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【日常β】異能都市のダイバージェンス【壱拾参】
1名も無き異能都市住民:2011/10/26(水) 23:19:51 ID:WVrfsEdY0
≪ルールとか≫
・基本age進行で
・コテもコテ無しもどんどん来い
・レスの最初に自分のいる場所を明記してくれるとやりやすいです
・イベントを起こしたい場合は空いているイベントスレをお使い下さい
・多人数へのレスは可能な限り纏めて行うようにしましょう
・無意味な連投・一行投稿はできるだけ控えるよう心がけてください
・戦闘可能ですが、長引く場合や大規模戦闘に発展した場合はイベントスレへ移動してください
・戦闘が起きた場合、戦闘に参加したくない人を無理に巻き込むことはやめましょう
・次スレは>>950を踏んだ人にお願いします

【日常β】私を異能都市に連れてって【壱拾弐】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1300718712/

2名も無き異能都市住民:2011/10/26(水) 23:52:13 ID:WVrfsEdY0
>>999
「あうあう〜。おいもさんだったの〜!
 あったかいのかなの!」
【その表情はとてもにこやかなものである。すっかり安心しているようだ】

「あうー、あったかいなの〜。」
【焚き火に手をかざして言った。しばらくして焼き芋が登場して、】

「たべられるくらいかなの〜?」
【楽しみそうにお芋を見つめる。】

>>1000
「あう〜。おなまえ…すきなようになの…?
 うーん…どうしたらいいのかなの…」
【じっっと侍の顔、そして着ている着物を交互に見て】

「じゃあ、『むらさき』でいいかなの?」
【…明らかに着物の色で判断した名前で呼びかけた】

3ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/26(水) 23:52:54 ID:WVrfsEdY0
//名前忘れた…

4名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 00:12:30 ID:SJQ94nUE0
>>前1000
「刀とか剣とか、お好きなんですねぇ。
 お腰のものも何かいわれのある刀なんでしょうか」

意味深な男の呟きの裏を知る由もないナツキ。
なんであれ古物が好きなナツキは何の気なしに、
自分の神剣に焼き芋を突き刺した恰好のまま、そう尋ねた。

>>2
「ふっ。……熱ッ! あっち!
 うわあたたたた、っつぁ! そぉい!」

剣を恰好つけて引き抜き、手の中にアルミホイルを受け止める。
が、当然さっきまで火の中にあったものだ。素手では持てない。
それでも御馳走を落っことすまいとお手玉を繰り返したナツキは、
やっとの思いで、さっきまで自分が座っていた長椅子に焼き芋を放り出した。

「っよし、……手こずらせよってからに」

そうして、あちち、あちちと繰り返しながら、
白衣の袖を手袋代わりにホイルと新聞紙を剥いていく。
そして開かれたホイルの上にその姿が現れてから、
再び剣を翻らせ、焼き芋を端から綺麗に三等分する。
……達人と呼ぶには程遠いが、中々の手際である。

「おっけー、食べられるよー。どうぞ!」

そう言って、ディスと、名も知らぬ着物の男に一つずつ焼き芋を勧める。
ほんの少しだけ芯が残った、やや歯ごたえのある焼き上がりだ。
流石のナツキも剣をフォーク代わりに使うことはなく、
端っこの部分を手に取ると、また熱い熱いと繰り返しながら口に運び始めた。

5髪の白い紫の着物を着た侍:2011/10/27(木) 00:19:52 ID:xm/dFKGs0
>>2
「ふふ…そう呼びたいのなら、そう呼ぶと良い」

そう言って静かに笑う男。
少し、見た目が10の頃に戻った気がした。

>>4
「さぁな。物心付いた頃に親ともわからぬ者から貰い受けたものだ。
それなりの師の作品なのだろうが、拙者には解りもせぬよ。」

そう、自分の刀を見ながら彼は言葉を返す。
ふと気づいたように彼は立ち上がった。

>>ALL
「どうやら、迎えが来たようだ。
拙者はこれにて暇するとしよう」

そう言って、少し空いた空間の裂け目の先に彼は歩いて入っていく。
焼き芋はきっちり貰っていったようだ。ただし、彼の物と思われる煙管が落ちていた。
ただし、随分と年季が入っている物であったが……。

//眠いので落ちまする。お相手有難うございました!

6ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 00:20:48 ID:WVrfsEdY0
>>4
「あうあう、なんかあつそうなの〜。
 わかったの」

7ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 00:21:21 ID:WVrfsEdY0
//途中レスすいません。ちょっと待ってください。

8ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 00:27:55 ID:WVrfsEdY0
>>4
「あうあう、なんかあつそうなの〜。
 わかったの!」
【焼き芋を包帯を巻いた手にとって匂いをくんくんと嗅いでいる】

「んー、いいにおいなの。」
【そう言ってためらいなくかじりつく。】

「はふー。あまいなのー。
 もぐもぐ…おいもあったかいのー。」
【ディスは熱さなど全く気にもとめずにモグモグしている。口から湯気が立ってるようだ】

>>5
「あうあう、じゃあそうするなの〜。」
【にっこり笑ってみせる。】

「あう?どこかにかえるなの?
 またあえるといいなの〜」
【そう言って手を振り見送っていった】

「……なにかなの?」
【落ちた煙管を見て不思議そうな顔をした。】
//お疲れ様。

9名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 00:48:25 ID:SJQ94nUE0
>>5
「あっ、あの、落とし物を……!」

そう言ってナツキが煙管を拾い上げるも、もう遅い。
声が届いたか届かなかったか、顔を上げるときには、
すでに時空の裂け目は揺らいで消え、何も残っていない。

「……やっぱこの時代の人じゃなかったのかな」

手の中に残された煙管を見て、ナツキは呟く。
酔狂な和装の人間など、自分も含め都市にはいくらでもいるが……。

「知る由もなし、か」

そう言って、ナツキは煙管を袂に仕舞い込んだ。
//お疲れさまでしたー!

>>8
「熱いから気をつけ……る必要なさそうだなぁ。どれどれ。
 ……あふ、はふ。……むぐむぐ。……うん、これだよ、これ」

火傷など意に介さずといった様子のディスを見ながら、
ナツキも右手で剣と一緒に器用に持っていた芋を、鞘を持つ左手に持ち直し、口に運ぶ。

「せっかく落ち葉を集めたんだからこれをやらないとなぁ。
 ……はふ。むぐ……。…………しかし喉が渇く。お茶が欲しい……」

そうして右手で剣を払うと刃から水滴が散り、芋を斬った汚れはたちまち清められる。
そのまま流れるような動きで剣を鞘に納めると、何事もなかったかのように再び芋に口をつける。

「いやでも、この飲み込み辛いのもまた一興よの……」

三等分したのだ。わざわざお茶を出して一服つくほど芋は大きくない。
ナツキは最後の一口を大きく頬張ると、お下品にモグモグしながらぱっぱっと手を払った。
そうして、横目で焚き火を眺める。

……実は、火の中にはもう一つ焼き芋がある。
ナツキはよく焼いたトロトロに蕩けんばかりの焼き芋のほうが好みなのだ。
一つ口に運んでしまえば流石にもう一つには匂いでは気付くまい。
黙っていればバレないだろう……。と、ナツキの食い意地は健在だ。

10ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 01:02:36 ID:WVrfsEdY0
>>9
「もぐもぐ…こういうときはこれがとってもおいしいねなの!
 またあつまったらできるかなの…」
【どこか楽しみそうな顔をしてモグモグと焼き芋を食べていく。】

「うーん。あついけどなんだかへいきかなの…
 あうー。たしかになにかのみたいかなの…」
【あっという間に焼き芋を食べながら言う】

「あう〜!べんりなのなの〜!
 えっと…おいももっとあるかなの?」
【刀の動きを喜んだ顔で見た後…少し物欲しそうな顔で焚き火の中に顔を向けた。】

11名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 01:14:25 ID:SJQ94nUE0
>>10
「うぐ……」

ナチュラルにおかわりを求められた。バレるも何もない!

『(これが神様の思し召しってやつか……)』

……とは思うが、別に不満というほどでもないのだ。
あるかと訊かれたものをないと答えるほど意地悪ではない。
誰かと一緒にゆっくりと秋の風情を味わうのもいいものだ。

「もう一個あるんだけどね、さっきはちょっと早めに上げたから、
 今度のはもう少しだけ待って、じっくり焼けてから食べようじゃない」

あの辺りに入ってるよ、とでも言うように火を指差す。
待つといっても火はもう消えそうで、あと5分とかからなさそうだ。

「じゃ、今のうちにお茶と簡単なお菓子の用意でもしますかー。
 ディスは危なくないように、ここで少し火の見張りをしててね」

そう言って、ナツキはペタペタと社務所に向かって歩いていく。

12ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 01:18:05 ID:WVrfsEdY0
>>11
「あう〜。もっとたべたいとおもってなの…」
【ディスは其の外見に似合わずの大食漢なのである。おいも一つでは足りなかったのだろう】

「…うん!わかったの!もっとやけたらおいしくなるんだねなの〜」
【納得したのか、微笑みながら頷いた】

「わかったの〜。しばらくまってるからなの〜」
【そう言って見送ると其の場に座り込み、火をじっと見つめる】

「………あったかいなの…なんだか…」
【しばらくボーッと火を見つめていたが…】

「…あう?なにか…」
【少し自分の脳裏に写った影に、はたとしてあたりを見た。】

13名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 01:28:13 ID:SJQ94nUE0
>>12
ナツキがその場を去った後。
境内は水を打ったように静まり返っている。
聞こえるのはパチパチと火が小さく爆ぜる音、
それと、物悲しく歌うかのようなか細い風の声。

何か凝ったものを用意しようとしているのか、
いつもはサッと戻ってくるナツキが今日はやや遅い。
ひとりになってみると、この境内が思っていたより広いことに気付くだろう。
もう日は落ち、辺りには暗がりがあるばかり。
炎の明かりに照らされた自分の影が闇の中に伸びている。
その影は頭の方に行くにつれ、夜との境目を失っていく。

炎の明かりはまるで怯えるように震えながら、次第に小さくなる――。

14ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 01:36:55 ID:WVrfsEdY0
>>13
「…まだかなの…このままだとちいさくなっちゃうの…」
【火が小さくなってるのを見て心配そうな顔をしている】

「えっと…ちいさくしないためにはなの…」
【風の吹く方向に包帯を伸ばし、壁を作り消えるのを防ごうとする】

「あとは・・・どうしたらいいのかなの…」
【炎を必死で守ろうと、軽く近くの木の棒で軽くつついている】

15名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 01:44:40 ID:SJQ94nUE0
>>14
「ほーいほいほい、ただいま」

チャカチャカと腰の剣を鳴らしながら、能天気な声を出してナツキが戻ってきた。
手に持っているのは、どこに仕舞ってあったのか凝った意匠のカンテラだ。
それとポット。さらにトレーの上には湯呑と急須、菓子盆。あとは……徳利と猪口。

「っと、火を守っててくれたのか。さんきゅー」

そう言って、火の中から小枝の一本を掴みだすと、その火をカンテラに移す。
焚き火に比べれば弱々しいが、優しい明かりがふわっと夜の闇を包むように広がった。

「そこに火箸があるから、ディスは焼き芋を取り出してくれる?
 私はお茶を淹れよう。……ときに、ディス。お酒を飲んだことはあるかな」

16ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 01:48:06 ID:WVrfsEdY0
>>15
「あ、おかえりなの〜。
 なんとかまもったの!」
【得意げに小さくなった炎を見せた】

「あうー。そろそろなの?
 わかったの、だしてみるなの〜」
【そう言ってディスは包帯をお芋のある方に伸ばして探りを入れた】

「…あう?おさけ?
 えっとなの…」
【突然のお酒の質問に少し動揺を見せる。】

「…あれがそうだったのかなの…へんなきぶんになるものなの…」
【ちょっと小声で言う。飲んだ経験は…どうやらあるようだ。】

17名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 01:57:41 ID:SJQ94nUE0
>>16
「あーいや、そうか。経験程度に飲んだことあるか。
 まぁ得意じゃない人に勧めるほど無粋じゃないから安心して」

と、一見して良識ある風を装っているが、
そもそも自身が飲酒を許された歳ではないのだから始末に負えない。
ナツキは徳利と猪口をポットの影に隠し、
長椅子の上でテキパキと急須にお茶を淹れている。

「よし、お茶が入りましたよーっと。お煎餅もあるしバッチリだ。
 のんびりするにはちょーっと寒いけど……焼き芋食べてりゃ温まるよね」

そうして、さぁさぁと言わんばかりに、ディスに長椅子の隣を勧めた。

18ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 02:04:28 ID:WVrfsEdY0
>>17
「あうあう…そっかなの…
 よかったの。」
【ほっと一息ついている。お酒にいい思い出が全くなさそうだ】

「うん!それに…だれかといっしょにたべるのがいちばんおいしいなの!」
【ディスはとても嬉しそうに返した。それは幸せそうに見える】

「じゃあこれ、はんぶんこしよなの!
 その、一緒だとおいしいと思うからなの!」
【手に持ったお芋を差し出して見せる。】
【しばらくはここで過ごすかもしれない…】

19名も無き異能都市住民:2011/10/27(木) 02:17:34 ID:SJQ94nUE0
>>18
「ねー、えへへ、団欒ってのはいいもんだね。
 ありがと……って熱、熱ッ! つぁたたたっ、そぉい!」

ディスが何気なく持っているから思わずつられたが、焼き芋は熱い。
何とか取り落とさずに長椅子の上に留め、布越しに何とか手に持つのもさっきと同じだ。
黄金色をした断面にナツキは思わず頬を綻ばせ、焼き芋を口に運ぶ。

「ふー、ふーっ。……お茶、おかわりあるから言ってね。
 ……もぐ。……ふはっ、うはは、美味しい美味しい……。
 そういえば、あんまここでゆっくりしてって遅くなってもアレだけど……。
 まぁ今さらか。あんま夜遅くて帰るの面倒なら泊まってってもいいし」

そう言って、お茶と菓子盆を取りやすい位置に差し出す。
やっとこさ本懐を遂げ、それを共有する仲間もおり、ナツキは御満悦だ。

20ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 02:21:02 ID:WVrfsEdY0
>>19
「あうあう、『でぃす』はちょっとあついのもへーきだから、
 すぐにわたしちゃうのはよくなかったかなの〜」
【にこやかな顔をして返した】

「うん、のませてもらうなの〜。
 …まえにきたとき、ここはとてもおちついて…いいところだったから。
 しばらくここにいるの。でも、かえるところあるから…いっぱいたのしんだらかえろうかなの!」
【そう言ってお菓子をつまんで食べる。ディスは其のお菓子もおいしいと返した】

【そんなふうに会話を弾ませながら、楽しいお茶会はゆっくりと過ぎていった。】
//そろそろ眠くなってきたので、このような締め方をさせて頂きます。ありがとうございました。

21ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/27(木) 02:22:11 ID:WVrfsEdY0
おまけ:
「はふはふ、おいもはとってもおいしいなの〜。
 またたべたいなの〜」
【口の中いっぱいに焼き芋を頬張りながら、ディスはにっこり微笑んだ。】

22???:2011/10/29(土) 23:04:35 ID:QGCb89iE0
夕日が地平線に接触してから、もうずいぶんと時間が経つ。
夕日の姿はとうに地平線の彼方へ追いやられ、空の色が藍色から黒へと変色しつつある。
昼間は賑やかだったその河川敷は、暗くなってくる前に人気はまったく無くなってしまっていた。

「素敵な黄昏時なのです。おはようございます」

いや、一人だけいた。
河川敷にはいつの間にか、セーラー服を着た少女が立っている。
ついさっきまでそこには誰もいなかったはずだ。自転車もなく、走ってきたような着衣の乱れもない。
ただ一点、奇妙なことを挙げるとすれば、彼女の周りに数匹の蝙蝠が舞っていることだけ。
その蝙蝠も、少しばかりの滞空の後、どこかへ飛び去ってしまった。

「…………お腹が空いたのです。こんな体でもお腹は空くものなのですね」

飛び去る蝙蝠を見届けた少女は、お腹を押さえてそんなことを言っている。

23神宮寺 真由子:2011/10/29(土) 23:13:53 ID:xm/dFKGs0
>>22
「今日の晩御飯は〜私が〜作る〜♪」

少女から少し遠く、千夜学園のセーラ服(冬服)を来た少女が通りかかる。
深い黒の短髪をゆっくりたなびかせ身長(152)のには少し合わない大きな胸を揺らしつつ、
鼻歌を歌って家路についている少女がいた。能天気な表情をしている。

「今日のメニューは中華〜♪麻婆豆腐っ〜♪」

今日のメニューを考えながら帰っていたようだが、今日は麻婆豆腐にするつもりのようだ。

24???:2011/10/29(土) 23:25:34 ID:QGCb89iE0
>>23

その鼻歌を耳にした少女の口から、少しよだれが出て、少女は慌てて拭き取る。

「良いですね、麻婆豆腐。そういえばこの場合、私はどうしたら良いのでしょうか。
 普通にご飯を食べれば良いのか、それとも血を吸わなくてはいけないのか。
 ……まあ、後者だと思うのですが」

となれば、鼻歌を歌っているあの少女はいいターゲットだ。一番近い人間だし、何より一人だ。

「あのー、すいません、そこの方。ちょっと良いですか?」

吸血鬼になりたての少女にとって、いきなり人を襲うというのは残留した人間性的に非常にハードルが高い。
何も、自分を襲って吸血鬼にしたあの阿呆な吸血鬼みたいに、死ぬまで血を吸う必要はないのだ。
確か、吸血鬼の瞳には強い暗示と催眠効果があったはずだ、と自分の知識を確認しつつ、
少女は鼻歌を歌っている彼女に駆け寄った。

25神宮寺 真由子:2011/10/29(土) 23:35:49 ID:xm/dFKGs0
>>24
「はーい?どうかしましたか?」

彼女はその声に答える。しかし足を止めないので歩くのは変わらず。
答える声は聞こえても、引き留められなかったら止まらないだろう。
そして、少女は返事したすぐ後に何か手帳のようなものを見ていた。
少し見た後すぐになおしたが。

「私は今から家に帰ってご飯作らなきゃならないんですけどー」

ゆっくりと歩きつつも相手に対して少女は聞いた。
さっさと用件言えよ、と言うことだろう。ただ、騙され易そうな感じがしているので、
割りと簡単に用件は果たせそうであるが。

26???:2011/10/29(土) 23:47:38 ID:QGCb89iE0
>>25

「ああいえ、すぐ済みますからー」

何だか化粧品のアンケートを求める人のようなことを言いながら、
少女は「あくまで人間的な速度で」走り、相手の前に立ちふさがるように立った。

(むむむ……)

そうしてから、目に力を入れて相手の目を見る。
その様子は一見、暗くて相手の顔が見えずに凝視する様に似ているが、
本人的には至って真面目に魅了の魔眼を発動しようとしているのである。
しかし、そんなことをいくらやったところで、吸血鬼の魔眼は発動しない。
それをするための正式な手順を、少女はまだ知らないのだ。

(あれ、効いてる? 効いてない? どっちなんでしょう……)

そのことをまだわかっていない少女は、相手の瞳を見ながら、内心で不安を漏らした。

27神宮寺 真由子:2011/10/29(土) 23:56:43 ID:xm/dFKGs0
>>26
その瞬間にも彼女は相手の気の流れをよく見ていた。
初対面の人の気を見る事はなんだか習慣付いてしまい、
意識しなくても見えてしまうのである。

「(…この人、人間じゃないんだねー。)」

別に人間じゃなくても驚かないのは何度か人外と生身で殴りあった経験だろう。
しかし同時にどうでもいいことも見抜くのが彼女の特徴。
今も、相手がどんな状況なのか見て。

「(この人…お腹減ってるね…ッ)ねぇねぇ、キミお腹すいてない?」

相手が腹をすかしていることを見抜いてしまった上、
あろう事か相手へそれを言ってしまった。

28???:2011/10/30(日) 00:07:53 ID:QGCb89iE0
>>27

(はうわ! 効いてたみたいなのです!!)

お腹が空いていないか、という相手の問いに、少女は瞳を輝かせた。
それは魔眼が成功したという感動から来た輝きだったが、残念ながら魔眼は失敗に終わっている。

「よくわかったのです。鋭い洞察眼をお持ちのようで……」

魔眼が成功している場合、「血をよこせ」とストレートに言えば済む話なのだが、
こんな感想が出てくるあたり、少女は吸血鬼としての生き方に慣れていないことがよくわかる。

「そ、それで、ですね、その……あの…………」

そして、本懐を遂げようとする段階でたたらを踏んでしまう。

(な、なんて言ったら良いのでしょう……? 血をください? いやいや、いきなり過ぎなのです。
 いやでも、魔眼が発動してるなら、この子は私の言うことを聞いてくれるはず。何の障害もないのです。
 でもでも、相手にもまだ意志があるみたいですし……ううぅ)

少女はなりたくて吸血鬼になったわけではない。その覚悟の足り無さが、ここにきて少女にたたらを踏ませている。
少女の正体を悟っているのならば、逃げる良いチャンスであるが……。

29神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 00:13:33 ID:xm/dFKGs0
>>28
「あー、やっぱりそうなんだねー」

そう言うと、彼女は何かブレスレットのような物をぽちぽち押し出している。
終わった後、少女に向かって彼女は、一言。

「ちょっと待ったらバイクが来てくれると思うから、
それに乗って我が家でご飯を食べましょうー!けってーい!」

くるくる廻りながらバンザイをして彼女はそう言った。
見ず知らずの他人を家に招きいれて飯を食わせる。
常識的にはやや外れているが、別に彼女はどうとも思っていないようだ。

30???:2011/10/30(日) 00:23:17 ID:QGCb89iE0
>>29

「えっ、家? バイクが来る?」

魔眼が成功して血にありつけると思ったら、家に招待されてしかもバイクによる送迎付き。
どういうことだろう、と少女は頭を傾げる。
魅了の魔眼なのだから、当然相手に擬似的な好意を持たせるはず。
その好意が行きすぎて、相手をこんな行動に出させたのだろうか。
いやしかし、そこまで強い暗示をかけた覚えはない。

(むむむ?????)

よくわからなくなってきて、少女の頭は混乱状態だ。
彼女が、魔眼が成功していなくて、この招待は相手の自由意志による好意によるものだと気づく様子は、まったくと言って良いほどない。
そうこうしているうちに、バイクが来てしまうだろう。

31神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 00:36:22 ID:xm/dFKGs0
>>30
そうしている内に無人のバイクが重い音を上げながら此方に疾走し、
彼女の前で止まった。彼女はそのバイクを見て喜んでいるようだ。

「おおー、来た来た。
私の愛車のヴイマックスー♪」

大型のバイクで、彼女が乗りそうには見えない…が、一応彼女の愛車である。
その名もヤマハ製大型バイク『VMAX』。価格は231万円(日本仕様)。
最大出力は111kW(151PS)/7,500rpm(日本仕様)を誇るアメリカ人がクールというバイク第一位(非公式)である。
それに彼女は跨ると、少女を見て。

「後ろ乗っていいよー。
ただ一寸スピード出すからしっかり捕まっておいた方がいいけどね」

そう言って自分の後ろを指差している。
どうやら本気で自分の家に招いてご飯を食わせるつもりらしい。

//すいません、凄く遅いですがご飯なので少し抜けますー・・・申し訳ない

32???:2011/10/30(日) 00:47:44 ID:QGCb89iE0
>>31

まずバイクがひとりでにやって来たことにびっくりし、その大きさにもびっくりするという、
二段構えの驚きを得た少女は、目の前の少女は一体どんな人物なのだろうと考える。
が、見知らぬ他人な以上、それに答えは出ない。

「ありがとうございます。失礼するのです……」

さっきから疑問ばかり頭に浮かぶ少女は、いい加減意識が疑問にさらされ続けることに嫌気がさしてきている。
つまり、思考を放棄し始めていた。
何の警戒もなくバイクの後ろに腰掛け、運転手の腰をぎゅっと抱いたことがそれの良い証拠だ。

(あったかいのです、この子。いや、生きてるなら当然なのですが……。
 …………ちょっと、うらやましいのです)

やはり警戒はすべきだった、と少女は少し後悔する。
でなければ、こんな感傷に捕らわれる可能性は低くなっていたのだから……。

//いってらー

33神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 01:17:16 ID:xm/dFKGs0
>>32
「さて、と。
それじゃあ我が家まで行くとしますか!」

バイクのエンジンを噴かして、大きく重い音を立てながら少女と彼女を乗せたバイクは、
最高時速160キロで彼女の家へとひた走る。
しっかり捕まっていなければ本当に振り落とされそうな勢いである。
しかし、彼女は何かはなしている。

「あー、アルフレッド君ー。
今日ちょっとお客さん来るから晩御飯作っといてよー。
明日とあさっては私が作るからさ、おねがいっ!」

どうやらなんらかの連絡手段で自宅に電話しているらしい。
少し耳を済ませると18くらいの男の声が聞こえる、どうやら呆れているようだ。

34???:2011/10/30(日) 01:34:23 ID:QGCb89iE0
>>33

「ふおおお!」

少女は新米とて吸血鬼の端くれだ。
身体能力は常人のそれを大きく超え、走力に関して言えば、アクセル全開の車と並走できる速度を発揮できる。
が、その能力を未だフルで使ったことのない彼女にとって、時速160㎞は速い。速すぎる。
さっきの叫びは、そのスピード感についていけずに、思わず漏れてしまったものだ。
しかし、バイクのエンジンがたてる音と風に、その叫びは完全に消されてしまっている。

(あ、ありえねーのです、この子! こんな街中をこんな速度で走ってたら、絶対事故るのです!!)

運転手の少女が誰かと通話しているようだが、もちろん、そんなことにパニクってる少女が気づくはずもなく。

(ああ、神様仏様四文字様。吸血鬼なこの身ですけど、どうか私の祈りを聞き届けてください。
 どうか無事に目的地に着きますように……!)

そんなことを祈りながら、少女は運転手の少女にしがみつき続けた。

35神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 01:45:59 ID:xm/dFKGs0
>>34
しかし、VMAXの最高速度は200にも迫っているため、これはまだ全力ではないのだ。
少女が必死でしがみ付いている内に、矢野探偵事務所前に着いた。
4階建ての建物で、大きな扉が真ん中にある。
扉の左には鍵をかけられた大型のバイクが3台あり、セキュリティ的に大丈夫か心配だ。
全体として、洋風の雰囲気が漂っている。
そして、扉を開けて一人の青年が出てきた。
18歳ほどで金髪の髪に青色の瞳で、服装は白シャツにデニムと部屋着であった。

「ただいまー、アルフレッドくーん」
「ああ、お帰り…随分飛ばしてきたみたいだが、
それよりも後ろのソイツ、大丈夫か?なんか伸びてる気がするんだけどよ」

青年は彼女が乗るVMAXの後ろでしがみ付いていた少女を指差す。
少女の状態はどうっていたか、と言うと。

36早瀬川巴:2011/10/30(日) 01:59:33 ID:QGCb89iE0
>>35

ようやく目的地に着き、速度が落ちてくる頃にはもう、少女は放心状態極まるといった様子だった。
これがマンガなら、彼女の目は白い丸で描かれていたことだろう。口から少女の似姿をしたエクトプラズムが出ていればなお良い。

「お、終わった、のですか? 何だか私、刻を見た気がします……」

刻を見たと申告した少女は、ふらつきながらバイクから降り、青年に向かって一礼した。

「どうも、おはよ……いえ、こんばんは。初めまして、早瀬川巴(はやせがわ ともえ)といいます。
 今日は突然押しかけてしまって……ご迷惑をおかけします」

少女、巴は、青年にそんな挨拶をしながら、どうしてこんなことになっているのかと改めて思った。
一体何がいけなかったのか……巴にはその見当も付かない。

37神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 02:14:33 ID:xm/dFKGs0
>>36
「ああ、気にしなくていいぜ。
コイツが他所から客連れてくるのは珍しくねぇし、俺も慣れちまった」
「その言い方は無いと思うんだなーアルフレッド君」
「事実だろボケナス」
「うぬぬ」

彼女の反論は青年の棘のある言葉で返される。
少女は少し苦虫を噛み潰した顔をしつつ、先に中に入っていった。

「えーと、アンタも上がったらどうだ?
ちょっと騒がしいが、一応ご飯は出来てるからよ」
「そういえばアルフレッド君!今日の晩飯はなんだーい」
「あー、めんどくさかったからジャンバラヤにしちまおうかと思ったが、
客来るらしいからハンバーグとからあげにしといた」
「おおう、ならもうあの二人なら食べきられてもおかしくない気がする!」

どたどたと靴を脱いで急いで向かっていく彼女とは対照的に、
青年は少女が入るのを待っているようだ。
事務所の中は洋室のような雰囲気だが、奥の三つあるデスクのうち、
一つには大量に積み重なった書類が置かれ、もう一つはデスクトップPCが置かれている。
最後の一つは使われていないのか何も置かれていない。その奥に上につながる階段がある。
扉から左にはソファー・テーブル・テレビがおかれていて、そこで若い男と女性と送ってくれた同年代の少女が、
もう既に食事を食べていた。からあげが山のように積まれているのが目に付く。

38早瀬川巴:2011/10/30(日) 02:31:12 ID:QGCb89iE0
>>37

「あはは……」

少女と青年のトゲのあるやりとりに、巴は愛想笑いをするほかない。
それから中に入っていった少女を追い、巴は中に招き入れようとしている青年に再び一礼し、「お邪魔しまーす」と挨拶してから中に入る。

(何かの事務所みたいですけど……何の事務所なんでしょうか?
 パッと見ではよくわからないのです)

いつか倒れそうな書類タワーや、いかにも事務所然としたデスクを好奇心丸出しの眼差しで見つつ、
巴は階段を上がって奥へ進んだ。
そこはどうやら居間のようで、テーブルを囲む中に、また見知らぬ人がいるのに気づき、
巴はその若い男に、先ほど青年にしたのと同じような自己紹介をした。

(……あれ、これって地味に危ない状況じゃないですか? 魔眼の暗示をかけたのは、あの女の子だけ。
 ここには二人、魔眼の暗示をかけてない人がいる……こんなところで、血を貰うなんて難しいのでは……)

今更何を、といったところであろうか。

39神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 02:54:04 ID:xm/dFKGs0
>>38
食事を止めて男は巴を見る。
目つきが悪い上に人相も良くないので睨んでる様にしか見えない。
既に食事始めているその他3人を気にせず巴を見た後。

「……巴…確かそう、キミは少し前に吸血鬼に襲われた被害者だったか?
その後どうなったかは知らないが、そうか、人外になっていたのか」
「そんな事より食事を提供したらどうなんだい映二」

男の隣で食事をしていた青い服を着た女性が言った。
手招きして巴を呼んでいる。さっさと席につけよコラという意味だろう。

「アルフレッド君ー、私のご飯まだー?」
「うっせーな!自分で入れろよボケナスッ!」

そういいつつもアルフレッドは律儀に白米を茶碗に入れて、
巴の分も加えて持っていった。

40早瀬川巴:2011/10/30(日) 03:10:15 ID:QGCb89iE0
>>39

「!?」

その男は平然と巴を人外だと言い切ったばかりか、そうなった経緯まで知っていた。
他の人間も男の言葉を聞いてもどうするでもなく、先ほどまでの調子を続けている。魔眼の暗示をかけたはずの女の子までも、だ。
この二つが意味することは、

「し、知っていて私を……!?」

となれば、巴の目的も当然、わかっているはずだ。
この人たちは一体何なのだ? 自分を吸血鬼と知りながら家に招くなんて!

「……まさか、ヴァンパイアハンター?」

つい先日まで、吸血鬼などいないと思っていた。しかしそれは実在して自分の前に現れ、自分をその同類にした。
であれば、ヴァン・ヘルシング教授のようなヴァンパイアハンターが居てもおかしくはない。
なんと言うことだ。血を貰うはずが、逆に血祭りにあげられる展開だったなんて!!

「う…………」

逃げなければ、と思った瞬間にはもう、巴の足は行動を開始していた。
まわれ右をして階段を降り、ローファーをつっかけたまま玄関から外へと飛び出す。
あの人達は追ってくるのだろうか。もし仮にヴァンパイアハンターならば、自分を逃がしはしないはずだが……。

41神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 03:23:55 ID:xm/dFKGs0
>>40
食事を中断して神宮司真由子は走り出すつーか窓から飛び出して少女を追う。
その心理は何なのか、彼らはハンターではない、しかし一般人でもない。
彼らは探偵であり、そして少しでも世界を良くしようとする人々である。

「ちょっとー!待ってよー!」

外へ飛び出した少女を追って、彼女は走り出す。
理由は単純、一緒にご飯食おうぜ、ただそれだけである。
何で勘違いされてしまったのだが、全ては映二のせいである。

42早瀬川巴:2011/10/30(日) 03:35:26 ID:QGCb89iE0
>>41

(うひゃあ! お、追ってきてるー!?)

彼女らがヴァンパイアハンターだと絶賛勘違い中の巴は、
自分を追ってきてる少女の姿を認めてスピードを上げた。
しかもさっき、この少女はどこから出てきた? 常人のはずがない。常人の運動では、あの子を振り切れない!

「な、何で追ってくるのですかー!?」

吸血鬼本来の運動能力を知らず知らずのうちに発揮しつつある巴は、若干涙目で叫んだ。
吸血鬼なんだから、蝙蝠に変身するとか、霧に変身するとかして逃げれば良いのだが、
今の巴にそれを考えるだけの精神的余裕はなかった。

43神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 03:43:08 ID:xm/dFKGs0
>>42
「だってまだ一緒にご飯食べてなーい!!」

猛然と走る相手に付いて行こうと僅かにスピードを上げる。
一方家ではアルフレッドは呆れかっているだろう。
彼女の主張は一貫して一緒にご飯食おうぜ!である。

「折角しりあったんだからさー!
ご飯、くらい!食べてってくれたっていーじゃーん!」

そう言って少女についていこうと走り続けている。

44早瀬川巴:2011/10/30(日) 03:51:38 ID:QGCb89iE0
>>43

「私が……私が、普通のご飯を食べられるはずがないのです!
 だって私は吸血鬼なんですよ!? それは知っているでしょう!?」

そう、もう巴は普通の食事ができない体だ。
動いて喋っていても、彼女の体は根本的に死人と同じ。
血から精気を吸い上げ、活力とする彼女ら吸血鬼が、普通の食事をしたところで意味がない。

「だからっ……お気持ちは、すごく嬉しいのですがっ…………!
 私は、ダメなのです……!!」

何だか泣けてきた。
どうして私はこんな目に遭っているのだろう。
どうして私は、普通に生きることを、許されなかったのだろう。
どうして。どうして。

45神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 04:01:03 ID:xm/dFKGs0
>>44
「悪いけど私はそんな事知りませーん!
血が欲しけりゃ輸血パックでも映二からかえー!」

相手の主張を彼女は知らんと突っぱねる。
同時にそんな事は自分で何とかしろよと相手に言った。
息も上げずに彼女についていってる彼女の表情は、
少しだけ怒りに染まっていた。

「気持ちが嬉しいなら素直に受け取れー!
最初から自分で駄目って言ってるやつに未来なんかあるか―!!
未来が欲しけりゃ自分で掴めー!それできなきゃ現状を変える努力をしろー!
自分が置かれた状況の不幸に甘えて思考停止してるんじゃなーい!」

その言葉は相手へ向けたものであるが、同時に自分へと言い聞かせる言葉でもある。
気功術を使う者は、何れ他人よりも早く死んでしまう、現実から目を背けない事。
それが彼女が父から教わった事の一つである。彼女は相手へ向けてそれを言った。

46早瀬川巴:2011/10/30(日) 04:16:12 ID:QGCb89iE0
>>45

「…………っ!!」

少女の叱咤を受けて、巴の足が止まる。
常人以上の速度を減らすためにローファーがアスファルトと擦れ合い、自動車のブレーキ音のそれに似た音が鳴った。

「……そうですよね。私は何をしていたのでしょう。
 私はもう吸血鬼。それはどうあっても動かせない現実」

無理矢理の停止を感じさせない、普通の動作で追ってきている少女に向き直った巴は、
甘えの結果である涙を、セーラー服の袖で乱暴に拭った。

「感謝するのです。私は、私の行く末を見据えることができたのです。
 ……私は、吸血鬼として生きる」

「まあ、もう死んでますけどね」と、巴は自嘲気味に口の端を歪めた。

47神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 04:28:53 ID:xm/dFKGs0
>>46
「ううん、全然貴方は自分の行く末が見えてないよ。
見えてる人なんていないから。未来なんて誰にも解らないもの」

そう言って彼女は巴を見て言う。走りこんできた疲れを微塵も見せずに。
或いは本当に対して疲れていないのかもしれない。
一方自宅ではもう既にアルフレッドは片付けに入っていた。

「今キミは現実を見ただけ。
多分、それで受け止めたつもりになって先を勝手に見据えたつもりになってるだけ」

そう言って、彼女は巴が現実を見ただけだと断じる。
確証はない、彼女はただ見たまま、思ったことを言っているだけである。
それが的を射ているか、射ていないかも気にせずに。

「死んでるから、か。じゃあ、あの先生はどうなんだろーね。
死んでいて生きているか、死ねずに生かされ続けるか、どちらが苦しいのやら」

そう言って服の埃を払いながら巴を見ている。

48早瀬川巴:2011/10/30(日) 04:48:40 ID:QGCb89iE0
>>47

「いいえ、大体はわかるのです。私の場合は。
 結局の所、私の未来は随行員として「吸血行為」がつきまとう。
 人を襲ってその生き血を吸い、存在を存続しなければ未来という切符はすぐに期限切れになるのです。
 私の行く末は……まあ、二つに分かれるでしょう」

そこまで言って一旦区切った巴は、右手でそっと自分のまぶたを閉じた。

「一つは、血を吸い続けて生きながらえ、現代の吸血鬼として存続すること。
 そしてもう一つは、貴女のようなヴァンパイアハンターに狩られ、その死んだ「生」を閉じること。
 ……私は生まれたてなのです。このままだと、後者の可能性が高い」

右手を退けて、ゆっくりとまぶたを開く。
日本人的な黒を映していた巴の瞳が、夜闇の中、黄金に輝いていた。

「だから私は、こうするのです。

  ――――あなたがわたしを見るとき、わたしもあなたを見る。
        わたしがあなたを見るとき、あなたはわたしを見ない。
        あなたが見ているわたしはどこにもなく、あなたはもう、わたしを見ることはない――――」

それは宣言だ。
巴が少女と出会ったときにした、間抜けな不発魔眼ではない。
正真正銘の、早瀬川巴という吸血鬼の魔眼が、開眼したのだ。

……だが、巴の見た目には変化がない。ただそこに変わらず立っているだけだ。

49神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 04:56:51 ID:xm/dFKGs0
>>48
相手は気づいているだろうか、真由子は相手を見ているように見えて、
その実は一度も目線を合わせていなかった事を。
彼女の無意識下は相手の魔眼に対し直に防御策を張った。

「っ……」

自分の生体気功がガリガリ削られているのを感じる。
つまりは、相手は自分を脅かす何かを使ったという事。
その事実は彼女を少し悲しませる、だけれど彼女は表情一つ変えず、
今まで通りに相手を見ているつもりだ。

「魔眼、か」

彼女はこの瞬間から思考を画一化する。
ただ、相手を殴る為にあらゆる手を使うグラップラーへ。
精神を制御する系統は『武芸百般』を誇る彼女には通じはしない。
だが、肉体面はまた別だ、肉体の強制制御は少なからず彼女に影響を与え続ける。
そして精神とて効かないとはいえ無効化しているわけではないのだ。

50早瀬川巴:2011/10/30(日) 05:12:11 ID:QGCb89iE0
>>49

「…………」

相手の魔眼への対処を知るはずもない巴は、ゆっくりと少女に向かって歩き始める。
黄金に輝く魔眼は依然、少女に向いたままだ。
目線を合わせる必要のある魔眼かどうかを、その行動から読み取ることは難しいだろう。
表情は無表情。口は真一文字に結ばれ、眉は平静を保っている。
激情はもうすでにない。あるのは明確な戦闘の意志だけだ。

「…………!」

巴の歩みが早まる。仕掛けにいくつもりのようだ。

51神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 05:16:41 ID:xm/dFKGs0
>>50
彼女は動かず、ただ相手の動きを見続ける。
筋肉の動き、気の流れ、感情、思考を感じる。
攻めず、受けて、そして返し、攻めろ。それが彼女の教え。

「ふー……」

近づく相手に対し、彼女は大地を揺るがさんばかりの発剄を込めた震脚を放つ。
ただ地面を踏みつけただけにしか見えないが、込められた剄は敵の気功のバランスを崩す。
気功の乱れは呼吸、ひいては精神の揺らぎへとつながる。

そして、これは彼女の戦闘準備でもあった。

52早瀬川巴:2011/10/30(日) 05:25:55 ID:QGCb89iE0
>>51

「…………」

震脚を受けても、どういうわけか巴の歩みは止まらない。
つい先日まで普通の女子高生だった彼女が、それを受けて何も感じないはずがない。
なのに、その歩みは止まらず、ついには疾走になり、巴は拳を振りかぶって――――!

「…………」

次の瞬間、待ちかまえる少女の「背中」に、吸血鬼由来の怪力が、拳の形で浴びせられた。
だが、その瞬間はまだ巴は拳を振りかぶった直後の段階だ。一体どういう事なのか。

53神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 05:36:41 ID:xm/dFKGs0
>>52
後方からの攻撃を察知、だが回避は不可能だ。
だから自分から吹っ飛んでダメージを減少させて受身を取った。
不可解だが、どうやら此方の裏をかかれたらしい。

「これは、ちょっと面倒っぽいかな…」

震脚が通じない、という事は本体は別か、無効化されたか。
どちらにせよこれまでの人外連中の様な『空間支配』やら『絶対の果て』やら、
無茶苦茶な力は持ってなさそうではある。
殴れれば勝てる、というわけではないが敵に触れれなくては話にもならない。

「思考撹乱か…それとも単なる幻か…どちらでもキツイかな」

そう言いつつ敵の動きを見ると同時に、周囲の気の網を張って気配を感じる。
もっとも、相手が『あらゆる盲点』の様なものを持っていたら意味はない。

54早瀬川巴:2011/10/30(日) 05:44:50 ID:QGCb89iE0
>>53

少女が吹っ飛んだというのに、巴はそのまま少女がいた地点に殴りかかろう……としたが、
すぐに常人では考えられない速さのサイドステップを踏み、そのまま少女が元いた地点の裏側へ廻り、
そこへ拳を叩き込んだ。

「…………」

そこには誰もいないのに、なにをやっているのか、と思うだろう。
だが、勘の良い者ならばこれで気づいたはずだ。今見えてる巴の姿が、幻像であるということに。
そうして、幻像の巴は拳を叩き込んだ後、ようやく吹っ飛んだ少女の方を見て、

「…………」

直後、少女の腹に向かって回し蹴りのような衝撃が放たれる。
しかしそれは気の網に引っかかってしまう類のものだ。回避は不可能ではない。
ちなみに幻像の巴は、その時点でこちらへと走り出している姿を晒しているが……。

55神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 05:50:33 ID:xm/dFKGs0
>>54
ヒットする少しの間に網にかかった対象を特定は出来たが、
間に合わず左手で腹への衝撃を受けて、発剄をあるかも分からぬ相手の体へと打ち込む。
これがうまくいったらば待ちの姿勢は崩さない。見えぬ相手は捉えず、受けよ。

「つぅ……きいてるといいんだけど」

そう言って使いにくい左手を撫でつつ再び網を張る。
見えている相手が現像とわかったのなら、視界はいらない、と判断し、
彼女は目を閉じて、他の勘を強める。

「…はーっ……」

風の動き、筋肉の音、息遣い、気脈の乱れ。
あらゆる勘を最大限に使って、彼女は反撃に徹する。
しかし、対応速度的に間に合うだろうか。

56早瀬川巴:2011/10/30(日) 06:06:14 ID:QGCb89iE0
>>55

少女が目を閉じたあたりで、幻像の巴は少女に回し蹴りを放っていた。
そしてすぐに、その幻像は消えてしまった。まるで、見ていないなら消えてしまおう、とでもいうように。

「いたた……」

どこからか、そんな声がする。巴の声だ。
幻像でない本体の巴は、少女の真後ろ、3メートルほど離れた場所にいて、右足をさすっていた。

(……さすが、戦闘のプロ。あの阿呆の吸血鬼とは格が違うみたいなのです)

少女の後ろ姿を魔眼で見つめながら思った巴は、右足を庇いながら、しかし常人以上の速度で移動した。
それを少女が補足するのは、おそらく三秒後。
巴の魔眼はその名を『ドッペルゲイザー』といい、対象の意識に働きかけて、
五感に由来する巴に関する情報を、全て三秒間、遅延させるという能力を持つ。
これによって巴は、特殊な探知方法を持たない相手に対しては常に、三秒のアドバンテージを得ることが可能だ。
それだけの時間があれば、吸血鬼の機動力で少女から逃れられようものだが、

(私から始めたことですからね……せめて、大勢が決するまでは付き合ってもらうのです!)

巴はまだ、移動を続けている。

57神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 06:19:03 ID:xm/dFKGs0
>>56
目を閉じて、気の脈動を六感で感じると、見えてきた。
相手は3メートル離れたい位置にいる。だが感覚ではそんなに離れていない。
つまり此方の感覚が相手によってズラされている、という事か?
だとすると気功探知も余り役に立たないだろう。

「でも、地面に立って、先を予測すれば―――」

一度彼女は勝負に出てみる事にする。
チャンスが来るまで全ての五感をカットして、気功の流れだけを見つめ続ける。
ただ、やはりこれもさほど当てにならない。動かす肉体にもズレがあるのなら、
この戦法は成立しないのだ。何せ相手が来る位置を予測して震脚を周囲に放つ必要がある。

「(成功率はイチバチ…連射が出来ない分チャンスを有効に使わないと)」

亜iいてににらみ合いを続けられたら、此方の集中力が切れてしまう。
大降りの一撃があるかどうかもわからず、恐らく最悪強な手に出る必要もあるだろう。
それでも、やれるならばやってみた方がいいのだ。

58早瀬川巴:2011/10/30(日) 06:29:32 ID:QGCb89iE0
>>57

(この魔眼があれば大丈夫だと思ったのですが……さっきは反撃くらってしまいましたし……。
 ここはひとつ、他の方法を試してみましょうか)

そう考えた巴は、移動を続けながら道ばたに落ちていた空き缶や石ころを拾っては、
それを立ったまま動かない少女に向かって次々と投擲した。
どれもこれも取るに足らない物品だが、忘れてはいけない。そのどれもが、吸血鬼の力で投擲されていることを。

(おそらくあの子は、私を待ちかまえている……。
 私が叩いたり蹴ったりした直後に、さっきみたいに反撃するつもりなのでしょう。
 であれば、手数を増やしてやれば……)

素人考えだが、この戦法、吉と出るか凶と出るか。まさに賭だ。

59神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 06:38:25 ID:xm/dFKGs0
>>58
気の形を見る。無機物にも人が触れれば気は流れる。
それを見ろ、そして受け止めるのだ。

「はっ…ふーぅ…さっ…」

飛んでくる物体を隙を見せず、尚且つ最低限度の動きで迎撃する。
だが時折隙が生じているが、誘っているのか、自然なのかわからない。
しかも浮けこれないものダメージも徐々にだが蓄積されている。
それでも、のりが張り付いたように彼女はその場から動かなかった。

60早瀬川巴:2011/10/30(日) 06:49:08 ID:QGCb89iE0
>>59

(あんまり効果ないんでしょうか? いや、もう少し様子を見るのです)

巴の投擲攻撃は続く。途中、石を複数個集めて一気に投げたり、空き缶のくずかごごと投げてきたりと、
変化球を交えており、挙げ句の果てには路上駐車の違反切符を切られた自転車までもがその対象になった。
巴の狙いは少女の疲労だ。疲労がたまれば動きに精彩を欠き、直接攻撃に出ても反撃を受けづらくなるとの計算である。

61神宮寺 真由子:2011/10/30(日) 06:57:55 ID:xm/dFKGs0
>>60
車は流石に受けては返せないので位置を極力ずらさずに回避するが、
石が腹に当たった、かなり痛いが動きに支障が出てはならない。
相手に疲労色を見せず、動揺させる事も必要である。

「(とは言っても…意外とキツイのよね…持って後2時間…いや1時間30分かな)」

長く感じるが、剄の使用を鑑みれば後70分が関の山である。
電気発剄を使う手もあるが、あれはなるべく切り札としてとっておかねば。
相手の試みは持久戦…だが近距離でなければさほど脅威にはならない…はずだ。
剄を使わずには倒す事は不可能な以上、一撃に全を込めるつもりで行かねば

62早瀬川巴:2011/10/30(日) 07:07:37 ID:QGCb89iE0
>>61

(当たった! あ、でもそんなに効いてないみたいなのです)

もっと続ける必要があると感じた巴は、次の物を投げようとした。が、それは失敗に終わった。
それは単純な話で、投げる物がまわりに無くなってしまったのだった。
いや、あるにはあるが、小指の先ほどしかない石ころやペットボトルの蓋など、
とてもではないがダメージを与えられるようなものではない。

(……こうなれば、もうやることはひとつ!)

巴は攻撃に使えそうにないような物をあえて投げ、そしてその直後に、疾走を開始した。
狙いは今までのように分かりやすいダメージが入る場所ではない。
少女の左足に向かって、すれ違いざまに掬うような蹴りを放った。体勢を崩そうというのだ。

63神宮寺 真由子:2011/10/31(月) 23:41:07 ID:xm/dFKGs0
>>62
遠距離が尽きた事に相手が少し時間を置いて向かってきた。
腹の痛みはあるが、立てなくはならない。次の相手の手は幾つか想定した。
だが、相手が投げてきてから直に気配が動いた、勝負に出たか、と思ったが。
余りにそれは無謀だ。なら自分が取る手は何か?決まっている。

「――――――」

敢えて投擲を受けて、私は相手が放ってくる蹴りに合わせて。
相手の攻撃で空いた隙に思いっきり掌底を放っていく―――。
足に来る打撃はあるが、相手にこれが当たったのならば剄を放つ。
当たらなくても足のバランスを力付くで制御する、痛みは大きい。
だがしかし、まだ立てないほどではない。次の一撃を返せるか、それが問題だ。

私は放った右の手とは別の手でカウンターを取れるかどうか思考し、
相手が放つ筈である大きな技、または牽制を想定する。

64早瀬川巴:2011/11/01(火) 00:01:02 ID:rhMoIhJE0
>>63

なりたてとはいえ、こちらは吸血鬼。
その怪力を以てすれば、人間の足を崩すことは容易――――と、考えたのが巴の甘さだった。
実際、巴の蹴りは少女の向こう脛に突き刺さったが、期待する姿勢の崩壊は訪れず、

「!」

相手の発剄の乗った掌底を左肩にもろに受けてしまい、打ち飛ばされてしまった。
巴は二、三度後ろに転がった後、吹っ飛ばされる途中で体勢を無理矢理修正し、
前傾姿勢のまま数メートル滑って止まった。
またもやブレーキ役となったローファーからは白い煙が出ていて、巴の足を基点に、
滑った分の距離のアスファルトが削れており、両者はその激しさを痛々しく物語る。

「っ……たた……」

先刻のかすりとは違い、相手の攻撃力の殆どをそのまま受けてしまった痛みは想像以上で、
巴は涙目になって片膝をついてしまった。
瞳は黒に戻っている。掌底のダメージが巴の集中を乱し、魔眼の行使を止めてしまっていた。

65神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 00:35:03 ID:xm/dFKGs0
>>64
やばい、思ったよりも足が結構痛い。どれくらい痛いかといえば、
足を気づかないうちに壁に当たって悶絶するくらい痛い。
だけれど、多分相手に剄は直撃しているはずだ。私はゆっくりと五感を戻して、
瞳を開いて相手を見据える。相手ははっきりと見えた。
だが距離が遠い、直接剄を放つのは難しい。

「激痛で動きにくいのもあるかな……」

けれど今ならよく見える、私は立ち上がろうとするであろう相手に向かって。
右足を踏み込んで震脚を放つ。相手から見れば地面を思い切り踏んだ様にしか見えない。
だが、震脚はあくまで牽制・ポーズだ。これまで私が相手の放った打撃は2発。
―――次の一発を放って倒れなければ、仮にも八極拳士としては相手を認めざるを得ない。
勝負に出よう、そう思って私は震脚を放った状態のまま真っ直ぐ相手を見る。

66早瀬川巴:2011/11/01(火) 01:03:33 ID:rhMoIhJE0
>>65

(これは……まずいのです)

魔眼は停止し、まとまったダメージをもらい、しかも相手はこちらの攻撃を耐え抜いた。
痛い。勝てそうにない。そんな考えが鎌首をもたげ始める。

(魔眼をもう一度使ってる暇はないみたいなのです……でも、この眼を使わないで、あの人に勝てるのでしょうか?
 …………いや、勝つか負けるかの話ではないのです。この場を凌げなければ、私はもう一度死ぬことになるのです)

それだけは嫌だ。こんな短期間に、二度も死んでたまるものか。
相手は対峙したての時にやった、足を思い切り踏む動作をしている。
その時は『ドッペルゲイザー』のおかげで軸線がズレていて、あまり気にする必要は無かったが、今は違う。
相手が踏みつけた地面から、何かの波動のようなものが伝わってきて、全身が総毛立つような、
しびれに似た感覚が足から脳天へと駆けめぐっていった。

(……次、でしょうね。次が決まらなければ、覚悟を決める必要があるのです)

痛みを訴える左肩を気合いで黙らせ、巴はゆらり、と幽鬼のように立ち上がる。
弓を引き絞るように両足に力を込めていき、それがやがて頂点に達した瞬間、

「――――――――っ!」

地面が削れるほどの踏み込みをして、相手に向かって疾走を開始した。
彼我の距離はわずかに10メートル足らず。こんな距離は吸血鬼にとって、一歩分の労力にも満たない。
コンマ秒の世界で相手の目前に至った巴は、相手に向かって左側に身体の軸線を移動させた。
先ほど打撃した左足、それが軸足になる相手の左側は、右側を攻めるより危険が少ない。
無我夢中の巴がそう考えたわけではなく、それは吸血鬼的な闘争本能が訴えた行動だった。

「うああああぁあぁぁぁあああ!!」

獣のような叫びと共に繰り出されるのは、手指を使った突きだ。
吸血鬼の力により、並大抵の肉体ならば割き貫いてしまうその突きを、巴は相手の右脇腹に向けて突き入れた!

67神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 01:30:02 ID:xm/dFKGs0
>>66
10メートル、その距離相手はコンマレベルで踏み込みきった。
しかも激痛の左足軸方向を狙ってきた、多分それは本能の行動だろう。
だが、それが相手の命取りであり、この震脚の意味だ。

左足軸に位置する右側の攻撃範囲は相手の取って最も狙いやすく見える上に、
利き手でない側は人間では対処が遅れやすい。
震脚による踏み込みで構えが左側が後方へ行く為、
『右側を狙っても左側を狙っても利き手による対処範囲』が前方に入る。
だが私の反応ではコンマレベルでは細かい動きしか無理だ。

「だから―――!」

私は矢の様に前方に出てきた相手の突きの打点を体を僅かに右動かして、
致命傷回避ではなく必殺の間合いへと引き寄せ、右の手で腹部に突き刺さった腕を、
電気発勁による筋力強化及び相手への筋力弛緩で力付くで止めようとする。
そして―――!!

「八極は――ッ!!!」

左手で相手の顎を正確に捉えて私はその顎を掌でアッパーするかのように、
この状況での最大の発勁を放つ――!!!

「大爆発ゥ――ッッ!!!」

もしヒットしたならば相手はコンマで近づいた距離の倍は吹っ飛んでいくだろう。
だが、失敗すればこっちがやばいのだ。死にはしないけれど、逃げる事を優先しなければならない。
どちみち仕留める事ができなければ負けだ。
だが必死必殺のこの一撃、秘蔵の電気発勁まで使って負けたらば不甲斐ない。

68早瀬川巴:2011/11/01(火) 01:50:30 ID:rhMoIhJE0
>>67

右手の突きは相手の脇腹に刺さった。が、狙い通りではない。咄嗟の行動で軸をずらされた。
まずい。そう思って突き刺さった右手を抜こうとするが、

(抜けない……!?)

脇腹の筋肉が右手をがっちりとくわえ込んでいて、右手は返しの付いた釣り針のように抜けなかった。
そうこうしているうちに、相手の掌が顎に叩き込まれ、次いでやってきた何かの力に顎を強打され、
巴はまるで吹き散らされる木の葉のように宙に舞った。

「ぐっ……あっ…………ぐぅぅっ」

その勢いは砲弾もかくや、というほどのもので、バウンドするたびにアスファルトを陥没させ、
何度かそれを繰り返しながら吹き飛んだ巴は、途中にあった自動販売機に身体をめり込ませる形で、
ようやく停止することが出来た。
自動販売機は横に突き刺さった巴によってくの字に大きく折れ、中から容器の潰れた飲料をごちゃ混ぜにはき出した。

「………………」

巴は自動販売機にめりこんだまま、頭から血を流してぴくりとも動かない。
悲しいかな、吸血鬼の身体の頑強さはまだ、彼女に死を許していなかった。
彼女は気を失っているだけである。

69神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 02:06:05 ID:xm/dFKGs0
>>68
痛い。死ぬほど、じゃ無いけれど痛い。立てないと言うか動けないぐらい痛い。
へたり込みながら私はそう思う。生きてるだけマシだが、殺さずに済んだのは行幸。
とりあえず人様に迷惑かけない様何とかできればいいが、できそうも無し。

「あー……血無くなってきたかな」

何せあの腕は殆ど貫通していた。血止めする方法も無いからあの場ではああするしかなかったが。
自分が殆ど致命傷なのに対して、相手は気を失っただけと言うのは私が未熟なせいだろう。
どちみち、動けば多分血が流れすぎて死ぬ、止まっていても何れ出血多量で死ぬ。
―――殆ど詰んでるじゃん。なんだこれ。

「もー、ツイてないなー……。
でも、これからどうしようかなぁ……」

だらだらと血の水溜りを作る脇腹をほうって、私は立ち上がる事もせずに。
ただ、自分が吹き飛ばした方を見詰める。勝負は私の負けだろう。
何せあの一撃を放っておいて骨の一本も折る事ができず、自分は致命傷に近い傷を負っている。
こんな時に、ラルフさんが助けてくれたら良いのに。

70アイリス:2011/11/01(火) 02:17:07 ID:zpQ2Gl7E0
この闇夜では金色としか判別できないだろう、金に黒が混じる髪色。
寒いのか黒いロングコートで体を隠すように歩く。顔立ちから学生だと思われる人物は夜道を歩く。
一定のペースで大きな音をたてずに歩くことから何処かに出掛けたのか、これから出かけるのか…。

>>68>>69
アイリスの立ち位置は早瀬川巴の後方5mといったところだろうか。
ふと、“同族の気配”を感じ、足を止め、戦う双方を見てみれば、技名らしき叫び声が聞こえたあと、何か硬いものにが転がってくるような音。
何かがぶつかるような音に、陥没したアスファルト。
戦い。そう疑わずにはいれない。
そして、自動販売機に体を預けているように見えるセーラー服の少女を見やる。

「…なるほどね」

アイリスにとっては見覚えが無いが、神宮寺はもしかすると見たことがあったかもしれない顔がそこにいた。
もう一度、早瀬川を一瞥し、視線は神宮寺へ移る。

「これは、君がしたのかな?」

何を問うでも無い問い掛け。
咎める視線では無く、単なる興味から聞いているような、そんな問い掛け

71早瀬川巴:2011/11/01(火) 02:22:09 ID:rhMoIhJE0
>>69-70

「…………」

巴に覚醒するような様子は見られない。
くの字の自動販売機からミネラルウォーターと緑茶の混じった液体を身体に浴びながら、
顎の先から血の滴を足下に落とし続けている。
まるで磔刑だ。

72神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 02:23:16 ID:xm/dFKGs0
>>70
「んー、そうだよー。
まぁ、骨の一本も持っていけてない見掛け倒しだけどさー」

そう言って、へたり込んだ状態で相手を見つつ答える。
同時に相手の顔を見て思い出す、確かアイリスフォンなんたらって名前だったっけ。
この前あった先生が確か教えてくれたっけ、興味深いとかなんとか。

「でー、何か用かいー?
今ちょっとピンチなんでウチの人待ってるんだけれど」

そう言ってアイリスを見ながら答える。
顔は笑っているが顔面が蒼白状態なので気持ち悪い。

73神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 02:32:54 ID:xm/dFKGs0
>>71
もうしばらく伸びててくれると有り難いと思いながら、
アイリスとの会話に集中しつつも巴の方にも意識を向けていた。
立ち上がられたら今度は死ぬ。

74アイリス:2011/11/01(火) 02:42:48 ID:zpQ2Gl7E0
>>71
まず、この位ではまだ大丈夫だろう。
状況から察するに後頭部を強く打ち付けて昏倒、といったところだろう。
少なくとも灰と化すような攻撃は受けていない。
故に問題ない。

>>72
「僕自身は只の通りすがりなんだけどね、少し野暮用が出来てね。」

少し時間をくれるかな?
と呟きを残せば、簡単な詠唱を始める。

蒼白の顔色で笑みを浮かべる姿を見る限り、見たところ戦意は無いようだ。
待ち人もいるというのならお互い時間を掛けないほうが良いだろう。
“アレ”の為にも不必要な行動は極力避けるに越したことはない。

詠唱を始める。勿論、神宮寺からは口唇を動かしていることすら判別しづらいだろう。
そして、遅延。

「君は待ち人がいるようだし、相手の彼女もこれだ。それでも君は未だ立ち続けるのかな?」

魔眼の展開に1秒も必要ない。
体調はよくも悪くもない、通常運転。
アイリスにとってはどちらでもいいが、相手が冷静さを持ち合わせているのなら、どちらか益か判別は容易なはずだ。

75早瀬川巴:2011/11/01(火) 02:52:17 ID:rhMoIhJE0
>>73-74

真由子とアイリスが言葉を交わし、アイリスが詠唱を始めた時、

「……が、がはっ、げほっ!」

口から少なくない量の血を吐いて、巴はその意識を取り戻した。
頭がガンガンして、意識はまだうつろだが、幸い、まだ動けるようだ。

「…………ぅっ!」

腕を挟み込む形で変形していた自動販売機を膂力で無理矢理引きはがし、
巴はそのまま前のめりになって地面に膝を突いた。

「はっ……はあっ…………う、げほげほっ」

また血を吐く。
最大の技による衝撃は身体の中に少なくないダメージを与えているようだ。
魔眼どころか、戦うことすら考えられない苦痛が、巴を苛んでいた。

76神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 02:53:34 ID:xm/dFKGs0
>>74
「さぁてね、立てなくなったら立たないんじゃないかな?
それと、一つきいていい?」

蒼白の顔で笑いながら彼女は目の前の相手を見ながら、
質問していいかと聞く。相手がどう答えるかにしろ、
彼女が感じた気の流れはきっと真実だと彼女は思っている。

77神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 02:56:00 ID:xm/dFKGs0
>>75
「あっちゃー、起きちゃったか」

そう思い、相手が向かってくるのかどうかを見極めるように見る。
片腕、しかも動きが少ない分送り込める勁は少なかったのが拙かっただろうか。
どちらにしろ詰んでいるのは変化なし。

78アイリス:2011/11/01(火) 03:07:02 ID:zpQ2Gl7E0
>>75
「…さて、この状況だけど、君は彼女と戦いを続けるのかな。」

神宮寺と向かい合い、話しをしながらも意識はそちらにも向けられており。
ただ、アイリスにとって、この二人の戦いには、同族の気配に身を任せただけであり、
ここで神宮寺と戦っても益は無い。
顔を出しに来たような、気軽なものでしかないのだから。

「君が戦い続けるというのなら、僕は自分の用事に戻るよ。
 君か彼女、どちらかが引くと言うのなら回復くらいはしようかと思ってもいる。」

>>76
「質問というのは何かな?
 こんな時間にうろついている理由かな?――それとも、どうして介入してくるのか、かな?」

笑みの問い掛けを笑みで返す。
早瀬川への質問も当然耳に入っているだろう。
ただ、まったく関与しないアイリスは二人にとって邪魔なのかもしれない。

79神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 03:14:33 ID:xm/dFKGs0
>>78
「ううん、キミの気の流れが目と、脳に集中してるんだけれど。
魔眼でも持ってるの?」

脇腹を押さえつつ問いを言う。
本質はわからないけれど、持っていることはわかる。
だから聞いた、気になったから。

80早瀬川巴:2011/11/01(火) 03:17:39 ID:rhMoIhJE0
>>77-78

荒い息を吐きながら、巴はアイリスの問いを反芻する。
戦い続ける……? それは必要なことだろう。相手はヴァンパイアハンターだ。
生かしておけば、後々の災いとなって降りかかる。最悪、死ぬこともあるだろう。

(けど……)

四肢に力が入らず、立ち上がることすらままならない今の状況で、あのハンターを殺しきれるものなのだろうか。
疑問の余地もなくそれは否だ。
最後に食らったあの大きな反撃。あんな攻撃をしてくる相手だ。
おそらく、差し違えるつもりでまたあの力を撃ち込まれるのだろう。
ハンター一人と自分の命。どう考えても釣り合わない。それに、よしんばあの子を殺して生きながらえたとしても、
後ろにはまだ、何人かの仲間がいた。彼らが私を討ちにやってくる。

「はっ…………はあっ……戦えるわけ……ないのです」

こんな思いをしながら生きなければならないのか、吸血鬼という化け物は。
改めて巴は、己が身を呪った。

81アイリス:2011/11/01(火) 03:34:25 ID:zpQ2Gl7E0
>>79
アイリスは僅かに考える仕草を見せる。
気というのは東方の、不可視のものであり、生命力などと捉えられている。
いまいちわからないものだ。

「魔眼は持っているよ。僕は魔法も少々齧っているからね。恐らくそれじゃないかな?」

嘘では無い。
気の流れで真偽を判定できる神宮寺には、看過するなど造作もないのだろう。

「質問はそれだけかな?彼女(早瀬川)には戦う意志は無いようだね。
 無いなら僕は家に戻るよ。」

>>80
「わかったよ。君には少し治癒の時間が必要だね。」

とにかく、この少女には治癒の時間が必要だ。
それも、吸血鬼用の設備が整った場所。

「君が自身で逃げると言うのなら、逃げると良い。追いはしない。だが、僕は君に手を差し伸べることが出来る。
 その手を取るのは君の意思だね。」

82神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 03:41:52 ID:xm/dFKGs0
>>80
「ええっと…せつめーしなくて悪いんだけどさー……」

血が大分減ったこともあるが頭はハッキリしてきた。
なので事情を話すことにする。

「私…貴方が言ってるハンターって人種じゃないんだけど。
というか、私普通の女子高生なんですけど……確かに八極拳とか習ってるけど…」

あんだけ殴りとばしておいていまさらだが、本当に違うから恐ろしい。
ぶっちゃけてしまえばカッとなったから殴ろうと思っただけである。

>>81
「そうですか……あ、後言いにくいんですけれど…
その子、家に連れてっちゃ駄目ですかね?」

さっきまで殴り合っておいて言うせりふではないが。
一応治療する方法もあるし、何より晩御飯食ってない。

>>ALL
遠くから重いバイクの音が聞こえる。
そして、少したった後にホンダ製オートバイ『CBR1000RR』が見えた。
そしてそれには、巴には見覚えのあるスーツの男が乗っている。
その姿はとても無防備であった。

83早瀬川巴:2011/11/01(火) 03:52:02 ID:rhMoIhJE0
>>81

このアイリスという人物、見た目や言動は胡散臭いが、
巴に備わった吸血鬼の嗅覚が同族と告げていた。
思えば、この街に来て最初に出会った同族だ。彼がどれくらいの間街に住み着いているかは知らないが、
少なくとも巴よりはこの街で吸血鬼がどのように生きるかのノウハウを持っている。それは魅力だった。

「保護を……お願いするのです。ヴァンパイアハンターのいない所なら、この際どこだって……」

彼が自分を助けてくれるというのであれば、そこはもちろん、ハンターの目の届かない場所だろう。
「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」
吸血鬼に襲われて一度死ぬ前に、学校で習った言葉だが、まさかこんなに実感できる瞬間が来ようとは思わなかった。


>>82

そんな風に先人の言葉を噛みしめていると、今まで戦っていた相手が、
自分はヴァンパイアハンターではない、と言い始めた。

「…………は? ハンターじゃ、ない?
 え、そんな、それじゃあどうして」

殴りあいに発展する前に言ってくれなかったのか、と言いかけたが、
こちらとしても少し早とちりな部分があったことは自覚していた。
目を丸くしていた巴だったが、自分を連れて帰ろうという相手の申し出にジェスチャーで待ったをかけ、

「申し出はありがたいのですが、やはり私は、貴女と共には行けないのです。
 私は吸血鬼。人の生き血に宿る命の欠片を吸って生きる存在。人とは並び立てない化け物なのです。
 それと、これは確信を持って言えるのですが、輸血パックではどうしようもないのです。
 それはもう、人の身体から離れてしまっていますから」

84アイリス:2011/11/01(火) 04:03:43 ID:zpQ2Gl7E0
>>82
バイクの音は彼女が言った待ち人だろう。
いつでも羽根を使えるようにしておく。

「僕に彼女を束縛する権限は無いよ。
 彼女の意思を尊重するだけだからね。答えによっては、このまま帰るさ。」

アイリスは早瀬川をどうこうしようという意思は無い。
ただ“同族だから少し手を貸そう”程度だ。一人前になるまで面倒をみるということはしない。
アイリスは早瀬川の“親”ではないのだから。
だが、彼女はどうだろう。
何かしらの事情はあるだろうが、早瀬川は応じるのだろうか。

「こうして戦意が無い以上睨み合っても仕方が無いからね。」

遅延の魔法をしようする。
基礎中の基礎の治癒<ヒール>だ。
するととどうだろうか。
神宮寺の頭上から淡い輝きが降り注ぐ。
陽光を反射した氷粒のような、淡い光は神宮寺を包めば、外傷は塞がるだろう。

>>83
ただ、先達として役に立てるかといえばNoである。
年若い吸血鬼であるアイリスにとっては、時々実家に帰りながら学生生活をして、
気が向いた時に戦う。そんなユルいものだ。
早瀬川のように時には考え過ぎでは無いかとも思えるほ程、真剣に考えているわけでは無いのだから

「分かった。少し時間をくれるかな?必要なものを準備させるよ。」

と、何処かに電話をし始める。
声は小さいが、確かに“パック”という言葉は聞こえる。

「ああ、そうだ。これから行く所は僕が借りているところなんだけれど、立てるかな?」

立てないのならお姫様抱っこで転移するだけだ。

85神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 04:15:24 ID:xm/dFKGs0
>>83
「あははは、ちょっとカッとなっちゃてね。
ごめんごめん。でもしななかったんだしおあいこって事にしてよ、お願いッ!」

手を合わせ頼み込むように相手へ言う。許してくれるかどうかもあるが、
血が止まってきた事もあり、かなり活力は戻っている。
顔は青いが。

「んー、じゃあさ、私の血でも吸えば良いんじゃないかな?
ハハハ、我ながらばかなこといってるよねー。
でも本気なんだよねぇ、これがー。」

ハハハ、と笑いながら巴に言う。
何故ここまでしようとするのか、と聞かれれば。
きっと彼女は「だって友達になりたいもの」と言うだろう。
用はコイツはそう言う奴なのである。

>>84
外傷はふさがったものの、内臓部分の損傷は自力で何とかするしかない。
これはまた入院する羽目になるんじゃあなかろうか。

「そっか。じゃあやっぱ巴ちゃんが選ぶのはアイリスちゃんなんだろうなー。
私なんだかんだ人間だし、無力だし、迷惑かけるしねー」

そう言って頭をポリポリかきながら笑って呟いた。
屈託の無い、人の良さが出ているとてもいい笑いである。

>>ALL
バイクが止まるとスーツ姿の男は真由子と、巴の惨状を見て。
頭を抱えるように弱った表情をした。
だが、直にやれやれとした風に表情を直すと。

「巴さん、ウチの真由が迷惑かけて、どうもすいませんでした。
色々辛い思いさせてしまって、申し訳ありません」

巴に向かって頭を下げて謝った。
自分行動と真由子の行動も足して悪かった、と謝っていた。

86早瀬川巴:2011/11/01(火) 04:26:35 ID:rhMoIhJE0
>>84

「ありがとうございます……」

これで落ち着ける、と巴は安堵の息を吐く。
同族とはいえ、見ず知らずの他人。少し警戒が足りないかとも思ったが、
ダメージと疲労から来る怠惰な思考が、その先を考えることを拒否していた。
と、件のアイリスから自力で移動できるかどうかを尋ねられ、巴は小さく頷く。

「大丈夫なのです。身体を蝙蝠に分化させて、省エネモードでついて行きますから」

こういうとき、吸血鬼の変身能力は便利だと、巴は思う。

>>85

「死ななかったからおあいこって……むしろ許して貰うのはこちらの方なのです。
 今回のことは、ほとんど私が悪いみたいなものですし……」

あっけらかんと笑ってみせる真由子に対し、巴はシュンとした表情。
彼女は笑ってはいるが、だいぶ出血したはずだ。しかも右手が刺し貫いた部位は、
真心を捉えなかったとはいえ、肝臓を損傷させるものだ。辛くないはずがない。
その上でまだ、自分の血を吸えば良いとまで言い放つ彼女に、巴は嬉しさと申し訳なさで一粒の涙を流した。
巴はそのこぼれた一粒を拭いもせずに真由子に向かって笑いかけ、

「まだ私にも少しの希望があったことに気づかせてくれた……この借りはいつか必ずお返しするのです。
 私は吸血鬼で、貴女は人間ですが、それとこれとはまったく関係がありませんからね」

87アイリス:2011/11/01(火) 04:42:23 ID:zpQ2Gl7E0
>>85
性格は素直、良く言えば人が良い、悪く言えばお人好し。
屈託の無い笑みで密かにノックアウトされたモテたい男子も多いのではないか、
同性からは人懐っこい笑顔から愛でられているだろうと想像するには容易であった。
なるほど、いつか彼女の好意に甘えさせてもらうのも良いかもしれない。
と、思考をしつつ、

「まぁ、それは気にすることではないと思うよ。
 今は相成れない様だけど、その内、君と遊ぶ機会も出来ると思うよ。」

吸血鬼に噛まれた人間はグール化、或いは吸血鬼と化する。
有名な話なだけに、はいすぐに、とは行かないのが実情だろう。
そして、言葉遣いがしっかりしており、ちゃんと謝ることが出来る“保護者”もきた。

――じゃあ、僕が友達になってくれといったら応えてくれるのかな?

なんて呟いた。
>>86
「ただでさえ消耗しているんだ、力を消耗しないで直ぐに辿り着く簡単な方法があるんだけれど。
 君の手を握られるなら、瞬きの間で終わるよ。」

只でさえ少ない力を消耗する必要はないと告げて。
もう、メイドには色々と準備を進めさせている。
まずは…、と頭の中で段取りを組みながら。
自分の物差しで考えてはいけない。自分たちは“少し変わった吸血鬼”なんだから…。

88神宮寺 真由子:2011/11/01(火) 04:58:27 ID:xm/dFKGs0
>>86
「じゃ、次あったときは友達になろうじゃない!」

彼女はこの性格、そしてこの頑強さが後に命取りになったりするのだがそれはまた別の話。
彼女は青い顔で笑いながら巴にむかって次は友達なろうぜと言った。
しかし。

「真由、お前おそいからもう晩飯片付けたぞ」
「嘘ッ!?今日版飯抜き!?」

直後のスーツの男の台詞で一瞬で涙目になってしまった。

>>87
「ん?いーよー?
なんか人間じゃない気がするし男でも女でもない感じの気だけれど、
私は私がよければオールオッケーだからねっ!」

呟いた言葉にサムズアップで満面の笑みで返す。
しかし顔が青くて心配になる感じである。

「ま、私は次に巴ちゃんやアイリスちゃんに会うまでに、
グールにならない為に聖気法を会得しなきゃいけないんだけどねー……
考えるだけで気が重い……」

どうやら巴に自分の血をすえばいいといったのは考え無という訳ではなかった様だ。
頭を抱えつつも何とかなる、そん感じがしていた。

>>ALL
流石に話し過ぎたのか、それともとっくの昔に体は限界だったのか。
そばにいたスーツの男が倒れた真由子をおんぶしていた。

「おぅおぅ、無茶しやがってからに……
こんな奴ですけど、出来るだけ仲良くしてやってください。
破天荒でいっつもニコニコしてるけど本当は意外と根暗で寂しがりやなんで…」

苦笑いをしながら気絶している真由子をバイクの後ろに乗せる男は、
ふと気づいたように二人を見ると。

「忘れていました。これを渡しておきます。
後、何かコイツに伝言があったら伝えておきますけど……」

男が二人に手渡したのは符であった。特殊な字で術式が書かれていて、
裏側には『通話用、製作者:E・N』と書かれている。

89早瀬川巴:2011/11/01(火) 05:09:28 ID:rhMoIhJE0
>>87

「へえ、そんな便利なことができるのですか……」

蝙蝠に変身して空を飛ぶ以上に楽な移動方法があったとは驚きだ。
吸血鬼は魔術にも精通するという伝承があるが、それだろうか。となれば、いつか自分も……?

(魔術。何だか、アニメやマンガの世界に足を踏み入れた気分なのです。
 まあ、吸血鬼になった時点で今更という気もするのですが……)

蝙蝠への変身はどちらかというと身体を動かす感覚に近い。
しかし魔術となるとそうはいかないだろう。理論を学ぶ必要があるはずだ。

(それもこれも、まずは人心地ついてからでしょうかね……)

そんなことを思いながら、巴はあまり身体に負担を掛けないように立ち上がり、アイリスに向かって手を差し出した。

>>88

「ええ。その時が来るまで、ひとまずはさようならです。
 また、近いうちに会いましょう」

友達になろう、という真由子の申し出に笑顔で頷いた巴は、
バイクの男に差し出された符を大事そうに胸ポケットに仕舞い込んでから、
男に向かって深々と頭を下げた。

「今度のことは私の責任なのです。彼女の怪我が回復するまでに、人手が足りなくなったら私を呼んでください。
 夕方、夜限定ですけど、精一杯お役に立ってみせますから」

彼らが吸血鬼の力を必要とするかどうかは別の話だが、そういう申し出ができるほどには、
巴は彼らに心を開きつつあった。

90アイリス:2011/11/01(火) 05:17:50 ID:zpQ2Gl7E0
>>88
聖気法が何か分からないが、言葉からして耐魔のものかと思い、差し出された符を受け取る。

「千夜学園で会ったらヨロシクと伝えておいてくれるかな?」

ちらりと裏に返してみれば…用途は想像できた。
結構サボりで居ない方が多いのが実情だが。
妹思いの優しい兄だ。
笑みを浮かべて伝言を預ける。

>>89
そっと早瀬川の手に触れ、羽根を使用。

「まあ、実際に見てみると良いよ。色々と準備をさせているから先ずは休もうか。」

音もなく、二人の姿が掻き消える。
瞬きが終わる頃にはアイリスが借りているアパートである神羽荘の204号室の玄関に辿り着く。
早瀬川とアイリスを出迎えるのは正にメイドといった人物。

91矢野 映二:2011/11/01(火) 05:27:41 ID:xm/dFKGs0
>>89
「好意はありがたく受け取っておく。
まぁ、外傷多数肋骨4本、肝臓損傷、左足にヒビ位が目立つ怪我だから…、
あー、こいつだったら5日ありゃピンピンしてるだろう」

巴に真由の現在状態を告げておく。
……しかしよく動けたもんだ、殆ど精神力で動かしてただろこいつ。
馬鹿も度が過ぎると素晴らしい事になるのか……俺も人のことは言えないか。

>>90
「分かった、目が覚めたら伝えておこう」

そう言ってCBR1000RRにキーを挿しこみエンジンをつける。
重い音がしてエンジンが暖まっていくのを感じた。

>>ALL
「それじゃあ、お二人方。
俺と真由はそろそろ帰らせていただく…あまり治療が遅れてもいけないんでな」

そう言うと、大型のオートバイは重い音を立てて走り出し、
瞬く間に男と真由子は遠くに消えていった。

//長い事絡んで下さり有難うございました。私は是で失礼致しますー。
楽しいひと時を有難うございました!!

92黒沢小百合:2011/11/01(火) 23:16:52 ID:SSMHlh/20
異能都市中心部、歓楽街の端に
都市の喧騒から隠れるようにひっそりとたたずむ小さな映画館がある。

「うぅーっ、さすがに座りっぱなしだと肩がこってしまう。
 こういうのはデスクワークの後に見るものじゃないな……。」

今日最後の上映が終わり、僅かな来場者が映画の余韻に浸りながら
ぽつぽつと玄関ホールへとでてくるその中に、軽く伸びする黒髪の女性の姿があった。

――彼女の名前は黒沢小百合。

女性ながらも若くして都市有数の大企業『千夜グループ』の重役を務め、
いい意味でも、悪い意味でも尖ったその性格からメディアへの露出も多く、
知名度の高い人物だ。

93セシリア/目隠しの女性:2011/11/01(火) 23:38:28 ID:eH/hROUQ0
>>92
最後の上映ともあれば、夜も大分深まった時間帯になるのだろう。
空高くで月が孤独に輝く。そのほかにも映画館という場所柄、周囲の街灯の光で意外と明るいのではないだろうか?

ラストショーも照明が落ち、人々が帰路につくなか、一つ妙な人影があった。

その人影――人物は、映画を見に来たとは考えにくい。両方に包帯を巻いてあり、一切視界は開けていないだろう。
もちろん、映画を見るときに目隠しをとるのは可能だろう。だが、そうなると今目隠しをつけているのが妙になる。

一人の映画館スタッフを呼び止め、何やら話し込んでいる様子だが……どうも、話し掛けられているスタッフは非常に困っているように見える。
対する目隠しの人影――160cm程の女性だ――は不機嫌そうな声でスタッフを問い詰めている。

都会ではよくある光景といえば、そうなのかもしれないが。

94黒沢小百合:2011/11/01(火) 23:50:50 ID:SSMHlh/20
>>93

「……トラブル、か……。
 時間外勤務は極力したくないのですが、
 これほど身近で起きてしまえば、ね。」

小百合の役職は『都市警備部門主任』。
都市の治安を守り、時には武力を持ってそれを排除する。

それがこの女の仕事である。

「……どうかしたのですか?なにか、トラブルでも?」

(包帯……千里眼だとか心の目だとか……。
 そういった類の異能者だろうか……。)

スタッフと女性に近づき、話しかける。
経験から女性が恐らくなんらかの能力者ではないだろうかと目星をつけたが、
推測だけではその能力が如何なるものか窺い知る事はできない。

95セシリア/目隠しの女性:2011/11/02(水) 00:01:09 ID:eH/hROUQ0
>>94
おどおどと、怯えた表情のスタッフ。割り込んできた声を頼りに振り返った目隠しの女性。
そして、先に口を開いたのは目隠し女性だった。
「……今、忙しいから邪魔しないでくれる。」
近くで見ると、中に何かが詰まっていそうなロングコートを着ている。
明らかに不快感が丸出しだ。
「それとも貴女もここのスタッフ? それともコイツの知り合い?」


その後、口を開いたスタッフがいうには、この目隠しの女性探偵をなのり、歯切れが悪く「言い掛かり」を引っ掛けてくるのだと説明し。
「とにかく僕は関係ない」とその場を立ち去ろうともしている。

……どちらに味方をするかは、自由だろう。

96黒沢小百合:2011/11/02(水) 00:13:27 ID:SSMHlh/20
>>95

小百合はこの映画館に幾度か通っており、
その間スタッフの態度に不快感を感じたことは無いし、
時には勝手に捜査に顔を突っ込む『探偵』に良い感情を持っていない。

そんな彼女が、スタッフの側に立つのは無理からぬことだった。

「この私の前であまり騒がないで頂きたい。
 都市の迷惑条例に違反、とまではいかなくとも不愉快でしてね。
 それとも、他人の粗探しをして都市の治安を乱すのが『探偵』のお仕事ですか?」

嫌悪の表情を隠すことなく、女性に対して言い放つ。
とはいえ、包帯で目を隠している彼女に表情が読み取れるかどうかは分からないが。

97名も無き異能都市住民:2011/11/02(水) 00:33:02 ID:eH/hROUQ0
>>96
声の主をしっかりと見据えるように、正面に真っ直ぐと立つ。
もう先程の男はどうでもいい。今この女性の興味は目の前の声の主にだけある。
「誰が不快になるとか、誰が嫌だとか。全然知っちゃこっちゃないけど。
 いちいちそんなことを気にして仕事が出来る?」

「まあ、少しやり過ぎだったのは素直に認めておこうかな。悪気はないんだけどねぇ。」
ため息を吐き出す。映画館のスタッフはとっくに何処かへ行ってしまった。

強気な言葉や、都市の迷惑条例などという専門的な言葉。そこから相手の役職は絞れるのだろうか?
そのあたりをきいて明らかに態度を変えてきた。所詮その程度で恐れをなす小物か……なんであれ、何か意図があるのだろうが。

なんであれ、その表情に反省の色は全く無い。

98黒沢小百合:2011/11/02(水) 00:47:55 ID:SSMHlh/20
>>97

「つまり貴方は公共善の精神を軽視している、と。
 嘆かわしい事です。恥を知りなさい。」

ふん、と不機嫌に鼻を鳴らしてみせる小百合。

目が見えないのかもしれない者を相手にしていることもあり、
表情よりも音や声による感情伝達を試みているのだろうか。

「日蓮曰く、『災いは口より出でて身を破る。』
 悪気無い言葉で、今まで幾人が不利益を被ってきたか。
 貴方は少し、自分の振る舞いを省みたほうが良い。」

小百合には、『説教癖』とも言うべき悪癖がある。
会って間もない人物に、よくもまあこれほど文句をつけるものだ。

99セシリア/目隠しの女性:2011/11/02(水) 01:04:50 ID:eH/hROUQ0
>>98
「はいはい、説教はまた何時か聞くから。」
わざわざしてくれている説教だが、全く聞こえていない。
右側の耳から入って左に抜けているような状態である。

「だいたい、公共だかなんだか知らないけど、そっちだって私の仕事を邪魔したじゃない。
 割り込まれなきゃ今頃何か聞き出せたかも知れないのにね。」

「私が駄目でそっちが許されるっていうのは意味が分からないし。」
そこまで言い切ると、鼻を鳴らして笑う。自分で屁理屈だと分かって言っているのだ。

「ねえ、こんな時間に私みたいな奴を説教して楽しいの?」

100黒沢小百合:2011/11/02(水) 01:18:09 ID:SSMHlh/20
>>99

「……なるほどね。
 やはり探偵は『都市の秩序を乱す』事が仕事という事ですか。
 時間の無駄ですし、私も不愉快です。」

小百合はセシリアの態度に業を煮やしたように
顔を一層しかませたが、大きくため息をついて背を向ける。

たしかに、この手の類には説教は無駄だろう。

101セシリア/目隠しの女性:2011/11/02(水) 01:27:54 ID:eH/hROUQ0
>>100
「こっちだって、都市の秩序を乱すだけでお金が入るならそれでいいんだけどね。」
都市の秩序を乱すのはあくまで仕事達成の仮定。仕事はもっと酷いことになる。らしい。

「つまり? 私は時間の無駄に仕事の邪魔をされた訳……少し悲しくなるわぁ。」
嫌みなどでなく、素で言っている用にも見える。
どちらにしろ、『言葉』の説教では意味のない奴には変わりないか。

「ん? それで、もう帰っちゃうの?」

102黒沢小百合:2011/11/02(水) 01:39:08 ID:SSMHlh/20
>>101

小百合は既に薄暗いホールに響くセシリアの声を無視して、
ヒールが床を打つの小気味よい音を響かせながら去っていく。

この先、なんらかの調査で千夜と関わるかもしれないが
その場合、小百合の心証を害したことはマイナスに働くかもしれない。

103アイリス:2011/11/02(水) 21:52:37 ID:zpQ2Gl7E0
転移したアイリスと巴は六畳一間の部屋に辿り着く。淡くバラの香りがする部屋だ。
出迎えるのはクラシカルな黒のメイド服に白いヘッドドレスを纏った、如何にもメイド、といった人物。
二人を出迎えたメイドは恭しく腰を直角に曲げ、ゆっくりと戻し、言葉を発する。

『ようこそいらっしゃいました。私はアイリス様付きのメイドでエミリオ=レンデヴァーと申します。
 何か用事がございましたら私が用意させて頂きます。以後お見知りおきを。
 お帰りなさいませアイリス様。準備はつつが無く進んでおります。』

簡単な自己紹介をして、丁寧に巴に頭を下げるメイド。
そうしてアイリスはメイドと一言二言話をすれば、部屋の中に足を進める。
まずは音を吸いそうな、柔らかな絨毯。
次いで応接セット。バラが飾られたクリスタルの花瓶を真ん中に据えられたテーブル、テーブルを中心に黒革のソファーが向かい合う形になっている。
窓には厚さ3ミリはありそうな遮光カーテンが引かれている。
それ以外は何も無い殺風景な部屋だ。

アイリスはテーブル右手のソファーの横に立ち、まるで巴を案内するように、対となるソファーを手で示す。
もちろんすべての指は伸びきっており。

「ここに座ると良い。座るのが辛ければ、寝転んだままでも結構だよ。リオ、飲み物を」

2つのグラスが運ばれる。ストローは別途用意されている。
2ミリ程度の赤い果肉が浮き、グラスに細かな水滴が浮いていることから少々冷たいものだろう。

「まず補給すべきものは分かっているね。大丈夫、トマトジュースで割っているよ。
 飲みたかったら飲むと良い。いつまでもその体では辛いだろう。」

104早瀬川巴:2011/11/02(水) 22:07:42 ID:rhMoIhJE0
>>103

転移した先の部屋は、六畳一間の空間にバラの香りといかにもな応接セットがあるという、
誤解を恐れずに言えばとても奇妙な場所であった。
狭いのに貴族趣味チック。しかもメイド付き。

(吸血鬼というのは大体貴族趣味だと聞いたことがあるのですが……。
 現代の吸血鬼も、現実の住宅事情には負けてしまいますか)

挨拶と自己紹介をしてくれたメイドさん……エミリオに「ど、どうも」と一礼しつつ、
巴はアイリスに続いて部屋に入……ろうとして自分の姿に気づいた。

「あ、あの、このまま入ってしまうとお部屋が……」

頭から流れた血と自動販売機から漏れ出た飲料で着ていたセーラー服は汚れている。
持っていたハンカチで拭いたのと、吸血鬼の再生能力のおかげで頭からの血は止まっているが、
それでも結構な汚れようだ。

105アイリス:2011/11/02(水) 22:31:11 ID:zpQ2Gl7E0
>>104
「その程度の汚れは気にしなくていいよ、問題は服だね。リオ。彼女の体を拭いて未使用の服を用意、着用してあげてくれるかな?」

この新米は少々遠慮が過ぎるようだ。
いや、知り合ったばかりだから遠慮しているのだろうと推測し。
ここは少々強引でも勢いに任せて進めた方が良いだろう。

「彼女を拭いている間、少し出てくるよ。終わったら呼んでくれるかい。服は完全復元後、返却だね。彼女は少々手負いだ。くれぐれも慎重にね。
 君は大人しく服を変えられると良い。その服では感触が気持ち悪いだろう。空いた時間に飲み物を飲んで少しでも体を休める方が良いよ。」

畏まりました、と頭を下げたリオを尻目に、アイリスは再び部屋を出る。
リオは何処から用意したのか仮の服…、白いドレスを用意していた。コレを着せるつもりだろうか。
割りと巴の着せ替えに乗り気なのだろうか…。
アイリスが現れるのは、着替えが終了した後だろう。

106早瀬川巴:2011/11/02(水) 22:47:59 ID:rhMoIhJE0
>>105

「気にしなくていいって、でもあの……え、着替えですか?
 あ、はい、助かります……」

自分の汚れ具合を恥じていた巴は、着替えを用意してくれるという相手の申し出に感謝した。
だが、アイリスが部屋を出た後、メイドさんが用意してくれた着替えを見て、巴は目を点にして固まってしまう。
それはどう見ても、幼児体型の自分には似合わなそうな白いドレス。
女の身として、一度はそういうドレスに憧れた時期もあった。が、それを実際着るとなると話は別だ。

(これが替えの服なのでしょうか……? いやでもまさか……)

そう思ったのもつかの間、メイドさんに手際よく制服と下着を脱がされてしまい、
ぬるま湯で濡れた布で身体を拭かれ、代わりの下着とそのドレスに着替えさせられてしまった。
何だか軽く襲われた気分になり、少々ぐったりしたまま巴はアイリスに座るよう促されたソファーに腰を落ち着けた。
目の前のテーブルには、トマトジュースで割ったらしい「それ」がグラスに注がれていたが……。

(……精気が感じられないのです。あの人はこれで事足りるのでしょうか?
 もしかして、私とは違うタイプの吸血鬼だとでもいうのでしょうか……)

うーんと唸りながら、ドレス姿の巴は腕を組んで考え始めた。そうこうしているうちにアイリスが来てしまうだろう。

107アイリス:2011/11/02(水) 23:01:19 ID:zpQ2Gl7E0
>>106
と、数分後にアイリスは戻ってくる。
腕を組んで待つその姿は意外と元気なものであった。

「待たせて済まないね。…リオの悪い癖が出たみたいだ。何か申し訳ないね。」

と、巴の向かいに座り、未だ手を付けられていないそれを見る。
薄かったのか、と思い。

「口に合わなかったかな?作りなおさせよう。」

姿勢を正し、アイリスは指先でグラスを摘めば躊躇なく飲む。
グラスを置けば、少々口に含んだ程度の量が減っているのが解る。
アイリスはメイドにワインを要求し、巴の様子を眺めている。
髪が鬱陶しいのか、メイドに髪を櫛で梳かしてポニーテールに纏めさせて。

「まずは自己紹介をしよう。僕はアイリス・フォン・ルズィフィール。一応千夜学園に籍を置く学生だよ。
 それから君とは同族になる。」

微笑を浮かべてみせた。

108早瀬川巴:2011/11/02(水) 23:16:58 ID:rhMoIhJE0
>>107

「ああいえ、着替えを用意してくださってありがとうございました。
 正直なところ、血とジュースでべたべたして気持ちが悪かったのですよ」

使用人の不手際を謝罪するアイリスに、巴は少々大げさに「気にしていない」という旨のジェスチャーをした。
実際、べたつく液体で不快だったのは事実だし、こういう機会でなければ今後、こんな服は着られないだろうし。
面くらいはしたが、不快ではなく、むしろ少し楽しかった。
だが、話が変わる気配を感じると、巴は姿勢を正してアイリスに向かい、

「ご丁寧にありがとうございます。私は早瀬川巴。つい先日、吸血鬼に襲われて吸血鬼になりました」

自己紹介を返しながら、相手の言った「千夜学園」というワードに引っかかりを感じた。

(……聞いたことがあるのです。世界有数のマンモス企業、千夜グループが設立した学園のことを。
 まさかこんな街にあるとは思いもしませんでしたが……)

そして次に引っかかったのが、「同族」というワード。

「早速で恐縮なんですが、二、三質問があるのです」

さっき感じた、血の捕食についての疑問がそれをピックアップさせていた。
本当にこのアイリスという吸血鬼と自分は、吸血鬼の種類として同類なのか。
生き血を吸わなくて生きることが出来るタイプなら、確実に自分とは違う。
そもそも、学園に所属しているというが、吸血鬼は生きた死人である。そんなことが出来るものなのだろうか。

これらの質問を、まとめてアイリスにぶつけた。

109アイリス:2011/11/02(水) 23:43:58 ID:zpQ2Gl7E0
>>108
「なるほど、素養はあったわけだね。親、巴を吸血鬼にした吸血鬼はどうなったのかは少々気になるところだけれど。」

無ければそのままグールへ一直線。
日に焼かれて灰へと還る。

「僕は確かに吸血鬼と呼ばれるよ。そういう意味では巴と僕は同じ吸血鬼になる。厳密には違うね。
 何、大した違いではないよ。先天的か後天的か、程度だからね。
 血については個人的嗜好で生き血に拘る必要はなくてね。ワインと一緒に摂取する程度だけど、周期は二、三週に一度程度。これのお陰もあって、苦しくはないよ。」

見せるのは左手薬指に嵌められた指輪。
見た目は変哲のない銀色の指輪だ。

「僕らは血で色々な衝動をある程度抑えられる。これはね、その補助具といったところだ。陽光、流水は耐えられるよう、訓練を受けたよ。
 あの時は大変だったよ。だからこうして露出を少なくしているからね。」

ニヤリ。

「巴は“異世界”の存在を信じるかい?」

110早瀬川巴:2011/11/03(木) 00:09:47 ID:rhMoIhJE0
>>109

「素養、ですか。私が聞いていた話だと……その…………男性との経験が無ければそうなる、
 つまり、吸血鬼になる、ということだったのですが」

巴は顔を真っ赤にしてそう言った。
吸血鬼に殺された者で、吸血鬼として復活するのは処女か童貞のみ。そうでないなら屍食鬼になる。
巴が記憶しているのはそういう記述だ。それは何かの読み物にそう書いてあったもので、実際は違うのかも知れないが……。

「私を殺した吸血鬼ですか? 殺しましたよ。心臓をえぐり出して、私の血を返して貰ったのです。
 ……まあ、返して貰ったところでどうしようもなかったのですけれど」

素養の話から一転、巴が吸血鬼になった原因の吸血鬼の話になると、彼女の口調は淡々としたものとなった。
心臓を破壊すれば吸血鬼は滅びる。これも読み物で得た知識だったが、こちらは有効なことがこの一件で証明されている。
そうでなくともあの吸血鬼だけはどんな方法を用いても殺すつもりだった。今となってはどうでも良い話だ。

そんなことを考えているうちに、アイリスの話は吸血鬼としての差異の話に移っていた。
先天的、後天的。血の摂取と、吸血鬼の性質を抑える話。
最近吸血鬼になった巴にとっては、あまり現実味を帯びない話だった。

「私見なのですけど、生き血に拘る必要がないのは、アイリスさんが「先天的」だからだと思うのです。
 私のような吸血鬼は「吸血鬼という死人」で、アイリスさんは「吸血鬼という生き物」だから、
 生き血であるかどうかは重要じゃないように感じられるのです。
 少なくとも私は、さっき出していただいた「トマトジュース割り」に、まったく食指が動きませんでした」

間違っているのかも知れないが、それが今の巴の率直な意見だった。
続く「異世界」についての質問には、少し悩むふうな素振りを見せて、

「つい先日までは、「異世界」も「吸血鬼」も信じていなかったのです。
 ……でも、今は信じても良いような気がするのです。何せ、「吸血鬼」なんていうファンタジーが、
 現実の物になったのですからね」

111アイリス:2011/11/03(木) 00:48:42 ID:zpQ2Gl7E0
>>110
「所謂伝承だね。こちらがわではそのような説もあるのかと思えば、興味があるよ。
 貞操を守るというのは素晴らしいと思うよ。捨てるものではなく、守るものだからね。」

顔を真赤にしながらも話した巴に対し、アイリスは感心したように、一度小さく頷く。
巴とは反対に顔を赤くすることも言い澱むこともなく簡単に貞操など言葉を話す。
巴の様子を見て、巴の吸血鬼の成り立ちを飛ばし、お互いの違いへとを進める。
その方がアイリスの興味を満たせる上に巴の知識面でも猫の額ほどだが役に立てるだろう。

血の話になると、アイリスは一瞬目を細める。
生きるために血を得る。ただし割ったものには食指が動かない。
トマトジュースが邪魔なのか、それとも輸血パックが駄目なのか。
恐らく両方だろう。

「巴はグルメなんだね。実に興味深い。これを人間の食事と嗜好品に置き換えるのは些か早計かな。
 例えば、コレは欲しいと思うのかい?」

メイドに視線を移すと、メイドは輸血パックと金属ストローをテーブルの上に置く。
共に未使用で有りながらも、液体特有の動きで形を僅かに変えた。

「これは血には変わりないけれど、生き血では無い。必要とならばグラスに注がせよう。」

巴が吸血鬼になった原因は噛まれたから。
重要なのは暖かな血、生き血なのかと想像し。
ただ生き血はそう簡単に用意出来るものではない。
まずは融通が難しい。人を買うのは中々に難しい。
生き血を融通させるにはどうするか、など考えながら。
その内好みが出てくるだろうが、その辺りは本人に任せよう。

「分かった。そう思ってくれるだけで嬉しいよ。」

と、微笑を浮かべて見せた。
アイリスが会話の中で興味を示したのは生き血でなければいけないかの点。
伝承は個人的に調べよう。
だが、新しいタイプの吸血鬼だ。一度ロザリアにも話を持っていってみよう。

112早瀬川巴:2011/11/03(木) 01:07:24 ID:rhMoIhJE0
>>111

「グルメと言うか……さっきの「トマトジュース割り」は食べ物ではなくて、ただの「物」に、私の目には映ったのです。
 その輸血パックも同じです。見てくれは血ですけど、「物」です。
 わかりにくいでしょうか……そうですね、「これをどうぞ」と言われて皿の上に出されたのがご飯の形をした金属の塊だった、
 みたいな感覚だと思っていただければ。いえ、酷い物を出したな、とか、そういう文句ではないんですけど」

恐縮しながらも、伝えなければならないことは伝える。
巴のような吸血鬼が何故血を吸うのか。それは、血に宿る「命の残滓」を求めてのことだ。
精気、生気……命そのものと言っても良いそれは、死んだ身体では生み出せない。
だから、生き血からそれを啜らなければならない。
輸血パックなどでは意味がないのだ。それはもう、人の命の欠片ではないから。
だから、輸血パックの中身をグラスに注ぐ必要はない、と巴はアイリスに伝えた。

「結局、生きた人間から血を貰うしかないのです。私のような吸血鬼は。
 私から見たら、それで事足りていて、なおかつ生きているアイリスさんは、
 吸血病(ヴァンパイアフィリア)患者にしか見えないのです。
 ……私の中の常識が邪魔しているんでしょうね、すみません」

113アイリス:2011/11/03(木) 01:33:48 ID:zpQ2Gl7E0
>>112
「なるほどね、分かったよ。巴は生き血でなければ生きられない。正に“吸血”鬼だ。
 圧倒的な暴力、生き血を啜らねば生きられぬ体。僕よりずっと吸血鬼じゃないか。
 伝承の中で生きる吸血鬼が目の前にいるなんて素晴らしいね。」

吸血を強調して。かつての自分を話す必要は無い。
アイリスは嬉しそうに、大げさに身振り手振りを交えて話す。

――まぁ、自分でも吸血鬼らしくないとは思うけどね。

と心のなかで思いつつ。
自らほど吸血鬼らしくない吸血鬼はいるのだろうか。
月が真上に上がる頃に眠り、起きて陽の元を平然と歩く自分。
吸血鬼が他を圧倒する力を持つ種族としての特性を指輪で封じて。
このあたり、他の吸血鬼としてどうなのだろうか。
反面、巴は逆だ。
陽のもとは歩けず、夕方から夜にかけてしか活動できない。
水は駄目、そして生き血を啜らなければ生きられない。
どちらが“らしい”かといわれれば、巴の方だろう。
ただ、この出会いがアイリスに刺激を齎したのは間違いない。

「巴の“食”は分かった。生の人間は中々融通できないから難しいね。
 寝所はとりあえずここでいいかな?僕はしばらく離れるから自由に使ってくれて構わないよ。」

114早瀬川巴:2011/11/03(木) 01:51:35 ID:rhMoIhJE0
>>113

「吸血」を強調されて、巴は思わずビクッとする。
自分では納得していたつもりだったが、他人に指摘されると中々くるものがある。
たとえそれが同族だったとしてもだ。

「吸血鬼らしい……ですか。喜んでいいのかどうかはわからないですね……」

微妙な顔をして巴はそう返す。相手は嬉しそうだが、こちらとしては複雑だ。
出来ることならば吸血鬼になどなりたくはなかった。
しかし、なってしまった以上、それを考えなくてはならない。吸血鬼としての過ごし方を。
その中の一つに、寝床があった。
巴の実家は別の街にあるし、そもそも帰れない。
となると、野宿かそれに準じたものになるが、当然の話ながら昼間に陽光が当たるような場所は論外。
洞窟や建物の奥のような場所があればベストだが、今のご時世、そういった場所を見つけるのも困難。
そんな事情を抱える彼女にとって、アイリスの申し出は非常にありがたいものだった。

「良いんですか、ここをお借りしても? 見ての通り、吸血鬼であること以外には、
 何も持っていないんですが……」

115アイリス:2011/11/03(木) 02:12:31 ID:zpQ2Gl7E0
>>114
「現在、吸血鬼から人に戻る術法は見つかっていない。割り切らないと巴はどうなるのかな?
 魔法の研究でも何でもいい、吸血鬼で良かったと思える何かを探してみればどうかな。…まあ、僕が言えた義理では無いだろうけどね。」

圧倒的な力・死から程遠い肉体
デメリットも大きいが、火の粉が舞い踊るこの都市では寧ろ有利ではないのだろうか。
だが、襲うのは孤独という永久の苦しみ。

「生き血は自分で調達して貰う形になるけれど、余計な火の粉を持ってきてくれなければいいよ。
 大丈夫だと思うけれど、万が一、ここに吸血鬼がいると分かれば、処理が面倒だからね。
 気が向いた時に戻ってくるけど、その時に少しずつ巴の話を聞かせてもらえれば良いよ。」

それに、と付け加えて。

「巴には感謝しているよ。数少ないタイプの吸血鬼だからね。
 僕は知りたいんだ。“吸血鬼”をね。これが巴が支払う対価。どうかな?」

生まれてからは高位の  が身近におり、知り合いの吸血鬼のロザリアも長い年月を生きた高位の吸血鬼。
アイリスの拠点と出来る場所はここだけでは無い。都市内のホテルの最上階1フロアを丸々使っている。
伝承だけではなく、本当の吸血鬼が知りたかった。

116早瀬川巴:2011/11/03(木) 02:22:36 ID:rhMoIhJE0
>>115

「吸血鬼で良かったと思えること、ですか。そんなこと考えもしなかったのです。
 結局、死んだことを自分で哀れんでいただけで、先のことなんか、全然考えてもいなかったのです」

それはこの街に来て初めて戦った、あの真由子という少女からも言われたことだ。
吸血鬼として生きる先のこと、将来のこと。それは嫌が応にも考えなくてはならない。
とりあえずはこの街を色々歩き回ってみよう、と巴は思う。何か見つかるかも知れない。

「なるほど、ここにおいて貰う条件は、厄介事を持ち込まないことと、私の吸血鬼としての情報ですか。
 そんなことで良いのなら、大丈夫だと思うのです」

これで、ひとまずの安息の地は確保された。そのことに、巴は安堵の笑みを漏らす。

117アイリス:2011/11/03(木) 02:34:06 ID:zpQ2Gl7E0
>>116
「先のことはこれから考えれば良いと思うよ。
 僕らには時間“なんて”掃いて捨てるほどあるんだから。」

まだまだ伸びしろがある、むしろこれからどう伸びるか分からない吸血鬼。
成長する吸血鬼を間近で見れるのは非常に嬉しい。
試したいこともある。そろそろ出よう。

アイリスの手がテーブルに載せられる。
直ぐにテーブルから離され、テーブルの上には部屋の鍵が置かれていた。

「そろそろ僕は失礼しよう。巴、任せたよ。」

アイリスは立ち上がり、メイドに目配せする。
メイドはコートを何処からか取り出し、アイリスに着せる。
懐の懐中時計で時刻を確認すると、じゃあね、と声を掛けて部屋から出ていった。
メイドは巴に「ごゆるりとお過ごしください」と言うと最敬礼をしてアイリスに付いていく。

//こんなところで〆ます

118早瀬川巴:2011/11/03(木) 02:42:00 ID:rhMoIhJE0
>>117

「掃いて捨てるほど」時間がある。そう、自分たちは時間だけは他の者より確実に恵まれている。
擬似的な不老不死。それになったことを、巴は改めて認識させられた。
その時間で何をしよう。そう考えると、不謹慎だが、少しわくわくする。

「はい、行ってらっしゃいです。アイリスさん」

だからだろうか、鍵を置いて部屋を出ていくアイリスに「行ってらっしゃい」などと言ったのは。
不死者ゆえの希望。不思議なワードだ。
だが今は、それが何となく心地よく思えてしまった。

//りょうかいです

119神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 20:48:29 ID:xm/dFKGs0
午後8時を過ぎた千夜学園からの帰り道で、
白衣の男と学園の制服(セーラー)を着た女子生徒が別れていた。

「それでは先生、私はこっちですのでー」
「ん、ああ。また明日、今度はしっかり教科書を持ってくるように」
「はいー…」

少し皺が目立つ穏やかな笑いの男に今日の失態を咎められつつ、
女子生徒は手を振って男を見守る。その姿が見えなくなった時、携帯がなる。

「はいもしもし神宮寺ですけど」
『マユか?アルフレッドだけど、今何処にいる?』
「えーっとね、帰り道の途中。後ちょっと(1時間くらい)でもどるから」

電話の主は自宅にいる同じ居候からだったようだ。
しばらく話をした後、電話を切ると。

「今日の晩御飯はカレーかー、私ライスしか食べた事無いなー」

そんな事を言いながら愛車のバイク『V-MAX』を押しながらゆっくりと帰途についている。
夜の夜空は珍しく綺麗に星が瞬いていた。

120ガタイの良い人物 ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 21:05:10 ID:.6prKP66O
>>119
星が瞬く夜、たまにしか味わえないそんな夜道
ふと、前方に視線を移せば、夜空に輝く星々に負けないくらい美しい輝きが一瞬だけ夜道に走る
 
そこには少女とは反対方向に歩く大きな人影が見えるのだった
 
「……」
 
その人影の正体はガタイの良い男性だった

121神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 21:12:06 ID:xm/dFKGs0
>>120
「(ガタイのいい人だなー。師には負けるけど)」

彼女の師の筋肉は某地上最強級筋肉なので比べるだけアレな気がするが。
彼女は見知らぬ人に突然こんばんはと言えるような人間ではないので、
バイクを押しながら通り過ぎるように歩いていく。

「(カレーと言えば…パンあったっけ)」

彼女の脳内はもう既に晩御飯にシフトしていた。
基本子のような思考回路の持ち主故か、顔に考えている事が出ていた。

122ガタイの良い人物 ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 21:19:26 ID:.6prKP66O
>>121
「……」
 
男性は辺りを見渡しながら歩を進める
目の前には女子校生が一人……
少女の姿を確認すると足早に近寄ってくる
 
「すいません、ちょっといいかしら?」
 
野太い声、声は男性の声である、しかし言葉遣いは……

123神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 21:37:51 ID:xm/dFKGs0
>>122
「はいはい、どうかしましたかー?」

彼女は相手の言葉遣いを殆ど気にせずに答える。
探偵助手としての教育の時、いかなる人物でも礼節を怠ってはならない。
と習った彼女にとってこの程度ならばまだ許容範囲なのだろう。

「何か困った事でもありました?
それともお腹でも減りましたか?」

何時もの何にも考えてなさそうなスマイルで相手に質問していく。
その笑いは人の良さが伺えるよき笑いであった。

124ガタイの良い人物 ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 21:43:50 ID:.6prKP66O
>>123
「お腹?ん〜……減ってるわよ〜!すこぶるペコペコよぉ!」
 
どうやらこの娘は良い子の様だ……男性は少女の笑顔でそう感じる
 
「あ、じゃなくて!お嬢ちゃんにお願いがあるのよぉ!」
 
そう良いながら大きなアタッシュケースを差し出した
飾り気が無いそのケース、中には何が入っているのか……少女には知る由も無いのだが

125神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 21:49:41 ID:xm/dFKGs0
>>124
「なんですかー?まさか機関銃運んでくださいとか、
ヘリコプターのローター無くしたとかじゃないですよね?」

ワザとなのか天然なのか、彼女は常識として有り得ない例を出した。
とは言うものの、本心ではそんな無茶苦茶でなければ引き受ける、筈。
食事と依頼でどちらを優先するか、だが。

126ガタイの良い人物 ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 21:59:34 ID:.6prKP66O
>>125
少女の顔を見てにっこりと笑う男性……今まで暗くてわからなかったが、メイクをしている
 
「やーねぇ、そんな危ないもんじゃないわよぅ!」
 
オバチャンよろしく手を小さく振る……もう分かるかと思うが、この男性はオカマである
 
「このケースを中心街の第4公園まで運んでほしいのよ……
本当は私が運ぶ予定だったんだけどねぇ、急遽予定が出来たのよ、ショックぅ〜!
だから代わりにお願いできないかしら?お嬢ちゃんなら信用できそうだしッ!」
 
グイグイと少女に迫りながら依頼を告げる男性、もといお姉さん

127神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 22:07:00 ID:xm/dFKGs0
>>126
「うーん、別に構いませんよ。
あ、報酬ありますよね?」

そして、先ほどの助手の心得として彼女はもう一つ習っていた。
それは『依頼には報酬をつけろ。ただより怖いものは相手にも此方にも無い』と。
ただで仕事を引き受ければ相手に悪い印象を植え付ける場合が多い。
故に報酬をつける事で相手からの信用を得たほうがいい、と言う教育である。

「今回は私的な依頼なので、そんなに要りませんけれど…。
それでもいいならば引き受けますよー?」

そう言って何も考えてなさそうな笑みで相手に聞く。
可愛い顔してこの娘に施された教育はたいした物に思うか、
それともいやな子だなぁ、と思うか。

//ご飯が出来てしまったので少々、抜けますー。申し訳ない。

128ガタイの良い人物 ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 22:23:57 ID:.6prKP66O
>>127
「あらまっ!チャッカリしてるわね……でもまぁ、私から頼んだんだし……ん〜」
 
全身をまさぐりながら何か無いか探すお姉さん
暫らく漁ってから、何かを取り出す
 
「じゃんっ!これをどーぞ♪」
 
お姉さんが差し出した物、それは、『宝石を抱きながらハンバーガーを食べているイルカのキーホルダー』
 
イルカなのにハンバーガーを食すその特徴的な姿は紛れもなく、都市にある有名な美術館の一つ『美術館ガンガンジー』のマスコットキャラ『三郎』であった

 
もはや意味が分からない組み合わせのそれを、お姉さんは差し出してくる

129神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 23:01:52 ID:xm/dFKGs0
>>128
特異な組み合わせのそれを眼にした彼女は眉を潜める事も無く。
それを受け取りつつもメモに何かを書きとめると。

「これの価値だけでは報酬に足りないので、
この口座に後でお金を送金してくださるとありがたいですー」

ここにも教えられた事を忠実に守っている彼女。
『現物支給は金額価値を考えて、あくまで現金で貰え』と習っていた。
問題は彼女がそれをほぼ当たり前と思っている事だが。
因みに送金要求額は250円。お菓子レベルの安さである。

「それでは配送してきますねー!」

そう言って、ヘルメットを被り愛車のエンジンを吹かすと。
ドスの効いた重い音を立てて愛車のV-Maxは走り出す。
因みに彼女は別に送金してくれなくてもいいのだろう、強制するようにはいっていない。
あくまで個人依頼だから自分の裁量で決めたのだろう。

//遅れて申し訳ない、ただいま戻りましたー

130ガタイの良いお姉さん ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 23:16:25 ID:.6prKP66O
>>129
「250って……逆にめんどくさくならないのかしら……ま、あれを運ぶのに比べたら……」
 
V-Maxを駆る少女を見送りながら、口座を眺める
 
「おもしろい子ね……っと仕事に行かなくちゃ!」
 
お姉さんは何処からか現われた黒いマントに身を包み、その場から飛翔する
 
二人が去り、冷たい風が吹く夜道に新聞が風に吹かれて舞い上がる
 
【怪盗ラベンダー郷田 ガンガンジーより『原初の龍の牙』盗み出す】
 
 
//おかえりおかえり〜

131神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 23:21:13 ID:xm/dFKGs0
>>130
「(そう言えば中身を詮索してなかったけど、まいっか)」

時速100kmを超える速度で驚異的なテクニックを使って、
第4公園についた彼女は受け取り手でもいるんだろうか、と思いながら。
取り合えず1時間ほど待つことにした。
一時間たったら荷物をてぢかな場所において還るつもりだ。

//これで終わりなのですかい?それともまだ続くのですか?

132名も無き異能都市住民:2011/11/08(火) 23:33:06 ID:.6prKP66O
>>131
しばらく待つと、物陰から人影が現われる
 
チョンマゲ頭に灰色スーツ、そして探偵などが良く着るあのコート
腰にはレイピアを携えた男性だった
 
「いやいやご苦労さんご苦労さん……拙者待ち焦がれていたでござるよ」
 
いそいそと低姿勢で少女に近寄る男性

133風邪の人:2011/11/08(火) 23:38:29 ID:xm/dFKGs0
>>132
「はいはいーどうぞですー。
あ、配送料貰っていいですか?無いならいいですけど」

運送業の時になんだか届けたときにもお金貰うんだっけ、と思い出しながら相手に言う。
なんだか危なそうな人だが、大丈夫なのだろうか。
危ない目に会う前に退散した方がいいのかな…?

134チョンマゲレイピア ◆6xc12amlNk:2011/11/08(火) 23:43:59 ID:.6prKP66O
>>133
「あ〜はいはい、おいくらでござろうか?あ、中身を確認しても良いでござるか?いやぁ、しかしこんなお嬢さんが運び屋でござったとは……」
 
次々に繰り出される質問、声色は穏やかなれど周りは敵意が溢れている
 
周りには……そう、今や公園全体に敵意が渦巻いている
何が目的なのか、荷物を受け取るだけで普通はこんな敵意は発しないのだ
 
「お主、名前は?」

135神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 23:47:59 ID:xm/dFKGs0
//これを書き込むまで名前欄ミスに気づかなかった…なんてことだ
>>134
「えーと、500円ですー。
別に構いませんよ、ただし私に見えないところで頼みますー」

相手にうけ応えしつつ、いつものように笑って荷物を手渡す。
因みに周りの敵意には気付いてはいるが『なにかあるんだろーなー』と言った感じ。
要はなんとでもなーれと言った感じなのだ。

136神宮寺 真由子:2011/11/08(火) 23:49:19 ID:xm/dFKGs0
>>135の書き忘れ。途中送信すみません。

名前を聞かれた質問に対しても、彼女はあての顔を見ると。

「真由子です、因みに本業は探偵なんですよー」

そんな感じで答えていた。

137チョンマゲレイピア ◆6xc12amlNk:2011/11/09(水) 00:00:57 ID:.6prKP66O
>>135
「500円でござるな?」
 
コートからワンコインを取り出し、少女に渡す
そしてすぐにケースを開き、中身の確認……少女からでは中身が見えない
 
「なるほど、確かに原初の龍の牙でござるか……」
 
ここで、チョンマゲさんの目付きが鋭い物となり、少女を射抜く……
 
「真由子殿、探偵と申されたか?……拙者、残念でならないでござる……」
 
ため息を吐き、首を数回振る、辺りはもう完全に囲まれていた……
 
「同じ志を持つ者が……憎き郷田の仲間とは……」
 
チョンマゲは腰のレイピアを引き抜き、高く掲げる
そして、大きく息をするや否や……
 
「確保ぉぉぉッ!!」
 
チョンマゲの怒号が公園に響き渡る、それを合図にどこに隠れていたのか、大量の青い影……そう、警察の大群が真由子に突撃してくる

138神宮寺 真由子:2011/11/09(水) 00:11:50 ID:xm/dFKGs0
>>137
突撃してくる警官の大群に対し、彼女の本能が何を告げたのか。
彼女は無言で震脚を放ち警官たちを足止めしようとする!
大地を揺るがす強力な震は足を取らせ、脚より放たれる気功は体を狂わせる。

「……仕掛けちゃってすいませんけど…取り合えず話を聞かせてもらえません?
私、何がなんだか、わからないんですけど……」

苦笑いも浮かべず、いつものスマイルのまま警官達へと聞く。
だが、雰囲気は殺気立ってこそいなかったが、明らかに、
『何無実の罪でしょっぴこうとしてるじゃ我ぶち殺すぞ』と言わんばかりであった。

139マクシミリアン ◆6xc12amlNk:2011/11/09(水) 00:27:03 ID:.6prKP66O
>>138
「ほほう、中々の手練れ……」
 
警察官達が体勢を整えようと必死の中、チョンマゲさんは全く問題ない様子
 
警官A「なにおぅ、犯罪者が!すぐに恫喝に出るとは……これだからクズは!」
 
警官B「え?この子笑顔だしいい子じゃないすか?」
 
伝わってるのか伝わってないのか、警官によって反応がまちまち……
その時、ゆっくりとチョンマゲが歩き出す
 
「どうやら皆では力が及ばぬ様……ならば拙者自らが……
拙者はマクシミリアン……探偵でござる」
 
マクシミリアンの振るうレイピアは風を断ち、新たな風を生む
 
「お主には怪盗ラベンダー郷田の仲間との疑いが掛けられているでござる……抵抗しなければ手荒な真似はなさらん!
しかし、抵抗するならば……ここで拙者が成敗致す!」

140神宮寺 真由子:2011/11/09(水) 00:37:16 ID:xm/dFKGs0
>>139
「確定になる確かな情報源があるならばまだしも…。
私はただ荷物を運んだだけなんですけど…しかもそれ何なんのかも知りませんでしたし…。
しかも此処で成敗したら貴方が暴行罪とかで問われると思うんですよ…主に私にですけど。
しかも、そう言うのって普通任意同行と調書があって成り立つものじゃないんでしょうか…?」

少し困った顔をしつつも笑顔で相手への疑問を述べていく。
相手は一応大真面目なんだろうが、彼女にとっては頭に?が浮かびまくっている。
もしかして此処って治外法権なのかな…?とすら思いながら。

「少なくとも…この場で成敗される謂れはないなぁー…と思うんですけど」

相手の気迫に少々たじろぎながら、苦笑になりつつも相手へとはっきり言う。
右手で殆どばれない様にV-MAXの特殊チャンネル(ハンドルを横に触るだけ)を開きつつだが。

141マクシミリアン ◆6xc12amlNk:2011/11/09(水) 00:48:38 ID:.6prKP66O
>>140
「ふーむ、その歳で相手を論破したがるのは頂けないでござるな……」
 
やれやれ、とでも言うように首を振りため息を吐く
 
「答えは簡単、拙者は探偵だから……でござるよ
細かい事を気にしては悪は消えないのでござるよ」
 
小娘の理論などマクシミリアンの前では無意味で無駄な事だ……侍である彼には細かい事は関係ないのだ
 
「弁明は牢屋に放り込んでから聞くで御座るよ!
さぁ、速やかに両手を上げてこちらにくるでござる!!」
 
早く早くと急かす探偵、警官一同、周りいっぱいに詰め寄っている筈なのに真由子の行動には誰も気付かない

142神宮寺 真由子:2011/11/09(水) 00:56:37 ID:xm/dFKGs0
>>141
「あー、すみませんけどお断りしますー…。
私悪い事やってませんし……というか仲間じゃないですし…」

と相手の物凄く脅迫じみた要求を丁重にお断りする。
ちゃんとした手続きもなしに誰が警察に行きたがるか、と言うのだ。
チャンネルの向こうで聞いているであろう映二が頼みの綱だ……。

「やるなら勝手にどうぞー…私は手を出さないんで。
そんな刃物で手を出したら正当防衛って事でやらせては貰いますけど…」

できるなら勘弁したいので、回避に専念する事にする。
こういう手合いは真面目に手を出さないのが正解である…。
映二お兄ちゃんが来てくれるまで持つだろうか…?睨み合いがだが。

143マクシミリアン ◆6xc12amlNk:2011/11/09(水) 01:13:44 ID:.6prKP66O
>>142
「はぁ……面倒な娘さんでござるな」
 
周りの警官も飽きれ顔を見合わせている
 
「ならば仕方ない、ここで成敗いたす……ん?」
 
マクシミリアンが意を決した瞬間、一人の警官がマクシミリアンに耳打ちする
 
「なに……郷田がまた現われた!?ふむ、次のターゲットは『アクロバティックファラオ』!?こうしてはおれん!
皆の物!すぐに郷田を確保しに行くでござるよ!」
 
ドタバタと、マクシミリアンと警官達は公園を去っていった

144神宮寺 真由子:2011/11/09(水) 01:21:43 ID:xm/dFKGs0
>>143
「ふー…なんとかかわせたかな…」
『お疲れさんだ、突然だが次の依頼だぜ』

聞こえてくる見知った映二の声に耳を傾けながら、
彼女は疲れた顔をしつつ。

「なんですか…?」
『家帰ったら話してやる、急いで還って来い』
「りょうか〜い」

そう言ってV-MAXに跨って家へと帰っていく。
今日は本当に疲れた、速く寝ようと思っているところに、
家に帰ったらラベンダー郷田を調べるぞと言われるのはまた別の話。

145黒沢小百合:2011/11/10(木) 23:55:37 ID:SSMHlh/20
【AGカフェ】

「よいしょ、と。これで全部かな……。」

カフェの本棚に置いてある古い雑誌や
痛みの酷い本などを新しい物と入れ替える作業を終えた小百合は
ふう、と一息ついて沸かせておいたお湯の具合を身にキッチンへ。

どうやら、これから晩御飯のようです。

146ゼオラ=アドヴァルド?:2011/11/12(土) 22:48:03 ID:7hcwnxwgO
―――公園

「〜〜♪」
鼻歌混じりに歩みを進める少女。
その姿は普段の彼女を知るものなら驚きひっくり返る程のものだった。

何故なら、まず少女は鼻歌を歌う事等無い。しかもスキップもしない。
次に、少女の衣服。
普段は口説い程に黒々しい彼女だが、今日はクリーム色の地に緑を彩った衣装。
それに、歴史的文献でしか見る事の無い遥か昔に存在した魔法大国の紋章入りの赤いマントを羽織っていた。
最後の要因として、少女が口にしている胡瓜についても挙げられる。
普段の少女は異常とも言える野菜嫌いで胡瓜等口にしないであろう。
それなのに今は嬉々として口に運び味わっている。


明らかに、異常。

147アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/12(土) 23:36:00 ID:.6prKP66O
>>146
公園から少しだけ離れた謎の柱付近
普段知る少女からは全く想像できない真逆の雰囲気
そんなものを見てしまうならば、身震いでもするはず……
この娘も例外では無かった
 
柱の影にメイドと二人で隠れながら、カタカタいっていた
 
「あ、あああああれは一体……ゼオラを見つけたからチュッチュッしようと思っておりましたのに……
ありえんものを見てしまいましたわ……」
 
あわわわわ、とでも口から零れるほどの驚き様
いつもと同じ白い衣服に身を包んだアウテリートは、胡瓜をほうばる姿をただただ見ていた
 
「そして胡瓜……けしからんですわ……」

148ゼオラ=アドヴァルド?:2011/11/12(土) 23:43:43 ID:7hcwnxwgO
>>147
自動販売機の前に立った少女はコインを投入し……固まった。
身長が足りずボタンに手が届かないらしい。

「こう言うときはっ」

バーン!!

ニョキニョキ。

大地の魔力を帯びて緑に光る拳を地面に叩きつける。
すると、殴り付けた地点から蔓が無数に伸び上がり、段差を作った。

「楽ねぇ」
一段ずつ上がって行くと、野菜ジュースを購入した。

149アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/12(土) 23:51:20 ID:.6prKP66O
>>148
「身長足りてない!?可愛い!」
 
父親譲りの可愛いもの好きが反応し、お嬢様は少女に近寄るが……
なんと少女は地面から蔓を発生させたではないか
 
「あれあれ?やっぱり別人なのかしら?ゼオラはあんな地球に優しい能力じゃなかったし……むむむってまた野菜かい!」
 
胡瓜を食いながら野菜ジュース
いくら何でも野菜過ぎるその少女に、お嬢様はついついツッコミを入れてしまう

150ゼオラ=アドヴァルド?:2011/11/13(日) 00:09:35 ID:7hcwnxwgO
>>149
アウテリートのツッコミが耳に入ったらしく、首を傾げる。
階段からジャンプで一気に近寄って真正面に着地した。

自販機を覆う程の蔓は少女が離れると凄いスピードで枯れ始め、直ぐに果ててしまった。

「あらっ。何処かで……」
訝しげな表情で見ている。
首を完全に覆ってしまっている首輪は彼女と同じものだが、今は中央にある碧の宝玉らしきものが光っている。

151アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 00:19:14 ID:.6prKP66O
>>150
「その首輪なんか光ってますけど、やっぱり貴方ゼオラですわね?どうしてそんな陽の要素が強くなってしまいましたの!?
あの陰の要素でいつも無表情で、でも不意に笑顔になるとキュンッと来るゼオラはどこに!?守ってあげたくなるゼオラはどこに!?」
 
少女の肩を掴み、顔を近付けて問い質すお嬢様、メイドが心配そうに二人を交互に見る
 
「それにそのマント!目立ちまくりですわよ!」

152ゼオラ=アドヴァルド?:2011/11/13(日) 00:30:58 ID:7hcwnxwgO
>>151
「あらあらあらあらあら」
ガクガクと肩を揺さぶられ力無く振り回されている少女(?)
しかし、パチンと手を払い、アウテリートを眺めた。

「貴方、かの男と同じ匂いがするわ……」
黙々と考える。
腕を組んで深く深く考える。
少女が目を見開いて顔を上げた瞬間、強い風が吹きマントを棚引かせた!

「性転換したのね!!?」

153アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 00:38:03 ID:.6prKP66O
>>152
揺さ振り続けると、不意に手を払われる
 
「あ、あら……かの男?」
 
払われたと同時に、体勢を崩したお嬢様は首を傾げる
目の前の少女は何かを考えているようだ
 
「え、えーと……」
 
一体なにを考えているのだろうか?お嬢様は困り顔……だが、少女は風と共にトンでもない事を言い出したではないか
 
「せ、性転換〜!?な、何をおっしゃいますのよゼオラ!
私は生粋の女の子ですわ!それに、見なさいこの私の美しさ!可愛さ!これが何よりの証拠ですわ!!」
 
巻き髪を振り乱しながらプンプンと怒り始めた

154ゼオラ=アドヴァルド?:2011/11/13(日) 00:49:59 ID:7hcwnxwgO
>>153
鼻を利かせる素振りを見せると大きく頷く。
「……この上質なマナの香り、あの男とそっくり」
再びアウテリートを眺めた挙げ句、

「え、違う?
確かに匂いは同じ様で違う……しかも、貴方の方が純度が高い」
クンクンスンスンしながら少女はアウテリートの周囲を回る。
「美男子じゃないのは残念だけど、貴方も中々美しい顔……このカロエラ様の苗床に相応しいわ!」
まるでいみがわからんぞ!

155アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 01:00:40 ID:.6prKP66O
>>154
「マナ?そりゃそうですわ!私は人間とマナのハーフでしてよ!しかも虹のマナと偉大な錬金術士のね!」
 
大きめの胸を張り、えっへんとドヤ顔
しかし、周りで少女がクンクンスンスン……少しだけ顔が赤くなる
 
「そ、そんなにクンクンされると……は、恥ずかしいですわよ!」
 
苗床になるとは穏やかではない、それを聞いてメイドがもじもじするお嬢様を守るように隣に立つ……メイドもオドオドしているが

156カロエラ:2011/11/13(日) 01:22:51 ID:7hcwnxwgO
>>155
「貴方が苗床になれば美味しい野菜が育つのよ」
何やら嬉しそうに胡瓜をかじる。
それだけでは足りないのかトマトも取り出すと二つ、それぞれアウテリートとメイドに投げ渡しさらに一つ取り出して食べる。

「生きた人間に直接種を植え込んで栽培すると美味しいのよ」
手と口の周りをトマトで真っ赤に染めながら笑う。
「体内を割って根が伸びるから凄く痛いらしいけど」

157アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 01:48:05 ID:.6prKP66O
>>156
「あら、ありが……え?」
 
生きた人間が種を……それを聞いた瞬間、お嬢様の顔から血の気が引いた
ならば今わたされたこのトマトも……
 
「お、お気持ちは有り難いけどお返ししますわ……」
 
メイド、お嬢様が揃ってトマトを少女に返す
 
「貴方、かなりえぐいことしてますのね……」

158カロエラ:2011/11/13(日) 01:59:40 ID:7hcwnxwgO
>>157
「あらそう? 美味しいのに」
返されたトマトを一口で頬張ると頬を膨らませる。
やはりゼオラの身を借る以上は暗黒に生きる物なのだろうか。
そもそも、余り交友をとらないゼオラと関係がある時点で怪しい。

「地獄の土じゃどう頑張っても野菜は育たないの。それに此方の方がうめき声が聞こえる分気持ち良いわ」
そう言って庭一杯の人間が恐怖と痛みに叫ぶ様を語るが理解はできないだろう。

159アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 02:06:16 ID:.6prKP66O
>>158
「カロエラさんと言ったかしら?貴方……ゼオラとはどんな関係なのかしら?見た所……体を借りているようですわよね?」
 
お嬢様にとってゼオラは大切な友人である
暗殺業などに手を染めてはいるが、どこかでゼオラを信じている
そのゼオラの顔でそこまで邪悪な事を言うカロエラをお嬢様は怪しまずにはいられなかったのだ……
 
「ゼオラと同じ顔でそんな狂った事を言わないでくださいな」

160カロエラ:2011/11/13(日) 02:25:03 ID:7hcwnxwgO
>>159
「あら、ゼオラのお友達?」
首を傾げると顔を見て。
訝しげな顔は先程と同じだが、より深く、深く。

「ゼオラが貴方みたいなのと仲良くするとは思えないけど……まあそこは良いわ」
傾げたままの首はやはり不思議そうだ。
「どういうって……家族みたいなものかしら。彼女が落ちてきた時からずっと一緒に居たのだから」

「……?」
続く少女の言葉にキョトンとした顔をするが、何かを察したらしく、
「……全部解ったわ。そうね、貴方の大事なお友達ですからね、迂闊に口も汚してられないわ」
顔を明るくするとハンカチを取り出して口を拭く。
しかし、その笑顔は何処か不気味さを感じさせる。

「折角お友達が一緒なら戻りましょうかねぇ」
くつくつと笑って首輪に手をかける。

161アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 02:33:31 ID:.6prKP66O
>>160
「ふん、貴方なんかとは天と地の差くらいの仲良さですわ!私が天ですわ!」
 
なんだか負けたくなくて、カロエラに対してアウテリートは強気に出る
 
「家族?あなたが?……それに落ちてきたって……」
 
口を拭き、不気味な笑みを浮かべるカロエラに虹色の鋭い視線を向ける
そして、首輪に手を掛けるカロエラを見てアウテリートの体が勝手に動いた
 
カロエラの手を掴み、焦ったように
 
「なんか嫌な感じがしますわ、その首輪はゼオラの大切な物でしてよ?変な事する気じゃありませんわよね?」
 
カロエラの笑いで心配になったのだろう、アウテリートは首輪を触らせるのが何となく嫌だった

162カロエラ:2011/11/13(日) 02:57:16 ID:7hcwnxwgO
>>161
「ゼオラもいいお友達を持ったのね。……大切にされて、少し羨ましいわ」
それを笑顔で受け止める。

「何年前かしら、確か彼女は『親友殺し』と『無差別大量殺戮』と『自殺』の罪で地獄に落ちてきたのよね……私の庭に」
手を止められると驚きながらも安心させる為に手を離す。
「大丈夫よ。これ作ったの私だし」
アウテリートから少し離れると地面に歪みを作る。

「久し振りの地上も楽しかったわ、それじゃあね」
そして暗黒の広がる歪みに飲み込まれ消えていった。
夜の公園に静寂が訪れる。
それを崩したのは一陣の風と少女。

「よく、寝た……ふぁ……」
アウテリートの影から現れた少女はあくびをしてみせた。
何時も通りの漆黒に塗れた衣服と平坦で溢れた声だった。

163アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 03:08:00 ID:.6prKP66O
>>162
「は?地獄に……それって……あ、待ちなさいな!」
 
カロエラは笑顔で去っていった……お嬢様はゼオラが地獄に落ちた理由……それを信じたくはない
三つの罪……普通の少女だったゼオラはどんな子だったのだろう……
きっと笑顔が似合う歳相応の少女だったに違いないのだ……
 
いつもの姿のゼオラを見る、どうやらカロエラがゼオラに危害を加える事はなさそうだ
 
さっきの話を直接聞こうか……いや、無理に聞いたらゼオラを傷つけてしまうかもしれない
でも、いつか……いつか私と父にはゼオラ自身から話してくれるだろう……
お嬢様はゼオラを信じる、だから今は……
 
「おはようゼオラ!もう!着替えシーンくらい見せなさいな!ほらほら、何色ですの〜!」
 
友達と楽しくお喋りをしよう

164ゼオラ=アドヴァルド:2011/11/13(日) 03:19:43 ID:7hcwnxwgO
>>163
「えー……」
僅かながらに拒む素振りを見せる。
既に首輪の光は収まっていた。

「……?」
少女は何時もと同じ筈の少女に何かを感じる。
だが、それも大したことではないと思いつつ。

165アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 03:27:36 ID:.6prKP66O
>>164
「ふふふ、冗談ですわよ」
 
ニッコリと笑顔で冗談であると告げ、お嬢様はゼオラの頭を撫で回す
 
「どうかしましたの?」
 
ゼオラが何を感じたのか
その微妙な変化にお嬢様も気付く……

166ゼオラ=アドヴァルド:2011/11/13(日) 03:30:56 ID:7hcwnxwgO
>>165
「……そう、ならいい」
無表情のまま大人しく撫でられる。

「別に……」
目を逸らして関係無いと告げる。

167アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 03:34:36 ID:.6prKP66O
>>166
「ほらほら、笑顔になりなさいな!いつもみたいにアウテリート大好き!って言ってみなさいな!」
 
無い事をあったかのように笑いながら、優しく撫で回す
 
「目を逸らしましたわね!私に対して!……ゼオラ?」
 
さっきまでふざけていたのに、急にアウテリートは真剣な眼差しでゼオラをみる

168ゼオラ=アドヴァルド:2011/11/13(日) 03:43:20 ID:7hcwnxwgO
>>167
「んー……言わない」
そう言うとプイッとそっぽを向いてしまった。

「なに……?」
少女の瞳は何も移さない。


//ぐぐ、眠気がやばいけど続きそう……持ち越しは大丈夫そうでしょうか?

169アウテリート/風雲爆烈娘 ◆6xc12amlNk:2011/11/13(日) 03:49:58 ID:.6prKP66O
>>168
「ん〜じゃあ、美少女な私がチューをしてあげましょうか?」
 
ニヤニヤお嬢様は悪戯な笑みを浮かべるが、すぐにまた真剣な顔に戻る
 
「よく聞きなさいな、貴方は私にとって大事な友達ですわ……
だから、無理にとはいいません
いつか……貴方が私達を信じてくれたなら……
その時は……ちゃんと話してくださいな……」
 
お嬢様はゼオラの額に自分の額をくっつける
そして目を瞑り、優しい笑顔を声でそう言うのだった……
 
 
//ごめんよ〜!一応これで終わらせてもいいし、持ち越しでも良いように書いたから天才さんに任せるね!

170サラ:2011/11/14(月) 21:20:47 ID:mRdm0I4U0
【地下暗黒街、酒場宿『ダクト』、夕暮れ前】

カウンターの他は殆んどがソファーとローテーブルから構成される店内。
その隅、一人掛けのソファーに沈み込んで、寝ぼけ眼で座っている女魔術師。
今しがた目が覚めた様子で、かみ殺すように欠伸をすると、手招きしてウェイトレスを呼び止めた。

「……水」

腰に拳銃を吊った小柄なウェイトレスが舌打ちをして去っていく。
程なくして、氷すら入っていないただの水が大ジョッキに並々と、乱暴にテーブルに置かれた。
サラはそれに口を付け、一気に三分の一ほどを飲み込んで、大きく息を吐いた。

「やっべぇ寝過ぎたよ……。もう今日はいいか……」

そう言ってジョッキを投げ出し、またソファーに沈み込む。
客が増え始めるにはまだ時間がある、俗に言うアイドルタイム。
完全に陽が落ちれば喧騒に包まれる店も、今はサラのような静かな客ばかりだ。
ロクに金を出さずに場所だけ奪っていく客とも呼べぬ客……。
客が入り始めたら銃口を突き付けられて表に叩きだされること間違いなしの連中である。

171テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 21:33:34 ID:et1rlL8Y0
「……ん……なんかだるいな……」

パイロットニットの男が、公園のベンチから起き上がった。
何かを確かめるように手を握ったり開いたりしている。

「……所詮は……か」

ベンチから立ち上がると、大きく背伸びをする。
そして、再びベンチに座り込んだ。

「姉貴達、一体何企んでんだろうな……。
 ま、俺には関係ないか、今のところ……」

月を見上げ、ぶるっと震えてみる。
男は薄着だったが、彼にとって寒さは余り堪えない。
ただ、人間っぽい行動をしてみたくなっただけだ。

172ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 21:37:16 ID:WVrfsEdY0
>>171
「…う、こまったの…
 つかれてしまったの…」
【同じく公園に包帯を全身に巻いた少女がいる。こちらもまた疲れた様子を見せている】

「ひとやすみでいいかなの…
 おなかもすいたしなの〜」
【すでに構えていた刀を鞘に収めてその辺のベンチに座って、ふうと一息をついた】

「これをたべよなの〜」
【置いてあった袋の中からパンを取り出して、とっても美味しそうに食べ始めている。】

173テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 21:48:04 ID:et1rlL8Y0
>>172
「……ん……どっかで見た顔……。
 ……誰だったかな」

男はディスに気づき、刀を納める様子を見ていた。

「……物騒な」

怪訝そうな顔をしながら男は立ち上がり、歩いていく。

「よう、なんかあったのか?
 刀なんか出して」

今は納められた刀を指差して言った。

174ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 21:53:03 ID:WVrfsEdY0
>>173
【匂いでも探ったのかディスはすぐさま振り向いて言う。】
「あう?むぐむぐ…
 これほしいの?」
【袋の中からメロンパンを取り出して言う。悪気はなさそうだ。】

「あう?えっとなの…だれもいないからこっそりとっくんをしてた…なの。」
【ちょっと反省しているのか、申し訳なさそうだ。】

175テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 21:59:42 ID:et1rlL8Y0
>>174
「いや、いらないけど……。
 ……俺そんな汚い?」

物乞いに見えたのだろうか。
顔をしかめながら自分の服の匂いを嗅いで見る。

「特訓か。
 いや、突然変異のモンスターでも出たかな、と思って」

納得したような顔をして、男は頷いた。

「怪人、とかな」

176ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 22:04:01 ID:WVrfsEdY0
>>175
「あう、ちがうの!
 『でぃす』ははながいいからなの」
【慌てて手を振り否定する。単なる気遣いだったのだろう】

「もんすたー?あうー…
 ここにはいろんなひといるからなの…」
【そう言ってうーんと言いながら首を傾げる】

「もんすたーがいても『でぃす』はおどろかないかなの…」

177テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 22:12:11 ID:et1rlL8Y0
>>176
「結局臭いのか……。
 この辺銭湯遠いんだよ……」

結局不潔なのは事実なのだろうか。

「こないだも液体のえぐいの見かけたしな……。
 まあ、何も人襲うのはモンスターだけじゃないみたいだけど」

人だって人を襲う。
シリアルキラーだとか、テロリストだとか。
そういえば武装した謎の集団に襲われたことがあったか。

178ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 22:15:33 ID:WVrfsEdY0
>>177
「うーん。ちがうかなの…
 くさいわけじゃないくてなの…むずかしいなの…」
【なんか悩んでいる。言葉足らずなのを気にしているようだ】

「そんなふうなのもいたなの?
 あうー。あぶなくないのだったらよかったんだけどなの…」
【人を襲うタイプということで少し残念そうだ。】

179テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 22:28:39 ID:et1rlL8Y0
>>178
「ところで……特訓ってどんなだ?」

少し興味があるらしい。
再び刀を見ながら聞いてきた。

「誰か相手が居るのか?
 それとも型の練習、とか、筋トレ?」

180ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 22:32:50 ID:WVrfsEdY0
>>179
「あうー。けんのつかいかたをちゃんとわすれないように…
 かなの。」
【少し微笑みながら返す】

「えっとねなの…『でぃす』にあわせたつかいかたをおしえてもらったから
 それをしっかりおぼえようとおもってるの。」
【腕に巻かれた包帯を見ながら答えた。】

181テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 22:41:11 ID:et1rlL8Y0
>>180
「……ふーん」

剣なんか持ったことはないが、腕にそのような物がある。
使い方なんか考えたことも無く、ただ振り回したことしかないが。

「頑張るんだなあ」

何かと戦う予定でもあるのかと思いつつ、言った。

182ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 22:45:25 ID:WVrfsEdY0
>>181
「いつでもたたかえるようにってかんじなんだけどなの。
 でもつかれたときはしっかりやすむからだいじょぶなの〜」
【軽く微笑みながら返す。どうやら欠かしてないようである。】

「えっと、これは…いいかなの?」
【そういえば先程から持ったままのメロンパンを見て困った顔をし始めた】

183テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 22:53:25 ID:et1rlL8Y0
>>182
「いや、いらないってば……。
 食うものはちゃんと食ってるから」

食事はちゃんと摂っているし、金が無いわけでもない。
ただ屋根のあるところに住んでいないだけだ。

「……俺は別に物乞いじゃないから!
 遠慮せずに食べろって」

何で他人の食事にそんなことを言わなければならないのか。
少し疑問に思うのだった。

184ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 23:06:28 ID:WVrfsEdY0
>>183
「あう、ありがとなの。
 なんかへんなこといっちゃったかなの…」
【少し申し訳なさそうにしながら、もぐもぐ食べ始めた】

「なんだかつかれてるみたいなの…
 だいじょぶかなの?」
【軽く首をかしげて返す。】

185テルメス/ニット帽の男:2011/11/16(水) 23:14:56 ID:et1rlL8Y0
>>184
「……疲れてる、のとはちょっと違うな」

先ほど感じたのは、疲れているのとは、また別のだるさ。
理由はそれなりにわかっている。

「ま、食事の邪魔するのもなんだし、俺は銭湯行くよ。
 それじゃ」

そう言って、なぜか突然逃げるように公園を後にする。

「……食うもの食ってる、ってのはちょっと間違えたかな。
 鱗怪人に一番必要なこと、して無いせいかな……」

歩きながら呟くのだった。

186ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/16(水) 23:18:51 ID:WVrfsEdY0
>>185
「あう?ちがうなの…?
 そっかなの。」
【軽くうなずいて答えた】

「あう、きにしなくてもいいんだけどなの…
 わかったの。じゃあねなの〜」
【微笑みながら手を振って見送った。】

「…うーん、あのひとだいじょぶかなの…」
【心配そうに首をかしげていた。】

187黒沢小百合:2011/11/18(金) 22:24:06 ID:SSMHlh/20
都市中心部から離れた、閑静な住宅街。
丘の斜面に階段のように建てられたそこからは中心部の夜景をよく見渡す事ができる。

「ふう、こんなものか……。
 いや……もう少し、色味が……。」

その住宅街の一角、最も夜景を見渡しやすい絶好の位置に設けられた
小さな公園のベンチに、色鉛筆でスケッチを行なう小百合の姿があった。

188テルメス/ニット帽の男:2011/11/20(日) 22:25:05 ID:et1rlL8Y0
>>187
「あんたがこんな人並みのことしてるの、初めて見た気がするよ」

少し離れた場所から声を掛けられる。
パイロットニットがトレードマークの怪人、テルメスだ。

「いっつも銃突きつけられたりなんだったりされてるからな。
 ……いや、嫌味とかじゃないけどさ」

テルメスは、その場所に立ったまま、黒沢を見ていた。
急に背後に立ったら撃たれたりされそうだと思われているのだろうか。

189黒沢小百合:2011/11/20(日) 22:46:25 ID:SSMHlh/20
>>188

「…………。」

色鉛筆――といっても小学生がつかうような物ではなく
ちゃんとした画材屋においてあるようなそれを置き、ゆっくりと振り向いた小百合の顔には、
プライベートを邪魔された不快感、テルメスへの嫌悪感がありありと見て取れた。

「木石ならいざしらず、私も一人の人間ですからね。
 まあ、あなたには関係の無いことですよ。」

彼女の目の前のスケッチブックには、都市中心部の夜景が書き込まれている。
画家並みの出来とまではいかないが、趣味の範疇なら上出来といえるレベルだ。

190テルメス/ニット帽の男:2011/11/20(日) 22:54:35 ID:et1rlL8Y0
>>189
「……まあ、確かに俺には関係ないだろうが」

テルメスは、絵自体に興味は無い。
ただ、黒沢が絵を描いていると言うことに興味があるらしかった。

「今日は一応諸々の用事があってだな……また別の機会にした方がいいか」

黒沢が振り向くと同時に、テルメスは歩いてきた。
その手には、厚めの細長い茶封筒。

191黒沢小百合:2011/11/20(日) 23:06:09 ID:SSMHlh/20
>>190

「……用事ですか、見せてみなさい。」

渋るかと思えば、意外にもすんなりと封筒を見せるように要求する。

恐らく、小百合は何かをしていないと落ち着かない人間なのだろう。
絵を描いたりするのはその代替行為であり、基本的には仕事を欲しているのだ。

192テルメス/ニット帽の男:2011/11/20(日) 23:18:29 ID:et1rlL8Y0
>>191
「用事は最近活動してるグループの素顔と、その目的」

封筒を渡す。
中身は六枚の男女の写真。
その中には、小百合が見たテルメスの姉や、白い帽子の少女、スーツの大柄の男の写真もあった。
見たことが無いであろう顔は、茶色いベストの男と、黒いロングコートの男の二人。
……と、20万の金額が入っている。

「あと、こないだの賠償」

193黒沢小百合:2011/11/20(日) 23:34:14 ID:SSMHlh/20
>>192

「ふむ……あの怪人どもですか。
 なにやらたくらんでいる風ではありましたが、ね……。」

こうした情報は重要だ。

とかく、怪人関連については情報が少なく
有効な対策が取れていないのが現状なのだから。

「ああ、忘れていましたよ。とりあえず貰っておきましょう。
 しかし、やましい事をして得た金ではないでしょうねえ?
 貴方にこんな短期で金を用意するあてがあったとは思いませんでしたよ。」

194テルメス/ニット帽の男:2011/11/20(日) 23:46:21 ID:et1rlL8Y0
>>193
「バイト増やしただけだ。その気になれば一年ぐらい飲まず食わずでも生きていけるからな」

別にそこまで切り詰めた訳ではない。
ただ、テルメスはこれと言った趣味を持たず、
その上屋根の無い場所に寝泊りしている為フリーターでも十分金は貯まるのだ。
人間態でも能力は使え、ある程度の筋力も発揮できる為、
簡単なものなら都市防衛依頼もこなせるのでそこまで難しい金額でもなかった。

「で、そいつらの目的ってのは、帝王をもう一人創り出し、鱗怪人の"種"自体をひっくり返す……ってことらしい。
 怪人は食った人間の持っていた魔力や邪気なんかを自分の力に出来るんだが、
 ……あいつらはどっかに吐き出して溜め込んでるんだとか」

195黒沢小百合:2011/11/21(月) 00:04:44 ID:SSMHlh/20
>>194

「……ふむ、つまりは反乱勢力と言うわけか。
 醜い、醜いな。やはり、奴らは野蛮なカスにしかすぎんという事か。」

何故奴らが、繁栄できなかったか分かる気がすると吐き捨て、
小百合は顔を歪め、テルメスにはばかることも無くほくそえむ。

いや、寧ろあえてテルメスの前で怪人を侮辱しているのか。

「ま、基本的には相容れぬ生物ですし。
 こちらからどう、と働きかけることもないでしょう。
 ナポレオン曰く、『敵が間違いを犯しているとき、敵の邪魔をするな。』
 この言葉につきます。」

196テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 00:17:11 ID:et1rlL8Y0
>>195
「……で、近日中にこの街か、その周辺で怪人とは関係無い災害が起こるらしいんだが、
 その力を利用するのかも知れないと」

怪人を侮辱されても、テルメスは無表情だった。
やせ我慢をしているように見えなくも無いが。

「俺が調べたのはそのぐらい……。
 ……そうだ、後、この黒いロングコートは四将の一人、戦将レストらしい」

写真の一枚を指差して言った。

197黒沢小百合:2011/11/21(月) 00:28:46 ID:SSMHlh/20
>>196

「災害、ですか……。何故、関係のない災害を予見しているのかは
 わかりませんが、こちらとしても予知能力者などを動員してみましょう。」

現在では対異能者などをはじめとする犯罪取締りが
主な業務となっているが、災害に対する対応も一応都市警備部門の業務に含まれている。
テルメスの言うとおり、災害が起こるのならそれの阻止、減災を行なわなければならない。

「……戦将、ねえ。脅威ではありますが……正直、興味をそそられませんね。
 大層な名前がついていますが結局、野蛮な劣等種どものお山の大将にしかすぎない。」

198テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 00:41:21 ID:et1rlL8Y0
>>197
「山のサイズがわからないうちにそういう発言もどうかと思うけどな。
 ……以上で報告はお仕舞いだ」

すでにどこか疲れた表情で後ろを向いた。

「今回は俺が興味があったから勝手に調べて、賠償のついでに報告したことだけど、
 何か調べておいた方がいいこととかは無いだろうな」

立ち去ろうとして、黒沢を振り向いた。

199黒沢小百合:2011/11/21(月) 00:51:29 ID:SSMHlh/20
>>198

「都市に大規模侵攻をするでもなく、こそこそと鼠のように駆け回り
 またあるときは小兵力で無思慮な暴動を起こす。大きな山というよりは、
 路傍の小石のような所業をする相手が、ですか?」

小百合は、怪人たちの組織を相当甘く見ているのか、
それとも、テルメスへのあてつけで怪人をこき下ろしているのか。

「さしあたっては、例の災害とやらの正体、ですかね。
 まあ、こちらとしても捜査は行ないますからあなたはその邪魔をしないように。
 ともかく、一市民として暮らすうちはこちらからは貴方の生活を脅かすことはありません。」

200テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 01:00:23 ID:et1rlL8Y0
>>199
「災害の正体か。
 調べがつくよりも災害が起きるほうが早そうだけどな」

別に根拠があるわけでなく、ただの直感だ。
言い捨ててテルメスはその場から立ち去った。

「ああやって石に躓かないようにずっと下向いてんだろうな。
 あの女は……とっとと」

呟いていると、少し立ちくらみがした。

「……適当な場所見つけて寝るか」

201黒沢小百合:2011/11/21(月) 01:16:13 ID:SSMHlh/20
>>200

「フン、下等な亜人め……。」

夜の市街地へ消えていくテルメスの背を見つめて小さく呟いた後、
小百合は再び、画材入れから色鉛筆を取り、スケッチブックへと向かう。

テルメスと話をしている間に、中心部に灯るネオンの数が増え
より一層、煌びやかに飾り立てられた都市。

この光景を見るたび、小百合は自分の仕事を誇りに思うのだ。

「訳の分からぬ蛮人どもにこの都市を壊させるものか……!
 この美しい眺めを、様々な文化の交わる素晴らしい都市を……!」


// おつよー

202エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/21(月) 20:56:55 ID:KVp8Wl9E0
繁華街。
様々な人や物が行きかい、溢れ、去って行く場所。
その中の一軒の飲食店内から、汚い怒声が響いてくる。
『あぁん?テメェがよく見ねえから俺の服に汚れが付いただろうが!!どうしてくれんだよこのスーツゥ!!!』
『じゃかあしいわ!んな所につっ立っとるお前が悪いんじゃろうが!!それにわいはちゃんと歩いっとったんに、お前がフラフラ倒れてきたんじゃろうが!』

店内では酒気を帯びた二人の男が口論を始め、互いに取っ組み合いになりかけていた。

「お客様方、他のお客様の迷惑になりますのでどうか外で……」
『うっせえぞクソガキが!』『ガキはだまっとれ!!』
ピシッ。
青年の額に青筋が浮き出す。

「これ以上続けるようでしたら、営業妨害で警察に通報を……」
笑顔を崩さず返答したのに、男達の勢いは止まらず。
『聞こえへんかったのか!ドァホが!!』
『まずお前からぶっ飛ばしてやろうか!!』
ブチッ。
何かが切れた。


「……へぇ」
ゆらりと肩を落とす

「そんな事……」
『むっ』『あ?』
ガシィッと二人の男の胸倉を掴み

「やれるもんなら……」
そのまま軽々と男二人を持ち上げて





「やってみろやこのド腐れ親父どもがああああああああああッッッッッッ!!!!!!!!!!」
オッサン二人を店の外へとシュゥゥウゥゥゥゥゥッ!!
入り口の窓を突き破り、アスファルトの上へ放り出された男達は「グフォェ」とか何とか呻き声を上げ、血を流しながら気を失った。



「……あ」
また、やってしまった。
やっと新しいバイトを見つけたのに。

203テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 21:38:49 ID:et1rlL8Y0
>>202
「どうしたどうした?」

物音を聞きつけ、店の奥から金髪の男が現れた。
まだ名前も知り合っていないような、エルドと同じ新入りのアルバイトの男だった。

「……うああ、これはやっちまったね。
 店長にどう言い訳するんだよ、せめて窓割らずに……。
 ええっと、名前なんだっけ」

店の外に出て、被害状況を一瞥。
ガラスを拾い始めた。

「救急車要るかなあ、これ」

204エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/21(月) 21:43:47 ID:KVp8Wl9E0
>>203
「……どうすっかなあ……」
大きな溜息を付いて肩を落とす。
テルメスの後を付いていき、仰向けで倒れている男達の顔を覗き込む。
「救急車頼みます……」
死にはしないだろうけど、完全に気を失って頭から血を流している。
少しやり過ぎたと今頃になって思い始め

「あーあ……初日からコレかよ……」
ペシペシと男達の顔を叩きながら、ぼやいた。

205テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 21:50:02 ID:et1rlL8Y0
>>204
「救急車……と箒が要るな」

ぶつぶつ呟きつつ、大き目のガラスを持って店内へ。

「あ、ちょっと119番しといてください。
 店先でちょっと……あと掃除用具何処ですか?
 ……あっちですねわかりましたーどうもー」

先輩の男と話し、箒を二本持って再び戻ってくる。

「腐る前にさっさと片付けろって。
 手伝うから」

箒を差し出しながら言った。

206エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/21(月) 21:54:54 ID:KVp8Wl9E0
>>205
「ども……」
箒を受け取り、立ち上がる。
掃除の手際は良く、散らかしたガラスも直ぐに片付けられた。
そのうちに救急車が男達を運んでいき、何事かと集まった野次馬も次第に散り散りになっていき

「……はぁ……」
男が再び溜息を付く頃には、割れたガラス窓以外は全て元通りになっていた。

「……店長怒ってますか?」

207テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 22:06:46 ID:et1rlL8Y0
>>206
「さあ、どうだろうなあ……」

箒を仕舞い、パイロットニットを被る。
どうやらもう上がるところだったらしい。
だからこそ勝手に持ち場を離れてエルドの手伝いが出来たのだろう。

「後、別に敬語でなくてもいいぞ。
 俺だって新入りだし、歳はまあ……外見はそんなに離れて無いように見えるし」

実際テルメスは二千と数百歳だが、精神年齢は二十代ぐらいである。

「大丈夫だって、バイトなんて星の数ほどあるんだし」

クビはないと言わない辺り、現実的である。

208エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/21(月) 22:21:32 ID:KVp8Wl9E0
>>207
「ですよねー……」
壁に寄り掛かり、がっくりと項垂れる。
帰り際に迷惑かけたな、と少し申し訳なさも感じつつ、この先どうしようかと考える。

「あ、なら……うん。ありがとうな」
顔は暗いままだが、一応ペコリと頭を下げて
「はは……まあ、な……」
引きつった笑顔を見せて、また項垂れる。

「……とりあえず俺もそろそろ時間だし、報告して上がるわ……」
そう言うと振り返り、「じゃあな」とちいさく手を振り、店の奥へと入っていった。

209テルメス/ニット帽の男:2011/11/21(月) 22:29:12 ID:et1rlL8Y0
>>208
「ん、それじゃね。
 そんなに落ち込むなよ」

軽く手を振って、店を出て行った。

「まったく、この街で無用に喧嘩吹っかけるなんて警戒心の無いおっさんらだな。
 酔ってたからかな」

割れた窓に目をやり呟く。
ふらふらした足取りで立ち去った。

210ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/22(火) 20:26:07 ID:WVrfsEdY0
【明け方近くの異能都市…の何処かの家の上に】
「…きょうははやくおきちゃったかなの…」
【目をゴシゴシしながら少し白み始めた空を見上げていた】

「きょうはいいきぶんなの〜。おちついてる…ほうかなの」
【軽くぼーっとしているようだ。以前の戦闘の後遺症が若干あるのだろうか。】

211エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/22(火) 20:55:48 ID:KVp8Wl9E0
>>210
「あー……つっかれた……」
店の片付け、事情聴取、店主への言い訳。
先日の騒動の後片付けを済ませていたら、こんな時間の帰宅となり

「……はぁ……」
何とか首は繋がったが、1ヶ月減給と言い渡され懐が予想より寂しい。
冷たい溜息を漏らしながら、ディスが居る家の前を通り抱える。

212ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/22(火) 21:13:26 ID:WVrfsEdY0
>>211
「……あう?
 そこにいるのはだれかなの…」
【ふと下の方を見て、エルドの顔を見かけて】

「こんなあさになにしてるなの〜?」
【軽く手を振って声を掛けに行った】
//ご飯でちょっと遅くなりました。

213エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/22(火) 21:26:31 ID:KVp8Wl9E0
>>212
「あ……?」
こんな朝に子供の声。夜更かし小僧か健康少年か?
声がした方を見上げると、眼に写るのは屋根の上に居る少女。

「……いや、お前こそ何してんだよ」
こんな時間に何故屋根の上?
疑問が浮かび、問い返してみる。

214ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/22(火) 21:30:59 ID:WVrfsEdY0
>>213
「ちょっときれいなくーきをすいたいなとおもってなの…
 ちょっとまえまでたおれてたからなの…」
【若干ぼーっとした表情で返す。】

「あさにいけてすごくいいきぶーんなの〜。」
【そう言って軽く伸びを行った。】

215エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/22(火) 21:52:13 ID:KVp8Wl9E0
>>214
「倒れて……って、寝てた方がいいんじゃねえか……?」
危なげな言葉を発する少女を少し気にかけ、伸びを見守る。
ふと、少女を何処かで見たような気がして、じぃっと顔を見つめる。

「……」
最近の記憶では無い、遥か昔の記憶。
もしかすると、ディスはこの男から何か覚えのある臭いを感じるかもしれない。

216ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/22(火) 21:58:26 ID:WVrfsEdY0
>>215
「ん、いつかおきないといけないからへーきへーきなの〜」
【そう言って気にしないというように手を振るが…】

「…?なんか…」
【くんくんと鼻を鳴らすディス】

「どこかで…あったことあるかなの?」
【エルドの前に降りて近くで匂いを嗅ぎ始めた。】

217エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/22(火) 22:08:52 ID:KVp8Wl9E0
>>216
「……いや……」
自分と似たような反応。
恐らく、二人は同じ場所に居た事がある。
頭の隅に追いやった記憶。端っこの方に、消え去る事無くこびり付いている記憶。

「……気のせいだ。うん」
そう言うとディスの鼻の頭を指でツンと突き、匂いを嗅ぐのを止めさせる。
「てか、女の子が知らん男の匂いなんざ嗅ぐもんじゃねえぜ」
そう言って、そのまま軽くデコピン。

218ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/22(火) 22:14:37 ID:WVrfsEdY0
>>217
「むっ。そうかなの…」
【つつかれた鼻を軽くさすって首をかしげた】

「あう〜、ごめんなさいなの…
 でもなんだかしってるようなきがするんだけどなの…」
【不思議そうにじーっとエルドを見る】

219エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/22(火) 22:28:40 ID:KVp8Wl9E0
>>218
「……」
一つ思い当たる場所がある。
思い出と言えば思い出の場所。
思い出す事が出来る中で一番古い記憶。

「……研究所」
ぼそりと呟き、直ぐにハッとする。
思わず口にしてしまったようで、直ぐに「いや、やっぱ何でもねえ」と慌てて付け足す。

「気のせいだ気のせい!お前のも俺のもな!」
自分に言い聞かせるように言って、男は時計に目をやる。
「って、げ、もうこんな時間じゃねえか……!」
何か予定があるらしく、慌ててその場から走り出し
「じゃあな!お前もさっさと帰れよ!!」と言い残し、去っていった

220ディス ◆My6NsjkSfM:2011/11/22(火) 22:34:48 ID:WVrfsEdY0
>>219
「けんきゅ…それって?」
【ふと顔を上げて首を傾げるが…】

「あう?そっかなの…
 あう!またねなの〜!」
【慌てて去り始めたエルドを見送った】

「…けんきゅー…なんか…におい…」
【顔をうつむかせ、ディスは覚えのある匂いに思いを馳せはじめた。】

221黒沢小百合:2011/11/23(水) 21:53:50 ID:SSMHlh/20
【AGカフェ】

「ふう、ようやく一息つけますね……。」

カウンター席のいつもの場所に腰掛ける小百合の目の前には、
インゲン豆とソーセージ、大きめに切られたニンジンとジャガイモが
ごろごろ入れられたシチューと、ライ麦パン。そしてホットミルクが置かれ、
暖かに湯気を立ち昇らせている。

いずれも、小百合がAGカフェの厨房から拝借した材料で作った品。
今日のような格別寒い日には、こういった温かい料理が無性に恋しくなる。

222神宮寺 真由子:2011/11/26(土) 23:05:22 ID:xm/dFKGs0
>>221
「今日も補講疲れたぁ…マックスはオーバーホールだし、
しかもこれからお仕事なんてぇ…うう、自宅が遠いよう」

そう言いながら赤銅色のライダーススーツ(開)の下にワンピースを着た少女が、
疲れた感じの顔で肩からバッグを下げつつ歩いている。
顔立ちは16歳ほどに見え、本人が漂わせる何にも考えてなさそうな雰囲気が余計に幼く見せている。
しかし、本人の小柄な身長(152Cm)に似合わない大きな胸(サイズF)と引き締まった肉体がなんだかアンバランスだった。

「ふぅー…」

彼女は小百合から1つ離れた席に座ると、お茶を注文して一息つく。

223黒沢小百合:2011/11/26(土) 23:13:14 ID:SSMHlh/20
>>222

「む……。」

(見ない顔、ですね……。)

小百合は開店休業状態のこの店に顔を出す奇特な常連客の顔は
おおよそ、覚えているつもりだったがこの少女はその記憶のうちに無い。
つまりは、偶然にもこの店に立ち寄ったのだろう。

生憎、このAGカフェは店主がほったらかし、店員も気が向いた時にだけいるという
客をもてなす気があるのか無いのか分からない店であり初めて入ったものは
ほぼ確実に面食らう。

(……サービス、といきますか……。)

軽くため息をついてから席を立ち、厨房へと消える小百合。
すこし後、彼女が再び姿を現したときにはその手にはティーカップの乗せられた盆があった。

224神宮寺 真由子:2011/11/26(土) 23:25:12 ID:xm/dFKGs0
>>223
「あ、ありがとうございますー」

厨房から出てきた小百合を見て礼を言う。
彼女が座っているカウンター席を見ると、資料らしき物がおかれている。
内容は『時間が与える物理現象の変化』や、『空間干渉現象における青銅と時間の関係』といったものが殆どだが、
飼料同士のわずかな隙間から『ジェネオンの使用における注意』と書かれた資料が見える。

「あれ、今日は前見た人とは違うんですね?」

ふと小百合を見て彼女は呟く。彼女は来た事は無いがときたま店内を覗く事はある。
もっとも、通学コースに入っているため視界に入る事が多いのだ。
彼女は頭の上に?を浮かべて小百合を見ている。

225黒沢小百合:2011/11/26(土) 23:36:22 ID:SSMHlh/20
>>224

小百合の服装はどうみてもキャリアウーマンのそれ。
逆立ちしても店員には見えず、真由子の疑問に拍車をかけるだろう。

「この店は店主が店を空けがちなので、
 皆勝手に入っては飲み食いしておかねだけを置いていくのですよ。
 恐らく、貴方が見た人も店員ではないと思います。」

小百合は注文されたお茶だけを出すと、さっさと自分の席――。
ちょうど、真由子の近く、ほどよい温度まで冷めた料理が置かれている席に座って。

「慣れていないようでしたから、私がやりましたから。
 次からは自分でするように。」

極めて事務的に述べると、その料理に口をつけた。
お茶を出す際に本らしきものは見えたが、小百合はそのタイトルを見て
自分には理解の及ばない、魔術云々のものであると片付けてしまった……。

そもそも、ジェネオンという存在をほとんど知らない小百合には無理の無い話ではあるが……。

226神宮寺 真由子:2011/11/26(土) 23:48:28 ID:xm/dFKGs0
>>225
「成程。それで色んな人がそこに立ってるんですね。
ありがとうございますー、親切な人に出会えて感謝ですね」

そう言って彼女は茶を飲み始める。
極めて礼儀正しく、まるでその筋の教育受けているかのように様になっていた。
しかし、彼女はふと小百合の方を見ると、手元にある何かを見た後に。

「……あのう、ちょっといいでしょうか…?」

少し困惑気味だが表情にそれを写さず落ち着いて彼女は小百合に話しかける。
自分が固くなったら相手まで構えてしまう、と言い聞かせて。

227黒沢小百合:2011/11/26(土) 23:57:38 ID:SSMHlh/20
>>226

「はい、なんでしょうか……?」

少女に呼びかけられ、人当たりの良い穏やかな表情を
浮かべて見せた小百合であったがあくまでもこれはポーズ。

(……この感じ、どうせ道を聞くだとか、勉強を教えるだとか
 なにかくだらない事を押し付けられるに違いない。まったく、プライベートでは
 こういう事はやりたくないんですが……。)

都市を守るという仕事に就いている事をなにかと誇る小百合ではあるが、
彼女の中での都市を守る、とは外敵や危険分子を叩き潰すという非常に粗暴な物。

一市民からの頼みを解決するというのは自分の仕事ではないという意識があるのだ。

228神宮寺 真由子:2011/11/27(日) 00:08:24 ID:xm/dFKGs0
>>227
「うちの学園…じゃなかった千夜学園の創設グループの秘書さん、ですよね?」

そう言って小百合に聞く彼女は困惑していたがはっきりと聞いている。
確信は無いが、何と無くそうであるだろうと思っているのだ。
ただ、要求を相手が呑むかが不安なだけ。相手が良くない感情を抱いているのは気功で分かった。
相手が本質が今見せている顔ではないのも、落ち着いてみれば分かるだろう。

「頼み、というか忠告があるんですけれど…いいでしょうか」

相手の眼を真っ直ぐ見て言葉を告げる。
恐らく相手はかなりいやな顔をするに違いないだろう…、
彼女が前にしている人がそう言う人だと彼女は分かっていた。
だが言っておかねば取り返しがつかなくなるかもしれない――聞き入れるか否かは別として。

229黒沢小百合:2011/11/27(日) 00:20:30 ID:SSMHlh/20
>>228

「ええ、そうですけれど……。」

てっきり、なにかくだらない話を持ちかけられるのではないか、
と思い込んでいた小百合は、意外そうに眉を動かす。

「忠告、ですか……いいでしょう。
 で、お嬢さん?私に何を忠告しようというのですか?」

忠告、という言い方は少し癪に触ったが
相手はまだ子供だ、という思い込みが小百合の態度を幾分か軟化させた。

とはいえ、巷ではその手段を選ばない治安維持手法、本人の過剰な攻撃性から
『偏執狂の独裁者』だとか『女処刑執行官』だとか呼ばれる事もある小百合である。
不用意な言葉一つで態度をがらりと変える事もありえるだろう。

230神宮寺 真由子:2011/11/27(日) 00:29:41 ID:xm/dFKGs0
>>229
彼女自身もそれを承知して、敢えて忠告と言う言葉を使った。
とはいうものの、映二ほど交渉や腹の探り合いに慣れていない彼女が上手くやれるかどうか。

「数日前に中央公園で起こった事件は知っていますよね?」

数日前、黒装束の男が人間を大量に攫い大量の兵隊と、
巨大で鋼のような体を持った男を召還した事件。
被害者は三桁にも及び、依然として足取りはつかめていない事件だ。
しかし、彼女は知っている。

「その事件に、関連した事です…」

まだ少し困惑してはいるものの、落ち着いた様子で小百合を見ながらいった。
彼女はあの場に小百合がいたことをラルフから聞いていた。
しかし、確証は無いのでまずは知っているかを聞く必要があると考えたのだ。

231黒沢小百合:2011/11/27(日) 00:45:35 ID:SSMHlh/20
>>230


「戦闘に参加したか、と問われればはい、と答えましょう。
 しかし、何故そのようなことを聞くのですか?あなたは千夜学園の生徒なのでしょう。
 学生の本分は勉学にありますから、子供が余計な心配を回さずとも良い。」

当の小百合は、真由子の忠告を大人しく聞いてやる気などはさらさらなかった。
適当なところで口を挟み、異を唱え、ペースを乱す。

その表情は、嗜虐的で挑発的な笑みにいつのまにか摩り替わっていて。

「ああ……何らかの情報を持っているなら、それを話していただけませんか?
 私が千夜の総帥付き秘書を務めていることを知っているなら、
 恐らく『都市警備部門』の事も知っているのでしょう?我々は常に情報提供者を求めています。
 もし、有力な情報を提供していただけるなら――。」

一度話し始めると、その口からはすらすらと言葉が流れ出す。
真由子から主導権を奪いに掛かってきた。

232神宮寺 真由子:2011/11/27(日) 01:08:56 ID:xm/dFKGs0
>>231
「残念ながら…心配をしなければならない立場、なのです。
私は力が、ありますから。責任を負わなければならないのです」

そう言いいながら、私は相手が主導権をとりにきたのか?と、
気功と少しばかりの経験で察する。彼女が黙って聞くとは思っていないけれど。
恐らく相手は忠告じゃなくて…えぇと、情報が欲しいんだっけ…?

「残念ながら私の口からは忠告しか発言を許されてはいません。
私は末端であり、実働する人員故提供できる事は限られていますので」

相手のすらすらとした言葉をなるべく聞き流して必要分だけ聞く。
多分、相手もそうしていると思いながら。

233黒沢小百合:2011/11/27(日) 01:20:43 ID:SSMHlh/20
>>232

「力があるものは他にもいるでしょう。
 そしてあるからといって必ず振るわなければならないものでもない。
 我々に任せていただければ、わざわざ貴方が死地に飛び込み、
 責任を負う必要などどこにもないのです。」

ふふ、と笑みを零した小百合は
いつのまにやら運ばれてきていたコーヒーに口をつける。

「私としても一応、千夜グループの重役ですから立場と言うものがある。
 忠告以外話せないというのでは文字通り、話にならないので貴方の上役と直接話がしたいのですが……?」

234神宮寺 真由子:2011/11/27(日) 01:31:51 ID:xm/dFKGs0
>>233
「事態はそれを許さないでしょう。恐らく直に貴方でも手に終えなくなってしまうでしょうから。
そうでなくても、貴方が持つ装備では怪物達を殺すことが出来ません。
信じられないのならば構いませんが、私は事実のみを伝えます」

そう言って、相手がこちらを笑っていることを承知しながら、
ただ事実のみを告げる……巧くいっていないような気がするけれど。
不思議と気持ちは落ち着いている。今までの経験だろうか。

「お断りします。私達の方にそれを許可するメリットは存在しません。
直接話がしたいというのでしたらまずは探す努力をする事をお勧めします。
探せば、簡単に見つかるでしょうから。少なくとも私の上司くらいは」

相手の要求を真っ向から拒否する。こちら側の手札を明かすメリットは無いし、
どこで彼奴が盗み聞きしているかわかったものではない以上、隠せるならば隠すべきだ。
それにここで頼みを聞き入れたところで映二兄さんは真っ向から拒否しただろう。
私が拒否してもしなくても結果は変わらないのだ。

235黒沢小百合:2011/11/27(日) 01:52:58 ID:SSMHlh/20
>>234

これは困った、という風に息を吐きだし。

「……我々の装備では倒せない、ですか。
 なるほど、それは大変だ。すぐに助けを呼ばないと。
 千夜学園に通う、一介の小娘をね。」

からかうようにくつくつとくぐもった笑みを漏らす小百合であったが
話は終わりだ、とでも言う風にもう一度息を吐き出して、椅子から腰をあげる。

「あのですねぇ……我々もそんな与太話に付き合っていられるほど、暇ではない。
 情報を出せ、といえば出せない、上役は自分で探せ。そして現状の装備では太刀打ちできない敵。
 ……妄想も結構ですが、もう少しあいてに信じ込ませる努力をしなくては、ね。」

真由子の話は一笑に付されてしまった。

たしかに以前、公園での戦闘はあったがニュースや新聞を読めば誰でも
分かることであるし、特に名が売れている小百合が戦闘に参加したことなども
少し調べれば分かることだ。

つまり、真由子自身が事件に関係している、と証明するには
証拠がなさすぎたし、弁論で猜疑心の強い小百合を説得しようとしたのもまずかったのだ。

236神宮寺 真由子:2011/11/27(日) 02:07:48 ID:xm/dFKGs0
>>235
落ち着け、これは予想内だ。所詮此方は素人同然。
だがしかし、力押しでの解決は良くない。やはり私では不可能か、分かりきっていた事だけれど。
映二兄さんに怒られるだろうけれど、これくらいは妥協してもいいだろう。

「はー、勝てませんね。私の負けです。
やっぱ無理ですね、経験が違います」

そう言って両手を上げてお手上げのポーズ。
もう少し粘っても良かったけれど、結果は変わらなかっただろう。
次に席を立つと、小百合の方を見て少しだけ笑いながら。

「これから上司さんに会いに行くんですけれど、
良かったら、どうでしょう?」

相手が乗るはずも無いだろうと思ってそんな事を口にする。
此方の事を一笑に伏せたのだしたかが小娘の戯言と彼女は片付けているんだろうと思う。
そう言う人物であると、少なくとも手札にある相手の情報はそう判断した。

237黒沢小百合:2011/11/27(日) 02:19:23 ID:SSMHlh/20
>>236

既に、自分の中でこの話は他愛もない戯言と結論が出た以上
無意味な話に付き合うつもりは無かったし、それが単なる女学生の妄想となればなおさら。

(さて、何か飲み足りないような気もしますが
 明日も勤務ですし、さっさと替えって体を休めるとしましょうか……。)

小百合は、真由子の言葉を意図的に無視し、
そのまま店を後にした。

238神宮寺 真由子:2011/11/27(日) 02:26:08 ID:xm/dFKGs0
>>237
小百合が出た店内の中で背伸びをしながら、彼女は電話使って連絡する。
その表情はすっきりしたような顔をしている。
どうやら弁論の敗北は中々に効いた様だ。

「もしもし、ルディアさん?はい、あっさり負けちゃいましたー。
やっぱり私じゃ無理ですねー、映二兄さんが言ったとおりでしたよ。
これなら私は行かないほうが良かったんじゃ…あ、そうですか。
最初から何も望んでなかったんですか……はい、すぐに戻ります」

そう言って報告を済ませると、バッグに資料をまとめて。
お金を置いて店から出て家路につくことにした。

239黒沢小百合:2011/11/29(火) 21:54:28 ID:SSMHlh/20
異能都市の港湾部で小規模な戦闘があった。

とはいえ既にその勝敗は決し、男女問わず10ほどの遺体が、
とくに損傷の酷い大型コンテナの一つを中心に無造作に転がっている。

「……資料、物品は全て燃やしてしまいなさい。
 もう、必要ないでしょうから。既に『証拠』は手に入れていますしね。」

己の具現化した兵士に口頭で指示し、コンテナ内に無造作に置かれた
ノートパソコンやダンボール箱、武器などを押収、この場で焼却できるものを
無造作に灯油缶へと突っ込んでいく。

240茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/29(火) 23:51:35 ID:xm/dFKGs0
>>239
その様子を目撃した一人の青年がいた。
茶色のポンチョにデニムをはいて大きなテンガロンハットがトレードマークになっているが、
その帽子のおかげで表情が見えない。
だが、帽子の下の表情を少し曇らせて声を発する。

「なんだこれ……ってかここは何処だよ」

青年の周囲には感じられるものには感じられるであろう死臭を漂わせていた。
青年は普段それをある方法で隠しているが、それを忘れるくらいに驚いている。
間違いなく失敗。どこぞの犯罪者と勘違いされてもしょうがないであろう。
実際はただの解剖医兼死霊・屍使い、なのだが。

241黒沢小百合:2011/11/30(水) 00:14:17 ID:SSMHlh/20
>>240

『……おい、そこで何をしているのか?
 そこのコンテナに両手を付け!!』

程なくして、男は残党を探し周囲を巡回していた兵士の一隊に見つかった。
それは同時に、具現化した兵士と視覚・感覚の共有を行える小百合に見つかった、という事。

『哨戒チームDより、HQ。不審人物を発見。』

『コンテナにゆっくりと両手をつけ。
 こちらの指示に従わない場合、発砲する。』

最新鋭の装備に身を固めた兵士が3人。
銃を構え、いつでも攻撃できる態勢をとり男に抵抗しないよう呼びかけながら近づく。

242茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/30(水) 00:23:09 ID:xm/dFKGs0
>>241
「ちっ…やっべぇ…」

メフィと離れたのは失敗だったか、と思いながら俺は静かにコンテナに両手を付く。
そして、やっぱりアイツがいた方がやばかったか…全裸に近いし、と考え直した。
この分だと面倒なことになるかもしれない、隙を見て逃げる算段を立てなければ。

「ほら、両手をついたぜ!
だから撃たないでくれよ!」

ゆっくりと頭の中で逃げる算段を立てていく。
見た所人数は4,5人くらいか?でも連絡してたって事はいっぱいいるよなぁ…。
どうやって逃げたもんか…。

243黒沢小百合:2011/11/30(水) 00:30:51 ID:SSMHlh/20
>>242

兵士たちは男を取り囲み、武器、麻薬、その他書類などを
所持していないか、ポンチョのポケットからテンガロンハットの中まで
考えうる場所を全て念入りにそれらを捜索する。

少しでも怪しい者があれば拘束されてしまうだろう。

244茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/30(水) 00:39:43 ID:xm/dFKGs0
>>243
武器らしきものは鎖だけで、麻薬ではないが『ホルマリン』やら『オキシドール』とかかれたフラスコを持っていた。
書類の類は持っておらず、ポンチョのポケットにはビスケットが数個はいっている。
怪しい感じに見えるものがあるとすれば、ズボンのポケットから出てきた鍵の様な形の紋章だろうか。

245黒沢小百合:2011/11/30(水) 00:56:24 ID:SSMHlh/20
>>244

立ち入りできぬよう、封鎖された区域にいた不審極まる男。
もし、何らかの用事でこの区画に元々居たのだとしても、
銃撃戦の音を聞いて逃げなかったのは疑問が残る。

そも、既に深夜に差し掛かかった人気のない倉庫街で何をしていたのか。

疑念は尽きないが、現状男の所有物だけでは拘束までは至らない。

『この区画は現在危険であり、立ち入りが禁止されている。
 あなたは一隊この時間まで、ここで何をしていたのか?』

現状、男は白だが返答によっては一気に事態が悪化することもありえる。

246茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/30(水) 01:10:36 ID:xm/dFKGs0
>>245
「あー…ちょっと友人とはぐれちまったんで、探してたんですよ…。
ここにいるのは偶然ですよ、ホントにね」

嘘はついていない、ここに来たのは合流地点が近かったのもあった。
本当は死体の匂いがしたから浄化しに来ただけだったりするが。
メフィは多分とっくの昔にはるか遠くからこの状況を笑ってるんだろう。
ああ、ムカついてきた。何で俺ばっかこんな目にあうんだ……。

247黒沢小百合:2011/11/30(水) 01:27:06 ID:SSMHlh/20
>>246

「先ほども言ったようにここは危険です。
 両手を頭の後ろに組み、できるだけ広い道を歩いて一般区画まで戻りなさい。
 一応、我々が護衛および監視役として付き添いますが、よろしいですね。」

未だに不審の目を向ける兵士たちであったが、
『証拠』が見つからない以上、逮捕することはできない。

『哨戒チームD、不審者は迷い込んだ一般人と判断。
 安全な区画の近くまで護送後、任務に戻る。』

兵士が銃を降ろし、ついてくるようにと男を先導し始めた。

// あ、あれ……戦闘になる感じがしない^q^

248茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/30(水) 01:31:50 ID:xm/dFKGs0
>>247
冗談じゃない、こんな死臭放ってられるか。
どうせこいつらのことだから燃やして如何こうする気なんだろう。
ああくそ、思い出すと腹立つぞ。屍使いとしてこんな死体のぞんざいな扱いは抗議するべきだろ…。

「あー、一ついいですかね?
死体とか、遺留品とかどうする気なんでしょうかね…?」

ハラぁ決まった。あいつ等の返答次第では親玉引っ張り出してぶっ潰す。
死体のぞんざいな扱いは断固反対だ、仮にも人間だぞ。
バカにしてんのかってんだ。

//冒頭の事を思い出して腹が立った、と言った感じで持っていったけれどどうか・・・

249黒沢小百合:2011/11/30(水) 01:56:41 ID:SSMHlh/20
>>248

『我々の職務内容については一切、お答えできません。』

兵士は男の質問にそう答えたのみで、無言で歩き続けるよう促した。

この周辺は戦闘区域からは外れていたらしく、死体は無いようだが屍使いである男ならば
先ほど兵士と遭遇した地点から100mほど進んだ地点に、硝煙と血、なにより死臭が
立ちこめるエリアがある事が分かるだろう。

業務、といっているあたりこの兵士は何らかの会社に所属しているらしい。
傭兵派遣会社か、なにかだろうが死体の処理も行なっているのだろうか。
殺すだけ殺して、後は行政に通報、そのまま丸投げという事も考えられる。

250茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/30(水) 02:03:13 ID:xm/dFKGs0
>>249
「はー、そうかい。
じゃ、悪いけどな」

力場の魔眼を展開、自分から周囲半径1mを『停止』の力場で覆う。
半透明のオレンジ色のバリアのような物を展開しているように相手には見えるだろうか。
どうやら、傭兵の答えが死体はぞんざいに扱ってます、と言う風に解釈したらしく。
かなり怒っていた。

「死体に対する扱いぐらいちゃんとしたらどうだよ。
どうせ聞こえてんだろ?魔眼使ってる今なら解るってんだ」

そう言って、オレンジに変色した瞳で兵士の一人を見る。
周りにいた兵士が勘のいい奴等だったのなら魔眼展開の時の雰囲気の違いに気づいて無事だろうが、
そうでなかったのならば、周囲半径1mにいた兵士は何かに縫い付けられたかのように動けなくなってるだろう。

251黒沢小百合:2011/11/30(水) 02:21:12 ID:SSMHlh/20
>>250

唯一、最後尾を歩いていた兵士が停止の力場から逃れ、
宙を舞う埃も、羽虫も、同僚の兵士もが縫いとめられたかのように動きを止めた
異様な光景を前にし、誰かに知らせるというよりも自分に言い聞かせるように『異能者だ!』と叫ぶ。

――ズダッ

同時に、引き絞られる引き金。
男に向けられたM4カービンの銃口から5.56mmNATO弾が唸りをあげて飛び出した。

至近距離からの攻撃。まともに喰らえば確実に命は無いし
訓練された兵士が多少の動揺があるとはいえ、外すとも思えない。


// ごめんよ、そろそろねる……。
// また後日続きでいいかな・・・。

252茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/11/30(水) 02:26:22 ID:xm/dFKGs0
>>251
「バーカ。動きが止まってるんだからよ―――」

彼は右手を握りこみ、左手で銃弾を引き寄せるように手を動かすと。
銃弾が空中で見えない糸にからめとられたように『停止した』。
彼は帽子の下の顔を少し怒りに染めると。

「―――んなもん、正面から見えてりゃきかねぇっつんだよ。
逆を言えば見えてなけりゃあ効くんだがな」

//申し訳ありません…私が始めるのが遅くて…。
//後日、またお願いしますね。よろしくお願いします。

253黒沢小百合:2011/12/01(木) 00:24:35 ID:SSMHlh/20
>>252

空中に静止した無数の弾丸が銃弾が男の姿を覆い、
虚ろな街灯の光を反射して鈍く輝く。

このまま弾丸が尽きるのを待つか、
相手が諦めるかして攻撃が止まりさえすれば次は男の手番。

――そう、『攻撃が止まりさえすれば』。

銃撃はいつまで立っても止まるどころか、明らかに激しさを増している。
そう、敵は一人ではなく空中に停止した銃弾のカーテンの隙間から見えるだけでも
既に十数人が展開。

四方から男に銃撃を加え始めていた。

「……まだ鼠が潜んでいたとは。
 小賢しい異能持ちのようだが、包囲しそのまま銃殺せよ。
 そのうち、力尽きるか我慢できず防御を解く。」

小百合は、兵士と共有した視界を元にピンポイントで増援部隊を『具現化』してきたのだ。

254茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/01(木) 00:44:51 ID:xm/dFKGs0
「我慢比べってかい。だがそいつぁ無理な話だぜ。
銃弾の形状は読んだ―――だったら動かなけりゃ目を瞑っても止められる。」

無数の銃弾の雨に対して、停止の力場は力を弱めない。
俺個人ならこんな真似は出来ないが、さてはメフィの奴…楽しんでやがるな!?
まぁ、今は感謝するが後でホルマリン一気飲みの刑だ畜生。
俺は魔眼を使いながら、手を使って空に紋章と人を描く。

「我死霊を操る者、我屍を兵とする者。
死霊へ命ずる、我が力に従い魂を持って兵と成れ!」

冥府から死人の魂を呼び出していく。
淡い炎のような魂は力場にとらわれる事無く、銃弾をすり抜ける。
数としては15個、個々の火力はこのままではそこそこだ。ぶつかる事で対象を燃焼させる死霊使役の初級技術。
もっとも、一回にどれだけ多く呼べるかが力の証ともいえる。俺は中くらいか。
俺はそのうち8個を前方に向かわせる――!俺の眼からは見えないが、意思を持つ死霊は対象を自動で見つけ燃やしていくだろう。
我慢比べとは言え、兵力では今は相手のほうが上であり、しかも王手をかけられている。
まずは頑丈な兵士を造るために相手の数を減らす。多分減らしても増える予感はしているが。
さっき居た人数と明らかに銃弾の数がつりあっていない。と言う事はそう言う術と言う事だろう。

255黒沢小百合:2011/12/01(木) 01:04:57 ID:SSMHlh/20
>>254

死霊は次々と具現化された兵士に火をつけていくが、
当の兵士たちは死霊を無視するかのように、男にのみ攻撃を集中させる。

小百合自身、俗に言う召喚師や精霊使いのような戦い方をする。

それ故に本体を叩く事がこういったタイプのもっとも嫌がる事であり、
勝負をつけるもっとも手早い方法だという事は分かりきっているのだ。

「まだ敵を殺せないのか。
 異能持ちとはいえ何を手間取っているのか。」

依然として嵐のような銃撃による足止めを行ないつつ、一部の兵士は、攻撃方法を変更。
破片を撒き散らすタイプの手榴弾を投擲し攻撃を試みる。

256茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/01(木) 01:16:33 ID:xm/dFKGs0
>>255
「さて…逃げる算段を立てつつ、反撃といきますか。
屍操作…探査鳥っと」

フラググレネードの爆風が銃弾でキンキン弾かれているが、流石に爆風をしのぐのは長時間はきついか。
俺は2つ魂を使って2羽のコンクリートの鳥を作り、上空へと飛ばす。
一方で5つ魂を地面へと投射し。

「屍形成…獣人!」

地面から厚く細部まで魔力を使い骨格を形成されたコンクリート製の獣人を作り出し、
それを前へ2匹、後ろへ一匹、左右に1匹ずつ放っていく。
そして飛んでいた8つの魂を手元へ戻す。
コンクリート製の2足歩行の獣人は俊敏な動きで相手へと向かって行く。
まるで生きているかのように滑らかに動き、そして堅いその体をもって相手へと攻撃するだろう。
少しでも銃弾の数が減れば――大軍召還は容易だ。
そろそろ停止を保つのも限界が近い――。

257黒沢小百合:2011/12/01(木) 01:49:19 ID:SSMHlh/20
>>256

死霊から獣人へ、攻撃の切り替えを図る男であったが
同時に、小百合も『変則的手段』に攻撃法を切り替える。

――音響兵器『LARD』。

物理的攻撃手段しか持ち合わせていない小百合が物理的な攻撃に強い相手に対して
好んで使う暴徒鎮圧用非殺傷兵器。

指向性を持つ強烈な音波を照射する事により、対象の聴覚を刺激。
平衡感覚を狂わせたり、攻撃意欲を減退させる効果がある。

通常はほんの十秒程群衆に向けて使用するものだが
至近距離から断続的にそれを浴びせるのである。

浴び続ければ、平衡感覚などへの効果依然に聴覚に重大なダメージを与えるはずだ。


// うごご、ごめんよ……今日もそろそろ寝ないと・・・。

258茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/01(木) 02:00:53 ID:xm/dFKGs0
>>257
「間に合うか―――?
屍召喚・大軍骸骨!!」

8つの魂を地面に投射し、同時に鍵のような物を地面に突き刺す。
すると、地面から一体、また一体と屍がコンクリートを突き破って出てくる。
その肉体は暗い青色の骨で出来ており、手には剣を持ったものや素手のものもいた。
いつの間にか青年の周辺を群青色の骨が埋め尽くし…それはゆっくりと兵士達へ向かって行く。
一方青年は音響兵器で三半規管がガクガクに揺れ、ふら付いている。

「っづ…ああクソ。
三半規管を引きちぎりたい衝動に駆られるね――!」

魔眼の効果は屍の召喚と同時に消失したが。
今度は、痛みを感じない大量の骨が銃弾を弾いていく。
その数は30を超えなおも増加しようとしていた。
骸骨の軍勢は銃弾をその身で弾いて主を守るものと、ゆっくりと兵士達へ向かうもの分かれている。
多少の銃撃ではびくともしない骨の軍勢と5体しかいないが俊敏な獣人。
青年自体は三半規管をやられ苦しんでいるものの、軍勢はまるで自動で動くように止まらない。

//わかりましたですー。お休みなさいでさ

259黒沢小百合:2011/12/02(金) 01:10:33 ID:SSMHlh/20
>>258

骸骨の軍勢の出現を見た小百合は、
一瞬、呆けたようにその光景を見つめたがすぐに醜悪に顔を歪ませる。

「どいつもこいつも……この私に『数』の上で対抗するというのか……。
 この私を相手に……『数』で対抗して勝つつもりで……。」

激しい怒り。

小百合は己の能力に対して絶対の自信を持っている。

今まで幾度かの敗戦を経験した物の、それは非力で脆弱な自分を狙われたからであり
正面から軍勢同士で戦えば、敗北などありえない。

それが彼女の病的なまでのプライドの根源であり、
男の骸骨の軍勢は即ち、そのプライドに真正面から勝負を叩きつけたに等しい。

「いいだろう、貴様に見せてやろう。
 『世界最強の軍隊』と言うものを。貴様の貧相な軍勢がどれほど脆弱で、
 失笑に禁じえないよせあつめである事を思い知らせてやる。」

兵士の攻撃は未だ、銃撃と手榴弾。
しかし、いくら骸骨が頑丈とはいえ、かなりの近距離から無数の弾丸が
叩き込まれているのだ。

既に兵士による包囲陣は完成しているし、たとえ獣人にやられようとも
それを上回るペースで具現化される兵士が、後から後から隙間をカバーしむしろ増強していく。
まさに圧倒的多数による数の暴力。

骸骨兵を繰り出した瞬間、全滅すらありえるかもしれない。

260茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/05(月) 22:58:30 ID:xm/dFKGs0
>>259
「っつぁー、痛いなこりゃぁ…」

銃弾によって骸骨の壁は崩されつつもあるが、一人死ぬ度に二人、
二人死ねば4人と増えていき、壁を崩そうとする相手を阻んでいく。
そして、三半規管をやられ苦しむ青年は少しずつ落ち着こうと尽力していた。

「正面勝負なんてのはあんま望んでねぇし…いてて。
時間稼いで…探査鳥が相手を見つけるまで…それか俺が復活するまでだな」

今だ俺はちゃんと立ち上がることは難しい状態にある。
相手の音波攻撃がやんでいるのかは分からないが…。
メフィに助けを呼べばこんな状況など一瞬で解決してしまうのだろう。
アイツはそれを言うのを待っているのだ…性格が悪い。

「つったって…状況が固まってきたのは事実だ。
骸骨を増やそうにもな…ってぇ」

261黒沢小百合:2011/12/05(月) 23:14:13 ID:SSMHlh/20
>>260

「これは殲滅戦であり、戦線を膠着などさせるな。
 前列の者から、突撃して敵を圧せよ。」

つまり敵を休ませないため敵に近づき、強制的に出血を強いる
兵士の人命軽視どころか、完全に捨て駒として扱った非道な作戦。

しかし、兵士たちは小百合の号令が下されるや否や
自ら命を捨てるかのように、無言で突撃を開始する。

262茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/05(月) 23:35:18 ID:xm/dFKGs0
>>261
「探査鳥が奴を見つけるまで、やられるわけにゃ行かないよな…。
段々慣れてきたし…反撃開始と、行きますか」

彼は立ちあがったとたんに骸骨達の動きが突然として統制の取れた動きへと変わる。
先程のようなぎこちのない隙だらけの動きから人間と変わらぬ極めて滑らかな動きへと。
獣人は突撃する兵士を無視してその後ろの兵士達を攻撃していく。
消耗しているとは言え動きが鈍っている様子はない。

「よっしゃ、風が吹いてきたしやってみるか!
正面対決よりも極点突破ってのを」

彼は骸骨達へ腕を動かして指示を与えると、正面の骸骨達の5割は突撃してくる兵士へ真っ直ぐに突っ込んでいく。
そしてそれ以外の方向―――左右後方の骸骨は彼が移動するのと同時に移動していき、
尚且つ突撃してくる兵士に対して数匹の骸骨で時間稼ぎを行う。
彼は移動しながら死霊術と屍術を繊細に使い減った分だけ骸骨を地面より這い出させる。

「俺の手持ちの死霊の魔力が尽きるのが先か、極点突破するが先か。
いっちょやってみるとするぜ」

骸骨達の動きはまるで熟達した兵隊のように気迫と力を持って前方の兵士達へ向かって行く。
握られた剣や斧等を力強く構えられている。今の骸骨の兵力はただ突撃してくる相手には負けはしないだろう。
左右後方をカバーする骸骨達も指揮官である青年の前に通すまいと固く防御を敷いている。

一方、上空高く飛行する探査鳥も敵の指揮官である小百合を探そうと、
周辺を飛び回っている。

263黒沢小百合:2011/12/05(月) 23:59:03 ID:SSMHlh/20
>>262

「貴様は袋小路に追い詰められた鼠だ、テロリストめ。
 既に脱出は不可能、包囲も完了。貴様らは殲滅されるのみさね。」

骸骨兵たちに斬り倒され、味方の放った弾丸に倒れ。
しかしそれでもなお、圧倒的兵力を持って迫る肉の波は骸骨らを飲み込まんとする。
無数のコンテナによって地形が狭く、防御に適した地形であるとはいえ
魔力に限りがある以上、いつまでも受け止め続けることは不可能。

そして、敵も何も切り倒されるために突撃するのではない。
戦うために、殺すために、攻撃を仕掛けているのだ。
訓練された兵士たちは、容易には骸骨にやられはしない。

小百合は、コンテナ地帯の外で指揮を取っているが
特注の防弾仕様の車に篭っているため、視覚のみで見つけるには少し骨が折れるだろう。

264茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/06(火) 00:18:03 ID:xm/dFKGs0
>>263
「そらーっいけいけー!
消耗は気にすんなよー!」

魔眼の使用はまだ回復はしていない以上、とりあえず突っ切るしかない。
俺は左右攻撃を避けるために前方の狭い通路に入るように走っていく。
もし入ったとしても足は止めず、一先ずは時間稼ぎ。

「つったって、魔力は持って後数分。
そろそろ潮時って奴か?」

追い詰められるまで諦めるつもりは無いが、もしもの時は助けを呼ぶ事を考えねば。
もっとも、コンテナ地帯さえ抜ければ逃げる事は極めて容易なのだが…。
囮を用意するにもこう狭いと直に暴かれる。

探査鳥はコンテナ地帯を抜け、一匹はコンテナ地帯から周囲20m範囲を、
一匹はコンテナ地帯10mを探索する。
何か他と変わった怪しいものでも見つけることが出来ればいいが…。
生体反応の多い街中では生体反応で対象を見つける探査鳥には厳しいものがあるだろう。

265黒沢小百合:2011/12/06(火) 00:40:34 ID:SSMHlh/20
>>264

「貴様は追い詰められた鼠だといったろう?
 実験鼠が檻から逃げてはいけないなぁ……!」

小百合の能力の強力さは、その大兵力のみにあらず。
纏まった兵力を能力範囲内であれば好きなときに、好きな場所へ、
一瞬にして送り込めるという長所を持ち合わせている。

兵士の目を通して、男が移動しようとする様を知った小百合は
その方向に、無数の兵士を具現化。進路を塞がせた。

「ヒャハハッ、貴様の首を刎ねる同胞はそこにはいないぞテロリスト。
 ここで我々の弾丸に倒れ、己の愚かさを呪いながら朽ちるがいい。
 そう、貴様はもうチェックメイトに陥ったのだ。」

生体反応、という点では深夜の操業を停止した港の倉庫街であり元々人影は皆無、
しかも銃声がひっきりなしにとどろく場所から逃げない一般市民はいない。

探知網には小百合の具現化した兵士たちの発する擬似的な生命反応が
それこそ無数に引っかかるだろうが小百合と彼女の部下の発する本物の生命反応が、
戦闘区画からさほど離れてはいないものの、一般市民が逃げ遅れているとも思えない箇所に
固まっていることが分かるかもしれない。

266茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/06(火) 01:13:27 ID:xm/dFKGs0
>>265
「ちっ、くそったれ。こりゃあもう駄目だな」

目の前の状況と自分の状態を確認してそう呟く。
魔眼の使用は可能、骸骨を後方集中し前方の弾丸全てを静止させればこの場は逃げれる。
が、恐らくこの感じだと相手は居所集中召喚が可能だろう。従って、俺個人ではどうにもこうにもできはしない。
今頃相手は獲物を追い詰めた優越感に浸って有頂天だろう―――。

「どうせ、どっかで見てるんだろ?
だったら、もういいだろ?助けてくれよ―――」

俺はどうにもならない時と自分の状況を悟って。
潔く助けを求める。その声は許しを請うように聞こえるだろう。
俺は名前を呼ぶ。恐らく、この状況を何とかしてくれる奴を。

「―――メフィストフェレスさんよ」

名前を発すると時を同じく、暴風を伴って金銀装飾が為された極めて露出度の高い格好をした、
俺よりもはるかに身長のない(135cm)幼い少女が現れる。少女の表情は面白いものを見たと言った楽しげな顔であった。
髪の毛は燃える様に赤く、瞳は深淵を見据える様に黒く深かった。

267黒沢小百合:2011/12/06(火) 01:42:06 ID:SSMHlh/20
>>266

「風……ヤツは風の魔術も使えるのか?
 しかしそれが今になってどう役に立つ?貴様の繰り出すそよ風如きが
 私の軍団の鉄風をどう鎮めるというのか。」

小百合はメフィストフェレスが現れた際の突風を、
風の魔術か何かであると考えたが、既に自分の圧倒的有利は変わらないとみて
特に対策を行なわなかった。

「さあ、じっくりと料理してやるぞ……。
 貴様の隠れる狭い空間を私の兵がすぐに埋め尽くすことだろう。」

小百合の兵が、男のいる狭い通路への曲がり角へと差し掛かり……。

268茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/06(火) 01:56:04 ID:xm/dFKGs0
>>267
「まったく、御前も強情だなぁ?素直に速く助けを呼べばいいものを」
「……うるせぇよ、話は後だ」
「分かっているよ、そう急がすでないさ。
私が前方に出るから、近くに立っておるのだぞ?」

そう言ってメフィストは俺の前、骸骨達よりも前に出ると。
曲がり角に差し掛かっていた兵隊達を警戒する事も無く自身の身を兵たちに晒す。
少女の体に似合わない金銀装飾の施された露出度が極めて高い姿。
その後ろには無数の骸骨達と共にポンチョの青年が立っている。
その目はオレンジに輝き、半透明のオレンジの力場をまた発生させている。

「本当にどうにかなるんだろうな……」
「まぁ、見ていればよい。必ず逃がしてやるからなぁ」

小百合の方から見れば愚かにも正面に出てきたとしかいいようが無い。
だが、メフィストは彼女の軍団を自身の力で真っ向から逃げ切るつもりなのだ。
青年の持つ魔眼と、自身の魔力と力をもって。

269黒沢小百合:2011/12/07(水) 23:49:53 ID:SSMHlh/20
>>268

「まだテロリストの仲間がいたのか……。
 とはいえ、二人でこの私の軍勢に何をするというのか?
 ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの真似事でもみせてくれるというのかねぇ……?」

異能は年齢・性別・種族関係なく発現するといっても
現れたのはただの子供ではないか――。

小百合は、くつくつと低く喉を鳴らして笑い
それでいてなおかつ、男の周りの囲みを一層強化する。
銃声は一塊となり途切れることなく、続く。

物陰から顔を出せば、一瞬でミンチとなる弾丸の雨が襲い掛かってくるだろう。

270茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/11(日) 23:22:21 ID:xm/dFKGs0
>>269
「ふっふっふ、小娘が吼えよるのぅ」
「?どうかしたのか?」
「いやいや…気にせんで良い」

そう言って迫りくる弾丸の雨を青年は停止の力場で防御している。
先程と違う点は移動しながら飛来する弾丸を停止させている事だ。
背後の骸骨の兵は一瞬で土に返ってしまったが、それを気にする事も無く。
少女は歩きながら腕を回したり首を鳴らしたりして、まるで調子を確かめているようだ。

「さて…それじゃ、行くとするかね」
「頼むからクレーターを作るような真似は止めろよ、マジで」
「わかっとるわい、よっこら……セィッ!!」

気合の入った声と共に右の掌に気弾を発生させると、
それを握りこみ、前方の兵士達へと投げ込んでいく!

投げ込まれた気弾は着弾・命中すると爆発を巻き起こしてその周囲のものたちを吹き飛ばし、
バラバラにしてしまう。危険を察知して兵を下げなければ前方の兵士は跡形も残らないだろう。

271黒沢小百合:2011/12/11(日) 23:44:41 ID:SSMHlh/20
>>270


『兵を下げる』。

それは小百合にとって全く縁の無いこと。
そもそもが消耗してもいくらでも補充できるのだから。
下げる程度ならそのまま突撃させ敵への打撃を狙うし現状、そうしている。

ただし、例の気弾は今までの物と比べても脅威であることには違いなく……。

「クソッ、あれではコンテナに被害が……!
 だが……いいや、『それでいい』。こちらとしても口実ができるからな。
 そこが貴様らの攻勢限界点、だ。」

――ヒュォオオオォオォッ

風切り音、そして……。

――ズドォオォォッッ

爆発。暴力的な熱と爆風。
ついに小百合は、重砲の使用を許可したのだ。

火力不足であることは分かりきっていた歩兵に拘っていたのは
ひとえにコンテナへの過剰な被害を避けるため。
しかし、例の気弾の威力を見た小百合はついに、なりふりかまわず男たちを討ち取りに来た。

272茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/11(日) 23:58:12 ID:xm/dFKGs0
>>271
「おいおい…流石にアレは止めらんねーぞ」
「なんじゃい、貧弱だな御前は」
「うっせーよ…だからこうするんだろうが」

停止を、加速へと変換してその場から急速に離れている。
銃弾を幾発か受けそうになるがメフィの奴が的確に当たらない位置へと誘導してくれる。
が、爆発からは余り離れられず吹っ飛んでしまった。

「いってぇ…」
「ほれ、立たんか。追ってが来よるぞ。
捕まらんか」

青年は少女の腕を掴んだ途端に、少女は体からは想像出来ないジャンプ力で上空へと飛び出した。
その高さ上空30mと、地上からは攻撃し難い位置にあった。
どうやらそのまま上空へ逃げるつもりの様だ。

273黒沢小百合:2011/12/12(月) 00:08:54 ID:SSMHlh/20
>>272

「ハハハッ、ヤツめ窮して自分から地の利を捨てたぞッ!
 総員、敵が顔を出した。砲火を集中して叩き潰してやれッ!!」

コンテナをはじめ、入り組んだ隠れる場所の多い地上を逃げていた今までとは違い
上空には遮蔽物など一切無い。

ゆえに、この一帯に展開する兵士の攻撃が一挙に集中する結果を招いた。
たしかに、重砲は命中しづらくなるかもしれないが、代わりに恐ろしいほどの弾幕の中に
自ら飛び込んだ形。

防壁がどこまでもつかが勝負だろうか。

274茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/12(月) 00:17:08 ID:xm/dFKGs0
>>273
「おい、マウル。後でゲロ吐く覚悟はしておけよ?それか力場を切り替えよ」
「おい、メフィそりゃ勘弁って無理―――」

直後に重力を無視するかのごとく直角の軌道で動きながら、
高速で上空を飛行しコンテナ外から離れていく。
銃弾自体はメフィに命中しているのだが本人がそれをまるで無視して飛んでいるため、
一見効いてない様にも見える。青年はしがみ付くのに精一杯で痛みを気にする暇が無いようだ。

離れていく二人を追うには空中を高速で飛行するものが必要だ。
無ければ、二人をみすみす逃がしてしまうだろう。
もしくは地上から追撃する方法があるのならば話は違ってくるが…

275黒沢小百合:2011/12/12(月) 00:33:00 ID:SSMHlh/20
>>274

「逃さんさ、貴様らはもはや太陽に近づきすぎたイカロスですらない。
 もはや地面は人を縛る鎖とはなりえんのさ……。」

そう、いままで多様な兵器を具現化してきた小百合が、
近代兵器の花形、『航空機』を具現化できない訳が無いのだ。

――Su-27『ジュラーヴリク』。

フランカーのNATOネームで有名なソ連製戦闘機である。
強力な空戦能力を持つこの機体から逃れるには、それこそマッハ2を越える速力が必要となる。

276茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/12(月) 00:43:33 ID:xm/dFKGs0
>>275
「おろろろろっろろろ」

速度を落とすたびにゲロ吐く姿を見て、メフィはやれやれと笑うと。
後ろから迫る戦闘機を見てニヤリと笑うと。

「おい、おい。しゃべれるか?」
「おろろろ…あー、もう慣れたから大丈夫だ」
「オーケーオーケー。それじゃ、後ろから迫る奴をやり過ごしながら逃げるぞ」
「マジかよ……戦闘機って」

半ば目の前の現実に飽き飽きしながらメフィへとしがみ付きながら自分へと緩和の力場を展開。
メフィは右手に5発、気弾を発生させると戦闘機へと射出。

発射された気弾は人の腕くらいしかない上爆発力は無いが、貫通力が高いうえに強い追尾性能を持つ。
直角にカーブしながら気弾は戦闘機へと迫っていく、小さい分速度が速いようだ。

277黒沢小百合:2011/12/12(月) 00:59:24 ID:SSMHlh/20
>>276


戦闘機は、気弾を避けることもせずまっすぐにそれへと突っ込む。
そう、最初から『避ける気』などなかったかのように。

――ズドォオオォッ

空中で爆発、炎上したそれは破片と
燃料を空中で撒き散らし、さながら炎の塊となって男たちへと降り注いだ。
味方を使い捨ててもまったく問題の無い小百合ならではの作戦。

ミサイルで追尾できず、速度の関係上狙いづらい機銃を端から捨て
機体をそのままぶつけるのが敵の狙いと見える。

278茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/12(月) 01:23:40 ID:xm/dFKGs0
>>277
「野郎戦闘機まるごと弾丸にしやがったぞおぃ!?」
「そんな驚く事でもなかろう。どうせ相手はもうタイムアップだ」

距離自体は離れている、地上からの攻撃支援も殆ど不可能に近い。
しかしながら相手からすれば攻撃圏内といえるだろう。
問題は今迫っている熱量をどうするか。メフィは喰らったってしな無いが俺はしぬ。
勿論それが分かっているのか、メフィはふふんと笑うと。

突っ込んでくる戦闘機に対して少し上を飛行し、
急停止をして回避しようとした!
戦闘機の距離は約2mだが、相手はどうするか。

279黒沢小百合:2011/12/12(月) 01:31:53 ID:SSMHlh/20
>>278

元々が音速で飛行しているのだから2mの距離を詰めるなど一瞬。
思考の暇など無いし、機体の破片の動きまでは操作出来ない。

しかしだ、男の弾丸と言う例えは正しい。

『後続』はいくらでもある。
戦闘機ひとつとっても、小百合にとっては弾丸の一発と等価。
後から、既に10機以上の『Su-27』ら戦闘機群が迫っている。

280茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/12(月) 01:47:10 ID:xm/dFKGs0
>>279
「うへぇ、冗談じゃないぞこれ」
「ははは、逆を言えばこれから逃げ切るだけなら簡単なものよ。
喋るなよマウル。舌を噛み切るでは済まんからな」

そう言って、彼女は音を超える速度まで加速していく。
青年は音速突入前に失神したが、少女は青年を魔力の膜で覆うと、
後ろから迫る戦闘機を突き放すようにさらに加速していく。

「さてさて、何処まで追いすがってこれるかな?
加速勝負と行こうじゃないか!」

281黒沢小百合:2011/12/12(月) 01:56:10 ID:SSMHlh/20
>>280

戦闘機群も後方で加速を開始。
同時に、速力の差が縮まったことによって機銃による狙いが付けやすくなる。

――バララララッ

歩兵の持つそれとはケタ外れの威力。
まともに喰らえば人間など一撃で四散する。

逃げ切れるかどうかは、最高速度しだい。
マッハ3もあれば容易く逃げ切れるが……。

282茶色のポンチョに大きなテンガロンハットを被った男:2011/12/12(月) 02:08:21 ID:xm/dFKGs0
>>281
機銃の狙いは正確だが、いかんせん速度が足りていない。
彼女はそう思いながら加速を強めると、あっと言う間に先程まで縮まっていた差は開いてしまった。
魔力の膜の中ではやはり失神した青年がいた。

「もう追いつけないならこのまま逃げ切らせてもらうとするかな」

彼女は戦闘機を突き放すようにマッハ3の速度で飛行していく。
このまま逃げ切るつもりらしい。

283黒沢小百合:2011/12/12(月) 02:14:42 ID:SSMHlh/20
>>282

さいもの戦闘機も距離を詰める事ができず、次第に差が開いていく。
さらにはおあつらえ向きに空が曇り、視界が悪くなってきた。

人の体では小さすぎてレーダーで補足できないだろうから
後は適当なところで夜闇に紛れ地上へと降りるだけ。

今頃、あのヒステリックな女は部下に喚き散らしていることだろう……。

// ではキリがいいのでこの辺でー。
// 長い間お付き合いありがとうございましたー。

284メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/18(日) 22:57:28 ID:WVrfsEdY0
【技術開発課に支持の声がドンドンと飛んでいる】
「申し訳ありません!もう少し人員を動員できれば…
 いえ、開発は精一杯なんです!もう少し予算を投じて頂けねばこれ以上速くやるのは無理ですよ!」
【アルビノの姿の女性はその指示に辟易した様子で返し続ける】

【…しばらくして女性は席を立った】
「…今日はもう帰らせて頂きます。申し訳ありません。」
【そう言って職場を飛び出し…ついた先はAGカフェ】

「……はぁ…どうすれば…」
【頭を抱えてすっかり覚めたココアを見つめていた。】

285エドワード=ニュートリング:2011/12/18(日) 23:03:47 ID:xm/dFKGs0
>>284
その二つ隣の席で、アップルパイを食べながら書類を見ている白衣の男。
研究者にも見えるが、その本職は教師であり時空物理学の教授である。
同時に人間に近い何かと言うややこしい人物でもある。
彼は女性の溜め息交じりの言葉を聞くと、何の気も無いように。

「如何すれば分からない時は考えず、思うとおりの事をしろ。
それが間違いであれ正しいものであれ今と言う時間を無駄に過ごすよりはとても有意義だ」

手元の時間が空間与える変化に関する論文や、
マシンゴーレムのスペック等を見ながら女性の方を向かずにそう言った。

286メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/18(日) 23:07:10 ID:WVrfsEdY0
>>285
「え?あ、ありがとうございます…
 まあそれはわかっていますけどね…」
【軽くため息をつきながらエドワードを見る】

「ほんの息抜きですよ。私も人間ですからね。
 何処かで吐き出さないと参ってしまいます。」
【ようやくココアに手をつけて飲み始めた】

287風邪の人:2011/12/18(日) 23:13:00 ID:xm/dFKGs0
>>286
「解っているなら迷う必要は無いさ。
それとも、何か外的要因で目的に障害があるのか?」

手元の書類になにやら書き込むような動作をしながら女性に言った。
特に女性の方を気にかけることも無ければ、無視する事も無い。
とりあえず話を聞いて応答しているといった風だ。

「そうか…私はつめるときはつめるタイプでな。
余り息抜きをしたことが…いや、つめているとき以外は全て息抜きだな」

アップルパイをむしゃり食いながらそう呟いた。
アップルパイの量は多く、3段ほど積まれていた。

288エドワード=ニュートリング:2011/12/18(日) 23:13:41 ID:xm/dFKGs0
>>287
//すまない名前ミスった

289メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/18(日) 23:18:34 ID:WVrfsEdY0
>>287
「…新聞記事を知っていればおおよその検討はつくと思いますが」
【ちょうど今日の夕刊が近くにおいてある。小百合という人物の戦死を知らせる報が書かれているのであろう。】

「それが知らされて以来、色々アリまして…
 企業秘密だからこれ以上は言えませんけど補うのに必死な状態なんですよ」
【目に隈ができている。結構立て込んでいたのが伺える】

「……そうですか。そこまで詰め込みすぎて疲れたりしないものでしょうか」

290エドワード=ニュートリング:2011/12/18(日) 23:24:55 ID:xm/dFKGs0
>>289
「ああ、成程。心中察せは出来ないが頑張ってくれとしかいえないな」

誰が死んだのかはわからないが恐らく重要ポストが死んで、
それでなにやら会社がごたついた結果、研究やらなんやらに遅滞が生じているらしい。

「まぁ、企業の秘密など興味は無いからいいがな。
とは言え、上が死んでごたつくとは…まぁ口は閉じておこう」

僅かに思った疑念の勘定を奥深くへと叩き込み、
口から言葉を発していく。眼に熊が出来ているのは見えないが、
口調や調子などで相当疲れているのはわかった。

「生憎、休むときには死ぬほどやすんでいる。
大事なのは疲れをコントロールして仕事の後ゆっくり休む事だろう。」

291メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/18(日) 23:30:41 ID:WVrfsEdY0
>>290
「彼女は大きい存在でしたからね。
 失うと結構色々ありまして…お恥ずかしいことです。」
【そう言ってココアを一気に飲み干した】

「そうですか…私もそのようにできたらいいのですが…
 急時にはそうも行かないものですよ。」
【そう言うとポケットからタバコを取り出し、口に加える。】

292エドワード=ニュートリング:2011/12/18(日) 23:35:07 ID:xm/dFKGs0
>>291
「大きい存在か。ならば今度は誰が大きい存在になってくれるやら。
もっとも、一番正しい事等わからんし、やれることをやればいい」

そう言って、再び書類に名前やサイン等を書き込んでいる。
何か設計図だろうか。

「急ぐ事であろうとも自らが出来ることすべてを全力で。
上手く行かないときでも上手く行くまでやればいいのさ!」

293メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/18(日) 23:39:36 ID:WVrfsEdY0
>>292
「そうですね…自分は現場の人間なので
 とりあえずやれることをやるしかなさそうです」
【そう言ってタバコに火をつけ、一服】

「ふぅー…うまくいくまでですね。
 勿論、そうしていくつもりです。今はつかの間の休憩です」

294エドワード=ニュートリング:2011/12/19(月) 19:26:06 ID:xm/dFKGs0
>>293
「だろうな…そういや質問だが…。
君は機動兵器のソフトウェアを作ったことはあるか?」

彼は不意に女性の方を向くと、3段目のアップルパイを食べながら質問する。
表情は穏やかに笑っているが、口調は淡々としている。
その顔には少しだが皺が目立っているものの、整った顔立ちは崩れてはいない。

「もしそうなら、少し聞きたいことがあるんだがな」

295メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/19(月) 19:31:49 ID:WVrfsEdY0
>>294
「…機動兵器のソフトウェア?」
【突然の質問に首をかしげ答える】

「…自分が昔居た所ではそういった技術を学んだこともありましたけれど…
 今現在は街のシステム面での開発がメインになっています…しかし、聞きたいこととは?」

296エドワード=ニュートリング:2011/12/19(月) 20:35:00 ID:xm/dFKGs0
>>295
「何、製作中のマシンゴーレムのモーションパターンの事なんだがね。
ブースタを噴かせつつ平行に移動するのがどうしても上手くいかなくてな。」

彼がさっきから見ていた書類の殆どはマシンゴーレムの事の様だ。
人型形態と戦闘機のような形態が描かれている。

「背中についたブースタだけで平行移動するのはやはり難しいと思うか?
もしくは可能かどうかだけでも教えてくれ」

//すいません。ご飯が出来ましたので少し失礼します。

297メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/19(月) 21:02:45 ID:WVrfsEdY0
>>296
「マシンゴーレム…
 機械兵のようなものでしょうか?」
【そう言って書類に目を通してみる】

「ふーむ…ブースターで平行移動ですか…
 ロケット部分の向きが自在に変えられればいいでしょうが…
 ブースターの向きそのものを変えることは出来ますか?」
【設計図のようなものにじーっと目を通しながら語り始める。まだ頭の中の段階なのだろう。】

298エドワード=ニュートリング:2011/12/19(月) 21:13:05 ID:xm/dFKGs0
>>297
「通常は人工知能式の機械兵士だ…。
必要になれば最大10m超まで大型になれるようにしてはあるが。
構造は残念ながら企業秘密とさせてもらおう」

設計図にも専門用語らしきものが多く、殆ど意味を捉えることはできない。
ただ、メインとなる兵装は剣の形態と銃の形態を持っているようだ。

「ブースタの向きは約240度までなら動かせるが…真横には動かないんだ。
だから微妙に浮いてしまう…それをなるべく抑えたいんだが…」

299メルア・クローム/技術開発課 ◆My6NsjkSfM:2011/12/19(月) 21:20:39 ID:WVrfsEdY0
>>298
「…うーむ、なるほど…詳しいことはちょっとわかりかねますが…」
【そう言ってしばらく見ていたが…】

「力学的には平行移動は難しいかもしれませんね…
 せめてなにか…魔術的措置を取らなければ難しいかと…」
【軽く手を上げてため息を付いた】
//ご飯に行きますので少し遅れます

300剣山/アロハの男:2011/12/19(月) 22:01:04 ID:et1rlL8Y0
「というわけでだな。
 ここらで少し、クイーンの動向を調べろって話だ。
 勿論、あの人はお前をご指名だ」

喫茶店でアロハを着、タオルをバンダナ代わりに巻いた男が、
テーブルに並べられた資料を指差していた。

「おい、聞いてるのか止木……っと、もう行きやがったか、あいつ」

アロハの男はため息をつき、店を出たのだった。

301名も無き異能都市住民:2011/12/19(月) 22:15:34 ID:SSMHlh/20
>>300

アロハの男が店を出てから数分後……。

「……みつけた。」

声が背後で響く。
姿は見えない。

302剣山/アロハの男:2011/12/19(月) 22:22:24 ID:et1rlL8Y0
>>301
「……ふああぁあ……」

男はあくびをし、そのまま歩いていく。
まるで謎の声が聞こえていないかの用に見えたが、しばらくして。

「……あー……俺の称号を狙った挑戦希望の奴か?
 しょうがねえな……付いて来い。
 人間に見つかっちゃサシでやれねえからな」

頭をボリボリかきながら答えた。
男は誰かと勘違いしているのか、人気の無い場所に歩いていこうとした。

303名も無き異能都市住民:2011/12/19(月) 22:38:08 ID:SSMHlh/20
>>302

人気の無い路地に差し掛かった時、それは姿を現した。

――ごぼり。

粘り気のある水音。
アスファルトの割れ目から吹き上がる液体。
下水の汚泥のように粘着質ではあるが、薄い紫色をしている。

「へぇ、なかなか大胆なんだね。
 自分から知ってて人気のない場所へ来るなんて。」

水は人の形を。
中世的な紫の衣を纏った子供の姿をとった。

304剣山/アロハの男:2011/12/19(月) 22:45:00 ID:et1rlL8Y0
>>303
「……って……えぇー……」

その液体を見た瞬間、男は絶句した。
その様子から、恐怖などではなく自らの勘違いに気づいたせいだろうが。

「……だ、誰?お前」

子供の姿をとったそれをまじまじと見つめた。

「……。
 …………。
 ……ごめん、人違いだった。それじゃ」

十秒ほど押し黙り、スタスタと歩き出した。

305名も無き異能都市住民:2011/12/19(月) 23:05:09 ID:SSMHlh/20
>>304

――ごぷっ。

剣山の行く手を塞ぐように。
紫の髪、紫の衣、紫の瞳――先ほどの子供と同じ容姿の人物が行く手を塞ぐ。

「怪人というのは皆、連れないのかい?
 僕と戦うなり、すたこらさっさと逃げてしまう。」

くす、くすと漏れる二つの笑い声がシンクロする。
しかし、子供の笑みにはどこか含みがあった。

その瞳は獲物を見つめる残忍な獣の瞳だ。

「悪いけれど、僕とひとつになってほしいんだ。
 『食べ物』はやがて血となり肉となる……。」

――バシャアッ。

少年とも少女ともつかない童子の体が爆ぜる。
それは紫の液体となって、前後から剣山に降りかかる。

306剣山/アロハの男:2011/12/19(月) 23:15:25 ID:et1rlL8Y0
>>305
「あー……なるほどなるほど。
 お前か、最近怪人ばっか狙ってるって舐めた野郎は」

うんざりしたような顔で言った。

「ったく、どうせならベイの野郎を狙えってんだ。
 腕力任せの俺にこいつがどうにか出来るか?ったく」

両手の指先から地面に、二本の刺が打ち込まれた。
瞬間的に、ダーネスを巨大なサボテンの壁が多い尽くす。

「しかしまあ、相手をしてやら無いと怪人の名折れだよな!
 まずは小手調べだ!」

サボテンは内側から破裂し、液体を吹き飛ばす。
剣山の姿は、顔の左半分を仮面で覆った、緑色の刺だらけの怪人となっていた。

「俺はスケイル帝国四将が一人、闘将ダーネス!」

【サボテン系怪人 スケイルダーネス】

307名も無き異能都市住民:2011/12/19(月) 23:22:21 ID:SSMHlh/20
>>306

びちゃびちゃと水音を立ててあたりに飛び散ったスライムは
そのまま地面へと染み込み、姿を隠した。

「四将……司令官、というわけかい?
 なるほど、いい『栄養源』になりそうだ……。」

足元より立ち昇る水柱。
細長く、鞭のように動く水柱が無数に蠢き
鎌首をもたげるヒュドラの首の如く、ダーネスへ襲い掛かる。

308剣山/アロハの男:2011/12/19(月) 23:31:37 ID:et1rlL8Y0
>>307
「脳筋なんで相方と鱗怪帝に任せっきりだけどな!
 水野郎、こっちこそ吸いきってやる!」

拳を打ち合わせ、気合を入れる。

「……その前にまずは俺らしく殴るッ!」

身体ごと腕を回転し、周囲の水柱を弾き飛ばそうとする。

309名も無き異能都市住民:2011/12/19(月) 23:46:54 ID:SSMHlh/20
>>308

――バシャッ、バシャァッ!!!

水柱を弾き飛ばすことなど、人間の子供にだってできる。
それを怪人がやろうとしているのだから、それこそ赤子の手を捻るような物。

だったはずだが。

腕に、水柱が粘着質に絡みつく。
水あめだとかコールタールのような粘性、とでも表現すればいいだろうか。

「つかまえた。」

そう、水の柱はあの子供――『バルト・アンデルセン』という化け物。
腕へと付着したバルトは、ダーネスの体へと『侵蝕』を開始する。

細胞が細胞と同化していくように、ゆっくりと摩り替わっていくように。
これが、これがバルト・アンデルセンの食事方法。鎧、装甲、甲殻で防御していても
隙間から入り込み、跡形もなく喰らう。

これが、スライムというモンスターの本来の恐ろしさの一つといえよう。

310剣山/アロハの男:2011/12/19(月) 23:57:48 ID:et1rlL8Y0
>>309
「……ただの脳筋って思われんのも癪だぜしかし」

怪人の腕から、毛のようなものが出現する。
それは絡みついたバルトの身体に侵入し、やがて多くの水分とわずかな栄養を奪い始めた。

「見た感じで俺が植物系だってわかんなかったかな!?」

それは毛根。
たとえスライムに食らわれようと、後から後から毛は伸びていく。
バルトの侵蝕が早いか、ダーネスの吸水が早いか。

「ついでに上級怪人の特権だ!」

ダーネスは更に、触れている部分から生命力を吸おうとしてきた。

311甲/放浪者:2011/12/20(火) 00:04:56 ID:Z5v4fvnI0
「あー…ゴホン」

二つの異能渦巻く路地に、場違いともとれる声がする

「何だ、お取り込み中、済まんのだがなー…その」

悠々とした足取りで死地に近づく

「向こうの通りのラーメン屋に行きてぇんだわ、だからさ―――」


遂には二人の間合い―――境界線を踏み越える


「―――どいてくんねぇ?」

一陣の風が鮮やかな赤いマフラーを靡かせた

312名も無き異能都市住民:2011/12/20(火) 00:12:14 ID:SSMHlh/20
>>310

体全体が口といっても過言ではないバルトである。
毛根が体に進入するなり、分解されてただの栄養源へと片っ端からかえられてしまう。

「植物か、動物か、なんてことは僕にとっては些細な事でしかない。
 要は、同化さえできれば……僕の糧にさえなってくれればいい。
 君たち怪人はその点で素晴らしい。だから……。」

ダーネスの生命力吸収はたしかに成功した。
毛根はバルトに喰らわれようとも、多少なりの生命を吸収できたし
それ以外の場所からは断続的に『吸える』。

――しかし。

その命をなんと形容すればいいだろうか。
我々が想像できないほど遠く、深く、暗い、土気色の粘着質な菌類が
繁茂する場所に潜む、冒涜的な種族の半ば呪いめいた命。

それが、次々とダーネスの内部へと流れ込んでくる。

魂への直接の汚染、そう形容しても違いなかろう。
これ以上、この生物と交わってはいけない。これは我々の体系とはかけ離れたなにか
とてつもなくおぞましい、ひどいものだ。

313名も無き異能都市住民:2011/12/20(火) 00:16:39 ID:SSMHlh/20
>>311

(あれは……なんだろう……
 人のようだ、あれは……うん、人だ。)

ダーネスに取り付き、喰らおうとするさなか
紫色のスライムの感覚器官のいくつかが甲の姿を捕らえた。

(人は……食べてはいけない。
 危害を加えてはいけない。そうだ禁止事項に触れる。
 人間は守らないといけない……。)

心の中に沸きあがる『人間に危害を加えるな』という強い命令。
紫色のスライム――バルトはそれにしたがい『怪人』を喰らい尽くす事へ集中することにした。

314ダーネス:2011/12/20(火) 00:23:38 ID:et1rlL8Y0
>>311
「ああぁぁ!?」

緑ボンテージ男。
別名筋肉サボテン怪人。
その怪人が、紫色の液体と格闘した。

「んなろっ!近づくんじゃねぇ!」

足に生えた刺を、牽制するように甲の足元に打ち込んだ。

「お前が何処に行こうと勝手だが、この戦いの邪魔だけはさせねえ!
 回り道するんだな!」

>>312
「おおおっ!?これはっ……」

ダーネスは歓喜した。
この命は、呪いに塗れた命は。
鱗怪人の普段摂取しているエネルギーとは比較にならない、"美味"。
エネルギー効率とは関係無く、この邪悪な怪人一族にとって非常に美味なエネルギーに感じられた。
しかし。

「……おおっと……!ちっ……早さは相手の方が上か」

腕を組み、思いっきり力を込める。
なんと、ダーネスは自らの腕を引きちぎった。
腕はその場に捨て去り、素早く跳躍してバルトから離れる。

「らぁっ!」

気合を込めると、両腕が肩の内側から生えた。
焼かれたりなど、傷口が化学変化などを起こしていなければ、ダーネスは瞬時に傷を再生できるのだ。

315甲/放浪者:2011/12/20(火) 00:32:30 ID:Z5v4fvnI0
>>313
「……あん?」

紫色の―――キングバブルスライム?
からは、その見た目に反してこちらへの“敵意”を全く感じない

「(意外だな…問答無用系かと思ったんだが…何らかの“基準”があるのかいな?)」

拍子抜け、といった所だろうか
訝しげに視線を送る顔には疑問符が浮かび

「(…っつーと、何でそこのメタルサボテンダーにゃガッツリいってんだ?)」

>>314
「―――む、こっちは好戦的」

キキン、と地面に針が刺さる音
歩みはストップした

「……」

そして黙る

「(……今日の目的はラーメン、そしてこの闘いは何だか私闘っぽい)」

うむ、と力強く頷いて

結論

「よし―――邪魔したなお前ら!」

素直に回り道をしよう!
道路工事でもしてたんだと考えよう!

高らかに宣言するともと来た道を帰って行くのだった…

316名も無き異能都市住民:2011/12/20(火) 00:42:45 ID:SSMHlh/20
>>314

――ぼとん。

その場に落ちた手はもともと取り付いていたものに加え、
地面から染み出したスライムによって瞬時に取り込まれ、分解されてしまった。

「ふぅ、これほど上質なタンパク源は久しぶりだ……。
 一体、どういう体のつくりをしているのか……。」

生命力を吸収された分を腕の分解で補ったため、
先ほどと全く変わりは見られず、寧ろ調子が良さそうにも見える。

「ともかく、もっと食べさせてくれないと……。
 エネルギー、というのはいくらあっても足りない……。」

うじゅる、うじゅると地面を這うようにダーネスへと迫るスライム。
見た目からは想像できないほど早い。

>>315

(……人間の離脱を確認。
 警戒レベルを通常戦闘に。)

甲がその場から引き返したと同時にバルトの脳内に再び声が響く。
人を守る必要はなくなったが、建築物にいらぬ被害を出さないよう戦えという命令だ。

// おつんー

317ダーネス:2011/12/20(火) 00:52:56 ID:et1rlL8Y0
>>315
「なかなか太い野郎だ……!」

ダーネスはバルトと対峙しながら、感嘆していた。
当然引き返した甲を追う様子は無い。

>>316
「ったく……反則だぜこりゃあ……。
 だが……!」

ダーネスが、顔の左側を覆っていた仮面を外した。

「俺のパワーが腕力だけだと思うなよ!」

仮面の奥には鮮やかな赤い色が見えた。
それは蕾。

「うおおおぉぉぉっ!」

ダーネスの胸から左半身に掛けて、同じ色の花びらが出現する。
同時に、身体から一般人ならそれだけで気絶してしまうほどの波動が発せられた。
そして、顔の左半分が開花する。

【スケイルダーネス 開花態】

「筋肉だけが俺のパワーじゃないぜ」

ダーネスは顔面の花から、真紅のレーザー光線を発した。

318名も無き異能都市住民:2011/12/20(火) 01:01:03 ID:SSMHlh/20
>>317

物理的打撃にはほぼ無敵ともいえる耐性を持つバルトであるが、
魔術による攻撃や毒物、といった攻撃はそれだけで対処できないし
特に、『熱』にはいささか相性が悪い。

光線が、地を這う粘液状のバルトを真っ二つに溶断。
その断面は黒く変色し、一瞬であるが小さな火がついた様子が見えた。

(やれやれ、最近の植物は光線を出すのか。
 ダーウィンもびっくり、というところかな……。
 一体どういった進化を辿ればああなるのか……。)

そのまま、液体はごぼごぼとアスファルトへと沈んだが……。
再び、どこかから奇襲をかけるつもりなのかそれとも逃げ去ったのか分からない。

まったく、気配もなければ、匂いも無い。音も立てない。

319ダーネス:2011/12/20(火) 01:15:54 ID:et1rlL8Y0
>>318
「あの野郎……絶対消し去ってやる」

そう言ってダーネスは、キョロキョロと周囲を見渡した。
警戒を解く気は無いらしい。

「下級の奴らにあれに攻撃できる技持ってる奴は殆どいねえからな……。
 俺ですらこうやって専用の形態になっても殆ど使えねえんだ。
 早めに消してやらねえと危なくて仕方ねえ」

じっと神経を研ぎ澄ませ、バルトの気配を探した。
もっとも、ダーネスはそういうことは苦手なのだが。

320名も無き異能都市住民:2011/12/20(火) 01:21:02 ID:SSMHlh/20
>>319

しかし、その後いつまでたってもバルトが再び襲い掛かってくる気配は無い。
しとめたような確かな手ごたえはなかったが、大事をとって一度退却したという事か。

// キリもいいしそろそろ〆。

321ダーネス:2011/12/20(火) 01:26:28 ID:et1rlL8Y0
>>320
「ちっ……逃がしたか」

ダーネスは30分もそこにずっと立っていた。
やがて仮面をつけ、人間態に戻る。

「しかし、特徴は掴めた。
 ベイに言って魔術が得意な奴らで討伐部隊を結成させてみるか……?
 いや、それでも直接の攻撃が出来ないようなやつも居るだろうし、風属性や水属性は数が多い割に通用しにくいだろう……。
 真面目に選抜してみる必要がありそうだな……」

珍しく幹部らしいことを呟きながら、剣山は立ち去った。

322白月 月夜:2011/12/20(火) 19:02:48 ID:o/O1NeGs0
【喫茶店AGにて】
「はー……」

大きいため息をついて少女は思い切り机に突っ伏した。
とりあえずこの街に来たはいいのだが、初めてくる街というものはどうしても勝手がわからない。
この喫茶店で食事を取るのですら一苦労したところだ。

「テキトーに知り合いでも作れればいいんだけど、なんか新参の私が話しかけるのもなー……はー……」

と、少女は本日2度目のため息をつく。

「でもまあ、言葉が通じる場所だっただけよしとするか……これで言葉まで通じなかったらホント死んでたもんなぁ……
 何事もポジティブに行かなきゃうまくいかないしなー」

少女は気を取り直して、もう一度飯にありついたのだった。

323ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 19:19:05 ID:WVrfsEdY0
>>322
【ちょうどその時】
カランカラン
【AGカフェの扉が開く】

【客の外見は明け方前の夜のような濃い群青のショートヘアを持っている。服装はこの時期には寒そうなシャツと半ズボンという衣装である】
【一番特徴的なのは顔以外の肌の見える範囲のほぼ全てに包帯が巻きつけられていること。他にもシャツには剣帯がまかれており、背中に刀を持っていた】

「…うー、なにかあるかなの…」
【何かを求めるようにあたりを見回す…多分お腹をすかせているんだろうか】

324白月 月夜:2011/12/20(火) 19:36:28 ID:o/O1NeGs0
//うわああ亀ですいません
>>323
「……食べかけですけど……これいります?少しもてあましちゃったんで……」

【包帯を巻きつけた少女(なのだろうか?)に少しぎょっとしながらも、月夜は話しかけた】

325ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 19:40:27 ID:WVrfsEdY0
//お気になさらず
>>324
「あう?いいの?
 あう〜!ありがとうなの!」
【少女はとたんに笑顔になって席の近くに座る】

「あう〜、いいひとなのかなの〜
 ちょっとはじめてのにおいがするの」
【鼻をくんくんしながら月夜の顔を見る…何処か珍しいものを見るかのようである。】

326白月 月夜:2011/12/20(火) 19:53:53 ID:o/O1NeGs0
>>325
「ありゃ、バレちゃいました?」
【月夜は苦笑しながら自分がまだ来たばかりだということを明かす】
「まだ何も勝手がわからなくて……あはは、ちょっと恥ずかしいですね」

327ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 20:01:15 ID:WVrfsEdY0
>>326
「もぐもぐもぐ、やっぱりそうなんだなの〜」
【気がつくともう食べかけをむしゃむしゃ食べている…】

「あうー、『でぃす』もわからないことがおおいけど…
 でもいろいろやってるうちにわかったんだなの〜」
【少女もあんまり詳しい馴染み方はわかんないようだ】

328白月 月夜:2011/12/20(火) 20:10:35 ID:o/O1NeGs0
>>327
「やっぱりそういうもんですよねぇ……。
まあ、見知らぬ街で活動するのは慣れてますし、まったりやっていきますよ」

【月夜はディスと名乗った少女にそういうと、店に代金を支払って別れを告げようとする】

329ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 20:15:20 ID:WVrfsEdY0
>>328
「あう〜?このちかくにいろんなところあるとおもうけどなの…
 まよったりしないかなの〜?」
【少し心配そうな目で月夜を見る。見ず知らずの人間にも割と親しげに接している…】

330白月 月夜:2011/12/20(火) 20:22:17 ID:o/O1NeGs0
>>329
「まあ何とかなるとはおもいますけど……
誰か案内役が一人いてくれたら助かりますね」
【月夜は露骨にディスの方を見ながら言う】
【なんだかんだ言って結局一人では心細いようだ】

331ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 20:27:17 ID:WVrfsEdY0
>>330
「あうあうー、よろこんでなの〜!」
【にっこりほほ笑んでディスは後についていく】

「どこにいけばいいかなの?ちかくかとおくかなの?」
【外を見回した後、月夜に顔を向けて尋ねる】

332白月 月夜:2011/12/20(火) 20:35:19 ID:o/O1NeGs0
>>331
「うー……それすらよくわからないという……スイマセン」
【月夜はしばらく悩んでいたが、やがて思いついたように顔をあげた】
「ディスさんって普段どんな場所で生活してるんですか?」
【セリフだけ聞けば完全にナンパだということにはきづいていないようだ】

333ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 20:39:55 ID:WVrfsEdY0
>>332
「あう〜…そっかなの…
 あう?『でぃす』がすんでるところなの?」
【首をかしげながらその質問に答える】

「ばしょ…いうのはむずかしいなの〜。
 これではいるところだからなの〜」
【そう言ってポケットから鍵らしきものを取り出した。】

334白月 月夜:2011/12/20(火) 20:51:17 ID:o/O1NeGs0
「? なんですかそれ?」
【何かの鍵のようだが、来たばかりの月夜に分かるわけもない】

335ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 20:57:51 ID:WVrfsEdY0
>>334
「えーっと…これをこういうところにさしたらおうちにすぐにいけるなの」
【そう言ってAGカフェの扉をポンポン叩いた】

「でもほかのひとはあんまりこないほうがいいのかなの〜…
 『ろざりあ』そういうことはきらいみたいだからなの…」
【真剣な顔で言う。知らない名前が出るがとりあえず言ったら大変であるらしい】

336白月 月夜:2011/12/20(火) 20:57:53 ID:o/O1NeGs0
//っと、すいません>>333つけるの忘れてました

337白月 月夜:2011/12/20(火) 21:08:41 ID:o/O1NeGs0
>>335
「なら別にかまいませんよ、私のせいで面倒事起こしちゃうのは気が引けますし」
【月夜は特に気にしない風に言って、「なら」とつけ加えた】
「……私みたいなのでもとまれたりする場所ってありますか?
住み込みで働けるとこだったり、寮制の学校とかもあれば行ってみたいかなーと思ったり」

338ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 21:13:33 ID:WVrfsEdY0
>>337
「うん、ありがとうなの」
【申し訳なさそうに頷いた】

「あう〜。とまれるところなの?
 えっと…それは「ほてる」みたいなところかなの…このあたりにあったかなの…」
【少女は何処か自信がなさそうに言う。泊まりの経験が少ないのだろうか】

「…うーん、そういえば…ちかくにひとがかえってくるところがあったから…
 あっちかなの…」
【少し頼りなさそうに指さした方向へ歩き出した】

339白月 月夜:2011/12/20(火) 21:26:26 ID:o/O1NeGs0
>>338
(幼女にホテルと言われてなんかアレな雰囲気を感じた私はもうだめなのかも……)
【何気に危ないことを考えている月夜だったが、そんなことはおくびにも出さず、
そのままディスの後ろをついていく】

340ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 21:31:19 ID:WVrfsEdY0
>>339
【だんだんと人通りも多い場所になり始めてきた】
【そうしてしばらく歩いた後、ディスはある建物の前で立ち止まる】
「ここがひとがとまってるところだとおもうの」

【その建物はどうやら多くの人が止まっているホテルのようである。20階建てくらいの大きなホテル、の入り口である。外から見ても内部には様々な施設が複合していることを伺わせる】
【「異能都市中央ホテル」と入り口にかかれており、張り紙に「漂流してきた方の宿泊承ります」と書いてあった】
【この街で日常茶飯事であることを物語る一文である】

341白月 月夜:2011/12/20(火) 21:39:35 ID:o/O1NeGs0
>>340
「……おお」
【予想外に立派なホテルに感動している月夜だったが、
張り紙の内容には苦笑せざるをえない】
「じゃあしばらくはここに泊まらせてもらうとしますよ。
今日はありがとうございました、ディスさん」
【月夜はディスに向かって軽く礼をすると、ホテルへと足を向ける】

342ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 21:41:58 ID:WVrfsEdY0
>>341
「あう〜、すめるところがあってよかったの〜。
 これでだいじょぶだよねなの〜!」
【とても嬉しそうにほほ笑んで見送ろうとするが】


「あ、そいえばおなまえきいてなかったの〜!」
【ふと相手の名前を聞いていなかったことを思い出し、再び声を欠けた】

「『でぃす』がおなまえなんだけどなの〜」

343白月 月夜:2011/12/20(火) 21:52:50 ID:o/O1NeGs0
>>342
「っと、そうでしたね」
【月夜はホテルへ向けていた足を再びディスの方へ向け、】
「月夜、白月 月夜(しらづき つくよ)って言います。改めて、今日はありがとうございました、ディスさん。また会えるといいですね」
【そう言って、月夜は微笑んだ】

344ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/20(火) 21:55:49 ID:WVrfsEdY0
>>343
「あうあう、わかったの〜!『つくよ』なの〜。
 じゃあ、またあおうねなの〜!」
【名前を聞けて満足したのか、少女は微笑みながら手を振って立ち去っていった】

345テルメス/ニット帽の男:2011/12/21(水) 22:43:50 ID:et1rlL8Y0
「あーあ、これでやっと寝れる……」

テルメスはバイトを終え、繁華街を歩いていた。

「今日は何処で寝るかな……。
 ここから一番近いのは……」

悩むテルメスは突然押し黙った。
まるで何かまずい物でも見つけたように。

「やべ……姉貴の眷属だ」

視線の先には、ウスバカゲロウがゆらゆらと飛んでいた。

「今日は隣町まで行って寝るか……」

ため息をつき、人ごみに混じりながらこそこそと歩き始める。

346名も無き異能都市住民:2011/12/21(水) 22:57:38 ID:SSMHlh/20
>>345

――ゴトッ

しばらく歩いているうちに住宅の少ない
再開発区画に入り込んだのか、めっきりと人影を見なくなったころ。

――カタッ、ガッ

姿こそ現さないが、つかづ離れずの距離を保ち
屋根伝いにテルメスを追跡する者の存在に気づく事ができるだろうか。
気配を殺し、殺気を殺し――。

まるで肉食動物のようにしなやかに。
隙を見せれば、すぐさま喉笛目掛けて喰らいついてくるだろう。

347テルメス/ニット帽の男:2011/12/21(水) 23:02:55 ID:et1rlL8Y0
>>346
「あ……道に迷ったかな……仕方ない。
 適当に空き地でも見つけてそこで……」

ふと、背後の不審な物音に気づいた。

「ん……?」

気配や殺気と言ったものには、テルメスは敏感ではない。
しかし、地中に潜るという能力上、音には敏感である。

(……なんだ?)

振り向かず、表向きは平然とした態度で歩き続けた。

348名も無き異能都市住民:2011/12/21(水) 23:17:25 ID:SSMHlh/20
>>347

――ガコガコッ、ガコッ、ダンッ!!

小走りで、走るような音。そして、跳躍音。

「シャァアァァァッッ!!!」

蛇の威嚇音のような、低い唸り声を上げ
テルメスの背後から飛びかかる、蛇をモチーフにした女性怪人。

怪人に敗北した小百合の成れの果て、スケイルエキドナ。
彼女は自分の中に微かに残る小百合の記憶を頼りにテルメスを追い、
ようやく裏切り者の『獲物』を見つけた。

349テルメス:2011/12/21(水) 23:27:59 ID:et1rlL8Y0
>>348
跳躍音を聞き、テルメスは鱗を全身に覆った。
エキドナの攻撃を受け、その場に大量の鱗のみを落としていく。
テルメスは壁に叩きつけられ、その衝撃で崩れてきた瓦礫に埋もれてしまう。

「……なんだ突然……同族?」

瓦礫の下から、灰色の甲殻に覆われた怪人、テルメスが現れた。

【アリジゴク系怪人 スケイルテルメス】

「俺に挑戦する気……か?」

立ち上がり、両腕の鋸状の刃を構えてエキドナを見た。
その正体には気づいていないらしかった。

350スケイル・エキドナ:2011/12/21(水) 23:36:20 ID:SSMHlh/20
>>349

「ぐるるるる……。」

獣じみた所作で一旦距離をとり、
喉を低く鳴らしながら街灯の先端に着地。

知能は低いようだが、先の一撃を見るに
なかなかのスピードとパワーを備えているようだ。

下級怪人としては厄介な相手だろう。

351テルメス:2011/12/21(水) 23:51:13 ID:et1rlL8Y0
>>350
いつもどおり、地面にノコギリを突き刺しアスファルトを砕く。
自分に有利なフィールドを作るため。

「俺に掛かってくるなら生き埋めにするが……。
 覚悟は出来てるな?」

あまりスピード面では優れないテルメスは、エキドナの攻撃を待つ。
その足元の砂地には、テルメスから流れ出した魔力が潜んでいた。

352スケイル・エキドナ:2011/12/22(木) 00:04:37 ID:SSMHlh/20
>>351

「ウらぎリモノ……コロス。」

女怪人はたどたどしい口調でそれだけ言葉を返すと、
空を仰ぎ甲高い声で、何かを呼ぶように雄たけびを上げる。

すると――。

『グルルルル……。』

エキドナのいる街灯周辺にバキバキと音を立てながら、
骨格のようなものが形成されていく。それは次第に肉を纏い、
甲殻に覆われ、最終的に10体ほどの怪人へと姿を変えた。

本来なら上級怪人のみが持つ、『戦闘員の作成』能力を目の前の怪人は持っているようだ。

「コロセ。」

女怪人の号令と同時に、4つ足の獣じみた動作で突撃。
砂地を跳躍して飛び越え、テルメスへと鋭い爪を振り上げ襲い掛かる。

353テルメス:2011/12/22(木) 00:16:02 ID:et1rlL8Y0
>>352
「……怪人生成……!?
 しかも喋った……妙な奴だな……」

テルメスはそのまま戦闘員の攻撃を受ける。
一般的な戦闘員クラス程度の斬撃ならば、甲殻で防ぎきれると踏んだからだ。
そのまま砂地は渦巻きながら陥没し、着地した戦闘員を飲み込んでいくだろう。

「裏切り者……鱗怪帝の差し金か?」

354スケイル・エキドナ:2011/12/22(木) 00:22:21 ID:SSMHlh/20
>>353

『ギャァアァッ!!』
『ギァアアッ!!!』

怪人たちの爪はテルメスを傷つけることは叶わず
そのまま苦しみの声をあげながら砂地獄へと埋もれていく。

しかし、無駄であると分かっているにも関わらず
第二陣の数匹が殆ど自殺のようにテルメスへと飛びかかっていく。
敵は無駄という事も判断できない獣なのか?

いや、スケイルエキドナの狙いは端から攻撃などではなかった。

「シャアアァァッ!!!」

なんと、女怪人本人も第二陣と共に飛びかかり、
砂に埋もれつつある戦闘員を踏み台にして、テルメスへと飛びかかってきた。
ヤツはほんの十数秒しか持たないであろう足場を作るために、同属を捨て駒にしたのだ。

355テルメス:2011/12/22(木) 00:33:02 ID:et1rlL8Y0
>>354
「くっ……!」

テルメスは計算されていた行動に驚きを覚えつつ、地から足は動かさない。
上半身のみを動かし、紙一重で攻撃を避けつつ、鋸を構える。
まさにアリジゴクが牙で獲物を捕らえる時のように、鋸で掴みかかってきた。

「こうなったら……直に引きずり込んで……!」

戦闘員による攻撃もあるだろうし、
至近距離のエキドナの攻撃次第ではテルメスもダメージを受けるだろう。
しかし、砂の中に押し込んでしまえば戦闘員も手は出せずこちらのもの。
エキドナを巣の底に引きずり込もうとする。

356スケイル・エキドナ:2011/12/22(木) 00:37:49 ID:SSMHlh/20
>>355

「ギシャァッ!!!」

パワーもさることながら、エキドナの身のこなしは軽く
上半身だけの動きでは対応しきれない。

『足場』が少なくなってきたためか、テルメスの頭上を跳び越すようにして跳躍。
同時に空中で回転して、頭部から生える長い蛇の尾を鞭のようにしならせてテルメスを打ち据えつつ
近くの建物の壁面へと飛びつこうとする。

357テルメス:2011/12/22(木) 00:46:03 ID:et1rlL8Y0
>>356
「がっ……!」

頭部から生えた尾という特殊な器官による攻撃に、テルメスは打ち付けられ、倒れ付す。
しかし、そのままテルメスは砂の中に腕を潜り込ませる。
そしてその腕を勢いよく持ち上げ、鋸を器用に使用。
砂を建物の壁面に張り付いた瞬間を狙い、エキドナに投げつけた。

怪人の腕力から投げられる砂だ。
弱いショットガン程度の威力はあり、同じく怪人相手でも怯ませる事は出来るだろう。

358スケイルエキドナ:2011/12/22(木) 00:56:09 ID:SSMHlh/20
>>357

エキドナは背中側と頭部はごつごつとした岩のような甲殻に
覆われているが、体の前面にはそういった甲殻があまりなく本体の防御力と言う点については
他の怪人と比べると、劣ると言わざるを得ない。

しかし、それは当たればの話である。

「ギギャァッ!!!」

エキドナに随伴して味方を踏み台にしながらテルメスを攻撃していた
戦闘員の一体が、自分の身を挺して砂を受け止めそのまま流砂へと落ちる。

敵は知能の低い下級怪人の集団とは思えない統率力を発揮し、
『組織的』にテルメスを追い詰め始めていた。

「……ユケ。」

再びの号令。またいつのまにか精製した戦闘員を特攻させ
テルメスの周囲の流砂に足場を作るつもりだ。

359テルメス:2011/12/22(木) 01:05:37 ID:et1rlL8Y0
>>358
「邪魔しやがっ……て!」

憤慨するように、中心に落ちてきた戦闘員を鋸で突き刺した。

「誰が同じ攻撃食らってやるかよ……!」

巣の巻きを強め、自らを巣の中心に埋め込み隠れた。
とりあえず戦闘員がこちらに手を出すことは敵わず、巣に入ってきた者は一方的に始末出来る。

「このまま地中から奇襲掛けるか……痺れを切らすのを待つか……」

360スケイルエキドナ:2011/12/22(木) 01:17:38 ID:SSMHlh/20
>>359

「…………。」

さすがにこれでは攻撃を仕掛ける事ができず
壁に張り付いたまま、周囲を一通り見回し……。

「グァッ……!」

跳躍。地面へと降り立つと、何を思ったか、
近くにあった消化栓を叩き壊し、さらには建物の屋上に備え付けられた
給水タンクなどを破壊して、周囲を水浸しにする。

水攻めでもするつもりだろうか……。
現に、アリジゴクには水が流入し砂が湿りつつある。

361テルメス:2011/12/22(木) 01:29:34 ID:et1rlL8Y0
>>360
「水か……この穴を沼に変えるぐらいで無いと無駄だけどな」

巣は変わらず回り続けている。
巣の動きを止めるには、砂を丸ごと泥に変えるぐらいの水が無ければ困難だ。
多少動きを鈍らせることぐらいは出来るだろうが。

「とりあえず……耐えるか……」

音でエキドナの動きを判断しつつ、エキドナの動きが止まるのを待つ。

362スケイルエキドナ:2011/12/22(木) 01:41:01 ID:SSMHlh/20
>>361

「グギッ……!」

ある程度渦に水が流入し、表面に多少の水溜りができ始めたころ。
勝ち誇ったように、エキドナが短く声を発した。

同時に、一体の戦闘員が『電線』に接触。
電熱に身を焼かれながらもそれを切断し握りこんだまま『渦』の中へと落ちていく。

エキドナの狙いは電流による攻撃であった。
水分を含んだとはいえ、土中であるため効果は劇的とまでは行かないだろうが
それほど深いところまで潜っていないなら、電流が届く可能性がある。

363テルメス:2011/12/22(木) 01:56:24 ID:et1rlL8Y0
>>362
「……何か、張られた紐が切れたような……?
 不味い……!」

巣の底でジッと待っていたテルメスは、
飛び上がる音と何かが切れる音を聞いて、巣の更に底に掘り進んだ。
必死で地面の底に着た後、ゆっくりとコースを逸らす。

「……喋り方と計画性が一致してないだろ……。
 油断か?俺の油断か?」

若干自己嫌悪に苛まれつつ、再びエキドナの音を探し始める。

364スケイルエキドナ:2011/12/22(木) 02:02:15 ID:SSMHlh/20
>>363

地上では未だに歩行音や唸り声が聞こえるが、
これ以上テルメスに対する攻撃手段が無い様で苛立ったような色が滲んでいる。

その後も物を投げ込んだり、戦闘員が痺れを切らして飛び込んだりはしたものの
ついに有効な手立てを見つけられなかったのか、エキドナ含めて走り去っていく音が聞こえた。

// この辺で〆

365テルメス/ニット帽の男:2011/12/22(木) 02:09:13 ID:et1rlL8Y0
>>364
「……結局奇襲する隙は無かったか……」

ゆっくりとテルメスは地面を破って顔を覗かせた。
周囲に誰も居ないことを確認すると、人間態に戻る。

「やれやれ……規格外な奴だ。
 ああいう奴は多分素材有りの奴だな……。
 ……珍しい」

そして、寝床を探す為に歩き出す。

――それを遠くから、黒いロングコートの男が見ていた。

「……あれの確保は俺の仕事じゃないな……」

366甲/1年以上ぶり位の異能都市:2011/12/22(木) 15:19:10 ID:DIskEe760
「(・・・・・・あ、今歪んだ)」

目の前の景色が変わる
先程まで歩いていた場所とは別の路地

「これは、相変わらずか・・・・・・」

やれやれ、と息を吐く

異能都市迷物【歪み】
偶発的、不規則的に起こる転移現象
空間のゆらぎのような物だったりワームホールのような物だったり何だかそんな不思議事象である
広大な異能都市の全容をぼかす“もや”みたいな存在だったりもして

通り慣れたはずの道で迷ったり
いつまでたっても目的地に到着出来なかったり
一緒に居たはずの誰かが急に居なくなったり
そんな時はこの現象を疑うと良いのかも知れない

「解明されたのかなぁ、これ」

偏に自然現象の様なモノなので
気にしない者勝ちかな、と良く分からなくなった道を歩き出した

367甲/ぶらり異能都市探訪:2011/12/22(木) 21:44:43 ID:n1Ndck/E0
【麺類専門店・麺帝】

「ふー……食った……」

暖簾を潜り、出て来る男は満足そうに息を吐く

「なるほど、ノーマークだったが……新店かな?なかなかイケるな」

夜の風は冷える
温かい麺料理で満たされた身体を僅かに震わせて

「さぶ……!」

ジャケットのポケットに手を入れつつ歩き出した

368名も無き異能都市住民:2011/12/23(金) 15:03:43 ID:igXO4dKM0
異能者達の街も
この時期はクリスマス的なムード一色です

369ディス ◆My6NsjkSfM:2011/12/23(金) 21:44:57 ID:WVrfsEdY0
【クリスマスの空気が最高潮に達する異能都市】
【あちこちにイルミネーションがきらびやかに飾られている】
「くりすますたのしみだなの〜」
【そんな中、ディスはとても軽快な足取りで街中のイルミネーションを見上げている】

「・・・これはなんなのかなの〜。」
【ディスはそう言ってポケットに入れていた羽を取り出した】
【それはおととい、街中に落ちていた赤黒くなった羽。それを拾ったのである】

「うーん、だれかのおとしもの…なのかなの…」
【じっと光にかざしてその羽根を見つめている。】

370甲/これが…クリスマスロールだ…!!!:2011/12/24(土) 22:09:23 ID:n1Ndck/E0
「きぇえええ!!せいやっ!せいやっ!」

【都市部某所・とあるビルの屋上】

「せいやっ!せいやっ!!」

上半身裸に赤マフラーだけを巻いた男が無心で拳を突き出している
何かに打ち勝つために、声を上げ、拳を突き続ける

あらん限りの力を込めた―――正拳突きであった


「……ふぅ……」

やがて突きを止め、上気する身体に衣服を羽織る

「……」

儀式は終わった
眼を閉じ、余韻に心を浸らせる


「……飯でも、食うか」

心のもやに拳で打ち勝ち、食事をとる為街に降りる
眼に映る街には男女のつがいが溢れかえるが

「ふ」

それを何処か清々しい表情で見送り、甲は悠々と街を歩いて行った

371甲/ここから通常ロール:2011/12/24(土) 22:19:08 ID:n1Ndck/E0
「(……怪人か)」

街ゆく人々を眺めながら、甲は思いを巡らせる

「(確か……擬態してるんだったか、情報によると)」

となると、この人の波の中にも
紛れる様に
溶け込む様に
侵食する様に

「(虎視眈々と、人間を狙ってる奴等が居る……って事かい)」

カコン

呑み乾した缶コーヒーを屑かごに入れ

「少々、気乗りしねーが……仕方ねーか」

甲は人垣を離れ、路地裏に足を向ける


――まるで自分を、餌に見立てる様に……

372アイリス:2011/12/24(土) 22:34:17 ID:zpQ2Gl7E0
アイリスが最近寝泊まりしているホテルは高級ホテルと云われるところである。
その一室、シャンデリアにより明るく照らされた室内。
カタカタとキーボードを叩く音が鳴りやむと、ディスプレイには“送信しました”との表示。
内容は先日の黒沢小百合の報道について。
ソファーに腰掛け、第一ボタンを開けてコーヒーを飲むと一息付く。
お付きのメイドよりもたらされる年末年始の、びっしりと詰まった予定を聞き、一度瞳を閉じる。

「分かった。今年はまだ少ないね。」

もうすぐ、忙しくなる。
その間に駒に指令書を出しておこう。
情報収集は先日放ったコウモリに任せ、コーヒーを飲むと立ち上がり、第一ボタンを締める。
分厚い黒のコートを着て、外出。

テーブルには数枚のA用紙とペンが置かれていたままだった。
アイリスが出た後、紙の上でペンは自在に動き周り、文字を形成し文を構成していく。

>>371
少々時が経った今、路地裏に足を向ける人物を見かけて。

「失礼。最近は物騒になってきているようだよ。
 躊躇しているのなら辞めておくのが懸命だね。」

甲の後ろには、金髪碧眼の人物。
一見して男女の区別は難しいであろう顔立ち、強い風にコートの裾が靡けば淡く香水の香りがする。

373甲/ここから通常ロール:2011/12/24(土) 22:46:12 ID:n1Ndck/E0
>>372
「そりゃあそうだろーな……ご忠告、どうも」

路地裏へ、半歩踏み込んだ所での声掛け
振り返り見ると西洋人形の様な美貌が立っていて
数瞬、眼を奪われる

そして

「躊躇してるように、見えちまったかね」

まいったな、と苦笑した

「ただまぁ、用事が無い訳じゃねーんだ」

帽子を被った頭にぽすん、と手を乗せて
再び路地裏を見る

「声掛けてくれてありがとよ……行くわ」

礼の言葉を告げて
アイリスに背を向けた

374アイリス:2011/12/24(土) 22:57:33 ID:zpQ2Gl7E0
>>373
こんなところにいく位だ。
何か懐に抱え込んでいるのだろう。
それとなく事情を察したのか、アイリスは甲に背を向ける。

「まずい状況になればAGカフェに行ってみるといいよ。
 元気な店主が助けてくれるかもしれないね。だが、小百合の件で今は難しいかもしれないけれど。」

さて、と呟くと懐から懐中時計を取り出し、時刻を確認する。

「…少しくらいなら現場を見れるかな。お兄さんは気を付けて。
 最近は荒くれ者が右肩上がりで増加しているからね」

最後の小言は聞かせているのか、単なる独り言か。
体を翻し、足を“現場”へと進めていく。

375甲/ここから通常ロール:2011/12/24(土) 23:09:49 ID:n1Ndck/E0
>>374
「――」

眼を見開く気配

「はは、“アイツ”まだ元気にやってやがるか」

『AGカフェ』
その店名を聞いた時、甲の声が僅かに綻んだ

「(そういや、顔出してねーな……帰って来てから……一度出すべきか?)」

紅に染まる背中が脳裏に現れた
共に修羅場を駆け抜け
時に全力で拳をぶつけ合った――友の背中が

「(いつ以来だ、会わなくなって……やべ、懐かしくなってきた)」

黒沢小百合の件も含め、近い内に顔を合わせる必要がありそうだ

「ん」

“現場”とやらが何かは分からないが
短く返事を返すと今度こそ路地裏に足を踏み入れて行った

376アイリス:2011/12/24(土) 23:22:16 ID:zpQ2Gl7E0
その後、アイリスの姿は街の人ごみの中へ消えていく。
路地裏に入る甲の後ろ姿を確認する者が数人いたが何も言うことはなく。

「(この混乱に乗じて少し“駒”を動かしてみようか)」

ゆっくりと歩みを進め、目指すは<黒沢小百合が死亡した>とされる現場。
時折“駒”とすれ違いながらも必要なのは駒の運用と命令を出す機会。

377:2011/12/25(日) 01:02:37 ID:n1Ndck/E0
「お、ここに繋がっていたか」

路地裏の暗がりから、赤いマフラーの男が顔を出す
眼の前には人気の無い公園
周囲の店舗や住宅も既に灯りが消え、深い時間である事が覗えた

「(……収穫無し……何人かはこっちを見てやがったがな、値踏みでもされたかね)」

路地裏への進軍に、これといった功績は得られなかった
最も
適当に進んだだけで“当たり”を引けるほど、この都市の路地裏は甘く無い事は知っていたが

「建物が増えたせいかな……“暗部”もそれなりに増えてるって事か」

光り在る所に影在り
爆発的な繁栄はその裏の闇をまた、色濃い物にしているのだろう

「やれやれ」

骨が折れそうだ、と独りごちて
暖を取ろうと付近の自動販売機に歩いて行く

378名も無き異能都市住民:2011/12/25(日) 01:38:57 ID:SSMHlh/20
>>377

――カッ

風も無いのに、甲の側へ砂利石ほどのごく小さな
コンクリートの欠片が落ち、アスファルトにぶつかり砕ける。

老朽化した建物から、何かの拍子に欠けて落ちたか?

「ぐるるるるるる……。」

いや、そんな生易しい物ではない。
何か、野生の獣に近い何者かの気配。
ぴんと、ヴァイオリンの弦のように張り詰めた殺気。

――狙われている。

379:2011/12/25(日) 01:45:42 ID:n1Ndck/E0
>>378
「……おいおい」

ガコン
本日三本目の缶コーヒーが自動販売機から排出されたと同時に

「要らんモンはみ出させちまったかよ」

周囲の空気がざわめき始める

「俺が“そっち”に居る時に突っかかってこいっつーの」

缶コーヒーを手にとって

「ここは、お前等が出て来ていい場所じゃあ――ねぇぞ」

おぞましい気配を発する背後へと眼を向けた

380スケイルエキドナ:2011/12/25(日) 02:00:14 ID:SSMHlh/20
>>379

常に区画整理、拡張工事が行なわれている異能都市では
鉄骨の骨組みが剥き出し、コンクリート打ちっぱなしの建設途中のビルを
所構わず、よく目にする。

――月明かりに照らされ、まるで現代アートのようにも見えるその最上部にそれはいた。

昆虫と中世の鎧、それでいて女性向けドレスを折衷したような甲殻、
その隙間からのぞく、どこか爬虫類を思わせる真っ青な肌。
口元を除き、頭部をヘルメットのように覆う甲殻の後頭部部分からは、
地面まで垂れ下がる長い髪の毛を思わせる蛇の胴体部が特徴的な女性怪人。

「フーッ……フーッ……。」

獣のように息を荒げるその口の端が吊りあがり、一瞬毒蛇の牙が見えたかと思えば……。
怪人は、その身を宙へと投げた。

危ない、上空から一挙に襲い掛かってくる!

381:2011/12/25(日) 02:14:47 ID:n1Ndck/E0
>>380
「――スケイル」

人間とは明らかに異なる
――『存在格の上位者』の気配を放つ上空の存在を確認し、その呼称が口から零れる

「大当たりキタコレってか……さて、久しぶりの実戦だ」

ぞわり、と
『邪気眼』の躍動が身体を駆け抜ける感覚を感じる
全身に充実感と高揚感を覚え

「お手柔らかに――出来ると思うなよ…!」

――ガシュッ!
上空から落ち来るエキドナを視認すると同時に

――ヒィイイイイイイ……!!!
手にしたコーヒー缶を高速回転を加えて投てきする

「(――さて、目暗ましになるかな?)」

着弾を確認するより早くエキドナの落下予定地点より移動を開始する

中身の入ったコーヒー缶は着弾と同時に炸裂する仕掛け
上手く顔面付近に当たれば目潰しの役目も期待できる――が

その考えが果たして、異業の怪人相手に通用するかどうか―――

382スケイルエキドナ:2011/12/25(日) 02:21:25 ID:SSMHlh/20
>>381

「シャアァアァァァッ!!!」

投擲された缶コーヒーを小賢しい、とばかりに
爪でなぎ払ったエキドナ。

――バァンッ!!

しかし、缶は爪に触れた瞬間破裂し
コーヒーを空中で撒き散らした。

「……グァッ!!」

ほんの一瞬ではあるが、視界がふさがる……。

383:2011/12/25(日) 02:30:16 ID:n1Ndck/E0
>>382
「(――好機)」

破裂したコーヒーにエキドナの挙動が僅かだが変化を来す
視覚情報を遮断する事に明確な効果を確認し

「先手貰うぞ――」

反転
円を描く、流れる様な動きで地を蹴り――全身を大きく一回転

鮮やかな赤いマフラーがぐるりと夜闇に弧を描き

「――らッ!!」

エキドナの着地を狙い回し蹴りを打ち込んだ!

384スケイルエキドナ:2011/12/25(日) 02:42:46 ID:SSMHlh/20
>>383

スケイルエキドナの頭部は甲殻に覆われており
一見、目潰しなどは効果がなさそうに見える。

しかし、スケイルエキドナは『蛇』をモチーフにした怪人である。
甲が放った『コーヒー』による目潰しは、夜行性の種が多い蛇が暗闇で獲物を捉えるための術。

――『ピット器官』。

これはサーモグラフィーのように熱や赤外線を感じ取る機能を持つ器官で
コーヒーの熱により、それを一時的に無効化したのだ。

「グギャォオオッッ……!!!」

甲の蹴りが即頭部にめり込み、甲殻の一部を吹き飛ばす。
一瞬、人間のような美しい頭髪が見えたもののそれはすぐに再生した甲殻によって見えなくなる。

「ニンゲン……ゴロズッ……!!」

女怪人はたたらを踏んだ物の、その場で体を横に一回転。
後頭部から生える巨大な蛇の胴体を鞭のようにしならせて、打ちつけてきた。

385:2011/12/25(日) 03:02:47 ID:n1Ndck/E0
>>384
「(よっしゃ――!)」
甲殻を打撃で破壊出来る事に手応えを感じ
しかし、直ぐに再生する甲殻を視認して舌打ちひとつ

「(一筋縄で、行くわけねぇか)」

ピット器官に響いたという生物的なアレはつゆ知らず、けれど
当たったモノは当たった――結果オーライ
ラッキーヒットに中の人がビックリしたのであった

そして

「――っお!?」
怯む事無く反撃を返して来る怪人の体幹の太さに甲が驚愕した
横薙ぎの鞭は背後から迫る

それをかわす為

「ん――なろッ!!」

甲はエキドナの甲殻に覆われた頭に手を付き、上体を持ち上げ――エキドナの頭上に倒立する

――フォンッ!!
眼下に回る一回転の尾鞭、その勢いは凄まじく

「ちぃっ」

それにより生じる頭部の動きによってバランスを崩され
頭上の甲は振り落とされた

386スケイルエキドナ:2011/12/25(日) 21:07:39 ID:SSMHlh/20
>>385

ちょうど、両者の位置が入れ替わるように立ち位置が変わる。
しかし、バランスを崩して振り落とされた甲の姿勢的な不利は決定的と言わざるを得ない。

「シャァアァァアッッ!!!」

回転の勢いをそのままに、エキドナが腕を振るい
腕部甲殻の欠片を弾丸のように射出してきた。

387:2011/12/25(日) 22:14:35 ID:n1Ndck/E0
>>386
バランスを崩された身体は地面に投げ出される
しかしそこに落ちるより早く迫り来る怪人の追撃に甲は“受け身”を捨てた

「っ――『赤煌』ッ!!!」

叫ぶと同時に、身体の前面で組んだ腕に赤い手甲が生成される
そして

――ドッ
丸くなる様な態勢で地面に落ちた甲に

――ドドドドッ!!
散弾銃の様な甲殻の欠片が降り注ぐ

「――づ、ぁあ!!」

身体の前面――具現化した手甲でおよそ急所と呼ばれる部分のみを防ぎ
しかし、その勢いに負けた身体は蹴弾かれた小石の様に地面を滑る

「(痛――って…!!)」

欠片の弾丸をその身に浴びた甲は
無数の擦過傷や切り傷を帯びながらも

未だ仕留めるには至らず、という風な面持ちで
意思を示す様に態勢を立て直す

「――『螺旋眼』、起動…!!」


頭髪と瞳に紅蓮の赤色が侵食し

甲の気配が変わっていく……!

388甲/in異能都市中央病院:2011/12/26(月) 21:51:52 ID:n1Ndck/E0
【都市部・中央病院――個室】

白い病室で寝息が一定のリズムを刻む

昨夜の怪人・エキドナとの死闘を経て
都市自治局の保護を受けた甲は一命を取り留めた――しかし

「――」

全身余す所無く負った、致命傷に近い程の怪我と
その状態で追い打ちを掛ける様に、暴走とも呼べる酷使をした能力の代償は大きかった

特に酷い傷を負った部分は、大気を焦す程の回転を見せた、ドリルを繰り出した右腕
全体を覆いかくす様に肩口から厳重に包帯が巻かれている

回転能力を発生し、制御していた邪気眼『螺旋眼』を称える左眼にも
その能力を一時封印する為に“呪布”が張り巡らされていた






「―――――……ッ……ってぇ……」

そして現在、昨夜から失われていた甲の意識が覚醒を始めていた

389名も無き異能都市住民:2011/12/27(火) 00:35:04 ID:zpQ2Gl7E0
こうもり。
本来ならば自然の穴ぐらに隠れて生活しているものだが、このコウモリたちは違った。
吸血鬼のアイリスの血を吸い、眷属となったものたちだ。
薄っすらと灰色に彩られた体、つぶらな瞳に柔らかそうな飛膜と呼ばれる伸縮性が高い翼。
彼らは廃ビルの一角に“家”を作り、捕食も兼ねた飛行。
悠々自適な彼らの姿は、夜に散歩をしているようにも思えてくるから不思議だ。

――チチッ

小鳥のさえずりにも似た鳴き声は異能都市のここかしこで聞こえた。
勿論病院内の様子も。はたまたクリスマスパーティーをしていた様子も。
そして、街の不可思議な光景は薄っすらと灰色に彩られたコウモリにより送られ、
ホテルに置いてきた自動書記の術式により、紙媒体として残る。
とはいってもコウモリ自身の知能にもよるが、齎される情報には正確さに欠け、速さに欠け、具体性に欠ける。
が、“触り”程度の状況を想像する程度は可能だ。

今年、この都市に滞在するのは残り数日あまり。
アイリスが小百合の件を探りながら“何か”の行動を起こす為の布石だろうか

390甲/in異能都市中央病院:2011/12/27(火) 22:14:05 ID:d..xyhFw0
【都市部・中央病院――個室】

コンコン
静寂に包まれた部屋にノックの音が響く
『失礼しまーす……熱を測る時間ですよ』
看護士がドアをスライドさせて入室して来た

ふいに
『――わっ…え?窓??』
窓から吹き抜ける風に眼を伏せる

驚いて顔を上げると――窓に足を掛ける、赤いマフラーを巻いた重症患者が居て

「……」
『……』
「…………(にこり)」

落ちた

『ぇええええええええええええええ!!?』

慌てて窓に駆け寄ると

――ザンッ
軽快に着地している姿が見えて
『え?ここ、三階?いや、じゃ無くてあの人一週間は安静にって……っていうか、動ける訳無いはずで…!!
 あぁ!?でもやっぱり痛そうだわ!うずくまって……って嘘、普通に歩いて行く……?』

現場に出て日の浅い若い看護士は、重症であった筈の患者の奇行に眼を白黒させる
 
『えぇと……あぁ、これ……あれだ』

カチカチカチカチ……!!
ナースコールボタンを連打して

『―――脱走、です!!』

異能都市の病院は甘く無い――始めて、そう実感するのであった




こうして

住所不定無職の赤マフラー男は、治療費を踏み倒し逃亡したのである

391防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 22:23:15 ID:WVrfsEdY0
>>390
【一方で病院から高校生位の少女が悠々と出てきた】
「何やら騒がしいですね・・・」
【病院内で脱走が発生したことを知らないのでかなり悠長な態度である】

「…とりあえず今日も元気そうでしたし、よしとしましょうかね」
【そう言って病院の敷地の外をゆっくり歩き始めた。ひょっとしたら出くわすかもしれない…】

392甲/in異能都市中央病院〜脱走:2011/12/27(火) 22:59:45 ID:d..xyhFw0
――ガサリ

病院からほど離れた個所
防人が歩いていると、植え込みから物音がする

「……ゅ……りら……ゅ…………り」

見ると、見るからに怪我人という風体の男が
植え込みに突っ込み倒れ伏している

「……………だ、い、じけん〜……(ガクリ)」

発言が常軌を逸している

まともな人間なら
かかわり合いにならぬが吉、であろう

393防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 23:05:16 ID:WVrfsEdY0
>>392
【今日は何を食べようか…そう思いながら鶫は歩いていたが…】
「…ん?そこにいるのは」
【植え込みのあたりに誰か居るのを発見した】

「いかにもけが人じゃないですか!
 ていうか病院の近くでコレって!」
【鶫は急いで兜のそばに駆け寄って行き】

「大丈夫ですかー?今から救急車呼びますから!」
【甲の体を軽く揺すりながら光の速さで携帯を取り出した】

394甲/in異能都市中央病院〜脱走:2011/12/27(火) 23:12:28 ID:d..xyhFw0
>>393
――ガシィ!!
携帯を取り出した防人の手を、勢い良く掴み上げる(ただし握力は皆無)

「……(ノーセンキュー)」

青白い顔で首を振り
口許がそう、動いた(声は出ていない)

「………ぅ」

小さく呻き声を上げると
意識を取り戻したのか、再びゆらりと立ち上がり歩き出した

ふらふら

よろよろ

ぐらり――がくん――だんっ

ふらつき、よろめき、転びそうになって――踏み止まって


産まれて初めて歩いた赤子でももう少しマシな歩行をするだろうって程度の姿勢で
病院から遠ざかろうとしている

395防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 23:16:54 ID:WVrfsEdY0
>>394
「いや…その…救急車はダメってことですか?」
【掴まれた手を通して甲の顔を見る。どう見てもやばそうに見えるので鶫の顔もかなり驚いている】

「や、ダメですってば!!」
【危なっかしい足取りを見て慌てて後をついていく】

「こんな状態で動くなんて、下手したらもっと重症になりますって!
 何がどうしたんですか!」
【甲の手を掴もうと手を伸ばしに行く】

396甲/in異能都市中央病院〜脱走:2011/12/27(火) 23:25:52 ID:d..xyhFw0
>>395
「……」

あっさり拘束された

ここからジェスチャー
「……(あそこの病院)」
病院を指し
「……(代金)」
指で輪っかを作り、お金のマーク
「……(高額い)」
親指をくいっと上にあげた

「ゼーハーゼーハー……」
一旦休憩

「……(俺)」
親指を自分に向けて
「……(保険)」
包帯だらけの右腕と、左腕をクロスさせて赤十字を現す
「……(効かない)」
そして今度はそれで×マークを作った


「…………」

伝わんねぇだろうなぁ……と、冷静に思い直して

くるり

やっぱり逃げる事にした

397防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 23:30:03 ID:WVrfsEdY0
>>396
「あそこの病院が…?」
【鶫は比較的まじめに解読する】

「とってもいい…?」
【…誤読中であった】

「医者よりも…葬儀屋さんを呼んでください!?
 ダメですよ!!治る可能性あるかぎり諦めてはいけません!!」
【誤解したまま甲を追いかけた。けが人と元気な人間ではその鬼ごっこがどうなるかは明白である…】

398甲/in異能都市中央病院〜脱走:2011/12/27(火) 23:35:07 ID:d..xyhFw0
>>397
「……」

やっぱりかよぉおおおしかも最悪の方向に逝ったぁああああ!!?

と、内心思いつつも
青白い顔は更に青く――むしろ土気色に
おぼつかない足取りは更に重く――むしろ今にも倒れそうで


「(……も、無理……ギブ……)」

バタリ

病院から数百メートルの個所で遂に力尽きるのであった

399防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 23:38:36 ID:WVrfsEdY0
>>398
「あわわ、このままでは本当にあの世行きです…」
【力尽きた甲を見て鶫もまた顔を青白くした】

「い、急いで救急車を呼ばなければ」
【再び鶫は携帯を取り出して110を入力していく】

「……命知らずなんて…一体何が突き動かすんでしょう…」
【心配そうな顔をして甲を見つめている】

400甲/in異能都市中央病院〜脱走:2011/12/27(火) 23:43:35 ID:d..xyhFw0
>>399
…ウー……ウー……
遠くサイレンの音が聞こえる
その音は段々と近くなり――見覚えのある緊急車が停車した

『どうしました!?』

警察が来た

110番は――パトカー召喚の番号であった


「……(アホか……コイツ……!!?)」

よりによって警察かよ、と驚きながら
死に体の身体で這う

もう、全力で逃げる事に決めた

401防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 23:46:22 ID:WVrfsEdY0
>>400
「しまった!救急車と間違えてしまいました!」
【鶫はかなりテンパッており、かなり間違えてしまった】

「えっと…番号間違えてしまった見ですまないのですが…
 病院にあの人を運んでください!かなりやばそうなんです!!」
【最早考えている時間もなかった。警察官に慌てて頭を下げる】

402甲/in異能都市中央病院〜脱走:2011/12/27(火) 23:51:21 ID:d..xyhFw0
>>401
『は?えぇ、はぁ……でもそれなら、ほら』

警官が防人の後方を指さした

『何か、迎え来てるみたいだよ?』

病院の方角から複数名
見るからに“屈強”そうな医師団(?)が走って来るのが見える





「…………」

赤いマフラーの無銭被治療者は、最早これまでと観念した

403防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/27(火) 23:55:14 ID:WVrfsEdY0
>>402
「あ、あら?随分と迅速な対応ですね」
【驚きの顔で医師たちに迎えられる(ように鶫に見えている)甲を見て】

「フーム、コレが噂に聞くVIP待遇というやつでしょうか…」
【顎に手を添え、間違った方向で鶫は納得している…】

「あ、その、お騒がせしてほんとうに申し訳ありませんでした!」
【思い出したように鶫は警察の人々に向けて勢い良く頭を下げた】

404甲/in異能都市中央病院〜脱走〜失敗:2011/12/28(水) 00:05:49 ID:d..xyhFw0
>>403
『あぁはいはい、最近物騒になってるから、気を付けて帰るようにね』

警察はパトカーに乗って去って行った

その後ろで

――ガシャン

『よーし、“担架”に乗せたなぁー!』『うぇーす』『じゃあ行くぞー』

エッホエッホエッホエッホエッホ……

見るからに檻の様な

||Φ|(|´|Д|`|)|Φ|| ←これ

“担架”に乗せられて
甲は再び病院に舞い戻るのであった――――


【つづく】

405防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/28(水) 00:09:46 ID:WVrfsEdY0
>>404
「はい…なるべく気をつけることにします」
【再び頭を下げて警察の人々を見送っていった】

「…なかなかの熱い対応…
 アノ人ひょっとして偉い人なんでしょうか」
【そう思って少し甲の方を見て】

「あの、養生してくださいねー。」
【軽く手を振りながら見送っていった】

「年の瀬ですからね…いろいろあるかもしれませんね」
【少し不安そうな顔になりながらもその場を後にした】
//お疲れ様ですー

406甲/in異能都市中央病院〜再脱走:2011/12/28(水) 21:59:24 ID:ViVozk0A0
【都市部・中央病院――裏口】

――キィ……

ゆっくりと、裏口の扉が内側から開く

「……やっぱり、普通にドアから出るに限るな……目立たないし」

赤いマフラーの男がひょっこり顔を出して、周囲をきょろきょろと見回している
モスグリーンのジャケットの端から覗く右腕には目立つ程に厳重な包帯が巻かれ
何やら呪文の様な文字が書かれた『呪布』で左眼を覆い隠している

その他、目に見えぬ部分にも複数の打撲・擦り傷・切り傷・打ち身・捻挫etc……を、保有し
まぁ、いわゆる怪我人であった

「(普通に、歩ける程には回復したな……やっぱ、異能都市の病院はスゲェ……だが)」

するり、と甲は扉を抜けて
音を立てずにそれを閉める

「……それだけに、請求金額が怖ぇ」

昨夜は体力的な問題とかで失敗した
しかし、今夜こそは――脱走だ

「(だけども身体がすこぶる重い……やれやれ……)」

夜闇に紛れる様に
甲はゆっくりと歩き出した

407天沢 裕太:2011/12/29(木) 00:41:50 ID:xm/dFKGs0
都市部・西区ビル街の裏通り…。

「何だかんだで…今日は働いてないな」

帰る家が今の所無い為…街をぶらぶらと歩いていく事にした俺は、
いつの間にかビルとビルの間の所謂裏通りに来ていたらしい。
そう言えばここの所襲撃事件とか起きてるって言ってたか。
ペルソナだっけ…なんか仕事先で俺より年上の人が話してたな。

「とはいえ…ここら辺は何にもないよな…」

パーカーに綿のズボンは少しさむいな、と感じながら。
俺は夜の異能都市を行く当ても無くブラブラと歩いていた。

408名も無き異能都市住民:2011/12/29(木) 00:54:16 ID:SSMHlh/20
>>407

――ゴトッ、ガシャッ

ふいに、路地の片隅に乱雑に積まれていた
ゴミの山から、壊れた電子レンジが転げ落ちた。

それだけなら、風の仕業かそれとも重みでゴミ山内部のゴミがつぶれ、
バランスが崩れたのだろうと片付ける事ができるが……。

――かたっ、ガチャッ

続けて、転げ落ちるゴミ袋。
生ゴミの腐った臭いが、鼻を突いた。その時であった。

――ジュルゥッ

ゴミ山から伸びた液体にも似た紫色の泥のようなものが、
それを掴み、強引に山の中に引き込んだではないか。

409天沢 裕太:2011/12/29(木) 01:03:27 ID:xm/dFKGs0
>>408
「……これってスライムかなんかと思えばいいのか」

学生時代の経験のお陰か、こういうものを見ても殆ど動じなくなった。
外面ではだけれど、内面は結構焦ってる…つもり。
目の前のこう、冒涜的なものをどう判断したもんか。
…とりあえず、交渉してみるか。

「とりあえず…こんばんは…」

学生時代は交渉をよくしたものだが、最近はあんまりしていない。
もっとも、話が通じなかったら武力行使に出るしかないのは変わらないのだが。
ペルソナは…手持ちは4枚か…、使い方次第でどうにでもなる…か?

410名も無き異能都市住民:2011/12/29(木) 01:16:00 ID:SSMHlh/20
>>409

――ガサガサ――がさ。

裕太の声に反応するように、物を漁る耳障りな音が止まり。

同時に、ゴミ山の中からうじゅるうじゅると
粘着質な水音を立てながら、スライムが姿を現す。
それは次第に人の形を成し……。

「やあ、御機嫌よう。
 少し見苦しいところを見せてしまったかな。」

現れたのは、10代前半といったところの童子であった。
紫色の頭髪とそれよりなお深い紫の記事と金の刺繍の入った上等な衣服を身に纏っており
中性的な顔と声から、性別の判断が難しい。

411天沢 裕太:2011/12/29(木) 01:25:08 ID:xm/dFKGs0
>>410
「いや、別に気にしないけどな…。
アレだ、本気出したモトとかに比べたら可愛いもんだと思うぜ」

アレは二度と見たくないレベルだ…何せこう中身がやばかったから…。
そんな事を思いながら目の前のスライムっぽい軟体生物を見る。
正確には軟体生物だったものであるが、声とかってやっぱり声帯から出てるんだろうか。
そうなると変身に近いような気がするが。

「一応知性があるんだな…悪魔とかとは違うって事なんだろうかね。
とりあえず自己紹介からだな…俺はあまざわゆうたって言うんだが、あんたは?」

交渉のセオリーは自己紹介から…だった気がする。
悪魔じゃないならばもう交渉なんて無意味なきもするけど。

412バルト・アンデルセン:2011/12/29(木) 01:34:14 ID:SSMHlh/20
>>411

「バルト・アンデルセン。
 バルト、と呼んで欲しいな。」

目の前の童子はにっこりと笑うと、
すぐ近くのちょうどいい高さの木箱に腰掛けて。

「知性と言うものは素晴らしい。今日読んだ本の内容も、昨日の出来事も、
 きっと明日起こるだろう出来事も何もかも分析して覚えておける。
 ……まあ、それは追いといて……。」

表情を引き締めて、裕太を観察するようなまなざしに。

「君は一体、ここに何をしに来たのかな。
 返答によっては、僕は君を『食べ物』として認識する。
 なに、正直に答えてくれるだけでいい。偽りさえなければ、たぶん大丈夫だ。」

413天沢 裕太:2011/12/29(木) 01:39:24 ID:xm/dFKGs0
>>412
「バルトね…おっけ、覚えたぜ」

笑う童子が木箱に腰掛けると同時に戦闘態勢を解除する。
今の所危険はなさそうだし、こういう相手はなんか大丈夫だと思う。

「俺か?単純に帰るところが今の所無いから、
風呂も入って飯も食ったから適当にブラブラ歩いてただけだぜ。
今日は仕事はしてないし暇だったから朝から今までずっと暇してたよ」

特に嘘つく内容でもないので堂々と発言する。
これで相手が笑いでもしたら一発殴ろうと思うが、初対面で殴るのはアウトだ…。
しかし、なんだか言い回しがフィレモンみたいな奴だな…。

414バルト・アンデルセン:2011/12/29(木) 01:50:27 ID:SSMHlh/20
>>413

「そうか、ならいいよ。変なことを効いて悪かったね。
 ああ、それと……この辺は危ないよ。できれば、1,2ブロック迂回して
 大通りのほうに出たほうがいい。」

怪人事件や黒いバンに乗った人攫いの噂、殺人鬼の噂など
物騒な事には事欠かない土地柄であるし、そうでなくても路地裏の治安は最悪。
夜に路地裏に足を踏み入れるのは、ほとんど自殺行為に等しい。

415天沢 裕太:2011/12/29(木) 01:58:49 ID:xm/dFKGs0
>>414
「つったってな…まぁいいか。
また映二に住居借りるとするかね…」

少し困ったように頭を掻いた後にそう言って向き直る。
そうして、バルトの方を見ながら懐を探って。
何かタロットカードのようなものを取り出した。

「塔…か。なんかあんたも大変なことが起こりそうだな…。
忠告、ありがとうな。このカード、いるかい?」

そう言ってバルトにタロットカードを見せる。
描かれているのは雷に打たれた塔で、先の苦難を明示する。
タロットは何か青色の半透明なオーラを発しており、何か特殊な力があるように見える。

416バルト・アンデルセン:2011/12/29(木) 02:11:12 ID:SSMHlh/20
>>415

「僕は、こっちのほうが好みかな。
 あまり、こういうものは信じない性質なのだけれどね。」

タロットを受け取ると、それを一瞥してから
裕太へと絵柄を見せる。

――――『女教皇』のカード。

22の大アルカナの中でも神秘や知恵といった性質を司るカード。
目の前の童子は摩り替える様子や、何らかの魔術を使った形跡もなく絵柄を変えた。

「……誰にも運命なんて分からないよ。だから面白い。
 だから、この世界には戦う価値があるのさ。」

そしてどこからか言葉だけが響く。
気が付くと例の童子は、跡形もなく消えうせていた……。

417天沢 裕太:2011/12/29(木) 02:14:54 ID:xm/dFKGs0
>>416
「俺だってタロット占いなんて信じて無かったっての…
フィレモンの野郎に会うまではだけど」

跡形も無く消えうせたバルトを少しに気にしたが。
そんな事よりも悪魔の気配がしたのでヤバイと思い、急いで走り去る。
幾らなんでも今の状態で勝負はアウトだ。

「しかしここ最近妙に悪魔が出現する回数が多いような…?
まさかな…」

そんな事を一人呟きながら急いで大通りへと走り去っていった。
―――その後ろで一人の女が見ていることに気づかずに。

418名も無き異能都市住民:2011/12/29(木) 23:22:08 ID:WBAprZvM0
学生服姿の青年が路地裏を歩いている
女っぽい顔つきで肩にかかるくらいの金髪であほ毛が一本伸びている

「腹が減りました……」

がくんと膝が折れて、orzの体制になる
昼間っから狭い路地裏でその体制は迷惑かもしれない

419甲/in異能都市:2011/12/30(金) 23:17:59 ID:utQgrB660
【都市部――露店街】

「はむ」

噛みしめる様に、もぐもぐ

「……ふぅ」

本日のディナー、肉まん(タイムセール50円引き)を食べ終わり一息つく

「このままじゃあ……カプセルホテル制覇すんぞ、俺……」

取り敢えず
仮住居を探さないと何か色々不味い

「(第一案はキョン子のアパート……あそこ安いしなぁ……)」

賃貸交渉を忘れてしまうというミステイクをしてしまったが
現状ではあそこが一番理想的であった

しかしながら

「……道、ワカンね」

ここまで来ると、意図的な何かを感じずにはいられないが
相も変わらず道に迷う甲であった

「(あと、まずはAGカフェに辿り着きたいモンだ……)」

魔境【異能都市】にて
アドベンチャーは続く

420天沢 裕太:2011/12/30(金) 23:29:54 ID:xm/dFKGs0
>>419
その近くので一人の青年が店長と少し会話をしていた。
内容は値切り。

「おっつぁん、これくらいならいいだろ?な!」
「駄目だ、どうやっても120円以下にゃできねぇ!」

そう言って、値切っていた方が負けて120円で何を買ったのかといえば、
缶のコーヒーだった。

「はー、やっぱ俺は交渉は下手かもしれないな」

それは兎角、今日の住居はどうするか…。
……しゃあない、映二の奴に家を借りるしかないか…。
そう思いながら懐からカードを一枚取り出す。
『塔』―――最近これしか出てないぞ…、試練ってなんだそりゃ。

カードを見ながら訝しげな顔をした青年が肉まんを食べている青年と擦れ違う。

421甲/in異能都市:2011/12/30(金) 23:39:42 ID:utQgrB660
>>420
「あそこの店より、向こうの店の方が良かったぞ」

すれ違い様
振り返る気配と共に、缶コーヒー値切りに失敗した青年に声を掛ける

「あそこじゃあ、どうも定額販売しかしねぇみてーだな、ここまで見てると」

ひょい、と屑かごに丸めた包装紙を投げ込んで

「向こうの店だとちょいと訳アリ……まぁ、缶が凹んだとかそんな感じの物が安く手に入ったな」

120円を値切る
青年のその行為に、何だか近親感を覚えて
気まぐれに
ちょっとした情報をその背中に投げ掛けてみた

422天沢 裕太:2011/12/30(金) 23:47:26 ID:xm/dFKGs0
>>421
「おお、情報サンキューさん」

声を掛けられ脚を止めて、相手の話に耳を傾ける。
どうやら自分の行動が見られていたようだ。
こういう身分だと、こう言う事はよく在るから慣れたものの。
ギブアンドテイクでもあるので、こちらからも何か上げねば…。
うーん…住居ぐらいしかない…orz

「礼といっちゃあ何だが…あんた今日住居はあるのかい?
無かったらこれから行く知り合いに数日くらいなら部屋分けてもらえると思うけど」

そう言って相手へと一つの提案を出す。
とは言え、住居が無かったらどうすればいいんだろうか…。
ペルソナ様遊びでも教えるか?あ、アレ教えるんじゃねぇって釘刺されてたな…

423甲/in異能都市:2011/12/30(金) 23:59:42 ID:utQgrB660
>>422
「いやさ、お互い様って奴よ」

黒縁メガネの中心を上げて
何だか照れくさそうに、何とも言えない苦笑を浮かべた

次いで裕太の提案を受けて

「(って、おいおい……そりゃあ破格だろう?)」

明らかに“缶コーヒーの安売り情報”とは不釣り合いなお礼に首を捻る
渡りに船、とはこの事だとも思ったが……いささか唐突な展開にやや疑問を持つ

「……」



「……へ、部屋って空き部屋?数日OKって、マジ?」

背に腹は代えられない状況でもあるのだった

424天沢 裕太:2011/12/31(土) 00:08:52 ID:xm/dFKGs0
>>423
「俺が使ってる部屋をマイナスしても後五部屋あったはずだし…」

あ、でも昨日の時点で見たことが無い女の子が隣にすんでたな…。
もしかしてアレ新しい入居者か…?誰が連れてきたんだろ…映二は無いし、
ルディアだって女の子連れてくるとは思えないし。
まぁ、いいや。どちみち部屋は余ってるだろ。

「交渉次第だけどな。数日どころか条件によっては多分永住も許すと思うぞ。
多分その場合は仕事手伝えとか言われるかもしんねーけど」

俺は事実それで何件か仕事をしたことはある。
もっとも、猫を探すとかボディーガードとかだけれど。

425甲/in異能都市:2011/12/31(土) 00:22:31 ID:utQgrB660
>>424
「だ、大邸宅だな……?いや、つーかそれ普通にアパートと違うん?」

五部屋以上ある住居
都市部である事と受け入れに寛容な所から推理するに、余程のお金持ちか
やはりそれ、アパートじゃね?としか思えないので

発想貧困だなぁ、と内心辟易しつつ
だとすると、やっぱ家賃要る可能性高いかなぁ……幾らだろうか、何て計算が始まる

そして

「……まぁ、一度行ってみるか」

取り敢えず行ってみない事には、何とも言えず
「お願いします」と帽子を取って頭を下げた

「ん、仕事って?」

その上で
気になる部分について質問を掛ける

426天沢 裕太:2011/12/31(土) 00:37:38 ID:xm/dFKGs0
>>425
頭を下げてくる相手に少し戸惑いを見せながら。
口をへの字に曲げて苦笑しつつも。

「ンじゃ、案内するからちゃんと付いて来てくれよ」

そう言ってマフラーを巻いて缶コーヒーを一口飲んで前を歩こうとしたところで。
仕事って何だ?と聞かれて、少し考えた後。

「探偵してるんだよ、矢野探偵事務所ってトコ。
聞いたことは…まぁ多分無いよなぁ。依頼とかしなさそうだし」

少し考えた後、自分の持った印象を正直に相手へ伝える。
ちょっと悪く思われたかもしれないが、まぁいいだろうさ。

「よく依頼とか来るんだけどさ。
物とか人を探すとかから、警察から交渉役やってくれとかな。
他にも、警察に情報売るために情報を集めたり。
行方不明の人たちを探し出そうとしたりな…。でもそれでもたまに人手が足りない事もある。
そう言うときにちょこっと手伝いにでるくらいだな。最近はなんか暇っぽいけど」

実際は多分あいつらなりにやることが表面化しているだけなんだろうと思う。
高校の時みたいに、アンサングの奴等と戦っているんだろう。きっと。
俺は知らないフリをしてるが。

「頑張れば多分収入はくれると思うし、あそこの人いい人だから。
多分三食の飯くらいは出してくれる…と思うぜ。その代わり時間通り集まらなかったら飯無いけど」

427甲/in異能都市:2011/12/31(土) 00:51:35 ID:utQgrB660
>>426
「よし、んじゃ出発、と」
黒いキャスケット帽をかぶり直して二カッと笑った後
赤いマフラーをふわりと靡かせて裕太の後を追う

「探偵」

先を行く裕太の口から出た宿主の職業に「ほぅ」と興味深そうに呟く

「依頼も何も、この街に来るのもまぁ、かなーり久しぶりでな」

聞いた事無いよな、の問いに
ご明察、と相槌を打つ
正直、変わり過ぎていて、別の街か?と絶賛困惑中だったりするレベルだし
実際さっきまで道に迷ってたし

「……この都市で、探偵かぁ……」

うーむ、と考える様に腕を組み

「荒事も、多いんだろう?」

異能者同士、他種族間、その他諸々
“荒事”――いわゆる抗争に繋がる
争いの火種がそこかしこに敷き詰められた都市だ

当然“そういうケース”の依頼もあるのだろう、と問いかける

428天沢 裕太:2011/12/31(土) 01:00:51 ID:xm/dFKGs0
>>427
「まぁ、無くは無いらしいぜ。荒事になる前に説き伏せるか、
荒事になってから殴った後に説き伏せるかの違いだって、映二の奴は言ってたがな。
荒事になる事を前提に仕事をしてたら探偵としての信用を無くすんだってよ」

基本として探偵がやるのは『捜査』や『情報収集』であるが、アイツは何か勘違いしているのか、
『交渉』も引き受けている。何でも請けれる仕事を一覧化したら交渉も出来ることに気づいたらしい。
とは言え、基本として捜査や情報収集がメインなのは変わっていない。
都市の暗部も、都市の上に誰がいるのかもきっと知っているだろう…多分。

「なんでも最近はペルソナとかいう事件を追うのに人員割かれてるから、
それ以外の事件とかへの協力者が必要なんだと」

後10分くらいで着くと思うぜ、と付け加えて俺は言う。
ペルソナ―――仮面の力。それが事件名というのはなんだかなぁ。
ペルソナと聞かれて一般の人がピンと来るのやら。

429甲/in異能都市:2011/12/31(土) 01:10:44 ID:utQgrB660
>>428
「まぁ、その通りだなぁ」

荒事になる事を前提にしたら信用を失くす、か
成程含蓄のある言葉だ

うんうん、と頷きながら話を聞く

「(何か、俄然興味が出て来たな……)」

まだ見ぬ“探偵”の人となりを聞くうちに、会うのが楽しみになって来ている自分がいて

「ペルソナ?あぁ、悪魔とかの召喚使役者……だったかな?」

結構近いな、と返しつつ『ペルソナ』について触れる

「伝聞だから、詳しくは知らんが、そういう“能力”もあるらしいな」

放浪歴もかなり長い甲である
ここでは無い何処かに置いて、そういった名前の能力を聞いた事があるのだろう

最も、ここ――異能都市に置いてのそれが同義であるとは限らないが

430天沢 裕太:2011/12/31(土) 01:24:59 ID:xm/dFKGs0
>>429
「何でも金髪の着物の女がペルソナ使いを狙ってるんだとさ。
狙われた奴全員がペルソナ能力を一時的だけど無くしてるらしい」

俺も狙われるかもしれないな…相手に言葉を放ちながらそう考える。
とは言っても、俺のペルソナと狙われたペルソナ使い達には少し違いがあった。
まぁ、だからと言って狙われないわけではないのだろうけれど。

「お、見えてきたぜ。あの建物だ」

そう言って指を挿した先には、5階建てで、街の雰囲気からは少し浮いた『洋館』のような建物。
大きな扉が正面に見えていて、その扉の上に『矢野探偵事務所』と書かれた看板が架けられていた。

「あそこの2階の部屋が今確か4部屋空いて…あれ、一部屋明かり点いてるな。
新しい入居者、入ったのか」

431甲/in異能都市:2011/12/31(土) 01:42:33 ID:utQgrB660
>>430
「金髪着物のペルソナ使い狩り女……心当たりはねーなぁ
 って、アンタもペルソナ能力使いなのか。いや、危ねぇじゃんその話」

当事者かよ、と驚きの声を上げて

「なに?どれ?……おー……あれか……」

都市部にぽっかりと建つ洋館を見上げる
ビルディングないしアパート的建物を想像していた手前、少々面食らう

「雰囲気あるな……」

その雰囲気とは探偵事務所的なそれではなく
『なんかこの建物、幽霊とかいそう』等という物ではあるが……

黙っておく

「………ふむ」

場所は覚えたな、と呟く

「ここまで連れて来てくれて助かった、ありがとう」
ただ、と付け加えて
「さすがに今は深夜過ぎるから、また今度、日を改めて尋ねる事にするよ」

そう告げると踵を返す

「じゃあ、また」

その時は、口添えよろしく!と元気良く言ってその場を後にするのだった


//すません!
//こっち方の眠気がピークでさぁ!唐突かつ中途半端な離脱申し訳ない
//後日、時間が合えばまた訪ねさせてもらいますー
//では……落ちます ノシ

432名も無き異能都市住民:2012/01/01(日) 08:33:24 ID:HnkBBDEo0
――ギィン
 と、金属音が鳴り響く。

「ほう、つまりお前はこう言うのか。『化け物と化した小百合を見た』と」
「そういうゥこった。あの顔は忘れねぇ」

 羽織袴を纏った二人の男が刃を合わせる。
 時は朝。
 朝日が上り明るく鳴り始めた都市にて、男二人は火花を散らす。

「んじゃ、小百合は生きてると?」
「んンーやぁ、ただの他人の空似ってのも在るゥかもなァ」
「いや、アイツの死体はまだ見つかってないんだ。
 だから『小百合は死後、異形として復活した』という推測の方が
 まだ信憑性がある」
「そりゃ嫌だァね」
「お前みたいな犯罪者にとってはな」

 会話をしながらも、動きは本気。
 一閃一閃に殺意を乗せて二人は斬り合う。
 なぜこんな状態になったのか。
 理由はいたって下らないもので、

「でもよ、お前はいちいち切りかかりながらじゃないと話せないのか」
「てめェエを見てるとォよ、なんかムカツくんだァよ」
「いきなり斬りかかってきやがって。対峙して口を開けば、出てくるのは世間話と来た」
「悪いぃな。こういう性分なァもんで、っとォ」

 紅い男の大剣による一撃を、緑の男は真鍮の鞘で受け止め、反動で街灯の上へ。

「ま、今年もお前ェは殺せなかったし、別の奴んトコにでもォ行くとするわ」
「そうしろ。黒瑪瑙を待たせてるんでな」
「じゃァアな」
「二度とくんな殺人鬼!」

 その言葉と同時に交差。最後に火花を散らした後、お互い振り返りもせずに別れた。

「小百合が、ねぇ……今年も面倒な一年になりそうだ」

433甲/in異能都市:2012/01/01(日) 16:53:48 ID:MvDRd4Zg0
「――お、キタ」

黒縁眼鏡――魔眼抑制のそれを外す
左眼に緑色に煌めく螺旋模様が浮かび上がる

「(『螺旋眼』修復率、70%オーバー……これなら!)」

次いで、肩口から厳重に包帯の巻かれた右腕に左手を添え
「『螺旋眼』起動――」
“能力”を行使すた

生命活動そのものを“回転”と捉え
それを活性化させる事により治癒力を強制的に向上させる

「(細胞、代謝の活性化――それと、俺の“機械”の部分には流体ナノマシンによる直接改修を……!)」

激痛を全身余す所無く感じ、苦悶に表情が歪む
夥しい熱が身体を支配し寒空の下であるが異常な発汗を促していく

そして
「ハァ……!ハァ……!!
 なん、とか……イケた、か……!」

添えていた左手を右腕から離すと
先程まで動く気配すら目処が立たなかった右手が自力で持ち上がる

「これで……箸に苦労する事は、無くなった……な」

包帯だらけの右手が拳の形を造った

「……よし」

小さく呟くと、黒縁の眼鏡を再び掛け直し

「取り敢えず、風呂だな……」

汗まみれの身体を引きずりながら、スーパー銭湯を目指していった

434ホホイ:2012/01/01(日) 17:02:03 ID:PBnIervYO
(`・ω・´(`・ω・´)

435甲/in異能都市:2012/01/01(日) 17:07:28 ID:MvDRd4Zg0
>>434
「……」

――ごしごし
……あれ?眼鏡が曇ってるのかな?
ごしごし――ごしごし

「ふ」



「増えてる―――!!?」

436ホホイ?:2012/01/01(日) 17:16:17 ID:PBnIervYO
ホイ達(?)は驚愕の声に気付いた様で、何事かとふりむきつったかザカザカ近付いてきました。
「どうした?なにがふえたか?」
ちょっと髪の毛が長くて目つきが鋭いホイは興味津々といった様子で

「すこし、こわれてる。きっと、ごさどー」
すこし髪の毛に癖が有って、目尻が垂れてるホイは失礼に

甲の周りをぐーるぐる。

共通することといえばこのホイ達(?)はどうやら、甲を知らないと言うことです。

437甲/in異能都市:2012/01/01(日) 17:22:55 ID:MvDRd4Zg0
>>436
「お前だ!お前が増えた!!」
ビシビシッとホイA・Bを指さして叫ぶ

「いや、何だ……つーか、俺が知らないだけでお前等にはこういう不思議現象が
 普通に起こる事も驚くに足らない事態であるかのようで……」

眉間に指を当てて混乱する頭を整理する
――様に見えて、やっぱり整理は付かず仕舞いで

「は?壊れて……何?誤作動?」

飛び出す単語にも?マークが浮かぶ

「じゃあやっぱり分裂は異常事態……っていうか、俺の事覚えてない?」

自分を指さして首を傾げる

438ホホイ:2012/01/01(日) 17:37:21 ID:PBnIervYO
>>437
叩かれて二人は、ふぎゃんとか、いあぅとか呻きました。涙目です。
「なぜたたくか!?ミル=イーは、おまえなんか、しらない!」
ミル=イーといった、少し垂れ目の方は、ご機嫌ななめに、ぷいとそっぽを向いてしまいます。
折角ホイに会いに来たのに、などとぶつぶつと不満げにぶーたれています

「ミル=フーもだぞ!……すんすん」
ミル=フーといった、髪の毛の少し長い方は、甲に顔を近づけふんすこと匂いを嗅いでみます。
一応確認をしているようですが、やっぱりわからず甲にならって首を傾げてしまいました。

439甲/in異能都市:2012/01/01(日) 17:44:50 ID:MvDRd4Zg0
>>438
「みるいー?みるふー?……ホイに会いに来た?」

よくよく観察すると、姿かたちこそホイに瓜二つだが
性格やら雰囲気やらにどことなく差が見られる様で

と言っても、ホイに最後に会ったのがいつかも思いだせないレベルである

「……お前等は、ホイの兄弟か何か……っつーことでおk?」

眉間にしわを寄せながら
顔を近づけて来たミル=フーと名乗った方に問い掛ける

440ホホイ:2012/01/01(日) 17:57:05 ID:PBnIervYO
>>439
「うん?ホイしってるのか。ホイはミルのボスなんだぞ」
むくれていた、あまり甲に関心がなさそうだったミル=イーが、少し食いついてきました。
やはり知る人の知り合い、というのは意外と大きいファクターなのだろう

「ホイはー、ママがいっしょで、パパがちがう」
うんうんといちいち頷きながら話すミル=フーの言い方からするに異父姉妹になる。
なんにせよ並んでも見分けが殆どつかない。ママの血は強大である。


//飯落ちすまぬ

441甲/in異能都市:2012/01/01(日) 18:07:26 ID:MvDRd4Zg0
>>440
「……ボス」

想像する
ホイを筆頭に一斉蜂起するなんかすげぇ数のホイに似た奴等の群れ
全員で一斉に放つなんかすげぇビーム
……あかん、世界の終末っぽい

「ふるふるふる」
首を振ってイメージを払しょくする
ま、まぁ捉え様によってはどことなく平和なイメージあるしwwwあるし……

「ママ?……リーか?」

整理できるレベルの情報量をオーバーして来た
ママは……多分リーの事だろう、パパは……シラネ

「えぇと……ホイに会いに来たのは、お前らだけ?」

果たしてこの都市に
ホイに似た個体がいくつ位入り込んでいるのか
もう、未開の文化を解き明かすトレジャーハンターみたいな心持ちで質問をしていく


//おk、俺もそうするは
//またのちほど

442ホホイ:2012/01/01(日) 18:36:12 ID:PBnIervYO
>>441
「ホイはつよいから、イーたちのボス。おまえはつよい?……どしたー」
イーはつよつよと言いながら、首を振る甲のほっぺをむにりだす。
きっとホイなら目からビームってるので、イーは優しい!優しい……?


「いまはミル=イーと、ミル=フーだけだぞー。よぶか?たくさんもっとよぶか?」
フーはニコニコと答える。間接的にでも、自分の存在に関わる事を知る人に出会えたことは、フーにとってもとても嬉しい事らしかった。
勢いあまって同族を事も無げに大量召喚しそうな程に。
出来るかはわからないが、出来そうな気もする。何せホイと同じ種族だし

//めしおわー

443nknht:2012/01/01(日) 19:17:50 ID:PBnIervYO
//かぶとんすまんのう。私はなぜか今日の夜8時からおしごとなんじゃ。
//故に隙をついての置きレスか中止をしねばならん。
//すまぬ。すまぬ。

444甲/in異能都市:2012/01/01(日) 19:50:44 ID:MvDRd4Zg0
>>442
「…んむ?んむむ、確かにアレは人知を超えた強さだったなぁ……」
頬をむにられながら
「やめぃ」
あ、やっぱ手をやんわり除去しつつ

「へぇ、二人だけかぁ……よぶ?」

「もっとたくさん呼ぶ!?」

異能都市の危機を察知した!

「い、いやホラ……もうお日様出てねぇし?
 呼んでも楽しく無いんじゃねーか、なぁ……?あ、水もあんまり美味く無いぞー」

危機回避に、身振り手振りをもって必死に奔走する

「だから、まぁ……ホイに会うのは取り敢えず、お前たちだけで良いんじゃねぇかな?」

最も、彼女たちの目的『ホイ』がこの都市に居るのかすら
出戻り赤マフラーには分から無いのではあるが

「ひぃ――っクショォイッ!!」

そして大きなくしゃみ
そういえば汗だらけで風呂に行く途中じゃん、俺

名残り熱が残った身体は完全に熱から冷めて
もう単純に汗が冷えてひどく寒い状態であった

「……ズズ」

「まぁ、そういうわけだかぁ――くしょn!!…早まらずに、ズズ先ずはホイに会いなさい…」

片鼻から鼻水ラインを伸ばしつつ
銭湯の看板が見える方へと歩き去るのであった……

>>443
//オーケー遅れて済まない
//仕事優先って事で〆させていただいたー乙乙

445名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 21:46:47 ID:dGX.GWF.0
「ここが町の人が言っていた、簡単に通貨の稼げる場所……」
ろくでもない者に聞いたのだろう。
旅費を稼ぐために彼女の訪れた場所は、違法賭博の行われている地下闘技場。
人を選ばぬ不浄の場所だが、棺桶を引きずって入ってきた女性は奇異な目で見られている。

「賊の討伐とか、そんなのだと思ってたけど、ちょっと違う気がする……」
足を踏み入れて血と欲望にまみれた闘技場の違和感にやっと気付いたのだろう。
雰囲気に圧倒され、思わず後ずさりしてしまう。

446名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 22:02:53 ID:SSMHlh/20
>>445

受付周辺は覚悟を決めたような雰囲気の貧相な男や
薬でもキメているのか、壁に向けてぶつぶつと呟き、時折笑い声を上げる男。
得物であろう、弓と短剣を丹念に手入れする傭兵風の女などがそれぞれに出番を待っている。

また、廃品を無理やり修理したと思われる古びたモニタを通じて
会場内の試合の様子を見ることもできる。

どうやら、今は試合と試合の合間のようで真っ赤に染まった
アリーナを清掃している様子が映し出されている。

受付と思しき、鋼鉄フェンスと防弾ガラスに守られた小部屋では
担当者と思われる刺青を入れた男が気だるげにタバコをふかしているが……。

447名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 22:14:31 ID:dGX.GWF.0
>>446
「あの、町の人に簡単に稼げると聞いて、来たのですが」
意を決して受付の人に話しかけるが、その語調はしどろもどろだ。
地下闘技場の殺伐とした空気に慣れてないことが一目で分かってしまう。

448名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 22:23:04 ID:SSMHlh/20
>>447

受付の男は気だるげに女を値踏みするような目線を向けた後、
書類を乱暴に引っつかみ、強化ガラスとフェンスの合間からそれを差し出した。

書類はコーヒーか何かで茶色く汚れており、闘技場のルールや
命の危険があることに責任を負わないという旨が記載されている。

「稼げるよ。そこにサインして……。
 後は適当に呼ばれるのを待ってろ。」

男はそれだけ言うと、ビールの缶をゴミ箱に投げ入れてから
再び気だるげにタバコをふかし始めた。

449名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 22:27:56 ID:dGX.GWF.0
>>448
横暴な振る舞いに圧倒されるも、後には引けないと言う心理が働き、記入を行う。

(命の危険……)
単純な決闘ではなく、殺し合いを演じるのか、と不安になる。
し合う場所を見る。残された血がそれを物語っている。

450名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 22:40:55 ID:SSMHlh/20
>>449

しばらく、待合室で待つうちにいくつかの試合をモニターで見る機会があった。

先ほどのなにか決意を決めたような男は鉄パイプで滅多打ちにされて死んだ。

どこからか適当に攫ってきたような一般市民を数人の参加者で虐殺し、
何人生き残るかを予想する『ゲーム』や、恐らく化け物と戦う英雄の伝説か何かを模しているのだろう、
古代風の剣と鎧を身につけた数人の男女対トロール鬼の試合などショー的意味合いの強いものも
見る事ができた。

「参加者番号B12、A63、F7、F26、C1は待合室に進んでください。」

アナウンスが、響く。
女性の参加者番号はF7だったはずだ。

いよいよ出番が近づいているようだが
よくよく思えば、一体どういった試合に狩り出されるのだろうか……。
もう少し、考えてから記入を行なうべきではなかったか……。

451名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 22:53:32 ID:dGX.GWF.0
>>450
いくつかの試合を見たが、それは凄惨たるものだった。
鉄パイプによる全身強打。部分的でない、全身的に赤黒く染まったそれを見ては、
彼女は平常心を保ってはいられなかった。

(逃げなきゃ……、こんなところから、一刻もはやく)
入口に向かおうとするとき、アナウンスが流れて心臓の鼓動が早くなる。

(構うもんか……)
帽子を深めに直し、棺桶を引きずりながら、会場を出ようとする。

452名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:02:36 ID:SSMHlh/20
>>451

誰も受付所から逃げ出す女を止める者はいなかったが、
自分の番号を呼ばれるのを待っていた者たち数人から、
嘲笑や侮蔑の視線が投げかけられる。

直前で恐れをなし、逃げ帰る者は珍しくない。
参加者は順番待ちをする程あまっているのだから、引き止めて無理やり戦わせることも無いのだ。

――しかし。

『一人逃げた。女だ。
 ……ああ、分かり易い。特徴は……。』

女が闘技場外の闇市場へと飛び出していった頃、
受付エントランスでどこかに連絡を取る者の姿があった……。

453名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:14:26 ID:dGX.GWF.0
>>452
「はぁ……、はぁ……」
闘技場の外へ足早に向かっていった為、女性の息は荒い。

「人の命を賭けた闘技場なんて……、狂ってる……」
ただの決闘であれば、女性は闘ってもいいと思っていた。
しかし、彼女の中で金銭よりも上位に位置する命を賭けることは、彼女にとってタブーだった。
自分の命は、自分だけの物ではないからだ。

454名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:20:04 ID:SSMHlh/20
>>453

こういった場所で『弱み』を見せたものはそれにつけ込まれ喰らわれる。
闘技場から恐れをなして逃げ出し、しかもそれが女性となればいの一番に標的にされるというものだ。

『ヨォー、お困りの用だねェ!
 どうしたんだい?案内が必要かな?』

『ヒッヒヒ、300でいいぜ。』

数人の男たちが、女を取り囲むように通路の前後の角から姿を現す。
地下市場は道幅が狭く、逃げ場がみつからない……。

455名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:28:56 ID:dGX.GWF.0
>>454
「ッ!?」
気が付けば、ゴロツキたちに取り囲まれている。
闘技場の雰囲気で失念していたが、ここもまた治安の悪い場所なのだ。

「お金は、持ってない……!」
逃げ道を探すも、市場は狭く、また所持品である棺桶が彼女の敏捷性を阻害する。
戦意を見せるかのごとく、腰に差した短刀に手をかける。

456名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:37:57 ID:SSMHlh/20
>>455

『女はツブシが効くんだよ。
 顔さえそれなりなら、たかーく売れるんだ。』

『あの棺桶もマジックアイテムかもしれん。
 壊すなよ、魔法の品物の類は高く売れる。』

男たちは聞く耳も持たず、距離を詰めてくる。
荒事は日常茶飯事なのだろう、短刀に手をかけた様子を見ても怯むことなく
逆に嘲笑を浴びせてくる。

『……ッ!』

背後から密かに忍び寄った男が、警棒を振り下ろそうとするが気づくだろうか。

457名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:49:34 ID:dGX.GWF.0
>>456
「近寄らないで……」
短刀はあくまで狩猟に用いていたものだから、多少護身用にはなるだろうが、多人数戦闘には向かない。
また相手が複数の場合、特に精神面が大きく左右されるが、冷静さを欠いていることはすぐにでも分かる。
その証拠に背後の気配を捉えられず、振り下ろされる警棒をもろに喰らってしまう。

「いっ……!?」
意識が飛びそうになるが、踏みとどまる。
同時に防衛本能から、背後の敵に対して横薙ぎに短刀での一閃を繰り出す。

458名も無き異能都市住民:2012/01/05(木) 23:59:12 ID:SSMHlh/20
>>457

『おおッと……!』

背後の男は、素早く後ろに飛びずさり短刀を回避し
そればかりか、短刀を持つ腕を狙って蹴りを叩き込もうとする。

さらには、後ろの男に反撃しようとして意識が逸れた隙を見逃さず
前方の男が呪文を詠唱。ナイフから火球をつぶてのように飛ばしてくるではないか。

――こいつらは、戦いなれている。

459名も無き異能都市住民:2012/01/06(金) 00:10:39 ID:dGX.GWF.0
>>458
彼女は危機回避のために、ランダムの方角に跳躍を行う。
結果として運よく相手の攻撃をかわせたようだ。

「ただのゴロツキじゃ、ないみたい……!」
劣悪な環境がそうさせたのか、彼らは確かな腕を持っている。
改めてその事実を思い知らされ、彼女の焦りはここに極まる。

(どうしよう……、このままじゃ、やられてしまう……)
一か八か、人数の少ない方へ短刀を突きだしつつ突撃を行う。

460名も無き異能都市住民:2012/01/06(金) 00:20:09 ID:SSMHlh/20
>>459

この周辺は地下街であるため天井も低く、通路も狭い。
そのため、大きな動きで回避を続けることは難しい。

『フン、そんなやけっぱちの動きで……!』

前方に立ちふさがる数人は火球を飛ばし、
近くに転がっていたビンやガラス片を投げ、突撃を迎え撃つ。

461名も無き異能都市住民:2012/01/06(金) 00:38:56 ID:dGX.GWF.0
>>460
バレーボールの技術の一つに、一人時間差攻撃というものがある。
アタック時にフェイントを入れることで、相手のブロックをずらすというテクニックだ。
が、せまい通路ではそのようなフェイントのやり方では見切られてしまう。

しかし、『放たれた攻撃』を『フェイント』へと後発的に変えてしまう、だったらどうだろうか。

火球やビン、ガラス片は間違いなく当たっている。当たっているはずだった。
その当たっているはずの彼女の後ろから、短刀を構えて突撃してくる彼女が居た。

462名も無き異能都市住民:2012/01/06(金) 00:47:40 ID:SSMHlh/20
>>461

『何だ、一体……!?』
『幻術……いや、これはッ?』

仕留めた、と思っていたのだろう。
男たちの顔が一瞬驚愕に変わるが男たちの行動は早い。

狭い路地では突撃をかわせないと見て、角から別の路地へと逃げ込んだ。
女の捕獲より、一応の安全を選んだ形であり逃げるなら今以外ない。

463名も無き異能都市住民:2012/01/06(金) 00:56:00 ID:dGX.GWF.0
>>462
「えっ……」
方々に散らばって行ったのを見て唖然としている。
ただ単に短刀を構えてダメージ覚悟で突っ込んでいくなど愚の骨頂。
絶好のカモであるはずなのに、逃げて行く。それが不思議でならなかった。

「でも、今のうちに……」
置いてあった棺桶をひきずって、地下市場を抜けだそうと歩き出した。

464名も無き異能都市住民:2012/01/06(金) 01:13:52 ID:SSMHlh/20
>>463

敵は異能の正体が掴めない女との戦いを避けた。

闘技場から怯えて逃げる、楽な相手のみを狙っていた連中だ。
女の異能がどういったものであれど、不明な以上リスクがあると判断して逃げたのだ。

もう、敵からの追撃はない。

// そろそろねますん。
// おやすみー。

465緑乃壱 瞑輔:2012/01/06(金) 21:01:39 ID:HnkBBDEo0
「ゆらぁりぃ、と」

 白い息と共にあくびを一つ。
 緑髪を掻き毟り、耳につけたピアスをジャラジャラと鳴らしながら刀を肩に担ぐ。

「さァてェ、飯も食ったし今夜も辻斬るとすっかねェ。
 そろそろ金もなくなって来たァし、金目のモノを持ってる奴がァいいんだが。
 やっぱりィ、骨董屋で茶碗を衝動買いしたのはマズかったァかねェ」

 犯罪者は今日も獲物を探す。

466ガルテラ:2012/01/06(金) 22:41:33 ID:ZFCfPuPg0
>>465
道の向こうから、ゆらゆらと揺れる光が迫ってきた。
よく目を凝らすと、それはカンテラ。
大きなトランクを持ち、俯いた男がカンテラを持って歩いてきていた。

「……おや、こんばんは」

男は顔を上げ、瞑輔に挨拶した。
武器のようなものは見られず、絶好の獲物にも見える。
そして何より、そのカンテラは酷く年代物で、高級な品に見えた。

どこか奇妙な気配を漂わせている気もするが、人外も多いこの都市ではよくあることである。

467緑乃壱 瞑輔:2012/01/06(金) 22:47:46 ID:HnkBBDEo0
>>466
「……あァあん?」

 見ず知らずの男に声をかけられ眉を潜ませる。
 瞑輔にとっては慣れないことだ。

「こんばんはってェのは俺に言ってんのォか?
 ああ、んっんー、そうだねェ今晩はァ」

 そう考えつつも一瞥。
 見たところ、相手は特に武器も何も持っていない。
 と、瞑輔は考える。となれば、もちろん

「今宵はいい夜だ、ね……」

 にじみ出る、濃い殺気。

「とォ!!」

 いきなり抜刀。抜き放たれた刃は一瞬のうちに空を裂き、
 その鞘の長さからは予測できない程の距離を斬撃が飛ぶ。
 狙うはもちろん、ガルテラの首。

468ガルテラ:2012/01/06(金) 22:58:09 ID:ZFCfPuPg0
>>467
「うっ!?」

とっさに瞑輔の攻撃を、持っていたトランクで防いだ。

「通り魔……ですか?」

とっさにこの重そうなトランクで防ぐとはそれなりの力を持っているようだが、
それでも刀を受け止めるトランクは震えている。

「今まさに、いい夜が悪い夜に変わりました……!
 やめた方が……いいです……そういったことは」

一応の説得を試みているようだが、震える手で言われても効果があるとは思えない。

469緑乃壱 瞑輔:2012/01/06(金) 23:06:49 ID:HnkBBDEo0
>>468
「ちィ、仕留め損なったか。反射神経はあるみてぇエだなァ。
 それとォも、殺意を読まれたァか?」

 シパン、と刀身が宙で煌めき、一瞬にして鞘の中へと戻る。

「そうだねェ、悪いことはやめた方がァいィ。
 わかっちゃあいるんだがァーなァー」

 腰を低く落とし、また柄を握りしめる。
 肩から腕にかけて筋肉を脱力させ、しかし殺意はそのままに。

「わかっちゃあいるんだがァ、こうでもしねーと生きてらんねーのよ。
 悪いィが、死んでェくれないぃいぃいいい、か?」

 親指でゆっくりと鍔を押し上げ、

「二門平閃……結!!」

 途端、またしても抜刀。
 今度は斬撃が鉄格子のようになり、道を埋め尽くすように飛ぶ。

470ガルテラ:2012/01/06(金) 23:17:16 ID:ZFCfPuPg0
>>469
「申し訳ありませんが、私は死ぬわけにはいきません。
 やることがありますから」

手を下ろし、瞑輔を見据えた。
その瞬間に、男の体はトランクやカンテラごとバラバラになる。
まだ斬撃は当たっていない。
男の身体は、大量のホタルに分裂していた。
ホタルの群れは、斬撃の間をすり抜け、瞑輔を通り過ぎ、その背後で固まる。
再び男の姿が現れたかと思うと、男はトランクを持っていなかった。

男はカンテラを振り上げ、ふちの金属部分で瞑輔を殴ろうとそれを振り下ろした。

471緑乃壱 瞑輔:2012/01/06(金) 23:27:48 ID:HnkBBDEo0
>>470
「え?」

 男が淡い光の粒子となって散る。

「は?」

 斬撃の格子の間を粒子がすり抜けてゆく。

「あ?」

 光の粒子が自分の横をすり抜けた時に分かった。
 ホタルだ。これはホタルの群れだ。

「ちょ」

 自分の後ろで新たに気配が構築されるのが分かる。
 分かった。相手は異形だ。少なくとも人間ではない。
 相手の姿が分裂……いや、分解した。
 だが、ただの「群体」ならともかく自分が対峙した相手は確かに人の形をしていた。
 個体→液体への分解はともかく、人間からホタルへの変化は個体→個体の分解というもの。
 分解というよりは、多数の自我分解を行なった大量変幻と言った方がいいかもしれない。
 こんな高度な「分解」となると、ただの亜人種ではない。
 魔術式か、あるいは魔を操作する高位領域存在だ。

「ちょ、待て――」

 自分は今、抜刀からの大技を出したばかり。
 刀身は伸びきり、収刀には時間が、

―― ゴッ

 かか

「がっ」

 る。

「ぐっげぇええ!?」

 眩暈が瞑輔を襲い、とっさに頭を抑える。
 しかしそれでもなんとか、逃げるように距離を取った。

「て……めェエ! ナニモンだァ!?」

472ガルテラ:2012/01/06(金) 23:43:45 ID:ZFCfPuPg0
>>471
「通り魔に何者だ、と言われるとは思いませんでした……。
 私はしがない悪魔です」

平然と言い放ち、カンテラを掲げた。

「道しるべの悪魔、ガルテラ。
 それが私の名前です」

目の前の男は悪魔と名乗った。
奇妙な気配は感じられるが、そのような邪悪な気配は感じないが。

「別に契約と引き換えに魂を取って持って帰ったりするものだと思わないでください。
 私の目的はそんなことじゃないから。
 ……まぁ、出来ないことはないけど、できればこの街の住人とは仲良くしたいんだ」

473緑乃壱 瞑輔:2012/01/06(金) 23:59:41 ID:HnkBBDEo0
>>472
「悪魔ァ!? ちっぃぃい!!」

 流れ出る血を拭い、フラフラとした足取りで姿勢を保ちつつもガルテラを睨む。

「なるほどォな。なんとか納得いったぜェ。
 こりゃ確かに人間技じゃァねぇ。しかし仲良くゥ、ね」

 瞑輔は話ながらもジリジリと距離を取る。

「悪いィが、人間ってのは汚い生き物でぇね。
 仲良くしてぇって言うんならァ、それなりに覚悟したァ方がいィ……ぜ!!」

 そう言うと同時に、瞑輔は地面に煙玉を投げつける。
 悪魔相手に煙玉が効くのだろうか。疑問はあったが、逃げられる確率は少しでもあげたかった。

「悪魔だと? くそ……トンでもねぇ奴を相手にしちまった!!」

 命からがら、瞑輔は夜の街へと逃げ出していったのであった。

474ガルテラ:2012/01/07(土) 00:10:53 ID:ZFCfPuPg0
>>473
煙玉を投げられ、白煙に消えるガルテラ。
瞑輔の気配は大雑把に感じるが、視界はゼロだ。
追う事は困難であろう。
ガルテラはそのまま動かずに立っていた。

「あなたが人間の評判を下げてるんじゃないですか……?」

煙が消え去った頃に、ガルテラは呟いた。

ガルテラの手に、光が集まる。
気がつくと、ガルテラは先ほどの大きなトランクを手にしていた。

「長い旅をしてきたけど、街に入って数日でああいう人に会うのは珍しい。
 この街の治安は大丈夫かな……」

そう言って、悪魔ガルテラは再び道を歩き始め、やがてそのカンテラの光も見えなくなった。

475甲/in異能都市:2012/01/08(日) 23:25:39 ID:hEYFzUVY0
「さて」

【都市部:AGカフェ前】

「(昨日は何やかんやでうやむやになったが……いや、ようやく見付けたな)」

腕組みをしてカフェの前に立つ男
異様に堂々とした仁王立ちに、道行く人々は好機というか不信感を持った視線を向ける

「……」

建物に、路地に、異能都市に迷って数週間
甲はここに戻って来て“初めて”自分の思う通りの個所に辿りつけた感動に
まぁ、何だか酔っていた

「……いや、入るか」

数秒で我に返ると
変わっていた街並みに、変わっていなかったカフェの扉を押し開ける

カランコロン

小気味よいベルの音と共に店内に足を踏み入れる

「……あれ?」

旧友との再会を胸に抱き顔を向けたカフェの内部には
誰も居ない

「(あぁ、そういや……ここは、そういう店だったか)」

適当に、かつての自分がなじみにしていたカウンター席に腰掛ける

「アイツは……まぁ、運が良ければ会えるかな……にしても黒瑪瑙もいねーのかよ」

待てど暮らせど水一つも出て来ないので
適当に、ジュークボックスの音楽を切り替えるついでに、冷蔵庫から飲み物を拝借した

「待たせてもらうか……」

チーズを少しとアルコール類をカウンターに置いて
手酌でちびりと始めだした

476メイプル・ビターキャラメル:2012/01/09(月) 00:32:50 ID:HnkBBDEo0
>>475
「……やっべ、客さん来てたのか……気付かなかった。
 裏で夢中になってトライGやってたわ……。
 店長にバレたらどうすっか……まあいいか」

477甲/inAGカフェ:2012/01/09(月) 00:36:02 ID:hEYFzUVY0
「……お、アルバム一枚分聞き終わったか」

曲の変わりを耳で聞き、時計を目で確認した

「……」

ふぅ、と酒で湿った吐息を吐き出して
先程と相変わらず、無人の店内を見渡す

「眠ぃ……」

薄く流れるピアノジャズと程良く聞いた暖房
するりと廻ったアルコールが心地良い

ふらりと立ち上がるとカウンター席を離れて、長ソファーのテーブル席に移動する

「ふわぁあ……」

大きくあくびをすると、ボスンとソファーに寝そべった

「ちょっと、だけ……ほんの……五分、とか……だ……け……」

思考にもやがかかり始め
そのまどろみに身を任せると

程なくして、ゆるやかな寝息が聞こえ始めるのだった

478甲/inAGカフェ:2012/01/09(月) 00:39:56 ID:hEYFzUVY0
>>476
「(……あれ?……なんか人いた……?いや……人……?角……?
  …………あぁ、ペットか何かか……)」

ぼんやりとした薄ーい視線で角だけを確認して
そう断定すると再びソファーの柔らかさに身を任せた

479メイプル・ビターキャラメル:2012/01/09(月) 00:40:41 ID:HnkBBDEo0
>>477
「ええと、毛布毛布……あ、これ店長の奴か。
 んー、いいや使っちゃえ」

 やっと厨房から出てくる少年。
 戸棚から紅いチェック柄の毛布を取り出し、それを寝てしまった客人へとかけた。
 暖炉にも数本の薪をくべ、少し部屋の照明を落とす。
 この店では寝てしまう客人も数多く、その対応には慣れたものだ。

「さーて、僕も朝の仕込みを今のうちにやっちまうかー」

 そしてまた、厨房の中へと戻っていったのだった。

480甲/inAGカフェ:2012/01/09(月) 00:44:41 ID:hEYFzUVY0
>>479
掛けられた某店長の毛布のせいか
その日の夢は、何だかもうあり得ない位“紅一色”で

「……うーん……うーーん……」

寝ながらにして目が疲れるという事態が起こったとか起こらないとか……

481甲/in異能都市:2012/01/10(火) 22:24:21 ID:tw1V9icw0
【都市部:ビル屋上】

都市を見渡せる程度の小高いビルの屋上に
赤いマフラーをはためかせ男が立つ

「(……さて)」

買ったばかりの缶コーヒーのプルトップを上げ、口を付ける

「(俺がこっちに戻って来てから、遭遇した案件について、ちょっとまとめてみるか)」

ここまで高い所に上がれば、星もそれなりに見えて
考えごとに耽る

「(まずは……怪人、“スケイル”か)」

恐らく、現時点で都市に一番の被害を出しているであろう事件
黒沢の死亡報道がきっかけで関わり合いを持った
これまでに出会った“スケイル”は2体
1体は鳥型――ラルキム
流暢によく喋る怪人だった
コイツに会った事で、この都市に起こっている事態の大枠を、
更には“怪人”の力の一端を知る事が出来た

理由は様々であるが
怪人は人間を殺す
『殺さなければ体調が悪くなる』なんて言っていたが
『殺戮と戦いが大好き』とも言っていた
その本能が、何処から来るものか、皆目見当はつかないが
“人類の敵”という認識でまぁ、間違っては居ないだろう

事実――面と向かって『敵だ』と告げた時
奴は『それでいい』と笑ったのだ

「……強そうな奴だったなー……」

そして、もう1体――蛇の様な怪人
こちらは遭遇と同時に戦闘になった
結果から行くと、この戦闘には敗北してしまった

「(病院送りにされたしなぁ……やれやれ、命が有って行幸か)」

人間を襲う、という本能に忠実な奴で
獣の様な卓越した身体能力と獰猛さ
人間の様な狡猾な戦術と状況判断力
更には特殊能力までをも備えていた
怪人の脅威と――現段階での自分の力を身を持って知った

「(勘も動きもチグハグ過ぎた……このままじゃ次は、あの世行きか)」

さて
この怪人にはそれ以外にも気になる部分があった

「……あの能力と戦い方……そんで鱗が、取れた時の顔か」

それは、この騒動に関わるきっかけとなった
死亡したと報道された『黒沢小百合』に似ていた……と、いう事

「(実際、あん時ゃ余裕無かったしなァ……そこまで確信がある訳じゃねーけど)」

何にせよ、蛇の怪人は『黒沢小百合』と関わり合いがある可能性が高いだろう

「……んー……」

缶コーヒーが空になってしまった

後、まとめたい案件が2件程あったのだが
怪人事件の予想以上の濃密さに、既に頭の容量はいっぱいいっぱいであった

「(……またにしよう)」

空の缶を手の中でクルクル回して遊びながら、星空に大きく伸びをした

482ガルテラ:2012/01/10(火) 22:52:25 ID:ZFCfPuPg0
>>481
「ガルさーん、また歪みって奴に巻き込まれたみたいっす」
「道しるべのナントカが道に迷うってどうなんすか。ちょっと問題だと思うっすよ」

ふと眼下に、先ほどまで居なかったはずの三人の人影が現れた。
おそらく歪みに入ってしまいここに来たのだろう。

「煩いですね、別に目的地なんて無いんですからいいじゃないですか。
 それに、さっきの場所からどのぐらい転移してきたのかぐらいならわかります。
 ここは始めてみる場所ですが、いつでもさっきの場所に戻ることぐらいは出来ますよ」

二人は黒子のような格好をした、軽い雰囲気の声。
残る一人は大きなトランクとカンテラを持った男だった。
一応さん付けで呼ばれているので、おそらくカンテラの男の方が階級が上なのだろう。

「あ、ガルさん、上に人がいるっすよ。
 あの人に道聞いたらどうっすか?」
「だから道はわかりますって言ってるじゃないですか」

三人は甲に指を向けて騒いでいた。

483甲/in異能都市:2012/01/10(火) 23:03:25 ID:tw1V9icw0
>>482
「…………あん?」

何か、下の方から声がする
ひょいと屋上のヘリから顔を向けると

「こっちを指さしてるな」

遠巻きに見て、恐らく知り合いでは無いだろう

「何か用事かね?」

自殺志願者にでも見られたかなぁ……なんて思いながら

ふわり

屋上から身を翻す

「最短距離――よ、ほっ、とっ、さ」

ビルの窓縁を踵で蹴りながら降下し――着地

「――10.00……!!」
自画自賛の笑みを浮かべて

「……こほん」
ほんのり羞恥心に咳払いひとつ

「えーと……なんか用すか?」
ガルテラ達三人に話しかけた

484ガルテラ:2012/01/10(火) 23:12:58 ID:ZFCfPuPg0
>>483
「おおー」「すげえ」「能力者かな」
「この街じゃ珍しいことじゃないって言ってたっすよ」

黒子二人が拍手しながら甲に寄ってきた。
しかし、カンテラを持った男が荷物を地面に置いて二人の首根っこを掴み、それを阻止する。

「二人ともそういうことは止めてください、みっともない。
 ……部下がすいません。実は歪みというのに巻き込まれてしまって。
 あ、でも道はわかるんで大丈夫ですよ。どうせ目的地なんか無いんですし」

二人に比べ、この男は礼儀正しいようだった。

「わざわざすみません、降りてきてくださって。
 でも今のはすごかったですね」

485甲/in異能都市:2012/01/10(火) 23:22:18 ID:tw1V9icw0
>>484
「いやいやそんなそんな!!ちょっと鍛えてるだけだって!!」

よせやい!と手を振り喝采に応える煽てに弱い男

「あー……いやいや、そりゃ災難っすね」
しかし、礼儀正しいガルテラの態度に姿勢を正し
「俺も何度もやられてんすよねぇ……都市の出す『歪み予報』もあんまり当てんなんねーし」
ハハハ、と苦笑しながら頭を掻いた

「……ん、カンテラ」

ふと、目に留まるアンティーク然とした灯り

「珍しいっすね、趣味ですか?」

486ガルテラ:2012/01/10(火) 23:31:06 ID:ZFCfPuPg0
>>485
「はい、お恥ずかしながら今日は既に三度目でして。
 歪み警報なんてものもあるんですか。
 まだこの街には来たばっかりで、勝手がわからず……」

同じく男も苦笑した。

「これ、ですか?
 まあ、はい。趣味ですね」

そう言ってカンテラを持ち上げる。

「あんまりこういったものに詳しいわけでも無いですが。
 仕事の道具でもあり……と言っても仕事も休業していますがね」

487甲/in異能都市:2012/01/10(火) 23:42:29 ID:tw1V9icw0
>>486
「いや、過去の統計から発信地の予報を立ててるみたい何すけどね……
 まぁ、たまーに当たるっつーレベルの信憑性ですわ。朝のニュースとかでやってますよ」

天気とかと一緒に、何て付け加えて

「仕事道具?」

はて、カンテラが仕事道具になる職業って何だろう
本命・アンティークショップ
大穴・プロキャンパー
……考えてもイマイチ分からない

「異能都市には仕事で?
 差し支え無ければ、何の仕事か聞いても良いすか?」

ちょっと興味が出て来たので
気になる部分に質問を掛けてみる




ふと

「(…………それにしても)」

この目の前の人物に

「(何だろう……人間の気配がしねぇ)」

微かな――それでいて鮮明な
なんだか掴み様の無い違和感が頭をよぎった

488ガルテラ:2012/01/10(火) 23:57:42 ID:ZFCfPuPg0
>>487
「仕事の内容ですか?
 あんまり人間にはいい印象は与えないようなので言いたくは無いんですが……」

少し含みを持たせつつ、男は深呼吸した。

「……この街には半分仕事、半分趣味でやってきました。
 もっとも今は休業中なので、完全に趣味と言っても間違いでは無いですが」

ふと、甲の背後にも同じような、しかし男よりも小さな気配を感じた。
黒子の二人だ。
騒がしかった黒子はヒソヒソと不気味に何かを話している。

「ええっと……どうされます?
 と言っても隠し通せるようなものでも無いので……後悔しなければ……聞きますか?
 最も、話したからと言ってあなたに危害が加えられるなどと言ったことも起こりませんけど……」

男は甲に選択を迫った。

489甲/in異能都市:2012/01/11(水) 00:11:19 ID:tw1V9icw0
>>488
「……後悔?」

変な言い回しだな、と思った
加えて何となくだった違和感がやや膨らむ

「(笑ゥせぇるすまんの冒頭かっつーの……)」
あからさまに変化した雰囲気に少々心で毒づいてみる

後ろの二人の特に顕著な反応に、ほんの少しだけ注意を払いつつ

「や、さっきも言った通り差し支え無ければ、何で
 “隠してる”様な事はこっちは聞く気はねーです」

興味はある、けれど

「俺に話した事で、そちらさんの休暇が変な事になっちゃあ申し訳ねぇし」

なんて
ふ、とともすれば重くなりそうな気配の中で笑ってみせた

490ガルテラ:2012/01/11(水) 00:22:08 ID:ZFCfPuPg0
>>489
「ああ、後悔って言う言い方はちょっと違うと思いますが……。
 何しろ言った途端に襲って来られたような方も居るので」
「気にせず言っちゃえばいいのになー」「ばっかお前が一度能力者にボコられたことあった癖に」

後ろの二人はざわざわとまた騒ぎ始めた。

「すいませんでした、どうせ既に何人かにはばれているので言ってしまいましょう。
 私も隠し通すのは苦手です」

なんだかぺこぺこしながら語り始めた。

「……私は悪魔です。
 比喩ではなく、サタンやデーモンなどと言った伝説上のあれです。
 道しるべの悪魔ガルテラというのが私の異名であり名前です」

491甲/in異能都市:2012/01/11(水) 00:32:59 ID:tw1V9icw0
>>490
「それもまた……災難」

言った途端に即バトル
あぁ、そりゃ異能都市らしいなぁ……なんて思ったけど口に出さず

「……oh」

言っちゃうのかよ!と内心ツッコミ
……我ながら心が賑やかだなぁ

「悪魔、ガルテラ」
その名乗りに「へぇ」と感嘆の声を漏らす

「あ、どうも自分、甲(カブト)と言います」
そして、名乗られた事に対して名乗り返してから

「悪魔のひとっすかぁ……いやー……久しぶりに逢うなぁ」

珍しそうに
っていうかさっきより明らかに親近感を持った感じでガルテラと二人の取り巻きを見る

悪魔族と
この甲、過去に2名程知り合いが居り
その経験からかいきなり襲いかかる感じの雰囲気では無い様子だ

492ガルテラ:2012/01/11(水) 00:42:24 ID:ZFCfPuPg0
>>491
「言ったっすね」「襲って来ないな」「俺は大丈夫だと思ってたっす」
「逃げたくせに言うなよ」「お前もだろ」

二人はいつの間にかやたら遠くからガルテラの様子を見ていた。

「悪魔と言うものは悪いものと思われている風潮がありまして……いえ、決して全てが否定できることでもないのですが。
 あ、甲さんと申しますか。どうも」

遠くの二人を横目でにらみつつ、ガルテラはお辞儀をする。

「久しぶり……ですか。
 以前も私のようなのにお会いになったことが?」

どういうわけか親近感が増した甲に、首を傾げながら。

493甲/in異能都市:2012/01/11(水) 00:55:43 ID:tw1V9icw0
>>492
「いや、俺が会ったのはもっとこう……燃え盛る炎みてぇな奴と、後はキレると怖い執事っすねー……
 あぁ……まぁ、そいつらはこの都市には居ないと思います」

何だか懐かしむ様な遠い目をして

「ともあれ、いや、何だか違和感が解けてスッキリしたわー……」

ふー、と首を伸ばす
「さて」
と言葉を区切り

「せっかく知り合えて、申し訳ねぇんですが
 道も分かるっていうし、時間も遅いんでここらで帰らせて貰いますわ」

じゃあ、とお辞儀をすると踵を返した

「縁があれば、また――ほんじゃ、良い都市探索をっと」

別れの挨拶を告げて、歩き去る
闇夜に映える赤いマフラーはやがて暗がりの中見えなくなった


//寝ます
//ありあとござんしたーm(_)m

494ガルテラ:2012/01/11(水) 01:03:59 ID:ZFCfPuPg0
>>493
「なるほど……さすが異能都市と呼ばれて言る所為のことはありますね」

感心したように言った。

「どうも、さようなら。甲さん。
 こちらこそまたご縁がありましたら」

ガルテラは歩いていく甲に手を振った。

「違和感あったとか言ってたっすね」
「……やはり最初から多少は感づかれていたんでしょう」

トランクを持ち上げ、ガルテラは再びカンテラを掲げた。

「良い人で良かった。
 それじゃあ行きますか」

ガルテラは二人の従者を引き連れて、歩き出した。

495銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/12(木) 22:16:06 ID:HnkBBDEo0
「小腹が減ったぞー、と」

 そう言いつつも油の入った鍋に、衣をつけた玉ねぎを放り込んで揚げてゆく。
 オニオンリングを作っているようだ。

「んー、油物ばかりでもアレだし、トマトでも切るか。
 バルサミコ酢があったし、あれであえて食べよーっと。
 あ、アボガドあったっけ、アボガドアボガド」

 どうやら夜食を作っているようだ。

496:2012/01/12(木) 22:44:52 ID:Lco.ksP60
二人組の客がカフェに足を踏み入れる

「え?マジ戦闘?どこでさ?」
「いや、何か港の方だって……
 何でも噂の怪人と、何か赤いマフラーの男が派手にやってるらしいよ」

テーブル席に腰掛ける

「うへぇ……マジで?あそこ移民マーケットの近くじゃん、寄らないで良かったぁ……」
「いや、ほんとに。
 あ、テンチョー!ビール二つー」

497銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/12(木) 22:53:23 ID:HnkBBDEo0
>>496
「ほぇ!? あ、はいはいはいはい」

 冷蔵庫からジョッキを二つ取り出し、ビールサーバーへ。
 そして二つ同時にビールを注ぎ込む。

「港で戦闘? しかも怪人? 寒い中ようやるわー。
 あ、これ今自分用に作ってたんだけど、サービスでやるよ」

 ビールと一緒に皿に乗せたオニオンリングを二人の前へ。

「……ん? んん? 赤いマフラー?
 ちょ、待て。赤いマフラーの、どんな男よ?」

498:2012/01/12(木) 23:03:47 ID:Lco.ksP60
>>497
「やーありがとーテンチョーのそういう所、好き」

客は嬉しそうに皿とジョッキを受け取った

「えー……?いや、俺も聞いた話だからなぁ……
 能力者、ってのは間違いないみたいだけどねー……」

ビールを呑みながら首を捻る

「ぷはッ――……あー……確か、
 黒い髪が、赤くなったとかなんとか言ってたかなぁ?」

499銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/12(木) 23:10:16 ID:HnkBBDEo0
>>498
「……あー」

 自分もオニオンリングをつまみ、ガリッと噛み潰す。

「分かった。だいたい分かった。多分、っていうか確実にアイツだ」

 しばらくオニオンリングをモシャモシャと食べながら考え事をしていたが、
 やがてポツリと呟く。

「……今から行っても、間に合うかねー」

500:2012/01/12(木) 23:15:32 ID:Lco.ksP60
>>499
「へ?知り合い?
 流石ー顔広いねー」
ほろ酔い加減の客Aはにへらと笑いジョッキをあおる

「手ぇ貸したげればー?
 ……つーか、行きたいんでしょ?この、この」

同じくほろ酔いの客Bはクロスを肘でつんつん突いている

501銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/12(木) 23:19:52 ID:HnkBBDEo0
>>500
「う、うるせぇ! ああもう!」

 つついてくる肘を押し戻しつつ、コンロの火を消す。
 オニオンリングを口に放り込みつつ、残りはお客さんの前の皿に移した。
 そして厨房の中へと首を突っ込む。

「おーい、ちょっと出かけてくるー。あとよろしくー!」

 奥から「え、は? おい待ててんちょ、ゴルァ!!」という声が聞こえたが、
 クロスはスルーしてコートに袖を通した。

「すまん! 注文あるなら、他の奴に言ってくれ! ちょっと行ってくる!」

 口から衣カスを飛ばしつつ叫ぶと、店を飛び出していった。

502:2012/01/12(木) 23:45:09 ID:Lco.ksP60
「うわッきったね!」
衣カスを浴びつつ笑いながら見送る

「いや、好きだねーテンチョーも……」
「まぁ……願わくば、この店が閉店にならない事を祈りますか」
「違いない」

くくく、と笑うと二人の客はジョッキを合わせるのだった

503柊宇都 綾:2012/01/13(金) 22:46:02 ID:oB5LASG.0
―――柊宇都家。

ドアが数回叩かれた。
「……入る」
聞こえてきたのは、少女をこの家へ連れ込んだその人、
それ以上に、少女に『変化』をもたらした原因である女の声。

あれから、綾は少女をこの部屋に寝かせた。
簡素なベッドに色の無い壁紙。生活感の感じない部屋。
元々は住み込みで働いていたメイドが使っていたのだが……数年前からこの部屋を使うほどの人数は居なくなってしまった。
なので、今はベッドとその脇の小さな棚、それと壁に掛かった大きめの時計があるだけだった。
その時計は12時を指していたが、部屋は薄暗い。
窓に視線を向けてみればカーテンが異様に厚く、日光を遮断していたことが解るだろう……恐らく、カーテンは開けない方がいい。

504名も無き異能都市住民:2012/01/13(金) 22:56:46 ID:LB3kxF.Q0
>>503
部屋に運び込まれた少女は、毛布の中にもぐりこみ、何かを繰り返し呟いていた。

「これは夢、夢なんだ……」
現実逃避を始めてしまったらしい。しかし夢ならば、うたかたのように全てがリセットされるはずだ。
そのときが訪れないということは、やはりこれは現実らしい。

ドアの前から声が聞こえて、体を小さく震わせた。
彼女にとって、ルーツとなる吸血鬼であり、悪の親玉である。
恐怖より逃げ場を求めて、無駄だが、より深く毛布の中へもぐりこむ。

505柊宇都 綾:2012/01/13(金) 23:04:15 ID:oB5LASG.0
>>504
「……」
返事が無い。
まだ、眠っているのだろうか。

ドアノブを捻り部屋へ入り込んだ。
開いた扉を脚で抑え、ドアノブを捻る際に床に置いた椅子を拾い中へ。
ベッドの脇に椅子を置くとそれに座る。
同じタイミングで手を加えられなかったドアが大きな音を立てて元の位置に戻っていった。

膝の上に持ってきたお盆を乗せると……固まった。
ただ、一点。布団の盛りを凝視したまま。

506名も無き異能都市住民:2012/01/13(金) 23:10:49 ID:LB3kxF.Q0
>>505
ドアノブを捻る音、扉の開閉音、そして足音。
それぞれの音が近づく度に恐怖はまし、自らの心音が感じられるくらい緊張している。

「改造するの? 悪の戦闘員に……」
ふざけているようにしか聞こえないが、本人にとっては大まじめであった。

507柊宇都 綾:2012/01/13(金) 23:25:43 ID:oB5LASG.0
>>506
「……?」
表情は変わらずそのままに、首が傾いた。
そして、そのまま受け流した。子どもの遊びだと思って居るのだろう。

「お昼」
とだけ言った。
お盆の上にはサンドイッチが三つほど。

508名も無き異能都市住民:2012/01/13(金) 23:33:46 ID:LB3kxF.Q0
>>507
「……」
体の維持の為に急速に体内の栄養分を使用したので、空腹だったらしい。
がばっ、と毛布から少女が出ると、すぐにサンドイッチを手に取り食べ始める。
すぐに平らげた。よく噛まずに押し込んだ為に二三度咳き込んでいるが…

509柊宇都 綾:2012/01/13(金) 23:42:44 ID:oB5LASG.0
>>508
「……水」
ガラスのコップに入った水を差し出す。

「身体は、大丈夫?」
やはり、表情の変化は無い。
スッと真っ直ぐに伸ばされた闇色の髪。
それが顔の左のみ、瞳を覆うほどに伸ばされている為に余計表情が読み取れない。

510名も無き異能都市住民:2012/01/13(金) 23:48:12 ID:LB3kxF.Q0
>>509
手渡されたコップ一杯の水を飲み干し、喉を潤す。
水分と違った喉の渇きも感じており、この違和感に不快な気分を抱いていた。

「私は、死んだはずじゃ……」
五体満足であるはずがない。体には傷一つなく、むしろ以前と比べて軽くなった気分だった。

511柊宇都 綾:2012/01/13(金) 23:57:33 ID:oB5LASG.0
>>510
お皿とコップを受け取るとお盆と一緒に棚の上へ。
「それは……違う」
少女の戸惑う様子を直視する。
顔には出ないが、言葉の間からこちらにも戸惑いがあることを感じさせた。

「生きている。
 ただ……そのっ、人間……じゃない」

512名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 00:05:30 ID:LB3kxF.Q0
>>511
「やっぱり、夢じゃなかったのね……」
目覚めてから、いろいろ自分の体にある違和感を確かめていた。
肉食獣と同じように、捕食行動を行う為に発達した牙。触れただけで傷つけてしまいそうな鋭い爪。
様々な要因から、自らが人間でなくなったことを自覚させられる。

「あなたは悪の司令官?
 そしてここは悪の組織の、秘密要塞みたいなところ?」

513柊宇都 綾:2012/01/14(土) 00:15:53 ID:oB5LASG.0
>>512
「……違うけど」
小さく、呟くように言って否定する。
その際に開けた口からチラリと見えた、『同じ』牙。
あの時、少女の肉を割り入ってきた牙と同じ物が、少女に与えられていた。

「何かの、遊び……?
 悪いけど、後にして欲しい」
見兼ねたのか、そう尋ねる。
心なしか、向ける瞳が冷ややかに感じられる。

514名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 00:26:49 ID:LB3kxF.Q0
>>513
「ご、ごめんなさい……」
当然のことを訊くのは、失礼にあたるのだろう。などと、勝手に決め付けている。
悪の組織とはいえ、この人には逆らわない方がいいだろうと考える。
なぜなら悪の組織でヘマをやらかしたら、たいていはお仕置きが辛いものだからだ。

「えと、私はヴァージニアといいます……スラムで物売りをしてました……
 私の特技は、影を攻撃対象にできることです……」
なぜか少女の中で、面接が始まる。

515柊宇都 綾:2012/01/14(土) 00:44:47 ID:oB5LASG.0
>>514
「僕は、綾」
リョウ。アヤでは無い。

スラムで物売りをする生活……。
ただの、言葉からの先入観であるが、自分とは違う壮絶な生活を強いられているんだと想像する。
それに重なる、自らが与えてしまったさらなる不幸。呪われた永久と、『彼』は言っていた。
「……ヴァージニア」
椅子からベッドへと位置を移し、少女に手が届く位置に座る。
そうして頭に手を伸ばし、優しく撫でた。

「一つ、聞く」

516名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 00:53:04 ID:LB3kxF.Q0
>>515
近寄られた拍子に、体を少し強張らせてしまう。

「何でしょう、コ……リョウ様」
一瞬、コマンダーと呼ぼうかマスターと呼ぼうか迷ったが、
自分自身の価値観では、冷たく一蹴されてしまうきらいがあると判断したため、様呼びにしたらしい。
撫でられた鮮やかな緑色の髪が、小さく揺れる。緊張がちょっとだけ解れたようだ。

517柊宇都 綾:2012/01/14(土) 01:01:34 ID:oB5LASG.0
>>516
「様……?」
一瞬、顔を強張らせるが、すぐに戻る。
コホン。咳払いを一回してタイミングを整える。

「家族は……居る?」
聞いてはいけないことなのだろうけど。

518名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 01:09:15 ID:LB3kxF.Q0
>>517
その問いを提示されたとき、彼女の顔つきが暗くなる。
あまり思い出さないように、心の奥底にしまっていたひとつの事実。

「家族は……居ません。
 私は幼い頃、親によって奴隷商人に売られ、家族を失いました。
 そして……奴が目を離した隙に逃げて……」
そのあとは声が小さくて、何を言っているのかよく分からない。
悪を憎み、正義を愛するのはこの過去からも来ているらしい。

519柊宇都 綾:2012/01/14(土) 01:26:13 ID:oB5LASG.0
>>518
「……そう」
それで、それでいい。
もし、少女が暖かい家庭を持っていたのなら。と心の奥底で恐怖していた。

「僕も……居ないよ」
少女の瞳には見覚えがあった。
僕も、昔はそうだった。家族が、恋しかった。
今は、優しく抱きしめてあげよう。腕を伸ばし、胸の中に少女を抱きいれる。

520名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 01:36:50 ID:LB3kxF.Q0
>>519
彼女はとても戸惑っていた。
悪の首領が、配下に対する優しさを持っているとは思ってもみなかったからだ。

「リョウ様…」
されど、本能では抱き寄せられたことに対して一種の安心感を得ていた。
忘却の彼方においやった孤独による惨めな気持ち。本人は気付かないが、これを癒してくれていたのだ。

521柊宇都 綾:2012/01/14(土) 01:50:07 ID:oB5LASG.0
>>520
「……だから、辛さは、良く解る」
この悪の首領。実はファザコンである。
それも父の病死がトリガーとなって、記憶喪失になるくらいの。

「何……?」
そのまま、静かに口を開く。

522名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 01:57:49 ID:LB3kxF.Q0
>>520
「私、悪でも構いません…、期待に応えられるよう頑張ります……」
言葉は少しずれているが、その顔は真面目そのもの。

「人間じゃない生活の仕方を、教えてください……」
頭を下げて願い乞う。

523柊宇都 綾:2012/01/14(土) 12:53:07 ID:oB5LASG.0
>>522
「悪……」
呟いたのち、口を堅く閉じる。
考えていた。悪で、居るべきなのかを。
善悪の境。それは彼女が往々にして悩んでいた大きな疑問。

「基本は、変わらない……。
 慣れれば、光も少しは、耐えられる」

524名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 13:52:58 ID:iz9lBTtA0
>>523
「……?」
彼女にとって悪とは、姿形・格好が悪っぽいからである。
各々が判断する正義、悪とはモラルの区分であるのが普通だが…ちょっとそのあたりはズレているらしい。

525柊宇都 綾:2012/01/14(土) 14:18:06 ID:oB5LASG.0
>>524
「……」
今の姿は、そうなろうとしている故の物。
自らが悪であることは理解しているが、なりきれない故の物。
少女を深く暗い瞳で見つめ、小さく、ため息をつく。

「……ヴァージニアは、これで良かったかな。
 悪に生まれ変わって、それで良いと思える?」

526名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 14:35:44 ID:iz9lBTtA0
>>525
「私はできれば、正義になりたかった」
というのは口が裂けても言えなかった。悪の組織でそんなこと言えるはずもない。

「私はもう悪でも……もう引き返せないのなら……」
言った後に、そんな感情を受け入れてしまう自分がいることに気が付いていた。
血が馴染み、彼女は変わりつつある。

527柊宇都 綾:2012/01/14(土) 15:02:17 ID:oB5LASG.0
>>526
「引き返せない、何てことは無い」
右目は力強く、少女に視線を注ぐ。

「ヴァージニア、僕がキミに力を与えたのは、何故だと思う」
目の前の少女が、自らの心に支配されつつあることに気が付いた。
それは、今の自分と同じであると言う事。
思い込みに縛られて真実を捨て去ろうとする、その心。

528名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 15:14:20 ID:iz9lBTtA0
>>527
思いこみが強い子なのかもしれない。
形式に捕らわれ、身の丈にあった生き方に順応してきた彼女は、まるで操り人形のよう。
しかし、そのベースがあるからこそ今日まで独りでやってこれたのだ。

「自分の手足として、働く者を手に入れる為……?」
善意で人を助けるということは、悪では有り得ない。と考えたから。

529柊宇都 綾:2012/01/14(土) 15:30:57 ID:oB5LASG.0
>>528
「望むならそれもいい。
 でも、僕は思ってるくらいに悪じゃない……成り切れないんだ」
だからこそ、拭わなければいけない。
少女の間違いを知っている自分が。

「僕は……怖かった。ヴァージニアが、光を失う事よりも。
 僕の前で人が死ぬところが……怖かった。だから……」
目を逸らす、光に突き進もうとする少女を、無理やり闇に引き込んだ。
この事実が、今はとてつもなく怖かった。

530名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 15:50:59 ID:iz9lBTtA0
>>529
自分は悪じゃないと言われ、戸惑いを感じている。
善悪の線引きとはどこで決まるのか、改めて考え直すが。
やはり、今の彼女には分からなかった。

「私は、リョウ様が望むなら、その通りにします……」

531柊宇都 綾:2012/01/14(土) 16:01:33 ID:oB5LASG.0
>>530
「じゃあ、自分が正しいと思うことをする。
 キミが、僕に従う道理は無い……解る?」
相変わらず無機質な瞳。
ある意味で純粋な瞳は少女をただ見つめる。

532名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 16:14:33 ID:iz9lBTtA0
>>531
「……うん」
分かっているような口ぶりではない。
母体となる眼前の吸血鬼に支配されているという感情だけはどうしても消えないようだ。
従順に動かなければ、期待に応えなければ、という焦燥感。

533柊宇都 綾:2012/01/14(土) 16:32:40 ID:oB5LASG.0
>>532
「……ゆっくりでいい。
 夜なら、外に出ても大丈夫。
 外に出るなら、無理はしない事。それと、ここに帰ってくる、事」
口ぶりから察したのだろう。
頭をポンポンと優しく撫でる。

「もう少し、休む?」

534名も無き異能都市住民:2012/01/14(土) 16:40:21 ID:iz9lBTtA0
>>533
「分かり、ました……」
自分の中で蠢く、収拾の付かない様々な感情。
これについて考えていると、気分がだんだんと滅入ってくる。

「休みます……ごめんなさい」
謝る必要はないが、つい言葉に出てしまう。
しかしここで休まなければ、精神的に疲弊してしまうだろう。
彼女は毛布に潜り、思考をストップすることにした。
彼女が再び目覚めたとき、呪われた身をもって、夜の生活を始めるだろう。

// 長引いちゃってごめんなさい。お付き合い頂いてありがとうございました!

535柊宇都 綾:2012/01/14(土) 16:45:20 ID:oB5LASG.0
>>534
「……解った」
そういうと立ち上がり、お盆を持つ。
少女を静かな瞳で眺め、一度大きく瞬いてから去っていく。

「頼っていい……何でも」
去り際にそうとだけ言い、部屋を出ていく……。

//お疲れ様でした! こちらこそです!
//私の都合で中断を挟んでしまい、ごめんなさいです……。

536使い魔のキルリス:2012/01/14(土) 21:32:45 ID:zpQ2Gl7E0
【公園】
異能都市の一部、大通りに程近い公園に猫の鳴き声が聞こえる。

「な〜(…しかし、あ奴に連れてこられたは良いが、今更生きろと言われてもな――)」

公園のベンチ。
礼儀正しく後ろ足を折り、前足で立つ黒猫の表情は心なしか渋いものとなっていた。
この猫の特徴である蒼と紅のオッドアイ。

「にゃ〜お(大空の支配者が地を這うとはとんだお笑い種だ。これでは地理の把握も手が掛かるというもの)」

俯瞰したいのが本音。
だが嘗て大空を支配した翼は既に無い。
しかし、残る力は自分の物と相違無い。業火のブレスは吐けず、大地を切り裂く爪はあらず。
我に残るは旧き知識のみ。

「フニャ(…何を今更…。空に未練が無いとは言えぬが、一度は朽ちた身。約定を果たす機会が来たとするかの)」

嘗ての支配者の心の独り言は夜の公園に響く。
何を思ったか、黒猫はベンチを独占し、丸くなる。

537レア:2012/01/14(土) 22:20:27 ID:0DGoez6Q0
>>536
異能都市でよく見かける学院のブレザーに身を包んだ人物が、公園内へとやってきた。
とある人物は女性に見える。高めの身長に金髪のヘアカラーで欧州系のようだが、それ以外に容姿に特徴はなく、ごく普通の学生に見える。

スカートは若い女性の中で流行している短いようなものではなく、むしろかなり長めにしている。
リュックサックを背中でなく片腕で頭の輪を握り、もう片腕には有名チェーンコンビニの大きな袋を下げていた。

女性はベンチの前まで歩くと、その場で立ち止まる。
猫を見下ろすように、――猫はすぐにいなくなるだろう。むしろ、いなくなって当然だ。――動物に向けられることの多い『かわいい』などといった感情は微塵もなく、鋭い目付きで邪魔な猫を追い出そうとしている。

538使い魔のキルリス:2012/01/14(土) 22:42:04 ID:zpQ2Gl7E0
>>537
少しキツイ眼差し――柔らかな表現にしても、黒猫は意に介さない。
丸まったまま、一度ちらりとレアの瞳を見る。

あふぅと欠伸をしたかと思えば、再び丸くなる。
尻尾はゆらゆらと揺れ、時々耳がピクピクと動いている。

この様子だと、レアに場所を譲る気は一切見られない。
風が吹き、レアのコンビニ袋が音を立てる。

539レア:2012/01/14(土) 22:48:56 ID:0DGoez6Q0
>>538
しばらく無表情を崩さずに、猫を威嚇していた。が、しばらくして無駄だと理解したようだ。

その場にリュックサックを下ろす。中で金属らしきものが音をたてた。
それから、猫を持ち上げようと空い手を伸ばす。

優しさは見当たらないが、過剰に攻撃しようという部分もない。
ただ彼女はベンチに座りたいだけで、そのために猫は邪魔なのだ。

540使い魔のキルリス:2012/01/14(土) 23:00:46 ID:zpQ2Gl7E0
>>539
ピクリと、リュックが置かれた方向に目を向けた。
そして黒猫は自らに差し伸ばされた腕に気付くも、抵抗は見せない。
害意は無いと感じているのか、意に介していないのか。
何を思っているのか読み取れない。
ただ、目線は音の出所――リュックに目を向けて。

な〜と一鳴きすると、大人しくレアの手に収まるだろう。
性別はオス、オッドアイの瞳の瞳を除けば、外見は只の猫だ

541レア:2012/01/14(土) 23:09:15 ID:0DGoez6Q0
>>540
黒猫を手にとり、長い時間――といっても、一分にもみたい――硬直していたが、猫はベンチの端に置いた。
その隣に女性が座り、さらにその脇にはビニール袋とリュックサックが置かれる。猫のスペースはやや狭い。

その後、ビニール袋からパンを取り出し黙々と食べはじめる。
猫の事はもう気にならないようで、暴れるなり、泣きわめかない限り気にかけることはないだろう。

ちなみに、ビニール袋にはかなりの量の食品が入っている様子で、リュックサックの方はとても重そうだ。

542使い魔のキルリス:2012/01/14(土) 23:20:53 ID:zpQ2Gl7E0
>>541
包装の音を目敏く気づくと、じーっとレアの瞳を見つめる。
包装のクシャという音が気になるのか、黒猫はニャ〜と鳴く。

もし、猫の方向を向くなら気付くかもしれない。
黒猫の額(非常に狭いが)に僅かに肉が寄っている。人間で言う、『眉間にシワを寄せる』状態になっていることを。

「な〜(…解せぬ。何故我はこのような物に反応してしまうのか。)」

猫は、何故自分が音を気にするのか考える。その間も耳はピクピクと反応し、
手は今にもビニール袋に伸びそうではある。
レアには鳴き声にも聞こえるかも知れない。だが猫本人は必死である。

543レア:2012/01/14(土) 23:40:05 ID:0DGoez6Q0
>>542
パンを一口含むと、何が気になったのか猫に視線を向けた。
何かに反応したようにピクリと一瞬だけ体が動いたか、すぐに冷たい無表情に戻った。

そのまま、観察するように猫に視線を向けたままパンを食べ続ける。
パンの残りを袋の奥から取り出すときもクシャクシャ音が鳴るし、風が吹く度にコンビニのビニール袋は音を立てている。

一つ目を食べ終え、すぐ二つ目のパンに手が伸びていた。
今は猫がビニール袋の中を荒らさないか警戒している。荒らしたら容赦しないという雰囲気が溢れている。

544使い魔のキルリス:2012/01/14(土) 23:52:56 ID:zpQ2Gl7E0
>>543
大きなビニール袋が起こす音、パンの包装の音が気になるのか。
視線はレア――正確にはパンの袋とビニール袋と往復を繰り返す。

ようやく立ち上がったと思えば、じーと音の出処を探るように、瞳をウロウロさせて。
そうして、ようやく四足歩行をするかと思えば、ビニール袋とレアの手元を再び往復させて。

視線はレアに落ち着き、手から発せられるパンの包装に興味津々といった具合で
レアの膝へゆっくりと歩みを進める。

見る限り只の猫。追い払うのは容易い。

545レア:2012/01/15(日) 00:03:58 ID:0DGoez6Q0
>>544
猫の態度が無視できるものでは無くなってきたためか、こちらの視線も猫に釘付けになっている。
とはいえ、猫に何かする訳ではない。猫に好意を抱くつもりもないが、悪意もない。
彼女はただビニールを気にしている。ビニールの中のものに手をださない限り敵にはならない。

猫を追い払うことはなく、そのまま見つめている。
膝の上に乗っかったとしても怒りはしないだろう。

猫がどうして逃げないのかが気になるらしい、少し疑問を含んだ目付きである。

546使い魔のキルリス:2012/01/15(日) 00:17:23 ID:zpQ2Gl7E0
>>545
スイスイとレアの膝に向け、歩いて行く。
疑問を含む視線は美事なまでにスルーし、レアの膝に乗る。
それからはレアの膝の上で、レアを見つめる。

じーと見つめて、更にじーと見つめること約1分。
何もされないと学習したのか、猫の左足はレアのへそ部分に前足を伸ばそうとする。

547レア:2012/01/15(日) 00:28:12 ID:0DGoez6Q0
>>546
二つ目のパンを食べ切り、膝の上の猫に両腕で立ち向かう。
基準は不明だが、膝の上程度なら許容する、しかしそれ以上は駄目のようだ。
両腕で猫を捕らえると、再び自分の横に置いた。

するとそこに、元は持ち帰るゴミを少なくする目的だったのだろう。
パンの入っていた袋を結んで丸めたものが置かれていた。風が吹く度によく動くし、カサカサと音もなっている。

548使い魔のキルリス:2012/01/15(日) 00:40:49 ID:zpQ2Gl7E0
>>547
キュピンと、猫の瞳が輝いた気がする。
ちょこんとゴミをまとめた袋を触ってみる。
ガサリと音がして、転がる。もう一度、今度は強めに叩いてみせる。
また転がる。
勢い良くベンチから落ちたそれを猫は一心不乱にねこぱんちし続ける。
転がる袋を追いかけて両足で叩いてみたり、のしかかってみたり。
のしかかった際に袋から空気が漏れ、プスゥと情けない音を立てる。
時折、ニャ、ニャ、などと鳴き声を漏らしながら夢中になり遊んでいる。

そうして遊び続けて約5分程経過した時だろうか。
満足した顔に(見える)ゴミ袋を咥えて、レアの隣に座った。

549レア:2012/01/15(日) 00:51:35 ID:0DGoez6Q0
>>548
数分間に渡った、猫の格闘劇をただただ眺めていた。
ほとんど無表情で時折不思議な目をするだけと、表情に乏しかったが、猫の動きはしっかりと追っていたようである。

そして、満足そうな猫を見ると、ゴミへと手を伸ばした。
しかし、無理に取ろうとはしない。ゴミは捨てなければならないが、猫が気に入っているのならそのままにするつもりである。

ゴミの行方を確認したなら、ベンチから立ち上がる。
今度は背中にリュックサックをしょい、ビニールを手に持つ。

猫を一瞥すると、そのまま歩きだし、その場を後にした。

550使い魔のキルリス:2012/01/15(日) 01:10:23 ID:zpQ2Gl7E0
レアが立ち去り、一頻り満足した顔のキルリス。

「にゃ〜(我がこのようなもので満足するとは…)」

心なしかがっくりした様子の猫。
そして咥えたゴミ袋をどうするか悩んでいる。

「(遊び道具…だが、咥えて歩くには邪魔ではある。あ奴に準備させれば良いかの)」

口に咥えたゴミ袋を地面に落とす。
――――
人には理解できない言葉で紡がれた詠唱。それは容易くゴミを無へと返すのであった。
そして猫は歩き出す。

「無口な娘であった。」

少し気になるのは機械のような、表情の変わらない顔。
まるで感情の変化が見られなかった。
相手が龍ならば感情の変化はある程度読み取れる。だが、人間のそれは難しい。

では、帰るか、とばかりにその場を後にする猫。
ベンチを少し焦がしていることには全く気付かない。

551ガルテラ:2012/01/16(月) 21:58:00 ID:ZFCfPuPg0
街の、とある古本屋から、男が出てきた。
男はカンテラと、二冊の分厚い本を持っている。

「ガルさん、いい物でもあったんすか?
「いやあ、ようやく目当ての本を発見しました。
 あの一冊だけ無かった本と、ある魔術師の伝記です」

古本屋の外には、黒衣を着た者達が三人座っていた。
全員顔まで隠れる黒子のような格好をしている。
その内の一人は、大きなトランクを持っていた。

「ああ、あれっすか。
 でもあれ、言語が解らなくて読めないとか言ってませんでしたか?」
「いいんです。そう言うのを揃えるのが趣味ですから」

男達は古本屋の前から歩き出した。

552名も無き異能都市住民:2012/01/16(月) 22:12:41 ID:SSMHlh/20
>>551

「やあ、お前さんたち言語が分からないというのなら、
 こういうものは如何かね?」

ガルテラたちが本屋から離れようとしたその時、
大きなリュックサックを背負って、えっちらおっちらと歩いていたゴブリンが
話の内容を拾って声を掛けてきた。

その小さな掌には、主張しすぎない程度に銀の装飾が施されたモノクルが載せられていて。

「これは翻訳の術式を織り込んだモノクルで
 古代言語から亜人語、少数言語まで1600万言語をカバーする一品。
 今なら金貨12枚でお譲りしているが。」

リュックやポケットにはほかにも商品と思しき物品が
無造作に突っ込まれている所を見るに、この小鬼は
こういった魔道具の販売で生計を立てているらしい。

553ガルテラ:2012/01/16(月) 22:27:00 ID:ZFCfPuPg0
>>552
「あん?なんだあんた」「セールスはお断りだぜ!」
「黙ってください……私ですか?」

男は首を傾げながら振り返った。

「こういうのを自分で翻訳するのも私の趣味なんですが……」

否定の言葉を述べながらも、男はゴブリンに歩み寄る。

「……でも、このデザインは好みですね。
 アンティーク風で」
「ありゃ、興味持っちゃったよ」

モノクルは大概アンティークっぽいが、まあ、興味は持っているようだ。

「この装飾の作者なんかはわかりますか?」

554名も無き異能都市住民:2012/01/16(月) 22:43:42 ID:SSMHlh/20
>>553

「えーと、ちょいと失礼……。」

ゴブリンはモノクルを取り出した時と同様、
何処からかめがねを出して掛け、それをまじまじと見つめる。

「製作は122年前、ウィンドヒル魔法工房となっておりますな
 製作者の記録はありませんが、出所は確りした品ですから特に問題はないかと。」

営業スマイルを浮かべ、購入を進めるゴブリン。
銀の部分をよくよく観察すると、魔法銀とも呼ばれ魔術の触媒にもよく用いられる
ミスリルが用いられている事が分かる。

555ガルテラ:2012/01/16(月) 22:56:47 ID:ZFCfPuPg0
>>554
「なるほど……」
(ガルさんってああいうのも大好きっすよね)
(存在忘れて倉庫に入れとくだけなのにな)

ヒソヒソと、黒子風の男達は小声で話していた。

「でも金12枚は足が出ますね……。
 素材を見れば相応の値段かもしれませんが、
 ほんの少しでも……まけられません?」

自分の財布を除きつつ、交渉に入った。

556名も無き異能都市住民:2012/01/16(月) 23:04:17 ID:SSMHlh/20
>>555

小鬼の商人は『まけられないか』との言葉を聞いた後、
値踏みするようにガルテラを一瞥し。

「お客さんは確か初めてだねえ。
 よおし、ここは特別に金貨10枚ぴたりとしよう。
 これ以上は銅貨一枚たりとも負けられないが……どうさね?」

商人の風体は胡散臭いが品質は良さそうに見えるし
こうした魔道具は一品物であることも多く、ここで買い逃せば同じものを手に入れられるかどうか。
しかし、高価な買い物でもあるし購入の判断は難しい……。

557ガルテラ:2012/01/16(月) 23:22:21 ID:ZFCfPuPg0
>>556
十枚。
キリの言い数字であるし、恐らくその程度ならば簡単にまかると思っていた。

「10枚ですか……」

しかし"初めて"と言った商人に対し、買う、の一言が出せないで居た。
もしかすると、この商人とは異能都市に居る限り、何度も出会うかもしれない。
ここで、この程度の交渉力である印象を与えておいていいものか。

「……いいでしょう、買います」

考えていたが、とりあえず金貨十枚は自分の中で次第点。
金貨を十枚取り出した。

「おい、十枚だってよ。お前給料いくら?」「解ってんだろ。お前と同じだよ」

黒子は後ろで騒いでいた。

558名も無き異能都市住民:2012/01/16(月) 23:27:24 ID:SSMHlh/20
>>557

「まいどっ、今後ともボロッブ商会をごひいきに!」

小鬼は黄色く汚れた歯をにい、と見せて笑い
モノクルをガルテラへと手渡した。

それには、羊皮紙が添えられており
例の『ボロッブ商会』本店の所在や連絡先などが記入されている。

559ガルテラ:2012/01/16(月) 23:38:37 ID:ZFCfPuPg0
>>558
受け取ったモノクルは黒子に持たせ、頭を下げた。

(念のため、呪いなどのチェックをお願いします。
 売人の……)
(売人も知らずに呪いが掛かっていることもある、っすよね)

そして、黒子に耳打ちをする。

「ボロップ……商会?」

金貨を手渡しつつ、男は羊皮紙を読み上げる。

「うーん……まあ、今後も必要が出ましたら、よろしくお願いします」

560名も無き異能都市住民:2012/01/16(月) 23:51:14 ID:SSMHlh/20
>>559

「ひい、ふう、みい……。」

小鬼はジャラジャラと音を立てながら金額を確認し、
全部あることが分かると、それをひょいと上に投げた。

「店のほうには、他にも素材やら武具やらも置いてあるし、
 本屋の前でこういう事を言うのもなんだが、魔術書の類もあるから
 興味があればぜひ訪れてくんなせえ。」

宙を舞う金貨はそのまま、虚空に溶け消えて。

「んじゃ、あっしはこの辺で……。
 よい夜を!」

商談が成立したゴブリンは喜色満面のまま、手を振り人ごみの中へと消えていく。

561ガルテラ:2012/01/17(火) 00:03:18 ID:ZFCfPuPg0
>>560
「ガルさん、本当に使うんすかこれ?」
「かっけーなーこれ。俺も欲しい」
「うさんくせーなあいつ」

黒子達は思い思いのことを言っていたが、
男は割とうれしそうな顔をしていた。

「人を見た目で判断するのは良くないですね。
 とは言え、口調は確かに胡散臭く見える人も居るかもしれませんが」

そう言って、カンテラを掲げる。

「それでも、品揃えは私好みかもしれません。
 気が向いたら今度行って見ますか」
「俺もいきてー」「俺パス」

そして、騒がしい一団は歩き去った。

562ヴァージニア:2012/01/19(木) 21:50:27 ID:v5CqNAI20
初めて人の血を啜り、吸血鬼として生きることの辛さを味わった。
家に帰ってからも一人塞ぎ込んでいたが、人一人分の吸血により活動に十分なエネルギーを蓄えた彼女は、身体的な健康を取り戻し
精神面にも干渉して、徐々に調子を取り戻しつつあった。

それから外に出て、公園のブランコに座り前後に揺れていた。
考えることは、これからの自分の在り方。
生命活動を維持するならば、人間を捕食することが手っ取り早いが、
人間の食べる物でも、吸収効率は劣るが、十分なエネルギーを得ることができる。

問題は食費である。
以前のような食生活であれば、少ない稼ぎで食いつなぐことができたのだが、
今の自分ではそうもいかない。

「お金が、欲しい……」
財力がなければ、人を殺めるか、餓死してしまう。
彼女は未だ人の心を捨てきれないでいる。だからこそ、出来る限り吸血鬼の血に抗いたいと思ったのだ。
指針は固まった。まずはお金を稼ぐこと、それが彼女の第一歩。

563ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/19(木) 21:59:10 ID:WVrfsEdY0
【公園に設置された箱庭システム】
【丁度そこから実体化していく姿が見られる…】
「うー…きょうはちょっとつかれたの…」

【全身に包帯を巻いた群青の紙の少女がそこから現れた。ひどく疲れている様子である】
「なるほどなの…いめーじ?したらちょっとそんなかんじがしてきたなの」
【手に持った銀色に光る刀を見つめて頷いている…】

564ガルテラ:2012/01/19(木) 22:29:17 ID:ZFCfPuPg0
>>563
「あ、歪みに入ったっすね」
「そのようですね。この公園は……ああ、一度来た場所ですから問題ありません」

突然、三人の男達が公園の中に現れた。
一人は手にカンテラを持った男、残る二人は黒子のような格好をした男。
恐らく、歪みに巻き込まれたのだろう。

「公園ですか。丁度良い、休憩しましょう」
「あいさー」「りょーかいっす」

黒子の内の一人は、持っていた大きなトランクを置いた。

565ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/19(木) 22:36:49 ID:WVrfsEdY0
>>564
「あう?またゆがんでるなの?」
【微妙に空を見上げて不思議そうな顔をするディス】

「あうー、こんばんわなの〜。
 どうしたなの〜?」
【と、同時に三人の姿を見て軽く挨拶を死に行く】

566ガルテラ:2012/01/19(木) 22:44:29 ID:ZFCfPuPg0
>>565
「ああ、こんばんは」

黒子風の二人は、自販機を見つけると走って行ってしまった。
後に残ったカンテラを持った男は、ディスに気づくとにこやかに挨拶する。

「どうやら歪みに巻き込まれたようですね」
 ですが、道は……わかるので問題はありませんよ」

男は公園の外を見た。
恐らくそちらが元の場所なのだろう。

「それよりも、なぜ君のような女の子がこんな時間に……。
 ああ、失礼。この都市では別に不思議なことではありませんね」

567ドーラ:2012/01/19(木) 22:50:13 ID:7gFzKdaU0
>>お二方

錆鉄色の髪と目をした浅黒い肌の少女が、丁度空間から這い出るようにして現れた。
ず、ずず。と大きなシルエット、小柄な体に背負った巨大なリュックサックが途端に現出し――――。

べしゃ

「うあ――!? な、なんかぐにゃってなってべしゃってなってここ何処ー!?」

リュックサックの下敷きになって、少女がばたばたと手足を動かしていた。
そして、その動きでリュックの留め具が外れて…………どんがらがっしゃぁん、と大量の金属部品と工具と着替えと寝袋が飛び出し始めた。
その様子は凄まじく目立つことうけ合いだろう。

568ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/19(木) 22:50:48 ID:WVrfsEdY0
>>566
「あうあう、はじめましてなの〜。
 …そっかなの。ここではよくあるからきおつけたほうがいいかもしれないの〜」
【ニコニコ笑いながら答える。無邪気そうだ。】

「あうー。とっくんならあそこがいいからなの…
 でもこのあたりはよるでもひとがけっこうくるよなの〜」
【近くにあるのは箱庭への転送装置。どうやらそこにいたようだ。】

569ガルテラ:2012/01/19(木) 22:59:18 ID:ZFCfPuPg0
>>567
「あれ、ガルさん、その子だ……」

黒子風の男二人が、コーラを持って歩いてきた。
しかし、突然目の前に、大量の金属部品が。

「……え?……うわあぁっ!」

それを踏みつけ、男は二人とも倒れる。
同時にコーラが宙を舞い、金属部品とドーラに降り注いだ。

>>568
「ああ、箱庭と言う物ですね。
 話には聞いたことがあります」

男はそれを見ると、わざとらしく手を叩く。

「あれが箱庭ですか……なるほど。
 一度試してみたいですね」

うんうんと頷いた後、物音を聞いてドーラの方を見た。

「……何事ですか……!?」

570ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/19(木) 23:03:44 ID:WVrfsEdY0
>>567
「あう!?だいじょぶなの!?」
【ディスは慌てて急に現れた少女に駆け寄っていく】

「えっと、これおもたそうなの。もってもいいのかなの?」
【リュックサックを手に持って尋ねる】

>>569
「そうなの。あそこでならいっぱいとっくんできるみたいなの!」
【そう言って微笑んだ】

「えっと、たすけにいくの!」
【ディスは慌ててドーラの元へ駆けていった】

571ドーラ:2012/01/19(木) 23:07:34 ID:7gFzKdaU0
>>569
「うっぎゃー!?」

降り注いでくるコーラと金属部品に目を白黒とさせて。
耳をふさぎたく成るようなけたたましい金属音を響かせて少女の頭に缶と金属部品がド派手に命中した。
うー……、とその状態で意識を保っているのか、うぞうぞと動いており、立ち上がろうとしたがバランスを崩して立てなかった。

>>570
そんなところに現れたのが、貴方である。
リュックを手に持とうとする貴方を見上げて、錆鉄の双眸を嬉しそうに細める。

「ん、良いんだけど…………、すっっっっごぉぉぉぉっく重いよ?」

リュックを持ってみれば、並の怪力では持つのも大変な重量だと分かるだろう。
と言うことはである、それを背負って行動している少女の筋力は少々非常識なレベルであると思えることだろう。
もし貴方が60kgに満たない程度、中身がはみ出したため軽くなっているそれを持ちあげられれば、その隙に立ち上がって服をぱんぱんと払う筈だ。
格好は茶色の丈夫そうなつなぎであり、小柄な体だが、その姿はよく似合っていると言えただろう。

572ガルテラ:2012/01/19(木) 23:18:20 ID:ZFCfPuPg0
>>571
「尻!尻いてー!」
「なんなんすかあんたー!」

黒子は立ち上がり、ドーラの前に立ちはだかった。
一人はまだ倒れたまま自分の尻をさすっている。

「大丈夫ですか?」

カンテラを持った男が、ディスと共に歩み寄ってきた。

「お怪我は?これをどければ良いんですか?」

>>570
「一人で大丈夫ですか?
 人手なら沢山ありますよ?」

リュックを持とうとするディスを手伝おうとする。

「ちょっと、人手って俺らのことですか」
「俺、尻が痛くて無理っす……」

573ガルテラ:2012/01/19(木) 23:22:45 ID:ZFCfPuPg0
//おっと、順番入れ替えてます

574ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/19(木) 23:28:50 ID:WVrfsEdY0
>>571
「あうあう、きにしないでなの。
 ちょっとくらいならへーきなの!」
【そう言うとディスはリュックサックを掴んで】
「よいしょっとなの!」
【実に軽々と持ち上げてしまった。どう見ても子供なのに。】

「だいじょぶかなの…どこにおいたらいいかなの?」
【平然とした顔でドーラの顔を見る】

>>572
「あうー、へーきへーきなの〜。
 おもたいものはだいじょぶだからなの〜」
【ディスは確かに平気そうな顔でその重たいリュックを軽々持ち上げている】

「そのひとたちのほうがしんぱいなの〜。」
【そう言って黒子の人たちを心配そうに見つめている】

575ドーラ:2012/01/19(木) 23:32:08 ID:7gFzKdaU0
>>572
「う、うん。そうなんだけど…………って、仕事道具っ!」

がばっ、と立ち上がると地面に転がる工具を素早い動作で拾い集めていくだろう。
巨大なレンチや、ドライバーセット、その他にも大量の工具があり、しかもそれらが全て使い込まれた物だと理解できる。
しかしながら、古びているわけではなく確りと手入れされていると見受けられる所から、彼女の道具に対する愛着が分かるものだ。

工具についた埃や砂を払うと、なれた動作でつなぎに付いている収納ポケットにそれをしまい込んでいく事だろう。
立ち上がった姿はかなり小柄で、背負うリュックサックとほとんど同じくらいの背丈だった。
そんなものにパンパンに金属部品や工具を詰め込めば、動きづらいのは当然とも言えただろう。

「……あ、コーラ、大丈夫かな。はい」

落ちていたコーラを拾い集めて、コーラを黒子に渡すだろう。
頭に金属やコーラが大量に降り注いだのに傷ひとつない辺り丈夫なのだろう。
そして、その直後に――、ぐぅぎゅるるる!
お腹が大きな音を立ててなって、地面にへたり込んだ。

「…………おなか、減った…………」

見ればかなりの細身で、あまり食べているようには見えないだろう。
格好も少々薄汚れており、旅人というよりは浮浪児という方が正しいようにも見えてくる程だ。

>>574
「おー……わたし並かも」

地面にへたり込んだまま、感心したように笑みを零して。
何処に置けばいいか聞かれたため、自分の横を軽く叩いて。

「色々入ってるから、近くに置いといてくれるといいかなぁ、拾ってくれてありがとね!
……うぅ、おなかへった」

ぐぅぎゅるるる、お腹が鳴り続けている。
そして、その空腹が限界点に達した辺りで――――。

>>ALL
彼女の周囲から僅かに魔力が発露して、少しだけ生命力を周囲から吸い上げているのを感じるかも知れなかった。
ダメージにもならない程度の微量の吸引だが、どうやらまともな人間ではなさそうである。

576ガルテラ:2012/01/19(木) 23:48:06 ID:ZFCfPuPg0
>>574
「ああ、大丈夫ですか。
 こちらも大丈夫ですよ、騒ぐだけの元気があるので」
「酷い言い様っすね、俺たち被害者っすよ」「尻痛い」

なるほど、確かに元気そうである。

>>575
「何が腹減っただ、ふざけんなー!
 こんなに色々持ってるならそれ売って金にすりゃいーっす!」

黒子の一人が、ドーラの胸倉を掴んできた。
しかし、その間にカンテラを持った男が割って入る。

「ちょっと、気持ちは解りますが、流石にそれはやりすぎですよ。
 コーラ一本で」
「う……」

黒子風の男はしぶしぶと言ったように下がり、もう一人の黒子の元へ行った。
恐らく、カンテラの男の方が立場が上なのだろう。

577ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/19(木) 23:53:35 ID:WVrfsEdY0
>>575
「あう、これくらいへっちゃらなの!」
【そう言ってディスはドーラの近くにドサリとリュックを降ろした】

「あう?おなかすいてるなの?
 うーん…ちかくにうってるところあるけど…もってこようかなの?」
【そう言ってドーラの顔を覗き込もうとする】

「ん?なにかなの…」
【魔力を感じたのか少し不思議そうな顔になる…】

「うーん…なんだか『でぃす』までおなかすいてきたようなきがするなの…」
【そう言って軽くお腹をさする】

>>576
「あうー。だいじょうぶならいいの〜。
 …『でぃす』もなにかかってこようかなの?おなかすいてるみたいだからなの…」
【ドーラの方を軽く見ながらディスは答える】

578ドーラ:2012/01/20(金) 00:00:07 ID:7gFzKdaU0
>>576
「これが売れないからお金が無いんだってのー!
貧乏旅行者なめないで欲しいんだけど!」

黒子の一人が、彼女の胸ぐらをつかんだのなら、〝異様な重さ〟を感じたことだろう。
まるで、大地に根を張る戦車、いや、それよりも巨大な何物かの存在感。
胸ぐらを掴まれても、ずっしりとした重さを持つ彼女は、並の腕力では微動だにしない筈だ。

「……えっと、でもごめん……、でもでもさ!?あの、わたしもその、突然こんなところに出てきちゃって、良く分かんなくて。
お金、全くないから払えないんだけど…………えっと、兵器とかなら、あるよ?」

一応ながら悪いとは思っているのか、しゅんとした様子で横のリュックサックを漁り始める。
取り出したのは、異様な口径を持つ拳銃であった、かなりの大口径で独自の機構が多く見られる物だ。
お詫びとして出すには少々物騒過ぎる物である。

>>577
「そっかぁ……、普段ならわたしも簡単なんだけどね…………、うう、お腹が減った」

横のリュックに体を預けつつ、ふぅ、と息を深く吐く。
小柄な体でこれを一日中背負って動くのは、大変だろうと感じるだろうか。
そして、彼女は貴方の腕力に感心していた。旅をしていて、此れほど軽々己のリュックを持つ物はそうそう居なかったからだ。

「……えっと、わたしお金無いよ?……えと、えっと……、迷惑じゃないの?」

旅人として誰にも頼らずずっと一人で旅していた少女。
強かではあるが、誰かに頼ったりするのには慣れていなかった。
貴方が彼女を覗き込めば、くりくりとした錆鉄の双眸が、貴方を見据えることだろう。
何処か人とは異質な、まるで――――、亡霊のようなうつろな気配をその奥には秘めていた。

「……あー……、お腹減るとつい、回りの命を吸っちゃうと言うか…………、そのわたし、幽霊みたいなものだからさ。
と言ってもすごい丈夫だし、体もあるんだけどね」

ふぅ、と息を吐いて、深く吸って。
そうすると魔力が薄まっていき、お腹が減るのも収まるだろう。

579ガルテラ:2012/01/20(金) 00:10:45 ID:ZFCfPuPg0
>>577
「ああ、そういえば訓練の後でしたね
 買ってくるというのならば止めはしませんが……」

そう言ってドーラを見た。

>>578
「いえ、お気になさらず、120円程度……あ、100円らしいですね」

黒子が持っている缶を見て言い直した。

「いえ、そういった物に興味は……。
 売れない、とは買い取って貰えないと言う事でしょうか。
 それとも何か事情でも?」

男は取り出した兵器を止めた。

580ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 00:15:37 ID:WVrfsEdY0
>>578
「あうー。おなかすいてたらちからでないよねなの…」
【軽くお腹をさすって言う】

「あうあう、おこずかいならあるからへっちゃらなの〜」
【ポケットから千円札を取り出して微笑む。その貧相な服装とは裏腹にお金を持っているらしい】

「あう、そういうことができるなの…ゆーれい?」
【驚いた顔でドーラの足元を見る】
「あしはあるけどなの…」
【きょとんとしている。天然なのかもしれない】

「おなかすいたのおさまったの…
 うーん、たいへんそうなからだなの…」
【ちょっと心配そうだ】

>>579
「あうー。『でぃす』はまだへーきだけど…
 ひょっとしたらたべたらおさまるかなっておもってなの…」
【どうも心配性みたいだ】

581ドーラ:2012/01/20(金) 00:21:39 ID:7gFzKdaU0
>>579
「……その、わたし亡霊というか、幽霊というか、そんな感じのものなんだけどね?
なんというか…………、もの作ると、全部呪われちゃうんだよね、こう魂を込めちゃうというか。
最初の内は売れてたんだけど、だんだん持った人達に怪異が置きたりしちゃって、全く売れなくなっちゃったの」

よく見れば、彼女の手に握られている拳銃は不穏なオーラをまとっていた。
邪気も悪気も無いのだが、霊魂と言う立場上このような性質を付加してしまうのは当然とも言えただろうか。
どちらにしろ、この様な武器しか作れない職人ならば、生活をするのは難しいのは分かるだろう。

>>580
「……うん、その、結構燃費とか、悪いからね、わたしさ」

小柄でむしろ小食そうに見えるが、そんな見た目は関係無いのが、異能都市。
凄まじい食欲を見せても逆に違和感がないかも知れない。
まあ、それらにも確りとした理由があるのだが…………。

「……うっわ、めっちゃお金持ち!?」

出した千円札を見て、もはや尊敬すら覚えていそうな表情を浮かべる少女。
貧乏で常に財布に入っている金は2000円が限度の彼女としては大金持ちに見えたのだった。

「えっと……なんて言えばいいのかな、ちょっとまってて…………とうっ」

説明をするのが面倒だったのか、右腕をぐいっ、と横に伸ばす。
直後、腕の周囲に人魂が集まっていき――――、強大な砲塔へと腕が変化した。
体の随所から金属部品が飛び出しており、それらすべてが錆び付いていた。
暫くすると、元の姿に戻っていただろう。

「……まあ、こんな感じだね、わたし。
おっきな兵器と、沢山の軍人さんの魂で出来てるんだよ」

582ガルテラ:2012/01/20(金) 00:34:31 ID:ZFCfPuPg0
>>580
「あなたはディスと言うのですか。
 私はガルテラと言う者です……と、そんな場合でも無いですが」

ディスの名を聞いて、男はそう名乗った。

>>581
「ああ、それで……」

じいっとドーラを見つめると、納得したように頷いた。
何かを感じているのだろうか。

「……私はこの街に来たばかりですが、
 探せばいわく付きの品を専門に扱う商店も存在すると思います。
 別の街ですが、そのような店を見たこともあります」

拳銃を見回しながら、そう言った。
さらについ先日、男は魔道具をある商人から購入した。
魔道具とは少し違うかもしれないが、探せば似たような店もあるかもしれない。

「もしかしたら、そういったいわくが付く事で価値が上がることもあるかもしれませんよ」

583ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 00:40:57 ID:WVrfsEdY0
>>581
「そっかなの〜。おなかすいてたらたいへんだから…
 『でぃす』かってくるなの〜。」
【そう言って微笑む】

「あう?そんなにおかねもちかなの?
 その…いっぱい食べておかねもらえるのはもっとあるけどなの…」
【食べ放題のお店の話をしているようだ…】

「あう…すごいなの…
 えっと…いっぱいなにかでてきたの〜。その、すごいなの!」
【その姿を見てとても驚いているようだが…どうも語彙が足りない。】

>>582
「あうあう、『がるてら』っていうなの!
 よろしくねなの!」
【にっこり笑って返した】

「ちょっとまってねなの…
 なにかかってくるからなの…」
【そういうが早いか、スゴイ速さで近くのパン屋さんに走っていった】

【数分後…】
「おまたせなの〜!」
【ディスは紙袋を抱えて戻ってきた】

584ドーラ:2012/01/20(金) 00:44:17 ID:7gFzKdaU0
>>582
「……そういうお店もあったんだ……、普通に街中で露天出してたから……」

色々と世間知らずなのかも知れない、路上で武器を売ってもあまり買ってはもらえないだろう。
それでも割りと最初は売れていた辺り、彼女の腕も分かるかも知れないが。
貴方の視線を受けて、こてん、と首を傾げて疑問の表情を浮かべた。

うーん、と唸り、そして手元の拳銃を大切そうに抱きしめて、えへへ、と笑い声を漏らす。
大切なわが子。どうせなら沢山の人達に扱って欲しいと思うのだ。
そう思うと、ついつい魂も篭ってしまうというもので――――周囲に人魂が浮かび始めたが、直ぐにそれを慌てて吸い込んで消した。

行動が色々とうかつだが、妙に愛嬌が有り、亡霊と言っても全く怖さは無い。
奥底には、もしかすれば正視に耐えない深淵が広がっていても出自からすればおかしく無いのだが。

>>583
「ほ、ほんとにありがとねっ! うう、えっと、ディスかな?わたしは、ドーラ!よろしく!」

もはや泣き出しそうなほどにその相好を崩す少女。
そして、己の妙に物々しい名前を名乗り、右手を差し出すのだった。

「……そ、そういう物有るの?いいかも、それ……!今度その場所教えて!」

食べ放題を荒らし回るつもりの世間知らずがそこに居た。

「うん、他にも物を壊したり、粉砕したりふっ飛ばしたり出来るんだけど、危ないから見せないどくね」

余りにも物騒過ぎる己の力、それを不用意に誇示する事は無い。
只、彼女は世界を見て回りたい、それだけが目的で、戦いたいわけではないのだから。
そして、凄まじい速度で走りだして戻ってきた貴方を見て、じゅるり、とヨダレを垂らすのだった。

585ガルテラ:2012/01/20(金) 00:57:03 ID:ZFCfPuPg0
>>583
「はい、よろしくお願いします」

男は笑顔でディスの後姿を見送った。
当の本人はすぐに帰ってきたが。

「足に自信があるようで……」

>>584
「露店を出すのなら、街に市場ご存知でしょうか。
 そこでなら客も集まるでしょう、治安が良くない市場もあるそうですが。
 ……売れるかどうかも別ですがね」

男はドーラに案を出しながら、浮かぶ人魂を見て疑問を持った。

「……そういえば、亡霊の"ようなもの"と言うのは一体どういう?
 良ければお聞かせ願えませんか」

586ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 00:59:11 ID:WVrfsEdY0
>>584
「あうー、きにしないでいいなの〜。
 これ、たべるなの?」
【ベーコンレタストマトサンドが紙袋から突き出している…それをディスは指さしている】

「あう、しってるところはあっちにあったり…
 うーん、いろんなところにあるようなきがするなの…」
【とりあえずお店のある方向を軽く指さして場所を教えた】

「あうあう、それがいいなの…こーえんでそういうことはできないからねなの〜」
【そう言ってディスはメロンパンを取り出してむしゃむしゃ食べ始めた】

>>585
「あうー、あしははやいよなの〜!
 よくころぶけどなの…」
【照れくさそうに頭を掻いている】

「もぐもぐ…『がるてら』もたべてみるなの?」
【メロンパンを口に加えながら器用に言葉を発した】

587ドーラ:2012/01/20(金) 01:06:05 ID:7gFzKdaU0
>>585
「……うーん、とにかく言ってみるよ、いろいろありがとっ!」

にこり、と微笑んで少女は頭を下げた。
その後、貴方の言葉を聞いて、うーん、と声を漏らして。

「……なんて言えばいいのかなぁ……、おっきな列車砲だったんだ、わたし。
でね、戦場跡にずっと居たんだけど、気がついたら、皆がわたしに集まって、今のわたしになったの。
……いっぱいの幽霊が集まってできた、えっとなんだけ……、そうそう、ツクモガミ?ってやつに近いってじっちゃんは言ってたんだけど、…………よくわかんないや」

大量の魂が巨大な兵器をベースに集合して生まれた存在、それが彼女だったようだ。

>>586
「ありがとっ!」

そうして、それを受け取ると、すごい速度で平らげていく。
あぐあぐあぐあぐ、と速いというのに確りと噛んで大切に食べていた。

「……おー、うんあふっ、おいしい、あむあむっ、ありがとはむっ、ねー!」

食べながらしゃべっているのに器用な事に何も飛ばしていない。

「うんうん、森位なら頑張ればなくせちゃうからねー」

と、物騒なことを言ってみたりして。

>>ALL
食べ終えると、少女はうとうとと船を漕ぎ始めた。
気づいた頃には、リュックに抱きつくようにして少女は眠っていたことだろう。
此処に放置するもよし、何処かに連れて行くも良し、どうしようともしばらくは置きないことだろう。
寝る少女の顔は、悪霊とかにはとても見えないほど安らかなものだったという。

/*ね、眠いのです落ちるのです楽しかったですー!*/

588ガルテラ:2012/01/20(金) 01:19:38 ID:ZFCfPuPg0
>>586
「ハハハ……気をつけてくださいね。
 ……ああ、私は結構です」

軽く笑いながらそう言ったが、

「……もしかしてもう既に?」

照れくさそうな様子を見て、聞き返した。

>>587
「私は知っていることを話しただけなので……。
 なるほど……人由来のものではないと……。
 貴重なお話ありがとうございます」

こくこくと頷きながら言った。
興味を持っているのだろうか。

「……眠ってしまいましたか……。
 あなたの商売が上手くいくことを望みます」

笑顔でドーラを見ていた。

589ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 01:21:53 ID:WVrfsEdY0
>>587
「どういたしましてなの〜!
 うん、よろこんでもらえてよかったなの!」
【どんどん食べていくのを見てとても嬉しそうにしている】

「あうあう…そんなにすごいちからなの?」
【普通に感心していたが…】
「あう、ねちゃったなの…このままでいいのかなの…」
【少し心配そうに安らかな寝顔を見つめている…】
//おつかれさまー

>>588
「あうーそうなの・・・もぐもぐもぐもぐ」
【そう言ってディスはあっという間にメロンパンを食べつくし、次のパンに手をつけ始めた】

「あうー、そんなことはないなの!
 ここはなれてたからいっかいだけなの!」
【恥ずかしそうだ…】

590ガルテラ:2012/01/20(金) 01:28:05 ID:ZFCfPuPg0
>>589
「そうですか……いえ、すみません」

笑ったことを反省していた。

「それでも、あの速さはすごいと思いますよ。
 ですが、気をつけてください……あの速さでは人にぶつかると危険なので」

591ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 01:31:10 ID:WVrfsEdY0
>>590
「あうあう、きにしないでいいなの〜。
 これからはきおつけてみるからなの…」
【そう言って頷く】
「あたったらあぶないよねなの…
 『でぃす』へーきでもそのひとがあぶないなの」
【軽く反省したようだ】

「…あうー。そろそろかえらないとなの…
 その…そのひとはだいじょぶかなの…」
【そういってドーラの方を見る…】

592ガルテラ:2012/01/20(金) 01:40:31 ID:ZFCfPuPg0
>>561
「この辺りは治安も良いと思いますが……」

ディスがドーラを心配するのを見て、
ドーラに目を向けながら言った。

「確かに、ここにただ置いていくのも忍びないですね。
 かといって、会ったばかりの私の住居に連れて行くのも……」

良い案も無いようだが。

593ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 01:50:01 ID:WVrfsEdY0
>>592
「うーん…ここにいてもへーきかもしれないけどなの…
 とりあえずおへやにいれたほうがいいからなの…」
【ちょっと考えた後、口を開く】

「あうー、じゃああのおみせがいいんじゃないかなの!
 よくしってるひとだからあそこならあんしんなの!」
【指さした先には喫茶店らしきお店がある…AGカフェと呼ばれる場所のようだ】

594ガルテラ:2012/01/20(金) 02:00:34 ID:ZFCfPuPg0
>>593
「そうなんですか。
 それは丁度良いですね、では運びますか」

そう言って、ドーラを抱え上げる。
公園から、AGカフェに運び込んだ。

「この店ですか?ディスさんのお知り合いの店と言うのは。
 ……毛布はあるでしょうか……」

ドーラをソファに寝かせ、手近にあった布をかける。

「助かりましたね。
 この店には今度正式に客としてこなければ……。
 ……おっと、もうこんな時間ですか。
 ディスさん、私はこれで」

そう言って、男は黒子を置き去りにしてきた公園に戻っていった。

//PCの電池やばいので落ちまする…
//駆け足で申し訳ない、おつありでしたー!

595ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/20(金) 02:10:07 ID:WVrfsEdY0
>>594
「そうなの。ここにいるひと…『くろす』はしってるひとなの〜!
 だからあんしんしていいなの!」
【お店に入ってから嬉しそうに答えた】

「あうあう、ここにひときたらきっとよろこぶなの!
 だからまたきてねなの〜!さよならなの〜!」
【にっこり笑いながらディスは見送っていった】

「ふぁー…ねむくなってきたの…」
【しばらくして…ディスまでお店の中でぐっすり寝てしまったらしい】
//おつありさまでしたー

596ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 00:51:32 ID:WVrfsEdY0
【異能都市・裏路地】
【突然歪みの穴が広がり、そこから一人の少女が現れる】

「…あう?うーん…へんなところにでちゃったかなの…」
【困った顔であたりを見回す】

「とりあえずひろいところにでようかなの…」
【ゆっくりと広い道の有りそうな場所へと歩き出した】

597ヴァージニア:2012/01/21(土) 00:59:33 ID:riLuPbqM0
>>596
本能が血を求める。
それを行わなくては、肉体が滅びゆく定め。

無我夢中で人の血を啜った、あの時のように。
我を忘れた彼女は、無差別に牙を剥く。

鞄から出したナイフが月光を浴び怪しく光る。
まだ狩りに慣れていないことが幸いした。気配を消すことを怠った結果、相手に自分の存在を悟らせる結果となる。
それでも彼女は血を求め駆け出していく。

598ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 01:03:06 ID:WVrfsEdY0
>>597
「あう?…なんかにおいがするの…」
【鼻をくんくんと鳴らしてあたりを見る】

「……うーん、『ろざりあ』とにてるけど…かなりちがうの…」
【立ち止まって空を見る。何処に誰が居るのか、感覚を研ぎ澄ませて確認しようとしている。】

599ヴァージニア:2012/01/21(土) 01:11:58 ID:riLuPbqM0
>>598
ある程度の距離を縮めたら、全力で走りだす。
狙うは首。急所を穿つことで、狩りを手早く終わらせようというのだ。

600ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 01:16:50 ID:WVrfsEdY0
>>599
「なん、おとが!?」
【突然聞こえた音を頼りにディスは周囲に包帯を撒き散らし始める】

「どこにだれがいるなの!?」
【包帯が四方八方に張り巡らされたために相手の動きが制限されるかもしれない…】

「ちかくかなの…」
【残りの包帯は相手の攻撃を防ごうとディスの周囲を漂っている…】

601ヴァージニア:2012/01/21(土) 01:21:59 ID:riLuPbqM0
>>600
包帯の妨害が入ったので、別の攻撃手段を取る。
ナイフに込めた魔力が疾風へと変質し、風の矢となって獲物に対し向かって行く。
貫通の属性が強く、一点に集中したタイプの為、護るよりは回避をすることがよいだろう。

602ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 01:24:53 ID:WVrfsEdY0
>>601
「…においがあっちからくるなの!」
【ディスはにおいを頼りにしてその場から逃げるように走り出した】

「ひろいところのほうがいいかもしれないの…」
【その速さは少女のものとは思えない。あたりを見回してその姿を確認しようとしているようだ】

603ヴァージニア:2012/01/21(土) 01:37:33 ID:riLuPbqM0
>>602
ナイフのリーチでは、包帯を越えて攻撃することは不可能だと判断する。
攻撃速度はそれなりなのだが、間を詰めようのない相手に対しては。
ナイフを鞄にしまうと、手に魔力を込め始める。
みるみるうちに風の刃が形成され、リーチはナイフよりも長く、切れ味はより鋭く、されど軽い武器となる。
地面を蹴って宙に浮くと、空中を更に蹴ることで勢いを増して接近を試みる。
形成した風の刃を横薙ぎに振ろうとする。

604ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 01:42:18 ID:WVrfsEdY0
>>603
「…ちょっと・・まってなの!」
【ディスは前方からやってくる風の刃を前にして、背中に持っていた銀の刀を】
シャキン!
【包帯を操作して引き抜き、前方に大きく振る】

ガギィン!!
【風の刃をその銀の刀身で防ぐと、ディスは口を開く】
「はなしをきいてなの!なんできゅうにこーげきしてくるなの!?」

605ヴァージニア:2012/01/21(土) 01:55:04 ID:riLuPbqM0
>>604
銀の刃を見てビクンと体が震える。
銀といえば、吸血鬼の弱点の一つと言われており、どうやら彼女も例外ではないらしい。
それによって一時的に理性が引き戻されたのか、目つきが若干変わったような気がする。

「な、なにしてるの……私……」
一連の己の行動に対して、問いかける。
お腹が空いたと思ったら、急に意識が遠のいて、気が付けばこれだ。
動揺しないはずがない。逃げるなら今のうちだ。

606ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 02:01:18 ID:WVrfsEdY0
>>605
「え、えっと…きゅうにこうげきしてきてなの…
 えと、だいじょぶなの?」
【銀の刀を手に持ったまま、意識を取り戻したその少女に問いかける】

「なにかあったの?その…
 おなかすいてるの?」
【ディスは吸血鬼を相手にしても驚きを全く見せない。まるで慣れっこのように見える。】

607ヴァージニア:2012/01/21(土) 02:19:33 ID:riLuPbqM0
>>606
「ごめん…、本当に…」
空腹ゆえに誰かを傷つけることは、己が駄目だと決めたのに。
自分自身の良心が、ドス黒い何かに浸食されつつあることを感じ取っている。
変化するのは身体だけに収まらず、精神すらも……

「…ぐ、ぐぐぐ…」
その場から彼女は逃走を始めた。
このまま此処に居たら、また誰かを襲いかねない。
今は帰るのだ。あの家に戻れば、最低限の食料は支給してくれるのだから。

// 眠気が来ちゃったので、ここで締めさせていただきます。お付き合いありがとうございます。

608ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/21(土) 02:24:33 ID:WVrfsEdY0
>>607
「あ!ちょっと・・・」
【ディスが呼び止めるよりも早く、ヴァージニアは走りさってしまった…】

「…あれは…たいへんなときの…
 なんとかできないかなの」
【ディスは彼女がよく知っている人物と似た境遇なのではないかと思っている…
 なりたての吸血鬼…なにか助けになりたいと、心の内で思っていた。】
//お疲れ様でした

609ドーラ:2012/01/23(月) 21:18:16 ID:7gFzKdaU0
錆鉄の様な髪と瞳の色をした少女が、公園のベンチで食事をとっていた。
大量に積み上げられていたのは、所謂ファーストフード店のハンバーガーである。
どうやら最近までタダ券を配っていたのを狙って、大量にハンバーガーを買い込み、それを消費していたようだった。

「あぐっ、はぐはぐはぐっ!あむっ!」

大体3口位で胃の中に叩きこまれていくジャンクフード。
隣にはハンバーガー以外にも異様に巨大なリュックサックが有ったりして。
なによりも意識を向けさせるのは――――墓場を思わせるような、そんな薄ら寒い気配だったろうか。

そしてひときわ大きく口を開けて、ハンバーガーを頬張ったのだが――――。

「ん――――!?んぐっ、あ…………んー!むー!むむー!」

喉に詰まって、わたわたと暴れている姿が目に入ったことだろう。
傍らにペットボトルの水が置いてあるが、パニックで手に取れないようだった。

610ドーラ:2012/01/23(月) 21:35:10 ID:7gFzKdaU0
>>609
/*撤収ー*/

611銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/25(水) 23:45:06 ID:HnkBBDEo0
 喫茶店アップルギロチン
 今日も今日とて店主は何やら、喫茶店には似つかわしくない作業を進めていた。

「あー、あまり聖鉄を混ぜると良くないのか? でも魔鋼との競合を考えるとなー。
 ミスリルもいいんだけど、あれは他の素材と混ぜると途端に脆くなるし……うーむ」

 どうやら能力で色んな種類の鉱石を混ぜ合わせ、新たに合金を作っているようだ。

「魔力、邪気の通りをもっと良くできれば、戦闘や鬼神化も効率化できると思うんだけどなー。
 うががががー、こういう難しい理系っぽい作業は嫌いなんだよなー」

 男は今日も鉄と共に生きる。

612名も無き異能都市住民:2012/01/25(水) 23:59:26 ID:SSMHlh/20
>>611

「やあ、なにやら金属をお探しかね?」

そんなクロスに、声を掛けるものがあった。

その声を発した生き物はのはいつの間に入り込んだのか厨房から歩み出てきた。
成人男性より幾分か背が小さく尖った耳と鼻、赤褐色の肌。そしてパンパンに膨らんだリュックサック。

ファンタジー物の作品でよく登場するゴブリンと言う種族だろうか。

「今なら、月末セールで魔道具、魔術触媒が5〜25%引きのセール実施中。
 どうかね?何か良質の金属でも買っていかんかな?」

613フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 00:02:14 ID:D8TdtUsY0
>>611

「こんにちはー」

カランカランとドアベルを鳴らして店に入ってくるのは、
白衣を着たいかにも保健室の先生といった風情の、金髪の女性。
手には何やら物をたっぷり詰め込んだらしい、パンパンのキャリーバックが引かれている。

「あれ、お茶でもと思ったんですが、お取り込み中ですか?」

作業に難儀しているらしい店主にいぶかしげな表情を向けている彼女の名はフランシスカ・キールダリア。
以前、異常進化したゴキブリを駆除した際に、駆除依頼を出していたこの喫茶店の店主のことを道中で思い出し、
今し方言ったように喫茶をしにここに来たのだったが……。

614銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 00:21:28 ID:HnkBBDEo0
>>612
「チッ、まーた変なのが出ーてきたー!」

 椅子に座ったままクルlルと周り、男の方へと向き直る。
 「いつの間にかいる」「気配が無い」
 そんな奴はこの都市では日常茶飯事のようで

「じゃあ魔鋼や邪金の融点温度にも耐えられるような熔鉱炉はあるか?
 できればそんなに大型じゃないヤツがいいんだが」

>>613
「ああ、いや、気にすんな。いつもこんな感じだ。
 いらっしゃい、お茶ならそこのドリンクメニューにあるよ。
 今日のオススメはカウンター後ろの黒板に書いてある。
 ま、好きなのを選んでくれ」

 紅茶、コーヒーから普通のジュース、中にはエーテルや薬品のようなものまでメニューにある。

「って、お前どっかで会ったっけ?」

615ホイ:2012/01/26(木) 00:29:58 ID:PBnIervYO
「んぁ?おきゃくさんか?いらっしゃい」
店の奥、居住空間の方から、下半身がムカデの美しい女性がぬっと現れる。
その腕に様々な「よくわからないもの」を抱えている。
青紫色に鈍く光る鉱石だったり、カタカタと震える呪文を刻んだ鉄片だったり、それらの内包する邪気が、店内をほんのり怖気すら感じる虹色に染め上げていく。
女性は挨拶をしつつも、それらを抱えたままカウンター内部(厨房)へ淀みなく移動していく。

616フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 00:35:29 ID:D8TdtUsY0
>>614

(あらら〜、忘れられちゃってますねー。ま、無理もありませんけど)

喫茶店というものを営んでいる以上、人の出入りも激しいだろうし、何よりそんなに深く関わった仲でもない。
店主であるクロスの反応は当然と言えば当然と言えよう。
フランシスカはクロスに「ああいえ、気のせいでしょう」と手を振りながら応え、

「それじゃ、お勧めを貰えますか。あと何か、軽食の類を。サンドイッチがいいかな。
 ところで、何かお悩みの様子でしたね。もしよろしければ、何を悩んでいたのか教えてもらえませんか。
 場合によってはお力になれると思います」

カウンターに座ったフランシスカはキャリーバックを足下に置くと、そんな問いかけをする。

617名も無き異能都市住民:2012/01/26(木) 00:35:45 ID:SSMHlh/20
>>613-614

店に入ってきたフランキスカを一瞥し、
帽子を取って軽く挨拶してからクロスのほうに向き直る。

「ふうむ、そうですなあ……。
 ですと……これなど、どうですかな?」

ぽん、と軽い音とともに小鬼の手に現れるカタログ。
かなり年季の入ったものらしく黄ばみや痛みが酷いが魔術が仕込まれているらしく、
商品の写真が動いたり、宙に解説の文字が現れたりしている。

――『ピュラゴネスの鋳造窯』

解説によると、とある島国の銅鋳造所で使用されていた窯で
ピュラゴネスと呼ばれる虫より多少大きい程度の小さな『竜』が住み着いているのだという。
これはサラマンダーのように、火の中でしか生きられない生物で非常に希少性があるのだとか。

しかしこれは、どちらかというとコレクターズアイテムのように見えるが……。

618銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 00:42:19 ID:HnkBBDEo0
>>615
「ストップ! ホイ! ストォォオオオオオオオオーップ!!」

 流石にツッコミが入った。

「何、その……何!? アナタがハンドにガッチリホールドしてるイッツは一体ホワッツ!?
 そんなサムシングを厨房にブチ込んで一体何をクッキングする予定だったんディズカ!?」

>>616
「あ、え、はい」

 気のせいであると言われ、食い下がることも出来ず。
 仕方なく自分を納得させる方向で行った。

「オススメなー。あー、じゃあ何か紅茶でも淹れるか。
 フルーツフレーバーとか大丈夫だよな?」

 そう言いつつもヤカンに水を入れて火にかけ、その間にサンドイッチの準備をする。

「悩みっつーかなんつーか。金属は電気の他にも魔力や邪気を流すことが出来るんだが、
 やっぱりそれも素材によって流れる効率が変わるんだ。
 んで、今は強度と流れの良さ、どちらも備わった金属を探しているのさ」

>>617
「なにこれ、アンティークだけど持ってる歴史がカッケェ!」

 なんか大喜びである。

「金属はね、俺の能力『いくらでも手に入る』んだけどねー、こういう道具類がなかなか。
 しかし面白いカタログだな。この鋳造窯の性能も気になるが、どのくらいの大きさだ?」

619名も無き異能都市住民:2012/01/26(木) 00:56:44 ID:SSMHlh/20
>>615

「おやぁ。」

クロスと商談を行なっている最中の小鬼の視線が、
ホイの抱えているよくわからないものへ。

「ほう・・・…。」

なんだか分からないが、商人は満足そうな表情を浮かべた。
なんだというのか。

>>616

「それほど大きくはありません。
 いや、大きいものもありますが小さな物は家庭用暖炉ほどですよ。」

小鬼の言葉とともに、写真が空中に浮き出て、
大きさの違ういくつかの窯を映し出した。ご丁寧に、
比較用の人間大の人形まで表示されている。

「ほかには、こういったオーソドックスな品もありますが……。
 小型のものとなるとどうにも性能が劣ってしまいます。
 アダマンタイトやミスリル魔法銀、ヒヒイロカネなどの加工用素材などはいかがですかな?」

魔女が使用する大釜だとか様々な商品が目まぐるしく表示されるが
クロスの目にかなう品があるかどうか。

620フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 00:58:55 ID:D8TdtUsY0
>>615,617

台所から出てきた当たり、ブラウニーといった家事手伝いの妖精と最初は思ったが、
クロス相手に商談を始めるあたり、どうにも違うらしい。
そんな彼(?)から会釈されたので、こちらも小さく頭を下げる。

と、そうこうしているうちに、また別の人外らしい存在が色々持って出てきた。
「いらっしゃい」と言われた以上、こっちが家事手伝いか。
一応こちらにも頭を下げて会釈。

>>618

「フルーツフレーバー。良いですね」

微笑んでいるフランシスカの表情を見る限り、不満は無さそうだ。

「そうですね。そういう場合、私は大概ミスリル銀を『垢抜き』して使いますね。
 ……ああ、すみません。『垢抜き』と言われてもピンとこないですよね。私の昔の職場で使われてた隠語ですし。
 『垢抜き』というのは、要は「無属性化」です。
 昔はミスリルと言えばモリア坑道産しか無かったものですけど、今現在出回っているものの主流は、
 大体他の鉱山のものですから、どうしても何かしらの属性が乗っちゃってるんですよね。
 マスターが考えているように何かしらの力を流すのであれば、そんな属性は邪魔でしかありませんし、消しちゃった方が良いんですが……。
 その方向は考えてみましたか?」

……と、言うか、彼女の関心は喫茶よりクロスの悩みに移っているようであった。

621ホイ:2012/01/26(木) 01:01:45 ID:PBnIervYO
>>618
「いあぅ!?クロス、いきなりうるさい!」
ビクッと体を震わせるホイ、ガタンとカウンターからも音がする。下半身もビクついたのだろう
「なにってー……ほら、あれ。みる」
すっと静かに店の有る一点を指差す。そこには半紙によれよれな平仮名で「ほいのきまぐれ 800」と書いてある。

「だれもたのまないけど、たまにれんしゅーしてるんだぞ」
言いながらゴトゴトと厨房に展開されるカオティックなサムシング。
何かを讃える光とか、何かを恨む音とか、鳩が列車砲喰らうような絶望とかが、まな板の上で調理を待ち受けている。

>>all
「たべるか?さんどいっち」
ホイの他に味見する人が欲しかったんだ、などと店長他、客の二人にも無邪気な笑顔で恐ろしい事を訊ねてきた。

パンらしきものも具らしきものも見あたらないが、今日の気まぐれは『サンドイッチ』らしい

622銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 01:15:23 ID:HnkBBDEo0
>>619
「ヒヒイロカネとアダマンタイトは、えーと……」

 両手を握り締め、

バッドエンドトリガー
「 紅獄罰骨 、発動」

 クロスの身体に邪気が宿る。次の瞬間にはクロスの手の上には金属が出てきていた。

「あ、出せた出せた。金属系は問題無いなー。やっぱり熱に強い石とかの鋳造路が欲しいところだわ。
 窯はやっぱり、いま紹介して貰った奴が良さそうだな」

 ふむふむとカタログから出てきた写真を見つつ、頭の中で計算する。

「窯の置き場所は……まぁ、大丈夫だろ。いざとなったらまたリフォームすればいいや。
 んじゃ、その窯くれ! 金額は幾らだ? できれば火力を意地できる燃料も一緒に買いたいんだが」

>>620
「垢抜き?! なにそれ、そんな技術あるの!? それいいな!」

 ティーポットにお湯をいれつつ、片手に集中し、邪気を込める。

バッドエンドトリガー
「 紅獄罰骨 、発動」

 やがて、クロスの片手の上に銀色の鉱石が構築され、コロリとカウンターの上に落ちた。

「あー、やっぱり何かしらの属性が入ってるわ。
 俺が能力で生成したとはいえ、アカシックレコードの中で堆積してる情報の中からランダムに属性を宿すみたいだ」

 男はむー、と悩む。

「うーん、ちゃんと意識すれば無属性状態の鉱石召喚はできそうだけど、ちょっと集中が必要だな。
 要するに俺の鍛錬の問題かもしれねぇ。でも、いいなコレ」

 何かがつかめたようで、男はニシシと笑う。

「いい話が聞けたぜ、ありがとうよ!」

 そう言いながら、サンドイッチと紅茶をフランシスカの前へと出した。

>>621
「待て、待て待て待て待て待て」

 冷や汗をダラダラ流しながらクロスはホイの調理(?)風景を見る。

「お前の作ってるソレは、果たして健全な人類が食えるシロモノなのか?
で、サンドイッチ? それが、サンド……イッチ……?」

 しばらく悩み、

「分かった、食べよう。ただし、その、アレだ。
 いきなりお客さんに出していいものかどうか、俺が判断する。
 そういうのを判断するのは、やっぱり店長である俺の役目だからな!」

 クロスは涙目になりながらも、覚悟を持って言い放った。
 目には「俺に任せて先に行け」と書いてある。
 どこかから、ドナドナが流れ始めそうな、そんな空気だ。

623名も無き異能都市住民:2012/01/26(木) 01:30:11 ID:SSMHlh/20
>>621

「おう、ではいただきやしょうかなあ。
 病気と借金以外、ゴブリンは何でも貰うんでさ。」

価値観の違いか、クロスが恐れおののくホイのサンドイッチ(?)を貰おうと
どこからか取り出したバスケットを広げてみせるゴブリンであった。

食べるのだろうか……。

>>622

「ぐへえ……。
 こりゃあ、商売上がったりだなあ……。
 錬金術師連中でもこうは鮮やかにできねえでよ。」

事も無げに超一級の高級素材を作り出すクロスに舌を巻くゴブリンであったが、
クロスが購入の意思を見せると、すぐに喜色をその顔に貼り付けた。

「お代は金貨60枚、工事費込みですと金貨110枚ほどですかなあ。
 ピュラゴネスは火を絶やすと死んでしまうんで、今なら金貨3枚で
 『消せぬ炎』もご提供しておりますが……。」

624フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 01:31:49 ID:D8TdtUsY0
>>612

「ほほー。シェフの気まぐれってやつですね!
 面白そうですね、ひとついただきましょうか」

そんなSAN値の下がるモノを頼む酔狂な客が、ここに一人、いた。

>>622

虚空からいきなり鉱石が出てくる様子に、フランシスカはしばし、唖然とする。
その様子は自分の前に紅茶とサンドイッチが出てくるまで続いたが、香り立つ紅茶の匂いでハッと覚醒。

「おっとっと……。びっくりしすぎて本来の目的を忘れるところでした。いただきます」

香ばしい湯気の立つ琥珀色の液体を前に、少しその香りを楽しんでから一口。
「うーん、美味しい」と思わず感想が漏れる。

「私からすれば、マスターのその能力こそすごいと思いますけどね。
 「無属性化」と、後はモノの形を仕上げる時に回路(サーキット)を作っておくことも必要でしょうか。
 そうすれば、力のロスが少なくて済むと思いますよ。
 ただ単に装甲材として使うのであれば、いらない処理ではありますけどね」

625銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 01:49:55 ID:HnkBBDEo0
>>623
「まぁな、これが俺の能力だよ。
 炎使いが炎を生み出し、自由に操るように、
 風使いが風を生み出し、自由に操るように。
 俺は金属を生み出し、自由に操ることができる」

 クロスは「それぐらいしか特技が無いんでね」と笑いつつ、携帯電話を取り出した。

「黒瑪瑙、ちょっとデカい買い物をした。ああ、鋳造用の窯……あー、そう怒るなって、スマン!
 大丈夫だ、ちゃんと考えなしには買ってないよ。ただ金貨を近々用意しなくちゃいけなくなってさ。
 うん、そう。だから銀行の貸金庫に言って、金貨113枚を出せるように手続きしておいてくれ。
 そう、この前換金した分。……なに、大丈夫だって」

 話が終わったらしく、次に近くのパソコンを操作。
 しばらくすると印刷機が紙を吐き出す。
 その紙にハンコを押すと、それを小鬼へと回した。

「はい、コレ。金貨113枚分の換金券。これを銀行に持っていけば、ちゃんと払える筈だ。
 ……そう、工事費込みの『消せぬ炎』つきで買わせて貰う。結構デカい買い物だから、しっかり頼むぜ」

>>624
「だな、魔術回路にも再考の必要アリか。装甲の表面と裏側で素材を変えてみるよ。
 あ、魔術回路やら何やら生成に時間がかかりそうなものは、最初から義手に組み込んでおくのもアリか」

 ガポンと、いきなり左腕を外し、

「いや、後ででいいや」

 またガション、と義手を取り付けた。

「ああ、もしかして驚いた? すまんね。これが俺の能力であり、俺の身体だよ」

626ホイ:2012/01/26(木) 01:51:03 ID:PBnIervYO
>>622
「やたー。クロス、ありがと!」
喜色を滲ませクロス(犠牲者)に礼を言うホイは、鼻歌まじりに調理(なにか)を始める。
まず大きめのグラスに青紫色に光る鉱物をパキンと指で砕き、その欠片を入れ水を注ぐ。するとボウと水自体も光を放ち始めていく。
同時進行で呪文がかかれた鉄片に魔力を込め、人では発声不可能な呪言を呟き、封ぜられた怨念を開放していく。
虹色の木の根は鍋にかけられ白濁色の粘液を生成し、血の香りも豊かな花の花弁は目から放たれる光線で一瞬でミディアムに焼き上げられる。
手際良く、速やかに加工は進んでいく。相当練習したのだろう。
しかしというか、やはりというか、これは料理ではなく、調合とか儀式とかそういった単語で表すべき行為にしか見えない。

>>623>>624
(`・ω・´)「がんばる。まかせろ」
楽しい楽しい料理は続く。すり鉢に移された白濁色の粘液は、開放された怨念を吸収しつつゴリゴリと練り、摺り、冷やされ、もちりとした物体に変性していく。
こんがり焼き上げられた肉厚の花弁を寸断し、光る水に浸けると『グラスごと』水が消失し一瞬後にそこにはピンク色のゼリーが
(´・ω・`)あれ?
もちりとした物体とピンク色のゼリーを加え、熱したフライパンで炒め、皿に移す。

皿に移す前は、黒こげの物体だったが、『皿に小分けに移した瞬間』、ピンク色の美味しそうなゼリーに『存在が置き換わってしまった』

(´・ω・`)………

(`・ω・´)できた!


全員の前に配られるピンク色のゼリー(サンドイッチ)。見た目だけなら美味しそうなのだが……

627欠け耳のボロッブ:2012/01/26(木) 02:07:42 ID:SSMHlh/20
>>625

「ちょいと失礼……。」

小鬼は銀の装飾が施されたルーペを取り出すと、
クロスから受け取った換金券をソレを通して確認。

「はい、たしかにうけとりやした。ありあとございます。
 商品のほうは近々、業者のほうと設営に窺いますでなあ。
 ちょッくら待っていて下せえ。ご不明な点あれば、ここへ。」

代わりにクロスへと手渡したのは薄汚い羊皮紙。
どうやら、これは名刺のようでボロッブ商会代表取締役ボロッブと名前が記入されており
商店の位置や電話番号などもあわせて記載されている。

>>626

「んじゃ、失礼して……。」

小鬼はゴム手袋とゴーグルを身につけると
豪快に手づかみして、それをバスケットの中に慎重に入れた後
『注意!第3級危険魔法触媒』と書かれたステッカーをそれに貼った。


>>全員

「さあて、じゃああっしはそろそろ店に戻って
 工事の段取りをしてきますわな。」

ゴブリンは換金券をぐしゃと乱暴にポケットに突っ込み、
例のバスケットを抱えると、厨房へと消えていく。
どうやら、彼が来た時も店の裏口から入ってきていたようだ。

628フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 02:10:05 ID:D8TdtUsY0
>>625

義手を付け外しするクロスに、フランシスカは紅茶をもう一口二口やりながら、

「そういう用途なら、装甲として使う表面にはアダマンタイトみたいな頑強な鉄鋼を使って、
 内部機構として使う裏面にミスリルを使うと良いと思います。
 まあそのあたりは、マスターの魔力の質にも左右されてきますけどね」

そう言って、ホイに出されたゼリーらしきものに目線を落とし……。

>>626

あれ、サンドイッチとか言ってなかったっけ、とか疑問に思いつつ、
フランシスカはスプーンでそのゼリー状の何某を掬い、ぱくり。

「………………」

そのままの体勢でフランシスカは固まっていたが、やがて何か喜ばしいことがあったように頬を染め、

「な、何でしょうこれ! よくわからないエーテルが私の体を駆け抜ける!!
 正直味はよくわかりませんけど、すごい、これすごい、刺激がすごい!!
 聖気と邪気がぶつかって、それがコスミックな感じと銀河的な超回転が私の中でカオス!!!!!
 これ何でしょう!? アザトースの腐肉というか、もう何、これがトラペゾヘドロンの輝き!?」

日本語でおkと言いたくなる感想を、鼻息荒く述べる。

629銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 02:15:32 ID:HnkBBDEo0
>>626
「あ……あ……」

 震えながら静かに泣いていた。
 そうだ、この男はオカルティックなものが大嫌いかつ苦手であり、心の底から畏怖しているのだ。

「やだ……怨霊が……や……」

 粘液の中に吸収されてゆく、何かの怨念達。それがクロスの脳裏にトラウマを植えつけたらしい。
 涙をボロボロ流しながら、それでも店長としての意地か何かか、
 目の前のピンク色の物体を喉の中へと流し込む

「おごふ……助けて…………」

 口に入れた時点で既に何かに助けを求めている。

>>627
「あ、ふぁ、ちょっとまっふぇ!」

 涙目になりながらもピンク色の何かを飲み込み、咳き込みながらも名刺を受け取る。

「あ、なるほどなるほど、ボロッブ商会の……あー、なるほどなー」

 何か一人納得した様子で頷きつつ、去ってゆく相手を見送った。

「おう、じゃあなー……って、そっちから出るんかい!!」

>>628
「アダマンタイトなー。あれ出すのは結構難しいんだけど、ちょっとやってみるわー。
 戦闘中にどれだけ集中できるかがミソのような気がする、が」

 いきなりフラリと食器棚にもたれかかる。

「お前、味覚オカシイんじゃねーの!? ちょ、この食べ物ヤベーって!
 マジでヤベーって! 死ぬ! 死ねる! 超絶マズい!
 っていうか絶対身体に悪いって! 俺はちょっといま、生命の危機に瀕している。
 変な思念が俺の体のなかで駆け巡ってる……サンドイッチはこんな食べ物じゃねぇよ……」

630ホイ:2012/01/26(木) 02:24:37 ID:PBnIervYO
>>627
食べないのか、と少し残念そうな表情でさっていく姿を見送る。
いやきっと、明日の朝ご飯とか、おやつとかに食べるに違いない。そう思い直すと、今度会ったときに感想を聞こうと胸に誓うホイであった。ポジティブシンキング。

>>628
「ああ、またかー」
てへ、と無表情でこつんと自分にゲンコツ。
「まえは、たしかおおきくなったな」
前回似たような物体が出来たときはエーテルがバーストで彼方からの呼び声とかで、肉体が成長してベストコンディションになる物体が出来たらしい。

>>629
「むう、ちゃんとまぜたのに……しっぱいか」
怨念とかはもちりとした物体になった時点で「一応」浄化されて「パンらしき風味」に変換したはず、らしい。
クロスを心配してか、そちらにちかより背中をさする。痛いの痛いの飛んでけー。アストラルの大海原に飛んでけー。
怨念を風味に変換する過程が不要な事を、ほぼ食事をとる必要の無いナマモノが覚えるのはまだ時間がかかりそうだ

631フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 02:33:30 ID:D8TdtUsY0
>>629-630

「マックスな刺激ですよこれは……確かに味覚は劇毒物のソレとしか言いようがありません!!
 使ってる材料もいかがわしいものばかりだし、製法も異常ですけど……。
 で、でもこれはっ、くううううううっっ!!」

高い声で唸ったかと思うと、フランシスカはそのゼリーを凄まじい勢いでかき込み、

「クセに、すっごいクセになりますぅ!! ドクターペッパー以来のケミカルフードです!!」

人間ならば確実に体調を崩してしまうであろうそれを、何の影響もなく食べられるどころか、
「クセになる」とまで宣ったフランシスカは、実は天使と呼ばれる種族である。
半分エーテル体である彼女は、食べたものをエーテルに変換して糧とする能力があり、食物から入ってくる毒物は問題のない体質となっている。
しかしながら、それを抜かしてもこの反応は特異であろう。世の中何が起こるかわからないものである。

「もっと、もっと無いんですか、コレ!?」

632銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 02:45:34 ID:HnkBBDEo0
>>630
「あの、ホント、コレ、厳重な注意書きが必要だと思うんですゥ。
 怨念とかそういうのって手を出しちゃいけないと思うんですぅ主に倫理的な理由でェ」

 涙目になりながら語るクロス。
 倫理的だとかなんとか言っているが、要するに自分が怖いだけだったりする。

「っていうか、素材の味をもっと生かそうよ! 全く別モノじゃねぇかコレ!!」

 だんだん回復してきたようだ。
 身体に異常も無いようで、元気である。

>>631
「はァ!? ドクペとコレを一緒にすんな!
 ドクペはもっと高尚かつ崇高なる神々の作りし炭酸飲料だぞ!!」

 なんかキレだしたドクペ厨。

「ああもう、俺の余ったしやるよ……やれやれ、世の中にはブッ飛んだ味覚の奴がいたもんだ」

 彼女の正体が分かっているのかいないのか、クロスはやれやれと溜息を吐いた。

633ホイ:2012/01/26(木) 02:56:30 ID:PBnIervYO
>>631
褒められてるようで褒められていないホイであるが、そこの所あまり気付いてないようで、嬉しそうに、でも残念そうに答える。
「we/Gと44ョyるがすこしたりないなー……」
厨房は驚くほど訳の分からないエネルギーで満ちているが、何か足りない要素があるらしい。
ぶっちゃけエネルギー補給手段としての過剰エーテルなら幾らでも出てきそうではあるが、サンドイッチは作れないようだ。

>>632
「うー……きをつける」
流石にクロスの様子をみて、「ちょっと」反省したようだ。
「たまに、こーなるんだ。まえはうまくいった」
だいたい25%の確率で『容れ物』ごと存在がよくわからないエーテル塊に変性するらしい。
ちなみに成功した場合は、見た目と栄養分はサンドイッチで、食感と風味はゼリーになると説明する。
液体ならガソリンもおいしく頂く種族との、壮大な異文化コミュニケーションというやつだ。

634フランシスカ・キールダリア:2012/01/26(木) 03:09:24 ID:D8TdtUsY0
>>632-633

「やる」と言われたクロスのゼリーを嬉々として受け取ったフランシスカは、
ホイにもうブツが無い、と聞かされ本当に残念そうにガックリと肩を落とした。

「そうですか……もう無いのですね。
 おそらく今回のは偶然の産物でしょうし、もう味わえないんでしょうね……」

凄まじい落胆ぶりであるが、すぐにハッと何かに思い至り、

「……コレ、この感覚! 何かが来ます……!!」

思考を沈静化させるために残っていた紅茶を一気に飲み干し、
クロスに出された「普通の」サンドイッチを少しずつ、しかし高速に、リスのように食べ始める。

「うん、ええ、そう……これがこうなって…………うん、うんうん、いい!! いいですよ、これは!!
 ありがとうございます、マスター、店員さん! おかげでいい武装システムのアイディアが浮かびました!
 ああ、こんなことがあるなんて! 喫茶店というところには来てみるものですね!!」

どうやらホイの作ったゼリーがフランシスカの思考を刺激し、それが彼女に天啓をもたらしたらしい。
フランシスカは残りのサンドイッチとゼリーを急いで腹に収めると、眉尻を上げながら、やはり鼻息荒く立ち上がり、
カウンターに何枚かの紙幣を置いた。

「それでは私はこれで! 本当にごちそうさまでした!!」

そう言って深々と一礼すると、キャリーバックを持って足早に店を出て行った。


//自分はここいらで。お疲れ様でした。

635銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/26(木) 03:15:13 ID:HnkBBDEo0
>>633
「だいたいこうなるって……物理法則完全無視してんじゃねーか。
 容器の質量に何があって存在固定がどこに吹き飛んだんだよ……」

 クロスにとって、これはまさにイリュージョンであった。

「お前の持つ技術は次元超越してんな。お前も本当に、この次元の生き物なのか怪しくなってきたぞ」

 クククと笑いつつ、クロスの口から欠伸が漏れた。

>>634
「おう、おつかれさーん。また来いよ〜」

 ブンブンと手を振ると、今度こそは大きな欠伸。


「……くぁ、悪いがホイ。俺もそろそろ寝るわー。
 せっかく作って貰った料理にケチ付けて悪かったなー。
 でもゴメン、俺には無理だッ!」

 そう叫びつつエプロンを洗濯機の中へ。

「んじゃ、おやすみ。ホイもあまり夜ふかしするなよ〜。
 あと冷蔵庫の中に新しい天然水があるんで、これからは飲むならそっちにしてくれー」

 ふぁふーなどの声を口から漏らしつつ、クロスも居住スペースへと入っていった。

636ホイ:2012/01/26(木) 03:26:21 ID:PBnIervYO
>>634
「ごめんなー?じゃあなー」
なにやら喜ばしい事が起きたような客を、ぷいぷい手を振って見送る。
厨房では満たされたエネルギーが勝手に厨房の整理整頓を始めることで自身のエネルギーを消費しだしていた。

>>635
「むー。このホイはちゃんとここにいる。ここのホイはここのホイだ」
まるでここにいないホイでもいるかのような口振りである。
「こう……うのっ、と」
ついでに原理を説明しようと身ぶり手振りで表現するが、如何せん言語化も三次元化での動作も説明するには足りなかった。


その後、寝室に移動するクロスに頷き、自分も最近の寝床である水をはった風呂桶へと向かうのであった。

637甲/inAGカフェ:2012/01/27(金) 23:59:50 ID:lGk9GEhA0
「―――ん、ん〜……んん?」

大きく伸びをする赤いマフラーの男
長椅子から身体を起こす

【AGカフェ:店内】

程良く暖房が効き、薄く緩やかなピアノ曲がBGMとして流れる店内
寝ぼけ眼でそこがクロスのカフェであると気付く

「…………寝てた」

現状を呟いて
何か飲み物は無いか、と店内をさ迷う

「ドクターペッパー……」

冷蔵庫を概ね占拠するその紅の缶は見なかった事にして
水道を捻り、コップに水を汲む

「うわ、夜中じゃん……」

壁の掛け時計を辟易しつつ見詰め、渇いた喉に水分を補給した

638銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 00:02:40 ID:HnkBBDEo0
>>637
「でぇーきたー!」

 厨房とはまた違う、別の部屋からススだらけのクロスが嬉々とした表情と共に飛び出してきた。

「っしゃ! っしゃ! ついに出来ましたよっしゃいしゃァイ!! っし……誰だ貴様!?」

639ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/28(土) 00:05:14 ID:WVrfsEdY0
>>637
「うー、たのしかったの〜」
【カフェに少女が元気な調子で入ってくる】

「うーあったかいのー」
【耳とか顔とかを赤くしている。どうやら遊んできたらしく、体のあちこちに雪が少し積もっている…】

640甲/inAGカフェ:2012/01/28(土) 00:05:27 ID:lGk9GEhA0
>>638
「お前こそ誰だよ、真っ黒クロスケめ」

鏡を指さして見る様に促す

「飲食店の店長ってよりは、炭職人みてぇな面してんぞ?」

コップを流しに返す

641甲/inAGカフェ:2012/01/28(土) 00:08:08 ID:lGk9GEhA0
>>639
う〜
  う〜

「(……む、このヌケた声は……)」


「ディスか」

外から来るディスをちらりと一瞥して

「……外は雪かぁ……」

どおりで静かな訳だ、と頷いた

642ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/01/28(土) 00:08:42 ID:Ca0M7x2o0
(カフェの外にオートバイが停止する音が響く)
(その運転手らしき若い男が、寒そうに店内に入ってきた)

「…ふぅ、ここは暖かいな…よかった、まだ開いてて。
 頼もう、注文はできるか?できれば給油と給水もできれば幸いだが」

話し声は聞こえるので、おそらく客や店員はいるのだろう、と踏む。
ただ入り口からではよくわからないので、奥に入っていく。

643銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 00:13:53 ID:HnkBBDEo0
>>639
「あ、おかえりー。相変わらず薄着だな。その様子だと雪遊びでもしてきたか」

>>640
「げ、ホントだ。なんか黒ずんでる……酸化したか?」

 流しの近くにある鏡でススを確認。
 タオルで軽く拭いつつも、クロスは片手の金属片を出す。

「炭焼きなんてしてねぇよ。鋳造してたんだ。とびっきりの合金をな。
 鉄や銅ならともかく、魔力や邪気に敏感なミスリルやアダマンタイトは、
 どうしても俺の能力での混合が難しい。俺の能力も邪気眼だからな。
 そこで、昔ながらの職人芸の出番ってワケよ」

 コトリ、と金属片を置く。
 その金属は魔力も邪気も何も帯びておらず、しかし不思議な輝きを宿している。

「コイツはそれら、幻想鉱石を溶解して混ぜ合わせ、さらに中に入り込んだ魔力、邪気を
 敢えて取り除いた。マッサラな金属だよ。だからこそ、最高に邪気の通りがいい。
 成分は魔鋼34%と聖鉄6%、オリハルコンを2.7%に……」

 自分でも興奮しているのか、ペラペラと喋り出す。

644甲/inAGカフェ:2012/01/28(土) 00:17:19 ID:lGk9GEhA0
>>642
「(おぉ、千客万来……)」
この時間の新たな客に、このカフェの繁盛ぶりを垣間見て

「でも給油は無理だろうなぁ……」

コーヒーで動くエンジンじゃあるまいし、なんて益体も無い事を思う

「(…………はて?)」

見覚えがある――――様な気がした
年の頃は自分と同程度だろうか
入店して来た青年を興味深そうに見詰める
>>643
「ちゅうぞう……?」

何それ、と聞き返そうとした所で
矢次はやに飛び出す専門用語の数々

「うぉお…ストップストップ…!!理解が追いつかねぇ…!!」

手を翳してストップと繰り返す
何となく金属を造り出した、までは伝わった

645銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 00:19:43 ID:HnkBBDEo0
>>642
「ああ、いらっしゃい」

 店主と思われる男は目の前にいる赤いマフラーの男に話すのが夢中なのか、
 クロスは顔も向けずに今来た客人を出迎える。接客する気があるのか無いのか。
 しかし最低限のことはするらしく、暖かいおしぼりを差し出し、お茶の用意を始めた。

「注文があるなら呼んでくれ。メニューに無い注文でも、できる範囲で……?」

 ふと、何かに気づいた様子。

646ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/28(土) 00:20:26 ID:WVrfsEdY0
>>641
「あ、こんばんわなの〜。」
【ディスは相変わらずの気の抜けた声を出して挨拶する。】

「おそとゆきがいっぱーいだよ!なの。
 あそんだりしないかなの?」
【そう言ってディスは笑う。しかしその格好はいつも通りなのだが…】

>>642
「…?」
【ディスは誰かの声を聞いて、ふとその方向に振り向く】
「あうー?どこかでみたようなの…」
【不思議そうな顔でその人の姿を見る…】

>>643
「ただいまなのー…ここは『でぃす』のおうちとちょっとちがうけどなの」
【軽くほほ笑んで言う】

「うん、おそとにいっぱいゆきふってたからなの。いっぱいあそんできたなの!
 とってもたのしかったの〜!」
【いつになく嬉しそうだ】

647ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/01/28(土) 00:34:25 ID:Ca0M7x2o0
>>644
最初に見つけた一人の客と目が合う。

「やぁ、こんにち…は…?」

じ、とこちらを見つめる青年…やはり、彼も齢は同じ頃だ、と思った。
そして同じように、何か…不思議と、既視感を覚える。

>>645
「あ、ああ。店長さんかい」

急に話しかけられて、そちらを振り向く。
差し出されたおしぼりを受け取り、
お礼と注文を言うために、顔を合わせた。

「なら温かいハーブティを1杯と、できればタンクに給水…を……」

―再び、既視感。やはり、強烈な。
この店舗に訪れて、まだ1分と経っていないというのに、
何かがフラッシュバックするような感覚に陥る。

>>646
「…?」

隣から向けられた視線にも気付き、そちらに焦点を向ける。
『包帯を巻いた少女』なら見たことはある、が。
このように強い既視感を覚えることは今までなかった、と思う。


「…あの。初対面だと思うのですが。
 みなさんとどこかでお会いしましたか?
 俺にはそんな気がしてならないのです」

648銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 00:39:49 ID:HnkBBDEo0
>>644
「フーッ、フーッ……とにかく、すんげぇ新素材なのよ。ミラバ○ッソも目じゃないくらいにな!」

 やっと落ち着いたのか、ここで深呼吸。
 また合金を手にし、クルクルと掌の中で回す。

「こいつを素材にして装甲を組み込めば、素人でもソコソコのモノが出来るだろうぜ。
 少しでも邪気を流せば、たちまちその邪気の色に染まっちまう、そんな合金だ。
 ま、これを俺の義手に組み込めば、しばらくはメンテナンスも楽になるって寸法なワケよ」

 どうやら、日々のメンテナンスが面倒だったらしく、楽をする為だけにこの合金を作ったようだ。

>>646
「雪か。雪、かー……」

 クロスのトラウマが蘇る。

「うーん、昔に苦戦した氷使いとの思い出が……吹雪の中で戦った、あの、赤子のような、アレは、
 うわ、ちょ……うおおおおお雪に関しては良い思い出がねぇ!!」

 ガーッと唸るクロス。

「雪は楽しいかもしれんが、雪を使う奴らには気をつけろマジで!!」

>>647
「ミッチーじゃねぇか! おい、覚えてる!? 覚えてない!? ハーブティー!? あ、はいはい!!」

 戸棚から茶葉の入った缶を何個か出し、適量混ぜてティーポッドに淹れる。
 その間にもヤカンは湯気を噴いていた。

「マジで覚えてない? 覚えてないのかよー! くっそー!
 俺にフレーバーやら何やらを色々とBUKKAKEてった癖に! 汚すだけ汚して知らんぷりかよ!」

 勘違いされそうなことを喚きつつ、ティーポッドにお湯を注いだ。

「で、何? 給水? どのくらい必要? 給水だけでいいのか?」

 相変わらず、この男は喧しい。

649甲/inAGカフェ:2012/01/28(土) 00:48:12 ID:lGk9GEhA0
>>646
「マジ?遊べるほど積もってんのか……?」

こんな夜中に遊ばんよ、と手を左右に振った

「むぅ……傘持ってねぇなぁ……」
帰り道が困難な事になりそうだ

>>647
声も、知っていた
というかもう、ここまでマジマジと見詰めれば大凡の見当は付いていた

「……おいおい、こりゃまたお前……み」
と、口を開こうとした所で
『ミッチーじゃねぇか! おい、覚えてる!? 覚えてない!? ハーブティー!? あ、はいはい!!』
クロスに先を越された

「……」
ばつが悪そうに手を上げ下げする男
確かに見覚えのある旧友であった

>>648
「新素材……あぁ、要はスゲェ金属が出来たって事ね」

なるほど、コイツそんな事もしてんのか、と感心して

「無垢なる金属か、そんで邪気を良く通してそれでアレンジも多彩に可能……」

ふーむ、と考えて

「……あ、それ俺にもくれない?」

クロスの努力の結晶をあっけらかんと、要求してみた

破砕した装甲に変わる新装甲の材料
そんな自分の探してる素材にものすごいフィットしてた

650ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/28(土) 00:51:30 ID:WVrfsEdY0
>>647
【しばらく不思議そうに首をかしげたあと…ポンと手を叩く】
「あう〜、ずっとまえにあったことあるの!
 たしかおなまえは…『みち』なの!」
【そう言ってじっとミチの顔を見る…】

「ひさしぶりなの〜!」

>>648
「あう〜?!なにかわるいこといっちゃったかなの…」
【すごく心配そうにクロスを見る】

「ゆきをつかうひと…みたことないけど…
 あう、きおつけるなの。」
【かなり真剣に聞いている】

「なにかたいへんなことがあったのかなの…」

>>649
「うーん、ふっても『でぃす』はへーきだけど…
 『かぶと』はたいへんなのかなの?」
【少し困った顔で外を見る】

「でもまだふってるからあしたもだいじょぶじゃないかなの〜」
【そう言ってディスが指さす先、窓の向こうには降り注ぐ雪がチラチラと見える】

651銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 01:09:50 ID:HnkBBDEo0
>>649
「え、ええー……」

 たった今出来た所である。
 自分が楽する為に頑張った努力の結晶である。
 何か本末転倒な気がするが、本人は気付いていないのである。

「え、えーと、ちょっと待てい」

 脳内で数少ないニューロンを総動員し、スケジュールやら算段やらを練る。

「えーと、今日は成分のバランスを試すので精一杯だったし、どうせ明日から大量に作ろうと思ってたし…
 …それに、そもそも材料費は俺の能力で出してるから実質タダなんだよな……
 まだまだ沢山作ってストックしておく予定だし、えーと、えーと」

 カシャカシャカシャカシャ、チーン。

「いいよー」

 ポイっと甲に金属片を渡した。

「多分、それだけじゃ足りないだろうから、今度また取りに来てくれ。
 あと誰の邪気かによって色やら性質やらがコロコロ変わるし、流し方によっても色々と変わる。
 本当に魔力や邪気、オーラとかに敏感な金属だから、加工には気を付けた方がいい。
 だから今回は、その渡した欠片で色々と試してみるといいと思うぜ」

>>650
「まぁな、色々とあったのさ……」

 クロスは遠い目をしている。

「氷山に閉じ込められた時は死ぬかと思った。っていうか死んだ」

652ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/01/28(土) 01:11:45 ID:Ca0M7x2o0
記憶の糸を辿る。
長い旅…一人の時間で、磨り減り、途切れていたはずの線が、繋がる。
そうか、俺は。
『こいつら』のもとに、帰ってこれたのか。

>>648
「クロス…お前、あのクロスか!」

目の前で圧倒的スピードで準備されるハーブティを意に介さず、
こみ上げてくる懐かしさで胸が一杯になる。

「久しぶりだなぁ!
 ああ、なんかそんなこともあったな!
 畜生懐かしいじゃないか!
 …ああ、表に停めてある屋台にポリタンクがあるんだ。
 それと給油できる場所も教えてくれると助かるよ!」

>>649
手をあげて…その手を掴み、握って応える。
声も、顔も、記憶の大波が全て戻ってくる。

「甲、甲だな。
 ああ、あちこち変わってねぇな本当に。
 なんでみんなここにいるんだよ、不思議で仕方ないぜ?」

>>650
「ひさしぶりだなぁ、ディス。
 あーいかわらずちんまくて、ぐるぐる巻きだなぁ。
 覚えててくれてうれしいよ。俺のほうが一瞬忘れてたけれどさ」

手を振り、応える。

「ふふ、そうか。
 ここがクロスの店ってことは。
 つまりみんなのたまり場…ってことか…」

653銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 01:18:53 ID:HnkBBDEo0
>>652
「そうだ、俺の店だ! 俺がいない時でも、何故か溜まり場になっとる!
 ま、そういう店であって欲しいと思って、こういう店にしたわけだ、と」

 給油と聞いてクロスは厨房へと入る。
 厨房のさらにその奥の物置から持ち出してきたのは、

「あったあった。まだ残ってるわー
 チェーンソー用のだけど、種類は同じのハズだ。持ってけよ」

 ガソリンであった。金属の容器の中になみなみと入っている。

 ガコン、とガソリンの入った容器を置いたところで、ちょうど砂時計の砂が全て下へと落ちた。

「ほい、ハーブティー。俺好みの適当ブレンドだけど」

654甲/inAGカフェ:2012/01/28(土) 01:32:20 ID:lGk9GEhA0
>>650
「いや、お前……」
都市部でこの降雪量はかなり大丈夫じゃないぞ?
と言おうとしてやめる
「……ま、子供にゃ関係ねぇ話か」

はしゃぎまわる“風の子達”の姿を想像して
苦笑した
>>651
「ははは、何てな―――って」

半ば冗談のつもりだったのか

「え?いや、おぉう!?」
驚きに眼を見開き
ポイッと渡される努力の結晶を危なげに受け取る

「………」

おいおい、良いのかよいくらなんでも先程の喜びようを見てこんなあっさり貰っては気が引けて――
とか何とか、色々な思いが錯綜したが

「ありがとな、助かる」

素直に貰う事にした
>>652
旧友との再会に席を立つ
握られた手を、強く握り返して

「久し振り……!」

巡り合わせを噛みしめる

「いや、お前は大分渋さが増したみてぇな面構えだなぁオイ
 あれから何年経ったか……確かに、ここまでまったく会わなかった面子が揃うっつーのは不思議だなぁ」

実際、ここに集まっている面々
クロスとですら偶然に都市で出会ったのである
都市の力か、人の力か

「まぁ、そんな事ぁどうでも良い」

「また会えて、嬉しいぜ」

どうであれ、巡り会って笑いあえる
それだけで十分だと思う



【その後、時間の許す限りカフェで過ごすと
 「バイトの時間だわ」と言い、甲はカフェを後にした――】


//スマセン、寝落ち寸前ですんで
//ここで一抜けします
//ありがとうございましたーー

655ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/28(土) 01:37:39 ID:WVrfsEdY0
>>651
「あう〜?!ゆーれいさん…じゃないよねなの…」
【その話を聞いて、じっと足元を見つめ始める…】

「うーん、あぶないことはよくわかったの・・・
 でもこのゆきはへーきかなっておもうかなの・・・」
【窓からみえる振り続ける雪を見ていった】

>>652
「あう〜!ひさしぶりなの!
 ひさしぶりだからすぐにわからなかったけどなの〜」
【にっこり笑って返す】

「はやくおっきくなりたいけどなかなかおっきくならないなの・・・
 はやくおいつきたいなの〜」

>>654
「あうー、あしたもゆきであそべるかなっておもうなの〜!」
【甲へ微笑みかける・・・その後もしばらく雪遊びの話が続いていたらしい】
//お疲れ様ー

656ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/01/28(土) 01:51:39 ID:Ca0M7x2o0
>>653
「ふふ、お前らしい。いい店を持ったな。
 そうだ、黒瑪瑙は…あの子も元気か?」

ガソリンの容器を受け取り、中身を確認すると床に置く。

「助かる。今日この町に来たばかりでな、
 どこに何があるのか…迷っていてな。ガスも切れる寸前だったし…。
 ああ、頂こう。…たしかに適当だな。だが、この一杯はどんな高級茶葉にも勝るよ」

>>654
「そうかな?自分じゃ分からないけどな。
 お前は…少し丸くなったか?いや、体形の話じゃなくて…少し角が取れた気がするよ。
 あれから…きっと数えられるほどなんだろうけれども、とても長く感じるよ。」

それ以上に、自身がこれまでに一人ですごしていたことが、喜びに輪をかけることとなった。
彼らは今まで何をしてきたのだろう?
自分の体験を語れば喜ぶだろうか?
色々なことが頭を巡る。

「そして、数奇な運命、めぐり合わせに感謝しよう。…ああ、俺もうれしい」

//お疲れ様!ありがとうね!

>>655
「本当に久しぶり、だからな。
 色々…積もることもあるだろうからな」

彼女の生まれは…紡いだ記憶が正しければ、相当に厳しいものだったはず。
それゆえの精神的な不安定さ…弱さを、果たして、この歳月は何としただろう。
年月が、より堅固な精神を育んだことを祈った。

「ん〜好き嫌いしてんじゃないのか?ちゃんと食べないとおっきくなれんぞー」

657銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/28(土) 02:06:45 ID:HnkBBDEo0
>>654
「なんかよくわからんけど、お前が欲しいんなら、必要なんだろ?」

 ケケケと笑いつつ、服の裾にまだ少しついていた裾をパンパンと叩く。

「ってぇ、バイトぉ? お前も大変だなオイ。ま、頑張ってなー」

 そう言うと手を降って見送った。

>>655
「まぁ、いま話したのは俺の個人的な話だしなー」

 あまり気にするな、とクロスは笑った。

>>656
「黒瑪瑙げんきだよー。元気過ぎてヤベェ」

 笑いつつ、今度はクロスは地図を持ってきた。

「ああ、お前に茶を褒められるのは嬉しいね。煎れたかいがある。
 それとこの都市についてなんだが、ちょいと問題がある」

 クロスは地図を広げる。
 しかし地図は所々が区切られ、歪められ、非常に曖昧な作りをしていた。

「この都市は常に『歪み』に包まれている。建築物の位置も少しずつ変わったり、道が有ったり無かったり
 つまり昨日の敵は今日の隣人だったりするわけだ。だから、この都市で『迷う』ことは当たり前なんだよ」

 クロス自身も困ったように笑う。

「まぁ、その、アレだ。『あそこに行きたいなー』と思いながらフラフラ歩いてれば、自然と辿り着いてる。
 そういうものなんだよ、この都市の『歪み』ってのは。ちなみにガソリンスタンドはどんなに歪んでも
 大抵、大通りに面した場所に必ず一つある。大通りならすぐ見つける筈だ」

 その時、工房の中から銀髪の少女が顔を出した。

『大変クロス! 鋳造炉が火ぃ噴いてる!』
「何?! ……あ、封印するの忘れてた!」
『変なものを火種にするからだコノ馬……あ、どうも』

 ミチに気付いてか少女は、もとい黒瑪瑙は軽く会釈すると、

『さっさと火を消すなりなんなりしやがれ!』
「アホ! あれは消したらヤベェんだよ! 炉が【死んじまう】!」
『あなたはボロップ商会で一体なにを買ったのよ!!』

 バタバタと騒がしくなり、

「すまんお前ら、ちょっと忙しくなった! ミチ、俺は大抵はここにいるから、いない時もあるけど!
 用があってもなくても、気軽に顔出してくれや!!」

 そう言うと慌ただしく、工房の中へと飛び込んでいった。

///僕も眠気限界でさー!
///せっかくのところ、すまねぇ、マジですまねぇ
///おやすみなしあ!

658ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/28(土) 02:10:57 ID:WVrfsEdY0
>>656
「うーん・・・いっぱいいろんなことあったの〜。
 おともだちもいっぱいできたの〜!」
【微笑みかけるその姿には少し前向きな雰囲気を感じさせる・・・】

「あう〜、ちゃんといっぱいたべてるなの〜!
 すききらい…あんまりないの〜」
【ちょっと怒った表情で返す。かわいらしい。】

>>657
「うーん、そっかなの・・・
 でもいちお、ちゅういしておくからなの。」
【そう言って頷いた】

「あう〜?なんだかいそがしそうなの・・・」
【しばらくして慌ただしく飛び込んでいったのを見て、改めて心配そうな顔になった】
//おつかれーさま

659ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/01/28(土) 02:17:47 ID:Ca0M7x2o0
>>657
「ふふ、そうか。彼女にも世話になったからな。
 今度またきちんと挨拶にくるとしよう」

ハーブティを口に含み、香りを楽しむ。
広げられた地図の不可解な点を、クロスの説明で噛み砕いていく。

「…なるほど。存在の位置情報が不安定なのだね。
 似たような症例を『見た』ことがあるが、
 この都市を中心にある程度留まっているのだね…これは初めてみるな」

クロスの顔を見て、

「いきなり家が消えたりはしないだろうが、
 普段生活する分には、確かに困った話だな。
 ああ、少し走らせて

660ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/01/28(土) 02:28:05 ID:Ca0M7x2o0
// 切れた!

「ああ、後で少し走らせて調べてみるよ。情報ありがとう」

と、そのとき突然現れた懐かしい顔に注意が向く。
手を上げて会釈に応え、

「…まぁ、相変わらず、ってことか。
 ああ、なんていうか死なない程度にがんばれよー」

プラプラと手を振って見送った。

//おやすみなさい!遅くまでありがとうございましたー。

>>658
「そう、それはよかった」

その笑顔に陰りが消えていることを確かめると、
何かを悟ったように、安心してニコリと微笑み返した。

「ふーん、じゃあきっと、アレだ。
 世界のどこかにいる身長魔人が、みんなの身長を吸い取ってるんだ。
 俺も背がぜんぜん伸びないからな、いつかやっつけないとな」

事実、ミチの身長もほとんど変わりなく、やや低めだった。


「…さてと、ちっとバイクに給油して、ガソリンスタンド探してくるとするよ。
 いつでもここにはこれるからな、また会おうぜ。
 次はもうちょっとゆっくりできるといいな」

そういってガソリンの缶を抱え、店の外に出た。
テキパキと給水を終えると、バイクにまたがり、夜闇の大通りを走っていった。

//遅くまでありがとうございました。
//この辺で失礼しますわ、また絡んでくださいね!

661ディス ◆5YtYk7gJuY:2012/01/28(土) 02:33:44 ID:WVrfsEdY0
>>660
「うん、よかったの〜。
 それでいなくならなかったらいいけどなの・・・」
【わずかに陰りが見えたようなきがするのは・・・気のせいだろうか】

「あうー、そんなわるいひとがいるなの!
 『でぃす』がやっつけてやるの〜!」
【間に受けたようである・・・ガッツポーズで返した】

「あ、またねなの〜!」
【微笑んでディスは見送っていった】

「ふー…ねむいかなの…」
【ディスはしばらく座っていたが…そのうち眠くなったのかそのまま寝てしまった】
//お疲れ様ーです!

662東西南北 良方:2012/01/28(土) 22:56:13 ID:7gFzKdaU0
妙に人通りの少ない夜の大通りを疾駆する影が有った。
巨大な鉄の馬――――そう、バイクに乗り走るのは、一人の男性であった。
オートバイをチョッパータイプに改造して、シートに背中を預けながら走っていたが、途端バイクの速度がガクンと落ちる。
ぎゃりりぃ、とバイクをドリフトさせながら泊まり、道の端に車体を寄せると、バイクからその人間は降りる。

「うっわ…………こっからガソスタどんぐらいあんだろ………………畜生、久しぶり過ぎて地理が思い出せねぇ」

悪態をつきつつ、その影――――男は、メットを脱いだ。
すると、100m離れていても見つかるほどに目立つ姿が其処にはある。

毛の根元が蒼で、毛先に向かって徐々に紅へと色がグラデーションしていく背中ほどまで或る長髪がこぼれ落ちたのだ。
そして、目の色は真っ黒で、優しそうな気配を感じさせながらもその目には隠し切れない鋭さが存在して。
右頬には0と大きく刺青が入れられており、かなり印象的であることは間違いない。
周囲の目が自分に寄ったのを認識すると、バイクの収納部からサングラスを取り出して、掛ける。
似あっては居るが、誰がどう見ても裏社会に属していたり、チンピラか何かにしか見えないのが難点であった。

「――――だーれーかー、おたすけー」

口の端に細葉巻を咥えて、マッチを取り出そうとしながらライダースのチンピラは周囲に助けを求めるのであった。

663レア・アシェット:2012/01/28(土) 23:11:31 ID:4IkeO9mw0
>>662
バイクの音が聞こえたのか、助けを求める声が聞こえたのか……。人影が一つ、現れた。
大きめのリュックサック――一番大きなポケットの口が、半分ほど開いたままである。――を抱いた少女だ。

まず、バイクに視線を向けた。
珍しい物を見るように端から端へと、じっくりと眺める。

それから、音もなく真っ白な息を吐きだし、長髪の男を見つめる。学生服にコートを羽織ってはいるが、耳は凍えて真っ赤になっている。しかし、本人にはそれが微塵も気にならないようだ。
「……。」
瞬きすることと、時々白い息を吐く以外には微動だりせずに、長髪の男を観察するように眺め続けている。一応、次の言葉を待っているようでもあった。

664東西南北 良方:2012/01/28(土) 23:22:09 ID:7gFzKdaU0
>>663
「ん。それ千夜の制服か?」

視界に入り込んだ貴方を見て、案外にも友好的な笑顔を見せる男性。
千夜学園の事を知っている辺り、どうやらこの都市に無関係な人間でもなさそうだ。
前側に垂れた色鮮やかな長髪を後ろに流すように動かし、オールバックにすると更に言葉をつなげていく。

「悪いんだけどさ、久々に戻ってきたせいで地理が全く分かんねーのよ。
良かったらガソスタの場所案内してくんね? 後でAGカフェで一杯奢るからさ」

声色や態度からして、男は案外若そうである、もしかしたら高校生ぐらいである可能性すら有りそうな程に。
マッチを付けると、葉巻に火をつけて煙を口の中でふかして、空に吐き出す。
独特の癖のある紫煙の香りが、周囲に存在していた。

665レア・アシェット:2012/01/28(土) 23:40:06 ID:4IkeO9mw0
>>664
制服については、何のリアクションも言わなかった。
まぎれもない学園のブレザーである。間違うことはない。ちなみに、彼女のスカートはかなり長めだ。

長髪の男が一通り話終わると、リュックサックを背中にまわす。
それからポケットに手を入れて長方形の機械を取り出した。

いま流行の『スマートフォン』である。しばらく操作した後、男に画面が見えるように持った。
画面には現在地と、周辺の施設が書き込まれている。

長髪の男が気づくかどうか分からないが、その間ずっと、金髪の少女は冷たい表情で葉巻を見ていた。

666東西南北 良方:2012/01/28(土) 23:45:23 ID:7gFzKdaU0
>>665
まあ、言ってしまえばこの胡散臭すぎる男も又千夜学園の学生、高等部2年であった。
学ランを着ている事は殆ど無いが、それでも一応は学生である。恐らく今年も留年だが。

「ありゃ、もしかして最近流行りの無口系女子?
っとと、地図か。サンキュな、ちょっと貸してくんない?」

取り出されたスマートフォンの地図を見て、ふんふん、と声を漏らす。
一応確りと確認するために、少しだけ貸してもらおうとするだろう。
そして、冷たい表情で此方を見ている貴方に対して、眉根を寄せて。

「あー、もしかして煙草ダメ系? だったら直ぐ吸うのやめるけど。
それとも――――なんか他の要件だったりするのか?」

鋭い八重歯をむき出しにして笑う男。
葉巻を口から外して、風の流れで煙が当たらないようにする。
貴方の雰囲気になんとなく嫌な気配を感じたのか、サングラスの奥の瞳は鋭く細められていた。

667レア・アシェット:2012/01/29(日) 00:08:50 ID:4IkeO9mw0
>>666
容姿、顔から歳を判断している。学生ではないだろうと判断したようだ。
「分かった……スタンドに着くまで。」
長髪の男にスマートフォンの貸し出しを許可し、男に並んで歩きだす。

リュックサックからサンドイッチを取り出して、歩きながら食べ出した。

長髪の男の質問され、相手の方を見る。しばらく考えてから答を返しはじめた。
「そうじゃない、やめないで。」
好意も不快感も……どちらも感じにくい、相変わらずの冷たい表情で。
ただ、言葉には『やめてほしくない』という気持ちがハッキリとこめられていた。

668東西南北 良方:2012/01/29(日) 00:18:54 ID:7gFzKdaU0
>>667
「ん。サンキュー。あ、あと一応だけど俺も千夜な、良く学生に見えないとは言われるんだが。
……どうよ、俺学生に見える?」

スマートフォンを預かって、地図を見ながらバイクを推していく。
最寄りのスタンドまで1km程度である。それ程長い距離ではなさそうだ。
そして、男はなんだかカミングアウトをしてみたが、言われた所でただの妄言にしか聞こえなくても全くおかしくはない。

「えーっと、吸ってていいならそれでも構わねーんだけどさ。一応だけど体に悪いもんすってるのは分かってっから、嫌ならそう言ってくれよな。
あと、俺、東西南北良方[ヨモヒロ リョウホウ]な。よろしくさん」

にぃ、と頬の0の字を歪めるように笑みを浮かべて、紫煙を従えて男は歩く。
やめなくとも良いと言うならばそれでも構わない。そう思うから煙草はそのままで。
自己紹介しつつも、サングラスの奥から貴方を見る瞳は、怪訝に細められている。
まるで、貴方のような感情の少ない人間に覚えがあるような、そんな様子である。

669レア・アシェット:2012/01/29(日) 00:34:30 ID:4IkeO9mw0
>>668
「そう。」
「学生には見えないけど、貴方のような学生がいてもおかしくは無い。」
こちらから話すときは相手の顔を見ながら、相手の表情を見ながら話す。
そのためか相手の鋭いような、訝るような視線には気づいているようだ。

「私に、貴方を止める理由はない。それだけ。」
「名前を名乗られても……困る。」
話を切るために、黙々とサンドイッチを食べはじめた。

それから数歩、思い切り氷を踏んで滑った。
転びこそしなかったが、何事ともたなかったように無表情であるいてはいるが、思い切り滑ったのである。

670東西南北 良方:2012/01/29(日) 00:42:50 ID:7gFzKdaU0
>>669
しばらく歩くとガソリンスタンドの明かりが徐々に見えてくる。
色の濃いサングラスの奥の表情は読みづらいが、見えなくもない。

「……お、おおなんかうれしいぞ。いっつも学生とか言うと嘘だろとか言われっからな」

さり気なくガッツポーズをして嬉しがる男。見た目からも確かに若くは見えないと言うか、学生っぽくはない。
更にバイクや格好も有り、どっちかというと汚物を消毒している方が似合いそうなほどだ。
しかしながら、それでも心は花の十代、歳相応に見られるのが嬉しくないはずがない。

「ま、袖振り合うも多生の縁って話し。俺が勝手に名乗っただけだから別に名乗んなくてもいいしな」

シガリロの灰を落としながら、ふぅ、と煙を吐いて。
滑った貴方に、わっと、と声を漏らして――――かなり高い身体能力で、貴方に手を伸ばそうとしただろう。
だが、転びはしなかったのを確認すると、安心したように息を吐いて、そのまま歩き出す。
しばらく歩くとガソリンスタンドに着いて。ふぅ、と息を吐いて貴方にスマートフォンを差し出す。

「道案内とスマホサンキュな。ま、いつかあったらそんときゃ礼でもさせてくれ。
千夜で会えりゃ、学食くらいならおごってやっからさ」

そう言うと、男は後ろ手に手を振りつつ、給油をしに深夜のガソリンスタンドに消えて行くのであった。

/*話しをふくらませらんなくてごめんでした……、おつでしたー!*/

671レア・アシェット:2012/01/29(日) 00:57:34 ID:4IkeO9mw0
>>670
「おかしくない。私はそう思う。」
男の様子は関係なく、もう一度淡々と伝える。

「袖振り合うも多生の縁」という言葉を聞くと、長いこと黙りこんでしまった。
何かを考えている様子ではあるが……。

「別にいい。」
スタンドに消える人影を、立ち尽くして眺めていた。


//お疲れ様でした。おれもまだ使いこなせてないかな、すいませんでした。

672<削除>:<削除>
<削除>

673甲/in異能都市:2012/02/01(水) 22:53:46 ID:E9uoiig.0
【都市部】

「うぉ?通行止め……」

都市散策をしていると、大規模な戦闘の跡地に着く
昨日未明に起こった砂嵐事件の爪痕が色濃く残っていた

「竜巻の通過後みてぇだな、くわばらくわばら……」

通行止めなら仕方ない、と来た道を戻る

「そば屋は明日にするか」

そう呟くと近くの露店で肉まんを二つ買うのだった

674名も無き異能都市住民:2012/02/01(水) 23:20:44 ID:oB5LASG.0
「〜♪」
紙製の買い物袋に入ったリンゴを手に取り、それを投げあげる。
数秒後、女の手の元に帰ってきたそれを再び上空へ。
そんなことを繰り返しながら商店街を歩いていたが、不意に今までよりも高く投げると、

「やっぱり僕はこっちかな」
と、落ちてくるリンゴから視線をそらし、背中側に落とした。
そのまま地面に落ちると思われたそれは、不意に跳ねた女の踵で上空へ。
踵から跳ね返ったリンゴは頭上を通過し再び視界に戻ってくる。
それをつま先でホールドし、リンゴを振り上げて再び手の上へ。

675ヴァージニア:2012/02/04(土) 20:13:24 ID:AXn076Do0
ヴァージニアは現在、居候中の柊宇都家にいる。
彼女の為に用意された一室にて昨日の戦いより目覚め、軽めの食事を取ったのち窓の側へと移動する。
カーテンを少しだけ引いて、外の風景を見ている。夜の闇だけが遠くまで続いている。
少女は虚空の一点を見つめて、思いにふける。

「もしかしたら……、今も、私を……」
得体の知れない組織が、自らの命を狙っているかもしれない。
なぜ執拗に彼女の命を欲するのか、その理由が分からないので、彼女は途方に暮れる。

「やっぱり……、人を殺しちゃったのが……」
ふと自らの手を見つめる。
日蔭者ゆえ透き通るような白さを誇っているが、この手は血塗られている。
衝動でも意図的でもない。本能が人を殺めてしまった、その手を。

「でも…、私は生きなきゃならない……」
命を繋いでくれた、綾の為にも。
見ず知らずの自分を護ってくれた、優しい人たちの為にも。

「戦わなきゃ……、強くならないと……」
護られてばかりではいけない。逃げてばかりではいけない。
自分自身を乗り越える為に、戦わなくてはならない。
――昨日の戦いから、彼女はまた一回り、成長できたようだ。

676名も無き異能都市住民:2012/02/04(土) 22:15:55 ID:oB5LASG.0
>>675
二度、軽めのノックの後に部屋の扉が開く。
入ってきたのは居候先の主、綾だった。
「もう、大丈夫か」
視線は窓際の少女へ向かったまま、足取りはベッド脇の椅子へ。
数日前の訪問の時から、置いたままになっている物だ。

椅子に腰かけると、少女の姿を眺めた。
様子を見て僅かに目を細めると、口を開く。
「昨日の、事だ」
いつも通り平然とした顔つきの視線の先、少女と重なるようにしてナイフが置かれていた。
小さく投げあげると、一回転してまた手の内へ。
「あいつ等は、何だ」

677ヴァージニア:2012/02/04(土) 22:26:52 ID:AXn076Do0
>>676
彼女は虚空を見据えたまま、

「うん……」
と、肯定を示す返事をする。
十分に落ち付く為の時間は取れたし、これからの在り方も決めた。

綾が質問を投げかけてきた。昨夜起こった事についてだ。
もちろん、説明しなくてはならないだろう。

「私にも…、分からない……
 いつの間にか、私は指名手配になってて……、命を狙われているの」
指名手配になった原因は、綾にも分かっているだろう。
本能のままに行動し、体中を真っ赤に染めて帰ってきたヴァージニアは、それ相応のことをしたのだから。

「『暗黒の渦』っていう賞金稼ぎギルドなんだって……」
しかしそれだけでは、彼女はともかく、他の者まで狙われる理由にはならない。
『暗黒の渦』とは、どんな組織なのか。現時点の彼女たちは知る方法がないだろう。

678柊宇都 綾:2012/02/04(土) 22:39:29 ID:oB5LASG.0
>>677
「そうか……」
本人が知らないと聞いて、少々落胆した様子を見せる。
落ちてきたナイフを掴むと、指先に柄を立たせて置き、それを維持する。

「聞いたぞ。
 以前から、何度か襲われていたようだな」
ハァ。
と小さくため息をつき。

「何故、言わなかった……?」

679ヴァージニア:2012/02/04(土) 22:50:50 ID:AXn076Do0
>>678
「迷惑掛けたく、なかったから……」
人を殺めてしまったことも、指名手配にされたことも、命を狙われていることも。
全て自分の撒いた種であり、綾をその危険に巻き込みたくなかった。主人の命が第一優先だからだ。

680柊宇都 綾:2012/02/04(土) 23:16:09 ID:oB5LASG.0
>>679
その言葉を聞いた瞬間、少女の意思が爆発した。
ナイフを乗せた指先を跳ねさせると、右足から床を踏み込んで立ち上がった。
跳ねて、空中に浮かんだナイフを右腕でつかみ、投げた。
投げられたナイフはヴァージニアの頭を掠め、窓の外にあった大樹の枝を突き抜けた。

「何故内に引きこもる!」


「ヴァージニア……」
感情的に爆発した意思はすぐに収まり、
自棄になって行動で少女を傷つけたかもしれないと、確かめる為に近づいていく。

681ヴァージニア:2012/02/04(土) 23:28:14 ID:AXn076Do0
>>680
投げられたナイフは少女の頬に一筋の赤い線を描く。
突然の出来事に腰が抜け、尻もちをついた。

「ぁ……、ぁぁ……」
彼女の心はすっかり恐怖に染まっている。攻撃されること、そのものに。
目もとに涙を浮かべながら、そのままの姿勢から少しずつ後退していく。

682柊宇都 綾:2012/02/04(土) 23:40:01 ID:oB5LASG.0
>>681
今までより、より静かになってしまった綾。
珍しく露わにした表情には、弱弱しさと、恐れが浮かんでいた。

「ヴァージニア……」
少女の元にたどり着けば、その腕の中に入れるだろう。
そして、呟く。
「もっと、僕を頼ってくれ……」

683ヴァージニア:2012/02/04(土) 23:53:07 ID:AXn076Do0
>>682
「たよ、る……?」
血の呪縛は目に見えないが、やはり大きいもの。
自らの主人に対し頼ることは、本能的にそれを避けていた。
だが、綾がそう願うのならば、命令として頼ることができるようになる。

「分かり、ました……」
ただし、それを察しさせてはいけない。
命令として頼らせるとなれば、綾は悲しんでしまうし、先ほどのように激昂するかもしれない。

684柊宇都 綾:2012/02/05(日) 00:05:24 ID:oB5LASG.0
>>683
「僕も、まだ子どもだ……」
抱きついたまま、離さない。
内向的な人間の割に、根は人懐こいのだろうか。

綾は同じ18歳の少女と比べ、経験が圧倒的に薄い。
そんな内から、自分と強い因果を持った少女を拾ったことを気負い過ぎていたのかもしれない。
後に愛しさも併せ持つようになり、尚更気持ちが強くなる。綾という生命は、真の意味で子どもだった。

「ヴァージニア。キミが、必要なんだ……」

685ヴァージニア:2012/02/05(日) 00:19:19 ID:AXn076Do0
>>684
「リョウ様……、大丈夫……」
深く抱き寄せられ、自らも綾に対して身を預ける。
常に静の雰囲気を纏わせていた綾の見せた一面。
もしかしたら、自分よりも綾の心は硝子なのかもしれない。
だからこそ、安心させたいと思った。

686柊宇都 綾:2012/02/05(日) 00:24:37 ID:oB5LASG.0
>>685
「む……」
暫く抱き寄せてヴァージニアという生命の持つ暖かさに触れていた。
解放すると、僅かに距離を取り、少女に向き直る。

「僕に、できることは……ある?」

687ヴァージニア:2012/02/05(日) 00:34:35 ID:AXn076Do0
>>686
「稽古をつけてもらえたら……、なんて」
今の力量のままでは、敵との交戦で生命を失う可能性が高い。
この確率を引き上げる為に、戦闘の訓練をして貰おうと考えたのだ。
護られてるだけ、逃げてるだけでは、成長しないのだから。

688ヴァージニア:2012/02/05(日) 00:35:31 ID:AXn076Do0
// >>687 生存確率を引き上げる、です。すいません。

689柊宇都 綾:2012/02/05(日) 00:56:52 ID:oB5LASG.0
>>687
「その程度なら、喜んで。
 ……僕も、戦ってみたかった」
そういうと、窓からそとを覗き込む。
豪邸と言うに相応しい、広い敷地は派手な戦いも許せるほどだ。
そのまま飛び降りようと窓から身を乗り出したのだが……自らが寝巻のままであったことを思い出して踏みとどまった。
藍色のスウェット。綾の世間知らず加減に呆れた親戚からのプレゼントであった。

「……少し、準備をさせて欲しい」
さっき飛ばしたナイフも、昨日も使った隠し持っているナイフの延長上。
どんな場所でも、護身用よして常に一本は携帯していたものだ。

時計に目を向けると30分後を指定し、急ぎ足に部屋を出て行った。

//すいません、今日はここまででお願いします。そろそろ眠らなければ……眠れそうにないですけど。

690ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/05(日) 01:57:58 ID:Ca0M7x2o0
公園。屋台を引いたバイクを乗り入れ、ベンチで寛ぐ男が一人。
ベンチ近くに停められた屋台には『茶屋』と書かれている。

「今日の寝床どうすっかな」

屋台はカウンター席が設けられ、トンと置かれたヤカンからは湯気がもうもうと出ている。
男は手にマグカップを持ち、中に入った液体を飲みながら、ぼうっと空を眺めた。

「…客来ねぇな…」

特別宣伝行為をしておらず、ましてや移動式で固定客がつきにくいのだから当たり前なのだが。
男もそれを自覚しつつ、かといって今日は営業活動に行くモチベーションも沸いてこず、
ただぷかぷかと時間を潰していた。

691ガルテラ:2012/02/05(日) 02:09:30 ID:cA7m7mYw0
>>690
「……あれ?ガルさん、あれ」
「なんですか?」
「茶屋、だってさ」

公園の中で、複数の人影がトランプをしていた。
一見ホームレスかと思われるかもしれないが、それにしては奇妙な服装である。
一人を除いて皆黒子のような頭まで真っ黒の服装。
残る一人もホームレスのようなみすぼらしさを感じさせない、普通の格好であった。
トランプも新品同然の綺麗さである。

「ラーメンでなく茶屋ですか……いいですね」
「その心は?」

彼らはミチの茶屋をじろじろと見ていた。

「食べに行きましょう」
「っしゃー」「やったー」

ぞろぞろと立ち上がり、屋台に向かってくる総勢4名。
内比較的普通な服装の男はカンテラを持ち、黒子の一人は大きなトランクを持っていた。

692ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/05(日) 02:23:13 ID:Ca0M7x2o0
>>691
近づいてくる一団に気づき、奇妙な格好に内心笑いつつも、それが客であると察すると

「いらっしゃい、椅子にどうぞかけてくれよ」

マグを持ったまま手を上げ、声をかける。
この男というと、Yシャツにジャケットを身に着けているだけと、
身なりは地味だがそれなりに清潔そうである。

ベンチから立ち上がり、カウンターの裏へ回る。

「お客さん初めてだよね?
 運がいいね、今はサービス期間中で1杯目はタダにしてんだ。

 お茶は和、洋、中なんでもあるよ。暖かいのと冷たいのもご自由に。
 茶菓子もお饅頭やクッキー、言えば大体用意するよ。
 分からなければこちらで今日のお勧めもお出しできるよ。」

と、一通りの店の内容を説明した。

「にしても、重そうな荷物だねぇ、旅芸人さんか何かかい?」

693ガルテラ:2012/02/05(日) 02:31:43 ID:cA7m7mYw0
>>692
「サービス期間中ですか……。
 では茶屋らしく緑茶と……それに合う菓子を四人分頂けますか?」

他の三人の意見を聞かず、注文を口にした。
他の三人も特にこの男の言うことに異論は無いらしかった。

「仕事は今のところ休憩中ですよ。
 この街にはバカンス……いえ、趣味とでも言ったところでしょうか」

カンテラを持った男は言った。
黒子風の格好をした三人はただ騒いでいるだけであった。

694ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/05(日) 02:46:06 ID:Ca0M7x2o0
>>693
「いいのが入ってるよ」

湯気の出るヤカンから急須へ湯を注ぐと、緑茶の香りが屋台に漂う。
少し揺らし、十分に味を染み出させると、湯のみを人数分並べ、静かに注いだ。
次いで白餡の練り切りを2つずつ…白梅と紅梅を模した、紅白の和菓子…
を、小皿に載せ、それらを丁寧に出す。

「京<キョウ>で手に入れた煎茶さ、どうぞ。
 茶葉の販売もしてるから、気に入ったらよかったら買っていってくれよ?
 そう、お客さんもこの町の人じゃないんだね。
 俺は最近ここに来たばかりでね、商売に来たんだ。
 お茶を売りながら世界を回る…気楽でいいぜ?」

いつの間にか自分のマグにも茶を注ぎ、お茶を楽しんでいる。

「どっかに商売の話転がってないかねぇ…
 こんだけ都会なら、お茶を買ってくれる人いそうだけど」

695ガルテラ:2012/02/05(日) 02:56:08 ID:cA7m7mYw0
>>694
「商売……ですか。
 ん、美味しい」

お茶を啜りながら言った。

「市場がいくつかあるそうですが、そこでならどうでしょうか。
 最も、市場の性質によっては治安が悪いところもありますがね」

最近も同じようなことを誰かに言った気もするな、と呟きながら言った。

「もしくは喫茶店に直接売り込みに……。
 これは定期的に卸さなければならない場合もあるので、
 行商の方にはお勧め出来ないかもしれませんが」

男はそう言って、菓子をつまむ。

「そういえば、紅茶葉はありますか?」

696ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/05(日) 03:12:21 ID:Ca0M7x2o0
>>695
黒子たちの賑やかな歓談に笑いながら、話を続ける。

「いろんな地方の茶畑に知り合いがいてね。
 俺はその宣伝、橋渡し役みたいなもんなんだ」

茶に、一口。
棚を漁り、いくつか袋を取り出す。

「ふふ、アドバイスありがとう。
 試しに喫茶店に営業にでも行ってみることにしよう。
 少数生産のトコが主で市場に卸せるほどじゃないかんね、
 そのほうがマッチしてるかもなぁ。

 この紅茶はどうかな。
 ウバに似た風味で、ミルクティーで頂くのが最高なんだ。
 これくらいのグラムで…これくらいでどうかな」

小さな電卓をパパッとたたき、それなりの金額を提示。

697ガルテラ:2012/02/05(日) 03:24:44 ID:cA7m7mYw0
>>696
「む……余り詳しくはないのですが……。
 最近家に備えてあった紅茶が少なくなっていまして。
 補充は従者に任せていたのですが、最近は誰も補充しないものですから」

ちらりと黒子達を横目で見る。

「そうですね、お勧めならそれをいただきましょう。
 いっそ1樽ぐらい丸ごと買いたいものですが、流石にそれは冒険過ぎるので……
 ……500グラム頂けますか?」

それでも少し多い気がするが、
従者などの発言から恐らく彼の家には大人数が住んでいるのだろう。

698ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/05(日) 03:40:00 ID:Ca0M7x2o0
>>697
「試飲していただければいいんだけどね、
 あいにく、ミルクを切らしてしまっていてね…
 ほら、香りだけでもよければどうぞ」

開封済みの袋を別に出し、香りを嗅げるように見せる。

「500も?お客さん豪快だねぇ、お金持ちなんじゃない?
 そんなに買ってくれるんならサービスしとくよ!
 値段も少しさっ引いて…今飲んだ煎茶もちょっとつけとくよ。
 気に入ってくれると嬉しいよ、よければ今後もご贔屓に。
 固定客がついてくれれば願ったり叶ったりだしな!」

余計な一言を付け加えながら、
ざっと紅茶を缶に入れ、小袋に煎茶を詰め、代金と引き換えに手渡す。

「急ぎでなければまだゆっくり寛いでくれていって構わないぜ?」

//時間もたわわですし、このあたりで終わりにしましょうか?

699ガルテラ:2012/02/05(日) 03:47:51 ID:cA7m7mYw0
>>698
食べて飲み、男が立ち上がると、
示し合わせたように黒子たちも立ち上がった。

「収入が多い分、消費も多いだけですよ。
 もちろん私だけで飲むわけでも無いですしね。
 ……ああ、これ、キッチンに持って行ってください」
「わかりましたー」

菓子の代金と一緒に払い、受け取った缶と小袋を黒子の一人に手渡す。
黒子は大きなトランクを開き、なんとその中に入って行ってしまった。
男はトランクを閉じる。

「ご馳走様でした、美味しかったです。
 紅茶も美味しかったらまた買いに来ますよ」
「美味かったぜー」「俺また来るっす」

そういいながら、男はカンテラを掲げる。
黒子を引きつれて、また何処かへ歩き去っていった。

700ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/05(日) 04:00:32 ID:Ca0M7x2o0
>>699
黒子がトランクに入り込んでも、さも驚きはせず、
『そういう力や芸なのだ』と、勝手に納得した。

「おう、ありがとうな?
 みんなまたいつでも来いよー。」

手を振り、見送った。
姿が見えなくなると、ぐ、と背伸びをして空を仰いだ。

「いい買いっぷりだったな…。
 …そろそろ本格的に商売、かな?」

今後の方針も立ち、
モチベーションが沸々とわきあがってきた。 
気ままなお茶売りは今日も町を流離う。

701銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 21:27:22 ID:HnkBBDEo0
「あー、左目の違和感がマジすげー!」

 やっと治った身体を、喫茶店のソファーに埋める店長。

「うーん、角膜移植とかしたの始めてなんだけど。マジ怖かったわー。
 ああいう、相手に能力を寄生させるタイプの敵は怖いわ。ああいう相手とは二度と戦いたくないな」

 その当の本人、ムジナは復活を果たしているとは知らず。

「さて、今日はどーすっかね。久々にバイクでも改造するかなー」

702防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 21:36:44 ID:WVrfsEdY0
>>701
【カランカランと扉のベルが鳴る】
「こんにちはー…ん、ダレモイナイ…んでしょうか?」
【聞き覚えのある声が聞こえてきた】

「口コミで美味しいところだと聞いたんですけど…」

703銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 21:43:33 ID:HnkBBDEo0
>>702
「あー? あああ、いらっしゃい」

 喫茶店には絶対に合わないであろう、レンチやスパナを持った店長がお出迎え。

「開いてる席に適当に座ってくれー。注文があったら声かけて。
 あ、おしぼりおしぼり。あと暖炉!」

 暖かいお絞りを手渡し、暖炉に石炭やら何やらを放りこんで火をつける。

704東西南北 良方:2012/02/05(日) 21:46:37 ID:7gFzKdaU0
>>702>>703
唐突に、からんからんとドアの鈴が鳴り、一人の影が入ってくる。
からころと床を木が叩く音が響き、影は店内にずかずかと入っていく。

「うーっすー、久々ー」

気の抜けるような声でクロスに挨拶したのは、一人の青年であった。
その外見は正気とは思えない格好である。
髪の色は、髪の根元が赤で先端に向けて青にグラデーションしていく腰までの長髪をオールバックにして。
頬には大きく0と刻まれた刺青が有り、目元は色の濃いサングラスで隠されている。
服装は――――首元にフェイクファーがつけられたアロハ柄の和服という訳のわからない物。

「っと、最近なんか有ったか、クロス」

クロスの方に歩いていきながら、そんなヒャッハーなチンピラが話しかける。
余りにも独創的な格好だが、その異常な格好故に、彼が何者かは分かりやすすぎる程に分かりすぎた。
客である防人に軽く会釈を返しつつ、カウンターに座ろうとするだろう。

「とりあえずなんか軽くつまめる物でもくれね? 腹減ってんだよね」

と軽い調子で注文をするのであった。

705防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 21:47:25 ID:WVrfsEdY0
>>703
「あ、店長さんですか…えっとじゃあ…」
【メニューをジロジロ見たあと…店長の顔を改めて見る】

「あれ?貴方ってあの時の…目がやばかった人ですか?」
【じーっと見たあとに口を開く】

「あ、えっと…じゃあとりあえずナポリタンを」
【しかし即座に注文も行なっている】

706防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 21:48:42 ID:WVrfsEdY0
>>704
「…何でしょうあの人は」
【あまりに世紀末な格好の良方を見て訝しげな顔を擦る】

「どうやら店長とは知り合いのようですね…」
【じーっと見続けている】

707銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 21:57:15 ID:HnkBBDEo0
>>704
「……」

 しばし硬直。そしてやっと口を開く。

「一瞬『誰だお前』と思ったが、こんな目に痛々しい格好をする奴はお前しかいねーと思った。
 いらっしゃい良方。いま何か作るぜ、ちょっと待ってろ」

 そう言って底が深めのフライパンに油を引き、バターを熱する。

「何かあったかと言われれば色々あったなー。ちょっと最近、道に迷った先にいた奴とバトって大怪我した」

 鍋も用意して湯と塩を入れて火にかける。どうやらパスタを作るつもりらしい。

>>705
「ああ? ……ああ、最後にいた奴か。確かに目がちょっと凄いことになってたな。
 まさか寄生されるとは思わなかった」

 そう言いつつ、鍋に入れるパスタの量を増やし、別のフライパンにオリーブオイルを入れて火にかける。

「そういえば、名前。まだ名前聞いてなかったな。
 俺はクロス。この喫茶店の店長やってる。お前は?」

708東西南北 良方:2012/02/05(日) 22:03:12 ID:7gFzKdaU0
>>706
「ん、なんか用かい?」

案外にもフレンドリーな様子で貴方の視線に気づき振り返る世紀末救世主伝説のヒャッハー。
格好こそ、なんというかアレであり、チンピラであり、雑魚っぽそうであり、B級映画だと最初に死ぬか最後に生き残るかのどちらかの外見だが。
対面してみると、見た目以外はそれ程攻撃的ではなさそうだ。…………見た目以外は。

カウンターの椅子に座り、ふんふんと鼻歌を歌っている図は、気のいい兄ちゃんに過ぎなかった。
ところどころ傷跡などが有り、堅気ではなさそうにこそ見えるが、実はいい人…………なのかもしれない可能性が微粒子レベルで存在している。

>>707
「いや、今日は冬で和でアロハだぜ、マジイケだと思うんだけどよ、和服でバイクは正直キツかったわ。
今度は袴にでも挑戦してみるかねー、俺結構伝統文化大切にするタイプだし」

伝統文化の全てを粉々に粉砕する青年は、伝統文化を大事に思うタイプらしい。
髪の色は中間地点だと丁度紫色である。どうやって染めたのか理解に苦しむ色彩だ。

「マジかー……。……あ、そういや、色々面倒事抱えてたけどよ、とりあえず全部解決してきた。
そのかわりに無限倉庫とかグラトニーとか全部失っちまったけどなー」

ぐぎゅるる、と腹を鳴らしつつ、どこか吹っ切れた様子を見せる良方。
頬の0は、刻印から、刺青へとその性質を変えていたのが、さりげない変化だった。

709防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 22:07:14 ID:WVrfsEdY0
>>707
「寄生ですか…
 まさかあの相手がそこまで危険だとは思いもよりませんでした…」
【目に入った女性は制服にニット帽とマフラーといういかにも最近の女子というスタイルの少女である】

「クロスさんですか。私は「防人 鶫(さきもり つぐみ)」と言います。よろしくお願いします」
【丁寧に頭を下げて挨拶を返した】

>>708
「いえ…その格好かなり奇抜だと思いまして…」
【軽く汗を掻いて頭を下げる】

「この都市にはいろんな人が住んでいますし、あんまり見かけで判断しないようにしてますけど…
 あの、店長さんとお知り合いなんですか?」

710ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/05(日) 22:12:39 ID:oB5LASG.0
ブンブンシャキシャキ。
店の中で遊びにふける少女が居た。
直径が少女の身長と同等以上の、巨大な円状の物体を振り回して居た。
高く掲げた手首で円を支えて、縦に回転させる。ヒラリと身をひるがえし、自らを円の中に入れる。
その状態から、一回転すると漆黒のゴスロリスカートの裾がふわりと舞い上がる。さながれバレエの様な動きだ。
「〜♪」
しかし、中は見えない。

少女を見ていると、時折強烈な光に襲われる。
光自体は柔らかいのだが、指し方は強烈な物だ。
それは、円が傾いた時に、天井の光を反射させて押し寄せてくるものらしかった。
なぜこうも光を反射するのか。なぜなら、円の外周が刃であるから。

711銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 22:21:04 ID:HnkBBDEo0
>>708
 バターが溶けたところでタラコ、醤油、生クリームを投入。
 胡椒を少し降りつつ、煮詰めたら湯だったパスタをブチ込む。
 ソースと麺を絡めつつ炒めれば、クリームたらこパスタの完成である。

「そうか、お前も色々と失っちまったんだな」

 パスタの盛られた皿を差し出しつつ、呟くように言う。

「まあ俺も似たような経験が無きにしも非ずなんだけどさ。
 今まで鬱陶しいと思ってた面倒事でも、無くなったら無くなったで寂しくないか?」

>>709
 オリーブオイルで玉ねぎを炒め、そこにホールトマト、ニンニク、ベーコンを投入。
 全てに火が通ったら茹でたパスタを入れ、ケチャップをいれつつソースと絡める。

「つぐみ、な。よし覚えた」

 多分。
 そうしている間にナポリタン、完成である。
 赤いパスタを鶫の前に出しつつ、

「そういえば、倒れてる女の子、お前も知ってるだろ? アイツどうなったか知らないか?」

712銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 22:22:40 ID:HnkBBDEo0
>>710
「おいちょっと待てぇえええええええ!!」

 慌ててクロスが声をかける。

「おいゴルゥア! 店の中でなに危ないことしてんだ!
 ストップ! ゼオラストップ! 周りにある家具には高いものもあるから! お願い!!」

713東西南北 良方:2012/02/05(日) 22:25:44 ID:7gFzKdaU0
>>709
「やっぱり? アロハで学校行くと怒られんだよね。私服登校OKなんだからゆるしてくれてもいいと思うんだけどさ」

こいつ、この外見とガタイで学生であった。留年しているが花の高校1年生である。
私服登校の申請をして、学ランにアロハとか、アロハとか、グラサンとかで学校に行っていた。

「確かに、良くチンピラっぽいとは言われるな。
一応ダチっちゃダチ、んで最近都市離れてたけどここの常連な」

足をぶらぶらと振り、食事が来るのをのんびりと待ち続けている。
その動作や態度を見れば、割りと若いという事は分かりそうである。

>>710
「うおお……、此方に来るなよ、来るなよー!」

ゴスロリ少女が、円形の巨大刃物で遊んでいる光景に顔面を蒼白に。
グラサンを直しながら、口元を引きつらせて叫ぶ。
押すなよ!絶対押すなよ!とかじゃない、フリでもないぞ!

>>711
「わお」

身を乗り出してパスタが作られる過程にじゅるりとヨダレを垂らす。
差し出された皿を受け取りつつも、色の濃いサングラスの奥の瞳が細められる。
口元には、なんとも言えない笑みが浮かび。

「……まあ、な。でも、 ――――無くなったって事は、もう一回空いた場所に何か入れれるって事さ。
カノッサ機関の実験体、ナンバーゼロは死んで、今の俺は正真正銘の東西南北良方。
だったら俺は、俺らしく生きるさ。……弄られた力無くなったら本来持っていたはずのも戻り始めたしな」

そう言うと、手をあわせていただきまーっす、と元気よく言ってむしゃむしゃとたらこパスタを食べ始めた。
綺麗な動作でしかしながら結構な速度でパスタは平らげられていくことだろう。

714防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 22:38:07 ID:WVrfsEdY0
>>710
「ん?なんでしょうこの光は」
【天井から反射する光を目にいれて、不思議に思った鶫は店の外を見る】

「…踊っている?誰でしょうね」
【不思議そうな顔で踊る少女を見る】

>>711
「ええ、漢字で書きにくい名前なんですよね」
【軽く笑って答える】

「ああ、あの子ですか…一応元気そうではあるんですが…」
【少し不安げな顔になる】
「自分が殺し屋に勘違いされたりで、精神の方は大変そうなんですよあの子」
【そう言ってナポリタンをフォークでくるくると巻いて食べ始める】
「コレとっても美味しいですね!自分の知ってるナポリタンで一番ですよ!」
【すごくいい笑顔で答える】

「あ、そういえば保護している人がいるみたいなんですけど…」

>>713
「…そういえばそういう噂はよく学園で聞いたような気がしますが…」
【どうやらある程度話題になっていたらしい。】

「友達ですか。
 しばらく離れていたというと…旅行か何かですか?」

715ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/05(日) 22:43:13 ID:oB5LASG.0
>>712
「チッ。……解ったよ」
円刃の動きを止めると、片手で持ち上げ、肩に担ぐ。
身長程はある為に、そうすると若干歩きにくいのか、何度か足を詰まらせながらもテーブルに着いた。
肩から外し、イスに立て掛けると、
「腹が減った」
横着である。

……確か、今はバイト中のはずなのだが……。

>>713
来てしまった。
刃はイスに立て掛けられている為にそれほど危なくは無いが。

「ぁあ? ンだよ」
訂正。危険である。

>>714
「テメェも、何見てンだよ。輪切りか? 輪切りにされェのか?」
黄色い瞳を威圧的に向けている。
身長も、年齢も、恐らく下。なのにエラくスレれている……。

716銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 22:47:41 ID:HnkBBDEo0
>>713
「言うようになったじゃねぇか」

 良方の言葉を聞いてクククと笑う。

「ま、自由に暮らせるってのは何にしろ大きいよな。
 俺達みたいな脱走モルモットの人生目標は、何にしろまずは自由だ。
 しかし、気になるな」

 どうやら良方の言葉が引っかかったようで、

「お前の言う『本来持ってたはずのもの』って何だ?
 もしかしてお前はメスを入れられる前にも能力者だったってことか?」

>>714
「おう、口に合ったみたいなら良かった。殆ど俺の好みで作ってるからな〜」

 そう言いつつフライパンを洗い始める。

「保護者? 保護者がいるのか?
 うーん、ちょっと色々と気になってきたな。
 俺も巻き込まれたわけだし、ちょっと探ってみるか……」

 ふむ、と顎に手をやる。

「その子の名前と、保護者とやらの名前は分かるか? 知っておきたい」

>>715
「なんなのゼオラちゃん……そんなの、どこから持ってきたのさ……
 お父さんゼオラをこんな子に育てた覚えはありませんよ!!」

 ぷんぷん怒りつつも、まだ熱が残ってるお湯にパスタを放り込む。

「ああもう、これ食べたら掃き掃除くらいしてくれよー。
 うちの店員って基本的にフリーダムな奴ばっかりで、お父さん挫けそうです!
 って、客にガン飛ばしてんじゃねぇーッ!!」

717東西南北 良方:2012/02/05(日) 22:53:38 ID:7gFzKdaU0
>>714
「あ、マジ? 良く学食のおばちゃんにアンタ目立つねー、とか噂になってるよーとか言われてたんだけどな」

学食のおばちゃんとは仲が良く、良く定食や丼にオマケをしてもらっている。
ちなみに学内では、半端じゃない不良として名が轟いているが、そんな事は無い。

「あー……、まあこの都市に良く有る面倒な事情ってやつにケリ着けてきた訳。
ま、そのせいで出席日数足りなくてまた留年だけどな」

もう俺18なんだぜー?とうんざりした様子で呟く、
本来ならば3年であるが、留年とかもろもろでまだ1年生である。学力は十分なのだが。

>>715
「ああん!?」

声を荒げて、椅子を蹴りつけるように立ち上がって。
そして次の瞬間。

「すいませんでしたなんでもないです」

額を地面にこすりつける様に土下座して、コンマ数秒後には椅子に座ってまたパスタを食べていた。
とりあえず、関わると死ぬ、マジで死ぬ。そう重い、冷や汗がだらだらと顔を濡らす。

>>716

「ま、これで毎日薬飲んで、何時死ぬかいつ見つかるかビビる日々が終わったってのは、――――嬉しいわな。
自由さ、これでな。やっと学校にも行けるし――、他の奴らも4人は助けられたし。俺としちゃ十分過ぎるさ」

パスタを食べ終えて、手をあわせてごちそうさまと言う。
口を紙ナプキンで吹きながら、クロスの疑問に答えていく。

「元々が能力者の遺伝子色々混ぜあわせていじった奴を大元に人工子宮で生まれたからな。
その後で更に手を加えて俺の場合は全く別物を開発されてたわけだ」

何から何まで人工で生まれてきたのが良方を中心とするカノッサの実験部隊ナンバーズ。
能力者の遺伝子を加工したものをベースに生まれた能力者を改造するのだからあり得ない能力を持っていても可笑しくはなかった。

718防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 23:01:31 ID:WVrfsEdY0
>>715
「…いえ、輪切りはご勘弁です」
【驚いた表情でその少女の姿を見た】

「見かけに反して喋り方がかなり…
 いったい何が…」
【少し気になっているようだが、あんまり見ないように心がけている…】

>>716
「お料理お上手なんですねぇ。
 羨ましいですよー」
【どんどんフォークが進んでいく】

「ん、あくまで予想なんですけどね。あの子を大事そうに抱えてましたし。
 …名前ですか?うーん」
【少し考えて言う】
「保護者の方のお名前はまだ聞いてませんけど…
 その人はあの子のことをしきりに「ヴァージニア」と言ってましたから。多分その子の名前はそれなんじゃないでしょうか」
【そう言って人差し指を立てた】

>>717
「単なる学園の七不思議かと思ったら、実在したとは思いませんでした」
【不思議そうな顔で言う】

「ああ、なるほど…色々事情があってきている人なんですねぇ・・・
 この街にいる人は大体そうなのかもしれません…」
【ちょっと考えた表情になる】

719ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/05(日) 23:10:23 ID:oB5LASG.0
>>716
「……」
引き攣った笑顔……にもならないほどの引き攣り具合。
クロスの様子が最高にマイナスイメージだ!

「ンじゃーなぁ、俺が働かなかったらバイトとして見られない訳だし、いーんじゃねーか?」
中々に畜生な思考である。
しかも、右手にスプーン左手にフォークを持ち、首掛けも準備している。用意周到であった。

>>717
(何コイツ……ヤバい)
ちらりと視線をカウンターの向こうの店長へ向けて、少しして土下座男に戻る。
どうヤバいのかというと、ああいう感じのヤバさだと取ったようで。

>>718
「その割にはそうして欲しそーなカオ、してるよな?」
顔を上に向け、クックッと喉を鳴らす様な奇妙な笑い声をあげる。

「あー、気になるのか、俺のコト。
 だったらさぁ? 知ってみるか? モチロン、お互いに……なぁ?」
再び少女と見合わせた顔は、非常に嫌らしい笑みをしていた。

720銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 23:16:07 ID:HnkBBDEo0
>>717
「う、うげぇ。結構えげつないことされてたんだな、お前」

 過去の話とはいえ、聞いてるだけで怖いようだ。

「とすると、これからのお前は今までとは別モノになる可能性が高いってわけか。
 もうどんな能力かは分かってるのか? それともまだ?」

 どうやら、その『本来の能力』に興味津々のようで。

>>718
「ヴァージニア……? ……!!」

 急いでスマートフォンを取り出して操作。

「ええーっと……あった!! そうだ、確かさっきから箱庭で戦ってる奴らだ」

 喧嘩好きのクロスは箱庭のログは定期的にチェックしてるらしい。

「そうか、こいつが……この相手の『柊宇都 綾』ってのが保護者でいいのかな。
 っていうか、なんて読むんだろコイツ。まあいいや。名前と顔のデータだけ覚えておいて、後で探すか」

 ちょちょいとスマートフォンを操作し、画像と名前のデータをメモ帳に保存。

「ありがとな鶫」

>>719
「頼むからせめて、店員らしく振舞って客を客として……ああもういいやー」

 がっくりと肩を落とす。色々と諦めたようだ。
 そうしている間にもシメジ、エリンギなどのキノコ類をホウレンソウと一緒にバター炒め、
 それに生クリームと塩胡椒、醤油を入れて少し煮込む。
 コンソメを少し入れてスープ状にしたら、さらにパスタを入れてソースと絡める。
 キノコとほうれん草のスープパスタの完成である。

「ほれ、喰えよ。スプーン持ってるからスープパスタにしてみた」

 とん、とゼオラの前に置く。

「まったくお前もフリーダムな奴よのー。人生楽しそうで何よりだ。
 そういえばお前、バイトで稼いだ金は主に何に使ってるんだ?」

721東西南北 良方:2012/02/05(日) 23:19:42 ID:7gFzKdaU0
>>718
「妖怪じゃねーし! 人間だし!」

頬をむくらませながら言う男。此れが少女とかなら別だが、世紀末だ。

「……で、えーっと、防人だっけか。あんたもそういうクチだったりするわけか?」

にぃ、と犬歯をむき出しにするような笑みを浮かべて男は笑う。
しかしながら、害意の類は全くとして感じられることはないだろう。

>>719
(近寄るな近寄るな、こわいこわい、刻まれる、マジでヤバイ、目を合わせるな食われる……!)

ざわざわと蛇の様に腰まで有るグラデーションのかかった長髪が邪気でうごめく。
しかしながら、口元はひきつって脂汗が滲み。だが、表情だけは余裕を気取ろうとして口笛なんか吹いたりしている。
割とヤバイ。そして、視線を戻した瞬間、店内に風が巻き起こる勢いで空中一回転土下座を決めてまた席に戻った。

>>720
「割りとひでーぞ。一週間薬飲めなけりゃ死ぬ身だったしな」

逃さないために、投薬で身柄を縛り付け、命を握る。
そんな非人道的行為からも、良方は解き放たれたのである。

「うーん、割りと強い女性の能力者の遺伝子から作られたらしいんだがな。
その素体の人は邪気眼系とか、目にまつわるらしいけど俺の場合は遺伝子を弄られてるからな。
だからどうなるかは分からん。とりあえず何があっても大丈夫なように体は鍛えてるけどなぁ」

体の内側からは、〝異能の鼓動〟が聞こえていることだろう。
小さくも力強い、芽吹く種の気配が、そこには存在していた。覚醒は間近と言ったところか。

722防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 23:27:42 ID:WVrfsEdY0
>>719
「そ、そんな顔してましたか?」
【自分の顔を触って不安げな顔になる】

「気にならないと言ったら嘘ですけど…
 この場で勝負とか…そういう意味じゃないですよね?」
【かなり心配そうなかおになっている】

>>720
「今戦闘中だったんですか?
 なるほど…そういう調べ方もあるんですね」
【感心しているようだ】

「しかし見つかってよかったです…
 なんかあの子、なんでもない私を見ても怖がってたくらいですから…」
【かなり安心した顔である。】

>>721
「え、ええ…でも人間じゃなくても自分は大丈夫ですよ!」
【ほほ笑んで返す、軽く引いてるかも】

「まあ、そうなんですよ…
 姉が色々とありましてね」
【ちょっと陰りのある笑顔になったような気がする】

「あ、ちょっと重くなっちゃいましたね。すいません」
【慌てて頭を下げる】

723ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/05(日) 23:39:49 ID:oB5LASG.0
>>720
//二人の戦闘は柊宇都家の庭で行われているのであった。

「疎らにしか客がいねー店なんだから、少しくらいサボったってよ?」
言い終わると出されたスープパスタに手を付ける。
ガツガツと食べ進める様は……品が無い。が、男らしさはあった。

「わぁーったよ。喰い終わったらなー」
表と乗り替わり、場を凌ごうとする。中々に畜生。

「ん、知らん。
 ……が、金なんて受け取ってたっけかな?」

>>721
(ヤダ……なんかヤダ)
余りにもアレだったために視線を逸らした。
椅子を傾けて其方に背中を向け始める。別方向の恐怖をこちらも抱いていた。

>>722
「してたしてた。俺好みの可愛らしーぃ、な」
嫌らしい笑みのままそちらの全身をなめまわす様な視線。

「ちげーよ、そんな事すりゃそろそろ店長に干されちまう。
 それに、そんな危険な事じゃねーよ。……もっといいことだ」
流れに乗って首を縦に振ればそのまま危ないところへ連れて行かれそうな口調で。

724銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/05(日) 23:44:31 ID:HnkBBDEo0
>>721
「……ふむ」

 しばらく良方を見て、

「だとしたら、手っ取り早く能力を発現させるには、やっぱり戦闘ありきだと思うぜ。
 人間ってのは必要な時に必要なだけの能力を出すようになってる。
 俺達異能者の能力ってのは、敢えて言うならば『火事場の馬鹿力』の延長線上みたいなモンだしなー。
 どっか出かけて、適当に暴れればいいんじゃないか?」

>>722
「怖がってた? もう意味わからんなー。
 俺には今回の事件は何がどうなってるのかサッパリだ。
 吸血鬼化の件もあるし、やっぱり会って話してみるか。
 やーれやれ、良い暇潰しを見つけたぜ」

 クククとゲス顔で笑うクロス。
 この男が首を突っ込むのは、大抵の場合は「面白そうだから」という、しょうもない理由が多い。

「そういえば、お前はお前で何やってるんだ? 名前は聞いたがその他は何にも知らないワケだが」

>>723
//ごめ、確認怠ってたwwww
//適当に流しといて

「あれ? 受け取ってないっけ。今まで働いた日とかちゃんとシフト表に記録してる?
 俺が居ない日でも入ってたなら記録しとかんと駄目よー」

 などと言いつつシフト表を確認。

「あー、数箇月分、払ってないな。ちょっと待ってろ」

 封筒を持ってレジの前へ。

「だが、その前に。客に手を出すな!! っていうか、お前ってそういう趣味? キマシ?」

725東西南北 良方:2012/02/05(日) 23:49:16 ID:7gFzKdaU0
>>722
「――にんげんだからおれー!」

眉間にシワを寄せて叫んでみれば、その表情に諸行無常の響きあり。
唯でさえチンピラっぽいのに態度がちょっと乱暴になると更にアレだ。

「姉かー……、俺も14人兄妹だったんだがな。俺が末弟な。
……ま、気にすんな。この街にゃ複雑な事情抱えてるやつなんかごまんと居るんだからな」

気にする様子は無く、人好きのする笑顔を浮かべて男は手を軽く振る。
ほんとうに気にしていないようで、見た目に似合わず案外まともだ。

>>723
「くくく、凌いだぜ……!」

ハードボイルドに勝手に決めている男。色々と締まらない。
やっていたことは全力で土下座して冷や汗垂らして目を合わせないようにしていただけだというのに。

>>724
「んーっ、今度箱庭でも行って誰かと戦ってくるかねえ。
終わってからしばらく戦ってないかか、多分戦えば速攻でピンチだろうし。
使える力なら使えるようになっとかないと不味いもんなぁ」

うんうん、とパスタを完食しつつ、そう答えて。
よいしょっと、そんなおっさん臭い声を漏らしながら立ち上がると、財布から代金を出して。

「悪り、今日宿題あんの忘れてたからさっさと帰るわ。
留年するつっても勉強は真面目にしねーとなー」

そう行って、店を後にするのであった。

726防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/05(日) 23:52:09 ID:WVrfsEdY0
>>723
「…な、なんか邪な視線が…」
【実際鶫は結構スタイルがいい】

「やややっちょっと待ってください!
 私はソッチ系のシュミは全然無いですよ!」
【顔を赤くしてイスを大慌てで下げる】

>>724
「うーん…自分の考える限りでは
 あの子はアングラな人に追われてると思いますね。
 それもその辺のチンピラレベルじゃないくらい奥の…」
【考え事をしている…】
「え、私ですか?えっと…私は普通に学生ですね。学園内で自警団みたいな所に所属はしてますけど…
 あの子と出会ったのもたまたま成り行きみたいな感じでして」
【軽く笑って答えた】
「一応、その「保護者」の人に色々聞いてみようかとも思いますね。
 色々ほっとけないように思えますし…」

>>725
「も、勿論わかってますよ!」
【慌てて手を振る】
「大家族ですか、それはそれで大変なのかもしれませんね」
【という割には何処か羨ましそうな顔である】

「あ、さようならー。」
【そう言って立ち去る良方を見送っていった】

727ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/06(月) 00:02:15 ID:oB5LASG.0
>>724
//まぁ、問題ないでしょう。うむ。

「いや、いゃ、ぁー。そういう意味では無くってな……」
罰の悪そうな顔をする。
口ごもって何やら色々言おうとするのだが、何分バカなのでどういえばいいのかが解らない。
そのまま悩み続け、ワナワナと震えた挙句、
「なぁんでオメーが把握してねェんだよッ!!」
椅子を蹴りあがり、跳び上がった少女は顔面にドロップキックを放った。やはり中も黒い。

>>725
ドロップキックを決めていたため、去っていくのには気が付かなかった。
少女の心が落ち着けば、気づき安堵する事だろう。

>>726
「ヘヘッ。ダメか?
 いーぃカラダとカオしてんだから、夜道には気を付けな?」

「俺が欲しがるくらいなンだからな?」
どういうお墨付きだ。

728銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/02/06(月) 00:09:59 ID:HnkBBDEo0
>>725
「おう、お疲れー。
 今年こそはちゃんと進級しろよ〜」

 代金を受け取り、良方を見送った。

「あれで高校生ってのが、未だに信じられん……」

>>726
「ま、そう考えるのが打倒かねー」

 食器を洗いつつ、思いを馳せる。

「ああ、やっぱり学生さんか。千夜んとこか?
 あそこは生徒が優秀なんだかヤンチャなんだか分かんねぇからなー」

>>727
「あいたー!?」

 思いっきり顔面に踵がめり込む。

「そうか、黒か……」

 などと言いながらクロスは倒れた。
 倒れつつも、片手だけ上げて封筒をゼオラに渡す。

「いや、まあ自己申告というか、なんというか。
 そういう会計とかその辺りは黒瑪瑙に任せっきりだからさー。
 ホント、アイツがいないと俺はただの駄目人間なのだよ」

 鼻血をふきつつ、クロスは笑う。

「ま、そういうグダグダな店だからさ、気が向いたらまた手伝いに来てくれよ。
 一緒に働いてくれる奴がいると、やっぱり嬉しいんだよー」

 ケケケと笑いながら、エプロンを外した。

「というわけで、俺はそろそろ上がります。
 食器洗いはやっといたので、後の清掃作業は適当によろしく!
 あ、鶫も食べ終わったら食器そのままでいいからー。明日俺が洗っとくー」

 そう言うとクロスは欠伸を出しながら「STAFF ONLY」と書かれたドアの向こうに去っていった。

729防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 00:14:31 ID:WVrfsEdY0
>>727
「えっと…どうも」
【軽く頭を下げてお礼をいう】

「スタイルとか…その、恥ずかしいですよぉー」
【顔を抑えて軽くうずくまる。湯気が出そうなくらい恥ずかしがっているようだ】

>>728
「ええ、踏み込み過ぎると危ないかもしれませんけど、
 あの子はもっと危なそうですし」
【そう言って軽く頷く】

「はい、千夜学園で勉強してます。
 成績も優秀だと自負してますよ!」
【自信ありそうな顔で答える】

「あ、お疲れ様でした。
 また来ますね〜」
【にっこり笑って手を振り見送っていった】

730ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/06(月) 00:24:54 ID:oB5LASG.0
>>728
「そういうイミじゃねぇよ!!」
もう一度踏んで置き、受け取った封筒を直接レジにぶち込んだ。

「なんつーか……アホッ」
少女との契約内容は、タダ働きであった。
以前、窮地を救って貰った礼が、それ。
それと、少女は全くと言っていいほど金に困ってはいなかった為、道楽の意味もあるのだという。
去っていくクロスの背中を見て、そうつぶやいた。

>>729
「よぉーし、その調子だ。
 もう一歩踏み出して見るか?」
等と言いながらすり寄ってくる。
言動がただの変態のそれに成り下がっていた。初めからだが。

「どーせ邪魔する奴は消えたんだ。
 思う存分……ってあれ、アイツどこ行った。まぁいいや」
店長を邪魔物扱いした上に、奇抜の塊が消えた事にも気が付いていなかった。

731防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 00:30:14 ID:WVrfsEdY0
>>730
「え、いや…ですからそういうケはないんですよ…」
【店の奥にゆっくり後ずさりする】

「ん、なにか探してるんでしょうか」
【そのまま扉側に壁を伝ってカニ歩きしていく】

732ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/06(月) 00:34:22 ID:oB5LASG.0
>>731
「あぁー、羨ましいなクソッ。
 この手に納めて可愛がりたくなるなー?」
グヘヘと卑しい笑みを浮かべながらにじり寄ってくる。

「いやー? 別に大した探しモンじゃねーよ。むしろねぇ方が良い」

733防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 00:38:19 ID:WVrfsEdY0
>>732
「納めて?…そそ、それはちょっと…
 お友達程度ならいいですけど」
【冷や汗垂れてるようだ。】

「そうですか…一体何なんでしょうね。」
【ドアノブに手が掛かりそうなあたりに来ている】

734ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/06(月) 00:42:47 ID:oB5LASG.0
>>733
「お友達もいーけどなぁ……俺はその先を望むね!」
グッっといい笑顔と共に、訳の解らない宣言をする。

「帰るのは構わねーが、次に会うまで俺の事、考えといてくれよ?」
バシッとウィンク。訳が解らない。

735防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 00:45:26 ID:WVrfsEdY0
>>734
「その先…ですか。
 一応検討…いや、ちょっと待って」
【顔を軽く振って考えを断つ】

「えーっと…一応考えておきますので
 さ、さよならぁー!」
【鶫は出入り口を開けると、すぐさま入り口から走りさってしまった・・・・・・】
//ちょっと駆け足ですがここでオチますー。

736ゼオラ=アドヴァルド:2012/02/06(月) 01:06:15 ID:oB5LASG.0
>>735
「できるだけ前向きな方向でなー」
手を振りつつ、円刃に手を掛ける。
少女が居なくなったのを見ると天井に投げ上げる。
現れた暗黒に飲み込まれ、円刃が消滅する。
暗黒も跡形もなく消え去り、残ったのは漆黒の少女のみ。

「ちょっとやっちまったしなぁー……ちょっとだけやっとくかなぁ、な、ゼオラ?」
そう言うと景気づけに一回転して見せる。

「ハァ……解った」
少女は呟くと、箒を持ち出し、掃除を始めた……。

//お疲れ様でしたー!
//裏どうしようかしら……相変わらず迷走中。

737矢野 映二:2012/02/06(月) 22:27:04 ID:xm/dFKGs0
「あー…今日は何も無かったな」

探偵事務所のソファに寝転びながら、俺は誰に言うわけでもなく呟く。
それの声に対して、今この場にいる奴の中でスーツを着たルディが言葉を返した。
デスクでパソコンにデータを打ち込みながらだが。

「そうだね、何にも無い平和だ。
けどむしろそう言うのが貴重だと思うよ。うん」
「でも、嵐前の静けさみたいで私は落ち着きません…」

ルディの隣の机で課題のような物をやっている真由子はルディの言葉に対して、
少し俯き加減になっているような感じで話す。珍しい。
どうやら心配なのはそれだけではないらしい、隣に立っている灰色のシャツを着た外国人…。
アルフレッドは真由子に対してちょっと苛立っている様な感じで言う。

「お前が心配なのは、その事じゃなくて明日先生に出す課題が終わってないからだろ!」
「だって、忘れてたんだからしょうがないじゃない?ネ?」
「ネ?じゃねぇよさっさとやれ!次、第三問目!」

どうやら真由子の奴は何があったか知らないが課題をやり忘れていたらしい。
で、それをアルフレッドに教えてもらっているようだ。
そんな日常を感じながら、俺はテレビの電源を点ける。
そういや、天沢の奴が言ってた新しい入居者ってどうなったんだ?

738 ◆ZwSFISyT06:2012/02/06(月) 22:39:38 ID:1sJsd2CgO
>>737

 点けたテレビに連続放火魔の文字が見えた頃、だろうか。
 矢野探偵事務所の扉を叩く音がする。もし、開け放たれていたとしても、だ。

「すいません」
 と、声がする。
 女性だろうか、シルエットは見えないがその声質はやはり女性だろう。
 まぁ、その人物が誰であれ

「矢野探偵事務所は、ここで合ってますよね?」
 客、なのだろう。

//連続放火魔イベの探偵役、希望なのでしょうか?
//違ってても大丈夫ですけど。

739矢野 映二:2012/02/06(月) 22:50:22 ID:xm/dFKGs0
>>738
客が入ってくる前に格好と佇まいを素早く直して。
女性の声に対して、アルフレッドに合図を目で送る。
了解したようで、アルフレッドは客にたいして。

「はい、そうですが…何か御用でしょうか?
不都合だったら上がってもらってもいいですが…」

そう、聞こえてくる声へ言葉を返す。

//なんだか面白そうですので、参加させていただきますです。
//たまには探偵っぽい事もしないとなー…

740空逸 由利香:2012/02/06(月) 23:11:00 ID:1sJsd2CgO
>>739

「そうですか。では、遠慮なく……」
 音もなく、滑るように入ってきた若い女性。
 差し出した名刺には、名前――「空逸 由利香」と、その脇に「公安局広域捜査課四係」と記されていた。
 手にしたバッグや服装から事務的な雰囲気がピリピリと感じられる。

「本日はあなた方に仕事を頼みにきたのですが……まぁ、普通はその為に来ますよね、えぇ」
 だが、そんな雰囲気は口を開く度にボロボロと砕けていく。
 慣れていない、というか。
 初々しい、というか。

 あれこれ言ってても仕方ない。と腹を決めたのか、つと顔を上げる。

「――『セルグリア』という薬物をご存知ですか?」

741矢野 映二:2012/02/06(月) 23:25:57 ID:xm/dFKGs0
>>740
「……」

ソファとテーブルを境にして相手の差し出した名刺と、相手を見比べる。
そういや、秋雪の奴が公安に新人が入ったとか何とか言ってたな。
相手が知っているか知らないが、聞いてみるか。後で。

「まぁ、仕事の依頼、だろうとは思います。
真由!茶と菓子、用意してくれー!主に俺の為に」
「麦茶とどら焼きしかないです所長ー!それでいいですか!」
「ああ、いいから速く用意してくれ」

真由は課題を切り上げて用意にかかる。
その間に話を進めてしまおう…俺は相手が聞いてきた事に答える。

「ああ、少しぐらいだがな。
能力抑制剤の副産物で生まれた毒薬で、最近闇市で出回ってる奴だな。
服用してから短時間で対象を殺せる上、隠匿が容易な薬品…だったっけか?
主に出回ってるのは都市西部の裏商店街地区辺りだったっけか?あんま調べてないから正しく無さそうだな」

目の前の女性に、少しウェーブのかかった髪を直して答える。
もっとも、情報屋が不在なので、それくらいしか知らない。

742空逸 由利香:2012/02/07(火) 00:12:03 ID:1sJsd2CgO
>>741

 バタバタと用意を始める女性に「お構い無く」と言いたかった声は徐々に消え入る。
 ――公安に補充要員が入ったらしい話が聞けるついでに、補充の理由は交戦で死んだから……
 いや、二係で謹慎処分になったハシロだかヤシロだかの穴埋めだったか……などと、どうでもいい話も付いてくるだろう。

 矢野の知り得ている情報に、空逸は思わず口を開ける。

「よくご存知ですね、それもただのウワサ程度ではない程に……」
 ――意外だ、とでも言おうとしたのか。
 口をつぐみ、言葉を飲み込んで。

「ですが、少し違います」
 ぴしゃりと言い切った。
 そうして、バッグから楕円形の錠剤とカプセルの二錠が入ったプラケースを取り出して、矢野に見せた。

「“この”セルグリアは致死毒ではありません、むしろ覚醒剤に近い。
 速効性の能力増強剤。とでも言いましょうか、ただし操作系能力以外には全く効果が無い、というね」
 能力抑制剤の副産物が、能力増強剤という相反する薬物。
 元々は「暴徒化した能力者の人道的鎮圧の為」という名目で研究と開発を繰り返すなかで、偶然出来てしまったものなのだという。
 しかし、能力抑制剤の研究開発をしていたグループは、この副産物を効果が判明してすぐ製造法もろとも非認可として廃棄。
 後に厳重に封印されたという逸話を持つ、あってはならない薬物――『毒』なのだ。

「これは、都市西部……あの連続放火魔に燃やされたアーケード街付近で回収しました」
 その『毒』が、今こうしてプラケースの中に収まっている。
 “無いはずのモノが有る”
 しかも、それが非合法な薬物であるのだから公安を維持する者としては見過ごしてはならない非常事態と言えよう。


「――そこで、本題ですが」
 この『セルグリア』を流通させている組織、または個人を特定する事。
 それが、空逸由利香の依頼である。

743矢野 映二:2012/02/07(火) 00:25:49 ID:xm/dFKGs0
>>742
「そりゃ、俺もある老紳士の依頼で都市の事調べてるんでね。
いやでもそう言う話は耳に入るさ。嘘か誠かは別だがね」
「所長ーお菓子とお茶ですー」

「ああ、有難う」と俺は真由に返す。真由は何にも考えてなさそうな笑顔で女性に礼した後、
何故か俺のデスクで課題を再開した。アルフレッドも察したのか、静かにしている。
お茶は三人分。俺と女性と、後はルディだ…俺はどら焼きを一つ頬張って相手の話を聞く。

「となるとだ、大まかにはその中に流した奴がいるか…製造法が漏れたか。
おまけに無い筈のものがあっちゃうからそっちとしても不都合なわけか」

相手が情報を訂正してくれた事には内心で感謝しておく。
もっとも、件の薬物はこの場にいる奴には意味は無いものだ。
俺はこの身一つが武器だし、ラルフも同じだし、真由も似たような物だ。
ルディは財力と銃と自分の体が武器だ。真面目に脳筋だらけかよ…。

そして、相手が本題に入った。多分こっからは依頼の話なんだろう。

「それを流通させてる組織か個人かを特定する事…か?
まぁ、別に構いはしないが。お金が絡むんならルディに聞いてくれ」

俺はそう言ってデスクで作業している紺色の髪の女性を指す。
ルディは気づくことも無くパソコンに向かってデータを打ち込んでいる。

744空逸 由利香:2012/02/07(火) 01:11:32 ID:1sJsd2CgO
>>743

 コトン、と置かれるお茶。
 反射的に「どうも」と笑顔を向け、こくり。
 緊張していた空気(むしろ自分だけ)が和やかな雰囲気になって、拍子が一つ外れる。

「んー? 資金洗浄だとか、そういったのはウチに専門がいるから問題は――ありませんね」
 和みついでに砕けてしまった口調を元に戻す。

「ご察しの通り。この場合、製造法が知られている事が問題なんです」
 厳重に封印された製造法が漏れ、かつそれを利用する何者かが確実に存在する。
 複雑で粗雑な研究段階のデータが漏れたのか、臨床実験段階のデータが漏れたのかは不明だが。
 どちらにせよ、当時の関係者が関わっているのは確かだろう。
 こちらは公安局側のほうが追求しやすい、しかしそれを利用する何者かは別だ。

「扱うモノがモノですから、あまり公に出来ない事でして、大々的に捜査も出来ない。速やかな解決が望まれるのに勇み足を恐れて牛歩の如し」
 非常にデリケートな問題です。と、言い訳めいた受け売りを口にする。
 もし、相手が尻尾を出したとしても下手に動けば尻尾を切って逃げられてしまう可能性がある。

「そこで、あなた方のような探偵に白羽の矢がたったわけです。幸運にもあなたは、なかなかその筋にツテがあるみたいですし」
 私達、無能力者とは違って能力〈チカラ〉もある。

「引き受けてくれます?」
 そう言って、目を細めた。

745矢野 映二:2012/02/07(火) 01:26:48 ID:xm/dFKGs0
>>744
「モノがモノか……ここ最近はそんなんばっかだな。
まぁ、別に構わないんだがね」

この前ラルフが連れて来た少女もそうだ。
この家は段々面倒なやつらが増えている気がするぞ…。

「うーん、俺は別に構わないんだがね。
ルディがどうするかな、おーい、話聞いてた?」
「ん、うん。聞いていたよ、別にいいんじゃないかな。
無論、タダでとはいかないけれどね」

「だそうだ」と俺は目の前の女性に言う。
まぁ、確かにそんな大事をタダで引き受けるほど金に興味が無いわけじゃあない。
もっとも、報酬云々は俺の管轄外だ…と、ルディは俺の隣に座る。
整えられた紺色の髪と、仕事着であるスーツを着て目の前の女性に会話を始める。

「さて、第一にですけれど…報酬が無かったら受けません。
まぁ、受けなくても隣のエイジ君は単独で捜査するでしょうけど」

746空逸 由利香:2012/02/07(火) 01:57:21 ID:1sJsd2CgO
>>745

 金の話は、正直苦手である。
 しかし、これが無ければ世の中は回らないのだ。
 バッグの中から、一枚の紙を取り出しながら空逸は思う。

「契約金扱いでこれほど、そして成功報酬として……」
 一つ、一つ、零の多い額を指で示す。
 契約書としては簡易なつくりである、しかし効力は確実な物だ。
 銀行口座でのやり取りとなるが、名義は便宜上、空逸由利香となっている。

「調査のなかで、分かった事はここに報告してください」
 一枚のメモ書きに記されたアドレス。
 ここにメール形式で送れば良いらしい。

 そのメモ書きに添えられた資料。いや、メモ書きを添えたと言うべきか。
 『セルグリアに関する情報とその取引』と題されたファイル。
 これに書かれている内容を調査の助けにしろ、ということか。

747矢野 映二:2012/02/07(火) 02:02:49 ID:xm/dFKGs0
>>746
「メールか…面倒だがしゃあないか。
でこっちは資料みたいなもんかね…後でラルフに渡しとこう。
で、報酬に文句はないか、ルディ?」

相手が提示した額を見て、うーんとルディは僅かに考えた後。
相手にちょっと不満の顔をあらわにしながら。

「率直にいいます。報酬高すぎるので、
8万円くらいに出来ません?前金は5000円で」

俺でも信じられないことを真っ向から発言した。
半分予想通りだった俺はどら焼きをもう一つ頬ぼる。甘い。
まぁ、確かにそんなに多くお金は貰いたくないのは事実だが。

748空逸 由利香:2012/02/07(火) 02:19:01 ID:1sJsd2CgO
>>747

「……その程度で?」
 驚いた。
 秘密保持のためこの額なのだが、しかし。

「なら、キリよく報酬を10万。契約金を1万で……どうでしょうか」
 最初の提示額から見て十分の一である。
 報酬の値切り交渉。
 なぜ、と言いたくなる感覚だった。

749矢野 映二:2012/02/07(火) 02:33:44 ID:xm/dFKGs0
>>748
「その程度って…8万円って結構大金じゃないの?」
「俺に聞くな。自分で言っといて」

まぁ多分何時もの通り何と無く後がめんどくさそうとか、
ああこの額いやだわーとか、そんな感じだろう…大きい依頼の時はいつもそうだ。
相手が提示した額を聞いて納得したのか。

「はい、それなら喜んで引き受けます。
報酬は依頼を完遂したらで構いませんので、
出来なかったら貰う権利は無いですし。」

何の躊躇いも無く空いては提示した額をOKした。
まぁ、今はお金に困っているわけでもない。
それに、良く考えればタダの捜査である。爆弾の解除とか、
トレジャーハント護衛とかに比べればそんなでもない。多分。
仕事の話は多分終わったと思うので、俺はふと質問をした。

「多分君は新人だろうと思うから、知らないかもしれないけれど。
公安局のに多分清水秋雪って奴がいるんだが、知ってるか?」

750空逸 由利香:2012/02/07(火) 02:50:35 ID:1sJsd2CgO
>>749

 話は纏まったようだ。
 プラケース――主にその中身は重要な証拠品なので回収して。
 あまり長居しても、と席を立とうと考えた時に質問が飛んできた。

「清水秋雪……?」
 さて、居ただろうか。
 少なくとも広域捜査課四係の所属では無い、これは確実だ。
 公安局の他の部署なのだろうか。
 だとすれば……。

「さぁ……、少なくとも私はその名前を知りませんね」
 そう答えるのが無難だ。

 では、と席を立ち。
 くれぐれもよろしくお願いします、と一礼。
 他になにも無ければ、そのまま帰ってしまうだろう。

751矢野 映二:2012/02/07(火) 02:55:15 ID:xm/dFKGs0
>>750
「アレ、そうか。知らないか。
もしかしてもう上に上がっちまってるのかアイツ…?」

去年の暮れ辺りはまだ公安で捜査員やってたと思うんだが。
俺は次官になるんだぜーとか言っていたし。まさかマジでなったのか?
つか次官じゃなくて次長じゃないのか?

「まぁ、だったら機会があったらでいいから。
公安の中でその名前の人がいたかどうかだけでもかくにしてくれたら有り難い。
依頼に関してはできるだけやってみる。それじゃあ、なにかあったら」

そう言って、帰ろうとする背中に手を振っていく。

//そろそろ時間がやばいので寝ます。いきなりで申し訳ない。
ありがとうございました!

752名も無き異能都市住民:2012/02/07(火) 03:01:32 ID:1sJsd2CgO
>>751
//長引いて申し訳ない
//有り難うございました

753ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/08(水) 00:22:46 ID:WVrfsEdY0
【異能都市広場。スパイラルシェードとの先頭があった場所である。】
【先日の戦いの痕はかなりのものである】
「あう…ここうごきにくいなの」

【あちこちの人工物が粉々に崩れている】
「ここでなにがあったのかなの…
 いけなかったのは…ざんねんなの。」
【少し後悔しているかのような表情である。】

754欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 00:32:55 ID:SSMHlh/20
>>753

しかし、人通りが多い区画であるためか
修復にやってきた工事関係者や修復系能力者、その他通行人などの姿も見てとれる。
荒事には事欠かない都市住民の対応はこなれた物だ。

そんな広場の片隅では、商人たちが工事関係者相手に

755欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 00:36:53 ID:SSMHlh/20
>>753

しかし、人通りが多い区画であるためか
修復にやってきた工事関係者や修復系能力者、その他通行人などの姿も見てとれる。
荒事には事欠かない都市住民の対応はこなれた物だ。

そんな広場の片隅では、商人が工事関係者相手に
魔道具や食料品などを売りつけている姿が見える。

貼り紙や掲示板などを見る限り、この広場では恒常的に
露天商が商いを行なっているらしいが襲撃の翌日にまで商売を行なうとは
なんとたくましい商魂だろうか。

756ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/08(水) 00:40:15 ID:WVrfsEdY0
>>755
「うーん…ひといっぱいいるの〜。」
【あたりを見回しながら歩いていると】

「あうっ」
【その辺の瓦礫につまずいて転んでしまった。】

「・・・あう?あそこでなにしてるのかなの?」
【起き上がった所に丁度露天があった。そのため】
「いってみようかなの」
【興味を持ったらしく、商人のもとに歩いていく】

757欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 00:50:31 ID:SSMHlh/20
>>756

商人は奇しくも、以前ディスに試供品をくれた小鬼。

休憩中の作業員に温かいスープや、
寒さを防ぐ簡易結界を売りつけているようで
トマト風味のにおいと、商品の魔道具にエンチャントされた魔力が
周囲に漂っている。

758ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/08(水) 00:53:20 ID:WVrfsEdY0
>>757
「あ、まえにあったことあるひとなの〜!」
【知っている顔だとわかると少し安堵の表情を浮かべる】

「こんばんわなの〜。えっと…おなまえなんだったかなの?」
【手を振って答える。そして少し考えた後…】
「なんだかあったかいなの…」
【ボロッブの出しているスープに興味を持った】

759欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 01:01:37 ID:SSMHlh/20
>>758

「ん、お嬢ちゃんはたしか……。
 ああ、あの流星群の時の……?」

おうおう、と声を上げた小鬼は
黄ばんだ歯をみせて、にいと笑う。

「ああ、あっしかい?あっしはこういうものさね。
 ボロッブ、という。」

小鬼は、ディスへと名刺を差し出す。
ボロッブ商会代表取締役、ボロッブ――そこにはそう書かれている。

760ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/08(水) 01:05:00 ID:WVrfsEdY0
>>759
「あうー、おぼえててくれたの〜。
 こちらこそなの〜『ぼろっぶ』なの〜」
【こちらは子供ならではの笑顔で名刺を受け取った】

「こっちのなまえは『でぃす』っていうなの。
 よろしくなの〜!」
【そう言って軽く頭を下げる。】
「ここでいったいなにがあったのかなの。」
【あたりを見回し、不思議そうな顔をする。】

761欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 01:15:30 ID:SSMHlh/20
>>760

「ああ、なんでもどこぞのアホがここでやらかしたらしい。
 けが人も大勢でたとかでなあ、恐ろしいことじゃて。
 まあ、既に犯人は捕まったらしいがな。」

ほい、とどこから取り出したのか新聞を取り出し。
そこには、それなりに大きな記事で、昨日の戦闘の事が掲載されている。

         -----異能者通信-----

            2月7日 朝刊

    都市中心部、○○広場での凶行!

    2月6日夜、異能都市中心部○○公園で
    多数の通行人を巻きこむテロが発生。

    犯人は異能者で、居合わせた
    別の異能者により取り押さえられた。

762ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/08(水) 01:19:59 ID:WVrfsEdY0
>>761
「あうー。だれかがここで暴れたってことなの?
 こわいことがあったんだねなの…」
【という割には怖いと言うより残念そうな顔に見える…】
【言われて新聞に目を通すが…】

「うーん…かんじよめないけど…
 これですごいことがあったってわかるかなの…」
【見出しに載っている現場の写真を指さして言った】

763欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 01:29:10 ID:SSMHlh/20
>>762

「ンまあ、簡単に言やそういうこったなァ。
 まったく、無茶苦茶やりやがるもんじゃぜなあ。」

新聞をディスに、半ば押し付けるようにして渡すと
側においていた大きなリュックを背負い。

「さて、商品も売ったしワシはもういくでな。
 そいつは、再会を祝してのサービスということにしとこう。
 新聞を読む子は将来頭の良い子に育つからな!」

ばいばい、と手を振りひょこひょこと歩みだすボロッブは
やがて角を曲がり見えなくなった。

// 今日はそろそろ〆るよん。軽い絡みだったけど乙ー

764ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/08(水) 01:41:04 ID:WVrfsEdY0
>>763
「うーん…『でぃす』もいけたら…
 あう?よんだほうがいいの?」
【新聞を押し付けられて少し不思議そうな顔になるが】
「あうー、わかったの。よんでみるねなの〜」
【ボロッブの言葉に納得したように頷いた】
「またあおうねなの〜!」
【そして嬉しそうに見送っていった】

「…うーん…かんじもよめるようになりたいなの…」
【新聞をじーっと見ながら歩き出して】
「あう!」
【また転んでしまった】
//お疲れ様ーです。

765ヴァージニア:2012/02/09(木) 22:25:36 ID:sb9dVTzY0
異能都市病院で、彼女もまた搬送されていた。
全身を光剣で貫かれたが、種族の持つ生命力と自然治癒力で、既に全快していた。
けれども、目覚めた彼女は誰が話しかけても反応せず、その目は虚ろ。生気が宿っていなかった。

「………」
そう、ヴァージニアは、精神だけが死んでしまった。肉体だけがその生を維持していた。吸血鬼の母体がそれを可能としていたのだ。
生命力を遠隔的に分け与え、自らの手足として動かす。使い魔のようなもの。以前と違うのは、心が存在していたか、どうか。
しかし、彼女はどこかに向かって歩み出そうとしている。周囲の医師たちが止めようとするのだが、静止してくれない。

【――護らなきゃ】
彼女の意思が具現化したかのように、その言葉が聞こえてきたような気がした。
断片的に精神が残っているのか、分からないが……
まだ暗黒の渦による抹殺は終わっていない。綾を護らなければならない。そのような意思が伝わってきた。

766エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 14:24:57 ID:IDnKkU3kO
「……」
都市の中央部。
通りに沿って造られた公園の中。
時計台の下のベンチに一人の男が腰を下ろしていた。

手に持つのは住宅情報の雑誌。
雪の降る地域では、ホームレスをやるのは少し厳しい。

767ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 14:30:21 ID:WVrfsEdY0
「うーん、きょうはちょっとあったかなの」
【時計台の近くを通りがかったのは、全身に包帯を巻いた軽装の少女】

「…なんだかいろんなひとがきてるようなきがするなの…」
【何処か不安気に空を見る。あちこちに戦いの痕があるため不安に思っているようだ】

768エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 14:42:53 ID:cOjmkrCk0
//ディスと面識あったっけ・・・?

769オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 14:46:01 ID:oB5LASG.0
公園の中でてけてけと歩く少女。
右手に杖を持ち、もう片方の手には縄を持っている。
その先に居るのは……黒い狼だろうか。黒と銀の半々に混じりあった、とにかく珍しい外見をしていた。

どすっ。
こけた。少女はただ歩いていただけなのだが。
石に躓いたわけでも無く、ただ自然な流れで。
「うぅ、ぐすっ……」
少女が泣きそうになったので狼が近寄って周囲をくるくると回る。
「わかってる、けどぉ……」
何度も頷きながら言うが、一向に涙が収まる気配は無い。

770ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 14:48:57 ID:WVrfsEdY0
>>768
//恐らくまだないのではないかと…多分

771エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 14:54:26 ID:cOjmkrCk0
>>770
//了解ー

>>767
「……」
雑誌越しにディスを見て、ベンチの真ん中から少し横にズレる。
前にきた時も爆発事故だか事件だかの後だったので、多少の抗争の痕なんて気にも留めてない様子。

>>769
わー、派手にこけてんなあ……。
そんな事を思いながら、少女よりも寧ろ狼へと視線を送っていた。
この男、大のモフモフ好きであったそうな。

だが、立ち上がる訳でも無くベンチより一人と一匹を眺めているだけ。

772ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 15:02:35 ID:WVrfsEdY0
>>769
「あう・・?どしたの?」
【ディスは心配そうにオーレリアに向けて歩いて行く】

「けが、してないなの?」
【泣いてるのを見て心配そうに顔を覗き込む。ちなみに近くにいる狼はあんまり気に留めていない】

>>771
「うーん…わるいひとがきてるのかなの…
 どうにかできないかなの…」
【困った顔をしてあたりを見る】

「…おっとなの。」
【歩き回っているうちに地面の小石に躓いて倒れそうになっている…】

773オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 15:10:53 ID:oB5LASG.0
>>771
暫くすると元気を取り戻したのか、少女は狼の頭を撫でた。
仲睦まじくする様子はなんとも微笑ましい。
「ナツメ、ありがとう」
狼の名前はナツメと言うのだろう。胸に抱きいれてから頭をなでる。

>>772
「いたかったけど……もうだいじょうぶです!」
立ち上がると、膝を叩く。

ディスとオーレリアの間に狼が割って入る。
「ナツメ、このこはわるいこじゃないよ」
そういうと、何処か仕方なくと言った様子で下がっていった。

774エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 15:16:05 ID:cOjmkrCk0
>>772
「……」
今日は人がよくこける日だ。
放っておいてもいいが、近くで泣かれても困る。
とりあえずポーズだけでも、とよろめくディスの背中を掴もうと手を伸ばしてみる。

>>773
「……」
もっふもふだなー。撫でたら気持ちいいだろうなー。
てか暖かそうだなー。いいなーいいなー。
仏頂面で子供のような思考を巡らせている男の目は、表情に反してキラッキラしていた。

775ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 15:24:14 ID:WVrfsEdY0
>>773
「そっかなの…けがはだいじょぶなの?
 でもげんきそうでよかったの。」
【それでもなお気を使ってくる少女。なんだか優しい。】

「あう〜。いぬさんかなの?
 『なつめ』っていうなの〜。」
【ディスは狼を前にしても全く動じない。】
「よろしくねなの」
【そう言って優しくナツメの頭をなでに行く】

>>774
「あうっ?」
【エルドは上手いことディスのシャツを掴むことに成功し、転倒を阻止することが出来た】

「あ、ありがとなの〜。
 ころばないですんでよかったの」
【ディスは首をエルドに向けてにっこり笑った】

776オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 15:31:36 ID:oB5LASG.0
>>774
期待を裏切る様で悪いが、言うほどモフモフしていなかった。
というか、全くしていない。むしろ何か堅そう。
一切も声を上げる様子が無い狼を見れば、気づくだろうか。この狼、機械である。

>>775
「大丈夫だよー……ほらっ!」
肩から掛かったポーチを探り、出てきたものは……何か。
小さいビンに入った白い何か。
それを膝にできた傷に塗っている。恐らく傷薬か何かなのだろう。

「ナツメはいぬじゃないよ〜」
固い。圧倒的堅固。
光の反射の仕方も凄まじい堅牢感。
黒い身体と銀の装飾を持った機械の狼だ。

777エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 15:35:12 ID:cOjmkrCk0
>>775
「……気い付けな」
ぶっきら棒にそう言ってシャツから手を離す。
視線を以前なつめと呼ばれる狼へ。

>>776
「……」
瞳から急速に光が消えていく。
近くでよく見てみれば、毛も何も無い機械と言う事実に否が応でも気が付いてしまう。
はあ・・・と大きなため息を付いて、視線は再び雑誌へと注がれる。

778ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/11(土) 15:40:46 ID:Ca0M7x2o0
ベンチから見えるすぐの位置、
公園の隅で、『茶屋』というのぼりが風に揺られている。
その隣には簡素なカウンター付きの屋台があり、
暇そうな男の店主がぷかぷかと湯気を揺らしながら茶を喫している。

屋台の前に立てられたブラックボードには、
『お持ち帰り可』『お菓子あります』
『サービス期間!初めてのお客様は1杯目無料!』
などと書かれている。

「この公園、マジで客こねぇなぁ…
 隣の公園だと一般ピーポーがそれなりに来るってのに…
 呪いでも掛かってんだろうか…」

などと呟きながら、だらだらとしている。

779ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 15:42:59 ID:WVrfsEdY0
>>776
「あうー、けがなおすのがあるのー。
 …べんりなの〜」
【じっと白いのを見ている…と言っても欲しがる感じではない】

「あうー。そうなの?
 ん、なんだかふつうのいぬさんとちがうかんじがするなの」
【触っているうちに生物とは違う肌触りを感じ取ったようだ】

>>777
「ありがとなの…
 よくころんじゃうみたいでなの…」
【少し申し訳なそうだ】

「…ここでなにかしてるかなの?」
【不思議そうに雑誌を見つめる】

780ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 15:44:59 ID:WVrfsEdY0
>>778
「…ん?なんだろなの…」
【くんくんと鼻を鳴らす、お茶のにおいを感じ取ったらしい】

「あっちからにおいがするの、なにかなの!」
【そう言ってミチの居る屋台の方へととたとた向かっていく】

781オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 15:49:43 ID:oB5LASG.0
>>777
そういえば、狼も狼で奇妙な物だったが、少女も可笑しかった。
背中には巨大な真紅の薔薇が付いていて、腰には顔が下を向くように桃色の百合が二つついていた。
それらはまだ彼女の衣装の一つとして見れば問題ない物であったが……。

頭の青い何か。それだけは良く解らないだろう。
少女の頭には青い花が乱雑に折り重なったものが乗っかっている。なんなのだろうか?
しかも、それはふわふわとしていて、風が吹くたびに柔らかく揺れていた。

>>778
「……あれ?」
少女は首を傾げた。
この道は散歩コースで、毎日とは行かないものの、かなりの頻度を歩いていたのだが……見慣れない物があり、興味をそそられたのだろう。

「ナツメー、おちゃだって」
傍らの狼に語りかけるも、特に興味がなさそうにあしらわれてしまう。
それもそうだろう。狼がお茶を飲むかどうか以前に、狼は機械であった。

>>779
「これはじぶんでつくったんだよ!
 せんせーにおしえてもらったんだ」
得意げになって説明する。
「まだ、そんなにこうかはたかくないんだけどねー」

ナツメと呼ばれた狼は、一切声を上げたりはしない。
肌触りが堅いのに加え、冷たかった。生命の温もりが無いと言えば少女は悲しむだろうが……それに近い物である。

782エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 15:58:14 ID:cOjmkrCk0
>>778
「……」
喉、渇いたな。
最初の一杯は無料という言葉も貧乏には心惹かれる響きだった。
のっそりと身体を起こして、「一つ頼む」とミチに声をかける。

>>779
「何してるって訳でも無いが……」
んーむ、と腕を組む。
雑誌を読んでいたと言えばそれもそうであるが、そんなのは見りゃ分かる話で。
「強いて言うなら、暇してた、か」
仕事までの暇つぶしと言った所。
貧乏暇なしと言うが仕事も無けりゃ暇も生まれる。

>>781
「……」
モフモフしてない狼に興味は無くなったようで、今更ながら少女に視線を向ける。
奇抜と言う感想で服装については片付けるが、頭のそれには少し奇妙な印象を受けた。
だが、足元に追従している狼が機械なのだ。
恐らく、頭の上でふわふわ浮かぶように揺れる青い花も機械か何か、普通の物では無いのだろうと適当に検討をつける。

783萌葱 アテナ:2012/02/11(土) 16:06:23 ID:7gFzKdaU0
>>778

ぐー、すー、と公園のベンチで寝っ転がって無防備に寝息を立てる少女が一匹。
ふと、人の話し声が聞こえて、あふぅ、とあくびを漏らしながら起き上がった。
さらりと紅い髪が流れて、ぐしゃぐしゃに頭を掻いて、ベンチから起きるとてくてくと歩いて行く。

「お茶……、うーん、眠いし目覚ましには良いかも」

そう行って、お茶屋さんのところまで行くと、ミチに注文をする事だろう。
もふもふの白いコートにブーツの少女は、寝ていたため全身雪まみれだ。

「うーんっと、お茶とお菓子もらえる?」

>>780-782
「あ、ディス!」

見覚え有る包帯少女の姿を視線に納めて、手をブンブンと振って声を張り上げる。
寝起きのため髪がボサボサだったり、格好がちょっと女の子っぽく見えるが、アテナだとは分かるだろう。

「うお、狼」

狼にはちょっとぎょっとした様子を見せるも、動物は好きな為ちょっと気になった。

「こんにちはー」

エルドには、軽く会釈と同時に礼儀正しく挨拶をする。
大分人当たりがいいが、見るからに寝起きな様子には突っ込みどころが有るだろう。
真っ赤な髪は雪で真っ白だったし。

784ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/11(土) 16:18:39 ID:Ca0M7x2o0
>>780
聞き覚えのある声にピク、と反応し、
カウンターに預けていた体を起こして顔を外に向ける。

「ん?…おーぉ…ディスじゃん、奇遇だなぁ」

無気力気味に手を上げ、眠そうな声で少女に声をかけた。
彼…ミチと、ディスは以前から面識がある。

「よかったら飲んでくか?1杯はタダだぞ。
 苦いのは飲めないだろうし、甘いのもちゃーんとあるぞ」

小椅子から立ち上がり、ほどよく沸いた茶を確かめ、
どーれーにーしーよーうーかーなー、と引き出しを漁っている。

>>781
「…さすがにお犬様のお茶はねぇなぁ」

ぽりぽり、と頬をかきながら。

「お嬢さん、よかったら見てってー。
 おいしいお茶だよー、香りだけならタダさー」

やけに少女率が高いな…と心の中で呟きながら、手招きする。

「ああ、そんかわりメニューは無いからなー。
 注文がなければ、独断と偏見で好きそうなお茶を出してるよ」

>>782
「いらっしゃい。初めてだね?
 最近めっきり冷えるねぇ、旦那。ホットでいいかい?」

気さくに声をかけながら、
テキパキと沸かしたお茶をティーポットへ注ぐ。
そしてポットから、持ち帰り用の紙カップに淹れていく。

「ストレートティさ、産地は異国、とだけ言っておく。
 もし気に入ったら教えてあげるよ。砂糖は好きに使ってくれ」

人差し指を口元に持っていく仕草。
小袋に分けられたグラニュー糖がカウンターに載っている。

>>783
「どうも、急にお客さんが増えたね。
 ティーパーティはそのほうが楽しいけれどもね。
 目覚ましにいい感じの濃さになってると思うよ。
 1杯目はタダだからね、気に入ったら茶葉買ってよ?」

お菓子はどれにしようかな、と選んでいたが、
薄焼きのビスケットを皿に並べ、チューブからイチゴソースを皿の隅に適量乗せ、
カウンターにトンと置いた。

「お菓子は有料だけどね、量はサービスしといたよ?」

785ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 16:24:53 ID:WVrfsEdY0
>>781
「あうー。つくったんだなの〜。
 でもほんとにいぬさんそっくり…じゃなくてなの…あうー」
【若干ナツメに気を使っているようだ】

「でもつくられたっていうのがすごいなの〜。
 それになんかかわいいからなの〜。」
【何処か嬉しそうな顔だ】

>>782
「ふーん…ひま、ひまだねなの」
【ディスも特にやることがなかったようだ】

「でもこういうときはぼーっとするのがいちばんかなの〜」
【そう言って空を見上げて微笑んだ】

>>783
「あうー!『あてな』こんにちわーなの〜!」
【微笑みながら大きく手を振った】

「げんきだったなの〜?
 なんかあっちこっちでいっぱいあったみたいだけどなのー」
【そう言って近くに駆け寄ってくる】

>>784
「あう〜?『みち』なの〜!」
【少し嬉しそうな顔で屋台に顔を出す】

「あうー、あまいおちゃがのみたいかなの〜!
 『でぃす』あまいのがすきなの〜」
【とても楽しみにしているようだ…】

786エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 16:39:06 ID:cOjmkrCk0
>>783
「……ども」
軽い会釈を返す。
積もらせている雪を見ながら、寒くないんだろうかと疑問を浮かべながらポンポンと雪を払い落としてみる。

>>784
「ああ、温かいので頼む」
カウンターに肘を付きながらテキパキと仕事をこなすミチを見る。
いい匂いだなー、これ店で出したら結構売れそうだなー、とか何とかぼーっと考えているうちにお茶が出された。

「ん……」
甘いのはそんなに好きじゃないので、砂糖無しで。
一口静かに啜って、ふうと満足げに息を付く。

>>785
「そうだなあ……」
つられて屋根越しに空を見上げる。
一応家を探してる途中ではあったが、何かもうほんわかしてきてどうでもいいや。

787オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 16:39:28 ID:oB5LASG.0
>>782
少女の頭上で揺れるそれはなんとも生物的なそれを持っていた。
暖かさ、とでも言うのだろうか。儚さ、とは違うのだろうか。
これも、確かに少女の作ったオリジナルのアクセサリ。
工芸品ではあるが、自然物であるようなそれは、所謂枯れない花という奴だった。

>>783
「ふわっ、えっと、えっと」
寝起きだというアテナを前に、なんというか戸惑っている。
狼と指摘され、これはナツメだと言うべきか。
それよりも頭に雪が積もっているという事を言うべきか。
何よりも少女は寒そうだと思った。

「えっとぉ……これ、あげます!」
つ[フラム]
ダイナマイトとかの、そういう類の爆弾にしか見えないそれは恐らくそれに近いものなのだろう。

>>784
「いぬじゃないです! ナツメです!」
それが正しい訂正なのかどうかは別として、少女はわずかに頬を膨らませていた。
どうやら、犬とナツメは違う物らしい。

しかし、招かれると顔いっぱいに笑顔を見せて寄っていく。
元気いっぱいに大きく頷くと頭の上の青い何かが揺れた。
何なのだろうか。これ。少女的にファッションのつもりなのだろうか……とにかく、奇抜。
真っ青の(時たまに水色の物も混じっていた)花が少女の上で巣を作っている……。

「ふわぁっ、じゃあ、おねがいします」
何処となくメニューは無いと言われて安心した様子。
少女は全くお茶の知識に明るくなかったためである。

>>785
「ナツメ。だよ」
狼だとは訂正しない。
あくまでもナツメなのである。

「しらないだれかからもらったんだよー」
呑気な貌して危険な事を口走る。
当のナツメはオーレリアに引っ付いている。

788エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 16:55:59 ID:cOjmkrCk0
>>787
「……」
機械では無い。
だが何か手を加えられたような雰囲気。
世にはフリーズフラワーなる見た目は瑞々しいままだが、絶対に枯れない用に加工されている花もあるそうな。
科学的に考えるならその辺り、魔法とかが入ってくるなら……何でもあり過ぎて想像出来る筈も無い。
一人で思考を巡らし、適当な所で結論を付ける。

「なあ、それ……」
そう言いかけてチラリと時計を見る。
やべ。仕事の時間が迫っていた。

789萌葱 アテナ:2012/02/11(土) 16:57:27 ID:7gFzKdaU0
>>784
「はーい、ありがとうございます」

にこり、と人好きのする笑顔を浮かべて、少女は紅茶とお菓子を受け取る。
コレでもAGカフェの紅茶とスイーツ担当兼ウェイトレスである。当然ながら紅茶にはちょっとしたこだわりが有る。
すぅ、と紅茶を口元に運び、飲む前に色を見て、香りを楽しむ。そして、静かに紅いそれを口に含み、嚥下。
そして、ビスケットを一口齧って、もう一口紅茶を含む。たっぷり一秒後、満足そうに口元を綻ばせて。

「ん、おいしっ」

10歳の少女だというのに妙に堂に入った動作であった。
とりあえず気に入ったようで、ミチの方を向いて口を開くだろう。

「この茶葉、何処産ですか?ちょっと気になっちゃって。とりあえず茶葉後で買わせてもらいますっ」

茶葉は良く買い込むが、最近ちょうど切れ気味だったため、買うことにした。

>>785
「色々有って修行しに旅に出てたんだけどねー」

こんにちはー、と此方も手をふりふりしつつ、武者修業してたと語るアテナ。
肌を見れば生傷や、消えない程度には深い傷がいくつか増えている事が見て取れる。

「ちょっと道に迷って魔界に行っちゃったりしながら旅シてたんだけど、やっと帰ってきたって訳。
そりゃそりゃ元気元気! 今度カフェ来たらサービスしちゃうよディスー!」

うりうりー、とディスの頭をぐりぐりと撫でるアテナ。
そのテンションは、前と変わらないように見えて、前よりなお深い愛を感じるものだろう。
どことなく人間的に成長したと思われる様子が有った。

>>786
「ありがとっ。いやぁ……、寒いと思ったら雪に埋まっててねぇ」

あははは……、と苦笑をこぼして少女は照れる。
真冬に公園で寝るとか正直自殺行為な気もするが丈夫だから大丈夫である。

>>787
「ん?」

にこり、と安心させるような柔らかい笑みを浮かべて首を傾げることだろう。
そして、頭の上に雪が積もっている事に気づいて、頭をぶんぶんと振る。
紅いポニーテールがそれによってふるふると揺れてばさばさと振り乱される事となる。

「ん、ありがと――――――って、爆弾?」

渡されたそれを受け取って、きょとんとした顔を浮かべる。
コレで暖まれと言われても困ってしまう。とりあえず悪意は感じられないためポケットにしまい込むが。
紅茶を飲んで、あったかーい、と笑みを零す姿はなんだかんだで歳相応であった。

790ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/11(土) 17:11:04 ID:Ca0M7x2o0
>>785
「ほーい、ミチですよー」

からからと笑いながら、ディスのお茶を用意する。
紙カップは簡素ながら厚紙で取っ手も付いていて、零しにくい工夫がされている。

「ミルクたっぷり、特製ミルクティ。
 熱いから気をつけて飲むんだぞ。こぼさない様にな」

そしてアテナと同じビスケットを、同じように皿に盛り、イチゴソースを乗せ、
ディスの分をカウンターに出した。

>>786
「……ふふ」

満足げな顔を見て、好みが『的中した』ことを喜び、笑みが漏れる。
ミチの持っている茶葉は、スタンダードなものこそあれど、
若干好みの分かれそうな奇抜な茶葉も混じっている。
だから、客の口に合うかどうかは
もっとも、『寒い日』というだけで、どのようなお茶もおいしく感じられるのだが。

「…旦那も宿無しかい…?
 いや、失礼。その情報誌を見てそう思ったのさ。
 大変だよねぇ…お部屋、見つかるといいね。」

>>787
「どうもこれは失礼?
 ナツメさん、改めましてこんにちは」

にっ、と四足歩行の彼に微笑みかけた。

「…急にお店が鮮やかになったね。お花、きれいだね。
 甘いのがいいかい?苦いのは…やめといたほうがいいかな」

と、言いながらディスと同じミルクティを淹れる。
甘ったるいミルクの香りと、スーッと鼻の奥に抜ける爽やかな茶の香りが、程よい調和を与えている。


>>789
その慣れた手つき、飲み方、態度から、
この少女には茶の嗜みがあることを瞬時に察する。

「そのお茶、好きかい?気に入ってくれたみたいで嬉しいね。包んでおくね、どれくらいの量にしよっか。(1杯約3g)
 それ、異国で手に入れたお茶なんだよね。
 …まぁこの都市に茶畑があるって聞いたことないから、どこも異国なんだけど」

そう言いながら、棚に挟んでいたチラシの束から1枚抜き取り、手渡す。

「この店で取り扱っているお茶の産地リスト、これあげるよ。
 えーっと…この丸つけたやつが今飲んでるのだよ」

チラシの表面にはお店の紹介文や連絡先が書かれている。
裏面には有名な産地のものや、聞いたことのないような産地のものなど、
様々な茶葉がリスト化されており、その特徴が書かれている。

「こっから、もうひとつのビジネスの話。
 この茶葉を定期的または大量に取り寄せたくなったら、連絡してよネ。
 独自のルートで、格安で手に入れるよ?」

前半は、茶人としての会話。
後半は、商人としての会話。

791ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 17:13:16 ID:WVrfsEdY0
>>786
「うーん、いいにおいがして、なんだかおちついてきたのー」
【軽く笑っていった。】

「ひとがいっぱいいるとなんかうれしいなのー。」

>>787
「あうあう、そうだったの。『なつめ』がおなまえだったなの〜。」
【そう言って再び金属的な毛並みをサラサラと愛でる】

「あうー。だれかから?しらないだれかって…
 そのひとはみたことあるかなの?」
【不思議そうに首をかしげた】

>>789
「あうー、しゅぎょう?
 てことは、もーっとつよくなったのかなの?」
【首をかしげて言う】

「あう、けがいっぱいしてるなの…」
【心配そうにあちこちの傷を見る】

「まかい?そこでいっっぱいしゅぎょーしてたの?
 うーん、どんなところなのかなの…」
【少し考える表情を見せる…】
「あうー!おみせにいってみるからなの〜!」

>>790
「あう、いただきますなの〜。」
【出されたミルクティーを嬉しそうに手にとってごくごく飲み始めた】

「あったかいのー…このおかしもたべてみるねなの〜」
【そう言ってお菓子をモグモグ食べる。ディスはとても美味しいと返答した】

「なんだかとてもしあわせなのー…もぐもぐ。」

792オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 17:31:44 ID:oB5LASG.0
>>788
「なんですー?」
振り返っていかにも純粋と言った笑顔を見せる。
その際に、また頭上の青い花の何かが揺れる。
奇抜 of 奇抜。意味が解らなかった。

>>789
「えっと……それであたまのゆきを……あ」
言うよりも早く、落としてしまったので言うことが無くなってしまった。
うー。とか唸りつつ別の用途を探そうとして。

「それであったまるといいんじゃないかなーって……?」
爆弾。どう見ても爆弾。
もしかしたら違うのかもしれないと視線を凝らしてみるとしても、
紅い円筒状の物の先端には紐が付いていて、シルエットは正にダイナマイト。
しかもご丁寧な事に、巻かれた黄色い帯の真ん中には爆弾のイラストまで入っている。これは爆弾で間違いなさそうだ。
渡した本人も困惑気味の表情。これはダメだ。

>>790
「ナツメも、こんにちはっていってる」
そのやり取りを見ていた少女が口を挟む。
機械の狼は少し急いだ様子で少女の足を叩き、何かを知らせようとしていた。
「なに、ナツメ? わかんないよぉ」
狼に視線を向けると困った表情をして首をかしげている。

「えへへー、わたしがつくったんですよ」
頭上の青い何かを手に取って、それを膝の上に置いた。
見れば、ヘアバンドの上に青いそれらが群がっている物らしかった。
ミチの提案に静かに頷いて賛成する。見越した通り、苦いのはダメらしい。

>>791
「そうだよー」
ニコニコしながらこちらもナツメをなでる。
狼は手持ち無沙汰な様子で身を震わせた。

「うーん、えっとー。
 よくわからないひとだったかなぁ……。
 なんだかじぶんはえらいんだーっていってた。
 それで、わたしにつえとナツメをくれたんだ!」
大事そうに持っている杖を掲げながら。
思い出し気味にしゃべる目線はわずかに上を向いている。

793エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2012/02/11(土) 17:39:52 ID:cOjmkrCk0
>>789
「埋まってた、って……」
常人なら下手したら死ぬレベルである。
だが能天気に笑う姿を見るに、こいつも普通の人じゃないんだろうなーと思って苦笑を零す。

>>790
「ん……」
『も』という事は、仲間だと言う事。
しかし目の前の男には立派な屋台と言う城がある。
「まあ……。川の横で寝泊りしてるよ」
自分のテントを思い出し、貧相だよなあと心の中で呟く。

「あ、もし良かったら、これ」
そう言いながらポケットに入れていたビラを取出す。
「俺の仕事(バイトだけど)先……、もしかしたら店長が茶葉、買ってくれるかもだから…」

>>791
「そうだなー……」
と言っても、日が落ちてくる時刻ともなれば流石に寒い。
ぶるりと身体を震わせてもう一度カップに口をつけ

>>792
「……いや、何でもない」
気になる。
気にはなるが、男にはちょっと時間が無かった。



「それじゃ、ありがとうな。ご馳走さん」
ミチに軽く会釈をして、男は小走りで立ち去っていった。

//ご飯ー落ちます!お疲れ様でしたー

794萌葱 アテナ:2012/02/11(土) 17:40:46 ID:7gFzKdaU0
>>790
ついっ、といちごソースをクッキーで掬い、それを口に放り込む。
さくり、と軽い食感と甘いだけではなく酸味も混ざるそれを味わい、紅茶を含み、香りを楽しむ。
たまたま来たにしてはかなり良いお店だったのではないかとアテナはホクホク顔である。

「ふっふっふ、コレでもカフェのバイトですからねー、私!
とりあえず45gで! 自分もお店の茶葉は外から仕入れてますねー、偶に自分用で他のも入れてるんですけど」

お茶談義に花を咲かせつつも、チラシを受け取って、それに目を通す。
へー、はー、と楽しそうにお茶のリストを見て、流石に若い為か、知らない茶葉もいくつか有って。
ふんふん、と鼻を鳴らしつつもミチの言葉に、こくりと首肯を返す。

「一応お茶は任されてますけど、一応てんちょーに聞いてみますねっ
おっけーだったらその時はよろしくです! うーん……、お菓子のセンスも良いし……!
あ、良かったら今度、AGカフェってカフェに来てください。私バイトしてるから、タルトぐらいならサービスしちゃいますから!」

営業用には見えない真っ直ぐな笑顔で、お店の話をする少女。
バイトを楽しんでいることがよく分かる態度であった。

>>791
「そりゃーね……、2週間くらいずっとドラゴンと戦ってれば強くもなるし怪我もするさー……。
ほんっとうに危険でねー、こう、毒とかぶわーっ!って感じで、太陽の光なんてとどかなくってさ!
なんというかうーんとこう…………、地獄っ!って感じのばしょだったんだ!」

身振り手振りをぶんぶんしつつも、感情も顕に説明をするアテナ。
逆にこの程度の怪我や負傷でよかったと思えるような場所だったらしい。

>>792

「……こ、これで……!?」

ぎょっとした顔をして、口元を引きつらせる。
どうしようこの謎展開……!?取り出して眺めつつも、どうしたものかと躊躇う。
火を着けて爆発しちゃっても困りものだし、というピンチな状況である。

数秒後。

「えーっと、もう、お姉さんの気持ちで私の心はぽっかぽかだから大丈夫っ!」

謎のフォローを掛ける幼女がそこに居た。

>>793
「修行するといっつも眠くなっちゃってー」

たははー、と笑いながら、そんなことをのたまって。
去っていくエルドを見送るように手を振るのであった。

795ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/11(土) 18:08:35 ID:Ca0M7x2o0
>>791
「おいしい?そう、よかった。
 昔は苦〜〜いお茶ばっかり出してたからね。
 ディスに気に入られるお茶が出せてよかったよ?」

にこにこ顔で、お茶を飲むディスに微笑んだ。

「ま、この幸せそうな顔が見られる平和に感謝しよう?」

異能力者としての、戦いへの宿命。
その背景を日常的に背負っていることに対する、やや自虐的な一言。

>>792
「お嬢さん、店先で爆発ゴトは信用に関わるから、さすがに勘弁しておくれや?」

やや困ったように眉毛を潜めながらも、笑顔で注意を促す。

「どうぞ、ミルクティだよ。ビスケットも食べるかい?
 その飾り、お手製なんだねぇ、そういう奇抜なファッションは嫌いじゃないよ。
 全身白いバラだらけのドレスを着たお姫様もいたみたいだし」

>>793
「お互い、この時期は辛いね。
 川か…まだそっちのほうには行ってなかったなー。
 俺はスラムのほうに行ってたかな…あまり歓迎はされなかったけどね」

やや皮肉めきながら、ビラを受け取る。

「これは恐縮。是非立ち寄らせてもらうよ。
 んじゃあ、よかったら茶葉、少しだけど店長さんにお土産にもってってよ。
 教えてくれたお礼もだけど…商売しに行く前に、心象を良くしておきたいし、ね?
 …ああ、俺はミチってんだ。ありがとうな」

と、悪びれた様子もなく、ひひ、と笑う。
少量の茶葉が入った小袋…チラシもつけて…をエルドの前に出し、渡す。

「…おっと、お帰りかい?また来てくれよ。
 店長さんによろしくな。どうもありがとうな」

//食べていらっしゃいませ!おつかれさまでしたぁ

>>794
「なるほどね。OK、家でも店でも楽しんでおくれ。
 店長さんも気に入ってくれると嬉しいなぁ。」

計算機で素早く金額をはじき出し、提示しながら、
はかりで正確に計量し、小さめの袋に詰めていく。

「あ、そのお菓子は自家製……じゃないよ、さすがに。
 この屋台じゃあ作れないからね。
 商店で見つけたんだ。お茶請けによさそうだったからね。
 お店の名前は……」

さらさら、と付箋にメモして、さきほど渡したチラシにペタリと貼り付ける。

「…ってAGカフェかよ!(がくり、ともたれていた肘が崩れる)
 あー…、そのだな、そこの店長とは旧知の仲で…。
 なんか、自分が儲からないからツレを頼るみたいで、かっこわるくて…
 だからあえて、あそこに商売の話は持ち込まないようにしてたんだけど…

 でも君のオススメってことなら、いいかな?」

あれこれ並べ立てたが、ようするに、OKということだ。

「ああ、君がバイトしているときに是非寄らせてもらうよ。
 自分で淹れるお茶もいいけれど、
 人に淹れてもらうのはもっとおいしいからね。お菓子も楽しみだな。
 俺はミチっていうんだ。よろしくな、バイトちゃん」

詰めた袋の口をリボンでちょうちょの形に縛り、手渡した。

796ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 18:12:07 ID:WVrfsEdY0
>>792
「あうー、えらいひと?
 それでこれが…なろほどなの…」
【じっと杖とナツメを交互に見て】

「すごいひとからもらったんだなの!
 いいひとなのかなの〜」
【納得した風に答えた】

>>793
「あうー、だいじょぶなの?」
【体を軽く震わせたのを見て少し心配そうな顔をする…】

「あ、またねなの〜!」
【やがて立ち去るのを見て手を振り見送った。】

>>794
「あうー、…なんかいっぱいすごいところだったなの…
 ぶじでよかったの…」
【安堵の表情を浮かべて答える】

「でももーっとつよくなれたの?」
【じーっと傷跡を眺めながら言う】

>>795
「あうー、いつかにがーいのものめるようになるかなの…?」
【そう言って甘いお茶をごくごく飲む】

「うん…なんだかきけんなひとがいっぱいきてるかんじだから…
 しんぱいだけどなの、ゆっくりできるならそれがいちばんだよねなの。」
【そう言ってまたビスケットを口に放り込む。ペースが早い…】

797オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 18:30:31 ID:oB5LASG.0
>>793
「あ、え?
 あ、さようならー」
手を振り振り。
突然と居なくなった男に少女は首をかしげていた。

>>794
「えっとぉ……うん!」
少し悩みはしたが、その末に大きく頷いた。
何故否定しなかったのか。

「だいじょうぶ、さむくない?
 あったまるどうぐはあったかな……」
と、肩から斜めにかかったポーチの中を探る。
しかし、探れど探れど出てくるのはアテナに渡した物と同じフラム。フラム。フラムの大群。
ポーチの許容量を超えてでもわらわらと出てくるフラム。

>>795
「きをつけます!」
背筋をビッと伸ばして返事する。
そして、少女の前に広げられた大量の危険物を乱雑にポーチにしまっていく。

「あ、ありがとうございます。いただきます……はい、それじゃあもらおうかと」
確かまだ今月のお小遣いには余裕があったはず。と思いながら。
出されたミルクティーのカップを両手で掴み、息を吹きかけ冷ましてから口に運ぶ。
「おいしいです……あ、え、へへ。ありがとうです」
まだ熱いのか、ちびちびと飲みながらミチの話を聞いていく。
バラの話題がでると、背中を向けた。少女の背中にも大きな真紅のバラがついていた。
しかも、腰には顔が下を向くようにして百合も二本、付けられていた。少女も花が好きなのだろう。
「わ、すごいですね……そういうひとにもあってみたいです」

>>796
「いいひとだとおもうよ〜!」
ふふ。と笑いながら空を見る。
「なんだかえらそうなひとでしたー……ちっちゃかったですけど」
最後の方はボソリと呟く様に。

798萌葱 アテナ:2012/02/11(土) 18:33:39 ID:7gFzKdaU0
>>795
袋に詰められていく茶葉を、ワクワクした顔で見ながら、ごそごそとコートの中を漁る。
可愛らしいキャラクターものの財布なのは年齢相応といったところか。
人生の荒波に揉まれてはいるものの、なんだかんだでまだ10歳だったようだ。

「あ、分かってますよ? 屋台……、良いですよね、外でお茶とか飲むの好きですし!
後で帰りにお菓子も買わないとなぁ……」

チラシに貼りつけられた付箋を見つつも、貴方の反応にぎょっとした顔をして。
そして、話を聞いた所で、納得であった。

「えーっと、おっけって事なら言っておきますねっ!
おいしいなら友達のだろうがいろいろ有ってもたぶん大丈夫ですしっ」

そうして、茶葉を受け取りつつ、ミチの自己紹介を受けて。
ふんわりと女の子らしくも、快活な笑みを浮かべて此方も自己紹介。

「千夜学園小等部4年の萌葱アテナって言います!
昔はちょっと色々有ったんですけど、てんちょーに頼んでみたらバイトにしてくれまして……あはは、変わった人ですけどね、てんちょー。
お菓子と紅茶担当ですから、タルトと紅茶には期待しといてくださいね!」

AGカフェのメニューに詳しければ割りと最近に加えられた柑橘系タルトを知っているかも知れない。
オレンジ、レモン、シークワーサー。その他偶に他の種類の柑橘類を含むタルトはそこそこカフェでも人気であった。
実はそのメニューはアテナの開発だったりしたのだった。

>>796
「とーっぜん! コレでいろんなものも守れるし、レラを必ず取り戻してみせるさ!」

びしぃ、と構えを取りつつ、強い感情を見せてそう宣言する。
傷跡も今の彼女にとっては勲章に過ぎず、辛いものではないのである。
守るためと取り戻すため、そのための力を身につけるための武者修行。

穏やかながらも重い気が、今のアテナからは漏れ出して居た。

>>797
「はいっ!」

此方も大きくうなずいてみせる、何がなんだか訳が分からない。
とりあえず心が通じ合った気がする、気だけだが、

「結構もこもこもふもふですから大丈夫ですよ?
って、まだ出てくるの――――――!?」

大量に溢れ出してくる爆弾の群れ。コレでも元ゲリラのリーダー格である、爆発物には慣れている。
と言っても、流石にこんな状況でぽんぽんと爆弾が出てくればこうなっても仕方が無いだろう。
あわわ、と慌てて、何を考えたのか出すたびに、オーレリアのポーチの中に押し込み戻し始めた。

799ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/11(土) 18:59:24 ID:Ca0M7x2o0
>>796
「お前、優しいからなぁ、無茶するんじゃないかって心配だけど。
 …ま、ディスに限ってよほどのことはないとは思うけれど、な」

この頃、連続で発生している事件については、
実際に体験した分だけでなく、様々な報を受けている。
これ以上命を落とす者が出ないことを、悲痛さを隠しながら願う。

「……んー、体が大人になる気配もないし、
 味覚も子供のままかもしれないな?」

と、悲惨な話題を逸らすように笑い、冗談を飛ばす。

>>797
「うん、素直でよろしい!
 (…こりゃ武器庫だな…)」

若干の戦慄を覚えながら、彼女が話せば無害であることを確かめる。

「あぁ、これ、火傷しないようにゆっくりな?
 …へぇ、君にもきれいなバラが咲いてるね。
 そういう専門の店で、専門家にコーディネートしてもらえると、もっときれいになるかもな。
 ともかく、花はいいね、心が安らぐ。
 この町でも、花博みたいなのがあればきっと楽しいんだろうけどなぁ」

花の観賞もミチの趣味のひとつであり、公園で店を広げるのもそれが理由である。

>>798
「今はこの町で店を開いてるけど、元々旅をしてたからね。その路銀稼ぎで使ってたんだ。
 野点(のだて)みたいに…野外でのティーパーティはいいものだよね。
 ま、俺の場合は年がら年中野外なんだけれども」

料金は良心的で、一般的な相場よりもややお買い得といったところ。

「これはご丁寧にどうも。
 小等部…歳のわりにしっかりしてるな、素晴らしい。
 俺も作法を習いたいくらいだな。
 …あー、あいつほど変わったヤツもなかなか居ないさ。…本当に。
 アノ店に居る連中の大半もそうだが。(と、チラリ、とディスを見る)
 紅茶とタルト、楽しみにしておくよ。君がそんなに自信を持って云うのだから、おいしいのだろうね」

年上らしい、大人びつつも、まだ若さを残す笑顔で返す。
ミチに嫌いな食べ物は殆どない。
特に、お菓子の類であれば簡単に平らげてしまうだろう。

//次レスあたりでお暇しますね〜

800ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 19:04:13 ID:WVrfsEdY0
>>797
「あうー。あってみたいなの〜!
 …ちっちゃい?」
【ぼそっと聞こえたのを聞いて】

「『でぃす』よりおっきいかなの?」
【不思議そうな顔で尋ねた。ちなみにディスは小学校低学年並みの身長である】

>>798
「あうー、『れら』を?…そうだねなの…」
【少し不思議そうな顔をしたが…その覚悟を聞いてなんとなく頷いた】

「その…たすけられるといいねなの」
【そう言って大きく頷いた。】

>>799
「あうー…その…
 しないようにできるといいんだけどなの…」
【何処か自信がなさそうだ。】

「あうー!おっきくなってみせるの〜!
 ぜったいなの!」
【そう言って小さな腕をブンブン振った。明るさはあるようだ。】

801オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 19:20:51 ID:oB5LASG.0
>>798
「ちょっとつくりすぎちゃって……」
少女はまだ錬金術士の卵。
練習がてらに作ってみたのだが、途中で楽しくなってついつい作ってしまったのだとか。

「あわわわわ」
出したものが片っ端から直されていく。
それに尚更慌ててさらに次々と出していくのだが……。
「あいたっ」
ナツメの前足は少女の足を捕らえ、動きが止まるのだった。

>>799
「はーい」
ミルクティを嗜みながら、少しずつビスケットにも手を加えていく。

「これも、わたしがつくったんですよ。かれないんです」
確かに、薔薇の大きさも通常の物とは桁違いだ。
青い花の物も自分で作ったと言っていた。そういう事が得意なのかもしれない。

「わたしもおはながすきです! そういうの、いいですね」
公園の周囲を眺め、点在する花に視線を寄せていく。
ここにも、それなりの数の花が咲いているみたいだ。だから少女が散歩コースにしているのもあるのだろう。

>>800
「どうだっかかなぁ……ういていたし、あのひと」
首を傾げ、腕組みをして考える。
少しして手を伸ばし、ディスの頭と同じくらい、それより少し高く手を置いて……また下げる。

「これくらい、だったかなぁ」
125cmくらい。
小学校低学年とほぼ同程度くらいだ。

802ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/11(土) 19:39:18 ID:Ca0M7x2o0
アテナから代金を受け取り、見送った。
AGカフェに行く理由がまたひとつ増えた、と喜ぶ。

>>800
「ふふ、そこで無理して自信満々にされるより、よほど安心する反応だよ。
 自分を推し量ることは難しい。だから、気負わず、な?
 あれこれ悩んでも襲ってくるときは襲ってくるし、こないときはこないんだしな」

半ば思考放棄気味だが、気を和らげるつもりで茶化す。

「…で、こういうことには自身満々なんだよなぁ、
 それだけ元気なら心配することもあるまいよ」

くつくつ、と笑い、頭を撫でようと手を伸ばした。


>>801
「花を作る…素敵なワザだな。大きく、美麗なものだ。
 散る花にも美しさはあるが、見て素直にきれいと思える花も、もちろんいい!」

やや遠まわしでくどい表現だが、ほめているつもりだろう。

「もっと花が増えるといいな。
 今は冬だから、ちょっとさびしいものだけど。
 春になれば、きっときれいな花がいっぱい咲くだろうな。
 俺も隣の公園よりも、こっちの公園のほうが、花壇が多くて好きだね」



「さてと」

店を、移動させる準備を始める。
少女たちに手渡したのは紙コップなので、そのまま持ち帰ってもらうことにする。

「そろそろ会社帰りの客を狙って、大通りで商売してくる時間だ。
 ここでの商売は終了!また立ち寄ってくれよな、ちみっこども!」

その後、店をたたみながら、惜しむように最後まで少女たちと会話を楽しんだ。
そして屋台をオートバイで牽引し、駅のある大通りのほうへと立ち去っていった。


//お疲れ様でした、ここいらで失礼しますね!ありがとうございました!

803ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/11(土) 19:42:29 ID:WVrfsEdY0
アテナと暫く仲良く話をした後。

>>801
「あうー、おんなじくらいなの〜」
【大きさを見比べ、なるほどと頷いた】

「こんなことできるなんてきっとすごいひとなんだよなの〜!」
【結構褒めている…】

>>802
「うん…なるべく…
 やりすぎないようにするの」
【少し心配そうな表情で返した。】

「あう、げんきだけはあるからなの!
 それだけはなくさないからなの〜!」
【ほほ笑んで返し】

「あうーまたねなの〜!」
【紙コップを持ったまま手を振って見送った】

「…あうー。ごはんたべにいかないとなの…
 その、またねなの〜!」
【ディスも少し慌ただしくミチに手を振りながら走り去っていった】
//リアルご飯なのでオチます

804オーレリア=グラムハイト:2012/02/11(土) 20:16:54 ID:oB5LASG.0
去っていくアテナに手を振って見送ると、少女はポーチを見ながら考えた。
次は持っておこうかな。と。

>>802
「これはおはなからそのままつくったんですよ〜」
えへへ。と褒められた事に照れながら。

「ここにはいっぱいさくんですよ。
 はるは、はる。なつはなつでいろんなおはなが!」
季節ごとに様子を変える公園が、この少女はすきだった。

「あ、えっと、さようならー!」
紙コップに入ったミルクティ。少女はまだ熱そうに持つ。
一口飲むと、もう片方の手に持っていたビスケットを食べて……思い出す。
「あ、おかね! えっと、えっとー!」
もう、すでにミチがかなりの距離を進んでからの事である。
相手はオートバイ。今から追いかけても当然間に合わないだろう。

「うぅーっ……わるいことしちゃったなぁ。つぎにあったときまでおぼえとかないと」
と、一人項垂れた。

>>803
「おなじくらい、だね!」
同じく、大きく頷いた。

「うんうん。ナツメもつえも、あってうれしいよ。
 こんなのをくれるってことは、やっぱりえらいひとなのかなぁ?」
首を傾げていた。
自分を尊崇する傲慢な態度。小さな背丈。誰かにそっくりだった。

「ばいばいーい!
 ……さて、かえろ、ナツメ。そろそろくらくなっちゃう」
手を振って別れを告げると、帰路につき始めた。
その途中で少女は思い出す。
「なまえ、きいてないなぁ……」

805レア・アシェット:2012/02/11(土) 22:36:35 ID:RXYke8bw0
【異能都市 スラム街】

少女が、暗い通りを一人で歩いていた。
赤縁の眼鏡に、黒のロングコートというファションは、あえて普段と印象の違う格好を選んでおり、彼女に多少面識のある人物でもよく見ないと分からないだろう。

数10分前――少女は、二人組の男に襲われていた。
襲わせるように仕向けたのだから、厳密には襲われた訳ではないが。

少女一人というのは、良いカモだと思われたか、少女が弱い人物を振る舞っていたからか、二人組の男か少女を付けはじめるのに対した時間はかからなかった。
襲われることは彼女の望み通りであった。彼女を酷く落胆させたのは、二人組の男が武装しただけのただの人間だったことである。

そのせいで異能者のデータ採集は進まず、彼女が得たのは軽い運動ぐらいであった。
肉体強化以外の装備を使うことなく、格闘だけで男二人を倒して――今に至る。

コートには格闘の時についたと思われる黒い染みがあるが目立たない。
背中にはギターバックのような縦長の巨大なリュックを背負い、白い息を吐きながら今は空を眺めていた。

806焔魔堂 宗也:2012/02/11(土) 23:15:30 ID:1sJsd2CgO

錆び付いたトタン張りの寂れた家屋。
ここの住民の手により、もはや雑多な倉庫へと変じてしまった建物だ。
その、一般には何に使うか判らない物が詰め込まれた倉庫の扉が内側から……。

――ガンッ。

「ん、開かね」
ギリギリと金物が擦れる。
ガラクタに引っ掛かって開かなかった。
しばらくガンガンと喧しい音が鳴っていたが、ふと止み。
誰か開けてくれぇ。なんて情けない言葉がスラム街の片隅に零れるのだった。

807レア・アシェット:2012/02/11(土) 23:24:49 ID:RXYke8bw0
>>806
スラムの街に響く物音を、同じスラムの街に立っている少女は聞いていた。
空を見上げていた首を地上に下ろし、しばらくはそのドアの動きを観察している。

しばらくして男のものらしい声が街に響くと、白い吐息を吐きながら少女は物音がしたドアの方へと歩きだす。
「……壊れて困るもの、ある?」
質問の答えを返す暇もなく、何かを蹴り付ける音や、何かをたたき付ける破壊音があたり一帯に響く。

808焔魔堂 宗也:2012/02/11(土) 23:33:51 ID:1sJsd2CgO
>>807

「ん? 少なくともこの外には無い……」
どっかで聞いたような声だな、とか思っていると耳に届く破壊音。
気持ちごと弛んでいた身がビクリと反応する。

「おぉっ、手荒いねぇ」
果たして、ドアの向こうで何が起こっているのか。

809名も無き異能都市住民:2012/02/11(土) 23:43:30 ID:RXYke8bw0
>>808
「……どう? これで開くと思うんだけど。」
しばらくして音が止む。破壊音の変わりに少女の声が響いてきた。
ちなみにドアの外では、元々ガラクタだったものが、ガラクタを分解したガラクタに昇格されている。
それも、男がドアを開けられなく程度の量が、辺りに散乱していた。

「……」
そして、それらを分解した少女はどことなく満足げだった。

810焔魔堂 宗也:2012/02/11(土) 23:56:12 ID:1sJsd2CgO
>>809

「お、開いた開いた」
ギギギ……と。
錆びた金具が悲鳴をあげながら、ドアが開いた。
足元に見える分解されきったガラクタ達を見て、ほうと感心し。

「……最近誰も使ってなかったんだな。いやぁ、助かったよ、ありがとう」
出てきた男は何処と無く満足げな少女に礼を述べた。

811レア・アシェット:2012/02/12(日) 00:07:34 ID:RXYke8bw0
>>810
ドアが開いたのを見ると、ガラクタを分解するのに使ったであろう、槍斧をリュックへと戻した。
「……どじ。」
ドアを出たところすぐに、間の抜けたしくじりを形容する言葉をプレゼントしてくる。

満足そうなところはすぐに消える。お礼もどうでも良さそうだ。
「どうしてドアの前にガラクタ?」
そもそも、どうしてあんな状況になってしまったのか。

812焔魔堂 宗也:2012/02/12(日) 00:30:26 ID:1sJsd2CgO
>>811

「さぁ、誰かが閉じたのか。門があると知らなかったのか。
 ……とにかく、使って無かったんだろ。忘れられてたのかもな」
適当に返して、ふぅと息を吐く。
後ろは倉庫、前には少女。
両脇はガラクタと壁。
見た目には袋小路の倉庫、窓もない。

813レア・アシェット:2012/02/12(日) 00:42:05 ID:RXYke8bw0
>>812
何か、相手の口調に急にフラッシュバックする感覚があり、ここで初めて体を曲げ、まともに相手の顔を見た――
「――……。」
忘れもしない感覚、感触。あの男だった。
「あの男」が近にいる、表情には出さないが取り乱しているようで、眼鏡をその場に落とした。

向こうはこちらを理解しているのか。目的があるのか……。など、様々な思いが策謀する。
武器は、背中のリュックから一瞬で抜ける状態だ。

片手は包帯に包まれている。原因は前回の火傷だ。

814焔魔堂 宗也:2012/02/12(日) 01:11:08 ID:1sJsd2CgO
>>813

「ん、なんか落としたぞ」
男は屈んで、少女に背を。
首筋を無防備に晒してメガネを手に取る。

男から警戒心は欠片も感じられない。
害意は……どうだろうか。
少なくとも今は無い、ように見える。
そして、この体勢。
少女が何かしようと、行動に対する男の反応は致命的に遅れる。
後ろに目が付いているか、下に鏡でも落ちていなければ。確実に。
そして、下を見れば……小さくひび割れた鏡の欠片が落ちている事だろう。

815レア・アシェット:2012/02/12(日) 01:23:13 ID:RXYke8bw0
>>814
「……。」
無防備な状態を晒す相手。だが、少女の体に動きは全くない。
「私の物に……触れないで。」
すでに相手に眼鏡を拾われてから、言葉が出てくる。

目の前の男についてはほとんど知らない。
強いて言えば警備員を殺害した罪にあることと、不意をつかれて攻撃を受けたことぐらいだ。
「動かないで。私が誰だか、分かってるはず。」
害意を見せない相手とは逆に、攻撃意欲を剥き出しにする。

ちなみに、動くなという警告を破れば、背中から武器をとるように見せかけ、足の攻撃で身が低くなっている男を狙うつもりである。

816焔魔堂 宗也:2012/02/12(日) 01:51:27 ID:1sJsd2CgO
>>815

「おぅ、と。そいつは失礼」
言いながら、渡そうとして。
包帯の巻かれた手に視線が向かう。
そして、警告。
中途半端に顔を上げたまま、停止する事になった。

「……どっかで聞いた声だと思ってたが、まさかな。雰囲気違ってて分からなかったぜ」
あの日、相対した相手。
あの時、黒い千夜学園の制服を着ていた彼女は今、けものの残り香のするコート姿で優位に立っている。

「さぁて、どうするよ?」
ニヤリと笑み、空いた片手が動く。
自らの腰元、提げた小袋の中身を取りだそうと素早く。
だが、待ち構えた少女の攻撃より確実に遅い。
足蹴りをくらえば、そのまま後ろに転がり伏せるだろう。

817レア・アシェット:2012/02/12(日) 13:52:32 ID:RXYke8bw0
>>816
「スラムに身を隠していたとは。」
鏡に映った表情が見えるだろう。どこまでも作られたところが見られる表情は、やはり普通の人間ではないと感じさせる。
「よりによって、あなたを助けるとは……私も間抜けね。」

「私の未熟さを学習した。今度からは、どんな状況でも相手をよく確認するようにする。」
これは独り言のようである。小さく何度も復唱し、状況が状況でなければ手帳を開いてメモをしていただろう。

「動かないで」という警告を破った相手、すぐに攻撃に移る。
背中のリュック――道具をすぐ抜ける用に改造されている――から武器を抜こうと動く。
その間に相手の顎を狙った足は動きだしている。

何か思惑があるのか、この一撃で死なない程度には、手加減されているようだ。

818焔魔堂 宗也:2012/02/12(日) 17:56:45 ID:1sJsd2CgO
>>817

蹴り飛ばされた男は、弧を描いて倉庫の開いた扉の前に倒れ伏す。
(……意外と筋力が強い。こりゃ、普通の人間じゃなさそうだ)
わざと飛ばされたつもりだったが、その威力に押されたのがほとんどだ。
起き上がりながら、じんと痛む顎をさするように見せかけ、小袋から取り出したカプセルを口に含む。

「こりゃ、お嬢さんの相手するより。向こうの雑魚を片したほうが一石二鳥か」
狭いフィールドで炎は扱い難い。
人外に比べ劣る身体能力をフォローする手段が無いと判断すると、途端に踵を返して倉庫に飛び込む。

すると、男の姿は空間に吸い込まれるようにして消えてしまった。

倉庫に詰め込まれた雑多な品の数々は、それら一つ一つの配置と意味で組まれた略式の転移魔法陣であった。
転送先は地下暗黒街下層部。
先ほどは、そこからこの倉庫に転送されて略式故の欠陥に嵌められ、一時的な閉じ込めをくらっていたのだった。

819使い魔のキルリス:2012/02/14(火) 23:20:31 ID:do5XJmGE0
人気も疎らな大通り。
いつものようにアイリスは独りで出歩くが、今日は違っている。
メイドを引き連れ、バスケットを持った銀色の髪の童女と手を繋いで歩いているのだ。

【AGカフェ】
『にに、あのね、あのね、アユね、ばばと一緒にちゅくったの!にににあげゆ!』
「ありがとう。しっかりと味わって食べるね。」

普段通りのカウンター席に腰掛け、童女を膝の上に置いて。
舌っ足らずながらも目一杯自分の意思を伝えようとしたり、甘えてくる童女の頭を撫でて、時折手櫛で髪を解いてやり。
アイリスは、そんないじらしい童女を優しく抱きしめて。
童女より受け取ったバスケットの中身を見て、再び童女の頭を撫でる。

「これは味わって食べないと大変だね。」

童女用にチョコレートケーキと蜂蜜入りホットミルクを、
アイリス用にミルクティーを準備させて。
童女は童女でアイリスに思う存分甘えているのか、ニコニコと笑ったり、アイリスに抱きついたりと
思う存分甘えていて。

820アイリス:2012/02/15(水) 01:08:51 ID:do5XJmGE0
童女と話をしながらミルクティーを楽しむ。

「アル、そろそろ開けてもいいかな。
 さっきから、胸のドキドキが止まらないよ。」
『う〜。アユがあけゆ!あーんってする!』

童女は持参したバスケットをやや乱暴な手つきで開けると、自分で作ったであろうチョコレートらしき塊を
小さな小さな手で摘まんでアイリスの口に運んで、あーん!と口を開けるように迫る。
相変わらず舌っ足らずだが、童女のしたいことが分かるのか、素直に口を開けるアイリス。
口にしたチョコは甘いものでは無かった。色はチョコレートの様に濃茶ではある。
だが、齧ればガリっという音がし、舌を通じて口内に広がる味はピリピリと舌を麻痺させる味で――
その後は何故か唐辛子の辛味と砂糖の甘さと蒼い柑橘類の酸っぱさをかき混ぜてシーザードレッシングと胡麻で和えたような味がアイリスの舌を襲う。
この童女が手作りだというチョコレート(のような物質)を嫌な顔一つせず笑顔で食べきる辺り男…いや漢というべきなのだろうか。

「美味しいよ、アル。アルが作ってくれただけで十分嬉しいのだけれど、
 その上、アルと一緒に食べられるなんて…僕は嬉しくて仕方が無いよ。今にも胸がはち切れそうだ。」
『〜♪アユね、アユね、ににだいしゅき!』
「僕もだよ、アル。ほら、あーんってしてごらん。」

フォークでチョコレートケーキを掬い、笑顔で童女の口許に差し出してやる。
童女は小さな口で、一口。
おいしいのと童女らし愛らしい笑顔をアイリスに向けてから甘えて。


――-父様、母様、兄様、姉様、私は、逝くかもしれません…。
    ですが愛すべき姪のチョコレートで逝くのなら本望です…。

未だに舌の感覚が可笑しい。
この段階のチョコレートは未だ良い。その内慣れるだろう。
だが、バスケットに入ったチョコレートは残り4つ。その内安全なものはたった一つ。
アイリスの戦いはまだまだ続くのである。

821早瀬川巴:2012/02/16(木) 21:30:01 ID:Bv/j1lgg0
【繁華街から離れたコインパーキング】


「っはあ…………は……」

夜も更けて人気のないコインパーキング。
そこに駐車してある黒いバンに寄りかかって座り込んでいる人影が一人、いた。
その人物はセーラー服の上にダッフルコートという服装の少女であったが、その全身はまるで、
赤いペンキがたっぷり入ったバケツの中身を彼女に向かってかけたと言われても違和感のないくらい、
真っ赤な鮮血に塗れていた。
彼女のすぐ横に転がっている真っ白な長剣も血で濡れていて、滴の形で少しずつ、アスファルトにそれを落としている。

「馴染まないまま使うのは、かなり……きついものがあるのです……」

しかし、そんな血まみれの彼女の身体には、それを吹き出せるほどの傷が一つも見あたらない。
服も真っ赤に染まってはいるが、破れたり切れたりしている部分はない。
そう、今の彼女を濡らしているのは、全て他人の血であった。

822ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/16(木) 22:40:20 ID:WVrfsEdY0
>>821
【突然空間が歪んだかと思うと】
「…うーん、またとばされたのかなの…」
【巴の居るコインパーキングの前に一人の少女が立っていた】

「なんだろなの…ちょっとあぶないかんじがするかも…なの」
【不安げにあちこちを見渡している…】

823早瀬川巴:2012/02/16(木) 22:51:30 ID:Bv/j1lgg0
>>822

ディスの居る位置からでは、巴の姿は車の影になっていて見えない。
が、パーキングを照らす心許ない街灯の下、一番奥にある料金表の看板に、人間が一人、磔にされていた。
あちこちに酷い刀傷があり、透明感のある光で構成されたナイフに全身を縫い止められたその人物は、服装や体つきからして、
女性のようではあったが、とうの昔に事切れている今、それが解ったところでどうしようもないだろう。

824ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/16(木) 22:54:20 ID:WVrfsEdY0
>>823
「…なに…かなの?」
【ふと、死体のある方へと歩いて行く。巴の姿を見ては居ないようだ】

「……これは、もういきしてないかなの?」
【死体に近寄って、そして軽く頭を落とす】

「うー…ほんとうにあぶないところ…なのかなの?」
【少し怖くなったのか、あたりを見回し始める。】

825早瀬川巴:2012/02/16(木) 23:04:07 ID:Bv/j1lgg0
>>824

「……誰なのですか、そこにいるのは」

そんなディスに、巴は声をかける。
相変わらず車に寄りかかって座ったままであるが、右手は長剣を拾っていた。
巴の位置からはディスの顔は街灯からの逆光で見えず、それ故に誰かは解らない。
だが、この広い異能都市。
磔にされているという痛ましい死に方をした人間に同情し、それをした犯人に噛みついてくる能力者もいないとも限らない。
少なくとも巴は一人、そういう人物を知っている。
右手に握られた長剣はそれに対する警戒だ。何故なら、その死体を作ったのは巴なのだから。

826ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/16(木) 23:09:42 ID:WVrfsEdY0
>>825
【よく見ると、少女の背中には長い刀が体に巻かれた帯と一緒に留められている】
【その刀の所々に銀の装飾が施されている…】
「…あう?だれかのこえがするの…」
【ディスはそう言って声のした方を振り向く】

「…あう?そこにいるのは…」
【不思議そうな顔をして鼻をくんくんと鳴らし始める…】

「あうー、もしかしてきゅーけつきさんなの?」
【そう言って巴の顔をまじまじと見つめる…】

827早瀬川巴:2012/02/16(木) 23:17:13 ID:Bv/j1lgg0
>>826

「よく吸血鬼だと解りましたね。この街では血の臭いのする人なんて、少なくないでしょうに」

暗くてハッキリとは見えないだろうが、死体の近くから血の跡が点々と巴に続いているのに、ディスは気づくだろうか。
いや、気づかないにしろ血まみれの服といい、剣といい、状況証拠は揃いすぎているほど揃っているのだが。

「解ったのなら、早くお家に帰るのをお勧めするのです。
 血を吸われて失血死、なんて死に方は嫌でしょう?」

これはディスが早く去ってくれるように言い放った脅しで、本気ではない。
だが、それを相手がどう取るか……。

828ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/16(木) 23:21:16 ID:WVrfsEdY0
>>827
「えっと…たしかにあのひとのとおんなじにおいしたけどなの…
 でも…いつもちかくにきゅーけつきのひといるからわかるの。
 いろいろまざってもそういうにおいがする…のかなの…」
【ある程度察したのか、かなりそわそわし始めている】

「…もしかしておなかすいてた…なの?」
【ディスは少しだけ怖じる様子を見せるが、じっと巴の顔を見て言う】

829早瀬川巴:2012/02/16(木) 23:32:32 ID:Bv/j1lgg0
>>828

「へえ、吸血鬼と生活を」

この街に来て出会った吸血鬼は三人。
一人はアイリスというどこか謎めいた人物。一人はロザリアと名乗るヴァンパイアロード。
そしてもう一人は、ヴァージニアという、自分と同じでまだ吸血鬼になって日の浅い少女。
そのうちの誰か、という可能性はあったが、他にも吸血鬼はいるだろうし、その可能性は低いだろう。

「いいえ、喉は渇いてはいませんよ。
 ですが、喉が渇いていなくても、何かを飲むことってありますよね。
 私としてはどちらでも良いのですけど、目の前にいる奇妙な野次馬さんがどう出るかによりますね。
 あなたは、人の死が絶対に許せない正義の味方ですか?
 それとも、無関係な人間の死に無関心な、ただの一般市民ですか?」

巴は問いかけながら、ゆらりと立ち上がる。

830ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/16(木) 23:36:19 ID:WVrfsEdY0
>>829
「うん…そうなの…」
【全身包帯まみれではあるが…あまり関係ないかもしれない】

「その、このひとがどんなひとだったのかはしらないけどなの…
 このひとは、わるいひとだったのかなの…それとも…
 それがわからないから、いまはわからなくてなの…」
【何処か戸惑っているように見える…】
「その…わるいひとなの…かなの?」
【巴の顔を指さして言う】

831早瀬川巴:2012/02/16(木) 23:45:54 ID:Bv/j1lgg0
>>830

「そうですねぇ……」

立ち上がった巴は指された指を見つめながらそう言って、

「生き血を求めて夜を彷徨う吸血鬼を抹殺しに来たヴァンパイアハンター。
 それに抵抗してそのハンターを殺すことを、悪いことだと感じるのなら、
 私は「悪い人」に、なりますかねぇ」

微笑みの形に口元を歪めて、ちらりと、凶器である吸血鬼の牙を覗かせた。

832ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/16(木) 23:50:34 ID:WVrfsEdY0
>>831
「なるほどなの…」
【ディスは少し迷っている…用に見える】

「でもいきるため…そうなんだよねなの…
 そういうひとをみてきたからよくわかるの…」
【ふと背中の刀に目線をやる】
「…だからわるいとはおもってない…かなの…
 そのひとのことをおもいだすからなの…」
【悲しそうな顔をしている…】

833早瀬川巴:2012/02/17(金) 00:05:12 ID:Bv/j1lgg0
>>832

正直、その反応は意外であった。
目の前の相手はどちらかと言うと、噛みついてくるタイプの人物だと思っていたからだ。
だが、「NO」をハッキリと突きつけられた今、それを追求することにはなんの意味もない。

「…………そうですか」

巴は長剣を振って刀身に付いた血糊を飛ばし、コートの中に隠れていた鞘に長剣を納める。

「十分休んだので、私は行きます。あなたも、早く此処を離れた方が良いでしょう。
 あえて殺人犯の汚名を着たいのならば、それでも良いのですけど」

巴の身体が徐々に白い霧となって空気に溶けていく。
それはまるで、そこにいる彼女が幻だったのではないかと錯覚させる光景。

「では。今度は、血の臭いが無い場所で会いたいものですね」

そう言い残したのを最後に、巴の姿は完全にその場から消失した。


//短かったですが、この辺で。お疲れ様でした。

834ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/17(金) 00:09:14 ID:WVrfsEdY0
>>833
「…うん、なるべくこういうときじゃないといいなの…
 そうじゃなかったら、えがおであうつもりだからなの…」
【そう言って頷いて、あたりを見回した】

「…その…ごめんなさいなの…
 ちゃんとおむかえさせるからなの…」
【そう言って死体になった人にも深々と頷いて、何処かへと去っていった】
//こちらこそお疲れ様でした

835〝イカれ葬儀屋〟マッドテイカー ◆mNoHSPwQzM:2012/02/18(土) 22:15:20 ID:LmXiaPZ6O
群青と墨色を混ぜて塗り広げた空間に淡く輝く点を散りばめた夜空という絵画を背景に、
冷えきった街角でぼんやりと小明を灯すのは古びた薄気味悪い建物〝葬儀屋〟。その前で揺らめく、痩躯の影があった。

「…当店は土葬が専門です故、そちらのお望みを通したいならば他を当たって下さいますか」

今頃になって外の萎れた色の悪い花々に如雨露で冷たい水を掛けながら、肩に挟んだ携帯で片手間に電話で話していたのは、
見るからに辛気臭い店の雰囲気に似つかわしい、何とも怪しげな格好の青年だった。

背の高い、痩躯の青年。透けるほどの白い長髪に、暗く深い紫の瞳。白皙の肌は気味が悪い程に白い。
襟元に灰色のファーを巻いた黒いローブを纏い、下ろせば良いだろうに何故か銀の大鎌を携えたままだ。
その姿はさながら〝死神〟と言えるが、鎌を右手に如雨露を左手に、肩で携帯を支えて話す姿は些か滑稽でもあった。

「…では、また。――…素直に土に還せば良いものを。人とは面倒な事をする」

丁寧な口調は電話が切れると同時に、呆れて醒めた素のそれに戻る。器用に如雨露を持った手で肩に挟んだ携帯を仕舞い、
そして再び冷水を凍える花に浴びせかける作業に戻った様は、死神の戯れのような奇妙な光景だった。

836名も無き異能都市住民:2012/02/18(土) 23:01:02 ID:LmXiaPZ6O
>>835
//偏頭痛がヤバいので離脱します…

837〝イカれ葬儀屋〟マッドテイカー ◆mNoHSPwQzM:2012/02/20(月) 15:14:59 ID:LmXiaPZ6O
寒空のもと遥か遠方へと淀みなく広がる芝生の庭に、空を切る風音が幾度となく響鳴する。

――スぱぁン、……ぱぁン

白球を晴天へ打ち上げてはまた同じ行為を繰り返す、痩躯の青年。
透けるほどの白い長髪を煌めかせ、暗く深い紫の瞳は飛翔する白球を追っていた。

「…300ヤード。風向きのお陰、か」

死神を想起させる銀の大鎌を――何故かクラブのように下手に持ち、芝生に安置された白球を、スぱぁンと打つ…
…この死神、有ろう事か大鎌を用いてゴルフを嗜んでいた。しかも何気に上手いのが小憎たらしい。

838ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 16:18:36 ID:WVrfsEdY0
>>837
【遠くからなにか声が聞こえてくる・・・】
「・・・がってきたの〜。」
【よく見ると芝生の遠方に少女らしき姿が見える】

「・・・からとんで・・・のかなの?」
【ゴルフボールを手にとってじーっと見ている・・・ように見える。】
「うーん?」
【上に投げたりしている・・・】

839名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 16:23:34 ID:LmXiaPZ6O
>>838
遠方に佇む少女の影を捉えて、青年は白球を打ちかけた手をぴたりと止めた。

「………危ない、か」

仕方無い、といった表情でゴルフを一旦中止し、少女の元へ近付いていく。
鎌を携えた死神のような男は、果たして少女の目にどう映るのか――?

840ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 16:28:26 ID:WVrfsEdY0
>>839
「とんできたから…かるいのかなの?」
【じーっとボールを見つめているのは随分と小柄な少女である】
【剣を担いでいたり、顔以外のほぼ全身が包帯に覆われていたりなど随分と仰々しいところもあるが…】

「…あう?だれかきたの」
【何か気配を感じたのか、ふと足音のする方を振り向いてみる】

「あう?なにをもってるのかなの…」
【顔…よりも先にディスはその大鎌にずっと目が行っている。
 不思議そうな顔をしている。】
「あ、こんにちわなの!」
【しばらく見ていたが慌てて顔を確認して頭を下げた。】

841名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 16:38:49 ID:LmXiaPZ6O
>>840
奇妙な成りをした少女に瞠目しつつも、彼女の視線が大鎌に行っているのに気付いた。
どうやら警戒感を抱かせてしまったらしい、と思案した青年は、まるで煙のようにその手から大鎌を消し去った。

「…あれは命を駆る道具だが、今のお前には必要ない。…あと頭を上げろ」

容姿は奇妙であれ、性格は少女らしいものだと感じつつ青年はしゃがむと、彼女に目線を合わせた。

「…此は〝イカれ葬儀屋〟マッドテイカー。好きに呼べば良い。お前は何と言う」

まず名乗って、次に少女の名を問う。幼児相手に不躾な口調と一人称が〝此〟であることが、奇妙な違和感を醸していた。

842ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 16:43:45 ID:WVrfsEdY0
>>841
「いのちをかる?
 あうー、とにかくさわったらあぶないってことかなの…
 きをつけるの」
【顔を上げて不思議そうな顔で言う】

「あう〜…いか?ま……おなまえながいの…
 『まっど』でいいのかなの?」
【少し困った顔で返す。難しかったのだろうか】

「あう、おなまえは『でぃす』なの!
 あ、そいえばなの…」
【ディスは手に持っていたゴルフボールを差し出す】
「とんできたけど…ひょっとしてもってたのなの?
 かえすの〜。」

843名も無き異能都市住民:2012/02/20(月) 16:49:27 ID:LmXiaPZ6O
>>842
〝まっど〟は予想していなかったようで。青年はまたも瞠目した後、くつくつと笑い出した。

「それで構わない、ディス。…嗚呼、それは此の戯れの道具だ。有難う」

存外素直に礼を言い、青年はゴルフボールを受け取った。それを掌で弄びながら、興味深げに少女を観察する。

「………呪い、か?」

禍々しい彼女の姿を見て、そんな言葉がぽつりと漏れた。

844ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 16:57:05 ID:WVrfsEdY0
>>843
「あうー、よろしくねなの〜」
【にっこり笑ってボールを差し出した】

「あう?これなの?」
【包帯をグルグルに巻かれた腕を見せて言う】
「のろい、なのかなの〜…
 『でぃす』もくわしいことはわかんないけどなの」
【不思議そうに言う】
「でもいたくないからへーきへーきなの〜。」
【そう言って微笑む、とは言えはたから見ればその姿は痛々しい】

845〝イカれ葬儀屋〟マッドテイカー ◆mNoHSPwQzM:2012/02/20(月) 17:02:59 ID:LmXiaPZ6O
>>844
「…そう、か」

口では納得しつつも、痛ましい腕に視線が惹かれる。深くは聞くまい、とマッドテイカーは問いを止めて立ち上がった。

「気を付けるんだな…無理に力を得れば、罰として呪いを受ける。人が生まれたと同時に、死の運命を辿るように…。」

そう言って、彼は背を向け立ち去ろうとする…が、ぴたりと足を止めて。少し思案した後、ディスの頭を撫でようとするだろう。

846ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 17:06:08 ID:WVrfsEdY0
>>845
「あうー…きづいたときにはこうなってたから…
 どうすればいいのかはよくわからないけどなの…」
【腕をさすりながら言うが】
「…あう?」
【頭をなでられて何処か嬉しそうな顔をする】
「なんだかいってることがむずかしいけどなの…
 でもなんだかやさしいような…そんなきがするなの。」
【穏やかな表情になっているようだ】

847〝イカれ葬儀屋〟マッドテイカー ◆mNoHSPwQzM:2012/02/20(月) 17:16:27 ID:LmXiaPZ6O
>>846
やさしいと言われ、嬉しそうな表情を見せられ。マッドテイカーは何故か困った表情を見せる。

「…あまり、愛嬌を振り撒くな。悪い悪魔に拐われるぞ?」

素直な言葉を受けたのが気恥ずかしかったのか、そう言いはぐらかして今度こそマッドテイカーは立ち上がった。

「じゃあな、チビ…じゃない、ディス。呪われしその体、せいぜい大切に使うんだな…〝命が縮まないように〟」

意味深な言葉を添えて、青年はディスに背を向け歩き出す――数歩歩いた後には、彼の姿は煙のように消え去るだろう。
葬儀屋を名乗る死神。その正体は、深い謎に隠されて誰にも覗き見る事は出来ない――

//ちょっと早いかもですが、これにて。ありがとうございました!

848ディス ◆My6NsjkSfM:2012/02/20(月) 17:20:48 ID:WVrfsEdY0
>>847
「あうー?わるいひとはわかるからだいじょぶなの〜。」
【のんきに微笑みながら返す】

「…きおつけるなの、なるべくそうならないように。
 またねなの〜!」
【少し真面目な顔をしてから見送っていった。】

「あうー、きえるのってどうやってやるのかなの…」
【…しかししばらくして、また新たな疑問が上がったのか、首をかしげながらその場を去っていった】
//コチラこそありがとうございましたー。

849アイリス:2012/02/20(月) 20:13:30 ID:do5XJmGE0
【異能都市郊外】

此処はメイドを使い買取らせた土地。
雑草茂る平原。自らの土地となったこの場所は、アイリスの土地と土地では無い区別を有刺鉄線の有無で別けていた。
こうやって見てみれば、数字の割に、中々広く見えるものだ。
脳内の設計図と照らし合わせ、方角に合わせた宿泊施設として機能する塔を置く場所を頭に描いて。

その上で陣を敷き始める。
十重二十重とアイリス自身の手から作られる血陣。
この地脈の恵の魔力と自らの魔力を血でまとめ上げたものだ。
淡い紅の発光、意味を持つ記号の羅列。一部にはルーンのような記号も見えるが、見るものがみればルーンでは無いと分かる。
アイリスの家の術式辞典のから引っ張って、アイリスなりに地脈の性質に合うように調整されたもの。

効果は有るべきものを隠し、無きものを映し出す“幻影を映し出す虚像の鏡”

常時発動の特殊結界と類されるもの。
混血を含めた人外のために作られ、人間の目からは朽ち果てた城にしか見えぬもの。
だが、それは未だ発動していない。未だ鍵がアイリスの手元に有る。

「では諸君、これより有刺鉄線内で始めてくれるかな。建物の概要はこの図面を参考にしてみて欲しい」

『はっ。』

威勢の良い返事。
実家から200程混血を借りてきて、作業に当たらせる。
図面らしきものを片手に作業する男は母の腹心の一人の子分に当たる。
それを持ち、男たちに指示をしていく。

その様子を見ながら、椅子に腰掛けるアイリス。
メイドがテーブルに紅茶を置き、見つめた。

総勢200の者たちが、巨大な城を建造していく。
さすが母の手の者、と感心している間にもどんどん建築は進み。
この短時間で小さくとも城の建造を進めていく母の従者は可笑しいと笑みを漏らして。

「リオ。この光景をどう思う?」
「流石、と言いましょうか。本来ならば幾年の歳月を掛けて建造する施設をいとも簡単に創りあげる辺り、
 あの方の恐ろしいところでございます。」

建築の過程を数段すっ飛ばしているものの、都市の法を守りながら強度も十分な施設が作られていく。
その光景は異様な光景だった。

850クラウディア:2012/02/21(火) 23:31:08 ID:R6A4BQk60
人は誰しも夢を見ている。理想の自分を思い描いている。クラウディアという少女もまたそうだ。
現実の自分は身体的な理由で蔑まされてきた。アルビノという個体は見た目が人と違うからだ。
だから、夢を見ている。自由な想像力が、彼女を別の自分へと生まれ変わらせる。
能力で形作った雲のベッドで、彼女は今日も違う自分になりつつある。

「……どこだ、ここは。隠れ里なんかじゃない」
全身が真っ白な青年が、都市の一角に降り立った。
彼の見たこともない見知らぬ土地。驚き戸惑うのも無理はない。

しかし実のところ、彼はクラウディアが生み出した理想の自分の一人に過ぎない。
彼女の見る夢は、雲を操る能力によって一人称が具現化され、現実に干渉することができるのだ。
そんなことができるなど、彼女自身はこの能力に気付いていない。
なぜなら本人は雲の上で寝ているからである。

851アイリス:2012/02/22(水) 01:06:42 ID:do5XJmGE0
>>849
大凡一日、24時間が経過し、建物の外観が明らかになっていった。
小規模な城だ。

四方に塔を直線で結んさき、ちょうど中央部には巨大な扉。城への本当の入り口にあたる。
一階は交友スペース、二階と三階、塔は宿泊施設として機能する。
三階部分までは人外であれば誰でも辿りつける。
しかし、その先はアイリスの身内のみしか立ち入りは不可な場所を作っている。
部屋の高さは十分に取り、マンション5階分に相当する高さを持っている。

周囲との区別を付ける為、これも10m程の塀で周囲を囲い。

「一夜で完成した城、一夜城。これでいいね。
 リオ、君はここで待っていて欲しい。」
『畏まりました。』

アイリスは一人城内へ。
そして、鍵となる物を四階の自室に置けば、術式が発動された。
それは、混血を含む人外には明るい城、人間には幽霊が出そうな、草臥れた城にしか見えなくなった。

「あとは、ボロップからの連絡待ち、だね。
 行こうか、リオ。母様を始めとした親族に招待状の準備をしていてくれないかな。」
『畏まりました。分家はどうなさりますか』
「……分家は良いよ。本家だけで問題ないだろうからね。
 返事の取り纏めも一緒にお願いするよ。」
『畏まりました。』

そうして、一組の主従は夜の街に去っていく。

852ノア:2012/02/22(水) 23:59:16 ID:DVSghSLQ0
「エネルギー源は手に入った。それこそ有り余っちゃうほどにね。
 知識は『黒いほう』から吸い出すとして……そーだネ?」

大きい瓦礫と中くらいの瓦礫と小さい瓦礫と、それらの隙間から見える廃材類、
壊れ果てて役目を失くした機械たちの墓場――通称、スクラップ広場。
月明かりが照らし出してもこれっぽっちの色彩が見いだせない場所に、ひとつの人影があった。

黒い髪と黒い服と黒い目と、白い肌。と、黒い首輪。
その人影――少女? もまた、モノクロームを構成する一員。
……かと思われたが、形の良い唇だけは、春に咲く花のような柔らかな色合いだった。

「あと、足りないのは……『おうち』。
 『お客さん』を招き入れるための素敵なお家がサ、欠けてると思うんだよネ」

に、と笑って見せる先にある物は、ガラクタの山か月か、仄かに漂う蒼い光か。
少女の両の瞳は焦点が合っていなかったので、それはわからなかった。

853レラ=バニッシュ:2012/02/25(土) 22:13:23 ID:oB5LASG.0
「……約半年、だな」
久々に目を開いた。久々に光を浴びた。
久々に見た景色は、半年前とは様変わりしていた。

街中を歩く人間は、以前見た時よりも衣が厚く。
見返してみれば、自身も自棄に重ね着をしていた。
以前は青々としたはを十分に実らせていた樹も、
今はその面影すらなく、足元には茶色の、穴の開いた葉が落ちていた。

足元には、雪が僅かな厚さ、積み重なっていた。
冬が来たからではないが、訳もなく悲しくなって、ため息を吐いた。

854萌葱 アテナ:2012/02/25(土) 22:18:31 ID:7gFzKdaU0
>>853
「――――ミラ――――、いや、レラ!?」

驚いたような、そんな凛とした声が聞こえてくるだろう。
そして、たたた、と駆け寄ってくる足音も。
後ろを振り返ってみれば、赤毛を揺らし、頬の傷の目立つ少女が居る。
かつてより伸びた腰ほどまでのポニーテールと、深く消えないほどの右頬から鼻先までの傷。

「……え、っと……、えーっと、レラ、だよね?」

黒々とした瞳を嬉しさや、色々な感情に歪ませながら。
修行を積み帰還した少女は、笑いかけた。

855レラ=バニッシュ:2012/02/25(土) 22:35:23 ID:oB5LASG.0
>>854
「あぁ、そうだが……久しいな、アテナ」
走り寄る少女の声を聴きとって、その名前を読んでから振り返る。
暫くミラージュが身体を支配していたためか、以前付けていたデバイスも無く、
背中に背負っていた銀の剣もその姿を消していた。

「そう言う事だ……事情は聞いていくれるな。
 話せないんだ。一切の記憶が無ければ、想像もつかない」

856萌葱 アテナ:2012/02/25(土) 22:43:22 ID:7gFzKdaU0
>>855
「久しぶり、本当に…………っ」

泣くことはない、泣くのは何か違うと思った、喜ぶべきなのだろう、そう思った。
だから、アテナは笑みを浮かべる。前より尚、深みの増した、慈愛の笑みを。
おもむろにレラの頭に右手を伸ばして、軽く撫でようとするだろう。レラの存在を確として確かめるために。

「ん、分かった」

世の中いろいろな事情が絡まり合っている事は分かる。
ましてや、レラとミラージュの事など、自分に全てを理解しろというのも無理なものだろう。
だから、アテナはただ。今この場でレラと共に居るという事を感じようとする。

「えっと、えっとね、とりあえず公園でも行こ!立ち話もあれだしさ!」

857ラルフ=ハインケルン:2012/02/25(土) 22:48:13 ID:xm/dFKGs0
「今日一日のやる事は終わった…後は明日、だな」

街中を徒歩で移動しながらラルフは呟く。
暫くあのお嬢さんも帰ってきていない…最近はやっと一緒にご飯を(かなり必死にたのんで)食べてくれる様になったというのに。
このタイミングでの行方不明に近い状況。若干心配ではあったようだ。

「ん?あの感じは…にてるような、違うような」

ラルフは近くを通る二人の内、レラの方をじっと見て。
何と無くお嬢さんに近い感覚を感じていた。
勿論そっくり同じと言うわけではないが、何か似ているような気がしたのだ。

858萌葱 アテナ:2012/02/25(土) 22:53:05 ID:7gFzKdaU0
>>857
「――――ん?」

ぎゃりぃ、とすり足でラルフの方に振り向くアテナ。
その動作は年齢に比して異様に練達された、身に染み付いた武の研鑽の証。
一瞬だけ警戒の視線を向けるも、害意には敏いアテナ、直ぐに普段の優しさの有る眼に戻る。

たたた、と軽快な動作で近寄っていくと、ラルフを見上げながら、声を掛けるだろう。

「あの、どうしたんですか? ちょっと気配を感じたんですけど」

どちらかと言うとというか、誰が見てもお人よしに分類される少女。
何かアレば大抵首を突っ込もうとしてしまうのだった。

859レラ=バニッシュ:2012/02/25(土) 23:02:46 ID:oB5LASG.0
>>856
「……待て。全てが無事に終わったわけじゃない」
頭を押さえ、苦しむような表情を見せた。
昨日、ミラージュが行った戦闘のつけが、少女の身体の負担となっていた。
それだけではない。
ミラージュの意思が弱まり、一度は引っ込んだものの、未だ彼女の意思と記憶は根強く身体にしみついていた。
残留思念。とでも言うのだろうか。頭に多数の情報が一度に流れ込むと、熱でも出たように、頭が熱くなる。

「それが良いか」
苦しさに耐える最中に、小さく口を開く。
自分より大きな背中についていく中で、再び口を開き。
「アテナも変わったな……僕が、知らないうちに」

>>857
「……何だ、この僕に用があるのか」
ラルフに向けた顔は、正にあの少女の物だった。
それもそのはずだろう、同じ人間なのだから。
ミラージュは彼女の身体を乗っ取っていたのだ。持ち主が元に戻っていただけの物。

声も、顔も、不機嫌そうな表情も同じ。
彼女と同じ服装をしているにも関わらず……見知らぬ人間だと言う。

860ラルフ=ハインケルン:2012/02/25(土) 23:14:03 ID:xm/dFKGs0
>>858
「いや…ちょっと気になっただけだよ。
そこの人が、ちょっとな」

ラルフは少し遠い目をした後のような、そんな雰囲気を漂わせ答える。
まるで大体分かっていて、ああその時が来たのかと感じているように。

>>859
「―――」

ああ畜生め、今日お嬢ちゃん探しに行く時にそんな予感はしていたがよ。
最初に戦った時の感じでもある程度、察したつもりでいたんだがなぁ。
いざ現実が殴りかかってくるとちょっと辛いもんだ。

「いや…そっくりだったんでな。
俺が知っているお嬢ちゃんに」

表面を取り繕って相手に言葉を返していく。
短い間とは言え一つ屋根の下にいた仲だが…もしかしたら。
もう、お嬢ちゃんとは2度と会えないのかもしれないな、こりゃ。
でも多分、今目の前にいる奴がきっと体の持ち主なのだろう。
ハッキリと分かっている訳じゃないが、きっとそう思う。

861萌葱 アテナ:2012/02/25(土) 23:16:57 ID:7gFzKdaU0
>>859
「……分かってるさ。そう簡単に終わるようなことじゃないってのはさ。
でも、少しだけ、喜ばせて欲しかったんだ。もう一度、レラに会えたって事を」

レラの痛みを和らげるように、優しく、ゆっくりと頭を撫でる。
必ず、絶対に取り戻してみせると、その間に己の心の内に、強く刻みこむ。
ぎしり、と右目の奥に有る、種が一瞬だけ軋みを上げて視界を歪ませるも、その影響を表に見せることはない。

「んじゃ、行こ!」

そう言うと、レラの手を取って、アテナは歩き出していくだろう。
頭痛だというレラを労るように、急かすでもなく、ただ導くように。

「あはは、まーね。ちょっと、ミラージュにぼっこぼこにされてから修行に出てたからさ。
今は、愛香もオイジュスも元の世界に帰っちゃったから、此処には私だけ。強くならなきゃいけないって思ったんだ」

黒い瞳は、一人になったという状況でも、揺らがずして強く有る。
しかしながら奥にある本質自体は変わらずに、人間として強くなっただけだとも分かるだろう。
傷も何もかもも、彼女を成長させる要素であったのだ。

>>860
「……もしかして、〝ミラージュ〟の知り合い、ですか?」

ラルフの反応を見て、少女は予想を立てて問いかける。
もしラルフが〝お嬢ちゃん〟の名前を知っていれば、この言葉から予測は出来るかも知れない。
そして、ラルフが〝お嬢ちゃん〟を憎からず思っているように、この少女も又、ラルフの目の前の別人を憎からず思っていることを

862レラ=バニッシュ:2012/02/25(土) 23:36:58 ID:oB5LASG.0
>>860
「僕に似た……?」
そのフレーズただ一つで、張り巡らされる思考。
単純に、僕に似ただけの何処かの人間である可能性は薄い。
であれば、ただの見間違い……が、この反応だ。それも薄い。
何より、考えられるのが―――

「―――ミラージュ、か」
小さく、呟くいた言葉。
それが、目の前の人間に聞こえたかどうかは解らない。

恐らく、一番濃厚だと……いや、間違いなくそうだろう。
僕に生じた空白の時間、その間には僕の代わりに『僕に似た』人間が存在することになる。
幾ら仕組みの解らないこの都市でも、知り合うくらいの可能性はある。全く同じ顔の別人が存在する可能性よりも、はるかに。

「しかし―――――いや、何でもない」
青年に問いかけようとして、取りやめた。
頭痛がより大きくなって、少女に襲い掛かった。

>>861
「……あ、頭をなでるな!
 僕は子どもじゃないんだぞ!」
より、頭に感じる熱が大きくなった気がする。
痛みでは無く、感情からくる熱が。

手を取られ、ただ従うがままに導かれていく。
姿を消したと言う二人の少女に、僅かに寂しげな表情を見せる。
「そうか……ま、いいんじゃないか。
 やけに騒がしかった奴と、ロクに働きもしなかった奴だから、な……」
その表情をすぐに訂正し、嫌味を言ってみるも、やはり寂しかった。
「どうだ、少しは渡り合えるほどの力が付いたか?」

863ラルフ=ハインケルン:2012/02/25(土) 23:52:07 ID:xm/dFKGs0
>>861
「ん…まぁ、一つ屋根の下に住んでた仲かな…言うなれば」

嘘はついていない、とりあえずお嬢ちゃんの部屋の私物とかどうしよう。
処分するのもなんだか気が引ける…、まぁ後で考えるか。

「まぁ、薄々感づいてはいたしな…大丈夫さ」

表面を必死に取り繕いながら、俺は答える。
そう言えば、この子どっかで見たことがあるような…。
気のせいだろう…俺はこの子を知らないんだし。

>>862
相手の苦しみ方で何と無く俺は察した。
間違いなくお嬢ちゃんの存在は目の前の相手を苛んでいる。
何はともあれ、俺に出来ることはケツ持ってやることぐらいか―――。
ならば、陰ながら見守っていこう。

「頭が痛いなら考えない方がいいぜ?
そう言う事はちゃんとけりをつける時が向こうから来てくれるさ」

相手にそう呟いて、俺は重くのしかかる現実の辛さを隠す。
相手にこれは関係の無い感情であるし、それを感じさせるのは間違っていると思ったからだ。

864萌葱 アテナ:2012/02/25(土) 23:57:19 ID:7gFzKdaU0
>>862
「ふっふっふ! これでも元レジスタンスの副長だよ?
 私の方が絶対におねーさんだねー!あははは!」

そう言って、ぐりんぐりんと頭を撫で回して抱きつくことだろう。
本当に、半年前、レラがレラで無くなる前のアテナの様に感じることだろう。
無理をしてそう振舞っているのではなく、自然に、アテナはレラを慈しんでいた。

「……あっちでも色々面倒事が有るみたいでね、でも私はあっちじゃもう死んだことになっちゃってるからさ。
 だから、私は、こっちに永住しちゃおうと思ってさ、折角学校にも行けるようになったし。
 もう門は閉じちゃったんだけど、通信くらいはできるからさ、今度ログハウスでお話しよ?」

ぽんぽんと、あやすように頭を叩いて、寂しさを和らげようとする。
彼女の行動は、基本的に誰かの為に成される傾向に有り、しかしながら、アテナの表情からも寂しさは微妙に感じられることだろう。
いくら時間が立ち、己の中で折り合いが付いたとも言えることとはいえど、寂しい物は寂しいのだ。

「うーん、多少はね。そりゃ修行してきたわけだしさ、うっかり魔界で竜と1月位戦ってみたりしたんだけど。
 その時にその竜に力の原石っぽいの貰ったんだけど、まだどんな物かはわかんないんだよね。
 ……でも、絶対に何とかするさ、してみせるよ、私は」

ある程度以上の実力を持つからこそ、決して確実などという言葉で済ませようとはしない。
しかしながら、勝てる可能性は、零ではないという事は間違いなく口にしていた。

>>863
「――――、そっか。ミラージュに……」

こくり、と頷いた。かつてレラを我が家で匿っていた身としては懐かしくもある。
似たような境遇だったのだろうかと思考を巡らせるも、巡らせても詮無い事だと理解する。

「……そう、ですか。それならいいんですけど」

ん?と貴方の視線に思考が混ざっていたのか、首を傾げるアテナ。

「えーっと、もしかして、大分前ですけど、公園で会った気がするんですけど。
 確か――――バイクに乗って、探偵がうんぬん、って言っていた気が……?」

思考の糸を手繰っていくアテナ、割と記憶力はいい方だ。

865レラ=バニッシュ:2012/02/26(日) 00:26:52 ID:oB5LASG.0
>>864
「一応、僕も役職にはついているのだがな」
異能都市から離れた国の、騎兵団の長であったりもする。
さらに、その頭脳を買われ、国の管理にも大きなウェイトを受け持っていた。
……一応、と加えたのは、自らにも働いていないと言う自覚があっての事なのだろうか。

やめろと言って少女を突き放そうとするが、力が無い。
身長的体格差を抜きにしても、圧倒的。相手が近接専門だと言う事もあるのだろうが、それ以上にこちらが非力すぎた。
一応断っておくが、少女を突き放そうとするのは嫌いだとか、そういった理由ではない。
気恥ずかしさとか、そういった色から来たものだ。

「……やめろ」
今度は、言葉通りに拒絶する反応を見せた。そんなに強い物では無いが。
寂しさを見透かされたことがまた恥ずかしくて、プライドの強い少女としては少々気に障る。

「クク……期待しているぞ。
 どうしても、僕には手が出せないからな」
その絶対ではない自身が、帰って少女を安堵させる。
昔からこうだったと。油断も、慢心も切り捨てた、強い存在だったとかつての記憶を呼び起させた。

866萌葱 アテナ:2012/02/26(日) 00:36:48 ID:7gFzKdaU0
>>865
「あー……、そだったっけ。でも、私の方がおっきーし!」

ぎゅぅ、と抱きしめて、ぐりぐりとしてみる。
それでも、レラの押し返す動きを感じて、静かに身を引く。
それを自然な流れでやるところから、アテナの人間性が垣間見えるか。
まあ、それでも頭の上に手を置いていたりするのはご愛嬌と言った所か。

「……というか、レラ、家あるの? なんなら、前みたいにウチのログハウス、使ってもいいけど。
 ――どうせ、私一人、だしね」

最後の言葉には、彼女の多少な感傷が見えたか。
レラの様にプライドを持つ事無く、一人の少女として誰にでも当る少女。
包み隠すことのない性格は、こういう時には面倒である。

「絶対は約束できないけど――――信じといて、レラ」

絶対ではないのに、信じろという。
だが、その言葉は確固とした強さを孕んでいて、空虚な空元気とは違う、中身のある者だと示す。

867ラルフ=ハインケルン:2012/02/26(日) 00:45:00 ID:xm/dFKGs0
>>864
「あー…確かバイクのガソリンが切れた時に道を聞いたっけな。
あの時は助かったぜ、嬢ちゃん。相変わらず鍛錬してるかい?」

ふと、昔の事を言われて思い出し相手へ聞く。
俺も記憶が薄い物の、相手は多分ずっと鍛えていると思ったから。
こういう相手と勝負したら、きっと後腐れなく楽しいだろうなとおもう。
帰ったらマユに話しておこう。

868萌葱 アテナ:2012/02/26(日) 00:49:14 ID:7gFzKdaU0
>>867
「あはは、この前までちょっと魔界まで武者修行したりしてましたー。
後は、戦場に飛び込んで戦争止めたり、色々してましたからねー」

見てみれば、少女の体は別に鍛え抜かれている様には見えない。
だがしかし、その実、全身の筋肉は最高の質を目指して鍛えあげられ、無駄なく絞られている。
武術家として一級品の肉体の構造は、努力と生来の素質からくるものだ。

「と、り、あ、え、ず…………ッ!此のくらいはっ!」

軽い動作で打撃を放つが、すぱぁんと破裂音が響く。
全身運動により打ち出される拳の加速が、空気を叩いて音を引き出したのだ。
今年で10歳である少女の練度としては、少々異常とも言えるものだったろう。

869レラ=バニッシュ:2012/02/26(日) 01:00:31 ID:oB5LASG.0
>>866
「うぐぐッ……!!?」
レラの顔が一瞬にして驚愕と、怒りの入り混じったような、気迫迫る顔になる。
アテナは最も触れてはいけない部分に触れてしまったのだ。
小さく跳躍してみせるとアテナの頭を叩く。
「中々度胸のある物言いをするなぁ、アテナ……?」

「有ることにはある、」
レラの腹心とも呼べる部下がこちらに住む時用に借りている家がある。
彼女の部下の河平やアミルちゃん、ビィとなのる少女達にアテナは会ったことがあるはずだ。
しかし、腹心と言えど河平は生活に煩く、当たり前と言えばそうなのだがしきりに仕事を要求してくる。
アミルちゃんがレラにもたらす苦労は想像に難くないだろう。ビィは静かだが、幼すぎる故に少々手を焼くところもある。
暮らしやすい環境ではあるのだが、生活が楽かと言えばそうでは無かった。
ゼオラを頼ると言うのも案ではあるが、こちらからの連絡手段が無く、今は何処に居るのかが解らない故に手の施しようが無かった。
「が、少し世話になる」
これらの理由もあるが、単に少女が心配であった。というのも理由になるのだろう。

「フッ……中々気難しい注文だな。
 だが、任せろ。僕はアテナを信じるさ」

870ラルフ=ハインケルン:2012/02/26(日) 01:01:28 ID:xm/dFKGs0
>>868
「おお、良くなったじゃないか。
その調子で頑張っていけよ」

ラルフはそう言ってサムズアップを送る。
小さな格闘家に最大限の賛辞を送る。
相手の才能を妬む事無く、純粋にその努力を評して。

「努力する事を止めなきゃきっと強くなるぜ。
…さて、俺もそろそろ帰るかな」

そう言って遠くみながら呟く。
そろそろ時間も遅い。

871萌葱 アテナ:2012/02/26(日) 01:06:16 ID:7gFzKdaU0
>>869
「きゃー!?」

どわー、と声を漏らしながら、身をすくませるアテナ。
割と怖いながらも、何処か楽しそうな余裕を見せるのは、妙に人生経験が豊富だからか。
しかしながら、その後にぽんぽんと頭を叩きながら、ごめんね、と謝罪するのもまたアテナらしいといえばらしい。

「ん、分かった! ……なんていうか、ありがとね、レラ」

にへへー、と相好を崩しつつも、嬉しそうに微笑むアテナ。
帰ったらとりあえずおいしい紅茶を淹れて見せようと、心に決めるのであった。

「じゃ、私もレラと一緒に居れる事、信じてるから」

真っ直ぐに、冗談でも何でもなく、本気でそう言って。
レラの手を引いて、森の奥のログハウスに帰るはずだ。

>>870
そして、帰ろうとしながら、アテナはラルフにぶんぶんと手を振って。

「またいつかラルフさんー! AGカフェに遊びに来てくれたらサービスしますからー!」

と、さり気なく宣伝してみるのであった。

872ラルフ=ハインケルン:2012/02/26(日) 01:08:02 ID:xm/dFKGs0
>>871
「ははは…楽しみにしておく!」

そう言って、俺は事務所とは逆方向に歩いていく。
―――やることは決まった、とりあえずは目先の問題からだ。
そう思いながら、俺はゆっくりと彼女達から離れていった。

873レラ=バニッシュ:2012/02/26(日) 01:14:42 ID:oB5LASG.0
>>871
「えぇい! 頭をなでるなと言っている!
 アテナ、お前には本当に解らせる必要があるな!」
怒った様子を見せるが、何処か馴れ合いの色が強い様子を見せる。

「べ、別に礼を言われる筋合いは……」
口を尖らせて目線を逸らす。
顔を赤くし恥ずかしげに答えて見せた。
少女の頭の熱は別の意味合いで過激化していた。

「まぁ、暫くは一緒だ」
そういうと、言われるままに手を引かれ、追いかけていく。

>>872
「……っ」
一度、振り返って男を眺める。
すると突然、少女の頭を鋭い痛みが襲った。
「なんなんだ、この痛みは一体……」

874レラ=バニッシュ:2012/02/29(水) 22:59:50 ID:oB5LASG.0
「暇だな……」
アテナの家に招かれ、そのまま居候状態と化していたレラ。
しかし、元々する気もないが、やるべき仕事も無ければ、
趣味兼(彼女にとっては)本業の、武器・兵器開発もできる環境では無かった。

若干趣が異なるが、それに加え、謎の頭痛が彼女を支配していることもある気がする。
尤も、これは暇なのでは無く、癖であった怠惰をより増長させる物だったのだが……。

故に、時たま外に出ては、頭を抱えていた。
アテナはバイトに行ってしまったので、彼女の帰りを待つ事も兼ねて、
暇が出来れば公園に出かけては、巨大な箱のような物を呼び出しては、中に篭る。

―――公園、謎の箱の中。

「〜♪」
久々。そう思った。
首をほぼ垂直に曲げる程に高く積み上げられた資材に囲まれた環境と言うのが久々だった。
尤も、最近の彼女には風に触れるのも、友人の手料理を味わうのも、同じベッドで睡眠をとるのも、何もかもが久々だったのだが。

「……ふむ」
兼ねて、彼女が開発していた装備の開発に取り掛かろうとしていたのだが……問題だ。
資材が無かったのだ。今から造ろうとしていた物には、圧倒的に重要な部分が。
全く所有していない訳ではない。ただ、所有していると言っても、異能都市外の彼女が務めている国の倉庫にあるのだ。
余りにも、取りに行くのは面倒……(仕事をしていないので)気が退けていた。

875ガルテラ:2012/03/01(木) 22:46:29 ID:cA7m7mYw0
公園の片隅に停まっているラーメン屋台。
カンテラを持った男が、その暖簾をくぐる。

「チャーシュー麺ください」
「おお、ガルテラさんじゃないか。
 今日はいつもの黒い人たちは居ないのか?」

男はこの屋台の常連らしく、店主に名前を覚えられていた。

「ええ、今日は一人です」
「待ってろよ、すぐに作るからな」

店主がラーメンの準備に取り掛かる。
男はラーメンが出来上がるまでの間、公園を眺めていることにした。

876リリシア=エンティオテュユフル:2012/03/01(木) 22:56:19 ID:7gFzKdaU0
>>875
「――――む、美味そうな気配……」

そんな、静かかつ凛とした気配を持つ声が、ふと屋台の外から聞こえてきたことだろう。
そして、暖簾をくぐりながら、屋台に客がもう一人入ってくる事となる。
入ってきたのは人ではなく、しかし、人に近しい外見をした、人外――――いわゆる悪魔。

しかしながら、その外見は悪魔というには極めて邪さが薄い物である。
純白に輝く、コウモリの翼に、山羊の角に、長い尻尾。膝辺りまで有る白髪はポニーテールにして纏められている。
小柄な体を包む漆黒のスーツが、その悪魔の、白という異質さをより際立たせる結果となる。

そんな悪魔が上機嫌に尻尾をゆらゆらと揺らしてカウンターに座る。
そして、ふんふん、と鼻歌を歌いながらメニューに目を通して。

「チャーシュー麺、塩で大盛りで頼む」

と、案外にも健啖な様子を少女悪魔は見せつつ、注文を済ませるのだった。
そして、隣に居るガルテラにちら、と視線を向けて、何かを考えるような表情を浮かべる。
むー、と唸り声を漏らしている辺り、何か思うことがあるのだろうか。

877ガルテラ:2012/03/01(木) 23:06:39 ID:cA7m7mYw0
>>876
「……これはこれは」

男は訪れた少女のその姿を見て、感心したような声を上げた。

「私の顔に何か?
 私の正体ならば、あなたに類似したものだと思われますが」

先に頼んでいた男にチャーシュー麺が差し出される。
それを受け取り、男はラーメンを啜り始めた。

「……やっぱりこの出汁がいいですね」

878リリシア=エンティオテュユフル:2012/03/01(木) 23:13:59 ID:7gFzKdaU0
>>877
「――――やはり悪魔か。まあ、だからといってどうという話でも無いのだがね。
 思えばこの都市に来て初の同族との出会いか、まあ、気にしないでくれ。
 とりあえず今はラーメンだ」

すぅ、と視線を流して、目を細めるが、特に敵意を見せる様子は無い。
口元に浮かべる微笑は、悪魔のそれよりも天使のそれに酷似している。
悪魔でありながら天使的、天使的ながらも悪魔的。その違和感に違和感が無い。

「おお、美味そうだ」

出てきたチャーシュー麺塩、大盛りを見て相好を崩す。
そして、割り箸を割ると、手を合わせていただきます、と礼をして麺を啜る。

「むむむ、美味いな……!やはり地上の食事は滋味が有って良い。
 雑味の無い食事はどうにも性に合わんからな」

と、しみじみとラーメンを味わっているのだった。

879ガルテラ:2012/03/01(木) 23:22:16 ID:cA7m7mYw0
>>878
「ええ、悪魔です。
 宗教者にばれると余りよろしくないので擬態していますが」

そう言って、口を開く。
口の中には巨大な金色の目玉が除いていた。
それはこの男の悪魔としての真の顔だ。

「……しかし、あなたは余り悪魔っぽくありませんね。
 光を操る私が言えることでも無いですが」

一度口を閉じるとその目玉は消えていた。

「地上?地獄からでも出てきたばかりなんですか?」

880リリシア=エンティオテュユフル:2012/03/01(木) 23:29:36 ID:7gFzKdaU0
>>879
「――っふふ、だとしたらもう大分遅い気がするがな」

少しだけ意地悪そうな、悪魔っぽい笑みを見せるリリシア。
そして、口の中の巨大な金色の目玉を見て、口角を釣り上げる。

「……まあ、私の数百代前から、だんだん白くなっていってな。
 本質は悪魔なんだが、大分丸くなったものだよ」

麺を啜り、スープを飲みながら、既にラーメンはほとんど空になっている。
そんな速度で食べながらも、零したり、飛ばしたりせずに普通に会話できるのは謎スキルだろう。
そして、ガルテラの問を受けて、リリシアは口元をほころばせる。

「――――残念、〝上〟だよ。天界の悪魔、って話聞いたことないか?
 降りてくるのは確か百三十七代目以来地上には来ていないから伝承にはほとんど残っていないがね」

一部の上位悪魔等の一族ならば、未だに話が残っていても可笑しくはない。
人を愛し、地に降り。堕落するも、天使よりも尚気高く有った悪魔故に、再度天上に登ることを許された悪魔の一族の存在を。

881ガルテラ:2012/03/01(木) 23:38:50 ID:cA7m7mYw0
>>880
「もう何人かにはばれていますし、
 気配だけでばれることもありますから気にはしませんよ」

男は笑顔で答えた。

「なるほど、天界の悪魔。
 名前だけは聞いたことがあります。
 外見や出自、地上に来た時代などはまったく知りませんが」

この男は一応上級悪魔の端くれ。
上級の中でも最下級、と言う程度の位置づけだ。
趣味は魔道具や魔導書集めなので、どこかで見たのかもしれない。

「私は天界など見たこともありませんから、もっと詳しく知りたいですね」

882リリシア=エンティオテュユフル:2012/03/01(木) 23:47:17 ID:7gFzKdaU0
>>881
「曲がりなりにも同族だ、教会には報告しないでおくさ、悪魔を倒すのは私の責務ではないしね」

敵意を見せる様子は無く、只ちょっとした悪戯心だったようだ。

「天界の気で漂白されたのか、基本的に色素が薄くてね。
 天使よりも気高いからこそ、天に登ることを許されたから、基本的に我々は誇りを重んじる、というくらいだ。
 特に貴様の様な天界を出自としない悪魔と変わることはないな」

口調は中性的で、落ち着いたものながらも、同族を見つけて嬉しいのか尻尾がぴこぴこと動いている。
天界の一族の当主ながらも、未だ若造や小娘と言われているリリシア。
当主に足る器は有るが、それでもまだ未熟さを多少感じさせるだろうか。

「……と言っても、我々は基本的に裁判官や処刑者でな、他の天使と関わることは少ないのだ。
 私の居た辺り等は、豪奢な神殿が立ち並び、天使が人々の魂を選別していたな」

天界の悪魔は、道を外れた天使の断罪を職務とする一族。
故に、かつての穢多非人の様に、余り他の天使と交流を持つことは少ないのだ。
只、それらと違うのは、誇りある一族、貴族、騎士として認識されていることだったが。

883ガルテラ:2012/03/02(金) 00:01:56 ID:cA7m7mYw0
>>882
「それはありがたいですね。
 私は善人から支払われた魂はそれにふさわしい処理をしていますし、
 取引は等価交換するように勤めていますが、
 それでも認めていただけない人もいらっしゃるので」

ため息をつきながら、男は言った。
恐らく天使や教会の人間などとの諍いも少なからず経験しているのだろう。

「誇り、ですか。
 それは天使としての誇りでしょうか、それとも悪魔としてのものでしょうか。
 ……あるいは、一族としてや騎士道のような、別のものとなるのでしょか?」

興味深そうに、男はリリシアに聞いた。
どうやら知的好奇心が旺盛らしい。

884リリシア=エンティオテュユフル:2012/03/02(金) 00:08:07 ID:7gFzKdaU0
>>883
「私も契約や取引を通じて、人間に何かを与える類の悪魔だからな、そこの所はわかっているとも。
 私の仕事は悪魔祓いと言うよりも、道に背いた天使の断罪にこそ有るからな。
 天使を殺すという汚れ仕事は、天使ではなく、悪魔の仕事、という訳だ」

指で鉄砲を形作り、ばぁん、と小さく指を跳ね上げた。
ぴし、と銀玉鉄砲のような、魔弾が小さく飛び出して、デコピン程度のダメージをガルテラに与えるだろうか。
別に悪意があったわけでもなく、気まぐれだった。

「ふむ。私の誇りは――――、誰のものでもなく私自身が抱き、私が実践する物。
 だからこそ、騎士道や一族や、天使や悪魔などという、有象無象とは、また別の所に有る物だ、私の誇りはね」

大分、この天界の悪魔は、確固とした己という物を持っているようだ。
ガルテラの問にも、澱みなく答える様は、正しく貴族と言って仔細ないだろう。

885ガルテラ:2012/03/02(金) 00:19:25 ID:cA7m7mYw0
>>884
「自分だけの誇りですか」

そう言って、男はラーメンを啜った。

「そう言ったものを自ら生み出せる自己を持つことは関心します、が。
 こういった悪ふざけはいかがなものかと」

空になったラーメンの器の中に、
リリシアの放った魔弾が転がっていた。
どういう手品だ。

「痛かったですよ」

しかも当たったそうだ。

886リリシア=エンティオテュユフル:2012/03/02(金) 00:23:04 ID:7gFzKdaU0
>>885
「――あはは、結構思いつきで動いてしまうのさ、私は。
なんとなく、職務のちょっとした実演、って感じだったのさ」

魔弾を消滅させながら、朗らかに笑う悪魔は、ゆっくりと立ち上がる。
カウンターに、相手の分のラーメンの金額も加えて置いて、暖簾をくぐり外に出ながら、ふと振り返って。

「リリシア=エンティオテュユフルだ、また何時か出会えることを主に祈っておく、同族よ」

そう言い、ガルテラが名乗ればその名を聴いてから歩みだし、名乗らなければそのまま去っていく事だろう。

887ガルテラ:2012/03/02(金) 00:33:20 ID:cA7m7mYw0
>>886
「私は道しるべの悪魔、ガルテラです。
 また縁があればお会いしましょう、リリシアさん」

背中越しに手を振りながら名乗った。
そして、置かれたラーメン代を見つめながら呟く。

「……まあ、これもまたありでしょう。
 もう一杯貰えますか?今度はメンマ多めで」

男がリリシアの行動に何を思ったのかは解らない。
ただ、ラーメンの匂いを漂わせながら悪魔の夜は過ぎていく。

888伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 17:39:45 ID:j3F3Rpmc0

 市内某所、小高い丘のある公園。
 沈んでゆく夕日を、一人の青年がベンチに腰掛けて見つめていた。
 やる気のない―――生気のない、死人のような瞳で。沈む太陽を、ぼーっと。

「うへえ……とっとと沈んでくれねーかな」

 灰色のフードの中で溜息を付くその顔は、その皮膚は、チリチリと音を立てて“焼けていた”。
 傾く夕日に、焼かれていた。

「どうせ治るからいいんだけど」

 へ、と乾いた笑いを漏らして、青年はベンチに腕を放り投げる。
 言葉通り、焼けた皮膚は立ち所に治っていき、そして治ればまた焼ける。そんなループを繰り返していた。
 知識があれば、それが高い再生能力と、日光に弱い不死族(アンデッド)の特性から起こっていると分かるだろう。

889ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 18:29:03 ID:WVrfsEdY0
>>888
「うーん…べんきょむずかしいの…」
【ランドセルに何かを突っ込んだままの少女が公園に座っている…】
【ちなみに少女は制服を着ているので恐らく帰りなのだろう。ランドセルの中身を確認しているようだ。】

890伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 18:39:38 ID:j3F3Rpmc0
>>889
 少女の、少し遠く。丘の上に、一人の青年がいた。
 彼女の存在に気付いて、その青年は声を上げる。

「おお、かわいいのが居るじゃねーk……いや、そうじゃない。
 おいそこのちっこいのー、んな遅くに外ふらついてていいのかー」

 日は沈んだ。
 まだ明るさは残るが、空の大部分を占めるのは夜の闇。
 死んだような目が生ける屍のような目程度には生気が宿って、彼はベンチを立ち上がった。
 少し遠くに見える少女の姿を視認すると、彼はぶっきらぼうながらに心配するような声をかけた。

891ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 18:42:18 ID:WVrfsEdY0
>>890
「ん?あう〜。
 へーきなの。このあたりはよくわかってるからなの〜」
【気にしない、とでも言うように手を振った】

「あう〜?なんかかおがわるいなの〜…
 きぶんわるくないなの?」
【逆に顔色を見て心配されているようだ】

892伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 18:50:27 ID:j3F3Rpmc0
>>891
「いやいや、最近は物騒だからな? 不審者とかザラじゃんか」

 いやいやいやいや、と、こちらも否定するようにブンブンと手を振る。
 しかし、灰色のパーカーを深くかぶり、袖から見える手は包帯でぐるぐる巻き。
 死んだような目で少女に声をかけるその姿。
 おまわりさんこいつです。

「顔が悪いのは元からだよぉ! ……あと顔色もだ。
 素でこれだから心配すんな。そういう種族だから」

 ほら超元気などと言いながら、男はぶんぶんと腕を振り回す。

893ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 18:53:49 ID:WVrfsEdY0
>>892
「あうー…あぶないひとがいたらたいへんだけどなの〜
 でもいいひとかどうかはなんとなくわかるの〜」
【そう言って軽く微笑む。ディスの方も学生服から覗く素肌に包帯が巻かれている】

「そっかなの〜。そのかおはふつうなの〜!
 ならよかったの!ちょっとふつうのひととちがうのはよくあることだからなの!」
【何処か嬉しそうに言う。】

894伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 19:04:11 ID:j3F3Rpmc0
>>893
「なんとなく、ねえ……そこまで言うんならまあ、僕が口を突っ込む話でもねえか」

 息を深く吐き、青年はそれ以上何か言うのをやめた。
 粗暴な口ぶりの割には、一人称は“僕”らしい。

(子供ってよく分かんねー)

 無邪気に笑う少女の姿は、青年を少し混乱させる。

「……んん? その包帯、お前も不死の類か? それか太陽に弱いとか」

 興味を持ったのか、彼は尋ねた。
 包帯から連想されるのが怪我ではなく不死という辺り、思考の偏りが見える。

895ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 19:11:19 ID:WVrfsEdY0
>>894
「あうー。なんとなーくわるくはないひとなのかなの〜」
【じーっと伏見の顔を見ながら言う】

「あう?これなの?」
【包帯の巻かれた腕を見せながら】
「うーん、どっちもちがうとおもうの〜。ふつーにおひるにあるけるからなの!
 …もしかして、あかるいとだめだったりするなの?」
【不思議そうに伏見を見る】

896伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 19:21:08 ID:j3F3Rpmc0
>>895
「僕も自分が悪い人だとは思わねーけど……
 ……だーもうそんなにまじまじ見るんじゃありません」

 虫でも払う風に手を振って、視線を振り払おうとしている。
 小さな女の子に見つめられてキョドる程度にはウブらしい。

「ん、そうなのか。僕は太陽はダメだな、焼けるし熱いし。
 流石に死ぬほどじゃねーけど、出来ることなら無い方が嬉しいね」

 この言葉だけであれば、日焼けが嫌いだとか熱いのが嫌いだとか、そういう愚痴に聞こえる。
 しかし(少女が見ていたかはさておき)、彼は本当に皮膚が日光で“焼ける”のだ。

897ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 19:25:15 ID:WVrfsEdY0
>>896
「あう?なにかわるいことしたかなの…」
【振り払う動作をされて少し気にする顔で目を下に向ける】

「そうなんだなの〜…やっぱりそうなんだなの!」
【急に納得したような顔になる】
「『でぃす』はあったかいのすきだからおひるだいすきなの〜!」
【そう言って微笑み返した】

898伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 19:36:24 ID:j3F3Rpmc0
>>897
「だああ、悪かった別に何でもねーよちょっと照れ臭かったんですよ」

 屈み込んでディスの頭を何度か軽くぽんと叩く。
 やはり言葉振りにはそぐわず、随分と優しい力加減だった。

「おう、子供は元気が一番だな、うん……俺ももっと小さい頃は―――ああダメだ今と大差ねえや」

 思い返すように手を額にやるが、数秒もしない内に首を横に振った。

(……しかし、そうでないとなると何だろうなあの包帯)

 気がかりなのか、じっと、あるいはじとーっとディスの包帯に目をやる。
 目付きが非ッ常に悪いせいで、睨まれたように見えるかもしれない。

899ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 19:40:37 ID:WVrfsEdY0
>>898
「うにゅっ」
【軽く叩かれて思わず目をつぶる】
「そっかなの〜。わるくないなら…よかったの」
【何処か嬉しそうだ】

「そうなの!いっぱいたべてるからげんきなの〜!」
【たしかに元気そうである】
「…ん?」
【じーっと見られているのをきにしてるっぽい】

900伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 19:50:18 ID:j3F3Rpmc0
//一人称ナチュラルに間違えた(゚д 俺→僕

>>899
「……、」

 話を聞いているのかいないのか、頭を撫でるような叩くような行為は続いた。

「なるほど。僕は小食だからこうも消極的なのかもしれねーなハッハ」

 そうやって漏れる笑いも、随分掠れている。
 本人としては大笑いのつもり、らしい。

「ああいや。その包帯、気になってだな」

 手を止めて、短く言う。

901ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 19:54:10 ID:WVrfsEdY0
>>900
「あうー。いっぱいたべないとげんきになれないよなの〜」
【ポンポン叩かれているが、それでも心配そうな顔のままである。】

「あう?このほーたいなの?」
【腕を上げてみせて言う。】
「えっと…けがいっぱいしてるからかなの?
 でもこれはいっぱいうごかせるよなの〜」
【そう言って得意げな顔をした】

902伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 20:05:09 ID:j3F3Rpmc0
>>901
「……今僕超元気だからな、これ以上元気になったらそれこそ死んじまう」

 青白い肌も、死んだような目も、深いクマも、パーカーが顔に落とす影も。
 どれも健康からはかけ離れた不健康さしか連想させない。

「! ああ、怪我なんてのもあったか……なるほど視野になかった。
 ……しっかし、怪我してるとなると、あんまし動かしちゃマズイんじゃ?」

 すごいっちゃすごいけど、と心配気な目で。

903ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 20:08:22 ID:WVrfsEdY0
>>902
「そっかなの〜。
 げんき…にみえ…あ、みえるかもなの!」
【じーっと顔を伺っている】

「あうー?へーきなの。
 けがしてるけどいたくないからなの〜」
【大きく手を振りながら言う】

904伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 20:21:02 ID:j3F3Rpmc0
>>903
「なー? 僕超元気だぜほれほれ―――あよいしょ」

 気球が膨らむような緩慢さで立ち上がり、両腕を夜空に向けて突き上げた。

(無痛症ってヤツか……いや、知らんけど)
「なんだ、まあ、怪我しないよう気を付けろよな―――えっと、あ。名前聞いてなかったな」

 名前を呼ぼうとして、ふと思いついた。

「僕は樺根。伏見樺根(ふしみ・かばね)。不死身じゃねーのにフシミなんつってね。
 そんで、お前さんはなんて言うの? お嬢ちゃん」

905ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 20:24:58 ID:WVrfsEdY0
>>904
「ほんとにげんきなの〜!」
【楽しそうに答える】

「あう、もちろんいっぱいけがしないようにきをつけるからなの〜!
 あう、おなまえなの?」

「ふしみ かばね あう〜『ふしみ』でいいかなの?
 ふじ、ふじみ?ふしみ?」
【ちょっと戸惑っている…】
「こっちのなまえは『でぃす』なの!よろしくねなの〜!」

906伏見樺根 ◆FA/Bw.T3QU:2012/03/02(金) 20:39:00 ID:j3F3Rpmc0
>>905
「んあ、カバネでもフシミとでも好きな風に呼んでいい。
 一応言っとくと、名前はカバネ、苗字はフシミだ。よろしくなー、ディス」

 ひらひらと手を振り、適当に挨拶を返す。

「……で、あ、そうだよそうそう。
 怪我しても動けるっつっても、あんまりあれだ、怪我とかはしないようにな」


「あれ、もうこんな時間か。そろそろ向かわないとだな」

 公園に設置された時計を見て、彼はポツリと呟く。

「んーじゃ、僕はこの辺で。もう遅いし早めに帰れよなーちっこいの」

 踵を返すと振り向くことなく、手を振りながら歩き去って行った。
 折角名前を聞いたのに、結局去り際には名前を呼ばなかった。

907ディス ◆My6NsjkSfM:2012/03/02(金) 20:55:10 ID:WVrfsEdY0
>>906
「あうー。わかったの!
 『ふしみ』よろしくねなの〜!」
【ディスも大きく頷いて返す】

「あうー、もちろんなの!
 けがはしないようにするからなの!」
【そう言って大きく頷いた】

「あう、いそがしいなの?
 わかったの〜!じゃあねなの〜!」
【そう言って手を降るが…】
「おなまえは『でぃす』なのぉ〜〜!!」
【名前で呼ばれなかったので去りゆく其の背中に大きく自分の名前を呼びかけたのであった】
//おつです

908名も無き異能都市住民:2012/03/05(月) 23:54:33 ID:do5XJmGE0
【異能都市郊外 一夜城】

草木眠る時間、人間には幽霊城にしか見えない廃城があった。
月灯りに照らされ、外の空気に晒された草臥れたカーテン。
――人にはそう見える

が、混血を含む人外には、城門の外からでも咲き乱れる花が見えるはずだ。
次いで、咲き乱れる花に優しく手を触れ、眺める白髪の人物の姿も。

「月光に映える花々もまた、良し、かのぅ」

そこは月灯りでは無く、人工的な照明で照らされる場所。
手にはカメラ。シャッターが降りる音とフラッシュ特有の一瞬の光。
カメラを眺め、映ったものに満足しないのか、再びシャッターを下ろそうとして。
二度目のシャッターが降りる音。

「…、そうじゃのう、アップルパイでも焼こうかのぅ。アイリも腹を減らしているだろう。」

と誰に言うでもなく呟けば、城の中へ。
少し時間が経てば、焼き菓子の香りが辺りに広がるだろう。

909ドーラ:2012/03/06(火) 00:00:18 ID:7gFzKdaU0
>>908
「むむむ、美味しそうな匂い!」

そんな、元気な死体の声が聞こえて、たたた、と一夜城の中に入り込む亡霊が一つ。
小柄な体に、死霊の怨念一杯、元気一杯に付喪神なのか、怨霊なのか分からぬ謎の亡霊は城の中へと誘われていく。
不法侵入かも知れないが知ったこっちゃない、気になれば好奇心がままに進んでいくのがこの少女だ。

格好は動きやすいパンツルックであり、ファー付きのもこもこしたコートを着こみ、大きなリュックを背負っている。
通った後に人魂が残ったりするため、怪奇現象を知らずに起こす傍迷惑な少女。
そして、ぎぎ、と城の門を小さな手で開けて、中に入り込むだろう。

「たのもうー!」

道場破りっぽいが、特に悪意などは感じられないだろう。
焼き菓子の匂いに誘われてやってきた様は、食事に釣られる野良犬とか野良猫のそれに近いか。

910早瀬川巴:2012/03/06(火) 00:10:54 ID:M6sHof8c0
>>908

それから少し経った後、城の前に一人の少女が現れる。
見た目は何処にでも良そうな女学生。しかしその実態は、既に死んでいながら生き続ける不死者。
吸血鬼・早瀬川巴。
彼女は手にした葉書サイズの紙をひらひらさせながら、城へと続く石畳の途上に立ち止まった。

「……さて、この招待状に記された場所に来てみたはいいのですが。
 もうオープンしちゃってる感じがありますね。落成式は過去の話になってしまっていましたか。
 まあ、挨拶がてら寄っていってみるというのもいいでしょうね」

そう言って、石畳の道を進む。
途中、道の両脇に咲き乱れる花々に見とれたり、城門の前に控えるガーゴイルに少しビクついたりしたが、
おおむね順調な足取りで門の前に着き、ノックリングで扉を叩いてノックする。
こうすれば良いと、招待状には書いてあったが、果たして。

911アスカリオテ:2012/03/06(火) 00:19:07 ID:do5XJmGE0
>>909
「よう来たのぅ、おチビちゃんや。
 この城がようわかったのぅ。」

ドーラを出迎えたのは、翡翠色の瞳の白髪の老婆。
シンプルなクラシックドレスにカーディガンを羽織っている。
手には皿。既に八等分されている焼きたてアップルパイはドーラの鼻を擽るには十分だろう。

「おチビちゃんや、こっちに来て掛けておると良い。」

豪奢なシャンデリアに敷かれたレッドカーペット。
玄関フロアにいるドーラから右手の方から顔を見せて。

>>910
衛兵がドアを開けた。
正面玄関には、明るい照明とアップルパイの香りが残り、幼い子供――ドーラもいる。
見ればみるほど、贅を凝らした趣向の内装が目に入るはずだ。

「おやまあ、同類も来たようじゃ。妾も張り切らなければならんのぅ。
 客人が二人同時とはのう。そのまま右手の部屋へ来ると良い。」

声が導くままに進めば、テーブルに応接セットが見られるだろう。

912ドーラ:2012/03/06(火) 00:24:39 ID:7gFzKdaU0
>>910
「ん――――? 他にも人が居るのかな?」

ぼぼぼ、と人魂が体から吹き出して、周囲をグルグルと回って探知。
そして、人間じゃないと理解して、ぽん、とはじけて人魂は体の中に戻っていく。

>>911
「ふっふっふー、これでもわたしは、すっごい亡霊なんだから!
 サイキョーなんだよ! サイキョー! あとチビじゃないー!」

無い胸を張って、自慢気に言葉を発する少女は、見た目相応の精神年齢に見える。
だが、周囲に浮かぶ人魂等の数や、存在感を見れば、見た目通りの存在ではないとも分かるだろう。
まあ、アップルパイの香りで、ヨダレをじゅるりと垂らして慌てて拭う姿を見てるとどうにも危険さは感じられないのだが。

「――えっと、わたしドーラね! ドーラ列車砲!」

自己紹介をしつつ、少女は、どたた、とやかましく右手の部屋に駆けていく。
そして、ぴょん、と飛び上がるようにして、席に付いて、ワクワクした顔を見せるだろう。
純真無垢な少女の姿は、人外として長きを生きる存在や、迫害された者には余り見られない姿だろうか。

913早瀬川巴:2012/03/06(火) 00:31:08 ID:M6sHof8c0
>>911

「ひえー」

「生前」は平均的な小市民の子供だった巴にとって、煌びやかなそれらの装飾は「素晴らしい」というよりは、
ただただ「すごい」という、味気のない感想が浮かんで思考を飽和させる以外にできることはなかった。
その次に、「いくらかかってるのか」とか、「どこの国のものか」とかの疑問が沸いてくるあたりが、
小市民の小市民たるゆえんであろう。

「……っと、呆けてる場合じゃなかった。
 右手の部屋、でしたっけ。誰かこのお城の人がいるんでしょうね」

まずはそちらに挨拶に行くべきだろう、と、巴は素直に従う。

>>912

(……これは、死臭?)

声に従って右手の部屋に行く際、正面玄関に居た幼い少女から、
巴は「死の匂い」を感じ取った。
怨霊の塊に触れた一件以来、より強く「死」というものへの感受性が強くなっている巴ならではの感じ方だ。

(吸血鬼の館らしいですし、不自然というわけでも、ないのでしょうかね?)

そう思い、内心首を傾げる。

914アスカリオテ:2012/03/06(火) 00:38:09 ID:do5XJmGE0
>>912
「ドーラ、か。妾の名はアスカリオテ・フォン・ルズィフィール
 アップルパイはアイスクリームかの、生クリームかの。」

おチビちゃんじゃろう、とドーラの頭を撫でようと伸ばされる細腕。
メイドが人数分の紅茶を用意して、ソーサーと共に音もなくテーブルに置き。

>>913
「はじめまして、かのぅ、同族のおチビちゃんや。
 今は城主が留守故、妾が挨拶をさせて貰おうかの。妾はアスカリオテ・フォン・ルズィフィールじゃ。」

ドーラと共にテーブルを囲むのは、白髪で翡翠の瞳を持つ老婆。
テーブルには、アップルパイと紅茶。
どれも出来立てなのか、鼻を擽る香りがする。

「して、同族の名をこの婆に教えてくれんかの。」

915ドーラ:2012/03/06(火) 00:42:03 ID:7gFzKdaU0
>>913
「――ん?どしたのお姉さん」

右手の部屋に入ると、気配を感じてぐりんと首をまわして巴に問いかけるだろう。
邪気の無い様子だが、死の気配に敏いならば気がつくかも知れない。
彼女の気配は、戦場そのものであるということが。
死臭だけでなく硝煙、砂埃、オイル。それらの臭いを現視させる程の無数の死者の念が、少女の存在を構成している事が。

「……むー…………、ズバリ、吸血鬼!?」

びしぃ、と指を突き出して、少女は名探偵のようにそう宣言するだろう。
ちなみに特にこれといった推理も何もなく、この街に来て出来た友だちの一人が吸血鬼だったからという理由だけだったりする。

>>914
「えーっと、アイスで! もう一個食べれそうだったら生クリームも食べる!
 あと、宜しくアスカリオテ!」

頭をなでられて、うへへ、と目を細めて、嬉しそうに笑う少女。
己を育ててくれた老魔術師を何処か思い出して、懐かしげな表情を浮かべていたことだろう。

916早瀬川巴:2012/03/06(火) 00:55:23 ID:M6sHof8c0
>>914

応接間らしい部屋に先ほどの少女と共にいたその老婆は、一見、品の良いおばあちゃんに見えたが、

(違う、この人……。存在の〝濃さ〟が、その辺の存在とは桁違いだ……。
 城主じゃないってこのおばあちゃんは言ってるけど、本当の主はこの人に違いないのです。
 あれですね、院政って単語を思い出します)

とはいえ、いつまでもそんな考察を続けるわけにはいかないので、深々と一礼。

「初めまして。私は早瀬川巴といいます。
 招待されたにも関わらず、落成式の際にはご挨拶に伺えず、申し訳ありませんでした」

とりあえず、そんな当たり障りのない自己紹介をする。


>>915

吸血鬼か、と勢いよく指摘され、巴は思わず首肯してしまう。

「え、ええ、よくわかりましたね」

無邪気な少女に見えてその実――――こうして近づいてみると、はっきり解る。
この子は、『群体』だ。それも、戦いに関係する死霊の集まり。
能力者や人外に対する強い恨みと殺意に充ち満ちた怨霊、その集合体である魔剣の主に一時期なっていた巴にとって、
その存在の有り様はどこか身近なものに感じられた。

(しかし、そんな霊体が、個の存在として現世にあるからには、何らかの目的があってしかるべきですが。
 ……一体何の目的で?)

917アスカリオテ:2012/03/06(火) 01:08:27 ID:do5XJmGE0
>>915
メイドがアイスを用意し、ドーラのアップルパイが載せられた皿の横に添えて。

「そうじゃそうじゃ、おチビちゃんじゃからのう、たくさん食べないと大きくなれないの。
 乙女はの、甘味は別の所に収まるからの。子供は遠慮せんと、たくさん食べると良いじゃろうて。」

ドーラの頭を撫でた、しわくちゃの手は離され、自分用に用意された紅茶を一口飲む。
用意されたのはナイフとフォーク。

>>916
「そう“お固く”ならんでいいのじゃ。これも城主の意向での。ここは語らう場なのじゃ。
 立ち話もなんじゃ、座るといいじゃろうて。」

メイドが、巴の席であろう場所に立ち、巴が来るのを待っており。

「ふむ、落成式とな。何を勘違いしとるんじゃ。未だしとらんでの。妾はの、少し先に見て回っておっただけじゃ。
 正式な日取りの交付はの、城主から改めてソレに浮かぶじゃろうて。」

歪んだ空間から取り出したのは招待状。配られたものと同じものだ。
招待状には正式な日取りは書かれておらず、城主が決め次第、浮き上がる形となっている。
……変化しても非常に気づきにくいが。

「ちと、早いが城主には妾から話しておこうかの。予定では式というほどの規模にはならんじゃろうて。」

918ドーラ:2012/03/06(火) 01:17:04 ID:7gFzKdaU0
>>916
「ふーっふふ、名探偵ドーラちゃんの目を誤魔化すことはできないのだ」

腕を組んで、口元を緩めながら、巴の思考など知る由もなく脳天気な態度を見せていた。
周囲には、いくつかの人魂が浮かんでおり、膨らんだり、縮んだり。消えたり、現れたりしていた。
大量の霊魂を一つの形にまとめている事から、僅かに〝溢れる〟のである。

そして、思考と注意を少女に向け続けていれば、霊魂の内の一つが近づいてくるだろう。
それにもし触れたのならば、僅かな思考、記憶などが流れこんでくるはずだ。
死地を戦い抜き、平和な明日が有ると信じて戦った、数多の戦士たちの記憶の断片のごく一部が。
記憶の中には、巨大な列車砲が、歴史の中だ錆びついていく様と、そこに捨てられた赤子が死んでいく姿が映ったことだろう。

無数の戦士の魂の奥に、一つだけ有る無垢な少女の魂。
回りを囲む魂は、その一つを守るために存在しているといっても過言ではなかった。

>>917
「だからチビじゃないってー! ほんとはすっごく大きいんだからねー!
 ……でも、アップルパイ美味しそうだからチビった言ったのは許したげる」

本当は本当にものすごく大きい。全長47,3m、全幅7,1m、全高11,6m。
重量は1,350tという常識はずれのスケールを持ち、数千人の人手を要した超兵器なのだが――――、今は身長148cmのコンパクトな少女の姿に収まっていた。
それ故に、チビと言われるのは少々心外らしいが、アップルパイが美味しそうなため気にしないことにした。

「いただきまーっす」

ペコリと頭を可愛らしく下げて、ナイフとフォークを器用に扱ってアップルパイを切っていく。
そして、それにアイスを崩し載せ。大口を開けて口に頬張る。
パイ生地のサックリとした食感に、りんごの甘酸っぱさ、そして香るバターの香ばしさに、それらをまろやかにするアイスの甘み、濃厚さ。
少女は、先ほどまでチビと言われたことを忘れたように、目を細めてふるふると震え、ごっくん、と飲み込んで目をキラキラと輝かせる。

「す――――――――っごく美味しい!」

919早瀬川巴:2012/03/06(火) 01:27:40 ID:M6sHof8c0
>>917

「えっ、そうなんですか?」

落成式はまだしていない、というアスカリオテの言を聞き、巴はスカートのポケットから例の招待状を取り出す。
確かに、式の日取りは書いていない。そもそも浮かび上がってくるというのなら、書かれているハズがない。
それを知って少々の気恥ずかしさを感じる反面、それを言ってくれれば良かったのに、という恨み言めいた思考も浮かんでくる。
ともかく、まだしていないというのなら、今はまだ、失礼は働いていないということだ。
そのことに安堵し、勧められるままに巴は席に着いた。

「失礼しました。それで、アスカリオテさん……は、アイリスさんとはお知り合いか何かなのですか?」

巴はアイリスの名は聞いたことはあるが、ミドルネームとファミリーネームは聞いたことがない。
それゆえの質問であった。


>>918

「ふふふ、そうですね」

少女のほほえましい振る舞いを見て、巴の顔にも思わず笑みが宿る。
だが、彼女の実態が霊魂の群体であることが引っかかっていて、心の底から笑むことは出来てはいなかった。
死んだ者が残せるのは「願い」や「思い」であって、「存在」であってはならない。でなければ、この世は「死の存在」に埋め尽くされているはずだ。
吸血鬼で不死者の自分が言うのもアレだが、そんな世界はおぞましくて、とてもではないが真っ当に生きてはいけない。
であれば、この少女は一体、どういうわけで、こんな「存在」を獲得しているのか。そこが、非常に気になっていた。
気になりすぎて、少女の方に身を乗り出しかけたときに、巴は周囲を漂っている霊魂の一つに、偶然、頭をぶつけてしまう。
同時、流れてくるイメージ。それが、全ての回答となった。

(……なるほど、「核」があったわけですか。納得です。
 「守り」の願い、なんですね。ふふ、「絶滅」を願ったあの魔剣とは対極に位置する願いですね。
 どちらも、行き着く先は一緒のハズなんですけど)

920アスカリオテ:2012/03/06(火) 01:43:02 ID:do5XJmGE0
>>918
「そうかの、そうかの。たーんと食べるが良いぞ。
 妾が腕によりをかけたんじゃ。美味じゃろうて」

老婆はドーラの美味しいの言葉に笑みを浮かべて。
口許にはえくぼ。穏やかな瞳でドーラの様子を見ており。

「そうじゃ、おチビちゃんや。写真を一枚、いいかの。
 妾はの、このとおり婆じゃ。故に物忘れも酷くての。」

テーブルに置いたのは一眼レフカメラ。
撮られるのが嫌なら断ってもなんら問題は無い。

>>919
巴が式前に先に挨拶に来た、という事実さえあれば良い。
そういった式典ことの情報はアイリスの耳に入るだろう。仮に当日来なくともいい。

「うむ、言ってなかったのかの。妾はの、フォン・ルズィフィールの現当主の六代前の当主での。
 現当主はアイリの祖母じゃ。平たく言ってしまえば、アイリの先祖といった具合じゃの。」

良く、良く見てみなければわからないが、目元や鼻筋などアイリスにもアスカリオテの面影が受け継がれている。

「今度はこちらから聞くがの、アイリとは知り合いなのかの。
 アレはどうも大人しすぎての、友の一人や二人すらも作れそうに無かったからの、少し心配していたのじゃ。」

今度は保護者、といったような具合。
アイリスの交友関係が知りたいのか、傾けた紅茶をテーブルに置いて尋ねた。

921ドーラ:2012/03/06(火) 01:51:54 ID:7gFzKdaU0
>>919
「そういえば、まだ自己紹介してなかったよねー、わたしはドーラ!
 都市で兵器とか武器の職人してるんだけど、全然売れないんだよね……」

ドーラ、と言う名は、ある程度戦争や武器に詳しい者ならば知っていても可笑しくはないかも知れなかった。
嘗て有った大戦争の時代に作られた、超大、強大な列車砲の名であり、それを冠する少女は小さいが、存在感は大きく内に秘める存在は――――。
そして、少女は相手が吸血鬼という事も気にしていないようで、ねえねえ、道具買わない?等と着やすく話しかけてみせる。

兵器や戦争の要素は消えずとも、無垢な魂と正義感を持ち存在する事を許された捨て子の魂。
それがドーラであった。当然として、依代が無くてはそれを纏めることもできないため、此れだけの魂が収まる器が存在しているのだが。
まあ、その存在については、調べてみたり思考を巡らせてみればさほど難しくもなく分かることだろう。

少女は身を乗り出して、巴の目の前にパイを差し出すだろう。

「美味しいから一口あげるー!」

と、おすそ分けな気分らしい。

>>920
あぐあぐ、と幸せそうな顔でアップルパイを口に持って行き、噛み、味わい、飲み込む。
ほぅ、と全て食べ終えて、でも少し物足りなくて一瞬ウズウズして。皿を手に持ってメイドさんに向けて。

「えっと、おかわり! 次は生クリームでおねがい!」

アスカリオテが言うまでもなく、たんと食べるつもりらしい。
元々旅人であるし、食べられるときに食べるのはもはや習性と言っていいだろう。
まあ、あぐあぐと食べている様は、そんな事情など抜きに、ただ小動物っぽいのだが。

「写真か――――……」

むむむ、と唸り声を上げて、少しだけ心配そうな顔になって、問いかける。

「お婆ちゃん、怖いの大丈夫? たぶん、わたし写真に撮ったら、〝わたし以外〟も何十人か映っちゃうと思うんだけど」

云百年も生きてるであろう吸血鬼に、人外としては若造とも言える少女が心配する図はシュールだった事だろう。
もし、それで問題ないという返答が来れば、顔をぱっ、と輝かせて写真に撮られることだろう。

922早瀬川巴:2012/03/06(火) 02:12:14 ID:M6sHof8c0
>>920

「へえ、アイリスさんのご先祖様だったのですか。なるほど……」

と、納得しかけて一息分の間。その後、盛大に首を捻った。

「……ご先祖様? 今の当主はお婆様? 六代前?
 め、めちゃくちゃ昔の人じゃないですか……。これが吸血鬼の家というものなんでしょうか……?」

吸血鬼は血を得ている限り不老にして不死。
だが、その一般的な捉え方は、どちらかというと死者である吸血鬼、つまり今の巴のような吸血鬼を指す。
巴の言うところの「吸血症患者的」吸血鬼、「生きている」吸血鬼に、その理屈は当てはまるのだろうか、と疑問に思う。
それは置いておくにしても、先祖、と言うからにはそれなりの年代の差というものが在るはずだ。
存在が〝濃い〟のも当たり前と言えば当たり前。

「私とアイリスさんの関係ですか?
 知り合いと言えばそうですけど、友達と言われると……どうなんでしょう。
 この街に流れ着いて、居場所のない私に部屋を貸してくれましたし、色々相談に乗ってもらったりはしましたけど、
 私からはアイリスさんに何もしてあげられてませんし……。あ、いえ、私の勘違いでなければ、それなりに親しい人ではありますよ。
 でも、うーん……こういう関係って何て言うんでしょうね? ちょっと、わからないです」


>>921

「ドーラさん、ですね。ええ、よろしくおねがいします。
 なるほど、武器を……。でも、この街の人たちって、大概自分に合った武器を、
 自前で用意してる傾向があるような気がしますから、難しいですよね、そのあたりは……」

しんみりと呟く巴も、つい最近手に入れた物だが、自前の剣を持っている。
そうでなくても、吸血鬼という存在は、その肉体自体が凶器と言って良い。
その二つの事柄を明示した上で、巴はやんわりと道具のセールスを断った。

ちなみに、巴は生前、普通の女子高生だったので、列車砲として名高い「ドーラ」の名は聞いたことがなかった。
ドーラ、と聞いて思い出すのは、宮崎駿のアニメ映画「天空の城ラピュタ」。
あの作品に出ていた空賊の頭が「ドーラ」という名前だったな、という程度のものだ。

そんな思考をした後、次に、この少女の正体について思考を巡らそうとしたが、それは目の前に差し出されたパイに阻止されてしまった。

「あー、ごめんなさいね。私、もう血しか受け付けない身体になっちゃってるんです。
 気持ちだけ、受け取っておきますね」

そう言って、申し訳なさそうな笑みをこぼす。

923アスカリオテ:2012/03/06(火) 02:34:53 ID:do5XJmGE0
>>921
「うむ、よかろう。
 その健啖ぶりや、素晴らしいの。」

今度はたっぷりの生クリームが入れたれたカップと、新しい皿が置かれて。
既に食べ終えた皿はメイドが回収して。

「何、おチビちゃん以外が映ろうと何も気にせんでの。良い目印になりそうじゃて。
 では、撮るの」

一眼レフカメラでドーラを撮影し。
老婆は、ほう、と小さな声をあげて。
一眼レフカメラに映し出された画像は、幾十もの人魂やボヤけた人の顔。
だが、自然とドーラの顔に被って映り込むことは無かった。

>>922
「見た通り、妾は婆よのう。
 元来、妾のように家を持つ吸血鬼は少なくての、己が領地に引き篭もったり、色々なところをフラフラしてたりの。
 皆それぞれ好きに生活しているようじゃての。フォン・ルズィフィールが例外じゃろうて。」

時折会いに行けば面白いのじゃ。
時が経てば経つほど、鬼らしくなくなっていっての。
といい、笑みを浮かべて。

「ほぅ、アイリもやりよるの。相談も乗るくらいには勉強しておるか。
 妾は引き篭っているのかと思ったの。
 おチビちゃんや、アイリが何を考えて助けしたかは知らんが、“何もしてあげられない”とは、少し寂しくないかの。
 わかりにく関係ではあるがの。友とて居ないより、いるほうがいいじゃろう。何、婆の戯言じゃ。」
 こうして、ここに顔を出してくれただけでの、アイリは喜ぶじゃろうて。」

アスカリオテも、巴とアイリスの関係には口にしなかった。
が、子孫が成長していることに内心笑みを浮かべて。

924ドーラ:2012/03/06(火) 02:39:23 ID:7gFzKdaU0
>>922
「うぅ……、やっぱり兵器職人ってダメなのかな……。魔道具職人の方がまだイケるかな?
 折角フルオート射撃可能な魔道ショットガンとか、まだ右腕しか完成してないパワードスーツとか色々作ったのに……」

ゴソゴソと傍らにおいたリュックサックを引っ張ってきて、その中身を秘密だよ、とばかりに見せるだろう。
中には大量の銃火器が収められており、武器庫と言った様相を呈していた。
古いものや最新型や独自のものなど無数のそれらは、彼女の中にある魂の知識などに拠って改修されたり作成されたものだ。
見せただけで満足したのか、リュックサックを閉じて、とたた、と元の席に座るのだった。

「……むむむー、血だけってお腹膨れなさそうだよね。
 まあ、わたしも瘴気とか怨念とか色々食べてるから人の事言えないけど」

負の存在を飲み干し、無垢の魂はそれを浄化して存在の糧へと成していた。
だからこそ、血だけを食料とするというのも理解出来ないわけではないが、こんな美味しいパイが食べられないのは残念だなーとも思っていた。
さり気なく自分の血でもおすそわけしようかとも思ったが、自分の血はやはりオイルっぽかったり腐ってたりするんじゃないかと思っておすそわけはやめることにした。

>>923
「ふっふっふ、健全な精神は健全な肉体に宿るっておじいちゃんが言ってたからね!
 たくさん食べて、たくさん動いて、たくさん寝るんだ!」

新しく置かれたパイに生クリームをタップリとかけて、あむあむと食べていく。
んー、と先程とまた違う味に頬を赤く染めて、目尻を下がらせる。

「ん、ならいいんだけど、可愛く撮ってね?」

と言って、元気にピースをしてみせるだろう。
写真に写った人魂や人の顔は、不気味であるが悪い気配を感じさせる様子は無くて。
悪霊のたぐいではなさそうに見える。どちらかと言うと守護霊とかそんな感覚。但し数が桁違いだが。




>>ALL
と、色々バタバタしているうちにドーラは眠くなってしまったようで。
アップルパイを綺麗に食べきってから机に突っ伏して脳天気な寝顔と共に周囲に人魂をまき散らしていたのだった。
このまま寝かせておくも、何処かのベッドルームに寝かせておくも、此処の主の自由だったことだろう。

925早瀬川巴:2012/03/06(火) 02:58:34 ID:M6sHof8c0
>>923

「家持ちは少ないと……なるほど」

いや、そもそも「吸血鬼の家系」があるということ自体、一般人の感覚からしてみればおかしい話ではあるのだが、
吸血鬼となってそれなりに経っている巴に、そこを違和感として感じる感性は残っていない。
この老吸血鬼の言葉を信じるのならば、自分の領地に引きこもったり――ヴラド串刺し公のように――、
色々な場所をふらついていたり――女吸血鬼カーミラのように――していて、基本的に孤独なのだそうだ。
であれば――――だ、自分が殺した、自分が吸血鬼となった原因の、あの吸血鬼。
あのろくでなしのクソ吸血鬼の仇をとりにくる者がいる可能性は、低い、ということだ。そのことに、少し安堵する。

「……そういう、ものなんでしょうか。
 私はアイリスさんに助けてもらってばかりで、それに何の恩返しも出来ていないんです。
 それでも、友達を名乗る資格があると、アスカリオテさんは仰るんですか」


>>924

「まあ、需要のあるところにはある、と思いますよ。
 もうちょっと足を伸ばしてみることをお勧めしますね」

とはいえ、ちらっと聞こえたり見たりした物の中身は、どんな層に需要があるのかは、巴には皆目見当がつかなかった。

「私はそれで膨れる身体なんですよ。生き血限定、ですけどね」

そういう意味では、巴はこの少女の血は吸えない。
魂の集合体、それを動かすためのものを血と呼ぶのならそうなのかも知れないが、
巴からすれば、それは血ではなく、単なるバイパスのようなものである。
ただ、幽霊の血。吸えたらどんな味なのかとも想像する。
やはり生前の人体の味なのか、それとも「核」になっているものの味なのか。そんな想像をしながら、巴は少女の寝顔を眺めていた。

926アスカリオテ:2012/03/06(火) 03:31:44 ID:do5XJmGE0
>>924
撮った写真を保存。
少しばかり本人以外の保護者が写り込んでしまっているが、何も問題はないだろう。
眠ってしまったドーラの寝顔を見つめて、こっそり一枚写真を撮り。

メイドがベッドルームに運びこみ、アスカリオテは紅茶を飲んで。

「ゆっくりと休むが良いの。幼子はよく食べ、良く眠り、良く遊ぶものじゃて。」

>>925
「妾が知るかぎりの、伴侶はいるがの、片方あるいは両方に生殖能力がない場合もあるでの。
 生殖能力をお互い備えておっても子が必要ないと思っておったりの。伴侶が居ないものもいるのじゃ。
 その辺りは個人の考え方に大きく左右されておるでの。人と一緒じゃて。」

とケラケラと笑ってみせて。

「友達を名乗る、名乗らないなぞ、当人の自由じゃろうて。
 言ったじゃろう?アイリは引き篭もる性質があるのじゃ。当然、外部との接触も少なくなるの。
 親族以外の吸血鬼と出会えただけも僥倖じゃろうて。接するのはメイドじゃったりと身内が大半じゃ。
 そのような環境下で他の吸血鬼と話ができる、身内以外の吸血鬼と交流を持つ機会は貴重じゃろうて。
 あ奴はの、良くも悪くも籠の中の鳥じゃ。身内以外の吸血鬼を知らぬアイリに会ってやるだけであ奴には十分じゃろうて。」

アイリスは以前、自分とは違う吸血鬼を知りたいと思った。
それに、神羽荘入居の際、巴が色々話してくれればいいと言っている。
会う度に色々と話す巴の話を聞き、能力を披露する巴に興味を示した。
巴は知らず知らずの内に、他の吸血鬼を知りたいと願うアイリスの願望を満たしていた。

「これでも、まだ恩を返していないというかの?
 まだ足りないというのなら、アイリに聞いてみてもよかろうに。」

927早瀬川巴:2012/03/06(火) 03:52:21 ID:M6sHof8c0
>>926

「せ、せいしょくのうりょく……」

まだ見た目相応の年齢しか食っていない巴にとって、それはストレートすぎて、思わず頬を赤く染めてしまう。
しかし同時に、巴の中の冷静な部分が、老吸血鬼の言を考察し始める。

(はて……吸血鬼にとっての繁殖というのは、血を吸った相手を吸血鬼にすることだったはずでは……。
 いやしかし、アイリスさんやロザリア先輩のような例もありますし、つまりは、「そういう方法」で増やすタイプもいる、
 ということなんでしょうね。
 逆に私のようなタイプは、血を吸って増やすのが一般的、と考えるのが自然ですか)

そこまで考えて、アスカリオテの笑い声で意識を現実に引き戻す。

「あ、そういえばそんなことも言ってましたっけ……。
 うん、そうですね、それなら納得です。すっかり忘れてましたよ」

アハハ、と頭をかきながら巴は笑ったが、やがて、あることに思い至り、急に真面目な顔になった。
思えば、こういう人に出会えたのなら、最初からコレを訊くべきだったのだ。
だが、さっきはドーラが居たことで、知らず知らずのうちにそのことにブレーキをかけていたのかも知れない。

「ときにアスカリオテさん。もしかしたら、失礼な質問になるかも知れませんが、それでも私は訊かなくてはならないことがあります。
 アスカリオテさんの家……ルズィフィールの一族は、普通の人間を吸血鬼にする、という形で数を増やしたことがありますか?
 過去一度でも…………そんなことが、あったりしますか?」

928アスカリオテ:2012/03/06(火) 04:08:45 ID:do5XJmGE0
>>927
「仕方ないの。おチビちゃんも年若い吸血鬼のひとりじゃろうて。
 これからの生き方なりの、考えることは多く有ったはずじゃ。
 みるところ、ある程度余裕は出てきているよの。良いことじゃ」

そういっても、思考を止めない巴に笑みを浮かべて。

「そうじゃのう。答えはある、じゃ。じゃがの、実例は少ないの。妾が知るかぎり、四件ほどじゃ。
 その中で眷属が四件、内二件は婚姻の為じゃの。どれも50年以内のことじゃ。フォン・ルズィフィールの血は毒性が強すぎての、殆ど血に耐えられず滅ぶのじゃ。
 吸血鬼ですら滅ぼしかねぬ、魔性の血じゃよ。
 して、おチビちゃんの。なぜそのような事を聞くのじゃ。」

フォン・ルズィフィールは魔性の血を持つ。だが、眷属となれば巨大な力を持つ。
眷属にしようとしても、最初の“選別”で九割五分は死に至るのだ。

929早瀬川巴:2012/03/06(火) 04:52:58 ID:M6sHof8c0
>>928

巴は生前、何の変哲もないただの人間であった。
強い精神性を確立したわけでもなければ、特別頑強な身体を持っていたわけでもない。
そんな巴が、ルズィフィールの一族が持っているという「強い毒性」に晒されたら、ひとたまりもなかっただろう。
巴を吸血鬼にした吸血鬼が、そういうモノでなかったことは、巴にとって幸運であったし、同時に不幸でもあった。

「その理由を話す前に、まずはこれを見てください」

そう言って巴は、横の席に畳んであったダッフルコートの中から、剣帯と剣の収まった鞘を取り出し、
鞘から剣を抜きはなって、そっとテーブルに置く。
柄や鍔、刀身に至るまで全てが真っ白な、刃渡り1mほどの長剣が、明かりの下に晒される。

「歓談の間に武器を抜き身で晒すこと、まずは謝ります。
 この剣は聖魔剣『曙光』。邪気を喰らって聖気に変え、陰気と暗黒を斬り捨てることに特化した剣です。
 今私は、この剣に慣れるために、戦闘があれば、積極的にこれを使うことにしています。
 ……話が逸れました。この『曙光』なんですが、元々こうだったわけではなく、元は魔剣エクスカリバーという、
 瘴気と怨念の強大な力を蓄えた、極めて危険な魔剣だったのです」

少し、話を切る。この話は長くなるだろう。

「私は以前、この魔剣に選ばれ、この街にいる全ての能力者と人外を絶滅すべく、単身、戦争を仕掛けたことがあります。
 もちろん、私も人外……この場合は私を吸血鬼にした吸血鬼ですが、それに恨みを持っていました。
 ですが、そのとき私をそうさせたのは私の意志だけではなく、私を含めた、「エクスカリバー」を形成する意志の総意でした。
 「あいつらがいたら、残された自分の家族はどうなる」「自分たちを殺しておいて、あいつらはのうのうと生きている、許せない」
 …そんな怨念を抱えた、怨霊の集合体。
 エクスカリバーは、魔剣は、能力者や人外に無惨に殺された、何の力も持たない人たちの魂が寄り集まってできた魔剣だったのです。
 彼らと同じ境遇にありながら、吸血鬼として復活した私は、その力の担い手としてこれ以上ない存在だったのでしょうね」

剣を鞘に納め、再びテーブルの上に。
アスカリオテの位置からは、取ろうと思えば難なく取れる距離。
一度正体を晒した以上、巴もそれを拒みはしないだろう。

「その一件は、私と剣がこうしてここにいることでおわかりの通り、失敗しました。
 それはそれで良かったのだと思います。能力者や人外にも、アイリスさんや、アスカリオテさんみたいな、いい人が居ますからね。
 ですが、あの一件で、私は「そうやって死んだ」人が、私の他にも大勢いることに気づけました。
 この前も、大きなごちゃ混ぜの猛獣が人を襲って、まるでゴミのように殺してました。
 細切れになって、頭だけになって、挙げ句に食べられて。あんなの、まともな死に方じゃない。普通の死に方じゃない。
 あんな理不尽が、あんな理不尽な死に方が、この世にあって良い物なのか……!?」

巴の語気が、だんだんと強くなる。
だが、ここで憤る理由は何処にもない。剣の納まった鞘を見て、長い息をつき、頭を冷やす。

「魔剣の狙いは失敗しました。けれど、その考えの根本は、諸手を挙げて賛成できます。私の今の行動理念も、それに則っているんです。
 能力者や人外の力が、理不尽に人を殺すことがあってはならない。
 ――――それには、私のように、ある日突然吸血鬼に襲われて、死んで、吸血鬼になってしまうことも、含まれています。
 それゆえに、お訊きしました。さっきの質問の趣旨は、そういうことはなかったか、ということなんですよ」

930アスカリオテ:2012/03/06(火) 05:35:59 ID:do5XJmGE0
>>929
魔剣を一瞥。
手に取れる距離で有ろうとも、決してそれに触れようとはしない。
紅茶で喉を潤して、巴の瞳をじぃっと見て。

「妾はのう、既に殺しているのじゃ。戦乱の時代に生まれた宿命じゃの。それを今更どうという気は無いの。
 非難したければするが良い。罵倒したければ、すると良いのじゃ。それこそ気が済むまでの。
 殺さなければ、自国の民草が死ぬ。或いはボロ雑巾のような奴隷に貶められ、或いは慰み者にされる時代じゃった。
 自国の民草を守るため、妾は万は下らぬ人間をこの手で切り伏せてきたのも事実じゃ。
 妾は吸血鬼じゃ。人を殺すのは簡単じゃったわ。今でも鮮明に覚えているの。あの感触を…の。
 じゃがの、妾は逃げるものは殺さなかったの。捕虜には寝食を保証して母国に返してやったの。
 当時は死を恐れて臆病風を吹かせた、と言わたものの、ソレが妾の自慢じゃよ。」

アスカリオテが語るのは嘗ての戦乱の時代。
この時も力という暴力で人が死んだ。戦火が自国内にまで及び始めた春だった。
それも、万単位で。

「フォン・ルズィフィールで見ても、辺境の領地の小競り合いで命を失い、奪ったとも聞くの。
 じゃがの、近代では条約を結び和平を保っておると聞くの。」
 眷属はの、求められ、同意を得て眷属を作っておる。そうしなければ消されるからの。命を失った者は国の敷地に共同墓地を置き、丁重に埋葬しておる。
 無闇に眷属を作ろうとする馬鹿者は、例え同じフォン・ルズィフィールであっても“処分”じゃよ。
 ……これで、いいかの。」

昔の大戦争の話をしたせいか、少し浮かない表情で。

――未だ過去の清濁を併せ呑めん妾も…まだまだ未熟じゃの

と心の中で呟いて。

931早瀬川巴:2012/03/06(火) 06:02:44 ID:M6sHof8c0
>>930

アスカリオテが聖魔剣に手を伸ばさないのを見て取った巴は、
剣を手に取り、元あったコートの中に戻す。

「いえ、戦時中のことであればそれは仕方のないことです。
 武器を持って戦い、自らの運命を決しようとした時点で、そこに区別はありません。例え人外であっても。
 私が言っているのは、戦場ではない場所で、武器を初めとした戦うための力も持たない人を、
 力を用いて理不尽に殺しはしなかったか、という問いです。
 私だって、殺意と武器を向けられれば、相手が誰であろうと、何人であろうと容赦するつもりはありません。
 ですが、対抗するだけの力を持たない人には、その選択肢がない。なのに命を奪う。これ以上の卑劣がありますか?」

巴も、自分を襲ってきたヴァンパイアハンターを何人も無惨な形で殺した。
そこにどういう意味があったにせよ、巴の手はもう、血塗られている。

「お話を聞く限り、ルズィフィールの一族はそうではない、と思えます。このことは、素直に安心しました。
 場合によっては、私は恩人の一族にこの聖魔剣を向ける必要があるかも、と思ってましたから。
 ――――ごめんなさい。暗い雰囲気にさせてしまいましたね。お茶のご用意までして下さったのに」

申し訳なさそうな顔をしながら、巴は座ったまま一礼する。

932アスカリオテ:2012/03/06(火) 06:24:24 ID:NF2p.w5I0
>>931
「そのようなことをして何になるのかの。
 何も持たぬ者に危害を与えるなど…下らいの。
 アイリにも改めて強く言い聞かせておくかの。
 それにしても優しいの。元人間故かの。」

アスカリオテは、空気の変化を気にするなとジェスチャーで示し。

「でじゃ、一枚撮らせてくれんかの。」

一眼レフカメラを軽く叩き

933早瀬川巴:2012/03/06(火) 06:36:55 ID:M6sHof8c0
>>932

「何にもならない、と言い切れれば良かったのですけど。
 世の中にはそうすることで、メリットが生まれる人たちも居ちゃうんですよね。困ったもんです。
 ……ま、そんなくだらない話はともかく、写真でしたっけ。
 そういえば、伝承では吸血鬼は鏡に映らないそうですけど、写真はどうなんでしょうね?」

そう言って、少し意地の悪そうな顔。
ハッキリとは言っていないが、撮影にはOKのようだ。
そのままの姿勢で動かずにいる。

934アスカリオテ:2012/03/06(火) 06:52:08 ID:SgtVnVJE0
>>933
一眼レフカメラを構えて、巴を撮影。
パシャリとシャッター音がなれば、巴の姿が映し出される。

「うむ、良い姿勢じゃ。
 こうみれば吸血鬼らしくないのう。」

と、映し出された姿を巴に見せて。

「そうじゃな、帰るのが億劫なら泊まっていくがよいの。三階以上に入らなければ良いの。」

935早瀬川巴:2012/03/06(火) 06:59:55 ID:M6sHof8c0
>>934

「ほほー、写真には写るんですね。初めて知りました。
 ……え、ここに泊まってもいいんですか? あー、でも、今日はこれから用事がありまして。
 さっきもちらっと言いましたけど、聖魔剣の慣らしをする必要があるんです。
 なんで、せっかくですけど、今回は遠慮させていただきます」

巴は横の椅子に置いてあるコートと剣を持つと、席を立ち、窓際に近づいて、

「それでは、私はこれで。お話、ありがとうございました」

軽く一礼した巴は、窓を開ける。
そして、吸血鬼の群れに身体を変化させ、その窓から夜空へと飛び去っていった。


//長い絡みありでした! 遅レスすまんかったです

936アスカリオテ:2012/03/06(火) 07:25:37 ID:fcZnm8y60
>>935
「くくく…」

巴を見送り、自室に帰り日記を綴る。
一眼レフカメラには既に保険を仕掛けていた。

「で、これをこうして、……」

ノートパソコンを起動して、今日の来訪者をまとめて。


//こちらこそありがとうございました。おやすみなさいまし

937ヴァージニア:2012/03/07(水) 00:12:06 ID:uB./cYgA0
異能都市のよくある路地裏。彼女はここで敗北を喫した。
勢力争いの影響からか、巷では吸血鬼狩りが後を絶えない。
危険と見なされてもそうでなくても、吸血鬼というだけで彼ら彼女らは狙われていた。
現にヴァージニアがそうなった。抵抗もしたものの多勢に無勢。
逃げることが精いっぱいで、体中を鮮血に染めながら安全地帯を求めて彷徨う。
そもそも彼女には生まれつき戦闘に関する才能を持ち合わせていない。
努力をして腕を磨いても、一定の強さへの到達は常人に比べて遥か先である。
自己防衛できるだけの力が、簡単には手に入らないのだ。
膝から崩れ落ち、壁に背を預ける。体の回復に専念する。
しかし、こんなところを襲われたら、ひとたまりもない。

938ロザリア・ロートシルト:2012/03/07(水) 00:27:04 ID:SSMHlh/20
>>937

(騒ぎの予感がしたけれど……。)

日課となっている夜の散歩中、
ロザリアは妙な『気配の乱れ』を感じ、路地裏へと入った。

(厄介ごと、のようねえ……。)

そこに残された魔力の残滓そして何より、無数の血痕から同属が戦闘を行なった事、
そしてどうにも、同属が数人の敵に襲撃された事を意味している事が読み取れる。
元々、生体感知や魔力感知といった情報収集系の能力に長けたロザリアは、
気を張りながら、暗く狭いそこを進んでいく。

939ヴァージニア:2012/03/07(水) 00:47:02 ID:uB./cYgA0
>>938
血痕を辿って行った先には、先日出会った女性が蹲っていた。
刃物で肌を裂かれ、鈍器で痣ができるほど殴られ、凄惨だった。
それでも命が繋がっているのは、人外ゆえか。
ロザリアの姿に気付くと、そちらに向き直り。

「ここは危険……、逃げて……」
そう告げる。種を護ろうとする血がそうさせる。
優勝個体が生き延びられるように。

940ロザリア・ロートシルト:2012/03/07(水) 00:55:23 ID:SSMHlh/20
>>939

血痕を辿り、路地裏を歩く。
同時にその痕跡を消し去り、追跡に備える事も忘れない。

「……やはり、ねえ。」

血だまりに倒れ付すヴァージニアの姿を見つけたロザリアは、
やはりと言った風に、顔に手を当てて大きくため息をついた。
魔力の残滓の感覚から、襲われたのはつい先日あったばかりの
あの吸血鬼であろうと大方の目星がついていたのだ。

「弱き物の側に共に立ち、支える。
 高貴なる者に授けられた重責を投げ出せと貴女はおっしゃるので?」

ヴァージニアの言葉をぴしゃりと遮ると、
そのまま、ニ、三短く呪詛を紡ぐ。

落下にも似た、どうにもならない浮遊感と同時に視界が暗転する……。

941ヴァージニア:2012/03/07(水) 01:06:33 ID:uB./cYgA0
>>940
「高貴なるものの……、重責……?」
その言葉は今のヴァージニアにとって理解不能であった。
というのも吸血鬼の生存本能そのものが人格形成の一端となっているので、
後世に種を残すという知性あるものにしては、極めて低級なレベルに全ての考えが至っている。
彼女にとって弱き者は淘汰されるべきなのであり、自分は今そうあるべきなのだと思っている。

「……!?」
浮遊しているということに、違和感を抱き周囲を見渡す。

942ロザリア・ロートシルト:2012/03/07(水) 01:24:33 ID:SSMHlh/20
>>941

周囲を見回したところで、何も見えない。
強烈な浮遊感にかき消され、何も感じない――。

「もう、この辺でいいかしらねえ。
 この場所なら、相手も無茶はできないでしょう。」

ふいに視界が晴れ浮遊感が消える。
何時の間にやらあの暗い路地から、都市中心部のどこか。
恐らく、繁華街の雑居ビルの屋上だろうか。

料理の臭いと人のざわめき、煌びやかな音楽が聞こえる。
どうやら何らかの魔法でこの場所まで転移してきたらしい。
同時に簡素な治療が施されていたのか、傷もだいぶ良くなっている。

943ヴァージニア:2012/03/07(水) 01:32:39 ID:uB./cYgA0
>>942
「あの……」
また、名前も知らない人に助けられてしまった。
逆にいえば、なぜ自分のような弱い者を助けるのだろうという疑問もあった。
弱者は生存確率が低く、それゆえに種として残すべき価値はないのに。
それでも、お礼は言っておきたかった。

「ありがとう……」

944ロザリア・ロートシルト:2012/03/07(水) 01:42:58 ID:SSMHlh/20
>>943

「無茶をするものねえ。
 同属の誼で助けはしたけれど、あまり感心はしないわ。
 大方、ふらふらと路地にでも入ったのでしょう。」

対するロザリアはふんす、と鼻を鳴らしてヴァージニアをたしなめた。
弱者を甚振るような行為には怒りを覚えるが、わざわざ危険な路地裏に入るのもどうか。
ロザリアも、無制限に救済を与えるわけではない。

「この都市は清濁全てを飲み込んで成長する坩堝よ。
 ああいう場所に入り込むなら、こういった目に遭う。
 人に混じり、普通に暮らしなさいな。貴女にはそれが似合いよ。」

945ヴァージニア:2012/03/07(水) 01:55:34 ID:uB./cYgA0
>>944
まさに言われた通りのことであった。
彼女は闇に紛れて生きられる程強くないし、なれない。
しかし人に混じって暮らすこともできない。
先ほど、彼女の性格は吸血鬼の生存本能そのものの様と述べた。
ゆえに人を初めとした異種族は食糧、家畜の様な感覚を受け、
制止されていなければ、殺すことも厭わず、軋轢を生じさせるだろう。
彼女には吸血鬼本来の、人間を越えるであろう知性が足りないし、生き方も下手だ。

「…、あれ」
気が付けば、彼女の目元から涙が零れている。

「なんで…、どうして……」
低級な吸血鬼、仮初の心には分からない。その涙の意味が。

946ロザリア・ロートシルト:2012/03/07(水) 02:10:57 ID:SSMHlh/20
>>945

「泣くのもいいけれど、その後必ず立ち上がりなさいな。
 長い命を与えられたのだもの。泥の中で眠るように命をすり減らすよりは、
 立って歩き続けるほうが幾分か生に彩りがつくと言うものよ。」

ロザリアは、再び例の呪詛――転移式を走らせる。

恐らく、ヴァージニアにはまだ己が理解しきれていない。
時間が必要だ。己を理解し、一人で立派に歩めるようになるまで。
その中に、自分はまだ必要ないだろう。

「まあ、こんなに短い間に2度も会ったのだから、
 もう一度会うこともあるでしょう。それまでに、己を探しておきなさい。」

それだけを残して、ロザリアの姿が闇に溶けた。

947ヴァージニア:2012/03/07(水) 02:18:12 ID:uB./cYgA0
>>946
「己を……、探す……?」
ヴァージニアはまだ、本当の自分に辿りついていないようだ。
いや、既にそれは失われているのかもしれないが。
しかし本能に身を任せ、生きるやり方など。
永遠の命を持っているとしても、人から見れば愚かな生き方だと罵るだろう。

転移術式でロザリアの移動したことを確認すると、
彼女は心の中を彷徨い、どう生きるかを考えることにした。

948柊宇都 綾:2012/03/10(土) 15:43:20 ID:oB5LASG.0
時たま、自らの足で街を歩くこともある。
今は吸血鬼として生きる身だが、昔は人であった。
その名残というか、惰性と言うか。こうやって『普通の生活』を忘れないようにしているのだとか。
尤も、背中に身の丈以上の大きさの大剣二本を背負い、腰にはそれよりも長い刀。
更には異形の馬を携えて歩く様はどう考えても『普通』とは遠いのだが……本人曰く、それはそれ。と言う事らしい。

程なくして、公園にたどり着く。家からは程遠くなく、適度な広さを持った空間。
背に預けていた自分以上の重さを持つそれを二本持ち、振う。今日は暫くここで特訓を行う予定らしい。

949アーベント:2012/03/10(土) 15:57:03 ID:51FZPppw0
>>948
昼は、嫌いだ
あの身体の芯が焼けるような日光を避けるために、細心の注意を払わなければならない
かといって動かないで眠っていると空腹で死ぬし、退屈である

こんな葛藤を抱えながら、日傘を刺した人ならざるモノが歩いている
程よい獲物を発見するためと、暇潰しの散歩だ

「―――ありゃ、なんだ」

そんなこんなで公園までやってくると、そこに双頭の馬が居た
まずそれが目に入り、次に相当な大きさの大剣を両手にもって振るう女を発見
信じられない光景に一瞬見とれ、無意識のうちにそちらへ歩き出していた

「失礼
 あんた、人間?」

そして、声をかける
いきなり単刀直入に、人間かどうかを問う。

950柊宇都 綾:2012/03/10(土) 16:05:43 ID:oB5LASG.0
>>949
短く息を切りながら、それと同じタイミングで剣を振う。
身体のサイズとはよほど合わない物だが、数年の間使って居た物だけあって、動きは中々と言った所。

アーベントが声を掛けても、少しの間だけ反応は無かった。
その少しの間に、右手で振って、左手でも一太刀。そして締めにもう一度右で。
呼吸のリズムと身体のバランスを整えないと、まともに人と向き合う事も出来ない重さらしい。

「違う」
程なく、少しの間を持ってした返事はそれだけだった。
顔の左半分は闇色の、艶のある前髪で覆われている。右半分の闇色の瞳はそちらをぼんやりと見つめている。

951アーベント:2012/03/10(土) 16:14:24 ID:51FZPppw0
>>950
「ならば、なんだ?」

アーベントが女を見て、先ず第一に思ったのは―――暗い、という印象
集中しているのもあるかもしれないが、とにかくどこか世離れしたかんじのイメージをもった
…その上で、更に追求する

952柊宇都 綾:2012/03/10(土) 16:32:34 ID:oB5LASG.0
>>951
何だ。と聞かれるとまた間を開ける。
口が僅かに動き、吃りの様な声を上げる。悩んでいるのだろう。
次に、僅かに胸を上下させていた。何かの臭いを辿る様な、そんな感じ。
それによって何かの答えが出たようで、少女の吃りが消えると、直ぐに口を開いた。
「似たような、物」
一度そう言って、また閉じて。少したってまたあけて。
「吸血鬼」
そう付け加えた。

アーベントの目に映る少女は吸血鬼に見えるだろうか。
メリハリの付いた、女性として一級品と見れる身体つきは確かに人間を惑わすに相応しい物だ。
だが、その雰囲気や服装が疑問を抱かせる。
今は太陽が昇る時間である。普通の吸血鬼ならばそちらの様に傘をさしたりする。少なくともまともな行動はできないはずだ。
それなのに、公園へわざわざ出向いて体力を消耗するような真似をする所が少々疑問。
加えて、少女の服装が特異である点も首を傾げさせる。
全体的に良く解らない材質ではあるが、布は薄く、恐らくそれ一枚しか身に着けていない。
左腕や両足には金属製の重圧な防具を取り付けているのだが、問題はそれ以外。
胸元は大胆にも開け放たれ、右腕はその布すらも纏っておらず、日光に野ざらしになっている。

「に、近い」
三度発した言葉。
少女の腕力は確かに吸血鬼たるものではあるのだが、言葉通りにとれば、それだけではないのだろう。

953アーベント:2012/03/10(土) 16:46:01 ID:51FZPppw0
>>952
「なるほど、なるほど」
「―――オリジナル、ではないといった感じか…」

吸血鬼に近いもの、とはいえ好んで昼間から行動する吸血鬼は少ないのではないだろうか(アーベントは、自分以外のそういった存在を知らないため、確信はなかったが)
となると、なんらかの血が混ざったハーフか、それともクォーターである可能性が伺える

とかく、このような少女が大剣を振るえる程度の怪力を遺伝させる程度の吸血鬼の血は、流れているということ

「くっくっく……まさかこうも早く出会えるとな―――
 私はアーベント、吸血鬼の魂を持つ者だ。」

相手はどうやら、こちらの正体に勘付いているらしい。ならば隠す必要はないであろう
アーベントは、初めての同種との出会いに内心歓喜しつつ、静かな声で名乗りを上げ
一歩近づいて握手の間合いへ、そして右手を差し出した

954柊宇都 綾:2012/03/10(土) 16:52:40 ID:oB5LASG.0
>>953
「魂、?」
今度は、間髪無く。気になった単語を返す。
漠然と吸血鬼になった少女は、魂だとか言う知識は無かった。知ろうともしていなかった。
最近になって、急激な変化が起こりつつある周囲に合わせる為に、相応の力と知識を取り込もうとしているらしいが。

右腕を差し出され、数秒してそれが握手のサインだと気づく。
人付き合いに関しては数年のブランクがあり、元から得意では無かった為に、そのに慣れた素振りは無い。
逆に、たどたどしい雰囲気すらそこにあって。
「綾。柊宇都、綾」
手にしていた大剣を一度地面に置くと、右手を掴んでそう答えた。

955アーベント:2012/03/10(土) 16:58:29 ID:51FZPppw0
>>954
「そう、魂
 魂こそモノの本質であり、全て―――っという考えに基づいて、対人生物兵器として作られたのが私だ」
「だから私の本質の一つは、吸血鬼となっている。」

ほぼ反射的に聞き返された単語について、割と細かめに説明する
こんなに自分について語ったのは初めてかもしれない。
とんとん、と傘を持つ左手の親指で自分の胸のあたりをつきながら答えた

「綾、か
 よろしく、綾。」

マフラーとハットの中に点在する二つの赤茶の瞳を細め、笑みを作りながら
綾の手を軽く握り返して、離すだろう。

956柊宇都 綾:2012/03/10(土) 17:02:57 ID:oB5LASG.0
>>955
「一つ」
言葉から察するに、この存在には幾つか本質があるのだろう。
入り混じったアーベントが、自らと同じなのか、全く違うのかは解らない。
が、少なくとも、一部は似通った存在であると認識する。

「よろしく」
笑みを向けられると、僅かに目を逸らした。
そうしてから、それがいけないことだと思い返して、無理やり笑みを眺める。
笑う事は得意では無かった。余り笑った記憶が無い。
「よろしく」
笑うことが出来ずに、手持ち無沙汰になった綾は、二度呟いた。

957アーベント:2012/03/10(土) 17:28:26 ID:51FZPppw0
>>956
「喋るのは、不得手か?」

目を逸らした綾の性を読み取り、言ってどうなるというわけではないが、聞いてみた
アーベントの目は、相変わらず笑っている

「綾、が吸血鬼になったのは、何故だ?」
「生まれつきか?」

958柊宇都 綾:2012/03/10(土) 17:44:59 ID:oB5LASG.0
>>957
「まぁ」
肯定の意思。少しだけ、頷く。
綾と言う存在は、表情に乏しければ、アクションも小さかった。
それでも、アーベントの微笑みを眺める意思の強さは、ある様で。

「いや」
今度は、否定。首を横に振って。
「ある日、襲われて」
と、余りにも細身な右腕を良く見える様にして握った。
力を入れても、とても筋力がある風には見えない腕だが、吸血鬼のパワフルさを持っている腕だ。

959アーベント:2012/03/10(土) 18:41:21 ID:51FZPppw0
>>958
「すまない、な。」
「同じような存在と喋るのははじめてなんだ…」

会話のための言い訳、となるが本心である
いかにして彼女が存在しているのか――気になる

「伝染、か
 怪力―――……は確認したが、他は?」
「変化は?再生は?魅了は?魔術は使えるのか?」

問い、問い、問い
自分が使えるモノから、使えないモノまで――彼女スペックが如何ほどかを確認すべく、質問攻めにする

960柊宇都 綾:2012/03/10(土) 18:52:25 ID:oB5LASG.0
>>959
「別に」
また、首を横に振る。
「大丈夫」

「再生と、」
異形の馬が少女の傍らに寄って来ると、雄叫びを上げた。
それは雷鳴の様に鋭く、空気を切り裂いて響いていた。
「魔術なら」
馬を優しく撫でると、落ち着いた様子を見せて。
双頭に付いているそれぞれ12の光が優しく点滅した。

アーベントから身体の向きを離し、何もない空間を見る。
先程とは違って、少し気迫を込めた顔をして、少し力を込めて手を握った。
――――雷轟。
少女の見つめていた辺りの地面に、蒼色の雷が落ちた。
「少し」

961アーベント:2012/03/10(土) 19:00:43 ID:51FZPppw0
>>960
少女の傍に寄ってくる12の眼をもった異形の馬
よく懐いているようであるが、その嗎は雷鳴の如く、初耳の者を警戒或いは怖じ気ずかせるのに十分なものであろう
そもそも、見た目からして奇妙だが

「――……!」

少女の視線の先に、雷が落ちる
偶然などとはかけ離れた、明らかな故意―――少女が魔術を扱えるという証明
今まで笑みを形成していた瞳が見開かれ、驚愕を形容した

「すばらしい」

自らに無いモノを見せつけられると、わくわくするものだ
アーベントは素直に感動し、パチパチと拍手をした

「それで、その魔術と大剣と双頭馬で―――何をしているんだ?」
「殺し屋か?傭兵か?」

今度はちょっぴり皮肉げな笑みを浮かべる
赤茶の眼には、彼女の装備一式が戦争やらの何かに見えたらしい

962柊宇都 綾:2012/03/10(土) 19:19:06 ID:oB5LASG.0
>>961
アーベントが余りにも囃し立てるので、目を逸らしてしまった。
今回は戻す気は無いらしい。照れているだけの様だった。
「別に」

「何も」
この答えが、全てであった。僅かに首を傾げる。
少女自身吸血鬼であったり、異形の馬を携えてはいるものの、
表面上は、高校に通う『一般普通』の18歳の少女なのだ。
答えるだけなら終わりなのだが、少女にも考える節があって首を傾げたのだ。
―――なんで、自分には戦う意思があるんだろう。
今の少女には、それが解っていた。
急激に変化した周囲の環境に追い付く為。ヴァージニアを守る為。
……問題は、それよりも前の話。
「お父さん」
ふと、そんな言葉が出てきた。
少女にとって、父は尊敬の対象、敬愛の対象、愛情の対象であった。
その父が、武人であったのだ。勇ましくも誇らしく、決して驕らない気品に溢れていた父。
「探してる」
何時からか、自分は気付かないうちに探していたのだと、知る。

963アーベント:2012/03/10(土) 19:40:43 ID:51FZPppw0
>>962
「そう、か――……」

戦う目的が、ない…らしいというのはどういうことか、アーベントは考える
自分の存在を確かめるためか、自衛のためか…?
その答えは(全てではないが)数拍してから、綾自身から与えられた

「―――…なるほど。そういうこと、か」

恐らく、父親を探すのに、チカラが必要となるのだろう…と推測する
…当たっているか、わからないが

「人探しならば、私も助力するが…?」

964柊宇都 綾:2012/03/10(土) 19:50:44 ID:oB5LASG.0
>>963
「いい」
アーベントに向けて、失礼極まりない言葉を向ける。
『普通』は喜んで、とかお願いします。だとか言うところなのだろう。
しかしながら返答はNO。少女が気難しいからだとか、アーベントが嫌いになったとかでは無く、
状況が『普通』では無かった。

否定のポーズである、首を横に振るという動作をすると、腰にかかった刀を見せた。
2m以上はあると推測できる刀。長さとは裏腹に刀身は細いという特徴的な外見をした日本刀。
更に印象付けるのは、鞘に水色の帯が巻かれていたり、柄巻きも水色。
「形見」

965アーベント:2012/03/10(土) 19:58:19 ID:51FZPppw0
>>964
否定の意を示す言葉と首を横に振るという動作に多少の動揺を見せたが
腰の刀を見せられ、形見であることを告げられると

「そう、か…すまなかった」

察したらしく、頭を少し下げた
そして、これ以上の質問は辞めておくことにした。一通りは聞けたのもあるが。

「――綾から、私に聞きたいことはあるか?」

今度は自分が質問される番か、と思い、それを促す言葉を続けた

966柊宇都 綾:2012/03/10(土) 20:07:11 ID:oB5LASG.0
>>965
「……。構わない」
返事には間があった。
少女なりにも、感傷に浸っていたのだろう。
その後で、大きく、深呼吸をして見せた。

アーベントからの質問には考える素振りを見せた。
と言っても、表情の乏しさとアクションの少なさ。
そちらから見れば、ぼーっとしているだけに見えるかもしれない。
少し――10秒程だろうか――経ってから、口を開く。
「強く、なりたい」
父を探す為でもあるが、それは昔の話。
それはそれで大事だが、今は放っておく。それ以上の出来事がある。
ヴァージニアを守る為に、強くならなければいけない。
アーベントの言った吸血鬼の能力も、自分はすべては使えない。
目の前の人間の様に、魂の存在を自覚してはいない。まだ、足りないのだ。

//すいません、ごはんに行かなければ……!
//九時頃には戻りたいと思います!

967アーベント:2012/03/10(土) 20:15:36 ID:51FZPppw0
>>966
少女のついた、ひとつの深呼吸
近しい人の死というものは、やはり辛いものなのだろうか
そういった経験のないアーベントは、想像するしかなかった

「―――……強くなりたい、か。」

綾がぼーっとすること、約十秒
大丈夫か?と声をかける前に、ぽつりと声が返ってきた
強くなりたい――この言葉には、一体どんな意味が込められているのだろうか

「私でよければ、相手をするが―――…?
 ただ、陽が暮れるまで待ってもらうことになりそうだがな」

ともあれ、それが戦闘の要求ならば断る理由はない
ちょうど退屈していたところだし、自分自身も強くなりたいから

968アーベント:2012/03/10(土) 20:19:55 ID:51FZPppw0
/了解です!ごゆっくり!

969柊宇都 綾:2012/03/10(土) 21:41:41 ID:oB5LASG.0
>>967
「解った」
日が暮れるまで。と言うのは吸血鬼であるからだろう。
本来、昼間の内から外を出歩くのは良いことではない。
今も露出して野ざらしになった右腕が、日焼けの様な肌を刺す痛みを訴えている。

ならばそれまでどうしようか。とは思ったものだが、どうするわけにもいかず、また立ち尽くす。

970アーベント:2012/03/10(土) 21:45:26 ID:51FZPppw0
>>969
「さて…あと2時間ほどあるが―――どうする?」
「昼寝でもするか…?」

さて、あんなことを書いてしまった手前日暮れまで時間を潰さなければなるまい
少し思考して、昼寝を提案してみるが――安眠できる場所などそうそうない。

971柊宇都 綾:2012/03/10(土) 21:54:12 ID:oB5LASG.0
>>970
「なんでも」
端的に答えると剣を拾い上げる。
それを異形の馬の側面にあるホルダーに納めるとベンチまで歩いて行った。
ストン。と座り、そちらを眺めている。
そこは日陰になっていた。直接当たるよりはマシな場所だ。

972アーベント:2012/03/10(土) 22:00:36 ID:51FZPppw0
>>971
「では、各々過ごすとするか」

なんだか無愛想な気もしたが、それが彼女なのだろう
ベンチに座った綾に習ってアーベントも腰掛け、目を瞑る

「綾の再生能力は、どのくらいなんだ?」

模擬的戦闘を行う上で、これはなかなかに重要かもしれない…と、確認しておくことにする

973柊宇都 綾:2012/03/10(土) 22:10:43 ID:oB5LASG.0
>>972
「少し」
今、自分の身体に傷は無いので上手く説明はできない。
尤も、口頭で上手い説明をするのは無茶と言う物なのだろうが。

ふと、足元にある花が枯れているのに気が付いた。
それを見ると、アーベントの裾を軽く引っ張って呼ぼうとする。
それに反応を示せば、次にはその枯れた花を指差すだろう。
「特殊」
始めの内は枯れたまま。
けれど、数分も眺めていると、ある変化に気づくだろう。
枯れた筈の花が、色を取戻し茎が立ち上がり花が付きつつあるのに。

974アーベント:2012/03/10(土) 22:20:03 ID:51FZPppw0
>>973
「少し…か」
「なら私は寸止めでやらせてもらうぞ―――そこまで辿り着けるかわからないが」
「綾は全力でこい。頭さえ粉々にしなければ何をしたっていい」

この吸血鬼もどきの再生能力は相当なもので、言葉通りピッコロさんなのだ
その代わり、様々な弱点が付与されているのだが…

「…ん?」

裾を引っ張られて、綾の方を見、指を指された方向を見てみると、既に命尽き果てんとする花が一輪
されど暫く見ていると―――華は全盛の美しさを取り戻しはじめた

「特殊…とは?」
「他者治癒能力か?」

その様子に見入りながら、状況の説明を求めた

975柊宇都 綾:2012/03/10(土) 22:27:04 ID:oB5LASG.0
>>974
「全力で、いい」
全力。という言葉を聞いて思い出して視線を向けた物がある。
箱庭。なる施設へのポータルがこの公園の端にもあった。
これを使えば擬似空間へも行けて、設定も自由なので今すぐにでも戦える。筈。
とはいえ、アーベントがこの施設の事を知らないとは思えない。様々なところに設置されている以上、認識力も高いはず。
それなのに、態々話を持ち出さないと言う事はアレだと都合が悪いのか。とか考えていた。

「さあ」
自分にも解らない。
本来、綾に備わっている吸血鬼の回復能力はかなりの物だった。
が、何故か自分には少ししか効果を持たず、その代わり周囲の生物にも回復能力が発動するらしい。
そうなる事実は知っているのだが、詳しいことは知らずに居る為、曖昧な返事しか返せない。

976アーベント:2012/03/10(土) 22:43:24 ID:51FZPppw0
>>975
「ん、わかった」
「アレだったら、なんだっけ…箱庭?あの中でやっても構わんぞ」

その存在をぽっかりすっかり忘れていた中身。ついこないだ使ったのにね!
ともあれ、アーベントもそれを思い出したらしく、キョロキョロと見回し機器を探し出す

「そう、か…」
「不思議な能力だな」

華は完全に全盛の姿を取り戻し、鮮やかに咲き誇っていた。

977柊宇都 綾:2012/03/10(土) 23:08:24 ID:oB5LASG.0
>>976
「なんだ」
知ってたのか。と思いの余りの声が出る。
アーベントが探すものを指差して示す。

「うん」
不思議なものだ。と自分でも思って居る。
数年前の自分からしたら、考えられない今だとも。

978アーベント:2012/03/10(土) 23:16:25 ID:51FZPppw0
>>977
「お、あったあった」
「どうする?箱庭でやるか?」

また少女の指差した方向で、目的のモノを発見した
誰も使っていないことを確認しつつ、提案

979柊宇都 綾:2012/03/10(土) 23:22:06 ID:oB5LASG.0
>>978
「そうする」
小さく頷くと、立ち上がった。
施設へ移動する後に、異形の馬も付いていく。

980アーベント:2012/03/10(土) 23:48:23 ID:51FZPppw0
>>979
「……そいつも、これるのか?」

異形の馬が共に入れるのか否か、聞いてみる
姿形だけではないであろう馬の能力も見れると思うと、少し楽しみだ

「よし…行くか」
「どこでやりたい?」

とりあえず、ステージ選択の提案

981柊宇都 綾:2012/03/10(土) 23:59:18 ID:oB5LASG.0
>>980
アーベントの問いかけには「解らない」と答え。
試した事が無いので、解らないのだ。
ただ、行けると思って傍に置いてはいる。

「何処でも」
適当なのか、何も思い浮かばないのか。
恐らく、どちらも。

982アーベント:2012/03/11(日) 00:06:39 ID:51FZPppw0
>>981
「じゃあ…ん?ランダムなんてあるのか」
「これでいいか…よし。」

先にいくぞ、と行って、アーベントは電脳世界へと入って行った
フィールドはコンマ【1~3:だだっ広い草原】【4~6:高低様々なビルが倒れたり聳えてたりする廃ビル群】【7~9:古びた洋館がぽつんと立っている一面の森】【0.ゾロ目:床しかない空間】【00:宇宙☆】

983柊宇都 綾:2012/03/11(日) 10:06:41 ID:oB5LASG.0
>>982
辺りは薄暗く、周囲は良く解らない。
風のざわめきが何かを告げる様に耳に残る。
足場の感触は……悪い。
舗装されていない。二、三度程踏みつければ、足場の土が抉れてしまった。

ある程度時間がたち、目が慣れてくると、ここが森であることが解った。
ふと、周囲が明りを帯びる。光源は異形の馬だった。
「ロウリッド」
従者の名前を呼んで手を翳すと、ゆっくりと光は弱まり、やがて消えていく。
また少しの間何も見えなくなったが、目が慣れるのは時間の問題だ。

984アーベント:2012/03/11(日) 12:14:15 ID:51FZPppw0
>>983
周りの雰囲気の違いに気づいて、閉じていた眼を開けると――そこは陽の堕ちた森であった
下は腐葉土と時折這い出た木の根や石が転がっている

「森…か」

先ずは探索から始めることにする
眼球と嗅覚の機能を狼人間のソレに変化させ―――探知
視界が広がり暗いにも関わらずよく見えるが、少し色に乏しい

「……そちら、か」
「どうやら馬もいるようだな」

匂いで綾のいる方向に目処を付けたアーベントは、地面を蹴って走り出した
その途中、全身から毛が生え四つ足走行になり―――狼の姿へと変化する

よく物音を聞いていれば、リズム良く地面を踏みしめる音が聞こえるだろう
もしこのまま接近に成功したならば、狼の姿のまま左斜め後ろからスピードを付けて体当たりをしかけようとするだろう

985柊宇都 綾:2012/03/11(日) 15:23:43 ID:oB5LASG.0
>>984
余りにも、暗い。
月は出ているのだが、その端々が掛けている。
まるで大きな獣に齧られたよう。空を覆う程の緑が、月を喰らっていた。

油断はできない。同じような吸血鬼だという話だが、あちらは『唯の一つ』に過ぎ無いらしい。
たいして、こちらはアレが全て。再生能力と怪力意外は唯の真人間なのだ。
探知能力はあちらが上と見るのが妥当だろう。

双頭の従者から大剣を受け取る。その最中に聞こえる音。
「足音?」
タタッ、タタッ。と、独特なリズムを刻むそれ。
人間の慣性で独特と感じるそれは、勿論人間の物では無い。
そして、その速度。それもまた、人間の物では無く。

「!!」
接近を意図も簡単に通してしまった少女は自らの大剣を逆さにし、板の如く太い刀身で防ぐ他は無かった。
やはり、怪力をもってしても取り回しには不自由があるのだろう。
そちらが取りつくと跳ねあげようとするが、それにも僅かにタイムラグが生じてしまう。

986アーベント:2012/03/11(日) 15:50:48 ID:dHgqpAag0
>>985
「―――……っっ!」

白銀の毛並みをもった狼の口からは、先ほどまで聞いていたであろうアーベントの声
体当たりを防がれ、反動で動けずにいようとも笑みを浮かべた
大地に足が付く前に、その怪力と大剣の大きさで持って上へ跳ね飛ばされてしまった。


        ―――キィ

   ―――キィ   ―――キィ

            ―――キィ

高さ数mまで上がった所で、アーベントの体は黒い塊に分裂―――否、鳴き声を上げる無数の蝙蝠となった
数百の蝙蝠は煙のように集団で移動し、綾の前方10m程のところで渦を巻くように飛行しながら、再びアーベントという形を取ろうとするだろう

それは元の、あのロングコートとマフラーを纏った姿
ただし帽子はなく、中性的な顔立ちと黒い髪を持った色白の人型だ

987柊宇都 綾:2012/03/11(日) 16:22:31 ID:oB5LASG.0
>>986
「何」
大剣を振り上げた反動で身体が翻り、それを戻すために半回転して剣をいったん収める。
周囲がより黒く染まる。その正体は無数の蝙蝠。
それらが群れて集まり、最終的に元の男の姿に戻る。

四足歩行の獣への変身能力。
あれもアーベントという本質の一部なのだろうか。と考えて。
吸血鬼という本質においても、蝙蝠への変身能力による回避能力。
本質的に、吸血鬼的に、劣りを感じるが、それは諦めに決して等しくは無く。

確か、あの本質は魔術が使えないと聞いた。
ならばと意気込んで細く色味に欠けた腕を突き出す。
圧倒的な格上との勝負。そこに引け目を現す自分では無い。
右の手に握られているのは腰に仕込んでいた真平な刃。彼女も吸血鬼であるので、無論銀製では無い。
それを人の姿に戻ったアーベントに投げつけ、回避を迫る。
当たればそのまま追撃、回避ならば隙を狙うような追撃として。
「喰らえ」
雷を落とす。

988アーベント:2012/03/11(日) 16:34:46 ID:cltR/SbE0
>>987
五月蝿い羽音を伴って、元の姿へと戻ったアーベント
こちらの課題は、あの得物と―――先ほど魅せられた魔術をどう対処するかだ
総合的な吸血鬼としての特性ならばこちらの方が上であろうが、向こうにはあの大剣がある

「―――どうする?」

月は高く、夜と森は深い
恐らく互いの性質をフルに引き出せる状況下で、アーベントは問いを放った
言の葉の疑問が辿り着く先は、自分と、相手。

「―――どうする?」

綾の手中で煌めく刃か振るわれ、飛び道具として飛翔してくる
真っ正面からの攻撃など対処に容易い。…が、向こうにも何かしら考えがあるのだろう
狼の動体視力は一瞬も刃から目を離さず、そして人間の脳は結果『回避』という判断を下した

極力最低限の動き…右足を引いて半身になる事で、刃を回避する
コートの一部が切り裂かれるほど、スレスレで


刹那、視界が爆光に包まれる


「―――……ぁ、がぁ!?」


悲鳴。
全身の筋肉が麻痺し、或いは焦げ、或いは切断されて、強制的に気を付けの姿勢になる
ビクンッと魚の様に痙攣したのも束の間、次の瞬間には再生が始まって、体の硬直が解けはじめる

(―――……どうするっ?)

未だ動けるには時間がかかる。
倒れこそしないものの、小刻みに振るえる体は隙だらけだ

989柊宇都 綾:2012/03/11(日) 16:51:07 ID:oB5LASG.0
>>988
ならば、次は此方から。
アーベント自体が魔術を使用できない以上、耐性もその程度だと考えられる。
もしかしたら、隠しているのかもしれない。だが、この反応は演技では無い。
見たところ相手の手持ちに武器は確認されない。
自分と同じように隠している可能性も考えられるが、それでも―――

「潰す」
―――この大剣には敵うまい。
雷の出力はそう高くは無い。近づくまでの間に拘束は解ける筈。だが、逃がすほど弛んではいない。
二本の大剣による接近戦。
あれだけの重量と大きさの物が吸血鬼の腕力のお陰で厄介なスピードで振り回されるだろう。
何か手が無い限りは間違いなく不利。だが、それを承知で仕掛けてきた綾には慢心が存在する……?

990アーベント:2012/03/11(日) 17:01:16 ID:cltR/SbE0
>>989
二本の大剣を携えて距離を詰めてくる綾。その間に再生は殆ど完了して、
全身の神経を研ぎ澄ませる。狙いは、回避―――からの、隙をついた攻撃
あの怪力とはいえ、流石にあれほどの重量の大剣を同時に二本扱うのはそう容易いことではないだろう…と推測しての判断

「―――やってみろ」

不適に笑うアーベントだが、特別な策があるわけではない。
攻撃を見極め躱すべく、精神を研ぎ澄ませ集中する―――

991柊宇都 綾:2012/03/11(日) 17:09:38 ID:oB5LASG.0
>>990
一撃目は左側。
距離を詰めながら振り上げて、内側に向かっていくように斜めにそれを振り下ろす。
刃の高度が頂点から下降を始める瞬間に吐く息自体とそのリズムには、一切の乱れは無い。
彼女がそちらと比べて幼いと言えど、大剣の扱いには数年の時を重ねている。
主さの苦痛を感じさせることなく、それがまるで棒切れであるかのように、二撃目が縦向きに振り下ろされる。

992アーベント:2012/03/11(日) 17:17:49 ID:cltR/SbE0
>>991
「―――――」

振り下ろされる刃と息遣いは完全に一致しており、完璧ともいえる一撃目
しかしこちとら態勢は万全、腕の動きから攻撃を予測し、刃線を見切って体を低くしながら大剣の地面の間潜るように回避
追撃しにくいであろう、一撃目を放った方の腕への回避を試みる

「………(思ったより、できる…な)」

予想以上の剣使いに少し動揺し、撤退を試みる
そのまま二撃目が放たれたのならば、低い態勢から足をバネにして後方へ跳躍するだろう
しかし、二撃目にも踏み込みと跳躍への対応があれば完全な回避は不可能となる。

993柊宇都 綾:2012/03/11(日) 17:29:10 ID:oB5LASG.0
>>992
「逃げられ……!?」
アーベントの逃げた方向。それは間違いなく少女の死角であった。
顔の左半分が覆われている以上、視覚は半分になる。その分死角が増す。

周囲を見渡し姿を探す事も考えられたが、その間に反撃を喰らっては堪らない。
故に、アーベントの現状を確認する以前に離脱を図る。
大剣を力を込めて持ち、バックステップ。下手に気を入れて持つと自分以上の重さを持つそれに負けそうになる。

こうして戻ってきたのは従者の傍。
少女は着地から息を整えると、従者に向かって視線を送る。
それが伝わると、其々12ずつの瞳が灯り始めた。
相手は探知能力を持つ可能性があるが、自分にはそれが無い。故にそれを光で補う。

994アーベント:2012/03/11(日) 17:39:27 ID:cltR/SbE0
>>993
「―――……ふふ…さぁ、どうする、どうする…」

回避した先の木の後ろで、アーベントは声を張る
これで相手に回避先が伝わるだろうが、すぐに移動―――極力静かに探しものを始める

  カサ
   カサ


         カサ

 カサ     パキ

              カサ

時折、自然でない葉の音が、木の折れる音が、様々な方向から聞こえてくるだろう
どうやら走りながら綾の周囲をぐるぐる不規則に回っているようだ
―――が、位置特定の情報はそれだけではないだろう。アーベントが徘徊しているのは綾から15mほどの距離だけ
よく周りを見ていれば双頭馬の12の灯りに照らされたアーベントの黒い影が見つかるはずだ


アーベントの目的は、木の枝や石といった得物の習得と綾を錯乱すること
他方向からの攻撃の、可能性のみを伺わせることで精神の消耗を狙っているらしい
まぁ戦闘にある程度慣れていれば、問題かもしれないが。

995柊宇都 綾:2012/03/11(日) 17:49:18 ID:oB5LASG.0
>>994
相手の姿が見えている。
攻撃の意思は薄く、周囲を走っているに過ぎない。
奥の意図には気づかずに、ただの攪乱だろうと踏む。

しかし、姿が見えているだけに削られる精神がある。
下手に隙は見せられず、相手の手の内を全て理解できていない以上、動けず。
左手、右手。と片手ずつ、アーベントに細心の注意を払いながら大剣を背中へ収納し始める。
移動のしやすさと取り回しを重視しての行動か。

996アーベント:2012/03/11(日) 18:03:15 ID:cltR/SbE0
>>995
見つけた。手頃な大きさの、枝。
太さは人間の腕ほど、長さは1m弱。木から生えているが問題はない――跳躍から手刀で叩き割って、へし折る。
綾から見て影となり、かつそれなりの距離がある場所の木であるため、比較的警戒を解いて行動をしている

「――…(剣は仕舞われたか)
 (あの馬に近づくのも得策とは思えないが…仕方ない)」

手に入れた武器――木の枝に力を込め、指をめり込ませて握りやすくしながら、木の影から綾を覗く
馬の瞳は意外に明るく、此方の行動も殆ど丸見えであったろう

で、あるならば、ひそひそ隠れる意味もない
アーベントはゆったりとした動作で―――しかし雷の魔術に警戒しつつ、木の影から姿を表す

その手には先ほどの木がしっかりと握られ、不恰好な得物として存在していた

二人の距離は15~8m、それをやはりゆっくりと、綾の出方を伺いながら詰めて行く

997柊宇都 綾:2012/03/11(日) 18:11:28 ID:oB5LASG.0
>>996
アーベントの動きが停止した事で、なにかが始まるのだと予測する。
しかし、それは到底見当も付かず、こちらは警戒を続けつつ見るのみ。

大人しく影から姿を現した事に少々の驚き。
その堂々とした態度から勘ぐって、何かあると踏む。
その何かを見極める為に一歩、一歩。と退いていく。
しかし、幾ら見ても、木の枝程度の獲物しか見えず、一向に後退は収まらない。

998アーベント:2012/03/11(日) 18:34:05 ID:cltR/SbE0
>>997
「―――退いてばかりか?」

くつくつと笑いながら、一歩…また一歩と近づいて行くアーベント
その思考に策略らしい策略はないが――再びの雷撃を警戒して体組織の龍化を行って行く
唯一露出している顔にも蒼い鱗が覆い始めれば、綾もじきにその異変に気づくだろう
ただ目だけは、相変わらず狼のままだ

このまま近づいて退かれる、という状況が続けば、アーベントの体は完全に龍化し―――背からは翼が、知りからは尾が生えて来るだろう
翼は両手をめいっぱい広げたものよりも大きく、尻尾も身長ほどある。

それでもこのままなら更に落ちていた石を拾い上げ、それを投擲し――滑空するようなスピードでもって走り出すだろう

999柊宇都 綾:2012/03/11(日) 20:56:54 ID:oB5LASG.0
>>998
「何を……!」
指摘された箇所が、まさにその通りで。
自分の中でそう思って居たところを指摘されると言うのは、心に来る。
見透かされているようで、腹立たしくて。怒りの余りに腕を振るえば、雷が落ちる。

1000アーベント:2012/03/11(日) 21:05:51 ID:51FZPppw0
>>999
石を拾い上げようとした刹那、綾の呟きが聞こえた

「―――(くるっ…!)」

どうやら自分の言葉は相手の怒りを買ったようだ
乱暴に振るわれた腕に危険を察知し、避雷針となってしまうであろう木を地面に擦り付けながら横っ飛びに回避
なんとか直撃は避けたが、全身がピリピリする

「―――さぁ、逃げろ逃げろ」

横っ飛びで空中へいる間、痺れを払うように翼を羽ばたかせて飛行を開始する
バサバサと、聞き手によっては不快感を与える音で浮かび上がりながら―――高度10mほどで停滞
得物はそのまま手に握り、滑空を開始して、距離を詰めようとするだろう

そして、二人の距離が5mほどとなったところで滑空着地し、運動エネルギーを木に叩きつけるように投げ付け
―――回避、或いは木の破壊…つまり隙を作らせようとするだろう

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