■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■

【イベントA】これよりそなたは暗月の剣となる【Part8】
1名も無き異能都市住民:2011/08/01(月) 21:33:39 ID:.6prKP66O
<<ルールとか>>
・ここは、各スレでなんらかのイベント・クエスト・戦闘が発生した場合に使います。
・雑談も可能ですが、日常の範囲で済むかどうかは各自で判断してください。
・クエストスレはA・B・Cの3つがあります。開いている場所ならどこでも使って構いません。
・逆に、使用中の場合は混乱の元になりますので、同じクエストスレで2つのクエストを進行させることはやめてください。
・クエストで使われている場所を、クエスト以外のスレで使うことは『構いません』。
 時間軸が異なる・平行世界である、など解釈は自由です。
・またクエストスレと他のなりきりスレに、同時に現れることは『構いません』。
 ただしそれによって起こり得る弊害は自力でなんとかしてください。
・GM役をあらかじめ決めておくとスムースにことが運ぶかもしれません。
・識別をしやすくするために、トリップをつけると幸せになれるかも

前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1283347680/

2オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/01(月) 22:17:27 ID:.6prKP66O
>>1000
城の周りには湖と見間違う程の巨大な堀が存在する
正門から降りる橋はそれ程に巨大で頑丈なのだ
 
可能な手段は
1・再び橋が降りるのを待ち、見つからずに渡り切る
2・泳いで渡る
 
これしか方法は無いようだ
しかし、少女は異能力者である、何か他の方法もあるかもしれない

3ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/01(月) 22:26:57 ID:kgxnmc8.0
>>2
「……」
じーっと周囲を見つめている。
見張りの人数とその人間同士の感覚を見ている様子。

4オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/01(月) 22:37:11 ID:.6prKP66O
>>3
見張りはかなり多いようだ
全員が全員、全身を鎧で覆い、様々な武器を手に立ちはだかっていた
全身、明らかに先程の三騎士より格が上である
 
橋を管理する者が3人
堀の四方に5人ずつと鎧を纏った大トカゲが4匹ずつ
 
4つの高台に1人ずつ
 
正門を守る者が6人である
 
間隔はとても広い、それは巨大な城が故の間隔である
 
だが、一人にバレたならば全員にバレる危険性は十分だ

5ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/01(月) 22:57:14 ID:kgxnmc8.0
>>4
「……」
高台の人間に狙いを定めることにした。
少女は自身の影に潜ると次に出てきたのは高台の男の背後。
暗殺者特有の技術を生かし、音もなく飛びかかり手にした闇のナイフで首元を斬り裂こうとした。

6オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/01(月) 23:07:34 ID:.6prKP66O
>>5
鎧と兜の境目、首を狙うのは懸命な判断である
 
上手い具合にナイフは鎧の者を切り裂く
 
「……ッ!」
 
もはや声を出せない鎧は、警報を鳴らそうとスイッチに手を伸ばすが……

7ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/01(月) 23:13:53 ID:kgxnmc8.0
>>6
その動きを即座に読み取り、暗黒の魔力を解放。
床から湧き出た闇の手が男の手を止める。
少女の狙いは男の完全な死だが……?

8オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/01(月) 23:19:17 ID:.6prKP66O
>>7
動きを止められ少しだけもがく鎧……しかし、その内力尽きて崩れ落ちる
 
兜を脱がせるなら死を確認出来るが、今は一刻の時間も惜しい
 
こんな事をしている間に見つかってしまうかもしれないのだから
 
幸い、少女の体は小さく
他の高台の鎧からは見えないが、今倒した鎧をどうにかしなければ見つかるのは時間の問題だろう

9ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/01(月) 23:29:24 ID:kgxnmc8.0
>>8
死を確認する時間が惜しい。
それでいて死を確実にする方法。
答え:もう一度刺す。
両手で持つと男の後頭部にナイフを強く差し込んだ。

10オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/01(月) 23:36:23 ID:.6prKP66O
>>9
鎧は動かない、確実に仕留めている
 
しかし、やはりその行為も一瞬だけだが時間を使う
 
不意に、高台に備え付けてある通信機から声がした
 
「おい、何かあったのか?」
 
明らかに警戒した声色、答えなければ異常ありと見なされる……
 
さて、少女はどうするか

11ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/01(月) 23:48:00 ID:kgxnmc8.0
>>10
目の前の男は仕留めた。こうなれば唯の物である。
そうなれば、この少女の力で『操る』事が出来る。

男に手を翳し、魔力を流し込み、仮の命を与える。
そしてその命を操作する能力を使い、男に言葉を喋らせる。
「問題はない」と。

12オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/01(月) 23:58:20 ID:.6prKP66O
>>11
「そうか、何か物音がしたからな……気を付けろよ、先程も森に不審な影を見たらしい」
 
そこで通信は終わる、一先ずは安心して良いだろう
 
一つの高台を制圧した少女は次にどこに向かうのか

13ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 00:05:24 ID:kgxnmc8.0
>>12
高台に来れば周囲の状況が解りやすい。
縁から外を除き、高台の隣の棟との距離や
高台から見える城付近の状況を見ることにした。

14オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 00:20:24 ID:.6prKP66O
>>13
高台は4隅にある、少女がいる高台は正門と右城壁の角に位置する場所である
 
城があまりにも巨大な為、眺められる範囲も限られる
 
隣の棟までの距離はとても広く、双眼鏡を使えば簡単に見ることが出来るが、肉眼では人物の動きしか見ることは出来ない
 
そして、眼下の正門前、6人の鎧は直立不動
右城壁の5人の鎧と4匹の鎧大トカゲも辺りを見渡しながらもその場からは動けない
 
奴らを暗殺するのは無理だ
そんな事をすれば誰かに確実に見つかるだろう
 
対決を望むならば別だが……
 
目的の窓との距離は隣の高台程ではないが離れている
 
少女が本気で飛べばギリギリ届く距離なのだが、その為には物音を立てる事は許されないのだ

15ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 00:35:55 ID:kgxnmc8.0
>>14
暫く考えた末、一つの案を見つけ出す。
男を操作し通信機を操作させる。
そして口を開かせ、別の棟の兵士と連絡を取る。
「森の方がやはり不審だ」と。白い馬の様な物が見えるとも伝えて置いた。

これによってどう動くか。通信を切って一先ず息を吐いた。

16オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 00:44:16 ID:.6prKP66O
>>15
「何?白い馬?わかった、すぐに部隊が森に向かう、また何かあったら伝えてくれ」
 
しばらくすると、正門の橋が降り、調査部隊と思わしき鎧達のバギー軍団が現われる
これまた白銀に黄金の装飾がされたものだ
 
バギー軍団は大きな音を立てて森へと向かう、この音に乗じてならば、少しの間いくら音を立ててもバレないだろう

17ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 00:49:45 ID:kgxnmc8.0
>>16
男に「解った」とだけ喋らせておく。

「……」コク
一人でに静かに頷く。
そして勢いを付けて窓の方へと飛び込んだ。
狙いは壁。自身の身体を影に吸着させれば壁に張り付く事もできるのだ。

18オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 00:56:16 ID:.6prKP66O
>>17
少女が飛ぶ、普段の黒い服装と、その素早さから視認は難しい
 
ギリギリで届く壁に張り付く事が出来たが、窓に辿り着くには、少しだけ壁を上らなければならない

 
さらに、窓には鍵が掛かっているのは明白
それをどう対処するかも考えなくてはいけないのだ

19ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 01:00:06 ID:kgxnmc8.0
>>18
壁に張り付き、登る様な姿勢で上がっていく。
窓が近付いていくと、そこにマナの模様が在る事に気づく。

「……?」
首を傾げて不思議がり、
さらに近付くと、中を覗き込もうとした。

20オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 01:09:07 ID:.6prKP66O
>>19
マナの模様が彫られた窓硝子、錬金術士は必ず何かにこのマナの姿を彫り込むのだ……
それを少女が知る訳もなく、窓を覗く
 
ここは執務室だろうか?
今は人影が見えない、侵入するならば今だが、鍵が掛かっている

21ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 01:15:51 ID:kgxnmc8.0
>>20
鍵がかかっている事は問題では無い。
先程の棟と同じように、影を介して侵入すればいい。
中の様子をじっくり確認すると、影に潜る。
その先は執務室の机の影に繋がっている筈だ。

22オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 01:22:10 ID:.6prKP66O
>>21
執務室の机の影に姿を映した少女、時間は掛かったが
無事に侵入を成功させたようだ
執務室に人はいない、どうやら既に休んでいるようだ
 
執務室の入り口は二つ
先程少女が入ってきた窓、そして、机の前方に見える大きな扉である

23ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 01:27:29 ID:kgxnmc8.0
>>22
扉を開けるというのは非常に難しい行為であった。
ここからでは部屋の外の情報は無く、少なからず物音も発生する。
少女はじっくりと考えて、一つの考えに至った。

まずは部屋の中を見渡し、何が在るのかを把握することにした。

24オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 01:35:42 ID:.6prKP66O
>>23
室内は何の変哲もない部屋である
朱色に金色の刺繍の絨毯

大きな本棚があり、厚い書物がギッシリと詰まっている
 
机には羽ペン、何かの書類
そして観葉植物があるだけ
広い部屋でしてはかなりさっぱりしてる部屋だ

25ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 01:41:43 ID:kgxnmc8.0
>>24
少女はその一つに目を付けた。
適度な重みと大きさを持った者。観葉植物。

ここから脱出を測る為に少女はドアの真上に移動する。
影に吸着して落ちない様にして、地面と逆さまに立つ。
視線の先では観葉植物を捉え、その近くには闇の手。
少女が瞬きをすると、闇の手は観葉植物を倒す。
これだけの者が倒れれば当然音は立つ。
そしてそれを聞きつけて誰かが入ってくるはずだ。

26オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 01:50:56 ID:.6prKP66O
>>25
ガシャンッと観葉植物の鉢は大きな音を立てて割れる
 
少女の狙い通り、すぐに扉が開き、鎧が入ってくる
見回りの一人の様だ
 
「なんだ、これの音か……しかし何で倒れたんだ?」
 
鎧は音の原因を突き止めたはいいが、倒れた原因がわからず頭をひねっている
これはチャンスだ

27ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 21:23:08 ID:kgxnmc8.0
>>26
「……」
扉の外を確認する。
音もなく部屋の外へ出ていくと天井伝いに廊下を進んでいく。

28オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 21:32:33 ID:.6prKP66O
>>27
先程の音を聞き付けた鎧達が次々と執務室に集まる
 
だが、高い天井故に少女の姿が見つかる事は無かった
 
しかし、観葉植物が一人でに倒れるのはあまりにも不自然だ、それに気付いた鎧が走りだし、廊下を見回す

29ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 22:06:27 ID:kgxnmc8.0
>>28
「……!」
少々急ぎ目に移動し、廊下の角まで逃げ続ける。

30オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 22:17:44 ID:.6prKP66O
>>29
が、あまりにも長い廊下……
少女の足ではすぐに角まで行くのは難しい、鎧が視線を上に上げたその時
 
「ちょっ!勘弁してくれよ!」
 
「俺達は旅の休憩をしていただけだよ!」
 
「いや、本当!何もしてないから!」
 
『うっはw草食ってたら捕まったwww』
 
廊下が騒がしい、聞き覚えのある声が
どうやら少女が鎧を介して知らせた森の中、バギー軍団に三騎士と白馬が捕まっていたのだ

31ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 22:26:38 ID:kgxnmc8.0
>>30
「……。……」
今の内だ。と言わんばかりに脚を進める。
自分のせいだと言うのに全くお構いなしと言った風だ。

32オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 22:34:13 ID:.6prKP66O
>>31
「あぁっ!?」
 
不意に、三騎士の一人が叫ぶ
 
「プリーズッ!ヘルプミーッ!!」
 
「いょッ!自慢の鎌でひとっ飛び!!」
 
『うっはw天井にぶらさがってるしwww』
 
あろう事か、全員で少女に助けを求め始めた
馬に至っては状況を説明しちゃった
 
途端に……鎧の大群が停止し、少女の方を向く

33ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/02(火) 22:53:54 ID:kgxnmc8.0
>>32
思わず脚を止めた。
鎧の男たちへ視線を向けた後に、馬へも同じように。
そして、その後には自身に視線が向けられている。

「……」
非常にまずい。
取りあえずは移動を止め、鎧たちと視線を合わせる。

34オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/02(火) 23:01:58 ID:.6prKP66O
>>33
三人と一匹は期待に目を輝かせるが……
 
一人の鎧が顎で指示を出すと、三人と一匹は連れられていく
 
「ちょっ!早く!嬢ちゃん早く!」
 
「プリーズッ!ヘルプミーッ!!」
 
「連れて行かれちゃうから!」
 
『あれwそう言えばバレたらまずくねwww』
 
 
ワイワイ騒ぎながら連れていかれて姿を消す……その間も鎧達は少女を見て……
 
一人がその場から離れる、するとしばらくの間の後……
 
『侵入者を発見、最寄りの者は直ちに現場へ向かえ!
場所は2階第5廊下
繰り返す、侵入者を発見!直ちに現場へ向かえ!
場所は2階第5廊下だ!』
 
その放送を合図に、鎧達が剣を抜く

35ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/03(水) 22:52:36 ID:kgxnmc8.0
>>34
「……」
仕方ないな。と。
息を吐き、天井から脚を離す。
「バレたら―――」

身体が宙に浮き、落ちていく。
その最中、衣服の白い帯を引き抜いて、髪を束ねて帯で結う。


舞いあがれ漆黒の炎。
地獄の淵より湧きあがれ怒号。
吐き出された執念と憎しみに身を焦がす嘆きの竜。
黒淵の門より放たれた死した残骸、破滅の産声。
這え。狂え。死と破滅の刃よって無知と知れ。


地より湧きあがる漆黒の炎が辺りを包む。
炎で溢れた漆黒の間に一人の少女が舞い降りて、
「仕方ねえな!!」
狂気の笑顔を振りまいて。

36オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/03(水) 23:16:30 ID:.6prKP66O
>>35
「掛かれぇッ!」
 
狂気を帯びた笑みを合図に、無数の鎧達が走り出す
白銀に黄金の装飾、カリオストロ城直属の兵は完璧な迄の隊列で少女を囲み込む
 
持つ剣はルーン文字を彫った魔法の剣……
纏う鎧は鉄壁の守り……
無数の鎧達は恐れずに少女に斬り掛かる
 
五人の鎧が逃げ場なく襲い掛かる
 
一人は上段に横一文字
一人は姿勢を低く下段に横一文字
一人は背後より縦一文字
一人は正面より力強き突きを
そして一人は飛び上がり剣を突き立てて行く

37ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/04(木) 18:29:14 ID:kgxnmc8.0
>>36
「―――――!!」
動きだした破滅の残骸。
人間の物とは思えない雄たけびは破滅の始まりを現す産声。
両手に宿る炎は地獄よりの漆黒。

その場で跳ねて【邪魔だ】と叫んで剣を蹴り飛ばす。
動きは止まらず、回したからだに二撃目を頭部に打ち込む。
足元を狙った斬撃は当たらず、落ちてきた少女によって強く踏みつぶされる。
「―――!!!」
即座に跳びあがり残りの攻撃も回避。
空中で五人を見下ろす少女が徐々に漆黒に包まれる。
そして暗黒に塗れ、絶望と破滅に身を浸した姿となって現れる。
背中には28枚の折れた翼、その一つ一つが歴戦の刃より鋭く。
漆黒の鎧は悪意によって強固となる。

【ク…ら……エ……!】
手にした悪意と憎悪の玉。
それを広間全体に打ち付ける。
辺りに暗黒と獄炎が撒き散らされ、広間の破滅が幕を開ける。

38オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/04(木) 20:29:00 ID:.6prKP66O
>>37
「くっ、逃がす……か……」
 
五人が変わり果てた少女の姿に目を奪われる
いや、五人だけではなく
その場の鎧達全員だ……
 
「こ、これは……」
 
「エンチャントか!?」
 
「いや、これは……」
 
漆黒のそれに口々に声が上がる……ただ事ではない
何かかおかしい……こいつは危険だ
 
そして、それを理解した後、誰からともなく
 
「た、退避ぃぃィッ!総員退避ダァァァッ!!」
 
鎧達は蜘蛛の子を散らしたように散開する
しかし、もう既に遅かった

39ゼオラ&グレンデル:2011/08/04(木) 22:46:30 ID:kgxnmc8.0
>>38
【逃ガ…し…は……シな…い】
声で無く、心に直接響かせる悲哀の呪言。
その言葉が恐怖を心に刻ませて目の前の絶望を確かにする。

折れた翼の全てが羽ばたいて、次の瞬間には背中をはなれ、
それら全てが死神の鎌となって襲いかかる。
【潰…え…ロ……!】

40オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/04(木) 23:05:42 ID:.6prKP66O
>>39
「くそっ!小娘にまるで歯が立たないとは!」
 
「……」
 
鎧達が沈黙する、もはや逃れる術はない
 
何も抵抗することは出来ない

41ゼオラ&グレンデル:2011/08/06(土) 22:56:22 ID:kgxnmc8.0
>>40
「こっちか」
荒れ果てた広間に闇の塊。
そこから現れた少女は周囲を眺め、一点を指す。
それを確認すると破滅の竜は頷き、闇の閃光放ち消えた。

それと同時に駆ける少女。
行く先は鎧の三人と馬が連れて行かれた方向。

42オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/06(土) 23:08:25 ID:.6prKP66O
>>41
この場にいた鎧達は既に全滅
少女の行く手を阻むものはもう何もない……
 
少女の恐るべき速度でも三人と一匹の姿は確認する事は出来なかった……
 
しかし、今の少女には分かるだろう
連れていかれた者達は上の階、中枢にいる
 
隠し通路でもあったのだろう

43ゼオラ&グレンデル:2011/08/07(日) 15:25:55 ID:kgxnmc8.0
>>42
「チッ……めんどくせぇ」
舌打ちを鳴らし、天井を見上げる。
生命の位置を読み取ることで場所は理解できるのだが、時間がかかる。

「……ま、いっか。見つかっちまったし、派手にな」
クク……と一人悪意に塗れた笑顔を浮かべ、小さく跳ねる。
身体を捻り、両手を付けて地面に落ちる間に右腕は漆黒の炎に覆われ、
「ブッ壊すか!!」
もう一度、次は高く跳ねると天井を破壊して一気に駆け上がろうとした。

44オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/07(日) 16:47:23 ID:.6prKP66O
>>43
少女の黒い一撃により、天井は大きな音と共に崩れ落ち、大きな穴がそこに出来た
 
駆け上がった少女の前には、大きな扉
他とは異質の硬度と、豪華な装飾が施されたその扉
中央には大きな剣を持つマナの姿が描かれていた
 
地図によると、ここが今回の目的地である

45ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/07(日) 18:42:01 ID:kgxnmc8.0
>>44
「これ、唯の武器庫じゃねぇだろ」
扉を前に、見上げて呟く。
「なんて仕事寄越しやがる……覚えてろよ白ジジィ」
依頼者への悪態を付きながら扉に軽く触れる。
奇妙な絵面だとか思いながらその扉を強く押してみる。

46オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/07(日) 19:00:42 ID:.6prKP66O
>>45
扉は、大きさとは裏腹に簡単に開くことが出来た
鍵も掛かっている様子は無いようだ
 
扉を開いた少女の前に広がる光景
それは無数の武具に埋め尽くされた巨大な部屋
 
武器一つ一つが魔力に輝いているように錯覚する程の代物
そう、オリハルコン製の武具が大量に存在していたのだ
 
そして、部屋真ん中には連れていかれた三人と一匹……
一際目を惹く絢爛豪華な玉座に座る鎧の姿

47ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/07(日) 21:50:09 ID:7hcwnxwgO
>>46
「んで、後は目的の物をだ……が、」
周囲の武具の一つ一つに目配せしていく。
鋼材や武具には余り興味は無いが、それでも此処にある物が上等な物だと理解できる。
一つ、進む道筋にあった同じ鋼材製の小物を手にとって。
そして、最後に玉座に座す人物に向かい、

「この中で一番上等なの教えろ」
小物を高く、投げ上げてそう問う。

48オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/07(日) 22:24:27 ID:.6prKP66O
>>47
小物が宙を舞い、落ちて音を鳴らすまで……その場は沈黙に包まれた
 
今までの鎧達とは明らかに違う鎧それがカタカタと震える
震えは段々大きくなり、ついに
 
「ハハハハハッ!
おかしいな、奴の近くをうろつく暗殺者はもっと淑やかだと聞いたが……」
 
少女を面白い物を見るかの様に笑い飛ばす
 
「ククッ……ププッ……プハハハハハ!一番上等なもの?はて、何を持って上等とするのか?

目的の物であるなら見れば分かるだろう?
まさか、そんな物も解らぬ癖にここまで来たのか?
礼儀だけじゃなく、教養も行き届いて無いようだなぁ?
ハハハハハッ!!」
 
鎧の奥から響く声、その声にすら三人の騎士は怯えていた

49ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/07(日) 22:52:22 ID:7hcwnxwgO
>>48
「あーそうかい。なら適当にこれだけ貰ってくわ」
そう言うと無数の武具から一つ、オリハルコン製の剣を一つ引き抜いて。

「ついでだが、城の修理費は白ジジィにツケといてくれ、俺は絶対に払わないから」
んじゃな。と言うと剣片手に部屋を出ていこうとする……。

50オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/07(日) 23:00:51 ID:.6prKP66O
>>49
「はて、お前は何か勘違いをしていないか?」
 
そう、笑いの混じった台詞の後
少女の手元にあったオリハルコンの剣が一人手に動き出し、少女から離れ、鎧の手中に納まる
 
「何故貴様にやらねばならない?……ん?
何故、この私が……このカリオストロが貴様なんぞに武器をやらねばならぬ?
まぁ、頭を下げればやらぬ事もないがな……ん?」
 
少女を見下すその姿、鎧を纏った者の正体はこの城の主、カリオストロ本人であった
 
ここは武器庫ではない
『王の間』だったのだ
 
「ほら、頭を下げよ……深々とな」
 
玉座に座ったまま動かぬカリオストロ、ただ少女に命令を下すのみ

51ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/07(日) 23:32:56 ID:7hcwnxwgO
>>50
「なんか癪だから断る」
吐き捨てるようにそう告げると振り返る。
玉座に座る王を嫌悪しているのが容易に見て取れる表情をして。

「要はお前をぶん殴れば持って帰れるってことか?」

52オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/07(日) 23:40:44 ID:.6prKP66O
>>51
「まぁ、それも良かろう……」
命令を拒否する少女を見て嘆息するも、明らかな見下しの仕草
 
「それで、私を倒すと……?
愚か者もここまで来るといっそ清々しいな……」
 
鎧姿のまま脚を組み替えると再び室内は沈黙に包まれる
長い長い沈黙の後、鎧は再び少女に一言
 
「身の程を弁えろよ……ガキが」

53ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 00:07:13 ID:kgxnmc8.0
>>52
「じゃあ、どうするってんだ?
 生憎、これは頼まれた仕事だ仕事だ。俺も持って帰る義務がある」
クク。と笑いながら王の持つ剣を指さす。
そこで二歩、三歩と走り込み――

「――ってことで派手にやるか!!」
ガツッ―――!!
先程手前に落とした小物を王目掛けて蹴り飛ばした!

54オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/08(月) 00:13:58 ID:.6prKP66O
>>53
「ふむ、そっちはやる気か……」
 
少女が動き始めても、カリオストロは微動だにしない
 
小物がカリオストロに辿り着くよりも早く、それは弾き飛ばされる
 
無数の足音と共に飛び交う影
 
八方が少女に刀が突き付けられていた……
気付くと既にスマートな鎧に身を包んだ者が8人、少女を取り囲んでいた
 
隠れていたのだろうか?
王の近衛兵……それがこの者達だ
 
 
「今、どんな気持ちだ?」
 
囲まれる少女を見て、カリオストロは問い掛ける

55ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 00:19:10 ID:kgxnmc8.0
>>54
「ねぇ、どんな気持ち……か?
 フン、面倒だと思ってるところだ」
八本の刃に囲まれると流石に動けないか、
けれども、腕を組んでは居るし、表情からは余るほどの余裕が見れる。

「ここ、少し暗いんじゃないのか?」
上を見上げるとそんな事を言ってみる。

56オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/08(月) 00:24:49 ID:.6prKP66O
>>55
「……?」
 
少女の言葉の真意を理解できずに不審に思う
 
「一体なんの事だ?」
 
カリオストロは依然と動きはしないが、近衛兵は警戒心を強く持った様だ

57ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 00:31:38 ID:kgxnmc8.0
>>56
上に向けた首を降ろすとそこには笑顔が合って、
無論、それは無垢なものでは無く、これから起こるであろう出来事を想像した故の、卑しげな笑み。

「少し、地味過ぎるんじゃねぇかなぁってさ!!」
組んでいた両腕を解放して刃の下で腕を伸ばす。
それと同時、少女を中心に巨大な漆黒の火柱が立ち上がる!

58オリハルコン ◆6xc12amlNk:2011/08/08(月) 00:36:15 ID:.6prKP66O
>>57
少女の突然の行動、近衛兵達はそれに反応は出来たものの、巨大な火柱により全員吹き飛ばされてしまう
 
 
その光景を目にしても、カリオストロは揺るがず、少女を見ていた
 
「成る程、デカイ口を叩くだけはあるじゃないか」
 
火柱を見つめながら、カリオストロは呟く

59ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 00:40:09 ID:kgxnmc8.0
>>58
手を肩の辺りへ持っていき、次に伸ばすと指先は王の顔へ。
伸びた指先から放つ漆黒の炎は王の眼前で風となって消える。
「で、お前はデカイ態度に見合うだけの大物か?」

60オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/08(月) 00:55:38 ID:.6prKP66O
>>59
「……」
 
再びの沈黙……少女とカリオストロの視線が交差する中……吹き飛ばされた近衛兵達が落ちてくる
 
「面白い……」
 
そう言い放ち、カリオストロは初めて立ち上がった
 
立ち上がると同時に室内の武具が全て揺れ出し、浮かび上がる
 
全ての武具が宙を舞い、カリオストロの周りを行き交う
 
「そこまで言うのならば……」
 
カリオストロが手を掲げると、一際大きな剣が現われる
 
それは巨大な『機械剣』
カリオストロがそれを持った瞬間、機械剣が稼働し、音を上げる
 
「試してみるか?」
 
無数の武具と機械剣を操る王は少女に問い掛ける
武具達は自由自在に動き、少女を威圧する

61ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 01:04:15 ID:kgxnmc8.0
>>60
「……フン、威勢と演出は合格点だ」
向けたままの指先に炎が灯り、
それが手を覆い、それは逆の手にも。

「やっと重い腰上げてくれたか? さっさとやるぞ」
両の腕を交差させ、またも笑みを浮かべた。

62オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/08(月) 01:13:11 ID:.6prKP66O
>>61
「あぁ、始めようじゃないか」
 
ゆっくりと、カリオストロは歩き出す
武器を構えず手に持ったまま、ゆっくりと
 
武具達は宙を行き交いながら舞い踊る

63ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 01:21:57 ID:kgxnmc8.0
>>62
「見かけ倒しはッ! 止めてくれよ!?」
一息吸うの間に跳び出した少女は既に王の懐、
腕を引いて身体を丸めて潜り込む。
それを吐き出すと同時に渾身の力で腕を振り切った。

64オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/08(月) 01:32:46 ID:.6prKP66O
>>63
「……」
 
カリオストロは腕を振る、それは少女の振り切る腕を弾く
攻撃を繰り出した相手の態勢を崩す基本技『パリィ』である
 
「貴様は、“見かけ通り”をやめてもらおうか?」
 
パリィの後、機械剣の突きが少女の小さな体目がけ繰り出される

65ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/08(月) 22:54:49 ID:kgxnmc8.0
>>64
「く……、ッ!!」
体勢を崩され、そこに突きが綺麗に決まる。
吹っ飛び、部屋の中央まで転がりこむ。
素早く立ち上がって構え、男を睨む。

「武器の一つくらいタダでくれよ、偉いんだろ?」
右手で親指を人差し指を擦りながら。
手の中には何か黒いものが入っている様で、
それは次第に大きく、または多くなっているらしい。

66オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/09(火) 19:22:59 ID:.6prKP66O
>>65
一撃を受けても立ち上がる少女を見据え、カリオストロは笑う
 
「ほう、頑丈なんだな?一撃で決めるつもりだったのだがな」
 
機械剣を振り、仁王立つ姿には未だに余裕が感じられる
 
「私が破格の条件を出したのに、断ったのは貴様だぞ?」
 
謎の黒を見ながらカリオストロは答えた

67ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/09(火) 23:06:24 ID:kgxnmc8.0
>>66
「タダでくれる位はしてもいいんじゃねぇの?
 こんだけあるんだ。一つくらい無くたっていいだろ―――がッ!!」
言い終わると同時に腕を振り上げ、中身の者を投げつけた。
それは暗黒で出来た針。数十もの数で一斉に襲いかかる。

同時に闇の炎で自身を覆う。
それが流れ、消えるとそこに少女の姿も無く。

68オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/09(火) 23:18:50 ID:.6prKP66O
>>67
「ふん……」
 
暗黒の針を避けようともせず、動かない
 
暗黒の針はカリオストロに直撃する
しかし、カリオストロの鎧は凄まじく硬く、恐ろしき硬度を持っていた
鎧は傷付かず、針を全て防ぎ切る
 
「ふん、城に忍び込んだばかりか、好き勝手暴れるような者が人の好意にありつけると思うか?」
 
周りを伺うように神経を集中する
 
「次は隠れて何をしようというのか?」

69ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/10(水) 18:11:03 ID:7hcwnxwgO
>>68
「それだからそいつらに愛想尽かされるんだぜ。
もっと寛大な心を持たなきゃあなぁ?」
クツクツと笑う音のみが部屋に響く。
ぱらぱらと無力にも落ちていき床で跳ね返り空中で闇の煙と化していく針。
笑い声も闇の煙も、全てが流れ消え去ろうとしていた。

気付くだろうか?
王の遥か上空に溜まった闇の塊が。
針となって送り届けられた暗黒は対象の頭上を覆うように雲を作っていた。
「こっちだッ!!」
轟雷。
暗黒製の暗雲は紫色の雷を落とす。
雷を纏った少女が上空から飛び蹴りの形となって攻め入ってきたのだ。

70オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/10(水) 18:45:34 ID:.6prKP66O
>>69
「ふん、貴様こそすぐに実力行使に出るのはやめたらどうだ?臆病者に見えるぞ?」
 
挑発を挑発で返し、動かずに気配を探し続ける
 
「ふむ、そちらか」
 
声に反応するかのように顔を上げる
そこでカリオストロが見たのは闇の雲
 
「よかろう、勘違いの小娘よ……」
 
一言何かを呟くと、動かずに蹴りを受ける
金属音が大きく響き、カリオストロは物凄い速さで吹き飛ばされる
それは壁を砕きながらも尚動きを止めはしなかった

71ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/12(金) 00:10:52 ID:7hcwnxwgO
>>70
「……理不尽なパワーだな」
共に弾き合った後に宙に投げ出される。
着地の衝撃を手で受け止め、一度跳ね返り着地する。

「どうだ……?」
轟雷の衝撃や王の激突で崩れた瓦礫の屑が舞い、少女の視界をはばんでいた。

72オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/12(金) 01:24:18 ID:.6prKP66O
>>71
土埃が舞う部屋で武器たちは宙に浮いていた
 
ガラリと、穴の開いた壁から鎧の小手が覗く
 
「参った参った……いささか飛び過ぎたみたいだな……」
 
そこから、何もなかったかのように振る舞うカリオストロの姿が現われた
 
鎧に傷は無く、カリオストロ自身も無事な様だ
それだけでこの鎧が凄まじい代物だと言うことが理解出来るだろう
 
「わかるか?小娘よ、貴様では鎧は疎か私にすら傷を付けられん」
 
宙に舞う武具たちがカリオストロの周りに集まる
 
「加えてこちらには、私が創りし最強の武具が無数に存在するのだよ!」
 
カリオストロが腕を振ると、凄まじい速度で武具たちが少女に襲い掛かる
 
軌道は疎か、タイミングまでバラバラ
四方八方から襲い来る武具

73ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/13(土) 15:11:01 ID:7hcwnxwgO
>>72
「……その程度で!」
迫り来る武具の数々。
背後に飛び退き剣を避ける。
頭上から迫る槍を弾く。
前後左右から襲い掛かる無数の武具に対して右手を振り上げる。
直ぐ様漆黒の炎が集まり、其を地面に叩きつけると執念と憎しみの螺旋と為って武具を弾いた。
轟炎は止まらず、少女の元に武具を寄せ付けさせない。

74オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/13(土) 21:27:28 ID:.6prKP66O
>>73
「おやおや、大変そうだな?」
 
少女の姿を笑い、カリオストロは休まず武器を繰り出す
一つ一つがオリハルコンで出来たそれは少女の攻撃でも傷付かず
 
「暗殺者風情が……隠れていれば良いものを……
私の前に堂々と現われ、剰え戦いを挑むとは……テオフラトゥスも人選を間違えたか」

75ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 02:27:33 ID:7hcwnxwgO
>>74
「俺だってこんな事する予定はねえさ」
竜巻が晴れた後に残ったのは獄炎に身を包む少女。
僅かに宙に浮き、その真下では暗黒の魔力が波打っている。

「見付かっちまってどうするか考えてる所なんだが……どうするのがいいと思うかなぁ?」
漆黒の炎を腕に這わせ、それを王に向ける。

76オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 02:46:34 ID:.6prKP66O
>>75
「さぁ?強いて言うならば……尻尾を巻いて逃げるが一番ではないか?
それが一番生き残る確率が高いぞ?」
 
高笑いをしながら少女を挑発
上弦はカリオストロとの戦いを避ける為に少女に頼み込んだんだのだが……
 
「あの三人と馬はもう逃げたぞ?」

77ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 17:09:18 ID:7hcwnxwgO
>>76
「生き残るなぁ? 殺せもしねぇ癖に良くもまぁ」
少女から感じ取れる力には先程までと比べ数倍の差があるだろう。
純粋な魔力意外に感じ取れる物があった。そして、それが少女の跳ね上がった力の殆どを占めていた。

「それを聞いて安心したぜ」
ククッ。と笑みを漏らし、腕を高く上げた。
腕を這う炎が黒く、熱く、より出力を上げる獄炎。
憎悪、悲哀、激怒、畏怖で溢れた炎が少女の力となっていた。

「思い切り、ブッ壊しても大丈夫そうだ」

78オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 17:52:56 ID:.6prKP66O
>>77
「そうだな、殺す必要はない……私は優しいのだよ……どうするかね?逃げるかね?」
 

少女の力の変わるのを感じる、だがこちらも退く事は無い
 
カリオストロと少女が向かい合っている中、三人と一匹が影から二人を見ていた
 
 
「これはイカンぞ!これはイカン!」
 
「お嬢ちゃんがグレた!」
 
「めっちゃ火出てるじゃないか!!」
 
『いや、早く逃げるべきっしょwww』

79ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 21:33:37 ID:kgxnmc8.0
>>78
「頼まれた使いは果たさないと叱られるだろ?」
漆黒で滾る両手を左肩付近に寄せる。

「喰らえッ! どうした!?」
まずは振り払う様な軌道で右腕を振り、炎を落とす。
次に左手の炎を床に直接渡す様なアンダースローで二発這わせて向かわせる。

80オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 22:20:25 ID:.6prKP66O
>>79
「見かけによらず真面目なのだな小娘よ」
 
宙に浮く剣が三本、交差しながら地面に刺さり火を防ぐ
 
「貴様の火力じゃ私の武具達に傷は付かぬぞ!」
 
カリオストロは再び動きだし、少女に近づいていく
余裕の表れなのか、相手に威圧感を与えるかのようにゆっくりと
 
「……」
 
カリオストロの持つ機械剣が轟音を奏でる

81ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 22:33:28 ID:kgxnmc8.0
>>80
「っつー事で、お前の武器を頂いて行く訳だ。
 そんな風に、あんまり調子に乗ってると……」
クカカッ。と笑って見せ突然空間に現れた闇の傷に右手を差し込んだ。
それと同時に王の足元から闇の手が這い出て捕まえようとする。

「足元掬われるぜ?」

82オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 22:41:27 ID:.6prKP66O
>>81
「ふん、調子に乗っているのは貴様の方だよ小娘」
 
闇の手を確認し、その手を掴む
しかし、その為に機械剣は稼働を止め、攻撃を中断させられてしまう
 
「この手はなんだ?」
 
掴んだ闇の手に向けて、槍が飛んでくる

83ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 22:50:39 ID:kgxnmc8.0
>>82
「何、ただの遊びだ。
 綺麗に動きが止まるとは思って無かったな」
槍が貫くと闇の手は霧状になって消えてしまう。
それと同時に闇の傷も消え去り、その中に入っていた少女の腕も元通り。

「一発、喰らえやッ!」
そこに出来た隙に炎の波をもう一度地面に這わせて向かわせる。

84オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 22:57:32 ID:.6prKP66O
>>83
「チッ……」
 
軽く舌打ちをし、炎の波に飲まれる
しかし、カリオストロは難なくその場に立っていた
 
「それなら仕方ない、そろそろ私も面倒だ……死ぬがいい……」
 
炎の波の中から轟音が響く……
次の瞬間には巨大な十字の刄が三つ、少女に襲いかかる

85ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 23:06:24 ID:kgxnmc8.0
>>84
放たれた刃が少女の身体を傷つけ、斬り裂き、断つ。
溢れ出る血が衣服と床を浸し、傷口には闇が走る。
「良かったな。これは真面目に撤退を考える必要が出て来たぜ……」
しかし、未だ戦闘の意思は消えて無い様子で狂気に溢れた瞳は王を捉え続けている。

86オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 23:21:40 ID:.6prKP66O
>>85
「いや、良い……逃げる必要は無いぞ」
 
その言葉の瞬間、少女は気付く筈だ
少女の周り……間近に無数の武具が迫っていることを
 
「ここで果てるが良い……愚かな暗殺者よ」
 
そして閃光が走る
カリオストロの機械剣から発生した聖なる光
それは空間を歪めながら少女に放たれる

87ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/14(日) 23:42:01 ID:kgxnmc8.0
>>86
「こいつは逃げる間もねぇか……?」
放たれる間際に周囲を確認する。
逃げられそうでは無く、無論やり過ごせる状況でも無い。
舌打ちを響かせる少女の視界に時空の歪がねじ込んでくる。

『ゼオラ、こっち! 早く!』
時空の歪から伸びる白い衣服と腕。
「……今回は助けられてやるよ」
その手を掴むと同時に、歪の向こう側の少年が少女を引き上げてその空間から逃げだした。
後に残ったのは少年の頭上から落ちた純白のシルクハットのみ。
しかし、それも閃光に焼き払われて直ぐにこの場から消え失せた。

88オリハルコン武器を手に入れろ ◆6xc12amlNk:2011/08/14(日) 23:58:25 ID:.6prKP66O
>>87
「ふん、逃げたか……中々珍妙な魔術を使うな……」
 
少女が消え去った場を眺めながら、カリオストロは笑う
 
「テオフラトゥスの使いもこの程度か……ふ、ははははは!」
 
声を上げて笑うその姿を、三人と一匹が見ていた
 
「うわぁ、負けちまったのか?」
 
「グレてから攻め続けてたからな……」
 
「グレなかったら……冷静に対処出来てたのかな?」
 
『俺達も早く逃げるべきっしょw』
 
最大の原因は、自分達だと……こいつらは気付かないのだった

89ゼオラ&シノン:2011/08/15(月) 00:25:01 ID:kgxnmc8.0
『場所は、どうする?』
「そのままアイツの家に送ってくれ、話がある」
『了解だよ』

程なくして上弦宅前。
歪から現れる少女と金髪の少年。
少年に向けられた少女の訝しげな視線を宥める様に、一つ指を立て。
『僕はこの近くに用事があるんだ、ついていく訳じゃないから安心してよ』
とだけ言うと帽子は無いから手だけを振って歩いて行った。
「別に来てもいいんだがなー。めんどくせーけど」
と、溜め息を吐きつつ心底面倒そうに見送った。

改めてドアの前に立ち、上弦を待つ事にした……。

90上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 00:37:35 ID:.6prKP66O
>>89
どうも中が騒がしい
何かが倒れる音や、叫び声が聞こえる
 
『てやんでぃっ!総員退避だぁ!岩と金、火は突撃!殴ってもいいぞ!!』
 
『お嬢様はどこだぁ!?お嬢様を投入しないと犠牲が増えるぞ!!』
 
『こちら薫のマナ!旦那様がそこまで!ぎゃぁぁぁ!!』
 
中は戦場のごとき騒がしさ、しかし、全く持ってコミカルな騒音が響いていたので心配はいらないようだ

91ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 00:41:53 ID:kgxnmc8.0
>>90
「入るぞー。
 ……よし、一応言ったからな」
中の様子を想像して躊躇ったが決心してドアを開ける。
全身傷だらけ&血だらけでなんともグロテスクな雰囲気である。

92上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 00:47:47 ID:.6prKP66O
>>91
中は凄い有様、マナ達が集まりバリケードに身を隠している
 
そんな中、リーダー格の木のマナ『ポポ』が少女に気付く
 
『これはこれはゼオラ様、派手にやられましたね?治療は大丈夫ですか?』
 
変に下手に出るポポ、素に戻ると江戸っ子モドキの喋り方に戻る木のマナである
 
「うぉぉぉ!モフモフさせろぉ!!」
 
そこにいつもの男の声、案の定、下らない状況である
 
『ゼオラ様、ちょっと旦那様を黙らせてくれませんかね?』

93ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 00:52:54 ID:kgxnmc8.0
>>92
「……」
ある程度は想定できた範囲だと言えどこの喧騒
深く目を閉じて頭を押さえている。どうやら貧血の様だ。
マナ達に返事もせずに通り過ぎると皿に前に出て上弦の元へ。

「お前、よくもあんなデタラメな情報寄越しやがって挙句の果てにっ……」
倒れた。

94上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 01:00:22 ID:.6prKP66O
>>93
「ぬぅ!?ゼオラ、帰ってき……ゼウラの方かって大丈夫かぁ!?」
 
少女を抱き起こし、安否を確認する
急に素に戻ると、男はマナ達に指示を出す
 
「全員、モフモフするのは後だ!この子を助けるぞ!」
 
男は執事とメイド達を伴い、少女をベッドへ

95ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 01:08:51 ID:kgxnmc8.0
>>94
「……」
ただの貧血なのでそれ自体は大丈夫だが、
身体の傷は非常に激しく、右肩には深い傷が入ってしまっている。

96上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 01:13:01 ID:.6prKP66O
>>95
「……これはまさか……」
 
男は申し訳なさそうに少女を見た
その間、メイド達は少女の血を拭き
執事達は点滴を始める
 
「そうだ、薬……染みたら言ってくれよ?」
 
そして、男は怪しく光塗り薬を少女の傷に塗っていく

97ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 01:21:50 ID:kgxnmc8.0
>>96
「……ッ」
男が薬を付けると僅かに身体を逃がそうとする。

98上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 01:26:32 ID:.6prKP66O
>>97
「そりゃ痛いだろうな……こんな傷に直接塗るんだからな……」
 
男は少女の額に手を置き、安心させようとする
 
「ゼオラ?ゼウラ?安心しなさい、すぐに終わるから!」
 
水のマナは癒しの力を持ち
木のマナは安らぎの力を持つ
男の力でそれらを合わせ、少女の治療を続ける

99ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 01:31:18 ID:kgxnmc8.0
>>98
上弦が言葉をかけると身体の動きが緩和された。
表情も軽くなり、あるていどは回復したと見ても良いだろう。

100上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 01:36:54 ID:.6prKP66O
>>99
「……よし!」
 
薬は塗り終えた、瞬間とは行かないが、快癒効果はあるだろう
 
水のマナ達が少女に包帯を巻く
巻き終えたら処置は完了だ

101ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 01:38:42 ID:kgxnmc8.0
>>100
マナ達に処置をされる中、少女が動き出した。
「……っく、おい……」
僅かに瞳を開けて上弦を睨む。凄く睨む。

102上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 01:41:17 ID:.6prKP66O
>>101
「う、うぉぉ……回復早い!」
 
少しビックリしながら少女を見る
 
「な、何をそんなに怒っているんだ?」
 
男はドギマギだ

103ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 01:48:32 ID:kgxnmc8.0
>>102
「一時的な、物だ……」
熱こそは持たないが質感が炎と似ている闇が傷跡を覆っていた。
恐らく治癒能力の一つなのだろう。

「……覚えが無いのか?」
より強い剣幕で今にも跳びかからんとする勢いだ。

104上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 02:27:22 ID:.6prKP66O
>>103
「くっ……君には色々やり過ぎててわからないが……傷を見るからに……侵入の依頼の話か?」
 
苦笑いで少女はの顔を見る男
それに加えて傷跡を覆う炎が心配だったりする

105ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 16:54:23 ID:kgxnmc8.0
>>104
「チッ、俺は今までお前の為に熱心に働いてたんだがなぁ……」
舌をだして軽く拒絶すると寝がえりを打って顔を背けてしまう。

106上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 19:28:35 ID:.6prKP66O
>>105
「私の為に?」
 
男は凄い眩しい笑顔で感動する
 
「すまなかったゼウラ!機嫌直してくれよ!」
 
傷が心配なので控えめにゆさゆさと

107ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 20:21:29 ID:7hcwnxwgO
>>106
「嫌だよ俺は今お前の事が嫌いになったんだ近寄るなー」
チラリとそちらに目線を向けて、直ぐにそらす。
何処か面倒そうに言う様子はとある少女の真似をしている様だ。

108上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 20:28:56 ID:.6prKP66O
>>107
「……」
 
じ〜っと少女に視線ビームを放つ
 
「物真似大会か?」
 
指でツンツンと少女をつつきながら男は様子を見る事にした

109ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 20:51:48 ID:7hcwnxwgO
>>108
「お前は引っ込んでろ!」
いきなり起き上がり怒鳴り出す。



「……今のはお前だったのか……」
しかし視線に入った男をみて元に戻っていった。

110上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 21:07:24 ID:.6prKP66O
>>109
「えっ、えぇぇッ!?何何なんなんだ!?」
 
急な出来事に焦る男、いきなりそんな発言を聞いたら当然である
 
「おい、君なんかおかしくないか?どうしたんだ?」

111ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 21:29:46 ID:7hcwnxwgO
>>110
「……う、うるせぇ!」
少し恥ずかしそうに呟くと布団に潜り込んでしまった。

112上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 21:54:19 ID:.6prKP66O
>>111
「え、えぇ〜……!?」
 
あまりにもフリーダムな少女の言動に、途方に暮れる男であった
 
「ん、そういえば、依頼の方は……その状態を見るかぎり失敗してしまったようだね」

113ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 22:00:13 ID:7hcwnxwgO
>>112
「ん、あぁ……」
その話題を振られると今まで騒がしかった少女が黙りきってしまう。

「……ごめんな」
口を開いたのは十分過ぎる間があってからの事だった。

114上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 22:34:33 ID:.6prKP66O
>>113
「……」
 
まさかこの少女が簡単に謝るとは思わなかった
男は少し驚きながらも、すぐに笑い
 
「まぁ、仕方ないな君も頑張ってくれたんだろ?」
 
そう言って、少女の頭に手を伸ばす
 
「そう言えば三騎士とジョナサン(白馬)はどうした?」

115ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 22:42:19 ID:7hcwnxwgO
>>114
「ごめんじゃすまないな、これだけは……派手に色々やって来たし……」
ぽつぽつと言葉を繋ぎ、喋り始める。
布団から頭だけだした目を合わせ。

「今回は……すまん。その、代わり、と言うか……何でもする」


「さぁ……? 先に帰ったらしいが?」

116上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 22:49:15 ID:.6prKP66O
>>115
「ははは、君は隠密とは程遠いからな!」
 
笑いながら少女を励ますように
 
「代わりに……なんでもかぁ……」
 
男の眼が急に光、キュピーンって感じて
 
「本当になんでも?」

117ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/15(月) 23:22:54 ID:7hcwnxwgO
>>116
「バカにしやがって……」
少し拗ねた。

「まぁ、な……俺が悪い訳だし。やることはやるよ」
申し訳なさそうに。

「ってか……アイツらはどうでも良いのかよ……」

118上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/15(月) 23:28:19 ID:.6prKP66O
>>117
「ははははは、すまんすまん!」
 
面白そうに笑う、一応この男なりの気遣いなのだ
 
「アイツ等はなぁ……なんか不死身って感じしない?」
 
三騎士を心配していないその姿、信用しているのか、それとも本当にどうでもいいのか……
 
「じゃあ君は例えば何がしたい?」

119ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/16(火) 00:44:25 ID:7hcwnxwgO
>>118
「俺に聞いたら意味ねぇよ……」
はぁ。とため息をつく。

120上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/16(火) 00:48:01 ID:.6prKP66O
>>119
「いやぁ、だって私は君達が傍にいてくれるだけで嬉しいからな……」
 
そうなのだ、この男は目の前の少女がこうやって一緒に居てくれるだけで喜ぶのだった

121ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/16(火) 01:12:06 ID:7hcwnxwgO
>>120
「……それじゃ、これからたまに会いに来ればいいのか?」
顔を上げて目を会わせると確認を取ると言ったニュアンスの口調で。

122上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/16(火) 01:32:55 ID:.6prKP66O
>>121
「うむ、たまにじゃなくて毎日でもいいぞ!」
 
それが一番と言ったように、笑って答える

123ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/16(火) 13:06:44 ID:7hcwnxwgO
>>122
「毎日はなぁ……ちょっとめんどくさいかな」
ククッと笑って。

124上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/16(火) 15:18:48 ID:.6prKP66O
>>123
「お!やっと笑ったね!」
 
親指を立て、バチコーンッ☆とウィンクをする
 
「やっぱり笑っているのが一番!悪役っぽかったけど!」

125ゼオラ=アドヴァルド:2011/08/16(火) 16:06:38 ID:7hcwnxwgO
>>124
「うるせーしねー」
逃げるように布団の中へ。
枕の所に頭を置いて、乱れた布団を元に戻す。

「疲れたしもう寝る」
そう言い終わると同時に壁の方を向いて布団を深く被った。
「変なちょっかい出すなよ。怪我人なんだからな」

126上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/08/16(火) 17:10:09 ID:.6prKP66O
>>125
「ははは!心にも無いことを!」
 
うざく爽やか、ウザやかな笑いをあげながら男は立ち上がる
 
「私みたいな紳士を捕まえて何を言うんだい、ははは!おやすみ!」
 
怪我人なのは確かなのでそろそろ休ませるべきだろう
男はの布団をポンポン叩くと背を向け、部屋の外へと
それと入れ代わりでメイドが入ってくるのだった

127白い服装の少女&黒いスーツの男:2011/09/21(水) 21:40:12 ID:DvGffmgQ0
――クチャ……クチャ……

異能都市の繁華街。
そのすぐ裏手にある路地裏で、二本の角を持った怪人が人を食らっていた。
怪人が貪っているのは、チャラチャラとした金髪の男性三人に、いかにも気の弱そうな眼鏡の男性一人。
その構成から死ぬ直前に四人が何をしていたかは明白だが、既に事切れた四人には関係のないことであった。

「仲間が居たと思ったら、下級もいいところね。
 しかもすぐ横に人が集まっているのに、こんなところで人を食う臆病者……」

怪人の背後に、白い服装の少女が現れた。
その傍らには、黒いスーツの大男が少女を守るように立っている。

「レギア……!ティタド ラタダヴィ!」

角の怪人は、この街で使われていない言語で叫び、少女に飛び掛る。
すぐさま黒いスーツの男性は前に飛び出し、角の怪人に手を突き出した。
黒いスーツの男性の手から、バリアのような六角形の障壁が発生し、角の怪人を弾き飛ばす。

「おろかな奴ね。
 良いわ、手駒が多くて困ることはないもの」

白い服装の少女は、倒れた角の怪人に向けて指を指した。

「ターク、ラヴィラタ ラヴィガヴ ヴェモジクラ」

白い服装の少女の目が、角の怪人に向かって、驚異的な威圧感を放った。
角の怪人はまるで雷にでも打たれたかのように硬直し、項垂れた。

「ラシミスデ」

少女がそう言うと、角の怪人は、少女に近づき、跪く。

「とりあえず、坂口のところに行きなさい」

角の怪人は飛び上がり、ビルの壁を蹴って何処かへ立ち去った。

128ロージェンス:2011/09/21(水) 22:06:26 ID:1sJsd2CgO
>>127

「ハァ〜イ、こんばんは」
 路地裏の奥から声がした。
 闇に紛れる姿に汚い鎖を巻き付けた女が場違いなまでの笑顔で白い少女へ向かって歩いてくる。

「どーしたのカナ。もしかして道に迷った?――そんなわけないよね……」

129白い服装の少女&黒いスーツの男:2011/09/21(水) 22:13:56 ID:DvGffmgQ0
>>128
ロージェンスに気づくと、少女はため息をついた。
白い鍔広の帽子を取る。

「こんばんは。
 道ならわかるわ、ご親切にありがとう」

スーツの大男が、向かってくるロージェンスと白い服装の少女の間に入る。

「この辺は物騒だから、直ぐにでも出た方が良いわよ。
 私もそうするつもりだわ」

130ロージェンス:2011/09/21(水) 22:48:08 ID:1sJsd2CgO
>>129

「貴女もその物騒な一員でしょーが。化け物を一言で手懐けるなんて、まるで女王様ね……」
 遮る大男を挟み少女に対する。

「でもあいにくと、私は道に迷ってんのよ。だから“機関”について、何か知っていることを教えてくれると助かるね?」
 “機関”とはカノッサ機関の事だ。
 世に出る事の少ない秘密結社、それゆえに正体すら掴みきれない存在。

131白い服装の少女&黒いスーツの男:2011/09/21(水) 22:59:02 ID:DvGffmgQ0
>>130
「女王様、ね。
 その通り、私の名はクイーン。
 意味は少し違うけれど」

大男の向こうから、少女は言った。

「残念だけれど、機関なんてものは知らないわ。
 なぜ私が知っていると思ったの?」

少女の表情から読み取る限り、少女は本当に機関を知らないと思われる。

132ロージェンス:2011/09/21(水) 23:18:23 ID:1sJsd2CgO
>>131

「特異な力と裏に通じてそうな雰囲気かな、でも思い違いだった。なら、もう用は無い……」
 知らないと分かると態度は一転して、おもむろに背を向ける。

「また何処かで会ったらよろしくねー、女・王・様」
 そして無防備に、もと来た道を奥へと歩いていく。

133白い服装の少女&黒いスーツの男:2011/09/21(水) 23:26:55 ID:DvGffmgQ0
>>132
「何をしにきたのかしら……」

スーツの大男が、少女に耳打ちをする。

「別にわざわざ始末する必要はないわ。
 でも、あちらから向かって来ていたら……」

少女は、帽子の裏側を見る。
帽子の裏には、大量のスズメバチのような蜂がびっしりと張り付いていた。

「行きましょう、エクエス。
 ……まあ、そこまで言うならば機関についても一応調べましょうか」

帽子を被り、ロージェンスとは反対方向に少女は歩いていく。
その少女に、黒いスーツの男は再び耳打ちをするのだった。

134防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/01(土) 22:39:57 ID:WVrfsEdY0
【箱庭・砂漠フィールド】
【そこに学園指定の制服を着て、風呂敷を背負い立つ少女がいる】

「うー、なんか変なところに移動してしまいました…
 …まあどこでもいいでしょう。」
【抱えていた風呂敷を下ろして、中身を漁り始める】

「自分の能力…如何なるものかをよく知っておかないと」
【中身にはおもちゃに見えるものが沢山入っている】

「うーむ、どれがいいのか…」
【けん玉やパチンコやブーメランなど、色々取り出して何かの確認をしている…】
【戦いの訓練をしようとしているようだ】
//からみ待ち。対戦おk。

135テルメス/ニット帽の男:2011/10/01(土) 23:11:30 ID:DvGffmgQ0
>>134
――ザックザック

砂漠を踏みしめる音がする。
見ると、パイロットニットを被った男がなんだかうれしそうな表情で歩いていた。

「何処もかしこも砂砂砂……なかなかいい場所だな。
 ……おっと、人か?」

防人のところに歩いてくる。

136防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/01(土) 23:14:20 ID:WVrfsEdY0
>>135
「うーむ、どれも使い方さえわかれば…」
【見ると少女はいろいろな玩具を持って動きを確認しているようである】

「…おや?」
【足音のする方を振り向いてみる】

「あ、こんにちは。ここで人に鉢合わせるなんて珍しいですね。」
【テルメスの姿を確認すると頭を下げて挨拶した。】

137テルメス/ニット帽の男:2011/10/01(土) 23:22:56 ID:DvGffmgQ0
>>136
「どうも。
 そういうものなの?」

どうやらこの男は箱庭は初めてらしい。

「ちょっと訓練したくなって、適当に目に付いた場所に入ってみたんだけど……」

テルメスにとってはかなり有利なフィールドであるが。

138防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/01(土) 23:26:02 ID:WVrfsEdY0
>>137
「ええ、ここはいうなれば修行場のような所。
 あらゆる場所、あらゆる状況を再現し、いろんなことを行える場所です」
【得意げに説明する鶫。どうやら何度も通っているようだ】

「訓練。ええ、その使い方が主になりますね。
 後、言い方がちょっと悪いですけど…」
【少しためらい気味に返す】

「ここでは結構無茶して戦ったりしても外に出れば治りますから…
 本当に死ぬ気の特訓が出来るっていうのも強みなんだそうです。」

139テルメス/ニット帽の男:2011/10/01(土) 23:31:40 ID:DvGffmgQ0
>>138
「外に出れば治るって事は……ここで筋トレみたいなことしても無駄ってのは本当らしいなあ」

一応前情報はある程度持っているらしい。

「まあそれでも良いか、今忙しいかな。
 俺がどの程度までこの街の人と戦えるか試してみたいんだけど」

道具をいじっている防人の手元を見ながら言った。
要約すると、相手になってくれということだろう。

140防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/01(土) 23:35:41 ID:WVrfsEdY0
>>139
「ええ、まあ。
 でも感覚を覚えることができるので、まるっきり無意味ってわけでもありませんよ。」
【そう言って風呂敷を再び担ぎ上げる】

「なるほどつまり…
 それは私と勝負したいってことですか?」
【少し嬉しそうに見える。実戦はあんまり多くないようだ】

「分かりました。この防人 鶫(さきもり つぐみ)!
 自分の実力を示す意味でも御相手いたしましょう!」
【風呂敷から何かアイテムを取り出して言う】
【見ると其れは刀…に見える。だが見た目から判断して明らかにスポーツチャンバラで使うようなおもちゃである。】
【だがとても自信アリげである。】

141テルメス/ニット帽の男:2011/10/01(土) 23:43:53 ID:DvGffmgQ0
>>140
「悪いな」

そう言ってテルメスは、ポケットから銃を取り出した。
右手にはオートマチック、左手にはリボルバー。
どちらもポケットに収まるかなり小型の、威力は低そうなものだった。

「俺はテルメス、頼むな」

オモチャのような武器でもテルメスは油断する様子はない。
むしろ怪しんで警戒しているようにすら見えた。

142防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/01(土) 23:54:16 ID:WVrfsEdY0
>>141
「いえいえ、来る者拒まずですよ。
 よろしくおねがいしますね。テルメスさん」
【その刀を構えると、ぐっと刃に当たる部分を握って】
「はあぁっ!」
【力を込め始めた。するとその玩具の刀は金色の光に包まれ輝いた。】

「相手が銃でも、負けるつもりはありません!よ!」
【そう言って鶫は地面を勢い良くけった】
【その速さは普通の人間を上回っており、あっと言う間に間合いを詰めていく】

143テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 00:04:40 ID:DvGffmgQ0
>>142
「まだ使い慣れてないけどな。
 今日はこれの練習に来たようなもんだ」

そう言って、落ち着いて左手を突き出す。

「やっぱりただのオモチャじゃないみたいだな!」

身体を狙って引き金を引いた。
鉛玉が、防人に向かって撃ち出される。

144防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 00:11:49 ID:WVrfsEdY0
>>143
「其れの威力…
 どれほどかわかりません…けどっ!」
【打ち出された弾は鶫の脇腹に突き刺さった…】
【かに見えたが】

「うぅ…防御力の検証はよく出来ますが…
 結構痛いですね」
【なんと脇腹にめり込んだように見えた弾は、勢いを失って鶫の足元にころりと転がった】
【制服に弾き返されたように見える。】

「今度はこっちの一撃を、受けなさい!」
【そう言って鶫は、足でひねりを加えつつ勢い良くその剣を振り抜いた。】
【…その威力はまるで本物の剣そのものである。】

145テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 00:26:12 ID:DvGffmgQ0
>>144
「弾かれた……!?」

避けられると思っていたテルメスは驚きの声をあげる。

「くっ!その剣の能力か!?」

――ガギッ!

両手の銃を互い違いに構え、剣をガッチリとロックするように受け止めた。
引き抜くことは出来そうだが、テルメスの力は強く、上下左右には動かせない。

「でも、これで捕まえたぞ!」

突然、2人の足元が渦巻きながら沈み始めた。
渦は自らの意思を持っているかのようにうねり、2人を纏めて飲み込もうとする。
まるで、アリジゴクの巣のように。

146防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 00:32:22 ID:WVrfsEdY0
>>145
「さあ、どうなんでしょうね!」
【剣を振りながら答える】

「く、捕まえられた…!
 何をするつもりなんでしょうね…!」
【少女は剣を抜こうとするが…】
「なんてパワー…このままというのは…」
【びくともしないことに驚きを隠せない…焦りの色が見え始めている】

「この…はなし…」
【突然、鶫の右足の靴が先ほどの剣のように光ると】
「てください!!」
ギュオン!!
【テルメスの脇腹に向けて凄まじい思い切り蹴り上げに行く!】

147テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 00:49:01 ID:DvGffmgQ0
>>146
「見れば解るだろ、生き埋めにさせてもらう!
 俺は砂の中でも生きられるから心中はしないけどな」

流石に引き抜くのを止められるほどの力は出していないらしく、剣は徐々に抜けていく。
そこに、防人の蹴りが迫る。

「なっ!?」

テルメスは両手がふさがっており、それに対応できない。
わき腹に蹴りをまともに食らい、蹴り飛ばされ、流れる砂の壁に叩きつけられる。
しかし、砂の動きは止まる様子を見せず、左の軸足は膝辺りまで飲み込まれそうな勢いで渦巻いていた。
今の蹴りのパワーをジャンプに使えれば抜け出せそうだが、これ以上砂に埋まると脱出は困難担ってくるだろう。

吹き飛ばされたテルメスは、流れる砂に乗りまたすぐに中心部分に戻ってくるだろう。

148防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 00:56:47 ID:WVrfsEdY0
>>147
「冗談じゃないです!
 いくら平気でもそんな嫌なやられ方は簡便です!」
【地面に蟻地獄が渦巻いてるのを見て慌てだしている】

「外へ出るには…グリップ力を!」
【ポケットから手袋をはめて力を込め始める】

「何とか抜け出しに…!」
【蟻地獄の淵を掴んで自分の体を引っ張り出しに行った】
【さすがに抜け出すときには隙が生じてしまう…】

149テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 01:05:28 ID:DvGffmgQ0
>>148
アリジゴクの中心に流され、戻ってきたテルメスは、
自分の身体が沈むのも構わずに銃を構えた。

「そう簡単に……出すかよ!」

そう言って、右手の銃を三回、左手の銃を二回引き金を引く。
計五発の弾丸が防人に向かって飛ぶが、埋まりながら撃った為か、あまり狙いは良くない。

150防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 01:10:49 ID:WVrfsEdY0
>>149
「あいたっ…く!」
【発射された弾は2発外れるが。
 3発はそれぞれ2発足をかすめ、一撃は右肘に直撃した】

「うう…力が入りにくい…
しびれる・・くぅ」
【力がゆるみ、砂地に再び沈もうとするが】

「…でも、負けるわけにはいきま…せん!」
ザシュウン!
【左腕に力を込めて勢い良く外に飛び出した!】

「はぁ…つ、かれ…た。」
【だが、かなり疲労が激しい。呼吸を整えないと戦えそうにない…】

151テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 01:21:22 ID:DvGffmgQ0
>>150
「ちっ、出られたか……!」

防人が脱出したとたん、アリジゴクは動きを止める。
動きを止めたからと言って簡単に出られるものでもないだろうが、
テルメスはゆっくりとではあるが二本足で悠々と登ってきた。

「あんまり疲れてるところを攻撃するのは気が引けるが、戦いだからな」

そのまま銃で止めを刺すつもりか、再びアリジゴクに放り込むつもりか。
じきに防人の所にたどり着くだろう。

152防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 01:24:47 ID:WVrfsEdY0
>>151
「さすがに蟻地獄の主人…
 とめるも…動かすも…自由自在…」
【息が切れそうになりながらも、じっとテルメスに目を向ける事は忘れていない】

「ですが…射撃対決というならこれで…!」
【鶫も風呂敷から鉄砲を取り出した…】
【最もこれもバネで撃ち出すようなおもちゃの銃だ】

「疲れていても…私の能力はまだ使え…ます」
【再び力を込めているのか、強く鉄砲を握っている】
【だが、疲れもあってか思うようにチャージはできていないようだ…】

153テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 01:41:30 ID:DvGffmgQ0
>>152
テルメスは、アリジゴクを上りきると、防人に向けて左手の銃を構えた。

「それは剣じゃなくて、防人鶫、あんたの能力だったのか。
 道具の特性を強化する、って感じか?
 さっきは制服と剣を同時に強化してたな……複数同時もいけるのか?」

防人の周囲を円を描く様に歩きながら言った。
そして、左手の銃の引き金を二回、引く。
確認するように、わざと制服の部分を狙って。

154防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 01:46:29 ID:WVrfsEdY0
>>153
【チャージの最中であるために好きが生じている】
「うぐっ…!」
【制服のスカートと左胸の部分にまた銃弾が直撃する】

コロン…
【銃弾はまた転がり落ちるが】
「さすがに弱みに漬け込む…
 戦いの常套ですけど、やられるとちょっと嫌な気分…ですね。」
【先程よりも衝撃が大きかったのか、バランスを崩して倒れ込んでいる】

「ケホケホ…でも、反撃は痛いです…よ!」
【そう言ってふるえる手でテルメスに狙いをつけ】
ドキュゥン!
【鉄砲の弾を発射した。と言っても素人なので急所を一突きとは行かなそうである。】

155テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 01:57:52 ID:DvGffmgQ0
>>154
当然、解りきっていた攻撃。
テルメスは身を守るように腕を硬く閉じ、銃弾を受け止めた。
銃弾が当たった左腕から流れ出した血が、地面に赤い点をつける。

「確認しただけだ、嫌味な事を言うなよ……」

しかし、テルメスは無駄口を叩くほどの余裕を持っているようだった。

「痛くても、俺を倒さなきゃ意味が無いぞ!」

テルメスは防人に歩み寄りながら、右手の銃の引き金を三回引いた。
三発とも頭を狙って。

156防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 02:07:06 ID:WVrfsEdY0
>>155
「それは…わかってますとも!」
【頭に向けて放たれた銃弾に反応し、どうにか避けようとするが】
「こ、れで!」
【手袋をはめた右腕をつきだして、銃弾をその手に弾を止めさせる】

「…そうですね…この痛みに耐えてこそ…
 其れでこそなせることも…あると!」
【グッと握りしめた右手に力を込める。】
【銃弾が食い込んでいるのか、その右手から血が流れ出す】

「次で…最後っぽいですよ…!」
【そう言うと、右手にコメられていく力がこれまでの比ではなく高まっていく】

「一気に…生きますよ!!」
【テルメスに向けて再び走りだす。】
【その目は凛と、テルメスに向けられている。】

157テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 02:18:09 ID:DvGffmgQ0
>>156
テルメスの持っていた銃の最大段数は、右手の銃が6発、左手の銃が5発。
既に全弾を撃ちつくした両銃を、防人の攻撃を受け止める為、テルメスは投げ出した。
テルメスは拳を硬く握り、全身に力を込める。

「……来い!」

そう叫んだ瞬間、テルメスの全身が、青い鱗に覆われた。
同時に、防人の拳が、テルメスの腹部を捉える。


防人の拳は、テルメスの腹部の装甲を砕いていた。
アリジゴクを模した怪人の姿となった、テルメスの灰色の装甲を。

「……残念だったな。
 後もう一発あれば、俺の身体を貫けたかもしれないのにな」

砕けた装甲が、砂の上にボロボロと落ちる。
テルメスの腹部には、皮を剥がれたような痛々しい赤色の肉が見えていた。
そしてテルメスは、腕についた鋸状の刃を振り上げると、防人に一気に振り下ろした。

158防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 02:24:31 ID:WVrfsEdY0
>>157
「か、隠し玉があるなんて…
 それは聞いてないで…」
【めり込んだ拳の先に見えた真の姿に驚きを覚えている内に】
ズバァン!!
「…!?がぁっ…!」
【右の肩口から左の脇腹にむけて真一文字に刃で切り裂かれ、激しく血が吹き出した】

「あ…ぐああ…うぐっ…あああ…」
【体を抑えこみ、鶫は倒れこんでのたうち回る】
【血の池を広げている姿から見て、闘うことはもはや不可能だろう。】

159テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 02:33:51 ID:DvGffmgQ0
>>158
「隠し玉じゃない。
 アリジゴク系鱗怪人、スケイルテルメス。
 これが俺の真の姿だ。
 ……この姿になるつもりは無かったが、本気でやらなきゃ悪い気がして……な」

その姿のまま、テルメスは防人を見下ろした。

「ログアウト、もしくは降参しないなら、止めを刺す」

闘うことが不可能な状態の防人に、
テルメスは真っ赤に染まった刃を突きつけた。

160防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 02:37:17 ID:WVrfsEdY0
>>159
「はぁ…う…
 も、たた…かえ…ないです…」
【かすれた声を出して、テルメスに声をかける】

「あなた…が…悪の……怪人
 …じゃないならもう…降参…です…」
【そこまで言って荒く息を吐き出した。何か意地のようなものも感じられる言い方だった。】

161テルメス/ニット帽の男:2011/10/02(日) 02:45:40 ID:DvGffmgQ0
>>160
「……心配するなよ、俺は一応この街の住人のつもりだ」

悪かどうかは、自分で決めることは出来なかった。
だから、そう言って刃を引き、人間の姿に戻った。

「訓練に付き合ってくれてありがとな。
 結構濃い訓練が出来たと思う。
 じゃあまた」

そう言って、テルメスはログアウトした。

162防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/10/02(日) 02:48:55 ID:WVrfsEdY0
>>161
「…あん…しんです」
【ほっと一息つくとゆっくり手を下ろした】

「こ、ちら…こそ…
 また…いっしょにあいま…しょう…」
【そう言うと鶫はログアウトをした】
//お疲れ様です・

163名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 20:11:18 ID:SSMHlh/20

「……下水も流れていないから此処から入るのがいいだろう。
 とはいえ、少しいくと下水の本流に出くわす。注意してくれ。」

水道管理局の職員が、フェンスに撒かれた鉄鎖つき南京錠を外し、
集まった捜索隊の面々を奥へと案内する。

そこにあるのは、大雨などの増水時に
増えすぎた水を逃がす際使用される普通のトンネルほどもある排水用水路。
最近は使われていないせいか、下水は無いようだが光源がないため暗く、
特殊なスキルが無い限り、肉眼では奥を見通せない。

もし必要なら、ライト程度の簡単な装備は借りる事ができる。

164炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 20:42:21 ID:YT5zk9K.0
>>163
「……はぁ…」
「なんでこんな依頼受けちゃったんだろう…」

職員に着いて行きながら、小さな声でぼやく炎魔
鼻にはギブスが取り付けられており、左腕もぶらぶらとどこか頼りない
その表情は、エレベーターで嫌いな隣人と出くわした時のそれだ。

―――何を隠そう、炎魔は水が苦手なのだ

「でも、まぁ、やるしかないよね…仕事だし」

今回は下水の中での戦闘ということでライトと長靴、それとカッパを借り、装着している

165防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 20:46:26 ID:WVrfsEdY0
>>163
「修行の一環というべきかなんというか…
 しかし放っては置けませんね」
【背中にいろんなものを風呂敷に包んで抱えた制服の少女が歩いてきた】

「さてさて…怪物退治をやってみましょうかね!」
【ぐっと気合を入れた目で言った】

166ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/08(土) 20:54:43 ID:cvq7FI.w0
>>163
職員の後に続く面々の最後尾から馬で追い掛ける少女。
腰には一本の刀。背中にも一本の大剣があり、同様の物が手綱を掴んでいない左手にももう一本あった。
何れも少女の身の丈を越す程の大きさだが、表情を崩すことなく易々と持っている。

少女の跨る馬が暗闇の中でも真っ直ぐ歩けているのは一対の頭に浮かぶ蒼紅それぞれ12の瞳が妖しく周囲を照らしているからだろう。

167名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 21:05:19 ID:SSMHlh/20
>>164-166

少し進むと、職員が言っていた通り大きな流れに出くわした。
強烈な臭気を発する下水は茶色に濁り、どれほどの深さがあるのか窺い知る事ができない。
流れもそれなりに速く、深い場所に落ちれば流されてしまいそうだ。

幸い、本流の両端には作業員が歩くためのスペースがあり、
いまのところ下水に入らずとも大丈夫だが、戦闘を行なうとなるとそうも言っていられなくなる。

――と、同行していた賞金稼ぎの一人が何かを見つけた。

どうやら、蛇の抜け殻のようだ。かなり大きく、6m以上はある。
それだけではない。得体の知れない蟲の抜け殻、カラカラに乾いた鼠など
多数の死体がその辺に転がっている。

……増水時にここに流れ着き、そのまま残ったのだろうか……。

168炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 21:13:37 ID:YT5zk9K.0
>>167
「くっさ…」

下水道に入って開口一番、強烈な香りに対して悪態をついた
青年の位置は隊列の中央付近―――前後の人間なら、聞き取れるだろう

「―――……これ、って、例の…」

巨大すぎる、蛇の抜け殻
蛇は死ぬまで成長を続けるというが―――果たしてこの主は、どれほどの年月を生きているのだろうか

「…もう最悪……早く帰りたい…」

他にも、乾いたネズミやらなんやらが転がっていて、とても心地の良いものではない
ブツブツと文句ばかりを言いながら、進む
水路の横に作業路があったのは不幸中の幸いだろうか

169防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 21:14:48 ID:WVrfsEdY0
>>167
「うー、酷い臭い…」
【思わず鼻をつまみながら下水道に流れているものを見る】

「…しかしこれほど大きい生き物がいるなら、
 これくらい我慢って事でしょうね…」
【少し不安を感じながらも、下水道の作業スペースを歩いていく】

170ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/08(土) 21:19:50 ID:cvq7FI.w0
>>167
「……」
無言のまま僅かに目を細めた。
しかし、特に思う所は無かったのか視線を外すとそのまま付いていく。

171名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 21:34:28 ID:SSMHlh/20
>>168-170

『しかし妙だ、脱皮にしては……。』

そう、抜け殻を見つけた賞金稼ぎが言うとおりこの吹き溜まりには少し妙な点がある。
増水時に流れ着き、そのまま取り残されたにしては『生物』の抜け殻、および死体しかない点だ。
流木などゴミの一つでも落ちていそうなものだが、それがない。

『ふーむ、偶然……か……?
 まあいい、前に入った奴らはこの蛇にやられたんだろう。』

例の賞金稼ぎが、足で蛇の抜け殻に軽く触れる。
その瞬間であった。

『この様子だと、成長して10m以上に――うぐッ!!!!』

蛇の抜け殻の中から、『黒い液体』が噴出し、
まるで意思を持つかのように賞金稼ぎの男の顔に張り付く。
男は黒い液体を拭い取ろうと顔をかきむしるが、その努力も空しく
『液体』は男の顔を覆い尽くしていく!

172防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 21:39:47 ID:WVrfsEdY0
>>171
「蛇はあんまり得意じゃないです…
 ちょっと心配…お!?」
【突然飛び出してきた黒い物体に動揺してみる】

「大変です!これは払わないといけません!」
【背中の風呂敷から急いでエアスプレーをとりだして】
「力を込めて…どうだ!」
【スプレーに金色の光が収束した後、物体に向けて勢いよく噴射した】
バシュウウウウウ!!
【暴徒撃退以上の破壊力を持ってスプレーが噴射される】

173炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 21:39:52 ID:YT5zk9K.0
>>171
「!?」

―――賞金稼ぎの足が抜け殻に触れた次の瞬間
黒い液体が生命体のように踊りだし、賞金稼ぎの顔面を覆う

「な、なんだこれっ!?」

思わず炎魔も抜け殻から距離をおき、右手から黒い炎を噴出させる
他の同行者のアクションが炎魔よりも遅ければ、炎魔の黒炎は手のように伸び、実態と熱を以って黒い液体を引き剥がそうとするだろう

174柊宇都 綾:2011/10/08(土) 21:45:04 ID:cvq7FI.w0
>>171
「!?」
男が黒い液体に飲まれようとする間、少女はただ黙って見ていた。
理由は単純、自分にはどうする事も出来ないからである。

勢いよく馬から飛び降りる。
それと同時に馬が分離・変形を始め二本の大剣となり、地面に突き刺さる。
着地すると直ぐその二本引き抜き、全員の戦闘へ立ち大剣を構えた。何かあれば盾になるつもりなのだろう。

175名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 21:56:23 ID:SSMHlh/20

『ぐヒぃいいいい!!!?
 おがああ!!だず……!』

二人の攻撃より一瞬早く、例の黒い液体は
鼻と口から、男の体内へと入り込み二人の攻撃をかわす。
体内にもぐりこまれた男は白目を向き、泡を吹き出しながら奇声をあげたが……。

『――ぅべあ。』

男は断末魔と共に、あっけなく果てた。
そして同時に首の肉が腐るように溶け、そこから例の『黒い液体』が顔を出す。

蛇は『脱皮』したのではない。この液体に内部から食われたのだ。
他の動物も、この得体の知れない敵にやられたに違いない。

>>172-173

賞金稼ぎの男を殺した黒い液体は、蛇の抜け殻の中からあふれ出てくる。
ここは、この謎の生物の猟場か、それとも巣か。

ともかく、液体はぶよぶよと胎動しながらゆっくりと床に広がり、
そのまま捜索隊の面々へと近づいてくる!

176防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 22:01:54 ID:WVrfsEdY0
>>175
「な、なんてこと…
 これって…」
【怯えた顔でその黒い液体から遠ざかる】

「と、とにかく何か有効打はあるんでしょうか…
 なにか…」
【とりあえず先ほどから持っていたスプレーを勢いよく噴射した】

177炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 22:03:34 ID:YT5zk9K.0
>>175
「な、何てことを……」

炎魔の炎が伸びるより、スプレーの攻撃より速く、液体は男の体内へ侵入
恐らく、脳を破壊するか血管を溶かすかしたのだろう、賞金稼ぎは呆気なく、蟻が潰される様に息絶えた

「―――なるほど」

どうやらここに転がっていた生物はみな、この液体に喰われたようだ
どういう原理かは知らないが、この液体は確かに生きている

「はっ!」

炎魔の後ろにいた、双大剣の綾は恐らく前衛
ならば自分は一旦下がり、後方から援護するのが妥当かと判断し―――ぐっと身を屈めて>>174が前へ出れる様にする

178柊宇都 綾:2011/10/08(土) 22:15:13 ID:cvq7FI.w0
>>175
「ッ……」
男が絶命した瞬間を目の前で捉える。
僅かに顔を強張らせながら強く噛みしめる事で恐怖に対抗する。

>>176>>177
「水から離れろ……!!」
そう全員に呼び掛けると馬が分離して出来た二本の大剣を交差してかまえる。
右の大剣には紅く、左からは蒼い光が灯り始めそれらが電気の性質を持っている事を示す様にバチバチと吼える。

天井ギリギリまで飛び上がると黒い液体に狙いを定め、二色の電撃を射出した!!

179名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 22:30:11 ID:SSMHlh/20
>>176

スプレーをくらった液体はぶるぶると震えながら、捲れあがり
侵攻が停滞したが、スプレー一つで全てをカバーすることはできない。

うじゅるうじゅると粘り気のある水音を立てながら、
黒い液体はゆっくりと迫ってくる……。

>>176-178(全体攻撃)

電撃は弾ける様な音を立てながら宙を走り、
床を流れる黒い液体を焼いた。

さすがにこれはダメージがあったのか、
電熱によって炎に包まれ、その場でスライム状に固まると
蒼く発光し始め……。

――バリバリッ!!!

なんと、あの液体は綾のものと全く変わらない蒼い雷を放射したではないか!
雷撃は四方八方に発射され、乾燥した死体や抜け殻を焼いていく。
この狭い下水道では、図らずとも全員が標的となる。

180炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 22:33:48 ID:YT5zk9K.0
>>179
スプレーと雷に撃たれ、進行停止或いは固形化したと思われた―――が
未だ全てのスライムに攻撃は行き渡らず、更には電撃を受けたスライムがカウンター攻撃をしかけて来た

「嘘だろ…」

よく分からない生命体に戸惑いつつ、反射的に炎を展開
電撃を放つスライムを抑え込むドーム状に放射し、攻撃を防ぎながら燃やそうとする

181防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 22:42:59 ID:WVrfsEdY0
>>179
「これでは決定打が…
 え?」
>>178の言葉を聞いて】

「あわわ、急ぎます!!」
【大急ぎで水から上がり、電撃を避けた】

「よかった…これで仕留められ…」
【炎に包まれた液体を見てほっと一息ついていると】

「そ、んな!」
【液体から発射される突然の電撃。感覚は常人である以上は、避けられない】
バリバリバリバリ!!
「ぐぁっ…がぁぁぁあアぁあぁあ…!」
【電気の直撃を食らい、苦痛のあまり、体を反らせて激しく絶叫を上げた】
「うぅ…ああああああぁああ!!」
【強烈な電気にその体が固定されたかのようにその場で喰らい続ける…攻撃などしている暇もない。】

182柊宇都 綾:2011/10/08(土) 22:48:45 ID:cvq7FI.w0
>>179
「!!」
攻撃を吸収し、更に反射する液体。
味方に向かった雷を阻む為機械馬の大剣を二本とも液体と集団の間に打ちこんだ。

しかし、此方にも向かう雷。
空中に居る事や武器を手にしていない事から防御しか選択できない。
鋼鉄で覆われれた左腕を前面に押し出し、盾とする。
普段から使う電撃の対策の為鋼鉄の籠手の内側はゴム製になっているのだ。

183名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 23:04:17 ID:SSMHlh/20
>>180-182

電撃を避けきれず、一人の冒険者が直撃を受け倒れる。
同じく電撃を喰らった鶫も、このままでは同じ運命を辿るだろう。

しかし、電撃を発して暴れまわるスライムを炎魔の放った炎の壁が包み込み、
一層激しく、ヤツを燃やした。

ぶちゅ、ぶちゅと音を立てながらスライムは徐々に焼き崩れ
既に電撃の放出も止んだ。やはり生物、炎には勝てないのか。

――ブオォォオッ!!

いや、今度のヤツは体をトマトの如く真っ赤に染め
体表に空いた穴から、ドラゴンやワイバーンのブレスのような火炎と、
燃えた自分の肉体をそのまま、とばす火炎弾とを周囲にばら撒き始める!

どうやらこの敵は周囲の環境に合わせ、行動を変化させるらしい。

184炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 23:10:30 ID:YT5zk9K.0
>>181
「―――マズイッ」

スライムから放たれた電撃が、防人の体を穿つ
炎魔の炎で電撃は止んだが―――次は炎を噴出し始めていた

このままではアブナイと判断、防人の元へと走り出す
炎魔の体は炎に強い。多少のダメージを受けようともその体を張って防人を守ろうとするだろう

「ちっ…どうすればっ…」

とりあえず、炎を槍触手状にして炎スライムへ伸ばす
熱で無理なら打撃で、と考えたのだ
実態を持つ炎は、鋼鉄並みの硬度を誇る

185柊宇都 綾:2011/10/08(土) 23:21:38 ID:cvq7FI.w0
>>183
周囲に炎を放つ謎の液体。
雷の代わりに跳び込んできた炎を防ぐ籠手の影から強く睨む。
が、それだけでどうする事もしない。いや、どうする事もできないでいた。
電撃が効かない以上、斬撃しか他の攻撃手段が無く、それもリスクが高い上に有効では無いと思われる以上、完全に手が出せない状態になっていた。

――故に。

>>184
「僕が、護る……!」
空中で背中の二刀を引き抜き、着地と同時に味方の元へと駆ける。
再び最前列に立ち刃を交差させて前面で構える。盾になるつもりの様だ。

186防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 23:24:00 ID:WVrfsEdY0
>>183
「あぁっ…!!う!っく…あぁ…」
【電撃がやむと同時に崩れるように後ろに倒れ、下水道の側面に体を預ける姿勢になった】
「…はぁ…はぁ…ぅ…」
【体を時折痙攣させながら、荒い呼吸を繰り返す。身動きとることもできなそうだ】

「…い…やぁ…」
【涙を浮かべながら目の前に襲いくる炎を見るしかない】

【だが…】

>>184-185
「…!あぁ…あな…た…た…」
【突然割り込んできた炎魔と綾を見て、再び顔を上げた】

「あ…しで…まと…なって…すいま…ぁ」
【電気がまだ抜けないのか、呂律の回らない喋り方で謝罪の言葉を言う。】

187名も無き異能都市住民:2011/10/08(土) 23:38:07 ID:SSMHlh/20
>>184

槍状に伸びる炎がスライムを穿つ。
しかし、元々が液体であるヤツは体に穴が開けられようと、
溶け出した液体がすぐにその穴を塞いでしまう。

打撃はあまり効果が無いようだ……。


>>185-186

例の怪生物は炎と燃え盛る肉片を吐き散らしつつ、暴れまわっている。
そんな中最前線に立った綾が標的にならないはずは無く、
例の肉片火炎弾が3発、綾へと正確に狙いをつけて発射された。

鶫周辺はしばらく安全だろうが、アレ本体をどうにかしてしまわない限り根本的な問題は解決しない。

188炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/08(土) 23:42:09 ID:YT5zk9K.0
>>185
「―――…っ…お願いします」

とりあえずのスライムの処理は、綾に任せておいた方が無難であろう
炎魔にとって近接戦は不慣れであったし、敵は正体不明の生命体だ

>>186
「大丈夫、大丈夫です」

未だ痙攣の残る鶇の肩を撫で、務めて優しく声をかける
そして更に炎を噴出。背中に黒炎の翼を生やし、追撃と不意打ちに備える

と、同時にスライムへの推測を立て始めた

>>187
やはり、炎を纏おうとスライムはスライムであるようだ
槍は虚しく地面を穿ち、勢い余って四散した

(どうする…水の中にぶち込めばいいのか…?)
(いや、また水を吸収して元に戻るだけだ…ちくしょう、なんてポンコツ脳…っ)

青年は歯をかみしめながら、綾とスライムの対決を―――炎の腕、それも4~5mほどの物を生やして、待機する

189柊宇都 綾:2011/10/08(土) 23:55:44 ID:cvq7FI.w0
>>186
「構わない……僕も、護る事しか、できない……」
顔は正面、視線はスライムへ向けたまま喋る。
少女の身長を越え2m以上もあるだろう大剣二本からなる防壁は頼りやすく、其れなりには安心できるだろう。

>>187>>188
「……」
炎魔にも顔を向ける事も無く、更には喋る事も無く、ただ頷く。
スライムから放たれた火炎を弾く度に少女の顔が僅かに動く。

「……これを、使え。何かの役には立つ、筈だ」
首を動かしたと思うと視線を自らの腰の部分へと向ける。
同じ個所に視線を注いでみれば炎を弾く度に生まれる光を反射して光る何かが在るのに気付くはずだ。
そして、その視線は自分で取れと言っている。
全体が一枚の板で造られたメスの様なナイフが大量に衣服の下に隠されていた。

190防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/08(土) 23:58:37 ID:WVrfsEdY0
>>187
「…こ、のまま…いら…れ…な…い」
【鶫はその戦いを見て、痙攣する手で風呂敷から何かを取り出す】

「…これは・・・まね…できないで…しょうね」
【持っていたのはおもちゃの銃。それを震える手で両手に持ち、力を込める】

【鶫から流れたエネルギーは、その銃に向けて勢いよく流れ込む。力をためている最中のようだ。】

>>188
「…ちょっと…ゆっくり
 …ですけど…協力…します…」
【少しずつ感覚を取り戻しているのか、姿勢を軽く正している。
 それでも電流をまともに食らったことによる体力の消耗は激しいのか、まともに立ち上がれてはいない。】

【鶫は一応攻撃を行うつもりのようだ。】

>>189
「それだけ…というわけには・・・」
【どうやら力をためている最中のようだ】

「…なるべく…早くします」
【攻撃の準備を少しずつであるが整えつつあるようだ】

191名も無き異能都市住民:2011/10/09(日) 00:10:39 ID:SSMHlh/20
>>188

依然として炎を吐き散らしながら暴れるスライムであるが、
炎自体に耐性があるわけではないらしく、先ほどよりもだいぶ焼き焦げが目立ってきた。
あの生物は自らの弱点を突かれるのを嫌い、弱点に相手の能力をコピーするという長所を
同化させることを選んだ。

しかし、この長所にはもう一つ弱点がある。

>>189

――ぐじゅ。

炎に包まれた肉片は弾かれようとも、
その一部が剣にこびり付き、そのまま這いずって綾の手へと取り付こうとしている。

恐るべき生命力を生かした攻撃だ。

>>190

鶫は炎魔と綾に守られているため、
この場所まで敵の攻撃は届かない。

準備の時間は十分にある。

192炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 00:17:23 ID:YT5zk9K.0
>>189
「―――…ありがとうございます」

綾の首が示した部分には、輝く凶器―――メスのような刃が伺えた
防衛中の綾の意図は読み取った。炎魔の脇腹から生える4本の炎の腕が伸び、ナイフを4本の拝借、それぞれの腕がしっかりと握り構える

6本の腕と一対の翼。
これが今の炎魔にできる最強の戦闘態勢だ

>>190
「―――ゆっくりで大丈夫です。無理は、しないでください」

いつなになく真剣な表情でこう言うと、鶇は回復に向かいつつあると判断。
立ち上がって、スライムの出方を伺った―――

>>191
―――先ほどから永遠と炎を散らし続けるスライム
しかしその体をよく見てみると、確実に傷を負っているようである
つまり、能力はコピーできても耐性は手に入らない、ということらしい

「もしかして…他の能力で攻撃すれば……?」

最初にコピーされたらしい雷の攻撃は、もう放たれていない
真似できる能力がひとつであると過程すれば―――違う能力で攻撃すれば、対処できるかもしれない

>>191
「あの、準備ができたら―――言ってください」

推測のみで行動するのは危険ではあったが、他に手が思いつかなかった
鶇の方を向いて微笑みながら、お願い。

193柊宇都 綾:2011/10/09(日) 00:27:38 ID:cvq7FI.w0
>>190
「……」
少女の返答は無い。
早く準備をしろ。と言う事なのだろう。

>>191
左手には籠手があるが、右手は簡素な布製のカバーで覆っているのみ。
徐々に近づきつつある其れに対抗する手段は無い。
暴れて外せるというのならそうするのだが、それも確実では無く、
今の少女は大勢の人間の盾にもなっていて更に奥には何かの準備をしていると言う少女も居る。
この防壁を取り除くという選択肢は少女には無かった。

>>192
矢張り喋る事無く小さく頷くのみ。
しっかりと防壁は立っている。何も無ければまだ持つだろう。

194防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/09(日) 00:30:06 ID:WVrfsEdY0
※ちょっとレス番変わります
>>192
「なにか…強烈なやつをくれて…やれば…」
【そういって鶫は力を拳銃にためていく】

「…きに…なさらず…何とか…なりま…す…」
【少し意識がもうろうとしているかのようだ。
 だが、声ははっきりとし始めている。】

「ええ…準備できたらいつでも…」

>>193
「わかりました…その・・・もうちょい…」
【理解したのか。少し頭を下げて返した】

>>191
「…思い知らせて…やります…」
【そういうと持っていた銃が金色に輝き始めた】

「お二人とも…準備できました…!」
>>192-193の二人に向けて、少し弱弱しいが大きな声で返した】

195名も無き異能都市住民:2011/10/09(日) 00:37:43 ID:SSMHlh/20
>>192-194

救出隊の面々の攻撃の手が緩まる。
スライムはこの機を逃さじとばかりに、鈍い水音を響かせながらからだを上下にうねらせると
大量の触腕を長く伸ばして、一挙に救出隊を包み込もうとする。

既に炎によってかなりのダメージを受けているためか、
伸びる途中にちぎれ、そのままのたうち消えるような有様だが
太く、しっかりとした触腕もいくつかありあなどれない。

>>193

スライムの肉片は布地に染み込み、
そのまま綾の右腕へとまとわりついた。

その瞬間、鋭い痛みが綾を襲うだろう。
どうやらこの生物は全身が消化液のようになっているらしい。
痛みを残しながらうじゅうじゅと向かう先は、『爪の中』だ。

とにかく、何処かにもぐりこもうとしているのか。

196炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 00:43:38 ID:YT5zk9K.0
>>193
ただ、黙って、ひたすら生命体からの攻撃を防ぎ続ける綾
前衛として、防壁として、これほど頼もしいものはない

しかし炎+スライムによる攻撃は不規則且つ粘着質だ
早く、早くとどめを刺さなければ―――

>>194
「よしっ!!」

鶇の声を聞き、未だ座ったままの鶇の後ろへ下がり―――更に炎を前方に展開する…準備を始めた

>>193
「下がってください!」

炎魔は剣士に声ををかける
彼女の身体能力ならば恐らく、4~5歩で炎魔の横かそれより後ろまで到着できる距離であろう
そして、綾が下がったならば、黒炎を通路に、半径1.4mほどのトンネル上に展開。スライムの逃げ場を塞ごうとするだろう

>>195
「邪魔は―――させないっ」

攻撃が緩まった隙をついて、スライムから大量の触手が発生、炎を纏って襲いかかって来る
炎魔は黒炎の腕と翼をめいっぱい伸ばし、硬化した翼と高温の炎腕、それとナイフを使って触手を切り落とし、或いは焼き切ろうとするだろう。

197柊宇都 綾:2011/10/09(日) 00:53:16 ID:cvq7FI.w0
>>194
「できた、かッ……!」
右手に侵入したスライム片の痛みに耐えながら苦しみで紛れた声を出す。
遂には右手を離し左手の大剣のみとなってしまう防壁。

「……頼んだぞ……!」

>>195>>196
「っ、あぁ……!」
剣を手放した右手を大きく振って痛みから逃れようとする。
しかしそれでも収まらずに炎魔の合図があるとほぼ同時に後方へ逃げる様に退いていく。

「ロウリッド……焼け!」
―――キイイィィ……。
壁として地面に刺されていた蒼紅一対の大剣が浮かび始める。
そのまま空中で合体を果たし馬の形となる。
全身に雷を滾らせたと思うと、その途端綾の元目掛けてスライムを踏み倒しつつ走り始めた。
綾が差し出した右手を擦れ違う様に通過し、雷で右手を焼き、スライムの排除に掛った!

通り過ぎても暫くは知り、後方でターンぢて少女の元へ帰ってくる。

198防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/09(日) 00:56:32 ID:WVrfsEdY0
//またレス番変わります
>>196
「いき・・・ますよ・・・」
【力をためた銃を生命体に向けた】

>>197
「おまたせして…すいません…
 こっから…全力です。」
【そういって視線を生命体へと向ける】

>>195
「それいじょうは・・・許すわけにはいきません…!!」
【その生命体に向けた力は、生命力そのもの。
 それはさすがに吸うことはできないと判断したのだろう】

「…くらええ!!」
【両手に持って引き金を引く】

ドガァァァァン!!
【光線のごとき勢いで弾が発射され、その生命体に向けて勢いよく迫る。】
【着弾した時の威力は通常の弾の比ではない代物のちからが炸裂するだろう】

199名も無き異能都市住民:2011/10/09(日) 01:11:23 ID:SSMHlh/20
>>196-198

炎魔による、炎を纏った攻撃が触手を燃え上がらせる。
スライムも目一杯のばした触腕中から一層、激しく炎を吐き抵抗しようとするが。
間髪いれず、『ロウリッド』と呼ばれた馬の撒き散らす雷がスライムの体を打ち据える。

途端、スライムは動きを止めた。
赤くなって炎を少し吐き出したかと思えば、黄色くなり放電を行なおうとして。
めまぐるしく変わる色、そして能力。

最終的に、土気色に変化したスライムは、粘液を垂れ流すのみ。
炎魔の推測は正しく、ヤツは一つの能力しかコピーできないのだ。
ほぼ同時に二つ以上の能力下に置かれると、混乱して硬直してしまう。

そこへ――。

鶫の放った弾丸はスライムを確かに捉え、
生命力をその体の縦横に走り、致命的なダメージを与え……。
スライムは、最後に灰色に体色を変えると荒い粉末状になり、その場に崩れた。

200炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 01:18:01 ID:YT5zk9K.0
>>ALL
「やった…か?」

スライムはめまぐるしく色を変えた、かと思えば動きを止め
最後には鶇の銃でタダの粉と化した
久しぶりの、強敵との戦闘であった…

―――炎魔はその光景を見届けると、湿った床に倒れた

「もう無理……」

炎の翼に炎の腕、ついでにドームまで展開して、炎魔の体力は限界を迎えていた
同時に緊張が解けたのも原因かもしれないが、情けないことにもう動けない。何より、濡れた床に触れたことで一気に脱力してしまった

「皆さん、お疲れ様でした……」

へなへなになった体だが、顔と内臓と脳はまだ動く
自分の情けなさに自嘲し、皆に労いの笑みを向け、一応休息を取ることにした

201防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/10/09(日) 01:20:23 ID:WVrfsEdY0
>>199
「が…っはぁ…!」
【反動で後ろに吹き飛んだ鶫は、下水管の側面に背中をたたきつけられた】

「はぁ…はぁ…チェック…で…す…ね…」
【壁に体を預けて、ゆっくりとその場に座り込んだ】

「……もう、ちからが…でません…」
【へたり込んだ姿勢で、今にも倒れそうな状態だ。】

「…なんか、足がさっきの電撃で…どこかの筋肉が焼切れたみたいで…
 たてません…回収…手間を…かけます…」
【そういうとその場に頭を垂れて、意識を失った。】

202柊宇都 綾:2011/10/09(日) 01:25:56 ID:cvq7FI.w0
>>199
粉末化し宙を舞うスライムを見て終わりを悟る。

「これで、終いか……ッ」
溜め息を吐くと大剣を背中に直すと左手で右手の甲を覆う。
走る痛みに目を強く閉じて耐える。

>>200>>201
「フッ……お疲れ様、だ」
そう言うと僅かに顔を綻ばせた。

203炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 01:34:40 ID:YT5zk9K.0
>>201
>>202
「ごめんなさい…僕も全然、動けません…」

どうやら今動けるのは綾だけのようだ
が、流石に手負いのまま二人を運ぶのは無理があるだろう

―――かといって、炎魔に良い案があるわけではないのだが

「あの、剣士の方…」
「先に外へ行って、救助を呼んでもらっていいですか…?」

戦闘の貢献者にこんなこと頼むのも気が引けたが、一切体が動かなくなってしまったのだ―――割り切るしか、なかった

204柊宇都 綾:2011/10/09(日) 01:47:03 ID:cvq7FI.w0
>>203
「……フン」
何を思ったのか出口の方で無く炎魔の方向へ向かって歩いていく。
それに従って付いていく機械の馬。

炎魔に近付くとしゃがみ込んで左手を伸ばし、軽々と掴み上げてしまった。
右手を気にして痛そうな顔をしては居るが炎魔を運ぶのが重い訳ではないらしい表情。
そのまま馬の背中に掛ける様に置くと、次は鶫の方へあるいていく。

>>201
やはり同じように左手で掴み上げると彼女は左肩に掛けられた。

二人を掴み終え辺りを見渡し、忘れものに気付く。右手に持っていた大剣。
炎魔と鶫の顔を見て、小さく溜め息をつくと大剣は拾わず出口へ歩いて行った。

205炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 09:10:08 ID:YT5zk9K.0
>>204
「あぅ」

決して軽いとは言えない炎魔が、綾の片手によってひょいと持ち上げられ―――担がれた
やはり間の抜けた声。特に抵抗もなくおとなしく運ばれていく

「…ごめんなさい。何から何まで…」

申し訳なさMAXの炎魔はぐでぇっとしたままはぁとため息をついたのであった。

206柊宇都 綾:2011/10/09(日) 21:38:45 ID:cvq7FI.w0
>>205
「……ただの、序だ……」
こうして馬の背に炎魔を、左肩には鶫を乗せて出口へと歩いていく。

そういえば、少女は先程炎魔を持ちあげた際に一切の表情の崩れを見せなかった。
――左腕には腕全体を覆う様に付けられた鋼鉄製の籠手。
――衣服はどちらかと言えば軽く、薄めな方だが背中には大剣を差し、腰には刀を下げている。
――戦闘中も最大4本の大剣をまるで棒きれのように軽々と操っていた。
彼女を見るかぎり、元々表情の変化に乏しいのだろうが、やはり腕力は異常であると推測できる。

207炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 21:48:31 ID:YT5zk9K.0
>>206
「…じょ?」

言葉の意味が伝わらず、間抜けな声で聞き返してしまった
馬の足踏みに呼応して脱力した炎魔の体も僅かに跳ねる

「それにしても…すっごい力持ちですねぇ」

こんなこと、女の子に言うことではないかもしれないが―――炎魔は素直に感心してしまっていた
盾となりうる程の大剣を棒切れのように振り回す腕力≪パワー≫。能力(?)や変形をフル活用した巧みな戦闘能力≪センス≫。そして何より、自らを壁とし仲間―――それも一時の、仮の味方を全てをかけて守らんとする精神力≪メンタル≫
何もかも炎魔に欠け、そして欲しているものであった

208柊宇都 綾:2011/10/09(日) 21:54:33 ID:cvq7FI.w0
>>207
「……?」
※ついで、です。

「そうだな……数年前からこの有様だ」
左腕を前に出し、手を握る。
その度に鋼鉄が擦れ合って重圧な音が響く。

尚、訂正しておくがこの子に強固なメンタル何て無い。豆腐も良い処である。

209炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 22:13:25 ID:YT5zk9K.0
>>208
恥ずかしい。恥ずかしすぎる※中の人が
うん、こんなくだり無かった。無かったぞ!

「―――……」

少女の放つ雰囲気は、どことなく重く透明さを感じさせた
炎魔はなんとなく喋りづらくなって、金属音を放つ左腕の籠手に目を遣る
義手?ではなさそうだが―――見た感じ高価そうだ

「…ん、しょ。」

ぐっ、と腕に力をいれ、馬の上で起き上がろうとする炎魔
残った体力でなんとか作った炎の膜で水が乾き、力が戻りはじめたのだ

成功すれば、自力で歩くべく作業路へ降り立つだろう

210柊宇都 綾:2011/10/09(日) 22:29:20 ID:cvq7FI.w0
>>209
//変な変換してしまって申し訳ない……っ。

――見た感じ高価そう。
炎魔が感じたふとした印象、もしかしたら間違いないのかもしれない。
二人の視線が同時に注がれている籠手は中々珍しい形をしていた。
大きめの鋼鉄板が何枚も折り重なって、まるで竜の手脚の様な造りとなっている。
その板一枚一枚も黒く縁どられていたり、エングレーブが入っていたりする。恐らく、特注品。

思い返してみれば、炎魔に渡されたカード状のナイフも用途に似合わず装飾が入っていた。

「大丈夫……?」
起き上がろうとする姿に籠手から視線を外し、心配する様な言葉を投げかける。

211炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 22:46:14 ID:YT5zk9K.0
>>210
/大丈夫ですよんb

「えぇ、大丈夫です」

ぴちゃ、と水が跳ねる音と共に着地
足元がフラつきバランスを崩しそうになるが、壁に手をついて耐える

「あ、そうだ―――これ」

それから思い出したようにポケットから、黒炎に包まれたナイフを取り出した
べ、別に描写忘れてたわけじゃ以下省略

「お返しします…ありがとうございました」

スライム触手を切り裂いた際の体液は既に蒸発していて、ほぼ元のままの状態となっている
それを炎の袋から取り出し、綾に差し出した

212柊宇都 綾:2011/10/09(日) 23:00:38 ID:cvq7FI.w0
>>211
「なら、良いが……」
炎魔が無事に降りれたのを確認すると少し下向きに前を向く。
水の上に様々な物が漂っており、水も張ってある事から決して足場が良いとは言えないからだろう。

「ん……それか」
始めは受け取ろうとする素振りを見せ、右手を伸ばそうとする。
しかし、伸びきって受け取る前に止まってしまうと、
「いや、良い……欲しければ、貰っておけ」
と言って右手を引っ込め、炎魔から隠れる様な位置に右手を移してしまった。

213炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/09(日) 23:11:50 ID:YT5zk9K.0
>>212
炎魔は極端に水が苦手であるが―――その対策も(特に脚部は)万全であった
よって脚が濡れることは決して無かったが、足場が悪すぎる
転ばぬよう、崩れぬよう、細心の注意を払って進む。

「えっ…いいんですか!?」

これはまさかの反応、驚きと喜びを声と表情でめいっぱい表現する
純粋にありがたい。その斬新なデザインがかっこいい事からこのナイフを気に入っていたのだが―――まさか頂けるとは

「ありがとうございます…大事に使わせてもらいますね」

先ほどまでのグータラ感はどこへやら、急に元気になった


―――そろそろ、出口が見えてくるだろう。

214柊宇都 綾:2011/10/09(日) 23:24:03 ID:cvq7FI.w0
>>213
「フッ……構わない」
今、微かに鼻で笑ったぞ。
表情に乏しいのだが、何処かプライドが高いというか、
率直に言うと接しにくい。そう言う人間の様だ。

素直に喜ぶその様子を見て小さく溜め息を吐き。
「子どもだな……」
独り言のように。

出口が見えてくると、思い出した様に、あ。と声を上げ。
「そういえば……迎えを、呼ぶつもりだったのだろう……?」
お前には必要なさそうだが。と続けて左肩に乗った少女を右手で指さした。

215炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/10(月) 19:58:49 ID:ksbu5jEo0
>>214
「む、聞こえてますよ」
「よく言われますけどね。」

少女の呟きは、水音と足音に紛れながらも、確かに聞こえていた
ちょっぴりむっとした声色だが、特に苛立ちなどはなく。

「えぇ…とりあえず警察に連絡しておきますか?」
「―――……ぁ、携帯落とした」

迎えを呼ぶ対象などは、考えていなかったらしい
こういう時にかけるのは警察か、救急か―――そう考えてポケットに手を突っ込むが、手応えがなく小さく呟いた


「えっ…と、どうしましょう」

結局、他力本願らしい
へへへと情けない笑みを浮かべながら、少女へ振る

216柊宇都 綾:2011/10/10(月) 23:19:35 ID:cvq7FI.w0
>>215
「……僕は知らないな」
斬り捨てるかの様にただ一言。
その後は無言が数秒続き。

「……僕は自分で帰れる」
肩の上の少女を気にする素振りを見せるが、如何にか出来る訳でも無く溜め息を吐く。

217炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/11(火) 20:52:55 ID:AXGtu3.60
>>216
「そ、そうですか―――なら」
「…その子は僕が病院まで連れて行きましょう」

ざっくりと斬り捨てられ、困惑の表情でこう提案した
正直炎魔もかなり疲労していたが、これ以上綾に迷惑をかけるのは控えたいと考えたのだった


「―――随分久しぶりに外に出たような気がします…」

と、ここで下水路の出口に差し掛かる
悪臭に鼻が慣れてしまったせいか、外の空気がやけにクリアに感じる

218柊宇都 綾:2011/10/13(木) 16:27:42 ID:cvq7FI.w0
>>217
「……お前、連れて行けるのか?」
少女より炎魔の負傷の方が多い事は誰が見ても解る。
それを理解していくらしく、

「纏めて送る……乗れ」
と双頭の機械の馬――先程まで炎魔を担いでいた物――に跨ると手を差し伸べた。
それぞれの頭に付けられた蒼紅12ずつの瞳が光る。

219名も無き異能都市住民:2011/10/13(木) 20:06:39 ID:oSl1Arl20
>>218
「ぅ。。。」

―――綾の言葉に、思わずうっと呻く
炎魔が病院まで、歩いて一人で鶇を連れて行くのは、多少というかかなり無理がある

「…ありがとうございます」

と、いうことで
炎魔は大人しく送ってもらうことにした

綾の手を取り、馬に跨った

220柊宇都 綾:2011/10/13(木) 20:35:00 ID:cvq7FI.w0
>>219
グッ。と強く退きこむ際に普段は変化に乏しい表情が揺らぐ。
炎魔と取りあった右手のその甲は軽く炙られた風な傷を持っていて、血が滲んでいた。
「怪我したくなければ、確りと捕まるんだな」
今まで左手に持っていた大剣を背中に預け、
鶫を右手で持つと左手で手綱を持つ。

手綱を勢いよく引く。
一際強い駆動音と足元から駆ける蒼紅二色の電光。
「――行くぞ」
前足を跳ね上げ機械の馬が反り返る。
それを合図に後ろ足から跳ね飛んで全速力で駆けだした!

221炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/13(木) 21:49:26 ID:YT5zk9K.0
>>220
常に人の顔色を伺っている炎魔は、綾の僅かな表情の変化を見逃さなかった
ほんの少し、影の射す綾の顔―――あぁ、しまったと、謝ろうとするが

「え?あ、はい……うわっ!?」

綾の声と共に馬が反り返り、そして走り出す。
こんなにも強烈な慣性を感じたのは初めてかもしれない―――炎魔は唐突な出来事に思わず、手綱を握る綾の胴にしがみついた

「~~~~」

乗馬経験は、ない
尻から伝わる振動が痛くて、駆け抜けるスピードが速くて、目を瞑って必死に綾にしがみつく。

222柊宇都 綾:2011/10/13(木) 22:09:54 ID:cvq7FI.w0
>>221
「直ぐにつく」
街中を駆ける雷光。
視た事のある景色やそうで無い場所も一纏めにして進む。

噴水のある広場を過ぎて商業区を通る。
やがて見えてくる一際巨大な建物――千夜病院である。

「――着いた」

223炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/13(木) 22:16:40 ID:YT5zk9K.0
>>222
「はぁ…ひぃ…ふぅ……」

乗っていただけなのに、やたらと息を荒げる炎魔
着いたぞという声で目を開き、馬からややフラつく足取りで降りる

「ありがとう、ございました」

しかし次のシーンには既にしゃんと気をつけをして、一礼
そして、鶇を受け取るべく両手を差し出した―――

224柊宇都 綾:2011/10/13(木) 22:27:14 ID:cvq7FI.w0
>>223
「気を、付けろ……」
右手で持っていた少女を炎魔に渡す。
渡す際にも、右腕に負荷が生じたのか顔を歪める。

「……それじゃあ、僕は……」
そういうと手綱を引く。
それに反応して馬がクルリを踵を返し、去って行ってしまった。

225炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/13(木) 22:35:32 ID:YT5zk9K.0
>>224
「…はい」
「あの、貴女も無理しないで―――……行っちゃった」

やはり、右腕に負傷しているらしい
病院へ行くことを進めようとしたが、既に綾と双頭馬は走り出していた

「―――……よっ…と」

炎魔は低温の炎の腕で鶇の体を支えながら、病院内へと入っていった

226炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/15(土) 10:43:47 ID:YT5zk9K.0
日常α>>243
「―――……はい」

集中。集中。
炎魔は合わせた手のひらを徐々に開いて行き、その間に黒い炎の球体を創成し始めた
遠距離用の、炎弾である

「―――」

そしてそれを、至近距離から放つ。
炎弾の大きさは大く開いた掌ほど。速度は常人でも容易に見切れる程度である…が
硬度は低く、温度は高い―――


//大丈夫ですよー
//お待ちしておりますね

227エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 21:15:00 ID:xm/dFKGs0
>>226
「今日の剣術は……そうだな、彼のを使わせて貰うとしよう」

剣を右手で逆手に持ち、左手を空にする。
左に風の魔素を集中させ、術式を起こし易く。
準備が終わった頃に、炎の弾丸。

「返しの型・一、対辺」

飛んでくる炎に対し直線に走り、直前で剣に炎が滑るように振るう。
瞬間、炎の進行方向を逆転させるように左の風の拳を打ち込む!

「ハッ――……」

含んだ風の魔素の総量は数値にして50000。
その内の2500、一気に放てば車すら吹き飛ばす量の風の魔素を炎に打ち込む!
炎のエネルギー総量が勝てば炎は相手に返す事ができるができなければ左手が焦げる。
熱量に怯む必要は無い、マグマよりは冷たいのだから。

228炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/15(土) 21:24:58 ID:YT5zk9K.0
>>227
風を纏った男の拳は、呆気なく炎の弾丸を弾き返す
既に操作の権限を失っている黒炎弾は主に向かい一直線。その頭を捉え、火の粉を散らしながら弾けた。

「―――火の玉は効かない、と」

しかし、炎魔の顔には傷一つない
身体から炎を発生させる能力柄、炎への耐性はかなりのものである

(…なら、立体攻撃で…!)

息を大く吸い込みながら、バックステップで距離を取ろうとする
このままアンチ行動が入らなければ、口から莫大な量の炎を吐き出すだろう
温度は300°程度。硬度はティッシュのそれだ

229エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 21:30:59 ID:xm/dFKGs0
>>228
「吹き荒ぶは突風の槌!」

突き出した拳に短縮詠唱術式の句を宣言し、術式を展開。
使用魔素1500し、前方の相手に放つ!

「エアライドスロア!」

相手に向かい透明な風の鉄球が飛来する!
速度は人の走る程度だが、威力は少ない。
しかし、衝撃によるバランス崩しには効果はある!
距離的に着弾までは4秒を要すだろう。間に合うか?

230炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/15(土) 21:39:04 ID:YT5zk9K.0
>>229
突き出された拳が引かれずに、そのままになっているのに不信感を覚える―――が、追撃は来ていない、と勘違いし炎を吐き出そうとする

「―――ぶふっ…!」

しかし、その直前に風玉が隙だらけの鳩尾へ
当然火炎放射器は中断され、膝をついて胸を抑える

だが、このまま隙を晒す訳にも行かない
鳩尾独特の痛みを堪えながら、6本の腕を操作。小型の炎弾を生み出し、打ち出さんとする
狙いは僅かな時間稼ぎであるため、全体の性能は低い。

231エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 21:49:02 ID:xm/dFKGs0
>>230
「時間稼ぎをするくらいならば、近接対応をするべきではないかな?」

撃ちだされるだろう炎を警戒する事も無く私は相手へと接近しようと、
地面を蹴って相手へと飛び出す。

「飛刃砕牙!」

逆手の剣を間合いの離れている相手へと振るう。
空気の点を叩き、相手へと衝撃を放つ飛の太刀。
斬撃は無いが、叩かれるような痛みはある。
着弾まで予測3秒。妨害が来るのなら威力減退、最悪相殺されるだろう。
さて、間に合うか…?

232炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/15(土) 21:54:59 ID:YT5zk9K.0
>>231
「―――っ(衝撃波かっ!)」

男が走り出し、虚空を切り裂く斬撃を放つ
間合いは、かなりある。それでも力の篭った切撃を放つということは―――即ち、遠距離攻撃の予兆

炎魔は狙いを急遽変更
目の前の空間に炎弾を全て放ち、次いで六本の腕でガードの体勢を取る
幸いだったのは、距離があったということと、能力が思考と同時に動くということだろう

衝撃波は多少威力が落ちたものの、腕を破砕するには充分な破壊力を持っていた
2本、炎の腕を貫き、そこで消滅

炎魔は更なる追撃に備え、立ち上がろうとする

233エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 22:07:24 ID:xm/dFKGs0
>>232
「残念、上だ」

見ると彼は相手の上空に飛び出していた。
さっきの一撃に相手が気を取られている間に二の蹴りだしで飛んだのだ。

「紡ぐは風の緊縛、呪われし暗黒の鎖!」

左の風の魔素に宣言し、術式を起動させる。
発動するは黒い色をした鎖。
左手から放たれたそれは相手を捕らえようと蛇のように迫る!
相手に当たれば確実に動きを止められる。しかし命中までは3秒は要する。

「そして!落下流水の大太刀!」

見れば右の逆手に構えた黒い剣が水色の刀身を纏っていた。
大きさはエドワードと同じくらいはある。恐らくは彼の大技であろう。
鎖で捕らえられればあの一撃も貰ってしまうだろう。
離脱するには彼に反撃を浴びせるか、鎖は相手を追わないようであるため、
鎖を避ける事ができるならば可能だが……?

234炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/15(土) 22:28:05 ID:YT5zk9K.0
>>233
ややフラつく足取りで立ち上がり、前を見る―――しかしそこに男の姿はない
どこだ…?と呟き左右を見るが、見つからない

声に気づき上を見れば、そこには既に眼前にまで近づいている黒い鎖があった

「ぐっ……ぁ」

かわそうと試みるが、当然不可能
あっという間に身を拘束され、ついでに炎の腕も千切られてしまった。

235エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 23:12:45 ID:xm/dFKGs0
>>234
「セァッ!!」

振るわれた大太刀の一撃は彼の首を一瞬で飛ばす―――
―――事は無かった。
剣を彼の直横に突き刺し、彼はゆっくりと立つ。

「ここまでだ。私は君を殺しに来たわけではない。
……中々に楽しめた、名前を聞いておこう」

そう言って彼は拘束を解いて、少し離れる。
たまに一撃を入れてくる無粋がいる為だ。
彼は虚空へと剣を収納するが、左手は風の魔素が渦を巻いていた。

236炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/15(土) 23:37:56 ID:YT5zk9K.0
>>235
男が天から下り、大太刀を振るう
死の予感―――恐怖から、目を閉じてしまった


「―――……っ、っ、っはぁぁ…」

男の声でようやく目を開け、生きていることを確認。足が震えている
ため息とも涙声とも聞こえる息を吐き、頭から生やしていた角を解除

「ありがとうございました」
「僕は、炎魔といいます―――貴方は?」

その場に座り込みたくなる気持ちを押さえて、弱く笑った

237エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 23:46:05 ID:xm/dFKGs0
>>236
「炎魔、か、ふむ。覚えておこう。
私か?知っておくのはいいが、余り言葉にはしない方がいい」

そう言って先程の炎などで焦げているジャケットを修復する。
ボロボロの白衣は直さず。

「何せ、私は所謂『異端者』と呼ばれる存在らしくてな。
世界もそこまで無差別ではないだろうが、『抑止力』が働かんとも限らん」

そう言って懐からソフトクリームを取り出し食べ始める。
少したった後、彼は名乗った。

「時空物理学者、エドワード=ニュートリングだ。
昔は違うなもあったが、今は覚えていない。まぁ、覚えておいてくれ」

238エドワード=ニュートリング:2011/10/15(土) 23:46:58 ID:xm/dFKGs0
>>237
//何このかっこ悪いミス
「違うな」→「違う名」です…orz

239炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/16(日) 00:06:03 ID:YT5zk9K.0
>>237
男の口から放たれる言葉は、世界の裏っかわを語っているようで―――炎魔は死の恐怖とはまた違った恐ろしさを感じていた

「エドさん、ですね」

この人は、普通の能力者ではないのかもしれない
…と考えていると―――炎魔の携帯が鳴った

炎魔はポケットから携帯を取り出し、メッセージを見る
そしてはっと、何かを思い出したような表情をすると―――

「―――……やっべ。」
「あー…えーっと、僕、仕事があるので、今日はこれで」

そう、先ほどの猫の発見情報が送られてきたのだ
色々とコトがありすぎてすっかり忘れていたのだった

「また会いましょう…!」

こう言い残すと、炎魔は背から翼を生やし―――飛び立とうとする

240エドワード=ニュートリング:2011/10/16(日) 00:13:05 ID:xm/dFKGs0
>>239
「ああ、会う事があればだがね」

そう言って、飛び立つ男を見守る。
ソフトクリームを食べつつ、何時も通りに。

「まぁ、何かあればまた会うこともあるさ」

241次元干渉型時間軸再現システム:2011/10/21(金) 21:41:54 ID:xm/dFKGs0
異能都市のビル群の間に、小さな紅い渦が巻いていた。
その部分だけ空間に穴が空けられたかの様に周囲の空間から浮いた存在。
誰かがこの時間から別の時間との道を繋いでいる。
そして、偶然近くに通りかかったものをこの渦の前に引き寄せるのだ。
その奥に何があるのかを見せ付けるために。

//イベント:その者は永劫輪廻を生きる者
クリア条件:過去再現存在『足■×也』を倒す。
敗北条件:戦闘メンバーの全滅。
説明:過去の彼と戦い、その強さを示すことで彼の宿命を変えろ。

242炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/21(金) 21:49:31 ID:YT5zk9K.0
>>241
「―――……ん?」

偶々、近くを通りかかった炎魔が、その渦を発見した
表現できない不思議な感覚を覚え、なんなく近づいて行き―――渦の前で止まる

243フィアナ・1st:2011/10/21(金) 21:50:30 ID:5X6Dkc1Q0
>>241

すんすんと鼻を鳴らしながら、一人分の小さな人影がその渦の近くへとやって来た。
黒い長衣を着た、銀髪紅眼の少女だ。その表情は楽しむようでいて、どこか鋭い。
少女は自分の瞳と同じ色を主張するその渦に目を向け、ニヤリとひと笑い。

「リヴァルがおかしな反応を捉えたと思ったら……。
 今日のフィアナはラッキーなのかな、それともアンラッキー?
 わかんないけど、愉しいことにはなりそうだね」

彼女、フィアナの周囲で光の粒が舞い上がって、すぐに消えた。

244『ジボル』:2011/10/21(金) 21:56:48 ID:MVL.7INg0
>>241
【端的に言えば彼は】

【『けもの』である。】
がう?

【手枷に手首を一つに纏められ、脚には足枷と、阻害の意味を果たさない長く細い鎖】
【裸足にズボン、上着は無し。そんな少年が、目をぱちくりさせて渦の前に立っていた】

【少年の徘徊は、大した事件の怒らない屋敷での生活に辟易したからだ】
【安全な生活は生まれついての『けもの』に無意識下の欲望を膨らませた】
〜♪
【渦を覗きつつ、「とんでもないことが起こりそうだ」と少年は鼻歌を鳴らして喜ぶ】

245次元干渉型時間軸再現システム:2011/10/21(金) 22:21:39 ID:xm/dFKGs0
>>242,243,244
それぞれが渦を視認し、その前に立ったとき。
渦は三人を一瞬にして飲み込む。
次に彼らが見たのは、紅に染まる空、人の気配のしない都市の中、そして空に浮かぶ巨大な魔法陣。
たとえ魔法の心得が無くとも、それが世界すら喰らうものである事は、
本能で察知するだろう、そして彼らの前に立つ一人の男。
白い白衣に黒いズボンを履いた、灰色の紙に赤い眼をした男。
その姿は、見覚えがある人物ならば『エドワード』に重ならないはずも無い。
それくらいに彼は、似ていた。いや、彼をかなり若くしたらそうなるような外見だった。
男は壮絶な殺気を此方に向けている、それは動きが固まってしまいそうなほどに。

246炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/21(金) 22:27:57 ID:mG7U8mC.0
>>245
「―――う、わっ!?」

なんか人集まってきたなー…と周りを見ていると―――あっという間に渦に飲み込まれてしまった
目を閉じ、ぐるぐると回るような感じが収まるのを待つ

そして、ゆっくりと目を開くと―――

「…?」

―――そこには普段の異能都市とは全く違った雰囲気を放つ景色と、紅い空に浮かぶ魔法陣
圧倒的な魔力と、危険を感じ取り、身震いする


「あれ…?エドさん…?」
「どうして―――」

目の前に居たのは、先日軽く手合わせをした男…をずっと若くしたような青年がいた
しかし明らかに様子がおかしい。足が竦んでしまう程の殺気に身を打たれ、動けなくなる

247フィアナ・1st:2011/10/21(金) 22:32:38 ID:QGCb89iE0
>>245

何かの空間に引きずり込まれたらしいフィアナは、赤く染まる空と建物群、
そして最後にもう一度空、正しくは、そこにある魔法陣を見上げて、すん、とまた鼻を鳴らした。

「……知らない術式だ。すごく怖い感じがする。あんなの見たことない。
 でも……術式である以上、あれは理論だ、知性の解するやつだ。
 問題は、むしろあっちの方なのかな」

空から地平へ視線を戻したフィアナは、そこに立っている男にそれを移す。
こんなところに連れ込まれたのも、あんな得体の知れない魔法陣を作ったのも、
あの男の仕業なのだろうか。
もう一度鼻を鳴らしたフィアナは、八重歯を見せながら、不適に笑んだ。

248『ジボル』:2011/10/21(金) 22:35:22 ID:MVL.7INg0
>>245
ほ。
【一瞬で世界が切り替わる】
【今まで聞こえていたざわめきが消え、青空が消え、代わりに禍々しい魔力の光芒が空から注ぐ】
……!!
【ありとあらゆるものを感覚でこなすジボルは、魔方陣を見上げて身震いした】
【これまでにないほど…嫌な感覚】

! がうっ!
【男の姿に気がつくと、反射的に四つ這いになってしまいそうになるのを堪えて前かがみに構える】
【膝を柔らかく曲げて両手を地面に付き、そして足の筋肉はいつでも動作できるよう膨張】
【ひと吠えした後は息すら静めるような沈黙】
【言葉がなくとも敵意は分かる。森の中で過ごした『日常的な戦闘』は常にそうだ】
【ただ一つ違うのは、それが明らかに『人の殺気』――糧を得るわけでない、歪んだ殺気――であることだ】

249過去の足立幹也:2011/10/21(金) 22:41:53 ID:xm/dFKGs0
>>246 >>247 >>248
「誰だ……?」

人の気配を感じて、俺は前を向く。
『打ち捨てられた世界』であるここに人は来る筈も無い。
恐らく、大方『人が神になる術式』に反応して世界が抑止に動いたのだろう。
―――或いは、別の誰かが差し向けたのか。

「何れにせよ、此処に居る以上、俺の敵対者である事に変わりは無い。
悪いが、邪魔をするというならば……!」

落ち着いているように見えて殺気を相手に向け続ける。
だが、相手側が動かない限りは彼は仕掛けはしないだろう。
しかし、何を言おうとも彼は闘うとなれば見逃しはしないだろう。

250炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/21(金) 22:46:23 ID:mG7U8mC.0
>>249
「こ、こんなところで何やってるんですか…?」

容姿は前とは違っていたが、あのエドワード・ニュートリング本人で間違いないだろう
炎魔は一歩、踏み出し

「あの魔法は―――エドさんのですか?」

引きつった笑みを浮かべながら、問いかけた
炎魔は、目の前の人物が別の存在であるということを疑わない
震える足を必死に動かして、さらにもう一歩進んだ

251『ジボル』:2011/10/21(金) 22:49:46 ID:MVL.7INg0
>>249
おまえが、あの怖いの、出したのか?
あんなの出して、なにする気だ!
わるいことするなら許さないぞ!
【空に浮かぶ巨大な魔方陣を指して言っているのだろう】
【鋭い犬歯をむき出しにして喉を鳴らし威嚇する姿は人より動物に近い】
【しかし――少年とてまた、仕掛けられずに襲いかかる事はなかった】

252フィアナ・1st:2011/10/21(金) 22:51:04 ID:QGCb89iE0
>>249

むき出しの殺気をぶつけてくる男に、フィアナは涼風でも受けたような顔をしながら手のひらで制止のジェスチャーをし、

「まあまあお兄さん、落ち着いてよ。誰も邪魔するなんて言ってないから。
 その代わりと言ったら何だけど、良かったらアレのこと、教えてもらえないかな」

そう言って指さすフィアナの頭上には、例の巨大魔法陣。

「あんな術式、見たことないんだ、フィアナ。
 ……すごく興味があるよ」

フィアナの興味はこの世界から帰還することから、完全に目の前の男と空の魔法陣に移ってしまっていた。
子供じみた好奇心に似ているが、どこか妖しい雰囲気だ。

253過去の足立幹也:2011/10/21(金) 23:07:57 ID:xm/dFKGs0
>>250
「…誰かは知らないが俺はここで、世界を、殺す」

にじり寄る相手の少し前に銃を撃つ。
威嚇として射撃したが、相手は止まるかどうか。

「お前が言うのが誰かは知らない。
だが、あの術式は確かに俺が作ったものだ」

そう言って、彼は炎魔から目を離さずに言う。
その眼の奥には後悔と未練が渦巻いていた。

>>251
「だからどうした。お前に許される許されないで止めるつもりは無い。
俺は、世界を殺す……!」

そう言って、敵意を向けるジボルに彼は殺気を向ける。
わずかでも誰かが攻撃の意思を見せれば彼は容赦はしないだろう。

>>252+ALL
「……分かった。どうせ戦っていれば露呈するんだ、いくらでも教えるさ。
―――あの魔法陣は、『人が神に成る術式』だ。正確には、
『人間一人の中に世界を内包させる』術式だがな。そして同時に『世界を喰らう魔法』でもある」

そう言って、質問してきたフィアナと三人に向けて空の魔法陣ついて言う。
人が神に成る等と、世迷言を述べている様には見えない。
そして、魔法陣から感じる力が、それを嘘とは思わせなかった。

「だが、知った所でカノッサの凶信者共は喜ばないぞ。
どうせ、お前は提督派の刺客だろう。フィアナの第一め」

そう言って、彼はフィアナを見据えて。
まるで知っているかのように、彼は言った。
同時に、恐らく魔術を知る者なら解るだろう、
『真理』を開示する権利を彼が持っているということが。

254『ジボル』:2011/10/21(金) 23:16:23 ID:MVL.7INg0
>>253
せかい、を?
どういうことだ? じめんを割るのか?
【少年の脳内では平たい板のような地面が割れる図が浮かぶ】
【概念的な話過ぎて理解できてないらしく、唇をへの字に曲げて首を傾げ】

せかいを……こわして……かみになる……うーんん……?
【徐々にそれが恐ろしいことなのかどうなのかも分からなくなってきた】
【人を叩いたり、貶めたりといった原始的な意味でしか『悪い』というものを知らないのだ】

255炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/21(金) 23:16:53 ID:YT5zk9K.0
>>253
チュインッ
炎魔の前方のアスファルトが、銃弾によって砕ける
欠片すら当たることは無かったが、本能的に足元から炎が噴き出す

それは、炎魔の瞳と同じ黒色で、足元周辺の景色を歪ませるほどの熱量を持っていた

「何故そんなことを…?」

そしてさすがの炎魔も、目の前の人物が「別人」であることに気がついた
カノッサがどうとか、狂信者がどうとかはよくわからなかったが―――この世界が滅んでしまうことは明確に伝わってきた

向こうから、或いは同じくこの世界に入ってきたフィアナとジポルが攻撃しない限り、炎魔から仕掛けることはないだろう
しかし、念のため、脳内は戦闘態勢だ

256フィアナ・1st:2011/10/21(金) 23:22:32 ID:QGCb89iE0
>>253

自分の正体を知られていることにフィアナは目を剥いたが、
しかしすぐに愉快そうな顔に切り替わり、くすくすと笑い声を漏らし始めた。

「ふふっ……なぁるほど。リヴァルが反応するわけだ。
 絶対時間の外、「時」の概念に縛られない唯一絶対の自動記録装置。
 アカシックレコード……でも、これでわかった。ここは過去だね。
 確かにそれは時の概念を受けない。だけど、「未だ為されていないこと」は記録しようがない。
 フィアナのことがわかっても、その行く末を知らないあたり、フィアナの絶対時間は今、停止してる……」

漏れ出る笑い声を抑えたフィアナは、愉しそうだった笑顔を微笑のレベルに落とし、

「こんな外れの世界線なんかどうなったっていいよね。
 気が変わった。「面白いことづくめ」のお兄さん、遊ぼうよ」

凶暴な光を宿す紅の瞳を、男にぶつけた。

257過去の足立幹也:2011/10/21(金) 23:33:44 ID:xm/dFKGs0
>>254
「世界を殺し、俺は―――晶を救って見せる。
如何な障害がっても、全て破壊する」

それは、自身の邪魔をするあらゆる存在を抹殺する、という事。
それは、孤独で、意味をなさない決意。
それは、彼の後悔の証。

「自分の勝手で人の命を絶つのが悪なら俺は間違いなく悪だろう」

>>255
「―――妹を助け、アイツを、『烏丸健一』を止めるためだ」

相手が知らないであろう事を、彼は言った。
全ては彼が妹を助ける、その一本だけに集約している。
守れなかった後悔を忘れるために彼は妹を助けようとしている。

>>256
「悪いが、俺は自分から手札は明かさない。
それに、俺と戦うということは―――」

真っ直ぐに三人を見つめ、彼は2歩、前へと歩く。
そして、彼の背後には。

「俺単一と闘うって事じゃあないと知れ」

彼の背後には、多数の魔獣・神獣・英雄といった存在が半透明になってはいたが、
三人を見据えて静かに主の命令を待っていた。

//過去の足立幹也:HP150000/150000
彼を倒すためには向かっていくだけでは倒す事は難しいです。
三人間で連携を取らねばならない、と思います。
次のロール次第で戦闘開始です

258『ジボル』:2011/10/21(金) 23:43:19 ID:MVL.7INg0
>>257
うーん………!!?
【構えは解かないといえ、かなり戦闘から意識が外れ始めている】
【少年には人間世界の『モラル』というものとの繋がりが薄い】
【それに話しに聞く「誰かを助ける」のは恐らく善だろう】

よくわからないけど……いや、よくわからない。うーん……
【ぼさぼさに伸びた髪を左右に振りながら何度も何度も唸り続ける】

259炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/21(金) 23:44:54 ID:YT5zk9K.0
>>257
「なんて…勝手なっ…」

奥歯を噛み締めながら、視線を空へ
彼を止めなければ、この世界は死ぬ。ただ妹を救いたいという彼を、根本から否定する気には、なれなかった

前へ二歩進んだエドの後ろには、半透明の様々な生物が待ち構えていた
対立、となれば、彼らと戦うこのなるのだろう

「―――……やるしか、ないですよね」

炎魔はぐっと拳を握り、全身から炎を噴出する
巻き上がった炎は渦となり、炎魔の周りをぐるぐると回り始めた

260フィアナ・1st:2011/10/21(金) 23:49:26 ID:QGCb89iE0
>>257

男の背後に現れた神話の軍勢を前にしてもなお、フィアナの口元から笑みが去ることは無かった。

「あんなに仰々しいの揃えちゃってさ。あんなのペテンだよ、ずるい。
 ……けどそんなの、今は関係無いね!」

フィアナは右手を天に向かって突き上げる。
すると、フィアナの背後で5メートルほどの魔術式の円陣が現れ、それが二重、三重に重なって増えていく。

「まずは、小手調べ――――」

そしてその数が10に至り、

「火性術式直列10連。どんな感じかなぁ!?」

フィアナが突き上げていた手のひらを男とその軍勢に向けた次の瞬間、
重なった10枚の円陣がまばゆい光を放ち、巨大な熱量レーザーとなって軍勢に走った。

261過去の足立幹也:2011/10/22(土) 00:04:23 ID:xm/dFKGs0
>>258
「一は炎として薙ぎ払う」

左の手から炎が放たれ、蛇の様にジボルへと向かう。
速度は極めて速く、そして地面を焼き払いながら突き進んでくる。
だが、視認すれば回避は容易だ。

>>259
「二は氷結を意味し、止める」

右の手から放たれた白い粉雪を纏った風は、
瞬く間に通り過ぎた地面を凍り付かせていく。
マトモに喰らえば窮地は必死、だが熱量が高ければ凍りつかせられないだろう。

>>260+ALL
「―――チッ、間に合わねぇか」

軍勢の内、一体が盾になって攻撃は軽減されたものの、
連携をとられては危険だろう、速めに分断する必要がある。
焦げた服を気にせず、俺は背後の軍勢の内2体に命じる。

「お前は片方の炎使いを、お前はもう片方だ。
フィアナの第一は……俺が何とかする」
『御意に』
『精々やって見せてやるさ……』

炎を纏った小柄な少年は炎魔の方へ、槍を背負った黒い髪の青年は、
ジボルの方へと向かう。そして、彼は服の下のアームを使って。

「ショット!!」

2対のアームからレーザーをフィアナに向かって放ち、自身は一歩も動いていない。
まだ、相手を侮って闘っているのだろうか。

//過去の足立幹也:140000/150000

262炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 00:10:07 ID:YT5zk9K.0
>>261
男の左右の手から、それぞれ氷風と炎波が放たれた
炎波はジボルへと向かっていく。盾となりたいが、間に合わない

「フレアシード―――『壁』!」

ならばやるべきことは、自身の防衛
炎魔は炎の塊を前方の地面へと放ち、その熱量と空気の膨張による風で、氷風を防ごうとする

成功したならばすぐに、ジボルの元へと走り出すだろう

263フィアナ・1st:2011/10/22(土) 00:18:23 ID:QGCb89iE0
>>261

「光性・金性術式複合! ゴースト・ウォール、展開!」

飛んでくるレーザーに対し、フィアナは大きく腕を振るうが、何も起こらない。
そうこうしているうちに、レーザーはフィアナを貫かんと彼女に迫ったが、
その直前で見えない盾に阻まれ、火花となって散った。

「もういっちょ! 光性・金性術式複合!」

それを見届けたフィアナは、次の術式の構成に入る。
彼女の頭上に魔術式で組まれた光の玉が浮かび上がり、

「レイ・キャリバー!」

光の玉から出たレーザーが、地面をなぞりながら男に迫る。
そのレーザーは切断力を持っているようで、なぞられた地面が薄く斬られていっているのがわかるだろう。

術式の構成が早いフィアナではあったが、しかし、男にとっては幸運なことに、他の二人と連携する素振りはまったく見られない。
目の前の相手に強い興味を引かれるばかりで、並び立つ者のことが見えていないのだ。

264『ジボル』:2011/10/22(土) 00:19:11 ID:MVL.7INg0
>>261
!!
【炎が地面を伝染するように飛び込んでくると反応は早かった】

【ぎし。ズボンの中から、外へとはっきり聞こえるくらいの軋みが鳴り】
【クラウチングスタートの姿勢から、弾丸のようなスピードで炎と交差するように飛び出した】
【足の甲をちろりと舐める炎の先端】
わっちっ!
【ぐるんと空中で一回転し着地し、睨み上げる】
【こちらを攻撃してきた『敵』に、真正面から向き合うと、背中をほぼ90度まで反らし】

――あ゛ぉおおおおおおおおおーーーーーおおおおッッッ!!!
【狼のように朗々と響く遠吠え】
【いわば時間を――闘争の時間を告げる咆哮――その深緑の瞳には】

【 敵が 映る 】

ガッ!!
【両手を地につき、人に有り得ない『四つ足』で地面を砕き、一直線に槍を持つ黒髪の男へ走る!】
【そして……まだまだ槍の届かない間合いで、掌を一際強く地面に打ち込み】
【走る勢いを利用して足を跳ね上げ、逆立ちの状態から勢い良く足を振り下ろす】
【男の頭上から襲い来るのは、届かない足ではない――足枷に付いた、細く重い鈍色の鎖】

265炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 00:21:30 ID:YT5zk9K.0
>>262
/これの最後の行無しで!

走り出したジボルを援護すべく、更なる炎を生み出しながら移動
ジボルの後方直線上へ走っていく

/を追加で!

266過去の足立幹也:2011/10/22(土) 00:38:42 ID:xm/dFKGs0
>>262
氷の風はあっさりと防がれ勢いを失う。
しかし、その奥から、少年の声が響き――。

『エラルの炎よ!』

3、4本の炎の矢が炎魔へと飛来する。
炎の壁が炎を飲み込めるほど強かったのならば防ぎきれるだろうが、
4本の内2本には爆発が仕込まれている。
怯めば簡単に突破されてしまうだろう。

>>263
「光は屈折し捩れ狂う!」

足から発生した光の魔素がレーザーと激突する。
総量は10000、これを上回る量でなければレーザーは軽減されるか、
または跳ね返されてしまうだろう。そしてその間に彼は両手に魔素を集め。

「突き抜けるは疾風の刃!非情の剣閃に敵は切り裂かれる!
捻り破るは螺旋の刃!剣の力において敵を貫け!」

左の腕からはカマイタチが発射され、右の腕からは空気を巻き込んで回転する、
螺旋の剣が発射される。
カマイタチは非常に多いが威力は低く、喰らったとしても致命傷にはならないだろう。
だが、螺旋の剣は簡単な防壁ではそれすらも巻き込んで術者を貫き、絶命させるだろう。
完全に回避するか、防ぎきるかをしなければ致命傷か、重傷を負うだろう。

>>264
『おぉっとぉ、中々珍妙な相手だこって!』

赤いマントに黒い服という三流悪役の様な服装をした男は鈍色の鎖をキャッチすると、
重さに驚く事も無く、自分から打点をずらすと、

『悪いがそう簡単にはやられるわけにはいかんくてな!』

途中で鎖から腕を離すと、槍を使って空高くジャンプしてジボルから距離を離そうとする。
そして、空中からジボルに向かって幾本の槍が落下する!
まるで雨のようにジボルへと降り注いでくる槍は男が投げた槍の力なのか。
だが、ジボル程の勘と瞬発力があれば回避は容易だろうが……、油断は禁物である。

//過去の足立幹也:140000/150000

267炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 00:44:23 ID:YT5zk9K.0
>>266
放たれた炎の矢、その内の爆発効果持ちが先ず壁にぶち当たり―――爆ぜる
爆風によって壁は粉々になり、残りの二発の炎の矢の突破を許してしまった

「炎使い…?」

ジボルの状況を横目で捉えながら、周囲を漂う炎を操作。帯状に形成して矢を弾かんとする
それに成功したならば、その場に膝をついて地面に手のひらを当て、アスファルトを突き破りながら炎を潜り込ませるだろう。

268『ジボル』:2011/10/22(土) 00:59:20 ID:MVL.7INg0
>>266
うぅがっ!
【逆立ち姿勢からぐるんと前転し、地面を踏みしめながら上を見上げる】
【空中の相手を攻撃する術は、洗練された武術でさえも数少ないのだ。野生の技なら当然無い】

!?
【そして野生の動物に、武器の知識はない。】
【突然増殖し雨の如く降り注ぐ槍に驚き、地面を蹴ってまた遠くへと飛び退いて……】

>>267
お?

【飛び退いたすぐ後ろにいた炎魔。反射的に鋭い目を向けた】
【獲物を引き裂く爪よりも鋭い、猛獣の視線だが……それに自分で気づくと】
ふぁ。
【間の抜けた息を吐いて、意図的に眉の力を緩めた。これは敵じゃない。いや、恐らくは――】


【少年は『けもの』である】
【獲物は一人で捕らえ、周りに奪われること無く警戒しながら貪るのが基本の生活である】
【一対一で負けたことはなかったが、負けることはあった。人里に降りた時も、この街の人間にも。】
【その強さ。恐らくは――】


おまえ。わーはなにか、できるか?
【炎魔にほんの一瞬だけにっこり笑って、また背を向け……いや、預けて、問う】
【少年は人間へと成長していた。人間の強さは群れとしての完成度……『団結』だ】

269フィアナ・1st:2011/10/22(土) 00:59:20 ID:QGCb89iE0
>>266

魔素と激突したレーザーは、その切断力を活かせぬまま光の粒子となって霧散した。
が、そんなことに構っている暇はフィアナにはない。切断と貫通の二つの死が迫っている。

「風は簡単だけど、あっちのドリルは無理そうだね……!」

いかに魔術に長けるとて、高速で飛来する貫通弾体をどうにかするのは難しい。
無理矢理軌道を変更することはできそうだったが、それをしている間が隙になる。
フィアナは周囲にゴースト・ウォールを配置してかまいたちに備え、自身は飛来する螺旋の剣に集中する。

「………………」

剣の軌道は直線的で、すぐに横に移動すれば回避できそうなものだったが、フィアナは動かない。
じっと迫る剣を見据え、剣がもはや回避できるギリギリの間合いまで来るまで、それを続けた。
そして、

「…………!」

かまいたちが見えない盾に阻まれて散らされる中、フィアナは飛来した剣の右側に転がることで、それを辛うじて回避した。
しかし、ノーダメージとはいかない。
剣に集中しすぎてかまいたちに対する対処を甘くしてしまい、左腕をかまいたちに切り裂かれてしまっていた。
それほど深くはない。微量の血しぶきが周囲を濡らすばかりだ。

270過去の足立幹也:2011/10/22(土) 01:12:29 ID:xm/dFKGs0
>>267
炎魔の前に居る少年は炎魔よりもかなり年下――15くらいだった。
パーカーに赤シャツ、ズボンとどこにでも居そうな格好をしている。
矢は炎の帯に激突すると真下に落下する。
だが、その間に少年は――

『打ち砕けエラルの炎よ!』

炎の鉄拳を炎魔に向かって打ち出していた。
速度は速くは無いものの巨大で、それに隠れて少年が接近しているかもしれなかった。

>>268
『オイオイ、もうちょっと先を読んでくれなきゃ、困るぜ!』

本命の一本、紅い槍が細い光の筋となって飛び退いた相手へと迫る。
当たれば必殺を誇る魔槍『ゲイボルグ』はアルスターの英雄クフーリンが持ちし物とは異なるものの、
喰らえばただでは済まない、腕一本は覚悟しなければならないだろう。

>>269
集中している間にも彼は容赦なく次の術式を宣言していく。

「大地に捧げるは哀れなる一匹の贄!噛み裂き燃やし尽くせ!」

地面に発生する陣に魔素を込めて放つ。
相手の左右から地面のアギトが迫っていく。
捕まればそのまま炎をもって燃やし尽くされてしまうだろう。
だが、発動した瞬間に僅かに彼に反動がかかる。
連続術式は体に負担をかけてしまうのだ、しかも高位に当たるものを二度。

//過去の足立幹也:135000/150000

271炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 01:19:19 ID:YT5zk9K.0
>>268
槍を躱して、こちらまで後退してきたジボルの目を、じっと見つめる
当然其の間も、追撃への警戒は怠らない
初めは鋭かった目線はすぐに柔らかくなり、微笑みへと変わった

「そう、ですね…」

炎魔の頭の中に、幾つかの戦術が浮かぶ
ジボルの近接格闘により時間を稼ぎ、自分の最大攻撃で倒すか
はたまたジボルを主戦力とし、自分は援護に回るか
いや或いは、二人背中を合わせて同時にかかるか
それともフィアナと合流し、3体3で戦うか―――

「僕がなんとか隙を作り」
「あなたが、攻撃を叩き込む―――この作戦でどうでしょう?」

「それから彼女を、迎えに行きましょう」

相手は、双方共に遠・中距離攻撃を可能としている
つまりジボルを前線におくのは、少々危険が過ぎる。
炎魔は敵への対応を始めながら、こう提案した


>>270
迫り来る炎の巨拳と、紅い槍
それらを纏めて、総動員した炎の厚い熱い壁で防がんとする
何も、完璧にガードをしようとしているわけではない
炎魔とジボルが態勢を立て直す数秒を稼ぐための、足止めだ

272『ジボル』:2011/10/22(土) 01:28:17 ID:MVL.7INg0
>>270 >>271
わかった。じゃあ、どいつを狙うんだ……、ッ!!?
【炎魔の作戦は分かりやすいものだった。これなら理解できる】
【ついつい背中側を向いて頷いている一瞬の隙、槍の雨が巻き起こす土煙から飛び出す閃光!】
【ふと意識を戻した時には、もう避け切れないスピードでこちらに向かっていたが――】

【――少年と槍の間に炎が噴き上がる!】
【その熱気から飛び退く脊髄反射、体を右向きに傾けながら身を翻す】

273フィアナ・1st:2011/10/22(土) 01:28:55 ID:QGCb89iE0
>>270

「ちょっと休憩したいんだけどね……! 土性術式3連!」

術式を受けて隆起した地面がフィアナを押し上げ、アギトの射程から逃れさせていく。
当然、隆起した地面はアギトに食らいつかれ、根本から崩壊を始める。
放り出された空中で、フィアナは風の魔術を使って姿勢を制御し、眼下に立つ男にニヤリと笑んで、

「ぶっつけ本番かぁ……ま、やってみよう!
 風性・金性術式複合!」

フィアナは何かを逆手に持つような形に右腕を振り上げる。
すると、右腕に光り輝く魔術的文字の帯がまとわりつき始めた。
それらの帯は始め、無作為に飛んでいるだけだったが、一つが右手の先に螺旋を巻き始めたのを皮切りに、
次々と集まっていって一つの形を形成し始めた。

「10連……20連……30連……うわぁ、まだまだいく。
 でも、やれないわけじゃなさそうだね」

その形は、男もよく知る、

「捻り破るは螺旋の刃! 剣の力において敵を貫け!
 ……なんてね!」

おちゃらけた一言と共に勢いよく投げつけられたそれは、先ほど男がフィアナに向かって射出した螺旋の剣だった。
複製品の運命か、オリジナルに匹敵する威力は持たないが、
空気を捕らえて回転するその様は、それそのものを彷彿させるに十二分である。

274過去の足立幹也:2011/10/22(土) 01:55:43 ID:xm/dFKGs0
>>271 >>272
『悪いけど、僕の手段はこういう事なんでね!』

炎の鉄拳をぶつけた少年はあろう事か炎の壁を走り抜けて接近。
焼け焦げた服を気にもしようとせずにピンピンしている。
そこからさらに炎の小さな弾丸を複数射出した!

『君に炎の耐性があるように、僕にもあるのさ。
飛び交えエラルの炎!』

射出された炎の小さな弾丸は命中と同時に炸裂する仕組みで、
どうやら威力は低いようだが、スピードは目を見張るものがあった!
紅い槍は炎の壁に激突するがすぐに着地した男の手元に戻る。
そして男は背中からもう一本短い槍を抜くと。

『ライトニングブラストォッ!!』

短い槍から電撃の弾丸を放つ!勢いは弱く壁を貫通する威力は持ち得ない。
しかし、激突とともに音と閃光を撒き散らしていくだろう。
その間に男は何かやるつもりのようだ。

>>273
「チッ、防衛宣言するほど間は無い、ならば!」

彼は魔素を込めた右足でその螺旋の剣を蹴り付ける!
込めた魔素は8000、劣化品とは言え空気すら巻き込み貫く刃。
軌道をずらすのが限界か!?
一回に込められる魔素の関係上、使えるのは左のみ。
ならばと思い、左手に雷の魔素を込める。

「射抜くは雷撃の獣!我が眼前の敵を打ち破れ!」

魔素12000を使用し、左手から雷撃の鰐を射出する!
ゆっくりと、だが空気を震わせ大地を抉り目標に迫る鰐は目標を逃がさないよう、
追いかけるようにフィアナに向かっていた。だが、方向転換はできそうに無い。

//過去の足立幹也:130000/150000
エラルの少年:40000/50000
脇役王:55000/60000

275炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 02:06:25 ID:YT5zk9K.0
>>272
「一旦距離を置いて、少年をっ!」

同じ炎使い同士で打ち合っても、泥沼化する可能性は高い
よって最初のターゲットはエラルの少年とすることにした

>>274
それなりの厚さがあったであろう炎を突っ切って、少年が炎弾を放つ
炎魔はそれを、体を盾として強引に受け止め―――爆発で吹き飛びながらも腕から炎を噴出して、縄紐のように少年を捉えようとする
温度はあまり高くないが、硬度は縄のロープより頑丈だ

動きさえ止めてしまえば、ジボルの近接格闘が活かせるからだ

そして更に、その後方で爆音と爆光が炸裂した
目の方はエラルの体で大方見えなかったが、音は確実に炎魔の聴覚を奪い去った

276フィアナ・1st:2011/10/22(土) 02:09:43 ID:QGCb89iE0
>>274

あれは元々あちらの技である以上、螺旋の剣が対処されてしまうのは織り込み済みだ。
フィアナの本命は次の術式にある。

「まだまだぁ! 火性・土性術式複合36連!」

犬歯をむき出しにして笑いながら構成した術式の始点は空。
36もの魔術式円陣が空に整然と整列し、

「プライマル・フレア!」

雷の鰐と、その背後にいる男に向かって、勢いよく右の人差し指を向ける。
それに従って、空の魔術式円陣が吐き出したのは燃えさかる岩塊。隕石の再現だ。
魔術式で生まれた星の子たちは半々に軌道を分け、雷の鰐と、男に向かって一気に降り注ぐ。

277『ジボル』:2011/10/22(土) 02:12:34 ID:MVL.7INg0
>>274 >>275
……ほっ。
【壁がなかったら今頃死んでいた、と安堵に小さく息をついて】
【周囲を素早く見回す。自分に何ができるだろう?】
【遠距離攻撃を持ち合わせないが、このまま手持ち無沙汰では……】

っ。
【思いついた。】
【すうっ、と息を吸い込む。そのまま一秒に満たない精神集中……そして】
ぇあ゛ッ!!
【両腕を振り上げて、腹が凹むくらいの気合を吐き出しながら地面に一撃!】
【巨木すら薙ぎ倒す腕の掌底で地面は、少年の周囲に広く小石や土の塊をまき散らしながら土煙を上げ】
【炎の壁から上がる上昇気流はさらに土煙を広げていく……】

【遠距離攻撃を持たない少年が振り絞った知恵は『煙幕』】
【狙いを定めることを難しくしたが――】

分かった! そのこどもを倒せばいいんだな――おあっ!?
【直後に閃光と爆音が目を貫く!】
み、みえないぞ!?
【真っ白に塗りつぶされた視界と、頭を揺さぶるような爆音】
【五感のうち最も頼る二つを潰されてしまい、しばらくその場で硬直する】

278過去の足立幹也:2011/10/22(土) 02:44:28 ID:xm/dFKGs0
>>275 277
煙幕による目潰しとロープの拘束。
少年はあっさりと捕らえられるが―――

『しまったかな…ちょっと遊びすぎ?おっとと!?』
『よっ、悪いな坊主!』

左の短槍で炎のロープを切り裂くと、少年を素早く解放する。
少年は埃を払うと、不満そうに男を見て。

『もう少し優しく助けてよ……』
『捕まるお前が悪いんだろうが』

男は気にもしない風で相手へと向き直ると、ジボルの方へ向かう。
そして少年は、侮っていた自分を戒めるように炎魔を見据えて。

『ゴメンよ。ただの炎使いと思ってバカにしてた。
こっからは、全力で行くよ―――!』

少年から感じる気配が先程よりも強くなっていき、感じられる力も上がっていく。
神話軍勢は自らの正体を明かすことで全力を出す契約を彼と結んでいる。
少年は今は、目の前の相手二人を敵と認めたようだ。

『僕の名は赤鐘純一!我此処に全力を持って相手を打ち倒さんッ!!』

突如、少年――純一は火柱を纏って対峙する。
そして、右手を相手へ向けると、その右手を開いて。

『見様見真似ッ!五指連火弾!!』

五本の指一本一本から炎の竜を炎魔に向かって射出する!
回避するか、受けきるかは自由だが、まともに喰らえばただで済まないだろう。
もしかしたら、再びブラフかもしれない。
そして、ジボルの方へ向かう男も足止めが必要かもしれない。
なぜなら、ジボルは今五感の内二つを奪われているのだから。

>>276
雷の鰐は一瞬で無効化されてしまい、さらに隕石は彼に直撃した。
だが、彼は仁王立ちで怯む様子も無くさらに宣言する。
少しだが、彼の雰囲気は変わっていた。躊躇う事も無く彼は連続宣言する。

「引き裂くは疾風の刃!内に剣を宿し相手を打ち倒せ!
貫くは大地の槍!炎と共に喰らい尽くせ!」

右の腕からは風を纏った剣が射出されていき、
左の腕からは炎が大地の槍を覆うようにして相手へと射出された。
そして、彼は止める事無く両腕に魔素をチャージ。
どうやら、次に本命を繰り出すつもりのようだ。
風を纏った剣は風を防いだとしてもが盾に突き刺さりそこから風が切り裂いていくだろう。
幸いだが勢いは強い割りに威力は高くない。
だが、炎を纏った大地の槍は炎が最初にぶつかり、炎が消失した後、
大地の槍が追加で激突する。
炎自体の威力が高く、また大地の槍も強力にくまれているようだ。
だが、スピードはそんなには速くは無い。


//過去の足立幹也:95000/150000
赤鐘純一:35000/50000
脇役王:50000/60000

279炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 21:23:20 ID:YT5zk9K.0
>>277
>>278
ようやく拘束したと思いきや、あっという間に断ち切られてしまった
おまけにジボルは閃光ももろにくらい、怯んでしまっている
かたや槍男と少年はまだノーダメージ。ピンピンしている状態だ

「―――――」

少年が何かを喋っているようだが、耳鳴りが続く今では聞きようがない
五指を突き出したかと思えば―――それぞれの指から五条の炎龍を放った

これを回避、或いは相殺することは可能だろう…が
このままではジボルは完全に無防備。近づいて行く男との声も使えないため気づかせることもできない
―――ならば


「炎魔流領域支配―――黒炎庭っ!」

ふんっ、という気合の声と共に腰を低くし、全身に力を込める
と同時に炎が噴出。薄いものであるが炎魔を護る鎧となる
動かずして全ての攻撃を耐えようというのだ

そして、足と接触しているアスファルトがわれた
硬度をもった炎の柱で大地を抉り、地中を這わせ―――槍男の足元から勢いよく噴出させようとしているのだ
その間の少年からの攻撃は――全て、受けるつもりだ。未熟な炎魔に、移動しながらの高度な攻撃はできなかった


「っあぁぁぁぁぁぁっ!!」

炎の鎧によって多少はマシだが、火力の増した炎龍がそう簡単に防げるはずもない
貫通された炎の鎧と服の中に、黒く爛れて焦げてしまった皮膚が伺えるだろう

280『ジボル』:2011/10/22(土) 21:44:28 ID:ZbE4IpYY0
>>278
ん……んんー。
【唸りながら無防備に瞼に握りこぶしを擦りつける】
【徐々に視覚も聴覚も回復し始めるが、開いた眼にはまだぼやけた世界しか映らない】
【諦めたように目を閉じた】

んー……
【考え込んでいるようだが、その実理論などは何も無い】
【ただ感覚……自身の感覚に耳を傾ける。土煙の微粒子が流れる感触、感じる熱気、そして後は直感】
こ、っち?
【ぺったん、とベタ足で槍を持つ男のほうに一歩右足を踏み出す】
【目を開くがやはり陰影が分かる程度のぼやけた視界だ】

281フィアナ・1st:2011/10/22(土) 21:50:10 ID:QGCb89iE0
>>278

「嘘ぉ!? プライマル・フレアを食らっても立ってられるなんて、なんてタフなの!?」

先の火性・土性複合術式は大抵の相手なら燃やし潰せるフィアナのお気に入りだ。
だがそれの直撃を食らってなお、二本の足で立っていられるあの男は通常以上の存在だということ。
その事実は今まで遊ぶような態度だったフィアナを、少なからず驚かせる。
だが、いつまでも驚いてはいられない。男の次の攻撃が二発、迫っている。

「くうっ、金性術式20連……!」

空に向かって掲げた左腕の先、金色に輝く巨大な魔術式円陣が生まれる。

「降って壊し尽くしちゃえ! ギガント・アームズ!」

金色の円陣、その表面に波紋が走り、波紋の中心から鋭い切っ先を持った何かが出てくる。
それは、刃渡り10メートル前後はあろうかという巨大な剣だ。
しかも、それだけではない。同じようなスケールの槍や、モーニングスターや、ハルバードなどの巨大な武器が、
雨あられと降ってくる。
超長大肉厚の剣や槍は、斬ったり突いたり、と言うよりは斬り潰したり、突き潰したりして、
風の剣と大地の槍を圧壊させていく。
風の剣はギロチンのように降って落ちてきた巨大剣に根本を真っ二つにされたが、
大地の槍はその持ち前の頑強さで、降ってきたウォーハンマーや槍を壊しながら進んだが、
フィアナの前に落ちてきた巨大剣の腹に突き刺さって、ようやく止まる。

「うわっ」

鈍い金属音と共に剣の腹を突き破った大地の槍に、フィアナはびっくりする。

282過去の足立幹也:2011/10/22(土) 22:18:00 ID:xm/dFKGs0
>>279
『っ……指が焼け焦げてる…やっぱいきなりは無茶だったかな?』

指の火傷を少し気にしつつも、相手の意図を読む。
多分、男の行動を妨害しようとしているのだろう。
それまで、此方の攻撃を耐え切るつもりらしい。
……とは言うものの、自身も無茶をし過ぎてはいけないだろう。
交代を考えるのも手だろうか。

『しばらくは、相手の狙いに乗りますか……』

エラルを制御、性質変化・精神攻撃!
エラルの力を示す、彼が纏っている炎が白く染まる。
それを左手で制御し、相手へと向ける。

『蝕め、エラルの炎!』

炎は触手の様に相手に突き刺さろうと向かっていく。
突き刺さろうとも痛みは無い。ただ、精神に大きな重圧をかけていく。
そのもの自身のトラウマがあった場合、呼び起こす。
ただ、それだけ。

>>280
『さて、このままいければばんばんざい……』

ジボルへと遠回りに走りながら向かう、しかし。
地面から噴出する炎に直撃して空中へと吹き飛ばされる。
しかし、素早く男は空中で体勢を治すと。

『とは行かないってか!やってくれるぜ!』

だが、男は空中からゲイボルグを相手へと向け投擲する。
すると、ゲイボルグはまるで大群の投擲槍の如くその数を増やし。
凄まじい数でジボルへと向かっていく!回避は直感に頼るしかないならば、
多少の傷は覚悟していかなくてはならないだろう。だが、もし直感が未来予知のレベルだったならば、
一つも当たらずに突破は可能だが……。

>>281
「悪いが……そう容易には倒れられないんでな」

そう言って、仁王立ちのまま相手へと言う。
しかし、連続宣言に加え複合術式、さらには高位の術となると、
身体への反動は大きく、魔素が一時的に麻痺してしまった。

「チッ……だが、先行宣言は可能だ…」

そう言って、頭の中で先行宣言術式を構築する。
後は魔素を通すだけでいい、しかし、次の相手の一撃によっては、
防御へとまわす必要があるだろう。

//過去の足立幹也:80000/150000
赤鐘純一:30000/50000
脇役王:30000/60000
すいません、ご飯ができてしまったので一時抜けます。
急いで食しますのでお待ちを!

283炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 22:33:15 ID:YT5zk9K.0
>>280
>>282
なんとか妨害に成功したようだ
数瞬ではあるが、状況把握のための時間は作れた―――はずだと思いたい

「こんどはこっち……っが…!」

噛み付いてくる炎龍を振りほどくべく、両腕を振るったその直後
エラルの放った白い炎が、炎魔の腹を貫いた
痛みも出血もないその攻撃は、炎魔に猛烈な吐き気とトラウマをリアルに呼び覚ます


それは、炎魔が未だ6歳の時
入学式を終え、母と2人で歩く、桜に囲まれた道
その傍に、薄汚いダンボール
中には、生まれたばかりと思しき子猫が数匹。愛らしい瞳は、今でも忘れられない。母に懇願し、連れて帰る。家。父に許可を取るべく猫を連れて行く。見せた瞬間、飛び散る肉片。降りかかるピンクの物体。



「あっ……ぁぁ………」

足を震わせ、全身から力が抜けるのを意識の端っこで感じる
絶対に思い出したくなかった忌々しい記憶が鮮明に浮かび、汗が止まらない


隙だらけ、というかむしろ戦闘不能ギリギリまで追い込まれていた
意識があるのが奇跡的なほど、炎魔のメンタルは脆く―――その記憶は脅威だった

284『ジボル』:2011/10/22(土) 22:36:45 ID:ZbE4IpYY0
>>282
うーう…?
【絵の具の滲んだような世界の中、ついっと手探りに両手を前方にかざし】

【っず。】
う?――

【重ねかざした両手を、刃が纏めて貫いた】

【ずがん!と切っ先の壁が全身を叩きつけた】
【両手を貫いてなお勢い余る穂先はジボルの額を突き刺して】
【両肩におよそ1〜2本ずつ、胸にも1本が背中まで貫いて、太もも、ふくらはぎ……ほぼ全身】
【鮮血を噴き出しながら槍の勢いで地面に叩きつけられ、刃に体を縫いつけられる】

ッぁ゛、あ゛アーーーッァアぁアア!!!?
い゛ッ……おお゛ォォオオオぉぉおおおおおおおオォおおお゛お゛ーッ゛ッッ゛!!
【背骨に電流が走る。体中が軋みを上げ、筋肉が縮こまり、そのせいでさらに刃が身を抉る】
【赤い水たまりが、ジボルの生命を吸い上げて広がり始め……】

285フィアナ・1st:2011/10/22(土) 22:50:56 ID:QGCb89iE0
>>282

「く、うううぅ……」

生まれてこの方、自分が傷つくというシチュエーションに遭ってこなかったフィアナにとって、
眼前まで迫った大地の槍のインパクトは大きかった。
足から力が抜け、ぺたんと尻餅をついてしまう。目元にも大粒の涙が光っている。
少女の心を支配しているのは恐怖だった。負傷、痛み、そういったものへの恐れであった。
ギガント・アームズの術式が解け、地面に突き刺さって林立していた巨大武器の群れが消えて無くなり、
視界が晴れて対峙する男の姿がはっきりと見えるようになる。
今、攻撃されていたら間違いなく、フィアナはろくな対処ができなかっただろう。
しかし、幸いながら男にその動きはなかった。が、男の中で何かの術式が編まれ始めている様子でもあった。

「た、助けて、ユメ……」

ここにはいない保護者の姿を探して、フィアナの視線が左右する。
と、その視線が、敵の攻撃を受けて傷ついた他の二人を見つける。
炎使いらしい少年と、先日出会った……と言うよりは威嚇しあった、野生児じみた少年。
あの二人もやられるのか。傷ついているのか。痛いのか。

「これが……これが、戦うってこと……?」

いかに高尚な思想が根底にあったところで、とどのつまり、戦いなんてものは傷つけ合いでしかない。
相手の体や心に傷を付け、究極的に拒否する、ネガティブな関係性の極地。
痛い。痛い。相手も、自分も。

「でも……っ!」

袖で涙を乱暴に拭き取ったフィアナは、よろよろと生まれたての子鹿のように立ち上がり、
魔術式のためのエーテルを集束させ始めた。

「ここで死んじゃうなんて……フィアナはまっぴらごめんなんだよぉ!!」

右手を空に掲げてから、一気に地面にたたき落とす。

「あっちの二人も同じなんだ、きっと! 木性・土性複合術式12連! グリード・プラント!!」

たたきつけた右手から、魔術式の波紋が地面にさっと広がり、
そして次の瞬間、地面から複数の牙を持った巨大植物が出現し、敵の炎使いと槍使い、
そして男に向かって暴虐な牙を持った顎を開いて襲いかかった。その数、一人あたり四体。

286『ジボル』:2011/10/22(土) 23:23:45 ID:ZbE4IpYY0
//>>284無し

287名も無き異能都市住民:2011/10/22(土) 23:31:53 ID:xm/dFKGs0
>>283 >>285
『くっ!?しまった!これではゲイボルグが当たらん!?』

ゲイボルグの多重幻覚は一本の落着地点へ本体を移す事ができる。
だが、巨大植物の出現により視界がそっちへ向いてしまい運命が確定しなくなってしまった。
それどころか植物の薙ぎ払いにより吹き飛ばされてしまった。
攻撃により少年も中断して回避に集中している。

『くっ……此処でこの攻撃が!?…ダーレス!』
『純一!これ以上は無茶だ!戻るぞ!』

巨大植物の攻撃をまともに受けながらも生存している男が植物を縫うように脱出すると。
青年の方へ向かって言葉を交わす。

『済まない、ここからは力にはなれん』
『ごめんよ幹也、少し侮ってた』
「気にすんな……俺だって同じさ」

そう言って神話軍勢を解除し、意識を明確にする。
巨大植物の顎に思い切り噛み付かれた彼がどうなるのか。
一ついえることは、完全に呼吸が止まるまでは気を抜いてはならないと言う事。

//過去の足立幹也:65000/150000
神話軍勢解除、次のレスより第二段階となります。
第二段階からは1対3となります。

288炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/22(土) 23:42:00 ID:YT5zk9K.0
>>all
「…っ、ぁ……ぅぁ?」

追撃が、来ない。
薄っすらとした視界の中に、様々な物を見、はっきりしない思考で考えを纏める

どうやらエドワードと戦っていたフィアナの魔法が、少年と槍男を撤退させたらしい

熱と痛みと精神的苦痛から解放され、急速に意識が覚醒していく


「―――……っは!」

そして、全身を覆う炎の鎧を形成
その硬度を鋼並みとしながら、フィアナを援護すべく走って向かって行く

ジボルは未だふらふらであり、すぐさま攻撃へ移るのは難しいと踏み
エドワードの気を引くべく、近づくことを選んだのだった


当然、「植物に噛みつかれた程度」で、あのトンデモ魔法使いが死ぬとは思っていない

289フィアナ・1st:2011/10/22(土) 23:55:07 ID:QGCb89iE0
>>287

暴虐の肉食植物を地中より呼び出す複合術式、グリード・プラント。
これもプライマル・フレアと同じく、フィアナの主力術式である。
が、これの牙を受けてもなお、男は立ち続けている。信じられない耐久力だった。

「あんなのデタラメだよぉ……」

再び涙を目尻に溜め始めたフィアナは、完全に男に気圧されていた。
男単体ならまだ良かった。だが、その背後に控える神話・英雄譚の軍勢が存在を濃くしつつある。
おそらく、あの軍勢も同時に襲いかかってくるのだろう。
あんなのに勝てるのか。勝たないと痛いどころか死んでしまう。
勝たなければならない。無理を通してでも。

「……やんなきゃだよね。エーテルもまだ動くし」

エーテルは未だフィアナの側に寄り添って、彼女の指示を待っている。
それに勇気づけられるかのように、フィアナは涙を溜めたまま、男を見据えた。

290『ジボル』:2011/10/22(土) 23:55:26 ID:ZbE4IpYY0
>>287
ン、っ…、ぅおー……!
【ようやく物の輪郭まで把握できるくらい、視覚が回復してきた】
【聴覚を侵していた轟音もなりを潜め、人の声を判別できるまでに戻る】
【しかし少年が上げた声は、それら二つに対する安堵ではなかった】

【自然と、二人のニンゲンが守ってくれたことを即座に理解した】


……う!!
【ぎゅうっ…!と拳を握り締める。指の一本一本に、熱い血流が流れこむ】
【胸に去来するモノ――】
【――少年が『恩返し』という単語を知るのは、まだまだ先の事だ】

おおォオオオオオーぉおおお!!
【炎魔が敵に接近している事を確認すると咆哮を轟かせながら、少年はすぐ近くのビルへと駆け寄る】
【そびえ立つ巨大なコンクリートの塊の前で鼻息をふんっと吹いて、壁に手を付き】
がっ!
【脱力した状態から一気に力を込める!】
【ばがん! という破砕音と共に大小様々なコンクリートが飛び散り】
【その中から大の大人二人ほどある一番大きいものを掴み】

ぉおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!
【言うが早いか、その数トンはありそうな塊を軽々と幹也へとブン投げる!】

291過去の足立幹也:2011/10/23(日) 00:11:20 ID:xm/dFKGs0
>>ALL
「(酷い、醜態だ)」

数トンはあるだろう塊に加えて巨大植物が、
塊が飛んできた方向へ投げ飛ばしてきた。もちろん回避は出来ない。
反動が大きい上、さっきの一撃で一時的に脳震盪が起きていたから。
それでも、死ねない体に反吐が出そうだが、今は感謝するしかない。
地上にボロ雑巾のように叩き付けられた、それでも俺は肉体を酷使する。

「悪いが、俺はそんな事では死ねないんだよ……」

神話軍勢を完全に解除し、魔素を体へと還元する。
魔素と血液はまだある、ならば闘えるだろう。
俺は虚空より剣を抜く何の変哲も無い、特別な青銅の剣。
だが、俺にとって今は、最も頼りになる武器だろう、それを構えて。
右手に剣を持ち、左手に魔素を溜め込んでおく。

「行くぞ―――!」

神話軍勢術式・限定発動へとシフト――完了。
全術式を先行宣言状態へとシフト――完了。
青銅の剣による空間干渉―――可能。

「示すは闇黒なる刃!剣の器をもって形を成せ!!」

左の魔素に術式を複合させて宣言しつつ、
剣を構えて前へ走る、狙いは一番疲弊している炎使い。
だが、俺は左の魔素を剣と闇にシフト。
左手から発生した、短い黒い剣を握り二刀流の状態で炎使いへと迫っていく。

//過去の足立幹也:40000/150000

292炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/23(日) 00:26:27 ID:YT5zk9K.0
>>291
ジボルの視力は幾分戻ったようで、あり得ないほどの大きさの瓦礫を正確にエドワードにぶん投げていた
恐らくもう、大丈夫なのだろう。近づいてくるエドワードに気づきながらも、一瞬。ほんの一瞬気を抜いてしまった

接近戦に持ち込むべく駆け寄ってくるエドワードを返り討ちにせんと、拳に炎を纏わせ―――右足で踏み込んで、炎拳を飛び道具として飛ばそうとする…はずだった

「―――……っぁ」

しかし、先ほどの炎龍によるダメージと、気の緩みが重なって――右膝が、がくりと落ちた
結果、瞬間的に距離を詰められ、エドワードの右手の剣が横薙ぎに振るわれた

それをなんとか、態勢を崩すことで回避したが―――続いてやってきた担当の突きは、かわせなかった

「いぎっ……ふぁ…」

熱い感覚が右肩に広がり、続いて激痛が迸る
限界だ。体がそう伝えてくる
意識が突き飛ばされたように暗くなり―――気を失った

293炎魔 ◆XGlbuX6gjc:2011/10/23(日) 00:43:46 ID:YT5zk9K.0
>>292
/こんなの無かった

>>291
ジボルの視力は幾分戻ったようで、あり得ないほどの大きさの瓦礫を正確にエドワードにぶん投げていた
恐らくもう、大丈夫なのだろう。近づいてくるエドワードに気づきながらも、一瞬。ほんの一瞬気を抜いてしまった

さぁ迎撃、というときにはもう随分と距離を詰められていた
既にごり押しで剣術を叩き込まれる間合いだ―――どうする


「ったぁ…!」

跳んだ
地面に大量の炎を派手に撒き散らしながら、纏った炎をブーストとして利用。空高く舞い上がる

―――こうして距離を離しながら、急な動きで注目させるのが狙いだ
空中で回避が困難。続く魔法が恐ろしい。など、お構いなし
そう、戦っているのは自分だけじゃないから


そして更に、攻撃の手段に出る
ブーストとして利用した炎が、小さな数本の針となって、一斉に動き出す
狙いは、剣を握る右手首だ。

294黒沢小百合:2011/11/13(日) 21:02:21 ID:SSMHlh/20
【イデアの箱庭・廃墟フィールド】

小百合は少なくとも月に1度は実戦とは別に
己の能力を研鑽するべく、イデアの箱庭を訪れている。

その能力の性質上、適当な空き地やジムで
軽々しく能力を振るえない小百合にとっては、こうした施設は非常にありがたい。

295名も無き異能都市住民:2011/11/13(日) 22:43:44 ID:IDnKkU3kO
>>294
まだいます?

296黒沢小百合:2011/11/13(日) 22:50:50 ID:SSMHlh/20
>>295

壁|・ω・)<もはやのがれることはできんぞ

297 ◆uotUYGHVwM:2011/11/13(日) 22:58:34 ID:IDnKkU3kO
>>296
持ち越し確定ですが、模擬戦お願いしても宜しいでしょうか

298黒沢小百合:2011/11/13(日) 23:01:25 ID:SSMHlh/20
>>297

おkk、じゃあ>>294に改めてレスをお願いします

299エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/13(日) 23:08:20 ID:IDnKkU3kO
>>294
ざりっ。
砂利を踏みしめる音。
視界を遮る砂埃の向こうから聞こえる音は、新たに箱庭内に人が入って来た事を示していた。


「おっ」


少し気の抜けた声が聞こえた。
もう人がいたのか。ラッキーだな。
待つのは嫌だからな、と、そんな事を考えながら小百合の下へと歩み寄る。

「ども。一戦お願いしてもいいですか?」
会釈。
綺麗な人だな、こんな人でも戦うのか。
そんな疑問を浮かべながら、軽い調子で声をかけた。

300黒沢小百合:2011/11/13(日) 23:32:31 ID:SSMHlh/20
>>299

「ん……。」

背後で響く足音に気づき、振り向く。
基本的に、小百合はこういった模擬戦の申し出は断らないようにしている。
こうした、手の内を知らぬ相手との戦いは新鮮であるし
なにより命の危険も無く、周囲の被害を気にする必要も無いため
全力を出すことができるからだ。

「……ええ、いいですよ。
 私も、こうした練兵ばかりではいささか退屈でしたから。」

二つ返事で了承した小百合。

どうやら、目の前の男は彼女のことを知らないか、
誰だか気づいていないように見える。

(少し、虐めてやるか……。
 誰に戦いを挑んだか、思い知らせてからな……。)

301エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/13(日) 23:50:14 ID:KVp8Wl9E0
>>300
「あはは。そりゃ調度良かった。
俺も退屈で、何となく来てみただけだったからさ」
夜になってしまえば、職探しも糞も無い。
暇を潰す物も何も無い男の数少ない暇つぶし方法のひとつが模擬戦だったりする。

「じゃ、どっちかがぶっ倒れたら負けって事でいいな?」
伸脚、屈伸。
身体を解すように動かしながら、同意を求めるように少し首を傾げる。


「うっし。完了」
準備体操を終わらせ、こきこきと肩を鳴らせ
「俺はエルド・デヴァイス。よろしくな」
にかっと明るい笑みを浮かべ、そちらを見る。

302黒沢小百合:2011/11/14(月) 00:07:14 ID:SSMHlh/20
>>301

「ええ、構いませんよ。
 こちらとしても、手を抜いていたのでは訓練になりませんから
 貴方が倒れるまで、全力でお相手させていただきます。」

エルドは恐らく、気絶もしくは戦闘不能の事を言っているのだろうが、
小百合の言う倒れるとは即ちエルドの『死亡』である。

「……黒沢小百合。以後、お見知りおきを……。」

エルドの名乗りに呼応し、同じく名乗り返す。
もし、彼がニュースや新聞、雑誌――特に噂を好むようなゴシップ誌に目を通しているなら、
時折目にする名前かもしれない。

303エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/14(月) 00:13:34 ID:KVp8Wl9E0
>>302
「黒沢小百合……?」
何処かで聞いた名前な気がして、思わず復唱。
でも、よく思い出せない。
だから、まあいいやともやもやを頭の隅に追いやる。



「……じゃ、行くぜ」

脚を曲げ、力を篭める。
走り出す寸前の虎や豹のように身を屈め、小百合に身体を向け

「――ッ!!」

跳ぶ。
一直線に、一瞬に。
土煙を上げ、地面が割れる程の衝撃で地を蹴り去り、小百合との間合いを詰め

「ッ……らあッッ!!」

握り締めた拳を振り下ろす。

304黒沢小百合:2011/11/14(月) 00:31:25 ID:SSMHlh/20
>>303

「猪武者め……。」

一方の小百合は、会話の最中に密かに握りこんだ
いくつかの紙片の中から、最適の一つを選び出す。

エルドの猛進を止めるべく、小百合が選んだのは
世界七不思議のひとつにも選ばれた、バビロニア王国首都バビロンを取り巻く城壁群である。
雄牛や蠍尾龍ムシュフシュ、女神イシュタルらの鮮やかなレリーフが掘り込まれた
城門が、一瞬にして彼の目の前に鎮座していることだろう。

305エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/14(月) 00:47:07 ID:KVp8Wl9E0
>>304
「ッ!?」
突如眼前に出現した城門。
視界から消えうせた小百合に向けて放たれた拳は強固な城門に向かう。


「――ッ!!」
エルドの能力は衝撃の操作。
物体同士が激突する瞬間に生じる力の量を自在に操れる能力。

「う……」
拳が城壁へと激突する瞬間、衝撃を増幅させる。
先程、地を割りながら走り去った時と同様、凄まじい力を拳に乗せ

「……ッ!らあああああッッッ!!!!」

叫ぶ。
全力で振りぬいた拳が、轟音を立てて城壁を打ち砕く。

306黒沢小百合:2011/11/14(月) 22:25:18 ID:SSMHlh/20
>>305

凄まじい音が響き渡り、何千、何万もの色鮮やかなレリーフが
拳の着弾点から木の根のように伸びる亀裂によって、瓦礫と化していく。

が、しかし……かりにも伝承に残る城壁である。

表面を無残に砕かれようとも、一撃でその機能を失いはしない。

「くくくっ、貴様の『攻勢限界点』はこの城門までだったというわけさ。
 そして動きを止めたところで、どうすると思うね……?」

――ふいに、エルドの左右後方から湧き上がるときの声。

「……包囲して袋叩きにしろ。」

歩兵集団による、密集陣形ファランクスだ。

本来、ファランクスは攻撃・防御に優れるが機動力を欠き、
右翼列方向からの側面攻撃に弱いという弱点があるが、壁と歩兵集団に
完全に包囲されたエルドには、壁を背にして戦うか上に逃げるかしかない。

307エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/14(月) 23:00:37 ID:KVp8Wl9E0
>>306
全力でぶち込んだ一撃でも壊しきれない城壁。
砕けた瓦礫を見下ろし、こきりと肩を鳴らし振り返る。
「……やるねえ」
ヒュウ、と口笛。
視界に入るのは武装した人々の壁。
一瞬でこんな物を次々と生み出す、中々の能力者であると想像が付く。




――面白い。
これくらいじゃないと、戦っていて手応えを感じる事が出来ない。
湧き上がる声を受け、迫り来る壁を見て、笑みを浮かべる。

「こりゃこのままじゃちっとキッツイなー……」
状況としては圧倒的不利。
だがしかし、沸々と沸き起こる感情。
戦闘への歓喜。
暴れられる事への思いを堪えきる事が出来ずに危機とした笑みを浮かべる。

「じゃあ、そろそろ行きますか……」

城壁をぶち破った右手の装置に指をかけ、身体の中心へ

「――変身ッ!!……なんてな」
触れる。

『form:Warker』
装置にその名が表示され、無機質な音声が響く。
空気が変わった。
大気を吸い込むような、全ての者を飲み込むような気を発しながら、キュイイイイイイイイイイイイインとモーターが高速で回るような音が響き、放出された光がエルドの全身を包み、眩く光り輝く。

纏わり、身体のラインを表していた光は徐々に鎧のような形に変化していく。



「――待たせたな」

光が消え去った。
包まれていた光の中から現れたのは、人造人間や兵器を彷彿とさせるような機械の鎧に包まれたエルドだった。
一歩、一歩と歩兵の集団へと歩み寄る。

「こうなると手加減難しくなるから……」

気をつけろよ。
静かに言った瞬間、拳を握りしめ、地面。岩盤へと放つ。
軋む金属の音。
空気を焼き、唸りを上げるブースターの炎熱。
響く拳が激突する音。


「纏めて……消えやがれええええええええええッッッ!!!!」
拳を地面へと振りぬき、叩き付ける。
地が響き、うねり揺れ動き、裂け、割れる。
ビキビキと音を立てながら、ファランクスに向かい地割れが広がる。

308黒沢小百合:2011/11/14(月) 23:25:09 ID:SSMHlh/20
>>307

「フン、それが貴様の正体か。」

具現化した兵士と視覚を共有できる小百合は、
機械鎧に包まれ変貌を遂げるエルドを、見て思考を巡らせる。

最初の突進、城門に打ち付けられた拳の圧倒的破壊力。
近接パワータイプの異能者、もしくはそれに類するものであることは確かだが、
元々パワーはあるのだから、あの鎧は更に何か別の能力を秘めていると見ていいだろう。

(……ああいう手合いはまともに戦うより、
 多少数をぶつけて疲弊させるほうが良い。
 とにかく、ヤツの体力・気力が充実した状態で正面からやりあうのは少々手間だ……。)

機動力の無い歩兵集団は地割れに飲まれ、大きな犠牲を出したが
そもそも小百合の能力の真骨頂は、いくらでも兵力を補充できるという事。

虚空から現れた兵士がすぐさま欠けた戦団に加わり、
空白を生め、さらに包囲陣は厚みを増していく。

槍の間合いには入らずとも、投槍・投石による攻撃は十分に脅威となりえるはずだ。

309エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/16(水) 20:19:37 ID:KVp8Wl9E0
>>308
拳を地から離し、前を見る。
裂け目に飲み込まれていく兵士達。
そして、虚空から次々に生み出され、補充される兵士達。

「……成る程」
無尽蔵とも言える兵士の補充量。
飛び交う槍に石を見据え、思考を巡らす。

(能力は物体の具現化って所か……)
このタイプの能力者は、本人はそれ程強くないと言うのが普通。
そして、何処か遠くから此方を観察している可能性も高い。

「なら……!」
右手を前へ突き出す。
腕の鎧部分が開き、駆動音と共に機関銃の銃口が顔を出す。
拳を握るのを合図に、銃口が火を噴いた。
ギャリリリリリリと荒々しく銃身が回転を始め、弾丸が放たれる。
投げつけられた槍と石を中空でほぼ全て打ち落とし

「んでもってぇ……!」
地面に玉を投げつける。
玉が地面に激突した瞬間、黒煙がもうもうと立ち上り、エルドを中心として兵士達までを煙が隠し、視界を奪った。

310黒沢小百合:2011/11/16(水) 22:59:19 ID:SSMHlh/20
>>309

「それでこの私を欺くつもりか……?
 ただの煙幕で……この私をか……?」

小百合の表情が、にわかに曇る。

――煙幕程度で敵を見失いなどするものか。
その程度の小手先の技で私を倒せるなど思われるのは、甚だ屈辱だ。

――ギリッ

獰猛に、歯を擦り鳴らす。

「貴様は串刺しだッ!今、この場でッ!
 その身をバラバラに引き裂いて内臓を引き出してやるッ!
 あの舐めた男を捕らえろッ!!処刑ッ、処刑するのだッ!!」

号令のもと、煙幕の中へ槍衾を作りながらためらい無く飛び込む兵士たち。
見えずとも、結局はエルドを隙間無く包囲しているのである。
そのまま、包囲陣を狭めてしまえばいつかはエルドがひっかかるはず。

311エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/17(木) 00:08:39 ID:KVp8Wl9E0
>>310
「勘違いすんじゃねえぜ……?」
確かに煙幕は視界を奪う。
だが、方位されたこの状況で目隠しの意味が薄いの何て百も承知。

「少しの時間稼ぎって意味だったら合ってるけどな……!」
エルドの能力は、この世の全ての物質に影響を及ぼす。
魔力などのこの世の理から外れた物等を除けば、この世の全てに対して「選ぶ権利」を有していると言ってもいい。

「――跳ぶぜ」

立ち込める黒煙を踏みつける。
エルドが煙を構成する物質の分子、更にその分子を構成する原子の一粒一粒に与える重力と言う衝撃を0に。
そして、踏みつけ、生まれる反発力を数十倍に。


「ッ!!!!」


無数の槍が煙を突いた。突き刺した。
だが、その槍には渦巻く煙が絡みつくだけで、肉を抉る感触を得る事は無かった。

エルドは既にそこには居ない。
一瞬で遥か上空、城門を飛び越す距離まで飛翔していた。


「――よっと」
すたりと着地。
城内へと進入完了。

「さーて……何処行ったよ、黒沢さん……?」
ニヤリと笑みを浮かべ、次の攻撃に備える。

312黒沢小百合:2011/11/17(木) 01:08:57 ID:SSMHlh/20
>>311

進入というよりは、寧ろ『自ら死地に飛び込んだ』と言うべきだろう。

小百合は、最初の場所から一歩たりと動いていなかったが
先ほどとは異なりエルドを蔑むような、高慢な笑みを浮かべていて。

「なるほど、モズがはやにえを作るように
 じわじわと嬲り殺してやるつもりだったが……残虐な処刑がお好みらしい。」

小百合の周囲には兵士はいない。
しかしそれでも、彼女はその表情を崩さない。

――妙だ。

エルドの推測通り、小百合自身は戦闘能力を持たない。
そして、城門をも一足で飛び越えるエルドの身体能力を持ってすれば
護衛の無い彼女など10秒とかからぬうちにボロ布のごとく変えてしまうことも可能だろう。

しかし、小百合の具現化は時間が掛かる物ではないし、
仕留めた気配が無い、見失ったとなれば攻撃を警戒して自分の周囲に護衛を展開させるのが
無難な手ではないのか?

「さあ、どこからでもどうぞ……?
 最も、私は既に『攻撃を終えている』のですがね。」

それとも、エルドがあまりにも素早く接近したため護衛を展開できず
ハッタリで時間稼ぎをしているのか?城門を遥か飛び越すほどの跳躍を見せたのだ、
時間が足りなかった、ということは少し考えにくいか。

313エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/17(木) 19:54:01 ID:IDnKkU3kO
「じっくり料理ってのは性に合わねえんでな」
パシンと拳で掌を打ち、構え、小百合を見据える。
あまりにも無防備過ぎるその姿は、何か状況をひっくり返す罠が仕掛けられている事を語っている。

地雷か。
それとも、兵を隠しているのか。


「……考えても仕方ねえか」
其処に何が仕掛けられているか。
前へ出なければ推測の域を抜けない思考何て、今の男には無意味。



「食らいやがれ……!」
だが、ただでは前に進まない。
握り締めた拳からはキュイイインと、モーターの掠れる音が響き渡る。
その拳を振り切り、空を叩く。

そこには何も無いはずなのに、鈍い音が響いた。
万物に対して触れるか触れないかを選択出来るエルドは、空気を殴り飛ばしたのだ。

殴り飛ばされた空気は空が唸るような音を上げながら、強風と共に吹き飛ばされる。

更にエルドは拳を握りしめ、空気を殴る。殴る。殴る。殴る。
衝撃を増幅された乱打が空気を叩き、風を生み



「吹き飛び……やがれ……!!!」

轟音と共に岩盤を剥がし、全てを吹き飛ばす豪風が小百合に迫る!

314黒沢小百合:2011/11/17(木) 22:26:06 ID:SSMHlh/20
>>313

小百合はエルドが空中に拳を突き出す様を
不機嫌そうに、眉を吊り上げて見つめ。

(ああいうタイプはてっきり、勢いに任せ突っ込んでくるかと思ったが……。)

エルドの考えどおり、彼の跳躍を確認した小百合は
着地点近辺に、地雷原を具現化していた。

それのみで始末ができると踏んだあたり、
小百合のエルドに対する評価はかなり甘かったと言わざるを得ないだろう。

「だが問題は無い、結局その距離からではなあ……!」

いくら威力があるといっても、幾度も空気を殴ってようやく完成した攻撃だ。
矢継ぎ早の攻撃ならまだしも、攻撃完成までに多少時間があるのだから対処のしようがある。

――ズァアァァァァッッ!!!

烈風を受け止め、弾き返す壁。
エルドの目の前には再び、『バビロニアの城壁』が先ほどとなんら変わらぬ姿で鎮座していた。

315エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/17(木) 23:24:49 ID:KVp8Wl9E0
>>314
「……ちっ」
拳を止める。
吹き荒れる風が止む。
漏らすのは、実に不満そうな舌打ち一つ。

「結構本気だったけど……まあ、そう簡単には落ちねえか」
肩を回し、こきりと鳴らす。
此方も小百合への認識が甘かった。
物体を具現化する能力。此れほどまでとは思わず、小さなため息を付く。

「……アンタを倒すには、もっと力が要りそうだな」
語るように口を開く。
求めるのは更なる強大な力。
一瞬で全てを完膚なきまでぶち壊す、豪快で激烈な力。



すう、と息を吸い、手首の装置に触れる。
『Mode:blast』
無機質な金属の腕に、文字が表示された。
金属が擦れる音が響いた。
腕、脚、肘、膝の機械の鎧が形を変え、中からジェットエンジンの噴射口が顔を出す。
今までより高速の移動を可能とする形態。


「――行くぜ」
エルドは飛んだ。
大気を踏みつけ、無数の原始を踏みつけ、衝撃を受け、速度を上げる。
城壁を飛び越えず、ただひたすらに空を走る。
踏み出し、蹴り去る一歩一歩に合わせ、噴射口が青白い炎を吹き上げる。
大気を吸い込み、焼き尽くし、力に変えて、鎧が、身体が唸りを上げる。
ビキビキと身体が悲鳴を上げ、鎧の断片が剥がれ落ち、大気との激突で粉々に砕け散る。
空気からの抵抗すらも自在に操り、視認が不可能な速度まで加速し

「……ッッッ!!!!!!」

今度は大気に激突する。
激突した大気は空間を捻じ曲げるかのような衝撃で押され、押し縮められ圧縮され、温度を上げ、熱を発し、エルドの身体を鮮やかに彩った。


フレアドライヴ
「業炎疾走!!!!」


白く煌く炎を纏い、男は疾走する。
オレンジ色の尾を引き、炎を揺らめかせ、全てを破壊する。
土を焦がし、草を枯らし、水を消し、大気を焼き尽くし、激突する。

316黒沢小百合:2011/11/18(金) 00:16:24 ID:SSMHlh/20
>>315

白く輝く肉弾。

強固な城壁をまるでビスケットのように、
砕き、穿つそれを止める手立てを小百合は持ち合わせていない。

アレをまともに喰らったなら、小百合の体など
一瞬でその形を失い、城壁と同じくバラバラに四散するだろう。

――そう、『まともに喰らったなら』。

「大砲を闇雲にはなったとて、敵に打撃を与えることはできない。
 敵の弱点を見極め、攻撃に適したタイミングを持ってしてようやく効果的な打撃を
 与える事ができる。モーションの大きな技を、なんの考えも無く放ったところで……。」

小百合はエルドがジェットエンジンを展開した時点で、
再び城壁を飛び越え接近してくると考え既に場所を移動していたのだ。

それが結果的に、恐るべき一撃を回避する事に繋がった。

「あまりにも、攻撃が直線的過ぎるぞ……!
 貴様にはこいつがお似合いだ、ロケット野郎。」

とはいえ、いつまでもあれを回避し続ける自信はない。
此処はこれ以上の攻撃を許さず、速攻で勝負を決めなければ。

もう、敵を嬲るだとかはやめだ――『近代兵器』。

AH64攻撃ヘリコプターによる、『ハイドラ70ロケット弾』攻撃で止めを刺すッ!

「数十発の対人HE弾頭による攻撃だッ!
 焼き尽くされてくたばりやがれッ!!!」

一発あたり、周囲50mを破壊するロケット弾の群れ。
人、一人を殺すためとしてはオーバーキルと言わざるを得ない。

317 ◆uotUYGHVwM:2011/11/18(金) 00:36:32 ID:KVp8Wl9E0
//んっと小百合も飛行機に乗ってるって事でおk?

318 ◆uotUYGHVwM:2011/11/18(金) 00:56:12 ID:IDnKkU3kO
連投スマソ。
今日はもう寝るので、また明日続き書きますー。

319黒沢小百合:2011/11/18(金) 20:50:53 ID:SSMHlh/20
>>317

// ヘリを具現化しただけなので本人は乗っていません

320エルド・デヴァイス ◆uotUYGHVwM:2011/11/18(金) 23:54:38 ID:KVp8Wl9E0
>>316

一瞬のうちに砕かれた城壁が瓦礫となって視界を遮る。
その瓦礫すらも灰燼に帰し男は疾走する。
目に映るのは無数のロケット弾。

回避するのは不可能では無い。
だが、回避に全力を注ぎ隙を生めば、再度能力により兵器を撃ち込まれるだけだろう。
致命的な隙の中、その全てを捌き切る力は残されていないかもしれない。

ならば。

「誰が……ッ!!」
炎を身に纏ったまま地に足を付け、石材を砕きながら滑走する。
左足を天高く振り上げ、身体を捻る。
激突する大気が流れを生み、その流れに乗り白い焔は握り締められた拳を輝かせる。

「ロケット……!!!」
拳を振りかぶり握りしめ、力を篭める。
残された全てを小百合にぶつける。

「野郎だあああああああああッッッッッ!!!!!」
小百合に向かって拳を振り抜く。
拳が切り裂いた大気。
切り裂かれた空間に生まれる気流。
気流に飲まれ、白炎は渦を巻き、身を離れ、放たれる。
燃え盛る炎はうねり、唸りを上げて、全ての勢いを乗せて小百合に迫る。







「――!!」
だが、迫りくるロケットへの対応は何も無い。
全てを賭けた捨て身の一撃。
エルドは飛来するロケット弾の群れに飲まれた。
獲物に集るカラスのように、獲物に迫る黒い群れは、爆発を起こし、爆発は誘爆を起こす。
熱波。轟音。地響き。風圧。
あらゆる衝撃が衝撃を生み、エルドの身体は焼け、砕け、壊れた。

321黒沢小百合:2011/11/19(土) 00:17:00 ID:SSMHlh/20
>>320

爆風の中に消えるエルドが放った、
炎を巻き込んだ大気の奔流。炎の乱気流とでもいうべきか。

回転する地獄のあぎとは、周囲を焼き尽くしながら小百合に迫るが――。

「遠いんだよォォオォォォッッ!!!
 貴様の間合いではなァァァッッ!!!!」

勝ち誇ったような、小百合の咆哮。

同時に、再びの突撃に備えてさきほどからずっと握りこんでいた
『バビロニアの城壁』の頁を具現化――。

ヤツが死んだかどうかは分からないが、あれをまともに喰らったのだ。
死なずとも、ダメージは必至。

――これを凌ぎさえすれば、勝利に近づく。


「……え?あ、づ……ッ!!」


小百合の判断は甘かった。
あの気流による一撃だけなら、城壁で防げただろう。
しかし、高温の炎による熱波は城壁を乗り越えて小百合を襲った。

「ぐ……かッ、……う゛あ゛……。」

(ダメッ……喉がっ……息……できな……。)

喉が、呼吸器がやけつくような錯覚を覚えるほど高温の空気。
呼吸ができない……。

322――― ◆uotUYGHVwM:2011/11/19(土) 00:40:02 ID:KVp8Wl9E0
>>321
高熱が小百合の喉を焼く中、爆風が消え去り、生まれた衝撃が鎮まる。


爆風の向こうに影があった。
真っ黒い、少し擦れたような黒さの影。
それは人の形をしていた。
足を開き、手を広げ、城壁を越えて小百合を見据えるように、立っていた。


「   」

ぼとりと、影の右腕が崩れた。
否。
それは影では無かった。
最後まで膝を付かなかった、全力を出し切り、燃え尽きた男の姿だった。

がさりと音を立て、黒く焼け焦げた身体が音を立てた。

『エルド・デヴァイス 死亡確認』

無機質な機械音声が響いた。

//お疲れ様でしたー

323黒沢小百合:2011/11/19(土) 00:49:10 ID:SSMHlh/20
>>322

熱風は小百合の行動を阻害したが、
致命的なダメージを与えるまでには至らない。

「ぐっ……げほっ、ぐぞ……。」

乾燥し、血走った瞳は涙でほとんど前を見る事ができなかった小百合であったが
適当に具現化した兵士と視界をリンクし、周囲を警戒。
エルドだったものを見つけるのに、時間は掛からなかった。

「くく……けほっ、お゛もッ……ごほッ……お゛もい゛じったか……。」

未だに焼け付く喉から齎される痛みに耐えかね、
をかきむしるようなそぶりをする小百合だったが、くつくつ、とくぐもった声を出し笑った。

// おつかれさまー

324名も無き異能都市住民:2011/11/28(月) 22:02:34 ID:et1rlL8Y0
「一般の方はこちらへ!防衛に参加する異能者の方々はこちらにどうぞ!」
「テープもう少し後ろに頼む!
 観測隊の情報に誤差が無いとは言い切れないからな!」

都市の△△地区北西。
住宅街には現在、一般人の影は一つも無かった。
立ち入り禁止のテープが数キロに渡って張り巡らされ、厳重な警戒態勢がとられている。

「そのあたりでいいだろう。
 防衛に参加希望の異能者達はこっちに集まってくれ!」

観測局の現場の指揮者らしき男が、テントの前に設置されたテーブルに異能者を呼び集める。

「今からこの地点のどこかに、でかい火の玉が落ちる。
 威力は大体、半径200メートルを吹き飛ばす威力らしい。
 中心には、何らかの生命体が存在していることがわかっている。
 その生命体が都市に対する強い攻撃の意思を持っていた場合、遠慮無く倒すこと。
 要約したが、これが諸君に今回依頼したい仕事だ」

325黒沢小百合:2011/11/28(月) 22:45:46 ID:SSMHlh/20
>>324

千夜の黒沢小百合も既にテント内で待機しつつ
観測局をはじめとしたその他治安維持組織の面々と情報を交換している。

(一体何かは知らんが久しぶりに大規模に仕掛けるヤツがでてきたな。
 ……今回はどうでてくるか……。)

もし、例の生命体が敵対的であるならそのまま消し炭にしてやるだけだ。
200m半径が吹き飛ばされているなら、都市の損害をそれほど考えず力を振るえる。

326フィアナ・1st:2011/12/14(水) 21:53:25 ID:BJpXK.LM0
>>324-325

黒沢小百合のいるテントの外に、大きなあくびをする黒い長衣の少女が一人、立っていた。
現場の照明に照らされてわずかに煌めく銀の髪を風に靡かせながら、眠たそうな目をこすっている。

「あーあ、退屈……」

彼女の名はフィアナ・1st。千夜と盟約を結んだカノッサの一組織から出向している少女である。
見た目はまだまだ少女、といった雰囲気だが、彼女は戦闘に関してならそこいらの専門家より遙かに上の力を持つ。
今回の一件の詳細をよく知らない彼女であったが、大暴れ出来ればそれで良い、という考えのもとでここへ来たのであった。

もっとも、今は待つばかりでひどく退屈しているのだが。

327Mirage:2011/12/14(水) 22:00:21 ID:oB5LASG.0
>>324
「この戦いは……」
テントから離れた位置に、一人佇む少女が居た。
冷たげな視線で周囲を見渡している。

何かを守るための戦い……。
あれから考えを張り巡らしてきたが、一向に応えは出なかった。
何を愛して戦うべきか。
自らに背負わされた愛の一文字。
全てを知ったつもりだったが、
「これだけは、理解できんな……」

開いた右手をじっくりと眺めながら少女は呟いた。

328名も無き異能都市住民:2011/12/14(水) 22:16:24 ID:et1rlL8Y0
>>325-327
やがて、夜空が明るくなった。
空の中心に、真っ赤な球が見える。

「来たぞ!総員十分に距離を取るんだ!」

中心には、太陽の黒点のように黒ずんだものがいくつも見られる。
やがて、巨大な火の玉が、異能都市住宅街の避難勧告地域、丁度中心に着弾した。
炎が民家を吹き飛ばし、十分に離れた観測局や異能者の元にも小さな瓦礫や火の粉、熱波が飛んでくるほどである。

「時間通りだ……な」

時計と地図を見合わせ、指揮官は呟いた。
視線の先には、巨大なクレーターと、赤い炎のドームが確認できるだろう。
赤いドームは徐々に小さくなっていく。

「隊長。生命反応、確認できますが……」
「肉眼で確認できるような生き物は……居なっ……!?」

指揮官がそう言った瞬間、突如消えかけていた炎のドームが浮き上がっていき、形を変えていった。

「なんだアレは……!?骨……!?」

黒ずんだ骨が、ドームの真ん中で動いていた。
むき出しの嘴、同じくむき出しの足の爪。
それ以外は全て炎に包まれている。
巨大ないくつもの骨が、炎を肉の変わりに身体とし、巨大な鳥の形を作っていた。

巨大な鳥は、目玉の無いはずの眼孔を異能者達に向けた。
大きく一度羽ばたくと、先ほどとは違う、直接の熱波が異能者達に襲い掛かる。

329黒沢小百合:2011/12/14(水) 22:29:39 ID:SSMHlh/20
>>328

小百合としては、端から交渉など考えておらず
叩き潰すつもりであったため、例の何者かが着弾した時点で既に攻撃を開始していた。

「あれほど派手に都市をやられたなら、
 向こうに知性があろうとなかろうと殺すための大義名分はたちますからねェ……。」

既に上空で待機させておいたスツーカ急降下爆撃機の編隊が
小百合の振り下ろした腕と同時にダイブ。

その胴に抱えた爆弾を、クレーターの中心へと投げ落とす。

「ヨシフ・スターリン曰く『死が全てを解決する。』、
 後腐れなく殺してしまえばよろしい。」

戦闘の準備も万端。既に小百合のいる陣屋には
コンスタンティノープルの城壁が張り巡らされている。
数世紀にわたり東ローマを守り続けた城壁は、熱波にたいしてもその防御力を発揮するだろう。

330フィアナ・1st:2011/12/14(水) 22:31:52 ID:BJpXK.LM0
>>328

飛来した火の玉が着弾し、爆発が起こる。
その爆炎の中から現れた炎の異形に、フィアナは楽しそうな口笛で応えた。

「こうでなくっちゃ。ああいうわかりやすいの、フィアナ大好き」

好戦的な感想をフィアナが言っている間に、その異形から熱波が飛んでくる。
フィアナはニヤリ、と口を歪め、

「光性・金性複合術式。挨拶への返礼としてはこんなもんだよね」

熱波がフィアナの元へ到達するが、熱波はフィアナを焼くことなく、
見えない壁に遮られてその流れを二分させられ、フィアナの後ろへ流れていった。
フィアナの前にある空間が赤熱し、そこに真っ平らな壁の姿を浮かび上がらせるが、
すぐに冷えてその姿を隠してしまった。

331Mirage:2011/12/14(水) 22:39:02 ID:oB5LASG.0
>>328
「熱、か……」
体に降りかかる熱波を感じながらその中央を見る。
その視界の端にこちらへ向かって飛来する瓦礫が見えたので腕を高く上げる。
丁度、少女の腕目掛けて瓦礫は飛来してきた。まったくの計算通り。
手の先で小さな爆発を起こしてやると瓦礫はさらに砕かれて散っていく。無論、こちらに掛かることは無い。

「今は、何のために戦うか見つけるため……戦い抜く」
腕を強く振り、指先は倒すべき敵を捕らえていた。
指の軌跡に沿って光のレールが現れると、それに飛び乗って進んでいく。
大回りで近づいていく中、両手に光を宿し、剣を象らせる。

火の鳥の周りを隙を付け狙うように滑走する少女。
炎には強く造られているので多少近づいても大丈夫なはずだ。

332名も無き異能都市住民:2011/12/14(水) 22:55:35 ID:et1rlL8Y0
>>329
巨大な鳥が羽ばたき、宙に舞い上がる。
鳥の尾は、いくつもの円盤状の炎が連なったような、孔雀や不死鳥を思わせる美しいものだった。

鳥は炎の内に爆発を受け、一瞬骨部分がむき出しとなった。
しかし、爆発の炎がそれを覆い隠すと、骨は再び炎の内になった。
果たして、この生き物とすら言い切れない灼熱の化け物を「殺す」ことが出来るのだろうか。

鳥は動く者を追うように、戦闘機を嘴を開けて追い始めた。
おそらく現在の速さでは鳥の動きの方が上だろう。

>>330
鳥は宙を飛び、戦闘機を追っている。
熱波は羽ばたく度に襲い掛かるが、現在直接フィアナを狙っているわけではない。

>>331
近づくだけならば問題は無いだろうが、この怪物は炎そのものと言っていい。
そして、ダメージを与えるのに有効そうな部分、骨は炎の内だ。

333フィアナ・1st:2011/12/14(水) 23:10:21 ID:BJpXK.LM0
>>332

「ふーん……?」

鳥が羽ばたくたびに生まれる熱波を見えない壁で防ぎながら、
フィアナは鳥と戦闘機との戦いを見上げる。
あんな姿をしていながら飛べるのは意外ではあったが、フィアナが注目したのはそちらではない。

「あの炎、鎧の役目もあるんだね。
 でも石油火災と同じで、爆発で酸素を奪ってやれば消えるみたい。……一瞬だけだけど」

だがその一瞬しか、奴に目立ったダメージを与えるチャンスはないだろう。
面倒だなぁ……と呟きつつ、しかしフィアナの口元はまだ笑ったままだ。

「なら試してみよっか! 火性・土性複合術式10連!」

見上げている空に魔術的文字で構成された円が現れる。その数、十。

「吹っ飛んじゃえ、プライマル・フレア!!」

それらの魔術式円陣は空を飛び回る鳥の異形目がけて、炎に包まれた岩を射出した。
高速で飛来するそれらは隕石を思わせる。
命中すれば、炎による熱ダメージと岩塊による大質量のダメージが同時に加わるだろう。

334黒沢小百合:2011/12/14(水) 23:12:12 ID:SSMHlh/20
>>332

そも、スツーカ爆撃機は対地攻撃に特化した機体であり
空戦能力においては、同時代のほかの航空機に劣る。

そのため速力で上回る火の鳥が相手では幾分分が悪く、次々と落とされてしまう。

「ううむ、あれはまいったな……。
 物理的な攻撃が通用しないとなると……。」

そう、小百合の具現化する兵たちは基本的に剣や槍、
近代的なものでは銃弾、爆撃といった『物理的な攻撃』が主であり
そういったものに耐性を持つ相手には分が悪いのだ。

「ともあれ、火には水と相場が決まっているか……。」

小百合は例の火の鳥から少し離れた場所に航空機群を再具現化。
今度はジェット双発機『Be-200』を数機具現化して見せたが、これは戦闘機と言うより
民間の旅客機に近いフォルムを持つ。

こんなもので戦えるのだろうか?

335Mirage:2011/12/14(水) 23:21:31 ID:oB5LASG.0
>>332
「チッ……思ったよりも厄介だ」
あれだけの炎をまとっていれば、実弾の攻撃はほとんど通らないと見える。
かといって、近づくのはあまりにも無謀。

「なら、撃ってみるか……」
右手を開き、手のひらを上に向ける。
右腕にまとわれた光が球体となって手のひらの上に収束する。
少女の走るレールの軌道が変わる。火の鳥の真後ろをついていくような形だ。
右手のひらを火の鳥に向ける。その瞬間光が柱状の光線となって火の鳥に襲いかかった!

336名も無き異能都市住民:2011/12/14(水) 23:32:22 ID:et1rlL8Y0
【最後に全体攻撃】

>>333
迫る岩石に気づき、鳥は嘴を岩に向けた。
嘴は岩を砕き、バラバラと火炎弾を周囲にばら撒く。
岩を砕いた衝撃で、元からむき出しだった嘴の方から、今度は頭骨がむき出しになった。
しかし、またすぐさま炎が覆ってしまうだろう。
頭が丸ごとむき出しになった分、再生は幾分か遅いようだが……。

>>334
水>火という式は、一般的には正しいだろうが、この場合相手が大きすぎる。
多少水をばら撒いたところでは通用しないだろう。

直接ダメージを与えるにも、最初からむき出しなのは嘴と足の爪のみ。
しかし、攻撃によって何度か直接ダメージ有効そうな部分も見え隠れしている。

>>335
鳥の背骨を、光線が掠めた。
胴体を貫通し、普通の生物ならばそれでお陀仏だろうが、生憎そうはいかない。
背骨のでっぱりが数本、地面に落ちるが、鳥の動きに異変は無かった。

しかし、地面に落ちた骨は灰になって消え去った。
骨部分へのダメージとしては有効らしい。

--

戦闘機を追いつくした鳥は、一度高く舞い上がる。
そして、翼を大きく広げ、羽ばたいた。
たくさんの小さな火球が、異能者に降り注ぐ。
かなりの上空から降り注いでいる為、城壁の内側にも十分に届くだろう。

337黒沢小百合:2011/12/14(水) 23:43:18 ID:SSMHlh/20
>>336

つぶてのように降り注ぐ火球により、
幕舎に火がつきめらめらと燃え上がり始める。

「……ッ、女の顔に……!
 ヤツを生かして返すな、必ず立ち消えにしてやる……!」

小百合は具現化した装甲車の中へと避難したが、
さすがに無傷とはいかなかったようで頬に軽いやけどを負った。
しかし、軽微なダメージは彼女の怒りを誘うこととなり、例の航空機を火の鳥目掛けて突っ込ませる。

ちなみに『Be-200』には武装は施されていない。
地獄への片道切符、体当たり作戦だ。

338フィアナ・1st:2011/12/14(水) 23:47:26 ID:BJpXK.LM0
>>336

「土性術式3連!」

上空から飛来する火球のシャワーを見たフィアナは、地面に手を打ち付ける。
そこから光る波紋が地面に広がり、巨獣の掌のような形に隆起した地面がフィアナを覆い隠し、
火球の雨からフィアナを守る。

「あんな高いところに居るなんて、やっかいだなぁ。
 フィアナも飛べばいいのかな? まあでも、その前に……」

隆起した地面の影から垣間見る空。
そこに見える異形の後方に、青白く帯電する巨大な魔術的円陣が現れる。
フィアナの術式のようだが、まだ発動はしないようだ。準備に時間が掛かるらしい。

339Mirage:2011/12/14(水) 23:51:51 ID:oB5LASG.0
>>336
攻撃方法としては悪くないようだな。
しかし、足場にも同じものを使っている以上、あまり多く撃つこともできん。
奴を潰すには……やはり頭か?
それならば回り込む必要があるが……幾分か奴は早すぎる。
追いつくことは計算上無理ではないが今は穏便に攻めるときか。

「この程度、当たらなければどうということは……!」
その矢先に大量の火の粉が降りかかる。
全てを記録し計算、応えに基づいて回避行動を取り、最少の被害に抑えていくがそれは0ではない。
「えぇい、なんということだ」
一度距離をとって立て直す作戦に出たようだ。
踵を返し高度を下げて離れていく。

340防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/14(水) 23:56:49 ID:WVrfsEdY0
「…見過ごせません!その騒ぎ!」
【突然戦場に誰かの声が響き渡る】

「悪の怪人め!覚悟しなさい!
 私が成敗してあげますよ!」
【ちょっと戦場から離れた場所に現れたのは…学園の指定制服を着た少女】

「見過ごしちゃ・・・いけないんです!」
【またしても背中の風呂敷に色々抱えて現れた。】

341名も無き異能都市住民:2011/12/15(木) 00:05:35 ID:et1rlL8Y0
>>337
鳥はそのままの高度を維持し、迫ってくる航空機を見た。
それに向かって、嘴を広げ、食いついた瞬間。

ジュウゥという音と共に嘴が破裂した。
推察するに、水によって急激に、しかも内部から冷えた結果だろうか。
おそらく、骨がむき出しの部分ならばこの攻撃は有効打となるだろう。

>>338
上空で、鳥の嘴が割れる。
割れた嘴は灰となって消え去った。
徐々に鳥の高度は下がってきているようだったが、まだまだ遠い。

>>339
突然、Mirageに鳥が向き直った。
割れてしまって少ししか残らない嘴を開ける。
その奥に、何か赤く光るものが見えたかと思うと、
強烈な高熱線が吐き出された。

>>340
その場には常に熱風が吹き荒れていた。
見たまま、上空の巨大な火の鳥の仕業だろう。

342防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/15(木) 00:14:46 ID:WVrfsEdY0
>>340
「火の鳥…?このままじゃ近づけませんね」
【鶫は押し寄せる熱気に腕で顔を覆いながらその様子を見つめる】

「…このままではいけません…
 もっと火を消せるようなものを持ってこないと…」
【汗を流しながらもあたりを見回し始めた。めぼしき火を消せそうなものを探しているようである。】

343フィアナ・1st:2011/12/15(木) 00:15:19 ID:BJpXK.LM0
>>341

「遠いのなら……その翼をもぐのが一番だよね!」

フィアナの瞳がカッと見開かれ、異形の後方に出現していた円陣が激しく稲光を放つ。

「金性術式40連……ギガント・アームズ!!」

フィアナが術式の発動を宣言すると、上空の円陣は稲光を纏わせた巨大な、巨大すぎる剣を吐きだした。
刃渡り10メートル、厚さ3メートルにもなるその剣は、帯電したまま重力に従って落ち始める。
……すなわち、異形に向かって落ちていく。

空気を押し広げながら落ちる剣は見た目通りの莫大な質量を持つ。
それに当たってしまえば、斬られる、というよりは斬り潰される、と表現すべき結末が待つだろう。
しかも、剣はそれだけではなく、円陣から次々と吐き出されていく。
巨大質量の弾幕はその威力、厚さも驚異的だが、それに伴って発生する異常な乱気流も空を飛ぶ者にとっては脅威のはず。

344防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/15(木) 00:15:24 ID:WVrfsEdY0
//すいません
//>>341の間違いです

345黒沢小百合:2011/12/15(木) 00:19:37 ID:SSMHlh/20
>>341

「やはり、セオリー通りと言うわけか。
 こういった『属性』を性質に反映している怪物は
 えてして弱点もわかりやすいというものだ、な、あ……!」

小百合はしてやったりと言う表情で目を見開き、
次々と例の航空機を具現化させる。

『Be-200』の任務には山火事の際に上空から散水を行なう事が含まれており、
小百合はタンクに水を満載したそれを具現化したのだ。

同時に、大質量の機体が突っ込むのである。
水による消化+体当たりによる物理的ダメージを狙う。

346Mirage:2011/12/15(木) 00:36:21 ID:oB5LASG.0
>>342
背後を向いて落下点を指定する一瞬の時間。
その間に火の鳥は少女の背後を捕らえた。
遅れて少女は振り返ると、そこには嘴を開く姿。
一瞬の内に危険を察知するも、身体の動きが間に合わない。
腕を振り上げ光に指示を出せば簡単によけることもできる。
その後左手の光も打ち出してしまえば効果的なカウンターも狙える。
しかし、それができる程の反応速度は持ち合わせていなかった。

「くっ、そぉ!」
炎が肩を掠めて少女に地面を差し向ける。
ギリギリの瞬間に導き出した答えに従ったのだ。
落下する身体。ちかづいていく地面。
少女は左手の光を地面に打ち出し、落下する力を緩和させて激突を防いだ。

「この私が、人の英知! 人の総意!!
 ならば私こそが未来を切り開く刃にならずしてどうする!!!」
頭では回避できていただけに彼女の怒りを誘う。
爆風から出てきたのは真紅の鎧。
翼のついた真紅の鎧は各関節や翼に仕込まれたスラスターを一斉に展開し急加速を行う。
さらに翼をはばたかせることで通常以上の速度を得ることができる。
腰のラックを開き、ハンドガンのようなものを手に取る。
同じく腰から伸びたケーブルを左手でつかみ引き伸ばし、ハンドガンに装着する。
通常はハンドガン内部に装てんされたエネルギーのみで十分なのだが、外部から接続することでさらなる威力を生み出すことができるのだ。
今、少女が行おうとしているのは正にそれだった。
引き金を引くと超濃度の粒子からなるレーザーが一直線に頭を狙って発射された!

347名も無き異能都市住民:2011/12/15(木) 00:40:51 ID:et1rlL8Y0
>>342
しかしあたりには瓦礫しか残っていない。
それに、アレほど巨大なものを消せるものはそう無いだろう。

>>343
鳥に落ちる剣。
狙い通り、巨大な剣は翼の付け根に当たるが、ダメージは皹が入る程度にとどめられた。
電光も対したダメージを与えているようには見えない。
そのまま地表に落ちてきた剣は、表面が熱によって融解し、湾曲していた。
鳥に直接ぶつかった部分はえぐれたようにへこんでいる。

>>345
鳥に飛び込んで行く大量の機体だったが、思いのほか効力は薄いように見える。
炎の部分に突っ込ませても、機体は熱風により吹き飛ばされ、水は瞬時に水蒸気と化す。
骨部分にまで水が到達していないのだ。
大量に航空機をつぎ込んで、ようやく右脚部の付け根に皹が入った程度。
いくら無限に出せるからといい、これでは効率が悪く時間がかかりすぎる。

>>346
レーザーは、鳥の頭を正確に捉えていた。
頭骨の半分程度が爆裂し、灰と化す。

しかし、鳥は若干バランスを崩しはしたものの、平然と空を舞っていた。
頭骨の中身は空っぽ。
本体など最初から無い、骨自体が本体なのだろう。
頭を丸ごと破壊しても生きていそうだ。

348黒沢小百合:2011/12/15(木) 00:59:23 ID:SSMHlh/20
>>347

とはいえ、小百合にはこれ以上に効果的な手立てが思いつかない。
例えばもっと強力な消化剤を詰む、これは手元にそういった書籍がないために不可能であるし
高層ビルを崩し、それに挟み込むなんてのは博打もいいところだし
後から喰らう批判を想像すれば頭が痛くなる。

ここはどうにか自分の突貫で敵の火勢を抑えつつ、
他の者たちの攻撃への道筋を切り開くのが自分の役目だろう。

349防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/15(木) 01:00:58 ID:WVrfsEdY0
>>347
「…ないですか…
 こうなっては直接仕掛けるしかありませんね。」
【そう言って少女はゆっくりと風呂敷から銃を抜く。どうやらおもちゃの銃のようだが】

「これをくらって見なさい!」
【敵がいるであろう場所に光をまとう弾丸を発射した。おもちゃにもかかわらず実物以上の威力を持っているであろう】

350フィアナ・1st:2011/12/15(木) 01:02:54 ID:BJpXK.LM0
>>347

「あっちゃあ、これもダメかぁ」

無惨な姿で落ちてきた巨大剣たちは、青色の粒子に変わって風に吹き散らされていく。
地面にたたきつけられればベストだったが、あの様子はベターにもほど遠い。

「……あれ、待てよ?」

そういえば、先ほど冷却された嘴が弾け飛ぶのを見た。
あれはむき出しの部分に当たった水が原因だったが、炎の中の骨も同様の結果になるのではないのか?

「そうと決まれば! 水性・光性術式直列20連!」

空の鳥に向けた掌、その先に大きな青い魔術リングが幾重にも重なった。
それらのリングは高速回転を始め、その内部に青い光の玉を生成する。

「ぶっつけ本番新型術式……! 名付けて、フローズン・フロウ!!」

リングからのエネルギーを受けてその大きさを肥大化させた光の玉はついに破裂し、
リングが向く方向に青く巨大なレーザーを発生させた。
それは極低温の光の流れであり、通った場所の熱量を一瞬で奪う、容赦のない冷気の塊であった。
その証拠に、冷気の大型レーザーが通った後には空気中の水分が凝固し、雪が舞っている。

351Mirage-13s:2011/12/15(木) 01:09:57 ID:oB5LASG.0
>>347
頭部を確実に焼き払ったが相手が沈む様子はない。
無論、その可能性も考えられていた。
その事から対して怯みもせず、いや、怯むという発想がないのだろう。
今、真紅の鎧は目の前の炎の鳥を落とすことのみだけを考えていた。

左翼を傾け、右翼を小刻みに動かす。
身体を左に流していく間にケーブルを引きはがし、代わりに左手でもう一丁の銃を持つ。
「墜ちろぉ!!」
左は流したまま、右の翼を大きく倒し、強く仰ぐ。
身体が大きく傾き、のちに回転する。そこからさらに加速して回転を止めず続けていく。
同時に二丁拳銃からの乱射をはじめた、火の鳥を微塵にしてしまう為の掃射だ。

352名も無き異能都市住民:2011/12/15(木) 01:20:05 ID:et1rlL8Y0
>>348,350
冷気の光は、鳥に直撃する。
ただそれだけならば、炎の勢いが収まる程度だったろうが、
黒沢の航空機の突貫により、炎の勢いは徐々に低くなってきている。
そこに打ち込まれた冷気、既に鳥の放つ火炎は許容量を越えていた。

冷気と熱気がぶつかり合い、衝撃を起こしながら、確実に炎の勢いは低くなる。
遂に鳥の頭は長い首の根元から吹き飛び、灰となるが、胴体の方はいまだ空を飛んでいた。
しかし、高度はかなり落ちている。
殆ど骨が無い翼の部分は、炎の減退がそのまま響く。
炎の減退により、身体を支えられなくなっているのだ。

>>350,349
銃は正確に鳥に打ち込まれた。
銃弾程度ならば溶かしてしまう炎は既に勢いが弱まっている。
防人の弾丸は肋骨に命中、Mirageの乱射は先ほど皹が入っていた右足を落とした。
地に落ちた骨の破片は片っ端から灰になっていく。

353防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/15(木) 01:32:39 ID:WVrfsEdY0
>>352
「どうやら上手く言ったっぽいですね。」
【直撃したのを見て大きくうなずいて効果を観た。】

「だけど…ここは、押しの一手ですね!」
【鶫は喜ぶまもなく、再び力をチャージし始める】

「今度はしっかり狙いを定めて…」
【力を貯めている最中のようだ…まだ攻撃はしない。】

354フィアナ・1st:2011/12/15(木) 01:35:12 ID:BJpXK.LM0
>>352

「この術式……いける!」

思った通りの効果を得られたことに、フィアナは満足げな笑みを見せる。
質量をぶつけてどうこうなど考えずに、最初からこうすれば良かったのだ。
熱の鎧を強い冷気によって脆弱に逆転させる。こんな簡単なことに気づかなかったなんて!

「もっといくよ! 直列10連追加!」

レーザーを撃った後も残留していた20もの魔術リングによる砲身に、10のリングを追加する。
その様相は大型の火砲を彷彿させるものになり、それによって生み出される冷気の光は、
先刻のを上回る大きさに育っていく。

「さあ……熱いのは冷ましちゃおう。猫舌な人たちのために、ね!」

そして、再度冷気の光が鳥に向かって照射された。
冷気の強さはそのままに、鳥の体の大部分を飲み込むだけの太さにまでレーザーは巨大化している。

355黒沢小百合:2011/12/15(木) 01:37:35 ID:SSMHlh/20
>>352

「ようし、最後にトドメといこうか。
 『人間以外』は操作ができないから、あまり使いたくはなかったが
 あの様子だ。短時間でブチこんで蹴りをつける。」

小百合は、基本的には人間、もしくは人間の作った兵器・建造物を好んで具現化するが
本来の能力は『書物に書かれている自称の具現化』であり、いくつかのルールに抵触しないものなら
自然物であろうと生み出す事ができる。

――雪を含んだ、横殴りの風がビュウと吹いた。

辺りにはいつのまにか、ビルと瓦礫の代わりに完全に凍りついた樹氷が姿を現し
崩壊した区画は、全て分厚い雪と氷に覆い尽くされていた。

そう、小百合は『シベリアの大地』を具現化したのだ。
彼女が言うとおり、自然現象であるこのシベリアの寒風は小百合自身にも制御ができない。
ただし、効果と言う点については折り紙付だろう。

356Mirage-13s:2011/12/15(木) 01:44:48 ID:oB5LASG.0
>>352
「これで終いと行こう!」
回転を緩やかにすると同時に高度を落としていく。
が、その後急激に角度を変え高速で上昇を始めた。
帆の鳥が見渡せる位置にまで上り詰めた頃には手元には二丁を合体させた巨大な銃が。
左右のコード二本ともを接続し、火の鳥に向かって構える。

「さぁ……眠れ!!」
中央を捕らえた銃口から光の高濃度圧縮された光の粒子が交戦となって襲い掛かる。
その威力は二丁拳銃の合体+本体供給用のコードを二本しようしていることから、初めに撃った光線の比ではない。
それは、銃口から放たれた光線の太さ、輝きの度合いが増していることからも解るだろう。

357名も無き異能都市住民:2011/12/15(木) 01:52:05 ID:et1rlL8Y0
>>353-356
シベリアの寒風が、弱弱しくなった炎を消し去っていく。
もはや鳥は飛んではいない。
その様子はただ落ちているだけ。
火が消えた部分から灰と化しながら、ボロボロと崩れ落ちていく。

そこに追い討ちを掛けるように、冷気の光線が鳥を飲み込んだ。
あれだけの炎は完全に消え、カラカラの骨が音を立てて崩れ落ちていく。

その中でも最も大きな塊を、Mirageの光線が打ち抜いた。
ボフンと音を立てて骨は破裂した。
全ての骨は灰と化し、異能者達の頭上に降り注いだ。

【イベントクリア】

358防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2011/12/15(木) 01:56:49 ID:WVrfsEdY0
>>357
「…ねらうまでもなかったんでしょうかね…」
【少しがっかりした様子でチャージを解除した。】

「ふむ、私はあまり貢献できませんでしたね…
 なんというか、蚊帳の外状態でした。」
【軽く笑いながらあたりを見回した】

「…これが雪だったらいいんですけどね」
【若干ロマンちっくなことを言いながら降り注ぐ灰を見つめていた。】
//イベントお疲れ様でした。
//大した事出来なくて申し訳ありません。

359フィアナ・1st:2011/12/15(木) 02:03:15 ID:BJpXK.LM0
>>357

「……なあに、あれ」

ボロボロと落ちてくる灰に変わった異形を見てフィアナの表情は一転、
あからさまにつまらなそうな顔へと変わってしまった。

「あんなに仰々しいんだから、もう二、三回変身残しててもいいじゃん。
 これで終わりって、案外弱っちいんだー」

それなりに暴れはしたが、フィアナにとってはまだまだ暴れ足りないようであった。
落ちてきた灰に汚れた髪や長衣をパンパンと払い、くるりとまわれ右。

「今度はもうちょっと歯ごたえがあるといいんだけど。
 こんなんじゃ逆にユメにしかられちゃうよ」

口をとがらせて不満を表現しながら、フィアナは後の処理で騒然とし始める現場を離れ、
集まっていた野次馬に紛れて街へと姿を消してしまった。

//イベントお疲れ様でしたー

360ミラージュ:2011/12/15(木) 02:12:29 ID:7hcwnxwgO
>>357
「撃ち抜いたか」
合体銃を分解すると腰の装甲を開き、そこに埋めた。
眼下で積もる程に舞う灰を掻き分け追い抜きながら高度を下げていった。

「ふむ……」
地面に足をつけると腕を組んで考える事にする。
愛。私に与えられたこの言葉は如何に難解か。
多様で不変かと思えばガラリと変わって見せもする。
……まあ、
「何か、掴めた気がしないでもないな……」
そう言うと早々に飛び去っていった。
彼女は人だかりが好きではなく、騒ぎに駆けつけてきた人間から一刻も早く逃れたかったのだ。
しかし、それともう二つつ。何時もの場所に置き去りにした猫が気になって仕方がなかったのだった。
あと一つ。自分では気づいていないが今回の戦いで掴んだ何か。少女はそれについて考えるのが楽しみで仕方がなかった。

361黒沢小百合:2011/12/15(木) 02:16:14 ID:SSMHlh/20
>>357

「ふぅ……街への被害は甚大だったが、
 人的被害を最小限にとどめられたという点では及第点か。」

骨まで凍るようなシベリアの大地の具現化を停止。
瞬時に、先ほどまでの煤けた瓦礫の山が姿を現す。

「しかし、ヤツはいったいなにものだったのだろうか。
 ただの魔物……にしては、ううむ……。」

// おつよー

362名も無き異能都市住民:2011/12/15(木) 02:31:26 ID:et1rlL8Y0
【エピローグ】

後日。
異能都市のニュースでは、このようなニュースが流れていた。

『先日街を襲った巨大な火の鳥ですが、×××火山に生息していた不死鳥の卵が、
 噴火の影響で未成長のまま孵化してしまった結果生まれた物、と言う説が有力です』
『では、あれは不死鳥の奇形ということですか?』

戦いがあったクレーターを、漆黒のロングコートの男が歩いている。
何かを探すように、キョロキョロと。

『奇形と言う言い方に少し違いますが、概ねそんなところでしょうね』
『不死鳥と言うことは、不死鳥が死んだ現場に雛が転生している可能性があるのでしょうか』

男は周囲の灰の中から、何かを掴み取り、それを月にかざした。

『×××火山に生息する不死鳥は、雛ではなく卵で転生を行うそうです。
 ですので現場では現在卵の捜索が行われています』

男が持っていたのは灰色の卵だった。
表面の灰を払うと、美しいオレンジ色が月明かりを受けて光った。

『なるほど。ですが異常孵化の不死鳥も転生の能力を持っているのでしょうか』
『前例の資料が無いので解りませんね。その為二週間後までに発見されなければ卵の捜索は打ち切られる予定になっています』

「これで……新たな帝王の素体は手に入った……!」

男はそう呟くと、全身に紅の炎を纏い、燃え尽きるように消え去った。

363――――:2011/12/25(日) 11:39:47 ID:QYyPcDfoO
――それは昨夜の、神の子の聖誕祭の前夜に起きた血腥い出来事であった。


「――――いー子だからさ、早くあの子を返してくれないかな、ねぇお人形さん?」
「あはははハッ、………………やだ。」
「……あーぁあ、聞き分けのない子は嫌いだよ?」

相対する、ふたつの黒。
ひとつは魔女。緋色の魔力を練り上げ、相手にブチ撒けんと、殺気を抑え切れず。
もうひとつは人形。外斜視の両眼を備えて、焦点の合わない世界を見据えて笑っている。

やがて魔女は魔力を練り終えて、「魔法」を完成させる。
緻密な詠唱を伴わないそれは、単純に相手を死に至らしめるためだけに造られていて、
相手をどこまでもどこまでも追い詰めて着弾すれば大規模な炸裂を見回せる。
そんな、おふざけ好きでひねくれ者の魔女には似合わない、ひたすらに単純な魔法だった。

「――――遺言は聞かないからね?」

かける言葉はそれだけ。魔女は人形に向けて、魔法を――殺意を放つ。
さて、それを受ける側の人形はというと。


「――――悪魔の力を打ち砕きて」


手にするのは、蒼く輝く大剣。纏わせているのは、聖気――天使が持ち得る、特殊なエネルギー。
それを見た魔女の顔が、驚愕と狼狽に歪んだ。


「捕虜を放つと 主は来ませり、主は来ませり、主は、」

   「主は、来ませり」

――――対して人形が浮かべる表情は、笑み。
大剣の鍔部分、回転式拳銃の弾倉に似たパーツに聖気が込められて、向かってくる殺意に対してそれを放出する。
放たれたのは――カウンター術式、聖典引用魔術のひとつだった。


「――――――――なんで、なんでお前がそれを、」


持ってるのよ。それを口にする前に、魔女は光に呑み込まれた。
「魔」に対して絶対的な強さを誇る聖気、それを操る術式。それを持ち得るのは、



「…………よーし。『悪魔』も捕まえた、『天使』の力と混ぜれば――準備は整うね!」


『天使』のみ、のはず、なのに?




――――夜空に強烈な閃光が瞬いた。
しかしそんな事象(あるいは異変)など日常茶飯事だと、この都市の住人は判断する。
ただ、その時――――クリスマスイブの夜以降、神羽荘の二階のとある二部屋は、静まり返ったままだったりする。


//無駄に長いソロールです。例のごとく反応はご自由にっ

364サンタクロース&ゆすら(荒御霊):2011/12/25(日) 23:47:32 ID:BJpXK.LM0
【???】
(2レス続きます、すいません)

極彩色の場所があった。
様々な色の糸がどこからともなく四方八方に伸び、縦と横と斜めに交わり、高さと深さを表現し、複雑な、複雑すぎる形容を形成している。
故に、そこは極彩色に染まっていた。

「ふーんふふふーん♪ 今年も無事にクリスマスは終了だにゃー」

その糸しかない空間の中、巣の主として君臨する蜘蛛のように、糸に腰掛ける人影がひとり。
真っ白いファーに縁取られた赤いワンピースを着た、金髪碧眼の少女である。
彼女の横では、やはり白いファーが縁取られている赤い三角帽と、シミ一つ無い白い大きな袋が糸に引っかかっている。
いや、引っかかっているというよりは彼女が引っかけたのだろうが……。

「反発する意志はあれど、クリスマスでこのサンタクロースの存在は絶対なのにゃー。
 運命線の神に抗っても良いことないにゃ。ま、そいつらにも70%の確率で恩恵を与えるのがあちきの仕事でもあるにゃし、
 シカト決めることもできないにゃー。因果な商売にゃ、サンタクロースってのも」

ほぅ、と疲れた息を吐く。だが、その表情は楽しげだ。

「にゃけんども、今年は特に大変だったにゃ。それもこれも、あの異能都市とかいうイカレた街の担当になったのが原因にゃ。
 普段の七倍くらい働いた気がするにゃ。これは特別恩賞モノの働きじゃないかにゃ?」

自問しながら、周りに走る糸を見る。
実はこれらの糸は、異能都市に住む者たちの「運命線」という、その人の行く末を決める線であった。
それらの線は、人間、非人間、もしくは無能力者、能力者問わず、全ての住人にそれぞれ一本ずつあるものだ。
少女、いや、「サンタクロース」という名の神は、そういった運命線を操り、その人にとって喜ばしい出来事を意図的に発生させるという仕事をしている。
物体としてのプレゼントをもらえなくても、例えば恋人が一日ずっと一緒に居てくれたり、難病だった親類が快復したり、ということが、
彼女の仕事の結果として発生する。もちろん、プレゼントが何者かの手によって本人に渡ることもある。
それらは全て、「サンタクロース」という神が起こす、「クリスマスプレゼント」という名の現象であった。

しかし、この異能都市という都市は、様々なものが入り乱れすぎて、始め、運命線がひどくこんがらがった状態であったのだ。
それをここまで整調し、「クリスマスプレゼント」を滞りなく発生させた少女の仕事は、確かに特別恩賞モノであろう。

「これはひとつ、余興でも見ないと釣り合わないにゃ。どうせこの後は、来年のクリスマスまで休眠するだけにゃし。
 少し夜更かししてもいいよにゃ?」

そう言って、少女は二つの運命線を手に取った。
ひとつは、とある神社に祀られている水神の運命線。
そしてもうひとつは、外の世界からやって来た、「異端者」の運命線。
そのふたつの運命線を、少女は一括りにした。

「さあ見せてもらうにゃ。でっかい余興というものをにゃ」

365ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 00:00:06 ID:BJpXK.LM0
【???】

「…………何処だ、ここは?」

気がつくと、ゆすらは知らない場所に立っていた。
一面見渡す限りの、青々とした草原。木もなく、山もなく、丘もない、本当に、文字通りの平原である。
上を見れば、夜の闇と、それを切り裂いて明るい、星々の群団。
あり得ないような話だが、その草原はそれらの星の光で照らされていて、ほんのりと明るかった。
だが、

「不自然だな、ここは。ひどく作り物じみている」

耳を澄ませば歯車の音が聞こえてくるような、そんな不自然さがその草原には広がっていた。
草の匂い、風の音、星の位置……それらは不自然ではないのだが、逆にそれが不自然を想起させる。
そう、まるで「不自然ではない、ということをアピール」しているかのように。

「どうやら引きずり込まれたらしいな。誰の仕業だ?
 ……いや、こんな芸当が出来るヤツなど、そうはいまいが……」

ゆすらは警戒の視線を、周囲に巡らす。

366エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 00:11:57 ID:xm/dFKGs0
その遠くから少女を伴って、白衣に身を包んだ男性が現れる。
白衣の男は少女の話に耳を傾けながら笑いを浮かべている。
だが、どこかその笑いは力が無く、諦めたような印象を受ける。
少女の姿は年の頃19と言った所で身長は中くらいだが、少女は大きめのロングコートを着せられていて、
袖の辺りがかなりぶかぶかだ。

「久しぶりだというのに…君は相変わらず私に酷いことを言ってくれるな」
「そうおもうのなら…少しでもその笑いや性格を直すべきだと思いますよ」

そう言って、ゆっくりとゆすらのほうへ歩いてくる。
少女の方が気づいたのか足を止めてゆすらの方をみている。
一方、男の方は少女が止まったのを確認してからゆすらの方を見ると。
僅かに驚いたような顔をして。

「これは……こんばんは、とでも言ったほうがいいのか?」

そう言ってゆすらをはっきりと見た。

367ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 00:19:09 ID:BJpXK.LM0
>>366

声をかけられた方を振り返ったゆすらは、そこにいた男の姿に、
一時は驚いたような表情をしたが、すぐに犬歯を見せるようなニヤリ笑いに表情を変えて、

「ああ、こんばんはのはずだ。私の時間の感覚が狂っていないのならな。
 まあ、高天原の飲んだくれ共と酒盛りをしていたから、狂っている可能性も無くはないが」

そう言って、クックックと喉を鳴らす笑い。

「しかし、考えてみれば一番に、真っ先にお前が出てくるべきなんだよな、アダチよ。
 一応訊いておくが、これはお前がやったのか?」

足下に広がる草原を、両手を広げて示す。
風がさわっと吹いて、草原を少しの間、軽やかな楽器に仕立て上げた。

368エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 00:27:26 ID:xm/dFKGs0
>>367
相手が笑っている最中に、少女はエドワードの後ろに隠れて。
小声でエドワードに少し怖がっているかのように聞く。

「ねぇ、リン…あいつ…何?」
「さっき話しただろう…神様と言う奴らしい」

少し呆れながらも私はオイジェスが聞いたことに対して答える。
相手はなんだか楽しいんだかいらだってるんだか分からない笑いをした後の問いに、
私は少し思考してから、正直に答えることにする。

「残念だが…私が原因ではないさ。
私は数年振りに再会した親友と一緒にお茶をしていたら、
いきなり異界の門に吸い込まれてここに飛ばされた来たに過ぎない」
「……」

私の言葉に、後ろのオイジェスは少し俯いているようだ。
……どうやら、まだ私にやったことを気にしているらしい。
私にとっては今更どうでもいいことだが、オイジェスにはそうでないのだろう。

「まぁ、信じるかどうかは貴方の自由だ。
私を疑っても構わない」

369ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 00:38:42 ID:BJpXK.LM0
>>368

残念ながら自分ではない、というエドワードの言に、ゆすらはハハハハ!と高らかに笑って、

「何が残念ながら、だ、アダチ。お前の言うとおりなら、これ以上面白いことは無いぞ?」

ゆすらは前屈みになって足下に広がる草を一房つまみ、
それを頭上まで持ってきた後、風にそれを持って行かせた。

「見ろ、本物だ。どいつもこいつも本物だ。だが……「本物」過ぎる。
 本物に迫りすぎて、逆に本物から逸脱しているのが見え見えだ。
 自分から「作り物」だと言っているようなものだな」

手についた土をパンパンと両手を打ち合わせて落とし、

「お前がやっていないということはだ、アダチ。お前達も私も、そして「ここ」も、「用意されたもの」だ、ということだよ。
 私とお前達を元いた場所から引きはがし、対峙させる。そのための装置だ、ここは。
 凄まじい力を持っているな、ここを用意したヤツは。
 普通の人間や化生ならまだしも、神と「外れモノ」を舞台に乗せるだけの力があるのだからな」

370エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 00:53:04 ID:xm/dFKGs0
>>369
「……私にとってはそんなものより親友との会話が楽しみだったよ」

そう、私は残念に思いながら呟いた。
私個人では誰と戦うかなどどうだってよかったのだ。
ただ、気紛れにサンタとやらにオイジェスとの会話を望んだら、
それが本当になった…それだけよかったのだ。

「だが…こうなった以上、やらねばならないのか。
運命の神という奴は本当に、ぬか喜びをさせてくれる」

後ろで押し黙っているオイジェスを他所に私は一歩前に出て相手を見る。
相手が楽しそうにかたっているのを聞いて、私は言葉を返していく。

「いかに真作に似せようとも贋作は贋作にしかなれない。人間も無機物も世界も、それは何も変わりはしない。
神様が神様の掌でおどらさらる、というのも中々見物ではあるが。それで、貴方は私と戦うつもりでいるというのか?」

371ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 01:07:10 ID:BJpXK.LM0
>>370

「お前と戦う気だと? そんなものあるものかよ。
 ましてや、クリスマスに恋人と乳繰り合ってるようなヤツとはな」

一歩前に出るエドワードを、相変わらずの犬歯むき出しの笑顔で見ながら、
ゆすらはひらひらと手を振った。

「だが……ここという将棋盤を上から見てるヤツは、それがお望みらしい」

振っていた手を下ろす。
と、同時に、ゆすらの周囲の地面が割れ、中から大量の水が噴出した。
その水はゆすらの巫女服を濡らすことなく、止めどなくあふれ出している。

「ヤツの望みを叶えなければ戻れない、となれば、お前と剣舞を踊る気にもなる。
 持つ剣は真剣、しかし楽しく愚かしく。こんな機会はまたとないぞ、アダチ。
 ……どうだ? 一緒に踊ってくれるか?」

372エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 01:21:00 ID:xm/dFKGs0
>>371
恋人と言う言葉に反応したのか、後ろのオイジェスは少しピクッとした。
……どうやら少しカチンと来たらしい…。
今にも飛び出していきそうなオイジェスを抑えて、私は前を見る。

「悪いが、オイジェスとはそう言う関係じゃあないんだが。
といっても信じてはくれそうにないな。オイジェス、自分のみは自分で守ってくれよ」
「言われなくても分かっているよ……それより、そのいけ好かない女をさっさとぶっ飛ばしてくれ」
「はー…了解した」

昔のオイジェスなら言わなかったような台詞だが…どうやら彼女も変わったらしい。
後ろに下がると、こちらを見ながら座っている。
防御に集中するあいつなら・・・まぁ大丈夫だろう。

「ゆすら様よ、その申し出…お受けさせていただく!」

腕を振るい、その手に握られているのは黒い塊のような剣。
振るわれたその剣は黒い闇を撒き散らすと同時に雷鳴と暴風をとどろかせる。
溢れんばかりの魔素を左手に宿しながら彼は相手を見る。

373ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 01:32:19 ID:BJpXK.LM0
>>372

「ほう、違ったのか? それは無礼を働いたな。堪忍してくれ。
個人的な意見を言わせてもらえば、お前達のやりとりは尻に敷く女と敷かれる男に見えて仕方がないがな」

謝った後にこの物言いである。絶対に反省していない。
すごくにやついているし、それは確実だろう。

「まあこの場では些細な話だ。認識の差なんぞ、後でいくらでも埋められる。
 …………さあ、やろうか、アダチ。この世のモノとも思えない、大一番の剣舞をな!!」

ゆすらが言葉を激すると、ただ勢いに任せて吹き出していただけの水が逆流し、固まって、一つの形をなし始めた。
長い二本の牙、大きく開いた口、先の分かれた舌……そして、ぐるぐるとうねるその体。
ゆすらの周りに吹き出していた水は、その姿を一匹の大蛇に変えていた。

ゆすらは水で出来たその大蛇の体をスッと撫で、不敵に笑んでエドワードの方を向く。

「さあ、先手はお前に譲ろう、アダチ。どこからなりともかかってくるがいい!」

374エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 01:40:13 ID:xm/dFKGs0
>>373
「そうか…なら…」

右手に握りこんだ剣を、相手へ向かって投擲していく。
同時に左手から魔素を炎に変えて噴出し加速していく。
高速で相手へ飛来していく剣を追いかけるように加速。
相手が如何これを取るかが、最初。

「まずは、小手調べといく…!」

剣を弾かれれば、右手へとそれを転移させ剣戟へ。
当たったらば右の手に魔素を集めてそれを押し込む。
そもそも回避されたのならばこのまま一度抜けきる。
大蛇のような水に攻撃されたらば…それはそのとき考えよう。

375ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 01:51:01 ID:BJpXK.LM0
>>374

「ふうむ、思ったより馬鹿正直なのが来たな」

ゆすらは不敵に笑んだまま、顎をなでつける。
そうしてから、近づいてくる剣と男を指さし、

「みずち、遊んでやれ」

ゆすらの指示に従い、大蛇はその巨体を思わせぬ速度で疾った。
草を濡らすことなくその水の体をうねらせ、砲弾のような勢いで頭を槌のように動かし、まずは飛んでくる剣を地面にたたき落とす。
そして、そのままの速度で後に続く男に迫り、大蛇はその凶悪な牙の並ぶ顎を開き、男に噛みつこうとした。
実際の蛇とは違って毒は持たないが、最新鋭の戦車装甲を刺し貫くほどの鋭さが、その牙にはある。噛まれたら無事では済むまい。

376エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 02:01:59 ID:xm/dFKGs0
>>375
「っ…思ったよりキツイのがきたな」

くるくると地面に叩きつけられ突き刺さった剣を音で確認しながら、
迫る大蛇の牙に対して私は左手を向けて、そこから魔素を放出して強引に後ろへと加速する。
右手で剣を誘導するが、アホみたいに突き刺さってるお陰で上手く操作できそうにない。
割断は諦めるしかないらしい…。

「なら…こいつでいかせて貰う!」

足先にナイフを手繰り寄せて、それを相手に向かって足で飛ばす。
ナイフはシェイドナイフ、投擲されてから10秒後に相手の影に入り込んでから、
背後より相手に飛んでいく…滋野曰く鏡の原理を応用したらしいが…相変わらず謎だ。
もっとも、弱点として10秒以内に弾かれたりすると機能しなくなる上に、脆い。

377ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 02:16:03 ID:BJpXK.LM0
>>376

エドワードの逆噴射により大蛇の牙は標的を見失い、ガチリという金属音のような音を立てて、
何もない空間を大蛇は咬み砕いた。

「ほう、やるな」

大蛇の牙を回避したことに、ゆすらは面白がるような声を漏らす。
大抵の妖怪や悪魔はこの一撃で勝負が決するが、やはりこの男は別格らしい。この戦い、久々に愉しいものになりそうだ。
と、そんなことを考えている間に、エドワードがナイフを投擲してきた。
剣を投擲して落とされたというのに、何を考えているのか。
よくはわからないが、とりあえず最低限に体をずらして、その弾道から逸れようとする。
が、

「……!?」

いきなりナイフが消えたと思ったら、次の瞬間には背中にグッサリと刺さっていた。
何だ、何が起きた。そんな思考で、一時頭の中が埋め尽くされる。
しかし、そこは戦いを生業とする神。それを一息分の間で切り捨て、背中に刺さったナイフを抜く。
痛覚が走るが、かまうものではない。そういうのが戦いというモノである。

「痛いな、アダチ。今の手品は何だ? 良ければ、教授して貰いたいものだが」

言っている間にも、主を害した男を、再度大蛇が牙で追い詰めにかかっている。

378エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 02:29:04 ID:xm/dFKGs0
>>377
「悪いがマジックは種が見えては意味が無いのでな…自分で解き明かす事だ!」

逆噴射で崩れた体勢をすばやく立て直しながら、ようやく操れた剣を右手に握り。
迫る大蛇に対して水平に向けていく。
両足をしっかりと踏み込みながら彼は前へと走り。

「割断する…!!」

迫る牙に対して剣はせせら笑う様に黒く鈍く輝いていき、
振るわれると共に閃光を放ちながら大蛇を割断しようと剣閃は煌いていく。
空間ごと対象を割断する剣閃だが、干渉能力では恐らく相手に負ける。
相手がこの攻撃がどういうものか判断されたらばまず効果はあるまい。
一瞬、攻撃をキャンセルできればいいほうだ…だがもし相手が判断できなければ、
大蛇を消せるかは性質によるが、攻撃をキャンセルするには十分のはずだ…!

379ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 02:39:53 ID:BJpXK.LM0
>>378

「フン、ケチめ」

ナイフを刺された痛覚はまだあるにも関わらず、ゆすらの口調はまだ楽しげだ。
抜いたまま持っていたナイフを捨て、ゆすらは大蛇を操る。
大蛇は今度こそエドワードをその牙で捉えようと首を伸ばす。

「っち、アレは」

しかし、ナイフを刺された隙を突かれ、相手は剣をその手に取り戻していた。
剣が黒く輝き、放たれた剣閃が大蛇に迫る。
大蛇はその水の密度から、かなりの強固さを持っていたが……剣閃の特性がそれを障害とせず、
大蛇は斬撃によって頭の上半分から先を切り取られ、体の半ばまで半分に割られてしまった。
当然、そうなっては形が崩れる。無惨な姿となった大蛇は水に戻り、草原へと降り注ぐ。

……後に残っているのはゆすらのみである。

380エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 02:45:59 ID:xm/dFKGs0
>>379
「ショット…!!」

左手を相手に向けて、そこから炎の渦を相手に向かって放射する。
加速に使った噴射とは違い、相手を焼きつくさんと迫る熱と炎の渦。
並大抵の水分では蒸発してしまい、自らを傷つけていくだろう。

「さて…どうなるか」

左手の炎をカットして、右回りに走り出す。止まったら負ける…動けと私は判断した。
攻撃範囲や一撃の威力は今の所相手が上だ。此方は手数でせめて相手と同格であるように見せねばならない。
さっきの割断も、そうそう乱発できるものではない。発明品によるはったりと術式で攻めていく…!

381ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 03:14:03 ID:BJpXK.LM0
>>380

自分に迫ってくる炎の渦と、それとは別に動いているエドワードの姿を同時に認め、
ゆすらは長く細い息を吐いた。

「……フン。これだけ見せられているんだ、こちらも少し手品を出さなければ不公平か」

ゆすらはおもむろに右手を横に突き出した。すると、その右手にどこからか水滴が集まってくる。
凄まじい勢いで集まってくる水滴は、すぐに水の塊となり、やがて巨大な帯のようなものになって、ゆすらの右腕に巻き付いた。

「いくぞ、アダチ。これが私の「手品」だ」

ぐぐ……と、右腕に力を込めると同時に、自分の神気を水の帯に流し込む。
すると、水の帯を形成する水滴一粒一粒が色とりどりに煌めき、草原は昼のような明るさに包まれた。
そうしてから、ゆすらは右足を一歩前に出し、大地を踏みしめて、

「ただ在るがままに征け……!!」

炎の渦と、エドワードに向かって右腕を振り抜いた。
それに従い、巨大な光の帯が右腕から離れ、一筋の太い光条となって炎の渦とエドワードのいる場所をなぎ払った。
ゆすらが使ったのは、彼女の持つ凶悪にして神聖な武器の一つ。

古来、それは星天を分かつ大いなるものとして神聖視された。
神の住まう場所を、堂々と二つに分けて通るそれは、まさに神をも越えたモノであった。

その名を、「天の河」といった。

今でこそそれは銀河を横から見るものとして解釈されているが、ゆすらを生んだ古の人々にそれがわかるはずもなく。
古の人々は見たままの、天を二分するそれを、川の似姿として、水の起こすそれとして、水神としてのゆすらに見てしまったのである。

――――――それはもはや「水」の領域を越えた御業であった。
天を割断し、星の海を割断するそれを、止めるモノがあろうか?
その問いの答えは、エドワードに託された。

382エドワード=ニュートリング+少女:2011/12/26(月) 03:30:18 ID:xm/dFKGs0
>>381
「ち……何処の神様も派手なのは変わらずか…!」

迫る光の帯を見やりながら、私は頭の中で時間が止まったように感じるレベルで思考をめぐらす。
真っ向勝負…は愚策だろう、だが待て……水?水というならばもしや―――?

「一か八か…やってみてもいいだろう!マグネティック!」

左手の魔素を黄色く変色させていき、それは無色の力場を発していく。
水というものは反磁性の性質を持つ代表的な物質だ。その為、強い磁場に触れると水はそれを避けるように動く。
―――相手が使っているのがどういう物であれ、水という概念であるからには…。
水という物質が持つ性質に逆らう事は不可能…であるはずだ。
もっとも、水神と言うからには水そのものの性質を変えることが出来るかもしれない。
この力場は強い磁界を発生させると同時に、水に対する防壁でもあるのだ。

「成功すれば御の字…もし駄目でも次に繋げられる…!」

死ぬと言う事を考えず、あくまでチャンスを作ることを諦めてはいない。
相手の水が性質に沿っているならばこの磁界を避けるはずだ。
そうでないのなら…手痛いダメージを追うことになるが。

383ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 03:42:59 ID:BJpXK.LM0
>>382

ゆすらを生み出した古代人が抱く、最強の切断概念である「天の河」。
確かにそれを構成するときに使ったモノはエドワードの思うように「水」である。
しかしながら、ゆすらの神気を受け、「天の河」と成ってしまった今、普通の水と同じように扱うのは避けるべきであっただろう。
そして、「防ぐ」という選択肢も。

「どうしたアダチ! こいつは文字通りの星薙ぎの太刀だ!
 そこに突っ立って腸を晒すか!?」

斬鉄を越えた「斬天」、「斬星」、そんな造語を作れるほどの存在であるその巨大な光の太刀が、
その見た目に違わぬ巨大な神気を放ちながら、空間を斬ってエドワードの元に迫っている。
もう猶予はない。

384風邪の人:2011/12/26(月) 03:55:16 ID:xm/dFKGs0
>>383
「―――南無三ッッ!!」

猶予は無い―――ならば猶予を『創る』のみッ!
私は懐の三つしか用意していない『ワイルドカードの一つ』を切る。
すると、私の体はその場から消え去った。
まるでどこかに転移したかのように消えてしまったのである。
代わりに切断されていたのは一枚のCDであった。

使用したのはテレポスラスト―――。
使用することで対象設定した物体をランダムに転移させるアイテム。
設定しなければ持っていた人間をどこかにランダムに転移させるアイテムだ。
その性質上緊急脱出ぐらいしか意味が無い上に無闇に使えばいしのなかにいる状態になりかねない危険な物。
また、3枚しか持ち歩けないという規制がある。使った当人は地上から300m空中に転移していた。
何故かボロボロになっているが。

385ゆすら(荒御霊):2011/12/26(月) 04:03:28 ID:BJpXK.LM0
>>384

そして、天の河は届く全ての範囲を斬って捨てた。
仕事を終えた星々の太刀はその姿を元の水滴に戻して、再びゆすらの周囲に浮き始める。

「本当に手品の多いヤツだ。いっそ奇術師にでもなったらどうだ? お前ならウケるぞ?」

肉を斬る手応えはなく、相手は空中。
今度はどんな手品を使ったのやら。まあ、訊いても教えてはくれないだろうが。

「どうだった、私の「手品」は。少しは肝を冷やしておいてくれれば御の字なんだがな?」

得意のニヤリ笑いを見せながら、ゆすらはエドワードに問うた。

386エドワード=ニュートリング:2011/12/26(月) 04:09:27 ID:xm/dFKGs0
>>385
「確かに少し死に掛けたよ。磁界と…咄嗟の判断が無ければ危なかった」

くるくると回りながら着地して彼はそう言った。
実際ギリギリだったのだ。刃はもう既に切断し始めていたから。
後一瞬でもテレポスラストが間にあわなかったのなら、死んでいただろう。

「悪いが、此方は見えない手段でしか対等になれないのでな…。
種が割れれば此方は脆い」

自分の状況を飾る事無く相手へと告げる。
ハッタリが通用するのは、相手が此方の言葉を疑った場合だ。
信じても通じるが、疑ってくれた方がハッタリとそうでないものを分かりにくくできる・・・。

//すいません、一旦ここできります。お疲れ様でした。

387ゆすら(荒御霊):2011/12/28(水) 21:55:19 ID:BJpXK.LM0
>>386

「フン、殺そうと思ってもそう簡単には死んでくれないくせに、死にかけたなどとはな。よくもまあしゃあしゃあと言う。
 しかし……」

ゆすらはぐっと大きくその場でのびをした後、痺れを取るように手をブラブラと振った。

「準備体操は終わったし、このままやり続けても良いんだが……ちと刺激に欠けるな。
 そうは思わないか、アダチよ?
 お互い、制限の無い状態で思いっきり羽を伸ばして死合う気にはならないか?
 幸い、ここは元居た世界ではない場所らしいしな。我々が大暴れしてもそう迷惑はかからん」

クイっと上を指さし、

「元締めは馬鹿げた剣舞を望んでいる。つまりは、派手であれば派手であるほど、早く帰れるんだ。
 私はさっさと帰りたい。建御名方のジジイと飲み比べの最中だったんだ。
 お前はどうだ、アダチ? お前はこの場所に長くいたいと思うような輩だったか?」

388エドワード=ニュートリング:2011/12/28(水) 22:50:08 ID:xm/dFKGs0
>>387
「常にギリギリの戦いなんでね、足掻く事は一流なのさ」

ボロボロの肉体に治療の術式を宣言し回復したあと、
剣を地面に刺して後。

「私としても速く帰れることに越したことでは無いがな。
悪いが私はこの世界においても制限がかかっているのでね。
貴方の様に、脇目振らずに延び延びと戦えはしないのさ。
……言っておくがオイジェスは関係ないからな?放っておいてもあれは無事だろうからな」

腕をぐるぐると回して、ゆっくりと屈伸運動する。
体の調子は悪くは無い。

「だから、制限内であるがその中で全力を出させてもらうさ。
もっとも、貴方ほど派手な攻撃は中々できそうには無いがね」

389ゆすら(荒御霊):2012/01/08(日) 21:19:21 ID:HZ4vpCOU0
>>388

「ほう、そうなのか? まあ、お前は生き残るためなら手段を選ばんだろうしな。
 ……いや、もう「生きて」はいないか」

ゆすらからすれば、もうエドワードは「生きて」いない者と同じである。
いかに血を流し、人の形をした肉の器を得ていても、その本質が「人」でないのならば、
ゆすらはもはやソレを「人」とは認めない。

「だからこそ、お前相手ならば私も本来の力を引き出せる。
 ――――――おい、元締め。見ているのだろう?」

ゆすらは防御に徹しながらこちらの様子を見ている、オイジェスと呼ばれていた少女を指さし、

「これからやることに、そいつは邪魔だ。さっさとお前の所へ連れて行け」


――――あはっ、了解にゃ。


どこからか、そんな声が聞こえたような気がした。
それは風の囁きか、それとも本当に、尋常の者ではない「元締め」が漏らした声か。
その真贋を見極める時間は、その場の誰にも無かった。

突如、少女のすぐ背後の空間が淡く発光する傷口を晒し、
少女の首根っこをファーで縁取られた赤い袖の腕が引っ掴んで、あっという間にそこへ少女を引き込み、
その傷口を閉じてしまった。

「…………これで邪魔はいなくなったな」

ゆすらは満足そうに笑みながら頷いた。

-------------------------------------------------------------------------------

一方、少女を引っ掴んだ腕の主はというと。

「この子をこちらに引き渡したっつーことはだにゃ、あの神、アレをやる気だにゃ?
 にししししし、面白くなりそうにゃ」

引っ張ってきた少女を、自分が座っている糸の上にポンと乗せ、
向こうの様子が映るもやのようなものを見つめながら、本当に楽しそうに笑った。

390エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 22:34:47 ID:xm/dFKGs0
>>389
「オイジェス!」
「ああー、心配はいらんよ。たまには思う存分やり給え。
後処理と責任くらいは取っておいてやる…ああ、骨も取ってやった方がいいか?」
「後処理だけでいい…だが、危ない目にはあわないでくれよ」

そんなもん知るか…とでもいいたそうに憎らしい顔をしながら引き込まれていく。
あの嘘吐きめ…なんて私は呟きながら自然に頬が緩む。
つまりは全力でやれというオイジェスの要求―――いや、久しぶりの『命令』だな。

「なら、答えてやらねばならんな……親友の命令とあるなら」

腰のポケットから銃を取り出す。銅製の見た目が不細工な銃。
重いし、それ程威力がある訳でもないし弾丸を選ばず使えるわけでもない。
だが、なんだかんだ今までで一番長持ちしている。オイジェス手製の特別な銅の銃。

「久しぶりに力を貸してもらうとしようか」

マガジンを込めて弾丸を銃に補給しながら、笑って相手を見る。
今だけは諦めの表情が消えている気がしてなんだか若返った気分だ。

391ゆすら(荒御霊):2012/01/08(日) 22:50:19 ID:HZ4vpCOU0
>>390

憂いが消え、やっとやる気になったらしい相手に、
ゆすらはフッと笑み、しかしすぐにその笑みを消した。

「……覚えているか、アダチ? 以前私が、自分の本質を「新生と終焉」だと言ったことを。
 今からそいつを見せてやる」

ゆすらはスッと右腕を天に掲げ、そして掌を下に向けてバッと打ち下ろした。
すると、その掌の直下にあたる地面を中心に、光の波紋が2波、3波と地面に伝播し、地平線の彼方に消えていった。
そして、波紋が完全に見えなくなると同時、草原を大きな地震が襲う。
大きな揺れの中にあっても、何事もないように立っているゆすらはもう一度、右腕を天に掲げた。

「いくぞ、私」

大地の揺れに呼応するかのように、――ありえないことだが――夜空に巨大な亀裂が走り、ボロボロと空が崩れていく。
それはまさに、世界の終わりを思わせる光景であった。

やがて、大地はその揺れに大規模な自壊を始め、傷口から出す血液のように、その亀裂から大量の水が地表に噴出する。
瞬く間に水は大地だったものを覆い、それを深き底に沈め始める。エドワードのいる場所も、すぐに水の底に沈んでしまうことだろう。

392エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 23:08:02 ID:xm/dFKGs0
>>391
ふぅー…と一呼吸置いて状況を確認する。
武器は無数の魔術式と陰陽符・魔素砲撃・魔剣・召喚術式・近代火器各種、
オイジェスの発明武装各16個、発明品26…現状だとこれくらいか…。
まずは、魔術式の詠唱制限を外す…次に保存しちゃうぞからの火器使用を解禁。

「と、考えている暇も無いか。
飛行術式…展開」

魔素を僅かに消費して、飛行の魔素を術式へと変換して宣言する…といっても魔素の補給は容易だが。
しかし、夜空を断つか…割断の業でもあそこまでやるのは不可能だ。
つまりここからはただの戦ではなく領域の奪い合いにでもなるか?
洒落をはく余裕があるだけマシと言えるだろうかな……。

「展開…!」

保存しちゃうぞに仕舞ってある火器の内幾つかを展開して目標を捕捉する。
展開したのはビーム砲…6はあるか。使い潰したせいで大分数が減ってしまった。
もっとも、チャージに時間がかかるためほぼハッタリに近いが。

393ゆすら:2012/01/08(日) 23:23:07 ID:HZ4vpCOU0
>>392

エドワードが飛翔するのに遅れること少し、他から流れてきた水がそこを覆い隠し、そうして水は大地の全てを底に沈めた。
大地は水に取って代わられ、あたりはすでに一面、海原と化していた。

「……こちらの姿では、初にお目に掛かるかの、幹也どの」

エドワードのように飛翔せず、水に呑まれたはずのゆすらは、海原の水面に立っていた。
その姿は、先ほどまでエドワードと言葉を交わしていた、大人のものではなく、十代に入ったばかりの、
小さな少女へと変わっている。

「私は和御霊のゆすら。さきほどまでぬしが話していたのは、荒御霊の私じゃな。
 まずは色々と、非礼を詫びよう、幹也どの。荒御霊の私は、どうにも口が悪くていかん」

和御霊だと名乗った小さな少女は、柔らかく笑んでいる。
が、その背後では空の崩壊は未だ続き、空の欠片が次々と海原へ沈んでは激しい音と波を立てていた。
崩壊した後に天上に残るのは、虚無のような黒い空間だけである。何の光も、そこからは見いだせない。

394エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 23:30:13 ID:xm/dFKGs0
>>393
「特に詫びられる覚えは無いさ。あの方が言った事も事実の一つであるからな。
口調の悪さについても、事実を言われれば文句の一つも出ないさ」

柔らかい笑いを見ながら、私は楽しそうに笑っている…と思う。
もっとも目の前の相手が先程の相手と同一と解ったのはひとえに慣れのお陰であるが。
初見でこの様な真似をされたら俺は気づける自信は無い…気づけないわけではないが…。

「そして、此方こそ初めまして…足立幹也だ。
名前の無い聖人というものを預かっている…」

他にも色々称号があった気がするが、この相手の前ではこれが適当だろうと思って。
恭しく礼をしながら答える。

395ゆすら:2012/01/08(日) 23:55:06 ID:HZ4vpCOU0
>>394

「そう言ってもらえると、肩の荷も降りる。
 ……ふむ、聖人か。私は生まれてこの方、聖人という者を見たことがなくてな。
 あまり腑に落ちぬがそれは勘弁してくれ」

少し恥じ入るような表情のゆすら。
しかしそれも、空が完全に崩壊しきるまでの話であった。
空はその欠片の全てを海中に沈め、海の上には真っ黒な空間だけが支配している。
ゆすらはそれを感じ取ると、顔を引き締めて、

「壊し尽くしたか。いや、済まぬな、幹也どの。
 私の本質を表すためには、一度あの世界を完全に壊す必要があったのじゃ。
 もう感じ取っておるのじゃろう? もう、あの世界は「死んだ」ということに」

真っ黒な空間の他には、ゆすらの立つ海原しかないが、
大地の底から溢れてそれを覆ったにしては黒々としていて、全く底が見えない。

「回りくどく言うのもなんじゃし、単刀直入に言おう。私の本当の力は「始源の水」。古き創世の力の一つじゃ。
 私を生み出した民にとって、水は万能にして絶対、全ての始まりと終わりを司る存在じゃった。
 水から全てが生み出され、そして水によって全ては死滅し、終わる。そういう存在として、彼らは私を生み出した。
 じゃが、多くの創世の神がそうであるように、人々の意識が拡大し、世界を覆い尽くしていくにつれて、
 私は「創世の神」のひとつとして人々の意識に取り込まれ、創世の力を失い、「おとぎ話」になるはずじゃった」

「しかし」と続く言葉はない。
彼女の言葉の先は、今、彼女らを取り巻いている状況が雄弁に物語っている。

396エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 00:04:58 ID:xm/dFKGs0
>>395
「欲しくてもらった名前ではないんでね。
名前が無いと言う事は、誰も知る事の無い日陰者と言う事さ。
もっとも、ある世界の歴史上では矛盾点を指摘されて私が表沙汰になったがね。
まぁ、そんな話は後でしたっていいのだからどうだっていいだろうさ」

そして、相手が発した言葉と状況を照らし合わせて自らの危機を察する。
御伽噺の巨人と言う奴か…いや、的確な表し方じゃないな。
こんな相手と戦うのは…あー、何度目かは思い出せないがそう多くは無い。
それに、今はオイジェスの助力は得られないのだし状況としては良くは無いだろう。

「世界が死ぬか…私には余り実感はわかないな。
もっとも、それは私も世界を壊した当事者だからかもしれんがね」

言いながら、彼は相手を強く見る。
外見など参考にはならず、強さは肌で感じようとするように。

397ゆすら:2012/01/09(月) 00:26:48 ID:HZ4vpCOU0
>>396

「ふふ……そうじゃな。世界が死ぬ「音」なぞ、そう聞くものではないしな」

と、言うか、むしろ聞いてはならない類のものだ。
世界が死ぬと言うことは、そこに住む人々も皆死んでしまうということである。
人の盟友を自負するゆすらにとっては、それ以上に辛いことはない。

「私は過去、万を超える人々を喰らった大罪を犯した。
 私が創世の神としての本質を留めているのは、その時に喰った人の魂達が私と同化し、
 自我の外殻をその人としての力で保持しているからに他ならない。
 この「始源の水」は私の本質であり、烙印なんじゃ。じゃが、こんな力にも使いようはあってな」

ゆすらはサッと、水平線の彼方から水平線の彼方まで右手を空に向かって振る。
すると、真っ暗なだけだった空に、少しずつ色が付いていき、淡い水色が空を覆った。
そして、ゆすらが最初に右手を向けた水平線の彼方から、まばゆい光が顔を覗かせる。
朝日だ。

「私が外れモノ……いわゆる「異端者」を好かぬのはな、幹也どの。
 人間を捨ててしまうという悲しさと、何よりその傲慢さにある。
 ひとつの世界を、ひとつの意識のみで自由にいじくり回すというのが、私はどうしようもなく嫌いでな。
 世界は、人の、人々の総体とその時間の積み重ねによって築かれる、「歴史」によってのみ動かすべきだと私は思うのじゃ。
 決して神や魔王や、邪神、化生の類がその役目を担ってはならない。
 あくまで、人が、「人間」が、人々が、それを担わなくてはならない、と、私は思っておる」

朝日の光に照らされ、薄くたなびく雲が輝きを放つ。

「ゆえに、私はこれまで、世界をいじくろうとした「異端者」を何人も滅ぼした。
 「始源の水」はそういった者達に向ける力としては、これいじょう無かったのじゃよ」

398エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 00:47:33 ID:xm/dFKGs0
>>397
「傲慢か…私にはその考えこそが傲慢だと、思うがね。
もっとも、私も同じ穴の狢故、余り強くはいえないんだがな。
人に全てを委ねるのは間違っているとは私も言わぬさ」

げらげら笑うように行動する剣にイラッッときたので銃とぶつけて黙らせる。
昔を思い出す…そう言う事を何度繰り返したか自体を永続的に記憶するのはある種拷問に近い。
死ぬに死ねず、還る事も出来ず、ただ永劫の時間を拷問の様に生き続ける―――。
それが異端者の烙印を押される者達、望むか望まぬかでなく私達はその存在が禁忌。
あらゆる世界から排除されるべき存在。

「俺はこの終わらない永劫の時間に、幾つものを希望を見た。
俺は……その希望を信じて今の俺の現実を生きている」

誰に言うわけでもなく、俺は言葉にして気持ちを発する。

「世界を守るという大任を帯びるのは結構だが。
だが、そこに俺たちのような存在が直接手を下すべきじゃないだろ」

399ゆすら:2012/01/09(月) 01:07:43 ID:HZ4vpCOU0
>>398

その考えは傲慢、我々のような存在が手を下すべきではない、というエドワードの言葉に、
ゆすらは静かに首を振って、

「それは立ち位置の問題じゃな、幹也どの。それに、私は世界を守っているわけではないよ。
 人が、その歴史の果てに滅びを得るまで、「人の歴史が続くであろう世界」を守っているに過ぎん。
 私にとって、この世界は「人間」がいなければ無意味に帰する。
 私はな、幹也どの。頭の天辺から足の先、魂に至るまで、人間が好きなのじゃ」

それは一片の曇りもない、彼女の本心であった。
人々によって生み出され、人々と友誼を結び、しかしそれゆえに大罪を犯した神の、心からの言葉であった。

「さりとて、私も人間を甘やかしているわけではない。
 現に、現世でこの「始源の水」を使ったことは一度もないのじゃ。
 私がこの力を振るう相手は、人々が対抗しうる領域を遙かに越える存在に限定されている」

ゆすらは白衣の懐から小柄を取り出し、それを鞘から抜きはなってエドワードに向けた。

「幹也どの。ぬしの、ようにな」

400エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 01:25:37 ID:xm/dFKGs0
>>399
「それが傲慢って言うんだよ、人の歴史は人の力だけで守るべきものだ。
俺たちみたいな存在が手を貸そうが貸さまいが、人間はそのフロンティア精神と、
貪欲とも言える生きる意志で自ら道を切り開いていける。人間はたった一つの意志に負けるほどちっぽけじゃない。
たとえ傷だらけになろうが道が閉ざされてしまおうが、俺たちが直接手を下しちゃ人の歴史じゃないだろ」

俺は目の前の神に対してそう言葉を発する。
人の力は手を貸してもらえなくても生きていける、俺たちが直接人間の脅威を排除するのはあってはならないと。
嘗ての俺ならば、こうは答えなかった…と思う。

「喩え人間が好きであっても、俺達が解答を出しちゃなら無いだろう。
それは俺達の答えであって人間の答えじゃない。俺達は正解を出しちゃいけない。
俺達は解答者じゃなくてヒントを言うだけでいいんだ。それだけで、人間は必ず先へ進める」

まるで少年の様に純粋に、真っ直ぐにゆすらをみてエドワード――幹也は言葉を発する。
その表情に全てを諦めたかのような男の影は無かった。

「それに、俺はアンタが思ってるほど凄い奴じゃない。
俺だって―――ただの一個人に過ぎないからな。
俺よりも…俺よりも今闘いを見守っているオイジェスのほうが何倍も凄い」

401ゆすら:2012/01/09(月) 01:55:12 ID:HZ4vpCOU0
>>400

「人の歴史は人のみによって守られなければならない。それには同意しよう。
 人は強く、大きな困難にも立ち向かえる。それにも同意しよう。
 だがな幹也どの。ぬしは先日言うたな。千を超える人々の、想いの結晶である魔剣を無力化するのは容易だ、と。
 そして先刻、世界を壊した、とも言った。ぬし一人でやったとは言うてはおらんが、そうでなくともせいぜいが寡勢だろう。
 ――――矛盾しているとは思わぬか?」

穏やかだったゆすらの顔には、いつしか敵意の混じった不敵な笑みが浮かんでいた。

「人は強い。ああそうだろうとも。しかしだな、幹也どの。同時に人は弱いのだ。
 生き物としての、動物としての能力も下から数えた方が早い。
 創世の神を、「おとぎ話」にまで落とし込む力を希有な力を持つが、それを自覚するものなどそう多くはないし、
 何よりそれは総体としての「人間」がそれらの神を押さえ込んだに過ぎぬ。
 例え万の人間を集めたとて、総体には至らぬがゆえに、その力は振るえぬ」

ゆすらの心の高ぶりを示すかのように、海原には波が立っていた。

「例えば。一つの海に面した村がある。
 海には村を潤す幸が多く眠るが、同時に時折荒れて、村に被害を出す。
 人々はその経験を活かし、家々を強く造ったり、波を防ぐ堤をこしらえたりして、海の荒れに徐々に対処していく。
 ……しかし、何らかの要因によって堤を打ち破るほどの強大で巨大な津波が起こったら?
 村の人々には為す術がない。津波に呑まれるか、運が良くともそれまでの生活全てを失う。
 幹也どの。私が滅ぼしてきたのは、そういう「津波」だ。
 人々の抵抗できる領域を越え、理不尽によって多くを奪う。それを私は殺してきた」

ゆすらの瞳が、鋭く細められた。

「それすら、要らぬ世話だったというのか?」

402エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 02:27:48 ID:xm/dFKGs0
>>401
「―――ああ。だって、それだって俺達の目線だろう。
もしそれで、彼等が失う物はきっと大きいだろう。理不尽だと嘆くと思う。
でも、だからって俺達が手を差し伸べるのは間違ってる。
だって、それじゃあ防波堤を作った人たちの気持ちを端から捨てるじゃないか。それこそ理不尽だと思う。
確かに俺達が手を下す事で多くの命を救えるだろう。でも、それじゃあ防波堤を作った人達も、
それを信じていた人たちも、まえには進めないじゃないか。喩え多くを失うとしてもそれが歴史であるのなら、
俺は……作った人たちが必ずその津波から皆を守ることの出来る防波堤を立てられると信じている」

多くの犠牲が出るだろう、けれどだからといって俺達が特別なことをしてはならない。
それは、彼らを信じていた人々を端から裏切る事になる。何より、先に進めない。
その神様に頼ってしまっていたらきっと人は進歩しなくなる。

「あんたは人間を好きだといった。
なら、アンタが好きな人間は津波や、俺達みたいな奴等の陰謀に、
簡単に踊らされて、滅びてしまう様な奴らなのか?俺は違うと信じている。
人間だって凄い奴は一杯いる……俺は何人もそいつ等と関わってきた」

言っていることが段々要領得なくなっている気がする。
熱くなりすぎているのだろうけれど、止められる気はしなかった。

「たった一人でも助けようとする消防士、人々の為に真実を暴く報道者、
夢も希望も無かったがそれでも何かを探す青年……。
皆、凄いスーパーパワーや驚異的な頭脳があるわけでもない普通の人間だった。
だが、彼等は皆『明日を少しでも良くなる事を願って』自分なりに戦ってる。
その力を、あんたはちっぽけだって言うのか?そんなのただの独り善がりだと、俺は思う」

自分の気持ちを、真っ直ぐに相手に伝える…事が出来ているかは解らない。
だけれど、俺はハッキリと目の前の神が言った『理不尽を滅ぼす』事を、『余計なお世話』と言った…筈だ。
ヒートアップした頭は冷静さと熱さが混在していて、自分でも抑えられなくなってきている。

403ゆすら:2012/01/09(月) 03:05:29 ID:HZ4vpCOU0
>>402

「ふふふ……ふふ、ふははははははははは!」

エドワードの熱弁に、小柄の切っ先を向けたまま耳を傾けていたゆすらは、
その弁が終わるやいなや、高らかに、そして楽しそうに笑った。

「そうかそうか……くく、ここまで大きな溝があるとは思わなんだ。
 確かになぁ。その場合、私は堤を造った連中の奮闘を鼻で笑うような所行をしたと言えよう。
 だがな、私にはその選択肢しか見えないのじゃよ、幹也どの。
 私も多くの戦乱を見た。天災を見た。人が大勢死んでいく様は、ほんに見るに堪えなかった。
 じゃが、人が前に進むためじゃと……それらを否定することはなかった。じゃが!」

ゆすらは声を激し、小柄を振り抜いた。

「「これ」は違う! 外道の法理を用い、世界の深淵から力を汲み取り、
 それを自らの欲に従って我が侭に振るって人々を脅かす!
 その脅威に心を構えられる人間が、そのことを知る人間が今、何人いる! 答えろ、幹也どの!!
 ぬしは、ぬしの知らぬだろう脅威に、暴虐に、常に構えているというのか!?」

そこまで一気に、叫ぶように言ってから、居住まいを戻し、

「無知は幸福なことなのじゃ、幹也どの。
 出来ることなら私は、人々にこんな、外法の飛び交う世界など知っては欲しくない。
 例え脅威があったとしても、私のような存在が内々にそれを処理し、
 表の人々に影響のないようにすることの、どこがいけないというのじゃ?
 
 地震も津波も、雷も疫病も、昔はわからぬものであったはず。
 私はそれらの危険を、人々が知るべきものとして放置した。結果、何人もの人が死んだ。
 しかし、人々はそれらを理解し、それらに対抗する術を編み出してきた。
 
 ……じゃが、やはり違うんじゃ、幹也どの。私たちがいる地平は、ここに潜む暴虐は、今は人々に知られてはならぬ。
 この暗き力の世界を、今の人々が知ったらどうなる?
 人々がこれまで築いてきたであろう、これから少しずつ築き上げていくであろう世界を、容易に灰燼に帰する力があると知ったら?
 その瞬間、人は人でなくなる。人であることを、諦める。私の大好きな、「人間」ではなくなる。
 ――――ああ、いずれはたどりつくこともあろう。だが、そのときにはもう、人はそこを踏み台に出来るほどの英知を持っていよう。
 獅子は子を谷底に落として育てるという。
 だがな幹也どの。今の時代に、我々のような脅威を表の世に出すことは、牙も爪もなく、身を守る術も、ましてや眼さえ見えていない、
 生まれたての雛を、肉食獣の溢れる森に突き落とすようなものじゃ。
 私にはそんなこと、認められない。認められるはずがないのじゃ」

404エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 04:06:08 ID:xm/dFKGs0
>>403
「人の力は、どんな苦難だって乗り越えられる!俺はアンタみたいに何十回何千回失敗したくらいで、
人間の力を推し量るほど人をやめて落ちぶれちゃいない!『これ』は違う、だよ?なにが違うって言うんだ。
人の力が、たった数千数万のエゴに敗れやしない!俺達が直接介入しなくたって人々は俺達が知る以上の速度で前に進む!
人々は人間だけで生きてるわけじゃないって知っている!手を取り合えるときは手を取り合おうとしている!」

銃を握り締めて、相手の言動に僅かに反応しているのか剣が静かに鼓動する。
僅かに、心臓が痛む。だけれど、気にするほどじゃない。之はきっと熱くなっているからだからだ。

「大体…俺達だけじゃないだろ…人間や、それ以外の奴等だって。
誰かを守るために、自分の為に、世界の為に人知れず脅威と戦っているんだ。
戦ってるのは…スーパーパワーを持ってる奴や、デカイ権力を持ってる奴だけじゃない…。
俺達のいる地平は確かに人知を超えた境地だろう…だがな。だからって俺達が人間よりも強いって訳じゃない。
高い所から人間見守ってやっているつもりでいる様な傲慢な奴よりも強い人間なんて、幾らだっている」

そう言った後に、彼はまだ言葉を紡ぎ続ける。
その顔色は青く、何かに堪える様にもみえる。

「これから築いていくものが幾ら壊されたって人間は歩みを止めたりはしない。どんな事になっても生きる事を止めたりしない!
人の心は、人の意志は!アンタの言う『生まれたての雛』程弱くはない!人々は『生きる事を止めない』限り『生まれたての雛』なんかじゃない!
俺達がすべき事は、人々が生きる意志を無くすほど絶望した時に奮い立たせる事じゃあないのか!?直接手を下すんじゃない、後ろからその背中を支えてやる事じゃないのか?
……俺の考えはアンタからしたら理想論かもしれない。無理無謀を言っているかもしれない!だけど!人々が自分達の意志で生きて続ける事を否定する事は、俺には出来ない!」

405ゆすら:2012/01/09(月) 04:51:28 ID:HZ4vpCOU0
>>404

「ああ理想論だとも!! これ以上ない、くそったれな理想論じゃ!!
 歩みを止めたりしない? 生きることをやめない? 私の思うほど弱くない? たわけが!!
 人は堕ちるときには堕ちる! 過酷に対すれば、諦めて死ぬ者もいる! 無様を晒して生きようとしても、結局死ぬことだってある!
 人は高貴を再生するだけの蓄音機でもなければ、階段を上り続けるだけのカラクリでもない!
 お前はただ、人の可能性にすがって、過信して、神のように崇めたてているだけじゃ!!
 それは狂信じゃ! 神を見る目じゃ! 人を見る目ではない!!」

ゆすらも激しい怒りの形相を見せ、それに伴って神気が激しく彼女の中で胎動した。
海原に大きな波が起き、空がにわかに強風を呼んで曇らせ、荒れ始める。

「さあ過酷だぞ、どうした、苦しいか、だが死にたくないだろう。死なない術を死ぬ気で探せ。
 生きろ、生きろ、もっと生きろ。そう説くか。
 ……ふざけるのも大概にしろ、外れモノ! やはり貴様は人を外れた外道だな!! 生き物というものを忘れておる!
 ああ確かに、人が神の領域に至ることもあろうて! じゃからと言って、人を神と同一視するのは違うな!!
 生には波があり、上がるときもあれば落ちるときもある! しかし、そこには差があり、少しずつ上がっていくのじゃ!
 お前はそれをわからずに、ただ人を己が満足する領域にまで上がり続けてこさせようとしておる!
 外道め! 人のやることではない!!」

振り下ろしたままの小柄を、もう一度エドワードに向ける。
最初に突きつけた時と違い、あからさまな敵意がそこには宿っていた。

「……始めはどこぞの神の戯れに付き合わされたと思って、少し面倒に思っていたがな。中々どうして。
 こうして我らが対峙するのは、運命だったのやも知れぬな。
 元締めは、それをわかっていたのか……いや、今は考えまい」

406エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 05:59:24 ID:xm/dFKGs0
>>405
「起こってもいない事を憂慮して歩みを止めるなんて馬鹿馬鹿しいと、俺は思う。
正直あんたは過保護すぎだ…と思う。
あんたは自分で自分の好きな人間を堕落させているって、
思ったことが無いのか?それとも、考えた事が無かったのか?
もしくはやらなきゃならないなんて、必要の無い使命感にでも溢れて自分に酔ってるんじゃないのか?」

青い顔のままに、俺は相手にそう言う。
体に異常をきたしているせいか、頭がまわらなくなってきた。
……呼吸を整えろ、そして落ち着け。
まず、相手の言い分が解ってもそれをよしとする事が出来るかといえばそうでもない。
そして、剣の方が痺れを切らしそうではある、本当にこう言うのが嫌いらしい。
剣にしてみれば当事者もいないのになにマジになっちゃってんのwwwって言う事なんだろう。

「さっきアンタは俺が人を神を見ているように見ているといったな。
俺からすればアンタは人間って奴を舐め過ぎだ…!!
共に歩もうとする努力すらしないで人間の価値を勝手に決めては欲しくないと思うぜ…!」

どうにも、ここまで解ったのは相手が余りにも人間に対して過保護すぎる事だ。
過保護なのは悪いわけじゃない。俺だって多分妹とオイジェスには結構過保護だ。
だが、過保護すぎたら駄目なんだ。あくまで道を阻む物を超えるのは人だから。

「人間には波があるさ、中には特に弱い奴ももいるだろう。
でもだからって人間全体が弱いなんて結論、俺は認めたく無い!
俺達は人間より能力では上にいるかもしれない!だけど、だからって見下すのは間違ってる!」

そして、過保護故に人間の強い部分と弱い部分の極端な面を強く見ている気がするのだ。
それが人間とはこういうものだ、って言う不確定な結論に至ってしまっている…のかも。
相手の事が解るわけじゃない、全ては仮説と推測と妄想だ

407ゆすら:2012/01/09(月) 06:40:37 ID:HZ4vpCOU0
>>406

「起こってからでは遅いから言っている。
 それにな、外れモノ。堕落とは何だ? 私たちのいるこの領域に、人が到達できなくなるということか?
 できなくて結構! 先ほど言うたであろう、出来れば、こんな領域を人には知覚させたくない、と」

ゆすらからしてみれば、この男は人間を成長する芸術品か何かにしか見ていないように感じられた。
自分の満足を至高に置き、この芸術品はそこまで上がるはずだ、上がらなければおかしいと、
狂った信仰をぶつけているに過ぎないように、彼女には思われた。

――――――冗談ではなかった。

「人が無条件に強いと捉えるのが間違っていると言うておる!!
 人は基本に脆弱があって、それを厭うからこそ高みを目指す。
 そうして高みを目指し続ける者もあれば、満足する領域で歩みを止める者もあり、
 あるいは少し歩んだだけでその足を止めてしまう者もいる。どれもその者の選択だ。私はその全てを受け入れよう。
 ……だが! お前の言はその全ての者達の尻を叩き、至高に至らねば人に非ず、と言っているように聞こえる!」

強くなることは義務なのか? 常に高みを目指し続けるのは人の天命なのか?
もしそうであるのならば、ゆすらは堂々と、この世界を創った神に「くそったれ」と罵声を浴びせることだろう。
弛緩ばかりをさせるのも問題だが、かと言って全ての人間に進歩を強いるのは間違っている。

「進歩と堕落を繰り返しながら、善と悪とに別れ、多数と少数に袂を分かち、争い、そして手を取り合って、
 しかし後に離反したり、また争ったり……そういう人の意識の混沌を経ながら、人は少しずつ高みに登ってきたのじゃ。
 そこに我らの領域がちょっかいを出して、一体何になる? 何をもたらすというのじゃ?
 人はこのまま、我らの領域を知るものを少数に留め、将来、全て忘れ去っていくくらいが丁度良いというに……!」

それをこの男は何と言った? 人と共に歩むつもりならば、外法の脅威を捨て置いて人に任せろだと?

「冗談ではない!!」

408エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 07:47:08 ID:xm/dFKGs0
>>407
「(あれ、もしかして俺自分で墓穴掘ってる?)」
『(当たり前だろバカじゃねーの相棒。■は腹が痛いぜまったく。
■からしたらお前ら二人とも無駄論議してアホ臭いね。おめーら気にしなくても人間自由だっつーの)』

「悪いが、俺はアンタの様に人間とはなれているわけじゃないんでな。
間近で見て、関わってきたからこそ解る事があるというものさ。
起こってからじゃ遅いってのはアンタの主観だ。
自分から人間と話そうとしたのか?できなくて結構と言うが、
それが独り善がりじゃないか確かめようとした事があるのか?」

テレパスで剣がこっちに思いっきり罵倒を浴びせてくれた。
嬉しくないが、中々痛いところを突いてきた。
何はともあれ、間違いなく俺は相手の発言を間違った形で捉え(たと思われる)、
思いっきり相手の神経を逆撫でしたようなものだ。
とは言え、諭す様な文句は持ってないので、俺に選択肢は無い。
俺には相手の人間の見る目はどこか歪に見えた…主観のせいもあると思うけれど。
愛していると言うが自分と同じ位置には立って欲しくない、自分達の領域を知らないで欲しい。
無い無い尽くし、まるで自分の知らない所に行って欲しくないかに見える。主観だが。
人間が生き延びる為に、それを強いるというのは何だか…そう、気に入らない。
凄く人間が舐められている気がして腹立つ。

「俺達が知る以上に人々は既に高みにいるさ。
だって、人が今この瞬間も生きて明日に進むのは変わらない。
高みに登ってきたんじゃない、今この瞬間も人々は高みに登っている。
高みに登るって言うのは『明日を願う事』じゃないのか?明日を願うから人は生きようとするんじゃないのか?」

「冗談じゃないって言うなら、俺だって冗談じゃない。
だってアンタさっきから自分の事ばっかじゃないか。
人間が基本として弱いなんてアンタの主観だろ。足を止めただって?
それは違うだろう、そいつは足を止めたんじゃない。違う道を歩いていったんだ。
大体さっきから聞いてれば人間は弱い弱いって。神様だか何だか知らんが、
人間をナメ過ぎだと思うぞ。どんな確証と考えに基いてそんな考えに至ったか知らんが、
限界と言うのはアンタが決めるもんじゃない、さっきも言ったがアンタの言う歩みを止めた奴っていうのは、
歩みを止めたんじゃなくて、違う道を歩んで明日を生きてると俺は思うぞ。
アンタの言い分じゃ歩み止めちゃったんですか残念ですねでも私はそれでもいいよって言ってるようなもんだろう。
言われた方は何コイツって思うと同時に反骨精神で無理してでも登りだすような気がしてならない。あ、これは余計だったな」

長々と早口言葉のように高速で喋りだした後。
不意に反骨精神、と言う言葉を考えて。
まさか、相手はそれが狙いなのか…?と考えてしまった。

409ゆすら:2012/01/09(月) 08:37:15 ID:UEzewDs20
>>408

「は! 私が人と離れて暮らしていると? わかったような口をきくと火傷をする、良い例じゃな!?
 なあ外れモノ。以前、私と神社で話したときのことを覚えているか?
 覚えているというのなら、あのとき神社にやってきた、帯刀した巫女も覚えておろうな?
 あの巫女……依紗子はな、かつて魔道に堕ちた陰陽術師によって家族を惨殺された過去を持っておってな。
 退魔の巫女として働く者は、大体がそういった邪道の行い、存在によって大切なものを奪われた過去がある。
 それだけではない。私はこれまで、二千年余りを生きてきて、そういった者達を何人も何人も見てきた。
 中には、そんな力を得て救われた者もいた。
 ……だが、大半はそういった外法の存在に関わったばかりに、不幸な目に遭ってきておる。
 お前は、そんな事件を乗り越えてもなお、退魔の巫女として働く依紗子を、「強くなった」と言うのだろう」

そこまで言ってから、大きく息をして、

「しかし、私はそんな出来事によって得られた強さなど、人には得て欲しくはない!!
 そうとも、こんなのは私のエゴだ! だがな、その強さと引き替えにしたものの方が、遙かに「強さ」などという曖昧な力よりは重要じゃ!
 エゴで結構! 傲慢で結構! それで第二、第三の依紗子が生まれぬのであれば、罵倒される甲斐もある!

 ……それに、なあ外れモノ。お前は私を「人を舐めている」と詰るがな、そんな「舐めていない」お前は、ならばどうして人の身を捨てた?
 人の身を捨ててまでやらねばならぬことがあった、か? 人の身では為せぬ大業があった、か? お前、まさか自分のことを棚に上げているのか?
 人は強い。人はあらゆる困難を打ち破れる。人は我らより高みに登っている。は! ご高説痛み入るが、お前の口では説得力が足らんな!!」

ハハハ、と犬歯を見せる敵意たっぷりの笑い声を上げて、

「ここまで話していてわかったよ、外れモノ。お前は人に幻想を抱きすぎている。
 人の可能性に心酔し、それを神話や伝説の輿の上に持ってきて、かくあるべしと、お前の願望を人に押しつけているだけじゃ。これは先刻も言うたな。
 私も別に歩みを止めた者がそれ以上行けないと言っているわけではない。
 ただ、「足踏みをしているだけで居られる」ことと、「弱いままで居られる」ことの、権利を、お前は認めていない。
 そこが私には理解できないし、許せない。だから何度も言うた。「外道」と。
 ときには進歩を強いられる場面もあろう。それがために、民が涙することもあろう。
 ……じゃが、それが我らの地平からもたらされたものであってはならない。少なくとも今は、その時期ではない。それが何故わからんのだ」

410エドワード=ニュートリング:2012/01/09(月) 09:19:11 ID:xm/dFKGs0
>>409
『(オイオイ相棒よコイツに何言ったって無駄だぜ。
なにせお前の言う『イイトコロ』って奴を見ようとしてないんだからさー。
ぶっちゃけ会話するだけ無駄無駄無駄。大体さっきから相棒ってば大事なこと忘れてるっしょー。
相棒だって目の前の神様と同じよーなこと、ざっと見て4桁いく位やってるぜ?人の事いえねーって。
忘れてね?大体、理論だ過程だ結論だーってのは相棒のキャラじゃないっしょー)』
「(……)」

とりあえずこいつとしてはああいう奴は嫌いなんだろう。
まぁ、俺自身もこの議論に意味を感じる事が段々出来なくなって来ている。
コイツとしては気遣ってるんだろうが……どうしたもんか。
ああ、もうなんか面倒臭くなってきた、やっぱりよけいな論理とかで飾り付けるからややこしくなる。
オイジェスの言うとおり私は会話がヘタだ。何度身に染みても懲りない辺り相当だ。

「あぁ畜生!止めだ止めだ!!
やっぱ俺はこう言うのは駄目だ!気分が悪いし相手もいい気分にならん!」

子供みたいに両の腕を振り上げて表情しかめっ面にして天を仰いで叫ぶ。
相手の言い分に図星突かれたのもあるが、一番は段々自分の言葉から離れてる気がしてきたからだ。
何が生きる意志だ意味だ能力だ独り善がりだ何だか言ったって相手の言うとおり自分だって変わらない。
結局自分のため、自分が悲しみたくないし笑っていたいからだ。
多分それは相手も変わらないし、ゆすら様なりに人の事を思っているのだ。
それを理解しようとすらしていない俺はなんと言う阿呆の恥晒しだ。

「格好つけて論理だてるからこんなに拗れるんだ!
大体、良く考えてみたら俺だってゆすら様の事言えた義理じゃないだろうが―――ッッ!!!!!」

天地を切り裂かんばかりに大絶叫。ここに来て真面目にやってきた分の反動だろうか。
大体俺が人の事言えるほど人間を信じてるかといわれたらそんな事改めて考えたら疑問符が沸くに決まってる。
俺が人を信じる根源なんてどどのつまり知っている人間を基準にしてる。
相手の万単位の喩えに加えて俺は精々600人が精々だ、比較対象としては明らかに段違いだろう。
つまりだ、俺は相手の考えをまず理解しようとしなかったのが問題だ。
自分が理解しなきゃ相手だって話を聞くわけがない。

「頼みがあります!ゆすら様、一つ!質問させて頂いても宜しいでしょうか!
一つだけで構いません!ですので!ゆすら様からも一つ、ご質問をいただきたく存じます!」

その場で頭を下げて、相手に非礼を詫びるつもりも込めて言う。
さっきよりもかなり声が大きい、と思う。これで一蹴されたらば……どうしよう。
オイジェスなら多分もっと速く上手いやり方を取ったんだろう、俺みたいに無駄に飾ったりはしないから。

根本を言えば俺にそんなかっこいい理由とか無いわけで…。
さっきみたいな人類の進化とか俺達はいるべきじゃないとか。
理論過程推論結論って言うのはいらない化粧のようなものだ。
もっと素直になればいいのに何をやってるんだ俺は。

411ゆすら:2012/01/12(木) 22:35:23 ID:UEzewDs20
>>410

(はは、見ちゃいられないな、私よ?)

心の底から相手のことが理解できないといった様子のゆすらの心に、
可笑しそうな声色の、荒御霊の声が割り込んでくる。

(何をそんなに熱くなってるんだ? この手の連中が人間のことなんかまるでわかってないのは、
 お前が一番よく知っているだろうに。
 何せ人間の力に絶望して人間辞めたような奴らだからな。そんな相手に人間語ったところで何になる?
 はっきり言ってお前は莫迦だ、私。見ろ、余計に疲れただけじゃないか)

「喧しい……」

(もっと言うとだな。こいつは外れモノのくせして、人間社会に関わっている。それがどういうことかわかるか?
 こいつは以前、自分がああなったのは本意ではないと言った。
 そういう意味では、さっき言った図式は当てはまらない部分があるが、結果的にその力を使っている点から言って、もはや御同類だ。
 とにかく、そんな事情があるから、こいつは人間という存在を「自分が失ってしまったモノ」だと捉えている。
 だからだろう。人間社会に関わっているのは。つまるところ、こいつは人間に羨望の眼差しを向けているのさ。
 そして同時に、そんな大事なモノを失ってしまった自分が可哀想で仕方がないんだ。
 人間を必要以上に持ち上げるのはそれがためだ。
 こいつが出会ってきた人間にはそれを感じさせるような、「良い」奴らが居たのかもしれんが、それは過信の理由にはならん。理由として弱すぎる。
 結局だな、人間はこの上なく素晴らしいと思うことで、それを失った自分の不憫さの度合いを引き上げ、
 自分に哀れみの眼差しを向けて気持ちよくなっているんだ。
 とんだオナニー野郎だよ、こいつは。そんな自慰行為に、お前は巻き込まれたんだ。同情するよ)

「…………」

(後は私がやる。お前は下がって頭でも冷やしてろ)

和御霊のゆすらは荒御霊の言葉に打ちのめされたのか、それを拒まず、あっさりと体の主導権を荒御霊に引き渡した。
立っている海原から大きな水しぶきが上がってゆすらの体を覆い隠し、それが収まった頃には、
そこには以前エドワードと話をした、長身の女性が立っていた。荒御霊のゆすらだ。

「ああすまんな、アダチ。ここからは私が――――ッッ!!」

交代したことを告げようとした荒御霊のゆすらは、直後に響き渡ったエドワードの絶叫に、思わず耳を塞いだ。

「喧しいわ、このたわけが!! お前、曲がりなりにも「異端者」だろう!!
 もっと落ち着いた心は持てないのか!? そんな弱い精神のまま異端者やってるのなら、今すぐ辞めちまえ!!
 お前の気まぐれで世界がおかしくなりかねん!!」

412早瀬川巴:2012/03/08(木) 23:33:54 ID:M6sHof8c0
【箱庭 市街地夜間マップ】

電脳仮想空間「イデアの箱庭」。
そこは、現実の存在と何一つ変わらない電脳存在が、仮想空間上で活動できるシステムである。
意識も異能も、存在の特性ですら再現しきると言うこのシステム。なるほど、「イデア」の「箱庭」とはよく言ったものだ。

さて、その「箱庭」であるが、そこはしばしば、都市に住む能力者の修行の場所となっている。
危険な修行を行っても、一切の肉体的欠損を心配することが無く、無傷のまま経験を持ち帰れるとなれば、そうもなろう。
そして、ここにも一人、その使い道の恩恵を受けている者がいた。
普通の女子高生が着るようなセーラー服に、黒いストッキングを履いたその黒髪の少女の名を、早瀬川巴と言った。
ビルの間を自在に跳び回り、時折現れるターゲットドローンに、薄い光で出来たナイフを投擲して倒すその姿は、
服装に反して非常識である。
そうして街区に存在するドローンを全て倒した彼女は、車も人通りも設定していない大通りに降り立ち、

「……ふーぅ。だいぶ良い感じに馴染んできましたね。コツが要るようです、これ」

言いながら、両手にはめた指ぬきグローブをギュッと締め直す。
その手の甲には、ボタンで留めるタイプのパッチがあり、パッチには数文字のルーンが輝いていた。

413東西南北良方:2012/03/08(木) 23:44:45 ID:7gFzKdaU0
tst

414東西南北良方:2012/03/08(木) 23:49:36 ID:7gFzKdaU0
>>412
/*描写全部削って書けるかどうか!*/

415東西南北良方:2012/03/08(木) 23:55:01 ID:7gFzKdaU0
>>412
そんな少女の背後から、声が聞こえてくる。
若い声だ、凡そ高校生かそれくらい、しかしながら、多少年も感じるようなそんな声。

「おっと、先客かい、嬢ちゃん?」

にぃ、と笑みを浮かべるのは、葉巻にサングラス。学ランの下は真っ赤なアロハシャツの男。
髪型はソフトモヒカンで、トサカ部分は真赤で、坊主部分は白。文字通りにわとりの様な姿。
そんな男が、人好きのする笑顔で、少女に話しかけていた。

416早瀬川巴:2012/03/09(金) 00:03:44 ID:M6sHof8c0
>>415

(うわあー……)

振り返った先にいた、その男の容姿を見るや否や、巴の脳裏がそんな間抜けな声を上げた。
以前、巴が住んでいた街にも、こういう、いかにもな高校生のにーちゃんがいたが、
彼は成人するにあたり、そのエクストリームな容姿を辞めて、普通のリーマンへとクラスチェンジした。
なので、もうこんな感じの人は見る機会が無いだろうなぁ、なんて思っていたが、中々どうして世の中というものは。

「え、ええ。お先に使わせて貰っています」

先客か、と問われた回答としては、これで十分だろうが……。

417東西南北良方:2012/03/09(金) 00:08:59 ID:7gFzKdaU0
>>416
「おう、俺も此処使わせてもらっていいか? ちょいと修行というかそんな感じできててよ。
 まあ、ちょいと開けてくれりゃ幸いって訳なんだけど」

あ、煙草苦手?と付け足す様に問いかける青年は、格好こそ不良だが、案外話しやすい気配を纏っている。
だが、どことなく、人間とも人外とも違う、独特の気配と、場馴れしている雰囲気、それらを感じさせている。
この男――――ただのチンピラでも、頭が緩い男でもなさそうである。

かつかつ、と歩みを進めて、うへぇ、すげーな。と、街並みのダメージを見て笑う。
どうやら、少女の動きを先程から見ていたようだった。

418早瀬川巴:2012/03/09(金) 00:20:35 ID:M6sHof8c0
>>417

巴は基本的に軽量機動タイプではあるのだが、急な制動や強引な方向転換の際にその有り余る怪力を使うので、
そういった際にできた足との擦過痕や、蜘蛛の巣状に陥没した場所が、地面やビルの壁に出来ていた。

「わかりました。今リセットしますね」

そんなものを残しておいては迷惑だろうし、何よりこの男がそういう芸当が出来る存在を快く思わない人種である可能性も、
いわゆるところの微粒子レベルで存在していた。
すぐにコンソールを呼び出し、いくつかの操作を実行する。
すると、さきほどまであった強引機動の爪痕が、綺麗さっぱりと無くなる。

「これで、大丈夫ですよね?」

419東西南北良方:2012/03/09(金) 00:28:29 ID:7gFzKdaU0
>>418
「――――おう、サンキュ」

にぃ、と笑みを浮かべて、軽く会釈をして、男は歩みを進めていく。
少女のその力にも怯えること無く、特に悪感情を持つこと無く、ただそういう存在なのだと理解した上で普通に接して。
爪痕の消えた街に、ターゲットが浮かぶ。
良方は、それを見据えて、右手を天に伸ばすような動作をする。

「よい――――っしょ」

ぐ、と何かを引きずり下ろすような動作をすると、いつの間にかその手には赤い紋様がびっしりと浮かんでいた。
学ランを脱ぎ捨てて、アロハシャツだけの上半身になり、強く地面を蹴った。
吸血鬼ならば理解できることだろう。この時点で、先ほどまでの彼とは、位階の異なる存在になっていると。

ちり、と火の粉が散り。次の瞬間には、数m上に良方は飛び上がり。
右手をターゲットの方へと突き出すと、その動作に応じるように、槍が数本、どこからか空間を歪めるようにして現れる。
そして、――――良方は、にぃ、と口元を歪めて。

「抜けや焔槍ゥッ!」

爆発的速度で、その〝引っ張り出した〟槍を射出。
空中に浮かぶターゲットを余すことなく撃ち貫き、そして――――、爆裂。
衝撃波が周囲を揺らして、びりびりとした反響音を響かせることだろう。

「…………っふぅ。だいぶ、ってところかねぇ」

サングラスの奥の右目から、赤い血の涙を流しながら、良方はちょっとしたドヤ顔を貴方に見せるだろう。
どうやら、小さな対抗心、だったらしい。

420早瀬川巴:2012/03/09(金) 00:42:58 ID:M6sHof8c0
>>419

「むむ……」

そのドヤ顔にややカチンときた巴は、自らもターゲットドローンを出す。
空中を飛行するタイプ。それはビルの合間を縫い、ランダムな機動で設定された範囲を飛行している。

「はぁーっ……」

それを見据えたまま、競走の選手のような前傾姿勢を巴は取る。
そして、巴の履いているストッキング、その数カ所がわずかに光った次の瞬間、巴の姿は消えていた。
常人以上の動体視力を持つならば、巴がドローンが飛ぶ近くのビルの壁面を駆け上がり、
ドローンが飛ぶ高度に接近しているのが見えるだろう。
そうでないならば、そのビルの壁面が、いきなり陥没し始めたようにしか見えないはずだ。

「ふっ!」

そうしてドローンの高度に達した巴は、ムーンサルトよろしくドローンに背面を見せたまま跳び上がり、
その回転を利用して、ドローンに膝蹴りを叩き込む。
吸血鬼の怪力で打たれたドローンはそのまま真っ逆さまに地面に落ちていくが、
その先には、どういうわけか先回りしていた巴がいた。
手には四本ずつ、計八本のナイフが握られており、頭上に向かって急降下してくるドローンへと、それを投擲。
結果、ドローンは文字通りの八つ裂き状態になって地上に降り注いだ。

「ふふん」

その巴の顔ときたら。ちょっとしたどころではないドヤ顔である。

421東西南北良方:2012/03/09(金) 00:49:12 ID:7gFzKdaU0
>>420
「う――――ぉ、すげーな。ガチで」

身体能力には感心するしか無く、ひゅー、と調子のいい声援を駆けてみせるだろう。
良方とて遺伝子操作をされていたり、戦闘教育を受けているため、十二分に戦闘技能は高いのだが。
それでも、あくまで人間の枠を超えることのない身体能力、憧れてしまうのは当然だろう。
ドヤ顔を見せる、巴に、素直にぱちぱち、と拍手をしてみせて、良方は近づいていく。

「すっげーな。そういや、まだ名乗ってなかったか。
 俺ぁ、東西南北 良方[ヨモヒロ リョウホウ]。ま、偽名じゃないが、戸籍にゃ別の名前で登録されてるんだが……、こっちの名前の方が通りがいいんでな。
 そう呼んでくれや。あと、俺高校生な、ピチピチの」

そんな風に、良く回る口を動かして、自己紹介を始めてみせる男。
だが、吸血鬼を前にしても互角程度の、存在感や圧力が男から感じられるだろうか。
そして、にへら、と口元を緩ませて。短くなった葉巻を手の中で火のついたまま握りつぶして、笑む。

「最近能力に目覚めたばっかでね、よけりゃぁ――――、ちょいと模擬戦にでも付き合ってくんね?」

と、その上可愛らしい女子にこのチンピラは戦いのお誘いまでもしてみせる。
ぐい、と目元を流れる血液の涙を拭って、地面にべしゃり、と拭い捨てた。

422早瀬川巴:2012/03/09(金) 01:04:41 ID:M6sHof8c0
>>421

「アハハハ、いえいえそれほどでも」

頭をかいて照れながら、内心巴は反省の極みである。

(実験中のルーンを見栄のために使うだなんて、バカな使い方をしたものですねぇ、我ながら。
 反動がきつくなくて幸いでしたよ、まったく)

先のドヤ顔をやりたいがために、巴はストッキングに編み込まれているルーンのうち、
まだ組み込んで間もない、試験運用もしていないようなルーンを使ってしまったのである。
成功したからいいようなものの、これで失敗したら痛い子だし、組み合わせの失敗というポカもつく大惨事であった。

「よもひろ……珍しい名字ですね。聞いたことがないです。
 あ、私は早瀬川巴です。戸籍上死んでますけど、「生前」は高校生でした。」

再び頭をかいて笑いながら、しれっとそんなことを言う。
その笑い声が漏れる少女の口、そこから吸血鬼独特の、鋭く長大な犬歯が見え隠れしているのに、
良方は気づくだろうか。
だが、そんな彼女にしても、目の前の彼がただ者ではないことくらい、察せていた。
先ほどの「パフォーマンス」もそうだが、今も感じるこの異様な気迫というか、雰囲気というか、
ともかくそんな感じの説明できないオーラを感じていた。
その彼から、模擬戦の誘いを受けた巴は、そのことへの興味から「ええ、いいですよ」と二つ返事を返していた。

423東西南北良方:2012/03/09(金) 01:11:56 ID:7gFzKdaU0
>>422
「そりゃそーだろ、自分で付けたしな。
 戸籍に有る名前は気に食わねーし、番号で呼ばれるのなんか真っ平御免だしな
 ――ああ、やっぱりそういうタイプか。ちょいと、そういうの見えてたもんでさ。
 別に死人だからとか気にするほど人生経験積んでねー訳じゃねーから、
 死人だろうとゾンビだろうと吸血鬼だろうとなんだろうと、構わねーけどな」

名前を自分でつけた、戸籍がどうのと語る、番号で呼ばれる。
それらから、なんとなくの境遇は予測できた可能性もある。
そして、しれっと言われた死人だと言う言葉に、しかし動揺を見せることはなく。
サングラスの奥の双眸を細めて、僅かな微笑さえを浮かべて、それをそのまま受け入れてみせた。
気づいているが、驚かず、追求もせず、ただそれをそういう物として理解できる。中々出来ることではないかも知れない。
見た目の若さや、外見に似合わず、内面には隠された深みが存在していた。

「――――うっしー、サンキュ。えーっと、巴で良いか。
 んじゃ、体も温まったし、早速行きますかねぇ」

そうして、右腕を前に翳し、何かを握り引きこむ様な動作をする。
次の瞬間には、その右手には長い槍が握られており。
腹辺りまで開けられたアロハが地肌を露出しているのだが、その肌の凡そ右半身分程度に、赤い紋様が浮かんでいる。
いつの間に浮かんだのかは分からないが、そうしてみせると、より威圧感と存在感が増したように感じるだろう。

424早瀬川巴:2012/03/09(金) 01:23:07 ID:M6sHof8c0
>>423

吸血鬼でも気にしない、という良方の言葉に、巴は感心の吐息を漏らした。

(この人、見た目は若いけど、結構な濃度の年食ってきたんですね、多分。
 こんなふうに受け入れられるような境地になるまで、一体何があったんでしょうね?)

普通はそんなふうには受け入れられない。
吸血鬼と言えば、死をもたらす存在だ。伝説的な、という枕詞がつくが。
それが実際に存在しているとなれば、大抵の人間は拒否反応を起こす。
それはそうだ。誰だって血を吸われるなんてことはされたくないし、ましてや死にたくもない。
となれば、彼のこの寛容さは、彼の近くにそういった存在がいるか、もしくはそういった存在に襲われても、
返り討ちに出来うるだけの力を持つ、という自負を持っているか。大体はそのどちらかだろう。あるいは両方か。

「ええ、良方さん。いつでも良いですよ」

まあ、そんなことは、今は全くと言って良いほど関係がない。戦い、試すだけだ。
そうやって思考を放棄した巴は、両手で何かを構えるような動きをする。
すると、巴の両手に2mはあろうかという柄を持った、大斧が構成された。
淡い半透明の、青い光で構成されたそれは、重量感とはほど遠い見た目ではあるが、果たして。

425東西南北良方:2012/03/09(金) 01:29:00 ID:7gFzKdaU0
>>424
巴が大斧を生成し、言葉を発した瞬間に、良方は笑みを浮かべる。
そして、右足をゆっくりと前へと進めていき。

「んじゃ――――遠慮無く」

とん。そんな軽い音が聞こえる。相手のように凄まじい身体能力を持つ訳でもない良方の足は当然地面を陥没させることなどは無い。
だが――――理解する事が困難な現象が起きたことだろう。
只走っているのに、走っていると一瞬認識できないのである。次元が違う、というか、そんな感じのイメージを持ってもらえばいい。
走っているのだが、走っている場所が違うような、そんな印象。余りにも、この世界に存在しているという感覚が希薄。
故に、行動に強い意思を向けなければ、その行動を事細かに認識する事が難しい。

「――――おらァッ!」

そして、一気に現実に引き戻されたかのように、莫大な存在感が、巴の右斜め前から感じられる。
唐突に湧き出たかのように、そこに居る良方だが、行動自体は、普通に移動し、普通に攻撃しているだけ。
突き出される槍の穂先に焔がまとわりつき、相手の脇腹を突きささんと迫り来ることだろう。

426早瀬川巴:2012/03/09(金) 01:40:54 ID:M6sHof8c0
>>425

遠慮無く、と言った相手の声に迷いはない。一直線に来るだろう。
……と、思ったのだが、その予想は裏切られた。いや、裏切られたというか、相手の走りが、何か変だ。
こっちに向かってきているらしいのだが、何だろう、どう表現したらいいのか解らない。
いや、それは簡単だ。すなわち、「あいつ、何処を走っているんだ?」という、疑問。

「どこへ――――」

行くんですか、と続くはずだった巴の声は、右前方から急襲した良方の攻撃によって遮られた。
いつの間にこんなに近くに、などと疑問に思っている暇はない。巴は大斧の頭を跳ね上げ、槍の中腹を斧の肉厚な刃で打つ。
存在感の希薄な大斧ではあったが、肉厚の鉄が作り出す重い一撃は、その存在感を立派に証明する。

「しっ……!」

跳ね上げられた斧の頭はそのまま回頭し、位置エネルギーと重量、吸血鬼の力の三つが乗った、
重量級の一撃を良方に加えるべく、急降下を始める。

427東西南北良方:2012/03/09(金) 01:48:59 ID:7gFzKdaU0
>>426
動いていて、それを目で見て、脳で理解しているのに、それを本当の意味で認識できない。
そんな現象が、先程の良方の動作によって起こっていた。
本当に動いているのか、動いているのを目にしているのに疑問を覚えざるを得ないような、そんな不快な感覚。

だが、現に良方は、動き、こうして相手に攻撃をしていた。
行動自体は、普通の行動にもかかわらず、それを理解出来ない。未知の感覚が相手を襲う事だろう。

「――――っしぃ!」

がきぃん、と金属音が響き渡り、良方が槍を持つ手を引く。
そして、斧が頭を割らんと、良方を捉えていく瞬間。
眼の前に居る良方が、また、〝ずれる〟だろう。僅かな困惑を生み出すだろうその瞬間に、良方は右手を前に突き出し、火炎を噴射。
一瞬周囲の空気が膨れ上がり、良方はあいてから数m離れた所に〝出現〟する。

「……さっすが吸血鬼、これに対応してくるのは驚きだぜ?」

槍をぐるぐると回して、右目から血の涙を流しながら賞賛の声を上げる。
居るのに居ない、動いているのに動かない、見えているのに見えていない。
そんな、現実か虚構かも分からぬ現象が、この空虚の世界、イデアの箱庭にて起こっていた。

428早瀬川巴:2012/03/09(金) 02:12:50 ID:M6sHof8c0
>>427

「そうですね……吸血鬼由来の力が無ければ、今頃……」

標的を見失い、地面を陥没させて深々と突き刺さる大斧を引き抜きながら、巴は相手の言葉に同意する。
先ほどの斧の勢いは、吸血鬼の怪力あってこそのものだ。普通の人間には真似の出来ない芸当である。
しかしわからないのは、相手の移動方法だ。見えているのに、理解できない。

(……まさか、〝歩法〟の類?)

巴は以前に、似たような状況描写を見たことがある。……そう、「描写」とあるように、それは小説の中での話だった。
それはトンデモバトル小説で、娯楽以上でも以下でもないものであったが、この技能の描写に関しては、
本気で首を捻った覚えがある。
まさか今、現実で、それと同じような経験をするとは思っても見なかったが。

(あれ、主人公側はどうやって破ったんでしたっけね。忘れちゃいましたが……)

ともあれ、攻撃の際、完全に姿を晒すことは確認済みだ。
狙うとすれば、そこか。

429東西南北良方:2012/03/09(金) 19:11:03 ID:7gFzKdaU0
>>428
「――――良くて2,3、悪けりゃ一撃ってところかねぇ。
 厄介、まじで厄介だが――――――、それでこそ、だよなぁ」

槍を回して、牽制をしつつそうぼやく良方。
今の良方は、認識しようとすれば、普通に見えることだろう。
そして、良く様子を確認すれば、うっすらと脂汗が浮かんでいることが分かる。
負担が無い能力というわけでもなさそうであった。

(…………種はまだ割れてなさそうだが、吸血鬼相手なら分が悪いか。
 小細工ばっかしじゃ、闘うことはできても勝てやしねーだろうし)

実際の所、やっていることも、その効果も似たようなものであるが、違う理論でこの技は発動されている。
だが、そうそう連続して使用できる技でも現在はなく、多用は難しい。
それでもそうして、最初にその技を見せたのは偏に相手にこの技を警戒させるため、であった。

「――――――っふぅ」

槍の穂先に焔が灯り、轟々と燃え広がっていく。
そして、穂先をコンクリートに突き立てた瞬間に――――燃え移る。
普通は燃えないものに燃え移る火炎は、地面に紅の線を引いて、巴にその牙を届かせんと迫っていく。

430早瀬川巴:2012/03/10(土) 21:47:27 ID:AvJn90sI0
>>429

「〝N(ナウシズ)〟ッ!」

迫り来る炎に対し、巴は右手に剣指を結び、左肩上がりの横線が入る十字を切った。
すると、炎が走る先のアスファルトに同じ形状の光が浮かび上がり、そこに触れた途端、
炎は急激にその勢力を落とし、最終的には火の粉も残さずに消えた。
〝N〟のルーン。欠乏を表すこのルーンが力を持つとき、それに触れると、
触れた者の活力となっているものを際限なく奪う効果がある。
今し方巴が作ったルーンは即席であるために、奪う量には限界があるが、
こういった非物理的な攻撃に対しては、大抵のものを消滅に至らしめる力があった。

「――――では、こちらからも。吸血鬼の本分は機動戦なのです。
 今からそれを、ご覧に入れましょう」

そう言うと、巴はおもむろに左腕を天に掲げた。
掲げた左腕に激しい雷光がまとわりつき、それが周囲のビルや街灯に飛んでいき、
そのガラスを破砕、中の照明器具の悉くを異常電流によりおかしくさせていく。
それら全てはは順序だってなされたわけではなく、全てが一斉に、同時に破壊された。
結果、巴と良方がいるエリアの明かりが、完全に消え去ってしまった。

431東西南北良方:2012/03/10(土) 21:55:40 ID:7gFzKdaU0
>>430
「確か、ルーンだったっけか。魔術は知識しか無いからな……。
 相性は、悪め――――、か。直接ぶち込むしかねーかね」

目の前の劫火が飲み込まれて、消えていく姿を見て、犬歯をむき出しに笑みを浮かべる。
槍を手の中で回しつつ、それを――――破棄。手を離すと同時に、消え去ってしまう。
小細工の類は向かないと判断したのだろうか、扱いに慣れない槍では不利と判断したのかも知れない。
まあ、それを知っているのは、サングラスの奥の瞳だけなのだが――――。

「……わほ、真っ暗じゃねーか」

巴の技によって、視界が暗黒に包まれた良方。
しかし、それでもサングラスを外すことはなく、吸血鬼の瞳には、相手を見据えるふてぶてしい顔が映るだろう。
拳を握りしめて、息を吸い込み、軽く足を開いて、構えを取った。
機動でついていけないのならば、一手を待つ。そういう作戦なのだろうか。

432早瀬川巴:2012/03/10(土) 22:12:52 ID:AvJn90sI0
>>431

相手の目線はこちらを見ているつもりのようだが、果たして本当に見えているのかどうか。
先ほどまで煌びやかでさえあった街の照明に晒されていた目が、光量の落差に瞬時に対応できるハズはないのだが。

(まあ、見えていようといなかろうと、関係は無いのですけどね)

巴は手近な街灯の上に跳躍すると、その上から剣指を組んだままの右手を良方に向け、サッとなにがしかの形を切る。
そして次にその街灯から更に跳躍して、背後にあったビルの壁面、その壁の出っ張りに左腕をかけ、
やはり良方に向かってなにがしかの形を切る。

「ふっ」

そうしてから壁面を蹴り、反対側のビルの屋上へ。
軽やかに着地した巴は、剣指の形をとっていた右手の形を組み替え、

「ショウ・タ〜イム」

パチン、と指パッチン。
すると、まず良方の目の前、至近距離で、いきなり太陽の光が差し込んだような、強烈な光が爆発し、
次いで、その足下から人間一人くらいは軽くローストできるだけの炎が吹き上がる。
それぞれの現象の下には、やはりルーンが輝く。

433東西南北良方:2012/03/10(土) 22:24:33 ID:7gFzKdaU0
>>432
朝から晩まで、サングラスを掛けており、彼の目に入る光量は少なめである。
電光がちらついた際に、とっさに目を瞑った為、さほどの影響を受けることはない。

目をつぶり、思考を巡らせ、感覚を研ぎ澄ませていく。
視界に頼っても、恐らくはつぶされるだろうと判断し、己の歴戦の勘と、感覚に身を任せる。
動作音が耳に届き、相手の動きが立体的なものだと理解できて。

瞬間の光の炸裂、その時になっても、まだ目を開くことはない。
だが、サングラス越しの瞼越しにも分かる、圧倒的光量に、目潰しか、と理解。
感じる熱に、良方は――――飲み込まれた――――――

「――――なぁる、こりゃぁ厄介」

――――のだが、焔の中から声が聞こえる。そして、焔から手が伸びる。
此れが魔術等の類であれば、術者は気がついたことだろう。
もはやその焔が、術者の制御の元に無い事が。

「……死ぬかと思ったぜ、死なねーけど」

サングラスを左手で直しながら、右手を横に振り払う動作をする。
そうすると、その焔が彼の制御の元に消えていく。
彼の焔の効果は、燃えうつること。焔で焔を燃やし、その制御を己の元へと書き換えたのである。

(……殴っても避けられるし、たぶん他にも手は有るだろうし。
 どうすっかねぇ。このままじゃジリ貧で負けだろう、たぶんな)

焦げ臭いアロハシャツの臭いに辟易しながら、サングラスの奥の目は屋上の上の巴に目を向ける。
戦闘時に置いては視線を読まれなくするという利点のあるそれは、視線が通っているかどうかを隠蔽するだろう。

「……よ、っと」

一歩足を踏み出して、そのまま壁を垂直に駆け上がる青年。
そこが地面であるかのように自然に駆け上がり、巴と対面する位置のビルの屋上に立つ。
右手を前にかざして、良方はそのまま、待ちの手を取る。

434早瀬川巴:2012/03/10(土) 22:38:43 ID:AvJn90sI0
>>433

術式で制御する魔術とは違い、巴が使ったルーンはその力持つ文字によって引き起こされる現象を利用するもの。
簡単に言えば、発生した光や炎はルーンというマッチをすった結果でしかない。
なので、制御下にあるかどうかは、巴にとっては最初から考慮に入っていない事柄だった。

「……ルーンの炎を破りますか。どうしたものですかねえ、これは。
 それにあの人、まだ視界が利いてる。そうでなければこの暗闇の中、あんな動きは出来ない」

対岸のビルの上に上ってきた良方の動きは、完全に視界が無力化されていない者のそれだ。
あのサングラスに秘密があるのか。いや、そんなことを今考えてもどうしようもない。

(少し、試してみましょうか)

そう考えた巴は、両手の指の間に四本ずつ、計八本のナイフを形成する。
淡く光るそのナイフを、吸血鬼の鋭敏な視界に捉えた良方に向かって、四本ずつ、時間差を付けて投擲する。
吸血鬼の力で投擲されたナイフ達は、猛然と良方に迫る。

435東西南北良方:2012/03/10(土) 22:51:40 ID:7gFzKdaU0
>>434
「――――うっわ、なんかガチっぽい感じか。俺もガチ、なんだけどねぇ」

煙草吸いてぇなぁ、と思考を一瞬巡らしつつも、構えを取る。
焔の類であり、能力の発動中であれば、ある程度の対処は可能。
だが、何方にしろ物量では叶わぬし、スペックでも劣る。ならば――――ただ一つ、異能を持って当たるしかない。

「……頼むぜ――――右目」

ぴちゃり、とコンクリートにサングラスの奥の右目から垂れる血の涙が粒を落とす。
その刹那に――――相手の攻撃たる、ナイフが投じられて。
瞬間、異能の気配が強まり――――良方の右腕に強い力を感じるかも知れなかった。

「――――見通して…………堕ちろやァッ!!」

良方のサングラスが、奥から吹き上がる力によって破砕し、砕け散る。
翳した右手の皮膚が裂け、その裂け目から赤く燃え盛る、〝焔の瞳〟が幾つも顕現する。
一瞬、ちかり、と輝きが生まれ。良方に到達する前に投擲されたナイフは爆散するだろう。
爆炎の向こうから、サングラスに拠って隠されなくなった良方の素顔が見えるはずだ。
案外童顔気味であり、普通にしてれば只の学生然とした顔であるが、その目に視線を向ければ、異常に気づくだろう。
止めどなく血の涙を流す、紅のⅠが刻まれた瞳が、赤く、赤く輝いていたのである。

「…………っ、っは…………」

荒く息を吐き、表情を歪めて右目を隠すように左手を翳す。
ぶすぶすと、左手の肉が焼けていく臭いが周囲に立ち込めていくだろう。

436早瀬川巴:2012/03/10(土) 23:10:41 ID:AvJn90sI0
>>435

八本のナイフは全て対応されてしまった――――が、結果だけ見れば上々かも知れない。
良方の能力――おそらく、あの赤く光っていた右目が関係している――は、いわゆる邪気眼の一種だろう。
あの反応速度と異能の結果は脅威だが、その後の彼の憔悴した様子を鑑みるに、あの能力は防御策としては下策だ。
つまりそれは、逆に言えば、防戦一方の状態に釘付ければ、こちらへ風が吹いてくる、ということ。

「であれば――――」

巴は再び八本のナイフを顕現させる。
普通に投げてもいいのだが、ここはひと工夫載せることにする。

「……『爆足眼』」

巴の左目が灰色に染まると同時に、作り出したナイフを頭上へと投げる。
ナイフ達はしばらく上昇を続け、やはり重力に従って落ち始める。
巴はそれら落ちてくるナイフを、次々と足で打撃し、サッカーのシュートよろしく、良方に向けて射出した。
先ほどのように一斉に来るナイフ弾幕ではないが、そのひとつひとつが爆炎と煙を盛大に吹き出して爆裂する細工が為されており、
その爆炎と煙に紛れて、後ろからも同様の爆発力を持ったナイフが後から後から飛来してくる。
それはさながら、ミサイルの連弾であった。

437東西南北良方:2012/03/10(土) 23:22:23 ID:7gFzKdaU0
>>436
「……まだ、慣れねーか……ッ、つつつ」

右目を抑える左手を外してみれば、その左の手の平は炭化していた。
パイロキネシスの類とはまた異なる部類の能力のようであるが、今のところは焔を操る程度。
目元の紅を拭うようにして、迫り来るナイフの乱打を見て。

「――――こりゃ、普通にゃよけれねーな……。〝普通なら〟」

ゆらり、と歩みを徐々に進めていき、ビルの屋上、落ちそうな一点に足を進める。
迫ってくるナイフの切っ先に視線を向けて、にぃ、と笑みを浮かべる。

「……見て、そそ、見れば、なんとかなんだよ。で、道を見つけりゃ――――、通れますよね、っと」

ナイフの切っ先を、体を斜めにずらすように動かして回避。
ぴぴ、と紅が飛び散るが、そこで、少々目を疑う光景を見たことだろう。
良方が、〝煙の上を走って〟、巴に迫り来るのである。

時折、襲いかかるナイフの爆炎に身を煽られて、他の煙に飛び移りつつも、巴の所にたどり着く筈だ。
そして、びしぃ、と指を突き出して。

「悪い、降参!」

と、負けを認めてみせるだろう。
なんとも、人を食った様な態度だが、終始不利であったし、引きどころをわきまえているとも思えるか。
よく見れば、顔色が真っ青で、脂汗が浮かんでおり、酷い表情をしているのも分かるだろう。
右目の能力を、扱いきれていないような、そんな印象も覚えるだろうか。

438早瀬川巴:2012/03/10(土) 23:35:53 ID:AvJn90sI0
>>437

邪気眼に限らず、魔眼の類はその視界に能力の効果範囲を依ってたつ場合が多い。
良方の能力はハッキリとはわからないが、もしも同様の弱点を持っているのなら、
炎と煙をまき散らすミサイルナイフはその威力もさることながら、彼の視界を阻害する役割も持つ、
まさに一石二鳥の武器であった。
だが、

「う、嘘!? 煙の上を渡ってくるなんて!?」

普通ならばそこで、ナイフに爆発力の付与を止め、相手の道を閉ざすのがセオリーであったが、
信じられない良方の芸当に半ばパニクっていた巴は、追加のナイフにも爆発力を付与してしまっていた。
結果、良方がこちらのビルへと渡ってくる道を作ってしまう。

「こうなればっ!」

爆発力の付与は出来ないが、ナイフの生成自体はすぐにできる。
巴は再び八本のナイフを形成し、近距離からの投擲の体勢に入ったが――――。

「…………はっ、え、降参?」

降参を申し入れられ、投擲しようと両の腕をクロスさせたまま、巴は目を白黒させた。
だが、その理由はすぐにわかった。思っていたより、相手が消耗しているらしかった。
確かに、そんな状態では満足に戦えないだろう。

439東西南北良方:2012/03/10(土) 23:41:54 ID:7gFzKdaU0
>>438
「……さっすが吸血鬼って感じだわ。もうちょいイケるかと思ったんだけどなぁ」

童顔気味の、髪型や格好を抜きにすれば、少年と言って差し支えのない顔に悔し笑いを浮かべて、ぺたり、とへたり込む。
目の光が徐々に消えていき、目に浮かぶ数字は、0となっている。
どういう能力なのか分からないが、消耗は激しいようで、屋上に大の字に寝る。

「というか、多芸なのなー、巴。魔術に近接に、その上吸血鬼だし。……俺も人の事言えねーか」

はは、と苦笑しながらも、アロハシャツからシガリロを取り出して口に咥える。
指先をシガリロの先に押し付けると、じじ、と音がして、そのまま紫煙が上がるだろう。

「……腹減った。なあおい、ちょいとこのまま飯行かね?良いカフェ知ってんだが」

と、紫煙を吸い込みながら、さり気なく食事のお誘いをしてみせる。
どこからが本気でどこからが嘘かは分からぬが、腹のなる音が聞こえた当たり、本気だろう。

440早瀬川巴:2012/03/10(土) 23:56:12 ID:AvJn90sI0
>>439

「吸血鬼の力、と言うよりは、ルーンを初めとした小細工で勝った感じですけどね、今回は。
 今日やったことの八割は、これがあって出来たことでもありますし」

そう言って巴が示したのは、先ほどまで両手にはめていた指ぬきグローブ。

「持ち主の思考を読み取って、望んだとおりのものを具現化する魔導具です。
 具現化する物にはもちろん限度がありますけど、今回使ったような手持ち武器なら、大体は形成できます。
 離れた場所にルーンを撃ち込むのも、これがなくちゃできませんし」

それはつまり、巴自体はただの吸血鬼である、ということである。
それでも、普通の人間にとっては脅威ではあろうが……。

「ご飯ですか。流れとしては良い感じですけど、いいんですか?
 私、コレしか飲めない体質なんですけど……」

そう言って巴は首筋を叩く。
吸血鬼が首筋から得るもの。すなわち、「血」だ。

441東西南北良方:2012/03/11(日) 00:01:52 ID:7gFzKdaU0
>>440
「成る程な――――、今の俺ァ、武器無しだし、能力は慣れてねーし、だしなぁ。
 つっても、負けは負けだ。言い訳はしねーさ」

シガリロを半分程度吸い終えると、ムクリと起き上がってみせる。
消耗は激しかったが、それに比べて回復力はなかなか高い。

「あー……、吸血鬼だっけか。いいんじゃね、ちょっとくらいなら吸っても良いし。
 それに可愛い子と飯食えるのはそれはそれで嬉しいしな」

一応だけど俺人間だからー、と宣言しつつ、そのままログアウトしようとするだろう。
その後、同じログアウト場所を選んでログアウトすれば、公園に出てくるはずだ。
周囲を見回せば、鶏カラーのソフトモヒカンのチンピラが、どこかで買ってきた食事を持ってベンチに座っていることだろう。

442早瀬川巴:2012/03/11(日) 00:13:19 ID:AvJn90sI0
>>441

「ちょっとくらいって……それで吸血鬼になっちゃう場合だってあるんですから、気をつけないと。
 吸血鬼をナンパするのも、同じ理由でお勧めしませんね。
 まあ、可愛いと言ってくれたことは素直にありがとう、ですけど」

少し赤くなった頬を指でかきながら、良方に倣って巴もログアウトする。
箱庭の端末から外に出た巴は、箱庭の中で見たのと同じ姿をベンチに見つけ、
ベンチの横に立っている街灯に背を預ける。

「少し気になっていたんですけど、いつもそういう格好なんですか?
 目立って、街の怖い人に絡まれたりとかしそうですけど……」

443東西南北良方:2012/03/11(日) 00:20:40 ID:7gFzKdaU0
>>442
「おっすー」

現れた巴を視界に納めて、にこやかな笑顔で手を振る良方。
そして、巴の質問にはあー、と納得したような声を漏らして。

「基本的にアロハとグラサンは欠かさないな。学校行く時もこんな感じだし。髪とかは気が向く度に染め直してるけどな。
 ……絡まれる程度は別に怖かねーけどなぁ。コレ、一応ポリシーだし」

そう言いつつ、学生鞄をごそごそと漁って、ほれ、と何かを巴に放る。
受け取ってみれば学生証であり、学生証の写真を見れば、黒髪黒目で学ランを着た童顔の少年が居る。

「ちょいとな、生まれてから何年か使われててよ。んで、個性を消すことを強要されてたり、色々弄られてなー。
 んで、なんだかんだ有ってはっちゃけて、昔の分の反動か分からんが、こんな感じって訳だ」

学生証には、山本佑と書かれており、名乗った名前とは違う。
その学生証を見ていれば、どことなく、蝋人形か何かを見ているような、生気のない不気味さを感じるかも知れない。
見た目はキチガイだが生気に溢れている今の良方とは全く違って見えるだろう。

444早瀬川巴:2012/03/11(日) 00:31:50 ID:AvJn90sI0
>>443

ははあ、いわゆる高校デビューというやつか。
巴はそういう感覚を得たことはないが、ロックというか、反社会的態度というか、
ともかくこの頃の少年少女には、そういった感情が生まれることがままあるらしい。
彼にもそういった感情が生まれたのだろう。学生証の中の彼は確かに没個性の極みであり、
横にいる彼と同一人物と言われても、いまいちピンとこない。
巴は学生証を良方に返し、

「じゃあその珍しい名前も、そのときに自分でつけたものなんですか?」

たしか東西南北と書いてよもひろ、だったか。
それはデビューネームとでも呼べばよいのか。

445東西南北良方:2012/03/11(日) 00:40:19 ID:7gFzKdaU0
>>444
帰ってきた学生証を受け取って、それをゴソゴソと学生鞄にしまい込む。
反社会的かと言われれば、実際それは外見だけで内面はお調子者の若者に過ぎないのだが。
どことなく間違ったおしゃれの道に突き進んでいる、という方が正しいのかも知れない。

「ん、そそ。自分でつけたわけだ。
 めっちゃ運良さそうな名前じゃね?東西南北の良い方角、とかなんかラッキーでハッピーな感じじゃん」

なにやら、適当すぎる名前の付け方だが、たしかに幸せそうだ。頭の作りも。

「……あーっと、本名なら、0番な。で、戸籍上の名前が山本佑で、自称が東西南北良方。
 0番以外なら勝手に呼んでくれや。良方クーンでもいいぜー」

にへら、と脳天気に笑いながら、大きなサンドイッチを取り出した。
それを大口を開けて、結構な速度で食べていくことだろう。本気で腹が減ってたようだ。

446早瀬川巴:2012/03/11(日) 00:52:09 ID:AvJn90sI0
>>445

だからと言って全部の方角を入れてしまったら、悪い方角も含めてしまうんじゃないだろうか、
なんて巴は思ったが、名前を含めるとノリが平安貴族の方違えと同じなので、
一応は意味のある?ネーミングなのかもと、巴は首を捻りながら無理矢理納得する。
だが、その思考は彼の本名を聞いて吹き飛んでしまった。

「え、0番って……その、No.0ってことですか?
 ……またまたぁ、良方さん、あんまり私をからかわないでくださいよ。
 それじゃまるで、どこかの組織で作られた人造人間みたいじゃないですか」

冗談だろう、という感じの笑い声。
良方の態度が軽いものだったために、巴はそれを冗談と捉えたのだが……。

447東西南北良方:2012/03/11(日) 01:08:10 ID:7gFzKdaU0
>>446
サンドイッチを食べ終えて、紙ナプキンで手を拭いながら、はは、と笑う。
サングラスを外して、童顔気味の顔の、黒い双眸を向ける。

「そのまさか――――なんだがねぇ。
 ま、信じないならそれもいいしな、何がどうでも俺ァ俺だし」

双眸の右、数字の浮かぶ瞳を軽く細めて、そして、サングラスを掛ける。
何かを背負っているような、それでいて軽いあり方は、若干18歳としては達観したあり方にも見える。

「とりあえず吸血鬼とかそういうのならな、カノッサ機関には気をつけとくこった。
 〝俺も〟そうだったが、容赦のない奴らが多い。俺は、抜けてる身だけど――――」

と脳天気な様子で物騒な話っぽい事を口走って。
そのさなかに、背後の茂みががさり、と揺れる。
ぐるり、と首だけを回し、異能を発動させると、ぼっ、と何かが燃える音と人間の叫び声が響くだろう。

「……まぁだ、狙われてんだな、コレが。前よかマシなんだけど」

音が止み、ばたりと何かが倒れこむ音が聞こえる。
それを尻目に、ゴソゴソと食事の後片付けをしているのは、慣れているといってもよさそうだ。
燃えた音のする方に視線を向けてみれば、死んでいるのか死んでいないのかわからない程度に黒焦げにされた人間が居たことだろう。

448早瀬川巴:2012/03/11(日) 01:20:21 ID:AvJn90sI0
>>447

「………………」

自然発生型の能力者ではない、となれば、そこか、そこに近い結論になるのは自明の理。
良方の話し方は、どう考えても、それを示唆している。
信じる信じないはともかくとして、ここで異を唱えられるような材料に、あいにくと巴には心当たりがない。

「カノッサ機関。聞かない名前の機関ですね。
 似たような類の事件を起こした犯罪者なら知ってますけど、あれがその機関の機関員であるかどうかはわかりませんし。
 ご忠告ありがとうございます」

良方の仕業であろう、焼死体の製造過程は、あえて無視をする。
何故なら、

「奇遇ですね。私も狙われているんですよ。
 私の場合、そんな怪しい人たちじゃないみたいなんですけど、吸血鬼狩りの専門職の皆さんなんで、
 狙ってくるのはさもありなんって感じなんです」

巴も、何十人もの死体を作り上げてきて、そういう人の死に方には慣れてしまっていたからだ。
中には今のような焼死体も含まれている。

449東西南北良方:2012/03/11(日) 01:36:43 ID:7gFzKdaU0
>>448
「何にしろ、今の俺はお茶目でお調子者で、留年の危機が何よりも怖い只の学生の良方さんだ。
 それ以上でも以下でも無いぜ?割りとガチでな」

組織から身を離し、自由の身を手に入れて、普通に学生生活を〝送ろうとしている〟良方。
この都市の異能者の学生としては、そこそこふつうに学生をやっている部類ではなかろうか。
そして、そういうあり方を好むのも、この青年である。

「どっちかってーと、表立って動きはしないからな。
 何人かはこの街にも潜伏してんじゃねーかな、今さっきのやつみたいなのがさ」

そこそこ狙われているものの、昔ほどには襲われない。
その為、昔ほどは機関の手もこの街には無いと判断して。
同時に、巴の言葉には、苦笑を浮かべて。

「あー……、そういうことか……、そりゃ吸血鬼だもんな、狙われてそうだし、イメージ的に。
 結構四六時中警戒しなきゃいけないってのは気ィ張るよな。ガチで相手は殺しに来てるわけだし」

はぁ、と同病相憐れむと言った感覚の表情を浮かべてため息を付いて。
んー、と唸り声を漏らしつつ、ゆっくりと立ち上がる。

「色々ぶっちゃけちまったが、まあ俺みたいのならこの街には掃いて捨てるほど――――とまでは行かねぇけど、居なくはない。
 っつーわけで、あんまし気にしないでくれや、巴」

サングラスを少しずらして、素顔を見せてにぃ、と悪戯げな笑みを浮かべて。
やっぺ、宿題。と呟くと、慌てた様子でカバンの中身を確認。

「……悪い、このままだと進級できねーから、帰るわ。
 今度有ったら遊び行こうぜ、んじゃなー!」

少々青ざめた顔で、そう言うと、良方は軽快な足取りで歩きさって行った。

450早瀬川巴:2012/03/11(日) 01:46:25 ID:AvJn90sI0
>>449

「私のデート相手も、もうちょっと人目を忍んでくれてたらいいんですけどね。
 周りに人がいても、平気で襲ってきますから、気が抜けませんよ、まったく」

ふぅ、と巴も肩をすくめてみせる。
同じ悩みを持つ者同士、奇妙なシンパシーが出来つつある。あまりありがたくない類のものだが。

「そうですね。この街は色々な境遇や力を持った人々がいる。
 そういえば、ここに留まったのもそれが面白そうだったから、でしたっけ」

面白いが、同時に危険きわまりない街だ。
吸血鬼の身でなければ、さっさとこの街を去っていることだろう。
好奇心は猫をも殺す、なんてことは少し分別が付けば皆知っていることだ。

「あらら、宿題ですか。それは大変ですね。
 わかりました。機会があれば、お供しますよ、良方さん。夜限定、ですけどね」

最期の言葉を悪戯っぽく言った巴は、去っていく良方をその姿が見えなくなるまで見送る。
――――それから数秒後、公園の空に、黒々とした蝙蝠の群れが飛翔した。

451リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 13:21:10 ID:7gFzKdaU0
――――箱庭、森ステージ。
静謐な空気が満たされる森の中腹の開けた場。中心にはこんこんと水が湧いている。
そこに、一人の影が在り、どうやらその湧き水に頭を突っ込んでいるようだった。

「――――っぶっはァ!」

大きな声を上げて水の中から顔を上げた声は、凛としていながらも、未だ少女とカテゴリして構わない若さと涼やかさを持つ声。
水気を含む白銀が顔を上げる動きに追従して、撥ねる水しぶきに光を乱反射させる犯人となる。
ごそごそと取り出したタオルで汗を拭く少女は、いわゆる人間とは異なる外見を持つ少女である。
まず、与える印象は――――白。そして、2つ目には、悪魔という言葉が付随してくるだろう。
――――白い悪魔、それがこの少女を言い表すに最も相応しい形容詞である。
悪魔特有の蝙蝠の翼、そして山羊の角。本来ならば黒などの暗色を以て彩られるべきそれは、しかし穢れなき白で表される。
髪の色も、目の色も白銀。色素という物を尽く失わされたような、汚れという物を知らぬような外見は、天使よりも尚清謐な印象を与える。
格好は、その外見にコントラストを添える暗色のパンツスーツ。かなりの細身を着こなす体躯は、細身であることが見て取れたろう。

「…………腕は生えたし、そろそろ本調子という所か」

右腕をしげしげと眺めながら、口元を僅かに綻ばせて。
何も握らぬ右腕を近くの木に翳して、次の瞬間。

「Bullet!」

白銀の弾頭が木々を貫き、小さな穴を開けていた。
右手には――――白銀に赤の魔術刻印が刻まれた魔銃が有る。
銃口は存在せず、ブレード部分が銃身の代わりに存在する奇怪なデザインのそれは、強い存在感を放つ物。
彼女の吹き上がる魔力とも相まって、森の中に有れどもある程度の位階の物ならばその存在に気づくのは難しいことではなかっただろう。

452柊光流:2012/03/19(月) 13:35:07 ID:51FZPppw0
>>451
―――同じく箱庭、森の中

当ても無くTシャツジーパンの青年が歩いている
現実世界の風が強く、気温もあまり高くないということで、箱庭の中で暇を潰すことにしていたのだった
美形とも不細工ともいえない至って平凡な顔立ちに髪・目の色
強いて特異点を上げるならば着用しているごぅとぅへゔんのTシャツくらいか

「……ん?」

森の中を、何か人工的な風のようなものが通り過ぎた…気がする
魔術の行使になんとなく勘付いて、あたりを探る
適当に歩き始め―――結果森の中腹の泉へ辿り着いた
そこで奇異な銃と容姿をもった少女の後姿を発見し、理由もなく木の影に隠れた

「…(ぇ、何あれ悪魔…?)」
「……(にしちゃ、やけに白い…よな)」

チラチラと少女を観察し出した
もしかしなくても、青年の気配に気づくだろう
じきに青年から話しかけにいくつもりではあるが…

453リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 13:40:16 ID:7gFzKdaU0
>>452
銃を構えて、残心の体勢を取っている所、そこにその青年が現れた。
戦闘者として一級の練度を誇るリリシアは、その気配、視線に気づかないはずは無い。
ふぅ、と息を吐くと。青年の居る方向に向けて、『二つ』の切っ先が向けられ、魔力が圧縮されつつ有った。

「――――何奴か?」

白銀の双眸を細めて、魔力で腰程まで有る銀髪を蠢かせながら、隙の無い動作で問いかける。
もしもその青年が天界の裁判やその手の職務に詳しければ、彼女が天界の悪魔だという事にも思い至るかもしれない。
白い外見を持ち、天使よりも尚気高く有る事で天界に在る事を許された悪魔の貴族の一族の存在に。

二つの銃の切っ先には魔力が収束されつつあり、隙を見せれば撃ちぬかれてもおかしくない。
何か不審な動作をすれば、天使を裁く悪魔の力を遺憾なく発揮することだろう。

454柊光流:2012/03/19(月) 13:56:53 ID:51FZPppw0
>>453
「…(うぉっ!?気づかれた!?)」

少女の声が自分へ向けられたものであることは明らか
何より刃の先が此方を指している
少女の後ろに見える木に穴が空いているところをみると、相当の威力をもっている様子

「――……あ、怪しい者ではございませんぜ?」

あくまでも軽い口調で木の影から出でて、両手を頭の横の高さまで上げながら歩き始める
Tシャツのごぅとぅへゔんがやけに目立つ青年…という印象が強いかもしれない
或いは、ある程度の感知能力や勘があるのなら、彼の右手の甲に天使の気配を感じるやもしれない

「だから、その物騒なモノ下げてくれると嬉しいな…なんちって?」

へらへら、乾いた笑みを張り付けて懇願する
なんだか凄く怖い。
どうしようもないもののように感じたり、膝を付きたくなるような感情が生まれているのは、彼に天使としての才の一端があるからであろうか?
ともあれ本人は、彼女が天界に住む悪魔であることには気づいていない

455リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 14:09:14 ID:7gFzKdaU0
>>454
現れた青年を見て、ふむ、と声を漏らす。
銀色の瞳は鷹の如く容赦無い光を宿し、相手を見抜こうとして。
はぁ、と気の抜けた様な声を漏らして、少女は拳銃を下ろし、次の瞬間には何処かに消えていた。

「……なにやらふざけた格好をしているようだが、貴様からは少々不思議な気配がする――――」

ふざけた格好と、割りと容赦無い発言をしつつも、淀み無い動作で少女は青年に近づいていく。
割と小柄な少女は、貴方と目と鼻の先に立ち、そして、見上げて呟く。

「――――少々失礼」

そう断ると、貴方の右手を取って、鼻を寄せようとするだろう。
もし、それが成功すれば、すんすんと鼻を鳴らして臭いを嗅ぎ始めるはずだ。
なんとなく犬っぽいというか、警察犬のそれに近い感じの印象を与える。

「人と天使の臭いが混ざっているな、見習いと言う所か。うむ、もういいぞ」

動く度に銀髪がさらりと流れ、肩にかかった銀髪をさらりと流しながら、普通の距離を保ち。
首を傾げながら、少女は口を開く。先ほどまでの敵意は既に存在していないようだ。

「しかし、なぜわざわざ箱庭なぞに来ているのだ?
 確かに自然は豊かであるし、様々な環境を楽しめるが、生の世界の方が美しいだろうに。
 それとも、貴様も何かの修行で此処を用いるつもりか?」

と、なんとなくの疑問を少女は相手に投げかけた。

456柊光流:2012/03/19(月) 14:29:46 ID:51FZPppw0
>>455
「……そりゃどうも。」

巫山戯た格好と言われて喜ぶ輩などそうそういない
青年も例外なくムッとして、ツンと返した
しかし警戒は解いてくれたらしく、少女の脱力と共に銃は消え去った
青年もふぅと息を吐いて手を下げる

「ん?あ、あぁ…」

全くの赤の他人を前にして堂々と近づく姿に外見上の年の差などたいして意味をなさないように感じられた
断る理由も特に無いため、右手は好きにさせておく
手の甲に感じられる息が少しくすぐったかった

「……まぁそんなとこだけど…」

正式に見習いはないが、目指すところは天使である
問題はただの一般人が成れるかどうか…だが。

「仕事の合間の息抜き、ってとこ」
「ほら、どこからでも気軽にこれて、場所も結構色々選べるでしょ?」
「まぁ、たまぁに鍛錬とかはするけど…ね」

屈託の無い笑みを浮かべながら問いに答えていく
貴様、という人称に少し違和感を覚えて、先ほどの手の甲の観察と結びいたところで一つの疑念が生まれる

「それで、君は何者?」
「やけに白いけど…悪魔?」

457リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 14:43:39 ID:7gFzKdaU0
>>456
「気に障ったのならば、謝らせてもらう。…………その、なんだ。
 斬新な格好?だな。今の若者にはその様なのが流行っているのか?」

言葉が悪かった事は認めるようで、言い換えてみたが、どうにもなんとも言えない表情である。
只、別に外見に対しては変な服を着ているなぁと思うだけでそれ以上のことはない。
すんすん、と鼻を鳴らして臭いを確認すると、もう右手に興味はなくしたようだ。

「ふむ。常に気を張っているのも存外に疲れるものだしな。
 私も地上の職務の合間には暴食の大罪に挑むことを趣味としている。
 と言っても、食べ過ぎた分はこうして鍛錬などで補っているのだが――――な」

ごそごそとスーツを漁り、外国製のチョコバーを取り出す。
居るか?と片方を振ってみせる図は、口調や外見の物々しさに比べて案外にも接しやすい気配を見せる。
そして、青年の問いかけには、一瞬の間を置いて、ため息。

「――悪魔以外の何に見えるというんだ、正真正銘私は悪魔だ。
 というか、他人に何者かを問いかける前に、自分の事を語るのが筋というものだろうが……、まあ良い」

ぽきり、とチョコバーを頬張って齧って折って。口の中には甘ったるい味が広がる。
ぼりぼりとシリアルとチョコの砕ける音を響かせて、嚥下。
ごくん、と白い喉が大きく動いて、飲み込まれた。その後に話は続いていく。

「私は天界に於いては罪を犯した天使を裁く役割を与えられている、天使を裁く悪魔――――
 ――――天界の悪魔〟エンティオテュユフル家の次期当主。リリシア=エンティオテュユフルだ。
 故に、見習い天使の様な貴様より、位階としては偉いというか、将来の上司に成りうる存在、という事だな。
 ま、私はさして上下関係に厳しい質でもない。気楽に話してくれて構わん」

天界に居る内に汚れが消えて、白くなっていったため、この悪魔は白い。
その心は、天使よりも一度地に堕ちた身故に人に近く、慈愛を以て人に接する。
悪魔らしく無く、しかし天使とも異なり、しかし人とも決定的に違う存在。そんな歪が、この少女だった。

458柊光流:2012/03/19(月) 15:00:24 ID:51FZPppw0
>>457
「いや、もういい…触れないでくれ」

フリーになった右手を顔の前で二度三度振って、拒絶を示した
表情はどこか悲しげで儚げであった…

「暴食の大罪って…それただ食べたいだけじゃないの…?」
「――…ひとつ貰おうかな」

小さめの声でツッコミをいれつつ、チョコバーは頂きたいようだ
外見や口調は無視できてしまうほどに親しみやすい人(?)なんだなぁ…と青年は心の中で感想を漏らす
もしチョコバーを頂けたなら、早速袋を破って折らずに頬張るだろう

「えーっと…コスプレとか?」
「あ、ごめんごめん…君が誰か教えてくれたら、教えてあげる」

少女がチョコバーのひとくちを咀嚼して嚥下するまでの間に、こんな冗談めいたことを言い
近くにあった木に寄っかかって、楽な態勢をとった。

「―――……え?
          マジ?」

ぽかん、という表現はまさにちょうど相応しいであろう
少女の正体に驚愕し、今までの態度に後悔し、最後に加えられた言葉に僅かに救われながらも、目を点にする
信じられない事態ではあったが、体は自然と気を付けの姿勢をとっていた。

459リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 15:13:47 ID:7gFzKdaU0
>>458
「天界の食物は旨いは旨いのだが、雑味が無くてな。澄み切った味だけでは飽きてしまうものだ。
 それに、欲を捨てたものが多いのか、食欲に興味がない者が多くてな。調理技術が発達しないし……。
 こと食物に於いては、人という存在の果てなき欲望が費やされている分、完成度も情熱も桁違い。
 欲望とは努力の裏返しだ。折角地上に居るのだから、愛し子の努力をその身で味わいたいと思っても可笑しくはなかろう?」

ぼりぼりとチョコバーを齧りつつも、そんな事を言う。
喋っている間の表情は、嬉しそうな笑顔であり、先程銃を突きつけていた存在と同じには見えない物。
人を愛したがゆえに堕天した悪魔故に、ある意味では天使以上に人に親身に当たり、人を愛しているのがこの悪魔である。

「……むぅ」

なんとなく侮られている様であり、少女の眉根が寄せられて。
そして、その後の自己紹介を受けての相手の反応に、少女は『とてもいいえがお』で答える。
角から魔力をはじけさせて、にぃ、と笑みを浮かべて。

「マジだ。そして――――よぉし。
 将来天界に来るというのなら、修行を付けてやろう。
 なに、むしゃくしゃしているとかそういう訳ではないぞ?コスプレとか言われてキレている訳ではない。
 …………少々、先輩として『教育』を施してやろうとしているだけだ――――さあ、喜べ貴様。
 魔界生まれ天界育ちの天使殺しの技をその身で味わえるのだからなァ――――名乗れ若造。名前も名乗らぬまま蜂の巣にされるのは喜ばしくないだろう?」

と、青筋を立てながら両の手に奇怪な形状の魔銃を召喚してみせる。
しかしながら、本気の殺意ではなく、天界に登れるだけの技量が有るかを試す意図も有る。
なんだかんだで人を愛してしまう悪魔は、敵意を向けることはできないのであった。

460柊光流:2012/03/19(月) 16:00:00 ID:51FZPppw0
>>459
「へー…そうなんだ」
「なんか褒められてんだか馬鹿にされてんだかよくわからないけど、まぁ地上の食べ物は庶民的で美味いってことだな?」

外見と言葉のチョイスのギャップがかなりすごい事になっているが、まぁ悪魔だし天使だし笑顔が素敵なのでなかったことにしておこう
しかしやけに納得する説明であった。彼女は相当、人間が好きであるらしい

―――青年の返しを受けて、とってもとってもいいえがおで魔力が放たれた
何もないはずなのに、髪の毛が揺れて鳥肌がたった

「ごめんなさい…は遅いよね」
「じゃあ遠慮せずにありがたぁい『教育』をご教授するとするかな」

ははは、と再び乾いた笑み
今度は口の中までカッサカサであるが、口ばっかりはよく動く
どうしても皮肉っぽくなってしまうのはご愛嬌、だ

「―――俺の名前は、柊 光流≪ヒイラギミツル≫」
「よろしくね、リリシアちゃん」

純白に不自然に浮かび上がる青筋と、両手に再召喚された剣銃を確認し
跳ぶようにバックステップで3歩下がり、距離をとる
それから深呼吸をして、一気に集中を高める。

461リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 16:12:21 ID:7gFzKdaU0
>>460
「……まあ、B級グルメの様な感じと言えばいいのか。
 私としてはこちらのほうが先祖の故郷に近いからな、こちらのほうが味としては好ましいのだ」

そう言いつつ、チョコバーを完食してみせて。
くしゃり、と小さく包装を握りつぶすと、仕立ての良いスーツの中にそのまま放り込む。


――――吹き上がる魔力は銀色であり、透明。
しかしながら、その透明の理由は、複数属性が混ざり合い無色となっているからこそのもの。
魔界の魔術と天界の魔術の複合に拠って得られた魔弾の射手の力は、伊達ではないとその存在感が言葉よりも如実に語る。

「――良い度胸だ。死の間際に笑えない人間よりは幾らかマシ。
 ……加点、1点と言ったところだな。100点にはまだまだ遠いぞ、精々努力するが良い」

転じて、こちらは鋭い目と、口元には犬歯をむき出しにする笑み。
性格なのだろう事はわかっていたが、舐められて居た事にはカチンと来たのだ。
故に――――ちょびっとだけ八つ当たり、というわけである。

「ちゃん付けを――――するなァッ!!」

相手が距離を取った瞬間に、右の手が跳ね上がり、切っ先が向けられて魔力が膨れ上がる。

「〝断罪と救済の天剣〟ッ!」

エターナル・リリーフ。彼女の用いる魔術攻撃において最も基本的なものである。
属性は光と闇。混合属性により威力を跳ね上げさせる物の、破壊以外にリソースを裂かない為に魔力消費は少ない優秀な魔術。
白と黒の混ざり合う魔弾が高速で柊の土手っ腹目掛けて迫っていく。

462柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/19(月) 16:34:43 ID:51FZPppw0
>>461
「精進します―――よっ!」

少女らしい笑みから一転、鋭い視線と犬歯を露わにして笑うリリシア
その白い手に握られた剣銃の先端から魔力の爆発を感じ取り――右足で地面を蹴って横移動

「―――……ッガ!?」

されど魔弾は高速のもの、一般人にかわしきることは実に難しい
狙われた場所への直撃はなんとか回避したが、弾丸は横っ腹を穿つ
バランスを崩しながら激痛に歯を噛み締め、攻撃か逃避か逡巡し―――

「『太陽拳』ッッッ!!!」

リリシアと光流の間の空間に大量の光を生み出し、無差別に拡散させる
狙いは目くらましによって一瞬の躊躇いを生み出すことだ
成功か否かに関わらず、青年は近くにあった木の裏へ隠れようとするだろう
しかしその動きはゆったりとしたもの。追撃することも不可能ではないだろう

463リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 16:46:54 ID:7gFzKdaU0
>>462
閃光のさなかで、少女の凛とした声が響き渡る事だろう。
術式の名前だけで、残りは弾核に収めた術式で詠唱を破棄して発動する魔弾技術。
それにより、少女の魔術がこの世に発現していくのだ。

「――――疾風と業火の走狗[エターナル・ファング]ッ!」

ぱぁん、と炸裂音が響き、光の奥で熱が生まれだした。
はっ、はっ、と何かの動物の吐息が聞こえてくることだろう。

「……狩人から逃げ切れるか、とっさの判断は良いが、力量がまだ、といった所か。
 精進しろ、光流。この程度で――――上で生きていけると思うなよッ! 追え、我が走狗!」

光の中であろうとも、犬はその嗅覚を以て相手を補足する。
焔を風により燃え上がらせ、風の速度と焔の威力を両立させ、犬の魂を宿した魔弾。
エンティオテュユフル家に1000年近く仕えるその魂も又、天使と同じく気高きもの。
犬は駆け抜け、獣の牙と爪で柊に襲いかかろうとすることだろう。

464柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/19(月) 16:58:57 ID:51FZPppw0
>>463
炸裂した光の中から少女の声が響き、青年に焦りが生まれる
青年自身が光で目を焼かれる事はなかったが、木の影からでは何が来るか分からない
鈍い痛みは未だ健在、素早い回避は最早不可能だ

「天使解放も、時間が足りないっ…」

少女の声に続いて、犬のものらしき息遣いが聞こえ始める
光の奔流はもう消滅し始めているうえ、相手が犬では目を潰した程度では巻けないだろう
ならば、こっちが狩るしかない

木に寄り掛かりながら、右の人差し指に光を集め始める
そして猟犬が姿を表したならば、銃を象った右手で猟犬の眉間を狙い―――熱線を放つだろう
太さは小型犬を飲み込めるほど、威力は数秒で鉄板に穴をあける程度、だ。

465リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 17:04:23 ID:7gFzKdaU0
>>464
犬の駆け抜ける背後には、火炎が追従し、その背後を覆い隠す。
蜃気楼が視界を奪い、リリシアの姿は上手く認識できないようになっていることだろう。
ばばばば、と犬が地面を焔で構成された肉体で駆け抜け、跳びかかる物の、その瞬間、熱線が襲いかかってくる。

犬の魔弾は触れた瞬間にはじけて消えて火柱を創りだす。
奥で、びしぃ、と肉の引きちぎれる音が響いたことだろう。
だが――――ずぅ、と火柱を突き抜けて、魔銃の切っ先が青年に向けられる。

「凍結と絶望の回廊[エターナル・ジェイル]!」

青と黒の線が、一直線に青年に向かって襲いかかっていく。
線の先端は何かの手のようなものを形作っており、もし命中すればその瞬間結界の中に囚われる事となる。
殺傷能力は一つとしてないが拘束としては一級の結界魔術。開くまで指導であり、殺すつもりはない様である。

466柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/19(月) 17:21:34 ID:51FZPppw0
>>465
命中、猟犬のカタチは崩れ火柱となる
再び光を集めて少女本人へ攻撃をしようと合作していた矢先―――火柱の中から魔銃が姿を表した

「―――げっ、何時の間に…」

不意打ちに呟きを漏らす気持ちの余裕はあるが、行動する元気は残っていない
どんな効果があるかわからないが、とりあえず溜めかけの熱線を放つ
威力は人肉に火傷を追わせる程度、範囲も指の太さと同等と情けないもの
魔弾に対して干渉できるかどうかもわからない、単なる気休めである

「――――――」

何れにせよ、魔弾は青年に直撃する
すると何やら不思議な空間が展開され…全く身動きがとれなくなった。

467リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/03/19(月) 17:34:24 ID:7gFzKdaU0
>>466
「結界の端から端はループしている。数十秒は解けないから、実質私の勝ち、という所だな」

結界が展開され、相手が中に囚われた直後、火柱は消えて少女が現れる。
スーツが幾らか破けて焦げて、ダメージを受けていないわけではなかったようだ。
展開した魔銃を空間にしまい込みつつ、少女はにぃ、と笑む。

「……経験と慣れだな、貴様の足りない点は。
 能力自体はいくらでも応用が効く。精々精進するが良い、光流よ」

そう青年に言うと、ジャケットを脱いで、うわぁ、一張羅……、と嫌そうな顔をする。
アイロンがしっかりと掛けられたYシャツは血で染まっている物の致命傷ではなさそうで。
痛みを紛らわせるためか、少し涙目でチョコバーを齧り始めるのであった。

「さて、と。私はそろそろ教会に帰らなければならん。
 ……何か用があれば、どこぞの教会で祈ってみろ。私が出てくるから」

相手に言うと、翼を広げてリリシアは舞い上がり、そして姿が消える。
青年の拘束が溶けた時、もし気がつけば、塩の入った飴が置いてある事が分かるだろう。
運動で汗をかいた後には丁度いいそれは、リリシアなりの思いやりだったのかも知れない。

468アーベント ◆AVEND/4h42:2012/03/19(月) 18:02:17 ID:51FZPppw0
>>467
「―――――」

少女の声は聞こえるが、体は動かないし能力も一切使えない
さすが、天界人は強いなぁ…と感嘆しつつ、本物の天使に歯が立たなかった自分に歯軋りする
もっと強くならなければ、と改めて感じ―――

「…っと」

たところで結界が解けた
少女の姿は既になく、塩飴がポツンと残るのみ
声は聞こえていたが視界はぼやけてよく見えていなかったようだ

「はー…悔しいね」

塩飴を拾い開封して舐めながら、その場に座り込んだ
腹の痛みは未だ引かず、髪の毛も僅かに焦げている
青年はため息をつきながら空を見上げて―――現実世界へと戻って行った…

469防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/19(月) 22:07:47 ID:WVrfsEdY0
【路地裏に駆け込んでいく姿がある】
「こら!待ちなさい!」
【その姿を追って制服を着た少女が勢い良く駆けていく】

【しばらくして、路地裏で立ち止まる追われていた男】
「観念したんですね?さーて、泥棒さん…覚悟してもらいま」
ガァン!
【…突如として響く銃声】
「…え?」
【見ると、少女の足に穴ができていた】
「ぐっ・・・」
【その場に座り込んで苦痛をこらえるように前を見据える少女】

男A「おー、上手く誘い出せた見てぇだなぁ?」
【突然鶫の後ろから聞こえてくる声】
男B「へっへっへ…この女、目の前でもの盗んで走ったらバカみてぇに追っかけてきてヨォ…
   連れてくるのは簡単だったゼェ?」
【拳銃を持った男がニヤニヤ笑いながら路地の死角から現れた】
【見ると周りから、数人の不良のような若者が現れ始めた】

「そんな…こんなに仲間がいるなんて…」
【足を押さえて、あたりを見回す…その顔には焦りと恐れがにじみ出ている】
男C「やれやれ…俺達の仲間を随分付き出してくれたそうじゃねえかよ…
   この落とし前はよ」
【そのうち男の一人がつかつかと鶫の前に立ち…】
男C「これからたっぷり払ってもらうんだよ!!」
ドボッ!!
【鶫の鳩尾に勢い良く膝を突き上げた】
「がはっ…!」
【鶫の体は勢い良くのけぞりながら路地裏に転がりおちた】

男A「で、どうするんすカ?このアマ」
男B「そうだなぁ、よぉくみたら案外いい体してんじゃねえか
   とりあえず気が済むまでぶん殴った後に」
【そう言って鶫の胸に向けて足を上げて】
男B「楽しませてもらおうぜ!」
ガッ!
【勢い良く踏みつけた】
「ぐあぁっ!ぐ…」
【不意打ちに弱い所を突かれてしまったようだ…1人だけでは危ないだろう】
//お助けおk。

470ガルテラ:2012/03/19(月) 22:38:12 ID:NntjvIzM0
>>469
「……あれ?鶫さんではないですか」

足音が一つ、暗闇から近づいてくる。
闇の中に、一点の光。
それは、黒い服装の男の持つカンテラの光だった。

「妙な物音がするかと思えば……。
 足から血など流して、大丈夫ですか?」

意図的なのか、男は不良たちに目もくれず、鶫に歩み寄った。

471防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/19(月) 22:43:40 ID:WVrfsEdY0
>>470
「あ…ガルテラさ…あぐっ!」
【返事するまもなく、一人の男の蹴りを脇腹に食らって倒れこんだ】

男A「ん?なんだぁ?お前は」
【攻撃が中断され、不良グループのような男たちは一斉にガルテラの方に顔を向ける】
男B「なんだ、この女しってんのか?
   つまりお友達ってことか」
【何人かがガルテラに近づいていく】
男C「おい、そこの兄ちゃんよぉ
   俺達は今お楽しみ中なんだよ、痛い目見たくなかったら逃げたほうがいいんじゃないのかぁ?」
【がん飛ばしながらガルテラをじっと見る】

472ガルテラ:2012/03/19(月) 22:52:44 ID:NntjvIzM0
>>471
「ええ、まあ」

男は無表情で答える。

「お楽しみは一向に構いませんが、
 流石に知人が傷つけられるのを目の当たりにするのはあまり良い気分ではありませんので。
 ……というか、そうでなくてもこういった行為自体は不快ですけどね」

そう言いつつも、男は鶫が蹴りつけられても眉一つ動かさない。

「とりあえず、説得でやめていただくのが一番ありがたいんですが。
 どうです?」

ふと思いついた、とでも言うような軽い声で、男は言った。

473防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/19(月) 22:59:54 ID:WVrfsEdY0
>>472
男A「その割にはずいぶん冷たい顔じゃねえの!?」
【そう言うとお構いなしに鶫を何度も蹴りつける】
ガッ ドッ ボスッ
「うう…ぅ!えうっ!」
【そのたびに鶫は顔を苦痛に歪ませながらその場にのたうってうずくまる】

男C「うるせぇなぁ、説得?俺らは始めっからこいつがメタメタになるまでやめる気はねえぞ?」
【そう言って金属バットを抱え上げる】
男C「どっかいけや!」
【そう言っておもいっきり振りあげて】
「ガル…テ…さ…!」
【男に向けて振り下ろそうとしている】

474ガルテラ:2012/03/19(月) 23:08:59 ID:NntjvIzM0
>>473
「そうですかね?
 ……ああなるほど!
 情緒豊かな人間ならば怒り狂って飛び掛っている場面ですね」

男はうれしそうに答えた。

「では私もそれにならってみましょう」

男の体が光の粒になって霧散した。
金属バットは地面に叩きつけられる。
光の粒の正体は、蛍。

「今すぐ彼女を解放しろ!
 切り刻まれたくなければな!」

演技たっぷりの声で男の声が何所からとも無く響き渡る。
この蛍の羽は、刃のように鋭い。
鶫を避けて蛍達が飛び回り、解放する、しない関係無しに、
不良達に切り刻みに向かった。
その様子はまるで光り輝く嵐のようだ。

475防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/19(月) 23:16:44 ID:WVrfsEdY0
>>474
男C「んなぁ?!今のは一体…」
【突然ガルテラの姿は霧散し、殴ろうとしていた男は壮大に空振らせ、地面にバットを叩きつける】

男B「おい!どうなってる?アイツはどこに言ったんだ」
男C「くそぉ!逃げやがったのか!?」
【男たちはあちこちを見回し、ガルテラを探す】
【そして、突然あたりに響く声】
男A「な、なんだあぎゃっ!!」
【響いた声を聞くまもなく、一人の男が瞬く間にホタルによって切り刻まれてしまう】
男B「な、なにぃ!?うごぁ!!」
【拳銃を持っていた男も同様に体を刻まれ、力なく倒れこんだ】

男C「ヒッ…な、ななな…な…?」
【離れていた男は、次から次へと切り落とされる男たちを見て、目を白黒させあたりを見回す】
「…な…に…?」
【返り血を体に受けながら、この状況を苦しそうな顔をしたまま鶫は見ていた】

476ガルテラ:2012/03/19(月) 23:25:11 ID:NntjvIzM0
>>475
鶫の耳元で、何かが落ちた音がした。

「えーっと、鶫さんでしたっけ?
 立てるッスか?」

続けて、この場に居る者達とは別の声が聞こえてくる。
それは目玉の模様の仮面を被り、魔導文字が書かれたローブを着た二人組だった。

「俺たちはガルさんの部下です。
 立てますか?つーか立てなくても抱えていきますが」

二人は鶫を抱え上げようとする。
その前に、光の塊が集束し、男が元の姿を形作った。

「これ以上やるならば保障しかねますよ。
 ……はい、勿論命のことです」
「ガルさん!"珍しく"かっけーッス!」

477防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/19(月) 23:28:52 ID:WVrfsEdY0
>>476
「あ…」
【少し心配そうな顔をしながら二人の姿を見る】

「…む…り…ぐっ…」
【声を上げるのも辛そうだ。とりあえず成すがままに二人に抱え上げられる】

男C「あ…ああ…わ、わかった…
    も、もうしない、なにもしない!」
【男は完全に戦意を失い、腰を抜かして後退りしている】
男C「ご、ごめんなさぁあい!」
【そう言って脱兎のごとく逃げ出してしまった】

478ガルテラ:2012/03/19(月) 23:36:35 ID:NntjvIzM0
>>477
「行きましたね。
 二人とも、ご苦労様です」
「急に戦闘用装備で来いって言うから何事かと思えば……。
 一人で十分だったじゃないすか、ガルさん」

男はコートをパンパンと払う。

「もし三人とも異能者だったらちょっと危なかったですから、念のためです。
 それに、一人で鶫さんの傷に刺激を与えずに運ぶことは出来ませんから。
 ……で、大丈夫ですか?鶫さん」

//時間あるならガルテラの居城で治療になりますが、
//時間が無ければ病院に連れて行こうと思ってます、どうしましょう

479防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/19(月) 23:39:55 ID:WVrfsEdY0
>>478
「…あり、がと、ございま…
 すいませ…」
【どうにか声をだそうとしているが、苦しそうだ】

「ちょ、と…だいじょぶ…では…」
【先ほどのリンチのダメージは少し大きかったらしい。その上足から出血もしている。】
【どうやら重傷であるようだ】
//時間あるのでお城で良いですよー

480ガルテラ:2012/03/19(月) 23:53:50 ID:NntjvIzM0
>>479
「このまま病院に運ぶのも傷に触るでしょう。
 私の自宅の方が近いので、そこで治療させて頂きますね」

男の左腕に、光が集まる。
それは具現化し、大きなトランクとなって地面に置かれた。
トランクを開くと、その中に石造りの階段が見える。

「すぐそこですから」

男はトランクの中に入っていく。
続いて、鶫を支えている二人組もトランクに入る。

階段を降りると、目の前には木の扉が見えた。
木の扉は古めかしい音を立てながら、ひとりでに開く。
扉の向こうには、石造りの城の、荘厳な廊下が広がっていた。
廊下の両脇には細く苔むした、しかし綺麗な水の流れる水路があり、何匹もの蛍が飛び交っている。

「お帰りなさ……ガルさん?その人は?」

扉の脇には、何人もの黒子の格好の人物達が不規則に並び、男を迎える。

「治療したいんですが、空き部屋はどこでしょうか」
「あ、あっちの部屋が空いてます」
「ありがとうございます、医療に必要な物を持ってきてください。
 あと、勝手口の警備を」
「わかりましたー」

男の指示に、黒子たちは、わらわらと立ち去っていく。
やがて、鶫はある部屋のベッドに寝かされた。

「申し訳ありませんが、傷の場所とか、教えてもらえますか?
 問題がある場所は女性に診させますが」

そう言いながらも、目に見える軽い傷は、既に何人かの黒子が集まり、治療を始めている。

481防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/20(火) 00:01:39 ID:WVrfsEdY0
>>480
「…すいませ…ん」
【落ち込んだ顔になりながら、鶫は運ばれていった】

「あ、その…」
【ガルテラの家らしき場所について、黒子の人たちにどうにか取り繕おうとするが…さすがに今は思いつかなそうだ】
「ほんとに、ここまで…して、いただいて…」
【ベッドの上に寝かされた状態であたりの黒子に軽く首を振って、申し訳なさそうに言う】
【足に打ち込まれた弾痕が特に目立つが】

「けが…とくに…おなかとかがひどい…です…」
【胸のあたりを抑えながら言う。重点的にお腹や胸を殴打されていたようで、体には痣となって残っているだろう。】

482ガルテラ:2012/03/20(火) 00:13:21 ID:NntjvIzM0
>>481
「いえ、あのまま放置するのは私の精神衛生上よろしくありませんから」

以前言った、"無償の行為を嫌う"ということを取り繕うように言った。

「応急処置なので、落ち着いたら病院で見せてください。
 人間の治療は余り得意ではないので、何か副作用が出るかもしれません」

そういいながらも、ガルテラや黒子達はてきぱきと傷を消毒し、包帯を巻く。
人間以外の治療は馴れているかのような言い方だ。

「少し失礼しますねー」

黒子が服をめくり、腹の様子を確認する。
その声は女性のものだった。

「こういう傷なら人間に使える薬が残ってますね」

そう言って、黒子の一人が、ガルテラに瓶を差し出した。

「えぇー……これですか?……確かに利きますが……」
「これで最後です、丁度いいじゃないですか」
「……鶫さん、ちょっと匂いますよ」

そう言って、ガルテラはその瓶を開けようとした。

483防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/20(火) 00:17:49 ID:WVrfsEdY0
>>482
「そう…ですか」
【少し納得したように言う】
「無茶…しすぎたみたいですね…
 まさか…あんな手で来るなんて」
【落ち込んでいる…ようである】

「はい…病院でよくみてもらいます…
 けど、これだと…ちょっとまずいですかね…」
【返り血が飛び散っている制服を見ながら言う】

「あ、はい…」
【少し恥ずかしそうな顔をして言う。流石にお腹を見られるのは恥ずかしいんだろうか】

「に、匂う?…いえ、ある程度の…薬品の匂いなら…」
【不思議そうに首をかしげて言う】

484ガルテラ:2012/03/20(火) 00:28:13 ID:NntjvIzM0
>>483
ガルテラが瓶を開ける。
すると、部屋中に充満する――

――ニラの匂い。

「窓開けろ、窓!」
「ミドリトゲズクガエルは世にも珍しい草食両生類だ。
 その粘液は様々な傷に利くとされるが、生息地上の問題でニラの一種をよく食べる。
 そのためその粘液からはニラの香りが――」
「薀蓄はどうでもいいっす!」

そう言って、若干緑がかった粘性の液体が、鶫に塗られようとしていた。

「まあ、余り染みないそうです。
 安心してください」

鼻声になりながら言った。

485防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/20(火) 00:35:54 ID:WVrfsEdY0
>>484
【あたりに立ち込め始めるニラのにおい…】
「うぅ…意外な…」
【顔をしかめながら園ニラのにおいを嗅いでしまう】
「で、でもどうやら効果はあるみたいですね…
 えんりょせず…どうぞ…」
【まだ若干苦しそうに答える。でもいまの苦しそうな顔はどちらかと言うとそのニラのにおいによるものだろう】

「…どうも、罠にはまりやすい…かもしれません…」

486ガルテラ:2012/03/20(火) 00:46:07 ID:NntjvIzM0
>>485
「罠ですか?」

塗られたニラのかほりの薬の上から包帯が巻かれ、
そうこうしているうちに、応急処置は終わった。

「一部しか見ていないので何があったかはわかりませんが……。
 あれは街を守る、と言うことを実行した結果ですか?」

慌しく、黒子たちは後片付けを始める。
ガルテラはベッドの脇の椅子に座る。

「いい事じゃないですか。
 それが解っただけ、罠に嵌った価値があるというものです」

無表情なせいでどこか嘲笑するような言い方にも聞こえるが、
慰めのつもりで言っているのだろうか。

487防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/20(火) 00:56:03 ID:WVrfsEdY0
>>486
「ええ、そうです…どうやらそのようです…」
【治療を受けたためか、少しだけ元気を取り戻している】

「おそらくそうです…
 私は今までひったくりに万引きに、泥棒に色々踏んづかまえてきたんですが、
 どうやら一グループの集まりがやっていたことで、私は恨まれていたみたいです…」
【大きな胸を押さえて言う。踏みつけられていたので、まだ痛むのだろう】

「それで、私を罠にはめて…叩き潰すことにしたんでしょう…
 眼の前で物取りを行ったのも、人目につかない路地に誘い込むためだったんです…」
【軽く落ち込んだ顔でいう】
「そう、ですね…しかしあのまま助けが来なかったら…
 私はもっとひどい目に合っていたかも知れませんが…」
【軽く落ち込んでいるようだ】
「ともあれ…助けていただいてありがとうございます…」

488ガルテラ:2012/03/20(火) 01:06:40 ID:NntjvIzM0
>>487
「そうですか……。
 まあ、逆恨みと言うのもままあることですしね。
 くじけず頑張ってください」

簡素な言い方だが、やはり慰めているつもりなのだろう。

「まあ、感謝の気持ちは出来れば物事で表して欲しいですが……」

やはりゲンキンだ。

「次も助けるかどうかは解りませんよ。
 最近あくまで噂ですが、人で無い存在に対する風当たりがどういうわけか強くなっているそうです。
 ほとぼりが冷めるまで騒ぎはあまり起こしたくありません」

人で無い存在に対する――。
その発言は、ガルテラ自身が人でないと言うことをあらわしていた。

489防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/20(火) 01:11:51 ID:WVrfsEdY0
>>488
「ええ、その…ここで折れるつもりはありませんよ。
 もちろん、頑張っていきます」
【大きく頷いて返した】

「物事…い、一体どうすればいいんでしょうか…
 私は学生ですからいっぱいなんて言うほどのお金がもっていませんし…」
【かなり迷ってるようである】

「その話ですか…
 確かになにか怪しい人があちこちで現れ始めているようですね…
 私は…」
【少し考えてから口を開く】
「私は、人ではないヒト達もこの街だからこそできることだと思うんです…
 追い払おうなどという意図を感じさせるようなやり方は許せませんよ」
【悔しげにつぶやく】

490ガルテラ:2012/03/20(火) 01:29:35 ID:NntjvIzM0
>>489
「まあ、思いついたときでいいですよ。
 あくまで助けたことは私が勝手にやったことですし、無視していただいても」

作った笑顔で笑いかける。

「私にとっては迫害を受けるのはいつものことでもありますがね。
 ……ですが、人でないものと言うくくりは少々大きすぎる気がします。
 今はまだ噂程度にしか話を聞いていませんが……」

そう言って、ガルテラは立ち上がった。

「少々長話しすぎましたね、申し訳ありません。
 傷に影響があると困るので、あとはごゆっくりしてください。
 食事や服などが必要が出ましたら彼らに言ってください。
 歩けるようになれば勝手に出て行ってくださって構いませんよ」

ガルテラは部屋を出て行こうとする。

「そうそう、先ほども言いましたが、医者には必ず見せてくださいね」

そういい残し、出て行った。
それを、残された黒子風の従者達が見ていた。

「……助けるのが遅くなったようで、申し訳ないっす。
 ガルさん、無償の行為は嫌いなんて言ってますが、本当はそれを破る為の言い訳を常々探してるんスよ」

ガルテラの足音が遠ざかるのを確認すると、従者の一人が口を開く。

「なんでも過去になんかあったらしくって……。
 ……おっと、俺達も扉の前で待機してるんで、ごゆっくりして下さいっす」

そう言って、黒子達は部屋を出て行った。

491防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/20(火) 01:36:27 ID:WVrfsEdY0
>>490
「まあ、助けた恩を返さずに置くのは私としても
 納得行きませんし、いつか返したいところですね」
【そう言って頷く】

「…まあまだ噂程度でしょう…
 しかし、人でないものを狩るのであれば…それは街のパワーバランスを崩しかねません…」
【少し危機感を抱いているようである】

「はい、少しゆっくりさせて頂きます…
 まだ体の節々が痛いですからね。
 勿論後で病院で見てもらいますよ」
【軽く笑いながら見送っていった】

【そして従者の話を聞いて】
「へぇ、そうなんですか…過去に…いえ、それ以上は聞きませんけど」
【そう言って、軽く上を見て】
「案外いい人なのかも知れません、ねぇ。」
【1人つぶやいた】
//お疲れ様ですー

492アイリス(日常扱い):2012/03/20(火) 23:59:08 ID:do5XJmGE0
【一夜城】

今日で襲われてから一週間が経つ。
生きている吸血鬼が故に、人間と同じく体に耐性が付く。“魔の否定”はアイリスの体に染み渡り、効きづらくなる。
何時かは青い顔をしていたが、今では顔色は普段通りに戻っており。
これは、一週間の間に起こった僅かな肉体の進化であった。

「体は楽にはなってきた。しかしやることは山積みだね。
 それに、いつかイメルと巴を引き合わせる場を作っておきたい。」

同じアパートの住人になるかもしれない可能性がある人物だ。
一目だけでも引き合わせていたい処である。テーブルにあった新聞を端に寄せ、定期的に上がってくる報告書をテーブルに並べて、斜め読み。どれも芳しい結果は無い。
アイリスが知る主だった人外には既に連絡を取ってはいるものの、情報の拡散に対してはどうだろう。
その情報も入ってこない以上、解析を進めるしか打つ手立ては無く。

「――(キルリス、例の者たちを探ってきてくれないかな。報酬は彼ら自身。いくらでも食べてきていいよ。)」
『――(分かった。彼らの人となりの手掛かりを貰おう)』
「――(黒色のローブの下に鎧を着込んでいるね。武器には“魔の否定”の術式が乗っている。)」
『――(了解した。妖しき術を持つ者を調べておこう)』
「――(頼んだよ。)」

席を立ち、窓際へ。開け放たれた窓に集うはコウモリたち。数は大凡30。
それぞれに使い魔としての特性を持たせた上で、彼らを解き放つ。
外から吹きこむ風で髪が揺れる。
手には紙に複製した術式。何がどのように組み合わさっているのか皆目見当がつかない。
緩やかに吹きこむ風に、紙が揺れる。

「…やれやれ。」

窓を閉め、椅子に腰掛ければ、メイドが紅茶を淹れてきており。
肘掛けに肘を預け、髪を耳に回して。自動書記に綴られる文脈のない文字が踊る。
用意するのは、やはり魔術書。付与術を中心に書かれた古書だ。

「(刻んでいた?それとも付与していた?)刻むとすれば、何を…?」

確かに光ったのだ。
ならば、光、あるいは聖に関することだろうか。
アイリスの頭の中は様々なことがグルグルと回り続ける。

493防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 19:01:57 ID:WVrfsEdY0
【箱庭内、ベーシックな電脳風マップの中に一人の学生服を着た少女の姿が見られる】
「ふう、やはり箱庭内では外のダメージはさほど気にならないようです」
【いつもどおり風呂敷の中から色々アイテムを取り出し始めた】

「さて…」
【しばらくふろしきのなかを見た後、あたりを見回す】
「勝負したいところなんですがね。だれか丁度良く来てくれるといいんですけど」
【そう言って誰かが来るのを待つ…】

494柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 19:10:08 ID:51FZPppw0
>>493
マップの端の方から、身軽な格好の青年が歩いてきた
上半身は『ごぅとぅへゔん』とプリントされたTシャツのみ、下半身はGパンを着用している

「ん?誰かいるな…」

「おーい!」

光を吸収し続けているため体の周りがほんのりと暗い青年は、手を振りながら近づいて行く

495防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 19:13:35 ID:WVrfsEdY0
>>494
「お、早速」
【何処か楽しそうに鶫は声のした方に振り返った】

「こんにちはー。ん?
 あたりが少しくらい…?」
【不思議そうに周囲の空間の色合いの違いを見るが、】
「…変な服…あ、いやいや…
 貴方もここで戦闘をしてみようと思って来たんですか?」
【女性の方は制服とマフラー、それにニット帽を被った普通の学生らしいファッションをしている】
【ちなみに制服の上からでも彼女のスタイルはなかなかのものだとわかる】

496柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 19:17:14 ID:51FZPppw0
>>495
「……ま、そんなとこかな」
「鍛錬と、情報収集」

変な服…というリアクションに表情を一瞬ムッとさせながらもすぐに笑顔を作って
2mほどの位置で立ち止まった

「どう?一戦交えとく?」

497防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 19:27:15 ID:WVrfsEdY0
>>496
「情報収集…色んな能力者と戦ったりしてるんですか?
 なかなか面白いじゃないですか」
【そう言って軽く笑い、自分の手を合わせる】

「いいですよ。私もちょうど一線交えたいと思っていました。
 ここはお互いにとっての利益となるでしょうね。」
【そう言うと鶫は全身に力のようなものを張り巡らせはじめた。制服や手袋などの身にまとっているものが
 淡く光っている】
「さあ、勝負ですよ。」
【風呂敷の中からいろんな玩具を取り出し始めた。おもちゃの鉄砲のようである】

498柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 19:35:42 ID:51FZPppw0
>>497
「いや、とある属性の能力者を探していてね」
「まぁこのことは、この戦いが終わったら話すとしよう」

鶫の体に光が纏わり始めたのを見ると戦いの始まりを感じたのか屈伸をし、深呼吸
のちに右手の甲を天へ向け―――続いてその右手で自らの胸を叩く
右手の甲には複雑な紋章が光を放っていた

「久しぶりにこの力を使ってみるとしよう―――」

先ほどまでの軽い笑みから、今度は真剣な表情へ一転
と同時に青年の背から一対の翼が溢れるように顕現し、更に頭部に光が集まって輪っかが生まれた

「さぁおいで、お嬢さん」

随分とよく透き通った声で軽い挑発をする
風呂敷の中から取り出された玩具の鉄砲に警戒を寄せつつ、集中力を高めて行く―――

499防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 19:41:23 ID:WVrfsEdY0
>>498
「色々わけありみたいですね。
 まあいいでしょう」
【軽く頷く。その時から全身にまとっていた光がおもちゃの鉄砲の方にも伸びていく】

「見ただけではどんな能力かはわかりませんね…。
 無謀な突進は今はしませんよ」
【そう言うと鶫は光をまとった鉄砲を光流の方に向けて】
「様子見の一撃です」
【引き金を引いて弾を発射させる】

【発射された弾はまるで本物の鉄砲のような勢いで向かっていく】

500柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 19:51:20 ID:51FZPppw0
>>499
鶫の体を覆っていた光が鉄砲の方へ伸び―――引き金が引かれた。
弾丸は実物さながらの速度でもって光流へ迫る

「―――!!」

咄嗟に身を捻り回転して、翼を掠めさせながらも直撃は回避
続けざまの攻撃を危惧し、すぐに翼を開いて羽ばたいて、空へ
ばさばさと翼音を鳴らしながら、手のひらを鶫へ向ける。僅かに掠め取られた翼は少しバランスが悪く、狙いがつけにくい

「―――…『陸光弾』」

先ほど薄暗かった青年の周囲がぱっと明るくなり、手のひらから六つの光の球が射出される
それらはそれぞれ緩やかな曲線を描きながら少女の居る座標へ向かって行く
衝撃が与えられると熱を放って爆発する、弱い砲弾のような攻撃である。

501防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 19:57:31 ID:WVrfsEdY0
>>500
「むう、外れましたか…ん?」
【宇宙へ飛び上がったのを見て鶫は少し驚いた】
(…空へ飛んだのでは近接は無理…やはり鉄砲を使い続けますか)
【そう思い、鉄砲に更なる力を送り始める】

「…!」
【鶫は相手の攻撃を確認し、足に力を入れて後ろにステップを踏んで攻撃を避けに行った】
【速さにもよるが、遅ければどうにか直撃だけは避けられそうである】
「った…!」
【再び鉄砲をかまえて、弾を撃つ。爆発に酔って軸が若干ぶれており、確実な命中とはイカないだろう】

502柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 20:14:31 ID:51FZPppw0
>>501
光弾の速度はせいぜい野球ボールの投球程度、そこまで高速…というわけではない
回避からの攻撃は右翼の付け根付近を穿ちて抜けて行った。更にバランスが崩れ、高度が下がる

「じゃ、これはかわせるかな…?」

その途中で指を弾く。すると、鶫のいる地点の人2人分ほどの面積が円形に輝き―――次の拍にはそこから光の柱が立ち昇るだろう

熱はおおよそ服が焦げるほど。
しかし衝撃が強めであり、どちらかといえば時間を稼ぐための攻撃と言えるだろう

503防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 20:24:03 ID:WVrfsEdY0
>>502
「く、もう一発を…!」
【なかなか当たらないのを気にしながらも再び狙いを付けようとするが…】
【狙いを定めようとしている間に鶫のいる地点に光が現れ始める】
「ん?…なに!?」
【少ししてから気づくがその時は遅い】
カッ!
【鶫を中心として光の柱が立ち上っていく】
「うあああっ…!熱い…あああ!」
【光の柱に飲み込まれ強い衝撃に打たれて鶫は体を反らせながら悲鳴を挙げた。全身の制服も所々が焼けている】
【狙い通り身動きがとれなくなっている】

504柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 20:29:06 ID:51FZPppw0
>>503
「―――…よし」

光の柱による攻撃は成功
その隙に鶫から20mほど離れた地点に着地し、翼を畳んで片手に光を集め剣の形に纏め上げていく

「さて…銃だけじゃ、ないんだろ?」

それを手に、走って距離を詰め始める
翼が邪魔なためあまり早くはない

505防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 20:35:47 ID:WVrfsEdY0
>>504
「うぅ…くっ…」
【攻撃が止まり、その場に膝をついてぐったりとする鶫】
【しかし目の前から剣を構えて向かってくる光流の姿を見て、ゆっくりと立ち上がる】

「…そう…ですねっ…!」
【そう言って風呂敷から新たな武器を取り出した】
【取り出したのはプラスチック製の刀の形状をしたおもちゃである】

【鶫は再び全身の光から刀に向けて力を込め始める】
【そして大きく刀をふるって剣に備える。鶫の持っているものはまるで刀のような切れ味になっているであろう】

506柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 20:48:07 ID:51FZPppw0
>>505
「そんなのも使えんのか…器用だねぇ」

青年の持つ剣は、ただの熱の塊と差異がない
つまりこれで攻撃を防いだり鍔迫り合いに持ち込んだりはできないのだ
―――実体がある分、直接的な攻撃力をもつ鶫の刀の方が有利かもしれない

「行くぜ……オラぁ!!」

ある程度の間合いに入ったところで、青年は光の剣による突きを放つ
元のリーチは1mほどであるが―――突きの瞬間50cmほど伸びる、不意を突くための攻撃だ
威力は鉄板を1秒ほどで焼き切ってしまうほどだろう

507防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 20:54:08 ID:WVrfsEdY0
>>506
「ええ…まあね」
【そう言ってかまえて攻撃に備える】
「…どうくるっと!?」
【突然伸びる光の剣にまたも鶫は意表をつかれるが】
【どうにか刃先で受け止めようとする…しかし】

「あっつ…!剣じゃないんですか…これは!?」
【光の剣の攻撃が実体を帯びたものではないのだ。熱の塊となって力を持った刀に熱が降り注ぐのである】
「これは…避けないとだめですかね…!」
【受け止めきれないと判断した鶫は止めるのをやめて横に飛んで攻撃を受け流そうとする】
【そのまま刀を振るい、攻撃を仕掛けに行った。右から刀を振り下ろそうとしている】

508柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 21:21:48 ID:51FZPppw0
>>507
「お、バレたか…まぁ所詮光の塊なんだけどね」

攻撃は受け流され、鶫本人には横に回避される
次いで流動する刃―――それを目で追い、左腕を差し出した
それで刃を受け、肉と骨を削られる激痛に顔をしかめながら、ほとんど筋力を使わずに操作のみで剣を振るう

狙いは胴のあたりの切断であったが、たとい命中に辿り着いたとしてもギリギリのところで光が霧散して剣は消滅してしまうだろう
所謂、寸止めという奴だ

無論追撃がくればその限りではないが…

509防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 21:47:55 ID:WVrfsEdY0
>>508
「受け止められた…!?」
【少し驚くが、慌てずに剣を力押ししようとするが】
「く、危ないかっ…!」
【攻撃が迫るのを感じて剣から手を離し、わずかに横に避けた】
【当然ながら寸前で止まるなどとは思っておらず、結果的に武器を手放す結果になる】

「しかし…なかなか相手の能力が見えません…
 とりあえず、剣を取り戻したいところですが…」
【そう言って今度は鶫が装備していた手袋に力を込め始める】
【結果的に両手が光をまとうような形となっている。攻撃の準備だろうか】

510柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 21:51:29 ID:51FZPppw0
>>509
「ちょ、まだやんの!?」

後ずさりしながら手放された刀を強引に引き抜き、その場に落とす
深い傷口から血が迸り、歯を食い縛りながらも右手で傷口を抑える。
更にそこを光で焼き、激痛と引き換えの止血を試みる

押し殺した悲鳴を漏らしながら少女の動向を伺う
もう戦う気はないが、攻撃してきたならば一応の防御は行うつもりだ

511防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 21:55:11 ID:WVrfsEdY0
>>510
「ん…もう戦う気はありませんか?」
【後退りしたのを見て、きょとんとした顔で言う】
「うーん、ソレならしょうがないかも知れませんね。
 コチラもいい運動になりましたし」
【そう言うと戦闘態勢をといて軽く近づく】

「まあ、ここではそういうダメージも外に出てしまえば大丈夫なんですが…」
【そう言って少し身構える】
「一先ずお疲れ様です」

512柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 22:05:21 ID:51FZPppw0
>>511
「…やっぱ最後までさっくりやっとくべきだったかも…」

最後まで、とはつまり寸止めを使わずにということだろう
ふー…ふー…と荒い息をしながらその場に座り込む。
左腕がとてつもなく痛い

「いや知ってるけどね」
「さすがにほっといたら、貧血で死ぬかもしれないじゃん?
 そしたら話せないし。」

513防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 22:09:35 ID:WVrfsEdY0
>>512
「いやー、私も無理に戦わせるような主義は無いですからね。
 しかし…その戦う前に聞いたお話というのには興味ありますね」
【鶫の方も制服の所々が焦げて穴が開いている。しかしダメージは小さめのようだ】

「能力の情報収集を行なっているようですが…
 それはいかなる理由があってのことなんでしょうか?」

514柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 22:13:57 ID:51FZPppw0
>>513
「物体の分析と複製ができる能力者を探してるんだが…心当たりはないか?」

ふぅ…とため息をつくと、天使の輪っかと翼の輪郭が薄くなり―――何もなかったかのように消えてしまった

515防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 22:17:00 ID:WVrfsEdY0
>>514
「分析と複製…?
 私の身内ではそういうのは知りません…あら?」
【気がつくといつの間にか消えてしまっていた。少し残念そうな顔をして】

「しかし…偶然おんなじ転送ポイントから来ていた、なんてことはさすがにないですかね」
【そう言いながら出口へ向けて歩き出す】
「あいたたた…にしても、さっきのは効きました…」
【腕を押さえながら去っていった】

【公園前で鶫はあたりを見回していた…いるかどうかはともかく事情が気になっていたようである…】
//おつです

516柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 22:20:56 ID:51FZPppw0
>>515
/あ、ごめん。消えたのは天使の輪っかと翼だけなんだ。
/でもまぁいっか乙でした。

517防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 22:33:01 ID:WVrfsEdY0
>>516
//うわー、勝手に出ていっちゃった…
//やり直せない…ですかねえ。

518柊光流 ◆AVEND/4h42:2012/03/26(月) 22:33:59 ID:51FZPppw0
>>517
/いえ、そろそろ就寝なので…ごめんなさい

519防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/26(月) 22:38:45 ID:WVrfsEdY0
>>518
//わかりました
//また日を改めて絡みましょう。おやすみなさい。

520防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 14:39:09 ID:WVrfsEdY0
「…春休みに行くところがない…」
【軽くうなだれている少女がいる。】
【休みのシーズンにもかかわらず、制服を着ているようだ】

「仕方ない。ここは箱庭で暇を潰しましょう」
【そう思い立った鶫は公園に設置されている箱庭装置のある場所へ向かった】

「対戦相手が居てくれるといいんですがね」
【そう言って箱庭装置を操作し、空間に移動した】
【場所は南の島の砂浜に設定している。バカンス気分にでもなりたいんだろう】

521レア・アシェット ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 14:49:14 ID:Vv6mYIUM0
>>520
転移された箱庭空間では、機械音――金属音が響いてた。
先客が居たのだ。同じく学生に見える女性で、ジャージの上に白衣を開いて被っていた。

かなり大型のリュックサックが、その口を開いたまま起き捨てられており、その回りには金属部品が散乱していた。
そのうちのガントレッドのような装備し、女性は大型の矛を振り回して訓練をしていた。
頭にも特殊な機械を被っているが、付箋がいくつもはってあるうえに配線も飛び出したままで、いかにも『未完成』である。

「……ん」
誰か来た事に気づいたらしく、一度訓練していた腕をとめた。

522防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 14:56:20 ID:WVrfsEdY0
>>521
「さてと…いってみますか」
【そう言って鶫は学生の近くにまで歩いて行く】

「おっと、コレは運がいいです。
 どうやら先客が居たようですね」
【何処か嬉しそうにレアの姿を見る】

「ですが、どうやらまだ準備はできてないようですね。
 ちょっと待ちますか?」
【そう言って散乱している部品を見回す】

523レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 15:05:18 ID:Vv6mYIUM0
>>522
頭に被っていた機械を取り外し、顔を上げる。
「貴方が、模擬戦の相手?」

「少し待って、準備をする……」
地面落ちていた部品の整理を始めた。
先程まで訓練に使っていた棒の部品も少し変更するようである。

リュックサックの中からは小斧などを取り出し、白衣に引っ掛けている。
腕をめくり、肌に密着している機械の確認……などしばらく待つことになる。

数分後、一通り作業を終える。
「……待たせて、ごめんなさい」

524防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 15:10:41 ID:WVrfsEdY0
>>523
「はい、模擬戦の相手なら私は誰とも戦いますよ」
【そう言って抱えていた風呂敷包みを下ろした】

「わかりました。準備ができるまでちょっと待ってます」
【軽く頷いて、鶫も風呂敷の中身の確認をし始めた】
【彼女の持っているものはおもちゃにしか見えない代物ばかり。何かに使うものなのだろう】

「いえ、コチラも確認を終えましたから丁度いいです」
【そう言ってポケットのなかにいくつかのおもちゃを突っ込んだ】
「じゃあ、勝負しましょうか」
【そう言ってポケットのなかからおもちゃの鉄砲を取り出した】
【体から発せられた光がその鉄砲の方にすこしずつ収束して行っている】

525レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 15:21:30 ID:Vv6mYIUM0
>>524
「そう……わかった。戦うのは、私も同じ」
片付けたリュックサックは、端によせる。

「よろしくお願いします。……模擬とは言っても、お互いに全力で」
槍斧『ハルバード』は背中に背負っている。

「試合開始の間合いは、このまま?」
お互いの間合いはほんの数メートルといったところ。槍や斧を使う彼女には有利な間合いである。

526防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 15:29:56 ID:WVrfsEdY0
>>525
「コチラこそよろしくおねがいします」
【そう言って軽く頭を下げる】

「わかってます。ここなら全力で戦っても問題ありませんからね」
【そう言って力を溜め続ける】

「うーん、その得物の長さを見たらどうもコチラのほうが不利そうですね」
【そう言うと、ステップを踏んで銃を構える】
「このくらいのほうが丁度いい位置でしょうかね」
【その持っている槍斧の刃が届きにくい位置、更に離れたところから狙いを定めている】
「じゃあ失礼ながら…コチラから行かせてもらいます!」
【そう言って構えていた鉄砲の引き金を引いた】

【弾はまっすぐとレアの方へ向けて飛んで行く】

527レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 15:41:10 ID:Vv6mYIUM0
>>526
相手の挨拶には、小さく頷くだけに止めた。
戦いのために集中する。その体勢に入っているようだ。

相手が距離を開け銃を取り出した――障害物は何も無く、攻撃の射程も敵の方が今は有利……である。

敵の初弾が放たれた。
その一撃は機械のサポートと、肉体的強化。という、彼女にとっての『異能』と呼ぶべきもの力で反応し、斜め前に飛び込み回避する。
地面に足がつくと同時に、ハルバードを引き抜いた。
前に飛び込んだため、今はこちらからの攻撃も十分に届く距離となった。

528防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 15:51:25 ID:WVrfsEdY0
>>527
「さすがに、苦手ですね。こういう相手は」
【回避されたのを見て少し焦る顔になる】

「攻撃される前に…」
【ハルバードが抜かれたのを見て、
 鶫も地面を勢い良く蹴ってレアに近づいていく】

「近接すれば!」
【常人よりも素早い動きでレアの方に近づいていき】
【再び銃をレアに向けて撃ちこむ。先程よりも近い距離である】

529レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 16:02:04 ID:Vv6mYIUM0
>>528
「……っ」
思わず目を細くした。敵ながら素晴らしい判断だと。

「……でも、まだ」
ハルバードは一度手放す。
敵が向けた銃。その銃口から自分への斜線上に、自分の左手差し込んだ。

ガントレッドをしていたが、その硬さは銃の攻撃を防ぐ程の物ではない。打ち出された銃の攻撃はレアのガントレッドに穴を開け、さらに腕の深くに突き刺さった。
――しかし、体にダメージはない。腕も痛いがまだまだ致命傷には遠いだろう。被害は最小限にできただろうか。

反射的に発動する、彼女の能力、脳の命令機能にリミットがないこと。
既に『痛み』を感じないようにする。という命令は発令されており、腕は傷を負ったが取り乱すことも、痛みに怯む事もない。
冷静に足元を立て直し、接近した相手を蹴るために足を振り上げた。

530防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 16:16:41 ID:WVrfsEdY0
>>529
【撃ち込んだ銃のダメージが全くないと思った鶫は少し悔しそうな顔をする】
(思ったより強いようですね…)
【そう言って再び銃を向けようとするが】

「あいった…!」
【突然振りあげられた足の攻撃で鉄砲が弾かれ、宙に飛ばされてしまう】
【鶫もそれに押されて後方に下がった】
「でも…!」
【手を痛がりながら、鶫は今度は手袋に光を溜め始める】
「近くでも戦えますから…!」
【先ほどの光を今度は手の方に送り込んでいるようだ】
【次に向けて攻撃をしようとしている】

531レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 16:27:47 ID:Vv6mYIUM0
>>530
相手が後方に下がったのを見れば、一度傷ついた左手を動かしてみる。
血が吹き出して白衣の袖が赤く染まっていおり……腕の動くものの鈍くなっている。痛みは無くても機能は落ちる。
「……まだ、大丈夫」

素早く確認を取り終え、相手へとすぐに向き直った。
「これも!」
背中から右手で手斧を引き抜き、そのまま相手へと、一本投げつけた。

532防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 16:33:15 ID:WVrfsEdY0
>>531
「ちょっと痛々しいです…が、
 手加減不要と言いましたし。行きます!」
【そう言って光った手を振りながら再び向かおうとする】

【が、そこで飛んでくる手斧】
「危なっ!!」
【鶫は思わず光った手を前に向ける】
ガシィン
「…!つぅ!」
【なんと手斧の刃の部分をその光る手袋で受け止めてしまった】
【だが衝撃は痛いらしく、少し顔をしかめている】
【この攻撃で、レアに向かおうとしていた足が止まった状態となる。少しよろけてしまった様だ】

533レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 16:46:07 ID:Vv6mYIUM0
>>532
「……容赦無しは、お互い様」
相手は、こちらの攻撃に怯んだの様子。

足元に落ちているハルバードを、蹴りあげ右の片腕で掴む。
一応左手も乗っているが、ほとんど力は入っていないようだ。

「ディスペア……っ!!」
呼んだのは、手に持った槍斧の名前だ。
一歩踏み出し、肩から勢いに乗せて鶫へとその先端を突き出した。

534防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 16:53:32 ID:WVrfsEdY0
>>533
「そのようで…!」
【鶫は少し痛そうな顔をしながらも持った手斧を構え直そうとする】

「く、そうはいかないっ!」
【重さに任せて突き出された槍斧に振り下ろす】
ガキィン!
【少し槍斧の軸がぶれて】
ザクッ
「うっ…!」
【足の方に攻撃があたってしまう】
「これは…やばいかもです…」
【足を押さえながら苦しそうに言う】
「これも、使いこなせるかどうか…」
【持っていた手斧を軽く見ながら言う】

535レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 17:10:06 ID:Vv6mYIUM0
>>534
「このまま、一気に畳み込みたいところだけど……」
今は、自分の有利な間合いを作れている。流れも悪くはない。
「でも私は、まだ相手の能力を理解していない……
 ううん。今は、大丈夫……」
攻めつづけるべき、と判断したようだ。

足を支点に、ハルバードを持ち上げ……
「たあ!!」
体勢を整え直さず、乱れた体勢のままだが力任せにハルバードを横に振った。
横の攻撃は動くにしても、回避するにしても、どうしても足を使うことになるだろう。

536防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 17:16:37 ID:WVrfsEdY0
>>535
「ちょっと待って…とは行かなそう…ですねっ…!」
【鶫は勢い良くふられようとするハルバードを見て、後方に下がろうとする】

「く…!」
【だが、足の痛みに思わずのけぞってしまい】
ズバァッ!
「ぐぅっ…!」
【学生服を破り、鶫の腹を浅く横に切り裂いた】
「う…でも…まだこれくらい…なら…!」
【苦しそうな顔をしながらも持っていた手斧を大きく振って】
「本物の武器に試すのは…初めてですけど…」
【手斧に先ほどの鉄砲と同じ様に力を溜め込み始めた】
「やって…見せます…!」

537レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 17:31:03 ID:Vv6mYIUM0
>>536
ハルバードを一度下げ、間合いから大きく逃げられないように気をつけつつ、ギリギリの間合いに立っている。

「………………」
大きく息を吐き出した。ハルバードは片腕で持つしかないので、構えが取れない。
棒のように長く腕で持っているだけだ。
「……あの時の銃も、同じく様に力を込めていた」
「だとすれば、相手の異能はそこに?」

武器は低め、短めに持たれている。
じっと、相手を見つめ動きを見ているようだ。

538防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 17:39:46 ID:WVrfsEdY0
>>537
「待ってくれるのは…ありがたいですよ」
【見ると、その手斧は先程の鉄砲のように光り輝き始めていた】
「…とりあえずどう使えばいいのか…」
【そう言って大きく振りあげて】

「投げ返させて頂きます!」
【勢い良くレアに向けて投げつける】
【その手斧は…スピードこそレアが投げた時と一緒だがあたった時威力が先程よりもかなり高まっているだろう。】

539レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 17:53:10 ID:Vv6mYIUM0
>>538
「……………………」
一挙一動も見逃さないと、鋭い視線が表現している。
「相手は、『異能者』だから……」

手斧――投擲物の速度なら、目も体もついていける。と、向かって手斧へとハルバードを……
「……ッ!!」
手斧にぶつけた瞬間、ハルバードが強く弾かれて宙を飛び深く頬を斬った。
同時に、飛んで来る手斧も弾き損ねて、右の肩へと突き刺さる。

「……っ。なるほど……まだ分からない事も多いけど、そういう能力。わかった……」

540防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 17:57:07 ID:WVrfsEdY0
>>539
「どうやら…行けそうです…ね!」
【そう言うと鶫は片方の足、靴に光を集め始める】
「片方の足が使えなくても…」
【そう言って力を貯めた足のほうで立ちながら、けんけんで向かっていく】
「こういう使い方もできますよ!」
【そう言って、レアに向けて勢い良く拳を振るいに行く、とは言え狙いはあんまり的確ではない】

541レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 18:20:37 ID:Vv6mYIUM0
>>540
「私の判断ミス……同じく間違いは、しない」
傷を増やしながらも、表情に変化は無い。
回りから見れば重傷という状況でも、彼女はなんともないという顔をする。

「今ので、右腕も」
痛み無い。でも、体は動かなくなっていく。

「まだ……っ」
敵の格闘攻撃、だが狙いが緩い。足を使い体を捻り、攻撃を回避した。
「終わってない!!」
そのまま、一歩踏み込んで、ヘッドバッドを繰り出す。
腕が動かないなら頭突き。それだけのことだと。

542防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 18:23:23 ID:WVrfsEdY0
>>541
「ダメ…かっ!」
【軽くバランスを崩しながら避けられた返しに再び攻撃をしようとするが】
ガツン!

「あい…だぁ…うぅ…!」
【強烈なヘッドバットが鶫の額に直撃した】
「うぅ・・んのっ!」
【それでもまたパンチしようとするが…強烈な一撃で脳を揺さぶられた影響でまるで動きが鈍い】

543レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 18:38:25 ID:Vv6mYIUM0
>>542
敵の反撃は鈍くみえた。
そのまま、反撃を気にせずにもう一撃腹部への膝蹴りを繰り出した。
「もう……これで」

こちらも、息が上がっている。それでも体はまだ動いていた。

544防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 18:43:47 ID:WVrfsEdY0
>>543
【動きが揺らいでいた鶫はその膝の一撃に対応出来なかった】
「ごふっ…!ぐぁっ!」
【わずかにパンチが届かないまま強烈な膝蹴りが鶫の腹に突き刺さった】

「う…ぐぅ…!うっ!」
【背中を丸くして地面に這いつくばりながら腹を抑える】

「う…ま…だ…!」
【鶫はそれでも顔を上げて腕をふろうとする】
【何故か更に力が拳に集約され、その拳の輝きが高まっているように見える】
「折れ…て…な…!」

545レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 18:58:54 ID:Vv6mYIUM0
>>544
「その思いの強さは理解、する……理解するけど……負けてあげることは出来ない、から!!」
最初の約束を守るなら、なんであっても最後まで全力で戦うのが礼儀だと考える。

間髪は入れない。まだ、体は動くのだから。
深く息を吸い込み、もう一歩踏み出す。
「……はあ!!」
そして、相手の頭部を狙って足を振り上げた。

546防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 19:04:28 ID:WVrfsEdY0
>>545
「…が…ぁ!」
【振りあげられた足にあわせて拳を振り上げる】
ガキィン!
【振り上げた足を拳で受け止めに行った】
「まだ…ぁ!」
【既にかなりのダメージを食らっているはずなのに、先程よりむしろ力が高まるかのようなその拳】

「…く…」
【だが、振り上げる拳を下ろす力が足りない。威力だけが高まっているようである。】
【だがそのまま振り下ろされればかなりの威力になるかも知れない。それほどまでに腕の光は強くなっている】

547レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 19:19:12 ID:Vv6mYIUM0
>>546
「受け、止めた? この状況で……私が油断したの。違う、私は油断していない。でもあんな傷を負いながら……異能? それは、考えられない……」
目の前のボロボロに倒れた人物に、止めの一撃のつもりでこちらは攻撃したのだ。

立つ力も無い相手、血だって出ている。ちょっと突けば死にそうだ。……それに受け止められるなんて。
「異能の一種なのかもしれないけれど。そういよりは、人間の意地……これが? そうなのかも、しれない」

相手の光はさらに輝きを増している。
「…………………」
鈍いとはいえ、左手は動く。背中の手斧を一本引き抜くと、そのまま振り落とした。

548防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 19:23:57 ID:WVrfsEdY0
>>547
「ぐぁっ!」
【振り落とされた手斧は背中に突き刺さり、そのまま地に体を落とした】
「は…う…」
【地面に這いつくばって鶫は力を失う】

「…う…」
【さすがにこの状態ではもはや戦うことは出来無いだろう】

549レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 19:39:12 ID:Vv6mYIUM0
>>548
「はっ……」
最後の攻撃を終えると、そのまま地面に倒れこんだ。
「これは、ここまで。後の事は……一度体をなんとかしてからの方がいい」

そう言い終えると、俯せになって荒い息を何度も繰り返す。
白衣はもう真っ赤ななっている。相手もボロボロだ。

550防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 19:44:37 ID:WVrfsEdY0
>>549
「…そ…で…」
【もう既に声を出すこともままならないようだ】
【背から流れだす血を受けて体を激しく動かす】

「また…あ…と…」
【そこまで言った所で、鶫の体は動かなくなった】

【直後に鶫の体は光となって消えていった。どうやら外部に転送されたようである】
【外では元気な姿の鶫が確認されるかも知れない】

551レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 20:11:35 ID:Vv6mYIUM0
>>550
「異能都市」
なにとなく呟いた一言。なかなか続きは出てこなかった。
徐々に、意識が遠退いてきたのである。
「忘れていた、今は仮装現実の中」

光になって消えた鶫を追うように、光になっていく体。そして……


「……」
光、本物の太陽の光である。
「ヴァーチャルも現実も……凄い。何も変わらないんだ」
なにはともあれ、取り敢えず現実世界へと戻ってきたのであった。

552防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 20:15:41 ID:WVrfsEdY0
>>551
【見ると近くに先ほど戦った少女の元気な姿が見られる】
「ふう、どうやら返って来たみたいですね
 いい勝負をありがとうございます」
【そう言って軽く頭を下げた】

「なかなか強いですね…
 また勝負してみたいです」
【そう言って微笑んだ】

553レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 20:29:54 ID:Vv6mYIUM0
>>552
「ありがとう、ございました。こちらこそ」
頭を深く下げ返す。
「私なんかでも、何かの為になれたら幸いだと思っている」

「確かに今日は勝てたけど、次は分からない。
 貴方には色々な事を学ばさせられた、次は……次戦う時、私はもっと強くなっていたい。きっと、なってみせる」
短い時間だが、微笑み返す。
「何かは理解していないのだけれど、貴方には私に絶対に無い何かがあった。それを大切にして欲しい。おかしなはなしだけれど」

554防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 20:34:30 ID:WVrfsEdY0
>>553
「そうですか…私が学ばれる側になるというのは
 ちょっと信じられませんねー」
【何処か照れくさそうである】

「はい、その…
 根性ってものですね。それが人を強くするんです。たぶんね」
【ニコニコ笑いながら答えた】

555レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 20:44:23 ID:Vv6mYIUM0
>>554
「確かに、私は試合には勝った。けれど……」
言葉を一度切って、悩むような表情を見せた。しばらくして意を決したように言葉を続ける。
「勝った私が言うことでは、無いかもしれないけれど……私の方が、少し体が強かったから、戦いには勝った。でも、心では負けていた。そう、思っている」

「だから、学ぶ事は多かった。貴方は強いかった」

「『根性』。なるほど。分かるような、気がする」

556防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/28(水) 21:03:40 ID:WVrfsEdY0
>>555
「心ではですか…
 自分はあきらめないという思いだけで動いていたようなそんな気がしますね。」
【そう言って笑った】

「多分それが心の力というものなんでしょうね」
【腕を握って伸ばしながらつぶやく】
「そうです。どんな技術の差があっても最後にモノを言うのは多分根性なんですよ」
【そういって胸を張った】
「…さて、そろそろつかれたんで私は帰りますね。
 また会えるといいです。学園とかで」
【そう言って鶫は手を振りながら去っていった】

557レア ◆P1hbOj87Wc:2012/03/28(水) 21:07:27 ID:Vv6mYIUM0
>>556
「私は、出会えて良かった、と思っている」
手を振って去り行く後ろ姿へのその呟きは、きっと聞こえないだろう。

リュックサックを背負うと、レアも歩みだした。
その顔は、とても上機嫌であった。

558【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 20:51:20 ID:7gFzKdaU0
活気ある街頭、その中心部に有る、ビルの側面の巨大テレビ。
先ほどまでは変哲のないバラエティが流れていたが――――今は違うものが流れていた。
ビル街にほど近いテレビ局、そこで爆発音が響き渡り、それと同時にテレビ局に暴徒が流れこむ。
そして――――今流れているのが、その暴徒の長のその姿であった。

「――――はァい? さてさてさてさてっ、虫っぽい愚衆の皆、元気かなー!?
 というわけで、今ボク達は明るく楽しくテレビ局を占拠してまーっす!
 はいはい、プロデューサーさんプロデューサーさん! 高視聴率まちがいなしだよ?
 なんでそんなに悲しそうな顔をしてんのさ、ボーナス出ると思うよ?
 ほら、ほら、なあ、おい、笑えよ。死に際に笑えない奴は地獄に落ちるって誰かが言ってたぞ?」

そんな、壊れたスピーカーのように饒舌に言葉を垂れ流すのは一人の男。
トンボを思わせるマスクに顔面を覆った細身の3ピーススーツの男だ。
背景は、脳髄内臓骨歯肉血千切れた服など、様々な色彩に彩られていて。
目を細めながら、男は恐らく奥に居るプロデューサーの元に行くがために一旦画面から消えて。

「あれぇ、どしたのかな? 怖い、怖いのかい。そりゃぁ困ったなぁ、大変だねぇ。
 でさぁ――――、笑えよ。楽しいだろ? たくさん死んでるんだぜ?
 楽しいよなぁ? 冗談みたいだろ? 何十人も殺された中でよ、ほぼ10分の1くらいの確率で生かされてるんだよん?
 感謝してくれてもいいよね? しろよ、おい、しろって。な?
 うげ、漏らしちゃったんだ、もうテメェプロデューサーさんじゃなくて、プロデューサーたんだな、おもらしプロデューサーたんだ。
 視聴者の皆様に謝罪しなきゃな、汚いもの見せたもんね、そだよね、わかるよね、さあ、謝りに行こ、お兄さんが優しく連れてったげるからさ!」

くぐもった声と、男の異様にハイテンションな言葉が続いて。
ずるずると人を引きずる音と同時に、次は二人が画面に映り込む。
スーツを着た30代程の男性と、先ほどの男だ。

「――――はい、喋れるようにしたから、どうぞお好きに」

口元の猿轡を外すと、憔悴した血まみれの男は、口を開いた。
だが、声が出ない。恐怖のあまりに、喋り方を忘れてしまったかのように。
後ろで笑顔でその様子を伺っている男が、ぽんぽん、と男性の頭を撫でるようにして。

「はい、よくでき――――たわけないだろう?」

ぶちり。画面には、頭皮ごとちぎり取られた男性の毛髪が写っていた。
そして、その犯人はげたげたと下卑た笑いを響かせる。

「ひゃひゃはあっ! かつら、かつら取ったんだけど!
 なに、お前ズラ? ヅラなの!? みなさーん! この人ヅラ! ヅラだよっ!」

血を頭から吹き出しながら、男は画面の前でプロデューサーの頭皮と髪を引きちぎっていき。
もうちぎるものがなくなると、髪の毛と頭皮をそこら中に投げ捨てて。

「はい、お疲れ。殺さないから安心してね。
 さ、カメラ回すのに戻ってよ。機材古くて使えないからさー!
 頼りにしてるよ、プロデューサーさん! ぺろぺろ!」

ニコニコ笑顔で男は、恐らくカメラを回す男に手を降った。
すすり上げる声と、うめき声がバックミュージックとなって、街中に響きわたっている。

559【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 20:51:53 ID:7gFzKdaU0
そして、転じて真面目な表情になり、男は口を開いた。

「ってわけで、GTVの第三スタジオで僕らは皆さんの乱入をお待ちしてオリマーす!
 あ、そういえば自己紹介がまだだったね! 一部の人は知ってるかも知んないけど、ボクの名前はドラゴンフライ!
 ちょっとばかし愉快で楽しい仲間たちのリーダーをしています! やったことといえば孤児院の爆破事件とか!
 あと、最近だったら地下クラブでゾンビ沸かせたり、この都市に命がけでエンターテイメントを提供しているのですっ!
 でも、皆に命を賭けさせてボク達は安全っていうのは面白くないよねっ! だから、今日はなんと、公開生放送で殺し合いの大中継!
 さあさあ、正義っぽい人とかバトルフリークとか、色々居るんじゃないかな?
 ボク達、フリークス・サークルはどんな人でも大歓迎!加勢も敵対も募集してるよー!
 皆おいでねー! カモーン! 愛してるよぉ!」

ぱたぱた、と子供のように手を振って、そして思案顔で男は、CDをどこからか取り出した。
そして、それを奥の方へ放り投げると、途端に音楽が鳴り始める。
トランスを基調としたバス音であるが、よく聞いていれば分かる。
それらが全て、人の声で構成されていたということが。

 「助け――――」「嫌ァアアアァアアッ!」 「な、なななひ。」
「あ、ぴィッ!?」 「あがぁああっっぁあcsfcさ!!、」
「こ、こここ、こども゛ッ!」 「おかあさあああああああああああああああああああああああああああん!」
「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
「や や、 め めめえ ぴぎぁ!」 「あ……へ、ひ…………ひゃ、 あは、 はあはっ あはははッ!」


「あははははははっはははははははははははははっははははっっはははははは!
 LOVE! LOVE & PEACE なんかクソ食らえッ!
 悲鳴、悲鳴ッ! 笑い、狂気! ひぃぃぃいぃつ、たぁのしぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃっ!
 もっと、もっともっともっと、ちょうだいよ、ボク達はすっごい欲張り!欲しいんだ!興奮、そう、興奮したいの!
 ビンビンだよ、ボク、! ボクもうビンビン、え、何が? しらないって、そんな恥ずかしいなァ!あははははっははっ!」


――――狂宴は、続く。
テレビ局の3階の第3スタジオまでは、何の障害もなく辿りつけることだろう。
この狂気を、この恐怖を、この乱痴気騒ぎを、この人の形をした文字通りの化け物を。
誰かが止めなければ――――どうなるのだろうか、それはこの男にも、分からない。

560防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/30(金) 21:25:50 ID:WVrfsEdY0
【突然流れたその映像で、ここへ飛んでこない人が居ないはずもない】
「なるほど・・・あれが許さざる人間というわけですね」
【拳をぐっと握りながら凄まじい速さでスタジオの方へ向かっていく】
「あれは・・・絶対に許してはいけませんね!」

【バン!と大きくスタジオの扉が開く】
「…理由なんて聞くまでもありません。貴方は倒します。」
【乱入してきた少女の顔は怒りに満ち溢れている…】
【もう既に手袋や靴、それだけでなく全身の制服からも光が溢れている。戦闘態勢になっているようだ】

561名も無き異能都市住民:2012/03/30(金) 21:28:16 ID:SSMHlh/20
>>558-559


放送から5分と立たぬうちに地元警察のパトカーや
他の放送局のヘリ、野次馬が放送局周辺を埋め尽くす。

――バラバラバラバラ

そんな中、底部に『UUS』と書かれた青いペイントのヘリから
テレビ局屋上へと粗末な縄梯子が投げ落とされ、それを伝って一人の男が降り立つ。

「無理は承知だ!だが、これはまたとないチャンスなんだぞ!
 もしこれが無理なら、明日の朝には『空飛ぶピンク色のゾウ』の記事を載せることになるぞ!
 ああ、そうだ!1時間……いや、30分でいい。わかった!」

茶色のレザージャケットを纏った壮年の男は古風なトランシーバーにがなりたて、
最後に首から提げたカメラを確認、そのまま屋上の扉をけり開けて内部へと突入した!

562寒田 レイ:2012/03/30(金) 21:38:27 ID:wezxvRSg0
「とわーおぅ!!」
スタジオの扉を蹴破って現れた少女。
薄い水色の髪に青の瞳。
頭の側面では髪が大きな角を立て、後頭部は編みこまれた髪が長く尾を作る。

右手には槍。身体はエイムスーツ。
「ふざけるんじゃないぞ!」
紫色の気を帯びた槍を振りかざし、先ず一声。
両手で持ったそれを縦に振り下ろし、
「目にも聞け! 音にも……目にも、えぇーっと……もういい、音でも聞け!! とにかく聞け!!!」
そこからは兎に角乱雑にぶんぶんと振り回す。
最終的にもう一度縦に刃を振り下ろし、
「お前はこの寒田レイが討つからな!!」
地面に付きたてた槍を左手で持ち、右手で其方を指差した。

563【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 21:38:44 ID:7gFzKdaU0
>>560
「お、おいらが相手すりゃいいんだっぺね、ドラちゃん様!」

そんな声と同時に、一人の人影が、相手の目の前に現れた。
そこに居たのは、ペイントされたつなぎに、死体の写真がプリントされたガスマスクを被る女性。
田舎くさい喋り口調が特徴的なカメラマン、ショットことファビオラ・リオネイルだった。
左腕が義手に変わっては居るものの、女性は未だに生きていたのである。

「――――はい、チーズだっぺ!」

駆けつけ三杯的なノリでシャッター音が響き渡る。
同時に、相手の足元を起点に爆発が膨らみ上がり、相手を飲み込もうとするだろう。

>>561
「――――はぁい、ご機嫌よぉーう!」

ニコニコ笑顔で、トンボ仮面の男は相手を迎え入れた。
3ピースのスーツの皺を直しつつ、整髪剤で髪を整えて。
爪をヤスリで磨きつつ、準備が出来たのか、椅子に座り込んで。

「さてさて、キミは何の様かな? さっきの子は熱烈なラブコールをボクに呉れたんだけどね!
 キミは一体〝ボクタチ〟とどうやって遊んでくれるのかなあ? 教えてくれるかい?
 気になるよね――――みんなもっ!」

そう言って、奥の暗がりに声を掛けると、数人の影が現れた。
一人は、棺桶を引きずる白いウェディングドレスの少女。
一人は、黒いローブを身に纏う、背丈が2mをゆうに超える、文字通りの化物。
一人は、瓶底眼鏡に白いシャツに色あせたジーンズの落ち着きのない男。
それら、統一感のない人間――――否、みな揃って化物が、一斉に首肯を返した。


此処に居る、フリークス・サーカスのメンバーは、リーダーを含めて5人。
文字通り、手ぐすね引いて待っていたのであった。

564防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/30(金) 21:44:35 ID:WVrfsEdY0
>>563
「貴方もそういう一味の人なんですね…
 まあ関係ありませんが」
【その口調は驚くほどに冷たい。じっと相手を見て駆け出そうとしている】

「むっ…これは!」
【突然響いたシャッター音と共に現れる爆発】
【その爆発に巻き込まれたように見えた】

「…こんなもんでやられるものですか!!」
【しかしその爆風の中から鶫が走りだしてくる。爆心地はどうにか免れたようである】
「この…お!!」
【そのままの勢いで光り輝く拳をその女性に向けて振り下ろす。】

565【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 21:45:40 ID:7gFzKdaU0
>>562
入ってきた相手に、男は盛大な拍手を返してあげる。
そして、何処からか取り出したハンドベルをがらんがらんと鳴らして声を張り上げた。

「ほいほい、お客さん一名ご案内ー!
 だけど一名足りとも一命はとりとめないからご注意を!
 という訳でアリスちゃん、もうちょっとヴァージンロード作るのに赤色足りないから調達してくれるかな?
 うん、ありがとっ!」

男は一気にまくし立てると、暗がりに居たウェディングドレスの少女が走りだす。
全身に鎖を巻きつけ、背中に棺桶を背負いヴェールで顔を隠した少女。
その肌は、〝まるで死人のように青白い〟。

「――――おしたい、しております。わたしの――――マスター。
 マスター・オブ・パペッツ、いますぐわたしに、あいに、きて、くださいま、せ。
 す、き。かえって、き、て。しにん、どうしで、らぶ、らぶ。ちゅー、ちゅー。
 いきてる、ひと。フリークス、いがい、いらないか、ら――――、しんで、やり、のののの、人」

ばん、と背中の棺桶が開き、瘴気が当たりに溢れ出す。
直後だ――――、何かが飛び出して、相手に跳びかかろうとする。
それは、蜘蛛。人間の四肢を繋ぎ合わせて作られた、異形の蜘蛛である。
跳びかかり、裂かれることで可動範囲を広めた顎で、相手の首筋に食らいつこうとするだろう。

566名も無き異能都市住民:2012/03/30(金) 21:53:26 ID:SSMHlh/20
>>563

――パシャッ、パシャッ、パシャッ

返事の変わりに、返ってきたのはシャッター音とフラッシュ。
男は、『敵』であるにちがいないフリークサーカスのメンバーを前にして臆することなく、
夢中で写真を撮っている。

「なんてこった、こりゃあひでえ……!」

しかし転がる死体を前にして、その表情にはありありと嫌悪の表情が浮かび。

「ヘイッ、そこのフレッド・ブラッシー気取り野郎!
 こちとら目的は突撃インタビューだこの野郎ッ!!
 何が目的だ、こんなんしてよォ!」

瞬く間にフィルムを一本使い果たした男は、仮面の男を指差して怒鳴った。

567寒田 レイ:2012/03/30(金) 22:10:45 ID:wezxvRSg0
>>565
現れた、珍しい言葉遣いの少女に首を傾げる。
「よくわからないが、お前が敵だな!!」
槍を引き抜き天に掲げ。
紫色の妖気を振り翳そうと、意気込んで槍を回そうとした途端、迫る蜘蛛。
異形。サイズ、形相。共に異形。

「オーマイッ!!」
余りの迫力に押し出され、逃げ出そうとして滑りこける。
床に胸から打ち付けいて、結果として回避に成功した。

「ど、どーしてくれる!
 胸が潰れてこれ以上成長しなくなったら私泣くぞ! 気にしてるんだぞ!」
開いた口から飛び出るのは異形へのリアクションでは無く少女への愚痴。

568【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 22:17:16 ID:7gFzKdaU0
>>564
「――――ふっふっふ、伊達に退治されてたわけじゃないっスだべ!
 あっしァ、これでも諦めと往生際の悪さと行儀の悪さには自信があるっペ!
 新技――――みせてやるべさ!」

そう言って、相手が拳を振り上げた瞬間に、相手にカメラを構えてシャッターを切る。
途端だ。相手の拳から光が失われて、ぽす、と豊満な胸に拳がめり込んだ。
そして――――直後だ。ガスマスクの金属部分を叩きつけるように頭突きを放とうとするだろう。

「きぃぃぇあっ! 変態だっぺー! へんたい、へんたい、へんたいっ!
 いいアルよ! そっちがその気ならあっしも精々素晴らしいアートをしてやるっぺさ!
 美の女神は裸だべよ! さ、肉体美をさらすべさ、ぐへへへー!」

スケベオヤジのようなことをのたまいながら、だが殺し合いとアートに紳士に女は動く。
そして、殺す気まんまんの爆風を、相手がもし距離を離せば放つ。
爆風の範囲は狭いが次は速度と威力を絞ったもの。足元を狙ったそれは機動力を落としてなぶり殺しにするためのもの。

>>566
「ひゅー、ウチのショットちゃんと仲良く出来そ〜だねぇ!
 あ、ショットちゃんは、あっちでカメラ構えて爆殺しまくってる子ね!
 田舎っぽくて純朴ないい子でね、死の瞬間を切り取るのが趣味の素敵な子なんだ。
 たしか今フリーだったから、今度紹介しようかい? 写真家同士仲良くできそうだしねぇ」

と、シャッター音とフラッシュが返って来るのに、知ったこっちゃないとばかりに喋る、喋る。
今のところは敵意を見せることはなく、そして殺意も欠片も男は見せない。
と言うより、一部始終において、男はただ笑っていて、ただ楽しんでいただけだ。
相手の怒鳴り声に、目を見開いてびくぅ、と身を竦ませた。だが、その動作はわざとらしく何処かおちょくっているようにすら見える物。
そして、んー、と首を傾げて、にこり、と微笑みかけた。

「だって赤色って綺麗じゃん? 断末魔ってステキやん?
 もっと見たいじゃん? 綺麗なものは壊れる瞬間こそが最もきれいだからさぁ。
 たくさんたくさん壊すと、たくさんたくさん面白い物が見れるわけ。
 だから、ボクはここもどこもかしこもブラッドバスにしちゃいたい訳、どぅーゆぅーあんだーすたん?
 ま、言ってしまえば趣味だね。ボク達フリークス・サークルは、文字通り化け物たちのサークル活動なのさ。
 同好の士が集まるからついついテンション上がっちゃってね、今日はノリでやっちゃったわけさ!」

うわ、汚っ、と呟いて足元の腸を蹴り飛ばして踏みにじる。
先ほどまでの言葉とはまったく整合性がとれていないようだが、それは当然。
この男が楽しんでいるのは、壊している過程とその瞬間。だから、壊れたものはもうどうでもいい。
壊してしまえば、他のものを壊したり殺したくなって、殺して壊せばまた他に目移りしていく。
子供の移り気を、殺人や狂気で表現すれば、この様なことになるのだろうか。

>>567
「だって。ぶき、もって。る。あな、た。
 てき、こわい。し。いき、てるし。
 だか。ら。しんで」

蜘蛛は、どすん、と地面に着地して、歯はがちん、と空を切った。
だが、蜘蛛は相手の跳びかかると、八本の〝腕〟で相手を抱きしめて拘束しようとするだろう。
胴体の中心部には女性の顔が在り、そこから糸を吐き出して相手を引き寄せようともする。
ただのアンデットではない。その様な存在として創り上げられた、いうなればデザイナーズ・アンデットであった。

「――、わた、しの。むね。おおき、い。
 ます、たーが。ふやし、たか。ら。わたし。Dカップ、あ、る。
 う、らやま。し。いか、ふ。ふふ、ふ。ん」

割と豊満なスタイルで、胸を張って誇る少女。
そして、ヴェールの奥から視線を強く感じることだろう。

「その。め。  すごく。 きれいね。
 まるで、 あおぞら を。うつ、す。みな、もみたい。
 ひと、つで。いいか、ら。ちょう、だい?」

569防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/30(金) 22:21:57 ID:WVrfsEdY0
>>568
「…!?力がなくなる?」
【拳が失速したのを感じた鶫は、眼前のガスマスクを見て】

「なめる…なぁ!!」
【負けじとニット帽を被った頭で頭突きを衝突させに行く】
【よく見ればそのニット帽も金色の光に包まれており】
ガツンっ!
【ガスマスクとタメをはれるほどに強度が高まっていた。鶫の頭部は問題なく保護される】

「ならば、まだこっちを!!」
【頭突きで押したまま左の輝く拳を振りあげ、近距離から脇腹に向けてパンチを打ち込もうとしている】

570名も無き異能都市住民:2012/03/30(金) 22:28:05 ID:SSMHlh/20
>>568

「……ああ、もういい反吐が出るぜ!」

男の人間性の欠落した聞くに堪えない言葉。
嫌悪感と同時に、言いようのない怒りがこみ上げてくる。

――ひゅん

「明日の一面は決まったぜ!
 ここから生きて帰って、クソどもの悪行全部書き記してやるッ!」

どこから取り出したのか、手製の火炎瓶を力任せに投擲する。

571寒田 レイ:2012/03/30(金) 22:41:28 ID:wezxvRSg0
>>568
「OKOK。そりゃあ無理、OK?
 死ぬのも無理だし目も上げらんない。
 その上胸増やすって一体どーいう事だよこの野郎! 野郎じゃないけど!」
即座に蜘蛛に向き直り、後方に飛んで腕を避ける。
あぶねぇ!! と叫ぶ所から、糸の回避はギリギリだった様子。

「あーあぁ! 羨ましいよくっそぉ!」
少女に槍を向けながら、叫ぶ。
更に声を張り上げながら槍を大きく振り回すと―――

「――だけど、ほーらどうだ! 私も増えるんだよぉ!!」
※ただし増えたのは本人。二人になってる。
二人になってもDには遠く及ばないくらいだが、そこは触れてはいけないライン。

572【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 22:49:42 ID:7gFzKdaU0
>>569
「――――へっへん。どうっスか! その顔いただきィ!」

相手の驚いた顔をカメラで撮影。さぞかし臨場感有る絵が取れたことだろう。
だが、相手への頭突きは、相手に対応されてしまい、がぁん、と強い音を響かせた。
うぅ、とうめき声を漏らしたが、目の前に迫るパンチを見て、慌てる。

「三番、瞬間現像だばさ!」

ぴっ、とフィルムを相手と自分の間に投げ放つ。
瞬間フィルムが光りに包まれて、拳と脇腹の間に鉄板が生まれ出た。
そして、彼女は相手の顔に至近でカメラを構えて。

「フラッシュで目を潰してやるべさ!」

爆風に己も巻き込んでしまうために、爆風は使用不可能。
その為、フラッシュで相手の目を潰して、距離を取ろうとした。
フラッシュは尋常ではない光量を持つ為、至近で焚かれればしばらくはまともな視界を得られない程だ。

>>570
「あ、安君。任せたから」

目の前に迫り来る火炎瓶を眺めつつ、男は気楽にそう言い放つ。
直後だ。

「ひゃっは―――― ッ!! 汚物は消毒だぁー!」

そんな声と同時に、光の剣が飛び、相手の火炎瓶を命中の寸前で貫いた。
そして――――、凄まじいイケメンボイスで、先程のオタクっぽい男が歩いていくる。
ゆっくりと、ゆっくりと。まるでオレ様が主人公だと言わんばかりのドヤ顔で。

「我が主君に敵対するとは、なんたる不忠か! 我こそが、ドラゴンフライ様の第一の臣下!
 やあやあ、遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!
 我こそが、サグラダ・ザンヴィスピティア・ル・ウリエラ・バジー・ラ・ド・マックス・サンダー・フレイム666世だ!
 さらにボクは天使と悪魔の混血であり、人界を掬う最後の救世主であり…………ッ!
 あそこに居られるドラゴンフライ様は、我が絶望を救い、我が言こそが真実と認めてくださった真に慧眼がおありに成る方!
 魔界65535勇士が一の位階! さらには天界の666の騎士たちが総大将でありながらも、人界に於いては魔王すらを打ち倒し!
 最高の勇者と讃えられるもその功績は誰にも讃えられること無く、ただ一部の者のみが知っていることになっていて!
 王国の王女に思いを寄せられているものの、我は故郷にかつて結婚を約束した幼馴染を残していたが、村に戻れば村は焼かれて幼馴染はさらわれていた!
 くそ――――第四の世界より来たりし悪しき竜よ! 俺は必ずリディアを取り戻してみせるぞ! 覚悟しろ――――悪竜が手先サンブラスト√3世!
 俺は必ず貴様を倒して、平和な世界を取り戻す、俺の幼馴染を取り戻す! 覚悟ぉおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉおッ!」

以上である。
いつの間にか、ツンツンに逆立てられた金髪で、なんかいい匂いがして、素晴らしく豪奢な鎧と武器を装備して。
頭には王冠と角。背中からは天使の翼と悪魔の翼を生やして膨大な魔力を吹き出すイケメン主人公がそこに居た。

「げははははっははははっははあ! やっぱり面白いな!
 さぁ! サグラダ・ザンヴィスピティア・ル・ウリエラ・バジー・ラ・ド・マックス・サンダー・フレイム666世こと安君! 僕の敵をうちたおしたまえー!あはははは!」

けたたましく笑い声を響かせて、男は当たりのセットをばんばんと叩きながら悶え苦しんでいる。
相手よりも、此方側に被害が大きそうですらあったが、確かに目の前の超絶イケメンは強敵っぽかった。

>>571
「しん、で。 しんだら。 ふ、えるよ? むね。
 ほか、の。つけて、あげ、る。 め 。くれれば しなな、 くても。
 いい、よ? さー。びす」

蜘蛛は、一回一回の動作の隙は大きい物の、動いてしまえば動作は速い。
瞬発力に優れた攻撃型の重量型。但し、速度の維持と隙の多さだけはネックと成るもの。

「ふえ、たな。ら。 よ、っつ。 あるし。
 やっ、ぱり。 いっ。こ。 もらお、う。
 と、って。 おね、がい」

そう、呟くと、蜘蛛は骨格をごきり、と変えていく。
ぼこりぼこり、と膨らみ上がるようにして、蜘蛛は途端に相手の方に顔を向けた。
直後のことだ。〝喉から手が出た〟。文字通りである。
恐らく十数本の腕をつなげて作ったであろう腕が、口から飛び出して、相手の喉をつかもうとしたのだ。
砲弾の如き勢いで吐き出された腕はぬらぬらと粘液を纏っており、掴んで引き剥がすのはなかなか難しそうだ。避ける以外の対処は難しいだろう。

573防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/30(金) 23:06:17 ID:WVrfsEdY0
>>572
【拳の一撃は鉄板を凹ませる程の威力はあったもののガスマスクの女性にダメージを与えるには至らず】
「本当に…万能過ぎますね…!」
【風呂敷の中からなにかとり出そうとするが】

「くっ…しまった…!」
【突然視界に入った激しい光を顔面にモロに食らってしまった】

「うぅ…これしきで…」
【激しい光のせいで鶫は目を開けるのさえもままならない状態になっている】
「この、どこに…このっ!」
【見えないまま鶫はあちこちに光る足で蹴りを入れていく】
【でたらめすぎるのでいろんな場所へ攻撃するが、とうのガスマスクの女性は木をつければ避けるのはたやすいだろう】

574寒田 レイ:2012/03/30(金) 23:24:13 ID:wezxvRSg0
>>572
「フルパワーでハイスピード……私も欲しいぞ、アレ」
蜘蛛の動きを凝視しながらシンクロして重なる声。
機械の国の出身である少女は蜘蛛に機械的興味を見出していた。

腕は少女の喉元を正確に捕らえていた。
ズドン。『何にも触れなかった』それの音は正に砲。
「あ、あぶねぇよ……!!」
レイは一人に戻っていた。
偶然にも、異形の蜘蛛が捕らえたレイは幻。
『幻海鷂魚』と言う名の得意技であった。

「だが、今のうちに……!」
一瞬のうちに我に返り、異形を見やる。
槍を掲げると刃の纏った紫色のオーラが怪しく揺らめく。
「そこだッ!」
掲げた状態からその刃の先で異形の足を示す。
するとどうだろうか。
異形の足の全てに二本ずつ。半透明の腕が取りついて床に固着しようとする。
詳しく書くと半透明なんて生半可な物では無い。ほんの微かに、薄らとだけ移るそれ。
地縛霊。怨霊が少女に味方しているのだ。

575【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 23:29:28 ID:7gFzKdaU0
>>573
「ひゃひゃひゃーっス! あっしに喧嘩を売るからこうなるですさ!
 攻守逆転でござーい!」

相手の攻撃の威力に肝を冷やしつつも、相手の感情を逆なでするようなことを言い放つ。
間違いなく殺人犯なのだが、どことなく子供の喧嘩っぽさを思わせる。
だが――――後ろに退こうとした瞬間の蹴りにクリーンヒットすることは無かったのだが――――。

「――――ひ、ィっ。こわい、こわい、こうぃぇ!?」

蹴り足がカメラのレンズを打ち砕いた。
そして、カメラ無しでは、もはや現像だけでしか戦うことができない。
要するに――――こちらもまたピンチであった。

>>574
蜘蛛が口から吐き出した腕は、近くの機材を粉々に粉砕していた。
人間の肉体を作って創り上げられた醜悪な芸術作品、その一つがこの蜘蛛なのだ。
だが――――、操る少女自体は戦闘のプロでも何でもないただのネクロマンサー。

いくら強力でも技能には、雲泥の差が有ったことだろう。
そして、蜘蛛を捉えた地縛霊を見て、少女はこてん、と首を傾げる。

「お、とも。 だち ?」

そう言って、少女は背中の棺桶を揺らす。
そうすると、ぞるぞるぞる、と〝腕〟が飛び出してきた。
これは、先程蜘蛛の口から射出されたもの単体によく似ていた。
それが二匹飛び出して絡みつくように動き、相手の体を締め上げようとするだろう。

その姿は、腕を繋ぎ合わせて作られたムカデかミミズのようである。

576防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/30(金) 23:33:23 ID:WVrfsEdY0
>>575
「なにを…なめるな!」
【未だ目を開けない状態であたりに攻撃を仕掛けていく】
【そのさなか、デタラメに攻撃していた足が確かにカメラのレンズを捉えて粉砕した】

「何か…当たった?
 どうやら…」
【確かに感覚を感じた、感触は違うものの恐らくそこにいる!】
「捉えましたか…ね!」
【そう思った鶫は、砕いたカメラレンズのあったであろう方向に、大きく拳を振って裏拳を撃ちこむ】

577寒田 レイ:2012/03/30(金) 23:42:33 ID:wezxvRSg0
>>575
「そうだとも。
 私は『霊』を操る術に長けて居てなぁ……ぁぅおぅっ!?」
ただの洒落から生まれた子なんです。許してください。
悲しいかな少女。自らの武を知らしめるために少女に向き直り声を張る。
槍を掲げたポーズで名乗りを上げようとした瞬間に腕に組み伏せられてしまった。

578【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/30(金) 23:45:29 ID:7gFzKdaU0
>>576
ごすぅ、と裏拳がうろたえるショットの腹部に命中。
肉を叩く生々しい感覚が相手に伝わることだろう。

「ひ、ぎぇー!?」

ショットはと言えば、ごろごろと転がりながら気の抜ける叫び声を響かせた。
そして、いつの間にか気絶してしまっていたようだ。

「あっちゃー、ショットちゃんやられちゃったかぁ。
 あんまし強くないからねぇ、いい子なんだけど、あの子。
 ねー、ドゥーミィ。そろそろ飽きてきちゃったけど、どうしようか?」

倒れるショットを抱き起こしつつ、いつの間にか傍らに居た化物に問いかける。
すると、化物はうぞり、蠢きを返した。

「うん、うん。やっぱりね、そうするべきか――。
 アリスちゃーん、門ってどれぐらいで開ける?」

そんな声を、戦闘中のウェディングドレスの少女にかけた。
男は呑気にどこかから取り出したポテチをばりばり齧っていた。

>>577
「――――め。欲しかったけど。 おうち、かえる。
 こん。ど。 ゆ。び。あげる、から。 ちょうだ、い」

そう、近づいて呟くと、後ろを振り向いて、フリークスの群れの元に歩いて行く。
直後、群れの中心に黒い魔方陣が浮かび上がる。

逃走までに掛かる時間は凡そ次のレスまで。
何らかの追撃を駆けてもいいだろう。少なくとも、魔方陣の上から離れれば逸れることとなるのだから。

579防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/30(金) 23:50:08 ID:WVrfsEdY0
>>578
「うう、なんですか…
 若干気持ち悪い音がします…」
【手のひらに起こる感触に不快そうな顔をする…しかし】
「ですが、確かに捉えたようです…
 とどめは…ん?」
【目がまだぼやけている状態だが、何かがかたわらにいるように見えている】
【そしてそのナニかは逃がそうとしているということも】

「まだ、にがすわけには…くっ…」
【未だよく見えない視界で必死に追いかけようとする】
【しかしあたりが見えないために足取りは重い。攻撃の体制はあるものの今の状態ではまともに相手にも出来ないだろう】

580寒田 レイ:2012/03/30(金) 23:54:06 ID:wezxvRSg0
>>578
「くっそ、・……いら、ない……!!
 指とか、いらねぇ……!!」
少女に加勢した霊によって身体の自由を得る事に成功する。
打ち付けられた痛みに耐えながらもヴェールの先を確りと強く、つよく睨み。

「……逃が、さん!!」
槍で示した先は少女の足元。
レイの周囲に舞っていた怨霊の集団が一斉に襲い掛かる!

581【GM】ばけものたちのたのしいおあそび:2012/03/31(土) 00:00:15 ID:7gFzKdaU0
>>579
「べーっ!へへん、ですだよ!
 つぎはあっしが勝つんだべさー!覚悟しとけだべっ!」

安全地帯でむかつくことに叫び声を上げている女性。
そして、相手が前に進むと同時、間に入るように異形が割り込んだ。

>>580
その瞬間だ、無数の怨霊が襲いかかろうとした悪霊も又、異形に受け止められた。
肉を引き千切られ、むしられ、喰らい付かれ、憑かれたというのに、不動。
血をしとどに吹き出しながらも、しかし異形は只々立つ。そして、より強力に変化する。

「――――というわけで、もう帰るねん!
 んじゃ――――ばはは〜い」

そう言って、転送する瞬間である。
隙間を抜けた怨霊が、ショットの腹部を貫いて、ショットは魔方陣の上に倒れこむ。
そして――――その直後に転送。魔方陣から飛び出した腕だけが、落ちて残っていたのだった。

582防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 00:04:08 ID:WVrfsEdY0
>>581
「うぅ、邪魔をするな!」
【眼の前に割り込んだ異形に向けて再び拳を振るいに行く】

「この声…くぅ・・・もういってしまったのか…
 でも、だとしても!!」
【あきらめずに手を伸ばそうとする。もっともその時には異形の突破はできていないだろう】

【転がり落ちた腕は…まだ目がよく見えないために気づいていないようだ】

583防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/03/31(土) 00:18:25 ID:WVrfsEdY0
「…とっ…やはりいなくなりましたか」
【心底悔しそうな顔で呟いた】

「……次こそは必ず倒して見せます…
 あのような輩は存在することが許されない…」
【心底冷たい声でそうつぶやいた】
「って…なかなか目が慣れてきません…
 誰か回収して下さい…本当に…」
【疲れた表情でそうつぶやいた】

584寒田 レイ:2012/03/31(土) 00:39:45 ID:wezxvRSg0
>>581
「バーイ☆
 ……っじゃねぇよこのヤロー!!」
消えた魔法陣。
残された少女。
怒りの声を上げ両手を突き上げ怒りの余りに身体を投げ出した。

「わっかんねぇよ……全部、全部……」
そう言うと、目を閉じる。
幻海鷂魚を突き破った剛腕。
それによる恐怖、プレッシャーに押しつぶされていた。
戦場の感覚、それに未だ慣れていない、経験に乏しい少女の精神はギリギリだった。
肉体的痛みと精神的疲労。どちらもを休める為に、ゆっくりと目を閉じた……。

585防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 14:49:45 ID:WVrfsEdY0
【箱庭内…いつもどおりにそこで特訓する少女の姿があった】
「おりゃっ!とうりゃっ!」
【力を貯めた様々なおもちゃを使用して弾を撃つ。刀を振るなどして居る】
【いつも以上の気迫を感じられるかも知れない】

(あのような敵はもう逃すわけには行きません…こんどこそは…!
 絶対に!)
【心の中でそう考えながら】
「でやぁ!」
【気合の入った声で武器を振るっていた】

586名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 15:16:45 ID:wezxvRSg0
>>585
「先客、か」
少女の元に他の人物の来訪を知らせるメッセージが届くだろう。
純白の肌に、陽の光を受けて薄らに白金色を見せる髪。
それらに合わせたのか純白一色の服と、身体の中で唯一と言える真紅を持った相貌。
その真紅で少女を見つけると、呟くようにそう言った。

587防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 15:21:53 ID:WVrfsEdY0
>>586
「おや…?
 どうやらお客がやってきたようですね」
【一旦攻撃の手を止めてその純白の人物の顔を見る】
【大してコチラの少女は制服とニット帽、マフラー装備とその抜群のスタイル以外は普通の学生の格好である】

「私の名前は【防人 鶫(さきもり つぐみ)】と申します。
 丁度ここで特訓のようなものを行なっていたんですが」
【そう言ってじっとその人物へ向き直って】
「貴方も、特訓しにきたんですか?」
【少し嬉しそうに答える】

588名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 15:33:27 ID:wezxvRSg0
>>587
「始めまして」
微笑みを携えたまま、それを崩すことは無く頭を下げる。
少女の姿を眺め、学生である事と、大方同い年であると認識づけて。

「そんなところだよ。
 僕は今現在、暇だったからね」
笑顔の盛り上がりのタイミングに僅かに驚きの感情を覚える。
それの脳内で処理しきった為、表に出る事は無かった『驚き』という事実を深く記憶しておく。
「キミは何時も此処で特訓を?」
そして、構築した過程をより真実にする為に、そう尋ねる。

589防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 15:39:01 ID:WVrfsEdY0
>>588
「そうですね…
 初めましてとなりますね」
【そう言って軽くうなづいた】

「ええ、私も暇な時はよくここに来るんですが…
 最近色々ありますから、もっと力を入れたいと思っているんです」
【そう言って風呂敷包の中からおもちゃのパチンコを取り出す】

「…良ければ勝負しませんか?
 命がけの勝負をしてみるほうが特訓になると思いますしね」
【そういう鶫の体に力がみなぎっているのが視えるかも知れない】

590名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 15:45:10 ID:wezxvRSg0
>>589
「色々……ねぇ。
 ……構わないよ。元より、僕も特訓の為に来たんだ」
力が視える。
オーラとも形容できるそれは今までに得た事の無い現象だった。
恐らく、少女の力の副次効果なのだろう。
だが、少なくともこれで相手が『能力持ち』であることが解った。
ならば、少なくとも勝機はある。驕るつもりは無いが勝負となれば負けるつもりもない。

『驚き』を確信に近づけるには、これが尤もだと考えて。

591防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 15:48:12 ID:WVrfsEdY0
>>590
「わかりました。では…勝負をしましょう」
【そう言うと鶫は】

「はぁっ…!」
【手に持っていたパチンコに腕から光を流し込み始めた】

「ちょっとした準備ですよ!」
【鶫の力はそのパチンコの方へと流れているようである。】
【準備万端といったところだろう】

592名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 15:58:47 ID:wezxvRSg0
>>591
「了解だよ」
背を向けることなく、後退していく。
お互いの距離が10mを超えた辺りで立ち止まり、

「僕も、準備はできた。
 キミの好きなタイミングから始めてくれ」
そう言うと、特に構えも持たず立ち尽くす。
見たところ武器を持ってはいないがそれに成り得る『何か』として、真紅の左手が挙げられるだろう。
純白の衣装の中の唯一の真紅。左手だけに填められた手袋は余りにも『異色』。

593防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 16:07:25 ID:WVrfsEdY0
>>592
「そうですか…いいですよ。
 まずは私から!」
【そう言うとパチンコに玉を装填し、ゴム部分を勢い良く引っ張って行き】

「貴方の力はまだわかりかねますが…
 先手必勝です!」
バシュウン!!
【手を話すと同時に、まるで拳銃の弾の如きスピードでその人物の元へと飛んで行く】

594名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 16:20:22 ID:wezxvRSg0
>>593
「始まった、かな」
鶫が放たんとするパチンコ玉。
普通なら10m程も離れて居れば大した威力になりはしないだろう。
しかし、先程のオーラと、それでも放とうとする姿勢。
何かあるのは最早明白。故に避けるために横へ駆け出した。

視線の端の方で通り過ぎた弾丸の速度を誇った鉛玉。
ここまで行けば最早威力は拳銃並……当たれば一撃、か。
「恐ろしいね……」
それ故に。
一歩踏み込んだ。
圧倒的速さ。人間の形である事を疑うような速度。
更に、その速度が乗った勢いで次の足を踏む。そして次の足。
加速力・最高速度、ともに申し分ない速度で駆け抜け少女へ接近。
少女の4m程手前で右足を大きく踏んで跳び上がる。
投げ出した身体の、左脚は真上を向いていて。
「潰してしまうか」
圧倒的速度から放たれた身体、それの勢いが乗った動き。
そこから放たれる左脚の振り下ろしは、刀にも近い威力を誇る。

595防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 16:26:10 ID:WVrfsEdY0
>>594
「さすがにコレは無理でしたね」
【少し余裕を持ちながら交わしたのを見る】

「く、近接攻撃はちょっときついですが…」
【上空に飛んで行く姿を見て、鶫は次の武器を取り出す】

「コレはストップ…です!」
【取り出したのはプラスチック製のおもちゃの刀】
【しかしその刀には力がある程度溜まっており】
ガキィン!
【その振り下ろされた左脚を受け止めるほどの強度を誇っている…】
「くっ…!強烈です…!」
【しかし衝撃は強烈だったようで、少し顔をしかめて伝わってきた衝撃に耐える】

596名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 16:39:58 ID:wezxvRSg0
>>595
「成程。
 理解はできていたがやっぱり苦手なタイプだよ」
刀と脚が触れ合えば、これ程までにない衝撃が伝わる。
高い位置での命中と、自棄に硬く、押し返される感覚に、本人に命中した訳でないと知る。
そうなれば、逆の足で刀を踏み、離脱を図る。

刀を強く押し返した身体は翻り、鶫の正面に落ちる。
苦手なタイプ。そう称したのは刀を持っているから。
肉弾戦しかできない存在は武器を持った相手を苦手とする。
適当に振り回すだけなら隙を吐くこともできるが。達観した人物だとそうは行かない。
そうでなくても、武器を持っていると言うだけで必ず不利と言う物は存在する。
「鶫。と言ったね。
 見たところキミはまだ学生の様だけど、何故戦う?」
その為に、口を交える。
これも戦術の一つに過ぎないが、純粋な興味と言う物もある。
始め、戦闘に興味を持った少女とその笑顔の関係。
学生にして力を欲することに対しての興味。

597防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 16:47:34 ID:WVrfsEdY0
>>596
「うわっとと…」
【刀を踏んで飛ばれた衝撃でわずかによろけてしまう】
「ふう、少し危なかったですね…」
【片手を痛そうに振りながら再びおもちゃの刀を構える】

「ん?いきなりの質問ですね…
 …なぜ戦うか、ですか?」
【少し不思議そうな顔で答える】
「戦う理由…正義を志すから、なんていうのはちょっと陳腐ですかね?」
【軽い口調で言うが、その目は真剣その者である】

「本当は…この街を脅かそうとする許せない相手がいるんです…
 その相手を負かすには…更なる力が必要なんです」
【そう言って握った刀に更なる力を込め始める】

「だから…戦うんです!」
【先程よりも眩く輝く刀。それを振りかざして相手をじっと見つめる】

598名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 16:54:49 ID:wezxvRSg0
>>597
「正義を翳すから。
 その正義の源は何かな?」
聞かなくても答えたか。
次いで開いた口には、やはりと言った様子で小さく頷いて見せる。
「どうだ、それはキミが相手する必要は無いじゃないか。
 この都市にだって自治組織はあるだろう? なのにキミが出る必要があるのか」
再び、一歩踏み込む。
身体を捻り、右足を軸にして跳び上がる。
頂点に差し掛かる少し前で完全に背を向けるも、更に回る。
跳躍の頂点に差し掛かった辺りでフリーになっていた左足を解き放ち、回転の勢いに任せたままの蹴りを放つ。

599防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 16:59:20 ID:WVrfsEdY0
>>598
「私の正義…それは。
 私の姉が…この街で眠っている姉を守りたいから…」
【少しその言葉を聞いて戸惑いを覚える、その為か少し動きが鈍っているが】

「でも、私は放っておけないんです…!
 自分のあずかり知らぬ所で人の命が失われるなんていうことは…!」
【そう言って再び刀を振り抜こうとするが】

ドゴォっ!
「ぐぁっ!!」
【強烈な蹴りをその体に受けて、鶫は後方に勢い良く吹き飛ぶ】
「がっ…くっ…」
【しばらく地面を転がった後…体を震わせながら起き上がろうとする・・・】
【先ほど振っていた刀は手放した結果遠くに飛んでしまった。起き上がるのにも少し時間がかかるかも知れない】

600名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 17:15:51 ID:wezxvRSg0
>>599
「独善的だ。余りにも」
更に一回転を得て着地する。
瞳は既に微笑み等消し去っており、底にあるのは視線―――否、何もなし。
眼差しが訴える物は無く、ひたすらに虚無。

「屁理屈を言うようですまないが、姉の幸せと言う物を考えた方が良い。
 キミが出ずに、ひっそりと平和に暮らす事を望む声もあるのではないか。
 僕の独断に過ぎないが、眠ったままの人間と言うのは動く人間に安息を望む声が強い」

「キミが正義を振りかざそうとするのも悪くは無い。
 だが、それがどういった者かを見極めたうえで。にしていた方が良いと思うがね。
 真の正義とは何か。何も片っ端から悪を潰す事だけではあるまい」

別にかまわないがね。
そうつづけた後に、歩み寄って鶫の傍に立つ。
見下ろし、少女の真意を確かめようとするのだ。
「少なくとも、玩具を振り回すだけでは正義を作れはしないだろう?」
続けるか、否か。
差し出した右手にはその様な意志が込められていた。
続けるならば立ち上がれ。『諦める』ならば手を取れ。と。

601防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 17:24:00 ID:WVrfsEdY0
>>600
「…そう…ですね…
 私の考えることは独善かも知れません…」
【地に伏したまま答える】

「お姉ちゃんも…今どう思ってるのかわかりません…
 今は、聞ける状態ではないんですから…」
【そう言ってゆっくり起き上がっていく】

「でも、いつか目を覚ました時に…お姉ちゃんが見るのが…
 心配する必要のない…そんな街であって欲しいと…そう願うから…!」
【そう言って再び力を溜め始める…】

「…今はそれだけですが…
 自分がどうして正義を成すのかは…これからでしょうね…!」
【光が集中するのは右手のほうである】
「いつか答えを出すためには…強くならなければ…!」
【右手を勢い良く目の前の人間に振り下ろしに行く】

602名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 17:34:45 ID:wezxvRSg0
>>601
「成程。そう言う理解もある訳か」
始め、戦闘に興味を持った少女とその笑顔の関係。
学生にして力を欲することに対しての興味。
関係は既に知り得、興味は既に薄れた。
少女は『力が渇く程欲しかった』訳で、その矛先が『独善的な正義』でしかなかったからだ。
皮肉にも、自らが一番嫌うそれが少女の夢。

自分には無い理解を押し付けられると面白さの余りに笑みがこぼれる。
今まで思考は何パターンと言えず繰り広げてはきたがこうはいかなかったから。
「今動いてどうなるのか、解りもしないのに動く……成程」
刀は既に吹き飛んだ。
新たな近接武器を取り出さないことから、恐らくは無い。
もしあったとしても、取り出すまでの間は十分にこちらが有利だし、取り出す隙を突かれる様な腕では無いというくらいの誇りはある。
右手の振り下ろしをステップによって回避する。
回避に使用した左脚を着地すると同時に軸足にして、身体を捻る。
そうすれば、右足が浮き、捻りを加えれば回し蹴りが少女を襲う。

603防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 17:42:47 ID:WVrfsEdY0
>>602
「少し呆れましたか?
 …申し訳ないです。でも…それが…」
【拳の勢いはかなり凄まじいものであったが】
「こんな近くで…くっ!」
【渾身の一撃は素早いステップによってかわされてしまう】
【そしてその無防備な脇腹に】
「うぐぅっ…!」
【強烈な回し蹴りが突き刺さる。鶫の体が蹴られた衝撃で若干体を曲げて】

「がふっ!がっ…!」
【再び勢い良く転がされてしまう。服のためなのか致命傷には至っていないようである…】
「はぁぅ…うぅ…!」
【口を開くのも苦しそうなうめき声を上げながら腹を抑える。それでもダメージは大きかったようだ】

604名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 17:48:35 ID:wezxvRSg0
>>603
「呆れた事は事実だが、別に嫌ってはいない」
フフッ。
一回転して体勢を整えると二歩程下がる。
もう戦闘は終わったと確信しているようだ。

「安心してよ」
度重なる攻撃に、僅かに息を乱したようで、深く呼吸を行いながら。
不規則なステップと回転を加えた蹴りによる攻撃。
戦闘のリズムを整えるのは難しいようで、落ち着いてはいたが、苦痛の表情が垣間見えた。

605防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 18:02:12 ID:WVrfsEdY0
>>604
「うぅ…うぅ…!」
【それでもなおのこと立ち上がろうとする鶫】

【だがそこへ】
「かはっ!!」
【再び腹部に強烈な一撃を受け、吹き飛んでいき】

ゴシャア!
「あ゛あ゛っ!!」
【近くの木に背中から勢い良くたたきつけられた。その衝撃に木が激しく揺さぶられている】
「…あああぁ…ぐ…」
【木にもたれかかるようにゆっくりと地面に体を下ろす鶫】

【だが、拳に宿していた力は落ちる気配はなく、むしろ更に昂ぶっているように感じるだろう】

606名も無き異能都市住民:2012/04/01(日) 18:06:56 ID:wezxvRSg0
>>605
「もう、良いだろう?」
少女にそう問いかけてみたのだが、聞きはしないだろうと見当つけて。
それならば自分から離れてしまえばいいと気付く。

「……まぁ、いいや。
 次は思想の話をしよう。キミの話も聞かせてくれ」
呆れたような溜息を吐くと、左手は腰に当てて、もう片方は少女に向けて分れの手を振る。
それと同時、純白の存在はログアウト。辺りには静寂が残った。

//お疲れ様でした!
//一方的な思考の押し付けで申し訳ない……。

607防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/01(日) 18:09:10 ID:WVrfsEdY0
>>606
「ぐ・・・ま、だ…や…レ・・・」
【体をがくがく動かしながら手を伸ばすが…その時は既に相手はいなくなっていた】

「…ぐ…あぐぅ…」
【鶫はしばらく体を押さえながらうずくまり続けていた】
//まだやれたけど…お疲れ様でした

608萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/02(月) 22:06:49 ID:7gFzKdaU0
「――っ、つつ…………」

街中、人通りの少なくなってきた路地を歩く少女が居た。
ホットパンツにしましまニーソに上は少しもこっとした猫耳パーカー。
小柄な体に一杯の元気を詰め込んだような少女は、ふらついて、路地の壁に背中を付けてうなだれた。

「……うぅ、ここんとこ、どうしたんだろ、わたし。
 ふらつくし、頭痛いし。………………ッ……!」

右目を抑えて、うぅ、と呻きを上げてしゃがみ込む。
痛みには強い。殴られる痛みにも、肉を焼かれる痛みにも、骨を砕かれる痛みにも、髪を引き千切られる痛みにも。
だが、この痛みは未知の物だった。言うなれば、眼球に千枚通しを挿し込んで、グリグリと引っ掻き回すような感じの激痛。
むしろ、呻きを漏らす程度で済んでいるのが常識はずれなレベルの激痛が、彼女を苛んでいた。

「――――っふ、ぅ。引いた、かな」

そう呟いて一歩踏み出して、顔を上げた。
そうすると、睡眠不足なのか目の下に僅かな隈が浮かんでいるのが見えた。
背後に人の気配、いつの間にか少女は、路地裏の闇の闇、スラム街までたどり着いていたのだ。
ナイフを持って、少女に襲いかかる暴漢。目的は、レイプか、強盗か。
瞬間だ。

「……辞めたほうがいいと思うんだけど、ね」

ごしゃり。打撃音が響き、必要最低限のダメージのみで相手の顎を撃ちぬく。
崩れ落ちた人形の様に暴漢は倒れて、男の手からナイフを取り上げる。
右手の親指をナイフの峰に押し付けると、ぐぐぐ、とナイフは曲がっていき、Lの字を描くように変形してしまった。

風が吹く。妙に空錆びた、空虚な風。
春が近いというのに、今日は――――寒かった。

609名も無き異能都市住民:2012/04/02(月) 22:22:28 ID:wezxvRSg0
>>608
スラム街。裏路地の暗黒。
街の中心程人の悪意が隠されていないこの場。
それをアテナに知らしめるが如く、直ぐ様次の悪意が襲ってくる。

――――シュッ。
アテナの背後後方から。
首筋を狙って放たれる鋭い一撃。
それは針。強力な神経毒の塗られた細い細い鉄の針。

610萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/02(月) 22:26:12 ID:7gFzKdaU0
>>609
「――――っし、ッ!」

背後からの気配に、即座に転身。
右手をゆっくりとしたように見えながらも流麗かつ高速な動作で針に向ける。
そして、神経毒を付与された針が僅かでも刺されば危険だったのだろうが。

ちりん、と心もとない音を立てて、明後日の方向に針が落ちていた。
右手に触れた瞬間に、滑るような動きで軌道を変えて、針は落ちていったのだ。

「……何者!」

よく聞こえる声を張り上げ、針の飛んできた方向を真っ直ぐに睨みつける。
右目を見れば、紫色の色を帯びていたことが分かるだろう。

611名も無き異能都市住民:2012/04/02(月) 22:41:09 ID:wezxvRSg0
>>610
返事は無い。
アテナの視線の先にはスラムの闇が広がるのみ。

――シュッ。
次の攻撃は、また背後から。
銀の針がまた一つ。少女の首を狙うだろう。
この針は避けられることを見越しての攻撃。
アテナが回避をすると同時に、その隙を狙って暗黒の手が少女の足を掴もうと伸びてくる。

612萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/02(月) 22:54:57 ID:7gFzKdaU0
>>611
「――――っ…………!」

とん。地面を軽い音を立てて蹴り、壁に足を吸い寄せるように移動。
そして、壁を蹴り上げながら、素早い動作で上へと登っていき、路地裏の奥まった空間から外れて開けた屋上にたどり着く。
広い場所の方が相手には隠れる場所が少ないと思ったがゆえの行動。

息を吸って、息を吐く。
いつ、痛みが襲いかかってこようとも耐え抜けるように、心を強く持って。
左、心臓のある場所に右拳を叩きつけて、声を張り上げた。

「我が身に刃要らず!我が身に盾要らず!タテナシ、展開!」

直後、少女の体を包みこむようにして波が発生。
渦巻く力場が止む頃には、ふんわりとした衣装を身に纏う、誰がどう見ても魔法少女がそこに居た。
だが、発する気配は、そんなに甘いものではない。重く、鋭く、強い。
武道家の其れが、魔法少女である彼女からは発せられていたのである。

613名も無き異能都市住民:2012/04/02(月) 23:05:27 ID:wezxvRSg0
>>612
「チッ……」
聞こえたのは、明らかな舌打ち。
それはアテナにも聞こえて、むしろ、態と聞かせたかの様な雰囲気さえ感じる。
あるのは明らかな殺意。見え過ぎて、濃すぎる故にほかの全てが感じられない。
普通の人間ならば、それだけで事切れてしまうようなプレッシャー。

刃が、背後から襲い掛かる。
開けた場所に出られてはこうするほかは無かった。
アテナの影から伸びた姿が持っていた暗黒の鎌。

614萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/02(月) 23:13:20 ID:7gFzKdaU0
>>613
「思い出すね…………戦場」

小さく呟いて、瞑目。目を開いた時には、右目の紫はより色濃く染まっていた。
疼き。激痛は止めど、絶え間なき痛痒感が少女を襲っていた。
常に、右目が何かを訴えるように、脈動し、不快感を感じさせている。
視界が一瞬揺れて、だが、背後から感じる気配に、転がるように前に飛び出す。

「――――つ、つつ……」

スカートが裂けるものの、即座に修復が開始される。
そして、息を吸って。ゆらり、と幽鬼の如くに立ち上り、目を瞑る。
集中を阻害する要因は無数にあれど、その中でも心の平穏を保とうとする。

「…………ど、こだ。ど、こ」

小さく呟きつつ、少女の五感は、視覚に裂く要素を減衰させる事で他を強める。
より鋭敏に、より敏感に。目に頼れぬ――――と言っても、目の良さは折り紙つきなのだが――――夜には、他の四感に頼るべきだ。
風の匂いを嗅ぎ、音の歪みを知り、存在が歪める空気を皮膚で感じて、毒の味を舌で知る。
視界よりも尚芳醇に、尚鮮やかに。色彩を黒でベタ塗りされた世界に、味と臭いと触感で色彩が咥えられていった。

615名も無き異能都市住民:2012/04/02(月) 23:23:05 ID:wezxvRSg0
>>614
真正面。
一直線、まるで特攻かと疑うような、読みやすい攻撃。
大きな鎌を携えた暗黒はアテナの首を狩りに掛かる。
故に怪しいのだ。明確な殺意の現れとも取れるが、それ以上に裏を感じるだろう。
その暗黒の中央で真紅が光を見せた。
闇にまぎれた真紅はただ一つ。暗黒の中央より僅か右に逸れている。

616萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/02(月) 23:32:01 ID:7gFzKdaU0
>>615
「――――来る、か」

風が動く気配を感じる。そして、命を刈り取る鎌が、首に迫ると同時。
目を見開き、左腕を首と鎌の間に差し込み、同時に右手を動かす。
右手を暗黒の中心に叩きこむように振りぬき――――衝撃を炸裂させる。

「散勁!」

内部で衝撃を炸裂させ、反響させることで破壊力を増幅する打撃。
身体能力の強化以外には魔術を使用していないそれは、純粋打撃の効力を持つ。

そのさなかでびき、びき、と音を立てて、鎌とぶつかり合う左腕の生地が砕けていく。
だが、砕けると同時に再生し、硬化する繊維は、極めて特殊な防御性能を持つ。
砕けることで破壊に攻撃のエネルギーを消費させ、本体にたどり着かせないと言う物。
この程度の攻撃なら、ダメージを凡そ8割から9割方減衰させることが出来ていた。

617名も無き異能都市住民:2012/04/02(月) 23:52:14 ID:wezxvRSg0
>>616
爆散。
打撃を受けた暗黒は、アテナの描いた衝撃の動きを模したかのように、綺麗に吹き飛んだ。
暗黒は霧散して散っていく。アテナの周囲に散っていく暗黒の瘴気。
純粋な殺意のみで駆り立てられていたそれだが、触れるとより強烈なイメージが頭に『流れ込んでくる』だろう。
憎悪。嫉妬。悲哀。激怒。殺意からなる負の感情。強烈な負のエネルギーが直接頭に流れ込む。

暗黒の瘴気が実体を持って襲い掛かる。
アテナの頭に暗黒の意識を刷り込んだ後、瘴気の全てが刃になり替わった。
無数の刃がアテナを包囲し、何時からか『そこにいた』暗黒の本体の指示で一斉攻撃が行われた。

618萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/02(月) 23:56:51 ID:7gFzKdaU0
>>617
「――――――ッ、ぐ…………痛…………・ ァ……ッ!」

流れこんでくるイメージに、忘れかけていた眼球の痛みが舞い戻ってくる。
泣き叫ぶように、軋みを上げる瞳の奥の何かは、しかし、何のために痛みを訴えるのかついぞ分からない。
何か、己の中の芯は有るはずなのに、今のアテナには其れがおぼろげだ。
それが朧気であるかぎり、アテナはこの痛みから逃れる時はこないのだろう。

「――――ッ、ぐ……ッ、あ……ァ!」

呻きを上げ、体をびくり、と振るわせて。
無数の刃が肉を裂こうとする。だが、衣装によって其れは大幅に減衰された。
ずぐん。裂けていないはずの肌に、血の流れる感覚が有る。
無数の斬撃が病んだ時点で。膝を付いて、虚ろな瞳で倒れこもうとするアテナが見えていた筈だ。

619名も無き異能都市住民:2012/04/03(火) 00:20:58 ID:wezxvRSg0
>>618
アテナに突き刺さった刃が消える。
先程と同じように霧散したそれが、次は跡形も無く消え失せる。

屋上の縁に立ち、アテナを見つめる少女。
瘴気よりも更に強い負の意識をむき出しにしたそれが居た。
夜の風が二人の身体を軽く撫でると、暗黒のそれが持った紫色の長い髪が揺れた。

620萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/03(火) 20:50:08 ID:7gFzKdaU0
>>619
「――――、ゼオラ、ちゃん?」

視界に入り込んだのは、同じバイト先の同僚だった。
話を聞きたい。なぜ、己を襲ったのかを。
ゆらり。何処に残っていたのか分からぬ力で、少女は立ち上がる。

「――なんで?」

唯一言。怒るでもなく、嘆くでもなく。
ただ、理由を求めて、少女は問いかけた。

621名も無き異能都市住民:2012/04/03(火) 22:51:22 ID:wezxvRSg0
>>620
返事の代わりに右腕を挙げる。
細く、白い指は夜の闇に良く映える。
広げた右手に紫色の光が集まると、バチバチッと言う音が周囲に鳴り響く。
一度力んで力の余りに指が反る。その後右手を強く握る。

―――バチッ!!

右手に灯った紫色の光が発散されると同時、
アテナの頭上から紫色の雷が降り注ぐ。

表情のない顔。それの持つ瞳は真紅の輝きを帯びて暗黒に残光の線を引いていた。
動いたのはアテナから見て左。雷のヒット可否にかかわらず、大鎌の薙ぎが襲うだろう。

622萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/03(火) 23:02:15 ID:7gFzKdaU0
>>621
「――――、つ。活歩!」

頭上の紫電に、即座に反応。独特の歩法で数m分一瞬で移動した。
そして、左から迫り来る薙に、左腕を立てて魔力を収斂。
身体能力を爆発的に上昇させることで相手の鎌に対する反応を可能とする。

鎌の刀身に腕が触れた瞬間に、腕の表面を滑らせるように回避。
いわゆる化勁という逸らしの技法を応用した其れで致命を防ぐと同時に、返し技で懐に入り込む。
身体能力を上昇させ、大地を踏みしめる肘打ちを鳩尾めがけて叩きこもうとする。

「だ――――から、なんでこんなことすんのさ!ゼオラちゃんッ!」

623名も無き異能都市住民:2012/04/03(火) 23:20:04 ID:wezxvRSg0
>>622
飽きた。
それだけをアテナに伝えた少女の瞳は、酷く凍り付いていた。
憎悪や悲哀といった負の感情を抑え込むほどの飽きと、独特な『匂い』を放つ、底が見えず天も知れない殺意。
非常に濃いそれらを携える少女の瞳は……確か、黄色だったはずだ。
しかし、今の少女の瞳は真紅の光を放っていた。

それが一層強い光を放ったかと思うと、真紅が瞳から放たれた。
怪光線。
少女の相貌から放たれた光線が視線の先……アテナの肩を貫ぬかんとしていた。
「……ッ!」
それと同時、アテナの打撃が少女を捕らえ、吹き飛ばした。
縁の柵にぶつかる直前で姿を闇に帰した少女は反対側の端に姿を現していた。
ダメージは0では無く、むしろ高いと見えるだろう。
身体を折り曲げて立ち、大鎌を杖の様にして立っている。右手は強打の命中した腹部に添えられていて。

624萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/03(火) 23:34:06 ID:7gFzKdaU0
>>623

「……ッ、ぐ……」

光線が、右肩を貫通。未だ完成形に無い武装、タテナシの弱点は、光線などの、非物質的攻撃。
打撃や斬撃の効果は極めて弱まるが、光線や魔力耐性はそれほど高くはなかった。
血が、白いドレスを汚し、赤く染めていく。だが、膝を突く事は無い。

「――――そっか」

飽きた、と言われて、どこか淡白な様子でそう返したアテナ。
そして、少女はふらり。ゆらり、と形を見せない朧の様に立っている。
右目の疼きも、痛みも。今は何となく、気にならない。

「…………なんで私を襲うのか、わからないしさ。
 なんで、殺意を向けてくるのかもさ。なんにもわかんないけど。
 ――――――〝殺されてやる訳にはいかない〟」

真っ直ぐに、きっぱりと。
少女は、相手の殺意を前に、殺されてなんかやらねーよ、と言ったニュアンスの言葉を言ってのけた。
右目に魔力とも気とも違う、莫大な異能の気配が渦巻きつつある。
感じられる力の色は――――無色。何色でもなく、何色でもある色。
その力の気配は、何を意味するのかは、アテナにもわからないのだからきっと誰にもわからない。

「何をするのかなんて、今の私はわからないけど、先なんて見えてないけど。
 先を見るために、ここで止められる訳にはいかないんだ。――――だから、倒すよ。ゼオラちゃん」

芽生えが始まっただけで、顕現すら始まっていない不安定な、暴走の可能性すら有る力。
それを携えて、少女は笑んだ。構えを取る。
敵意は無く、殺意も無く。只向けるのは、倒すという現象を達成するための心意気だけだ。

625名も無き異能都市住民:2012/04/03(火) 23:52:38 ID:wezxvRSg0
>>624
こういうタイプは苦手だったりする。
下手に明るく、血が沸騰しそうな程に熱い人間。
今もそう。ただ数回会話しただけの人間に馴れ馴れしく振る舞ってくる。

右手は腹部を抑えたまま、左手の大鎌を持つ腕を水平まで振り上げた。
枯れた樹木の様な皺を幾つも携えたそれ。
柄の端は古来からイメージとして存在する悪魔――羊の角が血で塗られたものが付随しており、
刃のデザインも歪にして禍々しい。少女の様な狂気を孕んだものに相応しいデザインの大鎌。
それを投げあげると、空中で闇に還り霧散した。
暗黒の霧は次に無数の刃に姿を変えると再びアテナに襲い掛かる。
一を避けても二が襲い掛かる。二を避ける頃には一が再び体勢を立て直す。というリズムで無数に迫るそれ。

その奥で本体の少女は魔力を練っているようだった。
これだけの暗黒を一斉に操る魔術の使い手が準備動作を必要とすると言う事は相当の物に違いないだろう。

626萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/04(水) 00:05:58 ID:7gFzKdaU0
>>625

眼前に迫り来る無数の刃、それらを見て、アテナは息を吐く。
だらりと両腕を下ろして、ぐにゃり、と溶けていくような動きを見せる。
最初の刃が体に触れようとした瞬間、己に聴かせる様に言葉を紡ぐ。

「――――力じゃ水を砕けない、速さじゃ風を追い越せない」

暖簾に腕押し、柳に風。力だけでは打倒できる物とそうでない物が有る。
それを証明するように、アテナは――――流れる。
タテナシの防御性能を応用して、ドレスの表層を砕きつつ弾き流して、そのまま前進していくのだ。
くるり、と体を回し、優雅に脚を前へと延べる様は、一種の舞踏の如き武闘。

相手ほど強大な魔力は、アテナからは感じられていないはずだ。
少なくとも――――表に出ている分は。
だが、格闘の技量も、心意気も。弱冠10歳の少女とは思えない洗練を得ていた。

「……活歩ッ」

とん。地面に軽く足を踏み下ろした瞬間だ。
踏み下ろした地面が、足の形に陥没し、アテナの姿が消える。
最高加速で、頬から血を吹き出しながら、右腕を振りかぶるアテナが、相手の目の前に現れたことだろう。

627名も無き異能都市住民:2012/04/04(水) 00:19:45 ID:wezxvRSg0
>>626
事実、抜けてきた。
闇の刃の猛攻を意図も容易く抜け出したアテナは、すでに目の前。
このままだと右の拳が命中するのは明白。
耐える事を想定していない身体は必要以上の脆さを誇る。
腹部に受けた一撃があれから常に痛みを訴えてくる。それを思い起こせば十分に引き裂く動機が得られるほどの殺意が湧いてくる。
……このままだったら。

アテナの拳は空を切るだろう。
身体の軸を大きく逸らした動きによって命中するコースから身体を逃した。
その動きの勢いを利用して、バレエの様に一回転。影が差し出した大鎌を受け取って、薙ぐ。

628萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/04(水) 00:27:20 ID:7gFzKdaU0
>>627
「――――舐めないで欲しいんだけどッ!」

打撃は空を切った。拳の振りおろしに拠って体勢が前へと崩れていく。
だが――――異変が起こる。崩れる速度が、異様に早いのである。
まるで、敢えて前にそのまま倒れていくかのような、そんな動作。
拳は開かれて、右腕が地面に付いた。

どん、と鈍い衝撃音が響き、アテナは逆さまの状態で空中に舞い上がった。
タテナシの生地内面に包括された大量の空気は場合によって放出されたり吸収される。
それにより、独特の浮かぶような動作などが可能になるのだが――――、ようは其れの応用だ。

相手が横に一回転する時点で、アテナは縦に半回転しようとする。
すなわち、すれすれで大鎌を回避しての脳天めがけてのかかと落とし。
空気を踏む動作による一撃は、空中にあっても踏みしめる確固とした重みの有るものだ。

「ふぅぅぅうッっはァッ!」

気勢がビリビリと空気を震わせて、流動的な高速戦闘は次々と展開されていく。
相手のように強力な遠距離攻撃は無い、多彩な種類の攻撃もない。
だが、こと近接戦闘に置いてのアテナの練度は、一級。武者修行に行った事で、それは更に磨かれていたのだ。

629名も無き異能都市住民:2012/04/04(水) 01:05:33 ID:wezxvRSg0
>>628
踵が降りかかる。
何故、少女はアテナの得意の接近戦を挑んできたのだろうか。
答えは単純、その接近戦で『負ける』と感じ得なかったから。
少女の査定でアテナは危険だと判定されなかっただけに過ぎない。
近接戦闘に対抗し得る技を持っていたから。敢えて付き合ったに過ぎない。

迫る一撃が肉薄するあたりまでとなった。
そこで、予てから得ていた近接戦に対抗し得る技を発動する。
―――……。
技。と言うのも億劫かもしれない。
本質を利用した特性とでも言う物か。
最早闇と同議と言える少女は自身の身体すら闇に還すことが可能で。
そうすれば格闘に反応する動きが出来なくとも、脳髄でそれを判断出来て居れば絶対に触れることは無い。

霧散して消え失せた後には何もない。
気配等もとより、今では影の一つすら見当たらない。

――その時。
アテナが着地をして相手に備える頃であろう。
気配、音。『匂い』すらも断ち切った一撃が背後から迫る。大鎌を斜めに振り下ろす、両断の一閃。

630萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/04(水) 20:50:10 ID:7gFzKdaU0
>>629
「――――無形……ッ」

踵に感じる筈であった、衝撃は無く。只虚しいだけがそこに有る。
文字通りの暖簾に腕押し、物理攻撃は意味が無いのか、と。
四肢に不思議と怠い感覚が襲いかかってくる、そして右目が痛む。

(――、これで。…………この、程度で…………ッ。
 ここで、負けて………………?良いはずが――――無いってのに。
 そんなんじゃ、レラを助けられない。ミラージュとレラを、二人共助けられないのに――――)

刹那に脳裏を駆け巡る、少女の思考。
己のこと、危機は頭にはなく。ただここで負ける程度の自分では、自分の目的は成せないと思考する。
びきり。食いしばる歯の圧力で奥歯が一本砕け、血が口の端から漏れ出していく。
欲しい。そう思う、何よりも力が。〝どんな敵にも通用する力〟が――――欲しい、そう思う。

相手の予想に反して、アテナは只、立ち尽くしていた。
蹲る。右目を抑えて、呻きを漏らす。だが、その呻きも苦痛も、先程とは色彩を異ならせた。


衝撃。

相手の大鎌は、少女の拳と真正面から打ち合い、拮抗していた。
拳を覆うグローブの装甲は極めて強靭。だが、何を以て来ると判断したのか。
俯き、前髪に隠れた顔。その口元が、くすり、と微笑みを創りだした。

「――――そうだった。…………結局、それしかないんだよね、私は」

拳で鎌を弾き、少女は地面を蹴ると高速移動。数m程後ろに立つ。
顔を上げると、隠れていた少女の顔が映る。異変は、右目に起きていた。
文字通りの、無色。眼窩に収まっていたのは、眼球ではなく、宝玉の類であった。
内部に無数の魔術円が刻み込まれた宝玉は、凄烈な存在感を持つ、そして、目一つと石一つが、相手を真っ直ぐに射ぬいた。

「………………大分、吹っ切れたかも。
 それに、やられっぱなしは、性じゃないし」

はは、と苦笑を漏らして、少女は息を吸い、吐く。
そして、腰を落として、拳を構え、脚を大地に叩きつけ、根を張って行く。

「――――屠龍」

何が変わったのかは、表向きにはわからない。
だが、確実に何かが変わっていた。少なくとも、先ほどまでとは、何かが違うはずだ。
じり、じりと。すり足でゆっくりと、相手の動きを伺うように少女は、間合いを測り始めた。

631ゼオラ=アドヴァルド:2012/04/04(水) 22:06:04 ID:wezxvRSg0
>>630
「―――……」
初めて、少女が声らしい声を漏らした。
飽きた。そう宣言した時とは確実に違う何か。
初めて意志力を持った声。人間らしさのある声。
アテナに自身が誰であるかを知らせるための意思を持った声。
初めて、少女に意思を突き付けた。アテナが相手に足ると認めた意思。

手に持った大鎌をバトンの様に手首を効かせて回転させる。
二度程、手の中で回って見せたそれは、少女が手を離すと浮かび上がり、地面に垂直に立つ。
月を背後に立つ少女の影に、大鎌が重なる。
ゆっくりと高度を降ろした大鎌が少女の影をついた時、その接点を中心に強い魔力の波動が走った。

632萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/04(水) 22:33:53 ID:7gFzKdaU0
>>631
「……そう。そだね、こっからだ」

相手が此方を見ている。それが分かる。
拳を握りしめて、アテナは全身に力を込めて力を抜くという矛盾を成す。
表面上の脱力の奥には、脱力が有ってこその力みの種が隠れている。
静であり、動。静かであり、猛々しい待ちを、構えと成した。

眼前に迫り来る魔力の波動。
それを前に、アテナは手刀の構えを取った。

「屠竜――――――」

形は、貫手。
五指を揃えて突き出すそれは、だがしかし、突きですら無く、貫き。
そして――――魔力の波動に五指が接した瞬間、魔力を直接叩き、罅を入れ、砕く。

防いだのでもなく、弾いたのでもなく。
〝まるで普通に攻撃を返したかのように〟破壊したのである。
そして、アテナは地面を蹴る。そして――――相手に向けて、拳を強く握りしめて振りかぶり、跳びかかった。

「――――――――お、ぉぉぉおぉぉおッ!!」

先ほどまでの打撃、一撃とは全く別物の一撃が、相手に襲いかかっていく。
表出する魔力量の少なさの謎が、この一撃で解けることだろう。
アテナは、己の持てる莫大な魔力の大半を、身体強化に注ぎ込んだのである。
要は、五体全てに艦載砲に匹敵する火力を持たせ、要塞のような防御力を与え、戦闘機の機動力を手にする――――だけ。
その他、特別な魔術も、能力もその戦闘能力には何一つ使用していない。

そして――――新たに目覚めたアテナの能力は、言ってしまえば単純である。
その声質は、『総ての存在に己を干渉させる事が出来る』という異能。気体でも液体でも魔力でも霊体でも個体でも何でも。
拳で、脚で。殴って、蹴って。ダメージを与えることが出来る。言ってしまえば、ただそれだけの異能。
だが――、それだけで十分である。今のアテナは、文字通り。竜を屠る為の技を以て相手に当っている。


全身の皮膚に、びっしりと魔術刻印が浮かび、そこに魔力が流れ込み、火花を吹き出す。
拳を鋼よりも硬くし、全身の駆動を音速を超えるまでに加速、そして――――ただ、前へと突きを放つ、それだけ。


「竜 砕 崩 拳 !」


ロンツィポンケン。
言ってしまえば、全力を込めた只の正拳突き。
だが、それゆえに――――強い。総魔力の総てを肉体に込めてのそれが――――相手の腹部へ、迫る。

633ゼオラ=アドヴァルド:2012/04/04(水) 23:09:00 ID:wezxvRSg0
>>632
「か、ぁ……」
貫手は正しく少女の身体を貫いた。
確りとした感覚。触れて、突き抜けたのは間違いなく少女の柔肌。
竜よりも、屈強な人間よりも、一般人よりも防御力で劣るゼオラの身体を貫くことは容易だった。

防御力は低い。だが、それが致命傷を与えたかどうかは別の話。
正しくは、致命傷を与えた。その痛みは想像を絶する物。だが、それだけでは消せない。

『――、――――――』
腹部に穴の開いた状態で、なお動く。
後方に飛び去り、無理やり腕を押しのけて距離を開く。
空いた穴が、影にも穴を作っていた。
しかし、だんだんとその影の穴がふさがっていく。少女の身体がふさがっていく。
構成されるのは全く同じ身体。同じ白い柔肌が腹部に補填された。
『―――――――――?』
右腕で左腕をつかみ、引きちぎる。左肩から伸びるのは、同じ細い左腕。
次は左腕をつかみ右を千切る。血液が噴出され、血のたまり場が出来る。
同じだけの血液が肩からも流れると、やはり右腕が再生する。
『――、―――――――――、――――』
右手に持った禍々しいイメージ、殺気を放つ鎌。それの刃を首筋に当てる。
ストン。呆けない程によく切れた首が、落ちる。それに押された身体は後方に逸れていく。
『――、――――――』
月をバックに立っていた身体が、一度ビクンと跳ねた。
アテナの視界から一度消えた頭すら、再生していた。

致命傷。と言う物は無いのかもしれない。
死。と言う存在と同議になってしまった以上、常に死んでいるのと同じ。
致命傷。と言う物は無いのかもしれない。

634萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/04(水) 23:22:56 ID:7gFzKdaU0
>>633
「――――、成る程。こりゃぁ、本当に厄介。だね」

貫き、腕を引き抜きながら。息を吐く。
身体能力の強化は一度掛けてしまえば継続するもの。
十数分の戦闘続行はまだ可能でこそ有ったのだが――――、不利である。

千日手だ。
此方の異能に拠って、闇と成ってや、魔術による防御も抜く為に此方の攻撃は通る。
だが、いくら倒そうと砕こうと貫こうと、倒せないのだから。

だがしかし、殺さずとも無力化する術は、確実に存在する。
肉体の限界は知っていて、まだ高みに登れるのは分かっている。
だが、通じるか。だが、通じさせなければ、ならない。

「……ゼオラちゃん。もう一回聞くけどさ。
 なんで、私を襲ったの?」

構えを解いて、だが、隙は無く。
怒りも、悲しみもなく。只真っ直ぐに相手を見据えて、三度目の理由を問う。
なぜ。それが、どうしても気になったのである。

635ゼオラ=アドヴァルド:2012/04/05(木) 00:14:06 ID:wezxvRSg0
>>634
『――、――』
声。では無い。
声になり損ねた声。呻きの様なそれ。
仮初の生命が挙げた、産声。

やはり、答えは無い。
数秒毎に身体を痙攣させながらも、動く、動く。
虚空から現れた大鎌を手に取って、それを大きく一回転させる。
俯き、よろけ、倒れかける身体を鎌で支え。
首をあげて、黄色の相貌でアテナを見やる視線には、極度の殺意、憎悪、悲哀、嫉妬。
真面に目を合わせれば、気が狂ってしまいそうな視線。

636萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/04/05(木) 00:19:38 ID:7gFzKdaU0
>>635
「――――……、今度。話、聞かせて。
 多分、このままゼオラちゃんと戦っても、私も、ゼオラちゃんも良い事ないと思うから」

真っ直ぐに、相手の目をアテナは見返した。
息を深く吐き、吸い。整えて、笑うことはせず、真っ直ぐに見据える事が出来た。
胆は、強い。経験もある。だから、不利でも、敵意を向けられても、揺らがない。

「……今度、AGカフェで紅茶でも飲みながら話出来ればいいんだけど。
 ゴメンね、痛くしちゃって」

すっ、と軽く頭を下げると、アテナは、地面を軽く蹴る。
屋上から離れて、空中にアテナは在る。そして、そのまま重力に逆らうこと無く落ちて行って。
後は、音すら残さず、残る力の総てを掛けて相手との距離を離していった。

次ぎの出会いの時は、会話ができることを祈りつつ。

637ゼオラ=アドヴァルド:2012/04/05(木) 00:46:39 ID:wezxvRSg0
>>636
残された少女に月の光が当たる。
周囲を眺める。血と、先程まで酷使していた自らの身体と。
自身の周りに転がるそれらを全て、吸い上げた。

ふり返り、月と向き合う。
目をつむり、仰向けになるように身体を倒す。
影が闇と化し、優しく少女を眠りへと誘って行った。

638防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/06(金) 23:29:59 ID:WVrfsEdY0
【箱庭…一人の少女が空をみあげていた】
「思ったとおりでした…やっぱり…
 私の能力は…」
【じっと自分の手のひらを見つめながら、制服を着た少女はつぶやいた】

「……何とかしたいです」
【はあ、とため息を付いた】

639ガルテラ:2012/04/06(金) 23:36:30 ID:NntjvIzM0
>>638
彼方から、見慣れた光が顔を出す。
黒いコートとカンテラ。

「……やはり、鶫さん?」

ガルテラが、鶫の隣に歩いてきた。

「お久しぶりです。
 その後傷の調子はどうですか?」

作ったような笑顔で、傷の様子を心配する。

「何をしているんですか?
 暗い気持ちで居ると治るものも治りませんよ」

640防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/06(金) 23:40:41 ID:WVrfsEdY0
>>639
「あ、貴方はあの時の…
 ガルテラさんでしたっけ?」
【振り返り、顔を覗き込む】

「ああ、この街の医療は素晴らしいですよ。
 後遺症も全くありません」
【腕を大きく奮って答える】

「…いえ、自分の能力で色々わかったことがあったんです。
 でもそれは…なかなかリスクを伴うものなんだということもわかってしまって…」
【軽く頭を抱えて言う】

641ガルテラ:2012/04/06(金) 23:49:44 ID:NntjvIzM0
>>640
「お元気そうで何よりです」

笑顔で答えてから、ふむ、と自分の顎をつまむ。

「能力がどのようなものかは存じ上げませんが、リスクの予行練習をするために、
 この箱庭と言うものがあるんじゃないでしょうか。
 素晴らしい技術だと思います」

ガルテラは、鶫の能力はなんだったかと過去の戦いを思い出そうとするが、浮かばない。

「良ければそのお手伝い、いたしますよ。
 実を言うと一度箱庭を試してみたかったのです。
 あなたの能力への興味もありますし」

どうです?と人差し指を立てる。

642防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/06(金) 23:55:52 ID:WVrfsEdY0
>>641
「ええ、貴方こそご健勝のようで何よりです」
【軽く笑って返す】

「そうですね。まあそういうことに気づけるのは良いことですね」
【そう言って軽く腕のあたりに力を貯め始めた】
【その力の流れはちょうど光の流れとして見ることが出来る】

「わかりました。ぜひともお相手願います」
【そう言って軽くうなずき。両手を大きく振る】

643ガルテラ:2012/04/07(土) 00:05:04 ID:NntjvIzM0
>>642
「その意気です」

ガルテラがカンテラを一度振る。
その瞬間、光と共にガルテラがボウッと消え去り、
鶫の正面3〜4メートルのあたりにふわりと現れる。
客観的に見て、いかにも決闘前、というような距離間だ。

「私のことは知っておいででしょうか。
 いつかの戦いでもしかすると真の姿の方は見られておいでかもしれませんが、
 なにぶん戦いの中です、見る暇は無かったかもしれませんので、改めて名乗らせていただきます」

仰々しく、ゆっくりと、カンテラを掲げた。

「道しるべの悪魔ガルテラ、お相手します」

そう言った瞬間、カンテラから凄まじい光が放たれた。
目くらましだ。

644防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 00:08:22 ID:WVrfsEdY0
>>643
「なんだか…本気って感じですね」
【ごくり、と息を飲んで答える】
「真の姿…分かりました。見せて欲しいですね!」
【光っている両手を振るって攻撃に備えようとするが】

「うわっ…まぶし!」
【突然発せられた光に思わず顔を覆ってしまう】
「うー…いったい何が…」
【光が止むまではどうしようもなさそうである】

645ガルテラ:2012/04/07(土) 00:17:42 ID:NntjvIzM0
>>644
「その目を開けば、目の前に悪魔が居ることがわかりますよ」

光は一瞬で消えたが、人間の目にはかなりの負担が掛かるだろう。
しかし、目は見えなくても、虫の飛ぶ音が増幅されたような羽音が聞こえるだろう。
既に、彼は人間の姿では無くなっている。

「……開く暇があればですが」

ワンテンポ遅れ、鶫の顎に掌底による打撃が打ち込まれようとする。
羽音によって距離を予測し避けることは可能だろうが、かなりシビアだ。

646防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 00:24:24 ID:WVrfsEdY0
>>645
「くぅ…こういうパターンは苦手ですよ…」
【目をこすりながらどうにか目を開こうとしている】

「音で近くなのはわかりますが…
 一応前でしょうかね…!」
【鶫はそう言って前方に向けて右の拳を突き出すが】
「なんとか…」
【鶫は途中で攻撃を止め、顔を横に向けてかわそうとする】

「…!」
【なんとか顎の直撃を避けることは出来たが、頬に赤い筋を刻まれる】
【鶫は避けながらも再び前方に拳を振るうタイミングを狙っているようだ】

647ガルテラ:2012/04/07(土) 00:33:57 ID:NntjvIzM0
>>646
耳元でぱきぱきと音がする。
外れた右手を握り締める音だ。

「なかなか感覚は良いようですね」

ガルテラは再び羽音を響かせ、警戒しているのか追撃をせずに離れる。

「ならば……」

掌を地面に叩きつける。
すると、鶫の足元から、先の鋭い街灯が、鶫を突き刺さんと飛び出すだろう。
しかし、そろそろ目が見え始めても良い頃だ。

648防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 00:47:06 ID:WVrfsEdY0
>>647
「どうも…ある程度戦って来ましたからね」
【そう言うと鶫はポケットからおもちゃの鉄砲を取り出して構える】

「離れても無駄ですよっ!
 コチラにはまだコレがあるんです…!」
【そう言って今度は力をその玩具の鉄砲に送り始める】

【しかし、警戒をガルテラ自身の方に向けていたのが災いしたのだろうか】
「一体どんな攻撃を仕掛けると…ん!?」
【突然飛び出してきた街灯への対応が遅れてしまった】

「あ…ぐぅっ…!はぁっ…!」
【鋭い街灯は鶫の腹を容赦なく貫く】
「がっ…あっ…!」
【体を震わせながら苦悶に体を悶えさせる】
「はっ・・・」
【しかしそれでも鉄砲をガルテラに向けて】
ドガァン!
【引き金を引いた。その鉄砲の弾は…まるでライフル銃並みの威力になっている】

649ガルテラ:2012/04/07(土) 00:56:24 ID:NntjvIzM0
>>648
「……そんなものの攻撃が……なっ!?」

銃弾を弾き飛ばそうと、カンテラを振りかざす。
しかし、思わぬ威力にたじろいだ。

「ぬ……ぬおおおおっ!!!」

カンテラを中心に光の結界が出現する。
それによって、ガルテラは銃弾は弾き飛ばせたと確信した。

「……想像以上の威力……!?グアアッ!!!」

ガルテラの身体は、貫かれた。

650防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 01:03:46 ID:WVrfsEdY0
>>649
「はぁ…やった…の…あ゛ぁっ!」
【鉄砲が命中したのを見届けるが…途端に鶫の体を激痛が貫いていく】

「あぁっ…!ぐあぁああ!ああっ!」
【腹を抑えてその場で転げまわる鶫。血を流しだしながら、体を震わせる】

「…ま…だ…うぅ!まだ・・・!」
【血まみれの腹を抑え、膝を立てて立ち上がろうとしている】
「ああっ…うっ…はぁ…!」
【更に…鉄砲にたまる力は更に上がっていっている。】

651ガルテラ:2012/04/07(土) 01:18:46 ID:NntjvIzM0
>>650
羽音が聞こえる。
鶫の前に、影が掛かった。
漆黒の血が地面にボタボタと落ちた。

「このコートに穴を開けるとは……」

鶫が見たものは、金色の目玉を加えた白い骸骨。
両頬の辺りからは虫の足のようなものが生え、肩に刺さっている。
カブトムシのような甲殻の付いた翅には、紋章のようなものがずらりと並ぶ。
そして、その下には黒い蠍のような尻尾が、甲殻をすり合わせ、カチカチと音を立てる。

「このコートにはそこそこの防護魔法が掛かっているんですが……ぐっ」

そう言って、目と歯の隙間から、黒い血を吐いた。
その様子はまるで、涙を流しているように見える。
悪魔は血濡れのコートを脱ぎ去った。
各部に褐色の毛を持ち、胸と右腕には光球を持つ。
しかし、胸の光球は打ち抜かれ、輝きを失っていた。

「見誤って居ました、あなたの力……。
 しかしもう、油断はしません」

そう言って、蠍の尾を突き出した。
その尾には、余り強くはないが、身体を麻痺させる神経毒を供えている。

652防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 01:26:51 ID:WVrfsEdY0
>>651
「とど…め…とは…行かず…」
【意識を朦朧とさせながらも膝をついて起き上がり、拳銃を向ける】
【その姿に驚きを隠せない様だが、それでもなかなか動けない】

「わ かり…これが…わた…し…の…」
【激痛に体を震わせる。しかしその流れる力は更に爆発的に増えている】
【それこそ周囲に圧力をかけそうなほどに力がふくれあがっているのだ】

「がフッ!うう…うぅあ!」
【蠍の尾を体に受けて、また苦しそうなうめき声を挙げる】
「うぅううう!」
【どうやら神経毒の効果は抜群のようだ。ずっとガルテラに向けられていた鉄砲を構えていた腕は、ゆっくりと下がり始めた】
「ひ…どい…ちから…です…よね…」
【血まみれの腹を押さえながら言う。弱った体に反してその腕の光のエネルギーはかなり大きくなっているのだ】

653ガルテラ:2012/04/07(土) 01:44:59 ID:NntjvIzM0
>>652
「その力……ダメージに反して増幅している……!?
 ……しかし、撃たせはしない!」

尾を突き刺したまま、悪魔は右腕で鶫に掴みかかった。
翅は空に向かい、足で街灯を掴んで体勢を整える。

「オオオオオッ!!!」

吼えながら、邪悪な光がガルテラに集まっていった。
しかし、胸が貫かれているせいか、まだ時間が掛かりそうだった。

654防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 01:53:04 ID:WVrfsEdY0
>>653
「ぐぁっ…うぅ!」
【体をガルテラに掴まれて、そのカラダは固定される。】
【街灯を掴まれた状態で捕まり、地に足がつかない状態になっている】

「せ…め…ていち・・」
【力が段々と収束していく。此のまま発射されれば直撃などせずとも地面の一部を消し飛ばすほどの破壊力はもたらされそうである】

【だが、そのエネルギーは溜まっているが、引き金を引けない】
「がふっ…ここま…で…きて…」
【神経毒による麻痺で引き金に指がなかなかかからないのだ。それが結果的に攻撃の発射のタイムラグとなっているのであった】

655ガルテラ:2012/04/07(土) 02:03:32 ID:NntjvIzM0
>>654
「北を示す導きの匙の刻印よ!」

その右腕に七つの光が集う。
ガルテラは腕を振り上げた。

「道しるべの悪魔の名の下に……」

七つの光は、その場を覆い尽くさんばかりに周囲を染め上げる。

「落ちろ、光よ!」

その七つの光は、一定の軌跡を描き、鶫の身体を貫こうと、舞い降りた

656防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 02:11:05 ID:WVrfsEdY0
>>655
【鶫は光を発せられる間も鉄砲の引き金を引こうとしたが】
【それは一歩遅かった】
「あっ…!あぁっ…!あっ…!」
【発せられた7つの光は鶫の胸や脇腹など体を貫き通した】
【光の痕は鶫の体にはっきりと刻み込まれたのである】

「あぐぅう…う…うぅ…」
【だらりと両手を地面に下ろし、ゆっくりと顔をうつむかせた】
【標識に突き刺さったままであるために、立った状態のままである。】

657ガルテラ:2012/04/07(土) 02:17:46 ID:NntjvIzM0
>>656
金の巨大な目玉で、鶫を見つめた。
その力は呪縛を持つのか、人間に対しては見た目以上の恐怖を与えるかもしれない。
だが、その金色はどこか神々しくも見えた。

「……ここまで……にしましょう。
 少々、熱くなりすぎました……」

しかし、ガルテラはぐらり、と地に落ちた。
地面を引っかく。
すると、街灯は消え去る。

「もしあなたが今……それを撃つことができたら……私の敗北ですがね……」

地面に胸から流れる黒い血がしみこんでいく。

658防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/04/07(土) 02:27:27 ID:WVrfsEdY0
>>657
「ぁ…ぁぁ…!」
【もはやほとんど声も出せぬ状態でガルテラの目をじっと見つめた】
(なんで…こんなに…)
【鶫もまた、その恐怖の中に神々しい感覚を感じ取ったのである】

【街灯が消え去ると同時に、膝をついて地面に倒れ伏す鶫の体】
「ぅぁ…ぅ…」
【鶫の体からも赤い血が流れだし、地面を濡らしていく】
「げほっ…げぇ…うぇ…」
【時折体を痙攣させながら何度も血を吐いて悶えたが】
【結局その光を持った鉄砲は放たれること無く、鶫の目から生気が失われていった】

「防人鶫・生命反応の停止確認。再生後外部へ転送します」
【アナウンスが流れると同時に冷たくなった鶫の体は光りに包まれ消えていった】
【外の世界で再び元気な姿を見ることが出来るだろう】

【鶫:敗北】

659ガルテラ:2012/04/07(土) 02:36:51 ID:NntjvIzM0
>>658
「悪魔とは……不便なものだ……」

鶫のログアウトを見届けて、ガルテラは呟いた。
力を使い果たし、もう何もできない。
しかし、介錯が無ければ死す事も無い。

「……もし……私が最後を迎えるならば……
 この形が一番最悪だろうな……」

呟きながら、ガルテラはログアウトを選択する。
仮初の体はデータに還り、ガルテラは現実の身体で目を覚ますのだった。

660エドワード=ニュートリング:2012/04/15(日) 23:03:59 ID:xm/dFKGs0
「まだ見つけられないか。
我ながら無駄だな」

少し皺が目立つ顔を冷たく顰めてエドワードは見つけられない状況に憤る。
魔剣エクスカリバー―――死力を持ってして無としようとしたアレが誰かの手に握られ力を振るわれている。
いつの間にか別れた私と足立はそれを捨て置けは出来ないという点では意見を合一した。
だがしかし、足立はよりにもよって『以上が起きないなら手を出す必要は無い』と言った。

「足立め、何を悠長なことを」

周囲にあの剣の力を感じられるように感覚を拡大させていく。
どんなに小さな反応を隠し続けようとも、私の感覚はあらゆる防壁と次元を探りぬけさせる様に。

661早瀬川巴:2012/04/15(日) 23:14:32 ID:D9453KDM0
>>660

かの魔剣はいまや、かつて持っていた力とは相反する力を持つものに変化している。
エドワードのやっていることは、整形した犯人を、以前の人相書片手に捜すようなものだ。見つけられないのは当然の話。
しかし、彼が今とった行動は無駄というわけでもなかった。
彼が広げた感覚に引っかかる、「人外」の気配。吸血鬼――――早瀬川巴。
猛威を振るう魔剣の主として見いだされた、元人間の少女。その気配は、エドワードにも覚えがあるだろう。

「ええ……はい、なるほど……」

頼りない街灯の照らすベンチに座り、赤色にほの光る蝙蝠を手に乗せて何者かと話すような仕草をしている彼女に、
エドワードを感知した様子はない。

662エドワード=ニュートリング:2012/04/15(日) 23:23:37 ID:xm/dFKGs0
>>661
「逆転か…いや、それよりも。
これはあの感覚だ……間違いない、アレは奴が持っている」

その感覚をハッキリと掴み取り、辿っていく。
あの半血鬼の少女の感覚…あの時は小さかったが、多少は脅威になり得るようにはなっている。
だが、一番の脅威―――いや気に入らない事はその少女が振るっていることだ。

「なまじ壊せないからか、よりにもよって奴に返すか。
誰の手によるかは知らんが気に食わない真似をしくさってくれる」

憤りすぎている―――自身の口調の変化を感じながら少しずつ頭を冷やす。
怒りはあってもいい、だが冷静な判断は欠かしてはならないだろう。
今の私では足立ほどに上手く力は振るえまい。

やがて、エドワードは早瀬川巴の正面に辿り着く。
殺意は無く、ただ何かを取り戻そうとする意思を持って。

663早瀬川巴:2012/04/15(日) 23:33:13 ID:D9453KDM0
>>662

見た目だけならばどこにでもいる女子学生。
しかしその正体は人の命を喰らって生きながらえる、夜の世界に生きるモノ。

「そうですか、はい。だいたいわかりました。それで…………おや、あなたは確か……」

彼女――早瀬川巴は、正面に現れた男を見て、記憶を探るように口元に手をあて、

「エドワード・ニュートリングさん、でしたっけ。魔剣騒ぎのときはお世話になりました」

手のひらから蝙蝠を飛び立たせた巴は、エドワードに対し、軽く会釈をする。
あのとき、多くの人々の怨念を一人でどうにかしようとした、無謀な男。
だがそのおかげで、魔剣を封印する時間が稼がれ、魔剣の災いはこの都市から去った。
それ以降、巴はこの男に会っていないので、巴には彼が何を目的として現れたのか、見当すらついていなかった。

664エドワード=ニュートリング:2012/04/15(日) 23:46:50 ID:xm/dFKGs0
>>663
「ああ、その件に関しては私は知らん。
足立に会った時にでも勝手に礼を言っておけ。
悪いが私は貴様と談笑しにわざわざ探していたわけではない」

冷たい雰囲気を持って彼女に話しかける。
その眼は決して彼女に対して好意的な印象を受けない。
間違いなく、エドワードは外敵に向ける眼を彼女に向けていた。

「貴様の持っているエクスカリバー…いや曙光を私に返してもらう。
アレは貴様には不要の力だ、疾く私に返してもらおう」

エドワードは冷たく彼女を―――曙光を見据えて言った。
最初からエドワードにとって彼女などどうでもいいのだろう。

665早瀬川巴:2012/04/15(日) 23:54:34 ID:D9453KDM0
>>664

巴はエドワードの言葉に、一瞬きょとんとした顔をして、その後に眉間に皺を寄せながら、

「ええと、アダチって誰のことを言ってるかはよくわからないんですけど、
 曙光を返せって、もっとよくわかりませんよ? あれは私のものですし……」

エドワードの言っていることが、本気でよくわからないといった顔をしている巴。
今の巴は剣を納める鞘も持たず、着の身着のまま、外見上は前述したように普通の女子学生でしかない。

「少し説明を端折り過ぎていますから、最初から話してくれませんか」

ひそめ気味の眉からは、エドワードに対する巴の不信感がわき上がりつつあるのが見て取れる。
もっとも、そんなことを、今の彼が気にするとは思えないが。

666エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 00:14:07 ID:xm/dFKGs0
>>665
「知らないなら知らないで構わん、足立は勝手に貴様の前に出てくるだろうさ。
それよりも、曙光が貴様の物だと思っているか」

エドワードは最初から彼女の言い分に耳を貸す気は無かった。
話を聴く意志が無い以上、エドワードに彼女が何を言おうと、意味は無いだろう。

「フン、あの神共め。
端から私に渡す意志は無かったか…まぁ構いはせん」

僅かに足立の意図自体は掴めた。
だがどちらにせよ、何の実感も証明も無くそれを了承するほど私はいい人間ではない。
それに、目の前の吸血鬼が値する力を得るまで待てるほど気が長くも無い。

「最初から話せといったな、だが私はソレを話す気は無い。
そんな事を話した所で、今の我々の間では無駄以外の何者でもない」

エドワードは手元にコルト・アナコンダを現出させて。
冷たく光る銃口を彼女に向けていった。

「今の私にとって貴様に返す意志が無いなら貴様がどうなろうが知った事ではないからな」

667早瀬川巴:2012/04/16(月) 00:24:28 ID:D9453KDM0
>>666

目の前に出てきた拳銃を見て、巴はようやっと悟ったような表情になった。

「あー、なるほど、大体わかりました。あなた、ジャイアニズムの人ですね。
 おまえのものは俺のものってやつですか。で、それを少しでも拒否すれば実力行使と。
 ……あなた、何の目的があってあの剣を欲しがるかは知りませんけど、
 どうにも行動原理が幼稚すぎて滑稽に見えますよ。世界が自分のためにあると思ってるんじゃないですか?」

銃を向けられながら、巴はベンチの上で足を組み、

「残念ながら返答はNOです。拒否です。渡しません。渡すわけがありません。
 あれはもはや私の命の一部です。まあ、アフターケアが万全なら、また話は違ったんでしょうが……。
 どうやらその気は無いようですし、最初から交渉を持とうという頭が無いんでしょう、あなた。
 笑えてきますね。一度、猿からやり直すことをお勧めしますよ」

口の端をつり上げる邪悪な笑みを浮かべながら、巴は男に真っ向からNOを突きつける。
自分の命を蔑ろにするならば――――例え全てを滅ぼす魔王でも、世界を救う勇者でも、
関係なくそれを突きつけるのが彼女の性であった。

668エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 00:37:23 ID:xm/dFKGs0
>>667
「ああ、最初から私よりも未だ下級でしかない吸血鬼と交渉する気は無い」

相手の挑発的とも取れる言い分にも気にも留めることも無く。
ただ冷たく銃口を向けたまま動くことは無い。

「どちみち、私は貴様が返す意志が無い限りは銃は下ろさない」
だが、逃げるならば追うし、掛かってくるなら好きにすればいい。
だが、私から貴様に仕掛ける意味は私にとっては無い」

669早瀬川巴:2012/04/16(月) 00:48:34 ID:D9453KDM0
>>668

下級と呼ばれながらも、巴の笑みが消えることはなかった。

「意地汚い物乞いの分際で、よくもまあそんなに強気に出られたものですね。
 あなた、人間の言葉を喋る権利、神様から得てきたんですか? 神様なんているかどうかは別として、ですけど。
 ともあれ、これであなたは立派な粘着ストーカーというわけですか。
 別に良いですよ。気の済むまで、私に銃口を向けていたら良いじゃないですか?
 もっとも、そんな調子じゃ何億年経ったところで剣は得られないでしょうけど」

相手からのアクションがないということは、巴にとって、放っておけば問題はない、ということだ。
この男が何を目的にしているかはもはやどうでもいいが、アクションを起こさないということは、
それほど重要な案件でもないのだろう。
そんなことのために、自分の命の一部を差し出すなんて、本当に馬鹿げている。
一体この男は自分のところに何をしに来たのか、という疑問すら出てくるほどだ。

670エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 00:59:30 ID:xm/dFKGs0
>>669
「悪いな、生まれてから1年も経っていない。
それに強気にも何も、私にとっては事実を述べたまでだ」

相手の辛らつ極まりない物言いも、暖簾に腕押し。
彼は弱い奴の言葉とし歯牙にもかけない。

「何億か、その前に貴様が痺れを切らすだろう」

冷たく銃口向けたまま、その目線は彼女ではなく曙光へと向けられたままに。
彼は言葉を返していく。

671エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 01:17:55 ID:xm/dFKGs0
>>670  続き

「痺れを切らすまで心理戦をしてもいいんだがね。
さっき言ってないかもしれないが、引き金は引かない」

故に引き金を引かずに、仕掛けてみる事にした。
まぁ、多分また辛辣なこと言われるだろうが。

彼女の後方斜め45度に剣を現出させる様にイメージを持っていく。
取り出すのはただのロングソード、銅製ですらない陳腐なものだ。
現出した剣はレールを引かれた電車のように素早く彼女の肩へ飛来する。

意識を警戒している彼女に当たるはずも無い攻撃。
エドワードは何かを確かめるようにソレを放った。

672早瀬川巴:2012/04/16(月) 01:32:20 ID:D9453KDM0
>>671

飛来するロングソードは、巴による迎撃を受けることもなく、真っ直ぐに肩を貫かんと迫る。
……が、制服に触れた途端、甲高い金属音をたてて明後日の方向に逸れ、アスファルトに落ちて空しい音を続けた。
その一連の音に、巴は今気づいたような顔をして、

「……おや。攻撃されてしまいましたね。
 仕掛ける意味は無いとか言いながら、引き金を引かないなんて予防線を張って、引き金に依らない攻撃を仕掛ける。
 まるで小学生の理屈ですね。
 さっき、生まれて1年経ってないって言いましたか。……ふうん、それで小学生レベル。早熟な子ですね、えらいえらい」

何かほほえましいものを見るような目になって、小さく拍手。
それから、小さい子を諭すような口調で、

「素直になりなさいな。痺れを切らすも何も、あなた、最初からこうするつもりだったでしょう。
 強欲きわまりない自分を押さえつけるのも、もう我慢の限界でしょう?
 それならはっきり言って下さいよ。「剣を寄越せ。さもなくば殺す」って。
 結局あなた、その理屈でしか動けないんですから。どうぞ、もう一回攻撃して下さい。
 それが良い証拠になります」

巴は足を組み、ベンチに座ったまま。剣をけしかけられる前と、全く変わらない姿勢だ。

673エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 01:43:00 ID:xm/dFKGs0
>>672
「そう出来るならそうしたいものだ…。
まぁ、いい。ハッキリと言えば速いか」

どうして相手はこう傲慢でいられるのか。
これが年上の余裕と言うものだとするならば人による差を良く知っておかねばなるまい。
どの道、偶発的に死ぬ以外で死なれるのは私の周りに困るのだが。

「私の手で君を殺すことは確かに可能だ。
だが、悪いが私が殺せば私が足立に殺される」

そう言ってエドワードは今度は落ちたロングソードを再び、今度は相手の真上に現出させ。
自由落下に任せて落としていく。

「だから、一応宣言しておこう。
私は君を【殺せない】」

674早瀬川巴:2012/04/16(月) 01:52:41 ID:D9453KDM0
>>673

「でしょうね。私を殺すに足る力を持っている人は、まだまだたっぷりいる」

そこに、巴が曙光を手放さない理由がある。
それなりに力を得たとはいえ、未だ巴は、吸血鬼の中では下級だ。
だが、そんな吸血鬼の持つ、切り札に成り得る武器。それが曙光だ。

「また「アダチ」ですか……一体誰なんですか、その人。
 ま、それはともかく、『私を殺せない』。ええ、把握しました。
 ……で、その後にどんな逆説の接続詞を加えるんですか?」

頭上に、あたかもダモクレスの剣のように落ちてきたロングソードは、その間に飛び込んできた、
紅く弱い光を発する蝙蝠に触れて、やはり先ほどと同じ結果を辿った。

675エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 02:07:44 ID:xm/dFKGs0
>>674
「さっきも言っただろう、勝手にアイツの方から貴様の前に出てくる。
その時にでも聞けばいい。
後、逆説も何も無い。事実私は貴様を殺す寸前まで追い詰めても、
私に貴様を殺すことは出来ない、それだけの話」

何か小細工があるんだろう、相手は余裕がある。
もっとも、もう既に糸口は掴んだ…後は執るのみだろう。

「私のとって貴様を殺せない事は白いご飯が食えない位に悔しい事だが、
私も命は惜しい、だから私は(のっぴきならない事にならん限り)殺さずにその剣を取り返す(つもり)」

もっとも、足立と同じ意図を掴めたなら。
多分私も足立と同じことをするんだろうが。
今、前にいる吸血鬼に剣を持つに値する力など無い。

「さて、では始めよう。
私もまだまだ子供らしい、さっきの何処に怒りをもったか。
今貴様を殴りたくて堪らない」

言いようの無い怒りと言うのが頭を巡る。
恐らく之が足立の言う【ガキっぽさ】なのだろうか。
だが、今はただその笑う笑顔が気に入らなかった。

銃の引き金を引く。
弾の篭っていない銃は空砲を鳴らして、魔力の塊をベンチに放つ。

676早瀬川巴:2012/04/16(月) 02:22:13 ID:D9453KDM0
>>675

要約すると、殺さないけど剣は奪う。そしてお前の悪口にムカっ腹を立てたから戦う。
……まったく、どれだけ子供なのだろうか、この男は。
欲しい玩具を買ってくれない親に手足をじたばたさせて暴れる子供と、いったいどこが違うというのか。
「まだまだ子供」? 笑わせる。「まだ」なんて言葉を付けられないほど、この男は尻が青い。

「ようやく、しっくりくる答えが出てきましたね。無駄に背伸びをしすぎなんですよ、あなた。
 だから転んで、さっきまでみたいな醜態を晒すことになるんです。子供は素直でないと。
 もっとも、その姿で子供じみた真似されても、正直に言うまでもなくドン引きですけど」

ニヤリと笑って、ベンチから立ち上がる。
そこへ、相手が撃ってきた魔力の塊が飛んできたが、それが巴に当たることはない。
蝙蝠の群れに姿を変えた巴は、エドワードの噴水を挟んだ反対側に身を再構成する。

「力を持った子供って、一番質の悪い存在だと思いませんか、アイリスさん?
 世の中にはこんな変な人もいるものですねぇ」

ここには居ない誰かに向かって呟く巴の瞳は、挑発的に紅く光り始めている。
そして……エドワードが怒りを覚えるというニヤリ笑いは、まだ口元に張り付いていた。

677エドワード=ニュートリング:2012/04/16(月) 02:41:52 ID:xm/dFKGs0
>>676
「(流石に真っ向勝負は面倒だな)
背伸びか、生憎伸ばす背が無くてな。
悪いが、生まれた時からこういう性格だ」

いざ始まる、戦闘と言う行動。
頭の中に経験と言う知識はある。
だが、ここからは頭の中にある空論を現実にせねばならない。
だがどう攻略する?と言うか僕はこの短時間でどれくらい足立の評判を落としたのやら。
相手は吸血鬼、距離は勿論直接打撃で渡り合える相手かどうかだ。

何せ、僕は足立と違ってこの体を100%生かせるわけではないのだから。
限られた手札の中で如何にしてハッタリ効かせ、力を引き出していくかだ。
だが、取りあえずは、攻撃あるのみといこう。チャンスを待ちて手段を返す。

相手の笑いを崩すのは、その後だ。
油断してはならない、これが初戦なのだから。

「爆ぜて飛べ!」

銃を介して相手の周囲に目標つけて引き金を引く。
空砲と共に空気を焼き尽くす熱波が彼女へと向かう。

678早瀬川巴:2012/04/16(月) 02:53:36 ID:D9453KDM0
>>677

「悪いが、悪いがって、あなた何回謝ってるんですか?
 あー、でも二回くらいですか。あなたしょっちゅうそのセリフ使ってるでしょう。
 何かこう、仕込みが違いましたよ」

そんな冗談を言いながら、巴も能力を解放する。
右腕に激しく渦を巻き始めるのは聖炎。本来、魔を駆逐するためのそれだが、今は巴の力のひとつでもある。
十分な量を練られたそれは、右腕を振る動きと共に射出され、熱波と正面衝突を起こして、相殺し、破裂した。
その余波が周囲を焼いて、ベンチが焦げ、噴水の水を沸騰させて蒸気を出させる。

「お返しです、もう一回!」

その蒸気を割き焼いて、聖炎の塊が巴からエドワードに向かって疾った。
炎の激しさは先ほどエドワードが出した熱波を砕いてなお進むほどの勢い。
同じものを当てるのでは、相殺はできないということ。

679エドワード=ニュートリング:2012/04/22(日) 20:58:48 ID:xm/dFKGs0
>>678
「そう言う返しは生まれて始めてされた気がするよ。
私としては何時もどおりなのだが」

迫り来る炎に怯える事無く立つ彼は、
白衣の下から伸びたアームを使い何か力場を発生させる。
しかし、伸ばされたアームの力場も突き抜けられ、彼は炎を受けた。

身を焼き焦がす熱に痛みを感じる事よりも。
足立が手持ちの武装で奴等を相手によくやっていられると思った。
前面展開では弱い壁しか形成できない…まさしくピンポイントで防御するしかない。

「どの武装もピーキーだが…上手くやるしかあるまい。
目標捕捉、発射!」

先程の防壁とは違うパーツの付いたアームが二本白衣の下から伸び、
そのパーツからロケットが発射される。
ロケットの先端にはドリルの様なものが付いており、当たれば骨まで抉られるだろう。

数は4つで、全てがいま巴が立つ場所に向けられている。
速度は時速70kmだが、当たるかどうか。
もしこれで当たらなければ、相手は此方の身体に何らかの干渉をしている…はずだ

680早瀬川巴:2012/04/22(日) 21:29:18 ID:D9453KDM0
>>679

「いつも通りなのでしたら、私の言ったとおりということですね。
 悪いが、が口癖ってどうなんですか? もっと他に口癖にできるものがあるでしょうに」

スカートのポケットから、指ぬきグローブを取り出し、両手にはめる。
グローブの手の甲に縫われたルーン配列が、巴からの魔力を受けて、一瞬、青白く光る。
その動作の間、巴は放った聖炎の行く末を見届けるようなことはしなかった。
聖炎はこのための時間稼ぎでしかなく、ダメージを期待するものでもなかったからだ。
しかし、再び目を向けた相手は、どうやら聖炎によるダメージを、多少なりとも受けてしまったようだった。
それは意外に思ったが、すぐにその理由に巴は思い至る。

(この人、自分に大きな力があるからこっちの攻撃を避けるつもりがないんでしょうね。
 余裕を見せて、受けきって、私の力が尽きるのを待つつもりなんだ。
 なんて人だろう。こんな人に、「曙光」の存在を知られるなんて……!)

一瞬で燃えさかった憤りに思考を焼かれるが、巴はそれを大きく息を吐いて隅に追いやる。
白衣の下から機械が出てくるという、古典的な科学者キャラみたいな方法で、敵の反撃がやって来るからだ。
しかも、射出されたのは、ドリル付きのミサイルらしきもの。
何だかバカにされている気がした。

「ふざけた攻撃です……!」

巴は左手の甲に右手をかぶせる。すると、左手の甲のルーンが輝き、その表面から青白い剣の柄が現出した。
それをかぶせていた右手で握り、一気に抜剣する。現れたのは、全長1mほどの長剣。
半透明に光るそれを、感触を確かめるように一振りすると、巴は飛来するロケットに対して迷い無く跳躍、
一つ目のロケットを長剣で串刺しにして破壊し、続く二つ目、三つ目を、

「爆足眼!」

突き刺した長剣の柄を軸にして、逆さまになりながらの両足による蹴りで対応。
蹴られたロケットは、巴が蹴った場所を中心にして爆砕する。
そして最後の一つを、フリーだった左手に現出させた、青白いナイフ四本で迎撃。機能不全に陥らせ、撃ち落とした。
自由落下が本格的に始まるまでの瞬間でこれらを為した巴は、剣を大きく振って、串刺しのままのロケットを捨て、空中で体勢を変える。
そこへ、赤い光でできた蝙蝠が四匹やってきて、巴の両足裏を、二匹ずつで押し上げる。
加えて、足のバネを使った巴は空中での跳躍を果たし、剣を構えたままエドワードに肉薄した。

681エドワード=ニュートリング:2012/04/22(日) 22:03:53 ID:xm/dFKGs0
>>680
相手が仕込み無しで身体能力で対応するとは驚きだ。
なんと言うか、改めて突きつけられるときつい物だ。

(感謝すべきは、何故かハッタリが効いていると言う事だ。
この調子で力を出して貰えれば、此方も出力を上げられるんだがな)

肉薄する相手に対して、アーム二本は先程の力場をピンポイントに、
かつ収束した状態で保ちそれを肉薄する相手へ向け進行させる。
同時に、アームの一本がパーツを変形させてライトブレードを発生させ、
その状態で相手をしたから上に切り上げる。
もう一本は再び相手に向けてドリルロケットを二発放つ。

「さて、やれるかどうか。
放て雷鳴!」

アナコンダの銃口を相手に向けて、空砲を放つ。
ハデな音と共に飛び出したのは雷でできた国旗の付いたロープだ。
相手に縛り上げが効くとは余り思えないが、像すら縛り上げれるこいつを、
至近距離でどう回避する―――?

682早瀬川巴:2012/04/22(日) 22:29:00 ID:D9453KDM0
>>681

こちらへ迫る複数の攻撃。手数は多いが、

「避けきれないものでもありませんね」

空中で、前転の要領で再び逆さまになった巴は、膝を曲げた足裏に、先ほどの蝙蝠たちを集める。
蝙蝠たちは今度は上から押しつけるように巴にベクトルを与え、一気に伸ばした足が、それに大きな加速をかけた。
加速によって、巴の位置が急に変わり、ロケットはターゲットをロスト。
凄まじい勢いで地面に落ち始めた巴は、身を捻って下から来るライトブレードを回避する。鼻先すぐそばを、光の刃が通っていく。
もう少しで地面にぶつかるというところで、左腕をランディングギアにした巴は、吸血鬼の膂力で速度を持って落下する身体に急制動をかけ、
そのまま左腕で身体を跳ね上げ、国旗のついた雷撃に、足の下をくぐらせた。

(こちらが小さい存在だと思って……!)

ドリルミサイルやら、国旗のついた雷撃やら、こちらを小馬鹿にするような攻撃ばかりしてくる相手には、どうにも一泡吹かせてやらないと気が済まない。
それに、こんな相手に曙光が求められているというのも、気にくわなかった。

「……っ!」

着地し、両足の力で無理矢理速度を殺した巴は、右手の甲からもう一本の長剣を抜き放ち、
弾かれたようにエドワードに、更に接近をかけた。
地面をこすり、火花を上げる剣先が跳ね上がり、青白い刀身が巴の両側から、すくい上げるような斬撃を放つ。
狙いは、エドワードの展開しているアーム二本だ。

683エドワード=ニュートリング:2012/04/22(日) 22:59:18 ID:xm/dFKGs0
>>682
「流石に、近距離も分が悪いか――?
ならば、はっ!」

アーム二本は容易に切り裂かれた途端にパージされ、重い音と共に地面に落ちる。
残った2本のアームは展開している力場をそのままに振りぬいた相手を狙い左右から殴りかかる。
右足踵を地面に打ち付けて、土の鋭い杭を相手の腹目掛けて発生させる。
そうしながら白衣の袖に、ステアーTMPを手繰り寄せておく。

近距離は分は悪いが、ちょっとしたチャンスもあるはずだ。

684早瀬川巴:2012/04/22(日) 23:18:51 ID:D9453KDM0
>>683

「しゃらくさいっ! サーヴァント!」

振り抜いた剣を、勢いそのままに天に向かって掲げる。
すると、二つの塔のように天に伸びた刀身に、足場になったのとは別の、赤い蝙蝠が一匹ずつ飛び込んでくる。
蝙蝠は刀身の半ばに迷い無くぶつかり、その身を構成していた魔力を剣に憑依させた。
憑依した力は、〝N(ナウシズ)〟のルーン。

「例の退魔組織のために作ったものですが……!」

ルーンが乗ったのを確認した巴は、両手の剣を、殴りかかってくるアームに落とす。
欠乏の意味を持つルーンは、アームの展開している力場のエネルギーを急激に減退させ、
力場を貫通してアームに刃を届けさせることに成功。アームは天辺から真っ二つになった。
と、同時に、下から土で出来た槍が、腹部を狙って伸びてくるのを見て取った巴は、相手が吸血鬼との戦闘に慣れていないのを悟る。

「こんな至近で、この程度の速度とはっ!」

右半身を前に出し、土の槍を最低限のモーションで避けた巴は、出した右足で力強く地面を踏みしめ、
常人には対応できないほどの加速をかける。
近距離での速度戦において、吸血鬼に対応できるものは、そう居ない。
エドワードとの距離を一気に詰め、右手の剣で袈裟斬りをかけ、身を回転させながらの左手の剣の横一閃が繰り出される。
それら一連の、高速度の斬撃に、彼はどう出るつもりなのか。

685エドワード=ニュートリング:2012/04/22(日) 23:36:27 ID:xm/dFKGs0
>>684
真っ二つになったアームは素早くパージされ重い音と共に落下。
体は大分軽くはなったが―――後4本余っている。

「やはりまだまだ経験不足か。
だが、それならば乱射といこう」

加速をかける相手に対して、左手のステアーと右手のアナコンダの周りを、
空間固着した魔力を使い防備を張って加速した相手にぶつかりにかかる。
右の剣はステアーの魔力の壁によって滑り、掠める事無く外れる。
左の横一線は壁に滑ったが腿の辺りを浅く抉っている。

その状態から、服の下より四つアームが高速伸び、
地面にその四つは自身を叩きつけ彼を高く吹き飛ばした!

686早瀬川巴:2012/04/22(日) 23:53:08 ID:D9453KDM0
>>685

「まだ四本も残っていますか。まるで蜘蛛男ですね」

中空に向かって跳ぶエドワードを、巴は追わない。
連続飛行できるような機構でもないと踏んだのもそうだが、あんなふざけた機械が、
あと四本残っていることに、少々げんなりしてしまったからだ。
つまり、ドリルミサイルやら何やらが、まだ四本分も出されてしまうということだ。
遊ばれているような気がした。

「やれやれ、まるで切れない包丁でこんにゃくを斬っているような気分ですよ。
 このまままわれ右して、帰っちゃった方が、建設的なような気がしてきました」

戦闘が始まる前の態度といい、戦闘の手段といい、巴は相手が本気で曙光を求めているのかどうか疑わしくなっていた。
実は、曙光は星の数ほどある目的の中のひとつに過ぎず、たまたま近くにあったから求めただけ、の可能性も捨てきれない。
巴はため息を吐いて、両手に持っていた剣を投げ捨てる。
乾いた金属音を立てて地面に落ちた剣は、ひび割れてバラバラになり、虚空に霧散した。

687エドワード=ニュートリング:2012/04/23(月) 00:05:46 ID:xm/dFKGs0
>>686
「寧ろ私的には蛸男だと思うのだ。
蜘蛛男のシリーズ的にも」

きりっっとした真面目な顔で遠くに着地する。
服の皺を直しながらアームの調子をがちゃんがちゃんと確認。
連動は悪くない、残りは銅がどれだけあっているかだ。

「何、私が貴様を挑発しているだけかもしれないぞ。
まぁ、私が貴様に驚かされたのは否定しないが」

アーム二本には光学兵器の様なものが取り付けられており、
幾つかパーツが別れている事から、使い分けが可能なようだ。
一方彼の動きに連動して稼動する二本には先程よりも太く逞しそうに見える以外に差異は無い。
彼は拳を構えて振りかぶると。

「勝負はここからだといいんだが―――な!」

右手のアームで空中に向かって拳を振りぬいていく!
相手からみれば無駄に見える真似。
しかし高速で振りぬかれた拳の衝撃は空間を越えて一瞬で相手に到達する。
とはいえ、見え見えの動作で行った行動だ、恐らく当たりはしないだろう。

688早瀬川巴:2012/04/23(月) 00:19:01 ID:D9453KDM0
>>687

「私を挑発したところで、何も得るものはないと思うんですけどねぇ……。
 そもそもあなた、やる気あるんですか?」

腰に手を当てて、半目になって相手を軽く睨む。
確かエクスカリバーの事件の際には、それなりに真面目そうな銃や剣を使っていたはずだ。
それが今はどうだ。ビックリドッキリメカのアームや、国旗の出るような銃。
これはどう考えても相手は本気でやっていないだろう。

「実は曙光、そんなに欲しくないでしょうあなた。他に手段があるんじゃないですか?
 だからそんな子供アニメみたいな武器でぐっ!」

相手が放った衝撃波は、面倒くさそうに話していた巴の額にヒットした。
頭がガクンと上側に逸れ、足が一歩二歩後退する。

「…………他があるなら、どうぞそちらを当たって下さいな」

頭の引き戻った巴の額は赤い。
彼女は何でもないように話を続けたが、睨む瞳の眼光は先ほどよりも鋭くなっていた。

689エドワード=ニュートリング:2012/04/23(月) 00:34:42 ID:xm/dFKGs0
>>688
少し苛立つ。
子供アニメみたいな武器とか言われたことに関してである。
これでも結構大変な苦労がかかっているのだ。
足立のように天才と呼べるほどいい発想が浮かばないなりに。
大体大真面目なだけな武器作った所でどうせ使い潰しだ。
だったらちょっと斜め上に突っ走った方が愛着がわく。

「実は欲しくないとは心外だぞ…。
私は最初から最後まで大真面目だ」

これで大真面目というのは、
もっと性質が悪いような気がするが多分本人の言う通りなのだろう。
彼は腕を前に出したボクシングスタイルをとると。

「残念ながら、触媒として望めるのは(今の所)ソレしかない。
貴様を、私が的確でないと今は思っている以上渡してもらうぞ」

彼は猛速で相手に対して突っ込んでいきながら、右で三発ジャブを放つ。
一撃一撃は空間を超越して直接打撃を与えていく。
放たれる前に回避する反応速度を持つ相手に有効かそうでないかで言えば、
有効ではない。
左でも二発ジャブを撃つが、此方は直接打撃を与えられてはいない。
もしかしたら、空間攻撃は右だけなのだろうか。

690早瀬川巴:2012/04/23(月) 00:53:25 ID:D9453KDM0
>>689

「ふうん、大真面目だったんですか。へえ、そうですか。それは良かったですね。
 武器の造形が、まったくそれを感じさせないところが悲しいですね」

本人にその武器に苦労と愛着があっても、他人である巴はそれを知らない。
だから、「真面目」と言われても、「真面目に小馬鹿にしている」としか、彼女には伝わらないのだ。
彼女にとってはやはり、子供アニメの武器でしかない。

「だから、何の目的だろうと、あなたに渡すのだけはゴメンですってば。
 わからない人ですねぇ、あなたも」

相手の要求を、いつも通りの感じで拒否した巴は、相手がまた拳を構えたのを見て、左胸に手を置く。
相手はあの衝撃波による攻撃で、チマチマとこちらを攻撃してくるつもりらしい。
しつこい上に嫌らしいとは、人間として低位の部類に入る見上げた人格だ。
だが、

「いつまでもあなたの遊びに付き合ってもいられません。私にも都合ってものがあります。
 あなたほど、私は暇じゃないんですよ」

飛来した三発の衝撃波を、巴は紅く光り始めた瞳で見据え、

「だから、手っ取り早く済ませます。
 ――――『曙光』、出番ですよ」

衝撃波は全て、巴の周囲を囲む透明なフィールドに触れ、フィールド表面で白い光を出して消滅した。
巴の身体が白い稲光を纏い始め、彼女を中心として、にわかに強い風が吹き始める。

691エドワード=ニュートリング:2012/04/23(月) 01:15:30 ID:xm/dFKGs0
>>690
途中で踵でブレーキをかけて、相手を視認する。
―――マーカーは確かに当たった、位置は相手の左腕と足。
相手に直接当たったわけではないためややぼやけているが十分だ。
しかし、意外と速く抜いたものだと思う。

彼はアームを全てパージしていく、重い音が連続して響いた。
そして、彼は相手をきりっと見据えてその発動を良く見る。

(相手は曙光を抜いた―――これで私と相手のバランスは。
相手のほうに傾いたと言わざるを得ないだろう)

曙光が相手となると、私だけの能力ではやや勝ち目薄い。
勝機が無いわけではないが、それも足立程上手く立ちまわらなければならない。
ハッタリが効いている内はいい事だが暴かれるのも時間の問題。
アナコンダを白衣の中へ収納して、左のステアーを強く握る。

「ここからだな、どれだけのモノか。
見せて貰うとしよう―――!」

右の手を地面へと伸ばしていき、その腕は黒い泥の様な物に飲み込まれる。
ずぶりと耳障りに音を立てて私の腕を飲み込むように覆っていく。派手な光を放つわけでも強い風が吹いているわけでもない。
だが、此方に吹く風はいつの間にか消滅し、泥は何か笑うように気配を湧き上がらせる。
触れてはならない物、関わってはならない物と思わせるような何かを私の腕を飲み込む黒い何かは放っていた。

692早瀬川巴:2012/04/23(月) 01:43:53 ID:D9453KDM0
>>691

光と強風のただ中に立つ巴は、左胸に当てていた手をゆっくりと退ける。
そして、何かに耐える姿勢を取るように前屈みになる。黒髪が顔を覆い、表情が読み取れなくなった。
が、それもごく短い時間の間だけ。突然、巴は弾かれたように上体を反らす。その胸からは夥しい量の血が噴き出していた。

「ぐ……ううっ」

震える手指を押さえつけつつ、右手が血の噴水と化した胸に伸びる。
右手は血に隠れる傷口から、〝何か〟をしっかりと掴み、一息分の間を置いて、それを一気に引き抜いた。
それと同時に、これまでと比べて強い勢いで血が噴き出したが、不自然なことに、
右手が〝それ〟を抜いた後、傷口から吹き出す血が、栓を閉めた蛇口のように、ピタリと止まる。

「…………はあっ……」

血だらけの右手で、柄巻によって装飾された柄を保持された〝それ〟は、一言で言うのならば日本刀だった。
柄巻と鍔は繊細な飾りを持ちながらも、雪原のように真っ白であり、異質な印象を与える。
80cmほどの長さの刀身は銀色にぎらついていたが、その刃紋は緩やかな曲線を持つ地平線で輝く暁の光のような、穏やかな光を反射した。
もはやエクスカリバーの頃とは、造形が似ても似つかないが……これが巴の切り札、聖魔剣「曙光」の姿であった。

「ふぅー…………」

細い息を吐きながら、巴は曙光を下段に構える。
右足をやや前に出し、そのまま制止。紅い瞳で、真っ直ぐに相手を見据える。

693エドワード=ニュートリング:2012/04/23(月) 02:03:46 ID:xm/dFKGs0
>>692
彼の眼には彼女は映ってはなく。
何処を見ているかもわからない視線は地面をゆらゆらと追う。
泳いだままの視線で、彼はぼそぼそと何かを呟いている。

「―死に安らぎはなく、
曲折の果てに其は訪れん 、
総ては我が意志の逝くままに」

どろりどろりと私の腕に絡み付く黒い物は、
曙光を確認すると笑う様にその気配を歪ませて。
反応するように私の右腕を吐き出すように引き上げた。

「―――腕を食われるかと思った」

そんな風に思われるとは心外だ、と言わんばかりに。
剣は静かにその気配を揺らめかせていく。
剣の外観は簡素な握りと鍔や柄が無く、長さ1mの黒く僅かに湾曲した刀身を持つ。
視認して受けるその印象は『真っ黒』であると言うのが強い。
だが奇妙なのは、その剣は光を反射する事が無くそこだけが穴が開いたように何も感じさせない。

694早瀬川巴:2012/04/27(金) 21:34:51 ID:D9453KDM0
>>693

抜剣の際に巴が多量に流した血が、まるで生き物のように巴の足下に集まり、
そのまま彼女の影に飲まれて消えていく。
制服の胸を盛大に染めていた血も、生地の裏側に吸い込まれて消えた。

「………………」

巴の視線は相手の持つ剣に向いている。
あの剣には見覚えがある。魔剣騒ぎのときも、あの男が使っていた。
あのときは解らなかったが、聖魔剣と一体化した今なら解る。あれは何かが封じられている。
それが何かまでは解らないが……聖魔剣から感じる波動はいつも通り穏やかだ。
つまり、未知であっても、脅威と感じる必要はない、ということ。

「………………」

視線をエドワードに戻す。
この男が何を考えてあの剣を呼び出したのか……それはこれからの展開で解ることだろう。

695エドワード=ニュートリング:2012/04/27(金) 22:33:49 ID:xm/dFKGs0
>>694
「二回目だが、慣れないな」
(そう言うもんじゃないぜNew相棒君よう。
これから■たちゃなが〜〜〜〜い付き合いになるんだからよぅ。
しっかしあれだねぇ、またなつかし〜〜い顔にお目に掛かったもんだねハハハッ)

剣は会話するように気配を明滅する。
何故かは知らないが俺はコイツがどう言う事を言っているのか。
足立は普段はノイズしか聞き取れないらしいが…。
こいつに聞いてものらりくらり、いい答えが帰ってきたためしが無い。

「ちっ、今日はおしゃべりな日か」
(しぃいかぁっし、吸血鬼かぁ。
ハハァ、しかもあの嬢ちゃんとは一回チャンネルが繋がってたっけなぁー。
こりゃ、■の声、あのじゃりじゃりした嬢ちゃんに聞こえてるかもなぁ、ホッホ〜ウ)

やけに楽しそうに、この前よりも遙かに良くしゃべっている。
おまけにチャンネルが繋がっていて向こうにも聞こえているかもだと?
もし聞こえていたら気の毒だが……。

私はゆっくりと剣を構える。
正眼に構えて剣先を相手に向ける。
戦が始まれば黙ることを祈って、私は剣を向ける。

696早瀬川巴:2012/04/27(金) 22:48:10 ID:D9453KDM0
>>695

剣の言う「チャンネルが繋がった」というのは、魔剣騒ぎのときのあれだろう。
しかしあれはエクスカリバーとしての魔剣が間にあった時の話であって、
本質から変わってしまっている聖魔剣を握っている今、相手方の声が巴に届くことはない。
なので、巴からすれば、エドワードは何やら独り言を呟き始めた様子にしか見えない。

「…………」

また細く長い息をついた巴は、聖魔剣の柄を握り直し、刀身を下げたまま横に構えて、

「縮地」

巴の姿がかき消える。
そう思った次の瞬間には、もう巴はエドワードの目前に居て、膝を曲げて腰を落とし、
身体のバネを使って右側から鋭い逆袈裟斬りを放とうとしている!

697エドワード=ニュートリング:2012/04/27(金) 23:12:34 ID:xm/dFKGs0
>>696
「!」
(0.46、中々って所だねぇぃ。
でもちょっと相手がお悪いんじゃありません事よ?)

右からの袈裟切りを素早く剣で受ける。
そのまま右に薙ぎ払いの動作に左のステアーによる乱射を重ねる。
もっとも、当たるかは別の話。

「対応はギリギリ、と言いたいが」
(まぁ、ちょこっと遅いねぇ。
だから右の肘斬られちってるからなー)

痛みが肘に走る、割と深くやられたらしい。
斬られた間から肉がぶっつりいかれている。
痛みはあるが、動かないほどじゃない。

698早瀬川巴:2012/04/27(金) 23:28:16 ID:D9453KDM0
>>697

袈裟斬りが受けられた時点で、巴は再度の縮地に入っており、乱射と薙ぎ払いは空を切った。
次の出現場所はエドワードの左後方30m付近であるが、そこを狙っても仕方がない。
3度目の縮地で公園のどこかの闇に紛れてしまい、既にその場所には居ないからだ。
そして、今の斬り合いでひとつ、解ったことがある。

(この人……思ったより強くない)

以前の魔剣騒ぎの時には、もっと強かったはずだが、今のお粗末な対応はどうだ。
いかに高位の存在とて、陰気を喰らう聖魔剣の一撃を食らって無事に済むはずがない。
あのときのエドワードならばそれが解った上で、刀の軌道を逸らすことに力を注ぐはずだが、
今の彼はそれが解っていない上に、剣の扱いにあまり慣れていない印象を受ける。

(そういえば……)

初めから違和感はあった。
魔剣の怨念を説得した彼と、聖魔剣を求めて攻撃的な態度を取る今の彼。
そこに、戦闘技能の評価が加わると、どうにもあれはあのときの彼とは別人なのではないかという思考が起きてくる。

(……偽物?)

そう断じるのはまだ早いとは思うが、違和感は存在感を増してきている。

699エドワード=ニュートリング:2012/04/27(金) 23:48:51 ID:xm/dFKGs0
>>698
「流石に小細工無しはキツいな…」
(■っちに振りまわされってからなー。
欲望とかいろいろOld相棒を凌駕してるんだがねー。
たりないのはアレだアレ、リラックス?落ち着きって奴かね。
後は小細工とか工夫とかいろいろって奴だけどなー、まずはきっちり相手を見て攻撃と防御しようだ)

力馬鹿と言いたいのかコイツは。
器が合っていないのもあるが、足りないのは経験則と言う奴だろう。
というよりも、今日はコイツやけに親切で気持ちが悪い。
だが言っていることは正しい、頭ばかりで実践が伴わない私にとっては有り難いものだ。
ならば、相手を良く見て、ポイントを察知して―――。

(眼には魔力を込めてってな、我が目は千里先すら見通す。
そして手に力を込めて、滲み出す力をすこーしずつ固める!)

眼に魔力をこめて夜の闇から相手の位置を暴きだし。
手に強く強く力を込めて、剣を握りどろどろしてゆらゆらする形を。
私が握っている剣の形へと、型にはめる様にがちゃりと。

剣は触手を伸ばす様にその力を徐々に周囲へと滲み出していく。
内に封印された存在が徐々にその牙を現出させる。
さっきまで何の力も示さなかった剣は、解き放たれた野獣の様な。
檻から放たれた獅子の様に、聖魔剣を持つ彼女に向かってその気配を向けていた。

700早瀬川巴:2012/04/28(土) 00:03:45 ID:D9453KDM0
>>699

(来たっ)

相手の戦闘技能が思った通りに未熟であるならば、特別な剣であろうあの黒い剣の力を解放する。
そう思っていた巴にとって、その行動は前提を証明するものとなった。
であれば、あの剣の力を打倒し、未熟な本体、エドワードを撃退すればこの戦いは終わる。
此度の戦闘は、黒い剣と自分との戦いであると言っても過言ではないだろう。

「………………」

そこであえて、巴は隠れていた茂みからゆっくりと歩んで姿を現した。
位置はエドワードの右前方に見える、林に隣接したベンチの横だ。
聖魔剣を下段に構えたまま、紅い瞳は静かにエドワードを見ている。

701エドワード=ニュートリング:2012/04/28(土) 00:20:40 ID:xm/dFKGs0
>>700
(さぁさぁめくるめく技の数々ってなー。
今日のお題目はそう刀って奴で行こうか、うんそれがいいねぇ)
「また勝手な…だが、乗るしか今は無いか」

ステアーを白衣に収納して、右手を剣の刀身に近く、左を遠く握り。
手始めはそう、さっきの縮地だったか。アレに似た技を私は知っている。
問題は視認した位置が無ければ出来はしないが、今ならば或いは可能。

「歩月…」

剣を素早く納刀するように腰に回して滑るように地をかける。
一見すれば納刀した途端に消えたように思えるほどの速さ。
次の瞬間に真正面から高速の右横薙ぎが相手へと襲い掛かっていく。

702早瀬川巴:2012/04/28(土) 00:32:55 ID:D9453KDM0
>>701

相手も縮地を使ってくるとは思いもしなかったが、そんなことは驚きには値しない。
その速度域は驚異的ではあるが、縮地の法は異能の剣客として生きている者の間では、
わりと「ポピュラー」な戦闘技能だ。
そしてそれは、吸血鬼である自分にとっては、十分に対応できる速度。

「……ふっ!」

地面に刃先を向け、垂直の形に聖魔剣を黒い剣との間に割り込ませ、巴は剣を受ける。
激しい火花に瞬きをすることなく、そのまま地面と平行になるように聖魔剣を持ち上げて、刀身の上を黒い剣に滑らせ、
剣に引っ張られる形で伸びた相手の身体、その左膝を、アスファルトをも砕く勢いで、右足で踏みつける。

703エドワード=ニュートリング:2012/04/28(土) 00:42:04 ID:xm/dFKGs0
>>702
(相手の踏み技、返す刃は―――)
「剣閃返し―――!」

踏みつけられた左膝はアスファルト砕き沈み込む、しかし。
その状態から踏みつけられた左足を軸にして剣から手を離す。
そして素早く右と左の手を変えて。
刀身を返して回転を加えて剣圧をもって上の相手に剣戟を撃ち放つ。
その様はさながら竜巻く風の様に、相手を斬ろうと剣圧が迫っていく。

左膝に痛みが走る、だがそれを歯をかみ締めて押し殺し。
その位置からできる一番早い反撃の剣を放っていく。
傷を恐れず、返す刃は相手に届くかどうか。

704早瀬川巴:2012/04/28(土) 00:57:27 ID:D9453KDM0
>>703

相手の左膝にはダメージを与えたが、その状態から剣圧による反撃を、相手は撃ってきた。
咄嗟に身を捻って直撃は避けたが、それでも右肩をかすめ、血肉が飛び散った。

「っ……」

当然、痛みは走るが、そうも言っていられない。
剣圧を放った後、相手は更に、斬撃を繰り出してきた。
捨て身の一撃。故に鋭く早いが、

「甘いのです」

聖魔剣から左手を離し、弧を描いて来る黒い刀身を、あえて身体の近くに来るまで見逃し、
胴を捉えて突き刺さったその瞬間、左腕と身体を使って剣を無理矢理挟み込んだ。
剣の刃が肉に食い込み、激痛が走るが、巴の口元には、長い犬歯をむき出しにしたニヤリ笑いが張りついていた。
それもそうだろう。捨て身の一撃を止めたのならば、あとはその対価を相手に支払って貰う瞬間があるのだから。
その対価は、残った右手で保持していた聖魔剣による、相手の左肩への突きという形でやって来た。

705エドワード=ニュートリング:2012/04/28(土) 01:08:30 ID:xm/dFKGs0
>>704
左肩に突き刺さる剣はどろりとした何かに阻まれるが、
ぞぶりと左の肩に突き刺さっていく。
だが、嗤う様にその力を歪める剣の様に。

(肉どころか骨まで喰われて尚立ち放つは―――)
「喰らい付く―――!」

野獣の様に貌を変えず、されどその眼は確かに嗤っていた。
突き刺さった剣を意にも解する事も無く、どこから出したのか。
彼は『もう一本』の、同じ形状の剣を右手で持ってその剣を右手の肘に、
手を使わずに何か力を使って飛ばした。
さらには元々の一本から左手を離していく。

706エドワード=ニュートリング:2012/04/28(土) 01:30:37 ID:xm/dFKGs0
>>705
左肩に迫る剣は刺さる瞬間、黒い泥の様な物に触れるが。
何の事はないように異常無く左肩に突き刺さり貫通する。
しかし彼は怯む事も痛みに悶える事無く左手の剣を手放す。

(いいねいいね、いい感じに生存欲求が湧き上がって力が湧いてくるねぇ)
「―――ぐぅ…ん!」

地面に落ちた剣は静かに霧散していき、その存在を消す。
それを気にも留めずに彼は右手で貫通した剣を持つ相手の手を。
何か黒い泥みたいな気色の悪い物を纏った手で迫っていく。
貫通した傷口からは血というには余りにも粘り気のある黒い液体が湧き出し、
まるで剣を喰らう様に徐々に剣を通じて相手の手に迫っていく。

湧き出す液体は剣を固着するように運動エネルギーを消滅させていっている。
いかに力をこめようとも、その力が伝わらねば剣は抜けない。
聖なる気を放つ剣を昇る黒い液体は時折消えていくが、徐々に進行していく。
恐らく彼の右手は黒い液体と同じような力を持っているだろう。
触れればいかに悪魔の体とて無事ですむ様なものではない。

707早瀬川巴:2012/04/28(土) 01:48:35 ID:D9453KDM0
>>706

傷口から伸びてくるその黒い液体にやや危険な雰囲気を感じた巴は、グッと力を入れて聖魔剣を抜きにかかる。
が、まるで樹脂に固められてしまったように、剣はびくともしない。この液体の影響か。
しかしこれは逆に僥倖とも言えた。相手が使っているこの黒い物体が何なのか、理解する手がかりにもなる。
そこで巴は、抜くために入れていた力を抜き、改めて聖魔剣を握りこんで、

「喰らいなさい、曙光」

聖魔剣、陰気を喰らい、自らの力に転換する性質を持つ、その陰気に対する天敵とも言える剣が、その本領を発揮した。
刀身を上ってきている黒い液体が、まるでスポンジに触れた水の様に勢いよく吸われ、元の銀色の刀身がその姿を晒す。
その現象は刀身全体に及び、相手の左肩で剣を固めている液体も吸い上げ、刀身の自由を取り戻す。
それを確認した巴は、相手の肩の中で刀身を回転させて傷口を広げつつ刃を上向きにし、肩の上半分を斬り進んで聖魔剣を相手の肩から脱出させた。
その上で、自分に迫っている相手の右手を見据え、

「いやらしい手ですね。変態さん」

左足を跳ね上げ、相手の首元を足の裏で踏みつけるように蹴りつけて、その反動を利用して跳躍し、エドワードから離れた。
仮に、蹴りつけた足が当たらずとも、右足で地を強く踏みつけた巴がエドワードから離れるのは確実。
これで、両者間の距離は20mほどに大きく広がった。

708エドワード=ニュートリング:2012/04/28(土) 02:08:52 ID:xm/dFKGs0
>>707
後ろに回転して着地する。
ふと気が付けば、さっきまで掻っ捌かれていた肩は。
なにか黒い物で埋め尽くされて―――あっさり塞がった。
マズイ―――僕はさっきまで何をしていた―――?

(あらら、残念残念。
後もうちょっと近づいてくれりゃあなー)
「お前の仕業か…」
(傷口の『消滅』は■の仕業、だがソレをなしたのは欲望って奴よぉ。
まぁアレだーさっきよりかはどーんと無茶していいんだぜー?)
「それで喰われちゃ世話が無い…!」
(……オマエ程喰い甲斐のある奴をすぐ喰っちまうかよ)

腕を握る、右手には今だ気色悪い感覚が残る。
まるで腕を上から握られているような感覚。
相手の技は確かなる脅威だが、返す刃ができるならば。
まだ手段は潰えず、方法を出し切るのみ。

(こっからは好きやっちまっていいんだぜー。
そっちの方がお前向きっぽいしよー)
「そのほうが確かに楽だよ、ああ。
何だかんだ、私にはこれが一番向いているようだからな」

右手を握ると直に剣は再びその姿を現す。
徐々に剣と、そして彼から沸き立つ力は大きくそして固まっていく。
彼は走り出すと、剣で空を一度切る。
すると、剣から放たれた黒い剣閃が相手へと向かって行く。
放たれた剣閃には仕込みとして攻撃感知と同時に爆発し、
周囲1mに約200kgの加重を肉体にかける式を組み込んでおく。
たかが200kg、さほど効き目は無いだろうが。

「複製用意、装填―――…」

先程よりも遙かに速い速度で20mの距離を詰めていくが。
その行動は一見すれば余りにも愚直な前進。
これまでの行動を鑑みれば、何か小細工があるのだろうか。

709早瀬川巴:2012/04/28(土) 02:23:03 ID:D9453KDM0
>>708

液体が満たされて大きな傷口が再生する様は、何かの映画で見た液体金属人間のようだ。
確かあの怪物は、人の形態データを取り込んで、その人とうり二つの形に変形する能力を持っていた。
やはりこの男、偽物か?

「やれやれ、偽物につけ狙われるなんて、ダーティな話ですね」

飛んでくる剣閃には、〝N〟のルーンを付与した蝙蝠をぶつけ、その内包エネルギーを縮小させて消す。
どうやら中に何らかの術式を仕込んでいたようだが、〝N〟のルーンを前にしてはそれも無意味だ。
その剣閃の後ろからは、剣を構えてエドワードが突っ込んでくる。また突撃か。

「……ふうーっ」

細く息を吐いて、聖魔剣を下段に構える。
相手には何かの算段があるのだろうが、やることは変わらない。

710エドワード=ニュートリング:2012/04/29(日) 23:30:56 ID:xm/dFKGs0
>>709
無効化された剣閃は消失したが、仕込まれた術式は戻ってきた。
帰還式を仕込んだ覚えは無い、つまりはまたコイツの小細工か。

(んん、ちょっと遊びすぎたかな。■がだけど。
―――んじゃ、かるーくいくっかね)
「加速、装填した準備から4つ選択。
―――発射」

剣を再び、今度は斜め右からの薙ぎ払い―――と同時に一つ目を放つ。
放つは先程のマーカーした相手の左腕と右足を使用した局所的な加重。
800kgの加重を、マーカーした左腕と右足に対して発生させる。
局所的ならば、僅かながらでもバランスが崩れるか?
続けざまに二つ目は自分の斜めから放つ雷撃、回避の方向としての提案として、
相手の左足を狙って放っていく。

さらに三つ目、今度は相手の右肩を狙って自分の左足の足元から、
岩の槍を放っていく、エネルギー量は高密度に式としてエネルギー低下、
または命中すると爆発していくようにしてみた。

最後の一つは相手のタイミングを見て使っていこう。
行動の記録はした、後はこの攻撃が通用…するだろうか。
経験では明らかに開きがある、油断補正があったとてこんなモノがあたるか?
というより、吸血鬼ってどんくらい身体能力が高いんだ…。

711早瀬川巴:2012/04/29(日) 23:53:57 ID:D9453KDM0
>>710

突撃からの斬撃。先ほどと同じパターン。
立てた聖魔剣で受け、今度はどんな反撃に出ようかと思った巴の左腕と右足に、
突如不可解な「重さ」がやって来た。

「…………!?」

仕組まれた。そう思った瞬間は既に遅く。
満足に力の入れられない足と腕を持っていては、剣を跳ね上げることも出来ず、
巴は相手から飛んでくる雷撃と、土の槍をまともに食らってしまった。
雷撃で痺れたところに、爆発性の術式を打ち込まれた巴は、そのまま受け身を取ることも出来ず、
十数メートル後方に飛ばされてしまう。

「うっ……げほっごほ」

何とか握り続けていた聖魔剣を杖に、片膝の体勢にまで起き上がるが、
腹部が裂けて制服が真っ赤に染まり、口からもそれなりの量の吐血をしてしまう。

712エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 00:06:00 ID:xm/dFKGs0
>>711
当てた―――したらば間髪いれず追撃の手を打つ。
選択した最後の式を相手に向かって放っていく。
相手は吸血鬼、どれくらいしぶといのかわからない。
下手に狙って避けられるのならば―――

「数を連ねて打ち砕くのみだ」

術式を開放し、組み込まれた式を持ってして剣が精製され。
相手へとその一本は飛んでいきながら、その姿を『複製』して、
しまいには面となって3秒間、絶え間なく相手へと襲い掛かっていく。

弱っているとは言え先程の身体能力はそう簡単には崩れない。
私の持つ吸血鬼の知識がそう告げている。
だが、所詮は鉄製の何の変哲も無い剣だ、複製された剣は元の剣に比べ、
精密に組むよりも数を連ねるために、一言で言えば切れ味が悪い。
元となった剣もお世辞にもいいしなとはいえない―――相手の強度によるが、
恐らく刺し傷切り傷よりも、打撲や打ち身と言った感じでダメージが行くだろう。
―――それか、ここに来て使っていない(ようにはに思えない)魔眼を使われているか。

いずれにせよ私にとっては経験面では格上の相手。
最初の様に侮って闘うのは適切ではなかっただろう。
だからこそ私の体はこんなにもダメージを受けている。

713早瀬川巴:2012/04/30(月) 00:32:18 ID:D9453KDM0
>>712

始め――――この男と再会したとき、巴はこの男と友誼に似た何かを結べると、淡く思っていた。
あの魔剣騒ぎのとき。魔剣は自分の気持ちを代弁してはいたけれど、手段がとても嫌だった。
無差別の殺戮……例えそれが、自分たちを殺したものと同類であったとしても、それぞれに「個」が生きている限り、
それは自分たちを殺したものがした、最低で下種な、理不尽で非道な行為と、一体何が違うというのか。
そんな気持ちを持っていたからこそ、魔剣の主に選ばれはしたものの、魔剣に人格を封印されてしまった。
それを止めた者の一人が、この男だ。この男は、それを止めるために危険を冒し、結果、魔剣を封印することに成功した。
あの時の男と、今ここに居る男は、別物のような気はしている。しかし、同一ではないという証拠もない。
もし……同じだったら?

「…………げっほ……そんなの、関係ないじゃないですか」

そう、同じだとしても、今となってはもう、関係がない。
曙光は既に自分の心臓と合一して、文字通り命の一部となっている。
曙光のおかげで聖気にも耐性がついたし、この分だと日の光の下に出ることも可能だろう。
それを、この男は奪うという。
自分の、命を。

「…………そうですか。あなたも、わたしを殺すんですね」

ああ、なんてシンプルなんだろう! 最初からこの答えにたどり着けば良かった!
最初からこの男は言っていたではないか、「曙光を奪う」と!

…………許せるか、その行為を?

「許せない。………………絶対に殺す」

最後にボソッと呟いた巴は、瞳を紅にぎらつかせながら、跳ね上がる様に立ち上がり、
面となって降り注ぐ剣の悉くを、聖魔剣で斬り捨てた。
刃と刃がぶつかり合い、曙光の刃が蜃気楼の様な軌跡を残しながら、まるで布でも斬っているように、
振ってくる剣を次々と真っ二つのがらくたに変えていく。

「行きますよ、曙光。ついてきなさい」

一定の数を斬った巴は、そのまま剣の弾幕に飛び込み、ある時は斬り、ある時はぎりぎりかすめない程度に、
最小限の動きで回避していく。

714エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 00:51:03 ID:xm/dFKGs0
>>713
魔剣『無貌の神』は考えていた。
はたして今コイツ(エドワード)はどれくらいの範囲まで遊べるのかを。
生まれたばかりの子供の様に純粋に欲求を持ち、欲求のままに力を振るう。
ネガティブに聞こえるがコイツはコイツの思うままに動いていると言う事だ。
だが、いきなりあの剣の相手をさせるにはまだ荷が重いとも考えていた。
……まぁいいだろう、どれだけ追い詰められようがあのネンネみたいなガキに、
やっと手に入れた最も純粋で、最も運命に疑問を持った器を壊させるものかってね―――。

「流石、だ。
これで何回肝を冷やされたかな」
(数にして12だぜ、それでまだ納得しないのかい?)
「まさか、彼女は私が想像していたよりも遙かに優秀だった。
―――ここからはただの負けず嫌いだ」

負けたくは無い、それだけ。生まれて始めて、負けたくないと思った。
全力でコイツに勝ちたいと思う、何が何でも負けたくない。
―――往こう、堂々と全力で。

「装填式から5つを選択し発射式に装填。
マーカーが使えるのは後4回…重力式も二度目はあるまい。
ならば、正面から小細工を仕掛けに行くぞ」
(おけおけ、任せとけ)

剣を構えて、前進する。
疾走せずゆっくりと相手を向いて。
まずは一つ目、マーカーを命中箇所としてロック。
選択した術式を二つ使用して雷撃を束ねた槍を右手から発射する。
一度回避しても相手を直角に旋回しながら再び追撃する。
また、幾本も束ねた雷撃は一つを狙ったエネルギー減少では雷撃一つしか対称にならない。

発射に乗せた式は残り3つ。
私は片手で剣を構えながら、剣の力を少しずつ。
少しずつ解き放っていく。

715早瀬川巴:2012/04/30(月) 01:08:52 ID:D9453KDM0
>>714

――――殺す。
そう決めてからの、巴の頭は先ほどまでよりもずっとクリアで、早かった。
相手が何を求めて曙光を狙うのかは知らない。正しいことに使うのかも知れないし、
もしかしたら、この世界の行く末に関わることなのかも知れない。
だが知ったことか。
奴が自分の目的と私の命を秤にかけるというのならば、私はその逆をやるまでだ。
こいつには曙光は絶対に渡さないし、渡すくらいなら剣と一緒に自決する。

「だから……思いっきりやりなさい、曙光!!」

応えるように、曙光の刀身がほの白く光り始める。
またしても迫り来ている雷撃が、もうすぐそこまで来ていたが、

「邪魔だあっ!!」

曙光の一閃で、束ねられた雷撃はバラバラになって霧散した。
斬撃後のモーションから復帰する際に、聖魔剣の刀身に紅い文字で書かれたルーンが刻まれているのが見えた。
それはアルファベットのFの様な形をしたルーン、〝A(アンザス)〟であった。
しかし、そのルーンに気を取られてはいけない。
彼我の距離をこの一瞬で詰めた巴が、上段から聖魔剣を振り下ろしに掛かっているからだ。

716エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 01:26:03 ID:xm/dFKGs0
>>715
「発射術式開放、複製術式―――一斉発射」
(三方向同時攻撃ってなぁ!)

さっきの斜め上からの薙ぎ払いと、さらに下段からの切り上げの動作を。
そっくりそのまま複製し、発射しながら右手にもちかえた剣で上段の切り下ろしに対応する。
分かりやすく言えば、腹部を狙った薙ぎ払いと下段から右肩を狙った切り上げ、
さらに上段からの振り下ろしへの対応を『同時に』行おうとしている風に見えると言う事だ。

複製と魔素を使って一時的に記録した行動を行う魔力による複製。
魔素によって構成された記録と同じ行動をとったら霧散する使い捨ての式だ。
実際に肉体を複製しているのではなく、攻撃当たる部分のみ魔素の剣を造り、
後は式を使い、相手に視覚的に同時攻撃をしているように見せるもの。
これで装填から発射にのせた式は後一つ。

あいている左腕で乗せた式の最後の一つをはなとうと術式を出力。
指先を介して右足のマーカーへ加重300kgをかけていこうと指先を伸ばそうとする。。
バランスは崩れないだろうが、使いのこしは装填に影響が出る。
使い切らなければ、弾は入れられないのだ。

717早瀬川巴:2012/04/30(月) 01:46:57 ID:D9453KDM0
>>716

「喧しいっ!」

今まさに振り下ろされんとしていた銀色の刃が突然翻り、光の揺らめきを発しながら、
斜め上から来る複製の剣を斬撃し、次いで下側に弧を描く様な軌道で反対側にまわった聖魔剣が、
下段から切り上げようとしている複製の剣を斬撃する。
無論、幻であるため、剣はその斬撃だけではどうにもならなかったが、
コンマ秒も置かずして複製体のエドワードに亀裂が走り、望んだ効果を発揮することなく、破砕音を立てて割れて砕けた。
剣には先ほどと変わって、〝N〟のルーン。

「どこまで私を弄べば気が済むのですかっ、あなたはぁっ!!」

憎しみの感情でブーストされた巴の剣筋は速い。
2体目の複製を斬った軌道から再び刃を翻した彼女は、刀の峰で、受けようとしているエドワードの剣を下から打撃。
建造物破壊用の巨大ハンマーのような衝撃が、ダイレクトに剣とそれを持つエドワードの手に掛かる。
その際、また右足に重みを感じたが、感情が昂ぶっている今の巴は体全体の機能もまた昂ぶっていて、
もはやその程度の重量では綿毛ほどの抵抗もなさなくなっていた。

718エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 01:59:28 ID:xm/dFKGs0
>>717
手から剣が弾き飛んでいく。
打撃で手の骨は折れなかったが、間接がやられたか。
だが、まだ終わった訳じゃない―――意識無くすそのときまでは。
私は全力を持ってして向かうのみだ。

「―――」

三番回路――破損している。五番―――同様。
6番から12番―――同じに破損、もはやろくな戦闘力が残っていないか。
ならば、魂を介して放っていけばいい。
まだ終わってい――な―――。――――――――。

彼の防御はがら空きだった。
肉体の限界か、はやまた内部に何かあったのか。
とにかく、彼は隙だらけになった。

719早瀬川巴:2012/04/30(月) 02:10:29 ID:D9453KDM0
>>718

相手の様子に「いきなりなんだ」と慎重な頭の部分が疑問を出すが、
目の前の相手を殺すことに意識を集中させていた巴には、「かまわん、斬れ」という過激な部分の声しか聞こえなかった。
斬撃を浴びせても、またあの黒い液体で再生してしまうのだろうが、
前とは違って、今度は聖魔剣が、味を覚えた黒い液体を喰らうために目に見えない顎をバックリと開けている。
少なくとも、前ほど再生は早くないはずだ。

「私の前から、消えろぉぉぉぉおおおぉぉっっ!!」

紅の瞳を憎悪と怒りで輝かせながら、巴が吼える。
浮いた相手の右腕、その下に刃を回り込ませ、右の脇から左の肩に抜ける、逆袈裟の軌道をうつ。
これで、首から右腕までが身体に別れを告げることになるだろう。

720エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 02:22:33 ID:xm/dFKGs0
>>719
魔剣は苦々しく、剣の中から状況を見る。
ま、流石に力を使わせすぎたって奴か、初戦にしては頑張っただろ。
ここで死んでもらっても困るんだ、運命って奴にまだ喧嘩すら売ってない。
まだ使い飽きてない玩具だから、ここは助けてやろう―――

「悪いねぇ、お楽しみの時間は終わりなんだよな〜」

逆袈裟の軌道の剣閃を確認する事も無く拳を瞬速を持って放ち、
その剣に対して何か視認の出来ない力を張って防ごうとしている。
その貌はどこかニヤニヤした陰湿な、ジョークじみた笑み。
拳に宿った力は強大な壁となって聖魔剣に対していく。
防ぐというよりは相手の力を『消滅』させる壁。

ぶつかってくる聖魔剣の力を持ってしても、その壁を破るのは困難だ。
ルーンによる干渉も、物理的な攻撃も、その力自体が『消滅』しては意味をなさない。

721早瀬川巴:2012/04/30(月) 02:33:33 ID:D9453KDM0
>>720

「黙れ!! お前に一太刀くれてやらないと、私の気が済まないんだ!」

急激に緩む自分の力を感じながら、歯を食いしばって何とか剣を保持する。
ルーンも吸血鬼の怪力も通じない。
――――しかし、巴にはまだ、曙光があった。
彼女が知る限りで、最高の力を持った聖魔剣。
いかに力を消滅させる壁を張ろうとも、その壁を張っているのが、相手の魔剣であるのならば。
それは、対の力を持った聖魔剣の牙に引っかかる。

刀身は壁にぶつかってその進行を止めたが、やがてすぐに激しい火花を散らしながら、その壁を浸食し始めた。
男の気配が変わっているのは、おそらく魔剣に身体を乗っ取られたからだ。
意識を失った男の代わりに、魔剣が身体を制御し、生存への道を取る。……そんなところだろうか。
だがそれは、曙光を振るう巴にとっては好都合。
健啖の聖魔剣が、それを逃すはずがない。

722エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 02:49:56 ID:xm/dFKGs0
>>721
「あっはっはっは!いいねいいね〜欲望に忠実じゃん。
そうそう、イキモノってのはやっぱそうでないとなぁ!あっはっは!」

がりがりがりと壁を浸食していく相手。何の恐怖も感じ無い。
多分相手は■が器を乗っ取った、なんて考えてるんだろう。
乗っ取る、なんて生易しい物じゃあないって言うのになぁ。
器の中、意識を無くした様に何も言葉を発さない器に、■は言う。

「よ〜く見とけよ器クン。
お前が相手するのはこんなネンネのガキじゃないんだからなぁ」

『消滅』の力をがりがりと喰らっていく相手の剣に対して。
カウンターを返すように足を出しながら黒い液体が固体になり、
刃を形成して相手に襲い掛かっていく。
足には何の細工があるのか、壁にぶつかる剣に向かっている。

壁は確かに相手の剣に牙を向かれその形を崩しつつあった。
だが、彼はそこからさらに出力する力を強めていっている。

723早瀬川巴:2012/04/30(月) 03:06:52 ID:D9453KDM0
>>722

「や、か、ま、し、いんだ、お前も、こいつもっ……!
 いきなり現れて、言いたい放題やりたい放題やって……!
 自分勝手の下種めっ……何様のつもりなんですか…………っ!!」

本当に頭に来る相手だ。
曙光を寄越せと言ったり、こちらを弄ぶ様にふざけた武器で戦ったり、
挙げ句の果てには「こんなの」呼ばわり。
一時の感情ではあるが、巴はこの男の全てを斬り捨ててやりたい気分で一杯だった。

しかし、その意志が乗った刃は、壁にぶつかって牛歩の歩み。
それに対する苛つきもあるのだろう。その瞬間だけ柄から手を離し、向かってきた刃の腹を殴打する右の拳には、
刃を迎撃する必要以上の力が乗っていた。
更に相手は、曙光を足蹴にしようというのか、足まで伸ばしてきている。

(……曙光、頑張って。このままではあの汚い足に踏まれてしまいますよ)

再び両手で握った曙光に、そんな心の声を聞かせる。
それに応えた曙光は、発する光を強めながら、壁を侵食する力の大きさを段階的に増していく。
曙光が力を増すに従い、奪われ続けている巴の力も回復してきて、柄を握る力が引き戻りつつあった。

724エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 03:20:23 ID:xm/dFKGs0
>>723
「何様ねぇ?■様って奴かな?
あっはっは!ごめんねぇ君には聞き取れないかー!あっはっは!
じゃあついでに一つ、こいつを殺すの諦めてくんなぃー?」

引き戻る相手の力を、壁に使っている『消滅』を『阻害』に変え、
そこからさらに『反転』に変化させる。
反転は力を込めれば込める分だけその力を放っている相手の向いている方向を反転する物。
ぶつかっている状態から進行を阻害させる力を持って攻撃を防がせつつ、
最後に反転を持って攻撃の方向を強制的に変更させる。

さらには相手の足元から絡みつく様に筋肉の力を奪う、
『消滅』の力が込められた黒い縄が足に迫っている。

725早瀬川巴:2012/04/30(月) 03:33:54 ID:D9453KDM0
>>724

「反転」に性質が転じたことを察した巴は、あえて一度グッと刃を押し込んだ。
聖魔剣がそれに従って、相手の拳ギリギリまで壁を侵食したが、すぐさま反転の力を受けて壁から追い出されてしまう。
逆方向に向かって加速する刃の勢いを、巴は殺さずに、そのまま跳躍しつつ、足下に迫っていた黒い縄を薙いだ。
後方へ後ろ向きに跳躍した巴は、中空で一回転して、背後にあった噴水の縁に軽やかな着地音をたてて立った。
斬られた黒い縄は、斬られた場所から上半分が無くなっている。聖魔剣に喰われたのだ。

「適当な発音で適当なことを言えば、そりゃ聞き取れないでしょうよ。ナナシノゴンベエさん。
 それと、殺すのを諦めるのはナシです。ここまでしておいて、それはあり得ません。
 その人を殺しても飽き足らないんで、その人の周りの……ッッ!!」

エドワードの周囲の人間にも累を及ぼす、という言葉を発しようとした巴に、
聖魔剣から白い稲妻が走り、痛みと共に冷静な頭を取り戻させた。
一瞬、何が起こったか理解できないふうだった巴は、聖魔剣を目を丸くして見下ろし、
やがて目を閉じて「フン」と鼻を鳴らした。

「…………そうですね、曙光を諦めるのなら考えましょう。
 それができないのなら、その話は無かったことになりますね」

726エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 03:44:43 ID:xm/dFKGs0
>>725
「ん?剣を取る?
なぁんだソレ、本気にしてたのかぁ。
あっはっは、ゴメンねぇ。コイツが剣を狙ったのは■の差し金なのよー。
こいつって純粋で馬鹿で欲望に忠実だからさぁ、ちょーっと力試しに使おうかとおもってねぇ。
もっともらしい嘘ついて君に仕掛けるようにたきつけただけなんだよんー」

コイツの口振りに寄れば、全部俺の仕業ですよあっはっは、と言う事らしい。
エドワードはどうやらこのニヤニヤとした剣に騙して焚き付けて向かわせただけのようだ。

「まぁ、器クンにもあせらなきゃならない事情があるからねぇ。
怨むならこの■を怨んでくんない?器クンの純情ピュアな心につけ込んだしねぇ。
それに?器クンも最後には負けず嫌いだからやってたし、剣はもう諦めてると思うよ」

何せ14回も肝を冷やしちゃったからねー、なんてコイツは付け加えて。
何か術式を使って傷ついた体を回復させていく。
本当かどうかは怪しいが、コイツの口振りだと全てコイツのせいのようだ。

727早瀬川巴:2012/04/30(月) 03:54:09 ID:D9453KDM0
>>726

「あ?」

冷静になりかけていた巴の頭が、その残り火を燃えさからせ始めた。
つまるところ、自分はこのナナシノゴンベエの策略にはまり、やらなくてもいい戦いをしていたということらしい。
簡単に洗脳されるエドワードもアホの極みだが、それに乗っかって殺意を滾らせていた自分も中々痛い。
自分たちを踊らせていた張本人が、目の前にいる。
その事実が、巴の紅の瞳を凶暴に輝かせた。ついでに青筋も立った。

「あー、いいですよー。そこのバカでマヌケでアホでどうしようもないロクデナシな男は今度会った時に一発、
 思いっきり殴るので許しますー。
 でもあなたはそれだけじゃーちょっとねー。あなたの半分くらい、喰わせてもらえませんかー。
 あーいえ、半分でいーんです、半分でー。ねー」

怒りが籠もった、妙な間延び声を出しながら、巴は聖魔剣をかかげてぎらつかせた。
これには聖魔剣も異論は無いようで、さっきのような電撃を巴に加えることもない。

728エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 04:03:35 ID:xm/dFKGs0
>>727
「ああ?ああ喰うの?別に好きにしたらいいんじゃない?
ほーらよっと」

剣を抜いて相手の方向へ投げ渡す。
どうせ無限だし、ちょっとぐらい食わせちゃってもいいだろう。
■自身が変化になるいい経験になるし、こいつは力がちょっと扱いやすくなる。
何気にこっちのメリットがあるし、悪くは無い提案だ。

「別に幾ら喰っちゃってもオッケーよ?
どうせ無限だし、■自身にもいい刺激になるしねぇ
後キミさー、どうしようもないロクデナシって言うのは酷いと思うねぇ。
だってコイツ一歳未満で世間に出たばかりのなーんにも知らない奴なんだからさー。
幼児に正常なはんだんを求めるってのも酷なはなしでしょ〜」

相手がどうするのかをニヤニヤしつつ眺めながらそう言った。

729早瀬川巴:2012/04/30(月) 04:15:49 ID:D9453KDM0
>>728

「なんだ、無限なんですか。つまらない。
 そんな空気みたいなの喰らったところで、あなたにはなーんの痛手にもなりゃしないじゃないですか。
 やっぱり、そこの男を殺した方があなたにとっての痛手になるんでしょうかねえ?」

巴は投げ渡された黒い剣を地面に突き刺して、聖魔剣をゴルフスイングの要領で振って黒い剣を打撃し、相手に突き返す。
黒い剣は男の側に柄から落ちて、空しい金属音を立てて倒れた。

「ま、それも一発、頭の骨が粉チーズになるくらい強くぶん殴って終わりって、さっき言っちゃいましたから、
 叶わぬことではあるんですけど。
 それとあなた、それ本気で言ってるんですか?
 こんな見た目くたびれた中年男で、あんなにベラベラ偉そうなこと喋って、それで本気で幼児って言い張るつもりですか?
 こう言っちゃあなんですけど、あなたも相当なノータリンですね。
 あなた、その見た目中年の「自称幼児」が、核ミサイルのボタン押してどこかの街全滅させても、同じこと言うんですか?
 正常な判断を云々って。所詮、非人間の化け物に何言ったって聞きゃしないんでしょうけど」

腰に手を当てて、呆れた様に嘆息。

730エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 04:30:57 ID:xm/dFKGs0
>>729
「そうでもないんだよねぇ、無限って言ったって■の力は弱まっちゃうし。
出力だって落ちていくからまぁマイナスかなぁ、ああそうだ。
コイツを殺すってのは無理だ。
――――――そんな事したらをオマエを玩具にしてやる、永遠に」

ニヤニヤしていたコイツは、殺すと言う事を聞いたと途端に笑いながらそう告げる。
彼にとっては中々重要な存在のようだ。
そして、続けざまの彼女の罵倒にも。

「「ははは!いい意見だ、正しいよキミ。
手厳しい手厳しいぃ、後自称じゃなくて他称ね。大体、器クンがこんな姿なのはキミが知っている方の器クンのせいだぞ?
今はそっちの体をちょこっと貸して貰ってるだけよ、それにキミも思ったでしょ?
うわっ、コイツよわっ!って」

ニヤニヤした顔付きでそう告げる、コイツからすれば大体予測できていたのだろう。
結果は予測してはいなかったが、どう思われるかは分かっていたらしい。

731早瀬川巴:2012/04/30(月) 04:43:23 ID:D9453KDM0
>>730

「私を玩具にですって? あはははは、そんなの無理ですよ。
 その前に聖魔剣があなたを食べちゃいますから。私とこの子は文字通りの一心同体ですし」

脅しと思われるナナシノゴンベエの言葉にも、巴は笑ってそう応える。
彼女は、自分の命を脅かす存在にこの男達がまたなれば、躊躇無く殺しを選択するだろう。
今の彼女にとって、自分の命以上のものはこの世界には存在していないのだから。

「ええぇ、他称ですか? それは違うでしょうゴンベエさん。
 この人、ここに来てまもなく言いましたよ。「悪いが、生まれてから一年」どうこうって。
 十分に自称幼児じゃないですか。おむつの着用をお勧めしますよ。説得力が増しますから。
 ……ああでも、身体を借りてるっていうのなら、見た目がこんななのも頷けますねぇ。
 確かに、エリュシオンの空で出会った時のあの人とは、何というか凄みがまるで足りなかったですね。
 岩山と消しゴムのカスくらいの差があった気がしますよ」

もちろんこれは誇張表現だ。
それでもすぐにそうわかるような表現をしたのは、おそらくこの趣味と性格の悪いナナシノゴンベエが、
後で「自称幼児」に、彼が気絶した後に自分が言った悪口を一字一句逃さず伝えるだろう、という算段があってのことだ。

732エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 05:07:56 ID:xm/dFKGs0
>>731
「ははは、ならこの場でやってみたらどうだい?
負けるよ、吸血鬼のネンネ君」

どれだけ喰われようとも、欲望あるかぎり。決して、滅びる事は無い。
■が身をもって体感している、自殺しようと思ったときは世界が酷いジョークに思えたものだ。
まぁ、それが本当に■のことなのかはさておき。

「そりゃ■が教えたんだもの、純粋ピュアな器クンは半信半疑ながら信じちゃうしね。
それに今の器クンにゃ覚悟は無いし意識も希薄、どこかふわふわしてる。
ないない尽くしの最弱クンって奴だからねー、しかしキミってば素直だねぇ、美徳だ美徳。あの嬢ちゃんの言ったとおり」

うんうん、と頷きつつも。
どうやらそろそろ時間切れかなと思う。
もう少しだけ喋りたかったがまぁしょうがない。

733早瀬川巴:2012/04/30(月) 05:29:14 ID:D9453KDM0
>>732

「謹んで遠慮させていただきます。
 負けるかどうかはともかく、時間だだ余りの超絶暇人なあなた方と違って、
 こっちはやることがありますんでね」

100年先も普通に自称幼児をやってそうなこいつらに、今を生きている自分が積極的に付き合う必要もない。
巴は聖魔剣を勢いよく振って、刀身に残っていた微細な塵を払うと、

「プッ! 自称幼児でピュアで純粋ですか。で、見た目は中年と。思った以上にキモイですね。
 悪いことは言いませんから、その路線で売るの、止めた方が良いですよ。
 周りの人間……が居るのかどうかはわかりませんけど、たぶん、いや絶対ドン引きされますから」

そこで一旦切って、巴は刃先を自らの左胸に向け、一気に突き込む。
それによって服と肌が突き破られ、刃が心臓に近づく。
が、刃先が心臓に達した途端、まるで心臓に丸呑みされるかの様に白い光の中に聖魔剣は消えていく。
結果、1分少々かけて、聖魔剣は巴の心臓に呑まれていった。

「さて……もう用事は無いようですし、私は帰りますよ。
 合一した聖魔剣の力を試せはしましたけど、労力から言えばくたびれもうけでしたし、散々でした。
 希望を言うのなら、もう二度とあなたたちに会いたくないですね」

刃で貫かれた箇所から出ていた血が、逆回し再生の動きで巴に戻っていく。
両手に付いた血を振って落としながら噴水から降り、ナナシノゴンベエに背を向けた巴は、
ふと、何かを思い出した様に振り返って、

「ああ、そうそう。さっきの私の、バカでマヌケでアホでどうしようもないロクデナシの男っていう評価にちょっと付け足しです。
 スケベで最低の覗き魔で変態って、付け足しておいて下さい。
 ……付けた私と、アスカリオテさんしか知らないはずの「曙光」の名…………どこで知ったかは知りませんけど、
 そういうの、絶対嫌われますよ」

それだけ言って残すと、巴は蝙蝠の群れに身を転じて、雲隠れした月に向かって飛翔した。

734エドワード=ニュートリング:2012/04/30(月) 05:39:15 ID:xm/dFKGs0
>>733
さてさて、思うとおりに言ってくれたもんである。
まぁ、器クンにはさほど痛手にならないんだけどね。
そういうのは散々言っちゃったし、■がだけど。

「まぁ、人当たりとかに関しては要修正だねぇ。
まともに会話にならないってのは流石にマズイ。
しっかしまぁ、手酷くやられたもんだわ、本当」

曙光を何処で知ったかか、そんなものはこの■の力を持ってすれば余裕余裕。
HUNKHUNKって奴である、とは言え今回は器クンにはいい経験になっただろう。
今ので予測としてはOld相棒クンが接触を図る筈―――。

総ては■の予定通り、残るは器クンがどれだけ足掻くかだ。
それまでは、今まで通りにやるとしよう―――。


唐突に足立幹也は肉体をかえされる。
色々損傷しているのを感じて、成程と得心した。

「こいつぁ、手酷くやられたな。
まぁ、俺ってお世辞にも体強くないからなぁ」

そんな事を言いながら、その場をゆっくりと歩き去っていく。
今度久しぶりに会ってみようかね、と考えながら。

735名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 21:12:04 ID:NntjvIzM0
【イベント 炎蟲の砦】
【お知らせスレ>>189参照】

能力者達は、異能都市上空に浮かぶ、空中砦の中に居た。
内部は六角形の穴が大量に空いた、赤い壁。
周囲は熱気に包まれているが、ダメージを受けるような暑さでもない。
背後にはボロボロに崩れ去った壁と、ここに彼らを送り届けたポッドの残骸。
この状況の理由を解説するには、30分前まで回想が必要になる――。

――

「諸君には、あそこに見える砦に突撃、結界の発生中枢を破壊してもらう」

観測局の中でも、比較的に地位が上の男が、異能者約10人の前に立っていた。
場所は街の中、砦の下。
周囲からは絶えず爆音が飛び交う。
恐らく怪人と交戦しているのだろう。

「砦は見てのとおり、ほぼ完全な球体だ。
 計測すると、中心部には高いエネルギー反応が確認される。
 安直な考えだが、ここは恐らく何らかの制御機関であると想定される」

そう言って、男は背後にあった巨大な球体を指差した。

「このポッドには砦を覆う結界を一瞬だけ突き破る技術が搭載されている。
 君達を今から、このポッドであの砦に打ち上げる。
 しかし、作戦は万全ではない、シュミレーションで問題点は検出されなかったが、相手の結界を確実に破れるとは限らない。
 また、砦の内部にどのような罠が仕掛けられているかは解らない」

男は異能者達に向き直った。

「ポッドを複数準備する時間も、ポッドを強化する時間も、残されていない。
 辞退するならば今のうちだが――」

しかし、異能者達は、誰も辞退の意を示そうともしない。

「――そうか、ありがとう。
 成功した場合、勿論報酬は弾ませてもらう。
 では、諸君の武運を祈る――」

--

こうして、ポッドは打ち上げられ、結界、砦の外壁を突き破り、
怪人兵士を下敷きにしつつ異能者達は怪人の空中砦への侵入を成功させたのだった。
しかし、戦いは今始まったばかりだ。
周囲には、砦の下で暴れていた怪人たちと同じく、
レイピア状の武器を持った赤と黒のストライプの、怪人の兵士が駆けつけてきた。
砦内部には多数の通路があるが、怪人の兵士達が立ちはだかっている。

736萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/13(日) 21:22:45 ID:7gFzKdaU0
>>735
「――――久々に、正義の味方なお仕事、だね。
 鈍ってないし、落ち着いてる。ん――――十分だ」

ポッドの前で、軽く屈伸をしているのは、小柄な赤毛のポニーテールの少女である。
いわゆるゴスロリと言う分類に入るのであろう、フリルをふんだんにあしらった白い衣装が目に鮮やかだ。
しかしながら、動きやすさを追求しており、下半身もホットパンツ。あくまでこれが戦闘服である事を指し示していた。

拳には、鋼の装甲で覆われたグローブ。足は動きやすさを追求した紅いブーツであった。
その少女の姿を形容するならば、一つ。――――魔法少女。そう言う他無いだろう。
その右目は現在赤紫色の魔力を孕んでおり、周囲に異能の気配を散らしていた。

「――――〝屠竜〟、錬我咆哮……」

小さくつぶやいた後に、少女は大きく域を吸い、雄叫びを上げた。
本能的な恐怖を煽り、相手の身体を硬直させ、同時に己を鼓舞する力を発揮する、魔力の篭った叫び――――紛う事無き魔術である。
腰を落とし、構えを取ったアテナ。10歳の少女とは思えない、堂に入った構えで、無数の兵士の前に立ちはだかった。

737?:2012/05/13(日) 21:26:59 ID:dL8H4NjE0
>>735
「あっつー……」
右手で顔をパタパタと仰ぎながら、少女はつぶやく。
いつもより薄着だったことが幸いしたのか、支障が出る程の温度ではないが。

「早速おでまし?そんなご丁寧なお迎えはいらないんだけど」
素早くスペードのAを取り出し、大振りのナイフを五本召喚。
それを的確に怪人達へと投擲する。

738響 琴音:2012/05/13(日) 21:29:14 ID:IrsgDsYs0
>>735

 「ぅ暑ぃょ〜。長袖とロングスカートは止めときゃ良かった〜。」

 ポッドから降りての第一声がこれである。やる気がないと言われても仕方がない、間の抜けた登場であった。

 「さって、始めましょうか。」

 立ちはだかる無数の兵士。

 一枚岩なのか、烏合の衆なのか。

 第一撃とその後の反応で見極めよう。

 息を大きく吸い込んだ後、

 どかん!!

 細い体からは考えられない強大な衝撃波が、彼女の喉から一直線に兵士に向かう。

739銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/13(日) 21:30:53 ID:HnkBBDEo0
>>735
「あっづー。マジ暑いんだけど、どうなってんだよココ」

 コートを脱ぎ捨て義手で顔を仰ぎつつ、男は目の前の軍勢を見渡す。

「うーわ、まさにザコ敵って感じの奴らだな。
 こりゃ中に入って結界の構成アーティファクトを破壊するのは手間がかかりそうだ。
 小百合の怪人化解除に必要な情報とかあるかと思ったけど……その手がかりを探す余裕はなさそうだ」

 そう言いつつもクロスは能力を発動。
 周囲に次々と金属製の杭のようなものが現れ、その数本がクロスの手に握られる。

「というわけで、だ。こんなに沢山の相手をしていちゃラチがあかねぇ。
 お前ら! ここは先に行け!! こいつらの相手は俺が引き受ける。
 お前らは中に入って、この城の動力をブッ壊してきてくれよ!!」

 そう言うが早いが、軍勢の中へと走っていった。
 手始めに両手に持つ杭二本を目の前の兵士へと投げつけ、
 それが当たるか当たらないかを確認することもなく、また杭を能力で新たに構築。
 それらを次々と兵士へと投擲してゆく。

740名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 21:42:56 ID:NntjvIzM0
>>736
怪人達は、腕を交差させて、一瞬身構えるかの様子を見せる。
しかし、恐怖を受けるような様子も無く、一瞬後にはレイピアをアテナに向け、突撃し始めた。
怪人達には、同族以外の恐怖は存在しないという自負があるのだ。
例え目の前で同族が倒されても、その一点においては本能レベルで変わらない。

しかし、一瞬の隙は大きい。
その瞬間に、彼ら以外にもポッドに乗っていた能力者数名が、次々と攻撃を始める。
既に何体かの怪人は地に伏せ、消滅し始める。

>>737
少女の攻撃もまた、アテナの雄たけびによって発生した隙をついて、怪人達に打ち込まれた。
5本の内、2本は怪人をしとめた。
残った3本の内2本は怪人を倒すには至らず、最後の1本はレイピアで弾き飛ばされた。

>>738
衝撃波は、周囲に存在していた怪人を一気に吹き飛ばした。
周囲の壁に皹が入る。
衝撃によって、ここまで乗ってきたポッドが空けた穴が更に大きくなり、
ポッドは怪人と共に轟音を立てて地面に落ちていった。
しかし、怪人達はひるまず、次々と起き上がり、レイピアを構えて琴音に突進してきた。

>>739
兵士二体の胸に、的確に杭は突き刺さる。
しかし、この砦内でのたった二体の損失は物の数ではない。
走ってくるクロスの背後から、レイピアを構えた怪人が三体、同時につきかかってきた。
このレイピアは、切られた部分から炎が燃え上がる、怪人の技術で作られたものだ。

741萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/13(日) 21:47:21 ID:7gFzKdaU0
>>739
「――――そう言えば、てんちょーと共闘するの初めてだったね!
 死亡フラグっぽい事言ってるから、心配だけど、死なないって信じてるから。
 というわけで――任せたよっ、てんちょー!」

そう、己のバイト先の店主に向かって声をかけて。アテナは、地面を強く踏みしめ、飛び上がった。
白い腰巻部分がぶわりとひろがり、天には白い薔薇が広がっているかのごとくに見える。

>>740
「――――破城ッ!」

突撃する前に飛び上がったアテナは、空中で宙返りをする。
その動作の際に、空中の魔力の足場を蹴り飛ばし、加速。
隕石のような飛び蹴りを、打ち放ち、地上へと叩き込もうとするだろう。

もし命中すれば、そこを中心に魔力の波動が広がっていく。
衝撃に寄る破壊、及び強い振動を与えることにより、肉体の自由を奪う効果を持っている。
竜を屠る為に鍛え上げられた技能は、多人数戦でも十分な効果を発揮するものである。

742?:2012/05/13(日) 21:57:14 ID:dL8H4NjE0
「みなさんやるねー、巻き込まれそうで怖いわあ」
棒読みでそんなことを言うと、静かに歩き出す。

>>740
「さすがに全部は無理かー」
ナイフを元のカードの状態に戻し、入れ替えるように別のカードを取り出す。
そこに描かれているのはクラブのA。召喚されるのは両手大のメイス。

「どーんと行ってみるー?」
ぐっと上半身を左に捻り、メイスを構える。
身を沈め、その体勢のまま飛び出して怪人に接近。
桃色のショートヘアーをなびかせながら、重たい一撃を放とうとする。
何かに邪魔されたりする事がなければ、少女の周辺の怪人はメイスに凪ぎ払われるだろう。

743響 琴音:2012/05/13(日) 22:02:12 ID:IrsgDsYs0
>>739
 「感謝します。ご武運を!」

 しかしどうやら、先に進むにはこの烏合の衆を少し蹴散らす必要がある様だ。

>>740
 「この程度じゃ、殺られませんか。」

 ぽつりと呟いた後、今度は普通に歌いだした。

 琴音の足元に魔法陣が展開し、大小様々な刃物が無数に飛び出す。

 その総てがーーー二桁では確実にきかないナイフが、嵐のように襲いかかった。

744銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/13(日) 22:06:17 ID:HnkBBDEo0
>>741
「死亡フラグとか滅多なコト言うなっつの!!」

 自分でも「死亡フラグっぽいな」と思ってしまったのは秘密だ。

>>743
「先に進んでくれさえすれば、後は俺がこいつらの進行を食い止める!
 誰だか知らんが、俺もお前も目的は同じだ。即席でもいいからチームワーク組もうぜ!
 っつーわけで、この先は任せた!」

>>740
 迫り来るレイピア。それに向かってクロスは足を一直線に凪いだ。
 切っ先がクロスの足に当たるが、それでも胴体に当たることは防がれた。
 そもそもクロスの体は金属と融合している。
 よって、生半可な攻撃では傷つかない、はず、だが……

「ハッ、そんな棒っきれが俺に通用するtあっちぃぃいいいいいいいいいいいいい!!」

 レイピアの切っ先はクロスの足を貫通しなかったとはいえ、傷つけることはできたようだ。
 よって、そこから炎が吹き上がる。
 クロスの体は確かに頑丈であるが、内側の筋肉や内臓は生身のままだ。
 金属を伝導する熱や冷気には滅法弱いのである。

「あっち! マジあっち!! ちょ、テメェら……近寄んじゃねぇーッ!!」

 まるで花が咲くように、クロスの周囲に杭が構築される。
 それはまるで破裂するように、周囲の怪人兵士に向けて射出された。
 もちろん、それが全て当たったところで被害は十体程度であろう。
 その程度の攻撃が全軍を壊滅させられるとは、クロスも思っていない。

「さて、と。そろそろか……?」

 どうやらクロスには狙いがあるようだ。

745名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 22:19:24 ID:NntjvIzM0
>>741
飛び上がったアテナに向けて、何本かのレイピアが放たれた。
空中で何らかの軌道修正を行わない限り、避けることは出来ないだろう。
真下には、レイピアを投げたもの、投げていないもの問わず、
牙や爪を鳴らしながら、アテナが落ちてくるのを待ち構えていた。

>>742
肉を潰す音を立て、怪人数名が叩き潰された、かのように見えた。
怪人は、腕を潰されながらもメイスにしがみついていたのだ。
そして、その背後や、少女の死角から、レイピアを構えた怪人が踊りかかってきた。
怪人は、容赦なくレイピアを突きこんでくる。

>>743
ナイフに串刺しにされていく怪人達。
しかし、何体かの怪人は、レイピアでナイフを振り払いながら、琴音に飛び込んでくる。
やがて、内一体が、レイピアを逆手に構え、
琴音の首筋に掴みかかろうとしながら、レイピアをその心臓に突き刺そうとする。

>>744
クロスの杭によって、怪人達は串刺しになる。
串刺しとなった怪人の一体が、戦意を失わずにクロスにレイピアを向ける。
しかし、その剣先は届かず、生き絶え消滅した。

そうこうしているうちにも、クロスの周囲に再び怪人が集まってきた。

>>741-744

怪人達は異能者達の戦闘で確かに数は減っているが、次々に押し寄せるためにキリが無い。
この様子では、戦いながらでも先に進んだ方が良いだろう。

746萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/13(日) 22:25:07 ID:7gFzKdaU0
>>745
放たれ、襲いかかっていくレイピア。
一直線の軌道の先にあるそれは、回避しなければ間違い無く当る物。
だが、アテナは怯えない。どころか、笑みを浮かべてさえ見せた。

「――――避けられないなら、〝避けなければ〟良いッ!」

足に強い魔力を篭め、錐揉み回転。
化勁の技を応用し、迫るレイピアの軌道を逸らし、そのまま一直線に蹴りを地上に叩き込もうとする。
アテナの衣装は、魔術攻撃や、非物質的攻撃には弱いが、物理攻撃には極めて強い。

ましてや、火力込みで考えれば、並の攻撃では抜くどころか弾き返される。
それが分かっているからこそ、全力で叩き込み、吹き飛ばそうとしたのである。
白い流星が――――天から地へと、落ちていく。

もし、着地が成功したのならば、そのまま駈け出し、先に進んでいこうとする。
一歩一歩が強く地面を踏みしめ、時折震脚も織り交ぜる移動は、接近を困難にするだろうか。

747?:2012/05/13(日) 22:33:15 ID:dL8H4NjE0
>>745
死角からくる攻撃に対して、少女は対応する素振りを全く見せない。
それは攻撃に気がついていないというわけではない。攻撃の対処をあきらめているわけでもない。

「はい、頼んだよー」
ただ単に、既に対処を終えていたというだけのこと。
怪人の攻撃が少女に当たる直前、二体のマネキンによってその行動が阻まれる。
マネキンは何かに操られているように自立的に動いていて、
レイピアでその体を壊すのは無理と言っても過言ではないほどの強度を持っている。
怪人の攻撃を二体のマネキンがすべて防ぎきるが、傷はまだほとんどついていない。

「どんどん行こう」
前後に一体ずつマネキンを配置し、前に進む。
マネキンの防御力を活かして、そのまま押し通ってしまおうという考えのようだ。

748銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/13(日) 22:35:56 ID:HnkBBDEo0
>>745
「ハッ、ガッツある奴ばっかりだな!」

 崩れ落ちた怪人達を見渡しながらクロスは叫ぶ。
 軍勢は尚も向かってくるが、クロスは周囲の杭を確認。

「ん、結構打ち込んだか」

 杭を構成している金属は、表面がクロム。
 しかし、内部はルビチウムという金属と、自身の血液である。
 これは若干特殊な金属で、水分と触れると一気に酸化するという金属である。
 ホッカイロとは鉄分を空気中の水分と酸化反応させて熱を出すものであるが、
 ルビチウムという金属の酸化反応は熱を出すといった優しいものではない。
 小さなカプセル程度の大きさでも爆発を起こすという程だ。
 それを、今まで打ち込んできた杭の構成金属に用いた。
 つまり……

「みんな、巻き込まれんじゃねーぞ」

 パチン、と、クロスが指を鳴らす。
 途端に大爆発。
 杭の表面のクロムが能力によって剥がれ落ち、杭内部のルビチウムが露出。
 それを、同じく杭内部に仕込んだ自身の血液や、周りに飛び散った怪人達の血液とも反応させ、一気に酸化。
 周囲に爆発の連鎖が巻き起こり、辺りは瓦礫や粉塵にまみれて、数秒だが視界が曇ってゆく。

「今だ! 進め!!」

749響 琴音:2012/05/13(日) 22:40:25 ID:IrsgDsYs0
>>745
 「「〜〜〜〜〜♪」」

 とっさに多重詠唱に切り替えて、飛びかかる兵との間にワームホールを作る。そこに飛び込めば、ほかの兵に襲いかかるかたちとなり、同士討ちとなるだろう。

 表情が険しくなる。レイピアごときでナイフの嵐を弾かれたと思うと。

 今度は自身の左右に魔法陣が現れる。その面は正面に。

 「巻き込まれないように注意してください!」

 魔法陣から先端を覗かせる、数十のガトリング機関銃。有象無象に向け、先ほどとは桁違いの破壊力と物量を以てして。


 「「〜〜〜〜〜♪」」

 発砲音に負けない声量で、琴音は歌い続けた。

 硝煙が辺りを覆う中、左右の魔法陣を引き連れて駆けだした。

750名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 23:04:30 ID:NntjvIzM0
>>746
着地しようとするアテナに、
当然のように先ほどから待ち構えていた怪人達が牙や爪、レイピアで攻撃を加えてくる。
いくら物理攻撃に強くても、怪人の腕力、ましてや無数の攻撃だ。
顔や手など、衣装に覆われていない部分にも攻撃は向けられるだろう。

>>747,749
怪人達は、二体程度のマネキン人形の防御ならば、マネキンを破壊できなくても
圧倒的物量を持って本体を攻撃することも出来た筈だ。
いくら攻撃を防ぐと言っても、マネキンにも手は二本しかないのだから。
しかし、琴音のガトリングによって、怪人達は次々と消滅し、数を減らしていく。
そのせいで、少女に回せるだけの怪人の数が得られなかったのだろう。

やがて少女と琴音の二人は、大きく開けた場所に到達した。
その大きな部屋の中心部には、赤い粘性を滴らせる、壁と同じように無数の六角形の穴が空いた、
正に蜂の巣のような球体がぶら下がっていた。

「ようこそ、我が住まいへ。
 勇敢なる能力者」

その下には、兵士達と同じく赤と黒のストライプの、
しかし、どこか高貴な印象を受ける、女性的な曲線を持った怪人が立っていた。
長い腰巻を巻き、口には薄い布をつけている。
その怪人が、この砦の主であった。

「ただの愚か者ならばここに突入した時点で死んで居た。
 恐らくここに集まった能力者は相当勇気のある者達なんでしょう。
 私の名はクイーン、改め、怪人としての名はレギア。
 鱗怪帝に代わり、全ての怪人の頂点となる女帝よ」

レギアは二人を一瞥した。

「さて、能力者諸君。
 挨拶を済ませたばかりで悪いけれど……。
 死んでもらいましょう」

レギアが指を鳴らす。
直後、レギアの背後にあった"巣"が爆音と共に弾けた。
その爆風の威力もさることながら、マグマとは違う、透明感を持った灼熱の粘液が周囲に飛び散る。

>>748
爆熱によって、怪人達は吹き飛ばされ、ある者は先ほど出来た穴に落ち、
ある者は爆発そのもので木っ端微塵に吹き飛ばされた。
クロスの攻撃により、その周囲の怪人達は一層され、後には死体すら残っていない。
元々、死ねば消滅する生き物ではあるが。

しかし、クロスの背後にあった通路からは、また怪人達が押し寄せ始めた。
琴音と少女が進んだ方向からは逆の通路である。

751萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/13(日) 23:11:58 ID:7gFzKdaU0
>>750
「――――裂陣、白薔薇ッ!」

腕で顔を庇いながら、落ちていくアテナ。
爪や牙、レイピアがアテナの衣装を裂き、血を散らし、火焔で傷を創りだした。
だが、その瞬間だ。砕け散った衣装の総てが刃となって周囲に飛び散っていく。

同時に、その破片に魔力を篭めて置き、炸裂させる。
微小ながらも鋭い刃が、周囲に吹き荒れることだろう。

その刃と魔力の嵐の中を、震脚で衝撃を放ちながら駆け抜けていく。
出血は魔術である程度止血。痛みは、歯をくいしばって耐える事にした。

(――――この数、全部崩すのは絶対に無理。
 道を開いて、指揮官を倒さないと数で負けるッ!)

故に。先に行った二人の加勢に向かうべく、少女は駆ける。
その速度は、衣装のモードチェンジも相まって、かなりのもの。
近づけば裂ける、薔薇の鋭さを体現する形態だった。

752銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/13(日) 23:16:35 ID:HnkBBDEo0
>>750
「おいおい、追加は注文してねーぞ」

 そう言いつつも、クロスは周囲に凶器をありったけ召喚し、備える。
 まるで、行く手を遮るように。
 まるで、「ここは通さない」と言うかのように。

「でも来ちまったモンは仕方ねぇ。全部……たいらげてやんよ!!」

 凶器の召喚、構築は続く。

「さぁて……さっきは人数がいたが、ここから先は俺一人だ。
 しかも相手の武器は俺の大っ嫌いな炎熱属性。こりゃ、最後の札を切るしかないね」

 あらかた凶器の構築を終えると、その何本かを掴み……


――肉の杯は塵となり、骨は砕けて灰となる
   Dead bodies on the ground.
――しかし御霊は残響し、魂響となりて囁き叫ぶ
   The ghost crawled out, the ghost crawled in.


――喰らわれし者の信念は、喰らいし者の糧となり、
   His appetite is filled up.
――腹で満ちる夢によって我が幻想を現創す
   And he realize one's long-cherished wish.


 詠唱開始。
 詠唱中は呼吸の関係で動きが鈍り、防御するのが精一杯だろう。
 だが、このプロセスを通過せねば、クロスの切り札は使えない。

(さぁ、正念場だぜ!!)

753響 琴音:2012/05/13(日) 23:20:51 ID:IrsgDsYs0
>>750
 先ほどと同じワームホールを、今度は宇宙空間に繋げる。

 爆風が真空の大穴へ吸い込まれる。粘液諸ともに。

 そして、

 「どうやら雑魚共には効いたみたいね。このままいけるかしら?」

 ガトリング砲が再び火を吹く。狙うは敵の首魁。

 また、宇宙空間につながるワームホールからは、夥しい放射線、ニュートリノ、その他諸々の宇宙線が。

 「「〜〜〜〜〜〜〜♪」」

 歌声の声量とハーモニーが、より大きく、より複雑に。

 負担が大きいのか、顔色が少し悪くなってきた。

754?:2012/05/13(日) 23:21:04 ID:dL8H4NjE0
>>750
「ふむ、このステージのボスって解釈すればいいのかな?
経験値は?ドロップアイテムなんかある?」
まるでゲームの攻略情報を聞くかような質問。
いつもふざけておどける少女なので、冗談なのだろうが。

灼熱の粘液は少女にかかる直前、やはりマネキンに阻止される。
しかし熱には弱いのか、ふれた場所から溶けてしまう。
爆風と液体は防いだものの、結果としてマネキンは使い物にならなくなった。
「なにが目的かは知らないけど、平穏をぶち壊されるのはいい気分じゃないんだよねー」
今までに召喚したものを全てカードに戻し、別のカードを一枚取り出す。
そこに描かれているのはモノクロのジョーカー。少女の本当の力。
軽く手を横に振ると、カードはまるで手品のように、一瞬で大鎌に変化する。
「さーて、気を引き締めて行きましょー」
気の抜ける声で激励して、鎌を両手で構える。

755名も無き異能都市住民:2012/05/13(日) 23:39:47 ID:NntjvIzM0
>>751
アテナが部屋にたどり着いた瞬間、砦全体がガタン、と揺れ動いた。

「今私が破壊したのは、この砦の中枢部」

女帝は不気味に笑う。

「しかし、この中枢部が司っていたのは、浮遊機能だけ。
 兵士の生産と結界の発生は私のによるものよ。
 砦はいくらでも作り直せる。
 しかし、貴様ら程の者を逃がしてしまうのも面白くない。
 この要塞と共に落ちてもらおう」

三人が入ってきた出口が、閉じた。
同時に、巣の残骸から、6体の怪人が現れる。
兵士達とは違い、大柄な、レイピアを持たない怪人だ。
側近兵とでも行ったところか。

>>754
内2体が手を翳すと、無数の六角形が組み合わさったかのようなバリアが出現した。
バリアはガトリング弾の進行方向そのままを反射し、そのまま琴音に向けられる。

>>754
また、2体は少女に向かって飛び掛ってくる。
一体は跳び上がり上から、もう一体は鎌の攻撃に備えるようにゆっくりと迫ってきた。

>>752
詠唱を唱える内に、背後から粘性の燃え盛る液体が迫ってきた。
同時に、軍勢は走り出す。
しかし、軍勢はクロスを避けるように走ると、燃え盛る液体に飛び込んでいった。

そして、怪人達が再び現れたとき、その身体は燃え上がり、
レイピアの刀身は燃え盛る業火に変質していた。

756?:2012/05/13(日) 23:47:22 ID:dL8H4NjE0
>>755
「単なるイベントか、なんだ」
つまらなさそうにつぶやく。

「んー、せっかくだから、私はこの大箱を選ぶぜ!」
そんなことを言いながらダイヤのAが描かれたカードを取り出す。
そこから召喚されるのは人が一人入れる程度の大きさの箱。
少女は箱の扉を開けると、中から出てくる黒い霧のようなものをに飛び込むように中に入る。
「罠発動!緊急脱出装置!脱出先は地上だよ!」
そんな声が霧の中からする。
入れば地上に戻れるよ、という意味だろう。

757銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/13(日) 23:50:39 ID:HnkBBDEo0
>>755
(!?)

 自身を通り過ぎてゆく軍勢。
 後ろを振り向いて、やっと粘液に気付く。
 燃え盛る軍勢達。自分には向かわず、なぜ……

(な、何が起こっている!?)

 頭の中は混乱中。
 とりあえず粘液から逃れる為にと、後ろに下がる。
 ただ、本能的に分かるのは「まだ何も終わっていない」ということ。

(とにかく詠唱は続行だ。この粘液……あいつらの行った先から出てきているよな?
 さっき起きた城の大きな揺れも気になる。これは、様子を見に行った方がいいかもしれない)

 とにかく、相手をするハズであった軍勢は皆燃えてしまった。ならば、自分は先へと進むべきだろうと判断。
 クロスは先ほど構築した凶器群を引きつれ、粘液の前へ。
 粘液へ凶器を投げ入れると、それが沈む前に足場にして粘液の上を移動する。
 その間にも詠唱は続行。


――血潮は鉄《クロガネ》、肉は銅《アカガネ》、骨は銀《シロガネ》、心は黄金《コガネ》
   The body is created by inorganics, minerals and metals.
――千滅の焔、色持たぬ温度、終わり無き無限を孕む鋳造の炉
   The heart is created by flame, blaze and Gehenna.


(みんな……無事でいるよな!?)

758萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/13(日) 23:53:37 ID:7gFzKdaU0
>>755
「――――ふ、ぅううぅ……」

女帝の言葉に、少女は深く息を吸う事で返答と為した。
目を瞑り、開いて。落ちていく砦の中で、アテナは己の取れる最善策を求める。
結局の所、己に出来ることは一つだけだ。拳で、足で、叩き潰す事、それだけ。

「私の拳は、私の脚は。ただ、護る者のために振るわれる。
 この都市を、この都市の人を愛しているから、護るための力が私は欲しい。
 私の拳足は、力を得る。私の身体は、ただ敵を屠る為の刃と化す。
 ――――――屠竜・アスカロン――――抜剣ッ!!」

朗々とした声が響き、その声を、その意思をトリガーに、剣は抜かれる。
竜殺しの聖剣、アスカロンの名を関する術の効果は、身体能力の爆発的強化、及び人ならざる者や、異能者に対する強い干渉効果。
要するに――、怪人を相手にするのならば、これほどの武器はそうそうないであろう力だ。

地面が爆ぜ、アテナは白い軌跡を残して駆け抜ける。
怪人の内一体へと、素早いローキックを足払いのように放つだろう。
しかし、この一撃は、打撃ではなく、斬撃。高密度の魔力の篭った蹴撃は切断の域に達していた。

ゆえにこそ、四肢の一挙一動が竜殺しの聖剣。
彼女に剣は要らない。なぜならば、その身こそが最高の聖剣なのだから。

759響 琴音:2012/05/13(日) 23:55:12 ID:IrsgDsYs0
>>756
 「ありがとう。でも、私が帰るのは首魁を倒してからよ。」

霧の中に、笑顔で返した。


>>755
 「ふふふ、甘い甘いあまーい!はははははは!!」

 どこかが狂ったのではないかという笑い声を、器用にも歌いながら上げる。

 跳ね返ってきた砲弾は、そのままワームホールの中に吸い込まれる。

 ガトリング砲の照準が、近衛兵に向けられる。

 そして。

 首魁の真下に、巨大な魔法陣が展開された。

760名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 00:23:38 ID:NntjvIzM0
>>756
「この砦の中で、そんな逃げ道を用意させると思うか?」

レギア腕を振るうと、箱が炎に包まれた。
ただの炎ではなく、その術ごと燃やし尽くしてしまう炎だ。
箱は直ちに燃え尽きてしまうだろう。

「そして、狩れ」

飛び掛ってくる二体の怪人の腕が燃え上がった。
怪人の腕は燃え上がり、上から飛び掛ってきた怪人は、縦に。
前から襲い掛かる怪人が横に爪を振るった。

>>757
粘液の中から、怪人達が飛び出した。
身体には炎を纏ったまま、レイピアの刀身は炎と化し。

内三体が、炎のレイピアを投げつけてくる。
そして、更に数体が壁のようにレイピアを構えて迫り来る。
そのスピードは先ほどの比ではなく、明らかな"強化"だ。

>>758
怪人の一体がバリアを展開する。
しかし、人外に対しての超越的な力を発揮するその攻撃は、
バリアごと怪人を吹き飛ばしてしまった。
そのまま怪人は消滅してしまう。
もう一体の怪人は、その隙を狙い、腕を燃え上がらせる。
そして、アテナを引き裂くべく振り下ろした。

>>759
レギアは魔法陣を見ても避けようともしない。
バリアを張る怪人は、弾丸を全て反射しながら、琴音に歩み寄ってくる。

「ずいぶんと大仰なものを作るな」

レギアが、魔法陣を見下ろして言った。

761萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/14(月) 00:32:41 ID:7gFzKdaU0
>>760
「――――刺突・螺旋ッ!」

振り下ろされる拳に、真っ向から蹴り足を以て立ち向かう。
薙ぎは大剣の斬撃、突きは槍の刺突、打は鎚によるそれと同義。
そして、何よりも――――。

「――ッ、ぐ…………ッ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

目の力を帯びているアテナは、その攻撃をあらゆる存在に適用できる。
その力自体は、何かに特攻と成りうるものでもない。
だが、それはアテナの魔力と、火力が組み合わさることで強力な力と為る。

その身は、悪を断つ刃。その信念が、熱で焼けていく肌の痛みに耐えさせる。
食いしばる奥歯が砕け、血が口の端から零れていく。
そして――――吹き上がる魔力が、巨大な腕との拮抗を崩して行こうとするだろう。

派手ではない。大きな魔方陣を作ったり、大爆発を起こしたり、異空間に穴を開けたりなど、出来ない。
たが、十分だ。心臓を貫くのに大砲は要らず、誰か一人を倒すのに空爆は必要ない。
必要なだけの力を、必要なときに発揮出来れば、それ以上のなにかは要らないのだ。

762?:2012/05/14(月) 00:36:17 ID:dL8H4NjE0
>>760
その炎は黒い霧に押し返されるだろう。
黒い霧には強力な魔力障壁が備わっていて、箱までたどり着くことはまずできない。
//こちらの記述ミスですすいません
もちろん異能や魔力といった力が一切加わっていない純粋な炎なら効果はないが。

「いい暇潰しにはなったよ怪人さん!二度と来ないで家壊れる!」
最後に少しだけ切実な願いを混ぜて脱出する。
//続行できなさそうなんで離脱させてください、すいません

763銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/14(月) 00:41:45 ID:HnkBBDEo0
>>760
「……ッ」
(ぬかった!!)

 不安定な足場から咄嗟に飛び上がる。

(粘液の中で燃えただけで、奴等は消滅したと思い込んでいた。完全の俺の判断ミスだ……ッ!!)

 飛び上がったはいいものの、足場は粘性の上に浮いた鉄製の武器。
 たいした高さも跳躍できず、三本の炎のレイピアがクロスを貫く。

「〜〜〜ッッッッッッッッ!!!」

 熱さに顔を歪ませながらも空中に新たに金属板を構築し、それを蹴ることによって粘液がまだ届かぬ足場へと着地した。
 着地した、とは行ってもそれは墜落に近かったが。それでも炎は消えずクロスの体を包み込む。


――光放つ鉱石、無念の魂により、
  Cross and growing soul ...

――今、此処に
   has to be doing just...


 だがそれでも、詠唱は続く。最後の一節を終わらせるまで。
 そう、正念場なのだ。いまここで退くわけには、いかない!


――紅き鬼が十字を振るう!!
   Let's ROCK “CROSS BLAME”!!


 一瞬にして炎が消し飛び、辺りを紅の邪気が覆う。
 クロスの体を黒い装甲が包み込み、その表面を紅く輝く魔術回路が走ってゆく。
 髪は銀色に染まり、まるで尾のように長く伸びた。
 顔面を覆う右目部分の装甲が内側から弾け、中からこれまた紅に輝く右目が顔を覗かせる。
 これこそが、この姿こそが、クロスの切り札。

          クロスブレイム
「極刑鬼神――『咎喰十字』!!

 ダン、と足場を踏み鳴らし、正面から壁のように迫る怪人達を睨む。
 炎によって体はボロボロ。それでも、装甲を自身の金属操作能力で外部的に動かすことにより
 驚異的運動力をクロスは維持していた。

「さて、そんじゃ……い た だ き ま す」

 一本の巨大な剣を瞬時に構築。クロスの身の丈程もあるそれ。素材は……やはりルビチウム。
 それを躊躇なく、目の前の「壁」を作る怪人むけて投擲した。

764響 琴音:2012/05/14(月) 00:43:52 ID:IrsgDsYs0
>>760

 もう一人の脱出を確認した直後、巨大な魔法陣の中央から射出された、握り拳ほどの球体。
 赤と黒の、マーブル模様。それは、天然のーーーーーーー



  核融合爆弾



 数千万度の熱。質量が膨大なエネルギーに変換されて。

 熱と衝撃波が、ワームホールの外側からも回り込んで。

 琴音は強く壁に叩きつけられ、その悲鳴すらかき消される爆風の中で。

 意識を失った。 内蔵もダメージを受けているようだ。

 歌声が止むと同時に、ワームホールも消滅した。

765名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 00:56:29 ID:NntjvIzM0
>>761
怪人の爪が、アテナの身体を切り裂いていく。
しかし、それは致命傷を与えるものではなく。

怪人と目が合った。
次の瞬間、アテナの蹴りが、怪人の体を捕える。
怪人が吹き飛び、壁に衝突して崩れ落ちた。

「……一撃ずつで彼らを倒すなんてね」

>>762
「逃げたか……。
 所詮そこまでの能力者だ」

箱を追おうとする怪人を、レギアは制止する。

>>763
剣の投擲に、壁は成す術もなく崩れ去る。
しかし、それで戦意が喪失するわけも無く、飛び掛ってくる。
それも剣を捨て、次々と飛び掛り、クロスの身体にしがみつこうとする。
上から、下から、前から、背後から。
掴みかかるだけで良い。
後は身体に纏う炎で蒸し焼きにする。

>>764
「……ッ!!!これは……!!!!!」

足元から放たれる爆発に、怪人はみじろいだ。
逃げようにも、確実に間に合わない。

「いいだろう!!!この帝王の力が何所まで持つか……!
 試してやろう!!!」

爆風の中に、怪人は飲み込まれた。
残った四体も、その中で灰となって消えていく。

爆風が晴れた。
しかし、レギアは立っていた。
間接からピシピシと音を立て、焦げ付いた足を琴音に踏み出した。

「耐えた……ぞ……。
 ああ……耐えた……!!!」

そして、琴音の目の前まで歩み寄る。

「自らの……能力が仇になったか……?
 死ねぇ……!」

レギアは、そう言って兵士達が持っていたレイピアを召喚した。
それを、琴音に突き刺そうとする。
異能者ならば、たやすく防げる程度の威力だが……。

766萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/14(月) 01:05:58 ID:7gFzKdaU0
>>765
蹴り足は、怪人を吹き飛ばし。
少女は血を払うように強く地面に脚を叩きつけた。

相手が琴音に迫り、レイピアで突き刺そうとするのを視認して。
あと一歩。そう思った。だから――――、此処が全力を出すべき時だ。

「――――アーマーパージ、鞘を外させてもらうよ」

衣装が剥がれていき、中のレオタード衣装のみとなったアテナ。
衣装を剥ぐ事によって、無駄な力の阻害は消え、純粋な戦闘力を発揮する事が出来る状態へと至る。
力は、しかし外に漏れ出す事は無い。己の中に収束させ、一瞬だけ解き放つのがアテナのやり方。

一歩――――右足を踏み出し、アテナの姿は消える。
そして、琴音の身体にレイピアが突き刺さろうとした瞬間、その間にアテナが入り込むだろう。
同時に、頭突きを相手の顔面に叩き込もうとするはずだ。

「だッ、しゃあ――――――――ッ!!」

雄叫びと同時に、額に魔力がこもる。
その攻撃もまた、先程の蹴りなどと遜色ないものであった。

767響 琴音:2012/05/14(月) 01:12:02 ID:IrsgDsYs0
>>765

この流れで、レギアが気づかなかったことが二つ。

 一つは、ワームホールが消えたからといって、先ほどの魔法陣までが消えたわけではないこと。

 もう一つは、二つ目の核融合爆弾のサイズがさっきの比ではないこと。人が一人入るくらいである。

 アテナの背後で、先ほどとは比較にならないエネルギーが放出される。

 意識が無く壁際に横たわる琴音は、四散した壁とともに吹き飛ばされた。

768銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/14(月) 01:13:26 ID:HnkBBDEo0
>>765
 四肢を掴まれ熱がクロスの体を蝕んでゆく。
 肉が焼け、関節が軋み、骨が悲鳴を上げてゆく。
 切り札を出したとはいえ、炎熱が苦手なのに変わりは無いのだ。

「っだああああああああああああああああああ!!!」

 全身を包む装甲の各部位が開くように展開。
 まるで弾ける花火のように、装甲の開いた中から爆裂状態のルビチウムを散布し、怪人達を吹き飛ばす。

「チィィイイイイイ!! やっぱ食いきれるか心配になってきたぜ。キリが無ぇ!!」

 そう言いつつもクロスは全身に残るありったけの邪気を右腕に集める。
 既に体はボロボロ。炎を使う相手はクロスにとって天敵。
 大技を出すならば、体力が残っている今のうちに出さねばならない。

「悪いが、纏めて平らげるぜ……ッ!!」

 クロスの右拳の中で金属が召喚されては、圧縮されてゆく。
 爆縮された金属は膨大な質量を持ち、それはやがて重力と斥力を備え……まるで一つの星のように……

エンドブレイク・スーパーノヴァ
「 逢魔ヶ刻乃紅貴星 」

 放たれた右拳。
 浮遊する空中要塞の一角で、超巨大な質量と邪気がクロスを中心に一気に放たれた。

769名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 01:24:32 ID:NntjvIzM0
浮かぶ要塞が、瓦礫と共に崩れ始めた。
先ほどの爆発で、全体にダメージを受けたのだろう。
降下速度が上がっていく。

>>766,767
レイピアを振り下ろしたレギアの前に、アテナが現れた。
レイピアが刺さることは無く、レギアはそのまま倒れこむ。

直後、琴音の爆発によって、要塞の屋根が崩れ落ちた。
レギアと、琴音、アテナの間に瓦礫が落ち、二人からレギアの姿は見えなくなった。

要塞全体が音を立て始めた。
いよいよ落ちるのだろうか。
あの爆発を二度受けて、果たしてレギアは生きているのだろうか。
しかし、それを確かめることは出来ない。

部屋は穴だらけで、用意に脱出は出来るだろう。

>>768
要塞の外から、巨大な爆発が観測された。
それは、クロスの右拳から放たれたものだった。

クロスの目の前には、巨大な穴が空いていた。
完全にこの一体の怪人は殲滅した。
しかし、背後からは、まだ他の場所からやってきたのか、怪人が走ってきた。

が、クロスの元にたどり着く前に、怪人達は倒れていく。
あの三人は大元を断つことができたのだろうか。

直後、クロスの足元が崩れ始めた。
要塞は落ち始めている。

770銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/05/14(月) 01:31:24 ID:HnkBBDEo0
>>769
「ああ、くそ……くやしいな……」

 今の大技で、クロスは全ての力を出し切った。

「結果はどうなったのか、見に行きたい、が……」

 倒れた兵士。そして先ほどの爆音。
 クロスなら分かる。過去に自分も使ったことがある。
 あれは、核の……

「わりぃ、もう限界だわ」

 まるで崩れおちるようにクロスは倒れ、要塞に開いた穴から落ちてゆく。
 落ちてゆく間にも装甲が剥がれ、中から焼け焦げた皮膚が露出していた。
 今回のダメージが大きいことを表しているだろう。

「あと、頼んだ」

 誰に向かってでもなくクロスは呟くと、そのまま夜の闇の中へと落ちていってしまった。

//先に離脱ん
//参加させていただき、ありがとうでした!

771響 琴音:2012/05/14(月) 01:32:18 ID:IrsgDsYs0
>>769

 瓦礫に混じって落下する、人影があった。

 空気抵抗の少ない高空で、かなりのスピードで落ちてゆく。

 まだ、意識は戻らない。

772萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/14(月) 01:32:41 ID:7gFzKdaU0
>>769
「――――っち……ぃ。
 確実に倒したと分からなきゃ、安心できないっていうのに……!」

姿の見えなくなったレギアに、舌打ち。
それでも、気絶しているであろう琴音の元へと、アテナは駆けていく。
そして、穴の部分から下を見て、住民の避難は完了していることも思い出す。

だからといって、このサイズの建物を落とすのは、被害が甚大だ。
なんとかしなければならないだろうし、その手段はあった。

>>768
「てんちょー! 空飛べるッ!?」

声を張り上げて、アテナはクロスにそう問いかけるだろう。
一体何を考えているのか、もしかしたら想像がつくかもしれない。
一刻を争う状況。故に、早口で声を張り上げる。

「地面に落ちる直前に、この要塞砕いて衝撃を分散させようと思うの!
 だから、できるだけ早く離脱してほしいんだけど! えっと、この子も気絶しているっぽいし!」

近くで気絶しているだろう琴音を指差しつつ、叫ぶ。

773萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/14(月) 01:33:13 ID:7gFzKdaU0
>>772
/*このレス、無しでー!*/

774萌葱アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/05/14(月) 01:34:57 ID:7gFzKdaU0
>>771>>769
「――――あぁ、もうッ。人が居ないなら、先に地上に降りてから砕くのも有りか。
 待ってて、今行く!」

崩れる要塞から飛び降りるアテナ。
空気抵抗を削ぎ落した衣装で、高速で落ちていき、相手を追い抜いた時点で衣装を再構成。
落ちてくる琴音を抱きとめ、地上へとゆっくりと降りていくことだろう。

775名も無き異能都市住民:2012/05/14(月) 01:53:34 ID:NntjvIzM0
「なぜだ……私が能力者共に……負ける?」

レギアは逃げていた。
壁に手をつき、しかし、倒れ伏す。
そのまま、這うようにして、瓦礫の中を逃げようとしていた。

「無様だな、レギア」

崩れ落ちる要塞の中、逃げるレギアの前に、幹部怪人レストが立っていた。
炎使いとは思えないような冷たい視線でレギアを見下ろしていた。

「レスト……!?私を助けろ……!能力者達を殺せ……!」
「残念だがそれは出来ない」
「……なんだと!?どういうことだ……!」

レストはレギアに歩み寄る。

「安心しろ。帝王は俺が引き継いでやる」
「レスト……貴様、最初からそれが目的で……!」

レギアはレストに掴みかかる。
レストはニヤリと不気味に笑った。

「ぐ……あああああああ……!!!」

レギアが叫び声を上げる。
その胸には、レストの逆刃刀が突き刺さっていた。
レストは刀を引き抜いた。
レギアは後ろに数歩後ずさりすると、倒れこんだ。

「貴様には扱いきれなかったようだな。
 帝王の力は頂いた……!」

レストの手に、火の玉が握り締められていた。
レストは崩れ落ちかけている砦の中を飛び上がり、天井を破壊し脱出する。
砦の中ではレギアの身体が爆発し、砦の中に次々と引火する――。


>>770,771,774
落下する形で、地上にたどり着いたアテナと、クロス、琴音。
周囲には力を失った怪人達が倒れており、観測局の人間達は既に退避している。

振り返ると、要塞の内部から不自然な発火が見えるだろう。

燃え盛る要塞は、徐々に高度を落とし――。

やがて、地面に落ち、同時に倒れた怪人達も消滅した。
要塞は跡形も無く崩れ去った。

【イベントクリア!】

776黒沢小百合:2012/05/15(火) 23:15:27 ID:SSMHlh/20
【イデアの箱庭・廃虚フィールド】

廃虚のあちこちにチロチロと火の手があがり、
黒煙が夜空へと吸い込まれるようにもうもうと立ち込める。

「ふむ、さすがに以前よりやや遅れがある。
 実戦でカンを取り戻す事が必要、になるか……。」

その様子を、廃虚の外れに設けられた陣営で眺める女。
完璧に仕立てられた黒のスーツを着こなし、側に控える従者に
その艶やかな長い髪の手入れをさせている。

777クラウス・ハインツ・フォン・シュミット:2012/05/17(木) 18:07:14 ID:IrsgDsYs0
>>776

 「廃墟か。儚い現の夢の跡。
 その廃墟をヒトが望んで作る日が来るとはな」

 長身痩躯の青年が、長い金髪を風になびかせて歩いている。

 「まぁ、その廃墟を好き好んで散歩する私は、ヒト以上の物好きになるのかな」

 左手には見るからに頑丈そうなトランク。右手の一升瓶には、琥珀色の液体が半分ほど入っている。
 日出る国の日本海側に突き出た半島を持つ県の銘酒、菊姫。この焼酎を5合ほど飲んだようだが、酔っている様子は微塵もない。

 「おや、煙まで上がっている。よくよく見れば火の気もある。ふむ・・・」

 廃墟のど真ん中で、立ち止まって考え込んでしまった。

 廃墟の外れに誰かがいることには、まだ気付いていない。

778たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 21:01:39 ID:7gFzKdaU0
警察が、都市を騒がす彼らのアジトを突き止めた。
だが、彼らは皆、強力に過ぎる能力者達、ただの警官では彼らに勝利する術を持ちはしない。
故に、彼ら警察は能力者に依頼を託したのだ、生死を問わず、ただ彼らを止めてくれ、と。

アジトとして教えられたのは、とある高層ビル。
都市の中心部に立つそこに、悪人が堂々とふんぞり返るなど、誰が想像するだろうか。
そして、その最上フロアにこそ――――彼ら、否、〝彼〟と〝それ〟が居た。

一面ガラス貼り、外を全て見回し、夜景を楽しむ事が出来る地上51階。
だが、そのガラスは曇っていた。血煙に。そして、音はただうめき声と哄笑と無言で成されていた。

「――――っは、はははっはははッ!! いい加減、飽きたんだよ。
 そうだ、そもそも、ボク達は仲間ですら無い、そうだろう、ショット!?」

死体は少ない、皆殺しではない。まだ、殺す時ではないから殺さないだけ、楽しくないから殺さないだけ。
一番楽しくうれしく殺せる時に殺さないと、どんなチリでも平等に楽しんでやりたいから。
だから、自分の手で自分の周りの何もかもを壊したいし、それが自分なりの愛だと信じている。

足元のオーバーオールの女は、うめき声を上げ。
それでも、一縷の望み、信頼の僅かな光を以て、見上げ、口を開く。
唯一、他者に異常と言われた己を受け入れてくれた物をただ信じる、異常者なりの信頼と、救済を信じたがゆえに。
その、彼女の口にした言葉は、彼の心を揺ら――――

「あ、あっし、あぎ……ッ」

――――すなどというご都合主義な事は起きるはずもなく、それどころか言葉を発する事も許されなかった。
喉笛を革靴で踏みにじられ、呵々大笑を響かせるのは、ただ一人絶対の悪と己を知り、信じて疑わない絶対者。
細身のスーツに、高級だと一目で分かる革靴。それらも、彼の持つ雰囲気の前にはただの腐った肉を纏っているようにしか感じさせない。
顔を隠すのは、トンボを思わせるエメラルドカラーのラバーマスク。その瞳の奥には、ただ闇。

悪にも一縷の善有りなど、これを前に示すことはできる筈が無い。
男は、笑いながら倒れる有象無象、無数の半死人の群れの一人の首根っこを掴み上げる。
彼に雇われた使用人で、悪人でもなんでもなかった物、それを見て、うーん、と声を漏らし。

「暇だし、吸血鬼ごっこでもする?」

そう言って笑って、歯を首筋に突き立てて、肉ごと引きちぎった。
血をずるずると啜り上げ、使用人は絶命に至った。が、どうでもいい。知ったことか。
不味い、そう呟いて床に血肉を吐き捨てると不機嫌そうに死体、塵芥をそこらに放る。

「――――さぁって、警察は突き止めただろうし。
 楽しみだよねぇ、そうだろう。ドゥーム?」

半死人を積み重ねて作った座に座して、男は背後の影に問う。
背後には、ボロボロの外套を身にまとう、これこそ異形がそこに居た。
異形は、無言、無反応。だが、男には何かが分かったようで、笑い出す。

「さあさあ、踊ろうじゃんか善人、非善人、悪人、非悪人、人間、非人!
 わざわざいい場所用意したんだ! 楽しませてくれなきゃ、ボク怒っちゃうよ! むしろ怒らせて欲しいニャン!
 ボクが、ボクだけが一番のバケモノだ!だから、あそぼうじゃないか! この、化物の宴[フリークス・ナイト]で!
 暇には飽いた、普通の殺しじゃつまらないんだ! だから、もっと、もっと楽しいものを、ボクに見せてくれェ!!」

広間の中心で、男と影はただ待ち続けるのだ。
己の暇を潰してくれる、楽しい楽しい玩具の到達を、40,50余りの死人、半死人ばかりのこの広間で。

779ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 21:11:09 ID:B3GgeLvw0
>>778
…血の匂いがした、死にかけの人間の匂いを。


ラインは、いつも通り、憎い奴らを殺す為に歩いていた。
だが、

「これをやったのは、お前か?」

据わった眼、恐怖の色はなし。
ただ、殺意だけがある眼。

「お前は、こんな事をしてもただ、『楽しい』という感情しか浮かばないのか?」

怒っているわけでもなく、説得しているわけでもない。
ただ、彼は聞いた。

780たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 21:17:38 ID:7gFzKdaU0
>>779
「え、まだ詰まんないかな。
 強いて言えば――――〝なんにも感じてない〟かな?」

入ってきた相手、その言葉。
それに対して、何を聞いているのかと狂人を見る目で狂人は訝しがり。
何人殺しても、自分が楽しくなければなんでもないと、そう心から語ってみせた、嘘は無い。
嘘を付ける人間ではないからだ。

「で、キミばボク達と遊びに来たのかな?
 暇つぶしに弄り回してて、大分代わり映えしない玩具も光景も飽きていたんだ。
 ボクとしては――遊んでくれれば嬉しいんだけど。ねぇ、ドゥーム?」

男は、後ろの影に問う。影は、無論声も動作も返さない。
一方は、殺意すらも美しいと笑って見せて、狂気すらも面白いと笑ってみせる。
一方は、殺意すらも不感で滾らず、狂気すらも不感で快楽を覚えない。
対象たる影と男の共通点は、ただひとつ。狂人だというその1点のみだった。

「――で、キミは楽しいのかな?そう言えば、名前も聞いてなかったけど。
 聞くのは後でにしよう。つまんない物の名前聴いても覚えられないしねん。
 だから、せいぜいボクを楽しませてねーん。ねぇ――――玩具[オモチャ]」

狂気を紡ぎ、男は未だその場から動くことはない。
相手に譲ってやると、そう言っているようにも思えた。

781ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 21:24:44 ID:B3GgeLvw0
>>780
「やはりこの世界は狂っているな。
こんな化け物を作りだすなんって。」

感情のこもっていない声を出す。
そしてその場にあった人間の千切れた腕を掴み、持ちあげる。

「お前を殺せるかは分からないが。
今、俺はお前の遊び道具という言葉を聞いて安心した。」

「『お前は殺しても問題ないという存在だと分かった』からな。
まぁ、元々どんな野郎だと殺す気でいたが。」

その腕の形を槍に変えて振りかぶり、相手の頭に向けて投げる。

782たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 21:35:24 ID:7gFzKdaU0
>>781
「なぁんだ、わかってないんだ。
 〝キミだって同類〟なのに、ねぇ――――」

どろり、と化物は生ぬるく、柔らかく、腐臭を漂わせる言葉を口にする。
異常は異常だからこそ見抜いているのだ、相手もまた異常者だと。
それを指摘するかのように、愉悦を隠さぬ顔で男は笑い、何をするのかと目を爛々と輝かせて楽しみとする。

「――なんだ、そんな事気にしてたの。
 キミにだって無かったのかなぁ、学校帰りに友達と笑いながら、虫を弄って遊んだこととかさぁ。
 アレだって、ボクのやってることと変わらないじゃないか。トンボの翼を引きちぎって、蟻の腹部を指で潰して。
 人の四肢を引きちぎって、人の中身を引きずり出すことと、一体何が違う、何も違わない。
 だからボクは、殺すのさ。何をやっても、何を演っても、何を殺っても! つまらないッ!!
 首を引きちぎっても、全身の皮を剥ぎとって逆向きに貼り付けなおしてもッ! 嗚呼、詰まらないッ!」

男は頭を抱えて、狂ったように叫びだして。
迫る槍、それを見れば、口元には狂笑だけがあり、目は退屈に淀んでいる。

「首をへし折って殺す」

一言、そうつぶやけば、彼の頭部、額に先端を埋める直前の槍が握り締められる。
そして、その槍の穂先、人であれば首の部分を掴み――――右手で捻り折る。
まるで、〝その殺害を成すのに必要な力〟が元から有ったかのような事象。

「――こんなもんじゃ、ボクは楽しめないッ!
 見慣れてるんだよ、予想できるんだよ、飽きてるんだよッ!!
 もっとだ、もっと、もっともっともっと、ボクの見たことがないものを、世界を死を!見せてくれッ!
 じゃなきゃ、飽きて、飽きて、飽きて、どうしようもなく、つまらなくなって、ボクはきっと死んでしまうッ!!」

叫び、男は右の腕を振りかぶり、駄々っ子のように近くの人体を掴み、引き上げ。
全力で相手に向かって投げ飛ばした。弾丸の様に迫る人体は、投げられる過程で死にいたっている。
ぶつかれば、砕けた骨と肉に吹き飛ばされることだろう。

783ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 21:44:59 ID:B3GgeLvw0
>>782
「同類か、否定はしない。
だが、お前と俺は現在敵だということは理解できる。」

そう言うと、飛んでくる人体をまた
近くに居たまだ生きている人間の人体を同じように投げ、相殺する。
むろん、一人ではない、三人の生きた人体を重なるように投げて。

「…。」

ただ、淡々と作業をするように投げた。

「殺す。」

あの能力はまだ使わない、なぜなら、今使っても殺せるという確信がないから。

「俺には、楽しいという感情が分からない、感情と言う物すら分からない。
お前が狂っているならそうだな、俺も間違いなく狂っているんだろうな。」

既に死んでいる人体の両腕を引き千切り、両腕とも剣に変える。

784たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 21:54:36 ID:7gFzKdaU0
>>783
「そうだねぇ、そうだよォ――――。
 相容れないけど似ている二人、ついいがみ合ってついには殺し合いに――――悲劇だろう?
 だけれど、そんな物も見飽きている、つまんないよっ! 本当に、何もかもが!」

己に埋没するように酔い、そして、それすらも詰まらないと叫びを上げる。
相殺される人体は、もはやタダの道具でしかない、道具は使い潰すもの。
ここにいる以上、ここに居る人間は、誰しもそのルールを適用されてしかるべきだ。

それは、相手も、そしてこの男も、そして男に従う影も又、何一つ変わらないのだ。
違う点は、他者に使い潰されるのか、己で己を使い潰すか、ただそれだけに帰結した。

「――へぇ。殺して見せてよ、楽しいかもしれないしぃ?
 ボクもキミを殺せば、見てないものが見れるかもしれない。ぶっちゃけ、能力者殺すのも飽きてるけど?
 代わり映えしない一般人殺すよりは遥かに面白いよね? うん、普通のクソゲーよりも、突き抜けたクソゲーの方が面白い的な感じでさ!」

剣を持ち、己の前に立つ相手の言葉、それを受けて。
男はきょとんとして、そしてくの字になって声を吹き出す。

「ひ――――ひひひひゃは! 今の、ちょっと面白かったよ?
 当然じゃん、お前頭おかしいよ! キチガイ、そう、キチガイだお前!
 まあ? ボクも? 同じような? 感じの人間なんだけどォ?
 だからさ、ボクはキミと仲良くしても良い訳、殺さなくても良いんだけどー? あ、ごめん、やっぱり殺すよん?」

そう言うと、男はゆらり、と立ち上がる。
そして、右腕を振りかぶって、口元を歪ませて、声を響かせる。

「四肢を断って、失血させて殺す」

途端、両の腕が刃となった気配を帯びる。四肢を寸断する事が可能であると示す気配が当たりに撒き散らされる。
なるほど、生粋の殺人鬼がそこに居た。

785ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 22:05:06 ID:B3GgeLvw0
>>784
「似ている?、俺とお前が?
勘違いも甚だしいな。」

感情の籠っていない声でそう言うと走り出す。

「フン!」

少し距離が近付いてから両腕に持つ剣を同時に投げる。
そして前転しながら切り離されている腕を一本もち、剣に変える。

「ゲームなんぞやって何が面白いか分からない。
ただたんに暇をつぶすだけのものだろう。」

そう言うとまた足元の腕を一瞬の内に持ち、剣に変える。

「キチガイか、俺が狂っているのは分かる。
だが、ヘタな感情を持って相手を殺し損ねるよりは狂っていた方がマシだな。」

段々と距離が近付いていく。
そして相手に向けて投げた剣ももう目の前だろう。

786たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 22:11:16 ID:7gFzKdaU0
>>785
「虫と人は同じだし、ボクらは狂人だ! そこに差なんか有るはずが無い、有ってたまるか!」

飛んでくる剣、それを避けることはない。
ただ、背後の影が動き、移動。そして、迫りくる剣の盾になる。
突き刺さる剣は内臓をかき回し、腸を切断し、肺を抉り、心の賦を貫いた。
というのに、影は死なず、蠢いた。

「――邪魔だ、まだキミの出番じゃない!
 ボクが楽しみたいんだから、お前は引っ込んでろドゥームッ!」

叫び声と同時に、ドゥームと呼ばれる影は、一瞬反応を見せた。
僅かに移動までに逡巡を感じさせたのだ。

「その、暇が人を殺すんだよ、わからないか、わからないよな?
 ああそうとも、暇の苦痛も、お前みたいに感情を無くしてしまえば、きっと感じることもないんだろうさ!
 嗚呼畜生、楽しくないんだよッ! 面白くないッ! ああ、羨ましい、羨ましい!」

感情の発露は止まらない、そして、迫っていく相手に対して、男もまた駈け出した。
両腕を振りかぶって、相手の腕を、脚を落とさんという意思を掲げて、だ。

787ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 22:17:04 ID:B3GgeLvw0
>>786
「差はある、お前に感情があるか、ないか、というな。」

出てきた影に驚く様子を見せない。

「フン、お前が持つお友達か?」

特に意味のない疑問を言う。

「俺も感情を持つ時期があった。
だが、その感情に意味を見いだせなかった、だから捨てた。
お前の言い分なんぞどうでもいい。」
そう言うと、両腕の剣を振りかぶり、近付いた所で振り下ろす。

788たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 22:23:36 ID:7gFzKdaU0
>>787
「違うよ? だって友達なら殺しちゃうじゃないのさぁ、ねぇ?
 これは、〝ボク〟だよ。同じく、何かを願ってここに居る、寸分違わずボクを鏡写しにしたボクの影。
 あんな触れれば崩れる有象無象と一緒にしないで欲しいんだけど」

鼻を鳴らして、狂っていない感情を唯一見せる。
己の分身、それ故に、友ですらない存在が、影だった。

「――――忘れてない? それも元四肢なのに」

そう呟いて、男は右腕をただ横薙ぎに振るってみせた。
四肢を一閃で落とすのに丁度の威力の右腕は、例外なく〝四肢で有れば切り落とす〟。
それは、元々四肢であったその剣にも当然適用され。
手刀は相手の両腕を切り落とさんと、躊躇いも無いままに迫っていく。

「キィ――――ヒィヒャッハァ――――――――ッ!!」

789ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 22:29:56 ID:B3GgeLvw0
>>788
「なるほど、お前も十分感情がないじゃないか。」

切られた剣を見ても動じない。

「これが四肢?、違うな、これは武器だ。」

事も投げに言い放つと投げ捨てる。

「四肢じゃなければ良いんだな。」

ズボンのベルトを抜くとそれを槍にして突きを入れようとする。

790たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 22:34:35 ID:7gFzKdaU0
>>789
/*手刀はどうしましたか?*/

791たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 22:38:45 ID:7gFzKdaU0
>>790
/*あ、やっぱりいいです。こっちで、手刀が回避されたことにしておくので*/

792ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 22:39:23 ID:B3GgeLvw0
>>790
//あ、体を低くさせて避けたことにしてください。

793たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 22:45:11 ID:7gFzKdaU0
>>789

ベルトの槍に脇腹を抉られて、鮮血を吹き出した。
傷を受けてみれば、ああ何も変わらない、タダの紅い物が漏れるだけ。
幸い傷が浅く、内臓が飛び出ることはなかったが、青年は口元を歪ませる。

「――ああ、痛い、死ぬかもしれない。
 でも――――陳腐なんだよォッ! こんな、普通の手段でボクは殺されてたまるものか!
 認めない、こんなの認めないッ! こんな、詰まらない世界も、終わりも、始まりも、命も! ボクは認めない、認めないんだァ――――ッ!!」

そう言うと、男は相手を見据えて、癇癪を起こした子供の様に叫ぶ。
脇腹の傷を掻き毟り、痛みに嗚咽を漏らし、視界をバチバチと閃光に散らせて。
どうだ、この程度の普通の傷で、己は死にはしないのだと、誇らしげに、憎らしい顔で示した。

「壁に叩きつけられて死ね」

そう言うと、男は相手の胴体を右腕で押すだろう。
もし掠りでもすれば、壁まで凄まじい勢いで吹き飛ばされるはずだ。
と言っても、相手が回避するなり、受け身を取れば死ぬ自体にはならないはずである。

凶器は必要なく、ただ狂気のみで人を殺すに足る事象を起こせる異能。
殺害に関して特化し、しすぎた異能はこの男の歪さをこれでもかというほどに語り上げる。

男が、万物を殺し尽くす為の異能で有れば、これまで何があろうと死ななかった影の方は一体――――。

そして、男は嘆息する。

「もっとだッ! もっと楽しもうじゃないか!
 詰まらない! タイマンなんて望んでいないんだよ!
 ボクが望むのは、ただ、おもしろい事だけだ! だから、もっとボクを楽しませてくれよ!
 じゃなきゃ、もっと、もっともっともっと、死ぬし殺すし、殺させるし、終わらせるぞッ!!!」

詰まらない、もっと新しいオモチャをくれ。
子供のようなわがままな叫びを、この男は上げているのだった。

794ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 22:53:55 ID:B3GgeLvw0
>>793
「そうか、この程度で『死にたくない』のか。」

まるで理解するような声で言う。

「なら、ほんの少しながら恐怖を与えてやる。」

そう言うと、無抵抗のまま右腕で押される。
受け身もとらない、壁に手を付こうともしない。
そして壁に叩きつけられる。

「…死の…痛覚遮断、発動。」

そう言うと、壁に埋まっていて骨の向きが変わっているにも関わらず、彼は起き上がる。
右足が変な方向に曲がっている、折れてはいない、向きが変わっただけ。
そう理解すると向きが変わった骨を殴り、無理矢理修正する。

「お前の狂気と俺の狂気、どちらが上回るかな。」

そう呟くと、相手の眼を真っ直ぐ見る。
その瞬間、その狂人は、僅かながら背筋が凍るような恐怖を感じた。

795たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 23:05:31 ID:7gFzKdaU0
戦闘の余波で、ガラスが割れ階下へと落ちていき。
俄にビルの下がざわめき始めた。一部の物ならば気がつく筈だ。
血の匂い、異能の臭い、災の臭い、戦いの臭い――――そういった〝負〟が。
それを追えば、間違いなく、ここにたどり着くことが出来ただろう。

>>794
「――――ッ、っひィ」

男の顔が、畏怖に歪む。ああ、相手の狂気が此方の狂気に勝った、そう思っただろう。
ある意味では、間違っていないのだ。その時点では、相手が此方に優っていた。
だが、それは――――――悪手だ。

男の縮こまった内から、何か、出てはいけなかった物が漏れだしていく。
隠していたのに、出していなかったのに、開けてはいけなかったのに、開けてしまった、出してしまった、見つけてしまった。
さすれば、そこから出てくるのは、一体何だというのか。

「目を、覚まさせるなよ。ボクは、ボクは、ずっと、ずっと。
 ただ、楽しんでいられればいいんだ、だから、恐怖なんかでボクを素面にさせてくれるな!
 ああ、どんな殺し方も試してみたいんだ。だから、沢山殺してみたけど、だんだん飽きてきたけど!
 キミは、面白い、本当に、面白い、面白い面白い面白い面白い面白い面白い!
 だから、故に、そして――――殺すッ! 愛してる! 今夜は月が綺麗ですね! アイラビュー!」

恐怖を与えられて、男の狂気のタガが外れた。
割れた窓ガラスから、都市の中に響き渡る、笑い声が飛び出した。
声を聞く者達を皆、殺戮という甘美に酔わせる様な、魔声が。

声は、呼び寄せる。
もっと殺したい、もっと死なせたい、もっと死を識りたい、もっと死を楽しみたい。
だから――――もっと沢山、遊び相手が、玩具がほしいと。彼の玩具を、この地に呼び寄せようと引力を発するのだ。

796ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 23:09:45 ID:B3GgeLvw0
>>795
「サイコパス、自分が抑えきれなくなったか。」

冷静に相手の状態を分析すると足元を見る。
そこにはちぎられた腕、そして手に握っているのは。

「…、拳銃か。」

腕を剣に変え、右腕に持ち、銃を左腕に持つ。

「悪いが俺は女は嫌いだが同性愛者も嫌いだ。」

入っている弾は4発、無駄にはできない。
剣を男に向けて投げる。

「…。」

無表情のまま走り出す。
その目には、殺意のみ。

797名も無き異能都市住民:2012/05/19(土) 23:10:34 ID:SSMHlh/20
>>795-796

――――ギュィィィイイィンッ

何の前触れもなく響く耳を劈く機械的な轟音、同時に発生した
すさまじい風圧に硝子が粉砕され、それらは無数の刃、或いはやすりのように襲い掛かる。

この状況的から考えれば、この現象の原因は
『都市』側の異能者であるとは考えられるが……。

――バァアアァァァァァアアァッッ!!!!

細かく、連続しまるで一つの音のように聞こえる異音。
M230チェーンガンが、M789多目的榴弾を吐き出す金属の咆哮だ。

それらは、室内にいる全員。
敵も味方も関係なく、平等に襲い掛かる!

798たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 23:19:23 ID:7gFzKdaU0
>>796
「――――死ね、ただ死ね。
 血の通わない物に、凝った死など与えるか詰まらん!!」

怒りの声、怨嗟の声、歓喜の声、愛、憎しみ、もはや分けの分からない濁流が心として吹き上がり。
途端。男に迫る剣が、腐り落ちるどころか、砕け散るどころか。

――――死する。

彼の異能は、今相手が呼び覚ましたことで極みの域に達していた。
殺すための力の域は、人ならざる物、生身でないものを即死させる域に有る。
故に、武器ではもはや彼を獲れないことだろう。銃を打っても、きっと銃弾は死に、その用を成しはしない。

>>797
影が、今の男ならば守る必要もない事を知っているのに、動く。
大の字で、男は立ちはだかり。弾幕の前に身を晒す。
防御など、しているはずはない。他者に死を与える男の裏は、己に死を求める男なのだから。

微塵と為るまでうち貫かれて、先程まで立っていた所には、崩れた肉塊。
これで終わりなのか、そう思わせるには、余りにも呆気無い幕引きだっただろうか。
だが少なくとも、これに依って、男に迫る弾丸のみは殆ど防がれることだろう。

ただし、ラインに迫る銃弾については、彼は関知していないためラインに来る分は普通に迫ってくることだろう。

799ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/19(土) 23:25:44 ID:B3GgeLvw0
>>797
「ッ!」

その音がなんなのか一瞬で察し、体を伏せて、なんとか回避する。

>>798
「普通の武器はもう効かないか。
厄介だな。」

伏せながら分析し、周りを見渡す。

(水…、水と電気、これがあればもしかしたら。)

800名も無き異能都市住民:2012/05/19(土) 23:48:39 ID:SSMHlh/20
>>798-799

未だ続く鋼鉄の暴風雨。

発生源は四方からビルを取り囲んだ、数機のAH-64アパッチ攻撃ヘリ。
機首下ターレットのチェインガンに装填された弾丸を全て打ちつくそうとしているかのように、
微旋回しながら、攻撃を続けている。

そして、ビルから少しはなれた場所。
警官がビル周囲を封鎖するための指令所に、一人の女の姿があった。

「敵は人質も無く、ビル内も無人。
 なら、容赦する事などないではありませんか。
 建物ごと、叩き潰してしまえばよい。」

彼女の名は、黒沢小百合。

「私不在のうちに、なるほど。
 市警は相当弱腰の対応をするようになったと見える。」

千夜財閥の都市警備部門を統括する女。

801たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/19(土) 23:57:29 ID:7gFzKdaU0
>>799
「――腐って死ね」

男の異能は、言ってしまえば己の殺意を満たせるように己を作り替える異能。
首を落としたいならば落とせるように腕は刃に、壁にカエルのように潰してしまいたいならばそれが可能な衝撃を。
だが、今の彼は一段上に有る。己以外に、殺意でそれを押し付ける、命なきものはすでに死んでいるのだから、後はその死の形を決めるだけ。

生きている物は己の手で殺さねばならないが、死んでいる物は死んでいるだけ、殺すまでもない。
故に、腐り落ちろと命ずれば、無機たる床は無慈悲に崩れ始める。

相手の足元が徐々に崩れていき、思考を邪魔するだろう。
階下は割りと高く、落ちれば高いダメージを追うのは必至であった。

>>800
「――――ねぇ、ドゥーム。キミはその程度で死ぬけど、その程度で終わらないだろう。
 さあ、起き上がれよ。そっちは、ボクは殺さない、お前が楽しめ!」

男が叫び声を上げて、肉塊に声を掛ける。
途端、足元のひき肉は姿を消した。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」

雄叫びは、ヘリの真上から聞こえた。
肉塊が、組み上がり。一つの歪な肉のかたまりに人の魂を入れた物を作り上げる。
死を振るう男、ドラゴンフライが、己の周りの全てを殺したいならば。
死を受け入れる男、ドゥームは、己のあらゆる死を観察したい、だから、〝死んでも死にきれない〟。

存在が膨張する。同じ死に方を体験するのは詰まらない。
ああ、結局の所同じ存在だ、京楽のために他者を殺すか、己を殺すか、それのみなのだから。
ヘリの上に立ち、ヘリのプロペラを引きちぎる。

そして、全力。そのプロペラを投擲する。
その速度は、超音速。人の域を外れた、進化の力。

彼の力は――死ぬ度に、その死を超えて黄泉帰る。
弱点が無い様に見えるか、無限に強くなり続けるそれを見て絶望するか。
だが、この世に絶対はない――――倒す方法、糸口は。探し続ければきっと見つかることだろう。

802ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 00:05:32 ID:B3GgeLvw0
>>800
(ココはアレに任せた方が良いか?)

思考をするが。

>>801
「ッ!」

その異様な能力を見て顔をしかめる。

「チッ。」

起き上がり、広間から出る。
その上からは電気コードがぶらさがっている。

803名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 00:21:14 ID:SSMHlh/20
>>801

――小百合の能力。

それは書物を媒体にした様々な物の具現化であり
副次的な能力として具現化したものに対との感覚の共有を備える。

「……一機やられた?」

小百合は、ヘリがやられたと感じた瞬間、
落下による要らぬ破壊を防ぐため、その機体を消し去った。
当然、投げられたパーツも消えてしまい、小百合まで届かない。

「敵は……そうか、徒手で破壊……。
 ふむ、肉体強化形の異能者と見えるが……果てさて。」

小百合はまだ敵の能力を知らない。
そして、彼女自身にできることといえば力押ししかないのだ。

「まあいい。ここで押し包んでしまえば最早敵は逃れる事などできん。
 幾ら強かろうと、生きている限りいつか死ぬのだ。」

攻撃続行。とかく、一発でも多くの弾丸を撃ち込むことを考える。

804たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 00:26:22 ID:7gFzKdaU0
>>802
「なぁんだ、お前。わかってないなぁ、本当にわかっていないよぉー。
 殺気の殺意は熱かったのに、今はうじうじうじうじ考えて、Ah――――つまんないッ!
 四の五の言わずに殺しに来いよォ! 俺を見ろよ! 見ろ! 目をそむけるなよ!
 死ねッ! 落ちろ――――――ッ!」

己から背を向ける相手に、男は激昂。
その死の範囲を広げていく。すでにこのビルには、男と己しか居ない。
ならば、単純な話。殺し尽くすことに何の憂いすらもありはしない。

ビルが不思議な震動に覆われていくだろう、そして、ブレーカーが落ち、電気が落ちた。
ビルの壁面にじょじょに罅が入っていくのを見れば、単純明白。
彼は、このビルを殺そうとしているのだ。もはや、壁は崩れていき、ここで止めなければ崩落は止められない。

だから、私を見て、ボクと遊んでよ。
男の瞳は、そう如実に語っているのであった。

「――――殺したい、どんな殺し方でもいいから。
 ボクはお前を殺したい! だから、名乗ってやる――――ボクの名は、ドラゴンフライ!
 ボクも又、放課後の帰り道に無残に羽を毟られる一人に過ぎない男だァ――――――!!」

殺意が身を震わせる。身体が、殺すための装置と化していく。
これでいい、それでいい。此れが、あるべき姿だ。狂気に身と心を委ね、己の全てを狂奔させていく。
吹き上がる殺意は、人ではなく、命を持たぬものならば即座に死を与えるもの。
ここまで来れば、理解できるだろう。生身で来いと、そう語っているのだ。

>>803
「――――■■■■■■■■■!」

達者な口を他方が持つゆえに、此方は言葉を紡げない。
意味をなさぬ叫びに有るのは、怒り。この程度で己を殺せるのかという、叫びだ。
まあ、実際の所は、飛び移るまでに何度か死に、そして強化され復活するのだが。

「――――」

着地。そして、異形は異能の長に向けて駆け抜けようとする。
速度はそれほどでもない、その理由は、超えるのに速度が必要な死因が存在しないから。
故に、回避しなければ即死する死が有れば、この異形はおそらく速度を得る。

腕を振りかぶり、死を恐れず迫る様は、死を望むというのに何よりも活き活きしていたことだろう。
上の死者と下の生者、共に変わらず死に関わる事を望むもの。
その幕引きは、何時になるのか。それは、きっと、この都市の力が決めることだろう。

805ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 00:34:24 ID:B3GgeLvw0
>>804
「…、能力が切れたか。」

無駄な事をしたな、と思考する。
そしてまた広間に戻る。

「さすがに俺も礼儀を忘れたわけじゃないから言おう。
ライン・オード・トランギス。」

ただ、冷静に言う。

「殺すか、殺されたい、ドラゴンフライ、お前はそう言いたいんだな?」

806名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 00:40:12 ID:SSMHlh/20
>>804

「私に勘付いた……あの距離から……。
 感知系能力者でも、何処かに潜んでいるのか?」

小百合に迫る男を阻止すべく、虚空から霧霞の如く現れるは
鉄器、皮鎧、時には毛皮と個々の装備こそ違う物の、皆一様に黒い布を
顔を隠すよう巻きつけた、無貌の軍勢。

              イモータル
その名は、奇しくも『不死の部隊』。
アケメネス朝ペルシア全土から集められた、1万の精鋭。

「しかし、結局一人では、なあ……!
 綿密に連携された防衛力を突破するなど、猪武者には!」

槍、手斧、剣、棍――。
無数の武器が四方から、男に迫る。

807たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 00:48:13 ID:7gFzKdaU0
>>805
「――飽きてるんだよっ……! 知らないものが見たいのに、なんにも。なんにも見えない。
 沢山、独創的に殺してきたのに、それでもまだまだ、満たされない。
 ボクは、享楽に溺れていないと壊れてしまうのに、枯れて、枯れて、枯れてしまうッ!
 死ぬことよりも、枯れる事が何よりも怖い、だからボクは――――鮮烈を求め続けているッ!!」

雄叫ぶドラゴンフライ。
己が狂人と、何よりも己が理解していて、己がおかしいと何よりも知っている。
だが、だからといって、それをどうしようというのだ。生まれ持った生業だ、今更善人などなれはしない。

だから殺す、殺すことを楽しみ続ける、そうじゃなければ壊れてしまう、どちらにしても壊れるけれど。
死ぬのが怖いから、己の死を誰かになすりつけるかのように殺し続ける、殺し続ける。

「ああ、そうだ――――結局ボクは独りよがりで、同しようもない屑だ!だからそれでいい!
 それでいいから、誰でもいい! 殺させろ! または、ボクを殺せ――――! つまらないと、苦しい!
 だからボクは、お前を殺す! 絶対に〝ボクの手〟で!」

両の腕を、相手に向けて構える。その腕は、相手を殺すためだけの腕。
人を殺すのは人だ、だから武器、道具など無粋にすぎない。
素手で殺すのが、人が人を殺すということ。それを示すような、無手だった。

「来いよ、狂人。引けば死ぬし、前を向けば死ぬし、何をしても死ぬんだ。
 死を恐れるな、死を想え[メメント・モリ]!」


>>806

1万の精鋭。
確かに脅威だ、此れならばいかなる化物でも100度は殺せるだろう。
だが、それではいけない。100度では、足りないのだから。

前進する度に、四肢が、脳髄が砕け果てていき。
その度に、異形はただ黄泉がえり、それを克服して膨れ上がる、膨れ上がる。

「――――■」

外套に包まれた顔の奥で、口が動いた。
意味の無い呟き、そして――――腕が横薙ぎに振るわれた。
力によって死を与えられるならば、それを超える力を持てば良い。
知によって死を与えられるならば、それを超える知を持てば良い。

そう示すかのように異形の力は、姿は、膨れあがっていく。
もはや、その大きさは6m、死ぬ事に大きくなっていく肉体は遠くないうちに10mを超えるだろう。
蹴り足が、軍勢を吹き飛ばそうとする。道を開けば、己に無数の死を与える敵に恋焦がれるように駆け抜けていく。

808ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 00:52:21 ID:B3GgeLvw0
>>807
「お前の願いはよく分かった。
その殺し合い、受けよう。」

黒い手袋を取り捨てる。

「ただし、生身の状態でな。」

「それと…俺は死を怖いなんて思ったことは一度もない。
お前が思うつまらない人生、終わらせてやろう。」

809名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 01:13:30 ID:SSMHlh/20
>>808

「ふむ……なるほど、読めてきたぞ……。
 戦えば戦うごとに強くなる、それに類する能力。
 やはり強化系、という事か。」

しかし、小百合の能力は『弱い個』を束ね、『強力な群』として運用する能力。
その性質上、強力な攻撃というものが急に飛んでくる事もなく
ゆるゆると強くなっていかざるを得ないはず。

他の能力者が相手をするよりは、対処しやすいかもしれない。

「こういった手合いは、結局のところ正面決戦より、
 適当な搦め手で空回りを誘うべきだな。」

とりあえず、戦闘は継続させるも兵の配置を徐々に移動させ
自身もその場から離れる。小百合は目的地があるようでそこにヤツを誘い込むつもりだ。

810名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 01:16:43 ID:SSMHlh/20
安価ミス。>>808から>>807に変更

811たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 01:17:41 ID:7gFzKdaU0
>>808
「――――ただ、死ねッ!」

それが、幕引きだ。どちらの死で幕引きに終わるのかはわからないが。
ただ、死を持っての幕引きであることは、おそらく絶対に、間違ってなどは居なかった。

駆けるのは、黒い颶風。牙となるのは、ただその五体のみ。
ただそれだけのために肉体を駆動させる以上、人の域を超えるのは当然。
だが、人の域を越えはしないのは、人を超える力もまた邪魔者でしか無いという男の心からか。

「ああ、常に、常に殺したいと思っていたけど!
 こんなに殺したいと思ったのは、ボクの両親以来? それとも初めての恋人、知らないけど!
 死ねよ、死ね、死ねッ!!」

相手にタックルをかまし、成功すればそのまま相手の腹の上に飛び乗ろうとする。
できずとも、相手の首に腕を伸ばし、その命を締め上げることで奪おうとするだろう。
人並みの力だとしても、殺しの技術は全くと言って変わっていないのだから。

>>809
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」

化物はたやすく死ぬ、だが、唯一無二の死を得られぬ限り、死ぬことはあり得ない。
他者から与えられる死では、己は殺せない、だから、よりよいものを持って来い。
そういった、鋭く重い感情を宿して、異形は駆け抜けていく。

走る過程で、紙を引き裂くようにたやすく兵は吹き飛んでいくだろう。
知らぬ攻撃では当然即死、だが、即死しても即座に黄泉帰るならばその死は安い。
だからこそ、蚊程度の鬱陶しさしか持たず、死にながら殺して駆け抜け続けた、俺を本当の意味で殺せる手段が有るならば、持って来いと叫ぶように。

812ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 01:22:03 ID:MikRtubI0
>>811
「お前、周りが見えていなすぎだな。」

タックルで我を忘れているドラゴンフライを見て呟く。

「フン。」

そのタックルを真正面で受け、止める。

「…あばよ。」

忘れてなかっただろうか?
『銃を捨てる描写が無かった事』に。

右手で頭を抑え、左手に持つ銃をその口の中に向けて撃つ。

813名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 01:31:38 ID:SSMHlh/20
>>811

容易く蹴散らされる兵どもだが、
足止め程度の役割は果たせる。

(ここだ。見つけた……!)

小百合が探していたのは、『地下』への入り口であった。
ちょうど、地下駐車場への入り口を見つける事ができた小百合は、
背後に豪腕の風圧を感じながら、その中に転がるように走りこむ。

「……こい、猪武者。
 いや、来ざるをえんか……それしか取り得がない。」

814たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 01:37:23 ID:7gFzKdaU0
>>812
銃弾が、己の身体を打ち貫いた――筈は無い。
銃弾はその役目を果たさず、死んでいた。

「――――残念だ、ボクはボクの手で人を殺すけど。
 それ以外に関しちゃ手を下す必要すらないんだよ?」

相手が道具に頼ったことに落胆を見せて、男はそのまま相手の首を締めあげていく。
先程から、無機物を殺す力は一切合切失われていない。
命を持たぬ力で己を殺せるか、人を殺すのは人で、人以外に人は殺せない、その境地に至った男を、どうして銃弾で殺せようか。

泣きながら、男は笑い声を上げる。

「なんだ、それだって陳腐な不意打ちじゃないか、熱が無いんだよ、陳腐でも熱があれば名作足りえるのに。
 キミからは、感情という熱、気概という熱が無い! だからお前はボクを殺せない!!
 そして、ボクは熱が有るから、お前を殺す。熱がある物のみが、他者の熱を奪うことを許されるんだから――――!」

首へと伸ばされた腕は、喉笛を潰し、血管を押さえ込もうとするだろう。
防御はあり得ず、ただ相手を終わらせることのみに、この男は駆動していた。

>>813

「――――■■く■だら■ぬ■■!」

ノイズの混ざる声、そこについに人語が混ざり始める。
己の対存在が、危機に近い故に何らかの影響を受けたのか。
それすらも分からないが――――、異形は動く。

地下への入り口をくぐり抜けられず、頭部が砕け散った。
だが、それを超える進化をした異形は、天井を粉砕しながら中に駆け込んでいく。
そして、背丈10m。その異形は、狭い地下で押しつぶされて絶命。
即座に生き返って、2m程に存在を凝縮させて再臨した。

「ぁ、い、ぅ、 ――こ■と■■ばを■■■■■なすの■■は。■■■■■だが、■■■■■だな」

ノイズまみれの声出、影は笑い出して。
猪武者は、相手の前に両手を広げて、殺してみせろと立ってみせる。

「さ■■■■■■俺■を■■■■■■■■てみ■ろ」

ノイズまみれで分からぬ声、だが言っていることは分かるだろう。
こんなところまで呼び出したのだから、面白い殺しをしてくれるのだろうという、期待だった。

815ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 01:44:13 ID:3igzu.eE0
>>814
「そうか、体内でも駄目なのか。」

そう呟くと、笑う、ただ、感情のない笑いだ。

「絶望と言う感覚があるとすればこの感覚なのかね。
普通の人間ならここで諦めるか。」

そう言うと、首を絞められて呼吸が出来なくなってくる。

「…お…は、死…な…んよ。」

か細い声で言う。
普通の人ならば腕を掴んでとろうとするだろう、だが
彼は腕を口に持ってくる。

「…。」

ガブチィイッ!

そのまま腕の肉を食いちぎる。

「フッ、グッ。」

痛みで人間は異常な力を一瞬だけ手に入る事が出来る。
彼はその力を利用した。

「ククッ、俺はもっと熱があるぜ。」

血を腕からダラダラと流し、感情のない笑みを浮かべながら、そのドラゴンフライの腕を
外してゆく。

816名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 01:45:36 ID:SSMHlh/20
>>814

――ドガァァアァッ!!!

背後、そして前方で起こる小爆発と共に天井が崩れる。
それは、男を狙った物ではなく二箇所の『出入り口』を塞ぐための物だ。

「やはり猪は知恵が回らんと見える。
 貴様は檻にとらわれたも同じ。捕らえられた獣は
 命を刈り取られ、食卓に並ぶがさだめよなァ……!」

小百合の声は響くが、姿は見えない。
そして、男へと静かに『罠』が忍び寄る。

――催眠ガス。

殺傷が目的ではない、鎮圧用の兵器。
殺せないなら、捕らえて無力化してしまえばよい。
小百合は狭く風通しの悪い空間にコレを流し、『生け捕り』を考えたようだが……。

817たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 01:53:54 ID:7gFzKdaU0
>>815
「熱が――――足りねぇんだよォぉぉおぉぉぉぉぉおぉぉぉッ!!
 死ねっ、お前に俺は殺されないから、俺はお前を殺す――――!」

相手は、まるで死人だ、生きていないように見える。
死人に生者は殺せない、生者が生者を殺すのだ、祟りも呪いも怨みもあり得ない。
そんなもの、死んだ奴だけでやっていろ、生きている限りどうでもいい。

だというのに、目の前の相手は、そう――――死者が己に復讐をしてきているように見えて。
それで、歓喜と怒りを覚えたのだ。ああ――――これは、知らない物だ、嬉しい、けど足りないと。

「あ、ッ、嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああぁ!!!!」

叫びながら、相手の頭蓋を砕くがために、男は己の額を割りながら頭突きを叩き込み始める。
己の身を削るが、己では死なない、なぜなら殺すための行動で死ぬはずはないから。
だから、捨て身で終わらせる行動を叩き込もうとし続けるのだ。

>>816

「――――ハ■■■ハ■■ッ!!!!」

襲いかかった、眠気。それは毒素、そしてこの異形は、脆弱に過ぎ、強靭に過ぎた。
倒れない、そして――――死を得るために死を克服し死に続けて蘇り続ける。
異形が、出入口を素手で粉砕し、小百合の目の前に立ち、拳を振り上げる。

「な■■ナ■■!」

絶望的な程に死んでも殺せない異形。
だが、気がついたかもしれない、異形の肉体から血が溢れ始めていることが。
膨れ上がる筋肉が、皮膚を裂いて血を吹き出させていることが。

異形は気がついていない、死に慣れすぎているから。
ただ強い己を振るうためだけに、その四肢を使用するのだから。
此れが、好機であったかもしれない。

818ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 01:58:51 ID:3igzu.eE0
>>817
「ふぐっ!」

頭突きを受けるが、自分もまた頭突きを返す。

「本当にお前、集中しすぎだよ。」

そう言うと、ドラゴンフライに足払いを軽くかける。
あまりにも集中しすぎているため、そんな軽きでも倒れてしまうだろう。
そして転べば…、崩れた床に落ちる。

「…。」

相変わらず無表情な顔で見据える。

819名も無き異能都市住民:2012/05/20(日) 02:18:14 ID:SSMHlh/20
>>817

小百合己自身を具現化して、
中に入ったように見せ外で指揮を取っていた。

崩落させた瓦礫には栓として、上にエレファント重戦車を具現化しておいたのだが
それすらも容易にひっくり返す男の怪力には、驚きを通り越して感慨深い物すら感じる。

(ふむ……。)

しかし、どうにも男の様子がおかしい。
負傷による物とはいささか違う、裂傷が体中に走っている。

「なるほど……しかし、どうしたものかね。」

恐らく、アレは肥大化した筋肉に体自身がついていけないといったところか。
このまま攻撃を続ければ、いずれ自滅するだろう。しかし、それには危険が伴う。

――パシュッ!!!

小百合は、もう一度非殺傷兵器の使用を試みる。
今回使用した兵器はテーザー銃。これも犯罪者鎮圧用兵器であり、
特性の弾丸で電流を与えるという物。

体内の電気信号を狂わせる電流はいくら筋肉があろうと、その動きを阻害する。
打撃のみしかできない男相手なら、効果は覿面だろう。

820たった二人の、化け物の宴 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 02:25:24 ID:7gFzKdaU0
>>818
「――――お前も、一緒だァ―― ー ――ッ!!」

叫びを上げて、相手の胸ぐらをつかもうとするも、指は外れて。
男は、落ちていく、落ちていく。だが――――笑った。

「お前も、死ね。一緒になぁ――――!」

男の叩きつけられるべき床が、死んでいく、死に続けていく。
そのまま勢いをまして、男は階下のフロアの床の全てを死なせながら。
離れていくのに大きくなる笑い声を響かせて落ちていく。

「ひ、ひひひッ! ああ! 速いッ! ジェットコースターみたいだ!
 これ、面白いぞ! そうだ、やったら死んじゃうから殺らなかったけど! 紐なしバンジーも結構楽しい!
 満足死ないけど死んでやるよ! その努力に免じてさ! ひひゃ――――っはははっははははははっははは!」

肉が潰れて、ビルには大穴が空き、崩れ始めた。
速く逃げれば、速く逃げても、生き残れるかどうかはきっとぎりぎり。
最後まで意地悪く、どこまでも狂気を正当としていた男がそこに居て、そこから消えたのだった。

>>819

「――――、ぎ■■■■ッ!!」

撃たれたテイザー銃で、全身が痙攣し。
そして、その時に理解する、己の半身が死に絶えたということを。
声にならない雄叫びが、周囲の空気を震わせる。

死なない、死ねば容易いのに、死ぬことすら許されない。
身体が次第に動かなくなっていく、催眠ガスも相まって、それは如実に始まっていき。

だが、途端。それまでの言葉のノイズを払拭し。
目を見開いて、身体を痙攣させて、異形は叫びを響かせた。

「神、よ。なぜ、私を、殺してくれなかった――――。
 私は、ただ。全うな、死に様で、死にたかった、だけなのに。
 恨む、憎む。私に、半身に!この力を与えたお前を――――――!」

異形は、そうして気絶する。
もはや動けぬ異形は、恐ろしい存在では最早なかったことだろう。




そうして、今宵の戦いは幕を閉じることだろう。
だが、どこか不自然な、ここでこうして終わるはずはないような、消化されていない気配が、そこには残っていたかもしれない。

821ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 02:29:21 ID:3igzu.eE0
>>820
その狂気を見て彼は思う。

「やはり、醜い。」と。

そして床が崩れ始まる。

「…脱出経路を作っていないとでも思ったのか?」

そう呟くと、コートを脱ぐ。

「ほらよっと。」

窓から飛び出し、コートをパラシュートに変化させる。

「お前のそのあとは、地獄で満足できるだろうさ。」

822黒沢小百合:2012/05/20(日) 02:39:01 ID:SSMHlh/20
>>820

「憎しみに押しつぶされるがいいぞ。
 身を焼くような憎悪に塗れ汚く死ねばいい。」

全身の裂傷から血を流し、気を失った哀れな異能者を
小百合は嘲笑い兵士たちに彼を拘束するよう、指示を下す。

「研究所に運べ。
 こいつは体も頑丈そうだ。良いサンプルになるだろうよ……。」

// おつよー。

823Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 21:24:40 ID:7gFzKdaU0
「――――だる」

気の抜ける声を漏らしたのは、一人の青年だった。
そこに居たのは、千夜学園の学ランを着た、高校生ほどの男だ。
目が死に、ボサボサの髪に野暮ったい眼鏡、細身の体躯はいとも容易く粉砕されるようにしか見えない。
そして、何よりも。青年の周囲が死んでいた、病んでいた。

居る場所は、異能都市、陸の玄関たる駅のホーム、そこで横転している列車の上だ。
呑気に声を漏らしながら、鬼門は手の内にあるパンをぶちり、と食いちぎる。
もぐもぐ、と咀嚼し、飲み込んで。傍らのペットボトルで喉を潤す。

「あぁ――――不幸だな。ま、どうでもいいけど。
 俺が殺すのも面倒だから、勝手に殺しあってくれよ、お前ら」

人ごみの有るホームは、間違いなく今も活気にあふれている、だが死んでいる。
恐慌に駆られた人々が逃げ出そうとし、ぶつかり合い、我先にと押し合い、殴りあっているのだ。
全てが、この青年から逃げ出そうとしているのは、おそらく明白な光景で。

そして、殴りあう中で『不幸にも』当たりどころが悪かったり、階段から落ちて頭をしたたかに打ち付けたり。
それらの事情で、何人かが死んでいく。今こうしている間にも、階段の上で転んだ人が他の人間を巻き込んでドミノ倒し。
もがく人が、近くの人の顔をつかめば、偶然指が眼球を抉り出し、雄叫びを上げた被害者は、相手の喉笛を食いちぎる。

不幸すぎるほど不幸な光景が、そこには展開されていた。
鬼門は、大したことをしたわけではない。ただ、そこに居ただけだ。
まあ、ここに来た事には理由があるのだが、筆舌に尽くし難い不幸な自体が重なって今に至る。

不幸なことに、この青年がここを襲撃した事はどういうわけか既に警察にも、治安維持隊にも知られている。
逃げてもいいのだろうが、逃げるのが面倒という理由で、この青年は食事に勤しんでいるのだった。

824赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 21:32:38 ID:1BBSxSE20
「――――――――てぇー。」

閃光、轟風、爆発音、散りばめられる残骸・破片。
突如として、「ターミナル」――空港エリアに混乱が舞い降りた。
停留していた飛行機に、何らかの攻撃が振りかかったのだ。

その犯人と思われる、滑走路に立っているのは、少女。
めらめらと燃え立つ飛行機の残骸をバックにして立っているその人影は何とも戦場には似合わない。
外ハネ気味の赤い髪、底の厚い流行物の赤い靴、澱み濁り腐りきった黒い瞳。
右腕は異形と化して、時折びくんと蠢く肉の砲身と化している。

彼女はその右腕、砲身を構え直して――次なる的を、狙い定めようとしている。
貴方方はこの暴虐の宴を、少女の凶行を止めなければならないはずだ。
一刻も早くこの地に降り立ち、少女を止めてくれないか――。

//それではイベントスタートです。ラインさん&鷹野さんはこのレスに返信お願いします!

825ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 21:39:41 ID:nvgMxV.A0
>>824
空港。
ラインは、今日は空港に行っていた、なぜならそこでいつもと同じように
一般的に見た犯罪者殺しをやろうと思ったからだ。

だが。

「…女か。」

まさか二日連続で異常事態に遭うとは思わなかった。
そして滑走路へと走りだす。
空港自体には入っていないから。

826雨:港フィールド:2012/05/20(日) 21:40:07 ID:mbXTFaJQ0
大雨。
ターミナル周辺は今日一日中、大雨が降り続いていた。
半径10km。この範囲だけで言えば、ここ数年で最もの降雨量にもなる記録的な豪雨だった。

「私の仕事はぁ。ノアちゃんのお手伝いやからねぇ」

半径10kmの中心点には、少女が経っていた。
藍色の和服に身を包み、それと同色・同模様の傘を掲げている。

「暇。やねぇ?
 まぁ、暇が一番なんやろぉけどぉ」

くく。と笑うと傘をくるりと回す。
立った一瞬、頭上から傘を離しただけでも肩から上が随分と濡れてしまった。

827高向谷 司朗:2012/05/20(日) 21:41:19 ID:NntjvIzM0
>>823
「……司朗……起きろ、司朗」

司朗もまた、不幸に巻き込まれた男の一人だった。
電車の中で、自分を呼ぶエンブレムの声で目を覚ます。

「逃げろ、寝ている暇は無い。
 事故のことではない。何かが"おかしい"。
 なるべく人には近づかないように逃げろ」

起き上がると、そこにはうめき声を上げる乗客たち。
偶然が偶然を呼び、更に増える死者。

「うっ……!?
 あ……が……」

司朗もまた、腕を捻ったらしく、声にもならないうめきを上げる。
しかしそれだけですんだのはむしろ幸運といえよう。
ひしゃげて隙間が出来た扉に身体をねじ込み、ホームに脱出する。

「ちょっと待って……一度……吐かせて」

その凄惨な状況を目の当たりにし、ホームに向き直った。
――そして、満足し終えると、いま這い出てきた列車を見上げた。
本当の不幸の始まりである。

828五十嵐 鷹野 (空港フィールド):2012/05/20(日) 21:51:12 ID:IrsgDsYs0
>>824
 「ほぅ、これは派手にやらかしたのぅ。」

 ばさり、と翼を大きく羽ばたかせ、白い長髪、白い右の眼帯、白い軍服姿の爺臭い青年が舞い降りた。

 「民間機への攻撃はハーグ条約・・・じゃったかのう?それ以前に、軍人として看過できん!」

 よく見れば、青年の後ろにステルスヘリとジェット戦闘機がそれぞれ2機、低空飛行で接近しているのがわかるだろう。

 「ここで大人しくお縄を頂戴するならそれで良し、然らば攻撃も辞さん!」

 諸手を後ろのサーベルに一本ずつかけ、高らかに宣言した。

829?:2012/05/20(日) 21:54:42 ID:dL8H4NjE0
>>823
「なにこの地獄絵図」
大量の恐怖に駆られた一般人を見て、少女は一言。
ただ単に家に帰ろうと思って駅まできてみたら……これだ。

「みなさんどうされましたのっ……と」
自分に向かってくる人をことごとく腹部や顎への一撃で気絶させ、人の流れに逆らい進む。
中には倒れた後踏まれて怪我を負ったり死に至るものもいたみたいだが、そんなことは関係ない。

「元凶はこの向こうかな?」
皆が特定の物事から逃げているなら、元凶はその流れに逆らって進めばすぐ特定できる。
「あいつかなー?」
ほどなくして、ホームにたどり着く。
一人、この場の雰囲気にそぐわない人物が視界に入る。
横転した列車の上。学生服を来た一人の少年。
「もしもーし」
手を振って呼びかける。警戒心は心の奥底にしまいこんで。

830シロード・スィヴエア:2012/05/20(日) 21:55:29 ID:1sJsd2CgO
>>826

「うわー、なんだこの雨」
ターミナル。
豪雨の叩き付ける港に、濡れた黒い服と真っ白な髪の男がいた。
サングラスも吸う光を無くして、奥の赤い瞳が透けて見える。

「凄まじいな……、ひょっとしてアレかな、梅雨とかいう季節がもう来てる――ってわけじゃなさそうだ」
そこで、藍色の和服が同じ色の傘を回しているのを目撃した。

「コンバンワ、そこの可愛いお嬢さん? 雨がよく似合うね、まるで降らしているかのようだ」
くくっ、と喉が鳴る。

831赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 22:00:46 ID:1BBSxSE20
燃え盛る飛行機は、雨(>>826)の力によってだんだんと炎の勢いを失くし、
辺りに漂うのは焦げた臭いと、黒煙と、響く悲鳴と警報音のみとなった。
少女は雨に打たれながら、ゆっくりと。こちらへ向かい来る人影に、目をやった。

>>825

「女……うん、そうだネ。
 ただし生娘じゃあないんだよ、『生きてない』からネ」

なーんちゃって。軽口交じりに笑ってみせる、と、同時に発砲。
弾丸の速度で飛来するハンドボール大の魔力の塊――通称、魔弾を、ラインに向けて容赦なく撃った。
どうやらこの少女は、この場に近寄る者はすべて殺す心積もりで行動しているらしい。

>>828

「べっつにいーよ、そんな堅苦しい条約がどーのこーの。
 あたしはここで人殺ししにきたただの悪者なんだからさ、さっさと掛かってきたらどう?」

鷹野の姿を目に入れると同時、少女はあからさまに表情を歪めて見せた。
忌々しげな表情、抜き身の剣のように尖った殺意の視線、一段トーンの低くなった声。
それは正しく「嫌悪」を示して見せている。

「……あとネ、あたし、軍人が何より――大っ嫌いなのよ。
 さっさと死ね――クソにも劣る殺戮者が、正義の味方ごっこしてんじゃねぇよッ!!」

発砲、撃ちだされたそれは、ラインに向けて放たれたものと同質。
まずは二人の能力を見定めようと、試すような甘い軌道で放たれた。

832Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 22:01:48 ID:7gFzKdaU0
>>827
「――――あ、能力者。
 ……見つかっちまったか、不幸だな、お前も。俺も」

そんな声が、相手の背後から聞こえてくるだろう。
そして、からん、とペットボトルを投げ捨てる音も。
突如、ごきん、という金属音が響き、ホームの柱が『不幸なことに』相手に向かって倒れてくる。
たまたま老朽化して、騒ぎの影響で倒れそうになっていた柱が、たまたまペットボトルの衝突をきっかけにバランスを崩したのだ。

金属の柱は、当たりどころが悪ければ即死、骨のある所に当たれば即死はきっと免れないだろう。
何よりも恐ろしいのは、攻撃の意図が無く、ただ物を捨てただけでその現象が起こったこと。
あんまり壊したくないなと思っていた鬼門としても予想外だし、相手にとっても不運な自体だろう。

要するに、きっと誰も得をしない自体が、そこで起きていた。

「面倒くさい。人が寄り付かないくらい呪っておけば壊さなくてもいいか。
 物壊すのも面倒だし、自分で人殺すのも面倒だし。
 勝手に殺しあって、勝手に壊してくれよ。お前ら職員にとっちゃ、不幸だろうに」

近くで人の誘導を必死にしていた駅の従業員の頭の上に、天井の金属板が降っていく。
ごしゃり、と肉と血を飛び散らせて『事故』で死体が一人出来上がり。
こんな事態の起こった場所を、そのまま駅として使用できるだろうか、そのまま公共の物として使えるだろうか。

明らかに、今ここは青年の体質、異能のせいで曰くつきの場所へと作り変えられようとしていた。

>>829

あふぅ、と青年はその地獄絵図の中心で有ろうことかあくびを書く。
段々と、蒼白だった顔色も良くなってきて、健康的な雰囲気が青年に漂い始める。
まるで、食事をしていい塩梅になってきたから眠くなってきたかのような、そんな気配。

もう、危険でもいいからそのまま寝てしまおうか。
そう思って、大の字に列車の上に倒れ込もうとした瞬間、声が聞こえる。

「何。眠いんだけど」

いかにも不機嫌そう、だが声色は無色。
無感動、無感情、無気力、無表情、無反応。それらの無いを凝縮した存在がそこにいる。

「……眠気覚ましにコーヒー買ってきてくんない。
 一応、頼まれごとだし、やっぱり寝ちゃダメだし。面倒だけど」

そう言うと、小銭を相手に向かって投げつけるだろう。120円だとバラけるから500円だ。
そのコインは、相手の手前で落ちて、ころころと転がっていき、人ごみの中に飲み込まれていく。
直後、人ごみの中心の一人がコインを踏んで転倒、倒れて、人が転がっていき、『不幸にも』一人が持っていたゴルフクラブが相手の頭へと飛んでいく。

敵意も無く、悪意も無く、戦うつもりも今のところはないのに。
あらゆる行動が、現在裏目に出ている状況だった。

833ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 22:06:57 ID:nvgMxV.A0
>>831
「…。」

バッとその場にあった飛行機の残骸を掴み前にかざし防御する。

「フン、ゾンビは墓場で眠っていろ、売女め。」

834?:2012/05/20(日) 22:09:43 ID:dL8H4NjE0
>>832
「あ、ごめん起こした?」
謝る気ゼロの謝罪の言葉を述べる。

「ジュース?別にいいけど動いてるのあるの?」
そういって目の前の小銭を拾おうとして身を屈め、
直後、ゴルフクラブが少女の頭を掠める。
「危なあ!?」
小銭を拾い上げると同時に横に転がる。
単なる偶然だと思ったのか、意識は群衆の方に向いている。

835高向谷 司朗:2012/05/20(日) 22:15:38 ID:NntjvIzM0
>>832
「うわあっ!?」

司朗は前のめりにジャンプし、柱を避けた。
今まで居た場所が、巨大な金属の塊に押しつぶされていた。

「……下手したらチビってたな……こいつは……」

乾いた声で笑いながら、ペットボトルが飛んできた方向を見上げる。

「……あー……こないだお前から教えてもらったアレって、何発撃てるんだ?」
「二発だ。小技で牽制するなら一発が限度だろう」

カチカチと音を立てて、司朗が腰にぶら下げていたエンブレムが喋る。

「二発か……そもそもあいつの仕業なのか?」

>>834
司朗は周囲を見渡し、少女を見つける。

「……これってやっぱりあいつのせいになるのか?
 なあ、どう思う?」

司朗は少女に向かって話しかける。
不可解な状況を少しでも理解したいのだろう。

836雨:港フィールド:2012/05/20(日) 22:16:22 ID:mbXTFaJQ0
>>830
自分にとっての役割は足止め。
大雨を降らす事によって中の混乱を大きくし、
同時に外からの救援を遅らせ、若しくは停止させる。

「……にしても、暇やわぁ」
要するに「突っ立っているだけ」。
役割があると言えばそうだが、事実自分は何もしていない。

そこに、一人の男が現れて、声を掛けてきた。
自らの役割を否定するかのように、豪雨に全く足を取られていない。
「こういのはぁ、好きぃ?
 私はとても好きで一年中見ても飽きんけんねぇ、こうやって降らしてるんよぉ」
くく。と口だけで笑う。
顔は和傘に深く隠され、口元しか見えなかった。

837鷹野 (空港フィールド):2012/05/20(日) 22:20:15 ID:IrsgDsYs0
>>831
 「クソにも劣る・・・か、否定はせんよ。」

 サーベルを素早く抜刀し、魔弾を弾こうと試みる。
 弾くことはできたものの、サーベルは2本とも折られてしまった。
 使いものにならなくなったサーベルを投棄し、今度は左腰の長い妖刀を抜く。

 「ペルリによって太平の世は露と消え、毛唐どもに我が日の本は脅かされた。
 古来の武士は誇りのために、今の軍人は祖国のために。
 今の儂には、こここそが第二の祖国。貴殿の行いを、許すわけにはいかん!」

 ガラスのように透き通った、2mを越える妖刀を少女に向ける。
 後方にいた航空機のうちヘリが一機進み出て、20mm機関砲弾をばらまいた。

838Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 22:21:35 ID:7gFzKdaU0
>>834
「今、寝るところだった」

ぼりぼりと頭を掻きながら、青年は嘆息する。
敵意がなまじ無いが故に、敵に捉えるのは難しいかもしれない。
だが、今のこの惨状を作り出しているのは間違いなく彼だという異様な気配が、この空間には満ちている。
その気配は、彼に近づけば近づくほど、きっと濃く、重くなっていくことだろう。

「――停電してないし、動いてるだろ。あっち。
 ブラックで頼む。……まあ、買えたらの話でいいけど」

青年は、相手の心配もせずに、のんびりと口を動かして。
自動販売機の場所を指し示す。そうすれば、暴動の場所は丁度そこを遮る様に移動してくる。
思わず、ため息が漏れる。

「なんでもいいよ、コーヒーかお茶なら。手間賃で釣りやるよ」

とりあえず、買ってこさせるつもりらしい。
きっと、あの暴動の人ごみの中に入っていけば危険なことは間違い無いだろう。
そんな所に少女を送り込もうというのだから、大概である。

>>835
「――へぇ、一人じゃないのか。
 まあ、どうでもいいけど。帰るなら帰れば? 止めないし。
 ……帰れればの話だけど」

相手が、一人ではないことを理解しているのか、無表情のままそんな事を口にして。
それどころか、逃げろ、帰れと言ってみせる。
逃がさない、絶対に殺してみせるなどという気概は、この青年からは欠片も感じられない。

「…………あふ。つまんね、実際、平穏が一番だけど」

地獄絵図の中で、つまらないと口にし、平穏と言って。
今度こそ列車に大の字に寝転がろうとする青年。
その瞬間、列車の連結が崩れて、列車に強い震動が起きた。

ずずん、という轟音と同時に、暴動は更に激化。
殴り合い、殺し合いが始まり、青年はホームの下の線路へと転がり落ちていった。

むくりと起き上がれば、頭から血を流す青年。
大した怪我ではないが、顰め面である。

「これだから――俺は俺が嫌いなんだ」

ホームに登ろうとしながら、一回失敗して落ちて、もう一回登ってホームにたどり着く。
そして、あぐらをかいて、ホームに座り込むのだった。

839赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 22:28:46 ID:1BBSxSE20
>>833

「売女とはひっどいなぁー、あはは。
 まあしょうがないじゃん、『起こされた』んだからお仕事しないと、ネ?」

残骸は盾の役割を果たし、弾丸とラインの身体が接触するのを防ぐだろう。
だがしかし、それだけだ。ハンドボール大の魔弾を「受け止めた」という事実に変わりはない。
盾代わりの残骸と魔弾が接触した際に起こる衝撃が、残骸を通してラインの腕、身体まで伝わるはずだ。
魔弾を受け止めるには、良くても腕が痺れ、最悪の場合、吹っ飛ぶところまで。そこまで想定しなければならない。

「なぁんでそんなに、女を嫌ってるのかな。うふふ。
 あたしもそこのソイツみたいな軍人がだあいっ嫌いだからね、何となく気持ちもわかるけどお」

わざと語尾を甘ったるく伸ばして上げる、ラインが嫌うであろう「女」の媚びた声、喋り方。
それを使うということは、挑発をしているということなのだろう。少女は、嫌らしく笑っていた。

>>837

「ソコクのためなら何でもしますぅー、ってか。
 そういう理由を盾にして、正義面して人殺し……ああもう、大嫌い!!」

声を荒げて、四発の魔弾を放つ。しかし今度は、狙いをつけたのは斜め上。
鷹野に当てるつもりも、ヘリに当てるつもりも無いらしく、魔弾は中空へ放出された――

  「  ≪ TF-lv4 ⇒ Aigis ≫  」

直後、詠唱。放たれた魔弾が中空にて融合・形を変えて、盾となる。
少女の身体を蝕むはずだった機関砲弾は、盾に阻まれ役目を果たすことはなかった。


※どうやら、この少女の能力は「魔弾の発射・形状変化」であるようだ!※

840シロード・スィヴエア:2012/05/20(日) 22:29:48 ID:1sJsd2CgO
>>836

「どーだろなぁ……俺にゃあ、雨なんて奇天烈な現象。こっち来てからだし――言うなれば興味の対象だな」
天と地、降り溜まり流れる水の塊に上体がふらふらと揺り動かされる。
しかし靴音に揺らぎはない。

「……中のほうは激しいねぇ、絶望の音が聞こえるよ。
 どうだい? 彼らと同じように“邪魔者”を排除してみるのは、暇つぶしには丁度いいだろう?」
シロードの手の内に現れた真っ黒な西洋大剣が地を叩く。
ツヴァイハンダー、細身で長身な両手剣だ。
今のところ、それ以外に動きは無い。

841?:2012/05/20(日) 22:38:01 ID:dL8H4NjE0
>>838
「どうにも、おかしいよねえ」
独り言のように言う。
この事態に青年が関係していることはなんとなくわかる。
だが、青年からは明確な殺意が感じられない。直接手を下そうとしていないのだから当然といえば当然か。
「ただ単に不幸な事故が起きたのか……」
あの青年によって引き起こされたのか。
(今は確かめることは後回しに、とりあえず)

「あ、動いてるのもあるんだね。じゃあ買ってくる」
相手の事やこの惨状の中、小銭を握りしめてジュースを買おうとする。
自販機の方に足を向けるが、一般人の群衆に妨害されてしまう。
「……ここにいる皆がすでに『来てる』のか、あの子が引き起こしてると見て間違いないかな?」
群衆を見て、突然少女がつぶやく。
「つくづく不幸だね、皆。まあいいや、それなら何人かストックを貯めておくか」
意味の分からないことを言うと、少女は片っ端から群衆を気絶させる。
いったい何がしたいのか、おそらくその行動の意味を知るものはいないだろう。

842ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 22:38:32 ID:nvgMxV.A0
>>839
「…。」

衝撃が来る前に残骸の薄い凹んでいる所を丸め
魔弾の衝撃が来る前に投げる。
物凄い神技だ。

「…(ギリッ」

歯を食いしばる。
彼は睨みつけていた、据わった眼に、感情のない筈の眼に
小さな炎を浮かべて。

「フン、大方、死姦でもするために起こされたんだろうな売女。」

そう言うと、足元に転がってきた残骸を投げる。

843高向谷 司朗:2012/05/20(日) 22:39:35 ID:NntjvIzM0
>>838
「下手に動くよりもここに留まった方が安全そうだしね……。
 どうしようか、な」

そう言っている間に、司朗は"気流眼の結界"を発動させた。
周囲の気流を感じ取り、半径十数メートル範囲内の動く者を知覚する。

「この惨状はお前の能力か。
 ずいぶんと賑やかな力だな」

挑発するように、エンブレムが声を発した。

844雨:港フィールド:2012/05/20(日) 22:45:54 ID:mbXTFaJQ0
>>840
「そっちの世界やと空にはいっつもお天道ぉ様がかかっとるん? そやったら私は嬉しいなぁ」
雨が好き。そう言ったばかりの少女だったが、太陽も好きなのだろうか。
声のトーンも僅かに上がり、楽しさにも近い、所謂気分の上昇という奴が伝わってくるだろう。

次の言葉で男が中について知って居ると知ると、僅かに傘を傾ける。
「邪魔、するん?
 中で何がおこっとるかしっとるん? 私にとって何が『邪魔』か、解ってるん?」
くく。再び上げた笑い声は楽しげだった。
男に背を向けると遠ざかっていく。この距離だと不具合が生じる為だろうか。
其方が攻撃を『もし行った』場合の為の保険。と言った風だ。

845Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 22:47:38 ID:7gFzKdaU0
>>841
「――まあ、気をつけろとも言わないけど」

少女の前に広がる群衆は、暴れて、正気を失っているとはいえ、只の人間だ。
戦闘の経験がある能力者相手ならば、たやすく倒される程度だろう。
ジュースを買うのにも、何の問題もないはずだ。

但し、事ある事に脚に人の足が引っかかったり、死角から拳が飛んでくることだろう。
死んだり気絶することはないだろうが、かなり鬱陶しいかも知れない。

>>843
「あ、バレた。つくづく不幸だね、俺。
 ……ま、そういうわけ。頼まれごとでさ、ここが使い物にならなくしろって言われてな。
 だから、ちょいと能力の制御外してホームでパン食ってたんだけど」

ま、こんな感じ。と周囲を指し示して、当然のように認めてみせる。
そして、襲い掛かってくる人は、彼にも間違いなく襲いかかる、が。
むくりと起き上がって、右腕を振るえば、紅い花が咲いた。

「……そろそろ、俺も動かなきゃいけない、って感じか。面倒で不本意きわまりないけど。
 本気なんか出さないけどな。……だるいし、疲れるし、面倒だし、嫌だし」

右腕に握るのは、ナイフ。
そして――青年から、どろりとした空気。呪いの気を帯びたそれが発せられていく。
周囲の空気が淀んでいき、人々の恐慌は、先ほどまでは正体不明の恐怖だったが、その恐怖の正体を強く認識してしまった。
故に、周囲の恐慌はこの青年を倒さない限り止まらない。背後では、止まらぬ殺し合いが既に始まりつつ有った。

846鷹野(空港フィールド):2012/05/20(日) 22:49:12 ID:IrsgDsYs0
>>839

 「ふん、祖国に仇成す者は片端から屠り去ってくれる!」

 刀を引くが、鞘に納めることはしない。

 「Aigis…ギリシア神話の盾か。」

 懐から、黒く無骨な無線機を取り出す。

 「艦対地巡航ミサイル…ナパーム弾頭、目標αに二発、撃ッ!」

 無線機を戻し、相手の出方を待った。

847赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 22:50:59 ID:1BBSxSE20
>>846
//すみません、ナパーム弾はもう発射されてるんでしょうか、それとも発射命令を行っただけなんでしょうか?

848じお:2012/05/20(日) 22:53:06 ID:IrsgDsYs0
>>847
数km離れた艦に、発射命令を出しました。

849?:2012/05/20(日) 22:58:40 ID:dL8H4NjE0
>>845
「よし、これぐらいか」
気絶した人々、総勢20人。
それらを適当な場所に纏めると、まだ残っている人々に目を向ける。
少女はハートのAが描かれたカードを取り出し、能力を発動する。
カードから召喚されるのは二体のマネキン。
「よし、道つくって。あいつらいると通れないから。」
少女がマネキンに向かって命令すると同時、マネキンが人混みに飛び込む。
体格は普通の成人男性程度のはずなのに、マネキンに押された人は
まるでトラックにでも押されたかのように後退する。

500円玉を入れ、コーヒーとコーラを一つずつ買う。
「はいどーぞー」
人混みの中、マネキンによって無理矢理作られたスペースを通りながら、青年にコーヒーを投げる。
人が死んでいる現場とは思えない程暢気な行動をする少女だった。

850赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 22:59:23 ID:1BBSxSE20
>>842

「あははは、面白ェの。そんなにムキにならないでよぉ!
 あっあとこれネ、挑発じゃなくてマジな忠告。汚い言葉ばっかり使ってるとネー」

笑い声と同時の発射、そして魔弾の融合・形状変化。これが彼女の持つ異能。
今回放たれた二発は、中空で剣のかたちを作り、弾丸の速度で放たれる。
魔力でできた剣は投げつけられた残骸を貫いて、勢いを保ったままラインの元へ。
切っ先を綺麗にそちらへ向けて、飛んでいく――――!

「その言葉と同じレベルの汚い女しか寄って来ないんだよー。これ豆ネ?
 わーったらその低レベルな暴言しか吐けない口を閉じてちゃっちゃと死のう、おーっ」

>>846

(……ミサイルかよ。どんだけ出すんだこいつ……きっついな!)

ぎりっと奥歯を噛み締め、しかしその焦燥は億尾にも出さない。
寧ろひょうひょうとした顔をして、鷹野に対する挑発を行う。

「おーっとぉ、いいのかなぁ? そんな大掛かりな兵器出しちゃってさぁ。
 そんなんここに撃ったら、この場所どんだけ壊れるんだろうネー。
 空港が壊れたらどんだけ迷惑被る一般人が居るんだろー?
 それにさぁ! あんたの大事な大事なコクミン様が逃げ遅れてて、巻き込まれたらどうしようネー?」

嫌らしい笑顔を浮かべながらも、攻撃行動は無し。
狙いは相手の大型兵器を使いづらくすること。それだけでも、少女にとって大きなアドバンテージだ。
ただし、この「賭け」が鷹野に通じないことも考慮して、いつでも撃てるように待機する。

//回答ありがとうございます!

851ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/05/20(日) 23:04:16 ID:nvgMxV.A0
>>850
「…。
フン、元々俺は女が嫌いだ。
むしろ寄ってくれた方が害虫駆除にもなる。」

無表情な顔でそう言い放つ。

「もう、俺だって死んだようなものだ。」

そう言うと、その飛んでくる剣を、紙一重で避ける。

「そう言うならお前自身、自分が汚い女だと分かっているようだな。」

ニヤリと感情のない笑みを浮かべる。

852高向谷 司朗:2012/05/20(日) 23:05:00 ID:NntjvIzM0
>>845
「っの野郎……。
 無気力な振りしてああいう奴、すっげえ正義感刺激されるな……」
「そういうものか」

身体を振るわせつつ、司朗はエンブレムに問いかけた。
エンブレムは対した反応はしなかったが、司朗は答えは重要にしていない。

「そういうことなら、俺が止めてやる!」

司朗は淀む空気を全身で感じ取っていた。
しかし、自分を奮い立たせ青年を睨み付ける。
走り出し、列車のへこんだ部分を器用に蹴飛ばし、一気に駆け上がる。

「うらああああっ!!!」

駆け上がったそのままの勢いで、青年に蹴りつけた。

853シロード・スィヴエア:2012/05/20(日) 23:08:03 ID:1sJsd2CgO
>>844

「ああ、そりゃあもう。ごつごつした岩盤みたいな天蓋がかかってたよ」
つまり洞窟。
青空などとは程遠い閉塞した世界だ。

「いーや、知らん」
はじめは歩くように、徐々に速く、剣先を引き摺ってシロードは和服の少女へと向かう。

「なにがなんだか、まったく分からんが……たまにはこういうのもいいだろう」
勢いよく一歩を踏み出し、真っ黒な両手剣を振るう。
間合いはとれておらず、当たるはずがない。
だが、少女へ切っ先が向いた瞬間……
真っ黒な両手剣が溶けるように真っ黒な槍へと変貌した。
そしてそれを、突き出した。

854Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 23:09:34 ID:7gFzKdaU0
>>849
「――あ」

何かに気がついたかのようにつぶやいた青年。
列車の追突事故で壁に大穴が開いている駅舎だ、現在は不安定な状況にある。
要するに、天井が落ちてきても可笑しくないわけで。二つに分かれるように交代した人ごみに鉄筋コンクリートの塊が次々と落下していくだろう。

それを見ながらも、投げられるコーヒーを受け取ろうとした青年。
だが、取り落として突き指。顔を顰めながらもそれを拾う。
そして、プルトップを開けて、コーヒーをぐいぐいと飲み干して、そこらに投げ捨てた。

「さっきも言ったけど、釣りはやるよ。んでもって――。
 ……どうにも、多少は真面目にしないと怒られそうだ。
 というわけで、今からお前ら殺そうと思ってるんだけど、どうする」

右手のナイフを手元で弄びつつ。
青年は、逃がす気など毛頭ないだろうに、聴いてみた。
ナイフを握る手に力を篭めて、目の前で左手に突き刺して。

>>852

「ッ、ぐあァッ!?」

青年は、いとも容易く蹴りを喰らい、ゴロゴロと吹き飛んでいった。
ふらりと立ち上がる青年を見れば、鼻血が吹き出して、ぷるぷると震えている。
今の一撃で分かっただろう。肉体的には、相手と殆ど大差がない事に。

だが、口元に初めて男は笑みを浮かべた。
裂けるような笑み、口から漏れるのは死臭。

「――――――《因我応報》」

小さくつぶやいた瞬間に青年の掌を貫通する傷が、膨れ上がっていく。
一振りの刃の様に〝摘出された傷〟を青年はその手で握りしめて、構えた。
不気味な光景、そして――――その傷をおもむろにホームのコンクリートに振るえば。

ゴリゴリという音と同時に、傷が短くなっていき、その傷と同じ傷がコンクリートに転写されていく。
牽制の様なその動作。彼の異能の正体に、気がつけるだろうか。

855鷹野(空港ステージ):2012/05/20(日) 23:12:59 ID:IrsgDsYs0
>>850
 ドーラの懸念も、もっともである。
 鷹野自身、市街戦で徹甲弾をばらまいた経験があり、大量破壊兵器を使用して良い場面ではないことは重々承知している。

 「ふん、そんな物まとめて焼き払ってくれる。」

 無線機で、相手に聞こえるほどに大きな声を出す必要はない。

 ブラフ。

 ヘリと戦闘機、総勢4機の同時多方向からの飽和攻撃が。
 20mm×4門の機銃掃射が、的確にドーラを襲う。


 その傍ら、弾頭が不明のミサイルが二発、空港に向けて飛行している。

856高向谷 司朗:2012/05/20(日) 23:17:32 ID:NntjvIzM0
>>854
「いける、身体能力だけなら……!」

しかし、青年が笑ったのを見て、エンブレムは呟こうとした。

「ゆ――」
「油断は禁物?解ってるよ」

エンブレムの言葉を遮りつつ、司朗は笑う青年を睨み付けた。
そして、コンクリートの傷を見る。

「……何かある……知らない能力……!」

気流眼を全開にして、周囲全体の動きを感じる。
無論、背後の一般人達の動きもだ。

857赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 23:21:32 ID:1BBSxSE20
>>851

「そりゃーそーよ、路地裏生活営んで、そのあと戦場に駆り出された女の子がさぁ!
 どうして綺麗なままでいられると思ってんだ、ってーの!」

少女が放つその言葉が、本当か嘘かだなんて今は解らない。
それでも少女は、そんな言葉をまっすぐに吐き出し、叩きつけた。
まるで八つ当たりするかのように。開き直ったかのように、それでも悔しそうに。
ラインに叩きつけて――笑うのを、やめた。

「あたしだって綺麗なままでいたかった、汚いゴミ溜め見たいな場所で生活なんかしたくなかった!
 軍に連れてかれて、兵器として働きたくだってなかった!
 それをどーして……やっと、死ねたのに、楽になれたのに、どいつもこいつもさあ!!」

>>855

//この少女はドーラちゃんではないのだ……すまぬ、すまぬ……!

「……ひっでぇ軍人もいたモンだ!」

挑発、成らず。舌打ち一つ、寧ろ鷹野の潔さに感服したのか、少しだけ笑って見せたりもした。
とりあえずは体勢を低くして、その場に留まらないことだけを意識して、めちゃくちゃに走る。
無論それだけでは掃射を避け切れるはずなど無く、少女の身体のそこかしこに傷がついた。

――――それでも、だ。

機銃の一斉掃射。鉄の雨が降っているかのようなその状況から、
魔弾がまっすぐ、三発。鷹野の胴辺りを狙って放たれた。
微妙なズレを持って放たれるその三発は、「紙一重」の回避など無意味とするように、鷹野を喰らわんと迫る。

858雨:港フィールド:2012/05/20(日) 23:29:23 ID:mbXTFaJQ0
>>853
「なぁに? 御空にお天道ぉ様はかかっとらんの。
 それやったらぁ……詰らんね」
太陽は無い。そう聞いた途端に大きくため息を吐く。

其方が歩き出したと同時に発した言葉によって、戦うのだと判断する。
振り返り、其方を向く……恐らく、戦闘の意思を示したのだろう。
傘を一回転。くるりと回すと小さな水しぶきが軽く跳ぶ。
大剣が振り下ろされる……が、射程外。
それは悟っていた様で、危なげなくゆっくりと後退した瞬間に槍への変形、突貫。

「ん……な、ぁ!?」
面白いように引っ掛かり、ほぼ無抵抗の形で突き刺されてしまった。
唯一と言えた抵抗も、寸前に身体を強張らせたのみで、それの持つ防御効果も無に等しい。
戦闘の準備は出来て居たにも、真正面からの攻撃にも関わらず、和服の右腰の辺りを切り裂く大きな傷。

「おいたはいかんよぉ?
 私、そういうの苦手なんよねぇ……」
大きな傷であるものの、まだ戦闘は可能そうだ。
倒れる程に無いにしろ、彼女は大きく足を動かし仰け反る。
綺麗に舗装された地面であるほど、水はけは悪い。
コンクリートの上に豪雨が降り注げば、足元は相当に悪いだろう。
かちゃり、カチャリと彼女の足元から音が聞こえるが、それは何か。

859?:2012/05/20(日) 23:30:11 ID:dL8H4NjE0
>>854
「コーラおいしいなー……うおう!?」
少女が暢気に戻ってくる中、大量の鉄筋コンクリートが落下してくる。
今度は前方に転がり、何とかそれを回避する。
「危ないねえ、なんとかしてくれない?」
この不幸の原因と思われる青年に問いかける。

「やだよ、死ぬの怖いし痛いし、一つしかないのに無駄遣いなんかしたくない」
当然、青年の言葉にはいい顔をしない。
「まあ、嫌って言っても殺そうとするんでしょ?」
「ならこっちもそれなりの対応をするだけだし、いいよ、来な」
少女の纏っている空気が、雰囲気が、温度が豹変する。
先ほどまでのおどけたものなどなかったかのように、そこにはただ殺気と殺意だけが満ちていた。

少女は一枚のカードを振りかざす。
そこに描かれているのはモノクロのジョーカー、そして召喚されるのは……
「殺せるなら殺してみな」
漆黒の大鎌を構えて言う。
その場にいる生命体全てを葬り去る死神の如く、少女はそこに立っていた

860Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 23:33:32 ID:7gFzKdaU0
>>856
「――――ああ、痛いな、糞痛い。
 人の痛みも分からないで、人を傷つけるなんて不幸だなぁ、なあオイ。
 教えてやろうか? 俺の痛みを」

そう言うと、己の顔の傷に軽く触れ、手元に黒い弾を作り出す。
顔の傷は消えていないが、何をしたのかは、見ただけではわからない。
腕を振りかぶり、鬼門は相手に向けてその黒い弾を投げつける。

もし当たれば、相手の蹴りつけのダメージに等しい傷が、相手の当たった部位に与えられるだろう。

青年から吹き出す気配は、人をよりつかせない、鬱屈としたもの。
その気配に、徐々に周囲の人々は気絶し始めていく。
それほどに、不快で嫌な気配が、鬼門の全身から、言葉から、一挙一動から生まれているのだ。

>>859
「言っておくけど。俺、弱いから。
 でも、お前を殺すことくらいは出来るよ、絶対な」

鎌を構える相手が死神なら、この男はなんだろうか。
負の気配を漂わせているのは間違いない、だが――、司っている物が、おそらく違う。

「――――、ッ」

割りと素早い、という程度の動作で、青年は駈け出して。
無謀にも見える突撃で、ナイフを相手の顔に向けて振り下ろそうとするだろう。
その間に、左手を貫通する傷から傷がコピーされ、手に握られていく。

861鷹野(空港フィールド):2012/05/20(日) 23:37:53 ID:IrsgDsYs0
>>857
//すみません、とんだ失礼を…平にご容赦を。


 着弾の煙の中から、突如飛び出した魔弾が3。
 回避など無意味と判断するしかない。、その弾道。

 「魔弾に妖刀…はてさて、どこまでいけますかいのう。」

 大太刀を大きく振りかぶり、魔弾のうち2つを斬り、或いは弾く。

 しかし残りの一発は

 「ぐう…ッ」

 右の脇腹を掠めた。
 鎧のような軍服を着込んでいるとはいえ、10人のジャイアント馬場から一六文キックを食らったような衝撃を受け、横ざまに吹き飛ぶ。


 二発のミサイルが、空港の敷地に差し掛かっていた。

862アイリス:港フィールド:2012/05/20(日) 23:41:00 ID:do5XJmGE0
>>858>>853
ちょっとした用事をしようかと思えばこの雨だ。
半径10kmの間に降り注ぐ豪雨。
手に持つ傘からは、打たれるような雨が叩きつけられている。
元来、吸血鬼は流水は苦手だと伝承の上では語られる。
だが、アイリスは違った。

藍色の和服に身を包み、それと同色・同模様の傘を掲げている女、彼女を攻めているであろう濡れた黒い服と真っ白な髪の男
アイリスは彼等の更に後方にいた。距離にして20m以上後方。

「…少し、血の香り。やれやれ、とんだ物好きも居たものだ。」

そんな物好きたちの顔を見ようと、アイリスは足を進める。
ぱちゃり、ぱちゃり
豪雨が傘を叩く音、それからリズムよく発せられる水音。
新たな来訪者だ。

彼等には気づかれるかは分からない。
何故ならば、記録的豪雨がアイリスが発する音を消していた。だが、気配は消していない。
アイリスの足は僅かに早くなり、彼等二人に近づこうとしていた

863高向谷 司朗:2012/05/20(日) 23:41:19 ID:NntjvIzM0
>>860
「何言ってんだ、小学校のときの大喧嘩でそのぐらい……」

再び蹴りを入れようとして、走り出す。
その瞬間、黒い弾が自分に向かって投げつけられてきた。

「……んなっ!?」

避けようとしたがそれは間に合わずにクリーンヒット。

「うぐっ!!」

吹き飛ばされることは無く、しかし突然に訪れた痛みに倒れそうになる。
何とか踏みとどまり、鼻を押さえた。
赤い線が、手の隙間から流れ出す。
手に付いたそれと司朗は青年の顔と見比べた。

「……そういうことだ、って言うのかよ……?」

864?:2012/05/20(日) 23:51:05 ID:dL8H4NjE0
>>860
「……まあ頑張りなよ、実行できるかどうかは別として」

少女は振り下ろされたナイフを鎌の柄で受け止める。
そして押し返すように上に力を込めると、
「ふっ!」
一気に弾くようにしながら、鎌を斜めに回転。
左下からの切り上げを食らわせようとする。

865赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/20(日) 23:51:38 ID:1BBSxSE20
>>861

「……あんたが護りたいのは、本当に国なわけ?
 公共の施設に機銃掃射かましたりミサイルブチ込んだり……
 わっけ解んない。ホントはあんた、自分のために戦ってんじゃないの?」

突如として投げ掛けられる、鷹野への問い。
それは鷹野を試すような響きを持って、

「自分の闘志を満たすためだけに、その刀を振って、銃を撃つんでしょ!?
 軍人なんかみんなそう、そうなんでしょ――――?」

試すような、否、何かに縋るような色すら見せて。
少女はここに来て、救いを求め始めている。
それはおそらく、「何か」を悟ってしまったから。

ミサイルはもうじきこの戦場へ到着し、破壊の嵐を振り撒くだろう。
そうなってしまえば今度こそ、少女に回避の手段は無くなる。
そのために。少女は今、奥の手を晒そうとしていた。
そのための準備として――――エネルギーを、溜めている。

866シロード・スィヴエア:2012/05/20(日) 23:55:32 ID:1sJsd2CgO
>>858 >>862

槍の手応えを感じる。
この豪雨、視界なんて有って無いようなものだ。
しかも酷く耳障りである。

「ふぅん、程良い罪悪感。この後ろめたさもなかなか……良いっ!」
漆黒の槍が消える。
そして、再びツヴァイハンダーが現れ、なにもいないアスファルトを叩く。
見て分かるのは武器を自在に出し入れしていること。

「けど残念な事に希薄だなぁ……あ、放置プレイ?」
微かに鳴る異音に振り向き、耳障りの中に足音を見つける。
顔が濡れている、サングラスに流れる水のカーテンで前が見にくいことこの上ない。

「――嗚呼ッ!!とても……とても厭だな、そういうのッ!!」
剣先を引き摺って、獣のようにシロードは駆ける。
だが、その方向は>>862 アイリスだ。
視界では無く、鋭敏な聴覚が聞き取る“豪雨では無い異音”に頼った故の誤認。
滑るように接近して、闇色した諸刃の両手剣が振るわれる、剣の中程が胴体へと横薙ぎに向かう。

867Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/20(日) 23:56:50 ID:7gFzKdaU0
>>863
「――やられたらやりかえす。 当然だろう。まあ、等倍返しじゃ気が済まないけど。
 お前みたいに、普通に幸せな奴が一番見てて虫酸が走る、不幸に貶めてやりたい」

そう言いながら、同じ球体を3つ程生成。
それを相手に向けてゆるり、と飛ばして牽制とするだろう。

正直な話、当たっても致命とはならない為、ダメージ覚悟で行けばそのまま突破できるだろう。
そこまで絶望的な状況でもないのだ、倒せる、または深手を与えられる状況に有る。

本気を出しているのかどうかすらもわからない青年の態度。
それは、相手を舐め腐っているかのように見えて、正直な話全部まとめて舐めている。
その姿、スタンスは、何よりも醜い生き方として、そこに存在していたことだろう。

>>864
「――――、ぎ…………ィ――――ァ!」

ナイフを弾き飛ばされ、鬼門は切り上げをまともに喰らい、後ろに転がっていく。
学ランが切り裂かれ、胴から肩に駆けて、一閃の深い傷が刻まれた。

「痛い――――痛い、痛い痛い痛い。
 怖いな、生きている理由なんて、特にはないけど。
 死ぬのは、怖いなァ――……」

ぎりぎり死なない程度の半死半生の様で。
鬼門はゆらりと立ち上がり、無手の手で腹部の傷に指を突き立てる。
ぐちり、ぐちり。肉をかき回す、淫猥かつ不快な音と同時に、うめき声が後に続いて。

足元にこぼれた血は、いつの間にか腐り、ウジ虫を沸き立たせている。
周囲で死んでいる死体もそうだ、全て腐り果て、ウジの餌となり、ハエを産み出し始めた。
ここからが、鬼門の本気である、そう言う他にないだろう。

取り出したのは、白木の鞘に収まった守り刀。
だが、その白木の鞘も柄もカビに塗れており、どうしようもなく穢れきっていた。

868高向谷 司朗:2012/05/21(月) 00:05:35 ID:NntjvIzM0
>>867
「人様にぶちまけてるんじゃねえ、
 最終的に自分に帰ってくるぞ」

そう言って、鼻血を拭って走り出す。

「というか、俺がお前に具体的にして返してやる!
 お前が殺した奴がその瞬間どれだけ不幸だと思ってんだあぁらぁ!!」

前方に受身を取り、球体を避ける。
それでも、一つが避けられただけ。
二つをその身に受け、顔を苦痛に歪ませるが、そのまま走りぬけ、青年に向かって再び蹴りつけた。
狙うのは顎だ。

869?:2012/05/21(月) 00:08:33 ID:dL8H4NjE0
>>864
「死ぬのが怖くないやつなんかいない、痛みを感じないやつなんかいない」
「でもその恐怖は生きてる証だ、その痛みは存在してる証拠だ」
「その恐怖と痛みを無理矢理人から奪ってるんだよ、アンタも……私も」
悲しげにそれだけ言うと、気を取り直すように鎌を再び構える。
その言葉はまるで少女自身への忠告のような言い方だった。

「刀ね、そんな汚いのと打ち合いたくはないんだけど」
言いながら、今度は少女が走り出す。
見た目からは想像できないような速さで、青年に右上から切りかかる。

870雨:港フィールド:2012/05/21(月) 00:14:07 ID:mbXTFaJQ0
>>866
降る雨が更に強くなるように感じる。
元が既に強かった為か、皮膚では強くなったとはさほど感じられないかもしれない。
だが、耳ではどうだろうか。人と比べて音を拾う力の高いシロードにはどう聞こえるのだろうか。

「あぁ、悪いお人よぉ」
シロードの言葉に少々嘲る風で口を開く。
時代劇の中のワンシーンの様な口だ。

雨はシロードが武器を出し入れする様子に一切のリアクションを示さない。
気付いていないのか、異能の一つとして割り切っているのか。
少なくとも、傘の影から見える彼女の口の向きからすれば『見て』はいない。

>>862
何時もと違う雨が打ちる感覚。
其処だけが人一人分近く地面から高い位置で跳ね返っている。
其れは移動している。誰かが来ている。それは傘を持っている。

アクションでは示さないが雨はアイリスの存在を認識していた。
先に来た彼は戦闘する事を望んだがこっちはどうだろうか。
見たところ、和服の少女は一切手を下していない。
武器は携行している様子も無く、何かをしているようにも見えない。
矢鱈と雨の似合う色の和服を身に付けてはいるが、彼女が原因だと決めつける要因など何処にもない。

それどころか。
「悪いお人に襲われてるんよぉ」
アイリスに助けを求めるような声だ。
豪雨の中でも聞こえる様に出した声は、如何にも必死だと告げる。

871鷹野(空港フィールド):2012/05/21(月) 00:15:08 ID:IrsgDsYs0
>>865

 「嬢ちゃん…あんたには解るまい。」

 二発のミサイルが、鷹野の両脇に…
 どすんと、落ちた。

 「筒以て兵を殺す儂等が死すとも、」

 ミサイルの外板が外れ、

 「自業自得じゃが、」

 ミサイルの中から、子供位の大きさの白いロボット(モデルは本田技研 ASIMO)が、アサルトライフルを持って飛び出してくる。

 「銃後に暮らす臣民は」

 鷹野の両脇に4体のロボットが展開した。

 「一方的に敵意を向けられ、いたぶられる!」

 ロボットが少女に銃口を向ける。

 「戦場であることを隠れ蓑に虐殺を行う者共と、十把一絡げにされたくはないのう。」

 ロボットは銃口を向けたまま動かない。

 「左翼臭いと批判を受けようが、儂が第一に守るは…」

 大太刀を鞘に戻す。航空機が少女に背を向けた。

 「民の命じゃ!」

 ロボットが、銃口を上に向ける。

 この場にある総ての武器は、少女を狙いから外した。。

872Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/21(月) 00:21:00 ID:7gFzKdaU0
>>868
「知ってる。だけど、俺そういう生き物だから。
 生きていく以上、誰かを不幸にしないと俺は存続しないわけだ」

諦観、それがこの鬼の持つ、感情らしい感情。
そう出来ればいいが、そう出来ないからこうなのだ。
そんなふうなあきらめを、この青年は抱いていた。

「だって――俺は不幸を食べて生きているんだから」

そういった瞬間、青年の周囲から強い邪気が吹き上がる。
もしそれを浴び、範囲内に於いて攻撃を当てたのならば――――。

「結業――――《三世因果-今-》、初伝」

受け身も取れず、無様に顎を貫き吹き飛ばされる一撃が。
相手の顎にも同時に叩き込まれることだろう。
そうして、青年は後ろに何が起ころうと吹き飛ばされる。

>>869
「だが、俺はそれを無理やり人から奪うのが俺の食事だ。
 お前らが生きていくために家畜を殺し、植物を刈り取るように。
 俺は人を不幸に貶め、絶望を啜って、痛みを咀嚼する。――――そんな醜い鬼がこの俺だからだ」

そして、守り刀、どうみても短刀にしか見えないそれを、鬼門は握り締める。
そして、相手の一閃に合わせる形で、鬼門はそれを引きぬいた。

「《三世因果-今-》――――中伝」

右上から切りかかる斬撃、それに対して――引きぬいた刀身は、その守り刀は。
相手の鎌と寸分違わぬ軌道、切れ味で同時に振るわれる。
回避は可能かもしれないが、相手の攻撃を防御せず、交差する形で同じ攻撃を同じ速度で放った。

《三世因果-今-》とは、業を結ぶ、結合の法。
要は、今現在受けた傷、今の痛みをそのまま相手に押し返す。
初伝ならば、受けた傷を受けたままに同時に返し。
中伝ならば、受ける攻撃と同じ攻撃を同時に放つ。
己が回避不能のカウンター、非効率的で、非生産的な力が鬼門の奥の手の一つだった。

873アイリス:港フィールド:2012/05/21(月) 00:21:24 ID:do5XJmGE0
>>866>>870
ざくり、と肉を引き裂く感触がシロードの手に伝わるはずだ。
アイリスの口から「あっ…」という声が漏れるには、既に遅かった。
両手剣は確かに振るわれ、アイリスの上半身と下半身を泣き別れにしようとした、筈だった。
先ほどまで豪雨を受けきった傘は手から離れ、落下音は豪雨が齎す音にかき消された。

身長の差からだろうか。
アイリスは脇腹から闇色の両手剣を生やしていた。
大凡体の3分の1程をえぐられ、ようやくアイリスは口を開いた。

「……、中々、痛いものだ。
 だがね、僕は後から来たんだ。君に斬られる道理は無いはずだけれど。
 ああ、もし君たちの邪魔をするなというのなら引き返そうじゃないか。
 この天候だ。ろくに用事も済ませられないだろうからね。」

傘という雨を凌ぐ手段がなくなった以上、アイリスの体は濡れる。
千夜学園の制服が濡れ、ブレザーを押し上げる胸の膨らみ。雨で濡れ、張り付くワイシャツは胸の膨らみに張り付いていき。
声の質が変わっていた。女性っぽい声から、明らかな女性の声へと。
アイリスの雨の対策として、片目ずつを交互に開く方法を取る。近接派のアイリスは空間把握能力は低下は自らを不利にするだけだが……

「ただ、こうして肉体に傷を付けられた以上、黙っていられないのも本音。
 ひとつ、ふたつ。残りは作られたもの、か。」

魔眼が開かれる。
断つ線を視る魔眼が今、全開にされた。
アイリスの視界は線に彩られた世界へと変貌を遂げる。
にぃ、と形の良い唇が歪められる。

「悪い人に襲われている。彼女はこう言っているけれど?」

だが、“如何に必死”だと思わせても、こういう非常時でも“間延びした声”は出せるものなのだろうか。
まるでシロードに聞こえるような声で、アイリスは口を開いた。

874赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/21(月) 00:24:04 ID:1BBSxSE20
>>871

「――――その言葉、確かに信じてあげる。
 あんたはあたしの知るような、汚い殺戮者じゃないということを。
 民を守る、誇り高き軍人だということを」

自分に向かぬ敵意・殺意。
そこで少女は、鷹野の言葉を呑みこんだ。
しかし、溜めこんだエネルギーは発散しないまま――

――銃口が、獣の口のように、ぐぱりと牙の並ぶ顎を開いた。
黒々と光る牙を見せつける獣――否、悪魔は、その喉から雄叫びを上げんと、周囲の魔力を吸い込んだ。

「“七発目の魔弾”――――
 あたしに、その資格があるのなら――『アイツ』をブチ抜けっ!!」

魔弾の作り主、悪魔ザミエルが作った七発の弾。
そのうちの最後の弾は、射手が狙った地点には当たらない。
いま放とうとしている魔弾もそれと同様、少女の狙った地点には当たらないだろう、
狙う地点もろとも周囲を根こそぎ吹っ飛ばしてしまうのだから。
そんな威力を持った、最高火力の魔弾を――――「虚空へ向けて、放った」。




「――――――――――それは裏切り行為とみていいのかなぁ、セレネアちゃあん?」

少女が放った“七発目の魔弾”が通過する付近の、何もないはずの上空から。
その、少年のものとも少女のものともつかぬ声が、響き渡った。

875高向谷 司朗:2012/05/21(月) 00:28:44 ID:NntjvIzM0
>>872
「当たっ……ぐあぁっ!?」

蹴りつけたそのままに、顎に衝撃が走る。
無様に倒れこむ、顎を押さえつけた。

「んんだ……!?
 黒い奴使ってねえのに……」

脳が揺れ、意識が途切れそうになる。
俯いたまま、四肢を地面に付け、揺れの収まりを待つ。

「くそっ……油断……したってか」

そう言って、ゆっくりと立ち上がる。

876?:2012/05/21(月) 00:33:11 ID:dL8H4NjE0
>>872
「まるで同類だね」
呆れたような声を出す。

「ッ……!」
全く同じ軌道で繰り出された攻撃を、少女は無理矢理体を捻ってよけようとする。
しかし、なぜか回避をやめると、今度は一瞬だけ鎌の振る速度を遅くして攻撃を続ける。
もちろん遅くしたために青年の攻撃の方が先に少女に傷をつけるが、それは少女の計画通りのこと。
相手より遅く繰り出された攻撃は、丁度少女につけられた傷をなぞるように青年を切り裂く。

「つぅ……」
後ろに下がり、『血が出ていたはずの傷口』に触れる。
切られた瞬間に多少の血は出たようだが、なぜかそこにあるはずの傷口はきれいさっぱり消えていた。
「なんとか成功かな、でも痛いなこれ」

877鷹野(空港フィールド):2012/05/21(月) 00:35:27 ID:IrsgDsYs0
>>874
 上空に放たれた、明らかに凶力な魔弾。

 鷹野の指令を待つまでもなく、航空機は全速で離脱を試み、ロボットは地面に伏せる。

 「避けられぬか…」

 ロボットと同時に地面に伏せ、両手で首の後ろを守る。

 衝撃波で鼓膜が破れるのを防ぐため、目が飛び出るのを防ぐため、目を堅く瞑り、口を開く。

 運を天命に任せ、なす術なく地に伏せた。

878Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/21(月) 00:39:49 ID:7gFzKdaU0
>>875
「――――ッ、が……ッ、あ……。
 痛い、お前、強いな。だから、お前は、お前の首を締めるんだ。
 どうだ、弱者をいたぶるのは楽しいか? そうだよなぁ、こんなにたやすく傷つけられる悪人なんてそうそう居ないだろうし」

青年は、傷だらけで、尚立っている。
人ではない故、再生力が高い故、耐久だけで見れば一歩相手より先んじている。
だが、二対一。あと一歩で吹けば倒れるような傷だらけの姿は、弱々しい。

だが、傷つけば付くほどに、相手に因果が絡み付いていく。
『鬼門に不幸を与えたもの』として、バランスを取るために『同じレベルの不幸』が因果をめぐって返し風となって吹き荒れる。
要は、《因果応報》。そういうことに全ては帰結する。

>>876
「――――ッ、死にそうだな。本当に。
 痛い、痛いぞ……死ぬのは、怖いな。ああ、俺は不幸だ、不幸過ぎる。
 傷が即座に治るお前が憎い、普通に力を持つお前が憎い、俺以外の全てが、憎い、憎い、憎い」

鞘に刀身がいつの間にか収められて、失血で気絶寸前の鬼門は、言葉を繰り言の様に繰り返す。
そして、柄を握りしめ、居合の様な体勢を創りだした。

「――お前ら二人に、俺の不幸を全て押し付けてやる。
 今現在の俺の傷も絶望も、何もかもを、お前ら二人にくれてやる。
 因果応報。――――傷つけたのならば、傷つけられろ……」

見てみれば、青年の方が練度も低く、傷の深さで言えば此方が満身創痍。
少なくとも二人に平等に分配しても、行動不能に出来る程度の負傷は有る。
それを、押し付ける。先ほどまでの行動、効果を見れば、どういうことは予想できたことだろう。

879シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 00:41:31 ID:1sJsd2CgO
>>870
雨足が強くなる。
耳を打つ音が多くなる、耳障りだ。
非常に、過剰に、聞こえすぎる者にとっては大音量かつ立体音響のホワイトノイズ。

先ほどまでは耐えられた、気にしなければ良かったのだから。
だが、今は違う。
仮にも戦闘行為をけしかけたのだ、一音一音を拾って処理しなければ生き残れない。
そういう行為が身に染み付いていて離れてくれない。

アスファルトを強かに打つ雨粒の音、弾け飛んで水面を叩く微かな音、海に入る雨粒の大きさと速度の差異、流れる水が排水溝に落ちる滝のような音、混じる。
人型に、傘の形に、この港のコンテナの形に、海の波の姿すら、自らの耳を頭を打ち鳴らす音に混じってなお見せ付けてくる。
この世界は音で出来ている。
声も形を持ち始め、次第に溶けるように世界が均一化していく。
――ああ、もう、煩い!


>>873

声が……違う。違った。
相手を間違えた。こいつは誰だ。
どんな姿だ、見えない。解らない。
手応えはある。感覚は正常だ、これは確かだ。
確実に斬った、斬ってしまった。

「あぁ、良い……良いね。俺を見てる、しっかりと、確実に捉えてくれているッ!!」
両手剣を手放し、ゆらゆらと覚束ない足取りでアイリスから離れる。

「そうかもな、そうだろう。状況はまさしくその通りだ!疑うべくもないッ!」
シロードは叫ぶ。
豪雨の勢いに負けんとするかのように、喉をがならす。

「だがッ!この豪雨はあの女が元凶だ!この耳障りなノイズはアイツが……アイツ……あぁっ!もう!煩い!」
耳を塞ぎ、頭を引っ掻き回し、サングラスを放り投げる。
もはや狂人だ。

880赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/21(月) 00:43:27 ID:1BBSxSE20
>>877

少女が放った魔弾は、鷹野に向けて放たれたものではない。
「そこにいた何か」に向けて、彼女は全力で弾を撃っていたのだ。
魔弾の通過と共に吹き荒れる暴風、衝撃、轟音。それらをすべて耐えきれば、鷹野は目にするだろう。

「……だめだったかぁ。ちぇ、悔しいな……
 せっかく死んで、生き還って、気分が良かったんだから……
 せめてさいごに、『アイツ』をぶっ殺したかったネー」

光の粒子となって消えてゆきつつある、少女の姿を。

881?:2012/05/21(月) 00:50:13 ID:dL8H4NjE0
>>878
「まずい……!」
つけられた傷などどうでもいいかのように、傷口が開きながらもある場所へと走る。
そこにいるのは先ほど少女が気絶させた何人もの一般人。

「……」
青年のすべての行動に気を配りながら、少女は鎌を構える。

882雨:港フィールド:2012/05/21(月) 00:50:32 ID:mbXTFaJQ0
>>873>>879
「どぉしんやろかぁ」
シロードが駆けだした先には新たな客。
在ろうことか其方に刃を振りかざす。失礼ではあるが、気でも狂ったのだろうかと一人思案する。
後に、それは彼が豪雨の生み出した轟音が原因であると知る。

距離は20m近く先だろうか。
二人が接触する。一悶着あった。
何が起こったのかは解らないが、恐らく新たな客は『傷を受けた』。
雨の反響からそれを感じ、一人頷く。

音が凄い。二人が何を話しているのかはもちろん聞こえない。
助けを求める様には行ってみたが、聞かない可能性もある。
攻撃を『もし行った』場合の為の保険。その為にもう少しだけ距離をとっておく。

883高向谷 司朗:2012/05/21(月) 00:56:43 ID:NntjvIzM0
>>878
「覚えとくよ、忠告ありがと……」

立ち上がって青年を見据えた。

「だけど俺、そんなに強くないぞ……。
 身体測定では人並み、邪気眼も覚醒したばかり……」

そう言って、口の中に滲んだ血を吐き出した。

「……弱者か。
 安心しろ、今からお前は弱者から敗者に変わる」

そう言って、エンブレムを掲げる。
エンブレムの周囲に、奇妙な紋章が現れた。

「頼むぞ、こいつを一撃で倒せるぐらいの奴を……!」

エンブレムの中心に、力が貯まっていく。
大技を放つつもりだ。
死なないまでも、一撃で戦闘不能に出来るような。
例え自分に跳ね返ってきても、同時に倒れれば後から攻撃を加えられることも無い。

884アイリス:港フィールド:2012/05/21(月) 01:03:18 ID:do5XJmGE0
>>879>>882
アイリスの細腕は、シロードに斬られた剣を掴めば、引きぬく。
そして、放り投げた。

両手剣が転がる音は豪雨の中でも一際甲高い音を立てて、アスファルトを叩く。
それが、シロードの耳を通じて“拾う”とも知らずに。

「…まぁ良い、か。
 彼の言を信じるのなら、原因はもう一つか。だけど…」

アイリスはシロードを無視し、歩き始める。
それは、この雨の中で最も速いペース。一歩で一メートル程度の距離を詰めていく。
雨が髪を濡らし、服を濡らす。揺れる胸。
虹色に染まった瞳は一点を視る。
それは、和服の人物。

「彼にはきっちりと礼をしなきゃいけないからね。
 見られていても困るわけではないけれど、些か気になるよ。」

唇が動いた直後、アイリスの体は沈み込み。
ローファーがアスファルトに力を伝え、アスファルトに流れる雨を弾いて駆ける。
一度はアスファルトを叩いたはずの雨の雫が再び空を舞った。

――そう、線から全体図を想像して、そこに目掛けて……

手を伸ばすだけ。
狙いはどうであれ、想像から作ったものだ。今は片目。距離感がおかしい。
だが、それはシロードから見れば、和服の女性目掛け駆けて行ったように見えるだろう。

885鷹野(空港フィールド):2012/05/21(月) 01:04:57 ID:IrsgDsYs0
>>880
 凶暴な爆轟。
 航空機が全滅し、いくつかのロボットは小破し、地面に跳ね返った何かの破片が眼帯の紐を切り、額に切り傷をつくる。

 「くっ………!!!大丈夫か!」

 急に起きあがると、置いていかれた眼帯がその奥を惜しげもなく晒す。

 「要救助者一名!オスプレイを一機、大至急!」

 冷静さを欠いた声が無線機に吸い込まれ、あるべき物が無い傷跡となった右目とあるべき物がある左目で少女を捉える。

 「くそっ…死ぬな、死んではならん!」

 額からの血が空洞に流れ込むが、それに気付かずに少女の元へ飛んでゆく。

 「なんじゃ、これは…」

 光となって消えゆく少女に、何か有効な対策を知っているわけではない。

 「どうにか…ならんのか………」

 左目から透き通った液体を、右目から赤い液体を流しながら、少女の元に向かう。

886Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/21(月) 01:06:17 ID:7gFzKdaU0
>>881>>883
「逃げても無駄だ、この一閃が切るのは、お前ら二人とそう決まった。
 だから、逃げても切れるし、防いでも刺さる。
 それが因果。定めってやつだろう。俺が俺の定めを替えられないように、お前らも。当然」

鎌を構えた相手を見ながら、青年は己の気を呪い刀に篭めていく。
刀身に力を吸い取られているのか、異種の力を使用しての傷の再生も、止血も全て停止。
全身から鮮血を吹き上がらせて、吐血しながら気を、殺意を、鬱屈した感情を、諦観を篭めていく。

「鬼としては平均以下、人格は人以下、鬼以下、鬼畜人畜好きに呼ばれてここに居る。
 力は俺が傷つかずして使用不能、何処まで極めても俺の不幸は増すばかり。
 ああ、普通の力が、普通の生き様が、生きている他者が、傷ついていない誰かが。
 憎い、だから、堕ちて来い。誰も彼も、俺と同じ泥の下へ…………」

エンブレムを掲げる相手を見て、鬼門はどろりとした視線を向ける。
要は、鬼門の言っていることは、単純なことだ。
俺だけが不幸だなんて許せない、俺一人なんて嫌だ、だから自分以外も全部自分の居る場所に引きずり込んでやる。

捻れに捻れた心は、ようはそういう単純なルールで身体を駆動させていた。

「《三世因果-今-》奥伝 ――――――――」

そして、守り刀は最低最悪最弱の、醜悪絶対の呪いの刃をなって、引き抜かれる。
鯉口を切ったその瞬間に、漏れだしたのは、呪い。他社に対する、ありとあらゆる負の感情。
回避など許さない、当たれ、当たれ、当たれ、当たって落ちろ、俺と同じ地獄の同じ場所へ――――!

「―――――――― 一閃」

一面の黒の波が、前方へと解き放たれた。
それは、斬撃ではない、呪詛だ。刀という道具を媒介にした、呪いの祈祷。剣技などでは決して無い物。
絡みつく呪いは、精神を削り、心が完全に呪いを弾かない限り、永遠に鬼門と同じ傷を刻み続けるという呪い。

当たれば、その瞬間に、全身を包み飲み込もうとしてくるだろう。

887?:2012/05/21(月) 01:17:51 ID:dL8H4NjE0
>>886
「巡り巡ってまた自分の元へ、か」
「……つくづく私の傷を抉るなあ……」
鎌をくるりと回し、ため息を一つ。

「死ねないんだよ私はまだ……」
「だから、身代われ」
気絶した人々の首を三人分、切り落とす。
少女の鎌には、傷つけたものと同程度の誰かの傷を治す効果がある。
首を切り落とすなどという即死の傷を与えれば、すべての傷を直せると言っても過言ではない。
防げないなら、よけられないなら、そもそも攻撃の効果をなくしてしまえばいい。
黒い呪詛が届く前に、この場に居る三人の傷は痛みとともに消え去るだろう。

888シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 01:20:22 ID:1sJsd2CgO
>>882
事実狂っている。
ヒトで例えるなら自動車を運転中に視界がホワイトアウトしたような心境だ。
ブレーキを踏めばいいのに、まず大きな声を出す、腕がハンドルを回して、その中央を押してから、ようやくブレーキを踏もうとする。
その結果、間に合わない。
衝突してエアバックに押し付けられ、それから――

>>884

甲高い金属音に身構える。
それはなんだと、赤い瞳が凝視する。
なんのことはない、目の前の制服姿の彼女を斬りつけた漆黒の剣だ。
傷は深い、白む視界でもよくわかるほど……。

――目が見えている事実に気がつく。

聴くことに気を取られ、見ることを忘れていた。
今も耳障りではあるが、集中しなければよい。
そのぶん、状況を知ることが出来なくなるが、現れた味方をさらに傷付けてしまうくらいなら捨ててしまおう。

「……すげぇ」
雨を引き裂きながら進む不可視の刃。
それを見て、思わず声が漏れたが豪雨にかき消された。

889赤髪の少女【空港フィールド】:2012/05/21(月) 01:20:47 ID:JZr/Hg2w0
>>885

「簡単な話だネ。あたしは『契約者』を裏切って攻撃したからペナルティ受けてるの。
あたしはもともとこの世界に居るべき存在じゃないからネ、ペナルティの内容は至極単純」

存在の抹消。
つまりはそういうことなのだと、少女は告げる。

「……あたしさあ、まだ、軍人大っ嫌い。許せないと思うの。
でもネ、あんたみたいなヤツもいるんだなーって思ったら、気が楽になった。
何かを憎まなくても戦えるんだなーって。思ったのネ」

少女の、黒く暗く澱んでいた瞳に、光が射した。
やがてその色は、透き通った茜色へ。変化して、ゆるく笑みの形に細められた。

「…………じゃーネ、軍人のおっさん。街ぶっ壊すのも、ほどほどにしときなよネ」

優しく、澄んだ微笑みを浮かべながら。
少女は、虚空へと消え失せていった。

【赤髪の少女 消滅】
【ターミナル襲撃イベント空港フィールド……クリア】

890高向谷 司朗:2012/05/21(月) 01:22:02 ID:NntjvIzM0
>>886
「鬼の事情は解らないけどな……人格ぐらい矯正しろ!」

司朗は黒い波に飲み込まれる。
その呪詛に全身を蝕まれそうになるが――

(この邪悪……黒すぎる……!
 一体どういう状況で過ごせばこんなに人を、世界を呪う事が出来るというんだ……!?)

司朗は自らの思考の中でその邪悪を目の当たりに、その醜悪さに顔をゆがめた。
しかし、司朗は腕を下ろさない。
エンブレムを掲げ、力を一点に集中させた。

(だが、この状況で、あの殺された人を見て……。
 正義の確信が俺にある!)

青年が、青年の能力ゆえに襲い掛かる一般人を殺したとき、
既に司朗には確信があった。

         ドラゴニックブラスト
「引き裂かれろ!竜震裂!!!!」

竜のエンブレムの口の部分から、轟音を上げ旋風が吹き出した。
当たれば全身を引き裂かれる竜巻。
それが、呪いを放つ鬼の青年に向かって放たれた。

891:2012/05/21(月) 01:28:03 ID:1sJsd2CgO
>>888
// 下三行、刃の下りは無しで。
// 駆け出したのを見たというニュアンスで。

892雨:港フィールド:2012/05/21(月) 01:33:52 ID:mbXTFaJQ0
>>884>>888
アイリスが駆けてくる。
少女はそれを感覚的に知ってから、目を向ける。

二人は知りもしないだろうが、少女は『雨(アマ)』と自称する。
名前だけにと言うべきか、空から降る雨は少女の全てを肩代わりする。
地面に雨粒が落ちれば、其処には何もない。地面から少し高いところに落ちれば、何かがある。
一帯に万遍なく落ちれば表面のみだが立体図が出来上がるし、断続的に充てれば移動しているかどうかも解る。
幾ら特殊な何かを以ていようが、少女には関係が無い。

>>889
彼女が居る場所が屋外で助かった。
赤髪の少女の存在が消え失せたのを知ることが出来た。
それが何故かは解らないが、もう現れる様子も無い程に長い時間だ。

となれば、もうここに居る意味は無い。

893Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/21(月) 01:36:06 ID:7gFzKdaU0
>>887
呪いの効果が、己の傷を他者に写しこむというものである以上。
己の傷が無い限りは誰にも何の傷も刻むことは出来ないのは当然の道理。

要するに、鬼門は不幸がなければ力を発動できないのだから、鬼門を倒すには鬼門の不幸を断ってしまえばいい。
そういう点では、相手の行動はきっと間違っていなかった。

呪いから破壊力は失われ、タダの悪意の本流となって駆け抜けるのみ。
それでも、常人ならば発狂してしかる程度の濃度と物量はあるが、二人にはそれも無意味だろう。

「――――ッ、ち……ィ」

その双眸には、露骨な敵意。
初めて、朧げに生きてきた男は、その瞳に敵という物を認識した。

「よくも――――よくも、俺をッ!
 俺の傷を直しやがったなァ――――――――――――ッ!!
 糞ッ、さっきまで、絶望に浸って、これ以上ないほどに落ちきっていたのにッ!!
 嗚呼、怖いッ、怖いんだよッ、糞ッ!!」

頭をかきむしりながら、初めて男は叫び声を響かせた。
この男に取って、一番抉られるのは、灯りの元に引きずりあげられること。
深海魚が陸に上がれば死ぬように、夜行性の生物が朝日の元では苦痛を感じるように。

物心ついた時より不幸こそを居場所にしていた鬼は、幸福こそに苦痛を感じる生き物と化していた。
故に、こそ――――。

>>890
麻痺していた感情は、暴走していく。
泣き叫びながら笑って、憤怒の声を上げて幸福そうに絶望し、歓喜する。
ああ、苦しい。こんなものは要らない、絶望していたい、また、どうせ不幸が起こる、不幸が起これば悲しいし、絶望する。
それが何よりも辛いから――――だから、できるだけ早く、己を突き落としてくれ、そう懇願するような瞳で、相手を見た。

「はは……ッ、傷つけてくれるんだろ、絶望的に、絶対的に、貶めてくれるんだろ、侮蔑してんだろ、醜悪だって、見たくないって、憎しみを感じてるんだろ!
 俺を、俺を悪人と、糞野郎と、邪悪と。そうだ――――それでいい、俺を倒せ、俺は勝ちたくなんか無いッ! 幸せなんか要らないッ!
 落ちて、落ちて落ちたままなら、何も失わないし。傷だらけならそれ以上傷つくことも怖くないッ!!
 は、はははははっはははははははっはははは! 俺の、勝ちだァ――――――――ッ!!」

男は、竜巻の前に勝ち誇る。
俺を傷つける限り、任せようとする限り、叩き潰そうとする限り、それは絶対的に己の勝利だと。
敗北こそが、己の正道、だから敗北は己にとっての勝利に他ならない。

四肢を引き裂かれ、肉を抉られ。
ほら、そうだ。満足に傷が治っても、同じようにどん底に叩き込まれる。
だったら、最初から傷ついておけばいいんだ。傷つけようと思わないほどにひどい傷が有れば、それ以上傷なんて増えないんだから。

そう小さく呟いて、血だらけの鬼門は、壁に叩きつけられた。

「――――ぅ……ァ……ッ」

うめき声を上げて、鬼門の指先がぴくりと動き、どろどろの双眸が二人を射抜く。
憎んでいた、己の傷を直した相手を。
感謝していた、己を打ち倒した相手を。

894鷹野(空港フィールド):2012/05/21(月) 01:39:03 ID:IrsgDsYs0
>>889
 「そんなことが…だからとはいえ、消えて良いわけが無いじゃろう」

 悲痛な台詞は虚空へと消え、鷹野の両手は空を掴む。

 悲嘆に暮れる鷹野の潤む左目に、無惨に破壊され大小様々な破片の散らばる空港が映った。

 「救助ヘリを戻せ…そうだ、滑走路の復旧に取りかかるぞ。総力を挙げて、少しでも早くここを使用可能にするのじゃ。」

 救うべき人を救えなかったのは、これで何度目になるのかのぅ。

 心の中でそう呟いて、とりあえず大きな航空機の残骸をどかしにかかった。


//おつでしたー
//鷹野の内面に関する描写が少しできて、充実したイベントでした。

895シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 01:46:48 ID:1sJsd2CgO
>>892

アイリスが疾駆した先に恐らく、あの女が居る。
けしかけた以上、追撃せねばと動く……が、もんどり打って倒れてしまう。
豪雨に足元を取られ、思うように立ち上がれない。
耳鳴りがひどい。
平衡感覚が狂っている。

「……くそっ、なんだこれ」
四つん這いになって、ようやく身体を起こせた。
杖代わりに真っ黒な両手剣を出し、しがみつくようにして立ち上がった。
しかし、それまでだ。
そこから一歩も動けそうにない。

896アイリス:港フィールド:2012/05/21(月) 01:55:18 ID:do5XJmGE0
>>888>>895
夜。非常に視界が悪くはあるが、確かに再生を始める肉体。
進路には未だ雨に溶けきられない血液。それはアマに取っては異物。
流れ落ち、点と点を結べば、アイリスが和服の人物目掛け、一直線ということが分かるだろう。
血液の点を結べば、アイリスの進路を見せるだろう。これだけ異物が“真っ直ぐにアマ目掛け勢い良く”走ってきているのだ。

今、アイリスは降り注ぐ豪雨から目を守るために今は両目とも瞑っている。
目を瞑る前の頭に残る距離感だけを頼りに、両足でアスファルトを擦り、ブレーキを掛ける。
水飛沫を上げ、自らの感覚に頼り、腕を地面と並行に突き出す。その様子は、アマはまるで手に取るようにわかるだろう。

1.2m程距離が足りていないのだ。
オーバーランの可能性も加味して、届くかどうかの瀬戸際である。

「当たるも八卦、当たらぬも八卦、かな」

歪んだ唇は、アマの瞳に映るのだろうか。

897?:2012/05/21(月) 02:00:37 ID:dL8H4NjE0
>>893
「…………」
不幸を自ら望む。
その感覚が少女には理解できなかった。
いつもそうだ、なぜか救いたいと思った者は皆自分から不幸に飛び込む。

「……」
視界が涙で埋まっている事に気づき、剥がれかかった心の仮面を付け直す。
涙や悲しむという行為など知らない強者として振る舞うために。
「死にたいならどうぞ。……君の、勝手だよ」
憎しみの視線を相手を小バカにしたようなおどけた表情で見返す。
小さく笑うと、まだ混沌と化している駅の方へと振り返り、歩いていった。
「もう一人にあとは任せますか、疲れた」

898高向谷 司朗:2012/05/21(月) 02:05:27 ID:NntjvIzM0
>>893
「俺がアンタを侮辱していようとしていまいと、
 生きてる限り傷なんて治るけどな……」

その場に座り込み、青年を見た。
目線を合わせるとかそういった意図は無く、ただ疲労しただけだ。

「どうせこのまま警察がアンタを捕まえたら、無理やり治療させられる。
 そうなる限りアンタは結局また自分を不幸にしなきゃいけないわけだ。
 "おめでとう"この野郎」

お手上げと言うように言った。

>>897
「待てよ!
 ……アンタが三人殺したこと、俺は忘れねえぞ……!」

司朗は少女を睨み付け、見送った。

899Side:高速列車フィールド ◆NSEW/xeQlk:2012/05/21(月) 02:10:22 ID:7gFzKdaU0
>>897
「――――ッ、殺すッ……。――――――殺すッ!」

狂ったように、青年は、相手に向けて悪意を向ける。
初めてこうも強く思った、死にたくないと。
死なず、勝たず、ただお前を殺してやる、勝たなくてもいいし、任さなくてもいいから殺してやる。

殺意、それが青年の覚めた心に熱を送った。

>>898
「――痛い、暫くは、痛みも傷も消えなさそうだ。
 本当に、最悪、最悪すぎて――――顔が緩む」

突如、鬼門の貼り付けにされている壁が崩れ落ちる。
そして、鬼門が落ちた床も、同じように崩れ落ち初めて、鬼門の姿は消えていった。
全身に刻まれた傷を壁と床に転写し、破壊。そうして逃走したのだ。

「――ああ、お前も殺してやる。
 勝つつもりなんか毛頭ないけど、お前とあの女は、殺さなきゃいけないらしいから。
 ……久々だ、執着なんて。……ああ、面倒だ、苛立つ。本当に」

地下鉄、その闇の中に鬼門は消えて。
残ったのは、無数の死体と戦闘の余波、未だ終わらぬ暴動だけだった。

900雨:港フィールド:2012/05/21(月) 02:13:16 ID:mbXTFaJQ0
赤髪の少女が居なくなったら、もう自分の仕事は無い。
中の人間が外に出るのを防ぎ混乱を継続させる役目も終わり。
外の人間が中に入るのを防ぎ混乱を停止させない役目も終わり。
「突っ立っているだけ」では無くなったが楽しむには程遠い。そろそろ返り支度をはじめよう。

>>896
地形の判断を「雨粒の落ちた地点」で判断しているのではない。
「何かにぶつかった雨粒」で認識している少女にとって、何か地面を這う異物を感じる事は出来たが、それは些細な事。
必要最低限の動きで攻撃を回避する。その際にカチャリと言う金属音が少女の足元からするだろう。
「甘ちゃんやねぇ。
 ……私は雨ちゃんやけどねぇ?」
易々と回避してしまう。空間認識に付いては完璧と言える少女には余裕と言えるだろう。
和服故に大きな動きは取れないと思われたが、始めシロードから受けた腰への一撃が衣服をいい感じに裂く事で可動範囲を広めていた。
左脚を右脚の後ろへ持っていくと、右脚は大きく外側へ飛び出し、それに左も続く。
ステップと同時に傘もくるりと回して見せ、余裕と言った雰囲気だ。

そのままアイリスに見向きもせず場を離れていく……。

>>895
アイリスの元を離れた少女が其方へとやってくる。
次第に雨が弱まっていく、が、まだ強い。
シロードの真横に来た時には、始めよりも少しだけ弱く、これだと耳はそれなりに聞こえるだろう。
それを見越しての事だろうか、耳元で「乙女に付けた傷はゆるさんけんね」と呟いてから通り過ぎる。



雨が次第に弱くなり、やがて止む。
雨が弱まればシロードの耳も目も使えるようになるだろう。
止む。と言う事は既に少女はいない。と言う事でもあるが。

【雨、撤退につき港フィールドイベント終了】

901?:2012/05/21(月) 02:17:02 ID:dL8H4NjE0
>>898
「恨むのならどうぞ御勝手に。……知ったこっちゃないけどね」
おどけた笑みは崩さずに、振り返ることもせずに言った。

>>899
「怖いねえ、まあいつでも来なよ、私が生きてる限りは相手してあげるから」
今度こそ少女は暴動の人混みの中へと姿を消した。

//乙でした

902高向谷 司朗:2012/05/21(月) 02:20:06 ID:NntjvIzM0
>>899
「こいつっ……!まだ……!」

立ち上がるが、既に間に合わず。

「殺られてたまるか!
 お前みたいな奴は絶対殺さず牢屋にぶち込んでやる!」

そして、司朗は地団駄を踏むことになるのだった。

「ふっざけんな……。
 どっかズレてるぞ……言動じゃなくて言うことやることが……」

そして、司朗は暴動を止めるため、警察や観測局へ走ったのだった。

903シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 02:28:28 ID:1sJsd2CgO
>>900

「くッ……!」
強く歯噛みする。
傍らを通り過ぎ、あまつさえ言葉を残していく相手に触れることすら叶わない。
とても悔しい、だが思わず口角が上がる。
耳に届いた“許さない”の一言が、じわりとシロードに高揚を与えた。

雨が弱まった後も耳鳴りが止むことは無かった。
豪雨の音は格段に効いた、しばらくの間は難聴に悩まされることだろう。

904アイリス:港フィールド:2012/05/21(月) 02:33:54 ID:do5XJmGE0
>>900>>903
「……止んだ、か。しかし、彼女は一体…」

体に張り付く衣服が鬱陶しい。シロードに背を向けた状態でブレザーのボタンを開き、ワイシャツの襟部分を摘まんで、中に空気を入れる。
ブレザーのボタンを再び閉じて、その後は魔眼を解除し、両手で髪をかき上げる。
被った雨が首筋を垂れていき、背中を伝っていく。

彼女はアマちゃんと名乗った。
雨と共に居るから雨、微かに聞こえたような、金属音。

「不思議な存在、だね。
 …最も、なぜ彼女はここに居たのか、は分からないけれど。
 それよりも、だ。」

その後はシロードの元へと向かうのだ。
雨の中、なぜ自分が胴体を斬られたのかを問い詰める為に。
シロードの耳が戻っているのなら、分かるはずだ。
チャプンと、水分を含んだ足音が、少しずつ、だがゆっくりと近寄ってきているのだ。

「斬られたお返しをしなきゃ、ね。」

シロードに斬られた部分だけ、穴が空いたブレザー部分。
僅かに肌を晒したまま、水分を過多に含んだ靴音はシロードとの距離を詰めてきていた。

905シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 02:44:02 ID:1sJsd2CgO
>>904

水気の多い靴音。
見れば、ブレザー姿の彼女?の腹は既に再生していて、ぱっくりと開いているそこがなんだか奇妙だった。

「……お返し、か。そりゃ、どんなものだい?」
へらへらと笑ったシロードの声こそは余裕があれど。
水に濡れた漆黒の両手剣を杖代わりにアスファルトに突き刺して、しがみつくように立っている。
未だ平衡感覚が戻っていない。

906アイリス:港フィールド:2012/05/21(月) 02:58:30 ID:do5XJmGE0
>>905
「どちらも痛いね。より痛い方を望むのなら、遠慮はしない。
 だけど、斬られた理由による。もし、あの豪雨の中で意図して狙ったのなら、斬らせてもらおうかな。」

アイリスはシロードに向き直れば、シロードの赤錆の瞳を見つめる。
声は余裕っぷり。だが姿勢は整えていない。
やろうと思えば、いつでも出来る。

「さて、中身を曝け出すか出さないか。君の返答次第さ。
 意図して狙ったというのなら……」

――敵だ

アイリスは目を僅かに細め、赤錆の瞳を見つめる。
もしもシロードがより痛い方を選ぶのなら、魔眼の起動し、あとは線を見て、なぞるだけである。

907シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 03:14:26 ID:1sJsd2CgO
>>906

「おおっ、凄い眼だ、好いねその鋭さ……いつまでも刺されていたい。
 でも、マゾヒズムに目覚めるつもりは無いからね、正直に言うよ」
ふざけた表情は大して変わらず、声のトーンがやや落ちる。
呼吸は深く、多少荒い、時折なにか堪えるように止まる。
青ざめているような血色は不調か、元々の白さゆえなのか判別は付きにくい。

「敵と勘違いしたんだ。あの雨で耳も目もやられててね、おかげで今はこうして立ってるのがやっとだ」
視線は真っ直ぐ、両の目を見ている。

908アイリス:2012/05/21(月) 03:29:47 ID:do5XJmGE0
>>907
「……、……、」

シロード瞳を見つめたまま、言葉を聞きアイリスは目に入れた力を抜いて。
こうしてみれば、分かる。
深く深い呼吸。こういった時は何らかの原因で体調がすぐれない、或いは肺が空気を求めている時と相場が決まっている。

「その感覚の鋭さ。能力か君が人から外れているのか。…どちらでも良いさ。
 体調が悪いのなら僕の手を取るといい。君が人間では無いのなら休む場所を提供できるだろう。
 何、安心すると良い。
 僕の家だ。これでも立場があるからね。君を襲わぬよう命令できる。――ついて、来るかい?」

どこに、とは明言しない。
だがシロードが純粋な人間では無いのなら、入れるはずだ。
純粋な人以外は入れる、一夜城に。

アイリスがシロードに手を差し出した。
その手には鳥の羽のようなものが挟まれており。

あとはシロードが決めること。
もし来ないのなら、アイリスはそのまま去っていくだろう。

909シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 03:46:52 ID:1sJsd2CgO
>>908

「いいのかい? 意図的ではないとしても、キミを斬った奴だぜ?
 ……なんて言っても、猫の手でも誰の手でも借りたいくらいだからね、ありがたく受けよう」
差し出された手に、自らの手を重ねる。
シロードは純粋に人外だ、こちらの世界の人間ではない亜人種なのだから。

「俺はシロード・スィヴエア、あんたは?」
人外なら入れる。そう言った所に住んでいるからには、やはり彼女も人外なのだろう。
そんな事を考えて。

910アイリス:2012/05/21(月) 04:03:38 ID:do5XJmGE0
>>909
「理由を聞いて納得したからね。
 あの豪雨の中で視界を確保して敵かどうかを確かめる術は無いだろう。
 僕は相手の位置が分かったけれど、特定できる要素なんてほぼ無かったからね。
 だけど、これを受け取ってほしいね。」

差し出した手とは逆、親指と薬指を合わせて、軽くデコピン。
デコピンそのものにダメージはない。そんな強さに調整されている。

「僕はアイリス。アイリス・フォン・ルズィフィール。よろしくね。」

転移。
風景が移り変わる。場所は一夜城の玄関ホールだ。
天井に吊るされたのは豪奢なシャンデリア、足元は足音すら消す上等なカーペット。
壁を見れば、高級な調度品が立ち並んでいる。その光景は中世の城へとタイムスリップしたような感覚に陥るだろう。

今居る位置が玄関ホール。玄関ホールから、分厚い扉を開き一歩外に出れば、四季の花に彩られた石畳の道。
そこを抜ければ、直ぐに外に出られる構成となっている。

メイド十人ほどが頭を垂れ、お帰りなさいませ、アイリス様と告げる。
アイリスは、彼に部屋を案内してくれるかい、と言えば、メイドは宿泊の部屋へ案内するだろう。

「彼を休ませて上げるかな。
 彼が湯浴みをしたいというのなら、準備をしてくれ。彼は体調が悪いようでね、丁重に持て成してほしい。」

近寄ってきたメイドが、シロードに頭を下げた後に告げる。
御部屋へご案内させて頂きます、と。

911シロード・スィヴエア:2012/05/21(月) 04:19:47 ID:1sJsd2CgO
>>910

「ん? 」
べしっ、と眉間にクリーンヒット。
しばらく呻く程度のダメージ。
名を聞いて後、転移。

「――――」
行き着いた先の光景に、出す言葉も引っ込んで、あれはなんだこれはなんだと視線が忙しない。
誘われるまま、メイドの案内に従う最中も見るもの全てに興味を示す勢いで視線を泳がせている。

そうして、アイリスは一体何者なのだと、この屋敷の内装とセットで深く印象に残る事になった。

912アイリス:2012/05/21(月) 04:30:35 ID:do5XJmGE0
>>911
案内自体はスムーズなものだ。
案内された部屋の扉を開ければ、正面にはシンプルにテーブルと椅子。壁に埋め込むように冷蔵庫もある。
右手には柔らかそうなベッドがあり、ベッドのサイドテーブルには淡い灯りが付けられており。

『こちらが御部屋となります。何か御用が有りましたら、テーブルのハンドベルを御使用ください。
 別室にはなりますが、浴槽もご用意させていただいております。
 なお、この城は出入り自由となっております。御希望ならば、都市までお送りさせて頂きますので、
 その際は我々にご用命頂きますよう、お願い致します。』

丁寧な語り口で必要事項を告げたメイドは頭を下げる。
この部屋はいつでも宿泊が出来る、といったところだ。

913アイリス:2012/05/21(月) 21:36:29 ID:do5XJmGE0
【箱庭 市街地フィールド】
昨晩、和服の女性、雨(アマ)と名乗ったであろう人物から言われた一言。
“甘ちゃん”
それが気になり、市街地フィールドに来た。
運が良ければ、相手が来るだろう。
運に恵まれずとも、鍛錬が積めるであろう。

アスファルトの上に乗っかる高層ビル群
まるで都市の中心街のような場所。
そこには闇夜を照らしだす街灯もあり、電柱もある。

自前の短剣、銘をアイリスという其れを手に、手始めに街灯を六分割にしてみた。
大丈夫、近距離では確り“視えている”
その次は高層ビルの一つ。風切り音と共にアイリスが駆けた。
高層ビルに映る一本の線をなぞれば、高層ビルは滑り出し、アスファルトにぶつかり砕ける。
アスファルトには直線的に踏み砕かれたような足あとだけが浮かんでいた。

「……まだだ、まだ足りない。」

914アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/21(月) 21:57:19 ID:mbXTFaJQ0
>>913
突如、新たな存在の来訪を告げるシステム音が鳴る。
必要だと判断すれば、アリスの基本的なデータが表示されるはずだ。
名前はアリス。年齢は……不明。
身長・体重は117cm、19kgと書かれてはいるが、妙な追記がある。
【※可変】。自在に変更できるという意味で用いられる言葉であることはアイリスが知らない筈は無いだろう。

実際にアイリスの前に現れた姿はデータ通りの体格をした少女だった。
身に着けたドレスは、臍の少し上辺りを中心に四つに区分けされ、右上と左下は白。残る二つは真っ赤に染め上げられていた。
白い区画の中央には真っ赤なハート。宛らトランプの一枚であるかの様な風貌だった。

同じく側面に大きなハートのプリントされた大きなバッグを重そうに抱えた少女は、先客がいる事を認識すると顔を向けた。
その瞬間、ビルが倒壊し轟音を鳴らす。バッグを取り落すと耳を強く塞ぎしゃがみ込んだ。
暫くして音がやむと立ち上がり、手を外すとバッグをそのままにアイリスに声を掛ける。
「御機嫌よう、お楽しみ中だったのかしら?」

915アイリス:2012/05/21(月) 22:11:16 ID:do5XJmGE0
>>914
システムの音に振り返ってみれば、小さな少女がいた。
足元には大きなバッグ。

「まあね。お楽しみと言うほどは楽しくは無いけれどね。
 見ての通り、これは木偶の棒。これを相手取ったところで面白いと思うかい?」

金色の髪に白い肌。闇夜の中に浮かぶ虹色に染まった瞳。
右手には愛剣である、刃渡り約30cmの短剣。力を程々に抜いているのか、ぶらりと垂れ下げており。
他の特徴と言えば、千夜学園の制服を確りと身につけている。ブレザーには学年を示すバッジ。現役学生であることは見て取れるはずだ。

「それとも、君が楽しませてくれるかな、お嬢さん。」

916アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/21(月) 22:21:22 ID:mbXTFaJQ0
>>915
「どうかしらね。
 トロールなんかは一日中粘土を捏ねても飽きないって言っていたわ」
私もそれはゴメンよ。などと言いながら両手を天に向けて解らないのポーズ(らしい)。
バッグからピンクのフラミンゴの描かれた木製らしいバットを取り出すと、その先端を其方に向ける。

「いいわ、やりましょう。
 私も恨み晴らしの怨念返しにやってきたところなのよ!」
宣戦布告。ニヤリと意地の悪く、かつ楽しげな笑みを向けていた。

917アイリス:2012/05/21(月) 22:35:15 ID:do5XJmGE0
>>916
「話が早くて助かるよ。君はトロールでは無い、よね?
 それじゃあ、行くよ。」

アイリスは膝を曲げ、アリスに向けて走り始める。
その距離は大凡15m程度、といったところか。
走り始めた後、アイリスが立っていた場所はアスファルトの断片が跳ねていた。踏み砕かれたアスファルトだ。
それだけ、急速に速度が増したのだ。

ただ、いくら速いといっても直線的な動きであり、動き出す直前の言葉からアリス目掛けて一直線と推測するのは容易。
事実、アイリスはアリス目掛けて走っているのだ。アリスとは別の、僅かに口を歪ませて。

「恨み晴らし…、随分重いものだね、それは。その重みに沈められないように、ね。」

アリスがバットを向けた以上、アイリスは短剣を持たぬ左手を先に差し出した。
狙いは線。アイリスにしか分からない、断つ線。まずはどの様に対処するのだろうか。

918アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/21(月) 22:52:31 ID:mbXTFaJQ0
>>917
「あんなものと私を一緒にしないで頂戴」
鞄からトロールの人形を引っ張り出す足元に落とす。
ゴム製らしく、ポンポンと跳ねていたが少女によって踏みつぶされてしまった。
足を上げるとなぜか反動で跳び上がり少女の手元に返ってきた。

「御望み通りっ!」
手にしたバットを一回転させ、一般的な野球の構え。
片足を上げてバウンドしたトロール人形に狙いを定め、弾き飛ばした!

919アイリス:2012/05/21(月) 23:05:49 ID:do5XJmGE0
>>918
アイリスは音と共に、飛来する人形を把握した。
アリスの狙いは正確無比であった。人形は正に“打たれた”形になってはいるものの、狙いは自らの身へと迫ってきている。
先に突き出した左手で、そのまま線をなぞろうとする。
先に突き出した左手を当てることが出来たのなら断てるはずだ。
ただの人形であれば、断つのは容易い。
高層ビルでさえ、線をなぞれば断てるのだ。ただの人形を断てぬ道理はない。

――だけど、“それ”が『特別製』であれば……?

例えば、アイリスの短剣。
それは『特別製』である。己の肉体の一部だけでは無く、親とその姉の体の一部までも使用しているものだ。
これに限っては、どれだけ昂ぶっても線が見える気配は無い。

「“女王<ハートのクィーン>”、それだけでは無いだろう?」

と、口で言うものの、実際に目の前に迫った脅威に対応できるのは現在、左手と魔眼だけ。
ここで追撃をされてしまえば元も子もない

920アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/21(月) 23:29:38 ID:mbXTFaJQ0
>>919
スッパリと、音を立てる暇すらなく別れてしまったトロール人形。
本来ならば穴が開けば破裂なりする筈だったが、アイリスの能力によってそれは敵わなかった様。
それについて、少しの疑問を抱いたのだが、それは後。今は迫るアイリスに対抗の手を撃たねばまずい。

「勿論」
少女の頭上に輝く赤の宝石。
冠の中央に宝石の塊を乗せただけだが、それだけに大きな輝きを示していた。
それは、彼女が紛れも無く『赤の女王』――レッド・クイーン――である証。

フラミンゴのバットの先端を向け、再び宣戦布告。
「『撃のJ』……切り刻んであげる」
<切り裂きジャック>。そう呟くと乱雑にフラミンゴバットを振り回す。
太刀筋も雑で振り方も非効率的。子どもが振り回しているに過ぎない上に未だアイリスは範囲外。
アイリスが3mにまで迫ったころには10回程振り終えるとバットをクルリと回し、ニヤリとした笑みを浮かべながら誘い込むように一歩、後退した。
その瞬間、バットの軌跡が斬撃となって実体化した。赤の女王の前には撃の壁。緑色の軌跡を放つ斬撃がアイリスを歓迎する……。

921アイリス:2012/05/21(月) 23:49:14 ID:do5XJmGE0
>>920
――これは、そろそろ必要、かな?

アイリスが下した決断は魔術の併用。
もちろん魔眼だけでは簡単に打ち倒せる相手では無いだろう。
『切り刻んであげる』
その言葉が耳に入る頃には、緑色の斬撃がアイリスの体に刻まれていく。
勢いを付けた以上、そう簡単には止まらない。
アイリスの脳裏には、能力も魔眼で断てるか、の疑問も湧いてきたが、今は後回し。
ガードをしようとするにしても、しようとする頃には、斬撃の雨あられ。
左手、左腕、と徐々に体に刻まれていく斬撃が増え、吹き出す血は斬撃の勢いに従い散っていく。
だが、その血液はある意味では毒。アイリスの旧き先祖が自らの血脈を守るために生み出した呪い。
一度は齢250年を誇る古の吸血鬼すら意識を飛ばすまでに至ったもの。

「――拙い、か。(我は古の契約に従い、行使する)」

斬撃の網に掛かったアイリスは、斬撃で勢いを殺されたものの、勢いは止まるまでには至らない。
相手のクィーンは未だ少し先に居る。
そのまま少し足を伸ばせば、魔眼を行使した上での攻撃が届く距離となる。

「だけど、止まれないね、これは。」

緑の斬撃を、ダメージを追いながらも何とか通過したアイリス。
傷つき、血に染まっていく制服を気にすること無く、アリスに向け、再び左腕を突き出す。
だが、距離はまだ、『一手打てる』程度。
その時、左腕をフェイクに、右腕が動かされようとしていた

922アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 00:18:26 ID:mbXTFaJQ0
>>921
「おっと、まだだったのね」
斬撃のカーテンによって視界がふさがれる。
アイリスが迷い込むのは必然、出られなくなるとは思ってなかったみたいだが、
未だ攻撃を続けるとは思わなかった様子。
一度驚いた表情を浮かべたが、ニヤリと笑みを浮かべる。

「真っ向勝負よ!」
それは少女の悪知恵。
バットを思いっきり振りかぶり、あろうことかアイリスを球に見立てて振りぬいた!

923アイリス:2012/05/22(火) 00:31:27 ID:do5XJmGE0
>>922
「まだまだ、さ」

ニィ、と笑みを漏らす余裕はあるのか、痩せ我慢なのか、アリスにとってはわからないだろう。
左腕を犠牲にした、右腕のフェイクには気づいていない様子…ではある。

「でも、その前に……!?」

標的は近いのだ。地面と並行に腕が振られる。右手の短剣をアリス目掛けて投擲。
電柱を握りつぶすことも可能なアイリスの力で投擲された短剣。
アリスにとっては、デッドボールになりそうなほどの際どい内角高めのストレート。
投擲の経験と技術の点で結果的に内角高めとなってしまった。

身長の差分も含めれば、肩、あるいは顔面にも飛びかねない短剣は確かに投げられた。
アイリスは驚愕の表情を浮かべる。

――まさか、僕を……!?

フォロースルーを終えようとしている右腕は使えない。
といっても、再生が始まっているとはいえ、既にダメージがある左腕では振り切られたバットを受けると、面倒ではある。

924アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 00:57:36 ID:mbXTFaJQ0
>>923
この距離から何をするかと思えば、短剣の投擲。
アイリスが怪力の持ち主だと知る由もないが、そうでなくても痛い物は痛い。
「デッドボールはペナルティよ!?」
少女が先ほどまで、現に今も構えているのは野球の物。
もしデッドボールが起これば、ルールに則り一塁への進出が許される。

「そんな物はお断りよ!」
振り上げたバットを全力で振る。
目を瞑り、狙いは適当。力のままに振りぬく一撃。
代わりにナイフが少女の右肩を貫き白い区分が僅かに赤に塗れる。

925アイリス:2012/05/22(火) 01:11:03 ID:do5XJmGE0
>>924
「そうなのかい?生憎、僕はルールを知らなくてね。」

野球というものにはアイリスは興味を示していなかった。
もちろん野球だけでは無い。スポーツにだ。

バットは待ってくれなかった。
当たったのは確認した。右腕のフォロースルーは無理やり終わらせた。

――既にダメージを負っているんだ。少々増えたところで問題はない

木製バットが風を切り、迫る。
視る限り、人間。吸血鬼では無い。更には少女。力は脅威にならないと判断するアイリス。
だが、スポーツを知らぬアイリスには気がついていないのである。
スイングに最も必要なものは腰。力では無い。全く必要ということでは無いが、重要なのは腰の使い方だ。
見る限り、美しいスイングだ。

……

バットと左腕がぶつかる音がする。
アイリスにとっては、無事に受け止めればいい。それは間合いに入れるということだからだ。
間合いに入れば、魔眼が効果を発揮する。

しかし、既に負傷した腕でフルスイングされたバットを受け止めようとしているのだ。
骨は折れるまでにはいかずとも、ヒビは入るだろう。

926アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 01:29:25 ID:mbXTFaJQ0
>>925
フォームに関しては、良いと言えるだろう。
暇さえあれば……というか、元々暇しかない人間だ。
何時か来たるべき『決闘』の為に日々特訓を重ねていたのだから。
始めはルールブックに穴が開く程読んで、次は実践。
試してみてから、プロの動きを参考に自分と違いを明確に示し、それを踏まえて真似る。
練習相手はいないのだから、常に一人で一万や二万が相手にならない程の数をこなしてきた。
来たるべき日の為に積まれた特訓の成果は良く出ていたと言える。

当たった。
ボールとは違い、気持ちの良い音と感触では無かったが。
力の限り振りぬいては見たが、やはり少女にも限界はある。
十分に優秀と言えるフォームを持ってしても、実践経験が無ければ球を受けた時に脚の踏ん張り方が解らない。
力に対する対抗策と言う物を持っていない為、受け流す事が出来ずに言葉通りの『真っ向勝負』。
当然、さぞ軽いことだろうアイリスが相手でも、勢いの乗った身体であればそれよりも小さな少女が対抗できるわけは無く、伸されてしまう。

927アイリス:2012/05/22(火) 01:39:15 ID:do5XJmGE0
>>926
嫌な音がした。

「……折れた、かな。
 ―――んっ……!」

耳元で聞こえた、音。
それはアイリスの耳にもしっかりと届いており。
それからアイリスは動いた。
バットを受け止めた左腕を中心として、体を翻す。
ザッと、アスファルトに何かが擦れる音がしたかと思えば、無傷の右腕を遠心力に任せ、腰を捻り。
アリスの『剣が刺さっているであろう』場所目掛けて裏拳を繰り出そうとする。

それはまるで楔を打ち込むように。更に深い傷を負わせるように。
アイリスはこの少女の目的は知らない。彼女が口にした恨み辛みも知らない。
飽くまで初対面なのだ。

「今度は、僕から君に勝負を仕掛けよう!もちろんノッてくれるのだろう?」

この少女の口許は笑みを作り出しているだろう。
もちろん、アイリスも、だ。

928アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 01:54:33 ID:mbXTFaJQ0
>>927
「ぎっ!!」
苦痛で言えば相当な物だろう。
半端な痛みでは声を上げるところだったが、度合いで言えばそれ以上。
余りの痛みに口を噤み、耐える事のみに集中しての事だった。

アイリスの右が肩に打ち込まれた楔をさらに深く埋める。
余りの衝撃に逃げ出しゴロゴロと這い回って距離を取る。
右肩を使わずに立ち上がると左手で一息に短剣を抜き取った。
真っ赤な血がベットリと付いた短剣を眺めた後、掲げ。
「杭を打たれるのはドラキュラだけで十分よ!」
そう言うなり、いつの間にか右手に持っていたドラキュラ人形の腹にグサリとさして、短剣ごと捨ててしまった。

「勿論よ!
 こんな楽しい『ゲーム』、降りる訳無いわ!」
ここに来たのはアイリスと同じく特訓の為でもあった。
来たるべき『黒の女王』との『決闘』の為の踏み台。アイリスとの『ゲーム』にはその程度の認識しかなかったはず。
だが、今はこのゲームが思った以上に楽しくて、止めるわけには行かないと。

929アイリス:2012/05/22(火) 02:09:23 ID:do5XJmGE0
>>928
「我が宝剣をそのように雑に扱ってくれると困るのだけれど、
 まあ良い。君の体で償ってもらおうとしようか。」

自らの体の一部とアイリスの母と叔母の体の一部を使って鋳造された、『自分だけのもの』だ。
雑に扱われて憤慨しているという雰囲気では無い。
が、多少なりとも怒気が混ぜられた言葉が紡がれた。
虹色という不可解な色の魔眼は未だ発動されたままである。
その顔には歪んだ笑みが貼り付けられていた。

「さあ、もう一度だ。まだまだ“足りない”のだろう?」

線をなぞれば、それまで。
もしなぞることが可能なら、その箇所は断たれる。
一歩、二歩と次第にアリスとの距離を縮めていくアイリス。

トン、という音がした。
爪先で跳ねただけのような音でも吸血鬼の身体能力を以てすれば、数mの間合いでも一気に詰められるだろう。
再生しようとしている左腕の様子を気にすること無く、右腕を臨戦態勢にしておきながら、アリスへと迫る!

930アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 02:21:43 ID:mbXTFaJQ0
>>929
「そんな大切な物なら、持ち歩かなきゃいいのに」
両手を投げ出し、肩を竦めて溜息を吐く。
アイリスが宝剣を大事に思う心があるのが解ったが、
アリス自身には宝剣を大事に思う意味が解らない様子だ。

「ま、そんなに大切なら拾っておいてあげるわ」
クスッ。と意地の悪い笑みを見せると、視線をドラキュラ人形に向けた。
少女と人形。二つの間には約5m程の距離がある。
アイリスとも同じくらいの間合いがあり、既にそっちはスタートを切った。
取りに行く時間などある筈が無いと思うのが普通。そうでないのが悪夢の女王。
文字通り『腕を伸ばす』と5m先のドラキュラ人形の身体に突き刺さった剣を引き抜いた。
いくらアイリスが早くとも、真横にある剣を取って構えるくらいの時間はある筈。
アイリスにとっては不幸、少女にとっては幸か。
宝剣を大事に扱う必要が無い為に、盾に使う事もできる。

931アイリス:2012/05/22(火) 02:39:53 ID:do5XJmGE0
>>930
「大事な物こそ傍に置いておきたいという心理もあってね。
 僕はコチラに類されるだろう。」

アイリスの短剣そのものを盾にした。
既に離れた位置にあったものを『拾われる』などと考えていなかったアイリス。
それに、その短剣そのものがアイリスと短剣の繋がりの『強固』を施されていたのだ。
刺すにしても盾にするにしても、短剣とアイリスは『惹かれ合う』

――我が旧き契約に倣い顕現せよ。母なる大地よ、旧き暴虐の力を今ここに。

詠唱は続いていく。
既に詠唱は始まっていた!
だが、未だ形にはならない。触媒に出来る短剣は相手の手中の中にある。
ということはそれだけ詠唱の効果は薄くなり、魔術としては与えるダメージが下がる。更には術して成立するための速度が遅くなる!

短剣の性質を知るアイリスには未来が見えていた。
もし、構えられたのなら、そのまま刺されるだろう。短剣はアイリスの体に深く刺さる。
傷口から流れる血液がワイシャツを汚す。だが、アリスはアイリスの魔眼の効果を知らないはずだ。
アイリスしか知ることの無い、魔眼の力。他人に説明はできても納得はされない力。

「僕の大事な物を投げたんだ。だから……
 ―――-大人しく、貫かれてね」

既にアリスの傍まで近寄っていたアイリス。自然と右手はアリスの心の臓を狙って伸びるだろう。

932アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 03:07:16 ID:mbXTFaJQ0
>>931
5m程の距離があった箇所にあるドラキュラ人形を、何故真横にあったかの様な速度で引き抜くことが出来たのか。
その答えは始め、アイリスが視たかもしれないデータの中にあった。
※可変。ある程度の範囲の中なら変化の自由がきくと言うそれ。
少女の場合はある程度の範囲なら質量を無視しての形状変化が可能。と言う物。

と、同時にもう一つの事実が発覚する。
アイリスの魔眼の力によって、少女の『線』が浮かび上がる事だろう。
だが、その線は多数にして無数。切れる箇所しか存在しない線で埋め尽くされた姿で映る事だろう。

少女は無抵抗のままに斬られる事だろう。
だが、アイリスはここで初めて知る。少女は人では無い、『人の形をした何か』だ!

933アイリス:2012/05/22(火) 03:20:47 ID:do5XJmGE0
>>932
人の線を視る場合、間接部分など、断ちやすい部分から胴体など断ちにくい部分も含め、総数がある程度決まっている。
多少のズレはあっても、誤差の範囲と片付けられるものだ。そういった場合、その者の身体的特色も色濃く反映されていたりするときもある。
それでも、人に関しては『誤差の範囲』で済ませられる程度の差異だ。
だが、アリスはどうだ。
数多に存在する線。線で体が構成されているようにも視える。
可笑しい。この少女、可笑しい。

「……、君は、何なのかな?」

素直に言葉が出た。
右手は人間の心の臓の部分を容易く貫いた。容赦無く。手加減なく。真っ直ぐ。簡単に。的確に。
だが、人相手に感じる感触では無いのだ。それが触覚を通してアイリスに伝えていた。

―――恵みの大地の冷たさを知れ。彼の者よ冷たき彫像へと至れ。

詠唱は続く。だが術は成立しない。
そして、自らの愛剣を取り戻そうと、左腕をアリスに伸ばす。

934アリス・ザ・ナイトメア:2012/05/22(火) 03:33:56 ID:mbXTFaJQ0
>>933
「何だと思う?」
心臓の位置を貫かれても、別段命を落とす素振りは無い。
人間で稀に存在する右胸心という可能性も薄い。
アイリスの瞳に映る少女は身体に穴が開いていると感じさせない。ダメージが通ってなさすぎるからだ。
胸に受けた衝撃によろけ、剣を返上するまではあっても、完全な決着という訳ではなさそうだった。



「私はアリス。『赤の女王』よ」
穴の開いたドラキュラ人形を、文字通り「腕を伸ばして」捕まえると「私と同じね」等と言っていた。
ドラキュラ人形を掴むために、5m程伸ばされた右腕は役目を終えると縮んでいき、元通りになる。

「今日は……そうね、私の負けよ。中々に楽しいゲームだったわ」
やはり、それなりの痛みはあるのか、少女の形をした何かの、顔の様な物は不機嫌そう。
胸に手を当て、掌が真っ赤に染まると何処か嬉しげな顔に変え、箱庭を去って行った。

935アイリス:2012/05/22(火) 03:42:18 ID:do5XJmGE0
>>934
「僕はアイリス。アイリス・フォン・ルズィフィール」

明確な形での決着は見えなかった。
手に残る感触は確かなもの。人の形をしていても、致命傷とは成り得ない。
引き抜いた手、紅い血液。

「なるほど、可変か……違った、かな。
 ――知りたくなったよ、アリス。君のことを……。」

心の臓を穿つ手段は間違いでは無い。
ダメージを与えるという点では相違無いが、致命傷を与えるという手段には成り得なかった。
対策が必要である。

既に去ったアリスに聞こえては居ないだろう。
だが、アイリスの知りたいという衝動を呼び起こすには十分なものであった。

936 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 21:04:41 ID:7gFzKdaU0
街の大通り、そこで騒ぎが起こり、警察が駆けつけていた。
夜色の長髪に、星のように煌く光を宿す、黒い双眸。
和服に羽織と袴という格好は、いかにも時代錯誤といった様相を呈していた。

そんな男が、周囲の人間に掴みかかり、殴り、眼窩に指を差し込み目を抉り。
歯で相手の耳を食いちぎり、血反吐を吐きながら、暴れまわっているのだ。
警察に発砲され、皮膚を貫き血が噴きだすも、倒れる様子は一向に見られず。

「――――っは、ァッハハハッハハハハハハハハハッハハ!!
 なんだ、その程度か。何百年経とうと大して変わらんもんだな、人間も。
 俺様は最強なんだよ。羽虫程度につぶされると思うか――ッ、ぐ……ゥ」

近くの老婆の頭をコンクリートにたたきつけた所で、男の右肩をライフルが撃ちぬく。
血が吹き出し、ふらつくも。驚異的な精神力、怒りを以て身体を起こし。
男は生身だけで警官の群れに叫び声を上げながら突っ込んでいった。

「俺以外……ッ!!不快、不快不快不快不快ッ!
 消えろ、誰の許しを得てここに居る、俺に触れるな、話しかけるな、視界に入るな、同じ地に立つなッ!」

警官の首を素手で捻り上げながら、和服を朱に染めて。
男は警官達を次第に素手で制圧しつつ有る。
不思議な光景だ。こういう図をなし得るのは大抵能力者だというのに、何らかの能力を使う様子が見られないのだから。

また、警官隊では対処が難しいとして、付近の能力者に応援も依頼されていることだろう。
そうでなくとも、この騒ぎは大きいもので、すぐに気がついても可笑しくない。

937防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 21:11:26 ID:trmDr2BE0
>>936
「いったい何が起こってるんですか・・・」
【物音を聞いて制服を着た少女がその場に歩いてくる】

「うん・・・あの人を止めないといけなそうですね・・・
 ひとまず行きますか!!」
【そう言って鶫はその人間の元へ走り出す】

938 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 21:16:57 ID:7gFzKdaU0
>>937
「――――ッ、らぁッ!
 俺に、触れるな。目障りだ、耳障りだ、気色が悪いッ!!
 這いずりまわるな、蛆虫がッ!!」

足元の警官の頭を蹴り砕き、男は笑い声を上げながら、その身体を持ち上げ振り回し始めた。
武器のように死体を扱い、周囲の警官を死体で殴り飛ばす。
暫く振り回すと、適当な方向に投げ飛ばす、そんなでたらめな、暴力。
だが、常識の範疇にすぎない。異能など、欠片もないのだ。

「っは、ははっはははっははは!!
 羽虫、蛆虫共が。俺を止めるなんざおこがましいんだよォ!!
 せいぜい生まれてきたことを謝罪しながら俺のために死ぬってのが筋だろうがァ!!」

男は警官の頭を、パトカーの窓に叩きつけながら。
近寄る少女など知らぬ存ぜぬで騒ぎ立てている。

939防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 21:24:27 ID:trmDr2BE0
>>938
「さすがにそれ以上はやめなさい!」
【大声で和服の男性に向けて声をかける】

「と、いうだけで止めてくれるならいいんですがね!」
【念のためなのか風呂敷から武器を色々とり出し始めた】

940 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 21:29:57 ID:7gFzKdaU0
>>939
「――――雑音を…………ッ、垂れ流すなァッ!」

相手の声に、その内容ではなく、己に向けて声を掛けた、音を発したというその事実に思考が沸騰する。
窓ガラスを割砕き、原型を失った警官を叩きこみ、男は相手に向かって駆けていく。
その瞳には、敵意は無い、害意もない。ただ、不快感。それが大量に渦巻いていた。

「砕けろッ!」

右拳を振りかぶり、〝普通の人間としては〟最高域にとすら言える身体能力を発揮。
腹部へと向かい、型も何もなく、ただ破壊を叩き込もうとする。

941防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 21:33:49 ID:trmDr2BE0
>>940
「ヤバイかもです…っ!」
【鶫は慌てて力を制服のほうに送り込んでいく】
ドゴォっ!!
「っ!!ぁっ・・・!!」
【強烈な一撃を受け、鶫の体は勢いよく後方へと下がった】

「うぅっ・・・制服・・・強化してよかった・・・くっ」
【腹部を苦しげに押さえながら立ち上がる】

「仕方ないかもしれませんね・・・
 これ以上の放置は危険ですからね・・・!」
【そう言って鶫はおもちゃの鉄砲を構えて力をため、狙いを定め始めた】

942 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 21:40:37 ID:7gFzKdaU0
>>941
「丈夫な虫だ、さっさと潰れろッ!!」

吹き飛んでいく相手を追うように地面を蹴り飛ばし。
獣のように疾駆し、男は相手の顔面に向けて右拳を振るう。
動作は速いが隙だらけで、銃を打てばまず間違いなく命中することだろう。

だが、男の顔、瞳からは己の敗北など微塵も疑っている様子はない。
己の事を異常なまでに信じているからこその、自己中心的価値観。
己は最強だと俺が思っているから俺が負けることなどあり得ない。

だからこそ、男は本当に最強ならばこんなに苦戦する筈が無いことにも気が付かない。
ただ、がむしゃらに拳と脚を振り回すことしか出来ないのだ。

943防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 21:45:03 ID:trmDr2BE0
>>942
「十分に力を貯めてから行きますか・・・」
【そう言って鶫は鉄砲に力を貯め続ける】

「よし、これくらいで・・・
 いけぇ!!」
【そう言って鶫は引き金を引いた】
ドゴォン!!
【鉄砲の弾はまるでライフルのように男性へと飛んでいく】

944 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 21:50:04 ID:7gFzKdaU0
>>943
「――――ッ、ぐ……ッぁ……!」

男は、ライフルの弾を真正面から受け、吹き飛んでいく。
血反吐が後を追い、パトカーに背中を叩きつけられる。
背骨に罅が入り、右の肩甲骨が砕けた――――が、倒れない。

「目障りな、ゴミ屑が……ッ!
 俺は、最強――最強なんだよッ、テメェみたいな、毛虫、蛆虫、ゴミ虫にッ。
 倒されていい筈がねぇんだよ――――!」

ふらつきながら、男は歩く。
大きな傷を受け、何処か息苦しそうにしながら。
極僅かな異能の気配を漏らしながら、男はふらつきながら、相手に近づいていった。

945防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 21:55:55 ID:trmDr2BE0
>>944
「さすがにやり過ぎましたか・・・え?」
【驚いた顔で星の姿を見て言う】

「どんな理由があるのかは知りませんけどね・・・
 ですがそういうふうに力のない人間を殴り倒して最強を名乗るのは無理って話ですよ」
【そう言ってまだ鉄砲を構え続ける】

「強いものを打ち負かして初めて最強を名乗れるんですがねっ!」
【そう言って星の足めがけて撃つ】

946 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 21:59:38 ID:7gFzKdaU0
>>945
「ゴミ虫がいくら喚いても聞こえねぇなァッ!!
 だが、まあ――――少しだけ本気を見せてやる……」

ふらつきながら、右腕を横に伸ばし。
男は厳かな様子で口を開く。

「空哭き――――ぐぅァッ!?」

右腕に黒い気が収束していき――脚を撃ちぬかれ地面に叩きつけられた。
気は霧散し、男は激痛に地面をのたうち回る。
何を使用としていたのかも分からぬまま、決定的な隙をまたも晒していた。

947防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 22:03:54 ID:trmDr2BE0
>>946
「話しても聞かないのでは猛獣と一緒ですね。
 私が虫なら貴方は狂犬ですか!?」
【少し警戒しながら言う】

「とは言え、仕留めるのもアレですからね」
【そう言うとパチンコを取り出して】

「気絶ぐらいで済ませたほうがいいですね!」
【そう言って少し力を貯めた玉を発射した】
【みぞおちあたりに少し威力のある玉が向かっていく】

948 ◆NSEW/xeQlk:2012/05/27(日) 22:12:34 ID:7gFzKdaU0
>>947
「俺は――――神だァ!」

そう信じてやまない叫びとともに、男が立ち上がる。
黒い瘴気は、傷を受ければ受けるほど強くなっているようにも見えるが。
次第にその瘴気は薄まっていき、男の力も弱まっていく。

息苦しそうにしながらも、男は相手を睨みつけて。
一歩を踏み出したその瞬間に。

「……ぎ……ィ……ッ、糞……ッ。
 なぜだ、本当なら、お前らなんて指一本で数百人殺しても余裕以下なはずなのに……!
 ゴミ虫、に、俺がなど――――認めねぇ――――!」

パチンコ玉が、みぞおちにめり込み。
今度こそ男の意識が刈り取られるかと思うが、男は踏みとどまり。
血反吐を吐きながら、殺意、強すぎるそれを向けて、俯き。

「――――どういうことだ、糞……ッ。
 認めねぇ、認めねぇ、認めねぇ、認めねぇ、認めねぇ……。
 ふざけんな……嗚呼糞、息苦しいぞ……畜生ッ」

そう言うと、男は強く地面を蹴り、跳躍。
パトカーを飛び越えて、背を向けて走っていく。

「次会った時は、殺す。指先ひとつでな」

ばきり。何かの殻が壊れた音が続き。
男は、先程よりもむしろ速い速度で、走り去っていった。

949防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/05/27(日) 22:16:38 ID:trmDr2BE0
>>948
「神様は無闇矢鱈人殺しはしないですよ!」
【負けじと言い返す】

「予想以上のしぶとさですね・・・
 これ以上は無理…ですか?」
【再び鉄砲を構えるが・・・しばらくして驚く】

「…指先ひとつで出来るほどもろくはないつもりですけど…ね」
【素早く走り去る姿を見て言った、後】
「うっ…さすがにさっきのは…うぅうっ」
【お腹を抑えて再びうずくまった】

950名も無き異能都市住民:2012/05/30(水) 22:49:19 ID:SSMHlh/20

「おお、ありがとうございます……。」

『……公共善を成すことは人としての当然の事。
 あなたに少しばかりの安らぎが訪れんことを。』

慈善団体が貧しい人々に、食料や衣類の施しを与える光景は
都市の貧民街ではよく見られる光景だ。今日も例外ではなく、
どこかの組織が、路地裏でささやかな食料を配っているようで人々の列ができている。

951リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/30(水) 22:59:44 ID:7gFzKdaU0
>>950
「――――ふむぅ、感心感心。
 罪を負うと同時に、こうして徳の有る行動もすることが出来る。
 中庸であること。それこそが何よりもの人の美徳だな。食べるといい、そこな少年」

そんな呑気な声と同時に、子供たちにお菓子を配り始める影が路地裏に現れる。
子供たちには、お菓子のお姉さんとして知られているようで、顔を輝かせて子供たちはチョコレートを一粒ずつ受け取っていくことだろう。

チカチカと煌く電灯の下に、その張本人の姿が照らし出される。
言ってしまえば、白と黒で彩られた女、否、悪魔がそこに居た。
腰ほどまで有る白いポニーテール、白磁に輝く捻れた山羊の角、漂白された蝙蝠の羽、透き通る処女雪の肌、白銀の双眸。
細身かつ豊満な身体を覆うのは、その白とのコントラストの目立つ、仕立ての良いパンツスーツだった。
闇の中に有って、闇を切り裂くように輝き、しかし馴染む彼女は、夜の君臨者に数えられる種族であることは間違いなかった。

だが、当の本人はと言えば、笑顔で近くの子供に菓子を配っていたり。
いたずら小僧にデコピンをしたりしている。
そうしながらも、差し入れとばかりに、缶コーヒーの入ったコンビニの袋を以て組織の者達に近寄って行こうとするだろう。
警戒の様子など欠片も見られず、パッと見では危険性も欠片として見当たらないようにすら見えたはずだった。

952名も無き異能都市住民:2012/05/30(水) 23:10:56 ID:SSMHlh/20
>>951

食べ物を配っている面々は、
皆、一様に灰色のローブを身に纏っており顔はよく見えない。
しかし、リリシアに武術の心得があるなら巧妙に隠しはしている物の彼らが帯剣しており、
なおかつ、かなりの腕前の者たちである事を見抜けるはずだ。

「…………。」

どうやら、食料が尽きてしまったようで
ちょうどリリシアが近づこうとした時、集まった人々に頭を下げ
今日の配給は終わりと言う旨をつげ、組織の者たちはいずこかへと立ち去っていく。

もっとくれ、まだもらっていないなど不満を言う者もあったが、
集まった人々も、バラバラと散り始め路地裏に静けさが戻り始めた。

953リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/30(水) 23:17:46 ID:7gFzKdaU0
>>952
配り終わるのを待つように、足元に缶コーヒーを置いた。
そして、缶コーヒーをもう一度持ち、リリシアは淀みない足取りで近づいていく。
その銀色の瞳には、特段の動揺も警戒も浮かぶことはない。

「――――ふぅむ、どうやら堅気ではないようだったな。
 ……そして、缶コーヒーを渡しそびれたか」

眉間に皺を寄せつつ、彼らが立ち去った後の路地裏で壁に背を預けて、コーヒーを一つ手に取った。
当然のように武器の存在には気がついていたが、恐れる様子はなかったのには一つ理由がある。
少なくとも、あの手の組織であれば、襲ってくるのは人が居なくなってからだろうと思ったのだ。

コーヒーのプルタブを開き、甘めのコーヒーを口に含み、嚥下。
ため息を吐いて、髪を少しかき上げた。
警戒はないが、先ほどまでよりも自然体に鋭さと芯が宿りつつ有った。

954名も無き異能都市住民:2012/05/30(水) 23:29:33 ID:SSMHlh/20
>>953

それからしばらく後。
といっても5分そこそこの時間であったが――。

ふいに、リリシアへと投げかけられる殺気。

――ザリッ。

街灯のぼんやりとした、くすんだような光が
抜き放たれた白刃に反射し、ぬらりと光る。

「悪魔を斬り倒すは騎士のさだめ……。
 それを知り、あえて我らに近づくとは……。」

先ほどの集団とは違う、漆黒のローブ。
しかし、そのよどみない所作が。その、鋭い殺気が。
彼らが、先ほどと同じ者たちであると如実に語る。

何時の間にやら、リリシアを挟むようにして前後から現れるは。
うわさに聞く『人外狩り』の一団であった。

955リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/30(水) 23:41:57 ID:7gFzKdaU0
>>954
殺気、そして彼らが路地に入り込むのとほぼ同時に、缶は空になって。
それを両の腕で押し潰し、しっかりとコンビニの袋の中に放り込み。
二つの缶コーヒーを取り出して、人外狩りの一団の真正面に立ちふさがった。

彼らの言葉に、悪魔は敵意を見せることはない。
むしろ、ほほ笑みすらを浮かべて見せて、悪魔は缶コーヒーを手元で弄ぶ。

「やあ。何時の世も人は人ならざるものを排斥するようだな、まあ当然だが。
 怒りはしないし、理不尽とも言いはしないさ。貴様らにとっては私達の存在こそが理不尽だとも知っているからな」

夜の路地裏という闇を更に黒く染めていく光景に、可笑しみを感じてつい笑いがこぼれた。
だが、だからといって油断はありえない。
己らと異なる存在を排斥する感情は理解でき、それを理由に契約をした人間も居た。
それでも、やすやすと殺されてやって、良いはずが無いのである。

故に、悪魔は斬りかかる彼らに視線を流す。
くすまず、天界の其れのような静謐な白さを持つ双眸が、流れ。
その両腕が、残像を残して駆動する。

「――――コーヒーでも食らって休憩していろ!」

宙を駆け抜けるのは、190gのスチールの容器。
そう、彼らの先頭の顔面に向けて、プロ野球選手のストレート並の速度で中身入りの缶を投擲したのだ。
そうしながら、彼女は口を素早く動かす。

「天主に弓引く地の支配者、地の欠片と流れる水以てまやかしを産め」

缶に亀裂が入っていき、彼らの目の前でコーヒー味の濃霧が拡散。
路地裏をコーヒーの臭いと味で覆い尽くし、コーヒー色の霧に視界が阻害されることだろう。

956名も無き異能都市住民:2012/05/31(木) 00:00:53 ID:SSMHlh/20
>>955

「……窮したか、悪魔よ。
 恐れのあまり、小手先の術に逃げるか。」

濃い茶色の霧。

本来ならば、敵が居るというのに視界の利かない
霧の中へ突っ込むのは、相当な勇気が要る。しかし敵は臆さず突入したばかりか
まるで視界がちゃんと利くかのように、破裂した缶の破片を頭を動かして軽くよけたではないか。

「――死ね。」

前方の一団より、一足早く斬りかかるは
リリシアの退路を塞ぐように、背後に展開していた二人の敵。
背後の敵は3人居るようだが、一人は突撃せず後方で待機しているようだ。

957リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/31(木) 00:11:13 ID:7gFzKdaU0
>>956
茶色の霧の中で、目が効くのはこのリリシアも変わらない。
射撃手たるリリシアの目は、霧程度で曇ることはない。
故に、霧を気にせず迫る相手を見て、感心したように口笛を吹いて、軽く革靴の先を鳴らす。

「ああ、やはりか。まあ、予想はしていたがね。
 よ――っ、ほっ」

背後から迫る騎士に向き直って、一歩、二歩、下がる。
スレスレで鼻先をかすめる刃に、一瞬顔を引き攣らせながら。

「――ところで、質問なんだが、貴様らはもし天使がこの世に居たとして。
 それらも人の敵として斬りつけるのかい?」

無手のまま、だが相手の武器に細心の注意を払って。
悪魔は疑問を問いかける。人ではないというのなら、神も悪魔も天使も変わりはしない。
天界より任を受ける悪魔だからこそ、どうなのだろうと気になったのだ。

(どうせ、タチの悪い武装なのだろうな。
 まともに受ければ、いくら私でも傷は深い。全くもって困ったものだ。
 天使と罪人を裁くためのものだから、アゼザルは抜けない。リリシスしか使用できないか。
 ……さて、どうしたものか)

魔力を周囲に巡らせ、己の傍らに朧げな霊体を従える。
霊体の鼻は鋭く、背後の存在の行動を逐一悪魔に報告する。
少なくとも、目に見える隙は、今のところこの悪魔には存在しなかった。

958名も無き異能都市住民:2012/05/31(木) 00:30:37 ID:SSMHlh/20
>>957

「我らは信仰を持たぬ。あるのは、ただ人外廃滅の悲願のみ。
 天使だろうと、何であろうと人間以外の全てに我らは刃の一撃を授けるだろう。
 ――このようにだッ!」

――ザリッ、ヒュパッ!!

後方の一団の斬撃をかわせば、今度はリリシアの背中。
先ほど前方に展開していた一団、3名の刃が繰り出される。

横薙ぎ。突き。ほぼ同時。少し遅れて、突っ込むもう一人。
タイミングをずらした突撃により、一の太刀、ニの太刀を回避したとしても
体勢を整える間もなく次から次へと敵の攻撃が飛んでくる見事な連携技は、
このまま回避し続けられる物ではない。

そして、さらに性質が悪いことにリリシアの読みどおり、
敵の得物には魔力が篭められている事が分かるはずだ。

恐らくは、人外に対する呪いの類が篭められているのだろう。

959リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/31(木) 00:40:52 ID:7gFzKdaU0
>>958
「……凍結と絶望の回廊[エターナル・ジェイル]」

悪魔は、相手が接近する直前に、左手に魔銃を生み出した。
白一色のリボルバータイプの銃だが、銃身の部分はブレードになっており、無数の魔術的文様が刻まれている。
それのトリガーを引き、悪魔は魔術を発動。
悪魔を覆うように氷と闇の牢獄が展開され、外部からの干渉を防ぎ、内部からの干渉も不可能な状態とする。

言わば、時間稼ぎ。
数十秒程度だが、中と外の境目の時を凍らせ、空間を歪ませた壁が生まれる。
その間に、リリシアは銃を構えて、詠唱を口にしていく。

「天より低く、地よりなお深く、地に満ちる血の奥底に眠る闇の主よ
 我が血を贄にその身、その意思の一端をここに借り受けたい
 我が声が聞こえるのであれば――――そこが闇の主、貴殿の居場所である」

リリシアは、詠唱と同時にブレードの先端を地面に突き刺した。
結界が解けるまでは、あと十秒と少し。
リリシアは瞑目し、術の構成を組み上げていた。

960名も無き異能都市住民:2012/05/31(木) 00:55:03 ID:SSMHlh/20
>>959

「ちィッ……!」

牢獄によってリリシアを討ち漏らした敵は、
今後来るであろう反撃に対応するためかステップバックし、少し距離をとった。

「強引に切り伏せたほうが良いのではないか。」
「待て、魔術は何を引き起こすやら分からぬ。用心せよ。」

集団側もリリシアを取り囲んだ状態のまま、
およそ二人一組となり、なんらかの呪詛を唱え始める……。

961リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/31(木) 01:03:31 ID:7gFzKdaU0
>>960
牢獄の向こう側で、リリシアは笑む。
確実な危機、ピンチだからこそ、不敵であれ。焦っては実力など発揮できない。
故に――ただ油断せず、ただ引き金に指を掛けた。

牢獄に罅が入っていき、無数の破片が飛び散り、解除されると同時。
引き金を引き、術を発動させた。

「さあ、今こそ開け――――執念深き竜王の顎[エターナル・ゲート]よッ!」

途端、大地が引き裂け、鋭い牙の様な物が地面から次々と生えていき、騎士を貫こうとするだろう。
それらは、高熱の溶岩で構成された竜の牙。
頭部の顕現まで達する程万全の状態ではない為、牙のみを召喚し、大地から突き出させたのだ。

灼熱の牙は触れれば肉を灼き、掠れば皮膚を抉り骨を砕く。
リリシアを中心に、竜の牙が数秒間に数十本、範囲を広げて展開されていくだろう。
同時に、リリシアは銃を構え、双眸を細めて集中の体勢を取っていきながら、数発の白と黒の螺旋の魔弾を牙の隙間を縫うように騎士に向けて撃ち放つ。

962名も無き異能都市住民:2012/05/31(木) 01:25:26 ID:SSMHlh/20
>>961

「これは!」

「恐れるな、所詮は一介の呪術に過ぎぬ。
 精神の平衡を崩してはならん。」

リリシアの召喚した『牙』は見た目にも、その威容は十分。
集団の中から、比較的若い声で悲鳴に近い驚きが上がったが
それを、別の声が制止した。

「我々とて、ただ座して貴様の式の発動を待っていたわけではないのだ!」

――対抗呪文!

敵は、リリシアの魔術の効果を薄めるべく、魔術に対する対抗呪文を紡いできた。
さすがにどういった魔術を発動するのか分からなかったこともあり、完全にかき消すまでは至らないが、
それでも、効果範囲と勢いが目に見えて弱体化している事が分かるはずだ。

敵は、さらに距離をとることによってそれらを完全に回避する。

しかし、これではもはや地から展開された牙と、
純粋な距離の問題で一息で剣が届く間合いに踏み込むことはできない。
完全に、リリシアの『銃』の独壇場の間合い。

「ぐッ……!」

――ギィンッ!!

敵の周囲には、どうやら見えない防御壁が展開されているらしく、
銃弾自体は防がれてしまったが、もしそれらが無ければ直撃していたはず。

963リリシア=エンティオテュユフル ◆NSEW/xeQlk:2012/05/31(木) 19:50:48 ID:7gFzKdaU0
>>962
「――――これだから、人間は好きでたまらんッ!
 その努力、その執念。それこそが天の持たぬもの、我らが地へと降りた理由。
 その必死さ、その強さ、賞賛しよう!」

己の必殺の術が軽減され、しかし代償は変わらず払い、身体から血を散らしながら、悪魔は笑う。
余裕さこそ少ないものの、未だ笑顔を崩さない当たり悪魔は気丈な部類だろう。
今の間も腹部を貫き手を差し込み内臓をかき回す様な激痛が彼女を襲っているのだから。

息を吸い、吐く。
その目には、強い魔力の光が有り、淫靡な色を唇は帯びていた。

銃を握る手に力を篭めて、悪魔は銃を前へとかざす。
そして、息を吸い。悪魔は引き金に掛けた指を引き絞った。
先程の様に詠唱をするかと思えば、そうではない。

 エターナル ・ アームス
「灼熱と冷徹の粉砕!」

低位、使い慣れた物については彼女は無詠唱で撃つ事を可能としている。
蒼と紅の魔弾が駆け抜け、彼らの術式に向けて食らいつこうとすることだろう。
二発、三発と発砲し、前方の騎士たちに牙を縫うようにして魔弾が襲いかかっていく。
防御、防具を砕くための破壊の魔弾であるその術式は、当たれば術を凍結させながら、火焔の膨張を以て術式を粉砕しようとしてくるだろう。

排莢、カートリッジを生成し、装填し元の形に魔銃を戻す。

964イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/02(土) 21:00:10 ID:IrsgDsYs0
 ○月×日△曜日午後9:30

 中央公園の上空に突如飛来した、変わった形の輸送機(V22ーオスプレイ)。
 護衛の戦闘機を何機か引き連れたそれが、プロペラを上に向けるとそのままヘリコプターのように着陸する。

 砂埃が舞う中、開いたリアハッチから降りてきたのは。

 「誰か、儂の教官を止めてくれる物は居りませんか。」

 白い帽子、白い長髪、白い手袋、白い眼帯、白い軍服、白い翼の若い軍人。
 年寄り言葉を話す青年が、航空機の騒音に負けないよう声を張り上げる。

 「儂一人では…教官の狂気を、止めることは叶わんのじゃ。
 どうか…どうか、力を貸してくだされ…」

 輸送機の中には、堅いイスが4つ、うち3つには気休め程度のクッションが敷いてある。

965ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/02(土) 21:39:26 ID:Wsdmz3GM0
>>964
「…。」

路地裏で右手に一人の…いや、一つの死体を捨ててそこに向かう。

「…。」

今の姿の年齢は40代中間辺り。
いつも通りのコートと帽子を被っているが、体からは死臭漂う。

「…。」

そしてその場に辿りつく。

966シロード・スィヴエア:2012/06/02(土) 21:43:25 ID:1sJsd2CgO
>>964

奇妙な形の飛行機が公園へ高度を下げる。
そんな光景にホイホイされてやってきましたシロード君。

「ぐぅおおおおおっ!? うるせぇええええっ!!!」
耳栓の如く指を突っ込み、塞ぎうがーと叫ぶ。
それでも骨伝導で聞こえてしまう、そんな聴力。

「あぁ!? 止めるゥ?
 誰を!? つーか、どんな状況なんよ、それぇえ!」
うっさい、騒ぐな。

967四足の機械:2012/06/02(土) 21:48:04 ID:mbXTFaJQ0
>>964
偶然。通りかかっただけだった。
中央公園に降り立った機械。
楕円形の本体に、柱と身がまう程の巨大な脚が四つ。
器用にも歩行をして、青年の元へ向かってくる。

「まぁ、暇つぶし程度にはなるだろ」
その中から声が聞こえた。独り言の様だが。
スピーカの音量を上げたのか、こんどははっきりと聞こえる声で。
「貴様、状況の説明をしろ」
と、エラそうな口ぶり。

968イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/02(土) 21:51:53 ID:IrsgDsYs0
>>965,>>966,>>977

 「儂が世話になった教官が狂気に飲まれておってな…
 何とかして目を覚まさせてやりたいのじゃが儂一人では歯が立たん!
 どうか…、教官を拘束するのを手伝ってくれ!」

 帽子を脱ぎ、三人に頭を下げた。

969ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/02(土) 21:58:54 ID:Wsdmz3GM0
>>968
「…、それが人を殺す結果になり、人間をこれ以上悪くさせるようならば」

まったく感情が籠らず、あるとすれば憎悪のみの声で言い放つ。

「手を貸そう」

970シロード・スィヴエア:2012/06/02(土) 22:03:49 ID:1sJsd2CgO
>>968

「狂気山脈への目が覚めるようなフライトへ是が非でもご招待?
 イマイチ、イメージしずらいなぁ……」
耳を塞いだまま、そんな事をのたまう。

「……でも、んー、一度乗ってみたかったからな。
 手伝うよ、一人じゃあんまりだろうし」
鷹野の横を通り過ぎ、勝手に輸送機へと乗り込む。

971四足の機械:2012/06/02(土) 22:06:47 ID:mbXTFaJQ0
>>968
「……良いだろう。
 この僕が手伝ってやる。有難く思え」
フハハッ。と高笑いを響かせつつ、輸送機に乗り込もうとする。
サイズ自体はそう大きくなく、縦は2mも無い。輸送機のスペースを気にする必要はなさそうだ。

972イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/02(土) 22:25:45 ID:IrsgDsYs0
>>969,>>970,>>971

 「恩に着ます。い」

 <佐藤少将より通信です>

 会話をぶった斬る、無機質な人工音声。

 「五十嵐、これが最後だ。
 ………軍の指揮下に戻れ、さもなくば」

 「きょ…少将、侵略戦争に儂は手を貸すことはできんよ。わ」

 「祖国のために、だ。
 先の戦争のような活躍を、見せてくれないか。」

 輸送機のハッチが閉まり、ゆっくりと離陸を開始する。

 「自営戦争とは訳が違うじゃろう。
 我が祖国にどんな利益があるとも、他の人々の祖国を踏みにじって良い道理は無い!」

 「祖国のために戦う気はないのか、五十嵐!」

 「武士道を忘れたか、少将!」


 侃々諤々。

 機内に二人の怒号がこだまする。

973ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/02(土) 22:29:33 ID:EPv3XWbk0
>>972
「…、祖国の為か、立派な軍人精神な事だ」

そんな口論に挟んでくる男の声。

「それで?、侵略した後の国はどうする?
男は虐殺か?、女子供はレイプでもするか?
ただたんにやりたいだけか?、クズだな。
お前はただの犯罪者のなんら変わりない、ククッ」

最後に感情は籠っていないが苛立ちを感じさせる嘲笑いを入れる。

974四足の機械:2012/06/02(土) 22:36:27 ID:mbXTFaJQ0
>>972
「フン、国を繁栄させることは思った以上に生々しい」
悪態に近い呟きを漏らす。
皮肉でも無く、本心。事実体験して感じた事だ。
それを再び目の前で突き付けられれば、そう言う態度も出てしまうだろう。

975シロード・スィヴエア:2012/06/02(土) 22:41:22 ID:1sJsd2CgO
>>972

「……ま、言い合いできるうちはマシか」
いつの間にか耳当てをしている。
周囲を見渡して、四脚の機械にギョッとした。
なんというか、圧迫感がダンチである。

976イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/02(土) 22:53:09 ID:IrsgDsYs0
>>973
 [ふはは、列強は力で以て弱国を植民地としてきた。
 世界の潮流だ。我が国だけがそれを行ってはいけないとでも?]

 >>974

 [そうだ、よく解っているじゃあないか。祖国のいやさかの為ならば、手段は選ばない。]

 [五十嵐、最後に聞こう。
 軍 に 戻 ら な い の か ?]

 「儂は戻らんよ、教官。」

 ぶつっ。

 <通信、途絶しました。>

 「状況は解ったじゃろう。
 …昔は気高い軍人じゃったが…儂が軍を脱けてから、何があったんじゃろうか…」

>>975

 「もう話は終わっておるよ。
 教官の狂気は、理解できたかのう?」

 水平線上に、巨大な戦艦が浮かび上がってきた。

977ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/02(土) 22:57:12 ID:EPv3XWbk0
>>976
「…、狂気に呑まれ過ぎたな、お前は」

そう言うと、コートのポケットから紙袋を取り出し開ける。
中には一つの角砂糖があり、それを取ると紙袋を捨てて口の中に放り込む。

「ガリッ、ガリッ、ペロ、ガリッ」

そして食べ終わると出てきた巨大な戦艦を見るが、全然興味をあらわしていない。

「狂気に呑まれ過ぎた人間は自分を滅ぼす。
そして滅ぼす者は俺達か」

978四足の機械:2012/06/02(土) 23:03:12 ID:mbXTFaJQ0
>>975
「なんだ、貴様」
巨大な脚が節足動物を彷彿とさせる動きで回転する。
機体の正面に当たる部分を向けたらしく、下部のカメラが光を反射してキラリとレンズを輝かせた。
縦は2m無いとは言ったが、幅と奥行きは其れなりにはあるし、何より鋼鉄。威圧感を持っているだろう。
銀をベースにオレンジが塗られ、細部には赤がポイントされた独特なカラーリングから察すれば、購入可能な物ではなさそうだ。

>>976
奴の言葉が理解できない。尤も、する予定もないが。

通信が途絶えるまでを、無言で過ごしていたが、
機械は唐突に五十嵐に向かい問を投げかけた。
「何故、軍を抜けた?」

979シロード・スィヴエア:2012/06/02(土) 23:12:30 ID:1sJsd2CgO
>>976

「ああ凡人な俺でも、あんたが至極気に入られてる事は理解できた。
 ……どっちの意見も志が高過ぎて理解に苦しむけどな……」
視線を外に移す。
見えてきた戦艦に、意識を集中させる。

>>978
カメラを通して見られている。
その喜びを抑えるために。

「デカいっていーなーって思ったダケデスヨ」
口調が物凄く適当である。
温暖なカラーリングの冷徹な兵器をちら見して。
羨ましいとか考える。

980イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/02(土) 23:23:42 ID:IrsgDsYs0
>>977

 「そうじゃ。他の国々に類が及ばぬうちに、儂等が止めねばならん。」

>>978

 「先の戦争の後、民衆の支持を得た軍は巨大化と腐敗の一途を辿った。
 度重なる権力争い。
 儂はそれに嫌気が差し、軍を抜けたのじゃ。
 教官は地位こそ少将じゃが、実質の権力は5本の指に入るじゃろう。」

>>979

 「生まれながらに、翼を持った軍人であり、先の戦争で華々しい戦果をあげておる。
 客寄せパンダにはお誂え向きじゃ。」

 そう自嘲した。


 翼端のプロペラが上を向き、甲板に着陸しようとする。
 ハッチが開き、ジャンプで飛び降りられる高度になったとき。
 白い帽子、黒い短髪、白い軍服の軍人が一人。
 両手にサーベルを持って、輸送機諸とも斬りかかってきた。

981四足の機械:2012/06/02(土) 23:29:31 ID:mbXTFaJQ0
>>979
「フッ……ハハハハ!!」
シロードの返答を効くなり高笑いを上げる。
甲高いはシロードの耳にはよく通る事だろう。

「そうだ、そうだろう!?
 巨大かつ重厚かつ堅牢感! この無機質なデザイン!」
そう言えばコイツには手があった事を想いだした中の人。
巨大な、鋏のようなアームを開き、シロードの顔目前まで向ける。

>>980
「内乱、か……」
フン。と鼻を鳴らす。
至極愚か全てが間違いとでも言いたげな風だ。

「やはり、人はより良く導かれねばならん」
その言葉と同時に、ハッチが上がる。
先導を切って白い軍人を迎え撃つ。
右手のアームで胴体を掴みにかかる。それに成功すれば甲板に叩きつけるだろう。

982ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/02(土) 23:33:44 ID:EPv3XWbk0
>>980
「…」

無言で返す。

>>981>>979
先程からいる二人にはまったく興味を示さない
それどころか見向きもしない。

983シロード・スィヴエア:2012/06/02(土) 23:44:57 ID:1sJsd2CgO
>>980

「つまり――客引き商売にご執心、ってわけだな」
派手に切りかかるサーベル。
分かっていたかのように反応は機敏。
素早く滑るように飛び降りる。

>>981

「素晴らしいよ、その巨体! 是非とも俺らの盾になってくれ!」
――ヒャハハハハハハ!
甲板へと滑り落ちながら笑う。

984イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/02(土) 23:49:29 ID:IrsgDsYs0
>>981

 その軍人は事も無げにアームを避けると、今度は距離をとり、懐から何かを取り出した。

>>982

 取り出したのは、二つの手榴弾。
 数秒待った後、輸送機に向かって投げつけた。

>>983
 今はノーマークであり、軍人もそちらを見ていない。



 鷹野は大太刀を抜くと、天井を破って外へ出た。

985ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/02(土) 23:53:35 ID:EPv3XWbk0
>>984
「…」

コートを脱ぎ、輸送機から飛び出し、コートをパラシュートに変化させてゆく。

「…」

格好の的だが、ある程度近付くとまたコートに戻す。
そして今度はペンを取り出し、それをナイフに変化させて投げる。
水に叩きつけられる前にベルトを取り、輸送機の梯子部分にひっかけ、衝撃を緩和させる。

986四足の機械:2012/06/03(日) 00:06:09 ID:mbXTFaJQ0
>>983>>984
「フッ……この機体に付いてこられればそれも許してやろう!」
四足の底部に設置された大型ブースターが火を噴き浮力を生む。
脚の角度はめまぐるしく切り替わっていく。それで進路方向を指定しているらしい。

一撃目を抜けられた。
空中で素早く方向転換し、ターゲットを捕らえておく。
柱の様な。五本目の脚にも見える左手を向ける。
ガコンッ。
柱で言えば上程部。白い軍服へと向けた円形の部分が中央から開き、銃口を露出させる。
「落ちろ! 蚊トンボッ!!」
発光。
緑色の光の帯――所謂レーザー――を発射。軍服を貫きにかかる。

987シロード・スィヴエア:2012/06/03(日) 00:08:28 ID:1sJsd2CgO
>>984

「……」
足を潰す気だ。
そう考えた。

突如としてシロードの足元に現れる――漆黒のバリスタ。
ギリギリと音を立てる弦もまた黒く、納められる矢もまた闇色。
軌道の軸に対象が収まる、鋭角四十五度固定。
そうして、一条の闇色が放たれる。
速度は速くない、決して。

988イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/03(日) 00:28:20 ID:IrsgDsYs0
>>985

 左手のサーベル一閃。
 ナイフはどこかに弾き飛ばされた。

 手榴弾が爆発。
 輸送機が一瞬にして火球と化す。

>>986

 軍人には空中の敵を追いかけることができず、ただ見ているだけである。

 銃口を見、サーベルを構えるが緑のレーザーはサーベル諸とも軍人の腹部を貫く。

 「ぐっ…ああ、畜生。」

 両手からサーベルが離れ、そのまま宙を舞う。

>>987

 空中の軍人を過たず貫く、闇色の矢。
 足が完全にいかれたようだ。


 ばさりと降りてきた鷹野は、右胸の縄を解くと教官の両腕を後ろ手に縛った。

 「教官、あの頃に還りましょう。」

 そして皆の方を向き、礼を言おうとしたその時。

 ごんごんと音をあげて、巨大な主砲が動き出した。
 巨大な砲口が、その場にいる全員をねらう。

【主目標変更:自律巨大戦艦の撃沈】

989四足の機械:2012/06/03(日) 00:41:52 ID:mbXTFaJQ0
>>988
「フン……温いな」
蓋を閉じ、腕を降ろす。
機械音が耳に入り、振り返れば矛先を向ける主砲。

「チッ……いったいどういう事だ。
 アイツもろとも僕を吹き飛ばすつもりか!?」
鷹野の手にある軍服の男を指したまま、主砲を眺めている。
あの男の意思か、その程度でしかなかったか。

「クソッ、飛べ!!」
再び左腕の砲を向けて光線を発射。
主砲には遠く及ばないが威力はそれなりの筈だ。

990ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/03(日) 00:51:54 ID:EPv3XWbk0
>>988
「…」

ベルトを手放し、戦艦の上に乗る。

「…」

そしてベルトを槍に変化させる。

991シロード・スィヴエア:2012/06/03(日) 00:55:02 ID:1sJsd2CgO
>>988

(うん……? 意外とあっさり)
たしか、一人では止める事の叶わない相手だとか。
その言葉と現状が、どこか合致しない。

「……クッ」
砲塔が口を向けてきた。
違和感を精査するヒマは無い。
バリスタは矢諸共、いつの間にか消失し、代わりにシロードの手には幅広の西洋剣が握られていた。
やはり黒い、だが片側のみ黒ではない紋様が刻まれている。

 ハウリング
《多重共鳴斬》

横に薙ぐ大振りのスイングは空を斬り……
耳障りな共鳴音を発する。
一閃から生じた斬撃が空を震わせ増幅しながら、指向性をもち拡散し前進――扇状に広がり進行する。
甲板に傷をつけながら、斬撃ではなく、もはや圧力となり砲塔へと襲い掛かる。

992イベント【Vaterlandsliebe】:2012/06/03(日) 01:13:39 ID:IrsgDsYs0
>>989

 レーザーは砲塔の装甲を少し溶かしたが、穴が空くまでには至らなかった。

>>990

 大口径砲弾の破壊に耐えるべく作られた堅牢強固な装甲。
 果たして、槍で破ることができるのだろうか。

>>988

 斬撃と圧力が砲身を襲い、目には見えないくらいに砲身は変形した。


 射出される砲弾。
 しかしそれは、砲身の中で自爆。
 あと数分で、弾薬庫に火が回るだろう。

 「影武者じゃ!」

 驚いて声を張り上げたのは鷹野。

 「なんたることじゃ…教官は、ここには来ていなかったのか…」

 あまりの悔しさに嗚咽を漏らす。

 もう一機の輸送機が、吊り梯子を下ろして近付いてきていた。

【主目標達成】
ご参加ありがとうございました。

993シロード・スィヴエア:2012/06/03(日) 01:24:09 ID:1sJsd2CgO
>>992

「影武者だと?」
偽物。
戦艦一つを使ってまで、ただのフェイク。
理解出来ない。

「……なんかモヤモヤするが、モタモタしてっとヤバげだな」
梯子をひっつかみ、輸送機へと登っていく。
その手にはもう何も無い。

994四足の機械:2012/06/03(日) 01:25:23 ID:mbXTFaJQ0
>>992
「……成程な」
青年の元へと身を翻し近寄っていく。
そう言う事ならば、主砲を躊躇なく向けて居た事にも納得がいく。
少々気にかかる点も多いが……どうでもいいで切り捨てることが出来る範囲だ。

995ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/03(日) 01:30:09 ID:EPv3XWbk0
>>992
「…本体は違う場所か。
してやられたな」

槍を元に戻す

996イベント【Vaterlandslieve】:2012/06/03(日) 01:36:04 ID:IrsgDsYs0
>>993
 「しかし、影武者にしても弱すぎる…」ぶつぶつ。

 10万tの巨大戦艦も、使い捨てるにはあまりにも高価だ。
 理由も目的も、さっぱりつかめない。

>>994,>>995

 「早く、輸送機に。
 この規模の戦艦の爆発は想像を絶する。」

 影武者を小脇に抱え、輸送機のハッチに飛んで入った。
 この影武者から、どれほどの情報が引き出せるのだろうか。

997四足の機械:2012/06/03(日) 01:46:39 ID:mbXTFaJQ0
>>996
「ここからなら……」
ぶつぶつと何かを呟いている。
言葉の限りだと何処かとの距離が関係するらしい。

「良い暇つぶしにはなった。それではな」
そう告げると再び脚が府を噴き浮き上がる。
そのまま都市とは逆の方向へ飛び去って行ってしまった……。

//ちょっと早い気ど離脱! お疲れ様でした!

998ライン・オード・トランギス ◆5s2/gBPZGA:2012/06/03(日) 01:46:48 ID:EPv3XWbk0
>>996
「面倒だ、この場で尋問できないか?」

999イベント【Vaterlandsliebe】:2012/06/03(日) 02:01:44 ID:IrsgDsYs0
>>997
 「ああ、助かった。この恩はいつか返すぞぉ。」
//お疲れさまでした。

>>998

 「ふむ…、それじゃあ、やってみるかのう。」

ーーー(尋問中)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●本物の教官は、既に死んでいる。
●権力争いの中に国外からの勢力が紛れ込んでいる。
●一部地域では他国の武力侵攻を受けている。

    以上。

 「………………」

 どう反応すべきかわからない。
 もしかすると、先の戦争もわざと負けたのではないか、との疑念も浮かぶ。

1000名も無き異能都市住民:2012/06/03(日) 22:14:20 ID:SSMHlh/20
>>963

弾丸に反応し、展開した『障壁』。
しかし、弾丸に込められた魔力が冷気となって発現し
その術式を凍てつかせた。

そこへ襲い掛かる炎は辛うじて稼動していたソレを
完全に焼却し、破壊した。しばらくはあの厄介な障壁の姿を見る事もないはずだ。

「対抗呪文には、対抗呪文をというわけか……!」
「しかし、既に勝機はこちらにあるぞ!悪魔め!」

水蒸気による猛烈な白煙があたりに立ちこめ、視界が悪化する。
その中で、敵のものとおもわれる若い男の声が響いた!

――ひゅんっ!

リリシアが居た方向に投げ込まれる、『銀の十字架』。
篭められた術式により、それが爆破されまるで手榴弾のように四方に破片を飛ばした。
祝福された銀による攻撃は、通常の悪魔のような邪悪な者には大きなダメージを与えるはずだが……。

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■