■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■

【日常β】異能都市の奏でるリズム【壱拾肆】
1名も無き異能都市住民:2012/03/10(土) 16:16:48 ID:oB5LASG.0
≪ルールとか≫
・基本age進行で
・コテもコテ無しもどんどん来い
・レスの最初に自分のいる場所を明記してくれるとやりやすいです
・イベントを起こしたい場合は空いているイベントスレをお使い下さい
・多人数へのレスは可能な限り纏めて行うようにしましょう
・無意味な連投・一行投稿はできるだけ控えるよう心がけてください
・戦闘可能ですが、長引く場合や大規模戦闘に発展した場合はイベントスレへ移動してください
・戦闘が起きた場合、戦闘に参加したくない人を無理に巻き込むことはやめましょう
・次スレは>>950を踏んだ人にお願いします

【日常β】異能都市のダイバージェンス【壱拾参】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1319638791/

2柊宇都 綾:2012/03/11(日) 21:54:24 ID:oB5LASG.0
>>1000
カッと目を見開いた。
相手の事が良く解らない。
何故翼を有しているのか、何故空高く飛べるのか。
刹那、飛来する巨木。迫るそれがなぜ迫るのかが解らない。

「邪魔」
咄嗟に背中の剣を引き抜き、木を断ち切る。
邪魔が無くなり、晴れた視界の先に映る。竜。
「竜……!?」
知らず。何時の間に。といった様子の声。
怒りの内に、変化していた。変化したことを、知らなかったのだ。

3アーベント:2012/03/11(日) 22:01:39 ID:51FZPppw0
>>2
木を投擲してから、すぐさま再び走り出し大剣を振り抜いた綾へ迫る
表情など、見ている余裕はない―――狙うは足元。左手を地につき、態勢を落としてからの右下段蹴りによる足払いを試みる

「―――っっふん!!!」

相手の体重は、軽く見積もって少女三人分と言ったところか
しかしこちらの力も相当のもの――上手くヒットして相手が転んでも、足の骨が砕けてもいい。
そんな狙いで、蹴りをはなった

―――が、その身体能力での跳躍回避、或いは意図に気づいての斬撃で対処することは十分に可能な距離、タイミングである。

4柊宇都 綾:2012/03/11(日) 22:36:17 ID:oB5LASG.0
>>3
回避は可能だったかもしれない。
反撃は可能だったかもしれない。
――それは、少女が『普通』であったらの話に過ぎないが。

全く以て突然の物では無かった。進化の順序は目に見えていた。
だがしかし、怒りに視界を奪われていた少女にはそう見えた。
突然、アーベントが新たな本質を、竜を現したことに。

「っあぁッ……!!」
蹴り飛ばされ、衝撃を受ければ自然と声が出る。
身体から押し出された息が自然と声を生み出す。
数mを軽く越して吹き飛び、巨木に背中を打ち付けて停止した。

5アーベント:2012/03/11(日) 22:44:44 ID:51FZPppw0
>>4
「―――…どうした?」

木による中距離攻撃からの距離を詰めての攻撃
それらは実に単調で、シンプルなものだ―――が、彼女は回避もカウンターもしてはこなかった

爬虫類の喉が器用に人語を発しながら、眉間にシワを寄せるアーベント
なんとなしに下げられた両腕の先には手袋を突き破って顕現している鋭い爪が生えていた
翼も尻尾もそのまま。今度は落ち着いて、龍化した全身を見ることができるだろう

どうかしたのだろうか
考える暇もなく、再び地を蹴って走行を始める
多少違和感あれど、隙は隙だ
このまま接近に成功したのならば、身体を回転させて尻尾による殴打を行おうとするだろう

6柊宇都 綾:2012/03/11(日) 23:04:18 ID:oB5LASG.0
>>5
「竜、」
背中に壮絶な痛みを感じる。
あれだけの力で投げ出され、打ちつけられてはダメージの大きさは想像に容易い。
増してや、それが痛みとして感じられれば尚更。

だが、ここで痛みに打ち震えている場合では無い。
対抗しなければ、次の攻撃でまた痛みを追う事になる。
尻尾が迫りくる方向の大剣を地面に付き刺して盾にする。
防ぐと同時に飛び出して、その尻尾をもう片方の刃で断ち切ろうと振るう。

7アーベント:2012/03/11(日) 23:26:10 ID:51FZPppw0
>>6
尻尾による打撃は、当たる直前に大地に突き刺さった大剣という盾によってガードされる

「―――…いい判断だっ…!」

そして続く攻撃を予測し、襲いかかるであろう激痛に耐えるべく歯を噛み締めた
防がれた反動で動けない自分の尻尾に叩きつけられる刃は、重さとスピードがあいまって一撃で目標を切断することだろう。
普段は存在しない部位にかかる強い痛みを必死に堪えながら、振り向きざまの貫手を放たんとする

「―――ぉぉぉお!!!!」

綾が両手の大剣で攻防を行い、こちらの態勢が相応に整っていて、かつこの至近距離
勝負をつけるならば、今…今しかない。

狙いは鳩尾
自身からみて時計回りに半回転しながらの貫手だが――化物並みの怪力と龍の爪によって常人の柔肌を貫通するほどの威力となっている

元は後ろを向いているため、綾の急激な態勢変化や回避には対応できない
一撃で勝敗を決めんとする我武者羅な攻撃であるが―――それ故に回避されれば馬鹿みたいな隙ができる。

8柊宇都 綾:2012/03/12(月) 00:13:04 ID:oB5LASG.0
>>7
大剣の一撃と言うのは破壊力と範囲に優れる。
その為、鱗を持った竜の尾を一撃で分断することが出来たのだ。
しかし、勿論リスクが存在し、それは時に致命的となる。

―――ガンッ!!
腹部に強烈な痛みは走ったのを感じる。
先程の背中に受けた衝撃の続きでは無い。
となれば、新しい物。となれば、アーベントの本体による一撃。
見れば、腹部を竜の腕が貫いていた。
自らの身体の中に、直接何か別の物は触れると言う感覚は、酷く、不快。
即座に吸血鬼の本能が回復を始めようとするが、当然、間に合わない。既に、致死量。

9アーベント:2012/03/12(月) 01:05:49 ID:J1pj5GdY0
>>8
「―――くっくっく…」

爪が木に達し、腕に熱い液体が染み渡る感覚が伝わる
見ずとも判る肉の感触が、どこか心地よいと感じられた
既に綾に戦闘能力が残っていないと判断したのか、龍化が解かれて元の服装・容姿に戻り始めた

それとほぼ同時に左腕を引き抜こうとするだろう
笑みを零したのは、勝利を確信してしまったため。
つまり、まだ攻撃する力と意識が残っているならば、アーベントは全くの無防備状態である

10柊宇都 綾:2012/03/12(月) 01:53:22 ID:oB5LASG.0
>>9
既に戦闘の意思も、息もない。
腕を退けば支えが無くなった身体が地面に落ちるだけ。
冷え始めている身体が倒れると、直ぐに強制ログアウトされた。

――再び公園
外に帰ってきた。
陽は既に暮れかけで、空は僅かに紅く、暗かった。
ハッとして腹部に手を当てても、そこに傷は無い。
先程の痛みは、架空の空間で起こった現実なのであって、決して現実では無い。
だが、アーベントと言う存在に負けたと言うのは本物であって。

11アーベント:2012/03/12(月) 08:00:01 ID:J1pj5GdY0
>>10
「……ふぅ…」

支えを失った少女の肢体が落下し、消える。
切られた尻尾はその太さもあって凄まじい量の血が噴出している
失血で倒れる前に、アーベントも次いで電子化世界から退出する。


「―――お疲れさん」

元通りになった身体を確かめている少女に向かって声をかけた
落ちついているように見えるが、ぶった切られた今は存在しない部位がじんじんと疼いているような感覚に襲われている。

12柊宇都 綾:2012/03/12(月) 15:06:59 ID:oB5LASG.0
>>11
未だ腹部をえぐる感覚がある様な気がして、少し気分が悪い。
アーベントの方を向かい、小さく頭を下げた。
「お疲れ」

程なくして、所有者が消えた為か、双頭の馬も帰還して少女の隣に現れた。
両側面にある、ホルダーそれぞれに剣を収めると、首のあたり、二頭の分岐点付近を撫でる。

13アーベント:2012/03/12(月) 15:31:06 ID:51FZPppw0
>>12
「さて――…私はそろそろ食事に行くが」
「何か、聞きたいこと言いたいことはあるか?」

装備していた大剣をホルダーに収め双頭馬の分岐点を撫でる綾に、問いかける
仮想空間の出来事とはいえ、少し腹が減ったようで

14柊宇都 綾:2012/03/12(月) 19:43:30 ID:7hcwnxwgO
>>13
「大丈夫」
小さく呟くと、腹部に当てていた手を離す。
拳をグッと握って偽物の痛みを偽物だと決め付ける。

アーベントが帰ると聞いて、そちらに振り向いて。
もう一度小さく頷くと、「ありがとう」と小さく抑揚に乏しい声で。

15アーベント:2012/03/12(月) 19:47:18 ID:51FZPppw0
>>14
「さらばだ―――また会おう。」

少女の頷きにこちらも同じものを返して、踵を返す
それから、黒い犬に変身して――夜の街へとかけていった。

16柊宇都 綾:2012/03/12(月) 20:07:01 ID:7hcwnxwgO
>>15
去って行くアーベントを見送った綾。
一人となった空間で、小さな溜め息を吐くと、馬の背に跨がり、公園を後にする。
「……強く」
強く、ならなければいけない。
守るべき者の為に。自らの誇りの為に。

17欠け耳のボロッブ:2012/03/13(火) 23:16:03 ID:SSMHlh/20
異能都市は様々な次元から人が訪れる特殊な環境であり、
言い換えれば、様々な『文化』が混ざり合うサラダボウル。
それは『食』文化の面でも、同様で。

「う、うーむ……なんというか。
 複雑な味だったな……。」

仕事を終え、家に帰る前に適当な店によっては
腹を膨らませる事が日課のボロッブ。

今日は『コックがグリズリーと格闘しながら料理を作る店』なる
珍妙な宣伝文句に引かれ、店を決定したのだが。
30分後、ボロッブは舌を緑色に染めて店をでてくるのであった。

18防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/14(水) 22:09:57 ID:WVrfsEdY0
【公園で制服を着た少女が包帯を腕に巻いている】
「アイタタタ…ちょっと今回のは手ごわかったかもしれません」
【よく見れば、足などにも打撲の形跡もみられる】

「…もっと力がほしいです…
 そのためにはどうしたら…」
【軽く頷いてつぶやいた】

19アイリス:2012/03/15(木) 22:38:50 ID:do5XJmGE0
【一夜城】
既に日が傾き、夜の帳が降りた頃、アイリスは未だ治していない術式に対する痛みで目が覚めた。
目覚めに体を清め、紅茶を飲めば、一階の談話室へと降りる。
やや覚束ない足取りながらも、一夜城の落成式を明日の夜にする旨を決め、大婆様に報告のメイドを走らせて。
落成式そのものは飛び込みでも参加可能とする旨も同時に伝えて。

さて、一階談話室に下ってきたアイリスが最初にしたことは、大婆様が所持する魔導書、自らが所有する魔導書を漁る。
既に神羽荘にはアイリスの使い魔を飛ばしている。キョーコがいれば、知らせてくるはずだ。

敵の目的等圧倒的に情報が足りない以上、現状は術式の解析、人外への情報提供をするしか無い。
だが、今は糸口が見えない状況。手元にある術式を紙に写したものの、基となる物が分からない。

「僕を狙うということは……教会とは限らない、か。ロザリアに合流できるのなら、話は早いけれどね。」

ゆっくりと体を柔らかな椅子に預け、青白い顔で武器に付与した術式を見つめて。
この間にも、極僅かだがアイリスの体に耐性ができつつあるのだ。

20早瀬川巴:2012/03/15(木) 23:12:31 ID:dIAWH8x60
>>19

と、談話室の扉をノックする音。
次いで、アイリスが遣わした者とは別のメイドの声が扉の向こうから聞こえてくる。

「アイリス様。早瀬川巴、というお客様がいらっしゃってますが、いかがいたしましょう」

メイドに詳しい話を聞けば、アイリス負傷と新たな退魔組織の報を受けた巴が、一夜城にやってきている。
が、城主の体調が優れないらしいので、会えるかどうか一応伺いをたててもらえるよう、メイドに頼んだとのこと。

21アイリス:2012/03/15(木) 23:19:10 ID:do5XJmGE0
>>20
「問題ない。いいよ。彼女を通してくれ。」

メイドに告げれば、扉は開かれる。
談話室の一席、1つだけ本が山のようにつまれた場所がある。
巴には見えないだろうが、本の山に隠れるようにアイリスは椅子に体を預けているだろう。

22早瀬川巴:2012/03/15(木) 23:28:33 ID:dIAWH8x60
>>21

了解を告げるメイドの言葉から一分足らずの後、またしてもノックの音。
しかし、今度はメイドとは違う人物が叩いていた。

「巴です。失礼します、アイリスさん」

扉を開いたのは、セーラー服を着た少女。アイリスが始めに報を送った者の一人。吸血鬼・早瀬川巴である。
彼女は入ってくるなり、談話室の一角にうずたかく積まれた本の山に、目を白黒させた。
他にもスペースはあったが、アイリスの姿はそのどこにもない。となれば、アイリスは本の山のどこかにいるはずだ。

「あ、アイリスさーん、どこですかー?」

手に持っていたダッフルコートを、近くの椅子に置き、ひとまずアイリスの姿を探そうと本の山の周囲をぐるぐるし始める。

23アイリス:2012/03/15(木) 23:38:12 ID:do5XJmGE0
>>22
「ここだよ。巴。隣のテーブルにでも座っていてくれないかな。今、移動しよう」

巴の視界に収まらないのは当然だ。
アイリスを中心に本が大量に積み重ねられており、椅子でリラックスしていたからだ。
本の山の一角が動けば、アイリスが姿を表すだろう。
だが、その顔色は青く、普段の制服では無く、髪をポニーテールにして軽いパンツルックにYシャツにタイを結んでおり。時折苦痛に苛まされている様子は顔に出さぬよう努力はしている様子では…ある。
メイドに本を直すように指示をしたあと、テーブルに手を掛けてから椅子に腰掛けて。

「今日の一番良い茶をミルクで。済まないね、こんな格好で。さて、巴。君が来たということは、あの件のことかな?」

メイドに指示をして、アイリスは姿勢を正して巴に目を向けた。

24早瀬川巴:2012/03/15(木) 23:57:40 ID:dIAWH8x60
>>23

「あ、そこにいらっしゃいましたか」

山からアイリスが出てくるのを見て、巴は安堵の表情。
本の山の中にいて、読書にふけるという構図はフィクションではよくあるが、
まさかそれを現実でやっている人がいるとは思わなかった。しかもこんな身近に。

「ええ、失礼します。アイリスさんの私服って、初めて見た気がしますね。なんか、新鮮です」

巴は先ほどコートを置いた椅子の隣、アイリスから見て反対側の席に腰掛けた。
だが、そうやって落ち着いたのもつかの間、巴は目を細め、

「……それにしても、今日のアイリスさん、気脈というか、魔力の流れが乱れている感じがしますね。
 知らせにあった例の術式の影響、まだ残ってるみたいですね。
 お察しの通り、それについて、私が使ってるルーンの力が使えないかと思いまして」

そう言って巴は、スカートのポケットから一枚の符を取り出す。
縦横ともに5㎝ほどの小さな紙に、プラスの記号の横棒を斜めに崩したような文字が書かれていて、
その周囲は、別のルーン文字の文字列で縁取りされている。

「欠乏のルーン、〝N(ナウシズ)〟です。
 私はよく、このルーンを相手の使ってくる魔術的現象のカウンターとして使っています。
 ご存じのように、それぞれの術式には、それを動かすだけのエネルギーが必要ですが、
 このルーンを使えば、大抵の魔術式のエネルギー……まあ、魔力でしょうか。それを奪って、
 魔術式を機能不全に陥らせることができます。
 まだ身体の中にその術式が残っているのであれば、これを心臓の位置へ置いて下さい。
 うまくいけば、中和できるかも知れません」

巴はアイリスにお茶を持ってきたメイドに、その符をアイリスに渡すように頼む。

25アイリス:2012/03/16(金) 00:16:15 ID:do5XJmGE0
>>24
「家の中にいるんだ。その時くらいはリラックスしようと思ってね。これが煩わしくなくて良いんだよ。
 僕はね、巴の私服が見てみたいね。」

メイドが持ってきた紅茶にミルクを入れ、細指でスプーンを摘み、かき混ぜて。
ソーサーを右手で持ち、左手でカップを持ち、一口含んだ。
メイドを介し、ナウシズのルーンが書かれた紙を受け取り。
綺麗に畳み、胸ポケットへ仕舞った。心なしか、体が軽くなった。

「助かるね。本当に命が危なくなれば使わせてもらうよ。まだ体は動けはするからね。
 それにこのルーンを使うのは最後の手段にしておきたい。それで、どの程度の時間、心臓に近い位置に置けば良いのかな?」

命をつなぐ可能性があるものを手に入れ、アイリスは笑みを浮かべて。
ただ、今は耐性を付ける時。本当に命の危機を感じればその時は使用する。
それに巴には教えていない、魔眼を使えば術式そのものは“断てる”はずだ。敵の障壁を打ち抜き頭ごと潰した魔眼があれば。

「巴、気を付けると良い。文面にも示したとおり、彼らは武器に術式を付与しているようでね、攻撃に当たると僕のようになる。」

26早瀬川巴:2012/03/16(金) 00:30:58 ID:dIAWH8x60
>>25

「私の私服なんて地味なものばかりですよ? それに、もう遺品として整理されてしまったでしょうし。
 多分、これが持ってる中では一番可愛い服じゃないでしょうか」

そう言って、巴はセーラー服の襟をつまむ。
私服の話題に次ぐ、ルーンの話になると、頬に人差し指を当てて思案顔になり、

「辛いのでしたら無理はされない方が良いとは思うんですが……。
 そうですね、術式を打たれてすぐならともかく、全身にまわった状態だと、一晩はかかると思います。
 全身にこの符を貼り付ければものの30分で終わるでしょうけど、欠乏のルーンは区別がありませんから、
 あんまり貼りすぎると生命力を奪われてしまうんですよ。
 術式の解体と、生命力の自己回復とのバランスを考えると、これが現時点では精一杯の早さです。
 アイリスさんが特別、生命力の回復速度が早いのであれば、話は別ですけど……」

もし、巴が件の術式を撃ち込まれたのなら、即座にこのルーンを使うだろう。
何故なら、巴の身体はもう生きてはいないので、それに対する耐性を作ることが出来ないのだ。

「武器に術式を……。ありふれたアイディアだとは思いますけど、術式自体が厄介ですね。
 その集団、銃器は使わなかったんですか? 敵の戦術に意見するのもアレなんですけど、
 銃弾に術式を封入すれば、もっと簡単に撃ち込めると思うんですが……」

27アイリス:2012/03/16(金) 00:48:25 ID:do5XJmGE0
>>26
「無ければ足せば良い、それだけじゃないか。」

この件は意外と根が深い気がする、という言葉は口に出さなかった。
小柄で黒髪、黒い瞳。千夜学園の高校生以上に落ち着いている、この思案顔の少女の瞳を見つめて。

「…まだまだ問題は無いさ。戦闘では六割…程度しか出来そうに無いけどね。
 最長一晩なら少し休めば良いだけだね。何も問題は無い。しかし、助かるね。少し体が楽になったよ。ありがとう、巴」

確かにルーンのお陰で体が楽になっているのだ。
ならば、完全に耐性ができるまで何か体に身につける物の中に紙を入れてしまえばいいのだろうか。
思いついたのは財布の中に入れるか、ということ。

「僕が知るかぎり、銃器の類は持っていなかったね。剣、槍、といった過去の武器だね。
 原因はこれじゃないかな。或いは技術的な問題、か。」

複写の魔術により、大元の回収した武具に刻まれたものをコピーしたものを巴の手元に置いた。

「この術式の大本を今探っている段階でね。結構な量の文言が記されているだろう?」

流石に抜刀と同時に月灯りを反射し目に痛いほど光っていただけある。
つまりはそれだけの量だ。

28早瀬川巴:2012/03/16(金) 01:16:09 ID:dIAWH8x60
>>27

「ふふ、そうですね」

そんなアイリスの思慮を知ってか知らずか、修羅へ引き込まれた少女は微笑む。

「命大事に、の精神でお願いしますよ。私はともかく、アイリスさんは生きているんですから。
 まあともかく、楽になった、というのなら幸いでした。本格的に使うのが今でなければ、服のポケットとか、
 財布の中とか、身につける物で、すぐに取り出せる場所に入れておくのがいいと思います。
 術式が遅効性のもので、突然死にたくなるような激痛になるとも限りませんし」

心配そうな表情で言った巴は、件の組織が使っていたという術式のレプリカを目の前にすると、
その下げた眉尻を戻して、

「…………なるほど。確かに、銃弾に刻むには多すぎますね。
 魔の否定……存在の解体? そもそも定義が曖昧すぎる。「人でなし」を解体するのであれば……。
 ………………もしかしたら、定義なんてものはなくて、単に術式を発動するキーとして、
 術式に種族の情報を書き込んでいるだけかも……。
 それなら、欠乏だけじゃなくて、逆位置のアンザスがあれば……」

そんなことをブツブツと呟いた後、巴はポケットから先ほどアイリスに渡したのと同じ紙、
しかし別の記号が書かれた符を、テーブルの上に置いた。
アルファベットの「F」を右肩下がりにしたようなその記号の下に、コートから取り出した筆ペンで横線を引いて、
その符をアイリスに渡す。

「アイリスさん。この術式と前情報を重ねていて思ったんですけど、そもそも「魔」って何かが、ひどく曖昧なんですよね。
 人に非ざれば「魔」ということであれば、動物だってそこに加わりますし、
 世間一般で知られているところの「魔物」にしても、実に様々なタイプがいる。
 それら全てを、このひとつの術式で対応するなんて、できっこないとは思いませんか?
 そこで仮説なんですが、私はこの術式、後から情報を足すタイプなんじゃないかって、思います。
 獲物の体内に入って暴れる術式を組み、その発動キーとして、「吸血鬼」や「狼男」、「悪魔」とかの情報を組み込んで、
 その情報に合致するモノの中に入った途端に発動する……そういう仕組みなんじゃないでしょうか。
 もし、この予測が当たっているとすれば、今渡したその、〝A(アンザス)〟のルーン、逆位置の符で、
 相手側の術式を無効化、無力化できると思います」

29早瀬川巴:2012/03/16(金) 01:18:06 ID:dIAWH8x60
//うはあ、下に横線書いてどうすんだよ……
//上です、上

30アイリス:2012/03/16(金) 01:43:22 ID:do5XJmGE0
>>28
「そうなんだよ。僕もそこに引っ掛かっていてね。
 魔と言っても大雑把過ぎる。吸血鬼には吸血鬼の、人狼には人狼の、それぞれ弱点がある。
 その種族によって、有効な武装が変わる。これは、あまりにも大雑把過ぎるね。」

アイリスもそこに引掛っていた。
魔と一括りにしてしまえば、定義が広すぎて打倒に値しないだろう。

巴が差し出してきたルーン文字を見て。

「これが先ほどのナウシズとぶつかり合わなければいいのだけれど。
 申し訳ないね。ルーンは殆ど知らないからね。」

と、未だ懐には入れず。
先の巴の説明でナウシズは区別が無い、と言った。それで無効化されてしまうのではないか、と思い。

「……ありえるね。巴もこの城がハッキリ見えただろう?それも吸血鬼の因子を利用しているからでね。
 吸血鬼には特別なほど、ハッキリ見えるんだ。
 しかし、彼らが吸血鬼や人狼を始めとした情報を持ち得るのかな?データを持ち帰るのは困難だと思うね。
 …情報の少なさが、悔やまれるね。捕獲しようにも、彼らには逃げられてしまったのが残念だ。」

手がかりは少ない。
武装の文字列と灰、術式を意図的に走らせたままにしているアイリスの体。
アイリスの体は“ややこしい”ので除外すれば、手がかりは少ない。

「して、巴。君はこれからどうするのかな?僕は顔見知りの人外に情報を広めようと思っている。
 昨夜はクロスに伝えたからね。彼はカフェのマスターをしていてね、情報はクロスから広がるだろう。」

AGカフェのマスターであり、アイリスを打倒した銃字森クロス。
その彼の耳には入れている。カフェという場所を利用すれば、情報の拡散は早いだろう。

31早瀬川巴:2012/03/16(金) 02:04:21 ID:4fdv4rtI0
>>30

「ああ、大丈夫ですよ。自動発動型の魔術式と違って、ルーンは対応する状況に直面しないと効力を発揮しません。
 ナウシズの防護符の場合は、直接の接触がキーとなります。なので、布一枚であっても、隔たりがあれば発動しないんです。
 ポケットや財布に入れても大丈夫だと言ったのはそのためですね。
 逆に、そのアンザスの防護符は「一定の意味があり、力のある文字列」と接触する際に効力を発揮するので、
 もしアイリスさんがそういった魔術的な防護を使っているのであれば、それには近づけないほうが良いでしょうね。
 その防護符一枚で心許なければ、同じルーンの書かれた防護符を数枚複製して、
 心配な箇所の服の裏地に防護符を縫いつけておけば、大丈夫だと思います」

裏地全部に貼り付ければ万全なんですけどね、と、巴はおどける。
力ある文字、ルーンとて万能ではない。

「彼ら退魔組織が、人外を虜囚にしてその身体的特徴を研究する、ということは十分あり得ると私は思いますよ。
 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」。かのナポレオンも絶賛したという書にあるこの言葉を、
 件の組織が知らないというのは、考えられませんしね」

だからこそ、あの術式も組めたのだろう、と巴は踏んでいる。
敵を知らずして突撃するような抜けた組織であれば、それほど脅威ではない。

「アイリスさんと違って、私は知り合いに人外は居ませんからね……。
 会ったことはあるにせよ、一回限りということも多いですし。そのあたりはアイリスさんに任せますよ。
 私もハンターギルドの件を片付けたら、アイリスさんに全面協力しようと思います」

32アイリス:2012/03/16(金) 02:25:19 ID:do5XJmGE0
>>31
「なるほど、不思議なものだね、ルーンというのは。
 考えてみれば、幾つか魔術的加護を得る機会があるね。使い魔に触れれないと困るね。」

空間がゆがめば、アンサズのルーンが書かれた紙は吸い込まれていき。
実は服にも軽い魔術的加護があるのだ。

「…なるほど。どこかの研究機関から情報提供された可能性も含め、僕からも幾つか探りを入れさせよう。」

アイリスの目が僅かに細まれる。
アイリスは金という力でギルドを動かすつもりなのだ。ちょうど、この傍にそういうところがある。
探偵事務所も使っても良い。

「彼らの目的や構成等、情報が圧倒的に足りない段階で、巴の協力はありがたい。助かるよ。
 ロザリアにも使い魔を飛ばして情報を伝えているからね、出来れば彼女とも協力していきたいね。それに、此処は基地にするにはちょうど良いね。
 しかし、本当に気をつけて欲しい、巴。君がいくら修羅場を潜ったとはいえ、敵は未知だ。」

アイリスは巴を心配している。
敵は統制が取れており、それに未知の術式を使うのだ。それに障壁を持っている厄介な相手だ。
アイリスは歪んだ空間に手を入れれば、上等な紙で作られた封筒を取り出し、巴に差し出した。

「本当に危なくなった時、これを使って欲しい。これを使えば、此処に転移できる。
 おそらく巴には無用だろうけどね。」

33早瀬川巴:2012/03/16(金) 02:41:58 ID:4fdv4rtI0
>>32

虚空に防護符が吸い込まれていく様を、巴は目を丸くして見ていたが、
すぐにフッと面白がるような笑みに変わって、

「なるほど。そういうことであれば、そこに放り込んでおいた方がいいでしょうね。
 私の方でも無理がない範囲で相手を泳がせてみますけど、あんまり期待はしないでくださいね。
 問題の術式についても何かあれば教えて下さい。まだまだ使えるルーンが有るかも知れませんし」

今のところの巴は、組織を動かせるほどの影響力もなければ、資金力もない。
そういった面は完全に、アイリスを頼る他無かった。

「そうですね。未知の敵ほど厄介なものはない。
 おまけに、相手の血から情報を得ることも出来ないとなれば、事は完全に手探りです。慎重にいかなければ。
 ……え、転移の符ですか? ありがとうございます。助かります。これで保険がまた一つ、増えましたね」

アイリスから封筒を受け取った巴は、それをコートのポケットに入れ、
そのままコートを取って立ち上がり、

「私も何かわかりましたら、蝙蝠か何かでお知らせします。
 敵が多いっていうのも、嫌ですけど、反面ちょっとしたスリルがありますよね。
 不謹慎だとわかってはいるんですが、どうにも。
 自分たちを害しようという奴らが、果たして滅びの際にはどんな顔を見せるのか?
 それが私、少し楽しみなんです」

吸血鬼の牙が覗く、魔性としか言いようのない笑みは、少女のそれではない。
だが、早瀬川巴という吸血鬼を語る上に置いて、この性は外せないものであった。

そして、巴はアイリスに別れの挨拶を告げ、城を出る。
一夜城。人外のためのその城の上空を、蝙蝠の群れが飛んでいった。

34アイリス:2012/03/16(金) 02:53:51 ID:do5XJmGE0
>>33
「わかった、気をつけて。」

この言葉は既に巴に届かぬだろう。
それに聡い巴だ。目の前に餌をぶら下げられてもホイホイついていくとは思えない。
フゥ、と溜息を付けば、席を立ち、自室へ戻る。
こんな時、ロザリアのような知恵者がいれば大いにたすかるのだが…。
それに、キョーコのところにも行き、自分が離れ、巴が入居する可能性も話しておく必要がある。
痛む体を引き摺るように纏めた髪を解きベッドへ倒れれば、意識は直ぐに失われていった。

//絡みありがとうございました。おやすー

35防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 20:41:19 ID:WVrfsEdY0
「…なんか街にきな臭い雰囲気が漂っていますね…」
【新聞を抱えたまま制服を着た少女はその場を歩き出す】

「……此のままではいられません…一刻も早く力を付けないと」
【ぐっと拳を握って、その少女は箱庭のシステムの前に立っていた】

36アーベント:2012/03/16(金) 20:51:42 ID:51FZPppw0
>>35
「―――やぁ、少女」

箱庭システムの前に立つ少女の後ろからぬらぁ…と現れ、薄ら笑いながら声をかける
服装は黄土色のロングコートにマフラー、それとハットと軍靴のいつものものだ

「相手なら、してやるが?」

最近、人外狩りなるものが発生している…と噂に聞く
このままぐだぐだと人を狩ってばかりでは腕も鈍るだろうと、ちょうど箱庭を彷徨おうとしていたところだ

現実でさっさと相手が決まるならば都合がいい。

37防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 21:07:12 ID:WVrfsEdY0
>>36
「おや、貴方は…」
【声が聞こえた気がして振り返る】

「えっと…貴方は人外のお方ですね?」
【軽く首をかしげて尋ねる】

「ええ、相手はほしいところでした…
 コチラにどうぞ」
【箱庭システムを操作しながら言う】

38防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 22:01:09 ID:WVrfsEdY0
//>>35からやり直しまっす

39月夜:2012/03/16(金) 22:14:15 ID:dL8H4NjE0
>>35
「いい心がけですね」
後ろからその背中をポンと叩く一人の少女。
黒髪を夜風に揺らしながら、月夜は話しかける。

「こんばんは、覚えてます?私のこと」
若干心配そうにする。

40防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 22:16:59 ID:WVrfsEdY0
>>39
「え?あ、貴方は…」
【思い出したように顔を上げる】

「以前戦いましたね。
 あの時も色々ありましたけど…」
【そう言ってそこで止める】

「そうですね。このへんも怪しい雰囲気になって来ましたし、
 また訓練するのもいいと思いませんか?」
【箱庭システムにてを触れていう】

41?:2012/03/16(金) 22:27:54 ID:dL8H4NjE0
>>40
「いえーす、ざっつらいと」
妙に間の抜けた声で返答する。
しかしすぐに真面目な表情に戻ると、

「ふむ、いいんじゃない?私も『リハビリ』したかったところだし」
箱庭を静かに見つめて言う。

42防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 22:36:35 ID:WVrfsEdY0
>>41
「重ね重ね申し訳ありません。
 協力していただいて」
【そう言って箱庭システムを動かす】

「とりあえず、こことおんなじ戦闘フィールドにしましょうか?」
【そう言ってフィールド「都市」を選択する】
「ひどまず…武器一式を持っておきます」
【そう言って背中に風呂敷を抱える】

43?:2012/03/16(金) 22:42:40 ID:dL8H4NjE0
>>42
「どこでもいいよー」
特にこだわりはないようだ。
まあ実戦の時は戦う場所など気にしていられないが。

「……それ本物持てばもっと強くなったりしないの?」
ふと思った疑問を口にする。

44防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 22:47:08 ID:WVrfsEdY0
>>43
「ええ、では…」
【ひと通り入力を開始する】

「本物…ですか?
 試したことはありませんが、もしかしたら強くなるかもしれませんね…
 もっとも私は普通の女子高生ですから手をつけるなんてまず無理ですが」
【そこまで行った所で】
「ではいきましょうか」
【そう言うと鶫が先に転送された】

45?:2012/03/16(金) 22:54:51 ID:dL8H4NjE0
>>44
「あれ?ここならそういうのも簡単に手にはいると思ってたけど違うんだ」
少し意外そうにする。

先に転送されたのを確認し、少女は一人呟く。
「能力持ってるのに普通、ね……羨ましいよ」
自嘲気味に笑いながら言って、自身も転送装置の中に入る。

転送が終了すると同時、少女はカードを取り出す。
「さあ、始めよっか」

46防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 23:08:24 ID:WVrfsEdY0
>>45
「…さすがにそういうのは表で簡単に手に入るわけじゃないですよ」
【少し頭をかいて言う】

「あ、すいません…
 ちょっと前まで普通だったのでちょっとそのへん希薄みたいです…」
【何処か申し訳なさそうだ】

「…ええ、そうしましょうか、
 では手始めに」
【そう言って風呂敷からベーゴマと紐を取り出し、力を溜め始める】
「じゃあ行きますよ」

47?:2012/03/16(金) 23:20:02 ID:dL8H4NjE0
>>46
「いや、普通の街とこの街とを同じに見ちゃいけないのはわかってるんだけど、
来たばっかりの身としては……やっぱりね」
こちらも申し訳なさそうな表情をする。

「よっしゃこーい!」
手をパンパンと鳴らす。
しかし少女はカードを持ったままで、武器を錬成しようとはしない。
何か考えがあるのだろうか。

48防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 23:25:55 ID:WVrfsEdY0
>>47
「いえ…気にしないで下さい。
 大丈夫ですよ」
【そこまで行った所で力を溜めきったのか】

「ベイブレードもどき!シュート!」
【紐を巻きつけたベーゴマを勢い良く振るうと】
バシュウウン!
【凄まじい勢いで高速回転しながらベーゴマが女性に向けて飛んで行く】

49?:2012/03/16(金) 23:30:47 ID:dL8H4NjE0
>>48
「それぐらいは予想済みさ」
ベーゴマが放たれると同時に、少女は横に跳ぶ。
そしてクローバーのトランプから少女の等身大程度の大きさのメイスを召喚。
着地と同時に一回転し、遠心力を利用して巨大なメイスを振りまわす。

「代打私!飛んでけ!」
遠心力が加わったメイスはベーゴマを見事にとらえ、
ピッチャーライナーよろしく鶫に向かって跳ね返る。

50防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 23:37:29 ID:WVrfsEdY0
>>49
「っと、跳ね返されるなんて!!」
【跳ね返ってきた攻撃を前に慌てて手袋をまとった手を突き出す】
場シィん
「あいたたた…!」
【力を纏った手でどうにかベーゴマを受け止めに行くが、その勢いに耐え切れずに後方に吹き飛ばされていく】

「ワンナウト…ってとこですか」
【そう言って手に持ったベーゴマをもって】

「お次は指弾!」
【指でベーゴマを勢い良く弾く。】
バシュウン
【先程よりもさらに勢いを増して飛んで行く】

51?:2012/03/16(金) 23:47:11 ID:dL8H4NjE0
>>50
「ちぇっ、捕られたか」
残念そうに舌打ちをして、メイスを一端おろす。
遠心力を利用して振りまわすのが精一杯の大きさにしているので、そのまま持つなどとても無理なのだ。

「っと!」
再び飛んできたベーゴマをメイスで再びはじき返そうとするが、
一度下したメイスをまた持ち上げられる大きさに変化し、勢いをつけてまた打ち返すのに十分な大きさにしていたら間に合わない。
仕方なくメイスを元のカードに戻し、別のカードを取り出す。

ガギィィン!!、と耳障りな異音が響く。
少女に向かって打ち出されたベーゴマは真っ二つに切られている。

「危ない危ない、少し焦っちゃったよ」
身の丈ほどある鎌をいつものように肩に担ぎ、少女は余裕の笑みを浮かべた。

52防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/16(金) 23:51:40 ID:WVrfsEdY0
>>51
「もらった・・・っと」
【突然出現した鎌を見て驚きの顔を浮かべた】

「それがありましたね。
 なるほど、厄介そうです」
【そう言うと再び風呂敷から何かを取り出し始める】
「鎌は私とは相性が悪いみたいです
 ならば…」
【取り出したのは、コレまた玩具らしきもの。ゼリー状な何かが見える】
「ちょっとした活用法を見せましょう」
【そう言って再びその容器に入ったゼリー状の物質に力を溜め始める】

53?:2012/03/16(金) 23:57:32 ID:dL8H4NjE0
>>52
「……?何それ」
訝しげにゼリー状の物質が入った容器を見る。
しかし見ただけで何が起こるのか分かるわけがなく、

「先手必勝、ていっ」
スペードのカードからナイフを一本召喚し、すばやく少女に投擲する。

54防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 00:05:22 ID:WVrfsEdY0
>>53
「それは、以前見たんですよ!!」
【そう言うと靴から光が発せられ】

「てやっ!」
【脇に向けて飛び、ナイフの攻撃を紙一重でかわすと】

「どうにかこれの効果を…!」
【そう言うと容器ごと鎌に向けて投げつける】
【そのゼリー状の物質は…ぶつかった部分に強力な粘着力でくっついていくだろう】
【どうやら力を埋めこまれているのは「スライム」という粘着くおもちゃのようである】

55?:2012/03/17(土) 00:12:52 ID:dL8H4NjE0
>>54
「あ、そういえばそうだった」
少女は舌を軽く出して右手そこつんと額に当てる。
いわゆるてへぺろ☆というやつだ。

「うおう、ぐにゅぐにゅする……ってレベルじゃない……」
鎌にひっついたスライムを引き離そうと手でつかむが、それが仇となった。
手と鎌が某瞬間接着剤のようにくっつき、離れなくなる。

「あーもう離れねー!」
結構焦っているように見える。攻撃するなら今がチャンスか。

56防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 00:16:43 ID:WVrfsEdY0
>>55
「よし…大成功!!」
【そう言うと鶫は両手に力を貯めこんでいき】

「こうなったら一撃必殺の!!」
【凄まじい勢いでかけ出していき】

「パーンチ!!だ!」
【少女の体に向けて勢い良く拳を振り抜いた】

57?:2012/03/17(土) 00:22:00 ID:dL8H4NjE0
>>56
「……え?」
こちらに近付いてくる鶫を見て、少女はあっけにとられる。
近づいてくるということは接近戦をするということで、接近戦をするということは――

「てや」
振りぬかれた拳に合わせ、少女は鎌で防御の体勢をとる。
正確には鎌ではなく、驚異的な粘着力を誇るスライムで、だ。
鶫の拳がそのまま振りぬかれれば、見事にスライムにくっつくことになるだろう。

58防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 00:24:47 ID:WVrfsEdY0
>>57
「あ」
【途端に自身のうっかりに気づいて】

べっとり
「うわあああ!ととと、とれない!!」
【鎌に拳がくっついてしまう。】
「えっと、あの、ちょっとまって。くれはしませんか…ね」
【手を大きく振って軽く笑う】

59?:2012/03/17(土) 00:28:11 ID:dL8H4NjE0
>>58
「だ・め♪」
にっこりと、聖母を思わせるような微笑みで、少女は宣告する。
ぐ、と少女の足に力が込められ、

「だぁりゃ!」
サマーソルトの要領で、鎌を軸にして鶫に蹴りを浴びせかけようとする。

60防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 00:33:56 ID:WVrfsEdY0
>>59
「やっぱりそうですよね〜」
【そう言って力を再び貯めようとするが…】

ドゴォ!
「がっ…ふっ!!」
【脇腹に強烈な一撃を食らってその身をのけぞらせる】
「こ、のぉ!」
【更にパンチを打ち込もうと片方の腕をふるう】

61?:2012/03/17(土) 00:41:10 ID:dL8H4NjE0
>>60
「ぐぅっ……」
先ほどは上手くいったとはいえ、両手がふさがれている状態で拳を防ぐのは至難の業。
鶫の拳は少女の胸骨あたりに当たる。
鈍い痛みが体を駆け抜け、肺から息が漏れる。

少女は鎌をカードに戻し、鶫から距離をと取ろうとする。
一度カードに戻してしまうと少しの間同じカードで召喚ができなくなるが、両手が塞がるよりマシだ。

「最初からこうすればよかった……イタタ」
胸をさすりながら呟く。

62防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 00:46:58 ID:WVrfsEdY0
>>61
「うぅ…どうにか封じ…いや…
 また出されては厄介…」
【力を貯めこむのが少々遅れている…先ほどのダメージが大きかったようだ】

「次の手は…これを」
【力を貯めようとしているのは…以前とお同じおもちゃの拳銃】

「どう…だ!」
【弾丸が発射されるが、威力は先ほどのよりも少し低い。
 貯めこむ時間が足りなかったのだろう】
(く…コレだけでは足りない…っていうの?)

63?:2012/03/17(土) 00:52:08 ID:dL8H4NjE0
>>62
「とりあえずは時間稼ぎ……」
少女はハートが描かれたカードをを取り出し、マネキンを召喚。
ひとまず防御に徹して体勢を整えようという魂胆だろう。

「あ……っと、さっそく一体消費か。脆いんだよね、これ」
弾丸はマネキンの内一体に当たる。
少女に攻撃を繋げるのは少し骨が折れるかもしれない。

64防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 00:57:06 ID:WVrfsEdY0
>>63
「またその手を…
 そんなことさせるわけには…!」
【風呂敷から今度はロケット花火を取り出す】

「火力があればなんとか…!」
【そう言ってロケット花火を少女のいる方角に向け、力を貯めこんでいく】
「片手に100円ライターを構えたまま、力を貯め続ける」

65?:2012/03/17(土) 01:06:15 ID:dL8H4NjE0
>>64
「うげぇ……それ爆発したりとかするの?それはちょっときついなあ」
流石にロケットをマネキン一体で防ぐのは不可能だ。
かといって避けようとしても爆風に吹き飛ばされるかそもそも避けられないのがオチだろう。

どちらにしろこのままでは攻撃をもろに喰らうと判断した少女は、身をかがめて鶫に向かって駆けだす。
鶫もロケットを自分のすぐ近くで爆発させようとは思わないだろう、と思ってのことだ。
「どーする?巻き添え喰らってみる?」

66防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 01:15:20 ID:WVrfsEdY0
>>65
「すぐ近くまで来ますか…それなら…」
【力を溜め込んだ状態のロケット花火を構える】

「お構いなく…!」
【手に抱えたまま火をつけ始めた】

ジジジ…
「この前見た特撮の技を試しますよ…!」
【そう言うとロケット花火に勢いよく火が点火される】

「宇宙…おああああああ!!」
【手に持ったロケット花火は、凄まじい勢いで上空に鶫をさらっていく】
【ずっと高いところまで飛んで行くように見えるが…どうやら着地時は能力でなんとかできそうだろう】

67?:2012/03/17(土) 01:18:29 ID:dL8H4NjE0
>>66
「……さよーならー?」
上空を見上げながら右手を振る。
なぜか普段はほとんど動かないマネキンも手を振っている。

「鶫ちゃんどっか行っちゃったし……帰るか」
冗談交じりに転送装置に向かう。

68防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 01:22:51 ID:WVrfsEdY0
>>67
「…とまったぁ!!」
【上空から響く声が聞こえる】

「まだ無事の人間に背を向けるなど…
 油断大敵一寸先は闇ですよぉおぉぉぉ!!」
【上空で鶫はロケットを水平に向け始める】

「名付けてえええええ」
【そう言って抱えたロケット花火を上空で回転させた後】

「ロケットパンチ!!」
【勢い良く少女のいる方に向けてロケット花火をぶん投げた】
ゴォォォォォォォォ!
【遥か上空から力を貯めこまれたロケット花火が猛然と少女のいる地面に向けて迫る】
【その威力は正しくロケット並へと強化されているだろう】

69?:2012/03/17(土) 01:31:35 ID:dL8H4NjE0
>>68
「それはロケットパンチっていうのかな……」
少し呆れ気味に言うが、この状況で油断したらそれは死につながる。
少女は攻撃を避けることを諦め、いかに衝撃を小さくするかに重点を置く。
ロケットの着弾の瞬間に後ろに跳び、残りのマネキンをロケットと自分の間に割り込ませる。
ないよりはマシ程度の防御だが、それは言いかえればあれば少しだけでもダメージを軽減できるということだ。

「あ――がっ!」
爆風に吹き飛ばされ、地面に体が打ちつけられてもなお転がり続ける。
僅か数秒でその体を擦り傷と打撲で埋め、少女は立ち上がる。

「死ななきゃこれぐらいは安いさ」
見た目の傷はかなりひどいが、少女の表情はいつもと変わらない。

70防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 01:35:29 ID:WVrfsEdY0
>>69
「よし命中!!…と」
【ガッツポーズを決めた途端に…】

「…ぁあああああああ!」
【当然支えを失った体は上空高くから落下していく】
「いや、慌てずに…コレで…!」
【両手足に力を集中させながら地面を迎え撃った】

どっゴォん!
【凄まじい音と共に少女は地面に落下していった】
「ったああ…ぁあ…」
【涙目になりながら両手を振り、両足を振って立ち上がる】

「くぅ、コレでどうなんですか…?
 降参…には見えませんが…」
【また鉄砲を構えた状態で近づいていく】

71?:2012/03/17(土) 01:40:57 ID:dL8H4NjE0
>>70
「うーん……こうさんします」
全てのカードをポーチにしまい、両手を挙げ、降伏の意を示す。

「そろそろ疲れちゃったし、私は帰って寝るー」
踵を返して鶫に背中を向け、転送装置に向かう。
そのまま装置を操作して、少女は箱庭を出て行った。

//サーセン続けても眠気がアレなんで落ちるます。

72防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/17(土) 01:44:05 ID:WVrfsEdY0
>>71
「あら、降参ですか…
 わかりました。いい勝負ありがとうございました!」
【そう言うと鉄砲をしまい込んで深々とお辞儀をした】

「お疲れ様ですー!
 またあいましょうねー!」
【軽く手を振り見送った後】

「あー…いたた…
 さすがにこれはきついですね…」
【脇腹を軽くさすりながら鶫も箱庭から出ていった】
//お疲れ様ですー

73アイリス:2012/03/17(土) 21:09:07 ID:do5XJmGE0
【一夜城】
一階談話室。
花の手入れをするアスカリオテを窓越しに見て、積み上げられた本に目を通す。
それは術式を知るためである。
肉体の耐性は逐次進んでいくものの、未だ楽になる様子は見られず。
解析を進める上での情報は武装と灰のみ。

「…先に彼らに依頼を出して、動向だけでも探らせるべきか…」

携帯電話を取り出し、非通知で電話を掛ける。
一言二言言葉を交わせば、使い魔のコウモリに依頼内容を運ばせて。
依頼内容はごくシンプルなもの。
彼らの姿形を記し、彼らを探って欲しい旨の内容だ。
情報は定期報告の形で所定のフォーマットを守り、ヤドリギに提出すればいいもの。
いつ、どこで、誰が、といった5W1Hさえ守れば、書く方も楽であり、情報がまとめやすい。
報酬は情報の重要度により変わってきており有用と判断された情報は青天井で報酬が跳ね上がる形だ。

落成式の陣頭指揮を取りながら、アイリス自身も敵に対し、草を放ち始めていた

74ヴァージニア:2012/03/19(月) 23:34:03 ID:CGA2X3DQ0
最近はもう暖かい。
ジャンク品のコートも必要なくなる季節が近付いてきた。
彼女は、近所の林にやって来ていた。
月光が木々の葉の間を抜けて、辺りを怪しく照らす。

手持ちのナイフを身近にある樹木に投げつける。
木に吸い込まれるようにナイフは刺さり、弦を弾くような音を周囲に鳴らす。
それを見たヴァージニアは嘆息をもらす。

「これ以上の筋力は身につかない……?」
ヴァージニアという少女は、人間だった頃の体が成熟しておらず、
また、劣悪な環境で過ごしたことから、同年代と比べて著しく体が弱かった。
素体が悪いまま吸血鬼に転化することは、成長の限界が早く訪れるということ。
どれだけ血を啜り力を得ようが、これから先単純な能力の成長する見込みがあまりないのだ。

75名も無き異能都市住民:2012/03/19(月) 23:52:05 ID:SSMHlh/20
>>74

林、といっても夜中では暗く見通しが悪いため
普通の住民ならば、この時間はこんな場所まで来ない。

「――――。」

いつの間にか、ヴァージニアの背後に5人の黒いローブを着た者たちが立っていた。
いくら素体が悪いとは言え、吸血鬼化した肉体は常人以上の能力がある。

『足音』なく、『気配』もなく。
視界に入らぬよう気をつけながら、ヴァージニアを半包囲するように。
そしてゆっくりと、鞘から抜かれる白刃。

――ザリッ

背後の一人が、その背中へ向け渾身の踏み込みから突きを放つ。
この時初めてほんの僅かであるが、土が跳ね。足音がたった。

76ヴァージニア:2012/03/20(火) 00:01:36 ID:CGA2X3DQ0
>>75
「!」
足音が聞こえたと同時に、殺意が自分に向けられていることに気付く。
吸血鬼は大抵の場合、第六感が発達している。
しかしヴァージニアの場合、吸血鬼としても未だ成熟していないため、わずかに反応が遅れた。

白刃が頬を切り裂き、赤い線を引く。
痛みにより、素早く回避に専念することができた。
強い吸血鬼は、痛みがない。なぜなら、傷の回復力があるからである。
しかし、ヴァージニアは吸血鬼の中でも下位の下位、
致命傷となりえる攻撃はいくらでも存在している。
だが、今問題なのは。

「なんで私を攻撃するの……?」

77名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 00:10:07 ID:SSMHlh/20
>>76

しかし、そんな問いかけをする日まもなく敵は攻撃を仕掛けてくる。

突きが回避された場合のカバー兼、回避狩りを狙って、
既に別の敵二人が既に横薙ぎと斜め上からの切り下ろしを繰り出していたからである。

さらに悪い事はもう一つ。

通常なら再生するはずの頬の傷が再生しない。
それどころか、身を焼くような痛みが頬から顔へ。
じわじわと広がっていくではないか。

78ヴァージニア:2012/03/20(火) 00:20:23 ID:CGA2X3DQ0
>>77
「がァァッ…!?」
咄嗟に後ろに跳ねたものの、浮いている状態では回避もままならない。
横から払われた刃によってコートごと腹部を裂かれ、斜め上から振りおろされた斬撃で肩を抉られる。

「……なんで」
後ずさりながら考える。なぜ傷が回復しないのか。
下位の吸血鬼とはいえ、再生能力を多少は備えている。
それなのに、傷は治ることなく、否、徐々にその傷は広がって行く。

「吸血鬼……、狩り……?」
異端狩りであるならば、完全に相手が悪い。
相手は吸血鬼などの化け物を狩る為にやってきているのだ。
万全でないわけがない。
まずは距離を取らなければ、そう考えて、怪しい集団から逃げるように走り出した。

79名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 00:29:33 ID:SSMHlh/20
>>78

男たちは、ヴァージニアを追い走り出した。
いくら吸血鬼とはいえ、手負いの状態で何処まで逃げ切れるか。

――幸い、ここは住宅地に近い都市内部の公園の林だ。
すぐ近くに、鉄道の高架なども走っている。どうにか、人気のあるところまで――。

――ザリッ、ザッ、ザッ、カッ、ザッ

足音が、次第に近くなってくる。マズい。

80ヴァージニア:2012/03/20(火) 00:38:42 ID:CGA2X3DQ0
>>79
「もう、だめか……」
法儀礼済武器か銀製武器により付けられた傷が拡がる。
無理に走っているから、体中のあちこちから悲鳴を上げている。
人気のあるところまで抜けられれば、よかったのだが。

「くっ……」
覚束ない足取りだった為、ちょっとした小路の石で転んでしまう。
弱小個体は、自然淘汰されるべきなのか。
彼女は死を覚悟していた。何一つ役に立たないで主人の元から去る。
そればかりが心残りだったが。

81名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 00:46:44 ID:SSMHlh/20
>>80

倒れたヴァージニアの元に、
3秒と掛からず追っ手が追いつき……。

「死ね。」

――ひゅん。

軽い風切り音と共に心臓目掛けて剣が突き下ろされる。
高位の吸血鬼ならば、完全な手順と準備を踏まず滅したところで、
灰などから時間をかけて蘇生が可能だが、ヴァージニアは……。

82ヴァージニア:2012/03/20(火) 01:06:58 ID:CGA2X3DQ0
>>81
諦める前に、まだ何か出来ることはあるか。
自分自身に対しての評価を、少し低く見積もり過ぎているのか。
今までの鍛錬は、生き残る為のものでなかったか。

振るわれた剣は虚空を翔ける。
彼女は眼前から瞬間的に消えていた。

否、消えていたのではない。小さくなっていたのだ。
このあいだ習得したばかりの変化を使い、コウモリとなって難を逃れた。

フラフラの状態で、空を飛び、逃走を続けるが。
狩人の視界に収まるのは時間の問題。逃げ切れるか。

// ロザリーに助けを求めていいかい?

83名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 01:21:55 ID:SSMHlh/20
>>82

止めを刺すための力の篭った一撃は、土を捉えた。

すぐさま、宙に舞い上がった蝙蝠を払い落とすべく、
そのまま土くれを弾き飛ばしながら剣を振るうも、
焦りから来る不必要な力みによって、狙いが先ほどより少々浅い。

『――――。』

女性の声、いや……少女の声が聞こえ……。
ヴァージニアの視界がくらむ。貧血を起こしたときと似た、浮遊感。

どこかへと、落ちていく。一体、何が……。

84ヴァージニア:2012/03/20(火) 01:28:12 ID:CGA2X3DQ0
>>83
命を断つ為に振るわれる刃を、必死に避け続ける。
超音波による、物体の位置把握を行っているため、第六感に頼らずとも避けることはできる。
しかし、出血が激しいヴァージニアは、次第に意識が朦朧としてくる。
この謎の浮遊感も、命の削られていく感覚の一部かと錯覚している。

85名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 01:46:28 ID:SSMHlh/20
>>84


ついに音すらも聞こえなくなり。落ちる……。
しかし、それが終わるのは唐突であった。

「こうして転移させるのは2回目かしらねえ。
 ……何はともあれ、間に合ってほっとしましたわ。」

――ふいに、歪んだ視界が晴れ、聞き覚えのある少女の声が耳に飛び込んでくる。

ぱち、ぱちと心地よく爆ぜる暖炉とふかふかの絨毯。
敷くな調度品に、重厚な機械音と共に、時を刻み続ける柱時計。

さきほどの、男たちの足音と繁華街のかすかの喧騒とはまるで違う種類の音に包まれた、
暖かな部屋にいつのまにか、ヴァージニアは立っていた

86ヴァージニア:2012/03/20(火) 01:53:54 ID:CGA2X3DQ0
>>85
ヴァージニアは、いつの間にか変化が解けていることに気付く。
改めて自分の体を見れば傷だらけで、常人ならば死んでいてもおかしくない状態だった。
そして、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
何時だったか、自分に吸血鬼の生き方などを教示して貰った方だ。
そうすると、空間転移を行ったのだろう。
先ほどとは別の風景であることも、納得が行った。

「ぁぁ…助かったんだ、私」
膝から崩れ落ちて、涙を浮かべながら安堵している。
なぜ、涙を流しているのか、自分でも分からなかった。
脆弱な人間の心は、捨て去ったはずなのに。

// 眠いので凍結したいのです…

87ロザリア・ロートシルト:2012/03/20(火) 23:13:14 ID:SSMHlh/20
>>86

暖炉の近く、安楽椅子に腰掛けた少女が
少し指を動かすと、テーブルに置かれていたグラスに琥珀色の液体が湧き出す。

「……ブランデーよ。気付け薬代わりに少し飲んでおきなさいな。」

さらに、彼女から微弱な魔力が発せられるのを感じた。
すると空間から溶け出るように、ブランケットが現れてヴァージニアの体を包む。
ふわふわとしていて、疲れと恐怖を暖かく包み込み溶かしてくれるような感覚を感じる。

「昔の錬金術師は、研究の過程で偶発的に精製した
 ブランデーを、霊薬だとかエリクシールだとか呼んでいたらしいわ。
 体が熱く火照るところから、ね。元気を出しなさい。」

88ヴァージニア:2012/03/20(火) 23:29:02 ID:4m.JMvtI0
>>87
彼女は泣きやむと、ロザリアの出してくれたブランデーに口をつけた。
その液体を口に含んだ瞬間に、顔を顰める。
アルコールというものを味わったことのないヴァージニアにとって、その味は衝撃的であった。
違和感を感じつつも、我慢して喉に通す。

「……怖い」
それでも、恐怖が頭から消えなかった。
いつ死ぬか分からない恐怖に怯えていて情けなかった。
不老不死のイメージが強い吸血鬼であるが、生命力の乏しい吸血鬼は死の危険を孕んでいる。
だからこそ、怯えている。

89ロザリア・ロートシルト:2012/03/20(火) 23:43:55 ID:SSMHlh/20
>>88

(今は時間が必要ね。ゆっくりとできる時間が。
 心の傷だけは、時間という最上の名医にしか治せないから……。)

「とりあえず今は、何も考えずにおやすみなさい。
 そこのベッドを使っていいわ。それとも、自分の部屋、のほうがいいかしら。」

ワインレッドのシーツが引かれた大きなベッドを指差す。
もし、自分の部屋のほうが落ち着けるならばそこに転移させる事くらいはできる。

(しかし、例の手紙の襲撃者の仕業かしら……。
 もしそうだとするなら……割と派手にやっているようねぇ。
 他の夜種たちにも警告しておかないと……。ああ、それにこの子にもなにか対策を……。)

ううむ、と唸り難しい顔で考え込む。

一人前の夜種、妖魔の類であれば一人でも逃げる程度はできるだろう。
しかし人間社会で高い地位に就いているものは暗殺の恐れがあるし、
ヴァージニアのような未熟な個体では、逃げる事すら難しい。

対策を考えなければ……。

90ヴァージニア:2012/03/20(火) 23:55:48 ID:4m.JMvtI0
>>89
「自分の部屋に……、お願い……」
頭の中は今でも、誰かに殺されるかもしれない、という考えばかり。
家に帰れば、自分の主人も居る。きっと安全なのだ。

(安全……?)
何を馬鹿なことを考えているのだろう。
綾に護られる前提で帰るとは、下僕として恥ずかしくないのか。

(でも……、こわい……)
気持ちが整理できず、パニックに陥っている。
人間と同じレベルのものの考え方となっている。
異端狩りの襲撃は、彼女の心の思いもよらない衝撃を与えたらしい。

91ロザリア・ロートシルト:2012/03/20(火) 23:59:50 ID:SSMHlh/20
>>90

「分かったわ。じゃあ、目を閉じてその場所を強く思い描きなさい。
 少し気持ち悪いかもしれないけれど、すぐに済むから……。」

少女は安楽椅子からすくと立ち上がると、
空中に指で文字を書くような動作をし、呪言を呟く。
ヴァージニアの足元に、転移魔法の陣が形成され――。

落ちる――。

ここへ来た時と同じ浮遊感。
ひどく孤独で、不安定な――。

闇に閉ざされた視界がはれれば、そこはヴァージニアの脳裏に浮かんだ場所だろう。

92ヴァージニア:2012/03/21(水) 00:14:12 ID:4m.JMvtI0
>>91
とにかく、安全な所に逃げ込みたかった。
だから、その場所を強く願った。
景色に色が帯びたと思ったら、そこは見知った部屋だった。

「なんで…、恐怖なんて感じるの……」
死んだはずだった、人としての感情。それがまたなぜ蘇ったのか。

「分からない……」
彼女はベッドに潜り込み、再び涙を流す。
こんな弱いところを、誰にも見られたくなかった。

93ロザリア・ロートシルト:2012/03/21(水) 00:19:08 ID:SSMHlh/20
>>92

すぐにベッドにもぐりこんだヴァージニアは
気づかなかったかもしれないが、彼女と共に転移してきた1枚の封筒が
部屋の床に落ちている。

その封筒の中には、一枚の便箋とマジックアイテムと思われる金色の小さな鍵。
便箋には人外の集う場所『一夜城』の所在が記されており、金色の鍵は危なくなった時、
もしくは助けが必要になった時使え、との但し書きが添えられている。

94アイリス:2012/03/22(木) 23:54:07 ID:do5XJmGE0
【AGカフェ】

煮詰まっていた。
体そのもの魔の否定の術式の耐性が出来たのはいい。
だが、先日放った草からの襲撃情報が一切ない。調査を依頼した者たちからの報告も芳しくない。
情報の引き出し方を考えつつ、カフェに置いていた新聞の隅の見出しを見て。

「…しかし、万事上手くは行かないものだね。」

調理場からの出火。食事を提供するナイトクラブならよく有る話ではないだろうか。
悪く言うならありきたり。
改めて、情報を紙に纏める。

「して、ロザリアにはしっかりと伝わったかな。」

来る途中で買ってきた、カップのコーヒーを口に含んで。

95ロザリア・ロートシルト:2012/03/23(金) 00:01:38 ID:SSMHlh/20
>>94

「……ええ、確りと受け取りましたわ。」

ふと、見知った声が背後で響く。ロザリアだ。
扉が開いた様子などは一切なく、いきなり気配が現れたところから見て。
ロザリアお得意の『転移』の魔術で直接飛んできたのだろう。

「使い魔がここへ貴方が来た、と知らせてきた物だから急いで駆けつけたの。
 本当なら、例の『一夜城』でお会いしたかったのだけれど……ね。」

96アイリス:2012/03/23(金) 00:11:32 ID:do5XJmGE0
>>95
「優秀な使い魔だ。ちょうど君に会いたかったところだ、ロザリア。」

アイリスの使い魔は何処でフラフラしているのか。
空の監視ではアテにならないのだろうか。

「そうは言ってもね、ロザリア。何日も同じ所で考え事をしているよりも、偶にはこうして夜の種族らしく、
 散歩をしようと思ってね。」

こうは言うが、結局は気分転換の散歩なのだろう。
歪んだ空間から、赤ワインを取り出し、カフェのグラスを2つ取り、手馴れた様子でコルクを抜き注ぐ。

「十六年前の特別製だよ。今宵の赤はこれにしようか。」

カウンターに置かれたのはワイングラス。その下には、魔の否定の術式の複写が挟まれており

97ロザリア・ロートシルト:2012/03/23(金) 00:26:33 ID:SSMHlh/20
>>96

ちなみに、ロザリアが一夜城へ行けなかったのは、
なんとなく気後れしてしまった、という事もあるがそれ以上に
街の監視に力を入れていたからでもある。

以前もそのおかげで、寸でのところでヴァージニアという吸血鬼を救う事ができた。
しかし、守りきれなかった者がいないわけでもなく、やはり一人では限界が見えてしまっているのが現状だ。

「明日にでも城へ伺おうとおもっていたから、丁度よかった。
 ……ワイン、だけではないようだけれど……いただきますわ。」

ワイングラスと、術式の複写を受け取る。
魔術関係に関しては、そこらの魔術師以上の知識は持っていると
自負しているロザリアは、それを眺め頭を捻った。

「……一部は見た事があるけれど、よく分からないものもかなり混じっているわね。
 まあ、この『都市』ではこういったことは珍しいことではないですけれど。」

そう、この都市は様々な次元から人やモノが流れ込む魔境。
寧ろ、見た事がない物を見るほうが多いのだ。

98早瀬川巴:2012/03/23(金) 00:34:39 ID:smlJfrtg0
>>96-97

「とはいえ、そう悠長に構えてもいられないかも知れませんよ。
 相手もこちらが術式の解析を行うことくらい予想しているでしょうし、我々にそう多くの時間を与えるわけがありませんから」

壁際から声。見れば、セーラー服姿の少女が、腕を組みながら壁に背を預けている。
吸血鬼・早瀬川巴。ここにいる他の二人と違い、「死人」である吸血鬼である。
ドアベルは鳴らなかったが、その横にある窓が少し開いているのを見るに、彼女はここから入り込んだのだろう。
霧や蝙蝠に変身できる吸血鬼には、造作もない芸当だ。

「まあ、その方が手っ取り早くて済むんですけど。
 どんな手札を持ってニンマリしてるかは知りませんが、それを役無し(ブタ)にしてやることに変わりはありませんしね」

99アイリス:2012/03/23(金) 00:58:17 ID:do5XJmGE0
>>97
「なるほどね。一部だけでも分るのならぜひ教えてほしいね。
 こちらは対策を立てようにも、現状では注意喚起しか起こせない。
 それに資料はまだ有るんだ。見てみるかな?」

アイリスの見立ては聖遺物の聖性を借りているのでは、というもの。
大雑把な括りで吸血鬼を一週間苦しめるのは、聖人レベルでは十分に可能だからだ。

>>98
「出来るのは僕達、ということだね。
 それで、巴。彼らとは会えたかな?」

ある程度の情報拡散を期待しいているものの、現状では何も動けていない。
情報を得るには、生きて問い詰める方法か、自分たちが積極的に動くくらい。

「僕一人に六人で掛かってくるような相手だ。慎重な出方であると思える。
 僕や巴は彼らの術式を無効化出来るだろうね。…動くかい?」

勿論巴だけでは無い。アイリスもだ。
共にでなくともよい。程々に彼らを撃退しつつ、情報を集めるのが先決だ。

100ロザリア・ロートシルト:2012/03/23(金) 01:18:17 ID:SSMHlh/20
>>98

見知った声。この声は、巴といったか。

「……あなたも、無事なようでよかったわ。
 活躍のほうも、それなりに耳にはしているわよ。」

しかし、ロザリアがあった時と現在の巴はいささか変わってしまったようにも見える。
以前はもう少し、『初々しさ』があったように思えたが、今の巴は多くの血を吸ったらしく
一人前の風格を感じさせ始めていた。

思うところはあるが、正当防衛であるなら咎めるつもりはない。

>>99

「……これは、神聖術による祝福のようだけれど、
 魔術による、魔物よけ、対魔物術式のような物も感じられる。
 ……聖職者なんかとは少し違う感じがしますわ。無手勝流というか雑種というか……。」

使われている物には、一貫性が感じられない。
それどころか、いろいろな『退魔属性』を無理やり一つにして、付加しているように感じられる。
効果的であるかもしれないが、美しくない……そうロザリアは感じた。

「くわしく解析をしないと分からないけれど、この術式を無効化したり
 防御する対抗術式を構築するのはかなり難しそうね……。
 とにかく、込められているものが多すぎるわ……。」

やはり現状は、注意喚起しかないようだ……。

101早瀬川巴:2012/03/23(金) 01:28:00 ID:smlJfrtg0
>>98

アイリスの問いに、巴は首を振った。

「いいえ、私は一度も。
 というのも、もう一つの案件に決着を付けてきたばかりでして。
 探すことも、出てきそうな場所に行ったりもしていないんですよ。
 相性が良かったとはいえ、苦労しました」

何でもない苦労話をするように苦笑してみせる。
ヴァンパイアハンターギルドを彼女が単身で壊滅させたことは、誰も知らないはずだし、知られる必要もない。
それに、そんなことが「日常茶飯事」で片付けられるのが、この都市の常である。
風の便りで聞くくらいが丁度良い。

「動くのは賛成ですけど、彼らは散発的に現れては人外を襲って、
 そのまま転移魔術を使ってどこかへと消え失せると聞きます。
 無策に動き回っても、こちらが疲弊するだけになるでしょうね。
 でも、さっきも言ったように時間は少ないでしょうし……せめて彼らの血を飲めれば、それが切っ掛けになるんですが」

>>100

「お久しぶりです、ロザリアさん。そちらもご壮健なようで何よりです。
 ……私の活躍ですか? わ、ちょっと恥ずかしいですね。
 言われるほどに活躍した事なんて無いはずですけど」

恥ずかしそうに手を振って恐縮する彼女は、ロザリアから見ればまだまだ新米だろう。

102アイリス:2012/03/23(金) 01:45:57 ID:do5XJmGE0
>>100
「魔道を歩む先達だ。ロザリアの見立てを信じよう。
 僕の予想は『マタイの福音書』から力を引用しているのかと思ったんだけどね。」

キリスト教の四つの福音書。
人間の顔はマタイ福音書
獅子はマルコ福音書
牛はルカ福音書
ワシはヨハネ福音書
その中で人のシンボルであるマタイ福音書なら、使い方によっては魔の否定ということもできるのは無いかと予測していた。
ロザリアの話を聞いて、僅かに目を細めたアイリス。何か思うところがあるのか。

「イメージとしては、退魔術式の寄せ集め、そういう認識で良いかな。
 良ければ、解析をお願いしても良いかな?こういうことはロザリアしか出来ないだろうからね。」

ロザリアしかできないのだ。
多くの魔術を学んできたロザリア・ロートシルトにしかできない。
アイリスはもともと“部外者”であり、巴はルーンだ。

>>101

「そうか。ようやく決着をつけたのか。長い戦いだったね。
 それで、彼らとは違うけれど、ヴァンパイアハンターたちとの戦いの中で“良いもの”は見つけたのかな?」

そういうと、アイリスの瞳は巴へ向いて。恥ずかしそうに手を振りながら恐縮する巴を見て、笑みを浮かべて。
巴は以前出会った時よりも、変わっていた。血の香りが濃くなったというか、何かが違うのだ。

「…つまり、巴が彼らの血を飲める様にすれば良いわけだね。難しいけれど、出来なくも無い。
 彼らは絶命すると灰に還るのは知ってのとおりだ。そこで絶命しない程度に血を奪う、か。『どこで』するかも含めて考えておこう。
 そこでだ。ルーンには“拘束”“束縛”といったような、戒めの類は有るのかな?」

アイリスの魔眼の調整で致死までは至らないように出来る。
アイリスの魔眼を知るものは少ない。ただ、アイリスには“生かしつつ何日も捕縛する手段”が無い。

103ロザリア・ロートシルト:2012/03/23(金) 02:08:27 ID:SSMHlh/20
>>101

「……釘を刺しておくけど、あまり派手にやってはダメよ。
 大切なのはバランス。過去の、人が人の。夜種が夜種として
 尊厳を持ち、互いに恐れていた頃のバランスが……。」

ロザリアの思想は科学が未だ発達しておらず、魔と人とのバランスガ拮抗していた頃の
パワーバランス。互いに『恐れ』の念があった時代の復活である。

現代は、いささか人が力を持ちすぎ夜種の領分である、『夜』を侵してしまった。

>>102

「ええ、そうした物も入っているかもしれないけれど……。
 とにかく寄せ集めとしか。しかも……、恐らく、一つの世界の技術体系だけではないわ。
 いくつもの世界の物を集めない限り、ここまでの物は……。」

異能都市のような、多次元に繋がった場所で作られた物なのか?
それとも、作成者が様々な世界を回ったのか。分からない……現状では推測するしかない。

「ええ、とにかくこの術式は貰って帰りますわ。
 詳しく解析すれば、無効化は無理でも多少ダメージを減らす、対抗呪文程度はできるかもできない。
 それと……あなたの城を、一人でも多くの夜種人外の者の避難所にできないかしら?」

104早瀬川巴:2012/03/23(金) 02:22:18 ID:smlJfrtg0
>>102

「はい、心配事の種をひとつ、確実に潰しました。
 そうですね……何というか、私は既に〝個〟じゃないってことがわかりました。
 血によって取り込んだ命と、それらの上に君臨する支配者としての私……ちょっと意味不明でしたでしょうかね。
 簡単に言っちゃえば、この吸血鬼としての身体の使い方が、ようやくわかったってことです。大きな収穫でした」

ギルド本部に殴り込み、そこにいた残りの人員全ての血を吸い漁れば、血の臭いも強くなろうというものである。
戦いに行った、と言うよりは大規模な捕食を成し遂げた、と表現した方が正しいだろう。
まだ三桁にも満たないが、本人が言ったように、巴はもはや、多くの命をその身に宿して率いる、群団の支配者であった。

「ええ、私にとって吸血は「命を喰らう」行為ですから、彼らの記憶や知識をそこから引き出すことも出来るでしょう。
 ただ、束縛や拘束といったルーンは、私の知る限りありませんね。
 似たような効果を顕すものはありますが、冷気で動きを止めたり、筋肉の力を奪って動けなくするくらいなものですね。
 本物の鎖を持ってきて雁字搦めにした方が早いと思います」


>>103

「今は私たちのような存在を本気で信じている人間の方が異端ですよ。
 人は電気と技術で「人の世界」という堅固な城壁を作って、それ以外を締め出してしまった。
 ……いいえ、締め出した、と言うよりは要らなくなったんでしょうね。
 人だけで大抵の事態に当たれる今、そのコミュニティにわざわざ人外を入れるわけがないんですから」

巴は現代の人間だ。
吸血鬼や人狼などの魔物の存在をおとぎ話に追いやり、
技術の産物を使って人が強力に守護されている彼女のような人間にとって、
ロザリアの思想は、そのあたりの少し頭のネジが飛んだ大学教授が喋っているトンデモ論と同じように感じられた。

「まあとはいえ、それで殺されるつもりはさらさら無いんですけどね。
 忠告通り、あまり派手に騒ぐことはしないようにしますけど、殺すか殺されるかのラインを責め合っているときに、
 そこを気にする余裕は、多分出来ないと思います」

105アイリス:2012/03/23(金) 02:42:22 ID:do5XJmGE0
>>103
「なるほど、ね。ああ、あともう一つ追加だ。
 これは彼らの一人が絶命した際に、こうなったものでね。何かしら、出るかもしれないからね。」

歪んだ空間から取り出したのは、土で出来たツボ。ロザリアが見れば分るはずだ。
魔術的に封をしている。
ツボそのものは所々砂利が混じっている辺り、急造のものだろう。
アイリスはまたも急造のツボを作り出し、幾つか移してみせて、封をしてカウンターに置いた。

「もともとそのつもりでね。彼らのことを話した際に言われたよ。
 『人外側も組織だって行動すれば良いんじゃない』とね。一夜城を避難所、あるいは拠点にすることは問題ない。
 人狼には既に話して、協力を取り付けている。
 道義上、僕が頭となればいいのだけど、指揮を執る者が居ない。纏めるものが居ない組織など、脆弱だろう?」

アイリスは、これを機に、一夜城の知名度を上げると同時に、組織だって行動しておきたかった。
情報は鮮度が命。一夜城の性質と合わせて、それを一箇所に集約することが出来れば、強固な要塞と化するだろう。

>>104
「いや、十分に伝わるよ。
 つまり、君は“王女”ということだろう?喰らってきた命の上に鎮座する、ピラミッドの最長点。たった唯一の者。
 そして、絶対的な支配者である、ということだろう。」

体の使い方。
それは、暴虐の王女として君臨する姿か。
蒐集した命の使い方か。
それとも……

「…、そうか。人間を幾日も拘束しておくには些か手段が限られてくるね。
 手足をもげば、直ぐに絶命するだろうし、加減が難しいね。こればかりは試す他ない、か。
 分かった。巴、そういう場所を作れば、知らせよう。その時に死なない程度に動けなくするルーンを作ってくれないかな。
 ロザリアには解析を頼んでいるから、頼めるのは君しか居ないんだ。」

事前に何日も掛けて大規模な拘束術式を設置、そこに追い込めば巴のルーンが身を固めている間に動けなくすれば良い。
その後、何処かに移動させて後は吸ってもらうだけで良い。アイリスの目があれば、拷問も出来る。後は如何に上手く敵を乗せるか、だ。

106ロザリア・ロートシルト:2012/03/23(金) 02:54:19 ID:SSMHlh/20
>>104

「亜人や、機械仕掛けの人形だってこの都市では働いている。
 それは我々夜種も同じ。ヒトは我々を、神秘ではなくただの生物としてしまった。」

ロザリアの思想は、人外にありがちな選民思想に近いものであり
都市が何でも受け入れる地盤がある以上、彼女一人ではどうにもならない。

さらに行動にもあまり移さない彼女は、ただ隅っこで文句を言っている
隠者以上のものではないのであった。

>>105

「分かったわ。灰……何か、魔術的な痕跡でもあればいいけれど。
 術式自体を焼却してしまうような、魔術の可能性が高いかもしれないわね。
 肉体を消滅させた以上、魔術も消滅させる仕掛けがあっても不思議ではない。」

ロザリアが指を動かすと、壺は時空の歪みに消える。
お得意の転移術だ。

「私も、何かしらお手伝いが出来ればいいのだけれど……。
 っと、ごめんなさい。『監視網』に敵が引っかかったわ。
 救出に……!」

敵が動いた事を感知したのか、ひゅんと一陣の風を残して消えてしまった。

// ごめん、中途半端だけどそろそろ寝ちゃう……。

107早瀬川巴:2012/03/23(金) 03:02:52 ID:smlJfrtg0
>>105

「ええ、その通りです。
 初めて血を吸ったその時から、私の身体は命の坩堝になっていたんです。
 他人の命という領地を取り込んで大きくなる……まさに国ですね」

身体の使い方という言い方は、意味が簡単に通るように表現したもので、
実際は取り込んだ命の使い方という言い方が正しい。
巴の力はもはや吸血鬼としての力だけでなく、取り込んだ命も加わっていて、一般的な吸血鬼の範囲を逸脱し始めていた。

「わかりました。ルーンは単品で使うのが唯一の使い方ではありませんからね。
 組み合わせと配列を考える必要がありますけど、望む効果は高い確率で得られるでしょう。
 任せておいて下さい」

自信に溢れた顔で、巴は頷く。


>>106

「神秘のヴェールを剥がして、ただの存在に仕立て上げる、ですか。
 なるほど、この都市に限って言えば、確かにそう言えるでしょうね」

この魔都で平均化され、俗物化された魔の存在はもはや、
「人種」のようなカテゴリのひとつとなって存在するに留まっている。
そう考えれば、ロザリアの考えが選民思想に近いというのも頷ける話である。

108アイリス:2012/03/23(金) 03:12:46 ID:do5XJmGE0
>>106
「気が向けば一夜城に来ると良い。歓迎しよう。」

彼女に解析を一任し、消えた彼女の影につぶやいて。

//おつー

>>107
「分かった。何か動きがあれば、使い魔を飛ばそう。巴も、何かあれば、いつでも構わないよ。
 さて、そろそろ挽回しないとね。色々と。術式の借りもまだ返せていない。
 …巴、期待しているよ。」

“未だ見ぬ吸血鬼”の新たな一面を知れて、アイリスは笑みを浮かべて。
彼女のルーンは身を持って知っている。大丈夫だ。後は場所の選定と組み込む術式、
魔力を何処から引っ張ってくるか等、することはたくさんある。

「さて、そろそろ僕もお暇しよう。」

さて、これから楽しくなるね、と呟けば、転移。
金色の光の粒となり消えていく。

//絡みおつでした!

109早瀬川巴:2012/03/23(金) 03:23:05 ID:smlJfrtg0
>>108

「ええ。正義を気取って高くなっている奴らの鼻をへし折ってやりましょう。
 その日が楽しみです」

消えていくアイリスに言葉を投げた巴は、横の窓から空に浮かぶ月を見て、

「私たちの平穏が破られることは、この一件の後にもあるでしょう。それこそ茶飯事と言われるほどに。
 しかし、報復はどれに対しても平等に為されなければならない。
 そうでなくては外に対して示しが付かないし、何より気が済まない。
 ……待っていなさい。必ず、血祭りにしてやりましょう」

鋭く凶悪な犬歯を見せる笑みを見せた後、巴の姿も店の中から消える。
窓は、まだ開いたままであった。

110欠け耳のボロッブ:2012/03/26(月) 23:06:33 ID:SSMHlh/20
ボロッブはただの商人ではない。魔法が使える商人である。
そのため、時折自社の商品をつかっては、あくまで趣味の範疇ではあるが、
自分好みの魔道具をつくったりする。

今回はアンティークのフリントロック式ピストルになにやら細工を施したようで、
カウンターの上に削れた真鍮の屑や金具、魔術の触媒などが無造作に転がっている。

「ふぃー、こんなところかねえ。
 右側の装飾がなんか変だけどこんなもんだろ。」

できあがったそれを、箱に入れて倉庫に放り込むと
今日の仕事はあがり、とばかりに店の店内を掃除し始めた。

111ヴァージニア:2012/03/27(火) 23:47:44 ID:0d..kz3M0
ヴァージニアはどうしても真の一夜城に辿りつくことができないでいた。
人外かそうでないかで入城の資格を得られるこの場所だが、
どうにも、彼女はその資格を満たせないでいるようだ。

「ここは…、いったい……」
廃墟の中を気を付けて進んでいく。
その足取りは覚束ない。震える足を動かし、一歩ずつ確かめて移動する。

この恐怖心こそが、彼女を人間たらしめ、一夜城を発見させない要因になっているとは誰が思うだろう。
捨てたはずの人の心が、戻りつつある。それはあの亡霊が干渉しているのか、自身が生み出しているのかは分からない。
どちらにせよ、この体が絶望を覚えているのだ。
吸血鬼の身となったのに、満足以上の力を振るえないことに対して。

112名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 00:10:59 ID:SSMHlh/20
>>111

――ガラ

ふいに、正面で瓦礫が崩れるような音。
月の見えない夜中のうえ、一夜城を隠蔽するための魔術か、霧まで立ち込めているため
よく見えないが、ぼんやりと懐中電灯の光が近づいてくるのが見える。

一人ではない、複数だ。

113ヴァージニア:2012/03/28(水) 00:18:41 ID:0d..kz3M0
>>112
「あれは……」
もしかしたら、この城の関係者かもしれない。
そう思ったヴァージニアは、人影に近付いて行く。

114名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 00:27:47 ID:SSMHlh/20
>>113

――ガラッ、ガラッ。

ふいに、足音が慌しくなり『ヴァージニア』から距離をとる。
まるで逃げるか、隠れるかでもするように。

相手もこちらに気づいたようだが、
本当に城の関係者なのだろうか。

115ヴァージニア:2012/03/28(水) 00:39:48 ID:0d..kz3M0
>>114
この違和感、どこかで味わったような。
城の関係者だとすれば、そのような移動方法はしないはず。

しかし宛てはないのだ。慎重に彼女は近付いて行く。

116名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 00:44:45 ID:SSMHlh/20
>>115

「そこで止まれ、こちらは銃を持っている!
 『聖別された銀』を鋳造した銃弾入りだ。近づけば発砲する!」

霧中から制止を呼びかける声が響く。
よく観察すると、ヴァージニアから十数m前方のレンガ壁の影に
ぼんやりと人影が見える。

「こちらには交戦の意思はない!
 君は何者か?『一夜城』のものか?」

117ヴァージニア:2012/03/28(水) 00:55:11 ID:0d..kz3M0
>>116
「っ……!!」
向けられた銃口から、神聖な何かが向けられている。
それだけで、先日の戦いの記憶がよみがえる。
恐怖心が湧きおこってくる。

「わ、私は……一夜城に行く為に……」
言葉が小さく、聞き取りづらい。
心臓の鼓動が聞こえるのが分かる。かなり取り乱しているんのだ。
一寸先には死が待ち受けてるかもしれないのだから。

118名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 01:05:56 ID:SSMHlh/20
>>117

しばらく、沈黙が続いたが……。

「……そうか、ならば我々と同じだ。
 君は、『人外』かね、それとも『亜人』の部類か。」

何時銃撃が帰ってくるかも知れぬ、張り詰めた雰囲はふいに破れた。
瓦礫の後ろから、レインコートに身を包み山登りのような装備を携えた数人が姿を現す。

そのレインコートや装備を入れたバッグには『UUS』社とロゴ入りの文字が入れられている。
『UUS』社はたしか、都市の出版社であったはずだがヴァージニアは知っているだろうか。

119ヴァージニア:2012/03/28(水) 01:15:22 ID:0d..kz3M0
>>118
「私は……『人外』、なのかな……」
相手に交戦の意思はないと知り、彼女は緊張の糸が途切れる。

しかしこの団体は何をしに此処に来たのだろう。
一夜城とはどのような場所なのだろう。
名前を聞いただけで、詳細を彼女は知らない。

UUS社というのも彼女は聞いたことないし。
少しばかり警戒心を抱いている。

120名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 01:29:43 ID:SSMHlh/20
>>119

「動物か、城の関係者のどちらかだと思って身構えてしまったよ。
 この辺は危険な大型生物も多いし、城の人間ならば我々の突撃取材に勘付かれた事になる。
 ……そうでなければ一安心だ。しかも、人外の君も一夜城を捜しているという事は、
 ネタに信頼性がでてきたな。いい兆候だ。」

この一団の荷物には、食料やキャンプ用品だけでなく撮影機材などが見える。
テレビ局か、それともカメラマンの一団であることはそこからうかがい知る事ができる。

「しかし我々は、この霧と足場の悪さでどうにも立ち往生してしまってね。
 どうにか、この辺でキャンプを張ろうとしていたところだったのだが、
 人外とはいえ、君もこの中を歩き回るには骨が折れるんじゃあないか?
 どうだろう、謝礼は払うから、今夜は我々と共にキャンプして一夜城について
 なにか知っている事を聞かせてくれないか?」

121ヴァージニア:2012/03/28(水) 01:42:26 ID:0d..kz3M0
>>120
「う、ん……」
ここでその申し出は嬉しい。
しばらく一人で探索していたので寂しかったのだ。
が、この寂しいという感情も、一夜城に辿りつくことを困難にしている。

それでも、この贋作の城は一人では危険だ。
侵入者に入らせる気をなくすため、様々なトラップがしかけてあるのだから。

122名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 01:46:55 ID:SSMHlh/20
>>121

「そうか、ではこっちだ。
 といっても、すぐそこの瓦礫の影なのだが……。」

瓦礫と、ビニールシートなどを利用して作られた幕の下に、
いくつかの寝袋が置かれ、その中心に魔術によって暖かい空気が満ちた空間がある。
ここなら、夜霧に震えず眠る事ができそうだ。

ヴァージニアは、その後しばらく記者から質問攻めにされたという・・・。

// そろそろねるのでこのへんでしめ

123名も無き異能都市住民:2012/03/28(水) 12:10:57 ID:vj4L.qwU0
気配を消し、柱の影に身を隠す者がいる。だが、その存在は存在感をひた隠しにしていた。

柱に身を隠しキャンプで眠っているであろう男たちへの期待はまるで恋する乙女のよう。

「(どんな男の子が来たのかしらん。もしかしてわたし目当てかしらん。あぁ、あぁ!はぁぁぁん、照れちゃうわ。)」

うるうるとした瞳は、好きな先輩をついつい目で追ってしまうように、嬉しさと切なさと心強さが入り混じる。
漢女のハートはドクドクと早鐘を叩く。
圧倒的な漢女〈おとめ〉オーラを抑えながらも、期待に胸を膨らませる。清純な漢女しか発することの出来ないオーラ。
漢女は鍛え上げて血管がぼっこりと浮いた両手を顔に添えて、『いやいや』と顔を振る。無駄に鍛えられた大胸筋を幾度となく上下を繰り返す。その行動に合わせてハート型に手入れされた胸毛が上下して。それは漢女の心境を表すかのように複雑な動きを見せる。長い(弁)髪は自由に踊り。
無意味に鍛え上げられた上腕二頭筋と三角筋が触れ合い、キュッと音がしたような気がする。
無駄に鍛え上げられた外腹斜筋。薄く乗った脂肪の上からでも分かるほど、滑らかな動きを見せて。

「(ああ、どうしようかしらん!わたし目的でここに来て、出逢った瞬間に突然告白されちゃったらどうしようかしらん!)」

駄目よ駄目よと言わんばかりにブンブンと首を振れば、ばっくりと盛り上がる大腿四頭筋。それらに合わせて、下腿三頭筋も大きく膨らみ。

124防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 12:47:16 ID:WVrfsEdY0
>>123
「春休みで・・・すっかり暇です」
【近くから千夜学園の制服を着た少女が歩いている】

「んん?…この辺りは一体何があるんでしょうね」
【あたりを見回し、キャンプ地のような状態となっているその場を見回している。】

125ヴァージニア:2012/03/28(水) 14:36:15 ID:T5My63DA0
明くる日。彼女は古城の探索を進めるために、記者たち一行と別れる。
というのも、柱の影に居たであろう脅威に気付いていた為だ。
歪んだ愛――それは殺気として彼女に伝わり、身の危険を覚えた為だ。
もちろん、そのことを記者たちに伝え、共闘し、不安要素を取り除くこともできたが。
戦って勝てるかどうか、生き残れるのかどうか、これが分からない。という恐怖が、彼女のそれを妨げた。
ここで記者たちをオトリにすることで、自分が助かるなら、そうせざるを得なかった。
彼女はとても弱い。力も不足し、心も脆弱。
そんなことで、一夜城に辿りつけるのだろうか。
人間と同じレベルでしか物を考えられない魂が、一夜城に導かれることがあるのか。

………

「ヒット……、……、あっ」
21を越えてしまった。バーストだ。
またも掛け金を取られる結果となってしまった。
彼女が居るこの場所は、ダミー一夜城カジノの間である。
部屋に入ると同時に扉には錠が掛けられる。どうやら一方通行らしい。
そして100枚の金貨を貸しつけられる。
この100枚の金貨を元手に、ギャンブルで勝負を繰り返し、設定金額に達すれば脱出でき、
破産すれば焼き土下座である。

「勝てない…、運が悪い……」
ギャンブルとはいえ、誰もが知ってるゲームばかり。
ゲームの仕様を読み解き、確率計算をし、堅実な攻めをすることで、ある程度の勝ち目はできる。
彼女はただ、その知識が不足していたのだ。圧倒的に。
100枚あった金貨も、今では二桁もない。

「……焼き土下座はやだ」
……立ち往生することになってしまった。

126柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/04/04(水) 13:28:53 ID:51FZPppw0
都市の東南に位置する公園のベンチに、青年が胡座をかいている
目は自然な感じに閉じられ、肘を膝のあたりで支え―――所謂瞑想を行っていた

(……はて、どうするかな…物質解析能力者と複製能力者……そう簡単に見つけられるようなもんじゃぁ、ないよなぁ…)

青年の服装はなかなかに稀有なもので、TシャツにGパンと少々寒そうである
Tシャツには『ごぅとぅへゔん』と筆字でプリントされており、センスを疑うようなデザインである
そして何より、青年の付近だけやけに仄暗く―――まるで光が奪われてしまったかのような感じだ

(とかく、鍛錬終わったら手当たり次第に調査してみるか)
(…集中集中……)

完全に警戒心を損ねている青年
ただ、時たま腹の虫がなって―――人のものとは思えない音がなっていた

/レス遅いですが、よろしければ…

127防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/04(水) 13:32:26 ID:WVrfsEdY0
//今の状況だと登場させられるキャラは一人↑しかおらぬが・・・
//それでもいいんでしょうかね?

128柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/04/04(水) 13:38:43 ID:51FZPppw0
>>127
/自分は、大丈夫ですぞ

129防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/04(水) 13:54:51 ID:WVrfsEdY0
>>128
//わかりました

>>126
【公園の外を一人の学生服の少女が歩いている】
「・・・ん?」
【ふと振り向くと、そこにいる奇抜なTシャツを着る青年・・・】

「単なる寄り道だったんですが・・・
 相変わらずおかしな服ですね」
【あたりが暗くなっているのを見て近づいてきた】

130柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/04/04(水) 14:05:55 ID:RZ3YiBYk0
>>129
「―――……ん?」

人の気配に気がついて薄目を開ける
奇抜なTシャツを着用する自分に学生服姿の少女が近づいてくるというシチュエーションに戸惑いながらも

「……何か、用かい?」

声が聞こえるほどに近づいたところで、そのままの姿勢で、極力の渋い声で問いかけるだろう

131防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/04(水) 14:11:46 ID:WVrfsEdY0
>>130
「あ、いえ・・・
 なんか随分とお悩みだったようですので気になったんです」
【軽く手を振って言う。若干おせっかいっぽい】

「良ければご相談にノリましょうか?」

132柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/04/04(水) 14:18:45 ID:RZ3YiBYk0
>>131
「あ、そうなの
 いやはや世の中捨てたもんじゃないよね」

鶫の答えを聞くや否や目を開けて、にっと笑みを見せながら軽い声でこう言った
それから足を崩してちゃんと座り直しながらぽりぽりと頬をかく

「んーっと、悩みっていうのとはまた違うんだけど…
 君、能力を分析する能力者か、物体を複製できる能力者…知らないかい?」

133防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/04(水) 14:22:29 ID:WVrfsEdY0
>>132
「ええ、まあ・・・
 小さなことからコツコツとですよ」
【微笑みながら隣りに座る】

「能力を分析・・・?
 えーっと・・・どうでしょうね・・・物体を複製・・・もしかしたら学園の人の中にいるかも知れませんが・・・
 イマイチ自信がありませんね」
【思い悩む顔で言う】

「その能力者が必要ということですか・・・?
 いったいどうしてでしょう?」
【気になったのか鶫の方も尋ね返してきた】

134柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/04/04(水) 14:34:13 ID:RZ3YiBYk0
>>133
隣に座った少女に気遣ってか、少し端へ寄っておく

「学園、か…足を運んでみるかな」
「そこには、どのくらいの能力者がいるんだい?」

確かに能力者のたくさんいる場所で聞き込みを行った方が効率がいいかもしれないな…と考え
学園について少し記憶を辿りながら、聞く。

「あー…それはちょっと言えないかな」
「ごめんね」

特に依頼主から口止めはされていないものの、やたらめたらに広めるものでもないだろう
と、いうことで隠しておくことにした。

135防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/04(水) 14:36:45 ID:WVrfsEdY0
>>134
「まあ試しに行ってみるといいでしょうね。
 能力者ですか・・・大なり小なりいますが、大体は能力持ちだと思いますよ」
【少し曖昧な返答をした】

「ああ、そうですか・・・
 まああんまりいいたくないこともありますよね。すいません」
【特に気にする事無く頭を上げて返す】

136ヴァージニア:2012/04/05(木) 00:39:13 ID:VsiLx.8k0
夜、異能都市の路地裏での出来事。

「寵姫?」
「そうだ。私の元へ来るがいい」
ヴァージニアは高貴な身なりの男に話しかけられている。
彼の目的は、ヴァージニアを寵姫として迎え入れることらしい。

「何、食事を提供してくれるだけでいいんだ。
 それだけで君には不自由のない暮らしを約束しよう」
男もまた夜の種族、吸血鬼。
彼は迎え入れた寵姫たちの血を混合し、それを毎日の食事としている。
よって、食材が重要なのだ。彼は日夜食材となる者たちを探してあちこち放浪している。
一般的に吸血鬼の血は、普通の人間の血よりも味が劣ると言われているが、
それもまた組み合わせ次第。味の広さは無限大。
そこでたまたま目にしたヴァージニアがターゲットとなってしまったわけだ。
本人いわく、現在の彼の料理に、彼女の血を足すことでさらに旨みが増すとか。

「でも、私にはマスターが……」
「使い魔クラスか。今どき珍しいな。それは厄介だ」
男は困惑の表情を浮かべながら、思索している。
このような主従関係を持つ吸血鬼で、従者を自分の物にするためには、
その主に譲渡して貰うしかないわけである。または、

「力づくで奪い取る、か」
男はヴァージニアに魔力で生成した手錠を掛ける。

「な、なにをする、きさまー!」
ある意味コントのような流れだった。
ヴァージニアは抵抗するが、その力は抜けて行く一方だ。

「触れた者の体内の魔力を吸収する術式が用いられている。
 時間と共にじわじわと吸い取って……って、もう意識がないのか」
体内に含有する魔力量の少なさから、すぐに少女の意識は途絶えたようだ。
後は所有権を主張できるように、何日間か手元に置いておく必要がある。
異能都市における時効は結構アバウトなのであった。

137柊宇都 綾:2012/04/05(木) 13:48:28 ID:wezxvRSg0
今日は学校を休んだ。
元々出席日数も多い方ではないが、今日は気分的にも優れて居なかった為に欠席した。
なんだかもやもやとしたものが体の中を埋め尽くしていた。
それが何なのか詳しくは理解できないけど、良くない何かがあるということは何となく理解できていた。

『お嬢様も心配しておりましたぞ』
「ありがとう、冬瓜」
古くから綾の世話をしていた執事には、綾の異変は見抜ける様子。
それよりも近しい存在も心配していた旨を伝えると、部屋を去って行った。

窓から外の景色には大差ない。自分の周囲にも変化は無い。
唐突に生まれたこの感覚。ならば最近起きた事が原因の筈……。
「ヴァージニア」

――――「あの……、ごめんなさい」
数日前、唐突に謝られたことを思いだす。
言葉には出ていないし、顔には出ない自覚はある。
しかし、的確に抱いていた寂しさを見抜かれ、それに付いての言葉を掛けられた。
――――主従関係。
少女が幾度か口に出していたそれ。マスターとも言っていた。
可能性があるとすればこれ。吸血鬼の種としての繋がり。
種としての子から親へ繋がるのであれば、逆探知も可能なのではないか。
今まで考えもしなかった方向に思考が向かった。自発的に吸血鬼の能力を使おうとしていた。
自らの精神を研ぎ澄まし、彼女の全てを探ろうとする。

「ヴァージニア」
何か、今までよりも身体の内に掛かった霧の正体が見えてきた気がした。
寂しい。今すぐ助けに行かなければ。

138防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 21:49:11 ID:WVrfsEdY0
【病院の一室から声が聞こえる】
「・・・ごめんお姉ちゃん。なんか・・・
 また無茶しちゃったよ・・・」
【その声は鶫の声である。どこか悲しげで寂しげな声である】

「今どう思ってるのかわからないけど・・・
 でも、負けないから。目が覚めた時に優しい世の中に少しでも近づけるように」
【明かりがわずかに差し込んでいる・・・面会でもしているのであろう。】

139名も無き異能都市住民:2012/04/08(日) 22:48:24 ID:ICH0DyD.0
異能都市では最近、人攫いが横行している。
種族問わず忽然と消えゆく住人たち。それも一様に女性ばかり。
何の目的があってその者たちを攫っていくのか、依然として判明してはいない。

「お仕事完了、ですね」
今しがた、仕事は九分九厘達成された。
懐中時計を持った一人のメイドさんが、道行く女性の一人を深い眠りへといざなったのだ。
しかも、時を刻むその音を聞かせただけで。催眠術の一種だろうか。

「この女性も、あの方に魅了されてしまうのかしら」
その細腕のどこにそんな力があるのか分からないが、片手で女性の服を掴み、持ちあげる。
人々の雑踏の中で行われた行為であるというのに、通行人は誰も気に留めない。

「さて、帰りましょうか。紅紫の園<マゼンタガーデン>へ」

140ロザリア・ロートシルト:2012/04/08(日) 23:15:44 ID:SSMHlh/20
>>139

「ヘンな感覚がすると思って足を運んでみれば……無粋ねえ。」

鈴の鳴るような声――例のメイドとまったく同じく、
まるで一人時が止まったかのように雑踏の中に立つ少女が居た。

「催眠の魔術、かしらねえ。
 目的とは少し違うけれど、あまりにも無粋よ。そういうやり方は。
 女性はもっと丁重に扱わなければ。」

この少女――ロザリアは本来、夜種や亜人といった者たちが最近活動を活発にさせている
退魔組織に襲われていないか巡回していたのだが、まったく別の事件に遭遇してしまったようだ。

141名も無き異能都市住民:2012/04/08(日) 23:29:38 ID:ICH0DyD.0
>>140
「ふうん。私を認知できる存在がいるなんてお見事だわ」
このメイドさんは、ロザリアの手前に素直に称賛しているらしい。
陰術で存在度を極限まで下げ、通常の人間ならば認知すら難しい領域である。

「それで、貴女はこの状況を見て、どうするの?」
熟睡している女性を、路上に置くと、人払いの術式を発動する。
周囲の人々が、何かを避けるように三々五々に散っていく。

「正義を気取って、私の邪魔をする?」
彼女の手の内から花弁が散らばると、深紅の小刃がその姿を表す。

「その場合、貴女の命は保証できないわ」

142ロザリア・ロートシルト:2012/04/08(日) 23:39:48 ID:SSMHlh/20
>>141

「無粋な不逞の輩を間引くのも高貴なる者の役目。
 そのように女性に対して礼を失し、この私にまで礼を失しては、ねえ……?」

口元を袖口で隠し、嘲るように笑うロザリア。
ニンゲンとはいえ、丸腰の一般人、しかも女性を無差別に襲うとは甚だ無粋である。

「この私が雑多な眷属と、真の夜種たる存在との差を思い知らせて差し上げるとしましょうか。
 ……ほら、どこからでもどうぞ。先手はお譲りしましょう。」

そのまま挑発的に、視線を投げかける。

143名も無き異能都市住民:2012/04/08(日) 23:49:37 ID:ICH0DyD.0
>>142
「そういうとき、貴女のやるべきことは唯一つ。
 見て見ぬふりをすれば、よかったのです。
 そうしていれば、こうして刃を交えることもありませんでした」
そう言いながら、くすりと口元に笑みを浮かべて。

「先制してもよいのですね? それでは、お言葉に甘えて……」
幻想的な赤を浮かべ、常に花弁の形の光を散らすその刃をロザリアに向けて。

「でも、忠告して置きましょう。
 この短刀は空気を切り裂き、刃の衝撃波を飛ばすことができるのです。
 その速度はとても速いのですが……貴女に見えますかね?」
そう長々と語ったメイドさんは、その深紅の刃を二度三度振るう。

144ロザリア・ロートシルト:2012/04/09(月) 00:01:34 ID:SSMHlh/20
>>143

――ぱしゅっ

ロザリアは衝撃波を――弾けた。

いや、はじけたのではない。
黒い霧と体を化し、衝撃波をいなしつつもメイドへと接近してくる!

「貴方は嘗めているのかしら?
 ……吸血種の力を。」

黒い霧状態のまま、メイドを取り囲もうとする。
空間に広がりながら飛来するソレを回避するのは厄介だろう。

145名も無き異能都市住民:2012/04/09(月) 00:13:37 ID:ICH0DyD.0
>>144
「なるほどね、『見えてる』んだ。
 さすがとしか言いようがないわ。吸血鬼さん」
その割には、表情から余裕が崩れない。
むしろその状況を楽しんでいるようにも見えた。戦闘狂なのか。

「霧のような体の相手じゃ、範囲攻撃が有効よね。
 言い忘れてたけど、この衝撃波、大きさも自在に変えられるのよ。
 それこそ一帯を攻撃できるほどの……ねっ」
小刀の扱いには似合わぬ、居合の構えを取り、すぐさま攻撃に転じる。
瞬間的な動作ゆえ、その一挙一動を肉眼で追うのは難しい。
しかし、先ほどの攻撃が見えてしまったロザリアならば、その動きを捉えることも不可能ではないかもしれない。

146ロザリア・ロートシルト:2012/04/09(月) 00:25:22 ID:SSMHlh/20
>>145

「バカねえ、あなたには知恵というものがないのかしら。
 『気体』になっているのよ。たゆとう霞をどうやって裂くというのかしら?」

既に、最初の一撃でこの衝撃波が物理攻撃であることは読めている。
もしなんらかの魔術によって構成されたものなら、あの時点で多少のダメージは受けていたはずだ。

「……おしおき、よぉ。」

包み込み、そのまま『雷雲』のように――。

――――バリッ!!!

眩い光。一筋の稲妻が、霧の中で走る。

147名も無き異能都市住民:2012/04/09(月) 00:35:40 ID:ICH0DyD.0
>>146
「……ふ、ふふふふふ」
雷雲となったロザリアそのものの電撃がメイドに走る。
高圧の電流が一瞬にして流れ、肉の焦げ付いた匂いが周囲に散漫する。

「霞が切れない、と言ったわね。でも貴女は気付いてないのよ。
 この刃には、破邪のルーンが掘ってあってね。人外をも殺せるようになってるの。
 そして痛みを与えない。どう、分かった?
 その体を元に戻して、自分の体を確認してみるといいわ」
手負いのメイドは焦りを見せず、まだまだ流暢に言葉を紡ぐ。
いったいその自信はどこから来るのだろうか。吸血鬼相手には分が悪いはずなのに

148ロザリア・ロートシルト:2012/04/09(月) 00:53:06 ID:SSMHlh/20
>>147

「……やはり、あなたは私を嘗めているのね。
 それを言わなければ、多少は有利に戦いを進められたかもしれないのに。」

ロザリアは見た目こそおさないが、それこそ一端の魔術師である。

魔術師にとっては知識、情報こそ武器。
知識の断片、知識の切れ端が幾万もの手を生み出す。
メイドの余裕の宣告は、まさに悪手も悪手、大悪手である。

(感知。――損傷箇所からの術式侵蝕をシャットアウト。対抗術式、稼動……。)

破邪のルーン、による傷に気づいたロザリアは冷静にソレを分析。
事前にいくつか用意している対抗術式をルーンに最適化させて己の体に走らせてやる事で、
ルーンによる傷の効果を中和した。

自分に弱点があると分かっているなら、それを補ってやることもまたできるのだ。

「貴女は見たところ、接近戦・肉弾戦タイプねえ。
 電撃によって筋肉組織を狂わされれば、そういったこともできなくなるわよ。
 結局、貴女は敵に敬意を払わなかった故に、危機に陥ったわけねえ。」

149名も無き異能都市住民:2012/04/09(月) 01:04:53 ID:ICH0DyD.0
>>148
「ふーん。なるほど、なるほど。豊富な知識が貴女の最大の武器ってことね」
それでもなお、感心しているかのように振る舞う。
去勢を張っているのか。戦力差で圧倒的なものを覆す何かがあるのか。

「確かに、この状態じゃ激しい動きは難しいのかも……
 それじゃあ、そろそろ本気を出しましょう」
懐に手を突っ込んで、ごそごそと漁っている。取りだしたものは。

「これは、グロック19をベースに私が独自改造した拳銃よ。
 概念事象を操作した銃弾で、これに当たったら例外なく貴女は意識を失うの」
語るは凶悪な効果を持つ弾丸を装填しているとのこと。

「それじゃあ、眠りなさい」
ロザリアに銃口を向け、連続して引き金を引く。

150ロザリア・ロートシルト:2012/04/09(月) 01:43:03 ID:SSMHlh/20
>>149

(概念弾――!そんなものを、マズいッ!
 どうする、霧化を解除するか――いや、まにあわッ……。)

――バグンッ!!!

突如、アスファルトの地面が綺麗に抉り取られ、同時に霧が消える。
そして……。

――ガラッ、ドガラッ!!

抉り取られたソレと思われる大量の瓦礫が、少し離れた場所へ降り注ぎ、
その中心点に少し息を荒げた例の少女が立っていた。

(術式が荒い……全く、はしたないわ……。
 しかし、なんてタフさ……電撃を浴びせてなお、ケロッとしているなんて……!)

ロザリアは例の銃弾が発射された際、このままでは回避しきれないと判断して
自分を転移術によって転移させた。焦りからか術式は荒く、瓦礫なども一緒にワープさせてしまったが
回避はどうにか成功したようで傷は負っていない……。

151名も無き異能都市住民:2012/04/09(月) 21:40:59 ID:WIKq6o5c0
>>150
「このまま眠ってしまえば、戦闘は終わっていたのに」
本人曰く独自改造されている銃を、再び現れたロザリアに向けて微笑みを浮かべる。
そこで少し考えてから、こう言葉を紡ぐ。

「私と貴女、実力的に拮抗していると私はみてるんだけど。
 つまり、互いに引きましょうってこと」
ここで彼女は停戦交渉を持ちかける。
これ以上の戦いは無益だし、無意味だということを諭すかのように。

「貴女は何も見ていない、それでいいじゃないですか」
互いに干渉することがなければ、このような無駄な争いもする必要がないと言いたいのだろう。
しかしここで見逃し、のさばらせておけばまた被害者は出てしまうかもしれない。
果たして、ロザリアはどのような選択をするのか。

152ロザリア・ロートシルト:2012/04/09(月) 23:22:13 ID:SSMHlh/20
>>151

「――貴女は本当に私を舐めているのね。」

少女から、ひどく底冷えのするような囁きが聞こえた。

「高貴なる者の務めを放棄し、逃げろと。
 貴様如き下女が指図するのか。」

ロザリアはメイドの申し出を拒否し、魔力を練る。
新たな術式を展開し、回路に巡回させる。

――ズッ

赤い霧が、辺りを包み……。

「貴様は甚だ不快である。誅罰を与える。」

ロザリアの姿が消えていく……。

153名も無き異能都市住民:2012/04/09(月) 23:52:13 ID:WIKq6o5c0
>>152
「そうですか……」
停戦交渉は決裂し、うんざりした表情を浮かべる。
闘うという行為自体が、もう面倒だと言わんばかりの顔で。

「こちらが下手に出れば、理解してくれると思ったんですけどね。
 いやはや、貴女は芯がお強いのですね。これは褒めているのですよ」
ですが、と付け加えて続ける。

「結局のところ、貴女は私に勝てないのです。
 貴女が戦闘を続行すると決意した今、交渉では無く命令のレベルで
 この無駄で無意味な争いを止めましょう」
彼女は強力な能力を持っている。
その片鱗は、今までの戦いの中で見ることができたはずだ。

「それでは、更なる切り札を出させていただきます」
そう言いながら、彼女は懐より何かを取りだす素ぶりを見せる。

「見えますか? この武器が。
 常人ならば見ることはできないんですよ。そういう概念で作られてますから。
 でも、貴女ならば見えるかもしれませんね。この青白い刃が」
そういいながら、彼女の言うその透明な何かを振りまわす。
彼女の能力は様々な武器を使役することか? 違う。

「この武器も、概念操作をしていて、貴女に対して空間を跳躍しながら斬撃は飛ぶのです。
 しかも回避は不可能。斬られた時点で貴女は深い眠りに誘われます」
彼女の能力は概念操作を行い、絶対無比の能力を得ることか? 違う。
そんな無茶苦茶な能力があっていいはずがない。

「先ほど貴女は見たでしょう?
 私は人を絶対的な催眠で眠らせる能力があると」
そんなものは全て、彼女のデタラメだ。
そう、彼女の能力とは――

『彼女の嘘を信じこんだ者が、その嘘を現実として受け止めなくてはならない能力』

今までの戦いでロザリアは、彼女の嘘を信じ込み、様々な現実を突き付けられた。
肉眼では追えない衝撃波を飛ばす、破邪のルーンが彫ってある。概念レベルで絶対に意識を断絶させる。
そんなものは全てマヤカシなのだ。

彼女の力の肝は『言霊』にある。人をその話術で誘導し、望んだ方向へと事を進める。
だからこそ、喋る訓練だけは欠かさず行っていた。
戦況が不利に働いていたとしても焦りを抱かず主導権を握り、
雷で神経をずたずたにされても、言葉をひねり出せるように。

紛うことなく、強力な能力の部類に入る。
ロザリアは果たして、この能力を看破し、務めを全うすることができるのか。

154ロザリア・ロートシルト:2012/04/10(火) 00:46:30 ID:SSMHlh/20
>>153

もはやロザリアにとっては、
敵が何をするつもりだろうが、それは大きな障害にならない。

――『ただ、目の前の敵を叩き伏せる』。

現在の彼女の行動原理はそれのみである。
壁があるなら殴りぬけてゆく、罠があるならそれを食い破り、
敵の喉笛を頭だけになっても噛み千切る。

玉砕覚悟のバンザイアタック。

「ゆくぞ下郎、このロザリア・ロートシルトの名にかけて
 貴様の細胞一欠けら足りと、この世に残してはやらん。」

天地が、逆転する。

堕ちる。空へ。

赤い霧と共に、真っ黒な空へと。

無限の闇の中へと、ただ堕ちていく。
地獄行きの片道切符。堕ち行く先は紛れもなく、なにかおそろしい、
ひどく、寂しい場所という事が感覚でのみ分かる。

155名も無き異能都市住民:2012/04/10(火) 01:04:48 ID:WIKq6o5c0
>>154
「……!?」
なぜ地から足が離れ、空に向かって落下しているのか。
天が下に、地が上に。重力に逆らった動きを、彼女は体感している。
しかし、それを感じているのは、きっとロザリアと彼女だけ。
物理法則という概念そのものを捻じ曲げていたら、他の全生命も宇宙へ飛び出し死滅している。

だとしたらこれは何だというのか。
反重力を自らに発生させ、伝播。玉砕覚悟で深淵へと引きずりこもうというのか。
はたまた、幻視か。吸血鬼の魔眼によって、幻覚を見ているのか。

そのどれでも構わない。まずはこの決死の攻撃を止めなくてはならない。
この嘘で構成された虚構の剣で、ロザリアを眠らせるのだ。
そうすれば、この現象は止まるはずだ。
恐怖に打ち勝て、孤独感を侵入させるな。
嘘を貫き通せ、真実を作り出せ。

その幻の刀剣さえ振れば、相手は自らの勝手な思い込みで自滅してくれるのだから。

156ロザリア・ロートシルト:2012/04/11(水) 23:37:29 ID:SSMHlh/20
>>153

// かきなおし

もはやロザリアにとっては、
敵が何をするつもりだろうが、それは大きな障害にならない。

――『渾身の一撃にて、目の前の敵を粉砕する』。

「燃え落ちよ、灰と化せ。溺れくるい、忘れ去られよ。
 御雷の楔、断ち切れ。熱砂に嘆き、苦しめ。」

四大元素だとか、属性マナだとか、属性系統だとか――。

ロザリアの火、水、風、大地といった物を扱う基本的な魔術の腕前ははっきりいって凡庸である。
一人前といわれる魔術師であれば多くが習得しているものであり、彼女もそういった域から逸脱しない。
しかし、ロザリアがそういった魔術師と違う点は、『扱える系統』の数が膨大であるという事。

たとえば火の系統が得意なものであれば、それは得意でも他の系統はからきし、という者が多い。
2、3の属性マナを扱える物でも、苦手なマナが存在したりする。

ロザリアには突出した長所もなければ、短所もない。
全てが比較的高いレベルで調和しているのだ。

「貴様が概念を操るなら、こちらは原初の混沌をぶつけてやる。
 概念が混沌を御すか、混沌が概念を喰らい尽くすか試してみようではないか。」

赤い霧に紛れ、移動したのかメイドの正面にロザリアが立っている。
指先には、小さなか細い光。蛍の光よりも頼りない、今にも掻き消えそうなそれが――。

そっと、指先から離れ、メイドへと向かう。

157名も無き異能都市住民:2012/04/12(木) 00:09:20 ID:NcMbHILQ0
>>156
嘘から出た真、その力はこの展開になっても衰えはしない。
ロザリアが虚構の能力を認識し、信じこんでしまった時点で、
次に行う彼女の攻撃は、必殺のものと成りえる。

そう、この誰にも見えぬ、実体無き刃を振り下ろすだけでいい。
それだけで嘘に塗れた剣撃が虚数の空間を経由し、偽りの概念によって眠りをもたらす。

彼女の能力は、条件こそ難しいが、きちんとその条件を満たせば勝利を手に掴むのは容易い。
簡単なことなのだ。簡単なことなのだが……例外というものも必ず存在している。

それこそ、彼女のトリガーとなる挙動の前に、一撃のもと倒されること。

「眠りなさ――」

思わず、目を見開いた。
ロザリアの指から放たれた収縮された光が、瞬間、急激な膨張を始め、あらゆるものを飲み込んでいく。
眼前に広がる空間は、秩序なき未知なる世界そのもの。
果てのない混沌を見てしまった。それだけで、彼女の心は四方八方へ飛び散って行く。
全ての概念、全ての物質、全ての精神が混合し、攪拌され、
その光景は、一人の人間が受け入れられる許容量を越えて、心を真っ白に染める。

刹那の出来事の後、光は消え、その場は元の闇夜へと還ってゆく。
メイドは、膝から崩れ落ちていた。吹き荒れる混沌の嵐に心を晒し、精神をズタズタにされたのだ。
この時点で、ロザリアの勝利は確定する。
当分、メイドは嘘を吐くことはおろか、話すことさえままならないのだから。

158ロザリア・ロートシルト:2012/04/12(木) 00:21:39 ID:SSMHlh/20
>>157

光はそのまま細い柱となって、赤い霧と共に消える。

赤い霧は、ロザリアの能力を一時的に増加させるために
彼女の精神性の一部を現実世界に具現させた物。
同時に、原初の力が過剰に街を破壊しないための壁、緩衝材でもあった。

「……こんなもの、かしらねえ。」

そして赤い霧の残滓がある一箇所に集まり、ロザリアの体を再び形成した。

159名も無き異能都市住民:2012/04/12(木) 00:29:14 ID:NcMbHILQ0
>>158
メイドの近くに、何か光るものが落ちているようだ。
その正体はロザリアがよく利用しているような、空間移動用の鍵。
ルーツを同じにするものなのか、否、そういうわけではない。
利用する者によって、その見え方の変わる空間移動用アイテムらしい。
これを使用することで、先ほどメイドの言っていた紅紫の園<マゼンタガーデン>へ行くことが可能になった。

160ロザリア・ロートシルト:2012/04/12(木) 00:35:15 ID:SSMHlh/20
>>159

「ふむ。」

かぎに軽く手を翳し、
自分の手元に引き寄せながらも魔力を読み取る。

(私の『鍵』とよく似ているわね。
 細部は違えども、大まかな仕組みと効果は同じかしら。)

ロザリアは術式を記憶し、いつでも効果を再現できる用意を整えると。
それを倒れたメイドの近くに投げ捨てる。

「……シャワーでも浴びようかしら。少し汗をかいてしまったわねえ。」

ふう、とため息をつき、転移して何処かへときえる……。

161名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 19:25:01 ID:WVrfsEdY0
//γにアリましたが、改めてコチラに書かせて頂きます
【異能都市…の一角にて】
「ぬおおおおおおおお!」
【横断歩道を凄まじい勢いで走り抜けていく姿がある】

「だらっしゃ!!」
【その女性は背中におばあちゃんを抱えている】

「ふう…ここまで来れば大丈夫だよ!!
 おばあちゃん!気をつけてね!」
「おー…ありがとうねぇ、これからも頑張るんだよぉ」
【おばあちゃんはよぼよぼとその場から歩きさって言った】

「ようし!なかなかいいことしたかもね!」
【その女性は、額の汗を拭う動作をして爽やかに微笑んだ】
【しかしよく見るとその女性は…?】

162伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 19:31:55 ID:j3F3Rpmc0
>>161
「暑いぞ」

角地に立っていたコンビニから、一人の青年が出てくる。
深くフードを被った、生気のない瞳の青年だ。
コンビニで買物をしてきた所なのか、その手にはコンビニ袋を持っていて。

「……太陽はとっくに沈んだってのに、何だこの暑苦しさは」

青年は事の一部始終を見ていなかったらしく、
そのやけにアクティブな女性の存在に気づいていないようだった。

163名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 19:40:05 ID:WVrfsEdY0
>>162
「おや、あそこに誰かいる!」
【そんな暑苦しい中にやけに暑苦しそうな女性が駆け寄ってくる】
「なにか困ってることはある?良ければ私が手助けをするよ!」
【見た目はポニーテールの見たところ学生くらいの少女である】

【・・・よく見ると両手足の関節部分が金属でできている。】
【他にも首周りに若干金属部分が露出している】

164伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 19:48:00 ID:j3F3Rpmc0
>>163
「ぐおお、やめろッ、そんなに生きる気力に満ちた目で僕を見るな」

と、青年は悶えながら両腕で自分の顔を隠してしまう。
これも不死族特有の性質―――ではなく、単に、彼が明るい人間が苦手なだけだ。

(暑苦しさの根源はこいつだったか……)
「……、ん?」

ちら、と腕の隙間から少女の姿を見た彼は、その四肢に目を奪われる。
自分の顔を覆っていた腕をサッと下ろすと、彼は少女に尋ねた。

「困ったりはしてないんだが……なんだそれ? サイボーグか何かか」

コンビニ袋を持っていない方の手で、少女の首元辺りを指さして。

165名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 19:51:57 ID:WVrfsEdY0
>>164
「そんなに目に気力が溢れてる?
 うわぁー!それは嬉しい!ヒトに近づいてるわけだ!」
【感激するかのようにガッツポーズをして笑顔になる】

「サイボーグ?ああ、きにしないでいいよ!
 これは私の体なんだよ」
【よく聞くと小さくウィーンと体のあちこちから金属的な音が聞こえてくる】

「サイボーグというより私はロボットなんだよ!
 100パー純正の!」
【そう行って胸を張り答える】

166伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 20:02:43 ID:j3F3Rpmc0
>>165
「マジでか!? いやいや、嘘だろ……」

腕を組み、眉をひそめて、少女をジーっと見つめる青年。
ただでさえ悪い目つきが、一段と悪化する。

「……人間なら駆動音はしないよなあ、確かに。
 ここまでヒトに近いロボットなんていたんだ。僕はびっくりだよ」

「そんで、そのロボットさんが何してたんだ?
 さっきの様子を見ると、人助けでもしてたみたいだけど」

167名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 20:09:37 ID:WVrfsEdY0
>>166
「いやー、人間そっくりて言われるのはすごく嬉しい!」
【本当に楽しそうに言っている】

「私がなぜ人助けをしているかですか。」
【そう行って自分の頭を指さす】
「人助けていけば本当に人になれると、頭の中にそんなふうな知識があるんだよ」

168伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 20:17:21 ID:j3F3Rpmc0
>>167
「人になる、か」

ふ、と短く息を吐く。表情に変化はない。
内心、彼は「無茶苦茶だな」と思っていたが、それを表には出さなかった。

「ああ、なんか、お伽話みたいな話だな」

出さなかったのだが、むしろ酷い言い回しになった。

169名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 20:21:38 ID:WVrfsEdY0
>>168
「お伽話・・・浦島太郎が鶴になったりする話のこと?」
【そう行って、改めて頷いた】

「つまり、そういうことだということなんです!
 良きことをすれば自分に良いことが帰ってくると、そういうことだとおもいますよ」
【どうも喋り方が安定していない】

170伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 20:30:16 ID:j3F3Rpmc0
>>169
「? に、日本語でおk」

困惑した様子で二、三歩後ずさる。

「いや、言ってる事は分からなくはないけど。
 どうも僕には、キミの日本語がぶっ壊れてるように聞こえる。
 それで人になるってのは、結構無理があるんじゃないか」

訝しげに少女を見て、青年はそんな言葉を吐いた。

171名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 20:32:08 ID:WVrfsEdY0
>>170
「んんん?へ、変だったかな?」
【不思議そうに首を傾げている】

「まだ調整が足りないのかな・・・
 やはり一旦ラボで調整を受けたほうがいいのかも・・・」
【悩んでいるのか、腕を組んで考えている】
「まずは喋り方の統一を図りたい・・・か・・・」

172伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 20:42:10 ID:j3F3Rpmc0
>>171
「ああ、かなり酷かったと思うよ」

すっぱりと言い切る。

「……口調ってのは人の特徴として、結構大部分を占めてる。
 外見とか内面とかじゃなく、少なくともこの都市ではね」

おおメタいメタい。
毒混じりだったような口調が少し変わり、やけにまともなアドバイスを寄越した。

(ああ、そうだ、開発者みたいな人もいる訳か。
 人間みたいなロボを作る人間ってどんな顔してんだかなあ)

173名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 20:46:32 ID:WVrfsEdY0
>>172
「困りましたね。まあ・・・
 帰ったらちょっと相談しておきます」
【軽くお辞儀して返す】

「人の特徴を占める・・・
 やはり喋り方を一つにおいておくのが良いんですねえ」
【納得して返す】

「そうですね・・・喋り方を考えて・・・」
【そう行ってメカ少女は近くの空き缶を拾い始める】
【どうやらいいことをしたいと思ってるらしい】

174伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 20:53:37 ID:j3F3Rpmc0
>>173
「語尾に妙なものをくっつけたりすれば、インパクトは大きくなるだろうな」

ニヤリと口角を釣り上げて、彼は笑った。

「例えば『〜だニャン』とか『〜でごわす』とか―――
 ―――ん、そういや名前ってのはあるのか? 型番とかじゃなくて」

とんでもない提案をした直後、彼は思い出したように尋ねる。

「僕は伏見樺根っつーんだけど……、っと」

名乗りながらコンビニ袋から缶を取り出し、それを開けようとした、が。
少女がおもむろに缶拾いを始めたのを見て、やめた。

175名も無き異能都市住民:2012/04/14(土) 21:00:36 ID:WVrfsEdY0
>>174
「あ、すいません。
 なんか放っておけなくて」
【そう行って振り返りながらゴミ箱にポンポンと缶を投げ入れていく】

「なかなかいい案ですね。参考にさせて頂く」
【そう行って嬉しそうに頭を下げた】

「私の名前ですか?私は・・・」
【そう行って振り返って答える】
「ハル・・・といつも言われてるので
 ハルが私の名前だと思います」
【そう言って軽く頭を下げ】
「よろしくお願いします。伏見樺根さん」
【割と丁寧に挨拶した】

176伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/04/14(土) 21:14:46 ID:j3F3Rpmc0
>>175
「ひゅー、ナイスコントロール」

「その辺のイメージは研究員さんにも聞いてみるといい。
 外見と喋りの関係ってのも結構大事だ……
 ……いや、逆に合わないようなものを組み合わせてギャップ萌えを狙うという路線で行くのも」

うんうんと唸りだす伏見。

「ハル……春? それともHALとか、まさか貼るだなんて事はないだろう。
 ああ、よろしく―――とりあえず、名前を呼ぶ時はフルネームってのは一般的じゃないな。
 僕は何と呼ばれても構わないけど、名前だけとかの方が呼びやすいだろ?」



「……しまった、ドラマ見るために早く晩飯買ったんだった」

がさ、と、伏見の手に収まっていたコンビニ袋が揺れる。
おにぎりやら弁当やらが(一人分にしてはやけに多い)入ってるようだった。

「悪いけど、僕はこの辺りで失礼する。人になれるよう、頑張りなよ、ハル」

へろへろっと手を振ると、彼はどこかへと“跳び”去った。

//絡みありがとうございましたん! またお願いしますー

177ハル(ロボ子) ◆My6NsjkSfM:2012/04/14(土) 21:24:11 ID:WVrfsEdY0
>>176
「なるほど、興味は尽きないですなぁ」
【とても感心したふうな態度である】

「どれかはわかりませんが多分ハルでいいんです。
 えーっと、分かりました。樺根さんよろしくお願いします」
【そう言って頭を下げ】

「急いでお帰りなさーい」
【微笑みながら手を振り見送っていった】

「さて、今回の情報を伝えなければ」
【そう言うとハルも足早に去っていった】
//お疲れ様です

178ロザリア・ロートシルト:2012/04/16(月) 22:41:17 ID:SSMHlh/20
【AGカフェ】

水銀を張った盆をかき混ぜたように歪む宙空。

まるで水面から歩み出るように、
そこから現れたのは、黒と赤のゴシックドレスを身に纏った少女――ロザリアであった。
彼女はそのまま店の片隅にあるコルクボードへと歩を進めると、
置いてあったピンで、羊皮紙をそこに留め置く。

『――護衛募集(短期)。戦闘能力を持ち、一通りの礼儀作法を習得した者求む。
 戦闘系資格取得者優遇。報酬は銀貨600枚程度を予定。』

「こんなものかしらねえ。」

腰に手を当ててうむ、と頷いたロザリアは
そのままカウンター席につき、何時の間にかグラスに注がれていたスコッチに口を付けた。

179ウリュー:2012/04/16(月) 23:04:44 ID:PBnIervYO
「おやおやまあまあ」
四人掛けのテーブルを一人占有して、なにをかに勤しむ少女が存在する。
少女はロザリアが現れた事象に驚きの言葉を紡ぎ出しながらも、カチャカチャと手元にある手のひらサイズの「箱」を弄くっている。
「いらっしゃいませ。私は店員ではないですが、薬草茶の類ならお作りしますよー」
もしロザリアが魔力の流れに敏感ならば、その箱の内側からは、何か気色の悪い力が感じられるかもしれない。
ニコニコと笑いながらロザリアに話しかける少女は、どうやら気付いていないようだが

180ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/16(月) 23:07:32 ID:WVrfsEdY0
>>178
カランカラン
【しばらくたってからAGカフェの扉が開く】
「こんばんわなの〜」
【少女はいつもの調子で入ってきて、ふとコルクボードに顔を向ける】

「あうー?なんてかいてあるのかなの…
 ん…おかね?これは、ひつようかもしれないの!」
【どうやらある程度は理解できているようである…】
【恐らく乗り気で参加しそうだ】

181ロザリア・ロートシルト:2012/04/16(月) 23:12:48 ID:SSMHlh/20
>>179

「む……。」

そういえば先ほどから、なにやら邪な力を感じる。
機械仕掛けなのかどうかは分からないが、声を掛けてきた少女の持つ箱のようなものから
漏れ出してきているらしい。

(この感じ、あんまり良いものじゃないわねえ。
 危ないというより、君が悪い類のものだけれど。)

「……では、一つ頂こうかしら。おすすめは?」

ちょうどスコッチも飲み干してしまった事だし、
少女自体から悪意の類は感じない。物は試しに頼んでみるとしよう。

>>180

「あら、あなたもここに来たのね。
 それはダメよ。危ないもの。」

ディスの保護者であるロザリアは、ディスが危ない事に首を突っ込む事を望まない。
何しろ、今回の相手は中々手強い。なおさらディスを巻き込むわけにはいかない。

182ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/16(月) 23:21:27 ID:WVrfsEdY0
>>181
「あう〜?『ろざりあ』なにかしってるなの?」
【そう言って羊皮紙を指さす】

「あうー。もしかしてこれって
 『ろざりあ』がかいたのなの?ちょっとそんなかんじがするなの…」
【臭いを軽く嗅いで言う】

「でも、こまってることがあったらしんぱいなの!」
【そう言ってロザリアの顔をジーっと見る】

183ウリュー:2012/04/16(月) 23:30:26 ID:PBnIervYO
>>181
「そうですねぇ。この間ウサギ鬼の行商人から良いニガマダラニンジンをうb、仕入れたんで、それですかね」
両手にある、箱の力の残滓を布で拭い、若干不穏当な発言と共に、少女はとことこと厨房に向かう。
不思議な紋様の刻まれた鈍く輝く銀色の箱は、無造作に机に投げ出されている。
表面的には機械というよりも、システマチックな魔法技術の類に見える。

>>180
「ディスちゃんもいらっしゃーい。ん?銀貨……600枚……へぇー」
厨房に向かう途中、面白い物を見つけたと、にぃ、と少女は笑った。
しかしながらおそらく、報酬しか見ていない

184ロザリア・ロートシルト:2012/04/16(月) 23:43:22 ID:SSMHlh/20
>>182

「その通り、それは私が書いたものよ。
 ディスは賢いわねえ。よしよし。」

もしゃもしゃとディスの頭を撫でるロザリアであったが、
親が子供に言い聞かせるような調子で口を開き。

「でも、それは貴女が首を突っ込む問題ではないわ。
 貴女は勉強をして、いっぱい遊びなさいな。
 子供はそれが仕事なのよ。」

>>183

「ニガマダラニンジン……?」

なにやら字面的には美味しい物というよりは、
薬膳料理か漢方薬の材料として使われそうな感じがするが一体どうなる事やら。

とりあえずロザリアはやる事もないので、
箱から漂ってくる魔力を分析し、依頼書を書いて余った羊皮紙にそれを書き出してみる。

185ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/16(月) 23:49:11 ID:WVrfsEdY0
>>183
「…あう?だれかみてるなの?」
【不思議そうに首を傾げ、ウリューの方を見る】

「あう、こんばんわなの〜
 …ん?なにかへんかなの?」
【ジーっと見ていた羊皮紙から目をそらして言う】

>>184
「あうー、ちょっとだけだけどなの」
【そう言って軽く微笑んだ】

「…そんなにたいへんなことなの?
 その…『ろざりあ』だいじょぶなの?」
【とても不安そうな顔になっている。付いて行きたくてしょうがなさそうだ】

186ウリュー:2012/04/17(火) 00:03:11 ID:PBnIervYO
>>184
「まあ漢方系ですねぇ。煎じると香ばしくて美味しいんですよ?」
少し苦いですけど、と続ける内にフン、と厨房からやや癖のある芳香が漂ってくる。
「薬効的にはほど良い覚醒効果と、眼精疲労とかに効く感じですねー」

箱から感じられる魔力は不規則に脈打ち、増加し、箱の内部に蓄えられていく。
正と負、聖と邪、それらがない交ぜになったような、歪んだ力場を形成しているらしい。

>>185
「いいえ。おかしいことなんて、何も?ディスちゃんにはクッキーがいいかな」
カタカタと厨房の中で作業しながら、少女は言葉を返す。
「ただの私の都合です。銀貨600枚あればまあ、暫くは……多分暮らせるはずですから。浪費しなければ」
どうやらこの少女は報酬だけみて皮算用をしていたようだ。

187ロザリア・ロートシルト:2012/04/17(火) 00:24:11 ID:SSMHlh/20
>>185

「ふふん、貴女はこの私が負けるとでも思っているの?
 夜種の主たるヴァンパイア・ロードのこのロザリア・ロートシルトが
 そこらの凡百に膝を折るなどありえませんわ。」

冗談めかした笑みを浮かべるロザリアであったが、
内心では、手助けが欲しい。しかし、それはディスによってではない。

(親が子を危険な目に合わすわけにはいかないわねえ……。)

>>186

「東洋の魔術だとか魔法薬はよくわからないわねえ。
 あの辺りのは体系から何から訳が分からないわ。」

ロザリアの知識の中には東洋系魔術の知識はほとんどない。
紅茶よりもアルコールを好むロザリアにとっては縁が遠い世界なのであった。

そして、今は既に箱のほうに興味が移ってしまっている。

「……ふぅーむ、この滅茶苦茶な感じ。
 あの刀剣の術式にも似ているけど、それでいて決定的に違うわ。
 なんとも雑なのか、洗練されているのか……。」

188ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/17(火) 00:31:15 ID:WVrfsEdY0
>>186
「あうあう、へんじゃないかなの〜…あう?なんかいいにおいがする…きがするの…」
【くんくんと厨房の方の臭いを嗅いでいる】

「うん、おかねいっぱいあったらもっとらくにできるかなーっておもったんだけどなの…
 これは『ろざりあ』のかいたのなのかなの…」
【どうやらなんとなく匂いなどでわかるようである】

>>187
「あう、べ、べつにそんなことはないけどなの…
 へ、へーき…だよねなの…」
【と、納得させようと自分に言っている。不安はとても拭えていないようだが】

「『でぃす』だってもっとつよくなってる!と、おもうなの…
 いっちゃだめ…かなの?」
【かなり真剣な目をしている…】

189ウリュー:2012/04/17(火) 00:48:39 ID:PBnIervYO
>>187
「でーきましたよー。一応お砂糖とかジャムとかも持ってきましたー」
少女はすいすいと滑るように急須とカップ、その他諸々を盆に載せてやってくる。
味の調整はそちら任せということらしい。少し多めのクッキーはディスと二人で、とのこと。
「さてと、調整々々。久々に造るとやっぱり楽しいものですね、魔具というのは」
カチャリカチャリ、少女は元の席に着くと再び箱をいじり出す。
少女が箱の表面を撫でる度に、表面の紋様が変化し、カチャリと音を立てる。
「夜種のお嬢様は、こういうものに興味がおありで?」
相当雑だろうけど、と少女は笑う。なにせ思い付きから適当に組んだ術式を無理やり形にしただけのものなのだから
しかしそれでも崩壊しないのは、やはりその技術は洗練された物に間違いなく、
故にそれは洗練された雑な物体というべき奇妙な存在を産む。

>>188
「ディスちゃんにはちょっと苦いかな。このお茶は。さ、クッキーを召し上がれ」
そういいつつもカップはしっかり二人分。飲みたければご自由に、というやつか。
「お金はないと困りますもんねー。特にディスちゃんは食費的にも結構きますからね」
「私も行きたいですねぇ、銀貨600枚。何とも夢が広がるじゃないですか」
戦闘能力とかそういった前提条件を無視して好き勝手に夢を見る少女である。

190ロザリア・ロートシルト:2012/04/17(火) 01:05:06 ID:SSMHlh/20
>>188

「ダメよ。なんど言ってもダメ。
 こればかりは、お菓子をねだるのとは訳が違うんだから。」

ロザリアの立場は一貫している。
ふだんはディスに甘い彼女だが、無尽蔵に甘いわけではない。

>>189

お砂糖だとかジャムが用意されているという事は、
やはり紅茶の一種らしい。とりあえず、ジャムを入れてみる事にする。

「ええ、こう見えても魔術師ですからねえ。
 これは用途がよく分からないのだけれど、一体何に使うのかしら。」

191ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/17(火) 01:12:18 ID:WVrfsEdY0
>>189
「あうあう、いただきますなの〜」
【そう言ってクッキーを口の中に放り込んだ。美味しいらしく、笑顔になっている】

「もぐもぐ…うん、あんまりごはんたべすぎないよにしたいけどなの…
 でもそしたらちからがぜんぜんでなくなるからいっぱいたべなきゃいけないなの…」
【軽く頭を下げて落ち込んでいる】

「だからちょっとぐらいじぶんでなんとかしよっておもったんだけどなの…
 もらうのが『ろざりあ』からだからなんかあんまりいみないかなの…」
【照れくさそうに頭を掻いている】

>>190
「…そっかなの…
 わかったの、だいじょぶならしんぱいないよねなの…」
【なんとか自分を納得させようといっている】

「それじゃあ…
 こんどいっしょにごはんたべたいかなの…
 それでがまんできるかもなの。」
【軽く笑って言う。約束すれば安心できると思っているのだろう】

192ウリュー:2012/04/17(火) 01:38:04 ID:PBnIervYO
>>190
茶の癖のある苦味をジャムが程よく緩和して、中々に美味である
でも、まだ苦い。ちょっとの認識差をお互いに突き詰める必要がありそうだ


「うーん。一応半永久的に動く何か……の試作品の試作品ですかねぇ」
「おおざっぱに歪みが発生した時の変移差から力を引っ張って、貯蔵する仕組みになってます」
ちなみにこの箱は貯蔵出来ても外に上手く出力出来ないらしく、その調整に先程からカチャカチャいじっているらしい。
「うまく行けば適当にロボとかに組み込んで、こう、ぐわーっと」
すごい、おおざっぱだ。この禍々しい力を扱う者の姿勢とは到底思えない

>>191
「あら良かった。店長さんのとっときのおやつみたいですから、美味しいのも当然ですけどね」

ちなみにこの少女も、一応客である。甚だ図々しいことこの上ない

「なに、きっと気持ちだけでもうれしい筈ですよ?自ずから動こうという意志だけでも立派ですとも」
カタリと手元の箱を机に置く、一旦諦めたようだ。

193ロザリア・ロートシルト:2012/04/17(火) 01:52:55 ID:SSMHlh/20
>>191

「ええ、約束よぉ。この私の名前に誓ってもいいわ。
 魔術師が名前に誓うという事は、必ず果たすという事なのよ。
 簡単に言えば、魔術的な契約ね。」

ディスの小指に自分の小指を絡ませると、
軽く、魔力を流す。

「この私、ロザリア・ロートシルトは己の名に誓って、
 ディスと今度夕食を共にする。……ね。」

屈託なく、笑みを浮かべるロザリア。

>>162

「永久機関?杖なんかに魔術を付与してあるのは見かけるけれど、
 これほど基本的に単純な術式がやっと。ここまで完成度が高いのは中々ないんじゃないかしら。
 しかし、ここからが茨の道よ。幾人もの魔術師が永劫を探求し、願い叶わず挫折していったのだから。」

永久機関としては光やら闇やらでなんとも不安定な気もするが、
ロザリアはこういった古典的かつロマン溢れるものには弱いのであった。

非常に興味深いらしく、しばらく羊皮紙に術式を熱心に書き込んでいたが……。

「さあて、私はそろそろ夜の巡回に戻らなければ。
 ステキなものを見せてもらったわ。ありがとうねえ。」

ロザリアが指をぱちんと鳴らすと、最初と同じく宙がぐにゃりとゆがむ。
そこに身を投じると、彼女の姿が消え空間も元に戻った。

// このへんで〆る。おつ!

194ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/17(火) 02:02:48 ID:WVrfsEdY0
>>192
「ん、つくったのじゃなかったの?」
【目を丸くして尋ねる】

「そうかなの…
 むりやりいってもこまっちゃうよねなの。だからもっと…
 ほかにもたすけになれたらいいなの」
【そう言って深くため息を付いた】

>>193
「わかったの…やくそくげんまんだからねなの!」
【そう言ってディスも小指を絡ませ微笑んだ】

「『でぃす』もやくそく、こんどいっしょにごはんたべる…なの!
 これであんしん、なの」
【軽く流れてきた魔力を肌で感じ、嬉しそうに頷いた】
「やくそくはまもるからなの〜!」
【そう言って大きく手を振り見送っていった】
//おつかれさまーです

195ウリュー:2012/04/17(火) 02:19:46 ID:PBnIervYO
>>193
「ふぅふふふ。やっぱりロマンですよね、夢ですよねー。久々に漲ってきました」
少女の寝ぼけ眼には、しかし爛々と野心的な炎が灯っていた。
「種族系統の空間制御とも少し違う……普通のメトセラの方では、ないのでしょうか?」
サラサラと手近な紙にロザリアの使用した転移術の大まかな構成を勘と経験で適当にメモっていく。
最終的に別物になった落書きをクシャクシャと丸めてゴミ箱に放り投げた

>>194
「お茶は私が淹れましたけど、お菓子は流石に直ぐには作れませんから」
クロスのおやつは犠牲になったのだ……長く居座る横暴な客……その犠牲にな……

「ディスちゃんはどうするんでしょうね?約束を守って待つか」
或いは、無理にでも着いていくのか。後半は口に出さず、二階(屋根裏)へと上がっていく。
「食べたら、もう寝ないといけませんよ。食器はきっと、もふもふ達が片付けてくれますから」
そういい残すと、眠たげにあくびをひとつして、二階へ姿を消した。

//おつかれさまでしたー

196ディス ◆My6NsjkSfM:2012/04/17(火) 02:24:08 ID:WVrfsEdY0
>>195
「あうー、かってにもってきたんだなのー。
 …でもよくあることかなの」
【少し考えてからそういった】

「いままではもしかしたらつっこんでたかもしれないけど…
 でも、もしかしたらやくそくまもるのも『ろざりあ』のためかなっておもったの」
【そう言ってにっこり微笑んだ】

「あうー。わかったの…
 たべおわったらかえるからなの〜」
【大きく手を振って見送っていった】

「…しんじてるからねなの〜」
【そうつぶやいてまたもぐもぐ食べ始めた】
//お疲れ様ですー

197?:2012/04/18(水) 22:29:56 ID:dL8H4NjE0
大通りから少し外れた路地裏。
壁によりかかって座り込んでいる桃色の髪の少女が一人。

「…………っ……」
左腕の傷口を押さえ、時々呻きながら倒れかける体を元に戻す。
汗が吹き出し、肩で息をしていることから、かなり疲弊していることが伺える。

少女は側にあった鎌を持ち上げ、ゆっくりと立ち上がる。
疲労と傷のせいか、今にも倒れてしまいそうだ。

198防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/18(水) 22:35:26 ID:WVrfsEdY0
>>197
【その路地裏を進んでいく少女がいる】
「…ん?だれかいるんでしょうか」
【どうやら見回りをしているらしい。あたりを見回して様子を見ている】

「…あそこにだれかいるような気がします」
【路地裏の壁によりかかっている何かの影に向けて駆け寄っていく】

199?:2012/04/18(水) 22:47:50 ID:dL8H4NjE0
>>198
少女はゆっくりとした足取りで歩き出すが、

「……!」
足音を聞いた途端その歩みを止め、後ろに下がり始める。
そして体を反転させ、今ある体力を振り絞るように走り始める。
しかし大した速度は出ていない上、鎌が地面とこすれる音が響いているので、追うのは簡単だ。

200防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/18(水) 22:52:08 ID:WVrfsEdY0
>>199
「あ、ちょっとまって!」
【突然走り始めた音を聞いて鶫も駆け足で追っていく】

「一体どうしたんですか!ちょっと…!」
【すぐに鶫は追いついていく】
「なにか、怪我してるじゃないですか!」
【左腕を確認して慌てて手を伸ばす】

201?:2012/04/18(水) 23:00:28 ID:dL8H4NjE0
>>200
「くそっ……」
逃げきれないことを悟ったのか少女は足を止め振り向く。
それと同時に右手の鎌を振るおうとするが、

「……あれ?」
相手が見知った顔だということに気づき、手を止める。

「……何でここにいるん?」
左腕に伸ばされた手には特に反応を見せず、意外そうに問う。

202防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/18(水) 23:06:09 ID:WVrfsEdY0
>>201
「ちょ、ちょっとま…」
【慌てて手を引き戻して後ろに下がろうとしたが…】
「おや?貴方は確か…」
【その少女を指さしてきょとんとした顔になる】

「いえ、ただの通りすがりですが…
 貴方はなんでこんな所に?」
【不思議そうな顔で返す】

203?:2012/04/18(水) 23:14:03 ID:dL8H4NjE0
>>202
「っと、ごめんごめん」
鎌をとりあえず地面に置き、一応敵意はないことを表す。
「久しぶり、だね」
壁によりかかって座りながら、汗まみれの顔で笑う。

「んー、夜の逃避行?」
訳の分からない台詞を言って、上着を一枚脱ぐ。
それを鎌で引き裂いて適当な大きさにすると、

「悪いけど、これ巻いてくれない?」
紅く染まった左腕を指さしながら言った。

204防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/18(水) 23:29:57 ID:WVrfsEdY0
>>203
「ええ、久しぶりです。
 しかし…逃避行というと誰かに追われていると」
【少し心配そうに答える】

「止血ですね…任せてください」
【そう言って言われたとおりに腕にぐるりと巻いてゆっくり締める】

「しかし、誰かと戦ってるとかですかねぇ」
【割と手慣れた様子である】

205?:2012/04/18(水) 23:36:59 ID:dL8H4NjE0
>>204
「まあ、そんな感じ」
荒い息を整えながら、少し弱々しくつぶやく。

「誰かの恨みを買うような真似はしたことないんだけどね……誰なんだろうあの子
知り合いみたいに話しかけられたと思ったら切りかかってくるし……」
狂人の類かな、とため息混じりに言う。

206防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/18(水) 23:49:52 ID:WVrfsEdY0
>>205
「斬りかかられたんですか…
 あ、一応固定しておきますね」
【そのへんの枝をつがえて簡単に取れないように固定し始める】

「一体どんな人なんですか?
 その、急に襲いかかってきた人というのは」
【少し心配そうに尋ねる】

207?:2012/04/18(水) 23:58:59 ID:dL8H4NjE0
>>206
「あ、ありがと」
体力も段々と戻ってきたのか、汗も若干引いている。
しばらくすれば体力は元に戻るだろう。

「……えーと、顔、よく見えなかったんだ、分かんない」
困ったように笑う。
そしてこの話は終わりだとでも言うように立ち上がり、

「いやー、ありがとね。今度ご飯……はダメだ、なんか奢るよ」

208防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/19(木) 00:07:25 ID:WVrfsEdY0
>>207
「どういたしまして」
【軽く自分の両手を叩いて言う】

「誰なのかはわかりませんが…
 誰かれ構わず襲っているなら大変です」
【そう言って腕を組んだ】

「おごる、ですか?なんだかありがたいですけど…
 まあいつかでいいですよ」
【嬉しそうに返す】

209?:2012/04/19(木) 00:15:41 ID:dL8H4NjE0
>>208
「それはないと思う……あ、たぶんだけど。
いやでもどうなんだろ……」
はっきりとしない喋り方で呟く。
その姿はまるで隠し事をしていることを気付かれまいとする子供のようだ。

「うん、いつかね」
とある人物のせいで絶賛金欠中の少女は、いつかの部分を強調して言う。

「それじゃまた」
短く別れの言葉を告げて、少女は歩き出す。

210防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/19(木) 00:17:18 ID:WVrfsEdY0
>>209
「どうかしたんですか?
 なんかご存知みたいですけど?」
【少し気になったのか更に言葉を返した】

「まあ、特にやらなくても大丈夫ですよ。
 ああ、その…ではまた」
【そう言って鶫の方も手を降り始めた】

211 ◆III/lK7I/I:2012/04/21(土) 22:09:40 ID:j3F3Rpmc0
「久々だなあ、この雰囲気……おー騒がし」

 都市中心部を貫く大通り。
 人の波と街の喧騒に紛れ、少年は独り言を漏らす。

「しょーみ一年くらいかな? 僕としては数日くらいの気分だったけども。
 しっかし、結構経ってたんだねえ。一年だよ? ふっくく」

 黒いパーカーの奥で、その整った顔が醜く歪む。
 笑いを堪えようとして堪えきれなかった、そんな掠れた笑い。

「みんな元気かなあ……や、心配するまでもないか。元気に決まってる」

 その足取りは覚束ない様子で、しかし、誰かにぶつかりそうな様子はなかった。
 体をゆらゆらと左右に揺らしくすくすと笑いながら、少年は夜の都市を歩き続ける。

212欠け耳のボロッブ:2012/04/21(土) 22:31:55 ID:SSMHlh/20
>>211

ふと、目の前からがらごろと車輪の音を響かせながら、
様々な商品の陳列された台車がやってきた。

商品は魔術の触媒や、日用品が大半だが、
もし少年が魔力の流れを読む事ができるなら
それら商品に魔術が添付されている事が分かるだろう。

「安いよォー。魔法の鍋、今なら10%オフよー。
 今日はアセロラの実が安くなってるよー。」

商人風の衣装に身を包んだ小鬼が、
台車を引くロバに跨り、ときおり声を張り上げている。

213 ◆III/lK7I/I:2012/04/21(土) 22:40:36 ID:j3F3Rpmc0
>>212

「……お、」

ぴたん。少年は両の足を揃えて停止する。
それから台車の方にゆらゆらと歩いて行って、声をかける。

「やあやあ。少し、見せてもらってもいいかな。
 ちょっと持ち合わせは少ないんだけどさ」

そうやって声をかける少年。
声のトーンは至って普通なのだが、その視線はどこかブレていた。
愛想のいい笑みを浮かべてはいるが、目は死人のそれに近く。

「へー、結構凝ってるねえ……」

214欠け耳のボロッブ:2012/04/21(土) 22:57:15 ID:SSMHlh/20
>>213

「おう、おう、なんでも見ていくとええよ。」

小鬼はにひひ、と黄色い歯を見せて笑いロバの歩みを止めた。
荷台には、子供の玩具から魔法の遠眼鏡だとか、虹色をした飴だとか
なめくじチップスだとか、さまざまな物が雑多に置かれている。

棚のような物も詰まれており、それの引き出しには
『触媒』だとか『漢方』だとかのタグが貼られている辺り、
この中にも商品が入っているようだ。

――と、その商品の山の中に今週号のタブロイド紙がいくつか積まれており……。

その中の一つに『千夜財閥、黒沢小百合氏の死亡を隠蔽か。』との文字が踊っている。
真偽のほどは怪しいが……。

215 ◆III/lK7I/I:2012/04/21(土) 23:07:37 ID:j3F3Rpmc0
>>214
「わくわくするねえ、初めて駄菓子屋に行った時のときめきを思い出すよ」

微笑ましい思い出を零す少年の目は、やはり全くときめいているようには見えない。
それじゃあ、と、少年は触媒の棚を開いて、なるべく透明に近いような水晶片を幾つか手にとった。

「お会計頼むよ、これで足りるかな」

商品を差し出すと同時に、少年はパーカーのポケットから小銭を取り出して渡す。
商品の額よりほんの少し上回るくらい―――本当に持ち合わせは少なかったようだ。

……と。

「あれ、小百合さん死んじゃったの? ……一番元気してそうだと思ったんだけどなあ」

少年の視界に入った見出し。
彼はその名前に見覚えがあったらしく、そんな風に言った。
有名人が結婚した、というような話を聞いたくらいに、そうなんだ、と頷く。

「うーん。まあ会おうと思って会える人じゃなかっただろうしー……
 “手間”が省けたと思えばいいのかなあ……いやあ、でも、ううん、悲しいかもね」

腕を組んで、目を閉じて、少年はうんうんと唸る。

216欠け耳のボロッブ:2012/04/21(土) 23:22:51 ID:SSMHlh/20
>>215

「おんや、そいつは少々値が張るよ。
 坊ちゃん、大丈夫かい?」

水晶は魔術の触媒やマジックアイテム精製に使用するための物。
本物であり、少量でもそれなりに値が張る。

とはいえ、子供だからといってお金を持っていないとも限らないのがこの街。
幼くして、並の大人の数倍を稼ぐものもいるのだ。

「ん、あれまあ。こういうのにも興味があンのかィ。
 最近の子供は頭がええこったァ。」

とはいえ、こういった類の雑誌は大衆ウケを良くするために
ガセネタ紛いの物を掲載する事も多い。この雑誌は以前、『もふもふ』と呼ばれる生物が
都市に出現した際など、人を襲うだとかあることない事を書いていたものだ。

217 ◆III/lK7I/I:2012/04/21(土) 23:33:29 ID:j3F3Rpmc0
>>216
「大丈夫大丈夫。もうちょっとでお小遣い貰えるからさ。
 それにこれ、随分純度も高いみたいだし……店主さんこそ、もっといいお値段で売っていいんじゃない?」

魔術商の中には、目利きの出来ない初心者をカモに安物を掴ませるような連中も多い。
いわゆる“本物”を扱っているのを前にして、手持ちがあったなら買えるだけ買い込んでいただろう。

「ははは、知り合いの名前があったもんで、気になっちゃってさ。
 同姓同名の別人、って訳でもなさそうなんだよね」

ちょっと失礼、と、少年は新聞を手に取り、その記事を改めて見るのだが、

「ってこれ、この新聞社か……ガセかぁ?
 ……でも『火のない所に煙は立たず』なんて言うし。
 ねえ店主さん、最近何かこう、大きな騒ぎでもあった?」

218欠け耳のボロッブ:2012/04/21(土) 23:47:44 ID:SSMHlh/20
>>217

「『より良い物をより安く』。ボロッブ商会のモットーでねェ。」

ひょい、と小鬼が手を振ると
少年の目の前に、ボロッブ商会と書かれたチラシが現れる。
それは商品の安売情報だとかが載っているオーソドックスなものだが、
商会ロゴの下に『都市商人ギルド加盟店』という文字が記載されている事に気づくだろうか。

「ん?騒ぎかぃ?この都市じゃあ、騒ぎはしょっちゅうよ。
 襲撃だのテロだのはそこかしこであるが……最近そこそこ聞く事件たあ、
 連続放火事件や、人外を狙った殺人事件かねえ。」

ちょうどその事件も取り上げられている週刊誌があったが、
それも犯人は野球選手のだれそれだとか、実はとある企業の狂言だとか、
大衆受けしそうだが、どこに根拠があるのか分からない物ばかりだ。

219 ◆III/lK7I/I:2012/04/21(土) 23:57:22 ID:j3F3Rpmc0
>>218
「カッコいいねえ、プロの精神だねえ……おっとと」

突如として現れたチラシを慌ててキャッチして、少年はひと通り目を通す。
贔屓にさせてもらうよ、と笑って、チラシをポケットにしまいこんだ。

「放火に、人外殺し―――ひゃあ、相変わらず物騒で何よりだよ全く。
 小百合さん、もし絡むとしたら、犯人を追っかけてたとかかなあ。
 でもあの人、不意打たれるような人とは思えないし―――」

しばらくの間ぶつぶつと何かつぶやいて、「まあいいか」と言葉を切る。


「……今日はいい買い物をさせてもらったよ。ありがとね、店主さん。
 それじゃあ、また、縁が合ったら」

 代金を置いて(少しとは言えお釣りは受け取ることなく)、水晶片を手に、少年はまたふらふらと去っていく。
 覚束ない足取りではあったが、その後姿は少し上機嫌に見えた。

220欠け耳のボロッブ:2012/04/22(日) 00:12:01 ID:SSMHlh/20
>>219

「あいよーっ、毎度ありー。」

商人はろくに金額の確認もせず、
金貨を宙に放り投げると、それは溶けるようにいずこかへと消え。
そのまま、帽子を取って一礼するとロバに跨り歩み去っていく。

ちなみに、お釣りのお金はいつの間にか財布の中に戻っていたとか。

// 〆!

221白月 月夜:2012/04/22(日) 19:57:48 ID:dL8H4NjE0
とある公園。
一人の少女がベンチに座っていた。

「…………」
黒い長髪にジーパン、白地のTシャツに上からオレンジのパーカー。
手に持っているのは淡い光を放つ剣。
それを軽く振ったり、コツコツと叩いたり、隅から隅までじっと眺めたり。

「ほんと……なんなんだろこれ……」
自分の所持する力なのに、月夜自身よくわからないこの剣。
無機物のはずなのに意思を持つかのように自発的に動いたりするときもしばしばある。
魔力を媒体としているのか、それとも別の何かか。

「はぁ……」
何一つ分からず、溜息をつく。

222鷹野:2012/04/22(日) 19:58:24 ID:IrsgDsYs0
 月夜さん、βってここで良いんですか?

223白月 月夜:2012/04/22(日) 20:02:09 ID:dL8H4NjE0
//おkでございます

224鷹野:2012/04/22(日) 20:15:51 ID:IrsgDsYs0
 ありがとうございます。ロール開始します。
 やあ、初めまして。
 歩いてくる一人の青年がいた。黒く長い髪、深い青色の瞳。白い服はどう見ようともただの布だが、左腰の大太刀、後ろに交差して装備されている6本のサーベルは鎧など不要だと言っているようだ。
 背の白い翼は畳まれており、威圧感はない。
 軽い感じで声をかけてはみたものの、この世界で初めて人に出会ったという、不安や緊張の色は隠しきれていない。

225白月 月夜:2012/04/22(日) 20:23:42 ID:dL8H4NjE0
>>224
//台詞は「」でくくると分かりやすいです!
//PSPなら『かっこ』で変換すればでてきますよ

「……?」
ぼーっとしていると、ふとかけられる男の声。
「あ、こんばんは」
視線を上げ、にこりと笑って挨拶をする。
相手の緊張を感じ取っているのかは分からないが、その表情は相手を安心させるような優しいものだ。

「見ない顔ですけど、新顔ってやつですか?」
少し首をかしげてそう問う。

226鷹野:2012/04/22(日) 20:42:36 ID:IrsgDsYs0
 //以後気をつけます。
 「はい、そうです。この都市のことはまだよく分からないので、迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします。」
 人の良さそうな優男の顔からには緊張感はすでに無かった。

227月夜:2012/04/22(日) 20:48:26 ID:dL8H4NjE0
>>226
「あはは、そんなにかしこまらなくてもいいですよ」
月夜もこの都市にきてからそこまでたっていない。
なんとなく親近感を覚えつつ、剣を出したままだったことに気づき、慌てて消す。

「それで、何かご用ですか?」

228鷹野:2012/04/22(日) 21:02:13 ID:IrsgDsYs0
 「あっ、すみま・・・ごめん」
 6本のサーベルがシュン、と消えた。
 「`心渡(こころわたり)’は消せないんだけど・・・」
 物騒な大太刀を横にぶら下げたまま、すまなそうに続ける。
 「どこかで、お手合わせをお願いできま・・・ない?」

229月夜:2012/04/22(日) 21:13:03 ID:dL8H4NjE0
>>228
「武器は持ってるだけなら普通のことですし、気にしなくても大丈夫ですよ」
まあ私のは抜き身の状態なので、持ち歩いたりはしませんけど、と付け足す。

「手合わせですか?」
少し考え、立ち上がる。
そして公園の脇にある機械に足を向ける。
「そういうのなら『この場所』が向いてるんで、行きましょう」
行く、といっても少女の先にあるのは機械が数台だけだ。
この都市に来たばかりの鷹野からすれば少し奇妙な光景かもしれない。

230鷹野:2012/04/22(日) 21:18:33 ID:IrsgDsYs0
 「はい、お願いします。」
 何だろう、どこかにワープでもするのかなと、わくわく半分、興味津々で後に続いた。

231月夜:2012/04/22(日) 21:27:37 ID:dL8H4NjE0
>>230
「よし、それじゃ……」
機械を何度か操作する。

「始めましょうか」
操作を終え、その言葉を呟いた数秒後、
二人の視界は、夜の公園から見渡す限りの草原に変わっているだろう。

232鷹野:2012/04/22(日) 21:36:16 ID:IrsgDsYs0
 山に囲まれた土地で生まれ育った彼にとって、地平線を見たのは生まれて初めてのことだった。惚けた顔をしているのに気づかない様子で、ほへ〜と辺りをただ見回していた。

233月夜:2012/04/22(日) 21:43:43 ID:dL8H4NjE0
>>232
「ほらほらぼーっとしてちゃだめですよー」
月夜は鷹野からある程度距離をとった場所で呼びかける。

月夜の両手に光が宿る。
淡い光はだんだんと形を成し、数秒後には片手剣となって月夜の手に握られていた。
それを構え、半身の体勢になる。
準備は万全、といった感じだ。

「そっちから来てくれて構いませんよ、いつでもどうぞ」

234鷹野:2012/04/22(日) 21:49:15 ID:IrsgDsYs0
 「あ、 そうでした。」
 彼の両手にサーベルが出現する。
 それでは、
 言い終わらないうちに、全力で駆けだした。真正面から、一気に距離を詰めんとする。

235月夜:2012/04/22(日) 22:02:46 ID:dL8H4NjE0
>>234
(……速い)
予想以上の速さで距離を詰められ、少し驚く。
しかしいつまでも呆気にとられているわけにもいかない。
相手の行動に合わせるように、月夜は上に飛び上がる。
そして丁度鷹野の真上に来たところで。

「……ふっ!」
一回転しながら、右の剣を振り下ろさんとする

236鷹野:2012/04/22(日) 22:10:39 ID:IrsgDsYs0
 受け止めるは右手のサーベル。しかし、あっけなく折られて、否、斬られてしまう。
 左手のサーベルも放棄し、横っ飛びに距離をとる。およそ200mほど離れたところに着地せんとする。

237月夜:2012/04/22(日) 22:19:19 ID:dL8H4NjE0
>>236
「まあ、この程度だと避けられちゃいますか」
ぽつりと独り言のように呟く。

「剣だからって近接しかできないと思ったら大間違いですよ」
その言葉と同時、月夜の周りにいくつかの光が出現する。
それらは月夜の手に握られている剣と同じ形になり、その切っ先を鷹野に向ける。

「行け」
瞬間、空中に浮いていただけだった剣が鷹野めがけて放たれる。
速さはなかなかのものだが、距離が距離なので避けるのは難しくないだろう。

238鷹野:2012/04/22(日) 22:39:51 ID:IrsgDsYs0
 受け止めるわけにはいかない。翼を大きく広げ、高度を500ftにとる。瞬きして開いたその瞳は、真紅に染まっていた。
 「征くぞ、心渡」
 ゆっくり羽ばたきながら、長い柄の鍔付近を右手で持ち、抜刀する。斜め下に月夜を見据え、次の攻撃に備えた。

239月夜:2012/04/22(日) 22:50:59 ID:dL8H4NjE0
>>238
「うおう」
遙か上空に飛び上がった鷹野に、感嘆の声をあげる。

「……こい」
目をつむり、右手を上に。
次の瞬間、月夜の周りに光の剣による円ができあがる。
鷹野の攻撃をどう受けるつもりなのだろうか。

240鷹野:2012/04/22(日) 23:01:10 ID:IrsgDsYs0
>>239
 本能的に警戒した。
 「対戦車ロケット砲5連、ファイア!」
 かなり旧式のロケット砲が、伸ばした左手から5発、比較的低速で月夜に向かう。ロケットが吹き出す煙が、鷹野を覆い隠してゆく。

241月夜:2012/04/22(日) 23:08:29 ID:dL8H4NjE0
>>240
あたりに浮いていた剣はそれぞれが組み合わさり、盾のような形になる。
ロケット砲の内二発を防ぎ、月夜は残りを後ろに跳躍して回避するが、

「……っ」
爆風と飛び散る破片や土で、体を少し傷つけられる。
形容しがたい痛みに少し顔がゆがむ。

「ったた……やりますね」

242月夜:2012/04/22(日) 23:21:28 ID:dL8H4NjE0
//すいませんがちょっと続けられそうにないんで明日に持ち越していいでしょうか

243鷹野:2012/04/22(日) 23:30:01 ID:IrsgDsYs0
>>241
 回避しない・・・?機動性では勝っているのか?
 ロケットの推進時の煙や爆炎に紛れて降下、地上に伏せている鷹野は、ある算段を練っていた。

244鷹野:2012/04/22(日) 23:31:45 ID:IrsgDsYs0
>>242
//はい。寝不足にはなられぬよう。

245月夜:2012/04/23(月) 17:07:21 ID:dL8H4NjE0
>>243
「……」
とりあえず体勢を立て直し、剣を自分の付近に呼び寄せる。
辺りを見回すが、鷹野の姿はない。
おそらく煙の中にでも紛れているのだろう。

自分から攻め入るより、相手の手を見て後の先を取る。
これを基本戦法としている月夜は、無理に動かずただ待つ。

246鷹野:2012/04/23(月) 18:35:28 ID:IrsgDsYs0
>>245
 こちらも煙の中、月夜の正確な位置は分からない。
 トランシーバーを二つ作り出す。片方の音量を最大にし、月夜から少し離れたと思われるところに投げる。当たらないことを祈りながら。
 そろそろ落ちるかな、というタイミングで手元のトランシーバーに吹き込んだ。
 「対戦車ロケット砲20連、斉射!」
 無論、ハッタリだ。心渡の柄を握り、次の行動に備えた。

247月夜:2012/04/23(月) 19:05:36 ID:dL8H4NjE0
>>246
「!?」
突如鳴り響く鷹野の声。
その方向に二本ほど剣を射出し、残りの剣で防御陣を作るが、

「誰もいない……」
その方向に鷹野の姿はない。
代わりに視界に入ったのは片手でもてる程度の機械。

ハッタリだ。
そこまできて月夜はそのことに気づいた。
慌てて防御陣を解除、呼び戻すが、恐らくは……

248鷹野:2012/04/23(月) 19:20:47 ID:IrsgDsYs0
>>247
 「よしっ、成功」
 立ち上がりざま、心渡を抜き、居合い斬りのように360度、半径3mに渡って下の土ごと草を薙払う。
 「気流が乱れるが、仕方あるまい。」
 その後、心渡が炎を纏う。横に心渡を思い切り振った。
 放射状に広がる、無数の竜巻。心渡が炎を消したのとは対象的な、紅蓮の大竜巻だ。
 この草原を焼き払え、と言おうとした直前、あまりの悪役臭さに軽い自己嫌悪に陥った。

249月夜:2012/04/23(月) 19:43:08 ID:dL8H4NjE0
>>248
全身に感じる熱と、紅い紅い無数の竜巻。
能力をフル活用して一つ二つ止められるかどうか、といった感じだ。

だが、まだ手はある。
視線をあげれば、そこにあるのは少し大きめの雲。
月夜自身の能力は光の剣を生み出すことではない。
その本当の力は……

鷹野と月夜を巻き込むように大量の水が降り注ぐ。
月夜の能力は流れを操ること。
物体の運動方向を操ったり、その力の大きさを変えたりといろいろだ。
月夜は上空に浮かぶ雲、つまり大量の水を呼び寄せ、すべて沈下してしまおうと考えたのだ。
現に竜巻は着実に勢いを失いつつある。

「……はっ……はぁっ……」
少し無茶だったのか、結構疲労がたまっている感じではあるが。

250鷹野:2012/04/23(月) 19:59:10 ID:IrsgDsYs0
>>249
 「恵みの雨だ・・・」
 火の粉で火傷し、再生に数日かかると思われる右目に眼帯をし、竜巻に投げ込む予定だったヨウ化銀(人工降雨剤に使われる)を消した。
 作戦は中盤をすっ飛ばし、最終段階にはいる。
 羽を広げ、物質創造の応用でエネルギーを羽の後端から噴射、ロケットの要領で地表から少し浮く。心渡を地面に刺し、熱を吸収させた。
 地表は、みるみるうちに氷に覆われてゆく。

251月夜:2012/04/23(月) 20:18:14 ID:dL8H4NjE0
>>250
「さむ……ってレベルじゃない!?」
地面を覆い尽くすように広がる氷に、思わず叫ぶ。
巻き込まれないように能力で自分も浮かび、とりあえずの安全を確保する。

「どーすんのこれ……」
いかにも摩擦係数の少なそうな地面にため息をつく。

252鷹野:2012/04/23(月) 20:29:06 ID:IrsgDsYs0
>>251
 「飛べるのか・・・」
 足元を掬おうという作戦がものの見事に失敗し、
 「あるまじき失敗だ。」
 相手の力量を甘くみていた。
 作戦変更。
 「うおおおおおお!!」
 左手を横にのばし、大きな光球を作る。
 物質創造。巨大なものを作るため、左手にエネルギーを貯めている。
 右手には心渡。警戒は怠らない。

253月夜:2012/04/23(月) 20:40:12 ID:dL8H4NjE0
>>252
「…………ぬ?」
突然、宙にうかんでいた月夜の体がぐらりと傾く。
次いで鷹野を迎え撃つように陣をくんでいた剣が淡い光と共に消滅。

どさりと月夜は氷の上に倒れる。
「あ、あれ?ぬ?え?」
意識はあるようだが、体が言うことを聞かないらしい。
素っ頓狂な声をあげる。

254鷹野:2012/04/23(月) 20:56:53 ID:IrsgDsYs0
>>253
「なんだ、どうしました?」
 何があった。いや、何が起こった?
 左手のエネルギー塊をどこかに飛ばし、心渡を納め、月夜の近くに着・・・気流の乱れたところに低速で入ってしまい、数m離れたところに肩から墜落。
 痛みを堪えて立ち上がり、防寒用のコートを創りつつ、月夜のそばまで歩いてゆく。

255月夜:2012/04/23(月) 21:07:55 ID:dL8H4NjE0
>>254
「いや、なんか体が……」
立ち上がろうと体を動かすも、なぜか動くのは足ではなく手や首。
なぜだろうと少し考え、そして答えに至る。

「えーと、ここがこうなってるから……できた」
自分の体を見ながらブツブツと呟く月夜。
しばらくして、何事もなかったかのように立ち上がる。

「能力の使いすぎで身体の電気信号の流れもぐちゃぐちゃに変えちゃったっぽいです」
なんとも情けない話だが、表情には疲労の色が見える。

「最近調子悪いなぁ……、すいません、今日はちょっとお開きでいいですか」
照れたように笑いながら言う。

256鷹野:2012/04/23(月) 21:17:37 ID:IrsgDsYs0
>>255
 「はい、おつき合いいただいてどうもありがとうございました。」
 袖が破れ、髪が焦げ、眼帯をした締まらない顔で微笑んだ。
 コートを渡しながら。
 (あっまずい、デザインが月夜の服とあってない・・・)

257月夜:2012/04/23(月) 21:22:19 ID:dL8H4NjE0
>>256
「ああ、ここからでれば衣服も身体も元通りになりますし心配しなくても大丈夫ですよ」
少し危ない足取りで月夜は歩いていって、転送装置を操作する。

「それじゃ、また会いましょう」
軽く手を振って、月夜は箱庭をでていった。
//乙でしたー

258鷹野:2012/04/23(月) 21:29:07 ID:IrsgDsYs0
>>257
 「道中お気をつけて。」
 手を振った後、瞳の色を深い青に戻した。
 かつて経験したことのないダメージが一気に襲いかかり、今度は鷹野が崩れ落ちる番だった。
 //どうもありがとうございました。こんな楽しかったのは、数カ月ぶりです。

259ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/23(月) 22:05:50 ID:7gFzKdaU0
「――――むぅ。寝てた」

むくりと起き上がって、周りを見回せば既に宵は深まって。
クラクラと待宵の月に酔っているかのように思考は霞がかかって、そして揺れる。
理解した。先程まで己が見ていたのは、夢であったことを。

少しだけ寂しかった。旅は楽しいけれど、あの楽しかった日々は二度と戻ってこないことを思い出したから。
起き上がって、伸びをする。あふぅ、とあくびを漏らして、周囲をもう一度見回せば。
当たりには気絶する黒服の男たちの図が有って、苦笑を零すほか無い。

「勝手にお仕事しちゃいけなかったかなぁ。
 とりあえず、風邪引かなければいいんだけど」

よいしょ、と背中の巨大なリュックサックをあさり始める少女。
取り出したのは荒縄で、それを倒れる男数人にぐるぐると巻きつけ始める。
鼻歌なんか歌っちゃって、先程の夢なんてもう忘れちゃって。お腹が減ってて今日の晩ご飯はどうしようかで頭がいっぱいだ。

一仕事終えた感の有る表情でヤクザどもを簀巻きにする幼女。
そんな図が何の変哲もない公園で展開されている図は、少々以上に目立つことだろう。

260鷹野:2012/04/23(月) 22:23:15 ID:IrsgDsYs0
>>259
 「初めまして、こんばんは。」
 夜の公園に軽やかに降り立ち、白い翼を畳む。
 「この都市にも、こんな見るからにヤクザな人はいるもんですね。ああ、申し遅れました。たかや、と言います。」
 にこやかに微笑む。誘拐犯に間違われないか、少し心配だ。

261防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/23(月) 22:23:55 ID:WVrfsEdY0
>>259
「なにかさわがしかったような…」
【騒ぎを聞きつけてなのか、制服を着た少女が公園に入ってきた】

「これは…物騒な顔の人たちが捕まっている…
 お株を奪われましたかねぇ」
【何かぶつぶつと言いながらぐるぐる巻のヤクザ達を見る】

「あの人が?」
【軽く驚いた顔でドーラの顔を見つめる】

262ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/23(月) 22:28:42 ID:7gFzKdaU0
>>260
「あ、どーもどーもー!」

にかり、と笑ってみせる少女は純真に見えること請け合いである。
だがしかし、どことなく薄ら寒い気配を周囲に撒き散らしている事が感じられることだろう。
言うなれば、腐臭漂う墓場のそれをより濃密に濃縮したかのようなもの。

「ふっふっふ、何処にでもそういう人は居るもんだよ。
 ま、このドーラちゃんの手にかかっちゃちょちょいのちょいなんだけどねー!」

ぎしりぎしりと縄を締めあげて笑う。
尋常では無いほど固く縛られた縄はそうそう外れる事は無いだろう。

>>261
「ん、どしたのお姉ちゃん?」

こてん、と首を傾げつつ、ヤクザ団子を持ち上げ始める。
そして、それを右腕一本で完璧に持ち上げると、グルグルと振り回し始めた。
直後――――

「そぉぃっ!」

――――ヤクザの団子が宙を舞い、そこら辺の茂みに投げ込まれた。
がさがさごろごろ、どしゃーん。
構図を見ればギャグにしか見えないが、これが現実だ。
額を拭い、ドヤ顔で相手を見つめるのだった。

263鷹野:2012/04/23(月) 22:34:44 ID:IrsgDsYs0
>>262
 「ドーラさん、というのですか。よろしくお願いします。」
 ドーラ・・・ナチスドイツの、世界一強力な列車砲を連想してしまう。ヤクザの人束をブン投げたパワーも、その片鱗にすぎないのだろうか。

264防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/23(月) 22:45:29 ID:WVrfsEdY0
>>262
「おおっ?!」
【簡単に投げ飛ばす光景を見てカナリびっくりしている…】

「かなりの力持ちですね、見かけによらず…」
【ジーっと茂みの方を見ながら感心するように答える】
「あの人達は一体?」

>>263
「…?」
【ふと振り返り、翼がひらひらしていた人物を見つめる】

「天使さんもいるんですねーこの街には。
 びっくりです。」
【と、言いつつも鶫はその男性に向けて】
「どうもこんばんは」
【と軽く会釈して応じた】

265ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/23(月) 22:50:19 ID:7gFzKdaU0
>>263
「ん、よろしくねおにーさん!」

にかり、と笑うと同時に、ぱたぱたと動きまわって、相手の背後に回ろうとする。
見れば、先程まで少女が立っていた地面が足の形に陥没していたのが分かるだろう。
そして、背後を取ると同時に、相手の翼を鷲掴みにしようとするだろう。
と言っても暴力的なものではなく、怪我をさせないように加減したもののため痛くはない。

どうやら、背中の翼がどうしようもなく気になったようだ。
膂力や、その不気味な気配等を抜きにすれば、そこに居たのはただの12歳の少女だ。
――周囲に人魂が浮かんでいるという事も一緒に無視すればの話だが。

「うおー……、白い、めっちゃしろい。
 もふもふしてやるー!」

けらけらと笑いながら、もふもふと相手の翼を弄ぼうとする少女。
無邪気であり、悪意のたぐいは欠片もなさそうな振る舞いであることは見て取れる筈だ。

>>264
「ふっふーっ、列車砲の亡霊はだてじゃないんだよ?」

ぼぼぼ、と体から人魂を吹き出しながら高笑い。
不気味と恐怖によるプレッシャーが周囲に解き放たれるが、なぜか邪気と悪意は存在しない。
それは、大きな力を持てど悪霊ではないことの照明なのだろう。

「えーっとね、ちょっと兵器売ってたら目付けられちゃって。
 お仕事するなら金寄越せって襲いかかってきたから返り討ちにしちゃったんだ」

よく見れば、周囲の地面が陥没していたり、木が半ばから吹き飛んでいたり。
大分度派手な大立ち回りを演じていたようだった。

266防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/23(月) 23:04:31 ID:WVrfsEdY0
>>265
「なんというか、とても亡霊に見えない方ですねー。
 怨念めいたものを感じるわけでもありませんし」
【ジーっと霊魂やらを見つつ、ドーラの顔も見つめる】

「そうなんですか…
 兵器の売買?」
【かなりあっさり言ったので一瞬気付かなかったが】
「兵器を普通に売ってるんですか?
 それは…その、すごいですね」
【色々言いたいことがありそうだが、思ったことを一先ず言った】

267鷹野:2012/04/23(月) 23:06:21 ID:IrsgDsYs0
>>265
 「ふふ、気に入った?」
 公園、修復する人はいるのだろうか。
 左手を差しだし、白い羽を数枚創り出す。背中のものと同じものだ。
 「はい、あげる。背中の羽はむしらないでね。痛いから。」
 白い羽募金。
 なんちゃって。
 「今のみたいに基本的に武器は創るからよく分からないんだけど、武器を売ったくらいでヤクザって絡んでくるの?」

268鷹野:2012/04/23(月) 23:12:32 ID:IrsgDsYs0
>>264
 「天使ですか。そう言われたのは初めてです♪」
 一瞬笑顔になり、そして左腰の大太刀を撫でながら
 「白い翼のひこう少ね・・・青年、鷹野です。どっちかというと悪魔ですね。」

269ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/23(月) 23:13:40 ID:7gFzKdaU0
>>266
「でも、亡霊だよー? 確かに活き活きしてるけど、どっちかというと死に死にしてるって方が正しいし。
 それに〝わたし達〟は皆後悔してても恨んじゃいないからね。悪い子じゃないんだ」

霊魂が形を成し、軍人の姿を取って少女を守るように浮かぶ。
また人魂に戻ると、霊魂はドーラの体の中に溶けこむように消えていった。

「えっとね、自作の魔道マシンガンとか、手榴弾とか。
 あと、特殊な弾頭とかねー。武器作りとか機械大好きだからね」

ごそごそとカバンを漁り、お近づきの印に手榴弾を差し出す。
何処のメーカーのものでもない、彼女お手製の手作り手榴弾だ。

>>267
「もふってしてる! わたし丈夫だからすっごい新鮮な感じ!」

ご満悦な表情で翼をもふりもふりとしてけらけら、きゃははと笑い転げて。
差し出された白い羽を満面の笑みで受け取った。
そして、リュックサックから工具を取り出すと、おもむろにいじり始めたドーラ。
羽を弄りながら、相手の質問に耳を傾け。

「うーんと、なんでか分かんないけど、こういう兵器とか武器売るのってみかじめ料?みたいなのを払うのが筋なんだって。
 ヤクザさんも武器とか兵器横流しとかしてるみたいだし、要するにお仕事取られた分のお金払えよくそったれ、って事みたい」

そう言いながらも作業は終わって。
いつの間にか掌の上には白い羽で出来た髪飾りが有る。
手先は本当に器用なようで、それを手早い動作で自分の髪にくっつけてみる。
錆鉄色の髪と相俟って、そのコントラストが少女の存在感を増しているようにも感じさせるだろうか。

270鷹野:2012/04/23(月) 23:22:45 ID:IrsgDsYs0
>>269
 「器用だねぇ、すっごく。」
 試しに羽を何枚か出し、加工を試みる。
 うん、猫なら遊んでくれるだろうか。

271防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/23(月) 23:22:54 ID:WVrfsEdY0
>>268
「いえ、ハネが鳥っぽかったのでなんとなく…ですね。
 でも嬉しかったのなら幸いです」
【鶫も釣られて微笑み返す】

「悪魔?へぇ…
 本当にいろんな種族がやってきますね」
【興味深そうに答える】
「その大きな刀は大事な物なんでしょうか?」
【撫でている大太刀が気になったようである】

>>269
「元気よく死んでるってことでしょうか?
 …死んだ後もそうだと実にいいですね」
【軽く笑いながら返す】
「なるほど、恨みを抱いている幽霊じゃないんですね。
 それならたしかにそうなんでしょうね」
【そう言って感心している】

「は、はぁ…結構簡単に買えるんでしょうか」
【少し認識違いがあったように思う鶫。差し出された手榴弾を見て】
「え…あ、その…こういうのは持ち歩くのは私にとっては危ないかも知れません…」
【軽く驚いた顔で手榴弾を見た。やはり兵器類は持ち歩いたことがないようである。】

272鷹野:2012/04/23(月) 23:31:45 ID:IrsgDsYs0
>>271
 「ええ。僕自身よく分からない妖刀ですよ。銘は心渡(こころわたり)。物理法則くそくらえ、な刀です。」
 心渡はすらりと鞘から出て空中でひゅんひゅん回りだした。怒ろうとしたが、その前に鞘に収まった。
 説明に何か不備があったのかもしれない。

273ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/23(月) 23:33:14 ID:7gFzKdaU0
>>270
「ぬふふー、此れでも魔術師だし職人だし!
 ただの素人さんと一緒にされちゃ困るんですぜーお兄さん」

半端ではないドヤ顔だ、さすがにウザいかもしれない。
カバンをごそごそと弄り、取り出した工具をしまっている。

>>271
「正義の亡霊、列車砲のドーラちゃんなのだー!」

びしぃ、とキメ顔キメポーズ。
本当に幽霊の類には見えないほどに活き活きしていた。

「売ってるよ? 路上とかで」

割りとアレな発言をしつつ、相手の言葉にはしゅんとなって。
掌の上で手榴弾を軽く転がして、しまい込んだ。
そして、腹がぐぅぎゅるるとうなり声を響かせた。

「うぐぅ、おなか減ったー……、御飯食べるから、んじゃねー」


二人に手をぱたぱたと振りながら、少女は人魂を引き連れて歩き去っていくのだった。

274防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/23(月) 23:37:52 ID:WVrfsEdY0
>>272
「心渡ですか…
 しかしどんな効果があるんでしょうね。その…物理法則を無視するというのは」
【そう言ってじっと見ようとしたが】

「おぉ!?急に飛んできましたよ?
 何何でしょうね…」
【驚きを隠せない顔である】

>>273
「凄いです!まるで正義の味方のようですよ!」
【総言って嬉しそうに拍手を返す】

「そうなんですか…
 そのへん歩いてたら手に入るんでしょうか…
 あ、なにか悪いこと言ってしまったでしょうか…」
【ちょっと罪悪感がありそうな顔つきである】

「わかりました。またいつか会いましょうねー」
【そう言って大きく手を振り見送っていった】

275鷹野:2012/04/23(月) 23:41:21 ID:IrsgDsYs0
>>273
 左手で弄んでいた猫ボールをポンと消し、
 「さようなら。道中気を・・・つけるまでもないか。」
 大きめに手を振った。

276鷹野:2012/04/23(月) 23:48:42 ID:IrsgDsYs0
>>274
 「何でもありです。炎を纏い、熱を吸収し、紫電を帯びたかと思えば分身、変形・・・総ての能力は僕も知りません。」
 少し残念そうに笑う。心渡は、今は大人しい。

277防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/23(月) 23:53:46 ID:WVrfsEdY0
>>276
「なるほど…本当に何でもありですね。
 もしかしたらもっととんでもないことが出来たりするかも…」
【と、しばらく考えてから口を開く】

「もしかしてこの刀は意思を持ってるんでしょうか?」
【不思議そうな顔をして尋ねてくる】

278鷹野:2012/04/24(火) 00:00:48 ID:IrsgDsYs0
>>277
 「多分持ってるでしょう。さっきのグルグル回りは僕の意志じゃないですし、戦闘中に自律攻撃させることもありますから。」
 確証はありませんが、と付け加えた。

279防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 00:03:37 ID:WVrfsEdY0
>>278
「付喪神のようなものですかね…
 使い込まれたものには魂が宿ると言われていますし。
 コレもそういったたぐいのものなんでしょうね」
【ジーっと刀を見つめる】

「…まあ妖刀と言っていましたし。
 いまさらなんですけどね」
【ちょっと恥ずかしそうに返した】

280鷹野:2012/04/24(火) 00:18:57 ID:IrsgDsYs0
>>279
 「あはは、まぁ使わずに済むなら使いたくない刀ですがね。」
 ぱしゅう、と。
 腰の後ろにいきなり現れた6本のサーベル。ハガレンのブラッドレイのように、交差して装備された。
 「こっちは何の変哲もないサーベルです。サーベルとしては強い方ですが、」
 公園を見渡して。
 「あんな攻撃を食らったら、ひとたまりも半たまりもありません。」
 金色の柄を握り、一本進呈しましょうか、と言いながら引き抜いた。

281防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 00:24:06 ID:WVrfsEdY0
>>280
「へえ…随分いっぱいありますね」
【感心しているようである】
「こういうものはよくわかりませんけど
 切れ味ありそうですね」
【そう言って微笑んだ】
「そうでしょうね…ん?コレをくれると言うんですか?」
【彼女にとってはある意味願ってもないことなのである】
【自身の能力を上手く扱えるいい機会かもしれないと思うことがあるのだ】

「持ってたら怪しまれそうですが…
 まあこの都市なら問題ないかもしれないですね」
【そう言って注意深く当たりを見回した】

282鷹野:2012/04/24(火) 00:37:11 ID:IrsgDsYs0
>>281
 「サーベルは軽いですからね、基本は二刀流、後の四本はスペア・・・というより飾りですね。創ろうと思えばいくらでもどんなものでも創れますから。」
 鞘を取り外し、サーベルを収めて渡す。
 「好みの武器はありますか?例えば刀、爆弾、銃器の類まで何でも創れますよ。」

283防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 00:39:25 ID:WVrfsEdY0
>>282
「ありがとうございます。
 一先ず使いこなせるかどうかを試してみますよ」
【そう言って有り難そうに受け取った】

「他にですか…
 やはりこういう身ですから…」
【そう言っておっきい胸を張って答える】
「体力を使いにくい拳銃くらいがちょうどいいでしょうか。
 あ、なるべく反動が少ないものがいいですね」

284鷹野:2012/04/24(火) 00:58:29 ID:IrsgDsYs0
>>283
//すみません、今夜はこれで落ちます。
 「低反動なら、オートマチックですね。」
 一瞬、瞳が真紅に染まる。もとの深い青に戻ったとき、黒光りする2丁の銃が左手に乗っていた。
 「口径が小さいので、長射程と高威力は期待できません。その代わり、マガジンには12発まで入ります。両手に一丁ずつ持って、100m以内の敵に掃射するのを奨めます。」
 ズシリと重い拳銃を渡す。軽すぎると反動がダイレクトに伝わるためだ。
 「銃弾はー、そうですね、120発程渡しておきます。」
 今度は頑丈な金属の箱。何かで爆発すると大変危険。

285防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 01:09:44 ID:WVrfsEdY0
>>284
「おぉ…本当に何処かから出せるんですね…」

「オートマチックですか…
 ふむふむ…」
【真剣な眼差しで聞き入っている。とても重要な事ゆえであろう】
「…重い…コレが本物の拳銃の重さですか…」
【改めてずしりと二の腕にのしかかる拳銃の感触を感じ、改めて真剣な眼差しとなる】

「この中に弾がいっぱい入ってるんですか…
 受け取っておきます。大変そうですが」
【そう言って金属の箱も恐る恐る受け取った】
//わかりました。また続きを明日以降にでも…

286鷹野:2012/04/24(火) 20:12:00 ID:IrsgDsYs0
>>285
//復活しました。
 「銃は規格に合わせてありますから、弾が減ってきたと思ったらすぐに買い足してくださいね。きっとさっきのドーラさんも売ってると思いますよ。」
 ふぅ、とため息をつき、続けた。
 「僕も銃を使うと言えば使いはすが、遠距離からほとんど砲みたいな奴で反動度外視で撃ちまくるだけなので、もしかしたら思いのほか反動が強いかもしれません。試し撃ちしてみてくださいな。」
 紙飛行機を作り、飛ばす。5つの紙飛行機が、公園内を飛び回る。

287防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 20:20:23 ID:WVrfsEdY0
//了解!
>>286
「そうですね・・・
 少なくとも弾切れは避けないといけませんからね」
【そう言って金属の箱からマガジンを取り出してまじまじと見つめる】

「早速訓練ですか?わかりました。一先ずやってみないことには
 始まりませんからね」
【あたりに飛び回る紙飛行機を見ながら拳銃を構える。だが若干重たそうだ】

288鷹野:2012/04/24(火) 21:28:20 ID:IrsgDsYs0
>>287
 「別に一発で落とすなんて決まりはありませんから、あたりをつけて連射するのもテですよ。」
 そう言い終えた後、右手を横にのばし、光球をつくる。鷹野の瞳は赤くなっている。。
 光球は次第に形を成す。
 光球が弾けた後、巨大なバルカン砲がそこにあった。
 「たとえばこんなみたいな。」
 2mを遙かに越えるバレルが6本。後ろにも長い何かの機械がついている。

289防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 21:45:34 ID:BQ4LaNYoO
>>288
「成る程。ひとまず当てることを考えるべきですね。」
【納得したように頷く。】

「えっと…。流石にそこまでおっきいのは私には難しいかもしれません。」
【軽く笑って答える】

290鷹野:2012/04/24(火) 22:01:54 ID:IrsgDsYs0
>>289
 確かに、これは本来軍艦に取り付け、ミサイルや航空機を撃ち落とすーーーその拡大版である。
 「今までに使った中で最大の重火器ですよ。30mm口径、毎分6000発。反動が強すぎて、十数秒しか撃てませんが。」
 使ったときのことを思いだし、顔が曇る。いや、ホントに痛かった。
 物騒この上ないバルカン砲を消す。
 「今のは極端すぎるけど、好きなだけ撃っていいですよ。弾数はお気になさらず。」
 銃弾を4発つくり、お手玉を始めた。

291防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 22:17:33 ID:BQ4LaNYoO
>>290
「使ったことがあるんですね。しかし重たそうですね」
【まじまじと見つめている】

「分かりました。では撃ちます。」
【そう言って鶫は拳銃を引いた】
「きゃあっ!」
【激しい発射音と共によろけてしまった】
【しかし紙飛行機にどうにか狙いを定めていた】

292鷹野:2012/04/24(火) 22:37:14 ID:IrsgDsYs0
>>291
 うっかりしてた・・・。
 二つにちぎれた紙飛行機を消し、心渡に銃弾を回収させに行かせる。
 公園にゴミを捨ててはいけません。
 いや、公園に限らず、ポイ捨て禁止。
 「消音器、使いますか?」
 お手玉をやめ、消音器を3個創る。ついでに同じ銃を一個。
 銃口に消音器を取り付ける。
 くるくる、かちり。
 紙飛行機を一つ飛ばし、少し待つ。
 プスッ。
 気の抜ける音がした後、紙飛行機が今度は丸まって墜ちる。銃弾ごと消した。
 「すみません、うっかりしてました。」
 苦笑とともに、消音器を渡した。

293防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 22:42:06 ID:WVrfsEdY0
>>292
「ああ、そのそうですね。
 こんなところでぶっぱなしてたら迷惑ですね」
【恥ずかしそうに頭を掻いた】

「すいません…ありがたく使わせて頂きます」
【笑いながら受け取った】
「やはり消音器があったほうがいいですね…
 気をつけますよ」

294鷹野:2012/04/24(火) 23:01:01 ID:IrsgDsYs0
>>293
 「こちらこそすみません。しょ・・・」
 銃弾が正面斜め上から落ちてくる。心渡が投げてきたのだろう。
 右手でキャッチ、消す。
 「・・・消音器のことを失念していたのは、僕の責任です。」
 心渡に目で合図を送る。少し風の流れが早くなり、4つの紙飛行機が活発に動き出した。

295防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 23:12:10 ID:WVrfsEdY0
>>294
「気になさらず…私もうっかり忘れてましたし」
【恥ずかしそうに答えた】
「ここにはめればいいんですね。よし」
【そう言って消音器を拳銃に装着して再び構える】

「こっちですね」
【そう言って拳銃を紙飛行機に向け発射する】
「っとと…」
【やはり反動が大きかったらしく、踏ん張りながら撃っている。
 まだまだ狙いが曖昧である】

296鷹野:2012/04/24(火) 23:25:27 ID:IrsgDsYs0
>>295
 「ファイトっ!」
 銃の練習。初めて撃ったのは10歳になる前だったか。
 「すごく上手ですよ。僕が初めて撃ったときと比較することが失礼なくらい。」
 あの時、天井にできた一つの弾痕。粋がって片手で撃ち、反動で銃が上を向いたのだ。
 銃に思い切り殴られる格好となり、どでかいたんこぶをつくって初日の練習は終わった。

297防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 23:31:45 ID:WVrfsEdY0
「おっとと…まあおもちゃを使ってましたからですかねえ」
【ちょっと恥ずかしそうに答える】

「どうかなさいましたか?
 なかなかうまいと思いますけどねえ」
【そう言って腕を軽く振る。】
【どうやら多少は使えているようだ】

298鷹野:2012/04/24(火) 23:49:34 ID:IrsgDsYs0
>>297
 「ん、ああ、ちょっと昔のことを思い出していたんですよ。」
 練習は要らなかったみたいですね、と付け加え、今度は小さいの工具箱のようなものを創りだした。
 「特にオートマチック銃は日々の手入れが重要ですからね。オイル、グリース、その他一式の整備用品です。説明書在中。ゆめゆめ手入れを怠りませんよう。暴発は命に関わりますから。」
 銃とはそういうもの。(手入れを)忘れた頃に、(事故は)やってくる。

299防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/24(火) 23:57:21 ID:WVrfsEdY0
>>298
「昔のことですか…
 思ったより長生きなんですかね」
【軽く笑いながら言う】
「ふーむ、手入れのほうが大変そうですね…
 とりあえず手入れのほうも頑張ってみたいと思います」
【そういうと拳銃をじっと見てよく確認した】

300鷹野:2012/04/25(水) 00:21:08 ID:IrsgDsYs0
>>299
 「手入れの難しさですかー。」
 2丁、拳銃を創りだした。白銀色の、回転式拳銃。
 「こちらもあげましょう。反動はさっきのより強いですが、手入れのし易さならこちらが断然上です。ただし、消音器がつけられませんが。」
 つけられない、というよりもつけても意味がない、の方が正確だが。
 心渡を呼び戻す。
 「それでは、僕も帰って寝るとしましょうか。あまり武器をあげると、ドーラさん達の収入に響くかもしれませんし。」
 冗談めかしてそう言う。武器の性能では、本職にはかなうはずがない。
 「それでは、ごきげんよう。」
 今日は歩いて帰ろうか。
//あまり長い間スレッドを占領するのもなんなので、この辺で。おつきあいいただき、どうもありがとうございました。

301防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/25(水) 00:30:28 ID:WVrfsEdY0
>>300
「こんなにもらっていいんですかね…
 あ、いえありがとうございます。大事に使いますよ」
【軽く微笑みながら言った】
「わかりました。また会えるといいですね。
 さようならー!」
【そういって大きく手を振り見送っていった】

「…とりあえずいい練習場所は…
 やっぱりあそこですよねぇ」
【箱庭の転送装置をじっと見ていった】
//ありがとうございましたー

302?:2012/04/28(土) 20:14:48 ID:dL8H4NjE0
「んー!」
ホテルの前で伸びをする。
少し多めの荷物を横に置いて、タクシーでも拾えないかと辺りを見回す。
そんなことしなくても大箱を召喚すればすぐに転移できるのだが、
さすがに人通りの多いこの場所を黒い霧で包み込むわけにもいかない。

「まあ最悪歩けばいいし、別にいいんだけど」
ただやっぱりそれは面倒なので、とりあえずベンチに座って空きのタクシーがくるのを待つ。

303 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 20:28:44 ID:Bm8H/.CI0
>>302
そこへ他の人達とは違いひときわ目立つ格好をする男が近づいてくる。

「おんやあ?、お嬢さん、お困りごとかい?」

ギターケースを背負っている、その時点でかなり目立つが、
その格好までも目立ちやすい

304?:2012/04/28(土) 20:33:31 ID:dL8H4NjE0
>>303
「困ってるってわけでもないなあ、ただタクシー待ってるだけだし」
視線はタクシー乗り場の方に向けたまま、そう返答する。
興味がないのかはたまた無意識なのか、顔をそちらに向ける気配はない。

305早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 20:38:51 ID:Bm8H/.CI0
>>304
「タクシーか、何処か目的の場所があるのかい?
詮索するようで悪いが。」
別にこちらを向かない事は全く気にならない。
依頼を受けた時に手紙で受けた事もあるからだ。

306?:2012/04/28(土) 20:43:16 ID:dL8H4NjE0
>>305
「まいほーむ」
短く簡潔に答える。

「厳密に言うとにゅーまいほーむ」
そこで初めて男の方に顔を向け、携帯を突きつける。
その画面には少女一人が住むには少し大きい一軒家が映っている。

307早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 20:53:27 ID:Bm8H/.CI0
>>306
「へぇ、アンタこの辺越してきたのかい?」
なんとなく気になったので聞く。

「ほぉ、こりゃ結構大きいな、2階建てか…。」

308?:2012/04/28(土) 21:01:42 ID:dL8H4NjE0
>>307
「二月ぐらい前にね」
携帯を引き戻してポケットにしまう。

「とある人が快く譲ってくれたんだ、タダで」
実際はカジノでほかの客から巻き上げた時に相手の所持金がなくなったので、
これを譲るから勘弁してくれと土下座されてもらったものだが。
ホテルで生活していた少女からすれば現金よりありがたいものだったので、二つ返事で土地の権利書ごともらったのだ。

309早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 21:51:13 ID:Bm8H/.CI0
>>308
「ふぅん。」
特に興味が無さそうに言う。

「へぇ、一体その快い人は何をやっているんだか。」

310月夜:2012/04/28(土) 21:54:50 ID:dL8H4NjE0
>>309
「一応資産家だった……はず」
一々貯金箱のプロフィールなど覚えていられない。

「で、大分話がそれたわけだけどあなたは何の目的で話しかけてきたの?」
話を唐突に切り替える。
男に興味がわいてきたのか、それとも単なる暇つぶしか。

311早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 22:01:35 ID:Bm8H/.CI0
>>310
「資産かねぇ。」

「あぁ、私、こういうものです。」
名刺を出し、渡す。


         私立探偵 早見川 健治
       どんな依頼でも大抵の物は受け付けます。
       人探し、物渡し、なにかを預けたりする事も。
       詮索質問ほとんどしません、報酬は7万辺りで十分。
        はじめて依頼する方は無料でできます!
         TAL 〇☓□ー△□△ー☓〇□△

「こういう所に来ると結構依頼の種があったりするんでね。」

312?:2012/04/28(土) 22:01:52 ID:dL8H4NjE0
//名前ミスった……

313?:2012/04/28(土) 22:07:23 ID:dL8H4NjE0
>>311
「探偵……、なるほど。」
「困ってる感じの人を見かけたら放っておけないタイプ?」
名刺を受取り、胸ポケットにしまう。
「一応受け取っておくけど、特に使うことはなさそうだね、ご生憎様」
少し笑いながら言う。

「依頼の種には困らないでしょそれは、悪人狂人なんでもありの街だし」
名刺に書いてある仕事より護衛などの仕事の方が多そうな気がする。
見ただけでは実力は分からないが、戦えないというわけではないだろう。

314早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 22:10:31 ID:Bm8H/.CI0
>>313
「ん?、あぁ、自分に何か利益があった場合とか
女性や子供なんかとか限定でな。」
クク、と挑発気味に笑う。
「そうか、ま、別に依頼しなくても良いぜ。
『種』には困ってないしな。」

「ま、俺としては悪人や狂人の依頼なんて受けたかないがね。」

315?:2012/04/28(土) 22:22:56 ID:dL8H4NjE0
>>314
「まあそんなもんだよね」
予想通りの答えに小さく笑う少女。

「気づかない間に受けてたりするものだよそういうのは」
「どうやってうまいこと相手を騙すかを競わせたらそういう奴らは一級なんだから」
ま、騙されてないことを祈るよ、と棒読みで言う。
そんなこと微塵も思っていないのは確実だ。

316早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 22:27:34 ID:Bm8H/.CI0
>>315
「あぁ、そういうものだ。」
と、同意する。

「心配するな、何か危ない事だったらすぐ依頼を拒否するから。
それにおれをだませた奴は俺の記憶上、一人しかいないしな。
騙されるフリをして凶悪人を警察に引き渡したこともあるし。」
あれは楽しかったなぁ、と楽しそうに言う。

317?:2012/04/28(土) 22:34:16 ID:dL8H4NjE0
>>316
「何か探偵っぽくないなあ、危険に自ら乗り込んで難事件をスパって解決してみせてよ」
どうやら少女が思い浮かべているのは某名探偵のようだ。

「まあいいや、縁があったならまた会うだろうし」
大きめの荷物を肩に担ぎ、タクシー乗り場の方に歩いていく。
「また会えるといいね、健治さん」

//ちょい用事入って復帰できるかわからないので落ちます……

318早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/28(土) 23:03:14 ID:Bm8H/.CI0
>>317
「現実ではそうもいかんのだよ。」

「あぁ、じゃぁな。
あえてアンタの名前は聞かないとするよ。」
そう言うと、こちらも立ち去る。

319欠け耳のボロッブ:2012/04/29(日) 22:48:08 ID:SSMHlh/20
今日、ボロッブが商談に訪れた区画は海沿いのリゾート地だった。

新しく建設するホテルに納入する寝具や食器、
ランプなどを売り込み、それなりに満足できる結果を得られたが、
今回も思いのほか長引いてしまった。

「うひい〜っ、腰がバキバキだなあ。
 っとと、何か喰うかねえ……。」

夜のリゾート地はそこかしこを観光客が行きかい、
ホットドッグ、ポップコーンといった移動販売の屋台が所々に存在するため、
食べ物を見つけるには困らない。

ボロッブはピクルスがどっさりと入ったサンドイッチとポテトを購入すると、
カジノの正面、客寄せのための大きな噴水がよく見える公園のベンチにどっかと座り、
7色にライトアップされ、次々と形を変える噴水を眺めながらそれに口を付けた。

320早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 23:12:00 ID:XJEWrFu20
>>319
「アンタ、観光客かい?」

そこへ一際目立つ男が声を掛けてくる。
白い大きなハット、黒い手袋、そして一番目立つギターケースを背負い
紅いスカーフを靡かせ歩いてくる。

321欠け耳のボロッブ:2012/04/29(日) 23:30:37 ID:SSMHlh/20
>>320

「いんやぁ〜、あたしゃあしがない商売人でさあ。
 あんたあれだろ、『流し』かい?いやあ、最近珍しいねえ。」

健治が話しかけたのは、褐色の肌を持つ小鬼――俗に言うゴブリンという種族であった。
背中に背負った大きなリュックサックからは様々な品物がはみ出ているため、
一見観光客のようにも見えるが、それらにはそれぞれ値札が貼られてているところを見ると
商人のようであるらしい。

「一曲いくらだい?」

どうやら健治は、ギターケースを持っているところから
流しの歌手と間違われてしまったようだ。

322早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 23:34:33 ID:XJEWrFu20
>>321
「ハハハ、ま、流しではないよ。」

誤解を解くために言う。
しかしその商品を見る目は鋭い。

「ん?、そうだな、300円くらいでいいや。
一応言っておくが弾くのは世界一だが歌唱力は最低だぞ?」

323欠け耳のボロッブ:2012/04/29(日) 23:47:27 ID:SSMHlh/20
>>322

魔力であるとか、気の類を読むことができるなら、
それらの物品からそう言った類の物が感じられるはず。

「おんや、そいつは残念。
 じゃあ一体何のようかねえ?」

観光客に話しかけてきた、という事は
そういう芸人だと思ったのだが……。

324早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 23:53:14 ID:XJEWrFu20
>>323
(『死んでから』なら分かるが今の俺は『生きている』状態だ。
あまりそういうのが入っていないと良いが。)
そう考えると

「あぁ、俺はこういうものだ。」

名刺を取り出して渡す。


         私立探偵 早見川 健治
       どんな依頼でも大抵の物は受け付けます。
       人探し、物渡し、なにかを預けたりする事も。
       詮索質問ほとんどしません、報酬は7万辺りで十分。
        はじめて依頼する方は無料でできます!
         TAL 〇☓□ー△□△ー☓〇□△

325欠け耳のボロッブ:2012/04/30(月) 00:04:41 ID:SSMHlh/20
>>324

「ほへえ、私立探偵……。
 便利屋みたいなものかねえ。」

この都市はその規模から、
争いごとや揉め事は日常茶飯事として皆こなれており、
市民の自警団や傭兵団、私兵集団と言った物は珍しくない。

「しかし、生憎ウチは間に合ってるなあ。
 商人ギルド指定の業者が荒事はやってくれるんでねえ。」

こうした集団は結局、ほとんど便利屋のような仕事をしている物も多く、
『探偵』という職業も、時には戦闘に担ぎ出されたりもする。

326早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 00:12:32 ID:XJEWrFu20
>>325
「フフ、俺の場合は一味違うぜ?
いままでに32万3千2百3十4回位依頼をこなしてきたが
失敗したのは一度もない。」

自信満々に言う、本当の事の様だ。

「ま、相手が犯罪人だったり
凶悪人だったら騙されたフリをして警察に引き渡したこともあるがな。」

327欠け耳のボロッブ:2012/04/30(月) 00:27:53 ID:SSMHlh/20
>>326

「どこぞの狙撃手よりすごいな。
 ……それが本当であれば、だがねェ。」

ボロッブは商人として働いて長い。
それ故様々な人と会ってきたし、人を見る目もそれなりにあるつもりだが……。
やはり、こういったビッグマウスを叩く相手は信用できない。

「……それに、あっしに売り込むよかあれだ。
 そこホテルとか、あっちのクラブの用心棒でもやったほうがもうかるんじゃあないかね。」

この辺りはコンドミニアムや高級ホテルが立ち並ぶ区域だ。
用心棒や警備員でもそれなりの稼ぎ、いや並み以上に稼ぎになるだろう。

328早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 00:33:49 ID:XJEWrFu20
>>327
「……、あぁ、狙撃主って13か。
安心しな、俺は殺したい奴ならいるが誰かを殺したことはない。」

本人からすれば別にでかい事を叩いていない。
ただ事実を述べたまでだ。

「いんやあ?
あっちのホテルの奴は用済みになった俺みたいなやつを何人も殺しているからな
あっちのクラブは裏で売春をしているし
何れ俺が豚箱に叩きこむつもりだよ。」

実は、名はあまり知られていないが何人も世間的犯罪人を豚箱送りにしている猛者だ。

329欠け耳のボロッブ:2012/04/30(月) 00:42:56 ID:SSMHlh/20
>>328

「そーなんけ?まあ、あそこは
 うちの業界でもあんまりいい話はきかんのだがなあ。うーむ。」

とりあえず、業界の話には通じているようだが、
どっちみちボロッブは商会が紹介してくれる業者で間に合っており、
現状それで問題がおきたことも無い。

「まあ、とりあえず何かあったら個人的に連絡するかもしれんねえ。
 じゃあ、こっちからも渡しておきやさあ。」

こちらも、名刺を差し出す。
それは黄ばんだ紙にボロッブ商会代表取締役ボロッブという文字が書かれている貧相な物だが、
商会の場所と思われる地図が一応、書き込まれていた。

330早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 00:47:08 ID:XJEWrFu20
>>329
「情報はちゃんと持っておくべきだな。
少しでも現状は分かっておいた方が良い。」
少し呆れたように言う。

「お、サンキュっと。
ボロップ、へぇ。」

興味深そうに見る。

「なるほど、どんなものを売っているんだい?」

探るよりそのまま聞くという選択肢を取る。

331欠け耳のボロッブ:2012/04/30(月) 00:55:56 ID:SSMHlh/20
>>330

「あたしゃあ商人ですからねえ。
 あんたのように裏の情報はしりゃあせんが、
 今のトレンドやらこの辺の客層、ニーズなんかは
 あんたの百倍詳しいつもりですだよ。」

呆れ口調の健治に、少しむっとしたように。
どちらかというと不器用な商売っ気の無い人物に見えるが、
商会のトップを務める程度には商売人としての素質があるのだろうか。

「うーん、今日は生憎、おもしれえ持ち合わせがあまりねえんでアレなんですが、
 こういったモン……魔法の触媒ですとか、マジックアイテムをうっとります。」

ぽん、と言う軽い破裂音と共にボロッブの右手に
カエルなにかの足の干物と薬草束が現れる。
これらは、魔術師連中が魔法薬などの調合、精製に使うものだ。

332早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 01:02:21 ID:XJEWrFu20
>>331
「悪いな、そういうのは俺も知っている。
アンタの1.5倍位な。」

自信満々のドヤ顔の二枚目の顔立ちで言う。

「………やっぱり魔力系だったか。」

険しい顔を一瞬するが、聞く。

「なにか人を探せるような物は無いか?」

333欠け耳のボロッブ:2012/04/30(月) 01:08:27 ID:SSMHlh/20
>>332

「へへえ、こりゃあ御見それいたしやした。
 なら、その知識であんたの探し人とやらもみつけりゃあええ。」

小鬼は皮肉をとばし、ふんすと鼻を鳴らすと。
荷物をまとめて、その場から立ち去ってしまった。

どうやら相手の気分を損ねてしまったようだ。

334早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 01:11:42 ID:XJEWrFu20
>>333
「フフン、これは良いのかな?」

右手に握られて見せびらかしているのはボロップの商売道具の一つだ
…値札はかなり高額の。

335欠け耳のボロッブ:2012/04/30(月) 01:14:43 ID:SSMHlh/20
>>334

しかし、既に商人はそんな事も気づかず
立ち去ってしまっている……。

健治はなぞのアイテムを手に入れた。

336早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 01:16:15 ID:XJEWrFu20
>>335
「拗ねたか、まぁいい。
名刺は渡せたし商会の場所も知れて
コネも取れた。」

結果は上々という風な顔をしてその場から立ち去る。

337ヴァージニア:2012/04/30(月) 11:30:14 ID:aF.wohu60
宙に浮かんだ魔法陣の中心点から、一箱のダンボールが具現し、彼女の手元に落ちる。ナイスキャッチ。
どうやら、ボロッブの商会を通し注文していた品物が、転移術式を通して届いたようだった。
とはいえ、注文してからわずか数時間で届く仕事ぶり。輸送費込みで先払いするシステムのようで、迅速かつ効率のよい商売が成り立っている。
彼女の注文した品物とは、常夜のローブ。太陽に弱い者が、日中も活動できるように開発された衣服である。
この斬新な発明が、夜種による都市の生産性を上げると予測されていたが、命を無くす危険性を底上げするのには変わりない訳で、
さらに昼に弱い夜種が日中に働くと手当が発生するから、雇用主にとっては、大きな痛手となってしまうのだった。
そんなわけで、この商品はみるみるうちに店頭から消えてしまった。人気のない物品の末路である。

さて、ヴァージニアはなぜこの製品を購入したのかというと、人外狩り対策になるかもしれないと考えた為である。
吸血鬼が日中に出歩くはずはないし、白昼堂々と事に及ぶ馬鹿も居ないだろうという予測からである。
わずかに取り戻せた人間だった頃の記憶が、太陽を渇望していたことも理由の一つかもしれない。

「ぶかぶか」
どうやら、サイズが合っていないらしい。そもそも、性能ばかり気を取られ、サイズの申告を怠っていた彼女が悪いのだが。
替えをお願いするのも手を煩わせると判断して、それを身に纏うと試しに外に出てみることにする。

「あ、書き置きを残しておかないと」
書き置きは主人を心配させないように課した、自分へのルールである。
出かける時間帯と場所を表記すると、玄関に勝手に置かせて貰ったボードにピンで刺し、紙を止める。
もし、万が一自分の身に何か起きたとき、対応がスムーズになると踏んだ策だった。

「行ってきます」
書き置きに記した場所は、異能都市の公園だった。
昼間は多くの人々が集い、井戸端会議や能力開発などそれぞれの目的を持ってして使用される所だ。

しばらくして、公園に着いた。
ローブは既に太陽の光を受けて、内側に熱が籠っていた。排熱が上手く行われていないようだ。
人気の出なかった品であるわけだから、開発が進んでいないことも起因するだろう。
季節的にこの時期は暖かいというのも原因ではある。
吸血鬼の本能が悲鳴をあげている。一刻も早くあの忌々しい太陽から逃げなければ、と不快感を与えてくる。
彼女は足早に移動し、安全地帯を求める。公園にいる何人かの人が訝しげにその様子を見ている。

やっと影のある場所へと辿りついた。
木陰にあるベンチに座り、能力者たちが切磋琢磨している様子を彼女は観察する。

「暑いなぁ……」
それでも彼女は嬉しかった。普段見ることができなくなってしまった風景が目の前にある。
それだけでも、この商品を買ったことに意味があった。

338早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 12:18:47 ID:Oh5Sq6WE0
>>337
「お嬢さん、大丈夫ですかい?」

そこへなんとも目立つ格好の男が現れる。
白く大きいハット、黒い手袋、そして一番目立つギターケースを担いで
紅いスカーフを靡かせながら歩いてくる。

「どうぞ?」

右手に持つ、買ったばかりの封を開けてない麦茶を渡してくる。

339ヴァージニア:2012/04/30(月) 12:35:42 ID:qZwkpSgU0
>>338
いきなり話しかけられるとは思わなかったので、一瞬だけ体が震える。
そして、横目でぎろりとその風貌を確認している。早見川からは、ローブという漆黒の深淵から深紅に輝く瞳が伺えるだろう。

「……ありがとう」
手渡された麦茶を、訝しげに見つめている。何かを注入した穴が無いか、あらゆる角度から眺める。
巷で横行する人外狩り。彼女は何度か被害に遭っている。
それ故に、警戒する。毒が入っていないか、睡眠薬が入っていないか。
彼女はただでさえ弱い吸血鬼なのだ。そんな彼女が昼間に襲撃に遭ったとなっては待つのは確実な死のみである。

340早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 12:42:34 ID:Oh5Sq6WE0
>>339
(紅い目、……吸血鬼か。)
早見川は色んな化け物と戦っていた事もあったので別に驚かない。

「そういたしまして。
安心しなせぇ、毒なんか入ってねぇぜ?
お嬢さん。」

341ヴァージニア:2012/04/30(月) 12:58:18 ID:qZwkpSgU0
>>340
「最近、人外狩りが流行っていてね。警戒してるんだ。
 気を悪くしたら、ごめんなさい」
そう言いながら、やはり封を開けずに麦茶を持ったままだった。
善意は嬉しいのだが、悪意と隣り合わせであるから、気軽に信用はできない。
必要以上に過敏になっていることは確かだが、そうなっても仕方ない環境に今彼女は居る。
まずは相手の素性を知ることが最優先だろう。

「詩人さん?」

342早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 13:03:29 ID:Oh5Sq6WE0
>>341
「おっと、俺がアンタの種族を知ったのがバレてたか。」

おどけた様子で言う。

「ふふ飲まないか。
ま、そこまで過敏にならないといけないしな、今の世の中。」

麦茶を取ると封を開けて口を付けずに3割位一気飲みする。

「ゴクゴク、ふぅ、ほら、大丈夫だぞ。」

「いや、こういう者だ。」

名刺を取り出して渡す。


         私立探偵 早見川 健治
       どんな依頼でも大抵の物は受け付けます。
       人探し、物渡し、なにかを預けたりする事も。
       詮索質問ほとんどしません、報酬は7万辺りで十分。
        はじめて依頼する方は無料でできます!
         TAL 〇☓□ー△□△ー☓〇□△

343ヴァージニア:2012/04/30(月) 13:17:41 ID:qZwkpSgU0
>>342
「私立探偵……」
どうやら怪しい者ではないようだが、怪しい職についているなと彼女は思っていた。
探偵といえば、事件に何らかの形に携わり、調査するという偏見を抱いているからだ。
もし、今の仕事が人外狩りに依頼された、例えば都市に住む人外の調査なのだとしたら、接触してきた理由だと考えることもできる。

(ちょっと、悪い方に考え過ぎかな……)
必要以上に怯えていることが、自分でも分かっている。
まだ敵対する組織――いや、組織たちの全貌も分からない状況、どうすればいいのか分からない。

344早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 13:25:52 ID:Oh5Sq6WE0
>>343
「あぁ、心配しなくても良い、俺は君が何者かはさっきまで知らず
ただ熱そうだったから来ただけだ。」

勿論この言葉は本当だ。

「その目を見られたくないんだったらコンタクトレンズでも買ってあげようか?
そうすればある程度は欺ける筈だ。」

345ヴァージニア:2012/04/30(月) 13:36:28 ID:qZwkpSgU0
>>344
「人外狩りをしている者たちは、目の色でまして一瞥して区別したりしない。
 彼らはその道のプロ。法儀礼済みの磁石で人外特有の魔力を探知して、来る」
昨日、屋敷に籠って本を読み漁り、身に付けた知識である。
全ての人外狩りがその方法を用いるとは思わないが、彼らの探索能力は一流だった。
いかに欺くではなく、接触しないようにするかに重点は置かれている。
都市に住む人外の者たちは多いが、その個体数が減れば矛先はいずれこちらに向く。
一連の事件は、新聞を通して広く報じられている。
彼女は解決を望んでいて、できれば自分で組織を解体したいとも思っている。
それが自己防衛にも繋がるし、主人を護ることにも繋がるからだ。

346早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 13:44:59 ID:Oh5Sq6WE0
>>345
「フフ、よくあいつ等を知ってるみたいだな。
少しどこまでの知識があるのか気になってね。
ちょっと探りを入れてみたのさ。」

そういうと隣に座る。

「一曲、聞いていくかい?
聞くならリクエストもありだが、無論タダだ。」

347ヴァージニア:2012/04/30(月) 14:01:07 ID:qZwkpSgU0
>>346
「その物言いだと、知ってるってことだよね。
 探してくれないかな?」
人外狩りの情報に精通しているというならば、この探偵を使わない手はない。
調査させて、組織の場所を掴んだ上で、壊滅させる。
相手は人外狩りのプロとはいえ、人間だ。
先手をうって侵入し、電撃戦に持ち込めば、制圧できる可能性はある。

口元が歪んだ。
人外狩り討滅の結果、きっと主人は喜んでくれる。褒めてくれる。
そんなことは望んでないのかもしれないが――吸血鬼の思考に支配された彼女の良心は、歪み始めている。

「そういう気分なら、どうぞ。
 私は詳しくないから、リクエストとかできないけど」

348早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 14:11:55 ID:/PHQayNU0
>>347
「構わない、が、君は場所を知ったらどうするつもりなのかな?」
一応聞いておく、もし一人でそこに行く事になった場合彼は全力で止めるつもりだ。

「ふむ、じゃあこんなので良いかな。
歌唱力は最低だからな。」

http://www.youtube.com/watch?v=4l7FVEG_W8o&feature=related

349ヴァージニア:2012/04/30(月) 14:25:21 ID:qZwkpSgU0
>>348
「詮索はしないんでしょ?」
主人を喜ばせる、という目的の為なら命を捨ててまで達成しても構わない。
だが、自分という存在が消えることも恐れていることも知っている。

「無理はしないよ」
彼女にとって、聞いたこともない曲だった。
そもそも弾き語りというものも、あまり目にしたこともないので、
不思議そうな目で見ている。

350早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 14:33:54 ID:/PHQayNU0
>>349
「『ほとんど』しないと言った筈だ。
もし君がそこに言ったとしよう、あいつ等を全員殺した場合
アンタの友達の中に喜ぶ人もいるかもしれない、でもアンタの手が汚れて心配する人もいるかもしれない。」

そこで区切りもう一つ。

「そしてそこに言ってアンタが殺された場合どうするんだい?
人間だからと言って甘く見ない方が良い、中には能力者もいるし
もし返り討ちにあって捕まったら酷い事をされるかもしれない。
そうなったらアンタの友達も悲しむことになり、アンタの仇を討とうとする
そしてその友達の手が汚れる、もしくはまた返り討ちにあう可能性もある。
そうなった場合、アンタはどう思うんだい?」

これは無論、ヴァージニアのことを心配して言っているのだ。

「フフ、感想があるならどうぞ。
それとも歌というのは知らないのかい?」

351ヴァージニア:2012/04/30(月) 14:57:19 ID:qZwkpSgU0
>>350
「最悪なパターンは想定してる。
 でもね、何もしなければずっと私たちは命の危機に晒される。
 誰かがやらなきゃいけないと思ってる」
吸血鬼として成熟もせず、また弱い部類に入る彼女でさえ、こう考えている。
当事者であったこともあり、事態は深刻な部類なのだと結論付けている。
いや、弱い吸血鬼ばかり狙う犯行であるからこそ、危機感はいっそう強いのだ。

「じゃあ、依頼の方は頼むよ。
 もっとも、途中で投げてもいいけどね。貴方も命が惜しいだろうし」
彼女はベンチからゆっくり立ちあがる。
太陽光をもろに浴びないように、ローブのフード部分を深めに被る。

「ごめんね、歌はよく分からない」
歌を楽しむほどのゆとりも持ち合わせていないのだろう。
彼女は周囲を気にしながら、公園を後にした。

// おでかけするのです。絡みありがとです。

352早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/30(月) 15:46:39 ID:ZCDPWT660
>>351
「そこまで、決意が深いのか。」
哀れむような声で言う。

「……惜しい命なんか、もうあの時に捨てたよ。」
立ち去るヴァージニアを静かに見送る。

「………ここまで、人間は腐ってきたんだな。
なんら人間と変わりないのに。」
そういうと、ギターをギターケースにしまって、その場を立ち去る。

//お疲れさまでした。

353川堀 アミル:2012/05/01(火) 22:07:41 ID:mbXTFaJQ0
夜の公園。
月の明かりは万物に平等に注がれる。
それはベンチで寛いで牛乳を飲む少女へも例外ではなく。

「べーwwwマジウメwww」
……牛乳がお気に召した様だ。
ゆるりふわりと揺れる炎髪のツインテールを夜風に靡かせながら牛乳を煽る。
ベンチの上で足を肩幅に開いて立つ。腰に手を当てて上体を逸らし、ビン牛乳を飲んでいく。

354風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 22:13:38 ID:4z.bSulw0
>>353
「………。」

そこに牛乳を見つめる少年がいた。

「…………ジュル。」

涎を垂らして物欲しそうに見ている。

355川堀 アミル:2012/05/01(火) 22:19:07 ID:mbXTFaJQ0
>>354
「wwww……ん?」
ベンチに立って牛乳を飲む少女。
ふと視線を感じ、辿っていくとこちらを見ている少年。

正確にいえば、牛乳を見ている少年。
ビン牛乳を降ってチャプチャプと音を鳴らし、残りが少ない事を確認すると。
「これアミルちゃんの牛乳なんスよwwwww」
と、言って全部飲み干してしまった。

356風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 22:21:54 ID:4z.bSulw0
>>355
「………。」
じぃ〜っと見ている。

しかしその飲み干す様を見て段々と涙目に。
「うっ、ひっ、………うわぁあああああああん!」
段々と音も大きくなってくる。

357川堀 アミル:2012/05/01(火) 22:29:20 ID:mbXTFaJQ0
>>356
「アミルちゃんのなんすよwwwwえっ」
飲み干し終わると良い笑顔で二度目の宣言。
しかし、相手の様子に流石のアミルちゃんもびっくり。

小さくジャンプして飛び降りると堂々と胸を張った姿勢で歩み寄っていく。
腰につけたポーチから紙パックの牛乳を取り出して少年の手に握らせる。
回り込むと少年の肩に腕を置き、身体を寄せて耳元で。
「飲めよ」
アミルちゃんの出せる最大限の格好良さアピール。

358風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 22:33:46 ID:4z.bSulw0
>>357
「うわあああああん、うわああああああああん!!」
さらに声が大きくなる。

しかしその手の平に牛乳を乗せられて驚く。
「ぐすっ、へっ?、……飲んでも良いの?」
そして許可が出された事に満面の笑顔を出す。
「わあああ、ありがとう!!」
礼をして言う。
「んぐ、ゴクゴク。」
紙パックの開け口を開けて飲む。

359川堀 アミル:2012/05/01(火) 22:46:38 ID:mbXTFaJQ0
>>358
「はっはっは、美味かろうwww」
少年の頭をワシワシと撫でる。
少し力が強すぎるのか、痛いくらいの勢いだ。

アミルちゃんが先程まで立っていたベンチの下には空の牛乳瓶が幾つか転がっている。
少年の頭を撫でながらそれをじーっと眺めていた少女は唐突に飛び上がった。
「必殺! アミルちゃんwボwwwーwwルwwww」

360川堀 アミル:2012/05/01(火) 22:49:15 ID:mbXTFaJQ0
//必殺の途中送信!

ポーチから取り出したのは少女と同じ紙の色をした綺麗な緑色のボール。
至って普通のボールなのだが、必殺のアミルちゃんボールらしい。
それを少年に良く見えるようにかかげている。

361風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 22:50:57 ID:4z.bSulw0
>>359
「うん!、ゴク」
素直に頷き、また飲みなおす。
頭を撫でられてまったく痛く感じず、とても気持ちよく感じる。

「プハー。」
そして牛乳を飲み干す。
そして唐突に飛びあがった少女を見て。
「アハハ、なんだかよくわからないけどおもしろーい。」
笑いながら見る。

362川堀 アミル:2012/05/01(火) 23:04:35 ID:mbXTFaJQ0
>>361
「ちょっとこれをもっていなさい」
少年に無理矢理ボールを押し付け空き瓶の元へ歩いていく。
五本のそれらを縦一列にならべると帰ってきてボールを返してもらう。

「アミルちゃんwwwボーwwリンwwwグwww」
ソフトボール大のアミルちゃんボールを掴むと腕を振り回す。
暫くそうしていたが、飛び上がると上空でボールを思いっきり振りかぶり牛乳瓶の列に向かって投げつけた。
これではボーリングではなくアミルちゃんストラックアウトである。
ボールはアミルちゃんのてを離れると緑色の炎を纏い威力を上げ、地面に付くと牛乳瓶を粉砕するに止まらず地面にクレーターを作った。

「よっしwwww」
凄く上機嫌。
アミルちゃんボーリングとはこういう競技なのだろう。
着地をすると巻き起こる土煙の中からバウンドして帰ってくるアミルちゃんボールに手を伸ばし、
「おうっ」
キャッチ失敗額直撃。

363風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 23:09:02 ID:4z.bSulw0
>>362
「え、うん。」
素直に両方とも持つ。

「おぉー。」
驚いたような面白がるような声を出す。

「アハハ、おねえさん、すご〜い。
ようし、僕も!」
牛乳瓶を並べ直す。
「えいっ!」
思いっきり投げるが、炎はでない、しかしストライク。
「あれ〜、おねえさんと同じことが出来ない。」

364川堀 アミル:2012/05/01(火) 23:14:44 ID:mbXTFaJQ0
>>363
「これがアミルちゃんパワーだwww」
少年に褒められ更に上機嫌。
にひひ。と笑顔を浮かべながらゆるふわツインテールを揺らす。

365風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 23:20:03 ID:4z.bSulw0
>>364
「すっご〜い、ねぇねぇ、ぼくにもできる?」
あこがれのまなざしで見ている。
ツインテールの片方の髪を思いっきりつかんでいる。

366川堀 アミル:2012/05/01(火) 23:36:31 ID:mbXTFaJQ0
>>365
「あぎぎぎぎっ!!」
ツインテを掴む少年の手を無理矢理引き剥がす。
少女の力は人間にしては強すぎる。不自然な怪力だった。

「いたいのいたいのぶっとんとーん……」
瞳を涙ぐませベンチに逃げていく。
ベンチにたどり着けば横たわる。

367風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 23:39:30 ID:4z.bSulw0
>>366
「えっ。」
無理矢理引っ剥がされた事に少し驚く。
力に関しては特に何も感じない。

「え、えと、ごめんなさい!」
土下座して地面に頭を置いて謝る。

368川堀 アミル:2012/05/01(火) 23:47:26 ID:mbXTFaJQ0
>>367
「謝る? ……ホントに謝る?」
病を受けたかの様に力無い声で訪ねる少女。
瞳には涙が浮かんでおり、ツインテールを優しく撫でている。

369風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/01(火) 23:48:37 ID:4z.bSulw0
>>368
「ご、ごめんなさい!」
もう一度頭を上げてまた下げる。
よく見たら顔の下の地面に水溜りが出来ている。
顔は見えないが泣いているようだ。

370川堀 アミル:2012/05/02(水) 00:04:51 ID:mbXTFaJQ0
>>369
「本当!?」
ベンチから飛び上がると満面の笑みを見せてそのまま浮かび上がっていく。
緑色の光の粒を撒きながら、天高く上っていってしまう。

「少年、アミルちゃんは優しいからなwwゆるすぞー!www」
それを言い残すと、月に向かって飛び去っていってしまった……。

371風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/02(水) 00:09:05 ID:wI9upjLk0
>>370
「本当!」
顔を上げて涙でくしゃくしゃになりながら言う。
しかし段々と天に上っていく少女を見て驚いた顔をする。

「ありがとう!、天使さ〜ん。」
どうやら少年は少女の事を天使と思ってしまったようだ。
そして少年はそのまま公園を去って行った、とても楽しそうな顔をして。

372銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/03(木) 00:13:46 ID:HnkBBDEo0
 大通りから少し外れた路地裏。
 その道の真ん中に、突如として空間の裂け目が出来上がる。

「お、おおおおお!? おおおおおおおちょ! ちょま! おおおおおお!!!」

 中から男が吐き出され、そして裂け目は役目を果たしたと言わんばかりに、その口を閉じる。
 路地裏へと放り出された男は地面を転がり、壁にブチ当たってやっと停止。
 しばらく頭を抑えてうずくまる。

「たたたた……ここどこだ? ええと、あの店があるってことは……ああ、大通り近くか。
 時間は? え、もう三時間も経ってんの? 次元干渉したのは五分前くらいのハズだぞ」

 頭を抑えながらもなんとか大通りに出て、近くの壁に身を寄りかからせる。

「くそ、座標軸が上手く調整できねぇ。
 w軸だけなら余裕なんだが、x、z、y軸はめちゃくちゃだし、t軸にも誤差が出る。
 なんとかしない……がああああッ」

 右目を押さえ、またうずくまる。
 クロスの肌にはヒビが入り、隙間からボタボタと血液が流れ出した。

「ああああもう、やっぱり負荷もデカいと来たか。
 そう無闇やたらと使えるモンでもない、か」

 彼の身体は金属に侵食されているのだが、
 どうやら今回は彼自身の能力の調整が一時的に暴走した為、肉体形状の維持に不備が出たようだ。
 クロスは急いでヒビを埋め肉体の修復をすると、足を引きずりながら大通りを歩いていった。

373伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/05(土) 19:31:38 ID:j3F3Rpmc0
「うお、でかッ……!」

 異能都市中心部にぽつりと置かれた小さな公園。
 そこに設置されたジャングルジムの上には、一人の青年が立っていた。

 鮮度の落ちた魚のような眼の下に、深いクマを伴い、ぼーっと夜空を見上げる彼。
 細いパイプの上でふらふらと揺れるさまは、傍から見ても非常に危なっかしいものだった。

「……何だよこれ、どっかの能力者の仕業か?
 『月を大きくする能力』とはまた地味な能力だが―――ああいや、もしかするとアレかな、
 星ひとつ動かせるレベルの規模の能力者で、今まさにあの月をこの星にぶつけようとしているとか?」

 金属格子の天辺で、青年は両腕を広げる。
 ―――そりゃないな、と呟く彼の瞳には、いつもより大きな月が映っていた。

「折角だし、ちょっと眺めてくとするか」

 そう独り呟いて、彼は腕を組んだ。

374風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 19:42:55 ID:isV5DVEA0
>>373
おそらく目を凝らせば分かるだろう。

『幼い少年がごみ箱を漁っているのが』

「はぁ、今日も収穫なしかぁ。」

どうやらなにもなかったらしく、トボトボとこちらへ歩く。

「あ!、おにいさん、こんにちは。」

時間帯的にはこんばんはなのだが。

375伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/05(土) 19:49:10 ID:j3F3Rpmc0
>>374
「……なあなあ。挨拶できるのは素晴らしいけどさあ、夜だってのに一人で出歩くもんじゃないと思うぜ」

 音がしたからか、気配を察知したからか。
 ジャングルジムの上で仁王立ちをしていた青年は、その少年の存在に気づいて告げた。

「それから、夜なら挨拶は『こんばんは』の方がいい―――っと」

 とん、と青年はジャングルジムの上から『跳んだ』。
 膝を曲げるでもなく、ちょっとした段差を飛ぶような調子で着地すると、少年のほうを見る。
 青年の背に出ていた大きな月―――その逆光によって、ただでさえ悪い目つきは余計に悪化して。

376風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 19:53:35 ID:isV5DVEA0
>>375
「うん、ごめんなさい、でも僕母さんがいないから。」

無表情で悲しい声で言う。

「あ、じゃあこんばんは!」

にっこりと子供らしい笑顔で言う。
一瞬だが観察力の高い者なら分かるだろう、月の光を帯びた瞬間、紅く目が染まったのを。
しかし月が雲に隠れてしまい、直ぐ黒い目に戻る、普通の人なら見間違えたと思いそうなほど一瞬だった。

377伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/05(土) 20:02:45 ID:j3F3Rpmc0
>>376
「あー……そっか、んじゃあさっきのは」

 青年が少年に気づいた時には、『誰か居るな』としか思っていなかったようで、
 ここで青年はようやく、先程少年が何をしていたか、ということを思案した。

「思った事をそのまま言うのは僕の悪い癖だ、悪かった―――って切替え早っ」

 はいはいこんばんは、と、青年も気だるそうに返した。

(……? 今、目の色が―――)
「―――あれ、月隠れちまったか」

 青年はその変化を感知できたようだが、それよりも隠れてしまった月の方が気にかかったらしい。

「あーあー。今日はいい月だと思ったんだけど……なあ? さっき見たか? あのでっかい月」

378風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 20:05:04 ID:isV5DVEA0
>>377
「うん、ご飯がないかゴミ箱を漁ってたの。」

別に何ともないような顔と口調で言う。

「え?、月?、……ごめんなさい、月は苦手なんだ。」

申し訳なさそうな声で言う。

379ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 20:05:46 ID:WVrfsEdY0
「あのつき…
 どうしたんだろなの…いつもよりずっとおっきいの」
【同じく中央公園に一人の少女の姿があった】

「なにかあったのかなの…」
【その少女は全身に包帯を巻いている小さな少女であった】
「でもなんか、いやされるかなの…」
【穏やかな顔で空を見上げ、月を見ていた】

380伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/05(土) 20:14:32 ID:j3F3Rpmc0
>>378
「……はあ、なるほどなあ」

 (あくまで異能都市の中では)普通の高校生として暮らしてきた青年にとって、
 実際にこんな境遇の子どもと対面するのは初めてだった。

 そして彼はしばらく考えた挙句、懐から一つの缶を取り出した。

「ほれ、これ家にあるの忘れて買っちまったんだ」

 パッケージを見る限り暖かいコーンスープのようで、缶を開けると少年に差し出す。

「こういうのはあんまり良くないけど、僕だって一応ヒトだ―――ああいや、細かく言えば違うけど、それはさておき」

「月が苦手? ……あー、なんか嫌な思い出でもあるのか」

 いや言わなくてもいいぞ、と片手で制止して。

>>379
「……今日はよくチビッ子が外出歩いてんなあ、オイ」

 見覚えのある姿に、青年は小さく呟いた。

「名前! ……なん、つったっけ……えーっと―――」

 少女に声をかけようとするが、喉元あたりで突っかかっているらしく手をバタバタと振ってもどかしそうな顔をする。

381風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 20:19:25 ID:isV5DVEA0
>>379
「……?」
(あの子……、僕に似たような感じがする。)

何処か同族の匂いを発する同年代っぽい少女を不思議がる。

>>380
「え?、くれるの?」

缶を取り出して渡してくれた事に驚き聞く。

「あ、うん、よくわからないけど、月や太陽を見るのが、あんまり好きじゃなくて。」

382ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 20:27:36 ID:WVrfsEdY0
>>380
「ん?」
【少女は気配を感じたのか、首を傾げながら伏見を見た】

「だれかな…あ、ひさしぶりなの!」
【大きく手を振りながら言う】

>>381
「あう〜?
 まただれかみてるの〜」
【不思議そうな顔をして少女が振り向いた】

「こんばんわなの〜」
【その少年にもまた大きく手を振って返した】

383伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/05(土) 20:34:44 ID:j3F3Rpmc0
>>381
「ああ。ちょっと冷めてるかも知んないけど」

 いいからほら、とバツが悪そうに眉をひそめ、缶をずいと差し出す。
 『こういう子供をどっか保護するような場所はないんだろうか』だとか、
 『ああでもなんか事情がある子もいるのかもな』だとか、青年はそんなことを考えた。

「『よくわからないけど』、か。
 理由もなくってのは、あんまりなさそうだけど」

 ここまで少し話しただけでも、この少年は自分の想像の及ばないような何かを
 背負っているんじゃないだろうかと、青年はそんな推測をもやもやと思い描く。

>>382
(ああ、気づいたっぽい)
「おーっす、またお前かちっこいの」

 そういえばこんな風に呼んでいたかな、と、思い至り、結局伏見はディスをそう呼んで手を振り返した。

「んで、また一人か? 僕が言えたことじゃあないけどよ」

384風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 20:38:30 ID:isV5DVEA0
>>382
「え、あ、こんばんは!」

少しばかし顔を赤らめて手を大きく振りながら言う。

>>383
「ありがとう!」

良い笑顔でお礼を言って、コーンスープ缶を持って中身を手ですくい上げて食べる。

「おいしい……。」

じんわりと涙を垂らしながら言う。
碌なものを食べていなかったみたいだ。

「分からない、ただ太陽や月を直視してると気分が悪くなるんだ。」

385ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 20:42:36 ID:WVrfsEdY0
>>383
「あうー?
 そうだねなの…『ふしみ』だったかなの?」
【そう言って軽く微笑んだ】

「あうー。よくあることだけど…
 やっぱりへんかなの」
【不思議そうに言った】

>>384
「どうもこんばんわなの。
 はじめまして…かなの?」
【そう言って首を傾げた】
「おなまえは『でぃす』っていうの!
 そっちのおなまえはなの?」

386伏見樺根 ◆III/lK7I/I:2012/05/05(土) 20:59:38 ID:j3F3Rpmc0
>>384
(美味そうに食うなあ)

 今度からもうちょい大事に食おう、と、青年は心の中で呟いた。

「条件反射ってヤツか? 僕はそういうのあんまり詳しくないんだが……」

 うんうんと唸りながら、青年は腕を組んで思案する。
 首を傾げたりするものの、やはり濁り気味な瞳はぴくりともせず。

>>385
「お、おお。よく覚えてたな……」

 そんな風に微笑んでくる少女の名前を忘れた彼は、彼女を直視する事ができない。
 ははは、と、声だけが笑い目が泳ぐ様は挙動不審以外の何物でもなく。

「あー、まあ、自分の身を守れればいいとは思うけど。
 何があるかわかんないだろ? 今日の月みたいに」

 今日の月は予め予測されていた訳だが―――さておき。



「……なんつーか、こう、年端もいかない二人を置いて去るのは非常に心許ないんだが。
 僕はそろそろ行かねばならない。二人とも、気をつけろよな」

 携帯を取り出して時間を確認した青年は、慌てた様子で走り去ってしまった。

387風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 21:05:17 ID:isV5DVEA0
>>385
「う、うん、はじめましてだよ。」

赤い顔をして緊張しながら言う。」

「章(ショウ)、風間(カザマ) 章(ショウ)だよ。」

>>386
モグモグと夢中になって食べている。

「モグモグ、ん?、(ゴックン)分かんない。」

無表情で言う。

「あ、この食べ物ありがとう。
さようなら。」

手を振ってお礼をしながら言う。

388ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 21:18:33 ID:WVrfsEdY0
>>386
「うん、おぼえるのはとくいだからなの」
【そう言って軽く微笑んだ】

「そうだねなの・・・
 でもなにもおこらないといいかなっておもうなの」
【同意するように大きく頷いた】
「あう〜。またあおうねなの〜」
【大きく手を振りながら見送っていった】

>>387
「あうあう、よろしくなの。
 『しょう』なの」
【微笑みながら言った】

「はじめましてなの〜・・・
 なにたべてるなの?」
【ジーっと食べているものを見つめる】

389風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 21:20:46 ID:isV5DVEA0
>>388
「う、うん、よろしく。」
ぎこちない笑みを浮かべて言う。

「えっと、さっきのお兄さんがくれた食べ物。」
容器を見ればコーンスープと書いてある。

390ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 21:25:32 ID:WVrfsEdY0
>>389
「あうー?これは・・・
 こーんすーぷ?あそこにあったのかなの?」
【そう言って近くにおいてあった自動販売機を指さした】

「それはまだたべたことなかったなの〜」
【ちょっと興味深そうである】

391風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 21:27:24 ID:isV5DVEA0
>>390
「こーんすーぷ?、この食べ物の名前なの?」
少し驚いたような顔をする。

「そうなんだ、僕もこういうのは食べるのは初めて。」

392ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 21:37:01 ID:WVrfsEdY0
>>391
「うん、『でぃす』ちょっとじがよめるの」
【容器に書いてある名前を指す】

「ほかにもいっぱいごはんあるけどねなの。
 …なんかちょっとおなかすいてきたの」
【いうと共にお腹がうなりを上げた】

393風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 21:38:44 ID:isV5DVEA0
>>392
「じ?、じって…なに?」
不思議そうな顔をする。

「あ、僕の食べる?
口はつけてないから大丈夫だと思うけど。」

394ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 21:40:42 ID:WVrfsEdY0
>>393
「じ?しはねなの…
 こういう、のをじというんだよなの」
【コーンスープという文字をなぞっていう】

「あう?いいのかなの?
 たべてたのだけど…でもうれしいなの」
【そう言ってそっと容器を手にとった】

395風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 21:52:09 ID:isV5DVEA0
>>394
「へぇ〜、そうなんだ。
今度僕にも教えて!」
目をキラキラさせながら言う。

「物すごくおいしかったよ。
全部食べても良いよ。」
缶には、200gと書かれており、そのうちの7割位は章が食べた。

396ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 21:57:11 ID:WVrfsEdY0
>>395
「わかったの!
 えーと、とりあえずこれがこーんすーぷっていうの」
【書いてある文面を見せる】

「わかったの!
 いただきますなの〜」
【うれしそうな顔で缶に口をつける】
「ん〜。ほんとなの〜!」
【とても嬉しそうな声が聞こえる】

397風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 21:59:51 ID:isV5DVEA0
>>396
「これがこーんすーぷって読むの?」
一文字一文字指さしながら聞く。
しかしカタカナだ。

「ほんとう、コレおいしいよね!」
子供らしい幼い笑顔を出しながら言う。

398ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 22:07:43 ID:WVrfsEdY0
>>397
「そうなの!
 ほかにもいっぱいもじあるんだよなの!」
【そう言って微笑んだ】

「うん、なんかよくわからないけど…
 こーん?がおいしいなの!」
【どんどん飲んでいった。】
【ちなみにあっという間に空っぽになったようである】

399風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 22:10:13 ID:isV5DVEA0
>>398
「えっ!?、他にもあるの?」
一瞬だが頭がクラっとした。

「うん、なんかその黄色い食べ物の感触と味が凄く良いよね!」
目をキラキラさせながら嬉しそうに言う。

「でぃすちゃんはどうしてここに?」
さっきから疑問だったことを聞く。

400ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 22:15:05 ID:WVrfsEdY0
>>399
「はなすかずだけあるっていうけどなの…」
【ディスも難しい顔をしている】

「うん、たしかになの〜!」
【そう言っている間にコーンスープは完全に消えた】
「あう〜。もうなくなっちゃったの」
【ちょっと残念そうな顔だ】

「あう?ちょっとつきがきれーだったから
 よくみえるところにいこうかなっておもってなの」
【そう言って月を指さした】

401風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 22:19:10 ID:isV5DVEA0
>>400
「う〜ん、よくわからないや。」
少し落胆したように言う。

「またあのお兄さんにもらえると良いなぁ。」
さきほどの伏見という男の事だ。

「つ、月か。」
そう呟くと月を見る。
おそらく目を良く見ていれば分かるだろう。
風間の目が月を見ている時だけ紅く染まっているのを。

402ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 22:30:51 ID:WVrfsEdY0
>>401
「むずかしいよねなの…」
【ディスも首を傾げている】

「『ふしみ』なの?
 あうー、もらえるんだなの…いいひとなんだなの」
【微笑んで言う】

「そうなの…あう?
 どうしたの?」
【突然目の色を変えたのを見て慌てて駆け寄っていく】

403風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 22:32:27 ID:isV5DVEA0
>>402
「そうなんだ。」

「うん、凄く良い人だよ。」
笑いながら言う。

「ん?、どうかした?」
月から目を離したらまた黒い目に戻る。

404ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 22:40:51 ID:WVrfsEdY0
>>403
「あうー、ちょっとあったあとなんだけどなの…
 あってみたらいいひとだったの」
【そう言って笑う】

「あう?つきをみてたらへんなめになってたようなきがしてなの…」
【じっと見ている…章の目を】

405風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 22:42:12 ID:isV5DVEA0
>>404
「僕は初めてあったから分かんないけど
良い人ってのは分かってるよ。」
にっこりと笑う。

「え?、そう?、でも僕は何ともないよ。」

406ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 22:46:21 ID:WVrfsEdY0
>>405
「あうー、
 やっぱりにおいでわかったりするのかなの?」
【ジーっと章を見つめる】

「…あうー、もしかしてきのせーだったのかなの?」
【不思議そうな顔で首を傾げた】

407風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 22:48:11 ID:isV5DVEA0
>>406
「におい?、においってなに?」
不思議そうな子で言う。

「多分きのせいだよ。
なんともないし。」

408ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:01:56 ID:WVrfsEdY0
>>407
「あうー、ちょっとむずかしいなの…
 おはなでかんじるものかなの…」
【困った顔で言う】

「そっかなの…
 それならいいなの〜」
【頷いて言う】

409風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:03:09 ID:isV5DVEA0
>>408
「へぇ〜そうなんだ。」
特に興味がなさそうに言う。

「うん、あんまり気にしなくても良いよ。」
……会話が思いつかないようだ。

410ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:10:58 ID:WVrfsEdY0
>>409
「あうー、そうだよなの〜…」
【しばらくして、困った顔になった】
「あうー、どうしよっかなの…
 えっと…このまちでどんなことしてるなの?」
【話題ふりを試みたようである】

411風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:12:03 ID:isV5DVEA0
>>410
「…、わからないんだ。」
小さくつぶやく。

412ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:14:55 ID:WVrfsEdY0
>>411
「…わからない?」
【首を傾げて言う】

「…ここにいるりゆーとか…
 そういうのもわかんない?」

413風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:16:27 ID:isV5DVEA0
>>412
「うん。」
頷く。

「覚えていないんだ、何時からここにいたのか。
いつ僕が生まれたのか、なにも、……覚えていないんだ。」
そう言うと頭を抱える。

「うっ、グゥゥッ。」
苦しそうなうめき声をあげる。

414ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:17:54 ID:WVrfsEdY0
>>413
「あう…なにもなんだなの・・・」
【なんとなく他人事とは思えないとディスは思う…】

【しかし直後に苦しみ始めた章を見て】
「あう?どしたの!どしたの!」
【近寄って体をさすってみる】

415風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:19:53 ID:isV5DVEA0
>>414
「うっ、ぐぅっ。」
頭を抱えて膝をつく。

「い、いや、なんでも、……ガヴォッ!」
なんどもないと言おうとした瞬間、口から大量の血を吐きだす。

416ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:28:30 ID:WVrfsEdY0
>>415
「あう!?い、いっぱいでてるなの!」
【突然大量に吐き出された血を見てますます気を動転させる】

「えっと、び、びょういん、びょういんどこに…」
【あわてふためいてあたりを見回し始める】
「おいしゃさんの、いるところにいくからなの!」
【章を抱きかかえようとしている…】

417風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:31:16 ID:isV5DVEA0
>>416
「ゲヴォッ、ガバッ!」
どす黒い血がドンドン口から吐き出される。

「び、びょういん…?」
辛うじて聞こえた声を言う。
そこで彼の脳は思い出した。
悪夢を、あの悪魔の実験を。
「う、うわぁ、いやだ、嫌だぁああああ!!」
ディスの手を振り払う。

418ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:36:26 ID:WVrfsEdY0
>>417
「あう、ほんとにたいへんなの…
 はやく」
【と、言い終わる前にディスは手を跳ね除けられた】

「あう、どうしたの?!
 なにか…なにかこわいことがあったの?!」
【ますます焦りながらディスは見つめる】

419風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:47:55 ID:isV5DVEA0
>>418
「ガバッ!」
また口からどす黒い血を吐きだす。

「た、助けてよぉ、怖いよう、お母さぁん。」
口から血を垂れ流しながら恐怖を帯びた声で言う。
目の焦点はあっていない、もはや正気ではなかった。

420ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/05(土) 23:53:23 ID:WVrfsEdY0
>>419
「ど、どうしよ、どうしたら…
 えっと…あう!」
【思い切ってディスはグッと抱き寄せる】

「だいじょぶなの!ここはこわいところじゃないの。
 わるいことなんてだれもしない、しないからなの!」
【必死で呼びかける。少し声が大きくなっているかもしれない】

421風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/05(土) 23:58:29 ID:isV5DVEA0
>>420
「うっ、うぅぐっ。」
涙を流し、うずくまる。

「ほんとうに?、なにも…しない?」
まだ恐怖は帯びているが、先程より焦点は合っている。

422ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 00:07:13 ID:WVrfsEdY0
>>421
「だいじょぶ、ぜったいなにもしないの…
 おともだちになるなの!」
【そう言って軽く抱きしめる。力加減が難しそうだ】
「だからあんしんしてなの。ここにはこわいことするひといないからなの」

423風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 00:18:09 ID:isV5DVEA0
>>422
「友達、僕と、友達。」
なんども、なんども同じことを呟く。

いきなり抱きしめられた事に驚くが、安らかな表情を見せる。
「うっ、うぅっ、うわぁあああん!」
泣きだした、何故かはわからない、だが……なにかが吹っ切れたのだろう。
少なくともそれは、うれし泣きであった。

424ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 00:21:28 ID:WVrfsEdY0
>>423
「うん、ともだちなの!」
【何度も頷いていった】

「あう…よかったの、よかったの…
 もうくるしくないからなの…うっ…うっ…」
【ディスももらい泣きしているようである】

425風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 00:25:09 ID:isV5DVEA0
>>424
「友達、君と僕、友達!」
涙を流しながら、笑って言う。

「ありがとう、ありがとう。
僕を、助けてくれて、うっ、うわぁああああん!」
また泣く、しかし、今度はまるで
迷子になって怖かった所を母親に助けられて泣く子供の様だった。

426ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 00:34:46 ID:WVrfsEdY0
>>425
「うん、ともだち!」
【軽く抱きしめながら答えた】

「『でぃす』もうれしいなの…
 おともだちになれてなの…こわいことなくなってなの」
【笑顔で涙をこぼしながら言った】

427風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 00:43:50 ID:YfJDULE20
>>426
「うぅっ。」
しばらくたって泣きやむ。

「も、もういいよ、ごめん。」
抱かれた手をそっと外しながら言う。
が、

「うっ、ガハッ!」
また血を吐く。

428ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 00:48:09 ID:WVrfsEdY0
>>427
「そうなの…
 よかっ」
【ディスも納得して手を離そうとするが】

「あう?!からだ、だいじょぶなの?」
【また血を吐いたのを見てまた不安になった】

429風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 00:51:43 ID:YfJDULE20
>>428
「ハァ、ハァ、血が、血が足りない。」
突然、常人ならよくわからない事を言いだす。

「血を、血を、誰でも良い、血を吸わせて。」
その時、彼の眼は。紅く、血の様に紅く染まっていた。

430ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 00:54:24 ID:WVrfsEdY0
>>429
「あう?ちをすいたいの?
 そっかなの…もしかしてなの」
【ディスはなんとなくわかったようだ】

「わかったの、ちがほしかったらすっていいよなの!
 あ、でもあんまりおおすぎないといいなの」
【首のあたりを見せながら言い出した。納得があまりに早いように見えるが…?】

431風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 00:58:08 ID:YfJDULE20
>>430
「血、でも、なんで。」
不思議そうな声で聞く。

「なんでそんなに簡単に血を吸って言いなんて言えるの…?」

432ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:01:52 ID:WVrfsEdY0
>>431
「あう、すってもらったひとがいるからなの…」
【見るともうほとんど傷にもなっていないが、噛まれたと思われる箇所があった】

「で、『でぃす』はすわれてもかわったりしなかったからなの。
 だからもしかしたら…できるんじゃないかなっておもってなの!」
【微笑んで言った。どうやら吸血鬼を知り合いに持っているようである】

433風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:04:25 ID:YfJDULE20
>>432
「そう、じゃあ、その人は完全な吸血鬼なんだね。」
先程から少し様子がおかしい。
嫌間違いなく雰囲気はさっきまでの風間と同じなのだが何処か大人びている。

「あんまり吸わない様にはするけど…いいの?
吸って。」

434ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:06:16 ID:WVrfsEdY0
>>433
「あう、うん…たぶんそうだとおもうよなの」
【そう言って頷いた】

「えっと、だいじょぶなの、ちょっとぐらいならなの」
【にっこり笑っている…全然ためらいも感じさせていない】

435風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:08:44 ID:YfJDULE20
>>434
「ありがとう。」
お礼を言うと抱き寄せる。

「少しだけ、いただきます。」
申し訳なさそうに言うと、そのディスが開けた首に、牙を付きたてた。

436ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:12:02 ID:WVrfsEdY0
>>435
「うん、どいたしましてなの」
【ディスはそう言って笑った】

「あうっ、へーきへーきなの」
【牙を突き立てられた時、一瞬ディスはびっくりしたが、痛そうな素振りはないようだ】
「ふー、こういうときってどうしたらいいのかなの…
 いつも、わからなくなるなの…」
【血を吸う姿勢になったあとでも言葉は絶えないようである】

437風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:17:24 ID:YfJDULE20
>>436
「ごめん、少し黙ってて。
動いて首に傷を付けたくないから。」
牙を付きたてたまま言う。

少しずつ、少しずつ、なるべく血を吸われるような感覚が無いように血を吸う。
(『でぃす』ちゃんの血……、美味しい、それとやっぱり
……僕と同じ感じがする。)
血を吸いながら色々と考える。

「プハッ、もう良いよ、ありがとう。」
つきたてた牙を離して言う。

438ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:25:13 ID:WVrfsEdY0
>>437
「あ、うん…」
【少し驚きながらも、血を吸い終わるまでじっとしていた】
【ちなみにディスの血はたしかに今までの血とだいぶ違う味のようである】

「ふう…もうおわったかなの…
 もうだいじょぶかなの…?」
【噛まれていた部分を新しく包帯でくるりと巻いて言う】
【どうやらディスは平気そうだ】

439風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:36:56 ID:YfJDULE20
>>438
「ごめんね。」
謝る。

「うん、ありがとう。
これでしばらくは持つよ。」
少し気にかかるが問題ないということだ。
(『でぃす』ちゃんの血……、人でも吸血鬼でもない味で
なんか、僕みたいなタイプの出す味だった。
……、僕みたいなタイプ?、あれ、なんで?、血なんて普通の人と
純吸血鬼からしか吸ったことが無い筈なのに。
……!)
また頭の中に何か浮かび上がる。
それは……、自分の体にある男が何かしている所だった。
「うっ。」
口を抑える、吐き気がする、気分が悪い、頭が痛い。
そんな感じが一度に襲ってくる。

440ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:41:17 ID:WVrfsEdY0
>>439
「あうあう、きにしなくていいなの…
 あう?!こんどはどうしたの?!」
【ディスは再び慌てて背中を摩る】
「や、やっぱりへんなあじだったの?」
【ものすごく心配しているのはどうやらそのへんが心配だからのようだ】

441風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:45:48 ID:YfJDULE20
>>440
「い、いや、なんでもないよ。」
直ぐにまたその感覚はなくなった。

(今のって……、僕の昔の頃?
……、思い出したくない。)
「なんでもないよ、本当に。」
無理に笑う。
チラッと、自分の体を見た、その瞬間
一瞬だが、体中に、傷跡が見えた。
「ッ!」
目をつぶってもう一回見ると、なくなっていた。
(げ、幻覚か。)

442ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:49:49 ID:WVrfsEdY0
>>441
「そう…なの?」
【ひどく心配した顔で言う】

「…なにかつらいことがあったら
 そーだん、は…じしんないけどむりしないでねなの…」
【汗をかいているように見えたためか、優しい声で投げかけた】

443風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:51:22 ID:YfJDULE20
>>442
「うん、大丈夫だよ。」

「辛いこと……、分かんない。
でも、少しだけ思い出せたことがある……、気がする。」

444ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 01:54:15 ID:WVrfsEdY0
>>443
「そっかなの…」
【ちょっと気になっているようで、口を開く】

「…むりにおもいださなくていいなの。
 これからおもいでいっぱいつくれるとおもうからなの!
 …『でぃす』もむかしのことはよくわかんないんだけどなの」
【少し笑いながら答えた】

445風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 01:58:42 ID:YfJDULE20
>>444
「…、うん。
そっか、思い出が無いなら、、作ればいいのか。」
驚いたような顔で言う。

「そっか、そんな簡単なことだったんだ。
フフ。」
今まで気づかなかった自分に向けて笑う。

「え?、『でぃす』ちゃんも昔の事覚えてないの?」

446ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 02:02:13 ID:WVrfsEdY0
>>445
「そうなの。だってむかしはなくてもいまはあるからなの!」
【そう言って微笑んだ】

「かんたんなことなんだなの!だからしんぱいないよなの」
【大きく頷いていった】
「うん、いろんなおともだちとあってから…
 ここのこと、ほかのところのこといっぱいおぼえたけど…
 おともだちできるまえのかぞくとか…そういうのはおぼえてないの」
【ちょっとしょんぼりしたが、すぐに顔を上げる】
「でもだいじょーぶなの!
 いろんなひとがこのまちにはいるからなの!」
【その顔はいつもどおりの笑顔だった】

447風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 02:06:17 ID:YfJDULE20
>>446
「そっか、そうだよね、昔を思い出せないんなら
今しかないよね。」
最初に出会った時より、生きた顔をしながら言う。

「友達…………、何時か『でぃす』ちゃんの言う友達に合わせてくれるかな?」

「いろんな人がこの町に、………『出会い』か。」
そう呟くと、章もディスに向けてにっこりと笑う。

448ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 02:13:17 ID:WVrfsEdY0
>>447
「そうなの。
 だからいまからたのしくいこうよなの!」
【そう言って頷いた】

「もちろんなの!
 『でぃす』のおともだちはいいひといっぱいだからなの!」
【微笑んでいる。どうやらとても嬉しいらしい】
「だからもし、『しょう』におともだちいっぱいできたら…
 そのときは『でぃす』にあわせてほしいなの!」

449風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 02:16:06 ID:YfJDULE20
>>448
「わかった、わかったよ『でぃす』ちゃん。
これからを楽しく生きるよ!」
力強く返事をして、にっこりと笑う。

「うん、僕も、いっぱい、いっぱい友達を作って
『でぃす』ちゃんに合わせてあげるよ。」
とても良い笑顔で笑いながら言う。

450ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 02:19:50 ID:WVrfsEdY0
>>449
「うん、おともだちとのやくそくだよなの!」
【そう言って小指を伸ばして章に向けた】

「いっぱいつくっていっぱいなかよくなって、
 いっぱいいいことつくるっておやくそくなの」

451風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 02:20:52 ID:YfJDULE20
>>450
「やくそく?」
意味が分からず首をかしげる。

452ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 02:25:06 ID:WVrfsEdY0
>>451
「えっと…えーっとねなの。
 ぜったいぜったいやってみせるって、おともだちときめるってことなの!」
【小指をピコピコ動かしながら言う】
「これはおやくそくのしるしなの!
 これでこゆびとこゆびをこうして」
【そう言って自分の片方の手と小指を絡めてみせる】
「こうしたらやくそくげんまんなの!」

453風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 11:20:26 ID:SdvKixBA0
>>452
「ともだちとぜったいやってみせること、それをやくそくっていうの?」
まだすこしわかりきっていないのか歯切れが悪い。

「こゆびを…結ぶってこと?」
そう言うと小指を出す。

454ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 11:27:26 ID:WVrfsEdY0
>>453
「ちょっとむずかしいけど…
 やってみせるってちかっていうことかなの」
【ディスも難しそうに言っている】

「そういうことなの!
 これでもっといいおもいでつくろってきめるの!」
【微笑みながら小指を結んだ】

455風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 11:30:12 ID:SdvKixBA0
>>454
「そっか、言葉で言うには、難しいんだね。」
そう言って、微笑む。

「うん、わかった、わかったよ。
今日、でぃすちゃんに会えた思いでのほかにも
もっともっと、いっぱい思い出をつくるよ!」
笑いながら小指をギュッとしめる。

456ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 11:48:03 ID:WVrfsEdY0
>>455
「いうのはむずかしいけど…
 とってもだいじなことってわかるなの!」
【そう言って笑う】

「うん!やくそくげんまん!
 だよなの!」
【微笑みながら互いに結んだ小指を軽く上下に揺らした】

457風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 11:54:09 ID:SdvKixBA0
>>456
「そっか、とってもだいじなことなんだね。」
思いつめるように呟く。

「やくそ…く…げんまん。」
聞いたことのない言葉に首をかしげるが
なんとなく分かった気がした。
「やくそく…げんまん!」
こちらも軽く上下に揺らす。

458ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 11:59:11 ID:WVrfsEdY0
>>457
「そ、だからだいじにするなの」
【ナンカ楽しそうだ】

「うん!うそつかないよなの!」
【しばらく揺らしたあと、小指を離した】
「これでだいじなことおぼえたの。
 だいじにしよなの」
【笑顔のまま答える】

459風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 12:03:35 ID:SdvKixBA0
>>458
「わかった!、大事にするよ!」
こちらも楽しそうに言う。

「うそ…、うそってなに?」

「わかったよ、絶対に忘れない。
大事なこと、覚えたよ!」
こっちも笑顔で言う。

460ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 12:06:06 ID:WVrfsEdY0
>>459
「うそ、やくそくやぶっちゃうことなの。
 それはやらないようにきをつけようねなの」
【そう言って頷く】

「うん!だいじだいじなの!」
【ほほえみかけている】

「…あう、なんかもうこんなじかんなの!
 そろそろかえらないとしんぱいされちゃうなの」
【そう言って時計を見る…確かにちょっと遅い時間のようだ】

461風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 12:10:11 ID:SdvKixBA0
>>460
「うそ…、やくそくをやぶること。
いけないこと…。」
何度も、同じようなことを呟く。

「大事、大事なものか。」

「あ、じゃあねでぃすちゃん!
次はもっと思いで作るからね!!」
そう言って、大きく手を振りながら叫ぶ。

462ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/06(日) 12:26:10 ID:WVrfsEdY0
>>461
「そ、だからしっかりまもろうねなの!」
【大きく頷いた】

「そうなの!
 だいじなものだからねなの〜!
 じゃあまたあおうねなの!」
【そう言って大きく手を振り、その場を去っていった】
//お疲れ様です!

463銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/07(月) 23:31:01 ID:HnkBBDEo0
 今夜も喫茶店AppleGuillotineでは店主が騒がしい。

「あー、みんな好き勝手に貼りやがってもー」

 店内に設置されているコルク製の掲示板。
 そこには自由に張り紙をしてもいいのだが、管理はクロスの独断と偏見で行われている。
 怪しい張り紙は即暖炉にくべられる。
 そうでないと怪しい新興宗教やらネズミ購の張り紙でいっぱいになってしまう危険もあるのだ。

「この勧誘は……まだ貼っとくか。これは期限が一ヶ月も過ぎてんな、捨てよう。
 ゲッ、風俗の広告なんて貼るなっつの。これは……ペットの捜索願いか。もうちょい貼っとくか」

 張り紙の整理をした後、帳簿を開いてイスに座る。
 AppleGuillotineの経営は、今日も儲かりもせず寂れもせずトントンな調子だ。

「あー、なんか大きな金が舞い込んでくる話でも無いかねー」

 帳簿を前にシャーペンを手で回しつつ、クロスは天窓から夜空を見上げる。

464ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 00:00:18 ID:WVrfsEdY0
>>463
「こんばんわなの〜」
【店の扉の開く音とともに一人の少女が笑顔で入ってきた】

「ていってもひとはいないかなの…」
【少しあたりを見回したあと…にっこり笑いながらいつもの席に座って行く】
カランカラン
【更に一人の制服を着た少女が入ってくる】
「どうもこんばんは。
 今日はちょっとゆっくりしに来ました」
【見ると制服を着た少女の体もいくつか包帯をまかれている】

465名も無き異能都市住民:2012/05/08(火) 00:02:54 ID:SSMHlh/20
>>463

そういえば、クロスが店を開けている際に
幾度も届いている手紙がある。

千夜財閥からの書類であるようだが、
それらは開封されず山積みになっており
中には封筒に大量の書類が詰め込まれている物もあるが……。

466銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 00:07:41 ID:HnkBBDEo0
>>464
「ああ、いらっしゃい」

 帳簿をにらみつつクロスは声で返す。

「適当な席に座っていいぜ。今日はすいてるから」

>>465
「ああ? なんだこりゃ……うおおおおおい」

 書類の山が崩れ、クロスの足元に雪崩れ込んでゆく。
 慌てて抱え上げ、机の上へと投げ込んだ。

「ったく……んん? 千夜ァ? 俺なんかしたっけ?」

 片っ端から封を切っては中身を取り出し、テーブルの上に並べていった。

467ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 00:13:51 ID:WVrfsEdY0
>>466
ディス「あうー、『くろす』きょうはいたんだなの〜。
    きょうがおなかすいたからちょっときてみたなの〜」
【ディスは微笑んでいるようだ】
鶫「あ、私にも何かご飯を食べたいですね。
  しばらく病院食だったので…おや?」
【そこまで来て鶫はディスの顔を見る】
鶫「この子…以前道の真中で倒れてた子じゃないですか!」
ディス「え?どこかであったかなの?」
【指さされて、不思議そうな顔を擦るディス】

468風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 00:16:01 ID:sKvIGoj60
>>465>>466>>467


〜喫茶店 ドア前〜
そこに喫茶店のドアの近くにある自動販売機でかがんでいる少年がいた。

「う〜ん、う〜ん。」

どうやら小銭が落ちてないか探しているようだ。

469名も無き異能都市住民:2012/05/08(火) 00:16:13 ID:SSMHlh/20
>>466

奇妙な事に、どれも非常に厳重な
秘匿術式・対人術式が仕込まれておりクロス以外の目に止まらないし
たとえこれらに気づいた魔術師が開けようとしたところで、偏執的なまでに
編みこまれた無数の術式トラップによって阻止される仕組みになっていた。

つまりクロス以外開けられない・気づかない仕組みになっていたのだ。
それ故、黒瑪瑙など店の手入れをしてくれていた従業員たちがこれだけは
気づかなかったのだろう。

しかし溜まりに溜まった書類は読みきれないほどの量。
それをどうにか流し読みしていくと、ところどころに小切手や証券などが挟まれており
買った覚えのないそれらが『クロス名義』で届いていることに気づくだろう。

470銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 00:25:51 ID:HnkBBDEo0
>>467
「ああ、お前またどっかで倒れてたのかよ」

 ディスに苦笑しつつ、クロスは鍋に火をかけた。

「待ってろ。さっき作ったハヤシライスがある」

>>468
「……」

 ああ、いるいるそういう奴――とクロスは苦笑する。
 クロスも昔は自動販売機やコインロッカーの周りをウロウロしたものだ。
 とはいえ、店の前でやられるとなると話は別である。単純に、迷惑なのだ。

「おいゴルァー」

 ドアを軽く開けて顔を出す。

「店先で何やっとんじゃい。何か飲みたいんなら、こっち入ってこいよ。
 別に金を払わない奴を客扱いしないような店じゃねーから安心しろ。
 安い紅茶くらいなら出してやらんことも無いぞ」

>>469
 ドアを閉めたところで書類に目を通す。

(……は? え、なんでこんな……ああ!?)

 身に覚えが無い。
 むしろ、身に覚えがありすぎて、この書類が届くに至った経緯に該当する行為が「どれだか分からない」

「と、とにかく電話! 金銭絡みとなると放置するのはマズい!!」

 千夜の電話受付へと電話をかけようと携帯電話を操作する。

471ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 00:30:59 ID:WVrfsEdY0
>>468
ディス「…ん?あそこにいるのはだれかなの?」
【喫茶店の方から影になっている章の影が見えているようだ】

ディス「すいませーんなの。そこにいるのはだれなの?」
【ちょっと大きな声で呼びかけてみる】

>>470
ディス「あうー…おなかすいててなの…
    ちょっとごはんたべないとうごけなくなるの…おひるたべないだけでなの」
【反省の色を見せている…】
鶫「えっ…怪我してたから倒れてたんじゃないんですか…」
【近くに座っていた鶫が改めてびっくりしている】
ディス「あうー、もうできてるなの?
     うれしいの!」
鶫「じゃあ私もなにか注文を…」

472名も無き異能都市住民:2012/05/08(火) 00:33:42 ID:SSMHlh/20
>>470

しばらくして千夜の担当者が現れたものの、
その対応は非常に困惑の色が強い物であった。

どうにか分かったのが、小百合の資産の一部――所持する土地やテナント、
証券といった物の一部がクロス名義へと変更されているらしく、
それらから発生した利益・配当が小百合の口座から千夜を通じて
送られている、との事。

しかし、当時の担当者が退職している上、
小百合も現在意識不明とのことでこれ以上判らないとのことだ。

473風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 00:35:52 ID:sKvIGoj60
>>470
ビクッと体が震える。
怒られると思ったのか目をギュッと瞑るが
予想外の反応に驚く。

「は、入っても良いの?」

>>471
(あの人って…でぃすちゃん?)
窓から一昨日辺りに約束をしたあの子を見つける。
もうちょっと近付いてみる。

474銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 00:44:43 ID:HnkBBDEo0
>>471
「テメーは燃費がクソ悪いからな。もういっそハラが減ったら山に行って狩りでもしたらどうだ?
 鹿肉とか意外とうめぇぞ。ドラゴン肉とかも不味くない」

 そう言いつつも炊飯器からご飯を皿に盛り、そこに煮込まれた茶色いルーをかけてゆく。

「鶫も頼むんなら好きなのいいぞ。でも、シチュー系は最近やめたから勘弁な。
 シチューとかって冬じゃないと売れないから作らないんだよなー」

>>472
「ハアアアアアアアアア!? おい、ちょっとソレどういう……え?
 詳しくは分からないって……あーあー、分かった。いきなり電話かけてすまんな。
 後はこっちで何とかするわ。ああ、ああ、それじゃあ、夜遅くにすまんかったー」

 電話を切って溜息を吐く。

「小百合のヤツ……まさか資産の一部の後継人に俺を指名してたってコトになるのか?
 ったく、何考えてやがるんだ、あの生意気女は」

 書類に向き直り、ボールペンを手に取る。

「まだ死んじゃいねーんだろ、小百合は。俺は絶対に受け取らんぞ」

 そう言うと、名義を戻す為の手続きをする為に資料の整理を始めた。

>>473
「そこで這いつくばってるヤツを放っておける程、俺は人間が出来ちゃいねーんだよ。
 ホレ、さっさと入れ入れ」

 男はそう言って手招きする。

「適当な場所座ってな。カウンターでもソファーでもイスでも。
 いま何か飲み物もってきちゃるよ。冷たいのでいいよな?」

475ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 00:48:43 ID:WVrfsEdY0
>>473
「あう?もしかして『しょう』なの?
 またあったねなの〜」
【笑顔で軽く手を振っている】

「もしかしておなかすいてるなの?」

>>474
ディス「そうだよねなの…
     あうー、かりってえっと…おさかなつかまえたことはあるけど
     そういうのはどうやってつかまえたらいいのかなの…」
【不思議そうに言う】
鶫「はあ…そうなんですか。
  シチューも悪くはないんですが…春の新メニューとかありますか?」
【メニューをじっと見ながら言う】

476風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 00:50:49 ID:Ylz8pWH60
>>474
「あ、ありがとう!」
光のある笑顔を出しながら店の中に駆け込む。

>>475
「やっぱり、でぃすちゃん!」
嬉しそうに近付く。
そこでぐ〜っという音が響く。

「……、うん。」

477銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 00:57:32 ID:HnkBBDEo0
>>475
「簡単だよ。見つけて、追いかけて、ブッ殺す」

 クロスはそれでも「狩り」が出来るのだから問題ないのかもしれないが。

「とりあえず獲物を見つけたら攻撃を撃ちこめばいいんだ。戦闘と同じだよ」

 そう言いつつ、クロスはハヤシライスをディスの前に出した。

「ああ、春の新メニュー? そんな気が効いたものは無いわー。
 新じゃがの煮っ転がしとか、春キャベツのポトフとかそういったのは作れるけど。
 そういえばトビウオが入ったっけな。あれはピーナッツの衣で唐揚げにしようと思ってたところだ」

>>476
「ほい、金はいらねーよ。そんな特別な茶葉でも無いから」

 机の上にアイスティーを置き、風間へと差し出す。

「お前、初めて見る顔だな。名前は?
 ……っと、先に名乗っておくか。俺はクロスだ。銃寺森クロス。
 一応、この店の店長とかオーナーとか、色々やってる」

478名も無き異能都市住民:2012/05/08(火) 01:01:05 ID:SSMHlh/20
>>474

その中で、もっとも古い日付の封筒を開けた時、
中から小百合の遺書らしき物が零れ落ちた。曰く――。

『私の数少ない友、銃寺森クロスへ。
 この手紙を貴方が読んでいる時、私はこの世にはいないでしょう。
 こういった仕事を続ける以上、覚悟はしていましたしいつか訪れる必然です。
 ですから、私の復讐などはくれぐれも考えぬよう。そして勝手ですが私の資産の一部を
 貴方の名義に変更するよう手配しておきました。運用は信頼できるコンサルタントに
 任せていますから、あなたはただ配当を受け取ればよい。私の最後の望みとして、
 貴方の店をこのお金を使って維持して欲しいのです。余計なお世話かもしれませんが、
 あの店は私が愛した店でもあります。どうかよろしく。』

だそうだ。

479ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 01:01:40 ID:WVrfsEdY0
>>476
「またあうのはやかったねなの〜」
【ディスの方もうれしそうに返した】

「だいじょぶだいじょぶなの〜。
 『くろす』にたのんだらなにかつくってもらえるんじゃないかなの?」
【店長の方を横目に見て言った】

>>477
ディス「あうー、なるほどなの
    たたかってるときといっしょにかんがえたらいいんだねなの!」
【ディスは非常に感心しているようだ】
鶫「…結構物騒な子を言う子ですね…」
【先程から驚いてばかりである】
鶫「なるほど…そのトビウオの唐揚げを試してみたいかもしれませんね。
   どんな味か気になります」
【かなり興味ありそうだ】

480風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 01:05:21 ID:Ylz8pWH60
>>477
「あ、ありがとう…、ございます。」
誤字に敬語をちゃんとつける。
「ゴクン、…おいしい、初めての味。」
お茶系の飲み物を飲んだことが無いようだ。

「えっと、クロスさん、ですね。
僕は風間、風間 章だよ…、です。
えっと、公園に住んでる。」

>>479
「うん、速かったね。」
笑いながら言う。

「いや、でもそんなこと頼めないよ。」

481銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 01:15:54 ID:HnkBBDEo0
>>478
「……」

―――― ブチッ

「ッだああああああああああああああああああああああああああああ
 あのクソ女があああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 遺書を空中に放り投げ、そこに思いっきり拳を叩き込む。
 空中に舞った紙だというのにも関わらず、遺書はコナゴナに破れ散った。

「なぁぁぁぁぁぁにが『どうかよろしく』(キリッ)だ!! 勝手に終わってんじゃねぇええええええええええええ!!
 こういうのは死亡届と一緒に持ってきやがれ!! ふざけんな! ふざけんな!! ふざけんな!!!」

 まだ怒り足りないらしく、破れた紙片をゲシゲシと踏む。

「はーッ……はーッ……ああああクソ、ムッカつく。
 あの女、帰ってきたら今度は鼻から脳漿とびでるまで殴ってやる」

 クロスとしては、受け取るつもりは無いようだ。
 受け取ってしまえば、まるで小百合が死んでしまったようで、その死を自分が受け入れるのが怖いのだろう。

>>479
「トビウオは淡白な味だが、だからこそ味付けがモノを言う食材だ。
 しかも、このトビウオはただのトビウオじゃないぞー。
 無駄に巨大なやつでな。その中でも肉の柔らかい部位を貰ってきた」

 本来はトビウオは大きくても20センチ程度であるが、クロスが冷蔵庫から取り出したのは巨大な切り身であった。
 そこから必要な分を切り分け、衣をまぶしてゆく。
 衣には砕いたピーナッツやクルミが入っており、それを高温の油で一気に揚げた。

「食材の流通も異能都市だからか、変なのばっかりあって種類を覚えるの大変だぜ。
 時々、人外用に毒がある種類の食材もあるからなー。下手なこと出来ないわ。
 調理免許取ったとしても、新しい食材が次々と発見されるから知識が追いつかない」

>>480
「あー、ハラ減ってんのか? 俺が夕飯に食ったハヤシライスの余りならあるけど食べる?」

 そういいつつカウンターのほうへ。

「公園に住んでる? お前……苦労してんだな。
 どこの公園か知らないけど気をつけろよー。この都市ってなんだかんだ言って物騒だから」

482ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 01:27:07 ID:WVrfsEdY0
>>480
「やっぱりおともだちだからかなの」
【楽しそうだ・・】

「あう、そうなの・・・
 ごはんたべないとたいへんかもしれないけどなの…」
【なんか心配そうである】

>>481
鶫「へえ…デパートとかではあんまり見ないですから初耳ですね」
【とても感心している】

鶫「いい匂いがしてきましたね…
  にしてもほんとにおっきいですね…そのサイズのトビウオだったら本当に空を飛びそうです」
【とは言いつつも結構楽しみそうだ】
ディス「ところで、あそこのやまにはどんなのがいるなの?」
【そういって窓の向こうに見える山を指さしている】

483風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 01:32:37 ID:Ylz8pWH60
>>481
「い、いいの!?、…いいんですか!?」
驚いたような嬉しそうな顔で聞く。

「えっと、中央公園。
4日くらい前に襲われたよ。」

>>482
「そう、う、ん、友達!」
合言葉のように呟く。

「た、やぶん、だいじょうぶだよ。
それと、その人は?」
防人の事を指さす。

484銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 01:34:16 ID:HnkBBDEo0
>>482
「飛びすぎて水中に戻れず、呼吸できなくなって勝手に死ぬこともあるらしい」

 唐揚げを揚げた後は更にもりつけ、お吸い物や作り置きの煮物、ご飯と一緒に鶫の前へと出した。
 どうやら定食だったようだ。

「ほい、トビウオ揚げ定食だ」

 そこで窓の外に目を向け、ふぅむと首をひねる。

「あそこの山ぁ? 小型の竜なら数匹くらいは見かけたっけな。
 探せば他にも何かいるんじゃねーの? ……まさかディス、行く気か?」

>>483
「メニューじゃねーし、適当に作ったやつだけどなー」

 そう言いつつ炊飯器にご飯を盛り付け、茶色いルーをかけてゆく。

「ってオイ、襲われてんのかよ! 大丈夫なのかお前。
 この都市の住民は異能者が多いからな。それに対抗できる能力とかお前、持ってんの?」

485ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 01:46:38 ID:WVrfsEdY0
>>483
ディス「しんぱいしなくてもいいなの〜
    だってともだちだからなの」
【微笑んでいる】
ディス「あう?こっちのひとなの?
     よくしらないひとなの・・・」
鶫「ああ、ちょっと前に行き倒れていたところを助けたんですよ
  名前は防人鶫(さきもり つぐみ)といいます」
【鶫は聞かれたような気がしたので軽く頭を下げて答えた】

>>484
鶫「うーむ、間違った進化のように感じますね…」
【複雑そうな顔をしている】
鶫「わー!ありがとうございます。
  これまた美味しそうですね」
【喜んで鶫は箸を手に取る】

ディス「…ちいさいのだったらいけるかなの」
【ボソリとなにかいう】
ディス「あ、えっと…ためしてみようかとおもったけど
     やっぱりだめかなの」
【反省している…ような顔だ】

486風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 01:49:54 ID:Ylz8pWH60
>>484
「あ、ありがとうございます。」
スプーンを取る。

「えっと、でも何時も気付いた時には周りから誰もいなくなって
一人になってる、でも両手は血だらけだけどね。」
どうしてだろうと首をかしげる。

>>485
「そっか、友達だもんね。」
そう言って笑う。

「あ、僕、風間 章、はじめまして、えっと、防人さん。」

487銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 01:57:21 ID:HnkBBDEo0
>>485
「別にいいんじゃねー? 保護法とかどうなってるか知らんけど、
 あの遠くにある山ならギリギリ都市外だから、法やら何やらは関わってこないだろ」

>>486
「……あー、それさー」

 ボソリとクロスが言う。
 クロスには、その行動に覚えがある。自分も、そうだった。

「何かの能力が暴走した結果じゃないか? それとも別人格によるものとか。
 いや、俺も昔はそういうことがあってさ。今でも時々能力がハケ口を求めて暴走しちまう。
 暴走中は破壊衝動にのっとられてるから、暴走中の記憶はまったくねぇ。
 今でも都市の自警団やら保険会社からは目をつけられてるぜ。
 だからお前もそういう……いや、いきなり失礼なコトを言っちまったかな」

 悪い悪いと言いながらも笑い、あいたグラスに紅茶を注ぎ込んだ。
 そう言いつつも眼帯が覆う右目で風間を『視』て、

「で、お前本当に……何の能力も無いの?」

 ボソリと、つぶやくように聞いた。

488ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 02:02:25 ID:WVrfsEdY0
>>486
ディス「うん!」
【同じく笑いかけている】
鶫「ええ、よろしくおねがいしますね風間さん。」
【鶫も笑顔で返した】

>>487
ディス「そっかなの。がんばろっかなの〜!
     ずっと『ろざりあ』にもらってばっかりだとわるいからなの〜」
【なんだかんだで後ろめたいのだろうか…】
鶫「ん、これは…サクサクしてて美味しいですね。
   中の魚もちょうどいい加減の…」
【パクパク食べながら鶫はグルメ漫画のごとく言い続ける】

489風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 02:05:52 ID:Ylz8pWH60
>>487
「モグモグ、ん?、ゴク。」
ライスを飲み込む。

「暴走…、かぁ。」
思い込むが首を振る。

「分かんない、能力があるかどうかも分かんない。
ただ、」
そこまで切ると

「ただ、なんか覚えてなくても、その時にあったことが無い、お母さんに守られている様な気がするんだ。」

>>488
「フフ。」

「あ、よ、よろしく、お願いします。
あと、さん付けじゃなくてもいいんだけど。」

490銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/08(火) 02:13:34 ID:HnkBBDEo0
>>488
「あー、アイツも今いろいろと大変だからなー。
 そもそもロザリーは勝手に色々と気負いすぎるトコがあっから」

 ロザリアのことを思い出し、少しナーバスになるクロス。

>>489
「む、そうか。少しお前の周囲に人とは違う魔力を感じたんだけど……ま、気のせいか」

 トントンと右目の眼帯を人差し指で軽く叩きつつ、頭を掻く。


「ああそうだお前ら、俺はそろそろ寝るから。
 皿とかそのままでいいんで、夜道には気をつけるんだぞー」

 そう言うとクロスは欠伸をしながら『STAFF ONLY』と書かれたドアの向こうへと消えていった。

491ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 02:18:40 ID:WVrfsEdY0
>>489
ディス「なんかうれしそうだねなの。
     なにかいいことあるのかなの?」
【きょとんとした顔で言う】
鶫「そうですか?でも呼び捨てというのもなにか…
   風間ちゃんか…それともショウちゃんのほうがいいですか?」
【なんか微妙に楽しそうだ】

>>490
「あうー、そうなの…
 なにかたいへんなことになってるみたいだけど。
 こないほうがいいっていわれてなの」
【少しショボンとしている】
「あう、わかったの!
 じゃあまたねなの〜」
鶫「ちゃんと残さず食べますよー」
【二人揃って手を振り見送っていった】

492風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 02:20:57 ID:Ylz8pWH60
>>490
「ま…、りょく?」
意味が分からず首をかしげる。

「あ、さようなら。」
ハヤシライスを食べ終わって椅子から降りる。
「よいしょ。」

>>491
「うん、昨日、友達になれそうな人を見つけたんだ。」
嬉しそうに言う。

「えっと、普通にショウでいいです。」
恥ずかしながら言う。


「それじゃ、僕も、じゃあね。」
店から出る。

//落ちます、お疲れさまでした。

493ディス&鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/08(火) 02:25:59 ID:WVrfsEdY0
>>492
ディス「あうあう、それはとてもいいことなの!
     なかよくしようねなの!」
【大きく頷いた】
鶫「わかりましたよ。
   章・・・あーやっぱり呼び捨てはなれないです」
【なんか恥ずかしそうだ】

ディス「あうあうー、またあおうねなの〜!」
鶫「気をつけてくださいねー」
【二人はまた同時に手を振って見送っていった】

ディス「ごはんおいしいなの〜」
鶫「…ところであなた…その包帯は一体…」
【しばらく二人は楽しく会話をしたようである】
//お疲れ様でした

494ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/09(水) 22:01:36 ID:7gFzKdaU0
「――――んー、なんっか嫌な風。嫌いじゃないけど」

そんな、暢気な声が、公園の広場で響いていた。
声の出処には、一人の少女。
迷彩柄のパーカーを着て、フードを目深にかぶっている。
ワークパンツとエンジニアブーツという出で立ちは、良くも悪くもカジュアルで動きやすい印象を覚えさせる。
フードから溢れる髪の色は血のような赤で、手元と口元の肌は浅黒い。

「……ま、いっかな。たまには身体動かさないと」

ぬるい風が、吹き抜けた。
生臭い、生温い風は、本能的不快感をもたらすもの、墓場のそれ。
その不快な世界の中心で、少女は屈伸をして、四肢を振り回し始めた。

武道と言える程の型はなく、だが、ただの無形と言うには筋がある。
言わば、理論有る我流。素早く、小柄な身体は機敏に動き、四肢を空中に叩き込んでいた。

495GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/09(水) 22:13:30 ID:r/0zkQWY0
少女が舞う公園に、程置かずして長身の神父が現れた。
ちょうど生温い風の吹いてきた方角より。

「――・・・ほぅ。」

視線の先には舞う少女。
その顔には笑みが張り付いており、表情とは裏腹にどこか寒気を覚える。
身を包む神父服の裾をひとつはたき、背負う巨大な十字架を背負い直して。

「御機嫌よう、修練ですか?」

一通り舞を眺めた後、少女に向けて言葉をかけた。

496ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/09(水) 22:18:22 ID:7gFzKdaU0
>>495
(――――わお、聖職者)

顔には出さずに、少女は、相手の方向へ振り向いた。
とん。軽い音が響き、フードはばさりと落ちて顔を露とする。
血と錆鉄の少女。そう顕すのが最もふさわしい色彩だ。
浅黒い肌と、血と錆鉄を混ぜあわせたような色彩の髪と瞳なのだから。

フードを直しながら、にこり、と少女は微笑みを浮かべる。
そして、ぺこり、と頭を下げて。

「こんばんは、神父さん。
 えっと、偶には身体動かさないと鈍っちゃうから、こっそり鍛錬してたんだけど。
 何か、用でもあるの?」

フランクな口調で、少女は相手に言葉を返す。
墓場のような生暖かい風は、少女に近づけば近づくほどにその存在感を増していくだろう。

497GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/09(水) 22:30:46 ID:r/0zkQWY0
露となった少女の顔―――その髪と、瞳の色を目に留め
神父の放つ異彩な雰囲気が色を濃くした。

(いや、見た目だけで判断するは愚か、か――――)

思考の後、軽くかぶりを振れば。
雰囲気は元へと戻る。相変わらずどこか寒気を覚える笑顔ではあるが。
そうする内に、フードを被り直していた。

「いえね・・・このような夜更けに貴女のようなお嬢さんが一人では、
 いささか危険ではないかと思ったのですが・・・。
 武の嗜みがあるならば、無用の心配だったようですね。」

礼に対し、会釈を返して。言を吐きながら少女へと歩み寄っていく。

(お…や・・・?)

…近づけば近づくに連れて感じる―――――違和感。
しかし違和感は違和感であり、まだ確信には至らない。

498ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/09(水) 22:36:52 ID:7gFzKdaU0
>>497
相手の、異様な気配。それを前に、少女は警戒を見せることはない。
違和感を違和感として享受して、そして、警戒ではなく、何が起こるかをただ予想するだけ。
だから、身体は固くならないし、口調は揺らがない。

「これでも、旅人だからね、わたしは。
 お爺ちゃんに身の守り方も教えてもらったし。だから、大丈夫」

にへへ、と暢気な笑い声を漏らしつつ、少女は相手が一歩近づく動作をした瞬間に、わずかに後ろに移動した。
逃げる動作でも、戦闘の動作でもない。

「で、もう少し鍛錬したいんだけど、もういいかな。神父さん」

もし、それ以上近づけば、確実に気がつくことだろう。
その気配、その臭いの正体は、死臭であるということが。

499GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/09(水) 22:47:58 ID:r/0zkQWY0
>>498
普段の姿勢を崩さぬ少女に対し、神父は違和感に対して警戒を抱く。
そのままに見過ごせば、取り返しのつかぬ事が起きるやも知れない、と。

「それは奇遇ですねぇ。
 かくいう私も、辞令が下るまでは世界中を回っていたのですよ。
 信者獲得のための布教活動とは中々骨が折れるモノで・・・いえ、貴女には関係無い事ですね。」

世間話でも振って確信を得る時間を稼ぎにかかるが。
身を引きながら、次いだ少女の言葉に方針を変える。

「あぁ、でしたら―――・・・一つ、お手合わせなどいかがです?
 見た目の通り、体は丈夫ですよ。」

はっきりさせるには、より近づけばよいのだろう。

(とはいえ、伸らず反られれば、諦めるより他ないが――――)

神父が放つ冷たい空気は、より濃いものとなっていた。
近づかずとも分かる程度に。

500ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/09(水) 22:53:42 ID:7gFzKdaU0
>>499

「へー、神父さんも。大変だったんだね。
 まあ、旅ってのは大変だったり困ったことが有ればあるほど応じた楽しみもあるけどさ。
 先立つモノがないと、旅って大変なんだよねー、ご飯とかさ」

はっはっは、と笑い声を響かせながら、少女は胸を張る。
曰く、ほとんど無銭の気まま一人旅。見た目こそ幼いものの、割りと逞しい印象か。
だが、そんな快活さを見せる少女は、相手の提案に、一瞬の逡巡を見せる。

「うーん……」

(――――最近、精気足りてないもんね……。
 流石に、ちょっと死臭が漏れてたかな。誤魔化すのも難しそうだし。
 こりゃ、むしろちょっと意識飛ばして逃げちゃったほうがいいかも)

1秒にも満たぬ間の後に、少女は笑顔を浮かべる。
そして、よく聞こえる声で、答えを返した。

「いいよ、神父さん。
 と言っても、わたしはこの五体くらいしか誇れるものはないんだけどね。
 だから――宜しくっ」

純粋な様子で、少女は腰を落として拳足を構えに置く。
堂に入った構えは、どの流派のそれにも当てはまらぬものだった。

501GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/09(水) 23:09:40 ID:r/0zkQWY0
>>500

「どうやら貴女ほどではなかったようですが。困難な旅であれ、達成の喜びを思えば楽しいものです。
 ええ、先立つ物は大事ですね。未開に等しい地では、人と遭遇することも難しい。
 金銭よりも、分かりやすく保存食が必須と言えますね。」

顔だけはにこやかなまま、言を返しながら相手の様子を伺っている。

(さて・・・伸るか・・・反るか・・・?)

思案の最中。少女の快諾の返事を受けて、内心でほくそえむ。

「私も似たようなものですよ・・・。この身と信仰心、程度ですね、誇れるのは。」

徒手空拳のまま構えた少女を伺いながら、背負った十字架を地に落とせば、
            <<ドズンッ>>
重たい音と、砂地に砂埃がたつ。

「ええ、よろしくお願いしますよ、お嬢さん。
 ・・・こちらに来て日が浅い私にとって、この交流が実りあるものとなればよいのですが。」

両腕を広げて、プロレスラーのように構える。
片手の人差し指をクイッと動かし、先手は譲る、と意思表示。

502ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/09(水) 23:14:19 ID:7gFzKdaU0
>>501
構え。相手の言葉、それらを見て、聞いて、感じてから。
少女の足が、ずず、とゆっくりと動き出した。滑りだすように、なめらかに。
僅かな静寂、空気の凍結、拮抗。押し合い、へし合い、そして崩れて砕け散る。

「――――、んじゃ、尋常に。行かせてもらうよォッ!」

叫び声の刹那。少女の姿が消えて、轟音が後を追う。
小柄は、相手の目の前に。大地を砕きながら、神速の膝が相手の顎を撃ちぬかんと迫りゆく。
模擬戦のそれとはとても思えず、確実に意識を刈り取るための意識的な不意打ちの一撃。

殺すつもりは欠片もなく、但し、相手の意識は刈り取ろうと。
そんな意思を込めて、全力の右膝が相手の顎へと伸びていく。

503GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/09(水) 23:30:59 ID:r/0zkQWY0
>>502

違和感を確信とする為に。至近距離での殴打合戦となれば、まず間違いなくそれは適う。
その瞬間をはりついた笑みのまま、待ち侘びる。

         ―――ずず、

少女が動き出した。張り詰めたその空気を引き裂く、気合の一声。
  ――――――・・・一合目!
神父の眼前にへと、既に少女は詰め寄っており、残るは轟音。
瞬きなどしたわけではないが、その神速は 想定の外側だった。
放たれた膝に顎を突き上げられてから、両腕が少女を捕獲せんと動いたが、遅い。

視界が白光に包まれ、飛び散っていく意識の中で ――――しかし

(間違いない――――不死者だ!!!!!!)

神父の顔は、狂喜の笑みへと歪みを深めた。
消えかけた瞳の光が、    爛 々 と 灯 り 直 す !

後方へ大きくぐらつきながら、しかし その意識は失われず。

「…主よォ!・・・感謝、致し・・・ます!」

        <<だむんっっ!!>>

ダメージを十分に伺わせながらも、踏み止まった。

504ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/09(水) 23:39:34 ID:7gFzKdaU0
>>503
膝が相手の顎を打ち抜き、相手の頭上を飛び越えて着地した。
だがしかし、違和感が残り、そして――――理解した。

「堅ぁッ!?」

尋常の手段を持って、相手の意識を断つことは叶わないと。
そして、己の存在が今の一手で看破されたことも同時に知っている。
ならば、殺すつもりなど欠片もないし、生者も死者も人も非人も好いているからこそ。

己を殺すものをそうそう殺して成るものか。
故に、少女は声を漏らす。バレたのならば、もはや包み隠す事など必要ないのだから。
その異常性を、正しくない存在であるという事を、高らかに――――。

「「「「「――――――我が名はレギオン、大勢であるが故に」」」」」

一つの口から、数十の声が吹き上がる。
一つを構成するのは無数。個人を構成しているのは軍勢。
一は全、全は一。群体の軍隊を一つの形として統括した異形の死者にあってこその尚異形。

「わたしの名は、古戦場の水子。ドーラ。
 名乗るのが遅れたことを謝っておくよ。そして、名乗らなくてもいい。
 死者相手に名乗るのは、神父様の誇りや、信教が拒むでしょ?」

構えは、変わらない。腰を落として、腕を引いただけ。
だが、先ほどとは確実に違う。いつの間にか、四肢は銀色の具足と手甲に覆われていた。

505GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/10(木) 00:00:12 ID:r/0zkQWY0
>>504
―――コキリ、コキリ。
二度首を鳴らして、後方へと降り立った不死者へと振り返る。

「フヒヒヒャハハハハ・・・・・・・・・ッ!」

辞令を受け、この地へと降り立ち、最初に出会ったものは、紛れも無く自らの仕事を成す為の相手であった。
それ即ち、神が与え給うた僥倖。

狂喜の笑みを浮かべた神父は、方膝を地へ着く。
耐え凌いだとはいえ、その強烈な一撃に揺れた脳の発する警告は、
妄信により生まれる脳内麻薬が身体への通達をカットした。
故に、ダメージでフラついたのではない。地面へ落とした、神罰兵器を拾い上げるための、動作。
ガシ、と両の腕で巨大な十字架を掴むと、長柄斧のように一つ振りかざしながら、立ち上がる。

同時、不死者・・・達が、その異常性を口にした。
群れ成す異形が、個と成った存在。

「―――お心遣い、痛み入るがァ・・・!構わん・・・主は、哀れ給う。」

爛々と光る目は、その四肢を覆う銀色を認めて後、相手の顔へと向けられた。
   ―――ざり、と。一歩を踏み出す。
        巨大な十字架を振りかぶりながら

「神より賜った名、私は スリージー だ。
 汝を滅ぼす我が名くらいは、せめて無への土産として覚え置くがいい!!!!!」

名乗りを気合として、間合いを詰めながら――――脳天めがけ、十字架を落とす!

506ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/10(木) 00:10:10 ID:7gFzKdaU0
>>505
体の中で、歯車が噛み合った。炉に火が入る。
その時点で、朧気な亡霊などでは決してありえない。
身長148cmの小柄なリビングデッドは、まず間違いなく、人の形をした重機、戦車と形容して仔細無い。

歯車が体の中で組み変わっていく感覚を感じていく。
動力、心臓部である炉の火力を、四肢、五体、六身に巡らせ、全力と成すために。
ドーラは、エンジンが唸りを上げるように――――天を仰ぎ、方向を響かせた。

「嗚呼ァァアアァ――――――――――ッッッッッ!!」

それは、鬨の声。
無数の死霊の統括者たる子供の魂の声に、全ての死霊が一方向を向く。
確固となった。目的は定まり、その存在は死霊としてではなく、不死者としてではなく。
ただ一人、誰にはばかること無く世界に示す異形、〝ドーラ〟として立ちはだかる。

拳撃は徹甲弾、蹴撃は散弾。
迫る十字架を前に、ドーラはあまつさえ、笑ってさえ見せた。
上等だ、聖職者。〝死者の生き様〟示してやる。と――――――。

「ぶっ飛べェ――――――ッ!!」

長柄と、徒手がぶつかり合い、拮抗する。
そして、小柄は吹き飛ばず、腕を流して弾き、みぞおちに右拳を叩き込もうとする。
ドーラの強みは、要するにパワーだ。それが常識が外れるほどに高いだけ。
出力が高ければ、当然攻撃は強いし、守りも強い。それだけをただ突き詰めた異形が――――眼の前のそれであった。

507GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/10(木) 00:30:05 ID:r/0zkQWY0
>>506
公園内に吹き抜けるは、より一層の墓地の風。
神父が一番身を置く機会の多い、教会とは真逆の臭い。
それを発すは眼前の主の怨敵。

「ひはははひゃひははあああああああああああああああ――――――ッッッッ!!!!」

不死者の放つ咆哮に負けじと、甲高い狂喜の笑い声をあげ、
神父からすれば“汚らわしい”、その気を浄化すべく振り下ろした質量は、

神父の浮かべるモノとは異質な、笑みを前に。

「な・・・にィ―――」

   <<ガッッ―――――ギィィィィンッッ!!>>
金属音を響かせて、逸れて落ちる。
大振りの一撃は、その巨体を隙だらけの的と変え・・・不死者の右拳が、みぞおちへと、めり込む!
   <<ッゴォ――――!!!>>

「―――ィごぉっ・・・っふ!!!!」

一合目・・・顎に食らった膝など、この一撃に比べればどれ程のものだったか。
神父の巨体は、小柄なリビングデットのその圧倒的な力を前に、後方へと吹っ飛ぶ。
砂煙を巻き上げながら、巨体は地をすべり。
公園の柵を歪ませて、止まった。

「・・・っが・・・ぁはぁ・・・・・・・・・・・・オノ、レェェェェ――――――!!」

508ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/10(木) 00:41:03 ID:7gFzKdaU0
>>507

「せぇぇいぃぃぃいぃぃぃりやぁッ!!」

全力で拳を振りぬき、ひしゃげた篭手を拳を打ち付け軽く直す。
相手の一撃に、此方も一撃をぶち込めば、並の武器ならば無事で済まないのは当然だ。
手には未だ、痺れが残ってすらいるのだ。

だが、死者は、拮抗して尚、吹き飛ばない。
見れば分かる。足が、踝まで地面に埋まっていた。
要するに、この小柄な体には異様な重量が宿っているということに間違いない。

「――――ッ、ほんっとうに常識はずれ。
 重いし堅いし、人間とは思えないよ――ッ! 普通ならぶっ倒れるどころか病院送りなんだけど!?
 ま、普通だなんて思ってないからわかってたけどさ!」

叫び、相手への賞賛を示して笑う。
四肢に浮かぶは、魔方陣。間違ってはいけない。
この少女は――戦車などではない、〝列車砲〟なのである。
スケール、出力、共に平常のそれを超越する異形。

故に、小回りなど聞くはずは無い。
できることは――――撃ちぬくこと、それだけだ。

「次で意識を落とす――――、行くよッ!」

右足を前に出して、左足を後ろに送り出し、大地に杭のように足が突き立つ。
同時に、足にまとわりつく魔方陣が大地に叩きつけられて、点火。
大地が粉砕。少女は文字通りに砲弾の如くに、『射出』される。

一直線。隙しか無い。狙うには絶好のチャンス。
だが、速度は速く、威力は重く、気合は絶大。
振りかぶる拳には魔力が篭り、魔方陣が展開されていた。

追撃と成る、交錯が――――迫る。

509GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/10(木) 01:04:09 ID:r/0zkQWY0
>>508
がしゃ、ん!
盛大に歪んだ柵の一部を、神父の腕が掴む。
その顔・・・口の端どころか、顎まで真っ赤になるほどに吐血していた。

「おぉのぉれぇ・・・レギオォォン・・・・・・っ!生かして、おかぬぞ、ドォォォオオオオラァァァァアア!!!!
 水子の成れの果て如きにぃ、この私がぁぁぁぁぁああああああああっっ!!!!」

神に代わりて断罪を行う者が、本来標的であるだけの相手に、怨嗟の叫びをあげる。
柵を掴んだ腕を基点に、身体を起こし、立ち上がる。

「神の代行たる私に対する冒涜か貴様ァァァアアア!
 常識などに捕らわれていて、貴様らの相手なぞ務まる筈もなかろうがぁッッ!!!!」

怒りに任せて、地を蹴る。駆ける。
間合いを詰める間に吹っ飛ばされた際に取り落とした十字架を拾い上げ、なお駆ける!

「そのような機会はァァァ―――無い物と思えっっ、愚者がぁあああああああああ!!!!!!」

語尾が咆哮となって。『射出』された少女に対し、バットのように十字架を振りかぶり

        ――――――― 真 っ 向 勝 負 ! ! 

渾身の力で打ち返さんと、十字架を振りかざす!!!!

510ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/10(木) 01:11:24 ID:7gFzKdaU0
>>509
「――――わたしたちは、〝生きていない〟ッ!
 だからこそ、生きてないし人じゃないけど、人生楽しんでるんだ、終わらせられてたまるかァ――――――ッ!!」

大地を割砕き、風を引き裂き、音を置き去りに、飛翔する。
飛翔するのは、数トンの重量を持つ148cmの少女であり、亡霊であり、バケモノであり、不死者であり、列車砲であり、砲弾だ。
雄叫びが、炉の火を燃え上がらせて――――、より出力を上昇させていく。

「知ったことかよッ! 我らは死んでこそ生を愛す群体。
 やすやすと終わりを受け入れる理は無いと知れ――――鉤十字[ハーケンクロイツ]などとうに捨て去ったがゆえに!
 我らはもはや十字の法の元には縛られぬ者となるッ!」

振りかぶり、射出するのは――――右腕。
魔力を練り込んだそれは、言わば戦車の大口径主砲の砲撃と寸分違わない。
十字架と、真正面から撃ちあうそれは――――衝突し――――、ドーラは吹き飛び。

空中で、宙返りしながら、笑む。

「打ち上げてくれて、ありがとさん――――トンズラこかせてもらうよっ! 乙女の夜更かしは肌に悪いしねっ!」

轟音。砕けて骨を見せる右腕を振りながら、その身を射出してドーラは消えていった。
最後の強がりの笑みの奥には脂汗。おそらく、再生には相応の時間が掛かることだったろう。

511GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/10(木) 01:35:47 ID:r/0zkQWY0
>>510

「妄言をォッ!生無きものにそのような資格は無いものと知れッッ――――」

向かい来るは、亡けども命在る光速の魂―――その威力、とどまる所を知らず!
対し、迎え撃つは、いつしか狂喜から狂気へと変貌した信仰の十字!

「神の理より外れし哀れなる亡者めがッッ!貴様が捨てたァッ!その法がァアッッ!!
               貴 様 を 滅 ぼ す 物 と 知 れ ェ ェ エ エ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」

放たれた拳という名の弾丸に、ピタリ合わせて信仰の槌を撃ち合わせ――――

              <<ゴァ――ッシャァー!!>>

   ――――轟音響かせ、少女は吹き飛ぶ。引き換えに、十字は拉げ折れ

                  神父もまた、吹き飛んだ。

再度、地を滑り。見上げる夜空に―――少女の言葉を聞き、その姿を見失った。

「―――・・・っっっっっチィィイイイイイイ!逃したかぁあッッ!!!!」

怒りと狂気にまみれた表情を歪めに歪めて。
盛大に舌打ちをする。立ち上がろうと、腕に力を・・・込めようとしたが、かなわず。

「・・・致し方あるまい。だが、あの気配は覚えた。次は無へと還すぞ、レギオンよ・・・。」

不死者の消えていった夜空を見上げたまま、忌々しげに言葉を吐いた。

512GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/10(木) 01:45:53 ID:r/0zkQWY0
激戦より後・・・胸の十字架にむけ、何事かぶつぶつと呟くと
巨漢は限界を迎え、意識を落とした。

それからしばらくして後、同じ神父服に身を包んだ集団が後処理に現れるまで、
公園は、異質な静寂に包まれていたのだった・・・。

513アイリス:2012/05/11(金) 22:49:09 ID:do5XJmGE0
【一夜城】
今日は少し時間ができた。
私室での業務を一段落つけて、一階へと降りる。
適当な席に腰掛けて、ワインを飲む。

「…さて、そろそろ彼らの件について、手を打ちたいところだけれど…」

街に放ったコウモリが知らせるのは、外から来た者が数人増えた程度。
だが、問題は無い。
ここはどことつながっているのか分からない。
それにどのような来訪者も別け隔てなく受け入れるのがこの都市の特徴で有るからだ。

最近に多く見られる吸血鬼の増加についても考えを巡らせながらワインを傾けて。
己の使い魔であるキルリスからも僅かな情報が送られてくる。
さらに先日の領主の件も気になる。

「彼らの件にも、手を打たなければならない…か。」

514名も無き異能都市住民:2012/05/11(金) 22:58:05 ID:SSMHlh/20
>>513

――かたっ。かたっ。

窓に二度、三度とぶつかる物があった。
それはどうやら、使い魔の蝙蝠であるようだがアイリスの物ではない。

この魔力の感じは――ロザリアの物だ。

515アイリス:2012/05/11(金) 23:06:44 ID:do5XJmGE0
>>514
傍に控えるメイドに指示し、窓を開けさせる。
窓を開けたメイドは再び奥に控える。

「――して、どうしたんだい、ロザリア」

巴なら人の姿のまま入ってくる。
綾とヴァージニアもおそらく徒歩。
ならば、残るのはロザリアしか居ない。

「ワザワザ回りくどいすることは無いだろう。
 門をくぐり、玄関から入ってくると良いよ。」

ロザリアには見えるはずだ。
暖炉に火が灯り、いつもの制服姿では無く、緩めの格好のままにワインを傾けるアイリスの姿が

516名も無き異能都市住民:2012/05/11(金) 23:13:57 ID:SSMHlh/20
>>515

ロザリアの使い魔はきいきいと泣くと、
ゆかにぼとん、と音を立てて着地し……。

――ぽしゅっ。

紫色の煙を噴き上げる。
それの中から、姿を現したのはご想像通りロザリアであった。

「ごめんなさいねえ、時間がおしかった物だから。
 とりあえず例の武具について分析は行なっておいたわ。」

皮袋に厳重に包まれた、それを卓の上に置く。

517アイリス:2012/05/11(金) 23:23:05 ID:do5XJmGE0
>>516
「急かしたようで申し訳ないね。
 まずはそこにでも掛けると良い。彼女にもワインを。…そうだね、彼女の希望を優先だけど、
 五十年物をお願い。」

アイリスはメイドにロザリアの分のワインも持ってくるように告げる。
その流れでワインを一口のみ、皮袋に厳重に保管された其れの中身を手に取り、見る。
サッと見る限り、術式だろうか、そのような文字が小躍りしている。

「さて、概要と解説を聞こうか、ロザリア」

新しいおもちゃを手にした子供のように笑みを浮かべて。
蒼の双眸はロザリアの瞳に向けられており。

518名も無き異能都市住民:2012/05/11(金) 23:35:45 ID:SSMHlh/20
>>517

「ええ、ま……飲むのは後にして、
 先にこちらを片付けてしまおうかしら。」

皮袋の中から、例の武具の残骸と術式をメモした羊皮紙が取り出される。

「もう少し詳しく調べてみたけれど、やはり解析できたのは全体の40%ほど。
 残りはよく分からないけれど、やはり術式自体の統一性が無いところを見ると、
 様々な世界の物を強引にくっつけている。」

やはり、この都市は様々な次元、世界から人やモノが流入している場所。
それ故に全てを把握する事は無理がある。

「それだけじゃあないわ。解析できたところを見るだけでももはや滅茶苦茶。
 神聖術、妖術、魔術、どれも『人間以外を殺傷する』、『人外廃滅』、『妖魔の存在批判』。
 そうしたモノのごった煮だけれど中には効果が反発しあって、打ち消しあっているものもある。
 恐らく、これは一人の魔術師が作ったものではないわねえ。数人、もしくは数十人の人間が、
 自分の知っているそういう術式をとかく叩き込んで、それをコピーしているような感じかしらね。」

519アイリス:2012/05/12(土) 00:03:47 ID:do5XJmGE0
>>518
「なるほど、ロザリアでも四割…か。
 十数人単位で術式を持ち寄り、作り上げたもの、か」

アイリスは目を細め、羊皮紙を手に取り、さっと斜め読み。
この量で全体の四割か。これでぼんやりと組織の形はみえてきた。

「術式の統一感がなく、幾多の世界のものを強引にくっつけている形…、か。
 そう言えば、こんなニュースがあったね。エリュシオン・プレスの3月の中頃の記事だったかな。
 内容自体はナイトパプの火災でね、紙面の一部で掲載されたものだ。
 ―――こういう物語はどうだい?
 あるところに一軒のバーがありました。そこは飲食店も兼ねていてね。
 格安だけど相応の食事を出す店。安い独身労働者の強い味方。
 この都市に迷い込んだ人は、匂いに釣られて店を覗くんだ。だけど、持ち合わせは無い。
 気が良い店主は賄い料理を出してくれるんだ。それで、店主は安酒を飲みながら迷い人にこの都市の事を教えてね。
 その店は表向きはパブ、本当の顔はギルド。ギルドといっても名ばかり。人外に憎しみを抱くもののあつまり。
 だけど人の力では人外に勝てないと悟った彼等はひとつに纏まる。ならば、と彼等は各々の武器を集めて一つに纏めるんだ。
 地下で燻っていた彼らは本当の武器を手に入れ、コチラ側に迫ってきた。……こんな物語だったら―――」

壊しがいがあるのに、という言葉は敢えて口に出さなかった。
アイリスは自らの体を傷つけられたのを忘れてはいない。

「ここは様々な世界のものが集まるといったね。他の世界のものがコチラではある程度通用する。
 例えば、僕の家の術式でも、応用次第で彼等には対抗出来るのかな。
 ロザリア、君の意見が聞きたい。」

520名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 00:24:32 ID:SSMHlh/20
>>519

「……どちらにしろ、推測の域を出ないわねえ。
 都市で流れるニュースはどれもこれも、キナくさいものが多すぎる。」

ロザリアが指を動かすと、空間に波紋のように歪みが広がり
そこから今日の分の新聞が何冊か、卓の上に落ちた。

「今日だけで数え切れないほどの事件が起こってる。
 爆破テロ、殺人、バスジャック……反人外組織の犯行らしきものもいくつかあるわね。
 とにかく、今は情報を集める事が先決よ。このまま場当たり的に対応するだけでは根を絶つ事ができない。
 構成員を捕らえて、口を割らせる事ができればよいのだけれど。」

ため息をつきながら、一枚の羊皮紙を手に取る。
先ほど、皮袋から取り出されたものの一枚だ。

「とにかく、現状分かっているものの対抗術式をくみ上げておいたわ。
 様々な世界のものが集まっているといっても、結局は『人外への攻撃』に行き着く。
 戦闘時に、この術式を発動させておけば、多少なりラクになると思う……。
 これを量産して、配布することができれば気休めかもしれないけれど最低限の対策にはなると思うわ。」

521アイリス:2012/05/12(土) 00:41:59 ID:do5XJmGE0
>>520
「構成員を捕まえて、吐かせるまでは僕が進めている。
 後は巴が自由に動けるようになって、あの場所を見つけるだけ、さ。彼女が動けば、この状況が大きく変わるからね。
 だからそれまでの間に幾つもの対策を組んでいなければいけないのさ。今日のこれもその一つ。」

アイリスは興が乗ってきたのか、口数が増えていく。
そして、減っていくワインボトルの中身。

「…そうだねぇ、人外と見破られない方法を探してみるのもいいかもしれないね。
 魔術的に言えば認識阻害だったり、お互いの使い魔を介した会話や、主要な人物をどこか一箇所に集める…とかね。」

アイリスの表情は笑みが絶えない。
酔っているのではない。単純に『この状況を楽しんでいる』のだ。

「複写で量産できるようなら、僕がしよう。
 どれ、その術式を見せてくれないかな?内容によってはイメルや綾、ヴァージニアに渡しておくほうが良いかもしれないからね。」

術式にもよる。
アイリスは巴よりルーンが書かれたものを貰っている。
更に魔眼がある。魔眼には劣るが魔法も攻防の手段として用意している。
術式の内容にもよるがアイリスは、巴やロザリアには不要なものだと考えている。
ロザリアは作成者。紙媒体に写しただけで手間は省ける。巴もルーンを使う。

522名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 01:08:08 ID:SSMHlh/20
>>521

「ああいう手合いは口は割らないだろうけれど、
 とにかく捕まえてしまえば、魔術やらでどうとでもできるものねえ。」

ロザリアは話をする間も、気づいた術式を新たに
羊皮紙に書き込み、一つでも多くの術式に対策を立てようとしているようだった。

「人外と見破られない方法、は少し難しいと思うわ。
 吸血鬼みたいに人と変わらない容姿の者ならそうした効果があるかもしれないけれど、
 人狼や魚人、その他の亜人系統では姿自体を隠さないと意味がない。
 しかも、職についている者たちはずっと姿を隠しているわけにもいかないのだし
 それよりは自衛手段の拡充を急いだほうがいいと思う。」

――カリッ。

軽快なペンの走る音が響き、修正が終わる。

「たすかるわあ。とにかく複写するだけなら、
 そうしたサービスを行なってる印刷所に委託するだけで大丈夫だと思うから……。
 手配と、資金を頼んでいいかしら。私は解析を進めて、定期的に新しく術式を書き換えようと思う。」

523アイリス:2012/05/12(土) 01:39:33 ID:do5XJmGE0
>>522
「口よりもっと正直なところがあるからね。
 脳を直接支配下に回せるし、催眠術を掛けても良い。とにかく構成員を攫ってみようか。」

ニヤリとした表情へと変わる。
ロザリアのように次々と対策を立てられるわけでは無い。
今は攻防の防を楽しむ時。

「…急務は自衛手段、ね。分かったよ。
 僕からも何か作り上げておこう。そうだね、術系統は考えるけれど、極力身に付けるものが良いかな。
 装飾品に偽装しておこう。しかし、僕の知り合いの人外は女性ばかりであるというのが複雑だね。」

未だアイリスの笑みは途絶えない。
メイドに紙とペンを持ってこさせて、簡易ながら術式を作り上げた。
効果は爆発。
術式を書いた紙で石のような、紙で包める大きさの物を地面に叩きつけることで小爆発と数秒の煙幕が張れるものだ。
術式そのものはアイリスの世界では極々ありふれたもの。対盗賊などで使用される。
術式の一部を変更することで様々な効果が得られる汎用性の高さから冒険者や傭兵まで、盗賊にも愛用されているものだ。
その術式が描かれた紙をロザリアに差し出す。
ロザリアから見れば、魔方陣の中に意味不明な文字が書かれているだけだろう。

「ロザリア。印刷を依頼する必要は無いさ。もし、僕の入稿が知れたら面倒だ。
 複写の術式稼働時間を168時間程度にすれば、大体、500枚程度は出来るはずだ。
 これはごく一部の者だけが知る、出所不明の一品で良いだろう。試作品を闇市場に流してみるかな?誰が釣れるか気になるね。
 ロザリア。定期的に書き換えるのなら、君は定期的にここに訪れるということかな?それが面倒ならここに暫く滞在すると良いよ。」

524名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 01:56:47 ID:SSMHlh/20
>>523

「ええ、そうね。そうした身につけられるものがいいかしらねえ。
 敵もこちらが対策をしていると気づけば、手を打ってくるかもしれない。
 手の内は隠しておくほうがいいものね。」

アクセサリー以外にも、誰が持っていても可笑しくはないもの。
たとえばボールペンやハンカチ、ポケットティッシュなどに偽装させるのも良いか
などとロザリアは思索を巡らせる。

「こういった煙幕の術式も、マジックアイテムを多く買えない貧困層に配布するといいわね。
 しかし、500枚は少なすぎる。都市の人口から考えれば最低でも万単位は必要よ。
 試作品を流す、というのはいい考えだと思うけれど……。」

はふ、と疲れた風に息を漏らしてソファに腰掛ける。

「ごめんなさい、私には『家族』がいるからここに滞在するわけには行かないわ。
 それに座標は覚えた。つぎはいつでもここに転移できる……のだけれど。
 今日は、泊めてもらってもいいかしら……少し、疲れた……。」

よく見ると、ロザリアの顔はいつもより青白く化粧で隠されているものの目の下に隈ができている。
彼女は、人外の被害を防ぐべくほぼ不眠不休でパトロールと研究を続けていたのだ。

525アイリス:2012/05/12(土) 02:15:00 ID:do5XJmGE0
>>524
「彼等は用心深いだろうね。
 僕を襲った時も、態々、分かっていながら名を聞いてきたからね。
 まずはハンカチに偽装してみようか。試作品ができたら、そうだねAGカフェにでも持って行こう。」

アイリスは道具で一方的な転移は出来ない。
だからロザリアの動きを待つしか無いのだ。
そして、動きやすさと待ち合わせの場所として選んだのはAGカフェ。休憩も出来る場所である。

「試作品は闇市場に流して暫く反応を見てみようか。
 流すのは大凡百程度にしておこう。ある程度の希少性を持たせて、様子を見てみることにする。これは君に任せたいね。
 僕が最初に告げたのは、大凡さ。万単位は少し時間がかかるけれど、手は極力回すようにしようか。」

さすがはロザリアだ。
伊達にアイリスより長くこの都市にいるだけあり、万単位が必要と簡単に基準を出してくれた。
滞在時間が比較的短めのアイリスにとっては非常に助かる。

「構わないよ。三階以上は上がられないから、今空いている部屋を案内させよう。
 ああ、それから。君に講師をしてほしいことがあってね。この件については後日話そう。」

化性でごまかしても、見るからに疲れているロザリアを見て、アイリスは直ぐに滞在の許可を出す。
薄っすらとだが、垣間見えるクマ。先の出来事でも知ったが、この吸血鬼は正義感が強い。
そうして、メイドがロザリアの近くに現れ、アイリスの言葉により部屋に案内されるだろう。

526名も無き異能都市住民:2012/05/12(土) 02:24:08 ID:SSMHlh/20
>>525

「ええ、できるだけ早く頼むわね……。
 たしかに、最初少量流して『釣り』をするのはいい考えね。
 うまくいけば、下手な労力を使わず『本丸』にたどりつけるかもしれない。」

今は守勢に回っているものの、
敵の情報さえつかめればこちらから攻勢に出る事ができる。
社会的な勢力――例えば市民自警団や警察組織に協力を仰ぐ事すらできるだろう。

「ん、わかったわ。講師……。」

(うう、頭が回らないわ……だめ、少しやすまないと……。)

既に寝ぼけ眼を擦りつつ、ゆっくりとメイドの後に付きロザリアは部屋をあとにした。

527アイリス:2012/05/12(土) 02:34:24 ID:do5XJmGE0
ロザリアを見送ったアイリスは、開け放たれたままの窓に向け、コウモリを放つ。
今回の話し合いの簡単な議事録と、これからすることを書き加えたものだ。
行き先は巴。
彼女なら、体が空けば、自ら確認しに来るはずだ。

ワインを飲みながら、アイリスは闇市場に流す試作品のキャッチコピーを考える。
地下暗黒街に行く時についでに“落として”しまうか、などと考えつつ。

―――ああ、面白くなってきたよ、兄様

今はどこをほっつき歩いているのか分からない、放浪グセのある兄の顔を思い出しながら、呟いた。
そのつぶやきは、誰にも聞かれることは無かった。

528緑乃壱 瞑輔:2012/05/12(土) 22:43:35 ID:HnkBBDEo0
「ゆらぁりぃ……」

 今日も辻斬りは孤独に生きる。
 都市の中をさ迷い、獲物を求めて人を斬る。
 小金を稼ぎ、食いつなぎ、罪と分かった上で罪を食って生きている。

「さーて、今日も誰を殺すかね」

 それでも、男は人間だった。
 異能の住まうこの都市で、人間として生きてきた。
 ひたすらに剣術を磨き、人を殺める術を極め、やっと異能者と足に届く程度の実力。

「……」

 正直に言おう。
 異能に対して、憧れがあった。
 人の枠を越えた力が、欲しいと思った。

「……やぁれ、酒が回ってきたねェ」

 ヒヒヒと笑って歩く男。今日も飢えをしのぐ為、獲物を求めて辺りを見回した。

529欠け耳のボロッブ:2012/05/12(土) 22:52:46 ID:SSMHlh/20
>>528

しかし、この周辺は人斬りに適さない。
路地裏といえども、この辺は警察組織の巡回も行き届いており治安も良い。
そのため、こういった通行人の姿もちらちらと見かける区画であるからだ。

――がたっ、がたっ、ごとん。

石畳から伝わる振動で小気味よく響く積荷の音。
二頭のロバに牽引された、台車がゆっくりとかけてくる。
その手綱を握るのは商人風の衣服に身を包んだ小鬼であった。

530緑乃壱 瞑輔:2012/05/12(土) 22:59:39 ID:HnkBBDEo0
>>529
 進む台車を眺めて考える。
 この路地では目立つようなことをすれば、すぐに通報されてしまうだろう。
 だが、今日の稼ぎは芳しくない。

「チィ、面倒だァけど静かに行くか」

 緑乃壱は人を殺して生きてきた。だからこそ、人が死に直面した時の底力を知っている。
 生きる為に足掻く者は、強い。
 逆に言えば、命の助かる可能性をチラつかせておけば、簡単には底力を発揮しないと言える。

「っと」

 ガタゴトと響く石畳の音に紛れ、瞬く間に商人の後ろへ。
 そして懐から小刀を抜くと、後ろから突きつけた。

「騒ぐな、動くな、そのまま進め。追いはぎって奴だ。なに、金目のモンさえあれば、命は助けてやる」

 とはいえ今の緑乃壱には殺さないつもりなどあるはずがない。
 前述した「命の助かる可能性」を相手に与え、ボロッブが反抗するのを抑えるという目論見だ。

531欠け耳のボロッブ:2012/05/12(土) 23:10:57 ID:SSMHlh/20
>>530

「な、なんじゃあ!?」

小鬼はいきなり現れた緑乃壱に驚き声をあげると、
そのままロバから転げ落ちてしまう。

「あわわわ……なんてこった……。」

そのまま、もぞもぞと地面を這って
台車の下に逃げ込もうとしている……。

532緑乃壱 瞑輔:2012/05/12(土) 23:16:35 ID:HnkBBDEo0
>>531
「おいィ! ちょっと待ておォオい!! ……ちィィ」

 追おうとしたが、このまま放っておいて荷台の荷物を漁った方がいいと考え直す。

「まァ、まずは金目のモンだよォな」

 ガサゴソと漁っている中、一本の刀が目に入った。

「おォ? なかなか高そうじゃねぇか。
 おいィ、テメェよぉオ!!」

 荷台の床を刀の鞘でガツガツと叩き、台車の下にいるであろうボロップに向かって言葉を投げる。

「この刀、どこの刀だァ? おいィ知ってんのォか!? 答えろよォ」

533欠け耳のボロッブ:2012/05/12(土) 23:31:35 ID:SSMHlh/20
>>532

「くひぇええぇ〜っ!」

小鬼は馬車の下にガサゴソと体をねじ込んで見えなくなったが
台車の上には様々なマジックアイテムが残され、いくつかかっぱらって然るべき
場所に売り払えば、2〜3週間は金には困らないだろう。

しかし、そうしたマジックアイテムの中でも異質であったのが、その刀。
鞘に入っているというのにまるで抜き身であるかのような威圧感を持ち、
その気配の本質は名刀と呼ばれる刀の持つ洗練された重みとは違う――。

――言うなれば、凶器。刀と言うには粗暴すぎる凶悪性がにじみ出ているような……。

「あ、あたしゃあ刀はわからんだあよ!
 そいつは借金のカタとして没落貴族の倉からかっぱらってきたものさね!
 まだ鑑定もしていない!」

534緑乃壱 瞑輔:2012/05/12(土) 23:39:37 ID:HnkBBDEo0
>>533
「ちィィイイイイ!! つっッッかえぇええエエなァァアアアアア!!」

 ガンガンガンガンと何度も荷台を叩く。
 ……が、どうやら飽きたようで溜息を一つ吐いた。

「ったく、貴族の倉から奪ってきたとなっちゃあ、もしかしたらタダの飾りモンかもなァ
 どれ、少し見てやろうかい。こう見えても俺は刀にはァ、それなりに目が肥えてんだよ」

 シッシッシと笑いつつ柄に手をかける。

――シャリン、と、刀が抜き放たれた音が響いた。

 途端に辺りが静まり返る。まるで空気が死んでしまったかのような感覚。
 全てが口を開くことを拒絶したような感覚が周囲を満たし、そして


「ああああああああああああああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛」


 咆哮。
 荷台の上でバタバタと何かが暴れ、もがき、倒れ、転げ、這いずりまわり、、、そして、
 ……静かになる。
 次にボロッブが台車の下から出てきた時には、既に緑乃壱の姿は無いだろう。
 荷台も刀以外のものは何一つなくなっていない。
 ただ、死んだような空気も失せ、元の静かな夜に戻っていた。

535欠け耳のボロッブ:2012/05/12(土) 23:48:59 ID:SSMHlh/20
>>534

ボロッブはしばらく、商品の一つである
『護身のローブ』に全身をくるんで、馬車の下で防御体制を取っていたが
静かになると、同時に緑乃壱の気配も同時に消えた事に気づき、
それでも恐る恐ると這い出してくる。

「まさかこんなとこでしかけてくるやつがいるとは……。
 いやはや、物狂いってやつかねえ……。」

がたごと、と荷台を確認する。
荒らされ、いくつかの品が壊れているもののとられた物はどうやら
例の刀だけであるらしい。

「あれがジャパニーズ・ヒトキリというやつか……。
 しかし……ありゃあ、よくねえもんってのあ俺でも分かる代物だ。
 さっさと売り払うつもりだったが……あの刀の意思ってモンがヤツを呼び寄せたンかねえ……。」

536焔魔堂宗也:2012/05/13(日) 22:25:20 ID:1sJsd2CgO
【寂れた空き地】
人通りも電灯の明かりも見当たらないビルの陰を伝う小道。
空き地と古びた民家の点在する未開発地域に、その男はいた。
「……」
――焔魔堂宗也だ。
短くギザギザとした黒い髪、二つの青い瞳を月明かりに向け、所在なさげに立っている。
白いシャツに黒いズボン、腰にはベルト以外に何も無い。
垂らした腕の五指に嵌めた銀の輪が青白い光を反射している。
宗也の周りには何も無い、ひび割れたアスファルトには雑草の一本も生えていなかった。

537名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 22:46:38 ID:mbXTFaJQ0
>>536
紙袋を抱えた人間が其方の方へ近づいてくる。
縦長の大きなそれからは食品が顔を覗かせている。買い物の帰りなのだろう。

純白の身体を持つそれは其方へとさらに近づく。
ちょっと気まずそうな面持ちでそちらへと視線を向けると、
「ねぇ、ここから大通りに行きたいんだけど……道、解る?」
と、少々気恥ずかしそうに尋ねた。

538焔魔堂宗也:2012/05/13(日) 23:12:36 ID:1sJsd2CgO
>>537

宗也は無言で白い姿に視線を落とす。
買い物袋と気恥ずかしそうな表情を見て、ふっと感情を覗かせる。

「あぁ、大通り……ね。うん、確か……向こう側かな」
指で方向をさし示す。
人気の無い広い道が隘路の先に見えるだろう。
確かに大通りではある、頭に「旧」が付いてはいるが。

「ところで、ずいぶん買い込みましたね……郊外の量販店にでも?
 まぁ、回り道でも横着しないで進めば、こんな場所に迷い込む事も無かったでしょうに」
そう言って和やかな笑みを浮かべる。

539名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 23:25:47 ID:mbXTFaJQ0
>>538
「……ありがとう」
示した方に視線を向け、少し経ってから戻す。
旧大通りと冠された名前を見て、フッと静かな笑みを零した。

「んー。余り買い物には出ないからね。
 出る時にはたくさん買っておきたいんだ」
×買い物には ○家から

「少し考え事をしてたらいつの間にかこんなところに……ね。
 周囲の景色も予想以上だよ。どうやら歪みに巻き込まれたのかもしれない」
完全な迷子状態だと語る。
その為に指標である大通りを探しているらしかった。

540焔魔堂宗也:2012/05/13(日) 23:46:47 ID:1sJsd2CgO
>>539

「なるほど。この都市の歪みは悪戯好きで困る……こっちだ、案内しよう」
踵を返し、宗也は歩きだす。
旧大通りから次第に反れるようなルートだ。
人気の無い道、空き地に廃屋が建ち並ぶ寂れた風景だ。

「――ですか? うっかり歪みに巻き込まれてしまうほど没頭していたのでしょう?」
歩き始めてすぐ、宗也は後ろの白い姿に言葉を投げる。
最初のほうは聞こえにくかっただろう。

541名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 00:01:39 ID:mbXTFaJQ0
>>540
「案内までしてくれるのかい?」
ククッ。
そう、薄らと笑みを零すと青年に付いていく。
見慣れない土地だからだろうか、しきりと周囲に視線を向けている。

「……なんだって? 悪いけど、聞こえなかったんだ」
聞き取れない部分があった。
何に付いてか。会話を行うについて重要な部分だ。
会話自体は得意でなくても、それくらいは理解できる。

542焔魔堂宗也:2012/05/14(月) 00:12:04 ID:1sJsd2CgO
>>541

宗也はゆっくりと道を進む。
曲がり角を右へ左へと進む。

「考え事ですよ、あなたのね。ここから大通りまでは……まぁ、遠いですから」

次第に道の奥がより暗く見えてくる。

543名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 00:23:31 ID:mbXTFaJQ0
>>542
「僕……?」
考え込む。
真紅の瞳を閉じ、深く考える仕草を見せる。
その状態でも付いて行く事はできたが、その間だけは周囲を見る事は出来なくなってしまう。

暫くして。
「段々と暗くなって行ってる気がするんだけど……大丈夫かな?」
再び周囲を見渡し、そう尋ねる。
それと同時に、僅かに歩調を遅らせ、其方との距離を少しずつ広げていく。

544焔魔堂宗也:2012/05/14(月) 00:46:59 ID:1sJsd2CgO
>>543

「あぁ、無理にとは言いません。さすがに悩み事は話せませんよね、特に見ず知らずの人間には……」
靴音が廃墟によく響く。
幾重にも反響して五、六人いるように聞こえる。
住み着いた野鳥か野良犬か、潜んでいる生き物の気配が微かにする。

「おや……どうしました?」
歩調が遅れた後ろに気がつき、宗也は足を止める。
カツンと靴音が反響する。
見れば天井高く、吹き抜けた廃墟の中――言うなれば旧百貨店。

「暗い所が苦手なら此方へ、この先なら月の光が明るいですよ」
エントランスホールまでの仄暗い廊下にアナタはいる。
そして、割れたガラス窓から差し込む青白い光を背に宗也はそちらを見ている。

545名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 01:04:27 ID:mbXTFaJQ0
>>544
「いや、あぁ……別に秘め事じゃないさ。
 以前、大きな屋敷が燃えただろう? それについてさ」
会話を得意とする人種では無い故に、常に後手に回ってしまう。
周囲には未だ視線を回していく。
こういう場所に明るくない人間で、少々興味があるのか、それとも……。
「特に何って訳でも無いけど、少し……ね」

「苦手って訳では無いさ、先を急ごう」
大きな紙袋を膝を使い、片腕でホールドする。
逆の手で此方を向いた状態の宗也の肩の先、詰まる所進行方向を差し。

546焔魔堂宗也:2012/05/14(月) 01:31:35 ID:1sJsd2CgO
>>545

「嗚呼、あの人形館か。
 私もニュースで見たよ、可哀想に……父親に先立たれた少女が居たんだってね?
 あ、そういえば……」

先を示す白い姿に、宗也はふと、黙る。
やがて、促されるがまま背を向けてエントランスホールの出口へと向かう。
踏み出す靴音はあまり反響しなかった。

「……その死んだジェームズ・フランキス氏だけどね。
 彼、明石燐太郎――ほら、放火魔の重要参考人として指名手配されてる四人のうち一人――と面識があるらしいんだ。
 そんなものだから、私怨だっていう噂もあってね……君はどう思う?」
ふふっ、と笑ったような声。
宗也は出口から抜けて、開けた道へ出る。
都市の中心部と都市郊外とを繋ぐ幹線道路のようだ、遠くで車道が陸橋になっている。

547名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 01:43:42 ID:mbXTFaJQ0
>>546
「へぇ、知らなかったよ。
 僕が持っている情報は一切と言って良い程に無いからね。
 気まぐれと言えど、関わってしまったんだし、知って置きたかったんだ」
それで、考えていたんだ。と続けると再び歩み始める。

「……解らないね。
 それも噂にしか過ぎないだろう?
 僕も余り情報を持っていない以上、深く言う事はできない。
 僕なりの推測を立ててキミに意見を求めるのは可能だ。だけどそれもまた噂程度でしかない」
開けた道。
先程が暗かっただけに相当明るく思える。
目を細めて光に抵抗を示し、同時に目を慣れさせる。

548焔魔堂宗也:2012/05/14(月) 02:09:57 ID:1sJsd2CgO
>>547

「賢明だ、だけど同時に保守的過ぎるきらいがある。
 思い詰めるほどに気になるのなら、噂程度でも心に留めて自分なりに考えておくといい。
 いつかその噂が役立つかもしれない。関わったとなれば、なおさら……」
道路を道なりに進む。
やがて、すぐ目の前には陸橋とその下に小さなスラムが見えるだけとなった。

「すまないね、どうにも説教くさくなる。
 気をつけてはいるんだが、日が浅くてね……なかなか見た目とそぐわない。
 ――ここまでかな。
 あとはこの陸橋に沿って、ずーっと進めば良い、少し遠いが……分かり易い」
宗也は振り向いて、遠く陸橋の先に見える千夜グループの巨大なビル群を指差す。
目印としてあれほど最適な建造物はおそらく他にないだろう。

549名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 02:31:29 ID:mbXTFaJQ0
>>548
「勿論、キミから聞いた噂は記憶しているよ。でも、自ら噂を立てる真似はしたくない。
 立てた仮説が視界を狭め、その綻びに何時か足を取られるかもしれない。
 一歩引いたところからの方が良く見えるだろう? ……これが保守的だと言うのかもしれないけれど」
言い終わったところで、フッと息を吐いた。
謝罪の言葉を口にする其方を見て、またそれもそぐわない。と感じ微笑む。

「有難う。
 せめてものお礼だよ。受け取ってくれ」
片膝を立て、袋を漁る。
両腕で保持する程の物を片膝に乗せてもぶれないバランス感覚な中々の物なのだろう。
程なくすると、ほそっこい純白の右手には板チョコがあって、それを差し出す。

「それじゃ、また何時か会えると良いね」
ククッ。
笑みは不気味の割に楽しげで。
純白の肌と髪に同色の服。
純白のシルエットは闇夜にまぎれることは無く、しばらくは其方の視界の内に……。

550焔魔堂宗也:2012/05/14(月) 02:55:18 ID:1sJsd2CgO
>>549

「ありがたく受け取っておくよ。
 またいつか――純白の賢者《ホワイトメイジ》……」
いつまでも視界に残る後ろ姿を見送りながら。
宗也は受け取った板チョコに視線を落とし、でもこっちはブラックと呟いた。




やがて、宗也は旧百貨店に戻る。
するとそこには夜間迷彩の小柄なアーミーが五人、整列していた。
全員、女性だ。

「ご苦労様。実戦形式にならないだけ良かった、君達もナンバーは増やしたくないだろう?」
宗也は彼女達にそう言って、仄暗い廊下の先へと歩いていく。
すると、彼女達の一人が宗也を引き止める。

「リーダー、一ついいですか」
「なんだい兵隊蟻《ソルジャー》、リンクに支障でも?」
「いえ、あの方はもう既に考えているのですから、更に考えろと仰るのは……」
しばらくの沈黙。

「む。……そうだな、考えより答えだな。そのほうが君達には理解しやすいか」
「全く」
どっちだろうねぇ、と宗也が呟く頃には其処には誰もいない。
誰一人として姿は残っていない。

551黒沢小百合:2012/05/14(月) 23:22:51 ID:SSMHlh/20
【千夜記念病院】

「で、マルシアーノスの動きはどうです?
 …………なら、今までと変わりない。では例の武器輸送規制の強化の件は……?」

黒沢小百合が意識を取り戻し、現在の状況を認識するまでに
さほどの時間は掛からなかった。なぜなら、次々となる電話と、たまりに溜まった書類、
病室に押しかける部下や、大小問わない組織の長の挨拶、報告、懇願の対応といった
情報の嵐にいやおうなく晒されたからだ。

「ふむ。ではブース上院議員にあとで此方から連絡しましょう。
 大丈夫、心配ありません。やつなど私が小指を少し動かせば木っ端と砕けるのだから。
 そうだ。アレはどうなった。ナントカ審査会とやらへの対応。アレに対しては――。」

その様子は、まったく陰りを感じさせずむしろ昏睡状態によって
十二分以上に休息を取る事ができたのか、以前よりも血色が良いようにも見える。

この調子ならば、すぐにでも退院できるだろう。

552ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 20:19:21 ID:mbXTFaJQ0
金髪碧眼の青年が路地裏に迷い込んだ。
「チッ……変なところに出ちまったな」
周囲を見渡して、見覚えの無い土地だと認識する。
何時もの様に親戚の家へ向かっていたのだが、どうやら異能都市に存在する歪みに巻き込まれたようだった。

余り良い予感がしない。
こういう場所は足早に通り過ぎていくのが一番だと判断し、歩む速度を早めていく。

553ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 20:27:53 ID:L43s68m60
>>552
バキッ、となにかを殴るような音が聞こえてくる。

「指名手配犯、皆川 元期。
1ヶ月前に19歳の少女をレイプし、殺した罰。
受けろ。」

ギャアアアア!、と、悲鳴が響き渡る。
しかしここは一通りが少なく、住宅地も近くにない。

554ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 20:44:13 ID:mbXTFaJQ0
>>553
耳に入る奇妙な音。
人の絶望が滲み出た悲鳴。
青年の下した断罪を耳にする。

腰に差した小さなデバイスに手にかける。
もしもの場合に備えての事。

声は出さず、物音も極力消す。
気配を出来る限り薄くし、難なくその場が終わる事を望む。

555ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 20:50:19 ID:L43s68m60
>>554
「フン、クズめ。」
ゲシ、と思いっきり蹴る。
そのせいで死体が吹き飛ばされる。

ラインハルトの目の前を頭が潰れた死体が横切り
壁にぶつかる。

「…、死体の処理をしなければな。」
ズカズカ、と死体に近付く足音が聞こえてくる。

そしてラインハルトの前にその声の主が現れた。

黒いコート、黒い手袋、茶色いテンガロンハット。
パッと見これだけが分かる。

「ん?」
その声の元がラインハルトを見る。
顔は30代、目は据わっている。

556ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 21:10:40 ID:mbXTFaJQ0
>>555
なんと運の無い。
死体が目の前を横切り、潰れた瞬間に思わず舌打ちが出てくる。
恐らく、『奴』はこっちに来る。やはり、良いことは無い。

その数秒後、予想通りだと言った風に現れる。
全身黒に纏まった服装。元より闇に紛れるのが目的か。
「この都市は思ったより治安が悪くて……なぁ?」
視線が合えば、青年は特に表情の変化も無くそう繰り出すだろう。

557ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 21:12:25 ID:L43s68m60
>>556
「あぁ、治安が悪すぎる。
だがそうさせるのは誰だ?
答えは簡単、犯罪者だ。」
ラインハルトを見ながら言う。

558ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 21:36:21 ID:mbXTFaJQ0
>>557
「だが、それを裁くのはお前の仕事じゃないだろう?」
腰のデバイスには手を掛けたまま。
『奴』がふつうである訳が無い。何時戦闘に入っても良いように相応の準備はしておく。

「これだとお前だって犯罪者だろう」
至極正論と言えるだろう。
死体に一度目を向け、直ぐに逸らす。
数分前まで人であったモノに向けられた瞳はどこか冷たげ。
だが、いくら正論と言えど、今言うべきでもないのも明らか。
青年自身がそこにあるモノに成り果てても可笑しくないと言うのに。

559ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 21:42:08 ID:L43s68m60
>>558
「あぁ、その通りだ。
だが誰も裁こうとしない、この世は腐ってる。」
ズカズカと死体に近付く。
「だから俺が裁く。
俺は間違っていない、この世に間違いと言う存在はない。」
コートから手帳を取り出す。

「そう、俺も犯罪者だ。
だが犯罪者を裁くのは誰だ?
神か?、死神か?
答えは一つしかない、犯罪を犯す者が犯罪をする相手
人間だ、なら人間が人間を裁くのは問題ないだろう。
誰も裁く権利を持っていないわけでもない、そして裁く権利を持っているわけでもないんだからな。
偽善者とは呼ばせんよ、俺はこの行動を善い行いとは微塵にも思っていないからな。」

560ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 21:57:39 ID:mbXTFaJQ0
>>559
「話が通じんな」
フゥ。と小さくため息を吐くと、少し距離を取る。

「お前の思考は短絡的過ぎる。
 自分で決めつけた事が全てだと思うな、馬鹿が」
腰を折り、顔を近づける。その際に、耳に付けられたイヤリング計五つがチャリンと音を立てて揺れる。
外観相応の威圧感と鋭い視線を持つ。一般人ならば脅しも効きそうな程だ。
が、直ぐに顔を離すと一転し、薄らと笑みを浮かべる。
「まぁ、お前と同じ。俺も偽善になるつもりはねーよ。
 無理に止めはしないし、妙な事に手を突っ込むつもりは無い。今日は運が悪かったと思うだけだ」

561ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 22:04:07 ID:L43s68m60
>>560
「俺は自分の考え方を曲げるつもりはないし
曲げようとも思わん。」
視線をまるで眼中に入っても相手をしないが如く言う。

「知らんなそんなこと。
お前が俺をバカにしても俺は別にかまわん。
俺が異常であるのは自負しているつもりだ。」
そう言うと死体を担ぐ。
「そうか。
お前が今やろうとしたことが偽善にでも思ったか?」
こちらは無表情だ。

562ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 22:15:42 ID:mbXTFaJQ0
>>561
そちらの言葉を聞くと、額に手を乗せる。
先程とは違い、間延びしたような息を吐く。
首を振ると、何処か疲れた様な表情を見せる。

「俺がお前を止めるんならな。
 そうすれば俺も唯の犯罪者に成り下がっちまう訳だ」
両手を広げて頭上にあげる。攻撃の意思のないことのポーズだ。
「ま、オッサンが妙にぶっ壊れてて助かったよ。
 セオリー通りなら俺も今更血まみれか?」
目の前の『奴』は自分中心な思想しか持ち合わせていない事を理解し、一安心。
都市的にはアブナイやつに変わりないのだが、自分がその刃に掛からないならば一先ずは安全だ。

563ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 22:20:48 ID:L43s68m60
>>562
「どうした。
赤の他人で犯罪者の俺を気にかけたってしょうもないだろう。」
相変わらず無表情な顔で言う。

「フン、自分が犯罪者になる事を拒むか。
ま、俺は卑怯者だしな。」
興味が無いような視線を出す。
「…、30代にもなればオッサンなのか。
そしてお前は何か犯罪でも犯したか?」

564ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 22:33:26 ID:mbXTFaJQ0
>>563
「別に気に掛けちゃねぇよ……。
 相変わらず話が通じねぇなぁってさ。
 俺の親戚も話が通じないと言えばそうなんだが……それとは別ベクトルだ」
やれやれ。と首を振る。
世話焼きと言った雰囲気の出る彼だが、そう言った側面から成り立っている物なのだろう。

「未だ俺は成人しちゃいねぇしな。俺から見れば十分オッサンだ。
 ……それも未だ、だな。殺しは無いが、殺された事ならあるぜ」
ニッと得意げに笑って見せる笑みはどこか自虐的だ。笑い話のつもりなのだろう。

565ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 22:38:11 ID:L43s68m60
>>564
「…そうか。」
ただ、それだけしか言わない。
元々世話になる気もないし、今さら誰かに世話になられてもうっとおしいだけだ。

「そういうものか。
……、蘇り系の能力持ちか?
それとも誰かから貰ったのか。」
まったく笑う雰囲気を見せない。

566ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 23:03:25 ID:mbXTFaJQ0
>>565
「言っても信じねぇと思うけどな……言うぞ?
 ……『刺されたと思ったらそれはウソだった』。
 こう言われてお前は想像できるか? 真正面からグッサリだ」
そう言うと、臍の少し上あたりに手を置く。

「血は出てた。死んだと思ったね……まぁ、結果はこれだけどな。
 気づいたら一切傷は無し。その代り、色んなおまけまで付いてきやがった」
はぁ。とめんどくさそうに溜息をつく。

567ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 23:06:23 ID:L43s68m60
>>566
「…、呪いの類か?
少なくともその表現の元ネタはジョジョだろうか?
おっと、今のは聞かなかったことにしてくれ。」

「なるほど。
それ以前にお前は自分の能力を発動出来ていたのか?」
探るような眼で言う。

568ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 23:32:48 ID:mbXTFaJQ0
>>567
「お前、意外と愉快な奴だな」
そちらの顔をしげしげと見つめながら。

「能力? んなもん無かったよ。
 今もあってないようなものだ」

569ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/15(火) 23:34:32 ID:x7aFRwe.0
>>568
「驚いたな。
俺に対して愉快な奴なんていう人間がいるなんて。」
眼は驚いているが顔は無表情だ。

「あってないようなものか。
誰かから貰ったりした様な物か?」

570ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/15(火) 23:54:25 ID:mbXTFaJQ0
>>569
「十分愉快だと思うけどな……」
皮肉半分、本心半分と言った所だろうか。
何処となく薄らと笑いを浮かべている辺りからそれがうかがえるだろう。

「オマケだよオマケ」
腹に充てていた手を離し、それを軽く振る。

571ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/16(水) 00:03:13 ID:x7aFRwe.0
>>570
「そうか。
まぁそういうのも人それぞれなんだろう。」
右手に手帳を持ち、左手にボールペンを持ち、書く。
【ライン記 某月 某日 深夜
今日、指名手配犯、皆川 元期を殺害。
頭をグシャリ、だ。
この世は腐った者が多すぎる、特に性犯罪によるものが。
俺は許さない、この世の全ての俺から見た腐ったものが。
殺してはいけないという奴もいるが、俺は認めない。
クズは死ぬべきなんだ、全員、例え幾らクズが生まれようとも俺は殺し続ける。】
そう記すとポケットにしまい、歩き出す。

「オマケか。」
何処か納得したような声で言う。

572ラインハルト=アドヴァルド:2012/05/16(水) 00:19:27 ID:mbXTFaJQ0
>>571
「そういうものだろ。
 特に、ここにはいろんな奴がいる。
 何が基準か。なんてもの解らないのかもな」
クルリと踵を返し、そちらに背を向ける。

「そーだ。案外悪いことでもないかもな。
 ……ま、二回目は勘弁してもらいたいけどな」
はぁ。と溜息をつき、そのまま歩き出す。
「じゃな、オッサン」
緩く手を振りながら、金髪の青年は繁華街方面へと歩いて行った。

573ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/16(水) 00:23:36 ID:x7aFRwe.0
>>572
「そうか。
そうだな、それにそもそもこの世に基準なんてものは存在しない。
平等を唱える者が最終的に必ず勝っているからな。」
そうして歩き出す。

「死ぬことが何回もあるのは間違いなく地獄だな。
ディアボロみたいな。」

「あばよ、少年。」
そうして、警察署に向けて歩き出す。

次の日、その指名手配犯の死体が警察署の前に置かれ、新聞になった。

574名も無き異能都市住民:2012/05/16(水) 21:34:50 ID:HnkBBDEo0
 辻斬り。
 夜の闇に紛れ、人を刃物で斬り殺す行為。
 大抵は金品目当てが主な目的であったが今夜現れた辻斬りは、そもそも「辻斬り」と呼べるかどうか……

――ズシャリ

 ライトが照らす街路樹を、血しぶきが真っ赤に染め上げる。
 通行人の一人が斬られ、隣には緑髪の男が刀を片手に持って立っていた。
 誰が斬ったのか、犯人は明確である。
 周りの人々は一瞬、何が起きたのが理解できずに立ち止まっている。

「……キキキ」

 犯人と思われし男は血のついた刀をビシャリと振るって血のりを飛ばし、
 すぐ近くにいた別の通行人に、また刀を振るって襲い掛かった。
 ここで、ようやく周囲の人間も殺人が起こったと理解できたらしい。

 大通りはたちまち阿鼻叫喚に包まれた。

575 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/16(水) 22:25:36 ID:7gFzKdaU0
「――――、くそッがァ――――――――ッ!!」

路地裏、あまり治安げ良いとはいえないそこに、暴力の気配。
そこに居たのは、いわゆる不良と、不思議な雰囲気の男だ。

その不思議な男は、3人ほどの不良に、全力でタコ殴りにされている。
地面に蹲って、うめき声を漏らしながら、殺意すらを宿した瞳で3人を睨みつける。
みぞおちに、つまさきが突き刺さる。嗚咽。声にならない声が漏れて、吐瀉物が路地に撒き散らされた。

暴力を振るっている不良たちは、十二分に怒りを蓄えているようで。
殺しても構わない、という程に凄まじい敵意を男に向けていた。
このまま放置していれば、殺される可能性も十二分にあることだろう。

なにせ、男からは不自然なほどに、外部に漏れ出る力という物が、欠片として感じられなかったのだから。

「ぐ……げァ――――」

喉を潰され、ヒキガエルのような声を漏らして。
地面をのたうち回る男。怒り、劣等感、殺意、それらの強い感情が、その瞳にはありありと浮かんでいた。

576?:2012/05/16(水) 22:44:57 ID:dL8H4NjE0
>>575
路地裏のすぐ近く。
『……がァ……!』
「…………ん?」
やけに殺気がこもった声が、少女の耳に入る。
桃色の肩までかかるかどうかといった感じのショートヘアー、白と黒を基調とした服。
この時間帯だと少し肌寒いような軽装のその少女は、声の方向、すなわち路地裏をのぞき込む。

「リンチの最中って感じだねえ」
殺し合いすら頻繁に起こるこの街では、特に珍しいことでもない。
ただ少し違うとすれば、その被害者に抵抗の意志があることか。
首を突っ込んで面倒事に巻き込まれるのもイヤなのでスルーしようかと思ったが、

「へーい何してるんだいそこの三人と一人?」
加害者の一人の肩を後ろからぽんと叩き、ニコニコと笑って話しかける。
どうやら今日は気が向いたようだ。

577 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/16(水) 22:48:49 ID:7gFzKdaU0
>>576
「こいつが!」
「俺たちに喧嘩売ってきたんだっての」
「いきなり殴りかかってきて、なのに糞よえーの、笑っちまうぜ」

頭を踏みつけ、ぐりぐりと踏みにじりながら、不良達はやかましい笑い声を響かせる。
その、頭を踏む脚を、縋りつくように握りしめ、爪を立てるのは、足元の男。
睨みつける瞳は、己以外の他者、全てに対する敵意、悪意に他ならない。

「糞、が――――ッ!!」

脚を無理やり引張り、不良の一人が体勢を崩す。
だがそれに反応して、他の二人が、その男を蹴り、殴り始める。
やはり、状況は覆らなかった。

578?:2012/05/16(水) 22:58:09 ID:dL8H4NjE0
>>577
「ふーん、まあどうでもいいんだけどね」
少女の気まぐれは、あくまで倒れている男を助けること。
その言葉通り、自分から聞いておきながら本当にどうでもいいといった感じだ。

少女は突然身を屈め、左足を軸にして足払いを三人にかける。
少女の体格からは想像できないほどの力。避けられなければ綺麗に足が宙に浮き、体を地面にうちつけるだろう。

579 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/16(水) 23:05:28 ID:7gFzKdaU0
>>578
「――――っ、が……ァ」

不良たちは、足払いを受けて、したたかに背中を打ち付け、顔を顰めた。
慌てて立ち上がり、少しは頭も冷えたのか。
ちっ、と舌打ちを零すと、足元の男に最後に一発、蹴りを叩きこんで逃げ出していった。

「……ぅ、……ち、ィ――――」

げ、ぼっ。びちゃり、と血の混じる痰を吐き出して。
立ち上がろうとするも、足腰が立たず、男は動けない。
ぎろり。目付きの悪い星空の双眸が、相手を睨みつける。

「テメェ。気まぐれに人助けして、それで自分は善人です、とでも思ってるつもりか。
 言っとくが、礼は言わねぇ。……あんな劣等種、手を出すまでもなかっただけの事だ。
 ……くそ、不愉快だ。石の塔に、透明な板に、熱くない光に、速い牛車に――――わけわかんねぇぞ、畜生」

礼すら言わずに、今度こそ。ゆっくりと立ち上がる男。
見たところ、何の力も感じられず、無能力者としか思えない。
だが、謎の自信と慢心に、この男は満ち満ちているのだった。

580?:2012/05/16(水) 23:16:49 ID:dL8H4NjE0
>>579
「力関係ぐらいはわかるっぽいね、よろしい」
じゃーねーと逃げる男たちに軽く手を振ってから、足元の方に目を向ける。

「私が善人っていうのなら世の中の人間みんな善人だよ」
ポーチからカードを一枚取り出す。
そこに描かれているのはモノクロのジョーカー。
それを軽く一振りすれば、カードは一瞬にして少女の身の丈ほどある大鎌へと変わるだろう。
そしてそれを男につきつけ、
「私の気まぐれ次第で殺すことだってできるし、気まぐれって案外怖いんだよ?」
突然そんなことを言う。

581 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/16(水) 23:23:47 ID:7gFzKdaU0
>>580
「――――テメェごときじゃ、俺を殺すことなんざ、出来ねーよ。
 吠えるなよ、駄犬。言葉を話していいのは、人でも犬でもなく、俺様一人だ」

目の前に突きつけられた大鎌を見据えて。
どうしようもないほどの弱者は、笑うことすらせず、大言壮語を言ってのけた。
力関係が分かっていない、筋金入りのキチガイが、そこにいる。

「気まぐれ次第で殺されるのは、お前だろうが」

そう言うと、唐突に右拳を振りかぶり、相手の腹部へと殴りかかろうとする。
速度は遅くはない、力も弱くはない。だが――――それだけだった。
悲しい程に、無能力。ただ、五体のみで戦わなければならないのは、この都市においては弱点と言うほかないだろう。

582?:2012/05/16(水) 23:35:35 ID:dL8H4NjE0
>>581
「わかりましたわん、すいませんでしたわん」
わんわんと犬の鳴き声を語尾に付けてしゃべる。
ふざけているのか、バカにしているのか、それとも両方か。
少なくとも真面目に相手をしようとしていないことは確実だ。

「……いいね」
笑いながら少女は言う。
身を捻って拳を避けると、半歩だけ男から距離をとる。
「アンタみたいなキチガイは見てて面白い、気に入った」
「やりたいならきなよ、遊ぶ相手ぐらいにはなってあげる」
手をパンパンと叩いて挑発する。

583 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/16(水) 23:42:36 ID:7gFzKdaU0
>>582
相手の態度、己の言葉を聞きもしない態度。
それらに、男のなかの何かがぷちりと切れて、そして、膨れ上がる。
地面を蹴った、そして、雄叫びが響き、声が口から発せられる。

「――――だから、言葉をしゃべるなつっただろうがァ――――――――ッ!!」

放ったのは、型も何も、有ったものではない、ただの前蹴り。
隙だらけで、罠でも何でもない、ただ、羽虫が五月蝿いから潰す、という様な無造作なもの。
ただし――――実力は、欠片ほども伴っていなかったのだが。

己こそが絶対、己、自分、自分、自分、自分が、自分が、自分我、我、我。
我執に囚われた、異常なまでの自己中心、自己絶対主義。
まともな人間では、まともな精神では、このような在り方をすることはきっと出来ないことだろう。

584?:2012/05/16(水) 23:54:54 ID:dL8H4NjE0
>>583
そんな蹴りが少女に届くわけもなく。

「驚くくらい自己中心的だねえ、惚れちゃうわあ」
「おっと、しゃべっちゃだめなんだっけ?まあ許して」
軽口を言いながら片手で簡単にその足を掴み、攻撃を受け止める。
そしてその足を思い切り自分の方へ引くと、自分は少し前進。
すれ違うようにして男の横を通る瞬間、男のもう一本の足を払おうとする。

585 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/17(木) 00:00:35 ID:7gFzKdaU0
>>584
「――――っ!? だ、ぐ…………ッ」

蹴りが外れ、受け止められ、体勢が崩れた所で足払い。
ごしゃり、派手に男は倒れて、頭をコンクリートに打ち付ける。
だく、だく。血が漏れだして、コンクリートに紅い痕がつく、が。

「ゆる、さねぇ――――、人間も、妖怪も、神も。
 誰一人、俺様を見下す事は許さねぇ。許さねぇ――――!
 俺は、絶対。誰かに、頼らなくても、誰かに触れずとも。
 俺は、俺だ――――だから、俺は最強。お前は、だから――――カスだ!」

訳の分からない、狂人の理論で、男は立ち上がる。
視界がぼやけ、後頭部が割れて血が噴き出しているのに。
ふらり、ゆらりと。異常な丈夫さを持ってゆっくりと、迫っていった。

586?:2012/05/17(木) 00:17:01 ID:dL8H4NjE0
>>585
「……ふむ」
何でこんなにもこの男が自信を持つことができているのか、少女は少し疑問に思う。
絶対的な力があるわけではないことは明らか。
それどころか、無能力と表現した方がいい気さえする。
たとえどれだけ自分に自信があろうが、ここまでブレないのはもはや狂っているとしか言いようがない。

「一つ聞く、答えるかどうかは君の自由」
頭から血を流しながら、意識が飛びそうになりながら、それでも立ち上がる。
その様子に興味を持ったのか、それともいつもの気まぐれか。
少女は一つだけ男に問いかける。
「何が君の心の支えになってる?君の心を構成しているのは何?」
答えがかえって来ることなど期待していない。あくまでダメもと、聞ければ御の字。

587 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/17(木) 00:23:01 ID:7gFzKdaU0
>>586
荒い息を吐きながら、男はゆっくりと、歩みを進めていく。
凄まじい目つき、殺気で、相手を睨みつけながら。
相手の言葉に、何を馬鹿なことを言っているんだこいつ、と言わんばかりの笑みを浮かべる。

「俺が最強、最強、絶対だという事実、俺以外がカスだという確信――――それだけだ。
 だから、いい加減に黙れよ。お前は――――俺以下なんだからよォォォォォオォォォォォッ!!」

地面を蹴り、タックルを叩きつけ、相手を引き倒そうとする男。
一瞬。本当に一瞬だけ、何らかの力が感じられて、そして消えた。
力の気配が消えると同時に、男の傷も消えていたが、どっちにしろ、速度も力もたかが知れている。

一瞬の発露故に、その力が強いか弱いかすらもわからない。
なんとも、不気味なほどに謎の自信と、もしかすれば、その理由である力。
謎は、謎でしか無く、その謎はまだ紐解かれることはなかった。

588?:2012/05/17(木) 00:32:59 ID:dL8H4NjE0
>>587
「……んー、これじゃないなあ」
男の返答に、少し残念そうな様子を見せる。
少女は少女で求めている答えがあるのかもしれない。

「もういいや、飽きた。これ以上相手するのも疲れたし、寝てよ」
タックルを迎え撃つ形で身を屈め、男の腹部に肘を打ち込もうとする。
わずかに感じた一瞬の力に少しの違和感を持ちながら、とりあえず無視を決めこんで。

589 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/17(木) 00:38:26 ID:7gFzKdaU0
>>588
「――――ぐ、あ…………っが……!」

肘が打ち込まれ、『まるで陶器に罅が入ったかのような音』が聞こえて、男は今度こそ気絶した。
地面にうずくまり、うめき声を漏らす男の体からは。
並の能力者のそれに劣る程度の、僅かな力の発露が、起きていたようだった。

590?:2012/05/17(木) 00:47:53 ID:dL8H4NjE0
>>589
「……」
気絶したことを確認すると、少女は動いたせいで乱れた服を整える。
男から感じた一瞬の力、いつの間にか消えている傷、男の体から聞こえた音。

「ようこそ化け物たちの領域に、って感じかな?」
おそらくは男から感じた力が関係しているのだろう。
能力に目覚めたのかはわからないが、何か男の中で変化があったのは間違いない。
あの異様な精神と男の力に少しの興味を抱きながら、少女は去っていった。

//乙でした

591 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/17(木) 00:52:16 ID:7gFzKdaU0
>>590
暫くたっての路地裏、また、男は絡まれていた。
しかし、声を聞いている様子は無く、一人で小さく言葉を呟いていただけ。

「――――息苦しいんだよ、気色悪いんだよ。
 ……要らねぇんだよ、俺以外、なにも、何一つ。
 だから――――死ねよ」

ぷちり。羽虫が数匹、手で叩かれて潰れて消えた。
思わず、笑いが溢れる。これまで、これが出来ていなかったのだから。
やっと、出来て当然だったことがわずかでも出来るようになった、開放感に酔いしれる。

「やっと、罅が入った。
 もっと、広げれば、広がれば――――ックク…………ッ!
 ッキャヒャハ……! ッハハハハッハハハハハハハハッハハハハハハッハハハハハハハハハハハ!!」

羽虫の血に塗れた路地裏で。
男の笑いが、いつまでも響き続けていた――。

592八代真人:2012/05/17(木) 22:37:49 ID:1sJsd2CgO
【図書館】

書庫棚に挟まれた狭い空間、背表紙を視線でなぞる極めて平々凡々な男がいた。
このメガネ、名前は八代真人。
無期限の暇を出され、ここのところは仕事の忙しさと無縁な暇人である。

「……何が面白いのか、全く見当が付かない……」
小脇に二冊の本を抱え、壁のように聳え立つ国内外のあらゆる文庫本を前に表情は固い。
先程から小一時間、どれにするか決めかねている。


(……あくまで形式は“ついで”だ。とはいえ、この選択はそれなりに重要だよなぁ)
うーんと悩む真人が手にしているのは、地図とガイドブック。
『よろずの地図出版第二十七版 パーフェクトシティーマップ』
『神出鬼没の神社百選』
それぞれこんなタイトル。

593高向谷 司朗:2012/05/18(金) 21:36:47 ID:NntjvIzM0
【昼−異能都市西部・骨董露店市場】

「やっぱりお前の正体を調べるなら、
 お前を買った露店に聞きに行くのが一番だな」

司朗は街の西にある骨董市を訪れていた。
骨董市といえば固い場所に感じるが、この場所ではそれなりのアクセサリーが売っていることもあり、
ちょっと通な雰囲気を味わいたい中高生も集まるような隠れスポットだった。
犯罪、事件も無いわけではないが、危険物の取引の隠れ蓑にされていたり、
マネーロンダリングに利用されているようなディープな場所に比べれば、安全な場所である。

「名案だ……それが一月も前の話であることを除けばな」

しかし、司朗はそこでおおよそ危険物と言えるものを手に入れてしまったのだ。
それが、司朗が腰にぶら下げている喋るエンブレムである。
司朗はそのエンブレムの出自を調べる為――半分は暇つぶしであったが――この市場を訪れていた。

594名も無き異能都市住民:2012/05/18(金) 22:25:24 ID:1sJsd2CgO
>>593

「よーう、俺だよ俺」
骨董市の奥から近付いてきた若い男がいきなりそんな声を出した。

「一昨日ぶりだなオジサン。うん、そう。そーゆーこと、さすがァ……解ってんじゃん」
だが、それは携帯電話の通話先へ向けられた言葉だ。
あなたの来た方向――街の方へ向かう最中、たまたま近くを通った時に通話が始まった。
ただそれだけだ。

595高向谷 司朗:2012/05/18(金) 22:40:37 ID:NntjvIzM0
>>594
「うん?」

話しかけられたようで、後ろを振り向いた。
しかし、その声の向かう先は携帯電話で。

「はは……よくある、よくある」

恥ずかしそうに前を向き直ったのだった。

596名も無き異能都市住民:2012/05/18(金) 23:06:31 ID:1sJsd2CgO
>>595

若い男の肩に見えるだろう。
真っ赤なトカゲの刺青。
袖の肩口を引きちぎってまで誇示しているのだから。

「いつも通りの量、用意しとけよ。今から取りに行くからさ……ァア? シラネーヨんなことッ! そっちのミスだろぉ!?」
周囲の事を歯牙にもかけず、向こうの相手へと怒鳴り散らし、苛立ち紛れに脚が動く。
看板に当たって派手な音をたてた。

「――あんだよ、邪魔だな……“退け”よ、ドケドケ」
通行人を見て、苛々と髪をかきむしる。
若い男の目を見た人々は、言葉の通りに道を譲り始める。

597高向谷 司朗:2012/05/18(金) 23:18:59 ID:NntjvIzM0
>>596
(……赤い刺青って肌の色と被って見えにくくないのかなあ?)

すれ違った直後、ボソッと呟きながら刺青を見た。

(迷惑だなあ。まあ、触らぬ神に……ってか)

一瞬司朗の中の正義感がやれと叫んだが、それはただの無謀である。
司朗が、ましてや先日異能を手にしたばかりの司朗が立ち向かったとしても、
露店の方に余計な迷惑がかかるだけとしか思えない。

「やれやれ、しかし進行方向が同じとはね……」

ぼそぼそと呟きながら、なるべく肩幅も歩幅も小さくし、偶然進行方向が同じなだけですよ、
というような雰囲気をわざとらしくかもし出しながら男の数メートル後ろを歩いていく。

598名も無き異能都市住民:2012/05/18(金) 23:35:26 ID:1sJsd2CgO
>>597

「……」
肌に乗る鮮やかな赤。
確かに遠目には判りにくいだろう、しかし近場から見れば赤い刺青と認識出来る程度には目立つ。
これで十分役に立つ。
むしろ、こうでなくては意味がない代物なのだ。

「ん。ああ、ちぃっとな。……あのよぉ、オジサン。あんたが言えた事じゃねぇんだが?」
赤い刺青の男は骨董市から出た途端に、市街地へと向いていた足を脇道に反らし。
隘路へと進み込んでいく。

599高向谷 司朗:2012/05/18(金) 23:40:58 ID:NntjvIzM0
>>598
「うわぁ……また進行方向一緒だよ……」

ため息をつきながら、男の後ろを歩く。
市場から出たおかげで人が少なくなったので、もっとゆっくりと歩き、男との距離を離していく。

「おっ……やっと交差点だ」

もうすぐ二股の交差点。
どちらに進んでも、司朗が自宅へ帰ることが出来る道だった。

「ここはあの人と逆の方に行くしかないね」

600名も無き異能都市住民:2012/05/18(金) 23:56:53 ID:1sJsd2CgO
>>599

「そうそう、解ればいい。んじゃな、オジサン。アンタの家で待ってるから――」
プツ、と電話を切る。
丁度二又の手前だ。

迷う事なく、右手へ進むとすぐにある至極一般的な一戸建てに入っていった。
表札の一番上には『不破 厳令』と書かれている。
通話相手の名前だろう。
その下には配偶者の名前があったであろう跡が虚しく残っていた。

601高向谷 司朗:2012/05/19(土) 00:04:48 ID:NntjvIzM0
>>600
「まったく、それじゃさいならー……」

表札も読むことなく、司朗はあっさり左側に進む。
すでに電話の男が何を話していたかも覚えていない。

「あーあ、なんでおっさんのストーカーしなきゃいけないんだよ……。
 あれだ、漫画だったら窓から俺のこと見てて、
 "手を出せば命は無かった……"とか呟いてるって奴だぜ」

ありもしないことを良いながら、
しかし自分で言ったことが気になって、一戸建ての窓を振り返るのだった。

602?:2012/05/21(月) 20:40:14 ID:dL8H4NjE0
「あ……うぁ……」
少女宅。
一人で住むには大きすぎる部屋の隅、少女は独り声にならない声をあげてうずくまる。
桃色の髪やボロボロの白と黒の服は冷や汗でびっしょりと濡れている。
両手で頭を抱え俯き、目から汗とは違う大粒の滴を流す。

殺した。三人。
罪なんてなにもないただの一般人を、私利私欲のために。
『死期』が訪れていた?そんなことは少女には関係ない。
首を刈り取った時の感触が手にまだある。頭と胴体が離ればなれになった光景が脳裏にこびりついている。
ただ人をこの手で殺したという事実だけが少女に重くのしかかる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」
壊れた人形のようにつぶやき続ける。
そこにいつも飄々とした態度の少女の姿はなかった。

603シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 21:47:57 ID:mbXTFaJQ0
アーケードは混乱に包まれていた。
逃げ回る人々の中央に居るのは、紅白の一対。
黒の少女が人を襲い、白の少年はそれを災禍の中央から眺めていた。

「気を付けてくださいね」
黒の少女にそう告げると、白の少年は手にしたシルクハットを人に翳す。
するとどうだろうか。人から光のようなものが浮き上がり、シルクハットに吸い込まれていったではないか。

604ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 21:55:54 ID:Wm1NcFa.0
>>603
「コォォォォ。」
そんな中、妙な呼吸をするものが一人。

「磁気を操る波紋!、波紋疾走(オーバードライブ)!!」

すると両足から光が現れ、足が地面にピッタリとくっつき
まったく吸いこまれない。

「君達は一体何をしているんだ!?」

そしてそんな行動を起こしている者に対し怒りを燃やす。

605シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 22:12:03 ID:mbXTFaJQ0
>>604
「なんです?」
シルクハットを胸に構え、柔らかな瞳でそちらを見る少年。
翠色の瞳は微笑み携えたままを僅かに目を細めた。

「ただの実験ですよ」

606ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 22:15:18 ID:Wm1NcFa.0
>>605
「実験だと!?
いったいなんの実験だ、なんの為の実験だ!?
吸いこんだ人たちはどうなる!!?」

ズカズカと力強い足取りで近付く。

607シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 22:32:11 ID:mbXTFaJQ0
>>606
「さて、話しても理解できますかね」
小さくため息を吐くとシルクハットを頭に乗せる。
巻かれた黒いリボンが靡く。

「何を焦っているんですか。
 人は無事じゃないですか。少し力を借りているだけなんですから」
確かに人は無傷。
白い少年は光のような物を吸い取っただけで、外傷は特に見られない。

608ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 22:33:46 ID:Wm1NcFa.0
>>607
「…確かに外傷は見られないが。
いったい何をしたんだ?」

冷静に周りを見るが彼の言っている事は本当だがしかし、やはり気になる。

609シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 22:36:03 ID:mbXTFaJQ0
>>608
「だから、話しても理解できないと……」
こめかみの辺りに指を置き、ふぅと溜息を吐く。
口には出していないが、小馬鹿にした雰囲気がありありと伝わるだろう。

610ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 22:38:46 ID:Wm1NcFa.0
>>609
「理解できなくても良い、話してくれ。
でないと気が済まん。」

小馬鹿にした態度は気にしない、その程度の挑発で気が揺れるなど
波紋の呼吸法でない。

611シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 22:50:16 ID:mbXTFaJQ0
>>610
「お断りです。時間の無駄ですから」
クルリと踵を返すと、黒い少女の元へ歩いて行く。
彼女は一般の成人男性を後頭部への手刀で気絶させると、それを少年に差し出す。

「お疲れ様です」
シルクハットを男性の胸に翳し、また光の様な物を吸い込む。

612ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 22:55:15 ID:Wm1NcFa.0
>>611
「…、コォォォォ。」
足元の落ち葉を拾って波紋を練る。

「フン!!」
そして波紋を帯びた落ち葉を投げ付ける!
そのスピードは高速!

613シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 23:01:58 ID:mbXTFaJQ0
>>612
「どうするって言うんです?」
振り向き、向かい合う形に戻るとシルクハットを頭上に乗せる。
相変わらず微笑みは緩く、優しげな少年の物だ。

614ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 23:06:21 ID:Wm1NcFa.0
>>613
「理由が話せないワケを話してもらおう。
簡潔でもかまわない、教えてくれ。」

615シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 23:12:58 ID:mbXTFaJQ0
>>614
「貴方には理解できない。そういった筈ですが?」
少年は早口でそう告げると首を振りやれやれ。とつぶやいた。
目の前の男のしつこさに辟易しているのでは無い。
いうなれば、少年は少年自身に向かって溜息を吐いたのだった。

「お人よしですね、僕も……」

616ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 23:15:55 ID:Wm1NcFa.0
>>615
「ならば聞こう、この実験とやらに
人が犠牲になる事は無いのだな?」

617シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 23:21:14 ID:mbXTFaJQ0
>>616
「ここで僕が"ハイ"と答えれば貴方は帰ってくれるんですかね?」
白い少年は依然其方に目を向けたまま。
同じ純白で溢れたコートからまだ幼げのある小さい手を伸ばした。
それはとある箇所を指している。
少年の背後。逃げ惑う人々を捕らえ、地面に吐き捨てていく悪行を行う少女を。

618ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 23:27:51 ID:Wm1NcFa.0
>>617
「…、それは少し難しいな。」
と、険しい顔をする。

「僕はいわゆる、「悪」というものが許せない性質でね。
こういった困っている人達を見過ごせないんだ。」
そう言うと、その悪行を行う少女に近付いていく。

619シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 23:38:59 ID:mbXTFaJQ0
>>618
「だったら、『どうする』って言うんです?」
少年は動かなかった。
ウィルが横を抜け、少女の元へと向かっても。
微笑みを崩さず、引きとめる訳でも無く、そのまま。

『はぁっ……てぇやっ!』
少女は今も一人、捕まえたところだった。
女性だ。スーツ姿であることから、恐らくは仕事帰りだったのだろう。
首を掴まれたまま、引き倒されて叩きつけられるとそのまま気絶してしまったようだ。
逆上した男性が少女に向かって背後から殴りかかるが、回し蹴りでカウンターを受けて吹き飛んでしまった。
既に辺りには動く人間は居なかった。逃げおおせたか、捕まってしまったか。だった。

『お前、誰だ』
振り返った姿は壮絶な物だった。
体中に鎖が這いまわっていて、それは顔にも及ぶ。
鋼鉄の素材で作られた鎖は、鼻の中央で交差していた。
それが身体中に蔓延って、腰でキツく巻きつけられた残りは引き摺られて奇妙な足音を作り上げていた。
少女らしく細い手には呪詛の書き込まれた黒い布が幾重にも巻かれている。
辛うじて見える指先は白く、少女らしくかつ美しい手を持っていたことが解るだろう。

620ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 23:41:50 ID:Wm1NcFa.0
>>619
「…、助ける。」
それがどちらかを言わず、そのまま行く。

その壮絶な姿を見ても動じず、ただ近付く。

「君は、いったい何をしているんだ?」
まず最初に思った疑問を持ちかける。

621シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/23(水) 23:52:05 ID:mbXTFaJQ0
>>620
『何、か?』
首を傾げると、足元を見た。
少女の表情は、純粋に理解が出来て居ないと言った風。
同じ年代の少女で例えれば、問題の解法を尋ねる時のような、純粋な疑問の表情。

足元を見たのは、少女の脚を掴む手があったからだった。
伸したと思って居たのだが、まだ意識が残っていたらしい。
少女は疑問の表情のまま、黒く染まった手でまだ意識がある人間を掴むと、地面に叩きつけた。
『シノンが楽になるだろ?』

622ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 23:56:39 ID:Wm1NcFa.0
>>621
「シノン、とはあの人か?」
先程話した男の方に指を向ける。

「楽、とはどういう意味なんだ?」

623シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 00:04:09 ID:mbXTFaJQ0
>>622
シノンと呼ばれた少年は先程の場所から一歩も動かず、ただ二人のやり取り眺めているだけだった。

『倒せば、楽だろ?』
少女の口調はあどけない。言葉も途切れ途切れで、まだ言葉選びもなっていない。
もしかしたら年齢も二桁に届くかどうかと言った風貌だ。まだ教育が行き届いていない可能性もある。
素直すぎる口を開く裏で、もしかしたら罪の意識が少女には無いのかもしれない。

『動かないからな』
そうすれば、光の様な物を吸い上げる効率が上がる。ということだろう。

624ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 00:06:55 ID:Wm1NcFa.0
>>623
「動かない…、君はシノンという人が良ければ他はどうでもいいという事なのか?」

625シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 00:12:16 ID:mbXTFaJQ0
>>624
『ダメなのか?』
純粋な疑問は、少女の中では解決しなかった様。
その問題を提示した男に尋ね、再確認をする。

626ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 00:15:48 ID:Wm1NcFa.0
>>625
「ダメとは言わないがどちらかと言えばダメな方だろう。
シノンという人はダメとも良いとも思ってないみたいだけど。」
そう言うと近付く。

「君は、彼の為にこうしているのかい?」

627シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 00:21:19 ID:mbXTFaJQ0
>>626
『お前、ウルサイぞ』
ムッとした表情を見せて男から離れていく。
少女の行動の邪魔にはなっているのだろう。

しかし、振り返ると其方を指差し口を開く。
『あ、お前は狙わないぞ。強いからな。
 シノンが言ってた。戦えない奴を狙えって』

628ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 00:24:05 ID:Wm1NcFa.0
>>627
「すまないね、こういうのは少し見過ごせない性質なんだ。」
と、言うとまた近付く。

「狙えって事は、彼が君に命令しているのか?」

629シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 00:30:53 ID:mbXTFaJQ0
>>628
『そうか』
別に興味を掻きたてる内容では無かったと言う事か。
淡白な返事を一言だけ返すとアーケードを抜けていく。
『そうだ。
 じゃあ次に行くぞ。シノンがやれって言ってるからな』
無理に引き止めなければ、少女は足を止めることなくまた人のいるところを狙いにいくだろう。

630ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 00:33:03 ID:Wm1NcFa.0
>>629
「そうか…。」
そう言うと彼女から離れてシノンの方に向かってゆく。

「君は彼女のなんだ?
友達とかそういうものなのか?」

631シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 00:45:32 ID:mbXTFaJQ0
>>630
「僕の方に用があるんですか」
倒れた人間から光の様な物を吸い上げる少年。
シルクハットの内側に吸い込まれた光はその中で消えてしまう。
しゃがみ込んで、作業に没頭していた様だが、
ウィルが少女を見逃し近づいてくるのを知ると、真正面から向き合った。

「それを知って、どうにかなるんですか?
 都合の良い言葉を返せば、見逃してくれるんですかね?」
笑みは相変わらずだが、視界は男に向けられていなかった。
人々の倒れ伏す姿一つ一つに向けられている。早く仕事を終わらせたいのだろう。

632ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 00:47:24 ID:qzexOl3M0
>>631
「そういうワケじゃない。
…話を一番最初に戻すが、この実験とやらは一体何なんだ。
その光は一体なんなんだ。
教えてもらいたいのだが。」

633シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 00:54:11 ID:mbXTFaJQ0
>>632
「堂々巡り、押し問答。鼬ごっこ。無限ループ。
 いい加減無駄だって気づかないんですかね?」
僅かに目を細めると歩みを進め、ウィルの横を過ぎる。
意識を失った者の傍へ向かい、しゃがむとシルクハットを翳し、人の光を集める。

「教えない。
 どうせ喋っても理解してくれない。言った筈ですが?」
最早視線を向けず、作業に没頭している。
周囲に倒れている人間はざっと見て20人ほどだが、少年の作業はもうすぐ終わりそうだ。
恐らく、ウィルが少女と喋っている間にも作業を続けていたのだろう。

634ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 00:55:57 ID:qzexOl3M0
>>633
「理解するしないの問題じゃない、僕にとっては。」
そう言ってまた近付く。

「ウザったいとは思うが教えてくれ。
この行動にどんな意味があるのかを。」

635シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 01:07:13 ID:mbXTFaJQ0
>>634
「うざったい。表現するならそうでしょうね。
 ですが、急がば回れとも言いますしね」
周囲に居る人間の光はすべて吸い終わったようだ。
少年は振り返ると再び正面から向き合う形になる。が、そこに笑顔は無い。

「いいでしょう。軽くですが話してあげますよ」
シルクハットを軽く振ると、光が一つ飛び出した。
恐らくは吸い上げた物の一つだろう。少年が指を差し出すと、その上に止まる。
「これは、人の力の欠片です。生活する中で支障が出ない程度に分けてもらいました」
指先に止まっていた光は形を変えていき、純白の輝きを帯びる蝶が出来上がった。
「僕はこれで世界を救います」

636ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 01:10:40 ID:qzexOl3M0
>>635
「すまない。」
と、頭を下げる。

「世界を救う…具体的にどんな方法で救うんだ?」

637シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 01:17:24 ID:mbXTFaJQ0
>>636
「僕はこの世界の人間ではありません。
 僕の住んでいた世界は酷く荒廃的で、今すぐに滅びそうだ」
ウィルの謝罪には「構いませんよ」と微笑みを垣間見せて答えた。
少年の風貌は、少女と大差ない年齢だろう。
それでも、出で立ちに落ち着きがあり、『完成されて見える』のは、少年の抱く野望の大きさが起因しているのだろうか。

638ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 01:19:00 ID:qzexOl3M0
>>637
「…つまり君がこの行動を起こすのは
君の世界を救うためのエネルギーになるから、と言いたいのか?」

639シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 01:34:04 ID:mbXTFaJQ0
>>638
「簡潔に言えばそうですね。
 あの世界を救うには、人の思念の集合体である『奇跡』が必要になります」
少年は逆さに向けたシルクハットに、蝶の乗った指を近づけた。
少は促されるままにシルクハットへと飛んでいき、白い光の塊に戻ると吸いこまれていった。

「その為に、僕は協力者である彼女と共に行動していましてね」
アーケードの抜けた先。少女の歩いて行った方に顔を向ける。

640ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 17:47:05 ID:1UZS/7460
>>639
「…、本当に人の命が犠牲になる事はないんだな?」

641シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 22:06:07 ID:mbXTFaJQ0
>>640
「諄いですね。
 聞くだけでなく、ご自身で判断されてはいかがです?」
周囲の人間は全て吸い終わった。
最後に残ったのは少女に投げ飛ばされてアーケードの端に転がる男。
ウィルに視線を注ぐことなく、その男を目指して歩いて行く。

「ですが、嬉しいですね。そんなにも僕を信用してくれるなんて」

642ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 22:26:34 ID:y.bv1eHY0
>>641
「信用はしていない。」
心外だ、と言うようにでも言う。

「とりあえず君の目的は分かった。
こういった強硬手段に走らなきゃいけないっていうのもな。
力を借りるといったが…、吸い取られた人間はどうなるのだ?
すまないが今判断するのは自分には難しい。」

643シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 22:42:01 ID:mbXTFaJQ0
>>642
「ならなんで貴方は何も手を出さないんです?」
男の元にたどり着くと、作業を進める前に男の身体を引き起こす。
上半身を立て、男の身体が確りと其方に見える様に。

「正義を気取って出てくる割には何も手を出さない。勇気で言えばこの男以下ですよ?」

644ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 22:45:12 ID:y.bv1eHY0
>>643
「僕が正義だと一度も名乗った覚えはない。
それにその理由から君達は別に人を下手に殺したりしないと
僕は思ったからだ。」

「なにか問題があるのか?
それに勇気とはどういうものか君は知っているのか?
ま、僕も知らないんだがな。」

645シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 22:54:24 ID:mbXTFaJQ0
>>644
「やっぱり、僕を信じてくれている」
ニッコリと微笑みを返す。
男をまた地面に倒すと、シルクハットを使い光を吸い上げた。

「そうですね……。
 取捨選択が出来る事。だと僕は思いますけどね」
少し考える素振りを見せてからそう答えた。
微笑みの無いその瞳は真っ直ぐで、真剣な物だった。

646ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 22:58:27 ID:y.bv1eHY0
>>645
「…、まいったな、やっぱりそうなっちゃうのか。」
さっきまでの硬い雰囲気は何処へやら、笑いながら返す。

「取捨選択…、確かに、それをするのも
一種の勇気だな、僕は…何をしても後悔しない事を勇気だと思ってる。
いや、やっぱ違うかな。」
確信がないらしい。

647シノン=アルベル&小龍・堕:2012/05/24(木) 23:19:17 ID:mbXTFaJQ0
>>646
「後悔……そう言う事なら、僕は勇気を持った人間ですね」
クルリと振り返ると、シルクハットを胸の前で構える。
そのまま一度深く頭を下げると、頭上に静かに乗せた。

「良い暇つぶしにはなりましたよ。それでは」
去り際に手を振ると、少女の後を追っていってしまった。

648ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/24(木) 23:22:53 ID:y.bv1eHY0
>>647
「そうか、君は強い人間の部類に入るんだな。」
少し羨ましそうな顔をする

「あぁ、また、少し一通りの少ない所で
カレー屋をやってるから見つけたらおいでよ、500円だからさ。」
そう言うと、自分も背を向けて、自分の店に帰ってゆく。
命に別状はないと彼は言った、それに彼からは「悪」というものが
感じられなかったかった、だから彼は信用した。

649アイリス:2012/05/27(日) 21:39:45 ID:do5XJmGE0
【地下暗黒街 下層】

手にはショッピングバッグというべきものを、後ろ手に持ち歩くアイリス。
自身の風貌を最大限生かし、『女装』していた。
変装とは言いがたい黒縁の伊達メガネも合わせて、まさに『ウインドウショッピングする女子大生』を演じている。
様々な目線がアイリスに突き刺さる。ほとんどは下衆なものだ。

そこでアイリスは待っていた。
アイリスが手に持つショピイングバックをひったくるものを。

中身は『夜釣り』の為の道具。
僅かな爆発と煙幕を張る術式の紙、二十枚。
ごくわずかに『吸血鬼の紋』を示しておく。

そこでちょうど、ひったくりであろう少年がアイリスのショッピングバッグを盗んでいった。
一応、ひったくり!と声を上げたところで周囲の者たちは何も反応をしない。
どうせここで売れなければ、上へ、中層へと上がるだろう。
そこで彼等の目につく

――それでこそいい。

内心アイリスはほくそ笑むと、これから必要であろう物を求める為、AGカフェへと向かうのだった。

650アイリス・アスカリオテ:2012/05/27(日) 22:29:39 ID:do5XJmGE0
【一夜城】

道の途中で思い出した。
そういえば、ロザリアの講師の件で話を詰めたいと言っていたはずだ。
急遽進路を変更した上で、一夜城へと戻ってきていた。

一階、花が咲き誇る庭園。
石で出来たイスにテーブル。石張りのテーブルとイスを雨や日差しから守るように、頭上に存在するのは、傘。
四本の石柱で支えられているものだ。

そういった場所に腰を落ち着け、アイリスは紅茶を楽しみ、花が咲き誇る光景を楽しんでいた。

「大お祖母様。講師の件、彼女から承諾を頂きました。
 近いうちに話を詰め、開催いたしたいと思っております。大お祖母様もご助力、よろしくお願い致します」
『分かったの。その話は当人が来たら詰めておくとして、の。
 アイリや。この都市は不思議なものよの。カガクといったか。魔術とうまく迎合しておるの。
 向こうに持って帰る土産が出来たよのう。』
「お招きしたのはそれだけではありません。大お祖母様。この都市には多くの厄災もございます。
 いくら大婆様とはいえ、未知が多いのです。何卒、ご注意をお願い致します。」

こうして、一介の吸血鬼とその先祖は月光降り注ぐ夜闇の中、語り合う。

651イメル:2012/05/27(日) 22:39:21 ID:1BBSxSE20
>>650

千夜学園のセーラータイプの制服を纏った、藍色の髪の少女がひとり。
生地の薄い夏服には似合わないがっしりしたコンバットブーツを履いていて、腰には一本の刀を帯びている。
表情の引きしまった、凛とした佇まいをしているその少女は、一夜城へと近づいて行く。

「……ごめんくださあい!」

門の前で立ち止まった彼女は、声を張り上げて中にいる誰かへ語りかける。

652アイリス・アスカリオテ:2012/05/27(日) 22:47:05 ID:do5XJmGE0
>>651
『いらっしゃいませ。イメル様。アイリス様は庭園にいらっしゃいます。どうぞ、お入りください』
声を張り、自らの存在をアピールするイメルには、メイドの最敬礼が迎えるだろう。
衛兵を気にすること無く、メイドは一夜城の外に現れた。
イメルを出迎えるのは、石畳の通路。両側を彩るのは咲き誇る花々。
淡い色合いの花を中心に、時折赤や青といった明るい色合いの花が混じっている。

メイドの案内に従えば、イメルは自然とアイリスとアスカリオテが座る庭園へと案内されるだろう

653イメル:2012/05/27(日) 22:55:22 ID:1BBSxSE20
>>652

ご苦労様です、と自身に頭を下げてくれるメイドに軽く会釈をしてから、花咲き乱れる道を行く。
色とりどりの花々を見て、素直に美しいと感じながら、この城の主の事を思い描く……
……この光景に、彼はとてもよく似合うだろうな、と。そんなことを、ぼんやり思いながら、歩いた。

「――――こんばんは、アイリス、と……?」

やがてイメルは、二人の前に姿を現した。
アスカリオテとの面識を持たぬ彼女は少しだけ言葉尻を濁して、慌ててお辞儀をして見せた。

654アイリス・アスカリオテ:2012/05/27(日) 23:06:13 ID:do5XJmGE0
>>653
「やあ、イメル。久しぶりだね。
 元気にしているようで何よりだ。」
『初めまして、かの。おチビちゃん。』

イメルを見つめる瞳は翡翠。決して睨むわけでも無く、波がない水面のようで。
ショートボブの髪は白髪、といっても良いだろう。皺くちゃで、特に目尻と口許に細かい皺が多く見受けられる。
夜に紛れて見辛くはあるものの、濃紺のスカート丈の長いクラシックドレスと黒いカーディガンを羽織るその人物。
感じられる力は、以前イメルがこの一夜城へと初めて来た時に感じたであろう力と非常に酷似していた。

『おチビちゃんや。そう畏まることも無い。妾の名はアスカリオテ・フォン・ルズィフィール
 この一夜城の管理を任せられておるの。まあ、ココへ来ると良いじゃろう。何、悪い扱いはしないの。』

と、アイリスはイメルに手を振り、アスカリオテはイメルに手招きをしている。

655イメル:2012/05/27(日) 23:11:33 ID:1BBSxSE20
>>654

「は、へぅ……、……お邪魔しますっ」

一瞬戸惑いを見せた後、二人が居るテーブルへ小走りで寄って行く。
椅子を引いてから、思い出したように腰の刀をベルトから外し、立てかける。
そうしてから、もう一度小さくお辞儀してから椅子に腰かけた。

「……えと、で、アイリス。
 今日は一体、どういう話があるんだ?」

少々緊張した様子を見せながらも、話を切り出してもらうよう、
アイリスに持ちかけた。

656アイリス・アスカリオテ:2012/05/27(日) 23:24:46 ID:do5XJmGE0
>>655
『それにしても、女子ばかり連れてくるの。
 ゆっくりしていくと良いのじゃ。妾はこれで失礼するでの。』

イメルが席に付けば、アスカリオテは立ち上がり、城内へと消えて行く。
アイリスが連れてくる子達は女子が多いのが把握していたのか、アスカリオテは苦笑を浮かべるものの、既に二人に背を向けている為分からないだろう。

「今日は3つ用事がある。
 緊張することは無い、イメル。普段の調子であって欲しいよ、僕は。」

イメルの緊張を解けるかどうかわからないが、アイリスはイメルに笑みを浮かべてみた。
波打つ空間にアイリスが手を突っ込めば、未だビニールに包まれたままのハンカチが掴まれていた。
それをイメルの前に差し出した。見た目は完全に新品のハンカチである。

「これを君に預けよう。
 これはとある術式が刻み込んでいるものでね。万が一の為の防衛手段として作成したんだ。
 本当は装飾具にしたかったのだけれど、生憎と各人の趣味嗜好を把握していなくてね。だからこういう形にしたんだ。
 これらを君に預けようと思う。君の力を見込んだ上でだからね。」

魔術的な知識があるのなら分かるはずだ。
これは、初級テキストに載るほど都市に広く知られている術式である。
効果は小爆発と煙幕。このハンカチで、ハンカチより小さな物を包んで地面に叩きつければ、効果は現れる。
ハンカチなど、誰でも日常的に持っているものだ。

657イメル:2012/05/27(日) 23:33:33 ID:1BBSxSE20
>>656

「ん……と、これは……」

アスカリオテが姿を消したあと、ふぅと息を吐いて肩の力を抜く。
そして、差し出されたハンカチを見て、思案する。
煙玉みたいなものか、と一応訊ねて、受け取ろうとするだろう。

今回の人外狩りの一件に関わるには魔術的な知識を持っていたほうがいいと判断して、
図書館で初級魔術教本とにらめっこをしたのが功を成したようだ。まったくの余談ではあるが。

「わかった、ありがとう。
 えと、これで一つ目の話は終わりか?」

658アイリス:2012/05/27(日) 23:45:39 ID:do5XJmGE0
>>657
「ああ。イメルの思う通り小さな爆発と煙幕だね。これはいざという時の自衛用でね。注意点は一つ。
 使いきり、ということだ。
 それから、人外狩りが何処まで食い込んでいるのか、という指標でもある。
 そのハンカチの術式はロザリアの手によって随時更新されているからね。これからもらう頻度は多くなるかもしれない。
 それに、彼等、闇祓騎士団は犯行声明を出したようでね。内容は、人外に協力するものも、人外と同じ目に合わせるというものだ。
 念の為に、これらはキョーコ達神羽荘の住人たちに渡しておいてほしい。」

先のハンカチが、大凡50枚程度、出てくる。
後から届けるようにするのもイメルの自由だ。

「2つ目は、シンプルなものだ。イメル。君は吸血鬼に興味はあるかな?」

にぃ、とわざとらしく白い歯を見せつけるように。

659イメル:2012/05/27(日) 23:53:24 ID:1BBSxSE20
>>658

「ん……わかった。
 というと、私だとかウィッチだとかに住まいを与えてる鏡子や小夜も、奴らの標的に成り得るんだな」

テーブルの下、膝の上に置いた両手がぎゅうと握り締められる。
手のひらの肉に食い込むほどに強く握られた拳は、一回だけぶるりと震えて、ほどかれた。
これからはもっと、警戒しなくてはならないと。ハンカチを受け取りながら、強く思った。

「……ええ、と? 吸血鬼か?
 そりゃあまあ、同じ人外として興味は……うぅん?」

二つ目の、アイリスからの問いかけ。
それに対しては、首を傾げて唸りながら、何故そんなことを訊くのかと。
そう言いたげに、疑問の色を浮かべて見せた。

660アイリス:2012/05/28(月) 00:10:49 ID:do5XJmGE0
>>659
「可能性は高いね。
 擁護している以上、狙われるだろう。ただ、その情報を他に漏らさないのなら、可能性はグッと低くなるだろう。
 最悪の事態なら、イメル達はここに逃げられるだろうけれど、キョーコはどうだろうね。
 彼女のことだ。毅然とした態度で相対するだろうがね。そうだね、『アンタ達に私の家族は触れさせない』ってね。」

例えばの話だ。まずキョーコが、『知らずに入居させた。匿っているつもりなど無い』なんて言ってしまえば、襲われる可能性は減るだろう。
ただ、無いとは言い切れない。

膝の上で握られた手、震えた腕を見て、アイリスは笑みを浮かべた。…おそらく、見えないであろうが。
できるだけ刺激の弱い言葉を使用しつつ、現状考えられる可能性を告げるのも、イメルにも『これから起こるであろう可能性』に対策をし、潰して欲しかったからだ。

「ふふっ、なぜそういう事を聞くのか、という顔だね。
 いいかい、イメル。これは重要なことなんだ。今は協力してくれる者が居る。一枚岩になるべき時でもある。
 その中の数は吸血鬼が多いのは以前話したと思う。
 だけれど、吸血鬼という括りでも、差異があるのも話したはずだ。だから、君にも知ってほしいんだ。僕らの事を。そして、助けてほしい。
 そして、教えてほしい。君たち人狼のことを。必要なのは、人外同士の横の繋がり。同じ種族同士の繋がりは出来る。
 だけれど、異種の間で繋がりが無ければ、助けようにも助けられないだろう?」

例えば、吸血鬼のような、人の姿に酷似した人外。
外見に特徴がない以上、どのように見分けるのかという手段も必要になってくる。

661イメル:2012/05/28(月) 00:18:32 ID:1BBSxSE20
>>660

「……目に見えるなあ、その光景」

鮮明に、はっきりと。鏡子が自分の前に立ち塞がって、護ろうとする光景が。
あんまりにも簡単に描けてしまうものだから、思わず吹き出しかけてしまった。
ぷんと頭を振って、次の瞬間には表情を締め直す。
自分を護ろうとしてくれる人が居るのだから、自分もその人を護ろうと。そう、決心した。

「なるほど……お互いの事を知るのが大切、ってことだな。
 そうだな、まず……私たち人狼は耳や尾があるから見分けやすいけれど、
 吸血鬼の場合はどうやって見分ければいいんだ?」

自分の頭、ぴんと生えている藍色の狼の耳。
それをくいくい軽く引っ張りながら、まずはそこから。訊ねてみた。

662アイリス:2012/05/28(月) 00:37:04 ID:do5XJmGE0
>>661
「そうだね。彼女は自分の命を賭してでも守るだろう。」

アイリスですら想像できたのだ。
キョーコと付き合いの長いイメルなら、それは動画のように分かりやすいのだろう。

「…そうだね。僕達吸血鬼は人と姿形が酷似しているのは分かっているね。
 まずは正直に言おう。曖昧で申し訳ないのだけれど、雰囲気だね。
 僕はともかく、ロザリアや巴には独特の雰囲気が漂っている。例えば、特有の威圧感、鋭い牙。
 コウモリに関わりがあれば、吸血鬼だと思えば良いよ。
 そこでだ。イメル。吸血鬼のことはロザリアに講師を頼んでいてね、彼女は快く了承してくれたよ。
 だからイメル、君も人狼特有の特色などを知りたいんだ。イメル、僕達に君たち人狼のことを教えてくれるかな?
 お互いの弱点を補い合える関係になれると、僕は城主として嬉しいよ。」

吸血鬼は吸血鬼同士でお互いが『吸血鬼同士』と認識し合える。
人狼を始めとする外見的特徴がある人外は、吸血鬼については互いの顔を覚えているほうがスムーズでもあるからだ。

663イメル:2012/05/29(火) 20:53:08 ID:1BBSxSE20
>>662

「ふむう……なるほど、コウモリかぁ。
 そういえば、アイリスもよくコウモリを使っているな」

何度か見た、コウモリを使役するアイリスの姿を思い返す。
納得するようにふむふむと頷いた後、アイリスの問いに対する答えを練る作業へ移る。

「人狼は……狼男、狼女、ワーウルフ、ライカンスロープ、あとは……ルゥ・ガルーとかか。
 いろんな呼び方があるが、人型の身体の中に狼のパーツが見られれば、それは全部人狼だ。
 満月の夜になると狼に変身するというのは、有名な話だが」

右手を軽く上げて、示して見せる。
すると、人間のものと同じ形をしたそれが、びぎりと音を立てて変形していく。
やがてそれは、狼の前脚の先端部と同じ形状となった。

「必ずしも満月の光を浴びないと変身できない、というわけではないんだ。
 訓練を積んで感情をコントロール出来るようになれば、ある程度自在に変身できる。
 感情が昂るときに変身しやすくなるからな、満月の夜に変身するって説がついたんだろう」

664アイリス:2012/05/29(火) 23:30:39 ID:do5XJmGE0
>>663
「なるほどね。伝説と酷似する部分しているから、
 人狼は伝説とほぼ同じ解釈で問題はない、訳だね。問題は『隠せる』かどうかだね。
 例えば、自分の意志で尻尾をしまったり、耳を隠したりといったことは出来るのかな?」

イメルの変わる体を見つめたアイリス。
その様子を一頻り注目した後、イメルに視線を移した。
一部ながらでも身体の変化を目の当たりにした瞳は興味津々とばかりに爛々と輝いている。

「では、大事な質問をしよう。
 イメル。先程僕に話してくれたことを、他の人外にも教えることは出来るかな?」

アイリスにとって、この問題は非常に重要だ。
吸血鬼に関してはロザリアに任せられる。次いで有名な人狼の講師としてイメルは自らの情報を公開できるのか。
命と天秤にかけるという程重い質問ではない。いくら有名とはいえ、自らの種の弱点を公開できるのだろうか。
おそらくイメルなら、誇り高い人狼なら――

665イメル:2012/05/30(水) 00:03:21 ID:1BBSxSE20
>>664

「んー……そうだな、耳と尻尾は隠すのが難しい。
完全に人と同じ姿になるには、相当な相当な精神鍛錬と慣れが必要になってくる。
逆に、未熟な者は変化が下手なんだ、獣人に近い外見になるよ」

耳を摘まんで、つまり私はまだまだなんだ、と。
ちょっぴり笑いながら、付け加えた。

「人狼ってのは、言わば『狼の能力を持った人間』だ。
身体能力とか感覚だとかは人間とは比べ物にならないけれど、『傷に対する抗力』は人間より少しマシな程度だ。
銀はもちろん苦手だがそれ以外の武器でも傷つくし、吸血鬼みたいに物凄い再生力があるわけでもない。
ここが、最大の弱点だ」

ここまで話して、一息の休憩。
次に投げかけられたアイリスの問いに対して、

「ああ。断る道理なんてないよ」

あっさりと、まっすぐに首を縦に振ってみせた。

666アイリス:2012/05/30(水) 00:31:33 ID:do5XJmGE0
>>665
「…わかった。それはこれからだろう?いいじゃないか、イメルには伸びしろはあるからね。
 僕も、人狼らしき種を見たらここを教えておこう。
 本来ならば自分で鍛錬させたほうがいいのだろうけれど、今は状況が悪い。
 イメルと同類がいたら、色々と面倒を見てやってくれると嬉しい。」

要は同じ人狼がいたら色々と目をかけてやってほしいということだ。
同類なら種族特有の悩みを解決の糸口を出せるだろうし、なにより、安心するからなのだろう。
イメルならば、一緒に悩んで悩んで、悩みきって己の答えを出せる。
『常に隣を歩いてくれる』ような人物だろうからだ。

ちょっぴり笑うイメルに笑みを返す。
チャーミングだ。
アイリスには、イメルの耳を摘まんで笑うさまは歳相応ではなく、僅かに幼さを残しているように見えた。

「ならば、ロザリアとは別に、講師になってくれないかな?
 返事はいつでも良いさ。イメルが気が向いた時にでもしてくれたらね。」

667イメル:2012/05/31(木) 23:15:59 ID:1BBSxSE20
>>666

「うむ。誇り高きホロケウの一族は、仲間を見捨てないぞ」

人狼を目にかけることにも、講師になることにも快く承諾。
こくりとまっすぐ深く頷いて、それからまたにかりと笑ってみせた。

「……あ、仲間というのは、人狼だけじゃあないからな。
他の人外も、普通の人間もだ。もちろんアイリスだって仲間だぞ!」

そして、こんなことを付け加えて、やはり快活そうに笑うのだった。
年の頃よりやや幼く見えるような笑みの奥に光る、獣の牙。
それは月の光をまっすぐに反射して、イメルの曲がらぬ意志を象徴しているようだった。

668アイリス:2012/05/31(木) 23:29:46 ID:do5XJmGE0
>>667
「ありがとう、イメル。
 君の口からその言葉が聞きたかった。」

イメルの快活な笑みに釣られたのかアイリスも笑みを浮かべた。
こうやって見てみれば、只の少女である。
だがこの少女には尻尾もあれば耳もある。牙まである。

アイリスにとっては助かる。
ロザリアを始めとした吸血鬼、そしてイメルに助けられ、闇祓騎士団への対抗策を練れる。
いいキッカケと言えば、そうだろう。そういう意味では彼等に感謝しなくてはいけないかもしれない。

「それから、万が一君が彼等に襲われ、傷を付けられた場合、僕か巴を尋ねると良い。
 そうすれば、傷そのものを無かったことには出来ないが、ある程度抑えられる物を使用しよう。」

アイリスの魔眼では、闇祓騎士団の傷を『断つ』ことが出来る可能性が残っている。
それにアイリスには巴から貰ったルーンがあるのだ。耐性を付けたとはいえ、まだ効果を抑えるルーンは手元にある。
更にはこれからロザリアより術式の対抗を得られるだろう。

669イメル:2012/05/31(木) 23:53:59 ID:1BBSxSE20
>>668

「うむ、わかった。
アイリスはすごいなあ、頼りになる!」

ふんと目を輝かせながら頷く。
その瞳には憧憬と、ちょっぴりの羨望の色が混じっていた。
まるで兄や姉を尊敬し慕う妹のような。そんな表情。
彼女は長女であり、その位置に対する責任感から、甘えられることはあっても誰かに頼ることはしようとしなかったのだろう。
だからきっと、彼女は甘え下手なのだ。

「……ん、そろそろ月も高くなってきたな。
私はそろそろ、お暇しようか」

670アイリス:2012/06/01(金) 00:07:43 ID:do5XJmGE0
>>669
「何を言っているんだい?僕なんて頼りにならないよ。
 基本的に人任せだからね。各人の得意分野で色々と任せているだけだよ。」

自らより遥かに優れた使い手が存在する以上、その使い手に振っただけである。
特定の分野でスペシャリストにゼネラリストが敵うわけがない。さらにはこの都市のスペシャリストはアイリスの想像を超えたレベルなのだ。
頼らざるを得ないだろう。

こうしてイメルを始めとした面々から頼られるのは悪くないとも思い始めていた。
そして、イメルに投げた言葉は……

「イメル、僕が力になれることなら力になろう。
 できる限り、協力する。」

イメルが帰る言葉に頷けば、ハンドベルを鳴らす。
そうすれば、門付近に以前にも乗ったことがある車が現れるだろう。
それに乗ってしまえば、神羽荘までは直ぐだ。

671イメル:2012/06/01(金) 00:17:12 ID:1BBSxSE20
>>670

「でも、そのスペシャリストたちを纏めてるのはアイリスだろう?
だから私はすごいと思うぞ!」

立ち上がって、刀を腰に差し直す。
簡単な別れの挨拶を述べて、門へ向かって歩き出す、そのまえに。

「――私も、アイリスの力になるぞ!
なんたって私は、誇り高きホロケウの一族だからな!」

言って、ぱっと笑ってみせて。
そうしてイメルは、外へ向かって歩いて行った。

//このへんで〆です!

672銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 21:32:48 ID:HnkBBDEo0
「あー、体バキバキする。やっぱり定期的に体を動かさなきゃダメだわー」

 肩をグリングリン回しつつ、クロスはカウンターの中へと入る。
 冷蔵庫を開けると、中からバットを取り出した。
 バットの中には半透明のゼリーが揺れ動く。

「夜食たべよ夜食。そろそろ固まってるよな?」

 そう言いつつゼリーに包丁を入れてサイコロ状に切ってゆく。

673銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 21:36:47 ID:HnkBBDEo0
「あ、やっべ! ドクペ切れてるんだった!!」

 思い出したように顔を上げると、包丁を戸棚に放り込みゼリーを冷蔵庫の中へ。
 エプロンをイスにかけてジャケットを羽織ると、大急ぎでカウンターの中から出る。

「黒瑪瑙ー! ちょっと買い物いってくるー!!」

 奥から文句やら罵声やら聞こえた気がしたが、クロスは構うことなく店を飛び出していった。

「ええっと、この時間でも店とか開いてるかなー。
 できれば箱で買いたいからな。一ヶ月分(五箱)くらい買っとこう」

674?:2012/06/01(金) 21:42:37 ID:dL8H4NjE0
「…………」
公園。
遊具がいくつかとベンチが三台といった、どこにでもあるようなそんな普通の場所。

「…う……」
ベンチに横たわっている少女が、苦しげな声をあげる。
顔中に汗がじんわりと浮かび、堅く目をつむっている。
たまにビクリと体を震わせては、何かにうなされるようにうめき声をあげる。
「あ……っぐ……」
悪夢にうなされているだけなのだろうが、その苦しみ様は尋常ではなかった。

675?:2012/06/01(金) 21:43:56 ID:dL8H4NjE0
/リロってなかったー!すいません!
/上のレスはスルーしてください

676ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/01(金) 21:48:32 ID:mbXTFaJQ0
>>673
暫く進むと人通りの少ない路地と言う物が必ずある。
明りは何mか置きに設置された街灯のみ。
薄暗く、決して良いとは言えない雰囲気。

クロスの足元を黒猫が駆けて過ぎ去る。
不幸の前触れと噂されるそれだが、思いの外はずれでは無いらしい。
黒猫が横切った事を忘れぬ間に、アクシデントが襲い掛かったからだった。

余りにも唐突。足元を過ぎた猫が破裂する。
にぃ。とも声を上げる暇も無く、パン。と破裂音を鳴らす。
冷たく赤黒く変色した血が飛散し、在ろうことかその血は刃となってクロスに降りかかる。
間髪入れず、猫の影から姿を現した少女が大鎌を背中に向けて襲い掛かる。

677銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 21:54:41 ID:HnkBBDEo0
>>676
「ぬおっ!?」

 猫に驚き思わず立ち止まる。
 その途端、猫が弾けた。

「は?」

 と言う間も無い。
 血の刃がクロスの服を裂いた上、大きく反り曲がる鎌の刃はクロスの体を捕らえた。
 捕らえた、が、

――ガキィンッ!!

 金属と金属のぶつかり合うような甲高い音が鳴り響く。
 クロスはまるで普通に「なぐられた」かのように吹き飛び、アスファルトの上を転がった。

「いっ……〜〜ってぇえええええええええええ!!! 何しやがるテメェ!!
 あーあーあーあー、このジャケット高かったんだぞー。しかも血まみれじゃねーかペッペッ」

 どうやらクロスは自分の身よりも服の方の心配をしているようだ。

「どうしてくれんだよテメェ、ああ!?」

678ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/01(金) 22:05:31 ID:mbXTFaJQ0
>>677
「……」
本来、暗殺者ならば隠すべきものだが、今回は例外。
クロスはゼオラの気配を明確に感じることが出来るだろう。
だが、その気配と言う物は少々異質。
存在感は非常に薄い。少女と言う個は強いが、薄い。
余りにも大きなものに気圧されて、思いの外目立っていないらしかった。
その大きなものとは、殺意に他ならない。
クロスに対する「殺す」と言う意思で固められた気配。

「避けて……」
右手は柄の刃に近い方を持ち、下を向いている。
両手の間。大鎌の柄の中央を中心に新円を描くように一回転。
振りあがる瞬間に力を込めて振りぬけば、鎌の先から闇が溢れだし波となって襲う。

679銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 22:17:37 ID:HnkBBDEo0
>>678
「……もしかしてお前ゼオラか? おいおい、こりゃ何の冗談だよ」

 のそりと立ち上がる。
 ゼオラから放たれる殺意が、クロスの肌をチリチリと焼いた。

「避けろ? 殺す気マンマンでよく言うぜ。俺はお前に何かしたっけか? あ?」

 そう言いつつもクロスは歩を進める。
 のんびり歩いているように見えるが、既にクロスは

「悪いが、手加減は苦手だぜ?」

 戦闘状態へと移行していた。

「よっと」

 大鎌が振りぬかれる寸前、クロスは半身を逸らすことにより紙一重で闇の波を回避。
 一気に距離を詰める。
 刃の先から闇が出ることは、刃の長さと殺意を見れば容易に分かる。
 切っ先すら届かない距離で、あんなに大きく刃を振りぬく奴は普通はいない。
 それに大鎌は一撃は大きいだろうが、懐に入れば刃を有効活用はできない。
 大抵は柄による打撃、あるいは格闘が主となる。それを狙い、クロスはゼオラへと走ってゆく。インファイトに持ち込むつもりだ。
 拳を握り締め、ゼオラの脇腹を狙うフックパンチを放つ。

680ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/01(金) 22:35:08 ID:mbXTFaJQ0
>>679
クロスに声を掛けられて、自らの姿をあらわにした。
抽象的な闇の集まりから黒衣の少女へ。
瞳に宿した意思は何時もと違い明確らしいが、それが殺意では喜べないだろう。

「そう、それで……」
対して言葉はいつも通り、呟くような小さな声でしかない。
その言葉もいつもより自分勝手で、会話をする気が余り無いらしいことは解るだろう。

クロスの手を見て振りぬく方と逆側の足を引く。
さらに逆、クロスの手を同じ方、の脚を支点にタイミングステップを踏んでクルリと回転しながら攻撃を避けると同時に背後に回った。
目の前の男の皮膚が金属製なのは理解の上。単純な殴り合いでは勝てる要素は無い。
故に奇襲で一撃目を当てて予め目標を定めた、一種の遊びでしかないが、重点的に攻めれば『綻び』を作れるだろうと踏んで。
背後に回ったのはその為。重点的に攻めるのは背中の傷の位置。
クロスの背中を見ながらバックステップっで距離を取りつつ、大鎌を投げつけた。

681銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 22:45:10 ID:HnkBBDEo0
>>680
「あ」

 やべ……と思った時には遅い。
 背中の同一箇所に、またも斬撃が入る。
 自分の防御力を過信して被弾が多くなってしまうのは、クロスの悪いクセだろう。

「くっそ……ッ」

 金属化した皮膚は確かに頑丈だが、皮膚の細胞と同化している為に、鎧のように金属操作での修理が効かないのだ。
 普通の細胞と同じように、再生を待たなければならない。
 よって、一点集中攻撃は確かに致命的であった。

「ああ、もう」

 自身に刃を当てた大鎌を握り締め、クロスは振り返る。

「なんなんだよテメェ……何のつもりだ?
 見たところ動きに不備はなく、戦闘はセオリー通り。
 どうやら暴走しているワケでもないらしい。だとしたら、俺への殺意はお前の意思と見ていいのか?
 ……答えろ!!」

 右目を覆う眼帯が内側から弾け、輝く右目がゼオラを睨んだ。

682ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/01(金) 22:55:16 ID:mbXTFaJQ0
>>681
「だったら?」
右手を其方に向けて伸ばし、強く握る。
掌がバチリと音を立て紫色の光を飛ばす。
一度腕を引っ込めると、手の中の物を投げつける様に手を開く。

紫色の電撃。ゼオラが闇の次に得とする魔術だ。
最早、闇に髄まで浸り込んでしまっている少女にとっては魔術の中では一番と言っても良いのかもしれないが。
雷故に速度は早く、得意ゆえに威力も高い……かに見えたが、威力に関してはそうでもない事が触れてしまった場合は解るだろう。
殺しに来ている割には余りにも不自然だ。

683銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 23:04:44 ID:HnkBBDEo0
>>682
「死なない程度に、ブン殴る」

 大鎌を投げ捨て、走り出す。
 迫る紫電。
 もちろん、電撃を回避する程の速度をクロスが有しているハズもなく、電撃がクロスの体を駆け抜けた。
 だが、それは覚悟の上。
 自分の防御力を過信して被弾が多くなってしまうのは、クロスの悪いクセだろう。
 しかしそれこそクロスの戦い方なのだ。

「ッ!! ……っああああああああ!!!!」

 肉を斬らせ、骨も断たせ、そして相手の心を折りに往く。
 それがクロスの戦闘だ。
 電撃を乗り越え、クロスはゼオラへと肉薄した。
 右手を開き、左手を握り締める。
 左手の拳は、先ほどと同じフックパンチの軌道を描く。狙うのはもちろん、ゼオラの腹部。

684ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/01(金) 23:22:31 ID:mbXTFaJQ0
>>683
「殺せば?」
フフッ。と口のみで感情を表現する。
それに従うならば、楽しんでいるようだ。
クロスにとっては理不尽でしかない戦いの意味が、あるのだろうか。

「チッ……」
クロス相手の戦闘は酷く相性が悪い。
肉体は少女のままであるし本人も非常に撃たれ弱く有効な防御手段を持っている訳でも無い。
一撃も受けずに圧殺するスタイル。
真逆の戦闘スタイルを持っている故に、苦手とする相手であった。
それ故に二度の敗北を喫し、それ故に興味を作る。

電撃は浴びせた。これも『綻び』の為である。が、この代償は余りにも大きかった。
手を重ねても焼け石に水。手が使えなくなる可能性を踏まえて、直接拳を受けたのだ。
衝撃力は高い。それを受け切れる力があるはずも無く、吹き飛ばされて転がった。
痛みを特に嫌う少女だ。久々のそれには耐えきれず悶えて居る様だ。

685銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 23:32:01 ID:HnkBBDEo0
>>684
「だァーからさァー! お前の目的が見えないんだよ!!」

 吹き飛んだゼオラを追いかけようと、右手を地面に叩きつけて飛び上がる。

「さっきから殺る気があるのか無いのか、殺気だけはあるクセに攻撃の威力は中途半端!」

 空中で刀剣を構築。
 それを持ってゼオラへと急降下。
 切っ先を下に向け……

――ズガンッ!!

 クロスの持った刃が、倒れているゼオラの顔の横、地面に突き立てられた。
 ゼオラの上へと馬乗りとなったクロスは、顔を近づけ問い正すように睨み付ける。

「もう問答は御免だぜ? 俺はお前を殺す気は無ぇ。
 だけどこのまま意味がわからんまま、じゃれあうつもりも無ぇ。
 店長ナメんな。答えろ。……何が目的だ?」

686ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/01(金) 23:45:25 ID:mbXTFaJQ0
>>685
「ご、っほ……ぐ……!」
痛みに悶えていたが、その上にクロス乗ると苦しげな声を上げる。
元々、同年代一人分の重さにも耐えられる身体はしていないだろう。
呼吸は苦しげだが、表情は一切の色を見せない。

黄色の瞳はクロスの瞳を真っ直ぐ眺める。
意思は伝わらないが、単に眺めているだけでもなさそうだ。
暫く呼吸を繰り返しているだけだったが、右手を向けると立てた人差し指をクイクイと動かす。
それが終わると口を何時もよりゆっくりと開き、小さな声で
「思った?」
と告げ、口元を僅かに揺らす。
その瞬間クロスの投げ捨てた大鎌が「背後」から迫る。

687銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/01(金) 23:58:14 ID:HnkBBDEo0
>>686
――ギィイインッ

 高らかに鳴り響く金属音。
 鎌はクロスの体を捉えて…………

「読めてんだよ」

 ……いなかった。
 クロスは振り向くことなく左手を後ろに回し、その大鎌を掴んでいた。

 相手が同じ箇所を重点的に攻撃しようとしているのは分かっていた。
 ゼオラはクロスの性質を知っている。
 だが、それはもちろんクロスだって知っているのだ。
 ゼオラは背中への同箇所に二回の攻撃を放った。
 それはもちろん、一点集中による硬皮崩壊を狙ったものだ。
 なら、三回目が来ない筈が無い。

「大方、さっき俺が食らった妙に威力が中途半端な電撃も意味があるんじゃねーのか?
 たとえば、この鎌のホーミングターゲットをマーキングする……とかさ」

 大鎌をクルクル回し、

「ほれ、返す」

 先ほど地面に突き刺した刀剣とは反対の地面に、鎌の刃を突き刺す。
 そして立ち上がると、クロスは無防備にも背を向けた。
 どうやらタバコに火を着けているようだ。

「もうね、ワケわからんよ。さっきから会話にならねぇ。
 なあ、俺ってお前に恨まれるようなことしたか?
 ある日いきなり『辞める』って言って勝手に消えて、今度はいきなり襲ってきやがる。
 分かりやすく言ってくれよ。俺そんなに頭良くねーんだからさー!!」

688ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 00:05:30 ID:mbXTFaJQ0
>>687
「あっそ」
クロスが退くと、大した苦労も無く立ち上がった。
其れから見ると、あの声は演技だった可能性も高い。
腹部に手を添えている様子から、痛みはまだあるようだが。

「ん……」
身の丈以上の大鎌を杖に身体を預け、唸る様子を見せる。
これも殆どが演技。動作は無くても良い物であるが、なんとなく。
目線を上に、考える仕草のまま暫くそうしていたが、クロスの背中に視線を向けるとただ一言。
「飽きた」

689銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 00:10:17 ID:HnkBBDEo0
>>688
「……ムカッ」

 クロスの額に十字キーが浮かび上がる。

「てんめぇえええええ!! 『飽きた』とは何だ! 『飽きた』とは!!
 いきなり不意打ち食らわせて、斬りかかってきて、問いかけようにも禅問答!!
 会話すらできねー状態でこっちもモヤモヤしながら戦ってたんだぞゴルァアアアア!!!」

 どうやらゼオラのたった一言が、ついにクロスを爆発させたらしい。

「答えろテメェこのマグロ女ァ!!
 ちょっと容姿が俺の好みだからって調子こいてっとスク水とか着せるぞ!!!」

690ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 00:25:10 ID:mbXTFaJQ0
>>689
クロスの行き成りの怒号にキュッと目を閉じる。
それと同時に身を震わせ、少しだけ小さくなった。
これも演技、なのだろうか……? ただ、少しだけ視線が冷ややかな気もする。

「じゃあ……黙って」
左手で大鎌を掴むと右手で指をパチンと鳴らす。
その瞬間、クロスの身体全体を中心に磁場が発生した。
雷を得意とするだけに強力な磁力だ。
それだ効果があるかどうかは解らないが、鉄塊が相手なら有効だと踏んだらしく。
あの時浴びせた妙な威力の電撃がこれに相当するのだろう。合図一つで強力な磁力を発揮する雷魔術。
全身から磁場が発生して、もしそれに引き寄せられるのなら、クロスの身体はどういう動きを見せるのだろうか。これも興味の一つ。
大鎌を引き摺りながらゆったりとした歩調で歩いてくる。似合わなく隙だらけだと言えるだろう。

691銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 00:37:06 ID:HnkBBDEo0
>>690
 いきなり、体中が強張るような感覚がクロスを襲う。
 全身の金属が磁力を持ち、お互いを引き寄せ、あるいは反発
 クロスの体はバラバラになろうとしていた。

「ぐぅッ……!!」

 金属召還、鉛構築。
 急いで不導体の金属で自身の体を包むように固定し、体内部の圧力を調整する。
 骨が軋み内臓が締め上げられるようだが、なんとか耐えられた。
 だがしかし、強力な磁力は自由な動きを阻害している。

「……なんなんだよ……さっきから何がしたいんだよ」

 既にクロスは怒りよりも、意味不明に対する不安感に包まれていた。
 分からない。ゼオラが何をしたいのか分からない。
 それでも、クロスはゼオラに対して殺意を向けたくないと思っている。
 クロスには今、ゆっくりと近づいてくるゼオラを睨むことしか出来ない。



692ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 00:51:12 ID:mbXTFaJQ0
>>691
「飽きた」
思った以上の効力だが綻びを見せたりはしない。
むしろ、何処か残念そうな雰囲気まで伝わってくる筈だ。

「全部、全部……」
溜息を交えながら付いた先はクロスの背中。
大鎌を振り上げ、一撃。もう一撃。
邪魔をする金属があるが、それを剥がして痛みをさらに与えようと何度も傷つけていく。

693銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 01:03:08 ID:HnkBBDEo0
>>692
「おい、やめ、何しやが」

――ザクッ

 ついに刃が肉へと到達した。
 そのまま背筋を断ち肋骨を抜けて肺へと突き刺さる。

「ごばっ……」

 口から血液が飛び出し、足元に紅い血溜まりをつくる。

「やめろ……やめるんだ……」

――王よ……殺せ。さもなくば殺される。

 クロスの中で、何かが起き上がった。

「よせ……やめろ」

――王よ。鐵鬼の王よ。

 クロスの中で“声”がざわめく。

「やめろ……今は…………」

――血潮の波が、月を飲んだぞ。



 突如として爆音が鳴り響く。
 クロスを中心として鋼鉄の鎖が飛び出し、まるで繭のようにクロスの体を包み込んだ。

694ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 01:11:46 ID:mbXTFaJQ0
>>693
「……!」
謎の気配。
クロスの物に近いが、限りなくそうでない何か。
何者かの存在が脳内に警鐘を響かせ、それに従うままに飛び退く。

適度に痛めつけて帰ろうと画策していたが、予定外の出来事。
耳を劈く爆音。その勢いに身体を飲まれ体勢を崩してしまう。
何かの変化。それがどういった変化なのか。それもまた興味で仕方がない。

695暴喰鐵鬼  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 01:23:12 ID:HnkBBDEo0
>>694
 繭が孵る。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ」

 中から現れたのは、まるで竜の姿のような、紅の魔獣。
 全身を紅い攻殻が包みこみ、間接から紅く輝く邪気が漏れ出していた。
 大きな顎、反り曲がった角、長くくねる尾。
 その姿は禍々しく、クロスは間違いなく……暴走していた。

「…………」

 無表情でゼオラを睨み、

――ニタリ

 笑った、気がした。


 途端に尾を鞭のように地面に打ちつけ、その反動を推進力にして跳躍。
 小型のクレーターと作り出すと同時に、瓦礫と共にロケットのように飛び上がった。

「オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ!!」

 辺りをビリビリと振るわせるような叫び声をあけ、その大口をガ パ リと開ける。
 中には幾重にも並んだ歯列。鋭い牙が肉を求めるように照らされる。
 その牙を少女の柔肌に食い込ませようと、一直線にゼオラへとクロスは迫った。

696ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 01:38:56 ID:mbXTFaJQ0
>>695
「チッ……」
その姿には見覚えがある。
暴走状態。とでもいえばいいのだろうか。
詳細を問いただす事はしなかった為、深い知識を持っていない事に僅かな悔やみ。

ただ、強大な戦闘力と凶暴さを持った個体であることは理解しているつもり。
奇妙な笑顔を真正面から眺め、片手で持っていた大鎌に右手も添える。
飽きが来た。だがこれは好機。この個体なら多少は紛れるだろうと。

触れれば間違いなく一撃。
死ぬことは望みの一つではあるが、こういうのはそぐわないし好まない。所謂お断り。
頭上を鉄塊の影が覆う。視線を向ければ大雑把な体型の割に繊細な並びの牙。
予想外の面倒事に舌打ちを見せるとバックステップを2度ほど繰り返し、距離を稼いで回避に成功する。
「黙れ……能無し」
大鎌の刃を地面に這わせ、刃を走らせてから振り上げた。
地面とすりあう間に刃には闇が溜まり、振り上げたと同時に地面を走っていく闇の刃が生まれた。

697暴喰鐵鬼  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 01:49:17 ID:HnkBBDEo0
>>696
 闇の刃を正面からまともに喰らい、紅い化け物は地面を転がる。
 知性も戦略も何もない。ただ、考えてないから攻撃を喰らった。それだけである。

「オオオオオオオオオッ!!」

 ガランガランと攻殻が剥がれ落ちて血が吹き出るが、構うことなく新たに攻殻を構築。
 破損部位を修復してゆく。

「ギッギッギッギッギッ」

 まるで歯軋りのような不快な泣き声を喉奥から漏らしつつ、クロスの背後には何本かの骨のようなモノが召還されてゆく。
 骨といっても金属製で、先の方は鋭くとがっている。まるで杭のようだ。
 それはもちろん、全てゼオラに向けられており、

「ギッギッ……ィィィイイイイイアアアアアアアアアア ア ア ア!!!!」

 叫び声と共に射出された。




――王よ! 鐵鬼の王よ!!

「……」

 夢幻世界。
 クロスの意識は未だ、まどろみの中。

――王よ! 自身の銀板を捨て流し、それでも殺意を喰らい殺すか!!
――王よ! 鐵鬼の王よ!!

698ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 02:12:33 ID:mbXTFaJQ0
>>697
そのままに喰らい、血飛沫を上げる余りの無策さに表紙抜け。と言った様子。
クロスが入っているとは言えど、ただの怪物に過ぎないのかと認識を改める。
それならば。と少々の余裕を取り戻した。

が、迫る杭には対抗の手段は貧しい。
大鎌の柄で防ぎ、刃で撃ち落とすがそれも少々。
そのうち一つが身体に刺さると怯み、残りは全て突き刺さる。
「……!!」
圧倒的な痛み。全てを投げ出してしまいたくなるようなもの。
大鎌を杖に痛みに悶え黙するのみ。脚を、腹を伝って滴る血。
それらがふつふつと湧き上がり、沸騰して飛び跳ねると刃を象る。
血液の操作。少女の能力の一つ。
刃の数は10程度。それらを全て鉄塊の一点に打ち込んだ。
場所はどこでもいい。全ての行き先が同じであれば。原理は先ほどまでと同じ。一点集中でこじ開ける形だ。

699暴喰鐵鬼  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 23:20:31 ID:HnkBBDEo0
>>698
――王よ! 鐵鬼の王よ!
――『……ああ、そういうことか……』
――傷つけられながら、なぜ死を選ぶか! 我らが王よ!!

 クロスに内包される夢幻世界。
 そこでは異形達が群れを成し、薬筒の丘を踏みしめ髑髏の王座に横たわるクロスへと呻き声を投げる。

――『俺は……何をしていたんだっけ……』



「オオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 一方そのころ現実世界では、血の刃が紅鐵の化物へと迫る。
 目標は一切のブレなく一点へと集中する精密な斬撃。
 鬼はそれを前にして、しかし臆することなく突撃。

「イ イ イ……アアアアアアアアアアアアア!!!」

 空中に飛び出し高速回転。
 これは偶然か、はたまた野生の感か。
 回転によって斬撃をあえて全身に受け、それによって「一点集中」を無くす。
 全身から鉄屑を撒き散らしつつ、ズシャリとゼオラの前へと着地した。

「アアアア……ォォオオオオオオオオオオオ オ オ オ オ!!」

 咆哮。
 キバがギラリと光り、その肉を喰らおうとクロスはゼオラへ走ってゆく。

700ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/02(土) 23:44:01 ID:mbXTFaJQ0
>>699
冥界で相対した魔獣とは比べ物にならない威圧感。
決してゼロでは無い敗北の可能性がそれを臭わせる。
能無しは嫌い。
空の脳は思い通りに罠にかかるが無骨な動きにセオリーは無い。
罠にかかるサイズでなければ、ある意味デメリットのみとも言える。

「煩いよ……」
だが、往なすのは容易。
しゃがみ込み、自らの影を救い上げると身体を覆うように振り上げて、
フッ―――
闇を被り音も無く姿を消す。移動先は鉄塊の背後。
手にしていた大鎌は一度闇に紛れ再度形を練り直し弓へと変形する。
「鬼退治」
逆の手に持っているのは同じく闇から生まれた漆黒の矢。
弦にかけ、背中を目掛けて矢を放つ。
錐揉み状の回転をしつつ、鉄塊の背を狙う矢は鋭い放物線を描く。
複数の攻撃は先ほど偶然にも回避されたため、今回は一撃の威力重視の様だ。

701暴喰鐵鬼 → ……  ◆CROSS/.AzE:2012/06/02(土) 23:59:21 ID:HnkBBDEo0
>>700
 闇羽の矢が鬼を捉える。
 轟音を立て、鉄の塊が地面に減り込んだ。

「―――――― ッ!!」

 矢の刺さった背中から中心に装甲にヒビが入り、砕け散った鉄片が辺りにばら撒かれる。

「――――― ギッ……ギィイイイイイイイイイイ!!!」

 悲鳴にも近い咆哮が鐵鬼の口から放たれ……



――『んん?』

 夢幻世界。
 紅い月が浮かぶ空がヒビ割れ、そこから闇色の何かが顔を覗かせる。

――王よ! いざ罪人の首を狩りに!
――咎を飲みに踏み出さん!!
――『待て。ええと……』

 あの闇のような力、どこかで見たような……

――『あ』

 思い出した。

――『テメェら……勝手に何やってんだァアア!!」

 途端に夢幻世界の崩壊が始まる。
 鉄塔の森が崩れ、銀の空が落ち、血の海が割れ、薬筒の丘は渦巻いてゆく。
 紅の月は墜落を始め、鉄屑の星々は最後の光と共に燃え尽き始めた。


「オオオオオオオオオオオオ!!!!」

 現実世界。
 矢を受けた鬼はもがき暴れる。紅の装甲は自己崩壊を開始。
 どんどんと崩れ落ち、尾は折れ、角と牙を持った面はガシャリと地面に落ち、

「……」

 そこには、元のクロスが全身から煙を上げて立っていた。

「……ふぅ」

 振り向き、一言。

「すまん、邪魔が入った」

702ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/03(日) 00:18:54 ID:mbXTFaJQ0
>>701
「チッ……やっと、」
言葉は荒い呼吸によって途切れる。
弓は再び大鎌へと戻ると杖としてゼオラを支える。

「邪魔、だった……」
首は落ち、視線はいつも以上に下向き。
表情は見えないが、呼吸とその様子から疲弊の様子が見えるだろう。
元々体力の少ない彼女だ。ダメージもゼロでもないし、精神も使い込んだことだろう。

703銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/03(日) 00:26:25 ID:HnkBBDEo0
>>702
「いやー、最近暴れてなかったからな。ちょっと『出てきて』しまったようだ。
 お前知らなかったっけ? 俺って実は管理局辺りからは災害指定を受けてんだよ。
 ときどき、こうやって反転が起こって暴れちまう。スマンスマン」

 そう言いつつもゼオラへと近づき、

「でもテメーも原因なんだかんな! ったく、本当に何が目的なんだよ。
 あのな、俺だって暴走するまで切羽詰ったんだぞ。
 マジで危なかった。また暴走して周囲をブッ壊して暴れたとなりゃ、
 また保険会社と裁判所と弁護士の間をグルグル回るハメになる。面倒なんだよソレ」

 だはー、と溜息を吐きつつクロスはゼオラの前にしゃがみこみ、顔を覗く。

「なあ、俺なにかしたか?」

704ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/03(日) 00:48:55 ID:mbXTFaJQ0
>>703
ハァ。と溜息一つの返答を返す。
災害指定を受けている辺りとか、
それを事も無げ話す辺りとかがなんとも『それっぽい』と感じる。

肩と胸を上下させる程の大きな呼吸が顔を覗き込みに来たクロスに掛かる。。
相変わらずの無表情ではあるが、何処となく疲労の色が見える。
「別に……でも、満足」
疲労の色を取っ払うと、薄らと笑みを零して見せる。

705銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/03(日) 00:54:50 ID:HnkBBDEo0
>>704
「?」

 やっぱり意味が分からないようで、眉間に皺を寄せる。

「……ま、もういいか。お前が言わないってのなら、俺もしつこく聞かねーよ」

 どうやら諦めたようだ。

「ただ、次に俺を相手にしたい場合はイデアの仮想空間で頼むわ。
 じゃないと俺もなかなか本気を出せねぇ。俺の能力は街を壊さずに済むほど繊細じゃねーんだよ」

 溜息を吐きつつ立ち上がる。

「ほら、行こうぜ。お前も怪我してんだろ。
 病院は……嫌いだっけか、お前。ウチ来るか?」

706ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/03(日) 01:07:09 ID:mbXTFaJQ0
>>705
「……」
クロスから視線を逸らし、顎に軽く手を当てる。
仕草で見れば、少々悩んでいるようだった。「んー」と唸る声も聞こえる。

暫くすると手をはずし、小さく頷いた。
「じゃあ、行く」
小さく頷くと左手を振り払い、暗黒性の大鎌を消す。

707銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/06/03(日) 01:16:28 ID:HnkBBDEo0
>>706
「おう、来い来い」

 立ち上がり、そこで背中に受けた傷が思い出したかのように疼く。

「ッ!? ってぇ……俺もヤベーわ。
 ポーションってまだ家にあったっけかー?
 この前、損傷治癒系は何個か買ったと思うけど」

 なるべく背筋に負担をかけないように、歪つな姿勢で店へと帰ってゆく。

708ゼオラ=アドヴァルド:2012/06/03(日) 01:30:39 ID:mbXTFaJQ0
>>707
やはり騒がしい。
自分と反対の人間と言うのはやはり見ていて面白い。
思案の内容を言葉に出しながら帰路につくクロスを眺めながらそう感じた。
その最中、少女がポツリとつぶやいた。
「悔い、無く……ね」
聞こえていなくても構わない。むしろそちらの方が都合がいいだろう……。

709?:2012/06/03(日) 21:03:10 ID:dL8H4NjE0
(嫌だよ……私……)
(どうせ死ぬなら、僕は――の傍で死にたい、だから……)

「…………」
公園。
遊具がいくつかとベンチが三台といった、どこにでもあるようなそんな普通の場所。

「…う……」
ベンチに横たわっている少女が、苦しげな声をあげる。
顔中に汗がじんわりと浮かび、堅く目をつむっている。
たまにビクリと体を震わせては、何かにうなされるようにうめき声をあげる。
「あ……っぐ……」
悪夢にうなされているだけなのだろうが、その苦しみ様は尋常ではなかった。

710防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 21:29:16 ID:trmDr2BE0
>>709
「…誰かが倒れている」
【公園の中に一人の学生が入ってきた】

「だ、大丈夫ですか?!
 何処か痛みます?」
【慌てて駆け寄っていき、軽くさすってみる】

711名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 21:34:32 ID:mbXTFaJQ0
>>709
「おや」
偶然、公園の前を通りかかった純白。
所謂アルビノと言われるそれは、見知った少女を見つけて近寄って行く。

「どうした、御嬢さん」
今まで少女に抱いていたイメージとは違った形だ。
ベンチに寝っころがると言う事はしそうにないと思って居たのだが。

「……眠っているのか」
その寝顔から察すればその眠りは余り良い物ではなさそうだ。
少女の前に佇むと、息を殺しただ静かであることに徹する。

712?:2012/06/03(日) 21:41:35 ID:dL8H4NjE0
>>710-711
(だから――、君が僕を……)
(うわあああああああああああああああああああああああ!!!)

「……――ッ!」
さすってから少しすると、少女が目を見開いて跳ね起きる。
何が起きているのかよく分かっていないのか、しばらく鶫に気付いていない様子で辺りを見回す。
「あ、れ?なんで、私……」
うまく息ができていないのか、浅い呼吸を繰り返す。
と、そこで、初めて鶫アルビノに気付いたようだ。

「あー……と。こんばんは」
困ったように笑いながら、とりあえず挨拶。

713防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 21:44:23 ID:trmDr2BE0
>>711
「ん?えっと…
 こんばんは」
【言葉少なに挨拶する。ひとまず目の前の少女に気をかける】

>>712
「あ、目が覚めましたか…?
 その、大丈夫ですか?」
【少し落ち着いた口調で喋り始めた】

714名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 21:51:26 ID:mbXTFaJQ0
>>712
「こんばんは」
落ち着いた様子で挨拶を返す。
其方の様子を伺い、少しして口を開く。

「悪夢にうなされていたのかい?」
少女の瞳を確りと捕らえて話す。
今日は買い物の帰りでは無い様だ。
その代わり、手には純白の花を付けた薔薇を持っていた。

>>713
「久しぶりだね」
挨拶を返すと、小さく頭を下げる。

715?:2012/06/03(日) 21:58:29 ID:dL8H4NjE0
>>713
「え?う、うん。だいじょーぶ」
両手を大げさにブンブンと振る。
冷や汗でぐっしょりの服と、ひきつった笑みが明らかに嘘だと物語っているが。


>>714
少女の様子は、見た目だけならいつも通りの明るく振舞っている印象を受けるだろう。
先ほどにも書いたとおり、明らかに嘘をついている、無理している感じではあるが。

「悪夢?……まあそんな感じかなあ?」
こちらは視線だけ他の方向だけ向ける。

716防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 22:02:08 ID:trmDr2BE0
>>714
「ええ、久しぶりです。
 元気でした…よね?」
【少し落ち着いた口調で言う】

>>715
「…病気ではなさそうですけどね…
 しかし…」
【じっとその汗まみれの服を見る】
「ひどい夢を見ていたようですね。
 何があったんですか?」
【今度は視線を少女に向ける】

717名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 22:08:22 ID:mbXTFaJQ0
>>715
「余程嫌な物だったのだろうね」
クスリと笑みを向ける。
態々悪夢を見た事を隠す必要は無い。
そうしようとして失敗してしまう程の物か。と。

>>716
「勿論。キミはどうだい?」
何故こんな会話をしているのか。という気にもなるが、取り敢えず。

718?:2012/06/03(日) 22:15:19 ID:dL8H4NjE0
>>716
「そういうのなんて誰でも見るものじゃない?」
「少し運が悪かっただけだよ、心配しないで」
ベンチから立ち上がり、汗まみれの服をパタパタと扇ぐ。
人目があるので脱いだりはしないが、濡れた服はかなり鬱陶しそうだ。

>>717
「まあ、ね。」
そのことに言及したくないのか、一言だけ返す。

>>716-717
「で、お二人はなんでこんな場所に?」
顔に浮かんだ汗を軽く拭うと、二人に問いかける。

719防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 22:20:14 ID:trmDr2BE0
>>717
「私は見ての通りです。」
【軽く微笑んでみせた】

「ひとまず…この子は体調が悪いわけではないようですね」

>>718
「そうですか…
 確かにひどい夢は見ることはありますね」
【納得したように答える】

「私は…ええ、ちょっと軽く特訓をした後だったんですがね。
 たまたまあなたを見て心配になりまして」
【そう言って微笑む】

720名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 22:26:54 ID:mbXTFaJQ0
>>718
「詮索はしないよ」
フッ。と笑みを零し、向けられた問に答える。

「何って、通りすがりさ」
白い薔薇を其方に向けつつ。

>>719
「彼女も言っているだろう? ただの夢さ」
鶫の頭い手を置くとポンポンと撫でようとするだろう。
此方の顔を見れば、酷く静かな事だろう。

「それは杞憂さ」

721?:2012/06/03(日) 22:38:30 ID:dL8H4NjE0
>>719
「そうそう、誰にでもあることだから心配する必要はないよ」
相手に言い聞かせるような言い方で話す。

「特訓好きだねえ、感心しちゃうわー」
さっきまでとは違う、ごく自然な笑みを見せる。
少し元気が戻ってきたのだろうか。

>>720
「それがいいと思うよ、人の夢の内容なんてきいても面白くないだろうし」
澄まし顔で答える。

「その言葉とバラの関係性がわからないけど……」
バラを不思議そうに見る。
なんとなくゆっくりと手を伸ばすが、特に意味はない。

722防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 22:43:48 ID:trmDr2BE0
>>720
「そうですね…
 あ、ちょっと、撫でないでくださいよー」
【さすがに恥ずかしそうにしている】

「だといいですね。」
【そう言って頷いた】

>>721
「心配ないですね。
 見たところ…元気そうですから」
【微笑み返した】

「ええ、箱庭システムの中なら
 どんなにきずついても、死んでも特訓はやり直せますからね」
【拳をぐっと握って言う】

723名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 22:52:11 ID:mbXTFaJQ0
>>721
「僕は聞きたいさ。
 だけど、キミがそうされたくない」
ククッ。と浮かべた笑みは意地の悪い物だった。

「特に無いさ。
 ……欲しいかい?」
其方の顔を伺うように眺めつつ。

>>722
「必要としているのならば彼女から助けを求めるさ」
最後に少し強めに頭を撫でると、手を離す。
線は細いが背は高い。同年代には見えにくいだろう。

「下手な介入は還って傷つける」

724?:2012/06/03(日) 23:05:23 ID:dL8H4NjE0
>>722
「うん、私は元気ですぜー」
「そういえばどうでもいいけど、学校とかの英語の時間って
最初に本人の状態がどうであれ必ずI'm fine.とか言わなかった?」
ふと思いついたように話題を変える。
たった今思いついたような普通の話題なので、答えるも軽く流すも自由だ。

「仮想空間は便利だけど、あんまり現実感なくさないようにね?」
「特訓と同じ様な無茶したら本当に死にかねないんだし」
まさかこの少女に限って現実と仮想の区別がつかなくなるとは思わないが、念のため。
そうでなくとも他人のために自分の命を投げ出してしまいそうではあるが。

>>723
「話したくないなんて一言も言っとらんわー」
心外そうに、怒っている素振りを見せながら言う。
声色がやけに間が抜けているので、いつも通りふざけているのだろう。

「もらえるならもらうよ?いらないからすぐ捨てるけど」
要するにほしくない、ということだろう。
かなり回りくどい。

725高向谷 司朗:2012/06/03(日) 23:08:27 ID:NntjvIzM0
「お前の言うとおりだ。
 上手くいかないもんだなあ」

帽子を被った二十歳ぐらいの男が、
背中にダンボール製の空気砲を持って公園まで歩いてきた。

「さてと……ラーメンでも……。
 あれ?今日は屋台来てないんだな」

呟きながらも、男はそのまま公園に入ってくる。

「待ってたら来るかもなあ。
 少し待ってみるか。
 ……ん?なんか人集まってるな」

男はふと目に付いた三人のところに歩いてくる。

726防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 23:09:08 ID:trmDr2BE0
>>723
「あの子が求めるまでは、ですか…」
【軽く頷いた】
「そうですね、もしそうなった時まで見守ります」

>>724
「良かったです…
 え?えーっと、確かに状態にかかわらず言いますね
 チョット変だなーとは思いますけど…」
【まじめに返している…】

「わかってます。
 とりあえず、体に受けた色んな痛みは忘れないようにしてますよ」
【胸の前でグッと拳を握った】
「だからこその特訓ですから」

727防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 23:11:49 ID:trmDr2BE0
>>725
「ん?誰かこっちに来ますね」
【ふと振り返る学生らしき女性。】

「うーん、誰ですかー?」
【そう言ってじっと見つめる。】
【見たところこの少女はかなりのスタイルのようだ】

728名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 23:21:20 ID:mbXTFaJQ0
>>724
「じゃあ、キミの悪夢とやらを話してほしいな。
 不思議な話と思うかもしれないけど、悪夢とは縁があってね」
ふざけ返しにも見えるが、表情は真面目そのものだ。

「それは困る。
 この薔薇にはちょっとした因縁が含まれていてね」
スッと少女の手元から薔薇を遠ざけると、口元に寄せてクスリと笑んで見せた。

>>725
「……うわっ」
ダンボールを背負いながら歩く青年。
その光景はどう見ても異質であり、この存在またそう思う。

出来れば近寄りたくないと思っていた物だが、
そう望めば望むほど真実と言うのは裏切る傾向にあるらしい。
「や、やぁ……」
白い肌に白い髪。
それでいて真紅の瞳は滾る血の如く躍動する。
解り易いアルビノだ。何処となく目線を逸らし気味に声を掛けた。

>>726
「引きすぎるのも問題だけど……」
そこまでを言うと少女の瞳を眺める。

「キミならば大丈夫そうだよ」

729?:2012/06/03(日) 23:30:21 ID:dL8H4NjE0
>>725
「……あいつは……」
見覚えのある顔を視界に捉える。
あることからひどく敵視されているが、今の少女は特に気にしてはいない。

「試しに……そおいっ」
それどころか、ナイフを一本召喚すると、司郎の顔にギリギリ当たらない場所めがけて投擲する。
火に油を注ぐような行為であることは言うまでもない。

>>726
「真実を教えてあげよう、あれは自分は元気だと言い聞かせることで、
生徒を洗脳しようとしているのだよ」
即興のデタラメを言う。

「戦うときは自分が死なないようにすることを最優先にしなよ」
軽く忠告する。

>>728
「ぐぬぬ……私が言いたくないことをわかってて言ってるな?」
「というか自分から嫌な夢を話そうとする奴なんているわけないでしょうが」
結局言いたくないらしい。

「言うことが二転三転するねー、というかキザなのは素なの?」
少女の言葉の前半部分が完全にブーメランだということには気づいていないらしい。

730高向谷 司朗:2012/06/03(日) 23:38:42 ID:NntjvIzM0
>>727
「や、どーもどーも」

司朗は好奇心旺盛そうに三人の顔をキョロキョロと見る。

「……何の集まり?
 もしかして皆ラーメン屋台待ち?
 俺もだよ、俺も」

>>728
「……なんだよ。
 小学生レベルの工作持って歩いてるだけで、
 なんでそんなに不審者を見るような目をされなきゃならないんだ」

わざとらしい不機嫌そうな顔でアルビノの人物を見た。

「これでもれっきとした修行の道具なんだよ。
 俺も最初は疑ったけどな」

>>729
「……ん?
 あいつ……」

ナイフを召喚すると同時に、司朗は少女に気が付いた。

「また会ったか……なんでナイフなんか……おわっ!?」

ナイフが投げつけられ、司朗は固まった。
ナイフは司朗を掠めて飛んでいった。

「……あんまり人を馬鹿にするなよ。
 っていうか、下手に避けてたら当たってただろ、あれ」

731防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/03(日) 23:43:08 ID:trmDr2BE0
>>728
「信頼をおいてもらったみたいで、
 なんだか嬉しいです」
【微笑みながら返した】

「一応遠目から見ておきますよ」

>>729
「それは知らなかったですね…
 なるほど、それで元気になるんでしょうかねえ?」
【疑問を持ち始めているようだ】

「わかってます。いのちを捨てるような真似はしないつもりですから」
【その目に真剣さがかいま見える】

>>730
「ああ、こんばんは。
 えっと、また会いましたかね?」
【よーく見つめながら言う】

「このへんに屋台が来るんですか?
 ああ、たしかに時折匂いはしますね…
 ですがよく知りませんでした」
【どうやら知らなかったようである】

732名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 23:54:17 ID:mbXTFaJQ0
>>729
「だろう?」
フッ。とクール気な笑みを浮かべる。
その実情はちょっと控えめなドヤ顔である。

「キミが大切に飾ってくれるなら上げてもいいと思っただけさ。
 ……因縁自体も大したことは無いしね。ただの増せた少年からの愛の証」
指先で器用にも薔薇を動かしクルリと回す。

「好意的な人間の前ではカッコよく見られたいものだろう?」

>>730
「自分じゃ不審と思わないのかい?」
念のため聞いてみる。と言った雰囲気だ。
頭の中では既に「ダンボールを背負うのは不審」、「そして彼はそう思って居ない」と決めつけている風だ。

「因みに聞くけど、どんな?」
一般人にしか見えない青年がダンボール箱製の空気法を使っての修行。
それでは訝しげな視線を向けられるのは妥当と言えるだろうか。それでもこちらのリアクションはオーバー気味だが。

>>731
「それについてはね」
少女にむけて真剣な眼を向ける。

「キミの場合、手を出すタイミングが早すぎないかと心配だよ。
 何も正義感はプラスに働くだけでは無いことを覚えておくんだ」
少々厳しい顔と口調だ。
決して暖かくは無い性格をしている以上、冷ややかな視線には相応の威力がある。

733?:2012/06/04(月) 00:01:37 ID:dL8H4NjE0
>>730
「あなたならそんな変な避け方はしないだろうって信頼してたんだよ」
もちろん言葉通りに思っているわけがない。何事も言い方である。
「こんばんは、なんか最近よく会うね。いやー嬉しいなー」

「あと、この中にラーメンの屋台を待ってるのはたぶんあなただけだと思うよ」
>>731
「自己暗示っていうのはすごいんだよ?」
「催眠術とかだってあくまで自己暗示を手助けするものでしかないし」
冗談でしたでさっさと済ませばいいものを、なぜか信じ込ませようとする。
少女自身は面白がってやっているだけなのだろう。

「ん、よろしい」
笑顔でこくりとうなずく。

>>732
「ドヤァ……って擬音が聞こえてきたんだけど気のせい?」
若干引き気味に聞く。

「うわあ気持ちわるっ」
鳥肌を押さえるように腕をさする。
少女の態度がだんだん冷たくなってきているのは気のせいではない。

734高向谷 司朗:2012/06/04(月) 00:10:33 ID:NntjvIzM0
>>731
「いや、初対面だけど」

少し馴れ馴れしかったか、と考えた。

「もしかして逆ナン?
 いや、それはやめといた方がいい」

勘違いしてブンブンと手を振った。

「ああ、たまに来るよ、屋台。
 結構美味いんだよね、安くは無いけど。
 不定期っぽいから今日は来てないのかなあ」

>>732
「いいや、別に。
 日本刀やミサイルかついで歩いてる連中よりは遥かに安全かつ健全だと思うぞ」

この都市では、そういう輩も探せばいくらでもいる。
そういった輩が必ずしも危険と言うわけでもない。

「俺の能力は、気流を操る能力でな。
 ――ついこないだまでは気流を探知するだけだったんだけど。
 まあ、まだ扱いになれてなくて、空気砲の射程を延ばすことが訓練になるんだよ」

こういう空気砲から発射される空気弾は、ドーナツ状に渦巻く複雑な形をしている。
それを制御することが、丁度言い訓練になるのだ。

>>733
「ああ、そうね。
 こんなに信頼されたくない相手が居るなんて思わなかったわ。
 ああ、うれしいか、そかそか、よかったな」

舌打ちをする。
やはりこちらは敵意をむき出しにしている。

「誰も待ってないね。はいはい。
 じゃあ俺だけ待たせてもらいますよ、と」

非常に面倒くさそうに言った。

735防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/04(月) 00:26:21 ID:trmDr2BE0
>>732
「そのようなものなのでしょうか…
 私は、目先のことはなかなかほうっておくことができませんね…」
【冷ややかな目線を受けて思わずたじろいでしまう】

「…どうにか抑えるのは、難しそうです。」

>>733
「…案外馬鹿に出来ませんね。
 学校で行われることにはやはり大きな意味があるんですね」
【かなりまじめに返している】

「ありがとうございます」
【お辞儀を軽く行う】

>>734
「ああ、すいません。
 はじめまして」
【そう言って改めて頭を下げる】

「いえ…そんなつもりはないですよ!」
【慌てて大きく手を振る】
「そうなんですか…
 見かけたら言ってみましょうか…」
【どうやら興味をそそられているようだ】

736名も無き異能都市住民:2012/06/04(月) 00:34:47 ID:mbXTFaJQ0
>>733
「気のせいさ」
冷たげな反応に徹する少女に溜息を吐く。

「キミに嫌われるような事はしたかな……」
少なくとも自覚は無いらしい。
心配げなカオをして視線を俯かせる。

>>734
「安全かつ健全は確かだけどさぁ……」
そう言う問題じゃないでしょ。と溜息をもう一度吐きながら答える。

「成程。キミの言い分は良く解ったよ」
そう聞かされると空気砲を見る目つきが変わる。
これも能力を育てる訓練道具の一つ。そう考えれば真剣にならざるを得ないだろう。

>>735
「個としての人間が持てる意思は一つだ。
 キミの正義もその一つから導いた答えでしかない。そう前にも言った筈だけどね」
其方の反応を見て、少し視線を逸らした。
フゥ。と息を吐く再び視線を戻し。

「どうも説教臭くなるのは癖みたいだ。
 深くは考え過ぎないでくれ、優しさというキミの長所を潰しかねない」
言い終わり、小さく頷いて。

「僕自身の意見で言えば、善処はして欲しい。と言う事も覚えておいてほしいけどね」

737?:2012/06/04(月) 00:43:30 ID:dL8H4NjE0
>>734
「いやー相変わらず冷たいねえ」
好意ととれなくもない笑顔を見せる。

「せいぜい待っているがいい、そしてラーメンの味を五臓六賦に染み渡らせるがいい!」
悪の大王もかくやといった感じで笑う。
全く意味がわからない。真面目に返すだけ無駄だろう。

>>735
「このことは他言無用だよ」
変な子扱いされちゃうだろうから、とは心の中だけで言う。

>>736
「胸に手を当てて考えてみたら?」
一言だけ返す。

>>734-736
「さすがにこの服のままだと風邪ひきそうだし、私帰るね」
三人に手をふると、少女はカードから大箱を召喚する。
箱の扉を開き、その中に入って数秒もすれば、箱ごと少女は消え去るだろう。

/眠気があれなんで先に落ちます、絡みありがとうございました。

738高向谷 司朗:2012/06/04(月) 00:48:51 ID:NntjvIzM0
>>735
「ん、はじめまして。
 俺は高向谷司朗(たこうだにしろう)。よろしく」

軽い感じで手を上げた。

「でも高いからたまにしか来れないんだよなあ。
 そのたまに、に必ずやってるとは限らないしさ」

ラーメン屋なんて何所も高いんだけど、と付け足した。

>>736
「じゃあホームレスのおっさんたちはどうなんだよ。
 あの人たちにとってはダンボールは大切な相棒だぞ。
 担いで歩いてても不思議でもなんでもないだろ」

ホームレスに偏見を持っているように聞こえるし、
そもそも司朗はホームレスでは無いのだが。

「ほら、なっ」

少し離れ、アルビノの人物に向けてぼふん、と空気砲を放った。
ふわっと軽い風が感じられるだろう。
アルビノの人物が異能の力に敏感だった場合、邪気眼の邪気を同時に感じるかもしれない。

>>737
「ふん、あのラーメンのよさは貴様には一生わかるまい!
 さっさと家でインスタント麺でも食ってろー!」

ぼんぼんと空気砲を少女に向かって放った。
当然ダメージを与えられるものではなく、ただそよ風を感じる程度である。

「ったく、あいつめ」
「子供だな、お前も」

腰にぶら下げているエンブレムがため息をついた。

「ん、知ってる」

739防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/04(月) 00:55:20 ID:trmDr2BE0
>>736
「そうでした…
 人は一つのことしか出来ませんね」
【少し落ち込んでいるようだ】
「いえ、勉強になります。
 色々学べそうなお言葉ばかりでした。」
【頭を軽く下げ、再び顔を上げる】
「わかりました。できうる限り、善処します」
【少し凛々しい顔である】

>>737
「わかりました。
 ないしょにしておきます」
【そう言って指を自分の口の前で立てた】

「あ、さようなら!
 また会いましょう!」
【軽く手を振りながら見送っていった】

>>738
「司朗さんですか。
 私の名前は防人鶫(さきもりつぐみ)といいます。
 よろしくお願いします。」
【軽くお辞儀をして挨拶をした】

「高いんですか…
 学生のお金で買えるのか心配です」
【チョット残念そうな顔である】

740名も無き異能都市住民:2012/06/04(月) 01:14:28 ID:mbXTFaJQ0
>>737
「手厳しいね、キミは」
フフッ。と楽しげな笑みを浮かべた。

「あぁ、それが良いだろうね」
此方も手を振って返し、見送った。

>>738
「キミは違うだろう?」
的確な返答を返す。
大凡の予想通り、何処か抜けている部分があるようだ。と溜息を吐きながら痛感した。

「……成程」
風を受けると、目を閉じて周囲を感じる事に徹する。
邪気とそれを操作する眼。紛れもない異能の力だ。

>>739
「勿論、僕も個人でしかない。
 そだけは留意して置いてほしい」
少女に向かってほほ笑みを見せる。
横を通り過ぎ、去り際に頭をポンと撫でる。

「それじゃ、僕も帰らせてもらうよ。これを届けなくちゃいけないからね」
指先を器用に回し、白い薔薇を見せつける。
背を向けたまま手を振って、公園を去って行った。

741高向谷 司朗:2012/06/04(月) 01:18:00 ID:NntjvIzM0
>>739
「そこまで手が届かない物でもないと思うけどな……」

所詮は三桁レベルの値段である。

「いや、残念そうにしすぎだろ、ラーメン程度で」

空気砲を鶫に向かって放った。
そよ風と共に邪気が感じられるかもしれない。

>>740
「なんかそのクールさ、心に刺さるわあ……。
 そんなに真面目だと生きにくくない?
 特にこの都市では」

ぼんぼんと空気弾を何発も放つ。

「そんじゃね、さいならー」

手を振った。

742防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/04(月) 01:21:59 ID:trmDr2BE0
>>739
「わかりました。
 なるべく、自分で色々と考えてみます」
【そう言って軽く頷いた】
「えっと、さようならー!」
【大きく手を振りながら見送っていった】

>>740
「あ、そうですか・・・
 だとしたら安心です」
【嬉しそうに答えた】
「すいません、食べ歩きとか結構憧れなんです」
【苦笑いを浮かべつつ答えた】

「…おっと、もうこんな時間ですか。
 すいません、私もう帰りますね」
【そう言うと風呂敷を軽く背負って】

「じゃあまた!」
【大きく手を振りつつ去っていった】
//そろそろ寝ます!

743防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/04(月) 01:23:17 ID:trmDr2BE0
//>>742
//すいません!レスが一つずつずれてしまいました!
//それぞれ>>740>>741です

744高向谷 司朗:2012/06/04(月) 01:28:08 ID:NntjvIzM0
>>742
「食べ歩きかあ、俺も好きだな」

空気砲を何度も叩きながら言った。

「おう、それじゃ」

司朗はそのままベンチに座った。
暫くすると、待ちかねていた屋台の笛の音が聞こえてきた。

「お、来た来た来た。
 おやじさーん、ラーメン一つね!」

745黒沢小百合:2012/06/04(月) 23:55:20 ID:SSMHlh/20

自分が昏睡している間に、『連続放火事件』がそれなりの騒ぎになっていると
小百合が聞いたのはそれこそ、昏睡から目覚めて数時間のうちであった。

以前からとりくんでいる麻薬取り締まり、新たに騒ぎとなり始めた『人外狩り』。
それらの対策協議などでなかなか本腰を入れて取り組む事はできなかったが、ここ数週間の間、
関係各所から資料を取り寄せてはそれに目を通していたためそれなりの知識は
インプットしてあるつもりだ。

しかし、資料だけでは見えてこないものもある。
目新しい物は発見できないとしても一応、現場の空気。雰囲気を知っておきたい、と思い
小百合は仕事帰り、少し足を伸ばしてフランキス邸宅跡を訪れていた。

「ふぅむ、やはりコレに対してもなんらかの対策を採らねばマズいか。
 部下にまかせっきり、では少し荷が重くなってきた……。」

小百合は、既に荒れ果てた敷地をしばらく探索した後、
焼け残った土台部分のブロックの上に腰掛けると、炭を拾い上げそれを軽く握りつぶした。

746名も無き異能都市住民:2012/06/05(火) 00:53:34 ID:1sJsd2CgO
>>745
崩れ落ちる炭から、わずかにエッセンシャルオイルのような匂いがした。
焼け跡の匂いに混じることなく、その存在を主張する異臭が、ただの火災では無い事を改めて示してくる。

『……黒沢さん、少しよろしいですか』
現場保全の警備が、おずおずと話しかけてくる。
彼の後ろ、テープの向こう側に車椅子に座った少女と付き添いの男がいた。
付き添いの男は、八代真人だ。
平々凡々とした見た目が、この場では逆に浮いている。
車椅子のほうは線の細い少女だ、クセの付いた鳶色の髪が顔の半分を隠している。
周囲の空気が、暗い。
警備が言うには、実況見分をするから少し外していて欲しい、との事だ。

747黒沢小百合:2012/06/05(火) 01:06:45 ID:SSMHlh/20
>>746

「実況見分ですか、でしたらなおさらの事。
 私も同席させていただきましょう。雰囲気を掴んでおきたいのでね。」

小百合はよいタイミングで訪れた、と笑みを浮かべた。
元々得られる物も無い事は承知で訪れたが、何も得られないよりは
なにかしら得られたほうがよい。

小百合は、無理やり実況見分の見学を申し出た。

748八代真人:2012/06/05(火) 01:31:05 ID:1sJsd2CgO
>>747

『まぁ……構いませんが……』
警備は歯切れの悪い返答をして、テープの外にいた二人を呼ぶ。
この状況にいささか納得がいっていないような表情で、
『いいのかな……聞いてないし……でも公安じゃなぁ』
などと首を傾げている。


「ああ、誰かと思えば。
 こんばんは、公安の八代真人です……あなたも立ち会いに?」
わざとらしく『公安』を強調して言う。
勘がよければ、これが公式の実況見分ではないのが分かるだろう。
だが、鈍い警備はとりあえず形式に則って車椅子の少女と建物跡へと入って話を聞き始める。

事件当時、状況の再確認だ。
ぽつぽつと少女が話す内容は、今のところ既に資料で見たものと大差ない。

「……生き返った気分はどうですか?」
真人は、警備に聞こえないような声で、黒沢に話しかける。
ひそひそと。

749黒沢小百合:2012/06/05(火) 01:46:33 ID:SSMHlh/20
>>748

小百合も、実況見分について周り一応メモなどを取ったりしてはいるものの、
やはり目新しい情報はなく、頭の中に叩き込んだ情報となんら変わらないものであり
少将退屈を覚え始めていた。

「ああ、どうも……ええ、偶然ではありますがね。
 なにか情報が得られれば、と。」

公安局とは何度か仕事をした事があるが、
小百合は基本的に他の局に対しては不信感が強く、
少し挨拶がぶっきらぼうになってしまったかもしれない。

「これは異な事を聞く。私は死んでいたわけでも、
 はたまた地獄に言ったわけでもありませんよ。もっとも、この都市のごく少数は
 私が死んだほうが都合が良かったようですがねぇ。」

750八代真人:2012/06/05(火) 02:27:47 ID:1sJsd2CgO
>>749

「敵が多そうですからね」

建物跡内部……と、いっても僅かに残った骨組みと溶融した大きな鉄扉があるだけ。
焼けた炭や基礎に引っかかり車椅子では進みにくそうである。
『客間のほうから燃え始めた』
『客間が燃えるのは一瞬だったけど、こっち(住居側)が燃えるのはひどく遅かった』
『いつも以上に鉄扉が厳重に閉められていた』
『そういえば、家が二回ほど揺れた』
ようやく、資料に無かったような詳細な状況が少女の口から話されていく。

「今は焼け落ちてますが、この館の二階にね彼女――コレットの私室があったんですよ」
真人は車椅子に座った少女を示し、こそこそと話す。

「放火のあった夜、コレットはその部屋にずっといたらしい。
 三名の協力者に助け出されるまでね、俺もその場に居たがほとんど足手まといだったよ。
 一人の名前はゆすら、あと二人の名前は聞き損ねた」
まさしく無能力だな、と自嘲する。

『……ううん、焼け落ちる前。
 その揺れで様子を見ようとしたから……そしたら書斎から凄い音がして……』
突然押し黙るコレット。
口を固く結び、俯く様子は調子が優れないようにも見える。

751黒沢小百合:2012/06/05(火) 23:09:08 ID:SSMHlh/20
>>750

(ふむ……異能者がらみの事件に間違いないが
 やはり商会関連がどうにもきな臭い。ロージェンス事件の際に
 洗い切れなかった何か、があるのか?)

少女の話をききつつ、情報を整理する。

やはり警察関連の資料にもあるように『異能者の関与』は明白。

現時点の情報で立てられる最も無理のない推論は、
放火犯は客間に放火したものの人の気配を察知してその時点で逃げたため、
住居側は、自然に延焼しただけ。といった所だろうか。

752八代真人:2012/06/06(水) 05:53:06 ID:1sJsd2CgO
>>751

『揺れがあって、凄い音がして、その後どうしたんだい?』
言い淀むコレットに警備が話しかける。

『お父さんが、何かの吠えるような叫び声に連れていかれて……怖くて、逃げたくなって、でも自分の部屋から出られなくて、イヤ、来ないで!』
コレットは腕で何もない空間を掻いて、頭を抱える。
カタカタと震えて、今しがたのフラッシュバックに怯えている。

彼女の父親、ジェームズ・フランキスは一階の製作室の中、鎖と錠前で施錠された鉄扉の奥で焼死体となり発見されている。

『……これ以上は無理ですかね』
「あまり良くないでしょうね……仕方ないがこれまでか」
この放火事件で強いトラウマを植え付けられたコレットの精神状態を鑑みて、状況見分を終わる事にした。

753黒沢小百合:2012/06/07(木) 00:52:05 ID:SSMHlh/20
>>752

(結局、新規に得られた情報は無し……。
 やはり過度な期待は禁物か。しかし、今日はこれでいい。)

父親は炎から逃げようとパニックになり、誤って袋小路へと逃げ込んだのか……?
それとも、鉄の扉であれば炎を防げると考えたがそれが叶わなかったのか。
現時点である情報で無理なく結論を出そうとすればこの辺りだろうか、などと小百合は考える。

「今日はこの程度で良いでしょうね。
 それでは、私はそろそろ。元々、少し現場を見ておきたかっただけですので……。」

――かしっ

小百合は足元の墨を踏み潰すと、踵を返しその場から立ち去っていく。

754アイリス:2012/06/08(金) 00:05:19 ID:do5XJmGE0
【一夜城】
一夜城、談話室。
アイリスは新たな武器を探していた。
武器といっても、金属製のものでは無く、既存の武器に書き加えるだけで効果を発揮するものである。
紅茶の香りを楽しみながら、自らの手で持ち込んだ魔術書のページを捲るアイリス。
タイトルからは読み取れないが、処刑・拷問の際に使用される術式を記したものだ。
本来は要らぬもの。だが、念の為に持ってきていて正解であった。
内容は―――

術式を“複写”で別のものに丸々コピーする。
この術式を愛剣に刻むのは、忍びない。
アイリスの愛剣は自らの親族の躰の一部を使用し、更には様々な魔術的加護の機能が付いている。
新たなサブウエポンの新調か、愛剣一本でいくのか。
今後の闇祓騎士団との戦いに備えるのなら、新調するほうがいいのだろう……か。

「ねぇ、リオ。お母様に手紙を渡してくれると助かる。割りと急ぎでね。」

上等なレター用紙に、新たな短剣を作りたい旨と、本国の材料を分けて欲しいと手紙を書く。
文末をきっちりと締めて、融けたロウを接着剤代わりに封をする。

755アイリス:2012/06/08(金) 23:24:43 ID:do5XJmGE0
【AGカフェ】

カランとベルの音と現れるのはアイリス。
いつもと変わらず、千夜学園の制服だが、髪は今日はポニーテールになっていた。
昨日出した手紙は早速母の元へと届き、アイリスの愛剣と同じ素材では無いものの、
代替素材を準備してくれていた。
現在、闇祓騎士団に対する対策で使える手は使っている。
その中で、優先度が高い、情報拡散とロザリアへの講師の依頼を済ませるだけであった。
先日彼女からの申し出により、講師の話を詰めたいということだ。

「さて、ロザリーと会って話したいところだけれど、彼女は来るかな。」

そういい、いつものカウンター席に腰掛ける。
クロスとも会える可能性がある以上、アイリスはここを選んだ。

756ロザリア・ロートシルト:2012/06/08(金) 23:31:06 ID:SSMHlh/20
>>755

「はいなはいな。何かしらねえ。」

ぐにゅん、と水面に石を投じたように空間が歪曲し、
そこからひょい、と体を現すはロザリアその人。
このAGカフェに感知術式でも仕掛けてあるのだろうか。

757アイリス:2012/06/08(金) 23:37:33 ID:do5XJmGE0
>>756
「やあ、ロザリー。ちょうど君に会いたかったところだ。」

アイリスの視線はロザリアへと向かい。
それにしても、よく自分がいるところが分かり、更には呼ばれて反応するのはそういった術式なのだろうか。
それでもいつも対応してくれている相手に微笑みを向けて。

「先に頼んだ講師の件で、話を詰めたいと言っていたからね。
 その話を詰めておきたくて。最近、彼等の襲撃は多いだろう?」

アイリスはコウモリと使い魔のキルリスを以て情報を得ていた。

758ロザリア・ロートシルト:2012/06/08(金) 23:55:06 ID:SSMHlh/20
>>757

「ええ、もう少し話をしておきたくてね。
 襲撃もやはり、散発的ではあるけれど発生しているわ。
 しかも厄介な事に、ほら。」

――ぱさ。

テーブルに置かれたのは『少年グループが獣人の浮浪者を襲撃』という
見出しが躍る、今日付けのエリュシオン・ジャーナル紙。

「模倣犯や、例の騎士団の襲撃に見せかけた
 強盗なんかも何件か、起こり始めている。すこしマズい状況よこれは。」

759アイリス:2012/06/09(土) 00:06:35 ID:do5XJmGE0
>>758
「なるほどね。それも兼ねて、か。
 正直、一夜城でも人外の保護は厳しい。部屋数は見かけほど多くは無いからね」

テーブルに置かれた、エリュシオン・ジャーナル紙の一面を見つめ。
アイリスは闇祓騎士団だけに絞りたい。
だが、紙面が示す通り模倣犯等が発生している状況だ。

「…拙いね。これが事実であれ、虚構であれ、刺激される者は多いだろう。
 特に、高校生といった多感な時期ならね。人と人外は滅ぼし合いの道を辿る、君はそう言いたい訳だね。」

これが、闇祓騎士団が計算した動きとは思えない。
模倣犯はまだしも、少年グループの“真似事”、金銭が絡む以上、そういった事態も出てくるだろう。
しかし、アイリス達人外も指を咥えて殺されるのを待っているわけにもいかない。

「…そうだね、今僕等に必要な物は、組織名、声明といった所かな、ロザリー」

アイリスの判断は、自らも組織を名乗り、闇祓騎士団と徹底抗戦すること。
紙面を飾る機会が多くなりそうで、アイリスは気が進まないのだが……。
この都市の人外全体で見れば、頼れる組織が存在するということは非常にありがたいのではないか。

760ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 00:20:57 ID:SSMHlh/20
>>759

「ええ、そうしたものは必要ね。
 相手は組織。此方も組織的に行動し、世論を味方につけなければ。
 といっても、世論がヤツらを支持することなんてありえないんだけど。」

実際に、一夜城には『力』がある。
人員こそ少ないが、富と知識という力が。
公式に対抗を表明することで、公的な治安維持組織との連携ができることも大きいだろう。

「とにかく、私たちに今必要な事は情報と人員。
 千夜や公安、警察組織と連携できればそれらはカバーできるはずよ。」

そうした組織の中でロザリアは人材の育成を請け負う事になる。
そう考えると、なんとも気が引き締まる。

761アイリス:2012/06/09(土) 00:36:48 ID:do5XJmGE0
>>760
「分からないよ。もしかすると、人外を疎む人達がいるのも事実。
 表立っていないけれど、潜在的なものも含めると、決して少ないとは言い切れないだろうからね。」

確かに一夜城は力がある。
ヤドリギともコネクションができている。
更には人外に門戸を開いている以上、多くの人外と知り合える。
だが、其れ以上に大事なのは、闇祓騎士団を排そうとする各人の力の『強さ』が挙げられる。
アスカリオテを除けば、吸血鬼の三人組だけで大軍を相手取るのも容易だろう。

「分かった。僕はイメル――人狼の娘は協力を約束してくれているし、リリシア――天界の悪魔とも顔見知りだ。
 千夜は問題ない。小百合と少し話をすれば、彼女は協力してくれるだろうね。おそらく、彼女も彼等騎士団に手を焼いているはずだ。
 公の治安維持組織と協力できるのは大きいね。だが、幾つか問題がある。
 ロザリアは人材の育成を担当してもらうけれど、問題はトップだ。僕とイメルは学生でね、学友にまで被害を及ぼす可能性がある以上、
 素直にはい、とは言えないね。公式に騎士団と対立する声明を出すのは構わない。だがまずは組織を作り上げないとね。」

問題は組織としての形。今のままでは組織とは言えないだろう。
形から入ろうにも、どのような組織図を形どるかすら決まっていない以上、何ともいえない話だ。

762ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 00:46:53 ID:SSMHlh/20
>>761

「あなたなら血統だとかいろいろ申し分ないのだけれど、
 社会のしがらみというのは中々厄介なものねえ。」

この一夜城の代表といえば、やはりアイリス。
そのままトップに座るものかと思ったが、確かにそうした弱みもある。

「なら、例のあなたの祖母だったかしら……。
 彼女を一応のトップにすえるというのは?」

763アイリス:2012/06/09(土) 01:00:20 ID:do5XJmGE0
>>762
同じ、社会的理由で巴は不可能だろう。
リリシアはそもそも居場所が不明だ。
アスカリオテを示すワードが出た時点で、わずかながらアイリスの視線は強くなる。

「…大お祖母様はまだまだ現役と言えるほどの力をお持ちだ。僕なぞ一笑に付すだろうね。
 だが、既に隠居の身でね。こちらに来たのも、僕が頼み込んだ結果だ。そんな大お祖母様をまた担ぎ上げる真似は出来ないし、誰から頼まれようとしない。
 そこでだ、ロザリアを表のトップに据え、実務は僕が取り仕切ろるのはどうだい?
 君は人材育成に力を入れられる上に、夜種の恐ろしさを世間に知らしめることが出来る。
 それに君なら狙われても、十分に生きられるだろう。」

アスカリオテをとトップに据えることは断固拒否したアイリス。自らの手で片付けると言った手前もある。
だが、昔にフォン・ルズィフィールを仕切ってきたアスカリオテを再びトップに据えるのは気が引ける。

本来、彼等に最初に襲われたアイリスが、トップに座るべきだろう。
ロザリアや巴を始めとした吸血鬼に情報を広めたのはアイリスだ。
更にクロスや鏡子らの協力を要請したのもアイリス。
そういったコネクションも含めた実務はアイリスでも出来る……はずだ。

764ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 01:05:57 ID:SSMHlh/20
>>763

「げぺぇっ!!」

思わず変な声を出してしまった。

「わわわ、わたしがトップに、だなんて。
 冗談、は、よしてく、ください、で、すわぁーっ!」

なにやらカクカクと口を動かすロザリア。
どうにも、彼女はこういう経験がないらしく戸惑っているらしい。
『夜種の恐ろしさを世間に知らしめる』というかねてからの思いを遂げられる
ポジションに着くのは魅力的だが……。

765アイリス:2012/06/09(土) 01:13:22 ID:do5XJmGE0
>>764
ロザリアのリアクションを見たアイリスは、キョトンとした後、ロザリアに向けた瞳は冷ややかなものだった。
どうして?
そんなに困ったことを言ったか?
幾多の自問自答が巡考しては消えていく。

「大丈夫だろう?ロザリアは表に出るだけだからね。表立ってくれるだけでいい。
 実務は僕が取り仕切れば良いだけだからね。何、特別な事をしなくても良いさ。
 騎士団と対立する、という事実だけを世間に公表すれば良いだけだからね。」

そこまでロザリアが辞すと言うのならば、アイリスが千夜学園を退学すればいい。
そういった書類なぞ、直ぐに手に入る。

766ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 01:32:14 ID:SSMHlh/20
>>765

そうした視線が向けられている事にも
気づかずにいたロザリアだが、次第に落ち着きが戻ってくる。

「うう、とりあえず私としても引き受けることはやぶさかではないけれど、
 街のパトロールなんかもしなければならないし、実務は本当に任せきりになるわよ。
 それで、大丈夫?」

とかく、実務を処理する事は不安だ。
いままで努力や勉強はしてきたが、そうした他人のためになにかをまとめる
処理するという経験は皆無。せいぜい、ディスの生活の面倒を見た程度で
文書処理の経験はないのだ。

「なんだか、思ったより大事になってきたわぁ……。」

767アイリス:2012/06/09(土) 01:41:10 ID:do5XJmGE0
>>766
「デスクワークは問題ないよ。もう既に経験として、ある程度こなしているからね。
 ロザリー次第でこの組織の舵取りが決まったりするから、慎重にね。」

アイリスは優先度が低いが“仕事”での実務経験もある。
だが、表立って動くのはあまり好まない。だからこの位置が一番ありがたい。
それにロザリアなら、自らの考えを広めつつ、公安系ともやり合えるだろう。

「大事ついでに、色々と決めてしまわないかな?
 組織の名、組織図、とかね。決めることはたくさんある。
 …、問題は組織を立ち上げる上で、組織と知った上で入ってくれるか、だね。」

768ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 01:50:01 ID:SSMHlh/20
>>767

「ふぅむ、まずは現状の私たちの人員を整理しないと。
 私と貴女、ええと、イメルさんとリリシアさん……それに貴女の従者たち。
 現状の人材はこの辺り、ね。」

ロザリアは空中で指を滑らせ、白く輝く文字でメモを取っている。
脳内のものを整理するためだ。

「既に噂を聞きつけて、この城へと逃げてきている者、
 それに交流のある人外コミュニティなんかから、志願者を募れば
 どうにか人材は集まりそうね。あとはそれを適材適所に押し込めて行けば。」

考えられる組織図として、人員・避難民を管理するための部署や実働部隊、
対外日程調整、情報の整理・秘匿などさまざまな要員が考えられる。

769アイリス:2012/06/09(土) 02:01:04 ID:do5XJmGE0
>>768
「外部の協力者はクロス、キョーコ、だね。
 巴も声を掛ければ乗ってくると思うよ。ただ、主従は分からないね。
 未だ腹を決めかねているのか、或いは……」

人間で協力してくれるであろう面々の顔を思い浮かべながら、誰をどの位置に据えるかを頭の中で整理して。

「それで問題は無いだろう。避難に関しては足の早いものを、実働は僕が当たろう。
 日程等の調整はロザリー自身で管理、情報関連は巴に任せたいね。
 人外コミュニティには、ロザリーにあたってほしい。僕はコネが無いからね。
 僕は思い当たる人外と協力者を探そう。それで、名前だけど、どうしようか。
 組織の方針は『闇祓騎士団への抵抗と人外の保護』が良いかな。」

ロザリアに倣い、アイリスも紙ナプキンで組織図を描いていく。
あらかた書き終われば、ロザリアに『これでいいかな?』と確認を取るだろう

770ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 02:05:47 ID:SSMHlh/20
>>769

「ええ、組織図に関してはこんなものねえ。
 名前は……うーん、そのまま『一夜城』ではダメなのかしら。
 とかく、私も知っているコミュニティには声を掛けてみるわ。」

ロザリアもこの都市で暮らして長い。
いくつかのコミュニティは知っているしそれ以外にも心当たりはある。

「組織の方針はそんなところね。
 それなら、既存の退魔系組織やギルドからも過度な反感は買わないと思うわ。」

771アイリス:2012/06/09(土) 02:15:18 ID:do5XJmGE0
>>770
「まず最初にすることは、当人達の意志の確認からだね。
 見知った顔と会えば、随時確認してみよう。人員の再編はそれを終えてから、ということにしようか。
 人によっては兼任もあり得るけれど、数が数だ。仕方ないね。」

まずは、協力を表明してくれた面々の意思の再確認、その後に先程組み上げた組織図に則り人員を当てはめていく。
当人達の意思次第では、アイリスが外渉部門以外、一手に引き受けつつ、少しずつ人員に割り振っていっても良い。

「まずは名前だ。以前、一夜城を嗅ぎまわっていた鼠がいてね。
 ゴシップ誌レベルで存在が疑われ始めている。だからそれを表に出すのは拙い。
 キルリスの餌が増えるのは嬉しいけれど、彼の本当の任を任せられなくなる。
 ロザリー、もう一度考えてみてくれないかな?」

772ロザリア・ロートシルト:2012/06/09(土) 02:35:05 ID:SSMHlh/20
>>771

「ええ。わかったわあ。今すぐに、とは行かないけれど。
 何か、よい名前を考えてみるわね。私たちの象徴になる名前ですもの。
 がんばらなくちゃ。」

――ごーんごーん

ふと、先ほどロザリアが開けた『空間のゆがみ』から
柱時計のものと思われる、重苦しい音が聞こえた。

「あら、今日は猛こんな時間なのかしら……。
 そろそろ、パトロールのほうにも出かけないと……。
 考えながら、少し街を巡ってくるわ。」

指をさっと一振りすると、宙に書かれた文字がざあと蠢き、
ロザリアの取り出したスクロールにすべりこむ。

「では、御機嫌よう。」

全ての文字を回収するとロザリアは体を霧に変えて街へと飛び去っていった。

773アイリス:2012/06/09(土) 02:38:07 ID:do5XJmGE0
>>772
「お互い、忙しくなるね」

思わず苦笑を漏らす。
そうして、ロザリアを見送った後、フラリと夜の街へと消えていった

774向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/09(土) 22:31:42 ID:xm/dFKGs0
異能都市の大きなビルの中に向井と名乗る男性は歩いていっている。
ビルの中には多くの社員らしき人物達がせわしなく動いている。

「今ウチ忙しいからねー、オレ一人で勘弁してくれよ」

白く塗られた髪を揺らしながら前を歩く向井はそう言う。
エレベーターの前に立ってボタンを押す。
良く見れば向井の服装はスーツというには少し変わっていて、
どこか戦闘服に近いような雰囲気があった。

775萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/09(土) 22:35:52 ID:7gFzKdaU0
>>774
「いえいえー、お気にせずです」

転じて、後ろを小走りでついていく少女は普通だ。
半袖シャツにホットパンツ、ニーソックス。
頭にはキャップを被り、セミロングの赤毛を飛び出させている。
ころころと変わる表情は歳相応だが、どことなくその雰囲気から隙の無さが見え隠れしていた。

776モルフィ:2012/06/09(土) 22:39:29 ID:IrsgDsYs0
 【中央公園】

 「あっ、見っけ!」

 ベンチの後ろの茂みが少し動き、赤く小さい果物を持った少女が出てきた。

 身長は人差し指の大きさに満たず、かなり痩せている。
 背中に生えた蝶のような羽は表裏ともに瑠璃色で、セミロングの髪と大きな瞳も同じ色。
 葉っぱを加工した服を着ており、そのホームレス…もといサバイバル生活を楽しんでさえいる節をのぞかせる。

 ひらひら、ぱたぱたと。
 ベンチの背もたれのてっぺんに腰掛け、

 「いっただっきまーす!」

 元気よく赤い果物にかぶりつく。
 しかし酸っぱかったのか、直後に顔をしかめた。

777モルフィ:2012/06/09(土) 22:41:42 ID:IrsgDsYs0
>>776
なんてこった!

予備スレに移動します。

778向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/09(土) 22:54:19 ID:xm/dFKGs0
>>775
エレベーターは長い時間降りている。
良く見れば地下10階まで降りていて、降りた途端。
さっきまでとは違う、様々な機動兵器のモーションテストが行われていた。
遠くの方で整備されてる機体が見える、アレが試作機なのだろう。

「ようこそ、ロジカリストの術式兵器部門へ…ウチはね」
「向井!その子がテスターか!?速くこっちつれて来い!」
「山田さん、ちょっと待ってくださいって!」

自慢をしようとした向井を、遠くの方から響く大きな声が止める。
高い声から察するに女性のようだ。

779萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/09(土) 23:00:08 ID:7gFzKdaU0
>>778
地下10階、そこの兵器群を見て、驚く様子は無い。
ただ、その瞳には、隠し切れない懐かしさが、一瞬よぎる。

(――アルバトロスのラボに似てるなぁ。
 ちょっと、懐かしいかも)

くすり、と笑い声を僅かに漏らしながら、後ろを付いて行き。
大きな声に、ひょい、と首を傾げながら、目を凝らす。
アテナの視力は極めて良い為、見ようと重ば相手の姿は確認できるだろう。

780向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/09(土) 23:08:49 ID:xm/dFKGs0
>>779
「こっちは調整終わってるんだ!
さっさと乗せる準備をしろ!」
「健康検査とかあるんですから待ってくださいって!」

よく見れば奥の方にタンクトップの女性が見える。
顔付きはやや幼く、目の前の向井と余り変わらなく見える。
相手がいるのは機体の頭部部分で、どうやら何か調整していたようだ。

「はぁ、ごめんねアテナちゃん。
今からすぐ乗る準備できる?」

781萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/09(土) 23:13:56 ID:7gFzKdaU0
>>780
向井にそう問いかけられ、アテナは首を縦に振る。
軽くストレッチをして、目を瞑って、開いて。
その時点で、只の女子小学生から、一人の戦場を生きる人間に変わっている。

「大丈夫です、結構感覚で行けるタイプなので。
 とりあえず、乗ってみてこの子とフィーリングも合わせてみたいですし」

機体に近寄って行き、見上げながら言葉を返す。
物怖じしない態度は、テスターとしては上々だろう。
何か感じたことがあれば、おそらく直ぐに報告してくるタイプだ。

782向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/09(土) 23:27:16 ID:xm/dFKGs0
>>781
「じゃ、コクピットに乗ってください」

そう言っていつの間にか機体の前に移動していたらしく。
胸部の開いた部分を指差している。
そのすぐ上では山田と呼ばれた人がなにやらPCと睨めっこしている。

「乗るならさっさとしてくれ!登録を済ませてOSに集中したいんだ!」

783萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/09(土) 23:29:11 ID:7gFzKdaU0
>>782
「了解です」

そう短く答えると、胸部のコックピットに乗り込んでいく。
椅子に座り込むと、全体の操作系統に目を通していくだろう。

「とりあえず、乗ったので指示をお願いしますっ」

コックピットから声を張り上げて、山田にアテナはどうすればいいのかを問う。

784向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 00:01:56 ID:xm/dFKGs0
>>783
「それじゃあ暫く待っててね。山田さん、速く」
「解ってるよ!」

コクピットのに備え付けられたスピーカーから声が響く。
向井の声は近く、山田の声は若干遠く聞こえる。
隣ではキーを打つ音が聞こえることからどうやら何か調整をしているらしい。

「よし、一応動かすのは出来るようにはしたぞ」
「はいはい、じゃアテナちゃん。
これからマーカーを表示するからそれに沿って移動してね。
テスト場まで移動するから」

言うと同時に正面にマーカーの表示がされると同時に、
下にいた人たちが大移動している。声は聞き取れないがモニタには鮮明に映し出されている。

コクピットの操作系統は左右の戦闘機にあるような感じのレバーと、
シートに座るとちょうど中央にもレバーが一つある。
正面のモニタは前面と左右をカバーしているが、若干左右は狭い。
正面を見るのに支障は無いが、左右を見るにはいささか不便だ。
モニタの下にはレーダー、エナジー残量、出力状況、PBB使用可能数と描かれたものが表示されている。
確認していた所に電子音声が響き始めた。

『初めまして、テスター。
情報登録をスタートしますので、暫くお待ちください』

785萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 00:06:08 ID:7gFzKdaU0
>>784
「了解ですー!……ちょっと、サイド見づらいですかね。
 まあ、乗ってる内になれると思いますけど、とりあえず移動します!」

レバーに手を伸ばし、手とのフィットを確認。
シートに身体を固定し、レバーを軽く操作し、歩みを進めていく。
暫くはぎこちなかったが、元々タイプは違うもののロボットの搭乗者であった事も有り、直ぐに馴染んでいく。

暫く歩けば、テスト場までたどり着くだろう。

786向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 00:18:17 ID:xm/dFKGs0
>>785
「山田さん。後で動きに合わせて調整宜しく」
「解ってるよ、データは取ってるから安心してくれ」

移動中の機体を見ながら向井は指示を出していく。
まだ名前すら決まっていないあの機体は何のテストも行っていない。
そしてこの状況がどこからデータ漏れしているかもわからない。
量産する予定すらも出てはいないのだ。

「テストが何の邪魔も無くいけばいいだけどな…」

テスト場に到着すると、そこは一つの町すら入りそうなほどに巨大な場所になっていた。
大きな地面には幾つかの紋様が描き出されており、どうやらそれぞれが移動用の術式を兼ねているようだ。
一つ一つがビルよりも大きいほどの大規模な紋様である。

「それじゃあアテナちゃん。
今までの動きに合わせてOSを調整するから、少し待っててね」

787萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 00:23:42 ID:7gFzKdaU0
>>786
「んー、こんな感じ、かな、うん」

人体とは重量比も違う機体を生かして、武術の理合を生かし、重心を読みながら動かしていく。
そのため、そこそこの速度を保ちながらも、安定を保ったまま歩いて行く事が出来ていた。
そして、テスト場に行き、停止。

「了解ですー!」

(やっぱり試験機だけあってアクが強いなぁ。
 まあ、そういうメリハリついた子の方が個人的には好みなんだけど)

久々に乗っている感覚に僅かに口元が緩む。
息を吸い、吐いて。目を見開き、全体的にモニタとコックピットを再度確認し始めた。

788向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 00:31:01 ID:xm/dFKGs0
>>787
「一応今はこれ位だな。
戦闘機動まではシミュレートはできないし。
今日だってそこまではやらないんだろ?」
「まぁ、予定としては都市内部の機動かな。
でもアテナちゃんなら多分すぐ戦闘機動もいけるよ。
まぁ、まだ搭載する武装も明確に決まって無いんだけれど」

こんなんで大丈夫かな、なんて呟きながら。
マイクのスイッチを入れてアテナに話しかけていく。
アテナの方にも無線の音が聞こえてくるだろう。

「それじゃあアテナちゃん、今から都市内部の機動をテストするよ。
一応OSの調整もしておいたからさっきよりは動きやすくなってると思うよ。
都市の状態にテスト場をあわせるから、もう少しまっててね。
あわせたらまたこっちから指示を出すから」

そう言うと、テスト場の金属で出来た地面がスライドしたり塔の様に突き上がったりして、
徐々に異能都市の状態に近づいていく。

789萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 00:37:12 ID:7gFzKdaU0
>>788
「んー……、まあ、あと何度か乗れば感覚はつかめてくると思います。
 とりあえず、今は出来ることを出来るだけ、やらせてもらいますねー」

停止しながら、都市の状態に近づくテスト場の完成を待つ。
その間に、邪魔にならない程度に機体の手足を動かす。
どのぐらいレバーを動かせばどのぐらい動き、反応を返すのは大体どれくらいか。
体で覚えるタイプのアテナは、やはり実機で動かさなければならなかった。

「さっきより大分良いですね。
 もう少し、待ちながら動かさせてもらいます」

腕を前に突き出したり、回したり。
脚を曲げ、伸ばす。
そうして、揺れの大きさなども掴みとっていこうとする。

790向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 00:48:20 ID:xm/dFKGs0
>>789
「今のOSで慣れ様としてるな。
個人的にはこっちが合わしたいんだけど」
「まぁいいでしょ、データ取って反応を上げたりしてみればいいしね。さて、指示を出そうかな」

機体の調子や反応を確かめていくアテナを見ながら向井はスイッチを入れる。
マーカーがテスト上に表示されていく。

「それじゃあ、マーカーの通りに移動してもらうけれど。
よく聞いておいてね、一応間違えたら指示は出しなおすけれど」

そう言いながらコースを解説していく。
まず正面のビルまで機体をダッシュさせ、次に足の裏と背部のブースタでジャンプしてビルを昇る。
そこからはビルの上をジャンプで移動しながらマーカーのゴール地点を目指す。
またゴール地点を目指すまでに高いビルの上、道路上、地上から500m上にあるポイントを通過しておいて欲しい。
以上の様だ

791萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 00:57:57 ID:7gFzKdaU0
>>790
「あー、すいません。
 昔の癖で、そういうふうに合わせる間が無いことが多かったので。
 自分を機体に合わせちゃうんですけど、そっちでも調整してくれれば私は嬉しいですよ?」

と、フォローするように言葉を投げかけ。
目の前に展開されたマーカーを見て、首肯。

「了解です、じゃ――行きますね」

息を吐き、レバーを一端離し、また握る。
レバーは肉体の延長で、肉体の延長であるレバーの動きが機体につながる。
己の視界はモニターのそれであり、人のそれではない。

己にそう言い聞かせて、アテナは機動を開始する。

まず、一歩。なめらかに脚を動かし、地面を踏み、蹴る。
機体の重心を前へと倒し、その前へと倒れる勢いを二歩目に伝え、更に三歩へと連動させていく。
ビルの手前まで行き、ブースターをオン。
飛翔しつつ、前へとブーストし、膝を曲げた状態で着地し、着地の瞬間に跳躍。
ポイントを確認しながら、ゴール地点へと高速で駆け抜けていく。

その機動は、戦争において対人をする事を念頭に置いた、生きた動き。
早く加速し、止まる事を減らし、隙を減らす動作だった。

792向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 01:05:16 ID:xm/dFKGs0
>>791
「まぁ、東南の方だったらそれでいいんだけどな。
一応テスト機だから、万全の状態に合わせないといい結果が出ないんだ」
「よしよし、基準点を大幅突破。
基準が低かったのもあるけど、割とアテナちゃんが慣れてるのも在るかな」

向井はそう言いながら時間をメモしていく。
映像記録の方は山田が取っており、後で調整に使うようだ。

「じゃあ次はビルの上にポイントを表示するから、
説明をよく聞いてね」

今度はビルの上にポイントが表示される。
内容もさっきと同じポイントを通過するだけだが、今度はポイント通過まで地面に落下しない。
つまりは飛行してポイントを通過して欲しいとのことだ。
足の裏と背中、そして肩のブースタを上手く合わせて言って欲しいとのこと。
ただ失敗してもそれを元に調節するため、失敗しても構わないとのこと。

793萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 01:15:32 ID:7gFzKdaU0
>>792
「だったら、ある程度、機体に合わせ過ぎないように気をつけてみます。
 ……あはは、重い子使ってたので、こうでもしないとダメだったんです」

苦笑を浮かべて、機動については嬉しそうな顔を見せた。
そして、ビルの上から、アテナは相手の言葉と説明を聞く。

「了解ですっ! ……前の機体、飛ぶの殆ど無理だったんですよね、実は。
 でも頑張ります!」

そう言って、助走をすると同時に、踏み切り、飛翔。
ブースターを吹かし、舞い上がるが、飛行はあまり慣れていない。
そのため、並程度の機動で加速し、飛翔し、時折慣れない機体で体勢を崩しながらも、ポイントには辿り着く。

ビルの上に着地して、ほふぅ、と息を吐く。
少し、手に汗が浮いていた。流石に緊張した。

794向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 01:20:21 ID:xm/dFKGs0
>>793
「ま、悪い事じゃないさ。前線じゃ有り合わせで修復するからな。
バランスもあったもんじゃないし。しかし、ブースタがちょっと調整がいるな。
あれじゃ最大出力だと扱いにくすぎる、初動が重い」
「アテナちゃんも扱い難そうだったしね。
多分飛行に慣れてないのも在るんだろうけど、姿勢制御の方を改善しないとね。
アテナちゃん今日はここまでにしておこうー!今ハッチ空けるからー!」

そう言ってコンソールを操作して機体のハッチを空ける。
向井がアテナの方へ歩いて向かってきている。
何か話でもあるのだろうか。

795萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 01:27:25 ID:7gFzKdaU0
>>794
「そうですねー、動かそうと思ったら直ぐに初動に入れるほうが好みですし。
 最大速度よりも加速重視で調整してもらえると有難いです」

軽く注文をしつつ、ハッチが開くのを待って。
空き次第、降りていった。
軽く汗ばんだ顔をぱたぱたと扇ぎ、息を深く吐いた。

久々にこの手の機体に乗ったが、感覚は鈍ってなかった。
それが安心感を産み、ため息を吐き出させたようだ。
顔を上げると、ぺこり、と向井に向かい、頭を下げた。

796向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 01:34:02 ID:xm/dFKGs0
>>795
「お疲れさまー、っていいたいんだけれど。
だいじなこと聞き忘れてたんだったよ。
アテナちゃんにはテストが終わるまで機密保持の為に社員寮にいてもらわなきゃならいんだけれど…。
まぁ、そんなの嫌だよね?」

嫌と言った方がいいよというオーラを全力で出しながら軽そうな笑いでアテナに聞く。
何か考えがあるようだが、一体何を考えているのだろう。
向井はタオルをアテナへと手渡し、山田に向かって手招き。

797萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 01:39:02 ID:7gFzKdaU0
>>796
「んーっと、そうですねー……、バイトとか学校もありますし。
 出来れば、普通の生活が出来れば、と想います。
 まあ、その手の機密保持については、納得は出来ますからどうしてもというなら諦めますけれど」

うーん、と腕を組みながら、ポニーテールを解き、頭を振る。
紅い髪がばさばさと動き、荒れ放題になるが、特に着にせず。
首筋などの汗をタオルで拭っていった。

798向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 01:46:54 ID:xm/dFKGs0
>>797
「おっけーおっけー。じゃあ山田さーん!
アテナちゃんを山田さんの部屋に住まわせてあげてよー!」
「……は?」

アテナたちの近くまで来た山田は顔にクエスチョンマークを浮かばせて、
表情が固まっている。かなり予想外だったのだろうか。
それを他所に向井は話をがんがん進めていこうとする。

「アテナちゃんは普通の生活がいいって言ってるし、
オレだってこーんなかわええ子に社員寮なんてむさくるしい場所使わせたか無いし。
監督役さえいればいいんだから、山田さんの家に住まわせれば一発解決じゃん!」
「おい、私の自由意志は無視か!?」
「他に方法がある「お前の部屋に住まわせればいいだろ!」」

そんな事したらオレがどうにかなっちゃうよーという向井に一発鉄拳。
だが本人もそれがもっともアテナの意思を尊重しているとはわかって入るらしい。

「そりゃ確かに社員寮なんて魔窟には住まわせたくは無いけど…
というかアテナ、失礼だとは承知しているが君自宅はあるのか?」

799萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 01:52:54 ID:7gFzKdaU0
>>798
「ふへ?」

向井の言葉に、アテナも当然のように顔をきょとんとさせる。
そして、己のあずかり知らぬ所で離しがガンガンと進んでいき。
あれよあれよという間に鉄拳制裁。

その後の質問に、これまでのどこか硬さのある態度じゃなく。
歳相応の少女らしい――但し困惑が多分に含まれたそれで言葉を返していく。

「えっと……、中央公園の森の奥に不法建築のログハウスが一つほど……なんだけど。
 ガスも電気も通ってないから、何とかしようと思っていたところだったんだけど。
 えとですね、、戸籍の方は異世界から来たからごまかしてたんですけ、一人暮らしで子供だから部屋もうまく借りられなかったんです」

割りとハードでシビアな人生を送っている10歳児だった。

800向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 02:00:52 ID:xm/dFKGs0
>>799
「なんだ、通りで向井がこんな事を言い出すわけか。
まぁいい、なら家に来ればいい。どうせ部屋が一部屋余ってるんだ、
それに一人暮らしも退屈だしな。纏める荷物はあるか?」

山田は特にそれに同情する事も驚くことも無く話を進める。
鉄拳制裁で倒れこんだ向井を足蹴にしながら、このロリコンと罵っている。
タンクトップに包まれた方のいい胸が揺れるのを見て向井がにやける瞬間にもう一撃。

「オウッ!?」
「人の胸を凝視するな変態。
とりあえず戸籍は私が作っておくが、構わないな?」

若干投げているようにも思える風に山田はアテナに聞いた。

801萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 02:06:25 ID:7gFzKdaU0
>>800
「あの、その……よろしくお願いしますッ!
 えとっ、学校の制服と、レシピ本と、教科書くらいですんで、直ぐです!」

深々と頭を下げて、ばさり、とセミロングの髪が踊り。
顔を上げて、ボサボサになった髪を軽く整えた。

「はい、大丈夫です! ……その、本当にありがとうございますっ!」

満面の笑みで、アテナは二人に頭を下げるのだった。

802向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 02:13:02 ID:xm/dFKGs0
>>801
「戸籍は一応正規の手続きで作るからな、
公安の連中の承認があったらあっさり通るだろう。
ああそうだ、その髪も綺麗になるくらい綺麗にした方がいいぞ。
……将来髪が汚いと損をするからな、じゃ行こうか」
「イタタ…とりあえずそう言う事だから、アテナちゃん宜しくね?」

腹を押さえながらフラフラと立ち上がる。
相当痛かったらしく、テスト場から出るときも足の動きはフラフラだ。
向井はやる事があると途中で別れた。

「さて、じゃあアテナ。
君の家から荷物を持って私の家に行こうか。
車が止めてあるから付いてきな」

適当に上着を着た山田はそう言うと駐車場へ向かう。
青いセダンが山田の車のようだ。

803萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/10(日) 02:16:29 ID:7gFzKdaU0
>>802
「はいっ、一応問題になるような悪いこともしてませんし、多分大丈夫だと思います。
 割りと気をつけてるんですけど、後でシャワー浴びるので大丈夫ですよ?
 えっと、了解ですっ。向井さんもお大事にー!」

そう言って、向井を見送り、山田に付いて行き、アテナは歩く。
髪は整えられて、また高い所で括ったポニーテールとなった。

「はーいっ!」

駐車場へと向かい、蒼いセダンに乗り込むことだろう。
そして、道を教え、公園にたどり着けば、暫く後に膨らんだリュックを背負ったアテナがやってくる筈だ。

804向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/06/10(日) 02:30:15 ID:xm/dFKGs0
>>803
「さて、じゃあこれからよろしく頼むぞアテナ。
先に行っておくが私は自宅じゃまるで仕事しない。
多分迷惑をかけるだろうが、なるべく家事はするから勘弁してくれ」

そんな事をセダンを運転しながら山田は話す。
表情は少し楽しそうに笑い、しゃべる口調も上機嫌だ。
それほど一人暮らしは退屈だったのだろう。

やがて自宅に到着した時にアテナは驚くだろう。
何せマンションではなく3階建て一軒家だったのだから。

//一応ここら辺で終わりませう

805アイリス:2012/06/10(日) 21:10:40 ID:do5XJmGE0
【AGカフェ】

綾に使い魔のコウモリを飛ばした。
『話がある。AGカフェにて待つ アイリス』
内容は至極シンプルなものであった。

普段のカウンター席に座ることは無く、二人用のテーブルに座り、作り置きであろうコーヒーを淹れ、
かの相手を待つ。可能性としては低いが、その間にクロスに会えれば僥倖だ。
これから綾と話すことを考えれば、甘味などで味を調整していないコーヒーは美味であった。
その日の新聞各社の紙面を眺めて、相手を待つ。

806柊宇都 綾:2012/06/10(日) 21:25:13 ID:ElM9U72Y0
>>805
それからいくつかの時間を待って、綾が到着した。
入口で機械の馬から降りると、店の裏で待機するように命令をさせておく。

「遅れた」
店内を見渡し、アイリスを見つけると向かいの席の前に立つ。
口を開いてからそう言うと、小さく頭を下げた。

807アイリス:2012/06/10(日) 21:29:40 ID:do5XJmGE0
>>806
「済まないね、突然。向かいに掛けるといい。
 これから、君に聞かなければならないことがある。…、構えないでくれると嬉しいのだけど。」

アイリスの蒼い瞳は、ヴァージニアの隻眼をしっかりと捉えており。
しかしこれからアイリスが告げようとすることは綾にとって非常に悲しいことである。
だが、告げなければならない。昨日、良方に秩序を気取る気は無い、と言いつつもだ。

808柊宇都 綾:2012/06/10(日) 21:40:27 ID:ElM9U72Y0
>>807
「解った」
何について。それは綾には未知の事だった。
普段表情が酷く乏しい綾だが、今だけはそういった雰囲気を感じ取ることがはっきりとできるだろう。
「……?」

809アイリス:2012/06/10(日) 21:50:19 ID:do5XJmGE0
>>808
「実は昨日にね、少し気になる事を聞いたんだ。
 ヴァージニアがね、人間、千夜学園の生徒を襲って大怪我をさせたみたいだ。
 当時のヴァージニアは酷く興奮していたようでね。
 怪我を負った生徒は、目が覚めたら病院にいたって言っていてね。
 君はこの件について、ヴァージニアから聞いているかな?」

目の前の隻眼の吸血鬼はおそらく知らないだろう。
人が吸血鬼に襲われ、内臓損傷の傷を負う。
今の世間は、人外排斥集団――闇祓騎士団の件で人外に対し、ピリピリしている。
アイリスが聞くところによると、模倣犯や少年グループまで犯行を重ねている。
その中で、これだ。話はやがて尾ひれが背びれがついていき、人間を恨んだ犯行と曲解されても可笑しくは無い。

810柊宇都 綾:2012/06/10(日) 22:06:59 ID:ElM9U72Y0
>>809
アイリスから突き付けられる事実に思わず顔を伏せた。
ヴァージニアがやった事の大きさ。
「……知らなかった」
暫く、ヴァージニアとは会って居なかったことを思い出す。
唐突に家からいなくなって、数日返ってこない事も常。今もその途中だった。

811アイリス:2012/06/10(日) 22:17:50 ID:do5XJmGE0
>>810
「例の生徒については僕が謝罪し、治癒を掛けておいたから、問題無いだろうね。
 そして、大事にする気もなさそうだった。だがね、綾。
 僕ら吸血鬼には吸血鬼としてのルール<暗黙の了解>も存在する。分かるね。
 人間を刺激することが、この情勢で起こってしまったんだ。そしてヴァージニアは君の従者。知らなかったでは済ませられない。
 ……それで、綾。僕が言いたいことが分かるだろう。君は『どうする』のかな?」

顔を伏せた綾だが、アイリスの声は有りのままを告げる。包み隠さず、かといって誇張もせず。
事務的でも無い。声から読み取れる感情すらも少なく、アイリスの口は動く。

812柊宇都 綾:2012/06/10(日) 22:26:04 ID:ElM9U72Y0
>>811
どうする。か。
元々、人とのつながりの薄い綾。
今回の出来事もそういった側面から、ヴァージニアへの注意が疎かだったというのもあるのだろう。
そんな人間がどうする。等と求められても直ぐに答えを出す事はできない。

「その……生徒と、言うのは?」
暫くして、そういった返答をする。
上がった顔から読み取れる意思は薄いが、考えはあるのだろう。

813アイリス:2012/06/10(日) 22:39:17 ID:do5XJmGE0
>>812
「それは君の手で全てを恙無く進めるものだろう。僕に聞くのはそもそもお門違いだ。
 勿論ヴァージニアから事の顛末を聞いてから行動するも良いだろうね。
 だけど…、仮に彼と会ってどうするのかな?謝ろうとするのかな。
 先にも伝えたように、謝罪と治癒は僕が済ませている。
 この件絡みでもう少し考えることがあるんじゃないか、と思うことが無いかな。」

ヴァージニアに話を聞いてからでも遅くは無い。既にアイリスが伝えたように、相手は大事にするつもりは無いらしい。
だが、どのような行動を取ろうにもアイリスには関係ない。
勿論、怪我をさせられた当人からしてみれば、気にしていないようではある。
そして、特定個人を絞れる情報は既に出している。

814柊宇都 綾:2012/06/10(日) 23:06:26 ID:ElM9U72Y0
>>813
「謝罪もする。話も聞く……勿論、ヴァージニアにも」
主である自分から、もう一度謝罪をするべきだと考えた。
不注意から来た事。原因の大部分は自分にあると考えた。

「生徒の、情報が欲しい」

815アイリス:2012/06/10(日) 23:30:57 ID:do5XJmGE0
>>814
「…君がしようとしていることは分かった。
 今はそちらを優先するとしよう。態々僕より聞く必要は無いはずだ。ヴァージニアに話を聞けば分かるはずだからね。
 ああ、忘れていた。ヴァージニアに襲われたのは男女一人ずつ、ということだ。僕が会ったのは男子生徒でね。女子生徒の方は知らない。
 ヴァージニアに会えば、僕から声を掛けておこう。少し伝えておきたいこともある。」

アイリスは敢えて情報を出さない。
本来は綾が一から調べることだと思っているのだろう。だから、綾自身の手で調べるよう伝えたつもりだったが、どうも言い方が悪かったようだ。
内心では、苛立ちの波が今にも押し寄せてきそうである。

「………、分かった。君は謝罪とヴァージニアとの会話を優先するわけだね。勿論、倫理上は多くの人が正しいと答えるだろう。
 生徒の名は東西南北 良方。もう一人の女子生徒については…、防人、という名前だったかな。」

彼のことだ。
謝罪に来た綾に構わない、と手を振り『済んだこと』と言いニカッと歯を見せるだろう。
綾は気付くだろうか。綾を見る、アイリスの瞳がどんどん冷たくなっていることに。

816柊宇都 綾:2012/06/10(日) 23:59:38 ID:ElM9U72Y0
>>815
「ヴァージニアの事は考える。
 でも、その生徒にも会わせてほしい。話をさせて欲しい」
綾は全ての知識において乏しかった。
例えば、この場面もそう。
始めからアイリスは処分の方法を決める一貫として『情報をくれるものだと思って居た』。
故に、湧き上がった心など知る由も無い。

生徒の名前を聞く。それと同時に瞳の色が変わった。
片方は知らないものだったが、防人と言う名には覚えがあった。
何どか顔を合わせた事は有るし、会話も行った。綾のコミュニティでも比較的深い部類に入るのではないのだろうか。
「防人……?」
その名前だけで十分だった。
ヴァージニアの行った事の重大さを改めて理解する。
いままでどの程度か解らなかったものが理解でき、それは思った以上の大きなものだった。

一般市民を襲ったと言われたが、今一実感がわかなかった。
生徒と言われても数は多く、種族もばらける。その為今一不明瞭な部分もあった。
が、今回襲ったのは『人間』。綾とヴァージニアの元の種族。
そして、綾は未だに人間に帰属する意識が非常に高い。と言う事が怒りを生む。

「解った、すぐに探す」
一端目を細まった瞳は普段の無色さからは想像できない程の怒りを含めていた。
席から立ち上がる様も少々乱暴気味。アイリスに向き直る事もせず、店をでて、外に待機していた機械の馬に跨って消えていく。

817アイリス:2012/06/11(月) 00:17:48 ID:do5XJmGE0
>>816
「その様子だと、ようやく分かったようだね。
 次、僕が今回のような場面に出会(でくわ)せば……」

この先は言うまい。言ったところで綾の耳には入らないだろう。
その後は、彼女たち主従に任せるとして…、アイリスは自らの仕事に精を出さなければならない。

今回のことは、そもそも『人間の学生』が『吸血鬼』に襲われた。
言い方を変えるのならば、興奮状態で『吸血鬼』が『人間』を襲ったということ。
そして、人外排斥集団である、闇祓騎士団。彼等は既に人外を手に掛けている。
それは既にメディアで報道され、日々報道合戦が白熱しているもの。
吸血鬼が生きるために人を襲うのは仕方が無い。だが、時勢がそれを許さない。
何がきっかけで本格的に人と人外が対峙するか分からない以上、ヴァージニアが行った行動は非常に拙い。
この件がメディアで報道されれば、人外排斥の声が高まるだろう。特に吸血鬼に対する心象が悪くなるのは十分に予想できる。

「…、この機会にもっと、彼女たちは学ばなければならないことがあるはずだ。
 それを今後どのように活かすか…。これはロザリアに相談しなければいけないね。」

ロザリアが主宰する講義に参加した上でこの行動なら、アイリスは躊躇いなく綾を糾弾しただろう。
勿論、見つけ次第消すということもやぶさかでは無かった。これからを考え、傷が浅い内に『どうにか』するべき、と行動を起こしたはずだ。

―――しかし、このままでは、彼女たちを『誘う』には早すぎるだろうね。

そういえば、アイリスはいつものカウンター席で新たにコーヒーを注ぎ、紙面を眺める。

818名も無き異能都市住民:2012/06/11(月) 22:30:08 ID:SSMHlh/20
今日も一人、犠牲者が生まれた。

襤褸をまとった集団が見下ろすのは、一組の男女。
男性側は冒険者のような風体で、剣を抜き抵抗した様子が見られる。
女性のほうは羊の角に、蝙蝠の羽を持つ俗に言う『悪魔』のような姿であった。

『汚らわしい!人ともあろう者が人外……!
 それも悪魔と外を出歩くとは!!』

――ドガッ!ズッ!!

『やあ、神父様そのくらいにしときなせえよ。
 この世界にゃァ『めでぃあ』とやらがあって、
 あまりこっぴどくやると、悪評を広められるんだと。』

既に息絶えた遺体に剣を2度、3度と振り下ろしていた一人を、
首からさげた携帯用ボトルに口を付けていたもうひとりがやんわりと制止する。
神父と呼ばれた男は、その言葉を素直に聞き入れ息を整えると剣を収めた。

『ああ、すまない。少し興奮していたようだ。
 しかし、これでは神もお嘆きだろう……。』

『アンソニー、ギルデンヴィックス、そろそろ行くぞ。
 処理が住んだ場所に長居するのは得策ではない。
 ヴィトリィとシンシァを呼んできなさい。』

奥で剣についた血を拭っていた男が、その二人に声を掛ける。
リーダー格と見られる男の足元には、別に遺体が転がっていた……。

819黒沢小百合:2012/06/15(金) 01:09:25 ID:SSMHlh/20
異能都市には様々な世界から流入した文化があり、
一つ角を曲がるたび、まったく別の光景が広がる。

小百合が今日訪れているのは、
中世ヨーロッパのマリーナを思わせる木製桟橋が続く、
港湾地帯の一角であった。

ちょうど、商談終わりであった小百合は
今日は彼らの祝祭日であるのか、古風な風体をした人々が
屋台で酒をのみ、広場で踊っている光景を眺めながら
自らも適当な店で簡素な夜食を取り、敢行がてら
その一角を見て回るのだった。

820馬霧 真琴:2012/06/15(金) 01:24:34 ID:do5XJmGE0
>>819
そこに、小百合に声を掛けてくる人物が一人。

「黒沢さん?黒沢さんやろ?」

何度も見た後ろ姿。凛とした気配は間違いなく、黒沢小百合その人で。
ヘラヘラとした笑みを浮かべた、女だった。
ありふれた顔立ち、ありふれた格好。何度が、『殺し』の依頼をした、自称暗殺者だ。
なぜ、この辺りに居るのかは不明だが、小百合とは一定の距離を保っていて。

821黒沢小百合:2012/06/15(金) 01:31:23 ID:SSMHlh/20
>>820

小百合は一瞬そちらへと視線を向けたが、
気づかなかった風で、人ごみを離れて路地へと入っていく。

路地は暗く、じめじめとしているのが
外からでも見て分かるため、誰も近づこうとしていない。

822馬霧 真琴:2012/06/15(金) 01:49:05 ID:do5XJmGE0
>>821
「おいおい、ちょっと待ってーな」

そうやって、真琴は小百合を追いかける。
人混みに紛れこみつつも、小百合を追い、路地へと入っていく。
普段から携帯しているナイフの感触を確かめて、右ポケットに手を入れたまま、
路地へと入っていく。

それから、大事を取り、能力発動の準備をしておく。

823黒沢小百合:2012/06/15(金) 01:56:39 ID:SSMHlh/20
>>822

しかし、真琴がいくら探しても
小百合の姿はなかった。どうやら、撒かれてしまったらしい。

恐らく、人前で暗殺者である真琴と話をしたり、
会ったりすることでたつ無用の詮索を避けたのだろう。
小百合は真っ黒な人物だが、そうした無用なトラブルはやはり避けるに限る。

// ごめんよ。今日はなんだか眠いのでおちる。

824馬霧 真琴:2012/06/15(金) 02:00:24 ID:do5XJmGE0
>>823
路地の入り口できょろきょろと見回し、件の人物がいないことを確認すると、

「見間違い…かなぁ。でもめっちゃ似てたし、うーん、他人の空似ってやつ?」

そういうと、足は都市へと向かっており。
既にポケットからは手が抜かれており、相変わらずヘラヘラしながら自らの拠点へと向かっていった。

//把握。おやすみー

825高向谷 司朗:2012/06/15(金) 22:02:12 ID:NntjvIzM0
「店には飾りが〜無いがいい〜。
 窓から港が〜見えりゃいい〜」

とある喫茶店で、司朗はぼそぼそと歌を歌っていた。
店の中は空いていて、あまり迷惑にはなっていない。

「はやりの歌など〜無くて言い〜。
 ときど……あれ?続きなんだっけ」

だが、曲の途中で思い出せなくなり、中断する。

「思い出せないなあ」

ぶつぶつ言いながら、ちり紙で紙飛行機を折る。
それを店の中で投げ、気流眼で軌道を操作した。
そこそこ迷惑だろう。

「ん……これ使えんじゃねーの……!?」

しとしと雨が降る、ある梅雨の日。
ある港近くの喫茶店でのことであった。

826響 琴音:2012/06/16(土) 20:54:04 ID:IrsgDsYs0
>>825
 「ときどき霧笛が 鳴ればいい〜
  ほろほろ飲めば ほろほろと
  あの頃あの娘を 想ったら
  歌い出すのさ 舟唄を〜〜〜」

 続きを歌いながら入ってきたのは、長い黒髪の女性。
 入院患者の服に、キャスターが付いた点滴の(//あれ何て言うんだっけ…)を左手でつかみながら。
 雨の中ここまで歩いてきたようだが、なぜか少しも濡れていない。

 「あっ、紙飛行機が…
 私もやりたくなってしまいました。」

 何かを口ずさむと、ちり紙がひとりでに折れ、鶴を形作った。
 やがてそれはぱたぱたと飛びはじめ、紙飛行機の横に並ぼうとする。

827艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/17(日) 21:20:20 ID:7gFzKdaU0
>>825>>826
「――あ、不幸だ」

沈鬱な声が、紙飛行機の先から聞こえていた。
見れば分かるだろう、紙飛行機が彼のコーヒーに沈没しているのを。
その声の出処たる青年は、司郎には見覚えがあっても可笑しくは無い男だったろう。

目元を隠す程度に長い黒い髪。
髪の隙間のメガネのレンズの奥から覗く、絶望しているわけではなく、希望が只々無い瞳。
隠し切れない、僅かな血臭。ボロボロの学生服。
異常ほどに異常とは言えないが、明らかに普通ではない異常な青年が。

紙飛行機の主に向けて、どんよりとした目を向けていた。
そして、おもむろにテーブルにうなだれれば、偶然カップが倒れて青年の顔に降り注いだ。

「……やっぱり、不幸だ。
 それに、歌は、嫌いだ」

歌う二人を、泥沼の瞳で見据えながら。
青年は、只々コーヒーまみれで愚痴と恨み言を垂れ流すだけだった。

828高向谷 司朗:2012/06/17(日) 21:31:22 ID:NntjvIzM0
>>826
「ああ!そうか、そんな歌詞だったな」

手を叩き感心する。

「霧笛なんて単語、普通出てないよなあ……。
 ときどき霧笛が〜鳴ればいい〜、か」

すっきりした顔で、鶴を見上げた。

「おー、まさかまた同系能力者?
 ……あれ?俺の紙飛行機何所行った?」

紙飛行機を見失い、司朗は辺りを見渡した。

>>827
「いや、おかしいだろ!?
 何で気流眼で操作してた紙飛行機がそんなところにワープしてんだよ!?」

ついさっきまで、気流眼でくるくると空中を回っていた筈の、紙飛行機。
それがなぜか、いつの間にやらコーヒーの中に。

「っていうか……。
 てめ、どの面下げて俺の前に来てやがんだ」

司朗はそう言って、携帯を取り出した。
以前、司朗が彼と戦ったとき、最後にこういった。

"お前みたいな奴は絶対殺さず牢屋にぶち込んでやる"

その言葉通り、警察に通報しようとする。

829琴音:2012/06/17(日) 21:37:50 ID:IrsgDsYs0
>>827
 「あら、大丈夫ですか?」

 とたとたと駆け寄るおとにキャスターの転がる音が混じる。

 「布巾とラスターはどっこかいなっ、と。」

 きょろきょろと辺りを見回す。

>>828

 「ふふ、外れ。」

 ちろりと下を出し、おどけて笑う。

 「歌の魔女、ローレライ…じゃないや、琴音と言います。」

830艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/17(日) 21:41:17 ID:7gFzKdaU0
>>828
「……そういう体質だからな、仕方ない」

頭から被ったコーヒーを元に戻しつつ、手元の布巾でテーブルを拭く。
がしゃがしゃとカップが揺れて音を出すも、その程度で済んでいた。
が、また手がうっかりと滑ってカップにぶつかり、カップがテーブルから落ちそうになる。

とっさに腰にさした小刀に軽く触れれば、落ちる事は無かった。
髪からは、ぽたぽた、とコーヒーが垂れ、ため息だけが漏れる。

「それも含めて、不幸なんだろう。
 飯、食いに来ただけの俺も。ただ、ここに来ただけのお前も。
 嫌な気分だろう?むかついてるだろう?会いたくなかっただろう?
 ――――だから会ってしまう、それだけだ。俺もお前とは会いたくなかった」

陰鬱に、そして――無感情に。
タイプライターに文字を打ち込むように淡々と、ため息を付く。
そして、僅かに青年の身体から邪気が漏れれば、〝不幸なことに〟携帯の電波が弱まっていくだろう。

>>829
「……慣れてる。別に。対して困ることじゃない。
 あと、気をつけろ。不幸に成る」

ため息を吐きながらそういった瞬間。
青年の付くテーブルの脚が一本折れ、上に乗っている皿やカップが一気に少女の方へと飛んでいく。
意図も何もない、ただたまたまそうなる要因が会って、たまたまこの状況でそれが起きただけだ。

831高向谷 司朗:2012/06/17(日) 21:51:48 ID:NntjvIzM0
>>829
「歌の魔女ねえ……」

鶴の折紙と何の関連性があるんだ、と首を傾げる。

「あ、俺は高向谷司朗(たこうだにしろう)。
 気流眼を持つ男だ」

>>830
「いや、違うね。
 会いたかった、切望したさ」

携帯の電波表示を見て、舌打ちした。

「ここは俺のお気に入りの店だ。
 まさかここでやらかす気じゃないだろうな」

司朗はそう言って、椅子に座りなおした。
これ以上こちらからは手を出さない、と言う意思表示だろう。

832琴音:2012/06/17(日) 22:09:50 ID:IrsgDsYs0
>>830
//年齢:22歳

 「不幸に…?」

 理解する前に飛来した、ワレモノ軍団。

 「っきゃあ!」

 お世辞にも戦闘向きとは言えない彼女には、避けることなどできはしなかった。

 「あ痛たたた………」

 下着が見えているのにも気付かず、服の中に入った破片を取り出す。


>>831

 「格好良いですね。」

 名前と能力、その両方が。

 「あら、なにか並々ならぬ雰囲気…」

 足元に魔法陣が浮かび上がり、バイオリンが飛び出す。
 それを構え、ちいさめの音で演奏を始めた。
 なにがあっても、対応できるように。

833艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/17(日) 22:13:38 ID:7gFzKdaU0
>>831
「そうかい、だったら俺だけ不幸だ。
 ……コーヒー…………」

髪をかき上げ、眼鏡を外しながら。
沈鬱な表情で青年はため息を吐き、頭をぶるぶると振り、コーヒーを散らす。
そして、相手の言葉を聞いて、こちらも椅子に背を預け。
その瞬間にバランスを崩して椅子ごと真後ろに倒れて後頭部を強打した。

「……ただ居ただけだ。お前が居るとも思ってなかった。
 俺は悪くない、だって、ただ居るだけで、ただ生きてるだけだ」

椅子に座った状態のまま地面に倒れ。
後頭部から血をこぼしながら、淡々と言葉を並べていく。
敵意は無い。そう、敵意自体は前回も無いのだ、自発的な目的も特には無い。

前回は、頼まれたから行って、少し手伝っただけ。
あれには、多少の意図は有ったが、最初の内は己の異能の箍を僅かに外した程度だった。
殆どとして、彼本人はどんな災いにも殆どの手を下していないのである。ただ、たまたまそこにいる、というだけで。

>>832
「――だから言ったろうに……んで、色は――――」

眼鏡をかけ直し、むくりと起き上がり。
鬼門は相手の下着を覗き込もうとした、良識など欠片もありゃしない、当然だ。
と言うよりも、心配する様子も見せないのは、少々いびつな姿だったろうか。

店員が慌てた様子でやってきて、掃除を始めるも転んで破片で怪我をする。
僅かとはいえない程度の血が、ばしゃり、と当たりに飛び散った。
それを無感動な目で見つめながら、腰の短刀をわずかに抜き、己の指先をそれで裂く。

その後は、特に問題も起こらず掃除も終わっただろう。

834高向谷 司朗:2012/06/17(日) 22:22:41 ID:NntjvIzM0
>>832
「いや、なんか歌の魔女とか言われたから、
 こっちも肩書きが欲しくて……」

対抗心を燃やしたわけだ。

「何もここで戦う気は無いよ。
 ……つーか"歌"の魔女、だよな?」

バイオリンを出した琴音に対して疑問を言った。

>>833
「……マスター、救急箱ありますか」

鬼門が倒れたのを見て、歯軋りをしながら喫茶店のマスターに言った。

「悪くない?ふざけるな。
 お前は確かにあの時頼まれた、と言った」

立ち上がり、鬼門の胸倉を掴み、起こそうとする。
傷つける意図は無いのだが、鬼門に対する敵意から、どうしてもそんな掴み方になってしまう。

「コーヒーぐらい奢ってやる、
 言え、誰に頼まれたんだ?」

835琴音:2012/06/17(日) 22:31:14 ID:IrsgDsYs0
>>833
 「色………?」

 視線に気付く気配はない。
 病人が穿いているものである。
 色気や飾り気など無い、白。

 演奏曲は、G線上のアリア。

>>834

 「前回の戦闘(//空中要塞)でものすごい無理をしたので、今は大きい声で歌えないんです。
 歌の魔女の名折れですね。改名しようかな。」

 勿論、そんな気は無いけれども。

 能力で、二人の頭上にタライを浮かばせる。
 何かあれば、ぱこーんとやるつもりで。

836艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/17(日) 22:34:59 ID:7gFzKdaU0
>>834
「このくらい、放置しとけば勝手に止まるし。
 治療、要らないけど」

頭から血が流れて、痛みで眉間を僅かに眇めているのにも関わらず。
どうでもいいと断じて、青年はそのまま倒れたまま。
がくん、と頭が揺れて、そのまま胸ぐらを掴み上げられる。

「ノアって奴。よく分からんが、愛だなんだとうるさい変人。
 そいつに頼まれた。……素性は知らないし、連絡先も知らない。
 なんとなく、俺が変われる気がして、言うこと聞いただけだ……別に、変わった感じはしないけど」

がくがくと頭を揺らしながら、鬼門は何の躊躇いもなく情報を垂れ流し始める。
その間も、頭からはぽとり、ぽとりと血が溢れる。
それでも、顔色は青くなるのみで、表情は変わらずに。

「――変わるのも、幸せになるのも怖いだけだ。
 だから、ずっと不幸に浸っていたいが、それも嫌だ。厄介だ。
 もっと、沈んで、沈んで、何も考えずに、ただ生きてられれば、それでいいんだけど」

殴られようと、殺されようと、今の鬼門は文句ひとつ言わないだろう。
きっと、こぼすのはただ一言。不幸だ。それだけ。

>>835
「……ん、白いパンツ履いてるんだなと思って。
 シチュエーションも有ってあまりありがたくない、やっぱり不幸だ」

こやつ、人のパンツを見ておきながら不幸とすら言ってのける。
そして、G線上のアリアを聞くも、特に心を動かされることなどあり得ない。
歌や言葉一つで、そう簡単に人の心が動くはずなんて無い。だからただ、無反応、無感情、無感動。

837高向谷 司朗:2012/06/17(日) 22:47:40 ID:NntjvIzM0
>>835
「だから何所が歌だ!
 ドリフか?ドリフの能力なのか?」

歌+たらい=ドリフ。
そんな思考である。

「……つーか、頭怪我してる人間にそれは死ぬ。
 真面目に死ぬと思う」

>>836
「そりゃ止まるだろうよ。
 同時に心臓も。
 あー、最近は消毒しないほうが良いって事になってるんだっけ?」

ぶつぶつ言いながら、救急箱の中身を散らかす。

「そういえば出血したら心臓に近いところをきつく縛るんだっけか?
 首でも絞めるか?」

笑えない冗談を言いながら、ガーゼを持って傷口をぐりぐりと押し付ける。
荒っぽいが、一応救急医療には則った止血法のはずだ。
少なくとも、司朗はそう思っている。
もし、無理やり振り払われたらすぐに応急処置はやめるだろう。

「ノアって奴に言われた。
 んで、お前は首を縦に振って行動に移した。
 完全にお前の意思じゃねーか」

少し、抑える頭の力が強くなったかもしれない。

「変われる気がして、とか言いながら変わるのが怖いとか脈絡ねーな。
 たとえ歪んでても、もっと芯ぐらい持てねえのか。
 あー、マスター。一応救急車……電話通じない?あ、そっか」

鬼門の能力に引かれた不運なのか、
本当に運が悪かったのかは解らないが、警察に通報する方法はないらしい。

838琴音:2012/06/17(日) 23:04:03 ID:IrsgDsYs0
>>836
 「なっ、パン…つ…」

演奏が急に止まり、浮力を失ったタライが二人の側に落ちてゆく。
 司朗は、なんの関係もないとばっちりなのだが。


>>837
 何かあればぱこーんとやるのは、ドリフ抜きには語れない。

 「あ、危ない!」

 そのまま動かなければ、当たらないとは言え。
 いそいで立ち上がろうとしたが、点滴に足をとられて派手にすっころんだ。

839艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/17(日) 23:11:15 ID:7gFzKdaU0
>>837
「どうせ、人じゃないし。
 直ぐとは言わないけど、死ぬ前には止まるかもしれないし。
 死んだら、それまでだ」

と言いつつも、だらん、と身体から力を抜いて。
鬼門はぼう、と焦点の合わない瞳で天井を見つめていた。

「どこでも、ご自由に。縛りたいように縛って締めたいように締めれば
 息ができない状況なら、きっと不幸なことに中々意識が落ちなくて苦しむだけだ」

どうせ、そうなる。と。
青年は、結末が分かっているかのように無感動に声を吐くだけ。
喋っているのではないのだ、吐いている、吐き捨てるだけの、何もこもっていない言葉。

「……あ、そういう事になるのか。
 流されているように見えて、案外、俺は俺の意思で動いているって事か。
 発見。……あんまり、今の俺は不幸じゃないな。怖くなってきた」

今更気がついたような表情を浮かべる鬼門。
此処に来て、極わずかにだが表情が浮かんだ。直ぐに消えるが。
そして、何かを知って、少し変わるきっかけが見えた気がしたが、それを恐れて目を瞑った。
押さえつけられる頭の傷の痛さに、今はただ埋没するだけ。

「幸せになったら不幸になるのが怖くなる、だったら不幸のままでいい。
 何かを知ったら忘れる事が怖くなる、だから無知で愚鈍がい。。
 期待すれば裏切られる、だから誰も信用しないし、誰にも信用されないようにする。
 誰かを傷つけなければ生きていけないなら、鈍感になれば罪悪感はやってこない。
 無傷のままなら怪我が怖い、だから常に自傷していれば怪我を恐れる必要は無い
 ……ある意味では、不感症であること。それが俺の芯かも。…………しゃべりすぎて、疲れた、眠い、頭グラグラする」

顔色は真っ青で、その痛みと不快に浸って、鬼門は安息を得ていた。
ふかふかのベッドよりも、血の海に沈むほうが落ち着く存在だ。

>>838
落ちてくるたらい、それを回避する事など今の彼には不可能であって。
そこからの結論は、今の状態からの当然の帰結を成す事となる。

「――――ッ、……」

ごうん、たらいの音が大きく響いて、かくん、と意識が落ちる。
血が足りない上に、そこに脳震盪だ。意識を失わないほうが難しいだろう。
と言っても、純粋な人ではないため、僅かにうめき声は漏れているのだが。

840高向谷 司朗:2012/06/17(日) 23:25:53 ID:NntjvIzM0
>>838-839
「あがっ…………だめだこりゃ」

たらいの直撃、司朗は床に倒れ付した。

「セットが倒れなくて良かったな……。
 いや……やっぱむしろ倒れて欲しいわ……」

コントで済ませられれば楽な話である。

「あー、マジ救急車……呼んだ方がいいんじゃねえか?」

起き上がり、唸り声を上げる鬼門を見た。

「流石に俺も哀れむわ……。
 琴音さん、あんた治療系の術とか……はっ……」

見ると琴音が倒れている。

「し、死んでる……。
 ……じゃないな、アンタまでおい」

琴音を起こそうとした。

841琴音:2012/06/17(日) 23:34:47 ID:IrsgDsYs0
>>839
 「あっ、ご、ごめんなさい………」

 壊れたバイオリンを魔法陣の中にしまい、代わりにハープを出す。

 「ハープ・カンタータ【Healing】」

 効果:怪我の回復
 即興の曲である。
 ちいさめの声で歌いながら、ハープを演奏する。


>>840
 器用にも歌いながらしゃべる。

 「こっちは大丈夫ですよ。転んだだけ。」

 ちらりと点滴の残量を確かめる。

 「これが無くなる前に病院に戻ればいいんですから。」

 あと三十分くらいだろうか。
 切れたら死ぬ、というようなものではない。

 全て回復するのに一分くらいは掛かるだろう。

842艮 鬼門 ◆NSEW/xeQlk:2012/06/17(日) 23:37:14 ID:7gFzKdaU0
>>840>>841
途端、びくん、と跳ね起きる鬼門。
正直ホラーな光景だ、鼻血が漏れて無表情故に妙にシュール。

「……帰る。眠いし、頭痛いし、めまいするし、血足りないし、喉乾いたし、カフェイン足りないし」

頭から流れる血をそのままに、鬼門はゆらりと起き上がり。
足元をふらつかせながらも、男はゆらゆらと動いていく。
店の外へと歩きながらも、傷はわずかずつでも治っていき。

「あと、そこの女。パンツはもう少し色気のあるものを履いたほうが俺の好み。
 シチュエーションについても努力したほうがいいと思う。……治療、礼を言う」

最後に、なんとも言えない以上に閉まらない言葉を残して。
血痕を足あとのように残しながら青年は消えて行くのであった。

843高向谷 司朗:2012/06/17(日) 23:46:03 ID:NntjvIzM0
>>841
「あ、大丈夫だったか。
 気をつけてくれよ……」

たらいのことについてである。
司朗はため息をついた。

「って言うか、点滴したままこけたら危ないだろ、
 針抜けたり折れたりしたら。
 今あいつのせいか知らないけど、電話通じないんだからな、そっちも気をつけてくれよ」

そう言ってハープを見た。

「あ、そっちの方がイメージ合ってるわ。
 本領って感じだな」

>>842
「また戦場で見かけたら容赦なくぶっ倒しに掛かるからな」

悪態をつきながら、鬼門を見送った。

「奢るって言ったのにな。
 コーヒーぐらい」

844琴音:2012/06/17(日) 23:57:55 ID:IrsgDsYs0
>>842
 「えっ…あのーその…
 入院してる間だけですよ、こんなパ…」

 どこかズレた、最後が聞き取れない返答をし、鬼門を見送った。

 「えっ、好みって………ええ!!?」

 今更ながらに顔を赤くして。


>>843

 「ええ、気を付けます。」

 タライ以外に、別の方法もあったはずだ。

 「私自身もハープの方が好きなの。
 いまのところ、これ以上にしっくりくる楽器はないのよ。」

 演奏を続けている。

845高向谷 司朗:2012/06/18(月) 00:04:30 ID:NntjvIzM0
>>844
「楽器……音楽かあ。
 音……も一種の空気の流れだよなあ」

そう呟きつつ、司朗は再び紙飛行機を折った。
そして、それを投げ上げて気流眼を発動する。

「音も操れないか、な……っと。
 ありゃ、無理か」

周囲に邪気が広がるが、紙飛行機が落ちずに飛び続けるだけで、
音の方向性は変わらない。

846琴音:2012/06/18(月) 00:16:25 ID:IrsgDsYs0
>>845
 「諦めちゃダメですよ。」

 半ば忘れ去られていた折り鶴が、息を吹き返す。

 「風を吹かせるよりも難しいかもしれないけれど、原理的にはできるわよ、絶対に。」

 一拍おいて、続ける。

 「私みたいなのは、音が届かなければ無力なの。
 例えば真空、向かい風、暴風…
 数え上げればキリがないとはこのことね。」

 ぱたぱたと飛ぶ折り鶴。飛行機には追いつけないようだ。

847高向谷 司朗:2012/06/18(月) 00:24:28 ID:NntjvIzM0
>>846
「一応言っとくけど、俺は風を吹かせてるわけじゃない。
 元からあるものの方向を変えてるだけだ」

人間が動くことによる気流、
紙飛行機が飛ぶときに生まれる気流、
温度変化によって生まれる気流、
小さな空気の動きを超広範囲から集め、束ね、方向を揃え、大きな力にする、
それが気流眼である。

「だからこそ、出来ないわけ無いけどなあ……。
 まあ、今始めてやったから出来ないのは当然だな。
 特訓あるのみだ、普通に操るぶんはずいぶん精度上がったし」

紙飛行機は司朗の手元に戻ってくる。
そこまで正確な操作が出来るようになっていた。

「あれ?そういうもんなの?
 てっきり呪文と同じようなもんで、
 言えさえすれば発動するものだと思ってたけど」

848琴音:2012/06/18(月) 00:42:44 ID:IrsgDsYs0
>>847
 「そうなんですか、てっきり…」

 ベクトルを変えるだけでも、凄いことだ。
 上空のジェット気流を持ってきたりすれば、それこそ災害クラス。

 「そう、あなたの能力は完全に私の上位にある。
 戦ったら、無傷で私をコテンパンにできるわ。」

 今の体調を差し引いても。
 司朗の絶対優位は揺るがない。

 「私はそろそろお暇するわ。
 あなたの怪我も直っているもの。」

 ハープの演奏を止めると同時に、鶴がきりきり舞して落ちてゆく。

 「今日は迷惑をかけてごめんなさいね。
 また、いつか。」

 ハープを魔法陣の中にしまうと、キャスターの音を響かせながら喫茶店を後にした。


//眠い…乙でした。

849高向谷 司朗:2012/06/18(月) 00:54:00 ID:NntjvIzM0
>>848
「いや、無傷はどうかな……。
 向かい風程度じゃ完全に"音"は消えないし、
 圧力で空気の密度を下げることは出来るけど、真空は流石に無理だ。
 暴風も普通の状態なら一瞬しか起こせない」

勿論、嵐の中に居れば司朗の戦闘力は無尽蔵に上がるだろう。
ただし、司朗を嵐から守る為の気流と、攻撃の為の気流、
両方を同時に操作しなければならないのだが。
また、ジェット気流を持ってくるには流石に距離がありすぎる。

「お、そういえばこぶたんが」

頭をさすると、たらいに打たれた部分が元通りになっている。

「ありがとうな、って言うのもなんか変だけど……。
 お大事に」

鶴が落ちるのを、気流眼でまた持ち上げた。
とはいえ、折紙の鶴は飛ぶように作られていないので、少しふらふらしているが。
それを自分のもとに運び、手にとって、琴音に手を振った。

「んじゃ、そろそろ俺も修行に行くかな……。
 マスター、迷惑掛けて悪い!
 代金多めに置いとくよ」

司朗は鶴を机に置いて、店を去った。

850萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 17:24:55 ID:7gFzKdaU0
異能都市、中央公園広場。
砂地を均され、運動をしやすい状態にされたそこで、軽い音が響き続ける。
缶蹴りのそれに近い音、中身が空の軽い金属容器を叩いた時の反響音のそれだ。
断続的に、一定のリズムを以て響くその音は缶蹴りにしては余りにもスパンが短い。

音の出処に居たのは――――一人の少女だ。

「ふ……ッ、せ……ィっはぁああッ!」

タンクトップにスパッツ、スニーカーという極めて身軽な格好。
キャップを被り、後ろからポニーテールにした赤毛を飛び出させたシンプルなスタイル。
そんな少女は、小柄な身体を駆動させて、絶え間なく蹴りを放ち続けていた。

蹴りの先には、アルミ缶。
脚が当るたびに空へと吹き飛ばされ、落ちてくるたびにまた空へと叩き返される。
その過程毎に徐々に凹まされていき、一回り、二回りとそのサイズを小さなものへと変えていっている。

そしてひときわ甲高い音が響き、空へと缶が舞い上がり。
少女は鋭い表情でそれを見据えると、大地を踏みしめ缶を待つ。

落下、交錯、一閃。

切って捨てて蹴撃一発で缶は塵と散る。
荒い息を吐きながらも、少女は荒い息を整えて、残心。
息を深く吸い、吐けば少女はふらりと地面にへたり込むのであった。

大の字に地面に倒れこんで、その顔はどこかアンニュイな色を含んだもの。
空を見上げて、次の息は、ため息だった。

851ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 17:28:50 ID:KJZAq.zQ0
>>850
いつもの波紋の修行の帰り、カレー屋に戻ろうと思い
途中、公園に立ち寄ったが、まさかこんな場面に合うとは思わなかった。

そしてそんな少女の頑張りを見て彼は自動販売機に行き
コーラを買う。

「精進しているね、ホイっと!」

声を掛けて、その大の字になっている少女に向けてコーラの缶をポイっと投げる。

852萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 17:33:53 ID:7gFzKdaU0
>>851
「――――あ、ありがとですっ」

むくり、と起き上がって缶を受け止める。
立ち上がってペコリと頭を下げると、缶を開けてこくりこくり、と飲み始める。
両手で缶を握って傾ける姿は小動物的であり先程まで缶を蹴りあげ、粉砕していた少女とは想えない姿だ。

「むむむ……、お兄さん、結構出来ますね?
 ちょっと以上に気が濃い感じがします」

相手に向き直り、少女はむぅ、と不審そうな目で相手を見る。
と言っても、缶コーラを奢ってもらった為、そこまで敵意は無いのだが。

853ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 17:38:24 ID:KJZAq.zQ0
>>852
「どういたしましてっと」

そう言うと、自分もコーラを買い、飲む。

「ハッハッハ、お兄さんか、そう言ってもらえるとうれしいよ」

実年齢は200年は超えているからね、と呟く。

「ま、それなりには経験を積んでいるつもりだよ。
例えばこんな芸当とか…」

まだ一口ばかり飲んでないコーラの缶をさかさまにする。
普通ならここでコーラはドボドボと落ちるッ!
しかしコーラはまったくこぼれるないッッ!、こぼれる気配もないッッ!!

「こんな感じの事が最近出来る様になってね、フフ」

854萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 17:44:36 ID:7gFzKdaU0
>>853
「曾お祖父ちゃんも気功で若かったなぁ……死んじゃったけど」

懐かしそうに声を漏らすも、驚く様子は無い。
この都市に居る以上100年単位で生きる人間など、いても可笑しくは無いのだ。

「むむ……、気ともちょっと違う気配、ですよねぇ。
 私に出来るのって、せいぜい――そうですねぇ、この程度なもので」

そう言うと、飲み干したコーラの缶を軽く放り投げる。
そして、缶の尻の方を指先で素早く叩き、空中へと吹き飛ばし。
落ちてきた所を回収する。

コーラの缶が、ひっくり返っていた。
もし動体視力が良いのならば、叩かれた缶がひしゃげ、缶の尻の部分が飲みくちから飛び出して裏返った事が見える。
子供のなりでこそ有るが、その技量は年齢や外見に似合わない領域に有った。

855ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 18:14:29 ID:KJZAq.zQ0
>>854
「気功…、そんなものもあるのか」

と、感心したように言う。

「良かったら教えてあげようか?」

冗談混じりに言う。

「…、ほう、中々味な事をする。
どれ、少し僕からもパフォーマンスをするか」

そう言うと、キョロキョロと見渡し、大きな岩を見つける。

「よし、この岩程度なら、砕いても問題ないだろう」

そう言うと、足元に見つけたカエルを掴む。

「よく、見てておくんだ」

そう言うと、カエルを岩の上に置く。

「コオオオオォォォ」

その場に奇妙な呼吸音が鳴り響く。
男は目をつぶったまま、動かず、カエルも動く気配がない。
良く見れば、彼の体の周りの空間が歪み始めている。

「コオオオオオォォォ…、るおおおおおおおッッ!」

突然、目をカッ!と開き、拳を握りカエルに向かって放つ!

「生命を伝わる波紋!!」

そしてカエルに拳が到達し、そのままカエルを潰すかと思われたが
カエルの体が一瞬光り、そのまま光は岩に到達するッッッ!!

メメタァ…ボコォッ!!

そのまま岩はカエルの真下から真っ二つに砕けた……。

「ふぅ、こんなものかな」

カエルは、無傷だった。

856萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 18:23:53 ID:7gFzKdaU0
>>855
「え、教えてもらえるんですか?
 強くなれるなら、なんだって身につける覚悟はありますよ」

真っ直ぐに強い瞳は、相手から逸らされる事なく見つめてくる物だ。
黒い瞳は、意思の力によってどんな宝石よりもきらびやかに光るのだ。
そして、相手のパフォーマンスを見て、きょとん、とした顔を浮かべ。

「――わ……衝撃を貫通させるだけなら行けますけど、それって……ちょっと私のそれとは違いますよね。
 うまく言葉には出来ませんけど、カエルさんの中を通っても、カエルさんを傷つけずに――っていうのは、なかなか難しいとおもいます」

感心した様子で凄い、と素直に驚いていた。
そして、波紋……ですか、と小さな呟きが続いた。

「呼吸を肝とする技法、ですかね?
 気功のそれに、似たものを感じました、気功も呼吸が大切なので」

そう言うと、アテナはわずかに腰を落として息を深く吸い始める。
胸も腹も膨らまず、全身に酸素を巡らせていくような独特の呼吸。
息を吸い、吐く動作一つ一つが成される毎に、重心は定まり、見て取れる活力は増して行く。
理論としては、似通った部分が多少以上に有るのかもしれない。

857ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 18:32:15 ID:3.5HyQCE0
>>856
「…、そういえば君は、どうしてそこまで強くなりたいんだい?」
ほんの少しばかし、鋭い眼をして言う。

「この波紋法は、生命に関係するからね。
こういう岩程度は砕けても、鋼鉄の壁からそういうのはできないよ」
肩をすくめて言う。

「…、へぇ、良く分かったね。
その通り、この波紋法は呼吸が一番大切なのさ。
この呼吸のリズムを覚えなければ、まず覚えるのは難しいだろう。
どれ、少し波紋法を覚えた時の呼吸の利用法を教えてあげようか」

するとスゥゥゥゥ、と息を吸い始める。

「スウウウゥゥゥ」

まだまだ吸うのを止めない、漫画で言うなら既に5コマ程度の時間を浪費している。
そして現実ではもう数分位経っているが全然、吸うのが止まる気配がない。

「スウウウウゥゥゥ…」

ようやく止まり、彼は喋り出す。

「今の所吸える量は12分位が限界かぁ。
まぁ、この呼吸法を覚えれば十分くらい息を吸い続けて、十分くらい吐き続ける事が出来るのさ。
水泳ではかなり有利になるだろうね」

858萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 18:47:16 ID:7gFzKdaU0
>>857
「――大切な人達と、平穏を護るため。
 そして私が私であることを貫くためです」

真っ直ぐに、躊躇いなく。
日常と、日常を共に過ごす人々を護るための力だと、臆面なく口に出す。
そして、己の己たる所以を貫く為。それが彼女が力を求める理由だった。

相手が、波紋法の呼吸法を始めたのを見て、真似をし始める。

「……スウウウウウウ――――」

一分と少しで咳き込んで、息を荒げ始めた。
元々、呼吸については武術の方向性も有って慣れていた。
そのため、ある程度はコツはつかめたようであった。

「むぅ、普段の気声とかとは全然違いますね。
 ちょっとこれは鍛錬しないといけません!」

久しぶりに、新しい物事に触れたアテナの顔は、明るい。
己を高める喜びと言うものは、武術家でなくとも感じるものだ。

859ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 18:53:05 ID:3.5HyQCE0
>>858
「…、ならば君は、自分の護りたい人達の為に
相手の文化を壊すことも躊躇しないのかい?
例えば最近そんな被害に遭っている吸血鬼とか」
この波紋に真っ先にかかわるものを言う。

「ハッハッハ、確かにそんな芸当もできるけど
実はこの呼吸法は一秒間に10回以上呼吸をしているんだ。
だから普通の方法じゃあ覚えるのは難しいよ」

860萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 19:01:31 ID:7gFzKdaU0
>>859
「私は、誰も彼も、全員助けられるなんて無理だと知っています。
 でも、それでも。私の手は私の手の届く所に有る人を助けるために有りたいし、私の脚はそういう人の所に駆けつける為で有りたい。
 そして、少しでも多くの人の手を取りたいし、少しでも多くの人の元に駆けつけたい。だから、私は躊躇いませんし、迷いません。
 それに、吸血鬼だって私の働いてるカフェの常連さんで、私の弟子で、私の学校の先輩なんです。
 私は、守りたい人を護る為の刃で有りたい。――――それだけですから」

弱冠10歳の少女が、悟った顔でそんな事を言う。
瞳は澄み切り、言葉は鋭く迷い無い。何を見て、何を経験すればこうなるのか。
だが、少なくとも、彼女の心は真っ直ぐで、迷い無いものだった。

「……むむぅ……、もう一回見せてくれますか?」

眉間にシワを寄せ、ムキになった様子。
右目に邪気が僅かに宿り、相手を注意深く見据えることだろう。

861ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 19:05:54 ID:3.5HyQCE0
>>860
「そうか…、今の所、弟子希望者は二人目か。
君は、この『波紋の呼吸法』を本当に、邪気もなく
相手にむやみに使わないという決意があるんだね?」
とてつもなく鋭い眼をして言う、その目を見たら、ヘビでさえすくみあがるような。
この目を見て、ハッキリと言うことが出来たなら!
彼は教えるつもりだ。

「もう一回って、さっきのカエルの?」

862萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 19:11:44 ID:7gFzKdaU0
>>861
「――私は、私の手の届く人達に手を差し伸べる為の力が欲しいんです。
 だから、誰かをむやみに傷つける為なんて、あり得ません。私、萌葱アテナの拳は、進む道を切り開くための物。
 誰かの道を潰えさせる為のものじゃないんですから」

威圧、鋭さなどなんのその。
刃だ。静謐な鋭さ、しかし、美しさを持つ一振りの刃のあり方。
それを信念に据え、アテナは返答と成した。

「いえ、呼吸法です。……力の流れ読むのが得意なので、吸い方を何度か見ればある程度コツは掴めそうですから」

863ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 19:16:28 ID:3.5HyQCE0
>>862
「…、よし分かった!
そこまでの『覚悟』があるならッ!
君に教えてあげよう、この『波紋の呼吸法』をッッッ!!」

「うぅ〜ん、やっている内に特に意識していないしな。
ところで君、お腹空いていない?」
先程までのシリアスな態度は何処へやら、ひょうきんな性格に戻る。

864萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 19:23:01 ID:7gFzKdaU0
>>863
「はいッ!」

短く、だが気合の入った声が続いた。

「力の流れって、無意識でもある程度あるものですし、勉強には成ると思いますけど。
 ふっふっふ、お腹ならいつでもどこでも空いていますよ?」

えっへん、と無い胸を張ってアテナはお腹をぽん、と叩く。
小柄だがかなりの健啖家たるアテナだ、先程まで鍛錬をしていたのだからお腹が減っていない筈が無いのだ。

865ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 19:28:25 ID:3.5HyQCE0
>>864
「うん、そうだね、僕の場合、正攻法で覚えるのにかなり
時間がかかったっけなぁ」
昔を思い出すように言う。

「そうか、カレーは好きかい?
僕は店を持っていてね、カレー屋なんだ。
良かったら食べていくかい?、一杯500円だ」

866萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/06/18(月) 19:50:40 ID:7gFzKdaU0
>>865
「カレー好きなんですけど……その、今からカフェでバイトなんです。
 また今度遊びに行かせて頂きます、ししょー!」

カレーの誘いに、逡巡するも、彼女も喰うためには働かなければならない。
そのため、申し訳なさそうにしつつも、今度にする、と言う事にした。
そして、アテナはぺこり、と頭を下げると時計を来にしながら歩き去っていくだろう。

867ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/06/18(月) 19:53:04 ID:3.5HyQCE0
>>866
「そっか。
痴漢とかには気をつけてな」

そう言って、腕を振って見送る。

「…、師匠、か」

そう呟くと、自分のカレー屋に戻っていく。

868名も無き異能都市住民:2012/06/20(水) 23:42:40 ID:SSMHlh/20
【異能都市南部・スラム街】

スラムの一角で、ローブに身を包む数人が
浮浪者や孤児に僅かではあるが、温かいスープと食事を配っている。
都市に点在するスラムは往々にして治安が悪いものの、
こうした慈善団体の活動は珍しいものではない。

869高向谷 司朗:2012/06/21(木) 21:48:11 ID:NntjvIzM0
「うおおおうっ!!?」

台風のある日、司朗は空を舞っていた。
台風の風力を利用して、気流眼の修行を行おうとしたのである。

「うわっ!!帽子……っととと!!」
「力に振り回されすぎだ」

気流を圧縮し、極大の圧縮弾を作ろうとするも、
すぐに破裂して、口を閉め損ねた風船のように空高く吹き飛んでしまう。

「っだあああ!!!」

帽子を気にしているうちに、司朗は地面に叩きつけられ、
水溜りに濡れるのだった。

870防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 21:54:47 ID:trmDr2BE0
>>869
【遠くから歩いてくる学生の姿がある】
「ぬうう、早く帰らないと・・・!
 途中下校なのになんでこんな風強い時に〜!」
【どうやら学校帰りであるらしい。スカートを必死で押さえながら下を向いて歩いている】

871高向谷 司朗:2012/06/21(木) 21:58:18 ID:NntjvIzM0
>>870
「あん?あれは……」

たしか、防人鶫、と言う女性。

「よっ、久しぶり。
 踏むなよ?」

水溜りの中に倒れながら、司朗は手を上げた。

「学校帰りか、大変だな」

人のことは言えない惨状であった。

872防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 22:01:05 ID:trmDr2BE0
>>871
「えっと、ああまた会いましたねー!
 その・・・司朗さんでしたっけ?」
【ちょっと上目遣いで司朗の姿を確認し、軽く手を上げた】

「大丈夫です、下はちゃんとみてますから!」
【と言いながら必死で風に耐えている】

「貴方も大変そうですよ。ずぶ濡れです!」
【そう言ってずぶ濡れの司朗を再度見る】

873高向谷 司朗:2012/06/21(木) 22:10:05 ID:NntjvIzM0
>>872
「うわっくそっ……っととと……いてっ!」

立ち上がろうとするも、突風に煽られ尻餅を付いた。
そうしてようやく立ち上がる。

「ずぶぬれは覚悟の上だよ。
 そんなことより修行だよ」

気流眼を使い、風の勢いを弱める。
台風の勢いは、そよ風ほどに弱まっていく。
ただし雨は防ぐことが出来ないが。

「この程度なら楽勝なんだよなあ、
 問題はこの先……」

少しずつ、掌に気流を集めていく。
圧縮された空気の歪みがパチンコ玉からピンポン玉、ピンポン玉から野球ボールほどまで大きくなる。
             ・ ・
「んがああああ……重いっ……!」

重いというのは比喩表現だが、それだけ苦心しているということである。

874防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 22:14:00 ID:trmDr2BE0
>>873
「修行ですかー・・・
 ここでやって大丈夫なんですか?」
【鶫の方もだいぶずぶ濡れになってしまっている】

「うーむ、よくわかりませんが・・・
 空気が集まってるようですね。それが貴方の能力ですかー」
【興味深そうに見つめている】

875高向谷 司朗:2012/06/21(木) 22:19:43 ID:NntjvIzM0
>>874
「こいつの能力は、気流を操る能力、気流眼だ」

司朗が腰にぶら下げているエンブレムの彫刻が、
動き喋り始めた。

「こんな強風の日は、気流眼にとって最も力の強くなる日だが、
 司朗はその力を受け止め切れないようだな」

そう言っているうちに、司朗の圧縮弾は、ボーリングの球ぐらいの大きさになる。

「へっ、新記録――あっ」

間抜けな声と共に、圧縮弾が破裂した。
同時に爆風が周囲を遅い、司朗は建物の壁面に叩きつけられた。
台風の暴風も再び吹き荒れる。

「……失敗い……」

876防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 22:22:10 ID:trmDr2BE0
>>875
「ほほう、気流ですか…
 それでこんな台風の日にやるんですね」
【どうやら納得はしているようだ】

「で、今はかなりの大きさに見えますが…ん?」
【突然の破裂音とともに襲いかかる爆風】

「のわあ!?」
【猛烈な爆風に鶫は後方へすっ飛んでしまった】
「あいたたた…」
【ちょっと遠くで鶫は痛そうに背中をさすっている…】

877高向谷 司朗:2012/06/21(木) 22:32:04 ID:NntjvIzM0
>>876
「だめだ、調子悪いや……。
 今日のところはひとまず諦めるか……」
「まずは自分の限界点を見つけることだな」

再び台風の威力が弱くなる。

「悪い悪い、大丈夫か?」

司朗もまた、壁に打ち付けられた背中をさすりながら歩いてきた。

「そういや前学生って言ってたけど、何所の生徒?」

制服を見ながら、司朗は聞いてくる。

//私服登校だったら最後の一文無視してね!

878防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 22:36:24 ID:trmDr2BE0
>>877
「うー、えっと…
 大丈夫です。この程度なら平気ですからね」
【笑顔で立ち上がって返す。あちこちに泥がついてしまっているようだ】

「それにしてもすごい力ですね。
 使いこなせればかなりのものかもしれません」
【そう言って微笑み返した】

「えっと、このへんの学校といえば千夜学園位だと思いますよ。
 よく見かけると思うんですけど」
【見るとその制服は確かにその学園のデザインである】
【濡れてるせいなのか元々大きな胸の部分がより強調されている。】

879高向谷 司朗:2012/06/21(木) 22:47:10 ID:NntjvIzM0
>>878
「使いこなせれば、ね。
 強風でこれだけ振り回されてる上、いつでも強風が吹いてるわけじゃないし」

背中の気流眼に触れながら言った。

「ああ、センガクか。
 そういえばそんな制服だったかな」

千夜学園の略称のつもりである。

「俺は高校はもうちょっと離れたところだったからな。
 千夜は大学受けたけど落ちちゃってさ、今は都市の南西にある大学行ってるけど」

そう言って苦笑した。

880防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 22:51:12 ID:trmDr2BE0
>>879
「そうですか…
 風を起こせる装備とかがあればいいんですけどね」
【手をぶらぶらさせて言う】

「そんな略称有るんですか…?
 あんまり聞きませんけども…」
【少し困惑して答える】

「へえ、あちらの方の大学出身なんですか〜。
 詳しくは知りませんけど、この近くにも来てるんですね〜」
【感心しているようである】
「この近くではおんなじ学園の人としか会いませんからちょっと新鮮ですね」
【まあ寮出身者だからしょうがないが】

881高向谷 司朗:2012/06/21(木) 22:57:17 ID:NntjvIzM0
>>880
「要らない要らない、重いし。
 こいつが居れば十分」

そう言ってエンブレムを叩く。

「いや、なんか有りそうじゃん?
 俺も聞いたこと無いけど」

いい加減である。

「都市の外じゃなくて中だから相当遠いわけじゃないからな。
 十分通える距離。
 あー、まあ、人気校だからな千夜。
 知り合いにも千夜高校卒業生居るし、そのままエスカレーターすればよかったのに」

882防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 23:00:38 ID:trmDr2BE0
>>881
「その紋章が何か凄まじい力を持つということですか…」
【結構真面目な返し方をする】
「もしかしたらそのうち何かわかるかもしれませんね」
【そう言って微笑んだ】

「そうですね。このあたりだと生徒が特に多いそうですからね。
 卒業した人もいるんですか…大学に行かない理由でもあったんでしょうかね?
 就職とか」

883高向谷 司朗:2012/06/21(木) 23:07:09 ID:NntjvIzM0
>>882
「さて、解ればいいのだがな」

エンブレムが呟いた。

「俺が死ぬまでには見つけてやるって言ってるだろ」

一体何年かけるつもりなのだろうか。

「いや、そいつはうちの大学に通ってる奴だ。
 どうしてもこっちで受けたい授業でもあったんだろうな。
 逆に俺の高校から千夜行った奴も居るよ、どうしてるかなーあいつ」

母校を思い出し、懐かしがっている。

884防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 23:12:03 ID:trmDr2BE0
>>883
「まあ、無理矢理じゃなくてもいいでしょうね。
 こういうのはいつかわかってしまうものなんです」
【ニッコリ微笑んだ】

「へえ、そちらで独自の科目でもあるんですか?
 なかなか気になりますね…」
【ちょっと興味を示しているようだ】
「誰かはわかりませんが、大丈夫なんじゃないでしょうか。
 いいところですからね」
【軽く頷いて答える】
「ひっくしゅ!…うう、濡れすぎたかもしれません」
【くしゃみをしてから答える】

885高向谷 司朗:2012/06/21(木) 23:20:51 ID:NntjvIzM0
>>884
「いや、うちの大学はふつーの授業ばっかりだな。
 俺も異能に関する授業とかも受けてみたいな……。
 やっぱり千夜だとクラス次第でそういう授業もあるんだろ?」

大学受験前には司朗は異能を持っていなかったので、無理な話ではあるのだが。

「まあ、能力の強化はこいつにいろいろ教わってるけどさ。
 台風もこいつの提案だし」

886防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 23:22:55 ID:trmDr2BE0
>>885
「えっと、まあ確かにそうですね。
 能力の分類をしたり、あるいは能力の違いで科目を選択する人もいますね」
【軽く考えてから言う】

「独学で力を学んでいくんですね…
 なかなか大変そうですが、頑張ってください」
【ぐっと拳を握って応援する】

887高向谷 司朗:2012/06/21(木) 23:30:58 ID:NntjvIzM0
>>886
「大学で受けるせよ、独学にせよ、
 そう簡単に能力は強化できないってのは同じだろうけどな」

ふっ、と若干かっこつけるように言った。

「こいつの能力の成長スピードは中々のものだ。
 まあ、異能に目覚めたばかりのせいだろうが。
 一年も持てばいい方だろう」
「お前褒めてんの?けなしてんの?」

エンブレムとにらみ合うのだった。

「いずれ台風丸ごと引っ張ってこれるような能力に進化させて見せるぞ!」

迷惑な話だ。

888防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 23:36:43 ID:trmDr2BE0
>>887
「気づくのも学校に行ってからの人もいるらしいですからねえ。
 …私の場合はかなり遅かったですけど」
【ちょっと恥ずかしそうに言う】

「へえ、それはすごいですよ!
 つまり一年超えれば立派に成長するってことじゃないですか?」
【いい方の流れで答える】

「ああ、それはすごいですがちょっとやり過ぎは禁物ですよ」
【少し慌てて答える】

889高向谷 司朗:2012/06/21(木) 23:41:10 ID:NntjvIzM0
>>888
「俺はついぞ数ヶ月ほど前だからなあ。
 こいつ買って、喋り始めたと思ったら部屋の中の物が全部吹っ飛んでったからビックリしたわ。
 鏡見たら背中に眼があるし」

能力覚醒時の暴走はよくある話だ。

「やっぱり君も能力者?
 どんな能力?いつごろ発見したんだ?」

なんだか目を輝かせながら聞いて来た。

890防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/21(木) 23:47:35 ID:trmDr2BE0
>>889
「外部からの発動ですか…
 発現の仕方にも色いろあるんですねえ」
【感心しているようだ】

「私の能力ですか?
 発言したのは今年の5月か4月頃ですね…
 能力は、一言では言い難いですから見せたほうがいいでしょうね」
【そう言うとポケットから何かを取り出し始めた】
「見ての通りおもちゃの拳銃なんですが、
 これ…に限らずいろんなものに力を注ぎこむことによってそのアイテムを強化するんですよ」

891高向谷 司朗:2012/06/21(木) 23:59:30 ID:NntjvIzM0
>>890
「能力自体はこいつの中に元々あったものだ。
 なんらかのきっかけですぐにでも発現するようなものだったようだ。
 その何かがなんなのかはわからないがな」

エンブレムを持っていないからと言って、
能力が発動できないということも無いようだ。

「なるほどー。意外と最近なんだな、俺と同じぐらい。
 シンプルで良い能力だな、応用利きそう。
 銃隠し持てるのは強いな。
 本物に注ぎ込んだらどんな威力になるんだろう」

なんだか興奮している。
異能の話を聞くのが趣味だとでも言うのだろうか。

892防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/22(金) 00:03:07 ID:trmDr2BE0
>>891
「へえ、なかなか謎が多いですね。
 もっとすごい能力があるのでしょうかね」
【気になるらしい】

「ええ、ですから色々試してるんですよ。
 本物は…一度試したことがありますが凄まじすぎて難しいですね」
【結構あっさりと答えた】

893高向谷 司朗:2012/06/22(金) 00:12:56 ID:NntjvIzM0
>>892
「なんにせよ、憧れの能力者になれたんだから、
 俺はこいつを極めるだけだ」

そう言って、気流眼に力を込めた。
台風の中だというのに、司朗の周囲だけ完全無風の世界、雨はやはり降っているが。

「なるほどなあ。
 自分の異能に引っ張られるのも珍しくは無いのかな」

ついさっきまで引っ張られていたところである。

「でも、オモチャならまだしも威力を求めたら凄く金かかりそうだな。
 結局元の道具の能力が高ければその分のびしろが増えるって事なんだろ?
 魔道具とかにも効果あるのかなあ」

うんうん思案している。
興味は尽きないようだ。

894防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/22(金) 00:17:26 ID:trmDr2BE0
>>893
「そうですね。
 能力をとことんまで突き詰めれば最強に慣れますよ。きっと」
【そう言って微笑んだ】

「私も最初のうちはどう使えばいいかわかりませんでしたから、
 ためしてみたらこうなったというふうな感じです」
【そう言っておもちゃの銃に力を溜める。金色の光が銃に集まっているように見える】

「少なくとも私は学生ですからね。
 さすがに本物は買えませんから」
【ちょっと微笑みながら言う】
「魔道具は、どうなるかわかりませんねえ。
 どんな効果あるのかはまだ不明です」
【首を傾げる】

895高向谷 司朗:2012/06/22(金) 00:22:45 ID:NntjvIzM0
>>894
「んー、この街ならちょっと裏に首突っ込んだら、
 銃の一本二本手に入りそうなもんだけどな。
 ……能力者ですら危ない世界だけど」

そう言って苦笑する。

「なるほどね……って言っても光ってるだけにしか見えないけど……。
 ……いや、撃てって言ってるわけじゃないぞ?
 信じてないわけでもないし!」

慌てて手を振った。

896防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/22(金) 00:27:12 ID:trmDr2BE0
>>895
「裏の世界はおそらくキケンだと思いますよ。
 最近が辺りも物騒ですし」
【あたりを見回して言う】

「いえいえ、撃ったりはしませんよ。
 この状態で撃つと本物の拳銃以上の威力になりますからね」
【そう言うと鶫は力を送るのを止め、元の鉄砲の色に戻した】

897高向谷 司朗:2012/06/22(金) 00:35:35 ID:NntjvIzM0
>>896
「だけど、裏の世界が俺の目の前に現れて横暴したら、
 俺は真っ先に吹っ飛ばしてやるけどな!」

拳を握り締め、力んだ。

「今まで一般人として異能者に守られて生きてきたんだ。
 異能者になった俺の恩返しであり、次世代へのバトン、って訳だ」

脳裏に、今まで異能者として敵対した者達を思い描いた。

「って言っても、わざわざ出向いてまでやるって訳にも中々行かないけど」

中々様にならないものである。

「拳銃以上……同じぐらいだと思ってたけどそりゃすげえ。
 やっぱり銃と並べるかそうでないかが、能力戦の最低条件というか、
 まあ、基準のひとつだよなあ」

898防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/22(金) 00:42:44 ID:trmDr2BE0
>>897
「そうですね!悪い敵はほうっておけませんね!」
【同意するように頷いた】
「憧れのようなものもあったと思いますね…
 なんというか、力を手に入れるとやはりそういう気分になりますね」
【嬉しそうに言う】

「…もちろんなにもないのが一番ですね」
【鶫も少し恥ずかしそうに言う】

「ええ、でも貯めに時間がかかるのが難点ですね。
 ため時間を短くすると大した威力になりませんし」
【鉄砲を眺めながら言う】
「まあ色々ためしてみるのが一番ですね」

899高向谷 司朗:2012/06/22(金) 00:49:55 ID:NntjvIzM0
>>898
「おう、気が合うな!
 お互い頑張ろうぜ!」

親指を上げた。

「逆に弱い攻撃を連続チャージして何発も叩き込むって言うのはどうだ?
 実を言うと、俺も今練習してるところなんだけど」

司朗の手の平に、パチンコ玉ほどの圧縮弾が3個ほど現れる。

「これ一つ一つの威力は弱いんだけど、すぐに作れるんだ。
 ……同時に何個も作ったり、連続で作るのはやっぱり相応の精神力が居るんだけど」

現に、無風だった台風の風圧が若干強くなった。
同時に何種類もの気流の制御は難しいのだろう。

900防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/22(金) 00:53:58 ID:trmDr2BE0
>>899
「ええ!無理しない範囲で頑張ります!」
【鶫も親指を立てた】

「なるほど…何発もですか。
 力の媒体が実体であればある程度なんとかなるかもしれませんね」
【圧縮弾を見つめながら言う】

「こうなると辺りの風も激しくなりますね。
 一発を溜めるのとどっちが強いでしょうね」
【首を傾げながら言った】

901高向谷 司朗:2012/06/22(金) 01:05:54 ID:NntjvIzM0
>>900
「これはかんしゃく玉ぐらいの威力しかないけど、
 十発ぐらい連続で作れるようになったら実戦で使ってみようと思ってるんだ」

そう言って、圧縮弾を解放した。
爆竹のような小さな爆発音が三つ響き渡る。

「まあ、結局は使い分けって所が妥当かな……。
 弾幕貼って油断させたり、みたいな」

もう一度周囲が無風になった。

「話してたら少し燃えてきたな。
 よし、俺は帰りがてらもう一発練習することにする。
 今度は直接じゃなくて、俺の推進力にすれば……」

無風状態が解除され、台風が再び暴れ始める。
その気流が、司朗の背中、首の付け根に集まり、圧縮弾を作り出した。
首の付け根に、縦に眼が付いているのが見えるだろうか。
それが気流眼である。

「んじゃ、楽しかったぞ。また会――ああああぁぁぁぁ!!」

再び圧縮弾が暴発し、爆風を撒き散らしながら、
司朗は吹っ飛んで行ったのだった。
ついでに司朗が建物に突っ込んだ衝突音も聞こえるかもしれない。

902防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/06/22(金) 01:11:03 ID:trmDr2BE0
>>901
「そうですか、なるほど確かに使えそうです」
【感心して答えた】

「そうですね。牽制に使えるかもしれません。
 私もそういう手を考えてみます」
【そう言って頷いた】

「もっと練習しますか。
 それじゃあがんば、って!?」
【突然の爆風に驚き顔を覆う】
「…大丈夫でしょうか。
 怪我してなければいいんですが」
【心配そうに司朗の突っ込んでいった方角を見つめていた】
//おつかれさまです

903黒沢小百合:2012/06/23(土) 00:23:32 ID:SSMHlh/20
【AGカフェ】

――ガリッ、ガリッ。

小百合は仕事が終わった後、体力に余裕がある日は
できるだけ歩いて街の様子を見て回るよう心がけている。
その際、フリーマーケットやバザールを見つけるとついつい珍奇な品物を
物色してしまうのだが、今日はコーヒーミルを衝動買いしてしまったらしい。

その後小百合はいつものようにAGカフェに立ち寄り、
キッチンでクロスが厳選したコーヒー豆の中から
もっとも高級そうなものを選び、それに入れて挽いてみるのであった。

「ううむ、香ばしい香り……。」

手で回してコーヒー豆を挽くというのは手間ではあるが
機械仕掛けのコーヒーメーカーとは一味違った雰囲気がありよい。
実際に淹れてみるのが楽しみだ。

904風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 20:41:48 ID:M3/IxBZo0
【中央公園】

真昼間、周りには少人数だが子供が遊んでおり
平和そうな所。

しかし一人だけ、木の陰で座っている男の子がいた。

「…」

まるで太陽から逃げるように座っている。
周りの子たちは、気味悪そうに離れて遊んでいる。

905名も無き異能都市住民:2012/06/23(土) 20:57:37 ID:sGP6umW60
>>904
「どうしたんだい、少年」
少年の視界に真っ白な脚が入り込むだろう。
全身を白で揃えた人間が、少年の横を通り過ぎ同じ木陰に入ってきた。
足元に縦長の紙袋を置くと、柵に背を預けてふぅ。と一息ついた。

「お疲れかな?」
チラリと外の子どもたちに目を向けると、少年へ視界を戻す。

906風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 21:06:54 ID:M3/IxBZo0
>>905
「え?、あ」
いきなり現れた人に驚く。

「う、うん…」
会話が思いつかない、こう場合の状況に慣れていないのだろう。

907名も無き異能都市住民:2012/06/23(土) 21:19:25 ID:sGP6umW60
>>906
「じゃあ同じだね」
白い右手で白い髪を掻き上げる。
元々、アルビノと言うのは熱に弱い性質を持つ。
故に顔は仄かに赤い。大きく息を吐きながら袖を捲りあげ白く細い腕を露出させた。

908風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 21:23:22 ID:M3/IxBZo0
>>907
「同じって…貴方も?」
少し震えながら聞く。
特に露出した事に気にしていない、そういった事は知らないし
この子はマトモな教育を受けていないから分からないのだ。

909名も無き異能都市住民:2012/06/23(土) 21:40:58 ID:sGP6umW60
>>908
「ん?」
妙な声の震えに、声を漏らし首を傾げつつ其方を見た。
二の腕に一つ前腕に二つ付いたベルトを外し、裾から肘まで伸びたジッパーを上げて袖を開く。
そうして逆側の袖も開くと随分と涼しくなったようだ。

「疲れただけ、違うかな?」
キョトンとした瞳を向け、なんどか瞬かせながら。

910風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/06/23(土) 21:43:25 ID:M3/IxBZo0
>>909
「あ、そうですか…」
やはり会話が続かない。
どうも人の相手をするのは苦手だ。
色々と。

「えっと、貴方の名前は?」

911黒沢小百合:2012/06/28(木) 00:06:31 ID:SSMHlh/20

――パスッ、パスッ

路地裏に二度、サプレッサーによって音を殺され、
幾分力の抜けた銃声が微かに響く。

「……フン、刺客といってもこの程度なら、ねえ……。」

地面に倒れ付した剣士の頭部を踏みつけ、そこへ2発。
貫通力に優れるFNファイブセブンの銃撃を受けた剣士は即死だった。

黒沢小百合の日常にとってギャングの実戦部隊や刺客と
やりあうことは珍しくない。彼らからの恨みは十分すぎるほど買いすぎているし、
現に賞金だってかけられているのだから。

912ディス ◆My6NsjkSfM:2012/06/30(土) 00:20:32 ID:trmDr2BE0
【異能都市のとある温泉】
【様々な薬効が存在する湯の一つに】
バシャーン
「ふー、あったかいのー」
【一人の少女が首のあたりまで入っている】

「よくわかんないけど、きもちいーかなの…」
【気持ちよさそうな顔で湯に浸かり続けている】

【ちなみに脱衣所には彼女の服の他に包帯が相当な数乗っかっているだろう】

913黒沢小百合:2012/06/30(土) 22:03:55 ID:SSMHlh/20
雨上がりの濡れた石畳に、ガス灯のゆらめく光がぬらりと鈍く反射する。
そこから、目線を右にやれば都市中心部の煌びやかなネオンが宝石箱を
ひっくり返したかのように、輝く光景が見える。

そんな艶やかな印象すら受ける郊外の坂道を
楽しむように、鼻歌交じりに歩む小百合の姿があった。

小百合の邸宅は丘の上にあるのだが、
いつもとは少し帰宅ルートを変えてみたところ、
こんな光景に出会う事ができた。

そうしたなんでもないような事が、
今日はなんとも楽しく感じられ、久しぶりに笑顔がこぼれてしまう。

914ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/06/30(土) 22:20:41 ID:qDV2Vdus0
>>913
そこに見るからに怪しい男が通り過ぎていく。

バイクにも乗ってないのに真昼間から黒いヘルメット。
漆黒のライダースーツ、指や肌を見せない程長い手袋。

滅茶苦茶怪しい。

「…」

地図を見ながらキョロキョロと見回している。
しかも少し挙動がおかしい。

915黒沢小百合:2012/06/30(土) 22:29:48 ID:SSMHlh/20
>>914

「…………。」

しかし、小百合は特に見咎めるような事はしなかった。
格好、というのはこの都市に置いてまったくアテにならないからである。

様々な文化を持つ世界の交差点であるこの地では、
個人個人が持つ価値観も全く違う。現状の風紀から著しく外れるような
物以外は概ね許されているのだ。

916ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/06/30(土) 22:32:06 ID:qDV2Vdus0
>>915
そんな小百合にその男が近づいてくる。

「すみません、この辺にカフェみたいな所ありませんか?」

ヘルメットで顔は見えない、しかぢ礼儀正しい声で聞いてくる。

917黒沢小百合:2012/06/30(土) 22:44:32 ID:SSMHlh/20
>>916

小百合は近づいてきた男を一瞥すると、
嘲るように鼻を鳴らした。

「……さあ、ね。
 私は存じませんが……。」

元来小百合は人当たりの良いほうではないが、
家の近くという事もあり、帰宅したいという気持ちが強く、
見るからに根無し草といった風体の男に構いたくなかったのだ。

「ああ、すぐそこに本屋ならありますよ。
 そこでタウン誌でも探されては?」

殆ど立ち止まらずに、言葉だけを投げかけて。

918ツェペリン ◆5s2/gBPZGA:2012/06/30(土) 22:48:37 ID:qDV2Vdus0
>>917
「そうですか、お手数かけてすみません」

そう言って、立ち去ろうとするが。

「…、分かりました、ありがとうございます」

振り向かずにそう言って、本屋に向かう。

919レラ=バニッシュ:2012/07/02(月) 22:23:21 ID:sGP6umW60
―――AGカフェ

「……間違ってはいない筈だが」
純白の皿に注がれたスープらしきものを口に運ぶ。
スプーンを口から引き剥がし、十分に味を確かめた後に首を傾げた。
皿の隣に置かれた何かの書類を眺めながら目を細め、ため息を吐いた。

「一体何処でミスが……」
少女の傍らに立つ機械に視線を写し、大きなため息を吐いた。

920萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/02(月) 22:25:03 ID:7gFzKdaU0
>>919
「ん、どしたのレラー?」

後ろからひょいっ、と顔をのぞかせて。
ウェイトレス姿の赤毛の少女が書類を覗こうとするだろう。
興味本位であり、特に驚かす様子は無いもののいかんせん突然であった。

921レラ=バニッシュ:2012/07/02(月) 22:35:37 ID:sGP6umW60
>>920
「もしや設計の段階から―――のわっ!!?」
結果に満足がいかなかったらしく、資料を強いまなざしで見つめていた。
意識のほとんどをそれに費やしていたために、声を掛けられると驚きの余りのけぞり、

―――ガンッ!!
「っ、くぅ……」
反対側にあった機械に頭をぶつける。
資料を取り落とし、後頭部を強く抑え、涙を浮かべて顔を上げた。
「あ、あぁ……アテナか」
機械はほぼ立方体の無骨な外見をしていた。
ほぼ。と言うのは物を入れる為の口や取り出す為の穴が開いているのみ。
デザインに拘る事に頓着の無さそうな、レラらしいデザインと言える外見だった。
しかし、それ故に外からでは何をする機械なのか今一解りにくい。

922萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/02(月) 22:39:27 ID:7gFzKdaU0
>>921
「って、どわぁッ!?」

こっちもレラの反応に驚きうっかり尻もちを付きそうになる。
が、そのままバネ細工のように跳ね戻って事無きを得た。
おろおろしつつも、とりあえずレラの頭に手を載せて擦ることにしたようだ。

「う、うん、アテナだよ? あと、ごめんねー」

気を纏わせて治癒をしつつ機械に興味の視線を向ける。
メカニックと言う程ではないがこれでも元軍事組織の人間。
この手の物にはある程度の興味は有るのだった。

「これ、何なのー?」

923レラ=バニッシュ:2012/07/02(月) 22:47:00 ID:sGP6umW60
>>922
服の袖で涙を拭うと再び書類を手に取り、再び向かい合う。
頭に手を置かれると「ん?」と言ってそちらにチラリと瞳を送る。
が、特に反抗を見せる様子も無く大人しくしていた。

「そんな大した物では無いんだがな……」
純白の皿に注がれた液体をスープで掬い、口に運び味を確かめる。
僅かに顔を顰める辺り成功とは言えない出来の様だ。
口から引きはがしたスプーンを振って機械をカンカンと叩き、口を開く。
「全自動調理器」

924山原竜斗:2012/07/02(月) 22:53:12 ID:SfIiK6rIO
「失礼します・・・っと」
ドアをくぐって入ってくるずいぶんと大きな青年
空いた席を探すためか、周囲をキョロキョロと見回し、一点で止まる

(なんだろう、あれ)
見つめているのは少女の傍らにある機械
とはいえ離れているため少女の席から見たらそちらを凝視しているように見えなくもない
そもそも体のでかい青年が入り口で立ち止まって一点を見ているだけで怪しさは満点である

925萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/02(月) 22:58:22 ID:7gFzKdaU0
>>923
「よーっし、手当て完了ー」

文字通り手を当てただけなのだが、本当に治癒だ。
とりあえず頭の痛さは弱まったように感じるだろう。

「――んー、一口ちょーだい。
 これでもちびっこ料理人って胸張れるくらいだし!」

えっへんと自慢げにしつつ、横にクッキーを置く。
紅茶も一緒の当たり、休憩にどうぞ、というところだろう。

>>924
「いらっしゃいませー! おタバコはお吸いでしょうか?
 カウンター席もテーブル席も開いていますのでお好きな方をどうぞ」

にこり、と微笑みながら、ウェイトレス姿の小柄な少女が駆け寄ってくる。
身長差からめいいっぱい見上げる形にはなるが警戒心は無い。
この都市で生きている以上、この程度でうろたえていては店員など出来やしないのだった。

926向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/07/02(月) 23:00:25 ID:xm/dFKGs0
「ちゃーっすぅ!店長はー…いない、と」

ドアをがちゃっと開けて開口一番大きく挨拶。
普段の勤務服装とは違うそこいらに居そうな軽い感じの服装に身を包んで。
とても術式使いとは思えない態度で向井は言ったが、直後に店長が居ないと気づき落胆。
しょうがないのでいつもどおり適当にくつろいだら金置いて帰るかぁーなんて考えていた。

「でぇーっかい機械だねぇ。
ウチにもあんなサイズくらいの機械作るかなー。
アバターみたいな感じで、こう…おお何かビビッと来たかも?」

レラや、気付いてはいないがアテナの方も見てそんな事を呟く。
向井と言う男は何か思いつくとそれ以外が思いつかなくなる男。
簡単に言えば視野が狭いのである。

927萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/02(月) 23:03:38 ID:7gFzKdaU0
>>926
「いらっしゃいませー、って向井さん!
 お久しぶりですー!」

ペコリと頭を下げつつ、煙草を吸うかどうかを確認するアテナ。
ウェイトレスとしてぱたぱたと走り回り、にこやかに笑う姿は、ロボットを乗りこなす姿とはあまり似つかない光景だ。
向井の呟きには、苦笑をこぼしつつ。

「でもあれ、料理マシーンらしいですよ?」

微妙なレラの反応を見ていたため、味はまだ見ていないがなんとも言えない表情だった。
料理人としても、機械には負けたくないと言う妙な対抗感も見え隠れする。

928山原竜斗:2012/07/02(月) 23:08:28 ID:SfIiK6rIO
>>925
少女の声で青年のフリーズは解除される

「あ、えっと、タバコは吸わないです
うーん、それならカウンター席でお願いします」若干今まで固まっていたことが恥ずかしいのか少し気まずそうだ

>>926
「うわっとと・・・、ごめんなさい」
ドアが開いたのに気付いた入り口付近の青年は慌てて身をどかす
とはいっても、気付かれてすらいなかったが

929レラ=バニッシュ:2012/07/02(月) 23:08:32 ID:sGP6umW60
>>924
「なんだ、貴様?」
早々に向けられる鋭い視線。
それは機械の傍らに座る、蒼い髪の少女からだった。
触れれば傷を追いそうな程にとがったそれは少女の性格や人当りを良く表していると言える。

>>925
「ん……? 一体どういう事だ」
アテナの思う異常に治癒は進んだらしい。
後頭部に当てる手も、今は痛みの無さに驚くものだ。
その中には「魔力の影響を受けやすい」というレラの特殊な体質が関係しているのだった。

「やらん」
すすーっ。と皿をアテナから遠ざける。
微妙な表情で薄く黄色掛かった液体を守る。
「これは所謂試作品という奴でな……」
僅かに目を逸らしながら弁解ともとれる言葉を口にする。

930萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/02(月) 23:15:43 ID:7gFzKdaU0
>>928
「はい、でしたらカウンターへどうぞ」

微笑みかけながら、カウンター席へと案内していくアテナ。
メニューを差し出し、おすすめを教えていく。

「夏の新作メニューとして和パフェが今はお勧めですよー。
 きなこ黒蜜と白玉金時の二種類です。
 あとは定番の柑橘系タルトもさっぱりしていて男の人でも食べやすいって言われるんですけど」

パフェや、レモン、オレンジ、シークワーサーなどの柑橘系のタルトなどを進めて。
水を眼の前に置くとごゆっくりー、とメニューを決めるのを待つ為に引っ込んでいく。

>>929
「んー? 気功治療って奴でさ、外から力流して治癒するんだけど。
 レラよく効くみたいだから直ぐ治っちゃった」

よかった〜、と相好を崩しながら、もう一回頭をぽすぽすと撫でる。
何かと小技までマスターしているのだった。

「そう言われると逆に気になる……!
 味についてならアドバイスできるよ! 遠慮しないでさー!」

わきわきと腕を動かしながらアテナは詰め寄っていく。
ガチの肉体派な為、押し合いでは勝てそうだが、当然として本気ではない。

931山原竜斗:2012/07/02(月) 23:15:53 ID:SfIiK6rIO
>>929
「あ、えっと、その、ごめんなさい!」
いきなり向けられた鋭い視線にすぐさま顔を背ける
かと思いきや、やっぱり気になるらしくチラチラと機械を見ている

932レラ=バニッシュ:2012/07/02(月) 23:25:29 ID:sGP6umW60
>>926
「なんだ貴様は……と言うか今日は何だ」
縦2m、幅はその半分程の縦型の立方体。
その影に居座る少女は新たな視線が向けられていることに気づき重い息を吐いた。

>>929
「成程、アテナは器用だな」
サッサッと後頭部を撫でると手を離す。
痛みから完全に斬り離された合図の様な物だろう。

圧される様な性格はしてないのだが、アテナの事を知って居る余り迫られれば非常に分が悪いと言うことは理解済。
抵抗の意味も無いと悟ると、皿を差し出した。
「簡潔に言うと味が薄い。
 何かを間違った可能性があるんだ……」

>>931
「詫びの証にその不愉快な瞳を抉るか?」
カチャリ。
何時の間にかその手には銃があり、それは其方に向けられている。
少女は脚を組んだまま、高圧的な視線と口調。更には苛立ちに溢れた顔まで携えていた。

933向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/07/02(月) 23:30:15 ID:xm/dFKGs0
>>928
「おおっとぉ、ごめんよぅ。
周りが直見えなくなっちゃうタイプでね。悪く思わないでくれー」

笑いながら、しかし謝罪の意を込めてそう言った。
もっとも、それが伝わるかどうかは別の話で。
もしかしたらすっごく怒るかもしれない。

>>927
「んー…そうかぁ、料理マシーンか…ん?
おお、アテナちゃんじゃないかー!山田さんのウチいった?
大きくてちょっとびっくりしたっしょ?…そうでもない?」

声を聞いて気付いたのか、その声色は一瞬で明るい。
というか、多分ビックリさせるのがメインだったのだろう。

>>932
「んー、通りすがりの術式使いさんってヤツかな?
あ、今のアテナちゃんの雇い主って方が分かりやすいかなー!」

あっはっはと笑いながら言う。
恐らく相手は戯けた奴だ、と思うだろうきっと。

934山原竜斗:2012/07/02(月) 23:39:24 ID:SfIiK6rIO
>>930
少女に案内され、カウンター席に座る

「ふーむ、パフェにタルトか・・・」
そのまま、しばしメニューとにらめっこする
真剣な顔でスイーツを選ぶ大男は多少不釣り合いではある

「すいませーん、このオレンジのタルトをお願いします!」
結局柑橘系のタルトを選択したようだ

>>932
「ちょ、ちょっと勘弁してください!」
銃を突きつけられ大慌てで両手を前に突き出す、だが・・・

(いや、落ち着け俺・・・ここは)
唐突にふーっと息を吐き青年は急に落ち着いた
そして、体についた無駄のない筋肉がピクリと動いた

>>933
「あ、いえ、もとはといえば入り口に突っ立ってた俺が悪いんで・・・」
顔はそちらには向けず、もっとも銃を突きつけられているので向ける余裕が無いだけだが

935萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/02(月) 23:44:12 ID:7gFzKdaU0
>>932
「まーねー、それほどでもあるかもっ」

えっへへー、と嬉しそうな顔と反応を返す。
あまり褒められないため、それが大切な友達だったらなおさら嬉しかった。

皿を差し出され、ありがとっ、と軽く微笑みかけ。
スープを口に含み、口の中で転がし、嚥下。
暫く目を瞑り、生の舌で味を確認していく。

「――ん、旨みかなぁ。あとはレラの好みってのもあるけど。
 例えばうちでレラが御飯食べる時とかって、レラの味覚の癖とかさ、無意識に意識してるし。
 そういう繊細な事が出来る様になればおいしいものは出来ると思うけど。なんというか……心がなぁ」

旨みと好み、というファジーな事が原因とアテナは言う。
おそらく人に得意で機械に苦手な分野、であっただろう。

>>933
「でも、レラも居るので、基本はやっぱりログハウスですけどねー。
 ああいう大きな家って住んだこと無いので、ちょっとドキドキします!」

と言っても、アテナの実家も大概と言えば大概なのだが。
どちらにしろ元の世界に戻る手段を今は持ち合わせていない為、堂しようもない。

>>934
「はい、かしこまりましたー!」

そう言うと、奥に引っ込み数分後にはタルトと紅茶のカップがやってくる。
タルトはオレンジピールの砂糖漬けと果肉が使用されている。
程よく苦味と甘み、さわやかな酸味が混ざり合いさっぱりとして食べやすい、アテナ渾身のレシピの一つだった。
紅茶も綺麗な色になるように淹れられた香り高いもの。場末のカフェかと思えば案外本気度は高い。

936向井/ロジカリスト術式兵器総括:2012/07/02(月) 23:57:19 ID:xm/dFKGs0
>>934
「それどころじゃなさそ〜ってかんじかい。
まぁ、気は無いでしょうし頑張ってー」

何の気なのか、特に意味も無いのか。
我かんせず、と言う風に彼は言い放つ。

>>935
「じゃこんど連れてったら?
中身は見た目よりももっと広いだよあの家。
何せ術式兵器入っちゃうくらいおっきいから」

嘘ではないぞー、と付け加えて彼は笑いながらいう。
何せ彼女は術式兵器を抱えて家に持ち帰り調整した事があるくらいである。
彼女の腕力はいろいろ限界突破してるんじゃないだろうか。

>>ALL
「おおっとぅ、もうこんな時間かい。
それじゃ皆さんごゆっくり、機会があればまたあおうね〜ばいばい」

そんな事を言いながら、御代を置いて彼は帰っていった。

//時間があれなので失礼します。うん、凄く短くてごめんよ。
お疲れ様でした。

937レラ=バニッシュ:2012/07/02(月) 23:59:11 ID:sGP6umW60
>>933
レラ個人、こういうタイプの人間は好きでは無かった。
知り合いにもいるが、勝手に一人で喋りたてる人間は苦手だった。

「……チッ」
舌打ちを一つ。
外見だけではアテナと同年代かそれ以下だとしか感じられないだろう。
それなのにこの反応。そうとう荒んでいる印象を与えるかもしれない。

「雇い主と言ったな。いったいどういう事だ?」

>>934
「待たせる暇があったらさっさと言ったらどうだ?」
クク。と邪悪な笑みを交えつつ銃を握りなおす。
少女の手にしたそれは見た事も無いモデル。
小さな手にも確り馴染んでいる辺り、特注品かそれに近い奴なのだろう。

>>935
「フッ……だな」
少女の笑みに呼応して薄く笑みを返す。
アテナの近接能力をレラは高く評価していた。

「心?
 料理と言うのは今一理解が出来んな……簡単なメニューを選んだ筈だったが」
メニューと言うか、皿の中身はバナナジュースである。
甘党なので砂糖は多めに入れた筈だが、それでもやはり味が薄い。
「やはり、楽はできないか……」
苦い顔を見せながら大きなため息を吐く。

938山原竜斗:2012/07/03(火) 00:08:07 ID:SfIiK6rIO
>>935
「ありがとう御座います」
やはりそちらには顔は向ける余裕は無いようで、変な方向を向いた状態で例を言う

>>936
「さようなら」
青年の視線は固定されたままで、見送ることもできなかったようだ

>>937
「言うもなにも、やめてくださいとしか」
不自然なまでに落ち着き払った態度である
先程の大慌てが無かったかのように感情が希薄に感じる

939萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/03(火) 00:10:46 ID:7gFzKdaU0
>>936
「いやぁはは、森の中に慣れてると修行もあっちのほうが気楽で。
 居候って案外気を張っちゃうんだなぁって」

本気で鍛錬をすると壁や床が壊れてしまう。
そのため、むしろ外れた場所にあるアテナの住居は武術家としては丁度いいものだった。
そして、去っていく向井へはありがとうございました、と頭をペコリと下げるのだった。

>>937
「……まあ、食べたいものとか飲みたいもの有ったら私に言ってくれれば作るよ?
 レラに美味しいもの食べさせるの、結構楽しいしさ。
 やっぱり、料理って食べてもらってなんぼだし。否定する気は無いけど、出番取られたら寂しいかも」

そもそも、料理を食べてもらうのが嫌いならばこの職種にはついていない。
だからこそ、手心、真心込めた料理が、他の物にとって変わるのは、フクザツな気分だったのだ。

>>938
「ごゆっくりー」

とにこやかに言いつつ、アテナは引っ込んでいき。

>>ALL
「って、ちょっと仕入れの確認してこなきゃ。
 レラ、帰る時言ってね? 一緒に帰るからー!」

そう言い残すと、慌ただしく消えて行くのだった。

/*時間が不味いので、自分はここらで、乙っしたー*/

940レラ=バニッシュ:2012/07/03(火) 00:21:57 ID:sGP6umW60
>>936
「チッ……アイツはいったい」
なんだったんだ。

//お疲れ様でした〜。

>>938
「貴様の視線が不愉快だとは、言った筈だがな」
キレ気味。
其方とは対照的に、熱の篭った態度で接し、
それを落ち着かせるためにふーっと大きな息を吐いた。

>>939
「……それは、そうなんだろうが」
アテナの言葉を真に受けるレラの表情は暗い。
何かを言い出したそうに口を動かしていたが、アテナが奥に行ってしまったのでその機会は失われてしまったようだ。

「あぁ……解ってはいるつもりだ」
返答は、ため息とともに。

941山原竜斗:2012/07/03(火) 00:28:04 ID:SfIiK6rIO
>>940
(ああ、なるほど)
向けられた銃に驚いてすっかり忘れていた言葉
それがわかったなら次とる行動は簡単である

「ごめんなさい」
謝罪の言葉と共に頭を下げる

942レラ=バニッシュ:2012/07/03(火) 00:40:45 ID:sGP6umW60
>>941
「フン……これだから凡人は使い物にならないんだ」
舌打ちを交えながら銃を降ろすと席を立つ。
床の上に立つことで、少女がいかに小柄で会ったかが解るだろう。
身長は110cm程度しかない。が、その割に胸は育ちきって居た。

「アテナ、そろそろ帰るぞ」
そう言うと、機械にも小さく手を振って合図をする。
すると、頭頂部を緑色に発光させた機械は少女の後を追って店を出るのだった。調理機なのに。

943山原竜斗:2012/07/03(火) 00:46:42 ID:SfIiK6rIO
>>942
(ふぅ、やれやれ)
銃が下ろされ、安堵のため息をはく
(結局、あの機械なんだったんだろう)
青年の興味は結局最後まで機械のままだったようだ

その後、タルトを食べて勘定を済ませた青年はゆっくりとその場を後にした

//絡みありがとうございました!

944萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 21:16:13 ID:7gFzKdaU0
公園、日も落ちて電灯がまばらに立ち並ぶそこは薄暗い。
その噴水前の電灯の下にしゃがみ込む子供の影と、小さな複数の影があった。

「はいはい、落ち着いて落ち着いて。
 並ばないとご飯あげないよー」

そんな柔らかい声に対する返答は、にぁ、にやぁ、という猫の鳴き声。
要するに、餌やりの最中であったようだ。
かりぽり、とフードをかじる音が響き、猫達は少女の周囲に群がっていたのだが、その時ちょっとした事故が起こった。
うっかり袋をひっくり返し、少女の身体にフードがいくつか溢れたのだ。
結果として、それを目ざとく発見した猫が少女の体をよじ登りフードを食べ始め、驚いた少女はフードの袋を手放してしまう。

ざらざら、と撒き散らされるフード。
猫に群がられて転がる少女。

「きゃーっ! 舌ザラザラしてくすぐったいんだけどー!?
 とりあえず、おちつ――わひゃぁ!」

猫団子になって公園で転がる小学生がそこにいた。

945高向谷 司朗:2012/07/05(木) 21:23:56 ID:NntjvIzM0
>>944
そんな公園の滑り台付きジャングルジムの天辺で、
司朗はコンビニで買ったフランクフルトを食べつつ、様子を眺めていた。

「あ、猫だ。
 かわいいなあ、爪とか超痛いけど」

眺めていると、猫が少女にまとわりつき、
だるまが出来上がる。

「……うわ、ひでえ」

フランクフルトを一気食いし、滑り台を滑り降りて、
アテナの元に歩いてきた。

「大丈夫かー?」

946萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 21:28:08 ID:7gFzKdaU0
>>945
「たー、すー、けー、てーっ!」

猫団子から手を伸ばしてごろごろと転がるアテナ。
あんまりひどいことも出来ないため無理やり引っぺがすのはアテナには出来なかった。
ゆっくりと猫の首根っこを掴んで引っ張るものの一匹を置く頃には他の猫が2匹程団子になってたりする。

要するに、猫でカオスでネコカオスだった。

947高向谷 司朗:2012/07/05(木) 21:33:30 ID:NntjvIzM0
>>946
「助けてって言われてもねえ」

助けを求められるも、
罪も無い猫を傷つけるわけにも行かず思案する。

「猫に嫌われたくないけど、これしかないか……」

司朗は一旦咳払いをした。

「……シャーッ!」

歯と歯の間から空気を出すようにして、
猫の喧嘩の時のような音を出す。
司朗は両手を広げ、気づいた猫を追い立て始めた。

948萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 21:39:53 ID:7gFzKdaU0
>>947

司郎の行動によって猫たちは一目散に逃げ出していく。
猫団子も段々小さくなっていき、いつの間にか少女の姿が現れた。
真っ赤なノースリーブパーカーにデニムのホットパンツ。
燃え立つ炎の様な赤毛のポニーテールの活発そうな少女だったが、猫の毛とかキャットフードとか、ぼさぼさの髪の毛とかでいろいろと台無しだ。

むくり、と起き上がり、息を吐き出す少女。

「はふぅ……、猫で溺れ死ぬかと思った……」

キャットフードを払い落とし、毛を落とし。
髪ゴムを解き、ポニーテールを結い直してゆっくりと立ち上がる。
そして、ぺこり、と深々と頭を下げてから、アテナは顔を上げて。

「えっと、助けてくれてありがとうございましたっ!
 いつかこの恩は返させてもらいますね!」

と、本当に嬉しそうな顔でお礼を言うのだった。
見た目や年齢に見合わず、結構礼儀正しいタイプだ。

949高向谷 司朗:2012/07/05(木) 21:44:17 ID:NntjvIzM0
>>948
「シャーッ!シャーッ!
 ……もう居ないか」

猫を追いたて、司朗は辺りを見渡した。

「ちょっとうらやまし……
 いや、痛いからやっぱいいや」

アテナの様子を見て言った。

「いや、たいしたことして無いけど。
 猫に嫌われたのは心が痛いけど……」

950萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 21:48:02 ID:7gFzKdaU0
>>949
「んー……、あ、だったらお詫びにこのもふりキーホルダーでも!」

腰に下げている鍵束を取るアテナ。
女の子らしくじゃらじゃらと色々なキーホルダーがついている。
その中から動物の尻尾っぽいキーホルダーを取るとそれを差し出す。

「これ猫の前で振るとやたらめったら懐いてくれるんです。
 学校の子達でも話題なんですけど、これなら多分どんな猫でも猫まっしぐらですよ!」

ふりふり振ってみると妙に前足でぺしぺししたく成る気配を放つキーホルダー。
尚、アテナの鍵束には同じのがあと2つついている為一つ上げても問題はない。

951高向谷 司朗:2012/07/05(木) 21:53:32 ID:NntjvIzM0
>>950
「え?マジで?」

キーホルダーを差し出され、司朗の目の色が変わった。
実は、司朗もその存在を聞いたことがあったのだ。
それどころか、買おうとしたことすらあった。

「……これが今女の子に人気の……。
 もふりキーホルダー……!
 いやあ、噂を聞いて実は買おうとしたことがあったんだけど、
 ショップが女の子だらけですげえ入りづらくて……」

コンビニとかでも売ったらいいのに、と呟いた。

「うわ、すっげえ有難う!
 ほー……これで俺も猫と……」

妙にニヨニヨしていた。

952萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 21:58:49 ID:7gFzKdaU0
>>951
「マジですとも、大マジです」

えっへん、と意味もなく無い胸を張ってみせる。
そして、司郎の反応を見ると渡してよかったなぁ、と良い事をした気分になった。

「むむぅ、それにしても猫たちが居なくなったらとたんに暇になっちゃいました。
 修行をするにも最近マンネリだし……、勉強は嫌だし――――どしよっかな」

うーん、と腕組みして暇つぶしに悩む少女。
その姿は年相応とも取れるが、一部おかしいのも混ざっているような、この都市では珍しくも無さそうな。

953高向谷 司朗:2012/07/05(木) 22:07:39 ID:NntjvIzM0
>>952
「うわー……うひょー……」

司朗のテンションは、静かに上がっていった。

「何はともあれ、有難うな!」

司朗は貰ったキーホルダーを、
腰にぶら下げているチェーンに引っ掛けた。
チェーンには先客が居た。
カード状の、竜のような彫刻が刻まれたエンブレム。
古そうな一品だ。

「修行ねえ。ナチュラルに混ぜたけど、君も能力者ってことか」

954萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 22:11:48 ID:7gFzKdaU0
>>953
「どーいたしましてっ!」

にっ、といい笑顔を浮かべてサムズアップ。
そして、腰のエンブレムに、どことなく己の持つ武装と似た気配を感じて。
目線が露骨に向いたのは、見れば分かる程だった。

そして、司朗の質問に対しては、なんとも言えない表情で。

「んー、能力が使えるようになったのは結構最近ですけどねー。
 でも能力に目覚める前からずっと戦ってましたから」

能力の芽生えじたいはついつい最近。
だが、修行はもっと前からやり続けていた。
だから、能力者だから修行、という風にはあまり直結しないのだ。

955高向谷 司朗:2012/07/05(木) 22:20:10 ID:NntjvIzM0
>>954
「ふーん、俺も能力"貰った"のは、
 結構数ヶ月前って、最近だけど」

貰ったという言い方は少し御幣があるが、実質そんなものだ。

「こいつに」

そう言って、エンブレムを取り外した。
唸り声を上げて、エンブレムの竜の彫刻はアテナを見た。
生きている。

956萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 22:23:34 ID:7gFzKdaU0
>>955
「ドラゴンさん、ですか。
 ……えーっと、萌葱アテナと――――F・F起動。
 相方の、F・Fです。お兄さんもドラゴンさんもよろしくお願いしますね!」

手首のブレスを軽く振ると、両腕に金属装甲付きのグローブが展開される。
同時に鈴のような音が周囲に鳴り響き、挨拶とした。
そして、アテナもエンブレムと相手に頭を下げて自己紹介するのだった。

個人的には、かつて魔界でドラゴンと数カ月かけて命を掛けた戦いに挑んでいたため、嫌われないか不安だった。
エンブレムがその手の気配に聡ければ、右目から僅かに竜の因子の含まれる魔力が感じられるだろう。

957高向谷 司朗:2012/07/05(木) 22:30:25 ID:NntjvIzM0
>>956
「このようななりだが、私が何者かは私も解らない。
 これはあくまで仮初の入れ物だ」

エンブレムは、カチカチと音を鳴らしながら喋った。
とは言え、このエンブレムからも、同じく微弱な竜族の力が感じられるかもしれない。

「しかし、どこか懐かしい……。
 その右目から……」

エンブレムは竜の因子を感じ取ったのか、呟いた。

「いやあ、俺は絶対こいつはドラゴンだと思うんだけどな……。
 おっと、俺は高向谷司朗(たこうだにしろう)。
 こいつは……まあ所謂記憶喪失的なもので、俺はエンブレムって呼んでる」
「好きに呼べ」
「っていうか何?突っ込み損ねたけど二重人格的な人?」

958萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 22:37:07 ID:7gFzKdaU0
>>957
「――んー、竜っぽい、ですかねぇ。
 私の右目、竜の血で魔力貰ったので、見やすいんですけども」

透明色の魔力が右目から漏れて、ゆらゆらと空気を歪めて。
エンブレムをまっすぐに見据えて、軽く微笑む。
所謂魔眼の類、と言っても直接何らかの干渉を与えられる類の異能ではないのだが。

「あ、いえ。私のグローブって意思持ってるので、一応紹介しておこうかと思って。
 と言っても言葉は喋れないんですけどね」

アテナは、相手のツッコミに両腕のグローブをブンブン振り回してアピール。
ごうぅん、と金属装甲のナックルをぶつけ合って、音を響かせた。
そして、また鈴のような澄んだ音がアテナの言葉に続いて鳴り響いた。

959高向谷 司朗:2012/07/05(木) 22:46:55 ID:NntjvIzM0
>>958
「ああ、そういうことか。
 口調変わってないしな」

てっきり、起動と同時に人格が入れ替わったものかと思ったようだ。
とんだ勘違いである。

「そうかあ、知り合いにドラゴン関係とか居たりしない?
 こいつのことがわかるかもしれないし」
「……」
「……あー、なんか、右目凝視してるし」

司朗は魔力が見えていないようだが、
エンブレムには丸見えらしく、右目をじっと見ていた。
なにか思うところがあるのだろうか。

960萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 22:52:41 ID:7gFzKdaU0
>>959
「ドラゴンだったら……、そうですね、魔界に知り合いというか、強敵[とも]が一匹ほど。
 真っ黒なエルダードラゴンさんでして、爪と鱗がすっごい丈夫な竜さんですよー?
 と言っても割りと深い所に居ましたし、今は療養中の筈なので寝てると思いますけど……。
 ああ、えっと右目が魔眼でして。ちょっと魔力の確認をしてみたんです」

魔力を強めてみると、周囲の空気が揺らめいて居るのが見て取れる様になる。
発言にはいろいろ突っ込みどころは有るが、間違いなく知り合いは居るらしい。
魔界と言う事で、行くには相応のリスクは伴うことだろう。

961高向谷 司朗:2012/07/05(木) 23:00:13 ID:NntjvIzM0
>>960
「魔界ねえ、行けるかなあ?」
「少なくとも、お前の能力では無理だろうな」

司朗は少しワクワクしているが、
それをエンブレムは切って捨てた。

「どっちにしろ療養中……無理な話かあ。
 少しぐらい進展したかと思ったのにな」

司朗は残念そうに言った。

962萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/07/05(木) 23:05:56 ID:7gFzKdaU0
>>961
「うーん、ゆがんでる所に力込めれば案外行けますよ?
 今は無理でも鍛えればなんとかなるんじゃないかなぁ、と思ったりします」

因みにアテナの場合は拳で突き抜ける形だ。

「そうですねぇ、私が倒しちゃいましたし、今度お手紙送ってみます。
 ……っとと、そろそろ半額の時間なので帰りますっ。
 何か有ったらAGカフェまで来てくれればっ!」

そう言い残すと、アテナは走り去っていった。

963高向谷 司朗:2012/07/05(木) 23:10:34 ID:NntjvIzM0
>>962
「倒したって……
 まあ、見かけによらないってことだろうなあ」

司朗は乾いた笑いを上げた。

「ん、ああ、それじゃ。
 AGカフェ?……喫茶店かな」

司朗もまた、公園から歩き去った。

964ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/06(金) 21:45:04 ID:sGP6umW60
この手にあるのは刃であった。
この手にあるのは30cm程の長さの、黒い矢。
黒の素体に、鈍く光る紫色の金属が装飾されている。
月の輝きを受けて刃は光り、紫色の鈍い、闇の輝きを放っていた。

少女は眺めていた。
何の音もしない静かな住宅街を。
高いビルの屋上から、平穏そのものを眺めていた。
その瞳は黒。明るい黄色の瞳で、平穏そのものをみる瞳は黒に満ちていた。
漆黒の矢を視界に透かし、平穏に当てて再び眺める。
紫色の輝きを通して見える平穏は、より深い静寂を示している様に感じられた。

この手にあるのは刃。
この手にあるのは唯一自らを殺すことのできる凶器。

965上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/06(金) 21:52:09 ID:.6prKP66O
>>964
「やぁ、こんな場所で何をしているんだい?」
 
不意に少女の背中に声がかけられた
低いもどこか優しさを感じさせるその声の主はいつもの笑顔を浮かべていた

966ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/06(金) 22:03:26 ID:sGP6umW60
>>965
「別に……」
掲げていた漆黒の矢を下ろし、視界から輝きを遠ざけた。
小さく呟くような声で返答を返し、振り返ると男に向き合う形になる。

967上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/06(金) 22:13:59 ID:.6prKP66O
>>966
「そっか…」
 
男は小さく笑ってそれだけ言い、ゆっくり少女に近づいて行く
夜風がミントグリーンの髪と白いコートを揺らした
 
男は少女に近寄るが何も口にしない、じっと少女の眼を見つめたまま動かなかった
長い沈黙…
しかし、少女が痺れを切らすか否かのタイミングで男は口を開く
 
「そうだ、キャンディでも食べるかい?」
 
そう言った男の手の平には、アトリエで良く売られているのを目にする
可愛らしい包み紙のキャンディが置かれていた

968ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/06(金) 22:29:10 ID:sGP6umW60
>>967
「……」
近寄ってきた上弦を眺める。
かなりの身長差だ。首をほぼ真上に向けている。

何時もは騒がしい男なのに、今日は静かだ。
この男は時々、そう言う時があると認識していた。
そう言うときの上弦は自棄に落ち着いた雰囲気を醸し出す。
少女はそんな上弦には不思議なイメージを持っていた。
静寂を間において。そんな不思議な男に「何故」と訪ねようと思った瞬間、男から声を掛けられる。

「っ……いらない」
ムッとした雰囲気で飴と男を交互に眺めた。
「子どもじゃないもん……」

969上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/06(金) 22:40:28 ID:.6prKP66O
>>968
「ははは、ごめんよ」
 
軽く笑いながら男はキャンディをポケットに戻すと
再び少女に視線を送る
 
「別に子供扱いした訳じゃないよ、ただ美味しいキャンディだから君に食べて貰いたかっただけさ」
 
そう言うと男は少女を通り過ぎ、眼下に広がる都市の夜景を眺め始める
都市には大勢の人が存在する。もちろん人以外も
眼下に広がる都市は人通りが絶えず騒がしい筈なのに
この空間だけは物凄く静かだ

970ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/06(金) 22:55:20 ID:sGP6umW60
>>969
「……そう」
上弦の手の中を想像しながら、眺めている。
側を抜ける男を追い、上弦の隣に並ぶ。

「何……?」
そして改めて、聞きたかった事を訪ねる。

971上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/06(金) 23:04:45 ID:.6prKP66O
>>970
「ん?いや、実はただ君を見かけたから追い掛けてきただけなんだよ」
 
眼だけで少女の姿を見る、と言ってもはっきり見える訳では無いのだが
特に大きな用事は無い、偶然見かけたので追い掛けただけ
そう男は少女に告げるが
 
「強いて言えば君の様子がいつもと違ったように見えたから……かな?」
 
少女の質問の意図に合っているかはわからないが、男は答えた

972ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/06(金) 23:21:50 ID:sGP6umW60
>>971
「……」
返答はない。
少女はその必要が無いと考えているらしい。
上弦は、少女の意図が理解できるだろう。

「……上弦」
男と同じ視線を得るために寄り添う。
そして、やはり小さく。名前を呟いた。

973上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/06(金) 23:27:28 ID:.6prKP66O
>>972
「……」
 
なるほどな…男は心の中で呟いた
自分の名を呼び、寄り添う少女の肩に優しく肩を回す
そして優しく聞き返すのだ
 
「なんだい…?」
 
夜風が二人の髪を揺らす
心地よい静寂がそこにあった

974ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/06(金) 23:48:21 ID:sGP6umW60
>>973
漆黒の矢を正面に翳し、視界に通す。
闇の輝きを放つ矢から透かした静寂を想像し、矢を構えた。

「……見てて」
少女の手から闇が生まれ、伸び、広がる。
右手から漆黒が縦に延び、端から伸びる暗黒が弧を描き弓を作る。
左手の矢を通し、静寂を表した地点を狙い、弓を引く。

放たれた漆黒の矢は輝き、紫色の軌跡を描き街に落ちた。

975上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/07(土) 00:01:00 ID:.6prKP66O
>>974
「……!」
 
多少なりとも驚いた様子を見せる
その矢は普通の物とは違った
よく少女は闇から武器を作り出すが、その矢だけはどの武器とも違う、そんな気配を感じていた
 
少女に見てろと言われ、男はそれに従う
弓が放たれ、街へと落ちた
少女は何を狙ったのだろう?
紫色の軌跡に美しさを感じながら男は少女の言った通りに一部始終を見届ける

976ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/07(土) 00:10:07 ID:sGP6umW60
>>975
矢は山なりに飛んでいき、街に落ちる。
平穏が静寂へと様変わりする瞬間だった。
矢には闇の、少女の強い意志が感じられた。
普段表にすることも無い、裏の奥底に秘めた少女の本質。死そのものが矢には込められていた。

漆黒の弓が消え、少女は静かにため息をつく。

977上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/07(土) 00:20:28 ID:.6prKP66O
>>976
「……」
 
男は眼を見開き、しばらく街の様子を見つめた
どれくらいの時間見つめただろうか?
実際にはすぐに男は動いていた…
 
少女に向き直り視線を送り、男は少女に尋ねた
 
「ゼオラ…一体何を……?」
 
少しだけ、動揺が混じった声色だ

978ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/07(土) 00:53:33 ID:sGP6umW60
>>977
「何も……」
いつも通り、凍り付いた顔で答える。
表に出さない裏の奥底の意思は上弦にも明かすことは無く、闇の中。

「……」
上弦の袖を引っ張り、此方に気付かせる。
男が此方に気がつき振り向けば、両手を広げ抱きつき抱き締めるだろう。

979上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/07(土) 01:01:18 ID:.6prKP66O
>>978
「何もって……これは……」
 
そう言い掛け、少女に袖を引っ張られる
少女に向き直れば急に抱き付かれるではないか
 
「…ゼオラ?」
 
反射的に抱き締め返すが…
少女からこの様な事をしてくるのは珍しい
いつもは自分が無理矢理するような事だったが…
男は戸惑いながらも、少女の名前を呼ぶ
いつもと変わらぬその声で

980ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/07(土) 01:24:30 ID:sGP6umW60
>>979
「……」
やはり返答は無い。
顔を俯かせ、顔を見せることなく抱きついたまま。

981上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/07(土) 01:40:20 ID:.6prKP66O
>>980
「……」
 
男はしばらく考える、思考を巡らす……
しかし、どんなに考えても自分がやるべき事は一つしか浮かばなかった
 
少女に抱き付かれている自分、何も喋らぬ少女……
普段はこんな事をする少女ではないが、今日はやはりいつもと違う……
 
しかし、自分は……
 
「……」
 
男の手が優しく少女の頭を撫でる
同時に何度もかけた優しい声
 
「どうしたんだいゼオラ……何か言ってくれないと私だってわからないよ?」
 
それは涙する子供を慰めるような優しい声
男は決して少女を子供扱いしてはいないが、男が……
自分が今かけてやる言葉
かけたい言葉はこういうものである
それを少女は望んでいないかもしれない
しかし、男は…それでも少女に優しく接する

982ゼオラ=アドヴァルド:2012/07/07(土) 01:59:25 ID:sGP6umW60
>>981
少女は言葉を持たない。
それはこの都市に住んでいる人間では上弦が一番知る事の筈。
口は開かず、抱きついたまま、一度大きく息をした。その息遣いは上弦にも伝わるだろう。

手を離し、距離をとる。
紫色の髪を靡かせて、顔を上げると視線を通わせる。
少女にしては珍しく。瞳が僅かに明るみを持って向けられていた。
「……ありがとう、いままで……」
少女の足元から影が延び、背後に集まり扉を作っていく。
漆黒の扉。開かれた先も暗黒で作られたそこに、振り返ると足を進ませる少女。
最後に小さく振り返り、僅かに微笑みを見せてから扉の先へと歩き、姿を消してしまった。

983上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2012/07/07(土) 02:20:57 ID:.6prKP66O
>>982
「……」
 
少女の息遣いを感じた…
思えばこの少女とは長い間一緒だった
今、少女がどんな事をしようとしたのか…男はわかってしまった
 
離れていく少女、美しい紫の髪が風に靡く
たまに見惚れてしまう事もあったその少女の姿
 
自分に見せられた明るい瞳
そして……振り向き様に見せた笑顔
男は胸を締め付けられるような感覚を覚え、少女の名を叫んだ
 
「…ゼオラ!」
 
男が名前を呼ぶ、しかし遅かった…
少女は漆黒の扉の向こうに消えてしまっていた
男の手が虚空を切る
 
久しぶりに見た少女の微笑み、それだけが男の胸に深く、鋭く残っていた……
 
夜風が男の髪を揺らし、白いコートを揺らした……
 
夜風が、一筋の光を乾かした……

984アイリス:2012/07/07(土) 23:35:37 ID:do5XJmGE0
【AGカフェ】
アイリスは、今日もやってきた。
服装は普段通り、千夜学園の制服。
いつものようにカウンターに腰掛け、今日も術式を作り上げる作業を始める。

「さて、色々と報告しておかないといけないことが有るんだけれど、
 …誰か、いるかな」

周囲を探す限り、アイリスの探し人(?)は居ない。
昨日の話し合いから、できるだけ早く多くの者に会いたいのが本音ではあったが…。

985高向谷 司朗/in繁華街:2012/07/11(水) 22:22:23 ID:NntjvIzM0
「意外と早く回復したなあ。
 お前が魔力補給してくれたおかげか?」

司朗はアイスを食べながら、繁華街を歩いていた。

「それでもまだ、竜道術を使えるほどではない。
 修行は暫く休んでおけ」
「あいよ、なんかお前優しくない?」

まだ契約の疲労を引きずっているのか、
司朗は駅前のベンチに座り込んだ。

「私のことが原因だからな。流石に労わる」
「さよか」

司朗は暑いのか帽子を脱ぎ、
団扇代わりに扇いだ。

「そういえばまだ書は読んではいないのか」
「まあ、今読んでも情報を取りに行けないしね。
 体力が戻ったらゆっくり読むよ」

そう言って、司朗は繁華街の大通りを車が通り過ぎるのを見ていた。

986ヴァージニア:2012/07/16(月) 02:13:37 ID:WKpJZQ220
「お兄さん」
人通りの少ない裏通り。そこを通行していた男に話しかける影があった。
暗がりから出てきたのは、邪悪な微笑みを浮かべたヴァージニアだった。

「私といいことしない?」
彼女はそう言いながら手を引いて、男をさらに狭くて暗い場所へと誘う。
ヴァージニアの夏服は比較的ラフなもので、上半身は下着一枚の上に上着を羽織っただけの比較的露出度の高いものだ。
同年代と比べれば、肉付きはいいものなのか分からないが、まだまだ若く魅力的とは決して言えない。
それでも、据え膳食わねばなんとやらで、男はその気のようだった。
劣情にかられた男は、彼女の体に手を伸ばした。

「私の目を見て」
胸元を手で弄っていた男は、ヴァージニアに顔を向ける。視線が交錯する。
赤く輝いていたその瞳が入り込んだ瞬間、男は意識を失って彼女にもたれかかる。
魔眼の一種によって、眠ってしまったのだ。

「もろい」
彼女は頸動脈を噛みちぎって、ぼたぼたと溢れる赤い血液を啜り始める。
餌にありついた獅子が捕えた獲物をあますことなく食べるように貪り、皮と骨だけになったそれを捨てた。
口元に付着した血を手でふき取ると、満足そうな顔をしながら路地裏に佇んでいた。

987名も無き異能都市住民:2012/07/17(火) 23:36:36 ID:SSMHlh/20
>>986

――ザリッ

路地裏の湿気を含んだ砂利が踏みしめられた。

「……貴様の非道、これ以上看過することはできぬ。
 今は大事な時期ではあるが、これほどの事を見せ付けられては仕方あるまい。」

『ヤツら』――闇祓騎士団との邂逅はこれで何度目だったか。
今回、現れたのは4人。いや、路地を挟んで反対側からも近づく物の気配がある。
今姿を現している者たちはいずれも既に抜剣しており、すぐにでも飛びかかることができる体勢。

この路地は比較的狭く、囲まれることはないだろうが挟まれれば厄介だ。

988ヴァージニア:2012/07/18(水) 00:05:38 ID:lNjkzsKQ0
>>987
「また、あなた達なんだ」
手に付着した血液を舌で舐めとりながら、闇祓騎士団の一行を睨みつける。
以前に相まみえたときとは違い、彼女の雰囲気が違っていた。
心の奥底に封じられていた邪悪さや陰湿さが表出した感じだ。

「今度は簡単にやられるわけにはいかない。
 私たちの平穏の為に、あなた達は邪魔なの」
彼女の手のひらが爆ぜ、そこから複数の蝙蝠が出現する。
蝙蝠たちは様々な軌跡を描き、その場にいる命あるものの血を吸おうとする。

989名も無き異能都市住民:2012/07/18(水) 00:22:15 ID:SSMHlh/20
>>988

「平穏を乱す悪鬼めが自らの安寧を求めるとはな。
 だが、貴様らの安寧など……!」

吸血鬼というのは力ある種族であるが、
それゆえに『対策』され尽くしている感もある。

――ターンアンデッド。

それは世界や流派によって呼称こそ違えど、
対不浄術式として僧侶や聖戦士の間で広く普及している術。
不死者、およびそれに属する者、眷属を許さず廃滅する破邪の法だ。

高位の不死者どもを滅するに一撃では不十分かもしれない。

その効果は眷属や下位の不死者程度であればその存在を塵に返すに余りある。
一定の範囲内に進入した蝙蝠は、跡形も無く消え去ってしまうだろう。

990ヴァージニア:2012/07/18(水) 00:41:07 ID:lNjkzsKQ0
>>989
ターンアンデッドの効力内に入った蝙蝠たちは、次々に煙と化して消滅する。
この領域に自分が入ってしまえば、どうなるかはすぐに分かる。

「そっちが殺す気なら、私も出し惜しみはしないよ」
闇の術法が効かないと分かると、裏の流通ルートで買い漁った兵器を使用することにする。
鞄からグレネードを取りだし、ピンを抜いては集団に向けて投げつける。

991名も無き異能都市住民:2012/07/18(水) 00:54:18 ID:SSMHlh/20
>>990

「……!」

グレネードは邪術の類ではなく、純粋なテクノロジーの産物。
それ故に人外を狩ることに特化した騎士団員たちには対応しづらい。

しかし、ここは路地であって少し走れば物陰や、
窓やドアを破って建物の中に隠れる事ができる。
かばんから取り出し、投げるという一連の動作の間に敵は物陰に隠れ、
その後来るはずの爆風をやり過ごす耐性をとった。

992パトリ ◆Qqjv0VQAZg:2012/07/18(水) 22:21:25 ID:Wi/6zaJE0
街道

ガラガラと音を鳴らしながら1対の大きな車輪が回る
その音に負けぬ様に、声を出す

「壁殴り代行ー、壁殴り代行に御座います。」
「ストレス発散に、唯何となく。壁を殴りたいと思ったら、お電話下さい。毎度有難う御座います、壁殴り代行で―――」

そう声を上げる1人の男性。
整ったスーツや、オールバックの髪型はある程度は立派なものに見える筈だ
ガラガラと鳴る車輪は彼が引く大八車から響くもの。其処には一枚の壁と、2つのソファーとテーブル等が置かれていて
立てられた旗には“壁殴り代行承ります” と 裏面に“対戦車も求む” 等と書かれている


「うーむ、矢張りそう簡単に顧客は得られませんなぁ」

そう1人ゴチて、額の汗を拭いながら一休み
スーツ姿の男に大八車。アンバランスなその組み合わせは、他の人の目にはどう映るか

993ディス ◆My6NsjkSfM:2012/07/18(水) 22:24:01 ID:trmDr2BE0
>>992
「うん?なにかきこえるなの…」
【ちょうど向かい側から全身に包帯を巻きつけた少女が歩いてくる】

「おみせかなの?…ごはんのにおいはしないけどなの…」
【不思議そうな顔をして近寄っていく】
「すいませんなの〜。ここはなにかうってるなの?」
【そう言って大きく手を振る】

994パトリ ◆Qqjv0VQAZg:2012/07/18(水) 22:37:07 ID:Wi/6zaJE0
>>993
「うむ?コレは之は…何処かお怪我でもしてるでありますかな?」

視界に映り、近づいてきた少女へまずは心配そうに声をかけ
そして少女が目の前へ来ると目線の高さを合わせる様に腰を折って

「売り物…と、言われますと難しいものですな。
 強いて言うなら“愛”を売っております。とでも言えば宜しいのでしょうか」

売り物、と言われたら説明が難しい。
なんせサービス業である。この気持ちこそ何よりの売り物なのだ

「おっと、売り物の前に私のお仕事をお伝えした方が宜しいですな
 壁殴り代行をやっております、パトリと申します」
「業務の内容としては誰かが無性に壁を殴りたくなった時に、其の人の代わりに壁を殴ると言うお仕事であります」

そう言ってニッと笑って白い歯を覗かせ
其の儘今でも十分近い距離を更に縮める様にもう一歩前へ出た

995ディス ◆My6NsjkSfM:2012/07/18(水) 22:47:01 ID:trmDr2BE0
>>994
「あうー?このほーたいはきにしなくていいなの。
 いろいろつかえるからなの」
【そう言って手を振る】

「うーん、あい?
 よくわかんないの…それはつまりなんなのかなの」
【不思議そうに首を傾げる】
「かべを?あうー、そういうときわかんないけど…
 それってどんなときなのかなの?」
【ジーっと見つめている…】

996パトリ ◆Qqjv0VQAZg:2012/07/18(水) 22:57:16 ID:Wi/6zaJE0
>>995
「左様でありますか。
 ……む?もしかして普段からその様な恰好を?」

もしそうなら・・・梅雨の時期とか湿気で凄い事になりそうだ
そんな事を思って思わず尋ねてみて

「ふむ、そうでありますな。 どうしようもなくイライラした時、思わず手に持っていたモノを投げるのと同じく
 思わず近くに有った壁を殴ると言う方が居ります。」

「しかし、近くに殴る壁が無い。 壁を殴るだけの筋肉が無い。そう言う方の為に我々壁殴り代行は有りまして
 お電話一本頂ければ即日その方の下へ出向き、近くに有る壁を片っ端から壊して参ります」
「勿論、壊した壁を直すサービスも完備であります。 壁を壊した為に起こるご近所とのいざこざが嫌だと言う方の為に音だけ出すコースも御座います
 ……此処までは宜しいですかな?」

相手が幼い子供でも出来るだけ丁寧に仕事の内容を言っていく
が―――何か更に、今まで大八車を引いていた為に暑苦しくなったこの男が、ディスへと近づいて。
パトリから放たれる熱気のせいで。近づくだけで暑苦しい・・・

997ディス ◆My6NsjkSfM:2012/07/18(水) 23:05:28 ID:trmDr2BE0
>>996
「そうなの、ふだんからなの」
【特に問題ない、というように答える】

「いらいらしたとき?
 あうー、『でぃす』はそういうことないからなの…わかんないかなの」
【と言いつつも何処か興味津々の顔をしている】
「うん、うん、えっとー…なるほどなの、
 かべがこわれても、な、るほどなの」
【ちょっと頭がこんがらがってきたのか、ディスは少し顔を引きながら頷く】
「えーっと、なんとなくわかったの…
 あうー、」
【頭から軽く湯気を出しながら頷く】
「なんかあついなの…」

998パトリ ◆Qqjv0VQAZg:2012/07/18(水) 23:17:13 ID:Wi/6zaJE0
>>997
「ふぅむ、目が悪くなりそうでありますな・・・髪で有ればゴムで留めれるのでありますが」

何だか微妙に心配そう。
その包帯姿だと眼鏡とか掛けづらいだろうな、と思うとせずにはいられない

「ほう・・・イライラする時が無い」

幼い子供なら、一度くらい癇癪を起こした事は有りそうだが
其れが今まで無かったと本気で言われると逆に此方が驚かされて

「ふむ、ディスちゃんは良いお友達やご家族を持ってるので有りますな。
 無論、その人達に囲まれて育ったディスちゃんも良い子なのでありましょう」

其の儘真直ぐお育ち下さい。と、最後にそう付け加えて
晴らすだけの苛立ちが無いならば、それはそれで此方としても嬉しいもので

「おや、もう7月も終わりでありますからな。
 水分補給は大事なのでありますよ?」

と、そう言いながら更にズイッと近づく。
最早汗臭さすら伝わるレベル。それでもパトリは暑苦しく微笑んで見せていて

999ディス ◆My6NsjkSfM:2012/07/18(水) 23:21:31 ID:trmDr2BE0
>>998
「きにしないでいいなのー。
 いろいろつかえるからなの。」
【ちなみに顔の方は別になんともなく普通である。包帯が巻かれているのは首から下のようだ】

「あうー、そうだねなの。
 かぞくっていったらかぞくなんだとおもうなの。」
【そう言って嬉しそうに頷いた】

1000ディス ◆My6NsjkSfM:2012/07/18(水) 23:22:19 ID:trmDr2BE0
//記入漏れ
「あうー、そだねなの、
 じゅーすはいっぱいのんでるけどなの」
【そう言いながら顔を仰いでいる。】

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■