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【日常β】私を異能都市に連れてって【壱拾弐】- 1 :名も無き異能都市住民:2011/03/21(月) 23:45:12 ID:LIzoKx..0
- ≪ルールとか≫
・基本age進行で
・コテもコテ無しもどんどん来い
・レスの最初に自分のいる場所を明記してくれるとやりやすいです
・イベントを起こしたい場合は空いているイベントスレをお使い下さい
・多人数へのレスは可能な限り纏めて行うようにしましょう
・無意味な連投・一行投稿はできるだけ控えるよう心がけてください
・戦闘可能ですが、長引く場合や大規模戦闘に発展した場合はイベントスレへ移動してください
・戦闘が起きた場合、戦闘に参加したくない人を無理に巻き込むことはやめましょう
・次スレは>>950を踏んだ人にお願いします
【日常β】真異能都市―世界最後の日【壱拾壱】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1288673565/
- 2 :鳶貴:2011/03/31(木) 23:14:01 ID:Yly1ZzBM0
- //>>1乙
前>>1000
路地に続く壁からひょっこりと出た少女の頭。
歩いてる最中にいきなりそんな光景が飛び込んできたのだ。
男はその場で足を止め、不思議な光景を首を傾げながら観察する。
「………さて、気配が違うがあのガキ…か?」
例の放送局をジャックした事件の犯人。それもまた子供だった。
しかしあんな背格好だっただろうか?服のセンスもまた違うように思えるが…。
とりあえず、辺りを見回し居酒屋の一軒でもないかと探しながら後に続いていく。
- 3 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/03/31(木) 23:24:35 ID:cskw3E.60
- //>>1乙でした!
>>2
少女は紫色の長い髪に白いリボンを結び終えると一度首を振って髪を揺らした。
一見、ただの小学生くらいの少女にしか見えないのだが、驚くべきはその少女から感じ取れる力。
もし、魔力を感じ取れる類の力が鳶貴にあうとすれば、少女に異質だが強大な魔力が備わっている事が解るだろう。
- 4 :鳶貴:2011/03/31(木) 23:41:57 ID:Yly1ZzBM0
- >>3
ふと周りを見渡し警戒する。
この付近に異能なる力持つ者が現れたのを感じ取ったのだ。
目を閉じ一度思考をリセットする。
神経を集中させ、常に微力な魔力を放つようにして男は辺りを探り始める。
程なくして力の元となる気配を見つけた。
だがその大きく異質を放つよう感じられる何かは、
その気配に違わず目の先で歩いている少女から流れている。
「………普通じゃない。」
呟いた言葉の通り、ひしひしと伝わってくるような悪寒にも似た雰囲気。
明らかに街中で見かける同じ年の子供とはかけ離れた存在。
そんな事を頭のうちで考えながら、悟られぬよう距離を詰める。
- 5 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/03/31(木) 23:53:25 ID:cskw3E.60
- >>4
自分を後を付ける鳶貴に気付いているかどうか、
少女の雰囲気からはまだそう言う素振りは無いが、この都市の人間事情からまだ安心できると決まった訳ではない。
この都市は全体でみれば治安が良いとは決して言いきれず、様々な物も居る。
擦れ違う人間や、鳶貴の追う少女が凶悪な殺人犯であったり人間ですらなかったりもする可能性もあるのだ。
ふと、少女が一つの店に駆け寄って行った。
そこで手に取ったのは真っ赤なリンゴ。
代金を支払い、その大きなリンゴを一口齧ると再び歩み出す。
- 6 :鳶貴:2011/04/01(金) 00:11:08 ID:Yly1ZzBM0
- >>5
歩みを徐々に早くして行くうちに、ふと重要な事に気が付いて足を止める。
興味本位でひらひらの服を来た少女を追跡してはいるものの
特にその後の対処や扱いを決めてはおらずにいたのだ。
「……リンゴか。そういえば…食事しようとしてた筈なのだが…。」
問題を起こしている訳でもないから手を出すのもどうだろうか
実力は未知数であるが組織に引き抜くことも考えた、だがどうにも子供の相手は気が引ける。
もしかしたら魔力だって勘違いかもしれない。
だがすぐにその考えは打ち消された。間違いなく少女のものであると確信できるからだ。
「我々を脅かすかもしれない不安因子である事に変わりは無い…。」
そう自分の中で納得するよう促すと、追跡を再開する。
…一見すればただのストーカーである。
- 7 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 00:30:36 ID:cskw3E.60
- >>6
暫くの間、リンゴを両手で持って歩き、稀にその真紅の少し歪な球体を口に運ぶ。
それ以外に少女のアクションはなかった。
しかし突然足を止め、脇にある小さくて、寂れた路地の入り口に目を向ける。
少々立ち止まると、そっちにむかって歩いて行った。
路地は建物の合間という構造に加えて夜の時間と言う事も相まって相当に暗い。
その暗く、細い道を暫く抜ければ月の光がよく入った、明るく広まった場所につくだろう。
そのちょっとした広場の中央に、齧ったリンゴが落ちている……。
- 8 :鳶貴:2011/04/01(金) 00:51:07 ID:Yly1ZzBM0
- >>7
歩けど歩けど、互いにこれといった目立った動きもなく流れていく時間。
こんな筈ではなかった、と思案している様が取れるような困惑の表情を浮かべる。
声の一つでもかければ解決する話だが、この男は子供と接する事が一番の苦手だったのだ。
「……?」
要約現れた変化を見過ごさない。
路地へと続く横道の様子を伺うように、壁に張り付いて気配を観察する。
「夜の散歩か……あの子供もアンドロイドだった、というオチなら面白いがね。」
その呟きを合図に鳶貴は少女の後を追った。
非常に視界が悪いのだが、それを苦も迷いも無くしっかりとした足取りで広間へと辿り着く。
「……行儀の悪いガキだ。 …いや、あるいは――――」
食べ欠けのリンゴを見下ろしながら、静かに目を閉じる。
頭の中で近辺の気配の群れを描いた描写を駆け巡るようにして少女を探る。
- 9 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 01:07:59 ID:cskw3E.60
- >>8
少々広まった空間。
月の明かりに照らされたそこに在るのはリンゴ。それだけ。
そこにはここが作られた理由となる物や跡、少女の姿も、そして鳶貴が入ってきた入り口以外の道も無かった。
見下ろされたリンゴが――その視線に不快感を覚えたのか剥れる子どもの頬の様に――膨れ上がり。
次の瞬間、破裂音とともに爆散。中に仕込まれていた鉄の針――強力な毒の塗られている物――をまき散らした。
「……用?」
広場の端。月の光を逃れ影になった部分から声がする。
その闇から、漆黒に身を包んだ少女の瞳が覗いていた。
- 10 :鳶貴:2011/04/01(金) 01:21:57 ID:Yly1ZzBM0
- >>9
「……!!」
用心していたつもりが、油断していた。
退路がないと判り、辺りに身を隠しこちらの様子を伺っているものだとばかり思っていたが―――
「―――まいったな。」
鉄の針を肉に食い込ませながら、よろけて片膝を地につける。
直撃だった。予想外の出来事に回避する猶予も術も用意できなかった様子だ。
「…なんて、無様な……自分が腹立たしい……。
尾行がバレた事は察したつもりだったのだが……。」
異物を食い込ませ、それに仕込まれた毒に蝕まれているというのに
悠長に言葉を並べている。
よくみると、流れ出ているのは黒い液体。血液と呼ぶには程遠い何かだった。
「……用?ああ…そうか。」
男は震えている二本足でゆらりと立ち上がり、闇から現れた少女に目を向ける。
「…………興味があってね。大きな力に。
いやはや、話す前から随分と歓迎してくれて嬉しいよ…。」
- 11 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 01:35:53 ID:cskw3E.60
- >>10
「そう……」
いつの間にか、白いリボンは解かれ、
紫色の長い髪が宙に揺れる。
「なら、短く。
いいよ……聞いてあげる。」
一歩一歩。
ゆっくりとだが確実に近付く少女の右手には闇が集まる。
まず、棒状に伸びた闇は、次に先端部分が変形して歪な大鎌の形を取った。
「聞くだけ、ね。」
全く鳶貴の話しに、そして鳶貴自身にも興味なんかないと言わんばかりの雰囲気。
- 12 :鳶貴:2011/04/01(金) 01:59:17 ID:Yly1ZzBM0
- >>11
「……嬉しいよ。その物騒なモノさえ携えていなければ可愛いものなのだが……。」
束ねていた長髪を横目に、黒い血を流しながら笑って悪態をついている。
よくよく広間にこぼれた月明かりにさらされた少女を見ると、
先程話に挙げていた人型―――ユリウスに益々その影を身に落としている。
「簡潔に言おう、我々に付きたまえ。」
闇が収束し形成された武器を一見した後は、少女を真っ直ぐ見詰める。
この危機的状況を楽しんでいるようだが、同時に怒りと疲れで息を荒げている。
「近々、この街を洗い流したいという子供が…事を起こすという話だ。
救済の術は用意された席に座るだけでいいらしい。キミにとって何の損もない話だろう?
事の終結の後に行く当てもないというのなら、我が組織がキミの協力と引き換えに力添えをしよう……どうかね?」
付きたてられる勝手な話とその要求。
そもそも先の事件を知らぬならば述べている事が飲み込めないだろう。
友好的な態度をとって共同歩調を求めているが、目の前の男はあまり好意的に感じられないだろう。
- 13 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 02:12:01 ID:cskw3E.60
- >>12
「クスッ……ありがとう」
鳶貴の言葉に笑みを浮かべる。
が、その笑みも一般普通の少女が見せる様な純真無垢で愛らしい笑みでは無く、
むしろ毒々しい、嘲笑に近い物であった。
「命乞い、じゃなくて……取引?」
大鎌を両手で持って、くるっと一回転。
地面に刃を突き立てると大鎌が溶けて不定形な闇を経由して椅子になった。
それに腰かけ脚を組み、冷たい視線を送る。
- 14 :鳶貴:2011/04/01(金) 02:34:19 ID:Yly1ZzBM0
- >>13
「……ああ、子供なら子供らしく笑ってくれないか。」
幼いその姿らしからぬ表情と笑みが面白くないのか
再び悪態つきながら穴だらけのスーツに触れて気にしている。
驚く事に、流れ出た液体はスーツに染み込まずそのまま表面を流れて地面に落ちている。
男に近づいているゼオラの足元にも、短い時間の内に届いてしまうだろう。
「…命乞い?ふっ、ふふふふ…随分とオカシな言葉が聞こえたようだ。」
武器を下げて椅子に変形させた光景にやや目を見開き驚きながらも言葉を続けた。
「間違いでなければ、それは弱者が自分の不利と敗北を認めた自己防衛の術のはずだろう?
小娘如きにこの俺が?何を馬鹿な。もう少し気の利いた事は言えないのかね?」
自信に溢れた活気ある声と嫌味たらしい口調で、少女の嘲笑と冷ややかな眼差しを一蹴する。
「キミの強い魔力はこの身に嫌というほど伝わってくる……。血の臭いもだ。
だがキミはどこか“おかしい”………それが明確に判るほどに、だ。
そんな変人に己が屈されるとも思えんのだ…言いたいことはわかるかね?
早い話が、キミはこの取引に応じるべきなのだ。それ以外の道は修羅も通らんよ。」
悪意と敵意をむき出した歪んだ笑顔。
ゆっくりとした速度で鳶貴の周りを黒い液体が這い回っている―――。
- 15 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 02:54:29 ID:cskw3E.60
- >>14
「子どもらしく……ね」
その言葉にも興味無さそうに、ただぼんやりと復唱してみせるだけ。
それよりも、少女は足元に浸る謎の液体に興味がある様子。
脚を上げると靴底から流れて落ちるそれに嫌悪の表情を示す。
「気の聞いた事……。
そう、これからよろしく……とか?」
笑みも消え失せ無愛想と言った言葉のよく似合う無表情に戻る。
そして、言葉の跡にニヤリと口だけで笑って見せる。
「愚か。エサに釣られた分際で……」
椅子から立ち上がり、鳶貴に背を向け歩いて距離を取る。
振りかえると同時、少女の存在感がその場から消え失せた。
目の前には無表情ながらも冷たい瞳を送る少女が間違いなくいる。
が、まるで透明になってしまったかのような、世界から隔絶されてしまったかのような。
直ぐにその原因には気付く事が出来るだろう。
少女の身体から感じ取れる異質で強大な魔力が無くなっていた。
「今すぐ謝るなら……許す。特別に」
少女の魔力が感じ取れる状態になると一気にその量は増大する。
先程までもより凶悪強大な闇が足元から現れ力強く渦を巻くいて少女の周りを囲む。
- 16 :鳶貴:2011/04/01(金) 03:20:53 ID:Yly1ZzBM0
- >>15
「……それとも、その見た目だけで身体も心も別物なのかな?」
粘ついた液体は地と靴底から離れ
飛び上がるような勢いで流れ出た体の元へと戻っていく
「…いいね。そういう事だよ。
言葉通りによろしくしてくれると尚の事、嬉しいがね。」
まさか応えるとは思わなかったのか、意外といった表情で笑みを作っている。
「その点を突かれると痛いね…。
失敗を抉り出されて啄ばまれる事ほど、堪えるものはないよ…。」
悲しげな声色を出しているが、その表情に悲哀など存在せず
ただ純粋な怒りが滲み出ている。
物事が上手く運ばない事、目の前の少女の憎たらしい応対が気に食わないのだ。
「……謝れば協力するというのならば、構わないが。」
非を詫びる者の態度ではなかった。意地でも引く気はないらしい。
―――立ち込める暗雲。
一瞬、空になった少女を満たす強大な変化に引けを取らず
こちらも魔力を周囲に放つようにして徐々に辺りを黒く染めていく。
取り巻くようにして拡散する液状の魔力とでもいうべき物体。
「………!」
積み上げられていた積木が崩れるように、それは一瞬に起きた大きな衝撃だった。
ガクンと身体が力なく崩れ落ちる。広がったまま散ってゆく魔力。
少女の気迫に負けたのか、要約毒が効いたのか、どういう訳か両膝を付いたまま男は顔を上げようともしない。
- 17 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 03:34:59 ID:cskw3E.60
- >>16
「……どうだか。」
ただぼんやりと鳶貴を眺めている様に見えるが、
その瞳はしっかりとその様子を捉えている。
「貴方がやめるなら、やめてあげるけど?」
曲げられた口は挑発に違わず。
男と同じ、少女にも退く気なんか更々に無い。
「ん。……降りた?」
糸の切れた人形の様な男の動きに小首を傾げながらそんな事を呟く。
渦巻く闇の一部が素早く近寄り、男の増したで手の形を取り顎を上げようとする。
闇の手の動きに従えば、跡からゆっくりと近付いた少女の見下すような視線が待っている。
- 18 :鳶貴:2011/04/01(金) 03:51:07 ID:Yly1ZzBM0
- >>16
いとも容易く上げられる顔。
力の抜けた肉体は、まるで例えるような繰り人形のそれである。
事切れた男の生気の無い瞳の中には、自分を見下している少女が映し出される。
あれだけ収束していた魔力も殆ど掻き消え、液体も地面から元の身体に戻ったまま出てこず
まるで抵抗の素振りも見せない。例えこのまま首を切り落とした所で反応は変わらないだろう。
事が及ぶ前に消費していた魔力の回復が追いついていないようだ。
あれだけ憎まれ口を叩いていた男が、その影もなく大人しく気絶している。
今なら何をしたところで反撃も文句も返ってはこない。
ここで見逃せば先の取引に協力の意志を示したか、あるいは情けや哀れみを投げかけたと思うだろう。
逆に男をバラバラにして属している組織に拒絶と敵対の反意を与える事もできるだろう―――
- 19 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/04/01(金) 03:59:00 ID:cskw3E.60
- >>18
「……」
男の虚ろな瞳と視線を交わして数秒。
闇の手が掻き消えると詰まらなそうな表情をした。
男の前にしゃがみ込み、在る物を置く。
少し歪な真紅の球体。瑞々しく美味しそうなリンゴ。
「じゃあね……また」
そう言葉を投げかけると闇に溶ける様にして消えて行った……。
- 20 :鳶貴:2011/04/01(金) 04:14:25 ID:Yly1ZzBM0
- >>19
闇で作られた支えが消え、顔を地面に打ちつける。
不服そうな少女の去り際までも、あさっての方を向いたままピクリとも動く様子はなかった。
日が昇る頃、同じような濃紺のスーツ姿とラフな格好の男女数人が駆けつけた。
彼等もまた組織の一員であり、定時報告が絶たれた事を不振に思ったのだ。
慌てた様子ですぐに倒れていた鳶貴と不自然に置かれたリンゴを回収し、医療施設へ送ったという。
男が目覚めた時、不甲斐ない自分と威圧的な少女、そして静かにそえられた赤い果実。
対峙して間もなく起きた一夜の出来事から何を思うのだろうか―――
- 21 :黒沢小百合:2011/04/02(土) 21:57:51 ID:SSMHlh/20
- 【異能都市・展望タワー】
都市というのは、
昼と夜それぞれ別の顔を持っている。
住民ですら全貌を把握しきれないほどの
巨大都市である異能都市ともなればまた格別。
妖しく輝く色とりどりのネオンで飾り付けられる繁華街。
天を突く巨大ビルが林立するビル街。
何処かへと向かう車で埋め尽くされた環状道路は
まるで光で出来た大きな生き物が蠢いているようにも見える。
周囲の建物より一段高いこの展望タワーから夜景を見下ろすと
普段、自分がこの混沌の中で生きているという事が、なんだか嘘のように感じられた。
- 22 :白い女:2011/04/02(土) 22:46:28 ID:cskw3E.60
- 鉄製の鷲に掴まって空を飛ぶ。
特にアテも無く、それでも空を飛ぶのは、
やはり自分がそう言う人間なのだからだろうか。とか考えていた。
>>21
「……ん。」
見えたに目を向ける。
何度か会った顔だ。と認識し微笑み、
鷲の脚に捕まる方とは逆の手を振った。
- 23 :三代目“腎臓”:2011/04/02(土) 22:53:02 ID:onviSg/.0
- >>21
「いやー、お姉さん。素晴らしい景色だねえ」
迷彩服に黒髪オールバック。
そして少しの獣の気配。
若干変わった雰囲気の男が、展望タワーの中へ現れて。
「うむ、いやはや、綺麗な街だ。
この都市そのものが、俺には絶世の美女に見えるね。
そしてお姉さん、俺と結婚しないか」
そしていきなり求婚した。
>>22
「何やら女性が飛んでいる……はは、彼女もなかなか魅力的」
鷲に掴まる女性に早くも目移り中。
というより、凝視している。
- 24 :黒沢小百合:2011/04/02(土) 23:03:41 ID:SSMHlh/20
- >>22
「……おや、あれはカフェでたまに会う……。」
(彼女もやはり異能者だったのか……?)
女に気づいたのだろう。タワーの展望室の中から
手を軽く振り返す小百合の姿が見える。
展望室には外から直接入れないが、少し下に
望遠鏡などが備え付けられた屋外エリアもあり、そこから中に入れそうだ。
そこからエレベータを使えば展望室までたどり着ける。
- 25 :黒沢小百合:2011/04/02(土) 23:10:21 ID:SSMHlh/20
- >>23
都市有数の大企業である千夜の重役であり、
良くも悪くも、一般媒体への露出も多めな小百合は
目の前の男のような輩に声を掛けられる事はなれていた。
「……お誘いはうれしいですが、お断りさせていただきます。
生憎、貴方からは知性というものを感じられないのでね。」
とりつくシマもなく、男の誘いを断り
返答としてはいささか礼を欠いた、蔑むような視線を投げかけた
- 26 :白い女:2011/04/02(土) 23:12:51 ID:cskw3E.60
- >>23
こっちは知らない人だ。
何かこっちを見ている様子。
にーっ。と笑うと同じように手を振った。
髪も肌も白く、瞳だけが真紅に染まった女だ。
一旦上へ消えたが、暫くすると同じフロアに姿を現した。
サイズの関係だろうか、鉄製の鷲は入ってこなかった。
>>24
小百合の返事を見て一層笑顔を明るくし、
開いた手を人差し指だけを伸ばした形にし、小百合の高く頭上を指さした。
すると、鷲がその方向へ飛んでいく。どうやらタワーに入ってくる様だ。
「やぁ、久し振り」
そう長く無い内に姿を現した。鷲は屋外待機らしい。
- 27 :三代目“腎臓”:2011/04/02(土) 23:26:58 ID:onviSg/.0
- >>25
「はは、知性が無いのは認めるぜ。
色々事情があるんでな」
実は半分人間じゃないんだから、彼は自分が結構アホなのを何となく自覚している。
もう半分は×××××だし。
「いやしかし、一発目から外したか。
この異世界の女性は皆、一筋縄では行かなかったりして……な。
ああ、デートだけでもどうだい?
あとは記念写真とか」
どうしても何か収穫を得たいらしい。
>>26
「おう、あちらはフシ有りか」
呟きながらニッコリ笑い、手を振り返す。
そして入って来た女性に、
「染めようとする者を逆に白くしてしまう……そんな強さを俺は感じた。
お姉さん、美しいね。デートしよう」
やはりそれから入る。
- 28 :黒沢小百合:2011/04/02(土) 23:43:49 ID:SSMHlh/20
- >>26
「ええ、お久しぶりですね。
えぇーっと……。」
女性と幾度か会い、軽く会話も交した仲だが
そういえばこの女性の名前を知らない。
どう呼んでいいか分からず、言葉が続かなかった。
「そういえば私たち、顔をあわせることはありましたが
自己紹介がまだでしたね。私は、黒沢小百合。以後、お見知りおきを。」
彼女は色々な意味で『派手』だ。
TVのニュースやタブロイド誌だとかで彼女の事を見た事があるかもしれない。
>>27
顔に手を当ててため息をし、
大げさに呆れて見せる小百合。
大方、どのように賢蔵を罵るか考えているのだろうか。
「……ああちょうどいい。
記念写真なら、差し上げますよ。ほら。」
ヒールの音を響かせ、賢蔵の横を通り過ぎると
壁際にあったゴミ箱に強引にねじ込まれた週刊誌を手にとって
彼の足元へと投げ捨てる。
『千夜グループ・社長秘書黒沢小百合の悪行』
『学生時代に同級生の殺害疑惑』
『治安維持を名目にした私刑行為も横行か』
その表紙には、目の前の女が険しい表情で
車から外を覗いている写真と過激な見出し文がデカデカと書かれていて。
「まったく、少し派手な行動をすればこう。
……ここまで事実無根の記事を書かれるとは。」
- 29 :白い女:2011/04/02(土) 23:52:33 ID:cskw3E.60
- >>27
「残念だけど、僕はそんなに強くないよ。」
笑顔で手を振り返しながら近づき、
その手を翻すと胸の中心を軽く二度ほど叩いて。
「え? デート……?
ちょっと困るな……ほら、余り外に居るのも良くないし。」
少々顔を俯かせて、困った様な顔を見せる。
恐らく、目の前の女の体質の事を言っているのだろう。
白皮症。アルビノと呼ばれる人間は紫外線に耐性持たない人間が多い。
その為、今も首から上と右手以外は肌の露出を抑えている。因みに、左手には紅い特徴的なグローブを付けている。
>>28
「うん、キミの事はよく知ってる。
そう言えば凄い人なんだよね……。」
前述の通り日中外に出る事の出来ない彼女がすることと言えば情報の収集。
尤も、夜になってもやる仕事もないので情報収集が最近の全てではあるが。
『学園』に反抗して以来、余り社会の表に立っていない彼女には立場を理解しては居る物の、
それを実感する力に乏しく、「すごい」の一言でか片付けたのだった。
対して名乗る素振りを全く見せない女。
しかし、何か隠し事をしている様な、後ろめたい様子や雰囲気は微塵も感じられない。
- 30 :三代目“腎臓”:2011/04/02(土) 23:59:53 ID:onviSg/.0
- >>28
「ワオ、ナンテコッタイ」
似非外人臭い口調でジーザスとか呟きながら拾い上げた週刊誌を見る。
それはそれは、やたらと悲しげな表情で。
「分かるよ。お姉さん。
いや、分からないけど、お姉さん。
こんな有ること無いこと書かれては、俺の告白を受ける余裕も無いわけだ」
うむ、と頷き目尻を擦る。
女好きは、リアルに若干泣いていた。
「……そんなところで一つ、訊いておくべきことを思い出した。
こんな状況で訊くなんて、デリカシーとか言う奴の欠片も無いが仕方無い。
お姉さん、この都市で赤い番傘にポニーテールの男を見なかったかい?」
最初は捕獲されて、次に友好関係(?)を築いた男。
佐宗スグルのことだ。
>>29
「それは思い込みさ、強さとは自分では気づかないものなのだよ」
女性と自分のどちらに酔っているのか、うっとりした表情でそう言う。
女好きなので表情をころころ変えるのは得意だ。
「なに、バーとか細道のお好み焼き屋でも俺は構わないさ。
俺もお姉さんの白さを日なんぞに怪我されたくないところであるしな」
アルビノと言うものを(アホなので)良く知らなくても、『野性の勘』で分かるのだろうか。
少し間違ったフォローを入れる。
「……っと、そういうワケありなら知らない予感が強いけれど。
一応そちらのお姉さんにも訊いておこう。
お姉さん、この都市で赤い番傘にポニーテールの男を見なかったかい?」
- 31 :三代目“腎臓”:2011/04/03(日) 00:01:54 ID:onviSg/.0
- //誤変換……一応訂正
×怪我されたくない
○汚されたくない
- 32 :黒沢小百合:2011/04/03(日) 00:08:44 ID:SSMHlh/20
- >>29
「ふふ、この私が偉いなどとは。
私も、貴方と同じ一介の市民に過ぎません。
どこに違いなどがありましょう。」
柔和な笑みを浮かべ、否定する小百合。
情報収集に時間を当てているのなら、彼女が
強引なやり口で批判されているのを何度か目にした事があるはずだ。
「……で、貴方のお名前を教えていただけますか?」
一向に名乗るそぶりを見せない女に
小百合は少し業を煮やしたのか、自分から名前を聞きに来た。
>>30
「…………。」
この男は本物だ、小百合はほとほとあきれ果ててしまった。
これほど前向きな男は中々いまい。
「はあ、知っていますけども……。」
この男がデリカシーなどと口にするのは
なにか違和感があるが、小百合は正直に知っていると答える。
とはいえ、あのスグルとか言う男はどこかの組織の重要なポストにいたはずだ。
こんな知性の欠片もない者と知り合いなのだろうか。
- 33 :白い女:2011/04/03(日) 00:17:48 ID:cskw3E.60
- >>30
「クスッ……ありがとう。
もし、そうだとしても僕はそれをまだ認める訳にはいかないんだ。」
意思を示す、勇敢そうな人間の、
勇敢そうなその表情の、何処かには僅かに気弱さも見て取れる。
「んぅ……。
そう言う事じゃないんだけどなぁ。」
目の前の男が若干アホの子である事に気付き始めたのか。
困った表情を見せつつも何処か楽しそうに頬を掻いて思案する。
「ごめんよ。僕は知らないや。
探せるときには探しておくよ。僕も暇だし。」
今まで会った記憶は無いや。とキッパリと言い放つ。
(無職故に)時間はたっぷりあると伝える。
>>32
「流石だね。
偉い人はみんなそう言うよ。」
言葉に含みが在る様に聞こえるが、決して毒など含んだつもりはない。
以前から何度か会い、軽く話した自分の立場からすれば、
目の前の小百合と言う人間が「凄い」人間に見えていた。
それに加え、少々昔に似たような経験を持つ彼女にとってすれば、あまり気にならない事でもあるのだろう。
「……えっとね。」
それ程大きくはないが、心の痛い処を突かれたという感情が、僅かながら顔を曇らせる。
一本だけ伸ばした人差し指を口に添え、わざとらしく目線を逸らす様子は後ろめたい何かがある人間のそれに似ている。
そして、この女がその後黙りこくってしまった事がその印象を強くするだろう。
- 34 :三代目“腎臓”:2011/04/03(日) 00:30:05 ID:onviSg/.0
- >>32
「お姉さんを苦しめる不届き者を『喰らう』前に、その男に用があってだな。
いや、「用がある」だと曖昧か?……まあ、多くは言うまい」
心の声が少し出ている。
「ソイツ、要するに『佐宗スグル』が何処に住んでるか知らないかな?
住んでる場所じゃ無くても良い、最悪「此処で会った」とかでもオッケーだぜ」
スグルは、この都市では遊馬という男性に紹介された「郊外の広い物件」に住んでいる。
恐らく知らないだろうが。
>>33
「うむ、謙虚なのも俺は好きだ」
強いのも弱いのも、ノリノリなのも謙虚なのも関係無く、この男は何でも好きなのだけれど。
「いや、そういうことじゃないのは分かってたさ。
男の精一杯のカヴァーって奴でな」
本当は分かって無かったけれど。
「そうか、残念。
別にわざわざ探してくれなくても構わないよ、レディの手を煩わせる趣味は無い。
しかし、夜にはあの鳥……鷲かな?
あれでお出かけするのかい? この都市の夜は美しいから、羨ましいところだね」
- 35 :黒沢小百合:2011/04/03(日) 00:37:06 ID:SSMHlh/20
- >>33
「……分かりました、言いたくないのでしたら
こちらとしても、無理強いはしません。しかし、困りましたね。
貴方をどう呼べばいいものか……。」
目の前の女が、理由はどうあれ
名乗りたくないのだという事は分かる。
しかし、これではあまりにも不便だ。
「そうだ、ジェーンというのはどうでしょう。
名無しのジェーン・スミシー。貴方が気に入れば、ですけれど。」
身元不明の遺体などに便宜的につけられる名前であるジェーン・ドゥと
映画界で降板もしくは何らかの理由により監督の名前を伏せなければならない際に
使用されるアラン・スミシーという偽名を足したものだが……。
>>34
「…………!」
まさか、本当に自分の知っている名前が出てくるとは。
小百合は、2人の繋がりがどういうものか少し興味を持った。
「ええ、知っていますよ。佐宗スグルさんなら。
……とはいえ、都市の路地裏で見かけて少し『お話』をさせていただいただけですけれど。」
もし、間違いとはいえ捕縛、尋問された事がばれれば
彼の組織内での立場によくない影響を及ぼすだろうと考え『話した』だけだと答える。
- 36 :白い女:2011/04/03(日) 00:49:46 ID:cskw3E.60
- >>34
「別に謙虚ってわけじゃないさ。
僕には強さを認める資格が無いだけだからね。」
そう言うとぼんやりと開いた真紅の左手を眺める。
しかしその動作も直ぐに取りやめ、手を振ると笑顔に戻り。
「そっか……なら良いんだよ。ありがと。」
フフッ。と笑って。
「いや、他にする事も無いからせっかくなら……ってだけなんだけどね。
探さなくて、本当に大丈夫かい?」
首を傾げて男を見た。
この後、「まあ、本当にそう思ってくれてるなら素直に引き下がるけど。」と続いた。
「トランヴェルスの事?
基本的にはそうなるかな。宇宙船も使えない事だし……。」
今は上に居るよ。と付けたす。本当にサイズが足り過ぎていたかららしかった。
宇宙船の話しを出したところで苦い顔を笑ってごまかす。
>>35
「ごめんね。
確かに、名乗るべき名が無いと言うのは不便かもね。」
とある心情から名前を持つ事を頑なに拒否していた彼女だったのだが、
小百合の様子と表情を見て、僅かながらにそう思ったようだった。
「なら、そう呼んでくれればいい。ジェーン……覚えたよ。」
……とは言っても、あだ名の事はどうでも良いらしい。
- 37 :三代目“腎臓”:2011/04/03(日) 01:05:18 ID:onviSg/.0
- >>35
「路地裏でお話かあ……アイツのことだし、どうせキョドってたんだろうなあ」
二度目に会った時はそうでも無かったが、初回はテンパり気味でした。
「なら棲み処は知らないか……路地裏ってのも、不足だな。
やっぱり言っちゃおう、うん。
お姉さんがアイツの事情を何処まで知っているかは知らないが、俺の目的は簡単よ」
台詞を止め、目を閉じ、胸に手を当て、息を吸う。
とても無駄な動作を挟んで、男は台詞を続ける。
「佐宗スグルを捕まえに来た」
スグルと敵対しているのか、それとも仲間なのか、どうにも判断し辛い。かも知れない。
>>36
「資格か……なるほど、うむ、じゃあしょうがない」
腕を組み、分かったような顔をして頷く。
「俺の探し人は、好んで夜に出歩くような奴じゃないんでな。
残念だが、時間帯的に接点が無さそうに見える。
そして俺は美しい女性を苦しめる日光が憎い」
そういう台詞をどうしても挟みたい様子。
「うちゅう……せん?
宇宙人……いや、レディの秘密には突っ込むまい」
そう言いつつ思いっ切り気になってる表情。
- 38 :黒沢小百合:2011/04/03(日) 01:08:20 ID:SSMHlh/20
- >>36
「では、ジェーン。これから改めてよろしく。
恐らく、あの店でまたしばしば会うでしょうから。」
真っ白い白魚のような右手を差し出す。
黒髪、黒いスーツ、黒い瞳、そして黒沢という姓。
黒尽くめの彼女唯一の白。
>>37
「はあ、そうですか……。
ま、私には関係ありませんしどうぞご勝手に。」
仲間内の争いか、それとも反対勢力なのか。
今は情報が少なすぎて、自ら動く段階ではないと判断した小百合は
さも、興味が内容に振舞う。
「彼が一体、何をしているのかは分かりませんが
捕獲されねばならないようなことをやったのであれば、それは彼の落ち度でしょう。」
実際は、これを利用して組織にパイプを作るつもりなのだが……。
- 39 :白い女:2011/04/03(日) 01:20:21 ID:cskw3E.60
- >>37
「理解してくれたようで。」
そう言うと頭を下げた。
「そう。それじゃ……仕方ないね。」
小さく溜め息をつくと割り切った様子で小さく頷いた。
最後の言葉には返答するか若干悩んで……心痛いと思いながらも無視する事にした様子。
「宇宙に行けるんだから宇宙船だよ。燃料切れてるけどね……。
いや……まぁ。流石にそれは無いんじゃないかなぁ?」
宇宙に行けると言われて渡されたただけで実際に行った事は無いが。
>>38
「そうだね。
クロスに機械の竜の事も聞いとかないと気になるし。」
機械の竜……と言うのはカノン=カペルマイスターの関連の事だろう。
同じく純白とも取れる右手を差し出す。
その白い手を見て「大変なんだなぁ。」と心で呟いておいた。
- 40 :三代目“腎臓”:2011/04/03(日) 01:32:09 ID:onviSg/.0
- >>38
「別にこの街で大した事を起こすつもりは、どうせアイツには無い。
っていうか、アイツには出来ないんでな。
アイツの落ち度と言えば、俺達から逃げ出したことかな」
結局仲間だったらしいことを言う。
「アイツに会ってる以上、関係無いってわけには行かないんだな。
残念なことに、お姉さんは結構凄い人みたいだし、余計にな。
俺にそんなつもりは無いが、最悪お姉さんの日常を奪う羽目になるわけで……」
言い辛そうにうんうん唸りながら台詞を続ける。
「まあ、要するに、アイツを探すのを手伝って欲しいってわけだ。
なに、本気で探さなくても良い。片手間でも結構さ。
対価は俺とのデートってことで」
結局それが目的かい、とでも言われそうな感じで。
ようやくまた表情を笑顔に戻しながら言う。
>>39
「ああ。俺はしつこく女にちょっかい掛ける男が嫌いなんでな」
完全な自己紹介であることに、当然彼は気付いていない。
「まあ、俺だって異世界人なんだから、宇宙人がこの都市に居ても違和感は無いってな……。
……あ、今のは聞かなかったことにしといてくれな。
宇宙は男のロマンさ、燃料があればすぐに飛ばせるのかい?
行ってみたいな宇宙旅行……宇宙から見る地球はさぞ美人に違いない」
言っちゃったことをさらっと流そうとしている。
とても多様な都市だから、別に異世界人なんて珍しくないのかも知れないが。
- 41 :黒沢小百合:2011/04/03(日) 01:46:11 ID:SSMHlh/20
- >>39
「機械の龍、ですか……ふむ。
あれは破壊した。それ例外の何物でもありません。」
いくら見知った仲とはいえ、
自分の仕事にも関わる機龍の事をしゃべるつもりはない。
小百合は、短く破壊したとだけ述べると口をつぐんだ。
>>40
「いいえ、私とは無関係です。貴方はどうあっても、
私を巻き込みたいらしいが私にも私の仕事がある。
ま、面倒を起こすつもりでしたらあなたを拘束しなければなりませんがね。」
とはいえ、と付け足し小百合は言葉を続ける。
「今はまだ何もしていませんから、私としても行動を起こすつもりはない。
それに個人的な人探しは私の管轄外です。当然、請け負うつもりはありません。
第一、対価がデート?お前はふざけているのか……?」
さすがに、小百合も少々賢蔵の軽い態度に苛立ちを感じ始めた。
この男は根本的に自分と違う人種なのだという事が、完全に理解できた。
「今日がそがれた。私は帰らせてもらう。
……最後に一つ言うなら、あなたは壊滅的に知性に欠けている。
次に会うまでに、少々教養を身につけておきなさい。」
小百合は、くるりと身を翻し足早に去っていった。
- 42 :白い女:2011/04/03(日) 01:54:54 ID:cskw3E.60
- >>40
「確かに僕も好きじゃないかな。
それでも、程々なら別にいいんじゃない?」
つまりは、節度ね。と続けざまに口を開いて。
男の要望通りに微笑んで流す。
「さぁ……? 宇宙まで飛ばした事も無いしなぁ。
尤も、燃料が無いしそれが何かも解らないから本当に謎さ。」
そして口を開くと首を傾げて困り果てた。
>>41
「ん……? あぁ、そう。
別にそれなら良いんだけど……。」
別に彼女自身はどうでも良いらしく、
ただクロス可哀そうとか思い。
「じゃね」
小百合の背中に手を振ってそう言葉をかけた。
- 43 :三代目“腎臓”:2011/04/03(日) 02:04:45 ID:onviSg/.0
- >>41
「あー、残念ながら面倒は起こすことになりそうだ。ついでに血も流す。
そうするのが俺の仕事らしいんでな」
残念そうに言いながら、
「ふざけているだなんて、とんでもない!
苦しむレディを救うのが、俺が与えられる最高のサービスってな」
そう続ける。
嘘も冗談も無い、至極真面目な調子で。
「教養ねえ……うん、努力はするさ。
それではお姉さん、また会おう」
ぴらぴら手を振りながら、去る小百合を笑顔で見送る。
そして天を仰ぎ、
「ごめんヒィちゃん、やっぱりフラれたわ」
そう言った。
見えない誰かでも居るかのように。
>>42
「うむ。女を気に掛けない男はもっとダメだからな」
当然彼には節度など無い。
そういう『本能』なのだから。
「何が燃料なのかも分からない……?
そりゃ研究者の血が騒ぐ話だな。
俺は愛に生きる研究者だから、そういうの詳しくないが。
俺の同僚ならどうにか出来るかね……お姉さんが「何が燃料か知りたい」ならの話だけどな」
多分、どうにもならない。
同僚も部下も、興味の無い研究をやりたがらない連中ばかりだからだ。
と思いつつも、細い人脈を脳内で探ってみる。
- 44 :白い女:2011/04/03(日) 02:13:55 ID:cskw3E.60
- >>43
「へぇ。成程。」
それは知らなかった。と言うような反応。
「まぁ……気にはなるかな。
尤も、それが宇宙船を動かす燃料として気になるんじゃ無くて、
緑色の、微妙に光る半固体みたいな感じだから物理的に気になるって感じだけど。」
どこのどんなだよ。
「少し眠いや……僕も帰ろうかな。
ありがとう。今日は楽しかったよ。」
再び笑顔を見せて手を振って去っていく。
そうしてエレベーターから屋外エリアへと行ったのだろう、
暫くすると窓の外に鉄製の鷲に掴まって飛行していく姿が見れた。
- 45 :三代目“腎臓”:2011/04/03(日) 02:23:08 ID:onviSg/.0
- >>44
「少なくとも一度は告白するのが女性に対する礼儀なのさ」
間違った知識を与えようとしています。
「謎物体というわけかな。
それならカン婆が興味持つかな……暗号とか大好きだし。
勿論俺にはさっぱりさ」
お手上げです、というジェスチャー。
表情は相変わらず心の底から残念そうで。
「ああ、こちらも楽しめたとも。
今度はもっと楽しいことをしよう、ビリヤードデートとかな!」
去る女性を満面の笑みで見送り、
飛んで行く女性を少し名残惜しそうな顔で見送った青年。
「んじゃあ、自分の足で七代目は探しますか……」
彼も、程無くその場を立ち去った。
- 46 :ゆすら:2011/04/05(火) 20:37:32 ID:bUy5vWhg0
- 【異能都市・緋河神社】
異能都市。そこは、人の業と魔の交錯する一種の異界である。
都市の名を冠し、道路を敷き、背の高い建造物で地平線を遮る様は、他の都市と変わらない。
しかし、それらの中に隠れるように、もしくは座するように、異界の者どもは存在する。
人知を越えた、恐るべき存在達が。
そんな中にあって、静謐と清廉が支配する場所がある。
大きな存在感を誇る鳥居、静かに水を湛え続ける手水舎、質素ながら威厳のある拝殿。
緋河神社。
その神社の拝殿横、一泳ぎできそうな大きな池の側にある長椅子で、巫女装束を着た小さな少女が居眠りをしていた。
こっくり、こっくりと、時折船を漕いでいる。
- 47 :黒沢小百合:2011/04/05(火) 20:52:38 ID:SSMHlh/20
- >>46
「こんな日本的な場所がこの都市にあったなんて。
ふむ……なかなか雰囲気がいいですね……。」
静かな境内に、女の声が響いた。
艶やかな黒髪と東洋系の顔立ち。切れ長の黒い瞳。
さらには、そのすらりとした体を黒い女性用スーツに包んでいる。
彼女の名前は黒沢小百合。
この都市の治安維持に携わる者の一人だ。
- 48 :ゆすら:2011/04/05(火) 21:06:04 ID:bUy5vWhg0
- >>47
「……おうっ?」
響いた声に気付き、居眠りをしていた少女が起きる。
凝り固まった身体をぐぐーっと伸ばし、大きなあくびをして、
「どうやら客のようじゃの」
長椅子からぴょんと降り、身体の大きさにあった足音を立てて小百合のほうに近づく。
「よう来なすった。ぬしはこの街で最初にここを訪れた記念すべき人間じゃ。
ここの神として、歓迎するぞ」
彼女はゆすら。この神社の祭神にして鬼である。
- 49 :黒沢小百合:2011/04/05(火) 21:22:13 ID:SSMHlh/20
- >>48
「…………『神』ですか、ふむ。」
『土地神』である天狗を実際に見た事がある小百合は、
ゆすらを、この年にしてはなかなかしっかりした佇まいの少女だ、
程度にしか思わなかった。
「……ふふ、なるほど。君は神様なのですね。
大人の人はいるかな?御神籤でも引いて帰ろうかと思ったのだけれど。」
子供をあやすような態度で、
彼女の頭に手をやり優しく撫でようとしながら大人は何処か、と尋ねる。
神主かの子供か何かだと推測したのだ。
- 50 :ゆすら:2011/04/05(火) 21:35:18 ID:bUy5vWhg0
- >>50
「おう、おうっ……」
撫でられてくすぐったそうにしながら、ゆすらは変な声を出した。
そして、耐えきれなくなったあたりでやんわりと小百合の手を払いのける。
「ま、まあぬしの反応ももっともじゃ。私も見た目はそのあたりの童子(わらし)と同じゆえな……」
桜色に色づいた頬をパンパンと叩いて、
「ぬし、もう少し時間をかけて境内の気配を探ってみてくれるかの?
……本当に、「人」の気配はするのかえ?」
言いながら、わずかに神気の気配を強くする細工も忘れない。
- 51 :黒沢小百合:2011/04/05(火) 21:44:32 ID:SSMHlh/20
- >>50
「おや、照れているのですか?
ふふー……かわいいですね……。」
頬を染めるゆすらに向けて柔らかな笑みを浮かべる小百合であったが、
それで彼女の気がはれるのなら、と言われるがまま気配を探る。
……確かに妙だ。人の気配がしない。
しかし――。
「ふふ、貴方は気配を消せるのですね?なんだか妙な感じはしますけれど……。
何らかの異能でしょうか……。とにかく、大人をからかってはいけませんよ?」
彼女は修羅場を潜り抜けて来た事により、
ある程度の気配を読む事は出来るようになったのの、
『魔力』だとか『妖気』だとか、そういった類の才能はまったくなかった。
- 52 :ゆすら:2011/04/05(火) 22:01:54 ID:bUy5vWhg0
- >>51
「成程な……少しばかり蛇神の匂いがするから、もしやとは思ったが……。
やはり、目を引く何かが無いと信じられぬか」
言うと、ゆすらは境内の池に目を向け、
「水霊よ」
神気を帯びた力のある呼びかけに応じ、水が激しく波打つ。
波は次第に中心に向かって動き、その動きがピークに達した途端――。
「見せてやれ」
池の水を身体とする巨大な水蛇が現われた。
二本の牙を惜しげもなく晒し、ゆっくりと鎌首をもたげる。
攻撃的な形状ではあったが、襲い来る気配はない。ただ、その身を見せるために出てきたという感じだ。
- 53 :黒沢小百合:2011/04/05(火) 22:19:31 ID:SSMHlh/20
- >>52
「……ここまではっきりした形で出せるとは……。
なんという逸材だろうか……。」
水を媒体として現れた巨大な水蛇を見た途端、
彼女の表情が変わった。
温和な雰囲気は消え、彼女の切れ長の瞳は
ゆすらを『値踏み』するかのように、彼女に向けられた。
「なるほど、只者ではないようです。魔術にしろ異能にしろ……
その小さな体でこれほどの質量を御しきるとは只者ではない。」
先ほどの子供に対する態度とは打って変わり
目の前の少女に向けゆっくりと頭を下げ、宮廷風のお辞儀を行なう小百合。
「貴方のお力は拝見いたしました。確かに、神というのも頷ける……。
先ほどは不躾な態度を取り、ご機嫌を損ねました事を深くお詫び申し上げます。」
- 54 :ゆすら:2011/04/05(火) 22:42:32 ID:bUy5vWhg0
- >>53
「ま、待て。そんなに畏まらずとも良い」
慌てた様子でゆすらは言う。
その狼狽っぷりは集中が切れ、水蛇が元の池に戻っても気付かないほどであった。
「べ、別に先刻のような態度でも一向にかまわんし、むしろ、畏まられる方が、その、困るでな」
ゆすらの動きは手を激しくもてあそんだり、キョロキョロしたりでわたわたと激しい。
「その、あれだ、そう! 地域密着型というやつでな、人と神の境界なんて取っ払っちまえ的な立ち位置と言うかな、
いわゆるその、フランクとかフレンドリーとかいう感じでな」
……見てる方が冷静になりそうな慌てっぷりである。
- 55 :黒沢小百合:2011/04/05(火) 22:57:48 ID:SSMHlh/20
- >>54
「目下のものが目上の者を敬うのは
立板を水が流れるが如き『当然の礼』にございます。
私はその『当然の礼』を尽くしているのみ。」
あわてるゆすらを尻目に、小百合は至極冷静で
どこか芝居がかった口上をすらすらと述べていく。
「申し訳ございません、そういえば自己紹介がまだでございましたね?
私は、夜刀神の従者にて歴史の繰り手――黒沢小百合と申します。
幸運にも、神格たる貴方にお目通りが叶ったこと、この愚かな身では
どれほど言葉を並べ立てましても、言い表すことなどできはしません。」
- 56 :ゆすら:2011/04/05(火) 23:18:04 ID:bUy5vWhg0
- >>55
「…………」
ゆすらはしばらく口をぱくぱくさせていたが、やがて長い息を吐くと、顔を引き締めた。
「……わかった。ぬしがそうしたいのであれば、仕方のないこと。
じゃが、自分を必要以上に卑下するのは止めい。それは逆に礼を失するぞ」
わずかな、しかし確実な威厳を感じる声で言う。
「私の名はゆすら。先刻見てもらった通りの、水の神じゃ。長ったらしい名前は無いから、そのまま呼んでくれてかまわん。
……ぬしとは、もう少し話をしていたいの。そこで待っていてくれ」
ゆすらは自分が居眠りに使っていた長椅子を指さし、座るように促す。
「私が清めた水で、茶でも淹れてやろう。よもや、神の誘いを断ることなどあるまいな?」
最後の一言は不敵に言い放った。
- 57 :黒沢小百合:2011/04/05(火) 23:35:01 ID:SSMHlh/20
- >>56
「は、そのようにおっしゃいますならば
ご上意にしたがいます。ゆすら様、ですね。」
ゆすらに促されてようやく、長椅子に腰を下ろし。
「……是非とも。しかし、水神であらせられる
貴方様に、人の子がお茶を入れさせるなどなんといっていいのか……。」
小百合はなんとなく、ではあるがこの少女も神に類するものなのだろうと理解し始めていた。
神格を有するものが持つ独特の雰囲気。最初は気づかなかったが、
少女から発せられるそれは今まで小百合が出会ってきた他の神格――――
土地神を司る天狗や、彼女の『主』が発する気配と似通っている。
- 58 :ゆすら:2011/04/05(火) 23:53:06 ID:bUy5vWhg0
- >>57
「まあそう言うな。ほんの挨拶代わりのようなものじゃし、何より意見を求めたいことがあっての」
言って、ゆすらは閉め切った社務所の中に入っていく。
そしてしばらくして、漆塗りの盆に乗った、湯気を立てる二つの湯飲みを持って現われた。
「この街の水はどうにも薄汚れておっての……ああ、科学的な意味ではなく、霊的な意味での。
それで、何ぞ悪い影響でも出ていないかと心配でな」
長椅子に盆を置く。
「夜刀神……かの蛇神の側に居るぬしなら、既に知っておるかもしれんがの。
龍脈の前に、まずは水を清めねばならんだろうよ」
言葉に、嘆息とぼやきが混じる。
- 59 :黒沢小百合:2011/04/06(水) 00:03:31 ID:SSMHlh/20
- >>58
「意見、でございますか?」
ゆすらの話にゆっくりと耳を傾け、思考するが
困った事に小百合は、霊だとか魔法だとかそういった事象に非常に疎い。
「ううむ、申し訳ございません……。
私は科学的な見地からならばいくらでも調査を行なえるのですが
そういった霊的な事象に関しては門外漢でして……。」
彼女には龍脈=なにか力の強い土地程度の認識しかない。
このまま説明を続けたところで、有用な助言を得ることは難しいだろう。
- 60 :ゆすら:2011/04/06(水) 00:16:31 ID:bUy5vWhg0
- >>60
「むむ……そうか。妙なことを訊いて悪かったの」
やや落胆した様子のゆすらだったが、小百合に湯飲みを手渡す頃には微笑を浮かべており、
「要は、あれじゃ。その茶がいつも飲むものより美味いかそうでないかを言ってくれれば良い」
ゆすらはずずず、と湯飲みから茶をすする。
ささやかな春風が境内の中を通り、池にさざ波を立て、二人を撫でていく。
ゆったりとした時間が、流れていた。
- 61 :ゆすら:2011/04/06(水) 00:17:49 ID:bUy5vWhg0
- //訂正 >>60→>>59
- 62 :黒沢小百合:2011/04/06(水) 00:25:39 ID:SSMHlh/20
- >>60
「はい、では……。」
文化人を気取る小百合は
差し出された茶をゆっくりと味わい、違いを見出そうとする。
しかし、特にこれと言って違いが分からない。
薄汚れている、というなら明確に味が違いそうなものだが……。
「恐れ多くも申し上げます、このお茶の味は
市販のものと遜色ないかと……。」
やはり、魔力を持たぬ自分ではだめなのであろうか。
- 63 :ゆすら:2011/04/06(水) 00:48:42 ID:bUy5vWhg0
- >>62
「くくっ、そうか、同じか」
同じと言われたのにも関わらず、ゆすらは楽しそうに笑った。
「それはそうであろうよ。その茶葉は近くのスーパーで買ってきたものじゃからの。
いやいや、悪いとは思ったんじゃが、少し試してみたんじゃよ。
もし空気にほだされて「美味い」とか言っていたら、思いっきりからかってやろうと思ってな。
しかし……くく、中々どうして舌の肥えた御仁よの。素晴らしいとしか言いようがないわい」
ひとしきり笑ったあと、息を整えて、
「じゃが、その茶は間違いなく他のそれとは違うぞ。
味の方は何ら細工を施しておらんが、ぬしが明るくない、「霊的」な領域での細工はしてある」
言うと、ゆすらは小百合の肩越しに背後を指さした。
「ぬし、生命力の類を使う力を持っておるな?
はっきりと判別はつかぬが、気配くらいは感じ取れるぞ」
- 64 :黒沢小百合:2011/04/06(水) 00:58:07 ID:SSMHlh/20
- >>63
「はは、これはお戯れを……。」
小百合はすました顔を作ってはいるものの、
内心では、得意満面であった。
目の前の神――ゆすらは、気取ったところがなく付き合いやすい。
いつも杓子定規で生真面目、攻撃的な小百合は
そんな彼女の態度に包まれるような安らぎを感じていた。
「はい。ゆすら様の仰るとおりです。
私の能力は生命力が生み出すパワーあるヴィジョン……『スタンド』能力。」
- 65 :ゆすら:2011/04/06(水) 01:10:49 ID:bUy5vWhg0
- >>64
「ほうほう、そんな力がの……」
興味深そうに、ふんふんとゆすらは頷く。
「生命力を投影する力とはまた、面白い。じゃが、これで納得がいったぞ。
ぬし、このところ戦い続きではないかの?」
- 66 :黒沢小百合:2011/04/06(水) 01:21:04 ID:SSMHlh/20
- >>65
「はい、最近は麻薬犯罪の増加、
都市にテロ攻撃を繰り返す謎の怪人と厄介続きで……。」
それだけではない。小百合自身は決して他人に話したがらないが
友人との模擬戦などでも、連戦連敗を喫していた。
もし、実戦ならば命などとうに無くなっている。
- 67 :ゆすら:2011/04/06(水) 01:48:05 ID:bUy5vWhg0
- >>66
「……成程、道理じゃな。
実はの、ここにぬしが来たときからずっと、ぬしの命にまとわりつく「穢れ」が気になっていての。
普通に暮らす程度では、とうてい付かないような程度の濃度じゃったから、どうしたのかと思っていたが、
この街で、しかも生命力を使って戦っているのであれば、それはむしろ当然のことだったのじゃよ」
空を仰ぐ。
静謐と清廉を湛えたこの神社の近くにも、異能都市の空を歪に飾るビル群が存在する。
それを視界に収めながら、ゆすらは言葉を続ける。
「……この街は、水だけでなく、街自体が薄汚れておる。無論、「霊的」に。
そんな中で生命力をむき出しにして戦うことは、ホコリまみれの窓際を白い布で乾拭きするようなものじゃ。穢れて当然じゃよ」
空になった自分の湯飲みを掲げる。
「先刻飲んでもらった茶……正しくは、使った水のほうじゃが、その水はただ清めただけではなく、
そうした「穢れ」を外に出す力を持たせてあった。力を増幅するような効果は残念ながら無いが、
枷が無くなった分、力を発揮する規模か早さが、ぬしがその力を得た頃と同じような感じに戻っているはずじゃよ」
ちょっとした「こりほぐし」のようなものじゃな、とゆすらは付け加えた。
- 68 :黒沢小百合:2011/04/06(水) 01:59:39 ID:SSMHlh/20
- >>67
「バカな……そんな事が……。
魂が……汚れてしまっていたと……。」
小百合にはにわかには信じられない事柄であったが、
事実、どことなく体が軽くなったような自分を縛っていた何かが、
すっとほどけたような、表現しようのない感覚に陥った。
「ありがとうございます……このご恩、どうやって返せばいいものか。
この無知蒙昧の輩ではそれすらも思いつく事ができません。」
- 69 :ゆすら:2011/04/06(水) 02:30:53 ID:bUy5vWhg0
- >>68
「ハハハ、良い良い」
笑いながら、ゆすらは手を振る。
「ぬしは今、正しい「神の使い方」を体験したに過ぎんよ。
神が、何故普通の人間や動植物を遙かに超える力を持つか?
答えは簡単、神はそれらを守護するために存在するからじゃ。
神のために万物が在るのではなく、万物のために神は在る。
それは神と万物が交した、永劫不変の契約」
「ま、持論じゃがの」と、少しばつの悪い顔。
「ともかく、そういうわけじゃから、対価に特別何かを求めるわけではないよ。
あれじゃろ、人の世には「苦しいときの神頼み」という言葉があるらしいではないか。
その精神でどんどん来ると良いよ。じゃんじゃん助けてやろう」
と、少し悪戯っぽい顔になって賽銭箱を指さし、
「そのときにな、あそこに少しばかり投げ入れてくれんか?
意地の汚い話じゃが、あの箱にコインが当たる音が好きでな」
ひひ、と歯を見せて悪戯っぽい顔のまま笑った。
- 70 :黒沢小百合:2011/04/06(水) 02:37:35 ID:SSMHlh/20
- >>69
「神とは何ぞや、という問いは
古今、それこそ星の数ほどの人間が挑んできた命題でありますが、
まさか、神格を持つもの自身からそのような言葉が聞けようとは。」
いたずらっぽく笑う、ゆずらの傍らで
小百合は対照的に、深く何かを考えているようであった。
「なるほど、お安い御用です。
では、さっそく……。」
5円玉を取り出して賽銭箱にぽとり、と。
「これからも、ご縁がありますように。
……っと、申し訳ございません。私、話に夢中になってしまって
すっかり時間のことを忘れておりました……私は、そろそろお暇させていただきますね。」
腕時計を覗き込んでから、小百合は大急ぎで神社から駆け出していった。
- 71 :ゆすら:2011/04/06(水) 02:47:16 ID:bUy5vWhg0
- >>70
「おう、また来ると良いよ、小百合どの」
慌ただしく去る彼女の背を見送りながら、ゆすらは街の人間について思考を巡らす。
ここで会う他の人間も、こうして楽しく言葉を交わせれば良いと。
無論、彼女との再会のことも。
「走れよ、小百合どの。時計を維持するのは我らの役目じゃが、
時計の針を進めるのは人間の役目じゃ。その力が、特権が、ぬしらには在る……」
物寂しく落ちる言葉を掠うように、春風が一際つよく吹き抜けていった。
- 72 :黒沢小百合:2011/04/09(土) 21:20:20 ID:SSMHlh/20
- 【異能都市のどこか、銭湯】
様々な人種、および種族が生活する異能都市には、
そんな彼らの独特の文化が少なからず持ち込まれている。
「はふぅ……。」
小百合は、以前街を散歩した際に偶然見つけた
和風の小さな銭湯に時折立ち寄っては日々の垢を落としていた。
こうした個人経営の銭湯は
大型の室内型スパリゾートとはまた違った趣があり、
小百合はこういった人々の生活に密着した空間を堪らなく愛しく思うのだった。
- 73 :ゆすら:2011/04/09(土) 21:48:25 ID:Tzs1kWfM0
- >>72
と、浴場の奥、ボイラー室に通じる扉が開き、中からすすだらけになった巫女装束を着た少女と、
番頭の孫娘が連れ立って出てきた。
「助かりました。いつも遠くの神社の人に頼んでたもので……」
「ああ、良い良い。私も修行の成果が出せてホッとしてるよ」
どうやら奥で神事か何かをしてきたようだ。
- 74 :黒沢小百合:2011/04/09(土) 21:55:32 ID:SSMHlh/20
- >>73
「おや、これはゆすら様。
見たところ、人助けの最中でしょうか?」
ゆすらに投げかけられる声。
その主はついこの前、境内で言葉を交した
夜刀神の従者、黒沢小百合であった。
「銭湯とはいえ、神前でこのようなはしたない姿を晒した事、
なにとぞご容赦くださいませ。」
もう銭湯を利用するにはだいぶ遅い時間帯。
周囲には、小百合以外に客はいなくなっている。
- 75 :ゆすら:2011/04/09(土) 22:03:07 ID:Tzs1kWfM0
- >>74
「おおおおおああああ小百合どのぉぉぉ!? そ、その遊びはもう終わったであろうにぃ!」
何故かゆすらは激しく慌てると、小百合の側に駆け寄ってきた。
「(ヒソヒソ)小百合どの、私はここの人間に正体を明かしておらぬ。ただの神社の人間という「設定」なんじゃ」
耳打ちしながら、首を傾げる孫娘の方をチラッと見て、
「だからの、小百合どのもそういう「設定」で頼む。
さっきのは「神様ごっこ」みたいな遊びの名残ということで……」
- 76 :黒沢小百合:2011/04/09(土) 22:12:30 ID:SSMHlh/20
- >>75
「は、はあ……わかりました、そういうことであれば。」
(神、というのも大変なのですね)ボソボソ
小百合は、ゆすらの苦労がなんとなく分かった。
地位が高くなりメディアへの露出も増えるたび、
小百合へ寄せられる苦情や誹謗中傷も多くなっていったからだ。
ましてそれが『神』であるなら、どういったことになるか。
「ふふ、そういえばゆすらさん。
貴方もススだらけですよ。折角ですし、あなたも湯浴みしていっては。」
- 77 :ゆすら:2011/04/09(土) 22:34:40 ID:Tzs1kWfM0
- >>76
「ぬ?」
小百合に指摘されて初めて、ゆすらは自分の格好がどうなっているかに気付いた。
「おお……これはいかんの。まあしかし、丁度良いわい」
意味深なことを言ってから、ゆすらは孫娘と共に浴場を出て行った。
そして少し経った後、装束を脱いだ彼女が銭湯一式を持って現われた。
「いやぁ、小百合どのがいるとは思わなんだ。
実はの、ここの銭湯、最近ボイラーを新しくしたらしくての」
洗い場の前に座ったゆすらは、蛇口から湯を出して洗面器にため始めた。
出てきた湯を見ながら、満足げな表情をしている。
「ここの番頭は中々験担ぎな男でな……。神事をして清めるまでは炉に火を入れんなどと言っていたが」
言葉を切り、含み笑い。
「この不景気な世の中で何を言っているんだと孫にこっぴどく叱られて、しぶしぶ火を入れたらしいんじゃよ」
- 78 :黒沢小百合:2011/04/09(土) 22:48:29 ID:SSMHlh/20
- >>77
「験、ですか……。」
小百合は科学を信奉し、そういった事を信じない。
その彼女が夜刀神という神性の側にいるというのは中々に矛盾している。
「結局、人間というのは『安心』を得たいのでしょうね。
験をかつぐ、占いを見る、全て何か理由をつけ『安心』を得ようとしている。」
小百合は湯船の中に片まで浸り、
見事な絵の書かれた、壁を眺めていた。
- 79 :ゆすら:2011/04/09(土) 23:09:35 ID:Tzs1kWfM0
- >>78
「そうじゃの」
シャワーに切り替え、髪を洗い始める。
「それで良いと私は思うよ。
人は二本の足で立つことで、多くのものを見ることができるようになった。しかし、その分足元がやや不安定にもなった。
その不安を、他の「安心」で補おうとしているのではないか、と私は考えるのじゃが」
シャンプーの液を手に取り、わしゃわしゃと頭を洗う。
「こういった場所もそうして在るのじゃから、それで良かろ?
……うー、しみる」
- 80 :黒沢小百合:2011/04/09(土) 23:26:26 ID:SSMHlh/20
- >>79
「ふふ、ゆすらさん。私が洗ってさしあげますよ。
それほど長ければ、一人では骨が折れるでしょう。」
ゆすらの様子を見て、その艶やかな黒髪に指を通す。
小百合も彼女と同じような長い黒髪が自慢なのだが
やはり、神であるゆすらのものとは艶が一段違うように思える。
この光景を他のものが見れば、彼女たちは仲のよい姉妹のように見えるだろう。
「足元、ですか……やはり人間とはいくら進歩しても
なにかに縋らなければ生きていけない生き物なのでしょうか。
たとえば、貴方のような『神』のような。」
- 81 :ゆすら:2011/04/09(土) 23:50:10 ID:Tzs1kWfM0
- >>80
「おお。すまんの、小百合どの」
誰かに髪を洗ってもらうという経験のないゆすらは、その感触を気持ちよさそうに味わっている。
「何かに縋らなければ生きていけない……か。いや、私はそうは思わぬよ、小百合どの。
私が初めてこの街に来たとき、最初に目を奪われたのは何じゃと思う?
ビルじゃよ。街の中心にドカンと建っている、あのバカでかいビルじゃ」
彼女が言っているのは千夜ビルのことだ。
「この街だけではない。私は色々な場所に行ったが、どこも人の技が入っておる。
世界をこうまで変えた生き物、人間が、そんな脆弱な存在とはとうてい思えぬのじゃよ。
第一、そんな存在ならば、未だ人間は神の摂理に支配されておったじゃろう。
この世界のどこに、神話を続ける土地がある?」
そんな場所、どこにもない、と彼女は言い切る。
「人は、頼もしいよ、小百合どの。ぬしのように、こうして神の世話までしてくれるのじゃからの」
- 82 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 00:03:26 ID:SSMHlh/20
- >>81
「ふふ、これはどうも……。
しかし、意外ですね。」
濡れてしっとりとしたゆすらの髪の感触は
それを梳く小百合にとっても気持ちがよい。
そうしたゆったりとした空気の中で言葉を交すうち、
小百合はこの少女の物言いに少し疑問を感じた。
「現代において、あなたのような『神』に対する信仰は次第に失われ、
『科学』が新世代の『神』となりつつある。それを、あなたはなんとも思わないのですか?
……もっとも、私はその『信仰』を持たない人間であるのですが……。」
- 83 :ゆすら:2011/04/10(日) 00:30:48 ID:Tzs1kWfM0
- >>82
「確かに、その傾向はあるようじゃの。科学を絶対とする、言わば「科学神話」のようなものが。
しかし、人の技は大きく素晴らしいが、同時に中立で、善にも悪にもなる。そこのところの制御がまだまだ未熟なのが、「科学神話」における玉の瑕じゃな。
そして、そこにこそ、我ら神の入り込む余地がある」
小百合の助けで、いつもより幾分か早く髪を洗い終えたゆすらは次に身体を洗い、小百合を湯船に誘う。
「以前、話したことを覚えておるかな? 我ら神は、全てを守護するために存在すると。
今の人に対する神の役目のひとつはな、そうした人の技が成熟し、真の意味での「新たな神」になるまで守護することにあると、私は考えておる。
ぬしら人間の目は、既に大地や空ではなく、もっと遙か上を見ているのじゃろ?」
湯船の温度を確かめるように、水面に2、3度指を浸す。
「じゃからの、新たな神が生まれるまで、真の意味で人間の中に我ら神の居場所が無くなることは、無いと思うよ」
- 84 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 00:42:13 ID:SSMHlh/20
- >>83
ゆすらに誘われるまま、湯船へ。
「その昔、アーサー・C・クラークは
『十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない』といいましたが
科学は、真の意味で神にもなりえるのでしょうか。」
彼女の髪を洗っているうちにすっかり冷えてしまった体を
包み込む湯の暖かさが心地よい。
「ですが、あなたの理論でいくと科学が『真なる神』となった時、
貴方たちの居場所は失われてしまうのでは?」
- 85 :ゆすら:2011/04/10(日) 00:58:10 ID:Tzs1kWfM0
- >>84
「ふふ、そうじゃの」
湯船につかりながら笑うゆすらの顔は、少し寂しげだ。
「いつか、その瞬間が来るのじゃろうよ。人が我らを忘れ、新たな神に手を引かれてこの星を離れる時が。
それは何も憚ることではないよ、小百合どの。人間の中に居場所を無くしても、この大地には我らを必要とする存在は多い。
我らは引き続き、そやつらを守っていくことじゃろう」
湯の温かさに、ふう、と吐息を漏らし、
「……まあ、正直なところ、私のように顕在している身にとっては、寂しいことこの上ないのじゃがな」
- 86 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 01:12:29 ID:SSMHlh/20
- >>85
「恐らく、いくら科学が発展しようと『信仰』という概念は消えないでしょうね。
ここまで大きくなってしまった文化です。人が生きている限り、
磨り減ってしまおうともどこかで存続する。」
小百合にとって、科学が神に打ち勝つという構図は
非常に好ましいものであるのだが、ゆすらの話を聞いているとなんとも
心寂しく思えた。
「それにしても、あなたほど人間が好きな神性というのは珍しいのでは?
今は、人が人を信じられない、つながりが希薄な時代といわれています。
人ではない貴方が、何故そこまで『人』を愛せるのです?」
- 87 :ゆすら:2011/04/10(日) 01:36:13 ID:Tzs1kWfM0
- >>86
「何故、か。ふふ……確かにの。
高天原の中には、人間を自らに対する奉仕動物くらいにしか思っていない者も多い。ぬしの疑問ももっともじゃ」
壁に身を預け、目を閉じる。
「大昔……ぬしらが紀元前と呼んでいる頃の話じゃが、私は辺境の、小さな漁村で顕在した。
海岸と川のほとりにある村での、常に水と共に生きていた民の暮らす場所じゃ。
彼らにとって、水は同胞であり、命であり、神であった。そうした民の思いが集まり、私という神を生んだわけじゃ」
二千数百年の時を経てなお、ゆすらの記憶に残る光景。
水に接した土地と、そこに住む人々の営みが織りなすそれは、決して華やかではない。
しかし、彼女にとって何よりも大切な記憶だった。
「ぬしの質問に答えるなら、私はそういう性格の神じゃから、としか言いようがないんじゃ。
私は人を生み、人を守り、人を助ける盟友としての存在、水を司る神であるがゆえにな」
- 88 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 01:46:40 ID:SSMHlh/20
- >>87
「なるほど、貴方はそういう故あって、
人と親しく接しているのですね。」
――――水。
我々の人間の体の大半を形成し、
日常生活とも、最先端の科学分野でも無くてはならないもの。
ゆすらは、この『湯』のような、
水の優しく人を包み込む一面から顕在した存在なのだろう。
「しかし、それほど長く生きておられるのならさぞかし力ある神性なのでしょう?
それが何故、このような都市に姿を現しになり、下々のものと戯れるのでしょう。
やはりそれも、『性格が故』でしょうか。」
- 89 :ゆすら:2011/04/10(日) 02:03:18 ID:Tzs1kWfM0
- >>88
「できれば、そうでありたかったがの」
声色と顔を、少し真面目に引き締める。
「ここへは、「神としての仕事」で来た。
小百合どのと初めて会うた日にも言ったと思うが、この街は霊的に浄化されているとは、とてもではないが言えないんじゃ。
普通、霊的な穢れというのは、大地の奥底にある「力」の流れ……龍脈によって浄化される。それこそ、川が汚れを流すようにの。
じゃが、ここはその龍脈が、どういうわけか正しく働いておらんのだ。
霊、魔を問わず、そうした領域での災害が連続しない限り、龍脈が不全を起こすなどありえぬのだが……」
と、気付いたように小百合を見て、
「おっと、すまぬ。小百合どのはそういった類の話には明るくないのであったな」
すまなそうな笑みをこぼす。
- 90 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 02:28:12 ID:SSMHlh/20
- >>89
「はい……申し訳ございません……。」
申し訳なさそうに、ゆすらへ頭を下げて。
「しかし、やはりそれはこの街の形態が非常に特殊であるからでしょう。
この街は、既にお分かりになっていると思いますが、様々な世界から人々がやってくるのです。
ある者は、魔術のある世界から。ある者は、技術がそれこそ神の如く発達した世界から。」
この街はありとあらゆる事象、全てを飲み込んだ巨大な魔女の鍋のようなもの。
『龍脈』が乱れてしまう原因など、それこそはいて捨てるほどある。
「我々ですら、この街の全貌を把握できないのです。
この都市の『歪み』というのは、なかなかに厄介でしてね……。」
- 91 :ゆすら:2011/04/10(日) 02:41:35 ID:Tzs1kWfM0
- >>90
「……ぬしも苦労しておるのだの。
おそらく、私もその「歪み」とやらに立ち向かうことになるであろうな。
私が助けになれる事があれば、遠慮無く言ってくれよ、小百合どの。その分、私の仕事も片付くであろうからの」
ゆすらはもう一度深く息を吐くと、湯船から出た。
「さて、小百合どの。私はフルーツ牛乳でも飲んでから神社に帰るが……。ぬしはどうする?」
- 92 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 02:47:46 ID:SSMHlh/20
- >>91
「私は、もう少しここにいることにします。
お風呂の中で考え事をすると、頭がすっきりするので。」
小百合はもう、だいぶ長い時間風呂に入っているようだが
まだ、考えたり無いらしく残るという。
「ええ、またお力を借りにいくかもしれません。
私の力は、この都市とはすこぶる相性が悪いらしいですから。」
- 93 :ゆすら:2011/04/10(日) 02:54:59 ID:Tzs1kWfM0
- >>92
「おう、待っておるぞ、小百合どの。
それか、またここで会うやも知れぬのう。先刻の神事の謝礼に、十枚綴りの入浴券をもらったからの」
ゆすらは以前にも見せたような悪戯っぽい笑みを見せて、浴場を後にした。
//遅くまで付き合ってもらってありがとうございました。
- 94 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 22:39:47 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「……ふう、また……か……。」
カフェでくつろぐ小百合の手元には、
何冊かの週刊誌や新聞紙。
どれも見出しには、繁華街で起きたテロ事件に関する文字が躍り、
都市の治安維持機構への不満や、批判記事も散見された。
「本腰を入れようとした途端、これか。
テロリストどもめ、この私を怒らせたことを後悔させてやる……!」
- 95 :名も無き異能都市住民:2011/04/10(日) 23:02:34 ID:jmYB91Sw0
- 意識が飛び、強制ログアウトさせられた。
その足で向かうのはAGカフェ。
なんとなく甘いものが欲しくなったからだ。
カラン、とAGカフェのドアベルが鳴り、来客を知らせる。
胸のふくらみから、今日は“彼女”らしい。
- 96 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 23:13:56 ID:SSMHlh/20
- >>95
「おや?お久しぶりですね。
ええと……アイリスさん、ですよね?」
小百合は女性体のアイリスを見るのは初めてだ。
顔つきや、服装から彼(この場合は彼女であるが)であると判断したが、
確証を持つまでには至らず。
「中世的だとは思っていましたが、まさか女性だったとは。
あなたは確か、千夜学園の資料では男性だと記されていたはずなのですけど……。」
- 97 :アイリス:2011/04/10(日) 23:28:16 ID:jmYB91Sw0
- >>96
「僕が“アイリス”という名を持つ者というのなら其れは正解だね。」
椅子を引き、座る。
小百合の隣に腰掛けた為、週刊誌や新聞が目に入る。
僅かに瞳を細めれば、視線はカウンターの奥に向けて。
「イケナイ子だ。個人の情報を覗いていたとはね。」
小百合に顔を向け、薄く口許を歪める。口許は違い瞳は笑っているようにも見える。
「こうは考えられないかな?
持って生まれた容姿を利用し、異性へと変装する。所謂女装というものだ。世の中は分からないもので、こういう趣味の者もいる。」
この女性――黒沢小百合は見た目には普段通り冷静に見えるが、“個人情報を覗いた”という言質を残す辺り、僅かに頭に血が登っているのかもしれない、と。
- 98 :黒沢小百合:2011/04/10(日) 23:38:52 ID:SSMHlh/20
- >>97
「一応、私は都市の治安維持を任されている者ですからね。
貴女ほどの異能者ほどともなると、ある程度のチェックはしています。
治安の維持には、仕方がないことなのですよ。」
以前、アイリスが模擬戦で小百合に勝利したことを覚えているだろうか。
その際に、小百合はアイリスの情報を集めた。
もしアイリスが敵に回った場合1%でも勝率を上げるためだ。
「しかし、女装にしてはこれは……。
なんというか……手が込みすぎては……。」
服装を変えるとかそういうレベルではない。
元から女性的であったアイリスだが、体付きがさらに女性的になっている。
- 99 :アイリス:2011/04/11(月) 00:01:35 ID:jmYB91Sw0
- >>98
「なるほど。僕もなかなか評価されたものだね。
意外なものだ。一介の個人が一都市の治安維持責任者の目に留まるとは。夢にも思っていなかったよ。」
こればかりは少し驚いた様子を小百合に見せる。
「あまり、僕を探らないで欲しいものだ。同じ乙女と言えど秘密のヴェールの先を覗くのは些か感心できないね。
ああ、そうだ。僕も君のヴェールを探してみようかな?」
言外に“探りすぎるな”という意味を込めて、含み笑いを浮かべた。
自称乙女、というあたりビミョーである。
アイリスは自身を評価しようとしない。上には上がいる。それを知っているからだ。
現に小百合との戦いでは辛勝といったところだった。
あの時は自身の能力を知られていなかった為、勝利を収めたものの、今は分からない。
小百合とアイリスの相性は、非常に悪い。
戦いは物量で押すものだ。
方や紙切れひとつで軍を操る者。方や魔眼の所持者。
軍対個など数の暴力に押し流されるのが目に見えている。
「手が込んでいる?まさか。これも“乙女の秘密”さ。秘密を着飾り、コーディネートした姿が君の視界に映る僕さ。」
結局、女装か否かの答えは出さずに。
- 100 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 00:19:33 ID:SSMHlh/20
- >>99
「私の目的は治安維持ですから、閲覧するのは基本的な個人情報。
たとえば、住所であるとか身長体重、そういったものだけで
あなたのプライベートまでのぞき見ることはありませんから、安心してください。」
小百合はそう言うものの、必要があれば
平気で個人情報を探るだろう。
とはいえ、現時点ではアイリスが小百合の監視対象になる事はありえない。
「乙女の秘密……分かりました、これ以上の詮索はやめておきましょう。
……ね、お嬢様?」
(フン、性的に倒錯しているのか?金を持ち余した貴族というのはこれだから……。)
小百合は表向き宮廷風の礼を行なったが
内心では、アイリスを蔑んだ。
- 101 :アイリス:2011/04/11(月) 00:39:33 ID:jmYB91Sw0
- >>100
「ああ、体重なんて調べられたら困ってしまうよ。これでも節制しているのだけど、恥ずかしいものだ。」
作り笑いを浮かべた。
小百合にはそれだけの“力(権力)”がある。それは先の会話からも十分推測可能なことだ。
有事の際は個人情報を掌握することも不可能ではないだろう。
リンとなる鈴音。
カフェの出入口の鈴では無い。アイリスの手元にあるハンドベルだ。
「ところでお嬢さん、紅茶は如何かな?」
アイリスの3歩後ろにはメイドが控えていた。
- 102 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 00:52:03 ID:SSMHlh/20
- >>101
「大丈夫ですよ、アイリスさんはこの私よりもスタイルがいいですから。
……ふふ、頂けますでしょうか?」
いつの間にか現れたメイド。
魔術か何かで召喚したのだろうか。
「最近は、都市の治安が非常に悪化していますから、
アイリスさんも気をつけてくださいね。特に麻薬犯罪の増加が著しいので
絶対にそういうものに手を出す事のないよう、お願いします。」
小百合のついているテーブルに広げられている
雑誌や新聞は全てそういった関連のものだ。
- 103 :アイリス:2011/04/11(月) 01:18:40 ID:jmYB91Sw0
- >>102
「しかし、君は細すぎるのではないかな?
細ければ細いほど良い風潮が世間の風潮とはいえ、体が資本の仕事。少しばかり自愛してみては、と提案しよう。」
言いたいことは分かるな、とばかりに小百合に目線だけを移動させる。
小百合のスタイルならばモデルでも十分通じるだろう。
だが小百合の仕事はモデルでは無い。治安維持、そして治安維持の頭脳だ。
安易に倒れられたら困る。
「……治安の悪化、麻薬か。火のないところに煙は立たぬ、というけれど、火は立ってしまっているようだね。
その警告、しかと受け入れよう。」
小百合の前に差し出されたカップからは甘い香り。
ミルクティーだ。
そして小皿に乗せられたひとくちサイズのマカロン。
『仕入れたばかりの茶葉にございます。どうぞお召し上がりくださいませ。』
メイド服(クラシック)のスカートの裾を軽く摘み、一礼。
- 104 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 01:29:08 ID:SSMHlh/20
- >>103
「どうにも、太れない体質でして。
これでも、維持するのに精一杯なのです。」
体質のせいもあるが、戦闘行為も含む彼女の生業は、通常の仕事とは一線を画す激務。
食の細い小百合では、すぐに摂取分のカロリー以上を消費してしまうため
彼女は時折栄養剤の注射を受けている。
「はい、私も生産基地を部下を使って潰したり
売人の摘発を行なっているのですが、やはりイタチゴッコで……。
テロ活動まで発生して頭が痛いですよ。」
メイドに礼を言ってから
運ばれてきたミルクティーに口をつける。
口の中に広がる優しい甘みが小百合の疲れた体を幾分か温めた。
- 105 :アイリス:2011/04/11(月) 01:48:25 ID:jmYB91Sw0
- >>104
「生まれながらに抱えてしまったものは仕方がないね。
職務上あまり多くの時間が取れないのはどうしようもない。ならばサプリメントを導入してみてはどうかな。」
例えばボディビルダー。
例えにしてみれば大げさなようだが、体型を気にする彼らは食事に気を遣っている。
アイリスも紅茶に口を付け、フォークとナイフでひとくちサイズのマカロンを更に小さく切り分ける。
「麻薬の流通に伴う治安悪化か。生産元を潰しても変わらず。確かに頭が痛くなる話だね。
蛇の道は蛇。麻薬の流通の関係者とのコネはあるのかな?有るのなら彼らの法に任せてみるのも面白いのかもしれないね。」
蛇の道は蛇。
裏は裏、裏しか知らぬルートも存在するかも知れない。
- 106 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 02:02:15 ID:SSMHlh/20
- >>105
「ええ、ある程度のサプリメントは摂取しています。
でも、やはり固形薬剤やゼリーばかりでは食べた気がしませんから。」
ふふ、と笑って同じくマカロンを切り分け。
「この街で生活する以上、そういった業者とのルートは常に確保してあります。
関係筋からの情報では、どうやら新参者がどこか、『大きな勢力』を後ろ盾に
だいぶ派手にやっているのだとか。」
そういうことであれば、業者の間でも『新参者』を潰したがっている物は多いはずだ。
これから、そういったキナ臭い事件も起こるかも知れない。
小百合の言う、大きな勢力というのが少し気がかりだが……。
「さて、少し話しすぎてしまいましたね。
あまりこういう事を外で話すと、夜刀神さんに怒られてしまう……。」
食事を終え、ゆっくりと席を立つ小百合。
また、これから仕事に戻るのだろう。携帯電話で何かをチェックしているのが見える。
「さて、では私はこの辺で……おやすみなさい。
……いや、貴女にとっては夜はこれからでしょうか。楽しんでくださいね。」
最後に、優雅に礼をしてから小百合はカフェを後にした。
- 107 :アイリス:2011/04/11(月) 02:09:09 ID:jmYB91Sw0
- >>106
「ああ、そうするとするよ。お休みなさい。」
不死者(ノスフェラトゥ)はカップを傾け、紅茶を味わう。
「少々、“匂う”ね。」
小百合が言った後ろ盾のことだろうか。
この呟きは誰の耳にも入らない。さて、そろそろ行こう。
アイリスが座っていた部分には細かな光の粒が舞い、消えた。
- 108 :アシュレイ:2011/04/11(月) 20:54:09 ID:Tzs1kWfM0
- 【イデアの箱庭・市街戦訓練エリア】
電脳空間に作られた、本物そっくりのビル街。
その道路上に、一台の軍用ジープが停車している。
ジープの周りには三人の兵士の姿があり、ジープのミニガン銃座にも兵士の姿が見受けられる。
と、突然、銃座にいた兵士の頭が血をまき散らして破裂した。
それを見て、ジープの周りの兵士たちが慌てるが、すぐに彼らの頭も順番に同じようになった。
兵士が倒れる音を最後に、道路は静かになる。
<光学測距テスト終了。誤差は正常範囲内>
その光景を、比較的背の低いビルから見る人影がある。
黒光りする超硬化ミスリル装甲に身を包んだ、銀髪の少女だ。
その手にはスナイパースコープの付いた長大なライフルが握られており、その銃口は熱を帯びている。
- 109 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 21:06:21 ID:SSMHlh/20
- >>108
――パチパチ
テストを終えたアシュレイに
どこからか、拍手が送られる。
「鮮やかなものですね。
その細い体でそんな長物を振り回すとは。」
続いて、アシュレイの背後からアスファルトをヒールの踵が打つ音が響く。
路地の暗闇から現れたこの女性は、戦闘の様子を観察していたらしい。
「どうです、この後空いているなら。」
挑発的な視線が、アシュレイへと投げかけられた。
- 110 :アシュレイ:2011/04/11(月) 21:13:54 ID:Tzs1kWfM0
- >>110
「これはどうもありがとうございます。
初めて会う方ですよね? 私はアシュレイ。千夜学園で学生をしております」
アシュレイは頭を下げ、女性に会釈する。
「しかし、この後どう、とはどういう意味ですか?
ここは射撃訓練のために用意されたエリアで、あなたには不釣り合いに見えるのですが」
アシュレイは女性のことを一般人だと思っているようだ。
- 111 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 21:21:22 ID:SSMHlh/20
- >>110
「ふふ、私は千夜グループ都市警備部門主任、黒沢小百合と申します。
アシュレイさん、ですか。我が学園にこんな生徒がいるとは心強い限り。」
(アシュレイ……そんな生徒はいたかな……編入生か……?)
目の前の女性は、千夜学園を経営する巨大コングロマリット、
千夜財閥の治安維持部門の主任だと名乗ったが、どう見ても戦いに向く
体付きをしていない。
「私はこうみえても治安維持部門の戦闘員としても活動をしています。
貴女の先ほどの動きを拝見し、どうしても戦ってみたくなってしまったのですよ。」
柔和な笑みを浮かべ、両手を広げる。
アシュレイなら恐らく、小百合が拳銃を隠し持っている事が分かるだろうが
それで戦うつもりなのだろうか。
- 112 :アシュレイ:2011/04/11(月) 21:32:32 ID:Tzs1kWfM0
- >>111
「はぁ……治安維持部門、ですか」
相づちを打ちながら、アシュレイは小百合が服の中に隠し持っている武器に気付く。
(左の脇に軍用拳銃、右足首に単発の拳銃……腰には軍用ナイフですか。
確かに、普通の女性ではないようですが)
それらの武装は、アシュレイの纏う装甲の前では脅しにもならない。
そんなもので戦うというのだろうか。
と、ここでアシュレイは一つの可能性に気付く。
「もしやとは思うのですが……あなた、能力者ですか?」
- 113 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 21:36:55 ID:SSMHlh/20
- >>112
「さあ、どうでしょうね。
私がここで能力者であるといったところで、
あなたにそれが本当かどうか、分からないでしょう?
もしかしたら嘘を言っているのかもしれない。」
くすり、と口に手を当てて笑う女。
その態度には、どこか相手を小ばかにしたような余裕が感じられる。
「確かめたければ、掛かってくればよろしい。
私は、いつでも相手になりますよ。」
- 114 :アシュレイ:2011/04/11(月) 21:46:19 ID:Tzs1kWfM0
- >>113
「わかりました。そこまで仰るのなら……」
<近接戦闘ルーチンを適用。ヒートナイフを展開>
アシュレイの左手首、その装甲の内側から刃渡り20cmほどのナイフがせり出した。
ナイフの刀身は陽炎を帯びている。どうやら高い熱量を発しているようだ。
「……やらせてもらいます!」
アシュレイは左手を掲げ、ナイフを小百合に向かって振り下ろした。
- 115 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 21:57:14 ID:SSMHlh/20
- >>114
「バカめッ!戦いをまともにやろうとするからッ!!」
小百合に躍り掛かるアシュレイの眼前に、
突如、大量の槍が突き出された。
彼女の周囲には、つい先ほどまで気配など微塵もなかった
大量の『長槍を持った兵士』が展開している。
「その昔、ベンジャミン・フランクリンは言いました。
『悪い鉄から作られた刃物が良かったためしはない。』と。
貴様が、ただの鉄くずかどうか、この私が試してやるッ!」
大量の長槍はたとえ当たったとて、アシュレイの装甲を貫く事はできないだろう。
しかし、『壁』のような役割を果たして彼女の踏み込みを一歩浅くさせ、小百合への近接攻撃を防ぐはずだ。
- 116 :アシュレイ:2011/04/11(月) 22:08:26 ID:Tzs1kWfM0
- >>115
「そんなっ……!」
一瞬にして展開された槍衾を視認し、アシュレイは右足で制動をかける。
足の装甲とアスファルトが摩擦を起こし、火花を散らした。
「いつの間にこんなファランクスが展開されたのですか……くっ!」
アシュレイは最初から持っていたライフルを右腕だけで構え、方陣に向かって2,3発射撃、
同時に脚部のスラスターを吹かして後退した。
- 117 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 22:28:08 ID:SSMHlh/20
- >>116
アシュレイになんらかのレーダーが搭載されているなら、
事態の奇妙さが身にしみて分かるはずだ。この部隊はそれこそ、
如何なるレーダーにも反応せずいきなり、この場所に出現したのだから。
ライフル弾は方陣内の兵士を数人吹き飛ばしたが
なにぶん相手は10や20といった数ではすまない。
あの程度では損害にも入らないだろう。
「さすがに、これでは貴女を倒す事は出来ないでしょうね。
ですから、次はもう少し『時代』を進めてみましょうか……。」
――ヒュゥウウゥゥウッッ!!!
風切り音と共に、上空からアシュレイに飛び込む影。
――B7A1『流星』艦上攻撃機。
日本帝国海軍時代の爆撃機が、そこには確かにいた。
- 118 :アシュレイ:2011/04/11(月) 22:44:19 ID:Tzs1kWfM0
- >>117
「爆撃機!? どうして次から次へとこう……!」
何もない空間から突然、兵士や航空機が現われるものだから、
アシュレイの意識は若干、混乱気味だった。
<レーザーシステム展開。対空攻撃――>
しかし、混乱していても彼女は戦闘用アンドロイド。出てきた物には正確に対応できるように作られている。
肩の装甲からハモニカ構造の出力器が現われ、そこから出力されたホーミング・レーザーが爆撃機を撃つ。
厚く装甲された目標にはあまり効果の上がらない武装だが、航空機相手なら話は別だろう。
レーザーを撃ちつつ、スラスターで道路上を後退し続ける。
既に小百合との距離は、百メートル以上離れているだろう。
- 119 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 22:57:40 ID:SSMHlh/20
- >>118
爆撃機としては軽快な運動性を持つ『流星』とはいえ、
数十年前のレシプロ機であり、ホーミング機能を備えたレーザーを回避するには至らない。
炎に包まれた機体は、ビルに激突し爆散した。が――
「逃さんぞ、『ゼンマイ仕掛け』めがッ!
それとも、貴様はやはり『質の悪い鉄から作られた刃物』なのかァーッ!?」
一機を叩き落したところで、
後から後から後続の期待がアシュレイを追い詰めていく。
小百合の真骨頂は、『大兵力による包囲攻撃』。
特に、遠距離での戦闘は彼女が最も得意とするところだ。
アシュレイの行動は、完全に裏目に出た。
- 120 :アシュレイ:2011/04/11(月) 23:15:47 ID:Tzs1kWfM0
- >>120
「……! 何ですか、この数は!」
次々と現われる爆撃機を見て、アシュレイの目が見開かれる。
<マルチロックに切り替え。対応中……>
驚くアシュレイをよそに、肩のレーザー出力器は順調に爆撃機を墜としていく。
しかし、その影響もあった。
<レーザーシステムによるエーテルリアクター出力占有パーセンテージ上昇。クロノヴェール使用不可>
強力な防御システムであるクロノヴェールであるが、その分出力も食うため、こうした状況では使えなくなるのだ。
「……ならばっ!」
アシュレイは再度、スナイパーライフルを構える。狙いは小百合の心臓だ。
この状況は、もしかしたらあの女性の能力によるものではないか、とアシュレイは考え始めていた。
その推察から、アシュレイは狙いを小百合に向けたのである。
小百合とアシュレイの間の距離は遠い。が、アシュレイに注視していれば、彼女の持つライフルのスコープが光を反射しているのが見えるだろう。
- 121 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 23:33:04 ID:SSMHlh/20
- >>120
「フン、遠距離からの狙撃か……。
なるほど、『私を狙えばよい』ということを勘付いたか。しかしだなァッ!」
熟達した兵士は狙撃銃を使えば、
数百m先からでも目標を攻撃でき、1km以上離れた
超遠距離からの狙撃成功例も多く報告されている。
アシュレイの持つスナイパーライフルは、恐らくそれ以上の性能を備えているはずであり
この距離であれば、小百合を狙撃することなど容易いはず。しかし――。
「この『兵士の群れ』にまぎれた私をどう狙撃する?
なあ、『クズ鉄から生まれたゼンマイ仕掛け』。」
小百合は、狙撃を察知したかのように
最初に具現化した『マケドニアの改良型ファランクス陣形』を構成していた
多数の兵士の中に、身を隠した。これでは、彼女の姿を視認できない。
しかし何故彼女は、何故アシュレイの攻撃の気配を察知したのか?
その理由は、『視覚の共有』にある。
彼女は自分の具現化した物と視界の共有を行うことが出来
爆撃機からアシュレイがスナイパーライフルを構えるのを見ていたのだ。
- 122 :アシュレイ:2011/04/11(月) 23:51:55 ID:Tzs1kWfM0
- >>121
「……くっ」
兵士の群れで小百合を視認できなくなり、仕方なくアシュレイは構えを解いた。
あの兵士たちを一人ずつ撃ち剥がしていたら、間違いなく日が暮れてしまう。
だが、
<装備構成を開始。兵装を切り替え中……>
アシュレイの手にしていたライフルが形を失い、砂のような粒子になっていく。
粒子はその動きを二分し、アシュレイの両手に集まって、何かの形を構成し始めた。
それは、円形に束ねた砲身が特徴的な、金属製の猛獣。
<対物ガトリング構成完了。給弾システム・オンライン>
アシュレイは新たに手にした得物の先を兵士の集団に向け、トリガーを引いた。
20mm弾による、毎分6000発の勢いの雨が、集団を襲う。
- 123 :黒沢小百合:2011/04/11(月) 23:58:15 ID:SSMHlh/20
- >>122
鋼鉄の嵐が吹き荒れた後は何も残らない。
アシュレイの放った弾幕は、古代の軍隊を瞬く間にひき肉へと変えた。
が――。
『彗星』攻撃隊は未だ健在。
それどころか、後から後から送り込まれてくる始末。
彼女は、生きているのだ。
「ふふ、狙われると分かっている場所に留まる愚か者が何処にいる?
さあ、嬲り殺しにしてやるぞ、『ゼンマイ仕掛け』。」
小百合は兵士に紛れ、ビル街のどこかへと逃げたのだろう。
しかし、車輌だとか航空機だとか、何か移動手段を具現化している様子はなかった。
彼女が徒歩で移動したとするなら、まだ遠くまで逃げてはいまい。
- 124 :アシュレイ:2011/04/12(火) 00:10:00 ID:Tzs1kWfM0
- >>123
「…………いない?」
方陣を殲滅した跡に、小百合の死体が無いことにアシュレイは気付く。
陣の背後には、いくつかビルが建っていた。おそらくその中に逃げたのだろう。
「であれば……」
アシュレイはレーザーシステムを停止させ、ガトリングの構成も解く。
レーザーに狙われなくなった爆撃機の編隊がこちらへ爆弾の雨を降らせるが、
アシュレイはシステムから報告された予測落下地点を避けてその雨をやり過ごし、
「っ!」
スラスターを吹かしながら、地下鉄の駅へと退避していった。
- 125 :アシュレイ:2011/04/12(火) 00:11:53 ID:Tzs1kWfM0
- //紛らわしい文章ですが、逃げたわけではありません。
//そこのところ、よろしくお願いします。
- 126 :黒沢小百合:2011/04/12(火) 00:21:33 ID:SSMHlh/20
- >>125
「…………敵も退避したか……。
追ってくるかと思ったが、まあいい……。」
小百合はアシュレイが追ってきた際、
叩き込もうと狭い空間にこれでもかと具現化していた
多数の重機関砲を消し去った。
「……敵が何処に逃げようが、追い詰めて肥溜めに叩き落してやる。」
硝煙の臭いを楽しみながら、爆撃により抉れた道路を一人歩く。
無論、これはアシュレイを誘い出すためだ。
地下鉄から飛び出しての奇襲を警戒し
駅の昇降口に注意を払う。
小百合の裏を掻くには、地下鉄出入り口以外の予想外の場所からの攻撃が不可欠だ。
本体への攻撃が成功すれば、勝負は一瞬で決する。
- 127 :アシュレイ:2011/04/12(火) 00:36:32 ID:Tzs1kWfM0
- >>126
道路を歩いている小百合の後方、地下鉄の排気口の金網が、爆音と共に突如吹き飛んだ。
動きはそれだけではない。その反対側にある排気口も同様に吹き飛ぶ。
駅に通じるエレベーターの扉も爆破され、小百合の対応しきれない速度で、地下鉄に通じる経路が次々と解放されていく。
「……こういう状況のために、光学迷彩が欲しいところですね。
機会があったら機能を追加しておかないと」
どこかで、そんなことを独りごちる声があった。
- 128 :黒沢小百合:2011/04/12(火) 00:48:08 ID:SSMHlh/20
- >>127
「全てを爆破して撹乱のつもりかッ!?
だが、結局お前は『一人』だッ!来るなら、こいッ!」
周囲に円形に兵士を展開、
先ほどの『視覚共有』を利用しどこから飛び出そうと攻撃を加える体勢だ。
爆発によって多少なりとも立ち上がる爆煙や粉塵は
視界を悪くし、アシュレイ有利に働くだろうがこの状況で果たして……。
- 129 :アシュレイ:2011/04/12(火) 01:06:15 ID:Tzs1kWfM0
- >>128
最後の爆破は、付近の駅入り口全てから爆炎が上がる、というものだった。
そして、その爆音に紛れ、小百合の背後にあるビルの8階にある窓を蹴り破って出てくる人影があった。
アシュレイである。
彼女は小百合の頭上を飛び越し、小百合の真ん前に着地。そのまま即座に、その喉元に左腕のナイフを突きつけようとする。
その動きは、小百合にとって目の前に何かが落ちてきたと思うや否や、次の瞬間には喉元にナイフがあるように見えるだろう。
- 130 :黒沢小百合:2011/04/12(火) 01:15:40 ID:SSMHlh/20
- >>129
小百合の注意は、完全に立ち上る爆炎へと向けられ
周囲の兵たちも、上空から迫るアシュレイに気づくものはなかった。
敵は下から来る、という固定観念に捉われすぎていたのだ。
「…………っ!!?」
気づけば、喉元に突きつけられたナイフ。
小百合は、何がなんだか分からないといった風に目を白黒させている。
彼女は己の敗北にまだ気づいていない。
- 131 :アシュレイ:2011/04/12(火) 01:36:20 ID:Tzs1kWfM0
- >>130
「……チェックメイトです、黒沢さん。
あなたの敗因は二つ。それは私の「性能」を見誤ったことと、この街区に関する理解の低さです」
目の前の状況について行けていないらしい小百合に、ナイフを突きつけたまま告げる。
「まず一つめ。お気づきかどうかはわかりませんが、私は戦闘用に作られたアンドロイドです。
その機械仕掛けの兵が、人間の常識範囲内で動くはずがないのです」
アシュレイはナイフを展開していない右手で、自分が出てきたビルを指し示す。
「私の脚部にあるショックアブソーバーは、あの程度の高さから落ちたところでどうこうなることはありません。
あのビルよりも遙かに高い高度からの降下作戦も行えるように、強靱なショック吸収機能とスラスターを兼ね備えているのです。
私の足にあるスラスターを見て、「もしや」と思えば、また展開は違ったでしょうね」
ビルを示していた右手を降ろし、
「それに関連することですが、二つめ。
私が出てきたビルは、地下鉄のトンネルと地下空間が繋がっているビルのひとつです。
この街区はあらゆる意味での市街戦を訓練するためにあります。
トンネルからのビルへの侵入というシチュエーションにも対応しているのですよ」
一息分、置いて、
「以上ですが……何か言うことはありませんか?」
- 132 :黒沢小百合:2011/04/12(火) 01:49:19 ID:SSMHlh/20
- >>131
「あっ……く……。」
小百合は、アシュレイに対して何も言い返す事ができなかった。
彼女を侮っていた事は確かだったし、今回は自分の不注意からこのような結果になった。
「……そん……な。」
彼女は、その切れ長の瞳の端に涙を浮かべ
その場に、がくりと崩れ落ちた……。
【黒沢小百合――戦意喪失。勝者アシュレイ。】
このイデアの箱庭、では死亡しても現実に影響を及ぼさない。
彼女のアシュレイを侮辱する数々の発言が許せないなら、敗北者に止めを刺す事もできる。
- 133 :アシュレイ:2011/04/12(火) 01:59:49 ID:Tzs1kWfM0
- >>132
崩れ落ちた小百合を見下ろしながらアシュレイはナイフをしまうと、小百合の目の前に手を差し出した。
「……立ってください、黒沢さん。あなたには少し、伺っておきたいことがあります」
この手を取って立て、とアシュレイは言っている。
その手を取るかはね除けるかは、小百合に自由が与えられているが……。
- 134 :黒沢小百合:2011/04/12(火) 02:06:25 ID:SSMHlh/20
- >>133
「う……ぅ……。」
手を差し伸べるアシュレイを小百合は
充血して真っ赤になった目で睨みつけた。
「敗者に……これ以上内を聞こうというのですか……!
こんな、初歩的な失態……夜刀神さん、ごめんなさい……。」
彼女は、その場で俯いたまま独り言を呟き、涙をこぼしている。
負けた事が悔しいのは当然だが、小百合が最も許せないのは自分のミスなのだ。
プライドの高い小百合には、自分が許せなかった。
- 135 :アシュレイ:2011/04/12(火) 02:20:03 ID:Tzs1kWfM0
- >>132
「しっかりしてください! あなたはそれでも、都市警備部門の主任なのですか!」
泣き言を漏らす小百合に、アシュレイは言葉を激する。
「あなたは確かにミスをしました。それは動かしようのない事実です。
ですが、実戦ではなく、ここで意識を改めることが出来ただけマシだとは思いませんか?
あなたの能力ならばきっと、次はこのような結果にはならないでしょう」
それに、とアシュレイは続ける。
「あなたが今立ち直らなければ、あなたを主任にしたその人の目がだいぶ曇っていることの証左になりますよ。
それでも良いのですか?」
- 136 :黒沢小百合:2011/04/12(火) 02:27:00 ID:SSMHlh/20
- >>135
「知ったような口を利くな……『ゼンマイ仕掛け』……!
機械ごときが、人間に対等の如く……!」
小百合はアシュレイの言葉を聞き入れようとせず、
敗北した腹いせを逆にぶつける。
「お前なんかに、お前なんかに……!!!」
彼女は、そのまま脱兎の如く駆け出しヴァーチャルの町の中に消えた。
アシュレイは勝つには勝ったが、もしかすると大きな遺恨を作り出してしまったかもしれない。
// この辺で〆でいいかな?
- 137 :アシュレイ:2011/04/12(火) 02:35:55 ID:Tzs1kWfM0
- >>136
「…………ふう」
小百合が去った方向を見ながら、アシュレイはため息をついた。
「人間とはわからないものですね。
言葉の上では、機械も人間もないでしょうに……」
それだけでは割り切れない問題があるということを、まだ幼いアシュレイが気付くことはない。
彼女が人間を理解するには、まだまだ長い時間が必要だった。
//そうですね。遅くまで付き合ってもらってありがとうございました!
- 138 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 21:23:02 ID:LIzoKx..0
- 「何なんだお前は……!
ば、化け物め!」
薄暗い路地の奥で、チンピラ風の男がローブの男に向かって怒鳴りつけていた。
チンピラ風の男は腕がバチバチと帯電している。
発電能力者か何かだろう。
「いきなりカツアゲしてきた癖にひどいなあ」
ローブの男は右腕をローブの間から出し、チンピラに向けた。
その腕は青黒く、最近世間で騒がれている鱗怪人の一人、スケイルベイのものだった。
「ひ、ひいぃっ!」
チンピラは逃げようとするが、青黒い腕から水が飛び出し、
まるでロープのようにチンピラを拘束した。
「発電能力は強力だけどまだ成長過程みたいだからいい怪人にはならなさそうかな……。
成長を期待して怪人にするか……殺しておくべきか……」
- 139 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 21:38:05 ID:8.OPevyc0
- >>138
……ん〜?
【革靴でかつんかつんと地面を打ちながら歩いてくる音】
【やがて路地の奥に、黒い服を纏った女性が現れた】
【その服は――酷く汚れている。布地についた粉のようなものは泥か、砂か、埃か。】
【べたりとへばり付いた液体は赤黒く、異臭を放ち……】
ん?
【死人のように光のない目で、にへら、と笑って首を機械のようにゆっくりかしげる】
【つばの曲がった帽子が頭上で揺れた】
- 140 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 21:45:43 ID:LIzoKx..0
- >>139
「やっぱり殺したほうがいいか……」
「ひっ」
ぺた、と水気のある音を立て、怪人の腕がチンピラの首を掴んだ。
「ぎゃ、ぎゃゴッゴボボッ……ガボボ……」
チンピラの口の中から水が大量にあふれ出し、その場に崩れ落ちた。
ローブの男の腕は、人間のものに戻った。
「うーん、溺死はちょっと残酷すぎたかな……。
まあいいや」
そして、後ろを振り向き、女性を見据えた。
「何やってるのかな、こんなところで」
- 141 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 21:53:02 ID:8.OPevyc0
- >>140
辻斬り。だよ。
【鞘から鍔を浮かせる。全く構えない無形の構え】
【自然に腰に手を当てて気楽そうな棒立ちで】
内緒だよ?
君は、何やってるの?
【今度は逆方向に首をかくん。】
- 142 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 21:58:30 ID:LIzoKx..0
- >>141
「大丈夫だよ、僕が警察なんかに行ったら逆に捕まるからね」
男の表情はフードに隠れて見えなかった。
「言っても理解できるかな……。
まあ、仲間探しってところかな」
再びローブの間から腕を出す。
その手には、紋章が刻まれた小さな鱗があった。
もしかすると、見覚えがあるかもしれない。
- 143 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 22:02:00 ID:8.OPevyc0
- >>142
ふーん……。
【にんまりと赤い目を細めて】
仲間って
【ピンッと左腕を跳ね上げる。暗闇に差す僅かな光に、何かがキラリと光った】
【袖から飛び出したそれをぱし、と左手に取り】
これのことかい?
【いつか倒した、蛾のような怪人の鱗――それを人差し指の先でくるくる回して】
- 144 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 22:10:44 ID:LIzoKx..0
- >>143
「……それは……イグラスの……」
ローブの男が持っている鱗と蛾の怪人から落ちた鱗は、まったく同じ外見をしているが、
ローブの男はどの個体の怪人のものか見抜いたらしい。
「驚いたね、あいつが復活して、既に倒されていたなんて。
でも少し違うよ。僕が探しているのは昔の仲間じゃなく、新しくこちら側に来るべき仲間だ」
ローブの男は顔を上げる。
「……ただ、それはやっぱり返してもらえないかな。
位は違うとはいえ同胞だ」
- 145 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 22:18:31 ID:8.OPevyc0
- >>144
……いひ、いひひひひひ。
【鱗をじーっと眺めて、そして口を横に開いて不気味に笑った】
【暫くはそれを手の上で転がして遊んでいたが、ぽんと軽くベイの方へ放り投げる】
【風もなく、殺気もなかった。ただ不自然なほど彼女には動き『以外』は存在しなかった】
【まるで影が伸びるように――】
...ィイイインンッ
【黒い線が空間へ伸び、鱗をするりと通り抜ける】
【そして、ちん、と柄を納めた。姿勢は変わらず、ただ今の一瞬のうちに抜刀し斬りつけたのだ】
やだ。
- 146 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 22:29:27 ID:LIzoKx..0
- >>145
「……勿体無いな」
鱗は真っ二つになって地面に落ちた。
鱗から、多量のエネルギーが放出され、街に溢れる邪気や魔力の類に混ざっていった。
「それで、君は新しい仲間になってくれるとでも言うのかな」
- 147 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 22:37:38 ID:8.OPevyc0
- >>146
いひひひひ。
【懐から小さな瓶を取り出す。ごく一般的に流通してるワンカップ酒】
【腰を突き出し、ベルトを通す輪に差した刀を見せつけるようにし、酒の蓋を開けて自分の柄に流しこむ】
【普通こんなことをすれば刃や柄糸が腐って使えなくなるだけだが……】
【ぼうっ、と黒い炎が刀の鍔から上がった】
やだ。
【だんっ!と地面を踏み込む。姿勢を低くし、一気に潜り込むように駆けて】
【柄を捻る。天神差しに変えて下から上へ振り上げるように抜刀、黒炎の軌跡がベイの眼前へ伸びる】
- 148 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 22:47:24 ID:LIzoKx..0
- >>147
ローブの男は後ろにのけぞってバク転。
黒いローブが切り裂かれ黒い炎が燃え移るが、突然ローブの男の体が鱗に覆われ、ローブ自体が消える。
頭から順に鱗が剥がれ落ち、男は青黒い色の、マントを羽織った怪人となった。
「まあ、首を縦に振っても面白い能力を持ってないと入れる気は無いんだけどね。
君は……結構面白いけど、仲間と能力が被ってるから、保留ね」
怪人は一方的に女性の能力に評価をつけて、一人で頷いている。
- 149 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 23:00:49 ID:8.OPevyc0
- >>148
ねぇねぇ、その鱗ってなんなの?
【ローブが消えて宙に放り出された炎はぼんと音を立てて膨らみ、やがて燃え尽きた】
【まるで爆弾のようで……。】
能力者をあんな風に改造するのが目的?
【虎姫は右に跳ねて距離を取り、黒炎に包まれた切っ先で地面を引っ掛けて急停止】
【黒炎はその小さな力でもぶわっと広がり、炸裂して地面を吹き飛ばした】
それとも街中で暴れるのが目的?
【爆発の勢いを利用して再加速、ベイに突撃し】
それとも別の……何か?
【腹に向け、腰を捻り加速しての刺突。空気中で炸裂音を立てながら炎の刃が迫る】
【質問はぶつけながら、それ自体には心底関心がなさそうで……嬉々として刃を繰る】
- 150 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 23:16:45 ID:LIzoKx..0
- >>149
「世界征服、とでも言いたいけど、
当面はこの覚醒鱗でエネルギーを集めて、我等が帝王を復活させることかな……」
帝王、鱗怪帝。
全ての怪人を作り出した存在らしい、と一般的には報道されているが、
その実態はまだわかっていない。
「その後は、手始めにこの都市を制圧して、
この世界で最も強力な生物が我々鱗怪人だとアピールして、世界征服はそれから」
怪人は手の平から多量の水を出す。
それは分厚い水の壁を作り出し、炎の刃が突き刺さるが、
怪人に操作された水が刃を包み込み、それ以上は前に進めない。
普通の炎ならそれで消えてしまうだろう。
壁はそのまま虎姫に津波のように襲い掛かってきた。
- 151 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 23:24:11 ID:8.OPevyc0
- >>150
ひっひ、いいね。単純。美しー。
【炎は壁にぶつかると炸裂し水を吹き飛ばす。が、水はすぐ吹き飛ばされた部分を埋め】
【そのまま虎姫の体に向かって襲いかかり】
ふぅッ!!
【柄を掌でくるくると回し、地面にすとんと突き刺す】
【それをしっかり握りしめて身を屈め、水に晒す面積を小さくして踏ん張る】
- 152 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 23:31:28 ID:LIzoKx..0
- >>151
水の量はさほど多くはなかったため、津波はすぐに収まった。
「別に……君をわざわざ手にかける必要は無いんだけど」
空中に、指で何かを描く。
指の軌跡に水が残り、宙に浮く魔法陣を描き出した。
「まだ来るつもりなら……」
魔法陣は、蛾の怪人の翼に描かれていた模様と酷似していた。
- 153 :酒呑屋 虎姫?:2011/04/12(火) 23:37:43 ID:8.OPevyc0
- >>152
…………うーん。
【刀を引き抜いて、杖のように地面について柄尻に顎を乗せる】
【もちろん刃なので体重をかけるとまた地面に刺さってがくんとバランスを崩し】
おっとと…。
【刺さった刀を引き抜いて峰を鯉口に沿わせ、ゆっくり仕舞う。ちょっと思案顔になって】
…じゃあ逃げよ。ひひっ。
【片方の頬だけを釣り上げて嗤い小さく手を振った。まるで敵に向ける態度でない、気さくな態度】
【そして、とんっと地面を蹴る音と共に一瞬で姿を消した。後には風も、残らない】
【まるで今の一瞬が幻のように、女は去っていった】
- 154 :ベイ/ローブの男:2011/04/12(火) 23:44:04 ID:LIzoKx..0
- >>153
魔法陣が崩れ落ち、ぱしゃんという音を立てる
「……まさかこんなところでイグラスと会うとはね……」
再び全身が鱗に包まれ、剥がれ落ちる。
怪人は人間の姿に戻っていた。
ローブは少し焦げていて、切り裂かれたままだった。
「あーあ、出歩かなきゃよかったな……」
ローブの男はそのまま何処かに歩いていった。
- 155 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 21:35:23 ID:prSr2hOIO
- 今日はちょっと寄り道してみようかな……
いつもと同じ学校からの帰り道。なんとなくそんな気になったので今日はいつもと違う道にいってみることにした。
「まさかここまで曲がれないまっすぐな道だったなんて……」
どうやらとても遠いところまで来てしまったらしい。
「どこだろうここ……あれっ」
このあたりは別の高校の校区だったような友達の家の近くだったような……
- 156 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 21:45:40 ID:cskw3E.60
- >>155
「待って……置いてかないで」
走って追いかけてくる少女。
少女かどうか判断に苦しむ部分があるが、ここは年齢準拠で。
「鈴……どうかした?」
首を傾げるアクションをしてみせる。
彼女はここが何処か勿論解っていない。
- 157 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 21:53:26 ID:prSr2hOIO
- >>156
「あれ?ついてきてたのかリョウ。たまには寄り道でもしてみようかなって気になってさ。
この辺ってお前んちの近くじゃなかったっけ?」
先程の独り言より声色と口調を男っぽく変えて答えた。
- 158 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 21:56:05 ID:cskw3E.60
- >>157
「……んー?」
周囲を見渡して首を傾げる。
「さぁ……?」
凄く曖昧な返事。
表情も何処となく不安げ。
- 159 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 21:59:22 ID:prSr2hOIO
- >>158
「あれ?おかしいなあ……確かリョウの家はこっちの方角だったような……」
不安が伝染してきたようです
- 160 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 22:02:40 ID:cskw3E.60
- >>159
「……んー」
異能都市は歪の影響で常に位置が安定しないという。
尤も、気が付いたら帰れている事が多いが。
「多分、こっち」
と、右の曲がり角を指さした。
- 161 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 22:05:40 ID:prSr2hOIO
- >>160
「なんか自信無くなってきたなあ……」
頬を人差し指で軽くかいて
「そっちか」
綾の後ろについていくことにした
- 162 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 22:08:35 ID:cskw3E.60
- >>161
「……食べる?」
手持ちの鞄からチョコレートを取り出した。
半分に分けるとそれを口に運び、残りの半分を差し出す。
「……ん」
綾の家が見えてきた。
何か合ってたみたい。
- 163 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 22:13:50 ID:prSr2hOIO
- >>162
「おう、ありがと」
チョコレートを受け取りぱくり。
「おいしいな、これ……お、やっぱリョウの家の近くだ!」
豪邸を見つけて指差した
- 164 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 22:16:31 ID:cskw3E.60
- >>163
「どういたしまして」
若干丁寧目なお辞儀。
やはり人づきあいに関してのセンスがずれているとしか言い様が無い。
「ん、良かった……」
不安げな表情もつの間にか消え去っていた。
- 165 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 22:26:00 ID:prSr2hOIO
- >>164
「まったく、自分ちの近所くらいちゃんと把握しとけよー。
家の裏で迷子になりましたとかいい笑い種だぞ?」
少し心配そうに笑う。そして綾の後方の店に目がいった。
「あれって何屋さん?」
- 166 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 22:30:44 ID:cskw3E.60
- >>165
「……んー」
解ったような解ってない様な。
そんな曖昧な返事をして、振りかえった。
「……?」
黙って首を傾げた。
きっと見た事も無いのだろう。
- 167 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 22:46:08 ID:prSr2hOIO
- >>166
「最近できたのかな?それにしてはいい感じに古ぼけたというかアンティークな感じというか……」
開け放たれた扉は無垢材の頑丈な作りのようだ。
焦げ茶色の木材部分も真鍮製であろう取っ手部分も丁寧に磨かれ、まさに使い込まれた綺麗さという感じである。
「んー……」
扉の奥に暖簾のように見える夕日が沈んだ直後の空のような紺色の短いカーテンの奥を体をひねりながら見てみると、どうやら雑貨屋のようでもある。
「なんか面白そうだな」
- 168 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 22:50:38 ID:cskw3E.60
- >>167
「……行ってみる?」
ただぼーっと眺めていただけだったが、
鈴の言葉を聞いてそう口に出した。
- 169 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 23:05:48 ID:prSr2hOIO
- >>168
「うん、いってみよーぜ」
肩にかけた教科書の入ったカバンを担ぎ直し、店のカーテンをくぐる。
「わあ……(かわいい……)っ!」
一瞬ほわーっとした顔になるもすぐに顔をひきしめる鈴。
其処にはかわいらしい細工の施された小物や仔猫の置物など、こまごましたものが所狭しと……しかしゴチャゴチャとした感じは与えない感じで並べられていた。
男子高校生のフリをしていても女の子なら思わず喜んでしまうような……とにかくそんな店である。
- 170 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 23:15:33 ID:cskw3E.60
- >>169
「……」
入り口付近で立ち止まり、ゆっくりと首を回して店内の様子を見ていく。
外とは違うな……。等と考えていると、一つの商品が目に留まる。
「……」
少々大きめな白いネコのぬいぐるみ。
- 171 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 23:24:08 ID:prSr2hOIO
- >>170
「……」
チラリと綾の方を見る。
「……」
そしてその視線を追う。
「……(ああ……かわいいぬいぐるみ……)」
やはり顔がゆるんでしまうようです
- 172 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 23:26:58 ID:cskw3E.60
- >>171
「……?」
鈴の視線を感じたのか、振り返る。
そしてぬいぐるみに視線が向いている事を理解したのかこちらもほんの僅かに表情を緩ませた。
- 173 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 23:33:37 ID:prSr2hOIO
- >>172
「なかなかいい感じの店だな。あっ、これください!」
金属製の銀色の猫のストラップを購入した!
- 174 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 23:38:16 ID:cskw3E.60
- >>173
「そうだね……」
鈴の近くによっていき、ストラップを見る。
金属製の其れに目を向け、軽く微笑んだ。
「……可愛いね」
- 175 :霜月 鈴:2011/04/13(水) 23:48:04 ID:prSr2hOIO
- >>174
「なっ、なんだよっ!別にいいだろ!リョウだってあの白いのに見とれてただろー」
ちょっと赤くなった。
「あれっ、もうこんな時間!?バイトに遅れる!ごめんなリョウ、俺帰るな!」
早速ストラップを携帯につけたところで携帯の時刻表示が目に入る。少し急がないとまずい時間だ。
「またなー!」
そう言いながら彼女は既に駆け出していた。
/蓄積された疲労のせいか眠気がヤバいのでこの辺で……すみませんありがとうございました!
- 176 :柊宇都 綾:2011/04/13(水) 23:52:04 ID:cskw3E.60
- >>175
「悪いなんて言ってないよ……ふふっ」
鈴の様子を微笑ましく思い、
同時に彼女が帰ると言いだした事でこちらも時計を確認する。
「鈴……ばいばい。
僕も……帰ろうかな」
そういうと鈴のあとに続き店を後にした。家は目の前だ。
- 177 :『ジボル』:2011/04/15(金) 20:57:20 ID:4sPQDumQ0
- わうわうわーー!!
【路地の角からつんざくような叫び声】
【すぐに四つ這いで吠えながら少年が疾走していき…】
ギャンギャンギャンギャンギャン!!!
【数瞬後、それを追って野良犬の群れがけたたましく吠えながら駆けてくる】
- 178 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 21:19:14 ID:SSMHlh/20
- >>177
「……野犬、か。」
ちょうど仕事を終え、自宅へと戻る途中ちょうどその光景に出くわす。
今日は少し近道をしてみようと路地に入ってみたはいいものの
どうやら、少し治安の悪いスラム街に入ってしまったようだ。
「ひと段落着いたら対策をしなければ……。
このへんは中心部も近いというのに。」
ため息をつきながら歩を進める。
野犬程度なら、襲われても問題なく撃退できる。
- 179 :『ジボル』:2011/04/15(金) 21:35:24 ID:4sPQDumQ0
- >>178
バウ!!
グルルルルル...
【向かってくる女性を見つけると群れの一匹が一吠えした】
【野良犬たちは逃げる少年を諦め、統制のない鈍い動きで小百合に向かい、唸り始めた】
【そのなかでも何匹かは牙を剥き出し、やたらに甲高く吠える……、典型的な狂犬病だ】
【野良犬たちはじりじりと小百合に這い寄り始めている】
- 180 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 21:45:35 ID:SSMHlh/20
- >>179
「可愛そうですがこちらとしても
降りかかる火の粉は払わねばなりませんので……。」
大抵の野良犬は人間の姿を見つけると逃げるか、
それとも我関せずといった風に無視をするものだが、こういった
人に襲い掛かるような個体は治安維持の観点上、処理をしなければならない。
――タタタッ
小百合が袖口から紙片を引き抜くと同時に、
マスケット銃を携えたフランス大陸軍銃士隊が具現化され、
犬の群れに掃射を加えた。
- 181 :『ジボル』:2011/04/15(金) 21:51:58 ID:4sPQDumQ0
- >>180
ギャンッ!
【それが何なのかも知らずに突撃していった一匹に、銃声が突き刺さる】
【金属の小球を撃ち込まれ、次々と野良犬たちは倒れていった】
キャヒン キャイン....!
【おおよそ二十はいた群れはあらかた血を流して倒れ、僅かに残った犬はその惨状に慄いて逃げ出した】
- 182 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 21:56:23 ID:SSMHlh/20
- >>181
「フン……保健所に連絡しておかねば……。
凶暴な野犬が市街地にここまで増えているなど夜刀神さんに知れたらなんと仰るか。」
小百合は犬の血を器用に避けながら、さらに歩を進める。
奇しくも、ジボルが逃げていった方向へだ。
- 183 :『ジボル』:2011/04/15(金) 22:09:11 ID:4sPQDumQ0
- >>182
【一方ジボルはというと…】
……?
【雷のような炸裂音、そしてそれっきり野良犬たちの気配が消えたことに目を丸くして】
【何が起きたのかと壁伝いにそーっと動き始めた】
【地面に鼻をつけ、すんすんっと匂いを嗅ぎながら犬よりもよほど犬っぽく歩き…】
うー…?
【途中で犬と別の匂いがしてきたのに眉根を寄せ(小百合の匂いなのだが)まっすぐそちらへ這っていく】
【まぁつまり…地面に伏せたボロ服の少年が地面を凝視したまま小百合に這ってくるという事になる】
【正直かなり異様な図である】
- 184 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 22:18:34 ID:SSMHlh/20
- >>183
「……これは。」
小百合は、その異様な風体の少年を視認し
露骨に眉をひそめた。
「ストリートチルドレンか……。
この界隈はそれ程寂れているのか?
早急に支援と開発が必要かも知れんな……。」
中心区画から近い地域がこれほどまでに荒れていたとは。
小百合は、少しショックを受けた様子でジボルの横を通り過ぎようとする。
小百合は、彼が野生児だとは知らないのだ。
- 185 :『ジボル』:2011/04/15(金) 22:24:43 ID:4sPQDumQ0
- >>184
……?
【匂いを辿っていると、自分を横切るような形で匂いの場所が移動していって】
【それを追いかけてまた這い続ける】
【小百合が通り過ぎるとその後ろにピッタリくっついて、素手素足でぺたぺたぺた…】
【顔あげろ顔。】
- 186 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 22:30:04 ID:SSMHlh/20
- >>185
「……。」
ぺた、ぺたと足元で響く音。
ふと振り返れば、先ほどの少年が自分の後ろに
ぴったりとついてきている。
「君、何をしているのですか?」
どうせ、こじきの少年が施し欲しさに奇抜なアピールをしているのだろう。
などと考えて小百合はジボルに声を掛けた。
- 187 :『ジボル』:2011/04/15(金) 22:39:37 ID:4sPQDumQ0
- >>186
?
わう!?!
【顔を上げるとすぐ目の前の『ヒト』に驚いて、まるで猫のように跳ねる】
【そしてすぐバック転…というよりは体のしなやかさで、ブリッジから体を転回させ】
…ガウッ!!!!
【吼える。】
【子供の真似にしては精巧すぎるほど、その鳴き声は『獣』として自然な物だった】
【人が人を脅すような単なる大声ではない、相手にショックを直感させる咆哮だ】
- 188 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 22:49:39 ID:SSMHlh/20
- >>187
「っ……!?」
人間離れしたジボルの動きに目を白黒させ驚く小百合。
攻撃しようと袖口に仕込んだ紙片に手を伸ばしたが、『具現化』させる寸前で
その手を止めた。
「……まるで獣だ……なんだこいつは……。
言葉が通じない……のか……?」
敵意は感じる――感じるが、純粋すぎる。
小百合を害してやろう、という悪意からではなく
自分を自衛するため、小百合を警戒したために発せられたナチュラルな殺気が
小百合に攻撃をためらわせたのだ。
距離をとり、遠くから観察を行なう。
本当に言葉が通じないのか、意思疎通は不可能なのか。
それらを探るつもりだ。
- 189 :『ジボル』:2011/04/15(金) 23:01:06 ID:4sPQDumQ0
- >>188
う゛う゛ーーー……!
【歯をがちん、と強く噛み鳴らし唸る】
【だが……相手が動かないと見ると、少し警戒を和らげ姿勢を崩す】
【でも、『元の世界』では見世物として少年を捕獲しようとした人間は沢山いた。だからまだ注意はして】
…まえー。
【犬のように手足をほぼ同じところに揃えておすわり。手枷と足枷がじゃらりと鳴る】
【それから腕を小百合に向けて右手で指差し、声を上げる】
【相手を指さす仕草から『お前』、という仕草なのだが。】
- 190 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 23:13:43 ID:SSMHlh/20
- >>189
様子を見ているかぎりではこちらから動かない限り
攻撃を仕掛けてくる事はなさそうだ。
「……まえ……私、のことですか?」
最低限、しゃべれる程度の知能はある事を確認した小百合は
この少年と少し、コミュニケーションをとることを試みる。
「あなたは、いつからこうしているのですか?
その、手と足の枷はいったい?」
手かせ、足かせを嵌められているという事は昔は人の管理下にあったという事。
その辺を聞き出せれば、何か分かるかもしれない。
- 191 :『ジボル』:2011/04/15(金) 23:23:10 ID:4sPQDumQ0
- >>190
? わー?
【とぼけた顔で『わー』と言いながら自分を指差す】
あ、あえー、あー……
【しかしいつからこうしてるかと聞かれると……いつの間にか異世界から転移していた類だ】
【普通の人でも戸惑い言葉がたどたどしくなる事を説明するには、言語能力が追いつかない】
【手と足、と聞かれると誇らしげに地面に足を投げ出し】
ひと、わー、つ、つかまえ…? たーー、あ〜〜〜……『たいほ』!
わー、『たいほ』、で……えー……ついた!
【かなりざっくばらんな説明だが、『たいほ』は『逮捕』だろう】
【実際この僅かばかりの言語力は、少年が牢に入れられていた間に得たものなのだ】
- 192 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 23:33:37 ID:SSMHlh/20
- >>191
「ふむ、言語能力は不完全、か。」
やはり、説明は無理かと諦めかけたその時、
ジボルの口から飛び出す逮捕という言葉。
「ふむ……逮捕歴があるのか……。
しかし、この少年はそれ程凶悪には見えんが……。」
知能は低いようだし、何か些細な犯罪を犯して捕らえられたのだろうか。
都市の犯罪データベースを調べれば何か分かるかもしれない、小百合はそう考えた。
「あなた、名前はわかりますか?な、ま、え。」
ジボルの名前を聞き出そうと、ゆっくりと言葉をかける。
名前、という概念自体が無いかもしれないが……。
- 193 :『ジボル』:2011/04/15(金) 23:39:18 ID:4sPQDumQ0
- >>192
……
!
【合点が言ったようにうんうんと頷き、自信たっぷりに】
な、ま、え!
【復唱。少年は根本的なところで馬鹿だった】
【その時、手枷がきらりと光った。両手の間の一部、別の金属で作られたプレートが付いている】
【プレートには『No.00322 ジボル』と刻まれている】
- 194 :黒沢小百合:2011/04/15(金) 23:47:48 ID:SSMHlh/20
- >>193
「そうです、名前ですよ。
あなたの名前は……。」
こういった相手には根気が必要だ。
もう少し呼びかければ、なんとか……ん……?
よく見ればプレートには名前が刻まれているではないか!
「ジボル……これがあなたの名前……ですね。
とにかく、このまま放置しておくのは危険か……。」
この様子では、保護者がいるとは思えない。
小百合はジボルを施設にいれることを考え始めていた。
- 195 :『ジボル』:2011/04/15(金) 23:53:32 ID:4sPQDumQ0
- >>194
〜? 〜♪
【なぜか結構気を許し始めている】
なまえ。なまえー。なまえ? なまえ、うまー、か?
【なまえ連呼。食べ物とでも思っているらしい】
【強い力と未熟な知能。通常の施設に入れるには危険すぎるが……今の少年にその力を見いだせるモノは少ない】
【ついてこいと言えばついてくるだろう】
- 196 :黒沢小百合:2011/04/16(土) 00:00:30 ID:SSMHlh/20
- >>195
「いいえ、なまえは食べられませんよ。
名前というのは、個々の物を識別するための……
……だめだ、これではわかりませんね……。」
ジボルへ、名前というものの意味を教えようとしたが
教師でもない小百合ではうまく教えられない。
「……では、ジボル君。おいしいごはんをあげますから
私と一緒に着なさい。体も綺麗にしてあげましょう。」
とりあえず、保護を試みる。
話せば分かってくれそうだ。
- 197 :『ジボル』:2011/04/16(土) 00:06:47 ID:4sPQDumQ0
- >>196
ごはんー!
【なぜ飯関連は分かる。】
【ジボルはにへらにへら笑いながら小百合の後ろにくっついた。だらしないというか素直というか。】
ごはん、なまえ、ごはん♪
【森にはあった木の実も獣も、この街には無い】
【正直ここに来てからロクに何も食べていないのも影響しているだろう…】
- 198 :黒沢小百合:2011/04/16(土) 00:13:47 ID:SSMHlh/20
- >>197
「では、私の後についてきなさい。
少し歩きますけど、家に着き次第料理を用意しますから。」
自宅に向けてゆっくりと歩き出す。
とりあえず、家についたらご飯を与えて
お風呂に入れなければならないな、と考えながら。
- 199 :『ジボル』:2011/04/16(土) 00:20:08 ID:4sPQDumQ0
- >>198
わうー!
【最初と全然違う、喜びようが目に見える吼え声で両手を上げる】
【小百合の背中についていったり、時折横に並んで小百合の顔を覗き込んだり】
【そのはしゃぎっぷりは全くただの子供か、もしくは家犬のようだった】
- 200 :黒沢小百合:2011/04/16(土) 00:29:38 ID:SSMHlh/20
- >>199
二人、いや一人と一匹は
そのまま、ゆっくりと夜の闇の中へと消えていく。
逃げ出しさえしない限り、ジボルは
小百合から食料などの提供、肉親の捜索など様々な
保護を受ける事になるだろう。
- 201 :メルア・クローム/技術開発課 ◆Dix.OeuOIQ:2011/04/16(土) 20:56:58 ID:WVrfsEdY0
- 【AGカフェに独りの銀髪の女性が座っている】
「…ディスは誰にさらわれたのか…
場所は全くわからなかった」
【クリアファイルにギチギチに詰まった資料を見て行った】
「せめて保護することが出来れば…
でもどうしたら…」
【頭を抱えてテーブルに顔をつけた】
- 202 :佐宗スグル:2011/04/18(月) 22:26:47 ID:onviSg/.0
- 日が落ち、ほぼ夜になった時間帯。
そんな中、人が居ない小さめの公園にて。
「やれやれ。不思議だらけのこの次元は、最高の研究場所だね」
真紅の番傘を差した男が地面にしゃがみ込み、白い粉でせっせと術式を書いていた。
普段通りニヤケつつ、軽く鼻歌でも歌いながら。
単に魔法や魔術や異能の試験をするだけならば、先日訪れた『箱庭』を使えば良いのかも知れない。
しかし、『事情』というものはあるのであって。
そんなわけで彼は『静かな公園』という現実世界で試験をする。
「目隠しの魔術とか人避けの魔術とか、そういうのも覚えるべきかな……」
誰か来た時の対策は、全く無い。
さほど危ない実験では無い(はず)だからだ。
そうして更にせっせと術式を書く。
- 203 :ロージェンス:2011/04/18(月) 23:00:16 ID:1sJsd2CgO
- 鎖巻きの黒装束はジャリジャリと夜の異能都市を散策していた。
なにか目的があるわけではない。
あえて挙げれば失くした記憶を取り戻す手がかりを探していると言える。
まぁ、いつも見付からないのだが……。
「……、……」
歩いていると人気のない公園が見えてきた。
いや、人は居た。
鼻唄混じりに地面にイタズラ書きをしている真っ赤な番傘の男が一人。
少なくとも、ロージェンスにはそう見えた。
(……番傘。そういえば、何処かでそんなヤツを探してるのがいたっけな……)
誰だっけ。と、男を見ながらしばらく立ち止まる。
- 204 :佐宗スグル:2011/04/18(月) 23:09:28 ID:onviSg/.0
- >>203
「後は環状に一文か……うーん、めんどい」
彼が書く術式は、異世界の文字の集合体。
恐らく文字通りイタズラ書きにしか見えないだろうか。
「まあ、これもイツカのためだ。やるっきゃないな」
ブツブツ呟きつつ、術式筆記の仕上げに入る。
結構集中しているようで、ロージェンスにはまだ気付いていない様子。
- 205 :ロージェンス:2011/04/18(月) 23:23:30 ID:1sJsd2CgO
- >>204
イタズラ書きの中身はサッパリ分からないが、真剣に書いているように見える。
「ねぇねぇ、ソコのお兄さん。
いったいナニ書いてるのかなぁ……?」
興味本意でロージェンスは歩み寄る。
- 206 :佐宗スグル:2011/04/18(月) 23:35:36 ID:onviSg/.0
- >>205
「よーし出来たぞ、早速起動……うおわっ!」
術式を構成する白い粉がまばゆい光を放ち始める。
と、そこで話しかけられて驚いたスグルは派手にずっこけた。
「うおう、焦ったあ。
何って言われると……うーん、何と言おう。
イツカは「バラすな」て言うんだろうけどなあ」
番傘で顔を隠しつつ素早く立ち上がり、そして思案する。
もう色々と始まっているし、隠しようも無い。
隠す気も(彼には)あんまり無いが。
「うん……あれだ、これは女の子を目覚めさせる儀式なのだ」
番傘の中で首を捻った末に、そう答える。
そんな中、まばゆい光の中心から少女のようなものが召喚され始めた。
- 207 :ロージェンス:2011/04/18(月) 23:55:10 ID:1sJsd2CgO
- >>206
「!?」
あっという間に光に満ちた公園。
手で顔を陰させ、白む視界に目を細める。
白い粉で描かれた発光する記号、こんな反応を示す行為に見覚えがあった。
否、“思い出した”のだ。
「――へぇ、面白い“魔術”ね。ヒトガタを作るなんて、随分と趣味が悪いと思うケド」
光の中から出てくる少女の姿を見て、感想を述べる。
「……赤い番傘の男。何処かの誰かさんが探してるお尋ね者って、アンタでいいのカナ」
- 208 :佐宗スグル&Fe-105(イツカ):2011/04/19(火) 00:06:48 ID:onviSg/.0
- >>207
グル「趣味が悪いって言われてもなあ。
この子は僕の親父の娘だし、うーん、
……っていうか、思ってたより光強いな」
やたら猛烈に光る術式。
そこから現れたのは、濃紺の髪をした半袖短パンの少女。
だが、眠っているのか、固く目を閉じて微動だにしない。
グル「って、お尋ね者? 俺が?
一体誰が通報したんだ……というか、私を探してた人って誰ですか。
そしてお姉さんは警察か何かなのですか」
黒装束に鎖なんて出で立ちの警察は居ないだろうと心の端で思いつつも、
テンパっているスグルはそう訊く。
- 209 :ロージェンス:2011/04/19(火) 00:24:10 ID:1sJsd2CgO
- >>208
「何処の誰だか知らないケド、私に『赤い番傘の男を知らないか』なんて聞いてきたナンパ野郎がいてねー
もしかするとー、お兄さんがその探し人なんじゃないかなぁ。って思ったワケ
ていうか、私が警官に見えるってアンタ頭オカシイでしょ」
けらけらと笑って、装飾品だらけの身体をジャラジャラと鳴らす。
「んーと、もし違うなら違うで私は別に構わないんだケド」
言いながら、微動だにしない濃紺の髪をした少女を見て、ソレ生きてんの?みたいな視線を無言で男に向ける。
- 210 :佐宗スグル&Fe-105(イツカ):2011/04/19(火) 00:37:31 ID:onviSg/.0
- >>209
グル「僕を探してるナンパ野郎……」
ほぼ完全に思い当たった。
番傘の下から覗くスグルのニヤケた口元がピクピクしている。
グル「ジンの奴、もうこの次元に来てんのかい……。
色々と面倒臭そうだぞ、これは。
あと、えっと、えーっと、バカにすんなちくしょー。
色んな可能性ってあるでしょ、色々と!」
元々無い落ち着きが完全に飛んで行き、爪先で地面をげしげし蹴り始める。
ついでに頭オカシイとか言われてもっとテンパってイライラしている。
グル「いや、ドンピシャで俺のことですね。
……っと、そろそろイツカを『運転』しないと」
まばゆい光は大分収まって来ているが、少女=『イツカ』はまだ動かない。
- 211 :ロージェンス:2011/04/19(火) 01:12:52 ID:1sJsd2CgO
- >>210
男のイライラが増す度に、ロージェンスは笑みを深める。
彼女は『嫌悪』や『悪意』、『敵意』などを感じ取れる体質であり、それらを自身に向けられる事を望む性格である故に。
「へぇ、否定しないんだ……」
言外に否定しておけばいいのに、と馬鹿にする。
「――まぁ、面白いもの見せてもらったし。あのナンパ野郎に協力するのも癪だから、聞かなかったコトにしようかな」
踵を返し、公園から出ていく。
//スミマセン、落ちます。
//中途半端でごめんなさいm(__)m
- 212 :佐宗スグル&Fe-105(イツカ):2011/04/19(火) 01:27:35 ID:onviSg/.0
- >>211
グル「だって否定する理由が見つからないもの。
……くそっ、笑うなっ」
ぐぬぬぬ、とニヤケながら歯ぎしりするスグル。
グル「あっ、何処行くんだ!
っていうか、お姉さんは何者だ、こら!」
ロージェンスの後ろ姿に叫ぶ。
が、諦めて固まったイツカのほうへ向き直ることにした。
グル「……まあいいか。とりあえず『天使』を呼ぶのには成功っと。
よし、そんでは……『目覚めよイツカ、か弱き者に救いを』!」
跪き、祈るように指を組み、そして唱えるスグル。
しかし何も起きない。
グル「あ、あれ? め、『目覚めよイツカ』! イツカーッ!」
しかし何も起きない。
まさかの『故障』か――
//了解です、ありがとうございました〜
//俺も寝よう……
- 213 :黒沢小百合:2011/04/19(火) 23:35:19 ID:SSMHlh/20
- 異能都市郊外。
住宅も少なく、どちらかといえば
拡張工事中の道路や建設中のビル群が目立つ地域に小百合はいた。
千夜関連企業の視察に一日を費やした小百合は、
自宅に戻る前に、いくつかの自販機とベンチが置かれただけの
無人休憩所に立ち寄っていた。
「ふう、さすがに働き詰めでおなかが減ってしまいましたね……。
なにか、食べる物は……。」
自販機を物色すると、おあつらえ向きに飲食物の自販機を見つけた。
店で買うよりも割高なのだが、こういった自販機は妙な魅力がある。
「ホットドッグ400円……やきそば……ううむ……。
ここは焼きおにぎりで決めよう。」
- 214 :ゆすら:2011/04/19(火) 23:45:29 ID:5NHpGi2M0
- >>213
「わーっ、待たぬかー!」
ガサガサという音と一緒に、そんな子供のような声が聞こえる。
小百合のいる休憩所からは、大きめの地図が風に飛ばされている様子と、
それを走って追う巫女装束の子供の姿が見えるだろう。
- 215 :黒沢小百合:2011/04/19(火) 23:49:53 ID:SSMHlh/20
- >>214
「ゆ、ゆすら様……!?」
げえっ!ゆすら!
とばかりに目を見開いて驚く小百合。
まさか、神を名乗る彼女がこんな
神聖さも欠片もないところにいるとは思わなかった。
「と、とりあえず……。」
兵士を具現化して地図をキャッチしようとこころみる。
- 216 :ゆすら:2011/04/19(火) 23:59:47 ID:5NHpGi2M0
- >>215
「お……おお! 小百合どの! 良いところに!」
小百合の具現化した兵士が地図を掴んだのと、休憩所に小百合がいるのを同時に見たゆすらは、
驚きと嬉しさが混じった顔になる。
「ふぅ……ふぅ、す、すまぬな小百合どの……。助かった。
その地図をなくすわけにはいかなかったゆえ、ぬしがいたのはほんに僥倖じゃったよ……」
小百合のところまで走ってきたゆすらは、肩で息をしながら小百合に礼を言った。
「それはこの界隈の地図でな、どうもこのあたりに私が仕事をしなくてはならぬ場所があるらしいのじゃ」
ゆすらが指さす地図には、所々赤い×が付いている。
- 217 :黒沢小百合:2011/04/20(水) 00:05:44 ID:SSMHlh/20
- >>216
「いえ、ゆすら様には以前、
清めていただいた恩がありますから、この程度のことなど。」
小百合はちょうど夜食にありつくところだったらしく、
膝の上には笹の葉っぱ風のプリントがされた紙袋に入った焼きおにぎりと、
緑茶のペットボトルがあるのが見て取れる。
自販機で売られているジャンクフードではあるが
まだまだ肌寒い異能都市の夜には格別のご馳走となるだろう。
「ふむ、この赤い×印は……例の地脈だか、龍脈だかの?」
小百合は、地図の内容に興味を示したようだ。
- 218 :ゆすら:2011/04/20(水) 00:17:28 ID:5NHpGi2M0
- >>217
「そのとおりじゃ、小百合どの。
印は何らかの影響で龍脈の流れが切られている場所を示しておる」
ゆすらは走ってきて疲れたのか、小百合が座っているベンチに自分も腰を落ち着けた。
「他の街ならそこに行ってちょちょいと直してやれば済む話なんじゃが……。
ここは特殊でな」
ふぅ、とため息をつく。
「そういう場所は大体澱んでおって、しかも「良くないモノ」が住み着いている場合が多いのじゃ。
……悪霊とか、妖怪といった類の奴らじゃな」
ゆすらは既にそういった輩と一戦交えてきたらしく、
白衣の袖が少し千切れてていたり、緋袴の裾が土で汚れたりしている。
- 219 :黒沢小百合:2011/04/20(水) 00:23:02 ID:SSMHlh/20
- >>218
「ふむ、そういった魑魅魍魎の類が
『龍脈』の乱れになっていると?」
小百合は、印がつけられた場所を指でなぞり
時折、地名をぶつぶつと呟いている。
「それらの障害を排除すればよいのでしょう?
場所が分かっているのなら簡単です。今からでも、ナパーム弾を
一箇所一箇所、しらみつぶしに叩き込めばよい。」
現に、小百合の力を使えばこの場所からそれが出来てしまう。
- 220 :ゆすら:2011/04/20(水) 00:35:26 ID:5NHpGi2M0
- >>219
「なぱーむ? ……ああ、焼夷弾のことか! ぬしは存外物騒じゃのう!」
物騒とか言いながらも、ゆすらはどこか楽しそうだ。
「いやいや、逆じゃよ小百合どの。
悪霊が棲むから龍脈が乱れるのではなく、
龍脈が乱れたから悪霊が棲み着きやすい環境になっておるのじゃ。
おそらく、どこぞの能力者がそこで何ぞやらかしたのであろうな。
戦いか、大きな力の発動か……まあ、今は関係のない話かの」
地面についていない足をぶらぶらさせて、
「ともかく、焼夷弾はナシじゃよ小百合どの。
ここいらは色々なものが出来つつある場所なのじゃろ?
それを壊してしまったら元も子もないでな」
- 221 :黒沢小百合:2011/04/20(水) 00:43:20 ID:SSMHlh/20
- >>220
「なるほど、大抵こういうものは
そういった者どもが悪さをして起こるのだとばかり思っておりました。」
ふむ、と感心したように頷く小百合。
「作っている最中ですし、まだ完成していないのでしたらどうにでも出来ます。
……ともかく、ゆすら様がそうおっしゃるならこちらとしてもそういった手段はとりませんが。」
と、ゆすらにも例の焼きおにぎりが差し出された。
小百合は先ほど具現化しておいた兵士に命じて、ゆすらの分も買わせていた。
- 222 :ゆすら:2011/04/20(水) 01:00:47 ID:5NHpGi2M0
- >>221
「これは……良いのか、小百合どの?
先日の銭湯のときといい、今日のおにぎりといい、
ぬしには色々世話になっておるのう……」
貰ったおにぎりを大事そうに抱えながら、ゆすらはふふっと笑って、
「これでは、どちらが年上かわかったものではないな。
時間ができたらまた、神社に寄ってくれよ、小百合どの。
ぬしに会わせておきたい者もいるし、ちょっとした礼の品を供したくもあるのでな」
会わせておきたい者、とは最近神社に移り住んできた横島なつきのことだ。
しかし、小百合となつきが既に面識があることなどつゆほども知らないゆすらは、ここでその名を出すことはなかった。
- 223 :黒沢小百合:2011/04/20(水) 01:06:11 ID:SSMHlh/20
- >>222
「ええ、また神社には寄らせてもらいます。
……定期的に、あの『お祓い』を頼んでも良いでしょうか?」
己の命を汚しながら戦っているなど小百合にとっては寝耳に水。
もしかしたら、例の穢れに対し少しナーバスになりすぎているのかもしれない。
「私の仕事は、この都市を守る事。
少しでもコンディションをよくしておかねば、
重大なミスをしてしまってからでは遅いですから……。」
少し思いつめたような表情。
負け続きの小百合は、結局ゆすらのお祓いを受けても模擬戦に勝つ事ができなかった。
彼女はそれを非常に気にやんでいるのだ。
- 224 :ゆすら:2011/04/20(水) 01:17:44 ID:5NHpGi2M0
- >>223
「定期的になどと言わず、来たいときはいつでも来てよいよ、小百合どの。
あれくらいのこと、大した苦労もないし、何よりぬしに会うのが嬉しいのもあるでな」
ちょっとクサかったかの、と言ってゆすらはほんのりと色づいた頬をかいた。
しかし、落ち込んだ様子の小百合を見て、居住まいを正す。
「……何があったかは訊かぬよ、小百合どの。
じゃが、ぬしは気負いすぎている気がするよ。
ぬしのその仕事は、ぬしだけでやっていることではなかろ?
誰ぞ、頼れる者はおらんのか?」
- 225 :黒沢小百合:2011/04/20(水) 01:26:37 ID:SSMHlh/20
- >>224
「頼れる者、信頼できる者はいます。
しかし、私が全てを行なえばそれ信頼など必要ない。」
きっぱりと言い切る小百合。
「普通こういった仕事は個人では不可能であり、
必ず統制された組織が必要になる。私は、それを一人で行なえる能力を授かった。
いわば、私は細胞の一つ一つまで指示を下せる巨大な生き物のようなもの。
この才能を眠らせておく事など、私にはとても。」
- 226 :ゆすら:2011/04/20(水) 01:33:15 ID:5NHpGi2M0
- >>225
「ふうむ……そうか」
ゆすらは小百合の言葉をそう言って受けただけで、それ以上何かを言うことは無かった。
「……これは、年の功の出番かの。
小百合どの、この後少し時間があるかな?
どうも龍脈より、ぬしの方が深刻そうじゃ」
ベンチから降りたゆすらは、小百合の方を振り返らないまま、そう言った。
- 227 :黒沢小百合:2011/04/20(水) 01:44:34 ID:SSMHlh/20
- >>226
「いえ、私は今日はそろそろ帰らねば……。
明日に響いてしまいます。ゆすら様に付き合いたくはあるのですが
私は、夜刀神さんの下僕であり、彼女の意が第一なのです。どうかご容赦くださいませ。」
さゆりは時折もそもそと口に運んで小さくしていた
おにぎりの最後の一欠を口に放り込んで。
「では、ゆすら様。おやすみなさい……。」
小百合は高級車を具現化し、それに乗り込む。
ガオン、とエンジンが一震えすると共に、車はゆっくりと加速して夜の闇に消えていった。
- 228 :ゆすら:2011/04/20(水) 01:54:49 ID:5NHpGi2M0
- >>227
「わかった。では、また近いうちに、な。
……おやすみ、なのじゃ」
小百合が去る音を聞きながら、ゆすらはずっと背を向けたままその場に佇んでいた。
「……ふふ、嫌な感じ、じゃな。展開次第では嫌われてしまうやも知れぬな」
地図を小さく折りたたみ、次に目指していた場所が表示された部分だけを残す。
「では、私も仕事に戻るか。
これで小百合どのの心労も、少しは和らげば良いのじゃがの……」
声の調子を落としながら、ゆすらも休憩所を出る。
その腕には、少し冷めたおにぎりが抱えられていた。
- 229 :鳶貴:2011/04/24(日) 00:37:19 ID:Yly1ZzBM0
- 異能都市:歓楽街
アミューズメントバー
人通りの少ない場所に位置し、ビル群の中で地下へと続く階段の先にその店はあった。
薄暗い店内に人気は全く無く、ビリヤード台で遊んでいる男が一人いるだけ。
表の看板に書かれた通りの「営業中」であるとは言い難い光景だった。
ゲームテーブルの外枠に通話状態の電話を置き独り言のように喋っている。
「…随分と呆気なかったな。始末するのに五分とかからなかった。
バックにギャングだのマフィアだの裏組織がいるだのと延々喚いて
俺を脅しながらも半ベソかいていたよ。」
にやにやと思い出し笑いをしながら手球を突く。
バーカウンターの奥で首を擡げ寝転がっている物がその相手だったのだろう。
「次のエモノは博物館か…遺体は剥製にでもして展示したら気付かれないかも。
…そういえば公安の人間から聞いた話なんだけどね…。」
「盗難にあった魔導書を扱う施設。持ち出された写本。国際指名手配者。…この辺りも面白そうだろ?
ひょっとしたら、我々が探している『次元物質』に関して何か掴めるかも…。」
テーブル上に残った最後のボールを勢いよく回転した手球で弾き、手球もろとも隅のポケットに落とす。
「…余裕ができたら調べるよ。今は外回りだの何だの表の仕事が意外と忙しくなっちゃってさ…。」
血の臭い漂う場には不釣合いな、落ち着いた音色がジュークボックスから流れていた。
- 230 :テルメス/ニット帽の男:2011/04/24(日) 22:07:16 ID:ste/2NNA0
- 【コンビニ】
パイロットニットを被った男がアルバイト雑誌を立ち読みしていた。
「んー、やっぱりこれかな……。
あ、でもこれも捨てがたい」
男はぶつぶついいながらページをめくる。
店員が不機嫌そうな顔をしているのを見ると、それなりに長居しているようだ。
- 231 :黒沢小百合:2011/04/29(金) 21:43:40 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「…………結局、戻ってきてしまった……。」
あれから一週間もたたぬうちに、結局小百合は
保養地を抜け出して都市へと戻った。
そのまま仕事にも復帰しようとしたのだが、
部下の必死の説得と本社常駐の医者による静止によって仕事にならず、
結局退社。
「……今日は霧が濃いですね……。
まるで霧の都ロンドン、とでもいったところか。」
手持ち無沙汰になった小百合はいつものカフェを訪れ
霧の海に沈んだ都市の風景を窓から眺めるのだった。
- 232 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/29(金) 21:58:27 ID:onviSg/.0
- 霧を掻き分けるように、真紅の番傘を差した男とメイド服の少女は都市を彷徨う。
グル「うーん、なんでイツカはエラー吐いてるんだろう? 湿気かな?」
ロナ「息子様の日頃の行いが悪いからではないのですか?」
グル「いや、僕は超が付く善人だし……っと、ここでちょっと休んでこうか」
>>231
グル「お邪魔しまーっす……」
ロナ「ええ、特にその傘がお邪魔でしょうね」
グル「だまらっしゃい」
店内に入っても、番傘の男――スグルは番傘を閉じない。
それを、メイド服の少女――クロナは無表情で突く。
グル「あ、おや。えーっと、貴女は……黒沢小百合さん、でしたっけな。
なんか酷い霧だこと……見通しが悪いのを良いことに事故でも起きなきゃ良いですが」
会ったことのある顔を発見して、スグルは声を掛ける。
いつも通り番傘で顔を隠し、白い顎だけを覗かせながら。
- 233 :黒沢小百合:2011/04/29(金) 22:07:35 ID:SSMHlh/20
- >>232
「ああ、これはどうも……。
そちらは、ご友人で……?」
見知った顔を見つけた小百合は
穏やかな表情を浮かべ、挨拶を返した。
しかし、メイド服の少女を引き連れて歩いているのを見るのは初めて。
友人か、と聞いた後にもしや従者か、とも思ったが。
「既に事故は把握しているだけで5件。
前が見えないほど霧が出ていればこうもなる。」
出社できなかったとはいえ、小百合は能力を使い都市の様子を監視していた。
今のところどの事故も順調に処理しているようだが、手に負えない事態が起これば
それを口実に仕事復帰するつもりなのだ。
- 234 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/29(金) 22:19:55 ID:onviSg/.0
- >>233
グル「いや、『部下』って呼ぶのが正式ですね。
厳密には私じゃなくて俺の親父の部下なんですけどねえ。
クロナ、自己紹介でもしときなさい」
ぽんぽん、とクロナの肩を叩くスグル。
そんなスグルを見上げ、クロナは問う。
ロナ「息子様。私が人工天使である旨も名乗っておいた方が良いのですか?」
グル「そういう相談は小さな声でするもんだと思うんだけど?」
ロナ「ええ、気が付きませんでした」
ひそひそとは言い難い声量の相談の後、一歩前に出てお辞儀をし、クロナは簡単に名乗る。
ロナ「“五臓会”の一角たる“肺臓”の部下、Fe-107です。
人工天使という種族に属しています。
呼ばれ名はクロナです、どうぞよろしく」
自己紹介を見守って、今度はスグルが喋り出す。
グル「あら、もうそんなに……。
まあ、『事故』ならまだ良いかも知れないですけどねえ。
『事件』にでも発展しないか心配ですわ」
- 235 :黒沢小百合:2011/04/29(金) 22:34:02 ID:SSMHlh/20
- >>234
「ほう、部下の方ですか。
なるほど、これは見目麗しい……。」
何気ない会話の中に混じる『人工天使』という聞きなれない単語。
人工、という響きから推測するにホムンクルスか、アンドロイドの類か。
「失礼ですが『人工天使』というのは?
Fe-107という形式番号――いえ、名前が表すように
『これ』は作られた物なのでしょう?」
クロナにはまったく興味が無いように、スグルだけを見て質問を行う。
『これ』という、物を指して使うような呼び方をしたことから、
小百合がクロナを『人工物』として考え、生命であると考えていない事が分かるかもしれない。
- 236 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/29(金) 22:51:23 ID:onviSg/.0
- >>235
グル「親父が頑張って精霊を狩って、それを圧縮して生み出した生物……的な感じかな。
完成までの過程は僕も詳しくは知らないけど」
精霊をどう圧縮すれば、天使の力の欠片たる『天使細胞』になるのか。
それをどうやって人の形に纏めて、どうやって(人工の)魂を縫い付けたのか。
それは、絶賛失踪中のスグルの父しか知らない。
グル「あ、あとさ……クロナのことは普通の人みたいに扱ってくれれば嬉しいのですけれど。
まあ、コイツは何から何まで人じゃないですけど、コイツが自分の意思を持つ以上は……」
人でない以前に、生き物だとも見られていない。
そんな気が何となくして、意見しようとしたスグル。
ロナ「構いませんよ、息子様。マスタも、私自身も、私を人だとは一切思っていませんから」
グル「……本人はこう言ってるけど、うん、まあ、そういうことで」
余計なことを言ってそれを無駄にするクロナ。
- 237 :黒沢小百合:2011/04/29(金) 23:02:00 ID:SSMHlh/20
- >>236
「ふむ……精霊を圧縮……。
魔術に関しては門外漢である私にとって、
どこをどうすれば、目の前のコレになるのか理解できませんね。」
小百合はそういって、クロナのあごに手をやり
瞳などの繊細な部分がどうなっているのかを観察しようとしたが。
「おっと、そうですね……こちらとしても、礼を欠いたな物言いであると認めましょう。
申し訳ございません、クロナさん。」
表面上だけではあるが、表情を取り繕ってクロナに非礼を詫びる小百合。
しかし、本心では無機物である彼女に興味を抱けなかった。
- 238 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/29(金) 23:21:02 ID:onviSg/.0
- >>237
グル「真剣に魔術やってる俺様でも良く分からないんですから、難しいかもですなあ。
何のために生み出されたのかすら聞かされてないし。
そもそも此処とは違う世界で生まれたんだし、『世界の法則の違い』とかも関係あるかも……」
彼の出身世界と、この異能都市がある世界。
物理法則や『表の歴史』や文化にこそ致命的な大差は無いが、
神の意味や種類、精霊の組成などは恐らく違う。
どちらにしても、外見だけでクロナが人でないと見抜くのは難しい、と思われる。
喋ればすぐボロを出すのだが。
ロナ「いえ、気にしないで下さい。人や生き物と思われないほうが、私も生き易いので」
グル「僕としてはもうちょっと人らしく、というか、女の子らしくして欲しいんだけどな」
ニヤケた口から、呆れたような溜息を吐くスグル。
と、何か思い出したように問いを紡ぐ。
グル「そう言えば、アンドロイドみたいな人造人間って、この世界では一般に普及してるんですかね。
私はそういう存在をこの都市では、恐らくまだ一度も見てないのですけれど」
メイドロボとか兵士ロボとか、そういうのは見えないところにいっぱい居るのかも知れないが。
- 239 :黒沢小百合:2011/04/29(金) 23:33:48 ID:SSMHlh/20
- >>238
「……分からないもの同士でいくら考えようと、
時間の浪費になるのは目に見えていますね。
すいません、なんだか変な話題を振ってしまったようで。」
空気を変えようと、小百合は密かに厨房に料理人を具現化させ軽食を作り始めた。
とんとんと楽しげに振るわれる包丁の音、微かに漂うオリーブオイルの香り。
食欲が掻き立てられる食事処独特の要素だ。
「アンドロイドは私も目にした事がありますよ。
精巧なもの、魔術を動力にした人形に近いものなど形態は様々ですが。
一般に普及、というほど広まっているようには思いませんが……。」
小百合の表情に一瞬だけ、イラツキの色が混じる。
彼女はすこし前にアンドロイドに敗北したことを未だに根に持っているのだ。
- 240 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/29(金) 23:50:46 ID:onviSg/.0
- >>239
グル「うん、それが良い……おや、調理が始まった気配?
そう言えば、店員らしき人をまだ見かけていないような」
オリーブオイルの香りをちゃっかり嗅ぎ取りつつ、ちょっときょろきょろしてみるスグル。
グル「なるほど。その辺の技術レベルは、俺の世界と似たようなもんなわけですな……」
ロナ「人間はズボラですから、普及してないほうが良いと私は思いますよ」
グル「偉そうなこと言っちゃって、まあ。人間ナメちゃダメだぜ?」
小百合の表情の変化には、スグルもクロナも気付かなかったらしい。
呑気に会話している。
- 241 :黒沢小百合:2011/04/30(土) 00:02:38 ID:SSMHlh/20
- >>240
――コトッ
そんな二人の前に差し出されたのは
サンドイッチとコーヒーのセット。
小エビのフライと幾つかの野菜が挟まれ
オリーブオイルをベースにしたソースがふんだんに使われた
サンドイッチは目の前に置かれると、一層食欲をそそられる。
「ふふ、先ほどは変な話をしてしまいましたからね……。
そのお詫びとして、先ほどシェフに作らせたのですが……。」
既に具現化したシェフの姿は消えている。
もし、二人が会話に夢中になっていたならひとりでに料理が出てきたかのように
思えるかもしれない。
- 242 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/30(土) 00:20:59 ID:onviSg/.0
- >>241
グル「おお、サンドイッチか。美味しそうだなあ。
お詫びだなんて……いやいや、しかし有り難い」
ロナ「ええ、確かに美味しそうです。早くいただきましょう」
顔を隠していても、声からして明らかにテンションの上がっているスグル。
表情も声も変わらないクロナ。
グル「こっちに来てから、あんまり美味しいモノ食べてないのよな……。
給料安くても良いから、俺みたいなダメ男でも出来る仕事は転がってないかしら。
……うん、美味しいぞ、これ!」
異世界から持って来ていた金細工を売ってどうにか食い繋いでいるのが彼らの現状である。
ロナ「そう言えば、何時の間にシェフが来ていたのでしょう? そもそも来ていたのですか?」
グル「さあ?」
少なくともクロナの方は全く気付かなかったらしい。
- 243 :黒沢小百合:2011/04/30(土) 00:31:01 ID:SSMHlh/20
- >>242
「ふふ……。」
二人の――いや正確には、
スグルの喜ぶ様子を見て穏やかに笑う小百合。
「仕事が無いのでしたら、私が斡旋して差し上げましょうか。
あなたは、以前の戦闘中に的確な治療を行い
何人もの命を救ったと聞いています。相当に優秀な医者なのでしょう?」
以前の戦闘とは、あの大規模な暴動の事だろう。
- 244 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/30(土) 00:43:58 ID:onviSg/.0
- >>243
グル「……なあ、クロナ。私って医者だったっけ? 確か研究者だったような……」
ロナ「ニートでしょう?」
グル「だまらっしゃい、俺は夢を負うフリータだ」
自分が結局何なのか、スグル自身も良く分かっていない。
暫定とはいえ、組織の研究員の裏序列で二番目に偉い名を持つのだから、研究者なのだろうか?
一番実用的で一番役に立つのは治癒魔術なのだから、医者を名乗るほうが良いのだろうか?
グル「以前の……ああ、あの暴動の時のアレか。
……まあ、医者ってわけじゃないですけど、治療はそれなりに得意ですからねえ。
それで良い働き口を貰えるのなら、それこそ有り難いところです」
番傘を脇に差し、腕を組んで唸りながら頷くスグル。
ロナ「むう、美味ですね。是非レシピを訊いてイツカに教えたいところです」
メイド服を着ている癖に、自分で料理する気は無いらしいクロナ。
- 245 :黒沢小百合:2011/04/30(土) 00:57:26 ID:SSMHlh/20
- >>244
「分かりました。では、また後日連絡します。
今はすこし、仕事に関わる事ができない理由があるのですよ。」
ふぅ、とため息を吐き出して。
湯治場での治療はうまくいき、既に体の調子は戻っているのだが
それでも仕事に関われないもどかしさを小百合は感じていた。
「ではもう遅いですし、私はそろそろお暇しますね……。
最後に、連絡先を教えていただけますでしょうか?」
- 246 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/30(土) 01:11:04 ID:onviSg/.0
- >>245
グル「都合があるなら仕方無いですな。
連絡先は……こないだ作った名刺でいいか。ではお願い致します」
ポケットから名刺を取り出し、それを差し出すスグル。
名刺には彼の偽名や役職の他、解読不能な異世界の文章が幾つか刻まれている。
グル「まだ霧が濃いでしょうし、気を付けて下さいよ?
イツカは――もう一人の部下は目が良いし、此処に居れば付き添いさせるんだけどなあ」
此処に居る居ない以前に、現在イツカは原因不明の不具合まみれなのだが。
- 247 :黒沢小百合:2011/04/30(土) 01:18:47 ID:SSMHlh/20
- >>246
「……ふむ。」
(初めて見る文字ですね……まあ、
どちらかといえばそちらのほうが多いけれど……。)
他の世界からの来訪者も数多いこの都市で暮らす小百合も
手渡された名刺の文字を読み取ることは出来なかった。
ともかく、名刺は名刺。これで連絡を取る事ができる。
小百合はそう思いつつ、名刺入れにそれをしまいこんだ。
「ええ……問題ありませんよ。
霧の街を歩くというのも中々楽しそうですしね。では……。」
最後に軽く一礼し、店から立ち去る小百合。
- 248 :佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/04/30(土) 01:31:43 ID:onviSg/.0
- >>247
グル「うむ、確かに楽しそうではある……はい、お疲れ様です」
ロナ「ええ、また会いましょう」
立ち去る小百合を見送り、スグルはうーんと伸びをする。
クロナは結局表情を一度も変えなかった。
グル「定まった職ゲット……かな?
さて、スグル達も帰ろうか」
ロナ「どうせなら、今日の実験結果を纏めてから帰りませんか?」
グル「そうだなあ……うん、軽く考察まで済ませて帰ろう、そうしよう」
その後しばらく居残り、そして借家へ帰って行くスグルとクロナだった。
//ありがとうございましたー、今日も遅いレスで申し訳ない
- 249 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/01(日) 21:52:36 ID:ste/2NNA0
- 「どうしようかな……」
街のとある路地で、男は悩んでいた。
「幹部は後付回してくるし、変な研究者には正体ばれるし……。
このまま街を出るのも癪だしなあ……」
突然、男の体が一瞬だけ鱗に覆われ、元に戻る。
男は壁にもたれかかり、へたり込んだ。
「――っ!しかも能力は暴走気味って?
……早いところ身の振り方考えないと……やばい」
- 250 :サラ:2011/05/01(日) 22:18:10 ID:bYREkklM0
- >>248
「なーんか胡散臭い奴ばっかりだなぁ、この街……」
と、その路地に通り掛かる影がある。
ふわふわの金髪にアカデミックドレスを纏った年頃の女だ。
派手な色使いは学者とも聖職者とも違う、見るからに魔術師、といった出で立ちである。
「っと……」
鱗に覆われる瞬間は見届けていないが、いわゆる第六感に優れた彼女は、
壁に背を預けてへたり込んでいる男が人間でないことを察し、一旦は口を噤む。
が、それを放って目の前を通り過ぎるか、というと自分の好奇心がノーと告げる。
「……だ、大丈夫ですかい、あんた」
結果、おおよそ一番無難という声のかけ方になった。
真心からの言葉ではないが、その表情にも声にも、害意はない。
- 251 :サラ:2011/05/01(日) 22:22:12 ID:bYREkklM0
- //あんかーみす失敬!一応修正です ×>>248 → ○>>249
- 252 :鳶貴:2011/05/01(日) 22:22:44 ID:DOElDTKU0
- >>249
「……おやおや、そんな所でどうなされました?」
寄り掛かった壁の角先から人影が覗いている。
男にかけられた声の主はいかにもといったスーツ姿の男。
「また後ほどかけ直しますよ…それでは…。」
手にしていた携帯電話を懐にしまう。
「……気分でも優れないのですかな?」
- 253 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/01(日) 22:27:46 ID:ste/2NNA0
- >>250
男は声を掛けられ、一瞬ビクッとする。
しかし、害意を持っていないとわかると態度を正す。
「あ、ああ。
大丈夫だよ、酔っ払いみたいなもんだと思ってください」
別に顔色が悪いわけでもなく、男は健康そうだ。
「こんなところで俺みたいなのが倒れてるから、胡散臭い奴ばっかりの街だと思われるんだ」
男は悪びれるように言った。
先ほどの呟きが聞こえていたらしい。
>>252
「少しめまいがしただけだよ」
男は立ち上がる。
ふらふらとするような様子はない。
「すいません、電話の邪魔したみたいで」
- 254 :サラ:2011/05/01(日) 22:41:49 ID:bYREkklM0
- >>252
現れたスーツの男に、サラは一瞬どきりとする。
尋常の人間ではないものを纏っているのを確認すると、さっと目を伏せた。
憔悴しているように見えた男とは違い、ぴしりと身なりの整った相手は、少し怖い。
>>253
「あぁいや……胡散臭いのはお互い様」
顔を上げるまでは表情が分からなかったが、
見れば特別に不調が滲んでいるわけでもない。
サラの言葉は、確かにお前は胡散臭い、と言っていることになるが……。
「何ともないならいいの。……それじゃ」
そう言うと軽く微笑んで、胸元で小さく手を振る。
そして最後にスーツ姿の男に目線をやり、小さく会釈をする。
その後は逃げるように、陽光のような髪を揺らしながら、路地を抜けていったしまった。
//こんなニアミスもありですね。後はお二人で!
- 255 :鳶貴:2011/05/01(日) 22:53:45 ID:DOElDTKU0
- >>253
「そうですか。」
安心したのか、にこりとニット坊の男に笑いかける。
「いえいえ、お気になさらず。
大した用件でもなかったからね。
…おや。」
思いの他健康そうな男に意外といった反応を見せていた。
>>254
心配そうに声を掛けていた女性の方にそっと目を向ける。
少女の如何にもといった感じの風貌に少々驚きつつ
去り行く最後までその姿を観察するようにして見送った。
「…ふむ、忙しい人だ。」
ぽつり、と誰に言うでもなく呟く。
- 256 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/01(日) 23:04:15 ID:ste/2NNA0
- >>254
「ああ、さよなら」
男はそのまま去っていく女性を見ていった。
逃げるような機敏さに、怪人である事がばれたかと思ったが、それは今更だった。
>>255
「このとおり、大丈夫ですから」
男の身なりは綺麗とはいえないが、ホームレスのような極端な不潔さも無い。
街中を歩いていても違和感無い普通の一人暮らしの男の風貌だった。
「仕事ですか、電話」
- 257 :鳶貴:2011/05/01(日) 23:21:05 ID:DOElDTKU0
- >>256
「そう、仕事です。」
そう聞かれて、何を思ったのか溜息をつく。
「…この所、何かと物騒でしょう?
得体の知れない恐怖がよくない考えを芽生えさせるのか、急に取引を取止める方々が増えましてね…。
逆に身を守ろうと金が入用になって急かす方々もいる訳ですが。」
溜息の訳を話しているうちに気が付いたのか
聞いてもいないのに失礼したと詫びる。
「貴方はどう思います?やはり、こう危ないと不安にもなりますよね?」
- 258 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/01(日) 23:32:24 ID:ste/2NNA0
- >>257
「まあ、不安といえば不安だけど……」
この男も、恐怖から逃げる為に路地を歩いて隠れるようにしているのである。
「特に、頼れるものが無いってのが一番不安ですが」
男にはつてもコネも無い。
それがあればこんな風に逃げ隠れしなくていいと考えると、ため息が出る。
- 259 :鳶貴:2011/05/01(日) 23:44:04 ID:DOElDTKU0
- >>258
「そうですな…それは不安にもなりますな。
後ろ盾がいるという安心はそう簡単に得られるものでもないですからね。」
そう言うと男は上着ポケットから平たい黒い箱を取り出し
中から簡素な筒状の物を抜き出してチェックのエングレーブが入ったオイルライターで火をつける。
煙草の類のようだがこの界隈では見かけない代物だった。
「……しかしおかしな話だ。
そこまで不安ならば何故、お仲間を頼られないのかな?」
銀煙を吐きながら、男の表情がどこか疲れたものへと変わる。
- 260 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/01(日) 23:52:07 ID:ste/2NNA0
- >>256
「仲間?
……バイト仲間とかは居るには居るけど、頼るってほどの仲じゃ」
男は首をかしげて考える。
果たしてその答えは鳶貴の疑問に合っているのか。
「俺、大学とかも行ってないし、高校までは……
……まあ、別の街に住んでたんで、この街に友達って言える友達が居ないんです」
半分は嘘で、半分は本当であった。
- 261 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/01(日) 23:53:03 ID:ste/2NNA0
- //きゃあ安価ミス
//>>256→>>259
- 262 :鳶貴:2011/05/02(月) 00:12:08 ID:DOElDTKU0
- >>260
「………。」
指の股から立ち上る煙を虚ろ気に眺めている。
何かを深く考えている様子で、先程までの優しげな表情はそこにない。
「…そうですか。」
考えた末に何に行き着いたのか
フッと静かに笑ってニット帽の男の方へ向き直る。
「なるほど、他の街から。
という事は、馴染みの顔もおらず寂しい思いをしたでしょうな。
…どうでしょう?当てがないのであれば、我々の下に来てはみませんか?
なに、急な話に思えるかも知れないが…悪くない話だと思いますよ。」
企みを覗かせるようにも見える笑い。
- 263 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/02(月) 00:20:51 ID:ste/2NNA0
- >>262
「せっかくの申し出ですけどやめときます」
あまり長く考えずに首を振った。
「信用出来ないって言ったら失礼だけど……初対面だし。
あと、今の俺じゃ迷惑かけることもあるだろうし」
現にテルメスの怪人態はここのところ不穏な動きを見せている。
それが何なのかは本人にもわからず、突然人前で怪人となり、街から追われることになれば一大事だ。
また、怪人組織の幹部に度々追われたり、
ある研究者に迎えに行くなどと不気味なことを言われたり、最近のテルメスは騒動続きである。
- 264 :鳶貴:2011/05/02(月) 00:35:09 ID:DOElDTKU0
- >>263
「しかし、このままだとキミは他の人達にもっと迷惑を掛けてしまう…違うかな?」
大方断られる事は予想していたようで、大して返答を待たない内に言葉を続けた。
「キミはお仲間の組織の中でも珍しく平穏を案じていたいそうじゃないか。
となると、この所の騒ぎは益々その肩を狭くするばかりだ。参ってしまう話じゃないか。」
どうやら先程の質問にもかまをかけていたようだ。
組織の幾許かの情報も、公安や都市部が握っている程には知っているらしい。
「信用に足る足らずの話じゃない。
その事はすぐにわかる筈だよ、キミならね。」
先程までの疲労の表情はきえ、不適な笑みを浮かべながらテルメスの出方を伺っていた。
- 265 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/02(月) 00:47:36 ID:ste/2NNA0
- >>264
「……どういう意味だよ」
片足を引いた。
「変な冗談はやめてくれ、組織って何だ?
この所の騒ぎ?」
いつでも逃げられる体勢にして、鳶貴を睨む。
男が慌てているのは明白だ。
「俺は……俺は……」
男の体が波打つように鱗に覆われ、また人間の姿に戻る。
「……っ!こんな時に……!」
- 266 :鳶貴:2011/05/02(月) 01:16:55 ID:DOElDTKU0
- >>265
「言葉通りの意味さ。他に何があるというのかね?」
たじろいだニット帽の男が見せる怪人の片鱗を見て
益々口調を強くする。
「早い話が、我々"機関"の者が匿ってやろうと言うのだ。
予め入っておくが、キミを束縛する気はない。事が治まれば直ぐにでも我々の下を去って構わない。」
スラックスのポケットに両手を入れ、相も変らず笑っている。
その場から離れようというのに追う姿勢すら見せていない。
「ならばキミにとって何も不都合はないじゃないか、そうだろ?
何知らぬ多衆の中に潜む恐怖“怪人”を都市の人々がどういう風に扱うか…考えぬ訳ではあるまい。」
- 267 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/02(月) 01:28:11 ID:ste/2NNA0
- >>266
「機関?
そんな組織が俺を傘下に入れて、何の得があるんだ」
初対面で、しかも機関等と言われて従うほどこの男は警戒心が無いわけではない。
「大方あの女みたいに俺を研究でもしようとでも思ってるんだろう。
それに俺は、自分の身は自分で守るつもりだ。
いざとなればこの街を出る事だって出来る」
男がこの街にこだわる意味は特に無い。
ただ、穏島優芽に正体がばれた程度で街を出るのが癪に触るだけだ。
- 268 :鳶貴:2011/05/02(月) 01:43:19 ID:DOElDTKU0
- >>267
「……。」
頑として応じない男。思い通りに事が運ばず苛立ちを隠せないようで
男の表情に段々と陰がさしていく…。
「あの女……あぁ、以前対峙した彼女の事か。
そうか、彼女も同じような事を…そうか、そうか。」
あの女、研究というワードに少しの間眉を顰めていたが
やがてそれは納得といった表情に変っていく。
「と、いう事は…。
やはりキミを此処で逃がしてしまうのはどうにも釈然としないな。」
男は静かに左の腕を上げる。
「彼女かキミの組織に引き渡すというのも面白そうだ…。
後者は気乗りしなかったが、手土産を持っていけば面白い話も出てくるだろう。」
上げられた腕の周りを黒い魔力、そして身体から噴き上げるようにして現れる黒い液体に包まれていく。
- 269 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/02(月) 01:51:00 ID:ste/2NNA0
- >>268
「あいつと知り合いか?
ならなおさらお前は信用できない!」
男の体が、鱗に包まれる。
直後に鱗が剥がれ落ち、灰色の、両腕に鋸状の器官を備えた怪人が姿を現した。
「うおおっ!」
上げられた腕を切り落とそうと、腕の鋸を振るう
- 270 :鳶貴:2011/05/02(月) 02:06:30 ID:DOElDTKU0
- >>269
ドサッ
敢え無くして切り落とされ転がる左腕。
呆然とそれを眺めている当の本人。
腕の断面は常人と同じように機能した構造だったが、中からは滴り落ちるは黒い血液。
「………サマ。」
男の震えた声が聞こえ始める頃、既にその身体は噴き出た液体に埋め尽くされ
異様な鎧姿へと変っていった。
「キサマ……。」
体格までも大きく変化していき、後ろに小さく跳んで距離をとる。
「貴様……高くつくぞ。」
男が片側に残された赤く光る腕を突き上げる。
開かれた右手から鱗に包まれた男に向かって火炎放射器のように炎が放たれた。
- 271 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/02(月) 02:17:40 ID:ste/2NNA0
- >>270
向かってくる炎を見て、怪人は鋸を交差させる。
「うぁあっ!」
炎が目前まで迫ったとき、交差した刃を振り抜き、炎を吹き飛ばした。
「なんだよ、俺を捕まえるつもりだったのに、
抵抗されるなんて考えもしなかったのか?」
男は更に、地面に向かって鋸を叩きつける。
地面のコンクリートが砕け、砂地があらわになった。
穏島優芽との戦いを見ているならば、この怪人にとって砂地がどういう意味を持つかもわかるだろう。
- 272 :鳶貴:2011/05/02(月) 02:37:19 ID:DOElDTKU0
- >>271
「………。」
男の問いかけに怪物は真っ黒い顔を顰めて押し黙る。
勿論、その考えはあっただろう。
だが戦闘に不向きな生身の身体を覆い隠す為の隙を慢心故に
あろう事か敵の目の前で晒したのだ。
しかし、それだけ男は自身の力に自身を持っているのだろう。
「…もう、二度と失態は繰り返さん。
小娘の前に先ずは貴様を…!」
落ちた煙草の煙と混じる銀色の光。手の甲に描かれた魔法陣が輝き
辺りがストロボの様な強烈な閃光に包まれた後、鳶貴はその場から消えていた。
鱗の怪人が一人残された空間にまたしても変化が起きる。
砕かれたコンクリート片が集まって宙に浮かんでいくのだ。
破片は空中に磁石のように集まり固まっていく。
そしてその上には目の前で消えた鎧が砂地を見下ろしていた。
「………術中に掛ける気だったか。ククク、そういう事だろうと思ったよ。」
- 273 :テルメス/ニット帽の男:2011/05/02(月) 02:48:51 ID:ste/2NNA0
- >>272
予想通り、砂地となった地面は渦巻き、すり鉢上のフィールドに変化した。
「俺はこういう能力だから、対空戦に弱い以前の問題だ。
だから、引き際も知ってる」
怪人は、砂地に一歩踏み出した。
「飛べる相手からはすぐ逃げる、俺は2000年前からそういうことにしてるんだ、臆病だから。
勝ち負けなら俺の負けだ、それじゃあ」
怪人は鋸を地面に突き刺し、器用に扱って砂の内に潜ってしまった。
すり鉢のフィールドの動きは止まり、
ボコボコと地面を掘り進む轟音だけが聞こえ――消えた。
- 274 :鳶貴:2011/05/02(月) 03:07:53 ID:DOElDTKU0
- >>273
地中深く消えていった事を確認すると、黒く光らせていた右の腕を下ろして能力の動きを止める。
さながら落石のようにどんどんと砂地に落ちていくコンクリート群。
そしてその上で立ち呆ける鎧の怪物。
「フン、流石に向かってくることは無かったか…。」
切り落とされた腕を拾い上げ、それを指で確かめるようにして掴むと
既に姿を消した怪人に語るようにして言葉を残す。
「2000年……随分と長いものだな。
それだけ長い月日を生きて尚、平穏を望むか……何故だ。」
空間転移の術式を発動させ、空間に身を乗り出す。
「とはいえ、またしても調整が必要な上に腕の縫合となると……。」
最後に苦い顔をすると、怪物は暗い路地からその姿を消した。
- 275 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/03(火) 22:15:03 ID:WEhMfl5k0
- 【往来から少し外れた街路樹の傍で、少女が樹を見上げている】
【見上げる先には】
「おにーちゃんがんばってー!」
はいはーい、もうちょっとで取れ……る……から……
【木登りに勤しむ一人の青年がいた】
【枝にしがみついて、生い茂る葉っぱに引っかかった風船に手を伸ばし…】
パンッ
あ
「うぇぇええええええ゛え゛ーーーーーーん!!!」
ああッ!
ご、ごめんよ! えーとあっと、ちょっと待ってて!
【数分後、新しく青年の買ってきた風船を持って、少女は上機嫌に去っていった】
ふう、よかった……、ぁ゛ぁ゛、どうなるかと思った……。
【疲労の色濃いため息を吐いて、少女の背中に手を振る】
- 276 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/03(火) 22:35:31 ID:onviSg/.0
- >>275
「やあ、そこの少年」
手を振るハインリヒの更に後ろに、男がふらりと現れる。
「困った少女を助ける……今時そうそう出来ることじゃないぜ。
中々の高得点をやりたいところだが、ただ一つ足りなかった。
君はあの子をお茶に誘うのを忘れている」
オールバックを撫でつけながら、迷彩服の男はそう評価した。
- 277 :名も無き異能都市住民:2011/05/03(火) 22:36:15 ID:SSMHlh/20
-
――ブロォオォ
すぐ近くに止まっていたワゴン車のエンジンが掛かり、
ゆっくりと動き出す。
速度をそれほど上げず、とろとろと徐行状態で走行するワゴンは
大きな環状道路でも、繁華街へでもなく少女の走り去っていった方向へと向かっていく。
たしか、そちらは人通りが少ない地域だったはずだが……。
ただの偶然だろうか?
- 278 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/03(火) 22:45:24 ID:WEhMfl5k0
- >>276
え?
あっはは! やですねぇ、からかわないでくださいよ。
そんな事考えもしませんでした。
【如何にも好青年、といった感じで、素直にはにかんで頭の後ろをさする青年】
ところであなたは一体……アレ。
【言いかけて言葉を切る。目はゆっくりと走り始めたワゴン車を追っていた】
>>277
【少女が去ると同時に走りだしたワゴン車。普通、同時に走りだす程度の偶然はザラにあるだろう】
【だけどなぜかその時は――イヤな感覚が脳裏に去来した】
【少女は機嫌よさそうに風船を振ってのんびり歩いている】
- 279 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/03(火) 22:53:09 ID:onviSg/.0
- >>277
「なんだあの車、壊れてんのか?」
随分遅い車を見ただけでは、彼は特に不審には思わなかった。
スグル捕獲のためにこの都市に来たばかりの彼は、まだまだ地理に詳しくない。
>>278
「からかってなどいない、俺は何時でも大真面目さ?
油断してると、代わりに俺が誘うぜ」
腰に手を当て、ふふん、とでも言いそうな表情の男。
「俺は全てのレディの味方、弥生ユ……っと、どうかしたかい、少年?」
目で車を追うハインリヒに、同じように台詞を切る。
- 280 :名も無き異能都市住民:2011/05/03(火) 23:00:59 ID:SSMHlh/20
- >>278-279
ワゴン車は少女に追いつく手前で、
角を曲がり、そのままどこかへ消えた。
ハインリヒの嫌な間隔は気のせい――
いや、消えている!少女が!
あの車が、曲がる直前まで道を歩いていたはずの
少女が忽然と姿を消している!
- 281 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/03(火) 23:07:45 ID:WEhMfl5k0
- >>279-280
……
【車をじーっと見つめているが――車と少女が重なり、曲がる】
【そして……その姿が消えた瞬間】
――行きましょう!!
【叫ぶと同時に駆け出した!】
しまった……ちゃんと送ってあげればよかった!
【悔しさに歯軋りしながら車を追いかけ走り続ける】
【走る青年の背中に、光の粒子のようなものが集まり始めている】
- 282 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/03(火) 23:10:52 ID:onviSg/.0
- >>280
「曲がるのか……」
少女の方へ向かう車を、ふーん、といった感じで眺める。
が、しかし。
「……おろ、女の子が消えた……消えた!?
まさか、将来有望な姫を!」
誘拐しやがったか。
というわけで、あの車が『悪い車』だったことにようやく気付いたようである。
>>281
「言われんでも。追うぜ兄ちゃん!」
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
……と、物凄い初速で彼も駆け始めた。
黒髪オールバックがウニのように尖る。
- 283 :名も無き異能都市住民:2011/05/03(火) 23:18:12 ID:SSMHlh/20
- >>281-282
少女を連れ去ったと思しきワゴンは
二人の追跡を知ってか知らずか、スピードを上げ、
狭い路地裏を壁面への追突ギリギリで駆けて行く。
ただ後を追って走るだけでは、追いつくことは難しいだろう。
しかし、あの車は首都高や、例の環状線へと向かうそぶりはない。
一体、どこへ向かうつもりだろうか……?
- 284 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/03(火) 23:28:00 ID:WEhMfl5k0
- >>282
うわっ!
【能力以外は普通の人間なハインリヒはあっという間に追い越されてしまった】
……速いなぁ……!
【呆気にとられながらも、その頼もしさに思わず微笑む】
【これなら助けられるかも……!、と。】
よし、僕も僕の出来ることをしよう!
【青年が背を丸める。光の粒子が細長く尖り、徐々に薄く形を作っていく】
【それはまるで】
助けてくれ、『熾天使《セラフ》』!
【――羽根。】
【青年の背中からぶわっと白く霊妙に輝く翼が二枚、出現した】
【大きな翼で一つ、二つと空気を打つと、ぐんぐん空へ登っていく】
地面からじゃ見失っても、空から見下ろせば!
【車のゆく方向へ羽ばたきながらゆっくり進行。目線はじっと行く先を見ようと車から外さない】
- 285 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/03(火) 23:32:55 ID:WEhMfl5k0
- //安価忘れ、7行目に>>283挿入でお願いします
- 286 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/03(火) 23:34:23 ID:onviSg/.0
- >>283
「×××××の血をナメんなよ……って言っても、流石にキツイぜ」
脚をフル回転で追い掛ける彼は、尖った自分の髪の毛に手をやる。
そしてその何本かを一気に引き抜くと――
「つーわけで、良くある足止めだ!」
ワゴンのタイヤ目掛けて投げた。
彼の手から飛び出した髪の毛は鋼鉄より硬くなり、鍼のようになって飛んでゆく。
>>284
「おうよ。俺は『速い』が『早くない』ぜ?」
彼は首だけ振り返り、伝わり辛い下ネタを言う。
そして背中に翼を生やし、飛び立つ様子を見て、
「へえ……なるほどな、アイツ『も』天使みたいなモンってわけだ。
おっし、上からは任せた!」
何人かの人工天使を頭に思い浮かべながら、そう続けるのだった。
- 287 :名も無き異能都市住民:2011/05/03(火) 23:45:10 ID:SSMHlh/20
- >>284
上空から見下ろすと、灯りがまばらに灯った暗い路地裏を蛇のように
蛇行しながら移動する車のテールランプが、赤い光となって夜闇に浮かび上がり
よく見えるはず。
――しかし、これは妙だ。
あの車は路地裏を出鱈目に走り回っているのではなく、
目的があってどこかを目指しているように見えるのだが、
車が目指す方角は遅かれ早かれ、袋小路に入るか元いた場所に再びでるしかない
『閉じたループ状』の道だ。
車を乗り捨てれば細い通路から大通りへ出ることもできるだろうが、
ここまでやっておいてそんな無策で逃げるというのも考え辛い。
>>286
――ビスッ
鍼のようにとがった髪の毛は確かに
車のタイヤを捕らえ、それに突き刺さった。
しかし、車は止まらない。
多少ハンドルを取られ、壁に車体をこすり付けたものの
以前、そのまま走り続けている……。
さすがに、最高速は出せなくなったようだが、
通常の車なら先ほどの攻撃で走行不可能になるはずだ。
アレは見かけはただのワゴン車だが、中身は相当弄ってあるに違いない。
- 288 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/03(火) 23:54:44 ID:WEhMfl5k0
- >>286-287
?
【シモには疎かった】
はい! 下からは任せました! 次は……え?
【俯瞰して変な点に気付く。彼らは、逃げていない?】
【脂汗をこめかみに滲ませながら急降下し、その加速で車を追いかける。上空からジンに】
弥生さん! 何かおかしいです、その人達ずっとぐるぐる同じところを回っています!
早く止めないと、何かありそうだ……!
【車に追い縋り、翼を大きく広げる。羽根が周辺に舞い散り、そして加速】
止まってくれぇッ!
【小さな羽が幾つも車めがけて飛来! 外れた羽の一つが着弾し、小爆発を起こす】
【普通の車のタイヤなら数発で破裂させられる威力が、数十の羽の雨となって降り注ぐ!】
- 289 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 00:04:30 ID:onviSg/.0
- >>287-288
「止まらねーとは……バリバリ改造してるぜー、ってか?
ちいと厳しいぜ、どうしたもんか」
髪の毛以上のモノをむしって投げ付けるわけには、そうそう行かない。
水の魔術も、いまいち効果は無さそうに見える。
このままひとまず追い続けて、上から足止めしてくれるのを待つべきか。
「回ってる、だって?
良く分からんな……ええい、頑張るぜ!」
右手でまた髪の毛を抜き、硬化させる。
それを自分の左手に当ててガリガリ削り、術式を刻み始めた。
流血とともに現れたそれは、『水鉄砲(太)』の術式。
「『“ミズ”知らずの、お“ミズ”を連れて、何処逃げる!』」
読み上げられる術式。
彼の左腕が輝き、掌から太めの水鉄砲が発射された。
タイヤを割るのではなく、脱落させてやろうという作戦だ。
- 290 :名も無き異能都市住民:2011/05/04(水) 00:20:34 ID:SSMHlh/20
- >>288
――ドォッ!!――ズッ!!
クラスター爆弾のように降り注ぐ羽根が
いくつもの小爆発を発生させ、ワゴン車を包む。
さすがに数が多く、先ほど既にタイヤへの攻撃があったこともあいまって
タイヤが一つ脱落したのか、車の右側がガクンと傾いた。
>>289
そこへジンの放った水鉄砲が襲い掛かる。
その恐るべき水圧によって行動不能となったワゴン車。
――パララララッ!!!
ふいに、銃声と共にスモークガラスが割れる。
やつらは何人か分からないが、車内からジンへ目掛け銃撃してきた!
しかし、これは攻撃ではなく足止めが狙い。
既に男たちは車を捨て、少女を連れて何処かへと逃げようとしているのが
見えるかもしれない。
- 291 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/04(水) 00:35:36 ID:WEhMfl5k0
- >>289
す、ごい……!
【水というのは集まればとんでもなく重い。水流が直撃する衝撃音に絶句し】
【一瞬見とれそうになったのを頭を振って意識を少女の救出に集中する】
ッ、危ないです! 僕は女の子を追いますから、無理しないで!
【翼を羽ばたかせ、男達が銃撃するその裏へ回り込みながら叫ぶ】
>>290
【車がバランスを崩したのを見て、素早く翼を翻し】
ふッ!!
【ジンと自分で挟み撃ちの格好にするつもりで、車の向こう側に回る】
【羽根を一枚だけ宙に浮かべ、掴む。一瞬のうちに光条が伸び、バールに形を変えた】
【バールを両手で正眼に構え、着地。】
さらった子を離してもらいます! 大人しく武器を捨てて、その場に伏せなさい!
- 292 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 00:41:08 ID:onviSg/.0
- >>290
「止めたっ……けど、中身は逃げますよってか?」
流血の続く左腕を硬化させて盾にし、姿勢を極端に下げながら駆け続ける。
硬い左腕が銃撃を弾き飛ばすが、しかし一発は右肩に当たる。
もっとも、まだまだ大したことは無い。
「うおおおおおおおおおおおおらあっ、逃げんな!」
右手で何十本もの髪の毛を一気に引き抜く。
それを指先で四つの束に軽く分けながら、尚も駆けて追い掛ける。
普通の人間の全速力より、彼の脚はずっと速い。
>>291
が、ハインリヒが先回りしに行き、そしてしたのを見て、彼は速度を少し落とす。
「おう、俺は女の前で死ぬ女じゃない、安心しな。
とにかく犯人ども、観念しやがれ!」
そう叫びながら、彼は右手の中の髪の毛を四本の鍼に硬化させる。
- 293 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 00:42:23 ID:onviSg/.0
- >>292
//どうでも良いけど誤字訂正
×:「おう、俺は女の前で死ぬ女じゃない、安心しな。
○:「おう、俺は女の前で死ぬ男じゃない、安心しな。
- 294 :名も無き異能都市住民:2011/05/04(水) 00:50:17 ID:SSMHlh/20
- >>291
車から飛び出してきた男たちは4人組。
それらのうち、3人が短機関銃を携え、一人が目と口を
ガムテープで塞がれた例の少女を抱えている。
――ダンッ!!バラアアァアァッ!!!
やつらは、話す余地すらも無いという風に、
ハインリヒの言葉に銃撃で返してきた。
同時に、小さな横道へと駆け込み逃げていく。
>>292
やつらはハインリヒにも銃撃を行ないながら
すぐ近くにあった横道へと逃げ込んでいく。
ジンへの攻撃は無いが、追いつけるか……?
- 295 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/04(水) 01:06:13 ID:WEhMfl5k0
- >>292 >>294
ッ!!
【咄嗟に伏せる。さっきまで頭のあった所を鉛が通過していった】
ま、待てッ!
【しかしただ走って追いかけても、銃を持った相手と狭い路地で戦うのは不利だ】
でも狭い路地では羽根は広げられないし、急スピードじゃ曲がれないし……
……そうだ!
【横道の入口に立つと首だけで振り返る。ハインリヒは翼を二枚、背中の中心で重ねた】
【まるで厚い盾のようだ】
弥生さん!
【真剣な顔で叫んだ】
さっきみたいな水鉄砲で、僕を思いっきり加速できませんか!!?
- 296 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 01:17:26 ID:onviSg/.0
- >>294
「狙った女を逃がすほど、野性の男は甘くないんだぜっ?」
こちらには弾は来ない。
それを良いことに、一旦下げた速度をまた最高速へ持っていく。
「にしたってよう。
女の子盗んで銃まで持って来るって、物騒にも程があるぜ」
ぶつぶつ言いながら、彼は――
>>295
「おう! 勿論出来るが、怪我しても知らねーぜ?」
――横道の入り口の正面で止まるように急ブレーキを掛ける。
そうしながら左腕の硬化を解き、右腕に作った鍼の一本を再び走らせる。
先程の術式を、濃く上書きするように。
「『行け、向こう“ミズ”な少年よ!』」
雑に術式を読み上げ、また左腕が光る。
射出された水鉄砲は、断面積がしっかり広い。
ハインリヒに当たれば、強烈な加速を生むだろう。
- 297 :名も無き異能都市住民:2011/05/04(水) 01:25:55 ID:SSMHlh/20
- >>295-296
路地裏へ逃げ込む男たちの中の一人が、
一瞬、ハインリヒやジンのほうを振り向き『勝ち誇ったように』にやりと笑った。
たしか、この先はやはり袋小路。
どういっても、川につきあたり逃げられないということが
上空から地形を見たハインリヒには分かるはず。
――しかし、あの勝ち誇った笑みは。
男の姿が、路地裏の中に消え、
『青白い光』がその方向から、かすかに漏れた。
- 298 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/04(水) 01:31:23 ID:WEhMfl5k0
- >>296-297
救出が大先決ですッ!
【狭い横道は急流の圧力を逃がすことなく伝える『筒』となってハインリヒを押した!】
ううゥああああああッ!!
【時折跳ねるように水に押し上げられながら何とか踏ん張る!】
【翼のサーフボードによって猛スピードで誘拐犯たちの後ろを追って】
だぁッ!
【バールの先端を壁に引っ掛けてドリフト、水流に乗って路地裏へ飛び込んだ】
- 299 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 01:38:19 ID:onviSg/.0
- >>297
「何笑ってやがる……ぬぬぬ、いつまでも逃げられると思うなよ」
中々捕まえられない。
少女を取り返せないことに、彼は若干イラッとし始めていた。
しかもあの笑み、余計に腹立つ。
「捕まえたら死なす」
そして、そう呟いた。
>>298
「頑張れっ、俺も追うからよ!」
跳躍して、路地を形作る壁に飛び乗る。
そしてまた駆け出す彼は、かっ飛ぶハインリヒにこそ追い付けないが、やはりかなり速い。
- 300 :名も無き異能都市住民:2011/05/04(水) 01:48:44 ID:SSMHlh/20
- >>298-299
路地裏に先に飛び込んだハインリヒが見たもの。
それは、青白い光の『魔法陣』が輝きを失い、消えていくところのみ。
恐らく、これは別の場所に人員や物資を移動させるための
『転移魔法』が一回分だけ仕込まれた使い捨ての物だろう。
敵は用意周到に『誘拐計画』を立てていたということか。
>>299
――ドォオォッ!!!
ハインリヒが、消えかかった魔方陣を見つけたその頃、
路地に乗り捨てられていたワゴン車が突然、爆発し
飛び散った破片が、ジンをも襲う。
ハインリヒが小爆発を伴う羽を浴びせた物の、
先ほど水をあれだけ掛けたのだ。どこかが燃えていた、ということはあるまい。
オイルが漏れるような臭いも無かったはず。
これは……。
- 301 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/04(水) 01:56:18 ID:WEhMfl5k0
- >>299
追いつッ……!?
【曲がった先で見たものは、消えかけた光芒だった】
【あまりにも突然で喉が詰まると同時に、ああ、と納得してしまった】
【同じところをぐるぐる回っていたのは撹乱で――本当の『逃げ道』はこれだったのだ】
>>300
な…… 待っ…!
【光に向かって叫ぶが、遅い】
【虚空に伸ばした手は何にも届かなかった】
【がくん、視界が下がった。ショックのあまり膝をついたのだ】
【すぐ近くの爆発音も、遠くで鳴ってるものに聞こえる】
- 302 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 02:06:56 ID:onviSg/.0
- >>300-301
「S××T、ふざけやがって……うぜえ!」
男達が消えたことを遠目に同じく確認した彼は、舌打ちして汚い言葉を吐く。
「……っちぃ、しまった!」
そこへ飛んで来た破片は、硬化させていない彼の背中に幾つか突き刺さる。
ふらりふらりとふらつくが、致命傷は無いし、路地に落ちもしない。
もう一度舌打ちし、身体を震わせ、刺さった破片を払い落した。
「あれはどういうことだ。爆破の魔術か、能力か?」
いや、その前にあの転移だ。
おっさん――初代“心臓”の力があれば、洗脳による追跡転移も可能なのに。
もっとも、それは不可能極まりない「たられば」だ。
彼は、ただ頭をポリポリ掻くしかない。
- 303 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/04(水) 02:20:47 ID:WEhMfl5k0
- 【ふらりと立ち上がると翼を広げて空へ舞い上がり、周囲を見回す】
【だが彼の視界が及ぶ範囲にはいないだろう。そのための魔方陣なのだから。】
【ゆらゆら不安定に降りてきて、また地面に尻をつける。翼が粒子となって散った】
や、やられた……くそっ!
【地面に握りこぶしを叩きつけて、奥歯を噛み締めた。みしりと軋んで痛みが走る】
【青年はすぐに立ち上がった。心の奥には怒りと哀しみはあったが、諦めはない】
>>302
すいません。僕が不甲斐ないばかりに……。
【ジンの前に立つと、追いつけなかったことが申し訳なくなって】
【最初は表情が陰っていただけだったが、ついにはぼろぼろと涙を零し始めた】
- 304 :ハインリヒ ◆JBbLACK.JY:2011/05/04(水) 02:32:12 ID:WEhMfl5k0
- 【ひと通りの謝罪を述べてから青年は駆けて去っていった】
【勿論あの誘拐犯たちについて調べるためである】
//〆
- 305 :三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 02:38:48 ID:onviSg/.0
- >>303
「悔しいのは分かる。が、泣くな少年。
俺がちょっと甘過ぎたのさ……」
と言っても、自分がどうすれば良かったのか、彼にも分からない。
あの四本の鍼を投げるべきだったのだろうか?
……いや、それは「絶対に」ダメだ。
狙いが逸れたりして、もし少女を傷つけでもしていれば――
「……うん。一回ぐらい挫折したほうが、俺の血にも良いのかもな……」
流血する少女を夢想するだけで、自害したくなる彼だった。
>>304
そして去るハインリヒを見送り、溜め息をついて、彼は呟く。
「あー、死にてえ。つーか、殺してえ」
路地へ飛び下りた彼は、行くあても無く最高速で駆け出した。
//乙ありがとうでしたー
- 306 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/05/04(水) 22:18:44 ID:onviSg/.0
- 「まったく……ジンさんは何処へ行ったのやら」
日が落ちてかなり暗くなってきた、人気の無い小さな公園で。
白いワンピースを着たミニポニテの少女は、一人ベンチに座っていた。
「「作戦会議をやるぞ!」と言い出したのはジンさんのほうなのに……。
仕方無いですから、私が一人でばっちり練りますか」
少女の横に積まれているのは、詰め碁や将棋の問題集である。
何の参考になるのか分からないそれらの一冊を手に取り、目を通す彼女。
その右手には、何故か淡いピンクのミトンが嵌められていた。
- 307 :サラ:2011/05/04(水) 22:36:05 ID:bYREkklM0
- >>306
その小さな公園にもう一つの人影がある。
いかにも魔術師といった緋と黒のアカデミックドレスを着た、小柄な金髪の女性だ。
ベンチに向かって正面から、手からコンビニの袋とスパイスの香りを漂わせつつ歩いてくる。
その左耳には、魔力を凝縮させた深い青色の結晶が、宵闇の中で薄く光を放っている。
「そろそろ落ち着いた収入減を確保しなきゃあ……」
サラは、はー、と大きな溜め息をついて、肩を落とした。
そしてコンビニの袋の中からパックのカフェオレを取り出しながら、
「隣、失礼しますよー」
警戒も何もない様子で、少女にそう声をかける。
ベンチに腰掛けて軽食を取るつもりでいるようだ。
- 308 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/05/04(水) 22:44:27 ID:onviSg/.0
- >>307
「……む」
向かって来るサラを見て、少女は一瞬だが文字通りむっとした顔になる。
見た目と言い「におい」と言い、彼女が一番嫌いなタイプのものだ。
「におい」と言ってもスパイスの匂いではなく、「魔術師の臭い」ことである。
「……はい、別に構いませんが。
長く掛かりますか?」
食料を持って来ているのだから、当然しばらくは居るのだろう……と思いながら。
鼻がムズムズする。
- 309 :サラ:2011/05/04(水) 22:58:06 ID:bYREkklM0
- >>308
少女が顔をしかめたことに、サラは敏感に反応する。
その不快感が自分の微細な魔力に向けられていることまでは、直感できた。
少女がおおよそ一般の人間とは違うことも一見して分かっている。
刺激しないよう、なるべく柔らかい表情を作るようにして、問いに答える。
「あー……。もうすぐ誰か来る、とかなら場所変えるよ」
人気のない公園でベンチに腰掛けて本を読んでいる様子に、
きっと誰かを待っているのだろう、とサラは推測した。
そして、カフェオレにパックにストローを差し込みながら、コンビニの袋を小さく振って見せる。
中に大した量は入っていない。匂いからしてフライドチキンと、後はパンか何かくらいの軽さだ。
食べ終わるまで座っているにしても、10分ちょっとでサラはいなくなるだろう。
と、そこで、ぐー、とサラのお腹が鳴った。
- 310 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/05/04(水) 23:10:16 ID:onviSg/.0
- >>309
「来る予定ですが、恐らく来ませんし、別に良いですよ」
口ではそう言う彼女だが、「別に良い」とは一切思っていない。
――人も他には居ないと見えるし、暴れて『喰らう』のもアリだろうか?
「むしろ、場所を変えるなら私のほうでしょうか。
よそでも出来ることですし」
――いや、流石にここで今『喰らう』のは不味い。
衝動を振り切るために、手に持つ詰め碁の本の方に集中しようとする。
サラが囲碁を知っているかは分からないが。
- 311 :サラ:2011/05/04(水) 23:35:25 ID:bYREkklM0
- >>310
異能者への警戒意識だろう、程度に思っていた少女の不快感が、
敵意と呼べるほどにまで膨れていることをサラはひしひしと感じた。
流石にこの剣呑な空気の中で食事をする気にはならない。
が、ただベンチに座って物をつまむ程度、どいてくれと口に出すのも不自然だ。
「あーいえ、お気遣いなく……」
と、無難な答えになる。が、まだ腰は下ろさないままだ。
自分だけが感じている言外のことについて言及するのは、不味いだろうか。
幸い、少女はまだサラのことを相手にすまいと努めてくれている。
……サラはたっぷり悩んで、ふぅ、と溜息をつくと、
「同じベンチで寛ぐのは、お互いその……アレなようなので。
お邪魔しました。……ごゆっくり」
あえてそれを口にすることを選んだ。小さく会釈し、くるりと背を向ける。
相手が身体を動かすよりも早く、襲いかかる意思を感じ取れるサラにとって、
背中を見せることは恐ろしいことではない。どんな攻撃であろうと初撃を無力化する力もある。
サラはカフェオレのストローを咥えてゆっくりと歩き出す。……黙って見送ればそれまでだ。
- 312 :二代目“脾臓”(ヒィ)&三代目“腎臓”(ジン):2011/05/04(水) 23:44:03 ID:onviSg/.0
- >>311
ヒィ「……そうですか。いえ、こちらこそお邪魔しました」
また相手を不快にさせてしまった。
だが、今の自分では、魔術師「なんか」と親しくは出来ない。
去るサラを、そのまま見送ろうと――
ジン「おやお姉さん、これはこれはお美しい。
しかし、そんなパックの飲み物など似合わない……一緒にBARなどいかがかな?」
――したのだが。
黒髪オールバックに迷彩服の男が突然テンションMAXで現れ、サラにそう話しかける。
それを見て、ヒィは漫画のようにずっこけてベンチから落ちた。
- 313 :サラ:2011/05/04(水) 23:55:34 ID:bYREkklM0
- >>312
サラも少女と同じようにがっくりと膝を折る。意図して挑発的な言を吐いたのだ。
後ろからざっくりと襲い掛かられる覚悟をしていたというのに……。
「いやいやいや、だって、いえ、えーと……あなたは?」
振り返って男にそう問いかけつつ、目線が少女に向く。それは警戒してのことではない。
えっこの人だーれ……? という具合の、呆れたような困ったような、人間としての素が出た表情だ。
急に現れた男からは、敵意だの何だのと言ったものは全く感じない。
同じように、サラ自身からも緊張感というものが綺麗さっぱり取り除かれてしまった。
- 314 :二代目“脾臓”(ヒィ)&三代目“腎臓”(ジン):2011/05/05(木) 00:07:44 ID:onviSg/.0
- >>313
ジン「俺は全ての女性に一定以上の愛を送る男、その名も弥生ユウヤだ。
さあ、何よりも鋭いひと時を俺と謳歌しましょう」
大真面目な顔で大真面目にそう言うジン。
ヒィ「その人が……私の待っていた人です、まったく」
その間に、こけていたヒィがどうにか立ち上がる。
ヒィ「……何やってるんですか、ジンさん?」
ジン「見れば分かるだろ、口説いてるんだ」
ヒィ「死んでください」
ジン「何故?」
ヒィ「迷惑だからです」
全然迷惑ではなく、ヒィにとってはむしろ有り難かったのだが。
- 315 :サラ:2011/05/05(木) 00:18:03 ID:bYREkklM0
- >>314
「あ、あぁ……どうも……」
鋭かったのはさっきまでのひと時だ……とサラは思う。
目の前の二人のやりとりは、二人がとても打ち解けた間柄であることを語っている。
そして相手が名前も示した以上、と小さく首を傾げてイヤリングを揺らしてみせた。
「私はサラ。……魔術師です。
ただの食事の誘いなら断る道理はないけど……」
男にそう答えて、また少女に目線を向ける。
男は待ち合わせの相手である少女を差し置いて自分をナンパしているのだ。
サラの目は口ほどに、何これ一体どーすりゃいいの、と言わんばかりである。
- 316 :二代目“脾臓”(ヒィ)&三代目“腎臓”(ジン):2011/05/05(木) 00:31:02 ID:onviSg/.0
- >>315
ジン「サラか……うむ、良い名前だ。
そのイヤリングと言い、深い清らかさが滲み出ている」
腕組みして頷くジンも、一瞬ヒィに視線を飛ばす。
しかしすぐサラを見直し、続ける。
ジン「そう、まずは酒と軽い食事から。
その先は要相談さ、俺も軽い男じゃないのだ」
ヒィ「断ったほうが良いと思いますよ。何を仕出かすか分かりませんから。
あと、「酒」とか言ってますけど、その人未成年ですよ」
二人に視線を向けられたヒィは、呆れたような顔で答える。
- 317 :サラ:2011/05/05(木) 00:55:23 ID:bYREkklM0
- >>316
どうも……と、サラは世辞を受けてはにかむ。
「あぁ、お酒のことなら私も未成年だ……。
第一、私と食事に行ったら、待ってたその子はどうなるのよ」
制限年齢が違うため飲酒の経験くらいあるが、
サラはその未成年も理由にして誘いをやんわりと断った。
第一、サラは今手元に食べ物を持っているのだ。左手のカフェオレ、右手のビニール袋に目をやる。
そして、脱力したように微笑むと、ベンチに腰を下ろした。
「隣、失礼するよ」
一応、少女は待ち合わせの相手と落ち合ったわけだ。
まさか公園のベンチで用事があるわけではないだろう。
「お生憎様、この通り食べ物と飲み物がここにあるから。
あたしを誘うのはその子のエスコートが終わってからね」
そう言って、またカフェオレに口を付けた。
- 318 :二代目“脾臓”(ヒィ)&三代目“腎臓”(ジン):2011/05/05(木) 01:18:56 ID:onviSg/.0
- >>317
ジン「俺は×××××と一緒なんだから、別に飲んでも良いのさ?
それに、ヒィちゃんが……その子が俺の嫁になるのは、もう確定事項だからな。
俺の本妻になれるなんて、ヒィちゃんはとんだ幸せ者だぜ」
変なノイズが混じるジンの台詞。
本当はノイズでは無く、ただの異世界語なのだが。
ヒィ「もう、また適当な……だいたい、いつ妻になるなんて決まったんですか。
……もう、まったく、えーっと」
ジンに嫁呼ばわりされたからなのか、
サラにベンチに座られたからなのか、
とりあえずヒィはあわあわしている。
ジン「残念、どちらにしても今日はお断りと言ったところかな?
しょうがない、大人しくヒィちゃんとデートするか。
あの本はヒィちゃんのだろ?」
ベンチに置きっ放しの本を取るため、ベンチに向かうジン。
ヒィ「私の本ですけれど……あと、デートじゃ無くて作戦会議です」
ジン「どっちでも一緒っしょ。さあ、ファミレスでも行こう」
ヒィ「うわっ、止めてください!」
本を右腕に抱えて後ろへ跳躍したジンは、ひとっ飛びでヒィの横へ着地。
そのまま今度は左腕にヒィを抱え、回れ右をすると公園から走り去って行った。
ジン「今度会う時は、予定開けといてくれよな〜!」
そんな台詞を残して。
//今日はこんなもんでしょうか……お疲れ様ですー、ありがとうございました
- 319 :サラ:2011/05/05(木) 01:29:27 ID:bYREkklM0
- >>318
「一夫多妻とはまぁ豪気な……。ふふ、ごゆっくりー」
意味が酌めなかった一節を意識の端に引っ掛けつつ、
ドタバタと掛け合いを続けて去っていった二人を手を振って見送る。
仲のいいことだ、と和やかな笑顔でいたが、やがて、
はぁー、とひときわ大きな溜め息をついて肩を落とした。
「……ちくしょう……予定なんてねえよ……リア充しね……」
金髪の女魔術師が、暗い公園で一人コンビニのフライドチキンを齧っている……。
//お疲れ様ですありがとうございました!
- 320 :黒金鋼 ◆FA/Bw.T3QU:2011/05/07(土) 16:50:55 ID:yKTjtTtU0
- 「……浦島太郎状態とかいうレベルじゃねえ」
異能都市内にある、小さな公園。
近くには大きな自然公園があるというのに、何故だかその男はここに足を運んでいた。
「これは流石におかしいって。なんでもう五月なんだ。
つい昨日まで一月やら二月やらだったはずだぞおいィ……」
黒いコートを着たその男。
ベンチに腰掛けていても分かる程度には、大きな体格を持っている。
灰色の右目に、黒い左目のオッドアイ。黒く、短い髪。
「いや、それよりも―――アレだ」
がしがしと頭を掻き、つぶやく。
「そろそろ首切られてるんじゃねーのこれ」
肩書き、仕事、任務―――その他諸々。
『していなかった事』が、雪崩のように男の脳内を埋め尽くす。
「…………だーもう、」
男はまた頭を乱暴に掻いて、その身をベンチに投げ出した。
- 321 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 21:42:55 ID:HnkBBDEo0
- 「あー、どーすっべか」
電話帳を前にしてクロスは悩んでいた。
「魔術に詳しい奴とか、探してみたが全然いねぇ。
よく考えればみんな『能力者』ではあるば、
理屈を理解して魔術を使ってるワケじゃねぇからなぁ」
カウンターに開いていた電話帳を閉じ、戸棚の中に放り入れる。
「さて、どーすっか」
そう言いつつもクロスはコンロに火をつけてフライパンに油をひいた。
- 322 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 21:46:16 ID:WVrfsEdY0
- 「……ごはんのにおい」
【突然開かれたカフェの扉。そこには一人の少女が立っていた】
「…あう?ここはおみせなの…」
【突然我に帰ったようにあたりを見回し始めた】
- 323 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 21:50:46 ID:HnkBBDEo0
- >>322
「……来たな妖怪タダ飯食らいめ」
冷蔵庫に手を突っ込み、三枚のハムを取り出す。
「食らえ妖怪! ハムォンカッター!! あんさんの包帯よりよく切れる(かどうかは疑問だ)わい!」
シュパパパパとハムを全てディス目掛けて投げる。
- 324 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 21:53:20 ID:WVrfsEdY0
- >>323
「あう?ごはんなの!!」
【そう言って素早く飛んできたハムを】
パシッパシッパシッ!
【軽やかな動きでお口でキャッチした】
「もぐもぐもぐ…おいしいなの〜」
【どうやらまんぞくしたらしい】
「あう〜、でもかってにたべてるひとおおいきがするけどなの〜」
【少し不思議そうに言う。一見すると元気そうだ】
- 325 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:00:45 ID:HnkBBDEo0
- >>324
「あー、らしいな。まぁ代金は置いていって貰ってるみたいだし。
時々注文が入ってて足りない食材や飲み物が入ってたりする時もある。
まったく、誰がやってくれてるんだか」
これでいいのか店長。
「ま、なんとか赤字にはなっていないんで、俺はそれで十分だがね」
そう言いつつも炊飯器の中からチキンライスを出し、それを熱したフライパンで炒め始めた。
「オムライス作るけど、食べる?」
- 326 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:03:25 ID:WVrfsEdY0
- >>325
「あう〜、なんかいないときにはたらいてるひともいるみたいなの」
【笑顔でカウンター席に腰掛ける。相変わらず足がぶらぶらしている】
「あう〜!おむらいすだいすきなの!たべるの!」
【とても嬉しそうにいった。】
- 327 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:06:03 ID:HnkBBDEo0
- >>326
「そりゃバイト共だな。なんだみんな、しっかり働いてんのか」
チキンライスにケチャップ、コンソメ、塩胡椒、少量のからしを入れて味を調整。
フライパンの火を止め、別のフライパンを出して卵を溶きはじめる。
「そういえばお前、体調は大丈夫なのか?」
- 328 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:10:13 ID:WVrfsEdY0
- >>327
「あう〜、みんなおみせがあったほうがいいんだとおもうなの!」
【嬉しそうだ】
「いいにおいなの〜」
【ご機嫌そうに見える】
「あう?からだのちょうしなの?
きょうはちゃんとうごくから…げんきかなの〜」
【少し考えながら、やや危なげなことをいう】
- 329 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:12:21 ID:HnkBBDEo0
- >>328
「なんだ、ちゃんと動かない日もあんのか?」
溶いた卵をフライパンに流し込み、箸でかき混ぜる。
「おいおいしっかりしろよ。お前の体のことだろ?
聞いたぜ、ロザリーから。いま大変なことになってんだって」
- 330 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:16:19 ID:WVrfsEdY0
- >>329
「あう〜、ずっとねてるときもあったかもしれないなの…
でもなんだかじっとしてたらあんまりうごけないの…」
【少し不安そうに言う】
「あう…でもじっとしてたらなんだか…
ほかにもくるしいひとがいるのかなってずっとおもってなの…
おそとにでてないとおちつかないの…」
【そう言って胸を押さえる。以前に比べ様子が少し変である】
- 331 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:20:19 ID:HnkBBDEo0
- >>330
「……なんかそれ、ヤバくね?」
やれやれと溜息を吐きつつ、クロスはチキンライスを皿の上に盛り付ける。
盛り付けたライスの上に中身が半熟の卵を乗せ、
包丁で卵を切り開けば、半熟の卵がチキンライスをふんわりと包み込んだ。
オムライスの完成である。
「ほれ、どうぞ」
自分の分も作ってあるらしく、クロスはもう一つのオムライスにスプーンを突き立てる。
「で、おまえ自身はどうやって解決するつもりだ?」
- 332 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:24:47 ID:WVrfsEdY0
- >>331
「あうあう…よくわからないなの…
なんでこんなことになってるのか…」
【ため息を付いて軽くうなだれる】
「あう、いただきますなの!」
【スプーンを手にとってオムライスに入れる】
「う〜…どうしたらいいのかなの…
ちゃんとちからがつかえるし…
わるいところがあるみたいとはちがうきがするけどなの…」
【軽く落ち込んだ顔をしている。彼女だけではどうにもならなそうだ】
- 333 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:30:35 ID:HnkBBDEo0
- >>332
「ふーむ、やっぱり専門の奴らに任せるしかねーか」
もぐもぐと口を動かしながらそっけなく呟いた。
「ま、お前自身もその呪いを解きたいと思ってるんなら、さっさと取っ払った方がいいだろ。
俺としては呪いに使われてる魔力を『食っちまう』ことも出来そうだが……
呪いの対象が俺ではなくディスだからなー」
オムライスに大量のケチャップをかけつつ、うーむと唸る。
「で、だ」
ケチャップを置き、またオムライスにスプーンを突き立てる。
「その呪いとやら、誰から受けた?」
- 334 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:36:11 ID:WVrfsEdY0
- >>333
「あう…うん、『でぃす』もよくわからないからなの…」
【軽く頷いた】
「もぐもぐもぐ…どうやったらはずせるのかなの…
このままだったらわるいことがおきるかもしれないの…」
【オムライスをムシャムシャ食べながらも胸を軽く握っていった】
「だれ…えっとなの…」
【しばらくうつむいて考えた後】
「おっきさは『でぃす』とおんなじくらいで…
こえはおんなのこかなの…でもかおはわからないなの…
うえから…こういうのかぶってたからなの…」
【そう言って近くにあったレインコートを指さした】
「…でもほかのことはよくわからないなの…
たぶんあのひとがやったからだとおもうけどなの…」
【少し考えていう】
- 335 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:39:57 ID:HnkBBDEo0
- >>334
「なにそれ。ストーカー? 通り魔?」
クロスは「怖い世の中や……」と言いつつも空になった皿の上にスプーンを置いた。
「やれやれ、手っ取り早いのはソイツを捕まえて軽くボコって
解呪方法を聞くのがいいんだが……居場所がわからんからなー」
ドクターペッパーの缶をあけて口にする。
「狙われた原因とか、わかるか? お前が研究所出身ってのに関係あるのかね」
- 336 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:43:49 ID:WVrfsEdY0
- >>335
「うーん…わからないなの…」
【少し不思議そうに言う】
「どこにいるのかなの…
さがせたらいいのになの…」
【不安そうな顔である】
「あう〜…おんなじにおいがしたの…
あのこは『でぃす』とおんなじにおいがなの…
もしかしたら…そうなのかもしれないの…」
【狙われている理由に少々覚えがあったようだ】
- 337 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/05/07(土) 22:49:22 ID:HnkBBDEo0
- >>336
「……あー、うん。だいたい分かった」
コツコツと頭に指を当てつつ、少し思案。
「とりあえず解呪の方法は専門の奴らに頑張って貰うとしよう。
お前はそれまで、耐えていればそれでいい。
ま、それが一番大変なんだろうけどな」
苦笑しつつ立ち上がる。
「ちょいとやることが出来た。皿はそこに置きっぱなしでいいよ。後で片付けておく。
それじゃ、もうちょい頑張ってくれディス」
そう言うとエプロンを外し、紅いコートを手に取ると足早に店を出て行った。
- 338 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/05/07(土) 22:52:07 ID:WVrfsEdY0
- >>337
「あう〜…わかったの…
あんまりむりは…しないからなの…」
【軽く頷いて言った】
「あう、うん。ぜんぶたべるから…
おしごとがんばってねなの〜」
【笑顔で手を振って見送って言った】
「おいしいのたべてたらちょっとだけわすれられるなの…」
【そう言って笑顔のままモグモグと食べ始めた】
- 339 :横島なつき:2011/05/10(火) 19:51:09 ID:aLmFDk8Y0
- 「生徒会ねぇ……」
日が落ちるにはまだ早い、放課後の千夜学園。
棒状の布ぶくろが突き出たビジネスバッグに、紺のブレザー姿。
一年生のナツキは、昇降口に設置された箱から用紙を一枚引っ張り出す。
構内に張り紙されている、生徒会役員に立候補するための用紙だ。
『(こんな学園で生徒会役員なんて色々と無謀だわ……)』
無色透明の女学生Aであることをよしとするナツキは、
代表だの何だのという類の仕事をするという気概は全くない。
彼女が書類を手に取ったのは、持ち前のファイリング癖によるものだ。
ビラやチラシは取り合えず持って帰る。後になってまとめて捨てることが大抵だが……。
『(……いや、こんな学園だからこそ、なのかな)』
ナツキは用紙を片手に立てて持ったまま、学生自治の本来について思案する。
どこか真面目な顔をして、傍目には立候補を考えているように見えないこともない。
- 340 :名も無き異能都市住民:2011/05/10(火) 20:00:11 ID:1sJsd2CgO
- >>339
「おや、君は立候補するのかい? その役員に」
後ろから声がする。
振り返っても“ぬいぐるみ”が壁に置いてあるだけで、誰もいない。
- 341 :横島なつき:2011/05/10(火) 20:08:26 ID:aLmFDk8Y0
- >>340
『(…………?)』
ナツキはくるりと振り返った。
声を掛けられた、ということだけが頭の中に残っている。
時間的に人通りの多い昇降口だ。幾人かの学生が行き交っている。
けれど彼ら彼女が自分に声をかけた様子は見られない。
視線の先にあるのは一つのぬいぐるみ……。
「……まさかね」
そう言って薄く笑う。
それは自分の妄想を否定する言葉だが、
偶然にも、ぬいぐるみの問い掛けに対する答えにもなっている。
- 342 :名も無き異能都市住民:2011/05/10(火) 20:21:13 ID:1sJsd2CgO
- >>341
「そうか」
彼女は独り言に答えを返す。
そうして「よっこいしょ」と危うげに立ち上がって。
「それじゃあ、その用紙を貰えないかな? わたしじゃ手が届かない」
綿の詰まった腕を上に掲げ、こう、指先のように腕の先のほうを二回折り曲げて。
クイ、クイ。
子供を象った30cmくらいのぬいぐるみが立って、用紙を求めている。
と、いうことは「コレ」も一応は高等部の生徒らしい。
- 343 :横島なつき:2011/05/10(火) 20:30:28 ID:aLmFDk8Y0
- >>342
「うぉぉ……」
予想外の事態ではないが、流石にうろたえる。
……人を模って作られたぬいぐるみが、
模倣元の人間と同じ言葉を使うというのは、
どうも本能が侵されている気がして、薄ら寒い。
「どうぞ。……立候補するのかな?」
それでも無難に応対して見せる辺り、ナツキもだいぶ慣れてきた。
膝を折って屈むと、タメ口でそっと用紙を差し出す。
奇人変人、亜人に異能者そして人外まで何でもござれの学園だ。
ぬいぐるみが喋ったところで、そうおかしくはない……。
- 344 :名も無き異能都市住民:2011/05/10(火) 20:50:53 ID:1sJsd2CgO
- >>343
うろたえた様子を見て、ぬいぐるみの頭がガクッと揺らぐ。
「おっとと……。うん、ありがと」
崩れたバランスを持ち直して、紙を受け取ると器用に三ツ折りにする。
「義務だった推薦人が要らなくなったからね。こんなわたしでも立候補が出来るこの機会、逃すわけがない。という魂胆さ」
今まで、ぬいぐるみを推薦する人は居なかった。ということだ、つまりは。
「ただ、立候補しても投票されなければ意味が無いのだけれど」
そう言って、声だけ笑う。
……ぬいぐるみは動かない、明るい声が妙に怖い。
- 345 :横島なつき:2011/05/10(火) 21:05:30 ID:aLmFDk8Y0
- >>344
「てことは君も学生なのか……」
先輩だったらどうしよう、という気持ちが湧くが、今さらのことだった。
それにしても、目の前のぬいぐるみに自分と同じ籍があるというのは何とも不可思議だ。
何かの術で操って声を出しているだけで、本体はまた別にいるんじゃないか……。
と、非科学的な想像にも少しずつ頭が働くようになってきた。合っているかは別として。
「対立候補がいなくて、信任投票なら何とかなるかもね。
……流石に素性が謎すぎると信任するのも躊躇うけど」
ひひひ、と含みを込めて笑う。ひどく遠回しに、あなたは何者、と尋ねている。
ナツキが立候補しないのは、公正の場とはいえ誰かと対立するのが怖いという点もある。
- 346 :『マペッター』:2011/05/10(火) 21:31:15 ID:1sJsd2CgO
- >>345
「……ああ、そういえば。
わたしは『マペッター』、人形使いのコレットだ」
マペッターとは人の形をした物に魂を移して操る術者の事である。
つまり、操っている人物が別にいるということだ。
「それじゃ、疲れたからわたしは戻る」
くるり、と右向け右。
危うげに頭を揺らしながら、保健室がある方向へとぬいぐるみは歩いていく。
- 347 :横島なつき:2011/05/10(火) 21:46:42 ID:aLmFDk8Y0
- >>346
「やっぱり、超能力なのね。
……私は一年生の横島なつき。ぱんぴー」
マペッター……人形師だったっけ、とぼんやり思う。
疲れたというのも能力の使い過ぎなのだろう。
コレットという人物、恐らく女性。ナツキはそれを覚え置く。
「またね。……といっても、
私の方からじゃ分からないだろうけど」
今話しているのは能力で操っている人形なのだから、
その本人が目の前を歩いていても、見た目では分からない。
自分だけ素性が割れているのは何だかなぁ、と思いつつ、小さな後ろ姿を見送った。
- 348 :【ヴァルキューレ】イリク=ヴァン:2011/05/11(水) 00:02:06 ID:j3dxNUKs0
- 細身の女性が夜の街を歩いていた。
観測局の服を着ているが、腕の部分の模様が余り見かけない色と形だ。
そして目に付くのは、両手に引きずる重そうな金属塊。
流線型の飛行翼の外側に無理やり刃を取り付けたような武器もどきを一つずつ、
手で持っている。
- 349 :アシュレイ:2011/05/11(水) 00:13:07 ID:Tzf02GOU0
- >>348
彼女の歩いている道の横、そんなに広くはない公園がある。
すでに夜も更け、人気などまったく感じないそこに、千夜学園の制服を着た銀髪の少女が、独り立っていた。
「…………!」
彼女は足元に置いてあった、何の変哲もないビニールボールを取ると、それを空に向かって力一杯投げた。
夜の空に、安っぽいボールがその軌跡を描き――――
「ウィスプ!」
どこからともなく飛んできた、短剣の刀身の様なユニットがそれを更に跳ね上げた。
その動きは、一つではない。ボールは逐次現われるユニットに跳ね上げられ続け、それはさながら、空中リフティングの様相である。
ボールをリフティングで滞空させているユニットの数は、全部で6つ。それらを、少女はただ見上げている。
- 350 :【ヴァルキューレ】イリク=ヴァン:2011/05/11(水) 00:21:14 ID:j3dxNUKs0
- >>349
「…あんたは。」
アシュレイの姿を見て、女性が足を止めた。
先日都市を襲った未曾有のテロを止めた、協力者の一人。
「小型装置の稼動テストか?随分と細かい動きが出来るようだな」
少し低めの声がアシュレイに投げかけられた。
ずりずりとその不思議な武器を引きずりながら、公園に入ってくる。
- 351 :アシュレイ:2011/05/11(水) 00:35:45 ID:Tzf02GOU0
- >>350
「え、あっ……」
話しかけられた少女、アシュレイはそれに満足に応えられず、そんな声を漏らす。
同時、ボールを跳ね上げ続けていたユニットのひとつがボールを捉え損ね、地上に落としてしまった。
ボールが地面にバウンドし、どこかへ転がっていってしまうのを見届けたアシュレイは、表情を変えずに小さく首を振り、
ユニット群を自分の側に呼び戻した。ユニットはそれぞれに彼女のもとへやってきて、3つずつ彼女の両側に滞空する。
「……と、これは、いつぞやの。こんばんは」
アシュレイの方も、女性を覚えていたらしい。
かの都市侵攻事件の折、「ヴァルキューレ」と呼称され、一撃離脱戦法を示した人物だ、という認識の上で。
「今私がやっていたのは、この「ウィスプ」の制御訓練です。
最近使い始めたばかりで、あまり性能を活かしてやれておりませんので……」
と、両側に控えたユニット「ウィスプ」を視線で示す。
- 352 :【ヴァルキューレ】イリク=ヴァン:2011/05/11(水) 00:41:09 ID:j3dxNUKs0
- >>351
「おっと、邪魔してすまなかった」
すまなそうに眼を細める。
「確か、アシュレイ君だったね。
何、協力者の名前は観測局の中で良く話題になるのさ。」
快活に笑う。
「イリク=ヴァルだ。この前は助かったよ。
お礼に行こうとは思っていたが、箱庭での訓練帰りに会うとは思わなかった」
手に持った武器はその為だったのだろう。
「独立機動ユニットだね、その手の装備は局には少ないが…
新しい手足を得た気分で、中々慣れないんじゃ無いかな?」
- 353 :アシュレイ:2011/05/11(水) 00:54:56 ID:Tzf02GOU0
- >>352
名前を覚えられていたことに、アシュレイは少し驚く。
自分はあの場に駆けつけた外部の者であって、観測局の人間ではない。
それに、それほど目立つ活躍をしたわけでもないのだが……と、内心首を捻った。
「いえ、私もこの都市を守る戦列に轡を並べられて光栄でした。
箱庭での訓練……なるほど、その武器はそういうことでしたか」
あの戦いの最中、女性、イリクがやってのけた一撃離脱戦法は見事なものだった。
それにひきかえ……と、アシュレイはやや目を伏せてウィスプたちを見る。
「新しい手足……という程度で済めばよかったのですが。
体感的には頭足類のように足が一気に増えた感じです。仰るとおり、慣れ、という感覚を中々得ません」
- 354 :【ヴァルキューレ】イリク=ヴァン:2011/05/11(水) 01:11:06 ID:j3dxNUKs0
- >>353
「あの戦列に並んでいた者達は…例えば、黒沢小百合が居たな。
千夜グループの令嬢だ。戦闘狂だという噂もあるが、あの能力は頼りになる。
公安の八代と共同戦線を張るのは初めてだったが…
番傘の少年は、まだ良く知らないな。調べがついていない」
すらすらと言葉が出てくる。あの場所に居た協力者の名だろう。
「我々の機関はまだ未熟だ、協力者が居なければこの間もやられていただろう。
もっと防衛、攻撃機能を増すべきだという意見もあるが、
実際のところあまり兵力を増やせて居ないのだ。
私のような無能力者が戦わされるぐらいな。
協力者の情報は、重要なのさ」
苦笑して、彼女は武器を地面に置いた。
ジェットの燃料が脇についており、カラン、と音を立てる。
「この装備は試作段階だ。装備自体が重いため軽い女性にしか扱えない。
私が上手く行けばいずれ一般兵装になるかもしれん。
無能力者を戦わせる手段としてな。一時的な飛行能力と翼による斬撃が特徴だが、
使いこなすまでは壁にぶつかって骨折のし通しだったよ。」
彼女は今も訓練を続けているのだろう。
「努力を続ければ、思うよりすんなり道は開けるものだ。
私も瓦礫を避けて一撃浴びせるぐらいの事は出来るようになった。」
だから、すぐ使えるようになる、そういいたいのだろう。
- 355 :アシュレイ:2011/05/11(水) 01:33:52 ID:Tzf02GOU0
- >>354
「努力、ですか。私の場合はデータの積み重ねでしかないのですが……」
聞こえるか聞こえないかの声で呟いてから、イリクの持っていた武器を、アシュレイもじっと見る。
なるほど、彼女の言ったとおりの性能と問題を抱えていそうな武器だった。
「これは、使用者の安全に問題があるようにも見えますが……。これが次の制式採用となるのですか?」
こんなピーキーな武器を一般化しようという観測局の考えに、アシュレイは納得できない。
ましてや、使用に慣れるまで骨折を繰り返すような装備だ。
いくら戦力が足りないからと言って、これはさすがにどうか、というのが率直な感想だった。
「……資金力に問題でも? それか、技術的な?」
これが採用されるかも知れない状況には、何か特別の理由があるのではないか、という推察から、そんな問いが漏れた。
- 356 :【ヴァルキューレ】イリク=ヴァン:2011/05/11(水) 01:51:15 ID:j3dxNUKs0
- >>355
彎曲した翼の外側側面に刃。そして、内側に柄が刃と垂直に飛び出ている。
ジェット機構は3つ。真横と斜め、そして後ろへ噴射するものだ。
これらを使い分けて両手で制御する事で飛行と攻撃を同時に成し得る。
片翼のジェットだけではどうしても飛べないつくりになっていた。
「ああ、挙動の難しさについては問題が無い。
私の戦闘記録から、我々は合理的に『学ぶ』事が出来るからね。
それに、強い能力者程、半端な力が意味を成さない事はこれまでの経験から解っている。
我々無能力者にとって攻撃とは、とんでも無く高いリスクを背負った一撃の事を指すんだ」
無論、他にも兵装はあるが、機動力や集団戦闘を行うならばこのモデルの整合性が高い、
と彼女は呟く。
「もっと強力なものもあるにはあるが、特定の状況下でしか使えないからな。
ここがバランス地点なんだ」
一般人と、異能を持つ者達。その距離の隔たりを埋めるためには
リスクの高過ぎるような行為が、普通になる。
「君の一撃…最後にNo.28を沈めたあの咆哮だが、凄かったな。
局員も驚いていたよ。重要なデータとして記録されたはずだ。
…正直、私の力などあの攻撃の前には無力も同然だ。
だからこそ、私達は君達レベルの敵が現れたときにも対処出来るよう、
諸刃の剣を両面とも磨き続けなければならないんだ」
- 357 :アシュレイ:2011/05/11(水) 02:16:07 ID:Tzf02GOU0
- >>356
「学ぶ」という言葉で、アシュレイの脳裏に閃くものがあった。
それは、かの都市侵攻事件で用いられた、あの「広域化」という技術。
あれを使ってイリクが会得した技能を共有するのだろう、と予想を付ける。
しかし、そうした技術を持っていても、イリクはリスキーな武器は必要だと言う。
アシュレイはその技術と意識の間に、微妙なアンバランスさを覚えた。
「最後の咆哮……「ライオット・ハウリング」のことですか。
あれは私が内包するほぼ全てのエネルギーを費やす、虎の子の一撃なんです。
あの攻撃を失敗すると、もうその日は動けなくなってしまいますから、あれも諸刃の剣と言えなくもありませんね」
胸の辺り……人間ならばちょうど心臓がある辺りで、アシュレイは拳を握り、
「お気づきかどうかはわかりませんが、私は機械の人間です。アンドロイドなんです。
あなたが凄いと言ったあの一撃は、あなたと同じ、何の異能力も持たない人間の手によって生み出されたのです。
人は戦うことが出来る。それはそのとおりです。
しかし、人の真の戦い方というのは、その手で生み出したモノたちに戦ってもらう、というものなのではないでしょうか?」
- 358 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 01:07:38 ID:HnkBBDEo0
- 「生徒会選挙、ねぇ」
深夜の町にて。
閉店になってもゲームセンターに居座った挙句、追い出された少年は夜の町の中を歩く。
コンビニで買った食糧をモグモグと口にしつつ、静まり返った夜道を見渡した。
「僕なんかには人の上に立つだなんて合わねぇからなー。
大勢を纏めるとか絶対に無理」
ブツブツ言いつつも肩から提げたカバンから古びた本を取り出し、近くのベンチに座った。
「……それよりコッチだな。解呪の方法を探す為に、まずは呪術の種類を洗わねぇと」
- 359 :鳶貴:2011/05/14(土) 01:28:12 ID:rMhIcMso0
- イライラと一歩一歩を蹴り散らすようにして早足で歩くスーツの男。
脇目もくれず電子タブレットをペン先で殴りつけている。
「クソッ…あのバカ、どれだけ俺の手を煩わせれば気が済むんだ…?
始末するのが少しでも遅れたら事だというのに、一報も入れず暴れやがる。
上層部は何故あんなヤツを好き勝手させてるのか…監視の者は何を…。」
客足もすっかり減りシャッターの降りた商店や施設を通り過ぎながら、一人夜の街を歩いて行った。
- 360 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 01:36:59 ID:HnkBBDEo0
- >>359
「あだッ」
脇目もくれず歩いていたスーツの男。
まるで地面を蹴るようにして歩いていたその足は、
ベンチに足を伸ばして座っていた少年の爪先を蹴っ飛ばしていた。
「ってぇー。おいゴラお前。何しやがんだ」
本を横に置き、ガンを飛ばしながら立ち上がる。
- 361 :鳶貴:2011/05/14(土) 01:48:32 ID:rMhIcMso0
- >>36
「なんだ、貴様は?」
段差か何かに足を取られたぐらいの意識しかなかった男は
不意にかけられた声の主の方に振り返る。
明らかに"機嫌が悪いです"と言わんばかりの顔をしていた。
「この俺に何の………。」
怒りの語調が不意に途切れる。
男の視線の先には古びた本、恐らく何かの魔術に関連しているであろう書物に向けられていた。
- 362 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 01:53:31 ID:HnkBBDEo0
- >>361
「あやまれよ……」
相手が明らかに機嫌が悪そうなことは、一目見て分かった。
でもメイプルも子供だ。それくらいで引くほど素直では無い。
「あやまれっつってんだよ! なんだよてめ、やんのk……あん?」
男の視線が本に向かっているのを見て、言葉を止める。
「なんだよ。それは僕のモノだぜ。実家出る時にパクってきた大切なモンだ」
- 363 :鳶貴:2011/05/14(土) 02:07:47 ID:rMhIcMso0
- >>362
(…やれやれ、またガキか。キャンキャンとうるさい…獣?)
男は顔を上げ、常人と違和感を感じる部分に気が付いた。
それからしばらく何やら考えた後、ふっと柔和な笑みを少年に向ける
「…すまないね、足を引っ掛けてしまったようだ。」
早業と呼べるような変り様。
「その書物…よければ、詳しく見せてくれるかね?」
- 364 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 02:11:44 ID:HnkBBDEo0
- >>363
「……ああ?」
いきなり変わった態度。
豹変した空気。
少年は戸惑うが、相手が謝った故に強気に出ることも出来ず、
「あ、ああ。見るだけならいいけどよぉ」
ここは素直に本を渡した。
古びたハードカバーをめくれば地域ごとの魔術、陣、式、材料、効果などが詳しく記載されている。
黄ばんだ紙には、少年がつけたのだろう、様々な色の付箋が貼り付けてある。
- 365 :鳶貴:2011/05/14(土) 02:25:12 ID:rMhIcMso0
- >>364
「よかった。では失礼。」
本を手渡されるなり、すぐさまページを捲り始める。
(…単なる魔術書か。項目D……なし。特に目ぼしい情報はないようだ。)
図解や記述を流し読みしている内に、様々なページに目印が貼ってある事に気が付き、
その箇所を何枚か探って読む。
「ふむ…これは何かね?」
付箋が貼り付けてあるページを指差しながら訊ねた。
- 366 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 02:29:21 ID:HnkBBDEo0
- >>365
「それは主に個人を対象とした呪術系の魔術をマークしてるんだ。
ちょいと頼まれて、解呪をしなくちゃいけないことになってな。
……おっさん、何? 魔術にでも興味あるの?」
相手を「おっさん」と呼びつつ、探るような目で相手を見る。
- 367 :鳶貴:2011/05/14(土) 02:38:57 ID:rMhIcMso0
- >>366
「解呪か、なるほど。その手の術式は類似した系統を被せ作用を打ち消しあうというのを耳にした事がある。
正に毒を持ってというやつだな。…いや、真偽の程は判りかねるが。」
懐から先程書き殴っていたタブレットを取り出し、何やら解説気味に読み上げている。
…"おっさん"という単語に眉をぴくりと動かし反応したような気が…。
「何、まぁそんな所かな。ちなみに、その呪いというのは?
…おっと失礼。読ませてもらったお礼だ。」
少年の勘繰るような眼差しに気が付き、革財布から紙幣の数枚抜き出して本に挟み返した。
- 368 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 02:48:19 ID:HnkBBDEo0
- >>367
「……いや、その発想は無かった」
少し見直したように、目を見開いて相手を見つめる。
「そうか、相殺か……ああ、それはいいな。うん、いい」
ブツブツ呟きつつ、本を受け取る。
しかし本に挟まれた紙幣に気付き、
「おい待てよ。こんなモンいらね……」
と言いかけて、言葉を止めた。
少年だって、この街に――異能都市に住んでいる。
だからこそ、この紙幣の持つ意味も、色々な解釈をすることが出来るのを知っている。
自分が探るような目をしたのを、相手が分かったのか……
ここで渡された金銭は……
「……ん、ああ。悪いね、ありがとうな」
素直に受け取っておく。そして、相手を探るようなことはしない。
こういう相手は深く首を突っ込めば危ないが、普通に接していれば無害である。
むしろ、変に探らない限りは有益ですらあるだろう。
そう判断した少年は疑うような目を閉ざした。
「呪いは、話によると自分の意思と関係なく暴れちまうような感じだ。
その間の本人の記憶はあやふやだから、肉体を操作されてるというよりも
精神の方に働きかけているらしい」
- 369 :鳶貴:2011/05/14(土) 03:08:27 ID:rMhIcMso0
- >>368
「…そうかね。まぁ、アテにはしない事だ。ましてや見ず知らずの他人からの情報などはな。」
薄型の電子タブレットをまた上着の内に戻す。
「遠慮する事はない、気にせずに受け取っておくといいさ。
…手数料に触れる事すらできぬ者もいるんだ。せめて実体のあるキミには渡しておかないと気が晴れない。」
後半は独り言のように呟きながら、戸惑っている少年に向き直る。
色々と考えを巡らせた末、返礼を受け取ったのを確認すると男はにこりと笑った。
「賢明だな、こういう場合はそれでいい。」
「…暴走か。そりゃ厄介だな…。」
苦い顔をしながら俯く。
似たような症例の者が身近にいた事を思い出し、頭を抱える。
「なるほど、模索中という訳か。さっきのがヒントになればいいのだが…ふむ。」
- 370 :メイプル・ビターキャラメル:2011/05/14(土) 03:19:46 ID:HnkBBDEo0
- >>369
「模索中……だけど、さっきの言葉でいいヒントが貰えたよ。サンキューな」
本をカバンの中にしまうと、少年は立ち上がる。
「そういえば明日は午前授業だった。この時間はやっべーや。
ありがとな、おっさん。道が見えた気がするよ」
そう言うと少年は軽く手を振ると、
「さーて、速攻で変えるか」
ボフン、と、変身。
山羊の姿になると服とカバンを口にくわえ、
蹄でアスファルトを蹴って凄い勢いで走り去っていった。
「底の見えねぇおっさんだったぜ……怖い、が、妙に頼れそうな奴でもあったな」
モゴモゴと独り言を呟きながら。
- 371 :鳶貴:2011/05/14(土) 03:37:25 ID:rMhIcMso0
- >>370
「そいつはよかった。
フフフ、精々頑張りたまえ。」
ベンチから立ち退き帰路につく少年に、同じように軽く手を振り返す。
そして少年が獣へと変化し街道を駆けていく姿を見届けると
顎元に手を当てて消えていった先を見詰め考え込んだ。
「面白いガキだ。ケモノでもありながら人を真似できるだけでなく…ふむ。
…呪い、か。馬鹿を打ち消す呪いがあれば是非とも研究させたい所なのだが…。」
すっかり少年との会話で薄めていた厄介な悩みの種をぼやき
スーツの男は都市部のオフィス街の方へと歩き始めていった。
- 372 :剣山/アロハの男:2011/05/17(火) 22:46:26 ID:ste/2NNA0
- 「いや、そんな奴らは聞いたことないな。
というか、特徴が少なすぎるだろ」
アロハシャツの男が、公園のベンチで携帯電話に向かって話していた。
小脇にはたい焼きがいくつか入った紙袋を抱えている。
「あ?あのピアス野郎は勝手に暴れさせとけ。
ベイも部下の管理はちゃんとしろってんだ。
ああ、悪い悪い。じゃ、たい焼き冷めるから切るぞ。
もう少しで四人揃うから、ちゃんと準備しとけよ」
そう言って、電話を切ると、男はバンダナ代わりに頭に巻いたタオルを締めなおす。
そして、一息ついたようにため息をつくと、たい焼きを食べ始めた。
- 373 :ハインリヒ:2011/05/18(水) 23:37:34 ID:Sv6.EONg0
- 【とある一軒家】
それじゃーお婆ちゃん、お大事に。
「どうもありがとうねぇ、いつも」
いやぁそんな……。またねぇー!
【家主の老婆と親しげに話を終え、坂道をてくてくと歩いて下る青年】
【金髪が歩くリズムに合わせて揺れる。とても上機嫌そうだ】
あ、そうだ。針を買って帰らなくちゃ……。
- 374 : ◆My6NsjkSfM:2011/05/20(金) 22:55:46 ID:WVrfsEdY0
- 「〜♪」
【青いレインコートをかぶった小柄な人が街を歩いている】
「…やっぱりオンズじゃあ駄目だったのかなぁ〜…」
【なにかつぶやきながらゆっくりと歩く。どうやら少女のようである】
- 375 :ベイ/黒いローブの男:2011/05/22(日) 22:38:29 ID:ste/2NNA0
- 黒いローブを着た男が、街の公園で、手元をじっと見つめていた。
手に持っているのは、真っ赤な一枚の鱗だった。
鱗の表面には、X字の紋章が刻まれている。
「……遅いな、止木。
最近密命だかなんだか知らないが、
どこかに行きっぱなしだし、来ないつもりかな」
男はぶつぶつと呟いていた。
誰かを待っているのだろうか。
- 376 :鳴瀬 成美:2011/05/22(日) 23:21:11 ID:rMhIcMso0
- 「生……徒会。」
公園のベンチでミネラルウォーター片手に女性が佇んでいる。
腰に下げた刀が座る時の邪魔にならぬよう、両膝に並べるようにして置いていた。
先ほどまで誰かといたらしく、隣には空のコーヒー缶が立て置かれていた。
「知らぬ内に決まってしまったみたいですが…大丈夫なのでしょうか…。」
不安を呟き、溜息を漏らす。
- 377 :アシュレイ:2011/05/23(月) 00:54:08 ID:cELwN/Ek0
- >>376
少し時間があいて、公園のランニングコースを抜けてきたらしい制服姿の少女が歩いて現われる。
彼女は少し立ち止まって辺りを見回した後、成美に気付いた様子になり、そのままベンチの方へ歩いてくる。
「…………」
立候補者一覧の張り紙を覚えていればの話だが、その顔は先に行われた生徒会役員選挙の立候補者の一人であり、
生徒会副会長であるアシュレイであることがわかるだろう。
- 378 :鳴瀬 成美:2011/05/23(月) 01:03:35 ID:rMhIcMso0
- >>377
「あ………。」
こちらに歩いて来る少女。
同じ千夜学園に通う者の制服を着たその姿には覚えがあった。
「…こ、こんばんは…。
ア…アシュレイさん…ですよね?」
緊張気味に会釈をする。
今はスーツの私服姿だが、立候補者の一覧に載っていた生徒だ。
- 379 :アシュレイ:2011/05/23(月) 01:18:08 ID:cELwN/Ek0
- >>378
自分を覚えているらしい相手の言葉に、アシュレイは頷きを返し、
「はい、こんばんは。そういうあなたは鳴瀬 成美さんですね。
会計の立候補者の……いえ、もう立候補者ではありませんでしたか」
言って、アシュレイは成美の刀と、ベンチに置いてある空の缶に目をやり、続いてまた周囲を見渡して、
「ここで何をしているのですか?
……ああいえ、何かを怪しんでいるわけではなくて、単なる確認です」
空の缶だけがあるのならそれは別段気にすることでもないのだが、帯刀しているとなると話は違ってくる。
何かと戦いに来ているのか、それとも普段から帯刀している人間なのか……そこのところの判断がつかなかった。
もし前者なら、自分は早々にここを去らねばならないだろう。
- 380 :鳴瀬 成美:2011/05/23(月) 01:33:26 ID:rMhIcMso0
- >>379
「はい。…会計、ですね…。
あの…ひとつ、聞いてもいいですか?その…私が立候補した"会計"について…。
どういう事をするのか、とか…色々と…自分でも調べてみたのですが…。」
そう言うと、足元に置いていた手提げ鞄の中から分厚い辞書を取り出して見せた。
会計と言うものを把握しないまま立候補したのだろうか…。
「あ、いえ。少しと…し、知り合いの人とお話していました。
えと…今はただぼーっと…。」
そわそわとしながらも、アシュレイの目の動きを追い刀を手元に引っ込めるような動作をする。
もちろん学園内では普通に制服を着て帯刀もしていない。
- 381 :アシュレイ:2011/05/23(月) 01:47:53 ID:cELwN/Ek0
- >>380
自分が何をやるかわからないまま立候補したという点に、アシュレイはちょっとした共感を得た。
彼女もまた、何だかよくわからないうちに押し切られ、立候補してしまった経緯があるからだ。
「生徒会の会計という役職は、記憶が正しければ、生徒会の運営に関するお金のやりとりを管理、記録する役職だったと思います。
前年度の会計の記録をまとめて、今年度の予算案のベースとしての資料を提示するとかの仕事内容もあったかと」
そこで一端言葉を切って、小さく首を振り、
「……実を言うとですね、私も自分が立候補した役職のことは、よくわかっていないのです。
クラスメイトに勧められるまま立候補してしまったもので。あなたも似たような境遇でしょうか?」
つまるところ、ここにいるのは「よくわからない」同士であるということだ。
「そうですか、知り合いの方と。
ただ、あまり外に長居するのはよくないかも知れません。怪人がうろついていますからね」
- 382 :鳴瀬 成美:2011/05/23(月) 02:00:28 ID:rMhIcMso0
- >>381
「なるほど…えっ、貴方も…ですか?
よかった…実は私も…その、知り合いによく分からぬ内に用紙に名前を書かされて…
あ、いや…結局書いたのは私ですし…その、彼女の所為という訳でもないのですが…。」
不意に成美の顔に笑顔がこぼれ、安堵の溜息をつく。余程嬉しかったのか。
「わ、わかりました。お金の管理や事務…という事でしょうか。
御説明、ありがとうございます。」
端的にまとめて解釈し頷く。
「…"怪人"?えーと…あ、そういえばそんな話を耳に…。
そ、そうですね……そういえば、アシュレイさんはここで何を…?」
- 383 :アシュレイ:2011/05/23(月) 02:16:22 ID:cELwN/Ek0
- >>382
「確かに。どんなに強い勧めがあったとしても、結局選択したのは私たちですからね。
選択の責任は負わねばなりません」
役員選挙の届出用紙を用意できるということは、成美を立候補するように仕向けたその人物も学園生なのだろう。
何故立候補させようとしたのか。そのあたりは今の時点でアシュレイには想像しようもなかったが、少し、気になった。
「しかし、そうは言っても限界はあると思います。
半ば、望まぬ形ですから、モチベーションもそこまで高くはないでしょうし。
何か困ったことがあるのなら、私で良ければ相談に乗りますよ。
同じ生徒会役員ですし、私のクラスメイトが言うには、副会長というのはそうしたサポート役にまわることが主だとのことですから」
アシュレイは「同じ生徒会役員」とは言ったが、その後に「仲間」と付けることはなかった。
方向性を同じにする他人を仲間と呼ぶという程度の知識はあるものの、
実際の場での「仲間」という意識がどういうものなのか、彼女にはよくわかっていなかったからだ。
「私は見回りをしていました。
今私が言った怪人は、どうも学園生をターゲットにしているらしいので、その対処のために。
幸い、私の力が通用する相手のようですから」
- 384 :鳴瀬 成美:2011/05/23(月) 02:40:25 ID:rMhIcMso0
- >>383
身体は大きいが見て取れるように気の弱そうな性格だ。
一押しすればサインのひとつ位、容易だったのだろう。
「相談ですか。…ありがとうございます。
ですが、職務を与えられた以上、如何なる事であろうと全うするように言われましたので…。
今回の件も、なんとか頑張りたいと思っています。」
強く意気込み真剣な表情をアシュレイに見せた。
「見回りですか。ご苦労様です。」
(…力?…まさか、この人も"異能者"…?)
少女の話を聞き終えた後、顔を僅かにアシュレイから逸らしながら表情を険しくする。
通用する、という言葉から既に交戦したのだろうと取れる。そして世を騒がす"怪人"という者に太刀打ちできる程の力―――
「……すいません。私はこれで失礼しますね。
仰るように、一人で長居は危険かも知れませんから…お話、ありがとうございました。」
膝上の刀を両手に持ち、そそくさと急ぎ足でベンチを後にする。明らかに慌ていた様子だった。
座っていたベンチには、先程辞書を取り出した手提げ鞄が置きっ放しになっている。
と言っても中身は他に栄養剤や異能都市の地図や資料等、貴重品は入っていなかった。
- 385 :アシュレイ:2011/05/23(月) 02:57:12 ID:cELwN/Ek0
- >>385
意外にも強い意気込みを見せた成美に、アシュレイは内心で少々の驚きを得た。
「なるほど。そういうことなら、余計な手出しはしないようにします。
がんばってください」
微笑んで、彼女の意気込みを後押しする。その後に成美が見せた険しい表情には、視点の関係で気づけなかった。
そして、何やら慌てるようにその場を後にする成美の別れの言葉に頷き、
「はい、道中気を付けてください。今度は、生徒会室でお会いしましょう」
去っていく彼女を見届けたアシュレイも踵を返そうとしたが、成美が先ほどまで座っていたベンチに、
彼女のものらしい物品が置いたままなのに気付き、
「……これは、彼女の?
荷物を取る余裕もなかったのでしょうか……?」
次に会ったときに渡せるように荷物を回収しながら、アシュレイは答えのない疑問に、しばし脳裏を支配され続けた。
- 386 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 20:36:21 ID:1sJsd2CgO
- 【異能都市 西部】
広大無辺な異能都市を中央と東西南北に分けてみたところの、だいたい西側。
細かく言えば南西寄りなその区画。繁華街を背にする、閑静な住宅街に黒装束の彼女は居た。
現在、密かに展開されている捕縛作戦のメインターゲット『贖罪の女山羊』ロージェンスである。
「寒っ。最近暖かいと思ってたらすぐに寒くなりやがって……」
腕や指に装飾品の目立つ手には缶コーヒー、もちろん冷たい。
この時期、温かいものは自販機から姿を消していくのである。
ロージェンスが歩む先、前方には公園と開けた道路がある。
住宅街に点在する、建物の隣立が疎になる地点の一つである。
- 387 :名も無き異能都市住民:2011/05/23(月) 20:51:14 ID:SSMHlh/20
- >>386
敵意を察知する事ができるというのなら、
ロージェンスには分かるはずだ。自分へと向けられる『敵意』。その、爆発的な増殖を。
大量の敵意が東、南、北の3方向から彼女を包み込むように蠢く。
この位置は危険だ。今すぐ、安全な場所に姿を隠さなくては。
- 388 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 20:59:51 ID:1sJsd2CgO
- >>387
――ぞわッ……!
感じた。突如として現れた『敵意』とその方角に質や量……
そしてなにより、
(……こいつらッ!“今、現れやがった”ッ!?)
この群体は組織されている。
目標はほぼ確実に私自身。
だというのに――
(いや、とりあえず今は……!)
西へ。
やや開けている方向へと走り出す。
【レス +2点/行動 ?】
- 389 :黒沢小百合:2011/05/23(月) 21:17:39 ID:SSMHlh/20
- >>388
電子偵察衛星およびAWACSによる最新鋭のエリントによって、
空中から目視できる限り、ロージェンスの動きは小百合の下に逐一報告されている。
『対象は作戦通り西方面へ移動中。
監視を継続します。』
「よろしい、このまま中心区画からヤツを追い出せ。
攻撃を仕掛けるのはまだ早い。」
先日の説明会にこそ出席していなかったが、
小百合は都市有数の大企業、『千夜グループ』の軍事全般を統括する女である。
都市の治安維持を役目とする小百合の下には当然、ロージェンスの情報も齎されていたのだ。
「あの女が国一つを滅ぼせる能力者か……。
そうは見えんが……人は見かけによらぬもの、か。」
小百合は、狩りをするようにロージェンスを包囲し、
人の少ない拡張工事区域へと慎重に誘導する。
夜ならば、大規模な工事は行なわれておらずどんな能力を使われようと
犠牲者が出る可能性はずっと低くなるはずだ。
- 390 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 21:39:57 ID:1sJsd2CgO
- >>389
正直、この『敵意』に恐怖している。
記憶を失くし、過去の国を潰し回った戦闘経験すら失った今のロージェンスにとって、統率された群体と相対するのは未知の体験。
それが幽霊のように突如として現れたのだ、徐々に近づいてくるのと訳が違う。
(あぁ、チクショウ。なんなんだ、こいつらは……!)
次第に追い込まれ、概ね思惑通りに進まされていく。
――打ち鳴らされるネックレス。
次の瞬間、ロージェンスの手元には極彩色のカービン銃《孔雀ノ皇銃》が現れる。
銃口に灯る三角の陣、淡く黄色に光るそれは瞬く間に吸い込まれ、空の弾倉を魔弾で満たす。
――タタタッ タタタッ タタタッ
後方の地面に向けて点射で撃ち放つ数発の魔弾。
《はじける種子》は地面に抉られた銃創で陣を展開する。
非常に疎らではあるが、もし万が一踏んでしまったなら、種子は放電しながら炸裂するであろう。
トラップを仕掛けて更に逃げるロージェンスは、とうとう拡張工事区域に足を踏み入れた。
【レス +2点/行動 ?】
- 391 :ハインリヒ:2011/05/23(月) 21:41:39 ID:S7fEM4JU0
- >>389-390
えっほ、えっほ。
【ロージェンスとすれ違い駆けていく毛布の塊】
【……ではなく、青年】
【両腕に満載し頭の上にも乗せ腕にも引っ掛け首と肩と……】
【とにかく、引っ掛けられる所全てに毛布をひっかけているため見えているのは足だけ】
【毛布はドロや埃や染みが目立ち、異臭を放っている。御世辞にも、というか、掛け値なしに汚れている】
【通りすぎて少し走ったところで】
……あ?
【見るほどの隙間があるのか、でも見えたからハインリヒは立ち止まった】
【自分がさっき来た道を、目立たない格好だけどそこかしこに散り、警戒態勢で進んでいく兵士たち】
【普通はそこで『あらヤダ物騒、ささ行きましょ』と足を速めるのが大人なのだが】
【青年はお節介が凝り固まって出来たような人間だった】
……
【兵たちに背を向け、さっき来た道を引き返していく】
【さっき通り過ぎた女性が気にかかって、ちょっと足早に。】
- 392 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 21:50:31 ID:1sJsd2CgO
- >>391
逃げるのに精一杯になっていたロージェンスには、怪人毛布だらけすら、何かが通ったような“気がした”程度の認識だった。
青年が足を進めた先に、なにか奇妙な陣が光っているかもしれない。
それは、踏んだり蹴ったりしたら放電して炸裂する加圧式の地雷のような魔弾である。
【レス +2点/行動 ?】
- 393 :黒沢小百合:2011/05/23(月) 21:58:26 ID:SSMHlh/20
- >>390
「HQより攻撃部隊へ。『手紙、回収されたし。』
繰り返す。『手紙、回収されたし。』」
小百合の指示と同時に、部隊が動いた。
唯一逃げ場が残されていた西側にも先ほどと同じく
『一瞬にして』多数の敵が出現。完全にロージェンスを包囲。
ゆっくりと円を狭め、彼女の姿を捉えようと試みる。
ここまでで、ロージェンスが行なった唯一の行動はトラップの設置であるが、
魔弾に関する情報を得ており、なおかつ発砲による陣の展開を観測していた
小百合相手では、それらが効果的に機能する可能性は低い。
包囲網が薄くなりすぎない程度にその地点を迂回するはず。
- 394 :ハインリヒ:2011/05/23(月) 22:09:56 ID:S7fEM4JU0
- >>392
【女性を見失わないように毛布の隙間をその背中に合わせて】
【それはつまり、下は全然見ていないということで】
パリッ
【足元が青白く光るのも気付かず、もう一足踏み出そうとしたところで】
ばぢぢぢぢぢぢぢぢッ
い゛ッ!!?
【唐突に脊髄を貫いた激痛に息を詰まらせ、体を強ばらせた】
【踏み出そうとした右足も不自然に縮こまり、不自然に沈み込んだ体勢で地面を踏み込むカタチになり……】
だぁッ!!!?
【顔面からコンクリートにダイブ。汚い毛布が道いっぱいに散らばって】
【そのうち一枚を頭に引っ掛けたまま体を起こすと、周囲をきょろきょろ見回した】
な、何が起こったの…… ……あっ、とっ!
【呆然としそうな所で女性の姿が遠く微かに見える。焦っている様子が離れていても分かって】
やっぱりアレ……あの女の人を追ってるのかな。
【慌てて立ち上がり、右足の痺れをぶるんと振り払うと、ロージェンスに向かって駆け出した】
- 395 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 22:27:17 ID:1sJsd2CgO
- //全体攻撃らしきものあり。
>>393
「――……、ひッ!?」
情けない声を出してしまった。
今まで『敵意』のなかった西側にも、突如として現れた群体。
ジリジリと近づいてくる気配、いやむしろ微かに姿が見えている。
囲まれた。
それだけは分かった。
――打ち鳴らすブレスレット。
同時に《孔雀ノ皇銃》の銃口に再び三角の陣。腰元に光る赤い円陣。
身体に巻きつけた鎖の感触を今一度確かめて、じっと相手の出方を窺う。が……
【レス +2点/行動 ?】
>>394
その中で種子に反応。
驚き、ロージェンスは《孔雀ノ皇銃》の引き金を引く。
Passion
《女教皇の激情》
雷を纏い、放電する野球ボール大の魔弾が複数発連射され宙に浮かぶ。
紫電を散らし漂う雷球は真っ先にロージェンスを包囲する群勢へと飛来する。
そして、ロージェンスに駆け寄ろうとするハインリヒへも同様に雷球は迫る。
速度は遅いが、しつこく追尾する雷球は壁や地面に放電しつつ、高電圧を浴びせようと、その場にいるロージェンスを除く全員に迫る。
【レス +2/行動 ?】
- 396 :黒沢小百合:2011/05/23(月) 22:46:04 ID:SSMHlh/20
- >>395
紫電は敵部隊中で炸裂。
やや遠い上、街灯の少ないこのエリアでは
敵にどれほどの被害が出ているかは確認しづらい。
――パラララッパパッ――バラァッ――
その次の瞬間、破裂音と共に光が見えた。発砲だ!
数多の歩兵、および装甲車がゆっくりと距離を詰めつつ攻撃してくる!
多少の攻撃を行なおうとも、敵の数は圧倒的。
この程度では問題にならない。
建物への甚大な被害を恐れ、戦車や自走砲など大口径の火砲を
持ち出してはいないようだが、あの数は脅威の一言。
特に、遮蔽物の無い路上ではいつまでもあの攻撃をかわし続けることは不可能だろう。
幸い、拡張工事中のこの一帯には一時的な隠れ家として使えそうな
建設中の建物や、工事資材置き場も多い。隠れてやりすごすか?
「ゆっくりと追い込み、疲れさせろ。
生きたまま捕らえ、処刑する事ができればいい見せしめになる。」
もしくはどこかの部隊後方、安全圏でロージェンスを監視しながら指揮を取っている指揮官。
黒沢小百合を殺害することができれば……。
- 397 :ハインリヒ:2011/05/23(月) 22:51:05 ID:S7fEM4JU0
- >>395
そこの人! えーっと……とりあえず逃げてください!
【大きく手を振りながら青年はロージェンスに叫んだ。しかも、周りと、恐らくはロージェンス本人も抱いているだろう『前提』を覆す台詞を。】
【どう考えても青年は――『追われている女性を助けよう』としている】
!! あぶなッ……!
【あと10m弱まで近づいたところで、電気の球に阻まれる形で足を止めた】
【さっきの電撃地雷は電気の特性上、地面から地面に流れる電流。故に、ショックは下半身に伝わる物が主だが】
【今度は空中での放電だ。触れれば遠慮無く内臓を焼き切る、刃】
くっ……
【冷や汗をこめかみに感じながらも、神経を背中に集中させる。光の粒がハインリヒの背中に集まり……】
はっ!!
【ばがっ、と地面が砕ける音。白い光条が閃き、雷球の真下を貫いた】
【細長い光の針が徐々に輝きを無くし、代わりに現れたのは――バール】
【ハインリヒの背中には大きな翼が二枚。そこから光のエネルギーとして変換・収納していたバールを射出したのだ。】
【L字に曲がる鋭い先端を雷球に向けたバールは、あわよくばアースの役割を果たすだろう】
その、大丈夫ですかー!? 僕も協力しますから、ここは逃げましょう!
【ハインリヒはその後ろに距離を取って、ロージェンスに声をあげた】
- 398 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 23:22:26 ID:1sJsd2CgO
- >>396
横殴りに迫る銃弾の雨。
マズルフラッシュの微かな光で敵陣の位置をある程度把握出来たが、それは視界内の話。
後ろからの銃弾には対応出来ず、その薄い背に細い首筋に――
――ガキンッ。
何故か銃弾がはじかれた。
当たる度に、ロージェンスが身体に巻いた鎖の端が五月蝿く音を立てて跳ね続ける。
冥府の渡し守と呼ばれる鎖型の緩衝魔導機、その性能を意識的に引き上げる事で銃撃を非殺傷の威力に軽減しているのだ。
その分、魔力の消費は激しくなるが……。
「ハッ! 見え見えなんだよ!弾丸なんざ!」
異様な数の『敵意』や『殺意』を受け、大量の消費分を賄う供給源とするばかりか。
身体能力の向上に加え、脳の処理能力すら引き上げられた故に、主観では「世界が普通の半分の速度」に見えている状態にある。
これが、ステュクスの大河という特異体質の本質、その性能である。
気味の悪い速度でギリギリに掠りながら、または弾きながら銃撃を避けつつ前進する。
しかし、追撃は行わない。
腰元にある《獅子ノ帝銃》を抜き、手応えの無い引き金を引くのみ。
【レス +2点/攻撃 +3x2点】
>>397
「協力ゥ? 何、バカな……」
考えもしなかった提案を出され、ロージェンスは気が抜けかかる。
が、頬を掠る弾丸に意識は緊張する。
そこで、ひとつ思い付いた。
「よし、いい。ひとつ協力しろ」
ほぼ投げ渡した拳銃、何故か光点が三つ灯っている。
「そいつを敵のいる方へ投げろ。いますぐに、じゃないと――」
そして、二つ。
「――爆発すっぞ」
ついに、光点は一つ。
カウントダウンが零になれば、拳銃は轟音と共に爆裂するだろう。
【レス +2点/会話 +1点】
- 399 :ハインリヒ:2011/05/23(月) 23:31:34 ID:S7fEM4JU0
- >>398
えっ? あっ、はぁ。
【両手の平に拳銃を持って、じっと見つめる。3、2……】
【いい予感はしないそれを、大きく振りかぶって】
スイマセン避けてくださーい!!!!
【敵に向かって何を言ってるのか。そもそも『敵』というわけでもないが。】
【目を固く瞑り、生唾をごくりと飲んで覚悟してから、拳銃を全力投擲】
【小百合の操るスタンドの軍勢(>>396)へ、ぽーいと弧を描いて拳銃が落ちていく】
え、何!? 襲われてるんですよね!?
【ようやく何かが変だと気付いたらしい。銃声の連続に負けないようロージェンスに向かって声を張り上げる】
【翼はマントのように体を覆って、流れ弾を防止しているようだ】
- 400 :黒沢小百合:2011/05/23(月) 23:32:41 ID:SSMHlh/20
- >>398
「向かってくるというのか?バカめ。
いくら強いといえども、人間一人の突破力ではなぁ!」
高度な通信網によって構築された近代の防衛線には、
生半可な突破力は通用しない。
ロージェンスと包囲部隊との距離が近づくにつれ、
命中弾の数、および銃弾の威力が飛躍的に増えるはず。
- 401 :黒沢小百合:2011/05/23(月) 23:42:39 ID:SSMHlh/20
- // >>400で途中送信してしまったので追記。
>>398
「向かってくるというのか?バカめ。
いくら強いといえども、人間一人の突破力ではなぁ!」
高度な通信網によって構築された近代の防衛線には、
生半可な突破力は通用しない。
ロージェンスと包囲部隊との距離が近づくにつれ、
命中弾の数、および銃弾の威力が飛躍的に増えるはず。
それは即ち、魔力消費量の増加に結びつく。
「その昔パットン将軍は『荒削りの勇気も銃弾の前では無力だ。』といいましたが……。
しかしそれでも、なかなかどうして。人は無謀な行動を繰り返す。」
特に、M1126『ストライカー』ICVに搭載されたM2重機関銃の威力は脅威だ。
>>399
拳銃は包囲部隊の中心で炸裂。
数人の歩兵を吹き飛ばし、殺傷したが……。
すぐにその位置を別の歩兵が埋め、攻撃を続行する。
これは生身の人間ではなく、小百合の能力によって具現化されたものであるためだ。
恐怖心もなにもなく、ただ小百合の命令に従って死ぬまで戦う兵隊。
いくらでも補充が利き、延々と攻撃を続けるさまは感情を持つ物から見れば
ゾンビのように見えなくも無い。
- 402 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 23:54:28 ID:1sJsd2CgO
- >>399
「ご苦労さまァッ! あぁ、そうだよ、襲われてる真っ最中! だから――」
軍勢の中、落ち行く《獅子ノ帝銃》の光点は終に零となる。
「――逃げるんだよッ!」
かくして、魔弾《帝王の断末魔》は発動する。
――――カッッ!!!
夜闇を喰らい尽くす目映い閃光を撒き散らしながら、帝王の名を冠する銃は自身の死を目前にして吼える。
――グゥォォォオオオオオオオオオオオッ!!!!!!
一瞬の灼熱を帯び、中空から直下を焦土に変じ、破片すら遺さず帝王は昇天する。
【レス +2点/会話 +1点】
>>400
銃撃が厚い、これ以上接近するのは危険だ。
だが、これ以上接近する必要は無い。
――魔弾《帝王の断末魔》が発動したのだから。
衛星からの映像を、発光ごときで阻害できるかどうかは知らない。
ただ、この兵士達の視界は微かながら奪える可能性はある。
そして、隙が出来ようと出来まいと、ロージェンスは閃光に合わせて後方上空に跳躍する。
化け物染みた跳躍力で建設工事中の建造物の上へと降り立ち、そして隣立する建物の屋上伝いに跳躍を繰り返して脱走を試みる。
【レス +2点/攻撃 +3x2点】
- 403 :ハインリヒ:2011/05/24(火) 00:08:41 ID:S7fEM4JU0
- >>401
ッ……!
【炸裂に顔を顰める。人が吹き飛んだ事が、彼にとって少なからずダメージだが】
【何事もなかったかのように人海が隙間を埋めて……】
……いや……
彼らは……一体どこから来てるんだ。
【不自然は口を衝いて出る。その言葉に自分ながらはっと息を呑んだ】
【街中にこんな大群を潜めさせることができるか? いくら人のいない工事現場といえ。】
【青年のさほど秀でていない頭でも、そのために用意する時間、手間は膨大なものだと分かる】
【それほどの事を――】
僕が……気づかないだろうか?
【ハインリヒは今さっきまでずっと、街をくまなく歩いていた。しかも人の行かないようなところをいわば『中心に』。】
【彼が抱えて歩いていたのは……ホームレスに配った毛布だ。暖かくなった今頃に回収し、洗濯するつもりだった】
これは……普通の戦いじゃない。
【その考えに至った瞬間、閃光が炸裂した。投擲した拳銃が、おぞましい慟哭を上げ火柱を打ち立てた】
【この目が眩む一瞬に――羽ばたく! この隙に逃げてしまおう】
>>402
【閃光とタイミングを合わせて空に舞い上がり、ロージェンスの影を追う】
【この軍勢は、ただの兵士の攻撃ではない。明らかに『彼女を狙って放たれた軍勢』だ】
まっ、待って!!
【爆風を上手く羽根に乗せて加速し、ロージェンスに追いつく】
あれは何なんだ! 貴方は、一体!?
【光る翼は目立つ。出来る限り低く飛びながら問い正す】
- 404 :黒沢小百合:2011/05/24(火) 00:12:48 ID:SSMHlh/20
- >>402
爆発、それによる閃光で齎された一瞬の隙。
「む、めくらまし……か……。
ヤツは……そこかッ……逃がすな!!」
足元の鉄骨に銃弾が着弾。それらが真っ赤な火花を散らすが、
先ほどよりも飛んでくる弾丸は少ない。
ロージェンスを捕捉しきれていないのだ。
「くっ……屋上に具現化を……!」
慌てて装甲車から尾t尾出した小百合の頭上を、
ちょうどロージェンスが通過した。
- 405 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/24(火) 00:42:09 ID:1sJsd2CgO
- >>403
逃げ行く中、翼を生やしてついてくる青年に舌打ちひとつ。
「あれが何か。ってのは私が知りたい所だよ、突然有無を言わさず襲われた、ただそれだけ」
襲われる理由なら掃いて捨てるほど心当たりがあるし、そうでなくとも記憶を失う前に関係があるのかもしれない。
「私? ロージェンス」
言って、青年を振り切るように加速する。
ポイ、と捨てるのは光点の二つ灯った《獅子ノ帝銃》
このまま中空で、先ほどのような閃光を伴った炸裂が起きる。
引き返すなりすれば被害を被らずに済むであろう。
【レス +2点/会話 +1点】
>>404
その足下。
装甲車から飛び出した女性と一瞬目が合う。
(あれ、どこかで見たような……)
いつか公園で野生児のような子供と一緒に居た女性。黒沢小百合。
見た目のイメージとはアンバランスな装甲車から出てきた事にまず驚き。
明確な『敵意』をこちらに向けている事実に、ある程度の納得を得る。
「見事な兵士達だなァ!! 感服したよ、黒沢小百合ィ!」
狂ったような笑い声を残して、遠くに遠くに逃げていく。
先ほど置き土産に光点の二つ灯った《獅子ノ帝銃》を落としていった。
いますぐ装甲車の中に戻れば熱、閃光共に被害を受けずに済むだろう。
【レス +2点/攻撃 +3点】
- 406 :ハインリヒ:2011/05/24(火) 00:48:46 ID:S7fEM4JU0
- >>405
は……そう、ですか。
じゃあ、助けて正解だったかな。……いや、助ける人に正解も何もないか。
【少しホッとした様子で。舌打ちにも気づいていない脳天気ぶり】
ロージェンスさんですね! 僕は……あ、っとっ。
【自己紹介しようと減速したところで、反対にロージェンスが加速】
【あっという間に置いて行かれて、ちょっと残念そうに眉を下げる……その視界に、ちらっとアレが映る】
……
!!?
こ、これは……………………逃げろッ!!!
【背中の光が放射されて、六枚の翼に増える】
【爆発に巻き込まれないうちに素早く飛び去って行った】
/〆
- 407 :黒沢小百合:2011/05/24(火) 00:52:53 ID:SSMHlh/20
- >>405
「ぐ……っ……ロー……ジェンス……。」
弾丸の雨をかいくぐり、闇夜へと消えていくロージェンスを
ただ見送るしか出来ない小百合は、その場で拳を握り締め唇をかむ。
――ドオォッ
そこへ『獅子の帝銃』の爆発。
「ぎゃうッ……!!!」
小百合は、直接爆発にこそ巻き込まれなかった物の爆風による衝撃で
装甲車へと叩きつけられ、気を失った。
それによって、ロージェンスを追おうとしていた兵士たちも消えうせる……。
- 408 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/28(土) 22:39:02 ID:1sJsd2CgO
- 【異能都市 南部】
自然公園。
森、滝、川、池。と、人工とはいえ自然のそれと同じように広い敷地に造り上げた公園。
遊具で遊ぶ、というよりは見て回るタイプの落ち着いた場所である。
「……遅い」
一際大きな池の前、屋根付きベンチに黒装束の女。
武装の設計図を取引するために、先方に指定されたココで売り手を待っている。
しかし、時間になっても誰も現れない……。
夜の公園には人気というものがなく、来たならすぐ気付きそうなものだが。動物の気配すらない。
- 409 :名も無き異能都市住民:2011/05/28(土) 22:56:18 ID:SSMHlh/20
- >>408
――カッ
綺麗に舗装されたアスファルトに響く靴音。
指定された時間を幾分か過ぎたが、
この時間、こんなところにやってくるのは例の取引相手か、
チンピラ、変質者ぐらいなもの。
「……よう。機嫌はどうだロージェンス。
悪いがこの後のディナーはキャンセルさせてもらったよ。」
――現れたのは、死神を思わせる黒いボロ布を纏った男。
以前、街角で交戦したあいつだ。
手に持ったPDAのスイッチをロージェンスに見せ付けるように親指で操作、
本部に位置データを送信し、彼女に厭らしく笑いかける。
- 410 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/28(土) 23:14:06 ID:1sJsd2CgO
- >>409
(……、やっと来たか)
顔を上げ、靴音の主を見て。
遅かったわね。と、言おうとして固まる。
違う、コイツじゃない。
「――無粋ね。人のお楽しみを一方的に奪って、何がしたいのかしら?」
座ったまま、言葉を返す。
見せつけられたPDA。
最近、追いかけてくる連中は揃ってそんな物を持っていた。
ということは、恐らくコイツも……。
- 411 :サラ:2011/05/28(土) 23:20:14 ID:iWsjJ6uQ0
- >>409-410
「……おや」
と、剣呑な雰囲気の二人の様子を伺う人影がある。
ソーダ味のアイスキャンデーを手にした、魔術師風の女。
悠長にも、この緑溢れる公園で夜の散策を楽しんでいたようだ。
サラはロージェンスについては何の情報も持っていない。
どう見てもカタギじゃなさそうな人たちがお互い睨み合ってる、という程度の認識だ。
サラは背の高い草の陰に隠れて、大人しく立ち去るべきか否か、
二人の様子を注意深く観察しながら考えている。
- 412 :トニー・ハーディガン:2011/05/28(土) 23:26:55 ID:SSMHlh/20
- >>410
「何、ちょいと想像を働かせればいいだけだ。
……『犯罪者』の想像をなァ。」
くつくつ、と低い笑みを漏らしPDAを手からすべり落す。
本来なら、地面へと落ちるはずのそれは中空で掻き消えてしまった。
- 413 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/28(土) 23:42:38 ID:1sJsd2CgO
- >>411
(……、物陰に一人。か)
ベンチに座りながらも、ロージェンスは意識の端に捉えていた。
申し訳程度に顔を覗かせる警戒心。
近場で、そんな微細な変化がある事をしっかりと知覚している。
>>412
「代わりにエスコートでもしてくれるかと思ったんだけど、違うのかァ……」
極彩色のカービン銃《孔雀ノ皇銃》を構え、三連発の雷球《女教皇の激情》を撃ち放つ。
雷球は、高電圧のスパークを散らし、空気を焼きつつ上左右と三方向からトニーへ向かう。
――ベンチ周りの地面、ロージェンスを囲うように魔法陣の線が淡く光を放っている。
加圧式地雷型魔弾《はじける種子》、それは衝撃を与えれば放電し炸裂するだろう。
- 414 :サラ:2011/05/28(土) 23:49:26 ID:iWsjJ6uQ0
- >>412-413
『(撃った……!!)』
じり、と片足だけ後ずさる。
サイキックのサラは、黒装束の女が自分に気付いたことも把握できている。
が、まだ逃げ出すつもりはなさそうだ。
進退を決めるのは、最初の攻防を見てからでも遅くはないと判断したらしい。
サラは依然変わらず、状況を注意深く観察している。
- 415 :トニー・ハーディガン:2011/05/29(日) 00:00:35 ID:SSMHlh/20
- >>411
(草むらに一人……。
よく分からんが敵意は感じんな。)
持ち前の読心能力によってサラの存在を感知した物の、
目の前のロージェンスに集中しているため、それ以上のことは分からない。
敵意を感じられなかったため、今はサラに対して行動を起こさない。
>>413
「結局のところ、弾丸ではなぁ!」
――バチィッ!!
一瞬、空間が揺らぎ。
その途端、雷球が空中で壁にでもぶつかったかのように
一瞬ひしゃげ、それから激しく放電し消え去った。
「ぬぇイ!!!」
男が気合と共に腕を振るう。
黒いボロの袖部分から金属の激しくこすれあう共に、
数本の鉄鎖がうねりながら飛び出し、空中で激しく蛇行しながらロージェンスを捉えるべく迫る。
- 416 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/29(日) 00:16:17 ID:1sJsd2CgO
- >>414
……注意深く観察していて、かつ魔術師なら気付けるだろうか?
地面に魔法陣で引かれた淡い光の線が、一つの円陣/術式を描いている事に。
それは増幅の術式。
円陣の内部で起こった事象を増幅する、たったそれだけのシステム。
そして、円陣を組む個々の魔法陣は微少な雷の属性を含んでいる。
……もし、一斉に魔法陣が放電でもすれば個々は増幅され束になり“莫大な放電現象”が引き起こされる事になる。
自然界で地から噴く“莫大な放電現象”といえば、つまり――落雷。
>>415
「っ……!」
新たな魔弾が《孔雀ノ皇銃》に装弾される。
しかし、迫る鉄鎖から逃れるために投げつけて、目の前で進行を阻害する。
そして脱兎の如く、背面の湖へ柵を軽々と越えて飛び込む。
鉄鎖に衝突した《孔雀ノ皇銃》は、何もしなければ地面の円陣に落下し、《はじける種子》を発動させてしまうだろう。
そして、円陣に組まれた増幅術式の効力によって、落雷のような現象を伴ってトニーに――落雷の数千万ボルトには満たないかも知れないが――莫大な電気の奔流が襲いかかる事になる。
- 417 :サラ:2011/05/29(日) 00:26:02 ID:iWsjJ6uQ0
- >>415-416
「げっ、あいつ……!」
女のほうはいい。凝った意匠から、銃に魔術的な仕掛けがあるのは一目で分かる。
問題は男の方。男の能力は明らかにサイコキネシスだ。しかも、自分のものよりいくらも強い。
念動力の戦いは引き算になる。力場の形成合戦ならば、弱い方の力はゼロにされてしまうのだ。
『(……顔は覚えた)』
複雑さを増す地面の魔法陣も気になる。サラはさっと二人に背を向けて歩き出した。
が、駆け出したわけではない。サラは、ロージェンスの仕組んだ術式の強力さを把握し切れていなかった。
このまま魔銃が接地すれば、余波を受ける程度とはいえ、サラもまた雷撃の餌食になるだろう。
- 418 :トニー・ハーディガン:2011/05/29(日) 00:44:19 ID:SSMHlh/20
- >>416
「むっ……これァ……!」
全てとはいかずとも、ロージェンスの思考を読み取ったトニーは、
これから起こる術式の効果を理解した。
――ドォオオォッ!!!
凄まじい音量と、稲光を発する白い奔流が男へと迫るが、
それは直撃の直前、微かに角度を変え背後の電灯に直撃した。
――この男の能力は様々な念動力。
そのうちの一つ、先ほどから使っている『読心』は
生物体内の電気信号を読み取る事によって行なわれている。
それ故に規模こそ違えど、『電気』の通り道を読むことができた。
トニーは瞬時に、自前の念動力で電気的性質を持たせた念動力を発生させ
見えないレールを作って雷の方向を曲げたのだ。
>>417
軌道を曲げたとはいえ、街灯に直撃した以上、
電撃は地面へと流れる。
やはりサラへの影響は変わらないか……?
- 419 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/29(日) 01:08:18 ID:1sJsd2CgO
- >>417-418
トニーの念動力によって形成されたレールにのり、進路を変えた雷の奔流は電線を伝い一帯の街灯に流れ込む。
――ッ、ジャァアアア!!
割れ、砕けた電灯。
トニーはともかく、立ち去ろうとしているサラは危険だ。
道に沿って林立する街灯の近くに立っていれば砕けた硝子の雨に打たれることになる。
そして、池から轟音。
池の水とは明らかに違う汚水が蛇の如く幾つも突き出てきた。
水属性術式《悲嘆ノ別レ路》
見た目通り、ただの腐った黄泉の水を召喚し使役する魔術。
それらの水蛇は意思を持つかの様にトニー目掛け時間差で飛びかかる。
――池の中央、鎌首をもたげた一際大きな水蛇の上にロージェンスは居た。
地面を隔てた水の中、とはいえ莫大な放電のダメージは少なからず受けているのが見てとれる。
- 420 :サラ:2011/05/29(日) 01:17:09 ID:iWsjJ6uQ0
- >>418-419
「うっわ!!」
バァン! と大きな音を立てて、側にあった電灯が砕け散った。
青白い膨大な電流の余波が、サラの身体を貫く――。
――その直前に、彼女の杖の絶対防衛機能が発動した。
彼女の身体を魔法の障壁が覆い、手の中に木の杖が現れる。
女が何かを仕掛ける算段で、それを男が回避した、
というところまでは、持ち前の第六感で見なくとも把握していた。
が、自分へ向ける意図のなかった電撃には、全く反応できなかったのだ。
「……!」
結果的に無傷とはいえ虚を突かれる形となったサラは、
驚愕に目を見開いて振り向くと、右手で杖を構えた。
その杖の先には、青白い電光を放つ硝子の破片たちが渦を巻いている。
サラは重たく大きなものを動かすのは苦手だが、
小さなものなら同時にいくつも念動力で操作できる。
『(って、あれぇー……?)』
息巻いて身構えたが、状況を把握して落胆する。
規模は大きくても、自分は単に流れ弾を食らっただけのようなのだから……。
けれど構えは崩さず、ガラスの破片も宙にキープしたままだ。
彼女は先ほどよりも離れた位置で、二人の応酬を眺めている。
- 421 :トニー・ハーディガン:2011/05/29(日) 01:21:06 ID:SSMHlh/20
- >>419
「……さすがにこれだけのモンを『逸らす』、となるとなあ!!」
直撃を免れたはずのトニーの鼻から赤黒い血液が零れ、
黒いアスファルトを染め上げる。
『念動力』は己の体自身をエネルギーを発生させる動力機関と化して
その能力を行使するために、同時に多大な負荷が発生し、
鼻の粘膜など出血しやすい部分から出血することがある。
「『雷』に今度は『水』……
中々に便利な能力をお持ちのようで羨ましいぜ!」
ニヤリ、と口元を歪ませ再び例の鎖を放つ。
狙いは、ロージェンスではなく『水蛇』。
電気信号に変換した己の思考を鎖、そして水を通して
- 422 :トニー・ハーディガン:2011/05/29(日) 01:27:00 ID:SSMHlh/20
- // 途中送信……。
電気信号に変換した己の思考を鎖、そして水を通して彼女へ叩き込むのが狙いだ。
生物は基本的に己の脳から指令を受け取って体を動かしている。
それに自分の思考を混在させる事によって、命令伝達を阻害し
体を麻痺させる事が狙いだ。
>>420
「む、一瞬思考が乱れたか……?」
先ほどから途切れ途切れに思考を読むに、
どうにもこの生物――いや、人物には戦闘の意思が無いようにも思える。
(人などいないと思ったが……。
やはり一般人を巻き込むのはマズイか……。)
とはいえ、目の前の敵の対応に手一杯のこの状況では
サラにまでサポートを行なう余裕が無い。
- 423 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/29(日) 01:45:39 ID:1sJsd2CgO
- >>420
「こんばんは〜、ここは夜だっていうのに賑やかだね。お嬢さんもあそこの一員だったりして、正解かな?」
サラが身構えている背後。
ナース服にオーバーオールを着た短いポニーテールの女性が近寄ってきた。
「もし、そうなら。救命活動に協力するって事で少しの間、無抵抗で居て欲しいの。大丈夫、これは飾りだから」
水蛇と男のいる場所にも同じ容姿のナース服が居る。
――こちらは、穴だらけになった大きなプラ板を担いでいる。
>>421
トニーの思考を電気的に載せた鎖が水蛇の頭を貫く直前。
「――だァッ! よいしょー!!」
気の抜けそうな掛け声と共に、真新しい巨大なプラ板が水蛇の首と胴を分かつ。
絶縁体のプラスチック板に阻まれては電気信号を満足に伝える事は出来なかっただろう。
首から先は水たまりになって、胴と他の水蛇達はズルズルと引っ込んでいく。
「さぁて、救命活動。救命活動っと。今まで行方不明だった担当の患者が襲われている所を見たら、看護師的に考えて助けない訳にはいかないっしょー!」
ナース服にオーバーオールを着た短いポニーテールの女性はそんな事を叫ぶ。
【第2CP通過:対処キャラ『カンナ』追加】
- 424 :サラ:2011/05/29(日) 01:58:24 ID:iWsjJ6uQ0
- >>422-423
争いが熾烈化してゆく二人のことよりも、
驚いて地面に落としてしまったアイスキャンデーのことを考え始めたとき、
急に後ろから声を掛けられ、小さく驚いて振り向く。
「えっ、……だ、誰? 何?」
人の接近に敏い普段のサラにしては、珍しい反応である。
「看護婦さん……?」
ちらりと視線をやる、向こうの二人の間に割って入ったナース服といい、どう見ても尋常の者ではない。
サラは、害意はなくとも警戒はしているようだ。宙に浮いたガラス片が杖の先でくるくると踊っている。
- 425 :トニー・ハーディガン:2011/05/29(日) 02:05:55 ID:SSMHlh/20
- >>423-424
(思考がさらに2つ増えただとォ……?
またイレギュラーとは一体、どうなってやがる!)
打ち込まれたプラスチックによって思考を叩き込む事ができず
思考を読む限り、それを打ち込んだ人物はどうやら、敵側の人間らしい。
こうした混沌としすぎた状況は一匹狼であるトニーにはあまり好ましくない。
「仕方ねぇ、一旦退くとしよう。
下手に騒ぎになると後が面倒だ……!」
身を翻し、その場から離脱を試みる。
- 426 :ロージェンス&カンナ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/05/29(日) 02:24:45 ID:1sJsd2CgO
- >>424
「うん、そう。みんなの味方……って言うと少し語弊があるかなー、とりあえず白衣の天使って言われるくらいには慈悲深〜い、看護師さん。
子供の頃の夢をそのまま突き進んで叶えたというか、叶えられちゃったというか、やっぱり良いよね、夢」
何処が息継ぎだろう。
決して早口ではないのに、割り込む余地なく話し続ける看護師。
そして、
「ちなみに私は、通りすがりの担当看護師だ!」
と、謎の発言を残し。消失。
後には穴だらけのプラ板だけが残った。
>>425
「む、逃げた。なんだか手慣れてる感溢れるスタイリッシュな通り魔ですねぇ、お仕事しやすいから私的には大歓迎ですけど」
逃げ出したトニーの背を見送り、看護師は池のほうに向く。
そこには、数瞬の間に僅かながら異質パルスが流れ、意識が混濁しかけているロージェンスと、さらに同じ看護師が一人。
「……!?」
何が何だかわからないままロージェンスは看護師に確保され、池の対岸へと連れていかれる。
「回収完了。あとは本体に任せて……、分身はタイムアウトのお時間で――」
真新しいプラ板を抱えていた看護師の分身が、消える。
池の対岸でロージェンスを背負って逃げたのがこの看護師――カンナの本体のようだ。
- 427 :サラ:2011/05/29(日) 02:38:16 ID:iWsjJ6uQ0
- >>425-426
「え、あ、あぁ……。いいよね、夢。……って」
消えた。白衣の天使が、忽然と、プラ板だけを残して。
さっきの電撃頭がやられたんじゃないか、
そう自分を疑いながら、地面に落ちたプラ板を軽く蹴る。
プラ板は、パコ、と軽い音を立てた。
「なんつというイレギュラー……」
男が去り際に頭に浮かべた言葉を、サラも知らずの内に口にする。
サイキックにとって、こんな風に出たり消えたりする奴を相手にするのが、一番恐ろしい。
それが敵でなくとも、だ。
男は立ち去り、ナースは消え、黒装束の女は連れ去られた。
残ったのはプラ板とアイスキャンデーと自分だけ。
「…………帰って寝よう」
サラは大きな溜め息を吐いて、がっくりと肩を落とす。
宙を舞っていたガラスの破片が、パラパラと地面に落ちた。
- 428 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/04(土) 21:32:13 ID:1sJsd2CgO
- 【異能都市 西部】
「なるほど、あれが向こうに見えるってことは此処は……」
ビルの屋上、給水塔の上に座りつつ手元の『ポケット地図』にペンを走らせ独り頷く。
指名手配者の黒装束の女、ロージェンスが何故こんな所にいるかと言えばたまたま歪みに飛ばされたからだ。
(……これで何回目だっけ。あーぁ、何処にあるのか分かればこんな目に遇わずに済むんだろーなー、チクショウ)
舌打ちして、ぼーっと夜空を眺める。
- 429 :名も無き異能都市住民:2011/06/04(土) 21:52:34 ID:SSMHlh/20
- >>428
――カンッ――カンッ
ビル側面に備え付けられている避難用の螺旋階段の
錆びた踏み面を靴が叩く音。
住民用の階段は内部にあるし、こんな時間に
屋上のメンテナンスや修繕を行なうとは思えない。
そして漂う、かすかな敵意……。
- 430 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/04(土) 22:06:41 ID:1sJsd2CgO
- >>429
「……、……」
非常階段から向かってくる敵意。
わざわざ上ってくるほどだ、よほど執念深い奴だろう。
こういう手合いからはさっさと逃げるに限る。
念のため拳銃《獅子ノ帝銃》を手にして、火炎の弾《女帝の虚栄心》を装填し腰に差す。
そうして給水塔から降り、非常階段の反対側に隣り合うビルの屋上へと跳びうつるため、跳躍。
- 431 :黒沢小百合:2011/06/04(土) 22:19:26 ID:SSMHlh/20
- >>430
「ロージェンス……!」
跳躍した背中に声が投げかけられる。
その主は千夜の重役、黒沢小百合だ。
しかし奇妙なのは、『能力』を使っている気配が無いという事。
彼女の能力ならば、この間知見したように大量の敵意がロージェンスへと
向けられるはずだが……。
- 432 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/04(土) 22:35:50 ID:1sJsd2CgO
- >>431
コンクリの乾いた音も無く着地したロージェンスは、鎖を鳴らし振り返る。
その手には《獅子ノ帝銃》
上ってきた相手にすかさず向けるが、
「……何かしら。黒沢小百合。ご自慢の兵隊共はドーシタノカナ?」
いつもと違うと分かると途端に余裕を見せ《獅子ノ帝銃》の銃口をわずかに下げる。
ビル同士の高さはほぼ同じ、転落防止の柵と僅かな隙間を開けて黒沢小百合とロージェンスは向かい合う。
- 433 :黒沢小百合:2011/06/04(土) 22:57:02 ID:SSMHlh/20
- >>432
「……少し、気になる事がありましてね。
今日は貴方を捕縛するのではなく、話しをしに来たのですよ。」
小百合は無表情を崩さず、何を持っていないことをアピールするかのように
両手を顔の高さ程度まであげてみせる。
ロージェンスがその気になれば、この場で小百合を始末する事もできるが
小百合には彼女がそんなことをしないだろうという確信があった。
「……どうやら、今の貴方は記憶を失っているようですね?ロージェンス。
貴方の治療を行なった医者から聞きましたよ。」
- 434 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/04(土) 23:13:50 ID:1sJsd2CgO
- >>433
「話しに……?」
怪訝な表情で無表情に対する。
今までの好戦的な姿勢とは似つかない行動にロージェンスは警戒を強くする。
「ハッ!記憶がどうしたってのよ。
昔が思い出せなくたって私が『贖罪の女山羊』って事実は変わらないんデショ?」
私を治療した医者、と聞いて思い付くのはあの片目野郎だけ。
それに記憶なら昔のこと以外は少しずつ戻っている、だからこそ武器と魔術で応戦出来ているのだから。
……無意識のうちに銃口は下を向いていた。
- 435 :黒沢小百合:2011/06/04(土) 23:24:00 ID:SSMHlh/20
- >>434
「貴方を中心とした今回の事件はどうにも、きな臭い。
特にあの商会、何故一国の問題を我が物顔に仕切っているのか。」
小百合は、一人自分に言い聞かせるように
現在の状況を簡単に整理する。
「まあ、いいでしょう。こちらとしてはこれ以上、
貴方にこの都市をかき乱して欲しくないのですよ。
今、武装を解除し投降するならば司法取引として秘密裏にこの都市から
貴方を逃がすことを約束しますが……。」
- 436 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/04(土) 23:50:14 ID:1sJsd2CgO
- >>435
ショウカイ……――
「……司法取引っていうのが、何か分かんないケド。要するに武器を棄てれば見逃してくれるってワケ?」
黒沢の言葉にロージェンスは、はたと気が付く。
(都市から逃げれば良いのだ。
そうだ、わざわざ都市に居続ける必要性は無い。
追われてるのが分かった時になんで気が付かなかったのだろう。
そうだった、都市から出てしまえば簡単じゃない)
――……なんで?
頭の奥で歯車が軋む感覚。
順調に回っていたナニカが滞る感覚。
(なんで、“簡単じゃない”のに都市カラ出ナケレバナラナイ?)
その途端に思考が停滞し、ほどけない環を造り出す。
「――断る」
提案に返ってきたのは虚ろな声。
下がっていた銃口を上げ、火炎の弾《女帝の虚栄心》を黒沢の足元へ撃ち出す。
着弾地点から数十秒間火柱が上がり続ける発火する魔弾である。
- 437 :黒沢小百合:2011/06/05(日) 00:02:04 ID:SSMHlh/20
- >>436
「うっ……!!」
銃を持った腕がかすかに動いた瞬間、
小百合は咄嗟に壁を具現化し、どうにか弾丸を防ぐ。
(認識が、甘かったというの……。
この私が読み違えるなんて……。)
以前、トドメをさせる状態の小百合を放置して
逃げ去ったロージェンスはき奥喪失によって攻撃性が鈍っている。
ならば、交渉によって穏やかにことを済ませることも可能ではないか。
という小百合の思惑は外れてしまった。
- 438 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/05(日) 00:32:14 ID:1sJsd2CgO
- >>437
ロージェンスの様子は明らかに正常では無かった。
気が触れた狂人のように、一瞬にして変貌したのだ。
「そうだ、そうだ……!!
この都市から簡単には逃げられない!逃げられない!
逃ゲラレナカッタじゃないか!忘れたのか私!?
……アァ、イヤ、チガウ。そうだ思い出せたんだ。よかった思い出せた!」
壁の向こうで狂ったような声がする。
何度も、何度でも、自分に強く言い聞かせる強迫的な叫びが、
――ズガガガ、ググギガガガガギギギギギ……ッ!!!!
数瞬後、銃声に紛れる。
黒沢の作り出した壁に《女帝の虚栄心》が無数に撃ち込まれる。
どれも黒沢に届く事はないが、その狂ったような害意は壁を抉る音として届く。
そして、
「――アッハハハハハハッ!!
黒沢小百合ィ! アンタの罠には引っ掛からない!引っかかるものかァ!
アッハハハハハハハハッ!」
哄笑とも狂喜とも悲嘆ともつかない叫声が遠ざかっていく。
- 439 :黒沢小百合:2011/06/05(日) 00:42:57 ID:SSMHlh/20
- >>438
小百合は、その場に座り込んだまま
先ほどまで普通に自分と会話していた相手が、
一瞬にして変貌する様子を耳で聞いた。肌で感じた。
(ロージェンス、やはり…………。
こいつには、説得は通用しない。殺さなければ……!)
話が通じる相手ならば、説得する事ができるかもしれない。
力でただねじ伏せる事は文民のすることではない。
そう考えていた自分が甘かった。何より、相手が悪すぎた。
ヤツは本物の狂人だ。
「……貴様の存在を消してやるッ!
慈悲も無く、躊躇も無く、そこにはただ巨大な力があるだけだ。」
袖口に仕込んだ紙片に指が触れ、軍団が『具現化』される。
アパッチ・ロングボウ攻撃ヘリを中心とした航空騎兵隊が、ロージェンスを追って
夜空へ矢のように飛び出した。
- 440 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/05(日) 01:03:57 ID:1sJsd2CgO
- >>439
航空騎兵隊のヘリコプター部隊はビルの屋上を疾駆する影のようなロージェンスを捉えるだろう。
そして、同時に空に浮かぶ巨大な水の塊という怪異とも呼べる光景をも。
水属性術式《悲嘆ノ別レ路》
黄泉の河から召喚した汚水を操る、通称アーケロンと呼ばれる術式。
莫大な水はアパッチ・ロングボウへ、うねり連なる蛇の群れのように降り注ぐ。
その射線上に黒沢小百合を捉える水流は、大蛇の如くビルもろとも丸呑みにしてしまおうと明らかな害意をもって迫る。
- 441 :黒沢小百合:2011/06/05(日) 01:21:27 ID:SSMHlh/20
- >>440
小百合の能力で具現化するものはその性質上、
物理的攻撃が通用しない物には非常に弱い。
膨大な推量はヘリの一隊を無慈悲に飲み込むが
ある程度散会していたヘリ全てを飲み込むことは出来ず生き残った
数機が、ロージェンスへと攻撃を仕掛ける。
50mもの殺傷範囲を誇るM151対人弾頭を搭載した
ハイドラ70ロケット弾でロージェンスを狙う。
一方、小百合は今からヘリを具現化しても
逃げる事は出来ない、と判断し大型救命ゴムボートを具現化した。
激流の中での使用を想定し、接触物に対する強度や防水性が高い
密閉型モデルの物の中に隠れたが、果たして水流を防げるか……。
- 442 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/05(日) 01:46:44 ID:1sJsd2CgO
- >>441
まだ空に残っている水の一部が、ロケット弾頭の発射と共に別に動いた。
しかし、自由落下並の速力が推進装置に敵うはずもなくロージェンスの背を軽々と捉える。
すると、ロージェンスは跳躍をしくじりビル群の谷間に落ちた。
それを追従するロケット弾頭が雑居ビルの壁面で爆裂し谷間へ多大な瓦礫を落とす頃、やっと汚水が到達し、もうもうとした砂煙ごと瓦礫を呑み込む。
一方、黒沢の乗り込んだゴムボートを包み込むように落ちた濁流はビルのみを濡らし、下の道路へ――落ちなかった。
やがて不可解な力によって浮遊する水は、黒沢を中心にした球状を象った複雑怪奇な紋様を描き始める。
これは、汚水を操作して立体的な術式を構築している……つまり、爆発に巻き込まれながも未だにロージェンスは意識を保っている!
- 443 :黒沢小百合:2011/06/05(日) 01:59:58 ID:SSMHlh/20
- >>442
「マズいッ……このままでは……!」
敵の攻撃を『水流による衝撃』だと思い込んでいた。
あの水量をさらに操作する事ができるとするなら、この状況は非常にまずい。
大抵、こうした魔術は術者を潰せば良いのだが……。
ロージェンスが墜落した場所が水によって飲み込まれたことにより
有効な攻撃を加える事ができない。
小百合の命は再び、ロージェンスにゆだねられる事となった。
- 444 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/05(日) 02:16:04 ID:1sJsd2CgO
- >>443
組み上がっていく術式。
水が水ではないナニカに変じていく奇妙な視覚。
常識という通念を侵蝕していく光景が球内への蒼白い発光という現象で完了する。
――雲散霧消。
跡も形も何も無く。
術式を構成していた水が、消えた。
理由は単純にして最上級の大失態。
魔力の不足である。
爆発の尋常ではない衝撃をカロンの鎖で緩衝し、莫大な熱量を耐えるためにアーケロンで水を新たに召喚、それに加えて大質量の緻密な操作を継続。
いくら敵意を注がれて魔力の供給が行われていると言えど、数機墜とした時点で採算が合わなくなっていたのだ。
脅威は消えた。
助かったのだ、黒沢小百合は。
- 445 :黒沢小百合:2011/06/05(日) 02:28:11 ID:SSMHlh/20
- >>444
「あぁぁあっ!!!」
小百合は発光の瞬間、自らの死を覚悟した。
が、次の刹那わずかな浮遊感と衝撃。
ごうごうとボートに襲い掛かる水流の気配が無くなった事で
小百合はゆっくりと、それから這い出した。
「………………。」
――――バキィッ!!
小百合は悔しさからその場にくず折れ、拳を地面へとたたきつけた。
- 446 :イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/05(日) 02:53:48 ID:1sJsd2CgO
- >>445
墜落した地点は汚水と瓦礫と、ロージェンスのものとされる血痕が多数残されていた。
だが、その場には一般人の負傷者以外は誰もいなかったという。
恐らく協力者であるカンナが負傷したロージェンスを回収したのであろう。
鮫嶋商会がこの戦闘を認知し、対応を開始したのは後の事。
破砕された雑居ビルの修理に着工し、負傷した一般人への補償金の支払いを済ませるまで一日と少し。
迅速な対応だったが、汚水の酷い匂いが取れるまではけっこうな時間がかかったという。
- 447 :二人の男:2011/06/05(日) 21:05:21 ID:XxrsA0ps0
- 「なぁ、シュウよう……早い所 今日の宿探さないとやべーぜ〜〜〜?
こんな人の多い都市部じゃぁ安い空き部屋探すの大変だってのは他の所で学んだからよ
そんな鉄クズ 別に今日見なくたって明日明後日でもいいだろォ?」
異能都市。大通りを外れた電気街。
ジャンクパーツを扱うリサイクルショップの店頭で、大小同じような形をした機械を手にとって見比べる厳つい青年。
それを脇で退屈そうに腕を組み悪態をつく男に一瞥したかと思うと、再び手の上の機器に視線を戻す。
「……ハァ…わかったよ。せめて飯の時間までにはとっとと選んじゃってくれよ………。」
意に反さない態度に溜息をつき、まだ長くなりそうだと覚り辺りを散策し始める。
- 448 :黒衣の少女:2011/06/05(日) 21:18:52 ID:1o.EN8Rw0
- 【公園】
うっすらと街灯が夜闇を照らす。その場所に、彼女はいた。
体には大きすぎる黒いマントを羽織った少女は、一心不乱に両手に持つものを咀嚼している。
「もふもふもふもふ……」
そう、エクレアである。両手にエクレアを持ち、少女がわき目も振らずにそれを食べるのはいささか奇妙でもあったが、それに対して突っ込みを入れる人物はまだ現れていない。
「けふっ」
ちいさくそう息を吐き、少女は膝の上に落ちた食べ物のかすを払う。良く見れば、彼女が腰をおろしているものは鎖でぐるぐるに巻かれた棺桶であった。
- 449 :黒衣の少女:2011/06/05(日) 21:33:08 ID:1o.EN8Rw0
- 少女は棺桶から腰を上げると、鎖を緩める。
そしてほんのわずかに蓋を開き、エクレアの包みを棺桶の中――漆黒の闇の中へ差し出した
真っ黒な腕が伸び、少女の腕をなでながら包み紙を受け取り、再び内部へと消えていった。
「くす」
少女は一つ笑みをもらす
- 450 :ジン:2011/06/05(日) 21:38:42 ID:XxrsA0ps0
- >>449
「うわぁ…もうすっかり日が暮れてやんの。」
ズボンのポケットに手を突っ込み、石ころを蹴飛ばしながら歩道を歩いている。
視線は全く前を見据えていないが、向いからやってくる人を難なく避けて一人遊びを続けていた。
「あんなもんの何が面白いのかねー…ぜーんぜんわからねえや。」
ふと、すっかり薄暗くなっている周りを見渡す。
「……なんだぁ、ありゃ………?
俺の見間違いか何かじゃなきゃぁ なーんか『みょうちくりんなガキ』がいるぞ…?」
何気なく向けた視界の先の奇妙な光景。
男は手を水平にして目の上を覆い、不思議な少女の行動を遠巻きに眺めている。
- 451 :黒沢小百合:2011/06/07(火) 21:32:05 ID:SSMHlh/20
- 【イデアの箱庭・海岸フィールド】
切り立った崖と砂浜、そして僅かな丘で構成された
海岸地帯を模したフィールドで、小百合はいつもの如く
戦闘訓練に勤しんでいた。
上陸、橋頭堡の確保、そして制圧。
ダミーターゲットを相手にした訓練ではあるが、
小百合は手を抜く事も無く確実に手順を実行していく。
「……想定時刻から29秒の遅れか……まあ、こんなものでしょう。」
- 452 :サラ:2011/06/07(火) 23:46:47 ID:bYREkklM0
- >>451
「……見つけた!」
その戦闘訓練があとわずかで一区切りつこうとした時だ。
少し離れた何もない空中、肩ほどの高さから、緊張感のない声が降ってくる。
次いで、モニター映像の乱れのように空間がじらつくと、その歪みから人影が落ちてくる。
見ればいつぞやの女魔術師だ。サラと名乗ったことを覚えているだろうか。
箱庭のエリア移動を繰り返してきたのだろう。
サラは着地のとき小さくよろけて、それから訓練の様子を見渡して呟いた。
「……相変わらず凄いなぁ。ひとりで戦争ができちゃう」
素直に感心した調子でそう言う。敵意の類はまるでない。
「見つけた」という言葉から、何かの用があって小百合を探していたのだと思われるが……。
- 453 :黒沢小百合:2011/06/07(火) 23:54:09 ID:SSMHlh/20
- >>452
「む……。」
新たな人物がログインしたと同時に
流れ弾で事故がおきないよう、訓練を中止する。
今は余計な事で、無駄ないさかいを起こしたくない。
「貴方は……いつぞやの術師さまですね。
ご無沙汰しております。」
小百合はサラのことを覚えていたのか、
その姿を見つけると軽く会釈をした。。
- 454 :サラ:2011/06/08(水) 00:03:41 ID:bYREkklM0
- >>453
「こちらこそ……。どうも、お手数を」
丁寧な挨拶に応え、訓練を中断させてしまったことを、小さく詫びる。
「ちょっとね、見てほしいものがあったんだ。
こんな仮想空間でってのも変な話だけどね」
そう言って、彼女はローブの内側でガサゴソと手を動かす。
そうして手の平の上に取り出されたのは、ライフル用の麻酔弾だ。
いつぞや、半ばスラムと化した路地裏で、怪人テルメスと自分が狙撃された時のもの。
「これがどういうものだか分かるかな……。
麻酔作用のある銃弾ってことは分かるんだけど。
銃の種別とか、どういう連中が持ってるものだとか知りたくて」
自分……正しくは怪人テルメスだが、何者かに狙撃されたという情報は伏せた。
だが、銃器の扱いに長けた小百合なら、その銃弾の状況の不自然さに気付くだろう。
その弾は、射出の後に少しの衝撃も加えられた痕跡なく、手の中にある。
- 455 :黒沢小百合:2011/06/08(水) 00:11:53 ID:SSMHlh/20
- >>454
「ふむ……詳しく分析して見ない限りは、
どうとも言えませんね……。」
小百合は、困ったような表情を浮かべて
例の麻酔弾を見つめる。
「申し訳ありませんが、いったい何処でこれを?
私に見せるという事は、何か事件が会ったのでしょう?」
- 456 :サラ:2011/06/08(水) 00:19:40 ID:bYREkklM0
- >>455
「んー……。よし、話すとしましょう」
別に隠して得もない、と前置きして、サラはその時の状況を語った。
自分が怪しげな魔術グッズを漁りに倉庫街へ出向き、
そこに居合わせた男性が狙撃されたのを見て咄嗟に助けたこと。
動きや装備から、その狙撃手が素人ではなかったことと、その狙撃手の容貌。
そして、その狙撃手から何か聞き出す前に、異能者であった男性が狙撃手を殺したこと。
「その遺体が握ってたライフルが持ってこられれば良かったんだけど……。
証拠品が手元に残ってるって気付いたのが後になってからで。
ちょっと聞き込みで情報集めてみたんだけど、似たような事件がちょくちょくあるらしいんだ」
訊きたいことはつまり、それらの事件がごく少人数、
小さなグループによる犯行か、それとも大きな組織によるものか……ということのようだ。
- 457 :黒沢小百合:2011/06/08(水) 00:27:25 ID:SSMHlh/20
- >>456
「射程から見て、そのライフルは空気銃でしょう。
都市の銃器販売店では、普通に手に入るものですし
この弾丸も見た目では、変わったところも無いですから難しいかもしれませんね。」
小百合の下にも、何度かそういった事件の報告が寄せられ
犯行グループの物と思われる大破した乗用車を調べた事もある。
しかし、現状ではこれと言った情報を得られていないのが実情であった。
「ええ、私も治安の悪い地域で誘拐事件が多発している事は知っています。
巷では臓器売買組織が動いているだとか、奴隷同然の労働力として発展途上国へ売られるだとか
色々と噂されていますが……。」
どれもこれも、ゴシップ誌の記事でよく見かける情報だ……。
- 458 :サラ:2011/06/08(水) 00:46:58 ID:bYREkklM0
- >>457
「ふむ……。やろうと思えば誰でもできる、ってことね」
麻酔弾を使う以上、生け捕りを目論んだことになるが……。
確かに、それだけでは人身売買かどうか程度の検討しかつかない。
「けど、それが分かっただけでも収穫だね。ありがとう、黒沢さん」
サラは頷いて、ライフルの弾をまたローブの中に仕舞い込む。
「……あたしにも銃口は向けられた。
居合わせたから撃たれただけで、ある程度は無差別なのか、それとも――」
――異能者という目途があって狙ったのか。
そこが案件の分かれ目であると思うのはサラの直感だ。何の根拠もない。
「用はそれだけなの。忙しいところ、ありがとう。
最近は特に色々あるみたいだけど……頑張ってください」
ちょっとした協力なら私もしますから、と付け加える。
それから半歩だけ後退り、裾をつまんで、小さくお辞儀をした。
サラの方の話は終わりのようだが、立ち去る気配はない。
……あわよくば演習の続きを見物するつもりのようだ。
- 459 :黒沢小百合:2011/06/08(水) 00:58:44 ID:SSMHlh/20
- >>458
「ええ、正規の認可を持つ店以外――。
例えば路地裏でチンピラが売っている様な改造銃、複製銃など
入手経路を限定せず考えればそれこそ、小学生でもできるでしょう。」
ライフル弾がしまわれた後も、少し思案を巡らせる。
「いえ、こちらこそあまりい力になれず申し訳ありません。
もしよければ、それを後日千夜のラボに持ってきていただければ
成分などの分析を行ないますよ。」
- 460 :サラ:2011/06/08(水) 01:19:52 ID:bYREkklM0
- >>459
「そっか。直接会ったときにでも渡せればって思ってたけど……。
こうやって話さえ通せば後は人づてでも何とかなるんですね」
そう言うと、一度ライフルの弾を取り出し、
今度は指でつまんで、縦にしてじっくりと眺め始めた。
「もうあたしがべたべた触っちゃったけど、
施条痕だとか麻酔の薬品だとかは調べられそう。
これで驚きの結果が出たら面白いんだけどね……」
そこまで言って、困ったような顔をしてみせる。
小百合の方でもそれらしき物品を押収しているが、
あまり成果が出ていないといったようなことは、今しがた聞いたばかりだ。
「でも、調べなければ永遠に何も分からないもんね。
そうと決まれば早速こいつを届けに行くとしましょう。
……相手は目の前にいるのに、ふふ、変な感じ」
サラは最後に微笑みかけると、マントを翻すように踵を返した。
そのまま肩越しに、小百合に向けて山なりに手の中の麻酔弾を投げ渡す……。
が、小百合の手が届くか届かないかの高さで、弾は掻き消える。
ログアウトの処理が開始され、サラの姿も、まるで折りたたまれるようにして、消えた。
- 461 :黒沢小百合:2011/06/08(水) 01:24:46 ID:SSMHlh/20
- >>460
「ふふ、まったくその通り。
私も時折、ここが現実であるように錯覚してしまいます。」
咄嗟に、投げ渡されたそれを拾おうと
手を伸ばすが、直前に弾は掻き消えて。
気づけば、サラの姿も消えていた。
// おつー
- 462 :ジン/シュウ:2011/06/08(水) 22:05:44 ID:uMOJ9mFc0
- 【異能都市:AGカフェ】
「チワーッス!………おい、誰もいねぇぞ?」
カランカラン。威勢の良い声と共に扉を限度一杯まで開ける青年。
辺りを見回すが店内には人っ子一人いないようだ。
「空家……にしてはキチンと掃除も整備もされてるよな………外には思い切り開店の札まで付いてるし…。
兄ィ これってあれじゃねぇかな?ホラ、笊とか箱にコインいれるやつ………。」
続いて入ってくる同じようながっちりとした体格の青年。二人の歳はそれほど離れていないように見える。
「あぁ……なんて言ったっけ?まぁいいや、金さえ置いてけばいいんだろ?何でもいいから腹が減ってしょうがねぇんだ。」
先に入ってきた男は厨房の方へと周り、何があるのかと探し始めた。
- 463 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 21:34:14 ID:1sJsd2CgO
-
(……もう、ここが何処だか分からない。
都市からは出ていない、いや出ラレナイノダ。
……逃ゲラレルハズガナイ)
胸に手をあて、荒い呼吸を押さえる鎖巻きの黒装束を身に纏った女。
ロージェンスは見るからに憔悴していた。
「……ッ! うぅぅ……ッ」
狭い路地の中、壁に寄りかかって頭を抱える。
何を考えているのか分からない。
気が付くとワケの分からない言葉で頭がいっぱいになっている。
なんでこんな事を考えているのか分からなくて不安になる。
だから考えると、何を考えていたかよく分からなくなって……。
あの時、黒沢小百合の言葉で、都市から脱する方法もあると知った時から、ずっと。
――怖い……ッ!
「ぅぅ……――あ゙っ、ァァアアアア゙ア゙ッ゙!!」
沸き上がる恐怖を掻き消そうと、独り、声を張り上げる。
- 464 :『黒本』:2011/06/09(木) 22:06:55 ID:93H81j5Q0
-
>>463
「 ……――ハッ! こりゃぁ酷い有様だな、全く」
こつり、こつりと靴音響き。
現れたのは、いつか遭った、黒外套の男。
「如何した、何をそんなに"怯えている?"」
- 465 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 22:23:13 ID:1sJsd2CgO
- >>464
「……ッ、知らない! 分かってたら、こうなるワケ……」
息が荒いまま、黒外套の男を睨めつける。
しかし目には力が無く、今にも倒れそうなほど“脆い”。
この男を知っているかどうかも意識の外という有り様だ。
その様子は色々と余裕が無い。
- 466 :『黒本』:2011/06/09(木) 22:45:56 ID:93H81j5Q0
- >>465
「オーケーオ−ケー、とりあえずっと……」
大きく靴底は地面を踏み鳴らし、指を鳴らせば。
「ま、落ち着きやがれ」
響き渡る、『安堵の響き(ヒーリングサウンド)』。
―以下中の人―
ごめんご飯食べてたorz
- 467 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 23:04:54 ID:1sJsd2CgO
- >>466
耳に不思議な音が届く。
その音の効果で、興奮していた精神が徐々に徐々に一定ラインまで落ち着いていく。
しかし、そのラインも普通からしたら高いレベルではあるが。
「はぁ……はぁ……。それで、いったい何よ」
落ち着いてきた呼吸に、少し安堵感を覚える。
だが、混乱している状態は治っていない。精神のもっと根本に原因があるようだ。
- 468 :『黒本』:2011/06/09(木) 23:16:15 ID:93H81j5Q0
- >>467
「いや別に、何でもないさ。
ただ単に"様子がおかしいから見てきて"と頼まれただけの事」
そう言うと、ゆっくりと近付く男。
――この男からは、殺気も、生気も、何もかもがj感じられない。
- 469 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 23:46:31 ID:1sJsd2CgO
- >>468
「ハッ……。私の心配するなんて、ずいぶんな変わり者がいたものね。……それとも、この街は変人の集まりなのか――」
言いかけて、男の異質さに気付く。
なにか、無機質を思わせる虚な感覚。奇妙で奇怪で、しかし敵意は無くて……。
「……漠然と、ただ、怖い。自分が自分じゃないようで、怖い……のかな、たぶん」
気が付けば、そんな事を口にしていた。
- 470 :『黒本』:2011/06/10(金) 00:07:45 ID:93H81j5Q0
- >>469
「"己の味方"なんてものは、そこら辺に転がってるのさ。唯気が付かないだけで、否――『気が付こうとしないだけ』で、な」
気が付けば、黒外套の男は目の前に。
「怖い、怖いねェ……。何か、心当たりは?
何でもいい。"きっかけ"だ。もしかすると――お前さんの、力に慣れるかもしれない」
そう言う男の淡褐色の瞳は―真直ぐに、ロージェンスを"見る"。
- 471 :ロージェンス/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/10(金) 00:36:55 ID:1sJsd2CgO
- >>470
「きっかけ……」
それは分かっている。
しかし、口にするのは憚られた。
言えば、また“あの時”のようになってしまうんじゃないだろうか。
今度はこれ以上に酷くなってしまうのではないだろうか。
様々な不安と恐怖にとり憑かれ、身動きの出来ないロージェンスを男の視線が貫く。
『気付こうとしないだけ』
なら、少しだけ。味方だと思ってみようか。
何が起きても、きっと助けてくれるような心強い味方だと錯覚してみようか。
「……狙われて、追われている、んなら……と、都市から。に、に――うぅっ!?」
――都市カラ逃ゲルノハ簡単ジャナイ。
――簡単ジャナイ。
――逃ゲキレナイ。
――逃ゲ続ケルシカナイ。
頭が痛い、締め付けられる。
制限、制限され。ナニガ?
「うぅぅ……あ゙っ、――――――ッ!!!」
声にならない叫びをあげ、頭を押さえて踞った。
- 472 :『黒本』・純鈴:2011/06/10(金) 01:14:22 ID:93H81j5Q0
- >>471
「チィッ! 純鈴!」
男が叫ぶと同時。
突如ロージェンスの背後から現れた手が、蹲る彼女を、そっと包み込む。
「大丈夫、大丈夫だから――」
『接続』、そして『干渉』。
「今は、お休み……」
強制的に、ロージェンスを深い眠りへと、誘う。
- 473 :ロージェンス/カンナ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/10(金) 01:28:24 ID:1sJsd2CgO
- >>472
「――ッ!」
手元に拳銃《獅子ノ帝銃》を召喚し、黒外套の男へ向け構える手前――
ガクッ、と意識が落ちる。
混乱も恐慌も恐怖も、眠ってしまえば機能しない。
夢見は悪くなりそうだが、今のところは安らかな寝息である。
すると、
「ロージェンスさーん! 何処に居るんですかー! ……おかしいな、さっき声がしたほうはこっちのはず。もっと奥かな」
やや遠くからそんな声が聞こえてくる。
どうやら放っておいても大丈夫そうだ。
- 474 :『黒本』・純鈴:2011/06/10(金) 01:36:45 ID:93H81j5Q0
- >>473
「おっちゃん、誰かきたっぽいよん」
「……捨てておけ。あの様子から見て――仲間か何かだろ」
「ほいさー」
ロージェンスをその場に寝かせ、少女と男はその場を離れた。
カンナが到着する頃には、二人の姿はもう見えないだろう。
横たわるロージェンスの上に、一枚のカード。
そこには、"後で話を聞きに行く"と、書かれていた。
- 475 :カンナ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/10(金) 02:04:31 ID:1sJsd2CgO
- >>474
「お、いたいた……ん?」
寝ているロージェンスと、メモ書きを見て首を傾げる。
しかし、まぁいいか。と肩を擦る。
その瞬間、カンナが三人に増えた。
内、一人――本物のカンナは疲れたようにため息を吐く。
「ゔ〜……。やっぱし、一日に五人はキツイか……、後頼んだー、私」
「はいよー、私」
「しっかり寝なさいよー、私」
さっさとその場をあとにするカンナと、そのカンナに声をかけつつロージェンスを担ぐカンナとカンナ。
……なにか、目眩がしそうな光景がぞろぞろと移動する。
その珍妙な団体は、都市の闇に消えていった。
- 476 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/12(日) 21:37:28 ID:ste/2NNA0
- 「食われた焼死体……?
事件の前後に目撃された人影から、怪人関係の可能性大……か」
本屋を通りがかった男が、店先に並んだ雑誌を手に取り呟いた。
雑誌には監視カメラのものであろう人影の写真が掲載されている。
「炎を使うのは戦将だけど、こんなことをする理由は無い……。
また新しい怪人かな」
男は雑誌を置きなおし、再び歩き出した。
- 477 :黒沢小百合:2011/06/13(月) 21:44:17 ID:SSMHlh/20
-
異能都市中心部に位置する公園、
その敷地の中には大きな人工池があり、市民たちの憩いの場所となっている。
しかし、蒸し暑いこの時機では出歩く物も少ないのか、
小百合の居る、桟橋近くのベンチから見渡しても人影をほとんど見つける事が出来ない。
「………………。」
とはいえ、小百合は寧ろ好都合と言った様子で
街頭の明かりに集る羽虫の群れをぼんやりと眺めながら、
無言で思索に耽っていた。
- 478 :名も無き異能都市住民:2011/06/13(月) 21:50:20 ID:jZsNovBM0
- まばらな人影に、見覚えがある人影が一つ。
小百合に近づいてくる人物
「どうしたん?そんなにぼんやりして。」
微糖の缶コーヒーをさし出して、隣に座る
- 479 :逆瀬川 純鈴:2011/06/13(月) 21:53:56 ID:/lZA6WB6O
- >>477
「お姉さんどったのー?」
暢気な声は、背後から。
振り返れば、そこには『暗示』を掛けた張本人の少女がいた。
きっと、あの状態では認識できていなかっただろうが。
「仕事の悩み? それともそれとも恋の悩み? 今度は私が話を聞ーたげるよん!」
覚えているかは不明だが、一度小百合に相談に乗ってもらったことのある少女だった。
- 480 :黒沢小百合:2011/06/13(月) 22:04:26 ID:SSMHlh/20
- >>478
「ん……あなたは……。」
隣に人が座るのを感じて、ようやく顔をそちらに向ける小百合。
差し出された缶コーヒーがふいに手に触れ、その冷たい感触に少し驚いた。
>>479
「ああ、ええと……。」
この子は誰だったかとそれとなく考え込み
いつぞや、AGカフェで少し話した少女だ、とすぐにその顔を思い出す。
「まぁ、仕事の事ですよ。秘匿規定がありますから
あまり話すことは出来ないのですが……。」
小百合は、己は力不足ではないのかと悩んでいた。
現在の地位につけたのは、千夜グループ総裁である夜刀神蔡生とのコネの力が大きい。
最近の度重なる敗戦、失態によって小百合は辞任を考え始めていた。
- 481 :馬霧 真琴:2011/06/13(月) 22:18:36 ID:jZsNovBM0
- >>480
「ああ、ごめんな黒沢さん。」
隣に座ったのは何時ぞやの暗殺者。
気怠そうにベンチに腰掛ける姿はだらしない。
「で、どうしたん。そんなにボヤッとして。珍しいやん。」
軽いノリ。
何も考えてなさそうな言葉は小百合をイライラとさせるかもしれない
- 482 :逆瀬川 純鈴:2011/06/13(月) 22:31:51 ID:/lZA6WB6O
- ――中身――
うぐぐ…ごめん、離席しなければ
- 483 :黒沢小百合:2011/06/13(月) 22:43:22 ID:SSMHlh/20
- >>481
「ああ、いえ……少し思索に耽っていた物ですから。」
受け取ったコーヒーのプルタブを空け、
それをこくり、と喉に流し込む。
ほのかな砂糖の甘みが、考え疲れた頭に心地よい。
「ああ、そうだ……貴方にあったことですし、仕事の話でもどうです?
いくつか、貴方向きの仕事が入っていますが。」
小百合は、話を逸らすように仕事の話を切り出す。
どうにも、いったいなぜぼんやりしているのか、という点にたいして突っ込まれるのが嫌らしい。
- 484 :黒沢小百合:2011/06/13(月) 22:44:24 ID:SSMHlh/20
- >>482
//おつー
- 485 :馬霧 真琴:2011/06/13(月) 22:56:33 ID:jZsNovBM0
- >>483
「まぁ、千夜の重役さんやもんな。そりゃもの思いにふけたい時だってあるんやろうな。」
プルタブを開けて、自分用のアイスココアを飲む。
少し甘かった。
「…まぁいいか。んでウチ向きの仕事っていうのは?」
懐のナイフの感触を指先で確認し。
- 486 :黒沢小百合:2011/06/13(月) 23:15:02 ID:SSMHlh/20
- >>485
「ええ、前回の依頼と同じく麻薬関連の仕事です。
どうにも、警察組織の中に麻薬組織と通じているものがいるようでしてね。
現在、容疑者の特定作業をしていますからしばらくすればそちらに詳しい話がいくかと。」
小百合は、携帯コンソールを取り出しいくつかの資料を真琴へと見せる。
疑わしい人物の絞込みはだいぶ進んでいるようで、叩き上げの刑事から
警察学校上がりの新人、地元名士の子息など5人が最終候補として残されていた。
「あと、もう一つ……最近都市を騒がせている連続誘拐事件の件です。
こちらは、既に容疑者の特定が済んでいるのですけど……。」
続いて、コンソールの画面に表示されたのは
『レニー・バンクス』と言う名のギャング。どうやら、彼が誘拐事件に一枚かんでいるようだが
誘拐事件は機関銃や特殊な改造が施された車が何台も使用されていると聞く。
この男だけで、そんな事ができるとは思えない。
- 487 :馬霧 真琴:2011/06/13(月) 23:32:54 ID:jZsNovBM0
- >>486
「麻薬と誘拐…なぁ。なぁ黒沢さん、麻薬ってそんなに儲かるん?」
想像だが、原資は少ないが見返りが大きいとは思えない。
薄利多売の商売なのだろうか。
それに誘拐。
誘拐ならば人質を“生きて返す”ことが前提となるだろう。
「誘拐の方は人質を生かさんとアカンのんとちゃう?」
それよりも気になるのは各メディアが報じた指名手配犯、鎖巻きの黒装束/ロージェンスだった。
- 488 :黒沢小百合:2011/06/13(月) 23:47:03 ID:SSMHlh/20
- >>487
「ええ、麻薬ビジネスというのはギャンブルや
売春の斡旋に並ぶ、ギャング集団の資金源の一つですからね。
少量で莫大な利益を生みますし、人口の多いこの都市では買い手にも困らない。」
ふう、と困ったようにため息をつく小百合。
彼女も、取締りに力を入れているがどうにも成果が上がらない。
いくら仲買人を取り締まっても、後から後からそういった人物はわいてくるのだ。
「奇妙な点は、誘拐後に身代金を請求するわけでもなくそれっきりだという事です。
噂では臓器売買、人身売買組織の存在が噂されていますがね。」
小百合は真琴に対して、ロージェンスの話を行なわない。
それは、さっきを感知するというロージェンスの能力は暗殺者にとって最も厄介な能力だからだ。
- 489 :馬霧 真琴:2011/06/14(火) 00:01:15 ID:jZsNovBM0
- >>488
「非合法やから儲けは青天井…って感じなんかな。」
非合法故に相手は警察や自治組織に申し出れない。
“そういう商売”なら楽に大金を稼ぐことは容易だろう。
「麻薬関連の“掃除”は難しいやろうに。長い戦いになりそうやね。」
アイスココアを一口飲む。
小百合から語られる誘拐の話、小百合も指摘していることを疑問に思いながら。
「まぁ…変な話やんね。意外と人体実験のサンプル集めやったりしてな。」
ぼんやりと、真琴は可能性の一つをつぶやいた。
- 490 :黒沢小百合:2011/06/14(火) 00:14:52 ID:SSMHlh/20
- >>489
「栽培、生成に掛かるコストに比べ、販売単価が高いですからね。
……確かに難しい問題ですが、戦わなくては現状はもっと悪化する。
誰かがやらねばならぬ事なのですよ。」
小百合は、最前線に立って都市を守るべく戦っている。
批判されることも多い彼女であるが、その点に関しては偽りは無い。
「そういう話もありますが、結局のところどれも噂の域を出ません。
この男を捕縛する事ができれば、なんらかの情報が分かるかもしれませんがね……。
現状では、なんとも。」
- 491 :馬霧 真琴:2011/06/14(火) 00:24:50 ID:jZsNovBM0
- >>490
「千夜の公の力を使えないってのは厳しいなぁ。」
一企業として殺しはNGであるから大きな手を使えずにいるのだろう。
公的機関の腰は重い上に鈍重であるから。
「それだけの情報で実行は厳しいな。また新しい情報が出てきたら教えて。
今の情報量やったら未だ迷うんよ。」
命を掛けての殺しだ。
どれだけ活きの良い情報を仕入れるのかが肝となる。
真琴は怠そうに立ち上がる。
- 492 :黒沢小百合:2011/06/14(火) 00:33:05 ID:SSMHlh/20
- >>491
「ええ、今回一応の打診はしましたが、
さすがに情報が少なすぎましたね。申し訳ない。」
今日の小百合はどこか精彩を欠いていた。
いつもの相手を刺し殺しそうな視線や
抜き身の刃物のような雰囲気は感じられず、上の空の様子で。
「こちらとしても、誤認逮捕などしてしまえば責任問題になりますからね。
エージェントが情報を入手し次第、またコンタクトをとらせていただきましょう。
おっと、コーヒーのお礼がまだでしたね。」
小百合は、真琴へ封筒を差し出す。
中には、そこそこの金額が書かれた小切手が入っているはずだ。
- 493 :馬霧 真琴:2011/06/14(火) 00:40:14 ID:jZsNovBM0
- >>492
「慎重になるんも仕方ないって分かってるだけに歯がゆいなぁ」
パンパンと軽く尻を叩く。
「了解、ああ、黒沢さん、たまにはコーヒーくらい奢られてもいいやん」
差し出された封筒を小百合の懐へと優しく押し返す。
ヒラヒラと手を振れば、歩いて闇の中へ消えていく。
あの様子、少し気になるわ、と真琴の心のなかに小さな違和感を残しながら。
- 494 :黒沢小百合:2011/06/14(火) 00:47:55 ID:SSMHlh/20
- >>493
「あぁ……はい……。」
押し返された封筒を煮え切らない返事をしながら
懐にしまいこむ小百合、やはり何かおかしい。
「ダメね……心のバランスを失ってしまうなんて……。」
真琴が闇に中へ消えた後、小百合はポツリとつぶやくと
そのまま彼女も、その場から立ち去り何処かへと消えた。
- 495 :『ジボル』:2011/06/15(水) 00:08:52 ID:ogcCwyJ60
- 【小百合邸敷地内】
【ずどん!】
【静寂の空気を張り倒すような轟音、そして軋み倒れる音】
【それから、音はないものの目眩などとは疑えないような、荒々しい地面の揺れ】
……ふぅーっ。
【一連の揺れが収まってから、ジボルは細く息を吐いた】
【手枷により強制的に纏められた両手をさっきまで幹のあったところに揃えてまんじりと動かない】
【株となったモノを挟んで対岸に倒れている幹を見るに、少年が吹き飛ばしたと見て間違いない】
【最近はずっと本を読んだりテレビを見たりと、知識を吸収する日々を楽しみ】
【言うことも「これはなんだ」「あれはなんだ」という命名期を脱して「なんで?」「どして?」という質問期に突入】
【まさに充分楽しんでたわけだが……しかし人間でもずっと部屋の中だと気分が悪くなる】
【ずっと外で過ごし体を動かしてきた野生児も、そんな生活でちょっと疲労が溜まっていた。習慣の急変に耐えられなかったのだ】
【というワケで今『軽く』体を動かしているということである】
【……などと言っているうちに】
わう♪
【小百合邸の塀をひょいと越えて外に顔を出す。人工林にも飽きたらしい】
【鼻の頭を小さく震わせて匂いを嗅ぎ、テレビで流れてた歌を歌い出した。鼻歌だけど。】
- 496 :名も無き異能都市住民:2011/06/15(水) 00:13:28 ID:SSMHlh/20
- >>495
――――バチッバチチッ!!
壁に仕込まれたセンサーが生物の接近を感知、
塀の上部のワイヤー部分に電流を流す。
ほとんど威嚇のようなものだが、知らずに触ってしまうといたいいたい!
- 497 :『ジボル』:2011/06/15(水) 00:21:56 ID:ogcCwyJ60
- >>496
すおれーと〜♪どきどきすす〜〜♪ ふふふふふ〜れーざーびーm……ぎゃっ!?
【歌い始めて幾ばくもなく電流が少年の体を流れ、悲鳴を上げて塀の内側へ転がり落ちる】
ぐ……ぐぅ…、これ、やーの……。
【地面に倒れたままそうぼやき、掌と足の指をぐにぐに動かす。異常なし。】
【不快感にわざとらしいくらい顔をしかめているが、青空を眺めて、あー空がキレイだなーなんて思うとすぐ瞳に雲を映したまま惚ける】
- 498 :黒沢小百合:2011/06/15(水) 00:29:31 ID:SSMHlh/20
- >>497
「まったく、貴方は何をしているのですか……。」
センサーの異常を感知してやってきた小百合は、
地面に倒れたままのジボルの顔を上から覗き込む。
「ダメですよ、遊びに行きたいならこの私に言わなければ。
そうすれば、ちゃんと外へ行かせてあげるのに。」
とはいえ、小百合に相談すると必ず監視役が付いてくる……。
- 499 :『ジボル』:2011/06/15(水) 00:41:19 ID:ogcCwyJ60
- >>498
さゆー。
【瞳孔がきゅいっと縮んで小百合の顔を映して、何が嬉しいのか、笑い出しのように短く鼻息を吐き】
ん。
【束ねられた両手を突き出して、唇ではっきり三日月のような弧を描いて微笑む】
【たった数秒前に木の幹を一撃で吹き飛ばし、かつて強化ネットを易々と引き裂いた、凶器と言って差し支えない手が】
【今は無邪気に必要のない補助をねだっていた】
だってー……さゆーがとこに『おそといく』いったら、いやだもん。
ひとりで、さん……さん……さんぽ、だもん。
【頬を膨らませてじとーっと小百合を睨め上げる】
- 500 :黒沢小百合:2011/06/15(水) 00:53:12 ID:SSMHlh/20
- >>499
「一人でうろつくのは危ないのですよ。
子熊には親熊が。子狐には親狐がついているものでしょう?」
差し出されたジボルの手を掴み、力を入れて引き起こす小百合。
平均的な一般女性と比べても、少し劣る小百合の力では少し骨が折れた。
「……ふう。だから、まだ一人ではダメです。」
とはいえ、いつまでも屋敷の中においていくわけには行かないが
まだ教育施設に入れる事ができる段階でもない。はてさてどうしたものか。
- 501 :『ジボル』:2011/06/15(水) 01:04:23 ID:ogcCwyJ60
- >>500
わーはこどもじゃないぞ!
【どう見ても子供だし、まだ11だし。】
【学校に入れるとしても小学校、しかも特異な能力ではない単純な『力』の強さは】
【例え枷を付けようと……というより、枷のついている今でさえ、まったく抑えられていないのだ】
…………ぐぅ。
さゆー。ひとりで、おそとが、でる、なにか……ないか?
『かり』でも なんでも わー、がんばるぞ?
【胸に手を当てて上目遣いで見上げる。何かとは仕事だろうか】
【勿論それがタダ飯喰らいの後ろめたさや正義の使命感なんかじゃなく、単に動きたいだけなのは明白だが。】
- 502 :黒沢小百合:2011/06/15(水) 01:12:47 ID:SSMHlh/20
- >>501
「ううーむ……。」
やはり、閉じ込めておくのは教育上正しいともいえないし
今まで自由に育ってきたジボルにとっては、かなりのストレスのはずだ。
閉鎖した環境におかれる宇宙ステーション滞在クルーなども、
精神的なケアにかなり重点が置かれていると聞く。
「分かりました。では、貴方には狩りを行なってもらいましょうか。
今度から、私に言ってもらえば近くの野山に連れて行ってあげましょう。」
野山、といっても異能都市郊外にある小さな森や丘といった安全な場所。
とはいえ、小動物もいるだろうし狩りとやらで運動させてやればストレスの発散にもなるだろう。
- 503 :『ジボル』:2011/06/15(水) 01:28:50 ID:ogcCwyJ60
- >>502
ッ〜♪
【よほど嬉しかったのか諸手を挙げてくるくるその場で回る。】
さゆー、わーがんばるぞ!
【かと思うと小百合に向かって両手拳を固めてガッツポーズ。目がキラキラ輝いてる】
それじゃーごはん、ごはんたべようさゆー! ごはん! さゆー!
【すっかり元気になった様子で邸に向かって歩き始めた。すぐ落ち込んですぐ元気になる、子供の特権だ】
〜♪〜♪…おわっ!
【ところが……途中で突然すっ転ぶ】
【足枷の細く伸びた鎖が、先ほどぶっ飛ばした木の株に引っかかっていた】
むぅ〜っ。
【木を打ち壊し、強化ネットを引き裂き……そしてソレは腕の話で、足の筋力は腕の三倍あると言われる】
【それほどの力を持ちながら――この小指ほどしかない細い鎖は千切れない】
【現にジボルは幾度と無く枷を壊そうとしたが、鎖に力を加えても延びはしたものの、破断はできなかった】
【今やジボルはそれに慣れ『そういうもの』として共生しているが……奇妙な物体である事に変りない】
- 504 :黒沢小百合:2011/06/15(水) 01:37:31 ID:SSMHlh/20
- >>503
「はいはい、分かりました。すぐに用意させますから。
今日はそうですね。ローストした鴨などどうでしょう。」
献立は何がいいだろうか、などと考えながら家路を急ぐ小百合であったが
転んだジボルを見て、それを助け起こすべく近寄る。
「これ、そろそろ切っておかないと……。」
小百合は今まで、暴れるジボルに手を焼きそれを切れずにいたが
さすがにこのまま放っておけば、少年虐待などのそしりを受けかねない。
大型の業務用カッターなら切れるだろうか……。
- 505 :『ジボル』:2011/06/15(水) 01:49:33 ID:ogcCwyJ60
- >>504
うーぐぅ……だめだぞ。これ、いっぱいひっぱってもきれない。
てぇーも。
【手枷も同じ金属で出来ている。荒い肌面をした鈍色の金属は、水に浮いたガソリンのように気味の悪い光を返す】
【小百合の手を借りずともぴょんと立ち上がり、鎖の引っかかったのを外して】
いつか、はずれる。きっと。
それよりごはん! かも! にく!
【当人は歯牙にもかけていないようで、それより鴨肉のほうに意識が集中していて】
【小百合の方を数秒ごとに振り返りながらスキップのめちゃくちゃ速いようなので邸へと戻っていた】
【なんというか……一言で言うなら】
しあーせ♪
/〆
- 506 :黒沢小百合:2011/06/16(木) 00:09:13 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「ふぅ……今日もどうにか一日終わった……。
一杯、引っ掛けていこうか……。」
今日の勤務を終え、カフェへと立ち寄った小百合。
戦闘で負傷したのか、左の手の甲には包帯が巻かれ血が滲んでいる。
「……今日はサハリンスカヤ……これにしてみよう……。」
酒蔵から、適当な一本を選び出しカウンターへ付く。
- 507 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/06/17(金) 23:26:46 ID:WVrfsEdY0
- 【AGカフェ】
「zzzzz…」
【人気の少なくなった店内に一人の少女がいた】
「zzzz…」
【ぐっすりと心地良さそうな顔で椅子に座り、眠りについている】
- 508 :黒沢小百合:2011/06/23(木) 21:49:23 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「……ふぅ、まったく何が何やら……。
中々に厄介な問題に、首を突っ込んでしまったようですねぇ……。」
人の居ない店内でネクタイを緩め、一息つく小百合。
アレから、小百合率いる都市警備部門は各方面との連携や、現存の証拠の検分、
寺打海産への捜査などにてんてこまいで、休む暇もない状態に陥っている。
そんな中食事も睡眠も取らず、病み上がりの体でずっと先頭に立ち、
働き続けていた小百合は部下に諌められ、軽食と小休止にカフェへと立ち寄ったのだった。
- 509 :イザヤ:2011/06/23(木) 22:10:43 ID:j3dxNUKs0
- >>508
「あンたはいつも此処に来るんだなァ」
蒸し暑い外から隔離された空間。
涼を求めてやってきた現代的な天狗は、
疲労が色濃く残る上司の顔を見て苦笑しながら声をかけた。
- 510 :黒沢小百合:2011/06/23(木) 22:22:56 ID:SSMHlh/20
- >>509
「ええ、まあ……馴染みの店ですし……。
人があまりいませんから、気軽なのかもしれませんね。ここは。」
カウンターには、氷の大量に入ったアイスコーヒー。
太陽によって熱されたアスファルトが、夜になったもなお都市を暖め続けるような
こんな日には、その冷たさがなんとも喉に心地よい。
「あなたも、小休止に来たのですか?
厨房に私の淹れたコーヒーが残っていますから、よければ勝手にどうぞ。」
未だに、都市警備部門はごたごたが続いている。
イザヤも小百合も、このアゼル連合関連の事件が収束するまで
しばらくは家に帰る事ができないだろう。
- 511 :イザヤ:2011/06/23(木) 22:51:12 ID:j3dxNUKs0
- //すみません、何か停電してました…
>>510
「なるほどなァ、色々濃い奴が来るせいか、面白い相になってる場所だな、此処は。
ひきつけられちまうのかもしれねェな。」
ふんふん、と頷いて勝手に納得する。
「そうだな…遠慮なく頂く、ありがとう」
笑いながら、彼はほどなくして珈琲を持って来る。
もちろん氷は大量に。
「しっかしやる事が尽きねェな、尽きねェだけマシなのかもしれねェが…
探査術式を改良した方が良いかもしれねェな、
時間がいくらあってもたりねェや」
- 512 :黒沢小百合:2011/06/23(木) 23:03:50 ID:SSMHlh/20
- >>511
「ここの豆は良い物が揃っていますから味は保障しますよ。」
小百合は首筋や額の汗をハンカチで拭い、
アイスコーヒーに口をつける。
「ええ、まあ企業としてはやる事が尽きないというのは良い事ですが……。
私たちに仕事があるということは、街で事件が起こった事でもあります。
倫理的な観点から見れば、我々のような仕事は暇なほうがいいのでしょうね。」
小百合はようやく一息ついた、と言う風に脱力して椅子に体を預け
疲労による熱気を孕んだ吐息を吐き出した。
「アゼル連合国の事件、怪人の襲撃、麻薬、異能犯罪の増加……。
我々に休む暇など当分、できそうにはありませんが。」
- 513 :イザヤ:2011/06/23(木) 23:27:30 ID:j3dxNUKs0
- >>512
「いやァ、一度飲むと病みつきになるなァ」
カフェイン中毒というわけでは無さそうだが、日本の昔ながらの妖怪に、カフェインは
中々強く効くのかもしれない。
「そうだなァ、もっと俺達の力が強ければ、抑止力として十分に働くのかもしれねェが…
観測局や公安も頑張ってるが、桁を超えた能力者だってたくさん居るンだ、
中々事件を止める事は難しいやな」
ゆっくりと珈琲を飲む。香りが鼻腔に充満し、満足げな笑みを浮かべて。
「それでも事件を収束させるのが俺達の仕事なンだからなァ…
装備や術式を充実させても、個々の力には限界があるンだ…」
何かを思うように、ふぅ、とため息をついた。
- 514 :黒沢小百合:2011/06/23(木) 23:41:23 ID:SSMHlh/20
- >>513
「でしょう?コーヒーを飲むと心身ともに
しゃきっとするような気がします。」
ねっからのコーヒー党である小百合は、
イザヤがコーヒーを気に入った事がうれしい様で。
「我々は大きな組織ではありますが、
建前上は軍隊ではなく、一企業の警備部門ですからね。
各方面との折り合いもありますから……。」
千夜の強大な軍事力は、時に批判の対象にもなる。
特に、大規模かつ派手な能力を持ち、市民にも顔が売れている小百合は
その批判の矢面に立つことも多いようだ。
「個々の力で成し遂げられぬ事を可能にするのが組織、違いますか?」
- 515 :イザヤ:2011/06/23(木) 23:48:42 ID:j3dxNUKs0
- >>514
「昔の武将は抹茶で英気を養ったと聞くが、そんな彼らが珈琲を知っていたら…
合戦が更に激しくなったのかもしれねェなァ」
想像して笑う。日々の食も、力の源なのだ。
栄養がどうとか無粋な話でなく、単純に美味いものはやる気が出る。
「そうなンだよな…中々自由には動きづらい。
特に異能者としての顔が割れちまうと、戦闘の被害まで俺達に逆恨みされる
事だってあるからなァ。…あンたも大変そうだ」
イザヤはまだ駆け出しだが、長く籍を置く小百合は違うのだろう、と
その気苦労を想像する。
「ああ、違いねェ。一つの生物のように動けるのが理想だな。
それこそ、あンたの軍隊のように」
それは彼女の能力の事を言っているのだろう。
- 516 :黒沢小百合:2011/06/24(金) 00:08:42 ID:SSMHlh/20
- >>515
「まあ、顔が売れてしまうのは仕方ないですし、
批判以外にも、得たものはたくさんありましたから。」
小百合は表裏問わず、各方面に幅広いコネクションを持っている。
その構築には、千夜の重役という立場がかなり役立っているはずだ。
「しかし、現実は中々……組織の統制というのは中々に難しい。
まあ、私の能力は一つの思想に統制された軍隊、というものですから
結局、能力は違えど思想は私の物。それだけでは、柔軟性のある組織とはとてもいえない。」
- 517 :イザヤ:2011/06/24(金) 00:16:18 ID:j3dxNUKs0
- >>516
「ああ、俺も少しずつだが知られてきてるみてェだ、
中々楽しい過程だけどな」
口の端で笑い、ごくりと珈琲を飲む。
「百鬼を、作ろうと思う。」
唐突に、彼の口からその言葉が飛び出した。
「妖怪達や、人ならざるモノ達との交流が増えてきた。
そいつらに普通の人間も全て纏めて、一つの組織を作ろうと思ってるンだ。
とりあえずはまだまだ繋がりを広げなきゃいけねェが、…手がかりがあった。
組織作りはまだ知らねェ。まだまだ勉強させてもらうぜ」
一つの決意をさらっと口にして。
「そうか、『脳』が一つじゃダメなんだ、全員の脳が集まって一つの『脳』にならなけりゃ、
柔軟な組織は作れねェンだろうな。なるほど、あンたの軍隊はあンたって
生物を体現してるのかもしれねェな」
ふんふん、と頷く。
- 518 :黒沢小百合:2011/06/24(金) 00:27:10 ID:SSMHlh/20
- >>517
「百鬼。」
小百合は、イザヤの口から出た
その言葉を、聞き返すように反芻する。
「ほう、以前貴方が口にした夢というヤツですか。
一つ言っておきますが、厳しいですよ。それはとても。
違うものを集め、束ねるというのはね。」
小百合は内心、叶わぬ夢だとイザヤをあざ笑った。
人と人、同じ種族の中でさえ人種で、言語で、宗教で、肌の色で。
あらゆる違いを理由に、互いを憎みあっているのだから。
「全員集まって一つの脳、貴方の理想とする組織が民主主義、共和制とするなら
私の能力は独裁主義、絶対王政といったところでしょうかね。」
- 519 :イザヤ:2011/06/24(金) 00:36:54 ID:j3dxNUKs0
- >>518
「ああ、陰陽百鬼。この世の影も光も飲み込む集団にしてやる。
その為にはまずはこっちの組織だが…やってやるさね。
…そう、違うからこそ、面白ェンだ。強いのさ」
彼女の内心のあざけりも読み取ってなお、天狗は笑った。
「そうだな、俺の能力も似たようなもンだ。こっちには意思は無いが、
多数の絶対統制という意味では同じかもしれねェ」
能力からして相容れない共和制。だが、それが出来れば、その本質を理解すれば。
彼はその『制度』すら能力に反映するだろう。
貪欲な笑み。この妖怪の本当の恐ろしさは、その目標への貪欲さなのかもしれない。
珈琲を飲み干して、長く息を吐く。
「それじゃ、俺は行く。まだやることが残ってるンだ。
…もし少しでも休みが出来たら、こっちの組織にもテコ入れしないと
いけねェかもなァ。俺達の休みも増えるかもしれねェし」
にひひ、と笑って、天狗は涼しい店を出て行く。
蒸し暑い風が少しだけ店内を巡った。
//ありがとうございましたー!
- 520 :黒沢小百合:2011/06/24(金) 00:49:37 ID:SSMHlh/20
- >>519
「……不愉快、ですね。」
小百合は、理想に燃えるイザヤが
『異能者の排斥』という目標を掲げていた、
過去の自分に重なって見えた。
(だが、もしそれをやりとげることができたなら……。
……嫉妬しているのか、私は……。)
小百合は、誰もいなくなった店内で一人残ったコーヒーを飲み干した。
- 521 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 22:43:28 ID:.6prKP66O
- チャリンチャリンッ
【アトリエ前】
「うむ、作った自転車の出来はいいみたいだな!」
【夜のアトリエ前で、男が一人自転車を漕いでクルクル回っていた】
「いやぁ、楽しいなぁ!久しぶりにやってみると気持ちがいいもんだ!」
【白い服にミントグリーンの髪、その男の風貌から、自転車に乗っている姿は中々シュールである】
- 522 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 22:52:15 ID:VoJSms.Y0
- >>521
「……やぁ」
何時からか回る男の視界に少女が映り込む。
身体の前で樹の籠を持ち、相変わらず変化の無い表情でそちらを見ていた。
「遊びに、来た」
- 523 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 22:57:31 ID:.6prKP66O
- >>522
ビクゥッ
「おっととと!?」
ガシャァンッ
【急に現われた来訪者に驚き、勢い良く転んでしまう】
「わっとととッ!ゴホンッ」
【急いで立ち上がり、咳払いをして先の失敗を誤魔化す】
「よ、よく来たね!いらっしゃい!」
【アトリエの扉をあけながら少女に歓迎の言葉をかける】
- 524 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 23:02:06 ID:VoJSms.Y0
- >>523
「……来たよ」
失敗を流したのか無関心なのか、完全スルー。
扉の前の上弦に小さく頭を下げると中へ。
- 525 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 23:12:11 ID:.6prKP66O
- >>524
【普通にスルーをされて、拍子抜けと安堵が入り交じった表情で少女を招く】
「よぉし、ゼオラ!今日は二人で錬金術でもしないかい?」
- 526 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 23:15:57 ID:VoJSms.Y0
- >>525
「やる、やる」
コクコクと何度か頷いて答える。
心なしか表情が明るくなった気がした。
- 527 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 23:20:47 ID:.6prKP66O
- >>526
「よぉしっ!一緒に釜の前に行くぞぉ!」
【ゼオラの手を掴み、走りだす。
上弦の部屋の中のもう一つの扉を開き、長い廊下を駆け抜けて】
- 528 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 23:23:48 ID:VoJSms.Y0
- >>527
「……わかった」
片手で木の籠を持ったままついていく。
途中から速さについていけず引っ張られて宙を飛んでいる状態に。
- 529 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 23:31:00 ID:.6prKP66O
- >>528
「よーし!着いたぞぉ!!」
【巨大な扉を開き、アトリエの外観からは考えられない程巨大な空間が広がる不思議なアトリエ
上弦のアトリエに辿り着く】
「釜の準備は万端!材料だって探せばあるはず!」
【気合いの入った一言、上弦はゼオラに視線を移し、問い掛ける】
「何が作りたいかな?」
- 530 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 23:34:24 ID:VoJSms.Y0
- >>529
「……うーん」
上弦の隣に立って鎌を眺める。
視線を動かし上弦を眺め、首を傾げた。
- 531 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 23:41:37 ID:.6prKP66O
- >>530
【首を傾げる少女を見つめ返し、男も首を傾げる】
…………
【何分の間首を傾げ合ったか……男はハッとしたかのように我に返る】
「どうするか……ここは簡単に……傷薬なんかどうだ?」
【少女に完成品を見せながら問い掛ける】
- 532 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 23:43:32 ID:VoJSms.Y0
- >>531
男の言葉に首を戻し、また数秒。
「……そうする?」
自信が無いのか、語尾が上がる問いかけの形に。
- 533 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/25(土) 23:54:20 ID:.6prKP66O
- >>532
「いや、聞かれても……あぁもう可愛いなぁ!
でも大丈夫!私が手とり足取り教えてあげるからさ!」
【白い歯を輝かせて、男は親指を立てて見せる】
「待ってなさい!今材料を持ってくるよ!」
【そう言うと、男は遠くに見える、引き出しが大量に付いた大きなタンスの様な物に向かっていく】
- 534 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/25(土) 23:56:16 ID:VoJSms.Y0
- >>533
「ありがとう……」
顔を俯かせるとそう言った。
上弦を視線で追って材料を集めていく様子を眺める。
- 535 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 00:03:58 ID:.6prKP66O
- >>534
【男は大きなタンスの様な物の前に辿り着くと、片っ端から引き出しを開け始める
どうやらどこに保存したのか忘れてしまったらしい
何個か開けては閉め、開けては閉め、それを繰り返しながら材料を捜し出す】
「……ッ!」
【しばらくした後、男は大量の草を持って走ってくる】
【ゼオラの前に戻ってきた時は既に息を切らしていた】
- 536 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 00:05:46 ID:VoJSms.Y0
- >>535
「……」
大量の草をを前にして表情は変えず。
だじっと見つめていただけだがふと男の方に視線を写し、
「……大丈夫?」
と聞いた。
- 537 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 00:09:06 ID:.6prKP66O
- >>536
「ゼェッ……ゼェッ……ハァッ……だっ……ハァッ…ハァッ……大丈夫ッ!…ゼェッ」
【かなり大丈夫そうでは無いのだが、男は大丈夫と無理矢理笑う】
「じゃッ……じゃあ……これをッ……き、切って細かく出来るかな?」
【息も絶え絶えに、男は少女に大量の草を渡す】
- 538 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 00:12:04 ID:VoJSms.Y0
- >>537
「……」
無言のまま小さく頷くと草を片手で掴み、
逆の手に闇で造ったナイフを持つと切り分け始めた。
- 539 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 00:18:03 ID:.6prKP66O
- >>538
「……」
【休みながらその様子を見守ると、男は立ち上がり、近くにある井戸の様な何かで水を汲み始める】
「手元には気を付けるんだよ?」
【容器に水を移しながら、少女に注意を促す】
- 540 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 00:23:49 ID:VoJSms.Y0
- >>539
「うん……わかってる」
只管ナイフで切っていたが、
効率の悪さからか途中から呼び出した闇の手をまな板代わりにして両手にナイフを持っていた。
「……できたよ」
刻まれた草を慎重に運ぶ手を引き連れながら上弦の元へ。
- 541 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 00:30:42 ID:.6prKP66O
- >>540
「おぉう……なんて便利!」
【まな板代わりにされる闇の手に男泣きしながら、便利さを羨む】
「よし、ゼオラ!釜の前までおいで……錬金術の大事な行程だ!調合を始めるよ!」
- 542 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 00:34:56 ID:VoJSms.Y0
- >>541
小さく一度だけ頷くと言われるままについていく。
そうして目の前にある釜を眺めながら、感嘆の息を漏らす。
少女と釜のサイズ差からか、首はほぼ真上を向いている。
- 543 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 00:40:51 ID:.6prKP66O
- >>542
「……ははは……」
【乾いた笑いを出しながら、男は少女に近寄る】
「ほいっと!」
【そして、少女の隙を突くかのように、腋下を押さえる形で持ち上げる】
「これでどうだい?」
【ふと見ると、近くに台みたいな物があったが……】
- 544 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 00:50:09 ID:VoJSms.Y0
- >>543
「……ッ!!」
普段の様子なら上弦の行動が予知できていたり、感じ取ることが出来ただろう。
しかし、今の少女は身体を小さく跳ねさせる、驚く素振りを見せた。
恐らく目の前の巨大な釜の持つ威厳やそれへの少女の興味がそうさせたのだろう。
「……」
しかし、直ぐに反応は消えて何時も通りのじーっと眺めるだけに戻る。
- 545 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 00:52:32 ID:.6prKP66O
- >>544
「……驚かせちゃったかい?」
【少女を持ち上げる男には直接ゼオラの体の振動が伝わる】
- 546 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 00:53:24 ID:VoJSms.Y0
- >>545
「うん……」
コク。と一度だけ頷く。
- 547 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 01:01:46 ID:.6prKP66O
- >>546
「それは、すまない……このまま続けるかい?それとも台を使うかい?」
【少しだけ少女を下ろし、目を見ながら問い掛ける】
「続けるなら、その草を釜の中へ」
- 548 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 01:05:43 ID:VoJSms.Y0
- >>547
「はい……」
少女の身長に合わせて手首までしか無かった闇の腕が、
上弦に持ちあげられた高さに合わせる様に伸びる。
闇の腕の掌から草を取ると、釜に放りこんでいく。
- 549 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 01:12:21 ID:.6prKP66O
- >>548
「やっぱり便利!?」
【闇の手の万能さに感銘を受け、男は少女を下ろす】
「もっとスキンシップとかしたかった……!」
【男は、小さく悔やむのだった】
「じゃ、じゃあゼオラ?この水を少しずつ加えながらこの杖で混ぜてくれるかな?」
【上弦が渡したのは先端に水色の石が装飾された杖、どうやら釜を掻き回す為の代物らしい】
- 550 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 01:21:11 ID:VoJSms.Y0
- >>549
「わかった……」
台の上に乗り改めて高さを得ると、
水と杖を受け取り言われた通りの作業をこなしていく。
- 551 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 01:26:48 ID:.6prKP66O
- >>550
「よし、いいぞ〜!大事なのはどんな感じの薬が出来るか考えながら混ぜる事だぞ!」
【釜の中を見ながら説明を始める】
「ゼオラはどんな傷薬が出来てほしいかな?」
- 552 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 01:35:21 ID:VoJSms.Y0
- >>551
「……」
かき混ぜる作業の途中で思案顔。
錬金術への興味はあっても傷薬へのそれが無い事、
それと何時もの無欲さが幸いし、上手く出て来ない様子だ。
- 553 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 01:39:42 ID:.6prKP66O
- >>552
「ん〜?」
【ゼオラの思案顔を見て、釜の中を見て……男は気付いていた】
「……」
【このままでは傷薬ではなく、ただのクリーム状の失敗作が出来てしまう】
「難しいかい?」
【その間、釜の中では水に先程の草がドンドン溶け始め、少しずつ水がクリーム状になって行ってしまう】
- 554 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 01:52:32 ID:VoJSms.Y0
- >>553
「……」
無言で一度だけ頷く。
どうも自分で何かをイメージするといった類が苦手らしい。
- 555 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 01:54:55 ID:.6prKP66O
- >>554
「……」
【男は少女の後ろに回り、手を重ねて一緒に釜を掻き混ぜる】
「ゼオラ、傷薬ってどんな薬だっけ?」
【そして少女に問い掛ける】
- 556 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:00:02 ID:VoJSms.Y0
- >>555
「傷を、癒すの……?」
後ろに現れた上弦を見返し、首を傾げて尋ねる様に。
- 557 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:04:13 ID:.6prKP66O
- >>556
「そうだよ、傷薬は傷を癒す薬だ」
【ゼオラの目を見つめながら男は答え、ゼオラに釜を見るように告げる
……釜からは少しだけ光が溢れてきた】
「さて、傷薬は傷を癒す薬だ……言ってごらん?」
- 558 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:09:19 ID:VoJSms.Y0
- >>557
「傷を、いやす、薬……」
釜に向き直ると、ただじっと見つめ、
少しの間をおいて呟くように言うと、ゆっくり杖を回す。
- 559 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:12:15 ID:.6prKP66O
- >>558
「……」
【ゼオラが釜に向き直るのを確認すると、手を離し、離れる】
「……」
【少女が一生懸命に釜を掻き混ぜる姿を見つめながら男は笑う、どうやら嬉しいらしい】
【少女がしばらく掻き混ぜると、釜の光はドンドンと強くなり、最後に強い光を発した】
- 560 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:17:04 ID:VoJSms.Y0
- >>559
強い光に目をくらませ、思わず目を閉じる。
が、すぐに腕の動きも戻り、目もゆっくりと開く。
- 561 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:21:28 ID:.6prKP66O
- >>560
【少女が釜の中を見ると、そこには薄緑でクリーム状の液体があった】
「おめでとう、初めての錬金術、成功だ!」
【男は少女を見つめながら祝福の言葉を送る】
- 562 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:24:31 ID:VoJSms.Y0
- >>561
「……ありがとう」
小さく息を吐くと振り返る。
そこには満足そうな顔があって、次にはクスッと小さく微笑んだ。
- 563 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:27:11 ID:.6prKP66O
- >>562
「……!」
【その表情に、男は見惚れてしまう】
「……」
【しばらく少女を見つめていると、思い出したかのように、容器に完成した傷薬を入れ、少女に渡す】
「記念に持っておきなさい」
- 564 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:35:39 ID:VoJSms.Y0
- >>563
「ありがとう」
容器を両手で受け取る。
そして代わりに木の籠を上弦に差し出した。
「これ、あげる……」
- 565 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:37:37 ID:.6prKP66O
- >>564
【木の籠を受け取り、眺める】
「これは?」
【少女を見つめ、そう問う】
- 566 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:39:39 ID:VoJSms.Y0
- >>565
「……ケーキ。
皆でつくった、余りだけど……」
籠の中には切り分けられたチョコレートケーキが入っていた。
恐らく誕生日祝いのケーキなのだろう。
- 567 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:45:32 ID:.6prKP66O
- >>566
「おぉ!有難う……って」
【汗をダラダラ流しながらゼオラに視線を戻す】
「そ、そう言えば……ゼオラの誕生日……24日……うわぁぁ!すまない!忘れていた!ぷぷぷプレゼント!プレゼントを今!」
【大層慌てた様子で、少女に平謝りを始めてしまう】
- 568 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 02:49:40 ID:VoJSms.Y0
- >>567
「……大丈夫、だよ……?」
慌てる様子を見て此方も少し取り乱す。
- 569 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 02:57:31 ID:.6prKP66O
- >>568
「い、いいいいや!君へのプレゼントを忘れるなんてあるまじき行為だ!君が大丈夫でも私が大丈夫じゃない!」
【急にどこかに走り去っていき、すぐに戻ってきた……両脇には大量の布や宝石、金属が……】
「ウオォォリャァァァァアッ!!」
【まるで両手が見えぬ程に超速で作業を行う男、マナを大放出である】
「出来たぁぁッ」
【息も絶え絶えに作り出した物は、いつもプレゼントとして渡している新作のドレスと、使うかどうかわからないが、新しい首輪である】
【ドレスは美しきブルーに、薔薇の刺繍が施された物、首輪にはブルーゴールドに、緑色の宝石をあしらった物を、少女に渡す】
- 570 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 03:01:34 ID:VoJSms.Y0
- >>569
「……」
危機迫る。と言った上弦の様子にただ唖然の少女。
僅かに目を見開かせて驚きの表情を見せていた。
- 571 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 03:03:55 ID:.6prKP66O
- >>570
「ガハッ……ハァッ……すまない、あまり印象はよくないかも知れないけど……ハァッ……これを受け取ってくれるかな?」
【死にそうになりながら、男はドレスと首輪を差し出す】
- 572 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 03:09:45 ID:VoJSms.Y0
- >>571
少女はドレスと首輪を受け取るとじーっと眺めた。
そしてそれら二つを大事そうに抱きしめると「ありがとう」と言った。
- 573 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 03:13:03 ID:.6prKP66O
- >>572
「……よかった、こちらこそ有難う、ゼオラ」
【感謝の言葉を聞き、男は安堵のため息を吐く】
「よし!じゃあ次の調合は……おっと」
【男は次の錬金術に移ろうとするのだが、ふと時計を見上げると声を上げた】
「もうこんな時間か……ゼオラ、今日はもうやめにして寝ようか?」
- 574 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 03:17:02 ID:VoJSms.Y0
- >>573
「……」
無言で同意の合図をすると上弦から貰った三つの物を持ってついていく。
- 575 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 03:20:00 ID:.6prKP66O
- >>574
【しばらく歩くと、上弦の部屋に辿り着く、少女はいつでも眠りに就く事が可能だろう】
「ゼオラ、疲れただろ?もう休んでいいよ?」
- 576 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/06/26(日) 03:23:53 ID:VoJSms.Y0
- >>575
「……うん。そうする」
貰ったドレスを丁寧に畳むとテーブルの上へ。
その隣に首輪と傷薬の入った容器を置くと、ベッドに転がった。
「おやすみ……」
男に向かってそう言うと少女はすぐに眠ってしまうのだった。
- 577 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/06/26(日) 03:26:11 ID:.6prKP66O
- >>576
「あぁ、お休み……と言うか私も眠るよ」
【疲れていたんだろうなと、少女を見ながら呟くと、男も目を閉じ、眠りに就く】
【男と少女は眠り、二人の夜は更けていくのだった】
- 578 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 22:13:42 ID:ste/2NNA0
- 「……なんだこれは」
そう言ってパイロットニットを被った男が拾い上げたのは、安っぽい西洋鎧だった。
おそらく、最近街を歩き回っている鎧の怪人の残骸だろう。
鎧にはあちこち焦げ目が見られた。
「ずいぶん手抜きの怪人量産してるな……。
雑誌に出てた赤い奴と関係あるのかな」
男は鎧の中から、鱗を見つけて拾い上げる。
「覚醒鱗は貰っとこうか」
- 579 :黒沢小百合:2011/06/26(日) 22:41:14 ID:SSMHlh/20
- >>578
――チッ
テルメスの背後で、銃の安全装置がはずされた音が
まるで警告をおこなうかのように響く。
「おい、お前はここで何をしているのか……?
拾った物を捨てろ、それは我々が回収する。」
どうやら、テルメスは灰燼の残骸を回収しに来た
小百合たちの部隊と鉢合わせしてしまったようだ。
- 580 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 22:51:51 ID:ste/2NNA0
- >>579
「あ、どうも。お久しぶりです」
黒沢の姿を見てそう言いながら、
手に持っていた兜を地面に置いた。
「事件ですか。
邪魔そうなので離れた方が良さそうですね」
そう言って黒沢の隣を歩き去ろうとしている。
……鱗は持ったまま。
- 581 :黒沢小百合:2011/06/26(日) 22:58:09 ID:SSMHlh/20
- >>580
「待て、お前は先ほど何かを拾っていなかったか?
その兜以外にだ。なにか鎧の中から拾い上げていたようにも見えたが。」
手に持った銃がよく見えるように、テルメスの前面へと移動する小百合。
銃はただの脅しであるのは明確だが、小百合の『冷徹』という評判が
もしかしたら引き金を引くかもしれない、という印象を与えるかもしれない。
「所持品の検査が必要なようですね?
何か武器などを所持しているなら、今のうちに出しなさい。
くれぐれもゆっくりと。」
- 582 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 23:08:34 ID:ste/2NNA0
- >>581
「……拳銃を持ち歩いてます」
ポケットから、護身の為ですといわんばかりの小さな拳銃を取り出した。
後は現金しか入っていない財布ぐらいしか、持ち物は無い。
「鎧しか拾いませんでしたが。
あそこに起きましたし」
- 583 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 23:10:51 ID:ste/2NNA0
- //訂正
//誤:後は現金しか入っていない財布ぐらいしか、持ち物は無い。
//正:ほかにポケットに入っていたのは、現金しか入っていない財布ぐらいだった。
- 584 :黒沢小百合:2011/06/26(日) 23:17:20 ID:SSMHlh/20
- >>582
「では、少し調べさせていただきますよ。」
小百合と一緒についてきていた千夜のエージェントたちが
テルメスのポケットや襟の裏、靴の中など、物が隠せそうな場所をチェックしていく。
もし、鱗が発見されれば一応小百合へと報告が行くだろう。
しかし、見つかったとて所詮はただの鱗である。うまく言えば、逃れられるかもしれない。
- 585 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 23:26:58 ID:ste/2NNA0
- >>584
調べていくと、男のパイロットニットの中に、
青い刻印の刻まれた鱗が入っていた。
「……脱皮した蛇の鱗って、縁起がいいんですよね」
蛇の鱗にしては、それは大きすぎるものだった。
苦しい言い訳だが、異能都市ならばこんな大きな蛇も居るかもしれない。
と言うか実際居た。
「それは俺が前からお守りに帽子に入れていたもので……。
その帽子はいつも身に着けてる物で……」
ぐだぐだと関係ないことを言いながらも、
あくまでさっき拾ったものではないと言い張る。
- 586 :黒沢小百合:2011/06/26(日) 23:33:41 ID:SSMHlh/20
- >>585
見つかった鱗はすぐに小百合の元に運ばれるが
彼女は、ゴミでも見るかのようにそれを検分する。
「蛇の鱗にしては大きすぎますね……。
この紋章のようなものは?どこかの商店の加工品ですか?」
帽子に鱗を入れておいても、いつのまにか落としてしまいそうなものだが
小百合は結局、アクセサリーかお守りの一種程度にしか思っていないようだ。
このまま説明を続ければ、問題なく見逃されるだろう。
- 587 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 23:40:28 ID:ste/2NNA0
- >>586
「はあ、買ったものです。
彫ってある物の意味は知りません」
真っ赤な嘘である。
紋章は、怪人が復活前に使用していた言語の文字だ。
「あの、せめて帽子は返してください。
暑くてもそれ無いと落ち着かないんで」
- 588 :黒沢小百合:2011/06/26(日) 23:48:58 ID:SSMHlh/20
- >>587
「比較的、新しい物にも見えますが買った店などは覚えていますか。
後それだけ答えていただければ、持ち物はお返ししましょう。」
もっと、わかりやすい物が見つかるのではないかと期待していたのだろう。
小百合は、つまらなさげにテルメスの証言をメモしている。
- 589 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/26(日) 23:55:04 ID:ste/2NNA0
- >>588
「いえ、そこまで新しいものでは。
二年前、この街に住み着く直前に、この近くの街で買ったものです」
書類上では確かにテルメスは、
二年前に異能都市に住み着いたことになっている。
それはテルメスがイザコザを起こしたときの取調べでも調べられているはずだ。
「残念ですが店までは覚えていませんね」
- 590 :黒沢小百合:2011/06/27(月) 00:01:27 ID:SSMHlh/20
- >>589
「ふむ、そうですか……。
申し訳ありません、私の勘違いだったようです。」
小百合は、素直に頭を下げると胸元に閉まった
自分の財布から、いくらか紙幣を取り出しテルメスに握らす。
「迷惑料、ということでお納めください。
受け取っていただけますね?」
迷惑料、兼口止め料ということだろう。
その間に、小百合の部下たちが残った鎧の残骸を専用のケースに回収していく。
- 591 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/27(月) 00:06:55 ID:ste/2NNA0
- >>590
「いえ、そういう仕事なら仕方ないです。
……あ、え……どうも」
少し戸惑いながら、紙幣を受け取る。
遠慮しようとも思ったが、いろいろな事情で生活費は苦しかった。
「仕事頑張って下さい。
あ、あとあの子にもよろしく」
帽子を被りながら会釈する。
あの子とはジボルのことだろう。
- 592 :黒沢小百合:2011/06/27(月) 00:26:47 ID:SSMHlh/20
- >>591
「ええ、それでは……。」
全てを回収し終えたのだろう、
部下を引きつれ、小百合はその場から離れる。
(あの子……誰の事だろうか……?)
小百合は、テルメスの『あの子』の意味がジボルへと結びつかなかった。
自分がジボルを保護している事は公にはしていないからだ。
// ごめんよ、ちょっとおくれた。とりあえずこれで〆。
- 593 :テルメス/ニット帽の男:2011/06/27(月) 00:34:20 ID:ste/2NNA0
- >>592
「……これ渡した方が良かったかな。
どうせこれが怪人関係の物だってすぐばれるんだろうし」
黒沢が去った後、指で鱗を弾きながら呟く。
「しかし、意外と使い道無いな、これ。
四将と鱗怪帝以外に怪人は作れないし……。
魔法ぐらいなら練習すれば使えるか?」
ぶつぶつと呟きながら、鱗をポケットに入れてその場を後にした。
- 594 :逆瀬川 純鈴:2011/06/28(火) 21:34:44 ID:/lZA6WB6O
- 【喫茶店<黒猫の雨宿り>】
「なんてゆーか、こう、問題ばっかり増えてるー……」
溜め息の主は、テーブルに身を預けて脱力中の少女。
その隣のテーブルでは、黒外套の男が、新聞を眺めながらコーヒーを啜っていた。
「仕方ないだろ。面倒事に自分から首突っ込んだ結果じゃあないのか?」
「いやー、どうも違うっぽい。なんとゆーか、『私の敵』が来た、のかな
そーなるともっと味方が欲しいんだけど……先手打たれてるしねー」
「……『アイツ』はどうなんだ?」
「それは『彼女』次第だよ。私には、『彼女』を縛れない。『彼女』を解き放ったのはこの私なんだからねー」
「成程、な」
黒外套の男は新聞に目を戻し、少女は面倒そうに体を起こす。
「……雨でも降ればいいのに」
窓の外を眺めながら、少女のそんな一人言。
- 595 :黒沢小百合:2011/06/28(火) 23:10:15 ID:SSMHlh/20
- >>594
からん、とドアに備え付けられた呼び鈴が
音を立てて客の来訪を知らせる。
「少し……おじゃまさせてもらおう、かな。」
扉を開き、店の中へと入ってきたのは齢14、5ほどの少年。
いや……それとも少女だろうか。声質、風貌共に中性的ですぐには判断できない。
店の中の様子を少し見回した後、二人のすぐ近くのテーブルについた
彼、もしくは彼女は、少女らに軽く会釈し店のメニューリストに目を通している。
- 596 :名も無き異能都市住民:2011/06/28(火) 23:10:48 ID:SSMHlh/20
- 名前ががが^q^
- 597 :逆瀬川 純鈴:2011/06/28(火) 23:21:35 ID:/lZA6WB6O
- >>565
「へい、いらっしゃーい!
昆布にする? ワカメにする? それとも―― ひ じ き ?」
少女が言い終わった瞬間だった。
すぱこーん、と良い音を立てて、タライが少女の脳天を直撃したのだ。
犯人は、新聞を読む黒外套の男。その手には天井に繋がっている紐があった。
- 598 :名も無き異能都市住民:2011/06/28(火) 23:29:53 ID:SSMHlh/20
- >>597
「ふふ、面白い店だね。ここは。
ここは、貴方たちの店なのかな。」
頬杖えをしながら、開いた片手でテーブル上でとんとん、と
テーブルを叩き、軽く音を立てる。
「もしよければ、海草ではなくアインシュペナーを貰える?
クリームをうんと多めでね。」
- 599 :逆瀬川 純鈴:2011/06/28(火) 23:42:05 ID:/lZA6WB6O
- >>598
「いてて……。ううん、違うよ。
唯のお客だよん。ねー、マスター」
そう言って、カウンターへ視線を向ける少女。
そこには、既にグラスをトレイに乗せ、運んでくる老紳士の姿が。
「それにしても、"こんなとこ"に来るなんて珍しいねー。迷子?」
- 600 :名も無き異能都市住民:2011/06/28(火) 23:55:39 ID:SSMHlh/20
- >>599
「迷子……まあ、そんなところかな。
歪みの中を歩いていたんだけど、歩き疲れてしまってね。
そんな時偶然この店が視界に入ったものだから。」
どうも、と老紳士に会釈をしながらグラスを受け取り、
スプーンで生クリームを掻き混ぜる。
「でも、そのおかげでいくつか良い本を手に入れる事ができた。
それに、こんな素晴らしい店を見つけることも出来たから今日はついているね。」
彼、もしくは彼女の手にはいつの間にかポケット辞書サイズの小さな書物が握られていて。
どうやら、それほど上等な物ではないが本物の魔術書であるようだ。
- 601 :逆瀬川 純鈴:2011/06/29(水) 00:07:14 ID:/lZA6WB6O
- >>600
「どうぞ、ごゆっくり」と一礼し、老紳士はカウンターへ戻る。
「なるへろナルホドー。
んでんで、それがその魔導書? おーいおっちゃん! これ何の魔導書か解るー?」
おっちゃん、と呼ばれた黒外套の男は、面倒そうに立ち上がり、二人の側へと。そして、「見ても、いいか?」と、訪ねるのだった。
- 602 :名も無き異能都市住民:2011/06/29(水) 00:22:06 ID:SSMHlh/20
- >>601
「ええ、どうぞ。といっても、それほど面白い物ではないですよ。
初心者向けの参考書ですから。ただ、少しアプローチが面白くてね。」
差し出されたそれは、この少年、もしくは少女が言うとおり
ごく簡単な魔術の基礎理論、概念が掲載された参考書だ。
別の言語の魔術書を分かりやすく翻訳し、現代での使用にも
耐えるよう、詳しく注釈を施したもののようだ。
「ごく僅かだけれど、この本に魔力が付加されていて
使用者の魔術の使用を補助する仕組みらしい。」
- 603 :逆瀬川 純鈴:2011/06/29(水) 00:47:24 ID:/lZA6WB6O
- >>602
「ほぅ、中々良い本じゃあないか。よくできてる」
感心したように、本を眺める男。
その横から覗きこむ少女だったが、よく解らないらしくすぐに離れた。
「ところで処でちょっと聞きたいんだけどさー……君、男?」
ちょっとした疑問、だったようだ。
- 604 :名も無き異能都市住民:2011/06/29(水) 00:57:19 ID:SSMHlh/20
- >>603
「貴方はどう思う?僕は男に見える?それとも、私は女に見える?
思ったとおりに、答えて欲しいな。きっとそれが答えだよ。」
反応を楽しむように、ぎゃくにとらえどころのない質問を返す
目の前の少年、もしくは少女。恐らく、こういった問いには既に慣れているのだろう。
外見、声質は完全に中性的。
紫で統一された服装はどこかの制服なようだが
男物のようにも、女物のようにも見えまったく判別がつかない。
- 605 :逆瀬川 純鈴:2011/06/29(水) 01:15:52 ID:/lZA6WB6O
- >>604
「うーん……
…………
………………
……………………
男!」
かなり悩んだ様子。
黒外套の男は、どっちでもいいと言わんばかりに、魔導書に夢中だった。
- 606 :名も無き異能都市住民:2011/06/29(水) 01:25:07 ID:SSMHlh/20
- >>605
「君がそういうのなら、そういうこと。
『僕』は男だよ。きっとね。」
やはり、何処か煮え切らない答え。
からかっているのだろうか。
「それより、『僕』の本をそろそろ返して貰ってもいいかな。
このままだと、取られてしまいそうな勢いだしね。」
- 607 :逆瀬川 純鈴:2011/06/29(水) 01:37:12 ID:/lZA6WB6O
- >>606
返答にむっとしたんだろうか。
金色の瞳で見つめて、『接続』しようとしたところで男に拳骨を貰う少女。
「悪い悪い、俺も魔術師の端くれだったもんでな。こういうのは好きなんだ」
そう言って魔導書を返す男。
隣で少女が何か言いたげだったが、男に睨まれると頬を膨らませて、カウンター奥の扉へと、入っていった。
「さて、俺はそろそろ帰るとしよう。
じゃあな、また、会う日まで」
気がつけば、男の姿は無かった。
まるで、『最初から居なかった』かのように。
//寝まっすー。ありがとうでした!
- 608 :名も無き異能都市住民:2011/06/29(水) 01:42:27 ID:SSMHlh/20
- >>607
『少年』としては少女の機嫌を損ねるつもりなど無かったのだが、
どうにも、コミュニケーションと言うのは難しいなとため息をつき。
「ええ、では『僕』も。」
魔術書が少年の掌に、とぷんと波を立てて飲まれる。
次の瞬間、少年の体全体が液体のように崩れると音も無く床板の間に染み込み消えた。
// おやすみなさーい。こちらこそありがとうございましたー。
- 609 :ロージェンス:2011/06/29(水) 22:25:13 ID:1sJsd2CgO
- 【イデアの箱庭】
【認証...】
【Now loading...】
【ロージェンス・カプル・ニブラスがログインしました】
“ようこそ、電脳仮想空間、イデアの箱庭へ。
通称キューブとも呼ばれるこのVRシステムは、
異能都市に張り巡らされた……”
「これが……、イデアの箱庭。
なにこれ、全く違和感ない……不思議だわー」
初心者向けのガイドアナウンスなど、さっぱり耳には入っていない。
所詮、仮想の空間だろうと侮っていたが、なんら現実と遜色ないリアリティがあるではないか。
「……さて、なにしよう」
何処からでもログインできる、という事でログインしてみたが。
特に何もすることがなかった。
- 610 :フランシスカ・キールダリア:2011/06/29(水) 22:46:21 ID:xMYpSEds0
- >>609
【フランシスカ・キールダリアさんがログインしました】
ロージェンスに続いて、少し離れたところに白衣を着た20代くらいに見える女性がログインしてきた。
彼女、フランシスカもまた、この空間へとログインするのは初めてであった。
何せ、保健室に来た生徒にここを教えられるまで、ここの存在を知らなかったのだ。無理もない話である。
「ほほう、これはリアリティありますねー。普通、こんなの無理ですよ……。
普通のバーチャル技術と……何か混ぜものがあると見ましたが……?」
ブツブツと呟きながら、その辺の電柱や建物の壁をぺたぺた触っている。その顔は興味津々といった感じだ。
- 611 :ロージェンス:2011/06/29(水) 22:57:23 ID:1sJsd2CgO
- >>610
アナウンスの声に目をやれば
そこには白衣の女が、壁やら電柱やらぺたぺたぺた……。
「……あー、そういえば。ここじゃいろいろと設定できるんだよなー」
ポチポチポチ、と。
モニターを試しにいじってみる。
あろうことか、白衣の女の行く先にあるマンホール。その蓋を消してみた。
- 612 :フランシスカ・キールダリア:2011/06/29(水) 23:06:05 ID:xMYpSEds0
- >>611
「これ、実は中はスカスカのポリゴンだったりするんじゃないですか?
感触は確かに同じですけど……」
目の前の建造物に目がいっているフランシスカに、足下を見るという意識はまるでない。
いろいろな所を触りながら、件のマンホールの近くまで来て、
「爆破すれば、中身が見えるでしょうか? ああでも、模擬戦にも使われるという話でしたね。
爆破じゃ無理でs」
蓋のないマンホールに、堂々と一歩を踏み出し、
「Oops!」
何故か英語の悲鳴を残して、残像もなく下へと落ちてしまった。
- 613 :ロージェンス:2011/06/29(水) 23:17:56 ID:1sJsd2CgO
- >>612
「クッ……、アッハハハハハハッ!!」
腹を抱えて爆笑。
「いやー、うん。私、あんなスムーズに落ちるのは初めて見たよ。大丈夫ー?死んでるー?」
ひとしきり笑ったロージェンスはマンホールの近くに近付いて、暗い穴を覗く。
照明の無い下水道に繋がっているだけで、底はたいして深くない。
- 614 :フランシスカ・キールダリア:2011/06/29(水) 23:35:49 ID:xMYpSEds0
- >>613
「来たれ! エルゼリオン!」
ロージェンスの覗いたマンホールから、何かの宣言のような声が漏れ出て、
次の瞬間には穴から溢れ出るような光と共に、落ちたはずのフランシスカが飛び出してきた。
飛び出してきた彼女は道路にスタッと着地すると、白衣に付いたホコリを払いながらロージェンスの方を向き、
「ふー、底の浅いマンホールで助かりました。
……で、何ですか、あなたは? 大丈夫、はわかりますけど、死んでる?ってどういうことですか!?」
ちょっと怒っているらしい彼女の右手には、先ほどまで無かった、白くほの光る長剣が握られていたが、
そんなものよりも、彼女の背に浮かぶ大きな光輪が、かなり目を引く。
宗教画に描かれるそれのような光輪は、少しずつ回転しながら、フランシスカの背に寄り添っていた。
- 615 :ロージェンス:2011/06/30(木) 00:11:29 ID:1sJsd2CgO
- >>614
「うお、眩しっ!?」
目眩ましをくらったようになって仰け反って、飛び出るそれを宙に見た。
道路に着地したフランキスカに向くと、マンホールに背を向ける格好になる。
「うぅん? ホラ、あれだよ。打ち所が悪ければ躓いただけで死んじゃうらしいじゃん」
怒り気味のフランキスカにケタケタと悪びれもなく言う。
大きな光輪と長剣を目にして、ロージェンスは腕輪に手をやって弄る。
この女は、身体に巻き付けた鎖を始めとしたアクセサリー類をじゃらじゃらと身に付けていて、見ているだけでも鬱陶しい。
- 616 :フランシスカ・キールダリア:2011/06/30(木) 00:32:18 ID:xMYpSEds0
- >>615
悪びれないロージェンスの返答に、眉を寄せながらもフランシスカは「いいですか」と指を立てて、
「確かに運が悪いと、躓いても亡くなってしまうことはあります。
でも、それは運が悪い時だけです。多くの場合、少し痛い目を見るだけでピンピンしてますよ。
人はそれほど、ヤワにはできていません」
持っている長剣は逆手に保持されており、すぐに斬りかかれるものではない。
それでも、周りの空気を陽炎のように歪ませるほどの聖性を放っており、ただの剣ではないことを自己主張している。
「ですから、次に似たような場面に遭遇したときは、相手は生きているものと見て行動してください。
躓いただけならまだ良いですが、今回のように一歩間違えば骨折してしまう場合だってあります。
生きていても、骨折してしまっては動けない。そのとき、あなたが助けに入れば、あなたはその人にとっての救いの天使になるのですよ」
ジャラジャラしたアクセサリーの女に向かって、「救いの天使」などとのたまうフランシスカの顔は、
教育的指導をする教師のそれと同じ表情だ。つまるところ、大まじめなのである。
- 617 :ロージェンス:2011/06/30(木) 00:52:05 ID:1sJsd2CgO
- >>616
「……あっそ」
フランキスカの熱心な教育的指導に無感動な一言を返すロージェンス。
「そんな道徳云々語るニンゲンが、丸腰な私を目の前に逆手に長剣構えてるっつーのは……、お互い様か」
弄っていた腕輪から拳銃が飛び出して、元に戻るように消えていった。
「…………私はロージェンス、アンタは?」
少しためらって、声も小さく名前を尋ねる。
慣れてないのだ、こういう事に。
- 618 :フランシスカ・キールダリア:2011/06/30(木) 01:07:23 ID:xMYpSEds0
- >>617
「えっ?」
ロージェンスに指摘されて初めて、フランシスカは剣を持つ自分と、丸腰の相手という構図に気づいた。
途端、やってしまった、という顔になり、
「これはどうも、すみません……。
剣を抜かないと飛べないとはいえ、確かに人のことをどうこう言えた義理じゃありませんね……」
恥じ入った表情のまま、フランシスカは剣を上へ放り投げる。すると、剣は大小の光の粒子となって弾けて、消えた。
同時に彼女の背に座していた光輪も、空気に溶けるように消失してしまう。後には、少し汚れた白衣の彼女だけが残った。
剣を投げる動作で、ロージェンスが一瞬だけ出した拳銃を見逃したフランシスカは、
ロージェンスの名前を問う言葉に目を丸くし、一息分置いて微笑み、
「私はフランシスカ。フランシスカ・キールダリアです。
よろしく、ロージェンスさん」
握手を求める手を差し出した。
- 619 :ロージェンス:2011/06/30(木) 01:45:06 ID:1sJsd2CgO
- >>618
差し出された握手を求める手をじっと見つめて、
「……案外、知れてないのね」
ボソリと呟いて、握手を返す。
駅前広場での暴動以降、ロージェンスは指名手配者としても報道されていた。
たが、他に大きな事件があればメディアはそちらに動くのだ。
犯罪者ロージェンスの知名度はそこそこに低いらしい。
そして、ロージェンスは何も言わずログアウトしていく。
目の前で人が消える。
仮想空間では良くあること、なのだろう。たぶん。
- 620 :フランシスカ・キールダリア:2011/06/30(木) 01:58:40 ID:xMYpSEds0
- >>619
フランシスカがロージェンスのことを知らないのは、慣れない職場の仕事に忙殺されていたのもそうだが、
彼女の「趣味」が中々メディアに触れる時間を与えなかったのも関係していたし、触れる機会があっても、
それがオイルプラントの事件の報道だったりと、タイミング的な問題でもあった。
今回の件は、それがロージェンスにとって良い方向へと働いた結果と言えよう。
もしフランシスカがロージェンスを犯罪者として認知していたのなら、少々手荒い「教育的指導」の時間となっていたのだから。
「では、またいつか会いましょう」
世事に疎い女教師は、無言で消えていくロージェンスに手を振る。
彼女とフランシスカが再び会うとき……それが言葉の交差になるか、敵意の交差になるかは、神のみぞ知る話であった。
- 621 :二代目“脾臓”(ヒィ)&Fe-105(イツカ):2011/07/02(土) 22:27:14 ID:onviSg/.0
- 梅雨が明けているのかいないのか良く分からない夜に、
二人の少女が散歩をしている。
ツカ「うーん、雨降りそうってわけじゃないけど、ちょっと蒸し暑いねえ……」
ヒィ「まったくです……が、それにしても汗をかき過ぎではないですか?」
まだ体調の悪いヒィは、今日は車椅子に乗っている。
身なりこそ平時の白いワンピースだが、表情は気だるそうだ。
それを押すイツカは、半袖短パンなのに汗だくだ。
顔も少しぐったりしている。
ツカ「あっ、コンビニ。アイス買ってこようか、ヒィちゃんさん?」
ヒィ「……はい、ではお願いします」
丁度良いところに現われたコンビニに駆け込んでいくイツカ。
それを見送って、ヒィは溜め息をつく。
リハビリがてら外に出てみたのは良いが、これでは悪化しそうだ。
- 622 :名も無き異能都市住民:2011/07/02(土) 23:35:00 ID:VoJSms.Y0
- 溜め息をついてはその無意味さに首を振る。
何度も繰り返されたその行動。解ってはいるが押さえられない。
趣味が昼寝と睡眠のこの人間にとってこの暑さは敵であった。
その為か妙に暗い顔して打つ向き気味に歩く姿は、
髪・肌衣装が真っ白である事や夏であることもあって怪談の一つと間違えられた事もあった。
その事について本人は「あれは嫌な事件だった」と回答している。
「あぁー。もう嫌になりそ……」
尤も、この落ち込み具合は異常である。
それはまた暑さとは別の要因で。
- 623 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/07/02(土) 23:52:38 ID:onviSg/.0
- >>622
あの人も何だかくたびれてそうだな、とヒィは思う。
声を掛けるべきか迷ったが、掛けることにした。
自分は一度この都市で「犯罪者」だと報じられたことがあるが、昔の話だ、恐らくは。
それに、人と話す練習はしたほうが良い、恐らくは。
「暑いですね……あなたも散歩ですか?」
と言っても、それだけしか言わない。
散歩できるような者のものとは思えないかも知れない、弱った声で。
- 624 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 00:01:23 ID:WVrfsEdY0
- 【AGカフェに一人の少女が入ってくる】
「あう〜…おひるにねちゃったの…」
【ふぁー、とあくびをして呑気な表情で席に座り込んだ】
- 625 :名も無き異能都市住民:2011/07/03(日) 00:01:43 ID:VoJSms.Y0
- >>623
「そんな物だよ。
ちょっとした気分転換のね……」
間違い無く転換出来ていない様子と口調である。
首を大きく回すとそちらを見た。
白い髪と白い肌。白いワンピースを着た長身の女だ。
両目と左手につけたグローブだけが紅かった。
そちらの事は知らないのか、興味が無いのか、
特にリアクションを示した様子はない。
- 626 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/07/03(日) 00:15:11 ID:onviSg/.0
- >>625
「気分転換に……なりますでしょうか、ね。
疲れるだけのような気も、してきています」
疲れた声で言いながら、女の身なりを窺う。
あのグローブ、何かを封印してるのかな――と思いながら、
自分の右手に嵌った淡いピンクのミトンに目をやる。
「なんだったら、アイスでも……どうでしょう。
私の同僚の部下が、今買いに行っているんです、けれど」
鼻が利かないので、相手が魔法に関わる者の類かどうかは分からない。
ので、そんな提案をしてみる。
- 627 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 00:24:17 ID:WVrfsEdY0
- 「あう〜…おひるにねちゃったの…」
【ふぁー、とあくびをして呑気な表情で歩いて来る少女がいる】
「あう?ここはどこかなの」
【不思議そうな顔で周囲を見渡している】
- 628 :名も無き異能都市住民:2011/07/03(日) 00:32:00 ID:VoJSms.Y0
- >>626
「奇遇だね。僕もそう思ってたところさ」
その紅いグローブで髪を掻き上げると大きく息を吐く。
「や、遠慮しておくよ。
なんだか申し訳ないし、それに暑さでは困ってない」
と、自然な流れで頭の後ろの行ったグローブを前に返す。
そちらに見せる様にしたその手からは冷気が伝わってくる。
>>627
「昼寝にしては少し過ぎている様だけど……おーい!」
遠くから声を上げて呼んでみる。
- 629 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/07/03(日) 00:42:11 ID:onviSg/.0
- >>627
「あっ……」
向こうが覚えているかは分からないが、こちらは覚えている。
公園でジンと共に戦った相手の一人だ。
「…………」
何となく気まずいので、車椅子のタイヤを回し、くるくるゆっくり回転し始める。
多分怪しい。
>>628
「いっそ雨でも降ってくれたほうが……すっきりするかも、知れません」
と返したものの、降った後の朝に晴れでもしたら、余計に酷くなる予感もする
――とか何とか考えていたのだが、
「……そう、でした、か」
自分もふらふらしていることもあり、ぐったりの要因を読み違えていたらしい。
冷気を感じて、ちょっとやるせない気持ちになりながら、尚も車椅子で回る。
「……しかし、口から冷やして、キーンとするのも、その……気分転換に……」
などとやりつつ、一応もう少し勧めてみる。
顔をわずかに赤くして。
- 630 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 00:45:04 ID:WVrfsEdY0
- >>628
あう?だれかよんだかなの?
【振り向いて声のする方を見る】
「あう〜こんばんわなの〜。えっと…」
【知ってるかどうか首をかしげて考えている】
>>629
「あう?だれかなの」
【ゆっくり回転する車椅子を見つめて首を傾げる】
「こんばんわなの〜。そこにはだれかいるの〜?」
【大きくてを振りながら声をかけた】
- 631 :名も無き異能都市住民:2011/07/03(日) 00:56:58 ID:VoJSms.Y0
- >>629
「雨、ねぇ……」
その言葉に対し余り良い顔はしなかった。
詰まる所、雨が嫌いな人間なのであろう。日光苦手なのに。
「いやいや、僕の分もキミが食べなよ。
やっぱり貰い過ぎるのは悪い気にもなるし、それに僕はもう帰るからね」
その気持ちは嬉しいけどね。と笑顔を覗かせると頭を撫でた。
「車椅子。か……」
最後に小さくそう呟くと「じゃあね」と言って去っていく。
>>630
「僕だよ。久し振りだね。
それと済まないが、僕は帰るよ」
何度かあった事のあるアルビノの女だ。
ヒィの方からディスと擦れ違う様にして街の中へと消えて行った。
- 632 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/07/03(日) 01:10:50 ID:onviSg/.0
- >>630
「あ……はい、います〜……」
向こうから声を掛けられては、無視など出来ない。
ので、出来る限り大きめの声で返事する。
夜であり、体調も悪いので、大した声量ではないが。
「……家出では、ない、ですよね?」
そしてディスの背格好を見て、おずおずと訊いてみる。
>>631
「……ダメ、です、よね」
はああ、と溜め息をつく。
やっぱり話すのは苦手だ、と思う。
「そうです……か。
はい、さようなら、です……?」
何かを呟いたのは分かったが、何と呟いたのかは分からなかったらしい。
か細い声で去るのを見送った。
- 633 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 01:14:15 ID:WVrfsEdY0
- >>631
「あ、『しろ』だったの!
あう〜。かえっちゃうなの〜・・・またねなの〜!」
【ディスは微笑みながら見送った】
>>632
「あう〜。いえでじゃないの〜。
よくおそとにでることがあるくらいだからなの〜」
【大きくてを振って元気さをアピールする】
「こんばんわなの〜。…どこかであったかなの?」
【良く見えてないのか注意深く車椅子を観察し始める】
- 634 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/07/03(日) 01:24:27 ID:onviSg/.0
- >633
「そうですか、なら、安心……ですね」
本当に安心して良いのかは分からないが、ひとまずそう返す。
ちょっと赤くなっていた顔が、今度は僅かに青ざめてきている。
「……はい、こんばんは、です
えーっと……会ったかも、知れません、ね」
観察している様子に、早くイツカが戻ってこないかと思いながら、不安げな表情になる。
- 635 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 01:29:02 ID:WVrfsEdY0
- >>634
「あうあう〜、ちゃんとおうちにかえるからなの〜
へーきへーきなの〜」
【微笑み返す少女】
「あう〜、いつにあったかなの…
でもわるいひとではなさそなの〜」
【じーっと見て少女は言う】
- 636 :二代目“脾臓”(ヒィ):2011/07/03(日) 01:40:07 ID:onviSg/.0
- >>635
「お家……ですか。そうですね、良かった、です」
少し失礼ながら安心する。
子供が路上で独り暮らしなんて、ヒィの出身次元では日常茶飯だ。
「…………」
しかし、職員の命を巻き添えに一戦交えたとは言え、
この次元でのヒィは『まだ』犯罪者ではない。
全て暫定七代目”肺臓”、佐宗スグルが責任を負っている。
「そうですね……ちょっと前に、なりますけれど。
公園で暴れていた蛇が、私、です。
あの時は、その……すみません、でした」
というわけで、大人しくバラすことにした。
手を膝に乗せ、軽くお辞儀しながら。
- 637 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 01:45:02 ID:WVrfsEdY0
- >>636
「あうあう、だいじょうぶなの〜」
【微笑んで返した】
「あう?あのときの…
いまはにんげんなんだなの〜」
【ディスは以外にも軽く返している】
「…あう、もひとりのほうはどうしたのかなの…
わるいひとじゃなくても、だれかまきこむのはわるいことなの…」
【少し真剣な顔でヒィを見つめている】
- 638 :二代目“脾臓”(ヒィ)&Fe-105(イツカ):2011/07/03(日) 02:08:24 ID:onviSg/.0
- >>637
ヒィ「はい……生まれとか、色々、ありまして」
いつの間にか車椅子を回すのは止めて、代わりに両手の人差し指をつんつんさせている。
と言っても、片手はミトンなのだが。
ヒィ「……そうですね、反省してます。
でも、私は本当に、悪い人……かも、知れない、ですけど」
この異能都市での責任は全てスグルが持っているが、
元居た次元で『自分の意志で』散々殺したのは事実だ。
ヒィ「……どうすれば、良い人に、なれるんでしょうね」
俯きながら呟く。
と、そこでコンビニの扉がようやく開き、袋を提げたイツカが出てきた。
ツカ「おまたせ〜……っと、お話し中?」
//PCフリーズして遅くなりました、申し訳ない……
- 639 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 02:12:22 ID:WVrfsEdY0
- >>638
「そうなんだなの…
ここではあんまりきにしないの。いろーんなことがあるひとばっかりだからなの!」
【軽く微笑んで言う】
「ほんとにわるいひとならはんせいはしないの!
だからわるいひとじゃないとおもうなの〜」
【単純なことを言った】
「あう〜、やさしいことをしたらいいんじゃないかなの〜。
…あう?だれかきたの」
【ふとイツカの顔を見つめる】
- 640 :二代目“脾臓”(ヒィ)&Fe-105(イツカ):2011/07/03(日) 02:27:44 ID:onviSg/.0
- >>639
ヒィ「はい、そうみたいですね……」
色んな意味で変わった者が多いらしいのは、
メディアや単独行動していたジンから何となく知っている。
ヒィ「……あっ、そう……なんですか、ね?」
返ってきた答えに、少しびっくりしたらしい。
そして、ようやく笑みを浮かべながら、
ヒィ「……そうですね、そうだと信じます。
私なんかより、ずっとしっかりしてますね?」
と続けた。
ツカ「ほほう、仲良しさんと見たよ!
ボクはイツカって言うんだ〜、アイス食べる?」
一方のイツカはちゃかちゃか話を進め、袋からアイスを取り出し差し出す。
バーが10本ほど入っているボックスで、味はソーダだ。
ヒィ「お帰りなさい、イツカさん。……ところで、何故ボックスを?」
ツカ「ヒィちゃんさんは良く食べるから、これが良いかな、ってね」
ヒィ「…………」
- 641 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 02:31:50 ID:WVrfsEdY0
- >>640
「そうそうなの〜。
だからね、なの!きにしないでいいの〜」
【微笑んで言う】
「そうかなの?そんなにしっかりかなの…」
【ちょっと心配そうに言った】
「あう〜『いつか』なの〜!よろしくなの!
あう?」
【アイスをじっと見て、とたんに笑顔になった】
「あいす!たべるたべるなの〜!」
【喜んで手を出した】
- 642 :二代目“脾臓”(ヒィ)&Fe-105(イツカ):2011/07/03(日) 02:50:07 ID:onviSg/.0
- >>641
ヒィ「ええ、のびのび生きられるように、したいです……ね。
はい、良い子だと思います、よ」
尚も笑みを浮かべるヒィだが、少し寂しそうな顔だ。
ツカ「はい、どうぞ!」
一方、心の底からニコニコしているイツカは、
ディスに一本渡した後で自分用にも一本取り、残りをヒィに渡す。
ツカ「疲れてる時は、しっかり食べて身体冷やそうそうしよう!」
ヒィ「……冷やしちゃダメな気がしますし、それに……まあ、良いです」
ヒィは少し頬を赤くしながら、しかし大人しくアイスを受け取り、一本取り出す。
====
……が。
ツカ「と思ったけど、もうこんな時間……帰って食べたほうが良いかな、ヒィちゃんさん?」
ヒィ「ですね、ジンさん達にも分けましょう、そうしましょう」
ツカ「よし、決定! じゃあ、バイバ〜イ!」
ヒィ「また会いましょう……あと、その、ありがとうございました」
アイスを抱えてお辞儀するヒィを乗せた車椅子をイツカが押し、
二人はその場から去って行った。
//今日はこのくらいで……時間掛かって申し訳ない
//ありがとうございました〜
- 643 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/07/03(日) 02:54:58 ID:WVrfsEdY0
- >>642
「あうあう、ありがとなの〜。
うれしいなの!」
【褒められたのが嬉しいらしく、照れ笑いを浮かべる】
「あう〜、どうもなの〜!」
【アイスを手に取り微笑んだ】
「あうあう〜、ふたりともーまたねなの〜!」
【アイスを片手に微笑みながら見送って行った】
//おつですー
- 644 :黒沢小百合:2011/07/03(日) 23:15:15 ID:SSMHlh/20
- 色とりどりのチップと、顔が映るほどに磨きあげられたコイン。
からころと楽しげな音を立て転がるサイコロ。人々の欲望を乗せ、
赤と黒の坩堝のように回転するルーレット。
ドムス・アウレア
ここは、一晩にして恐ろしいほどの金が蠢く魔宮、『黄金宮殿』。
今日、グランドオープンを迎えたホテル・アミューズメント施設併設の
巨大カジノのレセプションに客賓として招かれていた。
「……ドライ・マティーニを。」
疲れた様子で、カジノ内のバーカウンターに実を預ける小百合。
大胆な黒のチャイナドレスは周囲の男の視線を惹きつけてやまないが、
当の本人はそれが不快でたまらない、と言った風に出されたばかりのマティーニを痛飲した。
- 645 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/14(木) 21:57:16 ID:3EaBc40s0
- 公園のベンチで、ニット帽を被った男が寝転がっていた。
夜にしては人通りは多く、目の前の噴水では路上ライブが行われていた。
「かっ……」
男は欠伸をしながら、起き上がって路上ライブを眺めた。
「……意外と上手いな」
- 646 :名も無き異能都市住民:2011/07/14(木) 22:25:37 ID:SSMHlh/20
- >>645
「音楽というのはこういうのが『上手い』んだね。覚えた……。」
ふと、背後でぽつりと呟くような声が聞こえた。
声の主はテルメスのすぐ後ろでライブを見ていた
少年とも少女ともつかない、紫色の髪の子供のようだが……。
- 647 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/14(木) 22:32:40 ID:3EaBc40s0
- >>646
ライブを聴いて自然に指でリズムを取っていた男だったが、
子供の声を聞いて振り返った
「……?」
男は子供を見て首をかしげた。
「こんな時間に子供……?」
まあ、人通りが多いので大して奇妙ではなかったが、
それでもたった一人で居るのは不自然に思えた。
- 648 :名も無き異能都市住民:2011/07/14(木) 22:47:06 ID:SSMHlh/20
- >>647
「おっと、ごめんなさい。水を差してしまったかな。
つい、考えを口に出してしまって。」
振り返ったテルメスに気づいた少年、もしくは少女は
軽く笑みを浮かべ己の非礼を詫びた。
……容貌だけでなく、声質も完全に中性的でまったく性別を判別できない。
服装も何処か変わっており、カジュアルな普段着と言うより
船乗りや軍人が式典の際に着用するようなデザインのしっかりした服を着ている。
しかも、深い紫色の生地にところどころ金色の刺繍が施されており、
どこか浮世離れした雰囲気を感じさせるが……。
- 649 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/14(木) 22:52:07 ID:3EaBc40s0
- >>648
「いや、別に……」
男はその子供の容姿をじっくりと見た。
軍人の服のような奇妙な格好を見て、更に男は違和感が強くなる。
「その格好、何?コスプレ?」
つい、服装の真意を聞いてしまう。
- 650 :名も無き異能都市住民:2011/07/14(木) 23:03:22 ID:SSMHlh/20
- >>649
「ん、服に何か付いているのかな。
……それで、一つ相談があるのだけれど。」
どうやらこの少年、もしくは少女は自分の服装が
相当浮いている事に気づいていないらしい……。
もっとも、この異能都市は鎧を纏った騎士だとか
ローブを纏ったいかにも魔術師という風貌の老人から、様々な種類の亜人、
言葉が通じるかも怪しいモンスターまでもが一緒くたに放り込まれている闇なべのような場所。
服装など、ごく些細な差異にすぎないのかもしれない。
「……コスプレ、というのは何かな。
思い返してみても、そんな知識を持ち合わせてはいないと思う。
もしよければ、教えて欲しい。」
……この子供の態度にはふざけている感じはない。
どうやら、本当にコスプレと言うものを知らないらしい。
- 651 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/14(木) 23:09:52 ID:3EaBc40s0
- >>650
「……いや、いいよ。
へんなこと聞いて悪かった」
その手の話が通用しないタイプの人種だと判断し、強引に話題を終えようとする。
「もう少し、周りに馴染む努力はした方がいいぞ。
……喋り方も変だし。
何歳だ?あんた」
見た目と年齢が合わない人間もざらにいるので、
とりあえず聞いてみた。
- 652 :名も無き異能都市住民:2011/07/14(木) 23:22:11 ID:SSMHlh/20
- >>651
「ふむ……。ん、年齢かい……?
ええと、そうだな……20歳以下であることは確かだね。
10歳以上でもあると思うけど、よく覚えていないな。」
少年、もしくは少女はテルメスが話をうやむやにした事に
至極残念そうであったが、年齢を聞かれるとすぐに質問に答えた。
「周りになじむ、ということは知識を増やすということで相違ないかな?
務めて知識を増やすようにしているのだけれどなかなかね。」
何処か論点がずれている……。
- 653 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/14(木) 23:28:58 ID:3EaBc40s0
- >>652
「とりあえず見た目どおりの年齢かな……」
曖昧な答えだったが、何とか男は納得する。
「ああもう、それでいいよ。
だんだん自分の服装の異常性に気づいてくるだろうから」
男の言葉は徐々に投げやりになっていく。
- 654 :名も無き異能都市住民:2011/07/14(木) 23:43:41 ID:SSMHlh/20
- >>653
「……認識に齟齬が発生しているのかな。」
目の前の少年、もしくは少女は
投げやりなテルメスの態度に少し怪訝そうに顔を歪めて。
「服装と言うのは社会的に著しく逸脱しない範囲であれば、人にどう思われるかは別として
概ね自由であると解釈しているのだけれど、間違っているのであれば教えて欲しいな。」
- 655 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/14(木) 23:58:11 ID:3EaBc40s0
- >>654
「だから、俺がその格好が変に思ったから言ったんだよ。
解ってやってるんならそのままでいればいいよ」
その子供の理屈っぽい言い分を聞いて、男はうんざりしながら言った。
「今会ったばかりのお前の格好を俺が心配する義理もないしね」
そう言って男はさっきのようにベンチに寝転ぶ。
- 656 :名も無き異能都市住民:2011/07/15(金) 00:12:14 ID:SSMHlh/20
- >>655
「……ふむ。どうやら、怒らせてしまったかな。
やれやれ、対話と言うのはなかなかに難しい。」
ふう、とこれ見よがしにため息をついてみせる少年、もしくは少女。
その態度にはどこか的な物足りない、と言う風の感情が滲んでいた。
「どうやら、これ以上対話を続ける気はないようだね。
とても残念だよ。とてもね……。」
テルメスがベンチに寝転んだ後、一瞬ぽつりと声が聞こえ。
その後――ごぷん、と大きな水音が響いたかと思うとそのときには既に、
あの不思議な子供の姿は公園から消えうせていた。
- 657 :テルメス/ニット帽の男:2011/07/15(金) 00:18:51 ID:3EaBc40s0
- >>656
「ん?」
水音を聞いて、空を仰いでいた男はまた起き上がって噴水に向いた。
路上ライブをしていた男は既に居なくなっていて、
人通りもまばらになっていた。
「……気のせいかな……」
そして、ばすんと音を立てて、ベンチに再び寝転んだ。
- 658 :黒沢小百合:2011/07/16(土) 22:42:58 ID:SSMHlh/20
- 【異能都市郊外・水田地帯】
異能都市に様々な区域があるのは説明する必要もないが
あるのだろうな、と思ってはいても実際に見てみるとなんとも新鮮なもので。
ここは、都市に食料――米を供給している水田地帯で
アジアの田舎風景そのものの光景が広がっている。
「なんだか、懐かしい感じがしますね……。」
田に水を供給しているのであろう水路に足をつけてみると流れる水は氷のように冷たく、心地よい。
昼間、この水田とはまったく関係ない別件の視察でこの近辺を訪れた折
この風景を見つけた小百合はこの周辺には蛍が出る、と聞いて夜に再びここを訪れた。
しかし、まだ時機には少し早いのか蛍の姿は無く、
水田に張られた水が鏡のように月明かりを反射するだけで。
- 659 :イェルサ:2011/07/18(月) 23:26:41 ID:4CJfBIkc0
- 「暑っつ・・・」
夏の夜は寝苦しい。
寝る努力をするのもなんだか癪だ。
そういう訳で、イェルサは何となく河原に足を運んでいた。
りーん。
風鈴の音が聴こえたような気がする。
近くの民家からだろうか。
こんな音は嫌いじゃあない、と彼は思う。
透き通った綺麗な音を心地よく感じながら、イェルサは手頃な地面に腰を降ろした。
- 660 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 00:00:58 ID:VoJSms.Y0
- >>659
「にゃーお」
河原の草むらから猫が飛び出してきた。
灰色の猫だが、尾の先だけが紅い。
ここに集まる人間同様に、動物にも何かがあるのだろうか?
現れた猫は何かを探す王に首を左右に振る。
暫くしてイェルサを見つけるとまるで探し物が彼だったのだと言わんばかりに真っ直ぐ歩いてきた。
- 661 :イェルサ:2011/07/19(火) 00:14:12 ID:4CJfBIkc0
- >>860
此方に寄ってくる灰色の猫。
それを視界に認めると、彼は僅かに口角を上げ、手招きするような仕草をした。
固より動物は嫌いではない。
たまにはこういう機会も良いだろう。
- 662 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 00:19:04 ID:VoJSms.Y0
- >>661
小さな鳴き声を上げながらそちらに迫っていく。
そうして辿り着くとその手に頭を乗せ尻尾を振る。
何処か笑んだような表情をした猫はもう一度小さく鳴いた。
- 663 :イェルサ:2011/07/19(火) 00:32:36 ID:4CJfBIkc0
- >>662
「随分フレンドリィなヤツだな」
そう言って、笑う。
人懐こい猫なのか。
それとも別の理由か。
どちらにせよ、懐いてくれるのは嬉しいことだ。
もう片方の手で、猫の頭に優しく触れる。
豊かな毛並み。
高い体温。
それらを感じながら、猫の頭を撫ぜる。
- 664 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 00:39:00 ID:VoJSms.Y0
- >>663
「それは褒め言葉と言う事で良いのかしら?」
男の掌に頬を何度かすりつける。
それから顔を上げて数秒眼を合わせ発した言葉がこれである。
「むしろ、"随分フレンドリィな奴"ってのは、見かけによらない貴方の事じゃない?」
- 665 :イェルサ:2011/07/19(火) 00:51:04 ID:4CJfBIkc0
- >>664
「ああ、もちろ・・・」
固まる。
それはもう見事に面食らっている。
完全に予想外の事態が唐突に現れたのだから無理もない。
「お、おおぅ・・・」
そう返すのが精一杯。
撫でる手も止まってしまっていた。
- 666 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 00:57:18 ID:VoJSms.Y0
- >>665
「あら、随分とフレンドリィなお口が止まってしまったわ」
尻尾を大きく左右に振って、男の周囲を歩く。
にゃごにゃご。と猫らしく鳴いてみたりもする。
「これくらいで驚かれても、困るわよ。
この調子だと後何回その顔あ見れるか楽しみだわ」
- 667 :イェルサ:2011/07/19(火) 01:10:22 ID:4CJfBIkc0
- >>666
「そ、そうか」
何と言えば良いのか。
異能都市の懐の広さを改めて実感する。
猫が喋り、アンドロイドが人間に紛れて通りを闊歩する街。
まだ、慣れない。
「その口ぶりからすると、何だ。あと二回ほど変身を残してたりするのか?」
いつもの調子を取り戻そうと、何とか軽口を叩く。
- 668 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 01:21:58 ID:VoJSms.Y0
- >>667
「そうねぇ、正解じゃないけど外れても無いわ」
そういうと猫の脚は男の背後へと向かっていく。
左からフェードアウトした猫が背後を通ったと思ったら右側から入ってきたのは少女だった。
「そうねぇ。修正してあげるんだけど、変身は二回じゃないってことね」
黒と赤が規則正しく並べられたドレスを着た少女がそう喋る。
尻尾の名残りの真紅は頭上の王冠となって表れていた。
- 669 :イェルサ:2011/07/19(火) 01:33:22 ID:4CJfBIkc0
- >>668
「・・・」
冗談だったのに。
自ら墓穴を掘ってしまった気分だ。
軽い眩暈のようなものを覚えて、顔を顰める。
そして、ため息を一つ。
「んで、俺に何か用か?」
戸惑っていては何も始まらない。
先ず、訊くべきことを訊くのが先決だ。
- 670 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 01:42:14 ID:VoJSms.Y0
- >>669
「いや、何も」
即答。
「個人的な興味と暇で退屈だったからかしら?」
むぅ。と少し考える表情をする。
- 671 :イェルサ:2011/07/19(火) 01:53:07 ID:4CJfBIkc0
- >>670
「ん、そか」
少しホッとした表情。
面倒ごとが舞い込んでは敵わないと身構えていたのだが、その言葉で胸を撫で下ろした。
不意に気配を感じ、川の方向へと振り向き
息を呑んだ。
ぽう、ぽう、と。
群をなして飛ぶ蛍が一斉に光る。
星空を切り取ったかのような幻想的な風景が現前に広がった。
言葉は、出なかった。
- 672 :名も無き異能都市住民:2011/07/19(火) 02:06:50 ID:VoJSms.Y0
- >>671
「綺麗な蛍ね」
川と、それに灯る光の風景。
少女の服装こそ場に相応しくは無かったが、
その景色を美しいと思う心は同じだった。
「そうよ」
ハッと我に返ったように呟く少女。
「私は友達を待たせているのだったわ。
いまから平日のケーキパーティよ」
そういうと川沿いの道を歩いて帰って行った。
そのドレスが派手なお陰で結構遠くになるまで少女の姿が確認できた。
- 673 :イェルサ:2011/07/19(火) 02:18:32 ID:4CJfBIkc0
- >>672
はっと気が付くと、少女は居なくなっていた。
辺りを見渡す。
遠くの方に、ドレスの紅がひらひらと舞っていた。
応えはしないだろうが、一応手は振っておく。
これは、自分の気分の問題だが。
「・・・変な奴だったな」
悪い奴ではなかろうが、と言葉尻に付け足して、立ち上がる。
夜明けが近いのだろうか、電柱の上で鴉が鳴き声を響かせている。
けれども急いで帰る気にもならず、結局イェルサはゆったりとした歩調で帰路に就いたのだった。
/お疲れ様でした〜。
- 674 :黒沢小百合:2011/07/19(火) 22:30:04 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「ふう……。」
外の熱気から逃れるように店へと入ってきた黒髪の女性。
店内には客はいない。そのまま、扉に体を預けて小さくため息をついた後
カウンター席へと歩を進めた。
店内もあまり、外とは変わらないが一杯のお冷があるだけでずいぶん違う物だ。
- 675 :ジル:2011/07/21(木) 22:17:08 ID:4CJfBIkc0
- >>674
からん ころん
涼を求めて三千里とはいかないが、アテもなく彷徨っていた時間は長かったから三千里でも良いよね−−
なんて、やや朦朧した精神状態でAGカフェの扉を開けたのは、色素の薄いどこか儚げな少女。
若しくは少年か。
しかし、それがどちらであろうとこの人物が次に取るであろう行動には影響しない。
兎に角、彼女、或いは彼は、身体全体に熱気をまとわらせ、小百合の隣に腰かけたのだった。
- 676 :黒沢小百合:2011/07/21(木) 22:26:25 ID:SSMHlh/20
- >>675
「ふむ……。」
隣にいるこの人物はどうにも憔悴しきっているように見える。
ただでさえこの店を訪れる大半の客は、独特の投げっぱなしともいえるルールに
多少は戸惑うというのに、こんな状態では余計理解に時間が掛かるだろう。
(仕方ないですね……今日は接客はしないつもりでいたのに。)
小百合は、店においてあったコーヒーやらソースやらの染みが酷い
数ヶ月前の雑誌を、本棚から取り出すと『グルメ特集』と書かれたページに触れた。
――コトッ。
それから一分もしないうちに立派な制服に身を包んだコックが
ジルの目の前に、大きな氷がごろごろと入ったお冷を差し出す。
- 677 :ジル:2011/07/21(木) 22:35:52 ID:4CJfBIkc0
- >>676
「・・・ありがとーございまふ」
コックに小さく−−注意して聞かなければ分からないほど小さく礼を言うと、ジルは水を一気に口腔内へ流し込む。
そして。
「・・・ぃ生き返ったあーーっ!!」
隣に人がいたらきっと腰を抜かすであろう程の大声。
「・・・あ、すいません」
その後、赤面して俯いた。
- 678 :黒沢小百合:2011/07/21(木) 22:54:51 ID:SSMHlh/20
- >>677
コックはジルへと柔和に微笑み、厨房へと消えた。
それからまもなく、とんとんと小気味よい包丁の音と、
フライパンが熱せられるじゅうじゅうという音が聞こえてきた。
なにか、食べ物を作ってくれているのだろうか。
「……いったい、どうしたというのですか?
なにやら、妙に憔悴しているようでしたが、迷子にでもなったのですか?」
ジルが一息ついたと見て、話しかける小百合。
熱中症の死人が出るほどの暑さだ。こんな少女なら、
夕方の多少は涼しくなる時間帯でもずっと歩き回れば憔悴するだろう。
- 679 :ジル:2011/07/21(木) 22:57:48 ID:4CJfBIkc0
- >>678
(・・・まだ注文していないのだけれど、これが普通なのかな?)
にん
- 680 :ジル:2011/07/21(木) 23:08:10 ID:4CJfBIkc0
- >>679
/途中送信orz
(・・・まだ注文していないのだけれど、これが普通なのかな?)
人間社会にだいぶ馴染んできたとは言え、まだまだ疎いところもある故か、首を傾げるにしても少しずれた所があるジルだった。
無論、以前に比べてかなり進歩はしているのだが。
「えあ、その・・・」
少し狼狽して。
理由は、電気が止められたから涼める所を探していたら思いの外長い時間が過ぎてしまった、ということなのだが。
流石に、初対面に限らず他人にそれを言うのは恥ずかしい。
「いやー、そうなんですよ! 迷子になっちゃって!アハハ・・・」
不自然な位のハイテンション。
逆に怪しまれても、仕方が無い。
- 681 :黒沢小百合:2011/07/21(木) 23:16:55 ID:SSMHlh/20
- >>680
「ふむ……、まあここで少し休んでいきなさい。
夜とはいえ、アスファルトからの放射熱でまだまだ蒸し暑いですから。」
(何やら騒がしい子……まあ、このぐらいの子供は
これぐらい元気が会ったほうがよい。)
小百合は、子供には妙に甘い所があり
ジルの様子を別段不審には思わず空になったコップに水差しの水を注ぐ。
こういうときは失った塩分を補給するためにもスポーツドリンクのような物がいいのだが。
――コトン
小奇麗な皿にのって出てきたのは冷製パスタ。
これは小百合がシェフに密かに命じて作らせた物で、食べれば
ひんやりと涼しくなるだろう。
- 682 :ジル:2011/07/21(木) 23:35:07 ID:4CJfBIkc0
- >>681
(ほっ……)
どうやら幸運にも不審がられてはいないようで。
ジルは胸を撫で下ろす。
「あ、どうも」
焦った為か喉が乾いていたので水を有り難く頂く。
ゴキュッ、ゴキュッと効果音が聞こえそうな程の良い飲みっぷりだ。
「ぷはっ……あら?」
空のコップを置いたジルの目の前に置かれていたのは。
(何て……何てお洒落なッ!?)
実際無精な性格であるジルにとって、そのようなお洒落なものは全く−−全く以て、無縁なものなのだった。
(ど、どうすれば良い!? 絶対マナーとかあるよね?)
(考えろ……フルスロットルで回転しろ自分の頭……!)
結果として、ジルは。
「い、頂き、ます」
かなり神妙な面持ちで、フォークで麺を一本ずつ取って食べ始めたのだった。
- 683 :黒沢小百合:2011/07/21(木) 23:51:28 ID:SSMHlh/20
- >>682
「…………。」
小百合も今まで奇人変人をこれでもかと見てきたが
こんなまどろっこしいパスタの食べ方をする人物ははじめてみた。
最初は食欲が無いのかと思ったが、あれほど水をおいしそうに
飲み下す辺り、それはないだろうし、そもそもこんな食べ方は食欲など関係ないだろう。
「もしや、こういったものを食べるのは初めてで……?
別に、普通に食べてよいのですよ。」
ここは全身鎧をつけた騎士や、武士道に殉じる侍など
古風な世界からも人が訪れる世界だ。もしや、パスタなどという食べ物が
無いような世界から来たのだろうか、などと考える小百合であった。
- 684 :ジル:2011/07/22(金) 00:09:09 ID:4CJfBIkc0
- >>682
(あ、これ絶対違う。何これマジで食べにくい)
(え、でも一回やり始めちゃったし、変えるのも……うん、初志貫徹って大事だよね)
(てか、考え方を変えよう。寧ろこれが正しいと−−)
「あ、はい。すみません・・・」
やはり恥をかいた。
赤面しながら、慣れないことはすべきではないと心に刻む。
「あむ……」
ごく一般的な食べ方で−−フォークに幾本かの麺を巻き取り、口に運ぶ。
「美味しっ……」
思わず声が出る。
頬が緩む。
先程は緊張していた故に味が解らなかったが、改めて味わうとかなり美味しい。
ジルは満面の笑みを浮かべて、パスタをぱくぱくと口に運んで行った。
- 685 :黒沢小百合:2011/07/22(金) 00:24:07 ID:SSMHlh/20
- >>684
「ふふ、私が『具現化』させたのはこの街でも有数の
創作フレンチの店のシェフですから、おいしいのは当たり前です。」
いつの間にやら、小百合の前にも
見た目もさわやかなジェノベーゼソースのシーフードパスタが置かれていて。
ジルの冷製パスタとはまたちがったオリーブの香りが食欲をそそる。
「そろそろ落ち着きましたか?
ところで、貴方は何故こんな時間にうろついていたのですか?
迷子になったとはいえ、保護者に連絡するとか最寄の交番に駆け込むとか
色々方法はあるでしょうに……。」
食欲もあるようだし、そろそろ落ち着いただろうと小百合は再び声をかける。
見た目は子供のようだが、なかなかしっかりしている子だ。
それくらいは、思いつくのではないだろうか、と小百合は考えて。
- 686 :ジル:2011/07/22(金) 00:36:24 ID:4CJfBIkc0
- >>685
「んむ……はい! 本当美味しいです!」
具現化、というワードに一瞬反応するが此処は異能の街である。
驚く程のことでないのかも知れない、と思い、特に反応はしない。
無論、パスタの美味しさにそんなことを考えている余裕も無かったのだろうが。
しかし次に小百合が放った言葉によって、ジルは固まってしまう。
(……どうしよう。勢いで言ったから、言い訳を考えてなかった)
そう、ジルは今『迷子になっている』ことになっているのだ。
「えと……その」
考えては見たものの結局何も思い付かず、ジルは俯いて押し黙ってしまった。
- 687 :黒沢小百合:2011/07/22(金) 00:48:50 ID:SSMHlh/20
- >>686
「……何故、嘘をついたのですか。
黙っていては何も分かりませんよ?」
小百合は、押し黙るジルの様子から嘘をついていたのだと分かり、
懐の内ポケットから、小型のPDAを取り出し指を滑らせる。
「……一体、何故こんな時間に出歩いていたのです?
あの様子だと、貴方は相当前から歩いていたようですが……。
名前など、教えていただけませんか?」
問いただしながらも、接続するのは異能都市の警察組織データベース。
迷子や、家出の届出があればここにデータがあるはずだ。
とりあえず、今は見た目の条件だけで検索するが……。
無理だ。該当が多すぎる。やはり名前だとか何らかのデータが無くては。
- 688 :ジル:2011/07/22(金) 01:00:02 ID:4CJfBIkc0
- >>687
「その、ですね……」
理由は正直な話、言いたくない。
やはり、恥ずかしい。
「……ええと、名前は一応、ジルと呼ばれてます。で、理由なんですが……聞いても笑わないでくれますか?」
ああ、情けない。
嘘を看破され、しかも自分の自堕落っぷりを曝さねばならないとは。
穴があったら入りたいとはこのことか−−
「えと……自分一人暮らしなんです……それで、その……電気、止められちゃって暑くて」
「……それで、涼しいところはないかな、って……」
- 689 :黒沢小百合:2011/07/22(金) 01:14:17 ID:SSMHlh/20
- >>688
「ジ……ル……と。
ええ、笑いませんよ……。」
見た目からは分からなかったが、
ジルという事はやはり女性か――データベース・該当なし。
これはどうしたことだろう、と小百合が首を傾げかけたそのとき。
『電気を止められた』。とのジルの発言。一人暮らしをしているということは
見た目より年齢が上なのだろうか。
「……その昔、アテナイのペリクレスは言いました。
『貧しいという事は恥ずべきことではないが、貧しさから脱しようとせず
安住する事こそ恥じであるとアテナイ人は考える。』と。」
呆れたようにため息をついて。
「それなら、闇雲に歩き回らずとも公民館だとか図書館に行けばよい。」
- 690 :ジル:2011/07/22(金) 01:28:53 ID:4CJfBIkc0
- >>689
「は、はあ……」
少し気圧されたように身体を仰け反らせる。
実のところジルはそこまで貧しいわけでもなく、自身の浪費癖が祟った故の結果なのだが−−あえて言うこともないだろう。
これ以上自らの評価を貶めるべきではない、との判断だ。
「ははは、デスヨネー……」
小百合の態度を見て、ジルは一つのことに気付く。
笑われこそしていないが、呆れられている、ということに。
「はあ……」
ため息が出る。
自分の情けなさに。
- 691 :黒沢小百合:2011/07/22(金) 01:39:13 ID:SSMHlh/20
- >>690
「さて……。」
パスタを食べ終え、ハンカチで口の周りを軽く拭い、
リラックスするようにゆっくりと伸びをする小百合。
「まあ、今回は奢りにしておきますよ。
私は先に失礼しますから。では……。」
どうやら、ジルは完全に貧乏人だと思われてしまったらしく
小百合は代金を『多め』に置いて立ち去っていく。
- 692 :ジル:2011/07/22(金) 01:54:25 ID:4CJfBIkc0
- >>691
「……」
小百合が去った店内、ポツンとカウンター席に座る小さい背中。
心ここにあらず、といった様子で視線は中空を彷徨っている。
何だろうか。酷く心の奥がモヤモヤする。
口惜しいのだろうか。いや違う。
悲しいのだろうか。いや違う。
呆れているんだ。自分にきっと。
「はあ……」
もう一度ため息を吐いて、椅子から立ち上がる。
小百合が置いて行った金を手に取るのにはやや躊躇したが、その後すぐにそれで会計を済ませ、店を後にする。
−−去り際の背中は、今までよりももっともっと、小さく見えた。
気のせいだろうか。
どうだろうか。
- 693 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/22(金) 22:36:55 ID:.6prKP66O
- 【夜の街角……こんな時間でも明るい異能都市、人々が行き交うそこに、しゃがみ込む男の姿】
「野良猫さん野良猫さん、私は今材料採集を終えて帰ってきたばかりなんですが」
『ニャー』
【あろう事か男は割りとマジで野良猫に話し掛けていた】
「野良猫さん野良猫さん、疲れて帰ってきた私を癒す為にもふもふさせてくれませんか?」
『ニャー』
【とっても異様な夜のワンシーン】
- 694 :名も無き異能都市住民:2011/07/22(金) 22:59:56 ID:VoJSms.Y0
- >>693
「……なにやってんのさ?」
そこを通りかかった純白の容姿を持つ人間。
野良猫と向きあい、会話さえする男の姿。
思い返せば何処かで見たことが在る……。と考え、確認の為に声をかけた。
- 695 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/22(金) 23:03:51 ID:.6prKP66O
- >>694
「野良猫さん、そこをなんとかお願いできませんか?」
『ニャー』
【背後から話し掛けられた男は、少しだけ忙しそうな声で返す】
「今大事なお話の最中なんだ、少し待ちなさい……野良猫さん野良猫さん、ほらほら、魚肉ソーセージあげますからもふもふさせてくれませんか?」
- 696 :名も無き異能都市住民:2011/07/22(金) 23:14:31 ID:VoJSms.Y0
- >>695
「あ……はい、ごめんなさい……ん?」
野良猫との会話がそこまでこの男にとって大事だったとは知らず、
つい割りこんで入ってしまった事に対して謝罪を述べる。
しかし後々になって少し考えてみれば、それは飼い猫相手に家でしていれば良いのでは。という疑問が湧き上がってきた。
男の目の前に要るのは野良猫……なのだろう、本人がそう言ってるのだから。
それなら、人間にとって悪質な菌を含んでいるのは確実、
食べ残し等を餌に生活しているのであればこの時期による食物の腐食も進んでいることから、更に悪影響になる。
それに触れるのは……と考え、止める事にした。
再び近づくとその肩をたたき、
「野良猫は止めにして、飼い猫にしたらどうです?」
どうせこれくらいの猫好きとも在れば家にも居るだろう。そう思い込んで。
- 697 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/22(金) 23:20:13 ID:.6prKP66O
- >>696
「猫なんかいないよ!いてもサイみたいなマナだよ!!」
【急に立ち上がり大きな声を上げる】
「私はさっき材料採集から帰ってきて疲れているんだ、そこに野良猫なんか見つけちゃったらもふもふさせてもらうしかないじゃないか!」
【何や無駄なプレッシャーを放ちながら訳のわからない事を口走り……その間に野良猫は魚肉ソーセージを食って逃げてしまった】
- 698 :名も無き異能都市住民:2011/07/22(金) 23:28:21 ID:VoJSms.Y0
- >>697
「あぁ、そう……ごめんなさい」
飼えばいいのにと言おうと思ったが、
それを言ってしまっては自分の家(自分の家ですら無く住み込みだが)が動物園状態になってしまうので止めた。
サイのマナと言うのはよく解らない様子で首を傾げるリアクションを見せる程度にとどまった。
「材料収集……? あっ!」
思い出した。そういえんば前回もそんなことを言っていた覚えがある。
道端で何故か材料収集に行く手筈だったがあの時は結局ラーメンを驕ってもらっただけにとどまってしまっていた。
しかもこの男よくよく見れば何度かゼオラの屋敷で見かけたことが在る顔だった。名前は知らないが。
- 699 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/22(金) 23:34:20 ID:.6prKP66O
- >>698
「あぁっ!?逃げられた!?野良猫さん!野良猫さぁぁぁぁんっ!!」
【膝を着き、手をいっぱいに伸ばすような仕草で野良猫を呼び止めるが、それは叶わず】
「そうだよ、材料採集!……う……うわぁぁぁッ!ドラゴンゾンビとの死闘で傷ついた私を癒す野良猫さんがぁぁぁっ!!」
【少しだけ説明口調で悲しむ男の姿は、他人からは大した事の無いただの凡人である】
- 700 :名も無き異能都市住民:2011/07/22(金) 23:44:06 ID:VoJSms.Y0
- >>699
「……」
男にとって野良猫とはどれくらい大切な物なのだろうか。
慌てて取り乱すその背中を見ながらそう考えていた。
それと同時にあることを考え付き、表情を笑顔に染めると指を弾いて鳴らす。
いつの間にか現れていた尾先のみが真紅に染まった灰色の猫を抱き上げる。
再び肩を軽く叩くとその猫を向けて、
「ほら、僕の飼い猫なら好きにしていいよ」
『貴方に飼われた覚えなんて無いわ』
「……うん、ごめんよ」
凄く気不味そうな顔して猫に謝っている。
- 701 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/22(金) 23:49:08 ID:.6prKP66O
- >>700
【肩を叩かれて振り向けばそこには猫がいる、男は猫好きと言うわけでは無い、ただ、疲れた心を癒す為に何かをもふもふしたいのだ】
「ね、猫じゃないか!飼い猫さん飼い猫さん!ここであったのも何かの縁、もふもふさせてくれませんか?」
【再び猫相手に敬語を使い始め、男は魚肉ソーセージを取り出す】
- 702 :名も無き異能都市住民:2011/07/23(土) 00:06:56 ID:VoJSms.Y0
- >>701
『馬鹿ね、上弦。
私はそんな安物じゃ釣れないわ』
「……。
ちょ、ちょっと待っててね」
苦笑いを見せた女は猫を抱えたまま背中を向けてしまった。
猫の頭を叩きながら「だめでしょそんなこと言っちゃ……可愛そうだよ」と言えば、
猫は『私にそんな義務なんて無いわ。それに、私は魚肉ソーセージじゃなくて生の魚が食べたいわ。今は猫だもの』と返して指をかむ。
それに驚いて女が離すと猫はスタリと着地して更に一歩距離を取った。
「なんて事をするんだ、僕の指を噛むなんて!」
『別に一本くらい無くなってもあと9本あるじゃない。少しくらい無くなっても平気よ』
猫と人間の奇妙な喧嘩が始まる、上弦は置いてきぼりである。
『いい加減貴方に私の方が上だと言う事を教えないといけない様ね』
「かかってくるなら僕も相手をするよ!」
いつの間にか喧嘩にまで発展してしまった。
猫が爪を光らせて突撃すると女がそれを後方に飛んで交わす。
しかし猫は空中で闇の煙の様な物に包まれて姿を変え、上弦によく見知った灰色の少女の姿を見せた。
手に持った波打つ真紅を刃を女に振りかざすと向けられた側は蹴りを出し靴の裏に仕込んでいた鉄板でそれを弾き返す。
完全に上弦は置いてかれている。最早二人の目には入っていないかもしれない。
- 703 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/23(土) 00:19:51 ID:.6prKP66O
- >>702
「むむっ!?飼い猫さんは私の名前を知っているのか!?」
【驚いたものの、二人が喧嘩をするから困ったものだ】
(ゼオラかアウテリートにもふもふさせて貰おうかな……)
【二度に渡る猫さん消失、男は遠い目をしていたが……】
「いい加減にしないか!!」
【足で地面を強く踏み込む様に蹴ると、二人の地面が沈む、動きを止めるならこれで十分である】
「私はな!癒しを求めてただけだよ!!大体なんで君たち喧嘩してるんだ!!」
【目付きが悪い男の威圧感はかなり凄かったりする】
- 704 :名も無き異能都市住民:2011/07/23(土) 00:27:28 ID:VoJSms.Y0
- >>703
『衝撃のJ(ジャック)!!』
「えぇい、無効だ!」
アリスの放つ衝撃波を自身の能力で消滅させる白い女。
そして反撃に出ようと一歩踏み込んだところで床が沈んでいき、バランスを崩す。
「おぉっと!?」
『別に喧嘩じゃないわ。
ちょっとしたゲームよ、ゲーム。水を指すのは良いとは言えないわ。
むしろバッドよ上弦。私の邪魔をした罪で貴方に雷が落ちるわ』
いつの間にかアリスの持ち物は先端にハート形の装飾がついた金色の杖に替わっており、それ振りかざし、
『雷鳴のQ(クイーン)!!』
そう言うと同時に本当に雷が落ちてきた!
- 705 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/23(土) 00:38:53 ID:.6prKP66O
- >>704
「……」
【ピクリッと男の眉が動く……アリスを一瞥し、雷に視線を移す】
ポーン……
【音叉を響かせたかの様な音が響き、雷は跡形もなく消え去る】
「飼い猫さん飼い猫さん……あまりおイタが過ぎたらいけないよ」
【なんだか顔がおっかない、首をコキコキ鳴らしながら二人に近づく、二人が警戒してもおかしくない雰囲気】
「私は材料採集の帰りな訳だ……貴重な材料を所持してる訳だ……中には生じゃないと効果を発揮しないのもある……雷で台無しになったらどうするんだ?」
【両手をパンッと合わせて、爆弾を元素調合……】
「喧嘩両成敗!!」
【爆弾を二人に投げ付けた】
- 706 :名も無き異能都市住民:2011/07/23(土) 00:51:17 ID:VoJSms.Y0
- >>705
「ちょっと、まっ……アリス!」
『私に任せて御覧なさい』
意気揚々と掲げる獲物は金色の杖からバットへと変わっていた。
それもピンクのフラミンゴが書かれたバットである。
『ハリネズミよりも……。簡単よっ!』
バットを一回転させて構えると迫る爆弾に狙いを定め撃ち返した!
撃ち返した爆弾は何故か爆発せず放物線を描き空中で爆散した。
しかし、爆弾は二つ、のこりの一つは足元に転がりこみ、周囲に爆音と衝撃をもたらした!
「……けほっ、うぅ、酷い目に遭ったよ」
沈んだ地面に脚を取られ動けなかったので間近で爆風を受けた少女は咳き込んでいる。
それに対してアリスはと言うと形を猫に戻す事で自由を経て爆風から逃げおおせていた。
塀の上に呑気に座って『にゃおん』とか鳴いている。
- 707 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/23(土) 00:56:46 ID:.6prKP66O
- >>706
「飼い猫さん飼い猫さん、ごめんなさいは?」
【男も塀の上に存在し、アリスの隣でしゃがみ込んでいた】
「ん?ほら、君いつも好き勝手やって……」
【白い方は成敗した、しかしアリスはまんまと逃げおおせていたので、まだ男は怖い顔している】
- 708 :名も無き異能都市住民:2011/07/23(土) 01:00:11 ID:VoJSms.Y0
- >>707
『人に爆弾を投げつけておいて謝れなんて強情ね。
それに私は飼い猫じゃないわ。むしろ私が飼い主よ』
上弦に向かってニヤリとした笑みを浮かべる。
「ねーこれ解いてよー」
塀の下の方では白いのが足元を指さして困った顔をしていた。
- 709 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/23(土) 01:06:11 ID:.6prKP66O
- >>708
「……君はまたそんな事いって……どうしてそんなに傍若無人になったんだか……」
【呆れた様にため息を吐く、塀から降りると地面をまた踏み込む様に蹴る】
「ほら、解いたぞ……もう喧嘩するなよ?」
- 710 :名も無き異能都市住民:2011/07/23(土) 01:09:25 ID:VoJSms.Y0
- >>709
「うん、僕は気を付けるよ。僕はね」
チラリと横目で塀の上の猫を見る。
当の本人は気にしておらず『にゃおん』と鳴くだけだった。
- 711 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/07/23(土) 01:13:45 ID:.6prKP66O
- >>710
「あぁ、それならいいんだ……」
【怖い顔はいつもの顔に戻り】
「はぁ、疲れたな……じゃあ、私は帰るから二人とも気を付けて帰るんだぞ?」
【肩を竦め、男はだるそうに帰っていく】
「この時間……ゼオラ来てるかな?……アウテリートは起きてるか?最悪ポポかリリをもふもふするか?ん〜……」
【ぶつくさ何かを言いながら……】
- 712 :名も無き異能都市住民:2011/07/23(土) 01:22:04 ID:VoJSms.Y0
- >>711
「なんだか僕も疲れたよ……今日はごめんね?」
申し訳なさそうに謝ると男の背中が見えなくなるまで見送っていた。
暫くして振りかえり、
「さ、帰ろっか」
そういって塀の上の猫に両手を伸ばすと胸の中に跳び込んで来る。
それを綺麗に受け止めて抱き上げて、頭を撫でながら帰っていくのだった。
- 713 :No.9:2011/07/24(日) 17:28:53 ID:dL9W2t9U0
- 路地裏で、身なりの悪い様々な年齢の男達が、なにやら興じている。
どうやらトランプで賭けているようなのだが、様子がおかしい。
「だぁ、くそっ!また負けたッ!?」
「ありえねぇ、あいつ、引きが強すぎるぞ…」
「俺、参加してなくて良かった…」
中心にいるのは金髪でピアスを耳に大量につけた、一見不良少年である。
目の前に詰まれた金は小銭だらけとは言えども大量で、
その量の多さに貧しい参加者達は彼を羨望の眼差しで見ているものも多かった。
「あっはァ!また勝っちまった、俺様今日は運が良いみたい!
おい、次は何で遊ぶ?俺の掛け金はここにある金全部!お前らはレート100分の1でいいぜ?」
1円を賭けて勝てば100円手に入る勝負。
少年が強いことを知りながらも、男達は我先にと金を出していく…
- 714 :No.9:2011/07/24(日) 21:05:49 ID:dL9W2t9U0
- 数時間後。其処には血走った目の男達と余裕の表情のNo.9が残っていた。
「くそっ!どうして勝てねぇんだ!」
男が手に持っていたカードを地面に叩きつけ、悪態をつく。
少年の前にある金は小銭といえども山となり、
彼が勝ちすぎたのが解った。
取り巻く男達が不穏な目くばせをする。
No.9の死角にいる男が、忍ばせたナイフに手を伸ばそうとしていた。
- 715 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 21:30:17 ID:SSMHlh/20
- >>714
「やあ、面白そうだね。
これは一体、どういう趣向の遊びなのかな。」
ふいに、少年と男の背後から掛けられた声。
その声の主は少年とも少女ともつかない、紫色の髪の不思議な人物。
足音などは無かったはずだが、いつからここにいたのか。
「小額の金銭を代価にゲームに参加するのか。
理解したよ。僕も、同席させていただいていいかな。」
人が来てしまった以上ここでもしナイフを取り出せば事は大事になる。
男にある程度の分別があるなら、今は暴力に訴えかける局面ではないと分かるだろう。
- 716 :No.9:2011/07/24(日) 21:38:56 ID:dL9W2t9U0
- >>715
(こいつ、何時からここに居やがった…?いや、他の俺もコイツを見てはいない…わからねぇ)
思考をめぐらせるも、彼は笑顔でこう言う。
「そうだぜ。ゲームは何が良い?今のところ俺の連勝中だから、
好きに選んでくれよ。掛け金を出して、勝った奴が自分の掛け金に応じて
負けた奴から小銭を取る。ただし、俺が負けた場合は倍率100倍だ、
1賭けて俺に勝てば100やらぁな」
少年は自信満々だ。余程強いのだろうが、これだけの間連勝するのはどう考えても怪しいだろう。
「ちっ…」
少年が楽しそうに説明するのを聞きながら、不穏な動きをした男は
伸ばした手を元に戻した。
- 717 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 21:57:09 ID:SSMHlh/20
- >>716
「生憎、こういう勝負事は好きなのだけれど
ゲームには詳しくないんだ。悪いけど、君が選んで欲しい。」
少年の前に無造作に置かれた小銭を眺めているこの人物の服装は
紫の生地に凝った意匠が施されたかなり上等なもので、どこかの貴族学校か、
軍隊の士官が式典の際に身につける制服のような、変わったデザインのもの。
しかも、勝負事は好きだがゲームは詳しくないとのたまい、
挙句の果てに不正の可能性がある相手の指定するゲームでもよい、と発言している辺り
世間知らずのカモであると見てよいだろう。
「ええと、これは参加するのにいくら払えばいいのかな。
銅貨1枚でいいのかい?ゲームによって変わるのかな。」
- 718 :No.9:2011/07/24(日) 22:12:48 ID:dL9W2t9U0
- >>717
「好きなだけ払ってくれ。俺が負ければあんたの払った額の100倍が
戻ってくるぜ」
口の端を吊り上げた笑い方で、少年は自信満々に言い放った。
「んじゃ、お言葉に甘えて…ブラックジャックだ」
ため息が漏れた。くたびれたコートを羽織った老人が、ゆっくり首を振った。
「ルールは知ってるか?カードを2枚配るから、
その合計点を21に近づけるんだ。
絵札は10点、Aは1か11点どちらでも良い。
そして、点が足りなければ21を超えない範囲で何度でも引けるが、
超えた時点で負けさ。
俺より21に近い点数にすりゃぁ、勝ちだよ」
そして、彼がカードを切り始めた。
もし貴方が異能もしくは魔術や第六感に優れているなら、
この空間を包む不自然な雰囲気に気付くことだろう。
何かが行われているのだ。
そして、プレイヤーにカードが配られた。
ディーラーである少年は、手札の片方を裏返す。
『A』
1にも11にも化ける万能カード。彼の点数は殊更読み辛いだろう。
//
私の投稿の秒数の末尾で、貴方に配られたカードの合計を判定します。
123…貴方のカードの合計は11。
456…カードの合計は15。
789…カードの合計は18。
0 …カードの合計は21。
カードの組み合わせは自由。
望むならもう一枚カードを引くことが出来ますが、
その場合、貴方の投稿末尾で判定します。
123456789…対応する数字カード
0…絵札もしくはA
何か疑問あれば何でも!!
- 719 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 22:20:24 ID:SSMHlh/20
- >>718
「じゃあ、僕は銅貨を一枚だけかけようかな。
最初だし、様子見という事で。」
目の前の人物はこの不穏な空気を知ってか知らずか。
楽しげに薬と笑みを漏らすと、いつのまに握っていたのか銅貨を一枚、
少年の目の前に山と詰まれた小銭の中に置いた。
「……1枚、カードを引かせて貰おうかな。」
- 720 :No.9:2011/07/24(日) 22:32:57 ID:dL9W2t9U0
- 引いたカードはハートの4。合計点は22になりバーストだ。
ニヤリと笑って少年が銅貨受け取り、ちゃりんと小銭の山のてっぺんに乗せた。
他のプレイヤーは3人居たが、2人がバーストし、残りの一人は渋い顔で17点の手札で引くのをやめる。
少年はその様子を見て、裏向きのカードを表にした。
気のせいか、彼の表返す手が僅かにブレて見えた。
そのカードはダイヤの8。既にめくられていたAとあわせて合計点19で、彼の勝ちだ。
「かーっ!またこれだ!」
やってらんねぇ、と皆口々に悪態をつくが、このゲームはプレイヤーが勝つ確率も大きく、
それだけに希望を捨てられない。
「お兄さんはどうするよ?」
少年はピアスを弄りながら気だるげに聞く。
- 721 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 22:40:06 ID:SSMHlh/20
- >>720
「ああ、少し欲を掻き過ぎてしまったかな。
しかし、だからこそギャンブルは面白い。
こういう賭け事というのは人が持つ本質が見えてくるからね。」
少年――いや少女とも見える目の前の人物は負けたというのに、
満足げに笑みを浮かべ、再び銅貨を小銭の山に投げ入れる。
「僕はゲームの続行を希望するよ。
だいたい、今のゲームで雰囲気はつかめた。
次は、運が回ってくるといいのだけれど。」
- 722 :No.9:2011/07/24(日) 22:46:04 ID:dL9W2t9U0
- >>721
(ゲームの雰囲気は掴めた?こいつも凡人かよ。
不自然な連勝の裏を考えねーのは育ちが良すぎるのか?
負けっぱなしのこいつらの方がまだ頭使ってンじゃねーか)
心の中で舌打ちしながら、少年はカードを切った。
動作に不自然なところは無い、が―――この空間の不自然感は拭えない。
まるでデジャヴのような、不思議な感覚―――
再びカードが配られた。だが、彼が自分のカードをボロ机に置いた時、手がブレた。
いや、ブレていない。重なっているのだ。
二つの手があろうことか同じ場所に『重なって』存在している事に、
素養があるならば気付けるだろう。
さあ、カードが配られた。貴方の手札は何だろう。
そして、ディーラーである少年の片方のカードは『ハートの9』だった。
//この投稿末尾が手札を決定します!先程と同じです!
- 723 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 22:59:52 ID:SSMHlh/20
- >>722
「先ほどと同じく、カードを一枚。
それと、少し気になる事があるのだけれど。」
自分に配られたカードを見てから、
少し腑に落ちないような口調で少年へと話しかける。
「その手、一体どうなっているんだい?
こう、ぶれたように見えたのだけど?」
この人物は右手をひらひらと震わせて見せた。
少年の動きは、特別な素養無くとも修練さえあればできるようになるものなのだろうか?
それとも、なんらかの異能か。
- 724 :No.9:2011/07/24(日) 23:07:27 ID:dL9W2t9U0
- >>723
(…見えた、か。油断してたな…)
「ブレた?見間違いじゃねーか?ほれ」
少年は袖をまくって腕を前に出す。何の変哲も無い。
「まぁ、配るのが素早いからそう見えたのかもしれねーな」
軽く少年は流すが、他のプレイヤーから彼に疑惑の目が向けられた。
(ちッ、見えただけならどうって事ねーが、他の奴が疑るのはマズいな…)
//彼の異能が制限を受けました。範囲が1つ減りました//
引いたカードはクローバーの2。
だが、今度は貴方の―――カードを受け取った貴方の手がブレた。
どうにもデジャヴが拭えない―――
カードの合計点は現在13点だ。
さらにカードを引くかどうか、考えても良いだろう。
少年は少し険しい顔になっていた。こちらの様子を伺っているようにも見える。
- 725 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 23:17:42 ID:SSMHlh/20
- >>724
(……僕が動体コピーできない、ということは
見間違えかな。それとも……。)
大人しくカードを受け取る……が、そこで今度は自分の手がぶれた事が分かる。
見間違いではない、しかしこれは一体どういう事か。
(やれやれ、こういうのをイカサマだとか、
バーベットゲームだとか、そういう風に言うのだっけ。)
しかしここでイカサマをしているのではないかと言ったところで
知らぬ存ぜぬを繰り返されるのが落ちだ。とりあえずこの手札で勝負を行なっても
勝てる可能性は皆無。カードを引かなければ。
「もう一枚、もらえるかな?」
- 726 :No.9:2011/07/24(日) 23:24:52 ID:dL9W2t9U0
- >>725
(猜疑心が濃くなったな、奴の手札を『選択』するのはもうやめた方が良いか)
だが、少年は焦っていた。
理由は、いまの自分の手札である。
彼の能力を持ってしても、『選択』出来た最も良い手札がハートの9とクローバーの9。
合計点18点は安全圏とは言えないが、バレない範囲で能力を使うと、
追加で引いたカードが3点以内という制限は少し厳しい。
少年はさらにカードを渡したが、また2だった。今度はダイヤだ。
合計点は15、じわじわと上がるがこれでは勝てないだろう。
- 727 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 23:32:37 ID:SSMHlh/20
- >>726
「このゲームはいけるカードの数に上限は設けられていないのかな?
ルール上問題ないならさらに一枚、カードを貰いたいのだけれど。」
(……なかなか運に恵まれないね。
ここで、少し大きめの数字が出てくれれば良いのだけれど。)
勝ち負けは勝負事の常。公正なギャンブルなら勝っても負けても納得するところだが
イカサマをしていると分かれば、そうもいくまいと少年の行動に目を光らせる。
もし、異能ではなくなんらかの技術によるイカサマなら
たちどころに見破る事ができるのだが……。
- 728 :No.9:2011/07/24(日) 23:45:41 ID:dL9W2t9U0
- >>727
「おう、好きなところまで何枚でもだ」
そういって、彼は山の一番上のカードを渡す。
配られたカードは無常にもダイヤの7だった。
合計22点、バーストだ。
少年がニヤリと笑う。
「残念だったな、兄さん。まぁ、運だよ」
他のプレイヤーは一人が1枚引いて20点を維持していた。
少年は険しい顔で裏返しになっていたカードを表にする。9。
合計点は18点、このままではディーラーの負けだ。
プレイヤーの目が期待に高まる。
(くそ、この野郎とぼけた顔して鋭くみてやがるな、このままだとまずい…)
//『範囲』が1つ減りました
少年はゆっくり山の一番上のカードを引いた。
その瞬間、強烈なデジャヴが貴方を襲う。
この後、少年は3を引く。引いてしまう。
「…俺様やっぱり運が良い」
ニヤリと笑った。
引いたカードはクラブの3。合計21、ブラックジャックだ。
大きなため息と共に小銭が山に積まれた。
//通常は合計17以上のディーラーは後から引けませんが、
ディーラーも引けることにします。
No.9は、片方の表向きカードを最初に自由決定し、
もう片方は初期カードを配った時の投稿末尾プラスマイナス5の範囲で決定出来ます。
(末尾4なら0〜9まで全ての数字、
末尾1なら0〜6までの全ての数字。ただし0は絵札かA)
またカードをさらに引く場合、対戦相手の最後の投稿の末尾数字プラスマイナス5のカードを
引くことが出来ます。
看破された場合、この選択できるカードのプラスマイナスの範囲が1つ減ります。
現在の範囲:プラスマイナス3
- 729 :横島なつき:2011/07/24(日) 23:49:19 ID:bYREkklM0
- >>724
「……次、私もいい?」
ひょっこりと、そこに黒髪の女の子が顔を出す。一見して特徴のない娘だ。
背丈、顔つきから年の頃は15ほどに見えるが、れっきとした千夜学園高等部の学生。
だが……今日はオフ、とばかりに、黒のポロシャツに膝丈のスカート。酷く地味な私服だ。
とてもこんな路地裏で賭けごとに興じる人間には見えないが……。
「これで」
と、少年に向けて万札を一枚。
傍目からは年に不相応な大勝負に見えるが、ナツキはプチ億万長者だ。
スったところで痛くも痒くもない。ナツキは無警戒な柔らかい表情をしている。
- 730 :横島なつき:2011/07/24(日) 23:50:16 ID:bYREkklM0
- //安価指定をミスりましたっ
//↑のレスのアンカー先は>>728です
- 731 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 23:55:32 ID:SSMHlh/20
- >>728
「あらら、中々に運がないね。
ふふ、普段からもっと善行を詰めというお告げかな。」
カードをぱさり、と場に戻し、
ディーラーである少年が、カードを配るのを待つ。
「……っ!」
体に走った奇妙な感覚に、思わず息を吐き出してしまった。
やはり、何らかの異能か。どういうわけかあの少年はカードの出目を操作できるのだろう。
それなら、これほどの連勝も不思議ではない。
(……余り使いたくは無かったのだけど。
君がそういうつもりなら、こちらにも考えがあるさ。)
- 732 :名も無き異能都市住民:2011/07/24(日) 23:59:08 ID:SSMHlh/20
- >>729
「おっと、中々豪気なお嬢さんだね。
そこまで迷いがないと、見ていて気持ちがいいよ。」
確かあれは、相当に価値のある紙幣だったと記憶している。
普通の学生に見える少女が、惜しげもなく高額紙幣をベットするその
ギャップに少し驚き、思わず声を出してしまった。
- 733 :No.9:2011/07/25(月) 00:07:07 ID:dL9W2t9U0
- >>729
(なンだコイツ、いきなり1万…?!100倍規定で100万かよ、あるわけねーだろッ!?)
ギャラリーがどよめいた。期待と諦観の二つに分かれたが、それでも周囲の目が注目する。
「…ああ、良いぜ。挑戦は受けるさ、俺は負けねーよ」
唇をかみながら、少年は金を受け取り、テーブルに置いた。
>>731
「俺は善行ばっかりしてきたからな、運が強ぇのさ」
軽薄な笑いと共に、少年は金を回収した。
「よし、カードを配るぜぃ」
少年がカードをよく切り、2枚ずつ配っていく。
やはりその手はブレているように感じる。
そして自分のカードの片方を表にした。
『クラブのK』
さぁ、二人にはどんなカードが配られただろうか。
//
私の投稿の秒数2ケタを見て所期カードにします。
なつきさんは10の位、
貴族さんは1の位を見てください。
1…合計11
2…合計12
―――
9…合計19
0…合計21
- 734 :No.9:2011/07/25(月) 00:10:02 ID:dL9W2t9U0
- //system//
なつきさんは合計21(ナチュラルブラックジャック)
貴族さんは合計17です。
なつきさんは手札をホールド、
貴族さんは引く権利を得ます。
なお、No.9のもう一方のカードは『ハートの4』で、
現在合計点は14点です。
- 735 :名も無き異能都市住民:2011/07/25(月) 00:21:37 ID:SSMHlh/20
- >>723
自分に配られたカードは合計17。
勝負するには多少弱く、カードを引くにも不安すぎる微妙な点数だ。
――しかし。
(こちらも、少しイカサマをさせてもらうよ。
君と同じく、『異能』のイカサマを。)
カードを握る少年の指先が、まるで液体のようにカードの表面をアメーバのように移動し、
一瞬ぶるんと震えたかと思えば、カードの合計はちょうど『21』になるように変わっていた。
「これでいい。このままで勝負する。」
- 736 :横島なつき:2011/07/25(月) 00:27:02 ID:bYREkklM0
- >>732-733
「ふふっ」
驚くギャラリーにちらりと視線を向けて、くすりと笑う。
ナツキの手元にカードの一枚目は、……10だ。そしてもう一枚は……エース。
「……ありゃりゃ」
―― ナチュラルブラックジャック。
それは、このゲームで最強の手。当然、スタンドだ。
まだカードがめくられていないディーラーも、その目は残っているが……。
レートは1対100と明言されている。ドローでも、ナツキは50万勝ったことになる。
ディーラーがめくったカードがエース以外だったら、その時点で100万。
そしてディーラーの手札が最終的に21でなかった場合、
……ナチュラルブラックジャックは、ベットの2.5倍の払い出しを受ける。
「サービスいいんだね。びっくりしちゃった」
ここまでは予想していなかったのだろう。さすがに、ナツキ自身も明らかに驚いた表情だ。
- 737 :No.9:2011/07/25(月) 00:40:42 ID:dL9W2t9U0
- >>735
キィィ、と頭の奥が唸るような感覚に、No.9は敏感に反応した。
(…異能を使った奴がいる。…俺のブレも見えたってことは、
やっぱり奴か…)
彼は人工的に異能を発現した検体であり、異能を感知する能力もあった。
(マズいな、このままじゃ負ける。手札は15だが、万全を打って21にしたい。
『6を引ける世界』を選択出来ねぇと、俺は最悪の負け方をする―――)
少年の額に汗が滲む。
>>736
「馬鹿な」
思わず口が滑る。
異能を使ったそぶりの無かった少女までが、当然のように強いカードを引き寄せた。
これでNo.9はそこにある小銭の大半を彼女に引き渡すことが確定する。
いま、この世界の彼の手札は14なのだから。
このまま21を揃えられなければ、有り金全て持っていかれるだろう。
「畜生、遊び過ぎたぜ。姉ちゃん、あンた強ぇな」
もはや金額ではない。
彼はこの街の裏で有名な賭場荒らしだ。こんな街中でなく、もっとレートの高い
ところで連勝し、金を溜め込んでいる。此処でやっていたのは、単なる遊びだ。
なんせブラックリストに載るどころか、本気で彼を暗殺しようとする組織もあるぐらいなのだ。
50万、100万は容易い。だが、勝負に負けることは…
最終的にブラックジャックを揃えられないことは『敗北』だ。それだけは受け入れられない。
「OK、覚悟を決めたよ。だが、最終的に俺はあんたらと引き分ける」
二人が21というとんでもない状況で、No.9は不敵に笑った。
まるで宿敵に出会ったように。
No.9はゆっくり、伏せたカードを表にしていく。
この時、彼は『めくる』という事象に対して能力を使った。
『表にした片方のカードがKである世界』の中から無差別に9つの世界を選び出し、
吟味する―――
//末尾判定
- 738 :No.9:2011/07/25(月) 00:47:34 ID:dL9W2t9U0
- //system//
リアクトナイン発動、末尾2より0〜5の範囲を吟味、
0を選択しエースを揃える。
//system//
強烈なデジャヴが二人を襲った。
一気に疲労の色を見せたNo.9がめくったカードはA。
山の中、4枚しかないAが3枚も場に出るという異常。
賭場はあきらかなイカサマ合戦の様になってきた。
ナチュラルブラックジャックが3人。
ギャラリーは3人のイカサマを見抜こうと、目をぎらぎらさせ始めた。
(1人は本当に運だったのだが)
「ほらよ」
少年は座っていたトランクを開け、中に詰まった札束を数えてなつきに渡した。
「あんたも」
そして青年にも欠けた50倍の額の小銭を渡す。
「名を。名を教えてくれないか、お二人さんよ」
少年は頭を掻きながらそういった。
「俺はNo.9。名前はそれだけだ。」
- 739 :バルト・アンデルセン:2011/07/25(月) 00:56:57 ID:SSMHlh/20
- >>738
(やれやれ、さすがにこれはスマートじゃないね。
それに加担したとはいえ場が此処まで荒れてしまっては、どうにも。)
ふう、とため息をつき配当を少年の前の小銭の山に戻した。
「お金はいい。ただ、楽しみたかっただけだからね。
遊びはこの辺にして、少し場を見学させてもらう。」
それだけ言って少し離れた場所の木箱に腰掛けた。
「……バルト。名前ならバルト・アンデルセンと呼べばいい。」
どうやらこの人物は、場のイカサマを見張るのに集中したようだ。
- 740 :横島なつき:2011/07/25(月) 01:02:28 ID:bYREkklM0
- >>738
場に揃った3つのナチュラル21を、ナツキは黙って見ていた。
目立ったリアクションもせず、ディーラーから50万を受け取る。
そして手にしたその50万を……ゆっくりと場に置いた。
「ベット」
さっきNo,9がカードをめくる時に見せた、目の光。
ナツキの目の中には、それと似たようなものが宿っている。
だが似ているだけで、同じではない。微妙に違うのだ。
勝った負けたで終わればいいが……引き分けだけは許せない。
そんな勝負師の矜持が、今のナツキの目の中にはある。
「私の名前は、ナツキ」
- 741 :No.9:2011/07/25(月) 01:15:13 ID:dL9W2t9U0
- >>739
(くそ、こいつ俺の能力に興味があるのか…ますます動けねぇ、参ったな…)
「バルトか、覚えたぜ。また遊んでくれよ」
軽く手を振って、場を降りた男を横目で見た。
//範囲がプラス2、マイナス1になりました!
>>740
「…ナツキか、良い名だな。お前達はちゃんとした名前があって良い」
名前としてただの数字を名乗った少年は、苦笑しながらそう言った。
「50万か。解ったぜェ、…勝負師か、そんな格好で」
嬉しそうにNo.9はカードを切る。
「OK,カードを配ろう。その50万は必ず俺が貰う」
ナツキにカードを二枚配る。カードを配る手が、重なって見えた。
その数、およそ3つ。注視していれば見えるかもしれない。
自分の所にもカードを置く。やはり手がブレる。
「さァて、どうだいナツキ?」
ニヤリと笑って彼は片方のカードを表にした。クラブの7だ。
- 742 :No.9:2011/07/25(月) 01:16:48 ID:dL9W2t9U0
- //system//
プレイヤーは1人なので末尾一桁判定、
ナツキの合計は13です。
- 743 :バルト・アンデルセン:2011/07/25(月) 01:19:27 ID:SSMHlh/20
- >>741
(ふむ……。)
注意深く少年を観察すると、やはり手元がぶれる様子が見て取れる。
しかし、超高速のすり替えだとかでは断じてない事は『瞬間記憶』能力を持つ
バルトには一目で分かる。
(分からないな、瞬間移動だとかカードに作用する能力なら、
自分の手だけでなく、カードもぶれて見えたりしそうなものだけど……。)
やはり、見ているだけでは分からない。
異能を使用していることを皆に知らせるべきだろうか……。
- 744 :横島なつき:2011/07/25(月) 01:25:18 ID:bYREkklM0
- >>741
「……そうこなくっちゃ」
ナツキもまた、ニヤリと笑う。
カードを挟んで向かい合った、今日で初対面、
今さっき名を交わしたばかりの二人が、同じ表情をしている。
配られたカード合計はハートの6、ダイヤの7。合計13。
対して、ディーラーである相手が表にしたカードはクラブの7。
……ディーラーであるNo.9が何らかのイカサマをしているのには気付いている。
が、ナツキにはそれを非難する気もなければ、詮索する気も一切ない。
「ヒット」
ナツキは間髪いれずに宣言。もう1枚のカードをせがんだ。
- 745 :No.9:2011/07/25(月) 01:38:26 ID:dL9W2t9U0
- >>743
(気付いてるよな、だが…俺の能力は気付いたとしても解らねぇンだ。
多世界視点でモノを見てる俺とお前じゃ、何が起こってるか…見えてるものが違うのさ)
ニィィ、と口の端を吊り上げて笑う。とはいえ、先程のドローで大分彼は疲労していた。
いまは3つの世界を重ねるのが限界だ。
>>744
「あいよ」
カードを渡そうとして気付く。
このカードは…この世界ではクラブの8だ。まずい。ナツキがブラックジャックを揃える。
別のカードが出るほかの世界を重ねなければ。出来れば9か絵札でバーストが望ましい…
少年の手が、ブレた。
カードを渡すという事象について、能力を発動したのだ。
他の世界が重なり、デジャヴが二人を襲う。
いま、渡そうとしているカードは『揺らいで』いるのだ。
(この世界での渡すカードはクラブの8だが、
さて、他の世界で俺が渡すカードは―――!!!???)
『クラブの8』
『クラブの8』
『ダイヤの7』
(ンな馬鹿なッ!どんな運してやがンだ、くそ、ダイヤの7に決定しねーとヤバいッ!?)
ブレが収束しようとする。
- 746 :バルト・アンデルセン:2011/07/25(月) 01:55:23 ID:SSMHlh/20
- >>745
(また、あれか。そうはさせないよ、No.9。)
バルトの掌から離れた肉の一部が地面に染み込み、
地面の表面に擬態しながらうねうねと山札に近づく。
先ほど自分のカードに対して行なったように、カードの絵柄を変化させるつもりだ。
次のNo.9が引くカードを、まったく別の何かに。しかし、バルトの位置からでは
No.9の手札は分からない。変化するカードの絵柄は……。
自分の書き込み時間末尾が
123456789…対応する数字カード
0…絵札もしくはA
- 747 :横島なつき:2011/07/25(月) 02:04:16 ID:bYREkklM0
- >>745-746
裏返しに差し出されたカード。
ナツキはそれを受け取り、一度そっと場に伏せてから、一息にめくる。
―― スペードの3。
ハートの6、ダイヤの7と合わせて、これで16だ。
そのカードの影にある第三者の介入に、ナツキが気付くことはない。
「ヒット」
迷いはない。ナツキはカードの柄を確認するなり、そう宣言した。
- 748 :横島なつき:2011/07/25(月) 02:07:48 ID:bYREkklM0
- //失敬! 読み違えました! >>747はナカッタコトニ!
- 749 :横島なつき:2011/07/25(月) 02:16:31 ID:bYREkklM0
- >>746
乱視のようにブレて見えるカード。
恐らくこれがイカサマの正体なのだろう。
だが、これが異能の類だとしたら同じこと。自分には指摘できない。
ナツキは裏返しに差し出されたカードを、指で挟む。
その瞬間、ピントが合ったようにカードが像を結ぶ。
No.9の手を離れたカードを、ナツキは一度そっと場に置いてから、一息にめくる。
―― クラブの8。
ハートの6、ダイヤの7と合わせて、21だ。
「……トゥエンティワン。さぁ、勝負」
目の前で異能同士のささやかな戦闘が行われていることに、ナツキが気付くはずもない。
静かに、伏せられたディーラーのカードがめくられるのを待つだけだ。
- 750 :No.9:2011/07/25(月) 02:23:26 ID:dL9W2t9U0
- >>746
(こいつ、異能を使ってやがる!…だが、場に居ない状態で、何を…?!)
彼はしたが、特に目に見える変化は感じられない。
(くそ、伏せ札を裏返す時にも能力をつかわねぇと、何されてるかわからねぇ。
どうやって奴はさっき21を出した?)
>>749
そう、そのバルトへの警戒こそが彼の最大の隙だった。
カードをダイヤの7に決定する前に、なつきがカードを掴んだのだ。
「なっ?!」
選ばれたことにより、重なった世界は一つに収束する。
75%の確率で、21が揃う。
そして、いまの彼女にとってそんな確率を潜り抜けるのは――
(まずい、まずい―――っ!!!)
――容易いことだった。
「どんな運をしてやがンだ、本当に…俺のナチュラルはねぇから、ドローに持っていくしかねぇか」
彼の手がブレた。
伏せ札をめくるその手が一瞬ブレて、そして彼の手札が公開される。
//末尾判定+2−1
- 751 :No.9:2011/07/25(月) 02:30:37 ID:dL9W2t9U0
- //system//
末尾6より範囲5〜8。
//system//
(良いカードが出る世界じゃ無かったか、畜生)
彼はカードを吟味し、スペードの8のカードに決定した。
「これで俺の合計はクラブの7と合わせて15。
俺が6を引けばドローか」
(残りの6は3枚ある、引ける、引ける筈だッ!)
彼の手がブレた。だが、そこで彼の表情は青ざめる。
(何で、…何でッ!?)
『スペードの3』
『スペードの3』
『スペードの3』
既にバルトがそのカードの中身を『決定』していた為に、
他の世界でも彼が引くカードは全て3なのだ。
「てめェッ!?」
少年はバルトの方を振り向いたが、舌打ちしてカードをめくる。
合計、18。21にする為には、次で3を引くか、2、Aと引くか、AAAか。
だが…
(カードの書き換えで揺らぎを決定しやがったんだ、くそ、ここで本物のスペードの3は
引くことが出来ない!ギャラリーに殺される!実質、俺が引ける3は3枚か…ッ!)
「ヒット」
呟いた。
(頼む…)
もう一度、彼の手がブレる。
//末尾判定
- 752 :No.9:2011/07/25(月) 02:33:28 ID:dL9W2t9U0
- //system//
末尾7より範囲6〜9。
//system//
(――ッ!)
どのカードを選んでもバースト。
重ねた世界の運命は、彼の敗北を示していた。
「くっ、くそォオォオオオオォォオオアアアアッ!!!」
カードを引き、机に叩きつける。スペードの6.バーストだ。
気が抜けたように少年は座っていたトランクに崩れ落ちた。
「負けたよ…持っていきやがれ」
立ち上がり、トランクを開ける。中には札束がぎっしり入っていた。
- 753 :バルト・アンデルセン:2011/07/25(月) 02:42:24 ID:SSMHlh/20
- >>752
いつから、いなくなっていたのか。
既に、バルトの姿は無かった。
今、手札を確認したならスペードの3のカードではなく、
No,9が決定したとおりの、スペードの8が入っているのはず。
No,9は、ちゃんとスペードの8のカードを引いていたのだ。
あの少年とも少女ともつかぬ、不思議な人物が、
どうやったのか分からないがカードの絵柄を変えたと見て間違いない。
(君は、公正が基本原則であるはずの勝負事のルールを犯した。
だから、こちらも少々ルール違反をして、君に罰を受けてもらったよ。
……僕がルールを侵した罰?そのうち受けるさ。そのうち、ね。)
姿は無いはずなのに、どこかでバルトの声が聞こえた気がした。
- 754 :No.9:2011/07/25(月) 03:05:16 ID:dL9W2t9U0
- 「しっかし、変な奴がたくさんいるもンだな、この街は。
俺が賭け事で負けるなんざ、久々じゃねぇか」
疲れが顔に残っているが、その笑顔は歳相応の、少年らしいもので。
「楽しめたぜ、なつき、バルト」
軽く手を上げた。
「また会おうぜ。俺の仲間も何人かこの町にいるンだ、
名前が数字の奴は間違いねェ。会ったらよろしくしてやってくれよ」
そう言って、彼はギャラリーの男達と話し始める。
「かっ、こう負けちゃ格好つかねぇな、お前らから巻き上げた小銭で
飯食いに行くかァ」
ゆったりとした喧騒が流れる。
- 755 :横島なつき:2011/07/25(月) 03:07:47 ID:bYREkklM0
- >>752-754
「っ……!」
何の異能が働いたのか、ナツキには判断のしようがない。
だが、No.9が山札から三枚目のカードを引いたときの反応だけは明らかにおかしかった。
ナツキは目の前の札束には目もくれず、場の向かいにあるスペードの3を手に取る。
しかし指の腹でさすってみても、軽く弾いてみても変わらない。ただのカードにしか……。
そう思った瞬間、ナツキの目の前で、まるで水に溶けるように絵柄が変わっていく。
現われた柄は、スペードの8。
その数字は、ナツキの手札と引き分けられる唯一のもの。
ナツキはばっとかぶりを振って辺りを見渡すが、
この細工を成し得るであろう第三者の姿は、もうそこにはない。
「余計なことを……!」
ナツキは苦々しげに顔を歪めた。
そして、肩越しに、喧騒の中のNo.9の方を向いて言う。
「私は勝ってない。……最初の賭け金で、こいつだけ貰ってく」
それは鋭く、冷たく、それでいて焼け焦げるほどに熱い声。
掲げられた親指と人差し指には、スペードの8が挟まれている。
「勝負はお預け。次は……一対一だから」
そう言って、憮然とした足取りでナツキは去って行った。
一対一が果たして、自分とNo.9のことなのか、レートのことなのか、あるいは両方か。
それは当人達にしか分からない。
- 756 :No.9:2011/07/25(月) 03:13:12 ID:dL9W2t9U0
- >>755
「…他人の手が入った事が嫌だったのか、律儀な奴だ」
呆れたように笑う。
「金が戻ってきた事だし、お前ら、奢ってやるよ。俺様はいまとても気分が良いンだ」
「それ、俺らの賭け金じゃねぇか!!!」
数人の取巻きを連れて、No.9は去っていった。
- 757 :黒沢小百合:2011/07/26(火) 23:29:42 ID:SSMHlh/20
-
「よいしょっと……。ふぅ……。
ちょっと買いすぎてしまいましたか……。」
――がさっ
AGカフェと同じく、小百合が仕事帰りの小休止場所としてよく利用している
中央公園内の池に掛かった桟橋近くのベンチに紙袋を置く小百合。
中身はAGカフェにおいてあったファッション誌で以前見た店で買った普段着がいくつか。
基本的に生活必需品以外の買い物はあまり行なわない小百合だがやはり年頃の女性。
たまには、プライベートで可愛い服も着てみたくなるのだ。
- 758 :No.31:2011/07/26(火) 23:38:47 ID:dL9W2t9U0
- >>757
「あら」
声をかけて、近付いてきたのはサーティーワンと呼ばれる少女。
偶然近くを通りがかったのか、その手には紙袋とコンビニのアイスを持っていた。
「保護観察が緩くなって自由時間が増えたから、買い物してきちゃった。
お姉さんもこの公園に良く来るのね」
にっこり笑う。
- 759 :黒沢小百合:2011/07/26(火) 23:48:41 ID:SSMHlh/20
- >>758
「ん……ああ、貴方ですか。
ええ、ここは会社帰りに少し休憩するのにちょうどいいですから。」
この少女も此処によく来るのか、と小百合は思いながら挨拶を返す小百合。
同時に、紙袋を自分の膝の上に置き31が座れるスペースを作る。
「貴方も、何か買ってきたのですか?」
同じように紙袋を抱く少女に逆に問いかける。
- 760 :No.31:2011/07/27(水) 00:02:30 ID:dL9W2t9U0
- >>759
会社、と聞いて彼女の顔は少し曇ったが、すぐに笑顔に戻る。
「私はまだ解らないけど、大変そうなのね」
そういいながら、紙袋をごそごそとあさり、戦利品を出す。
「うん、教科書とか、異能に関する研究書籍とか…後は、」
手が止まり、少し恥ずかしそうに出したそれは、帽子だった。
そういえば、身に着けているものはいつも簡素だったように思う。
- 761 :黒沢小百合:2011/07/27(水) 00:10:18 ID:SSMHlh/20
- >>760
「へぇ……。」
本を手にとって、表紙や背表紙を眺めているうち、
帽子にも目が留まる。自分が買える範囲で精一杯選んだものなのだろう。
「ふふ、中々可愛いじゃないですか。
女の子らしいですねえ。うふふ。」
小百合も今日はいくらか気が緩んでいるらしく、表情も少し軽い。
- 762 :No.31:2011/07/27(水) 00:22:51 ID:dL9W2t9U0
- >>761
「先生が居なくなっちゃったから、独学しないと、って思って。
異能の本は、能力の制御の勉強をしたかったのだけど、
ちょっと難しすぎたかも」
教科書を大切そうにしまいながら、少女は言った。
現状のところ、この事件が解決しなければ彼女は拘束されたままであろう。
「局員の人がね、お小遣いをくれたから」
帽子を手に取り、嬉しそうにそれをかぶって見せた。
何だかんだ言って、まだ10代の少女なのだ。
- 763 :黒沢小百合:2011/07/27(水) 00:35:29 ID:SSMHlh/20
- >>762
「能力の制御、ですか……。
アドバイスできる物なら良いのですけど、そればかりはどうにもね……。
私は感覚で、全てできてしまいますから。」
自分の能力が制御できなくなった事がない小百合には、
どうアドバイスしていい物か分からず。
「ふふ、お小遣いは大事に使うのですよ。
ちゃんと、担当の職員に感謝もするようにね。」
自分にもこういう頃があったなあ、と小百合は過去を思い返した。
最初に自分自身のお小遣いで買ったのは、流行の音楽CDだったか。
- 764 :No.31:2011/07/27(水) 00:57:47 ID:dL9W2t9U0
- >>761
「暴走とかは無いんだけど、無意識に発動しちゃったりとかね。」
困ったように笑う。
「私の場合、夏はまだ良いんだけど…」
「うん、解ってる。帰ったらお礼もちゃんと言うわよ。
こうして外に出られてるだけでも、本当に良くしてもらってるから」
それで、と少女は続けた。
「お姉ちゃんは何買ったの?」
- 765 :黒沢小百合:2011/07/27(水) 01:16:25 ID:SSMHlh/20
- >>764
「気を抜くとつい、という事ですか。
中々難儀ですね……。とはいえ、年齢を経ることによる
精神的成長によって、コントロール精度が増すという研究結果もありますし
あせらずとも、ゆっくりと精度が上がることでしょう。」
――――ぴりりりりっ
がさごそと、自分の紙袋を漁る途中に小百合の懐から電子音。携帯電話の呼び出しだ。
「おっと、失礼……紙袋の中、勝手に見ていただいて構いませんよ……。
ちょっと、緊急の呼び出しがありましたから待っていてください……。」
会話の内容を聞かれないためだろう。つか、つか、と
ヒールの音を響かせながらどこかに小百合は消えていって。
……結論から言うと小百合は帰ってこなかった。
呼び出しを受け、そのまま仕事に向かったのだろう。No.31はおいてけぼりをくってしまった。
ちなみに、紙袋の中身には小百合が普段身につけていると思われるシンプルかつ大人っぽいな衣服や
小洒落たハイヒール、ストッキングや下着類などがいくつも入っていて。
- 766 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 22:18:40 ID:3EaBc40s0
- 「帝王が復活した?」
とある歩道橋の上で、ニット帽を被った男と、赤いワイシャツの男が話していた。
「ああ。気づいてたはずだ。お前もさっさと戻って来い。
聞いた話だとお前、四将に目をつけられたって聞いたぞ」
「俺のことは放っておいてくれ。俺は争いが嫌いなんだよ」
ニット帽の男は手すりに寄りかかる。
「まったく、忠告はしたぞ、テルメス」
赤いワイシャツの男は、ため息をついて歩道橋から降りていく。
「帝王も四将も、俺みたいな怪人一匹ぐらい、放っておいてくれればいいのにな……」
呟きながら、ニット帽の男は反対側の階段から歩道橋を降りる。
- 767 :黒沢小百合:2011/08/09(火) 22:35:03 ID:SSMHlh/20
- >>766
「面白そうなお話ですね。
私にも、聞かせていただけませんか。」
歩道橋の下り階段にテルメスが足を掛けた時
背後から、女の声が投げかけられた。
この声は、何度か喫茶店で相席したあの千夜の重役――黒沢小百合のものだ。
マズい、彼女は都市の不穏分子……。
特に、怪人関係には容赦のない態度で臨んでいたはずだ。
それでなくても、彼女に見つかった犯罪者は罪の重軽を問わず、
場合によっては死に至るようなひどい私刑を与えられることもあると噂もある。
「あなたは怪人だと今、呟きましたね。それは本当なのですか?」
振り返らずとも分かる。今の彼女の表情はサディスティックな笑みに染まっているだろう。
- 768 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 22:44:49 ID:3EaBc40s0
- >>767
「……えーっと……」
振り返らずに、首筋をポリポリと掻く。
「盗み聞きとは趣味悪いな。
……本当だ。俺は怪人、スケイルテルメス」
テルメスの体が一瞬で、灰色の装甲の怪人の姿となる。
「だったら、どうするつもりだ?」
振り向いて、小百合を見据える。
テルメスの体は振り返る瞬間に人間のものに戻っていた。
- 769 :黒沢小百合:2011/08/09(火) 22:53:55 ID:SSMHlh/20
- >>768
「その昔、ヨシフ・スターリンは言いました。
『敵が武器を捨てるならよし、抵抗するなら我々がその武器を捨てさせるまでだ。』と。」
くつくつ、と彼女の喉を鳴らすような笑い声が聞こえる。
「大人しく我々に投降するなら、一定の権利を認めますし、
もちろん、命の保証もしましょう。ただし、抵抗するなら……。」
――カチリ。
わざとらしく響く金属音。小百合は拳銃のセーフティを外した音を
わざとテルメスに聞かせたのだ。
- 770 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 23:03:23 ID:3EaBc40s0
- >>769
「盗み聞きしてたなら解るだろ。
俺は争いが嫌いなんだって」
ゆっくりと両手を挙げる。
「あと、言っとくけど俺達は拳銃程度じゃ死なないんだけど」
金属音を聞いて呟く。
しかもテルメスは、怪人の中でも相当な防御能力を持つ怪人だった。
「そもそも俺は何も悪いこと……あ、前捕まったっけ……」
- 771 :黒沢小百合:2011/08/09(火) 23:14:58 ID:SSMHlh/20
- >>740
「とにかく、一旦拘束させていただきますよ。
いざ、連行する段階でゴネられては厄介ですから……。」
小百合は一応命の保証はすると述べたが所詮口約束。
テルメスを格好の『研究材料』としか見ていなかった。
人間が猿を実験台にするように、同じ人型をしているとはいえ
小百合は怪人を『人間』としてみていないのだ。
――ダッ
武装した兵士が具現化され、テルメスに殺到する。
手錠など、簡単な拘束具を取り付けるつもりのようだが……。
- 772 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 23:17:18 ID:3EaBc40s0
- >>771
(……いざとなったら引きちぎれるか?)
- 773 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 23:17:51 ID:3EaBc40s0
- //途中送信すいません><
- 774 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 23:22:12 ID:3EaBc40s0
- >>771
(……いざとなったら引きちぎれるか?)
拘束具を見ながら男は考えていた。
「抵抗なんかしないって。
あんたが攻撃してこない限りは」
男は素直に錠をかけられる。
- 775 :黒沢小百合:2011/08/09(火) 23:37:55 ID:SSMHlh/20
- >>774
(くく……こいつは良い素材を手に入れた。
うちの生物研究所の学者どもも喜ぶだろう……。)
おそらく、これも具現化したものであろう。
兵員輸送用の装甲車が、何処かから現れ、歩道橋の真下に止まる。
「乗りなさい。一度、千夜に運んでから、
少し尋問を行ないます。貴方の処遇は、その結果如何で決めるとしましょうか。」
- 776 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/09(火) 23:43:26 ID:3EaBc40s0
- >>775
「尋問ね……。
怪人だからって俺が知らないことだってあるぞ」
ぶつぶつと呟きながら、男は装甲車に乗った。
(……実験とかされたらもうこの街出るしかないな、本当に)
- 777 :黒沢小百合:2011/08/09(火) 23:57:03 ID:SSMHlh/20
- >>776
それから、乗り心地が良いとはいえない装甲車で
千夜へと移送されたテルメスは、場所こそ違う物の、
以前尋問を受けた部屋と同じつくりの部屋へ通される。
「さて、では手短に行きましょうか。
貴方たち、怪人の狙いと言うのは一体何なのですか。
何故、都市に対して無謀な攻撃を繰り返すのか。」
部屋の中にはテルメス一人。
分厚い鋼鉄板入りのコンクリートで隔離されたこの部屋の隣には、
強化ガラスで仕切られた別室があり、そこからマイクで尋問を行なう仕組みだ。
- 778 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 00:05:57 ID:3EaBc40s0
- >>777
男は少し考える。
「……正直に言うと、知らないな。
多分俺達は本能レベルでそういう生き物にされているんだろう。
幹部の四将は仕組みを知ってそうだけどな」
そう答えると、なぜかため息をついた。
「その本能に従わない怪人は、
どうやら積極的に四将からも狙われるらしい」
- 779 :黒沢小百合:2011/08/10(水) 00:17:00 ID:SSMHlh/20
- >>778
「つまりは、考え無しに上の言うとおり無意味な攻撃を行なっていたのか。
知性の感じられぬ亜人どもめ、有名なダミー電流実験と同じではないか。」
小百合の声が、不機嫌そうに歪む。
折角手に入れた情報源が役立たずとしてしまったからか。
「では、幹部とやらは一体どのような能力だ。
水と棘、炎か?貴様らにはほかにどういった人員がいるのか?
根城にしている場所などはあるのか?先ほど電話で話していた人物がそうか?」
- 780 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 00:23:59 ID:3EaBc40s0
- >>779
「知能レベルにも差がでかいしな。
知ってるか、人間から生み出した怪人は知能が低い奴が多いんだ」
皮肉なのだろうか、ニヤリと笑いながら呟いた。
「さっきの奴は俺と同じほぼ階級の奴だ。
拠点は俺も知らないし、単独行動の奴も多い。
幹部は四人いるけど、説明したほうがいいか?」
- 781 :黒沢小百合:2011/08/10(水) 00:28:27 ID:SSMHlh/20
- >>780
「余計な事は喋らなくてよろしい。
幹部の事についてのみ、発言を許す。」
小百合はテルメスの皮肉をすっぱりと切り捨て、
必要なことだけを聞き出そうと、発言を促す。
「幹部の特徴、能力は一体何か?
今何処で活動しているのか、リーダー格は誰なのか。
知っていることを全て答えなさい。」
- 782 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 00:37:56 ID:3EaBc40s0
- >>781
「幹部は四人、闘将ダーネス、魔将ベイ、影将アイル、戦将レストだ。
それぞれ仙人掌、エイ、梟を模した能力を持ってる。
レストは幹部の中でも封印直前に入った新入りらしいから良く知らないな」
少ししかめっ面を史ながら答えた。
「鱗怪帝が居ないときの指揮権を持ってるのはダーネスだが、
脳筋だから頭のいいベイが実質任されてるらしい。
……これでいいか?」
- 783 :黒沢小百合:2011/08/10(水) 00:43:57 ID:SSMHlh/20
- >>782
「ふむ……。」
小百合には、それぞれの怪人に見覚えがあり
都市部でそれらしき怪人と交戦した、見かけたという情報もよせられている。
テルメスの話は嘘ではあるまい。
「鱗怪帝というのは何か?」
とりあえず、怪人の研究はほとんど進んでいないのが現状だ。
鱗怪帝と言うのも初めて聞く情報だが……。
- 784 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 00:52:44 ID:3EaBc40s0
- >>783
「まあ、名前の通り、鱗の怪人の帝王、俺達の帝王だな。
最近復活したって聞いたが、俺も帝王の怪人の姿ぐらいしか知らない。
怪人の方針はベイ、ダーネス、鱗怪帝の三人が会議して決めるんだってさ」
男はほかに、鱗怪帝の名前はヴァリーと言うこと、
一般怪人にとっては鱗怪帝の存在はもはや信仰対象にも近いということを話した。
- 785 :黒沢小百合:2011/08/10(水) 01:02:57 ID:SSMHlh/20
- >>784
(鱗怪帝……、帝王を名乗るか。
何とおこがましく、時代錯誤だろうか……しかし。)
小百合は強化ガラスの向こうでほくそえむ。
怪人討伐にこれ以上無い大義名分が加わることになるからだ。
『神秘主義の独裁者』に率いられた怪人の軍団が我々の基本的権利である
『民主主義』、『自由』を脅かしている。我らはこの外敵を打ち倒すために
一致団結して戦う。
――世論の支持を得るためにこれ以上のものがあろうか。
皆が大好きな『民主主義』を守るための戦い。
しかも、相手は人ではない。都市を纏め上げるにはこれ以上無い好条件といえる。
「よろしい。ほかに話しておくべきこと。
気づいた点はありますか?たとえば、次の襲撃予定であるとか。」
- 786 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 01:15:10 ID:3EaBc40s0
- >>785
「そんなことは知らないな。
俺って四将からは離反したと思われてるかもしれないし」
ため息をついた。
「特に。むしろ他に聞くこと無いのかってぐらいだな」
- 787 :黒沢小百合:2011/08/10(水) 01:24:16 ID:SSMHlh/20
- >>786
「ほかに聞こうにも、あなたが知っている事は幹部の特徴だけ。
他の重要な質問には全て知らぬ存ぜぬで通しているではないですか。」
なお、テルメスの発言は別室で嘘発見器によって密かに調べられている。
何か、嘘を付いたり隠したりしているなら高い精度で反応が出るはずだ。
「本当に、もういう事はないのですね?」
- 788 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 01:27:57 ID:3EaBc40s0
- >>787
「無いよ。
この次は何をするんだ、まだ解放してくれるわけじゃないんだろ」
嘘発見器には、特に反応は見られない。
知らないということも含めて嘘をついているわけではないと思われる。
「後になって聞かなかった癖に言わなかったって言うのはやめてくれよ」
- 789 :黒沢小百合:2011/08/10(水) 01:47:34 ID:SSMHlh/20
- >>788
「ふむ……とりあえず、日も遅いですし今日の尋問はこれくらいにしておきましょう。
とはいえ、家に返すわけには行きませんから千夜グループの施設内で部屋を用意します。
トイレなど、部屋から外に出る際は担当者に許可を取るように。」
思い鋼鉄製のドアが開き、武装した千夜のエージェントがテルメスを誘導する。
今日のところは、危害を加えられることは無かったがこれ以降どうなることやら。
(さて……とにかく、鱗怪帝とやらの情報をメディアにリークしておかねば。
精々、私の後々の地位の礎になってもらうぞ。哀れな怪人ども……。)
// この辺で〆かな?
- 790 :テルメス/ニット帽の男:2011/08/10(水) 01:56:46 ID:3EaBc40s0
- >>789
部屋に通され、ドアが閉められた後、
男は座り込んで考えた。
「……これでよかったのかな。
あの時逃げといた方が良かったかも知れないな……。
あの女の目結構やばかったし……」
帽子を外し、頭をボリボリと掻いた。
- 791 :名も無き異能都市住民:2011/08/11(木) 00:10:14 ID:q5cU/m5k0
- 【異能都市波止場】
佇む影はただ海を見据える
「……」
振り返れば煌びやかな都会がそびえ立ち
その眩しさに僅かに目を細めた
――ザッ
踏み出す足は夜にして尚明るい都市に向く
歩みは軽快に淀みなく
街灯がその姿を顕わにした
『――うゎ!?なに…?』
「―――…グエ」
通行人の驚く声を尻目に、一羽のペンギンが異能都市に降り立った…
【今、新たな物語が―――幕を開ける……!!】
【Coming Soon……】
(近日始動未定)
- 792 :黒沢小百合:2011/08/11(木) 23:55:21 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「…………。」
眉間に大量の皺を寄せ、不機嫌な様子で店に入ってきた小百合。
扉を力任せに閉めると、つかつかとヒールの音を響かせながらカウンターへ。
(麻薬対策特別チームの発足までこぎつけたはいいが……。
果てさて、これからどうなるものやらな。始まる前から難題が山済みだ。)
不機嫌の原因は、近日に正式に発足させる予定の大規模な麻薬取り締まりプロジェクト。
関係諸機関による大規模なの会合が今日、行なわれたのだが
いくつもの組織が絡むとなると、やはり考え、行動理念の違いから中々に足並みが揃わない。
(このままでは、結局今までの個別の活動と変わらない。
なんとかしなければならんな……。)
- 793 :沢桐老人:2011/08/14(日) 22:09:13 ID:3EaBc40s0
- 夜の公園で、白髪の、両脚部が義足の老人が、新聞を読んでいた。
「おっほ、こないだのゴキブリ退治が新聞に……騒音被害?
やりすぎてしまったかな……」
記事を読んで一喜一憂。
「……ふむ……いろいろと物騒だな、やはり。
もう少し平和な記事が無いものかな」
最近あった様々な事件を読んで、渋い顔をしていた。
- 794 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 22:22:41 ID:kgxnmc8.0
- >>793
老人の視界を横切るとある物質。
――ガコン!
地面と平行に進んで行くそれは自動販売機の横に設置された空き缶用の屑籠に軽快な音を立てて吸い込まれた。
数秒の静寂が流れ、白い女が遠方から歩いて来た。
「入ったー♪」
顔一杯で喜びを示し、老人の視線を横切っていく。
どうやら空き缶を入れたのはこの人間の様だ。
- 795 :沢桐老人:2011/08/14(日) 22:25:16 ID:3EaBc40s0
- >>794
「うわっ」
老人は缶が横切ったのを見て、
少しわざとらしく驚いた。
「ちょっとちょっと、危ないよ。
人が居ないところでやって欲しかったなあ」
白い女に振り向きながら言った。
- 796 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 22:28:33 ID:kgxnmc8.0
- >>795
「ん、ごめんよ。
次からは注意するよ」
立ち止まってそちらを見ると頭を下げて。
「……僕は散歩だけど、貴方もかな?」
下がった頭を上げると同時に横に倒した。
- 797 :沢桐老人:2011/08/14(日) 22:33:16 ID:3EaBc40s0
- >>796
「まあ、そんなところだよ」
新聞を折りたたみ、脇に置いた。
「少し暑いけれど、いい天気の夜には、つい、ね」
少し前かがみになり、笑顔になる。
義足がカチャリ、と音を立てた。
- 798 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 22:37:28 ID:kgxnmc8.0
- >>797
「暑いと、ね」
女の視線がその義足に向かっているのが解るだろう。
しかし、それも数秒の間。意図して視線から外したのだ。
視線の向かう先は少し横。
「それ、こっちに渡してよ。
大丈夫、次は安全にやる」
指さしたのはベンチの下。
老人の足元には空き缶が転がっていた。
- 799 :沢桐老人:2011/08/14(日) 22:41:52 ID:3EaBc40s0
- >>798
「ん、ああ。
こんなところに」
――カンッ、パシッ
脚を巻く様にして缶を蹴飛ばし、器用にキャッチする。
「ほら」
それを白い女に投げ渡した。
- 800 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 22:46:40 ID:kgxnmc8.0
- >>799
「ん、凄いね」
缶を捉える横で脚の使いに感心する。
視線は缶に戻り、それを捉え、
「ハッ……ってね」
右足を軸にして左足で蹴り込んだ。
僅かながらに放物線を描き屑籠の中へ。
「よし、上手く行った」
- 801 :沢桐老人:2011/08/14(日) 22:54:32 ID:3EaBc40s0
- >>800
「どういたしまして」
老人はニコリと返す。
「私は手よりも足のほうが器用なぐらいだからね。
この脚との付き合いも長い」
カチャカチャと脚を鳴らした。
- 802 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 22:59:44 ID:kgxnmc8.0
- >>801
「僕も似た様な物だけど、そこまでは無いかなぁ。それ程くらいにはなりたいと思うけどね」
もう一度脚を見て、暫く。
「それ、義足……だよね?」
- 803 :沢桐老人:2011/08/14(日) 23:03:38 ID:3EaBc40s0
- >>802
「ああ、義足だよ。
と言っても、実はあちこちサイボーグなんだが……。
一番最初に機械化したのがこの脚だったんだ」
間接を曲げて見せると、その隙間には機械が見え隠れし、
人間の足が装甲を纏っているようには見えなかった。
「脚だけ人工皮膚をつけていないんだよ」
- 804 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 23:09:15 ID:kgxnmc8.0
- >>803
「……気が付かなかったな、全身だなんて」
脚から離れた視線は老人の全体に移っていく。
顔や手等の露出した辺りを重点的に見ている様子。
- 805 :沢桐老人:2011/08/14(日) 23:14:23 ID:3EaBc40s0
- >>804
「……見ても解らないと思うけどね。
老化した皮膚の皺も再現されているし」
腕を動かしたりするが、機械の駆動音などは聞こえない。
相当優れた技術なのだろう。
「じろじろ見られると恥ずかしいだろう」
- 806 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 23:18:45 ID:kgxnmc8.0
- >>805
「……ここには何度も驚かされるばかりだね。
やっぱりここなら退屈もしないし住みやすそうだ」
老人から視界を広げて周囲を見渡す。
一周して老人にむかって微笑んだ。
「っと、ごめんよ。そういう癖があるみたいだ」
- 807 :沢桐老人:2011/08/14(日) 23:23:49 ID:3EaBc40s0
- >>806
「この街は刺激を求める人間には飽きないからね。
私も若い頃に一度離れたが、最近また戻ってきてしまったんだ」
ははは、と笑って返した。
「満喫するといい、でもまあ、気をつけなよ」
- 808 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 23:35:29 ID:kgxnmc8.0
- >>807
「ただ勉強の為ってとこなんだけど、刺激がほしいって言えばそう言う意味かもね」
こちらも声を上げて笑い。
しかし直ぐにその表情を崩して困り顔にして、
「うん、他と比べて遥かに物騒だって聞くしね。気を付けるよ」
大きく頷いて答えた。
- 809 :沢桐老人:2011/08/14(日) 23:43:23 ID:3EaBc40s0
- >>808
「新聞一つとっても物騒な事件ばかりだしね。
珍妙な事件は好きだが、物騒なのは嫌いだよ。
特にいろんな思惑が行き交う様なややこしい事件は……」
脇においていた新聞を手に取り、立ち上がる。
「そろそろ私は帰るよ。
眠くなってきてしまった」
それじゃあ、と手を軽く上げて、
カチャカチャと足音を立てて歩いていった。
- 810 :名も無き異能都市住民:2011/08/14(日) 23:55:11 ID:kgxnmc8.0
- >>809
「だからこそ楽しいとも言えるのだろうけどね。おやすみ」
そういって手を振ると彼女も歩きだす。
「僕も帰ってさっさとねーよおっ」
何処か上機嫌で公園を横切って帰っていくのだった。
- 811 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 15:52:02 ID:WVrfsEdY0
- 【箱庭内には大きな海が広がっている場所がある・】
【ちょうど夏場の海のような場所である。】
「…あう?いっぱいひとがきてるの」
【人の数に興味を持ったのか包帯をまいた少女もその中へと入っていった】
【海の家まで設置してあったりして、結構本格的である。】
- 812 :河平&栖苅ビィ:2011/08/16(火) 21:51:22 ID:kgxnmc8.0
- >>811
「あら、ディスちゃんじゃない?」
背後から掛けられる声。
声をかけたのは水色の衣服に身を包んだ女性。
その傍らでは少女hが綿あめを興味深そうに眺めていた。
- 813 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 21:57:03 ID:WVrfsEdY0
- >>812
「あう?えっと…
『びぃ』と『かわひら』なの〜!」
【大きく手を振って砂を踏んで歩いて行く】
「あう〜、ここはまぶしいなの〜。
それに…おっきーうみがあるの〜」
【真昼間のような海岸線をみて嬉しそうにしている】
- 814 :河平&栖苅ビィ:2011/08/16(火) 22:04:12 ID:kgxnmc8.0
- >>813
「こんにちは、久し振りね」
此方も歩み寄る。
綿あめに夢中になっていた少女は手を引かれて少しよろけながらも付いていく。
「こんな使い方もあったなんてね」
辺りを眺める様に見渡す。
- 815 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 22:06:44 ID:WVrfsEdY0
- >>814
「うん、ひさしぶりなの〜。」
【微笑んでいる】
「あうー、しらなかったの〜。
ここはたたかうだけじゃないなの〜」
【とりあえず海の家らしきところに足を運んでみる。】
「いいにおいがするの〜」
【くんくんと匂いをかぐ。焼きそばとかの匂いがしているようだ】
- 816 :河平&栖苅ビィ:2011/08/16(火) 22:18:46 ID:kgxnmc8.0
- >>815
「都市にも海は有るんだけど、港って感じだからね。
海水浴とかしたいんならこっちの方が良いかもよね?」
目の上を手で覆い遠い海の遠くを眺めている。
「海の家だとアミルとライナー君が居るわ。声をかけてみたら?」
どうやら二人はさっきまで一緒に海の家に居たらしく、今度は海の方へ行ってみるのだと言う。
『ディス、じゃあね』
今更ディスの存在に気付いたビィは小さく手を振ってそう言うと河平について行って海の方へ行ってしまった。
海の家では河平の言葉通りアミルと金髪の青年が一緒に居た。
少女の緑色の髪は人混みの中でも目印になる。いいね。
- 817 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 22:23:00 ID:WVrfsEdY0
- >>816
「うん、およげるところがあるのはいいことなの〜。
『でぃす』もおよぎたいなの〜」
「あう〜。ふたりがいるなの〜。
うん、ちょっといってみるなの〜!」
【軽く手を振って見送った】
「こんにちわなの〜。
ふたりもひさしぶりなの〜!」
【にっこり微笑んで海の家に少女が入ってきた】
- 818 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 22:29:26 ID:kgxnmc8.0
- >>817
「やぁ、アミルちゃんだよ!」
『おう、久し振りだな』
笑顔で焼きそばを頬張る少女、
その傍らには既に開いたトレーが3つ重ねられている。
それとは対照的に焼きそばを余らせている青年。食べ進めるスピードも遅い。
- 819 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 22:33:10 ID:WVrfsEdY0
- >>818
「あうー、おいしそうなの〜。」
【焼きそばの匂いを嗅いで目をキラキラ輝かせている】
「あうー、ふたりともやきそばたべてるなの〜。
『でぃす』もそれたべたいなの〜。」
【近くに座って見つめる。】
- 820 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 22:38:43 ID:kgxnmc8.0
- >>819
『そこで買って来い……買えるか? そもそも金はあるか?』
まぁ、いいか。と続けて言うと立ち上がる青年。
ディスに向かって手招きして、
『今日は奢ってやるよ、買いに行くぞ』
- 821 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 22:40:43 ID:WVrfsEdY0
- >>820
「おかね…あう、こんなところだとおもってなかったから
これだけしかないの…」
【100円玉が掌に乗っている】
「あう!ありがとなの!『らいん』なの〜」
【頭を小さく下げて微笑返した。】
- 822 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 22:46:53 ID:kgxnmc8.0
- >>821
『持ってるだけ上出来だ』
笑顔を見せるとディスを連れてカウンターへ。
財布から複数枚の硬貨を取り出すとそれを店員に私、代わりにトレーに入った焼きそばを受け取る。
『ほら、落とすなよ』
しゃがみ込んで渡すと念を押す。
- 823 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 22:50:22 ID:WVrfsEdY0
- >>822
「あう、ありがとなの〜!」
【シュルリと包帯を伸ばして
焼きそばの皿を手にとった】
「うーん、こういうところだってわかってたら
もっとおかねもってきたんだけどなの…」
【少し残念そうに言いながら席の方に戻っていく】
- 824 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 22:58:53 ID:kgxnmc8.0
- >>823
『そう言う使い道なのか、それ?』
少女の全人を覆う包帯を前から少々気にしていた青年であったが、
実際の所をみて驚いている。
『そうだな、こんなにも本格的だとは俺も思って無かった
ただ漠然と砂浜と海が広がってる物だと思ってたな』
だからこそこの人の量だ。と辺りを見て溜め息を付く。
ライナー個人が余り人の多い場所が好きではないのだろうか。
「おっかえりーww」
既に手元の物を食べ終えていて、二人の砲をみてニッコリ。
- 825 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 23:03:01 ID:WVrfsEdY0
- >>824
「あうー、こういうふうにできるんだよなの〜。」
【ちょっと得意げに言ってみる】
「もしかしたらいっぱいひとがくるからなのかなの〜!
うみにひとがくるってきいたことあるからなの〜」
【席に座って焼きそばを食べる準備をする】
「あう〜、いっぱいたべたねなの〜。
『でぃす』もおなかすいてるなの〜。」
【近くにある箸を手にとって言った】
- 826 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 23:13:44 ID:kgxnmc8.0
- >>825
『それも能力、か。
やっぱり面白いな、そう言うのは』
何処となく羨ましそうな口調で言って。
『さぁな。人か海かどっちが先かは解らんが、
こうも人が多いのはやっぱりそれだけの質が在るって事だろ』
「アミルちゃんが一杯いっぱい食べたのは美味しかったからかな?
ディスも早く食べると良いよ!」
- 827 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 23:23:46 ID:WVrfsEdY0
- >>826
「うん、いろいろべんりなの。
あんまりまわりのこわさなくてすむからなの〜」
【にっこり微笑んでいった】
「そうだねなの。
『でぃす』もおよぎたいときあるからなの〜。」
【どこか嬉しそうである。】
「あうー!じゃあ『でぃす』もいただきますなの〜!」
【橋を器用に使ってするすると焼きそばをすすり始める】
「むー!おいしいの!」
- 828 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 23:31:30 ID:kgxnmc8.0
- >>827
『俺も泳いだのは授業の時以来か……』
「因みにアミルちゃんは動けないからここでお留守番してるのだwww」
はっはと笑っている。
本人自体は楽しそうである。
「召し上がれ〜w」
じーっとディスを見るアミル。
「美味しい? 美味しい?」
- 829 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/16(火) 23:40:29 ID:WVrfsEdY0
- >>828
「『でぃす』はおさかなつかまたりしたことあったけどなの〜」
【そう言いながらどんどん焼きそばを食べていく】
「もぐもぐもぐもぐ、うん、とってもおいしいなの〜。
ここのはとてもおいしいなの!」
【結構な勢いで焼きそばがなくなっていく】
- 830 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/16(火) 23:57:13 ID:kgxnmc8.0
- >>829
『……?』
読解できなかった。
「そっか、そうだろぉw美味いぞw」
笑う少女は何故かすっごく楽しそう。
- 831 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/17(水) 00:01:36 ID:WVrfsEdY0
- >>830
「えっと…もぐっておさかなさんをつかまえたりしたことがある…
なの〜」
【ちょっと正確に説明した】
「うん、とってもなの〜!」
【そう言っているうちにあっという間に焼きそばを食い尽くしてしまった】
「うーん…」
【ちょっと物足りなそうだ】
- 832 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/17(水) 00:23:03 ID:kgxnmc8.0
- >>831
『魚か……。
そういえば、お前は魚は好きか?』
何か思うところがあるらしく、質問を投げかけた。
「早いwアミルちゃんと勝負できそうだな?
やってもいいけどお金がマッハwww」
『足りないなら食え。俺はもういい』
と、自分の余りを差し出した。
- 833 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/17(水) 00:28:45 ID:WVrfsEdY0
- >>832
「あう〜?たべられるのなら
なんでもすきなの〜!」
【にっこり笑顔で返した】
「あう〜、しょうぶ?そんなにおかねないなの…」
【ちょっとしょんぼりしたところで】
「あうあう!ありがとなの!」
【差し出された焼きそばを嬉しそうに取ってまた食べ始める】
「うーおいしいなの!もぐもぐもぐ」
- 834 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/17(水) 00:35:45 ID:kgxnmc8.0
- >>833
『そっか、俺も嫌いじゃないんだがな……』
会話自体に意味は無いようで、暇そうに店内を見渡していた。
「そうだね……アミルちゃんもそんなに持ってない……」
一瞬でしょげるアミルちゃん。
「そっか、美味しいのはいいことだね!」
でも一瞬で復活。
- 835 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/17(水) 00:40:25 ID:WVrfsEdY0
- >>834
「あう〜。おさかなはわるくないよなの〜」
【そう言って口をモグモグさせる】
「うん、なの〜!」
【そうこうするうちにそっちの焼きそばもなくなってしまった】
「ふー…うーん。あう、これくらいがいいかなの…」
【…まだ足りないっぽい感じであった】
- 836 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/17(水) 00:52:21 ID:kgxnmc8.0
- >>835
『俺の親戚が苦手でな。
少し思い出しただけだ、変な話振って悪かったな』
ポンポンとディスの頭を撫でる。
『まだ食うのか……!?』
驚きを交えた表情で見ている。
- 837 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/17(水) 00:56:01 ID:WVrfsEdY0
- >>836
「あうあうー。きにしないの〜!」
【ちょっと上機嫌な顔で答える】
「うーん。まだたりないけどがまんしないとなの…」
【ものたりないのを自制しているようだ】
- 838 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/17(水) 01:05:01 ID:kgxnmc8.0
- >>837
『偶には我慢も覚えとけ、何時か役に立つぞ』
そういうと立ち上がる。
アミルにも立つように促し、
『食べ終わったんだから出るぞ。
まだ人は多いんだ、居残ると迷惑になる』
「そろそろ時間じゃなーい?」
腰に付けたデバイスを取り出してにらめっこしながら。
- 839 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/17(水) 01:06:26 ID:WVrfsEdY0
- >>838
「うん、がまんするなの」
【大きく頷いて言う】
「あうあう、わかったの〜。
おそとにでるの!
およぎたいけどなの〜」
【外を見ながらつぶやく】
「あう?なにかあるなの?」
【取り出したものを見て首をかしげた】
- 840 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/17(水) 01:17:05 ID:kgxnmc8.0
- >>839
『泳ぎたいなら泳いで来い。
今なら河平とかいるんじゃないか?』
海の方を見つつ呟いて。
「いや、アミルちゃん達はかえろっかなーってねw
アミルちゃんは泳げないからすることが無いのだぁwww」
楽しそうにその場で何度も跳び跳ねる。
- 841 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/17(水) 01:20:58 ID:WVrfsEdY0
- >>840
「あう〜。およいでこようかなの!
ここならこのままでもへーきだよねなの!」
【微笑みながら両手を広げる】
「そっかなの〜…
うん、だいじょぶなの!うきわとかあったらだいじょぶだとおもうなの!」
【そう言うと】
「およいでくるなの〜!」
【大きく手を振って海へ走っていった】
- 842 :川堀アミル&ラインハルト=アドヴァルド:2011/08/17(水) 01:30:00 ID:kgxnmc8.0
- >>841
『ああ、行って来い』
「いってらっしゃーいww」
テンションの違いは有れど手を振る二人。
その後二人はそろって砂浜を出て行った。
- 843 :黒沢小百合:2011/08/20(土) 22:32:08 ID:SSMHlh/20
- 【AGカフェ】
「ぐ……今日は……疲れた……。」
殺人犯相手に大捕り物を演じ、ほぼ一日中炎天下にさらされていた小百合は
さすがに体力を使い果たして、カフェのカウンターで休んでいた。
(水が……体に染み込んでいくみたい……。
なにか、適当にご飯でも作ろう……。)
- 844 :高城 悠里:2011/08/25(木) 21:25:49 ID:OXzGfVe.0
- 「……良い夜ですねえ」
夜風に吹かれながら遊歩道を散策する一人の男。
黒い帽子にスーツという出立ちは、その場所には随分と合っていないものに見える。
しかし男はそんな事を気にする素振りすら見せず、悠々とした様子で散策を続けている。
傍から見ればかなり浮いた存在に見えるだろう。
- 845 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 21:34:42 ID:SSMHlh/20
- >>844
――タンッ、パララッ――ダダッ
ふいに、何度か。間合いをあけて連続した破裂音が響いた。
悠里が銃を扱った知識、もしくは戦闘経験等があればこれが銃声である事が分かるだろう。
発生源はごく近い。恐らく、1、2ブロック以内の距離だ。
- 846 :高城 悠里:2011/08/25(木) 21:42:30 ID:OXzGfVe.0
- >>845
「……っ!?」
突如として響いた謎の音。
ゲームや映画で聞いた事のあるソレは、
……銃声、ですかねえ?
ともかく確かめてみないと解らない。
男は破裂音のした方向へと走り出した。
が、
「……じ、自分の体力の無さを忘れてましたねえっ」
銃声の発生源らしき場所に到達した時、男の息はかなり荒れていた。
膝に手を置いて、深呼吸を繰り返している。
- 847 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 21:54:00 ID:SSMHlh/20
- >>846
遊歩道をしばらく歩くと、大きな公園の最深部にたどり着いた。
街灯が少なく、大きな雑木林のせいで都市中心部の明かりもほとんど届かないため
夜になると人通りが完全になくなる場所だ。
――パパパパッ、ダンッ
発光。銃声。暗闇に不規則に光が踊る。
暗く、人数すらよくわからないが少なくとも2つの小集団が、激しく戦っているようだ。
悠里に近い集団のほうが片方を人数的に圧倒しており、戦闘を優位に進めているように見える。
- 848 :高城 悠里:2011/08/25(木) 22:02:05 ID:OXzGfVe.0
- >>847
「……ひいっ!?」
暗いので良く解らないが、どうやら銃撃戦が行われている様だ。
男は悲鳴を上げると、息を整える事も忘れて横の煉瓦造りの壁に身を潜めた。
……なっ、何がどうなって……!?
慌てて息を整えながら、男が懐から取り出したのはブルーの携帯。
どうやら警察を呼ぶつもりらしい。が、手が震えてボタンをプッシュする事すらままならない。
- 849 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 22:10:41 ID:SSMHlh/20
- >>848
――ビスッ
悠里のすぐ近くの木の幹に流れ弾が着弾。
木の皮が細かく砕け宙に舞い、微かにこげた臭いが漂う。
この場所は危ない。ちょうど、悠里から見て
遠い方の陣営の射線に入ってしまっている。
- 850 :高城 悠里:2011/08/25(木) 22:19:43 ID:OXzGfVe.0
- >>849
「…………ひ、ぁ」
流れ弾。
男は声にもならない呻きをあげると、手に持っていた携帯を地面に落としてしまった。
慌ててそれを拾い、辺りの様子を窺うと、
……あぶ、ない……っ!?
どうやらここは向こう側の陣営から狙われる位置にあるらしい。
男は一目散に、向こうの陣営から隠れられそうな場所へと走り込もうとする。
- 851 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 22:29:37 ID:SSMHlh/20
- >>850
近くにあるのは雑木林のみで、利用できそうな遮蔽物は立ち並ぶ木以外ない。
それがこの周辺に意図が寄り付かない要因になっている。
……が、既に戦闘は収束しつつあった。
やはり多勢に無勢。小勢であった向こう側の集団が壊滅、
もしくは敗走したらしく、発砲はかなり散発的になっている。
勝利したほうの集団はこの暗闇の中、ライトで何かを探し回っているようだが……。
- 852 :高城 悠里:2011/08/25(木) 22:38:03 ID:OXzGfVe.0
- >>851
「はっ、は、はっ…………」
懸命に駆け回ったものの、身を隠せそうな遮蔽物は特に無し。
そうこうしている内に戦闘は終結を迎えた様で、どうやら向こう側の陣営が撤退をしたようだ。
荒れた息を整えながら、男は残った集団が何をしているのかを雑木林の中から窺う。
手には携帯電話。万が一の場合はこれで証拠写真を撮るつもりらしい。
- 853 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 22:51:57 ID:SSMHlh/20
- >>852
最近の携帯電話のカメラ機能というのは中々に高性能な物で、
夜用の補正機能を使うと、ぼんやりとだが男たちが何をしているのかが見えてきた。
警戒した様子で時折辺りの様子を窺いながらも、
男たちはライトで地面を照らし、何かを探している。
その周囲には、4,5名の男が倒れており身動き一つしない。
出血も酷く、恐らく全員死亡していると見て良いだろう。
『――ぞ。掘り――だえ。』
ふいに一人の男が、周りの者を呼び寄せた。
どうやら、目当ての物を発見したらしく、地面をスコップなどで掘り返し始めたのが見える……。
- 854 :高城 悠里:2011/08/25(木) 23:04:37 ID:OXzGfVe.0
- >>853
「一体何を……?」
携帯越しに集団の動向を窺いつつ、そう疑問の声を小さく呟いた男。
集団の方にまで聞こえるような声量ではない。恐らく大丈夫だろう。
……写真は危険ですねえ。
携帯で写真を撮る場合、どうしてもシャッター音が鳴ってしまう。
そうなれば向こうの集団にこちらの存在がバレてしまうのは言うまでもない。
そこで男は写真ではなく、動画を撮る事にした。
画質こそ多少劣化するものの、集団の声も入る筈だ。
きちんと設定も夜用に、かつバレない様に変更した。多分大丈夫だろう。
震える指を動かし、動画の撮影を開始した。
- 855 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 23:14:49 ID:SSMHlh/20
- >>854
――ザッ――ズサッ
ほんの30秒ほど、男たちの一人がスコップを振るっただろうか。
地面に開いた穴から、ビニール袋に包まれた何かを取り出し、中身を確認する。
目的の物だったのだろう。男たちはそれをトランクに乱雑に詰め、
そそくさとその場を立ち去っていく。
- 856 :高城 悠里:2011/08/25(木) 23:22:47 ID:OXzGfVe.0
- >>855
「……行きましたか」
男はその一部始終を撮影し、集団が去っていくのを見計らって雑木林から出てきた。
倒れている複数の死体を写真で撮ると、男は周囲を良く観察していく。
何か先程の集団に関する手がかりとなりそうなものを探しているのだ。
携帯の光を利用しつつ、地面を探っていく。
- 857 :名も無き異能都市住民:2011/08/25(木) 23:35:26 ID:SSMHlh/20
- >>856
残されたのは多量の弾丸と、死体。
例の男たちが掘り返した穴や、その周辺を探してもそれ以外
特に何も見つからなかった。
そもそも、携帯電話の光だけでは詳しい調査が不可能だ。
――ウー――ウー――。
……こちらに近づくサイレンの音が聞こえる。
これ以上ここにいれば、関係者と間違われる可能性がある。
そろそろ此処を立ち去ったほうがいいだろう。
- 858 :高城 悠里:2011/08/25(木) 23:40:58 ID:OXzGfVe.0
- >>857
「此処は危険ですねえ……」
携帯を懐に仕舞い、死体を一瞥すると、
男はこの場から足早に立ち去っていった。
家にたどり着いた時、男が酸欠状態に陥っていた事は言うまでもない。
/絡みありです、乙でしたっ!
- 859 :ディス/騎士見習い少女 ◆Dix.OeuOIQ:2011/08/29(月) 21:49:54 ID:WVrfsEdY0
- 【…戦闘が終わってから数分】
【全身に手裏剣をさしたままの少女がそこにいる】
「…すー」
【寝息を立てていなければそれはまるで死んでいるかのように見えただろう】
【それほどの重症を負いながら、まるで何事もないかのようにぐっすりと眠っているのである。】
- 860 :高城 悠里:2011/08/31(水) 21:39:35 ID:OXzGfVe.0
- 「……一体あれは何だったんでしょうねえ」
そんな事を呟きながら夜の繁華街を歩く一人の男。
黒帽子にスーツといういつも通りの出立ちの彼は、手をズボンのポケットに突っ込みながら歩いている。
特に目的地は無いようで、様々な店舗を覗きながらの様だ。
「考えても仕方無い、ですかねえ」
懐から携帯を取り出し、右手で操作していく。
目線は携帯に向いている為、今の男の状態は些か前方不注意だ。
- 861 :バルト・アンデルセン:2011/08/31(水) 21:57:44 ID:SSMHlh/20
- >>860
「こんばんは。」
ふいに背後から悠里に投げかけられる声。
この声はこの前あったばかりの不思議な子供――バルトのものだ。
「この前は、去り際に礼を欠いていたな、と思ってね。
一言謝ろうと、探していたんだ。」
ちょうどこの辺は、例のゲームセンターの近く。
この周辺で張っていたのだろうか。
- 862 :高城 悠里:2011/08/31(水) 22:09:40 ID:OXzGfVe.0
- >>861
「…………?」
と、背後から聞こえてきた聞き覚えのある声。
携帯を仕舞って振り返ってみると、案の定そこにはバルトの姿が。
「やあこんばんはバルト。わざわざそんな細かい事を気に掛けているなんて、君は本当に愛らしいですねえ」
目を細めるような笑みを顔に浮かべて、両手を左右に広げる。
些かパフォーマンスが派手な気もするが、気にしなくても大丈夫だろう。
と、男が何かを思い出したように懐を探ると、
「さて、今日はバルトにプレゼントがあります」
取り出したのはストラップより少し大きめな、デフォルメされた羊の人形。
それをバルトに手渡そうと、男は笑顔のまま持った手を差し出した。
- 863 :バルト・アンデルセン:2011/08/31(水) 22:16:18 ID:SSMHlh/20
- >>862
「これを……僕に?」
おずおずと羊の人形を手に取り、傾けてみたり指先で軽く羊を押してみたり。
生地の柔らかな手触りがなんとも心地よく、良い品であることは素人にも明らかだ。
「ありがとうっ……。大切にさせてもらうよ。
今考えれば、こういうものを持ったことは無かったな……。」
- 864 :高城 悠里:2011/08/31(水) 22:23:48 ID:OXzGfVe.0
- >>863
「この前は結局人形を取ることが出来ませんでしたしねえ」
そのお詫びみたいなものです、と笑顔のまま男は続ける。
職人肌の彼がそれ相応の手間暇を掛けて創ったものだ。喜んでもらって何より。
「さて、実はこの人形にある面白い事を仕掛けられるんですが……」
しますか?と言わんばかりの視線をバルトに送った。
- 865 :バルト・アンデルセン:2011/08/31(水) 22:28:56 ID:SSMHlh/20
- >>864
「面白いこと……?」
何か仕掛けが施されているのだろうか。
指で表面を探ったり、もう一度人形を傾けて別の角度から見てみたり。
スイッチやボタンの類を探してみるバルトであったが
自分では見つけられなかった。
「『面白い』というのはとても興味があるね。
僕は元来、遊び好きの生き物なんだ。」
どこか大人びた、澄ましたような態度をとる事が多いバルトだが
今回ばかりは子供らしい笑みがこぼれる。
- 866 :高城 悠里:2011/08/31(水) 22:48:41 ID:OXzGfVe.0
- >>865
「探しても無駄ですよ、今からネタを仕込むんですから」
目を細める笑みを浮かべたまま、口から笑い声を漏らす男。
そしてバルトから承諾の言葉を聞くと、
「では、始めますね……」
そう言って右手をゆっくりと伸ばしていき、その手が羊の人形に触れた。
それを軽く一撫ですると、伸ばした手を引っ込めて、
「さ、違いを見つけてみて下さい」
バルトに対してそう言った男。
もしバルトが人形を注意深く眺めれば、その変化に気がつくだろう。
そう、人形が独りでに動き始めているのだ。
- 867 :バルト・アンデルセン:2011/08/31(水) 22:57:32 ID:SSMHlh/20
- >>866
「ふむ……。」
バルトは最初、何が起こったのかわからず
目をパチパチと瞬かせていたが、羊の耳がぴくぴくと生きているかのように
動いたのを見つけて、顔をほころばせる。
「へえ……! 無機物や人形に命を吹き込んだりする術だとか、
そういう類の魔術の存在は本で読んだけれど、すごい……。」
掌の上の手乗り羊を落とさぬようにしながらも、
ゆっくりと、力を加減して喉を撫でてみる。
- 868 :高城 悠里:2011/08/31(水) 23:32:37 ID:OXzGfVe.0
- >>867
「ふふ、喜んでいただけて何よりです」
くすぐったそうに震える羊の人形。どうやらそれなりにバルトに懐いているようだ。
その様子を見て、男の笑みもより一層深いものになる。
「名前などを決めてあげてはいかがです?」
そんな事を提案してみる男。
便宜上、名前が無いと不便だと感じたのだろうか。
- 869 :バルト・アンデルセン:2011/08/31(水) 23:43:55 ID:SSMHlh/20
- >>868
「名前か……そうだね。名前と言うのは、
アイデンティティを確立する上で、最も分かり易いものだからね。
ちゃんとした名前を考えてあげないと……。」
悠里の提案にぽんと相槌をうち、思索に耽る。
……ほんの30秒ほど、額に指を当てていたがバルトであったが。
「……クラッグ、というのはどうかな。
シートン動物記に出てきた、羊のクラッグ。」
- 870 :高城 悠里:2011/08/31(水) 23:54:11 ID:OXzGfVe.0
- >>869
「クラッグ……良い名前じゃないですか。きっとその子も喜んでますよ」
言って、笑みを浮かべる男。
クラッグも同意するかの様にバルトの指に体をこすりつけた。
「ああ、その子は軽い浮遊能力も持ってますから、落としても大丈夫ですよ」
付け加える様に言い。
- 871 :バルト・アンデルセン:2011/09/01(木) 00:06:45 ID:SSMHlh/20
- >>870
「ふふ、これからよろしく。クラッグ。」
なにやら奇妙だが、『友』が新たに増えたのだ。
人とのかかわりの中に、面白さを見出すバルトが喜ばないはずが無い。
「……悠里さん、ありがとう。
こんな素敵なプレゼント、いままで見た事がないよ!」
満面の笑み。悠里とバルトが出会ってから
まだ多くの時間がたったとはいえないが、バルトはこれまでで最高の笑みを浮かべた。
- 872 :高城 悠里:2011/09/01(木) 00:14:34 ID:OXzGfVe.0
- >>871
「ふふ、こちらこそこんなに愛らしい笑顔を見せて貰えて……礼を言いたい位ですよ」
こちらも返すようにバルトに笑みを見せ、
そして男は右手を伸ばし、バルトの頭を優しく撫でようとする。
- 873 :バルト・アンデルセン:2011/09/01(木) 00:23:28 ID:SSMHlh/20
- >>872
「うふふ。」
悠里の手が、頭に触れる。
じんわりと暖かく、心地よい。
「あまり一緒にいると、私ばかりいい気分になってしまうね。
今日はもう遅いからそろそろねぐらに帰るけれど、今度は僕から何かさせて欲しいな。」
バルトが微笑む。
次の瞬間、その体はまるで水が砂に染み込むように
地面へと溶け消えてしまって。
「では、ごきげんよう。」
ただ、あの中性的な声だけが残った。
// そろそろ〆でいいかなー。悠里さん絡みありがとう!
- 874 :高城 悠里:2011/09/01(木) 00:36:19 ID:OXzGfVe.0
- >>873
「ええ、ではまた」
その場から突如として消えてしまったバルトに、しかし男は驚かずに、
笑顔で別れの言葉を告げると、その場から立ち去っていった。
「……ねぐら、って言ってましたよね。まともな生活送ってるんでしょうか?」
……いざという時は保護しないとですね。えへ、えへへ……。
そんな事を思いながらも、男の姿もまた闇へと消えていった。
/途中遅れてすみません
/絡みありです乙でしたっ
- 875 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/03(土) 19:48:15 ID:WVrfsEdY0
- 【一人の少女がAGカフェの中から外を見る】
「こまりました…すごい雨です。」
【ガタガタ鳴る窓ごしに暗い空から叩きつける雨を見つめていた】
「…ふーむ。傘を忘れたのが痛手でした」
【どうしたものか…と軽く頭を抱えて考えだした。】
- 876 :バルト・アンデルセン:2011/09/04(日) 00:23:17 ID:SSMHlh/20
- >>875
「ふう、酷い雨だ。まったく……。」
来客を知らせる鈴の音と共に、AGカフェへと足を踏み入れる童子。
既に濡れ鼠といった風体だが、ミステリアスな紫の頭髪と白い肌から
醸し出される雰囲気は泥臭いどころか優雅。
客もまばらな店内を見回すと、入り口近くの適当な卓に着き
店のメニューを読み始める。
- 877 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/04(日) 00:30:25 ID:WVrfsEdY0
- >>876
「おや、あまやどりでしょうか。」
【入ってきた子供?を見て首を傾げる】
「ココにはいろんな人が居るんですねー。
どんな型なんでしょうね。」
【興味が有るのか、ちょっと近づいてきた。】
- 878 :バルト・アンデルセン:2011/09/04(日) 00:40:32 ID:SSMHlh/20
- >>877
近づいてきた防人に気づき、柔和な笑みを浮かべ会釈するバルト。
近くで見てみも、男なのか女なのかよく分からない。
奇妙なのは、先ほど神から滴り落ちるほど雨に濡れていたにも関わらず、
既に、水の一滴も見られないほど、この人物の服や頭髪が乾燥している点だ。
- 879 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/04(日) 00:45:33 ID:WVrfsEdY0
- >>878
「あ、どうも。私は防人鶫(さきもりつぐみ)といいます。
その…千夜学園の生徒です。あなたは…」
【と、いったところで不思議そうな顔をした】
「むー、どうして頭がもう乾いているのでしょう。
何らかの能力でしょうか?」
【とても興味津々といった感じだ】
- 880 :バルト・アンデルセン:2011/09/04(日) 00:57:18 ID:SSMHlh/20
- >>879
「千夜学園……ああ、それでその千夜学園の生徒が
一体僕に何の用かな……ん、頭……?」
防人が話しかけてきたことにも、千夜学園と言う名称にも
どこかいぶかしげに顔をかしげる目の前の童子。
「ああ、これですか。なんと言えばいいかな。
……能力でもなんでもなくて、一言で言えば『体質』かな。
説明するにも、どうすればいいか。」
- 881 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/04(日) 01:15:18 ID:WVrfsEdY0
- //遅れてすいません
>>880
「いえ、世の中のいろんな人を知っておこうかと思いまして」
【要するに異能都市の見聞を広めるということだろう】
「体質ですか…さすが異能都市。
いろんな種類の人間が居るものです」
【普通に感心している。】
- 882 :バルト・アンデルセン:2011/09/04(日) 01:24:24 ID:SSMHlh/20
- >>881
「……で、他に何か。」
いきなりやってきた人間にどういうわけか感心されてしまった。
バルトはどう反応していいか分からず、曖昧な笑みを返すだけで。
- 883 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/04(日) 01:28:09 ID:WVrfsEdY0
- >>882
- 884 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/04(日) 01:30:03 ID:WVrfsEdY0
- //ミス
>>882
「いえー。お外も結構台風がひどくて…
おかげで私も外に出られないままなんですよ。」
【そう行って未だに風雨激しい窓の外を見る】
「それで。あんまりお金もなくて、といって話し相手もいなくて。
どうすればいいかと考えておりまして。」
【ちょっと申し訳なさそうに頬をなでる。】
- 885 :バルト・アンデルセン:2011/09/04(日) 01:48:53 ID:SSMHlh/20
- >>884
「それはお気の毒に。豪雨と言うのは監獄に等しいからね。
自然の作り出す大いなる監獄。」
陰鬱に、外を眺めているバルトだったが
何かに気づいたように目を見開き、さーっと顔色が青くなって。
「ご、ごめんなさい、ちょっと急用を思い出した。
早く行かなきゃ……。」
がたんと、乱暴に席を立ち店の外は走り去るバルト。
彼が何を思い出したのか防人には知る由もないが、台風が去った後
都市の一角でびしょぬれの本を干しているバルトの姿が目撃されたという。
- 886 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/04(日) 01:52:07 ID:WVrfsEdY0
- >>885
「ええ、その…
暇だからというわけではないのですが…純粋な好奇心もあるというか」
【慌てて取り繕う鶫】
「え?あ、はい。また今度逢いましょうねー」
【慌てて立ち去ったのを見てこちらも慌てて見送った】
【台風が去るまでは身動きが取れなかったという。】
- 887 :フェルティア:2011/09/05(月) 00:16:33 ID:/dcbmERE0
- 【千夜学園にほど近いオープンカフェ】
財布に余裕のない学生でも、気軽に小洒落た気分を味わえると評判のオープンカフェ。
夕焼けに照らされる店先のテーブル席、そのひとつに、足を組んだ一人の女子生徒が座っていた。
「……ホントに来るのかしら。フラン姉の言うことを疑う訳じゃないけど、一度殺しかけた相手よ?」
秋風、という名前に変わりつつある風に、淡い緑色のツインテールを揺らしながら、彼女、フェルティアは疑わしげに呟いた。
彼女の横では鈍い灰色をした屋外用の箒が、カフェと道路を分ける木製の柵に寄りかかって、やはり夕焼けに染まっている。
周りの席はもうガラガラだ。学生に人気、と言っても遅くまでたまるような場所ではないのだ、ここは。
- 888 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 00:28:31 ID:SSMHlh/20
- >>887
それから、数分の後。
――キュゥッ
軽い摩擦音と共に、ゆっくりとカフェテリア前に停車する黒塗りの車輌。
高級車中の高級車、ご丁寧に防弾装備の施された小百合専用のキャデラックDTSリムジンだ。
「……申し訳ありません、少し待たせてしまいましたか。」
車から、優雅に降り立った一人の女性。
秋風に揺れる長く艶やかな黒髪と流れるような鋭い瞳。
以前、フェルティアが殺しかけた相手。黒沢小百合に違いない。
- 889 :フェルティア:2011/09/05(月) 00:41:23 ID:/dcbmERE0
- >>888
(マジで来たのね……。それにしてもこんな車が学校の近くに止まってるってのは、
中々無いシチュエーションだと思うのだけど……用心深いんだか、非常識なんだかわからないわ)
そんなことを考えながら、フェルティアは席から立ち上がって小百合に会釈する。
目上の者(らしい)人間にはこうするべきだという習慣は、艦隊に居た頃に染みついていた。
「初めまして……じゃないけど、顔見知りって間柄でもない。こういうの、よくわからない関係ですね。
こういう場合、何て言えば良いんでしょうか?
「円滑な人間関係を築く」というものに慣れていないので、まずはその辺りからご教授いただきたいのですが」
- 890 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 00:55:04 ID:SSMHlh/20
- >>889
そんなフェルティアの考えを知ってか知らずか、
小百合は向かいの座席に着くなり、まっすぐに瞳を見つめて。
「……そういう、他愛のない『クッション』で話の本質から眼を逸らす事を私は好みません。
今回、私が貴方と話しをしたいと思ったのはほかでもなく、貴方から敵の情報を聞き出すためです。」
ほとんど睨むような、敵意に満ちた小百合の視線。
彼女が恐れられる理由のひとつは、自分の意にそぐわない相手へのこの、
刺し貫くような敵意にある。
「そして、例の『検査』についても。
こちらとしては、貴方の内部だけでなく。外部装甲や武装のテスト、分析も行ないたいのでね。」
- 891 :フェルティア:2011/09/05(月) 01:07:20 ID:/dcbmERE0
- >>890
「へえ、ストレートティーがお望みってワケ。ま、いいわ。こっちとしてもその方がやりやすいし」
敵意の視線が刺さってもフェルティアは動じないどころか、口元に笑みまで見せて席に戻った。
この程度の敵意に動じていたら、あの艦隊の中ではやっていけない。むしろ、陽光のように享受してしかるべきなのだ。
そうしてから、相手の喉元をかき斬れば良い。それが日常だった。
……が、あの世界から自分が引きはがされたことも、フェルティアは十分にわかっている。
この場で小百合に襲いかかろうという気は毛頭無かった。
「敵の情報と検査、ね。いきなり要求が多すぎるような気もするけど。
……じゃ、何から教えてほしい? それとも検査から先に始めるの?
先に言っとくけど、あたしはこんな所でストリップなんか真っ平ゴメンだからね」
- 892 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 01:19:20 ID:SSMHlh/20
- >>891
「ええ、その通り……といいたいところですが、
生憎、私はコーヒー党でしてね。」
憎まれ口半分の冗談を飛ばす小百合。
同じく、商談用の柔和な笑顔を顔に貼り付けて見せたがそれでもなお、
瞳にはらんらんと敵意と悪意だけが輝いていて。
「当然、先に情報を頂きたい。検査は千夜のラボで行ないますからね。
ミスティックフリートの規模、装備、主だった人材、協力者など。
なんでもよろしい、とにかく全ての情報を頂きたい。」
つい先日まで、例の敵中にいたのだ。
フランシスカやアシュレイを呼び出して尋問するより、良いデータが得られるはず。
- 893 :フェルティア:2011/09/05(月) 01:37:57 ID:/dcbmERE0
- >>892
「なるほろ? ま、この店は学生相手でも味は妥協しないらしいし、じゃんじゃん飲んでいったら?
迷惑料の手付けとして、最初の一杯は奢らせてもらうわ、ねっ!」
フェルティアはポケットから五百円硬貨を取り出すと、近くを通りかかったウェイトレスのトレイに向かってコイントス。
いきなりのことで困惑するウェイトレスに「黒いの一杯、このご婦人にね」とだけ言い、小百合に視線を戻す。
「で、あの艦隊について知りたいんだっけ? じゃあまずは規模から。
フラン姉から聞いてるかもだけど、旗艦は「タイタス」って呼ばれてる双胴空母型の研究施設ね。
あたしの古巣のそいつは、500メートル級のバカでかい空母を二つくっつけた、かなり大きい艦よ。
んで、そいつの周りにコバンザメみたいにくっついてる護衛の駆逐艦やらイージス艦やらが、あわせて……えー、30隻くらい?
そいつらをみんなひっくるめて「ミスティック・フリート」って呼んでるわ。
正しくは、カノッサ機関極東第二支部・双胴空母型洋上研究艦「タイタス」及び護衛艦艇群っていうみたいね」
- 894 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 01:51:51 ID:SSMHlh/20
- >>893
「双胴空母……空母同士をくっつけるなど、
ツインムスタングじゃあるまいし無茶苦茶な……。」
艦艇30隻となるとかなりの大艦隊、まさに移動する小国家といってもふさわしいだろう。
そんな規模の舞台が都市の殲滅を狙っているとなるとこれはいよいよ持って
ただ事では済まなくなる。
「……カノッサ、ですか。あの機関も一枚岩ではないことは知っていますが
なにしろ何をやっているのか、目的すら不明の組織ですから一体どういう事なのか
検討すらつきませんね……。」
しかし、目的はどうあれ相手が攻撃を仕掛けてくるなら自分のスタンドを精一杯使うだけ。
小百合は、静かにフェルティアの次の情報を待つ。
- 895 :フェルティア:2011/09/05(月) 02:09:43 ID:/dcbmERE0
- >>894
小百合の前にフェルティアが注文したコーヒーが運ばれてくるが、彼女はそんなことはおかまいなしにしゃべり続ける。
「昔はタイタス一隻だけじゃなくて、「セラエノ」「ナムリス」っていう同タイプの研究艦があったらしいんだけど、
セラエノは時空ブラックホールの渦に消えて、ナムリスは門の姿をしたバケモノに飲み込まれて消えたらしいわ。
……ここまで言えばもう察しが付くと思うけど、この艦隊は地上じゃ危なくて出来ない類の研究を主に取り扱ってる、狂人の集団よ。
自分の命より、研究の成果。英知は命より尊し。そんな奴らだけが集まって出来た、あたしが知る限り最も狂った艦隊ね」
そこで一旦言葉を切り、足を組み直す。
「で、そいつらがあたしとフィーをこの街に寄越した理由だけど……残念ながら、あたしは知らないわ。
大殲滅兵器であるフィーを動かすときは、大抵、機関に反抗的な街を潰す時だけだから、今回もそうだと思ってたんだけど……。
どうも、今回ばかりは違うみたいなの。担当の士官は「この街が反抗的だから」って、いつもの言葉を繰り返したけどね。
……何て言えばいいのかな。祭りを前にして、眠れない子供のそれみたいな、そんな熱気みたいなのが、艦隊を包んでたわ」
- 896 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 02:24:48 ID:SSMHlh/20
- >>895
「今回も同じく、ブラックホールに消えるなりなんなりして
自滅していただけると、こちらとしては有難いのですけれどねぇ……。」
コーヒーにテーブル備え付けのミルクと砂糖を入れ、かき混ぜる小百合。
少し冷ましてからのほうが好みの小百合は、まだ口をつけない。
「考えられるのは、この都市を新兵器の実験台として使うつもりでしょうか……。
しかし、貴方達を送り込んだ事が解せない。私たちの実力を測るつもりだったのか、
それとも、別の何かか……。」
小百合自身、人命軽視だのなんだのと批判を受けることは多いが、
ほんとうに人の命をなんとも思っていない、狂気に犯された軍団が手段を選ばずこの都市を狙っている。
その事実だけで、心臓を凍りついた手で握りつぶされるような感覚に陥りそうだ。
- 897 :フェルティア:2011/09/05(月) 02:38:27 ID:/dcbmERE0
- >>896
「あの「提督閣下」が艦隊のトップに立ってからは無茶な研究もやってないみたいだし、
消滅は期待するだけ損ね」
諦めた顔をして肩をすくめる。それからすぐに、何かに気づいたような顔をして、
「……あーでも、実力を測るってのはアリだと思うわね。
大殲滅兵器「火」だけ欠番してたけど、ついこないだ完成したって話聞いたし。
廃棄処分のついでにフィーとあたしにここの「程度」を探らせて、それから「火」を試験投入する。
うん、イイ感じじゃない。平常運転の艦隊だわ」
その言葉は、明確に小百合を捉えていない。自分に話しているようでもある。
- 898 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 02:47:24 ID:SSMHlh/20
- >>897
「その提督、というのは現在の指揮官なのですね。
一体、どのような人物か。分かる範囲で答えていただきたい。
名前、容姿、能力、人望や人柄。組織内に敵はいるのか。」
そのような大規模な艦隊を運用する以上、ある程度の能力があるはず。
しかも、無茶な実験をやっていないということはそれなりに正常な判断ができるようだ。
「火」とやらがどんな物かは知らないが、まずは敵の指揮官のことを知りたい。
// どうしませう、そろそろ切りますか。
- 899 :フェルティア:2011/09/05(月) 03:05:32 ID:/dcbmERE0
- >>898
「提督閣下」について訊かれると、フェルティアは途端に苦い顔をして、
「あー、提督閣下ね……。名前は知らないわ。ってか、艦隊の誰も知らないんじゃないかしら。
だってあの人、機関の真ん中に近い辺りから出向してきた人だから、名前も知っちゃいけないのよ。それくらい偉いわ。
見た目は厳ついオッサンだけど、それ以上はわからない。知っちゃいけない。そういう扱いね。
まるで天にまします四文字サマみたいじゃない? 態度もそれなりの大きさで、正直あたしはああいうタイプ、嫌い」
頭に浮かんだ「提督閣下」についての情報を、フンと鼻で笑って取り去る。
しかし、そのあとにひどく真面目な顔になって、
「でも、あいつの力はマジだとおもうわ。何たってミスティック・フリート、
あの大船団を、地球の裏側まで一瞬で運ぶ芸当ができるくらいだからね。
あたしもちょっとやそっとじゃ驚かないキモを持ってるつもりだけど、あれには死ぬほど驚いたわね」
//ムムッ、もうこんな時間ですか。ではこの辺りで切りませう。
- 900 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 03:12:29 ID:SSMHlh/20
- >>899
「ふーむ……名前を知らない、か。
末端の人間が知らないだけならまだしも、運用に支障は出ないのだろうか。」
敵のことを心配しても仕方がないが、とにかくフェルティアのいう事が真実であるなら
瞬間移動能力の凄まじさに関してはもはや言葉がない。
艦隊を一瞬にして都市近海まで移動、例の『大殲滅兵器』とやらを使用されれば
たとえ小百合といえども、防ぎようがないからだ。
「では、その大殲滅兵器についてなにか。
この前のあの竜は風、でしたね。『火』についてはもちろん。
他のものについても教えていただきたい。」
// それではおやすみー
- 901 :フェルティア:2011/09/05(月) 22:02:57 ID:RE/jXp3E0
- >>900
「他の大殲滅兵器についても、よくは知らないわ。
あたしが艦隊に配属されて以来、常駐してたのはあたしとフィーだけだからね。
ただ、聞くところによると、「水」は海とかの水が多くあるところなら最強で、
「地」は人が多く集まっているほどその力を発揮するらしいわ。どういう意味かはわかんないけど。
それと、最近完成した「火」は文字通りの大殲滅レベルの火力を有する兵器っていう、呆れるくらい簡単なコンセプトよ。
もちろんこいつも見たことは無いわね」
指を折りながら、フェルティアは記憶を絞り出すように言った。
他の大殲滅兵器について、彼女が持っている情報は少ないようである。
「けど一つだけ言えるのは、どいつもわざわざ人間と対等に渡り合えるようには造られていないってことね。
能力者を含めた人間ごと、都市を滅ぼすことを目的として造られたモノたち。それが大殲滅兵器よ」
- 902 :黒沢小百合:2011/09/05(月) 22:34:57 ID:SSMHlh/20
- >>901
「ふむ……大方予想通り、といったところですか。」
(ただ、『地』だけは別だ。想像もつかないが……。
私の能力では、性質上破れないかもしれない……。)
「……ほかに、私に対して言っておくべきことなど、ありますか。
なければ、検査の話に移る……といっても、それについては話すべきことなど
場所と大まかなないよう程度ですが。」
- 903 :フェルティア:2011/09/05(月) 22:55:15 ID:RE/jXp3E0
- >>902
「他に話しておくべきことねぇ……」
何かあるような気がして記憶を手繰り始めたフェルティアを、突如鳴り始めた彼女の携帯が邪魔をした。
フェルティアは怪訝な顔をしながらポケットから携帯を取り出し、
「と、ちょっと失礼。
……何か用事、フラン姉? え、アシュレイが? うん、うん……はぁ!?
それってどういう……」
一度小百合の方をちらっと見て、「うん……ええ、わかったわ」と言い、通話を終える。
携帯をポケットに戻したフェルティアは、眉をハの字に寄せながら、
「うーん、よくわかんないんだけど、どうもウチの怖い妹御がこっちに向かってきてるらしくて。
検査とか言ってる場合じゃないみたい」
- 904 :黒沢小百合:2011/09/06(火) 20:55:38 ID:SSMHlh/20
- >>903
「…………。」
フェルティアがアシュレイの名前を出した途端、露骨に小百合の顔が曇った。
プライドが異常に高い小百合は、まだ以前の敗戦を認めていないのだ。
「あの、『ゼンマイ仕掛け』は一体何のためにここにくる?
まったく忌々しい。また私の邪魔をするつもりなのか……。」
吐き捨てるように言い放った小百合は、
そのまま拳を卓へと叩きつけた。
- 905 :フェルティア:2011/09/07(水) 21:38:12 ID:Anb9ClZs0
- >>904
「ゼンマイ仕掛け? 「また」邪魔?
一体どういうことよ?」
振り下ろされた拳によってガチャガチャと踊ったテーブルの上のカップたちを一応確認しながら、
フェルティアは物怖じせずに不機嫌そうな小百合へ疑問をぶつけた。
小百合の顔の変貌ぶりは尋常ではない。この女と妹が、因縁浅からぬ関係にあることはそれで容易に想像できたが、
一体どういう因縁なのかは見当が付かなかった。
しかし、どうやらその疑問に答えて貰う暇はないらしい。
轟音と共にフレアを吹き出す、背丈よりも大きな二対の翼で夕日を反射させながら、
件の妹御……アシュレイが、東の空から急速に近づきつつある。
- 906 :黒沢小百合:2011/09/07(水) 22:23:35 ID:SSMHlh/20
- >>905
「フン……。」
小百合は急に不機嫌になり、顔など見たくもないという風に
頬杖をついて、大きくため息をつく。
その整った顔は、アシュレイが近づくに比例して
強張り、時折痙攣したようにピクピクと震えている。
まるで、怒りを堪えているかのように。
- 907 :フェルティア&アシュレイ:2011/09/07(水) 22:47:29 ID:Anb9ClZs0
- >>906
(ありゃりゃ……こっちはこっちでへそを曲げちゃったわね。
やり手みたいな顔して、割と子供っぽいとこもあるのね、この女は)
小百合のプライドの高さなど知らないフェルティアは、呆れ気味の顔で小百合を評した。
ただ、かなり頭に来ているようなので、口には出さなかった。藪をつついて蛇を出すのは趣味ではない。
そうこうしているうちに、フェルティア達の上空にアシュレイが到着し、カフェの傍らにある道路へ降りてきた。
「姉さん、予定が変わりました。帰りましょう」
以前とは違う白銀の鎧に身を包んだ銀髪の少女は、小百合の方など見向きもせずに言う。
「変わったって……検査はどうするのよ?」
「必要ありません」
「必要ない? フラン姉がそう言ったの?」
「いいえ。私がその必要を感じないと判断したまでです。
……と言うより、されてはなりません」
「?? あんたが言うこと、よくわかんないんだけど……?」
フェルティアは困惑を示すようにぽりぽりと頭をかいた。
- 908 :黒沢小百合:2011/09/07(水) 22:57:09 ID:SSMHlh/20
- >>907
――『検査の必要がない』。
最初は知らん振りを決め込んでいた小百合であったが、
アシュレイの言葉を聴いた途端、憤怒の形相も凄まじくそちらを睨みつける。
「お前ッ、やはり私の邪魔をしに来たという訳かッ!
思い上がるんじゃあないぞッ、このゼンマイ仕掛けの××がよォォー。」
小百合はまっすぐにアシュレイを指差し、
口から泡を飛ばしながら矢継ぎ早に罵倒の言葉を浴びせかけてくる。
陶磁器のように白かった肌は、既にりんごのように真っ赤に染まっていて。
「検査は実施するッ!予定通りだッ!!
有無を言わせないぞッ!あの女の改修があったとはいえ、詳しい検査も無しに信用できるかッ。
このロボ娘は敵の『トロイの木馬』、『埋伏の毒』という事も考えられるのだからなァ……。」
- 909 :フェルティア&アシュレイ:2011/09/07(水) 23:19:10 ID:Anb9ClZs0
- >>908
「……前々から黙って聞いていればゼンマイだの何だのと。流石は千夜グループ。
暴言で相手を威圧することだけは達者だと見えますね。底の知れる会社だ。
あのバカのように大きいビルが、全部黄金の茶室に見えますよ」
黄金の茶室。かつて豊臣秀吉が自らの繁栄を表すために造らせたと言われている茶室のことである。
その名の通り、内装に夥しい量の黄金が使われており、露骨な権力誇示を目的として使われた施設だ。
見た目は煌びやかだが……その裏に潜む人間のどす黒い欲望が見え隠れする、「汚れた輝き」である。
暴言を吐かれても小百合の方を向かないのと、お返しとばかりに吐かれた先の言葉は、
アシュレイなりの「挑発」であった。
この挑発に小百合が乗っても乗らなくても、アシュレイにとっては別にどちらでも良かった。
大事なのは、この女に何かしら言い返すことにあり、そうせずには気が済まなかったのである。
「あなたが何を言おうと、必要はありません。姉が何か粗相をする時は、また私が撃破しますのでご安心を」
「おいおい、妹よ……」
「ええ、わかっていますよ、姉さん。しかしこの人は、それくらい言わないと納得しません」
- 910 :黒沢小百合:2011/09/07(水) 23:32:58 ID:SSMHlh/20
- >>909
小百合は、自分の中で決定的な何かが切れる音を確かに聞いた。
「おっ、おっ、おっ、おまっ、おまえはっ、ぶじょくしたな。
やとのかみさんとわたしのしろをぶじょくしたな。
ころす、殺す、殺す、殺してやる、バラバラにしてやる、バラバラに。」
その白魚のような白く、細長い指が彼女の武器たる『紙片』が
仕込まれたスーツの袖口へと伸びる。
次の瞬間、このカフェテリア周辺には武装した兵士で満ちる事だろう。
- 911 :フェルティア&アシュレイ:2011/09/07(水) 23:54:18 ID:Anb9ClZs0
- >>910
やはりこうなったかと、アシュレイは内心でため息をついた。
こうは見えても大会社の上層に位置する人間。挑発を流す分別くらいはあるかも知れない……と、
少しは思っていたが、そもそもそんな人間は公然と人を「ゼンマイ仕掛け」などとは呼ばない。
それに、あの千夜のビルが小百合の心の砦になっていた可能性もあった。
先のため息は、そうした読みの甘い自分を自嘲するものも含まれている。
「あーあ、真っ赤っかよコレ。どうするのよ、アシュレイ?」
「先に帰っていてください。長くなります」
「りょーかい」
立てかけてあった箒を掴んだフェルティアは、自分の座っていたテーブルにお代を置き、
柵を跳び越えてアシュレイの横を抜けて帰っていってしまった。
それを見届けたアシュレイは、右手で制止のジェスチャーをし、
「まあ待ってください。頭が沸き立っているのはわかりますが、
ここで始めるというのは具合がよろしくないでしょう? 周りをよく見てください。
後日、「箱庭」にて決着、という形ではいかがですか?」
あまりの怒りで口の廻らない小百合とは対照的に、アシュレイの口調は涼やかだ。
- 912 :黒沢小百合:2011/09/08(木) 00:06:20 ID:SSMHlh/20
- >>911
一瞬にして、周囲を埋め尽くす兵士。
このまま『殺せ』と一声発すれば、銃が、砲弾が、剣が、槍が、斧が、矢が。
ありとあらゆる武器の類が、この場で使用されるだろう。
そうなると、確実に無関係の市民に被害が出るし、
このカフェテリアの全壊は間逃れない。
「ふーっ……ふーっ……。」
小百合は荒い息をつき、まるで獣のような目つきでアシュレイを睨みつけていたが……。
――ドガァッ
近くの椅子を力任せに蹴り飛ばすと、踵を返してこの場から去っていく。
兵士も、次第に存在感を失い、ついにはその場から消えうせてしまった。
- 913 :アシュレイ:2011/09/08(木) 00:19:04 ID:Anb9ClZs0
- >>912
「………………」
小百合が蹴り飛ばした椅子を店員が面倒くさそうに直しているのを、
アシュレイはどこか晴れやかな気分で見ていた。
(どうして今までこうしなかったんでしょうか、と思うくらいスッキリしますね。
まだ言い足りない気分ですらあります)
しかし、今の時点では自分の溜飲を下げただけに過ぎない。
あの女と決着を付けなければ、この先もこういったことが起き続けるだろう。
特に、相手は自分の姉が爆弾を抱え込んでいると思っている。それが相手に積極的な理由をもたらす。
(……私たちを理解してくれれば、そんなことは出来ないとわかるでしょうに。
まあ、あの調子ではどだい無理な話ですし、その機会も訪れはしないでしょうね)
やれやれと首を振ったアシュレイは、翼のバーニアを吹かし、再び空へと舞い上がっていった。
- 914 :黒沢小百合:2011/09/11(日) 21:48:32 ID:SSMHlh/20
- 都市の中心部の交差点にに転がる、焼け焦げた肉塊3つ。
激しく損傷したそれらは、よく見れば6mほどの屈強な体を持つ亜人、
トロールである事が分かる。
「まったく、もっと人の居ない空き地にでも出てくれればいいものを……。
気まぐれな『歪み』にも困ったものだ……。」
その周囲で交通整理や破壊された車を撤去する兵士たちの合間に
険しい顔をしてその様子を見つめ、時折指示を出す女の姿が見える。
- 915 :???:2011/09/11(日) 22:00:25 ID:SeQfNLRI0
- >>914
「歪みを無くしたいか?」
険しい顔の小百合、そのすぐ背後にいつのまにか、生成の能面を付けた巫女装束の女が立っていた。
周囲に展開する兵士の配置ならば、どこをどう通っても見つかるはずなのに、
この女が現れるまでそんな報告は一切上がってこなかった。
つまり、この女は網の目のような兵士達の視覚を尋常ではない方法で切り抜けたことになる。
強いて言えば、女が立っているあたりの道路に亀裂が走っていたが、
破裂したらしい水道管から漏れた水がチョロチョロと出るくらいの、ほんのわずかな亀裂である。
人間が出入りするサイズかどうかを議論する必要もない。
- 916 :黒沢小百合:2011/09/11(日) 22:11:38 ID:SSMHlh/20
- >>915
「無くせるなら、ね……といっても、
この都市自体が時空の大きな歪みの中にあるようなもの。
もしゆがみが無くなったらどうなるか分かりませんし……。」
都市の科学者の大きな悩み、『歪み』。
場所、時間を問わず発生し別の空間――時には過去へすら人を飛ばす謎の現象。
その法則、原理すら分からないというのだから現代科学の敗北と言うほか無い。
「それに、ゆがみを無くす事が不可能であるなど、
この都市に暮らすものならば小学校前の子供でも知っている。」
小百合は、ふいに背後から投げかけられた問いに答える。
瓦礫や死体の片付けこそしているものの、既に戦闘は収束し人通りも既に戻っている。
中には、兵士やトロールの死体を携帯電話で撮影するものすらいるほどだ。
そんな状況の中、声を掛けられたとて不思議ではないだろう。
- 917 :???:2011/09/11(日) 22:32:08 ID:SeQfNLRI0
- >>916
「厄介事だと感じているのならば何故、ここを離れない?」
その質問は小百合だけに向けられているものではない。
事の対処に当たったらしい兵士達、野次馬根性丸出しで集まった市民達……。
その誰もが、歪みによって生み出された光景や事件を、日常茶飯事のような感覚で捉えている。
でなければ、大規模なパニックが起きていてるはずである。
「ここに何かあるのか? 縛られているのか?
……それとも、この地に愛着があるとでも?」
- 918 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/09/11(日) 22:40:00 ID:HnkBBDEo0
- 「いだッ!!」
いきなり、空間の割れ目から男が飛び出してきた。
『歪み』によって、どこからかワープしてきたのだろう。
「あがっ! ぐへっ! どばぶぅ!!」
色んな場所にぶつかりながら数回バウンド、そのままゴロゴロと転がった後、電柱にぶつかって止まった。
「いだだだ……あー! 双眼鏡壊れてやがる! 高かったのに!!」
手にしたボロボロの双眼鏡と呼ばれていたソレを見て、涙目になる男。
しばらくは呆然としていたが、やがてあきらめたように双眼鏡だった残骸を捨てて立ち上がる。
「ああん? 今度はどこに来て……お、小百合ー!」
すりむけた頬を指で拭い、紅いコートにかかった埃を払いつつ男は小百合に向かって手を振った。
- 919 :黒沢小百合:2011/09/11(日) 22:58:47 ID:SSMHlh/20
- >>917
「無論、それを嫌い都市を出るものも多くいますが
現状では、それでもこの都市へ訪れるものの方が多いのです。
ま、ここはそれだけ多くの世界と通じているのでしょうね。」
そう、ここはまさに人種どころか、種族の坩堝だ。
様々な世界から際限なく訪れる人々。ファンタジー小説から飛び出してきたよう
な獣人もいれば全身が機械化されたようなアンドロイドもいる。
ふと通りに目をやれば、ゴブリンの商人が甲冑に身を包んだ騎士に
青果を売りつけている姿さえ見受けられる。
「そして、この都市を訪れたものはそうですね。縛られるといいますか。
魅入られてしまうのですよ。この都市にね。」
恐らく、小百合もその一人という事だろう。
彼女は汚い噂も少なからず存在するが、この都市に対する言葉に嘘偽りはみられない。
「これほど面白い都市を私は知らない。
清濁併せ持ち、力か、ほんの少しの運だけで莫大な富を手に入れることができます。
或いは、その先にあるのは『死』であるかもしれませんがね。」
>>918
「Σ(・д・;)」
いきなりの出来事に思わずびくり、と体をすくませる小百合。
しかしその表情は次第にいつもの仏頂面に戻っていき。
「いったい、何をしていたのですか貴方は……。
野鳥観察、という柄には見えませんがね。」
- 920 :???:2011/09/11(日) 23:14:24 ID:SeQfNLRI0
- >>918
(何だこの騒々しい男は…………フム、鉄の匂い……。
「混じり物」か。歪んだ街に歪んだ命。似合いの組み合わせだな。
問題は鶏が先か、卵が先かだが……いや、今はそんなことはどうでも良いな)
能面の下で鼻をひくつかせた女は、表面上は無関心を装いながらも、
「歪み」の中から出てきた男をそう評した。
>>919
「ふん、人はパンのみにて生くる者に非ず、というヤツか。
命を木札に変えて丁半を賭けるとは……私から見ればもの狂いの類に見えるぞ」
「だが……」と、女はおもむろに能面を外した。
能面の下から出てきたのは、年相応に大人びた印象を受け、それ以上に鋭い眼光が目を引く、
「それが人が他の生き物と違うところなのだろうな。理解は出来ぬが、面白い。
そんな話を聞くと、まるで自分が面白がりたいがためにあえて「歪み」を放置しておいたようにも聞こえる。
仮にそうだとしたら、人というのは救えぬバカどもの集まりだな」
酷く愉快そうな表情を浮かべた、「ゆすら」の顔であった。
- 921 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/09/11(日) 23:20:40 ID:HnkBBDEo0
- >>919
「え? あ、いや、なんでもない。この双眼鏡はなんでもないんだ。気にするな」
壊れた双眼鏡を足で軽く蹴って宙へ浮かし、もう一蹴りでゴミ箱の方へ吹っ飛ばした。
「で、お前はまーた何やってんだ? すんげーコゲ臭いんだが」
>>920
「ああん? 誰よお前は」
いぶかしげな目で相手を見る男。
眼帯の位置を直しつつ、残った左目で相手をジロジロと見る。
「なんか神社でアルバイトしてるような格好してるけど、何? 誰?
近くに神社は無いっぽいけど、どうしてこんなトコに? 出張除霊とか?
もしかしてこの辺りって『出る』場所だったり? うっわやめろよ俺は幽霊とか大嫌いなんだよ!」
一人で勝手に怒鳴り始めた。
「あー、話題が逸れた。で、お前は誰よ? ほら、答えて答えて。
質問! 回答! 会話のキャッチボール!」
- 922 :黒沢小百合:2011/09/11(日) 23:36:28 ID:SSMHlh/20
- >>920
「私が述べたのは生き方の一つにすぎません。
平穏を望むならば、そういった無用の争いに組せず一生を終えることも十分可能でしょう。
そういった人々にとっては、この都市はただの大都会でしかない。
人が多く、ものが多く、仕事も多く、少し犯罪率が高い、ね。」
能面の下から現れたその顔に、小百合は驚きもしない。
寧ろ、『やはり』と安心したように表情を和らげるほどだ。
「お久しぶりでございます、ゆすら様。
しばらく神社のほうへ参拝できませんでしたが、
なにやらずいぶんと雰囲気が変わられましたね。」
『人間』という種に侮蔑的な言葉を吐いたゆすら。
以前の穏やかな大河のような、包み込むような優しさをもった彼女からは考えられない
物言いだが、小百合は虫の居所が悪いだけだろう、と片付けてしまった。
>>921
「どうせ女風呂でも覗いていたのでしょう。
あなたの考えなど、大体分かりますよ。」
腰に手をあて、呆れるようにため息をつく小百合おなじみのポーズ。
「ああ、アレですよ。あのファンタジー小説なんかによく出てくる『トロール』。
あれが歪みに巻き込まれてちょうどこの中心区画に放り出され、大暴れしたんですよ。
話の通じる連中なら良かったのですが、どうにも『野蛮』だったので。」
巨人の中にも、頭の良い個体もいるがどうやら小百合の背後で
死んでいるトロールは『モンスター寄り』だったようだ。
相当派手に暴れたのだろう。タクシーが3つほど、横転し黒焦げになっているものもある。
- 923 :???:2011/09/11(日) 23:51:35 ID:SeQfNLRI0
- >>921
「くくく……「出る」か。出るには出たな。
何もないところから、やたら鉄臭い慌てん坊の男が一人、な」
外した能面を白衣の懐に押し込みながら、その女は含み笑いをした。
ころころと表情の変わる男の様子が、どうやら彼女の何らかの琴線に触れたようだ。
「安心しろ。私の相手はたいがい、割と物理的な者どもだ。
殴れば死ぬし、引き裂けば血をまき散らして死ぬ。私にしてみれば人とそう変わらない。
そして……私が誰かは、そこの女にでも訊いてみるのだな」
>>922
「変わった? いいや、私はあ奴とは違う存在だよ。
もっとも、この世の誰よりもあ奴と近しくはあるがな」
「ゆすら」の顔をした女は、愉悦に染まった顔を崩さないままくすくすと笑っている。
腰まで伸びた流麗な黒髪や顔だちはゆすらのそれとうり二つだが……根本的な何かが違っている。
「私は「暴力」の存在だよ、黒沢小百合。
「和合」の存在である、お前の言う「ゆすら」とは相容れぬ存在だ。
だからこそ、一番近しい」
女の言うことは真実を語っているようで、その実何も明かしていないのに等しい。
こうして遊んでいるようにも見えるかもしれない。
- 924 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/09/11(日) 23:57:16 ID:HnkBBDEo0
- >>922
「のののののののの覗いてなんかねーし!!」
超動揺している。
ガクガクしながら動揺している。
動揺しつつも無理やり話題を変えた。
「ああ、トロールか。時々いるからな……意思疎通が不可能な奴って。
まぁそりゃ駆除されるのも仕方ないんだろうけどねー。
でも『歪み』も散々やってくれるわ。この前なんか『泉』を俺の店の前に持って来てさー。
工事が終わるまでテンヤワンヤだった時があるぜ。
ま、今回はトロールの数も少なくて良かったな。でさー」
クロスはゆすらを親指で示す。
「アイツ、誰?」
>>923
「誰が鉄臭いだよクソッ。これでも錆には気をつけてんだぞ」
悪態をつきつつ、男は近くの電柱に背中を預け、空を仰いだ。
「幽霊も殴れば死ねばいいんだけどなー。
あいつらって、そういう物理攻撃聞かないしグロイし気味悪いし怖いから嫌い!
っつーか、一応お前が誰かを小百合に聞いてはみるけど……
『名乗らない』ってことはアレか?」
空を見ていた目を、ゆすらへと戻す。
「名乗れない都合でもあるのか?」
- 925 :黒沢小百合:2011/09/12(月) 00:09:47 ID:SSMHlh/20
- >>923
小百合の表情が水を打ったように、さあと変わる。
親しいものと接する際の素の自分に『仮面』をつけたのだ。
「……つまりあなたは、ゆすら様の『荒魂』ということでしょうか。
もしそうなら、『和魂』のゆすら様は神社にてご健在なのですか?」
小百合は、相手の発言から推測し問いかける。
神々の中には、こういった2つの面を持つ物もいるときいたが、
果たして本当にそうなのだろうか。
そして、『暴力』の存在と言うなら自分に危害を加えてくるかもしれない。
あの力がこの至近距離で揮われる。そう考えると、小百合は軽く膝が震えるのを感じた。
>>924
「歪みの被害をできるだけ小さくするべく、
交通管理局や都市計画公社、建築局あたりが手を尽くしているのですがどうとも。
先日も過労で都市計画公社の『空間能力者』が2人入院したようですよ。」
此処で小百合は、ゆすらを指差すクロスの質問に答えるべく
一旦言葉を切って、軽く息を吸い込み。
「ゆすら様……の『荒魂』ではないかと。ゆすら様と言うのは、私の友人でもあり、
夜刀神さんと同じく『神性』を持つものです。元は、名のある水神であったとか。
『荒魂』というのは、分かりますか?」
- 926 :???:2011/09/12(月) 00:29:20 ID:SeQfNLRI0
- >>924
名乗れない都合を勘ぐる男に、女は首の動きで否定した。
「いいや、名乗っても無駄なだけだ。何故なら、私はもう二度とお前と会うことは無いからだ。
お前がこの都市で何年暮らしたかは知らないが、
この都市のゴミを処理する処理場の人間と言葉を交わしたことが一度でもあるか?
そういうことなんだよ。私は所詮、裏方の存在だ。日向に縁がある方が難しい。
今回は「仕事」が長引いたおかげで、こんなところに出てきてしまっているがな」
……ところで、気がついているだろうか。女の足下にあるアスファルトの亀裂から漏れ出ている水が、
少しずつその量を増やしていることに。
「しかし、お前は面白い人間ではある。一度黄泉の国に引っ張っていきたいくらいにはな」
言って、女は口の端をつり上げる、嫌らしい笑みを浮かべた。
>>925
「ハハハハハハ!」
小百合の推測を聞き、女は高らかに笑った。
「まさかその概念を知っている者が現代に居ようとは思わなかったな!
……いや、神に近い場所に居るお前ならば無理もないか?
これは失礼をした。まさしくその通り。私はあ奴の対となる存在、「荒御霊」と呼ばれるモノだ」
そこまで言った女は、小百合の様子が少しおかしいことに感づき、
「怖いか? 安心しろ、私は理由もなく人を殺すようなことはしない。
むしろ、私の仕事はお前と近いものだろうな。
……ふーむ、もう少し話していたい気分ではあるのだが」
女は残念そうな声色を出した後、ぱちん、と指を鳴らした。
すると、アスファルトからしみ出して四方八方に流れていっていた水が逆戻りを始め、
女の足下に集まっていく。それはすぐに、大きな水たまりとなり、
「私があまり顕在していると、あ奴が五月蠅いのでな。ここいらで暇を貰うとしよう」
水たまりは大きな水しぶきとなって女の姿を隠し、次の瞬間にはもう、女の姿はどこにもなかった。
//どうも筆が乗らないので、この辺で失礼!
//小百合さん、クロスさん、絡みありでした!
- 927 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/09/12(月) 00:36:38 ID:HnkBBDEo0
- >>925
「よくわかんねー。
魂の陰陽における『陰』の部分っていう認識でいいのか?
二重人格とは違いそうだしな。反転魂魄、とでも言えばいいのか……
……あー、うん。心当たりがある。だいたいわかった」
心当たり、というのは他でもない自分のことだろう。
クロスも暴走状態になれば性格が変わる。
否、あれは性格とも呼べない、理性も何も無い獣のようなモノであるが。
「ちぇ、身長もいい感じにちっこくてペロペロしたいってのに。この様子じゃあ難しそうだな」
>>926
「うーん。『名乗る』っていうことには特別な意味がある。
時には証明になり、呪文になり、呪詛になる。
そういうことに理由があるかと思ったんだが……なんだ、そんな理由だったか」
ちぇ、と男は軽く舌打ちした。
「あ、黄泉の国とかマジ勘弁な。まだ死にたくねぇし、地獄はもう経験済みだ。
気に入ってくれるのはありがたいが、出来れば普通に接して――
――って、オイ! まだ話終わってねーぞ! 勝手に帰ってんじゃ……あーもう!」
クロスはゆすらが消えた空間に向かって叫ぶ。
「なんだったんだ『アイツ』は」
- 928 :黒沢小百合:2011/09/12(月) 00:53:57 ID:SSMHlh/20
- >>926
「私も、生まれは極東ですから。
一応の知識としては。伝承の類だと思っていましたが。」
確かに普段のゆすら様より、態度や物言いは荒々しいが
基本的に彼女の性分は『善』なのだろう。
――自分に似た仕事。
という事は恐らく邪な妖魔だとか魑魅魍魎の類を狩っているのだろうか。
そう考えると、少し親近感が沸いてきたが、既に相手は何処かへ消えうせてしまって。
今度、またゆすら様に会いに行ってこの事を話してみよう。小百合はそう心に決めたのだった。
>>927
「私もそういう概念があるというだけで
詳しく知っているわけではありませんが恐らくそういった事ではないかと。
心当たり……とは、あの暴走ですか。アレとはまた違うような気もしますが。」
クロスの話を聞きながら、考えを巡らせる小百合だったが
『ぺろぺろ』などと間が抜けた単語を聞かされてはやる気も削がれるというもの。
「ぺろぺろできるかどうかは別として『和魂』のゆすら様に会いに行かれては?
私は夜刀神さんに使える忠実な従者ではありますが、あのお方には
尊敬の念を感じずにいられません。きっと、あなたも気に入るかと。」
小百合は基本的に両極端な性格をしており、一度相手を嫌うととことん憎むタイプだ。
そんな性質を持ち、しかもかなり気難しい小百合に気に入られるとは中々珍しい。
- 929 :銃寺森クロス ◆CROSS/.AzE:2011/09/12(月) 01:00:58 ID:HnkBBDEo0
- >>928
「へぇ、お前に気に入られるとはまた珍しい。
ちょいと調べて、今度会いに行ってみるとするわ。
ペロペロできればいいんだけど」
そう言いつつクロスは電柱から背を離すと、歩きはじめる。
「ともあれ俺はそろそろ帰るとするぜ。えーと、ここはどこだー?」
携帯電話で位置情報を検索しつつ、クロスはフラフラと夜の街の中へと消えていった。
- 930 :ネイディハール ◆X7kkkkkkkk:2011/09/14(水) 22:45:57 ID:qaX.fP9o0
- 【異能都市。とある電子掲示板】
>> <<面イドさん>> が スレッド を 追加しました。
>> 1:タイトル 『困っています』
人間関係について悩んでいるですが・・・・・・誰か話を聞いてくれる方、いませんか?
- 931 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/14(水) 22:55:38 ID:WVrfsEdY0
- >>930
レスが返信される。
2:<<駆け出しヒーロー>>
おや、人間関係?一体何があったんですか?
出来るなら相談に乗りましょう!
【結構相談に乗ってくることが多いハンドルネームである。】
- 932 :黒沢小百合:2011/09/14(水) 22:55:47 ID:SSMHlh/20
- >>930
それから数分の後……。
>> 2:投稿者:千夜の黒服
_____ ぶち殺すぞ………ゴミめら……!
r'ff77"/////〃〃∠=:、 フ ア ツ ク おまえたちは皆・・・・ 大きく見誤っている・・・・
. レ'''‐-!!!-‐::''"::::゙::ヾ:三三l lニ l この世の実体が見えていない
. l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:三三! ! U C K
|;:、:ニニニニニ:::::_;;::、:::::::l三三l ユ ー 質問すれば答えが返ってくるのが当たり前か・・・・?
. l´\゙ll::!:::lLニ-‐'' ̄::::::|三三ト、 ヽ/ なぜそんなふうに考える・・・・?
}==。ァ ::,, ==。== ::::::r;=、ミ|. \ l O U
. l.`ニ! ::::: `ニ二´ :::::rニ||:ミ! ヽ、._ バカがっ・・・・!とんでもない誤解だ
_,... -‐1 ! :::::_┐ヽ._ ::::::-リ ミ| l 世間というものはとどのつまり 肝心なことは何一つ答えたりしない
l/゙= ---─っヽ ::::下ミ:ミミ| | 住専問題における大蔵省・銀行 薬害問題における厚生省
l ` ̄ ̄´ | .::::::|:: ヾ:ミ| | 連中は 何か肝心なことに答えてきたか・・・・?
ト、 ゙゙゙゙ ........_;;:::-‐'::: >| |
, --、 | ` Tヾ ̄:::::::: / |. | 答えちゃいないだろうが・・・・!
l;';';';';';}|. | \ ./ | | これは企業だから省庁だからってことじゃなく 個人でもそうなのだ
. 〉-y'´| _| \ / |_ :| 大人は質問に答えたりしない それが基本だ
/7./ .>'' ´ | / \ | `''‐<
- 933 :ネイディハール ◆X7kkkkkkkk:2011/09/15(木) 20:57:04 ID:qaX.fP9o0
- 中:五分待ってもう返ってこないと思ってパソコン閉じてたわ…………お二人ともすまんです。
最近我慢不足ですまねえ……!
【翌日】
>> 4:<<面イドさん>>
>>駆け出しヒーローさん
はい、少し悩むことがあって…………
私は長女なのですが、妹が最近反抗期に入ったみたいで、家の中がギクシャクして困ってるんです
>>千夜の黒服
せっ、千夜の回し者ですか?!
ウチは千夜なんかに負けませんよっ!
- 934 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/15(木) 21:24:49 ID:WVrfsEdY0
- >>933
>> 5:<<駆け出しヒーロー>>
>>面イドさん
妹ですか…
反抗期は誰もが通る道だと思います。だから優しく接してあげましょう。
そのうち甘えたくなったりすることがありますから。
…反抗期を迎えるのはいいことなんです。
本来は幸せなことなんです。だから心配しないでいいですよ。
それを見れるのはいいことですから
- 935 :黒沢小百合:2011/09/20(火) 21:44:54 ID:SSMHlh/20
- 今日も今日とて、AGカフェに訪れた小百合だったが
なにやら、大きな袋を持っていて。
「よいしょっと……。」
それから、取り出されたのは何かのボード。
どうやら、チェスに似ているが上下の高低差の概念が加えられたゲームらしく、
カフェ内にいる他の客を相手に勝負をし始めたようだ。
- 936 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/22(木) 23:03:48 ID:WVrfsEdY0
- >>935
「つかれ…た…」
【カフェに新たな来客が現れる】
「あのースイマセン!
ミルクココアミルク多めのをお願いします!」
【カフェの奥に向けて大声を上げる】
「…いないかな…」
【マフラーとニット帽をかぶった少女は首を傾げて言った】
- 937 :黒沢小百合:2011/09/22(木) 23:07:56 ID:SSMHlh/20
- >>936
――コトッ
厨房から現れた品の良い老紳士が、注文どおりのミルクココアを防人の前に置き、
『ごゆっくり』との声を残してその場で虚空に消える。
他の客とゲームに興じていた小百合が、
ウェイターを具現化して防人の元へと運んだのだ。
- 938 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/22(木) 23:16:28 ID:WVrfsEdY0
- >>937
「へー渋いおじさんがいるんですね」
【にっこり微笑み返そうとした瞬間、老紳士は消えてしまう】
「…まあ、ゆうれいがいてもふしぎでは…
いや、能力でしょうか?」
【少し首をかしげながらもココアに口をつける】
「おー、この味…絶妙な加減です。」
【痛くココアの味が気に入ったらしい。】
- 939 :黒沢小百合:2011/09/22(木) 23:24:38 ID:SSMHlh/20
- >>938
何分、人が少ない店内だ。
ゲームに興じていたとはいえ、呟きは勝手に耳に入ってくる。
(そう、それはよかったですねー……。)
小百合は心の中で適当に相槌を打ち再びゲームに没頭する。
どうやら、このゲームはチェスや将棋に似ているようだが勝手が違うらしく
双方とも決め手を欠いており戦況は膠着している。
- 940 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/22(木) 23:30:13 ID:WVrfsEdY0
- >>939
「ここのマスターは実に良い人でしょうね」
【どこか嬉しそうに言う】
「うーむ、しかし…
ちょっと落ち着きませんね…」
【そわそわしながら当たりを見ている。】
【あんまりこういう所はなれてなさそうだ】
- 941 :黒沢小百合:2011/09/22(木) 23:47:38 ID:SSMHlh/20
- >>940
「…………。」
そわそわしているのを見て、まだ何か頼み足りないのかと
先ほどの老紳士を具現化、注文を聞きに行かせる。
小百合本人は盤上の戦局を読むのにに手一杯のようだ
- 942 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/22(木) 23:51:00 ID:WVrfsEdY0
- >>941
「えーっと…
あ、すいません。おかわりとかはどうしたらいいんでしょうか…」
【若干汗をかきながらコップを見せる】
「…あれ?あそこにいるのは黒沢さんでしょうか。
…なにしてるんでしょう」
【当たりを見ている内に小百合の姿も目に入った。】
- 943 :黒沢小百合:2011/09/22(木) 23:57:11 ID:SSMHlh/20
- >>942
「これは気づきませんでした、少々お待ちを。」
穏やかな笑みを湛えた老紳士は、
すぐに冷えた水を防人へと持ってきた。
「誠に申し訳ありませんが、この店ではすべて『セルフサービス』が基本となっております。
私が常駐できれば良いのですが、イレギュラーのような物ですから。」
そして、先ほどと同じく仕事が終わると消えてしまう。
一方の小百合は、例のチェス風のゲームを続けているようで戦局は佳境に入っている。
消耗戦で双方、使用できるコマが少ないが一見小百合が押しているように見えるだろう。
しかし、小百合は左翼の陣形が今にも突破されそうなことに気づいていない。
- 944 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/23(金) 00:02:16 ID:WVrfsEdY0
- >>943
「ああ、そうですか…
分かりました。次からは気をつけます」
【申し訳なさそうに言って見送った】
「…これは達人同士の戦いだったりするんでしょうか…
ん?」
【左側が手薄になっていることを気づく鶫】
「なんか左が危なくないですか?」
【ひとりごとのように言う。その言葉は耳に入るか否か。】
- 945 :黒沢小百合:2011/09/23(金) 00:16:08 ID:SSMHlh/20
- >>944
「…………。」
(左翼……あ……マズイ……。
ここを敵の迂回させた駆逐艦と戦艦で抜かれると、
わが軍は側面から攻撃を受けつつ分断され、総崩れになるな……。)
小百合は、防人の言葉を聞いてようやく自軍が有利な
右翼の攻防に集中しすぎていたと気づいて、左翼の布陣を立て直した。
その後、吸う手順後に小百合が王手をかけてそのままゲームセット。
(チッ……余計な邪魔が……。)
しかし、見物人がゲームに口出しする事がイヤだったのか
戦況を他人のヒントで打破したのが気に入らなかったのか、
最後に防人を少し睨んだ。
- 946 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/23(金) 00:21:59 ID:WVrfsEdY0
- >>945
「えっと…あ」
【うっかり口に出したことを思い出して
申し訳なさそうな顔になる】
「す、すいません。勝手に口を出してしまって…
その…余計なことしてしまってスイマセン!!」
【大急ぎで頭を下げた】
- 947 :黒沢小百合:2011/09/23(金) 00:31:58 ID:SSMHlh/20
- >>946
「貴方に説教するのは、2度目でしたか。
やっぱり……もういいです。勝手になさい。」
はあ、とため息をついて小百合はボードを折りたたんで
店の本などを置いてある棚の片隅に置く。
娯楽として、使いたいものが適当に使えという事か。
「あなたに一つだけ言葉を送るとするなら、
もう少し考えてから行動するように。以上。」
そのまま、店の奥の従業員用スペースに引っ込んでしまった。
// そろそろ〆
- 948 :防人 鶫 ◆Dix.OeuOIQ:2011/09/23(金) 00:36:14 ID:WVrfsEdY0
- >>947
「うーむ…怒られてしまいましたか…
申し訳ない…」
【軽く頭を下げて見送っていった】
「…確かに自分が考えなしに行動にしているかもしれません。
もう少しよく考えないと」
【頷いて席に戻った】
//乙です。
- 949 :黒沢小百合:2011/09/24(土) 22:51:01 ID:SSMHlh/20
- 【路地裏】
「今日摘発した麻薬の売人20人のうち『やむを得ず射殺』7名、『自殺』1名。
こちらの被害は重傷者1名、死者1名……まあ、上々といったところですかね……。」
警官と装甲車の群れの中で部下からもたらされる報告を聞き、小百合は表情一つ変えず呟く。
麻薬対策特別チームが組織されてからと言うもの、
頻繁に『路地裏の掃除』が行なわれ多数の逮捕者を出している。
数的には満足できる結果が得られてはいるのだが……。
捕まるのはいくらでも代わりが効くようなチンピラばかり。
組織の中核、もしくは下っ端連中を束ねる者すら捕らえられないのが現状だ。
- 950 :九段坂桐子:2011/09/24(土) 23:02:39 ID:QDKqXtkIO
- >>949
「……おや、キミは何時ぞやのじゃないか。すまないけど、助けてくれないかい? 無実の罪で無関係な市民が権力に今まさに捕らえられようとしてるんだよ。まあ、私はこの都市の市民コードを持ってる訳じゃないんだけどさ」
報告の交換がされる最中、小百合の耳に届く声があった。
ふと視線を巡らせれば、遠くない場所でその姿に気付く。
結った黒髪に、男物の和服を纏った女の姿。それはいつぞやの、占い師である事に間違いはなく。
――尤も、今その手には手錠が掛けられ、まさに連行される道中であるのだが。
- 951 :黒沢小百合:2011/09/24(土) 23:16:10 ID:SSMHlh/20
- >>950
「む、貴方はいつぞやの……。」
連行者の列に混じる見覚えのある顔。
柄の悪い輩の中に一人、和服の女性というその場の状況もあいまって
小百合の瞳がそちらへと向けられた。
(以前、占ってもらった時には麻薬の売買をしているような素振りは無かった。
何か特別な合言葉を言ったもののみに売っていたのかもしれないが……。)
小百合は、その場で警察のデータベースにアクセスし
既に更新されているであろう、それから女性がどういった容疑で捕らえられたのかを検索する。
不十分な容疑による『誤認逮捕』であれば、すぐに判明するはずだ。
- 952 :九段坂桐子:2011/09/24(土) 23:29:54 ID:QDKqXtkIO
- >>951
端末に表示されるのは、現在拿捕した総計20名のリスト。
赤文字で表示された8名の『死者』の後、続く緑文字の12番目に記された情報は、間違いなく女の特徴に合致している。
問題となるのは、容疑。そこに記されていたのは――『捜査拒否』の文字。
執行妨害だと、そう示されていた。
- 953 :黒沢小百合:2011/09/24(土) 23:41:52 ID:SSMHlh/20
- >>952
ついでに過去の犯罪歴などに目を通したが、
これといって気になる点もなく。
「……捜査拒否、ですか……。
全く困りますね。疑われるようなことをするからこういう事になる。
我々は公共の利益のためこうして危険な仕事をしているというのに。」
小百合は、桐子をたしなめるように話しかけたが
相手が捜査を拒否したのだ。非は相手にあると考えて、軽々しく釈放したりはしない。
「一応聞いておきますが、何故捜査拒否を?
理由によってはこの場での釈放を認めなくも無いですが。」
この言葉はもちろん嘘。多少なり、尋問相手の信頼を得るためのものだ。
- 954 :新嘗草平:2011/09/24(土) 23:48:41 ID:y2gDPmEU0
- 「……たまの散歩に違う道を歩くのも悪くはない、と思っていたが」
薄暗い通りの中
腕を組みながら路地裏を闊歩する、白い着流しを着た男が一人
「どうやら、今宵は随分と穢れの溜まった路を選んでしまったようだ」
目の前に群れをなす装甲車を見てか、路上にかすかに残った血痕を見てか、はたまた常人には見えざる何かを見てか、男は腕を組んで溜息を漏らす
- 955 :九段坂桐子:2011/09/25(日) 00:03:11 ID:QDKqXtkIO
- >>953
「全く困るのはこちらの方さ。キミらみたいなのがこうやって不作法に乗り込んでくるから、こっちの商売は上がったりだよ」
そんなたしなめる言葉にも関わらず、女の言葉に申し訳なさは無い。
まるで非はそちらにあるとでも言うような口振り。道理の上で小百合が正しいのは言うまでもないのだが。
「申し訳ないけど、実の伴わない『言葉』は好きじゃないな。そんな甘言を言われても、私には届かないのさ。まあついでに答えるなら、『捜査拒否』というより『退去拒否』と言った方がより正確だと答えるよ」
- 956 :黒沢小百合:2011/09/25(日) 00:17:16 ID:SSMHlh/20
- >>954
今現在この場所はまさに穢れの吹き溜まりといっても過言ではない。
装甲車に乗せられ、鉄格子の隙間から恨めしげに外を眺めるチンピラに、
返り血の付いた防弾服のまま、事後処理に奔走する警官。
そしてその中心で彼らに指示を出しす黒髪の女。
黒沢小百合はその過激なやり口から『現代の暴君』だとか『殺人者』だとかの
批判を受けること多い人物であり、それ以外の黒い噂にも事欠かない。
>>955
「退去拒否、ですか……つまり、犯罪には関わっていないと。
まあ、この私も貴方が麻薬犯罪に関わっているとは思っていません。
しかしですねえ……『捜査妨害』はいただけない。」
にたり、といやらしい笑みを浮かべる小百合は
桐子にゆっくりと顔を近づけて。
「もし、あなたが素直に捜査官の指示に従っていたなら。
このようなことにはならなかったのですがねえ……。」
- 957 :九段坂桐子:2011/09/25(日) 00:33:16 ID:QDKqXtkIO
- >>956
「そういうことだよ。単に私はこの場所を退きたくなかったのさ。それでも無理にキミの部下が来るものだから……というところ、だね」
にたりと、笑みを浮かべた顔を近づける小百合に、女は自ら顔を近付けた。
吐息が触れる程、鼻先が触れ合う程の距離。不意に押されれば接吻(くちづけ)すら交わしてしまいそうなまでに、その境は狭く。
「それで、ご満足かな? キミの指示通りに従ってチンピラ風情と一般人しか捕まえられなかった訳だけど、その辺りの感想をお聞きしたいな、指揮官殿?」
一言、一言話す度に吐息が漏れる。
香草染みた香りの温い吐息。余人から見れば、若干刺激的な光景にでも、映っただろうか。
- 958 :新嘗草平:2011/09/25(日) 00:33:39 ID:y2gDPmEU0
- >>956
男は訝しげな目付きでしばらく路地裏を見渡していたが、目線がとある人物に移動したところでその顔に微妙な変化が現れた
(あの女……)
そのまま何かを考えるかのように、腕を組みながらその人物を見つめていたが、やがてその足を進め……
「おい、お前……随分と"つかれてる"ようだな」
自身が見つめていた人物、黒沢小百合に黄昏の様に低い声で話しかけた
- 959 :黒沢小百合:2011/09/25(日) 00:55:36 ID:SSMHlh/20
- >>957
「んんー……?よく聞こえなかったなあ……。
チンピラと一般人しか捕まえられなかった、と聞こえたが……。
これは、この私に対する『侮辱』と……とっていいのかなぁ……。」
くけけ、と鳥類にも似た笑みを口の端から漏らし、
桐子だけでなく、周りの部下にも聞こえるように。
>>958
「疲れてる……?ええ、私は今疲れているのですよ。
ですから、貴方のごとき下賤の輩と話したくはないのですよ。」
目の前の女は横目で、草平を一瞥したのみですぐに部下を呼び寄せ
警備体制はどうなっているか、だとかこいつをつまみ出せだとかを声高にまくし立てた。
すぐさま、屈強な警官が草平を取り囲んで
ギャラリーのいる少し離れた場所まで押し返そうとする。
- 960 :九段坂桐子:2011/09/25(日) 01:13:23 ID:QDKqXtkIO
- >>958
女もまた、小百合と同じく横目で新嘗を捉える。
異なるのは、その対応か、一瞥した小百合とは対称的に、女の対応は苦笑をこぼすのみ。
やれやれとでもいうようなその笑みが新嘗の目にどの様に映ったかは、定かではなかった。
>>959
「さあ、どうだろうね。何せ私は『事実』を口にしただけだよ、これは『占術』じゃあない、紛れもない『現実』さ。れとも、これで『侮辱罪』にでも値するのかな?」
漏れる笑みは鋭く、さながら猛禽が獲物を定めているにも近い。
女の状況はまさしくそれだ。猟犬に囲まれた獲物の命は、掌の上と同義。
「……さ。いい加減外してくれないかな? あまり手錠なんていうものは気分が優れないんだよ」
そんな状況で、女は、場違いにも明け透けと、そんな事を言い放った。
- 961 :新嘗草平:2011/09/25(日) 01:13:31 ID:y2gDPmEU0
- >>959
自分を小百合から引き離そうとする警官を一瞥し、徐々に離されつつも小百合に話しかける
「此所に漂う瘴気……何か混じっていると思ったが先ほど出どころがわかった。お前だ、お前の背中から尋常じゃない瘴気が漏れている」
そういうと足を踏ん張り、警官を逆に追い返し始める
「お前自身に大した穢れはないのにその瘴気……確実に"憑かれている"ぞ」
そういうと懐に手をやり、中から札を何枚か取り出し、人差し指を小百合の眉間に向けて突き出した
「お前の胆力でお前自身に厄はきていない様だが、そのままでは周りに危害が加わる。こいつらを退けろ。此所でその流魂、祓い流してやる!」
- 962 :黒沢小百合:2011/09/25(日) 01:33:03 ID:SSMHlh/20
- >>960
「この『容疑者』はこの私を酷く罵り、法的に認められた
『捜査行為』を妨害した……つまりは、『捜査妨害』になるわけだなあ。」
周囲の警官や部下たちは小百合の言葉に無言を貫き通す。
つまり、意思を表面に出さずとも静かに小百合の意見を肯定したのだ。
「まあ、この程度でお前を一生檻で飼ってやることはできんがねッ!
精々、一晩の辛抱だ。『ブタ箱』を楽しむといいぞ……。」
桐子の腕を警官の一人が乱暴につかみ、そのまま護送車へと引き摺ろうとする。
>>961
「前にも言われましたよ。どうにも、私の戦い方というのは『魂』が汚れていくらしいのですよ。
まあ、私は魔術だとか霊魂だとかそういう物に対して、深い知識を持ち合わせていませんから
よくわからないのですがね……今度は瘴気ときましたか……。」
人差し指でまっすぐ小百合を指差す草平にも、例の笑みを張りつけて応え。
同時に、袖口から何かを抜き取り掌へと握りこむ。
「どうするというのかなあ、その状況でよォォォ……。
大人しくしていれば怪我をすることも無かったといのに、何故事を荒立てる?
まったく、この世はアホだらけなのかぁぁあぁ????」
ふいに、草平の背後に大きく警防を振りかぶった兵士がいきなり出現し
それを力任せに、後頭部目掛け振り下ろす!
- 963 :新嘗草平:2011/09/25(日) 01:54:45 ID:y2gDPmEU0
- >>962
一瞬、車に押し込まれ様としている女性を見つけ、男はほう、と溜息を吐く
(意味ありげな笑みが気にかかる所だが……今はそれどころではないか)
>>962
「まったく……そんな事をしていれば恨んで悪霊になる奴が出るのも頷ける」
突如現れた兵士を自らの肩越しに見やると、目を瞑って微風のような声で呟いた
「……生魂」
その直後、兵士の警棒が男の脳天を叩きつけた
……が、男はそのまま身じろぎ一つしない
「……足魂」
男の体から異様な量の汗が流れ出し、同時に熱気が男を中心に広がる
「……御休魂」
男が足を踏ん張った途端、路地裏のアスファルトにヒビが放射状に広がる
そして未だ頭に打ち据えられたままの警棒を尋常でないほどに血管が浮き出、真っ赤に赤熱した手で掴む
「新嘗草平……国常立之尊!」
そのまま警棒ごと掴んだ腕を振り回し、兵士を投げとばそうとする
「……抵抗をするのもまた、お前自身の魂から出た行為だ。それについて俺から言う事はない----」
そして、男は眉間に力を入れると三白眼の黒眼で小百合を睨めつける
「----但し、楽に終わるとは思うなよ?」
- 964 :九段坂桐子:2011/09/25(日) 02:12:54 ID:QDKqXtkIO
- >>962-963
「……やれやれ、手厳しい判断だね。まぁ、そういう風に煽ったのが私であるのは間違いはない訳だから、仕方ないといえば仕方ないのかな。元より、キミにはそう出来るだけの権力(ちから)があるのだからね」
その言葉は、最後まで言い切ることは出来なかった。
言葉をぶつ切りにするように、女の腕を掴み持ち上げる警官。まるで自分で動くのでなければ問題はないとでも言うかのように、女は唯々諾々と連れられていく。
――その、最中。
垂れ下がった腕を伝って、零れ落ちた物。
都合十八――それは、この都市で一般的に使われている硬貨。総計した所で、大した金額ではない。裏路地という状況から見れば、落ちていた所でなんら不思議の無いもの。だが――
「……坤離兌乾乾坎艮兌坎兌震巽坤艮艮巽――へぇ、面白い。十分気を付けるんだよ、司令官殿。『足元を掬われないように』、これは二人への『占術』さ」
そう告げるが早いか、女の姿は装甲車へと積まれていった。
女の後に待ち構えている展開は、言うまでもなかった。
- 965 :黒沢小百合:2011/09/25(日) 02:30:31 ID:SSMHlh/20
- >>963
「私と戦うつもり、ですか貴方は……。
……ああ、なるほど、お前はテロリストだな、そうなんだろう。
なるほど、合点がいったぞ。」
小百合の長い黒髪が静電気を浴びたかのようにぶわりと逆立ち
切れ長の瞳はまるで肉食昆虫のようにぎらぎらと輝く。
それでいて、口元にはこれから始まる戦闘に対する期待と興奮の笑みを湛えて。
「つまりはこうだ、此処最近の私の麻薬撲滅に対する精力的な活動に
危機感を募らせたどこぞの組織に雇われたヒットマンか、それとも下っ端か……。
どうせそんなところだろう。ご大層に意味の分からぬ理由までつけて結構なことだ。」
ぶうん、と投げ飛ばされた兵士は周囲の警官を巻き込んで数メートル先に落下したが、
そのまま、すうと虚空に溶けるように消え去る。
「テロリストは、たとえ便所に隠れようが見つけ出して殺す。
お前の首は絞首台に吊られるのがお似合いだろうよ。」
くつくつ、と笑う小百合は未だ動かない。
>>964
「この期に及んで占いか。ま、腐っても占い師という事か……。
忠告は素直に聞いておきましょうかねえ……。」
とはいえ、小百合は負ける事など考えていない。
自分の能力は磐石であり、盆百の能力者には打ち破れないという自信を持っているからだ。
「だが、自分の運命は占えなかったようだなあ……。
もし知っていたなら、自分がこうなることもあるまいよ。」
装甲車へと強引に連れ込まれた桐子に、皮肉の言葉を浴びせる。
// そろそろ限界なのでこの辺で一度中断してよろしいでしょうか……。
- 966 :新嘗草平:2011/09/25(日) 02:55:39 ID:y2gDPmEU0
- >>964
「足元、だと? ……まあいい、忠告には感謝する」
ひび割れたアスファルトを見て、既に車に乗せられてしまった女に礼の言葉を告げる
(ふっ、まさかこの俺が"宣託"紛いの事を受けるとはな)
何が面白いのか、男は乾いた笑いを鼻から漏らした
>>965
「戦うつもりじゃない、祓ってやるつもりだ」
(先ほどまでとは打って変わってのこの言動……これまでの二重性があれば霊も容易には取り憑けんか)
一人言の様に呟くと、溶けるように消える兵士を横目で見やる
確認するように手を握ると、懐から二つの勾玉を取り出す
(ここで国始めはしたくはない、先ずは伊弉冉尊から伺いたてるとするか)
男は翡翠の勾玉を左手に握ると、それを上段に構えて相手の出方を伺う
//わかりました。こちらも眠いので後日お願いします
- 967 :黒沢小百合:2011/09/25(日) 21:30:38 ID:SSMHlh/20
- >>966
「何が祓う、だ……。
私を殺すつもりだろうになぁ……!」
草平を完全に敵と認識した小百合は、
彼を中心に円をかくように動きつつ密かに後退し、隙を窺っていたが……。
(攻めて来ない……相手の能力は分からんが……。
防御的な能力か……まあいい、ならばこちらから……。)
――ふいに空間が歪み、虚空から無数の兵士が現れる。
寒さから身を守るためのコートと三日月斧、マスケット銃を装備した
モスクワ・ロシア皇帝直属の銃士隊『ストレリツィ』。
「貴様はこれにて終了だッ!!
この私に、愚かにも戦いを挑んだ時点でなッ!」
ストレレッツ
小百合の号令と共に、一斉にマスケット銃による射撃を行なう隊員たち。
小百合の戦法が広範囲に破壊をもたらすことを理解している警官たちは既に
退避しており、今のところ巻き添えの被害が出ることはなさそうだ。
- 968 :アントーニオ・ロックフォード:2011/10/07(金) 21:37:34 ID:iGkCISWU0
- 夜の異能都市、街頭が付いているとは言え暗いことに間違いはない。
「はぁ…はぁ…。」
目だし帽を被っていて素顔の見えない男が、その夜の街を疾走していた。
そしてそれを追いかける全身鎧の老騎士、装備重量はかなりのものだろう。
その重い鎧を引き摺って軽装の若者とタメを張る走力、老人の全速力である。
「貴様で最後だぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
男はたまに身を翻し、手持ちのマシンガンを放ったが老騎士はまるで意に介さない。
そしてそうするごとに二人の差が縮まっていった。
老騎士は最後の力で男の直ぐ後ろまでダッシュすると、封杭―巨人縛り―を生成して男の頭を横に殴った。
強烈な左方向の力に押され、男は横に半ば吹っ飛ぶように転がった。
すかさず老騎士は地面に両手で二つの杭を突き刺した。そしてまた杭を生成して、今度は倒れている男の後ろに突き刺す――
【トライアングル・サンクチュアリ】
そして三本の杭の間に、緑の半透明の障壁が発生した。男とアントーニオはその障壁の中に閉じ込められる形になっている。
まだ意識のあった男は、即座に飛び起きて逃げ場を探すが…そんな物は何処にも無い。
「覚悟するのだな、自身の正義に背いた罪を抗うがよい。」
そして老騎士は【封】杭を生成して、その男の胸…ちょうど心臓の位置に振りかぶる…!!
アントーニオ・ロックフォードは今、公安部として強盗の現行犯を追っていた。
男の仲間である5人は、犯行現場で伸びているだろう。
そしてしぶとく逃げ出した男も、今ここで確保されそうになっている所だ。
…しかし、事情を知らない者が見れば能力者が無能力者を襲っているようにも見えるだろう。
- 969 :名も無き異能都市住民:2011/10/07(金) 21:50:23 ID:SSMHlh/20
- >>968
異能都市は争いの多い都市である。
特に路地裏の治安は悪く、銃撃戦など日常茶飯事。
市民たちも、今回のような光景にはこなれており、携帯電話で
写真を撮るものの姿すら見受けられる。
しかし、そんな人々に紛れ密かにアントーニオを見つめるものがあった。
『彼ら』は静かに隙を窺っている……。
- 970 :アントーニオ・ロックフォード:2011/10/07(金) 21:59:35 ID:iGkCISWU0
- ザクッ!!
勢いよく振り下ろされた杭は、男の胸を【貫通】し地面に刺さった。
しかし返り血どころか、何時まで立っても男の胸からは血が溢れ出てこない
「封印完了、後はコイツをしょっ引いてくだけだ…。」
アントーニオは三角形を形成する内の一本の杭を力づくで引き抜いた。
そうすることで三角の陣はちぎれ、緑の余韻を残して消え去った…。
アントーニオは周囲に聞こえる大きさで「ふぅ…」と息を整えた。
全身甲冑による防御、迎撃中心の戦い方のアントーニオにとって、全力疾走は厳しい物があった。
無論、速度に関しては能力の恩恵を受けることはできない。
アントーニオは現行犯逮捕者を送る車を呼ぼうと、一瞬だけ考えたが、電話など案の定携帯していない。
法力で電線をジャックして通達しようかとも考えたが、迷惑になるので止めた。
そんな彼はやはり、自分を付け狙う気配になど感付かなかったのだった。
- 971 :テルメス/ニット帽の男:2011/10/14(金) 22:42:54 ID:DvGffmgQ0
- 「ああっ……これでバイト一通り終わりかぁ!」
コンビニを出、ボキボキと背骨を鳴らしながら背伸びをするテルメス。
数日前からバイト、バイトの日々だったが、
ようやく目標の額を貯め、全てのアルバイトから解放される日がやってきたのだ。
「ふうっ……さてと。
少し高めの飯でも食いに行くか」
しかも少し余分に稼いでいた為、
つつましく過ごせばしばらく仕事をしないでもいいという状態だった。
テルメスは深夜の繁華街を、ほんのちょっとだけ高級な……、
しかし手ごろな店を探して歩き出す。
- 972 :名も無き異能都市住民:2011/10/14(金) 23:01:14 ID:SSMHlh/20
- >>971
今日の繁華街は、いつもより少し騒がしかった。
道行く人々の会話に耳を傾ければ、
『爆弾テロ』があったらしく死者もでたというではないか。
ともあれ、道行く人々は所詮他人事、とばかりに気にするそぶりも無く
この通りに店舗を構えるデパートや飲食店もいつもどおり営業している。
この辺りなら、大抵のものは食べられる。好きな店に入ればよいだろう。
- 973 :テルメス/ニット帽の男:2011/10/14(金) 23:07:18 ID:DvGffmgQ0
- >>972
「爆弾テロ……?
あぶねえなあ。そういえばずっと前、爆弾能力者の鱗怪人とか居たな」
ぶつぶつと呟きながら、テルメスはキョロキョロと店を探す。
「結局そこまで高級でも無いところに来てしまった……」
テルメスが入ったのはファミリーレストラン。
適当な禁煙席に通され、安価な和風の定食セットを注文した。
「しかも安い……もっと高いのにすればよかったな」
- 974 :焔魔堂 宗也:2011/10/16(日) 21:36:10 ID:1sJsd2CgO
- 開けた駅前の通りで黙々と手品をする蒼い目の男が一人。
大きな鞄を足元に、対象的に小さな鞄を腰元にぶら下げて、仏頂面のまましょぼい手品を繰り返す。
「……」
彼の前にはシルクハットがバケツのように置いてある。
奇異の目を引くだけの行為を無表情に繰り返す、そこにサービスなど有りもしない。
- 975 :フィアナ・1st:2011/10/17(月) 21:09:57 ID:wTH5FWJg0
- 【繁華街から数ブロック先の裏通り】
裏通り。
それは日陰者の領域として都合の良い場所であり、そうした者達が表立って活動できる数少ない所である。
それが夜ともなれば彼らの独壇場になることは、少し分別のある人間であれば誰だってわかることだが、
その日に限ってその法則が覆された場所があった。
濃い死臭が澱んでいるそこには、様々な死に方をした死体が多く転がっていた。
ある者は縦に両断されていたり、ある者は炭化したよくわからない塊になって風化を待ち、
またある者は腹を突き破った氷によって絶命していた。
また、通りには鉄板で装甲され、重機関銃で武装したバンがあったが、
ひっくり返って激しく炎上するそれに、活動する様子は見られない。
「〜♪」
それら死に絶えた者たちの傍らで、地べたに座った黒い長衣の少女が鼻歌を歌っていた。
フィアナ・1st。先日、千夜グループに協力者として入り込んだ少女である。
昨今、千夜グループの頭痛の種となっている麻薬組織、その一角である武装組織の壊滅を指示され、
指定されたこの場所に着いたのが十数分前のことである。
全員がアサルトライフルやサブマシンガンで武装し、挙げ句に装甲車と化した車両まで持つ、
厄介な武装集団ではあったのだが……彼女にとってそれらは、大した脅威にはならなかったようである。
- 976 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/17(月) 22:37:31 ID:DQYbOECU0
- >>975
――バチッ。
生命の香等とうに消えうせた地に閃光が走る。
舞い降りた紫色の稲妻が荒れ果てた大地を焼いた。
紫電を纏って現れた少女が持っていたのは血の滴る大鎌とシンプルなケース。
その内、大鎌の方を闇に還すと、残った血液が少女の足元に小さな溜まりを作った。
「……?」
不意に、不毛の土地で一人佇む姿を見つけた。
この惨状が真新しい物である事を周囲を眺めて悟り、たたずむ姿に目を向けた。
- 977 :フィアナ・1st:2011/10/17(月) 22:50:26 ID:wTH5FWJg0
- >>976
紫電と共に現れた少女にフィアナの意識が移り、鼻歌が止まる。
始めに現れたときに持っていた大鎌から死神の類とも思われたが、
早々に鎌をどこかへ消した彼女が、魂を刈るようにも見えず、フィアナは首を傾げた。
しかし、そんなことはどうでも良い。重要なのは「この場」「この時間」に現れたことだ。
登場の仕方からして普通の人間ではまずあり得ないし、ひょっとすると自分が殺し尽くした組織の一員かも知れない。
「こんばんは、黒いおねえさん。いい夜に出会ったね」
長衣の裾を払いながら立ち上がったフィアナの顔には、「きっと楽しいことになる」という期待感が充ち満ちた、
年相応の、しかしどこか凶暴な笑みが浮かんでいた。
- 978 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/17(月) 23:03:20 ID:DQYbOECU0
- >>977
先程巻いた血液を踏み躙り、フィアナの元へ歩み寄った。
以前にも味わった不思議な生命の匂い……生体アンドロイド。
「……こんばんは」
とだけ、抑揚に乏しい平坦な声でそう返す。
向けられた笑顔を何時もの無表情でまじましと見つめた。
その視線を通じて少女はフィアナを読んだ。
一件無垢で純粋なだけに見えるその笑顔。
しかし、その笑顔の意味する事を読みとた少女は、
この場に齎された悲劇が目の前のただ一つの存在によるものだと理解した。
- 979 :フィアナ・1st:2011/10/17(月) 23:19:00 ID:wTH5FWJg0
- >>978
「うん、挨拶は大事だよね。それが例え、こんな場所で交わされるものでもさ」
ニコニコと笑みを浮かべながらそんなことを言うフィアナは、
目の前に立つ黒い少女の視線の意味を知っているのかいないのか。
彼女は紫電と共に現れるような存在を侮っているわけでもなく、恐れている様子でもない。
フィアナの中にあるのは、純粋な興味だけであった。
「それでさ、いきなり本題なんだけど――」
子供ゆえの無邪気さだろうか。それとも、恐れ知らずのそれか。
「お姉さん、「何」? この人たちの仲間とか?」
そのどちらかははっきりとしないが、フィアナの口から出てきたのは、
そんなストレートな質問。
訊く相手によっては、気分を害するような訊き方であった。
- 980 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/17(月) 23:30:43 ID:DQYbOECU0
- >>979
「知らない」
たったのヒトことで返すと、
少女は気分を害するどころか口元を僅かに綻ばせた。
お姉さん、お姉さん。そう呼ばれ慣れていないからか、
はたまた目の前の少女の純粋さに、それこそ純粋に心奪われたか。
「仲間……?」
フィアナの言葉の一つに目を付けると首を傾げるとそれを聞いた。
その出所もただ純粋な興味である。
質は知る所ではないが、これだけの数を用意しなければならなかった「何か」への興味と、仮の命で駆るフィアナへの興味。
- 981 :フィアナ・1st:2011/10/17(月) 23:44:04 ID:wTH5FWJg0
- >>980
「そっかぁ、わからないんだ、残念……」
小さく笑む黒い少女とは対照的に、フィアナは視線を落とし、心底残念そうな声を出した。
だが、その後の言葉に反応を返した少女に、再び視線を戻して、
「うん、この人たちの仲間かどうか、ってこと」
フィアナは手で周囲をぐるりと指し示すが、そこには死体しかない。
死体達は誰も彼もが銃器を携えていて、堅気の人間には全く見えない格好をしている。
黒い少女が都市の裏事情に関する情報を持っているならば、ここに転がっている死体はどれも、
麻薬組織の下部組織として機能していた武装集団であることがわかるだろう。
もしそうでなくても、銃で武装した危ない連中の仲間か、と問われていることは理解できるはずだ。
「もしお姉さんがこの人たちの仲間だったら、フィアナはお姉さんも殺さなくっちゃならなくなるんだ。
非道い人たちなんだって、この人たち」
- 982 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/18(火) 00:00:37 ID:DQYbOECU0
- >>981
「……そう」
フィアナに示されるままに周囲を眺める。
そこに居た者たちを何処かで見たような覚えがして、
以前仕事を貰ったかな……殺しに行った方だっけ。
等と考えていたが答えは出ずに、どうでもいいや。と斬り捨てた。
「……そう。でも、違う……」
はっきりとNOと答えた少女。
この一連の何処かに介入はしていたのだろうが、
既に記憶は曖昧で、もしそうだとしてもただの雇われであり深い関係も情も無い。
ただ、フィアナの少女に向けた『殺す』と言った言葉が少女の心を擽り、嗤わせた。
- 983 :フィアナ・1st:2011/10/18(火) 00:15:30 ID:wTH5FWJg0
- >>982
「違うんだ、よかった」
何が「よかった」のかは、言ったフィアナ自身もよくわからなかった。
得体の知れない黒い少女と戦う羽目にならなくてよかったのか、
都市に自分だけの知り合いができたのに、殺さなくてはならない事態を回避できたのがよかったのか。
……ただ、少し残念には思った。
この黒い少女の力というものにも、フィアナは興味を持っていたからである。
「でもお姉さんも、「死」をお友達にしてる感じがする。
お姉さん、殺す人? それとも人が死ぬような場所にいる人?
どっちかわかんないけど、お姉さん、死霊のにおいがするよ」
こんな言葉が出てきたのは、黒い少女への興味が、その力の方へとシフトしたからであろう。
紫電を纏って現れ、大鎌を携えていた――――これほど分かりやすい「能力者である」というアピールも、
そうそうあるものではない。
- 984 :ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/18(火) 00:44:05 ID:DQYbOECU0
- >>983
「……」
ここで戦闘に発展しなかったのを喜ぶべきだろうか、そうでないのだろうか。
どうだろうか。少女自身は目の前の純粋さで満ち溢れたこれに興味を持った。
だが、どうだろうか。そんな物を今更知っても関係ないのではないのだろうか。
「……臭うかな。
少しは、気を……付けたんだけど、な……」
そういうと、手の甲を鼻に添える仕草をする。
生体アンドロイド。目の前に居るのは自身の中にあった常識を強く打ち破る存在。
これほどまでに興味をそそる物であったか。と一人思案し。
「……届けなきゃ……」
少女はそういうと今まて持っていたケースをフィアナにアピールする。
一瞬の魔力の揺れが周囲に生じたその瞬間、足元の血の滲んでいた地面が沼の様に少女をゆっくりと吸い込み始めた。
手を離し、ケースを足元に落とし込むと少女その物よりも早く飲まれている。
足首まで浸かったころ、胸の前に持ってきた手を小さく振ると「じゃあね、」と呟き、沼に飲み込まれていった。
幼女が消えるとっその沼は次第に縮小されていき、血みどろになった地面が最後には残されていた。
- 985 :フィアナ・1st:2011/10/18(火) 01:03:09 ID:wTH5FWJg0
- >>984
「たぶん、わかる人にしかわからないレベルだと思うよ。
フィアナは鼻が良いからねっ」
と言って、得意げな顔。
実際、死霊のにおい、などというものを感知できるのは修行を積んだ神職か、
そういう領域に詳しい人間、例えばネクロマンサーであるとかでないと感知できない。
フィアナはそのどちらでもないが、それを嗅ぎ分ける才能を、先天的に持ち合わせていた。
「ふーん、お仕事かぁ。じゃあいつか、この街のどこかで会おうね、お姉さん。
ばいばい」
常識外れの方法でその場を去った黒い少女に、別れを特に惜しみもせずそう言えたのは、
フィアナの鼻が彼女につきまとう死霊のにおいを覚えたからに他ならない。
そのにおいを辿っていけば、必ずあの黒い少女にまた会える。フィアナは確信に満ちていた。
「…………あのお姉さんは、殺す人だね。でなきゃ、あんなに濃く匂うはずがないもん」
黒い少女が消えた場所を一瞥してから、フィアナは元居た場所に再び腰を落ち着け、
先刻とは違う鼻歌を歌い始めたのだった。
- 986 :馬霧 真琴:2011/10/22(土) 03:26:40 ID:zpQ2Gl7E0
- 【街中 裏路地】
真夜中、深夜といっても差し支えない時間に路地裏から大通りへ。
懐から伊達メガネを取り出せば、真剣な顔から一瞬でボンヤリした表情へと変化した。
非日常から日常へとスイッチを切り替えたのか、近くの自販機でオレンジジュースを購入して少しずつ飲む様はまるで高校生のそれ。
そこで男とすれ違う。
服の上からでも解る鍛えあげられた肉体に、カーキ色の隻眼の男。
真琴の勘が告げる。危険だ…と。
魔に属する者ではない。魔に属する者ならばすぐに解る。
「…な〜んか臭うなぁ…」
オレンジジュースを飲み終え、缶を捨てれば再び拠点がある方向へと足を進める。
その後も様々な血生臭い…、真琴からすれば“裏の者”とすれ違うこととなる。
ちなみに真琴は絡まれなかった。目を合わせないように下を向いて歩いていたから。
今度小百合と会った際、一応伝えておこうか、と胸の内に秘めて。
――覚えていれば…だが
- 987 :横島なつき:2011/10/26(水) 21:09:19 ID:SJQ94nUE0
- 【緋河神社境内】
巫女装束の少女が長椅子に腰掛けている。
黒髪を小刻みに揺らしながら、こっくりこっくりと舟を漕いでいる。
「すぅ……」
その長椅子の前には枯れ葉の山。……いや、山というには心許ない。
境内の落ち葉を数日にわたり何とか掻き集め寄せ集め、なんとか一山。
それが濛々と空に白煙を立ち上げ、パチパチとささやかな焚火の体裁を成している。
都市部で無断の落ち葉焚きなど、場所によっては消防が飛んでくるが……。
ここは神社。お焚き上げという大義名分が普段からまかり通っている。
「……うひ……ずびっ」
寝ているナツキの口の端から涎が垂れ、すぐ引っ込んだ。
何ということはない、この焚火で焼き芋が出来上がるのを待っているうち、
火の暖かさに抱かれて眠ってしまったのだ。その寝顔の無防備なこと。
……火が落ちるにはもうしばらくかかりそう。
- 988 :髪の白い紫の着物を着た侍:2011/10/26(水) 21:48:12 ID:xm/dFKGs0
- >>987
遙か昔から現代へ。一人の侍、降り立つ。
彼はいつものように待ち人のいる神社へと向かっている途中であった。
しかし、途中で剣戟しあった妖魔の者の手により現代へと飛ばされる。
「ふむ……果たして此処はどこなのであろう…」
神社を見て廻り、ふと眼を向けると。
巫女装束に身を包んだ女性が日を前にこっくり眠りこけている。
これはならぬ、と思ったのか男は刀に手を置く。
「距離は遠いが…届かぬ距離ではござらぬ」
そう言って、刀に手を置いたままに女性が乗る長舟まで飛び移った!
果たして女性は気づくやら?しかし、気づいても飛び移ってくる男は止まらない。
- 989 :横島なつき:2011/10/26(水) 22:06:15 ID:SJQ94nUE0
- >>988
凡人のナツキは迫り来る気配に気付きようがない。
殺気だの魔力だのといったものに対しては、何の心得もないのだ。
が、恐らく侍は気付くだろう。
眠った少女が左手に握り込んでいる剣。
鞘に納められた片手用の両刃剣は、美しい黄金の装飾がなされている。
……それは十握剣と呼ばれる、まさしく神話からの持ち出し品。
その神剣が、まるで音のない水底からそちらを覗き見るような、異様な存在感を放っている。
「……ん」
ナツキがまたこっくりと頭を揺らすのに合わせて、
剣を握り込んだ左手がずるりと椅子から滑り落ちた。
それに釣られるように、ナツキの身体は大きく傾き、ふらりと砂利の上に倒れていく……。
- 990 :髪の白い紫の着物を着た侍:2011/10/26(水) 22:16:41 ID:xm/dFKGs0
- >>989
「とっ、いかん」
倒れそうになる女性の体を男は颯爽と手で支える。
その際、ふと剣に眼を向ける。
その装飾の形には、かつて見覚えがあって。
「ふむ……いい、剣でござるな。
似たような剣を彼女も持ってはござったが……まさか、ではなかろう」
女性を椅子へ戻しながら、火を見守ることにする。
恐らく焼き芋が出来るのを待っていたのだろうと思いながら。
彼の腰に挿されている刀は後に『三日月宗近』と呼ばれる刀だ。
とは言うものの、今はまだ呼ばれはしない。伝承は果たされていないから。
- 991 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/26(水) 22:19:40 ID:WVrfsEdY0
- 「…ここならおちついてやすめるかなの…」
【神社の境内に全身に包帯を巻いた藍色の髪の少女が入ってくる。】
【ちなみに、白いシャツに半ズボンという軽装の上に剣を備えた帯を纏っていたりと、少し不思議な格好である】
「…? みたことないひとがいるの…だれかなの?」
【境内の中に侍みたいな人がいるのを見て、不思議そうに首をかしげて近づいていく。】
- 992 :横島なつき:2011/10/26(水) 22:35:55 ID:SJQ94nUE0
- >>990
「……ふぁっ」
自分の身体が誰かに支えられていることに気付き、ナツキはぱっと目を開ける。
「あ、あわわ、しし失礼しました。
ようこそどうもお参り下さいましてです……」
さっと椅子から立ち上がると、目の前の男に小さく頭を下げる。
男の呟きは耳に入っていなかったようだ。
ナツキはまだ火の落ちない焚き火をチラリと見てから、
男の背格好を上から下まで、さっと一舐めするように目を向ける。
『(……この街じゃそう珍しい恰好でもないな)』
そう判断したナツキは、控えめな営業スマイルを浮かべ、拝殿を右手で示す。
お参りでしたらあちらへどうぞ、の意だ。……左手には自然体に剣の鞘を握っている。
>>991
寝起きでテンパっているナツキは、
今はまだ近付いてくるディスにまで気が向いていないようだ。
- 993 :髪の白い紫の着物を着た侍:2011/10/26(水) 22:42:39 ID:xm/dFKGs0
- >>992
「ああ、いや。
参りに来たわけではなく……言いにくいのだが、
ここはどこであるか教えてはもらえぬでござろうか?」
困惑したような顔で、目の前の女性に聞く。
待ち人に会いに行ったら見知らぬ場所にいたのだ。
行きがけの妖魔のせいなのかは知らないが、彼としては現在位置を知りたいのだろう。
男は一先ず女性が持つ剣のことを忘れることにした。
>>991
遠くから、余り感じた事の無い気配がした。
しかし、かつて会った事があるきがする気配でもある。
- 994 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/26(水) 22:46:45 ID:WVrfsEdY0
- >>992
「あう?ねてたのかなの…」
【なつきの方を見て軽く微笑む】
「こんばんわなの〜。ちょっとここでやすませてもらっていいかなの〜」
【軽く手を振って声を掛けに行く】
>>993
「あう?いったいだれなのかなの…」
【注意深く其の侍の顔とかを確認する。そして】
「こんばんわなの。はじめましてかなの?」
【其の御侍さんに向けて挨拶をしに行った】
- 995 :横島なつき:2011/10/26(水) 23:03:04 ID:SJQ94nUE0
- >>992
「わぁ、おはよう、ディス。久しぶりー!
どーぞどーぞゆっくりしていってねー……ふぁぁ」
ナツキも友人の来訪に自然な笑顔をこぼし、手を振り返す。
が、そんな笑顔の裏でチラリと脳裏によぎることがある。
『(思わぬ来客……。焼き芋のこと隠し通せるかな)』
素直に半分こすればいいものを、ナツキは妙なところで意地汚い。
>>993
「あー、ここは、その、緋河神社というお宮です。
この街は異能都市と言いまして……。ちょっと不思議なところなのです。
迷子になられてるということは、きっと次元の歪みか何かに引っかかって……」
なるほど、歪みに飲まれて流れ着いた人かと勝手に合点したナツキ。
神社に迷い付く人って多いんですよー、なんて言葉も交えながら、
つらつらと、漂流者向けの簡単な都市の説明を紡ぎ――。
「……元いた場所に戻られるのでしたら、観測局が助けになってくれますよ」
大体こんな具合に締めくくる。慣れたものである。
現状を飲み込めれば分かりやすい説明だったはずだ。……現代人に対してなら。
- 996 :風邪の人:2011/10/26(水) 23:09:58 ID:xm/dFKGs0
- >>994
「始めまして、小さな女人」
そう言って相手へと深々と礼をする。
こうするといいと、彼女に教えてもらった。
>>995
ある程度というか、地理だけは解った。
それ以外はサッパリである。
何と無くだが、制限時間付きの気がした。
だから、男は一番気になることを聞いた。
「詳しく教えて貰い、忝い。
元いた場所なら恐らく待っていれば戻れるでござろう」
自分の勘に、任せて相手へと答える。
そうして、頭を整理して、聞いた。
「一つ聞きたいのでござるが―――」
自分が知る上であの装飾はきっとその人のものと信じて。
けれど、きっと違うとも思っている。
「その剣は…誰かに貰ったのでござるか?」
- 997 :髪の白い紫の着物を着た侍:2011/10/26(水) 23:10:32 ID:xm/dFKGs0
- >>996
//名前ミス。すみません
- 998 :ディス ◆My6NsjkSfM:2011/10/26(水) 23:16:06 ID:WVrfsEdY0
- >>995
「うん、わかったの!
ここはゆっくりできていいところだからだいすきなの〜」
【ニコリ笑ってなつきの方に近づいていく。】
「ん?くんくん…」
【しかしある程度近づくと、軽く鼻を鳴らしてなつきのにおいをかぐ】
「…うーん。おいしそうなにおいがするの…」
>>996
「あう、はじめましてなの!『でぃす』がおなまえなの〜」
【ディスも一緒に頭を下げて挨拶した】
「あう〜、その…おなまえなんなのかなの?」
【そう言って首をかしげてみせる。よく見るとディスも剣の帯を通じて剣をその身に背負っているようだ】
- 999 :横島なつき:2011/10/26(水) 23:33:48 ID:SJQ94nUE0
- >>996
「はい、気を楽にして待つのが一番です。
私もこれまで色んなとこ飛ばされたりしましたけど、
最後には帰りたいところに行きつくようにできてる気がしますから」
……ナツキのこの説明だけは明確に間違っている。
都市の時空の歪みは予想が付かず、本当に不条理なのだ。
ナツキが無事でいるのは、持ち前の天運によるところが大きい。
それと、神剣の加護。
「……この剣は、当社のご祭神ゆすら様からの御下賜品です。
ちょっと私みたいなのが持つには不釣り合いな逸品なんですけど……。
なんだか相性がいいみたいで、いっつも守ってくれて、だから、大事にしてます」
そう言って、ナツキは剣を両手で抱えて胸に抱いた。
小柄な少女には大きすぎるはずの神剣だが、その姿には心安らぐような調和が見てとれる。
>>998
「お、流石だねぇ、焚き火の中に焼き芋が入ってるんだよ。
そろそろ食べ頃だろうから、焼きあがったらみんなで食べよう」
そういえばディスは鼻が利く子だったっけ……と、ナツキは思い出す。
ここで変に隠しても墓穴を掘るだけだ。それに、みんなでわいわい食べるのも悪くない。
ナツキはおもむろに剣を――浮瓠量の白い刃を――抜き放ち、火の中に剣先を突き入れた。
「……む、もう少しかと思いきや、これはいけそう。取り出してみますか」
そうして火の中から出てきた剣先には、煤けたアルミホイルの塊が刺さっている。
中には新聞紙に包まれたサツマイモが入っているのだろう。……形のいい焼き芋だ。
- 1000 :髪の白い紫の着物を着た侍:2011/10/26(水) 23:45:52 ID:xm/dFKGs0
- >>998
「む…すまぬ、字すら習っておらぬのでな…。
悪いが、名乗ろうにも名前すらも無い。呼びたい名で呼ぶとよい」
そう、童女を見ながら言葉を返す。
自身に名前は無かった、だから彼女も貴方としか呼びはしなかった。
>>999
「そうか、生憎拙者はそのような経験が無くてな。
刀と身一つで旅をしているような身分故、あっても気づかぬのかも知れぬが」
この彼が後に足利の妖魔を打ち倒し伝説となるのは、もう少しあと。
そして天下無双の称号と共に長く語り継がれていく事となる。
とはいえ、ここまでで彼がどんな身分か、相手は察するだろうか?
「そう、か。なら、その神とやらも喜んでいるだろう。
……剣はあるべき鞘へ、か。なかなかどうして、面白い事もあるものだ」
くつくつと笑って、男は空を見る。
年月が変わろうとも、空の暗さはかわらない。
不満があるとすれば、星が見えぬ事くらいか。
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