですか?」
【してやられた。そんなふうな顔である】
「そうですね。今日はこれくらいにしましょう」
【大きく頷いていった】
- 605 :神無 鏡華:2012/05/19(土) 01:25:44 ID:dL8H4NjE0
- >>604
「最初は少しの怪我で痛がっても戦ううちに少しのことじゃ痛がったりしなくなるだろう?」
「それと同じさ、慣れだよ慣れ」
その理論だと軽い怪我と同じ頻度で致命傷を負っていることになるが。
「そういうこと。大事に使わせてもらうよ」
何に、とは言っても嫌な顔をされるだけなので言わないでおく。
「それじゃあ、ボクは帰るよ、それじゃ」
軽く手を振って、鏡華は転移していった。
- 606 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 01:33:06 ID:trmDr2BE0
- >>605
「そうなんですか…
アレほどの傷を何度も?」
【驚きを隠せない…】
「…大事にですか…
ほんとうに大事にしてくださいよ」
【ちょっと不愉快そうに言った】
「わかりました。それじゃあまた。」
【そう言うと鶫も手を振りながら転移していった】
//乙ですー
- 607 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 10:21:36 ID:ZxZGpt/g0
- 【私立千夜学園・グラウンド】
時間は朝ッ!!
グラウンドには多数の生徒が部活中ッッ!!
その中で100m走をしている青年!
「……。」
無言でタッタッタッ、と走っている。
そして100m走りきる。
「…、ふぅ。」
右手に持っていたストップウォッチを見る。
「……、11.2秒か。
部活も終わって少しやってみたが、思ったよりタイムの記録が上がったな。」
そう言って、水筒を持ち、中に入っているスポーツドリンクを飲むッ!
ゴクゴクと、その場に音が響き渡るッッッ!!
- 608 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 10:26:27 ID:trmDr2BE0
- >>607
【グラウンドに同じく走る姿がある】
「体力づくり・・・体力づくり!」
【防人鶫という生徒・・・今は風紀委員会に入っていたり自警団に入っていたりと忙しい生徒である】
「ふう…通算8周か…
まだまだ!」
【体操着を着て、普通の人よりやや速いスピードで走っている】
【走るたびに…胸部も揺れ動いていたりして周囲の男子が思わず見ていたりするようだ】
- 609 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 10:31:16 ID:ZxZGpt/g0
- >>608
「……、俺も体力を作った方が良いな。」
ラインは女が嫌いである、スタイルが良い奴はもっと、そのため、防人を見た瞬間
顔をしかめたが、彼女の呟いた言葉には感心する。
「体力作りは基本だしな。
よし、俺も何周か走るか。
全速力で今はどの位いけるか知りたいしな。」
そういうと、もう一度、グラウンドに入り、走り出す。
- 610 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 10:35:41 ID:trmDr2BE0
- >>609
「はぁ、はぁ、流石に疲れてきましたが…」
【どうやら体力もまだ人並みらしく、鶫に若干疲れのいろが見え始めた】
「もうちょい!限界までやってみます!」
【そうやって突っ走っていくうちにラインの近くを通りがかった】
「おや、あの人は…」
【軽く目を向ける】
- 611 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 10:43:00 ID:ZxZGpt/g0
- >>610
「……。」
無言で、静かな息をしながら走り続ける。
(…………二週目)
既に防人の事を一周分抜かしている、走った週はまだほど遠いが
全速力で走っているため、彼の走る姿を見て少し驚いている生徒もいる。
「………3週目。」
また防人の事を追い抜かす。
防人に関しては見向きをしない。
- 612 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 10:46:26 ID:trmDr2BE0
- >>611
「は、速っ…!」
【猛スピードになり始めたラインを見て】
「これは…負けてはいられない…!」
【鶫も変な意地を見せてスピードを上げ始めた】
「ぬううううう!」
【でもラインよりも遅い。全力で走っているが、やっぱりラインに遠く及ばない。】
- 613 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 10:52:31 ID:ZxZGpt/g0
- >>612
「………。」
全速力のせいか、もうバテ始めているが
表情には出さない。
(いや、まだだ、もっとイケる。
人間は自分の体に負担をかけないために30%くらいの能力しか使わないと聞く。
俺は絶対に40%くらいにいってやる、悪党を残滅するためなら。)
そう考えるとさらに速度が上がる、若干だが。
「ハァ、ハァ、ゼェ、ゼェ。」
さすがに呼吸が荒くなってくるが、
(ろ、6週目いった、よし10週目くらいに挑戦してやる。)
防人なんぞ本当に眼中にないくらいに全力で走り続ける。
ちなみに、もう2週位防人さんを抜かしています。
- 614 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 11:03:07 ID:trmDr2BE0
- >>613
「ち、ぢょっど…は…やすぎ…ふ」
【負けじと走りまくっていた鶫だが…流石に急速に疲れが溜まってきたようだ】
「ま、まだ・・・まだ・・・」
【能力は使っていないのはやはり意地なんだろうか。】
「うぬううううう」
【だがまだまだ走ろうとしている…顔が真っ赤になってきた】
- 615 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 11:08:49 ID:ZxZGpt/g0
- >>614
「く、9週目。」
なんという根性!、なんという精神力!!
汗をだらだらと流し、脚もほつれかけているのに走り続けていている!
「ハァ、ハァげふっ。」
膝を付き、口を抑える。
(後少し、あと少しなんだ。)
そう意気込むと立ち上がる。
「もう少し。もう少しだ。」
速度はかなり落ちているが走り続け、遂に10週走りきる。
「じ、じゅひゅう………め。」
周りからはパチパチと小さな拍手が送られるが、直ぐに止む。
「ハァ、ハァ。」
ゴクゴクとスポーツドリンクを飲む。
- 616 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 11:12:00 ID:trmDr2BE0
- >>615
「なあああああああ!」
【鶫もなおのこと走るが…さすがに限界が近いようで】
「10…周…げふっ!!」
【10周目になったところで】
ドサリ!
【その場で地面にうつ伏せで倒れこんでしまった】
「み…ず…」
【右手がぴくぴくしている…】
- 617 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 11:15:19 ID:ZxZGpt/g0
- >>616
「ゴクゴク、ふぅ。」
ようやく体力が戻ってくる。
「ん?」
倒れている防人を見る。
「………北斗の拳のケンシロウかお前は。」
さいわい水筒はコップ式、だから口も付けていない。
「ほら、飲むんだ。」
グラウンドから引き摺ってあおむけに寝かせて
口に水筒の中身のスポーツドリンクを垂らす。
- 618 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 11:26:24 ID:trmDr2BE0
- >>617
【スポーツドリンクがちょっとたれたのを感じて】
「う…み、水!!」
【一瞬正気を失った目でものすごい勢いで水筒を取り上げにかかってきた!!】
- 619 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 11:27:37 ID:ZxZGpt/g0
- >>618
シュパっと超反応で水筒を引っ込める。
「ガッ付くなバカ、スポドリやらんぞアホ。」
睨みつけながら言う。
- 620 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 11:33:56 ID:trmDr2BE0
- >>619
「な、なんとぉ…天の恵みかと思えば…」
【それはもうひどい顔で鶫は言う】
「た、立てません…その、くださ…」
【息席切りながら言う】
- 621 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 11:35:56 ID:ZxZGpt/g0
- >>620
「ハァ、まったく。」
そう言うと水筒を差しだす。
「口はつけていない。
さっさと飲め、さきなんとか。」
名前を忘れたようだ。
- 622 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 11:46:38 ID:trmDr2BE0
- >>621
「あ、ありがとうございますううう!!」
【感極まった顔で水筒を手に取る】
「ごくごくごくごくごく」
【そして凄まじい勢いで飲み干して】
「ぷはあああああああ!生き返ったあぁ!」
【一気にイキイキした顔になった】
「あ、あと名前は防人鶫です」
- 623 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 11:49:25 ID:VZnUJCws0
- >>622
「………ハァ。」
これだからガッ付く奴は嫌いだと彼は思う。
「どうだ、元気になったか。」
女嫌いだがやはり困っている人を見過ごしにくいから助けたのだろう。
「そうだったな、防人。
ならば俺の名前は?」
- 624 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 11:56:20 ID:trmDr2BE0
- >>623
「え、ええ…そりゃあもうかなり元気になりました」
【笑顔になって立ち上がった】
「えっと…あなたの名前はライン…
ラインさんでしたよね。覚えて…ますよ!」
【上の名前だけだが答えた】
- 625 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 12:02:13 ID:VZnUJCws0
- >>624
「……。」
そんな笑顔を見ても彼は何も感じない。
ただ元気になったという認識程度だ。
「怪しいな、俺の名前を全部答えてみろ。」
- 626 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 12:10:49 ID:trmDr2BE0
- >>625
「え、全部ですか?
えっっと・・・・」
【なんか自信がなさそうである】
「ライン・フォード…でしたっけ?」
【首を傾げていった。違う…!】
- 627 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 12:14:36 ID:VZnUJCws0
- >>626
「……、俺が言えた義理じゃないが人の名前を間違えるのは失礼だ。」
「もう一度言う、俺の名はライン・『オード・トランギス』だ。」
- 628 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 12:21:32 ID:trmDr2BE0
- >>627
「あ、かなり間違ってましたね…
すいませんでした…」
【旬と落ち込んだ表情になった】
「えっと…よろしくお願いします。
ライン・オード・トランギスさん」
【丁寧に鶫は返した】
「どうにか憶えないといけませんね」
- 629 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 12:25:09 ID:VZnUJCws0
- >>628
「……、そろそろ俺は行く。」
水筒を奪うように取り、バッグにしまう。
「憶えたいんだったら手帳に書いておけ。
俺の様に。」
バッグから手帳とボールペンを取り出しながら言う。
「じゃぁな。」
//すみません、部活なんです、それでは。
- 630 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/19(土) 12:26:43 ID:trmDr2BE0
- >>629
「あ、はい」
【大きく頷いていった】
「わかりました。しっかりとあなたの名前、書き留めておきますよ!
それではまた!」
【そう言って大きく手を振り見送っていった】
「ひとまず…メモ帳を探してきますか」
【鶫はそう言うと、ゆっくりとその場から去っていった】
//お疲れ様ですー!
- 631 :高向谷 司朗:2012/05/21(月) 21:27:45 ID:NntjvIzM0
- 【箱庭・草原フィールド】
岩と木が点在する、青々とした草原のフィールド。
司朗は岩に背中を預け、いびきをかいていた。
「スピー……ズズズ……スピー……」
帽子を日よけに顔に乗せ、実に平和そうに眠る。
その腰にはいつもの板状の、生きたエンブレムは引っかかっておらず、
男が背中を預ける岩の窪みに立てかけられていた。
丁度周囲を見渡せる形である。
「……」
エンブレムもまた寝ているのか、それとも起きているのかは定かではない。
ただ、草原には心地よい風が吹いていた。
- 632 :月夜:2012/05/24(木) 21:49:02 ID:dL8H4NjE0
- >>631
「……」
しばらくして、一人の少女が同じフィールドに姿を現す。
いつものモノクロの服から白を消し、全身を黒い服で包んでいる。
顔と桃色の髪をパーカーのフードで隠しながら、辺りを見る。
「……!」
すぐに司郎の姿が目に入る。
大して会話こそしていないものの、この男のことはよく覚えている。
「……」
フィールドを移動するべきか悩む素振りを見せる。
- 633 :?:2012/05/24(木) 21:50:47 ID:dL8H4NjE0
- >>632
/初っ端から名前換え忘れるとか
/月夜→?でお願いします
- 634 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 21:54:15 ID:NntjvIzM0
- >>632
「ん……む……?
ずずっ……すぴー……」
司朗は一瞬身じろぎするが、結局また寝てしまったようである。
身じろぎしたせいで、帽子がポトリと地面に落ちた。
「……誰だ」
岩に立てかけられていたエンブレムが、カチカチと音を立てた。
「お前か……何をうろたえてる?」
- 635 :?:2012/05/24(木) 22:03:29 ID:dL8H4NjE0
- >>634
「……うおう、喋るんだっけあなた」
若干の間の後、驚いた様子でエンブレムに言う。
パーカーのフードをはずして、手櫛で髪を整える。が、まだ少し跳ねたりしている。
「フード被ってると髪が乱れるんだよね、仕方ないといえばそうなんだけど」
「そこで幸せそうに寝てる人を起こしちゃうのも悪いでしょ?」
「だから場所変えよっかなーって考えてただけ」
司郎を指さす。
「それにしても、チラっと顔見られた程度だろうによく分かったね、驚いちゃうわあ」
- 636 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 22:10:42 ID:NntjvIzM0
- >>635
「そうだな、だが意図的に起こそうとでもしない限りは起きないだろう。
先ほど訓練をして、疲れてそのまま眠ったところだ」
エンブレムは瞳だけで司朗を見下ろした。
「あの事件は中々のショックだったらしくてな。
正義がなんだと騒ぎながら、ここのところは頻繁に身体を鍛えている」
エンブレムは淡々と言った。
「無論、お前のこともだ。
あれだけ熱弁されれば、忘れようも無いというところだな」
- 637 :?:2012/05/24(木) 22:22:02 ID:dL8H4NjE0
- >>636
「それはよかった、起きられたら少し面倒だし」
安堵のため息をつく。
「それはまたご苦労なことだね」
視線だけ司郎の方に向ける。
そこには少し呆れのような感情があった。
「光栄だねえ、見事にそこの人のハートを釘付けにしちゃった?私」
冗談混じりに言う。
釘付けにしていたとしても悪い意味でだろうが。
- 638 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 22:30:12 ID:NntjvIzM0
- >>637
「そうだな、だが私は感謝したいぐらいの物だがな。
こいつの無茶な攻撃を、お前が治療することによって確実にしてくれたからな」
エンブレムは人間臭くため息をついた。
「私は私の過去を見つける必要がある。
そのためにはこいつと言う足が不可欠だからな。
その道には血も流れるかもしれない。
こいつがそれに備え、鍛えるきっかけも作ってくれた」
- 639 :?:2012/05/24(木) 22:42:34 ID:dL8H4NjE0
- >>638
「わーい感謝されたー」
気力が全く感じられない声を出してバンザイ。
行動の一つが演技じみているのはわざとなのだろう。
「いいコンビって感じだねえ」
うんうんとうなずきながらそんなことを口にする。
- 640 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 22:51:11 ID:NntjvIzM0
- >>639
「それはどうだかな。
私はこいつに過去を探してもらっているだけ、
こいつはそれと引き換えに力を得る、
利用し合っている関係になるわけだ」
司朗はどうあれ、エンブレムは司朗を切らざるを得ない状況になったとき、
躊躇無く司朗を切るだろう。
「どちらにせよ、無関係の人間を三名も殺したことは、
悪の行為だとは認識しているがな。
それを裁くのは私の役目ではない。
無論、こいつは息巻いていたが、こいつがやらなければならないことでもない」
- 641 :?:2012/05/24(木) 23:05:43 ID:dL8H4NjE0
- >>640
「王道のストーリーだとあなたに心境の変化の一つや二つあるんだろうけどね」
必ずしもすべての物語がそうとは限らない。
この二人がどうであろうが、少女にはあまり関係のないことではあるが。
「なにが悪だとかどーでもいいのさー」
「とりあえずあの時死ななかった。それで十分だと思わない?」
ケラケラと笑いながら問いかける。
- 642 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 23:16:16 ID:NntjvIzM0
- >>641
「さて、私に心境の変化があるほど、
私の過去が取り戻せると良いのだが」
クククと笑う。
「こいつにとっては重要な要素だろう。
私に置き換えれば、みすみす大きな記憶の鍵を手に入れるために、
小さな記憶の鍵が永遠に失われたというところだろうか。
そして、十分だと思わなかった奴がここに居たからこじれている。
違うか?」
そこまで一気に喋ってから、ふむ、と悩む。
「……まあ、こいつのために代理でお前と問答をしても仕方が無い、それは解っているがな」
- 643 :?:2012/05/24(木) 23:27:55 ID:dL8H4NjE0
- >>642
「そりゃ誰もが幸せになれるハッピーエンドがあるならそれが一番なんだろうけどね」
「そんなの無理だし、結局どこかで妥協するしかないじゃん?」
そこまで言って、少女もエンブレムの方と問答していても仕方ないと気づく。
「ここらで幸せそうに眠っていらっしゃるこの人を起こしてみます?」
「……ただ単にこの人がどういう反応するかが少しきになるだけだけど」
そーっと司郎の鼻の頭に指を近づけ、触れるか触れないかといったところで上下させる。
やってみると分かるが、額や鼻の頭の方に強烈な違和感を感じるだろう。
- 644 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 23:36:17 ID:NntjvIzM0
- >>643
「司朗もお前のような、
他人を犠牲にする能力を手にしていたら考え方が変わっていたかも知れないな。
だが、"そうはならなかったのだ"。
司朗が奴のような、あの男のような、
自分を犠牲にする能力を手に入れていなくて安心、とでも言っておこう」
そうなれば司朗は平気で自身を傷つけたかもしれない。
「……む……が……」
むずむずと額に皺がよっていく。
それを10秒ほど続けると――
「……!!!
HQ!緊急事態だ!至急応援を頼む!
何!?応援が出せない!?ふざける……あん?」
どういう夢を見たらこういうことを叫ぶことが出来るのだろうか。
司朗は寝起きで頭が働かないらしく、少女に反応することなく周囲を見渡した。
- 645 :?:2012/05/24(木) 23:44:02 ID:dL8H4NjE0
- >>644
「……とことん自分を犠牲にするタイプか」
指を上に下にと移動させながら、つまらなさそうにつぶやく。
しばらくして反応が見られ、
「……どんな夢見てたのかすごい気になるけどまあいいや。もしもーし」
司郎の顔の前で手を振る。
- 646 :高向谷 司朗:2012/05/24(木) 23:52:03 ID:NntjvIzM0
- >>645
「た……隊長……自分はもう駄目であります……。
故郷のジェーンに……伝言……を……。
俺のことは……忘……れ……」
そう言って、何かを掲げるようなしぐさをしながら倒れ付した。
「……で、なんでお前がここに居るんだよ、ああ!?
起きてたからな!伝言……の辺りから起きてたからな!俺は!」
ガバッと立ち上がり、帽子を拾い上げた。
「知ったこっちゃないとか言っときながら決着を付けようとでも?
良いぜ俺はいつでも……いや、明後日……明々後日……」
帽子を被りながら、黙った。
「……都合の良い日があればいつでも相手になってやる!」
「……多分こいつは寝起きでテンションの方向性が行方不明になってるんだろう。
相手にしないほうが良い」
- 647 :?:2012/05/25(金) 00:01:58 ID:dL8H4NjE0
- >>646
「起きててあの台詞を言うってのは逆にだめじゃない?」
「まあおもしろいものが記録できたし、私としてはどうでもいいんだけど。」
少女はタブレット型の携帯、いわゆるスマートフォンを取り出す。
「便利だよねー最近の携帯。いろんなことができちゃうもん」
言いながら携帯を操作すれば、突然先ほどの司郎の台詞がそのまま再生されるだろう。
どうやらボイスレコーダーの機能を使って司郎の寝言を録音したようだ。
「とりあえず落ち着けば?私の前でそのテンションを晒したくはあるまい」
エンブレムの言葉を受けて、宥めるように言う。
- 648 :高向谷 司朗:2012/05/25(金) 00:08:31 ID:NntjvIzM0
- >>647
「そんな物晒されても痛くも痒くもないね。
はい俺の一勝!ざまあみろ」
びしっと少女に向かって指を突きつけた。
その勢いで帽子が傾く。
「……あ、はい。そうします。落ち着きます
……あわてない、あわてない、一休み一休み」
そう言って、傾いた帽子を被りなおした。
「冷静になりました。
何の用だ、人を起こして。人殺し」
- 649 :?:2012/05/25(金) 00:18:46 ID:dL8H4NjE0
- >>648
「負けたー悲しいなー悔しいなー」
右から左に受け流す。まじめに受け答えする気がないようだ。
「ん、素直でよろしい」
「おー、いきなり人殺しよばわりとか冷たいなあ。私悲しい」
泣くような素振りを数秒だけ見せて、
「まあいいや飽きた。」
「特に用はないよ?強いて言うならあなたの神経を逆なでしたいってところかな」
ニコニコと優しげな笑みを浮かべる。
- 650 :高向谷 司朗:2012/05/25(金) 00:26:01 ID:NntjvIzM0
- >>649
「あっそ、だったら俺の対応は簡単だね。
アンタのいうことには耳を傾けない。
ネット掲示板ではこれが一番の対処法だ。
早々に飽きて立ち去るんだな」
鼻を鳴らして、エンブレムを岩の上から取り上げた。
「正直アンタに勝てるとは思ってないから戦いを仕掛ける気も無いしな。
さっきのは冗談として、アンタに勝っても負けても死んだ人が戻ってくるわけでもない」
エンブレムを腰に引っ掛けた。
「しかし、これ以上の被害を増やさないという点では倒さなければならないんではないか?」
「だったら箱庭の外でやるに決まってるだろ」
意外と冷静であった。
- 651 :?:2012/05/25(金) 00:36:09 ID:dL8H4NjE0
- >>650
「元々あなたで遊ぶつもりはなかったんだけどね」
偶然たまたまこのフィールドにきたら司郎がいたというだけで、
元々の少女の目的は単なる運動だ。
「安心しなさいな、殺人に快楽を見いだすほど私は狂ってないから」
「あの時も自衛のためだったし」
あの状況で自衛が成り立つのかはよく分からないが。
「まあ私に勝てると思ったらいつでも来るといいよ」
「私は少し動いてから帰るけど、あなたは?」
- 652 :高向谷 司朗:2012/05/25(金) 00:50:07 ID:NntjvIzM0
- >>651
「確かに、奴を倒す材料になっただけ、
マシな死に方かもしれないけどね」
司朗はそのまま帰るつもりであった。
既に運動は済ませたし、ここでずいぶん長い間寝ていたのもある。
「ただ、人の死に慣れる事が、俺には恐ろしすぎる。
ついこないだまで異能を持たずに戦いも知らなかった俺には」
日差しを隠すように帽子を下げた。
「俺は帰る。
それじゃ」
「私も暇つぶしにはなった」
そう言って、司朗とエンブレムはログアウトした。
- 653 :?:2012/05/25(金) 00:58:50 ID:dL8H4NjE0
- >>652
「帰るの?それじゃ」
軽く手を振って二人(?)を見送る。
「甘いなあ、アイツみたいな考え方だよ……」
しばらくたってからポツリとつぶやき、
「じゃあ、私も少し動きますかー」
少女は軽い運動をしていった
/乙でした
- 654 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/25(金) 22:27:14 ID:dL8H4NjE0
- 『おい!話聞いてんのかテメエ!』
「…………」
街中、とある通り。
一人の少女がいかにもチンピラといった感じの男に絡まれていた。
水色のツインテール、紅の瞳で男を見上げる少女の齢はまだ10程度。
しかし男を見る目に恐怖などの感情はいっさいない。
『反応くらい見せろってんだああ!?』
「…………」
男が大声で脅すが、少女は何の反応も示さない。
さっきからずっとこんな感じである。
周りの人々は心配そうに見ているだけで、誰も手を出そうとはしない。
- 655 :名も無き異能都市住民:2012/05/25(金) 22:45:33 ID:mbXTFaJQ0
- >>654
今日も今日とて帰り道。
縦長の長方形の紙袋を抱え、帰路についていた。
「……ん」
チンピラに絡まれる少女を発見。
異能都市の治安には少々疑問を感じながら、紙袋から飲料水を取り出した。
片膝と片手で紙袋を支え、キャップに噛み付くと残った方の手でボトルを回し、封を切る。
一口分だけ口に含むと、まだ9割五分以上も残ってる飲料水のボトルを、手前に投げた。
カツン。
宙に浮いたボトルを蹴り上げる。所謂ボレーシュートに近い。
緩やかな縦回転と放物線を描きながら、水をまき散らしていくボトルは、チンピラの頭上を通りかかるだろう。
- 656 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/25(金) 22:53:34 ID:dL8H4NjE0
- >>655
『うおっ!?』
「……」
頭上を飛んでいくペットボトルから水がまき散らされ、チンピラの体にかかる。
素っ頓狂な声を上げ、しばらく動揺し、
『……テメエか?今のは』
少し冷静になると、びしょぬれの体であなたの方へと近づいていくだろう。
いきなり手を出すようなことこそしないが、少女のこともあってかなり苛ついているようだ。
些細なことでいきなり殴りかかってくるかもしれない。
- 657 :名も無き異能都市住民:2012/05/25(金) 22:59:02 ID:mbXTFaJQ0
- >>656
「少し頭を冷やしたらどうかな?」
縦長の紙袋を身体の正面で持ち直す。
中からはみ出したインスタント食品が顔を覗かせている。
- 658 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/25(金) 23:04:12 ID:dL8H4NjE0
- >>657
『んだと?』
拳を握り、腕を肩の後ろに引く。
みえみえの右ストレートを放とうとする。
体格が体格なので食らえばそれなりの威力はあるだろうが、
怒りに任せた滅茶苦茶な一撃なので避けるのはたやすいだろう。
- 659 :名も無き異能都市住民:2012/05/25(金) 23:13:30 ID:mbXTFaJQ0
- >>658
予想通り。と言った所だ。
どうせ、単調な攻撃が来る。
そう踏んでいた故に、正面に紙袋を構えた。
確か、男の拳が触れるあたりにはパイナップルが入っていたかな。等と考えていた。
- 660 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/25(金) 23:21:11 ID:dL8H4NjE0
- >>659
『いっ!?』
丁度そのド真ん中に拳があたり、またしても変な声をあげる。
少し間が空き、周りの視線に気がついたのか、
『ちっ……』
舌打ちを一つしたあと、少女のほうを一度睨んで去って行った。
「…………」
その後、水色の髪の少女が近づいてくる。
先ほどと同じ無表情のまま、ただあなたのことをじっと見つめたまま動かない。
- 661 :名も無き異能都市住民:2012/05/25(金) 23:25:08 ID:mbXTFaJQ0
- >>660
「どうした? 大丈夫かい?」
拳を受けたパイナップルの容態が気になるが、それは一先ず後回し。
寄ってきた少女に視線を向けると、目線を近づける為に腰を曲げる。
- 662 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/25(金) 23:36:06 ID:dL8H4NjE0
- >>661
《怪我はないし、なにもされてはいない。》
「…………」
突如どこからともなく厳格な青年のような声が聞こえると、少女が小さくうなずく。
少女が声を発した様子はないが、近くには他に誰もいない。
《それよりそなたこそ大丈夫か?……紙袋の方だが》
またもそんな声。
- 663 :名も無き異能都市住民:2012/05/25(金) 23:52:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>662
「……?」
思わずして少女から目線を外し、周囲を眺める。
目測の範囲でしかないが、近くに声を掛ける事が出来る人間は見当たらない。
目測では見えない人間が居るとも考えたが、それならばその人間がチンピラを排除する筈だと考えて取り下げる。
未だ幾つか候補は在るが、取り敢えずは指摘された中身を確認する。
膝と右腕で抱えると、真紅の手袋を填めた左手で紙袋に手をいれる。
「あー……どうにか大丈夫そうだよ」
顔を少女に向けなおすと、苦笑いを浮かべながら。
- 664 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/26(土) 00:07:43 ID:dL8H4NjE0
- >>663
《ああ、すまない。我は今主以外からは目視と接触ができないようになっている》
《別に姿を現しても構わないのだが、一般人に騒がれるのはあまり好きではないのでな》
見えはしないが存在はしている『何か』が言う。
少女はまだなにもしゃべらない。
《そうか、それはよかった》
「……」
少し安心したような声のあと、少女が頷く。
同感だ、という意思表示だろう。
《聞かれる前に言っておくが、主は滅多に話さない上、常に無表情だ》
《対話は基本的に我がやる。主の言いたいことは先ほどのようなジェスチャーで判断してくれ》
- 665 :名も無き異能都市住民:2012/05/26(土) 00:22:55 ID:mbXTFaJQ0
- >>664
「成程、僕も特に詮索はしない事にするよ」
小さく頷くと、どこに居るのかわからない誰かに視線を向けようとする。
その為に視線は宙を舞い、少女の右へ左へと移っていく。
「解った……まぁ、任せて」
似たような少女とは顔見知りだ。確か、年齢も近かったはず。
無愛想で愛嬌と言う物には縁が無く見えるが、慣れてみれば可愛げがある。
それを知って居る故に、少女に関する壁と言う物はそうそう無く、拒みさえしなければ少女の頬に手を伸ばす。
- 666 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/26(土) 00:34:43 ID:dL8H4NjE0
- >>665
《まあ機会があれば見ることもあるだろう》
少女が自分の顔の右斜め後ろあたりを指す。
そこにいるということなのだろう。
もちろん、どれだけ見ようとしようが手をのばそうがそこには虚空があるだけだが。
「……」
伸ばされた手の上から自分の手を重ねる。
少女の頬は見た目通り、暖かく柔らかい人間のそれと同じだ。
- 667 :名も無き異能都市住民:2012/05/26(土) 00:51:56 ID:mbXTFaJQ0
- >>666
「ありがとう」
少女に微笑みと共に短い言葉を向ける。
そこに居ると思う事にして、改めて小さく頷いた。
「どうかした?」
言葉は無くとも、意思はある。
少女の暖かい手を監事ながら、意思を尋ねた。
- 668 :シュヴァルティア・リントヴルム:2012/05/26(土) 01:01:42 ID:dL8H4NjE0
- >>667
「……」
首を横に振る。
礼はいらないという意味としてとれるが、そこにはいないという意味としてもとれなくはない。
ジェスチャーだけではやはり分かりにくかった。
「……大丈夫」
透き通るような綺麗な声で、たった一言。
大丈夫がなにを意味するのかはおそらく少女にしかわからないだろう。
《そろそろ我らは帰るとする。主を助けてくれたこと、感謝する》
「……」
軽く手を振って、別れを告げる。
そして体を反転させると、ゆっくりと歩いていった。
- 669 :名も無き異能都市住民:2012/05/26(土) 01:22:31 ID:mbXTFaJQ0
- >>668
指を指した以上、居ないなんてことは無いだろう。
もし、声の持ち主が指を指されてから移動したとなれば、相当な厄介者だ。
しかし、その可能性は低いと見れる以上、少女は純粋なのだろう。
言葉がない故にやはり伝わり難いが、確りと愛らしさはある。
「……そうっ」
喋れたんだ。そう思うと共に、少女が口を開いた事に僅かな感動を覚える。
無口な程、その言葉への重みがある事を件の少女から学んでいた。
この少女とは知り合って間もないが、恐らくは同じだろうと感じて笑みを浮かべた。
「あぁ、構わないさ。それじゃ」
紙袋を片手で抱えると、窮屈そうに手を振った。
少女と別れると、両手で抱えなおして帰路に付く……。
- 670 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 15:42:57 ID:dcvyo4hc0
- 【カレー屋】
看板の方はともかく、店の方にはそうとしか書かれていない。
周りに人の気配なし、そのせいか、その店は異様な気配を出していた。
- 671 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 15:52:31 ID:trmDr2BE0
- >>670
「あー、お腹が空きました」
【一人の制服を着た少女がカレー屋の前を通りかかる】
「カレーですか…
今日はカレーの気分かもしれません」
【鶫はカレー屋の看板を見つけ、すぐさま飛び込んでいった】
「すいませーん、やってますか?」
【店の扉を開いて言う】
- 672 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 16:00:01 ID:7gFzKdaU0
- >>670>>671
通りを歩いていた。
すると、独特の香り、複雑なそれが僅かに鼻孔を擽る。
カレーか、そう理解して。己の腹を女は撫でて、胃に隙間があると確認する。
「――――スパイス、玄妙な香りだな。
うむ、今日のおやつはカレーにするか」
白い髪をかきあげ、払い。
白い角を煌めかせ、白い尾と翼を機嫌よく動かしながら。
黒いパンツスーツの悪魔の少女は、白い肌の中で嫌に目立つ紅い唇をほころばせて、歩いて行く。
カレーがおやつ、というのは少々突っ込みどころであるかも知れないが。
朝昼晩三食に朝のデザート、昼のおやつ、夕飯後のデザート、及び夜食の計一日七食の少女としては何も問題はない。
「失礼。開いているか」
何となく、妙な気配を感じているが、危険はなさそうと判断。
白い翼をはためかせながら、軽く宙に浮きながら、店の扉を開き、中を覗きこんだ。
丁度、防人の背後から顔を覗かせる形となるだろう。
- 673 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 16:00:26 ID:dcvyo4hc0
- >>671
「いらっしゃいませ。」
入った瞬間、少し奥に畳の上で瞑想していた男が目につく。
右下には「店長です。」と丁寧に書かれてある
「ご注文はいかがないさいましょう。
メニューはありません、何が良いでしょうか?」
- 674 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 16:01:10 ID:dcvyo4hc0
- >>672
//あ、すみません、レスの中に>>672も入れておいてください
- 675 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 16:04:32 ID:trmDr2BE0
- >>672
「こんにちは〜。
貴方も食べに来たんですか〜?」
【たまたま通りかかったためか、鶫も頭を下げた】
>>673
「メニューが無いですって?」
【軽く驚いた風に言う】
「うーん、ドライカレーとかは作れますか?
今日はそれをたべてみたいですね」
【そう行って席にゆっくりと座った】
- 676 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 16:15:46 ID:7gFzKdaU0
- >>673
「――――ふむ、そうだな。
貴様が一番自信のあるもの、これこそを客に食してほしいと。
そう思える物を私に出してくれ、店主よ」
口調こそ尊大だが、瞳のなかには銀色の輝きがある。
強い口調ながら、柔らかさのあるそれは、あまり悪感情を生み出さないだろう。
>>675
「たまたま、匂いに誘われてな」
ふ、と口元を緩め、軽く笑いかけた。
- 677 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 16:18:50 ID:dcvyo4hc0
- >>675
「ドライカレーですね、分かりました。
辛さはいかがなさいましょう?、おまかせなら中辛ですが。」
ニコニコと笑いながら言う。
>>676
「う〜ん、そうですか。
分かりました。」
そう言うと考え込むようなしぐさをする。
- 678 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 16:21:39 ID:trmDr2BE0
- >>676
「そうなんですか。
私もちょうどそうですね。カレーの匂いで釣られましたよ」
【にっこり笑う】
「どんなカレーが出るんでしょうかねえ」
>>677
「そうですね。中辛ぐらいがちょうどいいかもしれませんね
それでお願いしますよ!」
【大きく頷いて返した】
- 679 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 16:24:28 ID:7gFzKdaU0
- >>677
「店を開いた以上は、食べてほしいものがあるのだろう。
それが欲しいのだ。人が人のために作る、その味が好きでね」
慌てなくても良いさ、とあとに続けて。
近くの椅子を引き、座り込んだ。
>>678
「鼻が良くてね、おやつにはちょうどいいと思ったんだ。
さあ、ただこういう所にある小さな店は大抵、2つに1つだ」
要するに、凄く美味しいか、凄く不味いか。
悪魔としては、その前者であることを悪魔は望んでいた。
- 680 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 16:28:52 ID:dcvyo4hc0
- >>678
「分かりました。」
両手平を重ねて言う。
>>679
「フフ、貴方はちゃんと店を開く者の心を理解していらっしゃる。
分かりました、当店裏カレー「波紋カレー」を出しましょう。
少々お待ち下さい、悪魔さんでも充分、楽しめる味ですから。」
そう言うと、店の奥に入ってゆく。
何故分かったか、それは彼の昔の経験ゆえだろう。
- 681 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 16:32:10 ID:trmDr2BE0
- >>679
「おやつ…ですか…
まるで飲み物みたいな言い方ですね」
【軽く驚いているようだ】
「でも、美味しいといいですね。
私もそう思います」
>>680
「どうか、お願いいたしますね」
【鶫もあわせて両手を重ねて挨拶する】
- 682 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 16:36:55 ID:7gFzKdaU0
- >>680
「食、色、眠。人の最大欲求の3つだ。
人を騙し、謀り。そして愛しているのが悪魔だ。ならば、食に関する理解など有って当然というものだ。
そうだろう、波紋使いよ。楽しみにしているぞ」
人の身で人ならざる者を狩る力を持つ者、波紋使い。
だが、此方もまた、年季が違う。長い年を経ている相手よりも、尚長い。
それでも少女の姿をとっている当たり、まだ悪魔の中では若造なのだが。
慈愛と堕落の二つを持つ、気高い瞳は細められて。
供されるカレーに、思いを馳せるのであった。
>>681
「飲み物はカレーに合わせるならば、ラッシーが最高だな」
腕を組みながら、うんうん、と頷く姿は尊大ながらも、何処か親しみやすい。
尻尾をゆらゆらと揺らしながら、上機嫌さが見て取れた。
「何となく、美味しいものが来る。そんな予感があるよ。
悪魔は勘が鋭い。信用してみるといい、嘘かもしれないがな」
意味深な笑みを浮かべるが、癖のようなもの。
幾ら白く、天界の法則に染まっていても、悪魔は悪魔だった。
- 683 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 16:39:40 ID:dcvyo4hc0
- >>681
「はい、お任せください。」
>>682
「やっぱり、呼吸の仕方で直ぐに分かりますよね。
ですがご安心ください。
私自身、あまり殺生を好みませんので、美味しく、元気になれる料理を
お作りします。」
その柔らかな笑みから本当の事である事を読み取れるだろう。
「ではお二方、少々お待ちを。」
- 684 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 16:53:11 ID:trmDr2BE0
- >>682
「ラッシー…飲むヨーグルトみたいな感じですか?」
【不思議そうな顔で言う】
「そうですねえ。
私は感が鋭い訳じゃありませんから…ただの願望ですけどねえ」
【ジーっとキッチンの方を見ていた】
>>683
「わかりました。待ってますよ」
【にこやかに手を降った】
- 685 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 16:57:25 ID:7gFzKdaU0
- >>683
(――――清浄な気は、魔界の悪魔こそ嫌うだろうが。
天界の空気に慣れた私としては、むしろ居心地がいいものだ)
店主が奥に消えた後に、悪魔は軽く息を吸い、吐く。
そして、尻尾を前へと寄せて、汚れを磨くように軽く手で触れた。
羽を引っ込め、椅子の背もたれに背を預けると、僅かに瞑目し、カレーを待つ。
>>684
「うむ。カレーの辛味とラッシーの甘酸っぱさが良く合ってな。
それでいてカレーの旨みを阻害しないのだから、何よりも完璧な組み合わせといえるだろうさ」
髪留めを外し、腰ほどまで有る白髪を流し。
それをまとめて、ポニーテールにし直しながら。
リリシアは、味を想像して緩んだ口元でそんな事を言っていた。
「まあ、願望も予想も。楽しみにしている間が一番楽しいもの。
ワクワクしながら来るのを待つとしようではないか」
- 686 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 16:59:37 ID:dcvyo4hc0
- >>684>>685
しばらくするとカレーの良いニオイが鼻に突く。
そして一瞬、叫び声が聞こえた。
「波紋疾走(オーバードライブ)!!」
すると奥の方がピカッと一瞬光る。
- 687 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 17:03:19 ID:trmDr2BE0
- >>685
「ほーなるほど…
その組み合わせも注文できたらためしてみましょうかね」
【少し考えてから言った】
「そうですね。
我慢できなくなりそうですけどね」
【軽く笑っている】
>>686
「ん?一体何をしてるんでしょうね」
【突然の掛け声に軽く驚いている】
- 688 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 17:09:02 ID:7gFzKdaU0
- >>686
「――ふむ、なかなか奇妙な調理じゃないか。
まあ、凡庸な物が出てくるとは思わぬし、むしろ楽しみだがね」
くく、と喉を震わせて笑い。
目を閉じて、鼻で香りを楽しんでいた。
>>687
「ああ。どうせ出てくるだろう。
カレー屋、それも本格的ならば置いてあっても可笑しくない」
自分も頼もうと施工しつつ、我慢できなくなりそう、と聴いて。
「何、我慢は美徳だ。その美徳の後に、欲に溺れるのは又甘美。
今は腹を鳴らし、ただよだれを垂らして待つべきだろうさ」
小難しい言葉を並べていたが、要するに我慢すればするほど美味しいから。
今は我慢しておけ、と言いたいようだった。
- 689 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 17:14:20 ID:dcvyo4hc0
- >>687>>688
「お待たせしましたー。」
と、言う言葉を言いながら銀のトレイにカレーを乗せて歩いてくる。
そのニオイは、とっても美味しそうな匂いだ、常人なら、気絶しそうなくらいの。
- 690 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 17:18:39 ID:trmDr2BE0
- >>688
「そうですね、聞いてみましょう」
【微笑みながら言う】
「えーっと…
なるほど、我慢が一番ってことですね
わかりました」
【納得した…のかどうかは分からないがどうやらわかったようだ】
>>689
「ん…やっときましたか」
【待ちきれないという感じでその匂いを嗅いだ】
「む、素晴らしいです…
なんというか一瞬意識が飛びそうになりましたよ」
【頭をクラクラさせながら言った】
- 691 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 17:25:37 ID:7gFzKdaU0
- >>689>>690
目を開き、トレイに載せられたカレーを見て。
カレーから漂う芳香に、リリシアは開いた瞳を、素直に輝かせる。
背筋を整え、食したい、という欲望を抑えながら、口を開いた。
「――ふむ、久方ぶりだな。この域に有る物は。
なるほど、流石に長く生きているだけはある、それだけの研鑽が見えるよ。
あと、ラッシーも頼めるか。カレーに合わせる飲み物ならば、アレがいいのだが」
そこの娘にもな、と付け足して。
己の前にカレーが供されるのを、待っていることだろう。
- 692 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 17:33:46 ID:dcvyo4hc0
- >>690
「どうぞごゆっくり、味わって、よく噛みながらお食べください。」
ニコニコと笑いながら言って、ドライカレーを防人の前に置く。
それを食せば、辛味が旨味の様になり、体の疲れを少しずつながらも無くなってゆく。
>>691
「分かりました、ラッシーですね。
少々お待ちを。」
波紋カレーをリリシアの前に置いて奥に行く。
見た目は普通だがリリシアなら分かりだろう。
そのカレーの周りの空間が淡い、澄んだ光で包まれているを。
間違いなくこれは美味い物だと確信できよう。
- 693 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 17:41:55 ID:trmDr2BE0
- >>691
「ん、たしかにそうですねえ
なんというか言葉に出来ないです」
【うっとりした表情で言う】
>>692
「わかりました。
ゆっくりといただきますね」
【そう行ってゆっくりとスプーンで掬って食べ始めた】
「む…これは、たしかに程よい辛さで美味しいですね…
なんだか疲れがとれていくかのような…」
【ゆっくり食べながら、率直な感想を述べる】
「あ、そのラッシーというのを私にもお願いします」
【手を上げて答えた】
- 694 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 17:43:47 ID:7gFzKdaU0
- >>692
「――――ふ、む。
天界の法に近い清浄な気、ながらも地上の味をもつ物か。
なかなか以上に興味深い。だが、だからこそ。美味しく食べるためにもう少しまたねば」
ウズウズしつつ、ラッシーを運んでくるのをリリシアは待つ。
鼻を鳴らし、嬉しそうな表情で。
長い尻尾はゆらゆらと上機嫌に揺れ動いていた。
>>693
「なに。本当の心など、言葉にすれば陳腐に他ならない。
言葉に出来ないという言葉こそ、何よりもの賛辞になるだろうさ」
此方もまた、うむうむ、と頷きながら。
良い出来のカレーを見て、顔をほころばせていた。
- 695 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 17:47:27 ID:dcvyo4hc0
- >>693
「分かりましたー。」
奥の方から声が響く。
>>694
「もう少しで出来ますのでお待ちください。」
…どうやら産地直送のようだ。
- 696 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 17:55:28 ID:trmDr2BE0
- >>694
「なるほど…
確かに言葉に出来ませんねえ」
【ニコニコしながらカレーをモグモグと食べていく】
「なんかドンドンと元気になれそうですよ」
>>695
「ふむ、楽しみですよ」
【先程から元気そうな顔である】
- 697 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 17:57:27 ID:7gFzKdaU0
- >>695
「ああ、待つ」
短く答え、静寂をリリシアは保っていた。
尻尾と羽の動きで、彼女の心の中は丸わかりだったが。
>>696
「ふむ、そちらもなかなか美味そうだ。
これは、私の期待がうなぎのぼりというものだな」
手をナプキンで拭き、襟元を正して。
ラッシーが運ばれてくるのを待つ。
- 698 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 18:00:10 ID:dcvyo4hc0
- >>696>>697
「あっ、そうだー、ラッシーは果物入りにしますかー?
するなら行ってくださーい。」
と、叫び声が聞こえてくる。
- 699 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 18:04:23 ID:trmDr2BE0
- >>697
「そうですねえ、
これはかなりのものですよ」
【先程から元気そうだ】
>>698
「いいですよー。
果物はお好きにお願いします」
【軽く手を振って返した】
- 700 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 18:08:32 ID:7gFzKdaU0
- >>698
「シンプルに、プレーンで頼む」
奥から聞こえる声には、待ちどおしそうにしつつも、凛として返し。
カレーを前に、スプーンを持ち、待っていた。
>>699
それを見て、自炊でカレーでも作ってみるかと思った。
作るだけならば簡単だが、アレは存外に奥が深い。
久々に己の手で高みを目指してみるのも楽しそうだ。
- 701 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 18:10:28 ID:dcvyo4hc0
- >>699>>700
「分かりました〜。」
そう言うと、また奥がピカッと光る。
それとリリシアのカレーはどうやら波紋のおかげか全く冷める様子が見えない。
- 702 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 18:15:16 ID:trmDr2BE0
- >>700-701
「ふーむ、どんな味なんでしょうねえ
これはまた楽しみですよ」
【そう言って微笑んだ】
「あんまり食べ過ぎちゃいけませんね…
そしたら」
【どうやらラッシーを待っているようだ】
- 703 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 18:22:20 ID:7gFzKdaU0
- >>701>>702
「……待っている間に、一口くらいは食べてもいいか」
そう判断し、リリシアは口にカレーを運ぶ。
咀嚼し、舌の上で味わい、飲み込む。
スパイスの調合が絶妙で、米との兼ね合いが完璧。
よく煮込まれたカレーのルー自体が最高のレベルに有り、具もまた味が殺されない程度に柔らかく煮こまれている。
辛さも、彼女としては丁度ういいくらいの辛さのため、食事が進んでいく。
- 704 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 18:35:12 ID:dcvyo4hc0
- >>702>>703
「お待たせいたしました。」
そう言って、先に防人の方に近付く。
「桃のラッシーをお作りしました。」
そういって、ラッシーを置く。
そしてリリシアの方に向けて歩く。
「どうぞ、プレーンのラッシーです。」
そう言って、隣に置く。
そしてリリシアはカレーの美味しさと共に波紋のおかげか
体に力が入ってくるのが感覚で分かるだろう。
そしてラッシーは口に入れると舌がとろけそうな程の甘さと美味しさが同時にかかるであろう。
- 705 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 18:37:51 ID:trmDr2BE0
- >>703
「たしかにそうかも知れませんね」
【そう言って鶫もそれなりに食べ進めていっている】
「やはりこのカレー…不思議な力を感じるようなきがしますねえ」
【そう言ってどんどん食べる】
>>704
「む、待ってました!
これが私のですね…いただきます!」
【嬉しそうにラッシーを手にとって一口飲み込む】
「うわぁ、これもいい味ですねえ…
ももの甘さがカレーとよく合います。それに、なにか力がみなぎるような…」
【不思議そうな顔をしながらもラッシーを飲んでいく】
- 706 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/26(土) 18:57:50 ID:trmDr2BE0
- 「ふう…ごちそうさまでした」
【しばらくして鶫は綺麗にカレーを平らげ、ラッシーを飲み干した】
「店長さん、ここを常連にさせて頂きますよ
また来ますからね」
【そう言ってゆっくり頭を下げた】
//申し訳ありません。体調が思わしくないのでここで落ちます…
- 707 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/26(土) 19:20:50 ID:dcvyo4hc0
- >>705>>706
「ありがとうございました、またお越しください。
何時でも貴方達をお待ちしておりますから。」
ニコニコと笑いながら両手平を合わせて言う。
「それではまた今度。」
//お疲れさまでした、お大事に。
- 708 :レラ=バニッシュ:2012/05/27(日) 22:40:03 ID:mbXTFaJQ0
- 「よし、一息つけるか……」
開けた公園。
遊具は程々にしか無く、メインは広場と言った感じだろうか。
端に設置されたベンチに腰をおろし、大きく息を吐いた。
「労働なんかせん、絶対にせんぞ……!!」
周囲にしきりと視線を向けて、何かを探しているように見える。
ソワソワとしている雰囲気から、何かから逃げている途中らしかった。
- 709 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/27(日) 22:48:27 ID:.6prKP66O
- >>708
周囲に向けた視線、それに一際目立った映像が入る
ミントグリーンの巻髪に白い服
絶世の美少女(本人談)が数少ない遊具の一つ、ブランコに乗っていた
「あはははは!」
アウテリートである
メイドが背中を押し、一生懸命揺らしている
アウテリートとレラの目が合う……
満面の笑みでアウテリートは手を振る
「レ〜ラ〜!!」
- 710 :レラ=バニッシュ:2012/05/27(日) 22:59:08 ID:mbXTFaJQ0
- >>709
「どぉわっ!!?」
暫くは休めると思った矢先のこれである。
レラとして見ればアウテリートは非常に厄介な相手。
数少ない友人の一人ではあるが、それも上弦から伝ってきた腐れ縁の様な物……だと本人は思って居るらしい。
下手をすればメインで逃げるべき相手よりも厄介。
アウテリートの方に視線を向けて、睨みつけている。
逃げたいのはやまやまなのだが、疲れていて、そうはできない故らしい。
- 711 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/27(日) 23:07:29 ID:.6prKP66O
- >>710
ブランコで立ち上がり、物凄い勢いで立ちこぎ……
その勢いのまま
「とぅっ!!」
ブランコから飛ぶ
短いスカートが捲れるのもお構いなしに回転を加えた大ジャンプ!
グルングルン回転をしながら向かう先はレラ!
「よいしょっ!百点満点!!」
レラの目の前で完璧に、華麗に着地しポーズを決めるお嬢様
メイドが駆け寄り紙吹雪きをばらまく、ばらまく、ばらまく、レラにもばらまく!
「レラ、こんな時間に公園で何してるんですの?」
まだメイドは紙吹雪きをばらまく
- 712 :レラ=バニッシュ:2012/05/27(日) 23:14:43 ID:mbXTFaJQ0
- >>711
お嬢様が跳ぶ!
華麗に着地する! メイドが来る!
紙ふぶきが撒かれていく! 幾つかがレラにも降りかかる!
それらを冷ややかな目で眺めながら、これ程までに無い大きなため息を吐いた。
リアクションが面倒そうなのはいつも通りだが、今日の比はそうでは無い。
息も大きく、肩(と胸)を揺らしながら行っていることから、それなりに疲れているのだろう。
- 713 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/27(日) 23:21:49 ID:.6prKP66O
- >>712
「あらあら?どうしたんですのよ?いつもならアウテリート〜ってギュッギュッチュッチュッしてきますのに」
不思議そうな表情を浮かべ、レラを眺め(主に胸を)
しばらくしてアウテリートはレラの隣に座る、密着するように
何かを話すまで、じっとアウテリートはレラを見る
- 714 :レラ=バニッシュ:2012/05/27(日) 23:25:00 ID:mbXTFaJQ0
- >>713
「趣味の悪い嘘を吐くな」
アウテリートの視線を感じてか、胸元を隠すように手を置く。
こちらから話す事は事実無いので無言を貫いていたが、余りにもアウテリートの視線が強い。
「……なんだ?」
黙るお嬢様は逆気味悪く感じたらしい。
- 715 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/27(日) 23:35:07 ID:.6prKP66O
- >>714
「何をしてるのかなと思いまして……は!?まさか!」
そう、アウテリートはしばらくレラを見つめていて気付いたのだ!この事実に!
「デートの待ち合わせですわね!?いけませんわ!私と言うものが在りながら!
ん?いや待ちなさいな……今、レラは一人で夜の公園に……そして私も公園……これが示す答えは……私がレラの待ち合わせの相手になりますわね!」
と思ったら全く違う話が出てきた
- 716 :レラ=バニッシュ:2012/05/27(日) 23:38:56 ID:mbXTFaJQ0
- >>715
また突拍子もないことを言い出すのだろう。
そう踏んで、脚を組むと背もたれに身体を預け休んでいた。
が、予想以上の言葉に「は!?」と驚愕の表情を見せてアウテリートを凝視する。
- 717 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/27(日) 23:47:05 ID:.6prKP66O
- >>716
「えぇ、えぇ、わかってますわわかってますわぁ!
待ってましたのよねぇ私を!うふふふふ……ツンデレめ!」
レラの頬を撫で、凄く近い距離で囁く
そして急に立ち上がると、レラの手を掴み、斜め上に指を差す!
「さぁ!どこに行きますの!?」
メイドはまだ紙吹雪きをばらまいていた
- 718 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 00:01:40 ID:mbXTFaJQ0
- >>717
「あっ、こら、やめろっ……おわっ!?」
手を掴まれると、動きについて行けずにバランスを崩す。
倒れそうになるのを防ぐために、アウテリートの生脚に抱きついた!
- 719 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 00:23:42 ID:.6prKP66O
- >>718
「あ、こら馬鹿ッ!?」
急に脚に抱きつかれるものだからアウテリートがピクッと跳ねる
「ま、まさか……どこかに行くって……ふふふ、天国に連れてってやるぜ……って言うんじゃ!?エロ同人みたいに!!」
メイドは紙吹雪きをばらまく
二人がこんな訳わからんやりとりをするのは日常茶飯事、慣れたものだ
- 720 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 00:37:01 ID:mbXTFaJQ0
- >>719
「フン……」
十分にしがみついた後、アウテリートから離れる。
その足取りは逃げていくように自販機の元へ。
「訳の解らん事を言うな」
相変わらず冷めた視線。
紙ふぶきをばらまくメイドは故意に無視している。
- 721 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 00:47:04 ID:.6prKP66O
- >>720
「あぁん、いけず〜!」
追い掛けるようにレラの隣へ
手を後ろで組んで上下にゆれる
白銀の具足がガチャガチャ音を出す
「何か買いますの?」
とりあえずレラに付き纏う事にしたようだ
- 722 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 00:54:32 ID:mbXTFaJQ0
- >>721
「ジュースを買う。喉が渇いたからな」
腰に巻いたホルダーから財布を取り出す。
小銭を取り出すと、アウテリートに手渡す。
「そうだな……オレンジジュースだ」
と、偉そうに注文をぶつける。
- 723 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 01:10:43 ID:.6prKP66O
- >>722
「……!」
何も言わずに小銭を受け取り、自販機に入れる
レラの望み通りにオレンジジュースを購入、それをレラに渡すかと思えば
缶を開け、一口飲んでしまった
「ゴクリッ……ふぅ、はいレラ」
にこにこ笑顔で飲みかけを手渡す、一体何を考えているのか……
//次の返事少し遅れるよ!
//眠かったら寝ちゃってね!
- 724 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 01:22:15 ID:mbXTFaJQ0
- >>723
「自棄に素直かと思えば、悪知恵が働くじゃないか」
悪態をつきつつも、ジュースを受け取ると一気に飲んだ。
関節キスもオレンジジュースの少々も、気にするような性格はしてないらしい。
//寝ちゃったらごめんなさいです……。
- 725 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 01:45:20 ID:.6prKP66O
- >>724
「きゃ〜!レラと間接キスしちゃいましたわ〜!!ってあら?」
しかし、レラは何も反応を示さない……それどころかオレンジジュースを一気飲み……
しかし、そんな事は今気付いた事に比べたら小さな物、そう、アウテリートは……
「レラが間接キスをしても私はしてませんわ!?その缶をこっちに渡しなさいなぁ〜!」
そう、相手にだけやらせても意味はないのだ!
自分もしなければ!!
//意外にすぐ戻れたぜ!
- 726 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 01:51:52 ID:mbXTFaJQ0
- >>725
「な、なんだお前、離れろっ!」
迫るアウテリートを見て数歩後ずさり。
じりじりと後退していくが余裕で追いつける速度だ。
//今日はもうねるん……また明日に回してもいいかしら?
- 727 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 02:00:07 ID:.6prKP66O
- >>726
「うふふふ、どこへ行こうといいますの?」
両手をワキワキさせながら大股で歩み寄る、アウテリートも背はそんなに高くはないが、レラとの差は歴然……すぐに歩幅の差で追い付いてしまう
「さぁ、私も間接チュー……うふふふふ……」
//大丈夫よ!
- 728 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 02:08:47 ID:mbXTFaJQ0
- >>727
「くっ……」
既にもう逃げられない程に詰め寄られてしまっている。
焦りの表情をだし、ジュース片手に弱々しく逃げ腰を披露するレラであったが。
「……ん?」
アウテリートの興味がジュースである事に気づく。
いつも通り無理やり捕まって弄られるという訳では無いのだ。ならなんともない。
既に喉も潤っていたのでジュースを一口飲むと、残り半分程が入った缶を差し出す。
「ほら」
//ありがとうです! おやすみなさい!
- 729 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 02:15:49 ID:.6prKP66O
- >>728
「や、やりましたわ〜!!ゴクッゴクッ!ぷはぁっ!!」
勢い良くオレンジジュースを飲み干し、満面の笑顔を浮かべて一言
「いや〜ん、レラと間接キッスしてしまいましたわぁ!?」
どうよどうよ?とでも言うようにレラをチラチラ見る
//お休み!また明日!じゃなくて今日!
- 730 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 10:06:07 ID:9hYh8oVw0
- >>729
「そ、そうか……良かったなっ」
余りにもアウテリートが強調して来るので段々と気になってきたらしい。
我関さずだった視線も、チラチラとアウテリートに向かい。
「……くっ」
目があってしまうと、顔を赤らめて照れる様子を見せた。
- 731 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 18:18:38 ID:2ykEfSI20
- >>730
なんと、押し続けたらレラが赤面するではないか、お嬢様はニィッと歯を見せて笑う
「あらあらぁ?どうしましたのレラ、顔が真っ赤ですわよぉ?」
ズズズイッと近寄りレラの顔を覗きながらそう問いかける
- 732 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 21:16:44 ID:mbXTFaJQ0
- >>731
「な、なんだっていいだろ……っ!」
フン、と突っぱねて素っぽを向く。
「そもそも、なんでお前がこんなトコロに……!」
舌打ちと悪態を織り交ぜて、アウテリートをジト目で眺める。
- 733 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 21:40:30 ID:2ykEfSI20
- >>732
そんな態度のレラを見ながら満足そうに笑う
「なんでって、ブランコをしに来ましたのよ?」
なぜ当たり前のことを聞くんだと言いたげな表情を浮かべる
「そうしたらレラがいたと・・・これは運命ですわね!」
- 734 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 21:56:41 ID:mbXTFaJQ0
- >>733
「そんな歳にもなってよくもブランコ等……」
はぁ。と溜息と共に見下げた視線を向ける。
その足取りは再びベンチに戻って居る様だ。
- 735 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 22:21:03 ID:2ykEfSI20
- >>734
「あら、ブランコに歳は関係ありませんわよ?いくつになっても楽しいものは楽しいですわ」
懲りずにレラの隣を同じ速度で歩き
レラを見つめながら問いかける
「それで、貴方は何をしてますの?私だけに答えさせるなんてずるいですわよ?」
- 736 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 22:55:10 ID:mbXTFaJQ0
- >>735
「ブランコを楽しめる慣性と言う物が解らんな」
レラの歩く速度はかなり遅い。
身長から来る歩幅の短さもあるが、余りにも貧弱すぎてと言うのもある。
「僕はだな―――」
説明をしようと思った矢先、レラの左手首の辺りに装着された端末が音を発する。
聞こえた電子音にビクリと身体を跳ねさせ、真剣みを帯びた表情でアウテリートを見た。
「マズイッ、逃げるぞ!」
何がまずいのか。
ただ、レラは全力で逃げ出そうと、ダッシュブーツを起動させ、公園から撤退をはじめつつある。
- 737 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 23:20:07 ID:2ykEfSI20
- >>736
「レラもやってみれば楽しいですわよ?似合いそうですし」
ブランコに乗るレラをぽわぽわと想像しつつにやける
すると音を発する端末、真剣なレラの顔・・・
緊急事態か?
「ちょっと!どうしたと言うんですの?待ちなさいな!」
白銀の具足、これは内部はレラに作ってもらったジェットブーツそのもの、上弦が勝手に外枠を着けて足鎧っぽく
したものだ
だからレラを追いかけることは容易であった
- 738 :レラ=バニッシュ:2012/05/28(月) 23:37:13 ID:mbXTFaJQ0
- >>737
「似合いそう。と言うのは嫌味か?」
子ども扱いされるのを特に嫌うレラ。
アウテリートがそういう性格だとは知って居るのだが、やはり怒る。
「説明は後だ! 少し待っていろ……」
空中を飛び回りながら端末を操作しているようだ。
端末から浮き上がった映像のディスプレイには先程まで居た公園の周辺地図が移されているのが見える。
そこに近寄る紅い点が三つほど。それらから逃げているのだろう。
- 739 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/28(月) 23:46:02 ID:2ykEfSI20
- >>738
「嫌味というか、私が見たいだけですわよ」
願望に素直なまま、映像に映る3つの点を見る
メイドはあたふたしながら紙吹雪をばらまく
「なるほど、これが敵って訳ですわね!」
- 740 :レラ=バニッシュ:2012/05/29(火) 00:52:47 ID:mbXTFaJQ0
- >>739
「敵。という訳では無いんだがな……」
進行方向に背を向け、公園を眺める。
何処か苦そうな顔をしているが……?
- 741 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 01:01:36 ID:2ykEfSI20
- >>740
苦そうな顔、それを見て少し気になってしまう
「じゃあなんですのよ?レラ?ちゃんと話してくれないと私だってわかりませんわよ?」
何度も質問したがレラは答えてくれない、重要なことなのかそうでないのかさえもわからなければどうしようもない
それに公園を眺めるその表情
「逃げたいんですの?戻りたいんですの?」
- 742 :レラ=バニッシュ:2012/05/29(火) 01:11:28 ID:mbXTFaJQ0
- >>741
「仲間、なんだがな……」
その表情の中でも笑いを浮かべると、向きを進行方向に正す。
言いたくないのか、口ごもる様な態度をつづけた後、決心して口を開く。
「アイツらが僕を労働に駆り出そうとする……」
故に、逃げてきたという訳である。
- 743 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 01:21:20 ID:2ykEfSI20
- >>742
は?とでも言うように、アウテリートは口を開きっぱなしだ
仲間が追いかけてくる・・・労働させる為に・・・要するに
「貴方が普段働かないで逃げ回ってるから捕まえにきたと?」
情けないやら何やら・・・心配して損した気分だ
アウテリートはレラの手を掴む
- 744 :レラ=バニッシュ:2012/05/29(火) 01:32:33 ID:mbXTFaJQ0
- >>743
「え、あぁ……ち、違うぞ!?
なんで僕が働かなければいけないんだ! 僕は天才なんだぞ?」
アアウテリートの視線から何かマズイと感じ、訂正する。
因みに、この言葉は本心であり、決して言い訳の一部として使われているのではない。
「お、おいっ! これは何の手だ?」
抵抗もほぼ無意味に掴まれてしまう。
逃げ出そうと手を強く振ってみるも、逃げ出せずにいる。
レラを追いに来たと思われる反応は未だ公園に居る様だ。
- 745 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 01:43:46 ID:2ykEfSI20
- >>744
「そうですわよね〜レラは天才ですものね〜?だから人のやくにたちませんとね〜?」
レラの手をしっかりと握って歩き出す、公園へ向けて
「サボるなんていけませんわよ?私だって毎日錬金術の勉強してますのに」
着実に公園へと近づいていく
- 746 :レラ=バニッシュ:2012/05/29(火) 01:50:12 ID:mbXTFaJQ0
- >>745
「そんな物は凡人の理論だ!
僕が馬鹿に付き合って労働をする必要は無い!」
飛び跳ねたり、アウテリイートを叩いたりし逃げようとする。
が、それも上手くはいかず、結局公園へ戻ってきてしまった。
『あれ、誰か来ますね』
再び公園。
レラを捜索に街に飛び出た三人は目標を見失い、休憩を取っている途中だった。
緑色の髪を持つ少女と黄色のスカーフを巻いた少女を、少し離れたところから水色の服を着た女性が見守っていた。
- 747 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 01:59:38 ID:2ykEfSI20
- >>746
と言うわけで、三人は紙吹雪だらけの公園に戻ってきたのだった
アウテリートは三人の少女を見つけると声をかける
「もしかしてレラの関係者でいらっしゃいますの?レラを連れてきましたわ!」
ニコニコ笑顔でレラの手を引き、三人の少女に近づいていく
- 748 :レラ=バニッシュ:2012/05/29(火) 02:06:38 ID:mbXTFaJQ0
- >>747
『あ、レラ様じゃないですか』
アウテリートが公園の入り口に差し掛かった辺り、水色の女性が声を上げた。
三人の中では身長も高く、大人びている。恐らく成人はしているのだろう。
その声に反応して、残る二人の少女もアウテリート達の方を見る。
緑の少女はレラを見るなり走りかかり飛びついて行った。
『団長さん〜!!』
引っ手繰ってレラを腕の中に納めるともふもふしている。
レラは無闇な干渉を嫌うようで、この少女にもそう感じていたらしい。
不服そうな顔を浮かべてアウテリートを睨んでいる……。
- 749 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 02:24:40 ID:2ykEfSI20
- >>748
「あらあら?なんだ仲良しじゃありませんの私てっきり仲が悪いからサボってるのかと・・・」
睨んでくるレラ
- 750 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 02:25:15 ID:2ykEfSI20
- //ミスった、ちょっと待ってて
- 751 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 02:28:49 ID:2ykEfSI20
- >>748
「あらあら?なんだ仲良しじゃありませんの私てっきり仲が悪いからサボってるのかと・・・」
睨んでくるレラにウィンクを投げかける
いい環境じゃないかと
「レラ、しっかりと働きなさいな」
- 752 :レラ&アミル:2012/05/29(火) 02:40:22 ID:mbXTFaJQ0
- >>751
『うはwwwwちっせぇwww』
「何だと!?」
緑髪の少女の言葉にレラが激昂し、反撃のアッパーを見舞う。
が、当然ながらにダメージは無く、少女は依然もふもふを継続。
『レラ様、姿をくらましていた分の仕事はたんまりと残っておられるので、覚悟なされる様……』
二人のやりとりに軽くため息を吐きながらそう告げる女性。
聞こえていない事を知ると、またも溜息の後に黄色のスカーフを巻いた少女の手を取って帰路に付き始めた。
アウテリートに近づいていくと、『ありがとうございます』と礼をする。
- 753 :アウテリート ◆6xc12amlNk:2012/05/29(火) 02:48:58 ID:2ykEfSI20
- >>572
頭を下げられ、アウテリートは胸の前で手を振り
「お気になさらずに、偶然一緒だっただけですわ
もう逃がしたらいけませんわよ?」
様子を見るからにレラは三人から今のところは逃げられないだろう
メイドはばらまいた紙吹雪を綺麗に掃除している
「では、私はこれで失礼しますわ、レラ!また今度遊びましょうね!」
女性に頭を下げ、レラに挨拶をするとアウテリートはメイドを引き連れ、帰路に着くのだった
- 754 :レラ&アミル:2012/05/29(火) 02:58:45 ID:mbXTFaJQ0
- >>753
『ふふっ、ありがとうございます』
『人、ありがとう』
去っていくアウテリートに水色の女性が手を振る。
その陰でも、黄色のスカーフを巻いた少女が謝罪の言葉を述べた。
『撤収〜ww』
アミルがレラを頭上で掲げ、それに二人がついて行く。
レラの逃亡の日々は終わり、彼女はミラージュの遺した副産物である労働のツケを払う事になるのだった……。
- 755 :柊宇都 綾:2012/05/29(火) 23:43:44 ID:mbXTFaJQ0
- ―――公園。
遊具の少ない開けた公園。
その中央で身の丈よりも大きな大剣を振り回す少女の姿があった。
表情は凍り付いているものの、瞳は気に満ち溢れていた。
力を付けなければ。
都市を思うままに歩き、今の力では足りない事を知った。
吸血鬼の血が身体に流れ、人を超越した存在にはなっても、未だ足りない。
この目で見て、触れ合ったいくつもの壁。
守るべき者を護れるようにならなくては、越えられぬ物も越えられるようにならなければ。
「鈴……ヴァージニア……!!」
意味が無い。
- 756 :ヴァージニア:2012/05/29(火) 23:51:04 ID:7JYbmuyY0
- >>755
がさがさ、と公園の木々の葉が揺れたかと思うと、ヴァージニアは下の茂みへ落下した。
昨夜は人外狩りの襲撃を恐れて帰るに帰れず、樹の上で一晩過ごしていたらしい。
日中も太陽の光を避ける為にずっと潜んでいたので、疲労から眠ってしまっていたようだ。
「痛い……」
そして現在に至るのだが、寝ぼけた様子でごそごそと茂みから這い出てくる。
- 757 :柊宇都 綾:2012/05/29(火) 23:58:15 ID:mbXTFaJQ0
- >>756
「……?」
木が揺れた。後に落下音。
木の実や鳥では誤魔化せない落下の音に、首を傾げて振り返る。
出てくるのがファンタジー生物の可能性も含め、手にした大剣を身体の前に持ってきて構えを取った。
が、
「ヴァージニア?」
出てきたのは見知った顔。
何故落ちて来たのかと言う疑問はあるが、今は必要でない。
ヴァージニアに駆けより、身体を引き寄せ頭を撫でた。
- 758 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 00:10:28 ID:7JYbmuyY0
- >>757
「リョウ様?」
外に出ることが通学以外であまりないと知っているので、公園に居ることが不思議だった。
巷では人外狩りが流行っている。ここも危険であることは変わりない。
「外出は控えた方が……」
だからこそ、あまり外に出て居て欲しくなかった。いつ襲われてもおかしくない状況になっている。
彼女も昨日の襲撃により、背中に大きな斬り傷を負っていた。
高い自然治癒能力は封じられ、未だ治癒しておらず、彼らの攻撃であることを証明していた。
- 759 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 00:25:26 ID:mbXTFaJQ0
- >>758
「でも」
大剣を構えるのを止め、だらりと地面に落とす。
2mをも越えるだろう大剣を華奢な少女が持つと言うのは何とも不思議だ。
「何も知らない」
人外狩りについての注意はアイリスから重々受けた。
所謂『人外特攻』の魔術を持った相手は強力である。
が、人外狩りの集団ですら越えるべき壁だと思って居る節があるらしかった。
- 760 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 00:41:48 ID:7JYbmuyY0
- >>759
「その為に、私がいる……」
幾度もの襲撃を受け、彼等の戦い方、行動理念を知っている。
わざと自分自身を相手の白刃の元へ晒していたのは、上記のことを達成する為である。
しかしそのせいで重症を負っているのもまた事実なのだが。
そして、人外狩りについての情報を話し始めた。
彼等の特徴である集団戦術、魔術払い、人外探知、合理化された戦略。
その全てが人外に対して脅威であるということを彼女は伝えたかった。
…もっとも、吸血鬼として弱い部類である彼女がそう言ったところで説得力には欠けるのだが。
- 761 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 00:55:15 ID:mbXTFaJQ0
- >>760
ヴァージニアの言葉の意味を理解するにはそう時間はかからなかった。
綾よりも歳が幼く、吸血鬼としての能力も劣るヴァージニアが交戦した。
『格』の強いアイリスにあれだけの警戒心を植えつけた奴らだ。
どれだけ危険かも理解していたために、一度は血相を変えて驚く様子を見せるも、一先ずは無事でいた事に安堵して抱きしめた。
「怪我は?」
ある程度予測は出来て居たが、やはり集団であることは恐怖だ。
身体能力で人を超えているとは言えど、魔術もろくに扱えない綾の戦術は人の延長線上のものでしかない。
武装した一般人でもある程度予想の付く範囲でしか戦闘が出来ないとなれば一対一でも危ういと言うのに。
ヴァージニアの言葉を確りと受け止めて、頷いた。
単純に慢心の心が無いだけでは無い。綾はヴァージニアの『感性』を読み取っていた。
『吸血鬼』としての綾は何時か劣る存在になる事を予見し始めていた。故にヴァージニアの吸血鬼としての意見を確りと心に留めておいた。
- 762 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 01:08:45 ID:7JYbmuyY0
- >>761
「怪我は…」
余計な心配は掛けさせるべきではない。
衣服がばっさり切られている背中を見られないように、しっかりと綾の方を向いて。
「大丈夫です。怪我はありません……」
そう言って、彼女は綾を安心させようとした。そして、交戦中の自分自身を思い返していた。
あの時のヴァージニアは相手を殺そうとすることに躊躇が無かった。
これも言うべきか迷っていた。心が徐々に何かに浸食されていくおぞましい感覚。
意思薄弱な個体は本能による支配が強力であることに、彼女は気付いていない。
- 763 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 01:15:36 ID:mbXTFaJQ0
- >>762
「そう」
一度、ゆっくりと長い間目を閉じる。
ヴァージニア自身の口がら無事であると告げられてより安心したのだろう。
綾が抱き寄って来てから、妙な感覚がするだろう。
決して悪い物では無い。不思議と心が落ち着く様な、癒しとでも言う様な感覚。
もし、戦闘時の傷がまだ残っているなら、急速な回復を行って居る事だろう。
- 764 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 01:24:22 ID:7JYbmuyY0
- >>763
(傷、が……?)
痛みが和らいでいくのが、感覚で分かる。
傷が回復しているらしいのだが、どうしてなのかは分からない。
それはきっと、彼女が便宜上こう呼ぶが、使い魔のクラスに居るからだろう。
マスターである綾に触れられることで、魔力が供給されて回復が促進されているのかもしれない。
- 765 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 01:41:19 ID:mbXTFaJQ0
- >>764
ヴァージニアはそう感じたのかも知れない。
だが、その原因は、綾の特殊能力であった。
本人すらも知らないが、周囲の生命力を増幅させる『力』が綾を中心に発生している。
「これ」
公園の広場に投げ出されていた通学用の鞄から謎の封筒を取り出した。
A4サイズの封筒。その中には同サイズの用紙が入っていることが解るだろう。
「逃走用」
うち一枚を取り出すと、適当な小石を包む。
すると、ヴァージニアに断りを入れる間も無く、それを地面に叩きつけた。
――――ボンッ!
小爆発と煙幕。
アイリスの容易した簡易的な逃走用アイテム。
使用方法と効果は目の当たりにすることが出来ただろう。
「……けほっ」
咽た。
- 766 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 01:56:47 ID:7JYbmuyY0
- >>765
「むぅ……」
身構えてもいなかったのでもろに煙が目に入って、涙が溢れて来た。
きちんと逃走用の道具は揃えていたのか、と彼女は感心している。
これなら、人外たちに襲われたとしても、逃げられる確率は上がる。
もっとも、彼等は人外探知の魔術を持っている為、そう簡単には逃げられないと思うが。
「これだけじゃ、逃げられない……」
特にヴァージニアからすると、足も他の個体と比べて遅い。
ただの煙幕だけでは、心もとないのも当然だった。
- 767 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 02:08:48 ID:mbXTFaJQ0
- >>766
封筒をヴァージニアに差し出す。
中にはまだ数枚の用紙が入っている。
肌触りの様上質な紙が使用されていた。
「足りない?」
幾分か煙も晴れたところで、話題をぶつける。
「それと」
真正面から顔を向い合せる。
何時もと同じく表情は動かないが、何処となく真剣さが感じられるだろう。
「吸血鬼について、興味はある?」
これを聞くのは心の中で少々憚られた。
成り行きで吸血鬼に『なってしまった』少女の事だ。
彼女の自由に影響を与えるようなことはできるだけしたくないと思って居た。
この問いかけがマイナス方向に進む可能性はある。が、動かなければどうしようもないとも考えて。
- 768 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 02:16:17 ID:7JYbmuyY0
- >>767
「無いよりは……でも自信が無い」
そう言いながら、封筒を受け取る。自身とは、逃げられる自信ということだろう。
だからといって交戦すれば、昨日のように事が運ぶとは思えない。
とにかくこれと併用できる要素を探さなければ。そう彼女は思っていた。
「吸血鬼について……」
そうだ。彼女はこのことについてずっと悩んでいたのだ。
自分の心に潜む闇。吸血鬼としての本性。未知の能力。
その全てを明らかにしたい。そうでなければ、どう向き合っていいか分からない。
「興味、ある……」
彼女もまた、知らなければならないことがあった。
自分がどの方向に進もうと、力は無ければならない。
それが主人を、自分の命を護ることにも繋がる。
- 769 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 02:23:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>768
「隙を突く」
何も戦えという訳では無い。
飽く迄も逃走用。端から向き合う事が間違いだと言う。
一瞬でも隙が作れれば安全に逃走できる確率が『上がる』。
基本は出会わないようにすること。緊急用アイテムでしかないのだ。
「そう」
少女があると言うならば、連れて行くべきだろう。
確か、講師はロザリアとか言う存在で、ヴァージニアの救援にも手を添えたらしい。
そう言った意味でも、会わせる意味はある。また、自らが会う意味がある。
「なら。今度、一夜城へ行こう」
- 770 :ヴァージニア:2012/05/30(水) 02:28:40 ID:7JYbmuyY0
- >>769
「一夜城……」
存在自体は随分前から知っていた。
しかし、何故か辿りつけなかったこともあり、敬遠していたのだ。
避難所としての側面しか見出していなかったのだが、
吸血鬼について知れるというならば、行く価値はある。
「分かりました。行きましょう」
- 771 :柊宇都 綾:2012/05/30(水) 17:35:39 ID:mbXTFaJQ0
- >>770
「なら、今度」
ヴァージニアの答えに小さく頷く。
吸血鬼、もとい人外の根城ともたる場。それが一夜城。
裏を返せば『反人外狩り』の拠点も同じ。
人外同士のコミュニティを気づき、少しでも安全性を高めるという意味もある。
被害を減らすには。奴らを絶つには。コミュニティはあっても悪くない物だろう。
- 772 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/02(土) 22:29:23 ID:trmDr2BE0
- 【AGカフェ、いつものカウンター席にその包帯少女は座っていた】
「・・・うーん」
【いつもなら笑顔を絶やさない少女がいつもと違って悩み顔になっている】
「うーん・・・」
【何に悩んでいるのか・・・とにかく頭を抱えている】
「あー、だめなの・・・だんだんあつくなってきたの・・・」
【そうこうしているうちに頭から湯気が噴出し始めた】
「かんがえてもだめかなの、なんかよくわかんないからなの・・・」
【諦めてメニューを手にとって眺め始めた】
- 773 :高向谷 司朗:2012/06/03(日) 21:40:12 ID:NntjvIzM0
- 【異能都市 空き地】
都市の住宅地にある、今時珍しい土管がある空き地。
司朗はそこで、工作を行っていた。
ダンボールに穴を空け、ガムテープで張り合わせる。
「なあ、本当にやるのか?」
「当たり前だ、能力を強化したいのだろう」
司朗は腰にぶら下げた喋るエンブレムに話しかけながら、
最後の一枚を貼り付ける。
「っしゃ、完成……っと」
それは、某でんじろう先生がよくテレビで紹介している、ダンボール空気砲だった。
「それじゃ、修行開始だな」
- 774 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/03(日) 23:43:53 ID:7gFzKdaU0
- 一夜城、そこの門の上を飛翔し、庭へと舞い降りるのは、悪魔。
白いポニーテール、白い肌、白い角、白い翼、黒い衣服。
頬には一筋の傷が有り、服は煤け汚れが目立って居たが、それでも気品と品位を感じさせる姿。
「――――ふむ、なかなかに壮麗。
人ならざる者で無くとも、賞賛をしたく為るような物であるな」
城を見上げながら呟き、城の入り口の前へと立つ。
ドアノッカーを握り、コンコン、と音を響かせると、悪魔は声を張り上げる。
「私の名はリリシア=エンティオテュユフル!
夜分遅く申し訳ないが、少々ここに用事があって参った。
この城に住む、人外の者にも関わることだ! 故に、少々中に入らせてもらってもいいだろうか?」
そう言い放つと、何らかの反応が見えるまで悪魔は扉の前に立ち続けている。
- 775 :アイリス:2012/06/03(日) 23:52:19 ID:do5XJmGE0
- >>774
【一夜城】
いらっしゃいませ、リリシア様。
敬々と来客を出迎えるのはメイドである。
ドアノッカーを開くメイドは分厚いドアを開きっぱなしにして頭を下げたままである。
彼女たちメイドはリリシアが通り過ぎるまで頭を決して上げない。
メイドは、アイリスが居る暖話室へと足を進めるだろう。
来客は余りにも突然であった。
以前クロスのカフェで偶々出会った人物――リリシアがこの城へとやってきたのだ。
人では無く、ガーゴイルであるメイド達は今までの来客とは違う雰囲気を醸し出すリリシア
メイドに案内され、来客を出迎えたアイリスはリリシアを目にして、読んでいた分厚い背表紙の本をパタリと閉じた。
「やぁ、リリシア。こんな時間にどうしたのかな?」
出迎えたのはアイリス。
以前会った時のように、千夜の制服では無く、仕立て屋が仕上げた柔らかなパンツにワイシャツ。
首元のネクタイは外され、ボタンが開かれていた。男性にしては長い金髪は真紅のリボンでポニーテールにされていた。
もちろん、リリシアの声はアイリスの耳にも入っており、聞くまでも無く用件は分かった。
- 776 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/03(日) 23:56:30 ID:7gFzKdaU0
- >>775
リリシアは、凛とした様子で、ご苦労、とメイドに一言言うと暖話室へと歩いて行く。
そして、ドアをくぐり、悪魔は翼を軽く震わし、尻尾を揺らして。
きょとんとした顔で、目の前の相手を見て、そして合点する。
「成る程、まあ結論から言うと――巷で話題の人外狩りを退けてきた。
……ほら、手土産だ」
そう言うと、ポケットをまさぐり、悪魔は相手に短剣を差し出す。
人外狩りの一団が使用している短剣であり、血痕も残っていた。
疲れた様子で、リリシアは近くの椅子に座ろうとするだろう。
目立った外傷は無いが、人間を好む者として、人との戦いは心を削るのである。
- 777 :アイリス:2012/06/04(月) 00:06:50 ID:do5XJmGE0
- >>776
「へぇ…彼らと交戦したわけか、疲れているだろう、どうだい、甘いものは」
リリシアへと手で着席を促しながら、アイリスはハンドベルでメイドを呼び今日の茶葉でミルクティーとレアチーズケーキを頼んだ。
リリシアも頼めば、アイリスのものと共に持ってくるだろう。
手にした短剣を、アイリスは受け取る。
持ち手を摘まんでクルクルと回してみせれば、血痕を見つめる。
血痕を除く“現物”は最初の交戦時に手に入れていたアイリス。そのものについては驚きを見せなかった。
「して、彼等はどうだったのかな。君ほどの実力がありながらも、そんな姿になるとはね。
――辛い、かな?」
人間を善とする悪魔。リリシア=エンティオテュユフル。
人外狩り集団、名を闇祓騎士団に襲撃されたリリシアの心情をアイリスは測れはしない。
ただ、襲撃され、リリシアが生きている事実すら、驚きを見せない。
むしろ、リリシアなら生きていて当然、といったような、確信めいたものまで抱いていた。
- 778 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/04(月) 00:18:17 ID:7gFzKdaU0
- >>777
「食べ物であればなんでも好むよ、美味しいものであればなおさらだ。
というわけで、そこの侍女、私にもアイリスと同じものを頼む」
リリシアも、同じものを頼みながら、椅子に背を預ける。
失礼、と断ってから、スーツの前を開け、シャツを少しはだける。
翼を大きく広げて、少々震わせてから邪魔にならないようにすると、ため息を吐いた。
「弱くはなかった。それでも、一丁で戦えるほどの一団だったがね。
……少々、奴らの一人、その短刀が刺さっていた男の魂に声を掛けたのだがね。
まあ、良くある悲劇だ。戦争や侵略の災禍に巻き込まれ、たまたまその元凶が人ならざるものであっただけ、それだけだ。
人を愛したから、私の祖先は堕天したが――――ああいった輩こそを抱きしめ、愛さねばならないのに。
戦う事を選ばざるを得なかった私に対する、ちょっとした失望だよ。抱きしめられたのは、憎しみに囚われた死体だけだった」
人を愛し、人ならざる者も愛する、愛欲の悪魔。
故に、理由有って敵意を向けるもの、理不尽だが、理不尽を受けた結果の理不尽と知って。
少しだけ、長くを生きているのに若い少女の心は、軋んだ。
「……契約してやろうとも思ったんだがね。あそこでは死なせてやったほうがきっと良かった。
だから、聖句を唱えて十字架を捧げてから、此処に来たわけだが――。
奴らについて、私が持つ以上の情報をきっとアイリスは持っているだろう? ……教えてほしいんだ」
吸血鬼に向けられる悪魔の瞳には、強い意思が有る。
この程度の悲劇では、悪魔の心を揺らがしても、方向を変えはしない。
知り、どうするかは、この悪魔の悪魔ならざる心のみが知っているだろう。
- 779 :アイリス:2012/06/04(月) 00:39:56 ID:do5XJmGE0
- >>778
畏まりました、とメイドが下がれば、レアチーズケーキとミルクティー二人前を用意して現れる先ほどのメイド。
音もなく、テーブルに置かれたそれらはリリシア、アイリスの鼻を擽り、眼で楽しませるものであった。
メイドが運んできたミルクティーの香りを嗅ぎ、左手でソーサー、右手でカップを持ち、一口飲むと再びテーブルへ戻す。
リリシアの表情を見つめる瞳から、感情を読み取るのなら、無。
アイリスは他人に向ける慈愛は少ない。リリシアの爪の垢を煎じて飲ませても良いくらいだ。
だから、人を愛する悪魔、リリシアの心情は推測できても知りは出来ない。
せめてもの行動としてアイリスが出来るのは瞳から感情を読み取り、リリシアの言から推測するだけ。
リリシアは正直である、という前提のもと、アイリスの瞳はリリシアの瞳へと移る。
失望の色はを表面に、だが薄く。表面を捲ってしまえばほんの僅かな後悔と、優しさ。言い換えるのなら慈愛。
アイリスの瞳にはそう見えた。アイリスの少ない人生経験では、表層程度しか読み取れなかった。
「感情というのは複雑だ。感情は時に生きる糧となるけれど、時に眠りへの誘いにもなるだろう。
リリシア。君は君の行動に後悔はしていないだろう。
情報…か。といっても情報収集は捗っていなくてね。君が欲しい情報がある保証はしないけれど、それでもいいかな?」
この悪魔は何をする気なのか。
協力してくれるのならありがたいのだが……。
その御心は人を愛した悪魔だけが知るものだろう。
- 780 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/04(月) 00:48:08 ID:7gFzKdaU0
- >>779
紅茶を運んできたメイドに一礼し、ありがとう、と一言。
悪魔はカップを手に取り、口にミルクティーを含み、香りを楽しみながら、嚥下する。
相手の感情の薄さにも、悪魔は苦笑をこぼすのみで、柔らかい色を宿しているのみ。
表層の奥にある感情は、複雑に絡み合うもの。
感情など、一色で語れるものではない、それは、きっと人でも人外でもなんら変わることのない事実。
チーズケーキを一口くちに運び、味わい。飲み込んでから、ひとりごとの様に口を動かす。
「――確かに、相手にも理由があるが。私は君たちにも死んでほしくないのだ。
だから、迅速に、徹底的に。彼らが刃の一つも振るえぬ様に徹頭徹尾徹底的に殲滅する。
憎まれてもいい、悪魔とは元来憎まれ、疎まれるものだ、それこそ〝らしい〟といったもの」
愛しているが、それ故に武力を振るうことを躊躇わない。
此処で戦いを止めようとしても、それはより被害を、死者を増やすだけ。
ならば、出ないように相手を無力化すればいい。それがリリシアの出した答え。
「故に、奴らを止め、奴らの復讐を戦いを終わらせるための情報がほしい。
……どんな情報だろうと、何もない今よりははるかにいい、分かるだろう?」
何をするか、疑問を覚えているのに答えたかのように言うと、悪魔は狩人としての表情で相手を見据えた。
相手へと向けられている戦意ではないが、文字通り。あの猟犬と組み、天使を狩る者の証左となる姿だったろう。
- 781 :アイリス:2012/06/04(月) 01:24:14 ID:do5XJmGE0
- >>780
「なんだ、動機は違っても、僕と『同じ結論』じゃないか。
ならば、僕が知る情報を話そうか。種族は違えど、同じ『人に仇なす者』だ。」
リリシアの瞳に返す感情は、喜。
ほんの僅かに口元が歪んでいなければ、だが。
だがその歪みも気付かれはしないだろう。
「よろしい、ならば僕が知る情報を提供しようじゃないか。
まずは彼等の武装から。武器に刻まれた術式は『魔の否定』でね。これは彼等、闇祓騎士団の最大の武器と言えるだろう。
二度斬られたが、あの時は辛かったね。24時間、体中で術式が暴れ放題、お陰で随分と苦しめられた。」
アイリスの瞳は依然リリシアに向けられて。
見る限り斬られてはいないようだが、どうなのだろうか。喜から、心配へと、感情を宿す瞳はリリシアを見つめて。
斬られた当時、アイリスは青い顔のまま関係各所に自らの足で出向き、直接注意を促し、協力を仰いだものだ。
「そして、彼等は独自の障壁を持ち、生半可な攻撃ではダメージへと繋がらない。僕はね、本来なら頭が弾け飛ぶ蹴りを放ったんだ。
だが、彼等は昏倒しただけだった。
リリシア、君の話を聞く限り、さらに彼らが分からなくなったよ。僕が殺した時は灰へと還ったからね。なぜ、君が抱けたか…。これが分からない。」
その障壁はアイリスの全力の蹴りで昏倒した。死体は灰に還り、武装は残る事実はアイリスは知っている。
それを昏倒だけで済ませた障壁は優秀なのだろう。彼等の防具もアイリスの手元にある。
見る限り、名を馳せるような大したものでは無い。
「僕が知るかぎりはこの程度だね。だが、今は色々と種を蒔いている。
芽吹くかどうかはさておき…、リリシア。僕は提供した。君の対価は何かな?」
にぃ、といった具合だ。
だがそれはイタズラを仕掛けた少年のような笑み。
- 782 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/04(月) 20:43:26 ID:7gFzKdaU0
- >>781
アイリスの話を静かに聞き、うむ、と頭を縦に降る。
そして、髪を手で後ろに流しながら、声を発する。
「――なるほど、人が異なるものに挑む以上、準備をしてこないはずは無いと思っていたがね。
予想通り、警戒しておいて正しかった、というわけだな。……まあ、十字架の類ならば効かなかったのだがね、出自も有るが」
大丈夫だから、そう心配をするな、とひらひらと手を振りながらリリシアは笑む。
煤けており、ところどころに血痕こそ有ったが、刃自体はその切っ先すらも触れさせては居なかった。
魔と天の双方の力を持つが故に、どちらも等しく効くが、どちらもそのどちらよりも強く効く事は無いのだ。
ただし、それでも魔の要素が主体として有るため、まともに貰えば洒落にならないのは間違いがない。
それを心の中で再確認しながら、彼らの使用した技や術を参考に、硬直しない程度に戦闘理論を組み上げていく。
「……私が抱いた彼は、仲間の手によって絶命させられていた。口封じのためにね。
彼らが我々にとっての天敵であると同時に、我々に依る攻撃も彼らに取っての脅威であるかも知れないな。
ま、今のところは仮設にすぎないのだが」
相手の疑問に、思考を回しながら、確認するように言葉を置いていく。
今のところは、情報が断片的すぎて、状況の差から推論を重ねるしか無い。
その中で今のところ出した答えが、この結論だ。
相手のいたずら気な笑みに、此方も苦笑をこぼす。
その上で、リリシアは悩む様子を見せて。
「――――ふむ、そうだな。もらったものは私にとって中々の価値を持つ。
では、私からも一つほど、今の事に付け加える情報を提供するとしよう。
あとは――、そうだな。これでもマッサージが得意だ、血の巡りを良くして傷を治りを良くしてやろう。……どうだ?」
悪魔との契約だというのに、随分とやわらかい感じだった。
- 783 :アイリス:2012/06/04(月) 21:03:56 ID:do5XJmGE0
- >>782
「おそらく、強襲用の装備なのだろうね。
いつ人外と出会っても、対処できるように、かな。」
ナイフをテーブルに置き、細くしなやかな指先でスプーンをつまめば、紅茶の湖面に渦ができて。
リリシアの話す、可能性からの組み上げをアイリスの頭の中にあるそれと摺り合わせながら。
「口封じか、フム、そういった手合いには見えなかったね。
僕が襲われた当時、彼等の内の数人を殺したんだけど“良くも同胞を”と憤っていた記憶がある。彼等の行動上、チームとしての温度差も存在するのだろうね。
リリシアの場合、そうでは無かった、ということかな。」
アイリスが死合ったチームは仲間意識が強く、リリシアが出会ったチームは、チームとしての行動を優先したのだろう。
そうして、サクリとフォークの先でレアチーズケーキを掬い、小さなクチを空けて咀嚼、嚥下。
口の中を濯ぐようにミルクティーに口をつけて。
「……ふふっ、君は面白いね。吸血鬼相手に血の巡りに傷の治りを早める、か。
腕すらも容易に再生する僕には不要のものだね。そういった契約は他を当たると良いだろう。
そうだね、契約の内容は誓約が良い。」
- 784 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/05(火) 21:00:59 ID:7gFzKdaU0
- >>783
「どちらにしろ、奴らは集団で此方に挑み、一撃さえ当てれば勝ちが見えてくる。
転じて此方は、殺すならば障壁を抜き首を落とし、心を抜き。
私のように活かそうとするならば、その上で意識を刈り取らなければならない。
……全くもって、平等で丁度いいな」
不平等とは言わない、己らを倒すための努力が有っての差ならば、それは平等だ。
リリシアは紅茶を口に含み、唇を湿らせる。
己の戦った相手に対して、思考を巡らせながら、紅茶の香りが鼻孔を擽るに任せた。
「――ああ、大分以上に淡白な印象を受けた。
狩る事に慣れている、そういった感覚が有ったな、練度は間違い無く高かったよ」
どちらが強いかは、おそらく後者。
だが、リリシアとしては前者の方が、まだ好ましいと想えた。
他人が傷ついて憤ることが出来る人間には、まだどこか優しさが残っていると強く信じられる。
「むむ、死者だろうと生者だろうと人外だろうと人だろうと身体はほぐしておいて損は無いぞ。
まあ、君ならばその程度問題ではないと思っていたからね、冗談ではないが、まあ気持程度のものだ。
そして、契約の内容については了承する、と言っても今の代価に相応しい程度の誓約に限るが」
悪魔として、等価での取引は譲れないもの、譲ればそこで歪が生まれ、どこかでその歪みを正す事が起こるのだから。
- 785 :アイリス:2012/06/05(火) 22:52:04 ID:do5XJmGE0
- >>784
「ああ、実に公平だ。とはいえ僕らとて指を咥えて討たれるのを待つわけには行かない。
だから僕たちは手札を増やそうとする。こうして情報を求める。」
リリシアに向けていたままの瞳は、そっと閉じられた。
闇祓騎士団のチームとしての行動については、様々なのだろう。
リリシアと死合ったチームの印象は、『作業』といったところか。リリシアの言からの結論だ。
方や、直情的、と言えばいいのか。人らしさを残したチーム
もう一方は、無機質、と言えばいいのだろうか。まるで機械を連想させるような、冷淡なチーム。
それからアイリスは、ああ、と何かを思い出すかのように口を開く。
「もし、彼等――闇祓騎士団に斬られた時は僕か巴を尋ねると良い。
術式は抑えられるだろうからね。契約の内容だけれど、簡単なことだ。
―――闇祓騎士団に殺されるな。
この程度、簡単だろう?」
アイリスが差し出した情報は、更に彼等を追い詰めるものとなるだろう。
組織名、更には斬られた時の対策までがリリシアに渡る形となる。
とはいってもその情報は戦った者なら分かるもの。リリシアに取って価値がある情報とは言えないだろう。
アイリスがリリシアに差し出した情報は精々“ショートケーキにいちごが多く載っていた”程度の認識だ。
だが、リリシアに持ちかけた誓約はどうだろうか。
- 786 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/06/05(火) 23:05:41 ID:7gFzKdaU0
- >>785
「ああ、そうとも。彼らが彼らなりに行動と努力を重ねるならば、我々もそうして当然。
……刃を砕いてみせるさ、話が通じない限りは、そうするしか無いのだから」
狩人の瞳、騎士のそれでよどみなく発せられる言葉は強い。
思考を巡らせ、どちらにしろ己のやることは相手を止めることそれのみと定義。
ならば、迷うことはないし、すべきことも決まった。
「――、無論。そもそも、天の悪魔に払われる闇は無い。
あとアイリス――奴らに魔術は効きづらい、相反する属性の対抗呪文をぶつけて来た、充分気をつけておけ」
アイリスに向けて笑みながら、いつの間にかケーキも紅茶も平らげてリリシアは立ち上がる。
応接室のドアの前まで行き、ぐるりと振り返って。
「死ぬなよ、アイリス」
心配ではなく、確認としての言葉。
それを言えば、リリシアは革靴を鳴らしながら歩き去っていくことだろう。
- 787 :アイリス:2012/06/05(火) 23:15:08 ID:do5XJmGE0
- >>786
「問題ないよ、僕は死なない。
フォン・ルズィフィールの血脈は、そう簡単には途切れはしないさ。」
立ち去った後、リリシアが座っていた席に向けて呟く。
術式は眼で断ってしまえば良い。
アイリスの魔眼の性質は『断ち切る』ことなのだから。
彼等が使用する術式もそうである。
一週間、寝食を捨て体の中を走らせ続けたのだ。
それと血脈のお陰で耐性は付いた。
次に出逢う時は―――
「さて、アルと星読みでもしようかな。」
そういうと、アイリスは庭へと出ていった。
- 788 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 22:04:59 ID:trmDr2BE0
- 【学生寮近くの道を一人の女子学生が歩いていた】
「ふーむ、特訓は一応上々にできていますね」
【どうやら箱庭からの帰りのようである】
「しかし、なかなか難しいですねえ。
戦い方というのは…」
【何処か悩んでいる雰囲気である】
- 789 :ヴァージニア:2012/06/06(水) 22:17:17 ID:hhaDXVz20
- >>788
彼女には抑圧された感情――人を蹂躙したいという気持ちがあった。
元来吸血鬼は、人間を餌にして生計を立てる生物だ。
高貴な種と呼ばれることもあるが、それは自制ができている上級種のみであって、
欲望が取り留めもなく溢れる下級の、彼女のような吸血鬼は下賤であるともいえる。
今までは人としての心が、その感情を押しとどめ、表に出ることはなかったが
自分の身に起こる度重なる不幸や襲撃などが、彼女の感情を爆発させた。
「」
人間ならば誰でも良かった。その爪を突きたてる相手が居れば。
防人に殺意が向く。その殺気を感じ取れれば、不意を取られることはあるまい。
- 790 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 22:20:07 ID:trmDr2BE0
- >>789
「…ん?なんか変な気がしますね」
【ふと振り返り、あたりを見回す】
「能力のおかげでしょうかね…
微妙に嫌な気を感じ取れるようになったみたいです」
【そう言って周囲を見た後】
「誰かいらっしゃるんですか?
でてきてくださいよ」
【玩具の銃を取り出して、力をそこへと貯めこみながら言った】
- 791 :ヴァージニア:2012/06/06(水) 22:31:35 ID:hhaDXVz20
- >>790
隠れるつもりなど毛頭なく、ゆっくりと前方から近づいていく。
相手を引き裂き、血肉を啜る。それこそが吸血鬼の本質である。
「もう、我慢できなくてね……」
ぎりぎりと伸びた爪が、月の光を受けて鋭さを強調する。
「いいよね。一人ぐらい死んでも」
倫理などを通り越して、それは暴論だった。
- 792 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 22:42:24 ID:trmDr2BE0
- >>791
「すいませんが、そんな理論に乗るつもりはないですよ」
【鶫の顔は真剣そのものになり始める】
「すいませんけど、私は死にたくないですからね」
【そう言っておもちゃの鉄砲を構える】
「痛い目にあいたくないなら、おとなしく立ち去って欲しいんですがね」
【ヴァージニアにその銃口を向ける】
- 793 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/06(水) 22:47:57 ID:7gFzKdaU0
- >>お二方
唐突、緊張満ち、拮抗する場に割り込む存在感。
かつかつ、とおそらくローファーの類が地面を蹴る硬い音。
ふぅ、と息を吐き出す声に、続くのは独特の香気を持つ紙巻のとは異なる葉巻の紫煙。
「よぉ。あんたらなんか楽しそーな事してんじゃねーの」
暢気な声で、二人に向けて声を掛けたのは、青年だった。
何を使って染めたのか、蓄光して黄に発光する坊主頭。
しかしながら、もみあげの部分と襟足の部分だけが異様に長く、黄に染められた部分と黒いままの部分が蜂を思わせる。
もみあげは腰ほどまで有り、襟足も背中の真ん中ほどまで有るが、他の部分はベリーショート。
服装はといえば、赤の記事に金色の刺繍入りのアロハシャツを学ランの内に着ているというよくわからないもの。
顔を隠すように色の濃いサングラスを掛け、不敵な笑みを浮かべる男は、しかし千夜学園の学生鞄を肩に担いでいて、学生とみて間違いない。
色彩、外見の暴力は口元に呑気な笑みを浮かべて二人の中間地点へと歩いて行く。
煙を当たりに散らしながら、警戒心を見せる様子も無しに、散歩のついで、と語るかのように。
「とりあえず、喧嘩はやめにしねーか?
そこの嬢ちゃん、血が欲しいならくれてやるけど、どーする?」
ヴァージニアに向けて、サングラス越しに視線を向けて、良方はそう問いかけて。
防人に向けては、俺変な人じゃないよ、と言いたげな満面の笑みを浮かべてみせた。
- 794 :ヴァージニア:2012/06/06(水) 22:48:04 ID:hhaDXVz20
- >>792
「ふふふ。いいよ、抵抗してみてよ」
彼女にとっては、遊びのようなものなのだが防人からすればとんでもない。
話を聞いてくれるほどの耳を持ち合わせていないようなので、撃退するべきだろう。
一歩目を踏み出すと、勢いをつけて防人に向かって行く。
銃の射線から避けられるように、ジグザグに走行する。
- 795 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 22:53:13 ID:trmDr2BE0
- >>793
「ん…?不良さんですか?」
【奇抜過ぎるそのファッションに思わず小首を傾げた】
「こちらとしても戦いたくはないんですけどね…
相手がどう出るかですよこれは」
【ヴァージニアに再び目を向けつつ言った】
>>794
「…どうやら、戦うしかなさそうですね」
【少し不満げにつぶやいた】
「速いっ…でも」
【その動きを軽く目で追おうとしたが、さすがについていけず】
「なら先手を打って!」
【ヴァージニアの動きの斜線軸の先に向けて】
ガァン!
【力が込められた玉を勢いよく発射した】
- 796 :ヴァージニア:2012/06/06(水) 22:58:45 ID:hhaDXVz20
- >>793
「どこかで、会った気がするね」
誰だっけ、という仕草を見せる。
ローブを直して貰ったことを、今の彼女は正常に記憶から引っ張りだせていないようだ。
全くの別人と考えてもいいだろう。それほどまでに今の彼女は狂っている。
「私はね。血が欲しいんじゃないの」
これは血を求めて行う狩りとは違う。
自分自身の身に幾多にも起こった、人外狩りの襲撃。
そこで人間に対する恐怖心を植え付けられると共に、怒りすらも湧き起こっていた。
ヒトを殺したい、という殺意はそれを発散するためのもので、吸血で充足するものではない。
「殺さなきゃいけない。殺さないと満たされない…」
どうしようもない感情の暴走から、歯を噛みしめる。
>>795
放たれた弾丸は、吸い込まれるようにヴァージニアに向かっていき…
いきなり、彼女は姿を消した。
「トリガーと眼を見れば、発射のタイミングは分かる」
彼女は空中に飛び、弾丸を避けていた。
妙なところで冷静さを見せる。
- 797 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/06(水) 23:06:02 ID:7gFzKdaU0
- >>795
「いんや、巷で話題の真面目な留年学生、気さくな良方さん18歳高校二年生だ」
にぃ、となにやら冗談めかした自己紹介を並べ立てて。
煙をふはぁ、と吐き出し、掌で残りのシガリロを握りつぶす。
砕けた葉を地面に落とし、ぼりぼりと頭を掻いてあくびを漏らす。
「んじゃー、俺はどっちに付くかねぇ。
俺としちゃ、可愛い子に付きたいところだけど、二人共可愛いしなぁ」
わお、早ッ。
そんな声を漏らして、良方は素早く飛び退き、斜線から身体を退かす。
>>796
「――おう、会ったが、今のお前さんじゃ思い出せねぇだろう」
場所を動かして、良方は相手に向き直って。
殺気でも戦意でもなく、納得の様子を返す。
その狂気には覚えがあるし、そういう怒りは知っている。
「まあ――――殺されてやるわけなんか有るはず無いけど。
ちぃっと、お前さんのストレス解消にでも付き合ってやるとしますかね。
俺ァ、種族別で言えばヒトだが遺伝子組換え済みでな、バケモンだ。
バケモン同士よ――遊ぼうじゃねーの、なぁ」
サングラスを外し、良方は右目を見開く。
(――――扱いづらいんだがね、まあいい修行だ。
それに、一度会った奴に殺しをさせるのも忍びねぇ。――行きますかね)
その瞳に、赤く輝く〝Ⅰ〟の文字が浮かび、瞳から血涙が溢れだした。
同時に、良方の四肢から火の粉が舞い散り、半身に焔を思わせる文様が浮かび上がる。
直後、良方は地面を強く蹴り、ヴァージニアに真正面から拳を振りかぶり駆け抜けていく。
「ッ、ダラァ――――ッ!!」
獣の如き咆哮を上げて、数m分跳躍すると、相手の顔面に右拳を叩き込もうとする。
拳の軌跡には火の粉が残り、ヒトの域を超えた速度と威力を持たせているモノ。当たりどころが悪ければ脳が強く揺らされるだろう。
- 798 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 23:10:28 ID:trmDr2BE0
- >>796
「くっ…目もいいんですね…
さすがにちょっとやばいです」
【悔しそうに口を結んだ鶫は】
「空中ではっ…!」
【上空に飛んだヴァージニアに向けて】
ダン!ダン!
【弾を素早く2発発射する。空中で動きが制限されると思ったのだろう】
>>797
「・・・少なくともその格好では真面目という説得力はほとんどありませんが…」
【ジト目で良方の顔を見る】
「さすがに私はやられたくありませんから…
あの娘を止めて欲しいんですが、どうなんですか?」
【良方を横目に見て言う】
- 799 :ヴァージニア:2012/06/06(水) 23:19:36 ID:hhaDXVz20
- >>797
「くぅ…!」
顔面を穿とうと放たれた右拳を、ヴァージニアは左手でそれを受け止める。
あまりの衝撃に表情が歪むが、すぐに残忍な笑みを取り戻す。
良方の右手を、そのまま握りしめる。鋭い爪が拳に食い込み、握力でそのまま押しつぶそうとする。
「威勢がいいね。とても壊したい」
彼女の紅の瞳が怪しく光っている。
時期は限定されるが、感情の高ぶりから、魔眼を発動することができる。
彼女の発現した魔眼の種類は『睡眠』。目を合わせた者を深い眠りに誘うものだ。
しかし、目を合わせなければどうということもない。
(視線を逸らしたところで――腹パンを喰らわせてやる)
>>798
「弾くしかないか」
空中で避けることは物理的に難しい。
弾丸を素手で弾いていく。手は真っ赤に腫れ、ビリビリと鈍い痛みを伴うが。
すぐに再生力によって、白煙をあげながら回復をしていく。
そこへ良方が飛び込んでくるものだから、彼女はその対応に追われている。
「めんどくさいね……」
- 800 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/06(水) 23:26:54 ID:7gFzKdaU0
- >>798
「留年は家庭の事情、この格好はポリシー、成績は学年50番以内。
というわけで俺は真面目な子だ、凄くな」
そもそも、真面目な高校生は未成年喫煙、飲酒、バイク、蛍光色に髪を染める、制服にアロハはしないのだが。
それを棚に上げても、彼なりには真面目にやっている――――つもりなのだ、そうつもりなのである。
「一応知り合いっつーかね、話した事がある程度の相手でな。
人殺しをさせるのはちょいと気が咎めるっつーことで、ストレス解消に付き合いつつ、ぶっ飛ばして黙らせるって事でどーよ」
に、とサングラスを外してまともな格好をすれば案外童顔にすら見える顔で無邪気に笑って。
良方は己の作戦を語ると、そのまま知り合いの吸血鬼に向き直る。
兎にも角にも、良方は相手が殺す気でも、此方から殺す気はさんさらないようだ。
>>799
「――――ハッハァッ!」
相手が右拳を握りつぶそうとした瞬間に、良方の右腕から火の粉が舞い上がる。
そして、表面の文様が流動し、目を思わせる形へと変化。
その目から焔が吹き出し、右腕を覆うように展開していく。触れれば焼けるのではく、燃え移ろうとしてくるだろう。
「魔眼の類か、焼いてやらァッ!」
魔眼の視線に篭る魔力にたいして、真っ向から良方は見つめ返す。
右目から流れる血が勢いを増し、同時に相手の術式を燃焼させ己に到達させないことで防御とする。
燃焼の効果を引き出しているようだが、良方の様子は余裕が余り見られない。
(……ちぃ……ッ、範囲が絞れねぇし、火力も調整しずれーしッ!
調整されてない能力ってのは――キツイッ!)
相手の土手っ腹目掛けて、火の粉の軌跡を残して左足で前蹴り。
相手を衝撃で吹き飛ばそうとする。
- 801 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 23:31:25 ID:trmDr2BE0
- >>799
「…弾かれるくらいの威力ですか…
ならば…」
【鶫は力を更に鉄砲に込めていく】
(もっと威力を上げればいける…はず)
【鉄砲にさらに金色の光を集めていく】
【次におそらく更に威力の高い攻撃が来るだろう】
>>800
「聞いた限りではそれほどとも思えませんが、
まあ今はそれどころではありませんね」
【ちょっときにしていたが、すぐに視線を戻す】
「知り合いなら仕方ありません…
貴方の言うとおり、動きを止めるだけで済ませましょう!」
【鉄砲に力を込めながら言う】
- 802 :ヴァージニア:2012/06/06(水) 23:40:25 ID:hhaDXVz20
- >>800
燃え盛る右腕が、ヴァージニアを巻き込もうとしているのを見て、
「やらせるか!」
掴んだ右腕を捻り、回転させながら投げ飛ばそうとする。
と同時に、そこに良方の前蹴りが浴びせかかる。
その衝撃力によって、彼女は後方へと吹き飛ばされるものの、
地面を足で引っ掻いて、その摩擦力で静止する。
「……」
彼女は、イライラしながら地面を何度も踏みつける。
「……つまらない!!」
一方的に虐殺したかったのに、どうしてそれをやらせてくれない。
彼女の荒みきった心はそう、叫び声をあげる。
>>801
次の攻撃を予知して、防人へと向き直り、睨みつける。
それだけで、強烈な圧迫感を与えるだろう。
ヴァージニアを通して見えるそれは、狂気の塊である。
「……吸いつくせ!」
彼女の後方から、数匹の蝙蝠が召喚される。
これらは防人に向かい、噛みついて血を啜るようにコントロールされている。
- 803 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/06(水) 23:46:24 ID:7gFzKdaU0
- >>801
前に出てヴァージニアと打撃戦を繰り広げながら良方は後ろに声を返す。
その間も、気を抜くことはなく戦闘は続いていくだろう。
「悪いっ、任せたッ!
つー訳で俺も頑張るから、任せといてくれ――ッ!」
そう言って、胸元のポケットからシガリロを取り出し口に咥え。
指先を軽く押し付け点火すると、煙を深く吸い込んだ。
戦闘中にタバコなど非常識に思えるが、ある意味では良方にとっては日々の癖。
癖になっているそれをする事で、精神の平衡を保ち冷静さを手に入れる事を目的とした行動だった。
>>802
「――――ッ、ッフ……ウッ」
息を荒く吐き出して、距離をとって良方も着地。
煙を吸い込み平静を保つが、右腕からはぶすぶすと煙が立ち上っている。
消耗が激しい。火力こそあれど、制御が極めて難しいのだ。
「やらせるかよ――ッ」
コウモリの気配に気づき、良方はコウモリを強く睨みつける。
コウモリの周囲の空気が熱されていき、燃焼し始めるだろう。
範囲は球状に3mほどであり、そこを素早く抜ければ燃え尽きる事は無い。
(――ん? 球状に範囲を決めて、そこで効果を。
……――――成る程、ちょいと、見つけたかも)
己の能力、科学技術によって調整されていないがゆえに、理解しきれていない力。
その一端を僅かに手にして、思考を巡らせながらも、良方はコウモリを睨みつける。
左目はその間もヴァージニアに向かっており、警戒を怠る様子は無い。
「……どうせ、最近はやりの人外狩りとやらだろ。噂は聞いてる。
んでさ、同じようにしてるお前は、人間狩りとでも名乗るのかい?」
気楽な様子、口元には挑発するような笑みも浮かべて。
だが、左目だけは笑わずに、ヴァージニアを見据えていた。
- 804 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/06(水) 23:56:07 ID:trmDr2BE0
- >>803
「はい、私も頑張っていきますっ…!」
【突然襲ってきた後方の熱気に少し驚くが】
「あ、ありがとうございます。
何とかなりそうです」
【燃え尽きたコウモリを見つけ、少し安堵した】
>>802
「…っ!」
【その強烈な圧迫感に鶫は思わず顔をこわばらせる。
結果として力の供給を一瞬滞らせることとなる】
「このままではっ!」
【鶫は溜めを止めて逃げ出そうとするが、先ほどの良方の攻撃によってコウモリを倒され】
「…何とか行けそうですね!!」
【改めて拳銃を構えて鉄砲を撃とうとする】
ガァン
【引き金を引くとともに先ほどよりもさらに威力を増した弾が足に向かって飛んでいく】
【しかしその瞬間】
ガブッ
「つっ…何…?」
【背中に熱風を逃れたコウモリが噛み付いてきた】
- 805 :ヴァージニア:2012/06/07(木) 00:02:53 ID:hhaDXVz20
- >>803
蝙蝠たちは、周辺の違和感を感じて、乱雑な飛び方へと変化した。
とにかく忙しなく動き回り、視点をずらして脱出しようとしているのだ。
「何とでもいえば」
その表情は暗く、冷たい視線が良方に向けられる。
「私の苦痛を、苦悩を、誰かに理解して貰いたかった……」
だからといって、彼らと同じように暴力を振るう。それでは程度が低い。
しかしヴァージニアはまだまだ子供だ。
どうすればその心を御し、正しく在れるのか、分からないのだ。
>>804
「だから、死んで」
蝙蝠に笑いながら、吸血の指示を出す。
苦痛を与える様を見て、喜びを感じている。
どこかしら人格に支障をきたしていて、正常では無い様子であることは明確。
「こういう気分を味わってたんだ…」
人外狩りたちを思い出し、心の中にふつふつと湧き起こる怒り。
「ゆ、許さない…、人を玩具にして…!」
どの口が言うか。
- 806 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/07(木) 00:13:17 ID:7gFzKdaU0
- >>804
「――油断するんじゃねぇッ!
それ見たことか、さっさと何とかしろっ!」
熱を防人に噛み付くコウモリに向けながら、叫び声を上げる。
相手が対処を出来ると信じて、ある程度で視線を外し、完全にヴァージニアに向き直るだろう。
今の目的は、ヴァージニアを止めること。それを忘れてはならない。
紫煙を吸い込み、煙を吐き出した。
>>805
「――っは、理解?んなもん、されないほうが当然なんだよ。俺もガキだが、ガキの理論だそりゃ。
だったら、お前はお前のどんな苦痛を、どんな苦悩を、理解して欲しいんだよ。
泣き叫ぶだけじゃ、なんにも伝わんねぇんだよ。お前の口は何のためにある?お前はなんで考える頭がある?」
息を吸い、良方は血の流れる右目を眇めて、うめき声を漏らす。
痛みと負担で、右の視界に霞が掛ってきた。
そう、長く戦える訳ではないだろう。秘策は、無いわけではなかったが。使わないで済む事を祈る。
「――――叫べよ。叫んで、泣きながらこっちに向かってこい。
どんな暴力でも、どんな言葉でも、どんな気持でも、真っ向から受けて立ってやる。
これでも、〝器〟にァ自身がある」
目線を逸らさず、血を流す瞳で相手に目線を合わせる。
熱を感じない所から、邪気眼の発動もしていない。
防御を下ろしており、今は殺すには絶好の機会と言えただろう。
だが、敵意もなにも見せず、良方は絶対の自信で相手を見続ける。
相手の行動が、何であれ、受け入れる覚悟でそこに立っている。
- 807 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/07(木) 00:15:53 ID:trmDr2BE0
- >>805
「うっ…あっ…うぅっ…くぁっ!」
【コウモリに血を吸われて、鶫は体を悶えさせながら苦痛の声を上げる】
「だっ…めですっ…
あなた…にっ…これいじょ…うっ…」
【鉄砲を再びヴァージニアに向ける】
「関係ない人を…やらせるなんて…
だめですっ…!」
【弾を再び発射するが、腕が震えていたので発射の軸がずれてしまった】
【狙いが悪くなっているだろう】
「絶対…っ!!」
【もう片方の手で吸い付いているコウモリを掴み、無理やり引き剥がしにかかっている】
>>806
「大丈夫…何とかします…っ!!」
【苦しそうな顔をしながらも良方には余裕を見せようとする】
「止める…絶対…っ!」
- 808 :ヴァージニア:2012/06/07(木) 00:26:22 ID:hhaDXVz20
- >>806>>807
「痛い、苦しい?
そうでしょ。そうでなければ、だめ」
防人の苦しむ様子を邪悪の笑みを浮かべて見ながら、そして良方の方へと視線を向ける。
彼女の行っていることは、一方的な苦痛の押しつけ。
理解されたいという気持ちからは程遠い、ねじ曲がった自己主張。
「これで、」
彼女は一歩ずつ歩を進める。完全の敵を屠る為に。
「これで、解放される……
自分だけじゃなかったんだ、って思える」
自分と同じ境遇に相手を追いこむことで、自分以外の人物に自分の気持ちを分かって貰える。
ヴァージニアはそう考えていた。
しかしそれは全くの虚構である。
自分とそれ以外は、根本的に考え方が違う。
同じような境遇に陥ったからって、同じような苦痛や苦悩を味わうことはない。
そもそも対応も変わってくるだろう。
それでも、彼女はそれを信じて、実行に移す。
相手を殺すという、ただそれだけの殺意をもって。
シンプルな肉薄、シンプルなストレート。これでその生命を狩り取ろうとする。
- 809 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/07(木) 00:34:39 ID:7gFzKdaU0
- /*ヴァージニアさんはどっちの方に向かっていますでしょうかっ!?*/
- 810 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/07(木) 00:46:11 ID:7gFzKdaU0
- >>807>>808
「せいぜい痛くしてみな、この世にある大抵の痛みなんざ、堪えられる。
お前だけじゃねぇんだよ、そうだ、その通りさ。思わせてやるよ」
己に向かい、迫ってくる死、暴力を前に、良方は笑う。
独りよがりの暴走で、暴力で、死んで成るものか、死ぬはずがない。
屠りに来るならば、屠られて成るものか。
「――――ッ」
交錯は一瞬。
飛び散ったのは赤。
それに生々しい水音が続く。
紅い水に熱が落ち、葉巻の火が消える。
「――――――満足かい、吸血鬼の嬢ちゃん」
体勢を僅かにずらし、良方は脇腹の肉が千切れ飛び、内臓の一部に損傷した状態で、声を漏らした。
口から漏れそうな血を飲み下して、良方は相手の顔面に拳を振るう。
死に近いが、死ななかった身体を酷使して、叫び、鳴き声を上げる。
「すっきりしたかよッ!? ああ!? どうだ!?
肉を素手で引きちぎって、腸を爪で引っ掛けて引き裂いてッ!
血を浴びて、身体真っ赤に染めて、それで満足か幸せか救われてんのかッ!
そんなもん、まやかしだ糞がッ! 誰かを傷つけて、救われることなんかあるはずねーんだよッ!」
拳は弱く、遅い。
避けられても、当たろうとも、良方は崩れ落ちていくだろう。
血溜まりで、ぶすぶすと煙を上げる右拳を握りしめたまま。
- 811 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/07(木) 00:51:17 ID:trmDr2BE0
- >>808
「何がっ…!」
【少し憤怒の念を見せながら】
「ぐぅ…ああああ!!」
【無理矢理吸い付いていたコウモリを引き剥がした】
「あぁっ!!ぐぅ…」
【無理やり剥がしたためか、いびつな傷となって残っている】
「…どう思ってるのか…は、わかりますが…」
【荒く息を吐きながら拳に力を込め始める】
「他人に押し付けては、貴方の最も嫌う人間と一緒ではないですか!!」
【大声でそう言ってじっとヴァージニアを見つめる】
「そんなことだけはさせません…
貴方の…友達のためにも!」
【グローブに光を集め始めている。先程よりも更に高い威力となっていそうだ】
>>809
「!?…くっ…良方さんっ…!」
【良方が崩れ落ちるのを見て、苦しげにヴァージニアを見る】
「すぐに終わらせないと…じゃないと…!
いけない!」
【そう言いながらも風呂敷から何か取り出そうとする】
「怪我を直さないと…」
- 812 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/07(木) 00:51:53 ID:trmDr2BE0
- >>811
//すいません。>>810の間違いです
- 813 :ヴァージニア:2012/06/07(木) 01:07:51 ID:hhaDXVz20
- >>810
「ぁぁ…、……」
ここまでやっておいて、我に返るヴァージニア。
殺意を放出しきった末に、役割を終えた人格が彼女の奥底へと帰って行った。
後に残されたヴァージニア自身の心は、残務処理の為に表へと押しやられた。
この現実を見て、受け入れられるはずがない。
自分がこの手で、苦痛を与えるという非生産な目的ただそれだけの為に血だまりを築いたのだ。
とてもじゃないが、受け入れられる許容を越えている。
しかし、向き合わせないといけない。今までの彼女も、ヴァージニアの一部なのだから。
「やってない…、私はやってない…」
顔面に拳をぶつけようとする良方を突き飛ばす。
今の良方は脆い。後方に倒れてしまうだろう。
>>811
「違う…、嫌ってなんかない…」
その場で膝から崩れ落ちて、頭を抱えて内に閉じこもる。
目を背けたかったのだろう。今の彼女によって、言葉という武器は何よりも辛い。
- 814 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/07(木) 01:15:38 ID:7gFzKdaU0
- >>811>>813
後ろに倒れ、血溜まりに沈む良方。
激痛に良方は雄叫びを上げそうに成るが、歯を食いしばり。
震える左腕を腹部を押さえつけるように動かし、傷口を抑え込む。
「――――ッ、ぐ……ッ、おおおおおおおおおァッ!!」
左腕に火を宿し、腹の傷口に火を当てる。
肉の焼け焦げる生々しい臭いが漂い、気絶しかねない激痛と引換に、止血を成した。
荒い息を吐き、血みどろの状態で、意識を意地で保っていた。
「……死にァしねぇ、不本意だが、死線には慣れてる」
血溜まりに手を突き、膝を突きながら良方は身体を起き上がらせようとしている。
腕が震え、顔色は蒼白だが、目からはまだ光も失われていない。
「ま、いいんじゃねーの。とりあえず、悪いと思ってんならさ。
……その、病院連れてってくんね? 格好つけたはいいけど、歩けねーや」
あーあ、台なし、とぼやきつつ、胸元のシガリロの中で濡れていないのを取り出して。
口に加えると、残りの力で火を付ける。
当の本人が、相手が正気に戻ったなら良い、と割りきった様子を見せている。
余り気にするな、と態度は表情が語っていただろう。と言っても、気にしない訳にはいかないのだろうが。
- 815 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/07(木) 01:20:24 ID:trmDr2BE0
- >>813
「…あなた、ひょっとして…」
【先ほどまで見せていた敵意を消し、鶫は拳に貯めた力を解き放つ】
「本当は、大切にしたいのではないですか?
人を…」
【鶫の腕から放出させた光は少し落ち着くような力を感じられるかもしれない】
>>814
「…だ、大丈夫なんですか?
本当に」
【無理やり立ち上がったのを見てかなり驚いている】
「…そ、うですか…
確かにつれていったほうがっ…つっ」
【鶫の背中にも先ほどの傷跡が残っている。こちらもさほど軽いけがでもなさそうだ】
- 816 :軍服の少年:2012/06/09(土) 21:29:22 ID:1BBSxSE20
- 「…………、」
人影があった。
薄汚れた軍服を纏った、それほど背の高くない少年。
軍帽を目深に被っていて、髪の色や瞳の様子は全くと言っていいほど見えない。
「…………、」
人影があった。
ニュースを騒がせたテロがあった場所、復旧作業が続くターミナル。
少年は工事中を示すコーンを乗り越えて、その場所へ侵入していた。
「…………、……騒音。」
工事現場特有の、重機が打ち鳴らす轟音。
それを耳にまっすぐ入れて、顔を顰めていた。
//αスレから移動!
- 817 :名も無き異能都市住民:2012/06/09(土) 21:58:16 ID:ElM9U72Y0
- >>816
「……やぁ」
騒音に紛れて、静かな声が届くだろう。
意識していなければ聞き逃してしまいそうな程だが、声は耳に入りはしたようで。
「何か、あるのかい?」
その声は背後から。同じくコーンを越した先から。
段々と大きくなる声。どうやら後ろから歩み寄ってきているらしい。
- 818 :軍服の少年:2012/06/09(土) 22:05:40 ID:1BBSxSE20
- >>817
「……無。只、興味。有」
何もないよ。ただ、興味があっただけ。
そうとでも訳すればちょうどいいだろう少年の言葉は、酷く機械的なものだった。
背後から近寄る声に反応して振り向けば、少年の顔が光に照らされた。
ぐるぐる渦巻く黒。ドブ川の底を浚ったら出てくるような、冒涜的な色。
絶望とか諦観を煮詰めて作った真っ暗闇に、ぽっかりあいた孔みたいな。
そんな瞳をした少年だった。
- 819 :名も無き異能都市住民:2012/06/09(土) 22:14:12 ID:ElM9U72Y0
- >>818
「そう、か……」
単語のみで構成された言葉を脳内で理解しようとする。
元々、口数が少ない人間の相手は慣れていたためか、理解する事は出来たようだ。
少年の闇の様に黒い瞳にたじろぐ様子を見せた。
目を細め、僅かに視線を逸らした此方の瞳は真紅。
アルビノ特有の、瞳の色素が少ない為に血の色がそのまま映し出された真紅だった。
- 820 :名も無き異能都市住民:2012/06/09(土) 22:34:45 ID:ElM9U72Y0
- //良く見たら行すっ飛ばしてた……ごめんなさい!
「興味、って、何かな?」
口元に手を当てて思案する様子を見せる。
が、答えは出なかった様で少年に問う事にしたらしかった。
- 821 :軍服の少年:2012/06/09(土) 22:39:40 ID:1BBSxSE20
- >>819
「……此処、友達、死」
ゆるゆると首を振って答える。
ここで友達が死んだから。だから来たと、そういうことらしい。
黒い瞳は相変わらず真っ暗だったけど、少しだけ悲しそうな感情が読み取れる。
「……貴女、何故?」
貴女は、何故ここに?
ゆるく首を傾げて問う彼の仕草は実に穏やかで、
瞳の色には似合わない柔らかそうな雰囲気を持っている。
帽子の縁を指で摘んで、表情を隠そうとしながら、言った。
- 822 :名も無き異能都市住民:2012/06/09(土) 22:59:33 ID:ElM9U72Y0
- >>821
「友達が……?」
旅客機の事故に巻き込まれでもしたのだろうか。
そう考えていたが、とあることを思い出す。テロだ。
幾らか前に行われたそれ。少年の友達はそれに巻き込まれた可能性があると考えた。
「……ごめんよ。そんなことを言わせて」
口と共に表情にも乏しいのだろうと、経験から決めつけていた。
そんな少年が見せた悲哀の表情に思う前から謝罪の言葉が出てきた。
「キミを追ってきたんだ……少し、気になったからね」
みれば、長方形の紙袋を抱えていた。
上端からは果物が姿を見せている。買い物の帰りだったのだろう。
- 823 :軍服の少年:2012/06/09(土) 23:05:08 ID:1BBSxSE20
- >>822
「……、……」
ふるふると首を横に振る。別にいいよ、とのこと。
よくよく見れば少年の右手にはそこら辺で摘んだのだろう、野花が一本。
小さい小さい赤い花が一輪だけ、握られていた。
恐らくその友達とやらに供えるつもりなのだろう。
「……我、変?」
俺、そんなに変だった?
帽子を弄るのをやめて、きょとんとした表情を浮かべて見せた。
- 824 :名も無き異能都市住民:2012/06/09(土) 23:16:31 ID:ElM9U72Y0
- >>823
「……ありがとう」
其方の様子に心打たれてか、しおらしく振る舞う。
一歩足を踏み出して歩み寄ると少年の頭に真紅の左手をぽふんと乗せた。
そのまま柔らかく頭を撫でようとするだろう。
「少しね、ターミナルに近づくのは危ないからね」
言葉が伝わるのを阻害する勢いの工事音。
それ程の物ならば、相応の危険はあるだろう。と。
- 825 :軍服の少年:2012/06/09(土) 23:37:08 ID:1BBSxSE20
- >>824
「!」
帽子がずれる、その向こうに見えたのは、金色。
若者らしく活発に、ぴんぴんとした金の短髪だ。
少しだけ気恥ずかしそうに、少年は俯いた。
「……平気。我、異能者」
こんこん。自身の腕を軽く拳で叩いてみると、
肉体には似合わぬ金属音が鳴った。
- 826 :名も無き異能都市住民:2012/06/09(土) 23:46:14 ID:ElM9U72Y0
- >>825
「偉いね」
暫くそうすると、手を離す。
口数の割に表情が豊かだと感じ、微笑ましく思い笑みを零した。
「義手、かな?」
機械の腕。近い位置に居る者もそうだった。
それだけに興味がある様で、そういった雰囲気をありありと示していた。
- 827 :軍服の少年×2:2012/06/09(土) 23:53:23 ID:1BBSxSE20
- >>826
「否。我、機――――」
『はい、そこまでですよ兄さん。自分の情報をぺらぺら喋らないの』
答えようとする少年の口を、塞ぐ手がにゅっと。
いつの間にか、少年の後ろに近づいていた者が居た。
口をふさがれた少年と同じく、軍服を着た少年。
ただしこちらは先の少年よりも一回り小さく、少女のような顔立ちで、眼鏡をかけている。
やはり瞳は黒々と、何処までも澱んでいるのだった。
『御免なさいね、これ以上お話しできることは何もないんです』
後に現れた眼鏡の少年は、にっと美しく、作られたような笑みを浮かべて見せた。
- 828 :名も無き異能都市住民:2012/06/10(日) 00:08:05 ID:ElM9U72Y0
- >>827
「……!」
気が付かなかった。
音と、少年に気を取られていたのだろうか。
後から来た少年を深く見る意味も込めて、一歩下がる。
「そう、……キミ達にも何かがあるってことだね。
因みに、もう少しここに居るつもりかい? 止めはしないけど、危ないから気を付けて」
新たな少年の発した言葉に小さく頷く。
言葉にも出したが危険な場所だ。態々立ち入るのを禁止している程の。
そこに足を踏み入れるというのは、いくら友人に会いに来たからと言っても『普通』じゃない。
- 829 :軍服の少年×2:2012/06/10(日) 00:22:35 ID:1BBSxSE20
- >>828
『ご心配なく。もう少ししたら此処から出ますから。
やらなくちゃいけないことがあるのに、どうしても先に此処に行きたいって兄さんが言うから来ただけなんです。
そして目を離した隙に……自分の情報ぺらぺら流そうとして……まったく』
先の少年(便宜上「甲」と呼ぼう)の口を塞ぐ後の少年(同じく「乙」と呼ぶ)の手に、
ぎりりと力が籠る。しかし指先は滑らかに、「甲」の肌を撫ぜて。
『どうしてこうも、こんな人ばっかりなのかなあ。
ここで死んだあの女だって、同じようなことしてたっけなあ』
ふ、ふ、ふ。小さく笑うと同時に紡いだ独り言は、
ぎりぎり真紅の瞳の女に聞こえないくらい(はず)の音量で発せられる。
怨嗟だとか、そういった負の感情の押し込められた声色だったが、聞こえたかどうかは定かではない。
- 830 :名も無き異能都市住民:2012/06/10(日) 00:34:01 ID:ElM9U72Y0
- >>829
「それなら安心だよ」
フッ。と笑んでみせる。
腰に力を入れて紙袋を持ち上げて、運びやすい状態に。
片膝を立ててそこに置き、バランスをとると片手を離して少年たちに振る。
「それじゃあ、また何時か会えるといいね」
名前でも聞いておくか。と思ったが長居が出来る雰囲気では無い。
乙の少年に釘を刺されたような形になってしまって非常に残念だ。
そう思いつつ踵を返すと、ターミナルを後にするのだった。
ターミナルいえば、あのテロの日は局地的な大雨だったと聞いた。
「……」
まさか。口には出ないが心の内で可能性の一つを潰す。
その表情は苦く、重そうなものだった……。
- 831 :軍服の少年×2:2012/06/10(日) 00:42:07 ID:1BBSxSE20
- >>830
『ええ。貴女もお気を付けて』
色よい言葉をかけて微笑みながら女を見送るのは、上面を繕うためか。
そんな乙の少年が手を緩めれば、甲の少年がぷは、と息を吐く。
そして、甲の少年が、声を発した。
「………………またな」
最後の最後に残した、機械的な雰囲気の見えない言葉。
それを発した時、少年の黒い瞳が、僅かに金色に輝いたのだが、女には見えなかったのだろう。
『……兄さん、迂闊な行動はやめてよ、本当に。
そんなだから、兄さんは落ちこぼれなんて呼ばれるんだよ』
乙の少年の言葉を最後に、ターミナルに、静寂が戻った。
- 832 :高向谷 司朗in商店街:2012/06/10(日) 21:04:42 ID:NntjvIzM0
- 時は6月9日、夕方。
大学の帰り、司朗は修行の為、中央公園(予備スレ>>75)に向かう前に、駅前のコンビニに立ち寄っていた。
「おっ……」
ふと、発行されたばかりの夕刊が目に付いた。
司朗はその中のある記事を見て、それを手に取った。
「どうした」
「この間の逃げたあいつ、捕まったって。
人身売買だってさ、臓器売買かな、労働かな」
わき腹をさすって苦笑いをした。
流石異能都市の医者である、既に傷は完治していた。
「どっちにしろ迷惑な話だよな。
……実際に何度かやった、だってよ。
最初からやる気で行けばよかったよ……」
ため息をつき、夕刊を棚に戻す。
そしてコンビニを出て、商店街に入っていく。
- 833 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/10(日) 23:20:53 ID:trmDr2BE0
- 「…ふぁ〜…なんでへんなときにおきちゃうかなの…」
【AGカフェのカウンターで少女が一人あくびをしていた】
「なんかあちこちたいへんそうだしなの…
どうなってるのかなの」
【ただ事ではないことがあちこちで起こってることをディスも少なからず感じているようだ】
「みんなだいじょぶかなの」
【不安そうにしているようだ】
- 834 :ロザリア・ロートシルト:2012/06/10(日) 23:26:32 ID:SSMHlh/20
- >>833
「くふぅ……。」
――からころ。
ドアが少しだけ傾いて音を立てると、
まるで隙間から身をねじ込むようにして、一人の少女が入ってくる。
ディスの保護者、ロザリアだ。
どうにもロザリアは疲れている様子で、
ディスを見つけても曖昧に笑って挨拶するように手を上げただけで、
そのまま入り口からもっとも近い席にぽてんと座り込んでしまった。
- 835 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/10(日) 23:28:19 ID:trmDr2BE0
- >>834
「ん?…『ろざりあ』?あう、こんばんわなの」
【振り返ってロザリアの姿を見て、ディスは心配そうに近づいていく】
「だいじょぶなの?なんか、つかれてるみたいだけどなの…」
【とても不安げな顔で尋ねる】
- 836 :ロザリア・ロートシルト:2012/06/10(日) 23:38:56 ID:SSMHlh/20
- >>835
「ええ、すこしねえ……。
すまないけれど、お水を汲んできてもらえるかしら……。」
『少し』のようには見えない。
ロザリアはディスには『心配要らない』としか話さないが、
このところずっと働き詰めのようで、たまに部屋に帰ってきては
短時間倒れるように寝て、ふたたび何処かへと出かけていく毎日が続いている。
それでもディスを気遣い食事を作り置いたり、置手紙を残したりしているが……。
- 837 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/10(日) 23:43:26 ID:trmDr2BE0
- >>836
「あう、うん…わかったの」
【少々不安そうにしながらも近くのコップを包帯でキャッチして整水器へ向かっていく】
「……」
【時折心配そうな目線を向けながらコップに冷たい水を入れていく】
「はい、なの」
【しばらくして、冷たい水の入ったコップがロザリアの前に差し出される】
「その…ずっとはたらいてるなの?」
【その顔には何処か申し訳なさが見える】
- 838 :ロザリア・ロートシルト:2012/06/10(日) 23:58:55 ID:SSMHlh/20
- >>837
「ん。ありがと。」
ロザリアは顔を突っ伏していたが、
ことんという、グラスが机に触れた音に反応し、顔を上げた。
「……あなたは何も心配しなくていいのよ。
貴女だってたまに、海に言って魚を取って売っているでしょう。助かっているわ。」
むぐ、むぐと出されたそれを飲み干す。
- 839 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 00:02:53 ID:trmDr2BE0
- >>838
「…ちょっとでもげんきになったらいいけどなの」
【水を飲む姿を見て言う】
「う、うん…そうだけどなの…」
【やはり何処か後ろめたさがあったのだろう。どうも心配性のようだ】
「たいへんなおしごとなんじゃないかなの?
なんか、しんぱいなの…」
【軽く自分の首筋を触りながら言う】
「なにかできることがあったらなの…」
- 840 :ロザリア・ロートシルト:2012/06/11(月) 00:15:49 ID:SSMHlh/20
- >>839
それを飲み干すとほふうと息を吐いて
脱力し、ソファに不覚体を預けるロザリア。
「こら。今私がなんていったか、
思い出してごらんなさいな。」
イタズラっぽく笑って見せると、体を起こして自分の額を
ディスの額へとくっつける。
「あなたは心配しなくていいの。
大丈夫よ、私は自分の事は自分で面倒を見るから。
あなたも自分の面倒を見なさい。」
- 841 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 00:19:36 ID:trmDr2BE0
- >>840
「あう、そうだったの…」
【額を軽くくっつけられて、若干笑顔になったようだ】
「そうだよねなの…
うん…。」
【ちょっと心配そうにしながらも、ちょっと微笑んで返す】
「すぐにげんきになって、はいわないけど。
むりしすぎないでねなの!」
【ちょっと強い目をして言う】
- 842 :ロザリア・ロートシルト:2012/06/11(月) 00:34:41 ID:SSMHlh/20
- >>841
「ええ、大丈夫だから。ね。」
そうは言いつつもふぁあ、と大きな欠伸をかみ殺し。
店内にいたもふもふをひょいと魔術で摘み上げると、
それをもふんと枕のようにしてとろん、とした目つきに。
時折、すぅすぅと寝息にちかい息を吐き始める……。
- 843 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 00:39:56 ID:trmDr2BE0
- >>842
「…あう、ゆっくりねていいからねなの。
えっと…なにかないかなの…」
【ディスは眠そうなロザリアの方を軽く撫でる】
「かぜひかないようにねなの」
【そう言うとディスは自分の包帯をロザリアに向けて伸ばす】
「これでいいかなの」
【ちょうどシーツぐらいのサイズに包帯を重ねあわせ、ロザリアの肩にかけた】
- 844 :ロザリア・ロートシルト:2012/06/11(月) 00:56:58 ID:SSMHlh/20
- >>843
『きゅーっ。』
もふもふは迷惑そうに抗議するような声をあげたが、
ロザリアが寝入ってしまうと、しかたないなという風にそこで自身も眠り始める。
「むにゃ……おばあちゃん……。」
ディスの包帯に抱かれて、
ロザリアは故郷の夢を見るのだった。
// 〆
- 845 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 01:05:35 ID:trmDr2BE0
- >>844
「あう、ごめんねなの。
すごくつかれてるみたいだからなの」
【もふもふに申し訳なさそうに頭を下げた】
「…かぞくかなの…
『でぃす』とみんなのかぞくになろうねなの、『ろざりあ』なの」
【そう言うとディスもその場に寄り添って近くにいつづけた】
//お疲れ様でした
- 846 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 16:04:36 ID:trmDr2BE0
- 【千夜学園、の校門から出てくる少女の姿がある】
「…夜道に気をつけてと繰り返し言われましたね」
【少し不安げな表情である】
「まあ、襲い掛かってくる人間がいたら相手するしか無いですね」
【ぐっと拳を握って答える】
- 847 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 16:09:05 ID:7gFzKdaU0
- >>846
横道から、何かが戦う音が響いていた。
そして、その戦闘音は激化していき――。
「うっしゃぁだらあこんにゃらぁっしゃぁッ!」
名状しがたい叫び声と同時に、横道から鎧姿の青年が吹き飛び、気絶した。
そして、それを追うように、学生服にアロハシャツでサングラスで、蛍光色と黒の縞のロングだか坊主だかわからない髪型の青年が表れる。
頬に大きな傷が有り、荒い息を吐きながらも、葉巻を取り出していたのは、此処の学生。
「――――ん、防人ちゃんか、元気かい?」
学校の前でシガリロに火を付け、紫煙を燻らせながら。
髪型を整えつつ、頬の血を拭い笑顔を青年は相手に向けるのだった。
- 848 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 16:12:43 ID:trmDr2BE0
- >>847
「あ、貴方は確か…
えっと、アロハシャツさん…」
【じっとトレードマークのアロハシャツを見る】
「ええ、元気ですよ。
すっかり怪我は治ってますから…
貴方こそ平気ですか?私より重症だったと思いますが…」
【心配そうに言う】
- 849 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 16:18:42 ID:7gFzKdaU0
- >>848
「良方だ、良方。
ま、年中アロハだから別にアロハさんでも問題ねーけどな」
サングラスを指でくい、と上げつつ、鞄を肩に掛けながら近づいていき。
心配そうな相手の様子に、シャツの腹をめくり上げて見せる。
「元々普通の人間よか治るの速いし、ヴァージニアの事知ってる他の吸血鬼の先輩に直してもらったよ。
……ま、あの程度で死にゃしないし、お前さんも無事だったらそりゃよかった」
に、と笑みを浮かべて、傷一つない腹を見せると元に戻す。
紫煙を吐き出して、気絶している騎士に視線を向け、ため息。
「とりあえず、此処居ないほうがいいぞ?
さっき学校出た瞬間に襲われたし」
頬の切り傷に取り出した絆創膏を張りつつ。
良方は、心配する様子で相手にサングラス越しに視線を向けた。
- 850 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 16:30:42 ID:trmDr2BE0
- >>849
「ああ、そうでした。良方さんですね」
【慌てて頭を下げる】
「吸血鬼の知り合いですか…
結構人脈が多いんですか?」
【感心するように言う】
「どうもありがとうございます…
襲われたって…だれにですか?」
【軽く驚きながらあたりを見回す】
- 851 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 16:37:17 ID:7gFzKdaU0
- >>850
「知り合いが多いってか、なんつーか。
まあ、ぶっちゃけて言うと学校の先輩だし、多少交流があっても普通じゃね?」
にへら、と笑いつつ、煙を吸い、吐く。
落ち着いてきた様子で、良方は相手の言葉と態度を見て。
先程倒した騎士を指さして。
「闇祓騎士団、だってさ。
多分、この前のヴァージニアって吸血鬼の子もアレにやられてブチギレてたんだろうさ。
どうやら、人じゃない異種の排斥、及び、それらに協力したり親しくする者も同様に滅ぼそうとする、ってな感じかね。
……ぶっちゃけむかつくから、さっきちぃとボコリ返してやったわけだけど」
倒れている騎士の鎧は拳の形に陥没しており。
ところどころ煤け、溶けていた。
それでも、衣服の一部が裂けたり、裂傷が見えるのは相応に強い相手だったという事だろう。
- 852 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 16:39:32 ID:trmDr2BE0
- >>851
「そうですね…
学校の先輩ですか。なるほど確かに」
【どうやら納得しているようだ】
「テレビでもやってますね。その騎士団とやらがあちこちで異種の排除を行なっていると…」
【少し苛立ったような顔を見せる】
「人間だろうがそれ以外の種であろうが、
悪いことをするものは悪いことをするというのに…」
- 853 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 16:48:19 ID:7gFzKdaU0
- >>852
「そうそう、それそれ。
なまじ練度が高くて容赦がないから、只の狂信者とかの類より遥かにやりにくい。
……気をつけとけ、防人ちゃんもな――――って、そういえば防人ちゃん何年? もしかして先輩だったりするとかしないとかだったりしない?」
真面目な顔をしつつも、唐突に気がついたように口を動かして。
先程までちゃん付けで読んでいたが、もしかしたら先輩かもしれないと気になってみた。
「まあ、何が悪で何が善かなんて誰にも分からねーし、俺にも分からねーけど。
とりあえず、一つだけ言える事はあいつらが気に食わない、って事だな」
- 854 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 16:54:29 ID:trmDr2BE0
- >>853
「そうですね…
もしかしたら交渉も通用しない相手かもしれません…」
【不安げにつぶやいた】
「え?えっと…高1だとおもいます」
【不思議な顔をしながら言った】
「確かに…何のために警察があるのか、
彼らはそれが理解できないんでしょうね。
単に怨恨をぶつけているだけかもしれません。」
【そう言って頷いた】
- 855 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 16:59:18 ID:7gFzKdaU0
- >>854
「多分無理だな。
さっきも問答無用だったから、真正面から潰しに行ったわけだし」
拳を軽く握って、素振りをしつつ。
良方は、相手が年下と分かって安心したような表情を浮かべた。
「あ、一応二年だった。……留年してたけど。
いや、ね。もし先輩だとしたら、ちゃん付けで呼ぶのは不味いかなと思ってよ。
……年下と分かったからちゃん付けて呼ぶけど、おーけー?」
案外年功序列的なものを気にするタイプだ。
そして、相手のその甘いとも言える言葉には、なんとも言えない表情で。
ため息と共に紫煙を吐き出して、頬の傷を抑えながら口を開く。
「警察も軍隊も万能じゃねーよ。
俺みたいに、非合法な組織に居て、非合法な手で人殺しをしてた奴だって居る。
そして、そういう奴にはそういう居場所しか無いし、そういう事が必要な事も場所もある。
……だからって、それが正しいかどうかで言えば、間違いなく間違ってるんだがね」
実感の篭った声、口調。
視線はサングラスに遮られて見えないが、少しだけ逸らされている。
- 856 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 17:11:15 ID:trmDr2BE0
- >>855
「狙われたときは相手をたたきつぶす他ないということですかね…」
【残念そうな顔である】
「はあ、なるほど…
まあ確かにそうですね。大丈夫ですよその呼び方で」
【軽く手を振って言う】
「非合法な組織があることは知っています。
しかし、それはあくまで暗殺…無関係な人間をおそうかどうかとは別でしょうね。
…彼らは殺し屋未満です」
【段々苛立ちを見せてきた】
- 857 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 17:16:13 ID:7gFzKdaU0
- >>856
「ま、そういうことだ。
死にたくなけりゃ頑張る他無いし、殺したくなけりゃもっと頑張るしか無い訳だ」
短くなったシガリロを右手で握りつぶし。
地面へと投げ捨てると、息を深く吐く。
「んじゃ、防人ちゃんで」
呼び方はちゃん付けで決定のようだ。
そして、苛立ちを見せる防人に、冷めた態度を向ける良方。
「……手段を選ばなくなれば、そりゃ無関係な人間だって襲うさ。
様は、異種を殺せればいいんだから、巻き込んででも殺せればいいんだろう。
少なくとも、短期的な効率は良い。手段を選ぶ必要がないんだからな」
正しい、とさえ良方は言って見せる。
だが、態度からは、肯定している様子は見られないだろう。
- 858 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 17:23:55 ID:trmDr2BE0
- >>857
「そうですね、自分のためにも周囲の人のためにもそうしなければ」
【納得したように答える】
「わかりました。そう読んでもいいです」
【そう言ってまた礼をする】
「貴方の言うとおりですが、それを認めるわけには行きません。
ましてやこの街で、いろんな生き物がバランス良く生きてるこの街では
あの人達こそが異物と呼ばれるべき存在ですよ」
【先ほどとは違うような随分と冷たい口調である】
- 859 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 17:30:03 ID:7gFzKdaU0
- >>858
冷たい口調、鋭い言葉。
それらを受けて、口角を釣り上げるような笑み、そして重い気配を放つ。
サングラスの奥の瞳は細められ、しかし笑っては居ない。
「――へぇ、んでもって防人ちゃんは、自分が正しいから奴らを排斥するのかい?
そのやり方も大差ないが――まあ、間違っちゃいねぇわな。
俺も、気に食わないからぶちのめす、ってスタンスな訳だし、正しいよ、お前さんも」
認めるような態度、だが、どこか不穏なそれ。
そして、敵意でも、戦意でもなく、言い聞かせるように、良方は口を開いた。
「自分が正しいと思っちゃいけねぇよ、防人ちゃん。
正しいから、間違っている奴を排除していい、そいつらは異物だ。
そういう思考が、一番暴力ってもんを生み出すし、一番誰かを傷つけることになる。
……ま、留年してる不良学生の戯言だ、気にしなくてもいいがね」
二本目の葉巻を口に咥え、指先を押し付けて火を付けて。
虚しい様子で、虚ろな煙を輪にして吐いた。
- 860 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 17:39:43 ID:trmDr2BE0
- >>859
「…まあ、たしかに私も似たようなものですね。ですが…」
【顔を上げて見つめる】
「彼らのやることはどうにかして止めないといけません…
少なくとも、無関係な人間を殺したりなんて言うことは間違ってると思いますから。」
【何処か悲しげな顔で言った】
「せめて、話し合いに応じるような人間であればよかったんですけどね…」
- 861 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/11(月) 17:43:24 ID:7gFzKdaU0
- >>860
「――だったら、せいぜい全力で抗戦するしかないわな。
気をつけときな、能力持ちだろうがなんだろうが、油断をする事が何よりもの鬼門。
……人より基本的に強い奴らを狩ってる奴らだ、人を狩るくらい、どうってことも無いだろうよ」
そう言うと、良方は背を向けて、歩き出し。
「何か有ったら、AGカフェに来るといい。
大抵放課後はあそこにいるからよ」
足元に火の粉を散らすと、地面を強く蹴り、跳躍。
ビルの上に着地し、走り去っていった。
- 862 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/11(月) 17:47:37 ID:trmDr2BE0
- >>861
「わかりました…
用心します。そしてもっと強くなろうと思いますよ」
【大きく頷き答えた】
「ええ、何かあったら相談に来るかもしれません
それじゃ、また!」
【そう言って手を振り見送っていった】
「さて、ならばやはり特訓ですね」
【そう言って鶫もその場を去っていった】
- 863 :アイリス:2012/06/11(月) 21:43:38 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
今日もAGカフェでゆっくりとしていたアイリス。
数日の間、一夜城とここを往復する限り、客層は分かってきた。
一夜城は拠点とし、ここAGカフェが仮のアジトになりかけている。
クロスも手伝ってくれると意思表明をした以上、おそらく問題は無いはずだ。
そして、アイリスの頭を悩ませるのは、『柊宇都 綾』
ヴァージニアの主であり、昨晩興奮した様子でヴァージニアを追っていった少女。
従者の不始末の責任をどのように取って貰うか。
その事を悩んでいた。
昨日、綾自身は謝罪、ヴァージニアとの対話をするといった。
だが、自らの責任をどのように取るのかは聞いていなかった。
綾の件を頭の隅に残しながら、アイリスは術式を組んでいく。
その内容は中核を作成している所。
「……やれやれ、綾はどうしようかな。」
- 864 :ヴァージニア:2012/06/11(月) 22:04:22 ID:BYE6WTcg0
- >>863
彼女は茫然とした様子で、AGカフェへと訪れた。
連日頭を抱えているのは、先日の出来事。人間を襲撃してしまったことだ。
上級吸血鬼と下級吸血鬼の差は何か、と考えたとき単純な戦闘力や魔力量などで考えられるが
何と言っても自制することができるかどうか、であるだろう。
下級の吸血鬼ほど、理性は働かない。生まれたてに近いのだから、本能で動くこともままある。
今回のケースでは、彼女の潜在意識が形となって表れてしまった形だ。
ゆえに自分ではやってないと言い聞かせているものの、事実は事実だ。
起こってしまったことの、責任は取らなければならないが。
彼女はどうすればよいのか、分からなかった。過ちも繰り返しかねないのだから。
- 865 :アイリス:2012/06/11(月) 22:08:58 ID:do5XJmGE0
- >>864
「…ヴァージニアか。ちょうどいい所に会えた。
君に少し話があってね。そこに座ると良い。」
茫然自失な様子のヴァージニアを見つけたアイリスは隣の席に腰掛けるよう、提案する。
何を感じ、何を思っているのかアイリスには分からない。
だが、なにかしら、悩んでいる様子は簡単に見て取れる。
ペンを走らせる手を止め、術を描いていたものを端に寄せて、アイリスはヴァージニアに声を掛けた。
- 866 :ヴァージニア:2012/06/11(月) 22:20:36 ID:BYE6WTcg0
- >>865
「私、に……」
はっと気付いたかのようにアイリスの方へ向き直ると、
彼女は対面の席に座り、何の話をするのだろうかと考え始めた。
きっと件の行動に対する話なのだろうとある程度は想像はつく。
アイリスの持つ情報網は広い、もう耳に入っていてもおかしくないと考える。
- 867 :アイリス:2012/06/11(月) 22:26:12 ID:do5XJmGE0
- >>866
「君はもう分かっているだろう?
先日の千夜学園生徒二名への襲撃の件だ。
昨日、綾の耳に入れておいた。それとは別に、少し君に話すことがあってね。」
そういえば、両肘をカウンターに載せ、告げ始めた。
話し始めたのは襲撃のことだ。
「君は、千夜学園の生徒二名を襲い、男子生徒に内臓損傷の負傷を負わせた。
間違いないかな?おそらく、綾からも聞かれるはずだ。
君の中できっちりと状況を整理し、分かりやすく説明出来るようにすると良いだろう。」
- 868 :ヴァージニア:2012/06/11(月) 22:39:29 ID:BYE6WTcg0
- >>867
「……」
自分の体の細胞一つ一つが、生々しい感覚を思い出す。
この襲撃は間違いなく自分がやったのだ。
受け入れがたい事実だが、彼女は首を縦に振るしかなかった。
「でも、私はやりたいとは思わなかった。
だんだんヒトが嫌になって、自分が抑えきれなくなって、それで……」
吸血鬼になったことで、人間にあった倫理観は崩壊し、
イドだけが強く前面に押し出され、超自我の力が弱まったと考えていいだろう。
この倫理の再構築が、下級吸血鬼にとっての課題ではある。
- 869 :アイリス:2012/06/11(月) 22:49:59 ID:do5XJmGE0
- >>868
「よろしい。この件の責は全て主の綾に負って貰う。
君は知らないだろうけれど、男子生徒の方は僕が治癒を施しておいた。
僕からいうことは一つだけ。今後、このようなことがないようにする、だけだね。
君はまだ、吸血鬼になって日が浅いと聞くからね。このように自分を抑えられなくなるのだろう。
そういった事情も考慮して、口頭注意だ。」
内容自体は学校で注意される程度のもの。
だが、さらりと言いのけた言葉はヴァージニアに取って大きな衝撃を与える言葉をヴァージニアの耳に入るだろう。
「ところでヴァージニア。
君が『自分を抑えられなくなった』理由は分かるかな?そういった場合は兆候も現れるはずだ。君は相談したかな?」
- 870 :ヴァージニア:2012/06/11(月) 23:06:42 ID:BYE6WTcg0
- >>869
「自分が抑えられなくなった理由……」
心の底では、人間というものを憎んでいたのかもしれない。
まず、自分が親に奴隷商人に身売りされていたことを話した。
このときから人間不信におちいり、身も心もずたずたにされた。
吸血鬼になってからも、組織に付け狙われたり、洗脳されたり、人外狩りに襲われたことを語る。
自分の中で行き場のない怒りが渦巻いていたのだろう。
彼女は表に吐き散らすようなことを好んでいなかったが、
理性が弱まり、潜在意識が外に出るようになると、心の闇が彼女を覆うようになった。
結果として今回の事態を招いてしまったわけだが、事前に防げたのだろうか。
「そういえば、誰にも相談してなかった……」
悩みを心の内にしまいこみ、見て見ぬ振りを続けていた。
もし誰かに相談していれば、最悪な事態にはならなかったかもしれない。
- 871 :アイリス:2012/06/11(月) 23:18:04 ID:do5XJmGE0
- >>870
「……根底にあるのは、『不信感』、か。
それを払拭するためには、様々なことが必要だね。」
方法を示すことは出来る。だが、それはこの主従の問題。アイリスは口を挟む気はさらさら無い。
ヴァージニアを教育ついでに一夜城に放り込んでしまうのもひとつの方法。
まずは、マンツーマンで教育しつつ、己を見つめなおす機会を与える。
まずは一人だけで、少しずつ不信感を取り除いていく。そこから一人、二人、と幅を広げていく。
ヴァージニアの不信感の根は深い。長期的に考えれば、この方法がいいのだろう。
もう一つは、そういった事を思わせないほど、様々な事をさせる。
その吸血鬼の躰を大いに利用するのだ。
学を身につけさせつつ、ストレス解消と戦い方を知る、2つの意味で躰を動かす。
「そして、僕が聞き及び限りだけれど、君は綾の館に戻っていない。
相談できなかったのはこの件と関係あるのかな?」
- 872 :ヴァージニア:2012/06/11(月) 23:28:37 ID:BYE6WTcg0
- >>871
「気を使わせて、しまうから……」
彼女は綾の従僕に位置する。主人に気を使わせたくないのはその為だが、
それは理由になっているのだろうか。
館に帰っていないのは、他にも理由があるのではないか。
それは、恐怖からだ。吸血鬼となって、綾とは力の繋がりを持った。
しかし未だ彼女の中に残る人の心が、綾に恐怖を抱いてしまっている。
以前、綾に問い詰められたときもそうだ。
腰が抜け足が竦み、意識の奥底で恐ろしさを感じてしまっている。
だからこそ、避けてしまっている。そう考えるのが妥当なところだろうか。
一説には潜在意識とは、体外に漏れ出しているらしい。
アイリスにその手の知識があるならば、彼女の根底に在る真実を嗅ぎつけられるだろう。
- 873 :アイリス:2012/06/11(月) 23:42:14 ID:do5XJmGE0
- >>872
「なるほどね。君が気を使うことで綾がどう思うか、考えてみると良い。」
アイリスは追求をしないし、心理学の知識は『さわり』程度すらあるか怪しい。
ヴァージニアが綾の家に帰っていようといなくとも関係無い。
これは綾達主従の問題であり、解決できるのは綾達主従だけだ。
館に帰っていない理由を、今アイリスが聞き出したところで意味は無いのだ。
本来、綾に向けるべき言葉は、アイリスにとっては必要ない言葉である。
力の繋がりを持つことで主の力を知る。
人は吸血鬼を恐れる。ヴァージニアに残った人の心は、恐怖という形で根付いた。
人は恐怖を避ける。だからこそ、恐怖の象徴である綾を避けたのだろうか。
「いいかい、ヴァージニア。
主従の問題は主従で解決する。これは大原則だ。解決できるのは君たちしかいない。
部外者は所詮部外者でしかなり得ないのだから。」
そういい、席を立ち、自分が持ち込んだ荷物を片付け始める。
何か声を掛けるのなら、これが最後だろう。
- 874 :ヴァージニア:2012/06/12(火) 00:02:30 ID:BYE6WTcg0
- >>873
「はい……」
屋敷に帰ることを避けてた原因、それは恐怖であることを彼女は確信していた。
綾は極端な心の動きを持っている。
慈しみの心に染まれば心の底から愛でるし、憤怒を覚えれば行き過ぎる激昂を飛ばす。
彼女に植え付けられた恐怖とは、その怒りによるものだった。
今回の件も既に綾の耳に入っているだろう。ヴァージニアと会えばどれだけ怒り狂うか分からない。
それでも逃げてばかりでは居られなかった。このまま帰らないわけにもいかないだろう。
「あの……」
アイリスに話しかけようとしたが、やはり辞めた。
立ちあって貰い、仲裁をしてもらうということは、逃げることに変わりないのだから。
彼女は席を立った。AGカフェの出口に足を向ける。
きっと屋敷に帰るのだろう。
- 875 :アイリス:2012/06/12(火) 00:08:50 ID:do5XJmGE0
- >>874
話しかけようとしたが、特に言葉も無いようだ。
視線だけはヴァージニアの背に移り、数秒見つめた後はそのまま消えて行く。
これからは綾とヴァージニアの話、とばかりにアイリスは一夜城へと消えていった。
口にはしないが、幾つかの手段をアイリスは用意していた。
それらを使うことになるのかは、この主従次第なのだ。
- 876 :名も無き異能都市住民:2012/06/14(木) 23:08:38 ID:.6prKP66O
- 不思議と人通りの無い街道、魑魅魍魎が獲物を求め闇に潜む
普通ならば面倒事を避けて通る事の無いそんな街道に言い争いをする二つの影
一つは息を切らし、必死に何かを叫んでいる
全身に傷を負い血を流してはいるが、次第に塞がる傷を見れば異形の者だと言う事がわかる
もう一方は青く厚いローブに身を包んだ初老の男
長くボサボサの茶髪が風に揺れる
注目すべきは男が持つ大きな十字架だろうか
ボロボロの相手を見下すようなその瞳には猫科特有の鋭さが現われていた
ボロボロの男は必死に叫ぶ、どうやら相手を説得しようとしているようで
「へ、へへ……冗談きついぜアンタ!
俺は人畜無害の吸血鬼だ……飯だって輸血パックを使ってるぜ…っ!」
ローブの男は黙って相手の話を聞く
「勘弁してくれよッ…な?俺はアンタに狙われることなんざ何もしてねぇッ!本当さ…ッ!神に誓うよ
見逃してくれッ!頼む!」
ピアスまみれの顔を歪ませ、脂汗を大量に流す俺は両手を上げ、無抵抗を示す
ゆっくりとローブの男に近寄ると、素早い動きで拳銃を抜き、ローブ男の頭を撃ち抜いた
「へ、へへへ!ざまぁ見ろッ!!俺はまだまだやりたりねぇッ!血を腹一杯吸って!この都市の頂点に経つんだよッ!!神なんて糞食らえだっ!!」
ピアスまみれの男は高笑いをし何度も拳銃を撃つ
弾切れになるまで何度も……しかしその時だった
ローブの男の小手に包まれた右手がピアス男の頭を掴み、壁に叩きつける
「あギャッ!?」
奇妙な声を上げるピアス男にローブ男が顔を近付ける
頭の銃創が見る見る内に塞がっていくのを見せ付けるように、初めてローブの男は口を開く
「人畜無害の吸血鬼?結構……他人の血を貪る吸血鬼?結構……
安心しろ吸血鬼……お前達は全て等しく価値が無い」
大きな十字架がピアス男の口にねじ込まれる
「お前達は無条件で悪だ、存在自体が有害だ」
静かにそう言った後……十字架から銀の杭が飛び出し、ピアス男を貫いた
灰が舞散る街道で、ローブの男は呟いた
「隅で縮こまっていればいいものを……お前達は調子に乗り過ぎだ化け物が……」
この夜を境に、異能都市の吸血鬼が次々と葬られる事になるのだった
- 877 :黒沢小百合:2012/06/15(金) 23:15:55 ID:SSMHlh/20
-
「ふぅむ、これが例の。
まあ、こういった区画は珍しくありませんが……。」
小百合は新たに設置された電灯によって
ぼんやりと照らし出された廃ビルを見上げ誰にともなく呟く。
――『特殊都市計画区域クニナシ』
都市郊外に出現した近代的廃墟。
異能都市では何時の間にやら新たな区画が出現したり、
別の場所に繋がったりという事は珍しくないが、これほど巨大なものは珍しい。
千夜グループもクニナシ都市開発事業機構から正式に
権利を配分され、この地区の開発を進めていたものの、
小百合はこの区画を訪れるのは初めてだった。
「しかし、どうにも不気味ですね。
最近はなにやら、怪しげな連中の根城になる事もあると聞く……。」
千夜クニナシ支所の視察という名目で訪れたが、
実際はなんともきな臭い放火事件関連の捜査が目的であった。
- 878 :名も無き異能都市住民:2012/06/15(金) 23:30:01 ID:1sJsd2CgO
- >>877
橋向こうの異能都市とは異なり活気……いや、生気の失せた雰囲気だ。
そこに潜む影がわずかにある
……薄汚れた放浪者達だ。
彼らは黒沢の訪れを機敏に察知し、闇へ闇へと逃げていく。
陸橋下のスラムからちょろちょろと出てきては、ガラクタを拝借する。
そういった者たちだ。
散っていく中で、じっ、と動かない姿がある。
襤褸のフードローブをかぶった二人組……小さいのと、ずんぐりして大きいのと、の二人。
そして。
視線が1つ、いや2つほど。
黒沢に向けられている。
- 879 :黒沢小百合:2012/06/15(金) 23:40:54 ID:SSMHlh/20
- >>878
ちょうど、千夜の担当者による
クニナシ地区事業の紹介などは当に終わっているし
最初予定されていた、夜の会食もキャンセルさせた。
クニナシ
「……少し、実際に此処を歩いてみたい。
ああ、貴方はよろしい。私の部下が居れば十分ですから。
今日はご苦労様でした。明日からもまた、職務に励むように。」
自分に媚を売ろうと、余計な会食を設定したり
色々な場所についてこようとする担当者をうっとおしく感じた小百合は、
帰るように伝えると、顔を青くした彼を残し夜の街へ歩を進める。
襤褸の二人組みにも気づいてはいるが、
護衛も10人はいるし、距離もある。問題はないと小百合は考えているが……。
- 880 :名も無き異能都市住民:2012/06/16(土) 00:02:10 ID:1sJsd2CgO
- >>879
襤褸の二人組が振り向く。
値踏みをするように双方を見比べると黒沢から視線を外した。
青ざめ、置いていかれる担当者と黒沢の姿が十分に離れた頃、彼は少々厄介な追い剥ぎに襲われるだろう。
植物のツルを巧みに操るリザードマンと、ダークエルフの男の子によって。
歩を進めた先は、所有者の決定していない――再開発の手が付けられていない――廃墟市街。
突き当たりには、周辺と比べ抜きん出て大きい建物。
古くはデパートであったのだろう、中身が崩れ落ちて伽藍堂となっている。
門のように佇む旧デパート、その向こう側に大きな通りが見える。
ただ一つの迂回路は崩落したビルの瓦礫が積み重なっている。
つい最近崩れたようである。
- 881 :黒沢小百合:2012/06/16(土) 00:23:43 ID:SSMHlh/20
- >>880
小百合は都市警備部門を束ねる主任の立場にあるが、
このクニナシ地区で開発を請け負っているのは都市開発部門。
他の部門の職員が死のうと小百合のあずかり知るところではない。
寧ろ、この死によってクニナシ地区に
警備部門の人員をさらに増員する方便として利用するだろう。
「……ふむ。もう少し新しいと聞いていたが、
老朽化している部分もあるのか。」
小百合は部下の手を借り、瓦礫を乗り越えながら進む。
身体能力に自信こそないものの、小百合は自分の目で物事を判断したがる
行動派の一面がある。
もう少し、中心部まで進むつもりなのだろう。
- 882 :名も無き異能都市住民:2012/06/16(土) 00:56:28 ID:1sJsd2CgO
- >>881
きっと帰る頃には、彼は惨たらしく殺されているだろう。
思惑通り、警備の人員を増やす口実が出来上がる。
瓦礫の丘は不安定ではあるものの、行く先を阻む障害にはなり得なかった。
思いの外易々と乗り越え、クニナシ特区の中心へと向かうことができた。
道中、10人の部下と黒沢の足音が静かな辺りに反響する。
1人、2人、足音が多いようにも感じる。
足元が暗い。
電灯はこの辺りには設置されていないのだ。
中心部へ向かう程に道幅が狭まり、蜘蛛の巣のように複雑に入り組んでいく。
明るい開発中の地区を背に進むと、独特の匂いがするようになる。
匂いは進むほどに濃くなっていく。
足元や壁面から仄かに染み出して、やがて一行を包み込むだろう。
兵士を戦場を創り出す黒沢はこの匂いに覚えがあるはずだ。
闘争を連想させる、鉄火の残り香。
……硝煙の匂い。
コンクリート壁に穿たれた無数の穴。
所々に残る.22口径弾頭。
点々と黒く焦げたアスファルトと鉄製のマンホール。
そのどれも、心許ない月明かりでははっきりとは見れない。
だが、確かに存在する。
不穏な空気。
――ザリ…。
頭上で何かが動いた。
- 883 :黒沢小百合:2012/06/16(土) 01:14:27 ID:SSMHlh/20
- >>882
鉄筋が露出したもの瓦礫や、
硝子の破片といった物が散乱する場所を、
明かりも無しに歩くことはできない。
『魔法の灯火』だとか『蛍火』だとか。
呼び方は様々だが、大半の魔術師なら魔術で明かりを灯すことができる。
小百合はそうした魔術の素養がある部下数人に、そうした魔術を使わせ明かりを確保した。
「しかし、何やら心地よい臭いがするな。
硝煙……誰かがここで発砲したのか?」
広大な無人の廃虚。ギャングや悪人の類が
潜伏するにはまさにうってつけの場所。現に、小百合の下にも
このクニナシ地区で指名手配犯やテロ組織の幹部連中が目撃されたという
情報がはいってきている。その中には、例の放火犯の情報もあるが……。
「……フン、しかしながら面白くなってきたようだが。」
小百合とて戦闘経験は多分につんでいる。
夜の市街地という、奇襲に適した場所を歩く小百合は
その場所的な危険性、なにより『不穏な空気』を感じ、
いつでも戦闘に入れるようあらかじめ『紙片』を手に握りこんであったのだ。
「どこかの刺客か。それとも都市の住まう不逞の輩か。
耳があり、口があり、心が木石でないならば姿を現し、
名乗ってみるがいいぞ。その上で降伏するならば慈悲深くもお前を殺さずにおくがどうか。」
頭上の異音を鋭敏に察知し、いつでも具現化できる体勢をとりながら声をあげた。
- 884 :名も無き異能都市住民:2012/06/16(土) 01:46:49 ID:1sJsd2CgO
- >>883
頭上の異音は沈黙を守っている。
そこは隙間を分け入るように、身を細くして聳えるビルの上。
見れば朧な月明かりに人影が浮かび上がっている。
防具で身を固め小型な小銃を携えた、細く小柄なソルジャーの姿。
これが頭上に1人。
何も答えず、眼下に黒沢を見ている。
その時。
向かいの隙間から現れた、五、六十代の窶れた男性。
資料でその姿を見たことがあるだろう、不破厳令その人だ。
たしか逮捕状が出ていたはずだ。
第八区画と名付け区分されている方面から、中心部を横切るように歩いてきたところ。
黒沢のほうを見、ギョッとした表情をしてわずか固まった。
逃げ出そうとする、今まさに直前。
どうする。
- 885 :黒沢小百合:2012/06/16(土) 02:02:29 ID:SSMHlh/20
- >>884
こんな場所、こんな時間に一人、しかもかなりの重武装。
明らかに『まとも』な人種でないことは確かであるが、
此方を襲うつもりなら、小百合が声を張り上げた際に
問答無用で射撃なり何なりしているはず。
警戒は払いつつも、ここは目の前の人物に集中すべきだ。
「あなたには黙秘権があります。
供述は法廷にて、貴方にとって不利な証拠としても用いられる場合があり、
また、貴方は弁護士の立会いを――。」
小百合は、ミランダ警告を逃げ出そうとする不破厳令に向け、
ゆっくりと余裕を持って発しつつも、袖口から紙片を抜き出す。
――ガシャッ。
容疑者の目の前に立ちはだかる、赤と青のパトランプと無数の銃口。
小百合は不破厳令の逃走方向に『警官隊』を具現化し、
一瞬で逃げ場を塞ぎ、包囲した。
- 886 :名も無き異能都市住民:2012/06/16(土) 02:25:27 ID:1sJsd2CgO
- >>885
警告が発せられた瞬間。
その意味と状況を理解し、不破は一目散に走り出した。
だが、眼前に突如現れた銃口に「ヒィッ」と叫び、情けなく腰を抜かした。
小脇に抱えた茶色の紙袋が地面に落ちる。
中身こそ出なかったが、派手に音が飛び出た。
固いものがぶつかる音と、カシャカシャと乾いた音が複数……。
「な、な、なんなんだ! どうして此処が分かった!? あ、いや、違う……お、俺はただここの土地を――」
後ろ手に這いずり、目の前の警官隊と距離をとる。
それも包囲されている以上、後ろと距離が詰まるだけ。
言い訳をヒィヒィと喚いて、どうにかしようとしている。
夜間市街装備のソルジャーは相変わらず、何も行動しようとしない。
ただ、この光景を静かに見ているだけだ。
- 887 :黒沢小百合:2012/06/17(日) 21:24:24 ID:SSMHlh/20
- >>886
「『保護』しろ。」
無様な様子に嘲るように鼻を鳴らすと、
小百合は一言指示を飛ばし、警官隊に不破を捕らえさせようとする。
小百合の近辺の護衛は例の兵士へと
警戒を行なっており、もしもの時の対応は護衛が取るようだ。
- 888 :名も無き異能都市住民:2012/06/17(日) 21:41:50 ID:1sJsd2CgO
- >>887
呆気なく。
実に呆気なく、不破厳令は捕まった。
抵抗する力は、警官隊に対抗するには些か以上に足りない。
何らかの異能すら持たない、ただの人間であった。
不破厳令が確保された途端。
兵士が、1人後退を始める。
- 889 :黒沢小百合:2012/06/17(日) 21:58:09 ID:SSMHlh/20
- >>888
追いますか。一人の護衛が小百合に問うたが、
ただ、手を軽く上げて追うなと制止する。
「今日は予想外の収穫がありました。
十分すぎるほどですし、何処の馬の骨とも分からん輩を
追う点数稼ぎも必要もないでしょう。」
厳令を拘束し、元きた道を戻るのは少し億劫。
小百合は行きに見繕っておいた開けた場所にヘリを具現化すると
それで千夜ビルへと、容疑者を連行する。
- 890 :名も無き異能都市住民:2012/06/17(日) 22:27:58 ID:1sJsd2CgO
- >>889
何かが詰まった紙袋。
容疑者が所持していた品、ということで回収したもの。
中身をあらためると、プラスチックケースに錠剤が入ったものが多数見付かる。
ヘリに乗り込んでからというものの、
不破厳令はおとなしかった。
大葉崎遼平の指示のもと、施設建造と隠蔽した事実関係を認め、追及にも淀む事なく応じる。
だが、一点だけ。
鮫嶋商会からの資金提供の件は追及を頑なに拒む。
鮫嶋商会側には、日戸グループへ資金が動いたような形跡がまるでないのに関わらず。
飛鷹阿佐見氏から資金を提供された、しっかり記録が残っているだろう、と主張を崩さない。
なのに証明を求めると黙って話さない。
- 891 :黒沢小百合:2012/06/17(日) 22:41:32 ID:SSMHlh/20
- >>890
「やはり例の商会か……。」
小百合は、取り調べ内容を録画したVTRを
自分のデスクで見ながら、一人呟く。
以前のロージェンス騒動から続くキナ臭い事件。
鮫嶋商会、アカハネ薬品、日戸グループ……。
何かが蠢いている事は直感的に分かる。
しかし、その分厚いヴェールに踏み込む事ができないもどかしさ。
以前と同じく、直接の聞き取りが必要か。
- 892 :狗:2012/06/17(日) 22:55:43 ID:5rNYmmpk0
- >>891
// ここいらで〆ですか?
- 893 :黒沢小百合:2012/06/17(日) 22:56:31 ID:SSMHlh/20
- >>892
// まだやりますか?
- 894 :狗:2012/06/17(日) 23:04:00 ID:5rNYmmpk0
- >>893
// いえ、伸びすぎもよくないので、しめたいです。
- 895 :黒沢小百合:2012/06/17(日) 23:08:32 ID:SSMHlh/20
- >>894
// 〆!
- 896 :アイリス:2012/06/18(月) 20:18:19 ID:do5XJmGE0
- 【一夜城】
アイリスは術式を作っていた。
今後、闇祓騎士団に対抗するための組織で必要になるであろうもの。
それはこれからあふれるであろう情報の統制と管理。アイリスの予測では、情報に関する取り扱いに最も時間を取られる。
構成は承認式を採用、情報の引き出しは壁へ投影式とする。
アイリスの計算では、オルゴールに関係者と承認させ、その際に出てくる独自のフォーマットに
襲撃された際の状況など、基本的な情報に加え、備考等を落とし込み、読みこませる。
自動保存された情報は独自に定めた権限により、閲覧できる情報を制限する。これは情報流出を抑えるためである。これは勿論おまけであり、実装は現在未確定である。
城の壁に投影させることで、目視で情報を頭の中に入れられるようにする。
これは、空き部屋の一つに、徹底的な防御を施した上で設置する算段だ。これで管理・秘匿は有る程度、楽になるだろう。
情報が集まり、充実してくる頃には、新しい情報から手前に表示されるようになるだろう。
アイリスは目の前のオルゴールに自分が知る情報を読みこませる。コチラから外部の協力者に情報を渡す際は原則口頭でするといい。
既存の情報の基礎の基礎は渡しておくのも悪くは無いだろう。この辺りはロザリアと相談しなければならない。
記入という手間があるが、外部の協力者には、詳細をしっかりと聞き及んだ上で聞いたものが記入すればいいだろう。
それが手間ならば、持ってくるだけでも良い。
後は、人員配置の作成。実働部隊に関しては、外部の協力者は自動的にコチラに配属、ここに入れる者は能力や適正により、情報部門か避難誘導などに割り振ると良いだろう。
とにかく今は、情報の管理体裁の作成と強化に割り振るべきだろう。今後を見据える限り、情報の取扱に最も苦心させられるだろうからだ。
また、実働にも人員を裂くべきで、現在の優先度は、実働、情報、避難誘導、といったところか。
「ふふっ…、忙しくなるね。ロザリアとはもっと頻繁に連絡を取り合わなければいけないね。」
そういい、アイリスは一階談話室でワインを飲む。
そして、アイリスも忙しく動きまわらなければならない。
- 897 :名も無き異能都市住民:2012/06/19(火) 22:18:04 ID:sGP6umW60
- ―――空き地。
雲に覆われた空は暗い。
まだ強くないが、しとしと降る雨は身体を濡らす。
前髪から落ちる雨粒がうっとおしくて、頭を振って飛ばす。
大きく息を吐いて身体と心を落ち着かせると、目の前を強く見つめた。
そこには何かがある訳では無い。ただ闇に向かって只管に蹴りを入れるだけだ。
外から見れば空き地の中央で踊る白は映えるだろう。
濃い闇が支配する中でも、確りと輝きを見せる白。
- 898 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/19(火) 22:33:10 ID:7gFzKdaU0
- >>897
「――ん?」
ふと、音が聞こえて、音の出処へ向けば、雨ざらしのまま蹴りを放つ人の姿が。
バイト帰りであった少女は、ビニール傘を差し、いつも通り身軽な格好をし、赤毛をポニーテールに結っていた。
そのまま、晩ご飯の準備の為に買い物でもしていこうかと思ったのだが、予定を変更。
「雨、拭かないと風邪引きますよ?」
いつも通りのおせっかいの為に、アテナは歩いて行き、声を掛ける。
敵意は無く、それだけを見ればきっと只の女子小学生に見えたことだろう。
- 899 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/19(火) 22:42:22 ID:M6bSkccQ0
- >>897>>898
「おや?、君たちは…」
一通りの『修行の準備』が終わって帰る途中、ただたんに道に迷ってここに来てしまい
こんな場面に出くわした。
「彼女の言うとおりだ、早く帰って服を変えた方が良い」
こちらもおせっかい焼きな性格の為、声を掛ける。
本当に心配していそうな声だ。
- 900 :名も無き異能都市住民:2012/06/19(火) 22:45:15 ID:sGP6umW60
- >>898
アテナが声を掛けると同時、ピタリと動きが止まった。
その姿勢はハイキック。
自らの顔と同じ高さまで上げた脚をそのままに、首だけを向ける。
「何、これは気分的な物だよ」
視線は思いのほか下に向けなければならなかった。
首を下げて、やっと見つけた瞳にクスリと軽く笑いかけるとポーズを解いて向き直った。
純白の髪に白い肌。元々の身体が持つ色は双眸の真紅のみ。
衣服までもが清々しく白に染まっている。この人間はアルビノだと解り易く告げていた。
両手を開いて少女に向ける。
右手は細く華奢な白い手。左は革製の手袋を填めていて、これもまた真紅だった。
「と、言っても。傘を持っていないのも確かだけど」
- 901 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/19(火) 22:50:24 ID:7gFzKdaU0
- >>899
「あ、ししょー。こんばんはっ!」
ぺこり、と深々と頭を下げて挨拶。
元々礼儀正しい上に、教えを乞う立場だ、それ相応の態度は取るのが筋だった。
>>900
「ああ、たまに無性に身体を動かしたく成る時って有るもんね。
特にこういうジメジメした日だと動かしてスカッとしたいってのはわかるかもなぁ」
同年代だろうと踏んで、口調がフランクに崩れる。
相手の姿を見ても驚いた様子は見せず、綺麗だなぁと呟きつつ笑顔を向ける。
妙に懐が深いというか、細かいことを気にしないおおらかさがあった。
「うーん……、入る?」
傘が無いとの事で、アテナは手持ちの傘を差し出してみる。
割りと大きいため、二人で入っても多少は余裕が有るだろうか。
- 902 :名も無き異能都市住民:2012/06/19(火) 22:51:24 ID:sGP6umW60
- >>899
「さっきも言ったけど、気分的な物だよ」
新たな声にも顔を向ける。今度は首が上に向く。
此方の身長は176cm。そちらの方が高いので水平よりも上になる。
「雨に濡れたかったんだ」
アルビノの人間は目を細めると静かに笑って見せた。
真紅の左手を口元に充てる様は何処か寂しげである。
- 903 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/19(火) 22:55:36 ID:7gFzKdaU0
- >>901
/*いちおうこっちでも修正、ロールを読み違えてたので、敬語のままって事でー*/
- 904 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/19(火) 23:02:06 ID:M6bSkccQ0
- >>901
「あぁ、こんばんは。
修行の帰りかい?」
ただなんとなく聞く。
こちらも小さくペコリとお辞儀をする。
「師匠とはいっても、まだ君には教えてあげたことは無いよ」
苦笑しながら言う。
>>902
「気分…か」
何処となく、哀れみを含んだ目をしながら言う。
「…、君は、帰る場所がないのかい…?」
これがとても失礼な質問だとは分かっている。
だが何故か無性に聞きたくなった。
- 905 :名も無き異能都市住民:2012/06/19(火) 23:11:20 ID:sGP6umW60
- >>901
「……そう言う考えもアリかもしれないね」
似たようなものだろう。
だが、本人の中にはそれとは明確な違いを抱いていた。
故にそう切り替えす。アテナに違うと言って見せる。
「遠慮しておくよ。今日の所は」
今日の所は。と言う言葉が続いた。
つまり、何時もならば入れてもらうと言う事だろう。
転じて、何時もは雨に好んで濡れたりはしないと言う事だろうか。
>>904
「何故そう思ったのかな?」
ウィルの言葉に僅かに目を見開いて返す。
瞳の真紅は並では無い。
アルビノ、故に血が映って紅く見えるもの。
今まさに活動しているそれは鮮やかな真紅だ。
- 906 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/19(火) 23:14:24 ID:7gFzKdaU0
- >>904
「いえ、バイトですッ!
これでもカフェでウェイトレスしてるんですから!」
えっへん、と胸を張ってアテナは笑顔を浮かべる。
尚、現在企画中だが、夏まっただ中になったら屋台を引いて移動カフェをオープンする予定であった。
「それでも教えを乞う以上は敬意を以て接したいんです」
真面目な顔で、小柄な身体故に大きく見上げる形で、アテナは相手の目を見据えた。
目と言葉が強い、そんな少女がこのアテナだ。
>>905
「私の場合は、なにかもやもやがあるといっつも何も考えられなく成るまで修行するんです。
悩み事なんて、ずっと座って腐ってても答えなんて見つかりませんしね!」
違うならば、悩み事か何かだろうか、と思い。
アテナは自分なら悩み事のある時はこうするのだけど、と返す。
「ん、わかりましたっ」
そう言うと、自分が雨に当たらないように傘を差す。
おせっかいでこそ有るが、不必要にしつこくはないのが彼女の美徳。
と言っても、しつこく有る必要がある時は、とことんしつこいのだが。
- 907 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/19(火) 23:23:12 ID:M6bSkccQ0
- >>905
「…、いや、すまない。
失礼なことを言った、謝るよ」
目には後悔の色を含んではいないが失礼な事を言った事に対する
謝罪の色が見られる。
「…、君は…吸血鬼かい…?、あ、いや、すまない、変なことを聞いた」
その真紅の目、太陽が無い時間、そこからなんとなく出た答えだ。
>>906
「バイトか…、君みたいな子が来ればこっちの店を繁盛するかな」
と、呟くが
「いや、気にしなくても良いよ。
それと敬意を持ってくれるのは嬉しいけど、あんまり日常で
師匠とは呼ばないでくれよ、恥ずかしい」
頬をポリポリと掻く。
- 908 :名も無き異能都市住民:2012/06/19(火) 23:34:44 ID:sGP6umW60
- >>906
「……違うんだ。
雨を見るとね、今は、無性に苛立つ」
真紅の左手を、掌を上にして前に出す。
雨が指先で弾ける感覚。掌に落ちる感覚。今は全てが不愉快だ。
「昔は好きだったんだけどね」
>>907
「……教えてくれ、何故キミはそう思ったの?」
純粋に、気になった。何故そう思ったのかが。
推測でもいい。そうでない思いつきでもいい。
自分に対してそう感じる目の前の人間の意思が、知りたい。
「違うよ。僕は『まだ』生きてる。
この瞳を見て思ったのかい? これこそ命の証だよ」
柔らかい曲線を描く瞳。その奥の真紅は今流れる血。
- 909 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/19(火) 23:38:29 ID:7gFzKdaU0
- >>907
「うーん、でも掛け持ちしちゃうと学校の勉強が大変で……
体丈夫なんですけど、頭があんまり良くないんです!」
大人びた口調や態度のせいで忘れがちだが、10歳だ。
そして、どちらかと言うと体育会系な上に、戦争に身を投じてきた以上、その知識は偏らざるを得ない。
そのため、彼女の通知表は少々悲惨な事になっていたりするのだが……。
「でも私、ししょーの名前聞いてませんし、それに、やっぱりししょーはししょーですから!」
どうやら、そこだけは譲れないらしい。
>>908
「――苛立つ、ですか。……なんで、ですか?
あ、いや、別に話しづらいことだったら話してくれなくてもいいんですけどっ」
気になって、つい口に出してしまうのがアテナだ。
だが、とっさに慌てて、話さなくていいとも語る。
彼女の瞳には、僅かに懐かしい色と、僅かな悲しみだけが、見えて、隠れる。
- 910 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/19(火) 23:47:03 ID:M6bSkccQ0
- >>908
「…、君が…、寂しそうな目をしていたから…。
そんな雰囲気を出していたような気がしたから、それと…」
言葉が思い浮かばないんだろう、少し考え込んでいた。
「ただ、…何処となく此処に住む人達とはまた違う雰囲気があったし
なにより、その…、さっきの行動を見てて、なんか我武者羅な感じがして…」
どうにか言葉を絞り出すがなんとも言いづらい。
「意味が分からないかもしれないけど、こんなふうに考えてたとしか…、ごめん。
君の望む答えじゃなかったかもしれない」
と、また謝る。
「『まだ』…、か」
意味深な事を言われたが特に詮索はしない。
「血…、どんな生き物にも流れ、なければならない物…か」
>>909
「あぁ、そっか。
確かに大変なことになるね、勉強頑張りなよ」
優しく微笑みながら言う。
「あ、そっか、名前まだ言ってなかったね。
僕はウィル、ウィリアム・ジョン・広田。
ウィルって呼んでくれ、できれば」
- 911 :名も無き異能都市住民:2012/06/19(火) 23:56:05 ID:sGP6umW60
- >>909
「さぁね。僕も深くは解らない」
真紅の左手を払い、掌に溜まった雨を落とす。
そのままの調子で首も降って、再度頭の雨を落とす。
「雨を見過ぎた反動かも知れない」
解らないよ。と続けて呟く。
微かな笑顔を浮かべてはいるが、瞳は悲しげだった。
>>910
「そうだね……じゃあ、何故僕がここまで尋ねたんだと思う?」
寂しげな瞳は一転。
真紅の瞳はウィルに向かって楽しげだというサインを送る。
まるで答えを当ててみろと言わんばかりの視線だ。
「そうさ。それはきっと吸血鬼だって同じだよ」
- 912 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/20(水) 00:02:23 ID:7gFzKdaU0
- >>910
「ええ、折角普通に小学生出来るんですから、勉強も遊びもなんでも力いっぱい楽しみたいんですッ」
どこまでも、純粋を貫くような少女の様は、ありふれているようで居ながらも、基調なものだ。
特に、この都市に於いては、なおさら。
そして、アテナはそれを理解しているからこそ、平穏を、日常こそを愛し、守ろうとしているのだ。
「えーっと……ウィルししょーで……!」
ししょーだけは譲れないようだ。どうしようもなく。
>>911
「――そう、ですか。
その――――また、好きになれると、いいですね。
きっと、好きなモノが増えたら、それだけ毎日が楽しくなりますからっ!」
元気づけるように、前向きな少女は前向きに言葉を重ねる。
嫌いなら、憎いなら、好きになれる事を楽しみにしよう。
アテナは、傘を畳んで雨に手で触れながら、ジメジメとした感覚に負けない笑顔を浮かべてみせた。
- 913 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/20(水) 00:09:12 ID:M6bSkccQ0
- >>911
「う、うーん?」
必死に思考を巡らせる。
あんまりこういった掛け合いをした事はあまりないためだ。
「それは、当然だろう。
彼等だって生きとし生ける者だ、血が流れていない存在はもう死んでいる存在
言わばゾンビ、生ける屍だ、…そんな存在がもう現れないことを祈るが」
>>912
「……?、『普通に小学生』?」
何処となく言いまわしに違和感を感じた。
「…、いや、その、ししょーじゃなくて師匠とは言えないのかな…?
いや、まだ師匠の漢字は習ってないのか。
そういえば君の名前は?」
- 914 :名も無き異能都市住民:2012/06/20(水) 00:22:37 ID:sGP6umW60
- >>912
「……キミは明るいね」
膝を曲げ、目線を合わせるとクスリと声を漏らして笑んだ。
瞳は純粋に少女を褒める時の物だが、その声のトーンには羨みが混じっている。
つまり、「僕には無理だ」と、言いはしないが言いたげで。
「キミこそ、風邪を引くよ?」
僕に付き合う必要は無いよ。
そう言うと少女の頭上高くに手を置く。
雨を妨げる真紅の手は薄く、細い。が、それなりには雨を防ぐ。
>>913
「『そんな物だから』」
別に大それたものでもない。
そう言いたげな口調でウィルの始めの言葉に同意する意味の言葉を発する。
細く、力を加えれば簡単に折れてしまいそうな程華奢な右手の人指し指を立てて、円を描きながら答える。
軽く笑んでいる。本来のこの人間が持つのであろう、年相応な色のある笑顔だった。
「どうだろうね。キミはこの都市に来て間もないのかい?」
曖昧に、返事を返すと唐突に、ウィルに向かってそんな事を聞く。
- 915 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/20(水) 00:27:36 ID:7gFzKdaU0
- >>913
「……まあ、乙女には秘密が108個はあるものですよ?
長くなりますから、いつか話す機会が有ったら話します」
ふっふー、と上機嫌な様子でアテナは秘密にする。
おそらく、そこに、この少女の年齢不相応な部分の秘密が有る。
「え、師匠って言ってますよ、ええと、ウィルししょー」
口に出すと微妙に柔らかい語感になる。
まあ、バイト先の店長もてんちょーと呼んでいるので癖のようなものだろう。
ぶっちゃけ、文字にしたら分かる程度で、微妙に子供っぽい呼び方程度の違いだ。
「あ、前名乗ったと思いますけど、じゃあもっかい。
私立千夜学園5年生、萌葱アテナですッ!
一応、AGカフェっていうカフェでバイトしてたりもします!
特技は料理と鍛錬、苦手は勉強と女心!よろしくですッ!」
押忍ッ!となんとも少女らしくない締めで、アテナは自己紹介。
何かと気合の入っている少女であった。
>>914
「いっつも元気な事くらいがとりえですからッ
ええと――お姉さんだって、もっと笑えばいいと思います、笑顔って凄いんですから!」
名前を聞いていなかったため、とりあえずお姉さんと呼称。
そして、アテナはにぃ、と満面の笑みを浮かべ、ほら!、と相手にも何かを促す。
前向きであることは、アテナのポリシーの一つだ。細かいことを考えるのが苦手なら、沈んでいたってどうしようもないのだから。
「これでも、体は丈夫だから大丈夫ですよー?
でも、ありがとですっ」
ぺこり、と頭を下げて。アテナはちょっと伸びてきて癖の目立つ髪がところどころぴんぴんと跳ね始めたのに気づき、わたわたとし始めた。
慌てて傘を挿し直し、髪の毛を直し始めるのであった。前まではショートだったが、伸ばすようになって、多少の癖が目立ってしまうのだった。
- 916 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/20(水) 00:35:04 ID:M6bSkccQ0
- >>914
「そっか、そんなものだから、か」
何処となく納得したような雰囲気で言う。
「……、よかった」
その年相応の笑顔を見て知らず知らずの内に呟く。
「いや、それほどでも……うーん?
40年から60年くらい前から此処に住み始めた筈だし…」
見た目はまだ30年代後半位なのに変な事を言い始める。
>>915
「そ、そうか」
何処となく引きながら言う。
「……これは言い方に問題があるな。
ま、いっか」
さすがにこれは個人の問題だとして片付ける。
「アテナ君……で良いのかな?」
- 917 :名も無き異能都市住民:2012/06/20(水) 00:46:24 ID:sGP6umW60
- >>915
「笑う時は笑うさ、僕だって」
ウィルに向けた笑顔のまま、少女に言葉を返す。
その笑顔は本物ではないが、それに限りなく近かった。
何故本物に成り切れていないか。それは恐らく雨が降っているから。
「気に掛けるに越したことは無いよ。キミだって身体が資本だろう?」
傘を差しなおしたのを見て、手を退ける。
そのまま腰に手を当てて、少女に笑みの消えた顔を向ける。
>>916
「でも、これでいいのだろうか。
僕は、4年間考えても未だに解らないよ」
何処となく含みのある表情だ。
全体的に暗めではあるが、そこには確りと表情の差は存在する。
「……そうなのかい? いや、それならそれでもいいんだけど……」
ウィルの言葉には考える様子を見せることは無い。
意外そうな口調が特徴的だが、それが関係しているのだろう。
- 918 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/20(水) 00:50:33 ID:7gFzKdaU0
- >>916
「ひ、引かなくたっていいじゃないですかー!」
心外なー!とちょっと涙目になりつつ、うがー!と怒ってみる。
と言っても、殆どポーズ的なもので、本当に怒っているわけではないのは見て取れる。
「アテナって呼び捨てにしてもいいですよ? 好きなように呼んでくれていいです」
呼び名には特に頓着しないのか、問題にはならない。
>>917
「ん、やっぱり笑顔の方がいいと思います。
いつか会った時、きっと笑わせて見せますからねー!」
アテナは雨の降っていない時の笑顔が見たいなぁ、と思う。
だからきっと、また会おう。そう決めたのだった。
「ええ、身体が資本――――って、もうこんな時間ですか。
……学校があるので私は帰ります。またいつかー!ウィルししょーとお姉さん!」
そう言い残すと、アテナは手をぱたぱたと振って走り去っていくのだった。
その足取りは軽く、雨も楽しんでいるのであった。
- 919 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/20(水) 01:02:23 ID:M6bSkccQ0
- >>918
「ハッハッハ、まぁ良いじゃないか、うん」
何が良いのかよくわからない。
「そうか、でもアテナ君と呼ぶことにしよう」
そう言って頷く。
「あぁ、じゃぁね、また今度」
手を振りながら言う。
>>917
「4年…か。
そんなに悩み続けても答えが出ないんだったら。
その答えに近付く方法を探してみたらどうだい?
いや、もうすでにその方法を見つけてるかもしれないけど」
「解らないんだったらしばらくその事について考えるのを止めて
一旦、自分の他にしたい事でも考えてみればどうだい?
それにちゃんとした答えがあるなら、何時か答えが見えてくる筈だよ」
自分にはこうとしか言えない、と思いながら言う。
「ん?、別にここじゃそんなの問題ないだろう?
僕なんぞよりもよっぽどの年長者だっているしね。
それと、僕はそろそろ帰るけど……、君、自分に親しい人はいる?
もしいるならその人に答えを求めてみると良い、その人なりに応えてくれるはずさ。
ま、いないんだったら何とも言えないがね。」
ふと思い出したように言う。
「そうだ!、僕の家はカレー屋でね。
なんか困ったら来てみればいい、地形も変わらない場所だし
相談には乗ってあげるよ」
そう言って、場所の書いてあるメモを渡す。
「それじゃあね、お金がなくても、材料が余ってたらカレーを作ってあげるよ」
そう言って、その場から立ち去る。
- 920 :名も無き異能都市住民:2012/06/20(水) 01:18:56 ID:sGP6umW60
- >>918
「楽しみにしてるよ。
キミのその意気込みも、キミと会う事も」
真紅の瞳で少女を眺め、真紅の手で別れを告げる。
暫くして去っていく背中を見つめながら、左手の動きを止める。
その手は目にかかるくらいにまで伸ばされた前髪を恥ずかしそうに摘まんだ。
「お姉さんって、さ……」
余り言われ慣れていない。
故に素直に恥ずかしがっているようだった。
>>919
「キミも前向きだ。
答えに近づく方法も、答えすらないと言う風に考えてしまったよ、僕は。
その通りだよ。だから今、僕は別の事を頑張っている……そうだね。これが終わったら真面目に考えてみるよ」
フフッ。
浮かべた笑みは静かかつ暗い。
「……そう言う訳じゃない、まぁ……知らなければいいよ」
40年だか60年だか。
そんな長い間ここに居て動く屍の類を見たことが無い。と言うのが驚きだった。
僕だって前に見たのに。そう告げようとしたが、面倒事になりそうな気もしたのでやめておいた。
メモを受け取ると確りと目に焼き付けて覚えておく。傘を持たない以上、暫くすれば紙屑になってしまうからだ。
「答えは僕が見つけるさ、誰にも見つけられないかもしれないけどね。でもね、もし、出来るなら僕だけだと思ってるんだ」
既に水で一部がふやけて見えなくなってしまった紙。
それを真紅の手に渡すと、拳の中に入れ込んで、強く握る。
「ありがとう。」
- 921 :名も無き異能都市住民:2012/06/20(水) 01:21:41 ID:sGP6umW60
- //はいはい途中送信途中送信。
「ありがとう。連絡、取ってみるよ」
去っていく背中を見つめながら握った拳をゆっくりと開く。
水に濡れるどころか、灰になってしまったメモがパラパラと落ちていった。
「さて、僕も帰ろうかな……っと、」
くしゅんっ。
……風邪、引いたかな。
- 922 :アイリス:2012/06/20(水) 22:19:43 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
例のごとく、カウンター席に座り、紙面を眺める。
最近は毎日のように人外が死亡の文字を見ることが多くなってきた。
「……(やれやれ、拙いね。このままだと……。)」
最近の紙面に見られる傾向として、人外であれば許される、相手が人外なら良いと思った、といった供述が多いもの。
人外が狙われている以上、早く行動を起こさないと、被害者が増えるだけなのだ。
闇祓騎士団の影響だろう。
彼等をスケープゴートにして、満たしてはいけない欲求を満たせるのだ。
クロスや良方といった、人外に対し理解を示してくれている者も居る。
彼等には悪いが、芽を摘み取ることも考慮に入れなければいけない日が来るかもしれないと思えば、アイリスの気は僅かに重い。
こうして席につき、落ち着いたアイリス。
用件はいくつかある。それをしようというのだろうか。
「さて、クロスは居る、かな?」
- 923 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/20(水) 22:25:56 ID:HnkBBDEo0
- >>922
「はーいはーいはーい、いらっしゃーい」
そう言いつつも、自身はテーブルの上で何やら機械を弄っている。
どうやら右腕の義手らしく、取り外してメンテナンス中のようだ。
「もうちょっとで終わるから、注文は少し待っててくれー」
- 924 :アイリス:2012/06/20(水) 22:33:42 ID:do5XJmGE0
- >>923
「わかった。では耳を少しだけ傾けて、答えを返してくれるだけでいいさ。
クロス、君は礼装を持っているかな?」
クロスが耳を澄まさなくても聞こえるはずだ。
金属製のものが何度も何度もカウンターに置かれていることに。
件の紅茶の缶200gを5個ずつカウンターに並べて。
計3種15缶ずつ、きっちりと揃えられていた。
「持っていないのなら、丁度良い機会だから、一つ受け取ってほしいものがある。」
- 925 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/20(水) 22:38:48 ID:HnkBBDEo0
- >>924
「なんだ、冠婚葬祭でもあんのか? スーツなら持ってるけど、黒いのが一つって感じかな。
あ、あと結婚式の時に着た奴があるけど、あれはもう普段は着ないね
要するに、実用的な数は持ってないってこった」
喋りながらも義手に片手でパーツをはめこんでゆき、能力で操作しているドライバーで固定してゆく。
「で、受け取って欲しいものって何だ?」
- 926 :アイリス:2012/06/20(水) 22:46:35 ID:do5XJmGE0
- >>925
クロスの返答を聞く限り、聞き間違いというより伝え方が悪かったと言うべきだろう。
世間一般では、礼装といえば、冠婚葬祭に着ていくもの、と相場が決まっている。
「その礼装じゃないよ。魔術的なものだね。例えば、負荷軽減だったり、魔術的補助を目的としたものさ。
君に受け取ってほしいものというのは、紅茶の茶葉だね。
剣のお礼さ。」
クロスが義手のメンテナンスを終え、カウンターを見れば分かるはずだ。
見たことがない茶葉の缶のラベルが、クロスの方へ向けられており。
- 927 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/20(水) 22:52:00 ID:HnkBBDEo0
- >>926
「ん?」
やっと振り向き、
「おおー! 来たか!!」
ガションと右義手を腕にはめ込み、両手を広げて紅茶の前へ。
「うっはー匂いスゲー! 早速飲もうぜ!!」
大喜びでお湯を沸かし始めた。
「ああそうそう、礼装の話な。
魔術礼装なら、俺が学生時代に一つ作ったコートがあるんだが……少しばかり問題作でな。
金属を多く使ったせいか、常人には重くて着れない上に、コートだから夏は暑くてたまらん。
近々改造するかどうかで迷っているヤツが一着あるぜ」
- 928 :アイリス:2012/06/20(水) 23:02:04 ID:do5XJmGE0
- >>927
「早速淹れてくれるかい?」
元々クロスはアイリスにも飲ませるつもりだったのだろう。
その意図は言葉尻から読み取れた。
「…、そうか。
こんなものはどうかな。君に使う意思があるのなら、使ってほしい。」
何もないところに手を突っ込めば、現れたのは、コートが入りそうな箱。
箱は十字の形で紐で止められている。
箱から、魔力が漏れている。
紐を解き、箱を開けてみれば、真紅のジュストコールの形に近い。膝までの長さがあるのだろう。それなりに大きさを感じる。
ジュストコールとの違いは襟が折り畳まれている部分。襟の部分だけコートに近い形状である。
縁から五センチ程度は鮮やかな金糸で縫い込まれており、ワンポイントに黒糸で紋様が縫い込まれていた。
- 929 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/20(水) 23:11:23 ID:HnkBBDEo0
- >>928
茶葉の入ったポットにお湯を注いだところで、クロスの左目が開かれる。
「これは……」
クロスは迷うことなく右目の眼帯を外し、その魔術礼装を“視”始めた。
「魔力が織り込まれているのか? でも量の割には『もたれ』が無き邪気だ。
どんな相手にもなじみやすい、いい魔力だ。俺の邪気と呼応させれば属性固定もイケそうだな。
素材だが、なんだこれは? 軽いし伸縮性にも富んでいる。通気性もあるのか?
デザインは……なるほど、俺の好みが分かってんじゃねーか!!」
まるで新品の玩具を与えられた子供のような笑顔でコートを取り出し、広げて眺める。
「おい、マジでコレ使っていいのか!?」
- 930 :アイリス:2012/06/20(水) 23:23:36 ID:do5XJmGE0
- >>929
「素材?素材は特殊な方法で染色したウチのシルクに6年分の僕の髪だから、邪気と魔力はそれなりにあると思うよ。
今、この段階でも、クロスが着用するなら火耐性アップに遊び程度のプラスアルファを加えられる程度かな。
背中はね、一番迷ったよ。
逆十字を入れようか悩んだけれど、クロスの眼帯があるから必要無いかな、と思ってね。」
よくよく広げてみれば、ちょうど太ももの裏あたりの位置で切れ目が入っており、足の機動性を殺さないよう工夫されていた。
アイリスから見れば、クロスの好みは分かりやすい。
赤を基調とした、モノクロ調の服。
「いいよ。僕レベルのもので良ければね。使うなら、大事に使ってほしいね。
それを着る君を見ていたい。」
何とも回りくどい言い方な上に、恥ずかしいのかクロスから視線を外して。
遠まわしに、何度もそれを着ろ。その姿を見せろ=死ぬな、とでも言いたいのだろうか。
- 931 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/20(水) 23:31:09 ID:HnkBBDEo0
- >>930
「お前の髪の毛6年分んんんんn!? すっげぇえええええ!!!」
おおおおおおおと叫びつつ、クロスはベストを脱ぎ、ワイシャツの上からジュストコールを羽織る。
「ぴったり!! サイズもバッチリだよ。なぁ、似合ってるか!?」
テンションは上がっているようで、目がキラキラと輝いている。
というか、右目から邪気が漏れ出し本当に輝いている。
その子供のような顔でアイリスの顔を覗き込んで「なあなあ、どうだよー!」などと聞くクロス。
どうやらアイリスの「死なないで欲しい」などということは考えてもいないようだ。
そもそもこの男は「幸せに死ぬ」ことを生きがいにしている人間だ。
よって、誰かに殺されるつもりなど微塵も無いのだろう。
- 932 :アイリス:2012/06/20(水) 23:44:37 ID:do5XJmGE0
- >>931
「基本的に僕らは髪を長いまま維持するよう言われていてね。長髪に篭ったそれはいざというときの保険さ。
クロス、鮮やかな紅が輝いているよ。どうだい、少し動いてみて、手直しするところがあるなら手直ししよう。
君の服装にも見事にマッチしていて、実にクロス“らしい”
クロスが着る姿を想像しながら作ったんだけど、まさか本当に、ここまで似合うとは思っても居なかったよ。
情熱を司る紅、破壊の紅。実にクロスを表現できているね。」
ちょこちょこと長髪を梳きながら、込められ続けた魔力と邪気は、その間一切使われることは無かった。
今は髪を切り、伸ばす段階に戻ってきてはいるものの、それまでに込められた魔力量は、
非効率的な魔術構成のアイリスが行使できる大魔術10発は撃てる量となっていた。
その軽さ、込める術式の方向性により、単属性ながら外部的な耐性を付ける手段、攻撃補助的の役割を担えるだろう。
クロスの子供のようなはしゃぎ様に、アイリスは思わず笑みを浮かべる。
母が自分のために作った礼装に比べれば、子供のおもちゃのようなものだが、アイリスは確かに嬉しかった。
渡した人物のはしゃぐ様を見るだけで、作って良かったと思えた。
- 933 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/20(水) 23:48:09 ID:trmDr2BE0
- イベスレじゃなくて日常のγでした。すいません!
- 934 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/20(水) 23:53:57 ID:HnkBBDEo0
- >>932
「え、コレお前が作ったの!? しかも俺用……
スゲー! 服を作るのはともかく、それを『魔術礼装』として構築するのは相当の技術が必要だったハズだぜ?
俺が学生時代に作ったのは『自分用』だったから術陣の基礎設定を血液で補えたけど、
それが『他人用を作れ』って言われたら絶対に無理だと思ってたもん」
そういいながらも店の中だと言うのに飛び跳ね、動き周り、拳を振るい、
動き易さや稼働域、伸縮性や強度を確認する。
というよりも、新しい服を着てテンションが上がっているというのが大半だが。
「うん、動きに支障無し。そうだな、手直しはこっちでやるぜ。スリットとか入れたり、ロゴプリントとかやりたいね!
逆に言えば、『どこを改造したら危険か』を教えてくれると助かるかな。
魔術礼装には装飾一つにも意味が込められているから、迂闊に手を出せないっていうのがある」
そこでやっとポットから紅茶を二つのカップに注いだ。
いい匂いが辺りを包む。
「ああ、出来たみたいだ。飲もうぜ」
- 935 :アイリス:2012/06/21(木) 00:10:51 ID:do5XJmGE0
- >>934
「ベースは普通のものなんだけどね、母様から教えて頂いていたんだ。いつか、僕にも必要だろうからね、ってね。
紋様はデザイン性と機能性を兼ねたもので、あの剣の紋様、クロスも知っているだろう?
紋様に関する術式は、ウチに資料が結構あるから色々と参考資料も合ってね。むしろ取捨選択に困ってしまったくらいだ。」
アイリスの記憶が正しければ、紋だけの資料で8m16段の棚が30個ほど使用されていたはずだ。
「触っては行けないところ…か、それは穴を開けること。生地と生地の間に僕の髪を挟み込んで術式を構成しているんだ。
これをしてしまえば、礼装としてはお終い。多くの術式で構成されているからね、穴が開けばただの服と成り下がって、意味を成さなくなる。
危険な領域は背中から腰にかけて、だけだね。縁の紋はデザインだから自由に弄って良いよ。」
そういって、簡潔に告げれば、紅茶を飲む。
懐かしい、祖国の味だ。…、といっても一夜城で毎日のように飲んでいるが。
- 936 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/21(木) 00:18:37 ID:HnkBBDEo0
- >>935
「おおう、わかった。なるべき傷つけないようにしないとな。俺の戦法は被弾が多くなりやすい。
危険な箇所が背中から腰という、後ろの方に回っているのが、せめてもの救いか」
ふむふむと呟きつつ、クロスも紅茶を口にする。
「あー、やっぱりいいな、この茶葉は。後で冷やして明日も飲むか」
そう言いつつカップを置き、
「ありがとう、アイリス。大切に着るよ」
やっと冷静になったのか、頭を下げた。
- 937 :アイリス:2012/06/21(木) 00:26:28 ID:do5XJmGE0
- >>936
「一番面積が多くて、術式をまとめられたのが背中周りだからね。
クロスの戦法と合って、本当に良かったよ。」
もう一度、紅茶を飲む。
「クロス、諄いようだが、彼等に気を付けてくれ。
君もおそらく標的になるだろうからね。助けが欲しければ、僕に連絡をくれるとありがたい。
僕達、意外と味方が多くてね。クロスも驚くかもしれないよ。今夜はこれで失礼しよう。
おやすみ、クロス。」
紅茶一杯分の料金をカウンターに置けば、アイリスは消えていく。
何故、こんなにも急にクロスに対し礼装を用意したのかは不明。
だが、クロスに死んでほしくないということは曲げ様のない事実だった。
- 938 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/06/21(木) 00:35:23 ID:HnkBBDEo0
- >>937
「ああ……助かるよ。なに、俺だって黙ってやられるわけにもいかねぇ。
誰かが泣くのが嫌だし俺も胸糞悪いから、それを止める為だったら誰にだって縋り付いて助けを求めるさ。
だからこそ、今回はこうやって、だな。うん……感謝してる」
紅茶を飲み干し、店から出てアイリスに手を振る。
「わざわざありがとな!! 今度その味方ってヤツ、紹介してくれよー!!」
一通り手を振った後、クロスもまた店の中へと戻っていった。
- 939 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 20:30:22 ID:pYc/UFHE0
- 【ウィルのカレー屋】
何時も通り、これに尽きる。
客は今の所おらず、滅茶苦茶空いている。
「…、今日は誰も来ないか」
- 940 :アドルフ:2012/06/21(木) 20:45:18 ID:IrsgDsYs0
- >>939
がらり。
「あ、良かった開いてた。
とりあえず元気が出て眠気がとれるものをお願いします。」
入ってきた少年の虚ろな目には、特大の隈。
小脇に黄色と白にペイントされた、いかにも'試作品'といった感じの二輪の無骨なインラインスケートを抱えている。
ふらつく足取りで、席についた。
- 941 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 20:49:27 ID:pYc/UFHE0
- >>940
「あ、いらっしゃい、…お疲れのようですね
飲み物はいかがなさいましょう?」
- 942 :アドルフ:2012/06/21(木) 20:54:03 ID:IrsgDsYs0
- >>941
「えっと……甘くて濃いものを。」
机に伏せてしまった。
放っておけば寝息が聞こえるだろう。
- 943 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 20:58:04 ID:pYc/UFHE0
- >>942
「甘くて濃い…、ココアだな」
そう言うと、毛布を畳から取り出し、背中に掛ける。
「少々お待ち下さい」
そう言うと台所に向かう。
- 944 :アドルフ:2012/06/21(木) 21:03:21 ID:IrsgDsYs0
- >>943
毛布を掛けられた一瞬だけ、目を覚ましたようで。
「…ありがとうご…」
zzzZZZZZZ
またすぐに寝てしまった。
- 945 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 21:10:15 ID:pYc/UFHE0
- >>945
「フフ、YOU,re welcome(どういたしまして)」
そう言うと、カレーの鍋をコトコトと煮る。
しばらくするととても美味しそうなカレーの匂いがする。
- 946 :アドルフ:2012/06/21(木) 21:14:30 ID:IrsgDsYs0
- >>945
ZZZZZZZZZZZZZZZZ
かなり深く眠ってしまっている。
叩くなり揺さぶるなりすれば起きるだろう。
- 947 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 21:16:24 ID:pYc/UFHE0
- >>946
「ゆっくり寝ていてくださいね
後で、眠気や疲れが吹き飛ぶカレーを出しますから」
そう言うと、カレーに右手を翳す。
「…波紋疾走(オーバードライブ)」
ピカッと右手が光る
- 948 :アドルフ:2012/06/21(木) 21:23:02 ID:IrsgDsYs0
- >>947
ZZZZZZZZZZZZZZZZZZ
「むにゃ………これさえ完…いすればグ…フォンが………」
呟くような。
寝言、である。
- 949 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 21:30:22 ID:pYc/UFHE0
- >>948
「…、何かの研究者かな?
グでフォン…グリフォン?、いや、まさかね」
そう言うと、カレーを皿に盛る。
「お待たせいたしましたー、どうぞお召し上がりください」
カレーを目の前に置きながら言う。
「…まだ起きないか、…波紋疾走(オーバードライブ)!」
ビリッとアドルフの体に電流のようなものが走るッッ!!
のび太でもすぐに置きそうだッッ!
- 950 :アドルフ:2012/06/21(木) 22:03:45 ID:IrsgDsYs0
- >>949
//グリフォン?お見事!
「っわぁっ!?」
びくっ、と痙攣し、乱れた茶髪が更に乱れる。
「すみません、眠り込んでいたようです。
わぁ、すごく美味しそう…
いただきます!」
手を合わせた後、スプーンを取って掬い、食べ始めた。
口に入れたその瞬間から、睡魔が尻尾を巻いて逃げ出す。
数日間ロクなものを食べていなかった彼にとってーーー否、直前に何かを食べていたとしても、そのカレー旨さが絶品であることに変わりはなかっただろう。
「こんなに美味しいものを食べたのは、どれだけぶりでしょうか………
絶品です!」
それだけ言うと、一心不乱に食べ続ける。
- 951 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 22:07:57 ID:pYc/UFHE0
- >>950
//フフ、頭文字と最後の二字で大体わかりました。
「お客様、大丈夫ですか?」
と、ワザとらしく言う。
「どうぞ、お召し上がりください」
食べていく度に眠気が無くなる。
食べていく度に、疲れが飛んで力がみなぎるッッ!!
「フフ、ありがとうございます。
あ、どうぞ」
そう言うと、ココアを差しだす。
「カレーを食べ終わった後の方がおいしいですよ」
- 952 :アドルフ:2012/06/21(木) 22:19:10 ID:IrsgDsYs0
- >>951
ココアに気付いたのは、数分経ってカレーを平らげたときだった。
「あっ、ココア!
好きなんですよ。最近飲む機会がなかったけれど。」
味わいつつ、飲み干した。
少し汗ばんでいて、顔も赤い。
「美味しかった〜
最高です、この店は。
お勘定は幾らですか?」
ポケットから折りたたみの財布を取り出して。
隈の消えたその顔は、元の疲労を微塵も残してはいなかった。
- 953 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 22:22:56 ID:pYc/UFHE0
- >>952
「そうなんですか。
今の内の飲んでおきましょうか」
ニコニコと笑いながら言う。
「そうですか、ありがとうございます。
料金は500円です
…先ほどとは打って変わって、かなり元気そうですねぇ〜」
- 954 :アドルフ:2012/06/21(木) 22:33:13 ID:IrsgDsYs0
- >>953
「500円!!?
それはあまりにも。」
デフレの嵐の中といえども、あまりに品質に釣り合わない価格である。
財布から取り出したのは、アフリカでたおれた偉大な医学者の描かれた紙幣。
「チップと言うことで、貰ってください。
また、食べに来ます。」
一礼し、足取り軽やかに店を出ていった。
//乙でしたー
//グリフォンは、数日後に裏設定に登場予定。
- 955 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/21(木) 22:35:32 ID:pYc/UFHE0
- >>954
「いやいや、かまわな」
言い切る前に紙幣を置かれる。
「え、あ、ありがとう。
またきてね」
//お疲れさまでした―、気になるから覗いてみようかな
- 956 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/23(土) 12:52:14 ID:trmDr2BE0
- 【千夜学園構内】
「ふぅ、ひとまず授業終わりですね」
【授業も終わり、皆下校し始める時間である】
「にしても、疲れますね」
【大きく背伸びをしながら少女が学園の構内を歩いている】
- 957 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 12:53:51 ID:BZyg4mrc0
- >>956
「…チッ」
歩いていた所で防人を見つけ
露骨に嫌そうな顔をしながら舌うちする。
「…」
窓に行って他人のフリをしようとする。
- 958 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/23(土) 12:57:04 ID:trmDr2BE0
- >>957
「…?」
【突然の舌打ちを聞いて思わず立ち止まる】
「今、なにか聞こえたような…
気のせいでしょうか?」
【時折ラインの後ろ姿?も視界に入れる。なかなかその場から動かない】
- 959 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 12:59:17 ID:BZyg4mrc0
- >>958
(速く行け!
早く行けっつってんだこのクソ女!)
かなり口の悪い言葉を頭に入れる。
窓の方を見ればラインの顔が見える。
- 960 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/23(土) 13:03:03 ID:trmDr2BE0
- >>959
「っと…」
【窓に写ったラインの顔を見て】
「貴方は、ラインさんですか…
久しぶり、何でしょうかね」
【ちょっと気を使う雰囲気で話しかけていく】
- 961 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 13:06:32 ID:BZyg4mrc0
- >>960
「…チッ」
気付かれた事に舌打ちする。
「あ?
そういうお前は防人だったな。
何の用だ?」
面倒くさい雰囲気を隠さずに言う。
- 962 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/23(土) 13:08:48 ID:trmDr2BE0
- >>961
「いえ、近くで変な音がしたんで気になったんですが」
【悪意は無さそうである】
「何かご存じないですか?」
【ラインが発したとは思ってないらしい…】
- 963 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 13:12:12 ID:BZyg4mrc0
- >>962
「…」
底なしの天然にさらに嫌悪感を抱く。
「さぁな、知るかんな事」
- 964 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/23(土) 13:13:13 ID:trmDr2BE0
- >>963
「…そうですか。
わかりました」
【色々わかったように頷く】
「それにしても…」
【そう言って鶫はまた歩き出す…】
「やはりまた特訓を…」
- 965 :ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 13:20:55 ID:BZyg4mrc0
- >>964
「…ケッ」
吐き捨てるように言ってその場を立ち去る、
//やべ!、話が続かない!、この後自分が早見川で違うスレで先出しします。
//こいつ使うの失敗したな。
- 966 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/23(土) 13:27:54 ID:trmDr2BE0
- >>965
//どうも申し訳ありません。こっちも突っかかるタイプじゃないの出続けるのが難しかったです。
- 967 :黒沢小百合:2012/06/23(土) 23:14:16 ID:SSMHlh/20
- 異能都市で最も大きいスラム街に怒号と銃声が響き渡る。
警察、自警組織ら合同の大規模なガサ入れが行なわれているのだ。
違法な賭博場や麻薬の取引に使われる廃ビル、法令に違反した店舗などに
片っ端から踏み込み、バイヤーを逮捕していく力押しであり、
既に、小競り合いも散発的に発生している。
それを指揮する通信車輌の中に、
資料を見ながら、時折指示を飛ばす小百合の姿があった。
『A班から本部。違法なカジノを発見。
これを制圧し、10名を拘束するも負傷者が2名出た。
連行するにも処置するにも人手が足りん。増員を回してくれ。』
「A班、増員は許可できない。
現状の人員で対処せよ。以上。」
この極めて乱暴ながらも派手な作戦は小百合が進めたもの。
指揮車輌といくつかの幕舎で構成された指揮所には、メディアの姿さえある。
自身が倒れていた際に、スラムで幅を利かせるようになった『自分の恐ろしさをしらぬアウトロー』に
恐怖を植え付け、尚且つ自分の復活を鮮烈に印象付ける事が狙いだ。
- 968 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/30(土) 22:24:59 ID:trmDr2BE0
- 【異能都市のとある温泉】
【・・・二日目】
バシャーン
「ふー、あったかいのー」
【一人の少女が首のあたりまで入っている】
「よくわかんないけど、きもちいーかなの…」
【昨日と同じように気持ちよさそうな顔で湯に浸かり続けている】
- 969 :琴音:2012/06/30(土) 22:41:03 ID:IrsgDsYs0
- >>968
がらがら、ぴしゃん。
「げに一刻も千金の〜」
大きなタオルでスレンダーな体と痛ましい火傷その他の傷跡を隠し、湯船に向かう前に一度シャワーを浴びる。
「流れを何に例ふべき〜」
湯船に足を入れ、ディスに気付く頃には歌は終わっていた。
「あら、こんばんは。
………もしかしてあの包帯、貴方のなの?」
自分のことは棚に上げ、ディスを心配する。
- 970 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/30(土) 22:44:46 ID:trmDr2BE0
- >>969
「ん?だれかきたみたいなの〜」
【群青の髪の少女が先客として湯の中に入っているのが見える】
「あうー、そうなの。
いっぱいあるからちょっとつめこむのがたいへんだったの」
【恥ずかしそうに言う】
「あう〜。それは、けがかなの?」
【心配そうに見つめる】
【ちなみにディスの体はまだ湯の中でよく見えない】
- 971 :琴音:2012/06/30(土) 22:59:51 ID:IrsgDsYs0
- >>970
「ええ、少し前に少し無理をしてしまって…」
一部変色した腕を湯から揚げ、そしてまた戻す。
「…一生ものの怪我かもしれないわね。まだ嫁入り前なのに。」
あっけらかんと、微塵の深刻さも感じさせない声だ。
火傷は治りづらいのだが、数年もすれば目立たなくなるだろう。
「それより、貴方は?
あの包帯、尋常じゃないわよ?」
もしかしたら能力でいくらか治せるかもしれない。
今は喉が万全ではない上に、楽器の使えない環境なのだが。。
- 972 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/30(土) 23:07:04 ID:trmDr2BE0
- >>971
「むりなの〜。
でもむりしててもへーきならだいじょぶなの」
【嬉しそうに頷くディス】
「だいじょぶなの〜。
ここにいたらなおすことできるんじゃないかなの〜」
【と、そこまで行ったところで包帯について聞かれて】
「あうー、いっぱいけがあるからまいてるんだけどねなの。
へーきなんだけどつけてるほうがいいなの」
【お湯の中に使っているので一見すると平気そうに見えるが・・・?】
- 973 :琴音:2012/06/30(土) 23:22:35 ID:IrsgDsYs0
- >>972
「ここにいたら治る……
すごい効能ね。毎日入りに来ようかしら。」
「怪我がいっぱい!?
…ハードな生活しているのね。」
ちいさめの声で、何か歌いだした。
こことは違う、何か別の国の言葉で。
「Sah ein knob' ein Roslein stehn,……」
歌の効能:鎮痛、怪我の回復(遅)。
少しは助けになるだろうか。
- 974 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/30(土) 23:32:06 ID:trmDr2BE0
- >>973
「あうー。それでも『でぃす』のけがはそのまんまなんだけどなのー」
【のんきそうに言う】
「あうー、きがついたらこんなのだから
いまはきにしてないんだけどねなの」
【そう言って微笑みながら手を振り返す】
「…ん?なにかうたがきこえるなの」
【ディスは琴音が歌い出した歌に不思議そうに耳を傾ける】
【確かに力はディスを包もうとするが…】
【傷の辺りからその歌を防ぐかのように呪力が感じられるかもしれない】
- 975 :琴音:2012/06/30(土) 23:45:18 ID:IrsgDsYs0
- >>974
「Sah's mit vielen Freuden…?」
歌い続けていると、何かの違和感。
「もしかして、ただの怪我じゃないの?」
曲が前触れなく、いきなり変わる。
「Wer reitest so spat durch Nacht und Wind…」
効果:解呪。
呪術的な何かが邪魔をしていると踏んでの歌である。
尤も喉が不調であり、それを差し引いても呪いというものはややこしい。
駄目でもともと、である。
- 976 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/30(土) 23:49:48 ID:trmDr2BE0
- >>975
「ずーっとなおらないの。
ただのけがとはちがう、んじゃないかなっておもうの」
【軽く自分の手を見ながら言う】
【…一瞬だけ生々しい傷が見えたような気がする】
【琴音の歌はディスにかかった呪いに効果を及ぼそうとする】
「ん、なにかなの…」
【一部の呪力がわずかに緩んだように見えた、が、それ以外にも何か刻まれているのか】
【別の呪いの力が再び傷を覆うように全身を包んでいった。解除には簡易的なものでは難しいかもしれない】
- 977 :琴音:2012/07/01(日) 00:15:04 ID:IrsgDsYs0
- >>976
あっ、ダメだ…
押し負けてしまい、行き場を失った力がリバウンドしてくる。
バチン。
体の中で何かが弾け、口の端から一筋の血が流れる。
「情けない…、失敗ね。」
浴槽の中に血が落ちぬよう、すぐに上がる。
「気が付いたらこの怪我で、今まで治っていない…」
ディスの言葉を繰り返して考える。
「ごめんなさいね、今の…いえ、万全でも私の手には負えそうにないわ。」
タオルで水気を取りながら、話し続ける。
「臓腑に少しダメージがあるみたいだから、これから病院に逆戻りね。
…ここには明日から来るから、機会があればまた会えるかもしれないわ。
それじゃあ、またね。」
てくてくと、脱衣所に向けて歩いていった。
//すみません、限界です……
//乙でした。
- 978 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/07/01(日) 00:17:31 ID:trmDr2BE0
- >>977
「あっ、だいじょぶなの?」
【心配そうな顔で琴音の顔を観る】
「そっかなの…
えっと、むりしちゃだめだからねなの!
けがはすぐになおそうねなの!」
【そう言って大きく手を振り見送っていった】
「しんぱいだなの…」
【そう言ってじっと見ていた】
//お疲れ様ですル
- 979 :名も無き異能都市住民:2012/07/01(日) 22:35:49 ID:SSMHlh/20
- 人気の無い路地裏に2、3剣戟の音が響いたかと思えば、
どちゃり、という粘着質な水音とともに再び平静を取り戻す。
闇祓騎士団の新たな犠牲者は、またしても冒険者チーム。
以前、壊滅させられた冒険者チームの仇をとるべく、活動していた一団だ。
「やれやれ、小兵どもを潰すのも飽いてきたな。
死体から羽化するハエどものように、人外どもは湧き出してくる。」
「しかし、その死体を清めてやるのも我々の務めでしょう。」
一団の死体を集め、油と思われる液体を掛けてから、
なんらかの魔術的な仕掛けを施す。この一連の行動を手早く行なうと、
黒衣の集団は素早く身を翻し、この路地から立ち去っていく。
- 980 :ガルテラ:2012/07/01(日) 23:16:39 ID:NntjvIzM0
- >>979
カンテラを持って、今日も今日とて散策をしていた悪魔ガルテラ。
わざと歪みに巻き込まれ、見たことも無い路地を歩いていると、
黒衣の集団が走ってくる。
「あれは……。
ひょっとすると噂に聞く人外狩りの……?」
新聞やニュースなどで小耳に挟んだ、彼らの噂。
それが目の前に迫っている。
「これは厄介だ……」
ガルテラはコートを翻す。
すると、ガルテラの体が路地の隙間から指す、
微かな明かりの中に溶け込むように消えていった。
光を屈折させて姿を消したのだ。
とは言え、視覚などの光に頼る探知法以外には無力なのだが。
- 981 :名も無き異能都市住民:2012/07/01(日) 23:27:13 ID:SSMHlh/20
- >>980
黒衣の集団は、ガルテラの居る路地とは
別の路地へと入っていこうとする。危機は去ったのか。
……いや、集団の一人が『異変』に気づいた。
指にはめた指輪が、まるで呼吸するように一定の周期で燐光を発している。
ガルテラの居る場所からも、その光景は見えるだろう。
「待ってくれ、近くにまだいるようだ。
……探し出し、始末しよう。」
若い男の声。その声に応じて集団が引き返してくる足音がする……。
- 982 :ガルテラ:2012/07/01(日) 23:33:55 ID:NntjvIzM0
- >>980
(……気づかれたか……?
ばれなければ後をつけてアジトを調べるつもりでしたが……)
若干壁よりに動き、集団の進行の妨げにならないようにする。
(とはいえ、奴らがまだ人外狩りとも解らないですが)
ニュースを聞き流していた程度のガルテラには、
たとえ写真が流出していたとしても頭に残っては居ないだろう。
(まあ、ほぼ確定ですがね。
どう出ましょうかね……)
- 983 :アイリス:2012/07/01(日) 23:39:58 ID:do5XJmGE0
- 【路地裏】
トン、トン、トン、と規則正しく音が鳴る。
それはローファーのソールと地面がぶつかり合う音。
何故、この場に現れたかといえば、歪みに巻き込まれたからだ。
「ふふっ…、居るじゃないか、しっかりと。
丁度いい、ね。」
何も無いところに手を突っ込み、引き出すは禍々しき呪紋が浮かぶ刃。
それの感触を確かめたアイリスは魔眼を開放し、燐光に釣られるように進んでいく。
魔眼で見る世界では、ガルテラの存在を見て取れそうではあるものの、今、意識は闇祓騎士団へと向いている
- 984 :名も無き異能都市住民:2012/07/01(日) 23:53:35 ID:SSMHlh/20
- >>982
「姿が見えぬ所を見ると、
小賢しくも隠れておるのだろう。
エレノア。」
「分かっています。」
老齢の男、そして若い女性の声。
それと時を同じくして展開される『術式』。その効力は『探知』。
不可視の魔力網が、路地を満ちるように張り巡らされていく。
もし、ガルテラが魔術に長けるならばこれを察知する事もできるだろうが……。
――その必要もなくなった。
>>982-983
「おや、これは潔い……。」
一人の騎士が、アイリスに気づいた。
騎士たちは指輪に仕込まれた探知術はアイリスに反応したものと思い、
例の本格的な術式の展開は、ガルテラまで寸でのところで中断された。
「逃げ切れぬとみて、姿を現したか。
だが我々は女子供といえど容赦はせんぞ、この化け物めが!」
騎士たちが殺気に満ちた様子で、剣やメイスを構える。
数は6人。路地は狭いが、回り込まれてしまえば退路は無くなる。
- 985 :ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/07/01(日) 23:57:01 ID:AtA.oukY0
- >>984
ジャリジャリと、路地裏を歩いてくる男が気配もなく出てくる。
「ほう…、お前たちがうわさに聞く闇祓騎士団か…」
威圧のある声、素顔はヘルメットに隠れてて見えない。
黒いライダースーツ、そして指輪がこちらにも反応している。
「どれ、……、手合わせ願おうか!」
バリィン!、とヘルメットが砕け散り、素顔が出る。
とても鋭い目、ギラつく口から見える牙、しかし間違いなくコイツは闇の類に入るものだ。
>>983
「おや?、これは管理人殿、ご機嫌麗しゅう」
そう言って、執事の様に頭を下げる。
ちら見程度だが少しは彼を見た事あるだろう。
…、覚えてない可能性が高いが。
- 986 :ガルテラ:2012/07/02(月) 00:00:10 ID:NntjvIzM0
- >>983
(……幸か不幸か)
ガルテラは光の方向を曲げているに過ぎない。
恐らく、魔眼にはガルテラの姿は映っているだろう。
ガルテラは、アイリスが集団に敵対しているのを見て、
口に指を当てて"静かに"のしぐさをする。
>>984
ガルテラは歪んだ光の中で、真の姿を現した。
真っ白な骸骨が咥える金色の目に、黒い傷のような模様、
頬から突き出て肩に刺さる虫のような足。
蠍のような漆黒の尾。
とは言え、その姿は見えないだろう。
ガルテラは、そっと背後から集団に近づき、
他の男から見えない後ろの方に居た一人の口に手を当て、
無理やり物陰に引きずり込もうとした。
- 987 :アイリス:2012/07/02(月) 00:14:34 ID:do5XJmGE0
- >>984>>986
「それは承知しているよ。
逃げ切れない?おかしな事をいうね、逃げ切れないのは君たちかもしれないのにね。」
赤黒く輝く呪紋。
この呪紋が乗る武器で斬られると、傷口から術式が流され強制的に痛覚を過敏にさせる。
衣擦れや風を受けても痛みと感じさせるようにすることが出来るもの。
ちょうど試し切りに彼等からやってきてくれたのだ。可能ならば一人二人くらい“採取”しても問題無いだろう。
アイリスは右手に持った短剣エゼルを、口を開いた男に突きつける。
ガルテラには、騎士団の数を数える要領で、視線を移動させながら各騎士団の数をカウントする……ように見せかけ、小さく頷いてみせた。
ガルテラは『背後からの不意打ち』なのだろう予想を立てながら、アイリスは剣を向けたまま、一歩、二歩と歩みを進める。
>>985
「……誰だい?
その声、その気配。僕の記憶には一切無いけれど。
…まあ良い。この場で協力してくれるのなら問題はあるまい。」
アイリスは闇祓騎士団の隊員に向かい、歩み寄る途中である。
背中越しに聞こえる声は、少し強張っている。
飽くまで戦いの場、緊張が必要なのだ。
- 988 :名も無き異能都市住民:2012/07/02(月) 00:24:28 ID:SSMHlh/20
- >>985
「人外どもめ、自ら死地に飛び込んできよるわ。
やはり、知恵はそこらの羽虫と変わらんと見える。」
新たに現れた人外の戦士を、
目深に被ったフードの奥の瞳が、忌々しげに見据えた。
>>986 >>987
「……!」
いざ、ガルテラが行動に移ろうとした瞬間
例の指輪が今までに無く輝いた。
それと同時に、男の周囲に『防御術式』が展開。
対策が無ければ、ガルテラは弾き飛ばされてしまうはずだ。
「気をつけろ!やつら、まだいる!
不可視の使い魔か、呪術の類かも知れない!」
騎士の中の一人が、叫ぶと全員が武器を構え密集陣形を取る。
どの方向からの攻撃にも対応できる防御の陣形だ。
- 989 :ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/07/02(月) 00:26:38 ID:AtA.oukY0
- >>987
「まぁ、ちら見程度しか会ったことがありませんしなぁ」
そう言って、騎士団達に近付く。
>>988
「ククク、死地?
お前等程度の『蠅共』がこの俺に勝てるわけないだろう?」
邪な笑みを浮かべて近付く。
- 990 :ガルテラ:2012/07/02(月) 00:33:43 ID:NntjvIzM0
- >>988,987
「……!」
術式の反応で、ガルテラは背後に一歩下がった。
身に着けていたコートの簡易防御魔術のおかげでダメージは無いが、
光の歪みによる不可視が解けてしまった。
「あ……」
姿を現し、風貌に似合わないマヌケな声を上げるガルテラ。
「っく……すいません、不意打ち失敗しました!」
焦りながら蠍の尾を、狙って居た一体に伸ばした。
神経毒を尖端に持っており、掠っただけでもしびれが全身を襲うだろう。
>>989
「……申し訳ありませんが"蝿様"を悪く言わないでいただけますか?
暴食の大悪魔の化身なのですから」
そういう彼は、悪魔ガルテラ。
蛍の王であった。
- 991 :アイリス:2012/07/02(月) 00:41:49 ID:do5XJmGE0
- >>988>>990
指輪の煌めき、男が指示する声。全員が密集して武器を構えて陣形を取る。
そんな彼等の意識の“一瞬”の隙間を突き、アイリスは真正面の騎士団員に向かって掛ける。
一度に多くの力を開放したのか、つま先の形で地面のコンクリートが10セントほど、抉られて。
「我は の子。古の契約と盟約に従いて、顕現せよ。」
術の口上が述べられている時点で、彼等はアイリスの接近に気付くはずだ。
真正面にはアイリス、そしてツェッペリン。
既に魔眼は開かれた。自らの視界が線で構成され、重なり合い、混ざり合う線。
団員の体には多くの線が見える。
それを、自らの身体能力に任せた、コンクリートに穴を開けるほどの突きで切り落とそうとする。
突きの速度はどの程度だろうか。
間合も合わせ、人で、反応できる程度か。
ただ、ひとつの懸案。彼等闇祓騎士団は『多くの戦場を潜って来ている』のだろう。
“勘”で躱そうとも、密集しているのだ。誰かしら、呪が乗った剣と魔眼の餌食には出来るだろう。
「いや、良い!早く、引くんだ…!」
>>989
「なるほどね、その程度なら記憶に残らないはず……だ!」
その頃、アイリスは既に踏み込み、闇祓騎士団が密集した地点へと高速の突きを放とうとしていた
- 992 :名も無き異能都市住民:2012/07/02(月) 01:02:37 ID:SSMHlh/20
- >>989
悠然と接近するツェペリンに向け、2人の騎士が飛び出した。
彼らは一息に踏み込むと、一人は左から右へと横なぎに。
もう一人は、少し遅れて上から下へと袈裟に。
ツェペリンを切り裂こうとする。
連携によって互いの隙をカバーし、回避困難な攻撃を仕掛けるのが
奴等のやり方だ。
>>990
「鼠めが姿を現したわ!
ギルデンヴィックス、ヤツを留めろ。」
「応さッ!」
ガルテラの尾は、やはりあの術式に阻まれた。
メイスを携えた老戦士が声を発すると、最初にガルテラが
攻撃を加えようとした、ギルデンヴィックスと呼ばれた小太りの男が
術式に加え、片手盾を掲げてじりじりと接近してくる。
同時に、集団の司令官と思われる老戦士が側面へと回り込もうとしているようだ。
>>991
アイリスが地を蹴った瞬間、
彼らも同様に地を蹴っていた。
防御術式、そして盾によって身を隠しながらのチャージ。
アイリスの携えた短剣から、彼らはアイリスが接近戦を挑むとわかっていた。
そして、いくらアイリスの身体能力がたかくとも、体格差というアドバンテージが
騎士たちにはある。そこで、アイリスの接近にあわせて二人がかりのチャージタックルを駆け、
アイリスを打ち倒したところを、狩るべく突進のタイミングをうかがっていたのだ。
タイミングはかみ合っている。
しかし、騎士たちはアイリスの能力を知らない。
- 993 :ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/07/02(月) 01:07:49 ID:AtA.oukY0
- >>990
「ム、そいつぁ失礼した」
>>991
「まぁ、終わった後に自己紹介くらいはしましょうや」
>>992
「ふむ、そう言った攻撃は馴れているんだがな」
そう言って、笑う。
「所詮、お前等程度じゃ俺に傷を付けても意味は無い」
足をズボッと土に入れ、そのまま上げるッ!
その引っかかった足の土が浮き上がり、目の前に壁を作るッッ!
「…」
そして後ろに数歩下がる。
- 994 :ガルテラ:2012/07/02(月) 01:18:24 ID:NntjvIzM0
- >>991-993
「だから、蛍ですよ……!」
背中に甲虫の羽が広がり、ガルテラは飛び上がり、二人の陣形を避けた。
「嫌ですね、その術式。
初発のみの探知用罠かと思ったのに、常時発動なんて。
……私は直接戦闘よりもサポート向きなんでね。
それの破壊に従事しましょうか」
両手から、光の紋章が現れた。
「お二人方、攻撃本番はお任せしますよ」
紋章が彼らを取り囲むように地面に落ちた。
同時に、術式にスパークのようなものが起こり始める。
ガルテラは、術式を術式で取り囲み割り込ませて破壊を試みた。
- 995 :アイリス:2012/07/02(月) 01:28:02 ID:do5XJmGE0
- >>992
「破壊と再生の焔よ。全てを廃塵に帰すその力!」
アイリスの目は魔眼。
線がある限り、どのようなものでも切り裂く線を見る目。
それも既に最大限にまで開かれている。携えるは『呪い』の銘を持つ短剣だ。
彼等がどれだけ上手く『合わせ』ようとも、この魔眼越しに見る線には効果が無い。
故に彼等から近寄ってくれれば、アイリスは得なのだ。
それは以前の交戦の際、アイリスがハッキリさせていたことだ。
呪を紡ぎながらも、こちらに向かい来る二人の団員に目をやり、剣の向きはそのまま変えず。
高さはちょうど、アイリスの肩程度。祖国の規格の大盾に合わせている。
相手はコチラに盾を向けながら迫っている。ならば、自らの躰を抑える為にある程度まで持ち上げているはず。
自らに迫る団員二人の内の一方の腕、そして躰を狙えるだろう。とにかく、躰の一部分にでも当てれば良いのだ。
後は『呪い』が発動するだけだ。
“剣のタイミング”は合わせる必要は無い。彼等から勝手に来てくれるのだ。
だが、腕はどうだろう。術式が載っていないとは言え、空いた腕も健在である。
近くに来たら、振ってやれば良い。線に倣いなぞれば、結果は分かる。
「簡単に死ねると思わぬようにな!」
>>993
「もう少し後で、そちらにいく。」
何が、だろうか。
ツェペリンの方からは何かの音がした。
だが、その音の正体が不明である以上、前もって警告するほかしか無い。
>>994
「彼等は全員、防御の術式を持っている!
半端な攻撃は通らないよ!……それから火に注意してくれ!」
そういいつつも、ガルテラにも警告をする。
闇の中で判断はしづらいが、自己申告により、ホタルということだ。
故に火は危険材料となり得る。
- 996 :名も無き異能都市住民:2012/07/02(月) 01:40:07 ID:SSMHlh/20
- >>993
アスファルトの防壁が、刀剣の一撃を阻む。
「チッ、時間稼ぎか。」
狭い路地で壁を作られると、
著しく動きが制限されてしまう。
二人は無理に壁を越えて進むことはせず、
ツェペリンと同じく少し後退して、迎撃の態勢をとった。
>>994
「術師か、小細工をされる前に潰させてもらう。」
老戦士がメイスを振りかぶり、ガルテラの頭を叩き潰さんと突貫する。
例の術式はスパークによってその強度を落としながらも、いまだに健在のようだ。
「せィヤァッ!!!」
――ブォォォッ
唸りをあげて落下するメイス。
まともに受ければ、防御ごと叩き潰されそうな勢いだ。
>>995
騎士たちは盾の防御と術式を頼りに、
アイリスへと体ごと突っ込んでくる。
冷静に対処すれば、狙い通り一部分に当てられるだろう。
しかし、ただ斬るだけではタックルによって組み伏せられる。
無傷のもう一人に、そのまま攻撃を受けかねない。
- 997 :ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/07/02(月) 01:44:26 ID:AtA.oukY0
- >>994
「…ホタルとゴキブリって似てるよなぁ」
どうでもいいことを考える。
>>995
「む、了解した」
>>996
右手にナニカを握る。
「…、長さはこれくらいで十分か」
と、呟くと、そのナニカを振る!
アスファルトの防壁が見えないナニカに十字に切り裂かれる。
「ふっ!」
男の顔が見えた瞬間、その男が握る見えないナニカが振るわれる!
距離は数メートルあるにも関わらず、そのナニカは二人に向けて放たれる!
- 998 :ガルテラ:2012/07/02(月) 01:49:15 ID:NntjvIzM0
- >>995
とはいえ悪魔としての姿にホタルの面影があるのは、
頭部の模様、甲虫のような翅、暗闇に光る目ぐらいのものだ。
翅は焼かれれば落ちるだろうが。
「力押しは苦手ですが、こういうことは得意ですよ」
全員を丸ごと魔法陣で取り囲んで、術の上書き、割り込みを試みている。
>>996
「先に小細工を使っておいて、
そんなことを言われる筋合いはありません」
ガルテラのコートは、対魔術、呪術であって、単純なパワーには何の効果も無い。
しかし、ガルテラの瞳から光線が発射され、目の前に迫るメイスを破壊しようとする。
「こことここは無駄な陣ですね。
後ここに追加したほうがよさそうだ」
全員を取り囲むように複数展開する魔法陣の、紋章が二つ消え去り、
北の方角に一つ、紋章が増えた。
魔法陣はより洗練されたものへ代わり、更なる術式に対する圧力が高まるだろう。
>>997
「黒"光"りはしていますが……。
私の範疇ではありませんよ」
期待を裏切って申し訳ない、というような顔で呟いた。
- 999 :アイリス:2012/07/02(月) 02:00:45 ID:do5XJmGE0
- >>996>>997>>998
――これでは……拙い
判断が遅かった。
この反撃は読めなかったが、既に相手の動き出しが見えた以上、少々強引にでも横薙ぎに“しておくべきだった”ところだ。
アイリスは空いた手で、半ば強引に突きから横薙ぎへと変化させる。力づくで行ったせいで、ブチリと何かが切れるような音が鳴った。
それでも横薙ぎは横薙ぎ。しかも可動範囲の広い腕で振るわれたもの。
タイミングさえ合えば、魔眼は結果を作り出すだろう。
当たれば、盾ごと真っ二つに両断される。
もし体に短剣の刃が触れたのならば、
呪が乗り、無理矢理に神経を過敏にさせ、それを全身に送り込もうとするだろう。
抵抗<レジスト>は可能だが、衣擦れや風に当たっただけで痛みを感じるのだ。果たして出来るのだろうか。
「破壊の権化たる焔よ、今、矢となり敵を射抜き給え。
炎矢<ブレイズ・アロー> 今、行くからねっ!」
術式は口頭により告げられた。
矢の形をした炎は、闇祓騎士団の団員へと襲いかかる。一人頭大凡4本程度だ。
それは、ガルテラ・ツェペリンが相手をする闇祓騎士団へも襲い掛かる。
完成され、放出されたのだ。さらには初級中の初級。ガルテラの術式に干渉しないだろう。それに、干渉したところで影響は少ない。
といっても、それは初級中の初級の術式、さらにはもう一方の短剣の威力底上げの加護も無い。
当たったとしても、騎士団の障壁にはあと一歩及ばないだろうが、一瞬、ごく一瞬気をそらすことが出来る程度だろう。
- 1000 :名も無き異能都市住民:2012/07/02(月) 02:31:17 ID:SSMHlh/20
- >>997
アスファルトの壁が切り裂かれた瞬間、
二人の騎士はさらに後退して、敵襲に備えた。
風を切って、目の前を掠める物体。
後退していなければ、その間合いに入っていただろう。
ツェペリンの振るう物体先端は防御術式に干渉し、激しく火花を散らした。
>>998
光線がメイスを捉える。
メイスにも何らかの術式が施されているようで、
光線を受け止め、減衰させてはいるものの圧に押されて振り下ろすまでは至らない。
敵が一人なら、対策としてはこれでよかったのだが……。
――カヒュッ
風切り音。
闇の中に放たれたのは、小ぶりな手斧であった。
もう一人の騎士、ギルデンヴィックスが投げはなったそれは
横に回転しながら、ガルテラの腹を切り裂かんと飛来する。
>>999
「ぎ――!」
盾ごと横なぎに切り伏せられた騎士が、
小さく呻いてその場に崩れ落ちる。盾を掲げていた左腕は、
肘先からばっさりとその場に切り落とされ、その痛みでショック状態となったのだ。
しかし、もう一人は幸運にも盾を少し裂かれただけでダメージは無く、
アイリスへと一つの塊となって襲い掛かった。装備の重量を含めてのタックル。
軽量級のアイリスなど、軽く吹き飛ばされてしまうだろう。
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