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【日常α】異能都市に芽吹く春の息吹【16スレ】- 1 :名も無き異能都市住民:2012/02/06(月) 00:20:38 ID:zpQ2Gl7E0
- ≪ルールとか≫
・基本age進行で
・コテもコテ無しもどんどん来い
・レスの最初に自分のいる場所を明記してくれるとやりやすいです
・イベントを起こしたい場合は空いているイベントスレをお使い下さい
・多人数へのレスは可能な限り纏めて行うようにしましょう
・無意味な連投・一行投稿はできるだけ控えるよう心がけてください
・戦闘可能ですが、長引く場合や大規模戦闘に発展した場合はイベントスレへ移動してください
・戦闘が起きた場合、戦闘に参加したくない人を無理に巻き込むことはやめましょう
・次スレは>>950を踏んだ人にお願いします
前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1316262762/
- 2 :ヴァージニア:2012/02/12(日) 00:55:30 ID:xnJqeMuc0
- >>1乙ーん
>>1000
「……」
自らの体を眺めている。
今、この体は吸血鬼として、新しい生を形成しようとしている。
もし、その命が断ち切られたら。ここにいる自分も、霊体である自分も消失するだろう。
一度失った命なのだ。このまま死んでしまっても……
「……、何もしないで……」
うつむきながら、答える。
そう、この体が吸血鬼の本能のままに動こうか、自分であるはずなのだ。
生に縋りつきたい。その意思が、この答えを導き出した。
- 3 :アイリス:2012/02/12(日) 01:13:21 ID:zpQ2Gl7E0
- >>2
「君が言うのなら、そのままにしようか」
意識が飛んだままのヴァージニアを電柱に凭れかけさせて。
そうして、アイリスはもう何も用事はないとばかりに立ち上がり。
「“二度”死んで、それでも吸血鬼として生きていたい理由でもあるのかな。
君の主人に対する忠誠心からかな。それとも……他の何か、かな」
外因的要素で吸血鬼となった者は血の呪縛に縛られる。
吸血鬼にした者と、された者。
それは果てしなく根深く、断ちきるのは容易ではない。
アイリスの足は、郊外へと向けられていた。
歩幅は普通、歩調はゆっくりながらもヴァージニアの霊体を追い抜き、意識を落としたヴァージニアを容易く追いぬく。
- 4 :ヴァージニア:2012/02/12(日) 01:24:53 ID:xnJqeMuc0
- >>3
「…どうして」
戸惑いの言葉が口から漏れる。
どうして、そのままにしようと考えてしまったのだろう。
もしかしたら、今以上に何かをしでかしそうなのに。
「忠誠心……、そういうのじゃ、きっとない……
この街で築いてきた……、絆だとか、惜しくなっちゃったんだと思う……」
それは答えというよりは、自分に言い聞かせるように。
アイリスを見送ったのち、自らの体に触れる。
温かみがあるような、それでいて凍てついているような。そんな魔力を感じる。
これからの自分はどのようになっていくのか、可能性次第なんだとヴァージニアは考えた。
「それにしても、さっきの人……、いったい何者だったんだろう……」
この街に息づいている吸血鬼は皆、表現できないような何かを持っている。
畏怖なのか尊敬なのか恐怖なのか……、目と目を合わせただけで、何かが自分を貫くような。
アイリスもまた、そんな対象の一人だった。
// お疲れさまでした!
- 5 :それは何でもない、何にもなれない、誰でもない、唯の――:2012/02/12(日) 18:47:25 ID:sm5rH/CU0
-
沈みきった夕日と、静かに灯る街灯。
照らされた少女は愁いを帯びた表情で。金色の瞳は、見上げる闇夜に覆われて。
冷たい風と黒猫が足元をすり抜けて、物陰へと消えていく。
「嗚呼、さむいなぁ。」
今日も公園で少女は独り、星を眺めていた。
- 6 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 21:37:24 ID:WVrfsEdY0
- 【バレンタインデーの昼間あたり。】
【学校の帰り道にディスは「バレンタインフェア」という看板を立てられたお店を通り過ぎる】
「たいせつなひとにちょこをぷれぜんとしましょう?」
【ルビが振ってあったので看板の内容は読めたようだ】
「・・・たいせつなひとに・・・」
【ショーケースの中身をじーっと見つめながら思いを馳せている・・・】
- 7 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 21:55:11 ID:oB5LASG.0
- >>6
「やぁ、ディス」
店舗の前を通ろうとしたとき、看板の前に立つ姿を見つける。
抱えた紙袋の中には沢山の食料品が入っていた。買い物の帰りなのだろう。
「その看板、気になるかい?」
背を曲げ、ディスと目線を近くして同じ看板を眺める。
- 8 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 21:59:57 ID:WVrfsEdY0
- >>7
「あう?」
【後ろから突然聞こえた声に驚いて振り向いた】
「あう、その……きになるかなの」
【頭をゆっくり下げて肯定する】
「えっと、だれかなの?」
【ゆっくりと顔の方を見ようとする】
- 9 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 22:21:02 ID:oB5LASG.0
- >>8
「昔から、そういう風習みたいなのがあってね」
看板から店舗の中へと視線を移す。
【今だけラッピングサービス無料!】と大々的に掲げ、普段よりもプレゼント色を全面的に押し出していた。
「えーと、誰かって言われると説明し辛いね……後、少し悲しいよ……」
自傷気味に引き攣った笑みを浮かべる。
依然にも、何度か会った事のある人間で名前は……無いと言っていた。
- 10 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 22:28:03 ID:WVrfsEdY0
- >>9
「あうあう、そういうきまりなんだなの〜。
…じゃあたいせつなひとにあげたいかな?の」
【じっと店の中を見つめて言う】
「あう、ひょっとして『しろ』かなの?」
【そう言ってその人の顔をまじまじと見つめる…】
- 11 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 22:50:46 ID:oB5LASG.0
- >>10
「まぁ、そんなところかなぁ。
……ぼくも買って帰ろうかなぁ」
同じく店の中を見つめ、独り言を呟き、気恥ずかしさに頬を掻く。
「た、多分ね……」
以前ディスと会ったときは『あか』と呼ばれていた気がする……等と思いつつ。
- 12 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 22:58:27 ID:WVrfsEdY0
- >>11
「えっと…いろちがったかなの…
よくみたら『あか』かもしれないの!」
【慌てて訂正する】
「あうー、じゃいっしょにかってかえらないかなの?
ぷれぜんとなの〜」
【にこにこしながら返す。しっかり聞こえているようだ…】
- 13 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 23:07:37 ID:oB5LASG.0
- >>12
「いや、どっちでもいいさ。
名前くらいで困りはしないよ」
慌てる少女をなだめる様に、真紅の手袋をつけた左手で頭を撫でる。
「あ、え? えっとぉ……」
不意な提案に驚き、気恥ずかしさがさらに積もる。
昔から恋愛沙汰に疎く、経験が無かったためにいざとなると脆さを露呈する。
細かいところで妙に奥手な様で、中々踏ん切りがつかないでいる……。
- 14 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 23:10:36 ID:WVrfsEdY0
- >>13
「うーん、でもよべるなまえがないとこまる…かなの?」
【いかにも困った顔で返す】
「たいせつなひとがいるなら、そのひとにちょこをぷれぜんとしよなの!
それがいちばんいいのー」
【微笑みながら言う。】
- 15 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 23:21:46 ID:oB5LASG.0
- >>14
「僕には必要ないさ、キミが覚えてくれていれば」
ディスの顎に手を向けて、優しく微笑む。
「いや、そうだとは思うんだけどさ。その、恥ずかしいっていうか……そのぉ」
笑顔とは時に残酷なものだと。特にディスの無垢な物は特に。
- 16 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 23:28:30 ID:WVrfsEdY0
- >>15
「あう、わかったの。『あか』でいいかなの?」
【何処か嬉しそうに答えた】
「はずかしい?うーん、どしてかなの?
たいせつなひとのぷれぜんとなのになの〜…」
【ディスはそっち方面にはとんと疎いようである…】
「はいってみようかなの〜」
【そう言ってお店のドアに向けて歩き出す】
- 17 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 23:33:47 ID:oB5LASG.0
- >>16
「問題は無いよ」
フフ。
そう優しく笑いつつ。
「まぁ、なんていうか……って、ちょっと!」
どうも頭が空回りしているらしく、説明しようとするが、口に出すのも憚られる。
そういう葛藤に悩むうちにディスが視界から消えていく事にも気づかずに、見つけて慌てて追いかける。
- 18 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 23:37:30 ID:WVrfsEdY0
- >>17
「そっかなの、よかったの〜」
【笑顔が眩しい…】
「あう、どうしたの〜?」
【追いかけてきた時にはディスはもうお店の自動ドアを開けた状態で待機していた】
「うーん、もしかしてちょこきらいかなの?」
【少し心配そうに見つめている…】
- 19 :名も無き異能都市住民:2012/02/14(火) 23:45:13 ID:oB5LASG.0
- >>18
「そう言う事」
ポンポン。と頭をなでる様に。
「別に嫌いじゃないけどさ……」
何処かばつの悪そうに、少々唇を尖らせて言う。
- 20 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/14(火) 23:51:45 ID:WVrfsEdY0
- >>19
「うん、いいおなまえ、だよねなの〜」
【頭をなでられるのが好きなようだ。】
「あうー、じゃあよさそうなのをさがしてみよなの〜」
【嬉しそうに笑ってショーケースの中身を見つめる】
「うーん、どれもよさそうなの〜」
【色鮮やかなデコレーションをされたチョコレートがところ狭しと並んでいる…】
- 21 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 00:01:36 ID:oB5LASG.0
- >>20
「キミらしい名前だと思うよ」
真紅の左手をそちらに向け。
「あ、ところでキミは誰に上げるんだい?
ん。そういえばその服……学校行ってるの? もしかして、これもそういうクラスメイトに……?」
ディスが学生服を着ていることに、今更気づく。
今まで自分と同じ年中暇人なのだろうと思って居ただけに若干の驚き。
そして善からぬ思考を張り巡らせ……。
- 22 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 00:07:22 ID:WVrfsEdY0
- >>21
「あうー、ちょっとうれしいかなの…」
【そう言ってディスも手を差し出した】
「うーん、だれにあげるかなの?
そうなの、がっこにかよってるけどなの…うーん」
【学生服は小学生らしくミニサイズである。】
「くらすめいと?うーん、もーっとだいじなひといるからなの…
おうちになの。」
【そう言って結構迷いながらチョコを探している】
- 23 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 00:32:12 ID:oB5LASG.0
- >>22
「そっかぁ……。
キミは小学生だよね。学校は楽しいかい?」
彼女は17歳。それなのに、学校には行っていない。
真面目に学徒生活を行って居なかった故に……少し、羨ましかった。
「そういえば、キミの生活は謎だらけだね……僕にとって」
ディスに親と呼べる存在が居た事は新発見だと。
居るのは当然なのだが、それを意識したのは初めてだった。
- 24 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 00:37:45 ID:WVrfsEdY0
- >>23
「がっこうなの?うん、たのしいよなの〜!
いっぱいおともだちできたなの〜」
【笑顔で返している】
「あうー、『ろざりあ』っていうの〜。
おうちにすませてもらってるっていうのがただしーかもしれないけどなの…」
【そこまで行った後…】
「あう、これがいいかなの〜」
【ディスは、七色にカラーリングされたチョコレートに興味をひかれているようだ】
- 25 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 00:55:28 ID:oB5LASG.0
- >>24
「フフ。それは良かった」
何時もと変わらない笑顔を向ける。羨ましくて仕方がない。
ただ、ありきたりな言葉しか返せなかったのは、自分にそういった経験が無いから。
「……きっと優しい人なんだろうね」
ディスの笑顔を真っ直ぐに眺め。
この輝きがあるのも、ロザリアという人物が成したことか。と、名しか知らぬ人物に敬意を注ぐ。
「彼女も喜ぶよ」
ディスが真剣に悩む様を見て、思わず微笑みがこぼれる。
- 26 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 00:58:38 ID:WVrfsEdY0
- >>25
「なかよしいっぱいできて…なの〜」
【しばらく学校での出来事などを話していた】
「あうー、やさしいひとなの〜。
ちょっとこわいところもあるけどなの…」
【軽く笑いながら答える】
「そうだねなの、きっとよろこんでくれるよねなの…
これくださいなの〜」
【七色チョコレートを指さして注文した。】
- 27 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 01:07:24 ID:oB5LASG.0
- >>26
「そっかそっか……。
楽しめる時には楽しんでおくんだよ。だけど、友達は大切にね?」
普段の話を聞きながら、浸る。
普通の人間とは、こんなものなのか。と。
普通の生活とは、こんな感じなのか。と。
「偶には怒ることだってあるさ」
父や、母。親のような存在が居てくれると言うだけで、羨ましい。
自分を育ててくれた人間はいるが……それは、そんな存在では無かった。
ディスの注文に、ふと落ち込み気味になっていた思考が振り払らわれる。
自分もショーケースを眺め、少し悩んだ末に、小箱入りのチョコレートを頼んだ。
- 28 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 01:11:00 ID:WVrfsEdY0
- >>27
「それで、どろんこになって…
あう、そろそろおかねなの〜」
【話はここで中断され、学生服からお札を取り出し始めた】
「あうー、そうだよねなの〜。
でもほかのひとがかってにおうちはいったらものすごくこわくなるなの〜…
だからきおつけてねなの。」
【かなり真面目顔で言う】
お店の人「1500円ですよー」
「あう、もっとおかねがひつようかなの…」
【ディスはそう言ってさらにポケットから千円札を取り出した】
- 29 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 01:18:26 ID:oB5LASG.0
- >>28
「それは僕だって困るさ」
と、大真面目な顔で返す。
「勿論、気を付けるよ……まぁ、それ以前の問題だと思うんだけど」
「一人で支払えるかい?」
自分の支払いは既に終えた様で、ディスに向かって心配そうに。
- 30 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 01:23:52 ID:WVrfsEdY0
- >>29
「そっかなの…それがふつーなんだなの〜」
【どうやら理解したようである。】
「あうー、でもふつーのときはやさしいからなの〜」
【そう言ってニッコリと返した】
「あうー、だいじょぶなの。おかねはらうところなんどもみてきたからなの〜」
【そう言って微笑んだ】
お店の人「お釣り500円になりますー。」
「えっと…あ、おつりなのねなの〜」
【慌てて500円玉をもらう】
お店の人「包装いたしますかー?」
「えっと…おねがいしますなの〜」
【あんまり慣れてないっぽいようだ】
- 31 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 01:29:00 ID:oB5LASG.0
- >>30
「それはそうだよ。
その、ロザリアって人も、キミの事が大好きなはずだよ」
親である。と言うのはそう言う事だと。
ディスが笑顔であるのは、その笑顔を守る彼女が居るからなのだと。思う。
「成程、キミも学んでるんだね」
納得すると、その様子を見守ることにする。
「でもまだ、もう少し、かな」
微笑みを含んで。
- 32 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 01:38:41 ID:WVrfsEdY0
- >>31
「うん、そうだよねなの…
だからとてもうれしいなの。」
【そう言って微笑んだ】
「あうー…やっぱりみたとーりにはうまくいかないみたいなの…」
【ちょっと困った顔で言った】
お店の人「はいどうぞー。」
「あう、ありがとなの〜!」
【笑顔できらびやかな包装紙で包装された箱を受け取った】
「あうー、とってもきれいなの〜」
【見とれているようである…】
- 33 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 01:44:22 ID:oB5LASG.0
- >>32
「その笑顔が語ってる。
キミは本当に……幸せだ」
おもむろに手を伸ばすと、ディスの頭をなでた。
「ゆっくり慣れていけばいいさ。
特に、キミはまだこどもだろう? 出来なくても、問題は無い」
煌びやかに装飾の施されたチョコを受け取り、歓喜に包まれるディスを眺め。
「さ、後はそれを最高の笑顔で渡すだけだよ。帰ろうか」
そう、口にする。
- 34 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 01:47:39 ID:WVrfsEdY0
- >>33
「あうあう、そうかなの…
しあわせっておもったら、たぶんしあわせなんだよねなの…」
【撫でられるのがとても嬉しいようだ…】
「もっとなれないとなの〜。
きゅうにだと、むずかしいよねなの。」
【うんうんと頷いて答える】
「あとはわたすだけだものねなの〜!
いっしょにかえろなの〜」
【そう言ってディスは女性の横について歩き出した】
- 35 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 01:59:46 ID:oB5LASG.0
- >>34
「ん、キミは、自分ではそう思わないかい?」
再び屈み、目を合わせると優し気な顔をして聞く。
「イメージトレーニングってのも大切だと思うよ。
始めには何をして、次にはどんなことをするか。
自分の中で一度流れを組み立てるんだ。何も頭の中じゃなく、メモとかに残してみるのもいい」
歩き始め、前に進みながらも目線だけは少女に向けて。
「構わないけど……キミの家はどっちかな?」
戻るべきに家の方向へ向けて歩き始める。
何の迷いもなしにディスがついてくるので、少し心配な様だ。
- 36 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 02:03:57 ID:WVrfsEdY0
- >>35
「あうあう、もちろんなのー。
しあわせなの!」
【迷いなく答える…間違いなくと言いたそうだ】
「めもなの…じをかくのはにがてなの〜。
でもかいてためしてみたらいいかなの!」
【納得したように返す】
「あうー、ないしょだけどなの。
すぐちかくでもかえれるなの〜!」
【にっこり笑ってポケットから鍵らしきものを取り出した】
- 37 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 02:11:31 ID:oB5LASG.0
- >>36
「うん。そうに決まってるさ」
と、優しげな顔から笑顔に。
表情を一気に明るくさせた。
「それも字の勉強になるかもね。
そうだ……彼女に手伝ってもらうのもいい。ままごと練習さ」
彼女。とはロザリアの事を指すのだろう。
「そのカギは?」
それが少々珍しい物としても、そういう鍵にしか見えなかった。
特殊な血からを持つアイテムだとは、想像できずに不思議な顔をしている。
- 38 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 02:16:17 ID:WVrfsEdY0
- >>37
「あうあう、しあわせずっとだといいなの。」
【頷いて答える。念押ししてるようにも見える】
「そっかなの、わかったの〜!
こんど『ろざりあ』にきいてみるの!」
【そう言って近くにあった扉の方へ歩き出す】
「ちかくにあるこういうところにこれをさしたらすぐにおうちにいけるなの!」
【得意げに言って見せている…】
- 39 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 02:25:06 ID:oB5LASG.0
- >>38
ディスの言葉を聞くと、足を止めた。
真っ直ぐに向き直って、荷物を置いて、真剣な顔をする。
「続くさ。ロザリアが、守ってくれる。
そうだね……クロスだって、その筈だよ。
困ったときは、僕も助けるさ……これで安心だろう?」
何よりも、真剣に言っておきたかったのだろう。
言い終わると食料品の入った紙袋を抱え直し、再び前へ進む。
「だからさ、不安だなんて、言わないで」
「それがいい。
きっと親身になって協力してくれるさ……って、へぇ。それはまた凄い」
突然の行動に驚きを隠せないでいたが、言葉を聞くと納得したようで。
カギが特殊なアイテムであると、認識を改める。
- 40 :ディスinバレンタインデー ◆My6NsjkSfM:2012/02/15(水) 02:30:59 ID:WVrfsEdY0
- >>39
「…うん」
【小さく頷いた】
「『くろす』も『ろざりあ』も…それだけじゃないの、ほかのいろんなひともみんな『でぃす』のおともだちなの。
だから、つづけていける、そうだよねなの…」
【安心したようだ。そして】
「ありがとなの、なんかすごく…あんしんしたの」
【改めてニッコリと笑い返した】
「がっこのほかにもいろんなことおしえてもらうつもりなの〜。
これがあったらすぐにかえれる、べんりなの!」
【扉に鍵を差し込むと…扉の向こうの空間が一変する】
「これでおうちにかえれるなの、
いっしょにきてくれてありがとなの〜」
【そう言ってディスは扉の向こうへと入っていった】
「あ、ちょこれーと…だいじなひとにぷれぜんとできるようになの〜!」
【そう言って、ディスは改めて扉の向こうへ入っていった】
//お疲れ様ですー。今日はこのへんで。
//バレンタインロールありがとうございました。
- 41 :名も無き異能都市住民:2012/02/15(水) 02:39:03 ID:oB5LASG.0
- >>40
「それならいいさ。
そう言ってくれるなら……僕も、全力で頑張れる。キミを守ることに」
視線は前へ向いていた。
けれども、その視線は直接語りかけている様な……熱い物。
「ああ、こちらこそ……キミも勇気をくれた。ありがとう」
恥ずかしながら、取り出すチョコレート。
買うには買えたけど、渡す勇気は……まだ無かったり。
少女を見送り、なんだか重みの強まった小箱を眺め。
眺め、眺める。ふと、思い出したように、気づく。
「イェルサ君、甘い物大丈夫なんだろうか……麺しか食べてるとこ見た事無いからなぁ……」
//長い間お疲れ様でした!
//こちらこそ、ありがとうございました!
- 42 :欠け耳のボロッブ:2012/02/15(水) 23:49:34 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「……ふう。」
今日の仕事を切り上げた小鬼の商人は、
つい最近見つけた良い雰囲気のカフェでほっと一息。
バレンタイン商戦も一応の落ち着きをみせ、
アイリスから頼まれた品もだいぶメドが立ってきたため、
心も幾分か軽い。
- 43 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 21:21:32 ID:E/1E08do0
- 超高層ビルの最上階付近で、窓の清掃員が困った顔をしている。
ビルに雲のようなものが引っかかって、作業用のゴンドラを移動させることが困難になっているのだ。
よく見てみると、その雲のようなものに寝転んでいる者がいる。能力者なのだろうか。
どちらにしても、清掃員は職務を果たさなければならない。掃除の邪魔になっている雲をモップでつついてみる。
すると、ビルの引っかかりから外れたのか、風に流されていく。清掃員は一安心して、ビルの清掃に取りかかっていった。
しばらく風に流された雲は、ある程度の速度を伴って他の高層ビルに激突する。
それと同時に、大きな揺れを起こして、寝転んでいた者は雲の上から落下してしまった。
「う〜ん。今日もいい天気でした」
寝転んでいた者は目を覚まし、周囲を見渡してみる。
「あ、あれ……、ここ、どこなんです……?」
周りには人だかりができていて、自分はその注目の的になっていた。
それもそのはずで、空からいきなり降ってきたと思ったら地面に激突。そして何事もないように立ちあがっているからだ。
- 44 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 21:53:13 ID:WVrfsEdY0
- >>43
「あう…?」
【その人物が落下したちょうどその時全身に包帯を巻いた少女が近くを歩いていた】
「今の音はなんなのかなの?」
【音のした方へ歩いて行く。人だかりができているのを見て】
コソコソ…
【人だかりの足の下あたりをかき分け、ドンドンと進んでいく。】
- 45 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 22:12:20 ID:E/1E08do0
- >>44
注目を集めていた人物は女性だった。
真っ白なファーのコート、帽子、ブーツで全身を固めており、背中にも純白の翼が生えている。
まさしく白一色と言っていいほどだが、その眼の色は深紅に染まっている。
ウサギのように色素を持たない生物で、アルビノと呼ばれる個体であるようだ。
「うーん、困ったなぁ。今日のお夕飯はカレーライスだったのになぁ」
道行く人々は、彼女が無事だと分かると徐々に散開していった。
その奇抜な風貌は、都市ではやはり珍しくもないようだ。
- 46 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 22:16:38 ID:WVrfsEdY0
- >>45
【こっそりと女性の姿を確認して、首をかしげた】
「あう?なんでこんなにひとがあつまってるのかなの?」
【そう言って地面の方をじっと見る】
「なんでこんなにあなあいてるのかなの……」
【不思議そうにあたりを見回している……】
- 47 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 22:26:22 ID:E/1E08do0
- >>46
「どうしたの、迷子なんです?」
周囲を見渡してるその挙動から、そう判断されてしまったらしい。
そもそも、迷子なのは彼女の方なのだが。
「これでも食べて元気出してね」
どこから取り出したのか、わたあめをディスに手渡す。
- 48 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 22:32:30 ID:WVrfsEdY0
- >>47
「あうー、まいごじゃないの〜。
なにがおこったのかなっておもってなの。」
【地面を眺めながら言う】
「あう、これたべていいの?
ありがとなの〜!」
【わたあめを貰うと、無邪気に笑って受け取った】
「えっと、こっちもなにかおれいなの…」
【そう言ってたまたまポケットに入っていたパンを取り出す】
「…これじゃちょっとわるいかなの…」
- 49 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 22:37:41 ID:E/1E08do0
- >>48
「また落っこちたんでしょうかね」
彼女はよく雲の上で昼寝をし、そして落ちている。それを繰り返しているようだ。
「慣れちゃったから、いいんですけど。あ、いただきます」
慣れてしまっただけで、落下に対する衝撃の耐性ができるものなのだろうか。謎である。
貰ったパンを食べて、空腹を満たす。
- 50 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 22:43:25 ID:WVrfsEdY0
- >>49
「また?おちてもだいじょぶだったの?」
【不安そうに言う】
「…なんどもおちたらへーきになるのかなの?」
【眉を潜め、疑問有りげに言う】
「あう、どいたしましてなの…
もぐもぐ、」
【ディスもわたあめを食べる】
「これもおいしいの!」
【顔がほころんでいるようだ】
- 51 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 22:47:46 ID:E/1E08do0
- >>50
「さて、どこに行けば帰れるんだろう」
周囲を見渡している。この場所がどこなのか見覚えがないようだ。
「遠くの方まで流されちゃったのかな〜、じゃあ、仕方ないね。
ここで暮らせばいっか!」
彼女はとにかく能天気だった。
- 52 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 22:50:27 ID:WVrfsEdY0
- >>51
「あう?ここからとおいところからきたの?」
【不思議そうな顔をする】
「もしかして、とばされてきたなの?」
【なにか知ってそうな口ぶりだ】
- 53 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 23:07:32 ID:E/1E08do0
- >>52
「遠いも何も、さっきまで……」
もしかしたら、歪みに入ってしまい都市に辿りついてしまったのかもしれない。
「分かりません…」
- 54 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 23:10:10 ID:WVrfsEdY0
- >>53
「あうー、やっぱりとばされてきたんだなの!」
【ディスは納得したように頷いた】
「ここにはそういうひとがおおいなの。
だからいろいろてつだってもらえるとおもうの〜!」
【微笑んで返した。】
- 55 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 23:21:01 ID:E/1E08do0
- >>54
「そうなんだー。
まぁ、ふつーに過ごしてみるつもりだよ」
彼女の心はいつも自由であり、適当だ。
そうこうしているうちに、空腹を感じているらしい。
「何か食べられるところとかない?」
- 56 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 23:24:48 ID:WVrfsEdY0
- >>55
「そうなの、ここですむのはあんまりむずかしくないはずなの!
だからしんぱいしないでいいの〜」
【嬉しそうに頷いて返した】
「あう、なにかたべられるところなの?
えっと、じゃあこっちにかれーたべられるところあるの。
ついてきてなの〜」
【そう言って踵を返した】
- 57 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 23:33:47 ID:E/1E08do0
- >>56
「ついていくー」
適当な調子で付いていく。
- 58 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 23:36:02 ID:WVrfsEdY0
- >>57
「あう、じゃあこっちなの!」
【道を指さしながら歩いて行く】
「そいえばなの…
いっぱいたべたりするなの?」
【振り返って訪ねてくる】
- 59 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 23:44:49 ID:E/1E08do0
- >>58
「うーん、そのときによるかなぁ。
お腹空いた時はよく食べるし、そうでないときはそうで」
- 60 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/19(日) 23:48:06 ID:WVrfsEdY0
- >>59
「そうなのー。
じゃあおなかすいてたらあれたべられるかなの?」
【そういってとうちゃくしたカレーやさんの看板を指さす】
「あそこでいっぱいのかれーたべられるんだよなの!」
【お店の垂れ幕には「バケツカレー全部食べられたら1万円!」という煽り文と共に
バケツに詰めたかのようにうず高くつまれたご飯の上に大量のカレーがかけられた写真が載せられている…】
- 61 :名も無き異能都市住民:2012/02/19(日) 23:55:16 ID:E/1E08do0
- >>60
「うーん、あれは無理かなー。
人が食べられるような量じゃないですよー」
人が耐えられないよう高さから落ちてる人が何を言っているのか。
- 62 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 00:04:14 ID:WVrfsEdY0
- >>61
「あうー、そっかなの〜…
でもここはとてもおいしいよなの!よくくるからわかるの。」
【にっこり笑って答える】
「あとは、あそことあそことあそこ…
たべるところはいっぱいあるの!」
【そう言って自分の知っている限りの店の方角を指さして教えた】
「これだけしってたらだいじょぶじゃないかなの!」
- 63 :名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 00:11:07 ID:E/1E08do0
- >>62
「うんうん、ありがとう。
いろいろ知っている人がいて助かるよ」
でも、彼女は金銭を持っていなかった。
店だけ知っていても、食べられないのだ。
- 64 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 00:13:33 ID:WVrfsEdY0
- >>63
「あうーありがとなの。
いろいろたべられるとおもうなの〜。」
【そう言って微笑み返す】
「…そいえば、おさいふもってきてるかなの?」
【ちょっと心配になったのだろうか、なんとなく訪ねてきた】
- 65 :名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 00:22:49 ID:E/1E08do0
- >>64
「いや〜、家に置いてきちゃったみたいね。
でも、なんとかなるでしょう」
荷物を確認したが、財布は持ってきていないらしい。
- 66 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 00:25:10 ID:WVrfsEdY0
- >>65
「あうあう、なんとかなるかなの…
そうだねなの、がんばっていけばおかねてにはいるよねなの!」
【ポジティブに返す…笑顔だ】
「あ、そういえばおなまえきいてなかったの!
こっちのおなまえは『でぃす』なの!」
【そう言って微笑む】
- 67 :名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 00:45:36 ID:E/1E08do0
- >>66
「私はクラウディア。よろしくね〜」
そう言いながら、指先から雲を出してみせる。
「雲を操ることができるよ〜」
適当な自己紹介である。
- 68 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 00:50:55 ID:WVrfsEdY0
- >>67
「なるほどなの!
『くらうでぃあ』なの!あうー!よろしくねなの〜」
【微笑みながら頷いた】
「あうー、それはすごいの〜!
『でぃす』はほーたいうごかせるんだよなの!」
【そう言って腕に巻かれていた包帯をうねうねと蛇のように動かしてみせた】
- 69 :名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 00:59:17 ID:E/1E08do0
- >>68
「そうなんだ。面白い力だね〜」
自分以外の能力者も実在していて、他に見ないような力だったので面白いと彼女は思っていた。
「他にも色んな人が居るの?」
- 70 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 01:01:42 ID:WVrfsEdY0
- >>69
「えへへ、なの」
【何処か嬉しそうな顔である】
「あう、ほかにもいろんなひとがいるよなの!
『でぃす』がしってるいろんなひともいろんなのーりょくなの!」
【微笑んで答えた】
- 71 :名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 01:09:48 ID:E/1E08do0
- >>70
「そうなんだ〜、近いうちにそういう人にも会ってみたいね」
そういうと、人一人乗れそうな程の雲を出し、そこに横になる。
「明日になったらいろいろ見てみるね、おやすみ〜」
都市の道の真ん中で寝てしまうほど大雑把さ。
とにかく彼女は自由だった。
- 72 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 01:12:24 ID:WVrfsEdY0
- >>71
「うん、ここにいたらきっとあえるとおもうなの!」
【そう言って微笑む…が、突然雲の上に寝転んだのを見て】
「あ、えっと…ここじゃあぶな…
あう、おやすみなさいなの〜」
【少し心配そうに見つめている】
「…ちょっとはしっこならいいかなの?」
【そう思ったディスは雲の位置を若干道の端っこにおいたようである】
//ここらで終わりましょ。お疲れ様でしたー。
- 73 :白月 月夜:2012/02/21(火) 22:45:35 ID:dL8H4NjE0
- 「っしゃー!外の空気だー!」
とある病院前、黒髪の少女がぐーっと伸びをしながら言う
少し前の異変以来、無駄に治療が長引いたせいで、しばらく外に出ることができなかった分テンションが高い
入院していた時に全く体が動かせなかったので、軽く体を捻ったりジャンプしたりしながら移動しているので、端から見ればただの変人だ
「体絶対なまってるよなぁ、きっと」
「リハビリがてら箱庭にでも行った方がいいのかな」
「いやでも腹減ったしおいしいもの最近食べてないからまずはご飯だ、うんそうしよう」
不可解な動きに加えぶつぶつと呟き始めたせいで完全に変質者だ
- 74 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/21(火) 23:11:10 ID:WVrfsEdY0
- >>73
「アレだけのダメージを受けて…
数日で完治とは、やはり…」
【病院の方から誰かの声が聞こえてくる】
「いや、それよりも…
このままでは足手まといです…」
【なにか悩んでいる顔をしている…どうやら学園の制服を着ているあたりを見ると学生のようだ】
- 75 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/21(火) 23:14:24 ID:oB5LASG.0
- >>73
「さて、どーすっかなぁ……」
少女を追うようにして病院から出てきた金髪の青年。
その傍らには銀の竜が付き添っていた。
今日のこれからの時間が暇になるのでどうするかを考えていたところ、見覚えのある少女の姿があった。
「……」
が、しかし依然見たときとの雰囲気の違いに少々焦りを感じる。
独りでに喋っていた情報が耳に入ってくる。
それによると、少女は今の今まで入院していたかの口ぶりで。
「外が嬉しいのは解ったが、少し落ち着いたらどうだ?」
と、せっかくだし声をかけた。
- 76 :白月 月夜:2012/02/21(火) 23:19:02 ID:dL8H4NjE0
- >>74
ピクリと月夜の耳が反応する
見ると、何か重要っぽい話をしているというのが伺えた
「…………」
近くのベンチに座り、試しに聞き耳をたてる
能力で音がこちらに流れやすくするようにして、気づかれないように視線は他の方向に
……しかしやはりいくらかは気になるのか、度々チラチラと視線を向ける
(…………思ったより汎用性高いなぁ、私の能力)
ぼんやりと他人事のようにそんなことを考える
- 77 :白月 月夜:2012/02/21(火) 23:25:18 ID:dL8H4NjE0
- >>75
「え?…………あ」
視線を声のした方向に向けると、そこには以前戦った男の姿が
確か名前を……ラインハルト=アドヴァルド
「あ、あはは……お恥ずかしい所をお見せしました」
照れ笑いをし、後頭部をかゆくもないのにポリポリと掻く
典型的な恥ずかしがっている時のポーズだ
「それにしても、何でここに?」
すぐに元の表情に戻り、そんなことを聞く
- 78 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/21(火) 23:25:56 ID:WVrfsEdY0
- >>76
「…それにしても、また会えなかったな…ここにいるのに…」
【小声でなにかぼそぼそといっているが…月夜にはよく聞こえるだろう】
「あの謎の犯人は捕まえないと…お姉ちゃんのためにも…」
【決意のこもった声のようだ…と、段々とこっちの方へ近づいてきている…】
- 79 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/21(火) 23:35:25 ID:oB5LASG.0
- >>77
「まぁ、お前がそうしたかったんなら別に構わないがなー……」
と、こちらは目をそらす。
何となく、独りで気まずさを感じての事。
「俺は見舞いだ。
親戚っつーか、幼馴染が入院しててな。
……そんなことは良い。お前も入院してたらしいじゃないか」
少し考える口ぶりを見せてから、幼馴染と訂正した。
それをすぐに拭い捨て、少女の身を案じてか、少々慌て気味に言葉をつづけた。
- 80 :白月 月夜:2012/02/21(火) 23:47:10 ID:dL8H4NjE0
- >>78
(……ふむ、人探し、か)
月夜は自分と同じ目的でこの街にいる少年に少し親近感を抱く。
後で会ってみようかと考えるが、こちらが一方的に盗み聞きしているだけなので、
絶対に怪しまれてしまうだろうと気づく。
(……って、姉?)
ふと耳に入ってきたそのキーワードに、またしてもピクリと反応する。
外見は変わらないが、内心はこの少年に対する興味でいっぱいだった。
>>79
「あ、あはははは……」
(完全に引かれてる……今度からは自重しないと……)
こちらも気まずさを感じ、意味もなく笑い出す。
「幼馴染、ですか」
少し興味が湧くが、触れない方がいい話題だと困るので一言に留める。
「いやいや、対した怪我じゃないですよ、ちょっと砂嵐に遭遇しただけです」
それだけ聞けば何のことか全く分からないことを言う。
- 81 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/21(火) 23:52:12 ID:WVrfsEdY0
- >>80
「うん、お姉ちゃんのためにもやはり力をつけ…?」
【少女は不思議そうな顔で自分を見る月夜を確認する】
「なんか見られているような…なにかゴようですか?」
【ゆっくりと近づいてくる…】
>>79
「あれ…もうひとり居ますね…」
【ラインハルトの姿を見ていった。】
「ともだち…知り合いでしょうかね…」
【二人の姿を交互に見て、つぶやく】
- 82 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/21(火) 23:59:05 ID:oB5LASG.0
- >>80
「いや、あれだ。そのー……久しぶりだったんだよな?
……そ、外に出たのが久しぶりだったんならそうもなるさ!」
年上であることを気にするあまりか、無茶なフォローに走る19歳。
柄にも合わず、そう言う事をしただけに、色々と酷い。具体的に言うとテンパっていた。
「あぁ、身体は強い方なんだがな……」
と、俯き気味に喋り、ため息を吐く。
「砂嵐?
自然災害……じゃないだろう? 誰かにやられたのか?」
なんか現実味が無いな、と。これも異能都市か、と。
不思議そうに思いながら、一応詳細を聞いておく。
- 83 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/22(水) 00:01:26 ID:oB5LASG.0
- >>81
「ん?」
向こうから近づく存在を認識し、そちらに視線を向ける。
見たことも無い人間だと思い、自分の客ではないなと結論付けた。
- 84 :白月 月夜:2012/02/22(水) 00:06:11 ID:dL8H4NjE0
- >>81
「え?あ、いや……」
気付かれたことが意外だったのか、月夜は少し焦る。
だが焦ったままだと余計に怪しまれると思ったのか、普通の表情を装い、
「いえ、病院を出た時に少し見かけたんで……」
当たり障りのない感じに返答する。
>>82
「ごめんなさい引いたんならそうと言ってください辛いです!」
ついに堪え切れなくなり、月夜は若干涙目で言う。
「…………」
声はかけずに、表情だけ暗くする。
下手な同情は怒りしか呼ばないことを知っているからだ。
「ええ、そんな感じです」
隠していても仕方ないので、短く返答する。
- 85 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/22(水) 00:11:23 ID:WVrfsEdY0
- >>83
「あ、その。こんばんわ」
【社交辞令のように挨拶を交わす】
「病院にようが…?」
【近くにいただけだが…なんとなく気になったんだろう】
>>84
「ああ、そうですか…」
【納得したように言う】
「コレで入院三度目でして…なんか恥ずかしいことです…
短い間ですから。」
【申し訳なさそうに言う】
「ひょっとして貴方も入院を?」
- 86 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/22(水) 00:27:51 ID:oB5LASG.0
- >>84
「い、いや、そうは思ってないさ!
前見たときと違ったからちょっと不思議に思ってだな……!」
それを人は時たまに引くと表現する。
しかしながら、そうは言いきれなかった様で。
「まぁ……なんだ。アイツは大丈夫そうだ」
これ以上暗くなるのもマズいので、早めに切り上げてしまうことにする。
「そんな感じってなぁ……」
相変わらずなんでもな場所だな。とか思ってた。
「もう身体は大丈夫なのか?」
月夜を全体的に眺めながらそう返す。
退院なんだから大丈夫だとは思うが、一応の事。
>>85
「こんばんは。だな」
そらを見上げ、上っている月を見た。
「ああ、見舞いだよ。幼馴染の」
二回目。
- 87 :白月 月夜:2012/02/22(水) 00:37:25 ID:dL8H4NjE0
- >>85
「恥ずかしがって入院しないで酷いことになるよりマシですよ」
笑いながらいう月夜。
でも実際自分が怪我しても『だいじょーぶだいじょーぶ!』とか言って病院いかなさそうですよねあなた。
「ああはい、その通りです」
ちょっと全身に打撲とその他もろもろを、と酷い怪我を平然と言っていく。
>>86
「ふ、優しさはときに人を殺すんですよ……」
ズーン……という擬音が聞こえてきそうなぐらいに月夜は落ち込む
「体ですか?ばっちりですよ!ちょっとなまってることを除けば」
腕をぐるぐる回すが、さっきそれでひかれたことに気づきやめる。
- 88 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/22(水) 00:43:07 ID:WVrfsEdY0
- >>86
「幼馴染…ですか」
【納得したように頭を下げる】
「…その、大丈夫なんでしょうか?容態…とか…」
【どこか他人事には見えない雰囲気で尋ねる】
>>87
「そうですね。というか、身動き取れませんからね。
入院しなきゃまず無理な感じです」
【同感という感じで頷いた】
「はあ、凄いですね…
私は一回目は全身に電撃を喰らいましたし、2回目は全身を斬られて、3回目は全身をめちゃめちゃに殴られました。
【怪我の話を聞いて、鶫も同じ様に今までのひどい怪我を平然と上げていった】
「顔は平気だったのでよかったですが…」
- 89 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/22(水) 00:53:43 ID:oB5LASG.0
- >>87
「わ、悪いっ!!」
両手を合わせ、腰を折って頭を下げる。
この青年、外見の割に内向的で、人付き合いは得意で無かった。
「いや、あー。スマン。やめなくていい」
自分の行動によるものだと思い直し、謝罪を。
「そうかそうか。記念に飯奢ってやろうか? 腹減ってるんだろ?」
>>88
「身体の方は問題無いんだがな。
どうも心が弱くてな……精神科の方に掛かってるんだ」
口では大丈夫だと言っているものの、顔はやはり心配そうで。
「……っと、それがどうかしたのか?」
首を傾げ、少女の方を見る。
- 90 :白月 月夜:2012/02/22(水) 00:58:25 ID:dL8H4NjE0
- >>88
「――同志よっ!」
怪我自慢で語り合える人を見つけた喜びからか、月夜は少女の手を握り握手する。
……だからそういうのがひかれるんでしょうが。
>>89
ぐぅぅ……と、月夜の腹が鳴る
誰が聞いても分かる、空腹のサインだ。
「――そういえばまだ今日何も食べてませんでしたね……」
「流石におごってもらうのは悪いですよ、あなたの財布を破滅させる自信がありますし」
「じゃあ私これから腹いっぱいおいしいものを食べる系の仕事があるんで!それじゃあ!」
月夜は慌ただしく二人に別れを告げ、走り去って行った。
//寝落ちの危険性を感じ取ったので落ちマウス
//二人とも絡みありがとうございました
- 91 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/22(水) 01:01:55 ID:WVrfsEdY0
- >>89
「はあ、そうですか…
精神科?えっと…やはりあの子…」
【思い当たる人がいるようだ…】
「あ、いえ…
以前入院していた人が…ひどく落ち込んでいたのでもしかして…その子なんじゃないかと思って…」
【気のせいだろうか?と思いながらも答える】
>>90
「え、ああ…でもコレだけ怪我しても私は平気ですから!
その…お大事にお願いします。」
【鶫の方も動揺しながらも嬉しそうに返した。】
「ああ、わかりました。
また今度ー」
【大きく手を振り見送った】
//オツカレー
- 92 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/22(水) 01:10:41 ID:oB5LASG.0
- >>90
「どういう自信だよそれ……。
まぁ、忙しいなら仕方無いな。それじゃあなー」
手を振って少女を見送っていく。
「砂嵐についてもう少し聞きたかったが……ま、いいか」
余り自分にはかかわらないだろう。と。
//お疲れ様でしたー!
>>91
「なんだ、綾の知り合いか?」
僅かに顔を険しくさせ、少女の方を見る顔が厳しくなる。
元々余り優しい外見をしていない青年。
金髪であったり、体中にアクセサリーを付けていたり、耳にはピアス。とむしろ厳つくチンピラ風の外見をしていた。
それが厳しい顔をする様は……それなりである。
- 93 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/22(水) 01:13:49 ID:WVrfsEdY0
- >>92
「え、ええ…一度一緒に戦ったことがあるんですが、
その時とは違ってまるで心ここにあらず…そのような状態で…」
【そう言って軽くうつむく】
「…でも、その理由は私もわかってしまったんです…
大事な人を失ったんだと…」
【鶫は、悲しげな顔で答えた】
- 94 :ラインハルト=アドヴァルド:2012/02/22(水) 01:35:08 ID:oB5LASG.0
- >>93
「……!」
驚愕に満ちた表情を向け。
「何があったのか、詳しくは聞けなかったからな……。情けねぇ!」
病院を見上げ、舌打ちを混ぜる。
気に掛ける割には何もできていない、何も知らない自分を責めての事だろう。
「すまない、急用ができた。この話はまた今度させてくれ……綾の事、ありがとうな」
そう言うと、病院を飛び出して走って行ってしまった。
//今回はこんな感じで……唐突な終わりですいません。お疲れ様でした!
- 95 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/22(水) 01:40:20 ID:WVrfsEdY0
- >>94
【驚愕の表情を見せたのに対して、鶫も驚いた顔をした。】
「お知り合いなら…
すぐに行ってあげたほうがいいかもしれませんね」
【しかし、どこか気負っているように見えるラインハルトに対して心配そうに答えた】
「え、ええ…またあった時にしましょう。ではまた」
【そう行って見送っていった】
「私も色々、しないとかもしれませんね」
【そうつぶやいて、鶫は帰っていった】
//お疲れ様でしたー
- 96 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/22(水) 21:59:58 ID:WVrfsEdY0
- 【中央公園・・・】
ミャー ニャー
フニャー ニャオー
【やけに猫の鳴き声が聞こえてくる。】
「あうー、そんなになめないでなの〜」
【一人の少女の周りに無数の猫が集まっている】
ニャー ナー
「ほらほら、あげるからなの〜」
フニャー ミャー
【どうやら少女はパンを持ち歩いていたようで、それを多くの猫にねだられているようだ】
【その中にはゴロゴロ鳴きながら擦り寄ってくるものも居る】
- 97 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/23(木) 00:09:12 ID:WVrfsEdY0
- 【しばらくして・・・】
「すー、すー」
【……無数の猫と一緒に囲まれながら眠っている少女の姿が確認されたという…】
- 98 :ヴァージニア:2012/02/23(木) 23:39:24 ID:tgjQ2Wbo0
- 都市近郊のまだまだインフラの整備が甘い地に、一台のヘリが墜落した。
死傷者は運転手と見られる男性が一人、炎上したヘリの中で絶命していた。
不思議な点と言えば、死因が鋭利な刃物でズタズタに切り裂かれているということだ。
そして、その犯人と思われる人物の姿は確認されていない。死んだのか逃走したのかも謎であった。
場面は変わって、ここは異能都市の病院だ。患者たちは様々な理由で来院、入院している。
この少女もまた、ある目的を持って訪れていた。病院に入院しているはずの、綾に会うことだ。
- 99 :柊宇都 綾:2012/02/23(木) 23:54:58 ID:oB5LASG.0
- 「何処か、可笑しかった」
不意に、そう感じるのは自らの家と病院を往復するようになってからだった。
現在も、患者衣に身を包み、個室の窓から外を眺め、そう感じていた。
そう、病院を往復する理由は少女自身にあるのだった。
少女、ヴァージニアの心を壊してしまった不足は自分にあると思っていた。
そして、それを思い過ぎる余りに、心が圧迫され過ぎて、終いには自らも可笑しくなってしまったように思える。
風が吹いていた。窓の外の木が、揺れる。あの日も、こんな感じだったかな。
- 100 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 00:08:31 ID:tgjQ2Wbo0
- >>99
「綾様」
病室に現れた者は見知った人物だが、何かが違う異質な存在だった。
邸宅に侵入した奴らの手先の手に掛かり、その心が死んだはずだった。
今、綾の眼前に居るのは。ヴァージニアであって、ヴァージニアではない。
彼女の肉体に宿った、全く別の何か。
「気分はいかがですか?」
- 101 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 00:22:21 ID:oB5LASG.0
- >>110
不意に、聞き覚えのある声が耳に入る。
声と言っても覚えがあるのは音の高さや太さ。音色と言った方が近いか。
その言葉に秘めた意志や、雰囲気は、未だ触れたことは無かった。
「ヴァージニア?」
故に、不思議。
首を傾げ、目を細めた。
- 102 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 00:30:34 ID:tgjQ2Wbo0
- >>101
「ご命令でしょうか」
綾の前に跪き、畏まった態度を取る。
以前にも、綾に対し忠誠を見せる姿勢があった。その成分が心の内に生存し、ヴァージニアを満たしている。
どうやら、吸血鬼の下僕として完成されているらしい。
- 103 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 00:44:02 ID:oB5LASG.0
- >>102
「いや」
命令は無い。
しかし、目の前にいる少女ヴァージニアが不思議でなかった。
誰、なんだ? ヴァージニアは、死んだはず。僕が、殺したはず。
「ヴァージニアは、誰、だ?」
- 104 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 00:55:28 ID:tgjQ2Wbo0
- >>103
「誰だ、と申されましても……私は綾様の従僕ですが」
吸血鬼の下僕として力を分け与えられ、主に従事する為だけの存在。ヴァージニアはそれに成り果てた。
生来、その与えられたロールは血を集めることだが、綾はそれを好まない。
なので、彼女は命令を求めた。
- 105 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 01:05:48 ID:oB5LASG.0
- >>104
「……?」
困り果ててしまった。
綾にとっての明確な答えが欲しかったのだが、曖昧なそれすら見当たらない。
首を傾げ、視線を自らの身体に落とすと、手が視線に入った。
少女を暖かく抱いた手があった。
「ヴァージニア。おいで」
- 106 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 01:10:57 ID:tgjQ2Wbo0
- >>105
「はい」
綾に歩み寄っていく。
- 107 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 01:14:20 ID:oB5LASG.0
- >>106
ヴァージニアが寄ってくる。
それを確認すると、ただ、静かに抱きしめた。
瞳を閉じて、腕の中の少女を感じる事だけに集中する。
ほどなくして解放する。
綾はヴァージニアに向けて困った顔をするだろう。
「……?」
紛れもなく、本物だったから。
- 108 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 01:26:44 ID:tgjQ2Wbo0
- >>107
「どうかなされましたか?」
ヴァージニアは本物だったはずだ。その体だけは。
心が読めない限り、分かるはずもない。人の心が失われていることを。
- 109 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 01:31:31 ID:oB5LASG.0
- >>108
「生きているのか?」
単純な疑問。直観的な疑問。
純粋にそれが気になって、訪ねる。
- 110 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 01:35:06 ID:tgjQ2Wbo0
- >>109
「ご覧の通りです。何かが欠落している感じは致しますが。
……でも、取るに足らない事なのでしょう」
彼女は笑みを浮かべながら、そう告げる。
- 111 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 01:42:35 ID:oB5LASG.0
- >>110
「それは、大丈夫なのか?」
生きているのか。と言う質問は不適切だったかもしれない。
蘇生措置を施したと言っても、それは吸血鬼としての蘇生措置である。
尤も、綾にはそういう配慮ができる余裕は無いのだが。
「沢山の事が、解らない」
- 112 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 01:49:54 ID:tgjQ2Wbo0
- >>111
「私にとって大事なことは、綾様が無事であることです。
私のことはお気になさらずに」
例え自分の身を犠牲にしてでも、主君を護ろうとする精神が色濃く反映されている。
「綾様は、今ある事実を受け入れればよいのです」
- 113 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 01:56:06 ID:oB5LASG.0
- >>112
「……?」
あの日以降、綾は心に傷を負い、その為に入退院を繰り返していた。
未だ治らない心の傷が、彼女の思考回路に妙な空間を与えた。
今までと違う、意思や雰囲気。それらを気にするという思考にたどり着かなかった。
『今ある事実を受け入れればいい』
この言葉も、以前の少女ならば言わなかっただろうに。
「解った」
考える余裕もなく、ただ頷いてしまう。
- 114 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 02:02:56 ID:tgjQ2Wbo0
- >>113
「それでは、命令があればお申しつけ下さい」
彼女はそう言うと、邪魔にならない壁際に寄り背を預ける。
そして、何処かからくすねてきた輸血用の血液にストローを刺し、それを啜る。
血を飲むことにも抵抗を覚えない彼女は、綾の目にどう映っているのだろう。
- 115 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 02:14:01 ID:oB5LASG.0
- >>114
空間を与えたのではなく、勝手に繋ぎとめていたのかもしれない。
『不審』と言う検問を排除し、すべてを通してしまうようにしてしまったの知れない。
血をすする少女の方を見ても、何も思いはしない。
少女の心の端にあった、奥の方にあった、悩み。
今まで幾度も激突した時、微かに胸に感じた悩み。
『ヴァージニアは、僕とは違う吸血鬼なんだ』
そういう思考が、『不審』を通りすぎて表に出てきたのかもしれない。
久々に目にした少女を眺め、呟いた。
「嬉しいよ、僕は」
- 116 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 02:20:23 ID:tgjQ2Wbo0
- >>115
「嬉しい、ですか?」
綾に対し、疑問を投げかける。
綾の感情の変化や、危機に即して動くことができるのだが、
綾が母体であっても、その心の複雑な動きが彼女には分からない。
- 117 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 02:22:53 ID:oB5LASG.0
- >>116
「そう」
再び、窓の外に視線を移す。
一度、強い風が吹くと、耐えきれず樹から離れた葉が綾の膝元に落ちた。
それを拾い、芯の部分を持ってクルクルと回しながら。
「ヴァージニアが、傍に居て」
- 118 :ヴァージニア:2012/02/24(金) 02:30:18 ID:tgjQ2Wbo0
- >>117
「それで、元気になってくれたのなら、良かったです」
主人の期待に応えることが、今の彼女の喜びである。
「できうる限り側にいて、お仕え致します」
彼女は笑顔でそう言うと、目を閉じて睡眠に入る。
体も心も運命でさえも弄ばれ続け、疲れてしまったのだろう。
// そろそろ寝ますね。お疲れさまでしたー。
- 119 :柊宇都 綾:2012/02/24(金) 02:35:58 ID:oB5LASG.0
- >>118
「解った」
再び視線を少女に移すと、眠ろうとしていた。
それを見ると此方も眠たくなったのか、葉を持ったまま目を閉じてしまった。
暫くすると綾は退院する。そして、その後この件で病院に返ってくることは無かった。
少しのズレは生じたが、ヴァージニアが帰ってきたことにより、精神は安定を迎えたのだ。
少しのズレが、綾を変えつつあるのは確かだった。
- 120 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 00:16:59 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
――からんころん。
ドア備え付けの呼び鈴の心地よい音色を聞きながら
店内に入ったボロッブは、店の中を見渡す。
(ふーむ、来ては居ないか。
そうそううまくはいかんなあ。)
店内には、すっかりこの店の特殊な事情になれた常連が数人。
お目当ての人物は居なかったが、既に常連へと片足を突っ込んでいるボロッブは
そのまま厨房へと入り、コーヒーを淹れるのであった。
- 121 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 00:20:52 ID:WVrfsEdY0
- >>120
「あうー、おかわりなの〜」
【AGカフェ内に元気な声が響いてくる】
「もっとたべたいなの〜…
だいじょぶ…かなの?」
【カウンター席に包帯をグルグルに巻いた少女が座っていた】
【最早名物の光景であるらしく、他の人は特にきにせずにくつろいでいた】
- 122 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 00:32:05 ID:SSMHlh/20
- >>121
(あの娘もここの常連だったか……。
世界は狭いもんだぁな……。)
その様子を横目で見ながら、ボロッブは
コーヒーと、夜食としてありあわせをぶち込んだ適当パスタを自分の席に置く。
温かい夜食に口を付けながら、店内有線で流れるジャズを
ぼーっと聴いていると、時間がとてもスローに感じる。
- 123 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 00:39:03 ID:WVrfsEdY0
- >>122
「うーん…まだたりないかんじがするの…」
【見ると少女の脇にはスパゲッティ皿が5皿ほど積み上げられている】
「きょうはいっぱいとっくんしたからかなの…おなかすいてるなの…」
【既に6皿目のスパゲッティも半分まで食べてしまっている…】
【…途中で手を止めあたりを見回す】
「…うーん?みられてるかなの?」
【視線を感じたらしく、ボロッブの方に目が向かおうとしている】
- 124 :アイリス:2012/02/26(日) 00:43:00 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
カラン、と来客を知らせる鈴が鳴る。
現れたのは、千夜学園の制服にコートを着たアイリス。
ディスとボロップを一瞥すれば、ボロップの隣に腰掛け、ボロップの反対側に丁寧に畳んだコートを置いて。
店内のジャズに耳を傾けつつ、買ってきたコーヒーのカップを置いて。
「やぁ、ボロップ。それに…」
ボロップは夜食と見てとれるそれ。しかしディスの方は量が明らかに可笑しいではないか。
髪を耳に掛けて、腰を椅子に落ち着ける。
この場所では、何かを食べなければいけない。そんな気がしてきた。
- 125 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 00:49:24 ID:SSMHlh/20
- >>123
「やあ、お嬢ちゃん。奇遇よのう。
なかなか人の縁というものは強いもんみてえだな。」
かかか、と黄色い歯を見せて笑うボロッブ。
>>124
「やぁ、やはり着ましたな。
生憎、連絡先がようわからんかったもんで難儀しました。」
アイリスの姿を見つけたボロッブは、軽く会釈すると。
スパゲティの中に混じっていたスパムをもそもそと飲み込む。
「ご注文の品は、ほぼ全て揃いました。
ただ、一部が運送のトラブルで遅れやして納品は明日になりやす。
なんでも、昨日のテロ騒ぎで配送が遅れたとかで。申し訳ねえこってす。」
- 126 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 00:54:59 ID:WVrfsEdY0
- >>124
「むぐむぐ…ん、『あいりす』こんばんわなの〜」
【口をモゴモゴしながら器用に話しかける】
「えっと…なんだかおいしすぎてなの〜!」
【言っている間にスパゲッティがディスの口の中に消えて行った】
「うーん…きょうはもっとたべたいかんじなの…」
【そう言ってまた手を上げておかわりを注文した】
>>125
「あうーまたあったなの〜」
【嬉しそうな顔でボロッブを見る】
「このおみせにはよくくるなの〜?
あ、ありがとなの」
【話しかけようとするうちにまた運ばれてくるスパゲッティ】
「『でぃす』はよくたべにくるんだよなの〜。」
- 127 :アイリス:2012/02/26(日) 01:09:17 ID:do5XJmGE0
- >>125
「分かった、改めて書こうかな。」
紙ナプキンに自分の携帯電話の番号を書いて、それから有る住所を書き込む。
住所は都市の郊外にある平原。そんなところでも、住所が用意されているのが都市だ。
「昨晩の一件は聞いているよ。よく有る騒ぎではあるけれど、意外と規模が大きかったようだね。
ただ、規模の割に被害は少なくはなかったみたいだね。」
報道で耳にしたこと。死傷者は100に届かず、行方不明者は10に至らないとか。
テロ騒ぎの復旧を一日で済ませる辺り、この都市の人間も小慣れてきたのかもしれない。
>>126
「やぁ、ディス。話すときは食べ物を飲み込んでからにするといいよ。
それに余り食べ過ぎると太ってしまうよ。そうだね、豚のようになるよ。」
食べ方をやんわりと注意して。
言い方はやさしいが、意味を考えれば、少女である限り気にするであろうことをあっけらかんと告げて
- 128 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 01:23:58 ID:SSMHlh/20
- >>126
「おう、最近見つけてナ。
仕事場からの便がいいもんで、よく寄らせて貰ってるよ。」
ボロッブの仕事場というのは、ここから少し離れた場所にある
マジックアイテムや魔法に使う触媒を扱う店の集まった通りの事だ。
もしかしたら、ディスもそこに足を踏み入れた事があるかもしれない。
「よく食べにくる、かあ……。」
既に平らげた皿の量を見て。
食費は何処から出ているんだろうかなどと考えるボロッブであった。
>>127
「へへえ、手間をかけさせますなあ。
ただ、品質についてはご注文どおり最上級の物がそろいやしたから。
その点はご心配なく。」
――ぼさっ。
以前ボロッブがアイリスに見せたカタログをカウンターの上におかれる。
それは、独りでに頁を繰ると、ボロッブが用意したであろう商品のページを開けた。
- 129 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 01:26:52 ID:WVrfsEdY0
- >>127
「あうー…ちょっときたないよねなの。
たべながらだとなの」
【申し訳なさそうに頭を下げる】
「うー…ぶたさんみたいになるのはちょっとなの…
でもいっぱいたべてもどうしてなのかへーきなの」
【不思議そうな顔で言う】
>>128
「そうなんだなの〜。
ここのごはんおいしいからきっときにいるとおもうの!」
【微笑みながら言う】
「うーん、でもたべすぎかもしれないかなの…
きおつけたいんだけど、ほしくなるの…」
【尋常ではない量を食べながらもそれはきにしていたようだ。】
「あうー。おしごとっていうと…
いったことあったかなの?」
【うーん、と頭を抱えて言う。どうやら少し覚えはあるようだ】
- 130 :アイリス:2012/02/26(日) 01:36:18 ID:do5XJmGE0
- >>128
「ここに作っておいたからね、後は搬入と設置を済ませるだけだね。
出来れば君も同行してほしいね。君なら大丈夫だよ。」
ボロップは見てくれから人外だと分かる。人には廃城にしか見えぬ、人外のための城。
ならば、あの城に施した偽装は意味のないものだと分かる。
中に踏み込んでみれば、内装が何もない城であることは一目瞭然。
メイドの手により、案内役は既に用意されている。
「――ほう…何か面白いものでも発掘出来たのかな?」
思わず、目が行く。
以前、紹介された言語対応のモノクロも“あの方”は欲するかも知れない。
>>129
「そうだね。今の時期にちゃんとマナーを覚えておかなければ、将来恥をかくことになるよ。」
穏やかな声。
そう、幼児に言い聞かせるように、できるだけ優しく。
「それは今、これからディスの体を育てる為じゃないかな。
大きくなるにはたくさん食べないといけないからね。でも…」
笑みを浮かべて
「食べ過ぎたら、駄目だよ。たくさん食べた分は、お腹に贅肉として付くんだ。
ディスもみたことは無いかな。お腹が大きく出たおじさん。」
- 131 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 01:55:10 ID:SSMHlh/20
- >>129
「ははは、育ち盛りってのは多めに食っとくもんじゃぜ。
子供は多少ふくよかなほうが可愛げがあるというものさねえ。」
アイリスとは逆のことを言って見せるボロッブは、
自分の分の料理を平らげ、爪楊枝で歯をすき始める。
>>130
「ほいさ、では近日中にお届けにあがりまさあ。
なんせ、量が多いもんで梱包にも手間取る始末でして。」
――ぱら、ぱら
アイリスのために入荷した製品はどれもこれも、値の張るものばかり。
例えば、人気の魔道具工房の特注品のティーカップ。これは通常なら3年の予約が
必要な最上級の品だし、カーテンは新進気鋭のデザイナーが仕上げた、
魔力を遮蔽するだけでなくプラネタリウムのように映像を投影したり、光源の透過量をも調整できる一品だ。
「これ以外にも、新商品が入荷してますから
カタログに気に入った物がありゃア、何でもおっしゃってください。」
- 132 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 01:58:28 ID:WVrfsEdY0
- >>130
「あうー、はやくおっきくなりたいから…
その。まなーきおつけないとなの〜」
【そう言って大きく頷いた。でも身長はいつもどおり】
「そうなんだなの…いっぱいたべるのそのせいかなの〜」
【納得したように大きく頷いた】
「みたことあるかなの…
あうー、そうなるのは…ちょっとやかなの…」
【どうやら少し体型をきにしているようだ。だが外見的にはどこも太くなってはいない。】
>>131
「む、むーん…いっぱいたべたほうがいいのかなの?
うーん…」
【手を止めて、ディスは悩み始める】
「どっちがいいのかなの〜…」
【頭を抱えて考えていると】
「うー、かんがえたらよけいにたべたくなってきたの…」
【そう言ってため息をついた】
- 133 :アイリス:2012/02/26(日) 02:24:12 ID:do5XJmGE0
- >>131
「そうだね、前に紹介してくれた、言語が分かるモノクルと、魔術関連の古書を150冊程、古今東西のお伽噺を集めた本も70冊程欲しいね。
古書は古ければ古いほど、難解なものがいいね。言語は特に拘りは無いけれど、辞書があれば尚更いいね。」
カタログをヒラヒラとめくり。
いくつか目に付く商品があった。
カテゴリは魔道具、分類は学習。クラテスッソ。
形はプロジェクターに近く、投影された文字を自動的に紙に書き記すもの。
自動書記の機能が付いたタイプのものだ。
「コレを一台だね。ある程度は君に頼んでいるからね。
必要なものがあれば、その都度君に連絡を取るよ。君はいつも良い物を僕に提供してくれるからね」
アイリスは笑みをボロップに向けた。
それはおもちゃを見つけた子供のようで。様々な物が大きく取り上げられたページを興味深そうに読んで。
時折見かける、誰得な商品を見て、クスリと笑みを浮かべてみたり。
「その代わりとはいっては何だけど、コレを受け取ってくれるかな。
今度、僕の別荘が出来るからね。」
差し出したのは折りたたまれた招待状。白を基調として、金のラインが走っており。
最大の特徴は手触り。触れたところが、適度に指に引っかかりつつも、サラサラとした手触り。
勿論、紙質も良ければ筆の滑りも良く。
手触りだけで世間に出回る高級品の紙より更に上を行くものだ。
宛先にボロップの名をアイリス直々に書き、差出人に自分の名前を書いて。
>>132
「マナーは物知りの人に教えてもらうと良い。ただ、ボロップのいうことも一理あるよ。
君はまだまだ幼いのだから、少し位太っても平気なのかもしれないね。」
カウンターに置いた、コーヒーのカップの中身を飲んで。
愛嬌と言えば、自分の姪っ子には勝てないだろう、と内心思い。
将来は親ばかになりそうなアイリスであった。
- 134 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 02:44:48 ID:SSMHlh/20
- >>132
「なはは、まあいろいろだな。
そーいうことで悩むのも若者の役得……か?」
苦笑しながら、食器を厨房へと戻す。
そのついでに、二杯目のコーヒーも淹れて。
「まー、さすがにこりゃあ食べ過ぎかねえ。」
>>133
「魔術書でございますか、かしこまりました。
魔術関連商品はうちの得意商品でありますからご期待ください。
今すぐにでもご用意できますぞ。」
同時に、アイリスが目をつけたそれを見るなり『お目が高い』と唸った。
「新しい製品もあるのですが、これを越える製品は中々……。
既に在庫も少なくなっておりますから、お勧めの商品でございます。
っとと、これは……?」
受け取った招待状を眺めてみたり。
上等な物である事は分かるが、自分はこういう『上流階級』に
そぐわないという事くらい分かっている。どこに招待しようと言うのか。
- 135 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 02:50:40 ID:WVrfsEdY0
- >>133
「あうー…そっかなの…
まなーは『ろざりあ』からきいたらいいかなの…」
【もうすでにスパゲッティが半分以上なくなっている】
「そっかなの〜。はやくせがたかくなったり、もっとおおきくなりたいなの〜…
でもぜんぜんかわんないみたいなの…」
【不思議そうな顔で言う。ディスの体は何故か細いままである。】
>>134
「うーん…もうちょっとへらすほうがいいかなの…」
【流石にディスはそれ以上注文するつもりはないようだ】
「…なんだかがまんできなくなるときがあるみたいなの…
きょうはそうだったのかもしれないの…いっぱいたべたくてなの。」
【そう言って悩む顔になった】
- 136 :アイリス:2012/02/26(日) 03:01:24 ID:do5XJmGE0
- >>134
「分かった。頼んでおいた分と一緒に持って来られるようなら持ってきてくれると助かるね。
魔導書とクラテスッソの在庫を僕に回して欲しいものだよ。」
パラパラとカタログを捲る手は止まり。
「見ての通り、招待状だね。
ボロップ。君が用意した商品がどのように使われて、見た人がどんな顔をするか、興味は無いのかな。
というのは建前でね。」
微笑んで見せて。
ある意味、商人としての腕が周囲にどのように見えるかをボロップ自身で確かめて欲しいのもある。
だが、本音は……
「本音を言うとね、君に紹介したい人がいるんだ。僕の身内ではあるのだけれど、ね。」
そう、アイリスはボロップに新しい商売相手を紹介しようと申し出てきた。
短期間で最上級の物を揃えて見せた手腕を発揮して欲しいのだろう。
>>135
「…ははっ、君は随分たくさん食べるのだね。
そんな小さな体のどこに入るのだろうね。」
思わず苦笑を浮かべてしまう程、ディスの食事量は凄まじい。
あっという間に無くなっていくスパゲッティの大皿。
「…ああ、彼女にも必要だね。ディス、コレをロザリアに渡してくれないかな?」
見かけは上等な紙。
招待状だろうか、差出人にアイリスの名、相手はロザリアとなっている。
- 137 :欠け耳のボロッブ:2012/02/26(日) 03:10:34 ID:SSMHlh/20
- >>135
「まあ、どうしても食べる量を減らしたいっていうなら、
そういう美容系の魔術もあるっちゃああるが……。
ありゃああまり、よくないんだよな。」
美容と言う分野も、魔術によって進歩している。
しかし、食べる量を減らすというのはどうにも不健康だ。
>>136
「ははあ、なるほどなるほど。
まあ、大体の予測は付きまさあな。」
ボロッブは恐らく、新しい別荘か何かを作るのだろうと踏んでいる。
その落成パーティーでもやるのだろう、と。
そういった場は苦手だが、一度くらい顔も出してみるのもいい。
「紹介したい人物、ですかい。
ふうむ……っとと、すいませんなあ。そろそろいかんと。
少々、はなしこみすぎた……。」
アイリスの話に興味を示したが、何か用事があったのか
ボロッブは急いで荷物を纏めるとそのまま店を飛び出していった。
// ごめんよ、そろそろ寝るん
- 138 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 03:16:21 ID:WVrfsEdY0
- >>136
「よくわかんないなの!
たぶん、どこかかなの〜」
【お腹を軽く叩いて答える】
「んう?これはなんなのかなの?
なんだかおなまえかいてあるけどなの…」
【受け取った招待状?をジロジロ見ながら首をかしげた】
>>137
「あうー、いろいろあるなの〜。
…でもそういうむずかしいのは…よくないのかなの?」
【よくわからなそうに答える】
「あうーまたあおうねなの〜!」
【飛び出すのを見て、大きく手を振って見送っていった】
//おやすみなさーい
- 139 :アイリス:2012/02/26(日) 03:20:31 ID:do5XJmGE0
- >>137
「ああ、注文の品、お願いするよ。
入場そのものは招待状を見せれば良いだけだからね…行ってしまったか。」
アイリスはコーヒーカップの中身を飲み干して、フッと笑みを浮かべて。
恐らく、次に会うのはあの城で設備の設置の時だろう。
>>138
「招待状だね。
ロザリアに会って渡してくれたら良いよ。僕からだっていってね。」
アイリスは立ち上がり、コートに袖を通し。
「僕もそろそろ行くとするよ。ディスも余り遅くならないようにね。」
ディスの頭を優しく撫でて、AGカフェを出ていく。
/そろそろおちー
- 140 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/26(日) 03:24:05 ID:WVrfsEdY0
- >>139
「あう、わかったのー。
かならずわたすねなの!」
【そう言って頷くと】
「あうあう、おそくならないよにきおつけるなの!
またねなの〜!」
【大きく手を振って見送った】
【……しばらくディスはスパゲッティを食べていたらしい。】
//おつかれさま
- 141 :?:2012/02/27(月) 00:00:33 ID:dL8H4NjE0
- ここは異脳都市のとある大通り、
夜もふけてきた大通りに、少し大きな人だかりができていた。
その中心にいるのは一人の少女、桃色のショートヘアーに白と黒の服を着ているその少女が何をしているかというと……
「はい、じゃあ皆さん何のカードか確認しましたか?私に見えないようにしてくださいね」
手品だった。
能力者が多いこの都市では逆にこういったものが珍しいのか、皆興味津々といった様子で少女の手品を見ている。
「じゃあこのカードの束から、皆さんが選んだカードを当てたいと思います」
「カードをシャッフルして、そして……」
少女はカードの束を下から弾く。
すると、一枚のカードが上に飛び、それを少女がしっかりとキャッチ。
「皆さんが選んだカードはこれで間違いないですね?」
どうやら当たりだったらしく、驚きと興奮が入り混じった声が上がる。
少女は小さく一礼し、
「ありがとうございます、じゃあ次は……」
手品ショーはまだまだ続くようだ。
- 142 :欠け耳のボロッブ:2012/02/27(月) 00:13:09 ID:SSMHlh/20
- >>141
「大道芸人はよく見るが、大抵魔術やら異能持ちだからなあ。
一周回ってこういうのは珍しいもんだぁ。」
その物珍しさに惹かれたのは、何も人だけではない。
人ごみの後ろ、壁際に置かれたブリキのゴミ箱の上に乗りマジックを見学する、
大きなリュックサックを背負った小鬼の姿があった。
彼も他の観客と同じように、笑ったり感心したり、
時には口笛を吹いて少女のマジックに見入っている。
- 143 :?:2012/02/27(月) 00:22:37 ID:dL8H4NjE0
- >>142
「さて、次の手品ですがすこし協力者を募ろうと思います」
少女は観客を見回しながら適人がいないか探す。
そして、
「おや、人じゃない観客とは珍しい、ちょっと手伝ってもらえますか」
ボロッブを見つけ、そう呼びかけた。
「やってもらうことは簡単です、このバラバラに並んだカードを元に戻したいんです」
「あなたにはそのサポートをしてもらいたいんですが……いいですか?」
- 144 :欠け耳のボロッブ:2012/02/27(月) 00:39:44 ID:SSMHlh/20
- >>143
「おおっ、このあっしかい!
へえへえ、ごめんなさいよごめんなさいよ。」
人ごみの後ろに居た小鬼は、それを掻き分けて少女の前へ。
行商人か何かのようで、例の巨大なリュックの所々からはみ出す
値札の付いた物品が印象的だ。
「へえ、サポートかい。
よかよか、やってみようじゃないか。」
にい、と黄色いはを見せて笑う。
姿こそ小汚いが、なかなか気さくなようで助手程度は十分に務まるだろう。
- 145 :?:2012/02/27(月) 01:02:22 ID:dL8H4NjE0
- >>144
「ありがとうございます」
少女はにっこりと笑いながら、ボロッブにカードを半分渡す。
「今そこにはハートとダイヤだけがバラバラに並んで入ってます。
「そして私の方にはスペード、クラブ、ジョーカーが2枚同じくバラバラに入ってます」
「それをさらに半分にして、交換する。そしてそれを束ねてシャッフルするっていうのを私がいいと言うまで続けます」
ボロッブにやり方を覚えたか確認をとり、手品が始まる。
カードをさらに半分にし、受け取り、シャッフル。これを少女とボロッブは繰り返す。
「はい、いいですよ。じゃあそのカードの束をこちらにください」
少女はカードを受け取り、最後に一人で先ほどと同じ工程を繰り返す。
「はい、これで並び替えが終わりました」
少女の言葉に、周囲はどよめく。
それもそのはず、少女たちがやったのはとても並び替えといえるものではないのだから。
観客たちからはいくらか疑問の声が上がった。
「驚くのも無理はありません。しかし百聞は一見に如かずと言います、実際に見てもらえれば分かるでしょう」
少女が束を裏返し、それを広げる。
そこには、バラバラに並んだカードではなく、新品同様1からジョーカーまでしっかりと並んだカードだった。
再び観客から歓声が上がり、少女は一礼。
そしてボロッブに顔をむけ、
「あなたもありがとうございました」
恭しく一礼した。
- 146 :欠け耳のボロッブ:2012/02/27(月) 01:15:30 ID:SSMHlh/20
- >>145
「いやはやどうもどうも。
っとと、いやあこちらこそ楽しい時間をありがとう。」
観客から投げかけられる歓声に手を振ってこたえていた小鬼は、
少女に一礼され、恥ずかしげにぼりぼりと頬をかいた。
「いやあ、しかしマジックか。
自分も『マジックアイテム』の行商人だったがこういうのは予想外だったい。
しかしどうなっとるんかねえ……。」
綺麗に並んだトランプに唸る小鬼。
魔術とは違う、なにかがそこにはあった。
- 147 :?:2012/02/27(月) 01:29:17 ID:dL8H4NjE0
- >>146
「種も仕掛けもございません」
飄々とした態度で少女は言う。
手品師にとって種明かしはタブーだ、そう簡単には教えてくれないだろう。
「では、これにて今日は終了させていただきます、ありがとうございました」
言って、一礼。
観客は少女達にもう一度拍手を送り、一人また一人と去っていった。
「いやー疲れた、滅多にやるもんじゃないねこういうのは
手品ショーが終わった途端、少女は深い溜息をつく。
そして一つ伸びをして、体の中の疲れを吐き出すと、
「ありがとね、手伝ってくれて」
「それにしても『マジックアイテム』、か……何か面白そうなのある?」
背中の大きなリュックに興味津々といった様子で聞き始める。
先ほどはショーの途中だったとはいえ、この豹変っぷりは少し驚くかもしれない。
- 148 :欠け耳のボロッブ:2012/02/27(月) 01:37:45 ID:SSMHlh/20
- >>147
「こう見えても一時期、市民劇団にはいっとったから慣れとるんさな。
まー3日でやめてしもうたが。」
少女の何かあるか、という言葉に答えるように、
既に小鬼の手にはタロットカード一式が握られていた。
物を出すそぶりなど無かったため、マジックでも使ったように見えるだろう。
「なはは、こちとら物を売り込む気もあってなあ。
ほい、エルフィナマジックカンパニー製のタロットカード。
詳しくはこいつを見てくれい。」
そのタロットの説明書と思しき薄い冊子を、差し出す。
なんでもこの製品は魔力を流してやると、図柄が中に浮かび上がるのだとか。
関連商品としてトランプ版もあると書いてある。
「手品を派手にするためのマジックアイテムさね。
図柄が浮かぶだけで、あとはふつーのものと変わらんが。」
- 149 :?:2012/02/27(月) 01:46:06 ID:dL8H4NjE0
- >>148
「すまん、微妙だ」
「何かねー、手品に本当の『マジック』を持ち込むのは性に会わないんだよ」
手品に関しては妙なこだわりを持っているようだ。
「むー……まあいいや、不定期だけどまたやるときは見に来いよー」
少女はもうひとつ伸びをして、その場から立ち去ろうとする……が、
ふと思い出したように立ち止り、
「ついでに聞きたいんだけど、この近辺にホテルとかない?今日来たばっかだから良くわかんないんだよねー」
どうやら泊まるアテなど何もなしにあんなことをやっていたらしい。
しかし少女にとっては寝る場所などどうでもいいのか、本当についでといった感じで聞いている。
- 150 :欠け耳のボロッブ:2012/02/27(月) 01:55:57 ID:SSMHlh/20
- >>149
「ありゃー他にも魔導式イカサマダイスとか色々あるんだが……。
まあいいか、ええとホテルだな……。」
ボロッブも夜中まで商談が長引いた時やテロで厳戒状態の時などは
よくホテルを利用していたため、案内する程度はできる。
「ちょうどここから1ブロックほどまっすぐ言った先に
バス停があるから、そこでバスに乗って中心区画まで行けば宿は選び放題だよ。
もうちっとリーズナブルな施設がお好みなら、この近くに『とまり木亭』とか言う
冒険者向けの宿があったはずだがね。」
- 151 :?:2012/02/27(月) 02:04:31 ID:dL8H4NjE0
- >>150
「ん、分かった」
少女はボロッブに礼を言うと、そのバス停に向かう。
「そんじゃまたなー」
後ろを向きながら手を振り、別れを告げる。
- 152 :欠け耳のボロッブ:2012/02/27(月) 02:07:47 ID:SSMHlh/20
- >>151
「おうよー。」
こちらも軽く手をふり、反対方向へ歩き出す。
(……ありゃ、名刺を渡しときゃあよかったなあ。
まぁ、世界は狭いんだ、また会うこともあらあな。)
- 153 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/27(月) 21:42:58 ID:7gFzKdaU0
- 「むぅ、どうにもこの頃の地上は乱れていてイカンな、ほれ、さっさと家に帰らんか。
貴様らとてまだ帰れば親が居る身だろうに。心配を掛けている自覚が有るならばさっさとだなぁ……」
そんな風に、説教をしながら、繁華街の路地裏を歩く一つの影が有る。
説教は真摯な色を含んでおり、親身に言い聞かせている雰囲気を持っている。
そんな説教を投げ放ちながら、周囲を見回して、誰もいなくなったのを確認すると、ため息。
「……やれやれ、腹が減ったな。幾ら誇り高きと言えど、堕落した身。
食や色の欲には逆らえんという事か――――」
大真面目な顔をして、ふりふり、と何かを振る動き。
チカチカと不規則に点滅する街灯が、その影の姿を明るみにさらけ出していた。
そこに居たのは、一人の悪魔である。そう、悪魔なのだ。
但し、その姿は細身の黒いスーツを着て、純白の翼と角と尻尾を生やしているという物。
髪留めで一本にまとめられて下げられている長い白髪は、膝の辺りまでの長さを持つ。
そんな、天使よりも尚純粋そうな、清純そうな悪魔が、路地裏で一人佇んでいたのだった。
ごそごそと、そんな悪魔がポケットを漁る。
取り出したのは――――、一本のチョコバー。
それの外装を開けて、大口を開けて齧り、咀嚼。口の中に甘ったるいチョコレートの味が満ちていく。
「ん〜〜〜〜! やはり、天界の果物だけだと味気ないな。
此れはやはり欲望を知る人間にしか生み出せぬ味……! うう、美味しいけど太るな……、一本でやめるべきか……!」
チョコバーをかじりながら、暢気にそんなことを言う悪魔の姿は、外見の鋭さの奥の少女らしさを表に出しているのだった。
- 154 :?:2012/02/27(月) 22:06:07 ID:dL8H4NjE0
- >>153
その路地裏を少し抜け、人がまばらに存在する通りで、一人の少女がベンチに座っていた。
左手には不気味な笑顔が刻まれたピエロの仮面、それをぼんやりと眺めている。
無表情、無感情、無関心。仮面を眺めているはずなのに何も映していないその瞳からは、そんな印象を受ける。
「…………××」
聞き取れない程小さい声で、少女はここにいない誰かを呼ぶ。
しかしその呼び掛けに答える人物がいるはずもなく、少女はゆっくりと視線を上にあげる。
「…………?」
ふと、誰かの声が路地裏から聞こえて、それをきっかけに少女の瞳に感情が戻る。
パチンと指を鳴らし、仮面をトランプのジョーカーに戻して、少女は路地裏を覗き込む。
黒いスーツ、純白の翼、角、尻尾。
天使だろうかと勘違いした少女は、その女性……リリシアに接近する。
「美味しいよね、それ」
特に当たり障りのない話題で話しかける。
- 155 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/27(月) 22:12:37 ID:7gFzKdaU0
- >>154
「――――む、なんだ、欲しいのか?」
白い翼、しかしながら羽は生えず、コウモリのような形のそれ――――を翻しながら、悪魔は振り返る。
振り返った瞬間には、その手に既にもう一本のチョコバーが握られ、差し出されていた。
角は大きく、尻尾はチョコレートを食べて上機嫌なのか大きく振られている。
「……むむ、人間、でいいのだろうか、貴様は。どうもこの都市には――――変わった存在が多くてな、すまん。
――――人生、楽しんでいるか?人間よ。限り有る人生、楽しまない等勿体無くて仕方が無いことだ。
そのような死んだ目をしていると、どんどん幸せや良い事が逃げていくからな、悩みが有れば相談してみるといい――――ほら、教会とかで」
妙にお人よしというか、まるでシスターか何かの様に献身的に接してくる悪魔。
もとより人に惚れ、人が為に天から飛び出した悪魔の一族である少女は、人に対する愛が深い。
妙なおせっかいを焼いてしまうのも仕方がない事だったのかも知れない。
- 156 :月夜:2012/02/27(月) 22:25:54 ID:dL8H4NjE0
- >>155
「いや、いらない」
さっき軽食を食べたばかりだったので、少女の腹にアイスが入るスペースはなかった。
「まあ人間だね、至って普通の」
信じてもらえないであろう事を当然のように言う。
元から騙すつもりもないのか、少女の言葉はどこか芝居がかっている。
「死んだ目なんてとんでもない、生憎と楽しすぎて仕方がない人生を過ごしてますよ」
「まあそんな訳だから、神様とかに頼ったりすることはないだろうね」
女神を連想させるような微笑みを浮かべ、言う。
しかし敏感な者なら気づくだろう、少女の目が、全く笑っていないことに。
- 157 :?:2012/02/27(月) 22:27:50 ID:dL8H4NjE0
- //名前が……
- 158 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/27(月) 22:32:04 ID:7gFzKdaU0
- >>156
「……む、そうか。遠慮はいらないからな?」
そう言って、差し出した当人がしゅんとしながらチョコバーをしまい込んだ。
ちなみにアイスではなく、普通のチョコバーだ。
「――――むぅ、そのようだな」
銀色の双眸を、細めて。ゴソゴソと取り出した眼鏡を掛けて、じぃ、と相手を見据える。
その間もゆっくりと尻尾を振っているが、どうやら癖のようだ。
「……という割には、貴様からは生気という物が感じられん。
今の笑みもそうだ、薄っぺらい奥には、本物が存在しない」
悪魔として、堕落を知った身だからこそ、天使や神などより人の事には近しい身だ。
故にこそ、分かる。その笑みは、虚構であると。
- 159 :?:2012/02/27(月) 22:44:41 ID:dL8H4NjE0
- >>158
「生憎とお腹いっぱいなんだ」
遠慮している様子はない。本当にいらないのだろう。
「生気?いやいや生きてる人間から生気が感じられないってことはないでしょ」
有り得ない有り得ない、と少女は言う。
あくまで認める気はないようだ。
「あー……気を悪くさせたなら謝るよ、昔から何にでも愛想笑いしちゃう癖があるんだよね、私」
「もしかしたら生気とやらが感じられないのもそのせいじゃない?」
笑顔をやめ、少し真剣な表情になる。
これでどうだ、とでも言いたげだが、その瞳に映る感情は変わらない。
その色は、あまりにも透明で。何も映してはいなかった。
- 160 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/27(月) 22:53:29 ID:7gFzKdaU0
- >>159
相手の言葉に、返答を返すことはなく、銀色の双眸は、ただ真摯に相手を見据えるだけ。
真剣な表情の奥にあるのは、変わらぬ透明色。それを見て、悲しそうな表情を浮かべる。
哀しみであろうが、喜びであろうが、感情の動きが無いよりは、有る方が良い。停滞は何も産まないと悪魔は思う。
だからこそ、そのあり方は中々認められるものではなかったのだが――――嘆息。
「――――どうやら、貴様の業は思ったよりも、深いか。
出来る限り、私は人間に幸せであって欲しいと思うのだが――――、どうやら、今はその時では無さそうだ」
くるり、と後ろを向いて、歩みを進めていく。
白髪を揺らし、尻尾をだらりと下げてふるふると振るわせて。
「リリシア=エンティオテュユフルだ――――覚えておくがいい、何か有れば教会にでも来れば力になってやる。何処の教会でも構わんからな」
そう言い残すと、おせっかいな悪魔は歩き去っていくのだった。
- 161 :?:2012/02/27(月) 23:02:05 ID:dL8H4NjE0
- >>160
「深いも何もないですー!私は至って普通ですー!」
駄々をこねるように、怒ったように、しかしその瞳は何も映さないまま。
少女はあくまで認めない。遠回しにひたすら自分の無感情さを否定する。
「リリシア=エンティオテュユフルね、多分覚えた!そんじゃあまた!」
リリシアが遠ざかっていくのを見て、少女は一つ溜め息をつき、そして一言。
ほんの少しだけ見せた、彼女の本心。
「……できれば、もう二度と会いたくないよ、見たくもない」
- 162 :名も無き異能都市住民:2012/02/28(火) 00:57:23 ID:do5XJmGE0
- アイリス付きのメイドは神羽荘に辿り着いた。
手には手紙だろうか、2つほど持っている。
一つは招待状、近いうちに開催される落成式のもの。勿論出席は自由である。
もう一つはこの204号室の正式な住人となるか、という内容。
アイリスが出ていき、巴がその代わりに住人にならないか、ということだ。
メイドは204号室の前に立ち、解錠し部屋の中へ。
部屋の中央に置かれたテーブルに、二枚の書状を置けば、再び出ていく。
今現在居候という形で滞在する巴が直ぐに気付くようにと。
一度出ていったメイドだが、もう一度部屋に入り、簡単な掃除をして、30分ほどしてから再び出ていった。
- 163 :早瀬川巴:2012/02/28(火) 01:21:02 ID:qMEQXFFk0
- >>162
「らんららる〜ん♪」
それから一時間の後、鼻歌交じりの軽快なステップを踏みながら、巴が204号室へと帰ってきた。
制服の右の袖に返り血らしい赤いシミが付着していたが、それ以外に汚れている箇所はなく、傷もまた、ない。
彼女の鼻歌の理由は、その返り血が知っている。
彼女はたびたびヴァンパイアハンターギルドのギルド員に命を狙われてきたが、今日戦ったギルド員が、
命惜しさに提示した情報が彼女の機嫌を大いに盛り上げたのである。
それは、彼女を狙うギルドの本部、その場所についての情報であった。
「いい加減、片を付けたいと思っていたのですよ。
一匹叩いては三匹出てくるような、お台所に出るアレみたいな人たちでしたから、正直うんざりだったのです。
でも、これでお終いになりますね。何て言ったって、巣を直接叩くんですから」
そのギルド員は命を長らえたか?
とんでもない。命を狙ってきた相手には、どんな事情があろうと容赦はしない。
早瀬川巴という吸血鬼は、そういう吸血鬼である。
「とはいえ、聖魔剣もいまいちしっくり来ない感じですし、もうちょっと慣らし運転が必要でしょうかね。
さて、久方ぶりの棺……ってあれ? これは何でしょうか?」
棺で眠りに就こうとした巴だったが、その上に置いてある二通の手紙に気がつき、それらを手に取る。
「ふんふん……ほうほう、お城、ですか。いつのまにそんなものを建てたのでしょうか。相変わらずアイリスさんは謎めいてます。
式には一応顔を出しておくとして、こっちは………………え、私をここに住人に?
どういうことなんでしょう……? アイリスさんがお城に引っ越すって事なんでしょうか?」
「う〜ん」と唸って、巴は腕を組み首を傾げた。
こればっかりは、本人に会って確かめる他無いだろう。
- 164 :アイリス:2012/02/28(火) 01:46:41 ID:do5XJmGE0
- 【都市内のホテル】
最上階に泊まっているアイリス。
城について細々したことを考えていく内に夜も更けてきた。
巴は例の手紙を読んだだろうか。
彼女は既に修羅場をくぐり抜けているようだ。
誰の力も借りずに、たった独りで。
部屋に火種を持ち込んだ様子もない。きっちり処理できているのだろう。
それを知ってからか、そろそろ独立しても大丈夫だろう、と踏んで話を持ちかけてみた。
少しとは言え、住んだ部屋だ。今更新しい部屋を探すところから始めるのも骨だろう。
それに、自分という前例を作った以上、吸血鬼が住まうこと事態に異議は出ないはず。
「まぁ、彼女の判断次第だね。行き来しても良いし、移っても良い。
会う機会があれば聞いてみるのも一興だ。」
そうしてアイリスは闇の蚊帳が降りた街に向かった。
目指すは公衆電話。
- 165 :早瀬川巴:2012/02/28(火) 02:04:43 ID:qMEQXFFk0
- >>164
「アイリスさん」
ちょうどアイリスが電話ボックスに到着したのを見計らったように、
ホテルの裏側へと通じる路地から巴が出てくる。
電話ボックスの上には一匹の蝙蝠が留まっていたが、吸血鬼に類する者ならば、
それが「使い魔の蝙蝠(サーヴァントフライヤー)」であることが解るだろう。
巴がその蝙蝠に一瞥をやると、サッと蝙蝠はどこかへと飛んで行ってしまった。
「アイリスさんの匂いを辿ってここを突き止めて、着いたのは結構前なんですけど、
ちょっと今日は一悶着あって、あんまり人の目には触れたくなかったのです。
……使い魔に監視させていたのがご無礼でしたら、謝ります」
街ゆく人々の血を少しずつ吸い、敵の血を絶命するほどに吸って、
徐々に存在の「濃さ」を大きくしつつある早瀬川巴という吸血鬼は、力ばかりが増していっていて、
そのあたりの、「夜種の流儀」とでも言うべきマナーを知らなかった。
これはそれを知っている故の恐縮であった。
- 166 :アイリス:2012/02/28(火) 02:18:05 ID:do5XJmGE0
- >>165
「何かな?」
幼少の頃から監視は慣れている。
それよりも、使い魔を出せるようになっていた巴の成長が何故か嬉しかった。
自らの心情の変化を頭の隅に置き、振り返り、笑みで巴を出迎えた。
「謝罪は必要ないよ。慣れているからね。大方、食事か露払いが終わった後なんだろう?それにしても、君は目立つね。」
自分は殆ど襲われない。
襲われたことなど片手で数えるほどしか無いのだ。
「それにしても、成長したね、巴。」
少しの間会わなかったのか功を奏したのか、アイリスは巴の変化に気づいて。
- 167 :早瀬川巴:2012/02/28(火) 02:35:25 ID:qMEQXFFk0
- >>166
「そうなのですか。そう言っていただけるとありがたいのです」
ホッと安堵の息をつく。
「ええ、その通りです。つい二時間くらい前に、ハンターを始末しました。
きっと今頃、ギルドは血眼で私を捜しているはずなのです。
あの人たちはよっぽど、生き血しか飲めない私を嫌っているようでして。
この場合、目立っているのではなくて、つけ狙われている、と言うのが正しいのです。
集団によるストーカー被害みたいなものですね」
だから、件のギルドはアイリスのような吸血鬼を、積極的には襲わないのである。
今生きている人々を襲い、生き血を吸わなければ生きていけない巴のような吸血鬼よりかは、
日々の糧が輸血パックや食物でどうにかなる吸血鬼がまだマシ、という認識だ。
「吸血鬼として成長するというのは、それだけ人間から離れていく、ってことでもあるんですよね。
あ、いえ、それを嫌だと思うことは無いのです。こうして自分の身を、更に強力に守れるということですから。
そうですね、喪失感と言うか……まあ、ちょっとしたノスタルジーなのです。
それより、アイリスさん。これはどういうことなのですか? いきなりのことで、少し混乱しているのですけど……」
そう言ってポケットから巴が取り出したのは、アイリスのメイドが置いていった二通の手紙。
- 168 :アイリス:2012/02/28(火) 02:56:25 ID:do5XJmGE0
- >>167
「生き血しか飲めないのも難儀なものだね。
彼らもヴァンパイアハンターとしての建前があるから動かざるを得ない。
ただ、少しソレは面倒だね。レディーに付き纏うなんて紳士とは言えないね。」
アイリスは目を細めて。何かを考え結論を出したのか。
――もし、巴が助けを求めるのなら助ける。だが助けを求めない限り、手を下さない。
巴は敵には容赦はしない。
それが組織であっても。だが吸血鬼とは相手は銀の武装を固めるハンター達だ。
精神的に参る可能性も加味して、下駄に下駄を重ねて多めに見積もった上で一割を切る程度の確率だろう。
「……、」
助力が必要なら言ってくれ。
グッとその言葉を飲み込んで。
「ああ、そのことか。
もうすぐ、城が出来るんだけどね、一応僕が城主になっているから部屋を引き払って移り住もうと思っていてね。
少しとはいえ、君も寝た場所だ。今から新しく探すより今の部屋に住めば手間が省けるだろう?そう思ってね。」
アイリスは笑みを浮かべて、巴に向かって足を進める。
「勿論、選択は巴自身に任せるよ。
巴が住むなら家財道具一式は引き上げる。だけど君が嫌というのなら引き払わないよ。」
簡単な選択だ。
住処を取るか取らないか。
例え巴がどちらを選択しようとも、アイリスが異性である巴の生活スペースに入ってくる頻度は極端に少なるなるだろう。
- 169 :早瀬川巴:2012/02/28(火) 03:15:20 ID:qMEQXFFk0
- >>168
「そうですね、難しいものです。
……ただ、生き血しか吸えないのにも、メリットはあるのですよ。
例えば、その人の技能をそのまま習得する、といったメリットです。
吸った割合にもよるのですけど、異能持ちならば、その異能を私の能力として使うこともできるのです。
例えば――――」
巴はおもむろに、右の掌を胸の高さにまで上げる。
そして次の瞬間、巴の右腕に青白く激しい雷光が走り、すぐに収まった。
「こんなふうに、雷撃の力を持つ人の血を吸えば、私も雷撃を扱えるようになります。
これは始末したハンターが持っていた能力で、血を全部吸ったのでそのままの威力で扱えますが、
普段の食事のような、ちょっと吸った程度では、せいぜいがその能力を知るくらいですね」
これは生き血しか吸えない、不死者としての吸血鬼の特権と言えた。
だからだろう。彼女がアイリスなどの知人の能力者に、ハンターの件で助けを求めないのは。
巴は未だ、吸血鬼としては下っ端も良いところである。少なくとも、巴はそう思っている。
そんな彼女が、この先も「息災に生き続ける」ためには、何にもまして力が必要だ。
命を守り、命を喰らって力とする。巴にとって、この戦いは二重の意味で生き残るためのものであった。
「はー……アイリスさん、お城の城主さんになるのですか?なるほど、それで……。
はい、納得です。でも、あそこはアパートである以上、家賃が発生しますよね?
私、食い扶持はともかく、お金を稼ぐ手段を持っていないので、あそこに住み続けるのは難しいんじゃないかと……」
- 170 :アイリス:2012/02/28(火) 03:33:32 ID:do5XJmGE0
- >>169
「へぇ…面白いね。
なるほど、道理で君が助けを求めないわけだ。
血も能力も取り分が減ってしまうのは、君にとって好ましくないこと、か。」
なら、良い。
血を得るだけで食い扶持は稼げ、おまけに能力が付いてくることもある。
適度に泳がせれば能力の収集が出来るのだろう。
「少し興味が湧いてきた。僕でも出来るか、今度捕まえてみて試してみることにしよう。」
フォン・ルズィフィールの血統上、それは不可能なのだが、アイリスが知るすべはない。
眷属を作るだけでも難しい条件を幾つもクリアしなければならないという条件がある。
「お金を稼ぐ手段、か…。僕の城には一応宿泊出来るような造りにしているけれど、巴は嫌だろう?
お金を稼ぐ手段としてはゴマンとあるけれど、賞金首を狩る、なんてものからギルドで稼ぐ、毛色が違うもので暗黒地下街で稼ぐ、位だね。思いつくのは。」
吸血鬼が真っ当な仕事はできないだろう。
コンビニでバイトをするにも、日避けをするだけで一苦労だ。雨の日は目も当てられない。
- 171 :早瀬川巴:2012/02/28(火) 03:58:02 ID:qMEQXFFk0
- >>170
「自分の面倒に他の人を巻き込みたくないっていうのも、ありますけどね。
まあ、そんなこんなで、色々事情が絡んでいるので、この件に関しては私一人で処理することにするのです。
大丈夫なのです。銀の武器程度なら、私にとっては脅威ではありませんし」
そう言って得意げに胸を張る巴。
銀の武器が、その物質的武器としての力以上に巴に通じないことも、彼女の強気に繋がっていた。
「そうですね……そこまでご厄介になるわけにもいきませんしね。
賞金首、ギルド、暗黒街…………ふふっ、いかがわしい響きばっかりなのです。
それでも、少し光明が見えた気がします。少し、猶予をもらえませんか。
ハンターギルドの件が片付いたら、そういう方向を少し、模索してみますので」
腕を組んで思案顔の巴。
そこへ、どこからか蝙蝠が飛んできて、巴の肩に留まった。彼女の使い魔だ。
蝙蝠は巴に耳打ちするように顔を寄せ、巴はそれに応じるかのように相づちを返す。
そして、蝙蝠との対話を終えた巴は、おもむろに左腕を、遠くの路肩にいつの間にか停まっていた車に向ける。
「っ!」
巴の目が鋭く細められると同時に、左腕から雷光が疾走し、車に直撃。
雷に焼かれた車は激しい熱を持ち、燃料に引火させて爆発した。
巴のいきなりの凶行と、車の無惨な最期に、人々が集まったり逃げ出したりして、その場が騒然となり始める。
「ギルドがこの場所を嗅ぎつけたようです。残念ですが、お話はこれで。
次に会うのはいつになるかわかりませんが、もう少し落ち着いて話せると良いですね」
そう言い残し、巴は近くに建っていた、背の低めなビルの屋上に跳躍。
そのまま夜の町並みへと消えていった。
//ちょっと中途半端気味ですが、今回はこのくらいで。遅くまでお疲れ様でした。
- 172 :アイリス:2012/02/28(火) 04:06:25 ID:do5XJmGE0
- >>171
「そうだね、もし落ち着いたらAGカフェという所に行けばいいだろう。
そこでなら会えるだろう。」
アイリスは大抵そこで商人から物を購入して大金を動かしている。
疾走する雷光から爆発する車の一連の流れを見たアイリスは、大変だね、と溜息をついて。
そうして、騒然とする場のどさくさに紛れ、夜の街に消えていく。
ある程度離れ、公衆電話から“とあること”を異能都市公安局と観測局に垂れこむ。
「次に会うときはお互いに綺麗な服装で。またね、巴。」
- 173 :ヴァージニア:2012/02/28(火) 21:41:21 ID:ORr2rKxk0
- 夜の公園はやはり人気がなく静けさが満たしていた。
ベンチに座するは一人の少女。先日その精神を殺され、全く別の存在へとシフトし育ってしまった者だ。
以前までの彼女ならば、血液など好んで飲むわけではなかったが。
今では抵抗なくそれをこなすことができる。今現在も病院でくすねてきた血液を飲料水として飲んでいる。
彼女は別に人間の食料も食べることができるのだが、血液の方が消化によいという理由でこちらを選んでいる。
ただ、その病院から失敬した食料も底を尽きかけており…
「人間の食べ物は味が薄いから、どうしようか迷うね……」
- 174 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/28(火) 21:51:01 ID:7gFzKdaU0
- >>173
「――――む、人――――ではないな、この気配、夜族[ミディアン]の類か」
そんな、涼やかさの中に凛とした気配を纏わせる声が聞こえてくるだろう。
かつん。革靴が石畳を叩く音が響くと同時に、ざわりと周囲の空気が一瞬ざわめき、静まる。
夜の闇に有って尚、鮮やかな白が、ヴァージニアの目の前から近づいてきていた。
コウモリのような形の翼、エナメル質の尻尾、山羊を思わせる捻れた角。
それらの形質は、その存在が間違いなく悪魔であるということを如実に語るも、違和感が一つ。
その悪魔を構成する色覚の大半は、堕落の黒ではなく、静謐の白にて成されていたということだ。
膝くらいまでの長さを持つ髪も、当然のように白、もはや透明と見間違えても仕方がない物。
逆に、身に纏う地味な黒のスーツがその白い悪魔の異質さを如実に示していた。
「何か、困りごとでも有るのか?」
馴れ馴れしい様子で、お節介な悪魔は吸血鬼に近づき問いかける。
銀色の双眸は、悪魔だというのに善意一色に輝いており、どんな問題にも親身に対応してくれそうに見える。
今のところは、警戒も敵意も、何一つとして向けていないことが分かることだろう。
- 175 :ヴァージニア:2012/02/28(火) 22:05:12 ID:ORr2rKxk0
- >>174
「あなたも、そうね。……人じゃないんでしょ」
血の匂いに対し敏感である種であるから、人間かそうでないかの区別など造作もない。
そもそも、その姿形からも判断材料となりえる。コスプレですと言われたらどうしようもないが。
「困りごと。あるね。
私は吸血鬼だから、血が最も養分補給の役に立つの。
でも、血液って結構高いし。人を襲って奪うことも可能だけど、母がそれを許さない」
母とは、彼女の母体のことを指すのだろう。
人を襲い、血を奪うことはその存在によって禁じられている。
「だけど、私は母を護る為に力を得なければならない……
強い力が欲しい……」
- 176 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/28(火) 22:17:19 ID:7gFzKdaU0
- >>175
「当然だろうに、この姿で人だったらそれこそどうかしているというものだろう?
――見ての通り、私は悪魔さ。と言っても、多少複雑な存在ではあるがな」
尻尾をゆらりゆらりと動かしながら、悪魔は当然の様にそう言い放つ。
姿を隠蔽するつもりなど最初から無いかのように、偽りなき姿を晒す図は、悪魔らしく映らないことだろう。
「……母、ふむ。その母とは、貴様の血を吸った者か?
それとも、別の存在という事も考えられるが、少なくともある程度の良識は持っているようだな、好ましい」
腕を組んで、尻尾をだらりと下げてみたり、かと思えばぴんと立ててみたり。
静かな物腰と態度に反して、尻尾だけはせわしなく動き続けていた。翼は畳まれているためあまり動くことはない。
そして、ヴァージニアの口から漏れた、その〝願い〟を聞いて。
「――――ックク……、悪魔を前に願いを呟くのは少々無用心というものだぞ」
少し悪そうな顔をしつつも、その瞳には慈愛が映るだろう。
悪魔は人を愛したからこそ天から堕ちた存在も有るという。リリシアの家系はそのような悪魔の家系。
故に、リリシアの情は深く。吸血鬼だろうと、困っている者には手を貸してやりたかった。
「……しかしながらだ、悪魔に願いを聴かせるならば、ある程度の代償は必要でな。
そうだな――――私の血――――100mlに付き、一分。何か有れば私の頼みを聞く、という条件ならば、私の血を吸わせてやっても良い」
ぶちり、と歯で右手の親指の皮膚を食いちぎり、血をぽたりと落とすだろう。
同時に、周囲に芳醇な魔力の混ざった血の香り――――一種官能的ですら有るのは、悪魔がサキュバスに属するからだろう――――が、漂う事となる。
悪魔としては、かなり譲歩した条件。この条件を飲めば、血を飲むことができることだろう。
- 177 :ヴァージニア:2012/02/28(火) 22:37:48 ID:ORr2rKxk0
- >>176
「あなたは願いを叶えるのが仕事なの?」
彼女は首を傾げ、訝しげにリリシアを見ている。
「営業の仕事って大変だよね。契約を一件取りつけるだけでも労力がかかりそう」
サラリーマンか何かだと思っている。
というのも、彼女はあまり社会の仕組みが分かっていないらしい。
この営業の仕事だの、という言葉も世の中を知る為に彼女が図書館で読んで得た知識から引きだしているだけだ。
「いいよ。お仕事大変そうだから、その条件を二分にしてあげる」
- 178 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/28(火) 22:47:41 ID:7gFzKdaU0
- >>177
「というか、悪魔という種族、特に私の家系の習性のようなものだ。
私自身の仕事は、また別に有るがね、地上にいるのは別件だからそうそう働くこともない――――要するに暇なわけだ」
あふぅ、とあくびを漏らしつつ、ちろり、と唇の端を舐める。
色が薄いのに妙に官能的な桃色の唇が湿り艶を得る。
リラックスした雰囲気といい、暇だということはまず間違いなさそうであった。
「契約を叶えるタイプの悪魔は昨今は辛いだろうな、私の様な一族の場合は特にそうだ。
一応依頼されて動く形で、契約を果たしたという事にして折り合いはつけているのだがな」
ぽすぽす、と悪魔は馴れ馴れしくヴァージニアの頭を軽く叩く事だろう。
特に意図した様子は無く、なんとなく幼子を見ている気分になったからのようだ。
種族特性ということもあるのだろうが、それよりも本人の性格的なものも、行動に現れているだろうことは想像に固くない。
ヴァージニアからの同意の言葉を聞くと、一歩後に下がって、口元を引き締め、目元を眇める。
小柄な体ながらも、威圧感や存在感という物が、魔力と同時に発露してきているのが分かることだろう。
「――――では、200ml、呉れてやろう。私の名は、〝夜姫の射手〟リリシア=エンティオテュユフル。
貴様に名は有るか――――有るならば、名乗るが良い、娘よ」
契約として、悪魔は己の名を預けることを代価とする。
真名を知られるというリスクを預けることで、相手との約に対する言わば捺印の様な効果を齎すのである。
名乗られれば、その名をリリシアは己の魂の内面の名簿に刻みこみ、契約を成す事だろう。
- 179 :ヴァージニア:2012/02/28(火) 22:58:28 ID:ORr2rKxk0
- >>178
「なるほど。暇つぶしなのね、契約ごっこ」
そんなリリシアを見て、羨望の眼差しを向ける。
ただ、そんな暇つぶしだけで血液を貰えるというのだ。断るのは勿体ない。
「名前が必要なの? ええと、私の名前は、ヴァージニア」
そして彼女は対価に対して、心配をしていないようだった。
普通の人間ならば物怖じし、名を名乗るにも抵抗を感じるはずだ。
- 180 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/28(火) 23:07:29 ID:7gFzKdaU0
- >>179
「……ごっこという程、若くはないんだがな――――あ、やっぱ惨めになるからごっこで良い。
人とは寿命が違うとはいえど、やはり年は乙女として気になる物だ。……天界じゃ小娘と言われとるがな」
さらり、と天界という言葉が漏れたのが聞こえたことだろう。
悪魔なのに天界に関わり、天使の様に親身に相手にあたるが、悪魔の様に俗世と関わりを持つ。
そんなちょっとした変わりぶりは、妙に接しやすく感じるものであるかも知れない。
「――ん、構わん。契約は成された――――、首からでも腕からでも好きに吸え、ヴァージニア」
ヴァージニアの名を聞いた直後、悪魔の纏う清浄な気が更に澄んだのが分かるだろう。
白い外見が、此れ以上白くなりようがないというのに、更に白く染まったようにすら見える。
スーツの上を脱ぎ、袖をまくりあげて、ネクタイを緩めて、首筋を露出させる。
起伏にはそれ程富んでいないものの、サキュバスという種族柄、そこそこの肉体美がちらりと見えるかも知れない。
- 181 :ヴァージニア:2012/02/28(火) 23:29:34 ID:ORr2rKxk0
- >>180
直に血液を啜る機会に出会えたので、彼女の感情は大いに昂る。
人を強引に傷つけて吸血する行為とは異なり、合意の上なのだからきっと許して貰えるだろう。
ヴァージニアはそっと近づいて、リリシアを抱き寄せる。
「貰うね」
そう告げると同時に、白に染まった首筋に牙を穿つ。
瞬く間に朱の色が広がり、血液独特の鼻を突くような匂いが周囲に充満する。
ヴァージニアは溢れ出た血を嫌らしい音を立てながら舐めとり、啜っていく。
啜り取った血が、力に変わって行くのが分かる。新鮮な血は特にいい。
- 182 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/28(火) 23:37:01 ID:7gFzKdaU0
- >>181
抱き寄せられ、数百歳にして未だ未熟たる悪魔は、しかし身を竦めはしない。
只、成されるがままに寄せられ、首筋を吸血鬼に晒すのみ。
皮膚が鋭きに貫かれ、紅が流れる感覚を強く感じ、己の血液が吸われているのが分かる。
「ん…………っ、好きに、しろ。契約通りだ」
頬を薄紅色に染めながらも、大人しく悪魔は血を吸われ続けている。
悪魔の血というが、特に不純な魔力を持つわけでもなく、純度の高い力を持つ血は、並の人間のそれより力の補給には良い物だろう。
命を直接吸い上げられるかのような薄ら寒い感覚を感じるも、僅かな声を漏らすのみで、悪魔は沈黙を保っていた。
- 183 :ヴァージニア:2012/02/28(火) 23:47:34 ID:ORr2rKxk0
- >>182
リリシアの純度の高い力を持つ血液は、ヴァージニアの理性を吹き飛ばすほど美味だった。
よって、彼女はとっさにリリシアから離れる。その摂取量は100mlにも満ていないが。
「……危ない、本能のまま動けば、契約を破ることに、なる」
息遣いが荒い。本能を抑え込むのに精一杯だったようだ。
もし吸血鬼の血のままに身を任せていれば、血を際限なく啜っていたことだろう。死ぬまで。
- 184 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/28(火) 23:56:54 ID:7gFzKdaU0
- >>183
「――――っ、ふぁ…………っ」
ヴァージニアが慌てて離れ、一瞬だけたたらを踏んでしかし踏みとどまり。
つつ、と指先を首筋に奔らせつつ口の中で言葉を紡ぐと傷が塞がった。
「……なんだ、結構上手いじゃないか、ヴァージニア」
逆に此方は、少し上気した顔を見せるだけできょとんとした表情を浮かべるだけ。
僅かに垂れた血がシャツを汚していたが、それを気にする様子は無く。
「ううむ、これでは二分の契約と会わないからな、少し待ってくれ」
そう言うと、首筋の傷跡に指で何かを描くように滑らせていく。
暫くすると、首筋に青白い魔力が収束し、即席の陣が浮かび上がり。
「………………っ、とっと」
ぺきり、という音を立てて小さなルビーのような石が、リリシアの右手の上に載っていた。
その色は、濃密な血を更に押し固めて、濃縮したかのようなもので、表面には魔術的な文様が刻まれている。
それを差し出しながら悪魔は口を開く。
「残りの分に、多少色をつけといて纏めておいた。いざという時に飲めば私の魔力も含めてそこそこな効果はあるだろうさ」
と、契約は確りと守る主義らしく、きっちりと此方側から守ってみせるのだった。
- 185 :ヴァージニア:2012/02/29(水) 00:14:46 ID:ORr2rKxk0
- >>184
「きちんと、加減できれば良かったんだけど……」
正確に200mlの血を計量できていれば、手を煩わせることもなかった。
契りを正確に実行しようとするリリシアから、申し訳なさそうに小さな紅石を受け取る。
彼女の体の中にリリシアの血が巡り、力に変わって行くのが分かる。
これに見合った代償が二分間の労働とは出血大サービスだ。文字通り出血してるけど。
- 186 :リリシア=エンティオテュユフル:2012/02/29(水) 00:17:42 ID:7gFzKdaU0
- >>185
「――――さ、てと。そろそろ私はねぐらに帰らせてもらうよ。
何かまた願い事があれば、適当な教会にでも駆け込むといい。神の家からの声ならば必ず私には届くからな」
気にするな、と言うかのように、ヴァージニアの頭をくしゃりと撫でて。
ばさり、とたたんだ翼を大きく広げて、宙に浮く。
「では――――また何時か、ヴァージニア!」
ぱたぱた、と手を振って、悪魔の少女は空を飛んで何処かに帰っていくのであった。
- 187 :ヴァージニア:2012/02/29(水) 00:32:47 ID:ORr2rKxk0
- >>186
「うん。また血が飲みたくなったら、呼ぶね」
空を飛んで闇夜に消えて行くリリシアを見送って。
「教会なんかに入ったら、私みたいなのは浄化されちゃうような……」
機会があればまた会えるだろうと考え、ヴァージニアは夜の公園を後にする。
- 188 :ヴァージニア:2012/02/29(水) 23:09:16 ID:8qxqNUi20
- 吸血鬼の変化に関する本を、お小遣いをはたいて買ってきた。
もう一段階上の吸血鬼に成長する為に、変化を習得することは重要だ。
下級の吸血鬼でも蝙蝠や狼になったりできるし、上級の吸血鬼になると霧状に変化したりできるものだ。
「……体内に巡る魔力を操り、肉体の構成要素を再構築して……」
失敗したらバラバラになりそうな感じがするが、各々の生物たちは遺伝レベルで自分の体の扱いを心得ている。
既に肉体が吸血鬼と化し、心までそうなってしまったヴァージニアにとって、変化は簡単な部類ではあるはずだが……
「……うまくいかないなー」
蝙蝠になるつもりだったのに、背中にその翼が生えるだけで、完全になることには至らなかった。
人間としても成熟していなかったヴァージニアには、十分な魔力が備わっておらず。
変化に必要な魔力量が足りていなかったのだ。
「『これ』は、いざというときに使えと言われたし……」
手にした紅い石を見ながら、困ったような表情をしている。
- 189 :ロザリア・ロートシルト:2012/02/29(水) 23:24:16 ID:SSMHlh/20
- >>188
「ふふふ、まるで数百年前の私を見ているようねえ。」
ふいに、背後から声がした。
いつから見ていたのか……、黒と赤のゴシックなドレスに身を包んだ
白い肌の少女が、そこにいた。
言動と自然と発せられる魔力の感じ。
おそらく、彼女も吸血鬼なのだろう。
- 190 :ヴァージニア:2012/02/29(水) 23:39:39 ID:8qxqNUi20
- >>189
そちらを振り向くと、言動と外見、そして威圧感から格上のヴァンパイアだと判断できた。
この女性から見れば、ヴァージニアなど赤子同然だろう。
「……貴方も本を読んで学んだクチなの?」
たいていの吸血鬼は本能に身を任せ能力の取得をしていくものだが、
眼前に居る吸血鬼はそうではなく、自分と同じように試行錯誤して変化を学んでいるらしい。
そこまでして力を望むのには、何か理由があったのかもしれないが、
数百年も昔のことだ。そんな理由など覚えていないだろう。
- 191 :ロザリア・ロートシルト:2012/02/29(水) 23:50:54 ID:SSMHlh/20
- >>190
「いいえ、でもあり、はい、でもあるわねえ……。
研鑽というのは大切な事よ。」
んー、と唇に手を当てて思考した後
少女はゆっくりとヴァージニアへと近づいて。
「ちょーっと失礼するわねえ……。」
ゆっくりと、ヴァージアの額へと向けて手を伸ばす。
その掌には、微小ながら魔力がこめられているのに気づけるだろうか。
- 192 :ヴァージニア:2012/02/29(水) 23:58:31 ID:8qxqNUi20
- >>191
魔力が込められた手を額に当てられ、訝しげな表情をするものの。
その意味が自分に足りない分の魔力を注入してくれているということに気がついた。
「ん、できそう……」
体内に巡る魔力を細胞レベルで同化させ、遺伝子の情報を元に祖先を辿り、蝙蝠のフォルムを探し当て、再構築を行う。
その組み方はぐにゃぐにゃで、見ている者を不快にさせるほどショッキングだった。
ふつう、変化途中の見た目の醜さを補う為に皆瞬時に変化したり、血そのもので体表を覆って隠したりするものだ。
その第三者に対する配慮も欠けているし、その不完全さからフォルムからずれた肉片が周囲に飛び散っている。
とにもかくにも、経過はどうあれ、蝙蝠の姿のそれへと変化することができた。課題はいろいろと残っているが。
- 193 :ロザリア・ロートシルト:2012/03/01(木) 00:08:40 ID:SSMHlh/20
- >>192
「んむ。上出来よお。
今ので、おおまかな『感じ』は理解できたはずよ。
あとは、自分ひとりでもできるようになるわぁ。」
ふふーん、と胸を張ってみせる少女。
人を助けるのは好きだし、そうしてその人が幸せになるのを見るのはもっといい。
わざわざここに来たのも、同族がなにやらやろうとしている事を夜の散歩中に感じ取ったゆえだ。
- 194 :ヴァージニア:2012/03/01(木) 00:14:35 ID:8qxqNUi20
- >>193
「……キィキィ(訳:元に戻れなくなっちゃった)」
効率の悪い変化をするものだから、再構築用の魔力量が足りなくなってしまったのだ。
飛行にもなれておらず、ロザリアの周りを危うげな姿勢でフラフラ飛行している。
- 195 :ロザリア・ロートシルト:2012/03/01(木) 00:21:19 ID:SSMHlh/20
- >>194
「おやくそくねえ……。」
――ぱしゅっ
軽い音を立てて、ロザリアの指先から青白い光が飛び、
ヴァージニアを包み込むと、その姿を元の人型へと戻す。
- 196 :ヴァージニア:2012/03/01(木) 00:25:52 ID:8qxqNUi20
- >>195
「……はぁ、ごめんなさい」
手を煩わせてしまったことにお詫びをし、自分がまだまだ未熟であることを恨んだ。
それでも、変化は経験したことになったのだ。魔力量が上がれば、いつでも使いこなせる。
そして徐々にランクを高くしていき、目標は霧にまで変化できるようになることだ。
「もっと強く……」
- 197 :ロザリア・ロートシルト:2012/03/01(木) 00:35:22 ID:SSMHlh/20
- >>196
「ふーむ……。」
見たところ、この吸血鬼は予想以上に未熟らしい。
最近はよく、未熟な吸血鬼にあうなあなどと考えるロザリアであった。
「未熟な時機と言うのは誰にでもあるし、失敗だってあるわぁ。
問題はそこから抜け出そうとする意思よ。
強くなりたいなら、研鑽に励む事ねえ。」
とはいえ、スジは悪くない。
この調子なら時間さえかければどうにかこうにかやっていけるだろう。
- 198 :ヴァージニア:2012/03/01(木) 00:42:02 ID:8qxqNUi20
- >>197
「私は……強さを求めるだけの理由がちゃんとある。
だから、努力を怠ったりはしない」
未熟であればあるほど、主人を危険に晒すことになる。護るべき者の為に彼女は力を欲した。
しかし、その使命感のようなものは若干異常でもあるのだった。
それこそが、ヴァージニアに新しく宿った吸血鬼の使い魔そのものの心を持つ存在。
- 199 :ロザリア・ロートシルト:2012/03/01(木) 00:53:23 ID:SSMHlh/20
- >>198
「理由、それもまた結構な事だわ。
なにかはしらないけれど、あなたを突き動かす原動力なのだから。」
個々に関しては自分が触れるべきではない。
少々、入れ込みすぎているようにも見えるがそれもまた悪い事ではない。
「こんなもの、かしらねえ……。」
手助けすることも今はもうないだろう、
魔力を練り、転移術式を走らせる……。
- 200 :ヴァージニア:2012/03/01(木) 01:00:50 ID:8qxqNUi20
- >>199
「その、ありがとうございました」
素直に感謝の意を示す。
低級の吸血鬼は粗暴なイメージが付きまとうが、ヴァージニアはそうではないらしい。
人間であったときの心がまだ残っていてそうさせるのか。はたまた主人に対する思いがそう命じたのか。
- 201 :ロザリア・ロートシルト:2012/03/01(木) 01:10:03 ID:SSMHlh/20
- >>200
「ふふ……それじゃ。」
ヴァージニアの礼に微笑を返し――。
ぐわん、と空間が歪む。
名も知らぬ吸血鬼の少女は、そのままその中に消え去った。
- 202 :ヴァージニア:2012/03/01(木) 01:18:30 ID:8qxqNUi20
- >>201
「そういえば、名前も訊いてなかったな。
……また、会えるのかな」
彼女はそう言うと、本を鞄にしまって立ちあがる。
変化のコツはだいたい掴んだ。後は足りない魔力量を補うだけだ。
……とはいえ、血液を購入するお金がない。仕方がないので、まず仕事を探すことにした。
- 203 :アイリス:2012/03/01(木) 23:16:04 ID:do5XJmGE0
- 【一夜城】
ふと、思い出した。ボロップは搬入に来れるのか。
先日の招待状に、場所は明記してあったはずだ。
「…大お祖母様と一緒に住むことになる城…、やはり綺麗にしておきたいね。」
ベッドなどの寝具や本棚の搬入はアイリスが一声掛ければ直ぐに始まるだろう。
大お祖母様はこの土地に馴染めるだろうか。アイリスの心配の種は尽きない。
この城を見て、彼、ボロップは驚くだろうか。
人外だけが集まる城、一夜城。人外の為の城。
それが今、形になろうとしていた。
- 204 :名も無き異能都市住民:2012/03/01(木) 23:26:28 ID:SSMHlh/20
- >>203
――ぱたぱた。
一体、どこから入り込んだのか、
妙にまるまると太ったこうもりがアイリスの視線に入る。
それは、キーと一声鳴くとぽん、という軽い音と共に、
黄ばんだ一枚の便箋に姿を変えた。
『もう少しで到着いたします。ボロッブより。』
中に入った紙切れには、殆ど殴り書きのような読みづらい文字で
それだけが書かれている……。
- 205 :アイリス:2012/03/01(木) 23:35:54 ID:do5XJmGE0
- >>204
「……わかった。」
いよいよだ。
いよいよ、この城が城として火が灯る時がくる。
ワクワクを隠せないでいるアイリスの表情は機嫌良さげで。
ボロップが辿り着く頃には視えるはずだ。
白を基調とし、城門から垣間見える光景は季節の花々が咲き乱れるもの。
城門に立つ不動の衛兵、厚く重厚な扉。
四方の方角にあわせて作られた塔。その塔よりも高い頂点の部屋。
「待つしか、無いね。」
- 206 :名も無き異能都市住民:2012/03/01(木) 23:46:11 ID:SSMHlh/20
- >>205
それから十数分程たっただろうか。
城門へと荷馬車が数台、のんびりとした調子でかけてくる。
それらは、衛兵を前にして止まり二言三言何かを交わし、
積荷を簡単に検めさせた後、城の敷地の中へ。
「ふへえ、こりゃあ見事なもんだなあ……。
こういう区画を作るとは……。」
馬車の中から顔を出し、城を眺めるボロッブは思わず感嘆の声を出した。
- 207 :アイリス:2012/03/01(木) 23:55:31 ID:do5XJmGE0
- >>206
「ああ、そうだろう。
少し前から頭の中で思い描いてきたことでね。」
余程機嫌が良いのか、笑みを浮かべて城を見つめて。
ほら、と図面を差し出して。何度も消しては加筆し、消しては加筆し、とそんな痕跡が散見されて。
「中に、行ってみるかい?
この間の招待状も、ここが会場なんだ。」
ボロッブの様子を見ながら、地面から城全体を見つめて。
- 208 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 00:01:56 ID:SSMHlh/20
- >>207
アイリスと合流したボロッブは、
こうした物が珍しいのか、しきりに辺りを見回してはほへえだの、ははあだの声を出している。
「あややや、いつの間にやら。
こんばんはでございますです。」
そんなこんなでアイリスが近づいて来ていた事に
気づいていなかった小鬼は、素っ頓狂な声を出すのであった。
「はいなはいな、ここで何時までも見物するわけにもいきませんからな。
中に搬入してしまいましょうかね。」
ボロッブと共に来た業者は、既に荷を馬車から降ろし終えて、キャスターに乗せている。
魔術を使用して収納されているのか、頼んだ量にしては荷物の数が少ない。
- 209 :アイリス:2012/03/02(金) 00:09:16 ID:do5XJmGE0
- >>208
「へぇ、彼らがしてくれるのかな。」
みるところ、そうなのだろう。
現在罠は切っている。たとえ人間でも罠に掛かることはないだろう。
「一部に僕が用意したインテリアが既に設置しているからね、
それだけに注意してくれたら良いよ。時間はどの程度を予定しているのかな。」
アイリスが城門を抜けた頃、衛兵は頭を下げて。
城門に近づけば、また別の衛兵が重厚な扉を開けるだろう。
丁寧にセットされた花々はボロッブを迎え、僅かに花を擽る香りは安らぎを与えるもの。
中に導かれて視えるものは、如何にも城内、といったような光景だ。
- 210 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 00:22:38 ID:SSMHlh/20
- >>209
「はいな、専門の業者ですだね。
時間は……量が量ですから、搬入だけでも1時間といったところでしょうかなあ。」
業者は見取り図を身ながら、荷物を搬入していく。
どれもこれもマジックアイテムのようで、中にはがちゃがちゃと動く物も見える。
「……しかし、なんとも風雅な物ですなあ。
あたしなど、こういう場は始めてでしてなにやら落ち着かんです。」
- 211 :アイリス:2012/03/02(金) 00:29:08 ID:do5XJmGE0
- >>210
「設置も含めておおよそ二時間程度、かな。それだけで済めばいいけれど。
何、まだ城とは呼べないものだ。もっと肩の力を抜くといい。まだまだ何も言われないさ。
それにこれからはこういうところの出入りにも慣れておかないと、商人として大成できないんじゃないかな。」
アイリスは慣れた手つきの搬入業者を見て。
その動きに感心しつつも、やはり動くものが気にして。
「ねぇ、あれ、何か動いているようだけど、何かな。」
目に映るのは動くもの。もしかして、テーブルの類かと当たりをつけて
- 212 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 00:45:32 ID:SSMHlh/20
- >>211
「いやはや、どうにもこういうハイソなところはねえ……。
あたしゃあ、腹下しを起こしそうだあよ……。」
なれない様子でくひー、と息を吐き出す。
「ん、あれですか……。
ええと、あらあ食器の類ですな。自動で片付けする食器。
どうにも、ここの魔力が強いんで反応しとるんでしょう。まあ、すぐに順応しまさあ。」
- 213 :アイリス:2012/03/02(金) 00:51:37 ID:do5XJmGE0
- >>212
「本当に今の内に雰囲気だけでも慣れている方が良いと思うよ。
当日は少し人が集まるからね。それにここも少し綺羅びやかになるから。」
それも吸血鬼ばかり。
もっとも懸念するのは大お祖母様だ。
「なるほど、いいものを用意してくれたね。
これだけで色々と楽になるね。用意してもらったものをもっと見てみたいね。
少し移動しようか」
進む作業を見て、アイリスは感心し。
- 214 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 01:03:28 ID:SSMHlh/20
- >>213
「いやはや、なんとも。
ここに人が集まるとなると、さぞ絢爛なものになるのでしょう。
わが商会の製品がそこに彩を添えるのはうれしい限り。」
行き来する業者は、次々と物を運び込んでいく。
ボロッブはその間に納品物の目録を差し出し。
「これが今回のリストです、一応ご確認を。」
全ての物はアイリスの希望通りの品のはず。
- 215 :アイリス:2012/03/02(金) 01:13:40 ID:do5XJmGE0
- >>214
「君を選んで正解だった。」
どんどん城としての形を整えていく中、アイリスがメイドに一声掛ければ寝具関連のものが
搬入されていく。
「わかった。それで結局いくらまで膨らんだのかな」
納品物の目録をさっとななめ読みし、揃っていると確認できたのか、頷いて。
メイドが小切手を持ち出し、アイリスは懐から万年筆を取り出して。
「ああ、ボロッブ。君はいつでもこの城に来られる。君にはこの城が視えたはずだ。
気が向いたら足を伸ばしてくれ、その時は歓迎しよう。」
「」
- 216 :アイリス:2012/03/02(金) 01:14:11 ID:do5XJmGE0
- >>215
//最後の「」はスルーでお願いします。
- 217 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 01:26:40 ID:SSMHlh/20
- >>215
「へぇ、お代でございますね……へへへ……。
ええーと、今回は相当無理もやりましたから、少し値が張りやす。
そうですな……大まかですが、金貨9700万枚ほどになりますかねえ。」
備品だけ、としては破格の値段……いや、高すぎるほど。
それだけ今回の品物をそろえるのには骨が折れたという事か。
「ただ、品質だけはこれ以上無い、と断言できるものを揃えさせていただきやした。
きっとお気に入りいただけるはずでさあ。これほどの品、この都市中を探しても
簡単には見つけられませんぞ!」
ふふん、と胸を張るボロッブ。
以前の竜の肉体の品質も申し分なかった彼の事だ。この点に関しては問題なかろう。
- 218 :アイリス:2012/03/02(金) 01:34:02 ID:do5XJmGE0
- >>217
「へぇ、このレベルの備品がそれだけで済むのか。
意外だね。」
サラサラと、惜しげも無く、小切手に数字を書きこんでいく。
手書きではあるが、その辺りのツッコミを食らわないように、正確に、きっちりと偽装防止の文字で。
「分かった。ボロッブ、その出来栄え、見栄え、その全てを君の目でも確かめてくれないかな。
ああ、待ち遠しいね。早くこの城の中を歩きたいよ。」
小切手に記入を終え、メイドを介し、ボロッブの目の前へ。
アイリスの言葉は期待を大きく込めたもの。
故に、筆の滑るスピードも、全く淀みが無い。
- 219 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 01:52:07 ID:SSMHlh/20
- >>218
いつも思うのだが、この金は一体何処から出ているのだろうか。
しかも、この額を『それだけで済む』といったレベル。
もはや富豪だとかそういった問題ではない。
……とりあえず、小切手を受け取っておく。
「ええ、できることならそうしたいのですが……。
どうにも、取引が立て込んでおりましてなあ……。
この城の新の姿を見るのは、落成パーティーの時といたしましょう。」
- 220 :アイリス:2012/03/02(金) 01:59:06 ID:do5XJmGE0
- >>219
アイリスは意外とお金を持っている。
気づけば、ギャンブルをすれば常に大勝、適当に任せた資産運用でポロポロと毎日毎日大金が懐に転がり込んでおり。
いくつか国の孤児院に匿名で寄付をしているものの、減っていかない。
「ああ、そうだね。僕はもう少し城の中を回るけれど、君はどうするのかな。
商人としては喜ばしい限りだろう。君は多忙の身。僕は気にしないから、帰宅してゆっくりと体を休めると良いよ。」
そうして、アイリスは城内へ消えていく。
時差も交えて、そろそろお呼びしよう。
- 221 :名も無き異能都市住民:2012/03/02(金) 02:11:49 ID:SSMHlh/20
- >>220
「うぬーん、それではお言葉に甘えて、
あっしはこの辺で、また近日中にお伺いしやす。」
ボロッブもぺこりと頭を下げてから、行きに乗ってきた馬車へ。
業者も、仕事が終わればそこそこに引き上げていく。
城の準備は整いつつある……。
// ごめんよ、今日はそろそろおつるー。おやすー
- 222 :アーベント:2012/03/05(月) 19:43:24 ID:51FZPppw0
- すっかり陽も暮れて、闇と人工燈に呑まれつつある異能都市
その西側に位置する公園のベンチで、人型が横たわっていた
長い長いマフラーを地面に垂らし、安らかな表情を浮かべて眠っている人型
そのカタチこそはただの人間であるが、それ故に尻から生える大きな尻尾際立っていた
小麦色の狼と思しきその尻尾は、呼吸に併せてゆらゆらと揺れている。
「ん~…」
更には、僅かにズレた帽子の中から獣のものらしき耳が覗いていた
時折ピクンと動いては帽子を脱がせていってしまう
まぁ要は狼の尻尾と耳が生えた人がベンチで爆睡している。
/まったりゆったり進行になりますがなんでもかもーん
- 223 :ガルテラ:2012/03/05(月) 20:08:51 ID:cA7m7mYw0
- >>222
「今日はいい天気ですね」
カンテラを持った、奇妙な男がふらふらと公園に現れる。
男はカンテラで周囲を照らしながら、ベンチに近づいてくる。
「いつものベンチ……。
あれ?」
男はベンチで寝ていたその生き物を見て、首を傾げる。
「……悪魔付き?
……悪魔が言うことでも無いですよね」
- 224 :アーベント:2012/03/05(月) 20:17:46 ID:51FZPppw0
- >>223
「……」ヒクッ
ガルデラの足音と声に反応して、耳が少し跳ねる
尻尾の揺れも一瞬止まったが―――両方ともすぐに元の動きを繰り返し始めた
「…くぅ……」
もしかすると、ベンチに貼ってある張り紙に気づくかもしれない
誰の悪戯か、内容は以下の感じだ
『好きにしてやってください』
- 225 :ガルテラ:2012/03/05(月) 20:27:23 ID:cA7m7mYw0
- >>224
「……これは……」
張り紙を手に取る。
「いたずら、でしょうね恐らく……」
それなりに長い間ここで寝ているのだろうか。
そう考えながら、男はアーベントの尻尾や耳を見る。
「まあ、そういう生き物も居るんでしょう。
こんな街ですから……」
張り紙をはがし、ぐしゃぐしゃと丸める。
男なりの親切なのだろうか。
「すいません、起きてください」
そして、アーベントの身体をゆすりながら声をかけた。
――どうしてもこの"いつものベンチ"にこだわっているのだ。
- 226 :アーベント:2012/03/05(月) 20:59:15 ID:51FZPppw0
- >>225
ぐらぐらと体を揺すぶられ、ゆっくりと目を開ける
ただ、すぐにはアクションを起こさず―――意識の覚醒を待つ
そうして、「誰かに起こされている」という状況を確認してから…
ガッ
「―――なにやつっ!!!」
四肢を一気に躍動させてベンチから跳ね起き、帽子を被り直しつつ男を睨みつけるだろう
半ば寝ぼけているらしい。目は半開きで上手く呂律もまわっていない
- 227 :ガルテラ:2012/03/05(月) 21:04:24 ID:cA7m7mYw0
- >>226
「……?」
男は驚きはしなかったものの、
その反応に疑問を覚えたのか、しばらく首を傾げていた。
そこまで警戒されるようなことを自分はしたのだろうか。
「私は通りすがりのものですが……」
5秒ほどたって、男は口を開く。
「そこは私の席です。
退けとまでは言いませんが少し隅に寄ってください」
手でジェスチャーをしつつ、アーベントに移動する様に言う。
「あと、風邪を引いても知りませんよ。
まだまだ寒いんですから……」
- 228 :アーベント:2012/03/05(月) 21:10:27 ID:51FZPppw0
- >>227
「…………」
沈黙
冷たい風が頬を撫で、息を吐いてみると急に意識が覚醒し出した
どうやらあの席はこの男の所有物で、自分はそこで寝ていたらしい
「…これは失礼した。」
マフラーと帽子の隙間から鼻と目のみを覗かせる狼人は、男とも女ともとれる声で静かにこう答え
少し早足にベンチへと戻り、右の端に座ることにした
「ふん…この程度、寒冷地戦テストに比べればどうってことはない」
ちょっと強がる
実際意識が戻ってみると未だ明け切らぬ冬の夜は寒く、体は勝手にがたがた震えていた
- 229 :ガルテラ:2012/03/05(月) 21:19:35 ID:cA7m7mYw0
- >>228
男は左側に座り、カンテラの明かりを調節してアーベントとの間に置いた。
実際にはこのベンチは男の所有物ではなく、
ただ男がこのベンチを気に入ってるだけなのだが。
「そうは言っても、中々寒そうに見えますがね。
なぜこのような場所で寝ていたんですか?」
男のカンテラは電気式ではなくオイルランタンだ。
手を翳せば気休め程度の暖はとれるかもしれない。
- 230 :アーベント:2012/03/05(月) 21:26:45 ID:51FZPppw0
- >>229
「何故、と聞かれてもなかなかに困るな」
「たまたま眠くなって、日陰になってるベンチを見つけて、横になってみたら眠っていた…といったところか」
「家がないんでな。許してくれ。」
2人の間に置かれたランタンを、アーベントをじーっと見つめながらぼんやりとした言葉を紡ぎ
そー…っと手を伸ばす。暖かいのは良いのだが、新鮮な火はアーベントにとって聖火に近い効果を催す
「そっちこそ、こんな寒い日にこんなところに何をしに来た?」
揺らめく炎から慎重に目を離し、ガルテラの眼を見て聞き返した
- 231 :ガルテラ:2012/03/05(月) 21:36:54 ID:cA7m7mYw0
- >>230
「それは気ままでよろしいですね」
嫌味ではなく、本当に思ったことを口にしているだけだ。
「……家が無い、それは大変なんでしょうね」
しかし、思ったこと"しか"口にしていない。
大変なんでしょう、といいつつ、同情しているという感じはまったく無いのだ。
「私ですか?私は散歩です。
それが日課なので。
……盗らないでくださいよ?」
カンテラに手を伸ばすアーベントに、男は勘違いしたのか注意を促した。
- 232 :アーベント:2012/03/05(月) 21:52:44 ID:51FZPppw0
- >>231
「フータローってやつか?」
「まぁ、不便はない。」
言葉だけ、のなんだか乾燥した返答に、少しだけだが勝手に気まずくなる
発言をミスしたか…?と思考していた
「散歩、か」
「あんたもなかなか気ままだな」
分かってるよ、とカンテラから手を離す
温もりが惜しかったが、仕方あるまい。
「―――……名前は?」
それから少しぼーっ…として、いきなり名前を問うた
- 233 :ガルテラ:2012/03/05(月) 21:59:52 ID:cA7m7mYw0
- >>232
「そうですか?
ふむ……確かにそうでしょうね」
何か考えるようにしてから、なぜか嬉しそうにそう言った。
「私ですか?私はガルテラと言います。
……あなたは?」
名を聞かれて男は名乗る。
その時、カンテラにそっと手を触れた。
- 234 :アーベント:2012/03/05(月) 22:05:32 ID:51FZPppw0
- >>233
「…俺は、アーベントだ」
「よろしくガルテラ」
何故、名前を聞いたのだろうか…?
本人にもよく分からなかったが、とにかく相手の名前が判明した。これで一応、他人から知人同士になったわけだ。
なんだか親近感が湧く
「そのカンテラ、なんか特別なのか?」
「今時そんなの持って歩くなんて、珍しいぞ」
ガルテラがカンテラに触れたのに気づき、その違和感を判明させるべく質問した
- 235 :ガルテラ:2012/03/05(月) 22:11:47 ID:cA7m7mYw0
- >>234
「よろしく、アーベントさん。
……これのことですか?」
カンテラを指摘され、聞き返した。
「趣味……というにはちょっと特殊ですし……。
仕事道具、というのが一番近いと思います」
男はカンテラをさすりながら答える。
カンテラは結構高級そうな年代ものに見えるが、
それ自体は何も奇妙な感じや特殊な力を持っているようには見えなかった。
- 236 :アーベント:2012/03/05(月) 22:14:21 ID:51FZPppw0
- >>235
「仕事、か…」
「どんなだ?」
カンテラを使う仕事など、全くもって予想が付かない
質問攻めを承知で、再三の問い。
アーベントの視線は、カンテラとガルテラを行き来していた
- 237 :ガルテラ:2012/03/05(月) 22:22:23 ID:cA7m7mYw0
- >>236
「……」
仕事を聞かれ、男は押し黙る。
そして、アーベントの帽子、いや、正しくは先ほど見えた耳のあった場所を見た。
「……私の仕事内容なら、
その耳や尻尾について教えてくれる、と約束していただけるならお答えしますよ」
そして、男は交換条件を出してきた。
しかし、別に今すぐ言わなくてもいい様だ。
話すと約束だけすればいい。
男はアーベントの耳に知的好奇心は湧いているようだが、
どうやらそれ以外の理由もありそうだ。
- 238 :アーベント:2012/03/05(月) 22:25:14 ID:51FZPppw0
- >>237
「ん、あぁ…別に構わぬ」
尻尾をちろりと動かしながら、即答
別に隠すことでもないし、『食人』の事をおおっぴらにしなければ特に問題はない…はずだから。
さぁ、どうぞ。と言わんばかりに小さく笑って、背もたれに多めに体重をかける。
- 239 :ガルテラ:2012/03/05(月) 22:32:35 ID:cA7m7mYw0
- >>238
「まあ、それほど対した問題ではありません。
あなたが特定の宗教に熱心でなければ」
男は話し始めた。
「まず、私は道しるべの悪魔、と呼ばれる悪魔です。
光る虫の王と呼ばれることもありますが……」
そう言うと、カンテラが光り輝き、その中から一匹のホタルが現れた。
男は指を翳す。
するとその指の先に、ホタルが止まり、その尻の発光体を明滅させ始めた。
「悪魔として人と契約すると、
私は人を目的地まで導いたり、夜道を照らしたりします。
そのために、このカンテラが必要になるんですよ。
これ自体は市販品ですけどね」
- 240 :アーベント:2012/03/05(月) 22:39:41 ID:51FZPppw0
- >>239
「ほう…なるほど、悪魔―――か。」
「それはまた…なんとも奇異な存在だな…」
動揺。赤茶の瞳が僅かに震える
興味と恐怖が半分半分といったところか。
始めての人外との対面。人の事を言えた口てもはないのだが。
「だけどあれだな」
「悪魔っつーといきなり人間とか食っちまいそうだが―――案外、フツーなんだな」
「それに、人を導くって…どっちっていうとフレンドリーな悪魔なのか?」
もう一度、ガルテラの体をよく見てみる…が、特に異常な部分は見当たらない
次にカンテラから発生した螢を眺め、もしかすると夢なのかも…という推測すら生まれてしまった。
だからこそ、特に畏敬を表に出さず話を続ける
「それで、俺に聞きたい事は?」
- 241 :ガルテラ:2012/03/05(月) 22:55:01 ID:cA7m7mYw0
- >>240
「それは当然、その代償はいただきます。
解りやすく寿命や魂、内臓から、貢物や金銭まで様々ですが」
それに魂を地獄に落としたり、等と言いながら、
指に止まったホタルを空中に弾く。
すると、ホタルは光の粒になって空中に消えていった。
「悪魔の姿のままうろついていれば討伐の対象になったりもしますから。
今は擬態しています」
現在の男の姿だけを見れば、人間とまったく区別が付かない筈だ。
ただ、その気配や身に付けているコート等は悪魔にふさわしいオーラを放っており、
能力者にはあっさりとばれてしまうこともあるだろう。
「フレンドリーというか、フェアな取引を心がけているだけですよ。
それに、現在は休業中です。
それでもこれを持ち歩いてるのは趣味でもあります」
カンテラに眼をやった。
そして、アーベントに顔を上げる。
「そうですね、悪魔と言うことを明かすには何かしらリスクがありますから。
そのリスクをあなたにも負って貰う為に、駆け引きのようなことを言いましたが、
あなたは悪魔に対して危害を加えたりする気はなさそうなので、もう必要は無いのです」
そういった駆け引きや取引をするあたり、やはり悪魔らしいとも言える。
「しかし、好奇心はあります。
あなたは一体……どういった種族なのでしょうか?」
- 242 :アーベント:2012/03/05(月) 23:05:07 ID:51FZPppw0
- >>241
「へぇ…なんか洒落た商売だな」
「とった魂やら内臓やらはどうするんだ?食うのか?」
どうしても、悪魔=食人のイメージが強いようだ
自分と同種の存在を発掘したいのかも、しれないが…
ふぅん…と簡単に相槌をうって、それ以上の質問は飲み込んだ
「うぉ、いきなり悪魔っぽくなったな」
駆け引きやらなんやら、まさかそんな事が隠されていようとは
狼人は少々驚いて、同時に悪魔たる存在を見直したのであった
「んー。俺はただの人間だよ」
「ただ色々といじくられててな…」
「例えば―――ほら」
どう説明したものか、少し悩んだが、見てもらうのが手っ取り早いだろう
と言う事で、腕まくりをして腕を露わにする
其処にはとても人間や狼とは思えない―――爬虫類鱗に覆われた肌があった
「こんなかには狼人と、吸血鬼と、竜と…あとは鬼か」
「そいつらの魂が入ってる」
鋭い爪の生えた拳で胸を叩き、やはり小さく笑う
どことなく、自慢気に。
- 243 :ガルテラ:2012/03/05(月) 23:17:03 ID:cA7m7mYw0
- >>242
「まあ、いろいろですね。
寿命なんかはそのまま自分に加算したりしますが……。
食べる方も居るそうですが、私は裏ルートでお金にしたり、
使い方が解らない魔道具の生贄に捧げてみたりですね。
あ、魔道具や魔導書を集めるのが趣味なんですよ、私」
この悪魔にとっては、代償として大切な物を貰うということが重要であって、
それが自分にどう言った得になるのかは余り考えていないのだ。
食うに困ったときは流石に解らないが。
というか、食うよりも酷い扱いな気もする。
「なるほど、言い方は悪いかもしれませんが、キマイラの一種ですね。
いじくられて、とは、望まれ無いうちに誰かに施された、ということでしょうか」
- 244 :アーベント:2012/03/05(月) 23:24:56 ID:51FZPppw0
- >>243
「……そ、そうなのか」
なんだかダークな世界だ
自分の臓器とか魂が生贄やらに使われるかと思うと、背中がゾクゾクする
ちょっと引き気味に、相槌をうった
「それが、覚えてないんだよなぁ」
独り言のように上の空に答え
「ただ、いろんな奴と戦った事くらいしか覚えてねぇ」
と続けた。
- 245 :ガルテラ:2012/03/05(月) 23:33:02 ID:cA7m7mYw0
- >>244
「そもそもよく手に入るものでも無いですから」
そんな供給不安定なものを主食には出来ないということだろうか。
まあ、魂を捧げるような物好きは少ないだろう。
「覚えてないんですか……?
戦った、とはなにやら辛い過去でもあるようですね。
覚えていないのが幸いかもしれません」
先ほどと同じように、淡々とした感想。
ただ好奇心は持っているようだが、気を使ってなのかそれ以上言及もしない。
- 246 :アーベント:2012/03/05(月) 23:50:43 ID:51FZPppw0
- >>245
「まー色々だな。とにかく、人間から怪物まで色んな奴とヤりあった」
アーベントは笑みとも哀愁ともとれる表情で繰り返し、それ以降言葉を吐かなかった
ガルテラの予想通り、辛い過去でもあったから。
「んじゃ、腹減ったし、そろそろ行くわ」
ぽん、と軽くベンチから跳ねて立ち上がった
- 247 :ガルテラ:2012/03/05(月) 23:57:54 ID:cA7m7mYw0
- >>246
「ええ、申し訳ありません。
思い出させてしまったようで」
哀愁を感じさせる表情に、気を使っているのか、
それともただ礼儀として言っているだけなのかは解らないが、謝罪する。
「寒いでしょうが風邪にはお気をつけて。
またご縁があれば会いましょう。
私はこのベンチが好きですから、またここに来るならば会うこともあるでしょう」
ガルテラはそのまま座っていた。
- 248 :アーベント:2012/03/06(火) 00:12:10 ID:51FZPppw0
- >>247
「あぁ。またいつか。」
ベンチに座ったままのガルテラを背に、アーベントは歩き出した
今宵の獲物を狩りに、夜の街へ―――…
/おつありっした!
- 249 :レラ=バニッシュ:2012/03/06(火) 21:40:42 ID:oB5LASG.0
- ―――AGカフェ
「長らく……触れていなかったからな」
何かを部品に細かく分けて、テーブル一つを占領していた。
パーツの中の、大きな物は約10センチ程で、小さなものは小指の先程も無い。
占領具合も中々で、ゼオラに入れてもらったドリンクを隣の椅子の上に置いている程だ。
時たま腕を休め、思案する様子も混じりながら、少しずつ組み立てていく。
ある程度纏まっていき、テーブルも片付いたところで溜息をついた。
「少し、休憩するか……」
- 250 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/08(木) 22:44:44 ID:WVrfsEdY0
- 【道のどまんなか】
「・・・・・・・・・・・・」
【包帯を巻いた少女が倒れている・・・】
「うー・・・」
【仰向けに倒れているが、どうやら生きては居るらしい・・・でも時々体がビクッとするだけで動かない】
グーキュルルルルル
【・・・少女のお腹からけたたましい音が聞こえてきた】
- 251 :アーベント:2012/03/08(木) 23:41:31 ID:51FZPppw0
- >>250
「―――……おい」
少女を見つけたらしい人型が、声をかける
高低などからは性別が分からない、中性的な声だ
身長は160ほどで、やや小柄
「こんなところで寝てると、襲われるぞ」
先ほど『食事』は済ませてきたため、空腹ではない
故に彼女を襲う理由はないため―――割りと優しめに語りかけていた
「腹減ってんのか?」
- 252 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/08(木) 23:44:09 ID:WVrfsEdY0
- >>251
「うー・・・?」
【顔を横に向け、目線だけをその人物に向けた】
「そう、なの・・・おひるたべてからじかんたちすぎてなの・・・」
【そういった途端に再び腹が唸る】
「なにか・・・ごはんないかなの?」
【弱々しい声で返す】
- 253 :アーベント:2012/03/08(木) 23:50:01 ID:51FZPppw0
- >>252
「飯が欲しいのか…」
「無いこともない、が―――……まぁ、いいか」
うぅむ、と少し悩んでから、合点してコートの中の軍服のポケットを探る
緊急時に食べられるよう用意していた干し肉を発見、取り出して、差し出す
「口に合うか分かんないけど、食う?」
ジップロックに入っているそれは、ぱっと見スーパーとかで売っている肉をそのまま干した感じのものだ
実際のところ人の肉であるが、ばらさなければ大丈夫だと信じることにする
- 254 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/08(木) 23:52:16 ID:WVrfsEdY0
- >>253
「あうー、あるのー?
ほしいなの〜」
【軽く手を振って言う】
「たべるたべるなの〜」
【どうやらディスはどんな肉なのかはわかってないようだ。】
【ばらさなければ食べそうである】
- 255 :アーベント:2012/03/09(金) 00:02:04 ID:51FZPppw0
- >>254
「どうぞ、どうぞ」
「硬いのは勘弁してよ」
とりあえずコレを食べさせてそのあとどっかで何か食わせよう
彼女がうまい感じに懐いてくれれば、血の供給源になってくれるはず―――
「どう?」
もしディスが干し肉を口にしたならば、感想を問うてみるだろう
味は…ご想像にお任せします
- 256 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 00:07:12 ID:WVrfsEdY0
- >>255
「あうあう、だいじょぶなの・・・
いただきますなの〜」
【特にきにせずに口を開けて干し肉を食べる】
「もぐもぐもぐ・・・あう〜?かわったあじなの〜。」
【目を白黒させながらほしにくをモグモグ食べる】
「うーん、よくわからないけど・・・
おなかにははいるかなの・・・」
【ゆっくり起き上がって言う。まだおなかすいてそうである】
- 257 :アーベント:2012/03/09(金) 00:11:58 ID:51FZPppw0
- >>256
「まぁ、腹の足しにはなっただろ」
「―――で、お前金持ってんの?」
無いなら無いで何がしか奢るつもりだが、あるならあるで何故ぶっ倒れていたか不思議である
立ち上がった少女の全身をよく観察しながら、帽子の被りを深くした
人型はマフラーとハットで顔の大部分を覆っており、赤茶の瞳のみがやけに輝いて覗くのみ
ちょっぴり、不気味かもしれないいでたちだ
- 258 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 00:14:36 ID:WVrfsEdY0
- >>257
「ふぅー。ありがとうなの・・・」
【にっこり微笑んで立ち上がった】
「あうー。おかねはもってたんだけど・・・
たべようとおもったらなくなっててなの・・・」
【落ち込んだ顔で言う】
「で、さがしてるうちにこうなってなの・・・」
【ほとんど行き倒れに近いものだったようだ】
- 259 :アーベント:2012/03/09(金) 00:21:02 ID:51FZPppw0
- >>258
「なるほど―――……天然か」ボソッ
なんだか可愛らしい理由で行き倒れていたことが判明、目を細めて笑みを形成する
背を向けて歩き出して、背中越しに
「なにか奢ってやろう」
と言った。
- 260 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 00:24:15 ID:WVrfsEdY0
- >>259
「んー?なにかいったの?」
【不思議そうに返す】
「あうー、なにかたべさせてくれるの?
ありがとなの〜!」
【即座に反応して喜んだ】
- 261 :アーベント:2012/03/09(金) 00:25:47 ID:51FZPppw0
- >>260
「なにも。」
「で、何が食べたい?」
付いて来ているか確かめるべく振り返りつつ、目的地を聞く
金はあまりないが、一般的な少女の腹を満たす程度になら持っている…つもりだ。
- 262 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 00:31:12 ID:WVrfsEdY0
- >>261
「そっかなの・・・
うーん、なにたべたいかなの?」
【少し迷っている・・・腹具合と相談しているんだろうか】
「いっぱいたべられるところだったらいいんだけどなの・・・
とにかくごはんかなの〜」
【首をかしげている】
- 263 :アーベント:2012/03/09(金) 00:44:47 ID:51FZPppw0
- >>262
「……じゃ、牛丼でいいか?」
「他にどんな店があるのかよくわからないけど」
悩む少女を見ながら思考を巡らし、行き道の途中で発見した牛丼屋を思い出した
それを提案しながら、街の更に栄えた方へ入って行く
- 264 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 00:49:05 ID:WVrfsEdY0
- >>263
「あうー、それってどんなのなのかなの・・・
はじめてたべるかもしれないの〜!」
【驚いた顔で頷いた】
「たべるの!おいしいかなの〜?」
【そう言って後をついていく。】
- 265 :アーベント:2012/03/09(金) 00:55:56 ID:51FZPppw0
- >>264
「食べたことないから分からんが…店を出せる程度には上手いんじゃないか?」
しばらく歩けば、じきに某大手チェーンの牛丼屋が見えてくるだろう
「―――ここだ」
人型は押しボタン式の自動ドアの前で立ち止まり、首を傾げる
掴むべき取っ手(?)が見当たらない。一体どうやって開けるのだろうか
「…なんだこれは」
中に人が居るのはガラス越しから明らか
時代に取り残された人型は『押す』の文字の通りにガラス部分を思いっきり押している
…が、肝心なボタンに一切触れていないため、扉は開かない…
- 266 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 00:59:40 ID:WVrfsEdY0
- >>265
「あうー、たのしみなの〜!」
【楽しそうに歩いて行く】
「あうー?このおみせ、おさないとだめなのかなの?」
【必死で押しているのを見て言う】
「じゃあ『でぃす』がおしてみようかなの?」
【そう言ってディスもガラス部分を押そうとする・・・が】
ポチッ
【他の客が「押す」のボタンを押して中に入っていった】
「あう?そうやっておすのかなの?」
【納得したように返す】
- 267 :アーベント:2012/03/09(金) 01:03:10 ID:51FZPppw0
- >>266
中へ入って行った客の、不審者を見るような視線に不快感を覚えつつも
その行動に驚嘆し、目を見開く
「な、なんだこれはっ…!」
次いで、勝手に閉じて行く扉
魔術の類か…?と推測しながら、試しに人型もボタンを押して見る
ウィーン……
「おぉ…!」
「開いたぞ」
無事ドアを開けることに成功した人型は目を輝かせながら少女へ顔を向け
そして中へ入って行く―――
- 268 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 01:10:47 ID:WVrfsEdY0
- >>267
「あうー、かってにあくなんてすごいことなの〜!」
【とっても嬉しそうにディスも顔を向ける】
「それじゃ、いっしょにたべよなの〜!」
【ディスはそう言って素早く席についた】
「えーっと・・・これかなの?」
【メニュー部分に書いてある牛丼の写真を指差す】
- 269 :アーベント:2012/03/09(金) 07:30:01 ID:51FZPppw0
- >>268
「チッ…生じゃないのか。
―――それに、これはっ…」
どうやらこの人型は生肉がお望みだったらしい
しかも絵を見る限り肉と共に乗っているのは玉ねぎであろう。これは、食ったら死ぬ。
「―――……俺は、いい。」
「『盛り』が色々あるみたいだが、どれにする?」
はぁ…とため息を付きながら、少女の横顔を眺めながら問う
大きさは、極小・小・並・中・大・特大・極大・ギガ大・テラ大・オワタ大まで、やたらと種類がある
テラ大で、大盛りの四倍ほど―――オワタの写真は『?』となっていて見えない
- 270 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 12:48:44 ID:WVrfsEdY0
- >>269
「あうー?たべないの?
もったいないなの〜・・・」
【少し残念そうに言う】
「あうー、いっぱいのっかってるの〜!
でもおおくてもだめかなの・・・?」
【目を向けているのはテラ大の牛丼・・・しかしちょっと遠慮気味な顔をしている】
- 271 :アーベント:2012/03/09(金) 13:23:11 ID:Mui.Tsz.0
- >>270
「食べないんじゃない、食べれないんだ」
「だから、遠慮しないで好きなのを頼むといい」
その代わり―――と続けようとして、辞めておく
吸血させて欲しいなんて今この場所では、言えない。
「で、何にするんだ?」
- 272 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 13:27:12 ID:WVrfsEdY0
- >>271
「あうー、それはざんねんなの〜・・・
すきなのたのんでいいなの?じゃあなの・・・」
【ジロジロとメニューを見て・・・】
「・・・あれはどうかなの?」
【オワタ大と書かれているシロモノを指さす】
- 273 :アーベント:2012/03/09(金) 13:40:53 ID:hxxLGfGc0
- >>272
「―――…\4000っ……!?」
確か、この世界の貨幣で紙っぺらがおおよそ4枚――飲食物にしては、かなり高額だ
オワタ盛りの値段を見て、眼を見開く。
…が、よくよく考えてみれば、自分の金ではない
人を襲って頂いた代物だった。
「――…まぁ、いいぞ」
「だが、ちゃんと食べ切れよ?」
- 274 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 13:51:10 ID:WVrfsEdY0
- >>273
「あう、おおすぎたかなの・・・」
【若干罪悪感を感じているようだ・・・】
「あう、わかってるの。
のこすのは『でぃす』がゆるさないからなの!」
【随分と自信満々である】
- 275 :アーベント:2012/03/09(金) 13:57:02 ID:hxxLGfGc0
- >>274
「そうか、ならいいだろう」
うむ、と頷いて店員に声をかける
券売機やらの存在は、知らない
「マスター、牛丼のオワタ盛りをひとつ。」
やって来たバイトらしき青年に堂々たる態度でオーダーをする
- 276 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 14:01:28 ID:WVrfsEdY0
- >>275
「あうあう、たのしみなの〜」
【ほんとうに楽しみそうに待っている…】
「あうー、そいえばおなまえまだきいてなかったなの!」
【つい先程自身の名前を言って、はっと思い出したようである】
「『でぃす』がおなまえなの!
よろしくねなの〜」
【にこにこしながら言った】
- 277 :アーベント:2012/03/09(金) 14:15:59 ID:hxxLGfGc0
- >>276
「俺はアーベントだ
よろしく、ディス。」
ぼーっと前にあるコンロやらなんやらを眺めながら、随分おざなりに名前交換
しばらくすれば味噌汁が運ばれてきて、ついで8kgくらいはありそうな超大盛りの牛丼が運ばれてくるだろう
- 278 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 14:20:05 ID:WVrfsEdY0
- >>277
「あうあうー。よろしくなの!『あーべんと』なの〜」
【少しぎこちない喋り方で名前を読んだ】
【やがて運ばれてくる味噌汁と巨大牛丼…】
「あう?あれがそうなのかなの?」
【その迫力は周囲の人間を氣圧させるだろうが…】
「あうー!おっきいの〜!
これぜんぶたべていいのかなの〜!」
【ディスは全く物怖じしない。むしろその牛丼の山を見て喜んでいるかのようである】
- 279 :アーベント:2012/03/09(金) 21:17:37 ID:51FZPppw0
- >>278
「構わん―――やれ。」
かなりの大きさの牛丼に、コメントに困りつつも食事の許可
人型は水を飲みながらいかにしてこの牛丼を食すのかを観察することにした
「周りの目が、なかなか不快だな…」
しかし他の客の視線も気になるようで、1人1人睨みを利かせて視線を空させていく
なんとなく、本物の殺気が感じられるかもしれない
- 280 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 21:26:33 ID:WVrfsEdY0
- >>279
「ん、ありがとなの!
いただきますなの〜!」
【ディスは軽く頭を下げた後、その山の一角から肉とご飯をお箸で器用に掬って口に運んだ】
「もぐもぐもぐもぐもぐ・・・
あうー!すごくおいしいの!」
【しばらく咀嚼した後、満面の笑顔で答える】
「うー、もっとなの〜!」
【一口食べてから、再び牛丼に手をつけていく。全くその量を気にしていないようだ】
- 281 :アーベント:2012/03/09(金) 21:30:58 ID:51FZPppw0
- >>280
「そうかそうか―――そりゃあよかった」
こう、喜んで食べてもらえると奢る側も嬉しいものだ
アーベントは目を細めてディスを見ながら、これからの事に少し思考を巡らせる
なんだか幸せそうな少女を見ていたら、血を強引に吸うことに抵抗が生まれてきた
一度そのことを話して、許可が頂けたら吸うとしよう―――
などと、ぼーっと考えた
- 282 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 21:41:10 ID:WVrfsEdY0
- >>281
「もぐもぐもぐ・・・
ん?」
【ふと、自分が見られているのを気にしてアーベントの方を向く】
「あうー、もしかしてやっぱりおなかすいてるなの?
わけよっかなの〜。」
【いつのまにやら半分近く減っている・・・まるっきり子供なのにあの山が見事に切り崩されて行っているのだ】
- 283 :アーベント:2012/03/09(金) 21:58:50 ID:51FZPppw0
- >>282
「ん…?いや、いい。」
「俺に構わず―――……!?」
ディスの声でハッと我に帰り、少女の餌を見てみれば既に丼の半分が空となっていた
言葉の途中、気がついて、何が起こったのか理解できなくて、一瞬固まる
「―――…俺に構わず、食え」
「いかんせん、玉ねぎはダメなのだ。」
大食いのことは、言わないでおいた
なんだか驚いた自分が、恥ずかしかったから
- 284 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 22:04:02 ID:WVrfsEdY0
- >>283
「そっかなの〜。
たまねぎがないごはんないかなの〜・・・もぐもぐ」
【少し心配そうに言いながらもどんどん食べ進めていく】
「なんていうかー…うーん、とにかくおいしいなの〜」
【言葉を探しながらどんどん食べていく】
【その小さな体のどこに入っていっているのか、牛丼オワタ盛りはディスによって順調に消えていく】
【流石に周囲の人間もどよめき始めている】
- 285 :アーベント:2012/03/09(金) 22:22:50 ID:51FZPppw0
- >>284
「それにしても…いい食べっぷりだな」
相当なスピードでオワタ盛りの牛丼が消え去っていく
どよめく客にやや苛立ちを覚えつつも、もう間近となるであろう少女の完食を待つ
もし、少女が全てを食べ終えたならば、観客と店員から拍手が巻き起こるだろう
- 286 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 22:26:25 ID:WVrfsEdY0
- >>285
「あうー、ごはんたべるときはおいしくじゃないとだからなの〜!」
【軽く笑いながらもどんどん箸を進めていき…】
「もぐもぐもぐもぐもぐ…ふーう!」
【ついに肉が後一切れになる】
「これで、もぐもぐもぐ」
【その最後の一切れもディスの口の中に吸い込まれていき】
「ごちそうさまなの〜!」
【見事にオワタ盛りを食べ尽くしてしまった】
【店員とお客から、まるで試合の後のように拍手が響き渡った】
- 287 :アーベント:2012/03/09(金) 22:29:04 ID:51FZPppw0
- >>286
「おぅ、おつかれ。」
もう驚きに慣れたのか、くつくつと笑いながら労いの声をかけ
響き渡る店内の机の上に定められた金額の貨幣を起き
「出るぞ―――ここはなんとも居づらい」
やや急ぎ足に店内を出ようとする
空気中に漂っていた玉ねぎの成分と轟音で軽く酔って、少し足取りが覚束ない
- 288 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 22:35:42 ID:WVrfsEdY0
- >>287
「あうー。つかれてないなの〜。
でもおなかいっぱいになったからよかったの!」
【口元にご飯粒とかを付けたまま、ディスは立ち上がる】
「そっかなのー。じゃあいっしょにでよっかなの」
【お客は彼らを見送るかのように拍手で送っていった】
「こんなおいしいところあったなんてしらなかったの〜」
【外に出て、ディスはとても嬉しそうに答える。先ほどとは打って変わって元気いっぱいとなった】
- 289 :アーベント:2012/03/09(金) 22:37:54 ID:51FZPppw0
- >>288
「美味かったか、そうか―――」
冷たい空気が頬に心地よい外へ出、特に当てもなく歩き出した
歩調は少女に合わせ、並ぶように歩こうとするだろう
「ところで、俺も腹が減っているんだが―――……単刀直入に言おう
ディスの血を、飲ませてくれ」
- 290 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 22:40:46 ID:WVrfsEdY0
- >>289
「うん、ありがとなの〜」
【楽しそうに返す】
「…?もしかしてなの…」
【立ち止まり、突然の頼みを聞いて】
「きゅーけつきのひとだったの?
あうー、だからほしいってことかなの?」
【ディスは飲み込み早く、言葉を返した】
- 291 :アーベント:2012/03/09(金) 22:50:17 ID:51FZPppw0
- >>290
「吸血鬼…そうだな、その類の存在だ」
立ち止まり聞き返す、話の飲み込みの早い少女の方を向きながら、簡単に返す
場所はやや人通りが少なくなり始める小さめの道だ
「そういうこと―――まぁ、怖いなら辞めておくが。」
- 292 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/09(金) 22:55:54 ID:WVrfsEdY0
- >>291
「そっかなの〜。」
【軽く頷いて、そして口を開く】
「あうー、あんまりおおくなかったら『でぃす』はべつにいいよなの。
それでおなかいっぱいになるならなの」
【ディスは思った以上にあっさりと容認した】
- 293 :アーベント:2012/03/10(土) 08:38:47 ID:51FZPppw0
- >>292
「少しでいい
量ではなく、質が問題だ」
少女が処女である確証はないが、この見た目からしておそらくはそうであろうと仮定して
人型は目を細めて、笑った
「それじゃあ、頂いていいかな…?」
膝を曲げて、視線をディスに―――正確には口元を首に合わせながら、再確認する
- 294 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/10(土) 10:41:23 ID:WVrfsEdY0
- >>293
「えっと…うん、だいじょぶだよなの」
【少し顔を下に向けた後、顔を上げて答えた】
「すわれてもへーきだから、いいよなの…」
【思ったよりあっさりと答える。平気、ということらしい…】
- 295 :アーベント:2012/03/10(土) 10:45:40 ID:51FZPppw0
- >>294
「―――有難い」
「ならば、失礼して…」
アーベントは膝立ち歩きで少女との距離を更に詰め、そっと肩に手を載せて
身体を引き寄せながら左の首元に噛みつかんとするだろう
口内から分泌される麻酔で、痛みは割と薄く―――人によっては多少の快楽を覚えるかもしれない
- 296 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/10(土) 10:50:53 ID:WVrfsEdY0
- >>295
「えっと、きにしないでなの」
【あっさり受け入れ、軽く頷いた】
【やがて首にアーベントの牙が刺さっていく】
「あうっ…ふうぅ…う…うん…」
【少し気持ちよさそうな声を発して、力が抜けるかのように地面に倒れそうになる】
【ディスの血は…普通の人間とはほとんど異なる味をしている】
【何か混ぜ物がしてあるような…しかし普通の人間よりかなり美味しい味をしているようである】
- 297 :アーベント:2012/03/10(土) 10:59:35 ID:51FZPppw0
- >>296
「―――……んっ…く」
力が抜け、倒れそうになるディスを両腕で支えながら、血を吸っては嚥下していく
ただの人間の処女とは違う、言うなれば『カクテル』のイメージ
最後に、その味を舌で転がして―――それを飲み込んでから、そっと口を離した
「…ごちそうさま」
この味の異常は、話すべきではないと判断
やはり目だけを細め、マフラーで口元を隠しながら礼を言う
「ありがとう――…美味であった」
- 298 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/10(土) 11:04:20 ID:WVrfsEdY0
- >>297
「はぁ…っ…うぅ…ん…ぁあぁ…」
【支えられた体で、アーベントの体を軽く抱きしめて甘美な悲鳴を上げる…】
【そしてしばらく血を吸われた後】
「あうぅ…はぁ…」
【血を吸い終わって、へなへなと腰を落として荒く息を吐く】
「あ、ありがと…なの…」
【首筋に軽く触れて、微笑み返した】
- 299 :アーベント:2012/03/10(土) 11:07:16 ID:51FZPppw0
- >>298
「――…大丈夫か…?」
吸血によって、胸の内から炎が灯ったような感覚におそわれる。腹が美味なるモノで満たされた証であった
「痛かったか?」
腰を落としたディスに手を差し出し、立ち上がらせようとする
- 300 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/10(土) 11:11:32 ID:WVrfsEdY0
- >>299
「あう、だいじょぶなの…
なんか、ひさしぶりだったからちょっとびっくりしただけなの…」
【少し微笑みながら、差し伸べられた手を軽く握って立ち上がった】
「ううん、いたくないなの…
ただ、すっごくへんなかんじで…なの」
【そう言って恥ずかしそうに目を背ける】
- 301 :アーベント:2012/03/10(土) 11:14:52 ID:51FZPppw0
- >>300
「久しぶり…?」
「ここには、俺に以外にも吸血する者がいるのか…?」
ディスの言葉に一抹の疑問を感じ、聞いてみる
自分は吸血鬼…ではないが、同士がいると考えると少し楽しくなる
「そう、か」
「まぁ仕方あるまい。
なかなか鍛えられないものだからな」
恥ずかしそうに目を背けた少女を、フォローしておく
そしてゆっくりとしたペースで歩き出しながら
「家はどこだ?送っていくぞ」
と話しかけるだろう
- 302 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/10(土) 11:29:59 ID:WVrfsEdY0
- >>301
「あう、そうなの。
きゅーけつきさんといっしょにすんでるなの〜」
【少し楽しげに答える】
「うん…なんかよくわかんないなの。
よくいえないけど、とにかくへんなかんじなの…」
【頬を赤らめて一緒に歩き出す。子供ではまだ変わらない快楽だろう。】
「おうちなの?
えっとなの…だいじょぶなの〜。
すぐにかえれるまほーのかぎがあるからなの〜」
【自分のズボンのポケットをポンポン叩いて微笑み返す】
- 303 :アーベント:2012/03/10(土) 11:33:54 ID:51FZPppw0
- >>302
「なに…?」
「なるほど…今度是非会ってみたいものだ」
こちらも、どこか楽しげに返す
本物の、純粋な吸血とはどんなものなのか…楽しみである
「そうか、そうか」
「まぁ大人になれば分かる。」
これは誤魔化しておいた方がいいだろう
なんとなく上の空な感じに答える
「――…便利なものだな」
「では、そろそろ帰った方がいいんじゃないか?
同居人も心配するだろう」
- 304 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/10(土) 11:39:56 ID:WVrfsEdY0
- >>303
「あうー、きゅーけつきさんだったら
たぶんなかよくできるなの〜」
【微笑み返す】
「そうかなの…
おとなになったらわかるのかなの…」
【軽く首筋に触れて首をかしげた】
「だからよるにまであるいたりしちゃうんだけどなの…
あう、そろそろかえったほうがいいかなの」
【そう言って同意すると】
「あう、それはたしかになの…
じゃあまたねなの〜!」
【嬉しそうに手を振りながら、その場から立ち去っていった】
//オツカレー様です
- 305 :アーベント:2012/03/10(土) 11:45:12 ID:51FZPppw0
- >>304
「あぁ、じゃあな」
立ち去っていくディスに軽く手を振って見送ると
空に昇る月を見上げて
「そうか…この街には、『そういうの』も居るのか―――」
と、ぼやき、とぼとぼと歩いて闇に消えて行った。
//お疲れでした!
- 306 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 21:54:47 ID:do5XJmGE0
- 【公園】
住宅街の中にある公園、道路を背にしてベンチに掛ける少女が一人。
背中は丸く、懐で携帯を弄っており。両足で挟んでいるのは缶の温紅茶。
「はぁ……最近仕事ないなぁ。
黒沢さん、実は生きとったみたいやけど、まだ療養中やろうし…。」
イライラしたのか、公園近くに置かれたゴミ箱へ缶を投げるが、外してしまう。
コロコロと転がる缶。
「あ゛ー、なんか調子でんわ…」
- 307 :白月 月夜:2012/03/10(土) 22:01:10 ID:dL8H4NjE0
- >>306
「ゴミはちゃんと捨てないとですよ?」
地面に転がる缶を拾い、ごみ箱に入れる人物が一人。
そして真琴の近くの自販機で缶コーヒーを購入し、プルタブを開けながら真琴の方に近づく。
「こんばんは」
- 308 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 22:06:46 ID:do5XJmGE0
- >>307
携帯を弄っていた手を止め、月夜を見上げて見せた。
メガネに黒髪、茶の色が多い瞳。
見てみれば、何処にでもいるような学生のようにも見えないことも無い。
「ああ、すまんなぁ。これから捨てに行くところやってん。」
耳にしたのは缶同士がぶつかる音。
目を瞑って、伸びをして。
「こういうのも何かの縁や。こんばんわ、隣、座る?」
自分の隣をトントンと叩いて。
- 309 :白月 月夜:2012/03/10(土) 22:14:39 ID:dL8H4NjE0
- >>308
「いえいえ、これぐらい当然の事ですよ」
お気になさらず、と月夜は微笑みかける。
「あ、ありがとうございます」
真琴の好意に甘え、遠慮なくその隣に座る。
コーヒーを飲みながら視線だけを真琴に向け、
「少し機嫌が悪かったようですけど、何かあったんですか?」
「もしよければ教えてくれないでしょうか」
- 310 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 22:22:36 ID:do5XJmGE0
- >>309
「ウチが不機嫌な理由か…最近仕事が無くてなあ。お金に困ってるわけじゃないんや。
ただ暇でなあ。この街でウチの実力じゃあ中々難しいし…、ウチに仕事をくれる層とも中々知り合いになれんでなあ。」
再び伸び。
ここで照明のもとで服装が明らかになる。
黒のパーカーにジーパンにスニーカーだ。“コンビニに行く学生”に見えなくも無い。
「いやあ、仕事があるに越したことは無いけど、無かったら、やっぱ困るわ。いろんな意味で。」
- 311 :白月 月夜:2012/03/10(土) 22:38:01 ID:dL8H4NjE0
- >>310
「仕事ですか……見た感じ学生さんっぽいですけど、もうお仕事持ってるんですね」
関心した様子で真琴に顔を向ける。
因みに見た目真琴と同年代に見える月夜は、学校にはいかず仕事も持たずで絶賛ニート生活中である。
旅をしてここにたどり着いたのだから当然と言えば当然だが、金の出所が少し気になるところだ。
「実力……ってことは、やっぱりそっち系のお仕事だったりします?」
好奇心が収まらないのか、さらに質問を重ねる。
答えるも答えないも自由だ。
- 312 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 22:49:07 ID:do5XJmGE0
- >>311
「ちょっと稼がなアカン理由があるからな。自分もウチと歳同じくらいやろ?
何かやってんの?」
見たところ、月夜も学生のように見える。
が、真琴はニートであることは知らずに。
「うーん、なんというか、特殊技能使う仕事やな。詳しくは言えんけど、簡単に言ってしまえばこんなもんやわ。
ところでさ、自分、なんていうん?ウチは馬霧 真琴(うまきり まこと)や。」
- 313 :白月 月夜:2012/03/10(土) 22:57:53 ID:dL8H4NjE0
- >>312
「詳しくは言いませんけど……何もせず平和にホテルでぐーたらしてます」
決して誇れることではないはずなのに、
何故か黒の長髪を風に揺らしながらドヤ顔で言う月夜。
「特殊技能……ですか」
今一釈然としない様子ではあるが、無理矢理納得したようだ。
「あ、私は白月 月夜(しらづき つくよ)って言います」
「よろしくお願いします、真琴さん」
- 314 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 23:07:28 ID:do5XJmGE0
- >>313
「おぉ。なんか秘密の匂いがプンプンすんなあ。
ホテル暮らしって…実は社長令嬢やったりするとか…色々凄そうやな。」
赤縁のメガネを通してみる月夜は、長い黒髪も相まって、社長令嬢に見えぬことには無かった。
しかし、表情には出さないが、ドヤ顔でイラッ☆としたのは秘密だ。
「うん、宜しく。月が名前と苗字にあるだけで、かっこいいなぁ。」
少し変わった名前ではあるけれども、この都市において、馬霧の名を知るものは限りなく少ない。
- 315 :白月 月夜:2012/03/10(土) 23:18:16 ID:dL8H4NjE0
- >>314
「そんなのだったらどれだけよかったか……」
そういう月夜の表情は暗い。
真琴の言っていることと真実とのギャップが激しいせいかもしれない。
「私もこの名前は気に入ってるんですよ」
「姉が名付けてくれたんですけど、本当に感謝してます」
名前一つにそこまで言うのはさすがにいい過ぎな気もするが、月夜の表情にふざけた様子はない。
- 316 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 23:25:55 ID:do5XJmGE0
- >>315
「…なんやて!一体何者なんや。わかった、アレやろ。株で一山当てた人?」
月夜の謎は深まるばかり。
容姿、口調から見て、その筋特有の粗暴な様子は見られない為、社長令嬢と判断したが、間違っていたらしい。
何もしていないと自称しているから、働かずにホテル生活出来る人なら、それくらいしか思いつかなかった。
「お姉ちゃんいるんや。ウチは兄と弟やから羨ましいわ。どんなお姉さんなん?」
ちらりと見た月夜の表情はふざけた様子は見られず、真剣な様子だ。
- 317 :白月 月夜:2012/03/10(土) 23:39:08 ID:dL8H4NjE0
- >>316
「株じゃないですけど、まあギャンブル要素が強いのでも儲けました」
「というか種明かししちゃうとちょっと危ないカジノで時々稼がせてもらってます」
本来そういうカジノはよっぽどの事がない限り儲けることができないのだが、
月夜の口ぶりはあたかも安定した収入を得ていると言わんばかりだ。
「優しいし、強いし、命の恩人でもある自慢の姉です」
昔を懐かしむように遠い目をしながら、月夜は言う。
しかし、その目にはほんの少しだけ悲しみが混じっていた。
- 318 :馬霧 真琴:2012/03/10(土) 23:48:36 ID:do5XJmGE0
- >>317
「へぇ…凄いんやなぁ。
ギャンブルって勝てる気せぇへんわ。凄いなぁ。よくやるわ。」
勝率は三割、残りは敗北というイメージしか無い。
あと、五月蝿い場所であるイメージでしか無い。
「…ごめん。蒸し返すようなこと言ってもて。」
月夜の瞳に浮かぶ悲しみに気づき、真琴は頭を下げて。
既に故人ということなのだろう。
- 319 :白月 月夜:2012/03/10(土) 23:55:18 ID:dL8H4NjE0
- >>318
「その場の流れが把握できてれば誰が勝って誰が負けるかなんて丸わかりですよ」
月夜にとってカジノは誰かから金を巻き上げる場所でしかなかった。
「あ、いや死んではいませんよ?……多分」
月夜自身長らく会っていないので生死は定かではない。
だが、何となくきっと生きているという確信に似た何かが月夜にはあった。
- 320 :馬霧 真琴:2012/03/11(日) 00:02:32 ID:do5XJmGE0
- >>319
「その場の流れ?どういう意味かよう分からんけど、凄いんは分かったわ。
ある程度、勝てるってことやろ。それやったら働かんでいいな!」
これがニートの理由であろう。
頭を上げた真琴は驚いた表情を浮かべて。
「えっ……知らんの?てっきりそういうもんやと思ってたんやけど。
そのお姉さん、探さんの?」
- 321 :月夜:2012/03/11(日) 00:13:43 ID:dL8H4NjE0
- >>320
「探そうと思って今まで旅してたんですけど……うーん……」
世界のどこにいるかも分からない人物を探すのは流石に骨が折れる。
この都市で会えるまで待ってみるという名の一時断念中だった。
「まあ、いつか会えますよ。きっと、多分、おそらく、もしかしたら……」
最後は聞き取れるかも分からないか細い声になってしまっていた。
やはりではあるのだろう。
- 322 :馬霧 真琴:2012/03/11(日) 00:29:00 ID:do5XJmGE0
- >>321
「…そっか、そう思わな旅なんてやってられんよな。
それやったら、探偵社とか、そういう所に頼んでみるのも良いと思うで。
ほら、なんやったっけ。…名前忘れたけど、あったで。」
うーん、と顎に指を当てて記憶を辿る。
そういえば、探偵事務所の看板を抱えていたところが幾つかあったはずだ。
- 323 :月夜:2012/03/11(日) 00:35:47 ID:dL8H4NjE0
- >>322
「ああ、前に一度そういう方にもお会いしたことがありますね」
まあ特に情報は得られませんでしたけど……と残念そうにつけ加える。
「あふ……っと、もうこんな時間ですし、お暇させてもらいますね」
あくびをして現在時間を確認すると、すでに結構遅い時間帯。
月夜は真琴に別れを告げ、立ち去ろうとする。
- 324 :馬霧 真琴:2012/03/11(日) 00:45:06 ID:do5XJmGE0
- >>323
「なるほどなぁ。色々難しいんやなぁ。
なんか悪いな、質問攻めにして。」
真琴も立ち上がり、伸びをして固まった体を解す。
「今度会ったらコーヒーでもおごるわ。またな。」
真琴も動き出した。
それは月夜とは全く正反対の方向。
少し離れた所に魔の気配がビンビンするが、依頼ではないのでスルーして。
背中越しに手を挙げて、あーさむー、と独り言を呟きながら真琴は公園を出ていく。
- 325 :ヴァージニア:2012/03/11(日) 01:59:55 ID:lAh1cRX.0
- 「私の体返してよ!」
異様な光景だった。
同じような姿をした女の子がもう片方に殴り掛かっているのだ。
「ようやく人間の心が捨てられたと思ったのに……
陰術のせいで、存在度が増したの?」
亡霊と言った少女は、自らと同じ存在を手刀で貫く。
貫かれたヴァージニアは、みるみるうちに霧散していった。
「しぶとい…、あの調子だとまた出てきそう。
あの心はあっちゃいけない。弱い心は自分を駄目にする」
人の血を啜ることを拒み、命を奪うことを嫌う人の心。
彼女にとってそれは、己の心を不安定にさせる要因であった。
肝心のときに主人を護れなければ意味がない。よって、心を安定させる必要がある。
その為に、捨てたくて仕方がなかったものだ。
念願はかなったが、あの亡霊が纏わりつくようになった。未練などがあるのだろうか。
「どちらにしても、邪魔だなぁ……成仏させる方法とかないかな」
- 326 :アイリス:2012/03/14(水) 23:18:31 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
未だ痛む体を押して、このAGカフェへと辿り着いた。
魔の否定が込められた術式だけでは吸血鬼の命を奪うのは難しい。
今後を考えるならば、今は耐え己の血脈を信じ耐性を付けるべきで、今優先すべきは多くの者に自分が持つ情報を知らせるべき時だと判断し。
アイリスは自らが記憶する“彼ら”の特徴を作成しておいた。
人、人外含めた人の出入りが多いであろう此処にやってきた。
「さて、巴とロザリアには行ったようだけど、彼女たちから他の知り合いに情報が行くのが一番ラクなんだけどね。
さて、クロスはいるのかな。」
突如、魔術的な灯りが灯る。
春頃、お昼前のような柔らかな光がカフェに広がり。
もしクロスがいれば、その時に相談すれば良い。居なくとも、この場では解析を進めるのだ。
瞳を閉じ、自らに流れる違和をたどっていき……
- 327 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/03/14(水) 23:24:37 ID:HnkBBDEo0
- >>326
「ああん? 呼んだか?」
クロスは眠そうな顔で厨房から出てきた。
どうやら裏で昼寝をしていたら、そのまま夜になってしまったようだ。
「ん、あー。変な体勢で寝たせいか体痛ぇ。最近ストレッチはサボってたからなー」
コキコキと首を動かしつつカウンターの中に入る。
「いらっしゃい」
- 328 :アイリス:2012/03/14(水) 23:33:40 ID:do5XJmGE0
- >>327
「コーヒーと今日のおすすめセットを。デザートは食後でお願いするよ。」
眠そうにしていたクロスの顔を見ても、申し訳なさそうな顔はしない。
相変わらずの千夜学園の制服を身に纏い、カウンター席に腰掛けて。
クロスの前に一枚の紙を差し出す。
紙には、六人の男たちに襲撃を受けたこと、顔を隠すほどのローブの下に鎧を着込んでいたこと、
武器には特殊な術式が込められており、襲撃者自身を守る保護障壁らしきものもあった。
「眠っていたところ済まないね。少しばかり相談があるんだ。
その紙に大まかな内容は記しているんだけどね、僕は先日襲撃を受けてね。
できれば、クロスが知る人外にこのことを知らせて欲しいんだ。」
襲撃そのものはさして珍しいことでは無い。
だが、他の襲撃者と違うのは、使用された術式などが面倒なのだ。
なので、注意を促す意味で情報を広めて欲しいとのこと。
- 329 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/03/14(水) 23:39:24 ID:HnkBBDEo0
- >>328
「あーいよー」
コーヒーメーカーを起動させつつ、クロスはフライパンにオリーブオイルを引く。
冷蔵庫から鶏肉のもも肉を出すと、それにハーブや岩塩をまぶし始めた。
「ん? なんだこいつ」
調理を続けながらも紙に目を通す。
「襲撃、ねぇ。武器に付加された術式が市販のものならともかく、
独自のものとなると探すのは手間がかかりそうだ。
でも、こんな奴はこの都市にはいくらでもいるだろうに、なんでわざわざ」
クロスはまだ、術式の内容を知らない。
「……それでもこうやって話をするってことは、何かヤバいんだろうな。
こいつ、いったいどんな術式を使うんだ?」
- 330 :アイリス:2012/03/14(水) 23:49:54 ID:do5XJmGE0
- >>329
「襲撃自体はほんの2日前でね、武器に乗せた術式が、魔の否定だったね。
全容概要が判明していない以上確定とは言えないけどね。」
こんな術式を刃に組み込むのだ。
元となる経典なりの手がかりは未だ掴めていない。
拷問にかけようにも彼らの口ぶりから決して口を割らないだろう。
「つまりは人間至上主義。彼らに斬られた傷は未だ治していないけど、一日経ってわかったよ。
クロスにも知り合いがいるだろう?彼らが危険に晒されるんだよ。」
小百合の件を考えれば早い。
つまり、知り合いが絡めば彼は動くだろう、とアイリスは踏んで。
- 331 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/03/14(水) 23:58:32 ID:HnkBBDEo0
- >>330
「魔の否定……まさか、無効化系か!?」
クロスの顔が強張る、
無効化系はクロスにとって、炎熱と同等の天敵である。
「その、まさか。斬られた奴は能力が使えなくなるとか、そういうんじゃないよな?」
フライパンに鶏肉を放り込み刻んだトマトを投入しつつクロスは叫ぶ。
「いや、そういうのを否定するわけじゃねーけどさ! でもさ!
そういう奴が今回暴れまわってるってワケですか!? マジかよー」
白ワインを少々入れてコゲ目を少しつけ、そこに常備してあるコンソメスープを入れて煮込んでゆく。
その間にサラダを準備。バルサミコ酢ドレッシングと野菜をボウルの中で混ぜた。
それらを、それぞれの皿に盛り付けてゆく。
「はいよ、鶏のモモ肉トマト煮込みだ。ニンニクは使ってないから安心しろ」
付け合せにサラダとパン。これが今日のオススメだ。
「……そうか、お前斬られたのか。確かお前は……その傷、治りそうか?」
- 332 :アイリス:2012/03/15(木) 00:14:31 ID:do5XJmGE0
- >>331
あいりがとう、と言い、出された料理を自分の目の前に置き、パンを千切って。
「術式自体は眼で断ってしまえば問題ないね。今でもしようと思えば直ぐできる。
僕が受けた被害は、肉体に痛みが走り続けるものだね。腕と足の二箇所を斬られたから
痛みで言えば……、そうだね、良い例えが思いつかないんだけれど、背骨の中に赤くなるまで熱した鉄棒を強引に押し込み続ける…ようなものかな。
…うっかりしていたよ。クロスに痛みを金属で表現しても仕方が無いだろうね。」
と、僅かに青くなっている顔で笑みを浮かべて。
今、この瞬間にも術式のせいで体が痛むのだ
バターナイフを器用に操り、バターをパンに塗って、口に入れた。
その後、モモ肉トマト煮込みのスープをスプーンで掬い、音もなく飲み、味わって。
「現状では彼らの戦力が分からない以上、正確な情報は出せないけれど、能力の否定を持つものは可能性として存在するかもしれないね。
ただ、今では情報が無さ過ぎる。そうやって決め付けるのも早計かもしれないね。」
- 333 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/03/15(木) 00:28:27 ID:HnkBBDEo0
- >>332
「ぬ、ぬ、そうか。そうだよな」
「早計」と言われ、少し赤面。
確かにそうだったと思い直しつつも、思考を巡らせる。
「だとしても厄介だな。相手の能力もそうだが、何より行動理念が、だ。
人間至上主義って奴? なんだそりゃフザけてんのかよ。
この都市には人外、亜人種だって沢山いる。でもそんな種族の違いなんぞ、
俺達で例えりゃ『鼻の高さが違う』『目の色が違う』、そんなモンだろうに」
ひとしきり自分の感情を吐き出しつつも、携帯電話を取り出す。
「ったく、この都市で何をやろうが構わねぇが、俺の仲間に手を出す可能性は十二分にあるわけだろ?
となりゃ、相手には悪いが俺はそいつらを『敵』として認識するしかねぇな。
吸血種の友人は何人もいるし、俺の店にはバイトの連中に鬼人がいるんだよ。
元人間とはいいつつも俺の嫁は半自動人形だし、保護途中のペットは下半身がムカデときた。
それにお前のように、こんな店にも来てくれるモノ好きな客様もいなくなるとくりゃ、俺は大損じゃねぇか」
携帯電話を操作しつつ、ニカリと笑う。
とても邪悪な笑みだった。
「ああ、そうだなアイリス。こりゃ確かに広めるべき話だ。
聞いておいてよかったぜ。ありがとうよ。
で、お前はこれからどうする気だ? わざわざ傷を治さずに……」
- 334 :アイリス:2012/03/15(木) 00:55:57 ID:do5XJmGE0
- >>333
「彼らは僕を『小娘の姿を借り人心を誑かす悪魔』と言ってね。
対象が僕であり、彼らの言葉から推測するには“教会”の類の者かと思ったんだ。
だけど、僕が受けた術式は魔の否定。対吸血鬼を想定するなら、相応の装備が必要だからね。
“悪魔”という言葉をどの様に受け取るか、ソレ次第なんだけれどね。」
武装に関しては巴とロザリアと共に見るのが良いだろう。
手足のごとくナイフフォークを操り、もも肉を切り分け、口に入れた。
大口を開けず、小さく切ってだ。
「混血を含めれば、もっと多くいるだろうね。だけど、彼らは許せないのだろうね。
教わったことは無いかな?食物連鎖の頂点は人間だと。
ただ吸血鬼の僕達から見れば違う。人間は食べ物、奴隷、何にでも使えるものだからね。
クロスの友人や身内にも手が回ることは十分にありえる。
おそらく彼らも事を大きくしないよう、大通りでの大立ち回りはしないだろう。だから極力人気の多いところにいるといいだろうね。」
クロスの笑みと言葉を聞いたアイリスは笑みで返し、サラダを一口摘んだ。
「クロス。クロスならそう言うと思っていたよ。クロスが彼らの敵になってくれるのなら心強い。僕は捕り逃したけれど、君なら大丈夫だろう。
ただ、注意して欲しい。これは飽くまで推測なんだ。今は決定的に情報が足りないからね。
更に敵は僕を吸血鬼と看過したからね。おそらく、この都市のデータを持っているかも知れないよ。」
それは、拉致の可能性も示唆するものだ。
顔と名前が一致する以上、人気が少なくなった所で拉致、そのまま殺害もあり得るかも知れないのだ。
「情報が足りない、とさっき言ったばかりだけど、これだけではフォン・ルズィフィールの血統を消すことはできないからね。
僕は今後に備えて体に術式の耐性をつけながら、キョーコにでも会おうと思っている。クロスは知っていると思うけれど、彼女が管理する神羽荘には人狼姉妹と天使が居たはずだからね。
まずは身近な彼女たちに伝えようかと思っている。……無闇に怖がらせたくは無いのだけれど、ね。」
脳裏に神羽荘の面々を思い浮かべて。
巴に伝えてもらうより、直で死合った自分が行った方がいいだろう。
- 335 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/03/15(木) 01:12:47 ID:HnkBBDEo0
- 「ああ、神羽の連中か。あいつらは伝えた方がいいだろうなー。
ってか何? あいつらって天使とかそういう神聖属性にも容赦無しな感じだったのか?
……いやまぁ、それも推測だろうが……人間至上主義……充分ありえるな」
ふむ、とクロスは思案する。
そこでふと考えが及んだ。
ならば、ならば『人間である』という定義は、何をもってして決められるのだろうかと。
そして、果たして自分は人間なのだろうかと。
鬼の因子をもって鋼鐵を操り次元を駆ける自分は、果たして人間なのだろうかと。
「……いや、俺は人間だ」
そんな考えを振り払い、クロスはエプロンを脱ぐ。
「話は聞いた。俺も伝えておくさ。……と、そろそろ眠い。
俺は先に寝かせて貰うぜ。お代は食い終わったらカウンターに置いときゃいいさ。
あ、コーヒーは一度頼めばおかわり自由なんで、そこのポットにあるやつ勝手に飲んでいいよー」
エプロンを洗濯機に放り込みつつ、クロスは大あくび。
まだ寝たりないようだ。
「STAFF ONLY」と書かれたドアの取ってに手をかけ、
「あ、そうそう。アイリス、あまり無茶すんなよ」
それだけ言うと、また大あくびと一緒にその場を後にした。
- 336 :アイリス:2012/03/15(木) 01:23:34 ID:do5XJmGE0
- >>335
「ああ、ありがとう。ゆっくりと食事をさせてもらうよ。
急にこんな話を持ちかけて済まないね。ゆっくり休むと良い。」
神羽荘の天使は…個人的には微妙なラインだ。
彼らが特定の神を信仰するのなら、敵へとは成り得ないはずだ。
だが……その危険性は十分にある。
伝えておくことに損は無いだろうと踏んで。
「大丈夫さ。まだまだ僕は死ねないからね。“一族の義務”を済ませていないからね。
それに――ロザリアもいる。巴もいる。クロスもいる。大丈夫さ。」
その言葉はクロスに聞こえることは無いだろう。
武装の術式の解析を優先し、少し時間を掛けて耐性をつけようとしよう。
その後はゆっくりと食事を楽しみ、完食後、代金の支払を済ませると一夜城へ転移する。
神羽荘に訪れるのは明日以降としよう。
【一夜城】
アスカリオテに出迎えられ、アイリスは笑みを零す。
真っ先に顔色のことを突っ込まれるが、自分たちで解決すると告げ。
その後は談話室の一席でゆっくりと体を休めながら魔術書を読みふけり。
- 337 :アイリス:2012/03/16(金) 21:29:47 ID:do5XJmGE0
- 【神羽荘】
久しぶりに訪れた神羽荘。
門から見る佇まいは以前と変わっていなかった。
配置していたコウモリを撫でて放す。
そして、辿り着いた。神羽荘の主の部屋の前、金色の髪、千夜学園の制服を身に纏い、
青い顔をしたアイリスだ。
――コンコン
「キョーコ、僕だ。重要な話がある。」
- 338 :神羽鏡子:2012/03/16(金) 21:41:54 ID:1BBSxSE20
- >>337
がちゃり、ゆったりとドアが開く。
その先に立っていた茶髪の女――鏡子は、眉間にうっすら縦皺を刻んで、アイリスを見つめていた。
「……何、されたのよ」
まず口にしたのは、アイリスの顔色に対するコメントか。
もともとアイリスという人物は肌が白かったと、鏡子は記憶していたが。
今回の肌の色はそういった、普遍的な日常の中で表せるような色合いではないと、一目でわかった。
ドアを開いて固定したまま、中に入るよう促した。
廊下を歩いて居間に入れば、炬燵に入って俯いているイメルの姿が目に入るだろう。
- 339 :アイリス:2012/03/16(金) 21:47:30 ID:do5XJmGE0
- >>338
「遅くに悪いね。だけど、火急の要件なんだ。
それに、まだ――問題ない範囲でね。体はまだまだ動く。」
遠まわしに大丈夫だ、と告げて。キョーコに促されて、入室。
少しふらりとしながらも廊下を歩き、居間につこうとする頃、アイリスは鏡子に声を掛けた。
「ああ、キョーコ、この件に関しては…全員呼んで欲しい。
それくらい重要だからね。」
こたつに座り、イメルに、久し振りだね、なんて声を掛けて。
- 340 :神羽鏡子:2012/03/16(金) 22:00:45 ID:1BBSxSE20
- >>339
無茶はしないでよね、なんて台詞をかける鏡子の声のトーンは普段より明らかに落ちていて、
廊下を踏み締める足音が、一歩ごとに緊張感を示しているような、そんな感覚に満ちていた。
「うん、小夜と……樒も呼んどく。
リルはまだ帰って来なくて、魔女と天使も……帰って来てないのよ」
そう告げて、鏡子は小夜を呼びに。再び廊下へ出ていった。
『ん、久しぶりだな。……からだ、大丈夫か?』
返答するイメルの耳は心なしか張りを失くして、へたり込んでいるようにも見える。
慣れない張りつめた空気に、少し怯えているのだろう。
- 341 :アイリス:2012/03/16(金) 22:09:59 ID:do5XJmGE0
- >>340
「一族の義務をこなしていない以上、死ねないさ」
なんて、鏡子の耳に入るか入るかわからないような声で。
人種的特性でイメルの耳に入るだろうが。
「大丈夫だよ。まだ少し寝かせているだからね。
吸血鬼はこれくらいでは死ねないからね。大丈夫さ。僕はフォン・ルズィフィールだから。」
アイリスは青い顔でイメルに笑みを向けて。照明で青い顔が更に青く見え、笑みを向られても不気味なだけだと思うが。
外に出た鏡子は気付くかも知れない。鏡子の部屋の扉の直ぐ傍で丸くなっている黒猫に。
「変わりないかな?」
具体性がない言葉。何が?どこが?
- 342 :神羽鏡子+イメル:2012/03/16(金) 22:23:55 ID:1BBSxSE20
- >>341
『死、……、…………』
一文字だけ声に出して、口を紡ぐイメル。
ややあってもう一度口を開き、言葉を零した。
『……なんだか、信じられないんだ。
だって、この街、……人外が居たってそれが日常で。
……それが普通じゃ、なくなるのか?』
口にした文字列は、存外弱気なものだった。
彼女にとって、普遍が崩壊することが何より恐ろしいのだろう。
泳いでいた視線は、アイリスの目元に流れ着く。
『変わりない、……って?』
「……猫。せっかくなら炬燵で丸くならない?」
一方、半分寝ていた小夜を引っ張り起こしてきた鏡子。
見慣れぬ客――黒猫に、そんな言葉をかけたりして、居間へ戻って行く。
- 343 :アイリス:2012/03/16(金) 22:35:06 ID:do5XJmGE0
- >>342
「そういうことじゃない。
時々、この街では面倒なことが起きるだろう?その火の粉が僕達に及ぶだけだからね。
何、黙って指を咥えて見ているわけじゃないよ。――何、降り掛かる火の粉は払えば良いだけの話さ。
君にも渡しておこう。」
アイリスが差し出したのは、上等な紙で作られたであろう、レター。
金色で縁を描いた“招待状”には、今夜の落成式の日取りが書かれており。
アイリスは今、情報の拡散を優先して行動している。
同時に、ヤドリギを介し組織そのものに探りを入れている状況である。
「例えば、君の友達が消えた、とか。そんなことだね。
…、面々が揃ったようだね。そろそろ話を始めようか。イメル、僕がする話は血生臭さを連想させるだろう。
それでも、聞くかな?」
イメルの心情を知ってか知らずか、聞くか聞かないかと選択を迫り。
珍客――黒猫は無遠慮に鏡子に続き、アイリスの膝の上で丸くなった。黒猫を撫でながら、アイリスは居間に集まった面々の顔を見て。
「――始めてもいいかな?」
- 344 :神羽鏡子+イメル:2012/03/16(金) 22:42:11 ID:1BBSxSE20
- >>343
『そか、……うん、そうだな。
私も誇り高き人狼のひとりなんだ、怖がってばかりじゃない、ぞ』
こっくりと一回、深く頷いて。後半の文脈は多分、自分に掛けた言葉なのだろう。
招待状は、自分の方に引き寄せて、机の上に置いたまま。
『……千夜には鬼とか、亜人の生徒が混じってるけど、そういう話は聞いたことがない。
ただ、うちの二階に住んでる天使と魔女……あいつらが、最近姿を見せないんだ』
「遅くなったわね、とりあえず居るだけ連れて来たわ。
ええ、始めて頂戴。イメルは……大丈夫?」
寝惚け眼を擦る小夜、庭番を任せられた樒も居間に入り、座って頷いた。
イメルも意を決したように、もう一度頷いて。アイリスの方をしっかと見守る体勢に入った。
- 345 :アイリス:2012/03/16(金) 22:58:26 ID:do5XJmGE0
- >>344
「まず、これから話すことは事実なんだけどね、今は情報が圧倒的に足りないからね。
だから事実で有りながら、確定した情報とは言えないんだ。だから、念のために君たちに話に来た。」
黒猫――自身の使い魔であるキルリスを撫でる手を止めて。
「つい先日、僕は襲われてね。それで、こんな風になっている。中々酷い有様だろう?
問題は、襲ってきた者たちと彼らが持つ武装に刻まれた術式だ。」
アイリスは僅かに目を細めて、居間に集まった面々を見て。
「僕は術式が乗った武器で体を斬られて、こんな風になっている。
その術式を調べてみれば、“魔の否定”でね。酷く曖昧だと思わないかな?魔と言っても幅広い。メジャーな所で吸血鬼、悪魔といったところだけど。
だが、“魔の否定”だけでは吸血鬼は打倒し得ない。人外には人外の、それぞれに特化し合った武装が必要なんだ。」
敢えて人狼と言葉にしなかったのはイメルを気遣ってか。
「でね、“魔の否定”の術式があるということは、吸血鬼だけが対象では無いと思えるんだよね。
僕が知る中で被害者は僕一人。だが、今後被害者は増える可能性がある。だから君たちに知らせに来たんだ。
杞憂なら良い。だけど、可能性がある以上、耳に入れておきたいと思ってね。
駆け足だったけれど、質問はあるかな?」
事実を淡々と。体が痛む中、青い顔で告げる。
詰まり、今のアイリスの体には“魔の否定”の術式が打ち込まれたままということになっている。
- 346 :神羽鏡子+イメル:2012/03/16(金) 23:30:17 ID:1BBSxSE20
- >>345
「魔の否定……だけだったら、吸血鬼の中でも位の高いアイリスがそこまで弱るとは思えないわね。
それと、その武器が聖性を持ってたとか、銀で出来てたとか、その程度で弱るとも思えない。
しかしその、吸血鬼の弱みとなる属性をふんだんに盛り込んだような特別な武器があるってわけか。
……なるほどねぇ、それぞれの種を重点的に潰すための、……うぅん」
人間である鏡子にとっては少しばかり感覚が捉えにくいのか。
首を捻って、イメルを見やる。
『……人狼は基本的に銀に弱い。
弱いと言っても、銀の剣で斬られた、だけだったら、普通よりちょっと酷い傷が出来たってくらいの感覚なんだがな。
しかしそこに、対魔の性質だとかまで盛り込まれたら……確かに怖いな』
そこまで言って少し考え、もう一度口を開く。
『質問……、その武器に対する対抗術式だとかは、種ごとに考えて作るべきなんだろうか。
いま、私たちは“魔女”を欠いている状況だ。
魔術的知識を持った人員がいないから、知識を持った人に頼らざるを得なくなるんだ。
否定術式を打ち消すだけの術式なら街の魔術師に頼んで作ってもらえばいいだろうが、
種族ごとの対策を考えなければいけないなら、腕の立つ魔術師を紹介してほしいんだ』
- 347 :アイリス:2012/03/16(金) 23:52:05 ID:do5XJmGE0
- >>346
「僕の場合は二箇所斬られたからね。おそらく、一度斬られる度に辛くなっていく仕掛けだと思う。
平たくいうならば、『人外であれば何でも良い』ような大雑把な術式と見たほうがいいかもね。
本格的に攻めるのなら、その術式を元に対抗する種族の弱点に合わせれば良い。
だが、彼らから見れば、『いつ人外に出会っても対応できる』術式だと推測しているよ。」
おそらく、魔の否定は倍々の仕掛けなのだろう。
特定の種族を相手にするのなら、特定の種族に有効な武装を準備すれば良いのだ。
だが、魔の否定と、大雑把な括りでは倒せるものも倒せない。
「人狼で例えるなら、銀に対する対抗は種族ごとに準備してもらうしか無いね。
僕達吸血鬼でも、各家で弱点が異なるんだ。ましてや他種族となれば、分からないことの方が多い。
だから自分で用意してもらうほうが早いね。
魔の否定を打ち崩す手段は僕も持っているし、僕の知り合いの吸血鬼も持っている。
こと、術式の打ち消しは巴のルーンで対処出来る筈だ。昨日僕の体で確かめてみたからね。彼女の名は早瀬川 巴。ダッフルコートにセーラー服を着た、僕と同じ吸血鬼だ。
もし、自信が無ければ僕の名前と、“魔の否定”を出せば良い。おそらく好意的に接してくれるだろう。
腕の立つ魔術師と言えば…、僕の知り合いならロザリアだね。ロザリア・ロートシルト。深遠の吸血鬼だ。
僕の知識は参考にならないと思ってくれたほうがいいよ。…悔しいけどね。」
もしかすれば、可能性としてだが、術式の特性上、拉致等鏡子の家族が人質になりえるかも知れないのだ。
その辺りも含めて鏡子の耳にも入れておきたかった。
- 348 :神羽鏡子+イメル:2012/03/17(土) 00:08:46 ID:1BBSxSE20
- >>347
「なるほどねぇ、斬られた分だけ術式が身体に蓄積するようなもん?
だとしたら、種族そのものの強さに頼ってて戦闘慣れしてないような人外はことさら危ないわね」
鏡子はんーと唸って、炬燵の天板をこつこつ、爪を叩く。
怯えたような顔をして擦り寄る小夜の頭を撫でながら、こう続けた。
「相手が組織ならさぁ、こちらも組織を作ってみるってのは?
若くて力の弱い人外を保護する役割とか、対抗策を皆で考える役割とか、全部兼ねちゃって」
『うむぅ、やはり対抗策は考えなきゃいけないな……妹と逢えれば、いいんだが。
んーと……はやせがわ、ともえ……セーラー服とコートの吸血鬼、
ろざりあ・ろーとしると……吸血鬼、腕の立つ魔術師、と』
自身の妹の姿を思い浮かべ、少しだけ沈んだような面持ちを浮かべるイメル。
しかしその表情もすぐに振り払い、アイリスの話を聞いて、その内容をメモに残す。
- 349 :アイリス:2012/03/17(土) 00:23:53 ID:do5XJmGE0
- >>348
「おそらくね。一度目と二度目を貰った時間差は僅かだからね。飽くまで可能性の域を出ない。
組織だった行動なら、既に拠点はできているんだ。イメルに渡した招待状が、城に通じるようにしている。
ただ、この情報を知る者が少ないのが問題でね。現にクロスとロザリア、巴には伝えているが、どのように広がるかも含めてもう少し情報が欲しいのが本音だね。
そうだ、鏡子からもこの情報を回してくれないかな?僕はこの街の新参だからね。こういったことは君に任せるほうが早いね。」
鏡子の前に差し出したのは、現段階での情報を纏めた紙。
・規模や組織名は不明
・“魔の否定”を用いた術式を刻んだ武器を使用する。
・絶命時は灰と還る
・彼ら自身にも魔術的障壁を有する。
・彼らは複数人で、統制も取れている集団である。
ということが書かれている。
憶測も混じった話より、よほど纏まっている印象を受けるだろう。
「イメル。ここで注意がある。先程から魔の否定の術式の話はしたね。実は彼らには防具もあるんだ。
魔術的障壁というべきかな。彼らの体を守る、障壁だね。僕の印象で語るのなら、生半可な攻撃は障壁に止められる。
先に渡した招待状があるだろう?
それが拠点への入り口となる。もしかしたらロザリアや巴と会えるかも知れないね。どうだい、来てみるかな?」
思い出すのは、力を開放した上での蹴りが障壁で大幅に軽減されたこと。
障壁が無ければ、頭がスイカのように弾け飛んだはずだった。だが、昏倒だけとなったのだ。
- 350 :神羽鏡子+イメル:2012/03/17(土) 00:33:41 ID:1BBSxSE20
- >>349
「……オッケー。イメル、あんたは千夜の友達に情報を拡散。小夜は真宵坂の本家に伝えなさい。
あたしは……頼るとしたら、まっさきにかぶたんかしら。
それと天使と魔女を探すのも継続して、その都度情報拡散ね」
紙を受け取って目を通す。
統制が取れている、という文脈を見、わずかに顔を顰めた。
個々に力がなくとも、隊として成立しているのなら厄介この上ないのだと、
蟲の群れを使役する鏡子はよくよく知っている。
『防具か……うん、装備に頼った攻撃が多い私には、たしかに辛い。
ああ――行こう。私個人としても、見識と交友関係を広げたいんだ』
招待状を手にとって、頷く。
- 351 :アイリス:2012/03/17(土) 00:46:31 ID:do5XJmGE0
- >>350
「宜しく頼むよ。拠点への移動手段も用意している。出来れば一度、集まっておきたいところだね。
情報は重複しても良い。それだけ、警戒して欲しい相手だから。キョーコ、少しイメルを借りていくね。ちゃんと送り届けるよ。
その子のフォローは…任せるよ。」
先程、怯えながら鏡子に擦り寄っていた少女を見て。
未だ青い顔のアイリス。そして、黒猫は鳴く。
「わかった。――行こうか、イメル、キルリス。
拠点は安心すると良い。人外しか出入りできないところで宿泊も可能だ。さあ、僕の手を取って。」
立ち上がるアイリス。黒猫も同時に動き始めて。
アイリスはイメルに手を差し出す。青ざめた細く白い手。触れれば、冷たいだろう。
「ああ、そうだ。204号室なんだけど、近々住人が変わるかも知れないよ。」
- 352 :神羽鏡子+イメル:2012/03/17(土) 00:53:19 ID:1BBSxSE20
- >>351
「へーへー。ついでにその子に社交場のマナーでも叩きこんであげてきてよ。
……もちろんよ、だってこの子、家族だもん」
『ま、まなーとか、堅苦しいのは苦手だぞ!?』
小夜の頭を撫でながらひらひらと手を振る鏡子と、あわててアイリスの手を取るイメル。
「送り出す時は笑顔で」。鏡子のモットーに則った、普遍的な遣り方でアイリスを見送るだろう。
「……へぇ? なーんか、誰かを連れ込んでたなーとは思ってたけど。
変わるんだったらまた、話しに来なさいよーっ」
- 353 :アイリス:2012/03/17(土) 01:02:00 ID:do5XJmGE0
- >>352
「まさか。彼女と僕は鏡子が思うような関係ではないよ。
変わるときは彼女と共にキョーコを尋ねるよ。」
その言葉を最後に、アイリス達は転移していた。
所変わって一夜城。
豪華絢爛で綺羅びやかな城。
転移の直後はレッドカーペットが来訪者を出迎える。
メイドが並び、『お帰りなさいませ、アイリス様』と頭を揃えてアイリスたちを出迎える。
「イメル。欲しい飲み物や食べ物があれば、彼女たちに言うといい。
談話室で彼女と話をするから、紅茶を用意しておいてくれるかな。さて、巴かロザリアはいるかな。」
さあ、こっちだ、とイメルを談話室へと案内する。
適当に掛けて、と言えば、アイリスは椅子に腰掛けて。
アスカリオテの姿は見えないが、居ることは分る。アイリスを遥かに凌駕する力の持ち主が居るのだ。
- 354 :イメル:2012/03/17(土) 01:10:02 ID:QYyPcDfoO
- >>353
へーへーまあ楽しみにしてますわ。
なんて軽口を叩きながら、鏡子はアイリスの姿が見えなくなるまで手を振った。
一方、あまり体験したことのない転移の感覚に目を閉じたイメル。
そろそろと目を開けて、変化した周囲の風景に、ほうと息を吐いて感心した。
高級な品々には恐ろしく縁のないイメルであっても、「きれい」と感じる城の内部。
おそるおそる近くにあった椅子に腰掛け、きょろきょろとあたりを見回していた。
(…………何だろう、すごく大きな、存在だ。
はっきりわかる……でも怖くない)
- 355 :アイリス:2012/03/17(土) 01:15:37 ID:do5XJmGE0
- >>354
「此処が拠点でね。回収した物もここに保管しているからね。
何か飲み物を頼むかな?欲しいなら彼女たちに言えば良いからね。」
メイドはアイリスの紅茶を用意し、テーブルに置いた。
アイリスはソーサーを持ち、紅茶を一口飲んで。
「イメル。率直な意見を聞かせて欲しい。
君は僕の話を聞いて、どう思ったのかな?」
- 356 :イメル:2012/03/17(土) 01:31:37 ID:QYyPcDfoO
- >>355
「あ、んー……じゃあ、私も紅茶で」
近くにいたメイドにそう頼んで、アイリスに向き直る。
投げ掛けられた問いに対する答えを、俯いて、――すぐに戻し、口にし始めた。
「正直――怖い。
だってこの街は、私たちみたいな流れ者にだって優しかったじゃないか。
私たちだって、何か悪さをしたわけじゃないじゃないか。
だのにこうやって――迫害みたいな行為を、受けなきゃいけないのか?
私はそんなの、いやだ……」
ここで途切って、視線をわずかに下に。
ややあって視線を戻し、再び言葉を紡ぎ始める。
「……私、この街が好きだ。
だから迫害されることより、この街に居られなくなるほうが、怖い。
ここが私の帰るところなんだ、きっと他の人外種だってそう思っているだろう。だから」
「――――私は、その組織が、許せない」
- 357 :アイリス:2012/03/17(土) 01:45:00 ID:do5XJmGE0
- >>356
イメルが頼んだ紅茶は直ぐに用意され、テーブルに置かれる。
芳醇な香りがイメルの鼻を擽る。
「――僕達に協力してくれるかな、イメル。
彼らが許せないのは僕も同じだ。だからこうして他の種族にも警戒を促している。」
思想は違えど、目的は同じ。ならば手を組む方が早い。
そうして、アイリスはテーブルに様々な資料を広げていく。
アイリスの体を蝕む件の術式のコピーや、アイリスが襲われた際の彼らの行動など、鏡子に渡したものも含めた情報が散乱していた。
「確かに敵は作りやすいかもしれない。他の同族が悪さをすれば、その火の粉は自分にまで降り掛かる。
僕は、襲われてからでは遅いと考える。僕という生き証人がいて、生きている。
クロスは協力をしてくれるようだ。先に話した巴もそうだ。ここで、多種族である、イメルが協力してくれれば、僕達吸血鬼だけの問題はではなくなるんだ。」
つまりは人外全ての問題にしたいアイリス。人外の後ろ盾があれば、相手とて迂闊に手出しは出来まい。
それを成すためにアイリスは敢えて、問題を大きくしている。
- 358 :イメル:2012/03/17(土) 01:53:39 ID:QYyPcDfoO
- >>357
良い香りを感じとっても、紅茶には手をつけない。
じいっと資料を見て、アイリスの目を見て、それから深く頷いた。
「ああ、私の力でよければ幾らでも貸す。
誇り高き人狼の血族は、困っている盟友の頼みは断らない」
言い切って、ようやく紅茶に手をつけた。
- 359 :アイリス:2012/03/17(土) 02:01:32 ID:do5XJmGE0
- >>358
「大元のコピーではあるけれど、持ち帰っても構わないよ。
魔女が見つかれば、彼女に見てもらうと良いだろう」
これで、吸血鬼と人狼は組める。
まだ大本の術式を解析、転用までは時間が掛かるだろう。これからは知恵者の出番だ。
「巴にも伝えてはいるし、二度目になるが、本当に気をつけて欲しい。
僕を打倒出来なかったとはいえ、手傷を負えば、イメルの命が危なくなるからね。
何か困ったことがあれば、ここに寄ると良い。宿泊も問題無いし、ここは人間には侵入し得ない場所なんだ。」
アイリスの連絡手段は主にコウモリを使用する。
だが、イメルはどうなのだろうか。火急の際に、ここにいる者に助けを求める手段…。
「そうだ、イメル。有事の際の連絡手段は持っているのかな?
例えば、使い魔とか、そのようなものだけれど。」
- 360 :イメル:2012/03/17(土) 02:09:06 ID:QYyPcDfoO
- >>359
「わかった。……頼りにしてるぞ」
資料をまとめて手元に持つ。
再度首を縦に振って、紅茶を一口。……少し熱かったらしく、ちょっぴり呻いた。
それから、問いかけに対してううんと呻いて考え込む。
「使い魔は持ってないんだ。
うーん、携帯ならあるけど……」
- 361 :アイリス:2012/03/17(土) 02:17:15 ID:do5XJmGE0
- >>360
「そうか、だったらこれを使うと良い。
中身は転移陣だ。使用すればここに転移出来るからね。危なくなった時に使うと良い。」
空間が歪めば、現れるのは上等な紙を使ったであろう封筒がテーブルに現れて。
「それと、簡易的な使い魔でインスタント使い魔というものがあるようだ。
知り合いの商人が言っていたんだけどね、もし気になるようなら紹介しよう。
それから、僕に用事があるなら、ここに掛けると良い。」
もし、使い魔が欲しいのなら商人のボロッブを紹介する気のアイリス。
さらに差し出したのは、アイリスの連絡先が書いた紙だ。電話番号とメルアドが書いてある。
アイリスがメイドに指示を出す。直ぐにでもイメルの送迎の準備が整うだろう。
- 362 :イメル:2012/03/17(土) 02:26:35 ID:QYyPcDfoO
- >>361
「ああ……何から何まで、ありがとう」
受け取ったものをひとまとめにして、抱えるようにして持ってゆく。
ここまで気を配ってもらったのだ、精一杯役にたってやろうと、
そう考えて礼を述べた。おそらく本日初めて見せる笑顔を浮かべながら。
「アイリス……また学校で会おうな!」
望むのは不変の普遍。
自分の、そして盟友のそれを守るために刀を持とうと彼女は思った。
導かれるままに、彼女は彼女の家へ帰ってゆくだろう。
- 363 :アイリス:2012/03/17(土) 02:30:48 ID:do5XJmGE0
- >>362
「ああ、そうだね。そうしようか。」
同じくアイリスも笑みを浮かべて。
一夜城の外に出れば、一台の高級車が有り、それはイメルを待つように佇んでおり。
メイドに促されるまま、乗車すれば、直ぐに神羽荘に到着するだろう。
- 364 :レア・アシェット:2012/03/18(日) 20:41:17 ID:RXYke8bw0
- 【異能都市 深夜の公園】
「ん」
公園の街灯は一晩中ついているので、視界には困らない。
時間帯もあり、人影はほとんどない。
「………………」
そんな深夜の公園に響く音。ジャージ姿の女性が一人サッカーボールを蹴っているのである。
リフティングを数回し、それから塀に向かってのシュート。……威力が強すぎ、ボールが遠くへと跳んだ。
- 365 :名も無き異能都市住民:2012/03/18(日) 21:21:07 ID:1sJsd2CgO
- >>364
道を歩いていると、なにか転がってきた。
それが生物ではないと判っても視界はブレて結像しない。
「……なんだ?」
眼鏡をかける。
なるほど、ボールか。
とりあえず拾ってみる。
(……あ、あの子かな)
視線だけ、投げてみた。
没個性な眼鏡男がじっとあなたを見ている。
- 366 :レア:2012/03/18(日) 21:35:24 ID:RXYke8bw0
- >>365
ボールの持ち主は、かなり汗を流している女性。
見た目は高校生程度に見え、まだ若い。
同年代の女性の平気身長より高く、体もきっちりとしたスポーツマン体型だ。
「…………………」
片手を上げ、『ボールは私のものです』とアピールしてくる。
投げてくれるのを待っているようだ。
女性の傍らのベンチにはかなり大型なリュックと、ビニール袋が置かれていた。
- 367 :名も無き異能都市住民:2012/03/18(日) 21:47:25 ID:1sJsd2CgO
- >>366
手を挙げた少女――いや、女性といったほうがいいか。
ボールを投げ返すなんて何年ぶりだろうか、とたった数年前の青い時代を振り返る。
(……ボールなんて、投げた覚えないや)
要らぬ格好を付け、恥をかくのは嫌なので歩いて届けにいく。
「遅くまで頑張るね。なにかあるのかい?」
ボールを渡す。
大きなリュックのあるベンチ付近を少し気にしながら。
- 368 :レア:2012/03/18(日) 21:56:23 ID:RXYke8bw0
- >>367
「ありがとう」
ボールを受け取ると、感謝の笑顔を浮かべながらお礼の言葉を述べた。
ボールを足元に置いて片足で回し、すぐに止める。
ベンチの方へと手を伸ばしてタオルとビニール袋の中からパンを取った。
「何かあるわけじゃない……けど」
「いつも、こんな感じ。夜だと誰も居ないし、静かだから」
「貴方も、何か食べる?」
リュックの方を見ている男に問い掛けた。ビニール袋には缶コーヒーとパンが大量に入っている。
- 369 :名も無き異能都市住民:2012/03/18(日) 22:24:41 ID:1sJsd2CgO
- >>368
「お気に入りの練習場、ってわけか……そのリュックは差し詰め練習道具が詰まってるのかな」
そのボールのような、と言いながら紙巻きをくわえる。
「じゃなきゃ、重石かな。いや、今時そんな古くさい方法はナンセンスかな」
なんだろなー、と呟く。
「あぁ、うん。貰おうかな」
小腹も空いてるしと応えて。
ライターを持った手で、紙巻きをボックスに戻した。
- 370 :レア:2012/03/18(日) 22:40:29 ID:RXYke8bw0
- >>369
「大体、そんなところ」
一通り不愉快な汗を拭き取ると、持て余したタオルは頭に被る。
それから両手でパンを開いた。
「性格には、実戦用だけど」
そして、ジャムパンを食べだす。
「ウェイトでも……あれを背負って走る訓練もしているから、間違ってはいない」
「それほど古臭い訓練でも、無い。まだまだ実用的」
ビニール袋を開いてパンを見せる。甘い味の物がほとんど――というか少なくとも上の方にあるのは全部である。
「どうぞ、遠慮せずに」
紙巻きが気になる様子である。明るい表情は崩れていない。
- 371 :名も無き異能都市住民:2012/03/18(日) 23:04:02 ID:1sJsd2CgO
- >>370
「たばこよか、甘いもんのほうが好きでね」
鷲掴みで取る。
出てきたのは大福……みたいなあんぱん、インザホイップ。
「うん、なかなか」
もちりとした生地に、粒餡とホイップのモノクロームが包まれている。
すごく、甘い。
- 372 :レア:2012/03/18(日) 23:15:29 ID:RXYke8bw0
- >>371
一つパンを食べ終え、別のパンに手を伸ばす。
「甘いものなら、私もよく食べている」
コーヒーの缶も開ける。こちらは一種類しかなく、同じものが十本近く入っている。
「そのパン、美味しかった? 新商品らしい」
コーヒーも渡そうと、片腕に持っている。
- 373 :名も無き異能都市住民:2012/03/18(日) 23:41:02 ID:1sJsd2CgO
- >>372
「うん、美味い。案外合うんだなぁ、なんて思うよ。お、サンキュー」
コーヒーを受け取ろうとして、ふと苦笑いを浮かべる。
「……これじゃあ、俺、ただ菓子パンたかりにきただけのような――!」
――突然、背後を振り返る。
その動作は機敏で、息を呑み何かに驚いたようであった。
だが、振り向いた先には何もない。
特に“これ”といった気配もない。
ただただ、暗がりと物陰と闇が夜として当たり前にあるだけである。
- 374 :レア:2012/03/18(日) 23:51:28 ID:RXYke8bw0
- >>373
「……美味しいのなら、また次に食べてみる」
早くも二つ目のパンを食べ終えている。
「別に、構わない……?」
男の様子の変化に気づいた。――何か、尋常じゃない。
彼女を跳ね動かされたようにリュックサックに飛びつき、体の前に構えた。
素早く、周囲を確認した。
素早く確認した。ゆっくりじっくりとも確認した……
「……どうかしたの?」
何も見えない。彼女にはやはり何も見えていないようだ。
- 375 :名も無き異能都市住民:2012/03/19(月) 00:12:08 ID:1sJsd2CgO
- >>374
「……気の、せい。か――違うそんな訳あるもんか、あの、茂み……いや街灯の影、違う曲がり角の向こう
――そうじゃない、そうじゃない、じゃない、じゃない、じゃない……!」
彼方此方と指をさし、ぐるりと周囲のありとあらゆる暗がりや物陰を怖がる。
街灯に中途半端に照らされ、逆に深みを増した闇に怯えている。
だが、男の怯える先にはやはり何も見えない。何かの気配はしない。
言い換えれば、漠然と其処にあるような錯覚はある。
それは男が怯えているために感じるものなのか、それとも男がそれに怯えているのか。
「あぁ、クソッ。こうなるんなら、あんな依頼受けるんじゃなかった。気が付くんじゃなかった。シ……死人が、死人がァア――」
己の肌をさする。
不安を拭い去るため、根付いた恐怖を払い落とすため。
強く、ひたすらに強く。
爪をたて、皮膚を裂いてしまうほどに。
血が滲む。
うっすら赤くなった指先は次第に首筋へと登って……。
- 376 :レア:2012/03/19(月) 00:37:36 ID:RXYke8bw0
- >>375
「ねえ、どうしたの?」
眉間に力が加わり、表情には疑問が詰まっている。
「一度落ち着いて……聞いてる!?」
正気だと納得できる返事は――無い。
男が、行動――意味不明。
気が狂ったようにしか見えない。
リュックサックは地面に置いた。
「ごめんなさい……でも」
指の動き一つで、全身に下着変わりにつけた『身体活動を補助する装置』が起動する。起動中は、並の異能者と互角に戦えるような高い身体能力を発揮出来る。
「今は、こうするしかない……。」
敵はこちらを気にしていない、腕も自傷に走ってノーガード。
しかし、ほうっておけば何をするかわからない。それなら……まず、動けなくなるのを狙う。
膝を曲げ、一瞬だけ片足立ちに。
そのまますぐに足を鳩尾に狙いを定めて突き出した。
- 377 :名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 02:59:10 ID:1sJsd2CgO
- >>376
蹴りが鳩尾に沈む。
腕は痙攣的に縮こまり、ふっと横に倒れ込んだ。
めくれた上着から覗く腰の部分、ホルスターに収まる拳銃が見えるだろう。
「ぅ……っ……――」
悶え歪む表情が呻き、呼気を欲する。
胴回りを握り、咳き一つ絞り出して貪るように息を吸った。
まだ、動く。
空を蹴り、地を掻いて、意地汚く蠢いている。
まだ、怯えている。
立って逃げようと足掻いても、地べたに這いつくばる事しか出来ない。
ダメージが強く、倒れたまま、なんの抵抗も出来ない。
嘆かわしいほど弱い男である。
- 378 :レア:2012/03/20(火) 20:09:26 ID:RXYke8bw0
- >>377
ちらりと腰にかかった武器に視線をやった。
危険な武器だか今は手足が届く距離。抜かれても対応はできる。
横になった男のすぐ近くで、男の顔を覗き込むように膝をつく。
「落ち着いて、呼吸をして」
男の前髪を書き分け、じっくり相手の目を覗き込んだ。
「大丈夫、何も問題は無かった」
暴れる男の手足がぶつかるが、気にしたそぶりは無い。
「大丈夫…………私が、ついてる」
最後の言葉は、少し悩んでからでてきた。
- 379 :名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 21:13:05 ID:1sJsd2CgO
- >>378
何も問題は無い。
呟くように彼女の言葉を繰り返し、息と共に飲み込んでいく。
まだ身体が震えてはいるが、暴れることはなくなった。
「――は、はじめは、ただの気のせいとも、思ったんだ。同姓同名なんてよくある話じゃないか」
今度は逆に、一つ言葉にする度、落ち着いていく。
「次は、双子じゃないかとも考えた。似てるだけじゃ、確証にはならない、名前も所詮は自称でしかない」
だろ?と、乾いた笑いを浮かべ、しかし静かにかぶりを振った。
「だけど、違った。二度も会って確かめた。あいつは紛れもなく同じなんだ、同一の存在だった。ただ――」
――生きているか、死んでいるかの差しかない。
そこまで語ると、憑物が落ちたかのように冷静になった。
「……あんた、セルグリアって聞いたことあるか?」
- 380 :レア:2012/03/20(火) 21:27:04 ID:RXYke8bw0
- >>379
「……落ち着いた?」
男が落ち着いたのを確認すれば、その脇に膝を伸ばして座る。
「どうしたの……何の話?」
表には出さなかったが、彼女も今の状況には困惑していたのだ。
そして男の突拍子な突拍子な話に、怪訝そうな顔を見せて。
だが、どうやら男が先程の行動と関係のある話をしようとしているのだと判断し、黙って話を聞いていた。
「セルグリア…………ごめんなさい。知らない、言葉」
「だけど貴方の話、まるで『ドッペルゲンガー』みたい」
タオルを投げつけた。先程あばれた時に、裂けた男の皮膚を気にしている。
- 381 :名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 22:05:42 ID:1sJsd2CgO
- >>380
「知らない、か。簡単に言えばドラッグみたいなもんだ。
眠ってる異能や才能を開花させる効果があるとかで、学生の間で噂になってたりする」
実際どうだかは知らないが。
「ああ、スマン……」
受け取った手が赤く汚れていることにようやく気が付いた。
拭き取る。
「あの、見たら死ぬってドッペルゲンガーか。
……なら、俺の会っていたのはその“そっくりな影”のほうになるわけか。
なんせ本物は二月前には死んでた、らしいからな」
腕を押さえたタオルに血が滲む。
「俺は、そいつのドッペルゲンガーから依頼を受けたんだ。セルグリアを違法に製造している出元を探って欲しいってな」
- 382 :レア:2012/03/20(火) 22:23:29 ID:RXYke8bw0
- >>381
「そういう薬があるのは聞いたことがあったけれど……名前までは知らなかった」
『薬の名前』だと聞くと、瞳を閉じて思い出そうとする。
「……やっぱり、詳しいことは全く分からない」
「そのタオルはあげる」
どちらにしろ、血がついてしまえば使い物にならないだろう。
「怪我は大丈夫? 応急処置の道具ぐらいなら、ある」
「まだ、話の大筋が見えないのだけれど……」
「貴方は、そのセルグリアを探している」
「依頼者は貴方。……何かの異能? 貴方もちゃんと分かってないように見えた」
「ちゃんとした理解が分からないの。どうして、暴れたの?
貴方は何かを見つけた――『死人』と言っていたもの。『気づかなきゃよかった』とも言っていた。でも、私には何も見えなかった。」
「答えたくないのなら、何も答えなくていい。
ただ、何か答えてくれなきゃ、私には何も協力は出来ない。」
- 383 :名も無き異能都市住民:2012/03/20(火) 23:16:21 ID:1sJsd2CgO
- >>382
「あはは、すまない。
どう言えば伝わるのか分からなくてね、あまり得意じゃないらしい」
座ったままぐっと背を伸ばし。
軽く息を抜いた。
「俺はさっき言った依頼を受けてセルグリアの動きを調べていたんだ。その依頼人はどうやら死んでいたみたいだが。
調べていく過程で、学生が主な客層なんじゃないかと思ってね、アプローチを変えたんだ。
そうすると、実際にセルグリアを買ったと思わしき学生が失踪している事に気が付いてね。
無視できないと感じて、関連性を調べ始めた時から変な事が起こるんだ」
さすり。
思わず動く手を慌ててタオルに絡ませる。
「視線を感じるんだ。人混みを歩いてても、じっと俺を監視するように。
それだけじゃない、後一歩で死にそうになる事故に巻き込まれたりもする。
ある時、視線の主と目があった。
――そいつ死んでた。死んでるはずの人間がこっちを見てたんだ。
引き込もうとしてるんだ、奴らは俺を仲間に――死人の仲間に」
タオルが固く絞られていく。
瞳孔が開きかける、焦点がブレそうになる。
「君は、そこに何もいない。と、言ったよね――でも、居たんだ。
物影からじっと俺の動向をいつまでもいつまでも監視しやがるんだ。
いったい、おれがなにしたってんだ……!」
カタカタと歯が音を鳴らす。
恐怖にとり憑かれそうになる。
- 384 :レア:2012/03/20(火) 23:44:32 ID:RXYke8bw0
- >>383
「どう……したいの? 貴方は。
『セルグリア』――依頼を解決するまで、戦うの?」
疑問を投げかける彼女の目には、目の前の男を心配している色があった。
「学生が主な客層にあたること……?」
腕組みをして、考え込む。瞬きの回数が増えた。
「……………………」
異常な雰囲気には敏感に反応し、狂いだしそうな男の方へと振り返った。
思うところも、言いたいことも沢山ある――だが、今は刺激しては危険か……。
「だから……今は、大丈夫」
身を乗り出して、震える男の両肩に優しく手の平を乗せる。
無表情だが、逆に自然で飾ったところのない顔だ。
「ここに私がいる、何もおこらないから」
「だから、落ち着いて。嫌なことなら話さなくていい」
「それと、貴方を狙う奴が怖いなら……いつでも私を頼って大丈夫だから」
後ろの言葉を吐き出すか悩んだ節があるが、結局は言葉にした。
「無器用だから、こういう言い方しか出来ない。けど、今は絶対に貴方に対する危険は無い」
- 385 :八代真人:2012/03/21(水) 00:28:24 ID:1sJsd2CgO
- >>384
「解決するまで、立ち向かうつもりでいる。これ以上、逃げるわけにはいかないんだ……」
もう一つ、自分に逃げるわけにはいかないと言い聞かせる。
手のひらが乗った肩がびくつく事はなかった。
優しく語りかけられる言葉に、思わず笑みがこぼれた。
「……ありがとう。なかなか積極的な女の子で俺は嬉しいよ」
いろいろと頼っちまおうかな、等と冗談を口にする。
「ん、そういや名前すら聞いてなかった。俺は八代真人、現在停職中だが公安勤めだ」
先ほどとは打って変わって、怖がっている様子は微塵も無い。
- 386 :レア:2012/03/21(水) 00:44:57 ID:RXYke8bw0
- >>385
口を開く前に、よく言葉を選んでいる。さきほどのように刺激しないためだ。
ただし、今はかなり落ち着いてきたと考た。
「貴方は、少し休んだ方がいい」
立ち上がる。無表情は継続していた。
「これ……」
メモ帳の切れ端。連絡先がかかれていた。
「何か、協力することがあれば連絡をくれればいい。些細なことでもいいから。
……貴方を放っておくと、死にそうで怖い。」
どうも、彼女は本気らしい。
「必要なら、ね。無理にとは言わない……あと、適当な用事でも呼んでほしくない。そのあたりを間違うような人ではないと、思うけれど。
私も、何か見つけたら伝えに行く」
「…………もう、大丈夫みたいね」
安心をし、口から吐息を吐き出した。
「レア・アシェット。一応は学生」
ベンチに置いたリュックサックを取りに行く。
「……甘いもの。気分が落ち着くから」
適当に選んだパンとコーヒーを二、三本づつ押し付け、レアと名乗った少女はその場を後にした。
//では、これで〆ます。ありがとうござました。お疲れ様でしたー。
- 387 :八代真人:2012/03/21(水) 01:18:35 ID:1sJsd2CgO
- >>386
「おう、わかった。いろいろとありがとうなー」
笑顔で見送り、ふうとわざとらしく声に出して息を吐く。
「うーむ、貰ってばかりだ。この埋め合わせはいつかしてあげないとなぁ」
菓子パンと缶コーヒーを抱えてそう思う。
ただの親切心からでは割に合わないはずだ。
理屈はないが確信はある。
もし、今後彼女が何事もなく無事なら。
他にも助けを求めてみよう。
そう考えてしまう自分に腹が立つ。
もし自分を律していれば、こうなる事もなかっただろう。
「……放っておくと死にそうか。なるほど、それは言得てる」
物陰に気を付けながら、その場を立ち去り。
受け取った連絡先に、まずは自分の連絡先を送りつけた。
//ありがとうございました
- 388 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 18:22:31 ID:2gQ38VP60
- ―――ビル街近くの公園
もう、以前の様に寒さが肌を指す事はそう多くなくなった。
今ならコートを着込むことが無くても、寒さには耐えることが出来る。
公園。多くのビルが立ち並ぶ景色を見ることが出来る場所。
しかし、その割には公園自体は簡素なもので、遊具も小さく、
簡素ですべりの悪そうな滑り台や小さなシーソー。網目状になった登って遊ぶオブジェ。
何れもペンキの塗装は剥げかけて色は鮮やかな色と鉄色のツートン。至る所を錆に浸食されていた。
知的で情報の最先端ともいえる周囲の中にある公園。
古き良き。と言う言葉の為に手入れがされていないのか。それとも周囲の時代に取り残されたのか。
このベンチから見える景色には酷い既視感を感じた。
視線の先のビルは、数か月前に大規模な爆破事故があったらしい。
異能都市の修復技術と言うのも、人々の秘める残虐的な能力に追い付いていると言う事なのだろう。
……もしかすると、修復技術が優れている故に、陽とは破壊を繰り返すのかもしれないな。とか考えつつ。
「……ッ」
頭に来る痛みが少女を襲った。
この身体を取り戻してからと言う物、常に痛みに襲われていた。
それと並行してあるのが熱。このところ、微熱から下がったことは一度もない。
- 389 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 18:48:19 ID:51FZPppw0
- >>388
寒さがマシになった、とはいえ未だ肌寒さは残る夕暮れである
が、たったいま公園へ入ってきた青年は薄手のTシャツ一枚にGパンという小学生のような格好をしていた
「―――……♪」
先ほどこなした仕事が上手くいったためにご機嫌な青年は鼻歌なんか奏でながら早足に公園を抜けようとした
しかしそこで、何やら痛みを訴えているような表情を作る少女を発見した
ベンチに座って距離が少し離れているが、目が非常に良い彼には僅かに顔の筋肉が顰められたのを見逃さない
「大丈夫かー?」
『ごぅとぅへゔん』と前面に書かれたTシャツを隠そうともせず、少女に近づいて
そして赤の他人だというのにやけに馴れ馴れしく声をかけるだろう
- 390 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 19:02:33 ID:2gQ38VP60
- >>389
日が暮れると、やはりまだ肌寒いか。
念のため。と言って渡された薄手のコートを羽織った。
「何だ、貴様は」
額に手を当てて、呻く声を混じらせながら問いかける。
表情からは苦しみも感じられるものの、それとは別の不快感を露わにしていた。
- 391 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 19:06:37 ID:51FZPppw0
- >>390
「え、俺?」
「そーだな…何でも屋?便利屋?萬屋?まぁとにかくそんな感じ」
まさか、この状況下で聞き返されるとは―――それも不愉快感ガン出しの貴様呼びでくるとは思わなかった
ちょっと面食らったのちに、それでも笑顔で回答する
「頭痛いの?」
そして、再び聞き直す
目線の高さを合わせるべく片膝立ちになって、首をかしげた
- 392 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 19:29:24 ID:2gQ38VP60
- >>391
「萬屋……フン、丁度良い」
そういうと、ホットパンツのポケットから一枚の布を取り出した。
そして、それを手渡すだろう。一見普通の布。手触りもふつう。
「コイツを複製できるか?」
そういう少女の顔は至って真面目。
何か、特別性のアイテムだったりするのだろうか。
因みに、青年の問いかけはガン無視。
- 393 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 19:39:08 ID:51FZPppw0
- >>392
「わりぃ、そりゃあ無理だ」
「同じような布なら出せるかもしんないけどな」
あっさりできないと断言する
顔のあたりで手を左右に降る動作とすまんねという微妙な謝罪文句を垂らしながら立ち上がり
「それ、なんか特別なモノなのか?」
頭痛らしきモノの正体の追求は断念し、新たな疑問をぶつけた
- 394 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 20:25:45 ID:2gQ38VP60
- >>393
「……使えん奴だ」
残念そう。と言うよりかは呆れた表情を露わにして。
布きれを引っ手繰る様に奪い返して直そうとしたが、青年の言葉に手を止める。
「そうに決まってるだろう?
ただ普通の布を複製しろと頼む馬鹿が居るのか?」
やれやれ。と言った様子で首を振る。
- 395 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 20:43:23 ID:51FZPppw0
- >>394
「そーゆーのは専門の能力者がいるっしょ」
「残念ながら、俺ぁ万能ってわけじゃないんでな」
呆れたような表情の少女に弁解をしておく
布切れは掠められるがままおとなしく返した
「もしかしたら目の前の少女がそーかもしれない。」
キリッと真顔で屁理屈を言ってみせる
相手がどんな態度であろうとも、彼はいつもこんな調子―――ちょっぴり挑発的なのであった
- 396 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 21:06:25 ID:2gQ38VP60
- >>395
「なら萬屋という看板は下ろすべきだ」
このグズめ。と加えながら乾いた瞳を向けた。
「どうしようもない程のバカだな貴様は。
この天才の僕がそんな事をする訳が無いだろう?」
ククッ。と意地の悪そうな笑みと共に。
- 397 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 21:14:44 ID:51FZPppw0
- >>396
「お断りだね」
「ところで、他人頼みで無礼な自称天才ちゃんが増やしたいその布は…一体なんなんだい?」
萬屋の看板を下ろした方がいい―――という言葉に少し苛立ちを覚えたらしい
一瞬眉を潜めて表情を曇らせたのち、またすぐに笑顔を作って
皮肉をたっぷりと込めた言葉で、疑問を連ねた
まぁまともな回答は、期待していなかったが
- 398 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 21:27:53 ID:2gQ38VP60
- >>397
「腕に合わない名を名乗っても貴様が困るだけだぞ。
態々この天才である僕が忠告してやってるんだ。大人しく受けた方がいいぞ?」
やはりその笑みは馬鹿にしている。
少女の維持が悪いのは明白。一度殴った方が良いんじゃないのか。
「教えて、如何にかなるのか?」
呆れたような溜息と共に青年を見上げる。
- 399 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 21:36:47 ID:51FZPppw0
- >>398
「困ったことなんて今がはじめての勢いだけどね」
「そもそも注文に無茶があるよ。わかってる?」
明らかに馬鹿にしている笑みに確かな怒気を溜め込みながら―――しかし歯噛みで我慢する
ここでキレては、大人げないと考えているのだろう
我慢の限界も、近づいてきていたが…
「んー…もしかしたら、もう一個作れるかもしれない」
- 400 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 21:46:03 ID:2gQ38VP60
- >>399
「何も間違った事は言ってないつもりだが?
何でも屋は貴様にしては荷が重すぎるのだと自覚するべきだ。
この程度すらも理解できないとはな……使い物になるかどうか以前の問題だ」
青年が耐えて居る事にも気付かず、青年を罵倒する言葉を次々と並べる。
青年が新たに発した言葉にやはり馬鹿にした笑みを見せ。
「もう一つ作る? バカを言うな。
コイツがどういう性質かも理解出来ないくせにか?」
- 401 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 21:54:07 ID:51FZPppw0
- >>400
「だぁぁぁぁああっっっ!!!」
少女の言葉に、ついに耐えきれなくなったらしい
バカみたいにでかい声で叫んで、そしてばちんっ!と自らの頬を叩く
青年の右手には、不思議な紋章が輝いていた
「フー…フー……」
「んだから、その性質を教えてくんない?」
「多分無理だけど、万にひとつでも可能性があるかもしれない」
- 402 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 22:30:58 ID:2gQ38VP60
- >>401
「うぉっ!?」
叫んだ青年が自らに手を振うと思って全力で回避しようとする。
だけども変え仇が意識に追い付かず、脚をもつれさせて盛大に転んだ。
「くそっ、産まれる時代を間違えたか……」
手をついて身体を起こしながら布きれを広げる。
端がボロボロになっていて、所々に焼けた様な後がある。
「チッ……そう言う事なら説明してやろう。これを広げてこっちに向けろ」
と、青年に向かって布きれをもう一度渡す。
それから虚空に手を翳すと、少女の掌に光が集まり、銃が現れた。
- 403 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 22:41:51 ID:51FZPppw0
- >>402
「……お前、やっぱり………いや、なんでもない」
激怒から、一気に冷静になる。ように意識する
転んでしまった少女を呆れた目で見返してやることにした
「よしよし、それでいい。」
言われるがまま、布を広げて持って待機
少女の手に集まり始めた光を注意深く観察し―――現れた銃器に目を見張る
そして、その結果から暫定的に布切れの効果を推測しはじめる
「えーっと…これは……銃が出てきたな」
「つまりどういうことだ?」
- 404 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 22:56:24 ID:2gQ38VP60
- >>403
「な、なんだよ……」
転んだ際に軽く膝を擦り剥いてしまった。
瞳に涙を浮かべ、指先でそれを拭い取る。
小さく後方にジャンプすると少女の靴が火を噴いた。
ジェット噴射。ある程度の距離を取ると脚の向きを変え、減速させてからゆっくりと着地した。
「ずらすなよ……外せばお前は消し炭だからな」
銃を構え、其方に向ける。二人の距離は約20メートル。
銃口の先端が僅かに光を発すると、それと同じ淡い緑色の光の弾丸が発射された。
それと同時に、僅かに頭を傾ける少女。
弾丸が其方に迫り、見事布きれの先端を捕らえる。
僅かな熱を感じるだろうが、それだけ。
光の弾丸は布きれに反射し、少女の僅かに傾けた顔を掠め、背後の壁を砕いた。
- 405 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 23:14:01 ID:51FZPppw0
- >>404
「なんでもないって」
瞳に涙を浮かべる様子に、なんだか少女らしい可愛らしさを感じ
そして膝の傷に気がついて後で治してやるか…と密かに決断する
「お、おう。」
消炭、と言われれば嫌でも動く気にはならない
後方ジャンプにジェット噴射が付与されていたのにも僅かに驚きつつ、中腰になってパワーポジションをとる
少女の銃から放たれた弾丸は緑色の光弾
其れは青年が手に持つ布切れに当たり…所謂『反射』をして、少女の後方の壁に直撃
何が起こったかイマイチわからず、ぽかんとなる青年
「―――……お前、魔法使いか?」
布切れを構えたまま首を傾げ、問う。
- 406 :レラ=バニッシュ:2012/03/21(水) 23:36:29 ID:2gQ38VP60
- >>405
「……言いたいことがあるならハッキリと言え。
その口調と視線……はっきりと言おう、不快だ」
舌打ちをして青年を睨む。
この少女はことごとくデレと言う物を知らないみたいだ。
「チッ……もう一度撃ってやろうか。魔法なんかとは全く別の物だ」
魔法使いと言う単語が頭に来たらしい。
歩いて近づき、再び布を引っ手繰る。
- 407 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/21(水) 23:42:27 ID:51FZPppw0
- >>406
「天才ちゃんの割りには、かわいーとこあるな」
「って口に出しそうになっただけだよ。うん。」
口に出しちゃったけどね。と付け足して、布切れを少女に渡しつつ1歩分距離をとろうとする
下手をするとこの少女、手を出してきそうだと感じたからだ
「ふぅん…そう」
「ま、本質がわかんないとどうにもね…」
はぁ…と役に立てなかったことへのため息をついた
- 408 :レラ=バニッシュ:2012/03/22(木) 02:12:10 ID:2gQ38VP60
- >>407
「なっ……くそっ!
貴様は自分の立場が解ってない様だな!」
ぐぎぎと唸って、青年の思考通りに攻撃の意思を持って接近していく。
小さくジャンプして右手でパンチ。当たってもどうしようもない程に痛くない。
「化学技術の産物だ。
解析したところ、魔術的要素はほとんど使われていない。
それも、布としての耐久力と耐火性を高めているだけに過ぎない」
- 409 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/22(木) 07:59:39 ID:37hRQft.0
- >>408
「おぉっと…ポフ」
「…….いてー(棒)」
小跳躍によって距離が詰められ――猫のようなパンチが腹に当たる
全然痛くない…がとりあえず腹を抑えて痛がっておく。それも凄くわざとらしく
「あいにく科学云々魔術云々には疎いんでよくわからんけど」
「熱に強くて破れにくい布しか作れなさそうにない」
「悪いな、力になれなくて…」
- 410 :レラ=バニッシュ:2012/03/22(木) 15:30:54 ID:2gQ38VP60
- >>409
「……っくぎぎ……!」
痛がって居るのに納得が行かない様子。
必死に怒りを堪えているらしく、其方を睨みながら唸っている。
「全く……使い物にならん奴だ」
青年に向けて厭らしさたっぷりのため息。
「僕も魔術には余り詳しくは無いがな……。
それじゃあ、コイツを解析できる能があって尚且つ複製できる奴は知らないか?」
- 411 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/22(木) 19:54:13 ID:GGoFsagw0
- >>410
「え、ちょっとタンマ」
「…ごめんね?」
先ほどの青年のように怒りを堪え、此方を睨みつけるレラ
それにちょっと身の危険を感じ謝る事にした
「わるかったって」
「ん~…知らないなぁ」
「探しておいてあげようか
何でも屋として、それくらいなら請け負えるよ?」
もうこの程度の厭味には慣れたらしい
軽くあしらって、こう提案した
- 412 :レラ=バニッシュ:2012/03/22(木) 20:51:45 ID:2gQ38VP60
- >>411
「別に謝れとは言ってないんだが……?
」
謝罪が余計に怒りを買ってしまったようだ。
僅かに頬を膨らませ、外方を向いてしまった……。
「「探してあげようか」。ではない!
この僕は天才なんだぞ? 「探させて頂きます」だろう?」
怒り顔から一変、得意気な笑みを浮かべ、青年を見上げていた。
- 413 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/22(木) 20:56:08 ID:51FZPppw0
- >>412
「あーあ…」
「これあげるから、許してよ」
頬を膨らませてぷいと視線を外されてしまった…ので、ご機嫌をとるために能力発動
少女を幸福にすべく、手の内にとっても美味しい飴玉を生み出し―――差し出した
飴玉はなんの前触れもなくパッと現れ、ビー玉のような色彩でもって存在している
「え、そんなん言うなら探す気にはならないなぁ。」
「君こそ、「探してくださいお願いします」じゃないの?」
売り言葉に買い言葉
青年は笑顔を称えながらも明らかな挑発文句で対応した。
- 414 :レラ=バニッシュ:2012/03/22(木) 22:38:02 ID:2gQ38VP60
- >>413
「挙句の果てに子ども扱いか……」
等と未だ文句を流してはいたものの、飴玉を見ると素直に受け取って口に含んだ。
子ども扱いに更に腹を立てたようだが、彼女はどう見ても子どもである。
外見で察すれば年齢は二桁に掛かるか微妙なところ。身長は120cmも無いのではと考えさせる。
推測される歳の割には口は(主に悪い方向にだが)周るし、雰囲気は妙に尊大で自尊心が強い。
コートの下はTシャツ一枚と言う季節感無視の服装から強調される胸は大人以上の成長を見せているが……?
「ただの凡人がこの天才である僕に対してそんな口を……。
……フン、まぁいい。今日の所はそう言う事にしておいて、貴様に仕事をくれてやろう」
思ったよりも飴玉の効果は高かったらしい。
心なしか表情が優しくなるものの、依然厳しい表情を浮かべる少女は何とも素直では無い。
- 415 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/23(金) 07:56:17 ID:IRmX2dkY0
- >>414
「君が子どもじゃなかったら俺はおじいさんだな」
「それは勘弁して欲しいね」
素直に飴を受け取って頬張る姿は、とても子ども以外に見ることはできない
身長や顔立ちの割にずいぶん難しい言葉遣いを使うし…胸も其れなりにあるあたり、所謂ませた子なのだろう
―――と考えもう三つ、今度は袋入りの飴玉を生み出し差し出した
「へいへい、よく言えました~」
「じゃ、とりあえず正式な依頼ってことで受けとくね」
どこまでも少女を舐めているらしい青年
空いている左手で少女の頭を撫でようとした。顔には意地の悪い笑みが含まれる
- 416 :レラ=バニッシュ:2012/03/23(金) 15:06:44 ID:2gQ38VP60
- >>415
「チッ……」
舌打ちをして、明らかな不快感を現れにする。
しかし、青年の出した飴玉はしっかりと受け取る。
「貴様にはこの僕の扱いも叩き込む必要もあるが、「年上」の人間への礼儀も撿撿」
相変わらず理不尽な不満を並べて居たが、頭をなでられると酷く驚いた様で。
反射的に両手で掴んで外そうとするが、非力過ぎてどうにもならない。
仕方がないので腕を掴んだまま、両腕の間からキツい視線を送る。
- 417 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/23(金) 15:54:08 ID:gP1qEn.E0
- >>416
「は?年上…?」
少女の言葉から拾い上げる、不可解な言葉
気になって首を傾げて聞き返した
乙女らしからぬキツい視線には「おー怖い怖い…」とちゃかしておく
腕を掴まれながらも強引に、わしゃわしゃと撫でまわそうとするだろう
- 418 :レラ=バニッシュ:2012/03/23(金) 16:49:02 ID:2gQ38VP60
- >>417
「……十八」
青年の態度に、飽きれた様子の溜息で答えた。
大方、話の流れから言葉の意味を推測できるだろうが、
青年がそれを信じ切れるかと言えば別の問題な訳で……。
「やめろ!」
その場でぴょんぴょん飛び跳ねたり腕に力を込めて退かそうとして見たり。
頑張っている様子はかなり必死そう。
- 419 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/23(金) 17:40:08 ID:51FZPppw0
- >>418
「…18?」
「18って……18歳ってこと…か?」
やめろと言われているのに関わらず頭を撫でながら、首を傾げる
再び少女の全身をよくみるが…とても18歳―――どころか中学生にも見えない
「面白い冗談だね」
「あれ?ピノコちゃん的な?」
ピノコ、といえば某手塚先生の闇医者漫画の登場人物だが
それを例えに出しながら、詳しい説明を暗に求める
- 420 :レラ=バニッシュ:2012/03/23(金) 17:54:59 ID:2gQ38VP60
- >>419
「そうに決まっているだろうが。
理解したら今すぐ頭を撫でるのを止めて相応の態度を取るべきだと思うのだがな!」
力を入れてもどうにもならないので青年の腕をペチペチと叩き、もう片方の手では抓っている。
「何も僕だってなりたくてこうなった訳では無い!!」
余りにも信じようとしないので自棄になってしまったらしい。
……言葉から見れば、身長の事は結構気にしている様だ。
- 421 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/23(金) 18:02:30 ID:51FZPppw0
- >>420
「へいへい、辞めますよ~」
「たかが一歳じゃん。
そんなに改まる必要は感じられないね」
抓りが少し効いたのか、ちょっと顔をしかめて腕を離す
しかしこの態度をやめるつもりはないらしく、べーっと舌を出して挑発しておいた
「ん、ごめんごめん」
「えーっと…『背ぐらいそのうち伸びるよ(棒)』」
これまたいやらしーい言い方である
青年はもう殆ど遊びも同然と言った感じだ
- 422 :レラ=バニッシュ:2012/03/23(金) 18:13:12 ID:2gQ38VP60
- >>421
「フン、今すぐここで僕が貴様の身体に穴をあけても良いんだぞ……?
……まぁ、今日は貴様の仕事の為に勘弁しておいてやる。この天才である僕に、存分に、感謝しておけよ?」
背伸びをして少しでも顔を近づけようとしていた。
「ッ……! ま……まぁ、貴様がそうしているのも自由だ。
だが、天才である僕が世界を征服した時には、下等生物同等の扱いになる事を覚悟しておくことだな」
余りにも棒読み。青年の自分への扱いが直接以上に感じられる。
グッと拳を握ってギリギリの所で怒りをこらえ、潤んだ瞳で睨む程度に抑えておいた。
- 423 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/23(金) 23:46:58 ID:51FZPppw0
- >>422
「ふふ……ありがとうございます」
背伸びをして顔を近づけながら言葉を発する少女が面白おかしくて、笑いが漏れだしてしまう
「世界征服かぁ…頑張ってね」
「うん。俺は応援してるよ」
まさかそんなことが野望として秘められているとは思わず、ニヤニヤとした笑みを貼り付けながら
ぽんぽんと肩を叩こうとする
「さて、良い子はそろそろお帰りの時間じゃないかな…?」
そろそろ日が完全に沈み、寒さがより一層強くなろうという時間帯
青年は左手の腕時計を見やり、提案した。
- 424 :レラ=バニッシュ:2012/03/24(土) 00:19:15 ID:2gQ38VP60
- >>423
「つくづく気に入らない奴だ……」
青年を鼻で笑い、顔を逸らす。
「これ以上貴様と話す必要も無いからな」
コートの裾を翻し、背を向けて去ろうとする。
が、思い出した事があるらしく、もう一度振り返り。
右手の人差し指を突き付け、後方にジャンプ。
空中でジェットブーツを起動させ、飛行を開始。
「仕事の事、忘れるなよ?
これで貴様の有用性が量られるんだ。それを忘れるなよ?」
そう言い放ち、だんだんと上昇していき、夜の空に消えていった。
- 425 :柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/24(土) 00:25:39 ID:51FZPppw0
- >>424
「尽力するよ―――またね」
空を飛び去って行く彼女に手を振り見送って
次いで青年も背から天使の翼を生やし
「久しぶりの仕事だねぇ…頑張るか」
呟いて、空をかけていった。
- 426 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 19:52:43 ID:7gFzKdaU0
- AGカフェ。雰囲気のいい事でそこそこ有名だろう店内には、余り客は見られないようだ。
チラホラと何人かの人影は見えるものの、静かな店内。
しかしながら――――少々視線を集めてしまう様なそんな存在が居た。
「あ゛――――ねみぃ…………、やばい、眠い…………」
口の端にシガリロを咥えて紫煙を燻らせながら、ふへぇ、と息を吐いて机に突っ伏したのは青年だ。
格好は、千夜学園の制服なのだが――――少々見た目が人目を引く。
例えば髪の色だ。紫色と銀色が、横縞に染め上げられた坊主頭は、異様に目立つ。
そして、制服だ。ただ着崩しているわけではない。学ランの中は、鮮やかなピンク色のアロハシャツ。
オーバーサイズのスラックスはぶかぶかでB系なのかと思われる様なデザインであった。
そんな――――バイクに乗ってヒャッハーと叫んで種籾を奪ったりしてそうなサングラスの青年が、眠そうにテーブルに突っ伏していた。
なぜ休日なのに制服?とか、未成年なら煙草ダメじゃない?とか、無数に突っ込みどころがあるだろう。
恐らく、カウンター席のテーブルにおいてあるのは、酒のボトルだっただろうし。
- 427 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 19:57:57 ID:WVrfsEdY0
- >>426
【カランカラン、と入口の扉がなる】
「こんばんわなの〜・・・」
【いつもの調子で包帯を巻いた少女が入ってきた】
「うー、おなかがすいてしょうがないの…
なにかたべないとなの…」
【お腹をうるさく鳴らしながら疲れた顔でカウンターへ向かっていく】
- 428 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 20:01:21 ID:7gFzKdaU0
- >>427
入り口が鳴って、青年の顔がぐりんとテーブルの上で動く。
サングラスが少しズレて、童顔の顔を露としながら口元に笑を浮かべる。
「――おう、ディスじゃねぇか。久しぶりだな」
少々彼は旅に出ており、比較的最近帰ってきたばかり。
その為、旧友との出会いは、わりと嬉しいものであったのだが――――ディスのつぶやきを聞いてため息。
「今店員居ないっぽいぜ?……何なら、適当に俺作ってもいいけど」
シガリロの先端を灰皿で潰し、火を消してから、こきこきと首を回して提案してみる。
実際料理は出来ない訳ではないのだが、この見た目だけならば心配である。
- 429 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 20:05:49 ID:WVrfsEdY0
- >>428
「あうー…『りょうほう』ひさしぶりなの…
うー…おなかすいたの…」
【普段なら笑顔で返すところだが…どうやらひどくお腹が空いているようだ】
「あう?『りょうほう』がなの?
つくってなの!たのしみなの〜!」
【若干元気になった顔で言った】
- 430 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 20:10:15 ID:7gFzKdaU0
- >>429
「おうー、俺も丁度なんか腹に入れたいところだったしな、丁度いいや」
そう言いつつ、キッチンに勝手に入り込んでいく良方。
そして、ディスの方を見るように、首をひょこっと出して、にぃと笑って問いかける。
「米と麺とパン、どれがいいよ?」
とりあえず、リクエストに答えて見ることにしたらしい。
- 431 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 20:14:49 ID:WVrfsEdY0
- >>430
「あうー。そうなんだなの〜。おなかすいてたんだなの〜」
【ディスも若干嬉しそうに返す】
「うーん、なんでもいいけど…
そうだなの…めんってきになるかなの〜」
- 432 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 20:21:51 ID:7gFzKdaU0
- >>431
「うーっし、了解だ、んじゃ任せとけぃ!」
そう、調子づいた口調と態度で、奥に引っ込んでいく良方。
ゴソゴソと適当にエプロンとバンダナを取り出して料理を作るべき格好に着替える。
手を確り洗うと、適当に冷蔵庫を開けて、食材を物色。
取り出したのは、ケチャップ、玉葱、ソーセージ。あと、卵を二玉。
手早くお湯を沸かして、塩を少量お湯に入れて、麺を投入。茹でに掛かる。
タイマーをセットし、茹で上がるまでの時間で、他の準備をしていく。
切っておいた玉葱とソーセージを手早く炒めていき、そこにケチャップを投入。
何かを刻んだ物をさり気なく追加し、塩コショウを入れて味を整えていく。
ちょうどいい塩梅の所でタイマーの音が鳴り、フライパンの火を弱める。
鍋の中の柔らかめのアルデンテに茹でた麺をザル上げして湯切り。
その後、フライパンの火を強め麺を投入し、一気に混ぜ上げて、用意しておいた皿に盛りつけていく。
他のものを軽く見ずにつけて洗うと、皿を二つ持って戻ってきた。
「ほぃ、出来たぜぇ。名付けて良方サン特製懐かしのナポリタン超大盛りだ!」
そう言って、うず高く積み上げられた赤色の麺の山をディスの目の前に置いた。
結構ディスは食べるはずと覚えていたので、割と大盛りである。
懐かしのナポリタンであるが、味にアンチョビを咥えてあるので、味の深みもあり、きっと美味しいだろう。
- 433 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 20:32:41 ID:WVrfsEdY0
- >>432
「あうー、たのしみなのー!
はじめてかなの?」
【嬉しそうな顔で料理が来るのを待つ】
「あうあう、いいにおいがしてきたなの…」
【料理のにおいがしてきたら段々と元気が出てきたようだ】
「あうー!おいしそうなの!
たべてみようかなの!」
【大盛りのナポリタンを見て嬉しそうにフォークを手にとった】
「えっと、どうするんだったっけなの…」
【フォークでナポリタンを掬おうとするが、なかなかうまくいかない。どうやらちゃんと掬えていないようだ】
- 434 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 20:38:32 ID:7gFzKdaU0
- >>433
「あー、掬うじゃなくてだな、ちょいと此方ちゅうもーく!」
そう言って、ディスに声を掛ける良方。
そして、フォークを持って、ナポリタンの山に突き立てた。
グルグルとフォークを回して、フォークに麺を纏めていき。
「んでっもって――あむっ」
まとめた麺を口に入れて、もぐもぐと咀嚼し、飲み込む。
と言った感じの良方さんの食べ方講座であった。
- 435 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 20:44:05 ID:WVrfsEdY0
- >>434
「あうあう?
ふんふん…」
【良方がフォークの使い方の実演を行う…それを実に真剣な眼差しで見つめるディスは】
「えっと、こうして、こうかなの…」
【フォークをクルッと回して麺をまとめ上げる】
「あうー、うまくいかないけどなんとかできたなの…
あむっ」
【そう言って嬉しそうに口に入れた】
「もぐもぐもぐもぐ…あう!とってもおいしいなの!
なんだか…すごく、おいしいの!」
【嬉しそうに言った。何か表現しようとしたようだが出来なかったようである】
- 436 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 20:48:49 ID:7gFzKdaU0
- >>435
「おーおー。結構上手いぜ!」
にぃ、と笑いながら、たどたどしい動きを褒めてみる。
そうしながら、此方もナポリタンを口に入れていた。
「……くっくっく、コレでも伊達に一人暮らししてるわけじゃねぇからな。
毎日買い食いするより遥かにやすいし、慣れりゃ上手いしで良い事ずくめなんだぜー!」
少しドヤ顔を浮かべつつも、良方はなかなかの速度でナポリタンを平らげていく。
- 437 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 20:52:10 ID:WVrfsEdY0
- >>436
「えへへ、そうかなの…
まだぜんぜんなれてないけどなの」
【そう言って先ほどの動作をまた繰り返して麺を食べていく】
「もぐもぐもぐ…すごいなの〜。そういうことでできるんだなの!
あうー、『でぃす』もこれくらいできたらなの〜」
【どこか羨ましげに言う】
- 438 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 20:58:51 ID:7gFzKdaU0
- >>437
「そそ。最初なんてそんなもんだって。
俺も割りと人に自慢できるような食べ方じゃないだろうしなぁ」
ばばば、と素早い動作で巻き、口に放り込むように平らげていく良方。
割りと良く喰うが、能力のせいで燃費が悪いためであった。
「ま、最初は目玉焼きから挑戦だなぁ。
あとかつ丼とか親子丼は思ってるより簡単だぜ?めんつゆで味は結構何とかなるしな」
にぃ、と笑って、くしゃくしゃ、とディスの頭を撫でようとするだろう。
- 439 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 21:06:04 ID:WVrfsEdY0
- >>438
「あうー、もっとれんしゅーしてみるなの!
それがいちばんかなの!」
【納得したように頷く】
【ディスの方も大量のナポリタンを順調に食べていく】
「めだまやき…あうー、いろんななまえのたべものあるんだねなの!
なんかつくれたらたのしいだろうなの〜」
【ドンドンナポリタンを口に運びながらもどこか楽しげに答える】
くしゃくしゃ
「あうー。」
【頭をなでられるとやはり嬉しそうな顔になる】
- 440 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 21:12:34 ID:7gFzKdaU0
- >>439
「んだなー、綺麗に食べられるとなんか、ちょいと嬉しくなるしな」
サングラスを直しつつ、もう半分もないナポリタンを攻略していく。
「卵で作る料理は割と簡単だぜぇー、初心者はそっからだな。
今度でも、クロスに頼んでここで練習させれもらえばいいだろ、あいつロリコンだから貸してくれそうだしな」
と、料理の練習がしたいならすればいい、と提案してみたり。
そして、あたまをしばしくしゃくしゃと撫でると、その頃には既にナポリタンを食べ終えていた。
ほふぅ、と息を吐くと、シガリロを胸ポケットから取り出して、一本口に加える。
右手の人差し指をシガリロの先端につけると、じじじ、と言う音がして。
気づけば火が付いて煙がうっすらと登っているのだった。
- 441 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 21:18:48 ID:WVrfsEdY0
- >>440
「あうーそうなの…
あんまりきれーにたべられなくてなの…」
【若干フォークに絡めるのを苦戦しながら言う。】
「たまごなの…
あうー、いろんなりょうりつくれるのかなの!」
【ナポリタンを口に運んで言う。食べるのを慣れてないからかいつもよりは減りが遅い】
「そっかなの!『くろす』もおりょうりとくいだもんねなの!
おしえてもらおっかなの…ろり?なにかなの」
【少し疑問形で答える】
- 442 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 21:24:44 ID:7gFzKdaU0
- >>441
「ま、後で俺が片付けるし、そんなに来にしなくてもいいと思うぜ?」
自分の食器をまとめつつ、グラスにボトルの酒を注ぎながらそう答える。
シガリロを灰皿に一旦置き、グラスに注がれたウイスキーを口元に運び含み、飲む。
ふはぁ、と息を吐いて、少し上気した顔でシガリロを咥えて煙を味わう。
「卵をマスターすればオムライスも簡単になるぜー?
あとはオムレツとか目玉焼きとか卵焼きとか、卵一個でいろんな物作れるしな!」
酒をちびちびやりつつ、上機嫌にそう答えていく。
「……あー…………ロリコン、ってのはそうだな、ああ――――っと。
ディスみたいな小さな子と仲良くするのが好きな人ってことだ!」
と、大分ぼかした形で教えることにしておいた。
- 443 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 21:35:16 ID:WVrfsEdY0
- >>442
「そっかなの…
でもあんまりめーわくかけたくないからなの…」
【そう言いつつ順調に食べていく】
「あうー、いろんなおりょうりのなまえなの!
いっぱいつくりたいなの〜」
【楽しそうに答える】
「あうー、そうなの!
じゃあもっとなかよくするのがいいかなの〜」
【にっこり微笑んで行った。やんわり気味なせいかいい意味に捉えたらしい】
- 444 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 21:41:01 ID:7gFzKdaU0
- >>443
「んー、まあゆっくり食ったほうが腹とかも痛くならないしな。
つっても、さっき俺めっちゃ早く食ってたんだけどさ」
酒と適当なつまみを口に入れつつ、いつの間にか自分の分は片付けに行っていた。
「ん、上手くできたら俺にも食わせてくれよ?」
サングラスの奥の瞳を柔和に細める。
そして、思考では、初心者なら何が一番いいかねぇ、と考えても居た。
「ん――――そうだな!」
細かいことを考えないことにしたようだった。
- 445 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 21:47:53 ID:WVrfsEdY0
- >>444
「あうー、ゆっくりすぎないかなの…」
【ちょっと心配そうに言う。普通の人よりちょっと遅い程度のスピードである】
「あうあう、たのしみにしててなのー」
【嬉しそうに言った】
「なかよくなの…うーん、どーすればいいかなの?」
【言ってはみたものの、どうすればいいのかわからないようだ】
- 446 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/03/24(土) 21:54:35 ID:7gFzKdaU0
- >>445
「んー、問題ないと思うぜぇー」
グラスの中の琥珀色の液体を揺らしつつ、にへ、と笑を浮かべて答えた。
のんびりと酒を飲んでいたため、別に遅くとも問題はなかったのだ。
「おうー!炎の料理人ディスのお手並み拝見、って所かねぇ」
はっはっは、と笑い声を響かせるが、こくん、と頭が船を漕ぐ。
「さあなぁ、とりあえず普段通りでいいと思うんだぜ」
と言いつつ、じょじょにテーブルに突っ伏していき。
気づけば良方は眠っていたことだろう。どうやら今日は補修が有って疲れていたらしい。
- 447 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/24(土) 21:57:41 ID:WVrfsEdY0
- >>446
「そっかなの…
ならいいけどなの!」
【嬉しそうに返す】
「うん!うまくなったらねなの〜」
【そう言ってドンドン食べていく】
「そっかなの〜。いつもでいいならあんまりきにしなくていいかなの〜」
【納得して言う】
「…あう?あうー、ねちゃったなの〜…
つかれてたのかなの…ここならへーきだよねなの〜」
【少し心配しながらもそばでディスはナポリタンを食べ続けていた】
- 448 :アイリス:2012/03/29(木) 01:13:27 ID:do5XJmGE0
- 【一夜城】
深夜、夜闇の蚊帳が降りた頃、アイリスは一階の談話室でアスカリオテの蔵書を見ている。
明るいシャンデリアが創りだす光で廃工場地帯の地図を眺め。どの土地を使用するか、
また、そこに設置する大規模術式を決めかねていた。
「さて、面倒だね。今後の件も含めて決めてしまおうか。」
テーブルの端に置かれた紅茶のカップとソーサーを持ち、窓際へ。
観音開きの窓を開け放ち、左腕を月へと伸ばす。
そうすれば、以前放った草たるコウモリたちが集まり始めるだろう。
- 449 :名も無き異能都市住民:2012/03/29(木) 01:17:34 ID:SSMHlh/20
- >>448
蝙蝠たちの報告によると、
一夜城を探索する者の一団が近づきつつあるという。
人外の気配なし。全員人間。
ただし、退魔組織だとか過激な人外排除主義者といった風ではなく、
武装も護身用のライフル程度で、荷物の大半が『撮影機材』であるようだ。
- 450 :アイリス:2012/03/29(木) 01:28:29 ID:do5XJmGE0
- >>449
「なるほど…。人であるかぎり、決してココには近づけまいよ。彼らは後は罠に嵌るだけ。そんな運命だろうね。
それに、人妖が接する場所は既に存在している。僕が必要と思ったのは人外、混血のみが出入りできる場所さ。」
人妖が接する場所は言わずとも良いだろう。
ここにはそういった施設は既に存在する。AGカフェを始めとする所々だ。
腕に止まったコウモリに応えるようにつぶやくと、窓を開け放ったまま、再びテーブルへ。
「さて、今後必要なことは人を介してでも良い。とにかく、広げること。
ここの存在はまだ一部の者しか知らず、入れる者も限られる。」
再び椅子へと腰掛けて、地図を眺める。
準備しているのは500円玉程度の大きさの宝石数点。
それらを握り込み、余剰魔力を溜め込んで。
- 451 :名も無き異能都市住民:2012/03/29(木) 01:41:36 ID:SSMHlh/20
- >>450
そのころ……。
異能都市で発行部数120万部を誇る新聞、『UUS』の発行元である
『USS』社撮影隊は完全に立ち往生していた。
「うーむ、次から次へとそれっぽい感じの城は見えるが……。
どれもこれも一行に近づけないか、妙な気配がする……。
アタックキャンプを張るにも限界があるか。」
豊富に用意した食料も、心許なくなってきた。
これは明日にでも、撤退を決断すべきかと考えていたのであった。
- 452 :アイリス:2012/03/29(木) 01:52:11 ID:do5XJmGE0
- >>451
彼らは人であるかぎり、一夜城には近づけない。
この城の門戸は人外の血を引く者、あるいは持つものにしか開かれないのだ。
コウモリからの報告によれば、人間が嗅ぎ回っているとのことだ。
アイリスは念話をキルリスに飛ばす。
――一夜城を嗅ぎまわるネズミが居る。現行の調査はほどほどにして、三日以上留まるようなら彼らを食べて良いよ。
アイリスは非情にも使い魔越しの死の宣告を彼らにした。
嗅ぎ回れても邪魔でしか無い。この城のものに見つかれば遅かれ早かれ襲われるだろう。
「さて、大儀式を行使できるほどの魔力をそろそろ蓄え始めようか。」
一方、一夜城城内。
アイリスは外の様子を知ること無く、自らの目的のために行動を開始した。
- 453 :名も無き異能都市住民:2012/03/29(木) 02:12:21 ID:SSMHlh/20
- >>452
それから……。
「仕方ないが撤退するしかない。
また編集にどやされるなァ。こりゃあ、とっておきの
ピンクの空飛ぶゾウのネタでも代わりに放出するしかないか。」
彼らは結局、一夜城を見つけられず撤退を開始した。
今は、三流タブロイド誌すら相手にしないようなネタに過ぎない。
しかし、都市の人外の間で広まり続ける一夜城の噂は、
こういった人種を増やし続けるだろう。
// ごめーん、そろそろねるん・・・。
- 454 :柊宇都 綾:2012/03/31(土) 22:50:12 ID:wezxvRSg0
- ―――イデアの箱庭。草原フィールド。
そこに、一人の少女がログインした。
「……しかし、凄いな」
何度か使った事のあるこの施設も、未だに理解はできない。
少女の衣服も完全に再現されていて、周囲の風景も現実の物と変わりない。
地面に生えた草を抜くこともできれば、それを放って風に靡かせることが出来るのも同じ。
「……面白い」
ヴァージニアがログインすれば、しきりと草原の草を毟る綾の姿が見られるだろう……。
- 455 :ヴァージニア:2012/03/31(土) 23:06:35 ID:zIsmEMxg0
- >>454
部屋に帰ってみると、置手紙が残されていた。
箱庭来てほしいという旨を確認したヴァージニアは、指示通りに目的地へ向かった。
イデアの箱庭。噂には聞いていたが、利用したことはない。
しばらく使い方についてあれこれ悩んでいたが、意を決して使用してみる。
見慣れた都市の風景から一転し、その場所は緑一色の草原だった。
生い茂った草たちは風で靡いている。
「ここで良かったのかな……」
周囲を見渡し、綾を探す。
何の用で自分を呼んだのだろうと、気になっていた。
- 456 :柊宇都 綾:2012/03/31(土) 23:26:14 ID:wezxvRSg0
- >>455
新たな存在の登場が綾に知らされる。
置手紙。という手法はヴァージニアにとって面倒だったかもしれない。
ヴァージニアが使用したことが無い。もしくは存在を知らない。
それを考慮する暇も無く、使用を強制された手紙は綾の不器用さがよく表れていた。
「……ヴァージニア」
久々だった。
最近、少女が自らの前に姿を現さない事が多くなってきた。
綾はそれが寂しかった。しかし、それを言う事は無い。
不器用さも宛ら、人付き合いに関しては綾はヴァージニアよりも下手だった。
今日の綾は衣服も見慣れないものだった。
家用のスウェットでも、戦闘用の禍々しい衣装でもない。
年齢相応の少女が着る様な、一般的な服。
それと、少女は、綾が見慣れない箱を持っていることに気づくだろう。
その箱が、その服と似合わないことも相まって、結構不自然な雰囲気を醸し出していた。
- 457 :ヴァージニア:2012/03/31(土) 23:43:35 ID:zIsmEMxg0
- >>456
「リョウ様」
彼女は主人を護る為に力を蓄えることをしていた為に、家に帰ることも少なかった。
しかし、そのことによって大事なことを失念していた。
主人の期待に応えるならば、寂しさを覚える綾の側に居ることが最善であったのに。
「あの……、ごめんなさい」
その感情を綾は口にしていないが、彼女の下僕として生きるヴァージニアは
寂しいという感情をその身に受けた。
側についてやれば、そんな感情を抱くことはなかったはずだ。
だからこそ、彼女は謝った。
- 458 :柊宇都 綾:2012/03/31(土) 23:58:49 ID:wezxvRSg0
- >>457
「構わない」
寂しいことは寂しい。
「傍に置くために、生かした訳じゃない」
筈だったのに。
それがどうにかなってしまって、今は無性に寂しいと感じるまでになってしまった。
「ヴァージニア」
持っていた箱を見せやすいように前に出す。
1m弱の高さを持った長方形の箱。
頑丈そうな外装によって覆われたそれを差し出す、
- 459 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 00:11:02 ID:zIsmEMxg0
- >>458
「はい……」
その言葉を甘んじて受け入れる。だが、今の自分は道具でしかないのだ。
ある程度主人の心情が分かるとはいえ、本心までは窺い知ることはできない。
だから、矛盾性のあるその言葉を気にすることはなかった。
「これは」
綾から差し出された箱を受け取る。
開けるべきなのだろう。彼女はしっかり梱包されたそれを開封していく。
中に入っていたのはずっしりとした金属で構成された重厚そうなハンドガンだ。
これを持てというのだろうか。
- 460 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 00:29:48 ID:wezxvRSg0
- >>459
「銃」
ヴァージニアに渡すと、そう呟くように言った。
何処からか、用紙を取り出して、それを見ながら言葉を続ける。
「欠点を補う」
それには少女ヴァージニアのあらゆるデータが載っていた。
始め、綾に捕らえられた時――吸血鬼として生まれたとき――から、
最近ヴァージニアが帰ってきたとき解析された最近のデータ。
変化量を見るに、綾程の著しい変化は無く。その結果を受けて今日はここに呼び出した。
一般的な人間よりも十分強力と言える腕力も、綾と比べれば大きく劣る。
恐らく、綾が普段手にしている大剣を持たせても存分に扱う事は難しいだろう。
それに何より、綾はヴァージニアが傷ついて欲しくないが為に、近接武器を持つことを好まなかった。
故に、この銃。
「特注品」
- 461 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 00:51:57 ID:zIsmEMxg0
- >>460
「欠点……」
ここ数日の間に悩んでいたことだ。
ヴァージニアの場合は、人間だったころの未成熟の肉体が、成長を阻害している。
素体が良い吸血鬼は、能力の伸びも著しい。
加えて彼女の場合、戦闘センスも異能都市の一般的に見て大いに劣る。
だからこそ、遠距離から攻撃できる銃と言う兵器は理にかなっていた。
銃の性能もまた、普通のものとは違うらしい。
肉体的な力が弱いといっても、彼女も吸血鬼として生きている。
人間以上の力を持っているのは当然で、ゆえに銃の反動を大きく吸収できる。
それゆえに用意されたこの銃は、吸血鬼の持つものに相応しく。
特殊な火薬の爆発に耐える為に、それなりの金属を用い、重量が通常の銃の数倍。
用いる弾も特殊なもので、その筋からで無ければ弾倉も手に入らない特注品<オーダーメイド>。
「これを、私に?」
綾はきちんと自分のことを見ていたのだ。
そして、物をプレゼントされるという経験がなかったために、
急に笑顔になって、その銃に見入っている。
「ありがとうございます」
人間らしい、といえばそうだ。
失われていた人間の心が、復帰しつつあるから。
だから、嬉しい、といった感情も表に出せるようになっている。
- 462 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 01:39:37 ID:wezxvRSg0
- >>461
綾の大剣もそう。圧倒的なリーチとパワーを持つそれは吸血鬼あっての物。
吸血鬼としての長所を活かした結論があの大剣なのだ。
勿論、ヴァージニアの一般人より強い腕力も、活かされる設計となっている。
「嬉しいか」
無表情でそう言ったが、裏には驚きがあった。
そして、その驚きは喜びと大きく結びついていた。
今まで、少女と幾らかの時間を過ごしてはいたが、少女の笑顔と言う物を見た事が無かった気がしていた。
今まで自分が近くに居て欲しかっただけで、少女の喜びを考えた事が余り無かったと。
改めて少女を見て自覚して、気付けた事と、少女の笑顔がうれしかった。
//ごめんなさい、これだけ書いて、今日は落ちます……すいません。
- 463 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 12:37:03 ID:ya8d7Ixo0
- >>462
「嬉しいです、大切にします」
喜びという感情ひとつとっても、下僕として生きる吸血鬼にとっては必要のないものだ。
それを表情で表現できるほどに感情豊かになった。
それは吸血鬼として退化しているのか、進化しているのか。判別は難しい。
雑に書かれた仕様書を手に取り、読み取っていく。
動作は一般的な半自動式を用いられているらしい。
基本的に撃つまでのプロセスは、マガジンを装填し、スライドを引く。
これによってコッキング状態になった銃のトリガーを引くことで、初弾は発射される。
薬莢が排出された後、トリガーを戻すことで再装填がなされる。
ゆえに連射を行うことはできないが、銃を扱ったことのないヴァージニアにとっては適しているといえた。
しかし、使用している火薬が規格外であるゆえ、反動が凄まじい。
訓練していない人間が、射撃に適さない姿勢で撃つと肩が脱臼するほど。
人間以上の身体的な力を備えているとはいえ、反動を制御できなければまともに撃つこともかなわない。
ある程度仕様を解読した上で、適切なプロセスを経て、撃てる状態となったハンドガンを手に持つ。
- 464 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 14:17:09 ID:wezxvRSg0
- >>463
「つかえるか?」
綾の知り合いに頼んで作ってもらった特別性の品。
無論、その特性を綾葉理解していて、それを踏まえての事。
尤も、普通の銃程度であっても威力が足りないなんてことはそうない筈。
しかし、少女ヴァージニアが吸血鬼である以上、相手もまた人ならざる者である可能性も捨てきれない。
そう言った者の対策の為に生み出された兵器がそれなのだ。
程なく、一度電子音が響くとヴァージニアの前方に人型の何かが現れるだろう。
影が現実化した様なそれは、動かず。箱庭のトレーニングプログラムのうちの一つは、ただ撃たれるのを待っていた。
- 465 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 15:21:56 ID:ya8d7Ixo0
- >>464
標的となる人影に対し、銃口を向け。
しっかりと狙いを定めてから、トリガーを引く。
瞬間、草原フィールド一帯に大きな爆発音が響くと共に、弾丸が射出される。
放たれた弾丸は狙いを大きく逸れ、近くの大木に直撃した。
そして、命中と同時に銃弾は破裂、大木を後方に吹き飛ばし、その後何故か爆発を起こした。
弾丸そのものが変形し、人体損傷のダメージ率を大きくするものをホローポイント弾と呼ぶ。
非人道兵器とされ使用が禁止されているものだが、まさしく人外に相応しいものだろう。
さらに炸裂した弾丸の内部に、駄目押しの爆薬まで仕込む徹底ぶり。
回復力や防御力などあらゆる面で人間を上回る化け物どもを滅殺する為らしいが……
非人道兵器であると同時に、対非人兵器でもあるのだ。
ただ。
「難しい…」
威力は申し分ないのだが、反動が大きく、狙いが難しい。
どうやら、貫通力を重視するため薬莢に含まれる火薬の量を多くしているようだ。
ここで疑問が浮かぶ。人体にダメージを与える為には、体内に弾が残るような作りの方がよい。
だからこそ、貫通力を重視する必要はないのだ。
つまり、人体の防御能力の高い対象――人外に対しては特効となり。
対象が人間の場合は貫通することで、深刻なダメージを与えないようにする。
その使い分けができるように作られている銃のようだ。
しかし、その倫理を重んじる作りのせいで、命中精度が下がっている。
銃撃というものは、命中率が一番の問題だ。
当たらなければ何の意味もないのだから。
- 466 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 15:40:27 ID:wezxvRSg0
- >>465
爆裂音が鳴り響くとその余りの衝撃に目を閉じた。
大木の欠片が綾の眼前を通り過ぎ、更に遠くへ。
それを眺め、「威力は申し分ない」と認識した。
……元より、ここまでの威力は望んでいないはずだが。
「やりすぎ」
手元の資料を確認しながら、この銃の製作者の名前を突いていた。
「そうか」
余りのコミュ力不足。
ヴァージニアに対しそうとしか言えない。
銃の知識も無く、手に取ったことも無く、周りに使用する者も居らず。
実際に手に取った事も無いので得ている情報は既にヴァージニアよりも少なく。
そんな状況ではアドバイス等できるわけも無く。
- 467 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 16:03:31 ID:ya8d7Ixo0
- >>466
とにかく、練習をして命中率を上げなくては話にならない。
人影に銃口を向け、そこで脳裏をよぎるものがあった。
銃弾一発の価格だ。
一般的に銃弾一発を日本円で換算すると数十円となる。
しかし、銃撃の威力を高める為に工夫され生成された銃弾一発の値段は……
日本円換算で数万円程の価格となっていた。
どうやら、弾丸に使用されている金属が希少価値の高いものであるらしく、
通常の弾丸と比べて、その値段が跳ね上がってしまったようだ。
箱庭であるがゆえに、今は気にせずに撃てるのだが。
実戦で使うとなると、財布の中身が消えて行く……
「だめ」
今度は人影の近くの地面に撃ち込んでしまい、爆風で大地が抉り取られる。
ハンドガンにも、照準器というものが備えられている。
スライドの上部にフロントサイトとリアサイトという小さな出っ張りがあり、
このサイトを重ねてみて、対象をその上部に収めることで狙いをつけることができる。
しかし、丁寧に合わせ、静止した状態であっても、その反動が御しきれなければ結果は上記のとおりである。
何十発か撃ってみて、ようやく人影を粉砕することに成功したのだが……
実戦で上手く使えるのだろうか。
- 468 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 16:12:20 ID:wezxvRSg0
- >>467
「大丈夫?」
恐らくは、負担の心配をしているのだろう。
銃を渡される際にも反動の大きさに付いても説明は受けたし、
何より、この銃の作製を頼んだのは綾自身なのである。負担について知らない訳では無い。
実戦闘の場で負担で戦闘続行が不可能になる程になられても困る。
そう言った思考はあるし、その為の箱庭での訓練ではあるのだが、
綾が持つヴァージニアへの慈愛。それが行き過ぎた過保護が、静止の言葉を掛ける。
- 469 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 16:25:27 ID:ya8d7Ixo0
- >>468
「ごめんなさい、上手くいかなくて……」
これほどまでに射撃が難しいとは思ってもみなかった。
練習をしても結果を出せず、情けなく感じていた。
先ほどまで使用していたハンドガンを見やる。
戦力が著しく低い自分の為に、綾から渡されたそれ。
その思いに応えたかったが、現実問題運用が難しいと来ている。
- 470 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 16:31:42 ID:wezxvRSg0
- >>469
「構わない。
そう言う場所」
口にした矛盾に気づく、僅かに顔を曇らせた。
現実で痛手を負わない為に箱庭で特訓をしている。
しかし、箱庭で傷つく事すらを拒絶している自分。
- 471 :ヴァージニア:2012/04/01(日) 16:54:41 ID:ya8d7Ixo0
- >>470
もちろん、このままでいいはずがない。
自主的に特訓をしなければならない、と彼女は思った。
初歩的な訓練は終了したので、箱庭からログアウトする。
現実の方で改めて箱を受け取って、中身の確認を行っていく。
サイホルスターに収まったそれを適正部位に装着し、
突発戦闘時に素早く抜けるか確認する。
装弾数は6+1。
重量を考え、携行するマガジンは数個にすることにした。
- 472 :柊宇都 綾:2012/04/01(日) 17:04:50 ID:wezxvRSg0
- >>471
ヴァージニアに箱を託すと同時、一つ言葉を送っておいた。
「金銭的心配は、必要ない」
と。
生まれながらに住まいが裕福だった綾には余り実感は無く、それを実感する機会も無かった綾に自覚は無いが、それは相当の物。
父親が数年前に病死。母親は行方知らずとなっていた長女の綾はその余りすぎる財力の全てを得ていたのだった。
自分では使うあても見当たらないので、それならばこっちの方がマシだろう。と少女にこの話を持ちかけた。
「たまに、帰ってきてほしい」
別れ際に、ふと思い出したように呟く。
いままではヴァージニアが一方的に主従関係を求めてきたが、綾にその自覚は無かった。
しかし、最近になってそれが寂しさと言う感情で表されてからはその自覚を認める事にしていた。
そうでなくても、身寄りのない少女の家がここにはある。と言う事を教えておきたかった。
――――箱庭。草原フィールド。
「ゲーティア」
再び風の吹く草原へと意識を運んだ少女。
ヴァージニアの特訓は済んだが、自身はまだ。
小さく、何者かの名前を呼ぶと直ぐにそれは答えてくれた。
―――『一つ目の魔剣』
外気に数時間晒されて固まった血のような赤黒さ。
狂気に満ちた視線を放つ巨大な一つ目が少女を捕らえていた。
この刃には柄と言う物は存在しない。
柄となり得るのは『使用者本人』。この場合は綾。
肘までを赤黒い血肉の様な魔剣に覆われた少女はそれを瞳を通わせて。
微笑んだ。
- 473 :アイリス:2012/04/03(火) 02:00:34 ID:do5XJmGE0
- 【廃工場跡】
此処は異能都市に存在する廃工場。
かつては盛況した製麺工場だったのか、様々な機器が分厚い埃を被っていた。
さて、地図記号というものがある。
丸に縦・横・右斜・左斜の線をくっつけた形のものだ。
この辺りは地図上では、そういったものが多い地域である。
そこに立つのはアイリス。
今回は、変装というものか、普段の千夜学園の制服とは違う服装をしていた。
フェルトの黒色のハット、モスグリーンのフード付きコート、ヴィンテージのロング丈のシャツにショートパンツ。
ちょうど腰の辺りでゆるく巻かれた赤い細幅ベルト。太腿半ばまでを温めるオーバーニー。
ボタンがついた、黒色のショートブーツ。正に春といった服装であった。
魔眼を起動し、指先を軽く傷つければ、垂れる血。そばに置いた花瓶に血液を垂らし。
一滴、二滴と雫が垂れるように、指先から水面に向けて落ちたそれは、痕跡。
既に水と混ざり合い、姿は殆ど見せなくなった。
だが、術を行使するものなら分るはずだ。
それは魔力を含んだ水である、と。
これより描くのは、陣。
大規模な拘束術を行使するための陣だ。
アイリスの手には童女ほどの大きさを誇る花瓶。その中は真紅に彩られており。
「我はルズィフィールを継ぐもの。古の盟約に従い、我が問いに応えよ。
描け、描け、描け。」
花瓶の中身が震え始める。
上から見れば、水面が小さなさざ波を立てているようにも見えるだろう。
それからは、アイリスは、自らの魔力が込められたピンポン玉大の宝石だったものを砕いた粉を入れる。
幾日も掛けてアイリス自身の魔力が込められたものだ。混ざり合うその瞬間にもアイリスが込めた魔力が水と混ざり合う。
「大いなる水の息吹よ。我が供するは水の恵み、汝が齎すは氷。
氷を以て、かの者たちを拘束せし術式を描け。」
アイリスが花瓶を倒せば、中身である水は溢れる。
術式の元である水に、魔力のもとである宝石、潤滑油替わりのアイリスの血液。
本来ならば、埃だらけの床にシミを広げるだけであった。
が、シミを広げるわけでは無い。
水が自然と三重の円を描き、中央から三重の円を繋ぐは六芒星。各三角には様々な記号らしきものが形成されており。
30を越える幾つもの線が、円同士を繋ぎ、小部屋を大きく作る。形成されたスペースには大小様々な記号らしきものが描かれていく。
術式は氷による拘束。ルーンを軽く調べてみれば、意外と氷と関わりが多く見られた。
例えば、氷の巨人を表すスリサズ他には嵐のハガラズ、凍結・停止のイサ。
この術式は氷での拘束を目的としたもの。どのような手段で拘束するかなど、あくまで“調理方法”であり、“味付け”は巴に任せよう。
小部屋はまだまだ多くのスペースを残していた。ルーンを入れる場所なら幾らでもあるのだ。
アイリスは指先を切り、コウモリに血を吸わせる。
氷の拘束術式を作った旨、場所といった情報を紙に書き記し、コウモリの足に結びつける。
彼女なら、即興で作り上げるだろう。彼女の自信アリ気な表情がそれを物語っていた。
薄っすらと灰色になったコウモリは、巴を探しに飛んで行く。
- 474 :アイリス:2012/04/07(土) 22:05:20 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
カランと来客を知らせる鈴が鳴れば、現れたのはアイリス。
“彼ら”との対峙の為の策は今、捕縛・術式の解析と各人に任せているところだ。
もう既に現状で打てる手は打っている…が、少し引っ掛かっていた。
拘束術式を張る最中から気になっていたことだ。
「…しかし、気になるね。なぜ、これだけ気になるのか…。」
いい茶葉を使っているであろう紅茶が入っているカップ。右手でソーサーを持ち上げて、左手でカップを摘み、口に含んで。
一度、カウンターにカップを置けば、肩に掛かる髪を手で払い。
フゥ、という溜息と、紅茶の香りが店内を支配していた
- 475 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 22:24:49 ID:wezxvRSg0
- ―――店内張り込み二日目。
今日も今日とてパンを頬張る綾。
昨日と同じ場所に座り、同じものを頬張る。
ただし今日はブルーベリージャム。流石に飽きと言う物がある。
ヴァージニアを探す為に重要な種としての繋がり。
それを探すのにも明確な手ほどきは無い為、思うようにはかどってはいなかった。
だが、今まで使わなかった吸血鬼としての感覚を尖らせる事で、綾自身も『そういう方向』への変化を遂げつつあった。
>>474
今も、何となく感じる。
感覚的な『何か』と嗅覚で感じる何か。
視線の先の誰かは遠いかもしれないが、少なくとも何か近しいイメージを感じる……気がする。
- 476 :アイリス:2012/04/07(土) 22:41:01 ID:do5XJmGE0
- >>475
アイリスはより明確に感じ取っていた。
――同族がいる、と
綾が感じていたものとは違い、明瞭なもの。
「やれやれ、意外といるものだね。君、吸血鬼だろう?
僕も吸血鬼でね、ここで会ったのも何かの縁だろう。少し話をしないかな?」
アイリスから見て背中側、艶やかな天然物の金髪に黒が混ざった髪が照明に照らされて、エンジェルリングが見て取れる。
その人物は綾に振り返ること無く、口を開いた。
- 477 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 22:53:33 ID:wezxvRSg0
- >>476
――――!?
此方が感じていたイメージは不明瞭。
それでいて、綾自身はそのイメージを感じる事に必死。
相手が自分と同じことが出来る。と言う思考までは至らなかった。
不意を突かれた様な感覚に、思わず手に取っていたナイフを落としてしまう。
「多分」
少女の殆どは吸血鬼。半分に近い程は既に吸血鬼になりつつある。
しかし、それ意外の半分は吸血鬼では無い何か。
かといってそれが人間だけで構成されている。という訳でも無く。また別の何かが流れているのだろう。
「僕も、話がしたい」
ともかく、相手のアプローチによって、吸血鬼であると言うことが分かった。
逆探知の感覚の手ほどきともなり得る人間。自分よりも『格』の高い吸血鬼が目の前にいる。
吸血鬼ともなれば、ヴァージニアについても何かわかるかもしれない。
- 478 :アイリス:2012/04/07(土) 23:05:07 ID:do5XJmGE0
- >>477
「偶然だね。僕も君に耳に入れておきたいことがあるんだ。
隣、いいかな?」
落としたナイフに目を向けることは無く、アイリスはソーサーを右手に持ち、カウンター席から立ち上がり。
青い瞳は綾の様子を観察するようで。
勿論アイリスはヴァージニアの名は知らない、それに綾の希望に添えるかも測り兼ねる状況。
半吸血鬼の綾と違い、アイリスは生まれてからの吸血鬼。感覚の共有についても習った知識しか提供できない。
アイリスが話したいことは勿論、襲撃された彼らについてだが…。
- 479 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/07(土) 23:07:10 ID:HnkBBDEo0
- 「ただいまー」
店をしばらく開けていた店主が、今やっと帰ってきた。
普段の服とは違うスーツ姿に身を包んでおり、髑髏のネクタイピンが光る。
首もとの紅いネクタイを緩めつつ、青い顔で吐息を吐いた。
「まいったわー。外での戦闘行動で賠償金請求させられちゃってさー。
いや、俺は襲われたんで仕方なく反撃しただけなんよ?
俺は悪くないってのにさー。それなのに何百万と請求されちったよクソー
電柱とか街灯って以外と高いんだな」
上着を椅子にかけて、また溜息。
「新しい車を買おうと思ってたのによー。オジャンだわ」
- 480 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 23:20:16 ID:wezxvRSg0
- >>478
「構わない」
隣に置いていた鞄を床に移動させ、スペースを作る。
ナイフを拾い上げると、それをテーブルの上に置く。
表情は酷く読み取り辛い。顔の半分が隠れているうえに、元々の表情の囲碁気も少ないからだ。
最後の一切れを口に含むと、十分に顎を動かして食事を済ませていく。
>>479
「む」
あ、帰ってきた。
ムグムグと口を動かしながら、視線は其方の方へ。
クロスの影から伸びる漆黒の腕がある。
今まで何度か見た事の有る物。ゼオラのよく使用していたそれだ。
強い暗黒性の孕んだ魔力の感覚からも、ゼオラの物であるともわかるだろう。
ヒラヒラ。
人差し指と親指で紙を掴んだ手を振り回してクロスに存在をアピールしようとしていた。。
- 481 :アイリス:2012/04/07(土) 23:28:36 ID:do5XJmGE0
- >>479
「やあ、クロス。相変わらず、無茶をしているんだね。」
目を向ければ今にも肩を並べんとするアイリス、席に座してパンを頬張る綾がいた。
アイリスは以前と比べ、顔色が戻っており。
「所で、君は外で何をしたのかな?
そのような賠償を請求される以上、とんでもないことなのだろう?」
クロスの様子を見て、笑みを浮かべて。
彼は確か、金属を操っていた記憶がある。その為に色々と犠牲になったのだろう
>>480
綾の隣に腰掛け、テーブルにカップを置く。
スプーンで紅茶をかき混ぜてからカップを持ち、一口飲んで。
「して、君は吸血鬼だろう。僕の話は後でもいいからね。
まずは君から話してくれないかな?」
顔を半分隠した上に、表情の変化も少ないときた。
表情から感情を読むには中々に難しい。
だからアイリスは綾自らの口で語ることを望んだ。
- 482 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/07(土) 23:39:42 ID:HnkBBDEo0
- >>480
「……ん? ッどうわ!?」
いきなり自身の影から生えた腕に困惑するクロス。
カウンター台に腰をガツンをぶつけて腰痛にもがくが、涙目で影の腕を確認。
「ええと、誰だ? 影使いは何人か知ってるが……」
右目の眼帯の中から紅の邪気が漏れる。
おそらく目の前の腕から漏れ出る魔力をスキャンしているのだろう。
「ああ、分かった。ゼオラか。なんだなんだ?」
>>481
「いや、普通に外で暴れてた奴がいたから相手をしたんだけどな。
その時に少し街を壊しちゃって……仕方なかったんだよ! マジで!
それなのに裁判官は『別に壊す必要なかったよねー』とか言い出すしさー!
しかも『君はそうじゃなくても目をつけられてるんだから、大人しくしなさい』とか説教してくるし。
あっががああああああああムッカつく! ムッカつく!!」
ガンガンとカウンターを拳でド突く。
「何様だ! あの裁判官マジで何様だ!
ちょっと大剣振り回しただけで倒れる電柱が悪い!!
お前もそう思うだろ? そもそもこの街でヤワな電柱なんぞ置いてるのが悪いんだ!」」
- 483 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 23:53:44 ID:wezxvRSg0
- >>481
最後の一欠片も食べきってしまうと傍に置いていた水を口にする。
「解った」
小さく頷くと共にそう答え。
ヴァージニアと共にあることが自分の役割だと考え始めていた。
綾が一人でいる事を寂しいと思う、ヴァージニアに傍に居て欲しい。というただのエゴ。
それの理解はできているつもりではあるが、自分だけの手で済ませられないのはやはり悔しい。
それでも、アイリスに聞けば何か大きなことが聞けるかもしれない。と。
「ヴァージニアという吸血鬼、知らないか?」
感じられる視線は一つ。
髪で目を塞いでいるからではない。それよりも根本的な問題。
左目の周囲には生命と言う物が無い。何かで潰してしまっているのだろう。
- 484 :柊宇都 綾:2012/04/07(土) 23:59:11 ID:wezxvRSg0
- >>482
クロスに紙をやや乱暴に渡す。
用途はそれだけの様で、影に消えて行ってしまった。
『飽きた。しばらくお休み ゼオラ』
それだけが記された紙。
手書きでは無く、コンピューターによる文字だった。
なぜなら、ゼオラは文字を書く事が出来ないからである。
アイリスの隣で二人の会話を眺める綾。
街を壊した。だの、それが電柱だとか街灯だとか。
裁判に発展するレベルの事をやらかしてしまった男を見て。
人間では無いのだろうな。と見当をつける。
しかし、綾の感覚にはヒットしなかった様なので吸血鬼ではないか。
アイリスと親しげな様子を見ると、相応の『格』を持っているのだろうな。とか考えて。
- 485 :アイリス:2012/04/08(日) 00:11:07 ID:do5XJmGE0
- >>482
「やれやれ、君は本当に……」
思わず苦笑を浮かべるアイリス。
それなりに目を付けられる行動をしていた者にたいしての制裁。
カウンターを拳でガツガツと殴るクロスを見て、はっきりと。
「それにしても、軟な公共施設は困るよね、少し触っただけで壊れちゃうから壊さないように気を使わないといけないのが…すごく面倒だ。
この街の道路標識も耐久性に難有りなんだよ。少し触っただけで折れちゃって困っちゃうよ。もっと耐久性を高くしてくれないと色々と困るよ。」
いつか、ゾンビを創りだした能力者が街で暴れた際、アイリスは道路標識を武器とした。
その際に能力者が創りだしたモノ相手に道路標識で立ち向かった。ただ、十分な硬度があったのなら、少し、戦況は変わったかもしれない。
>>483
「ヴァージニア…。聞いたことが無いね。
この街に居る吸血鬼は二人、君を含めて三人ほど知っているけれど、そのような名は聞かないね」
表情が乏しい、隻眼から感じられるのは僅かな焦燥…だろうか。
アイリスの短い人生経験では、瞳に浮かぶ感情をより深く読み取れない。読み取れるのは表層程度。
「ただ、名を知らない吸血鬼は見て、少し話したことがあるね。
確か……、路地裏で足を引き摺るように歩いていて、吸血鬼になって日が浅いと言っていた記憶があるね。
特徴は、少女としか覚えていない。」
アイリスが知るヴァージニアは、肉体と魂が別れており、護らなければ、とつぶやいていた。
その後は会っていない為、わからないが……。
- 486 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/08(日) 00:16:11 ID:HnkBBDEo0
- >>484
「……」
紙をグシャッと握り締めると、
「なんだよクソがー! 辞めるんなら辞めるんで顔出しやがれっての!!」
紙を床に叩き付ける。
それを何回もゲシゲシと踏んだ後、爪先を当てて空中に蹴り上げ、
「こんの、根性無しがァーッ!!」
暖炉に向かってシュート。
紙は炎の中へと叩きつけられ、そのままパチパチと燃えていった。
「……チッ、つまんなくなるぜ」
やれやれと言いつつ店長は頭を掻き、カウンターの中で椅子に座る。
そこで綾へと向き直り、
「ああ、お前は確かええと……どっかで会ったっけ?」
>>485
「そうそうそうそう! いやー、分かってくれる奴がいてくれてマジ助かるわー!」
感激したように男泣き。
「この街にはただでさえも異能者ばっかりなんだからさ、
もっと頑丈な街づくりをすべきなんだよ、うん。
聖鐵とか魔鋼とかオリハルコンとかジャンジャン遣えばいいのにさー。
何が経費の問題だよ、修理する方が金かかるじゃねーか、ケッ」
グチグチと文句を言いつつも、クロスも紅茶を淹れる。
どうやらアイリスが飲んでいるのを見て、自分も飲みたくなったようだ。
「俺もなんか飲もーっと。お前の紅茶、茶葉は何使ってんだ? いい匂いだな」
- 487 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 00:31:13 ID:wezxvRSg0
- >>485
「そう」
とだけ言うと、僅かに俯く。
唇に指の腹を添えている様は、思考のジェスチャー。
「それは……!」
カッと見開いて、アイリスに視線を集中させる。
「いつ、どこで見た」
今度は探るのは容易。
表情の変化には乏しいが、確りと変化が解る程度にはあり。
彼女の姿勢が、その少女こそがヴァージニアであったと十分に理解できるだろう。
>>486
クロスの怒り発散の流れを見て、何か心に来る。
「これが……」
引く。と言う事か。
恐らく従業員が唐突に解雇宣言でもしたのだろう。
異能都市の解雇宣言も一味違う。そう覚えておいた。
「柊宇都 綾」
取り敢えずの自己紹介。
喫茶店の外。駐車スペースに独特な外見の馬が止められていたが、クロスは気づいただろうか。
機械の身体を持った双頭の馬。嘗て闇夜を二色の雷で照らした光を仄かに放っていたそれを見れば思い出すだろうか。
- 488 :アイリス:2012/04/08(日) 00:37:30 ID:do5XJmGE0
- >>486
「ちょっと頼りないんだよね。
ただ、僕達が少し変わっているだけで、他の人は案外壊していないかもね。それに…
そんな希少な素材を使ってしまえば、修繕費用が相当掛かるし、修繕するまでどうするのかな。
費用を払えるのはごく一部程度だと思うね。
だからさ、壊されることは織り込み済みで、“壊される前提で有りながら、都市の基準を満たして”作ったんじゃないかな?」
アイリスとクロスの共通点は、能力にある。
方や魔眼、もう一方は金属を操る能力。
どちらも壊す側なのだ。
「これは僕の実家で使っているものでね、試してみるかな?
これは“ステラ”という銘柄でね、香りとやや渋い味が特徴の茶葉でね。基本的にミルクかストレートが美味しいよ。」
揺らめく空間から現れたのは、濃茶の入れ物に入れられた茶葉。
アイリスは立ち上がり、缶ごとカウンターに置いて。
>>487
「確か、春になる前、だったかな。従姉妹がチョコレートを持ってきてくれた日に近かった筈だ。
君が探しているのが、あの少女ということだね。その後は見ていない。」
明らかな反応だ。
例えるなら、餌にかぶりついてきた魚。
「して、君は彼女を探している。間違いないかな?」
- 489 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/08(日) 00:45:46 ID:HnkBBDEo0
- >>487
「あー、名前はそんなんか。綾、ね。
俺はクロスだ。銃寺森クロス。
ま、一応この店の店長やってるー」
お湯を沸かし、そのお湯をティーポットの中へ。
「とすると、あの馬はお前ので、あの夜に少女の血を飲んだのもお前だっけか。
ああ、思い出した思い出した。あの時は余計なコト言ってすまんな。
ちょっとヤボなことに首を突っ込んじまった。で、あの助けた子は元気か?」
と、今のヴァージニアがどうなっているのかも知らず、男は無神経にも質問を投げる。
>>488
「あ、ちょっと貰っていい?」
一カップ分の量をスプーンですくい、暖めたティーポットの中へ。
「あー、いい匂いだわー」
などといいつつ、ポットに布を被せて砂時計を引っくり返す。
その間に話を戻し、
「ああ、やっぱり修繕費用もバカにならんか。
クッソー、こんな街に住んでたら戦闘せずに生活できるハズが無いってのにさ!
気をつけるしかないんかねー」
ショボンとした顔で紅茶が抽出されるのを待つ。
- 490 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 00:56:36 ID:wezxvRSg0
- >>488
「そうか」
返事が淡白になる。
今までの様子に戻ってしまった所から、期待していた答えとは違ったようだ。
あの頃のことはよく覚えていない。錯乱して精神病棟に容れられていたからだ。
その間には既にヴァージニアが復活を果たし、自分の事を探していたのだと知れただけで収穫だ。
「うん」
頷きを返すだけ。
表情に乏いが、それ以上に会話が下手だ。
余り人とかかわらずに生きて居たのだろう。それだけにヴァージニアに思う心が露わになりすぎている。
>>489
「知ってる」
自分で注いだ水を飲みながらの返事は余りにも淡白すぎた。
「それで質問に来た」
始め、少女はクロスを探し助言をもらおうとしていた。
あの時いた人間。少女が吸血鬼としての人生を強制されることを綾に忠告した人間。
それならば何かアドバイスをくれる。そう思ったのだが。
良く考えてみれば、それは無理だった。
何に付いてアドバイスが欲しいのか自分でも理解できていないのに。
この人間が深くしっているとしても、なんでも解る訳では無い。
「……筈」
むぅ。と唸り考え込んでしまった。
- 491 :アイリス:2012/04/08(日) 01:07:29 ID:do5XJmGE0
- >>489
蓋を開けた瞬間、咲き頃の花の香りに似た芳醇な香りがカフェ内に立ち込めるだろう。
それもそうだ。僅かながら、香りの強い花も混ぜられているからだ。
立ち位置で言えば、アールグレイに近い。
「その為に箱庭があるんじゃないのかな?
あそこだったら何をしてもお咎めなし、運が良ければ対戦相手も得られるんだから。
それにクロスのレベルなら徒手空拳で倒せない相手のほうが少ないと思うのだけれど。」
クロスは、アイリスが知るかぎり相性の問題を除いてこの都市でも十分に戦闘力が高いと言い切れる人物だ。
それでも、武器を使用する以上、彼なりの礼儀なのかもしれない。
>>490
「(やれやれ、外してしまったか)
では僕からの質問だ。君はなぜ、彼女を探すのかな?
吸血鬼に孤独は付き物である…いや、吸血鬼は孤独になってしまう。特に眷属でも作らない限りはね。」
同じ時間軸に生きながら、人は老いで他界していくが、吸血鬼は基本的に不老である。
タイプにより、様々な制限が付くが、どのタイプでも共通するのは、孤独。
それにクロスと隻眼の少女の会話を聞く限り、眷属を作った、ということ。
「吸血鬼とは、無限の時を生きるもの。時間の旅人。
僕が知りたいのは、そこだ。なぜ、君は彼女を求めるのかな?」
綾から見るアイリスの目は、穏やかなもの。
詰問するわけでは無い。ただ、知りたいだけだ。
- 492 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/08(日) 01:12:22 ID:HnkBBDEo0
- >>490
「ハズって何だよ、ハズって」
少しズッコケつつも話を続ける。
「なんだなんだ? その様子だとケンカでもしたのか?
っつーかなに? もしかしてアイリスと話てんのも、あの女の子の話だったりするのか?
んで、内容を纏めると家出でもされちゃった? ったくもー、思春期だねー」
クロスとしては、まだ事態をそんなに重く見てはいないようだ。
「原因はなんだか分かってんの?」
>>491
「徒手空拳と言っても、俺の場合は殆ど能力便りだ。
この能力が無くなれば、途端に俺の身体は崩壊しちまうぜ」
クロスの身体は自身の能力に侵食されており、身体が金属へと変貌しつつある。
それを更に自身の金属操作能力で押さえ込んでおり、
常に自分の身体の中で能力と能力が戦っているのだ。
「それに、いつでも相手が箱庭に来てくれるワケじゃねぇ。
世界を壊そうとする奴が現れるのは、いつだって現実の世界だ」
紅茶をカップに注ぎ、そのまま口に含む。
「ん、いい匂いだ。これいいなー。数缶くらい欲しいわ。どこに売ってる?」
- 493 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 01:31:00 ID:wezxvRSg0
- >>491
「解らない」
自分でも、理解は出来て居ない。
でも、深く求めようとする心があるのは確か。
「種としての繋がり……?」
ヴァージニアは自分の事をマスターと呼んで付き従っていた。
吸血鬼は進んで孤独に生きなければならないのか?
それが可笑しいのか。種としての繋がりを持つことが可笑しいのか?
それは別にしよう。質問に答えなくてはならない。
何故、ヴァージニアを求めるのか。
ヴァージニアが僕を求めているから……そうかもしれない。
ヴァージニアに応えたいから、僕も彼女を求める。
「違う。
人としての心が、ヴァージニアを求める」
綾は未熟だった。吸血鬼としても、人間としても。
吸血鬼として未熟な綾には、人の心が残ってしまう。
人間としても未熟なために、自らに向けられた愛を純粋に欲しているのだ。
>>492
「忘れた」
キッパリと言ってしまう。
二日間の張り込みはいったいなんだったのか。
原因を聞かれるともう一度悩む。僅かに俯き、むぅと唸る。
暫くして顔を上げると、
「死んだ」
と口にする。
そういえば、あれからだ。
今考えれば、あれから動いていることも可笑しい。
アイツの言葉が嘘だったのだろうか……よく、覚えていない。
- 494 :アイリス:2012/04/08(日) 01:46:18 ID:do5XJmGE0
- >>492
「…そう、それは拙いね。
クロスが居なくなってしまえば、僕が困る。いざとなれば僕の眷属にでもなればいいさ。
それに、クロスと話すのも楽しみの一つだからね。
(ちゃんと勝ちを取っていないからね)」
と、アイリスは笑みを浮かべながら冗談交じりで口に出して。
だが、実際にクロスが居なくなってしまえば、アイリスにとって不利なのは確か。
例えば、息抜き。アイリスの息抜きの場の一つが、既にここになってしまっている時点で非常にまずい
「やれやれ、現実というものはいつも待ってはくれないものだね。いっそのこと、根本から落としてしまった方が早いかもしれない。
…ああ、それは僕の実家から持ってきたものでね、気に入ったのなら他の種類も合わせて幾つかあげようか?手配に少し時間を貰うけれど。」
>>493
「…人としての心?」
心。
言葉で例えてしまえばたったの一文字だ。だが、その言葉は様々な解釈が出来る。
巴は、人の理不尽な死を嫌っている。これも、心。
「君は寂しいのかな?
寂しいから求める。だから人としての心という言葉を使った…、かな。」
アイリスには、綾の心情が分からない。
眷属を持たないアイリスは、比べる対象が身内しか居ない。純粋に求めるのは身内のみだからだ。
また、家庭内別居のように、同じ所に住みながら、家族と接する機会が少なかったアイリス。
眷属を身内と置き換えるのなら、まだ考えようがあるものの、生まれた時点で吸血鬼のアイリスには、分からない。
だから知りたい。
「君はヴァージニアを探したい。だけど、こうしている以上手段が無いのかな?」
- 495 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/08(日) 01:54:12 ID:HnkBBDEo0
- >>493
「ああ? 死んだ!?」
穏やかでない言葉に思わず声が大きくなる。
「死んだって……誰が?」
>>494
「お前の眷属ぅ? いやいや、俺は永遠の命なんていらねーし、誰かの下に着くのも御免だ。
俺を眷属なんかにしてみやがれ、絶対に手に余るぜ!!」
クククと男は笑う。
「この茶葉、お前の実家にしか無いのか? 確かに缶のデザインも見たことが無いわ。
うむー、スゲー気に入ったんだけどなー。時間がかかってもいいから、3缶くらい買いたいぜ。
今すぐじゃなくていいから、手配できるか?」
- 496 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 01:58:15 ID:wezxvRSg0
- >>494
「解らない。
解らないから、探す」
今まで人と関わりが無かった内は問題に思わなかった。
しかし、一度受け入れると手放すのが怖くなる。
それを知ってしまったから、一人でなくなる方法を探す。
ヴァージニアに突き放されれば、それまで。
だけど、彼女が『種としての繋がり』を求めていた気がするから。
ヴァージニアが、柊宇都綾を探していたから、応えてあげる。
「そう」
ただ、その為の手が無いのも、事実。
>>495
「ヴァージニア」
クロスに名前を言っても伝わるのだろうか。
彼女にはそういった配慮が無いらしく、一切疑問には思わなかったらしいが。
- 497 :アイリス:2012/04/08(日) 02:11:52 ID:do5XJmGE0
- >>495
「ふふっ、だろうね。
クロスを抑えつけようとすると、余計に反発してよくない結果になるのは目に見えているからね。
護衛にするのには良いけれど、刺激が足りない。それでも結果的に良くない。
それに、僕自身が君に勝てる気がしないね。だから僕にも君にも利益が無い。」
クロスにつられるかのように、アイリスも笑みを深めて。
元々冗談だ。真に受ける必要も無いし、彼なら逝くときは惜しまれながらも延命を望まないだろう。
「たった三缶だ。別にお金は良いよ。店で出すのなら多少は頂くけれどね。
手配は明日以降になるけれど、一週間以内には用意させよう。僕が持ってくるほうが良いかな?」
>>496
「実はね、一夜城というところがあるんだ。
そこは異種間、または同種間の横のつながりを作るための場所でね、気が向けば来てみると良い。」
アイリスは一枚の上質な紙をテーブルに置く。差し出した紙には、一夜城の場所が描かれていた。場所は異能都市郊外、草原が広がる場所だ。
また不用意な侵入を防ぐために、トラップが仕掛けられていた。“覚えた”
このワードが持ち主から発せられれば、紙は燃えて消えてしまう。
「…ヴァージニアの外見的な特徴は?」
AGカフェの軒先に、コウモリが集まり始めた。
探そうというのだろうか。
- 498 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/08(日) 02:21:27 ID:HnkBBDEo0
- >>496
「ヴァージニアって、あの、あの女の子……だよな?
でも、え、死んだって、は?」
名前はアイリスとの会話から推測。
しかし「死んだ」と聞いて、もうワケが分からないようで混乱気味だ。
「え、いや、でも探してるて、でも死んだって、あの、
いやでも確か吸血鬼だから元から死んでるような感じだし……いやいやいやいや」
うーむ、と考えるクロス。
「……死んだ少女を探すってのは、なかなかオカルトな話だな。
まるで亡霊を追いかけているみたいだ。
でもよ、亡霊ってのは大抵、生前に抱いていた強い思いに引っ張られて動くモンだぜ。
お前は知らないのか? その死ぬ前の彼女が、
一体なにを思い、何を夢見て生き、そして……何を欲していたのかを」
>>497
「分かってるじゃねぇか。吸血鬼としての生き方も魅力的だけど、
俺は人間としての逝き方に憧れてんのさ」
クククとクロスは笑う。
「お前とは、こうやって種族の差を理解した上で言葉をぶつけ合ってるのが一番楽しいね」
そこで紅茶を飲みきり、ホッと息をつく。
「始めは三缶だねー。ほら、ちょうどいい抽出時間とか、合うシロップは何かとか研究したいじゃん?
それで手間とコストを考えながら、店で出せるかどうかをじっくり考えたいんだ。
それに、俺個人が楽しみたいってのもある。
ああ、俺への届け方法だけど、お前が忙しかったら、無理しなくてもいいぜ。
店に入ってくればいい。そうだな、眷属のコウモリにでも届けさせればいいんじゃないか?
ま、お前がこの店で一杯ついでに持ってきてくれるなら大歓迎だけどな」
この辺りまで話して、クロスは上着を持ってフラフラと立ち上がる。
「すまんなー、俺そろそろ寝るわ〜。
みんなはこの店でゆっくりしてっていいぞー。紅茶とかはそこに淹れたのあるんで、ご自由に。
あー、法律の話とかばっかりしてたんで、今日は疲れたわ。あの裁判官いつかブッ飛ばす」
ブツブツと悪態をつきつつ、「STAFF ONLY」と書かれたドアの前へ。
「そんじゃ、みんなオヤスミ」
そう言うと、ドアの向こうへと言ってしまった。
//乱入させてくれてサンクス!
- 499 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 02:35:54 ID:wezxvRSg0
- >>497
「解った」
紙に記された箇所を頭で想像しながら検討を付けていく。
……が、大した物は出来上がらない。引きこもりの性。
「最近、銃を渡した」
大体の外見はアイリスも知って居ると思うので、それ以外の事で。
吸血鬼の中でも銃を持った人間と言うのは余り多くないだろう。と踏んでの事だ。
強大な腕力を持っている物が殆どの為、魔術以外で戦うなら近距離。と言う者が多いだろうと推測する。実際、綾もそう。
腕力だけでなく、身体能力にあまり恵まれなかったヴァージニアを活かす方法として、銃を与えたのだった。
>>498
「生きてる」
まるで無表情のまま、矛盾した言葉を吐く。
顔の左半分が髪に覆われていたので視界から得られる情報はゼオラ以下だろう。
「強い、思い」
目を瞑って考える。
先程よりも深い思考に入ったと見える。
生前の彼女は日々を生きる事しか頭になかったと言っていた。
それならば解決はしてしまった。心配する必要が無くなってしまった。
二度目の死はどうだったろうか……それも解らない。
それからは自分の方が可笑しくなってしまって……もう考える事も出来ない。
ただ、
「種としての、繋がり」
やはりここに行きついてしまう。
少女ヴァージニアは頻りに命令を望んできた気がする。尽くしてくれた気がする。
「お疲れ」
ドアの向こうに去っていくクロスには、そう声をかけて。
//おつかれさまでしたー!
- 500 :アイリス:2012/04/08(日) 02:48:17 ID:do5XJmGE0
- >>498
「なるほどね。君は“人間”だよ。」
そう、人間だ。人間である故に一夜城へは入れない。
彼の心が人間であり、人間を称する以上、他人が何を言おうとも、彼は人間なのだ。
「…わかった。僕が持ってくるとしよう。
ゆっくりと休むと良い。」
店の奥へと入っていくクロスを見送り、コウモリには届けられない重さだと、言葉にせずに苦笑で済ませる。
//絡みサンクス。おやすみー
>>499
キーワードが発せられた。
紙は端から燃え始め、匂いは勿論、消し炭すら残らない。
侵入者の報告を受けてからこのような回りくどい方法を取るようになった。
直接転移で連れてくる手段もあるが、本人の意志を無視しているようで、アイリスは気が進まない。
「もしもわからなければ、僕が直接連れていこう。少し、失礼するよ。」
そういい、立ち上がれば、再びベルが鳴る。
綾に背を向けていても、アイリスの手のあたりにコウモリが集まっている光景が見えるだろう。
その後、コウモリたちは都市の様々な場所を飛び交い、情報を集めるだろう。
ただ一人、ヴァージニアという名の少女だけを求めて。
そうして、一分も掛からぬ内に再び綾の隣に腰掛けるアイリス。
傷らしきものは一切見当たらない。
「次は僕からの話だ。少し前、一月程前かな。僕はローブの下に鎧を着込んだ者たち六名に襲撃されてね。
指揮系統も確りしているようで、指示するものと闘う者が別だったよ。彼らは障壁らしきもので護られていた。
襲撃の際に受けた傷は、“魔を滅する”術式が付与されていたよ。この術式は体内で暴れるタイプのもの。
吸血鬼の僕が襲われたんだ。君も、襲われる可能性も十分にありえるからね。十分に気をつけて欲しい。」
思い出すのは彼らの容姿。
- 501 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 03:02:40 ID:wezxvRSg0
- >>500
一切の説明をされていなかったために、いきなり火の付いた紙には驚きを隠せないと言った雰囲気。
アイリスが心配する様子を見せないので、大事では無いのだろう。と自らを落ち着かせる。
にしても、何故燃やすのか。といった疑問は残ったが。
席を立ち、手を翳すアイリス。
コウモリの扱いにも慣れている事を知ると、じっと眺めていた。
数少ない友達の話で吸血鬼は蝙蝠を扱える。というのは聞いた事がある気はするし、伝承でも蝙蝠との関係も深いと聞く。
しかし、自分にはできなかったので今一理解に乏しかったが、実物を見せられると納得せざるを得ない。
続く言葉で、つい先程浮かんだ疑問が解決した。
その代わりと言ったか、新たな疑問が浮かんできて。
「魔を滅する?」
楽獣器……外で繋がれている双頭の馬のサポートで雷の魔術は扱うことが出来る。
が、それも綾の中に、本人は操作できないが魔力が眠っているから使用できるのであり、『魔を滅する』と言う対象にも当てはまるのだろう。
聞いた限りによれば吸血鬼の時点でも攻撃の対象にはなってしまうようで。
- 502 :アイリス:2012/04/08(日) 03:24:56 ID:do5XJmGE0
- >>501
「ああ、その通り。目的そのものは知らないけれど、僕を襲ったものは今、この瞬間も他の人外を襲っているかもしれないからね。
僕友人の推測によると、『対魔属性』をごちゃ混ぜに合わせたものらしい。
詰まり、彼らは“人外はいらない”と考えているんじゃないかな。」
アイリスが言葉にしたものは限り有る情報の中で推測で組み立てたものでしかない。
だが、襲撃は事実でもある。
「そこでだ。この話を聞けば、ヴァージニアが襲撃される、あるいは既にされた可能性もあると思う。
飽くまで可能性の域を出ないけれども、ね。
彼らの腕は中々に立つようでね、歳若い吸血鬼なら、術式に蝕まれているかもしれない。」
アイリスは淡々と告げて。
淡々と告げるからこそ、綾に焦燥感というものが生まれるかもしれない。
何しろ、魔を滅そうとするもの達が、ヴァージニアに迫っているのかもしれないのだ。
- 503 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 03:29:38 ID:wezxvRSg0
- >>502
「敵」
言葉を真面に受ければ、成り立つ答えは唯一つ。
自分にとって、仲間を言える人間が狙われたのならば、自分にとっても敵になる。
簡単かつ明瞭な思考回路を持った故の言葉だ。
何より、倒してしまわねば、ヴァージニアに牙が伸びる可能性がある。
それだけは、阻止しなければならない。
- 504 :アイリス:2012/04/08(日) 03:39:14 ID:do5XJmGE0
- >>503
「紹介が遅れたね。僕はアイリス、アイリス・フォン・ルズィフィールだ。
大方、ココか城のどちらかにいる場合が多い。何かあれば訪ねてくると良い。」
既に冷め切ってしまったカップには眼もくれず。
アイリスは綾の隻眼を見つめて
「君が知る人外にこの情報を回して欲しい。
術式から推測するに、人外そのものが攻撃対象となり得るはずだ。
僕の友人の吸血鬼と人狼は既に味方に回ってくれている。」
このような、共通の敵を相手にすれば、“横の繋がり”が出来る。
これは綾にとっても損は無いはずだ。
- 505 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 03:50:43 ID:wezxvRSg0
- >>504
「柊宇都 綾」
クロスには伝えたが、アイリスには未だだったと。
「解った」
知り合いの人外は数少ないが、何人か。
以前知り合って刃を交えたアーベントは無事だろうか。
アミルにも伝えてやらねばならないな。
ヴァージニアは知って居るのだろうか。早く知らせてあげなくては。
- 506 :アイリス:2012/04/08(日) 03:53:25 ID:do5XJmGE0
- >>505
「では、僕はこれで失礼しよう。じゃあね、綾」
その後、アイリスは一夜城へと転移。
AGカフェには金の光の粒が舞い、アイリスの姿が消えて行く。
//長い絡みありがとう。寝落ちする前におやすみー
- 507 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 04:05:51 ID:wezxvRSg0
- >>506
昨日会ったファンタジー系不思議生物のボロッブはどうだろうか。
そう言えば、執事の冬瓜は雪男だった。ライナー君は……恐らく、大丈夫だろう。
「ありがとう」
消え行くアイリスに礼を一つ。
アイリスには唯の興味本意だったろう言葉が、綾には再確認するいい機会となった。
その上、有益……もとい、身の安全にかかわる重大な情報を教えてもらった。
一度の礼では感謝しきれない。
「一夜城」
実体は良く解らない。一度出向いてみなければならない。
頭の中に記憶した地図を思い、浮かび上がらせた後に一度頷いた。
- 508 :柊宇都 綾:2012/04/08(日) 04:06:44 ID:wezxvRSg0
- //長い間の絡みお疲れ様でした。おやすみなさいです!
- 509 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/08(日) 23:19:32 ID:xm/dFKGs0
- 「またハズレか。
アンサングの連中、どんどん偽装が多くなってきてやがるな」
これは近々に大きく動く兆候か…?いずれにせよいやな予感は拭えない。
それにあのお嬢ちゃんの事も、少しだが何とかしてはやりたい。
別れは突然にとは言うが、何か分からないが納得しないのだ。
「まぁ、俺に出来るのはこうやってコネを使って情報を集めることくらいなんだけどな」
愛車のCBR1100XXに腰掛けながら俺は異能都市の片隅で休んでいた。
外は暗く、もうそろそろ帰った方がいいかもしれない。
とはいえ、一応アイツの方には連絡してはおいたが。
- 510 :レラ=バニッシュ:2012/04/08(日) 23:44:00 ID:wezxvRSg0
- >>509
「見つけた……よくも手間を取らせてくれたな」
空中から舞い降りた少女。
背中には機械の羽根――フライトユニット――が付いていた。
ゆっくりと高度を下げ、目線を同程度にすると、そこを維持する。
- 511 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/08(日) 23:49:26 ID:xm/dFKGs0
- >>510
「ん?どうしたんだ?」
相手の憎憎しげに思う声に反応を返す。
なにやら俺に用事があるらしい…正直俺はお嬢ちゃんが頭を掠めて関わりたくないんだが。
まぁ、まずは相手の話を聞くべきだ。
そう考え、俺は相手の様子を見る。
- 512 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 00:05:16 ID:wezxvRSg0
- >>511
「貴様の知って居るアイツの事。話してもらう」
左手の小型デバイスが発光する。
それと同時に淡い緑色の粒子を撒くと、それがが固着して剣の形をとった。
剣の切っ先と共に向けられた視線は、酷く冷たい。
- 513 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/09(月) 00:11:33 ID:xm/dFKGs0
- >>512
「さてな、俺から話す事は無いぜ。
何せ俺はあの嬢ちゃんの名前も知らないんでね、次ぎ会ったら聞こうと思ってたくらいだ」
2割ホントで8割嘘だ。
実際俺はお嬢ちゃんの名前は知らない、だからお嬢ちゃんとしか呼べない。
まぁ、聞いて、忘れたと言う事も否定は出来ない。
8割の嘘は、俺はお嬢ちゃんの事を碌に知らないってこと。
少しくらいならば知っている…まぁどういう奴か位だが。
- 514 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 00:28:45 ID:wezxvRSg0
- >>513
「思いのほか、使い物にならないな」
左腕を払うと刃は光の粒に還る。
淡い光の粒は風に煽られると一瞬で弱り消え失せる。
「貴様の事。大方だが調べさせてもらった。
尤も、過去にアイツと接触があった。その程度の情報だがな」
腕を組みながら向ける視線は相変わらず威圧的。敵意に溢れていた。
- 515 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/09(月) 00:32:26 ID:xm/dFKGs0
- >>514
「そりゃ、短くても一つ屋根の下って奴にいたからな。
接触した回数は一番多いだろうよ」
そう言って俺は相手の発言に言葉を返す。
大方でそれだけとは、調べ方が下手なんだろうか。
いや、多分本当にざっと調べたんだろう。
「用件ってのはそれだけか?
俺だって忙しいんでな、あんまり関わってられないぜ」
- 516 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 00:55:54 ID:wezxvRSg0
- >>515
「何故、そうしたのか。と聞いているんだ」
言葉通りだ。
アイツには見えない部分も多い。
住居を提供する意味も、メリットも見当たらないと言うのに。
「アイツがどういう人間か解ってなかったのか?」
- 517 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/09(月) 01:00:08 ID:xm/dFKGs0
- >>516
「ああ、全然知らないな。
確かに初対面はそれなりにスリリングだったとは思うがね」
そう言って、思い出して笑う。
一般としてはアレは二度と会いたくない部類だろう。
とはいえ、それを気にするほどでもない。
「俺は単純に嬢ちゃんが家なき子だったか空いてる部屋を回しただけさ。
まぁ、エイジは結構訝しげな顔をしてはいたが」
- 518 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 01:11:07 ID:wezxvRSg0
- >>517
「爆破テロ。
そんなことをやる人間に、家を貸すか。
貴様も相当頭がイカレていると見えるが?」
ミラージュとこの男の接点。爆破テロ。
ミラージュの決行したそれを、阻止してきたのがこの男だという。
- 519 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/09(月) 01:18:07 ID:xm/dFKGs0
- >>518
「ありゃ未遂だ未遂。
それに俺がやらなくても誰かが確実に止めたさ。
そう言うものだろ、此処ってのは」
相手の言葉に特に揺らぐ事も無く、俺は言葉を返す。
爆破テロ、字面で見ると相当だが俺が相手にしてるのと比べるとやさしいものだ。
とはいえ、される側は堪ったものではないだろうが。
「アレ以降嬢ちゃんもたいしたことはやっていない。
俺のやったとことは、まぁ多分間違っちゃいないと思うさ」
- 520 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 01:40:31 ID:wezxvRSg0
- >>519
「……フン」
相手の様子に呆れたのだろう。
首を振ると鼻で笑う。
「貴様の理解が薄いと言う事は解った。
アイツについての話は面倒だ。これで切り捨てる」
そう言うと、ホットパンツのポケットを漁り、一枚の布を取り出す。
Tシャツにホットパンツ。ミラージュと全く同じ服装だった。
「全く別の件。
貴様が探偵と言う事で話がある。この布を複製できる奴を知らないか?」
取り出した布は一見普通の物だ。
触れると肌触りも余り良く無く、むしろ固めだと感じるだろう。
- 521 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/09(月) 01:49:19 ID:xm/dFKGs0
- >>520
「残念だが、俺は担当が違うんでね。
俺は探偵じゃなくて情報屋。それにそれが何なのか言わないと情報はやれないな」
俺は見ただけでものが分かるほど物知りではない。
よって相手に聞くしかないわけである。
なんだか分からないので触るのはやめておく。
- 522 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 02:07:31 ID:wezxvRSg0
- >>521
「そうだな……なら、それも含めて探して貰おうか。
これはアイツの持ち物……その切れ端でな」
始め、ミラージュが身に着けていたローブ。
爆破テロの際に焼けてしまい、今はこの切れ端だけが残る。
「魔術を反射する能力と強力な耐熱性。
それは理解できたのだが、どうやって作られたのかが解らない」
左腕に取り付けられた機械。
背中に付いた機械の羽根とバーニアからなる飛行ユニット。
それらに加え、少女の履いている鈍重そうなイメージの靴も彼女の作。
機械に関しては一流だが、魔術に関しては正に門外漢なのだ。
- 523 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/09(月) 02:10:25 ID:xm/dFKGs0
- >>522
「おっと、残念だが俺も魔術は門外漢だ。
悪いな、他を当たってくれると助かるぜ」
俺の担当は目撃情報、個人などだ。
魔術等のオカルティックとなると、コネは無いし力は無いしでからきしなのだ。
相手には悪いが、此処は断るしかない。
- 524 :レラ=バニッシュ:2012/04/09(月) 02:31:39 ID:wezxvRSg0
- >>523
青年の反応に頭を掻きながら舌打ちを漏らす。
態度と返答に業を煮やしての事だろう。
「貴様はと言う物は全く使い物にならないな……。
ならば、貴様の仲間にも伝えておけば良いだろう?」
- 525 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/18(水) 22:46:16 ID:HnkBBDEo0
- 異能都市にもスポーツジムはある。
それも異能者向けに作られた、特殊なものだ。
特殊な衝撃吸収力を持つサンドバッグに、拳をうずめる男が一人。
「っだあああああああ!!」
色々と鬱憤が溜まっているのか、四方八方から打ち込み続ける。
「……とォ、そろそろ閉館かね」
外したグローブを放り投げる。
床に落ちたグローブはズシャリと音を立ててマットにめり込んだ。
タオルで額の汗を拭いつつ、男は携帯電話をチェック。
いくつかのニュースを確認したあと、目の前の大窓から都市を眺めた。
「んー、どんどん吸血鬼やら何やらが死んでいくな。
本当にいい加減にしねーかなー、もー」
- 526 :欠け耳のボロッブ:2012/04/19(木) 23:26:07 ID:SSMHlh/20
-
「安いよォー、今ならヒキガエルの粉末、蜥蜴の尻尾の乾物、
レッサードラゴンの鱗が安いよォー、最大30%OFFだー。」
異能都市のとある通り、
がたごとがたごと、と様々な物品が満載された台車を馬に轢かせつつ、
行商を行なうボロッブの姿があった。
「やれやれ、今日はあんまりだなァ。
そろそろ時間だし、ひきあげるかねえ。」
- 527 :?:2012/04/21(土) 21:23:38 ID:dL8H4NjE0
- 大通り。
夜でもたくさんの人で賑わうこの通りだが、今日は別の騒がしさがあった。
『なんだアイツ……』
『逃げろ!殺されるぞ!』
紅く染まる道路や壁。悲鳴を上げ逃げまどう人々。首を刈り取られ人だったものと化した肉片。
惨状としかいいようがないその光景の中心に、一人の少女がいた。
「安心しなよ、死ななくてもいい人間は殺さないからさー」
血で真っ赤に染め上げられた桃色の髪、肉がこびりついた大鎌。
見慣れた白と黒の服をはためかせ、名も無き少女は静かに笑った。
- 528 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 21:33:57 ID:WVrfsEdY0
- >>527
【そこへ自ら駆けていく学生らしき少女の姿があった】
「何の騒ぎかと思えば…悪人ですね」
【少女の姿を見ながら言う】
「貴方、コレ以上はやめなさい。
じゃないと痛い目にあってしまいますよ!」
【そう言って風呂敷からおもちゃを色々取り出し始める】
- 529 :?:2012/04/21(土) 21:38:37 ID:dL8H4NjE0
- >>528
「悪人だなんてひどいなあ」
心外だ、とでもいいたげにため息をつきながら首を横に振る。
声の主を確認しようと後ろを向き、
「あ、久しぶりー、つぐみちゃん」
見知った顔だということに気がつき、笑顔で手を振った。
- 530 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 21:41:30 ID:WVrfsEdY0
- >>529
「ん…あなたはよくみたら」
【ふとその顔を見て、驚きの表情を浮かべる】
「一体どういうことです?
あなたがそんなことをするなんて…
それとも…」
【鉄砲をかまえてつぶやく】
「貴方の本性がそうだと?」
【よく見れば鉄砲に力が光となって供給されていっている】
- 531 :?:2012/04/21(土) 21:53:11 ID:dL8H4NjE0
- >>530
「よかった、覚えてた」
今度は安堵のため息をつく。
「そんなこと?ああ、『これ』のこと?」
辺りに転がっている肉片を指さす。
「どういうこと、と言われてもねえ」
「死ななきゃいけない人間のお迎えをしてあげただけだよ」
何か悪い?と少女は首を傾げる。
「さあ?この私が本性かどうかなんてどうでもいいことだと思わない?」
笑顔は崩さないまま、少女は言う。
同時に、手に持っているだけだった鎌を少し持ち上げる。
いつでも戦闘できる、といった感じだ。
- 532 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 22:00:34 ID:WVrfsEdY0
- >>531
「お迎えにしては随分と物騒じゃないですか?
死神みたいなことを…」
【嫌悪するかのようにあたりの死体を見て顔をしかめた】
「まあそうですね…
重要なのは今の状況」
【そう言って鉄砲を少女に向ける】
「貴方を倒すしかなさそうですね!」
【そう言って引き金を引いて弾を発射する。】
- 533 :?:2012/04/21(土) 22:08:25 ID:dL8H4NjE0
- >>532
「死神みたいもなにも、それそのものだよ、私は」
「言ってなかったっけ?」
頭に手を当て、思い出すような仕草をする。
「物騒だね」
少女の顔から一切の感情がなくなる。
鎌を横に振るって銃弾をまっぷたつにすると、身を屈めて走り出す。
一気に相手に接近すると、そのまま斬り上げを食らわせようとするだろう。
- 534 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 22:15:58 ID:WVrfsEdY0
- >>533
「そうでした…かも?」
【少し首を傾げて言う】
「いや、それはともかくッ!」
【一気に詰めてきた少女をみて驚きながらも】
「くっ!」
【間一髪で後ろに飛んでかわす。わずかに制服を切り裂かれたがなんとか避けられた】
「近くに寄っても」
【そう言うと鶫は再び鉄砲を構える】
「まだ大丈夫ですよ!」
【再び引き金を引き、弾を打ち込みに行く。しかし急所ではなく動きを止めるために足を狙っている】
- 535 :?:2012/04/21(土) 22:23:08 ID:dL8H4NjE0
- >>534
打ち出された銃弾はいとも簡単に少女の足を打ち抜く。
しかし。
少女は身をさらに屈めて手を地面につける。
そしてそれを軸にして、打たれた方の足で足払いを仕掛ける。
そこに淀みは一切無く、本当に打たれているのか疑いたくなるほどだ。
- 536 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 22:27:44 ID:WVrfsEdY0
- >>535
「あたった…んな?!」
【確かに命中させたはずの攻撃、しかし足が止まることもせずに】
「あうっ!」
【勢いよく足払いを食らって地面に体をたたきつけられる】
「くっ…まず…」
【なんとか起き上がろうとするが、かなり隙が生まれている】
- 537 :?:2012/04/21(土) 22:36:52 ID:dL8H4NjE0
- >>536
少女は体勢を元に戻すと、スペードのAを取り出す。
数瞬の後、カードから大振りのナイフが召還される。
「……」
それを右手に持ち、静かに上にかざし。
何の躊躇いもなく相手の足めがけて投げつけた。
投げられるまでにはいくらかの時間があったので、もしかしたら避けられるかもしれない。
- 538 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 22:43:03 ID:WVrfsEdY0
- >>537
「あぶなっ…!」
【鶫は慌てて足を引っ込めてナイフを交わしに行くが】
「つっ…!」
【わずかに右足をナイフがかすめ、怪我をしてしまった】
「さすがに危ないですね…」
【そう言って右手に力を貯め込み始める】
「一先ず仕掛けます…!」
【右手を少女に向けて大きく振るった】
- 539 :?:2012/04/21(土) 22:49:53 ID:dL8H4NjE0
- >>538
鎌を両手に持ち換え、柄で拳を止めようとするが、
「……!」
それでも止まらない。
体ごと後ろにもっていかれ、少女の体勢が崩れる。
ダメージこそ大して入っていないが、かなりの隙ができている。
攻め入る絶好のチャンスだ。
- 540 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 22:52:10 ID:WVrfsEdY0
- >>539
「チャンスですね…!」
【確かに大勢を崩している。ならば今がさらなる追撃のチャンスだろう】
「もう一撃を!」
【そう言うと今度は右の足…厳密には靴下と靴が光輝き始める】
「コレでどうだぁ!」
【切られていない左脚を軸にして勢い良く右足の回し蹴りを少女の脇腹に打ち込みに行く】
- 541 :?:2012/04/21(土) 22:57:15 ID:dL8H4NjE0
- >>540
鎌を使いもう一度防御の体勢に入るが届かない。
「ぁぐっ!」
華奢な少女の体はいとも簡単に吹き飛ばされる。
全身を地面にうちつけながら数m転がる。
- 542 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 23:00:12 ID:WVrfsEdY0
- >>541
「…って、やりすぎましたかね?」
【勢い良く吹き飛んだのを見て慌てて駆け寄っていく】
「いくらあんなコトしたとはいえ死なせてしまうのは私の流儀じゃないですね。
ひとまず」
【心配そうに片足を軽く引きずりながら少女を見下ろして】
「だ、大丈夫ですか?」
【心配総なめをして尋ねる】
- 543 :?:2012/04/21(土) 23:08:32 ID:dL8H4NjE0
- >>542
「敵の心配するなんて、いいご身分だね」
問いかけから数秒後、その言葉と共に少女が立ち上がる。
頭をうちつけたのか、額からぽたぽたと紅い滴が滴り落ちる。
しかしそんなことは意に介さず、少女は噤みの首に手をのばす。
- 544 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 23:14:50 ID:WVrfsEdY0
- >>543
「な、しまった…!」
【鶫は急いで離れようとしたが】
「ぐっ…あ!」
【鶫は少女に首を掴まれてしまう】
【少女の腕を振りほどこうと鶫もその腕に掴みかかろうとしている】
- 545 :?:2012/04/21(土) 23:21:45 ID:dL8H4NjE0
- >>544
少女はなぜか手を離す。
「まだ死ぬべきじゃない人間だからね、キミは」
構えを解き、顔を見せずに言う。
先ほどまで放たれていた殺気がないことから、殺すつもりはないのだろう。
- 546 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 23:24:56 ID:WVrfsEdY0
- >>545
「ゴホッ…はぁ…はぁ…」
【手を離されて、うずくまって呼吸を整える鶫】
「まだ死ぬべきじゃない…?
そういうのが見えるんですか…?」
【顔を上げて、少し息を荒げながらも言う】
- 547 :?:2012/04/21(土) 23:32:39 ID:dL8H4NjE0
- >>546
「死神だからねー」
いつの間にかその顔には表情が戻っていた。
少女はへらへらと笑いながら言う。
「いろいろ話してもいいけど、元の調子に戻られると困るなあ」
再度ナイフを召喚し、それを喉元に当てる。
「一応脅しぐらいはさせてもらうよ」
「動けなくなる程度に痛めつけられるよりはマシでしょ?」
- 548 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 23:38:23 ID:WVrfsEdY0
- >>547
「そう、でしたね」
【そう言って軽く頭を下げる】
「…!」
【喉元に走る冷たいナイフの感触に一瞬肩がすくみ上がる】
「さすがに私も…傷めつけられたいシュミはありませんからね…」
【一先ず無防備になっているようである】
- 549 :?:2012/04/21(土) 23:49:11 ID:dL8H4NjE0
- >>548
「素直でよろしい」
相手の言葉に満足そうに頷く。
そしてしばらく思案顔になり。
「まあ、死神が何なのか、ぐらいは話そうか」
「人間には死期が存在する、遅かれ早かれ必ず訪れる。
で、死期が訪れるといろんな形でその人に死がもたらされる。事故死とか病死とかまあ色々ね
でもまあそれも絶対じゃなくて、
幸運だったり誰かが身代わりになったりすることで生き延びることがある。
そういった人をちゃんと殺してあげるのが私たちのお仕事ね」
ここまで話して一息つき、
「ここまでで何か質問は?というか続き聞きたい?」
- 550 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/21(土) 23:53:29 ID:WVrfsEdY0
- >>549
「なるほど…そういうことですか…
死期がきて…ちゃんところして…」
【素直に話を聞いていたが…そこで口を開く】
「なぜ運良く生き残った人を殺しに来るんですか?」
【質問は?ときかれたので素直に気になることを聞いてきた】
「先…なんか色々ありすぎて恐ろしく思えてきました」
- 551 :?:2012/04/22(日) 00:03:56 ID:dL8H4NjE0
- >>550
「運が良くても、死期が訪れている以上は死ななきゃいけない」
「理屈がどうとかじゃなくて、そういうルールなの」
「まあ何となく理不尽なのはわかってるけどね」
無理矢理納得して、と少女は言う。
「うーん……まあ長い……かなあ?」
説明したことがない少女には、感覚がなかなか分からない。
唸りながら首を傾げる。
- 552 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/22(日) 00:10:26 ID:WVrfsEdY0
- >>551
「ルールですか…
なんとなくわかりますがやはり素直に納得は出来ません…ね」
【少し口惜しそうな顔だ】
「長い…ですか。
まあ、そんなに死神のことは知りたくはありませんが…」
【じっと見て】
「貴方はいつもこんなことをしてるんですか?
その…普段の貴方とこの時の貴方は別の人格…というわけでもないですよね…」
- 553 :?:2012/04/22(日) 00:21:29 ID:dL8H4NjE0
- >>552
「だいじょーぶ私も最初はそんなんだったから」
「慣れればどうってことないよ」
対してこちらはいつもと変わらない笑顔。
「いつも、ではないね。今日は気分が向いたから、かな」
「別人格ではないよ、だってそういうのって記憶なくなっちゃうじゃん」
色々と複雑なのさ、と芝居がかった感じで言う。
「さて、私はそろそろ帰らせてもらうけど?もうやることはやったし」
カードから大箱を召喚する。
このまま見逃すか、と聞いているようだ。
- 554 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/22(日) 00:29:51 ID:WVrfsEdY0
- >>553
「死神にもいろんな事があるんですね…
わかりました。」
【軽く立ち上がって答える】
「なるほど、そういうのではないんですか。
いつも狙うわけではないなら、しょうがないのかも知れませんね」
【軽く落ち込んだ表情になって言う】
「本来なら逃したくないところですが…
考えの違いによるものでは関係をこじらせるのはよくありませんね。
今まで通りに私は付き合うことにしますよ」
【とは言え、苦い表情を見れば割りきれていなそうなのはすぐに分かる】
「また今度、会いましょう。
出来れば現実では戦いたくないですね」
【そう言って鶫は痛々しそうに足を引きずりながらその場を去っていった】
【どこか寂しさを感じさせる背中であった】
//このへんで乙です。
- 555 :?:2012/04/22(日) 00:35:50 ID:dL8H4NjE0
- >>554
「またすぐに会うさ、きっとね……」
静かに笑いながら、少女は箱の中に入る。
数秒後には、跡形もなく全てが消えているだろう。
- 556 :灰堂曇 ◆III/lK7I/I:2012/04/22(日) 20:56:43 ID:j3F3Rpmc0
- 都市某所、大きな自然公園の一角。
日中は親子や子供たちで溢れかえるこの場所も、日が沈めば人気がなくなる。
「……ここまで来れば、問題はないだろう」
周囲を照らす街灯の間隔は広い。
その光に照らされない闇の中に、一人の男が在った。
背の高い、細身の男。
灰色の髪はぼさぼさで、着ている白衣もどこか小汚い。
「しかし、不覚だな。この私がしてやられるとは―――」
街灯の一本に背を預け、男は溜息をつく。
「―――いやいや。いやいや、待ちたまえ待ちたまえ。そうは言ってもそうではない。
私にしてみればこの程度、蚊に刺される事の方が余程問題だろう? くくっ……」
強がるように、男は独り笑ってみせた。
ぱっと見ても、どこか怪我をしているというようにも見えないが……
- 557 :飛鷹 阿佐見氏:2012/04/22(日) 21:25:24 ID:1sJsd2CgO
- >>556
「おや、どうしましたあ?
なにかお困りのようですね、ワタクシがお手伝い致しましょうか?」
街灯の間、照らし損ねたその隙間――薄暗がりからなんだかのっぺりとした声がする。
「ワタクシこんな身なりでも、荒事の類には案外強いのですよ?
ご安心くださいねえ、んふふふ……」
声のした方向には人影のようなもの。
その黒いシルエットは酷く惚けていて、ぼんやりとした塊のようにしか見えない。
- 558 :灰堂曇 ◆III/lK7I/I:2012/04/22(日) 21:32:26 ID:j3F3Rpmc0
- >>557
「―――っ、」
聞こえた声に、男はさっと顔を上げる。
そうしてゆっくりと周囲を見回して、男はその黒い塊に気づいた。
「……心配はご無用。一度窮地を脱してしまえば、幾らでも起死回生できる。
強いて言うのなら、君の造りでも調べさせていただきたいものだ、くくく」
ゆらゆらと立ち上がり、白衣についた砂埃を払い落とす。
くいとメガネの位置を直して、そしてこう問う。
「時に、君は何者かな? そもそも何者でもないのならば、何であるか気になる所だが」
- 559 :飛鷹 阿佐見氏:2012/04/22(日) 21:45:32 ID:1sJsd2CgO
- >>558
「それはそれは、小さな親切はなんとやら。でしょうかねえ」
もぞぞ、と塊が蠢くと声が沸く。
「そうですね……ワタクシめは、いわば斡旋業者。人々の隙間に見えるウロに詰めるミを届けるのが生きがいの男です」
何か形容し難い奇妙奇怪な風貌のそれは、次第に男性と思われる形になっていく。
……いや、灯りの下に歩み寄っているだけかもしれない。
「して、ワタクシの構造を知りたがるアナタ様はどのような御名前か。差し支えなければお教えいただきたく……」
男のような肉塊がふつふつと空気を震わせる。
- 560 :灰堂曇 ◆III/lK7I/I:2012/04/22(日) 22:00:09 ID:j3F3Rpmc0
- >>559
「ふむ。随分変わった風体の斡旋業者も居たものだ。
客商売は見た目が命だ―――とよく言うがね」
口角を吊り上げ、男はニヤリと笑みを浮かべる。
段々と姿を変えてゆく様に目を丸くし、目の前のそれに感嘆の拍手を送った。
「素晴らしい。身体変化系統の能力者はあまり見かけた事がないのだよ」
眼福眼福。
そんな風に男はつぶやいて、答える。
「名を名乗るのならなんとやら―――商う者でなくとも知っているだろうに。
まあいい、良い物を見せてくれた礼だ。このしがない研究者の名、喜んで名乗ろう。
……ああ、呪ったりはしてくれるなよ? 名だけで呪う者なんて、幾らでもいるそうだから」
面白い冗談でも聞いたように、彼は笑む。
「私は灰堂。遺灰の灰に殿堂の堂でハイドウという。
カノッサ機関、なんていう仰々しい名前の場所で研究者を務めている者だ」
- 561 :飛鷹 阿佐見氏:2012/04/22(日) 22:15:32 ID:1sJsd2CgO
- >>560
「んふふ、変幻自在と言えるほどではありませんけどねえ。しかし、この姿は顧客の皆様からは評判が良いのですよ?」
灯りの下に照らし出されたのは、大きな大福に饅頭が乗ったような恰幅のいい紳士だった。
「灰堂……ほう、カノッサの方でしたか。いやはや、ワタクシとしたことが、仰るとおりで」
朗らかに笑った太い紳士は、にこやかな笑みを絶やすことなく。
「ワタクシ、飛鷹と申します。文字通り飛ぶタカと書きましてね……んふふ」
- 562 :灰堂曇 ◆III/lK7I/I:2012/04/22(日) 22:31:45 ID:j3F3Rpmc0
- >>561
「ほう、実に商人らしい……いや、どこぞの会社の社長でも務めていそうな雰囲気だ。
飛鷹、飛鷹か―――なるほど、覚えておこう」
飛鷹の話し方や雰囲気に、灰堂は内心で感心していた。
話している間につい判子でも用意してしまいそうだ、なんて考えながら。
「……とはいえ、今では実質末端に過ぎないが。
少々いざこざがあってね。この有様だ。」
仰々しく両の腕を広げ、灰堂はやれやれと苦笑いを浮かべる。
「非常に簡単に言ってしまえば、かつての部下が引き抜かれてしまってね。
果ては命まで狙われる始末さ……さて飛鷹氏よ、例えば君は今の私に何を斡旋してくれるのかね?」
- 563 :飛鷹 阿佐見氏:2012/04/22(日) 22:58:31 ID:1sJsd2CgO
- >>562
「それはワタクシも似たような……おっと、つい口が」
多少、おどけてみせる。
「ふむ。何に致しましょうかねえ……嗚呼、知的好奇心旺盛な研究者としてのアナタに丁度よいマッドな諸々がありましたねえ。
近々、面白いサンプルが手に入るのですよ。
複数……いや、場合によっては無数の有象無象を己が手足の如く操る検体でしてねえ」
「……で、その話を聞いた後、とある研究所がですね、ウチの研究成果を有効に使ってくださいと。
なんだと思います? 人造人間ですよ、しかも群体で、能力のプールを共有している傑作です」
「そこで、ウチの社長がピーンときましてね。この2つを組み合わせて、絶対的な統制の取れた軍隊を作ってみたらどうだい。というお話なんですよお。
どうです? 楽しそうでしょう?
こんな研究、そうそうできるものじゃありませんよ?」
話す間もにやにやと、決して絶えないこの笑顔。
それがどのように映るか。
悪意か、好奇か、はたまた。
- 564 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/22(日) 23:02:21 ID:xm/dFKGs0
- >>524
「残念だが、俺の周りは今忙しいんでね。
自由に動けるのは俺だけなのさ、放火事件調べたり、個人の事情とかでね」
そう言いながら、バイクに跨る。
俺個人もそれほど暇と言うわけでもない。
「まぁ、それの材質についてだが。
与えられる情報としちゃ千夜学園、そこに詳しそうな奴がいるくらいだ」
- 565 :灰堂曇 ◆III/lK7I/I:2012/04/22(日) 23:16:28 ID:j3F3Rpmc0
- >>563
「絶対的統制の元に動く、能力者の軍隊―――」
灰堂が息を呑む。その音は、きっと飛鷹の耳にも届いただろう。
人間ではなく研究者としての三大欲求(探求、研究、創造)で生きているだなんて言われる彼の瞳には、無論、興味の光。
「―――、ああ……」
しばらく彼は黙っていたが、ふ、と短く息を吐いて答えた。
「……実に、興味深い。だが生憎、その分野は“着手済み”なんだ。
何より、私は量よりも質を求める人間なのだ―――私の“仔”達は強くてね」
底知れぬ自信がその心の内から溢れ、思わず表情が愉しげに歪む。
「それに言わせて貰えば、『研究者に絶対の二文字はない』……絶対にな、くくっ」
へらへらと笑うと、灰堂はとんと地面を蹴って、そしてそのまま空中に浮かび上がった。
地面から50cmほどの所でふよふよと浮かぶ彼は、眼下に立つ飛鷹に、こう告げる。
「ただしまあ、間違い無く食いつく人間が居る。今度また私と“遭う”時があれば紹介しよう」
よい時間だった、と、捨て台詞のような何かを残して、男はそのままどこかへと姿を消してしまった。
//お先に失礼します
//ありがとうございましたんー
- 566 :飛鷹 阿佐見氏:2012/04/22(日) 23:24:15 ID:1sJsd2CgO
- >>565
「おや、そうでしたか。さすがはカノッサの……んふふふっ」
口許を押さえて笑う飛鷹。
その心境はまるで深淵――見えない。
「それは楽しみにしておきましょう。では、また遭う時まで、さようなら。灰堂さん」
彼の姿が見えなくなると、途端に太い紳士の姿は闇に沈んだ。
――ただ、周囲の街灯が“たまたま”同時に寿命を迎えただけだったが。
//乙ー。
- 567 :レラ=バニッシュ:2012/04/22(日) 23:41:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>564
「貴様は随分とドライだな。
淡々と物事を伝えるだけなのも構わんが、それでは嫌われるぞ?」
やれやれだ。そう言った様子で首を振る。
「それならそいつに話を通しておけ」
青年の言葉に興味を持った風の視線を向け。
紛れも無く生身、人間の物である右手のピンと立てた中指を向ける。
青年がバイクに跨るのを見ると、
「今から用事はあるのか? もし良ければもう少し付き合ってほしい」
そう告げる。
- 568 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/22(日) 23:45:59 ID:xm/dFKGs0
- >>567
「悪いな、苦手なあいてにはこうなっちまうのさ。
悪く思わないで…っていっても無理だな」
相手が話を通してくれ、と言ったが。
アレの事だから突然いっても何の問題も無いだろう。
こっちが知ろうとしてることを2週位迂回して知ってるような奴だ。
「別に用事は後回しでも構わないぜ。
何処に行くかも決めてはいないさ、でどうするんだ?」
- 569 :レラ=バニッシュ:2012/04/23(月) 00:13:11 ID:mbXTFaJQ0
- >>568
「まぁ、そこは重要ではないが」
宙に浮いた脚を組む。
浮力は足の裏から発生しているわけだが、姿勢を崩す心配はなさそうだ。
「先ず、大前提から話しておこう。
僕とアイツは全く同じ人間だ。感覚で言えば別人格に近い物だ」
近い。と言う言葉を使ったのは今まで少女自身に同居の自覚が無いからなのだろう。
「今こそ表面上潜んではいるが、はっきりと頭の中で奴が動いているのが解る。
その証拠に、熱と頭痛が収まらない。その代わりに、奴の知識と記憶もしっかりと頭に張り付いている」
一度言葉を切る。
青年が付いてこれているかの確認の間なのだろう。
- 570 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/23(月) 00:22:50 ID:xm/dFKGs0
- >>569
「成程な、言うなれば脳感覚の2割を演算に使う脳障害者みたいに、
熱や頭痛等を使ってシナプス間や海馬から記憶や情報を引き出してるわけだ。
人格の差異と言うよりは肉体の使用権限が分割されてるんじゃないの、ソレ」
相手の話を適当に頭の中で分解しつつ理解していく。
恐らく肉体を本来稼動させる人格―――喩えるならハードがコイツ。
で、多分お嬢ちゃんは外から落としてきた規格が少し合う物。
いわばソフトなわけだ。
「まぁ、この場合。
お嬢ちゃんとアンタは最初から搭載されてるってことなんだろうな」
思いのほか分かりやすくて助かった。
とはいえ、完全な理解では無いだろう。
多分ではあるが、そこにいろいろ挟まるはずだ。
ゲマトリアやらに比べたら現実的でありがたい。
- 571 :レラ=バニッシュ:2012/04/23(月) 00:39:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>570
「……普段からそうだと僕も楽で良いのだがな」
フン。と鼻で笑うアクションを交えながら青年を見る。
理解の良さに少々好感を覚えたようだ。ほんの僅かだが。
「それで、僕の頭に流れてきた情報を貴様にも伝えておこう。という訳だ」
人差し指と中指を立てた右手を向ける。
片方を折ると残った方を強調するように強く向けた。
「先ずは……大きな話からにしておこうか。
アイツの考えていた都市破壊計画頭に流れてきた」
- 572 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/23(月) 00:44:21 ID:xm/dFKGs0
- >>571
「現実的なことには強いのさ。
オカルトには弱くてね」
そう言いながらも、相手が言った破壊計画の話に。
少しと言うか、何と言うか。
知らない方が言いかなぁ、なんて思ってしまった。
「まぁいいや、分かりやすく伝えてくれるか?
長々とそれについれ話すのも憂鬱だ」
- 573 :レラ=バニッシュ:2012/04/23(月) 01:01:22 ID:mbXTFaJQ0
- >>572
「貴様が理解できるかどうかは貴様次第だろうが」
それは僕の管轄外だ。等を言いながら長めに目を閉じる。
脳内のイメージを鮮明に書き起こし、その結果を伝える。
「破壊計画の一端……下準備と言った所か。
とある資材の搬入が目的らしい。それの見当は……付かないな。
場所は港、だろうか? 時間は……まだ、詳しくは解らない」
辿ってみると、思ったよりも色々な部分があいまいだった。
頭に残っているのはどこかの屋内。視線の先にあるのは長身で細身の男。
「人間……か?」
- 574 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/23(月) 01:05:47 ID:xm/dFKGs0
- >>573
人―――人間嫌いのお嬢ちゃんが人を頼るか?
利用する事…いや、何かがあるか?
資材搬入、港、時間不明…やや情報はぼやけがある。
「……」
相手の言を聞きながらそれをきいてどうするのか。
そう自分にたいして自問自答する。
- 575 :レラ=バニッシュ:2012/04/23(月) 01:23:34 ID:mbXTFaJQ0
- >>574
「もう少し……何か」
頭を押さえ、目を閉じた顔が苦痛にゆがむ。
熱と頭痛。頭脳のオーバーワークが彼女を苦しめる。
それでも、情報を捻りだし、それを青年に伝えていく。
紛れもない人間。
痩せ細った男はレンズの厚い眼鏡を掛けている。
眼鏡の鼻当てに指を添え、位置を整えるとある物を受け取った。
そしては「改造だ」とこちらが告げる。
長身の男は顔をしかめ、受け取ったディスクの様な物体をまじまじと眺めた。
こちらにも視線を交え、暫くして観念した様子を見せるとディスクが手元に返ってきた。
「……っ。この程度、だろうか」
目を開けると、頭を強く押さえた。
「今回ばかりは僕だけじゃどうにもならなくてな……もし、良ければ貴様に手伝ってもらいたい」
- 576 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/23(月) 01:36:58 ID:xm/dFKGs0
- >>575
相手が言う事を、思考する。お嬢ちゃんの肉体が人工だらけなのはしっている。
ソレは見ても明らかであり、俺もそう思って接している。
改造と言う事はお嬢ちゃんの肉体の事を知っていると言う事だ。
もっとも、情報を持っているとは限らない。
「今回ばかりはってことは、自分でもやれることはやったんだな?
まぁ、俺が余裕のある時でいいなら情報を集めてみるさ。
だが、俺が勝手にいろいろやってしまってもおこらないでくれよ」
俺にも考えがあるのだから、了承してもらわなければ。
そいつなら、お嬢ちゃんが本当は何なのかを知っているかもしれない。
どっちがハードで、どっちがソフトなのか。
或いは、どちらもハードなのかを。
- 577 :レラ=バニッシュ:2012/04/23(月) 01:55:54 ID:mbXTFaJQ0
- >>576
「状況が状況だ。
何かが起こった時、そこに僕はいない。
直接手を振れる事は何があっても有り得ん。
今回だけは他人を頼るしかない……全く、不服だがな」
はぁ。と大きくため息を吐いた。
それでも構わん。手伝ってさえくれれば。
と、くぎを刺すかのように青年に口を出した。
「イメージは二つあると言ったな。
まぁ、こっちは全くどうでもいいことなのだがな……」
先程のは、何れ都市全体を脅かす事になる出来事の一つ。
しかし、もう一つはそれに比べれば些細な事。
ミラージュ一人の問題でしか無いのだ。これこそ、青年にはどうでもいいと言える。
「『黒』。もう一人アイツが見つかった」
- 578 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/23(月) 02:06:00 ID:xm/dFKGs0
- >>577
「黒…ね。
俺にとってはかかわる意味が無いだろう、そりゃあ」
相手にそう言って俺は肩をすくめる。
正直、他人の個人的な事情と言う奴には関わってろくな眼にあったことが無い。
自分の事でもそうだ。
「俺にそいつをどうこうしろって言うわけじゃあ、無いんだろう?
じゃあ、何で俺にソレを伝える?」
- 579 :レラ=バニッシュ:2012/04/23(月) 02:21:57 ID:mbXTFaJQ0
- >>578
「……何となくだ。特に意味は無い」
頭で巣食うイメージ。
ミラージュを一番よく知るとされる人間にそれを伝えておきたかった。
聞けば、何か解る気がしたから。
「だが、もう一つアイツが存在すると言うのは色々可笑しいんじゃないのか?
聞いた話だと、アイツはとある研究の『頂点』らしいじゃないか。……まぁ、僕も興味は無いが」
話は終わりだ。そう青年に告げる。
- 580 :ラルフ=ハインケルン:2012/04/24(火) 20:29:51 ID:xm/dFKGs0
- >>579
「まぁ、俺はお嬢ちゃんの事はあんまり知らないからな。
お嬢ちゃんがどんな境遇でどういった状況で誰と知り合いで、
そしてどういう目的があったのか、俺は知らない。
俺は『いつものお嬢ちゃん』しか知らないのさ」
人間嫌い、意地張り、かと思えば割りと素直で我侭…に見える。
俺はそんなお嬢ちゃんしか知らないし、他に知ろうとは思わなかった。
何も知らない自然体、もっとも四っても変わらない。
俺はお嬢ちゃんにとって、やたら構ってくる奴でいいのだ。
「複製品、もしくは外部からの何か。
そう言うものもあるさ、誰かが作った物は誰かも作るってな」
話は終わり、という前に言った言葉。
のんびりしてはいられなくなったわけではない。
だが、相手がそう言う以上、もう用は無いんだろう。
そう思いながら、俺はバイクを走らせてその場を去った。
- 581 :レラ=バニッシュ:2012/04/24(火) 22:33:13 ID:mbXTFaJQ0
- >>580
「その程度の認識ならば、それも構わないさ。
しかし、貴様は思った以上にドライだな……。
まぁ、そうだからこそ、というのもあるのかも知れんが……」
今一、解らないこともある。
記された事に対する知識には自信があるが、そうでないことは知らない自身もある。
今回は、そちら側なのだろうと溜息を交えて首を振る。
ジェットブーツの出力を上げると夜空に舞い上がり、消えていった……。
- 582 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 20:09:06 ID:WVrfsEdY0
- 【異能都市、千夜学園近郊。】
「流石にずっと持ち歩いてるわけにはいきませんね…」
【鞄を背負った学生らしき少女が歩き回っていた。制服を見れば学生だとわかるだろう】
【ニット帽をかぶっていたりマフラーを巻いていたりする。ちなみに胸のあたりがかなり大きめである。】
「…護身用でなんとかなりますよねー。」
【背負った鞄を不安げにちらちら見ている】
「やはりこっそりでいいですよね。
武器を持ち込んだ人は聞いたことないからわかんないですけど…」
【軽く頭を抱えながらつぶやく】
【彼女は武器をいくつかもらっており、その置き場所をどうするべきか考えていたのである】
- 583 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 20:17:58 ID:KPzx8K560
- >>582
「お嬢さん、なにかお困りかい?」
そこへ大きなハットを被り、ギターを背負うなんとも奇抜な格好の男が現れる。
そしてそのハットを人差し指でクイッと上げて顔を見せて言う。
「お困りごとなら何か手伝いますぜ?」
その二枚目の顔に軽い笑みを浮かべて言い放つ。
- 584 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 20:22:22 ID:WVrfsEdY0
- >>583
「ひゃい!?
あ、はい…困ってることはありますが…」
【突然現れた奇抜な恰好の男に驚いて若干変な声を上げてしまった】
「急に知らない人に声をかけられるのはびっくりしますね…
その…初めまして…」
【改めてゆっくりと頭を下げた】
「その…あんまり大声では言えないことなんですがね…」
【そういって背負っているカバンをちらりと見る】
- 585 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 20:25:47 ID:KPzx8K560
- >>584
「フハハッ、まぁまぁ、そんなお気になさんな、いきなり声を掛けた自分も
いけなかったものですぁ。」
爽やかな笑みを浮かべながらこちらも謝る。
「初めまして。」
ハットを取り、少し長めの黒髪を見せて言う。
「あんまり大声で言えない?
武器とかならともかく麻薬なら勘弁ですぜ。」
- 586 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 20:29:30 ID:WVrfsEdY0
- >>585
「ああ、はい…
どうもありがとうございます」
【改めて頭を下げる】
「どうも…ところであんまり大声では言えないことなんですが」
【ずっしり重たそうな肩にかけた鞄を見つめる】
「いろいろ武器をもらってしまって。
若干保管場所に困ってるんですよ…
どうにかならないかなーと思いまして」
【本気で困っている顔だ】
- 587 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 20:37:56 ID:KPzx8K560
- >>586
「なるほど、これをどうするか迷っていると?」
そう言って、鞄をしばらく見つめる。
「確かにこれは少し多いな、見た所銃のような物も入っているようだ。
しかも組み立て式のも。」
見た目の彼女の持っている顔で重さを推測する。
「ですが安心しなせぇ。
俺はこういうものでさぁ。」
名刺を取り出して渡す。
内容は、
私立探偵 早見川 健治
どんな依頼でも大抵の物は受け付けます。
人探し、物渡し、なにかを預けたりする事も。
詮索質問ほとんどしません、報酬は7万辺りで十分。
TAL 〇☓□ー△□△ー☓〇□△
- 588 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 20:43:33 ID:WVrfsEdY0
- >>587
「ええ、まあ・・・」
【ちなみにカバンの中には拳銃二丁に弾が入った箱、あと消音機が入っている】
「そんなにわかっちゃうものなんですか?
まだ中身を確認していないのに」
【驚いた顔を見せている】
【そして差し出された名刺を確認して】
「私立探偵…健治…
請負人みたいな感じなんでしょうかね…」
【なるほど、とうなずきながら確認していくが】
「7万?!うーん…今はそんなにお金を持ってません…」
【改めてひどく困った顔になっている】
- 589 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 20:47:52 ID:KPzx8K560
- >>588
「ハハッ、まぁこういうのをやってたら結構わかるもんで。」
すこしハットを深く被る。
「あぁ、今回はお試しという事で無料で良いですよ?
お譲ちゃんは可愛いから3万辺りでツケをアリにしますがどうしやす?」
- 590 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 20:51:32 ID:WVrfsEdY0
- >>589
「へえ…そんな能力も身につくものなんですか。探偵というのは」
【かなり感心している・・・少し違う気がするが】
「無料ですか?
それなら預かってほしい…ですが。」
【かわいいと言われたためか少し照れている】
「でも、これを預かるんだとしたらいつでも出せそうな場所がいいんですけど…
そこはどうすればいいんでしょうか?」
【不思議そうな顔で言う】
- 591 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 20:55:07 ID:KPzx8K560
- >>590
「まぁ、そういうのはそれなりに経験を積めば…ね。」
一瞬を顔を曇らせるがハットで隠れて見えない。
「いつでも出せる…、自分の事務所に置くつもりですが何時でも取り出すとなると
難しいかな…、転送装置みたいなのもないし。」
- 592 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 21:01:15 ID:WVrfsEdY0
- >>591
「そうですか・・・
世の中は広いですねぇ」
【若干能天気な発言である。暗くなった表情には気づいていないようだ】
「うーむ…その辺はやっぱり難しいですか…
足を運んでいくのも少し時間かかる場所だと困るんですけども…」
【鶫もどうすべきかと悩み始めている】
- 593 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 21:04:14 ID:dL8H4NjE0
- >>590 >>591
「……なんだあれ」
少女と男の会話が耳に入り、顔をそちらに向ける。
少女の方は顔だけなら知っている。男の方はみたことがない。
まあ鏡華はこの都市に来て間もないので、知っている顔の方が少ないが。
何か相談しているようだが、何についてかまではわからない。
「ちょいとそこのお二人さん」
好奇心を抑えるということを知らないのか、なれなれしく二人に話しかける。
- 594 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 21:08:08 ID:KPzx8K560
- >>592
「まぁ、自分の場合は結構な年月をかけてほぼ世界一周をしたことはありますがね。」
表情はそのままだがどことなく声が潤んでいる。
「まぁ、その電話は自分の携帯電話でさぁ、頼めばそちらまでもっていきますぜ?
それなりに経験も積んでるから、それに俺の携帯電話には軽〜い逆探知機能もついていますから。
ちょっとだけ電波を送ればそちらまでいけますぜ?」
と、言って声を掛けられ向く。
>>593
「おやおや、これまた可愛いお嬢さんだこと。
こんなおじさんと少女になにかようですかい?」
若干挑発気味に言う。
- 595 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 21:11:26 ID:WVrfsEdY0
- >>593
「…ん?なんでしょうか?」
【突然聞こえてきた声を聞いて少女は振り向いた】
「なにかご用でしょうか?」
【どうやら千夜学園の学生であるらしい。結構胸がでかいが】
>>594
「なるほど…ん?
どうかなさいましたか・・・?」
【不思議そうに潤んだ声を聴いている】
「そんな便利な機能があるんですか…
それはありがたいですねぇ。…頼んでもよさそうです」
【何度もうなずきながら答えた】
- 596 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 21:22:04 ID:dL8H4NjE0
- >>594
「用、ってわけでもないけどね。
少しお困りだったっぽいから気になったのさ」
肩をすくめる。
>>594>>595
「ふーん、とりあえず『それ』を置く場所を探してる、と……」
二人の会話から予想する。
鞄はずっしりとしていかにも危ないものが入っていますといった感じだ。
(ろくなものは入ってなさそうだね……)
鏡華の目が光る。
>>595
「ちょいと中身を拝見……」
目を輝かせながら鞄を開けようとする。
冗談半分なので一声かければ止めるだろう
- 597 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 21:24:08 ID:KPzx8K560
- >>595
「いや、なんでもない。」
顔を下げ、手袋を付けた指で目の部分を少しはらう。
「フフ、まぁ、特にあずかっている間の期限もないので、ご安心下さい。」
ハットを上げて顔を見せて言う。
>>596
「そうかい、ま、あんまり詮索しなさんな。」
開けようとする腕を見て咎める。
- 598 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 21:27:08 ID:WVrfsEdY0
- >>596
「あ、ちょっと待ってください!」
【鞄を勝手に開けようとしたために驚いて片手で静止する】
「そんな急に中身を見ようとしないで下さいよ。
危ない武器が入っているんですから」
【首を大きく振って言う。】
>>597
「そうですか…」
【はぐらかされるものの、やっぱり気になっているようである】
「そうですね…
ひとまず置き場所とさせてもらっていいでしょうか」
【鞄を抱えながら言う】
- 599 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 21:32:56 ID:dL8H4NjE0
- >>597>>598
「あらま、残念」
両手をあげてため息をつく。
とりあえずもう触る気はないようだ。
「武器、ねえ……」
所持しようとしないのはなぜなのだろうという疑問を抱きつつ。
鞄に目を向けて、何かの拍子にコピーできたりしないだろうかと思案する。
- 600 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 21:42:27 ID:KPzx8K560
- >>598
「ま、こちらもアンタの事はなんもいわない。
だからそちらもあんまり質問しないでくれ。」
笑って言う。
「それじゃ、おためしということで預からせてもらいましょう。」
そう言うと、鞄を持ち、ギターケースの裏側を出し、スイッチの様な部分を押す。
するとパカッと開く、空洞になっているようだ。
そしてそこに鞄をそっと入れる。
>>599
「ま、他人の事はあんまり詮索しないほうがいいってことだ。」
- 601 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 21:44:54 ID:WVrfsEdY0
- >>599
「え、ええ…
まあその…寮に持って帰っていいかわかりませんし…」
【そういって軽く中身を見せてみる】
「他の人にはなるべく内緒でお願いしますよ」
【鉄砲が入っているケースや弾が入っているケースが見受けられた】
>>600
「わかりました。
あまり気にしないようにします」
【そういって軽くうなずいた】
「い、今のはいったい?
すごい機能ですね!」
【ケースの中に吸い込まれて言った鞄を見てひどく驚いた】
- 602 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 21:54:14 ID:dL8H4NjE0
- >>600
「わかったよ」
他人の領域にずかずかと足を踏み入れる少女からしたら耳が痛くなる言葉だ。
特に気にせずこれからもそのスタイルのままだろうが。
「で、その危ない武器とやらを快く預かるキミは何者なんだい?
単なる親切な一般人、とは思えないけど」
>>601
「護身用の武器なんだろう?それを他人に預けるのも変な話だと思うけどね」
「学生っていうのはそんなにいろいろ面倒なのかい?」
自分のわからない世界にとやかくいっても意味がない。
そう思った鏡華はそれだけいってとりあえず口を閉じる。
- 603 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 21:57:33 ID:KPzx8K560
- >>601
「そうしてもらえると助かる。」
そう言って、ケースを閉める。
「フフッ、まぁこういう機能を付けていると良い事があるんですよ。
今の俺の仕事のようにね。」
なんともキザったらしい声で言う。
>>602
「フフ、分かってもらえたならけっこう。」
と、言って挑発気味に笑う。
「ま、それなりにそういった世界を知っている者さ。
どうぞお見知りおきを。」
そう言って名刺を渡す。
中身は>>587にあり。
- 604 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 22:05:14 ID:WVrfsEdY0
- >>602
「この町も若干危険なことがあったりしますからねえ。
この辺はしょうがないです」
【そういって軽く微笑んだ】
「まあ、自分の能力を図るためにも必要だったりしますね。
…確かにほかの人に預けるのは若干変かもしれませんが」
【今更ながらだが少し照れていっている】
>>603
「わかりました。
しかし…確かにものを集めるのに便利そうですね」
【感心するようにギターケースを見る】
「それでは…
一応使う時のために取り出す方法を聞いてよろしいですかね」
【少し気にする顔で尋ねる】
- 605 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 22:16:15 ID:dL8H4NjE0
- >>603
「……どうでもいいけどキミのその笑い方は癖なのかい?」
バカにされているというわけではないが何か気になるものがある。
「探偵ね……華麗な名推理で難事件を解決するのかい?」
探偵、というとどうしても見た目は子供で頭脳は大人のあの人物や、
じっちゃんの名にかけて推理する人物が思い浮かぶ。
>>604
「だからってこんなので武装しなきゃいけない程この町の治安は悪いのかい?
別にそんな感じはしなかったけどね」
そこまで言っていったん区切り、「ああでも、」と続ける。
「一度だけ鎌を持った死神みたいな通り魔を見かけたし、警戒はしておいたほうがいいのか」
思い出したように言う。
気のせいだろうか、なぜかその顔に一瞬笑みが浮かんでいた。
「素人でもちゃんと持ってうてるのかい?」
銃を指さし、ふと思い浮かんだ疑問を訪ねる。
- 606 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 22:20:43 ID:KPzx8K560
- >>604
「ま、備えあれば憂いなしってね。」
「あぁ簡単だよ、君が俺の携帯にメールかなんかを送る。
そしてその内容が武器が欲しいみたいな内容だったら逆探知でそっちまで行くってことだ。
アンタが逃げ回っていても自然と会えるさ、そしてそこで武器を渡す。
どうだい?、少なくともアンタの武器は武器の方から向かうんだから問題ないだろう?」
>>605
「こりゃ失礼、少しいろんな意味で人を見下す癖があってね。」
そういって謝る。
「いんやぁ?、探偵つっても基本的には万屋のようなもんだな。
推理事件で巻き込まれた事は少ないよ、まぁあるにはあるがね。」
- 607 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 22:30:47 ID:WVrfsEdY0
- >>605
「場所にもよりますが…
最近はちょっときな臭い雰囲気になってますよ」
【少し困った顔になっている。深刻そうなのを見ると本当なのだろう】
「死神みたいな通り魔?それってもしかして…
桃色の髪のですか?」
【覚えがあるのか。深刻な顔で尋ね返す】
「ああ、それは・・・
今後練習しようかと思ってます。実弾は初めてですからね」
【おもちゃの鉄砲をポケットから取り出していう】
>>606
「備え…何かに備えるということですか…」
【感心している…が、よくわかって無さそうだ】
「ふむ…ふむ…
そうですか、わかりました。
それじゃあ機会があったらまた。
特訓のために用意してもらうこともあると思いますので」
【そういって頭を下げた】
- 608 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 22:45:38 ID:dL8H4NjE0
- >>606
「ほう……それはつまりボクのことを見下してるってことかい?」
ピクリと鏡華の眉がつり上がる。
怒ってるというより、対抗心が芽生えた感じだ。
「万屋かあ」
今度は銀髪甘党の侍が思い浮かぶ。
以外とマンガ系統は好きなのかもしれない。
>>607
「あ、キミってあの時あの子と戦ってた子か!
いやー、キミのおかげでみんなが逃げられたよ、ありがとう」
いかにも今気づいた、といった感じに言う。
そして感謝の言葉と共に笑顔で手をさしだす。
「実はあの子はボクの友達なんだけど、ついこの前突然姿を消しちゃってさ
こうして探しに来たんだ。」
- 609 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 22:47:10 ID:KPzx8K560
- >>607
「ま、こういうのは色々便利ということだ。」
「それじゃ機会があればまた…、できれば名前を教えてくれませんかね?」
>>608
「いや、自分では見下していないつもりなんだがね、クハハッ。」
また挑発気味にわらう。
「一応言っておくが俺は甘い物は好きだが辛い物も好きだ。」
- 610 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 22:58:36 ID:WVrfsEdY0
- >>608
「もしかしてあそこにいた人ですか?
それは・・・どういたしまして。」
【そういって握手に応じる。軽く握って答えた】
「あなたの友達だったんですか…
あの死神さんが…いったい何があったんでしょう」
【気にするように問う】
「ですねー。私もやってみたいですね」
【そういって軽く笑う】
「わかりました。
えっと…私の名前は防人鶫(さきもりつぐみ)といいます。
どうぞよろしくお願いします」
【そういって頭を下げた】
- 611 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 23:03:52 ID:dL8H4NjE0
- >>609
「どう便利なのか皆目見当がつかないんだけど……まあいいや」
呆れるように言う。
「おっと、自己紹介をしてなかったねそういえば」
健治の言葉で思い出す。
「ボクの名前は神無 鏡華(かんなし きょうか)、よろしく」
>>610
「そこらへんは多分あの子なりの事情があるからね、ボクにはよく分からないよ」
言葉こそ友達を思う優しいものだが、
表情はなぜかニヤニヤとした、意地悪そうな表情だ。
「ただ戦っただけ、ってわけでもなさそうだけど、あの子の知り合いなの?」
- 612 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 23:08:52 ID:KPzx8K560
- >>610
「こちらこそ、あらためて私立探偵の早見川 健治だ。」
そう言うと、ハットを取り頭を下げる。
>>611
「ま、その辺はご愛橋ということで。」
今度は普通の笑みで言う。
「あぁ、こちらも改めて、早見川 健治だ、よろしく、お嬢さん。」
神無の名前を呼ぶ気はあまりないようだ、無論防人にも。
- 613 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 23:13:00 ID:WVrfsEdY0
- >>611
「そうですか…私もあの子のことはよくわかりません…
残念ながら」
【軽く頭を抱えていう】
「一応何度か戦った事がありますが…
詳しいことは分かりませんね…」
【そういってうなずいた】
>>612
「はい、健治さんよろしくお願いします」
【軽く微笑みながら言った。】
「まあ、これからいろいろお世話になりそうですけどね」
【ギターケースをジッと見ていう】
- 614 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 23:27:23 ID:dL8H4NjE0
- >>612
「まあ、用があったら訪ねるよ」
名刺を見ながら言う。
>>613
「ん?よくわからない?
あの子すっごい臆病な分かりやすい性格だよ?
キミみたいな子にはすぐなつくと思うんだけどなあ」
おかしいな、とつぶやいて首を傾げる。
「まあ悪い子じゃないし仲良くしてあげてよ」
まるで親のようなセリフだ。
- 615 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 23:32:14 ID:KPzx8K560
- >>613
「あぁ、よろしく頼もう。」
そしてハットを被る。
防人の視線に気づく。
「…、よかったら一曲聞いていくかい?」
表側のギターケースを開き黒いギターを取り出す。
>>614
「フフ、ま、基本的24時間営業なんで、直ぐお相手しますよ。」
- 616 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 23:34:58 ID:WVrfsEdY0
- >>614
「そ、そうなんですか?
見た限りではそういう風には見えませんでしたが…」
【不思議そうな顔で答える】
「わかりました。
なるべく仲良くしていきますよ」
【そういってうなずいた】
>>615
「了解です」
【軽く微笑んでいうと】
「歌ったりするんですかー。
そうですね。一曲聞いていきましょう」
【そういってじっとその場に立つ】
- 617 :神無 鏡華:2012/04/26(木) 23:45:04 ID:dL8H4NjE0
- >>615
「……」
また鏡華の眉がぴくりと反応する。
気になって仕方がないらしい。
「笑い方が気になって仕方ないなんて初めてだよ、才能あるんじゃないかい?」
>>616
「うーん?見ず知らずの人とはろくに話もできない程度には
人見知りが激しかったりするけどね」
意見の食い違いに頭を抱える。
確かに目の前の少女と戦っているときの少女からはそんな雰囲気は感じ取れなかったが……
(仕事中だからだと思ってたけど、違うのか?)
「よろしくね」
とりあえず様子見。
そう決めると、鏡華はうなずき返した。
- 618 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/26(木) 23:50:10 ID:KPzx8K560
- >>616
「OK、それじゃ少し移動しようか。」
直ぐ近くのベンチまで移動し、腰掛ける。
>>617
「どんな才能かよくわからんけどな、まぁ俺だから仕方ない。」
そう言うと、ギターの弦に指を置く。
http://www.youtube.com/watch?v=AGdwvjyGwg4&feature=related
その歌唱力は、お世辞にも上手いとは言えなかった。
だが、その歌詞、その声、その目に気付くか気付かないの差だが、うっすらと浮かぶ涙が
そのことを忘れさせていた。
- 619 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/26(木) 23:57:16 ID:WVrfsEdY0
- >>617
「そういうものなんですか…
でもあの時…首を切っていたりしたときは違ったみたいですね…」
【不思議そうに首をかしげた】
「はい、承ります」
【微笑みながら言った】
>>618
「わかりました。お願いしますよ」
【そういってベンチの近くに座ってじっと曲を聴きふける】
「…」
【そのまま歌う歌をじっと聞いて…】
「ありがとうございます。
何というか…いい歌でした。よかったですよとても」
【大きく拍手をしてその歌を笑顔で称賛した】
- 620 :神無 鏡華:2012/04/27(金) 00:05:59 ID:dL8H4NjE0
- >>618
「開き直るなよ」
ため息混じりに言う。
「……悪くはないんじゃないかい?」
歌を聞き終え、おもしろくなさそうに言う。
涙混じりに歌われては、いじる気にもなれない。
>>619
「いろいろと変わってるってことは間違いなさそうだね」
面倒くさいことになった。
そしてその面倒の原因はおそらく……
「一人だけ先に退場しやがって、キミの不幸がなにを引き起こしているのか分かっているのかい?」
憎々しげにつぶやく。
- 621 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/27(金) 00:10:18 ID:21ngGK0Y0
- >>619>>620
「そうか……ありがとう。
…恋人の歌を褒めてくれて。」
最後の言葉はよく聞き取れなかったが
うっすらと涙を浮かばせていた。
- 622 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/27(金) 00:16:51 ID:WVrfsEdY0
- >>620
「そうみたいですね…
…?」
【不思議そうにつぶやいた声を聴く】
「一体何か…なんかただならない感じですね…」
>>621
「恋人の歌ですか…
大切な人の歌なんですね」
【うっすらと浮かべる涙を見て感慨深そうに言う】
「…なんか悲しそうな眼をしてますね」
【ちょっと涙が気にかかったんだろう…】
- 623 :神無 鏡華:2012/04/27(金) 00:23:35 ID:dL8H4NjE0
- >>621
「ふん、歌うのがキミじゃなかったらもっといい評価を下してるさ」
どうせ見るならもっと嗜虐心をそそられる感じの顔がよかった。
とはさすがに空気を読んで言わない。
>>622
「ちょっといろいろとあったんだよ。ボクたち三人の間に」
遠くを見ながら言う。
その目に写る感情はあまりにも複雑で。
- 624 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/27(金) 00:26:23 ID:21ngGK0Y0
- >>622
「あぁ、守りたかった…人だよ。」
そう言って黒い手袋でゴシゴシと涙を取る。
「なんでもないさ、なんでもな…。」
>>623
「あぁ、そうだな、……、本当なら恋人が歌う筈の歌だったからな。」
そこまで言って区切る。
「さて、だ、なんかよくない事があったみたいだな。
さし使えなければ話してもらえないだろうか?
詮索するつもりはないが気になるのでね。」
- 625 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/27(金) 00:32:55 ID:WVrfsEdY0
- >>623
「いろいろですか・・・
なんかいっぱいいろんなことがあったんですね」
【複雑そうな顔を見て、少し心配そうに答える】
「まあ、大丈夫です。
あのことは仲良くしていきます」
【軽く笑い答えた】
>>624
「そう…ですか。」
【その涙の理由をなんとなく理解し、
鶫は小さくうなずいた】
「大切な人…
私にもいますね。今もまだ病院で眠り続けています。
だからなんとなく…わかるかもしれません」
- 626 :神無 鏡華:2012/04/27(金) 00:45:23 ID:dL8H4NjE0
- >>624
「……死んだのかい?」
何の遠慮もなしに、じっと健治の目を見て言う。
「ボクの友人が少々面倒なことになっているだけさ。
今話してもきっと何にもならない。会ってみないことにはなんともいえないけど……」
ため息と同時に肩をすくめて首を振る。
彼女自身どうしたらいいのかよくわからないのだろう。
>>625
「ありがとう」
あの少女からすべてを聞き出すのはきっとまだ無理だ。
とりあえずは波風をたてすぎないように行動するしかない。
- 627 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/27(金) 00:51:54 ID:21ngGK0Y0
- >>625
「大切な人がいるのか……。」
一旦区切って言う。
「それなら絶対に守りきってやるんだ……、決して俺の様にはならないでくれ。」
懇願するように言う。
>>626
「あぁ、……、死に方は聞かないでくれ。」
そう言って、歯を食いしばり、手を握りしめる。
両方とも、血が出るほどに………。
「そうか、何をすればいいか分からないなら
まずはその目的の人物にあってみたらどうだ?
その時の拍子に思いつくかもしれない。
よかったら俺も探そうか?」
- 628 :防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/27(金) 00:55:53 ID:WVrfsEdY0
- >>626
「はい…
なんとなく、あの人は悪い人ではないと思いますね」
【そういって軽く笑う】
「だから、あのようなことを望んでしているとは思えないんです…
何とかしたい、と思ってます」
>>627
「はい…守り切って見せます…
そのためにも強くなります」
【ぐっとこぶしを握り答えた】
「…すいません。
なんかいろいろお話しちゃいましたね」
【頭を軽く下げていうと】
「そろそろ私は帰ります。
みなさん、また会いましょうね」
【軽く手を振りながらその場から立ち去って行った】
//そろそろ眠ります
//おやすみなさい
- 629 :神無 鏡華:2012/04/27(金) 01:12:53 ID:dL8H4NjE0
- >>627
「聞かないさ、そんな無粋なことはしない」
死神の運命。
眼前の男の感情は、自分たちの成してきたことの結果とも言える。
幾千もの恨みをその背に背負っても大丈夫なように死神はできている。
ただ、人間はそうとは限らない。
人間にとって命は平等ではない。見知らぬ人間100人の命より、たった一人の命の方が大切だったりする。
「面倒な存在だね、人間っていうのは」
>>627>>628
健治の提案に、鏡華はあまりいい顔をしない。
「少なくともボクとキミが会っても意味ないどころか逆効果だね」
「いきなり見知らぬ人間にかこのことを聞かれてみな、そんなのキミだっていやだろう?」
「彼女の中では、どうやらボクすら見知らぬ人間として認識されているようだし」
「唯一なんとかなりそうなのは……」
目の前の少女を見る。
「……とりあえず、キミしかいないね」
責任重大だよ?といいたげな目で少女を見る。
「まあ、これ以上話し込むのもあれだし、ボクは帰るとするよ」
一つ伸びをして、背を向けて歩き出す。
「それじゃ、またいつか」
/落ちます……中途半端な感じですいません
- 630 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/27(金) 01:17:52 ID:21ngGK0Y0
- >>628
「あぁ、さようなら、……俺は君が大切な人を守れると信じているからな。」
最後の部分は小声で言った。
>>629
「そうか、すまないな。」
ハットを深く被る。
「そう……人間というものは、不安定過ぎるんだよ。」
「そうか、そうだな。
こういうものは親しい仲でないとな。」
そこまで言うとギターをギターケースにしまう。
「あぁ、じゃぁな、お嬢さん。」
そこまで言って歩き出す、自分の事務所に向かって。
//乙でした、おやすみなさい。
- 631 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 16:06:17 ID:dL8H4NjE0
- 『次のニュースです、去年○○市で少年が斬――』
リモコンの電源ボタンをおして、テレビの電源を切る。
周りから非難めいた視線が向けられるが、気にすることでもない。
どうせ文句を言ってくる人間などいないだろうし、言われたらリモコンを渡せばいいだけの事。
「…………」
ここはとある飲食店。
神無鏡華はぼんやりと出されたケーキを口にする。
死神に食事は必要ではないが、もちろん味覚はある。
食事は彼女にとって生命活動というより、娯楽といった感じだ。
「…………」
左手の指輪に眼を向ける。
透き通った宝石がはめ込まれているだけで、特に変わった様子はない。
小さく溜息をつくと、再びケーキを口に運ぶ。
やけに陰鬱な雰囲気が彼女を包む。
- 632 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 17:11:05 ID:mbXTFaJQ0
- >>631
「やぁ」
少女の前の席に座っていた人間が振り返る。
純白の衣装に身を包んだ人間は真紅の瞳を緩やかに曲げて笑顔を示した。
「元気ないね、どうかした?」
チョコケーキの皿を右手で持ち、左手に持ったフォークで一欠けら切り分けると口に運んだ。
- 633 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 17:21:05 ID:dL8H4NjE0
- >>632
「……ん?」
やあ、などと言われても鏡華は目の前の人物に見覚えなどない。
見知らぬ人物からなれなれしく話しかけられれば、自然と警戒心が芽生えるもの。
「例えそうだとしても、キミに心配される筋合いはないね」
少し相手を睨みつけて、警戒心を露わにする。
見た感じ敵意は感じられないが、念のためだ。
- 634 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 17:36:51 ID:mbXTFaJQ0
- >>633
「話しかけられる道理はあるんじゃないかな?」
鏡華の視線の先、此方の背後に存在するテレビをフォークで指差しながら。
指先を器用に操りフォークを回転させると再びケーキを分ける。それを突き差し、口に運ぶ直前。
「ま、関係ないけどね」
と、言って美味しそうに頬張った。
- 635 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 17:44:38 ID:dL8H4NjE0
- >>634
なんだそんなことか、とリモコンを渡そうとして、
「関係ないのかよ!」
額に青筋を浮かべて叫ぶ。
今度は客だけでなく店員からもイヤな顔をされるが、
今鏡華の興味は目の前の相手にだけ向かっている。
「で、たったこれだけの会話で、ボクをこんなにもイラつかせてくれるキミは何者なんだい?」
リモコンを再び置き、呆れ笑いのような表情を浮かべる。
- 636 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 17:51:36 ID:mbXTFaJQ0
- >>635
「おぉ、思ったよりも激情家だね」
ククッ。
有り様も相まって、その笑みが良い意味で取られることは無いだろう。
「んー、まぁ、無いわけじゃないのかもしれないけどね」
何とも曖昧な表現をして、目の前の少女を見つめる。
「何者か。と言うのはどういう意味かな?
名前、役職。どういった理由でキミに近づいたか。色々あるけど?」
- 637 : ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 17:54:53 ID:Hl2oFqXk0
- >>635>>636
「ん〜、女性がそんな大声を出すのはあまり良くないなぁ〜。」
そこに今まで目立たなかったのが不思議なくらい目立つ男の声が響く。
その男の横にはギターケースがたてかけてあった。
「(コク)、ふぅ〜。
飲むかい?、フフフ」
紅茶を一口飲み、笑いながらもう二つのグラスに紅茶を注ぎ二人に渡そうとする。
神無ならこの挑発気味の笑い声で誰だかわかるだろう。
- 638 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 18:07:41 ID:dL8H4NjE0
- >>636
「いちいちむかつくなあ……」
自分の不調もあるかも知れないが、どうもこの都市では場の主導権を握られてしまうことが多い。
早くこの都市の雰囲気に慣れてしまいたいと切実に願う鏡華だった。
「全部だよ、要するに自己紹介をしろって言ってるのさ」
それぐらい分かれ、と言おうと思ったが、やめておく。
>>637
「なんでこんな時にくるかなあ」
もうやってられないとばかりにため息をつく。
額には順調に青筋が増えている。
- 639 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 18:15:30 ID:mbXTFaJQ0
- >>637
「紅茶は飲めないんだ」
一度自分の席に身体を向けると、自分のカップを手にする。
白いカップの中にはコーヒーが注がれていた。
>>638
「だとしても、それを面と向かって言うのはお勧めしないよ」
僕も人付き合いは得意じゃないけどね。
そう続けるとコーヒーを一口飲んだ。
「確定的なのは、どれもが特に無いって事かな」
クスリ。と自嘲的に浮かべた笑みを少女に向ける。
- 640 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 18:20:08 ID:Hl2oFqXk0
- >>638
「まぁま、そんなカリカリしなさんな。」
紅茶にミルクを入れる。
「飲むかい?」
>>639
「コーヒーか。
中々渋いのを飲むね。」
感心したように言う。
- 641 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 18:36:28 ID:dL8H4NjE0
- >>639
「人付き合いなんて本来ボクには必要ないものなんだ」
「多少の間違いくらいは勘弁してほしいな」
ようやく少し余裕がでてきたのか、ケーキを口に運ぶ。
「名前がないってことかい?」
記憶喪失か何かだろうか、と勝手に予想する。
>>640
「他人からの施しは受けない主義なんだ」
わざわざ店員を呼んで紅茶を注文する。
- 642 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 18:46:16 ID:mbXTFaJQ0
- >>640
「紅茶が飲めないだけさ。
まだ味覚が子どもだっていうのかな」
くくっ。
そう言う人間は、背こそ高い物の、まだ成人はしていないと言った風だ。
全身を白い衣服で包み、髪も肌も同色の人間はアルビノ。
唯一の色である真紅の瞳はどこか寂しげにコーヒーに視線を落としていた。
>>641
「なら、始めから注目を集めるようなマネはしない事だね」
少女の手元からリモコンを取ると、スイッチを入れる。
再び音と映像の提供を始めたテレビに、他の客は視線を向け始める。
「役職と、キミに近づいた理由もね」
そっちの方が大事だ。と言った風で答える。
むしろ、名前なんて深い意味は無い。と言った方が正しそうだ。
- 643 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 18:50:59 ID:pVE7HAu60
- >>641
「ふぅん、そうかい。
じゃ、他人から借しを作られたら返すってワケか。」
渡そうとした紅茶を断られたので自分で飲む。
>>642
「……、そうかい。」
嘘、もしくは何か隠している。
探偵としての勘がそう告げていた。
- 644 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 19:05:49 ID:dL8H4NjE0
- >>641
「注目を受けようが受けまいがどうだっていいのさ、どうせ大した関係にはならないんだから」
つまらなそうにリモコンを取り返すが、電源は切らない。
もう必要がないと判断したのか、紅茶を渡しにきた店員に差し出す。
「理由無く勝手に近づいてきて苛立たされるこっちの身にもなってほしいね」
とは言うが、鏡華も同じようなことは何回もやっている。
変なところで似てるなあと他人事のように思う鏡華だった。
>>643
「気分にもよるけどね」
こちらも紅茶に口をつける。
が、まだ熱かったのかビクンと体を震わせたあと舌を出す。
猫舌なようだ。
「で、用がないのにキミはボクたちに話しかけてきたと勝手に予想してるんだけど、
実際はどうなんだい?」
- 645 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 19:16:40 ID:mbXTFaJQ0
- >>643
「詮索するのは止した方が良いよ」
青年に向けた瞳は笑みの形を作っていた。
けれど、それは正に形だけ。表面上の物でしかない。
探偵としての勘があるのなら、それを知らせるだろう。
「僕には何もないからね」
>>644
「少なからず、必要もしない人付き合いを受ける可能性はある」
始め、キミはそう感じた筈だけどね? そう続け、最後の一欠けらを食べきってしまう。
「悪いね。別に苛立たせようと思った訳じゃない」
相手がそう思う可能性は少なからずある。
だが、自分がそう思ってやってはいなかった以上、謝る必要がある。
- 646 :名も無き異能都市住民:2012/04/29(日) 19:20:39 ID:mbXTFaJQ0
- //すいません、追記……。
「次に会ったときは友好的に行きたいね。キミは中々魅力的だ」
クスリ。
楽しげな笑みを向けると席を立つ。
去り際に少女の頭に手を乗せて、軽く撫でると二人から離れていく……。
- 647 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 19:20:58 ID:pVE7HAu60
- >>644
「気分屋か。」
そして紅茶を飲み干す。
「特に何もない、が。
あるとすれば詮索するようで悪いんだが
さっきその指輪を見てなんか溜息ついていたな。
大切なものなのかい?」
>>645
「分かっている。
こちらも職業柄、ヘタに詮索して殺されかけた事もあるからな。」
そういうと、クッキーを食べる。
「『君には』…、か。」
- 648 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 19:36:53 ID:dL8H4NjE0
- >>645
「そんなもののためにわざわざ違う価値観を学ぶなんて面倒なんだよ」
「これでも人に合わせている方なんだ」
面倒なことはやらないかそれとも最低限のことだけ。
それが彼女のスタイルだ。
もっとも、例外も多数存在しているが。
「別にいいさ、よくよく考えたらあんなことでいちいち怒るボクもボクだし」
>>647
「気分屋さ」
短く簡潔に答える。
「大切ってわけじゃない、替えならあるし、そもそもボクにそんな大切なものはないよ」
「ただ、少し自分の軽はずみな行動を反省してただけさ、『あの子』絡みのことでね」
まあ、大したことじゃあないよと笑って続ける。
- 649 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 19:49:18 ID:o8TyUE.w0
- >>648
「大切なものが無い………、か。」
何処か悲しそうな声で言う。
「作った方が良いとは言わない。
なくなった時の悲しみが大きいがな。
だが。」
そこまで区切るって言う。
「自分が知らない内に、出来てたりするんじゃないか?」
「それと、前にも言っていたが。
『あの子』っていうのはどんな奴だ?」
- 650 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 20:24:57 ID:dL8H4NjE0
- >>649
「……ま、そうなんだろうね」
大切なものは失ってから気づくという。
もしかしたら、自分がこの都市に来たのはそういうことなのかもしれない。
失ったものを取り戻すために。
「桃色の短い髪に白と黒の服、とりあえずこれぐらい言えば十分じゃないかな」
というより、彼女の知っている少女と今の少女が違いすぎてうかつな情報が出せないのだ
- 651 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 20:58:05 ID:XJEWrFu20
- >>650
「あるかもしれないと気付いているなら
何も言わん。」
ハットを深く被る。
「桃色の短い髪に白と黒の服だな?」
メモ帳に記録する。
「なにかあったら連絡しよう。」
- 652 :神無 鏡華:2012/04/29(日) 21:09:17 ID:dL8H4NjE0
- >>651
「……ふん」
しかめっ面でそっぽを向く。
「よろしく頼むよ」
紅茶をすべて飲み干して、立ち上がる。
そのまま出口に向かい、扉を開けると同時に一言。
「支払いは頼んだよ」
それだけ告げ、鏡華は走り去っていった。
/この辺で〆ます
- 653 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/04/29(日) 21:27:05 ID:XJEWrFu20
- >>652
「フフ。」
テレている様子を見って笑う。
「あぁ。
…………、まぁはらえない額じゃないな。」
その額調度のお金を置き、去る。
//乙でした。
- 654 :ガルテラ:2012/04/29(日) 22:38:27 ID:NntjvIzM0
- 幾人かの老人達が公園で、将棋に興じているという良くある風景。
しかし、その中に一人、その場に似つかわしくない若い男、ガルテラが居た。
「王手……いや、詰みだね」
「あっ……」
ガルテラはうろたえた。
今日はもう既に3回目の敗北だ。
「ガルテラくん、弱いなあ」
「いやあ……皆様お強い」
苦笑いしながら男は立ち上がり、何歩か下がった。
「私がいつまでも盤を塞いでるのはなんなので、
そろそろ交代しましょう、後ろで勉強させてください」
「よし、次はわしがやるか」
そう言うと老人が交代で座り、
ガルテラはそれを後ろから見守ることにした。
- 655 :鷹野:2012/04/29(日) 22:51:06 ID:IrsgDsYs0
- >>654
「やあ、将棋ですか。なーつかしい。お恥ずかしいことに、私はこれが滅法弱いのですがね。」
風がたたないよう配慮し、翼を畳んで歩いてくる青年の姿があった。髪も着ている軍服も白いため、右目の黒い眼帯が悪目立ちしている。
腰にある計5本の刀と大口径の拳銃を隠そうともしない。
- 656 :ガルテラ:2012/04/29(日) 22:59:14 ID:NntjvIzM0
- >>655
「あなたもですか?」
ガルテラは訪れた青年を一瞥する。
気になる部分はあれど、武器をむき出しのまま持っているのはこの都市では良くあること。
さほど警戒は見せなかった。
「暇つぶしにたまにお相手してもらうのですが、
皆様お強い……いえ、私が弱いのもあるのですが」
再び苦笑する男は、複雑な刺繍が施されたコートに、黒髪の短髪。
服装に特におかしなところは無いのだが、
一点だけ、古めかしいカンテラを持っていると言う奇妙な要素があった。
「その格好は戦いの御用事かなにかですか?
それとも訓練か……」
- 657 :鷹野:2012/04/29(日) 23:16:43 ID:IrsgDsYs0
- >>656
「なぁに、ファッションセンスとやらがどうも足らない様でしてな、軍人時代の格好のままでいるだけですよ。」
お国なまりなのか、見た目の年齢に似合わない話し方をする。
「この公園には通りかかっただけですよ。あなたは将棋を嗜まれるようですが、儂はここ数年ぜんぜんやっとりませんでな。いや〜懐かしい。」
- 658 :ガルテラ:2012/04/29(日) 23:24:18 ID:NntjvIzM0
- >>657
「嗜むというほどのものじゃありませんよ。
……あ、そこ、銀を出したほうが良いんじゃないですか?」
ガルテラは盤を指差した。
「銀がここを離れたら角が取られるだろうが。
もっと盤の全体を見ろい」
しかし、ぴしゃりと否定される。
「ははは、この通りです。
……なるほど、元軍人の方ですか。
懐かしいというのは、昔は相当嵌ったんでしょうか。
たとえば、元同僚の方たちと一緒に」
- 659 :鷹野:2012/04/29(日) 23:30:14 ID:IrsgDsYs0
- >>658
「ええ、それはもう連敗に次ぐ連敗、目も当てられん有様じゃったがのう。」
かっかっか、と古くさく笑う。この年齢でこの口調はもはやシュールともいえる。
- 660 :ガルテラ:2012/04/29(日) 23:38:39 ID:NntjvIzM0
- >>659
「お互い様ですよ」
その古めかしい笑い声にあわせるように笑った。
「流石の"道しるべ"も勝利の道は見えんか」
同じく観戦していた老人がケタケタと笑う。
道しるべと言うのはガルテラのことらしい。
「私の力はそういうものじゃありませんから。
茶化さないでくださいよ」
そういいながら、ガルテラ自身も笑顔だった。
- 661 :鷹野:2012/04/29(日) 23:50:15 ID:IrsgDsYs0
- >>660
「道しるべ・・・?」
ぼそりと呟いた後、あわてて
「ああ、今のは聞かなんだことにしてくださいな。人の能力はあまり詮索するもんじゃあないからのう。」
それ以外にも、能力の見せあいっこをすれば剣術と飛行能力位しか無い鷹野が恥ずかしい、というのもあるのだが。
- 662 :ガルテラ:2012/04/29(日) 23:57:35 ID:NntjvIzM0
- >>661
「別に忌むべきものでもないですけどね。
むしろ、この力が無ければ私は居る意味が無い」
悪魔であるガルテラが売りとしている、道しるべの能力。
能力の行使の対価として物を得る彼が、
売るべき能力を持っていなければそれはもはや悪魔とは言えない。
「あんたも道に迷ったらガルテラさんに頼みな。
どんな場所や物でも見つけてくれるんじゃ」
「勝手に営業しないでくださいよ……。
あなた方に頼まれても絶対にやりませんよ」
ため息をついた。
「そりゃあワシの寿命を心配してくれとるのか?」
「当たり前でしょう、下手をすれば即死ですよ」
代償として、そういうものを要求するらしい。
- 663 :鷹野:2012/04/30(月) 00:09:58 ID:IrsgDsYs0
- >>662
「道、かのう。」
少し間をおいて、続けた。
「人生は重荷を背負ひて遠き道を往くがごとし・・・誰の言葉じゃったかのう?」
少し考える。が、徒労に終わったようだ。
「まあ、いいわい。先が見えんからこそ面白い人生、道しるべなど興醒めじゃ。」
泣きつきたくなることもあるやもしれんがのう。
最後は飲み込んだ。
- 664 :ガルテラ:2012/04/30(月) 00:20:54 ID:NntjvIzM0
- >>663
「迷える場所がいつも街の中とは限りませんよ。
砂漠なんかで迷ったら命に関わります」
ガルテラはカンテラを見つめながら言った。
「そんな人ぐらい、導いても良いでしょう」
そう言って、将棋盤に目を落とした。
「あ、そこ飛車を右……」
「桂馬に取られるわ阿呆」
- 665 :鷹野:2012/04/30(月) 00:36:56 ID:IrsgDsYs0
- >>664
「はっはっ。確かにその通りじゃ、すまなんだのう・・・おっと、」
鷹野の左ポケットからぴーぴーと電子音が鳴り出した。無骨な黒い無線機を取り出す。
はい、こちら五十嵐・・・なんじゃとぉ!?
「すまん、儂の艦で何か異常があったみたいじゃ。もう少し話していたいんじゃがのう。また会ったら、ゆっくり茶でも飲みつつ話をしてみたいのう。では、さらばじゃ。」
まくしたてる様に喋り、近くに人の居ないところに出ると、翼を大きく広げ、振り返りもせず飛び去った。
//眠いのでこの辺で。どうもありがとうございました。
- 666 :ガルテラ:2012/04/30(月) 00:41:28 ID:NntjvIzM0
- >>665
「艦……?
"元"軍人だったんでは……私設軍隊でも持っているんでしょうか。
あの翼も、人間ではないんでしょうかね」
白い翼を見送りながら呟いた。
すると、後ろから声をかけられる。
「ガルテラくん、もう一度やらんかね」
「あ、お相手します」
この後、ガルテラは五戦中一度しか勝つことが出来なかったという。
- 667 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/04/30(月) 13:55:39 ID:HnkBBDEo0
- 「……っだー! わっかんねー!!」
図書館にて男は叫ぶが、「館内ではお静かに」と書かれた張り紙を目にして慌てて口を塞ぐ。
周囲の人に軽く頭を下げつつも、男は空気を吐き出した。
「この都市の歪みについて書かれた文献は数多くあるけど、
読めば読むほど『よくわからない』ってことが際立っていくだけだ。
俺が空間系能力者だったら多少は分かるかもしれないんだが……」
積み上げられた本を前にしてクロスは鉛筆を齧る。
「なぜ、奴はこの歪みの運用を完成させられたんだ?
奴の能力と歪みは何の関係も持たないハズだ。
やっぱり年月による知識の差なのかね……クソ」
身体を逸らし天井を見上げる。
「奴のあの空間を打破することさえ出来りゃあな……」
- 668 :アイリス:2012/04/30(月) 14:12:08 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
ゆっくりと、珍しく昼間に現れたアイリス。
使い魔から伝え聞いた結果を信じるなら、クロスとロザリアは何かしらの要因で苦労したのち、打倒は叶わなかった
と考えるのが自然だろう。
「やれやれ、どんな相手だったのかね、彼は」
いつものカウンター席に座り、紅茶を飲んで。
夢想するは、空間操作能力、あるいは其れに準じる力。
それに対抗できるのは容易なことでは無い。
空間を操る技能は効果的なシーンこそ少ないものの、転移等の便利さから重宝される。
紅茶の味を味わいながら、窓越しに昼の喧騒を眺めて
- 669 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 14:23:58 ID:7gFzKdaU0
- >>668
「――おっと、失敗したか」
ぐにゃり、と空間が歪み、そこから一つの影が尻もちを付いて床に現れた。
与える印象は、白と黒。色彩というものが全くとして欠けた存在。
むくり、と立ち上がるそれは、いわゆる悪魔と呼ばれる存在だという事をこれでもかというほど誇らしげに主張するものだった。
腰ほどまで有る白い長髪をポニーテールにし、純白の角と翼、尻尾を生やした肉体。
肌は新雪の青白さを持ち、双眸は銀というには少々くすんだ白に近い灰色。
服装は、その白一色の外見をまとめ上げるような細身の黒いパンツスーツ。
燕尾服の悪魔、というイメージを少女の姿に落とし込めばこうなるのだろう、という外見だった。
そんな悪魔は、店内を新名な顔で見渡して、首をかしげる。
カウンターへと近づいていき、アイリスに悪魔は問いかけた。
「そこな吸血鬼、私は腹が減ったのだが――、店員が見当たらない気がするのだが」
静謐な魔力を纏いながら、敵意無く話しかけてくる悪魔。
店内を見渡す図は、外見の年齢通りにも見えるだろうか。
- 670 :アイリス:2012/04/30(月) 14:45:00 ID:do5XJmGE0
- >>669
その気配にアイリスは振り向く。
白い翼と同色の角。見るからに悪魔然としている。だが、悪魔に白というのは些か合わない。
イメージというものだろうか。
「気にすることは無い。クロスが居ないなんてココではいつもの事だからね。
所で君は『どちら』かな?」
僅かに喜色の色が浮かぶ蒼の瞳。
――俄然、興味が湧いてきた
- 671 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 14:51:03 ID:7gFzKdaU0
- >>670
「ふむ、店をほったらかしというのは、少々店としてはどうなのか、と思うが。
何となく雰囲気としては気に入った。良い気配が満ちているからな」
くく、と喉の奥で笑い声を漏らして、きょろきょろと店内を見回しつつ、カウンターへと。
メニューを眺めつつ、相手から投げかけられた問に、僅かの間。
「種族かい? それとも、所属を問うているのか。
まあ、種族としては間違いなく悪魔さ、但し上から自ら降りてきた類の一族だがな。
所属としては、天界。と言っても、今はまだ家を継いでいないのでね、こうして自由に地上に降りているんだが」
広がっていた翼をしまい込みながらも、尻尾はうねうねと動き続ける。
口元のつり上がった様子を見れば、機嫌がよさそうなのは見て取れるだろう。
- 672 :アイリス:2012/04/30(月) 15:07:23 ID:do5XJmGE0
- >>671
「まあね。それは分かる。来客の質も、僕が知るかぎり良いだろう。
こういったところはこの都市では数少ないからね。僕も重宝しているよ」
リリシアに対し、アイリスは紅茶を飲んでいるだけ。
メニューなど見たことも無い。ただ、クロスに毎回見繕ってもらっている。
そういう応用が利くのもこのカフェの強みだろう。
「…不思議なものだね。降りて割には自らを悪魔と称する。最も例外はある。
君もその類なのかな」
アイリスは紅茶を飲みながら、リリシアの瞳を見る。
少々くすんでいるものの、悪魔と言うには聖を連想させる色。しかし、全体像を見れば凛々しさが強調されている。
リリシアは『そういう類』と連想させるには十分であった。
- 673 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 15:14:31 ID:7gFzKdaU0
- >>672
「……むむ、小腹が減ったのだが。厨房は勝手に使ってもいいのか?
金には困らぬから、色を付けておけばいいとは思うのだが、店主も居ないのに勝手に設備を使うのは気が引ける」
破天荒な入店のしかたをした割には、常識はわきまえた言動をしていて。
メニューと幾ら睨めっこしても、店員が居ないことにはどうしようもない。
厨房を覗き込みながら、うーむ、と悩みこんでいた。
「――私の一族の最初の者は、人を愛したが故に自ら地に降りた者だ。
故に、我らの一族は悪魔という呼称で呼ばれるならそれでもいいと思っているよ。
降りてから、もう一度戻っても良いと言われたのは少々驚きだったがね」
堕天してから、もう一度天界に戻ることを許された稀有な存在。
天使を出自とし、人を愛して地に落ちて、次は天から慈愛の瞳で人を見守る。
そのあり方は、天使のそれよりも人に近しい分、より直接的な愛のあるものだ。
なにせ、天使から啓示を受けるよりも、悪魔と契約する方がはるかに簡単。
ましてや、この悪魔は人を破滅させる事など好みはしなくて。
そういう存在である事を誇りにする故に、彼女は悪魔と己を呼称する事を厭わないのだ。
- 674 :アイリス:2012/04/30(月) 15:45:40 ID:do5XJmGE0
- >>673
「その程度なら問題無いだろう。
時折作っている者も居るようだからね。
ああ、済まない。もし良ければ僕の軽食も一緒に作ってくれないかな?」
――――この時アイリスに電流走る。
が、店の入り方に対してこの常識的な考え。
今までに殆ど見なかった、世間一般では当然のように行われているであろうやりとり。
「君は比較的、マトモな部類に入るんだね。少々驚いたよ。
それにしても君も家柄があるものか。話を聞く限り、古い家柄のようだね。
古い家柄なら、縛りが厳しいだろうけれど、良く再び降りてくることができたね。例えば…、何か“大きな事”が起きるとか、ね。」
堕天後に再び天界に戻れる可能性なんて、致命的に低い確率だろう。
それこそ、一度堕天されてしまえば、もうその時点で悪魔としての側面が出来る。
それでも、この一族が再び天に昇るだけの何かがあったのだろう。
- 675 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 15:57:55 ID:7gFzKdaU0
- >>674
「ふむ。そうか、だったら使わせてもらおうか。
何か食べたいものでもあるかい?」
厨房へ、軽く会釈してお邪魔します、と断ってから入る辺り、やはり育ちが良い。
そして、スーツを脱げば、そこそこ豊満な部類の肢体のラインが良く見えて。
その上にエプロンを着用する。同時に、相手からの話にカウンター越しに口を開いて。
「人と契約を交わすのを生業にする以上、常識を知らない訳にはいかないだろう。世の中の事をよく知っていればその分会話も弾むものだし。
確か、三、四千年くらいは有るはずだな。一生が長いし、それくらい続いていてもおかしくないと思わないか?
ふむ、言ってしまえば、天使を裁きに来ているのさ。私の一族は、言わば天使を処断するのが使命でね。
罪を犯した天使を、その罪に沿った裁きを与える権限を与えられているわけだ」
そう言いつつ、右手を横に伸ばしてみせるだろう。
そして、直後にその手に剣と銃が融合した特殊なデザインの魔銃が出現する。
リボルバーの銃身部分がブレードと化し、表面には無数の紅の文様が刻み込まれたもの。
触れてみるか?と問い掛け、触れて見れば銃が鼓動を返しているのが分かるだろう。
髪留めを外して、髪をアップにまとめてから、ブラウスの袖を捲り、手を綺麗に洗う。
ふんふん、と尻尾を楽しげに揺らしながら、冷蔵庫を確認する当たり、妙に手馴れている。
悪魔として、妙に所帯じみていたが、これは彼女の一族の教育方針から来ている物だ。
相手が、食べたいものをリクエストすれば、それを作ることだろう。
- 676 :アイリス:2012/04/30(月) 16:53:10 ID:do5XJmGE0
- >>675
「そうだね、今口にしたいものは…サンドイッチが良いね。頼むよ。」
笑みを浮かべて、劣情を誘う肢体を見て。
ドキリとはしないが、セクシーだとは思う。見た目や種族を鑑みれば、エプロンを着用し、料理をつくる姿は
良妻となり得るようなものだろう。……味次第だが。
「やはり、契約を尊重する辺り、君は悪魔だね。
偶然だね。僕の家も四千年位の歴史はあるようだ。正確には四千年前には『成立していた』から、本来の歴史は知らないけどね。」
アイリスの家、フォン・ルズィフィールは次第に劣化していった。そして、今はアイリスがフォン・ルズィフィールを名乗れるほど、堕ちている。
リリシアの家はどうだろうか。永く連綿と続く歴史は、意図せず家を劣化させる。
「天使を裁く裁量を持つ家、か。ここからは単なる興味だから、気を悪くするかもしれない。
気に入らないのなら、答えなくていい。具体的に、天使の罪とは?」
特殊なデザインの魔銃、命名するならガンブレード、といったところか。
アイリスの細くしなやかな指先は軽く刃に触れる。振動が手を伝う。
「…これは凄いものだね。驚いたよ。魔術的文様と、科学が一体化しているものだ。
本当に、君は非常識だね。」
- 677 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 17:12:41 ID:7gFzKdaU0
- >>676
「了解。しばしお待ち下さいませ」
芝居がかった口調と、態度で悪魔は相手のリクエストに答えていて。
尻尾でものを取ったりしつつ、卵を取り出し、ベーコンと野菜を取り出す。
もう一つ、とばかりに鶏もも肉も取り出して、包丁とまな板を持ってきた。
「約束を守るのは人間社会だって同じだろう。特にこの国家においては、法と契約は重んじられるものだと思うんだが。
互いにどうやら、長い歴史を持っているようだ。と言っても、私自体はまだまだ若輩にすぎないのが問題だがね」
とんとん、と野菜を切りつつ、フライパンに油を敷き、火にかける。
ある程度温まったらベーコンを入れ、水を軽く入れて蓋を置く。
同時に、鶏肉を軽く叩き、醤油、料理酒、みりんを目分量で注ぎ、軽く砂糖を足す。
鶏肉に小麦粉を振り、ベーコンの様子を見ながらトースターにパンを数枚放り込み、焼き始めた。
「――神が罪を認めればそれは罪だな。
姦淫、偽証、神を貶める行い、その他にも――、まあこの世に於いて罪と認められているものはたいてい天使に取っても罪となるよ。
ただし私の一族は、その行為が罪であっても、正当であると認めれば減刑してしまうのだがね。
どうやら、天界に置いては、その情の有る裁きが求められていたらしくてな、それに天使が天使を裁くのは好ましくない。
そういうことで、地に落ちても、悪魔としてでも誇りを保っていた四代目の時代に天に上がる事を許されたわけだ」
話しながらも、手際は綺麗に進んでいき。
ベーコンを一旦更に移すと、ベーコンの旨みが溶け込んだ油の有るフライパンに溶いた卵液を流し込む。
かき回しつつ、フライパンの持ち手を軽く叩いて、卵を整形していき、それもまた皿に移す。
フライパンの油を洗い流し、また火に掛けて、次は小麦粉をまぶした鶏肉をフライパンに入れ、蒸し焼きのようにし始めた。
「っふふ、それは初代とその妻の魂が宿った我が家の家宝さ。
代々の当主がそれを受け継いでいるんだが、今代の私は二丁持ちなんだがね」
そう言うと同時に、魔銃は光に包まれて消えていった。
悪魔の魂で組み上げられた武器ながらも、高貴な魂を感じさせる道具。
天使的な程に、悪魔としての誇りを重んじ、気高く有る様は多少没落しても、貴族と名乗って良いものだろうか。
「――っとと、そろそろだな」
鶏肉の両面が良い感じになったと同時に、調味液を流し込み。
照り焼き風味にしたチキンを切り分け、同時にトースターのパンが焼ける。
あちち、と言いつつもパンを運び、ベーコン、トマト、レタス、卵を載せ、マヨネーズとケチャップを掛けて挟む。
もう一方には、切った鶏肉を豪勢に載せ、レタスと、照り焼きにというと以外だがマスタードをトッピング。
僅かに圧し、落ち着いた所で三角形に切って立てて、ミニトマトをあしらってカウンターへと。
「ほら、出来たぞ。クラブハウスサンドと照り焼きサンドだ。
そこそこ料理には自信がある。味は食べてからのお楽しみだな」
そう言って、悪魔もまたカウンターに据わり。
もし、相手の紅茶がポットならば、持ってきたカップに自分の分を注ぐだろう。
- 678 :アイリス:2012/04/30(月) 19:53:22 ID:do5XJmGE0
- >>677
出来立ての美味しそうな料理にアイリスの瞳は細められ。
早速フォークとナイフで丁寧に切り分け、細かく斬ったものを口に運ぶ。
ジューシーな鶏肉の脂がアイリスの食欲を刺激する。また香りも刺激する一員でもある。
「うん、美味だ。」
笑みを浮かべて、リリシアを見つめて。
カップには再び注がれた紅茶。香りもいい。
「なるほどね。天使もまた、我々の法に則り行動し、裁かれるわけだね。
まったく…憎い一族だ。だからこそ、天に引き上げられたのかもしれないね。
対する僕達ならば、問答無用だからね。例え、王族であろうとも達された裁きは絶対だ。そこには温情は欠片程度にしか存在し得ない。
或いは、立場が高いほど、重い裁きが課せられるからね。
――こうやって比べてみると、君たちのほうがよほど、情に深いね。」
- 679 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 20:04:00 ID:7gFzKdaU0
- >>678
「はくっ」
はむはむ、とサンドイッチを手づかみで食べる図は、割りと無作法なもの。
だが、食べ方自体は綺麗なもので、食べるのを楽しんでいるのがよく分かる。
「――地上の食材は、やはり美味い。天界の物は雑味が少なすぎて苦手なんだよ。
何者も、純粋すぎては面白みも美味しさもないだろうになぁ」
紅茶を口元に運び、軽く口に含み、嚥下。
そして、アイリスの言葉には、苦笑を浮かべつつ。
「成り立ちが違うからだろう。何方が良いという事も、悪いという事も無い。
我々は、結局の所甘いわけだ。人が好きすぎて、一緒にいたいから天上を離れて、人と過ごしたし。
なんだろうな――、私は多分、いろんな物が好きで。その者達と共に居たいから悪魔なのだろう。
深すぎる愛も、また罪悪。ドロドロの愛も嫌いではないが、胸焼けしてしまう。
結局の所、私の持論としては、純粋さも罪悪もほどほど、中庸が一番、という事だな」
尻尾をひょこひょこ動かしつつ、口元をナプキンで拭きとって。
調理で温まった身体が程良い感じになったために、ジャケットを羽織る。
- 680 :アイリス:2012/04/30(月) 20:38:18 ID:do5XJmGE0
- >>679
「そういうものなのかな?
天界の食べ物は、良い環境…良すぎる環境だから、かな。
天界に比べれば、地上は玉石混交だからなのだろうね。」
うむ、と頷きを見せた後、細かく斬ったサンドイッチを口に運ぶ。
リリシアの所作が落ち着いたのを確認して、アイリスは再び口を開く。
「――人が好き、か。
天使ならば、御心のままに見守るのだろう。だが、悪魔なら、というわけか。
純粋さも罪悪も程々に、か。
一度くらいはドロドロの愛に溺れ、罪悪に身を任せてみたいが、結局の所はそこが一番、と落ち着く。
そこには同意しよう。
申し遅れたね。僕はアイリス。アイリスフォン・ルズィフィール」
興が乗ったのか、普段より多弁なアイリス。
懐に手を入れ、紙を取り出す。その紙質は非常に素晴らしいもので、手触りなども申し分ない。
リリシアの前に差し出した紙は一夜城の場所を示したもの。
- 681 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 20:45:19 ID:7gFzKdaU0
- >>680
「と言うよりは、良くも悪くも欲が無いのさ。
地上の人間は、おいしいものを作るのに余念がないがね。
上に居ると果物とかそのままで終わり、みたいな感じだからね。
よく考えてみるといい、天使が雲の上で血の滴る分厚いステーキとか食べているように思えるか?」
紅茶に、軽く砂糖を入れて、鮮やかな紅色を楽しみつつ。
相手の言葉には同意を返しつつも苦笑を返して。
「とはいっても、サキュバスだからな、私は。
どろどろでろでろの姦淫に耽るのも、愛に溺れるのも悪くはないと思ってしまうのだが――。
まあ、それでも本能のままに振る舞うのは、美しくない。楽しくはあるけどな」
サキュバス、と言われれば理解できるだろう。
外見の美麗さも、劣情を誘う外見も。言わば種族の特性のようなものだ。
本人にとっては、どのような種族であろうとも気にしないのだが、種族の本能は時折さすがに面倒になる時もあった。
「名乗られればな乗換えさせていただこう。
私は、リリシア=エンティオテュユフル。宜しく、アイリス」
にっ、と笑いながら、紙を受け取りつつ、片手で握手を求めるだろう。
華奢な手だ。
- 682 :アイリス:2012/04/30(月) 21:06:26 ID:do5XJmGE0
- >>681
「なるほどね。絵にならないものだね。
地上はね、料理専門の『料理人』という職がある程だ。ならば君のいうことも道理。
食事を作る職業が存在する時点で天上を比べてはいけないだろうに。」
僅かに苦笑を浮かべつつ。
気づけば、リリシアが作った食事を食べきり、食後の紅茶を楽しむ。
「――ほう、サキュバスか。サキュバスとは初めて会うね。
話は聞いたことがあるけれど、なるほど、ね。
確かに、本能のままに振る舞えば、それはただの動物と何ら変わりはないだろうね。
理性で本能を律してこそ、だろう。ただ、どうしても逆らえない強い衝動もあるのも事実」
それにしても、なぜこのサキュバスはアイリスが吸血鬼であると一瞬で見抜いたのだろう。
人から見ても、少々外見が良いだけだ。それこそ、外見だけをとってみれば、整っているものなど掃いて捨てるほど居る。
差し出されたリリシアの手。
細く小さな手。女性的な華奢である。それでも、柔らかい手だ。
「宜しく。ところでリリシア。君はどうして僕が吸血鬼だって分かったのかな?」
リリシアほどでは無いが、アイリスの手もやはり華奢。男性的なゴツゴツとした固いものは無い。
今にも血管が浮き出てきそうな白く、細い手。靭やかに伸びる指。その中の一本、リリシアは冷たい金属の指輪の感触を感じるだろう。
- 683 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 21:16:38 ID:7gFzKdaU0
- >>682
「っはは、確かに。それもそうだな。
だがまあ、美味い食事にありつけるだけで地上に降りてきた甲斐はあったというものさ」
もはや、地上に降りてきた理由が、旅のグルメ行脚なのではないかと思わせる。
まあ、悪魔という在り方の以上、欲望には正直なのかもしれないが。
「ま、ゆきずりの輩に許してやるほど軽い体でも尻でもない。
理性が本能を喰らい尽くすほどに、〝欲しい〟者が現れれば、話は違うんだろうがね」
くくく、と笑い声を漏らしながら、紅茶を口に運ぶ。
すぅ、と口に含み、かしゃり、とソーサーに置き。
相手の手を柔らかく握って、金属の指輪の感覚に、ふと首をかしげた。
そして、手をゆるり、と外して、相手の問いかけに僅かな間。
「いや、どう見ても普通の人間より、濃いだろう。存在感とか、そういうのが。
あと、血の臭いだな。こいつが、ちょっと反応したんだ」
そう言って、己の足元を指さした。
直後、ぼぼぼ、と人魂が生まれて、一つの形を作り出す。
どうやら、猟犬の類の霊魂を使い魔として、魔力で顕現させたものらしい。
「これでも、逃げる天使も撃ち落すと言われてるんだ。
犬と銃。――狩人の必須装備じゃないかい?」
獲物を見つけ、追い立てる獣と得体のしれない生ける魔銃。
正体を見抜き撃ちぬくタメに、対象の存在を見抜く術はある程度身についていた。
- 684 :アイリス:2012/04/30(月) 21:43:09 ID:do5XJmGE0
- >>683
「何、先に渡した紙に書いている場所に来れば、祖国の料理をご馳走しよう。
肉も野菜も果物も、たんと使われているからね。おそらく君の舌も満足させられるだろう。」
このリリシア、悪魔で良かったのだろう。
これで天使というのなら、長くクドイ前口上を述べた上で食事を始めるのだから。
「“欲しい”か。
君に欲される男は幸せだろうね。だって、美味しい食事が出来る、上品な女性だ。
求められる手は数多じゃないかな。」
リリシアを見て、クスリと笑い。
カップを右手、ソーサーを左手に持ち、紅茶の香りを楽しみ、一口飲む。
僅かな間を察して、リリシアを再び見つめてみれば意外な答えが出てきた。
「…意識していなかったから分からなかった。友も普通に接してくれているからね。気付きすらしなかったよ。
とはいっても、その答えは間違いであり、正解であるね。」
口角を僅かに動し、笑みを作り。
アイリスは血統に恵まれた吸血鬼。アイリスの兄と姉クラスになるなら別だが、本人にリリシアを刺激するほどの大きな力は無いのだ。
「狐を狩るのは人、獲物を追い込み、取ってくるのも犬。
なかなかどうして、浪漫を分かっているね。どうも君のご先祖様は歴史を見てきたに相違は無いね。
どれ、少し触ってみようかな。」
これは効率のいい組み合わせだ。
犬という生物自体、元々は狩りの手助けをしてきた。その上、人類は銃という遠距離武器をを生み出した。
人が銃を打ち、犬が小回りを効かせて獲物を回収してくる。理に適っている。
アイリスは犬に手を差し出す。
主人に忠実な犬なのだろう。噛まれたところで構いはしない。
- 685 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 21:56:25 ID:7gFzKdaU0
- >>684
「楽しみにさせてもらうよ、色々な料理を食べられるのは、本当に幸せだからね」
そう言って、まだ見ぬ料理に思いを馳せながら。
相手の言葉には苦笑を浮かべて。
「求められるのは、サキュバスとしては当然のこと。
奪っていく存在だからこそ、奪われる事に何よりも焦がれてしまうのさ。
だから、私を奪って欲しい、連れ去って欲しいとまで思わせる相手が、良いわけだ」
捕食者故に、被食される事を求めてしまう、倒錯的感覚。
ある意味、いびつな愛の形で。そして、それを知っても、そう有るのが、彼女だった。
「そりゃぁもう。誇りと格式を大切にする以上、無粋な物は使いたくはない。
だからこその、銃と獣なのさ」
自慢気に、胸を張って見せて。足元の犬に手を差し出してみれば、鼻を犬は向ける。
すんすん、と鼻を鳴らして数秒後。火のように熱いのにやけどをしない不思議な舌で手を舐めてくるだろう。
くすり、と笑い声を零してリリシアは。
「どうやら、気に入られたようだな」
- 686 :アイリス:2012/04/30(月) 22:14:46 ID:do5XJmGE0
- >>685
「やれやれ、難しいね。
君ほどの女性<ひと>の心に火を付けられる者がどれだけいるか。
享楽に身を任せるのは男の特権だね。」
見つからなければ…、は言うまい。
それにしても、彼女の心を燃やす者が現れるのだろうか。
奪う側だから、奪われたい。それも道理。
与えるのは彼女の一種の本能なのだろう。
目の前の彼女が語るそれも愛の形ではある。
「(では…僕は………)」
そんな疑問を浮かぶが、直ぐに忘却の彼方へと送りさり。
そんな折に、手に伝わる感触は暖かなもの…否、熱い。
犬が舐める手は、犬の頭へと回されていき。
「ふふっ、嬉しいね。
伝統を踏襲する以上、主人にしか懐かない忠犬と思っていたのだけれど、いやはや、嬉しいね。」
- 687 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 22:21:34 ID:7gFzKdaU0
- >>686
「さあ、なぁ。だが、どうせ長い一生だ。
もう数百年生きてみれば一度や二度は見つかるかもしれないぞ?」
ははは、と笑い飛ばしてみせるリリシア。
長い生を疎むでもなく、己の眼鏡にかなう存在が現れないのを嘆くでもなく。
ただ、その日その場を楽しんでみせる。それが、この悪魔。
「案外人なつっこいんだ、こいつは。
なに、ハチ公だって、近所の屋台のおじさんからご飯を貰っていたと聞く。
主以外に愛嬌を見せない忠犬も、それはそれで嫌いではないがね。
私は、どちらかと言うとこいつの様なタイプのほうが好きなのさ」
犬を自分も撫でつつ、ふふ、と笑い声を漏らして。
外見に反して親しみやすいタイプなのは、主と似ているのかもしれない。
犬はしばし撫でられて、満足そうに鼻息を吐くと、ぼぼ、と人魂に戻って消えていった。
「ふぅ……、腹も満ちたし。友達も出来たし。
転移は失敗したが、今日は割りと良い日だな」
うんうん、と頷きつつも、紅茶を口元に運ぶ。
- 688 :アイリス:2012/04/30(月) 22:37:43 ID:do5XJmGE0
- >>687
「例えば、二人同時に現れたのならどうするのかな。
僕たちの共通点は家を継ぐ立場にある。家の存続も貴族の務めであるからね。
そういうのは少し敏感に成ったほうがいいかもしれないね。」
ニヤリ。アイリスの口許は歪んでおり。だが、リリシアにとってはどうでもいいことだ
長いスパンで頭首が生き続ける以上、先送りに出来る問題だろう。
その上でふっかけて。
この悪魔だは『一人に絞るとは言っていないだろう』といいそうである。
「可愛いね、この仔は。愛嬌を振りまく様子は無いけれど、実は人懐っこい。
実に可愛らしいよ。」
犬が消えた場所を、名残惜しいかのように僅かに見たあと、リリシアを見て。
「僕もだ。同胞の友はできても、天上の悪魔と知り合えるとは思っていなかった。
存在には、なんとなく気付いては居たけどね。まさかこうして目にするとは思っていなかったよ。」
紅茶を一口飲んで、リリシアの瞳を見る。
この灰色の瞳をした白黒の悪魔は生まれも似ていれば、生き方も近い。
巴やロザリアとは別の親近感が沸くわけだ。
- 689 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 22:44:00 ID:7gFzKdaU0
- >>688
「そりゃぁもう、二人同時にで良いだろう。何方かに不満を持たせる程狭量では無いと自負しているぞ。
少なくとも、好きな人が複数出来て諦めるくらいなら、どっちも選ぶほうがマシだと思うし。
そもそも私の眼鏡に叶う存在が同時に現れることなど、そうそうないだろうに」
はっはっは、と高笑いを響かせる悪魔は、迷うこと無く答えを返す。
理性的な面と享楽的一面。その双方を含めての此の悪魔だ。
「ま、私は基本的に教会住まいだしな。余り、その手の存在は近づきたがらないだろうし。
あまり出会う機会は、多くないだろう。とは言え、この都市で吸血鬼に会うのはこれで二回目なんだがね。
なりたてみたいで、少々血を分けたんだが――、知っているかい?」
吸血鬼同士で横のつながりが有るかどうかは分からないが、と付け足して。
なりたてという吸血鬼の話を相手に振った。
- 690 :アイリス:2012/04/30(月) 23:00:46 ID:do5XJmGE0
- >>689
「案外分からないよ。ここには良い男が多いからね。
ただ、君のメガネに叶うとなれば、話は別だけどね。」
そうだろう。リリシアの心に火を付けるのは、いい男というのは前提であるだろう。
さらにその先、リリシアの眼鏡にかなうのは、もっと別のものが必要なのだろう。
「最近吸血鬼になった人物、か。思い当たる人物は二人いるね。
“彼女”は大人っぽかったかな?それとも子供だったかな?」
いまさらリリシアが教会に住んでいることには突っ込まない。
彼女は人間が好きと言った。立場上、教会に住める上に人との繋がりが出来、それが契約に繋がるのだろう。
つまり、悪魔としては旨みがあるのだろう、と。
- 691 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 23:04:01 ID:7gFzKdaU0
- >>690
「顔と性格だけじゃぁ、琴線を揺るがしはしないよ。良い友にはなれるかもしれないけれど。
ただ、その要素が何なのかは、私にもわからないんだがね」
苦笑を浮かべつつ、どういう人が好きなのかはわからない、と付け足した。
数百年生きていても、外見通りに精神年齢はそこそこ少女の物を保っている。
琴線を震わせる物がこれまで現れなかったのもあり、やはり、よくわからないのだ。
「うーむ、子供っぽかったな、割りと。
名前は――、たしかヴァージニアと言ったか。
少々不安定な様子だったんでな、心配だったんだが――」
- 692 :アイリス:2012/04/30(月) 23:17:45 ID:do5XJmGE0
- >>691
「済まないね。言葉足らずだった。
容姿の意味ではなくてね、性格も含めた心、性根さ。例えば、友の為に躊躇いなく命を掛ける、といったね。
顔の良し悪しなんて二の次でいいのさ。ま、僕も君と同様にわからないのだけれどね」
美形が多いこの都市では、美形であることにメリットは無い。
アメリカで英語が話せます、と言っても笑われるのが落ちであるように。
アイリス自身も未だであるから、恋、愛というものは分からないし、感情の変化も分からない。
「――ああ、彼女か。
少々問題はあったものの、その不安定な原因は取り除かれているだろうね。
今は主人と仲良くしているだろう。
もし次に会ったら分かるだろう。おそらく、彼女は憑き物が落ちたようになっているだろうね。」
ヴァージニアという言葉を聞けば、思い出すのはかの領主。
能力・知識は非常に良い。だが、人格に少々問題があった同族である。
- 693 :リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/04/30(月) 23:24:20 ID:7gFzKdaU0
- >>692
「まあ、難しいこと、わからないことを考え続けるのは悪いことではないがね。
そういうことは往々にしてその時になれば自ずと答えが出るもの、と相場が決まっているさ」
楽観、だが、何も考えないわけでは無く、理解有っての楽観だ。
ある意味では、生きていく上ではこの悪魔程度の大雑把さがいいのだろう。
「……そうか、契約を交わした以上、少々心配でね。
元気そうにしているなら良かったんだ、今度でも出会えればいいんだが――」
表情を和らげて、安心したように微笑みを浮かべる。
その顔は、悪魔というよりも、慈母のそれだったろう。
そうしているうちに、唐突に髪の毛が一房蠢いて、アンテナのように立って。
「む……、何処かで召喚の式が組まれたか。
悪いな、少々召喚されてくる。またいつか、今度は城に遊びに行かせてもらうよ」
そう言って、悪魔はゆっくりと立ち上がり。
軽く会釈をして、笑いかけると、その場で宙返り。
着地したかと思えば、すでにそこには誰も居ないのだった。
- 694 :アイリス:2012/04/30(月) 23:29:56 ID:do5XJmGE0
- >>693
「また会える時を楽しみにしているよ、リリシア。
さて、僕はもう少しゆっくりしていこうか」
よくわからない召喚のされかたをしたのか、とりあえずリリシアを見送るアイリス。
紅茶を飲みながら、今日発行の新聞各社の紙面を眺めて。
- 695 :ヴァージニア:2012/05/02(水) 01:20:31 ID:SpI.MEWo0
- 「誰もいない……」
AGカフェはもちろん無人だった。
抜け落ちた記憶を埋める方法として、アイリスはこの場所を提示した。
主人も連れてくるように言われていたが、屋敷内の何処を探しても居なかったので一人で来た。
きっと学校とかで忙しいのだろうとヴァージニアは考える。
前述の通り無人の店内。客どころか、従業員すらも見当たらない。
厨房を覗いても、誰も居ない。これにはさすがに不安を覚え始める。
時間も時間だし、仕方ないといえばそうだが、今回は道順を覚えたのでよしとする。
喉が渇いたので、何か飲もうと厨房を探し始める。
リキュールの類だろうか、探し当てたそれはアルコールの匂いが漂う。
不思議な感覚を覚えたので、グラスに注いで飲んでみることにする。
酒類を口にするのはヴァージニアの夢だったらしい。
さっそく一口含んでみる。すると。
「………」
目の前が不明瞭で認識しにくい。画像と画像の間にラグが起こる。
……間違いなく酔っている。それも一口で。
度数の強いアルコールを口に入れた結果、酒の耐性もないこともあって、彼女は後方へとぶっ倒れてしまった。
彼女にとっていい経験になっただろう。たぶん。
- 696 : ◆III/lK7I/I:2012/05/03(木) 19:30:07 ID:j3F3Rpmc0
- 「懐かしいねえ」
市内某所。
大通りから少し路地を進めば、そこには一つ、プレハブ小屋の置かれた場所がある。
(もっとも、歪みの発生するこの街の中では、それがどこにあるかなんてのはさして重要ではないが)
広々とした空き地に、その小屋だけがぽつんと置いてある様は、どうしようもない寂しさを感じさせる。
「―――やっぱりもう誰もいない、か。
あーあ、久々に帰ってきた兄を迎えるくらい、してくれたっていいんじゃない?」
プレハブ小屋の前で呟くのは、小柄な少年だった。
その身に纏った黒いコートが、路地を駆ける風にたなびく。
深い青の瞳は濃紺色の濁りが混じって、その銀の髪にも影のような黒が混じる。
「……消しちゃおっかな、誰も居ないし」
ふぅ、と小さく息を吐くと同時、少年はそんな事をつぶやく。
―――しかしそう言った彼は、しばらくなにもしないで、そのまま小屋を見つめていた。
- 697 :ヴァージニア:2012/05/04(金) 20:49:17 ID:WE2GQCXo0
- ヴァージニアは日中外に出る為に必要な常夜のローブをよりよい性能に高められないか模索していた。
ローブの内側にはブラックホールの理論を用いた宇宙系魔術式が施されており、光という光を吸収する。
だが、その精度が著しく甘い為に熱が残り、着心地を悪くしているのだ。
その為に、魔法屋を探して都市を散策していたのだが、そこで会ってはいけない人物と出会ってしまう。
「うっ……」
それは、数年前に親によって身売りされた先で出会った奴隷商人だった。
心の奥底に封印していた、深い憎悪と恐怖の対象だった者。
記憶からその存在を消し去ったにも関わらず、体は拒否し続け特効能力の発現に至ってしまうほどの。
とどのつまり、影を使役し行使する能力者だった。
元々、彼女は有翼人種で、一対の白い翼を持っていた。
その翼は一族にとって誇りであったし、自由の象徴でもあった。
それをこの奴隷商人が逃げられては困ると言う理由から切り落としたのだ。
だから、彼女の背中には古い傷跡が今でも残る。
路地裏の見えないところで嘔吐した。嫌悪感が全身に巡り、悪寒すら覚える。
再び視線を向けた時には、その奴隷商人はいずこかへ消えていた。
「……嫌なこと思い出しちゃったな」
- 698 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/04(金) 20:55:09 ID:7gFzKdaU0
- >>697
「――おうおう、ひっでー顔だな、嬢ちゃん」
暢気な声が、上から降ってくる。
敵対心など感じさせない、軽いながらも意味のないわけではない声。
顔を上げれば、一人の男が見えるだろう。
学ランの中には色鮮やかなアロハシャツ。
髪型は紫色とオレンジ色がランダムに混ざり合うドレッドヘアを後ろでまとめたもの。
要するに、どうしようもないほどのチンピラが、そこに立っていた。
顔はサングラスで隠されており、右目の当たりからは裂け目の様な傷跡が浮かぶ。
頬にも何かの痕の様な痣が残っていたが見えづらい。
インパクトの強い外見ながらも、青年は人好きのする笑顔を浮かべていて。
「……にしても、こんな物騒な場所にいちゃいけねぇ。
とりあえず、離れようぜ。弱みを見せるのは他の場所でするべきだ」
周りを見回しながら、治安の悪さに思い至り。
心配そうに安全な場所まで案内する、と付け足すことだろう。
- 699 :ヴァージニア:2012/05/04(金) 21:27:08 ID:WE2GQCXo0
- >>698
「……無様な姿を見せちゃったかな」
一部始終を見られていたかもしれないと考え、恥を感じていた。
地面に置いていたローブをはたき、畳んで脇に抱える。
それから相手の顔を確認する。絵に描いたようなヤンキーだ。
「大丈夫。普通の人間相手だったら私一人でも勝てるから」
自信がないのか、たぶん、という言葉をぼそりと呟いた気がした。
「それよりも、魔術に詳しい店を探してるんだけど、この辺りにない?」
魔術の知識を何に使うのかは、大事そうに抱えたローブに関することだろう推察できるはずだ。
- 700 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/04(金) 21:37:16 ID:7gFzKdaU0
- >>699
「べっつに、いいんじゃね?
俺だってよく二日酔いでゲロ吐く事有るし、辛いことで泣くこともあるしよ。
泣いたり吐いたりしないよか、幾分かは健全だと俺ぁ思うがね」
にしし、と気楽な笑みを浮かべつつ、話せるほどには回復した様子を見て、口元を緩める。
そして、相手の案外にも自信満々な言葉に、へぇ、と関心した表情を浮かべて。
同時に、相手の質問と、相手のローブを眺めて、うーん、と唸り声。
「ちょいまち。それだろ、その変わった四次元ポケット系ローブ」
ローブを指差しつつ、青年はサングラスを外し、サングラスを学ランのポケットに突っ込んだ。
学生鞄を地面に置き、髪を軽くかきあげながら、貸してみ?と言い、手を差し出す。
男の顔を見れば、右目に数字が浮かんでいたのが分かるだろう。
青黒く輝く〝0〟の数字が虹彩に浮かぶ姿は、人工的で無機質な印象を覚えさせるもの。
ただのチンピラでも、ただの学生でもないと。理解できるだろうか。
少なくとも、悪い様子は感じられず、何らかの意図が有って、ローブを貸してくれ、と言っている筈だ。
- 701 :ヴァージニア:2012/05/04(金) 21:52:45 ID:WE2GQCXo0
- >>700
「分かるの?」
通信販売で購入した常闇のローブ。その仕組みを彼女はよく分かっていない。
色んな所に問い合わせて、魔術に精通したものということを知ると、
その分野に詳しそうな店を探して回っていたのだ。
そして、この青年はもしかしたらこのような類は得意分野なのかもしれない。
そう判断して、抱えていたローブを渡す。
「邪気眼とかの類?」
男の右目の変化を観察し、何ができるのか気になるので見入っている。
- 702 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/04(金) 22:04:25 ID:7gFzKdaU0
- >>701
「分かるっつーか、今から調べるっつーか。
見ることに関しちゃ自信はある。特技なもんでな」
そうしながら、しばらく右目をまばたきさせる。
いつの間にか、右目に浮かぶ数字が0から1へと進んでいた。
赤く光を纏う双眸が、開かれて、ローブを真っ直ぐ射抜くように見た。
「《耽究眼》――――、俺の遺伝子元が持ってた奴らしいがね。
素体のそれに比べりゃ、多少変質してるらしいが、劣ったもんでもないさ」
右目から、だらり、と血の涙が流れだす。
そして、右目の数字が、2へと進みだした。
「――――なるほど、二つ一対。一個先かと思ったが、二つで一つの位階か。
……まあいい、そろそろ先に進もうと思っていた所だ。
Cochma。知恵のセフィラねぇ。――――何となく、見えてきたが」
しばらくローブを眺めて、右目の数字が更に3、へと進みだした。
そうして、おもむろにローブに右手をゆっくりと伸ばしていく。
ずぶり。ローブの表、裏ではない部分から、右腕が飲み込まれるようにめり込んだ。
そして、しばらく中を弄り回して、手を引き抜くと。腰を地面に付けて、息を吐く。
「……こりゃ、たまらんね。下に降りてく筈なのに、半端ねぇや。
つーわけで、多少はマシになったと思うぜ。式とか、構成とか直接いじくり回したから」
右目の血の涙を拭いながら、相手にローブを渡す青年。
青年は、荒い息を吐きながら、壁に背中を預けていた。
- 703 :ヴァージニア:2012/05/04(金) 22:19:55 ID:WE2GQCXo0
- >>702
「へー、変わった能力……」
青年の一挙一動が不可解なものだったので、不思議そうに見ている。
不思議のその極めつけは、ローブに右腕を飲みこませる場面だ。
構成要素を物理的に弄っているのか、はたまた霊的な何かに干渉しているのか
近くで肉眼で視る限りでは、何が起こっているのか分からない。
事が終わった後、ローブを受け取って、訝しげに調べている。
「どうなったんだろう……」
ローブを拡げて、中身を覗いてみる。
果てしない闇夜が渦巻く中に、自らの手を入れてみる。
「ひんやり」
不完全だった冷却の式に干渉したようで、内部の温度は以前よりも急激に下がっていた。
これにより、太陽光によって溜まる熱の量を調整し、着心地がよくなったはずだ。
確認を終えると、ヴァージニアはすっかり満足したようだ。
「なんだかよく分からなかったけど、凄いなぁ。ありがとう」
- 704 :東西南北 良方 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/04(金) 22:28:30 ID:7gFzKdaU0
- >>703
「――ま、簡単に言うと、同じ世界を違う面から見るって、感じの力だわな。
同じものでも違うように見て、違うように触れれば違う反応が返って来るのは当然ってわけだし。
んで、今はローブの存在自体をちょいと弄り回して、まともになるようにちょいちょいと中身を引っ掻き回しただけさ」
ふへぇ、と息を吐き出しつつ、サングラスを顔にかける。
そして、胸ポケットから細葉巻、シガリロと言われるそれを取り出して、口に咥えて火を漬けた。
柔らかい紫煙が、周囲へと立ち上っていき、悪かった顔色も良くなった。
「なぁに、気にしなくていいぜ。
……とと、悪いね、ちょいと用事を思い出した。
また、ご縁があったら会おうぜ。んじゃなー」
そう言うと、男は手を振って、ひょこひょこと気楽に歩き去っていくのだった。
- 705 :ヴァージニア:2012/05/04(金) 22:47:08 ID:WE2GQCXo0
- >>704
「うん。じゃあまた」
煙草をふかしながら去っていく青年を見送った後、
あたりに設置してあったベンチに腰掛けて色々考える。
「違う見え方ができるようになる、か」
吸血鬼になった時から、世界が変わって見えるようになった。
人間がパンやご飯と同じように見えることもあるし、綾を護らなければならないという思いもある。
それでも何か、踏み込んではいけない一線というのにも感じられて。
どの自分が本当の自分なのだろうか、悩むこともままある。
ウィンドウに映った自身をじっと見ている。
怪しい光を放つ双眸、鋭く伸びた牙と爪。全てが自分のものではない気がした。
「人の心が戻ってきちゃった……のかな」
だから、辿りつけなかったのだろう。一夜城に。
- 706 :アイリス:2012/05/04(金) 23:49:53 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
来客を告げる鈴が鳴る。
アイリスの目的である店長こと、クロスに用事があった。
「ふむ…、クロスは居ないね。
この間の仔細を聞こうと思ったけれど、こればかりは仕方がない」
ふぅと溜息をつき、カウンター席に腰掛ければ、新聞や雑誌の目に留まる部分だけを流し読み。
- 707 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 21:47:55 ID:1BBSxSE20
- とある墓地、少女がひとり、佇んでいた。
外にハネた赤髪と、澱み腐りきった、ぽっかりと穴が開いているかのような黒い瞳を持つその少女は、
一つの墓標に背を預け、体育座りの姿勢で、半分瞼を閉じていた。
「……気持ち悪い、この街。
死人が生者とナカヨシコヨシで暮らしてやんの。
あたしたちはもっと、墓地で、地面の下で暮らすべきなのに……」
墓標に身体を預ける少女は、とても安らいだ表情をしていた。
まるで母親の膝に顔を埋めている時のような、揺り籠にゆったりと揺られている時のような、
そんな表情を、いちばん死に近いであろうこの場所で。浮かべているのだった。
- 708 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 22:02:58 ID:7gFzKdaU0
- >>707
「まったまた、寂しいこと言っちゃってー。
と言っても、こういう場所が落ち着くのは確かにそうなんだけどねー」
そんな呑気な声と同時に、相手の目の前にぼぼぼ、という音と同時に存在が現れた。
浅黒い肌に、錆鉄色の髪と瞳。つなぎに身を包み、手首にはリストバンド。
背中には巨大なリュックを背負い――周囲には人魂を従えていた。
「はくっ」
右手には、美味しそうなチョコバナナチーズケーキクレープチョコレートアイス添えが有り。
それを大口を開けて頬張って、もっきゅもっきゅと咀嚼。
そして、ごくり、と飲み込んで、にへへ、と緩い顔で笑う。
この元気系娘、しかしながら亡霊である。
よく感覚を向けてみれば、墓場や戦場のそれに近い、血と死の気配が放出されている。
生者と仲良しこよしの死者がそこに居た。
- 709 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 22:12:49 ID:1BBSxSE20
- >>708
「……そうそう、あんたみたいな奴が一番むかつくんだよ――――」
瞳がぎょろりと動き、ドーラの姿を捕えるのと同時。
右腕をすぅとそちらへ翳して、口元と、目尻を歪めた。
浮かぶ表情は、嫌らしい化物の、笑顔。
「――――――ネ。」
言葉をすべて吐き終えると同時、翳した右腕に赤色の魔力が走る。
二本・三本・四本と、段々と増えてゆく線のかたちで這い回るそれは、やがて腕全体を覆い尽くした。
その瞬間、フラッシュが焚かれたように、閃光が辺りを照らしだした――
――強烈が光が収まったころ、魔力線によって冒されていた少女の腕は、巨大な銃口と化していて。
ぴったりとドーラに向けられたその口から、魔弾が、撃ちだされる。
サイズはそれほど大きくないけれど、速度は十分弾丸として通用しうるそれ。
狙いは、その手に在る、クレープ。
- 710 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 22:18:23 ID:7gFzKdaU0
- >>709
「うわ――――!?」
唐突に、目の前に突きつけられた銃口。
迫りくる魔弾を前に、きょとん、とした表情で叫び声。
なんとも気が抜けるが、魔弾が当るかと思われた刹那に、砲撃の音が響き渡る。
「――――あっぶないな。折角のクレープがおじゃんになる所だったじゃんか」
上から声が降ってくるだろう。
少女は、電灯のライト部分に立ち、残りのクレープを頬張っていた。
もきゅもきゅ、ごっくん。
ふへぇ、と幸せそうに息を吐いて。
「撃たれた所で死んでるから死なないし構わないけどさ。
そんな風に頑ななのもどうかと思うよ?」
周囲の人魂を自分の元に集めて、息を吸いながら身体に取り込みつつ。
少女は苦笑を浮かべて、地面に着地した。
もし、先程のドーラの動きが相手に見えていたとすれば。
飛翔したわけでもなく、跳躍したわけでもなく、射出されたという事が認識できることだろう。
瞬間的な加速に於いて、この少女はかなりの練度を誇っていた。
- 711 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 22:29:22 ID:1BBSxSE20
- >>710
「…………ふぅん」
煙のような魔力の残滓をくゆらせるその先、ドーラの動きを眦に引っかけていたらしく、
感心するような音を僅かに漏らして見せる。
「頑なで結構、生者だいっきらいなのは性分なもんでネ。
へぇ、死んでるんだぁ……奇遇だネ、あたしも『そう』なんだ」
煙が止まぬうちに、続く二発目が射出された。
次の狙いはドーラの足場、電灯の先端。
降りて来い、といわんばかりに撃ちだされた。
「まあどっちにしろ、あたしは『この都市の人口をなるだけ減らす』ことが『ここにいる意味』だから。
死人でも人口に含まれるよネ、こんな街だし?」
- 712 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 22:39:41 ID:7gFzKdaU0
- >>711
「へっ、わたしは生きてるのも死んでるのも大好きだかんね!」
どやぁ、と電灯の上で胸を張りつつ、相手に答えていく。
元々リビングデッドとして蘇って以来、生者に育てられて生きてきた。
それが原因なのもあり、ドーラは死んでるかどうかで人を判断することはなかった。
「だー、かー、らー! あぶなッ! 銃撃禁止!」
射出される魔弾が迫り、着弾する直前に足元の電灯の先端が粉砕し、地面に大音量で着地した。
ずざざ、と滑りつつも、相手が会話で何とかなる相手ではないと理解。
ふぅ、と息を吐くと。両の腕と足首から、赤黒い魔力光が漏れだし、少女の四肢に何かがまとわりつく。
ミスリル製の具足と手甲が四肢に装着されたのだ。
そして、リュックサックを地面へと下ろす。どすん、と重々しい音が周囲に響き渡った。
構えを取り、ドーラは腰を落として、相手を睨みつける。
「とりあえず、アンタ悪人! 死なないけど痛いんだからね?
だーかーら、とりあえずぶっ飛ばしてから話し聞くから、そのつもりで!」
髪の先端から血がしたたり、生暖かい風が吹き出した。
同時に、死霊の群体の軍隊たるドーラの本領が解き放たれていく。
先ほどまでとは、心持ちも有り方も別の存在と成っているのが、見て取れる。
- 713 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 22:46:52 ID:1BBSxSE20
- >>712
「悪人ってのはアタリだネ。『悪人』に『呼ばれた』だけだから……っと」
再び浮かんだ笑顔、ただし今度のは、獣じみたものだ。
戦闘の空気に中てられて、顔が笑みの形へ歪んでゆく。
彼女はまさしく、戦闘のために呼びだされた亡者といったところか。
「……何人いるの、それ。ふふ、楽しくなってきたぁ……
いいよ、束になって掛かっておいで。あたしには『鉛の悪魔』が憑いてる、ん、だから……!」
がしゃんと音を立てて、銃口をそちらに向け直す。
腕と一体化した巨大な銃身が、どくんと一回不気味に脈打って、喜んでいるようだった。
- 714 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 22:56:31 ID:7gFzKdaU0
- >>713
「だったら、後でアンタをボコって改心させてから、悪人倒せばオッケーてことだね!
わかりやすいのは好きだよ。何にも問題なしー!」
にこり、と笑いつつも、ドーラの身体からは血と鉄さびと泥水が漏れだしていく。
ぺっ、と吐き出した唾のなかにはボルトとネジが混ざっていて。
相手が戦闘のために生み出された存在だとすれば、彼女は戦闘の結果として生まれた存在。
何方も戦場を住処とする物の、その成り立ちが違うのならば、その心はすれ違って当然か。
「――――久々に、バケモノっぽく遊んで見せようか。
行くよみんな――――わたしを動かして! 〝鋼の城〟を甘く見ないでよね!」
そういった瞬間、ドーラの足元が陥没した。
そして、背中の皮膚を突き破って、鉄骨と金属板で出来た小さな翼が生えた。
「炉にはすでに火は回ってる。んじゃ、試運転と行こう――――いっくよッ!」
言葉の刹那、足元が爆裂。
文字通り砲弾に酷似した速度で、相手に真正面から接近してくるドーラが居た。
右腕を振りかぶって、相手の腹部へと打撃を放とうとするだろう。
「――――ぶっ放すよォッ!」
腕に魔力が収束し、爆撃音。
四肢を砲弾として、射出する事により驚異的な速度、威力を誇る打撃を放つ。
それが、ドーラの基本的な戦闘技法。数多の魂を動力とする死せる兵器故の戦闘方法だった。
- 715 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 23:04:09 ID:1BBSxSE20
- >>714
「――――――――っ、」
まるでコマ送りの映像。
さっきまでその場にいたドーラが、次の瞬間にはすぐそこへ。
とっさの判断か、思考を超えた反射行動か、銃身と化した右腕を腹部へ添えて防御行動。
「ッ!!!」
……しかし、それだけでは当然止まらない。
ぼき、ぼき、と骨が折れる音、恐らく肋骨だろうか。
防御したはずの腹部にじんわりとダメージを浸透させながら、少女は吹っ飛んだ。
「…………怖いなぁ、ったく!!」
しかしそれでも、反撃の準備は整えた。
赤い厚底靴が地面を削り、どうにかこうにか静止すると、銃口をそちらへ向ける。
放たれた弾丸は、真っ直ぐに伸びて――レーザーの形状となり、ドーラへ放たれた。
- 716 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 23:14:04 ID:7gFzKdaU0
- >>715
「――――っ惜ッしいぃ!」
雄叫びを上げつつ、拳を全力で振りぬくドーラ。
風が周囲の空間をかき回して、吹き荒れた。
要するに、ドーラは。硬くて速くて重くて強い。
それ以上でも以下でもなく、しかし、シンプル故にスペックが極大。
だがしかし、唯一の問題は――――隙が大きいことだ。
「あ…………ッぶな!」
とっさに身体を動かすも、脇腹をレーザーが抉り、腐った赤黒い血が飛び散った。
同時の一歩で、ドーラはまた消えて。次は横の木に足を掛けて、また蹴る、飛翔。
「小技だって、出来るんだから――――ッ!」
空中で身体を反らすドーラの右手には、〝木〟が握られていた。
握り締められる一本の木は、一気に圧縮されていき、投擲される。
轟音と同時に、圧縮された木材が砲弾となって相手に迫りくるだろう。
- 717 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 23:23:29 ID:1BBSxSE20
- >>716
「……っへへへ、レーザーだと思った?」
銃口から一本の線となって伸びた、魔力のレーザー。
それはドーラの脇腹を抉ることで役目を終え、虚空へ消えていくはずだった。
しかしこの光線は――消えないまま。
ぐん、と右腕を振り抜く少女。
その動きに従って、赤い魔力線が「しなる」。
そう、この動作はまるで、
「残念っ、『鞭』でしたァ――――――っ!!!」
一本の鞭の動き、そのものだ。
鞭によって木材の砲弾を粉砕し、さらにその先に居るドーラへ向けて撓らせる。
しかし砲弾を相殺したことによって鞭の勢いが大分殺がれているため、回避は難しくないだろう。
- 718 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 23:33:19 ID:7gFzKdaU0
- >>717
「――――仕方ないか―――――、そろそろ炉に熱も回り始めた。
引っぱり出させてもらいますか――――ねッと!」
よいしょ、とばかりに、空間を引き裂きながら現れたのは、砲塔。
砲身長28.9m、口径80cm、最大射程47km、発射は一時間に3,4発が限度とされた異様な威容が顕現する。
その堅牢さを肩に担ぎ――――武器として薙ぎ、鞭と真っ向から打ちあいにいく。
「いッだらああああああああああああああああああああああああッ!!」
一瞬の拮抗。そして、その威容は鞭をぶつかり合い、弾き飛ばすことだろう。
そして、その砲塔は少女の頭の上で回されて、先端が相手を向いた。
先端に魔方陣が浮かび出す。
「対人なら――――5%くらいでお釣りが来るッ!」
5%でも、射程は235m。威力も都市区画を吹き飛ばすものを5%にしても人体を粉砕するのに仔細はあるまい。
要するに――取り回しが厄介なほどに大出力故に、絞らなければ使用できない。
それこそがこの少女の弱点といえるものだろう。出力がなまじ大きいゆえに、細かい応用が効かないのだから。
「砕け――――散れェッ!」
だが、そんな弱点など知ったことかと。少女は雄叫びを上げて、魔弾を相手に撃ち放つ。
人間大のサイズの単発魔弾が、猛威を引き連れて迫りくる。
しかし、予想はつくだろう。この大火力、そうそう連射できるものではないと。
- 719 :赤髪の少女:2012/05/05(土) 23:47:17 ID:1BBSxSE20
- >>718
ばちん、と音がして、鞭が弾けて消えた。
おそらく砲塔を見た少女が、危険を感じて次の行動へ移すために取った策か。
弾き飛ばされた影響で、体勢が少しだけぐらついた。「でも撃てる」。
「そんなでっかいの、こぉんな序盤から出しちゃうのぉ!?」
冷や汗を浮かべ、砲頭が此方に向く様、魔法陣が形成される様を眺めていた。
「アレ」に対抗するとしたらこっちだってそれ相応の、「コレ」を出さねばなるまい。
あとで腕が痛くなるから嫌なのだが……四の五の言っていられない。「だから撃つ」。
姿勢を立て直し、負けじと銃口を向ける。
するとそれは獣の口のように、ぐぱりと牙の並ぶ顎を開いた。
黒々と光る牙を見せつける獣――否、悪魔は、その喉から雄叫びを上げんと、周囲の魔力を吸い込んだ。
「行け、“七発目の魔弾”――――
ブッち貫けェエ――――ッッ!!!」
魔弾の作り主、悪魔ザミエルが作った七発の弾。
そのうちの最後の弾は、射手が狙った地点には当たらない。
いま放とうとしている魔弾もそれと同様、少女の狙った地点には当たらないだろう、
狙う地点もろとも周囲を根こそぎ吹っ飛ばしてしまうのだから。
極火力の魔弾同士が、ぶつかり合う。
夜空が鮮烈に瞬き、昼のような明るさを辺り一面に振り撒いた。
- 720 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/05(土) 23:55:40 ID:7gFzKdaU0
- >>719
「後手に回ると戦争は負けだってのッ! ドーラ列車砲のドーラちゃんを舐めてると痛い目見るぞ!」
叫び声を上げながら、小さな体の炉心の動力を全力で発揮していく。
大量の魂の群体である少女は、小さな体に比して出力は驚異的に高い。
だが、それでもやはり。運用するのみで凄まじい負担になるのがこの砲塔であった。
向かい立つ二つの銃口。
一方は、魔弾。悪魔ザミエルの作りし神秘の魔弾だ。
一方も、魔弾。此方は、人の意思が創りだした現実に生まれた非現実的兵器。
双方、勝るとも劣らない威力。
要するに、その衝突は――――相殺か。
「――――ッ、っは……ァ……ッ!!」
砲塔を肩に担ぎながら、ドーラは荒い息を吐く。
砲塔がしまい込まれていき、ドーラは膝をついて、相手を睨みつける。
「まだ……ッ、まだ……! お爺ちゃんに、言われてんだ……!
間違っている事に、間違ってるって言える子になりなさいって……!
だから、わたしは、譲らない!」
ゆっくりと立ち上がって、魔力をドーラは練り始めた。
負担が大きく、先ほどのような一撃はあと放てても一度が限度といえるだろう。
- 721 :赤髪の少女+???:2012/05/06(日) 00:04:29 ID:1BBSxSE20
- >>720
「――――――っ、つ、腕いったぁ……っ」
ばくんと音を立てて、悪魔の顎は閉じて消え失せた。
極火力の砲撃は銃身と一体化した腕に相当な負担をかけているらしく、左腕でしきりに銃身を撫ぜる少女。
荒い息を吐いて、此方も負けじと睨み返す、が。
(……まぁだやる気なの……!?
もうこっちは打ち止め寸前なんだけどぉ……くっそ、キツ……)
暫く右腕の銃は使えそうにない。
だとすると、絶体絶命の危機ということになる――――
『――――奥の手まで晒して、貴方、何やってンですか』
すると、其処へ声が降ってきた。
未だ声変わりの始まらない、しかし凛としたボーイ・ソプラノ。
頭上を見れば、軍服を着こみ、表面に金色の炎が走る黒いピンヒールブーツを履いた少年が「浮いている」。
彼は被っていた軍帽を直して、ドーラと赤髪の少女の間に降り立った。
どうやら戦意は無いようだ、が――――?
- 722 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/06(日) 00:11:11 ID:7gFzKdaU0
- >>721
「へ、へへッ……」
この期に及んで、不敵な笑みさえも浮かべてみせる。
ピンチにこそ笑ってみせる。笑えば、多少なりとも心に余裕が見えるから。
だから、笑って、そして睨み返した、が。
唐突に現れた少年、それを見て、炉心が燃え上がる。
「アンタがこの子を召喚した奴か――――ッ!!」
理解する。こいつが敵であると。
ならば、ドーラが取る行動は一つに決まっている。
0.5秒、格納空間から砲塔を台座付きで引き摺り出した。
0.8秒、後先考えずに術式構成、現状の残りの力を注ぎ込み、可能となる最大出力を叩きだす。叩きだされた出力は、12%程、先程の2倍以上。
1秒、それを解き放つ。
狙いは甘い。だが、近くに当たれば余波で吹き飛ばすことが出来る。
要するに――直撃しなくとも構わない。故に、躊躇いなく、全力で解き放った。
後先考えないが、それゆえに何よりも迅速な行動が、少年を迎え撃った。
- 723 :赤髪の少女+???:2012/05/06(日) 00:20:06 ID:1BBSxSE20
- >>722
『……物事はきちんと把握してから、行動に移した方がいいですよ』
少年のブーツの上に走っていた、金色の炎。
その火力が増し、輝きを増し――小爆発を起こした。
その勢いと合わせ、空を蹴って猛スピードで地面へ到達。
ブーツの保護下に置かれぬ黒いタイツを纏った脚と、軍服の上着の裾がぢりっと焦げる。
同時に脱げた軍帽が砲撃を真正面から受け、塵と化した。
『残念ながら、僕も彼女と同じ「呼ばれた」者。
今回の僕の任務は、彼女を連れ戻すことです』
あーあ、帽子なくなっちゃった、と呟く少年の、きれいな金髪が砲撃の余韻に揺れる。
この少年、近くでよく見れば綺麗に整った顔立ちをしていた。
少女にも見える、涼しげな顔。それを引き立たせるような細縁の眼鏡の奥は、少女と同じ澱んだ黒色。
ですから、失礼しても?
そんなことを嘯く彼は、赤髪の少女の腕を引っ張って無理矢理立たせ、立ち去る準備を進めている。
- 724 :ドーラ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/06(日) 00:26:58 ID:7gFzKdaU0
- >>723
「今度は、アンタ達を呼んだ術者を消し飛ばす。
それは、〝我々〟としての誇りで決めたこと」
膝を突きながらも、真っ直ぐに相手を睨みつけて、ドーラは不敵に笑ってみせる。
錆鉄、血色。同じく死霊の其れだが、別種の其れだった。
少女の周囲を守るように、数百の魂が一時的に亡霊の形を成す。
「「「「「「我らが同類よ。我らは、我らである故に、我らは貴様らを認められぬ」」」」」」
死者であるが、この死者は無用な死を産まぬために存在している。
戦場の不条理を憎んだがゆえに、戦場の不条理を終わらせるために生まれた死霊の集い。
故に、相手の在り方は、死霊達には認められない。
『貴様らを見逃すことはない。覚えておけ、死者よ』
ドーラはゆっくりと立ち上がり、周囲の亡霊がドーラに収束していき。
ドーラは背を向けて、歩き出す。
『我が名はレギオン、我らは大勢であるが故に――』
その一言を、言い残して。
- 725 :赤髪の少女+???:2012/05/06(日) 00:33:06 ID:1BBSxSE20
- >>724
「……あたしだって、あんた達なんか認めてやんない。
あたしは作るのよ、戦火を、戦果を、戦禍を。
死の王国を作るのよ、あたしを「そうした」奴らのお望み通りに、全部全部ブチ貫いてやる……!!」
『お話は此処までですよ。貴女、肋が折れてるみたいじゃあないですか。
しかも、貴女の晴れ舞台はまだなのに、戦法まで晒して……』
「うるさい。お前は優しい優しいオニイサマと乳繰り合って過ごしてろ」
『……晴れ舞台が終わるまで、せいぜい日常を楽しむことです。
終わったら跡形も無く燃やして差し上げますから』
ドーラが去ったその後、彼らも何処かへ去ってゆく。
再選の時も、またそう遠くも無いのかもしれない。
- 726 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 22:52:03 ID:nm7Q5fk60
- ー中央公園ー
そこにゴミ箱を漁る幼稚園児辺りの年齢をした顔の少年がいた。
「う〜ん、あ!、今日はあった。」
取り出したのは…、賞味期限が切れた弁当。
- 727 :?:2012/05/06(日) 22:55:38 ID:IrsgDsYs0
- >>726
突然、ごみ箱の近くに現れた赤い魔法陣。
人が一人くらい通れそうな大きさの。
妖しい光を放った後、何の前触れもなく煙を吹き出し始めた。
- 728 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 22:57:18 ID:nm7Q5fk60
- >>727
「えっ!?、なになになに!?」
いきなりのことに驚き、弁当を手放す。
「な、なんなの!?」
- 729 :?:2012/05/06(日) 23:04:41 ID:IrsgDsYs0
- >>728
どすん!
「あいたたた・・・」
煙が流れ去ると、そこには一人の女性がいた。
長い髪は艶やかな黒で、身長はかなり高め。落ち着いた長袖の服にロングスカート。
「う〜〜ん、ここはどこ?」
ひとりごちたあと、>>728を見つけたようだ。
「あの・・・、ここは一体?」
- 730 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 23:06:10 ID:nm7Q5fk60
- >>729
「えっと、だいじょうぶ?」
少しずつ近付く。
「あ、ここは中央公園。」
- 731 :琴音:2012/05/06(日) 23:14:03 ID:IrsgDsYs0
- >>730
「中央公園?もしかしてここが「楽園」・・・?」
別の世界から来たようだ。
「あ、私は琴音・・・響 琴音(ひびき ことね)。よろしく。」
- 732 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 23:21:33 ID:nm7Q5fk60
- >>731
「ら、楽園?」
言ってる意味が分からず困惑する。
「あ、ぼ、僕は風間 章、よろしく。」
- 733 :琴音:2012/05/06(日) 23:31:42 ID:IrsgDsYs0
- >>732
琴音の横で小さめの魔法陣が出てきて、黒いケースに入ったバイオリンが現れる。
「章くん?いい名前ね。」
間を置かずに続ける。
「お姉さん、ここに来るのは初めてなんだ。ここのこといろいろ教えてくれないかな?」
お姉さん、と自称したのはおばさんと呼ぶな、という意志の現れである。まだ22歳。
- 734 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 23:33:20 ID:nm7Q5fk60
- >>733
「あ、うん、ありがとう。」
顔を赤くさせながら言う。
(綺麗な人だなあ。)
「あ、うん、でも僕、この辺の事あまり知らない。
覚えてないから。」
- 735 :琴音:2012/05/06(日) 23:42:02 ID:IrsgDsYs0
- >>734
「そうなの。ごめんなさいね。」
なにかつぶやいたあと、落ち着いたデザインの小振りな鞄から、袋に入った菓子パンを一つ取り出した。
「はい、どうぞ。手作りよ。」
ふふ、と穏やかに微笑んでみせた。
- 736 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/06(日) 23:43:15 ID:nm7Q5fk60
- >>735
「いいよ、別に。」
微笑みながら言う。
「え、いいの!?」
- 737 :琴音:2012/05/06(日) 23:58:16 ID:IrsgDsYs0
- >>736
「遠慮は要らないわ。なんならジュースもつけましょうか。」
赤と白の紙パック・・・いちごみるくと書かれている。
「パンだけだと喉が乾くもの。喉は歌手の命よ♪」
- 738 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 00:01:11 ID:nm7Q5fk60
- >>737
「えっと、こんなにくれて、ありがとう!」
何一つ邪気のない笑顔で言う。
見た目からしてまだ10どころか8や7にも満たない子供だ。
「か…しゅ?」
言葉の意味がわからず首をかしげる。
- 739 :琴音:2012/05/07(月) 00:05:30 ID:IrsgDsYs0
- >>738
「どういたしまして。礼儀正しいのね。」
いい子ね、と頭を撫でる。
「かしゅ、というのは歌を歌う仕事をしてる人のことよ。一曲、歌ってみようかしら?」
- 740 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 00:07:10 ID:nm7Q5fk60
- >>739
「えへへ。」
褒められて喜ぶ。
「う…た?」
どうやら歌も知らないようだ。
- 741 :琴音:2012/05/07(月) 00:16:08 ID:IrsgDsYs0
- >>740
「まあ、聴けばわかるわ。」
すっくと立ち上がり、息を大きく吸い込んで歌い始めた。
言葉の意味よりも、音の響きを重視した賛美歌。透き通るような歌声。しかし一番の特徴は一人でハーモニーを奏でていることだった。
高い音も低い音も、大きな音も小さな音も。まるで20人位が合唱しているような歌声である。
- 742 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 00:19:11 ID:nm7Q5fk60
- >>741
「…。」
何も言わず、聴き入っていた。
ただ、ただ聴き入っていた。
(何だろう、この感じ、よくわからないけど、…凄い。)
- 743 :琴音:2012/05/07(月) 00:26:30 ID:IrsgDsYs0
- >>742
//きょうはここで落ちてもいいでしょうか。
ハーモニーを奏でていた音が一つに収束し、少し達成感のある顔で歌い終えた。
ふぅ、と深呼吸をした後、しゃがんで目線の高さを合わせる。
「どうだった?私の歌は。作ったのは私じゃないけれど。」
- 744 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 00:28:56 ID:nm7Q5fk60
- >>743
//OKです。
「凄いよ!、よくわかんないけどよかった!」
菓子パンを頬張る。
- 745 :琴音:2012/05/07(月) 18:58:57 ID:IrsgDsYs0
- >>744
//復活しました。
「ありがとう。ここなら私の"能力"も化け物扱いされないかしら。」
少し顔を曇らせて。
「歌手とは言ったけれど、人の前で歌うのは数年ぶりなの。喜んでくれて、嬉しいわ。」
顔から曇りがなくなり、屈託なく笑った。
- 746 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 19:08:33 ID:sKvIGoj60
- >>745
「ばけ…もの…。」
(そういえば、前に僕の事を化け物って呼んでたっけ。)
それは……、いわゆる人外狩りというものに襲われた。
(気を失ってたけど、なにがあったんだろう、いつの間にか違う場所にいたし。)
「ねぇねぇ、化け物ってなに?、僕も前に呼ばれたことあるけど。」
ただ、ただ好奇心でそう言った。
「そうなんだ!、それじゃあこれからは何時でも歌えるね。」
- 747 :琴音:2012/05/07(月) 19:20:25 ID:IrsgDsYs0
- >>746
「君まで化け物と言われてたの・・・」
憐れむような、共感するような表情をつくる。少し考え込んで、続けた。
「ここは、化け物が化け物と呼ばれない。そう聞いて、私はここを目指していたの。だから、あなたはそんな汚い言葉、知らずに済む・・・いえ、知らずに住むことができる。」
知らないほうが幸せ、その真意を理解したのはそう昔のことではない。
「ここが、楽園。」
ひとりごちたあと、少し満足げな表情を浮かべ、黙り込んでしまった。
- 748 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 19:25:21 ID:sKvIGoj60
- >>747
「うん、そうだけど…?」
首をかしげる。
「うーん、でも僕みんなと体のつくりが違うって言われてたよ?」
そう、知らない方が幸せ、まさに彼の失われた過去にはピッタリだ。
「うん、楽園の意味は分からないけど此処は良い所だよ!」
笑いながら菓子パンをもう一口食べる。
- 749 :琴音:2012/05/07(月) 19:38:30 ID:IrsgDsYs0
- >>748
「ここが良いトコロと、笑顔で言える。そこを楽園と、人は言うわ。」
ありがとうね、と頭を撫でた後、ゆっくりと立ち上がった。
「話に付き合ってくれてありがとう。私はここで、住む場所を探すことにするわ。」
ばいばい、と手を振り、公園の出口に向けて歩いていった。
//Very乙!ありがとうごじいました。
- 750 :風間 章 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 19:43:00 ID:sKvIGoj60
- >>749
「ふぅん、そうなんだ。」
イチゴミルクを飲む。
「うん、バイバイ。」
手を振りながら笑顔で見送った。
//おつかれさまでした。
- 751 :琴音:2012/05/07(月) 20:47:03 ID:IrsgDsYs0
- 「〜〜〜〜♪」
鼻歌を歌いつつ、空中を歩く一人の女性。
//格好の描写は省略。さっきのと同じ。
公園の上空に来ると、緩やかな階段を下りるようにゆっくりと下りてきて、
「〜〜。っと。」
軽やかに地面に降り立った。
- 752 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 20:55:07 ID:sKvIGoj60
- >>751
そこに奇妙な音楽と最低な歌唱力の歌が流れてくる。
http://www.youtube.com/watch?v=AGdwvjyGwg4&feature=plcp
「はる〜か〜、ふたりっ、…。」
琴音に気付く。
「やぁお嬢さん、こんばんは。」
特におかしくなさそうな目で言う。
- 753 :琴音:2012/05/07(月) 21:01:50 ID:IrsgDsYs0
- >>752
「ええ、こんばんは。」
柔和に微笑む。
「上手なんですね。」
比較対象がないので、正確な評価かどうかは保証不可。
「こうしてずっと聴いていたい気分です。」
腰を下ろし、体育座りで聴き入った。
- 754 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 21:05:14 ID:sKvIGoj60
- >>753…なごさん…だと…。
「上手…。」
少し驚いたような眼で言う。
「アンタ、もしかして音楽ってあんま聞いたことないんですかい?
自分で言うのも何ですが、いわゆる最低の分類に入りますぜ?」
- 755 :琴音:2012/05/07(月) 21:11:14 ID:IrsgDsYs0
- >>754
//なごさんに何か想い入れが?
「そんな・・・最低の部類だなんて・・・自分で言うもんじゃありませんよ?」
年甲斐もなく、頬を膨らませる。
「そんなことはおいといて、はやくはやく。」
続きを促す。聴き足りない。
- 756 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 21:15:25 ID:sKvIGoj60
- >>755
//いや、仮面ライダーキバを思い出しまして。
「いや、でもこれ言われたの恋人…。」
そこまで言うと切る。
「ハァ、可愛いお嬢さんにそんなこと言われちゃ歌うしかないな。」
そう言うと、もう一度ギターの弦に指を置く。
〜つづきから〜
- 757 :琴音:2012/05/07(月) 21:21:28 ID:IrsgDsYs0
- >>756
//なるほど・・・
恋人云々はスルーする。今は静かに聴いていたいから。
ダンスをする指を見ながら、心地よい歌声に耳を傾ける。
- 758 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 21:25:33 ID:sKvIGoj60
- >>757
「はる〜か〜、はてない〜、ち〜い〜へい、せ〜ん〜。」
そこでピタリと終わる。
「ふぅ、どうだった?、感想があるならどうぞ。」
- 759 :琴音:2012/05/07(月) 21:34:06 ID:IrsgDsYs0
- >>758
顔を少し赤らめて、立ち上がる。
「すごい・・・感動しました・・・」
バイオリンのスリングを肩からはずし、地面に落とす。しかし、地面にぶつかる前に突如現れた魔法陣に吸い込まれるように消えた。
代わって、魔法陣から大きなハープが飛び出す。
「横、良いですか?」
ベンチに腰掛け、ハープを構える。
「次は、私の番ですね。聴きますか?」
- 760 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 21:47:52 ID:sKvIGoj60
- >>759
「ほぇ〜、収納系能力かい?、便利でいいもんだな。」
感心したように言う。
「ん、あぁ、いいよ。」
スペースを開ける。
「あぁ、是非聞かせてくれ。」
- 761 :琴音:2012/05/07(月) 22:06:04 ID:IrsgDsYs0
- >>760
「では、いきます。」
ハープに指をかけた瞬間、長い髪が一気に金に、黒い瞳が明るい青にそれぞれ染まった。
本人は気付かない様子である。
ぽろん、ぽろろんとハープが音を出し始める。
少し間をおいて、滑らかに歌い出す。
いま"合唱"をしてはハープの良さがなくなるので、単独で高く清らかに歌う。
歌詞に意味はなく、どこの言語でもない。言葉の"枷"無く歌う。
生きている楽器のようなものが、そこにあった。
- 762 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 22:09:36 ID:sKvIGoj60
- >>761
ただ、ただ黙って聞く。
変化は特に気を求めない、なぜならそれでは音楽の本質に気付けないからだ。
(なるほど、この子、楽器に合わせて歌い方を変えている。
上手いな。)
- 763 :琴音:2012/05/07(月) 22:21:33 ID:IrsgDsYs0
- >>762
最後に小さい音を長くのばし、歌い終えた後もハープを弾き続ける。
ハープを弾く指の動きがだんだん遅くなり、やがて止まった。
髪の色も瞳の色も黒に戻った。ふぅ、と深呼吸する。
「どうでしたか?」
にこりと笑った。
- 764 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 22:23:36 ID:sKvIGoj60
- >>763
「あぁ、凄いとしか言いようがなかったな。
歌い方も上手だし、デビューすればかなりいけるんじゃないか?
ま、歌っている時に能力が自動的に発動したら厄介だがな。」
パチパチパチと本心から拍手する。
- 765 :琴音:2012/05/07(月) 22:41:21 ID:IrsgDsYs0
- >>764
「あ、ありがとうございます。」
お礼を言った後、少しシリアスな表情で続ける。
「じつは、歌手デビューを目指してオーディションに行ったとき、そうなってしまったんです。」
思い出したのか、ますます顔が暗くなる。
「歌い終わって目をあけると、まるで台風がそこにいたかのような地獄絵図でした。」
話がだんだん熱を帯びてくる。
「照明が砕け散り、足場が崩れ、リノリウムの床に亀裂がはいり・・・」
嘘臭くなってきた。
「天井に人が刺さり、床にめり込み、壁を突き破り、防音壁の発泡樹脂が舞い(中略)、血のにおいが漂う中、泣きながら走って逃げました。」
顔は暗いままだ。
- 766 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 22:54:06 ID:sKvIGoj60
- >>765
「…。」
何も言わず聞き入る。
「ふ〜ん、ま、それなら意識を保ったまま歌うことはできないのか?」
- 767 :琴音:2012/05/07(月) 23:06:22 ID:IrsgDsYs0
- >>766
「あ、今のは16歳位の時の話ですよ?今は問題ありません。」
すこしあわてて、首と手をぶんぶんと振る。
顔にかかってしまった長い髪の毛を元に戻す。
「ほら、今はなんとも無いでしょ?」
顔を赤らめ、下を向いてしまう。
「歌う前に、あの光景がフラッシュバックすることがたまにあります。でも、ああなったのはあの一回こっきりでした。」
「なぜああなったのか、今でも原因は分かりません。でも・・・」
次に出すべき言葉が見つからない。そのまま黙りこくってしまった。
- 768 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 23:08:34 ID:sKvIGoj60
- >>767
「へぇ、じゃあ今は何歳なんだって事は聞かないでおくか。」
「ま、確かにな。」
「原因不明ね、…なにか思いつめていたりしたことでもあったんじゃないか?」
- 769 :琴音:2012/05/07(月) 23:14:56 ID:IrsgDsYs0
- >>768
「まだ22ですよう。」
がばっと顔を上げる。単純な性格だ。
「おもいつめてたこと・・・んーと・・・極度の緊張?」
これが答えではなさそうなのは薄々分かる。しかし、これをおいて他には思いつかない。
- 770 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 23:18:01 ID:sKvIGoj60
- >>769
「ふむ、ま、俺よか全然年取ってるからマシだろ。
ってか22だとぉ!?」
酷く驚いたような顔をする。
「緊張…、能力自体はいつから?」
- 771 :琴音:2012/05/07(月) 23:24:51 ID:IrsgDsYs0
- >>770
何故驚かれたかについては、驚いた理由が分からないのでそのまま流す。
「いつからかは分かりません。あのときに初めて気がつきました。」
>>770を医者だと思っているようで、真剣に答える。
- 772 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 23:29:19 ID:sKvIGoj60
- >>771
「なるほど、…能力の発動する時は基本的に歌うことですか?」
推理するには情報が足りないと思ってもう少し聞く。
- 773 :琴音:2012/05/07(月) 23:31:59 ID:IrsgDsYs0
- >>772
「はい。ですが、楽器の演奏でも同じことが起きました。」
眼差しは真剣だ。
- 774 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 23:34:48 ID:sKvIGoj60
- >>773
「なるほど、…、まぁ考えられるものとしては、
その時に能力が開花してなんらかの暴走くらいですが
あなたはその能力をどんな能力だと思っていますか?」
- 775 :琴音:2012/05/07(月) 23:39:17 ID:IrsgDsYs0
- >>774
「科学的法則をことごとく無視していたり、魔法陣が出てきたりするので、魔法・・・だと思います。」
少し詰まったのは、魔法とはどういうものかほとんど知らないからだ。定義が分からない。
- 776 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/07(月) 23:49:32 ID:sKvIGoj60
- >>775
「魔法…。」
此処でいったん死んで魔力の有無を見ようかと考えたが辞める。
「なら魔法使い関連の誰かに接触した方が良いだろう。
この町にゃ魔法使いかぞろぞろいるからな。
けっこう速めに見つかるかも知れんが、俺の推測を言わせてもらうと。」
一旦切って言う。
「アンタ、なにかその時嫌なことでもあった、もしくは
なにか、他の誰かがそうさせたんじゃないか?」
- 777 :琴音:2012/05/08(火) 00:01:50 ID:IrsgDsYs0
- >>776
「なるほど、嫌なことが引き金になっての暴走ですか・・・。」
腕組みして考える。
しかし、何も心当たりがない。
「ここにいる魔法使いの誰かに会えば良いんですね。はい、ありがとうございます。」
顔が明るくなる。ハープを持って立ち上がり、一礼をする。
「きょうはどうもありがとうございました。また会った時、歌を聴かせてくださいね。」
鼻歌を歌いながら、空中を歩き始めた。
//眠いのでここまでです。駄文失礼しました。
- 778 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/08(火) 00:09:32 ID:sKvIGoj60
- >>777
「あぁ、案外自分で知らない内に溜めこむもんだ。」
「いえいえ、どういたしまして。」
「あ、あぁ。」
少し顔を曇らせる。
「じゃあな。」
//お疲れさまでした。
- 779 :アイリス:2012/05/09(水) 21:53:35 ID:do5XJmGE0
- 【一夜城 私室】
アイリスは私室の漆黒のデスクに向かい合い、羽ペンを動かしていた。
様々な書類が積み上げられたデスク、紙を走る羽ペン。
サラサラと机上を走るペンの速度は中々のもので。
小一時間もすれば、元々積まれていた書類の半分ほどが消化されていた。
「さて…、こんなものかな。これを本国へ。
姉様と会えば、少し話したいと伝えていてくれるかな?」
『畏まりました。』
火急の『仕事』を済ませたアイリスは私室の観音開きの窓を開け放ち、風にあたる。
「(さて、そろそろロザリアから連絡が来てもおかしくはない頃合い、か)」
メイドにワインを頼み、夜風にあたりながらグラスを傾ける。
- 780 :名も無き異能都市住民:2012/05/09(水) 22:55:54 ID:SSMHlh/20
- >>予備スレ34
鏡華が座っている通りには似つかない、
黒塗りの高級車――1959年型のリンカーン・コンチネンタルMk4が
なにやらふらふらと蛇行しながら、通りに入ってくる。
どうにも、片方のタイヤの調子がおかしいらしく
よくよく見ると、それにはどういうわけか角材か何かが突き刺さっていた。
「まいったなこりゃ……。」
コンチネンタルはちょうど鏡華のベンチの近くに停まり、
運転席から運転手らしき男が現れると、それをみて困ったように頭をかいていた。
- 781 :神無 鏡華:2012/05/09(水) 23:03:44 ID:dL8H4NjE0
- >>780
「……ん」
車のエンジン音に気がつき、顔をそちらに向ける。
一目で高級車だと分かる黒塗りの車。
親切に振る舞って助ければお礼の一つでももらえそうだ、と鏡華のセンサーが反応する。
「お困りなら助けてあげようかい?」
優しそうな笑みを浮かべて男に近づく。
もちろん、鎌はすでにネックレスの状態に戻している。
外見はただの少し派手な格好を着た少女だ。
- 782 :名も無き異能都市住民:2012/05/09(水) 23:10:07 ID:SSMHlh/20
- >>781
「おや、すまんねえ。助けてくれないか。こいつは俺一人じゃどうにもならん。
どうにも、ついさっき路地裏を抜けた時、悪タレどもにやられたらしい。」
一人の力では突き刺さった角材を抜く事ができなかったようで、
額に浮いた汗を襟で拭う運転手。角材は相当深く刺さっており、
恐らく異能かなにかの力で突っ込まれたのだろう。
「さっさと直さないと、『ワンダラー卿』がお怒りになっちまう。」
再び、角材を掴み力を込めるが……。
- 783 :神無 鏡華:2012/05/09(水) 23:17:24 ID:dL8H4NjE0
- >>782
「なに、抜けないなら抜かずに消してしまえばいいだけさ」
直後、鏡華の足元に小さな魔法陣が一つ、浮かび上がる。
その効果は物質隔絶魔法。特定の対象を一時的に別の空間に送る魔法だ。
鏡華は角材に軽くふれる。
すると、角材は淡い光と共にどこかへ消え去った。
「ざっとこんなものだよ」
大して動いてもないのに、手をパンパンと払う。
- 784 :ギルバート"ワンダラー"マッケンジー卿:2012/05/09(水) 23:35:53 ID:SSMHlh/20
-
――カコッ
角材が消え去り、コンチネンタルの車体が軽く傾く。
『おおっ、いやあ助かるよ。
俺も魔術の一つでも習ってみ――。』
「ようやく終わったのかねアルフォンソ。
些か手間どったようだが、君に何のために給料を与えていると思っているのか。」
男の感謝の言葉を遮るように、車内から声が響いた。
「……で、だ、そちらのお嬢さんは一体?
アルフォンソ。君は彼女のドレスの仕立てでも手伝っていたのかね。」
『い、いえ……だんなさま。
彼女に手助けをしていただいたのです……。はい……。』
完璧に仕立てられたクリーム色のスーツと白い肩掛け、セットされた白髪交じりの頭髪。
声と共に、車の後部座席から姿を現した初老の紳士は不機嫌そうに顔を歪め
鏡華を見据えた。
もし新聞などに目を通しているなら、目の前の老紳士が
著名な投資家・慈善活動家として有名なギルバート・マッケンジーと言う人物であることが
分かるかもしれない。
- 785 :神無 鏡華:2012/05/09(水) 23:51:54 ID:dL8H4NjE0
- >>784
(おーおー怖いねえ)
「……」
心の中で思っていることはおくびにも出さず、二人の会話を聞く。
おそらく老紳士がアルフォンソの言っていた『ワンダラー卿』とやらなのだろう。
じっと見据えられても、鏡華に動じる様子はない。
内心、誰だこのじいさんと軽くバカにしてさえいる。
「そちらのアルフォンソさん、でしたか。彼が困っているようでしたので」
「迷惑かとは思いましたが、少し手伝わせていただきました」
優しげな笑みで、そう言う。
「私の名前は神無 鏡華。失礼ですが名前を伺ってもよろしいでしょうか」
- 786 :ギルバート"ワンダラー"マッケンジー卿:2012/05/10(木) 00:17:49 ID:SSMHlh/20
- >>785
「ギルバート・マッケンジー。
『ワンダラー卿』のほうが市政には通りがいいか。」
目の前の老紳士は名乗りながらも、
宝石が惜しげもなくはめられた指を己の懐に滑り込ませ、
財布から紙幣をいくらか抜き取る。
「お嬢さんには手間をかけた。
手間賃だ。取っておきなさい。」
金額にしておよそ100ドル程度の額だ。
- 787 :神無 鏡華:2012/05/10(木) 00:26:05 ID:dL8H4NjE0
- >>786
「以後お見知りおきを、ワンダラー卿」
紙幣を遠慮することなく受け取り、懐にしまう。
表情には出ないが、鏡華のテンションはかなりあがっている。
「では私はこれで」
最後にもう一度笑みを浮かべ、空間転移の魔法を発動。
「機会があったらまたお会いしましょう、では」
その言葉を残し、転移する。
//軽くですが今日はこれで。
//大して絡めなくてすいませんでした……
- 788 :ギルバート"ワンダラー"マッケンジー卿:2012/05/10(木) 00:34:32 ID:SSMHlh/20
- >>787
「……ああ、ごきげんよう。」
空間転移し、消え去った鏡華。
ソレを見送り不機嫌そうに鼻を鳴らすとふたたび後部座席へと戻る。
「アルフォンソ、車を出せ。」
『は?しかし、タイヤは完全に――。』
「アルフォンソ、私のいう事が聞こえなかったのか。
『車を出せ』といったはずだが。」
『は、はい……。』
男が運転席に乗り込み、アクセルを吹かせる。
すると完全にパンクしていたはずのコンチネンタルは何事も無かったかのように
その場から走り出した……。
- 789 :琴音:2012/05/10(木) 23:35:25 ID:IrsgDsYs0
- 「〜〜〜〜♪」
陽気に鼻歌を歌いつつ、空間に穴をあけていきなり出てきた女性。
明るく落ち着いた服を着ており、黒髪は腰まで伸びている。右肩にバイオリンの入った黒いケースをスリングで提げている。
夜の公園。箱庭につながる装置の前で、
「・・・・・・・・・?」
興味深そうに見つめる。が、この装置が何なのかさっぱり分からないといった感じだ。
- 790 :名も無き異能都市住民:2012/05/10(木) 23:44:27 ID:SSMHlh/20
- >>789
センサーが女性を認識し、自動的に装置が起動する。
宙に投影されたビジョンにはなにやらたくさんの文字や画像が映し出されており
そこに流れる説明文を読む限り、この装置を使うことで誰でも無料で使用できる
多目的仮想空間へとアクセスする事ができる、とのことだ。
操作は直に触れてか、声を認識させて操作すればよいらしい。
- 791 :琴音:2012/05/10(木) 23:51:59 ID:IrsgDsYs0
- >>790
「うぉう、すごい。」
と言う割にはさして驚いているわけでもなさそうだ。
「ん〜、とにかく、指示に従ってみればいいのかな?入った先に、誰かいるのかな?」
ガイダンスに従い、音声で操作を始めた。
- 792 :名も無き異能都市住民:2012/05/11(金) 00:02:08 ID:SSMHlh/20
- >>791
『入った先に、誰かいるのかな?』
その声を認識してか、既に人がおり
なおかつロックの掛かっていない空間が自動的にリストアップされた。
――『観光用・春・山岳地帯』
――『戦闘訓練・指定なし・丘陵』
――『観光用・夏・洋上諸島』
――『アメニティ・室内』
――『戦闘訓練・夜・密林』
このようなリストが次々と表示される。
どれを選んでも良いらしいが……。
- 793 :琴音:2012/05/11(金) 00:07:54 ID:IrsgDsYs0
- >>792
「お、選べるの?わーい!」
形だけ真剣になった顔で、数秒迷う。そして、
「これだ!丘陵っ!見晴らし良さそーだし。」
- 794 :ギルバート”ワンダラー”マッケンジー卿:2012/05/11(金) 00:21:38 ID:SSMHlh/20
- >>793
決定を選択すると視界が暗転、
琴音の体がデータへと再構築され『箱庭』内へと転送される。
その先は、画面に表示されたイメージ映像どおり、
穏やかな風が吹きざあざあと草の揺れる初夏の草原。
時刻は昼に設定されているらしく、周囲は明るく見通しが利く。
「――おや。人が来るとはな。
この時間帯にしては少し珍しい。」
投げかけられるは、年季が感じられる低い声。
そちらに顔を向ければ、クリーム色のスーツに身を包んだ
初老の紳士が不機嫌そうな顔でタバコを吹かしている筈だ。
- 795 :琴音:2012/05/11(金) 00:30:56 ID:IrsgDsYs0
- >>794
「こんにち・・・あれ、こんばん・・・えっと・・・あ、こんにちはー!」
少々距離があるが、よく通る声でぐっだぐだの挨拶をする。
さっきの失態をごまかそうと少し引きつった笑顔のまま、紫煙をくゆらす紳士のもとへ歩いてゆく。
- 796 :ギルバート”ワンダラー”マッケンジー卿:2012/05/11(金) 00:38:26 ID:SSMHlh/20
- >>795
「ああ、こんばんはお嬢さん。
私のプライベートな時間の邪魔をしてくれてどうもありがとう、といったところか。」
都市のニュースや新聞に目を通しているなら、
目の前の老紳士の顔に見覚えがあるかもしれない。
――『ギルバート・マッケンジー。』
投資家、慈善活動家として名の売れている老人。
しかし、その物言いはクリーンなイメージからかけ離れた皮肉に満ちたものであった。
- 797 :琴音:2012/05/11(金) 00:46:36 ID:IrsgDsYs0
- >>796
「あー!あなたは!」
その性格の故だろうか、皮肉には全く気が付かない様子で。
「新聞によく出てる、優しいお金持ち!」
ずびしっ、と効果音が入りそうな勢いで言い切る。
「えーと、誰だっけ?」
が、そこまで覚えていながら、名前が思い出せない様子である。
- 798 :ギルバート”ワンダラー”マッケンジー卿:2012/05/11(金) 00:56:15 ID:SSMHlh/20
- >>797
「さあ?こちらから教えてやる義理はない以上、
君自身の足りん脳で考え給えよ。ま、『優しいお金持ち』でも構わんがね。
本当に優しいかどうかは君の判断にお任せするが。」
老紳士は懐から精巧な金細工が施された
携帯灰皿を取り出し、吸殻を押し当ててそれに捨てる。
皺の刻まれた顔は隠そうともしない不快感に歪み、さらに皺が増えたように見える。
「で、君は何時までここで私のプライベートを邪魔するつもりなのかね。
こちらとしてはこういった数少ない一人の時間をくだらん有象無象のために
潰されたくはないのだよ。」
基本的に公開されている箱庭でよくもそういった台詞が言えた物だが……。
- 799 :琴音:2012/05/11(金) 01:08:04 ID:IrsgDsYs0
- >>798
うわ、すんごい顔。もしかして、ストレスが溜まってるのかな?
そう言葉にはせずに考えた後、芝生に腰をおろす。そしておもむろに歌い始めた。
明らかに常人ではないと思わせる歌唱法。発声器官は一つなのに、数十人の男女が合唱しているような、声量とハーモニー。
ア・カペラの賛美歌が、歌詞の意味よりも音の響きに重きをおいた歌が、その場を満たしてゆく。
- 800 :ギルバート”ワンダラー”マッケンジー卿:2012/05/11(金) 01:24:17 ID:SSMHlh/20
- >>799
「ほう……美しい声だ。だがそれだけ。ただ、美しいだけだ。
優れた声量であることは認めるが、ここで披露して何の意味がある?
聴衆の居ないショーなど1ドルの利益にすらならんのだよ。」
この老人は常に斜に構えた態度で、素直に琴音を賞賛しない。
それどころか、更に皮肉を飛ばしてくる始末。
――ビンッ
老人が指で硬貨を弾き、琴音の足元に飛ばす。
「私はこの辺で失礼させてもらうよ、お嬢さん。
ま、耳を楽しませることは認めよう。とっておくといい。」
――『ギルバート・マッケンジー』さんがログアウトしました。
機械的なアナウンスが響き、老人の姿がデータの飛沫となって掻き消えた。
// ごめんよー。戦闘までいけなかったけどもう寝ちゃう。
// ずっと皮肉言ってただけだったけどおやすー。
- 801 :琴音:2012/05/11(金) 01:32:55 ID:IrsgDsYs0
- >>800
//眠いのはみーとぅ。乙でした。
歌を途中でぶち切るのは少し抵抗があるようで、紳士の言葉に気付いてから歌が終わるのに数秒かかってしまった。
「褒められた、と思って良いのかな?」
ほくほくと硬貨を拾い、価値のよく分からないそれをまじまじと見ながら、
「ふぃ〜」
仰向けになり、芝生の上で微睡んだ。
- 802 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/11(金) 21:57:30 ID:lM7noV9o0
- 雑談スレの>>342
そんな所にあるごみ置き場に二りの男が。
「言えッ!、二月二日、『 』という女を殺したのは貴様だな!?」
大きな怒声が響き渡る、だが、どうやらあまり人がいないのが幸運か
誰も来ない。
そして問い詰める男に対して、問い詰められている男は、膨れ上がった顔を横に振る。
「嘘を付けぇ!」
そしてそんな男に対し、問い詰める男は右手で持つ鞭を男の顔に向けて振る。
吹き飛ばされかけるがそのまえに鞭で掴みまた問う。
「きぃさぁまだな!!」
しかし相手の男は首を振るばかり。
「チッ!」
鞭で首をギリギリと締め上げ、気絶させる。
「またハズレか。」
その男を蹴飛ばし、気配に気づく。
そして分かるだろう、その鞭が異能の力だと。
- 803 :GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/11(金) 22:14:53 ID:r/0zkQWY0
- >>802
歩む先より喧騒が一つ。
いや、喧騒というよりは一方的な怒声、といったほうが正しいか。
幾つか気配を感じていたうちの一つだ。
このまま進めば、間違いなくその持ち主と遭遇するだろう。
進むか、否か。
(・・・愚問だな。今の私には少しでも多くの経験が必要だ・・・。
取るに足らぬならば狩る。そうでないならば・・・―――)
神父の瞳に狂気の光が宿る。
どの道、勘の働くものならば既にこちらの存在にも気付いているだろう。今更退いても遅い。
歩を進めながら、コキリ・・・と一度首を鳴らして。
(…どちらにせよ狩る事に変わりはない。)
そう、異能を持つものは主の怨敵。神罰をもって無に帰すが定めの存在。
例外は、たった一つ。主への信仰を持つ異能者のみ。
一度目を閉じ、『神父姿に見合った笑顔』を作る。 ・・・進んだ先はゴミ置き場だった。
まず目に入ったのは、ぐったりとした男をもう一人の男が蹴りつける光景。
「・・・そこの方。その者はもう戦意などないようだ。そこまでにしてはいかがです。」
聖職者らしく諭すように、立っている男へと声をかけた。
- 804 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/11(金) 22:19:44 ID:lM7noV9o0
- >>803
異常者、この状況で笑いながら近付くなどそうとしか思えない。
もしくは仮面を被っているとしか。
「…、神父さん、言われなくとももうコイツに用はねぇよ。」
素っ気なく言う。
「でもな、コイツはやらかしちゃいけないことをしたんだ。
俺にとって『男』が絶対にしてはいけないことをな。」
- 805 :GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/11(金) 22:28:53 ID:r/0zkQWY0
- >>804
「それは差し出がましいことを。
どちらにせよ、その者には手当てが必要・・・用がないならば介抱させていただきますよ?」
そっけない返事に、申し訳ない、と一つ頭を垂れて。返事は聞かずに倒れた男へと近づいていく。
「何かあなたの芯に触れるような真似をした、と。・・・参考までにお聞かせ願いましょうか?」
倒れた男のすぐ隣までくるとしゃがみこみ、手早く傷の具合を診ながら問いを返す。
- 806 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/11(金) 22:34:16 ID:lM7noV9o0
- >>805
「治療する必要なんかない。
ポリ共に売るからな。」
目に氷の様な冷たさを宿して言う。
「その男はな、いわゆる『婦人暴行』をやらかした。
無論、『性』の暴力を含めてな。」
指を差し、震えながら言う。
「そしてその手口で何人もの女性を襲った!
こんなやつを野放しにしていくわけにはいかん!」
指を差した手を握り、震わせながら言う。
「それが、『アイツ』から『貰ったこの能力』の使い道だと思っているからな!」
- 807 :GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/11(金) 22:52:05 ID:r/0zkQWY0
- >>806
倒れている男を痛めつけても尚止まぬ、立っている男の怒り交じりの声を聞きながら
一通り、傷の具合を診終えた。
放っておいても死ぬ程の傷ではない。
「成る程、力あるものが弱きものより略奪する行為は、主の御心より外れてはおりますね。
天に召されるほど重い傷でもない。痛みをもって悔い改めて頂く事にしましょう・・・。」
ならば放置で構わないだろう。
応急手当でもして見せて相手の怒りを煽れば、事はより簡単に運びそうではあるが。
そんなことをしなくても十分に相手は怒り覚めやらぬ様子。
顔をあげ、立ち上がり。立っている男の方へ視線を向ける。
「・・・何か『人ならざる力』でも持っているような口ぶりですね・・・。
唐突におかしなことを聞きますが・・・貴方も、『主への信仰』をお持ちなのですか?」
張り付いた笑みは浮かべたまま。値踏みでもするかのように、その目だけが細められる。
- 808 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/11(金) 22:59:00 ID:lM7noV9o0
- >>807
「…、神父さん、アンタ名前は?」
なんとなく気になったから聞く。
「ハッ、この状況で笑いながら来るやつなんかが、『普通の人間』の筈がないからな。
言っても良いか。」
被っていたハットを少し深く被る。
「いや、その『主』を俺は守れなかった。
だからせめてもの罪滅ぼし、いや、俺のこの罪は永遠に消えないな。」
フッ、と皮肉に笑う。
「信仰か、…毎日、何時もその『主』の事を想っているよ。」
- 809 :GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/11(金) 23:19:07 ID:r/0zkQWY0
- >>808
「・・・・・・・・・・・・。」
軽く鼻を鳴らして、無言。
帽子を被り直す様を眺めながら、言葉が終わるのを待つ。
まだ指摘された笑顔は崩れていない。
「どうやら聞き方が悪かったようだ。私の言う『主』とは、天にまします父の事ですよ・・・。
ですが、まぁ・・・確認は取れた。貴様は異端なる者だとな。」
言葉の途中で、唐突に。笑みの質が狂気をはらんだものへと変質した。
「貴様の信仰の向く先は我らが主ではなく、親か兄弟・・・もしくは恩人、想い人といったところか?
まぁ、どうでもいい。神の信徒でない以上、必滅の対象だ。」
男の放つ気は、既に殺気と呼ぶのがふさわしい。両の瞳を狂気で爛々と光らせて。
早口気味に言葉をまくし立てながら、背負った十字架を降ろす。
両手で掴むと、長柄斧のように一つ ブン! と振り回して。
「あぁ、そういえば名を問うていたな。いいだろう、主は許し給う。
・・・総てをお許しになられる主に代わりて、異端を断罪する者・・・。我が洗礼名はスリージー!!
異端の者よ、神の名の下に・・・貴様を無へと誘ってやる!!」
名乗りを上げながら、
両手で構えた巨大十字架の先を帽子の男へ向ける。
- 810 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/11(金) 23:24:41 ID:lM7noV9o0
- >>809
「ようやく仮面をはがしたな、エセ神父!」
瞬時に鞭を取り出し、体を紅いローブに纏う。
「お前が言うのは神の事だろうが、神なんて存在しないね。」
言いきる。
「スリージー、なるほど、ならば俺も名乗らればならんな。」
スゥ、と息を大きく吸う。
「俺の名は、早見川 健治!、最近事務所が崩れて今現在何処に事務所を置くか考えている
私立探偵だ!」
名乗りを上げながら、右手でスリージーを指さして叫ぶ。
- 811 :GGG ◆e2j0eOPzvk:2012/05/11(金) 23:36:40 ID:r/0zkQWY0
- >>810
「エセ神父・・・?今こうして貴様と対峙する私はッ!
まごう事なき神の信徒だァッ!!言葉には気をつけろ下郎がッッ!!!!」
こちらを指差し名乗る男に向けていた十字の先をゆらりと持ち上げる。
「クククフヒャハハハ・・・神を否定するか・・・ならば貴様には祈りの時間は必要ないな!」
ずざり・・・。片足を前に滑らせて。踏み込みの為の“溜め”を作り――――
「いぃいぃいいいいいいだろう探偵風情ッッ――――
―――望み通り、すぐ無へと還してやろォオオオオオッッ!!!!」
―――この言葉が合図。巨大な十字架を振り上げながら目標へと賭けだす!
間合いを詰めながら、紅いローブの探偵を叩き潰さんと! その質量を振り降ろす!!!!
/と、いういいところですみません。
/大変申し訳ないのですが、急用の為、20分程席を外させてください。
- 812 :早見川 健治 ◆5s2/gBPZGA:2012/05/11(金) 23:42:59 ID:nPIAQl.s0
- >>811
「ハッ、ならばアンタはその神に合ったことがあるのかい?
答えは否だろう!、神なんぞこの世に存在する筈がない!」
と、言うと指さしていた右手を降ろす。
「祈りなんぞ必要ないな!、そんな物に頼るのは弱者のやることだ!」
スリージーを笑いながら言う。
「ケッ。」
すぐさま真上の建物に刺さっている鉄パイプに向けて鞭を放ち巻きつける。
「ホッ!」
そのまま壁を蹴り、飛び上がりパイプの上に上る。
「ヘイヘイどうしたエセ神父、そんなんじゃあおめぇの信じている神様にも笑われちまうなぁ。
ま、お前の信じている神なんぞその程度か。」
挑発する。
- 813 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/16(水) 23:06:22 ID:mbXTFaJQ0
- ――――AGカフェ
「どーしてなのよ!!」
怒りの余りテーブルを叩く。
バン。という音と共にテーブルに乗っていたリバーシのチップが跳ねる。
幾つかは高く撃ち上がり、空で裏返り黒を示す物もあれば、床に落ちてしまう物もあった。
しかし、それらを気にすることなく少女は隣の座席に置いていた大きなバッグからバットを取り出すと怒りの余り乱雑に振り回し始めた。
「なんでなのよ!! 私の不戦勝ってことでいいの!?
でも勝負をしなきゃ意味が無いじゃない!!」
真っ赤なフラミンゴの書かれたお気に入りのバットを振り回す。
野球の様な打法から、ゴルフの様なスイング、終いにはテニスの素振りを真似てみる。
一発一発にかなりの怨念が篭って居る事が彼女の掛け声から伝わる……。
- 814 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/16(水) 23:12:59 ID:HnkBBDEo0
- >>813
「待てやゴルァー!!」
テーブルの上にはリバーシの他にも砂糖壷や紙ナプキンが置いてある。
店主のクロスはヘッドスライディングと共に、それらが落ちる前にキャッチ。
そして額に青筋を浮かべながら立ち上がる。
「店ん中で暴れんなァー!! ちょ! ちょ!
なにバット振り回してんの!? ホントやめ、おい! やめて下さいお願いします!!」
- 815 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/16(水) 23:26:50 ID:mbXTFaJQ0
- >>814
クロスの怒号が響くも、止まる様子は無く暴れ続ける。
暫くすると疲れたのか一旦バットを振るのを止め、其方を向き。
「私は悪くないわ!」
この言葉である。
臍の少し上辺りを交点に縦と横の線で分けられ、
左腕と右脚は白く、その逆は真っ赤と言う独創的なドレスを身に着けた少女。
純白に分けられたエリアの中央。左胸の当たりとスカートの右側にはこれまた真っ赤なハートがプリントされている。
「ちょっと疲れたわ……何か飲み物を頂戴。それと真っ赤なイチゴも」
ふぅ。と息を付き席に座るとふんぞり返る。
リバーシのチップを適当に集めるとバットと共に乱雑に仕舞い込んだ。
- 816 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/16(水) 23:30:56 ID:HnkBBDEo0
- >>815
「お前の善悪はどうでもいい! 暴れるのを……もういいや」
相手がバットを仕舞ったので、クロスも溜息と共にカウンターの中へと入る。
「イチゴなんてあったかな……」
などと言いつつ冷蔵庫からポットを取り出し、そこからグラスに紅茶を注ぐ。
「何かムカつくことでもあったのか?」
先にアイスティーをアリスの前に差し出しつつ、クロスは聞いた。
- 817 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/16(水) 23:42:33 ID:mbXTFaJQ0
- >>816
「当たり前よ!」
相当喉が渇いていたのだろうか。
出された紅茶をすぐさま手に取り、一気に飲み干す。
カツンと、少し強めの音を立ててカップを元の位置に置く。
「手紙も送って、昨日にはちゃんと電話もして留守電にも入れたのよ!
今日こそはと思って意気込んでこんなにも準備したのに来ないとなんにもならないじゃない!」
少女が持つには聊か大きすぎる様にも見えるボストンバッグ。
最早当たり前とでも言うようにハートのプリントされているそれの中に手を入れ、中身を次々と取り出す。
白い石の代わりに赤い物が用意された碁や将棋。テニスラケットや野球版、さらには人生ゲームまでもが広げられていく……。
- 818 :黒沢小百合:2012/05/16(水) 23:46:17 ID:SSMHlh/20
- >>816-817
――からんころん
ドア備え付けの呼び鈴が楽しげに歌い、
新たな客の到来を、皆に知らせる。
「およそ、5……いや、6ヶ月ぶり、ですか……。
コーヒーの匂い、懐かしい。」
きちんと仕立てられた黒のスーツ、
艶やかな光沢のある、長い黒髪。切れ長の鋭い瞳。
一時期は死亡説さえささやかれていた、黒沢小百合その人であった。
- 819 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/16(水) 23:47:25 ID:HnkBBDEo0
- >>817
「おいおい落ち着け。話が見えねーよ。
要約すると……友達と遊びに行こうと連絡を送ったが、遊べなかったってことでいいのか?」
冷蔵庫からイチゴを取り出し、よく洗ってヘタを取る。
「いや、お前が怒るのも分かるが……ちょっと待て、そのバッグの中どうなってんの!?
いくつのゲーム入ってんだよ!! 四次元ポケットか!!」
更に盛り合わせられたイチゴをアリスの前に置きつつ、クロスは思わずツッコミを入れた。
「ええと……紅茶のおかわり、いるか?」
- 820 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/16(水) 23:50:28 ID:HnkBBDEo0
- >>818
「あ、てめぇーッ!!」
その姿を見るや否や、クロスは叫び声を上げる。
「なに勝手に俺を相続者に選んでんだよ! ビックリしたぞ!
全部送り返したかんな! あとコレ! 明細書!!
後はそっちで勝手に処理しといてくれよ!? ったく」
開口一番、一気に自分の不満と必要事項をまくし立てる。
そして、後ろに振り向き背を見せつつ、
「で、注文は?」
いつものように、なるべくいつものように、静かに言った。
- 821 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/16(水) 23:54:04 ID:mbXTFaJQ0
- >>819
「遊びじゃないわ!」
フラミンゴの描かれたバットを振り上げる。
身長と同程度の長さのバットは木製の様だ。
「決闘よ!」
因みに、顔は本気である。
「当たり前よ! 決闘の為に準備してきたのよ!
あの子のニーズの答える為に折角一杯持ってきたのに……」
ぶーっ。と頬を膨らませて、今何処に居るかもわからない決闘相手に悪態をつく。
紅茶のカップを眺め、中に何も入っていない事を再度確認し、
「お願いするわ」
カップを差出、変わりにイチゴを一粒頬張る。
大好物らしく、満面の笑みを浮かべている。
- 822 :黒沢小百合:2012/05/17(木) 00:03:01 ID:SSMHlh/20
- >>820
「勝手とは失礼な。数少ない友、と文面には書いておいたでしょうに。
その様子では結局金に手をつけなかったと見える。」
小百合はまったく変わらない友人の様子に微かに笑みを浮かべ、
何時もの指定席であったカウンターの端の席へとつく。
「そうですね……。入院中、は点滴ばかりだったそうですから。
何か食べ物を。サンドイッチと……コーヒー、アメリカンでお願いします。」
その笑みは慣れぬ気を使うクロスの様子に、苦笑へと変わり。
少しからかってやろうかなどとも考えたが、その好意がうれしく。
至極いつものように注文を返すことにした。
- 823 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/17(木) 00:05:20 ID:HnkBBDEo0
- >>821
「決闘ぉ!? ……それらの道具がぁ!?」
いささか信じられないようである。
「え、なに? そのボードゲームやスポーツ遊戯に使われるようなブツが決闘に使われるってのは、
やっぱりお前の能力に起因したが故なの? それとも本気で言ってんの?」
そう言いつつも、クロスはグラスに紅茶を注いだ。
>>822
「おう」
そう言ってお湯を沸かし、砕いたコーヒー豆をフィルターに入れる。
「で、久々のお目覚めなワケだが、仕事とか溜まってんじゃねーの?
お前、失踪したりブッ倒れたりする前は結構大きな仕事任されてたらしいけど、
それって今は大丈夫なのか?」
- 824 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/17(木) 00:18:46 ID:mbXTFaJQ0
- >>823
「本気よホンキ。マジなんだから」
それらを今度は一つずつ直していく。
リバーシや碁もそう。全てついになる物は『赤と黒』で揃えられていた。
最後に一つ。トランプだけがテーブルの上に残る。
- 825 :黒沢小百合:2012/05/17(木) 00:22:15 ID:SSMHlh/20
- >>823
「ええ、ここしばらくは少し骨が折れるでしょう。
私が眠っていた間の都市の情勢も変化している事でしょうから。
そういったものにも目を通さないと。」
席に付いた小百合は、AGカフェのラックに置いてある
新聞、少し古い週刊誌を手に取るとパラパラと適当に捲り、
興味深い記事があるごとに、簡単なメモを取っている。
「ああ、サンドイッチはズッキーニをトッピングで。」
- 826 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/17(木) 00:29:43 ID:HnkBBDEo0
- >>824
「ふーん、これで決闘ねぇ……」
最後に残ったトランプに手を伸ばす。
「このトランプなんて、一番決闘に不向きなんじゃないか?
だったらさっきのバットの方がだいぶ使えると思うぜ」
>>825
「えー、ちょっと待てよー。ズッキーニなんてあったかー?
キュウリじゃ……駄目だよなー」
などと言いつつ冷蔵庫の中から、炒めてある刻みズッキーニを発見。
耳を切り落とした食パンにズッキーニに鶏肉、レタス、トマトなどを挟んでつつみ、
それを切って、コーヒーと一緒に小百合の前に出した。
「都市の情勢、か。そういえば怪人騒ぎは一応収束を向かえた……のかな?
この前、なんかラスボスっぽいのを倒した気がするぜ。
俺が確認したわけじゃないんで、ソースはそっちで探してくれ。
後は人外狩りの集団がいきなり現れたってことぐらいかなー」
- 827 :黒沢小百合:2012/05/17(木) 00:41:44 ID:SSMHlh/20
- >>824 >>826
「たかがトランプといえど、異能と工夫次第で
凶器になるというのはクロス、貴方ならよくわかっているのでは?
私も、トランプやダーツ、ダイスといった物を投げつけて爆発させる
能力者を見た事がある。」
クロスとアリスの会話を聞いていたのか、
小百合はトランプを眺めるクロスに、声を掛ける。
「ふむ……私の保護観察下にあったテルメスと言う怪人が戦死したという事は聞いています。
その『ラスボス』とやらを倒した故に力が消え、私も目覚める事ができましたし、収束と見てよいのでは?
人外狩り……そちらもまた厄介な。麻薬関連の事件も山積みだというのに……。」
小百合は、サンドイッチにちょいちょいと胡椒を掛け、
そのまま口をつけずコーヒーを待つ。
- 828 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/17(木) 00:41:52 ID:mbXTFaJQ0
- >>826
「これが一番なのよ」
トランプは一般に市販されている紙製の物だ。
既に開封されており、中を見ればジョーカーだけが抜かれていることが解るだろう。
「赤と黒の女王同士の対決にはね」
よくよく見れば、少女の頭上には王冠。その頂には大きな赤い宝石が乗っていた。
同じく真っ赤なイチゴをフォークで付き差し、また頬張る。
しげしげと残りのイチゴを眺めながら美味しそうな表情を浮かべた後、飲み込み。
「ミルクは無いのかしら? あまーいミルクをイチゴにかけるのが好きなのよ」
- 829 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2012/05/17(木) 00:50:05 ID:HnkBBDEo0
- >>827
「ぐぬっ、言われてみりゃそうか」
シゲシゲとトランプを見つつ、少し感心。
「そういえば麻薬が出回ってる話ってのもあるんだっけ。
誰が何をキメるかなんて自由だけど、せめて流通量は抑えて欲しいね。
ああいうのは、大々的に公然と出回るようになったら終わりだ」
>>828
「あまりミルク? あー、練乳ならあったっけな。それでいいか?」
アリスの前に練乳の入った小瓶を置いてやる。
「ま、女王同士の対決なんて男の俺には縁のないコトだけどさ。
『ゲーム』の道具を使うのに、血みどろの戦いを繰り広げるとは、なんとも言えんな」
そういうとクロスは席を立ち上がり、エプロンを脱ぐ。
「っと、俺はそろそろ寝るぜー。二人とも、代金は、カウンターの上にでも置いておけばいいからさ。
じゃ、おやすみなー」
そういうと、「STAFF ONLY」と書かれたドアの向こうへと行ってしまった。
- 830 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/17(木) 00:58:49 ID:mbXTFaJQ0
- >>827
「貴方、中々面白いわね」
上下左右。真正面から見ると四分割されたドレスを着ている。
其方から見て左上と右下は赤。逆は真っ白に染め上げられている。
頭上の大冠とその宝石と言い、白の区画の中央の真っ赤なハートと言い、宛らトランプのQの様。
「今日は貴方にとって最高の夢がみられるわ」
赤々丸々と実ったイチゴの突き刺さったフォークを其方に向ける。
少女らしい物と言えども意地の悪い笑みを浮かべていた。
>>829
「有難う」
練乳の小瓶を受け取ると、イチゴの上にたっぷりかける。
これ程ないまでにたっぷりと。相当の甘党なのだろう。
「何を言ってるのかしら。
ゲームならゲームで良いじゃない。血なんて汚いだけよ?」
紅茶を片手にしつつ、小ばかにした表情でクロスを眺めていた。
確か去年は『砲丸投げ』で競った筈。などと思い出しながら。
- 831 :黒沢小百合:2012/05/17(木) 01:07:48 ID:SSMHlh/20
- >>829
「そのために私が居るのですよ。
この私の目が黒いうちは、そう簡単にバランスなど崩させません。」
コーヒーに口を付け、立ち去るクロスを静かに見送る。
>>830
「お褒めいただきありがとうございます。
……最高の夢、ですか。期待しておきましょう。」
ごくごく表面的なやりとりで、無難に対応したという風だ。
どうにも、アリスがどういう人物か見極めようとしているように思える。
- 832 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/17(木) 01:20:17 ID:mbXTFaJQ0
- >>831
「そうだわ。
貴方は悪夢と普通の夢、どちらが好みかしら?」
目をわずかに細め、同じく見極めようとして居るかの瞳。
小百合の意図を察したのではなく、単に悪夢が好きか否かを聞いているかに過ぎない。
- 833 :黒沢小百合:2012/05/17(木) 01:26:51 ID:SSMHlh/20
- >>832
「さあ、ここ最近夢を見ていないもので。
とはいえ、悪夢よりは普通の夢、普通の夢よりは吉夢を見たいという物で。」
縁起が悪い物よりは、縁起が良いものを。
小百合は縁起を気にするほうではないが、良いに越した事はない。
これは誰に限らず、いえることであろう。
「私も本日はこの辺で失礼しましょう。
貴方の言う『最高の夢』が見られるよう、祈りながらね。」
小百合は食事を終えると、カウンターを立ち
レジに代金より少し多めのチップ込みの金額を投げ込み。
「それでは、御機嫌よう。」
ゆっくりとした足取りで、AGカフェを後にした。
// そろそろ眠気が……。
// 根落ちする前にお休みしますー。
- 834 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/17(木) 01:42:23 ID:mbXTFaJQ0
- >>833
「任せなさい。
夢の女王に不可能は無いわ」
無い胸をトンと叩き、さらに張る。
本職は悪夢の女王。好きな物も悪夢なおだが、気まぐれもある。
小百合を見送って程なく、自らもイチゴを食べ終える。
紅茶二杯とイチゴ一盛り。それの値段が幾らかわからないので取り敢えず渡された分だけをすべて置いてきた。
「明日は出るまで電話を鳴らして引っ張り出してやるんだから!」
そう意気込むとボストンバッグを重そうに抱え、歩いて出て行った。
//お疲れ様ですよー!
- 835 :アイリス:2012/05/17(木) 22:50:35 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
普段通り、アイリスは来店した。
来店を知らせるベルが鳴り終わる頃には、いつものカウンターに腰掛けて。
だが今日はアイリスは童女と手を繋いでやってきて、席に着くなり、童女を膝の上に座らせて。
「さて、先日はクロスが留守だったけれど、今日はいるかな?ね、アル」
分からない、とばかりにアイリスの膝の上に座った童女はにこーっとアイリスに笑いかけて。
その童女を見るアイリスの瞳は非常に穏やかなもの。
「アル、このお店のお兄ちゃんが来るまで良い子にしておこうね」
『わかったー』
またしても、アイリスに笑いかける童女の頭を撫でて。
手に伝わる感触は、柔らかく。
「クロスが居なければ、出直そうか」
童女の耳には入る程度の小さな声。
その声に童女は反応すること無く、店内をキョロキョロと眺めており。
- 836 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/17(木) 23:05:26 ID:SSMHlh/20
- >>835
「あら、どうやら私はお呼びではないようねえ。」
少し、おどけたような声がアイリスの背後から投げかけられる。
突如、出現する生物の気配。この感じは――。
「とりあえず、AGカフェに貴方の気配がしたから
『跳んで』来たのだけれど。」
何もない空間に水面のように波紋が走ると、
そこから、一人の少女が現れる。やはり、ロザリアだ。
- 837 :アイリス:2012/05/17(木) 23:14:06 ID:do5XJmGE0
- >>836
「ロザリア、いや、ロザリーでいいか。
丁度いい、君にも話を聞きたかったところだ。勿論、君にも、といった方がいいかな。」
アイリスが知りたかったのは例の領主の件。
そして最近頻繁するようになった人外狩りが表に出てきた件もだ。
童女はアイリスの肩越しにロザリアを1秒も満たぬ間、見つめて、にこーっと笑いかけた。
童女特有の屈託のない、純粋な笑みだ。
「まずは君の意見を聞きたい。ロザリー。
君は最近の都市の情勢をどう読む?」
とうとう表に出てきた人外狩りの組織。
ちょうど隣の席のカウンターの上には人外狩りの紙面が開かれた新聞が置かれていた。
- 838 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/17(木) 23:34:20 ID:SSMHlh/20
- >>837
ロザリアは、童女に対してにこりと微笑むと
そっと指を鳴らす。すると、どこからともなくスコーンと紅茶が現れ、
ことりと静かな音を立てた。
「情勢……私としては、特に大きく『ズレてる』とは思えないわねえ。
ここは様々な次元やら世界から人、物、技術、富が流れ込んでくる場所。
ああいう、『はみだし者』や根っからの『悪人』が引き起こす事件は珍しくない。」
そう、ロザリアが言ったとおり無数の人々が暮らすこの都市には、
相対的に悪人の数も多いし、他世界から来た者たちの中には元居た世界と
あまりにも生活様式、レベルが違うために溶け込む事ができず
貧困に苦しみ、結果犯罪に手を染める物も居る。
「しかし、何か妙な感じもする。
他の世界から渡ってきた組織、にしてはあまりにも襲撃の目標が組織的過ぎるし
襲撃後に姿をくらます逃走経路の確保もうまい。しかし、都市にもともといた過激派が
装備を集めて旗揚げした、にしては……『予兆』がなさすぎるのよねえ。」
そう、あの新たな退魔組織は新興にしては装備が整いすぎている。
あれほど整った装備・人員を集めているなら、どこかで人外や既存の退魔組織、治安組織の情報網に
引っかかるはずであるのだ。しかし、この『闇祓騎士団』にはそれがなかった。
- 839 :アイリス:2012/05/18(金) 00:02:40 ID:do5XJmGE0
- >>838
童女はきゃっきゃとアイリスの膝の上で手足をバタバタとさせる。
アイリスがアル、と声を掛けても手足をバタバタさせたまま。歳は2つか3つ程度だろう。
「なるほどね。少し、きな臭いね。
ロザリーの話も織り込んで考えてみれば、既存の組織を乗っ取った可能性も考えられるか、な。
新たに立ち上げるより、既存の組織を乗っ取ったほうが、何かと行動は少なくて済むだろう。
僕が知るかぎりの裏には、存在しないね。新たな組織の立ち上げにも、それなりに情報が出まわるはずだからね。」
アイリスは童女の頭を撫でる。手には幼児特有の柔らかくサラサラとした髪の感触。
その感触を楽しむように、手櫛で髪を整えてやりながら。
既存の組織を乗っ取ると、ノウハウは手に入り、それに既存の組織の組織体系を流用すれば、ロザリアのいう予兆は見せないことは可能ではないか。
更にその組織が過激派の退魔系、或いはヴァンパイアハンターギルドであれば?
だが、彼等は闇に潜む中、巧妙に、着々と力を付けたのだろうか。
労働局長殺害時に出した犯行声明が、新たな組織としての生まれ変わりだとすれば…?
――小百合に用事が出来た。
「彼等に襲われたのは、人外ばかり。数少ないであろう生き証人である僕、吸血鬼の基準で考えてみよう。
この都市には昔からの吸血鬼が集う場所、言い換えれば集まってもおかしくはないところ。例えば…、血液が飲める場所といった、施設があるのかな?」
アンユージュアル・サスペクツ紙の吸血鬼ら四人の殺害、エリュシオンズ・ナウ紙の労働局長殺害。
この二件で確実に彼等と分かる事件は後者の労働局長殺害事件だ。
この二件は匂うとアイリスの勘が告げていた。
- 840 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/18(金) 00:28:22 ID:SSMHlh/20
- >>839
「たしかに既存の組織を平和的に乗っ取りや併呑すれば、
幾分か目立たず可能かもしれないけれど、それならば退魔系のギルドが必ず察知し
管理下におこうとするはず。
あくまで平和的に乗っ取りができた場合であり、
内乱が起きればそれでおしまい。確実に退魔系ギルドがその組織を管理下に置き、
争いを諌めてしまうだろう。
「んー、もしかしたら退魔ギルドの融和・寛容方針を嫌ったいくつかの組織の過激派が
ギルドに秘密裏に立ち上げた組織というセンも考えられるわね。」
ギルドには過激派もいるが、この都市には人外など最早ありふれた存在である。
それを片っ端から殺して回るなど、もはやナンセンスとしかいい用がない時代であり、
退魔系ギルドもどちらかといえば、古来からの技術の継承と治安維持組織としての役割が
多く求められている。
「ええ、あるわね。あなたの一夜城も含めて、
人外の集まるサロンや寄合所なんかは珍しくないし、血液パックだって、広く流通してるわ。
最悪、どこかの病院で購入する事もできるんじゃないかしら。」
- 841 :アイリス:2012/05/18(金) 00:50:14 ID:do5XJmGE0
- >>840
「退魔の系統はそれだけ他のギルドに敏感なんだね。乗っ取りから始まって、他の組織を大きく呑み始めた、という可能性も捨てがたいね。
巨大な魚が小さな魚を呑み込むように、ね。
意外だ。お互いに干渉せずに、己が目的だけを追求する…、ここで例えるのならば、会社といったようなところだと思っていたからね。
お互いがお互いに支配率を争っているわけ、か。
既存の組織の乗っ取りより、ロザリーの、『秘密裏に立ち上げた組織』と考えるほうが自然かもね。
……、管理下に置こうとするのならば、武闘による併合、統合も可能性が存在するかもしれない。その結果が、彼等。」
彼等の統制は軍隊に近いものを感じた。司令塔を置き、他の面々で一人を囲う。
その手腕は慣れたものであったとアイリスの頭に残っていた。
そういったノウハウは過激派ギルドにこそ眠っているものだろう。対話ではなく、制圧。
そういう行動に慣れているようではあった。更に吸血鬼との戦いにも。
アイリスはロザリアの様子を一瞥。
そこに込められた感情を読み取ろうとするも、うまくは行かず。
仮に治安維持も目的にするにしても、少々やり過ぎ、といった、同業者から何か忠告のようなものが入ったりしないのだろうか。
其れすらも飲み込んだとすれば…?
「なるほどね。そういう意味では一夜城も含まれるわけか。
となると、一夜城意外の場所で彼等は彼等の拠点との行き来のルートを確立していると考えていいだろうね。
それに、内通者の存在も、ね。」
- 842 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/18(金) 01:09:28 ID:SSMHlh/20
- >>841
「それ以外で考えられるのは、どこかの誰かが意図的に、
他世界から『過激派』を呼び寄せた。もしくは、その逆で他世界から来た過激派を
誰かが利用するために、支援しているか……。」
しかし、ロザリアはそこまで考えて
首を振り、ぷうと息を噴きだした。
「しかし、結局ヤツらからどうにか情報を得ない限り推測にしかならないわねえ。
ギルド所属の穏健派組織と一度話をしてみてもいいけれど、過激派を刺激しないようにしなければね。
もっとも、ギルドに所属してるような『まとも』な組織は現段階で過激な行動はとらない、とは思うけれど。」
- 843 :アイリス:2012/05/18(金) 01:23:58 ID:do5XJmGE0
- >>842
「…、その辺りは可能かどうか疑わしいところだね。
誰かが利用する、彼等も利用されている可能性のほうが高いね、きっと。彼等はうまく使えば、この都市の勢力図は大きく変わるだろうね。
穏健派と接触出来るのなら、してほしいね。勿論、クロスと巴も呼んでね。
ロザリーにクロス、巴。この面々が並んだ時を想像すると凄まじいね。きっと穏健派は恐ろしいだろうね。」
ロザリアに習うように、アイリスも溜息を付けば、四人衆を想像していまい、小さく笑みを漏らすアイリス。
「して、ロザリー。君は穏健派のコネはあるのかな?残念ながら僕は無いね。
もしあるのなら、君で話をしてほしい。今は所用が溜まっていてね。同行は出来そうに無い。」
膝の上でいつの間にか大人しくなっていた童女は構って欲しいのかにに、にに、とアイリスを呼ぶ。
搗きたての餅のように、白い肌に赤い瞳の童女がロザリアを見つめていた。
『おねえちゃ、だぁれ?アユはねぇ、アユ!』
とロザリアに向けて、笑みを浮かべて、元気に両手を上げて自らをアピール。
舌っ足らずではあるが、ロザリアに自己紹介らしきものをした。
- 844 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/18(金) 01:33:00 ID:SSMHlh/20
- >>843
「あ、あら……あなたならてっきり、
穏健派とのコネくらいあるのかと思っていたわ……。
うーん、私にもあまりそういうものは……。」
ロザリアは外見こそ貴族だが、
実際にはただの貧乏な一吸血鬼に過ぎなず、
ギルドと接触を試みても、門前払いか無視が御の字。
うまく言っても、当たり障りのない対応をされるのがオチだ。
そのため、アイリスのコネを頼る目的もあったのだが……。
「む、私はロザリア。ロザリィ、と呼んでね。」
子供好きのロザリアはその屈託のない笑みにつられて、自然と笑顔になる。
同時に、ただ『人外である』という理由でこんな笑顔を奪おうとする連中が居ることに
怒りと憤りを感じ、必ずやつらを除かねばならぬ。と決意を新たにするのだった。
- 845 :アイリス:2012/05/18(金) 01:46:39 ID:do5XJmGE0
- >>844
「本来は相成れないものだからね。穏健派から僕に接触することも無ければ、僕からも接触することも無い。
クロスならともかく、巴は無いだろうね。さて、困ったね。
…そうだね、ロザリー、小百合か、キョーコ、かな。
小百合ならコネはあるだろうね。キョーコも意外と知り合いでいるかもしれないね。
今度寄る機会があれば、聞いてみよう。」
アイリスはここに来て間もない。
生来の引き篭もりの性分から敵対こそ少ないものの、知り合いも少ない。
もし、紹介してもらえるのなら、イメルや巴、クロス等表立って協力してくれる人物に同行を頼むつもりだ。
手段として穏健派との連絡は取れないことは無い。
だが、その手段は相手からすれば、懐を探られるような不快感を与えるもの。
アイリスとしては、これから話す相手に悪印象を持たせたくない。
『リョザリー、リョザリー、アユはねぇ、みっつ!』
ロザリィの名を二度つぶやく。相変わらず舌っ足らずではある。
童女はロザリアに向けて、三本の指を立てて見せる。年齢のアピールか。
この童女、時折虚空に向け、唇を動かして、にこーっと笑うなど、子供特有の行動を多々取っている。
- 846 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/18(金) 02:00:58 ID:SSMHlh/20
- >>845
「サユリ……千夜の黒沢小百合?
今回は仕方ないけれど、アレを信頼してはダメよ。
貴方も、様々な報道を知らないわけではないでしょう?」
アイリスが小百合の名を出すと、
ロザリアはなにやら思う事があるらしく、苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
実際、小百合が職務に復帰した翌日など、タブロイド誌はまってましたとばかりに
『暴君の復活』だとか、『虐殺魔が帰ってきた』などと書きたてた物だ。
しかし、彼女ならば確実にコネを持っていることも事実であり……。
「とにかく、アレと話をつける方向で進めてちょうだいな。
私も別方面からあたっては見るけれど、期待はしないで。
……ん、そろそろ私は街の警戒に戻るわ……。」
ロザリアは、カフェの時計を見上げてそれなりの時間がたっていることに気づき、
うんざりした表情を浮かべると、ゆっくりと空中に『式』を書き。
「アユちゃん。ロザリィおねえちゃんはそろそろお暇するわね。
また今度、わたしのお家に遊びにいらっしゃいな。」
最後に、ちゃんと表情を笑顔に戻してアユに言葉を送ると
アイリスに手を振ってから、どこかへと転移していった。
// 今日はそろそろ〆。ありがとうねえ。
- 847 :アイリス:2012/05/18(金) 02:09:42 ID:do5XJmGE0
- >>846
「まあね。だが、誌面だけが真実ではないさ。
…気をつけてね、ロザリー。」
アイリスはロザリアを見送った後、童女を抱っこして席を立つ。
「さ、アル、帰ろうね。」
『ねえた!バイバイー!』
ロザリアが消えていった式に童女は手を振ったあと、虚空に何かをつぶやく。
アイリスが一夜城に転移したあと、僅かな火の粉がカフェ内を舞い、何も燃やすこと無く消えていった
- 848 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/18(金) 22:28:24 ID:7gFzKdaU0
- AGカフェ。
都市の隠れ家の如きその店内を、パタパタとせわしなく動くのは一人の少女だ。
「ありがとうございましたー! ……っととかったずけ、かったずけ」
小柄な身体に似合うウェイトレス制服の裾をひらひらさせて。
皿を片づけ、客に笑顔を振りまいて。時間も有り客が少なくなってきたためアテナも休憩らしい。
カウンターの端っこの席に座り、自分用の紅茶とクッキーを用意して、少々遅めのティータイムだ。
だが、客が来れば直ぐに反応して、笑顔を向けて接客しに行くことだろう。
- 849 :黒沢小百合:2012/05/18(金) 22:40:09 ID:SSMHlh/20
- >>848
「おや。」
聞き覚えがある、不快な猫なで声がカフェの一角に響いた。
「……おや、おや……アテナ、でしたっけね。
貴女は……ふん、まだこの都市に居たのか。
目的を果たしたのなら、さっさと部下を引き連れて元の次元に戻ればよい物を。」
ニタリと、口の端を吊り上げた黒ずくめの不吉な女。
戦傷で戦線離脱し、一説では死亡説まで流れた千夜の都市警備部門主任。
黒沢小百合が、カフェの入り口に立っている。
- 850 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/18(金) 22:48:59 ID:7gFzKdaU0
- >>849
「いらっしゃいませ、黒沢さん」
アテナは、にこりと微笑みを浮かべて頭を下げる。
入り口前に立つ相手は、己のことを露骨に嫌っている相手。
だが、だからといって敵意を見せるわけではない。
「まあ、憎まれ口を叩く前に、中に入ったらどうですか?
ご注文が有れば、お伺いしますし。すいませんけど、今他のバイトさん居ないので」
苦笑を浮かべつつ、相手が中に入ってくると、伝票を持って戻ってくる。
髪は長くなり、双眸の右目の色は青紫色へと変化している。
だが、変化は外見のみではない、という事も分かるだろう。
「はは、私はこっちに残ることにしたので。
……あっちに戻っても、平穏じゃいられませんしね」
なんとも言えない表情で、小さく呟いて。
それで、ご注文は、と問いかける。
- 851 :黒沢小百合:2012/05/18(金) 23:01:26 ID:SSMHlh/20
- >>850
「なら、コナ・エクストラファンシーをお願いしましょうか。」
小百合は、この店の常連であり
クロス不在の際には代わりに商品の仕入れなどを行う事もある。
当然、復帰した際にはAGカフェの現状も頭に入れているのだが……。
「まさか、ご注文があればお伺いする、
とまで言っておいて、出せないという事はありませんよねえ?」
そうした知識を悪用し、現在品切れである商品を
ピンポイントで突いてきたのだ。
「……それはそうでしょう。
お前はこの都市に要らぬ戦乱も持ち込んだ『疫病神』。
元の世界に戻ったところで、何を引き起こすか。」
カウンター席、アテナに最も近い場所に着きいやらしい笑みを浮かべる。
- 852 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/18(金) 23:09:43 ID:7gFzKdaU0
- >>851
「申し訳ございません、現在、コナ・エクストラファンシーは切らしております。
発注をかけている所ではありますが、今直ぐの仕入れは難しいかと思います。
お詫びに、割引と他の商品を提供させて頂きます。
……誠に申し訳ございません、無い袖は触れないのです、他のコーヒーならお出し出来ますが、何かご所望の品はお有りでしょうか?」
アテナは、動揺せず。一瞬息を吸うと、流暢に対応を返した。
きっと、相手はこれに対しても鋭い言葉を向けてくるのだろうが。
「ええ、疫病神ですけど。疫病神だって、平穏に暮らしたいんですよ。
人ならざる者も、人も、異能者も無能力者も集う此処だからこそ、此処にいたいんです。
あなたは、きっとそれを認めてはくれないんでしょうけど、ね」
自分の紅茶とクッキーを奥に運んでいき。
カウンター越しにアテナは、他の作業もしつつ、言葉を返す。
憎らしいほどに、達観した少女だ。
- 853 :黒沢小百合:2012/05/18(金) 23:24:45 ID:SSMHlh/20
- >>852
「フン……使えん小娘ですこと。
コーヒーはもういいですから、モヒートを。」
たとえ、自分が言うように仕向けたのだといえど、
気に入らない相手が自分に対して詫びるのが気持ちいいのか、
小百合の口の端は一層吊りあがる。
「……いいえぇ、認めますとも。 誰だってこの都市に住む権利はあります物ねえ。
居たいなら、勝手に居ればよろしい。ただ、不幸な事故には気をつけるように、と
老婆心ながら、ご忠告差し上げましょう。」
不幸な事故。彼女の関わるところ、何故か不審死が多いのは事実。
そしてそれは、何らかの形で彼女の利益に繋がる事も多く……。
都市のタブロイド誌の格好のネタとなっている。
そして、彼女自身も必要とあらばそうした『指示』をためらい一つ無く
下せる人間である事は、想像に難くない。
- 854 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/18(金) 23:32:29 ID:7gFzKdaU0
- >>853
「ええ、まことに申し訳ありません。以降、反省として生かさせて頂きます。
直ぐお持ちいたします、しばしお待ちを」
相手がいい気分に成っているのを見て、心の中で嘆息。
あくまで、これは業務であって、自分の私情は好意以外に挟むべきではない。
だからこそ、最大限の誠意を以て相手に当る以外に、少女はないのだ。
奥に引っ込んでいき、手早い動作でカクテルを作ると相手の元へと運んでいく。
そして、静かにカウンターにカクテルを置くと、アテナは奥に戻っていった。
しっかりと一礼することも忘れず、そこに関して言えば、文句を言う点は無かっただろう。
「ええ、勝手に居ますし。不幸な事故については小学校でもよく注意されてますから。
この都市、いろんな思惑が、渦巻いていますし、ね。本当に、気をつけないと。
事故は、起こした人も不幸になりますから。被害者だけじゃなくて、ね」
目を細めて、アテナは小さく笑みを浮かべてみせた。
ただの格闘バカでも、魔術師でもなく。〝元反政府ゲリラ部隊のNo.2〟であるのだ。
こういった言葉の駆け引きは、得意でこそ無いが、心得が無いわけでもない。
青紫の右目が、意識せずにきらりと煌めいた。
- 855 :黒沢小百合:2012/05/18(金) 23:44:45 ID:SSMHlh/20
- >>854
アテナが厨房に一度消えると、
途端に小百合の表情も歪む。相手を挑発すべく笑って見せた物の
内心は不満と、悪意に満ちているのだ。
(どこまでも生意気な餓鬼。可愛げがない。
こういう類は容赦してはだめだ。徹底的に……。)
出されたモヒートを口に含み、飲み下す。
アテナへの嫌悪のためか、味はよく分からなかったが。
「前にも忠告差し上げましたが、あなたの力は寧ろ周りを不幸にする。
自分自身は守れても、近しい人はどうか……見ものですねえ。」
- 856 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/18(金) 23:53:29 ID:7gFzKdaU0
- >>855
カウンター越しに、相手の言葉を受けて。
小さく、敬語外させてもらうね、と断って。
「――この都市、そもそも不幸なんて吹き飛ばしちゃう人の掃き溜めだと思うんだけど。
……だからって、私もそれに甘えるつもりなんて、欠片もないし。
言っとくけど、言葉ひとつで私の心を折れるかと思ってるなら、間違いだよ。
不幸にするなら、その不幸を蹴り飛ばして殴り砕く。私は結局それだけだし、それが王道だから」
真っ直ぐに、迷うこと無く少女は答える。
『自分自身は守れても、近しい人はどうか』など、決まっているのだ。
近しい人は護るし、自分程度の不幸で折れる人など、居ないと信じている。
「だって、黒沢さんだって凄い強いし。
てんちょーだって凄いし、ディスだって、他のみんなだって。
私なんか結局ちっぽけで、だからこそ、私は此処にいてもいいって信じてるんだ。
だから、〝目にもの見せてあげる〟。黒沢さん」
浮かべる笑みは、弱冠10歳が浮かべるにしては凄絶なもの。
この少女には、やはり日常よりも戦場が似合うと思わせてしまう有様。
だが、それ故に、この少女は日常を、平穏を望んで止まないのだった。
- 857 :馬霧 真琴:2012/05/19(土) 00:05:29 ID:do5XJmGE0
- >>855>>856
【AGカフェ】
二人目の来客が現れた。
黒髪に茶色い瞳、メガネを掛けた、ありふれた格好。年齢は20歳前後。目の下に薄っすら出た隈が見た目の年齢を引き上げている。
総合的に見なくとも酷く地味な人物の第一声は、西の方言であった。
「おっ、黒沢さんやん。えらい久しぶりやなぁ。
なんや、死んどんのか生きとんのか分からん御人やったけど、こうして足がある以上生きてんのやなぁ。」
武術を習得しているアテナから見れば、足取りから一般人ではない程度は十分に読み取れるだろう。
無遠慮に小百合の隣の席に腰掛ければ、コーヒーとサンドイッチという軽食を頼む。
「にしても、ウチ、ここで店員さん見たん初めてかもしらん。
まぁいいわ。とりあえずお腹空いたから早く作ったって。」
- 858 :黒沢小百合:2012/05/19(土) 00:07:02 ID:SSMHlh/20
- >>856
「言葉だけで、済めばいいが果てさて……。
不幸を蹴り飛ばして砕く。威勢はいいがいささか説得力を欠く。
元より、都落ちの態でこの都市にやってきたレジスタンス風情が……。」
単純な強さであれば、小百合と戦っても打ち勝つ可能性は十分。
いや、十二分にあるアテナであるが寧ろ目の前の女が得意とするのは
そうした戦の外の戦。謀事のたぐいである。
「ああ、先ほども言ったようにここに居てもよろしい。
ただ、それが素晴らしい生活となるかどうかは……なあ?」
小百合は意図的にアテナを戦いの場に引きずり出そうとしているようだった。
この女はアテナと対照的に血を、戦いを、征服を望んでいる。
- 859 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 00:16:04 ID:7gFzKdaU0
- >>857
「いらっしゃいませー! じゃあ、しばしお待ちを!」
にこり、と先程までの小百合との剣呑な態度を引っ込めて。
アテナは笑顔で客を出迎えて、カウンター向こうのキッチンへと入っていく。
軽くパンをトーストし、卵サラダ、レタスを挟み。もう一つはベーコンレタストマトを挟み、BLT。
紅茶はアテナ拘りの茶葉を使用したもので、澄み切った綺麗な色。それを運び、差し出した。
「おまたせしましたっ!あと、これはサービスですよっ!試作品なので、試していただければ幸いです」
小皿にクッキーを3枚程載せて提供。
そのクッキーは、生姜の砂糖漬けを細切りにしたものが混ぜ込んである。
独特の風味だが、計算された味は紅茶と会うように仕組んだものだ。
「ええ、黒沢さんは盤外戦術の方が強いでしょ?
だから、盤外から、中に干渉する時に、叩かせてもらうよ。
戦うのは、アウェイよりホームがいいのは当然だしね。先手は、譲ってあげるから」
流石にカチンと着ていたのか、アテナの言葉にも棘が見える。
仲良くしたくないわけではない、アテナはむしろ相手のそのプライドの高さを有る意味では尊敬している。
だが、それでも相容れないのは、仕方ないことなのだろう。
「楽しませてもらうよ。それに、せっかく力があるんだ、誰かのために使わなきゃ損ってもの。
全部解決してみせるよ。できなくてもやってやるから、絶対に」
ぴりぴりとした空気が、小百合とアテナの間に漂っていた。
それは、カフェの中に居る人に違和感を漂わせる程度には濃密だったろうか。
- 860 :馬霧 真琴:2012/05/19(土) 00:29:07 ID:do5XJmGE0
- >>859
「美味そうやん。頂きます」
手を合わせて、サンドイッチを一口。
程よく味付けされた卵、しゃきっとしたレタスの歯触りが心地よい。
パンをトーストしたのもポイントだろう。
小さく一口食べたところでモゴモゴと口を動かして、飲み込んだ。
「美味いなぁ!あー、生き返るわ。2日間飲まず喰わずにはたまらんわ。」
それからというものの、サンドイッチが異様なペースで真琴の胃袋に消えていく。
間に阿呆らしく、美味いわ、といった味の評価も交えているが。
この空気の中で平気で飲食できるコイツ、空気が読めないのかマイペースなのか。
……ただのアホなのだろう。
「ごちそうさん。店員さん上手に作るなあ。店員さん料理歴結構長いやろ?
ウチの目は誤魔化せへんで。」
ふぅ、と紅茶を飲んだ後、試食品のクッキーを口に入れて。
- 861 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 00:34:16 ID:7gFzKdaU0
- >>860
「2日……!? 私には無理ですね!
ただでさえ食費を浮かすためにフードファイトに出てるのに……、エンゲル係数は上がるばっかりですし……。
というか、なんで2日もなんも食べてなかったんですか?」
色々疑問に思う点は有ったが、アテナもアテナでスイッチの切り替えが上手い。
そして、美味いと言われればアテナは破顔。やはり、客に喜ばれるのは客商売の醍醐味だ。
「お粗末さまです。あと、私、アテナ。萌葱アテナと云います。よろしくです、お姉さん」
にこり、と笑いながら、軽く一礼して。
相手の問いかけには、ふっふっふーと自慢気な表情。
「これでも料理屋さんになりたかったんです。
だから、此処でのバイトは個人的には天職だったり、にへへ」
若いながら、「なりたかった」と言うのには違和感があるだろうか。
それでも、嬉しそうな様子の少女はあくまでも歳相応にしか見えないことだろう。
- 862 :黒沢小百合:2012/05/19(土) 00:34:56 ID:SSMHlh/20
- >>857
「おや、貴女ですか。お久しぶりです。
おかげ様で、どうにかね。」
真琴に声を掛けられ、返事を返した小百合であったが、
いつもより幾分か表情が硬い。なにやら、目の前の少女との間に
チリチリと、焼け付くような何かを感じる。
「コーヒーとサンドイッチ、こんなところですかね。」
胸元から無造作に取り出された紙幣。取っておけ、という事なのだろうが、
軽食代としては多い額。彼女の金払いがいいのは何時ものことだ。
>>859
「その言葉、必ず後悔させてやる。
『根をあげさせてやる』ぞ……。」
以前から小百合はアテナを目の敵にしていたが、
今まで、多少の嫌がらせをされる程度で実害、と言う程度ではなかった。
しかし、いよいよ持って彼女がアテナへと工作を仕掛けてくるかもしれない。
「楽しみだなァ……貴様のそっ首吊るし上げる日が、な……。」
踵を返し、カフェから立ち去っていく小百合。
飲み干されたモヒートの氷がとけ、からんと軽く音を立てた。
// ごめんお。なんだか今日は眠いのでそろそろスレから撤退……。
- 863 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 00:45:31 ID:7gFzKdaU0
- >>862
「――――はぁ、なんで、仲良く出来ないかな。
そりゃ、みんななかよく喧嘩しないで、なんてありえないこともわかってるんだけど。
なんというか――――肩がこるなぁ」
去っていった小百合を見送って、アテナは首をコキリと回し、嘆息。
何時何が起きるかはわからないが、アテナは今その時を楽しみ、先を今は懸想しない事にした。
ふせられた瞳には、困惑しか、なかった。
- 864 :馬霧 真琴:2012/05/19(土) 00:52:44 ID:do5XJmGE0
- >>861
「いやなあ、“仕事”関連やから仕方ないんよ。もっと早く終るもんやと思ってたけど、長引いてな。
警戒とかしとかなアカンかったから今回は流石に疲れたわ。つーかなんやねんフードファイトって!
あんさん、ちんまい体でそんな食うんかよ!?」
難しい顔で今回の仕事の過程を思い出しつつ突っ込むという無駄な技能を発揮しつつ。
妖魔の討伐依頼に、数日を掛けて戦い続けて、倒す。
その足で依頼人の元に戻り、そのままこの都市にトンボ返りしてきた真琴。
道中に食べられるものが無かった訳ではないが、下処理が面倒なものばかりであった。
「ウチは馬霧 真琴。うまきり、やからな。間違えたらアカンで。
よろしくな、萌葱。というかバイトなんか。ここの店長良いバイト雇ってんのやな。」
紙ナプキンに、自分の名前を書いてカウンターに置く。馬霧と書いてまきりと読むらしい。
中々の勢いでクッキーをパリパリ頬張り、紅茶で流しこむ。
「はぁ…甘さが体に染み渡るでぇ……。つーか、萌葱、変な言い方やな、なんや『なりたかった』って。」
西の方の方言は、聞こえ方がキツく聞こえる傾向にある。
だが、その実、内容自体は日常会話なのだ。
この萌葱アテナという少女からはそういう、方言に関する嫌悪感は感じられないが。
>>862
「なーんや、風のような人やな。
やっぱり復帰早々忙しいんやな。じゃあな、黒沢さん。」
紙幣はきっちりと受け取り、自らの懐へ。
- 865 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 00:59:38 ID:7gFzKdaU0
- >>864
「えーっと、ボディーガードとか、傭兵さんなんですかね。かなりデキそうな気配も感じますけど。
えへへ、これでも、肉体派ですんで。食事は身体を作って、身体を育てるのは日々の食と生活なのです」
きりっ、とした表情でアテナは無い胸を張る。いくら食べようと、小柄さはそうそう解消はされなかった。
しかし、アテナの文字通りの慧眼たる右目を使わずしても、相手の実力をある程度見抜いていた。
その点では、一般人ではない枠にこの少女も分類されることは分かるだろう。
「馬霧さんですねー、よろしくですっ!
ええ、小学生なんですけど、てんちょー小学生大好きなので、直ぐに雇ってくれました!」
うれしそうな顔をしながら、なんというか、色々誤解を招きそうな言葉を口走る。
なんの悪気も無いのだ、悪気自体は、本当に欠片として。
「あー、あはは。なんというか、まだ癖なんですかね。
今の私、なれるものになれるはずなんですけど、どっかでまだ自由じゃないっていうか。
まあ、女には色々秘密があるって言えばいいってこの前本で読みましたし、秘密――ですかね?」
こてん、と首を傾げながら、苦笑。
別に隠すことでもないが、何となく隠してみただけ。
再度聞かれれば、己の事情について話すことだろう。
- 866 :馬霧 真琴:2012/05/19(土) 01:16:45 ID:do5XJmGE0
- >>865
「んな大層なもんじゃないって。…、なんつーか、手を汚すお仕事?まあ、ウチは出来ん部類の人間やけどな!
つーかさ、萌葱さ、タダモンちゃうやろ?まぁ雰囲気でなんとなく分かんねん、そういうの。
もしかして高名な家の出やったりするん?」
この人物、アホでもアテナの所作である程度の実力を見抜いていた。
それは自分と対に当たるもの。身の回りの“固め方”が半端ではない。そんな実力を持つ家に萌葱という家は真琴の記憶に無い。
「……小学生大好きな店長ってヤバくね?身の危険とか感じ…いや、感じた瞬間拳がとびそうやもんな、萌葱は。
肉体派ならではの行動ってやつ?小学生やのに見上げた精神やわホンマ。ウチのチビ助共にも見習わせなアカンわ、萌葱は。」
地元の訓練をサボって日々遊びまわる、やんちゃ盛りのチビ助数人の顔を思い浮かべながら。
そういうと、サンドイッチと試供品のクッキーを全て食べ終えて、紅茶も無くなっていた。
「なんや難しいこというんやなあ。萌葱は。
まだ小学生やからそんな難しいこと考えんでもいいんちゃうか?そういうの考えるんはもう少し大きいなってからや。
まぁ、秘密を抱えるのはもう少し大きいなってからや。その歳でそんなもん抱え込んだら重うてしゃーないで。
あ、試供品のクッキー美味かったから頂戴。」
と、まだまだ食べ足りないのか、厚かましくも試供品のクッキーをおねだり。
お金は無いわけでは無いが、使わないに越したことはない、といったところか。
- 867 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 01:28:43 ID:7gFzKdaU0
- >>866
「いえ、ただの学者一家の一人娘ですよ。
ただ――その、さっきの秘密にくっつきますけど、なんというかですね。
一応、元が付きますけど反政府レジスタンスの副長やってたんで、戦場には慣れているというか、ですね、ええ」
なんとも言えない表情で、そう答えたアテナ。
コロコロと変わる表情からは、やはりその手の気配は見えづらい。
だが、体捌き、心構えが一般人とはやはり違う。言うなれば、何時殺されそうになっても打倒出来る状態。
常態こそが臨戦態勢という状態がアテナであった。
「そうですねー、変な写真とかは撮られたことありますけど、カメラ位なら素手で捻れますし。
それに、割りとてんちょーが居ないから自由にメニュー開発とかデキますしね!」
目ざとく紅茶の様子を目に入れ、紅茶を継ぎ足した。
ポットで頼んだわけではないだろうが、つい癖である。
「もう、戦争とか無いし、レジスタンスも解散したので好きに生きれるとは思うんですけど。
小百合さんにも言われたんですけど、私の力は他の人間を不幸にするって、疫病神だって。
……だったら、疫も不幸も倒せるくらい強くならなきゃいけないだろうし、そんな私が、このまま、夢を叶えていいのかなって。
さっき、啖呵切っちゃったんですけど、やっぱりなんというか、悩んじゃうわけなんですよ、私」
小学生とは思えないほどに、聡明な部類に有るアテナ。
だからこそ、自分がこの都市に結果的に持ち込んでしまった戦乱を思い、ここに居ていいのかと常に自問自答してしまう。
誰かを不幸にしてしまう己が、幸せになっていいのか。そういう気持を、ぽつぽつと話していくだろう。
「……あ、どぞ。ジンジャークッキー、気に入ってくれたみたいで嬉しいです」
生姜の入ったクッキーとは、割と珍しいだろう。
だが、味自体は優しいものだった。
- 868 :馬霧 真琴:2012/05/19(土) 01:53:45 ID:do5XJmGE0
- >>867
「反政府のレジスタンス…、よう分からんけど、戦って、こうやってここにいる以上、萌葱の意思を貫いたんやろ?
疫病神でもなんでもいいやん。ここはそういうのに溢れとるやろ。いうたら、『よくあること』やで。
萌葱一人にそんなこと言い始めたら、きり無いわ。そんなん言い出したら、ここは疫病神の巣窟みたいなもんや。
覚悟決めて黒沢さんに啖呵切ったんやろ。ならやって見返してみいや。
夢、これからやりたいこと全部ぜーんぶ引っ括めて飲み込んで見せえや。
夢とかやりたいこと出来ん奴らの分まで、萌葱って女の覚悟と度量、貫いて見せたれや。」
珍しく、真面目な顔で早口でまくし立てれば、握りこんだ右腕をアテナに差し出して。
それは励ましでは無い。『やりたいならやってみろ』という応援に部類される言葉。
同世代の普通の人間なら、ここまで意思を見せられないだろう。
これは大人も同じ。“あの”黒沢小百合の目の敵にされている上に啖呵を切ったこの少女を応援したくなるだろう。
真琴も夢追い人である。夢は一族の復権。その為に日々命を掛けている。
危険な任務だろうと仕事だろうと、夢を実現する為に先立つ物をより多く得るために、自らの命を天秤に掛けているのだ。
「いやなぁ…、学者の娘さんなら料理はまだしもカメラ捻り潰すって…。新しい料理のレシピ出来たら呼んでや。
萌葱のは美味そうやからな。なんや、萌葱は変わった奴やなあ。」
ありがとさん、と言い、クッキーを食べて、紅茶を飲んで。
二日間食べられなかった分を取り戻すように、カロリーを摂取している。
- 869 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 02:00:08 ID:7gFzKdaU0
- >>868
「――そう、ですね。通して、抜くのは私にとっては一番わかり易い方法ですし。
難しいこと、ごちゃごちゃぐちゃぐちゃ考えるのも、向いてないし――――。
ちょっと、吹っ切れました。ありがとうございます」
そう言って、差し出した右腕の拳に自分の拳をごつん、とぶつける。
固く握り締められた拳は、彼女にとっての意思を貫く槍に他ならない。
「えっと、父さんと母さんは学者だったんですけど、お爺ちゃんが古武術やってて。
そうですねー、ちょっとオリジナルレシピのチーズケーキ作る予定なので、出来たら呼びますね。
……っとと、もうこんな時間。ごめんなさい、ちょっと着替えてきます!って、タイムカード斬らないと!」
そう言うと、アテナはパタパタと奥に消えていって。
しばらくすると私服に着替えて、慌ただしく店を後にしていくのだった。
/*さすがに眠い、おつかれです!*/
- 870 :馬霧 真琴:2012/05/19(土) 02:04:30 ID:do5XJmGE0
- >>869
「いや、構わんって。
ウチも萌葱と似たようなもんや。そういうのはお互い様やろ。」
にこっと笑って見せて。
そうしても地味なことには変わりない。
懐からがま口の財布を取り出して、ちょうどの料金を支払い、真琴も出ていく。
「またな、萌葱。夜は気いつけんと悪いやつおるからな。」
そんな言葉を言い残し、今度こそ夜の街へと消えて行く。
- 871 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 20:43:59 ID:trmDr2BE0
- 【今日の朝方・・・】
「ん〜?ちょっとくらいなの・・・
なにがあったのかなの?」
【大きくあくびをしながら空をみあげている少女の姿が見えた】
【その日・・・太陽は月に隠されようとしているところであった】
【一世一代の天文ショーに異能都市の住民たちも外にドンドンと出ており、外もにわかに騒がしかった】
「あう?みんなはやおきだなの〜。
はやおきはいいことだよなの〜」
【そんな中、包帯を全身に巻いているこの少女は相変わらずのんきに辺りを見回していた】
- 872 :白月 月夜:2012/05/21(月) 20:52:16 ID:dL8H4NjE0
- >>871
「月が太陽を覆い隠す、か……」
興味がないわけではない。
何十年に一度という現象なのだし、好奇心が湧かないと言えば嘘になる。
「……あ、おーい」
ずいぶんと久しぶりに見た気がする。
包帯を全身に巻いた少女、ディスに手をふりながら声をかける。
- 873 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 20:57:09 ID:trmDr2BE0
- >>872
「んう?あう!
『つくよ』おはよ・・・あう?こんにちわかなの・・・」
【少し困った顔で言う。日差しが少ないせいで若干混乱してるようだ】
「いまあさのはずなんだけどなの・・・
なんかちょっとくらくなってるようなきがするの〜。どしてかなの?」
【不思議そうな顔で言う。それもそのはず、太陽が月に隠されようとしているからであるが】
- 874 :白月 月夜:2012/05/21(月) 21:05:45 ID:dL8H4NjE0
- >>873
「こんにち……いやおはようございますか。……どうしました?」
困ったような表情のディスを見て不思議に思ったのか、少し心配そうに問いかける。
その後のディスの言葉で納得した様子を見せ、
「ああ、日食ですよ日食。太陽が月に隠れる現象のことです。」
「朝なのにここまで人が多いのもそれが原因ですね、きっと」
朝にしては少し人が多い辺りを見回しがら言う。
- 875 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 21:10:42 ID:trmDr2BE0
- >>874
「あ、そっかなの。
おはよなんだなの…ちょっとくらいからまよっちゃったの」
【頭を掻きながら恥ずかしそうに言う】
「へー?かくれるなの?
なんでそんなことあるのかなの…
みんなそういうのみるのがすきなのかなの?」
【不思議そうに言う】
「でもどうなってるのかなの?」
【そう言って危うく太陽の方を振り向いてしまいそうになっている】
- 876 :白月 月夜:2012/05/21(月) 21:21:29 ID:dL8H4NjE0
- >>875
「異能や幻想もなにもない科学的な現象ですけどね」
「でも滅多に起きない現象なんで、物珍しさから見たがる人が多いんだと思います」
かくいう月夜も例に漏れずその内の一人だ。
「おっと、太陽は直視したらだめですよ」
太陽とディスの間に遮光板を割り込ませる。
日食の観察の為にと買ったものだが、思わぬ形で役にたった。
- 877 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 21:24:22 ID:trmDr2BE0
- >>876
「へー・・・あんまりおこんないなの…
なるほど、たしかにみたことなかったなの」
【納得して頷いた】
「あう?これはなんなのかなの?」
【突然自分の前に現れた遮光板を見る】
「そっかなの…そのまんまみたらあぶないなの。
それじゃあかくさないとなんだねなの」
【ちょっと申し訳なさそうである】
「あう〜!ほんとだなの。かけてるの!
このまんまきえたりしないかなの〜」
【楽しそうに太陽を見つめている。】
- 878 :白月 月夜:2012/05/21(月) 21:32:09 ID:dL8H4NjE0
- >>877
「太陽の光を見られるようにするためのフィルターです」
簡単に遮光板の説明をする。
「さすがに消えたりはしないでしょうけどね」
苦笑しながら太陽の方に顔を向ける。
先ほど自分で注意しておきながら完全に裸眼で見ている。
特に目を細めたりしないあたり、何か対策でもしてあるのだろうが、傍目から見ると危なっかしい。
- 879 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 21:45:46 ID:trmDr2BE0
- >>878
「あうー、べんりなんだねなの〜」
【ほー、と感心の声を上げた】
「そっか、きえないかなの…
でもどんどんかけていってるの〜」
【言っている間に確かに太陽はドンドンと欠けていく】
「あう?『つくよ』はだいじょうぶなの?」
【振り向いてしんぱいそうに言う】
- 880 :白月 月夜:2012/05/21(月) 21:52:51 ID:dL8H4NjE0
- >>879
「最終的には光のリングみたいな形になりますよ」
実際に見たことはありませんけど、と付け足す。
「光の流れを何割か無理矢理ねじ曲げて目に届かないようにしてるんです」
「ただ少しつかれますね、やめときます」
光をねじ曲げるのには膨大なエネルギーが必要となる。
結局大して長続きせず、視線を太陽からはずす。
- 881 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 22:01:17 ID:trmDr2BE0
- >>880
「たのしみなの…どんなかんじなのかなの〜」
【嬉しそうな顔で空をじっと見ている】
「そんなことできるの?
べんりなんじゃないかなの…」
【ちょっと羨ましそうだ】
「やっぱりつかれるんだなの…
むりしないでいっしょにみないなの?」
【遮光板を手に持ってみせる】
- 882 :白月 月夜:2012/05/21(月) 22:13:56 ID:dL8H4NjE0
- >>681「やっぱりそうします、うう目が疲れる……」
目をこすりながらいう。
「じゃあ一緒に見させてください」
ディスのすぐ横から遮光板をのぞく。
- 883 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 22:15:40 ID:trmDr2BE0
- >>882
「うん、そうしよなの」
【微笑んで一緒に遮光板を覗きこむ】
「あうー。なんかほんとにだんだんひかりがきえてくの…」
【興味津々な顔である。実際に少しずつ日は欠けていく…ほぼ半分近くまで来ただろう】
- 884 :白月 月夜:2012/05/21(月) 23:34:45 ID:dL8H4NjE0
- >>883
/返し遅れました本当にすいません!
「確かにこれは滅多に経験できることじゃないですね」
月夜も興味津々な様子だ。
「だいたい半分、ってところですかね」
じっと太陽を見る。
- 885 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 23:39:03 ID:trmDr2BE0
- >>884
//どんまい
「そうだねなの…
みれるのはたぶんとってもうんのいいことなのかもしれないの」
【そう言って笑顔になった】
「うん…だんだんくらくなってきたなの…」
【ジーっと遮光板を見ていたが…あたりを見回してきょとんとした顔になる】
- 886 :白月 月夜:2012/05/21(月) 23:50:16 ID:dL8H4NjE0
- >>885
「今年は天文学者が歓喜するぐらい天文系のイベントが多いんですよね」
「たしか六月には金星が太陽の上を通るんだった気がします」
うろ覚えの知識で説明する。
「まあ、運がいいことなんでしょうね、こういうのを見れるっていうのは」
「日食のピークまであと少しですねー、……?どうしました?」
少し不思議に思ったのか、きょとんとした顔のディスに問いかける。
- 887 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/21(月) 23:57:24 ID:trmDr2BE0
- >>886
「あうー、そんなにいろいろあるなの〜?
なんかすごいの〜」
【よくわかってなさそうだが、どうやら感心しているようだ】
「きっとこれからいいことあるんだよなの」
【楽しそうに答える】
「あう、あさにくらいのがなんかおちつかなくてなの〜」
【ちょっと感覚に影響あるのであろうか。それとも違和感からなのか落ち着かないようだ。】
- 888 :白月 月夜:2012/05/22(火) 00:05:53 ID:dL8H4NjE0
- >>887
「私もいろいろある、っていうことしかわからないんですけどね」
よくわかってないのは月夜も同じである。
「雨とか降れば朝から暗いときもありますし、そこまで気になりませんけどね」
月夜は大して気にしていないようで、少し首を傾げていう。
「まあ日食が終わればあとはいつも通りですし、少しの間我慢です」
頭にぽんぽんと手を乗せる。心配しなくてもいい、という意味だろう。
- 889 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 00:15:33 ID:trmDr2BE0
- >>888
「そうなのー…
あのそらのむこうはずーっとひろいのかなの?」
【そう言ってふと空を見上げた】
「でもきょうははれてるからびっくりだよなの〜」
【頷きながら言う】
「うん、だいじょぶなの。たぶんなの!」
【そう言って再び遮光板を見る】
「あ、まんまるなの!」
【遮光レンズにはちょうど金環日食が起こった瞬間が見える…】
【金色のリングのように太陽はなっていた】
- 890 :白月 月夜:2012/05/22(火) 00:24:46 ID:dL8H4NjE0
- >>889
「広いなんてものじゃないですよ、無限に広がってるって言っても過言じゃないですし」
これも知識だけの情報ではあるが。
「ああ、晴れてるのに暗いっていうのは少し変な感じしますね」
矛盾が存在しているような、変な感覚。
この違和感を言葉に表すならそんな感じか。
「おお、確かにリングみたいだこれは」
遮光板をのぞき込み、しばしその光景に目を奪われる。
- 891 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 00:34:59 ID:trmDr2BE0
- >>890
「どこまでもなの?
ここよりずっとさきまでなの?」
【好奇心が刺激されたかのように反応する】
「うん、そんなかんじなの。
なんかゆーがたみたいな…なの」
【そう言って薄くなった自分の影を見る】
「あうー。きれーだねなの!
こんなことがおこるなんてほんとに、すごいの!」
【とても興奮しているようだ】
- 892 :白月 月夜:2012/05/22(火) 00:47:59 ID:dL8H4NjE0
- >>891
「限りなく続いてますよ、どこまでもどこまでも」
「私たちがいる星を越えても銀河があって、それを越えても別の銀河があって」
「私たちが到底知ることのできない未知の世界がどこまでも続いてるんです」
空の先には宇宙が広がっている。
月夜にとってはそれこそ当たり前の知識だが、ディスにとっては未知のものなのだろう。
なんとなく、わざとディスの好奇心をくすぐるような答え方をする。
「これは本当にすごい……綺麗だ」
こちらも日食に興奮を抑えきれない様子。
目にこの光景を焼き付けようと、じっと太陽のリングを見ている。
- 893 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 00:52:45 ID:trmDr2BE0
- >>892
「あうー。ずっとずっとなんだなの…
どんなめでもみえない…あのずっとさきに
『でぃす』みたいにこんなふうにそらをみてるひともいるのかなの」
【宇宙の興味が広がっていっているのだろうか、すっかりうっとりしている】
「うん、このまんまつづいてたらもっといいかなの」
【さっきまでの違和感も何処へやら、すっかり日食の虜のようだ】
「うーん、なんかうごいてきたようにみえるけど、まだきれーなわっかなの」
- 894 :白月 月夜:2012/05/22(火) 01:01:22 ID:dL8H4NjE0
- >>893
「いるんでしょうねー、きっと」
感じ取ることすらできない遠くの星に少し思いを馳せる。
「しっかり輪になってる時間は短いですし、しっかり見ておいた方がいいですよ」
遮光板をディスに渡し、
「私はもう十分堪能しましたし、これから少し用事があるんで、それじゃあ」
軽く手を振って、その場を去ろうとする。
- 895 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 01:07:58 ID:trmDr2BE0
- >>894
「あえなくても、なにかとどけたいなの…」
【そう言って空を見ていた】
「あう、もうちょっとみてみるなの。
ありがとなの!」
【遮光板を手にとって微笑んだ】
「わかったの〜。
またねなの〜!」
【笑いながら手を振って見送っていく】
「…やっぱりなんどみてもきれーなの〜」
【その後ディスはかけていた太陽が元に戻るまで、何度も見続けていたようである…】
- 896 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 22:06:34 ID:9PpKNSf20
- 【ある周りにあまり建物のないカレー屋】
見た目は普通、しかし看板にはこう書かれていた。
[貴方の望むカレー、作ります。
体にも美容にも良いです、一杯500円。
これを易いと見るかどうかは貴方次第。
そして少しずつ、波紋は広がる。]
意味不明としか言い様がなかったが
結局はカレー屋である。
- 897 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 22:14:30 ID:NntjvIzM0
- >>896
「……こんなところにカレーショップ?」
「こんなところに店を出して売れるものなのか」
司朗は帽子の縁を手持ち無沙汰そうに弄りながら、カレーショップの看板を見ていた。
腰にぶら下げたエンブレムから、声が聞こえてくる。
「まあ、そんなツウ好みっぽいところがそそるなあ。
寄ってみるか」
カレー屋のドアを開けた。
- 898 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 22:18:45 ID:9PpKNSf20
- >>897
「…。」
開けた先には、畳の上で瞑想をしている男がいた。
右下にはこう書かれてある。
[店長です。]と
「…、いらっしゃいませ。」
ゆっくりとその男はめをひらき、高向谷を見る。
「カレー屋にようこそ。
どんなカレーが食べたいか行ってください
なるべく、貴方の希望するカレーをお出しします。」
優しそうな笑みを浮かべて、立ち上がりながら店長と思われる男が言う。
- 899 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 22:22:02 ID:trmDr2BE0
- >>896
「なんかいいにおいがしてくるの〜」
【一人の少女が匂いに釣られてノコノコとやってきた】
「ん?かれー…
かれーはだいすきなの!
たべたいなの〜」
【ディスは喜んで走ってカレーやに向かっていく】
- 900 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 22:23:50 ID:9PpKNSf20
- >>899
「いらっしゃいませ。
ご注文はいかがなさいますか?」
と、優しそうな笑みを浮かべながら言う。
「どんなカレーが食べたいか申し出てください。
なるべく、貴方の希望するカレーをお出しします。」
と、言って近くの椅子を引く。
- 901 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 22:25:26 ID:NntjvIzM0
- >>898
司朗は怪訝そうに眉をひそめた。
一瞬帰ろうかとも思った。
カレーショップに畳?瞑想?そして"店長です"と言う札。
畳はまだ考慮する余地はあるものの、それ以外は中々の異常さだった。
「……どいも」
どもりながら会釈をする。
「あー……カツカレー一つと、コーヒーある?ホットで」
メニューが無いので思いついたものを継げ、椅子に付いた。
>>899
「ん?
この間の……」
ディスが店に入ると、帽子の男と腰につるしたエンブレムが見えるだろう。
「常連なの?」
- 902 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 22:36:46 ID:trmDr2BE0
- >>900
「あうー。どんなかれーがいいかなの?」
【首を傾げていう】
「うーん…よくわからないけど…
すごくおいしいのをいっぱいたべたいなの〜」
【結構曖昧な言い方だ】
「がっこうのかれーみたいなのをいっぱいかなの…
すごくいっぱい…」
>>901
「あう、またあったねなの〜」
【大きく手を振りながらディスは微笑んだ】
「ん?ちがうの。いいにおいしたから
ここにきてみたの。おいしそうなにおいだったからなの〜」
【そう言って鼻をくんくん鳴らした】
- 903 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 22:39:44 ID:9PpKNSf20
- >>901
「フフ、これは私の修行のための道具みたいなものですよ。
ご心配なさらず。」
眩しくなるような笑いを浮かべて言う。
「カツカレーとコーヒーですね?
了解しました、カツの厚さと辛さはいかがなさいましょう?」
>>902
「ゆっくりと、じっくりとお考えください。」
ニコニコと笑いながら言う。
「学校のカレーですか。
分かりました、辛さはどのくらいが良いですか?」
- 904 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 22:44:38 ID:NntjvIzM0
- >>902
「ふーん……。
変な店じゃないか?ここ」
小声とはいえ、店主を前にして言った。
>>903
「いや、営業中に修行するなよ……」
しかし、異常性のほうが目立って司朗に笑みは通らなかったらしく。
「あー、中辛で。
え?厚さ……?」
そんなもの決まって無いのか、と考える。
「じゃあ、こころもち厚めで……」
- 905 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 22:47:10 ID:trmDr2BE0
- >>903
「あうー。そうだねなの。
これくらいでたべられるならそれがいいかなの!」
【嬉しそうに微笑む】
「からさ?どのくらい…
わかんないなの…どれくらいがいいのかなの」
【ディスは痛覚を消された少女…辛さも痛覚によって感じるものであるため、わからないのであろう】
「おにく…いっぱいがいいかなの〜」
【色々と考察しているようだ】
>>904
「へんかなの?
おいしいにおいがするからいいおみせだとおもうんだけどなの?」
【首を傾げている…。店主を気にしてないのだろうか】
- 906 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 22:50:51 ID:9PpKNSf20
- >>904
「いえいえ、私の場合特殊でしてね。」
フフ、とまた笑う。
「決まってないのではなく、お客様の希望に合わせているんですよ。
分かりました、少々お待ちを。」
>>905
「そうそう、迷って迷って、悩んで悩んで、その内に辿りついた者が一番いい物です。」
ニコニコと笑いながら言う。
「…、ご注文は分かりましたが、少しお手を握らせてもらってよろしいですか?
あ、いえいえ、特に何かしようと言うわけじゃありませんから。」
- 907 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 22:55:36 ID:NntjvIzM0
- >>905
「匂いだけで判断できるほど発達してないからな、俺は」
ため息をついた。
「お前は?」
「……食べるのはお前だ」
エンブレムは興味を示していないらしい。
>>906
「いや、でも厚さを決めさせるのは料金的に考えて……」
司朗の中で、困惑の気持ちがどんどん強くなっていく。
「まあいいか、出てくるのは食い物だろうし」
- 908 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 23:00:37 ID:trmDr2BE0
- >>906
「そうだよねなの〜。
とってもおいしいものだからねなの〜」
【とはいえなかなか思いつかないのも事実のようだ】
「ん?どしたの?
なにかへんなこといったかなの…」
【首を傾げながら手を差し出した】
>>907
「くんくんしたらだいたいわかるよなの〜」
【軽く笑いながら言う】
「あう?なにかたべないなの?」
【じっとエンブレムを見つめる】
- 909 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 23:05:55 ID:9PpKNSf20
- >>907
「大丈夫です。
看板にも書いてある通り一杯500円です。
幾ら量が多くても500です、ご心配なく。」
にこやかに答える。
>>908
「すみません。」
と、一言謝るとディスの手を握る。
「…コォォォォォ。」
小さな吐息が響き渡る。
「スゥゥゥゥゥ、波紋疾走(オーバードライブ)。」
そう呟くと、一瞬店長のディスを握る手が光り、ディスの体になにかが入ってくるだろう。
少なくとも一瞬はディスの体に小さな痛みが走る。
「これでよし、ではご注文をどうぞ。」
- 910 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 23:09:04 ID:NntjvIzM0
- >>908
「ふーん……」
包帯以外にも能力がありそうだなあ、と思いつつ。
「こいつの生態はよくわかんないんだよな。
食事はしないと思いきや、せきやくしゃみすることあるし」
エンブレムはきざったらしく、答える必要は無い、とでも言うように目を瞑った。
>>909
「ふーん、まあいいや」
ポケットから500円を取り出して、
指で弾いて手の甲に押し付ける。
「表……まあ、美味いものが出てくると思っとくよ」
占いだったのだろうか。
- 911 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 23:15:39 ID:trmDr2BE0
- >>909
「あう?」
【突然流れてくる光に軽く驚いたディス】
「っ!…いまのはなんなのかなの?」
【ひどくびっくりした様子でウィルを見つめるが】
「あ、うん…じゃあ
えっと…がっこのかれーのおにくいっぱいのをいっぱい!」
【若干ややこしいがどうやら大盛りと言いたいらしい】
>>910
「あうー、ごはんたべないなの…
なにかえーよーとってるのかなの?」
【まじめに心配そうな顔をしている】
- 912 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 23:18:14 ID:9PpKNSf20
- >>910
「分かりました、少々お待ち下さい。」
>>911
「いえいえ、ちょっとした『味覚の』治療です。」
ニコニコと笑いながら言う。
「分かりました。」
「ではお客様方、少々お待ち下さい。」
- 913 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 23:23:21 ID:NntjvIzM0
- >>911
「それがこいつそういうことまったく覚えてないらしくてさ。
俺が買った後の記憶はずっと残ってるみたいなんだけど、
それより前の記憶はたまに思い出してすぐに忘れるし」
何か重大な欠陥でもあるのだろうか。
「……余計なことを言うな」
>>912
「はいよ、遅くなっても良いから美味しくね」
ウィルの後姿に声を掛けた。
- 914 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 23:33:22 ID:trmDr2BE0
- >>912
「ん?うーん…
どこかよくなったなの?」
【不思議そうに自分の手のひらを見つめる…】
「おいしくたべられるようになったのかなの?
たのしみにしてるなのー」
【どうやら期待をかなりしているようだ】
>>913
「あうー?なにかいろんなたいへんなことあったのかなの…
なにかおもいだせたらいいねなの…」
【じっと心配そうにエンブレムを見つめている】
- 915 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 23:35:38 ID:9PpKNSf20
- >>913
「フフ、期待しててくださいね。」
自信満々で言う。
>>914
「まぁ、それは食べてからのお楽しみ。
まだ辛味に慣れてないでしょうから甘口にしますね。
それでは少々お待ち下さい。」
そう言って、厨房に入る。
数分程すると、鼻にとても良いカレーの匂が出てくる。
- 916 :高向谷 司朗:2012/05/22(火) 23:38:33 ID:NntjvIzM0
- >>914
「さあて何があったのやら。
気流眼を貰ったぐらいだし、俺が死ぬまでには何か見つけてやりたいんだけど」
ずいぶんと長期計画だ。
「期待はしていない」
>>915
「……匂いはいいんだけどよォー、やっぱり俺には解んないな。
現物を食べてみないと」
ディスの真似をするようににおいをかぐ。
「匂いだけ良くて不味くても困るけどなあ。
どんなもんかな」
- 917 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/22(火) 23:45:17 ID:trmDr2BE0
- >>915
「んー、とってもたのしみなの…
なにがくるのかなの〜」
【ディスの顔は期待に満ちあふれている…】
「…んー…いいにおいがしてきたの…
おいしいだろうなの〜」
【くんくんと鼻を鳴らし、その匂いを吸い込んでいく】
>>916
「あうー、みつけてあげるといいなの!
そしたらたぶん…よろこぶんじゃないかなの?」
【じっと司朗を見ながら言う】
- 918 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/22(火) 23:50:47 ID:9PpKNSf20
- >>916>>917
「お待たせいたしました。」
そう響き渡る声で店長が出てくる。
両手には銀のトレイを持ち、その上にはカツカレーとコーヒー
もう一つの手の上には、ディスが何時も食べてる様な学校のカレーと牛乳がある。
>>916
「どうぞ、なるべくお客様の希望通りのカレーをご用意いたしました。」
ニコニコと笑いながらカツカレーとホットコーヒーを置く。
何処となくカツカレーが光、美味しそうに見える。
味はもちろん絶品だ、五つ星も夢ではないほど。
>>917
「どうぞ、牛乳も用意いたしました、ではごゆっくり。」
さっきの『治療』で『味覚だけ』はちゃんと感じるようになっている。
甘口だが、辛口が分からないディスにとってはそれなりに辛く感じるだろう。
しかしそれを上回るほどの美味しさも出てくるだろう。
- 919 :高向谷 司朗:2012/05/23(水) 00:03:08 ID:NntjvIzM0
- >>917
「手がかりがあればね」
今のところ、手がかりは何もない。
購入した行商人も見つからず、行商人は各地のアクセサリーを売っていたので、
見つけたところで覚えているか危うく、あるいはまた別の人間から買い取ったのかもしれない。
(鑑定士とかに頼むと金が掛かるしなあ)
>>918
「銀のトレイってなんかミョーに美味そうに見えるよなあ……。
なんでだろ、専門店って感じがする」
そう言って、カツをスプーンで切り分け、ルーに浸してから口に含んだ。
「ま、確かに……自信に違わず、美味いよ!
500円とは思えないね!
例えるなら……ゥンまああ〜いっ!って感じかな!
例えになってねーけど……」
司朗は感嘆する。
「カツもジューシーで、ルーが掛かってるのにブヨブヨにならずにサクサクしてるね!
ホントに500円か?採算取れてんのォ?」
- 920 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 00:06:10 ID:trmDr2BE0
- >>918
「あうー!ぎゅーにゅーもあるなの!
だいすきなの!」
【ディスは差し出されたカレーを見てとても嬉しそうだ】
「わかったの!
いただきますなの〜!」
【スプーンを手に取り、カレーを救って口へ運んでいく】
「もぐもぐ…ん?ん…
なんだろこれなの、けほっ」
【今まで感じたことの無い辛さに目を白黒させながら軽く咳き込んだ】
「ん…でもすごくおいしいなの!がっこのよりおいしいかもしれないの!」
【だがすぐに笑顔になった】
>>919
「そっかなの…なにかあるといいけどなの」
【そう言ってから…じっとカツカレーを見る】
「そっちのかれーもおいしそうだねなの〜」
【物欲しそうな顔ではなく普通に羨ましそうである】
- 921 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 00:09:31 ID:Rwg8VsVU0
- >>919
「フフフ、ありがとうございます。」
本当にうれしそうな笑顔を出す。
「まさかそこまで褒めていただけるとは思いませんでした。
えぇ、ご心配なく、ほとんどの物は現地調達ですし
去年は何時もよりいっぱい狩る事が出来ましたからね。」
>>920
「そうして喜んでもらえるのは私としても良い事です。」
「どうやら軽く味覚障害にかかってたみたいですからね。
味覚だけは直しておいてあげました。」
ニコニコと笑いながら言う。
- 922 :高向谷 司朗:2012/05/23(水) 00:16:02 ID:NntjvIzM0
- >>920
「……ん?これは俺の分だぞ」
ムッとしかめっ面でディスを見た。
「見てるだけで貰えるなんて思ってんじゃねーぇ」
わざとなのか、非常にイライラさせるような口調で言う。
人間食い物が関わると変わるものである。
>>921
「お前もこれが味わえないなんて大変だねぇ」
司朗は腰にぶら下げたエンブレムを覗き込んだ。
しかし、エンブレムは目を瞑っていて、何も反応しない。
「なんだ、狩るってどういうことだ?」
スプーンを加えながら呟いた。
下品である。
- 923 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 00:23:42 ID:trmDr2BE0
- >>921
「ん?みかくしょ…なにかなの?
よくわからないけどなの…」
【小難しい顔をして言うが】
「んー、もしかしてこれがからいっていうのかなの…
でもなんかとてもおいしいなの!」
【スプーンを握る手は止まらないようだ。】
「んー、どんなおにくなのかなの〜」
>>922
「ん、ごめんなさいなの。
べつにそんなつもりないなの〜」
【慌てて頭を下げて謝った】
「んー、みないほうがいいかなの」
【そう言いながらカレーをモグモグ食べる】
- 924 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 00:26:49 ID:Rwg8VsVU0
- >>922
「…お連れの『方』がいるのですか?」
さっきからエンブレムの方に話しかけている司朗に聞く。
「そのままの意味ですよ、アフリカアメリカアマゾン川、色んな所に行って
色んな食材を狩ってくるんですよ。」
>>923
「まぁ、味が分からなくなるっていえば良いですか?」
「鶏肉の胸です。
脂は少ないですが歯応えは良い物です。」
- 925 :高向谷 司朗:2012/05/23(水) 00:33:43 ID:NntjvIzM0
- >>923
「うーん、スパイスも効いてる。
どういう調合したらこんな味になるんだろうなあ。
……説明されてもまったくわかんないだろうけど」
そんなディスを横目に、ぶつぶつと批評する。
これについてはわざとでは無いのだが、やはり嫌らしい。
>>924
「お前から食ってやろうか、料理人」
腰にぶら下げられた、板状のエンブレムに描かれたドラゴンの片目が開く。
冗談めかした言い方で、本気では無いのは丸解りだ。
「ああ、こいつのことは気にしないでくれ。
なんにも食わないから」
指でエンブレムを弾いた。
「ふーん、まあ、美味くて身体に悪いもんじゃなけりゃなんでも食うけどさ」
よくわかっていないようだ。
- 926 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 00:42:13 ID:trmDr2BE0
- >>924
「んー?あじわからないなの?
でも『でぃす』はおいしいものはおいしいってわかるけどなの〜」
【首を傾げながらもモグモグとカレーを食べ進める】
「あうー、とりさんなの〜?
これはおいしいなの〜!ほんとになの」
【どうやら鶏肉は大好きのようである】
「もぐもぐ、やわらかいなの〜」
>>925
「ぜんぜんよくわからないの…」
【目を白黒させながらその批評に聞き入っている】
「やっぱりちょっとうらやましいかもなの」
【いやらしい感じには気づいてなさそうだ】
- 927 :ウィル ◆5s2/gBPZGA:2012/05/23(水) 00:47:28 ID:S1KMuai60
- >>925
「おやおやフフフ。」
と、笑いながら
「食べようとしたら貴方の口の中が波紋で溶けちゃいますよ。」
と言う。
「そう言う心意気の人間が、今の時代じゃ少ないんですよねぇ。」
>>926
「でも今までに『辛い』という感覚を味わったことはないでしょう?」
「鶏肉は脂身の載ってる場所がハッキリしてますからねぇ。」
「すみませんがそろそろ閉店です。
鍵は後で閉めますので食べ終わったら食器はそのままで良いです。
ごゆっくり食べてください。」
そう言うと、また畳の上に乗り、瞑想を始める。
//すみません、自分、そろそろ限界なんです、自分は落ちますがカレー屋に居続けるのは構いません。
- 928 :高向谷 司朗:2012/05/23(水) 00:55:55 ID:NntjvIzM0
- >>926
「うーん、米もカレーに合う品種なんだろうなあ。
硬めに炊いてあって……」
妙に詳しいのである。
>>927
「……こいつが人間?どこが?」
姿はドラゴン。
それもエンブレムに彫り込まれた絵だ。
「そんな心意気、争いを生むだけじゃないかねえ」
そして、食事を終えてスプーンを置いた。
「えーっと、500円だったか。
それなら俺もお暇するな。
ここおいとくぞ、またくるぞーっと。
じゃーな、包帯の子も」
早口で良いながら、司朗は店を出た。
「元人間って可能性は、無いのかねえ」
エンブレムを目の前にぶら下げながら、帰路に着いた。
エンブレムから返事はなかったのだった。
- 929 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 01:04:58 ID:trmDr2BE0
- >>927
「なるほどなの…
これがからいってかんじなの。
ますますおいしくなったとおもうなの!」
【満面の笑みで答える】
「あうー、なるほどなの…
そのとりさんはわかりやすいってことかなの」
【少し考え事をしていった】
「あう、またねなの〜。
おかねおいとくからなの〜!」
【そう言って見送りつつ500円玉をそのへんにおいた】
//おつかれさまでした〜。
>>928
「…おりょうりはむずかしいなの」
【困った顔で答える】
「・・・あ、うん。またあおうねなの〜!」
【そう言って大きく手を振りつつ見送っていった】
「もぐもぐ…おいしいなの」
【笑顔でカレーを食べていったが…しばらくして】
「あ、またなまえきくのわすれてたの!」
【見落としていたことにあとから気づいたのであった】
//また会いましょうねー。乙です!
- 930 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 20:49:00 ID:trmDr2BE0
- 【箱庭・都会ステージ】
【無数のビルが並び立つ場所が舞台である】
「さて、今回もまたやってみましょうか」
【両手をぐっと握って鶫はその場に立っていた】
【色々スタイルのいい制服をきた少女である】
「さて・・・また実弾のテストを・・・」
【風呂敷の中から拳銃を取り出して言う】
【どうやら対戦相手を待っているようだ】
- 931 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 21:04:14 ID:xm/dFKGs0
- >>930
【パーソナルデータ:【Close Game Life】アルバ=ロア=マティアスを確認、サーバーを接続します。】
無機質なアナウンスが響きいてから少し後に。
エフェクト共に誰かが転送されてくる。
「ん?何かいつもと感じが違うな。
まさか運営の奴等またバグ放置してへんなところに繋がったんじゃ…」
少女からすこしはなれた、声が聞こえる場所で青年はぼやく。
服装は学生服には見えない、青を貴重とした服と赤く短いマントが特徴になっている。
ブロンドの髪を掻く、日本人離れした白人の美形。
すらりと伸びた長い足と長身から、どう見ても外国人だが日本語の発音は極めて流暢で。
「ん、あそこにたってるのは…NPC…じゃないよな。
データの密度が違うし。ってことは俺とは他に巻き込まれた人か?
……すいませーん!ちょっといいっすかー!」
少し独り言を言った後、彼は少女に向かって大きい声で話しかける。
どうやら戦闘慣れした人物ではなさそうだが…?
- 932 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 21:19:17 ID:trmDr2BE0
- >>931
「おっ、さっそく対戦相手ですか?」
【嬉しそうな顔で振り向いてみる】
「巻き込まれた人?
ん〜・・・貴方はここは初めての人ですか?」
【鶫の姿も胸の大きさを除けば普通の学生に見える姿であった】
「ここは特訓のために来る場所ですが・・・
貴方もそうなんですか?」
【首を傾げながら言う】
- 933 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 21:37:54 ID:xm/dFKGs0
- >>932
「え?俺はアレだよ。
何時もみたいにサブクエ進めようと思って待ち合いいったら、
準備完了って出たから行くかーって入ったらこんな所だよ」
そう言って、彼は頭を相変わらず掻きながら。
腕に付けているハンドベルPCをいじっている。
おかしいなー、といっている様子からはここは初めてなのだろう。
「もしかしてここってアレか?
運営が新しく作る作る言って公開しないフィールドかなんかか?
だとしたらラッキーかも……」
【アリーナバトルを開始します:フィールドにいるプレイヤーは戦闘を開始してください】
少しにやけながらそう言いかけた所で、音楽と共にアナウンスが流れる。
それと共に彼の腕に巻かれたハンドベルPCの形が変化していき、いくつかの透明なキーボードが出現。
同時に彼を何かフィールドの様なものに包まれた。
「え?どう言う事だよこれ!?
アリーナとか俺しらねーぞおい!?」
突然のアナウンスに彼は動揺している。
しかし、彼の意思に反してキーボードは動いて。
何かを呼び出すようなコマンドを入力している。
//ご飯なのでちょっと抜けます。
- 934 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 21:43:24 ID:trmDr2BE0
- >>933
「サブクエ・・・えっと・・・
要するに何か依頼をこなしてたってことですかね?」
【ネットゲームの知識のない鶫は不思議そうに首を傾げた】
「ここは箱庭という場所なんですが・・・
何か事情がありそうですね」
【ジーっとアルバを見つめている】
「ん?バトル開始?
こんな音声ありましたっけ・・・」
【不思議そうな顔で空をみあげている】
「ま、とりあえず戦闘準備しますよ。
私も!」
【そう言って銃を片手に握る】
- 935 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 22:19:16 ID:xm/dFKGs0
- //ただいま、戻りました。
//音楽はClose Game Life推奨…冗談です
>>934
「おいおいマジかよ……やっぱ運営バグ放置してやがったな!
プレイヤー相手ってのも珍しいわけじゃないしな!」
彼はキーボードに自動で打ち込まれるコマンドを高速で妨害。
直後に素早くキーボードにコマンドを入力していく。
入力が完了すると、彼の周りを覆うフィールドから何かが転送されていく。
【コマンド認証:データ照合:データを送信します】
転送されたキューブのような物体はアナウンスと共にその姿を変えていく。
鋭角的なボディを持つ、2つのラインアイを光らせている。
装甲よりも機動性を重視した群青と黒を基調にした、ゲームに出てくるロボットのような。
しかしどこか有機的で、右腕部にはブレードとガンが装備され、左には大型のガン。
背部には機械的な翼が装備され、そこからはエネルギーが噴出している。
【アバター:ブルー・ソルジャーが呼び出されました。
戦闘準備完了とみなし、アリーナバトルを開始します】
アナウンスと共に上空になにか光の球が浮かび、そこに何か数字が表示されている。
数字は二つあり、恐らく相手と自分の体力を示しているのだろう。
//体力値は好きに決めてくだされ。
- 936 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 22:24:41 ID:trmDr2BE0
- >>935
「先ほどから話はわからないけど・・・
ひとまず戦う気はあるってことですね」
【鶫は相手の様子を見てそうつぶやくと】
「よし!…ん?
何でしょうね、この数字は」
【上空に浮かび上がった光の玉を見ていった】
「ひとまず…戦ってみますか」
【しかしすぐに視線はアルバに戻し、全身に力を貯め始めた】
【HP700くらい?】
- 937 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 22:43:53 ID:xm/dFKGs0
- >>936
表示された数字は500だが、その上にフィールド値700と表示されている。
どうやら彼のアバターはフィールドを展開しているようだ。
「一先ずは先手必勝ってな!」
彼がキーボードでコマンドを入力すると、素早い動きで左のガンを連射していく。
連射しながら地面を走行しながらアバターは相手へと肉薄していく。
連射しているガンは相手の回避位置を巧みに予測して放たれており、行動阻害が目的に思える。
- 938 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 22:49:02 ID:trmDr2BE0
- >>937
「おっと…っと…
随分厄介な撃ち方ですね…
身動き取れなくさせるつもりですか…?」
【足元を気にしながらその場から動けない状態になる鶫】
「なら私も真っ向勝負で行きましょう」
【そう言うと鶫は拳銃をアルバに向けて】
ガァン!
【連続で発射していく。大体3発程度の攻撃だろうか】
- 939 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 23:00:56 ID:xm/dFKGs0
- >>938
「とっと、ここは耐えるってな!」
攻撃を受けるがフィールドが攻撃を弾いていく。
フィールドが攻撃を阻害してフィールド値が減少して648になった。
怯む事も無くアバターは向かって行くと。
「ここで、こいつをな!」
【スキルコード:バインドⅠを発動します】
左の手でキーボードにコマンドを入力すると、黄色い紐の様なものが相手を縛り上げようとしていく。
さらにアバターも背部ウイングで加速をかけて地面を滑空する。
その背から青い光が放出されていきながら銃を連射している。
精度はよくないが、さっきの行動阻害と攻撃の両面を兼ねているようだ。
黄色い紐の様なものは効果が弱いようで、蹴りで木を割れるくらいあれば破れそうだ。
だが射撃の方は低出力の連射重視だが当たれば10のダメージは確実だろう。
当たりどころがわるければもっと高くなる。
- 940 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 23:09:07 ID:trmDr2BE0
- >>939
「意外にしぶといですね…
ん?」
【少し相手のしぶとさに感嘆している間に】
「むっ…これは一体なんですか?!」
【突然黄色い紐のようなものが鶫の体を縛り上げる】
「この、腕尽くで解かせてもらいます…よっ!」
【鶫の衣服が光り輝いていく…間に】
ガガガっ
「くっ、うっ、...うぐっ!」
【幾つかの弾丸が鶫の体にあたっていき、そのたびに体をくねらせながら苦悶の悲鳴を上げる】
【ダメージはいくらか受けてしまったようである。4発命中したため、40ダメージを受けている】
【だがバインドを振りほどくのは時間の問題のようだ】
- 941 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 23:16:24 ID:xm/dFKGs0
- >>940
「アタックスキル!」
【アタックスキル:ブルーバスター!】
空中で一回空転し、右のガンにエナジーが集まりだした。
集中したエナジーの影響か、右のガン青く光りだしている。
そして、放たれたエナジーは大きな球体を形作り。
「発射!」
2秒たってから発射された。
先程とは段違いの出力を誇る、威力80ダメージの攻撃。
だがどうやらフィールド値を消費しているようで、648から500まで下がっていく。
巨大な球体は多少の回避行動では避けようが無いほど相手の視界を占有していくだろう。
だが、素早くバインドを解ければ回避は可能だ。
- 942 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 23:21:43 ID:trmDr2BE0
- >>941
「これは…まずいですって!」
【凄まじいエネルギーが発生していくのを見て】
「こんの…ぉ!!」
【両手にエネルギーを込めて勢い良くバインドを引きちぎった】
「早く避けないといけ…」
【バインドをほどいてすぐ横に向け走ろうとする】
ドゴォン!
【凄まじい爆風とともに鶫の姿も見えなくなるかもしれない】
【命中した・・のだろうか?】
- 943 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 23:25:59 ID:xm/dFKGs0
- >>942
「いよっし、命中!
……って言いたいけど、HP減ってないんだよなぁ。
避けられたか?なら!」
【スキルコード:サーチⅡRを発動します】
発動した瞬間、周辺を探るようにアバターがブレードを構えながら見ていく。
攻撃への対応も組まれているようで、探っているが隙は少ない。
だが探索重視のせいかやはりさっきよりは隙が大きい。
相手が無事の状態ならチャンスである。
- 944 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 23:28:47 ID:trmDr2BE0
- >>943
「よし…!」
【鶫はどうにか横に避けてはいた】
【爆風で若干吹き飛んではいるが…】
「今!そこっ!」
【そう言って拳銃を構える。その拳銃には淡く光がまとっていた】
ガァン!
【引き金を引いた瞬間に先程よりも威力が格段に上がった弾丸がアバターへと向かっていくだろう】
【威力は・・先程の2倍弱はあるだろうか】
- 945 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/23(水) 23:35:41 ID:xm/dFKGs0
- >>944
「おっとしまったけど、タダじゃやられないぜ!」
フィールド値が114減少して残りが386になっている。
フィールドで無効化しながらも左のブレードガンで射撃して反撃する。
威力は20と高くは無いが、サーチ効果が精度が極めて高い。
「(そろそろフィールドも意味がなくなってくるな…どうするかね)」
ブルー・ソルジャーは高機動型の欠点をフィールドで埋めるという極端なコンセプト、
いわばピーキーアバターだが、フィールド無しの機動性は間違いなくトップクラスだ。
ただそれをすると言う事は攻撃に対する防御性能が非常に低いというわけで。
フィールドをどこで切るか、そしてそこからどう攻めるかがコイツを扱う上での注意点だ。
- 946 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/23(水) 23:47:39 ID:trmDr2BE0
- >>945
「ぐうっ!」
【発射された弾丸が鶫の脇腹に食い込む】
「いった…でも大したダメージじゃありませんね…!」
【そう言うと鶫は拳に力を込め始める】
「真っ向勝負をしますよ!今度はっ!」
【そう言って勢い良くアバターに向けてかけ出していく】
「どうだっ!」
【拳を大きく振るうとアバターに向けて振りぬいた】
- 947 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/24(木) 00:01:24 ID:xm/dFKGs0
- >>946
「今だ!」
【アタックスキル:クラッシュフィールド!】
振りぬかれて拳がアバターに当たる、アバターのHPが減少して。
430になる、そしてそれと同時にカウンターのアタックスキル。
これは攻撃を受ける代わりにフィールド値を消失させ、さらに消失させた分の僅かなポイントのダメージを与えるものだ。
パリンという音と共にエナジーの刃が飛び散っていき。
それは近くにいた相手にも襲い掛かっていく。
ダメージは60とさっきにはおよばないが、かなりの痛手だ。
だが彼女が素早く反応したならば回避はそう難しくは無いだろう。
- 948 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/24(木) 00:12:16 ID:trmDr2BE0
- >>947
「よし、あたっ…あっ…!」
【確かに拳は命中するが、その油断が確かな反応を遅らせた】
「ぅ…ぁああ…!ぁぐ!」
【エナジーの刃が次々と鶫の体を切り裂いていく。まともにダメージを受けてしまったようだ】
「う、くぅ…うっ…」
【吹き飛んだ鶫の体はしばらく体をガクガクと震わせて仰向けになっている】
【しかし体力はまだまだ残っているため、すぐに起き上がるだろう】
【見ると鶫の腕は光り輝いたままである】
- 949 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/24(木) 00:20:16 ID:xm/dFKGs0
- >>948
「決着判定が付くまで容赦はしないぜ!」
【アタックスキル:ブルーミラー!】
発動と共に残像を残しながら高速でアバターは移動を開始した。
その速度はまさに目にも留まらぬ速度であり、さらにそこから相手を狙っての射撃が繰り出されていく。
命中精度こそ悪いものの、その速度自体が武器となっている。
このまま決着をつけてしまうのか。
それとも、彼女が反撃に出るのか―――
- 950 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/24(木) 00:31:59 ID:trmDr2BE0
- >>949
【容赦なく撃ち込まれる攻撃】
「ぐはぁ!ぁっ!はぁぁ…!ぁぁ…!」
【連続攻撃によって地面に縫い付けられたかのように身動きの取れない鶫】
「ま、まだっ…うっ、ぐっ!」
【見ると、手のひらに集まっていた光は握られていた拳銃に注ぎ込まれていた】
「あ、た…れっ!」
【鶫はアバターの動く軌道を何とか狙って】
ガァン!!
【その一つ先に向けて、先程よりも威力が高まった光の弾丸を発射した】
- 951 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/24(木) 00:39:31 ID:xm/dFKGs0
- //ファンブル
>>950
「あ、やべ」
放たれた銃弾は真っ直ぐ軌道上へ。
さらに運悪く頭部にクリーンヒット。
ダメージ400と言う大ダメージを負って後方にバランスを崩す。
だが彼はそこから素早くコマンドを入力して立て直そうとするが。
「クリーンヒットで3秒間行動不可能だと!?
当たり所悪すぎだろ畜生!?」
スパークを放ちながら屈んだまま固まっている。
3秒間の内に一撃でも命中させれば、彼女の勝利だ。
だがそれが出来なければ、彼女が勝つのは不可能に近くなるだろう
- 952 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/24(木) 00:49:06 ID:trmDr2BE0
- >>951
「くっ…後一発…
打てば…」
【鶫はじっと力を貯めて発射しようとするが】
カシャッ
「こんなときに…弾切れ」
【なんと弾を使い果たしてしまった...まさかの敗北…】
「してたまりますかっ…!」
【するとおもいきや、鶫はその拳銃を大きく奮って】
「でやあああ!」
【アバターに向けておもいっきりぶん投げた!!】
【野球ボールのごとく拳銃はぐるぐる回りながら向かっていった!】
- 953 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/24(木) 01:01:48 ID:xm/dFKGs0
- >>952
ぶん投げた拳銃はヒットして、30のダメージと共にアラームが鳴り。
【ゲームセット:敗者プレイヤーを送還します】
アナウンスと共に彼のアバターは倒れこんだ。
彼女の勝利である、と同時に別れの時間が訪れる。
「ああくそう運が無かったってのはいいわけだ。
ま、いい教訓になったぜ!ありがとな!強かったぜ!」
いつの間にかアバターは消失していて、なぜか疲れた表情の彼は。
勝利者である彼女へ賞賛と負け惜しみを言いながら転送されようとしている。
一言コメントを返す暇くらいはあるだろう。
- 954 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/24(木) 01:11:24 ID:trmDr2BE0
- >>953
「あっ…どうやら勝ったみたいですね...
ありがとうございました...」
【ゆっくり起き上がっていった】
「私こそ…油断が多かったような気がしますね。
こちらこそ色々勉強になりました。ありがとうございます」
【深々と頭を下げていった】
「あ、またいつかお願いしますね。
なんか貴方との戦闘は不思議ですから」
【そう言って軽く笑った】
- 955 :アルバ=ロア=マティアス <GUEST>:2012/05/24(木) 01:20:41 ID:xm/dFKGs0
- >>954
「機会があったらな!アレ、でもこれバグじゃ」
言う前に送還されていった。
最後まで彼はここがバグによるものと思っていたらしい。
- 956 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/24(木) 01:28:06 ID:trmDr2BE0
- >>955
「いえ、普通に来られると…あれ」
【既に姿は消えてしまっていた…】
「ふう…しんどいです…
でもまるでゲームみたいに怪我をしませんでした…」
【不思議に思いながらその場に倒れこんだ】
【しばらくたってから鶫は送還されていった】
- 957 :ヴァージニア:2012/05/24(木) 22:51:56 ID:w5h4cIxU0
- 日中、常夜のローブを着て街に繰り出したときだった。
見知らぬ子どもたちから、石を投げつけられた。
彼らは口々に、吸血鬼の存在を否定した。そのように教育されているのだろう。
一行が去った後に、近くの壁の張り紙を見た。
『人外による犯罪の増加。付近住民は注意されたし』
人外排他団体による広告だった。実際は人外による犯罪の増加という情報には何の裏付けもない。
社会全体が、人外を厭うような流れを作る。これが彼らのやり方だったのだ。
しかし、そんな大きな陰謀があっても、ヴァージニアは知る術を持たない。
一部の人外が問題を起こしているから、自分もこの一部に見なされている、としか考えられないのだ。
しばらくは目立つ行動はしたくないと考えて、人目を忍んでジャンク漁りをしていた。
- 958 :アイリス:2012/05/25(金) 23:08:00 ID:do5XJmGE0
- 【AGカフェ】
チリンと来客を知らせるベルが鳴る。
金色の髪に青い瞳、千夜学園の制服を身にまとうアイリスだ。
本来ならば居るはずの店主の正面、普段から使用しているカウンター席に腰掛けて。
店主が居ないと分かれば、何もするわけでも無い。
手持ち無沙汰にその日の新聞を捲るだけ。
何故かと問われれば、アイリスは料理など出来ないからだ。
それに今は『闇祓騎士団』の影響が出ている為、メイドには極力外出を減らすよう伝えている。
だから誰かに淹れてもらうまで、アイリスは何もしない。出来ないのだ。
紙面を捲りながら考えるのは、自らの闘う手段。
現在、魔眼、能力だけでは厳しいと実感している。
勝つのが目的ではない。自分の身を守る為の手段として、魔眼を行使してきた。
だが、『闇祓騎士団』の動きが表面化してきている。
数いる面々の中で足を引っ張りたくない思いもあれば、敵を打倒する為の力も必要なのだ。
「――やっぱり、格闘技、いや、体術、かな。」
体術なら、能力との相性も良い上に、これから無手で自らの身を効率良く守るためには良いと考えて。
ところで、誰か来ないかな。なんて思いつつ。
- 959 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/25(金) 23:18:36 ID:7gFzKdaU0
- >>958
「――わたた、早く着替えないとって……いらっしゃいませー!」
慌てた様子で、少し煤けた様子の赤毛の少女が店内に入ってくる。
千夜学園、小等部の制服であり、活発そうな外見によく似合っていた。
そして、店の中に入ると、アイリスの姿を確認して、頭を下げて。
小走りで奥のロッカールームへと消えて行く。
シャワーの音が小さく響き、数分後にはウェイトレス衣装に着替えたアテナが出てきた。
カウンター越しのキッチンへと入っていき、エプロンを付けて。
ポットのお茶の確認や、他の食材の確認を開始。
とりあえず発注の必要はなさそうだと理解した上で、アテナはカウンター越しに顔をのぞかせて、問いかける。
「えーっと、先輩サン、ですよね?
なんか、悩んでいるみたいですけど。どうかしたんですか?」
こてん、と首をかしげる姿には邪気は無くて。
話してもいいだろうと思わせる雰囲気が存在した。
- 960 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/25(金) 23:21:57 ID:SSMHlh/20
- >>958
それからしばらくして……。
――チリン。
「……ふぅ。」
ドアベルの音と軽いため息が、新たな客の訪れを告げる。
見れば、パトロールを今しがた終えた、といった様子のロザリアが
入り口近くで、ドレスについた埃や汚れを払っていた。
「……ごきげんよう。」
すぐにアイリスの姿を見つけ、近づいてくるロザリア。
どうやら戦闘を行なったようで、衣服にはところどころ焼けこげができている。
- 961 :アイリス:2012/05/25(金) 23:31:30 ID:do5XJmGE0
- >>959
「まずは注文だね。オールドワインのアロース・コルトンあるかな?
あるならボトルで欲しい。」
アロース・コルトン。
赤ワインでボトルでは100万円程度のものだ。
そんなものを学生服のまま頼んだ。
「先輩?ということは君も千夜学園に通っているのかな。
いや、驚いただけさ。こんなに可憐な花が咲いているなんてね。
…、まあ、悩みと言えば悩みかな。実はね、体術に興味が出てきてね。それで、ここに寄ってみたんだ。
クロスなら誰か知り合いを紹介してもらえるかな、と思ってね。」
アイリスは既に酒が入っているかのような言葉を紡ぐ。
青い瞳はしっかりとカウンター越しのアテナの瞳を捉えて、微笑んで見せた。
>>960
「ごきげんよう、ロザリア。
……その格好は何かな?悪いことは言わない。まずは着替えてくると良い。
話はそれからだ。」
目敏くもところどころ焦げた服のロザリア。
そんな格好では休息どころではないだろう
- 962 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/25(金) 23:44:33 ID:SSMHlh/20
- >>961
「夜の巡回の最中にスラムで少しね……。」
ロザリアが腕を動かすと、
ドレスが一瞬、まるでテレビの砂嵐のようにブレて
全く同じデザインの、新しい物に変わる。
都市のスラムといえばまさに無法地帯であり、
発砲事件、強盗、殺人などは日常茶飯事である。
ロザリアも、大方その身なりから襲撃を受けるかなにかしたのだろう。
>>959
「あなた、モヒートをもらえるかしら。
ああ、ライムはつけなくてもいいわぁ……。」
ぽふ、とカウンター席へ。
疲れた様子で、アルコールを注文する。
- 963 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/25(金) 23:47:08 ID:7gFzKdaU0
- >>960
「いらっしゃいませー……?
あの、着替えとかシャワーを浴びたいなら、奥のロッカールームを貸しますけど……?」
入ってきた相手の、その姿を見て、驚いた様子で。
と言ってもこの少女も実は先程まで戦闘をしていたのだが。
どちらにしろ、そのままではよろしくないと判断して、奥を貸すと提案した。
>>961
「うぇ? ありますけど――、えーっと。
身分証明証、お願いしますっ! 疑うわけじゃないんですけど、確認しないと注文が受けられないので!」
一瞬、目を見開いて驚くも、態度を取り戻すアテナ。
店員として相手に失礼の無い態度をとりつつ、常識のある行動を返した。
もし身分証明書が提示されれば、奥からアテナはボトルを静かに運んでくることだろう。
「ここでバイトしながら一応小学生やらせてもらっています。
はは、可憐なんて。お客さんの方がずっと綺麗じゃないですか。
って、体術――――ですか」
接客が得意なのか、ニコニコと笑いながら、相手の気障っぽい言葉を軽く受け流す。
むしろこうでなければ幼女なのに普通にAGカフェの店員をしては居られまい。
何かとしたたかな少女が、そこに居た。
相手の体術、という発言に、俄に少女は考えだして。キッチンから出てくると相手の横に立って口を開く。
「――――でも、なんで体術を身につけようと思うんです?
自衛の為とか、色々理由はあるんでしょうけど。お客さん、結構強いと思うんですけど」
アテナの目が細められて、右目から魔力が僅かに漏れだした。
紫色の、魔界の瘴気に酷似したそれは、徐々に色を失い、無色の力として発露した。
悪意は無く、相手の理由を見極めようとしているだけなのは、態度から理解できるだろう。
- 964 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/25(金) 23:49:44 ID:7gFzKdaU0
- >>962
「モヒートですか、承りました。
……夜になるとお酒が多く出るなぁ、私未成年なんだけど」
お酒なんか飲める年じゃない為、自分で味の確認ができないものを出すのは少々矜持に反する。
だが、コレは仕事であるため、自分の言い分を通すのは逆に間違っている。
だからこそ、分量を細心の注意を払って図り、カクテルを作るとロザリアの席に持っていく。
飲んでみれば、教科書通りのお利口な味が相手の口に広がるだろう。
年若い少女が作ったと見れば、まだマシな出来であるかも知れない。
- 965 :アイリス:2012/05/26(土) 00:08:57 ID:do5XJmGE0
- >>962
「…スラム、か。それにしても珍しいね。身に傷を受けていないとはいえ、そういう格好に“なってしまった”んだ。
もしかして彼等に襲撃を?
もし君が襲撃を受けているのなら、もう少し味方に情報を回さないとね。」
ロザリアの『着替え』から目をそらして。
だが、アイリスには疑問が残る。
ロザリア相手とはいえ、服を焦がすことが出来る者は少ないだろう。
>>963
「困ったね。今は生徒手帳しかない。
……、仕方が無い、今は我慢しよう。」
自らの生徒手帳をアテナに差し出して。
アイリス・フォン・ルズィフィール。千夜学園高等科二年
という情報と顔写真が添えられているだろう。
未成年が確定した以上、当然ワインは却下だ。
「…やれやれ、可憐な花でありながらも流石にクロスの店で働いているだけあるね。
こんな陳腐な言葉とはいえ、言われ慣れているのかな?」
隣に座ったアテナの瞳を見て。
微細だが魔力が漏れた瞳に反応して。主にアテナの右目に向けられるアイリスの瞳は好奇。
アテナの目が向けられる中、アイリスは魔眼を起動させる。蒼から赤へと変化する瞳の色。
この魔眼は、アテナからすれば、どのように見れるのだろうか。
「――理由か。僕はね、向かってくる壁を平然と叩き壊す力が欲しい。最近、この力だけでは『足りない』と思えてね。
それと、大切な子、友たちを守る手段の一つとなり得るのなら、僕は欲しい。その手段をね。」
――それに、能力との相性が抜群であるのだ。
頭に思い浮かべるのは三つの童女と『仲間達』
瞳には深い慈愛の色と守るという意志のマーブル模様。
アイリスは『向かってくる』という言葉を使用した。
自ら力を求めるのでは無く、何かの為の手段として使用するつもりなのだろう。
- 966 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/26(土) 00:16:49 ID:SSMHlh/20
- >>964
「ありがとう。」
ロザリアは出されたモヒートに口を付ける。
一瞬、怪訝な顔でそれを見たが特にそれ以上は何も言わず
カウンター上にチップを置いた。
ロザリア自身も見た目はどうみても未成年なのだが……。
>>965
「いいえ、全く関係のないギャング連中よ。
ああいう連中に、異能者や魔術師が混じると厄介極まりないわ。」
最近は、異能者や魔術師による犯罪は多種多様。
警察組織や自警団等も、十分対応しきれないのが現状だ。
寧ろ、対応しきる事など不可能なのかもしれないが。
- 967 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 00:22:56 ID:7gFzKdaU0
- >>965
「個人の行動に文句を言うつもりは無いんですけど、ごめんなさい。
一応、売ったらてんちょーが怒られちゃうと思うので」
生徒手帳を確認した上でぺこり、と頭を下げた。
顔を上げて、けふん、と軽く咳払い。
「萌葱アテナと云います。千夜学園小等部5年生。
よろしくお願いします、アイリスさんっ!」
にこり、と元気な動作で笑い。
先ほどまでの丁寧な態度のそれとは違う、素の輝きを見せる。
そして、奥に少し下がっていき、数分後にはいい香りを振りまく紅茶をポットで持ってきた。
お詫び、との事でサービスで紅茶を淹れてきたようだ。
「むぅ、商店街のおじちゃんにはよくアテナちゃんは今日も元気だねーとか言われますけど。
一人暮らしなのでほめられたりすると、やっぱり嬉しいんですよね」
頬をぽりぽりと掻きながら照れた顔をして。
相手の魔眼を見て、わ、と声を漏らすと。もし此方に何らかの力が漏れてきているなら。
それを素手でわしづかみにする事だろう。
そうしながらも、相手が力を必要とする理由を見て、聴いて。
瞳の意思を真っ直ぐに見抜き、軽く息を吐く。
「――――私で良ければ、少しくらいなら教えられますよ?
多分、必要な力でしょうし。力を身に着けても、アイリスさんならきっと悪いようにはしないと思いますから」
と、この少女自身がアイリスに体術を教えるという。
冗談の気配は無く、大真面目にそう口にしていることは間違いない。
>>966
「あ、おつまみもお付けしておきます」
カクテルがまずくはないが美味しくはない事は理解しているため。
言外のサービスとして、アテナは少し豪華めにした肴を加えておく。
そして、アテナのスタンスとしては、この都市には見た目と中身の年齢がそぐわないのが多いのは分かっている為。
見て未成年と分かる格好(アイリスの場合は制服)の場合は、確認をする、という事にしているようだった。
- 968 :アイリス:2012/05/26(土) 00:33:46 ID:do5XJmGE0
- >>966
「…なるほど。とにかく、君の身に何も無くて良かった。
もし、彼等だったのならと肝を冷やしたね。おそらく、彼等は自浄作用が働くだろう。
それに、そういう芽の処分は僕達が対応するべきことではない。」
ロザリアの身に何もなく、相手が闇祓騎士団では無かったことに安堵したのだろう。
その声は僅かに、ほんの僅かにだが穏やかだ。なぜなら、ロザリアもアイリスの言う『友』の一人なのだから。
「それより、最近めっきり外出する吸血鬼を見なくなったね。
僕が気付いていないだけか、それとも……。
そうだ、少し、大事な話がある。僕の頭には以前から構想していたことがあってね。
若い吸血鬼達の教育。この情勢だ。吸血鬼同士の横の繋がりもあれば良いと思ってね。どうだろう。
吸血鬼達の教育、してみないかい?」
>>967
「大丈夫さ。クロスは怒っても公共物に八つ当たりして修繕費を要求されるだろう。
修繕費の高さに驚き、僕の飲酒なんて忘れているだろうけれどね」
苦笑を浮かべ、持ってきてくれたカップに紅茶を注ぎ、左手でソーサー、右手でカップを持ち一口飲む。
小さく溜息を付けば、再びアテナの瞳を見て。
「宜しく、アテナ。しかし、本当にいいのかな?
僕はね、戦いが下手だ。飲み込みが悪い生徒でもあってね。きっと苦労するだろう。」
敢えて、一人暮らしの部分は何も言わなかった。
何か複雑な事情でも抱えているのだろう。それは、今、アイリスが突っ込む訳ではない。
それでも聞けば、この明るい少女は笑顔で事情を語るのだろう。
そういう快活な少女であるというのは数少ない言葉を交わしただけで読み取れた。
- 969 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/26(土) 00:51:49 ID:SSMHlh/20
- >>967
「ふふ、気が利くじゃない。
……ありがとうねえ。」
どうやら、おなかも減っていたらしく
おつまみで軽く腹を満たすロザリア。
胃袋は足を支える、とはよく言ったもので食べ物を食べると活力が生まれる。
>>968
「吸血鬼だけじゃないわ。
久々に現れた過激派に人外コミュニティ全体が警戒している。
まあ、それは別に悪い事ではないのだけれど。」
そして、アイリスから持ちかけられた話。
以前、ちらと話題に出た事はあったが、その際は
『闇祓騎士団』の事もあり、よくはなせなかった。
「……教育。ふむ、なるほど面白いですわ。
高貴なる者は下々の者を、啓蒙し導く責務があるのです。
まさに、この私にピッタリ!」
ロザリアは相当に乗り気のようでふふん、と上機嫌に鼻を鳴らして。
- 970 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 00:59:47 ID:7gFzKdaU0
- >>968
アイリスのその言葉を、アテナは柔らかい表情で受け止めた。
そして、己の祖父の言葉を思い出しながら、ゆっくりと口を開く。
「武術が才能の有る者の為のものなら、この時代に至るまでにとっくのとうに廃れてますよ。
努力は何よりも強いんですから。宝石も粘土も、磨けば輝かないし、練らなきゃ焼きものにもならないですから。
だから、飲み込みが悪いとか、下手とか。そういうのは〝どうでもいいんです〟。それでも、アイリスさんはやるつもりでしょう?」
理想論ではない。一握りのものにしか使えない技術など、何処かで失伝して当然なのだから。
程度の差は有れど、誰にでも扱えてこそ。アテナだって、最初は下手で弱くて、飲み込みも悪かった。
それでもやって、やって、やって。ここに居るのだから、努力は才に勝るのは知っている。
己の右拳を握りしめて、軽く空に振るい。
拳の軌道、力の入りを確認して、問題はないと理解。
少なくとも、打撃のいろは程度ならば多少は教授できると確認する。
「でも、本当にいいんですか、アイリスさん。
私、教えるの下手かもしれませんよ。思いっきりスパルタで、びしばしかも知れませんし。
手加減もあんまり得意じゃないので、結構以上に痛いと思いますよ?」
何となく、答えはわかっていながらも、アテナはそう問いかけてみた。
要は相手の意志の、再確認のようなものだ。
>>969
「いえいえ、おとなになったら美味しいお酒を出させてもらいますね」
紅茶を出したアイリスの側に、皿に盛ったクッキーを持って行きつつ。
アテナは、軽く礼をしながら、精進すると返答をした。
- 971 :アイリス:2012/05/26(土) 01:17:40 ID:do5XJmGE0
- >>969
「うまくやれば、協力関係は築けそうではある、か。
警戒を怠らない。そういう意味では彼等の存在がありがたくもあるね。
各人外コミュニティとは繋がりがあるのかな?
あるのなら情報を広げてほしいね」
唇の乾きを潤すように、紅茶を飲んで。
「そういうと思ったよ。君に話した段階で僕には答えが見えていたからね。
そうだね…、君の都合のいい時で構わない。不定期にはなるけれど、是非とも頼むよ。
もし、人外の者に会ったらそれとなく、城の事を伝えてくれないかな?この件は大お祖母様にも伝えてはいるからね。
方法や時間は問わない。君も教える側に回ってくれると助かるね。」
>>970
「やるよ。少々強引にでもしよう。
……、……そうか。
やれば良い。結果はやっただけ付いてくる。アテナはそう言いたいわけだね。
わかった。やろうじゃないか。」
アテナの言葉の意味を消化するのに、僅かな時間は掛かった。
それもそうだ。
アイリスの系譜は幼少の頃には既に己の能力が発現し、その能力に合わせた自己防衛という名のちょっとした鍛錬があるからだ。
アテナの言葉には、アイリスには非常に新鮮だった。
それは、アイリスが決められたレールの上に乗った上での戦闘能力を伸ばしてきたからだ。
だが、体術への興味はレールから脱線すること。
今ではある程度戦えるまでにはなっている時点で努力はしていた。出来ていた。
アイリスに足りないのは例えるのなら雑草魂。へこたれてもへこたれても立ち向かう、強い魂、屈強な我なのだから。
「教え方の問題は無いさ。昔はよく実践で訓練をしたものでね。
その時はボロボロだったよ。これから頼むよ、師匠。」
アテナに向け、笑みを浮かべた。
アテナの右手には何も掴むことはなかった。
それはアイリスの魔眼がアイリスの眼にだけ作用するもので、視るだけでは相手には一切影響を与えないものだからだ。
いつの間にか、アイリスの瞳は蒼に戻っており、纏う雰囲気は穏やかな風のようなものになっていた。
- 972 :ロザリア・ロートシルト:2012/05/26(土) 01:34:56 ID:SSMHlh/20
- >>970
「ふふ、気長に待っているわねえ。
時間だけなら、私にはたくさんあるから。」
吸血鬼にとって、時間と言うのは最早切り売りができるほど有り余る代物。
待つ、という事は最早苦にならない。時に限りある人間とは時間の感覚が違うのだ。
>>971
「人外のコミュニティ、といっても
私が知るのはごく一部。しかも、誰でも知っているような物ばかりよ。
この都市では秘匿されたものを見つけ出すのは難しい。」
都市の人外コミュニティには市民として生きるものたちの公開された物と、
ひっそりと隠れ住む隠者的なものの2種類がある。
一夜城を例として分類するなら後者に近いだろう。
そうしたコミュニティは大抵魔術や異能で隠蔽された後者を見つけ出すことは難しい。
「ええ、こちらとしても最大限努力するわぁ。
詳しい話なんかは、こんど一夜城に行ったときにもう少し詰めるとして
……ん、そろそろパトロールニ戻るわねえ……。」
ロザリアはカフェの柱時計に眼をやると、それなりに時間がたっている事に気づき、
ふたたび、街のパトロールに戻るべく席を立つ。
「それでは、ごきげんよう。」
彼女は指を鳴らし、その姿を黒い霧へ姿を変化させ窓の隙間から都市の夜霧へと溶け込んでいった。
- 973 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 01:40:59 ID:7gFzKdaU0
- >>971
「100やって100ついてくるとは限らないし、もしかしたら1かも知れない。
要は、それが才能ですけど。有る無しにかぎらず、絶対1はついてくるんです。
だったら、100倍やれば天才に追いつけますし、それが出来る人が居るのがこの世界。
だから、やるからには死ぬ気でやって下さい。走馬灯を見るくらいに刻みつければ技なんて直ぐに覚えられますから」
最初から持っている力など、〝誤差〟。
後から積み上げたものが本人の実力を決めるのならば、やはり努力は絶対なのだ。
そして、アテナ自身の経験も有って、文字通り死ぬ気でやることが最良と知っている。
真面目に相手が力を求めるのならば、真面目に力を教授するべきだ。
祖父のようにうまくは行かないかもしれないけど、祖父の言葉も心も、自分の力も意思も。
全て身長130cm、30kgの10歳の体と心に詰まっている。だから、何一つ問題はない。
「――容赦はしない。ついて来いともついてこれるかとも言わないよ。
……よろしく、アイリス」
そう言うと、アテナは己の右手を相手に差し出し、魔力の発露を消し去った。
右手を握れば、固い掌と傷だらけの拳の感覚が、相手に帰ってくることだろう。
>>972
「はいっ、またのお越しをお待ちしております!」
去っていく相手を見送って、深々と頭を下げて。
アテナは次の来店を楽しみにしているのだった。
- 974 :アイリス:2012/05/26(土) 01:49:24 ID:do5XJmGE0
- >>972
「…そうか、そうだろうね。
今度来るときは歓迎しよう。大お祖母様も交えてね。
次、会う時を楽しみにしているよ、ローザ」
既に姿が見えないであろう、ロザリアを見送り。
>>973
「ふふっ…僕に走馬灯を見せようとするだなんて、アテナは変わっているね。
まあ良いさ。楽しみにしているよ。」
懐から万年筆を取り出せば、アイリスは紙ナプキンに自分の携帯電話の番号とメールアドレスを書き加えて、アテナの前に差し出す。
アテナに差し出された手を握り返す。
何か固いものを殴り続けたような、岩肌を思わせる肌。
この小さな手は、何を経験し、何を見てきたのか。
それはアイリスが示すものではない。アテナが背中で示すものだ。
「簡単に壊れないでね、アテナ。…僕はそろそろ戻るよ。」
アテナに返すアイリスの手は、柔らかく、きめ細かな肌の感触。
それでも、掌の豆を感じ取ることは十分だろう。
アテナから手を離せば、ごちそうさま、と良い、その姿を金の鱗粉へと変えるだろう。
- 975 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/26(土) 01:56:21 ID:7gFzKdaU0
- >>974
「それも、弟子の事を思って、です」
腕を汲んで、大まじめにそう言って。
アテナは、紙を受け取って。相手の手を取った。
豆が有って、戦うものだということは分かって、きっと優しい手だとも思った。
だから、教える以上は全力だと、もう一度心に刻み込む。
「うん、分かったよ、アイリス」
敬語の無い、アテナ本来の口調で、返答を返して。
鱗粉となって消えていったアイリスを見送ると、フロアでアテナは息を吸う。
そして、吐く。
「震脚、正拳」
夜の住宅街に、音のない震動が響き渡った。
そして、少女の声があとから続いて、やばっ、怒られるー!という悲鳴が響いたとさ。
- 976 :アイリス:2012/05/26(土) 22:24:34 ID:do5XJmGE0
- 【一夜城】
この城の中の蔵書には体術に関するものは無かった。
厳密には一端に触れている程度のものはあるが、『さわり』程度しか書き示されていなかったからだ。
中途半端に触れるよりも、アテナの身に付けたものを自分の体に合うよう調整し更にひねりを加えるほうがいいだろう。
教わる側として、教える側には『無色』である方がいいのは明らかだろう。
それに、今までの夜釣り用の素材も流しておく必要がある。
更には知り合ったばかりのシロードにも情報を回しておくべきか。
そういった懸案も頭の中で処理しつつ。
「……やれやれ、中々進まないね。
それでも、これは捨て置けない問題でも、あるか。」
ちょうど一階
窓に一番近いテーブルに腰掛けて、紅茶を飲む。
その中で、自らの手を見る。この手で問題を全て処理できるのだろうか。
…違う。自分だけでは無い。だが、まずは一枚岩になるべきと頭は告げる。
ということは情報の共有が必要であろう。だから、人外に限りここの周知を徹底する必要がある。
その手段はアイリスだけの手間になれば、相当の時間を有するだろう。
報告によれば、人間もここを嗅ぎつけているようでもある。
人間に対しての情報封鎖も必要かとも思わせる。
――問題は、中々積もってきているね。
- 977 :柊宇都 綾:2012/05/26(土) 23:18:10 ID:mbXTFaJQ0
- >>976
都市郊外に聳える白一色で塗られた城壁。
一夜城。人外全ての拠点ともいえる箇所を見上げる少女が居た。
以前、立ち入った時は城を訪れてどうにかする。という事では無くなってしまっていので改めてやってきた。という訳だった。
従者である双頭の機械馬に指示を出し、足を止めさせる。
馬の背から降りると、改めて城を眺めてから、扉を叩く。
- 978 :アイリス:2012/05/26(土) 23:22:15 ID:do5XJmGE0
- >>977
扉は叩かれた頃には既にメイドが準備をしていた。
『ようこそいらっしゃいました。どうぞお入りください』
メイドは恭しく頭を下げれば、一夜城城内へと続く扉を開いた。
城主様はコチラの部屋にいらっしゃいます、と真っ直ぐにアイリスがいる部屋まで案内するだろう。
従者の馬は門外に待機させておけば良いだろう。
- 979 :柊宇都 綾:2012/05/26(土) 23:40:10 ID:mbXTFaJQ0
- >>978
メイドに軽く会釈をすると、馬に向かって掌を向けた。
双頭に点いた24の光が二度、緩い点滅を繰り返し、城の正面から少し離れたところで足を折りたたんだ。
城主の姿を見つけると、もう一度メイドに頭を下げる。
アイリスの元へ歩み寄り、小さく抑揚に乏しい声を掛ける。
- 980 :アイリス:2012/05/26(土) 23:49:11 ID:do5XJmGE0
- >>979
「やあ、綾。
珍しいね。君の眷属の姿が見えないようだけれど?」
珍しい来客に驚きはしないものの、ふっと笑みを浮かべて綾を出迎えたアイリス。
綾が来たのは、アイリスの三杯目のミルクティーが用意されたところだった。
「立ち話、という用件ではなさそうだね。
さあ、そこに掛けて。飲み物はメイドに頼んでくれれば良いよ。」
運ばれてきた自分のミルクティーを一口飲めば、アイリスは綾に着席を進めた
- 981 :柊宇都 綾:2012/05/27(日) 00:07:36 ID:mbXTFaJQ0
- >>980
「久しぶり」
目が会った辺りで、アイリスにも会釈。
顔を上げると、指されたとおりに席に着く。
「ヴァージニアは、来てない」
眷属。と言われて誰を指すのか一瞬理解出来なかった。
普段眷属と言う言葉を聞きなれていないと言う事もあるが、今回は別。
ヴァージニアが綾の眷属と言う結び付けが薄く、綾自身はそう呼ばれる事に何処か違和感を感じていた。
- 982 :アイリス:2012/05/27(日) 00:18:49 ID:do5XJmGE0
- >>981
「ああ、そういえば、彼女とは会えたようだけど、ロザリアとクロスには会えたかな?
君は知っておいたほうがいいかもしれないね。眷属を唆した相手をね。」
吸血鬼の界隈では、血を吸われるなどの何らかの形で吸血鬼に成った者を眷属と呼ぶことも多い。
例えば、ヴァージニアは綾に血を与えられ吸血鬼化した。そういう点ではヴァージニアは綾の眷属とも称される。
既に吸ったものを滅ぼしたりなどして『独立』した等、例外はあるが。
アイリスがこの都市で知る主従はたった一組。
それだけで綾とヴァージニアを特定できる便利な言葉となる。
「そうだ。
以前話していた人外迫害集団の件で少し話しておくことがある。」
アイリスの背後、歪んだ空間から一枚の紙が取り出された。
紙には、綾が見たことがあるかもしれない術式。
以前作成したものを『都市の言語に合わせ作り替えた』ものだ。
様々な語句が並んではいるものの、魔術の輩にとってはそれら全てが至って一般的なものである。
- 983 :柊宇都 綾:2012/05/27(日) 00:37:23 ID:mbXTFaJQ0
- >>982
眷属についての知識はあった。
そういった類の本で調べたり、身近な吸血鬼であるアミルに尋ねたりはしたのである(真面な知識は得られなかったが)。
故に、綾とヴァージニアの眷属という関係認識が薄かったのは、綾自身の問題であると言えるだろう。
『蘇生手段』としてヴァージニアを吸血鬼にしてしまっただけで、決して眷属を作りたかったわけでは無い。
綾自身が眷属という厄介な制約を付けられなかった上の、認識の甘さから来る問題であった。
「いや」
クロスとは顔を合わせた事があったが、ロザリアとは一切の面識が無い。
一体どういう姿なのかも、人間でないという想像はつくが、種族も。
「?」
人外迫害集団。以前アイリスの口から危険だと知らされた物だ。
まだ被害の例はアイリスからしか聞いたことが無い物の、それの度合いは十分に警戒に足ると記憶させていた。
- 984 :アイリス:2012/05/27(日) 00:55:55 ID:do5XJmGE0
- >>983
「そうか。
彼女の行動範囲は広くてね。今、この時間であればパトロールをしているかもしれないね。
もし、していないのであれば、クロスの店か自宅か。近いうちにこの城に来るということだ。
いいタイミングであれば、会えるだろう。彼女には教師の役もお願いしているからね。」
結果だけで見れば、血を与え、生き返った時点で眷属と見做されることもある。
目的はどうであれ、血を与えた事実は歪まないからだ。
眷属の制約というものは、アイリスが眷属を持たない時点で知らないものではあるが、アイリスの一族を見る限り、特に制約は無い。
ただ、落ち着くまでの面倒を見てはいたようだが。
血を与えるのは、精神的繋がりを求めたりと、理由は様々であった。
「これはね、逃げの一手を打つためのモノさ。
勿論使い方はそれだけでは無い。
一応、君にも預けておこう。以前にも話したとおり、彼等は統制を以て僕達を滅ぼしに掛かってくる。そういった手合いは面倒でね。
万が一のための保険さ。効果は小爆発と煙幕。使い方は簡単でね。
この紙で包んだ物を地面に叩きつければ先の効果を得られる。簡単だろう?」
勿論、簡単なだけで効果は薄い。
それでも、これ一つだけでわずかとはいえ、隙を作り出せる以上、対多の戦いでは十分に役立つだろう。
- 985 :柊宇都 綾:2012/05/27(日) 01:14:51 ID:mbXTFaJQ0
- >>984
「探してみる」
理解したようで、小さく頷いて見せた。
学友は少なく、外での遊びと言う物に乏しい綾の行動範囲は狭い。
ふらふらと都市を歩くことはあるが、基本的に自宅の館と学校を往復する毎日でしかない。
クロスの店で暇を潰す頻度を増やせば、会えそうだ。
「使わせてもらう」
受け取ると、じっと眺めている。
小さな雷を放つ程度の魔術なら使用できるが、それでは魔術が使えると言い切れる様な物では無い。
元々、数年前まで綾は世間とは一切隔絶された孤独に生きる真人間。魔術の知識など持ち合わせていなかった。
魔術製の物質を眺める闇色の瞳は、いくらか興味深そうだった。
- 986 :アイリス:2012/05/27(日) 01:28:46 ID:do5XJmGE0
- >>985
「それから、それは試作品だからね。
だが、効果はある。その内、裏のルートで少し動きがあるかも知れないけれど、その時は静観していおいてほしい。」
アイリスは少し冷めたミルクティーを飲み、髪をポニーテールに纏め上げた。
髪を纏め上げること事態に意味は無い。ただ、髪が邪魔だっただけだ。
「後、ヴァージニアの分も渡しておこう。
僕は何故か彼女と会う機会が中々無くてね。主人の君が効果を伝えて渡す方がヴァージニアも受け取り易いだろう。
そうだね、君にも伝えておこうか。ロザリアが年若い吸血鬼を対象に、この城で教鞭を取ることになってね。
もし時間があるなら、君たちも参加してほしい。他の吸血鬼や種族との繋がりを持つことは大事だからね。
最も、強制ではなく、自由参加さ。君の気が進まないのなら参加しなくとも誰も文句は言わないよ。」
共通の敵を討つため、同盟を組む。人外として一枚岩になる絶好の機会であると同時に、敵味方を判別するいい機会でもある。
そういった意味では、非常に有用な機会であることには変わりない。
そうだ、と言い、綾に差し出したものは、厚さ1センチ程のA4サイズの封筒。
上質な紙を使用しているのか、手触りは良い。
中身は件の術式。綾とヴァージニア用のものだ。
「この中身は、術式を描いた紙の複製でね。大凡百枚程度ある。これを君に預けよう。
これはあまり外に流出させるべきものでは無い。くれぐれも厳重に管理してほしい」
- 987 :柊宇都 綾:2012/05/27(日) 01:47:20 ID:mbXTFaJQ0
- >>986
「解った」
アイリスの言う裏ルートへの興味は薄い。
吸血鬼の血が流れていると言う意外は、唯の一般人でしかないのだ。
「考えておく」
ロザリアという存在への接触や、吸血鬼に付いての知識。何れも有意義な事だろう。
特にヴァージニアは『自分よりも』吸血鬼に付いて感心が深いように思える。ぜひとも伝えてあげるべきだと考えた。
「今日は……ありがとう」
封筒を受け取ると、席を立つ。
早いところで家に帰り、ヴァージニアにこれを渡す必要があると考えたらしい。
綾と言う存在の中で、眷属が占める意識の割合と言う物は相当に大きい様だ。
アイリスに向けて小さく頭を下げると、足早に去って行った……。
- 988 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 21:00:26 ID:NntjvIzM0
- 「で、これがここだっけ?」
異能都市にある巨大な運動公園の、誰も居ない一角。
司朗は、紋章を書いた紙を地面に置いていた。
「三枚目はもう少し右だ。
……よし、それで良い」
次の瞬間、紙から紙へ魔力が流れ、
物理法則を遮断する結界が発生する。
「それは言うなれば防壁の結界だ。
ある程度敵の攻撃を無力化することが出来るだろう」
「なるほどなるほど」
腰にぶら下げたエンブレムの彫刻が動き、解説した。
司朗は感心し、結界を叩いて強度を確かめていた。
「で、どれぐらい耐えれるんだ?」
「良い質問だ。
意外と脆い、一時しのぎ程度の認識で良いだろう」
司朗が頷きながら思いっきり結界を殴りつけた。
結界には少し皹が入った。
その程度のものの用である。
- 989 :ヴァージニア:2012/05/27(日) 21:20:39 ID:xYMI58Vw0
- >>988
夜になれば、運動公園から人は消える。
しかし、人気のない場所が好都合である者は深夜でさえ集まってくる。
司朗のように、ある種の力の研究をする者も居れば、麻薬の売人、夜遊びが過ぎる者たちなどその種類は多岐に渡る。
中には、ヴァージニアのように、夜にしか活動できない者もいる。
彼女は、運動公園で自分自身の持つ力を試しに来ていた。
彼女は吸血鬼ではあるが、自分の持つ力の全てを知っている訳ではない。
できることとできないことを区別し、活かせる力は使う。そういうスタンスで自分を見つめている。
「同時に使役するのは、難しい」
指を噛み、傷口から血を飛ばす。
すると数匹の蝙蝠となって、宙を変幻自在に動き、舞う。
ようやく小さな使い魔を使いこなせるようになり、だいぶ吸血鬼として成熟してきたようだった。
- 990 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 21:32:10 ID:NntjvIzM0
- >>989
「はあ……はあ……。
やっと壊れた……」
結界を構成していた紙がビリビリに破かれていた。
強度を確かめる為、自力で殴り、蹴り壊したのだ。
「……おい、近くで誰かが術を使ったぞ」
「ん?俺達みたいに練習に来てるんだろ?
……面白そうだな、見に行こう。
どっち?向こうでいいのか?」
司朗はヴァージニアが蝙蝠を飛ばしている場所まで歩いてきた。
「あ、蝙蝠。
最近多いんだよなあ、でも蚊とか食ってくれるから益獣らしいなあ。
糞害とか迷惑な点もあるらしいけど」
そこらに飛び回る蝙蝠をキョロキョロ眺めながら独り言を言った。
- 991 :ヴァージニア:2012/05/27(日) 21:43:07 ID:xYMI58Vw0
- >>990
蝙蝠はしばらく飛んだ後、煙になってその場から消失する。
「あんまり長く出すと、魔力を消費して疲れちゃう……」
その場に膝から崩れて、深い呼吸を繰り返す。
数匹の使い魔を同時に使役できるほど、彼女の魔力量は多くない。
「…!」
そして、今さらながら司朗の存在に気がついた。
今までの襲われた経験から、思わず身構えてしまう。
- 992 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 21:50:14 ID:NntjvIzM0
- >>991
「んなっ!?消えたっ!?」
司朗は驚き慌てた。
しかし、ヴァージニアの存在を見て、それが術だったと気づいた。
「今の、君の、なんかこう……魔術の類?
……?なんで構えてんの?」
自分達以外に誰かが居るのかと、後ろを振り返った。
まさか自分が警戒されているなどとは夢にも思っていないようで。
- 993 :ヴァージニア:2012/05/27(日) 22:01:46 ID:xYMI58Vw0
- >>992
「人外狩り……とかしてる人じゃないみたいね」
吸血鬼であるヴァージニアは、常日頃から人外狩りに狙われている。
それゆえに、身構えるのはいつものことなのだが、この人物からは殺気を感じない。
自分を狩りに来ている訳ではないと知ると、構えを解いて向き直った。
「失礼。最近、物騒だから……」
そう言いながら、後ろには誰も居ないことを告げる。
「魔術じゃない…。私自身に備わってる、何か」
その力の種類は、種族に備わっているものなので、どう形容したらいいものか、彼女自身も迷っているようだ。
- 994 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 22:10:02 ID:NntjvIzM0
- >>993
「人外狩りが人外腰にぶら下げては来ないと思うけどなあ。
なっ?」
無論エンブレムのことである。
エンブレムの方は無言で金属製の彫刻の目をカチカチさせている。
「まあ、物騒なのは確かだね。
人外狩りもたまにニュースで見るし……やだやだ」
両手をパタパタさせた。
「種族の特性ってか?
蝙蝠の種族って言ったら吸血鬼だよなあ。
まあ、俺の知らない種族みたいなのなんかいくらでも居るだろうけど」
- 995 :ヴァージニア:2012/05/27(日) 22:19:52 ID:xYMI58Vw0
- >>994
「私は吸血鬼だから、陰に関わるスキルは操れるみたい。
全てを知っているわけじゃ、ないんだけど」
そう言うと、彼女は闇に溶けて、消えてしまった。
「存在を闇と同化させて姿を消す。これも陰術の一つだね」
虚空から声が聞こえて来たと思うと、次の瞬間には眼前に出現する。
「力を知れば知るほど、彼らから生き延びることができる。主人も護ることもできる」
- 996 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 22:27:27 ID:NntjvIzM0
- >>995
「うわっ……X-MENで出てきた能力者がそんなことしてたな」
驚いて後ずさりしながら、闇に解ける様をそう言った。
「いいなあ、便利そうで。
……おい、もっと術教えてくれ。燃えてきた」
「……お前の術は私が"貸している"だけだ。
そして、一日に貸してやれる術にも限度がある」
司朗は腰にぶら下げたエンブレムを自分の目の前に翳していった。
エンブレムはそれに対して反論する。
「……主人?誰?この街の偉い人?彼ら?」
- 997 :ヴァージニア:2012/05/27(日) 22:50:44 ID:xYMI58Vw0
- >>996
「便利なのかは分からない。太陽の下を歩けないんだもの」
エンブレムと話している姿を訝しげに眺めている。
「私の主人は、私の命を助けてくれた人、だよ」
自らの首筋を指差し示す。そこには噛まれた痕が未だに残っている。
この噛み傷こそが闇の眷属の証だった。
「でも、この体は、いつも冷たい…」
血は体中に巡っているのだが、体温が感じられない。
生きているのか分からない。それこそが吸血鬼だった。
- 998 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 22:57:59 ID:NntjvIzM0
- >>997
「太陽?でも最近はコンビニとかあっちこっちできてるし、生活には困らないでしょ。
……あ、スーパーの安売りに行けないのは辛いかな」
司朗はどこか的外れなことを言った。
「命を?
なんだか想像しちゃうな、どんなことがあったか」
司朗はヴァージニアの過去に何があったかを想像した。
「そういえば、再生能力ってあるの?
吸血鬼ってあれ……そう、不老不死って聞くけど」
- 999 :ヴァージニア:2012/05/27(日) 23:08:17 ID:xYMI58Vw0
- >>998
「生きて行く分にはもちろん、困らないけど……」
ヴァージニアは、困った顔を浮かべながら言葉を続けた。
「私は、正しいことをしようと思った…
でも力が無かった。だから死んでしまう結果になった… でも死ななかった。主人が私を助けてくれた。
例えこの心が吸血鬼としての本能に冒されようと、私は生きてる」
だからその生を全うし、主人に尽くそうと誓ったのだ。
「再生能力はあるけど、私はちょっと弱い個体だからあんまり期待してない…」
ようやく、先ほど指を切ったところが治ったところだった。
人よりも治癒力は良いが、彼女にとってその再生力はそこまでいいものではない。
- 1000 :高向谷 司朗:2012/05/27(日) 23:15:57 ID:NntjvIzM0
- >>999
「正しいことかあ、立派だな。
俺なんか足元にもおよばねえや」
茶化している風ではない。
心からの言葉だった。
「まあ、死にたいわけじゃないけど。
大往生以外の死に様しなきゃならないんならそうありたいもんだよ」
そう言って、自分の被っている帽子の縁をなでた。
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