■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■

【イベントC】異能都市のクロニクル【三巻目】
1名も無き異能都市住民:2010/12/25(土) 23:12:34 ID:7gFzKdaU0
<<ルールとか>>
・ここは、各スレでなんらかのイベント・クエスト・戦闘が発生した場合に使います。
・雑談も可能ですが、日常の範囲で済むかどうかは各自で判断してください。
・クエストスレはA・B・Cの3つがあります。開いている場所ならどこでも使って構いません。
・逆に、使用中の場合は混乱の元になりますので、同じクエストスレで2つのクエストを進行させることはやめてください。
・クエストで使われている場所を、クエスト以外のスレで使うことは『構いません』。
 時間軸が異なる・平行世界である、など解釈は自由です。
・またクエストスレと他のなりきりスレに、同時に現れることは『構いません』。
 ただしそれによって起こり得る弊害は自力でなんとかしてください。
・GM役をあらかじめ決めておくとスムースにことが運ぶかもしれません。
・識別をしやすくするために、トリップをつけると幸せになれるかも。

前スレ
【イベントC】ホップ ステップ ジャンプ…かーるいす!!【2撃目】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1278862023/

2武蔵 新:2010/12/25(土) 23:27:13 ID:7gFzKdaU0
>>前スレ1000
「そうか。まあ、勝手にしてるといい、散歩でも、何でもここではやりたい放題だしな」

淡々と答えるが、そこに近寄り難い様子はない。
刀をかるく叩き。

「其れこそ、殺し合い、だってな。此処で死んでも現実じゃ死なねーから、修行にゃもってこいって分けさ」

3エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/25(土) 23:34:26 ID:6n2sZE8Q0
>>2
「そう、で、す、ね……」
平坦な声でそう答えると、鞄のを開き、その中に手を入れる。

「殺、し、合い、って訳、じゃ、ないん、です、け、ど……。
今、日は、その、修行、し、に来た、ん、です、よ、ね……」
鞄の中から取り出したのは、掌から少しはみ出るくらいの粘土の塊のような物。

「それ、で……。
お手、合、わせ……お願、い、しても、いい、で、すか……?」

4武蔵 新:2010/12/25(土) 23:37:48 ID:7gFzKdaU0
>>3
「手合わせ?構わねえよ」

即答。
相手が取り出した粘度の塊的物体を見て、興味深そうな表情を浮かべつつ、右手で野太刀を抜刀。
右手で構えを取り、相手を見据える。

「いつだって戦闘は突然だ、断る道理なんざありゃしねえ、てな」

そう小さくつぶやき、口を開く。

「武蔵新、刀匠だ。そしてコイツの名は真信心武藏、いずれ至高の名刀と成る物だ」

刀と自己の名乗りを済ませる。
ならば、此処からは多くの言葉は不要、戦場である。

5エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/25(土) 23:59:37 ID:6n2sZE8Q0
>>4
「武、蔵、さん……。
エシ、リ、ア・ロッド……です……」
ゆったりと、相手の名前を復唱。
そして、名乗ると同時に「よろ、し、く、お願、い、しま、す……」と深々と一礼。

互いに名乗りは済ませた。
相手の獲物はあの野太刀と筋肉。
見ればすぐに分かる、その事を確認して一呼吸。

手にしていた粘土をひと千切り。
石ころくらいの大きさに千切ったそれを、宙へと放り投げる。

 メーカー・キャスト
「『人形精製』発動」

詠唱と同時に、粘土から光が放たれた。
光は高さにして2m弱まで広がり、強くなっていく。
数秒、その場で光り続けると、今度は光が何かを形作って行く。

人だ。眩い光が人の形に集まっていく。
かと思えば
――キンッ。と言う音と共に、光は消え去った。
その代わりに、光の中から其れが出てきた。

キャスト・ヒューマン
『役:人間』

2mに届くか届かないか。
長身で細身の、女性のような顔立ちの、人間のような物が其処に立っていた。
しかし、人間では無い。肌には皺ひとつ無く、間接は球体。
マネキンと言うのが一番しっくりくるだろうか。
服も何も着ていない人形は、カキン、という音を立てて武蔵と顔を見合わせ


「……いき、ま、す」

エシリアの声と共に、一瞬で夜空へと跳び上がった。

6武蔵 新:2010/12/26(日) 00:03:47 ID:7gFzKdaU0
>>5
「エリシア、か。じゃあ、行くぞ」

左手はベルトポーチへと運ばれ、中身を取り出すことと成る。
その手にあるのは5つ程の鉱石の欠片。

「鉱石合成、形状投擲槍、硬度高、サイズ小、形状修正完了―――」

左手に魔力が走り、鉱石が溶け、混ざり合う。
完成したのは1mほどの長槍、投擲のためのものだ。

「い、くゼェッ!!!」

跳躍した人形に槍を投擲すると同時、駈け出した。
武蔵は剣士ではない、移植ではあるが魔術師であるのだ。

7エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 00:17:10 ID:6n2sZE8Q0
>>6
「――」
先ほどと同じ音。
カキョン、と言う間接が擦れる音がするのと同時。
重力やら何やらを無視して、槍を避けるように人形が急降下した。

狙いは武蔵の脳天。
拳を握り、振りかぶり、落下速度を乗せた拳を振り下ろす。

8武蔵 新:2010/12/26(日) 00:19:48 ID:7gFzKdaU0
>>7
「ほう―――っ」

右手の刀で拳を受け、後ろに跳ぶ。
左手には鉱石がある。
鉱石を投擲する動きをするさなかで魔力を徹す。

「形状変化ァッ!針っ!」

2つ握られていた鉱石は、投擲されると同時無数の針となり、相手に飛んでいく。
そして、針と共に駈け出し、新は刀で横薙ぎの斬撃を放とうとする。

9エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 00:35:02 ID:6n2sZE8Q0
>>8
受け止められた衝撃で後ろへと跳び、一回転。
着地と同時に、人形が顔を上げると目前には無数の針と斬撃。

大きく跳び、斬撃を回避。
次いで、拳を手刀の形に。

「――ッ」

息を吸うような動作。
ピタリと動きを止め、無数の針を叩き落す。
全ての針を叩き落とす事は出来ず、何本かが足に突き刺さるも、気に留めず。

10武蔵 新:2010/12/26(日) 00:37:51 ID:7gFzKdaU0
>>9
「ひゅぅっ!」

其の反応に声を漏らす。
刀を構えなおし、刀身に左手で鉱石を叩きつける。
刀身に鉱石は飲み込まれていき、赤熱していく。

「合成、対象真信心武藏」

刀身が徐々に変貌していく。
紅く、焔のように光り輝く刀身である。

「炎刀、真信心武藏ァッ!」

刀身は焔をまとっている。

11エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 00:48:11 ID:6n2sZE8Q0
>>10
「……」
刀の強化。
コレは素の状態で受けきるには少々厳しいか。
ならば。粘土を握り、人形へと投げつける。

ドレスアップ  ホワイトベール
『装飾昇華 白ノドレス』

一瞬、光が人形の身体を包む。
一瞬の後、人形は白いドレスを身に纏っていた。

がくん、と体勢を下げ、地を滑るように駆け出す。

12武蔵 新:2010/12/26(日) 00:50:38 ID:7gFzKdaU0
>>11
刀を両腕で握り締め、縦に全力で振り下ろす。

「翔びなぁっ―――!」

振り下ろす瞬間、豪炎が凄まじ勢いで燃え上がる。
焔は一筋の線となり走り、人形を捉えんとばかりに襲いかかっていく。
焔は凄まじい高温であり、斬撃の性質も持っている。

13エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 00:58:19 ID:6n2sZE8Q0
>>12
斬撃が当たる瞬間。
武蔵には奇妙な感覚が伝わっただろう。
剣は確かに当たっている筈なのに、感触が無い。切れてもいない。焼けてもいない。

その奇妙な感触が伝わった次の瞬間。
白いドレスの上を、剣が滑り落ちた。
焦げた臭いが鼻を付く。熱は伝わり、人形を焦がしてはいるようだが、斬撃は完全に受け流された。

その隙。
剣が滑り落ちた瞬間を狙い、拳が放たれる。

14武蔵 新:2010/12/26(日) 13:21:46 ID:7gFzKdaU0
>>13
「うぉっ!」

その感覚に驚きつつも剣を引く。
焔の噴射で、拳に対し迎撃をするつもりである。
勢い良く刀身から焔が吹出し、相手に襲いかかっていく。
左手には鉱石が握られており、新たに刀身に其れを叩きつけた。

「合成、対象真信心武藏―――」

刀身に魔力と共に鉱石を飲み込ませていく。

15エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 14:01:00 ID:6n2sZE8Q0
>>14
「……無、駄、です」
人形は噴射された炎の中へ

「その、子、は、ちょ、っと、特別、だか、ら……。
簡、単、に、は、燃え、ま、せん……」
何の迷いも躊躇も無く、拳をぶち込んだ。
ジリジリと人形の身体が焦げる音が聞こえ、白いドレスからも次第に煙が昇る。
だが、降りぬいた拳は止まらず、武蔵に狙いを付けたまま、迫る。

16武蔵 新:2010/12/26(日) 14:06:25 ID:7gFzKdaU0
>>15
「へぇ、そうかいだったら―――」

赤熱する刀身が新の腕と同化していく。
そして、纏うは雷撃。

「雷撃刀――合成右腕――鉱石変形――」

右手は雷撃を纏う刃金の腕と化し、左手には十数個の鉱石が。

「――長槍――電磁加速――――ッ!」

鉱石は混ざり合い、一つの長槍と成る。
其れを右手で鷲掴みにし、全力で投じた。
右手の電撃で超加速をされた長槍は、一直線に翔んでいった。

17エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 14:25:41 ID:6n2sZE8Q0
>>16
握った拳が弾かれた。
人間であれば骨が折れているであろう角度と勢いで、人形の腕が弾き飛んだ。
その衝撃で、人形は宙に舞った。


「……」
狙いは此方。
アレを避けるのはちょっと無理そうか。
ならば。
手に持つ粘土を千切り、握る。
握った手の中から何筋もの光が漏れる。
すい、と手を前方へと突き出し、握った拳を開いて。

ブラック・カーテン
『黒刃の幕』

そう唱えると、光は一瞬で黒く静まり、一つの塊となる。
ヒュオン、と風を切る音がしたと思えば、その塊から無数の黒い刃が放たれる。
刀、剣、ギロチン、斧。
形は様々だがどれも一様に闇に解けるかのように黒い刃が、長槍に向かうように宙を切り裂き、衝突する。

一つ、二つでは弾かれてしまう。
だが、それが数え切れない程だったらどうか。
幾度もの激突は超加速された槍の勢いを完全に殺し、遂にそれを地に落とした。

しかし、黒い刃は止まらない。
鎖でエシリアの手に繋がれたそれらは、右手の動きに合わせて振り上げられ

「これ、な、ら、どう、で、すか……」

振り下ろされたのに合わせ、空を覆った刃が、武蔵へと降り注いだ。

18武蔵 新:2010/12/26(日) 14:34:50 ID:7gFzKdaU0
>>17
「はっは!こりゃァいい、“アレ”を使うには十分過ぎる展開だなァ」

その光景を見て、尚笑う。
獣のごとく獰猛な笑みを浮かべ、武蔵は目の前に広がる無数の黒き刃と相対す。
右手を前に差し出し、融合を解き、刀を構え直す。
息を深く吸い、口を開いた。

「――我は鍛冶師、人と鉄を繋ぐ者」

腕に魔方陣が浮かび、魔力が刀を通り肉体へと再び還元されていく。
刀と肉体を一つと数えているのだ。
其の詠唱の間にも、武蔵の肉体に次々と刃が喰い込み、血を飛び散らせる。
其れでも、武蔵は詠唱を止めることはない。

「我が肉体を鍛え、打ち、焼き、至高の一振りと成せ
炉に火をくべ、燃やせ燃やせ轟々と、燃やせ燃やせ轟々と
我が肉体は炉にくべられ、溶かされ打たれ、鍛えられる」

刀の影が薄れ、徐々にその姿を消していく。
知らぬうちに、その場に鉄を打つ音が響き渡る。
其れは――鍛冶場の音だ。
武蔵は朗々と、声高らかに詠唱を紡ぐ。
その様は、魔法の行使であるにもかかわらず、鉄を打つ鍛冶師の如く。
一発が脇腹に深く被弾、血を大量に飛び散らせる。

「鍛錬、鍛錬――我が肉を打て、我が骨を打て、我が魂を打ち鍛えよ」

言葉が消えるとともにひときわ強く、鉄を打つ音が響き渡る。
そして、それに対応するように武藏の表皮に金属光沢が浮かび、硬質化していく。
命中した小さな刃は、通ること無く弾かれた。

「焼入れ、焼入れ――肉を焼け、骨を焼け、魂を焼き、我が存在を焼き鍛えよ」

轟轟と火が燃ゆる音が辺りを満たした。
炉の中で焼かれ、鉄は鋼へと移り、鋼は刃金へと昇華されゆく。
全身は赤熱し、辺りに蜃気楼を作る。
其れは、日本刀を作る工程を肉体に適用した物。

「冷却、冷却――最後まで気を抜く事勿れ、この工程こそ肝に有り、我の肉体を完成させよ」

赤熱する肉体が急冷され、よりその硬度を増して行く。
完成までの工程には、あと一歩。
最新の注意を以て術式を紡ぐ。

「我が肉体こそが剣、剣こそが我が肉体――
我が骨は心鉄、我が肉は皮鉄、我が皮は刃鉄――無数の工程の果て至高の一刀と化す」

最後の音がひときわ強く、空気を切り裂く様に鳴る。

「銘打ち――其の名は、武藏 新ッッッ!」

自らの名を銘と定め、人間の型を取る刀として、其の身体を作り替える武藏の魔術。
髪は逆立ち、全て剣の如く鋭く研ぎ澄まされている。
体は一回り大きく、硬質化した肉体は鈍い光を照り返す。
鉄鬼融合―――武藏の開発した新たなる魔術。
自らの肉体を作り替える狂気としか言えない技だ。
降り注ぐ刃の群れ、それを眼にした刃金の鬼人は、獰猛な笑みを浮かべ、前進を開始した――!
鬼は刃金の拳で刃をたたき落としながら、悠然と闊歩していく。
当たる刃は、浅いキズを作るも、致命傷には至らない。

19エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 15:28:58 ID:6n2sZE8Q0
>>18
「……凄い、で、すね……」
刃が弾かれていく感触が鎖を伝い、全身へと伝わる。
今此方にゆっくりと歩み寄ってくるものを人として見るべきか。
魔術により自らの身体を刀へと作り上げたものを、この程度で止められる筈が無い。

ならば。
右腕を振り上げる。
操作するのは黒刃では無く、地に崩れ落ちていた人形。
跳び上がり、エシリアと武蔵の間へと着地。
右腕の間接は折れ、砕け、だらりと力無く垂れている。
それでも顔は武蔵へと向けられる。
そうするように、操られているからだ。
だが、それだけだろうか。
ただの人形の筈だが、その瞳には何か強い意志のような物があるように武蔵には感じるかもしれない。
命を持たぬ人形の瞳に、光が見える。そんな風に感じるかもしれない。

白いドレスが弾け飛び、布の一切れ一切れから光が放たれる。
ガキョン、と言う音と共に砕けていた間接も光輝き、動き始める。
光の中で修復と再構築が同時に行われ、エシリアがその名を唱える。


ドレスアップ ジャンヌ
『装飾昇華 戦姫』


人形の腕が振り上げ、振り下ろされる。
その動きに合わせ、光は収束し、一筋になって、消えていく。

纏うのは鉄の鎧。
腕に携えるのは青白い光を灯した白銀の剣。
その剣が地に付けられた瞬間、土がはじけ飛び、焼け焦げた。

エシリアが手を動かすのに合わせ、剣は振り上げられ

「――ッ」

振り下ろされた剣から、黒刃の合間を縫って、青い光線が伸びる。
宙を焼き切る音が、武蔵へと迫る。

20武藏 新:2010/12/26(日) 21:01:32 ID:7gFzKdaU0
>>19
その様を見て、武藏は笑う。
―――良い道具じゃぁねえか。
創る者である武藏。物の心と言う物には人一倍敏感だ。
故に、其の人形がただ操られているものではないと、感じたのだ。
そして、意思を持って、こちらに相対するのならば、こちらも刃金の意思を持って相対するのが礼儀という物。
だから――――全力で当たると、今そう決めた。
右手で鉱石を手のひら一杯取り出す。

「融合―――」

魔力が体表を趨る。
その瞬間、武藏は鉱石を口に放り込み、飲み込む。

「――――妖鉄鬼、武蔵」

更に一回り肉体が巨大化し、全身から黒い妖気が吹出す。
背丈は大体2m50cm程。かなりの大きさ、その上妖気と相まってプレッシャーがそれ以上の大きさに男を感じさせる。

「行くぞ、エシリア」

そう宣言し、光線に向け、拳を振るった。
其の勢いは激烈、猛烈、苛烈、爆裂。
蒼い光線と、漆黒の刃金の拳。
二つの強大な力がぶつかり合う。
武藏の力は長期戦闘には向かない力である。
だが、其故に一時的な出力と言う点で見ればかなりの物を誇ることは間違いない。
武藏は其の光線を拳で裂きながら、駈け出したのだ。
常人の肉体ではなく、刃金の肉体で有るからこそ出来る暴挙、光線により確実に肉体にダメージは蓄積されている。
それでも武藏は、人形に向けて全力で襲いかかっていく。
右拳を再度振り、目の前の光線を吹き飛ばし、踏み込み。
地面を深く抉り、飛ぶように駆けた武藏は、其の右拳に漆黒の妖気を圧縮し、全力で振りかぶった。

只、固く固く拳を握り。

只、全力で踏み込み。

只、其れを全力でぶち込む―――ッ!

シンプルで有るが、これ以上に分かりやすい“力”は無い。
妖気により、其の速度を増し、刃金と化し硬度を増した其の右拳を、武藏は全力で人形の土手っ腹目がけてぶち込みに行ったァ――――――ッッッッ!!!

21エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 21:43:22 ID:6n2sZE8Q0
>>20
巨大化した肉体。
放たれる威圧感に飲まれそうになる。
いや、既に飲まれているか。
視界の先にいる男が、先ほどより遥かに大きく感じるのだから。

指を走らせる。
それに応えて人形は駆け出す。
剣を抱え、地を踏みしめ、蹴り飛ばす。
蒼い光を剣でなぞり、狙いを定め、一直線に武蔵へと駆け抜ける。

迫る拳。全力のその一撃。
腹目掛けて放たれた一撃に、防御や回避は一切無し。
響くのは陶器が割れる音、木が崩れる音、石が砕ける音。
様々な「物が壊れる音」と共に、人形の身体を打ち壊した。

――だが、此方の攻撃は止まらない。
握った剣は握られたまま狙いを変えず。
身体は粉々に砕け散ったが、肘から先はまだ生きている。

腹に突き刺さるその腕の上を滑るように蒼い光を帯びた剣が放たれる。

22武藏 新:2010/12/26(日) 21:55:42 ID:7gFzKdaU0
>>21
断ッ!

短い音が響く。
其れは、武藏の右腕を断つ音。
肘から先が落とされ、切り落とされたその先が砕け散る。
飛び散るのは、真紅ではなく白銀。
刃金の肉体に流れるは刃金の血液であった。
明らかに人とは違うその作りは、腕を失って尚戦い続けることを可能とした。
既に体表に罅が入ってきており、放てる攻撃は残り一度。
故に、それに全力を込めることにした。
右腕の血液と、持てる鉱石の全て操作し、一つの形を創り上げた。

「―――刃金の鳳凰」

武藏と同じ程のサイズの、鳳凰である。
持てる魔力の全てを叩き込んだことで、鉄鬼融合は解かれ、元の肉体に戻る。
切断面は金属で止血した。
鳳凰は、黒い妖気を纏っており、鉄鬼としての力を鳳凰に移すように込めたのだと分かるだろう。
焔の代わりに妖気を纏い、羽毛の代わりに刃金を纏った気高き鳳凰。

「―――翔べ」

右腕を振り上げ、エリシアに向けて鳳凰を飛翔させるッ!
妖気を纏う鳳凰は、羽ばたくたびに、其の暴風に刃金を孕ませ、周囲に破壊を撒き散らす。
黒き刃金の暴風が、主に勝利を運ばんと、気高く、高らかに声をあげ、エシリアに一直線に飛んでいく!
速度は早く、其の翼に触れれば、並のものでは一刀両断だろう。

23エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 22:32:37 ID:6n2sZE8Q0
>>22
腕は確かに落とした。
支える物が無くなった人形だった物は、そのまま地面へと崩れ落ちた。
頭部が転がり、パキン、と割れた。
「……」
これ以上あの子は動けない。
動けたとしても、これ以上は動かしてはいけない。
お疲れ様。声は出さずに、呟いて。

一度瞬き。
目を開けて、迫りくる敵を見据える。
止めれるか?この一撃を。
分からないが、勝つにはやるしか無い。

粘土を千切り、投げる。
今度は光が一瞬で広がる。
収束する事無く、エシリアを覆うように、守るように光が周囲へと広がり、消える。

光の中から現れたのは城壁。
この一瞬で出せたのはこの程度。
だが、この一瞬で出せる全てを出し切って作り上げる。

魔力を送り、練り上げ。
作り上げられた城壁が再び光に包まれ、形を変える。

『防壁 羅生門』

光が消えた。
赤い壁が現れた。
ドス黒い赤。様々な色が混ざった、濁った赤色に染まった大きな扉が、武蔵の行く手を阻み、激突する。

24武藏 新:2010/12/26(日) 22:39:00 ID:7gFzKdaU0
>>23
「行け――――――ッッッ!」

門を前にして、武藏は叫ぶ。
自己の分身たる鳳凰に、命じたのだ。
目の前の門を打ち破り打倒せよと。
ならば、突き進むが道理と言う物。
漆黒の妖気を吹き出させ、門に衝突。
嘴は既に、門を貫いた。
羽ばたきは、そのたびに刃を含む黒い暴風を巻き起こし、扉に傷を着け、破壊していく。
徐々に、鳳凰は其の嘴を進めていき、徐々に穴を広げ、羽ばたきが更に其れを拡大していく。
十数秒後。
その妖気をある程度衰えさせながらも、鳳凰は門を貫き、エシリアに向けて襲いかかる。
羽ばたきの衝撃に、刃金の羽を載せて、飛ばした。

25エシリア・ロッド ◆uotUYGHVwM:2010/12/26(日) 23:07:57 ID:6n2sZE8Q0
>>24
門に鳳凰が激突し、その力で門を貫こうとした瞬間。
門は異音を響かせた。
ドス黒い赤色が、更に黒味を帯びていき、音は更に響く。
嘴が門を貫通したその瞬間、エシリアが腕を振るった。
その動きに合わせ、門から、門と同じ色の槍が伸びた。

この門も、エシリアが操る人形の一つなのだ。
防御の為の人形であり、攻撃の為の人形なのだ。

「……っ」

だが、その槍が武蔵を貫く事は無かった。
想像より武蔵の最後の一撃は重く、鋭く、門を早くうち壊した。

飛ばされた刃金の羽。
この距離。既に成すすべは無く。

「……僕、の、負け、で、すね……」

呟き、苦笑だろうか。微かに口元を笑みの形にして見せて。

羽が身体を貫いた。
ズパリ、と肉が千切れる音がした。
エシリアの身体が二つに別れ、地に落ちた。


//お疲れ様でしたー

26武藏 新:2010/12/26(日) 23:11:41 ID:7gFzKdaU0
>>25
最後の一撃を放ち終え、砕け散る鳳凰。
そして、砕けた鳳凰が地に落ちると同時、武藏も倒れこんだ。
鉄鬼融合、刃金の鳳凰―――どちらも大技、これまで意識を保っていられた事自体が奇跡であったのだ。
気絶した武藏は、ノイズとなり箱庭を後にしていった。
最後に一つ、鋼色の羽を残して。

//乙でしたー!

27ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/30(木) 23:20:02 ID:hGStfPTM0
【都市中央付近――噴水のある公園】

少女は歩いていた。
右手には木で出来た籠をさげ、その上には布を被せてある。
来ている灰色のパーカーについたフードを深めに被り、その上から黒いコートを羽織っている。
防寒対策か、今日はジーンズを穿いてのパンツルックの様だ。
ふと視線を横に向け、噴水を目に入れるとそれを数分間眺めていた。

28上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/30(木) 23:28:52 ID:.6prKP66O
>>27
【不意に、少女の背後から男性の声がした】
 
「やぁ」
【声をかけた男は一見、目付きの鋭さから相手を威圧するような顔つきだが、声には優しさが滲んでいた】
 
「何をしているんだ?」
【ミントグリーンの髪を風に揺らし、少女に話し掛ける】

29ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/30(木) 23:34:00 ID:hGStfPTM0
>>28
「?」
振りかえり、その人物の登場に首を傾げる。

「……こ、れ」
木のカゴの中から薬を取り出し、見せる。風邪薬。
「……元気?」
少女の身体の向いている方向を歩いていけば、上弦のアトリエに着く。
この少女は風邪薬をアトリエへと届けようとしていたところなのである。

30上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/30(木) 23:40:01 ID:.6prKP66O
>>29
「……」
【じっと籠の中をみつめて、男はハッとする】
 
「もしかして……私の為にかい?」
【胸が喜びで震えた、少女の瞳を瑠璃色の眼がみつめる】

31ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/30(木) 23:42:17 ID:hGStfPTM0
>>30
顔が小さく縦に揺れた。
「元気?」
無表情で視線を上弦の瞳としっかり合わせて、もう一度聞く。

32上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/30(木) 23:48:59 ID:.6prKP66O
>>31
「……」
【一瞬で男は考えた、今、自身は夜の噴水広場を散歩中……見る感じ元気だ
しかし、目の前の少女の行為を無駄にする訳にはいかないと】
 
「そうだな、まぁまぁかな……でも、君が来てたし、元気になるかも」
【どっち付かずな返答、しかし、男の性格上こう答えると、少女にはわかっていたのだろうか】

33ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/30(木) 23:52:08 ID:hGStfPTM0
>>32
「そう……まだ、少し?」
少々目を伏せて、フードを深めに被る。

34上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/30(木) 23:58:47 ID:.6prKP66O
>>33
「そうだね、昨日の夜まではかなりキツかったからね」
【これは本当の事、男はフードの上から少女の頭を撫でる】
 
「心配してくれて有難う」
【いつもと変わらぬ優しい笑顔が男には浮かんでいた】

35ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:02:29 ID:hGStfPTM0
>>34
「……うん」
少女の頭がまた小さく揺れた。

36上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:05:17 ID:.6prKP66O
>>35
「どうだい?ここは寒いし、私の部屋に来るかい?」
【外はとても寒い、少女の体を気遣い、男は尋ねる】

37ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:08:55 ID:hGStfPTM0
>>36
「……そう、する」
小さく口を開けてそう言うと、黒いコートを深く着こんだ。

38上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:13:15 ID:.6prKP66O
>>37
「……」
【少女の事を心配する、フードを深くかぶり、目を伏せた少女が気になるようだ】
 
【だから元気づけるため、男はある提案をする】
 
「どうだい?久しぶりに姫抱きでもしてあげようか?」

39ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:15:57 ID:hGStfPTM0
>>38
「……いい」
少女は乾いた声で首を横に振りながらそう言った。

「いこ……」

40上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:26:40 ID:.6prKP66O
>>39
「そ、そうか……」
【乾いた声に言葉を無くす男、自分は何かしてしまったのだろうか?】
 
「あ、あぁ……行こうか」
【ハッと我に返り、なんとかしなくてはと考える】
 
「ゼオラ、最近何をして過ごしてる?」
【しかし、考えた事は世間話だ】

41ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:32:47 ID:hGStfPTM0
>>40
「何も……」
歩き出すと、僅かに目を伏せて答えた。
少女の変化に乏しい顔が、僅かばかり寂しそうな顔をしていた。

42上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:36:38 ID:.6prKP66O
>>41
「……」
【男は気付くことが出来た、いつも少女の顔を見ているから気付いた】
 
「ゼオラ、待ちなさい」
【少女を呼び止め、少々無理矢理フードを脱がせ、瞳を覗き込む】

43ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:40:10 ID:hGStfPTM0
>>42
「何?」
一度は目を逸らす。
が、暫くして目を合わせた。

44上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:42:57 ID:.6prKP66O
>>43
「……」
【じっと少女の瞳を覗き込み、男は優しい語調で尋ねた】
 
「どうしたんだい、ゼオラ……」
【寂しそうだね、とは言わなかった……これだけで少女には男が尋ねたい事がわかると信じていたから】

45ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:47:22 ID:hGStfPTM0
>>44
「……レラが」
小さく、それだけを言った。
どうやら機嫌の原因は仲のいい少女にある様である。

46上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:51:00 ID:.6prKP66O
>>45
「レラ?」
【男のよく知る名前、いつもお互い(主に上弦がだが)ふざけあっている】
 
「レラがどうしたんだい?」

47ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:53:11 ID:hGStfPTM0
>>46
「いない」
上弦にそういうと、静かに。
「どこか、いっちゃったの……」

48上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 00:54:57 ID:.6prKP66O
>>47
「なにぃ?」
【男の顔に真剣さが宿る】
 
「それはいつの話しだい?
そして、最後に会った時に何が変わった様子は?」

49ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 00:59:00 ID:hGStfPTM0
>>48
少女がパーカーについている前ポケットから取り出したのは携帯電話。ゼオラの物である。
メールや通話の履歴を見ると少女とレラの連絡の様子がよくわかる。
しかしながら、その連絡も数週間前を境にきっぱりと途絶えていた。レラ側からの反応が一切ないのだ。

最後のメールには「暫く都市を去る」と書かれている……。

50上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 01:02:31 ID:.6prKP66O
>>49
「携帯、持ってたんだ………ん?
しばらく都市を……理由は聞いたかい?」
【どうしたものか、手掛かりが見つからなければ連れ戻す事も不可能なのだ】

51ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 01:10:37 ID:hGStfPTM0
>>50
実は持ってた。
昔から少しだけ使ってたりした。

「理由……?」
メールの履歴を操作し、少しして画面を向ける。
内容から察するに、上弦の前でいつか見せた光を操る別の人格が原因らしかった。
その人格が都市の破壊を目的としている様子なので、まだ制御の効く内に歳から離れる……。と言った様子な内容だった。
そして、その人格の名前はミラージュというらしい。

52上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 01:15:43 ID:.6prKP66O
>>51
「後で私にも番号やアドレスを……じゃなかった、なるほど……ミラージュ……」
【何度か会った事がある人格だ、男は唸る】
 
「制御が効く内……つまりはいずれ制御が効かなくなるということか……まずいな……」
【男は悩む、少女が詳しく話してくれたと言う事は、男にはそれに答える義務がある……レラの為にも、そして何より目の前の愛する少女の為にも……】

53ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 01:22:18 ID:hGStfPTM0
>>52
さらに、その続きには稀に訪れる制御のできる時間がだんだん短くなってきている事と、
何れ敵として都市に戻ってくると言う事、その迎撃をする為の人間集めをゼオラに任せる。といった内容が。
「上弦」
目を合わせ、
「お願い、できる……かな……?」
僅かに涙の混じった瞳で尋ねた。

54上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 01:29:58 ID:.6prKP66O
>>53
「……」
【少女の頬を撫でて涙を拭きながら、男は静かに頷く】
 
「任せなさい、ゼオラ……君の願い、確かに聞き入れたよ……」
【眼には瑠璃色の光が宿り、少女に安心感を与える】

55ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 01:34:03 ID:hGStfPTM0
>>54
「ありがとう……」
瞳を閉じ、上弦に抱きついた。

56上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 01:39:59 ID:.6prKP66O
>>55
【それを男は優しく受け入れ、抱きしめ返す】
 
「今は寂しいかもしれないけど……レラの代わりにはなれないかもしれないけど……私がいるから……だから今は笑ってくれ……」
【精一杯、優しい声でそう言い、抱きしめ方にも愛が溢れていた】

57ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 01:46:43 ID:hGStfPTM0
>>56
「解った……」
そういうと、離れる。
まだ笑顔とまでは行かない物の、幾分か普通に戻っていた。

「……いこう?」
そういうと、上弦の手を引き、歩き出した。

//そろそろ寝なければならないのです……。
//明日のお昼ごろは大丈夫なようですので一旦切らせて貰いますね……。

58上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 01:55:39 ID:.6prKP66O
>>57
「……」
【黙って少女の顔を見つめ、笑う】
 
「あぁ、行こう!」
 
//了解しました、一旦、お疲れさまでした!
//お休みなさい

59ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 13:58:46 ID:hGStfPTM0
>>58
「うん……」
小さく頷き、進んでいく。

60上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 15:10:46 ID:.6prKP66O
>>59
「そういえば今日は君、ゴスロリ服じゃないんだね?」
【手を引かれながら世間話】
 
「うむ、私もたまにはラフな格好をしてみようか……
どう思う?」

61ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 15:16:59 ID:hGStfPTM0
>>60
「……寒い、から」
アリスにほぼ勝手に着せられた様なものであるが。

「さぁ……」
ザ・無関心。

62上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 15:27:00 ID:.6prKP66O
>>61
「ははははは、まぁ、似合ってるよ!」
【本心で男は少女を誉める】
 
「さぁ……って……私の予想外の返事だった!!」
【無関心な返事に精神に大ダメージ】

63ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 15:30:01 ID:hGStfPTM0
>>62
「ありがとう」
そう返すと上弦をみあげて。

「じゃあ……着替えたら?」

64上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 15:41:54 ID:.6prKP66O
>>63
「ふふふ……」
【見上げられ、礼を言われて笑顔で返すが、次の着替えればで苦笑いになる】
 
「いや、すいません……私が欲張りすぎました」
【ガクリッとうなだれてた時にはもう、アトリエ前であった】

65ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 15:43:51 ID:hGStfPTM0
>>64
「?」
頭上に疑問符を浮かべ。
上弦の服の裾を引っ張り。

「ついた」

66上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 15:57:18 ID:.6prKP66O
>>65
「あぁ、そうだな……寒いから早く入ろうか」
【扉を開けて、歩き回る執事やメイドに挨拶をすると上弦は自身の部屋に迎う】
 
【忘れがちだが、以外とアトリエは広かった】

67ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 16:00:43 ID:hGStfPTM0
>>66
「そう、する」
今度は上弦についていく。
ちかくのメイドや執事には同じように挨拶をして。

68上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 16:10:42 ID:.6prKP66O
>>67
「う〜ん」
【歩きながら考える】
 
「……部屋に行くのは良いが……どうしようか……このままグダグダお話をしても構わないが……何か新しいことをして、ゼオラを楽しませないと……」
【その間に、既に上弦の部屋の前】

69ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 16:19:35 ID:hGStfPTM0
>>68
「?」
考える様子を見ながら付いていく。

70上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 16:27:55 ID:.6prKP66O
>>69
「さぁ、入って入って!」
【扉を開けてゼオラを招く】
 
「……ゼオラ、何かしたい事はないかい!?」
【ずずずいっと尋ねる】

71ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 16:31:24 ID:hGStfPTM0
>>70
「……ん」
聞かれて、少し考える。
「……ない」
少々困った顔でそう言うのだった。

72上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 16:39:24 ID:.6prKP66O
>>71
「そ、そうか……どうするか……まぁ、座って座って」
【ゼオラを座らせ、男は向かいに座る】
 
「……何か飲むかい?」

73ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 16:42:05 ID:hGStfPTM0
>>72
「ごめん……」
上弦の表情から察し、謝る。

「じゃ、あ……飲む」
一度断りかけた口を否定し、頼んだ。

74上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 16:49:47 ID:.6prKP66O
>>73
「何、気にしなくていいよ」
【謝られると少し気まずい、だから気にしないようにと頭を撫でる】
 
「ホットミルクにしようか?暖かいからお腹が安心するよ」

75ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 16:52:56 ID:hGStfPTM0
>>74
「うん……」
少々目線を落とし、頭を撫でられていた。

「お願い……」

76上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:00:13 ID:.6prKP66O
>>75
「……どうすれば……そうだ!」
【ホットミルクを入れて、ゼオラの前に置く……そして不意に】
 
「アッ!あれはなんだ!?」
【窓の外を指差す】

77ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 17:03:13 ID:hGStfPTM0
>>76
「ありがとう……。?」
ホットミルクを受け取り、飲もうと口の前に運ぶ。
が、上弦の声を受けてコップを僅かに離し、指の差す方向を見つめる。

78上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:07:21 ID:.6prKP66O
>>77
【もちろん、指差した所には何もない、強いて言うならばUFOが飛んでるだけである】
 
「ははは!隙を見せたなゼオラ!!」
【必殺速着替えさせアタック!】
 
【ミッドナイトブリスよろしくな魔手がゼオラに迫る】

79ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 17:10:41 ID:hGStfPTM0
>>78
「……!!」
UFOに普通に驚きを見せている。
凄い隙だらけである。

80上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:17:55 ID:.6prKP66O
>>79
シュパパパパパッ!
【一瞬の内に着替えさせる奥義、しかしその弱点は、あまりにも速すぎて服の中、すなわち下着が見えない事である……しかしあえて上弦は言う】
 
「見えたッ!」
【ゼオラは一瞬で白いワイシャツに黒いネクタイ、チェックのスカートに縞々ニーソックスに変えられる】
 
「さぁ、どんな反応を……」
【あまりにも雰囲気が暗めだったから盛り上げる為にも、よくやる速着替えを実行したのだった】

81ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 17:20:59 ID:hGStfPTM0
>>80
UFOが見えなくなったので椅子に座る。
ホットミルクの飲んで一息すると視界の端に映る衣服が違う事に気が付いた。鈍い。
「……寒い」
スカートが寒かった様子。

82上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:27:58 ID:.6prKP66O
>>81
「……」
【一息つくまでに上弦は今か今かと反応を待ったが……】
 
「遅っ!?」
【あまりの遅さに驚きの声を上げる】

83ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 17:29:42 ID:hGStfPTM0
>>82
「えっ……?」
戸惑いの声を上げる少女。
ホットミルクをテーブルに置くと上弦を見ている。

84上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:36:35 ID:.6prKP66O
>>83
「え……?」
【こちらも同じ反応、しばらく二人で同じような顔をして見つめ合う】
 
「えっと、それやったの……私なんだが……」
【しばらく見つめ合った後、思い出したかのように自白】

85ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 17:42:32 ID:hGStfPTM0
>>84
「むぅ、困る……」
頬を膨らませてむくれた。

86上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:47:32 ID:.6prKP66O
>>85
「うむ、やっと反応してくれたね……私はその格好可愛いから好きだよ?」
【笑いながらゼオラに近付き】
 
「はい、じゃあ服戻すからこっちを向いて……それか自分で着替えるかい?」

87ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 17:50:29 ID:hGStfPTM0
>>86
「寒い、嫌い……」
意図的に目を合わせずに近付いて行った。

「じゃあ、お願いする……」

88上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 17:58:08 ID:.6prKP66O
>>87
「ぬぅ!?」
【ゼオラの攻撃は効いたようだ、上弦はダメージを受けている】
 
「よし、すぐにやるからね」
【ネクタイに手をかけるが……スピーディーにやるかどうか迷っていた……チャンスだからね!】

89ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 18:00:33 ID:hGStfPTM0
>>88
「?」
下を向き、上弦の手に疑問の視線を向ける。

90上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 18:03:17 ID:.6prKP66O
>>89
「……ゴクリッ」
【かなり緊張している上弦である、さっきはあんなに素早くやったのに、意外とウブなのだ】
 
「と、とりあえず……まずはネクタイを……」
【ネクタイを取る事は簡単にやってのけた】

91ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 18:04:17 ID:hGStfPTM0
>>90
上弦のすることをただじっとみている。
「どうかした?」
少々違う様子に首を傾げる。

92上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 18:09:34 ID:.6prKP66O
>>91
「え!?い、いやいやいや緊張なんかしてないよ!?チャンスとか思ってないよ!?」
【尻餅をつき、高速で後退り……しかし無意識に正直に話してしまった】

93ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 18:11:39 ID:hGStfPTM0
>>92
「む……」
僅かに目を細めて上弦を見ている。

「もういい、着替える……」
ゆっくりと自分で着替えを始めた。

94上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 18:21:39 ID:.6prKP66O
>>93
「い、いや……」
【ゼオラが自分で着替え始めて、自分が着替えさせたいような気もしていた】
 
「ん!?」
【しかし、今気付いた……今目の前で着替えているではないか!?】

95ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 18:29:22 ID:hGStfPTM0
>>94
「さむい……」
上着を脱ぎ捨てると早々に自身の持ってきたパーカーを着こむ。
「……」
その他部分も気が用としたが上弦を視線に入れて。睨んだ。
衣服を手にして布団にもぐりこんでいった。

96上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 18:53:35 ID:.6prKP66O
>>95
「ば、ばれた!?」
【そりゃそうである、上弦は着替えが終わるまで待つ】
 
「しかし、惜しいことをしたかな……」

97ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 18:57:46 ID:hGStfPTM0
>>96
「……べー」
布団から首だけ出てきた。
視線を向けて舌を伸ばす。

98上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 19:01:51 ID:.6prKP66O
>>97
「……」
【ピクリと、上弦の眉が反応する】
 
「そんな事をしていいのかな?」
【上弦はゆっくりとベッドへ向かい】
 
「思い知らせてあげようじゃないか」
【潜って行った】

99ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 19:05:45 ID:hGStfPTM0
>>98
逃げる様に出て行った。
既に着替えは完了している。
「……捕まえて見る?」

100上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 19:11:34 ID:.6prKP66O
>>99
「ほう?捕まえたら何かご褒美があるのかい?」
【上弦は笑って出てくる】

101ゼオラ=アドヴァルド:2010/12/31(金) 19:18:20 ID:7hcwnxwgO
>>100
「んー。好きにして、いいよ……?」
ニヤリと笑って。

//ご飯に行ってくるのです……。

102上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2010/12/31(金) 19:28:24 ID:.6prKP66O
>>101
「待ってました!その言葉!!」
【やる気がかなり上がったようだ、物凄く元気になった】
 
「ふふふふふ、じゃああんな事やこんな事をさせていただくぞ!!」
 
//いってらっしゃい!

103ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 14:33:23 ID:hGStfPTM0
>>102
「捕まえられたらね……?」
挑発的な笑みを続け。

104上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 18:24:16 ID:.6prKP66O
>>103
「よし、なんとしても捕まえたくなったな……」
【上弦にとって、この条件はかなり魅力的な物だった】
 
「ならば、さっそく行かせてもらうぞ!」
【先手必勝、上弦は瞬時にゼオラの前に現われ、手を伸ばす】

105ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 19:58:35 ID:hGStfPTM0
>>104
「捕まらないよ」
身体を逸らし、手を避ける。
そのまま身体を回転させ、背中方向に移動して上弦と擦れ違い距離を離す。

106上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 20:13:22 ID:.6prKP66O
>>105
「ぅおっとと……」
【見事に避けられ、態勢を崩す】
【スピードでは到底上弦はゼオラには適わない、だから分が悪いのだが……ここは上弦の部屋……】
 
「まずは……ぬんっ!」
【地面を叩き、床から紐が生えてゼオラを襲う】

107ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 20:27:11 ID:hGStfPTM0
>>106
「っとと……」
跳んで避け、ベッドの上に着地。

108上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 20:30:44 ID:.6prKP66O
>>107
【その時、上弦がニヤリッと笑う】
 
「ハッハッハ!」
【上弦が笑った瞬間、ベッドが折り曲がり、まるでトラバサミの要領でゼオラを捕らえようとする、その瞬間にも上弦は隙を見せず近寄ってくる】

109ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 20:32:48 ID:hGStfPTM0
>>108
「捕まえられる訳、」
その瞬間、少女の姿が影に消え、

「無いんだよ……」
現れるのは上弦の背後から。

110上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 20:36:54 ID:.6prKP66O
>>109
「おぉっと!?」
【背後のゼオラに気を取られて】
 
ドンガラガッシャーン
 
【上弦はそのままベッドのトラバサミに挟まれた】
 
「忘れてたぁ!影の中移動出来るなんて捕まえられるのかこれ!?」
【しかし諦めていないご様子】

111ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 20:39:45 ID:hGStfPTM0
>>110
「……解った?」
歩いて近寄りながら。

112上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 20:44:51 ID:.6prKP66O
>>111
「ふふふふ、わからないな……私は君をどうしても捕まえたい」
【起き上がり、上弦は笑う……どうしてもゼオラを捕まえたい上弦だった】
 
「自分から近寄ってきたの失敗だったな!!」
【再び上弦が向かう、同時にゼオラの足を縛ろうと紐が飛ぶ】

113ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 20:48:36 ID:hGStfPTM0
>>112
「……解ってる」
小さく後ろに跳んで紐を回避。

「無駄、だよ……」

114上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 20:53:22 ID:.6prKP66O
>>113
「へぶしっ!?」
【案の定、上弦が紐に躓き転倒】
 
「無駄でも、ゼオラを捕まえたい!それが私だ!!」
【鼻血を流しながら格好いい顔】
 
「これならどうだ!」
【瞬間的に動くと、上弦が複数人に増えた……ように見える】
 
「はっはっは!この数なら捕まえられるぞ!」
【分身がゼオラに向かう】

115ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 20:55:33 ID:hGStfPTM0
「……なら、」
何処からか取り出した白い紐。
それで自身の長い髪を結び。

「正面から叩くだけだッ!」
モードチェンジ完了!
襲ってくる分身の顔面に拳を入れる。

116上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:02:42 ID:.6prKP66O
>>115
「そう来たか……」
【本体は鼻血が出ているのでモロバレです】
 
【次々と消える分身を見ながら、上弦は笑う】
 
「久しぶりだね」

117ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:04:56 ID:hGStfPTM0
>>116
「会いたくは無かったがな」
最後の分身を飛び蹴りで消し、華麗に着地。
向けている視線はキツい。

118上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:08:12 ID:.6prKP66O
>>117
「そりゃそうか……」
【薄く笑って鼻血を拭く】
 
「で?どうする?」
【両腕を開いてゼウラを見て、視線なんか気にしない】

119ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:10:20 ID:hGStfPTM0
>>118
「どうする。と言うのは?」
腕の辺りをもう片方の手で覆い。

120上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:12:16 ID:.6prKP66O
>>119
「君は私と戯れたく無いだろう?」
【座ってホットミルクを啜る】
 
「私は休憩するつもりだが、君はどうする?」
【向かいの席に座るように促す】

121ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:18:09 ID:hGStfPTM0
>>120
「フン。詰まらんな……。
 別に俺は構わんが、お前がそうすると言うのなら戻るまでだ」
そういうと白いリボンを解き、元に戻った。

「……」

122上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:19:51 ID:.6prKP66O
>>121
「……」
【ニヤリッ】
 
「さぁ、座りなさい?」
【独特のその空気、ゼオラ、ゼウラには理解出来ただろうか】
 
「えっと、クッキークッキー……」

123ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:25:49 ID:hGStfPTM0
>>122
「うん……」
知ってか知らずか、席についてクッキーを探す上弦を見ている。

124上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:29:17 ID:.6prKP66O
>>123
「おぉ、あったあった」
【それは立派な箱に入ったクッキーだった】
 
「実はお得意さんから頂いてね、かなり良いものみたいだよ?」
【テーブルにクッキーの箱を置き、開ける……中には大層立派なクッキーがギッシリ詰まっているのだった】
 
「さ、召し上がれ?」

125ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:30:56 ID:hGStfPTM0
>>124
「ありがとう……」
単純に嬉しかった様子。
中から一枚を取ると両手にもって少しずつ齧って食べている。

126上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:33:34 ID:.6prKP66O
>>125
「ほら、ゼオラ……口の周りに付いてるよ?」
【ハンカチで、ゼオラの口元を拭こうと近づいてきて】

127ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:37:19 ID:hGStfPTM0
>>126
「……?」
クッキーを口から離し、上弦の方を向く。

128上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:41:55 ID:.6prKP66O
>>127
「……」
【笑顔で口の周りを拭きながら、上弦が一言】
 
「捕まえた……」
【優しい声でそう言うが、上弦の相手を油断させる作戦は成功したのだろうか?】

129ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:45:06 ID:hGStfPTM0
>>128
「捕まった事にしてあげる……」
手の持ったクッキーを上弦の口に向けてそう言った。

130上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:48:05 ID:.6prKP66O
>>129
「!?」
【まさかの反応にビックリする、口にはクッキーを入れられ】
 
「そうか、気付いてたんだね……もう一人には悪い事をしちゃったな……」

131ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:51:37 ID:hGStfPTM0
>>130
「さあね……」
クスッ。と笑う。

132上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 21:55:12 ID:.6prKP66O
>>131
「うぅ……」
【笑う顔は可愛い、でも悔しい……でも可愛い!】
 
「……もう一人の方に……謝っておいてくれるかい?
私からでも構わないが……」
【完全に、負けを認めた上弦であった】

133ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 21:56:40 ID:hGStfPTM0
>>132
「後で謝っといて上げる……」
もう片方の手で新しいクッキーを掴み、口に入れた。

134上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 22:01:40 ID:.6prKP66O
>>133
「ありがとう、ゼオラ」
【冷たく接し、本当に悪い事をしたと上弦は後悔していたが、ゼオラが謝ってくれるらしいので、少しだけ安心する】
 
「ゼオラ、クッキー美味しいかい?」

135ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 22:05:00 ID:hGStfPTM0
>>134
「美味しいよ?」
少しだけ首を傾けて返事をする。

136上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 22:09:39 ID:.6prKP66O
>>135
「それならよかった……」
【捕まえたら好きにしていいと言う話……しかし上弦は負けを認めたので迷っていた】
 
「捕まえたには捕まえたけど……私の負けだし……」
【むぅっと唸る姿はちょっと面白い】

137ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 22:13:49 ID:hGStfPTM0
>>136
「何するつもり……だったの?」
唇の人差指を乗せ、尋ねる。

138上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 22:18:47 ID:.6prKP66O
>>137
「え!?い、いや……はははははっ……」
【いつも悩殺されているので今度は自分がやろうとしてたとは言えないのだ】

139ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 22:22:39 ID:hGStfPTM0
>>138
「……そ。
 まあ、何でもいい……かな」
そんな事とは露ほど知らず。
無理そうなお願いなら逃げるつもりだったので一安心である。

140上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 22:29:58 ID:.6prKP66O
>>139
「ゼオラ……君も本当は捕まる気はなかったんだろ?」
【にっこりと笑ってゼオラに尋ねる】

141ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 22:34:59 ID:hGStfPTM0
>>140
「さぁね……どう思う?」
首をひねって。

142上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 22:43:04 ID:.6prKP66O
>>141
「そうだね、私は何度も君の可愛さにやられているからね……実は、君には捕まらない自信があったと私は思うな」
【笑う上弦は正直に答える、何度も悩殺されているのだ】
 
「それとも、私に好きにしてほしかったのかい?」
【顔を近付けて尋ねる】

143ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 22:44:34 ID:hGStfPTM0
>>142
「どうだろうね……教えないよっ」
近づけられると目線を逸らして。

144上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 22:49:23 ID:.6prKP66O
>>143
「む〜……」
【やはり上弦ではゼオラに勝てないのだった……だからもう、苦肉の策である】
 
「ゼオラ、私のこと好きかい?」
【やっぱりストレートに聞く】

145ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 22:56:32 ID:hGStfPTM0
>>144
「聞いてどうするの……?
 言わなきゃ、ダメなのかな……?」
ニヤリとした笑みを再び見せる。

146上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:00:45 ID:.6prKP66O
>>145
「うぅっ……」
【その笑顔を10秒弱見ながら唸り】
 
「私の負けだよ……だからせめて君の口から好きと言ってください」
【どうやら照れさせようとしたみたいだが失敗、でも思ったよりゼオラがドライで上弦は焦ってしまったようだ】

147ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:11:09 ID:hGStfPTM0
>>146
「クスッ、好きだよ……上弦?」
その表情を見ると声を漏らして笑う。
笑みはそのままでしっかりと告げた。

148上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:15:34 ID:.6prKP66O
>>147
「わ……私もだぁ〜!!」
【ゼオラを抱きしめようと腕を広げ向かっていく】

149ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:18:42 ID:hGStfPTM0
>>148
「フフ……」
大人しく抱きしめられている。

150上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:21:49 ID:.6prKP66O
>>149
「いやしかし、さっきのはヤバかった!」
【さっきのゼオラがかなりツボだったらしい】

151ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:26:04 ID:hGStfPTM0
>>150
「そう……?」
首を傾げ聞く。

152上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:31:51 ID:.6prKP66O
>>151
「そりゃそうさ!本当に可愛かったよ!」
【今度は膝の上にゼオラを乗せる】
 
「……」
【しかし、そこで上弦は少し悪い事を考えてしまう】
【ゼオラのお腹に手を伸ばす】

153ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:34:07 ID:hGStfPTM0
>>152
「何?」
首を回し、上弦の方を向く。
その目は疑念の意思が混じっていた。

154上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:35:50 ID:.6prKP66O
>>153
「え?いや……不意にお腹を撫でて見たくなって」
【手の動きが止まる、何で撫でたくなったのかは上弦すらわからなかった】

155ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:42:20 ID:hGStfPTM0
>>154
「……」
その目が少々薄くなる。
どうも良くは思って無い様だ。

156上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:44:59 ID:.6prKP66O
>>155
「……ご、ごめんなさい」
【速攻で謝る】
 
「い、いや……魔がさしただけなんだよ、許してくれ」

157ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:47:10 ID:hGStfPTM0
>>156
「……」
上弦から逃げる様に跳び、離れた。

158上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:49:50 ID:.6prKP66O
>>157
「か、カムバァァァァック!!」
【明らかに上弦の自業自得なのだが】
 
「ぜ、ゼオラ?」
【恐る恐る名を呼び】

159ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:54:31 ID:hGStfPTM0
>>158
「何……?」
振りかえる。
普段から表情の変化に乏しい彼女だが、今だけははっきりと嫌っているのが解った。

160上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/04(火) 23:56:53 ID:.6prKP66O
>>159
「うぅ!?」
【その表情に息を飲む】
 
「い、いや……謝るから戻って来てくれるかい?」

161ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/04(火) 23:58:30 ID:hGStfPTM0
>>160
「嫌って言ったら……?」
その表情は消えたが、どうも冷たい雰囲気を感じさせる。

162上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 00:00:24 ID:.6prKP66O
>>161
「え……いや……その……」
【しどろもどろになりながらも、必死に言葉を】
 
「か、悲しいし寂しいよ」
【自分がセクハラ未遂をした結果なのだが……】

163ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 00:03:12 ID:hGStfPTM0
>>162
「ふーん……」
小さく、ゆっくりと頷くと少女は上弦の全身をゆっくりと見回した。

「じゃあ……嫌っ。
 勝手に服を脱がす人なんて大っきらい」
無表情のまま突っぱねてそう言うのであった。

164上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 00:06:27 ID:.6prKP66O
>>163
「ぬぐはぁ!?」
【今の上弦の精神は、巨大な鈍器で横殴りにされたようなダメージを受ける】
 
「ガフッ……ゲハッ……ち、違うんだ私はお腹を撫でようとしただけだ……ゲフッ」
【大嫌いがかなりの致命傷となっていた】
 
「ぜ、ゼオラ〜」

165ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 00:15:49 ID:hGStfPTM0
>>164
「……」
自分でお腹を数回擦っている。

166上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 00:19:14 ID:.6prKP66O
>>165
「か、可愛い〜!?」
【ゼオラに聞こえないようにそう口に出すが……】
 
「……ぜ、ゼオラ?」
【また、呼び掛ける】

167ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 00:22:04 ID:hGStfPTM0
>>166
「何……?」
向けた視線が鋭い。

168上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 00:25:50 ID:.6prKP66O
>>167
「ど、どうすれば許してくれる?」
【ゼオラにそんな視線をむけられると、かなりキツい】

169ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 00:34:03 ID:hGStfPTM0
>>168
「……どうもしないよ。
 あいう事する上弦は嫌い」
プイッと目を逸らしてしまう。

170上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 00:37:04 ID:.6prKP66O
>>169
「ググッ……も、もうしないよ、だから許してくれないかな?」
【しかし、好きなゼオラにはしたくなるのが上弦である】
 
【だが、反省はしているようだ】

171ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 00:38:38 ID:hGStfPTM0
>>170
「仕方ないなぁ……」
しゃがみ込むと、上弦の前に。
「もうしない?」
首を傾げて、問う。

172上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 00:46:03 ID:.6prKP66O
>>171
「あ、あぁ……しないよ……うん」
【したいけど、ゼオラに嫌われるよりはやらない方がマシである】
 
「許してくれるのかい?」

173ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 00:56:48 ID:hGStfPTM0
>>172
「許すよ……」
上弦を見上げ、そう言った。

174上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 01:01:31 ID:.6prKP66O
>>173
「ほ、本当かい?」
【本当に嬉しそうにゼオラを見つめ】
 
「あ、ありがとう!!」
【ゼオラの手を握り、礼を述べる】

175ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 01:02:50 ID:hGStfPTM0
>>174
「どういたしまして……」
手を握り返し、その手を見る。

176上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 01:08:42 ID:.6prKP66O
>>175
「どうかした?」
【その手首にはゼオラから貰った腕輪が付いていた】

177ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 01:10:49 ID:hGStfPTM0
>>176
「何も……」
目線を何処かに向ける訳でもなく。ただぼーっとしていた。

178上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 01:17:48 ID:.6prKP66O
>>177
「……」
【ゼオラが何処を見ているのか気になっていたが……少し思う】
 
「眠たいのかい?」
【ベッドは既に元通りになっていた】

179ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 01:23:34 ID:hGStfPTM0
>>178
「少し……だけ」
何度か瞬きをして目を合わせる。

180上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 01:28:26 ID:.6prKP66O
>>179
「じゃ、おいで……」
【ベッドに来るように促す】
 
「ベッドの中でもお話は出来るからね、眠いならすぐに寝れるし」
【眠たそうなゼオラを気遣い、上弦は見つめる】
 
「あ、安心してくれよ?何もしないからね?」
【しかし、またゼオラに警戒されないようにそう言う】

181ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 01:38:39 ID:hGStfPTM0
>>180
「……」
言われた通りにベッドに入る。

その言葉に少し警戒心を強め、目を合わせた。

182上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 01:40:57 ID:.6prKP66O
>>181
「大丈夫大丈夫、私だって君に嫌われたくないからね」
【どうやら本当に安心して貰うために言ったらしい】
 
「まぁ、確かに頭を撫でたりはしてしまうかもしれないけど……」

183ゼオラ=アドヴァルド:2011/01/05(水) 01:46:11 ID:hGStfPTM0
>>182
「そう……じゃあ、寝るね?」
そう言うと、静かに目を閉じた。

184上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2011/01/05(水) 01:49:21 ID:.6prKP66O
>>183
「あぁ、お休み……」
【同時に静かに頭を撫でて、その寝顔を見守る】
 
「……君は、本当にいい子だ……君に好きと言って貰えて嬉しかったよ」
【静かなこの言葉は、眼を閉じるゼオラに聞こえただろうか?】
【上弦は静かに、少女を見守るのだった】

185八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/11(火) 23:10:54 ID:r40AbScA0
箱庭、市街フィールド。
「トリップが失敗しててもめげませんよ」
『いや何の話やねん』
「いえ、こちらの話ですよ――――と」
一人の少女が降り立った。
どこぞと通信をしているのか、片耳に手を当てている彼女の服装は、
「データ、取れてます?大丈夫ですか?」
『大丈夫。ついでに技術部の面子も黙らせたったで』
はっきり言って、エロかった。
全身のラインがはっきり出る防刃・防弾加護付きの戦闘服。
首・腰など主要ポイントにはハードパーツが装着され、さらに、
「しかしまあ、テスト協力はいいのです。このデザインも百歩譲りましょう。
 ですけど…」
『理論上の防御力は高いから安心せえ。
 で、譲って…何や?』
「この足だけはどうにかならなかったのですか」
『そこが一番のテスト部分やねん……赦して……』
脚部がぺたりと地に足をつけているデザインではなかった。
つま先立ちで立つような形で、
『蹄みたいなもんやなあ…とりあえず、暫くうろちょろしたって』
「バランスは取れますからいいんですけどね…」
歩いた時に倒れそうになるのを腰のまさに尾のような形状のテールスタビライザが抑える。
ビル立ち並ぶオフィス街のフィールドにおいて、彼女だけがSFの世界から出てきたような。
無駄な違和感があった。

186萌葱 アテナ:2011/01/11(火) 23:17:38 ID:7gFzKdaU0
市街フィールドの道の中心に降り立つ一人の少女。
セミロングの赤毛と、勝気そうな瞳が特徴的な少女だ。
格好は動きやすいトレーニングウェア姿で、何らかの修行をしに来たことがわかる。
両手には金属製の装甲を追加されたグローブが装着されている。

「さて、修行……って、誰か居る?」

目を開き、市街を見回すと人影があった。
気になって、そちらに向かって歩いて行く。

187銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/11(火) 23:44:52 ID:krbM97ow0
>>185>>186

凜、とした声を響かせながら、彼女は路地裏から表れた。

「………………珍しいな。こんなビル街に二人いるって。なんだ、喧嘩か?」

二人に対して、彼女の恰好は軽い。
黒いジャケット、白いYシャツ、地味な柄のネクタイ、黒いパンツ、黒い革靴、
ベルトに挟んだ二本の日本刀を除けば、彼女は会社帰りのキャリアウーマン然としている。

銀髪を揺らしつつ、彼女は道路の中央まで歩いてきた。
二人を一度に見れるよう、適度に距離を空ける。

「ちげーな。テストってところか?」

彼女はしげしげと絵名さんを見て、軽く首を捻りながら尋ねた。

188八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/11(火) 23:48:48 ID:r40AbScA0
>>186>>187
オレンジの鬼っ子の方でも気付きました。
見ていますよ?
「お二人様ですか。こんばんは。
 ……兄さん大変です、えねみーですえねみー」
『可愛らしく言っても悶えたりしないんだからnうおおおおおおおあああああああ』
「ははははは後半ダダ漏れですよ?」
言いながら片手で耳元をいじり、離す。
あーあー言ってテストしたのか、二人に向き直り、
「ボクはテストですね、御名答です銀色のお方。
 これからオブジェクト殴りの旅に出るところだったのですが」
ふわりと。
その無意味にえろい戦闘服に不釣り合いなほど柔らかく笑って、
「御一緒、なさいますか?」

189萌葱 アテナ:2011/01/11(火) 23:50:40 ID:7gFzKdaU0
>>187
女性の声を聞き、素早く振り返る。
その様は戦場で染み付いた動きであり、年齢に見合わない練達した様子だ。

「たまたまこんなトコロに三人も来るなんて」

警戒を解き、驚いたように独りごちる。
グローブがきぃんっ、と同意するように甲高い音を一瞬鳴らした。

>>188
「テスト、かぁ……それ私も参加していいですか?」

軽く拳を握って開いて問う。
その表情には、好戦的な色が見える。
立ち姿は自然ではあるが、何らかの武術の心得があるのか、重心はしっかりと安定している。

190銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/12(水) 00:02:52 ID:krbM97ow0
>>188>>189

「ふーん…………」

アテナさんと絵名さんを見て、彼女は軽い笑みを浮かべる。
さて、どうすっかなあと彼女は逆側に首を傾げた。

暫く彼女は、黙って悩む。
十秒ほど費やした後、

「………………それ、壊してもいいんだよな?」

彼女が指で示すものは二つ。
絵名さんの服と、アテナさんのグローブ。既に彼女は赤い髪の少女を勘定に入れていた。

191八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/12(水) 00:10:18 ID:r40AbScA0
>>189>>190
『ええよ!!』
「兄さnって早!即答ですか!」
『……さ、どうせだから壊してもらおうね』
「……。お父さん?」
『うんそう僕。えろいところ見たいって言った馬鹿を宵治が粛清に行ってねえ。
 壊してもらう……か、その寸前くらいかまでやってもらって?データ取りたいんだってさ』
「はあ…」
どこか釈然としない顔に一瞬なったが、一度頬を叩いて気合いを入れ直す。
……やるからにはやらねば。
「ええと、ですねえ」
どう言おうか迷って、思いつき、
「どうぞとのことです。
 ――――壊せるもんなら壊してみろ、と」

192萌葱 アテナ:2011/01/12(水) 00:14:25 ID:7gFzKdaU0
>>190
「――まあ、仮想空間ですし。でも、そうそう簡単に壊させはしませんよ?」

拳を握り締めながら答える。
両手のグローブの装甲の表面には微細な文様が刻まれている。
そこにうっすらと魔力が走っている。

>>191
「じゃあ、私も壊すの手伝わせてもらいますね?」

笑顔でそう言うと、両拳をすさまじい勢いで打ち合わせた。
グローブの装甲がぶつかり合い、金属音を辺りに響かせる。

「纏結界展開!」

その声と同時に、アテナの服が全てはじけ飛ぶ。
一瞬だけ肌が見え、次の瞬間には衣装が変わっている。
グローブに、朱を基調としたタンクトップにホットパンツ。
足にはニーソックスが装着されており、膝のあたりに薄い装甲が。
靴はカンフー用の靴のようだ。
其の変身の仕方や、見た目はまるでアニメの魔法少女のようだ。

193銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/12(水) 00:27:12 ID:krbM97ow0
>>191

「太っ腹だな。んじゃま、壊してもいいってんなら、」

最近、紅い剣に負けて以来、『技』を磨くことばかりやっていた。
繊細な作業は得意でないし、今までゴリ押しでいけた分、『技』はほとんど手付かず。
伸び代があると言えば聞こえはいいが、これまでのやり方が形になっている分、伸びにくい。

飽きてはいないが、辟易していた。
気晴らしにいつも通りを貫くのもいいだろう、と彼女は思う。

「最初からフルスロットルでいっても構わねーよなあ!!」

疑問でなく、断定。
凛とした声で決めてかかり、言う頃には既に彼女は踏み込んでいた。

ごん、と、アスファルトが鳴った。
爆ぜたように道路の破片が後方へ舞う。
いつ抜いたのか、彼女は柄、鍔、刃の全てが黒い日本刀を右手に握って跳んでいた。

空中、
絵名さんへと真っ直ぐに、彼女は迫る。
口の中で幾つか言葉を呟きながら、柄頭を左手で、鍔元を右手で掴み振り上げた。

「お前ら、名前は?」

空中、
地面と3m離れた宙で、怒鳴るように彼女が問う。

194八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/12(水) 00:43:39 ID:r40AbScA0
>>192
変しn……否、結界展開を見て、
……おお。
「これは…あれですね?噂に聞く……魔法少女…」
『違うと思うよ』
素直な驚き。
一拍空いて、
「恥ずかしくないんですか、その装着方法」

>>193
「わはー、っと」
二人が臨戦態勢に入った。
ならばこちらも用意をしよう。
「最初はどのくらいから行きます?」
『20%ね。自販機持ち上げるイメージで行ってみよう?』
「了解」
返事と共に両足を肩幅に開き、右足だけ後ろに引いた。
ぐらつくが、
……”尻尾”に感謝ですね。
スタビライザが体重移動を感知して展開/補正。
両手を腰溜めに引き、
「名乗りとは紳士的ですねえ。
 ボクの名前は、」
どちらを。
その答えは一瞬だ。
「――――八剣、八剣絵名と申します。
 今はしがないテスターではありますが、」
軽く地を蹴る音とアスファルトが抉り砕ける音。
一歩目から全力の少女が向かうのは、
「どうぞ、よしなに」
銀髪の女性のいる、空。

195萌葱 アテナ:2011/01/12(水) 00:49:49 ID:7gFzKdaU0
>>193
「私は、萌葱 アテナ!“今は”ただの小学生っ!」

絵名に向けて駆けながら二人に向けて大声で言う。
気の練をしながらのため、その声はよく通る。
速度は疾く、動く際に音は殆ど無い。

「纏――波動っ!!」

両拳を打ち合わせた瞬間、アテナの周囲の空気が歪む。
魔力でも気でも無い、アテナ独自の力、波動だ。
足元には波動による波が展開されており、滑るような独特の機動を可能としている。

>>194
「まあ、一瞬ですし、見られちゃいけない部分も見えませんし」

と軽口を叩き。
足元の波動が爆発し、速度が上昇。

「先ずは牽制がてらに」

ぎゃりっ、とドリフトするかのような回転の動きを見せて、右腕に波動を走らせる。
拳の先が霞む程の速度で、5m程の距離にいる相手にむけて拳を振るった。
拳が最高速に達した瞬間、目の前の空気を歪ませ、波動が弾丸状に数発打ち出された。
一発の威力はコンクリートを抉り砕く程度。
速度は疾く、攻撃は不可視。“崩し”には持ってこいだろう。
波動弾を放ちながら前進し、右肢に力を込めていっている。

196銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/12(水) 01:16:37 ID:krbM97ow0
>>194>>195

小細工はいらない、正面から、力任せに、振るおう。
彼女は決め、その黒い刄―――銘を『天麩羅』という―――を振り下ろした。
同時、重力魔術で刃に押し付けていた空気を解放し、擬似的な刃として絵名さんに向かって放つ。
ごう、という風を裂く音を置き去りに、斬撃を模る刃は『カマイタチ』が若く空を奔った。

彼女は名乗りを聞き、笑った。
落下が始まり、風が、髪を掻き上げるのを感じながら振り下ろしたばかりの刄を振り上げる。
視界には、迫る絵名さん。彼女は楽しそうに叫んだ。

「絵名にアテナか!!忘れねー!!」

だから、お前らも。

「私は雨崎ふーこだ!!」

叫び、再び刄を振り下ろす。

彼女の刃は恐らく、オレンジの少女に触れることができる。
次の一瞬で少女は目前に迫り、自身もまた少女の目の前までいけるだろうから、直接の一撃が意味を持つ筈。

なら、その次の一撃に焦点を当てよう、と彼女は刀身に魔力を込めた。

「お前今下にいるけど、受け止めれっか?」

ちら、と彼女はアテナさんの動きを見る。
あまり見かけないタイプの動きをしているな、と。
笑い、次地面を得たら、場合によっては潰そうと決めた。

197八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/12(水) 22:05:03 ID:snGlCURs0
>>195>>196
前方、風纏う刃。
側方、波動の弾丸。
後者を完全に回避、
……出来てません!
高速の弾丸に跳躍の際に伸ばした足を打たれた。
軽減機能がしっかりと働いているのかこちらの被害は衝撃程度だ。
が、結果として跳んだ軌道が大きく横にずれ、ふーこから、振られた刃から身が遠ざかる。
攻撃回避をしたことよりも、悔しさを得て、
『無理に当てようとするな。一撃入る時はスキを窺え――狩りの基本だよ?』
「どこの狩りだぁ――――!!!」
持ち運べる狩りのアレだろうが兎も角意識は切り替わった。
ずれた軌道の修正に入る。
『丁度いいし、”全界踏破”からやろうか』
「了解」
短い回答と共に、肩から蹄のような足の先端まで青の光のラインが走る。
頷き、膝を上げ、地を踏み砕くように下ろし、
『テスト開始』

宙を踏み、さらに高く跳んだ。

正直その仕組みはよくわからない。
……目に見えぬ塵さえも、「踏める」なら足場にできるんでしたっけ…?
とりあえず二段ジャンプが出来るんだよと言われたので納得した。
追加で5メートルほどを上に行った視界から下を、宙と地上の二人を見て、手を振り上げて、
「行きますよぉ――――!!!」
橙色の少女の初撃。
それは突撃ではなく光。

正確すぎるほど正確に二人を狙った雷が2つほど落ちた。

198萌葱 アテナ:2011/01/12(水) 22:10:18 ID:7gFzKdaU0
>>196>>197
「ふーこさんに絵名さんですねぇっ!」

そう叫び、滑る軌道で相手に肉薄していく。
が、目の前で相手の姿が消えた。
そして、襲い来る雷。

「は――!」

気勢と共に、右腕を振るう。
身体を回転させる螺旋の動き。
滑る軌道により、其れは移動の速度を落とすこと無く攻撃することを可能とさせた。
拳に纏うは波動。空間を歪ませながら拳が走り、雷と激突する。
波動には、一つの性質がある。
波動により干渉されるものはどんな物も物質という扱いになるという性質だ。
簡単に言うと、波動の力を使用しているアテナは、雷などにも物理的な干渉をすることが出来るということ。

「セイィィィイッッッッ!」

拳に着弾する雷を、アテナは全力で拳を振り抜く事によって“粉砕”した。
そして、その回転の勢いを殺さず、次撃へと繋ぐ。
再度の波動弾。空中にいる相手を狙うように2発放つ。

「はぁっ!」

199銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/12(水) 22:39:58 ID:krbM97ow0
>>197
「――――」

外れた。
彼女の斬撃は、赤色の髪の少女の一撃のせいで、外れた。

下にいた絵名さんに向かっての一撃は、やはり下に向かうものだったから、彼女は落ちる。
空振り、大きく体勢を崩した彼女の横を、絵名さんが昇っていった。

「(〝宙を踏む〟…………か)」

今更の技術だと彼女は思い、けれど原理は違うなと判断する。
しかし結果に変わりはない。あのオレンジは、『空を翔ける』。それだけで十分。
前のめりになった姿勢から、更に前向きに体を動かし、反転。
そして、着地。とん、と軽い音を立て、彼女は床を得た。

「――――っと!!」

光よりも先に「行きますよぉ――――!!!」の声を捉え、空を向く。
電光、彼女の視界に、雷が入った。
反射的に天麩羅を、体制の重力魔術を使い鍔元を握る右手で以って斬り上げ、雷に当てる。

「んで、てめーだ!」

左手をアテナさんに向けた。

200八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/12(水) 23:33:37 ID:snGlCURs0
>>198>>199
……何て人達ですか!
片方――アテナは雷を殴って壊した。(思い信じればなんとやらを思い出しますね)
片方――ふーこは刀を魔術で強引に切り上げて雷を迎撃した。(通電大丈夫なんでしょうか)
「凄いですね」
『いい敵を得たね、シミュレーションでは得られないよこれは。ナイスデータ。
 さ、こっちもちょっとずつ段階上げていくから安心して行ってらっしゃい』
まるで遊ぶのを送り出すかのような口調に苦笑する。
……信頼されているのか、どうなんでしょうか。
一つ分かるのは戦闘が続いているということだ。
「―――とうっ!」
波動弾、先ほどの自身への着弾で威力は確認している。
素手であれば痛かっただろうが、今の装備ならば、
『言っておくけどあんまり何発も受けたら耐久度落ちて痛くなってくよ』
心を読んだように言うなと思いながら迎撃は拳で。
一発を電柱すらへし折る一撃で打ち、反動で後ろに下がった時に来たもう一発を逆の拳で打つ。
ワンツーの打撃でむず痒さに似た痺れを微かに得て、
……行こう。
地上で二人が向き合っている。
「置いてけぼりは酷いですよ」
自分も混ぜろと。
そう言うために、更に空を上がった身を下へ地上へ、撃ちだすように宙を蹴って加速。
……スマブラの基本は――
「一つ一つ潰すこと――――!!!」
お礼もしていなかったことですしと、そんな思いも込めて。
アテナへ向かって天上から突進した。

201萌葱 アテナ:2011/01/13(木) 00:53:16 ID:7gFzKdaU0
>>199>>200
「はっは、多数戦は久しぶりだねぇ!」

魔力弾を5発形成し、追尾型でふーこに向けて放つ。
威力は低く、動きを阻害するためのものだ。
とりあえずは様子見、今は絵名を相手取る。
突進する相手を見上げる。
――成程、波動弾を物ともしないなんて、強い相手だ。

「よっ!!」

後ろに宙返りしながら跳び、その足を回避。
元々防御の弱いアテナ。みすみす当たるつもりなど無い。
多分当たったら凄いダメージだろうし。

「Accelerator!」

魔法の起動キーを口に出す。
その瞬間、目の前に魔方陣が展開された。
アテナは波動の波に乗り、魔方陣を通った。

――その瞬間。

アテナの姿が絵名の目の前まで移動する。
かかる驚異的なGを術式で緩和し、その勢いそのままに絵名の顔面めがけて右アッパーを放つ。
速度と練り上げられた勁の力、そして圧縮された波動。
威力は波動弾の数倍以上だ

202銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/14(金) 23:51:16 ID:krbM97ow0
>>200>>201

通電はしていない。
何かしらアクションを起こした様子はなく、刀身の色含め刄が特殊であろうことが窺える。

――――置いていかれた。

雷を払うために振り上げた天麩羅を、ゆっくりと下ろした。
掲げた左手も下ろし、急加速し絵名さんに接近したアテナさんを、接近された絵名さんを、はたから見る。
自身に迫る五つの魔力弾に対して彼女は、はん、と一つ息を洩らした。

「………………舐めてんな、あのガキ」

横に真一閃、天麩羅を振るい、先の『カマイタチ』を放つ。
狙いはおざなり。てきとうに、けれど、乱れなく。

下げた左手に淡く蒼い、小さな火が燈った。
秒ごとに濃く、大きく、妖力を注いで彼女は火を育てていく。

203八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/15(土) 01:42:34 ID:Fm3MDyb20
>>201>>202
//攻撃無しです
着地した足を軸に独楽の如く回転。
身を回し、廻り、
「――――――っ」
しかしアッパーが入った。
鬼種でこそあるが、女性、しかも未成熟な体は軽く、浮いて、飛び、
『損傷率は』
『11%です』
『修復いけるか、……ああ、もう回してるんだね、GJ』
地面に1度打ちつけられてバウンドしたところで意識が復帰した。
二度目の直前で体勢を整え、アスファルトを砕きながら這うような態勢で強引に着地。
そのまま動きを止めた。
『にしてもあの子凄いですねー。大丈夫ですか』
『いやいや何を言ってるんだい』
俯いたまま動かず数秒。
大きく息を吐き出して、
『当然大丈夫だよ、うちの自慢の娘だもの』

ばちりという弾ける音が一つ、直ぐに連続。
地に突く両手両足に纏うは雷。

閃光従え、少女は己の敵を見た。

204萌葱 アテナ:2011/01/15(土) 11:52:25 ID:7gFzKdaU0
>>202
カマイタチに魔力弾は砕かれ、威力の減衰したカマイタチがアテナに迫る。
スウェーバックで其れを回避するが、左脇腹に浅い裂傷が走る。

「うわ、鋭い!」

感嘆の声を漏らし、脇腹の傷に薄い魔力の膜を張り簡易的な止血をする。
そして、アッパーの態勢から臨戦に身体を戻し、叩き込んだ波動の力により減少した波動を補充するように魔力と気を混合させる。

「堅いな……、手数で攻めるかどうするか」

絵名の方を見ながら小さく呟く。
そして、絵名の方に駆け出すように見せかけて―――。
ふーこの方へ駈け出した。

「脇腹の分、きっちり返させてもらいます!」

両手に波動の力を込め、周囲の空気を歪ませながら滑る軌道で移動していく。

205銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/15(土) 21:18:02 ID:krbM97ow0
>>203>>204

吹き飛び、けれど地面を掴んで止まった絵名さんと、
吹き飛ばし、次は自身を狙いに来るアテナさんを見る。

三度目の溜め息を零した。

「殴った奴ほっといたら殴られんぞ?
現に今、なんかバチバチ言ってっしな。敵作ったんならきっちりやれや」

左手を後に引く。
明らかな溜を見せ付けながら、彼女は更に左足を引いた。
首を振って銀髪を揺らし、碧の瞳でアテナさんを睨む。
ちら、と絵名さんも視界に収めて言葉を吐いた。

「多人数とやる時は、まず一人決めて潰せよ」

左足で地面を蹴る。
時計回りに体が動き、左手で宙を横一閃に薙いだ。

伴い、蒼い炎が放たれる。

半径2mの円を断面とした放射状。けれど彼女が左手を振ったから、その形は扇。
扇状に、蒼い炎が辺りに放たれた。

アテナさんを飲み込まん、と。
絵名さんに追撃を与えん、と。
自身の不機嫌を晴らさん、と。
妖力が構成する熱く蒼い、〝侵食の鬼火〟を成し、彼女は放った。
溜めた時間に比例し、それは大きく、濃厚で。
吐き気を誘うドロドロとした妖気を撒き散らしながら、迫る。
なれどその炎の根元に立つ彼女は、凜、とした声調で以って言った。

「――――まあ私は両方とも潰すけどなァ!!」

地面を蹴って生じさせた躍動はまだ残っている。
彼女は、加えて右足で地面を蹴り、高く跳んだ。
蒼い炎は大きい。高さもそこそこある。そして尚且つ迫る分、見ざるを得ない。
でも、その中にあって彼女を見上げる人がいるのなら。
黒いスーツを従えてアテナさんに迫り、煌く、銀髪が見える。

206八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/16(日) 00:17:29 ID:zzfWMO3g0
>>204>>205
数度の雷鳴と同時。
「―――――――――――――――っ!!」
鬼が吼えた。
『気合い入ってるけど大丈夫かい?』
「っ大丈夫です!」
意識ははっきりしている。
四肢の震えもない。
……大丈夫、です!
見るのは己を吹き飛ばしたアテナと、蒼い炎を従えたふーこ。
一度目を閉じ、
『バチバチするのはいいけど、あんまり長いことやっちゃ駄目だよ。特に足は。
 さ、気をつけて行ってらっしゃい』
行ってきます。
小さな笑みと呟きを遺して、

アスファルトが爆発した。

否、蹴り砕かれた破片が舞い散ったと言うべきか。
一歩ごとに数メートルを進み、
「妖気が――」
炎に突っ込み、
「何だってんですか――――!!!」
両手両足に纏った雷が爆発する。
蒼炎を散らし、しかし侵食は始まり、耐えるように表情を歪め叫ぶのは、
「一撃。……返します!」
目の前に追うアテナの背中へ向けて。
雷纏う右拳が弾丸の如く発射された。

207萌葱 アテナ:2011/01/16(日) 16:55:53 ID:7gFzKdaU0
>>205
「はは―――、最近、色々考えることが多すぎてですね……」

苦笑するように言葉を漏らしながら、アテナはふーこに向けて駆ける。

「――やりたいように、やろうかな、と思いまして」

ぎしぎし、と右拳に力が込められる。
全てに対し物理的に干渉することの出来る波動の力だ。
身に纏う波動は、それだけで戈にも盾にもなる便利な力。
そして、其れはあくまで武器でしか無い、其れを扱う者の技量が高ければ其れ以上のパフォーマンスを生み出すことも出来る。

「行きます―――」

右の拳の構えが変わる。
――五指を揃えた其れは、貫手と言われる物。
貫通力の高い攻撃を放つ技だ。
地面を滑り、捻るような動きで拳を回転させ加速を産み出していく。

「ガァ――ッ!」

焔は、防がない。
波動によりある程度ダメージを緩和したが、それでも皮膚に火傷が走る。
その焔の中で、更に捻り、力を込めていく。
皮膚に纏った波動がその纏うところを限定させていく。
――右手と、背部。
目の前からの焔に立ち向かうアテナの背に雷を纏う拳が放たれる。
衝撃が伝わった。

「ア……ッ!」

だが、雷はぎりぎりまで防ぐ。衝突の瞬間にその点に波動を圧縮したのだ。
そして、あえて衝撃は殺さず、その身に受ける。


―――ありがとうございます。


アテナの呟きが、絵名に伝わったかも知れない。
拳が背にヒットした瞬間、“ヒットの勢い”を加速の力に加え、焔の中に突っ込んでいった。
焼ける皮膚。だが、貫手は、その圧縮された波動の力と絵名の力が追加された加速を以て焔を切り裂きながら前進していく。

「おおおおおおおおおおおおっ!!」

焔を裂き、全身から煙をあげながらその奥に居るふーこの土手っ腹目がけて、アテナの貫手が放たれる。

「波動廻旋―――ッ!」

貫手の捻りを開放しながら進む其れは、周囲の空気を巻き込みながら進んでいく。
手を中心とした風の螺旋。波動の威力に其れを加えたアテナの技の一つである。

208銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/16(日) 21:45:27 ID:krbM97ow0
>>206>>207

人が歪と捉える、魔界に例えられた蒼い炎の中は熱い。
そして、感じられるだろうか。皮膚を越えた体の内、〝意識〟への侵食。
触れた端から攻めてくる。蒼い炎が焦がした場所から、神経を這い、汚染していく。

「あほが、」

なれど、アテナさんの貫手は魔界を越えた。
抜けた今も妖気の侵食は止まず、炎はダメージを与えるけれど、越えた。
しかしそこに彼女はいない。扇の持ち手にあたる部分、炎の根元に彼女はたっていなかった。

蒼い炎を撃ってからそこに留まるわけもなく、放ってすぐに、次の一手を打つ為跳んでいた。
魔界の外、上、詳記するならばアテナさんの、死角。

さっき彼女がいた、蒼い炎の根元に向かいアテナさんが一撃を放ったのなら、
今、蒼い炎の上からアテナさんを攻めようとしていた彼女からは背中が見える。

「〝蒼角〟!!!」

瞬間で構成、
天麩羅の刃を基盤として据え、妖気を材料とし大きな蒼い刃を形作った。
長さは凡そ3m。十二分にアテナさんへ届く。

彼女は、構成と同時平行で天麩羅を振るう。
隙を逃さないよう、その一撃は疾い。
正面から対峙してたなら受け止める、躱す、どちらかできるかもしれない。
が、死角からの一撃。

止められるか ――――


―――― 一方、炎の中、彼女は役目を終え消え行くばかりの蒼い炎を掻き集め、自身と同じ形をした蒼色の彫刻を為す。

209八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/16(日) 22:42:16 ID:COY6bmBA0
>>207>>208
呟きは聞こえていた。
戸惑うよりも先に、
「……っ」
蒼炎、その本丸とも呼べる巨大な塊から逃れる。
高速のバックステップを数度入れて、途中で体を反転、傍の高層ビルの壁を蹴り、登り始める。
『精神汚染来てますよ主任』
『術式耐性上げてるはずなんだけどな、現状どう?』
『まだまだちょっと調子悪いかなーくらいには軽微ですね。炎に突っ込んだ時間が短いせいもあるとは思いますが。
 本人の精神力にもよるかな』
駆け登りながら思考。
……雷が効かない……?
否、そちらはあの気のようなものに防がれたのだろう、と思い直す。
問題は、
……打撃のダメージが入っ……て、ますよね?
手ごたえはあった。
アテナも己の一撃の衝撃を利用して速度を上げた。
だがその影響力が見えてこない。
「まさか女性の背骨もゴキッといけないとは」
衰えましたかねという不穏な呟きは風に溶けて消えた。
と、足が高層ビルの屋上の縁を蹴り、
「あ」
身が宙に投げだされた。

『バーカって言ってええ?』
「お帰り兄さんズバリ指摘しないで――――!!!」
兎も角二人からも戦闘圏内からも離脱出来た。
再度空に手を伸ばし、振り下ろし、
『無駄かもしれないよ?さっき防がれたじゃない』
「戦闘中の不意を突きます」
『……頑張って!』
再度雷が落ちる。
ただし今回は、狙いも何もなく、
……当てられないなら乱れ撃て!
何本も何条もの、閃光が落ちた。

210萌葱 アテナ:2011/01/19(水) 16:27:24 ID:7gFzKdaU0
>>208>>209
精神侵食を受けつつも、抜けていったアテナ。
だが、読みが外れ、その先にはふーこは居ない。
蒼い刃は、アテナを襲い、波動に干渉されるものの裂傷をアテナの背中に刻む。
傷は、激痛をアテナに与え、その痛みを感じた瞬間、アテナは動く。

「―――ッ!」

前側に転がるように避けることにより、深い傷を追うことは避けたが、だらり、と背中から血が垂れている。
満身創痍、魔力で止血をするも、激痛がアテナを襲う、大分傷は大きい。
蹴りのダメージも緩和したとは言え、0ではない。足元がふらつく。
だが、立ち上がる。
迫る閃光を避けることも出来ず、木偶人形の様に数メートル吹き飛んでいくアテナ。

「――ァっ……!」

ビルの壁に叩き付けられ、瓦礫の中に埋もれ、もうもうとした土煙の中にその姿を消した。
―――音はしない。
だが、二人は感じるかも知れない、瓦礫の奥から、力が漏れ出しているのを。

211銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/20(木) 23:36:13 ID:krbM97ow0
>>209>>210

アテナさんの背中を切った後、彼女は着地した。
追撃しようと決め、立ち上がったアテナさんに向かい跳ぼうとしたところで、身の後に、雷が落ちる。
砕けて舞った瓦礫を身で感じながら、目は吹き飛ばされた赤い髪の少女を見ていた。

「…………ああ……?」

閃光が飛んできた方向を見ると、絵名さんが落ちている。
一条、二条、三条――――
数えるのが億劫なほどの雷が、大雑把に放たれていた。
彼女は見上げ、それじゃ当たらねえよと小さく呟き、右手をオレンジの紙の少女に向ける。

「グラビティプレス」

身の内の魔力を用いて指定した範囲内の重力を強化する、簡単な重力魔術を使った。
星の引力に逆らわず、素直に従いその猛威を振るうだけなので術式は単純。
込める魔力に比例して、重力は大きくなる、

「…………地面砕くくらい、だな」


一方、彼女が放った蒼い炎は消えた。
蒼い炎で構成した人形も必要ないだろう、と一緒に消し、その場には彼女だけが立つ。
視界の先、正面には絵名さん、背中には、微かに力を洩らすアテナさんがいる。
何の因果か、彼女は挟まれたなと溜め息を洩らした。

ともあれ、

「出る杭は打たねーとな」

蒼い刃が砕け、素の黒い刄に戻った天麩羅を鞘に納める。
そして、左手をアテナさんが飛んでいった方向の瓦礫に向けた。

左手に魔力を集中する。
まだ撃たない、けれど何かあればすぐ撃てるように。

212八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/20(木) 23:55:26 ID:Q8tHbc7Q0
>>210>>211
雷を打ち終え、落ちる視界の中で見た。
一人が吹き飛び、もう一人は動こうとすらせず、
「……取った!!」
『あっそれ死亡フラg―――』
案の定、
「っ?!」
気の抜けた一瞬、彼女は重力魔術をまともに受けた。
落下が高速化する。
「―――――がっ!!」
数度空を蹴るも焼け石に水。
地面に叩きつけられ、アスファルトを砕き、その下の土もいくらか割って、
「……っ!…………っ!!」
は、と息が零れた。
『ハイ、今どんな感じでしょうか』
『戦闘服(バトルドレス)の損傷は30%超えましたね。お嬢さんは……まあ、見れば分かるかと』
『やっぱあれだね、遠距離もいける!的な武器のオプションも考えるべきだねー』
衝撃で力が入らないわ頭も打ってふらつくわで散々だ。
それでも周囲のひび割れに手を伸ばし、指を抉るように入れて、
……起きないと…。
追撃が来たら不味い。
今、庇ってくれる仲間はいないのだ。
『ほらほら頑張れ』
応援の言葉すらうざったらしく感じながらも、根性で身を起こし、
「――――」
しかし立ち上がれず俯くように座り込む。
……まずい。
そう思いながらも、衝撃の余波が抜けきっていない体は言うことを聞かなかった。

//攻撃無しです

213萌葱 アテナ:2011/01/21(金) 00:23:39 ID:7gFzKdaU0
>>211>>212
ぐらぐら、ぐらぐら。
脳が揺れる、血が背中を伝い、熱さを感じさせる。
痛い、苦しい、倒れそうだ。
口の中には血の味が広がっている、瓦礫に押しつぶされて、頭は傷を負ったようだ。
思ったより、自分は弱いな――――。
そう、思った。

「――――でも」

でも。
それでも、思う。負けたくない、と。
今以上に強くなる必要があるのに、ここで止まるわけにはいかない、と。
だから。
そう――――だから。

「――――戦おう、私の全てを懸けて」

瓦礫の中で呟くアテナ。
それに応える様に両手のF・Fが音を返す。勇気づけるように。

「行こう、私の戦場へ―――行こう、F・F―――ッ!」

アテナは叫び、F・Fは機械音声を響かせ術式を起動していく。

《――――Limit released》

魔力がアテナの全身から発露し、体表に複雑精緻な文様が浮かび上がっていく。
背部に浮かぶは、天使の羽をモチーフとした物。
全身に浮かぶのはトライバルパターンの文様で魔術的意味を持つ。

《――――Mechanism connect to the body》

文様に魔力が走る。その魔力は膨大なもので、何らかの手段で外部供給を受けているような物。
負担で一瞬体表に傷が趨り、血が飛び散る。

《――――Stabilize the output》

肉体にかかる負担を軽減するために、魔力の流れや量が調整されていく。
肉体に走る傷は、それ以上は増えていかない。

《――――System all green》

発動に問題ないことを示し、アテナの肉体を白銀の光が包んでいく。
響く金属音、吹き上がる魔力と気。

「《――――Mode Palladion!!》」

アテナとF・Fの声が重なり、次の瞬間に白銀の光と同時に瓦礫が吹き飛んだ。
光が中心のアテナに向けて収束していき、はじけ飛ぶ。
――――そこに居たのは白銀の戦女神。
軽装では有るが金属装甲が追加され、拳のF・Fは堅牢な鉄甲と化している。
波動はその力を強め、ちらちらと空気に銀色の煌きを見せている。
隙無く二人を見据え、アテナは立つ。
拳を強く打ち合わせ、激しい金属音を響かせ、一歩前に歩みだした。

//こちらも攻撃なしです。

214銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/23(日) 19:21:53 ID:krbM97ow0
>>212>>213

瓦礫が舞う中、彼女は確かに絵名さんを見る。
オレンジの髪が僅か持ち上がり、けれどやはり落ちたのを捉えた。

「タフだな、まだ動くってか――――!!」

追撃を行うため、彼女は身を屈めて足に力を込める。
絵名さんの元へ飛ぼうとした矢先、呟いたその背後で爆発が起きた。
振り返り、そこに白の奔流を見る。
彼女は軽く笑うと右手を払い、指先に残る魔力を散らした。
左手に込めた魔力をそのままに、納めたばかりの天麩羅を抜く。

「――――派手に見せるだけが戦いじゃねえって教えてやんよ、〝若<わけ>〟えの」

215八剣絵名/レス遅くなりました ◆KAINAWkCDI:2011/01/26(水) 21:34:11 ID:VGDPtT3U0
>>213>>214
『おいおいおいおい装甲追加キタ――(゚∀゚)――!!』
『どんなシステムだ?!後でログ漁れ!!』
『お前ら絵名ちゃん応援せんのかぁ――――――!!!!』
どうやらリアルではテンションが上がっているらしい。
何が起きているのかはっきりと見えないが、どうも敵が強大化したということは理解できた。
……情けない。
勝てなくてもいい、というのは甘えだろうと思う。
この装備がどこまでいけるのかを知りたいなら、中の人……己も限界まで行かなければならないというのに。
……悔しいなあ。
悔しいと、その一言を心に刻んで。
目の前の瓦礫、否、アスファルトの罅に右の手指を差し込んで、

引きぬくようにして持ち上げた。

道路の表層が剥がれて持ちあがる。
厚さ5cm、幅1m超過、長さ4m強の荒い形状のプレートは、まるで巨大な剣にも見えるそれを。
叩きつけるように力なく振り下ろして、
『いつ見ても女の子の力じゃないよねえ』
余計な一言でプレートが手からすっぽ抜けた。
必要のない力が省かれたせいだろうか、無駄に高速の一撃がふーこに飛ぶ。

216萌葱 アテナ:2011/01/28(金) 16:43:14 ID:7gFzKdaU0
>>214>>215
「――――行きます」

そう、小さく呟きアテナはふーこに向けて駆ける。
重装甲高火力高速と隙の無い強化により、全ての動きが先程までのモノとは段違い。
右拳の周囲の空間が波動によって歪んだような錯覚を持たせる。

「――――波動発勁ッ!」

絵名が放ったプレートがふーこを襲うのと粗同じタイミングで、ふーこの腹部目がけてアテナの右拳が放たれる。
踏み込みで地面が揺らぎ、右拳は銀色の煌きを纏い、その威力を強大なものとしている。

217銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/01/29(土) 23:09:26 ID:bwkxFepM0
>>215>>216

「あ?」

天麩羅を抜き、アテナさんに瞳を向けていた。
けれど、道路が持ち上がる異様な音を聞き、絵名さんを見る。
道路を持ち上げる絵名さんを見て、惚けた瞬間、アスファルトの塊が飛んできた。

「はあ?!」

素っ頓狂な声を上げ、反射的に後へ引こうと振り返るが、そこにはアテナさんがいる。


――――……引けねえ…………!!!

                                                   なら、――――

刹那の時に『引き』の判断を捨て、左手を絵名さんに向けた。
彼女の異能、〝無〟を発揮せんと手を開き、集中する。

「おどろ木ものの木さんしょの木、ってなあ!!!!」

彼女は、絵名さんの目の前から自身の目の前までを〝無〟で上書きする。
アスファルトの塊、二酸化炭素、窒素、酸素、空気、空間、〝距離〟――――

一連の動作が四半秒に収まるよう、自分の技が成功したかどうかを確認せず、
アテナさんと自身の間をも〝無〟で『上書き』せんと腕を振るい、距離を詰めんとする。

「女同士なんだ、思う存分殴り合おうぜ……!!!」

〝事象への干渉〟をある意味上回る、〝事象の上書き〟に対抗し得る能力がないのなら、
次の瞬間、それぞれが放った技、物を〝無〟かったことにされ、彼女の周囲700mm以内へと場所が移る筈。

218八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/01/31(月) 23:03:00 ID:rXmLqcQk0
>>216>>217
一部始終を彼女は見ていた。
ぶち投げ、意識が完全にアテナに向いていたであろうふーこへの直撃コース。
それが。
…………あれっ!?
事象の上書き。
絵名の体はふーこの周囲1m弱の場所にあった。
『色々と凄まじいことになってるよ?』
『観測!観測――――!!!』
……今、一体何が。
起きたのかは分からない。
確かなことは、
……遠かったお二人が、目の前に……!!
特にふーこ。
本当の本当に、目の前と呼べる位置。
「だ――――――らっしゃ――――――!!!!」
『わぁ男らしい』
今、座り込んだ態勢的に考えて選択肢は一つ。
無理やり体を起して、
「この距離ならボクの領域ですの―――――!!!!」
語尾が変わってるとか気にしないで、両手を広げて倒れるように前へ体を飛ばす。
結果繰り出されるのは、ふーこの体を押し倒そうとする、”足狙いの超超低高度の突撃”。

219萌葱 アテナ:2011/02/01(火) 21:31:42 ID:7gFzKdaU0
>>217>>218
容赦無しの同時攻撃を狙ったアテナ。
その拳に纏わり付く力は、凄まじく強い。
が、“無”で上書きしてしまわれてはどう仕様も無い。
次の瞬間、アテナはふーこの至近距離に、拳に込めた波動を無効化された状態で存在していた。

「ッ――――コレは――――ッ!?」

一瞬、理解に苦しむが、考えるのはやめた。
近くに敵がいて、自分の拳は握り締められている。
ならば、それならば殺ることは一つのみ。
――――信念を込めた拳で殴り飛ばす、タダそれだけ。

「絶招――――」

波動を込めながら構えを執る。
込めてから、など遅すぎる。
体を捻り、螺旋を描くように拳を引き――――。
右足を振り上げ――――振り下ろし、ふーこの顔面にねじり込むように右拳を――――。

「波動寸勁――――ィッ!!」

――――ぶち込むッ!!
中国拳法などに見られる独自の技法、“勁”。
そのなかでも超超近距離における力の出し方の技術が、“寸勁”。
我々の世界におけるブルース・リーのワンインチ・パンチなどで有名なものである。
ほぼ零距離、正にワンインチといえる接近状態に置いて、逆にその攻撃力を発揮するのである。
更に拳に込められた波動、全身の動きの連動。
これら全てが、高威力の一撃を実現させる。
只、負担は大きい。パラディオンの発動により、肉体には大きな負担が掛かっている。

220銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/02/01(火) 22:46:56 ID:bwkxFepM0
>>218>>219

半回転の結果として、彼女の目の前にはアテナさんがいる。
殴り合おうぜと言ったはいいが、彼女の拳は拳骨以上には成り得ない。

まだ少女と呼べる時代から剣を扱う練習に明け暮れた結果、彼女の戦闘スタイルは〝縦横無尽〟の一言に尽きる。
近接ならば重力魔術を利用し加速を続け、遠距離になればその妖力で以って好みの場を描く。
しかし、器用貧乏。オールレンジで戦うことができる、その代わりにどちらかを極めたわけではなく。
自分よりも疾い者に出会えばその速度で自身の速度を殺される。
自分よりも砲撃に特化した者と見えればその火力に圧倒される。
オールレンジを生かして相手の攻撃が届かないところから、或いは相手が火力を発揮できないところで戦えばいいと思うかもしれないが。

彼女は頑固である。
相手の不得意な分野で勝っても意味がない、勝つならば相手の土俵で、と、意識するようにしていた。
そして、彼女がまだ少女だった頃。彼女が未だに心惹かれるプラチナ神を持つ青年は、刀を使っていた。
もう何年と顔を合わせていないけれど。まだ、彼女は剣を握る。
ゆえに、掌に瞑れた肉刺の後はあるが拳に傷はなく。
喧嘩好きの彼女の拳は、しかし、女性の拳のままだった。
振るうには威力が足りない。だから斬る。それは決まっていた。
刺すのではなく、斬る。貪欲に〝一刀両断〟を目指す。
ならば振り下げるか、振り上げるかしないといけなくて、彼女は鍔元をを握るその刀を振り上げた。

「右手とさよならしろよ赤毛!!!」

〝無〟を使った反動の吐き気を堪え、彼女は叫んだ。
イニシアチブを握っていると確信し、だからこそ彼女は速い。
〝無〟による反則スレスレのこの距離の詰め方は、食らえば確実に〝一瞬〟悩む。
そもそもがその〝一瞬〟で場を崩すための一撃だ。そこに彼女は疑問を持っていない。
繰り返す、だからこそ、彼女は速い。
目の前にいるアテナさんが理解に苦しむ〝一瞬〟が訪れる頃にはとうに刃を振り上げ、結論を出す瞬間には加速の術式が体にかけられていた。
構えを執り、螺旋を描き、そして右足を振り上げる時、既に彼女の刃はアテナさんの右手、付け根、肩口寸前まで刃は迫っている。
幾らその間の動作を速めようとも、遅い。遅すぎる。
アテナさんの一撃一撃を垣間見た結果、彼女はアテナさんの技の弱点をその遅さだ、と決めた。
見た目からして幼いが、よく練習していると思う。
最短の道を通って拳に威力を持たせ、技と成す。その研鑽をどれほどしたのか、彼女は想像しない。
でも、彼女はその武術を〝見世物だな〟とも思う。
動作が大きすぎる。
拳は機関銃に、決してなれない。
勿論自分のように振り上げて振り下ろすような剣術も、なれない。
単発式のリボルバー。ハンマーで撃鉄を起こし、引き金を引かないと一撃なりえないその戦術は、〝見世物〟だ。
自身は重力魔術を使い、その動作を四半秒以下に納められるようにした。
アテナさんはどうだろう――――?

よく、練習したと思う。
実戦においてそれを使用するアテナさんの努力は凄い、が。
拳を放つ一瞬、必ず溜が生まれる。当然だ。溜のない拳はカス同然だから。
そして、たとえアテナさんが、重力魔術を行使して行う力任せの加速で得た限界速度の一撃と同等の速度を持っていても。
〝無〟を使い、得た一瞬の動揺を、彼女は逃さない。

中:長すぎるので二つにわけますねん……!

221銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/02/01(火) 22:47:26 ID:bwkxFepM0
中:続きー!

――――「ん、ぉ、」

時に、刀はどうやってものを斬るか。
答えは単純、〝引き〟である。
当てただけでものを斬ることもできるが、往々にして刀が斬るものはその程度じゃ斬れない。
例えば人、例えば牛、例えばマグロ、例えば――――肉。
鋭利な刃をあて、押すか引くかをして、初めてそのような分厚いものが斬れる。
しかし大抵の場合、人は引くを選ぶ筈だ。なぜならそっちの方が楽だから。
そして遠心力が掛かり、協力になりやすいから。
つまり、刀という武器のレンジは近接ながら、零距離となると意味を成さない。
無論彼女はその欠点から生まれる二つの弱体化の片方を補っている。
一種の開き直り、〝別に斬れなくてもいいだろ〟、と強引に語る。
切れ味を残し、でも己が愛刀の特徴である〝異常なまでの強度〟を生かして自身の刀による攻撃を心内にて〝裂撃〟と名付けた。
〝裂撃〟。斬ることはできるし斬ることが本分である、が。どちらかと言えば、〝砕く〟。
殆どの場合彼女の刀は〝斬る〟が、でも、彼女は〝砕く〟んだ、と。
全力でぶった切る、と叫んでしまうけれど。

要点を摘めば〝零距離〟での刄の一撃は、彼女がどう〝裂撃〟だの屁理屈を捏ねようが、一番威力が発揮される場所より弱い。

「おおぉおおおお?!てめえ、オレンジ野郎ォ!!!!」

絵名さんが、背後から彼女の足にぶつかった。
意識を完全にアテナさんに向けていたから、何も身構えていなくて、前のめりに倒れる。
腹を狙っていたのなら、アテナさんの拳は、アテナさんが狙う以上の最良の結果としてぶつかったろう。
けれど顔を狙っていたのなら、的は小さい。ぶれたなら外れる。
加えて、もし波動を撒き散らすような〝炸裂する拳〟だとしても、当たらない。
零距離であるがゆえ、もし炸裂したのなら術者自身にもダメージが及ぶ。
しかし、彼女の〝裂撃〟も死んだ。
肩口まで迫っていた一撃は更に距離を詰め、鍔がぶつかる。
斬れるどころか打撃としても、弱い。遠心力がなく、非常に弱い。

結局、
絵名さんが彼女の足を飛ばし、切りかからんとしていた彼女は前のめりに倒れ、アテナさんに覆いかぶさるようになった。

222八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/02/02(水) 00:40:46 ID:WmoYp0A20
>>219>>220-221
ざりりり、と擦るような嫌な音がした。
『うわあああああ腕があああああ!!!』
「悲鳴あげるような事じゃありませんっ」
……むしろ恵まれている方ですってばー。
以前は腕をカバーするアイテムなど持っていなかった為、同じことをすると思いっきり服の袖が削れて肉まで削られかけた。
其れに比べればどうってことはない。
そんなことをつらつら考えつつも、倒れるような態勢から跳ね起きて、地を踏み、
……今大事なのは―――
先ほどと変わらない。
ふーこ、アテナの両名が”自分の主戦闘領域内に入っていること”だ。

――――正直、自分は遠距離戦闘に向いていないと本気で思っている。
嫌いだとか卑怯だとか思っているわけじゃない。
ただ単に、合わないと思うだけなのだが。

こうして”敵”が傍にいると、それをはっきりと自覚できる。
うん、
「素敵ですねえ」
一つ頷いて、右の拳を振りかぶり、

「――――遠慮なくグーを使っていいなんて」

技も何もない。
ただ、身を捻り、少しだけ溜めを入れて、
……強化コンクリートをぶち抜く感じで!
「あ……!!」
口から零れるのは気合いの叫び。
己の声を何処か遠くのもののように聞きながら、彼女は穿つ拳を倒れる二人に打ち下ろした。

223萌葱 アテナ:2011/02/03(木) 20:44:32 ID:7gFzKdaU0
>>220-221>>222

アテナの拳、グローブに覆われた奥には、無数の傷が刻まれている。
巻藁を突き、木を突き、岩を突き、水を突き、拳を“武器”へと作り替えて言ったその過程、道筋が、そこにはある。
然し、アテナは恐らく、其れだけの鍛錬を経て尚、この戦いに勝つのは、恐らく難しい。
其れは、何故か。
それは、アテナが余りにも格闘の才を持っていたため。
これまでアテナは、格闘で闘うことの欠点を感じたことはなかった。
統一国軍との戦いは、集団戦でしかも兵一人一人の練度はアテナに取ってはそれほど脅威ではない。
故に、アテナは拳一つで戦い抜いてこれた。だが、今のアテナはどうだろうか。
戦術では及ばず、力では及ばず、速度では及ばず、技でも及ばない。
成程、かつて友人でなくなった友人に敗北したのは当然だった。
なにせ、アテナは無意識に慢心を重ねていたのだから。
拳で戦ってなんの問題もないと、そこに工夫を持ち込まず、教わったとおりの武術を教わったとおりに愚直に鍛える。
たしかに其れは間違っては居ないが、アテナの目指すところには足りない、足りなさすぎる。

隙を突かれ、動きの溜めを看破され、そして、アテナの射程に置いて尚、相手に圧倒される。
素直に、思う。

(――悔しい)

だが、まだ終っていない。
死ぬまでが戦いだ。まだ致命傷を追ったわけでも何でもない。
ただ圧倒されているだけ、ただ自分が劣っているだけ。
祖父の言葉が脳裏をよぎる。

(弱い事は敗北には繋がらない、でしたっけ)

そう、だからアテナは諦めない。
動揺を突かれ、刃が迫り寄ろうとも、アテナは。

「――っふ」

ふーこの眼を見つめ、笑った。
諦観の笑いではない、ナニカが、完全に、吹っ切れた。
火の入った眼を煌めかせ、口元には、不敵な笑みを浮かべ。

鍔が衝突し、肩装甲に衝撃を伝える。
非常に弱まった打撃、そして其れが薄くはあるものの金属装甲とぶつかり、甲高い音を響かせて。
然し其れはダメージに成ることはないだろう。

覆いかぶさる形に成るふーこ。
そして、其れを確認し、アテナの脳を無数の手が駆け巡る。

絵名の拳が迫る、拳を振るうには、向いていない。
ふーこが覆いかぶさるこの状況、打撃は現実的ではなく、引くのも問題外。
ナラバ、ならば。

「行けるかなんて分かったこっちゃ無いけどこうなったら行くしか無いってのよっ!!」

アテナは、ふーこの腕。刀を持つ方の腕を両手で掴みにいく。
そして、つかむのが成功すれば、アテナは関節技に入るだろう。
腕を掴み、重心を崩し、地面に叩きつけに行く。そして、叩きつけに行くのは――絵名の方へ。
成功すれば、アテナはふーこを絵名の拳に向けて叩きつけ、失敗すれば絵名の拳が命中するだろう。

224銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/02/07(月) 00:58:13 ID:bwkxFepM0
>>222>>223

距離はほとんどなくて、躱せず、手が掴まれた。
しかし、彼女は気にしない。
アテナさんに対しては、刀での一撃が失敗した時点で既にやられたと感じていて、ゆえに、気にするべきは、背後から迫る少女だった。

――――ぜってー逃がさねーよなあ…………!!!

アスファルトを引き裂き、少女は投げてきた。
その怪力で殴られたなら、どれだけ痛いだろう。
一発KOもあり得るかもしれない。だから、躱す、――――でも、

「後に引くのは趣味じゃねえ!!!!」

だから、刀を振るう。
当たるかどうかは考えずに、振ろうと決めた。
振るえば牽制になるし、相手を見ることができる。

けれど、

「っ、」

体と魔力は既に刀を振る為に動いていた。
重力魔術を行使し、半回転し、後方の少女を斬る。
動きとしては簡単だった。

でも、

しかし、

――地に足をつけていたら問題あるまい。踏ん張れば、振りきれてたろう。
――彼女が思う、自身の全盛期なら大丈夫だったろう。この程度、と振り切れた筈だ。

「赤毛……!!」

彼女が刀を振ろうとする、その瞬間。
少女は自身に関節技を仕掛け、あまつさえ絵名さんにぶつけようとする。
回転の方向に、真っ向から逆らうのなら対応できたろうが、違う。
ここは今、刹那を積み重ねる戦場で、つまり、対応できず。
かといって、彼女の体がとまる訳もなく、最悪の形で体が動いた。

「ッ……!!!」

刀は振り切られず、
体も振り向かず、
視界に映りつつある絵名さんの拳が飛んでくる。
自身のわき腹、咄嗟に重力障壁を張るも、あの剛力を前にしては意味がないだろうと思った。

そして、痛みを覚悟する間もなく、刹那を経て、絵名さんの拳がぶつかった。

225八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/02/09(水) 00:35:04 ID:/T7eOXNo0
>>223>>224
ヒット。
今度こその手ごたえに口の端が緩む。
『せんせー……本人の力で損傷率上がるってどういうことなんです』
『耐久値の計算からやり直しておくべきかなー。
 女性でこれなら男性はもっとだし……ちょっと不味いよね』
『再計算しておきます』
……一応、テスターとしてはお仕事が出来てるみたいです?
不備、不具合の発見がテスターのお仕事に含まれるならば―確実に含まれるだろうが―ちゃんと仕事をできている訳だ。
少し安心する。
そして、手ごたえ、つまりふーこの体にめり込みつつある拳の感覚を思い、
……久しぶりですね。
最後に人を殴ったのはいつだろうか。
集まりが組織になって、自分が頭になって以来だろうか。
それとももっと前だろうか。
まあ、
「そんなことはどうでもいいんですけどね……!!」
腕が伸びきった、と思った辺りで即座に引く。
重力障壁の反発も加えてか、速い戻しの動きに合わせて左足で地を蹴り、回る。
そのままただ振り抜くのではなく、
『キャーカイナチャーン!!』
「ええいうるさーい!」
”全界踏破”。
宙を踏むそのシステムが起動し、加速と位置調整が虚空を叩くことで可能となり、
「でっ……やぁ―――!!」
上がる足がふーこ、だけではなく。
先ほどふーこが覆いかぶさるようにしていたアテナもつま先で引っ掛けるようにして。
蹴撃という形で振りぬかれようとする。

226萌葱 アテナ:2011/02/12(土) 11:06:41 ID:7gFzKdaU0
>>224>>225
にっ、と悪戯気な笑いをふーこに向け、アテナは関節技をかけ絵名の方へふーこを放り、手を離した。
この時点で、アテナはふーこを見ない。次に見なければならないのは絵名であるのだから。
迫る蹴りを、アテナは見た。日本人特有の黒い目、それに迫る足が移。

「間に合え――――――ッ!」

アテナの動きには溜めが有る。しかし、今の動きは違った。
咄嗟、腕をふーこへの関節技で振り抜いた直後、脱力状態のままでの受け止め。
当然腕の追加装甲は砕かれるが、その勢いで後ろに跳躍、空中で宙返りをして着地した。
砕けた装甲の隙間から莫大な力が漏れている、装甲を砕いた影響だろうか。

「……あれ、今の……」

衝撃で痛む両腕を見ながら確認した。
今の動きは、普段の自分の動きとは異なっていた、と。
何かが引っかかった、そうだ、祖父の教え、自分が未だ修めていなかった領域。

「――――放鬆だ」

呆けたように、そう呟いた。
放鬆――――日本的に言うところの脱力の極意である。
力を極限まで抜くことにより、最大の速と力を発揮する、という物。
偶然であったが、アテナは今その極意の一端を手にしていた。

「っふ、コレ、試してみるっきゃ、無いよね!」

息を深く吸い、深く吐いた。
両腕をだらん、と垂らし、しかしそこへの意識は確りと。
腕から吹き出る力は、全身に流され、波動の力を強めていく。
目は鋭く二人を見据え、構えからして変わったアテナがそこに居た。

227銀髪の女性 ◆X7kkkkkkkk:2011/02/13(日) 01:09:50 ID:bwkxFepM0
>>225>>226

先ず腹に拳が減り込んだ。
次いで、吹き飛ぶ間もなく蹴りをくらい、体と意識が同時に飛ぶ。
戦場たる二人の間合いから大きく外れ、遠くへと離れた。
床にぶつかり、弾む。
その衝撃で意識が帰り、だから、彼女は顔を顰めた。

――――ぜってえアバラ行ってる…………!!

ずざざざざ、と、瓦礫を押しのけながら床を行き、5mを越えてようやく止まった。
床を掻く。
胃から昇った吐瀉物を零しながら、脇に手を当てた。
じんじんと響く痛みに苦笑を洩らし、けれど、立ち上がる。

「………………だっは」

立ち上がり、対峙する二人を眺めた。
右肩を一度、回す。

「前のが激しすぎてどうにも緊張できねーな………………。
…………鈍ってる証拠だな。笑えね、けど」

切り替えよう。

平和ボケした頭に、喝を。
弛緩した体に、活を。
心に、渇を。

「〝鬼〟」

「名乗るからには、本気じゃねーと雫忌尼にどつかれちまうし、気合いれっか」

228八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/02/13(日) 21:10:23 ID:GAK7uDXo0
>>226>>227
吹き飛ばして、砕いた。
少なくとも片方は確実に。
「……ふむう」
足を戻し、地を蹴り、吹き飛んだ二人を追って走り出す。
思うのは、
……ここまで打撃が通用しないとは……。
時代はやはり斬撃なのだろうかと思って軽く凹んだ。
……砕く、いいじゃないですか。林檎片手で砕いたっていいじゃないですか。
斬れば断たれるが、傷口の治療はしやすい。
砕けば断つことはできないが、傷口の治療はしにくい。
そんな認識がある。
自分はどちらかと言えば後者が好きなのだが。
「全く困ったものです」
『実際うちの売上も刀剣類かなり上位だしなー』
「力としての表現が楽だからなんでしょうかねえ」
ふ、と息をついた。
前を見て、
……まずは一人潰せ。
「平等に行きましょうか」
今までの蓄積ダメージも無視はできないレベルではあるが。
それよりも、
……ああいう、明らかに色々と決まった人は怖いんですよ……。
アテナが怖い。
ふーこを無視することになるが、
……腹に入った以上、そこまでの威力の技は出ないはず…。
慢心ともとれる思考。
それが己の装備を作った人たちへの信頼から来るものと把握し直して、
「行きます……!!」
走りながら身を低くして、1m大の瓦礫を拾う。
そのまま勢いをつけ、アテナに投げつけようとして、
『あっ』
「えっ」
ばちん、という音。
脚部装備に電光が走り、
『「嘘っ!?」』
あ、今シンクロした、とどこか呑気に思いながら派手に素っ転んだ。

229萌葱 アテナ:2011/02/13(日) 21:56:47 ID:7gFzKdaU0
>>227>>228
「……」

すぅ、と吸って、ふぅ、と吐く。
それを三度。
全身は鈍痛が走り、疲労もかなりの物がある。
戦闘能力を強化するモードパラディオンの負担も無視できないゾーンへと近づいている。
長くは戦えない。故に――――――。
――――――脱力。
心を静め、冷静に、自己を冷やしていく。
過ぎる力は、体を強ばらせる、必要な力だけを、体に込めて。

「行こう」

構えを取る。
手を開く、拳ではなく、掌底構え。
半身の構えで、腰を軽く落とし、即座の動作を可能として。
一歩を、踏み出す。

と……っ……

音は、響かない。
無駄を省けば、音も自然と消えて行く。
流れに乗り、アテナは“自然”な動きで接近していった。
そして、相手が瓦礫を此方に投げると判断し、目を見開くが、次の瞬間――――。

「――――ッちゃんす!」

相手が転倒した。
コレは好機、狙わない事があるか、というほどの好機である。
踏み込む左足で、地面を蹴る。

たぁぁぁぁ……ぁぁぁんっ……!

軽い音が響き、アテナは宙を舞う。
空中で前転の様な動きで回転しながら、絵名に向けて落下していき。
その勢いのまま、右手の掌底を相手の背に振り下ろしていく。

「――――烏龍盤打ッ!」

力が抜ける、其れにより、腕は遠心力の力を強く受けて、その速度、威力を高めていき。
波動の力は“流れ”インパクトの瞬間に、その密度を最大とするだろう。

230銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/02/19(土) 22:54:17 ID:bwkxFepM0
>>228>>229

「つっ――――」

息を吸い込むと、お腹が痛かった。
正面ではオレンジ色の鬼がこけ、その少女を、戦神の名を掲げる少女が殴る。

彼女の目には子供の喧嘩に見えた。
けれど、そこにいることが出来なかった自身はなんなのかと、自身に問う。

「…………歳、取ったのかな」

――衰えたのか。

――老いたのか。


地面にぶつけ、少し上げただけで痛む右肩を左手で擦る。
デスクワークのせいで凝っている。一昔前の自分ならこんなことはなかった。
かくも時間とは激しく人の身を削る。それを素直に感じ、ならばと息をまいた。

「集中力がねえ。キレもねえ。
どうしてこうめんどくせーヤツになったんだよ」

いつも、日常ではこんな自分も嫌いじゃないと思える。

例えばメイドがコーヒーを入れた時、
例えば幼子が布団に入れて欲しいとせがむ時、
例えば女子高生が厨二病を発揮してるのをバカにする時、
例えば演劇狂が芝居染みたセリフで下ネタをぶつけてきた時、
例えば大人しい子が我侭っ子に変わり、めずらしく一緒にでかけた時、

嫌いじゃない。
そんな仄々とした日常、嫌いじゃない。
しかし、一度、こんな戦場に踏み込むと煩わしくなる。
頭の中のもやもやがとれず、やられてしまう。そして苛立ち、過去の自分を思い出す。
今もまた、思い出してしまっている。自覚しているけれど、この回想は心地良い。

だから、嫌いになれないんだな、と彼女は思い、まだ肩を擦っていた。


「………………切り替えろ、頼むから、」

二人の若い少女を見て、彼女は祈る。
変わってくれ、と。この心、胸を張って〝鬼〟を叫べる自分に、替わってくれ、と。

231八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/02/20(日) 01:03:17 ID:VaXq3Dpk0
>>229>>230
「――――がっ」
ごりっ、とかそんな嫌な音が一瞬したような気がして。
アテナの掌底が背を――

ではなく。

不本意なハリウッドダイブ状態からの復帰として体を仰向けになるように回転させていたのが良かったのか悪かったのか。
掌底は腹部、肋骨をかするような位置を打っていた。

『よかったぁ――――!!箱庭でよかったぁ――――!!!!!』
『ああ……リアルだったらお嬢さんにちょっと土下座からのハラキーリだったな……』
あなた達の中でのボクの印象はどうなってるんですかと突き刺さるような痛みを得ながら思う。
呼吸はそんなに辛くない。
ならばギリギリ刺さっていないか、実はヒビ程度で済んでいるかのどちらかだろう。
個人的には後者であってほしいが。
「っ、げほっ」
咳き込み、口の中にじんわり血の味が広がるのを感じながら、己の腹に押し付けられているアテナの手、伸びる腕を掴もうと手を伸ばす。
脳裏に再生されるのは兄が「すげえー!何これすげえー!!」と絶叫しながらプレイしていたゲームの某オービタルフレームの動き。
……神は言っている、掴んで回してぶん投げろと……!!
流石に回すのは無理だ。何せ今自分は半ば地面に埋まるような形で倒れている。
ならば代わりに、掴んでから即行の叩きつけの連打を。
疲れてきた辺りで投げれば、距離の確保ととふーこへの攻撃という一石二鳥な状況を期待できる。はずだ。
……ふーこさんは今立ってるのがやっとのはずなんですから!
だから手を伸ばす。
掴みに行った。

232萌葱 アテナ:2011/02/20(日) 01:57:52 ID:7gFzKdaU0
>>230>>231
「ツゥラァッ!!」

気勢と共に、衝撃を伝え、そのまま腕で相手の腹を押し、飛び上がろうとした刹那――――


    ――――掴まれた


(あ、ヤバイかも……、これ)

そう思考する。
アテナの戦闘は、基本的に避ける事を防御のメインとしている。
其れは、自己の小柄さや、未発達さ、それらが受けるには向いていないから。
その代わりに、的の小ささと速度で極力受けないようにする為である。
打撃に対しては、その戦闘法は間違っていない。
だが、掴まれてはどう仕様も無い。

「おごっ、がああああああああああっ!!」

コンクリートに叩きつけられるアテナ。
二度、三度。その度に薄手の装甲が砕けていく。
元より、モードパラディオンによる負担をうけ、耐久が著しく落ちていた身だ。
気絶一歩手前の状態まで持っていかれる。
だが、異変を感じるだろう。

《ERROR=ERROR=ERROR=ERROR=ERROR》

腕のグローブがシステム音声を響かせる。

《Limit Break 60%》

《ERROR=ERROR=ERROR=ERROR=ERROR》

装甲が破壊されるごとに、其の罅から魔力が吹き上がっていくのが分かるだろう。
装甲は、防御のためではないような、そんな気配を感じるかもしれなくて。
傷だらけの体から血を吹き出しながら、叩きつけられながら、無機質なシステム音声が只々流れていく。

「っ、あ」

ぐぅん、とGが掛かり、血だらけのアテナは、ふーこに向かって錐揉み回転しながら翔んでいった。

233銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/02/22(火) 23:59:43 ID:bwkxFepM0
>>231>>232

「体も心も表と裏があって、トランプみてーに綺麗にわれてりゃ楽だけど」

呟き、体の力を抜いた。
本当に軽く。羽になるように。

体から力を抜いて、空を仰ぐ。
月はなく、雲もない。曇りなき晴天の夜空に息を吐いた。
天麩羅を握り締め、彼女は目を閉じる。

次の一呼吸、
腹に力を込めて、大きく息を吸う。
澄んだとは言い難い、埃の混じった空気を感じた。
くせえな、と洩らし、大きく息を吐く。
併せて、体内の妖力を多量に散らし自身の場を作っていく。


まず、手始めに――――鬼となろう。
自分自身を、見せ付けるように。

誰に、と問われれば自身に向けて。
あの日の自分、在りし日の自分、頑なに戦っていた自分を思い出して欲しい、と。

「まだ、生きてんぜ……!!!」

大声が肺に響く。
が、それも先よりはましか。
鬼の体は人のそれより幾分か強固で、強い。

白妙の凜鬼の権化たる白髪を、死に装束と見紛わんばかりの白い振袖を、濁った赫の瞳を、下駄を。
揺らし、鳴らし、踏みしめ、彼女は飛んでくるアテナさんに向けて黒い刃を振り上げた。

「まあ運が悪いってえこって、ここで退場してくんな!!」


重力による加速、重化、、そして鬼の剛力でもっての閃き。
体は痛めている。
あちこちの打撲、右肩の負傷、特に、鳩尾に喰らった〝鬼〟の拳。
ダメージの総量は少なくない。決して、少なくない。
沈没するのも些か以上に吝かでないのは間違いないけれど、しかし、足掻かねば。
寝つきが悪い。彼女は、そう信じる。

234八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/02/24(木) 21:56:43 ID:6gEZO5Xg0
>>232>>233
「――っ」
……・よっし!
やってやったぞ、だとかそんな言葉を感想として持つ。
だが今の自分は少し頂けない。
『腕部の術式的な耐久値ぶっちぎったねえははは。
 暫く素材性能以上の減衰かからないよ?』
との装備状況や、
……口の中が血の味なんですけど――――!!!
おいどこだ傷ついたの。
ともあれ一度息を吸って、細く吐いて、
「ふぬぅ……!」
起き上がればじんわり腹が痛んだ。
投げ飛ばしたはずのアテナの方を見ればふーこの大声が耳に届く。
……うあ――。
『つーか今さらだけど、あの自称鬼の人……あれ、リグヌの社長さんだよね?いいのかな?』
「『今さらすぎるよ!!!』」
父親の呟きに全員で突っ込んだ。
そのせいかは分からないが、ほんのり気がまぎれて口の端に笑みが浮かぶ。
……わざとやってんですかねえ……。
そうなら一生自分はあの人に勝てないな、と思いながら傍の瓦礫に手を伸ばす。
それは転ぶ前に投げようとしていた巨大な物で、
「1粒で二度美味しいですよ」
ええ。
頷いて掴んで持ち上げて、
……でもだからって、「すっぱ梅〜あまーい〜」っていうのはどうなんですか。
同じキャッチコピーの天涯製品を思い出しながら投げた。
座った態勢のため勢いはつけにくいがそこは強引に力でカバー。
当てに行く。

235萌葱 アテナ ◆NSEW0Le2pU:2011/02/25(金) 00:57:10 ID:7gFzKdaU0
>>233>>234
迫る、剣戟。
自分は空中に居て、回避は不可能。
受け止めることしか出来ないが、その斬撃を受けるのは、今の自分の体では難しいだろう。
だが、其れでもだ。其れでもアテナは諦めたくなかった。
勝てなくてもいい、勝てなくてもいいから、せめて一矢を報いたい。
そう思ってアテナは精一杯生き汚く、防御を図る。
迫る黒い刀身を見て、アテナは咄嗟に両腕を間に挟んだ。

――――断ッ!

音が響き、鮮血が舞う。

「あああああああああああああああああ!!」

びちゃり、びちゃり。
血が飛び散り、叫び声が響いた。
体が反射的に動き、跳躍し距離をとるが、数メートルの距離を取って、膝まづいた。
ぼとっ、と何かが落ちる音がした。

「っうあ、ッ!ぐ!」

アテナの左腕が、肘から先を断たれていた。
必死に術式を組み、止血をするが。
その前に、あるモンダイが発生した。

《ERROR=ERROR=ERROR=ERROR=ERROR》


《Limit Break ――――――100%》


《ERROR=ERROR=ERROR=ERROR=ERROR》

びきびき、と装甲が砕けていく音が響く。
2つ一組のF・Fが失われたことで、制御術式に異変が発生しているのだ。
全身を趨る痛み、其れが、アテナを苛む。
だが、アテナは、立ち上がった。

「……まけ、たく。無いッ!!」

ごぼっ、と血が口からこぼれた。
左腕は肘から先が無い。
右腕も装甲を抜かれ、骨まで傷が達している。
だが、其れがどうしたというのだ。
まだ、生きている。それで十分だ。
生きているなら、負けていない。

「F・F……、もう少し、いっしょに、がんば、ろ」

そう、片腕のグローブに話しかける。
グローブは甲高い音を返し、システム音声を流し始める。

《Armor Break》
《Mode――――》

装甲が全て砕け散り、術式の不完全さと、吹き上がる力で纏結界の一部が失われる。
そんな、アテナは、二人を火のついた目で見据えている。



    《「――――Mode A T H E N A !!」》



砕け散った装甲は、吹き上がる力により肉体が崩壊するのを防ぐ枷だった。
自分では解けないように、強固に術式を構成していたが、相手の攻撃で其れが崩壊し、装甲が失われた。
眼から、血の涙が流れる。肉体の崩壊が始まっているのだ。
真紅と金の魔力を纏う、戦女神は、血濡れでそこに立っていた。
既に満身創痍。此処が仮想空間でなければこのまま死ぬ怯れもある深手。
それを気にせず、アテナは絶叫する。

「雄々ォオォォォォォォオォォォォォォオォォオオォオォ!!」

空気をびりびりと震わせて、アテナは叫ぶ。
それに呼応するように、アテナの表皮に無数の文様が浮かび上がっていく。
肉体自体に刻まれた、術式安定の陣。アテナの母が自分に残した技術である。
先程までの外に噴き出る力は、内へ収束していくように操作され、安定していく。
頬の皮膚の一部が崩れ落ちたが気になどしない。
右足を振りあげ、おもいっきり、地面に振り下ろした。

「震ッッッッッ脚ッッッッッ!!」

震脚の振動と同じように、衝撃波が走っていく。
莫大な魔力の奔流で有る其れは、一直線にふーこに襲いかかる。
速度は早く、威力は高い。膨大な魔力任せの単純な攻撃だが、それゆえに、強いだろう。

236銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/03/03(木) 00:25:42 ID:bwkxFepM0
>>234>>235

正面、斬り伏せたと思ったアテナさんが道路を踏み、跳躍して距離をとる。
血のついた天麩羅を反し、一息に踏み込んでの追撃を考えるが絵名さんを無視できない。
ここで赤い少女を追えば、絵名さんに背を向けることになる。
それは怖い。
加えて、絵名さんは既に、自身へアプローチをかけていた。
ならば応えよう、そう思うと自然に口が弧を描く。
瞬間的に判断を下し、彼女は絵名さんに向かって跳んだ。

「さっきの分、釣りつけて返してやるよ鬼っ娘ォ!!」

彼女から見て左方向。アテナさんがまた何かやらかしている、が。
どうでもいい。
腕を切られ、装甲が剥げ、それでも尚抗ってきた。
一度突けばそれだけで壊れそうな申し訳程度の程度の踏ん張りだ。
放って置けば、どうせ勝手に崩れるだろうから。相手にはしない。

事実、もう目なんて見えていないだろう。
一体どこに向けて撃っているのか。

「………………なんでそう、素直かね」

先までの少女なら、距離を詰め放つ。
或いは自分の行動を予測して撃っただろうけれど。
しかし今の少女は銀髪の女性に目掛けて放った。
刹那のリードを奪い合う戦場において、彼女がその場に留まり続けるわけもなく、絵名さんへと踏み込んだ彼女には当たらなかった。

そして予測する。
どうせ次、少女は自身に目掛けて狂ったように同じもの、或いはそれよりも少し強い技を放つだろう。
受けるバカはいない、来るなら躱す。タイムリミットを迎えるまで、とことん無視する。

後方、踏み込みと同時に爆ぜたように散らばるアスファルトが白髪に触れる。
下駄と足の裏の隙間にも、瓦礫を感じた。
うざってえ、思いながら正面に迫る岩に、天麩羅をぶつけた。
踏み込みのタイミング、重力魔術による体制が噛み合い、ほぼ完璧な閃きとなる。
素直に迫る無機物に対してはできんだよな、と心に愚痴を洩らした。

絵名さんの正面、
岩を砕き、その間から天麩羅を振り上げた彼女が、
アスファルトで跳躍を継ぎ、速度を持った状態で迫る。

237八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/03/05(土) 23:12:31 ID:qFJ/MHRY0
>>235>>236
さて、起き上がれたのだから立ち上がろう。
その直前にぴ、と高い音が足元からした。
『――ちょい緊急だけど補正完了。あれだ、踏みしめすぎですネー』
「うう……」
『形状的には立つ、回る、蹴るに特化してんだから。
 普段のノリでがっつりやっちゃ駄目よ』
はーい、と答えて今度こそ立つ。
ふらつきかけて戦闘服に補正されてしゃっきりと正されたが。
前を見れば、
……え?
「ば、万国共通ビックリ人間ショー?!」
んなわけないだろ馬鹿。
そう、
……刀でカチ割った!?
それだけだ。
ふーこの技術、魔術の事を考えても普通のことではないが、
……妖刀、とか?
だとすると不味い。
かかっている呪いの類によっては一撃で致命だ。
加えてアテナがヤバイ。
『解析――――――!!!!
 余所の自壊無死安定込み込みだなんて強化系術式なんてめったに調べる機会ないぞ――――!!!!』
繋がる通信の向こうで焦りの気配がする。
どんな事態でもヒャッハーしながら向かっていく技術者集団にしては珍しいことだし、
……あの魔力量はちょっと。
己の対術耐久力的に考えて飲まれたらけし飛ぶ。
こっちに来たら―――だとか、そんな事を考えるうちにもふーこは目の前に迫っていて、
「あ」
とっさに思ったのは不味いの一言。
体はそれに反応して、

回避ではなく、振りあげられた刀――天麩羅にぶつける様に右の拳を打ち放った。

238萌葱 アテナ:2011/03/16(水) 19:47:03 ID:7gFzKdaU0
>>236>>237
「……ッ!」

全身から血が吹き出し飛び散った。
長くは持たない。肉体の崩壊は、既に始まっている。
だからこそ、心を静めなければならない。
深く息を吸い、吐く。其れを数度繰り返し。

「……F・F、叫神化」

右腕を前に伸ばす。
無駄な攻撃を重ねるのは、無駄だ。
故に、一撃。故に、必殺を。
確実に、相手に一撃をぶち込むだけ。それだけ。
必殺技――響きとしては陳腐な物だ。だが。
“必”ず相手を“殺”す“技”だ。
自分は器用ではない。
使用魔術も、戦闘スタイルも。打撃偏重の偏ったもの。
そして、その打撃も、上手く通用はしていないこの現状。
だが、之しか無い。だから、之で当たるしか無い。
自分の重ねてきた物を、信じるしか無い。
だからアテナは。

《「雄々オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」》

叫ぶ。
無駄と思うだろう。だが、違う。
アテナの扱うF・Fは、叫びの周波数に応じて震え、そして魔力を増幅していく。
叫びに呼応するからこそ、共振器は又の名を叫神器であるのだ。
右腕に、追加装甲が現れていく。共振器は、叫びと膨大な魔力により、叫神器と成る。

《――――Fist carve out a future!!》

――――その拳は、未来を切り開くために。
未来切り開く拳の名を着けられたアテナの相棒は、その姿を変じさせた。
それは、二人は見たことが無いであろう、イージスの腕に酷似した物。
自己の身長と同じほどの大きさの装甲に、手甲と融合する形のパイルバンカー。
背に追加される形の装甲は、魔導スラスターが追加されている。
足に集中する魔力が、その重装のアテナを宙に浮かせて。
背のスラスターと右腕のパイルバンカーの内部に、莫大な魔力を注ぎ、圧縮していく。

「……行こう、一緒に」

正真正銘、最後の一撃を放つために。
アテナは魔力を圧縮し、機を伺う。
この一撃、外せば敗北なのだから、失敗などは許されない。
故に、相手の一挙一動を逃さないように、目から血涙を流しながらも、瞬きも忘れて、只々戦況を睨み続けている。

239銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/03/22(火) 22:19:55 ID:bwkxFepM0
>>237>>238

いかなる手段を用いても、解析した結果明らかとなる妖刀の特性は二つ。

一つは『超強度』。
酸を浴びても変わらず、爆撃されても変わらず、焙られても、変わらない。

「振り切る前に止めようってか?!」

距離が足りず、加速しきれまいと彼女は思う。
良い、攻めの姿勢の防御は好きだ。堪らない。
しかし、このままでは一撃を活かしきれない。
だが、全力で振るつもりで振りかぶったのだ。
重力魔術で太刀筋を強引に指定し、一撃を見舞う選択もあるが、――――。
加速しきれない、けれど、自身の技は加速しきれないだけで死ぬような剣かと己に問うた。
否、剛力で、魔術で、押し切れぬほど柔じゃない。
いや、押し切られるかもしれない。でも、在りし日の己なら〝絶対〟を誓える場面だ。

意地でも、下がれねえ……!!

「わけえな、オレンジッ!!!」

残るもう一つ妖刀の特性は、先に挙げたものとある意味で逆を打つ、『属性転化』。
使用者の持つ属性によって妖刀自身の属性を変化させる、言わば『八方美人』。
現在は銀髪の女性、雨崎ふーこの主属性である〝重力〟を反映し、黒く染まった姿を見せていた。

絵名さんの拳に向かう刃に威力はある。
が、しかし、一刀両断を叶えるほどの速度と力はなかった。

240八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/03/23(水) 23:59:40 ID:Dd1tKQyM0
>>238>>239
アテナの見据える先。
「――――ッ」
黒の刀。
ふーこの重力魔法を添加された鋭さが振り下ろされ、
「……ぐぁ」
迎撃した右拳に触れ、裂くように斬りこまれ、

しかしそこから先を赦さない。

「――――取りました」
妖刀は一刀両断を為し得ることはできなかったが。
戦闘服を易々と斬り裂き、肉を割って手首までを割った。

顔に浮かぶのは笑みだ。
気の抜けたそれをほんわりと表情に乗せて、
……すっごく痛いんですけどねえ。
あどれなりん?とかそのあたりの脳内物質がどばどばしているのだろうか。
流石は戦闘系民族だなあと今さらながら己の身のスペックに驚く。
『解析一人こっちに回せ!
 メカい嬢ちゃんの術式以外にも面白いものはあるぞ!』
『お嬢の傷はスルーすんの?!』
周りの音や視界が妙に綺麗だった。
やっぱり衝撃的なケガのせいでトチ狂ったかな、と結論して、
「若い若いって言われましても」
ずちゅりと纏わりつくような音と共に、刀が抜けないようにしながらも軽く後ろに下がった。
適度に空いたふーことの間、そのスペースを使って、
「まだ僕は高校生ですからぁ―――――――――――!!!!」
ヤクザキックの応用。
顔を蹴るのではなく、着弾位置を低めにして腹を蹴り抜くように。
左足が突き出された。

241萌葱 アテナ:2011/03/25(金) 19:50:57 ID:7gFzKdaU0
>>239>>240
「……っ、まだ、まだだ。確実に、一人だけでも“もっていく”」

黒い眼をぎらつかせて、隙をうかがい続けて。
もう既に、アテナの目的は、勝つところに無かった。
“一矢報いる”、その為に、一撃を確実に打ち込む。
今は、“それだけ”。

「全力で、全速で、撃ちぬく」

きぃん、とパイルバンカーが音を返す。
背部の魔力は既に飽和状態。

「――――Fire.」

発動コードを発声、次の瞬間背部の魔力が爆発、背面のビルの壁が砕け散り、超加速をする。
狙いは、雨崎ふーこ。
蹴りを喰らって、態勢を崩したところを狙う。
風を切り裂きながら、超速度、超重量の単純な一撃。
“パイルバンカー”がふーこが蹴りを食らう直後程のタイミングで襲いかかるだろう。
外せば、魔力は枯渇、肉体の負担は限界を迎えアテナの敗北と成る。

242銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/03/30(水) 22:46:28 ID:bwkxFepM0
>>240>>241

自分が産んだ惨状の向こう、笑みが見えた。
この状況に於いて笑える少女は、果たしてどれだけ人なのかと問いたい心を収め、彼女は判断を下す。

少女は下がったのだ。
ともすれば、互いの間に距離ができる。
勢いがなかったとはいえ一刀両断が叶わなかったことは、後で反省すればいい。
今はそれよりも、一撃を。

少女の腕を裂いた一撃は、左足でアスファルトを叩き、右足を踏み込んで放ったのだ。
だから、次の一撃を放つには足を継がなくてはならない。
しかし、足を継ぐ時間はなく、更に少女はキックを放っていた。
間違いなく、食らう。この距離、この状況、躱せる要素はない。

「女子高生になった覚えねーからわかんねえ!! 歳ィ、幾つだ!!!」

強引に刀を振り下ろし、裂くか。
それとも突いて、確実に右腕を潰すか。
二択、どちらも、苦し紛れのものだ。
なら、確実に行こう。
思い、同時に加速する。

背中で展開された斥力に上半身が押され、まず、腹に足が減り込んだ。
折れた肋骨が、痛みを訴え、それ以上に突かれた胃が悲鳴として胃液を押し上げる。
次いで天麩羅がその切っ先を絵名さんの右手へ押し込んだ。
より深く、遠く、貫こうと前進をする。
しかし次の瞬間、蹴られた反動で彼女は後方へ吹き飛んだ。
ずちゅと汚い音を上げながら、天麩羅がその身を数瞬前の反対方向へ突き進む。

同時に、彼女を狙ったパイルバンカーが放たれた。
速い、が、直撃にはなりえない。
吹き飛ぶ彼女の軌跡を追う、白い髪と下駄、袖に、足の指、脛が飲み込まれ、砕けた。

243八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/04/04(月) 23:30:59 ID:i9kEr6DY0
>>241>>242
斬られ、吹き飛び、
そして少女が吼える。

「――――――やりましたあっ!!」

『漢字変換しないのが優しさ……だよな……?』
『ああ……お前、後でどうなっても知らんぞ……』
ホントになと言葉を思いながら足を下ろし、
……痛ぁ――――。
そのまま膝をついた。
何度目だ、と思いながらぺたりと座りこんで、
……うわー。
赤黒いソレが視界に入った。
右腕だ。
肉を切らせて骨まで断たれた結果がそこにある。
肘までとは行かずとも、半分程度までを裂かれ、
……そりゃ、痛いはずですよ。
「でもだからと言って気は抜きません、と」
左腕を上げる。
小刻みに震えるが水平を保ち、意識は頭の上ぐらいに。
角が鈍く風を感じて、ああ感覚器なんだなあと思い、
……もう一発。
雷。
直ぐには無理だがいける。
其れくらいは意識もちゃんと持つはずだ。
視界が揺らぐのは気のせいだろうと思いこめ。
巻き込むのは二人、当てれば、当てなくとも至近に着弾できれば落とせる。
頑張れ戦闘民族のパワー。


ばち、と。
大気が弾ける音がした。

【攻撃無し/チャージ中】

244萌葱 アテナ:2011/04/15(金) 20:06:25 ID:7gFzKdaU0
>>242>>243
駆け抜けた。
全力で、最後の一撃を放った。
そして――――外した。

「……ッ……ぅ、くや……しぃ!」

――――絶対、次会うときには、強くなってやる。

ぶちゅり

吹き上がる魔力で自己の体を崩壊させ、アテナは現実世界へ帰っていった。

【萌葱 アテナ、死亡、敗北】

//スイマセン、色々専門学校の事などがありまして返信遅れました、おふたりとも乙でした!

245銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/04/23(土) 23:11:36 ID:R4Sg9QN60
>>243>>244

痛みよりもまず、喪失感が身を襲った、
不自然に軽い足が心の中心に居座り、退かない。

「死に縁に足をかけてたけガキが放てる技じゃねーだろ……!!」

体の重心がずれて頭から後に倒れた
倒れながら、彼女は着地について考える。
膝から先がない以上、足での着地はできまい。
ならば刀を握らない左手で走ろうと決め、しかし、初の試みに体はついてくるのか、と。

「………………ま、やるだけやってみるってーこって」

反発の左の掌で編み、その手で以って地面を殴った。
反発は跳躍を生み、彼女の身を更に後方へ押し上げる。

「        」

その衝撃が体を貫き、胸が詰まる。

「はっ……笑えねー!!」

246八剣絵名 ◆KAINAWkCDI:2011/04/25(月) 00:07:30 ID:k8Q1TGU.0
>>244>>245
一人が穿ち、一人が倒れた。
一人が消え、一人は立ちあがる。
思うのは一つだけ。

――――――だからどうした。

どっちが勝とうが負けようが関係ない。
今やることは決まっているのだから。
「これがボクの、」
左腕を上げて、
「全力、」
振り下ろし、
「全壊っ……!!」

落雷。

それは正確ではなく、しかし最後の一撃であると示すように強く。
腕に引かれるように倒れる身、肩から地に伏せながら橙の瞳でそれを眺めて、
……そういや答えてなかったなあ。
「まだまだ学生のあいだですよ、」
崩れた体。
それでも諦めないふーこへの一言を掠れた声で投げた。

……あー。
朦朧とする意識は絶対に血が足りないせいだ。
『うわあ――――!!!出血ー!出血がぁ――――!!』
『落ち着けこれは箱庭だから!ログアウトすればいいんだから!!』
慌ててる通信の向こうもそう言ってるし。
けれど、自分からログアウトを選びたくはなかった。
最後の意地で。
だから意識の薄れるままに任せ、

『お疲れ様、……バイト代、弾むからね?』
優しい“父親”の声に、ふつりと思考は絶えた。



【外部操作によるログアウトを実行します】


//お二人とも…とても長い期間、お疲れさまでしたよっと
//レス遅れなど申し訳ありませんでした

247銀髪の女性@〝白妙の凜鬼〟 ◆X7kkkkkkkk:2011/04/27(水) 21:22:40 ID:R4Sg9QN60
>>246
爆ぜ、煙が舞う。
そして数瞬の後に晴れ、瓦礫が姿を見せた。
そこに彼女の姿はなく。
白い着物の欠片と、草鞋。
朱色で染められ街灯の光を明るく返す、下駄があった。

中:
遅レスに次ぐ遅レス、
勝ちにこだわるあまりの下らんレス等々、不快な思いをさせてすいませんでした。
最後まで付き合っていただきありがとうございます。
また機会があれば、と。ではこれで終わりとさせてもらいます。

248アシュレイ:2011/05/02(月) 00:25:50 ID:TMQ5BNbQ0
【イデアの箱庭・大規模市街地エリア】

夜の帳が下ろされ、ビル街の明かりが太陽の代わりに空を照らす。
地上は街灯と列をなす車のヘッドライトとテールライトで彩られ、暗い場所を探す方が難しい。
そんな光だらけのビル街に遠雷のような音が響いている。上空を見やれば、高速で移動する一条の光。
航空機の類か。いや、違う。
それは、細長い盾のような六枚の翼から、大きなフレアを噴射して飛行する少女であった。
少女は時折その進行方向を、無作為に変える。
真っ直ぐから下降へ、と思ったら即座に上昇したり、上昇しながら回転して右に曲がったり。
六枚の翼の下にそれぞれ付いている大推力バーニアが可能とする、変則的な動きであったが、
それはどこか、初めて飛ぶことを覚えたひな鳥を思わせる動きでもあった。

「システム着床率98%……私専用、というのは間違いなさそうですが……」

飛行の感触を確かめながら飛ぶ少女、アシュレイは、この翼を得るまでの奇妙なエピソードを思い出す。
元々アシュレイはこの翼を装備してはいなかったのだが、今日の朝に、住んでいる学生寮にこの翼と追加装備が彼女宛に送られてきたのである。
木箱に梱包された翼の横には、一通の手紙が入っていて、

『アシュレイ・4th専用飛行ユニット及び空戦装備 母方の実家より』

と、そこには書いてあった。

「母方の実家とは何でしょうか?
 私の制作者は独身だったはずですが……?」

ビル群の間を蛇行して飛びながら、アシュレイは首を捻った。

249有澤零砂とカラード:2011/05/02(月) 00:38:34 ID:i6WWeuFEO
>>248
(あなたが飛んでいると、前方の空にいきなりホバリングで空を浮く黒い人型の機械と
その背中に掴まる白髪の少年が現れる)

「おっと、先客が居たみたいですね…こんばんは。」
『どうもこんばんはっと…』

(少年があなたに声をかけ、機械はそのあとに続く。)

「もしよかったら、お相手をお願いできませんか?
といっても僕ではなくて、こいつとですが。」

(少年は機械を指さしながら話してきた。)

250アシュレイ:2011/05/02(月) 00:47:39 ID:TMQ5BNbQ0
>>249

「……? おっとっと……」

アシュレイは六基のバーニアで逆噴射をかけ、現われた黒い人型の少し手前で停止、
三対の翼のうち、一番内側のバーニアだけを吹かし、同じ高度にホバリングする。

「はい、こんばんは。
 他に人がいたとは思いませんでした」

応えながら、少年と機械の組み合わせが一昔前のロボアニメのようだと、心の中で感想を漏らす。

「お相手、というと戦闘訓練のことでしょうか。
 なら丁度良かった。むしろこちらからお願いしたいくらいです」

空中にとどまりながら、小さく頭を下げる。

251有澤零砂とカラード:2011/05/02(月) 01:00:46 ID:i6WWeuFEO
>>250
「ああ、急に現れてごめんね、座標も悪かったか。」

(少年はすまなさそうに謝り。)

「うん、戦闘訓練で有ってるよ、よろしくね。」
『ここでは他の意味でつかう事はあんまりないだろ?まあ頼むぜ。』

(少年は頭を下げて、機械は特にしぐさは見せず。)

「あと先にいっておくけど一応、公平に一対一でするために開始後僕はログアウトするね。いいかな?」

252アシュレイ:2011/05/02(月) 01:09:32 ID:TMQ5BNbQ0
>>251

「了解しました。よろしくお願いします。
 では、ログアウト処理が完了するまで、私は一度離れておきます」

言って、アシュレイはホバリング状態のまま、他の四基のバーニアで小さく逆噴射をかけ、
二人から少しずつ離れていく。
そして、近すぎず遠すぎない距離で、再び静止する。
機械の方から何らかのアクションがあれば、即座に対応できる距離だ。

253有澤零砂とカラード:2011/05/02(月) 01:17:25 ID:i6WWeuFEO
>>252
「大丈夫、さすがに不意討ちはしないよ。
それじゃ、よろしくね。」
(少年は機械の背中から手を離してそのまま落ちながら姿を消す、そしてログアウトを示すアナウンスが流れた。)

『じゃあ、始めようぜ。』
(そのアナウンスが聞こえたあと、一息置いてから
機械は右腕にアサルトライフルを構え、そちらへの射撃を行う。)

254アシュレイ:2011/05/02(月) 01:24:34 ID:TMQ5BNbQ0
>>253

「!」

アサルトライフルのマズルフラッシュが見えた瞬間、咄嗟にアシュレイは腕を交差して顔面をガードする。
今のアシュレイは全身を超硬化ミスリル装甲の鎧で固めている状態だが、頭だけは無防備だ。

「っく、う……!」

大口径ライフル弾の着弾、そのショックに大きくバランスを崩しながらも、バーニア六基を最大出力で噴射し、
高度を上げる。
現在のアシュレイの重量に対して、過剰出力も良いところの大推力は、加速度的に彼女を上昇させていく。
どうやら高度と距離を取るつもりのようだ。

255カラード:2011/05/02(月) 01:33:48 ID:i6WWeuFEO
>>254
『まあ、流石これでは終わらないか。』
(距離を置かれたのを確認し、銃撃をやめた。
遠距離ではアサルトライフルは精度がたりないと判断したようだ)

『なるほど…、突っ込んではこないか。』
(そして高度を下げつつ肩からミサイルを発射した。)

256アシュレイ:2011/05/02(月) 01:43:06 ID:TMQ5BNbQ0
>>255

ミサイル接近警告を聞きながら、ある程度の高度と距離をとったあたりでアシュレイは反転する。

「初めて使う兵装ですが……オペレートシステムのインストールは済んでいます……!」

三対六枚の翼、その外側の装甲が展開し、中から短剣の刀身のようなユニットがいくつか射出される。
それらはスラスターを吹かしながらそれぞれに飛行し、迫り来るミサイル群に向かっていく。

「マルチロック……ファイア!」

高速で飛び回っているユニット群、その先端からビームが射出され、全てのミサイルを撃ち抜いて誘爆させた。
独立機動荷電粒子ビームユニット「スクリーミング・ウィスプ」、それがユニットの名称だった。

257カラード:2011/05/02(月) 01:53:41 ID:i6WWeuFEO
>>256
『こりゃ、厄介な装備を持ってるな…』
(そのようすを見て、再びアサルトライフルを構えて。)

『暴れられるまえに押さえさせてもらおうか!』

(右下から回る込むような動きて飛行しつつ、
ユニットに向かって、バースト撃ちで撃ち落とそうとする。)

258アシュレイ:2011/05/02(月) 02:05:50 ID:TMQ5BNbQ0
>>257
高速で飛び回るとはいえ、初めての兵装。制御に粗が出て、何機かのユニットを撃ち落とされてしまった。

「……ならば!」

ウィスプを制御しつつ、アシュレイは兵装の再構成を始める。
小銃を構えるような彼女の両手に細かな粒子が集まり、一つの形を形成する。
それは、一メートルほどの長さがある銃に、重厚長大な銃剣が付いた武器だった。
銃と銃剣を併せれば、アシュレイの身の丈を越える長さだ。

「ガウス・ライフルランサー。地上ではこんな装備、使えませんね!」

スコープを覗き、接近してくる黒い機体に十字線を合わせ、射撃。
タングステン合金の弾頭が、強力なローレンツ力によって、高い初速で撃ち出される。
加えて、射撃を免れたウィスプもそれぞれに機体を狙い、ビームを撃ちかけた。

【S・ウィスプ 5基撃破 残り13基】

259カラード:2011/05/02(月) 02:14:10 ID:i6WWeuFEO
>>258

『武器を呼び出せるってのは羨ましい……っ!』

(真芯に当たるのを咄嗟に避け、被弾点を肩にずらすが、
その威力に後ろに吹き飛び少し高度が落ちていく。)


『激しいな…』
(落下する最中、ウィスプの追撃に対しては、
胸部のビームシールドを展開しダメージを抑えつつ、アサルトライフルでウィスプを狙い続ける。)

260アシュレイ:2011/05/02(月) 02:26:53 ID:TMQ5BNbQ0
>>259
当たったようではあるが、効果が薄い。弾体の真芯で捉えられなかったようだ。
にも関わらず、ウィスプは着実に墜とされていく。

「S・ウィスプの有効活用にはもっと訓練が必要なようですね……」

反省点を記憶に刻みつつ、落ちていく黒い機体を見る。

「ウィスプでは撃破しきれないでしょうね。あの機体、高い性能を持っているようです」

自律する機械兵器、という自身の同類との戦いに、アシュレイは内心歓喜していた。
この街に来てからこちら、そういう機会が無かったからだ。

「……行きますよ!」

ライフルランサーを構え、2,3発射撃しながら、アシュレイは機体に向けて降下を開始する。

【S・ウィスプ 4基撃破 残り9基】

261カラード:2011/05/02(月) 02:39:04 ID:i6WWeuFEO
>>260

『これでまだまだ慣れてないか…これから先が怖いな…』

(空中で体制を整え直し右腕のライフルをビームライフルに構え直す。)

『そう言ってもらえるとうれしいねぇ…
お前さんも相当が…同じ手を何度も受けるつもりはないぜ!』

(そういいながら、射撃をかわし、持ち変えたビームライフルで三点射で撃ち返す。)

262アシュレイ:2011/05/02(月) 02:55:39 ID:TMQ5BNbQ0
>>261
三つのビームに対しては、バーニアの変則機動で対応する。
一発目。右側三基を大きく吹かして回避。
二発目。もう一度右側のバーニアを吹かし、ロールを打って回避。
しかし三発目。ロールを打っているところに飛び込んできたビームは回避しきれず、
右側の一番外側の翼、そのバーニア部分をビームに削り取られる。

「しまっ……くう……!」

撃たれた衝撃で飛行バランスを崩し、きりもみしながら落ちていく。
だが、そこはアンドロイド。状況への対応は最適な行動を取るように出来ている。
右二基、左三基の状態では推力のバランスを崩すため、両の翼の外側一基ずつを切り離し、二基ずつのバーニアで体勢を整えた。

「本当に、やりますね……!」

アシュレイはライフルランサーの銃身中程にあるグリップを左手で掴み、トリガーのある右手のグリップを真っ直ぐ伸ばす。
今の彼女は銃剣の刃の長大さから、大きな剣を持った剣士のように見えるだろう。

【S・ウィスプ 残り9基】

263カラード:2011/05/02(月) 03:11:26 ID:i6WWeuFEO
>>262
『一応修羅場は潜ってるんでな!』

(高度が落ちたのを確認し、少しだけ高度を上げてからそちらに向かって加速する。)

『一気にいかせてもらおうか。』

(加速しつつ右腕のビームライフルを投げ捨て、
左腕にチェーンブレードを突くように構えた、
そして重力も相まってどんどん加速しそのまま突っ込む)

264アシュレイ:2011/05/02(月) 03:22:09 ID:TMQ5BNbQ0
>>263
相手が向かってくるのを見て、アシュレイも残ったバーニアをフル稼働させ、相手に向かっていく。
その際、フィールドに残存しているウィスプに命令し、射撃させる。
当てるための射撃ではなく、相手の勢いを殺すための射撃だ。その射線は網の目のように立ちはだかるだろう。

「こちらも行きます! 勝負……!」

銃剣が微細な高振動を始める。この銃剣は高振動によって鋭い切れ味を誇る機械剣、高周波ブレードのようだ。
アシュレイはライフルランサーを横に構え、突撃する。
すれ違いざまに横一閃の一撃を加えるつもりだ。

【S・ウィスプ 9基】

265カラード:2011/05/02(月) 03:37:26 ID:i6WWeuFEO
>>264

『わかってるねぇ…乗ってくれるか!』

(ウィスプの射撃に対して減速はせずに、
武器を捨てた右腕で左腕を庇うようにして突き進む。)

(そのせいで、すれ違うころには左腕以外はボロボロになっているだろう。
特に右腕は使い物にはならないはずだ。)

(そして両者がすれ違った。)

266アシュレイ:2011/05/02(月) 03:54:49 ID:TMQ5BNbQ0
>>265

「なっ、あの射線の中を突っ込んで……!?」

勢いを止めるための弾幕の中、突っ込んでくる黒い機体にアシュレイは驚愕する。
そのせいで、一瞬、行動が遅れる。

――――お互い勢いの付いたこの状況、その一瞬が、勝負を分けた。

ライフルランサーを振り遅れたアシュレイの左側、二つの翼と左腕の肘から先を、チェーンブレードが抉っていった。

「う、く、あ、あぁぁ…………っ!」

大量のエラーメッセージの奔流に意識を飲まれながら、なんとか右腕だけでライフルランサーを振ったが、当たったかどうかは分からない。
それに、この結果ではどちらでも意味がない。
運良く近くのビルの屋上に落下し、床を削りながら大型室外機にぶつかって止まる。
ぶつかった後、少ししてアシュレイはどうにか身を起こし、

「…………く、これは、私の負けのようですね……。
 参り、ました……」

ぶつかった大型室外機に背を預け、座り込む彼女に、戦闘を継続する意志は見られなかった。


【アシュレイ・4th  敗北】

267カラード:2011/05/02(月) 04:17:13 ID:i6WWeuFEO
>>266
(すれ違い、左腕のセンサーからは確かに切ったという情報が送られて、
それ以降何の反応もなくなった。)

『…両腕を潰されたか、もうほとんど戦えない状態だ。』

(そう、言う機械の左腕は、すでに自由落下を始めていた。)

(左腕を失い、少しだけバランスを崩しながら、ビルの屋上に着地して。)

『楽しかった、お前さんがそれに慣れてたら…こっちが負けてたな。』

(そう言って、翼を指さそうとするが、右腕は動かない。)

『…俺はもうログアウトするよ、また機会があれば頼むよ。』

(そう言うと、機械は姿を消し、ログアウトを告げるアナウンスが流れた。)

//お疲れ様でした、終盤は駆け足になってしまって申し訳ありません。
絡みありがとうございます!

268アシュレイ:2011/05/02(月) 04:28:50 ID:TMQ5BNbQ0
>>267

「……はい、こちらにとっても良い経験でした。
 また、ご縁がありましたら、一緒に訓練しましょう。
 あなたのマスターにもよろしくお伝え下さい」

「あなたのマスター」とは、初めに機体に乗っていたあの少年のことだ。
残った右手で姿を消す黒い機体に手を振り、その姿が完全に消えた後、ふう、と息を吐く。

「これが……これが敗北の感触なんですね。
 でも、どうしてでしょう。ちっとも悔しくありません……」

そうこぼすアシュレイの顔は晴れやかで、一片の曇りもない。

「性能の差、と言うよりは経験の差と言った方が正しい結果ですね。
 ……なるほど。負けるべくして負けたわけですか」

天を仰ぎ、目を閉じる。
現実時間と連動する箱庭のシステムが朝日を打ち上げるまで、アシュレイは長い間そうしていた。


//乙でした!

269GM:観測局7班班長:2011/05/02(月) 21:07:37 ID:j3dxNUKs0
悲鳴が聞こえていた。
怒号が上がっていた。
大通りを逃げ惑う人々。そして遠くから聞こえる破壊の音。
この大通りを中心に向けて、進み続ける者がいる。
既に1〜4班は撤退し、5、6班が協力で時間を稼いでいた。
だが、それももうすぐ破られるだろう。

班長は後ろを振り返る。
障壁が2枚、間をおいて展開されている。
事実上、これが最後の壁になるだろう。

「避難勧告を終わりました、住民のほぼ全てがこの地区を脱出しようとしています。
避難完了までは、もう少しかかるでしょう」

公安局からの連絡が入ったが、観測局の仕事は避難誘導では無い。
抗戦と撃破だ。
そのための戦力の集結を、待っている。

270アシュレイ:2011/05/02(月) 21:19:58 ID:TMQ5BNbQ0
>>269

雷の音が間延びしたような音が、都市の上空に響き渡る。
音の主は、盾のような直線的なフォルムの翼から、戦闘機のアフターバーナーのそれと同じようなフレアを噴き出し、
高速で空を行く鎧姿の少女だ。

『こちら私立千夜学園、一学年所属のアシュレイ。通達を受け、該当空域に接近中。
 これより観測局の指揮下に入ります。火力支援ならばお任せ下さい』

上空の少女から、観測局7班へ、そんな通信が入った。

271GM:No.28【隔絶障壁】:班長:2011/05/02(月) 21:28:07 ID:j3dxNUKs0
>>270
班長が顔を上げ、ほう、と息をついた。
班員に何事か指示すると、しばらくしてから通信が入る。

「OK,繋がったな。こちら観測局7班、協力感謝する。
今から班長にも繋ぐぞ」
「アシュレイ君だね、ありがとう。観測局からの増員ももう直ぐ来るだろう。
手強い敵だ、油断の無いように。何か調べて欲しい事があれば通信を入れてくれ、
全力で解析にあたろう」

低く落ち着いた班長の声の奥底に、緊張が垣間見えた。

------------

「来たぞッ!」

局員Aが叫んだ。緑の光球が見える。道路に接するように、大きな緑の球が浮かび、その真ん中に人影が見える。…浮いている。
それは大通りの真ん中をゆっくりと、こちらに向かって進んできていた。
そして、その周りの車、道、建物の全てが
―――球の内部に入った瞬間に抉られ、千切られ、跳ね上げられて――
原型を留めずにそこら中に散乱していった。

「見ての通りの化け物だ。まるで怪物がおもちゃで遊ぶように――能力については、まだ良く解らんが、
少なくともあの球内部ではとんでも無い力が振るわれている。油断はするな、だが――」

「――必ず我々が此処で食い止める。」

班長が、決意のこもった目でそう言った。静かな言葉、だが信念の言葉だった。

No.28は、緑の光球の主は、無表情に破壊を繰り返しながら障壁に近付いて来ている。
その目が協力者と局員を捉え、端正な顔が狂気に歪んだ。

べき、みきみき。緑の線が走った。いとも簡単に球内の道路が車ごと剥がされ、
加速してこちらへと飛散してくる。死の投擲が全員を襲う。

そうしながら、No.28は着実に近付いていた。
障壁との接触も間近だ。

【全体遠距離攻撃:瓦礫の大量投擲。狙いは荒いが範囲が広い】
【クエスト開始】

272八代真人:2011/05/02(月) 21:29:55 ID:1sJsd2CgO
>>269

 異能都市南西部から繋がる大通り。
 公安局が『観測局』からの情報により、指定区域の住民に対して避難指示を出している最中である。
 その中、カジュアルなスーツ姿で辺りの局員に指示を飛ばす若い男は、絶えず入ってくる通信に苦虫を噛み潰す。

 ――もう、ほとんど防衛線が突破されたらしい。ここまで来るのは時間の問題か……。

 情報にあった敵――『No.28』と名乗る青年は現在、大通りに急設した防衛線を攻略しつつ北上、中心部に向かっているらしい。
 到着予定エリアには『観測局』の人間が能力者の到着を待ち構えているようだが、ここを越えられないように踏ん張らねば……。

(……だが、敵の情報が名前と容姿しか無い以上。時間稼ぎが精一杯だろうな)
 手元の対能力者用突撃銃の点検を終え、ジャケットの下に着込んだ対衝防刃ベストの着心地を思う。

 うるさくがなる通信機。
 その中に、あと少しで避難が終了するという報告を聞く。
 しかし驚くほど呆気なく攻略された……、あれが戦闘訓練を積んだ集団とは到底考えられない。
 これが能力者と非能力者の差なのだろうか、だとすれば悲しいものだ。

 だが。

「あいにくと、質より数が取り柄でね。避難が完了するまで俺は“勝手に応戦させてもらう”」
 一秒でも確実に留めたい、そんな思いから八代真人は単身独断行動をしている。
 向かってくる敵影は、もうすぐ目の前だ。観測局の連中に混じって、銃を構える。

273黒沢小百合:2011/05/02(月) 21:31:50 ID:SSMHlh/20
>>269

この黒いスーツに袖を通すのは何日ぶりだろう。
パリッと糊の効いたシャツに袖を通し、ネクタイを締めるだけで
気が引き締まる。そうだ、こうでなくては。


――ギャリィィッ

障壁が張られた地点に、1台の高級車が乱暴に乗り付けられ、
黒塗りの車体から、一人の女性が現場に降り立つ。

――休養中のはずの千夜グループ都市警備部門主任。黒沢小百合だ。

「……状況は?」

小百合は手近な観測局員に声を掛けた。

車内で既に必要なデータには目を通したが、戦いには不測の事態がつき物。
情報は最新の物を入手しておきたい。

274佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/02(月) 21:34:36 ID:onviSg/.0
グル「防衛戦か……恩を売るにも、予行演習するにも丁度良いってね」

真紅の番傘を差してしゃがみ込んだ男は、傘の下でニヤケながら汗をかく。

グル「――にしたって、イツカが上手く天使になれないんじゃあ、色々とキツイな」
ロナ「申し訳ありません、息子様。同じ人工天使でありながら、何も協力できず……」
グル「いやいや、わたくしの科学者としてのスキルが低いのが悪いんだ」

そんな男に向かい合って立つメイド服の少女は完全無表情で、「申し訳」ないと思っているようには見えない。

グル「まあ、クロナが変形できるなら充分だ。
 僕はこの都市で死ぬまで暮らすつもりなんだから、意地でも退けてやる」

ロナ「ええ、せいぜい頑張りましょう」

>>271
グル「って、早速攻撃飛んで来たぞ!」
ロナ「息子様、早く変形命令を。そして変形が済むまで護って下さい」
グル「うるせーやい」

スグルは、自分の番傘の防御力に大きな自信を持っている。
が、広範囲の攻撃を防ぎ切るようなスペックは当然無い。
とりあえずスグルは番傘を盾のように構え、飛来する瓦礫を受け止める。

グル「私がクロナに命ずると私が言う。
 コードネーム『Fe-107』の名のもとに、『人工天使』として都市を守護せよ!」

275アシュレイ:2011/05/02(月) 21:44:20 ID:TMQ5BNbQ0
>>271

『こちらでも敵の姿を視認しました。これより迎撃に当たります。
 何かご指示がありましたら、いつでも。通信終わり』

通信を切り、緑の光球を見下ろしながら、アシュレイは翼から短剣の刀身のような小型端末、
独立機動荷電粒子ビームユニット「S・ウィスプ」を9基射出する。
と、同時、下から襲い来る瓦礫の雨。
アシュレイは直撃コースの瓦礫を全てロックし、

「ファイア!」

高速で飛び回るウィスプ群からビームが射出され、アシュレイに当たるはずだった瓦礫を撃ち落とす。

276【GM】No.28/班長:2011/05/02(月) 21:48:17 ID:j3dxNUKs0
>>272
「あれ、あんた公安局…」

観測局員が声をかけたが、そこに彼がいる意味を思い、ニヤ、と笑う。

「よっしゃ、一緒にやっつけちまおうぜッ!」

まだ若い男の局員が、陣を展開しながら叫んだ。


>>273
「これは、千夜の」

班長は彼女の顔を知っていたようだ。

「実にまずい状況です。捻り潰されているとでも言うべきか。
我々が足止めにすらならない…しかも敵の能力の正体が掴めない。
正確なのは、あの半径20m程の球体の内部で、
人知を超えた力が振るわれているという事です。」

連絡を受けながら班長は説明する。

「障壁は2枚、発生装置はこの8箇所。
都市中央に向かわれる事を何としてでも避けなければ。…ッ!」

>>274
「協力感謝する。…ッ!」

瓦礫が班長の間近に落ち、思わず班長がよろめいた。

『へぇ、受け止めるのか』

喧騒と怒号の中、そんな声が響いた。

『面白れぇ。せいぜいあがいてみるんだな』

No.28の声だろう。

>>275
『ふははは、これまた仰々しい。一人で兵器になっちゃってるじゃねーか。』

No.28のへらへらした声が聞こえた。

『ビームとは恐れ入るなぁ、俺もそんなの撃ちてえよッ!』

車が、宙を舞った。いや、舞うどころでは無い、突進してくる。
恐るべき力で跳ね上げられたソレは、明確にアシュレイへの殺意を抱いていた。

【アシュレイ一人に標識による槍状の投擲攻撃。】
//続きアリ

277【GM】No.28/班長:2011/05/02(月) 21:49:48 ID:j3dxNUKs0
//このレスの最後に選択肢があります。必ずどれかを選び、レスに付け加えてください。


------------
初めてNo.28の侵攻が止まった。1枚目の障壁が邪魔をしているのだ。
球体の中央で青年は目を細め、大通りに張られた障壁を見やり、そしてその基点を探る。
それは直ぐに見つかった。時間が無かった為カモフラージュ出来ず、応急処置的に保護された障壁の発生装置。
彼の口角が不気味に釣りあがる。


「大層なものを用意しやがって。だが、俺は前に進むぜ。何者も俺の侵攻は止められねえ!
その『基点』をぶっ壊してやる」

ランダムに千切られては放り投げられるビルや家の瓦礫群。だが、その中の幾つかが明確な意図を持って投擲された。
4個の基点全てに一つずつ、千切られたビルの角や一部が投擲される。
このままだと、障壁はその発生装置を壊されて消滅するだろう。

だが、もう一つ異変があった。
この地区は一般人の避難が完全には完了していない。
其処には親子が居た。逃げた末に大通りに辿り着いてしまい、余りの惨状に腰を抜かしている女性と、抱えられた赤ちゃんが。
2、3階の半分を抉り取られた隣のビルが、崩壊を始める。振動と共に、親子の上に瓦礫が落ちてこようとしていた。

--------------
選択肢:どうする?
[発生装置を護る]
[親子を助ける]
[どちらも行わない]

278アシュレイ:2011/05/02(月) 22:02:46 ID:TMQ5BNbQ0
>>276-277

「車を……なんて非常識な」

眉をひそめながら、ウィスプ群全基で車を撃つ。
荷電粒子ビームの雨に貫かれた車はエンジンルームとガソリンタンクの二点で爆発を起こし、急激に失速する。

「よし……っ!? あれは、くっ……このままでは障壁が!」

戦果を確認し、満足しかけたアシュレイは瓦礫が障壁の発生装置へ向かっていることに気付く。
アシュレイの位置からでは、親子は確認できなかった。
瓦礫の迎撃のため、取り急ぎ、両腕に装備を再構成する。
粒子が集まり、形成されたそれは一見、黒光りする籠手のようだが、とてつもなく大きい。
片側の籠手だけで、アシュレイの全身を覆えるほどだ。

「超大型ハンドミサイルユニット……これならば!」

籠手の外甲が展開し、中から膨大な量のミサイルが発射され、発生装置を狙う瓦礫に迫った。


選択肢:[発生装置を護る]

279佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/02(月) 22:04:36 ID:onviSg/.0
>>276
グル「っと、大丈夫かい?
 クロナの変形が済んだら、もうちょい防衛支援するからな!」

スグルは班長に向かって叫んだ後、No.28に向き直って台詞を述べる。

グル「攻撃で防御するってのは苦手な性質なんでさ。まあ、甘く見るなってよ」

瓦礫の衝撃はそこそこ大きく、番傘は骨が明らかにひしゃげている。
が、既に再生が始まっているようで、少しずつ元の形へ戻ってゆく。

そんな様子を眺めながら、クロナは左手で自分の右腕を掴み、そしてへし折る。

ロナ「んっ……」

声だけは痛そうに、しかし表情は無のまま、クロナが天使形態へ移ってゆく。
背中には漆黒の翼、頭上には鮮赤色の天使の輪、痛む右腕の代わりにはマシンガン。
それらの生成が済んだ、その時。

>>277
グル「あ、あの親子、やばいぞ……くそ、まずは人命だ!
 クロナ! 俺じゃ間に合わない、『あの人たちはお前が助けろ』!」

親子に気付いたスグルが叫ぶ。
それを聞いたクロナは、

ロナ「了解しました。『流石は』息子様ですね」

そう答えた後、漆黒の翼をはばたかせて一直線、瓦礫へ向けてマシンガンを連射する。
瓦礫を細切れにした上で親子の上空に入り、翼を振るって盾になるつもりのようだ。

選択肢:[親子を助ける]

280黒沢小百合:2011/05/02(月) 22:07:06 ID:SSMHlh/20
>>276-277

「なるほど、よく分かりました……。
 では、ここは私が引き受けましょう……。」

(追加情報は無し、か……。
 まあいい、切れるカードで勝負するのみ……。)

小百合はとりあえず飛んできた瓦礫を回避すべく、
乗ってきた高級車の陰に隠れた。

――ガンッ――ゴッ――ドガァッ!

砕けたアスファルトや車の部品が恐るべき勢いで激突するも、
小百合の乗ってきた高級車はまるで戦車のように、それらを弾き返した。

その昔、ソビエトの指導者であったヨシフ・スターリンは暗殺を恐れ
重装甲を施した自分専用の車輌を何台も所有していた。
小百合はそれと同様に、防弾、防火対策を施した頑強な車を愛用していたのだ。

(しかし……あのフィールドは厄介だな……
 物理的な攻撃はあちらに利するだけか……。ならば……。)

小百合は己の能力を使うべく、袖口に仕込んだ『紙片』を引き抜く。
その紙片は、『ビザンツ帝国の興亡』が記された書物の一ページであったもの。

「お前は恐らく、物理的な攻撃は通じんのだろう……?
 そのフィールドに巻き込まれた物は、何もかも破壊されてしまう。
 だがッ!『破壊』できぬ物ならッ!!!」

大量の『水』がNo.28の頭上に出現。
雨のように降り注いだかと思えば――それらは、独りでに燃え上がったではないか。

そう、小百合が具現化したのは水ではなく『ギリシア火薬』。
空気と化学反応を起こし、発火する原始的な液体ナパーム。

液体、さらには熱や炎ならば『固形物』ではないため破壊されないだろうと小百合は読んだのだ。


【行動:どちらも行なわず、敵を攻撃する。】

281八代真人:2011/05/02(月) 22:08:21 ID:1sJsd2CgO
>>271
 緑の光球、アレが厄介だ。
 真人は一目見て、そう直感した。ほぼ同時、ぐにゃりと歪んだ車が飛んでくるではないか。

(――なんっ……だ、ありゃ! 空間歪曲か、拾って投げてるだけか、ダイソンの親戚なのか!?)
 運よく脇に反れたものの、直撃すればひとたまりもない。
 大きなビルの陰に走り込み、半身を覗かせる。

(こんなガラクタじゃ効くかどうか解らないけど……!)

 ――ダダダダダダダッ!!!!
 舌を打ち、炸裂弾頭の突撃銃をありったけ対象へブチまける。
【着弾すれば小爆発するタイプの弾頭をNo.28へ射撃】

>>276-277

「あぁ! 望むところだ――ッ!」
 銃撃を続ける視界に、人影。
 ――逃げ遅れた市民を見つけると、ビルの陰から咄嗟に飛び出す。
 千切られ、投げられた破片が何処の何に飛んでいるかは分からない。

「――アンタ! 援護を頼む、要避難者の救助に向かうッ!」
 観測局の若者に協力を指示し、避難経路を整理しつつ駆ける。
 今はなによりも、目の前で起こっている状況を優先する。

【選択肢:親子を助ける】

282【GM】No.28/班長:2011/05/02(月) 22:30:30 ID:j3dxNUKs0
>>278(アシュレイ)
『あんたが兵器なら俺は災害だぜ。常識で測れるレベルはとっくに超えてんだよッ!』

半径20m、巨大な緑の球体の中でNo.28は笑っていた。
取り込まれた街の部分が、抉られ、ちぎられ、引き裂かれては放り投げられていく。

大量のミサイルは瓦礫に着弾し、爆音と共にそれを木っ端微塵に砕いた。
少量の欠片は装置に当たったが、それくらいで壊れるほどやわには出来ていない。

「助かった、ありがとう!」

局員の一人が叫び、障壁の強化に取り掛かる。

【発生装置1、保護成功】

>>279(グル&ロナ)
『おうおう、災害に対して天使が来たか。随分地上の垢にまみれてるみてーだが!』

くはははは、と笑う。青年は球の中央に静止したまま、破壊の異能を止める事は無い。

マシンガンの咆哮は、瓦礫の轟音にかき消されながらもそれを砕いていった。
大きな瓦礫は四散している。
いまの質量ならば翼で受け止めても大したダメージにはならないだろう。

親子が地面に崩れ落ちるが、自分たちが助かっていることを知り、安堵の表情を見せた。

【母親保護成功】

>>280(黒沢小百合)
『なんて車だ、そりゃー?明らかに要人用じゃねーか、スペックが高すぎるな』

笑っている。ただ、青年は笑っている。

『何もかも破壊?違うな、俺の本質はそうじゃねーんだ』

球体内部、頭上に現れた水が、彼の頭スレスレで、落ちることを止めた。

『燃えやがった。少しは驚いたが、重力加速度だけじゃ届かねーもんもあるんだよ』
『そら、返してやるぜ』

その燃える水は、ぐぐ、と移動を始める。向きを変え、加速し、小百合の下へと真っ直ぐに――!!

【小百合へギリシア火薬を燃料ごとカウンター攻撃。】


>>281
『は、ちっとはまともな攻撃をしてきやがった』

発砲音に振り返る。
弾丸が、緑の球体に入った瞬間に、まるで水の中に入ったかのように減速した。
ぐぐぐぐ、と減速を続けて、ついに空中で静止し、No.28には届かない。

『惜しかったなー、まー、次は頑張れよ』

弾丸同士がまるで磁力を持ったように横に飛び、ぶつかり合って爆発した。

『次なんてねーかもしれねーがな』

母親を助けようとする八代に、道路標識が槍のように飛んでくる。


観測局員が整理された道を通り、親子を助け起こした。

「時間がねー、そこらに公安が居るだろうから、引き渡すぞ」

母親を背負い、赤子を抱えて、局員は路地裏に消えた。

【母親救出、八代に標識による槍状攻撃】

------------------
『くは、発生装置は4つあるんだぜ?一つが無事でも他を壊せば、俺は通れる』

他の瓦礫が、残る3つの発生装置を破壊していた。
障壁がブレる。もう持たないだろう。

班長が叫ぶ。
「諸君ッ!恐らくこの障壁はもう持たない!十分時間稼ぎの役は果たしている!
我々は障壁の最後の一枚を最大限強化する、そこを死守するんだ!」
「忌々しいが、障壁が崩れたら後退するぞ!もう一枚の際まで下がるんだ!」

【障壁Ⅰ防衛:失敗/+0】
【住民保護:成功/+1】

283アシュレイ:2011/05/02(月) 22:41:49 ID:TMQ5BNbQ0
>>282
発生装置のひとつを守ったようだが、他の三つが破壊されてしまったようだ。
障壁が持たない旨の通信が、悲鳴のように聞こえてくる。

「防衛ラインを下げるですって……次が最終防衛ラインだというのに……!!」

障壁を守りきれなかった自分に、アシュレイは苛立ちを見せる。
だが、それも一時のこと。すぐに状況を整理し、

「この障壁のラインが持たないならば、せめて……!」

現在アシュレイが装備しているハンドミサイルユニットは、多弾倉型の強襲用兵装だ。
今のようなミサイルの雨をあと3回は降らせる事が出来る。
即ち、

「本体への攻撃もまだ可能です……! 足を止める!」

籠手の後部からミサイルを蔵していたらしい弾倉が排出、次いで何かをセットするような音の後、
再び籠手が展開し、数多のミサイルが今度はNo.28を狙った。
アシュレイからの攻撃はそれだけではない。辺りを飛び回っていた9基のウィスプも、それに同調してビームを射出する。
ミサイルとビームによる火力の嵐が、緑の球体を襲った。

284黒沢小百合:2011/05/02(月) 22:51:16 ID:SSMHlh/20
>>282

「むうっ……違うのか……。
 これは厄介だ……敵の攻撃が掴めんとは……。」

ギリシア火薬は小百合の能力が生み出した物。
自身が生み出した物は、それを自在に『消し去る』事もできる。
『燃える水』は小百合に届くことなく、全てが消滅してしまった。

「仕方ない、ここは安全な地点まで撤退を……!」

小百合には、現時点で打つ手が無く、後退するしかなかった。

音響兵器による音波攻撃も考えたが、規模が大きすぎて他のものも巻き込んでしまう。
もし、これも無効化されてしまったなら無駄に被害を増やす結果になってしまうからだ。

285佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/02(月) 22:55:19 ID:onviSg/.0
>>282
ロナ「ええ。人が創りし天の輝きなど、所詮はそんなものです。
 マスタもそう言っていました」

瓦礫を受けたことでクロナの翼と背中は傷を受けていた。
しかし痛がる素振りも見せず、そして少しずつだが再生が始まる。

グル「人は城壁、子供は天守。
 命も守るべき都市の一部ってな、何かが死ぬのは極力見たくないよ」

スグルは番傘を逆さにして独楽のように回し、それに飛び乗る。
浮遊し始めた番傘は、最後の障壁へ向けて後退を始めた。

グル「アイツを『繋ぎ止める』のは厳しそうだ……クロナ、ここはひとまず妨害だ」
ロナ「ええ、では剣でも投げましょう」

天使の術たる『魂の釘付け』を使えば、No.28自身の前進は止められるだろう。
が、あの攻撃力を見る限り、それでは足止めにすらならないように見える。
そんなわけでクロナが天に手を翳すと、黒く輝く剣が50本近く召喚された。
そしてそれを掴んでは投げ掴んでは投げ、No.28に向けて勢い良く連続投擲する。

286八代真人:2011/05/02(月) 23:05:45 ID:1sJsd2CgO
>>282
「頼んだぞ――」
 急ぎ避難する親子を見届けた時
 ――ヒュガッ!
 小気味良い音で標識がビルの壁に“刺さる”。

「……、わざわざ。標識を立ててくれるとは親切が身に染みるよ。どーも」
 しかし、真人はいち早く自らの軸足を捌いて仰向けに地面に倒れていた。
 刺さった進入禁止の標識を下から見て、苦く笑う。
 銃口が少しばかり削られたが、首をハネられるよりマシだ。

(なんだ、空がブレ……。しまった、なるほどそういう事か)
 この場は障壁で隔離されている。No.28の言葉で、この現象の合点がいった。

 あの能力、見るに火器では対処出来ないチカラ。仮に緑の絶対領域とするソレは広く、接近戦にすら持ち込めない。
 障壁は発生装置が少なくなって、出力が下がっているようだが。“一枚だけ”なんていう馬鹿な事はないだろう。

(……なら、少しばかりその馬鹿になってみるか?)
 すぅ、と大きく吸い込み。

「“あの一枚を突破されれば終わりだッ! なんとしてでも食い止めろォォォッ!”」
 No.28の周りに向けて“嘘”を叫んだ男は。
 通りを走りつつ、スモーク弾を投げ込む。
 あの緑の絶対領域が風のように流れを変えるタイプなのか、重力で質量を潰すタイプなのか、それを量るために密度の希薄な煙を使う気だ。

287【GM】No.28/班長:2011/05/02(月) 23:12:38 ID:j3dxNUKs0
障壁が破られた。No.28は最後の障壁へ向かって、侵攻を続ける。

--------

>>283(アシュレイ)
『無駄だ無駄だ!無力な敗北をこれから永遠に噛み締めろ!』
『先生が。先生が待ってる。誰にも邪魔はさせねーよ!』

障壁のあった場所を通り過ぎながら、No.28は進撃を続ける。

『……な、ッ!』

兵器による破壊の嵐。ビームとミサイルによる容赦の無い掃討攻撃に、No.28の目が見開かれた。

『ひゃはははは、これぐらいで、沈むと思うなァァァッ!』

信じられないことに、ビームが『捻じ曲がった』。
その直線軌道がたわみ、No.28を掠りながら避けていく。
道路、車、電話ボックス、電柱。球体内部にある全ての物が根こそぎ持ち上がり、
ミサイルを防衛していく。だが、それらは所詮通常の人工物であり、
小百合の車のように対火力の備えなどはしていない。当然爆風を防ぎきれなかった。
飛ばされた破片がNo.28の体に次々と突き刺さり、赤い血だまりを作る。

『ぐぁ、…やってくれるじゃねーか、だが、お前ももうすぐ撃ち落とす』

痛みすら、狂気で麻痺しているのか。攻撃は続く。
ウィスプ目掛けて、高圧電線がたわんで千切れ、その過剰な電力を撒き散らそうと迫る。
その数4本、ウィスプに当たればショートしてしまうだろう。

【ウィスプに対して電線の先端を投擲】


>>284(黒沢小百合)
『へぇ、そういう使い方も出来んのか。まぁ焦るなよ、そこの奴等が直ぐに解析するさ。』

No.28は止まらない。

『さぁて、来ねーならこっちの番だな、焔は焔で返してやる』

ガソリンスタンドが、球体内部に飲み込まれた。
爆発が起き、燃え盛る瓦礫が、空中にゆっくりと浮かび上がる。

『まぁ熱の前に、押し潰されるかもな、ァァッ!』

悪夢のような光景だった。
火事の家の一部分がそのまま飛来する、とでも言えば良いのか。
たちの悪い火山弾のような攻撃が、小百合を襲う。

【燃え盛る瓦礫による投擲攻撃】

>>285(グル&ロナ)
『いや、良いと思うぜ、人にて人ならざるものへ挑むってのは、俺は賛成だ!
なぜならそれは【先生】の理念だからだ!ふははは、だがお前の理念より、
先生の理念の方が気高く崇高だ!』

狂信。それだけが彼をここまで突き動かす。

『そうやって他のものに気を取られている余裕があるのか?』

剣を瓦礫の盾で捌く。――が、数が多すぎる。
球体内部を縦横無尽に瓦礫が動き、剣を受け止めるが、ついには瓦礫が破壊される。

『…ふは、ならこれはお前にやるぜ!』

剣が山のように刺さった瓦礫群が、球体から射出され、二人に迫った。
防ぎきれなかった剣が彼の左腕を貫くが、No.28は呻いただけだ。
狂気は彼の魂を、繋ぎとめている。

>>286(八代真人)
その嘘に、彼は一瞬動きを止めた。
この先に彼の目的地がある、その希望が一瞬彼の判断能力を奪う。
だが。

『ンなわけ、ねーだろー?』

見下した言葉がスモーク弾を放った男に向けられた。
だが、一瞬の判断の停滞に、彼はその煙をそのまま球体内部に受け入れていた。
普段どおりならば、推測させない為に何らかの細工を煙に対しても行っていただろう。

流れもしない。潰されもしない。煙は、ただ普段と同じように上がるだけだ。
風でもない。重力でも無い。その力は、単純にして、凶暴な。

だが、煙はNo.28の視界を遮った。しばらくは、彼の視界は悪くなるだろう。

---------------
//続きあります

288【GM】No.28/班長:2011/05/02(月) 23:16:21 ID:j3dxNUKs0
班長が叫んだ。
「全員に通達!本部から連絡だ、解析が完了した!緑の球体の正体はわからないが、
彼の、No.28の破壊の正体は、…て、…何だと…?!」

一瞬の間をおいて。
「……て、『テレキネシス』、だ……球体内部での、過剰密度の…超能力」

信じられないという表情で、班長が告げた。

『その通り、正解だ!テレキネシス、拍子抜けしたか?!』

No.28が叫ぶ。

『持って生まれた超能力と、後発的な異能力、【隔絶障壁】(ワールドレプチャー)!俺はこの二つで都市を捻り潰す!
人間の持っている本来の超能力を、凝縮する異能だ!
俺の生まれ持ったテレキネシスはとても微弱だったが、効果範囲に制限が無かった!
【隔絶障壁】は、その無限の効果範囲をこの球体内に制限、凝縮する事で、俺の超能力の効果を最大まで高めている!』

つまり、球体内部にしかテレキネシスは及ばない。だが、その内部で振るわれるテレキネシスは、尋常なものでは無いのだ。
意思を持った生物に異能は浸透しづらいが、あの球体内部なら、1分もいれば体の機能を完全にテレキネシスに乗っ取られるだろう。

『お前らに俺は止められない。全てを操る力を持った、この俺の侵攻は、誰にも邪魔させない』

めきめきと、また家が破壊され、持ち上げられ、旋回して射出される。
馬鹿な、と班長がうわごとのように呟いていた。

No.28は侵攻を続ける。
二枚目にして最後の障壁へ、迫ろうとしていた。

-----------

そして、増援が現れる。
剣とジェット翼を融合させたような装備を両手に携えた小柄な女性が、空を切り裂き、飛んできていた。

班長がその姿を見つけて叫ぶ。
「ヴァルキューレか!」
「遅くなった。援護する。」

言うやいなや、その少女はジェットの点火準備を始めた。

「あの球体内部に長時間いるとテレキネシスで操られるようね。だったら、一瞬で出れば良いッ!」

無謀にも、剣の翼を持った少女は、翼のジェットを噴出して球体に向かった。
球体内で荒れ狂う瓦礫を幾つかかわし、すれ違いざまに翼の側面の刃でNo.28を切り刻む。
彼女の体もテレキネシスは襲った。その手が上手く動かなくなっていく。
だが、全身の動きが封じられる前に、球体から彼女は飛び出した。

『ぐぁぁぁッ!』

No.28の腹部から血が流れていた。憤怒の形相で瓦礫を叩きつけようとするが、その時にはヴァルキューレは球体から逃げている。
ヒットアンドアウェイ。ヴァルキューレは正にNo.28対策としてうってつけだった。

「内部に入ると、奴のテレキネシスの能力下だ!だが、一瞬ならば!テレキネシスが浸透しきる前に、攻撃を終えて脱出すれば良い!」

ヴァルキューレが叫び、再度突撃の準備を始める。


【敵の能力は球体内部の過剰テレキネシスと判明。
増援:ヴァルキューレが現れ、有効な戦闘方法を示唆する】

289アシュレイ:2011/05/02(月) 23:37:12 ID:TMQ5BNbQ0
>>287
高速を常とするウィスプではあるが、アシュレイがこれを使い始めたのは昨日今日の話。
四本の電線を避けられず、4基のウィスプを墜とされてしまった。
しかし、

「4つ墜ちたくらいで……!」

翼の装甲に格納されていた残り9基が射出され、アシュレイの周りには14基ものウィスプが付き従っていた。
と、通信が入り、敵の能力が明らかとなる。敵の基本能力は「テレキネシス」とのことだった。
その後に現われた「ヴァルキューレ」という少女の行動により、敵に有効と思われる戦術が示され、アシュレイは頷き、

「テレキネシス……念動力、ですか。あの戦法は私には使えませんが……!」

通信機のチャンネルを合わせ、

『こちらアシュレイ! 私の装備で援護します!
 ゴミ掃除はお任せを!!』

14基のウィスプ全てを、ヴァルキューレの援護に回す。何かしらの攻撃があれば、即座に撃ち落とせる体勢だ。
そして、アシュレイ自身はミサイルユニットの構成を解き、両手にまた新たな装備を再構成する。
今度の装備は、筒状の武器。ロケットランチャーである。

「対象に念を込めなければ物体を操れないとなれば、面の攻撃を加え、相手の注意を分散させるが得策!」

両手に構えたロケットランチャーのトリガーを引き、2発のロケット弾を発射する。
このロケット弾は、対象の手前で炸裂し、中に封入された多数のベアリング弾を散布するタイプの弾頭を使用している。
ダメージはあまり期待できないが、相手の意識を逸らす攻撃にはなるはずだ。

290佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/02(月) 23:42:50 ID:onviSg/.0
>>287
グル「【先生】、ねえ……あの侵略者も厄介な『親』を持ったってわけだ」
ロナ「息子様の父親が――私のマスタが厄介だと、そう言うのですか?」
グル「イエス」

説明も無しに何体もの人工天使を生み出し、挙句失踪したスグルの父、六代目“肺臓”。
そんな男を「厄介」と言わずして何をか言わんや。
そして、迫るNo.28が言うところの【先生】も、どうせ似たような奴なのだろう。
そうスグルは考えた。

グル「お前の言う【先生】がどんなに偉大で壮大な思考をしているのかは知らないってな。
 だけど、それは『是正』されるべき考えだ。そしてお前もついでに是正してやる。
 全部見通して、全部正しい方へ導く……それが俺、“心臓”の仕事ゆえ」

>>288
飛行のために番傘を使用中のスグルだから、番傘を盾にして瓦礫を防ぐのは厳しい。

グル「つーわけだ、クロナ。アイツ(=No.28)を殴りに行くから、盾になれ」
ロナ「天使の使い方が粗いですね」
グル「いいから早く! あの子(=ヴァルキューレ)もああ言ってるし!」
ロナ「……了解です」

マシンガンから魔力で出来た黒い弾丸を連射しつつ、クロナ自身も弾丸のようにNo.28へ突進する。
そのクロナの足にしがみついて、番傘に乗ったスグルも共に突っ込んでゆく。

向かって来る瓦礫群をマシンガンで一掃し、No.28に肉薄したところでスグルが前に出たら、
番傘を畳んで『弾き返しの魔術』を全開にし、ぶん殴る
――という計画である。

291黒沢小百合:2011/05/02(月) 23:42:51 ID:SSMHlh/20
>>287

「く……そ……っ!!!」

アレはまずい。小百合の能力を発動させるためのキーは『本の頁』であり、
それらに炎や、過度の水気といったものはご法度。

「この私が……この私が防戦一方……だと……。
 ありえない……ありえない……!!!」

とっさに、『万里の長城』を具現化して盾にし瓦礫を防ぐ。
その行為自体は、紙の感触だけで紙片の種類を判別できるようになった
小百合にとっては、造作も無かった。

しかし、いくら防御を行なおうと……攻撃手段が無い。
的を打ち倒すための武器が無い。

ヴァーチャルの中で、『死』という事象は何度も体験したが、
実際に、それを味わうのかと思うと、体が震える。
この場から逃げ出そうと、後ろへ足を踏み出しかけたその時――。

「あれは――――!!」

ヴァルキューレの増援と、敵の能力の判明。
できる、私にも敵を倒す事がッ!

再び、袖口に指を走らせる。
先ほど、使用を戸惑った『音響兵器』を具現化するために。

【敵無力化のための音響兵器の具現化準備。攻撃無し。】

292八代真人:2011/05/02(月) 23:43:21 ID:1sJsd2CgO
>>287-288
 読みは外れた。
 あの球の中において煙は異常を見せていない。
 車やビルの破片を暴れさせ、さらにはビームすらねじ曲げた球の中だというのに。

「なるほど、恐れ入ったよ超能力者。なら始めっからその【隔絶障壁】をもって都市を包めば良いじゃないか!」
 No.28に言葉を返す。
 能力を持たない真人が能力者相手に闘うためには、能力や戦法の隙を付くことしか無い。
 その隙を生むために、彼は言葉で揺さぶりをかける。
 おそらく、都市を包む程度に限定して凝縮しても、もとの微弱なままなのだろうと。予測したうえで挑戦的な言葉を投げ掛けた。

(一撃離脱なんて出来たら。苦労しないんだけどな……)
 ヴァルキューレの脱出を見届けてから、ピンを抜いた手榴弾を2つ煙で視界の悪いであろう球の中へ放り投げる。
 ――これで、手元の武器は銃だけだ。

293佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/02(月) 23:44:47 ID:onviSg/.0
>>290
//決め台詞ミスワロタ、どうでもいいけど訂正

×:全部見通して、全部正しい方へ導く……それが俺、“心臓”の仕事ゆえ」
○:全部見通して、全部正しい方へ導く……それが俺、“肺臓”の仕事ゆえ」

294【GM】No.28/班長:2011/05/03(火) 00:02:41 ID:j3dxNUKs0
>>289(アシュレイ)

『ふん、次から次へと。何度でも撃ち落としてやるぜ』

ひねくれた笑みと共に、のたうつ電線がウィスプを狙う。
だが、その後の攻撃に、いままでの余裕の表情が消えうせた。
ヤバい。この攻撃は、まずい。

『ぐ、うぉおおおおおおおおおおッ!!!!』

額にオレンジの回路の模様が浮き出した。

射出された無数のベアリング弾。どれが自分にとって悪い位置を攻撃するのか、なんて考える暇は無い。
ともかくすべてを止めなければ。
ギリギリ、と歯を食いしばる音と共に、ベアリング弾の初速は殺され、空中に停止し、地面に落ちた。

「ありがとうッ!」

No.28の注意がベアリングに向いている間に、ヴァルキューレが再度突撃を仕掛ける。
周囲を飛び回る瓦礫に上手く接近出来ないが、ともかく一撃をNo.28に浴びせた。

『や、ってくれるじゃねーかァァアッ!』

落ちた弾のうちいくつかがぶるぶる、と震えて再び浮き上がる。そして、それは面上に、
アシュレイの滞空する空間上に射出された。


【電線による攻撃がウィスプに迫る。アシュレイにはベアリング弾による攻撃】

>>290(グル&ロナ)
『ぶち殺すぞ』

その言葉は、いままでで一番安い言葉であり、いままでで最も殺意を孕んだ言葉だった。

『てめーが先生の何を知ってる。【先生】を助ける為にはこの都市ぶっ潰さなきゃいけねーんだよ!』
『人一人と都市一つ!考えるまでもねー、先生だ!俺の天秤はとっくに壊れてんだよ!!!』
『全身全霊をかけて!俺は任務を遂行し、先生を奪還する!』
『先生は俺の心臓だ!脳だ!肺だ!体だ!精神だ!…!!!
何がわかる!何が!俺達の、何が!!!!!!!!』

憎悪、憎悪、憎悪。それは、誰に向いたものだったのだろうか。

『馬鹿が!羽虫め、叩き落してやる!』

マシンガンの死角、上空から瓦礫を落とそうとしたのだが、アシュレイの攻撃により
彼の動作が2、3秒止まる。瓦礫の攻撃は間に合わず、結果として二人の接近を許してしまった。

【攻撃無し】

>>291(黒沢小百合)
『ひゃははははは!どうした!すげー能力も、俺の超能力の前にはひれ伏すしか
ねーんだよ!!!』

攻撃を続けるNo.28。ついに、障壁が目の前まで迫る。

『城壁か、だがそれは上空からの攻撃には対応してねーな』

鉄骨、標識、鉄パイプ、配水管。ありとあらゆる細長い物体が、
大きさも太さも関係なしに回転させながら上空に射出された。
まるで円盤のように見える程、回転により速度を増したそれらが、
城壁の内側へと落ちてくる!

【槍状物体の上空からの投擲攻撃。】


>>292(八代)
『は、都市内にいる能力者の力と数。そこまで戦線を広げちゃ、
最大出力にはならねーんだよ!』

いらいらしたその言葉。直後にアシュレイとヴァルキューレの攻撃に対応する為、2、3秒の隙が出来た。
手榴弾が迫る事に、彼の反応が遅れた。

『―――ッ!!!て、めえええぇぇぇぇェェェッ!!!』

煙を弾き飛ばす、爆風がNo.28を襲った。

咄嗟に道路を抉り取ってガードしたものの、破片が側面から突き刺さり、彼の体の半分が朱に染まっていた。

『たたき、潰すッ!』

文字通り。アスファルトがめくれ、大地がむき出しになり、
その土砂の塊が腕のように振るわれた。
連続する土砂崩れのような攻撃で、八代の足を止めようとする。

【土砂による単体攻撃】


//続きあります

295【GM】No.28/班長:2011/05/03(火) 00:04:09 ID:j3dxNUKs0
//選択肢があります。必ずどれかを選び、レスに入れてください。


No.28は、とうとう最後の障壁に到達した。

『また障壁か。…これで最後みてえだな。良いぜ、これをぶっ壊せば俺を邪魔するモノが無くなるってわけだ。』

ギィィィ、バキキ。
鉄がねじ切れる嫌な音がした。球内部に入った道路標識が全てねじ切られて、彼の周りで回転を始める。

『邪魔はさせねえ』

それは大きさのおかしなダーツだった。
遠心力により威力を増して飛来する、道路標識。正確に、4つの障壁発生装置を貫通するように飛んできている。

「発生装置は2個あれば何とか障壁を持たせる事が出来る!この障壁だけは破られてはならない!」
班長が悲痛な面持ちで叫ぶ。

だが、標識のダーツの数は5本だった。

『そこでこそこそしてる奴ッ!目障りだぜ、サービスだ!』

陣術で連絡を取っていた班長めがけて、5本目の標識が飛ばされていた。
他の4つを上回るスピードで、死の槍が迫る。
班長の目が絶望に見開かれる。このままではねじ切られた鉄の断面が、班長に突き刺さるだろう。
一人の力では、槍を止められないかもしれない。


--------------------
選択肢:どうする?
[発生装置を護る]
[班長を助ける]
[どちらも行わない]

296アシュレイ:2011/05/03(火) 00:24:51 ID:TMQ5BNbQ0
>>294-295

ウィスプに電線が迫るということは、それらが援護するヴァルキューレの所に飛んでくるということも同じ。
援護行動を取っているウィスプはそれぞれに電線を撃ち落とすが、やはりいくつかのウィスプを墜とされた。
ウィスプは引き続き、ヴァルキューレに対する援護行動を続けるようだ。

【ウィスプ 残り10基】

そして、ウィスプの主であるアシュレイにも攻撃が迫る。
相手の注意を逸らすことはできたようだが、何と、自分が撃ったベアリング弾が戻ってくるではないか。

「これはっ、くぅ……!」

六基のバーニアをフルに使って緊急回避し、何とか事なきを得る。
だが、すぐ側を掠っていった弾丸に、さすがのアシュレイも肝を冷やした。空にいなければ、あれは当たっていただろう。
バーニアで体勢を整えると、敵が最後の障壁に向かって攻撃を仕掛けるところだった。
矢の数は五本。その数に疑問を覚えるが、その疑問はすぐに消えてしまった。
空にいるアシュレイは、またしても地上の班長の姿を確認することはできない。

「次こそは……!!」

ロケットランチャーを投げ捨て、再度、両手にミサイルユニットを構成する。
籠手から射出されたミサイルの雨が、道路標識の矢へと殺到した。


選択肢:[発生装置を護る]

297八代真人:2011/05/03(火) 00:29:36 ID:1sJsd2CgO
>>294

「……ッ、ぐっ!」
 土砂に叩き付けられ、突き飛ばされる。
 宙を舞い、背中から地に落ちる。
 肺から空気が抜ける、息が出来ない。脳髄に突き抜ける痛みに歯を喰い縛り、悶絶する。
 しかし、それでも目は閉じない、黒より暗く光という光を吸い込むような瞳でNo.28を凝視し続ける。

 そして、五本の歪な槍が発射される。
 そのうち一本は、現場を指揮する班長のもとへ……

「――ぐっ、嗚呼々々々々々々ァァァアアアアア!!!」
 叫ぶ。
 ――ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリッ!!!!!!!!
 突撃銃が金切り声をあげる。
 痛む身体を鼓舞し、槍へ目掛けて炸裂弾頭をフルオートでブチまける。
 少しでもいい、僅かに軌道が逸れればいい。その隙に避けろ、間に合わなくても避けてくれ!
 とにかく、直撃だけは――!

【選択肢:班長を守る】

298黒沢小百合:2011/05/03(火) 00:33:21 ID:SSMHlh/20
>>294

小百合の取った行動は2つ。

まず、第一の行動は例の『音響兵器』の具現化。
『LRAD』と呼ばれるこの兵器は指向性を持った音波を照射し敵の戦闘能力を
奪う事を目的とした兵器である。

対象の体に損傷こそ与えないが、平衡感覚のマヒ、吐き気、
聴覚障害などを引き起こし戦闘継続を困難にする効果がある。

そして第二に、攻撃への対処。

自在に物体を発生させられる小百合にとって、
物理的な遠隔攻撃の対処は簡単。

この場合、放物線を描くという性質上も相まって、
飛来するスピードも問題なく処理できる範囲。対処は簡単だ。

――イスラエル国防軍主力戦車『メルカバ』。

人材の補充が利かない小国では戦闘で過度に人員を失うことは出来ない。
そこで、防御力を極限まで高め人員の生存率を上昇させることを設計の主眼に置いた
戦車がこのメルカバである。

小百合は、本来脱出用である車体後部脱出ハッチから内部に入り、衝撃に備える。
この戦車の装甲の前では、鉄骨や瓦礫程度ではお話にならないのだが。


【行動:先ほどと同じく、敵の攻撃を優先する。発生装置、班長への行動は行なわない。】


>>他の検定者

小百合の使用した音響兵器は指向性を持つ物の、
敵に接近戦を挑む、もしくは射線上にはいるなどした場合、
巻き込まれる可能性がある。

299佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/03(火) 00:36:53 ID:onviSg/.0
>>294
グル「あー、どうしても一つしか選べないなら、その「都市をぶっ潰」すって選択肢もアリかも。
 ……いや、やっぱり無しだ。
 そうしたいなら勝手にすれば良いが、いや、勝手にやられちゃ困るけど、
 それでアンタの言う先生が巻き添えで死んだって、私は知らないが?」

【先生】とやらが、都市が粉砕され尽くした「くらい」で死ぬような存在なのかは当然知らない。
知らないが、とりあえずスグルはそんなことを口にして、更に続ける。

グル「ほら。もっと利口な方法を考えないと、都市のお偉方が先生様を見せしめに死なすかも知れないぜ?」
ロナ「息子様、顔がどう見ても悪役ですよ」
グル「言われんでも分かっとる」

焼印が刻まれた白い不気味なニヤケ面を更に醜悪にして、スグルはNo.28へ突っ込んでゆく。
チャンスに殴り込み、吹っ飛ばしの一撃を見舞うために――

>>295
――が、しかし。

グル「しまっ……」

遂に訪れた、「一つしか選べない」時が。
大火力の魔術を学ぼうともしなかった自分を恨む。
転移の魔術に一切興味を持たなかった自分を恨む。
イツカの不具合を修正できず、人工天使に出来ない自分を恨む。

どれを守って、どれを殺せば良いのか?

ロナ「まもなく私は離脱しますが、息子様?」
グル「待て……ダメだクロナ! お前はそのまま突進して、黒剣で斬り掛かれ!」
ロナ「……それで、息子様は?」
グル「ダメ元であの人(=班長)を助ける! 見殺しよりはずっと良い!」

それに。
クロナ達がNo.28に止めを刺すか、或いは大きく足止め出来たならば。
装置が壊されても関係無いじゃないか。

ロナ「仕方ありませんね、ここまで来ても『甘い病』は治りませんか」

無表情を呆れ顔に変えたクロナは黒い剣を手元に召喚、No.28へ勢い良く斬り掛かってゆく。
スグルはクロナの足から手を離すと、墜落しながら番傘を閉じ、そして振る。
番傘の先端から飛び出した、大きくないが勢いはある水の砲弾は、班長へ向かう槍を逸らそうと飛来する。

スグル:[班長を助ける]
クロナ:[どちらも行わない]

300【GM】No.28/班長:2011/05/03(火) 00:56:25 ID:j3dxNUKs0
ヴァルキリーが飛び回る。刃の翼がNo.28を屠る。
だが、彼は倒れない。狂信な、強靭な意思の強さで、踏みとどまり続けている。
彼は自身のテレキネシスで空中を浮遊している。
恐らく、生身の彼ならば余りに多い傷に立つ事すら出来ないだろう。だが、それでも――
『先生』という彼を、仲間を救った、都市より大きな存在が、彼を繋ぎとめていた。

>>296(アシュレイ)
『黙ってそこで見ていやがれッ!』

ベアリング弾を避けられたのを見て、血まみれのNo.28は捨て台詞を吐く。
道路標識は虫に食われたように穴が開き、破片にへし折られて本来の目的を果たす事は無かった。

だが、標識を攻撃している間に次の攻撃がNo.28から放たれる。

『ひゃははは、邪魔すんなよ、羽虫がぁぁぁッ!』

空気砲。それは質量が少ないがゆえに、とんでもない速度で飛来した。
球体内部の空気を『掴み』、超速度で投げつけたのだ。
空気の塊が、滞空中のアシュレイに一直線に迫る。

【空気の砲撃による吹き飛ばし攻撃。】


>>297(八代真人)
土砂攻撃は止んでいた。ヴァルキリーの扇動の効果だろうか。

道路標識が虫に食われたように穴が開き、軌道をずらす。
その圧倒的速度の前に、撃ち落とすことは適わなかったが、
標識は直撃を避けるルートに変わった。

『あがくなよ。…どうせこの都市は終わりだぜ?
この障壁さえ破れば、完全に都市を壊滅させられんだ』

見下したようなNo.28。
同時に、標識の先の薄い鉄板が、彼を切断するように振り下ろされた。
まるで巨人が振るう剣のように、それは彼に迫る。

【標識による切断攻撃】


>>298(黒沢小百合)
音。その攻撃は、No.100と呼ばれた彼の仲間なら苦もなかっただろう。
だが、『掴めない』攻撃である以上、彼には成すすべが無かった。

『が、ァァァァァァァァアィィイlッ!!!!!』

頭を抑え、空中でうずくまる。すべての攻撃の雨が止んだ。
びき、みし。
その額に、腕に、足に、オレンジの回路が余すところ無く浮き上がった。
能力の過剰使用。テレキネシスで、自分自身を操り、無理矢理立ち上がる。

『まだ、だ、まだ…ッ!!!!』

だが、動けない。そこから動けない。
これ以上、進むことが出来ないのだ。
近代兵器は、遂に超能力を超え、災害を繋ぎとめることに成功した。

【攻撃成功。No.28の攻撃は無し】

>>299(ロナ&グル)
ふ、と。
狂気に滲んだその顔が、もとの端正な表情を取り戻した。
驚くほど優しい笑み。時が止まったかのような静寂を錯覚させる。

『先生は、もう人質になってんだ。俺達は、先生を取り戻すために誰かの為に働く犬だ。
交渉の切り札を貰って、先生を返して貰うために、
俺達は罪の無い人を殺して、殺して、殺して来た』

そして、その表情が驚くほど歪んだ。ありとあらゆる感情を混ぜ込んだ、ドロドロの、
真っ黒な顔。

『もう、戻れるわけないだろうッ!!!!!!!!!!!!!』

怒号が響く。

一人だけの人工天使の斬撃を操っている道路標識で受け止めて、捌き続ける。だが、大きさ故に
軌道が悪く、No.28が劣勢だ。膠着状態を打開するため、No.28はクロナの真横から
トラックの前面を猛スピードで突っ込ませてくる。


水の砲弾は、正確に飛来する標識を捉え、八代の銃撃により穴だらけのその柄をへし折った。
道路で跳ねて、班長の横に標識が力なく転がる。

「すまないッ!」

班長の表情に色が戻り、観測局員に指示を飛ばし始める。

【班長保護成功、クロナに真横からトラックの突進攻撃】

//続きあります

301【GM】No.28/班長:2011/05/03(火) 01:02:59 ID:j3dxNUKs0
//障壁Ⅱ、防衛失敗。班長、防衛成功:+1
//選択肢あります。

標識が発生装置に突き刺さり、最後の障壁がブレ始める。
しかし、No.28の体は動かない。黒沢小百合の音の壁が、彼の体をそこに繋ぎとめていた。

『く、中心まではいけなかったか、…ふん、良いさ。此処でも十分な効果が、あるだろう…ッ!!!』

ぶわ、と【隔絶障壁】の球体が広がった。緑の球体が、広く、広く…この地区全域を覆ってしまう。
能力の過剰使用を示す、オレンジ色の回路の模様が、さらに光を増していく。

『てめえら、テレポーテーションって知ってるか?
ね、念動力の一種、でで、物体を一瞬で移動させちまうううう、って、奴だ。
実は、俺はソレも、使える』

狂気の笑み。彼の障壁の能力は。まさか。

『ぎゃはははは、凝縮しろ、【隔絶障壁】(ワールドレプチャー)!俺の超能力を、キネシスを、「テレポーテーション」をォォッ!!』

彼を中心に、地区を覆った緑の半球が、黒く染まりだした。

『てめえら、この地区ごとごっそり瞬間移動で『空』に浮かべてやらあ』

テレキネシスで千切られたビルの破片が、道路が、地殻が、彼の周りをぐるぐると旋回する。
まるで異世界。だが、それは目の前で起きている。
戦争だ。戦争なのだ。たった一人で彼は異能都市に戦争をしかけているのだ。


「…『広域化』準備完了。…こちらが準備していたのは『フリーズブレス』だ。
奴の力には程遠いが、物理的なものしかつかめないのなら、冷気攻撃は有効だろう」

班長が、脂汗を流しながら陣を展開していた。キィィ、と陣が光り始める。

「ヴァルキューレの力も有用だ。
もし出来るなら、フリーズブレスでも何でも使って彼女を援護してやってくれ。無論、別行動でも構わん。
奴が地区を空に浮かべる前に、奴を倒すんだ」

頼んだぞ、と目で伝えて。

「『広域化』、発動ッ!」

この場にいる全員に、二つ目の能力が付与された。

------------------------
//クエスト勝利条件:②行動以内の敵の撃破
//参加者は2レスでNo.28を制圧してください。

広域化:全員に、冷気付与能力が追加されました。
No.28の完全停止にも、ヴァルキューレの援護にも使えるでしょう。
自身の能力と融合させても構いません。

//選択肢:
[ヴァルキューレを援護する]
[別に攻撃を仕掛ける]

302八代真人:2011/05/03(火) 01:20:21 ID:1sJsd2CgO
>>300
 ……なんとか。守れたようだ。
 それを確認すると、安心し――

 ――グシャ
「……、……?」
 標識の斬撃を背に受ける。
 突き刺さった三角の止マレを斜めに生やしたまま、呆然と止まる。
 上着に滲む赤黒い血、ジワリと腹へ伝わる生暖かい液体。

 撃ち尽くした突撃銃が手から零れ、標識の重さにつられて身体が崩れ落ちる。
 倒れた男から緩やかに流れる血の量から見て、傷はまだ比較的浅い。
 対衝防刃ベストが無ければ即死であっただろうが、意識が何処かへ飛んでいる。
 このままでは……

【八代真人、意識不明で戦闘不能】

303黒沢小百合:2011/05/03(火) 01:25:41 ID:SSMHlh/20
>>301

「『フリーズブレス』……これは……?」

敷かれた陣によって、本来魔力を持たぬはずの
小百合に力が送り込まれる。

「擬似的な能力の付加……理屈は分かりませんが、
 利用させていただきましょう。存分にッ!!」

小百合は、これを最後の具現化とすると決めた。
この一撃で勝負を決める、不退転の決意だ。

とはいえ、やることは変わらない。

――小百合はいつものように『頁の記述』を具現化させた。

それと同時に冷機付与能力の効果か、猛烈な吹雪が吹き荒れ始めたが
彼女がいつも具現化していたはずの、軍勢が見えない。

それもそのはず、小百合が具念化したものそれは――。

『シベリアの大地』そのもの。

No.28の周囲に、かつて罪人の流刑地としても使われた豪雪の地を再現したのだ。
聞いた事も無いような異様な風音と共に、冷機付与能力によって底上げがなされた
横殴りの寒風が彼を襲うだろう。

304佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/03(火) 01:32:38 ID:onviSg/.0
>>300
グル「ああ、そうだったのか。それは申し訳ない」

番傘を急いで差し、地面への直撃を防ぐ落下傘代わりにしながら、スグルは謝罪を述べる。
そして続ける、甘ったれた言葉を。

グル「でも、諦めたら何もかも終わりだって、異世界人は思うんだな。
 全部ミラクルにゲームエンドってな……頑張ろうぜ、優しい兄さんよう」

一方、クロナ。
トラックが飛んできていることには気づいていない。
命令を受けて動いている時は、周りが見え辛くなるのだ――命令を受けていない時でも、そんな感じだが。

ロナ「――ぐっ!」
グル「しまっ、クロナッ!」

そのままトラックの突進を受け、弾き飛ばされるクロナ。
黒い翼はひしゃげ、明らかにふらふらしているが、しかしどうにか落ちはしない。

グル「良く頑張った! 後は地面に降りて、俺様とあの子(=ヴァルキューレ)でも『賛美』してくれよ!」
ロナ「ふざけないで下さい」
グル「良いから早く!」
ロナ「……『神に近き人の、その使い魔よ。その羽音を喊声とし、全てを鼓舞せよ』」

地に向けて降下しながら、クロナは両手の指を組み、祈るようなポーズを採る。
そして黒い翼がざわめくと、スグルの背後に、そしてヴァルキューレの背後にも『黒い後光』が輝き始めた。
見た目こそ邪悪な輝きは、スグルとヴァルキューレの戦意と戦闘力を高め引き上げるものだ。

この間にスグルも地面に降り立ち、そして番傘の内部を冷気で満たし始める。

スグル&クロナ:[ヴァルキューレを援護する]

305アシュレイ:2011/05/03(火) 01:34:29 ID:TMQ5BNbQ0
>>300-301

「何ということですか……あれだけの傷を負って、まだ進み続ける意志があるとは……!!」

それを可能にするだけの能力だということでもあるが、
何よりその意志の強固さにアシュレイは言いようのない戦慄を感じた。

そして、その隙を突くように飛来した空気砲に撃たれ、アシュレイは大きくバランスを崩し、墜落を始めてしまう。

「ぐ……こ、んな、もの……でぇ!!」

だが、彼女に装備された六枚の翼がそれぞれ違った向きでバーニアを吹かすことで、
大きく高度は落としたが滞空状態を維持することが出来た。

その間に入った通信と、空をも覆った黒い異常空間を見て、アシュレイは事の重大さを知る。

「……これが、この異常な現象が人の意志の力で……!? ……く、う!」

アシュレイはあまりの驚きに呻きを漏らしたが、何かを振り切るように激しく首を振り、

「ならば、私は鋼と電気で構成されたこの意志を以て、相手を務める!
 それが私の役目ならば――――!!」

アシュレイは両手のミサイルユニットを解除し、能力の効果を受けていない手近なビルに降り立つ。
前方に確認できるNo.28を真っ直ぐに見据え、一息分、置いて、

<「ハウリング・システム」起動――>

アシュレイの、その存在意義そのものとも言えるシステムが、起動された。
装備の構成に使う量を遙かに超える粒子が、アシュレイの――――いや、彼女の立つビル全体を包んでいく。
ビルの周りの時空の密度が乱れ始め、飛んでくる瓦礫が超密度時空に潰され、消滅する。
もう一つの異常空間が、そこにできあがっていた……。

【ハウリング・システム起動中/行動なし】
【ただし、ウィスプは依然ヴァルキューレの援護中/ビーム→冷気ビームに変化】

306【GM】No.28/班長:2011/05/03(火) 01:47:31 ID:j3dxNUKs0
>>302(八代真人)
倒れ付す八代に、もう攻撃は飛んでこない。
トドメを刺している余裕も無ければ、必要も無い。
どうせ地区の瞬間移動により、根こそぎここらの地域は空から落ちることになるのだ。

No.28のオレンジに光る目がちら、とそちらの方を見たが、
直ぐに視線を逸らした。


>>303(黒沢小百合)
「とある能力者の異能を全員に付与している!
初めての感覚だろうが、恐らく直感で使えるはずだ!!!」

班長の言葉と共に、広域化の陣を展開している局員が応援の言葉を投げた。


シベリアの極寒の風は、No.28を直撃した。

『―――――――ッッッ!!!!』

もはや、絶叫すら上がらない。流れていた血が凍り、赤黒い氷柱が彼の体に垂れ下がる。

『消えろ、消えろ、俺の、邪魔をするんじゃねえええええェェェェッ!』

か細い声が、一気に殺意を増幅させる。吹雪の中を、瓦礫が投擲されるが、
先ほどの力には到底及ばない。球体が広がったことで、彼の超能力が薄まっているのだろう。

【瓦礫の投擲攻撃】

>>304(ロナ&グル)
『――ッ!』

吹雪の中、そのオレンジの目だけが爛々と光っていた。
その言葉に何を叫んだか、二人には聞こえないだろう。


ヴァルキューレの背中に黒い光が背負われる。

「…体が、…!!」

ジェットの翼をたくみに操り、横のベクトルを加えることで刃による回転斬撃を加える。
引き上げられた戦闘能力は、着実にNo.28を制圧していく。
それは戦乙女の名に相応しい、戦の舞い。
後一押しで、No.28の意識は断ち切れそうだ。
なのに、そこに立ち続ける異形がいる。


>>305(アシュレイ)
『何者にも変えられない人が居るんだよ、俺達には!!!
どんなに理不尽な事を受け入れても、その人と会えない事だけは受け入れられないような!
望まない攻撃も、望まない侵攻も、望まない壊滅も!
何でもやってやる!今更、止まれねーんだ!!!!!』

その言葉の裏に。
俺達を止めてくれ、という願いが。
無意識の祈りが、込められていた。


『上等だ、全身全霊を持って叩き潰す!!!』

瓦礫が回転を増し、遠心力で射出される。
威力は弱まっているものの、その方向はてんでばらばらだ。
地区全域をテレキネシスの下に置いた彼の攻撃は、全く別方向からの投擲攻撃を可能にしていた。

【多数方向からの投擲攻撃】


------------------

「ががが、ああああああぃあああぐ、あああッ!!!」

もはや咆哮のような、No.28の叫び。

「せん、せい…を、取り戻す、ために…ッ!」

うわごとのように、その言葉を何度も呟き、意識をぎりぎりで保っているのだ。
攻撃されても、されても、まだ残った体で。
アシュレイのウィスプの冷気ビームを瓦礫で受け止めたが、
もはや彼の周りは氷の彫刻と化していた。

「き、え、ろぉぉおおおおああああああああぁぁぁぁぁァァッ!!!」

道路が浮き上がり、無差別に瓦礫の雨となって降り注ぐ。
この世の光景では無い。だがもっと恐ろしい事が待っているのだ。

半球が、もうほとんど黒色に塗りつぶされている。
残った部分も、黒色が侵食している。
これが真っ黒になった時、テレポーテーションは発動し、この巨大な地区が空に飛ばされるのだろう。
それは未曾有の大災害だ。天変地異、といっても過言では無い。
それ程の悪意を、たった一人に為にこの都市に向けた青年が、其処に居た。

「させないわよッ!」

ヴァルキューレが黒沢小百合の吹雪に「乗り」、加速してNo.28を斬りつける。
フリーズブレスにより切り傷すら凍り、No.28は音の無い悲鳴を上げた。

テレキネシスが全員を侵食している。急いでけりをつけなければ、
瞬間移動の前に体を乗っ取られてしまうだろう。いや、八代は既に乗っ取られているかもしれない。

【最終全体攻撃:瓦礫の雨】

//次のレスが参加者の最後の攻撃になります!

307八代真人:2011/05/03(火) 02:04:40 ID:1sJsd2CgO
>>306

 極寒の大地が具現化され、吹雪の叩き付けるなか、意識不明の男が動きだす。

「……、……。ゥヴ……」
 おもむろに立ち上がり、背に刺さった標識を抜き捨てる。
 出血を留めていた栓が無くなり、垂れる血が両の足を伝って薄く積もる雪を点々と赤く染める。

 焦点の合わない瞳で、班長を眺めながらスタンロッドを腰から取り出す。
 ビシッ、と放電させ、走る。

「――――」
 声もなく、感情もなく。
 敵の操り人形と化した男は陣を組む班長へ突撃する。
 厄介な事に、広域化で付与された『フリーズブレス』を用いて、雹を吹雪に乗せながら。

【班長含むその陣へ、スタンロッドの放電打撃と雹の吹雪攻撃】

308黒沢小百合:2011/05/03(火) 02:05:39 ID:SSMHlh/20
>>306

迫る瓦礫の雨。
侵蝕されていく己の体。

しかし、小百合は『吹雪』の意識ある限り具現をやめない。
自分である程度判断してオートで行動させることができる人間を具現化した場合と違い、
『自然』は範囲が大きすぎてうまく操作しないと、味方も巻き込んでしまう可能性が大きいのだ。

少しでも気を抜けば、被害が味方に及ぶ。
それだけは避けなければ。しかし、猛吹雪の操作に手一杯の彼女は
自分の身を守る事ができなかった。

――ズガァッ

「あがぁぁあぁっっ!!!!!!」

コンクリートの破片が、小百合の腹にめり込む。

――ゴッ

「いぎゃあああッ!!!!」

骨組みだったのであろう、鋼鉄の棒が小百合を打ち据える。
だいぶ威力が弱っているとはいえ、小百合はそれらに耐えられるほど強くない。

「……ぅうう゛あ゛う゛う゛……!!!!!!」

7度。暴風による瓦礫の殴打が彼女に加えられた時、
小百合は獣の断末魔のような叫びを上げ、力なくその場に倒れた。

それと同時に、『シベリアの吹雪』は消えうせる……。

309アシュレイ:2011/05/03(火) 02:10:51 ID:TMQ5BNbQ0
>>306

何物にも代えられない人がいる、という言葉を、アシュレイはシステムに飲まれつつある意識で聞いた。

(それが……その人を求めることが、あなたの幸せなのですね。
 なるほど、納得しました……)

この世の中は、人の幸せ同士が衝突し合い、様々な争いを生んでいる。
もちろん、そのことを幼いアシュレイが知っていようはずもなかったが、

(私の何物にも代えられないもの……それは、戦うこと!
 人と共に戦い、戦い、戦い抜く……それこそが、兵器としての幸福!)

それぞれの幸せ同士をぶつけ合う二人は、「正しく」争っていると言って良かった。
アシュレイはそんな争いの本質に気付くこともなく、システムを制御し続ける。
彼女を中心として集まっていた粒子は、彼女を飲み込み、大きなうねりと直線を形成する。
アシュレイが戦闘時に身につける超硬化ミスリル装甲……それら全てが一つの形を成すために動く。

――――そして、怪物は完成する。

それは、巨大な黒竜の首と頭であった。
超密度時空間を周囲に纏い、飛来する瓦礫のことごとくを意に介さぬ、まさに怪物と呼ぶべきものだった。

<「ライオット・ハウリング」――集束>

黒竜はそのぎらつく青の目でNo.28を睨みつけると、その口腔に青い光を集束させ始めた。
普通ならばそれは大きな熱量を持つ光であるが、今回、その光に宿っているのは極低温の力だった。
竜は、その光をNo.28に向け――――

<「ライオット・ハウリング」発射>

集束された――それでも極太の青い光が、竜の口から迸った。
光は、その極低温の力でありとあらゆるものをまばたきする時間も与えぬうちに凍らせ、砕いていく。そこに、一切の区別は無かった。

310佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/03(火) 02:21:03 ID:onviSg/.0
>>306
グル「……はは、はは、大した執念だ。イケメンじゃないか」

スグルはニヤケながら笑う。笑い声を上げる。
そして、『是正魔術』を使うべきだろうか、と一瞬考えた。

『是正魔術』とは、強大な奇蹟を潰えさせるための魔術である。
この大きな黒い半球は、何しろ都市の一地区をむしり取るような大技だ。
スグル程度の『交渉力』でも、神は【隔絶障壁】を打ち消すことを許してくれるだろうか。

グル「……でも、それじゃあそれこそ救われないか……アイツも、この都市も」

しかし、結局『是正魔術』は使わないことに決めた。
野暮、或いは余計なお世話だと思ったからだ。
そういうわけで、スグルは冷気の溜まった番傘を逆さにし、また独楽のように回す。
そして浮遊した番傘に再び乗り、上空へ舞い上がった。

一方、クロナ。
『賛美』は実は危険な術であり、効力を上げ過ぎると無気力症を引き起こす可能性がある。
そのため、クロナは効力を安定させるための微調整に徹している。
そんなクロナの居るところにも、瓦礫の雨は降って来るが――

グル「一気に決めるぞ、踏ん張れクロナ!」

ハーフパイプで技を決めるように、番傘の先端をNo.28に向けながらクロナの前へ躍り出るスグル。
強化された番傘と筋力で瓦礫の雨に耐えつつ、番傘の中に溜まった冷気を先端へ集中させる。

グル「穿つ!」

すると番傘の先端から、巨大で鋭い氷の槍が飛び出した。
そしてスグルは番傘をフル回転させ、氷の槍をドリルのように回しながらNo.28へ突進してゆく。

因みにスグルは、八代真人(>>307)が異常な行動をしていることには気付かなかった。
気付けなかったのだ。

311【GM】No.28/班長:2011/05/03(火) 02:31:10 ID:j3dxNUKs0
//レス順序を交換しています。

救いの無い世界だ、とNo.28は考える。
何だ、この光景は。
黒い半球、吹雪、浮遊する瓦礫、倒れた敵。

男を動かし、気丈な女が打ち据えられて。
それでも俺は止まらない。止まれない。

救いが、もしあるとするならば――――


>>307(八代)
八代を操り、この広域化という厄介な代物を止めるため、
観測局を戦闘不能にしようとする。
先ほどまで仲間だった男の異変に、まだ誰も気付いていなかった。


>>308(黒沢小百合)
極寒の吹雪は、彼を宙に浮かぶ氷像に仕立て上げた。
オレンジの発光が無ければ、それが人間であると言われても解らない程だっただろう。
凍傷、裂傷、腐敗。
その傷はもはや取り返しはつかないかもしれない。
寒さが、痛みが、容赦なく彼の精神を削り取る。
だが、折れない。最後の最後が、断ち切れない。それは悲壮な決意が支えていた。

『俺は今日、此処で都市と共に堕ちるのだから』

無意識に、言葉を紡いでいた。
誰にも届かない、悲しい決意の言葉を。

吹雪が止んだ。大丈夫。俺は、まだ、遣り残している。

まもなく、テレポーテーションが発動される。

>>310(ロナ&グル)
超速で、番傘とその主が迫り来る。
瓦礫の雨を避け、潜り抜けるようにして。
最終防衛ラインを突破され、オレンジの狂気の目が、一瞬見開かれた。

回避動作を取ることも出来ただろう。
致命傷を避ける事は、出来ただろう。
だが、No.28はそれをしなかった。
No.28は刺さった氷の槍を見て、笑った。
救われた、一人の人間のように。

『ざまー、ねーな』

垂れる血に乗せて、そんな言葉が漏れた。

>>309(アシュレイ)

『は、てめーの方がよっぽど、化け物じゃねーか…』

間に合わない。腹の傷に意識が明滅する。
テレポーテーション前に、あの化け物の光線が飛来する。

『――――――。』

空気が、大気が、物理的に凍って地上に落ちていく。
その光線は、No.28を貫いた。
そのままの表情で、No.28は凍結された。
白昼夢から醒めるように、黒い半球は消え去り、
宙に浮いていた瓦礫が自由落下し始める。

氷像が、道路に落ちた。
一人の人間は、もう、動かない。
静寂が訪れた。

---------------------------

「あなたのする事じゃ無いはずよ」

ヴァルキューレが。八代を羽交い絞めにしていた。
対格差がある二人だが、それはクロナの『賛美』による戦闘力補正で拮抗状態になっていた。
操られた体は抵抗していたが、氷の槍にNo.28が貫かれた瞬間にその力を失う。

「最後までしっかり護りきりなさいな」

優しい笑顔で、女は呟いて、事の顛末を見守った。


-----------------------------
【クエストクリアー!】
【判定、B『死人ゼロ』】

312八代真人:2011/05/03(火) 02:46:49 ID:1sJsd2CgO
>>311
 吹雪が止んだ。
 雹は陣を崩すことが出来ずに地に落ちて砕けた。

「――」
 ならば、とスタンロッドを振り上げる。
 しかし、それが班長へ振り降ろされる前にヴァルキューレに羽交い締めにされ、放電は宙を掻くのみ。
 進行を阻害する邪魔者へ虚ろな瞳を向けて『フリーズブレス』の効果を用い、彼女を氷漬けにするべく冷気を収束させていたが――

「――――」
 No.28の停止により、力なく少女の腕に凭れかかった。

 どくどくと流れる血は羽交い締めしたヴァルキューレ共々赤く濡らし、今もまだ地に垂れ続けている。

313佐宗スグル&Fe-107(クロナ):2011/05/03(火) 02:53:30 ID:onviSg/.0
>>311
グル「ああ。でも私の方がもっと惨めで、もっと無様なんだぜ?」

番傘の先の槍が刺さったことを確認したスグルは、番傘の柄をへし折って墜落してゆく。
柄だけでも手元に残れば、ひとりでに元の番傘の形に再生するからだ。

と言っても、完全な自己再生には数分間掛かる。
そんなわけで、地面へ一直線のスグルを受け止めるため、クロナは『賛美』を解いてスグルの落下点に入った。
これにより、スグルとヴァルキューレの背後に輝いていた黒い後光は消滅。
残るのは、多少の倦怠感。

ロナ「死ぬほど甘いですね。その病気、早く治して下さいな」
グル「……努力はするよ。サンキュー、クロナ。サンキュー、みんな」

番傘の柄をしっかり握り締め、クロナの手の中でスグルの意識も飛んだ。
それを確認して大きな溜め息を付いたクロナは、顔を無表情に巻き戻し、スグルを抱えて借家へはばたく。

因みに。
No.28と戦って怪我を負った者たちの治療を、クロナは一切する気は無い。
そういう風に出来ているからだ。

//お疲れ様でしたー、ありがとうございました

314アシュレイ:2011/05/03(火) 02:58:48 ID:TMQ5BNbQ0
>>311

光の咆哮を最後に竜はその形を急速に失い、粒子の山となる。
その粒子もまた、一秒も経たないうちに何処かへと消え去っていった。
後には、ビルの屋上に倒れ伏した、千夜学園の制服を着たアシュレイだけが残された。

「…………う、う……」

アシュレイは緩慢な動きで仰向けになり、空を見上げる。
空は、いつもの色を取り戻していた。

「セーフティモード…………この、状態では……明日、学校に行けませんね……。
 あ……無断、外泊にも、なってしまいますか……」

あの竜の形と、その咆哮は、アシュレイが行動するためのエネルギーの大半を奪っていく。
普段の状態に戻るまでには、発射後のシステムリカバリや自己修復その他の処理が済んでから、
動力炉がエネルギーを通常通りに生成するまでの、長い時間が必要だ。その時間は、大体半日と言ったところだろう。

「そう、だ……」

アシュレイは制服のポケットに手を入れ、携帯電話を取り出して、メモリから目的の人物の番号を呼び出し、ダイヤルする。
数回のコールの後、

『はい、もしもし! レイちゃんが電話をくれるなんて珍しいね!』

受話口から聞こえてきた、若干テンションの高い声にアシュレイは苦笑し、

「すみません、貴島さん……。明日……私は病欠すると、担任の先生に伝えてください。
 あと、お手すきなら……寮長の方、にも、今日は外泊すると……」
『え!? レイちゃんそれ、大丈夫なの!?』

『ちょっと、レイちゃん! ちょっとー!』という声が聞こえるのにも関わらず、アシュレイは電話を切った。
手と足を大の字に投げ出し、空を見上げ続けて、

「…………これが、思いっきり戦う、ということなんですね……」

普段は見せることのない、幸せそうな、本当に幸せそうな笑みをこぼした。

//南瓜さんも皆さんも本当にお疲れ様でした!

315【GM】班長:2011/05/03(火) 03:12:41 ID:j3dxNUKs0
「全く、とんだ災難だった。…いや、災害か。
これが人為的とは、私には到底考えられん」

班長が、体を起こしながら呟いた。

>>312
公安局の局員が、事態の収束を知り救援に来る。
ヴァルキューレが八代の身柄を渡した。

「何人も守ったヒーローよ、背中に切り傷があるから病院へ運んで頂戴」

>>313
「協力、ありがとう」

班長は飛んでいく二人を見送った。


>>314
救援用のヘリが近付いてきたが、大丈夫だと判断し、重傷者の捜索に遠ざかっていった。
No.28が都市に残した傷跡は大きかったが、最悪の事態を免れていた。
そして、本当の静寂がおとずれた。

316八代真人:2011/05/03(火) 03:27:30 ID:1sJsd2CgO
>>315

「見ないと思ったら、こんな所にいやがったか。まったく」
 真人の姿を見て、そんなことを言った人がいた。
 後は救護班に任せて、その人物は事後処理に出向いていったが死傷者は少なく、むしろ都市の機能修復が急務だった。

 後日、真人は命令を無視して独断専行した件について病院に居ながらみっちりと絞られたという。

317ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/07(土) 23:01:45 ID:cskw3E.60
【箱庭:市街地フィールド】

数体のプログラムを前にする少女。
斬りかかってきたプログラムを手にした大鎌で左、右と流れる様に斬り伏せる。
その勢いを利用して一回転。周囲を薙いでさらに数体を消し飛ばす。
後方へ飛んで隙をついた突撃を回避すると同時、
手にした大鎌が暗黒に代わり次の瞬間にはその暗黒がチャクラムとなって既に手を離れていた。
それが最後一つの標的の首を跳ね飛ばし、地に伏せていたプログラムが消え去る事によって終了とする。

(もっと、私が強くならないと……)
帰ってきたチャクラムを右手で受けとめる。
すると、その刃は闇と化し、流れる風と共に少女の髪を撫でた。

318穏島優芽:2011/05/07(土) 23:23:01 ID:.bIH1iqk0
>>317
「おおう、ご精が出ますな、お嬢様」

路上に停めてある車の屋根に座り、訓練している少女を見ている人影がひとつ。
布に包まれた槍と、赤いロングコートが目立つ、若い女性だ。
車の上には先ほどまで誰もいなかったはずなのだが……。

「さっきからずーっと、影で見てたんだけどね。
 なんか面白そうな能力だったから、つい話しかけちゃった」

悪びれる様子もなく、アッハッハと笑っている。

319ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/07(土) 23:26:02 ID:cskw3E.60
>>318
「……そう。それで?」
振り返ると同時に淡白な返事を返す。
紫の長髪と銀の首輪の目立つゴスロリ衣装の少女だ。

320穏島優芽:2011/05/07(土) 23:33:31 ID:.bIH1iqk0
>>319
淡泊に返されたというのに、女性の楽しそうな笑みは変わらず。

「それでねー、キミはもうここの訓練プログラムにはもう飽きたんじゃないかって思うわけ。
 だってそうじゃん? 今、あんまり満足そうな顔してなかったよ」

足を組み、膝の上に肘をのせて頬杖。

「それとも、感情表現が薄くて、あれが満足な顔だったのかな?
 ま、それならそれでいーんだけどさ……」

口の片端をつり上げて、何かの「悪意」を感じさせる笑みに変わる。

「もし満足じゃないのなら……。喧嘩の相手を引き受けるよ、ってこと」

321ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/07(土) 23:38:49 ID:cskw3E.60
>>320
「……」
返答は無く、少女は目の前の虚空に手を翳す。
そうして、現れたパネルモニターを簡単にそうさすると、それは少女の前からそちらへと場所を写した。

「自由で、構わない」
そのパネルは箱庭の内部設定を変えるシステムの様だ。
ステージや時間帯、天候等の設定が細かく行われる。
どうやら、了承したと言うことらしい。

322穏島優芽:2011/05/07(土) 23:50:23 ID:.bIH1iqk0
>>321
「なるほど。満足じゃなかった……ってわけね」

送られてきたパネルに手を伸ばし、時間帯の項目へアクセスする。

「ゴスロリのお嬢様とやりあうってんなら、深夜がいいよねー。絵になるし。
 あたしも夜大好きだし」

都市の空が転換し、深い闇を内包する夜空へと変わる。
それに伴い、都市の明かりが太陽の代わりに空を照らすが、その闇を晴らすまでには至らない。
静寂と、圧倒的な闇が、場を支配していた。

「場所と天気はここのまんまでってことで。
 ……よっと」

パネル操作を終了し、槍を掴んで車から降りる。
槍を包んでいた布を取り去ると、歪んだ産声のような波動を放出する、気持ち悪いほどに青い槍が露出した。
女性は片手で槍を一回転させ、石突でアスファルトを突く。

「穏島優芽。一騎打ちの前に、名乗りは必要ってね」

323ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/08(日) 00:01:06 ID:cskw3E.60
>>322
そちらが武器を出すと同時に此方も武器を携える。
両手の間から発生した暗黒が棒状を形取る。
それの両端が一端が垂直に、もう片方が並行にさらに伸びる。
そうして出来たのは歪な大鎌。
垂直刃の後方からは一対の竜の爪の様な物が伸び、
並行に伸びた暗黒からも二股槍の様に竜の爪が。
驚くほどおぞましく禍々しい大鎌からはそこに存在するだけで憎悪の感覚が目覚めそうなほど。

「ゼオラ=アドヴァルド。
 攻撃は、自由に……」
そういうと、手にした大鎌を反回転。
垂直刃を下にして構えた。

324穏島優芽:2011/05/08(日) 00:09:05 ID:.bIH1iqk0
>>323
「了解、ゼオラお嬢様。じゃ、こっちから!」

優芽は槍を振り上げると、横薙ぎに一閃した。彼我の距離は槍の間合いでは、全然無い。
彼女の狙いは槍による攻撃ではなく、槍に込めた魔力の放出の方にあった。
横薙ぎの軌道をなぞるように、見えない魔力が波となって走る。
見えないとはいえ、大きな衝撃力を持っているようで、アスファルトや街灯、標識を吹き飛ばしながらゼオラに迫る様は、
もはや可視攻撃の領域だ。

325ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/08(日) 00:19:41 ID:cskw3E.60
>>324
迫りくる魔力の波。
それを前にして少女は一歩も動かず、ただのみ込まれた。
「……ッ!」

か。
「……こっち」
次の瞬間には背後から降りかかる刃。
先程飲まれた少女の『影』は、既に闇となって消え失せている。

326穏島優芽:2011/05/08(日) 00:31:10 ID:.bIH1iqk0
>>325
衝撃波に棒立ちで巻き込まれるゼオラに、優芽はすぐさま疑問を抱く。
カノッサ機関に敵対する者の中には、魔力でデコイを作り、こちらがそれに対処している間に奇襲を仕掛ける者がいた。
そうした奴が、デコイに紛れてすることと言えば――――。

「後ろかなっ?」

ほぼ勘で、槍を後ろに回し、両手で保持する。
果たして、その槍が火花を散らし、武器の重量が両腕にかかった。

「ビンゴ……っと!」

一度槍を限界まで引き寄せてから、一気に跳ね上げる。再度の火花を伴って、槍が大鎌を打ち上げた。
槍を道路に突き刺し、それを軸に側転、再びゼオラと対峙する形となる。

「奇襲失敗。ざんねんでしたー」

槍を引き抜く。アスファルトには、槍の直径分の穴が開いていた。

327ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/08(日) 00:42:15 ID:cskw3E.60
>>326
槍が弾き飛ばし、少女の手から空中へ投げ出される大鎌。
武器を弾くとはそれで勝負が付いてしまう程である。
「70点……くらい?」
しかし、この少女に対しては上手くいかなかった。
大鎌は空中で暗黒と化し消滅。
両手の空いた少女は穏島が横転している間に素早く体勢を整え、再び接近。
その両手に暗黒から造り出した歪な大鎌を携えて、再び薙ぐ。

328穏島優芽:2011/05/08(日) 00:55:36 ID:.bIH1iqk0
>>327
優芽は重心が安定しないうちの攻撃。これでは避けようもない。
「おほっ」と変な声を出しながら、優芽は槍を縦に構え、刃を防いだ。
甲高い金属音が、ビル街に響く。

「まいったまいった……。変幻自在なんだね、それ。
 しかも70点って、サービスしてくれたのか厳しいのかわかんないよ」

油断のない瞳のまま、しかし口元は笑って、槍で刃を防ぎ続ける。

「……じゃあ、これで100点かな?」

優芽は、不意に槍を保持する腕の力を抜いた。
結果、槍が打ち負け、弾き飛ばされはしなかったものの、優芽の右腕を切り裂いた。
返り血が、ゼオラと周囲に向かって飛び散る。

そういった類に敏感な者ならわかるだろう。その血には、全てを歪ませる「悪意」が充ち満ちていることを。

329ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/08(日) 01:08:21 ID:cskw3E.60
>>328
「どうかな……?」
返り血を受けた途端、大鎌の様子と周囲の雰囲気が変化する。
大鎌はより歪に、周囲の雰囲気は魔力量の増大によるもの。
飽和する魔力量に耐えきれなくなった地面が、建物が、少しずつ悲鳴を上げていく。
言うまでもなく、その出所は少女。そしてトリガーはその血液。

後方宙返りで距離を離すと同時に右手を穏島に翳す。
すると、数多にも枝分かれした紫色の雷が穏島に轟音と共に降りかかっていく。

330穏島優芽:2011/05/08(日) 01:21:28 ID:.bIH1iqk0
>>329
「おおっ……これ、は!」

歪み始めた地面に足を取られながら、優芽は槍を風車のように回転させて雷を打ち砕いていく。

「いやぁ、今度こそ参ったよ。
 まさか旧支配者の悪意を受けてピンピンしてるなんて。お姉さん驚きだよ」

そう言う優芽の表情は、やはり楽しげだ。
ある程度雷を打ち砕いたところで、優芽は右腕から流れ続ける血を槍に塗りつけ、
逆手に槍を持って、その穂先をゼオラに向ける。

「じゃ、これならどうかな?
 はす、はすたぁぁーーっ、いあ、いあ!!」

奇妙な呪文を唱え、優芽は槍をゼオラに向けて投擲した。
槍は、彼女の膂力では到底なし得ないような速度で虚空を走る。呪文で呼び出された風の邪神の神気が、槍を超音速貫通弾と変えているのだ。

331ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/08(日) 01:37:58 ID:cskw3E.60
>>330
電撃を放った後、空中で一回転して地面に脚を付ける。
それと同時に迫りくる槍。
少女は腕を交差して顔を覆う様にして前面を防ぐ。
邪神とも言えど神気の力は死者であるゼオラに効力は高く。
掠める程度に抑えたが、それでも右のわき腹のダメージは大きい。

「……煩い」
左手で右のわき腹を撫でる。
衣服の弾け飛んだ箇所から流れる鮮血。
それを掌にべっとりと付け、両手を合わせる。

建物や標識、更には地面の罅。
そこに存在するあらゆる全ての『影』が少女の刃と化す。
一つからは闇の拳が。もう一つからは闇の槌。
それら全てが一斉に襲いかかる。
そしてその影は、穏島の影も例外では無い。

332穏島優芽:2011/05/08(日) 02:02:16 ID:.bIH1iqk0
>>331
「…………っ!!」

ありとあらゆる「影」……その圧倒的なおびただしさに、さすがの優芽も絶句した。
地面の日々から伸びてきた拳を、風の魔術で切り飛ばし、後退っていく。
しかし、そんなものは全体の量から見ればほんの、本当にほんの些細な抵抗でしかなかった。
横にあった標識の「影」が優芽の右腕を叩き折ったのを皮切りに、凶器と化した「影」たちが彼女に殺到し、
左腕を潰し、右足を撃ち貫き、左足を砕いて、最後に自分の「影」に下腹を貫かれて、そのまま空中に縫い止められた。

「く、くふ、くふふふふ……」

失血死を容易に想起させる量の出血に溺れながら、なお、優芽は楽しそうに笑っていた。

「これは、いい……。リアルな死の感触だね。
 ああ、思い出すよ。時の箱の中で、猟犬に追い回されたときのことを……」

光を失いつつある瞳に恍惚の色を乗せて、優芽は誰ともなしに言う。

「あたしの負けっぽいね……。でも、最後にひとつだけ、術式を残しておくよ」

そう言って、優芽は事切れた。
同時、辺りにまき散らされていた優芽の血液が泡立ち、意志をもつ何かのように蠢いて、大きな一つの輪郭を形成した。
それは、魚座の形。
血の魚座、その口にあたる部分の血がにわかに光り輝き、そこから街区全てを焼き尽くす勢いの炎が噴出した。
炎はビルや車、標識などの構造物を煮え立たせ、溶かしていく。それは、この世のものとは思えない熱量だった。


【穏島優芽 敗北】

333ゼオラ=アドヴァルド:2011/05/08(日) 02:11:35 ID:cskw3E.60
>>332
「イライラするね……」
穏島の残した炎が段々と視界を覆っていく。
炎の周る速さは異常にも早く、すぐに囲まれてしまった。

「炎は……焼かれるのは、いや」
現れた大鎌を掴み、それを振るう。
鎌の軌跡に漆黒の炎が走る。
大鎌を一回転させるとそこから発生した漆黒の炎。
その暗黒に少女ものみ込まれてどこかへ消えて行ってしまった。

334GM ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 19:52:44 ID:1sJsd2CgO

 異能都市の各種行政機関が集まる都市の中枢ともいえる区画。
 遠くに見えるかの千夜ビルに優るとも劣らずに、これこそ繁栄の象徴だと言わんばかりに聳え立つビルの群れは、巨大都市が持つ底知れぬ力の頂きと言えよう。

 そのビル群にひっそりと建つテナントビルに加わった『鮫嶋商会』。
 その全階を残らず借りきって、臨時支部を設けたという謎の会社だ。
 謎の会社といえど、世界展開を視野に入れた会社経営者や、貿易商などの外交を盛んに行う商売に身を置く人なら、名前だけは聞いたことがあるかもしれない。名前だけは。

 そのビルの前に、四十半ばの男性が『説明会会場はこちらの3Fです。お気軽にどうぞ』と書かれたプラカードを持ち、にこやかに立っている。
 男性のふくよかにしきしまった体格という水と油が混ざったような姿は、なんとなく人の目を引いた。

 いったい、何の説明会なのかと興味で立ち止まる人も居れば。
 チラシを見て、自らの意思で決めて集まった人も居るだろう。
 しかし、そのいずれも開け放たれたビルの扉を通り会場に向かう事には皆一様に躊躇いを覚え、踏み留まる。
 なぜなら、にこやかな笑みを崩さず一言も発しない男性がとんでもなく胡散臭いからだ。

【参加者待ち中】
 希望者は時間までに参加意思の表明を、各々自由にロールしてください。
 時間が来たら返レスしますので、それが説明イベント開始の合図になります。
 イベントの性質上、途中参加は出来ません、ご容赦を。

※このイベントは「女山羊捕縛作戦(本イベント)」の説明イベントです。
 説明イベントに参加しなくても本イベントには参加出来ますが、キャラが得られる情報に差が出ます。たぶん。

335トニー・ハーディガン:2011/05/22(日) 20:43:41 ID:SSMHlh/20
小汚いボロのようなコートをまとった男が
誰もが躊躇を感じている『説明会場』にゆっくりと足を踏み入れていく。

頭までフードをかぶっているため詳しい表情を窺い知ることは出来ないが
そのしっかりした足取りと、しっかりとウェイトコントロールされ絞り込まれた体から
彼が何らかの訓練を受けた者であることが推測できる。

そして何より、時折ボロの隙間から覗く青い瞳は
何かに飢えたような危険な瞳を宿しており、野性味溢れた風貌とあいまって
肉食性の獣か昆虫を思わせる雰囲気が彼を包んでいる。

336岩井川ユワイ:2011/05/22(日) 21:29:36 ID:onviSg/.0
>>334
「うふふ、なはは、にしししし……此処が悪の中枢か」

白のワンピースにデニムの短パンを合わせ、野球帽を斜めに被った人物。
少女にしか見えない(と思われる)それは、ビルの入り口を睨みながら仁王立ちする。

「うむ、皆が皆全て怪しいのだぞ。
 疑わしきを罰するべきか、僕がばっちり判定してやるけんな」

良く分からないことを大声で言いながら、前進開始。
三つ編みにした長い金髪を振り、ビルへ入ってゆく。

337GM ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 21:36:47 ID:1sJsd2CgO
>>335-336

「……これくらいですかね」
 胡散臭いおっさんが喋った。
 入口を閉め、プラカードを掲げたままロビーで留まっている人も連れて3階へと上がり、説明会会場と書かれた両開きの扉の向こうの広い空間に案内した。

 会場は正面壁に見える大きなスクリーンを中心に、半円を描くようにして横長の机と椅子が設置されている。
 白と灰色を基調とした窓が無い真四角の部屋には、胡散臭いおっさんと同じ黒いスーツ姿が四人と、紺色のスーツを着た男性が一人だけ居た。
 あとは同じように説明会に出席する人が少しばかり居るだけだ。

「さあ、皆さん。適当に腰掛けてください、席が足りない事はないと思いますから」
 部屋に入るなり、おっさんはそう言ってスクリーンの前に立つ。
 見れば机の上には席の数だけファイルが置いてある。どうやら、それを読みつつ説明会に挑むようだ。

338岩井川ユワイ:2011/05/22(日) 21:43:07 ID:onviSg/.0
>>337
「うむむむむ……あの色が違うのが怪しいな」

一人だけ紺色なのを眺めながら、わざわざ声に出して言う。

「これを読めってことね……あいよ、了解」

席に座るとファイルを手に取り、ペンを取り出す。
そしてそれでファイルにちゃんと名前を書き始めた。
何故か鏡文字で。

339トニー・ハーディガン:2011/05/22(日) 21:49:50 ID:SSMHlh/20
>>337

適当な席にぶっきらぼうに腰掛けた拍子に、
ローブに付いた埃やら得体の知れない植物の種、
細かなゴミ類が落ち床を汚したが男は、悪びれる様子もなく大あくびをかみ殺している。

手に取ったファイルも、見る見るうちに煤で黒く汚れ
すぐに用を成さなくなりそうな勢いだが……。

340GM/飛鷹 阿佐見氏 ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 21:54:30 ID:1sJsd2CgO
>>338-339

 全員が部屋に入ったのを確認すると、二人の黒スーツが一つしかない出入口である両開きの扉を外から固く閉ざした。

 鏡文字でファイルに名前を書いていたり、早速目を通して紙だけならず席も汚していたり、既に覚えたと言わんばかりにファイルを仕舞う女性もいたりetc...
 各々の準備が出来たのを見て、おっさんがおもむろに口を開く。

「……えーっと、そうですね。まずは遅ればせながら自己紹介を。
 ワタクシ、飛鷹 阿佐見氏(ヒダカ アサミシ)と言いまして。鮫嶋商会で外交係という部署におります、はい」

 おっさん改め飛鷹は、まず低姿勢でいそいそと名刺を配り、スクリーンの前に戻ると、思い出したように話し始める。

「さて、今回皆様に集まって頂いたのは“ある人物”を逮捕するための、題して女山羊捕縛作戦をご説明するためです。
 じつは先日、鮫嶋商会に『“国際的指名手配者、贖罪の女山羊”が皆さんの住むこの都市に潜伏している』という情報がありました。
 いち早くこの情報を掴んだアゼル連合国は、この都市に軍隊を送り女山羊を殲滅しようと画策したわけですが……それは国交的に悪い、となりまして。
 ここは友好的に協力して、共に女山羊を討とうではないか。という都市との外交をワタクシ達、鮫嶋商会に依頼して頂いたわけです。
 まぁ、面倒な手続きは全て、こちらで済ましましたので。あとは人員を募って討伐するだけ、ということなんですね、はい」

 一気に概要を説明した飛鷹は、そこで紺色のスーツを着た男性を指す。

「そして、あちらの紺色の方が、アゼル連合国からいらした大臣のミハエル・ラングさん。
 後の説明は手元のファイルに沿って、彼がするとの事ですので、よろしくお願いします、はい」

 言って飛鷹が下がると、紹介されたミハエルがスクリーンの前に立つ。
 大臣というより、騎士然とした出で立ちをした彼は一礼し、朗々たるバリトンで話し始めた。

「初めまして、紹介に預かったミハエル・ラングだ。
 この度、こうして集まった皆さんや関係者各位が、連合国の協力要請に応えてくれた事に、まずは国の代表として礼を言わせて欲しい」

 ありがとう。とミハエルはゆっくり頭を下げた。
 そうして、顔を上げた彼はわずかに苦しい表情でアゼル連合国と贖罪の女山羊の関係を話し始める。

【次レスへ続く】

341GM/ミハエル・ラング ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 21:55:13 ID:1sJsd2CgO

「我々、アゼル連合国は元々一つ一つの小さな国家でした。
 国家、と言えど中には部落や集落と言える程度の本当に小さな集団も多分に含まれます。
 しかし、そのいずれも土地があり、指導者がいて法を成し、それに従う民がいる……。
 ――だが、あの女はそれを全て破壊していった!
 躊躇無く、慈悲も持たず、単身で戦争を起こし一方的に蹂躙していったのだ!
 復讐を誓った!必ず……必ずあの女を討つと、だが我々は非力だった。どうしようもなく非力だったのだ……」

 静かな口調が、女山羊のことを語る時になると荒々しく豹変した。
 やがて、その当時を思い出す度に表情は曇っていくが、話が次に移ると途端に光明が差し始めた。

「しかし、悲しみと絶望に暮れる我々に『英雄』が来た。
 彼は言った“私は、あなた達と同じ境遇の人々をたくさん知っている。彼らと共に協力する気はないか?”と……。
 聞くに彼は様々な世界から我々と同じ境遇の協力者を募っている旅の最中だと言っていた。
 何故そんな事をしているかといえば、英雄自身も女山羊に国家を潰された指導者であり、彼自身が時空間の『歪み』を操れるからだ。
 本人は“見付けられるだけだ”と言っていたが、私達にしてみればそれは操れるのと同じだ」

 『歪み』を見付けられる。という事は、何処へ繋がっているのかわからない『歪み』に突入する前に選別出来るということだ。
 恐らく、しかるべき知識さえあれば、世界をも越えて何処へ行くのも自由自在になる能力となるだろう。

「そうして、アゼル連合国が誕生し、ついに女山羊を討ち負かす事が出来たが、確保する前に『歪み』を抜けて逃げられてしまった。
 どうやら、女山羊も英雄と同じく『歪み』を見付けられるようでな、その後の追跡は困難を極めた。
 しかし、女山羊が見つかったのが『歪み』の特異点であるこの都市で良かった」

 特異点として異常に集中しているためか、都市内の『歪み』が都市内に繋がっている事が多い。
 つまり、この都市から外に出さなければ別の世界に逃げられる可能性が少ない、ということである。

【次レスへ続く】

342GM/ミハエル・ラング ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 21:55:53 ID:1sJsd2CgO

「さて、中の人向けな昔語りはこれくらいにして、本題に移ります」

 ミハエルがスクリーンの脇へ逸れると部屋の照明が徐々に落とされる。
 切り替わるようにしてスクリーンに写真が映される。

 一枚目。
 短く、毛先が縮れ薄汚れた褐色の髪。ギラついた黄色の瞳に睨むような目付き。
 不機嫌そうな顔の鼻筋と頬にピアスが張り付いている二十代かそこらの女性の顔写真。

 二枚目。
 顔写真の女が真っ黒なローブに鎖を巻き付けて立っている全身の写真。
 ゆったりしたローブだというのにキツく縛った鎖のせいで見るからに痩けた身体のラインが分かる。

「この写真の女が“贖罪の女山羊”こと、ロージェンス・カプル・ニブラス。
 傲慢で挑発的な言動をし、怒りを買い敵を増やす事を至福とするおかしな女だ。
 今回、あなた方に追ってもらう討伐対象であり、我々アゼル連合国の仇敵だ」

 正直、こいつが?と言いたくなる容姿である。
 面識がある者なら尚更の事かもしれない。
 ただし、この女が国潰しの大罪人という事は紛れもない事実。

「今のところ女山羊が、この都市の何処かに潜伏している。という事しか掴めていない、潜伏の理由も不明だ。
 なにせ、行動範囲が広く情報も少ないからだ。
 だから、あなた方には女山羊を見つけ次第、即時捕縛してもらいたい。
 ただし戦闘は免れないだろうから捕まえられない場合、深追いはせずに逃して、発見した場所と見失った場所を報告してほしい。
 あまり追い詰め過ぎて街中で“傲レル幻銃”を召喚されたら目も当てられないからな」

 もし捕まえる事が出来ても、都市の半分を大量破壊兵器の犠牲にしてしまっては作戦の意味が無い。
 ミハエルが指示すると、鮫嶋商会の社員が全員にPDAを配り始めた。

「我々は現場に出るあなた方を出来る限りバックアップする。
 今配ったPDAは私と鮫嶋商会の方々が持つPDAと専用の回線で繋がっている。
 作戦中、我々はこのビルで待機しているから、なにか必要な時は一報をくれ。
 物資なら鮫嶋商会が足で、情報なら私がPDAで届ける。
 中々に便利なものでな、カメラも付いているから報告はメールで送ってくれればいい。
 こちらは集めた情報を元に、潜伏場所を特定する。だいたい1ヶ月間追い続ければ分かるだろう」

【次のレスへ続く】

343GM/ミハエル・ラング ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 21:56:35 ID:1sJsd2CgO

「まず、女山羊の装備について、我々が知ってる事を伝えよう。
 女山羊は特殊な武器を無限に作り出す。そして、その仕組みは『魔導機』という厄介な装飾品にある。
 つまり、どれだけ手元の武器を破壊しようとも、肝心の『魔導機』を壊さない限り次から次へと新しい武器が出てくる事になる」

 ミハエルの合図でスクリーンが切り替わって、二つの銃器と獣を模した機械の画像が映し出される。
 このうち、銃器の画像。
 銃の側面に雄々しいタテガミを持つ獅子の彫刻が施された自動拳銃を指示棒で示す。

「“獅子ノ帝銃”
 女山羊がよく扱う自動拳銃だ、実弾は一般的な9mmを使用する。
 『魔導機』は両腕に付けたブレスレットの束だと思われる」

 次に、もう一方の銃器の画像。
 孔雀の尾羽根のような色彩に塗装された、突撃小銃を少し縮めた形のカービン銃。

「“孔雀ノ皇銃”
 見た通りド派手なカービン銃だ、実弾はNATO弾より小振りな5.45x39mm .22口径弾を使う。
 『魔導機』は鎖に巻き付けたネックレスやロケットだと思われる」

 そして、最後に獣を模した機械の画像。
 鷲の頭と翼、獅子の身体と尾を持つ伝承の獣グリュプスの姿をしたそれを示す。

「“傲レル幻銃”
 各種ミサイルから対物対人の銃器に計器まで、ごっそり積んだ全身砲門のバケモノだ。
 局地制圧用の支援兵器として一回だけ使われた事があるが……まるで地獄のようだった。
 これだけ『魔導機』が何か推測出来ていない」

 画像を見る限り、7tトラックより一回り程度大きい機体に四足の付いた砲台という感じだ。
 やや小型な兵器ではあるが、四足で自在に走り回る機動力と面攻撃による絶大な制圧力があり。
 ミサイル等は撃ち尽くしてもいつの間にか『魔導機』によって補充される恐ろしい支援兵器だという。

「しかし、女山羊の作り出す銃器には実弾とは別に“魔弾”という特殊な弾が存在する。
 今のところ分かっているのは配布した資料にある通り、大まかな性能だけだ」


《各種魔弾の性能レポート》
“獅子ノ帝銃”
・火の属性が付与された魔弾。
 着弾すると激しく燃える。
・銃から緑に燃える刃を生やす魔弾。
 緑の炎は水で消えない。
・閃光弾のように光と音を放ち、銃が爆裂する魔弾。

“孔雀ノ皇銃”
・雷の属性が付与された魔弾。
 着弾すると微弱だが放電する。
 弾は遅く目視可能、追尾性能がある。
・地雷のような性質が付与された魔弾。
 魔法陣の付いた銃創が目印。
 踏む、または衝撃を与えると高電圧の放電を伴って炸裂する。

“傲レル幻銃”
・魔弾未確認、詳細不明。
 ミサイルや榴弾砲などの実弾兵器のみ確認。

 以上。

344GM/ミハエル・ラング ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 21:57:17 ID:1sJsd2CgO

「あと、女山羊の特異体質についてだ。
 ヤツは自身に向けられる敵意を機敏に感じ取る。
 単純だが、恐ろしい特異体質だよ。異能と呼んでも差し支えないほどにな。
 それで背後からの奇襲はおろか、遠距離からの狙撃すら察知して水の魔術で正確に迎撃してくる。
 ……しかも敵意だけでなく殺意や害意、嫌悪といった自身に向けられる悪意を全て察知できると本人は言っていた。
 もし、それが本当ならば、狙撃で始末するためには。
 偶然狙撃用ライフルを持ち合わせ、偶然それを置いた方角に女山羊が立っていて、偶然照準が合ってしまい、偶然引き金が引かれて、偶然弾が女山羊の頭を砕かなければならない。
 もちろん、そんなことは絶対にあり得ない。特に女山羊を死ぬほど怨んでいる我々では到底不可能だ。
 ……これが、我々がアゼル連合国の軍隊を都市に送り込まず、あなた方に協力を依頼する理由の一つでもある。
 直接、女山羊と対峙して討ち負かす程力を持つであろう、あなた方、異能力者に。私達の……」

 ミハエルはそれ以上は口にせず、継ぐ言葉を心の淵で留めた。
 自身の無力を嘆くのはただの甘えだと、心の弱さだと歯噛みする。

「以上だ。なにか、質問は?」

 今の説明で分からない事があるなら、聞いておいたほうが得策だろう。

345GM ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 22:00:39 ID:1sJsd2CgO

― ― ― 以下PL向け ― ― ―
 同時に詳細ルールについての質問も受け付けます。
 下記と同じものを後にお知らせスレに載せますので、追々気になる点などあれば『狗』までどうぞ。

●今回のイベントについて
 基本加点方式の得点制になります。
 期間内に総合点が400点に達すれば勝利条件を満たしクリア、ロージェンスを確保するイベントの開催をもって終了となります。
 ただし、総合点が期間内に400点に満たなければ敗北条件を満たしクリア、ロージェンスとの戦闘イベントの開催をもって終了とします。

●得点の加算、及び減算について
 基本加点方式ですので、参加者の行動による減点はありません。
 しかし、一日経過毎に少しずつ減点されていきます。
《内訳》
◆基本得点表
・対象キャラへのレス点 基本+2点
 行動が会話なら 追加+1点
 行動が説得なら 追加+2点
 行動が攻撃なら 追加+3点
※攻撃のみ成功(HIT)すれば×2して加点
 複数人の攻撃は成功したそれぞれを合算してから×2して加点

・疲労回復点 基本-5点
 期間中時刻が0:00になると無条件で減点されます。
 この減点で総合点が0点を下回る事はありません。

◆PDA所持者限定得点表
・鮫嶋商会(飛鷹)への物資要求点 基本+0点
 物資が届けば 追加+2点

・ミハエルへの情報要求点 基本+0点
 情報が届けば 追加+2点

・ロージェンスの行動報告点 基本+5 +(投稿時間秒数末尾)点
 ロージェンスが逃走したレスに、PDAを用いて本部にメールを送信する等の描写があれば加点される。

●対象キャラについて
 期間中、名前欄に《名前/イベントGM》と書かれたGMキャラが現れます。
 このキャラに対する行動レスをすると内容を加味して総合得点に加点されます。
 つまり対象PCへのレスを付ける事が同時にイベントへの参加を意味します。
 ただし、出没時間やタイミングはGMのリアルの都合で変動します。

●PDAについて
 説明イベントに参加したキャラが鮫嶋商会から渡される物資。
 所有者は、期間内お知らせスレに投下する【PDAメール】の内容を知ることができます。
 また、電話を使って追加物資や情報を要求することも出来ます。
 キャラ間の受け渡しは原則不可。

●イベント進行について
 定められたチェックポイント(CP)に達すると地味に進行します。
 CP通過でSSが投下されたり、状況が変化したりします。

・第1CP:総合得点50点
⇒SS投下
・第2CP:総合得点100点
⇒イベント進行【対象PC追加】
・第3CP:総合得点200点
《分岐》
1.(攻撃点+報告点)>(説得点+会話点+要求点)
 ⇒イベント進行【状況変化A】
2.(説得点+会話点+要求点)≧(攻撃点+報告点)
 ⇒イベント進行【状況変化B】
・第4CP:総合得点400点
⇒イベントクリア
 分岐に沿ったEDがあります

346トニー・ハーディガン:2011/05/22(日) 22:19:44 ID:SSMHlh/20
>>344

「……『贖罪の女山羊』、ご大層な名前をつけてるもんだから
 どんな化け物かと思えばこの前のお嬢さんじゃねぇか。」

つい先日、スクリーンに映し出された女と交戦したばかりの男は
苦笑いとも取れるような笑みを浮かべ、楽しげに笑う。

「でだ、例の質問とやらだがな……アンタらの話には重大な点が抜けてる。
 とてもとても重要な点だ……こればっかりはいくら俺でも突っ込まないわけにはいかんなあ。
 『報酬』はどうなってんだい?」

ポケットから取り出したオリーブ色のラムネ菓子を
口に放り込み、ボリボリと噛み砕きながら男は言葉を続ける。

「生憎こちとらな、アンタの事情はどうでもいいんだよ。
 大事なのはそれでオマンマが食えるかって話だ。『報酬』さえ貰えりゃ
 俺ァ、盗みだろうが殺しだろうがなんでもやるが『報酬』はキャッシュで貰うと決めてるんでね。
 名誉、やら都市の安全やらのために戦ってくれというなら俺は降りさせてもらう。」

347岩井川ユワイ:2011/05/22(日) 22:30:07 ID:onviSg/.0
>>340-344
「変な名前だな……」

名刺を受け取って、また余計なことを言う。
自分の名前もちょっと変なくせに。

「『国交的に』……『友好的に』……ねえ。
 むむ、ふむむ、ホントかなあ」

何となく疑いたいらしいユワイはそう呟き、色が違う人(=大臣)の話を大人しく聞き始める。

====

――「おおっふ、いかにも悪人面! これは正義の血が騒ぐのだ」。
――「ほう……OSは何かしら」。
――「核(=『魔導機』)を壊すか奪えと……ふむ、僕の能力じゃ難しいか?」。
――「うっへえ、コイツ(=“傲レル幻銃”)強そー……」。
――「ふにゃあ、僕じゃ勝てないかも……」。
――「つまり、『直接の悪意』を向けなきゃ良い……のかな、どうにかなる?」。
――「ケケケッ!」。

……全然大人しく無かった。
絶えず何かブツブツ言っている。
そんなこんなで一応話を聞き終え、そして右手を上げる。

「はいはいはーい、質問と言うか疑問と言うか。
 その女山羊を僕の能力でどうにかする場合、戦闘なくして捕獲するのは厳しそうなのだ。
 んでんで、多分街に若干じゃ済まないかも知れない損害を与えちゃうかも知れないんだけど、
 ……補償とか、ある?」

竜頭蛇尾に声がだんだん小さくなりながら、そう問う。
因みに、上げた右手は妙に傷痕だらけだ。
下げている左手も同様だが。

348GM/飛鷹 阿佐見氏 ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 22:52:53 ID:1sJsd2CgO
>>346

 報酬、と聞いて苦い表情になったミハエルを突き飛ばすようにいやらしい笑みを浮かべた飛鷹が話し始めた。

「あぁ、それでしたらワタクシ鮫嶋商会があなた方にまず『依頼金』として、幾らかお支払い致します。
 そして、あなたが見事『贖罪の女山羊』を生死に関わらず確保した時は、彼女にかけられている懸賞金の額をそのままお支払い致します。
 ただし他の方が捕らえた場合は、成功報酬として……半分の半分くらいまでならお支払いできますね。
 まぁ、しかし。逃してしまった時はなぁんにもありませんけどねぇ?」
 ニタニタニタニタ。
 脂ギった気味の悪い笑みをトニーから離すと、携帯で何処かに連絡する。

「依頼金を現金で、という事でしたら少々お待ち下さい、すぐに外の部下に取りに行かせますので」
 扉の向こうから一人の気配が足音と共に消えた。

>>347

 終始騒がし――もとい賑やかなユワイへと向き直り、条件反射的に口を開く飛鷹。

「はいはい。各種補償は、要相談という事でどうにか揃えてはおりますが……。
 正直なところ、本作戦に無関係な一般市民を巻き込むのはワタクシたち鮫嶋商会としましても、控えていただきたいのです、はい。
 こういうものは人命が関わるとややこしくなってしまいますからねぇ?」

 つまり、市民が巻き込まれさえしなければある程度は大丈夫。らしい。
 ただ、それが本当かどうか、怪しい感じはするのだが……。

349トニー・ハーディガン:2011/05/22(日) 23:06:45 ID:SSMHlh/20
>>348

「あぁ、すぐに払ってくれるってんなら好都合だ。
 『金払いのいいやつが正義』さ。」

問題はない、と上機嫌に片手を顔のよこでひらと動かし。

――ブッ

「……ひでえ味だ。」

例のラムネを床へ向け、吐き出した。
この人物の態度は先ほどから見るに堪えず、信用できるものではない。

350岩井川ユワイ:2011/05/22(日) 23:08:28 ID:onviSg/.0
>>348
「市民を巻き込む? ……あっはっはっは!
 いやいや、それは心配しなくてオッケーさ。
 建造物に破損を生み出すことはあっても、何かに困った人を生み出すことは無い。
 僕は究極に清純たる正義の味方だからなっ!」

ウインク付きでそう言い放つ。
建造物が破損したせいで困る人が現れるかも知れない、とは考えないらしい。

「まあ、一応補償があるって言うなら、僕の能力でもどうにかなるか……。
 ……んま、本当に補償されるのか、そもそも信用出来ないけどな」

飛鷹という人物とか、鮫嶋商会という組織とか、そういう類を未だ信じてはいない様子。
腕組みし、首を下げ、上目で睨む。

351GM/飛鷹 阿佐見氏 ◆ZwSFISyT06:2011/05/22(日) 23:31:58 ID:1sJsd2CgO
>>349

 しばらくして扉が開かれて黒服が一人、飛鷹に茶封筒を渡す。

「……さて、傭兵さん。
 こちらが依頼金となります、成功報酬はざっとその百倍はありますので、良い仕事を期待してますよ?」
 手渡した茶封筒には百枚の紙幣が一束入っている。
 ……と、いうことは彼女に掛けられている懸賞金は億単位という事になる。

>>350

「それなら安心ですね。えぇ、互いに。
 正義の味方が味方なら我々も心強いものです」
 言って、ユワイに記名済みの小切手を差し出す。
 書かれている百万という額が依頼金、という事らしいが?
 見れば他の参加者にも同じものが配られている。


「さて、本日はお集まりいただきありがとうございました。
 本作戦『女山羊捕縛作戦』中、ワタクシたちはこのビルを本部として常に待機しております。
 必要とあらば、手元のPDAにある特別回線にお電話を。可能な限りサポートさせていただきます。
 それでは、良い報告をお待ちしております」

 会場の扉は開かれている。
 飛鷹の声に幾人かは女山羊の情報が詰まったファイルを持ち、帰り支度を始めている。

352トニー・ハーディガン:2011/05/22(日) 23:46:57 ID:SSMHlh/20
>>351

「ま、期待して待っててくれ。
 これだけありゃあ、当座は十分だ……。」

封筒が紫色の淡い光に包まれ、何処かへと消え去る。
満足げにその様を見ていた男は、がたんと音を立てて椅子から立ち上がり。

「んじゃ、さっそくお仕事といこうかね。
 金を受け取った以上、ここでずっと楽しく雑談という訳にはいくまい?」

さっそく、追撃を開始するつもりなのか。
肩をほぐすように腕を回し、最後に再び欠伸を噛み殺す。

353岩井川ユワイ:2011/05/22(日) 23:47:00 ID:onviSg/.0
>>351
「金が欲しいわけじゃないけど、まあ良いか。
 どれどれ、いちじゅうひゃく……えっ」

位を数える声が途中で止まる。
目がゼロよりも丸くなっている。

「百万……何に使えば良いのかな。
 医療費? それともナイフ買う? 服でも買っちゃう?
 うーん……いや、ダメだ。ここはやはり全額寄付するのが潔い。
 そもそもこれが『綺麗な金』かどうか疑わしいけれども……」

腕を組んで唸りながら、正義らしい結論を出しつつ疑いも口にする。
そして大きな音を立てて席を立ち、

「まあ、曖昧な巨悪よりも、精細な凶悪を優先すべきだな!
 うん、お疲れっした!」

野球帽を脱いで一礼し、また被り直すと、振り返って会場から走り去って行った。

//序章お疲れ様でした〜

354GM ◆ZwSFISyT06:2011/05/23(月) 00:07:50 ID:1sJsd2CgO
>>352-353

 指名手配者『贖罪の女山羊』を捕縛する作戦の説明会は一先ず終了した。
 協力作戦と銘打ちながらも、具体的な協力と言えば鮫嶋商会のサポートのみ、作戦自体も今のところ人海戦術。

 なにかと粗さが目立つが、情報が少ない今はとにかく目撃の情報を集めて具体的な潜伏エリアを特定しなければならない。
 現段階では発見次第、適宜追撃し、その都度情報を送るしかないだろう。

【説明会終了】



(……?)

 ――その頃、ロージェンスは僅かな変化に違和感を抱いていた。
 この説明会で、ロージェンスに対しておぼろげながらも敵意や害意を持つ者が増えたのだ。
 その変化をロージェンス自身が感じとるのは至極当然。
 だが、

(……さっき蹴散らしたチンピラ共が結託でもしたみたいね。ま、この程度の数なら平気か)

 今のところ、その真意に気が付く気配は無い。


//お疲れ様でした。
//本イベントの期間や詳細はお知らせスレに投下しますので、そちらを参照してください。

355アイリス:2011/06/06(月) 21:39:36 ID:PjFid5J20
【イデアの箱庭】

―――アイリスがログインしました。

味気ない機会音声が、アイリスの入場を知らせる。
千夜学園の制服に身を包み、肩まで伸びた髪をポニーテールにする。
手には短剣。
現代には失われた摩訶不思議な物質と自身の体の一部を使用し創り上げた剣だ。

「胸を借りようかな。」

最近の異能都市は“きな臭い”
だからこそ、自分の身は自分で守る。
そのための経験値を得るために此処に立つ。

356銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/06(月) 21:44:56 ID:HnkBBDEo0
>>355
【ID、パスワード、認証中】
【認証中】
【認証中】

【確認】

――Now loading...

【銃寺森クロスがログインしました】
【ようこそ、イデアの箱庭へ】


「あ、あ、んー、設定はあの時のままか。
 回線速度は……ん、問題ないだろ」

 ウィンドウを出して設定を確認し、満足したのか頷きつつ消す。

「おう、待たせたな」

 店にいる時とは違う。
 眼帯こそあれ、身体を真紅のコートに包み込み、ボンテージパンツに底の厚いブーツ。
 紅いネクタイを風になびかせ、地面を一歩一歩踏みしめるようにして歩く。

「今日は悪いな、こんな俺のワガママにつき合わせちまってよ。
 感謝するぜ。じゃあ……始めようか」

 ニヤリと笑うと同時に、黒い炎のような……紅い電流のような邪気がクロスの身体から徐々に湧き出てくる。

357アイリス:2011/06/06(月) 21:57:18 ID:PjFid5J20
>>356
背中から聞こえる声。
普段の“店長”としての顔とは一線を画す、素顔の一面だろうか。

「そうしよう。戦い日和…というわけでもなさそうだけどね。」

クロスに振り向き、同時に揺れるポニーテイル。
邪気の奔流というべきだろうか。
アイリスは、それを目にした。
生憎と、そういった類のものは出ないが、僅かな変化。
邪眼、あるいは魔眼と呼ばれるものを発動させる。
視界が線で溢れる。

「やれやれ…。本当に満足してもらえるか不安になってきたよ。」

それでも、ひょうひょうとするアイリス。
余裕の無さを誤魔化すように。
膝の笑いを誤魔化すように一歩前へ。クロスへ近づく。
アイリスの瞳は不気味な虹色へと変貌を遂げていた

358銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/06(月) 22:06:02 ID:HnkBBDEo0
>>357
「……」

 眼帯で塞がれている筈のクロスの右目が、彼女の能力を察知する。
 何が起きているのかは分からない。だが、何かが起きていることを分かっただけでもありがたい。

(目の色が変わった……能力者なら大抵は、何かしらの能力を発動しているところだ。
 だが、今はまだ何も起きてない……と、思う。幻覚系じゃあ無ければの話だが)

 能力者との戦闘において、まず言えることは「見た目で判断してはならない」ということだろう。
 アイリスの目の能力は不明であるし、手に持っている短剣も本当に近距離用の武器かどうか分かったものではない。
 だからこそ、相手の手の内を見て、対策を練らなければならない。

(いいね、この緊張感だよ)

 唇を舐めつつ、自分の心臓に宿る邪気眼に呼びかける。

「さぁ、往こうか」

バッドエンドトリガー
  紅獄罰骨  、発動。

「金属召喚、刀剣形成」

 たちまちクロスの周囲に様々な形の剣が姿を表す。
 その数、6本。まずは様子見といったところだろう。

「射出」

 距離を詰められる前に、と、クロスはアイリス向けて刀剣を放った。
 6本の刀剣は空気を切り、アイリスの胸めがけて向かう。

359アイリス:2011/06/06(月) 22:27:02 ID:PjFid5J20
>>358
能力の探り合いは、能力者同士の戦いでは必須だ。
先のクロスの声を聞く。始動キーは金属召喚。
結果は6本の刃の顕現。
その過程は?
候補はいくつか挙げられる。
過程、そして能力の解へと至るのは、飛来する剣を避けなければならない。

「どれも正確に胸…心臓を狙いに来ている、か。」

ならば、軌道を変えてしまえば良い。

アイリスは自身の意志で、自らと飛来する剣の間合いを狭める。
短剣を持つ手の手首を回し、手のひらを上に向ける。例えるならフェンシングの選手のような格好か。
飛来する狙いは一点、自分の急所。
急所さえ避けてしまえば、致命傷は避けられる。


故にアイリスは剣に浮かび上がる線をなぞる。
線をなぞられた剣の群れは金属片に変わるが、勢いは止まらない。
アイリスの肩口や脇腹2箇所を傷つける結果となる。
そして、アイリスは知る必要がある。飛来する剣の追尾性の有無が。

「(我が名は――-に連なるものなり。古来よりの契約と盟約に依り顕現させん)」

心の内で詠唱をこなしながら、再びクロス目がけて、駆ける。
月灯りを受け、淡く光る刃を手にし。

360銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/06(月) 22:37:37 ID:HnkBBDEo0
>>359
「な……はぁッ!?」

 金属が、切断された。

「ちょ、ええ? 待て、はぁあ!?」

 金属とは、かなりの硬度を持つ鉱石だ。
 また軟性も高く、加工により鋭く鋭利に加工することもできる。
 今までも文明の中で数々の人々を傷つけ、また数々の人々を守ってきた金属。
 それが、いともたやすく、切断された。

「どういうことだよオイィィイイイ!?」

 刀剣に追尾性は無い。
 それは「能力の有効範囲外」であるからだ。
 また、クロスにはまだ「線」の存在が分からない。
 よってアイリスの持つ光輝く刀剣が、クロスにとっては恐ろしく鋭利な概念武装に見えるのだ。

(コイツは……インファイトに持ち込まれたらマズい!!)

 即座にそう判断し、また邪気を湧き上がらせる。

「金属召喚、甲板形成!」

 作り出したのは、大きな盾。
 それをアイリスと自分の間に設置する。
 金属の強固さが無効と知った今、それはアイリスの攻撃を防ぐ為にあらず、
 ただアイリスの視界を防ぐためだけだ。

「金属、召喚……!」

 盾の向こう側で、邪気が溢れる。

361アイリス:2011/06/06(月) 23:02:47 ID:PjFid5J20
>>360
線をなぞるという魔眼。
効力は『アイリス』が『魔眼を起動させた状態』で『線をなぞる』ことで発揮される。
つまり、アイリスが見えてしまっている状態ではクロスが築き上げた盾は、一時の時間稼ぎにしかならない。

「召喚系のタイプ…とみるか、物質引き寄せ(アポーツ)と見るべきか…」

認識できぬ他所からそのまま呼び寄せる召喚、既存のものを呼び寄せる物質引き寄せ。
現状を見る限り金属に由来する能力であろう。

「(その名はシェリダ。司るは光。」

クロスの驚きの声を聞き、口角を僅かに上げながらも詠唱は続き…。
金属の盾の顕現を確認した後の対策は空。
金属の盾を壁代わりに、月灯りを背に受け、空へと舞う。

「顕現せよ――――穢れ無き光明<キュア・ライト>」

クロスに向けて降り注ぐは4つの光の弾。
どれをとっても、瞳では直視出来る光度では無い。

そして、一つ。
クロスは気付くだろうか。
アイリスが踏み込んだ際、少々水気を含んだ土が盾に飛んだ事実を。

362銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/06(月) 23:23:39 ID:HnkBBDEo0
>>361
「――ッ」

 光弾直撃。
 一気に周囲が光に満ちる。

「……ってぇ、そりゃ光魔法か?」

 光が収まった時、姿を現したのは
 紅の金属装甲に身を包んだクロスの姿であった。
 金属の一部は光弾を受けたのか、四箇所から煙を上げている。

「っちぃ、食らっちまった」

 そう言いつつも、煙を上げた装甲はみるみるうちに修復されていった。
 これがクロスの能力によって作られた装甲。
            クリムゾンブラストモード
 鉄血装甲……の、「紅殻弾丸形態」である

(詠唱していたところを見ると、今の光の弾丸は能力じゃなく魔術だろうな。
 それに概念武装か……だが、あの虹色の眼が一体なんなのか、まだわからねぇ)

 相手の能力を思考しつつも、装甲に包んだ身体を一歩、アイリスの方へと進ませる。
 歩くたびにギチギチリと金属の擦れあうような音が辺りに響く。
 見れば装甲と装甲の隙間、特に間接からは針金のような金属が何本も束になり、
 まるで外部に付け足された筋肉のように収縮している。
 硬い金属がまるで、生物のように脈動しているのが分かるだろう。
 この金属の装甲はもちろん、防御力を高める働きもあるが、今回アイリス相手には無意味。
 それでもクロスがこの鉄血装甲を纏ったのは、この装甲には筋力と機動力を上げる働きがあるからだ。

「魔術も扱えるたぁ、羨ましいね。俺も使えるようになりたいが、勉強は嫌いなんだ」

 盾を背に、自分を飛び越えたアイリスへと向く。
 どうやら盾に付着した土には気づいていないようだ。

「だが俺も、一つだけ……一つだけ使える魔術がある。
 俺の能力に合わせて生み出した、たった一つの魔法だ。
 本当は切り札なんだが……お前、学生だろ? だったら見とけよ。
 今のうちに色んなものを見ておいた方がいい。なに、見学料はサービスしてやる」

 そう言いつつも金属を召喚、刀剣を形成。
 両手に一振りつつ持ち、構える。
 頭部装甲に隠れた目元、だがアイリスをしっかり見つめ、


――肉の杯は塵となり、骨は砕けて灰となる
   Dead bodies on the ground.
――しかし御霊は残響し、魂響となりて囁き叫ぶ
   The ghost crawled out, the ghost crawled in.


 詠唱、開始。

363アイリス:2011/06/06(月) 23:39:01 ID:PjFid5J20
>>362
光の弾そのものにはほとんどダメージは無い。
急激な光で目を眩ませることが目的であった……。
アイリスは重力に従い、自然と落下していく。

「ま、子供のお遊び<初級魔法>程度だけどね。魔法はあんまり得意じゃないんだ。」

コツを掴めば変わるのかもしれないが…。
落下しつつも、肩を竦めてみせる。
今は“魔法の仕込み”が無い。
つまり落下し、地上に足をつけるまでの僅かの間に、ある程度の仕込みを済ませなければならない。

「どうしたのかな?随分とサービス精神が旺盛だね。まさか剣の雨が降ってくるなんて…ないよね。」

脈動する金属。
さらに関節部分を守る機能であろう、針山。
大きく開かれるアイリスの瞳。
背筋が凍るような――嫌な予感がする。

両足で確りと大地に足を踏みとどめたアイリス。
開かれ続ける魔眼。

【攻撃内】

364アイリス:2011/06/06(月) 23:39:31 ID:PjFid5J20
訂正
一番下の行
【攻撃無し】

365銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/06(月) 23:45:07 ID:HnkBBDEo0
>>363
「剣の雨、か。『それも』できるぜ?」

 ニヤリと笑いつつ、クロスは駆ける。
 もちろん詠唱は終わらない。時間がかかるのだ。
 それを待って貰おうなんて思ってはいないし、
 詠唱が終わるまで受けに回ろうとも思わない。

(インファイトはマズい――、が)

 駆けたまま、右手の剣を振り上げる。

(詠唱中は金属の召喚が制限される。弾数で押し切るには足りない。ならば逃げ回るよりかは――)

 振り上げた右手の剣を、アイリス向けて振り下ろした!

(――俺はドンドン攻めるね!)


――喰らわれし者の信念は、喰らいし者の糧となり、
   His appetite is filled up.
――腹で満ちる夢によって我が幻想を現創す
   And he realize one's long-cherished wish.


――血潮は鉄《クロガネ》、肉は銅《アカガネ》、骨は銀《シロガネ》、心は黄金《コガネ》
   The body is created by inorganics, minerals and metals.
――千滅の焔、色持たぬ温度、終わり無き無限を孕む鋳造の炉
   The heart is created by flame, blaze and Gehenna.


 詠唱は続く。

366アイリス:2011/06/06(月) 23:48:03 ID:PjFid5J20
>>365
「それはお断りしよう。一度見ているからね。今度は別のものをみせてくれるんでしょう」

367アイリス:2011/06/06(月) 23:55:21 ID:PjFid5J20
>>366
>>365
「それはお断りしよう。一度見ているからね。今度は別のものをみせてくれるんでしょう」

アイリスは笑みを浮かべる。
手に持つ剣で十二分に対応できる上に、更に空いた手まである。
アイリスはグっと膝を曲げ、駆ける。
何らかのダメージを負う前に、“嫌な予感”の要素を潰しておきたい。
駆けて狙うはクロスの体そのものにダメージを与えること。

その手法は単純。
受ける。
振り下ろされた剣を受ける。
空いた手で自らの短剣の腹を支える。

「(我は――の子。古の契約と盟約に従いて、その力を見せよ。)」

こちらも詠唱を開始した

368銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/07(火) 00:05:18 ID:HnkBBDEo0
>>367
「!」

 相手の詠唱を聞いてか、剣が防がれたと同時に素早く後退。
 だが、一つ分かった。

(金属製の剣を受けたが、切断されていない。
 ただ防御しただけ……もしや?)

 後退しつつも左手の剣を振り上げ、

(これはどうだ――ッ!!)

 剣を思いっきり、アイリス向けて投げつけた。
 投げられた剣はクルクルと回転しつつ、アイリスへと向かう。

――光放つ鉱石、無念の魂により、
   Cross and growing soul ...

――今、此処に
   has to be doing just...


 詠唱は続く。

369アイリス:2011/06/07(火) 00:34:08 ID:PjFid5J20
>>368
空気を切り裂き飛来する剣。
アイリスには選択肢が二つ用意された。
剣を切り裂く・剣を切り裂かない。積極的な対策と消極的な対策。
クロスが自分の能力を読み切れていないのなら、消極的手段でも良い。
しかし現状は多少のダメージを受けてでも“嫌な予感”の芽を摘んでおきたい。
差し引きすれば、こちらにプラスになるはずだ。

アイリスは甘んじて回転しながら飛来する剣でダメージを負う。
駆けながらも投げられた剣によるダメージの為、数秒足が止まり、スピードが落ちた。
紅殻弾丸形態<クリムゾンブラストモード>で増強された筋力で投げられた左肩に深く喰い込み、感じる焼けたような痛みを自覚し、流れる血が腕を伝う。

「くっ……」

痛みは久しぶりだ。
この感覚がアイリスの足を若干遅くさせた。
左肩から垂れ、腕を伝い、指から滴る紅き液体。

「(母なる大地の蓄積を我が身に。大地が積み上げた呪法を我がものへ。我が願いは……今、届かんと――)」

クロスの詠唱が完成するか、アイリスがクロスへと肉薄するほうが早いか。
あまり力が入らぬ左腕はぶらりとさせ、右手で持った短剣をクロスへ向け、駆ける。
勝負は単純。アイリスがクロスの懐へ入るのが早いか、クロスの詠唱が完成し、展開されるか、だ。

「願望としてはまだ50:50<ヒフティーヒフティー>であってほしいね。」

370銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2011/06/07(火) 00:55:42 ID:HnkBBDEo0
>>369
 目前に迫るアイリス。
 それを見てクロスはもう片方、
 右手に握った刀剣をクルリと回し、逆手に持つ。


――今、此処に
   has to be doing just...


 アイリスの短剣が届く前、
 クロスはニヤリと笑った。


「悪いな、詠唱――完了だッッ!!」


――異形の舞台が幕を開ける!!
   open the “Freaks circus”!!

 最後の一節を唱えると共に、逆手に持った剣を心臓に突き刺した。
 途端、本流。
 紅の邪気がクロスの体中から噴き出し、周囲を血の色に染め上げる。
 頭部装甲の、右目の部分が『内側から』バキンと音を立てて弾け飛び、
 中から紅く輝く十字の瞳が姿を見せる。
 そこからだ。そこから邪気は泉のようにあふれ出て視界すら紅い光に満ち――


 本流が終わった時、そこにあったのは全く別の姿をしたクロスであった。
 装甲に身を包んでいるものの、先ほどの装甲とは違い身体にフィットしたスリムなボディラインである。
 色も紅から黒へ。髪の毛は紅メッシュ交じりの黒髪から、夜を切り裂くような白髪へと変わり、
 まるで尾のように長く伸びている。
 頭の両側から生える二本の角は、夜空を射抜くように聳え立っていた。
 サングラスのようなバイザーからアイリスの姿を見て、

フィフティー フィフティー
「 50 : 50  か……」

 ジジジジッという音と共に、装甲の表面に紅く光る魔術式が走ってゆく。

「じゃあ、今の俺を見てどう判断する? まだ五分五分かい?」

 ガシャン、と目元のバイザーの右目部分が内側から弾け飛び、
 十字の瞳がアイリスをにらむ。

 全身金属。
 これがクロスの肉体強化能力の最終形態。
       クロスブレイム
 極刑鬼神『咎喰十字』であった。

 目の前にいるアイリスに向かって、鬼が吼える。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 そして懐に迫る短剣を、なんと掴もうとして左手を伸ばした!

371アイリス:2011/06/07(火) 01:16:47 ID:PjFid5J20
>>370
「……飽くまで“希望”だよ。」

一瞬、声が出なかった。目の前の“暴力”に。
逆手に持った剣を自分の胸に刺した結果、クロスの姿が変貌した。
自身を圧倒する迫力――否、鬼迫。
紅黒から白。
変貌した姿、源泉のように溢れる紅、浮かび上がる十字。

クロスを見れば、線が僅かながら少ない。
そして、違和感。
装甲の表面に走る魔術式のようなものだろうか。
その違和感に目を凝らしている隙に、自身の短剣は容易くクロスの手に渡る。
だが、その刃は鋭く研がれたもの。人の指を切り落とすのも容易なほどだ。

「………いや、“そうであって欲しい”といったところだね。」

今は自分の間合いとはいえ、魔眼を通した攻撃以外は効果が薄くすら思える。

「忌々しき呪いよ。我が身を守り給え。言葉無き彫像<ブラック・アイス>」

そう、詠唱は完成した。
術者は弱くとも、じわじわと真綿で首を締めるように、触れた者を次第に石へと変える呪い。
人がアイリスの体に触れてしまえば、触れた本人の魔力でレジストは十分に可能である。
レジストに向ける魔力の量で石化までの速度が変わる。
ただ、一度触れたものに反応するたった一度の石化の呪い。
剣に肩代わりさせることも十分に可能である。

372銃寺森クロス/極刑鬼神  ◆CROSS/.AzE:2011/06/07(火) 01:36:59 ID:HnkBBDEo0
>>371
「!?」

 他人の魔力による干渉が、自分の装甲に走ったのを感知し、すぐに身体を引く。
 左手を見れば、金属が光沢をなくしてゆき、徐々に岩石へと変貌を遂げていた。

「石化か……!」

 すぐに手の装甲を引き剥がすが、場所が悪かったのか既に石化は
 装甲内部の義手にまで及んでいた。
 義手は電子的な技術で肉体と繋がっており、そう簡単には切り離せない。
 何かに肩代わりさせるにも、既に遅い。

「ちぃ、厄介なモン仕込みやがって」

 だが、クロスはニィイと笑う。
 この逆境すら、楽しんでいるようで。

「てめぇの能力は分かった。お前さっき、『わざと』俺の投げた剣を受けたな?」

 石化していない方の手でアイリスを指し示す。

「お前はさっきまで俺の放った刀剣を、切断しつつも防御、処理ができていた。
 それなのに投げた剣だけ防御できねぇってのは……ちょいと納得いかねぇ。
 あれは俺に自分の能力を察知させない為のブラフだ。そのブラフで、逆にお前の能力が少し掴めた」

 そしてその指で自分の装甲の表面を、撫でるように線を引く。

「“死線”だ。ありとあらゆるモノには、“死線”があり、それをなぞれば容易く破壊できるっていう。
 お前はそれが見えるんだろ? その虹色の眼で!」

 そしてまた、アイリスを……いや、アイリスの瞳を指し示した。

「剣を切断したのも、死線をなぞったんだ。
 俺の剣を同じ短剣で受けても切れなかったのは、線をなぞる余裕がなかったんだろう」

 そう話している間にも、石化は肘の前まで迫っている。

「以上の予測より、俺は一つの戦法に出る」

 クロスの背中に刀剣翼が広がってゆく。

「速さで、押し切る」

 クロスの最終形態、極刑鬼神は単に鉄血装甲のバージョンアップでは無い。
 一つ、劇的に大きな機能が追加されている。

「爆裂金属、点火」

 轟音。
 まるで爆発したかのような炎が吹き上がり、クロスの身体が吹き飛んだ。
 紅く光る魔術回路が夜空の中に紅のネオンラインを残す。
 ネオンラインを追った先は、アイリスの右後ろ側。

「―― そこだァッ!!」

 咆哮と共に、右拳が放たれた。

373アイリス:2011/06/07(火) 01:57:25 ID:PjFid5J20
>>372
「剣で戦うんだ。こういう保険が欲しくてね。」

厄介なのはどちらだ、と心のなかで溜息をついて。
得物を持たぬまま、クロスの解説に耳を傾ける。

「なるほどね。ただね、一つ間違いがある。
 一本の剣と六本の剣では負傷に大きな差があるね。射出された六本の場合、狙いは急所だった。だから処理をしたんだ。
 対して一本の投擲は、狙いは急所では無かった。大きな影響は無いと考えていたけれど……この様だよ。」

戦闘の過負荷に耐えられる程、左肩の傷は浅くなかった。
指から下垂れ落ちる血液。

「……空、、、か。」

この先は予想出来ない。
紅蓮が描くシュプールの先は……自分の右後方。
声に合わせ、振り返るが、もう遅い。
既に右腕の拳が今にも振り下ろされる寸前だった。

374銃寺森クロス/極刑鬼神  ◆CROSS/.AzE:2011/06/07(火) 02:10:26 ID:HnkBBDEo0
>>373
 そして、右腕を、振りぬいた。




 右手に感じる、確かな感触。
 勝った。
 そう、全力で! 勝った!

「っしゃああああああああああ!!」

 右手を振り上げる。
 石化はもう左顔の半分まで届いているが構わない。
 全力でクロスは叫んだ。

「有象無象すべてを壊せる魔眼か……
 これでまだ学生だろ? いいね、どう育つか楽しみだ」

 パキパキと石化しながら最後、鬼はクククと笑った。

375アイリス:2011/06/07(火) 02:19:00 ID:PjFid5J20
>>374
――“アイリス”ログアウト

感情の起伏が無い、味気ない機会音声が響いた。
術者のログアウトで、クロスの石化は、映像を巻き戻したかのように徐々に戻って行く。
アイリスにとっては貴重な経験だったが、クロスはどうだったのだろうか。
それはまた後日聞くとする。
只、クロスが望む好敵手と成り得るかはまた別の話…。

勝者――銃字森 クロス

376栗由キイチ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 22:16:42 ID:1sJsd2CgO

――株式会社 丸搬
 都市郊外に2階立ての本社ビルを構える小中企業。
 磨りガラス戸の奥は薄暗く、寂しさが滲むような外観だった。
 だが、閑古鳥が鳴いているわけではない。半地下の駐車場からはトラックが全て出払うほど忙しいのだ。

「ああっと。すいません、今は私以外誰も居なくて。連絡を頂いた黒沢小百合様、でよろしいですね?」
 誰もいない受付に足を進めると、横から慌てたように男が出てきた。
 男の名は栗由キイチ。
 何処と無くカタギではない雰囲気のする、強面の男がこの運送会社の社長である。

377黒沢小百合:2011/06/09(木) 22:36:39 ID:SSMHlh/20
>>376

「はい、千夜グループ総帥専属秘書兼
 都市警備部門主任、黒沢小百合と申します。以後お見知りおきを。」

小百合は名刺交換を済ませると、
挨拶もそこそこに本題を切り出す。

「今回お尋ねしたのは、御社の経営内容に少し不審な点が見られたためです。
 これをご覧いただけますか?御社の特殊運搬係創設後の依頼、そして出資額のグラフです。
 かなり、不自然に増えているのがわかりますか?」

小百合は男を半ば脅すようにその鋭い視線を向けつつ、
淡々と言葉を続けていく。

「この特殊運搬係は2年間、何も搬送していないそうですね?
 こういった実体の無い部門、会社はしばしばその名義を利用した
 マネーロンダリングなどに使われますので、一応調査を行ないたいのですが。」

378栗由キイチ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 22:55:40 ID:1sJsd2CgO
>>377

 一階を帰ってきたドライバーに任せ、二階の社長室に上がった二人。
 名刺と資料を受け取り、一通り目を通しながら黒沢の話を聞く。

「……おぉ、ホントだ。こんな上がりかたしてるとはなァ……」
 グラフを見て、初めて知ったように呟く。

「ええ、その通り。鮫嶋商会所属の特殊運送係としては2年間何も運んでないですね。
 ただ、実態が無いワケじゃないですよ。
 商会の特送係になってから、ウチ――丸搬への依頼が激増したんですよ。ウチのトラックじゃ足りないくらいに」
 さっと持ってきた資料を渡して、栗由はそう言う。
 資料を見るに、商会を通さない依頼が増えた。というのは確かなようである。
 ただ、運搬を依頼している企業はどれも知名度の極端に低いものばかり。記された連絡先の控えも携帯番号ばかりである。

「そんでも、あなたの言うように、鮫嶋商会を通しての依頼は2年間全く無いんですがね。ヤツら宣伝サボってるんじゃねぇかって疑いたくなる……」

379黒沢小百合:2011/06/09(木) 23:11:52 ID:SSMHlh/20
>>378

(……怪しいな。本当にマフィアあたりの
 資金浄化に使われていてもおかしくない。)

小百合は、疑念をさらに強めた。

鮫嶋商会は一国の大臣とのパイプ役になれるほどの組織。
そういった組織の特送係に任命されたとなれば、他の企業からの信頼度が
上がる事も理解できるが、そもそも組織内で何も行なわないような部署を作るだろうか。

「ふむ、ではこの部署の創設後、何故商会の出資額が不自然に増加しているのですか?
 その変動から見るに、何処かに資金を流しているとしか思えない。
 海外進出関連か、バイオテクノロジー関連企業への出資ですか?」

380栗由キイチ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/09(木) 23:38:35 ID:1sJsd2CgO
>>379

「海外進出に向けて特に注力してるのは海産部門だが、定例会で見た予算案じゃ……でも、どうだろうな。この増えかたは。
 ウチは増えるとしてもガソリン代くらいだし……。この要因は、ちと分からないですなぁ。
 バイオテクノロジーなら、アカハネ会のほうだな……あぁ、医療品部門ね。
 最近になって、人工骨だとかIPS細胞だとか、そういったもんを取り扱い始めたらしいから、もしかすると、そっちかも知れねぇな」
 資料と記憶をお互いににらめっこさせて、合致しそうなものをポツポツと口に出す。
 しかし、それでも足りない、気がする。

「今の総会長、資金繰りは各部門任せだからな……。やるとしたら、他の部門……いや、係か?
 改めて見せられると、こう……背筋が寒くなってくるな。こりゃ、あんたにウチだけじゃなく他も調べてもらいたいな。是非とも」
 言って、おもむろに立ち上がると一冊のファイルを取り出す。
 丸搬の出資状況と収支のファイル、いわば会社の家計簿である。

「これが、ウチの金の巡りだ。コピーは出来ないが、こうやって写すことなら誰でも出来るだろう?」
 ファイルと共に差し出されたデジカメ、これで控えを取れ。ということだろうか。

381黒沢小百合:2011/06/09(木) 23:50:18 ID:SSMHlh/20
>>380

「なるほど、分かりました。
 では少し控えさせていただきますよ。」

小百合は袖口に仕込んだ紙片に触れ、
兵士を具現化させると、それに命じてコピーをとらせた。

「なにか、他に気になる事はありませんか?
 医療部門の事でもよいですし、ほかの事。
 例えば新会長のことであるとか、他の業務執行社員のことであるとか。
 なんでもかまいません。」

382栗由キイチ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/10(金) 00:20:15 ID:1sJsd2CgO
>>381

 突如現れた人影に、目を見開き。「こりゃすげぇ……」と呟く。
 異能という存在の知識はあるが、理解が十分に追い付いていない人物の反応である。

「ん、あぁ。気になる事ね。
 海産部門の連中が海外進出の件で色々揉めてる事は……まぁ、知ってそうだな。
 俺が個人的に気になるのは、そんな中でやけに連携が取れてる医療品部門の連中だ。
 まるで前々からバイオテクノロジー企業が参入するのを知ってたみたいに準備がいい。
 ただ、器量が良いだけかも知れないが……どうにも外面がいいだけに思えて信用出来ないんだよな、アカハネ会は」
 根拠は無い。
 しかし、なんとなく怪しい。
 栗由キイチの主張の軸はそんな感じだ。

「……あと、あまり言いたくはないが……。
 ウチに直接来ている運送依頼なんだがな。荷が、なんとなく、きな臭い。
 搬送途中で事故った車輌から荷が無くなっても、先方から音沙汰はないし。次も何も無かったかのように頼んでくる……。
 開けて確かめるとか問い質すとか、色々方法はあるんだが。なんだかんだ言って、俺含めた従業員飯の種だ。
 今のところ商会からの仕事が全く無いから、それがなくなると、その……な?」
 言葉の歯切れが悪い。
 確たる証拠は無いが、なにか悪事の一端を担わされている気がして。罪悪感がある。
 しかし、応じなければ、食い扶持が無くなる。だから仕方なく、という言い訳だ。

383黒沢小百合:2011/06/10(金) 00:33:32 ID:SSMHlh/20
>>382

3年前のバイオテクノロジー関連企業の参入と、
2年前の特殊運送係の設立、出資額の不自然な増加。

それだけ聞けば、バイオテクノロジー関連に予算が流れたとも予測できるが
推測だけでは、あまり強力な手段が取れない。確固たる証拠を見つけなくては。

一番手っ取り早いのは物流の徹底調査だが、
この様子では積荷を調査させてくれといっても断られるのが関の山だろう。

「分かりました、こちらでももう少し独自に調査してみましょう。
 とはいえ、現状ではこちらも強硬に動く事ができませんから何か変わったことなどあれば
 私に知らせていただきたいのですが。」

とにかく、次に医療関連企業を調べるのが手っ取り早いか。

384栗由キイチ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/10(金) 00:51:21 ID:1sJsd2CgO
>>383

「ええ、そりゃ、もちろん。
 何かあれば連絡しますよ」
 一通り写し終わったファイルを受け取り。元の棚に戻す。
 そうして、アカハネ会の住所を記したメモ書きを手渡す。
 これ以上は有益な情報を得られそうにないだろう。

385黒沢小百合:2011/06/10(金) 00:56:48 ID:SSMHlh/20
>>384

「では、そろそろお暇させていただきましょうか。
 本日はお手数をお掛けしました。」

小百合は最後に一礼して、丸搬社屋から立ち去る。
次にターゲットとするのは、アカハネ会だ。

(はてさて、どうにもきな臭くなって来ましたがどうなる事やら。)

386栗由キイチ/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/10(金) 01:09:16 ID:1sJsd2CgO
>>385

 立ち去る黒沢を深々とした礼で見送り、栗由キイチは通常業務に戻る。

 その後、連絡という連絡はまるで無かった。
 何も変化がなかったのか、連絡する気がなかったのか、それとも……。

387鎧の怪人:2011/06/16(木) 22:22:40 ID:ste/2NNA0
「……!」
「……」

鎧を着た男が二人、街中を歩く。
人々は奇異の目で二人を見つめるが、それを意に介さず何かを探すように歩いていた。
時々会話のように顔を見合わせるが、小さく声を出すだけで言葉は発さない。

「……」

片方が首を振り、また二人で歩き始めた。
怪人事件を知るものなら、
この二人は以前現れた鎧の怪人"スケイルフェンサー"と同じ種類の怪人だと解るだろう。

388黒沢小百合:2011/06/16(木) 22:32:19 ID:SSMHlh/20
>>387

「怪しい人物がいる、という通報を受けてきてみれば
 なんとまあ、大胆な……。」

怪人から少し離れた陸橋の上から様子を窺う小百合。
今のところ人を襲う気配は無いが、攻撃を加えるには一般人が多すぎつ。

小百合はいつでも狙撃できる体勢をとりながら、やつらが人が少ない場所へ移動するのを待つ。

389鎧の怪人:2011/06/16(木) 22:38:45 ID:ste/2NNA0
>>388
「……?」
「……!」

また一人、鎧の怪人が現れる。
三人目は二人に向かって頷き、そのまま三人揃って走り出した。

三人はどんどんと人気のないところへ走っていく。
黒沢には気づいていないようで追跡は容易だ。

390黒沢小百合:2011/06/16(木) 22:53:53 ID:SSMHlh/20
>>389

「…………。」

奴らが何の理由も無く人目につく場所に現れるハズは無い。
小百合はすぐに攻撃を行なわず、その後を追う。

うまく行けば潜伏先が見つけられるかもしれないと考えての行動だ。

391鎧の怪人:2011/06/16(木) 22:59:16 ID:ste/2NNA0
>>390
怪人を追跡とやがて徐々に気温が熱くなっていくのがわかるだろうか。
更に追跡を続けると、なにやら焦げ臭くなってくる。

――オオ……オォォ……

「……!」

不気味な唸り声が響き、
その唸り声に導かれるように鎧の怪人たちが走る。
気温は更に上がり続けていた。

392黒沢小百合:2011/06/16(木) 23:16:52 ID:SSMHlh/20
>>391

「火事……?」

小百合は携帯端末から都市消防局の管制室へアクセスし、データを閲覧する。
本当に火事が起きていれば、消防車の出動はまだでもデータとして入力されているはず。

火事で無いならば、いよいよ怪しい。

393???:2011/06/16(木) 23:17:40 ID:gYmxTyUw0
>>391

「嘶け、顕明連!」

突如、割り込んできたかけ声。
そのかけ声と共に、怪人の群れに向かって、紅い切断力が走った。
切断力が飛んできた方向、背の低いビルの屋上には、雲に隠れる月を背にした、
紅い刀を抜き身で持つ、巫女装束の、やや背の高い女。
それだけでも十分特徴的だが、一際目を引くのは、彼女の顔を覆う、小さい角の生えた女の面。
生成――鬼に転じつつある女を表す能面だ。

394黒沢小百合:2011/06/16(木) 23:31:03 ID:SSMHlh/20
>>393

「…………。」

小百合はその様子を物陰から窺っていた。
怪人に攻撃を行なったということは、異能者であろうか。

たびたび都市を襲う怪人に対して、都市の警察機構や
自警団も警戒を強めているだろうし、そういった組織に属する人間かもしれない。

このままあの女が怪人を倒すならよし、
危なくなるようなら、助けに入ればいいだろう。

395鎧の怪人:2011/06/16(木) 23:31:51 ID:ste/2NNA0
>>392
消防局のデータベースには、この付近の火事の情報は無いようだった。
しかし、確かに焦げ臭く、さらに周囲にもやがかかり、現に煙が何処かから発生しているようだ。

>>393
「……!」

掛け声によって気づいたのか、怪人のうちの一体が剣を抜き、
振り向いて切断力から身を守った。

「……!」

残った二体はそれぞれ別の方向へ逃げ出し、
身を守った一体は剣を手に二体とは別の方向に走り始める。
戦う気は三体にはないと思われる。

396???:2011/06/16(木) 23:42:21 ID:gYmxTyUw0
>>394
女は、小百合に気づいた様子はない。
目の前の怪人に意識が向いていて、周りを見ることがないからだ。

>>395

「妖物め……小賢しい真似をしよる……!!」

腰まで伸びた長い黒髪をはためかせながら、地上五階という、飛び降りるには高すぎる高さから路地へ降りた女は、
憎々しげな言葉を吐き、剣で身を守ったゆえに、他の二体よりも逃げるのがワンテンポ遅れた一体に刀の切っ先を向けた。

「水霊よ、潰せ!!」

剣を持った怪人の前にあったマンホールの蓋が、地下から噴出する水によって吹き飛ぶ。
蓋を取り払った水は、まるで意志があるようにその身をくねらせ、大質量の塊となって怪人に迫った。

397黒沢小百合:2011/06/16(木) 23:48:38 ID:SSMHlh/20
>>395

とりあえず、あの怪人どもは女性に相手させておけばいいだろう。
積極的に戦う様子もないようだし、放っておいても被害は出るまい。

「何処かへ向かっているのか……?
 それともただ、考えなしにうごいているだけか……。」

とりあえず、小百合は一体の怪人に狙いを絞り追跡する。
どこかへ行こうというのなら、途中で合流するはずだ。

もし、何処へも行く気がなければ始末すればよい。

398鎧の怪人:2011/06/16(木) 23:55:14 ID:ste/2NNA0
>>396
「……!」

地下からの水が、怪人を突き飛ばした。
怪人はそのまま壁に打ち付けられる。

「……!……!」

怪人はのたうちまわり、バチバチと鎧の隙間から火花を上げる。
鎧がバラバラに崩れ落ち、怪人本体は火花となって消えてしまった。

>>397
女性から逃げた怪人の一体が突然、曲がり角で立ち止まった。
めらめらと何かが燃える音がする。

「……!」

曲がり角から、一体の怪人が現れた。
全身が真っ赤な炎に覆われ、鱗を持ったゾンビのような姿の怪人。
手には黒焦げの人型が引きずられていた。


「ミギヴィ……ザティ……カ……」

それは呪文のような言葉を発し、黒焦げの人型を投げ捨てる。
人型はバラバラになって崩れ落ちた。

「……!」

鎧の怪人が赤い怪人に掴みかかるが、
赤い怪人はそれを物ともせず、逆に首を掴んで持ち上げた。

「……ジョ……ドレ……!」

もがく鎧の怪人に、赤い怪人の炎が燃え移る。

399???:2011/06/17(金) 00:04:42 ID:gYmxTyUw0
>>398
水に潰される怪人の姿をつまらなそうに見届けた女は、能面の下ですんすんと鼻を鳴らし、

「……こっちか」

逃げた三体のうち、水に潰された個体ではなく、今し方赤い怪人に捕縛された方でもなく、
もう一体、まだ無事でいる方の怪人の気配を辿って女は走り出した。
鎧姿ではないにしろ、巫女装束の女が、能面をつけて走る様というのも奇異の視線の対象らしく、
騒ぎを遠巻きに見ている市民たちの視線が、彼女の姿を追っていく。

400黒沢小百合:2011/06/17(金) 00:08:52 ID:SSMHlh/20
>>398

「…………。」

新たに現れた怪人が、鎧の怪人を焼き殺そうとしているように見える。
怪人のような姿かたちに返信する能力者、とも考えられなくも無いが……。

とにかく、敵を減らしてくれるならそれでよし。
その後、一応追跡すれば怪人か、ただの異能者か分かるだろう。

(やれやれ、一体何が起こっているのか……。)

401鎧の怪人:2011/06/17(金) 00:16:32 ID:ste/2NNA0
>>399
残った一体の怪人は、赤い怪人が出現すると同時に、
赤い怪人に向かって進行方向を変えた。
それだけではなく、鎧の怪人と同じ気配が、
続々と周囲に出現し、赤い怪人に向かっていた。

>>400
燃え上がった鎧の怪人の腹に、
赤い怪人が手を伸ばす。
怪人の腹部にあるのは、共通して同じ形状のベルト。
そのベルトを、赤い怪人は引きちぎった。
同時に鎧の怪人はだらりと力が抜け、鎧がバラバラと崩れ落ちる。
赤い怪人の手の中には、小さな鱗のようなものが残された。

――ガシャガシャガシャッ

赤い怪人の周囲に、鎧の怪人が大量に現れた。
その数六体。外見が同じためわからないが、先ほど逃げた残りの一体も混ざっている。

402黒沢小百合:2011/06/17(金) 00:30:14 ID:SSMHlh/20
>>401

「ふむ……督戦隊のような役目を果たしていたのか?
 どちらにしろ、ヤツは敵として確定したわけだが……。」

先ほど逃げた一体があの中に混じっているという事は、
アレと合流する事が目的だったのだろうか。

「だとするなら、なにかを仕掛けてくる可能性も無きにしも非ず……。
 幸い、敵は固まっているしこの周辺は人も少ない。悪いが一網打尽にさせてもらう。」

小百合は、曲射砲、榴弾砲、果ては中世の臼砲まで、
大砲の類を大量に具現化しそれらを一斉に放った。

凄まじい轟音と共に、孤を描き飛来する砲弾。
折角固まっているのだ、仕留め損ねて逃げられるのはマズイ。

403???:2011/06/17(金) 00:36:45 ID:gYmxTyUw0
>>401
追いかけていた気配が方向転換し、同様の気配が一点に集まる動きを感じた女は、
彼らと同じように、その一点に行き先を変えた。

「……何を目指しているかは知らぬが。集まるというのならば丁度良い」

そうして元々追っていた鎧の怪人の背を見つけた女は、同じ姿形の怪人数体が、燃えさかる赤い怪人を中心に群れているのを見る。
その光景と、赤い怪人が鎧の怪人を「解体」している様を同時に見た女は、鎧の怪人と赤い怪人の間にある図式に、ある程度の予測をたてた。

「こやつら、あの赤いのを捕まえにきたのか?
 ……されど、何れも妖物。討ち滅ぼすのに変わりはない!」

女は刀の峰に指を這わせる。すると、刀が鈍く、紅く輝き始めた。
その刀を最上段に構えた女は、すぅ、と大きく息をし、

「吼えろ、顕明連!」

振り下ろした。
刀が纏っていた紅い輝きが、刀に振り切られるように拡散し、数条の光となって女の近くにいた鎧の怪人三体に飛来する。

404鎧の怪人:2011/06/17(金) 00:44:04 ID:ste/2NNA0
>>403
三体の怪人が背後からの不意打ちになり、
赤い怪人の背後に吹き飛ばされる。

「シャアアァァッ!」

赤い怪人は、女を威嚇する様に牙を剥いた。
その様子は何処か笑っているようにも見えた。

>>402
「……!」

怪人達は突然の砲撃に逃げる暇も無く、直撃した。
爆炎と轟音が広がり、周囲に雨のように粉々になった鎧と剣が降り注ぐ。
剣の数は六本、少なくとも、鎧の怪人は全滅したようだ。

「……トクザ……ジョドゥ……ラジメ……」

しかし、赤い怪人はその場に立っていた。
ダメージはゼロではないようで、ヨロヨロとその場から逃げ出そうとする。

405???:2011/06/17(金) 01:00:17 ID:gYmxTyUw0
>>402,>>404
自分が鎧の怪人を吹き飛ばしたのを見て喜んでいる――ように見える――赤い怪人を、女は鼻で笑った。

「安心せい、貴様を仲間外れにはせぬ。すぐに同じ目に遭わせてやるぞ」

先ほどと同じように刀の峰に指を添えた女だったが、何かの飛来音に気づき、咄嗟に白衣の袖で顔を覆う。
直後、砲弾の雨に打たれ、赤い怪人を残して鎧の怪人が全滅した。

「………………」

未だ炎と煙が立ちこめるその中で、傷ついた様子の赤い怪人が逃げだそうとするのを認めた女は、
刀をアスファルトに突き立て、この界隈の地下に存在する水に向かって、紅い輝きを撃ち込む。
触発された水は苦悶するかのように地面を揺らし、五体の巨大な蛇の姿をとって赤い怪人の前に出現、その顎で怪人を粉砕しにかかった。

406黒沢小百合:2011/06/17(金) 01:01:27 ID:SSMHlh/20
>>404

「……『雉も鳴かずば撃たれまい』とはまさにこの事。
 地下で大人しく眠っていればこんなところで無駄に命を散らす事も無かったろうに。」

爆炎が上がると同時に、心底気持ちがよいとでもいう風ににやりと笑みをこぼすが
土煙の中に蠢く、赤い怪人の姿を見つけると軽く舌を打つ。

(ふむ……ある程度強力な怪人になれば、この程度は。)

とはいえ、足取りから見るにダメージは十分。
砲弾による攻撃で十分にしとめられる。

そう判断した小百合は静かに腕を振り下ろし、第二射、第三射と波状攻撃を仕掛けた。

407鎧の怪人:2011/06/17(金) 01:08:39 ID:ste/2NNA0
>>405
五体の巨大な蛇が、赤い怪人に襲い掛かった。

――ジュウウウゥゥゥッ!

しかし巨大な赤い怪人に触れたとたんに水蒸気になる。
視界は瞬時に真っ白になり、殆ど何も見えない状況になってしまった。

>>406
更にそこに、先ほどよりも強力な砲弾の雨が降り注いだ。
爆炎が周囲を破壊し、瓦礫の山が積み上がる。

煙と水蒸気が晴れたとき、怪人の姿は無かった。
爆死したか、逃げ切ったかは定かではない。

408???:2011/06/17(金) 01:27:34 ID:gYmxTyUw0
>>406-407
自分が召還した蛇が、一瞬のうちに熱い水蒸気に変わって怪人の姿を隠してしまったのを見た女は、忌まわしげに舌打ち。
その後に降ってきた砲弾の雨がそれを吹き飛ばしたが、そこにあの赤い姿は無かった。

「……逃げ果せたな。熱を回復するまえに水で全部流し尽くしてしまうつもりだったが……ふん、予想以上だった、ということか」

女は地面から刀を抜き取ると、砲弾で粉砕された鎧の怪人、その残骸に歩み寄る。
鎧や剣の破片の中に視線を彷徨わせていた女は、目当ての物を見つけ、それを拾い上げた。
赤い怪人が鎧の怪人から抜き取っていた、ベルトに組み込まれた小さな鱗である。

「あやつらの「核」か。なるほど、いかにも妖物の臭いがする。
 それもあの羽毛の怪人……ヤツに似通っているな」

同類か、と呟き、女は刀を引きずりながら同じ鱗を探し続けた。

409黒沢小百合:2011/06/17(金) 01:28:26 ID:SSMHlh/20
>>407

「……ふむ、死んだか……?」

いくつもの爆撃痕が残る地点に降り立った小百合は、
十分に警戒しながら周囲を探索しつつ鎧怪人の装備や、武器を集める。

これらは、千夜のラボや考古学研究所など関係各方面に送られる事になるだろう。
怪人には未だに謎の部分が多い。敵を倒すために、敵を学ぶのだ。

410鎧の怪人:2011/06/17(金) 01:36:32 ID:ste/2NNA0
>>408
鱗は合計7枚落ちていた。
鎧の怪人は赤い怪人にやられたものも含めて合計7体存在した。
おそらく赤い怪人はまだ生きているであろうと思われる。

>>409
各方面に送られた鎧や装備は、おそらく何の変哲もない鎧であるとの研究結果が出るだろう。
しかも、怪人の頑丈さからは想像もつかないほどの安物の鎧であった。

411鎧の怪人:2011/06/17(金) 01:41:51 ID:ste/2NNA0
//七体じゃねーや、謎の女性が倒した一体含めたら八体だわ^q^

412???:2011/06/17(金) 01:56:33 ID:gYmxTyUw0
>>410
砲弾の爆発であちこちに飛散していたが、「臭い」を辿れば、それは女にとって瞭然の話である。
感じられるすべての鱗を集めた女は、手の中にある鱗を数える。

「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むぅ、なな…………七つか。水で潰したのもいたから、八つ。
 これだけの数を用意できるというからには、こやつらは雑魚でしかない、ということだろうが……」

赤い怪人が消えたあたりを睨む。

「あやつはおそらく、特別だな。だからこそ、この数が出張ってきたのだろう。
 あのような姿だ。いずれまた、近いうちに会うに違いない。そのときを命日にしてやる……」

集めた鱗を白衣の袖に入れると、女は静かに歩き始める。
――――手にした刀に、冷めやらぬ殺意を込めて。


その日、都市の陰に潜む怪物や妖怪が相次いで殺害される。その傷は、紛う事なき刀傷であった。

413赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/18(土) 21:25:42 ID:1sJsd2CgO
【異能都市 千夜ビル】

 聳え立つ巨大な城……ではなく超高層ビル群。

“コングロマリット”
  超巨大複合企業『千夜グループ』

 多数の警備員が見回る千夜グループ本社前。
 見たものを威圧する企業の城にカツカツと歩を進める、束ねた長髪を背に垂らした白衣姿の優男。

 ――アカハネ会 会長 赤羽浅井史。

「すみません。こちらの都市警備部門主任の黒沢小百合さんに面会を申し込んだ、赤羽と申します。
 ……さて、どちらに行けばよろしいですかね。広くて迷ってしまいそうですよ」
 受付の女性に、にこやかに話しかける。

 先日、鮫嶋商会海産部門についての怪しい情報があるから話したい、と忙しい黒沢に代わり面会の約束を取り次いでもらったのだが。
 しっかり本人の耳に届いているだろうか。

414名も無き異能都市住民:2011/06/18(土) 21:43:22 ID:SSMHlh/20
>>413

「はい、面会のほう承っております。どうぞこちらへ。」

受付の女性がコンソールで予定を確認すると、
すぐに係りのものが現れ、会長をどこかへと導く。

通されたのは、応接室と刻まれたプレートが掲げられた一室。

穏やかなクリーム色の壁面に、古めかしくも気品ある調度品。
空調も整えられて心地よく、既に飲み物も用意されており
高級ホテルのスイートルームのようであったが肝心の面会相手はまだ到着していない。


――――ガチャッ

「申し訳ありません、少し『問題』が発生しまして。
 時間通りに、お会いできなかった事。お詫びいたします。」

部屋に通され、十分ほどたった頃。
彼女はようやく、姿を現した。

身に纏った黒いスーツは真新しく、今着替えたばかりという感じで、
顔には薄っすらと汗が浮かび、微かに息が上がっている。

先ほどまで、『仕事』をしていたのだろうか。

415赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/18(土) 22:00:42 ID:1sJsd2CgO
>>414

 応接間の内装に感嘆の息を漏らす。
 さすが、超巨大企業というわけか。

「あぁ、どうも。お忙しいところ申し訳ない」
 やや遅れてやってきた黒沢に立って礼をする。
 汗を拭うより先に服を着替えなければならない『仕事』……。
 穏やかな意味で無いことは明白だ。

「大変そうですね。最近この都市を荒らしていると聞く、指名手配者絡みの事件ですか。それとも、また別の?」

416名も無き異能都市住民:2011/06/18(土) 22:13:39 ID:SSMHlh/20
>>415

「いえ、それとは別の物です。
 詳しく申し上げる事は出来ませんが、麻薬関連のね。」

小百合はソファに腰を落とし、ふうとため息をつく。

「さて、今日はどのようのご用件でしょうか?」

小百合には既に彼の目的が半ば分かっている。
本来なら、折を見てこちらから出向くつもりであったが先手を打たれた形だ。

417赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/18(土) 22:38:43 ID:1sJsd2CgO
>>416

「麻薬関連……。奇遇ですね、実はこちらも。ただ、密輸の疑惑がある、程度で確信は無いんですがね」
 言って、資料のまとめられたファイルを差し出す。
 鮫嶋商会において海産部門輸出入係である寺打海産の企業推移と投資額についてまとめられている。

「そこに書いてある通り。2、3年前まで寺打海産は遠洋漁業一本の企業だったんですよ。
 しかし、鮫嶋商会に加入すると同時に今の海運事業を立ち上げたらしいんです。
 私達アカハネ会はどちらかといえば新参の部類でして、丸搬の栗由さんに話を聞くまで知らなかったんですがね」

 赤羽は、この疑惑を持ったのも最初は栗由キイチだったと語る。

「彼の言う疑惑について知るため、色々調べてみたんですが。
 おかしな点、というか気になる点を見つけましてね。
 海運事業を立ち上げた時の投資が、とても未経験の新事業を始めるような額じゃないんですよ」
 ファイルを見れば、鮫嶋商会に加入した翌年。
 寺打海産が海運事業の立ち上げに、自ら投資した額が異常に突出しているのが分かるだろう。
 海運事業が成功しなければ、こんな中小企業は即倒産してもおかしくないほど多額なのだから。

418名も無き異能都市住民:2011/06/18(土) 23:06:48 ID:SSMHlh/20
>>417

「つまりは内部告発、ディープスロートになろうと言う訳ですか。」

確かにこれだけ見ると、寺打海産が非常に怪しく思える。
事業規模に比べ、大きすぎる投資。これもどこかに資金を流したか、
はたまた別方面への資金投資か。

(しかし、これだけではどうにも。
 確たる証拠が無い以上、動く事はできないし……何より。)

丸搬の社長は、この医療部門にも疑念を抱いていた。

――アカハネ会は信用できない、バイオテクノロジー関連の参入を知っていたようだ、と。

「とりあえず、この資料をコピーさせていただいてよろしいですか?
 現状、怪しいというだけで確たる証拠が無い以上我々は動く事ができませんが、
 その密輸とやら、もしかしたら麻薬を運んでいるのかもしれませんから。」

とりあえず、資料のコピーを取る小百合。

丸搬の栗由のみを信用するわけには行かない。
彼も調べれば調べるほど不審な点が浮き上がる商会関係者なのだから。

いよいよ持って、この商会のキナ臭さがましてきた。

419赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/18(土) 23:43:46 ID:1sJsd2CgO
>>418
       “ソレ”
「えぇ、まぁ。内部告発もありますけど……。
 貴女が栗由さんに言ったらしいじゃないですか『なにかあったら連絡しろ』と。
 だから、私は彼の代理も兼ねてここに伺ったつもりです」

 コピーを取る黒沢に淡々と語る赤羽。
 ファイルには写真もある。
 寺打海産と船体に記された輸送船から、数多くのコンテナを降ろす写真。
 別の場所。そのコンテナとよく似たコンテナを丸搬のトラックに移す、別の船。
 それらが数枚、類似するコンテナで分けると、ほとんど二枚で一組み。

 前者のほうの写真には、ほとんどの確率でとある人物が写り込んでいる。
 アゼル連合国大臣、ミハエル・ラングである。

「その写真。よく撮れてるでしょう、私が撮ったんですよ。
 輸入したコンテナの一部を寺打海産は別企業に運ばせて、そこから丸搬に依頼しているようなんで、少し追跡調査してみたんですが……。
 やはり、荷が何かまでは分からず仕舞いでして……申し訳ない」

420名も無き異能都市住民:2011/06/18(土) 23:58:44 ID:SSMHlh/20
>>419

「確かにそれは妙ですね。何故別の企業を一度挟むのか……。
 全て丸搬に任せればいいというのに……。」

輸入している、という事を知られたくないのか?

とにかく、怪しいというだけで確証の無いアカハネ会より、
この寺打海産を洗うほうが手っ取り早いか……。

それに、この大臣。一国の存亡に関わる事を軍でもなく、PMCにでもなく、
まったく戦闘行為に関係ない一商会に丸投げすること事態不自然であるが
鮫嶋商会に一枚、何らかの形で噛んでいると考えれば納得がいく。

とはいえ、たった一人の犯罪者討伐に商会をかませて、
商会は、そしてコイツ何を得るというのか……。

「他に何か、私に知らせることなどはありますか?
 大臣の事、寺打海産の事、丸搬の事、商会全体のこと……なんでもかまいません。
 この積荷の調査程度なら、私たちでも行なえるでしょうし。」

とにかく、きな臭さは増すばかり。

421赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/19(日) 00:27:03 ID:1sJsd2CgO
>>420

 大臣。と聞いて、赤羽は首を傾げるが、特に突っ込むこともなく話を続ける。

「寺打海産が輸入する荷の価格が高い時がありますよね。
 そのタイミングで、間接的に丸搬へ依頼してますから、恐らくここで資金が流出しています。
 大方、“輸入していることを知られたくない荷”の届け元に流れているんでしょう」

 そのサイクルもある程度定期的で、何らかの計画性を感じる。

「寺打海産の社長、寺打吉竹の交友関係に暴力団関係者が居るようで、根が深いとか。
 前総会長の鮫嶋氏も古い付き合いで寺打さんとは大層仲が良かったようで。
 今は現総会長の教育係に選ばれているんですが、なにか吹き込んでいると、もっぱらの噂です」

 交友関係もやはりきな臭い。

「あとは、同じ海産部門の仲違いですかね。部門全体の経営方針の相違で対立してて、ほとんど機能してません。
 その中で寺打海産だけは利益をあげているものだから、なおさらややこしくなってるようです」

422名も無き異能都市住民:2011/06/19(日) 00:47:19 ID:SSMHlh/20
>>421

「ふむ……。現総会長であるエリー・スカーレット氏は
 昨年、その座を引き継いだばかりといいますし、寺打海産の社長が
 何かをやっているのか……とりあえず、現状は黒としか……ね。」

とにかく、千夜の貿易関連企業を使い寺打海産の輸入元を調べる必要があるか。

(麻薬といえば、マフィアやヤクザの資金源としては非常にオーソドックス……。
 彼らがこのバックにいるとして、それがどう一国の国防問題へとつながる……?
 軍事関連企業ならば、うまみもあるだろうが……。)

「寺打海産の利益は、やはり例の海外事業からですか?」

423赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/19(日) 01:11:08 ID:1sJsd2CgO
>>422

「常に遠洋漁業の収入が輸入の出資に持ってかれてますから、実質海外からの輸出入が利益のほとんどを占めているようです。
 輸出入の内訳はファイルにあるように海産物やその加工品、缶詰などの食肉加工品と、稀に機械部品等……。
 ただ、その全てがコンテナである以上、中身がそれだけとは限らないわけで……」

 そのような事態が無いように関税員が検査するのだが……。
 もし、関税員の一部に寺打海産の息がかかっているとしたら、どうだろう。
 ……一度疑いだすとキリがない。

「もはや、遠洋漁業で実績をあげていた面影は見えませんね。市場にも滅多に顔を出さなくなったとか聞きますし……」

424名も無き異能都市住民:2011/06/19(日) 01:16:53 ID:SSMHlh/20
>>423

「完全に輸入業へシフトしたのか……。
 とにかく、我々で集中的に調査を行なってみましょう。
 さすがに怪しい点がありすぎますから……。」

とにかく、まずは情報が必要だ。
人から聞くだけではなく、実際に人を遣って詳しく調査する必要が出てきた。

「それら以外に、私に知らせておくべきことは?
 どのような些細なことでも良いですから。」

425赤羽浅井史/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/19(日) 01:47:19 ID:1sJsd2CgO
>>424

「他には……あ、すいません」
 突如、赤羽の携帯が震え出す。
 メールのようで、しばらく目を通してからメモを取る。

「……輸入に多額の出資が確認されたようです。
 近々、また“知られたくない荷”が届くかもしれません、場所と到着予定日時はこのメモに」

 メモ書きを渡して、赤羽は立ち上がる。

「荷の件、よろしくお願いします。こちらはようやく資金の流れが掴めそうなので、なにか解ったらご連絡します。
 では、このあたりでお暇させていただきます」
 深々と礼をし、退出していく赤羽。

426名も無き異能都市住民:2011/06/19(日) 01:51:40 ID:SSMHlh/20
>>425

「ええ、こちらこそご協力ありがとうございます。
 一応、私の部下にお送りさせますよ。」

立ち去っていく赤羽を身ながら、今日得た情報をメモに書き込んでいく小百合。

(知られたくない荷の到着か……。
 おあつらえ向きの状況だが果てさてどう動きますかね……。)

427イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/22(水) 01:55:32 ID:1sJsd2CgO
【異能都市外沿岸部 港】

 海外と繋がる窓口の一つ。
 港には数多くのコンテナを積んだ船舶が停泊している。
 船体には寺打海産の文字。
 岸には船員が数名と税関員が一人、なにやら話し込んでいるらしい。
 赤羽浅井史の情報によれば、この船に例の“知られたくない荷”が積んであるというが……。


「いつもいつも早くからご苦労さまだな」
「お互い様だ。手当てが付くとは言え、この遠路じゃあ気が休まらないだろ」
 船員と話しながら税関員が荷の積載状況を確認する。
 コンテナの通し番号をサッと見て、紙面にチェックするだけ。
 至って簡単だ。もう、見るふりも慣れた。

「まぁ、荷が荷だしな。いつまで経っても慣れないよ」
 船員はコンテナの山を見て苦く笑う。
「俺はもう慣れたね。寺打氏曰く、保安庁は海賊じゃあない。ってな」
 一方で記入を終えた税関員は、芝居かかった口調で茶化した。

「そりゃ、オメェは社長と同じで船に乗ってないからだ。恐いもんは恐い」
「ご苦労。一時休憩だ」
 話し込む二人に割って入る姿。
 ――アゼル連合国大臣、ミハエル・ラング。

 そして彼の後ろに、もう一人。
 ――寺打海産社長、寺打吉竹。

 寺打は税関員に目をやり、船員の耳元で声を低くして唸る。
「……無駄な話はするな」
「……わ、かりました」
 一瞬、縮み上がった船員から離れ、税関員に近付いて。

「チェックは?」
「済みました」
 寺打は税関員からリストを受け取って確認をし、ミハエルに手渡した。

428名も無き異能都市住民:2011/06/22(水) 19:13:17 ID:SSMHlh/20
>>427

港で働く労働者の中に混じり、
それとなく寺打海産の積荷へと近づく者がいくつかあった。

ある者は、船の乗組員として、ある者は商社の社員や税関の職員として。
積荷を探すフリをしながら、コンテナの影伝いに寺打海産の積荷に接近、
もしくは船舶の中に潜入しようとしている。

彼らの目的は、ミハエル・ラング、そして寺打海産が
なんらかの悪事に関わっているという証拠だ。

429イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/22(水) 20:41:07 ID:1sJsd2CgO
>>428

 寺打海産のコンテナ積載船は荷を移す国内輸送船を待っているようだ。
 コンテナの大半はまだ船舶上に載っている。
 よって、調査には船舶に潜入する必要があったが、特に支障無く乗り込めた。

 寺打海産の船員が数名うろつく船舶上で山のように積み上がるコンテナはそれぞれ、通し番号が大きく記されている。
 施錠されたコンテナの扉には輸入元と荷物の情報が記載されたボードが掲げられている。
 輸入元はアゼル連合国の各小国名義、コンテナ内は魚介類の冷凍庫となっているようだ。
 連合国の名を明示してはいないが、このコンテナ群は間違いなくアゼル連合国からの荷である。

 ……どのコンテナも施錠されているなか、一つだけ施錠されていないコンテナがあった。


 一方で船舶内部は船員の姿はほとんどない。
 操舵室に船長らしき人物が椅子に腰掛けて眠っているくらいだ。長旅で疲れたのだろう。
 航海記録によると各地で積み荷を調達しながら、まとめて持ってきているらしい。
 船内の部屋は乗組員の休憩室、簡素な食堂などに仕切られている。

 ……なぜか乗組員の数に比べ部屋が余分にある。
 更に奥に進むと、突き当たりに倉庫らしき部屋の扉があった。

430名も無き異能都市住民:2011/06/22(水) 21:03:32 ID:SSMHlh/20
>>429

港湾の倉庫街の一角、本来使われていないはずの倉庫に、
軍用の作戦式車輌が停車していた。

その中で式を執るのは黒沢小百合その人であった。

彼女は、己の能力『スタンド』で具現化した兵士を変装させ、
斥候としてここから送り出していたのだ。

「………………。」

小百合は、部屋の多さを別段怪しいとは感じなかった。
たしかに貨物船にしては少し多いが、乗り組み員の数は航海ごとに多少増減する。
今回は乗組員が少ないのだろう、と小百合は判断した。

とりあえず、手当たり次第に船内やコンテナの中を探す。

431/イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/22(水) 21:41:25 ID:1sJsd2CgO
>>430

 コンテナの中身は海産物。
 冷凍・保冷機能が搭載されていて、新鮮なまま冷凍された魚が詰められた箱が積んである。

 ――だが、箱の中にある冷凍魚はデコイ。本当の輸入品はその中に隠されている。

 冷凍魚を覆う氷の下、白い固形物が入った複層のカプセルが埋もれている。
 十中八九、それらは圧縮成型された麻薬だろう。
 そしてカプセルは、コンテナ内の全ての箱の中に同じように隠されている。

 一つの箱に手のひら大の固形物を包んだカプセルが複数個。
 このコンテナだけで箱は500個以上、その全てに袋が忍ばせてあるとすれば……数十、いや数百㎏はあるだろうか。

 もし、この船に積載されているコンテナ、その全てに同じように隠されているとすれば、数十トンはくだらないはずだ。
 果たして、見つけられるか。



 一方、船内をくまなく捜索しているなかで倉庫の部屋に手をかけた時……

 わずかに、金属の擦れる音がした。

 ――直後、倉庫から武装した人間が銃声と共に出てきた。
 彼等は瞬く間に散開すると、船内を捜索していた小百合の作り出した斥候に攻撃を開始した。

 それによって、外の船員達がにわかに騒がしくなった。

432名も無き異能都市住民:2011/06/22(水) 21:57:20 ID:SSMHlh/20
>>431

コンテナ全てを見張る、ということはいくらなんでも不可能。
必ず、どこかに監視の目の届かない場所が生じる。

小百合の具現化した斥候は、物陰から隙をうかがい、
そういった、死角にあたるコンテナを1つ、2つと捜索し続ける。
さすがに一箇所に長く留まる事はできないが、この調子で探し続けていれば
なんらかの妨害が無い限り、すぐに麻薬を発見するはずだ。

「……見つかったか、まあいい。
 船内の捜索は一度打ち切るとしよう……。」

一方、船内の斥候が発見された事を感じ取った小百合は、
すぐに、その斥候を消し去ってしまった。

――小百合の能力は、戦闘以外にも情報収集において絶大な力を発揮する。

いつでも、好きなように人員を投入できるというだけでなく、密かに調べねばならない場合
好きなように人員を消し去ることも容易な彼女の能力は今回のように、
例え見つかったとて『証拠』を残さないのだ。

武装した人間たちの目から見れば、一瞬で目の前にいた人間が消え去ったように見えるはず。

433イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/22(水) 22:49:54 ID:1sJsd2CgO
>>432

 目の前の斥候が消え去った。
 顔を隠し完全武装した人間、兵士達は互いに顔を見合わせ、数班に分かれてデッキに出ていく。

 ……コンテナの近くが徐々に騒がしくなってくる。
 潜入されたことが伝わり始めたようだ。
 とはいえ、まだ見つかってはいない。このまま探索すれば見付けるだろう。


 船外、
 リストの確認をしていたミハエルは兵士からの通信を受けて、船舶に戻っていく。

「どうした、ミハエル」
「ネズミが出たらしいからな、少し様子見を。外来種を入れるのは良くないらしいじゃないか」
 寺打が騒ぎに気が付くのは、少し後になってからだった。

434名も無き異能都市住民:2011/06/22(水) 23:03:03 ID:SSMHlh/20
>>433

「ふふふ……見つけたぞ、寺打海産……!
 いかんなあ、『こんなもの』を隠していては……!!
 くふっ……く、ひひ……!」

遠く離れた作戦指揮車輌の中で、小百合の口元が釣りあがる。
そう、ついに斥候の一人が冷凍魚の下に隠されていた『麻薬』のパッケージを見つけたのだ。

証拠として、特殊な小型カメラで大量の麻薬が隠されている様子を撮影。
そのまま、カプセルを一つ懐に入れさせ斥候をその場から離脱させる。

「よし、我々も動くぞ。警官隊に協力要請を行い、
 寺打海産の本社ビルに捜査官を派遣しろ。この港湾の封鎖も急げ。
 ヤツらを一網打尽にする……。」

一気に、小百合は攻勢をかける。
状況はここに来て急速に動き始めた。

435イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/22(水) 23:28:20 ID:1sJsd2CgO
>>434

 離脱する斥候にミハエルの兵士が数名、追撃してきた。

「……、……」
 ――ダダダダダダダダッ!!!!!
 斥候に一斉にカービン銃を向け、躊躇なく撃ち放つ。
 データ転送の出来る写真とは違い、現物のカプセルは持ち出さなければならない。
 ……いや、それも制圧してしまえば一緒か。


 一方寺打は、騒ぎに気が付き自家用車に一目散に向かう。

 車の前には人がいた。
 白衣を身に纏った隻眼の男、都市から失踪したはずのアオギリ。

「なんだ、お前か。Dr.サイクロプス……驚かせるなよ」
 寺打は視線の先、アオギリを見て。安堵したように話しかけた。

436名も無き異能都市住民:2011/06/22(水) 23:42:44 ID:SSMHlh/20
>>435

「ふむ……なかなかに展開は速いか……。
 万全を期すためにも、確固たる証拠を手に入れてから突入したかったが仕方ない……。」

――ガオン!

獣が低く唸るような音と共に、指揮車のエンジンが駆動を始める。
同時に、寺打海産の船舶、コンテナを取り囲むように兵力を展開。
圧倒的物量で、一気に制圧を図る。

「寺打吉竹とミハエル・ラング、両名を必ず逮捕せよ。
 同時に、証拠となる密輸麻薬を確保するのだ。」

制圧用の催涙弾が四方から撃ち込まれ、一気に視界が悪化する。
この猛烈なガスの中、自家用車にたどり着くのは難しいだろう。

たとえ、自家用車にたどり着いてこの場から逃げようにも既に四方に
封鎖線が張られているため、脱出できるかは疑問であるが。

437イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/23(木) 00:06:23 ID:1sJsd2CgO
>>436

「くそッ! 催涙弾か。Dr.サイクロプス! 車を出してくれ、早くしないと捕まる――」
「車の鍵なら閉じ込んだぞ、差しっぱなしで離れるもんじゃねぇなぁ?」
 アオギリの言葉に、催涙ガスに噎せることも忘れて茫然となる寺打。
 瞬間、寺打は激昂し、催涙ガスで歪んだ視界の向こうにアオギリを睨み――
 銃声が鳴り響いて、辺りは白煙に包まれた。


 船舶及びコンテナを囲む部隊に応戦する数人の兵士。
 ガスマスクにより、催涙ガスは効かないものの圧倒的物量に押されていく。

 その中で、奇怪な現象――小百合には既知の現象が起こる。

 銃声と共に複数の雷球が催涙ガスの中から浮かび上がり、放電しながら周囲に攻撃を仕掛け始めた。
 それはまさしく、ロージェンスの扱う魔弾だった。

438名も無き異能都市住民:2011/06/23(木) 00:28:24 ID:SSMHlh/20
>>437

「ロージェンス……ッ!?
 まさか、ヤツがここにいるというのか……!」

小百合の心に、恐れと、焦りと、そして憤怒の入り混じった感情が渦巻き、
それが、現場へと向かう指揮車輌の速度を鈍らせる。

ロージェンスと小百合は、相性があまりよくない。
攻撃では圧倒できても、あの水流で本体を狙われればしのぎきるのは難しいからだ。

「……まさかロージェンスそのものに繋がっているとはな……!
 とんだトロイの木馬だ。これまでは読めなかったよ……!!」

車体の壁面に、拳を叩きつける小百合。
ここまでくれば、もうやるしかない。

今までは流れ弾で確保対象に被害が及ぶ事を恐れ、
非殺傷兵器主体の攻撃を行なっていたが、殺傷力のある実弾に使用武器を切り替え
雷球の発生源と思われる箇所に攻撃を仕掛ける。

439イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/23(木) 00:49:27 ID:1sJsd2CgO
>>438

 雷球は周囲を焼き、放電で銃弾をいくつか蒸発させていく。
 激しい銃撃戦、実弾と魔弾の入り交じる白煙の中の攻防。

 やがて“供給源”を失った雷球が消失。
 魔弾による抗戦が絶え、催涙ガスも薄れてくる。

 だが、そこには、ガスマスクで顔を隠し武装した兵士の死体が10体ほど転がっているだけだった。
 そのうち3体はガスマスクが外れて、素顔が――ロージェンスの顔が3つ、死相を浮かべて横たわっていた。

 他の7つの死体。
 いや、ここにある女性兵士の死体、その全てが。
 ロージェンス・カプル・ニブラス、その死体である。



 一方、寺打の自家用車付近には二人の男が倒れていた。
 現在、行方不明とされているアオギリと、流れ弾に当たって虫の息になっている寺打だ。

 寺打の手には拳銃が握られており、それはアオギリの頭蓋を粉砕した弾丸の旋条痕と合致するだろう。


 あとはミハエル・ラングだけだが……。

440名も無き異能都市住民:2011/06/23(木) 00:58:13 ID:SSMHlh/20
>>439

『対象を制圧、掃討作戦に入ります。』
『敵を射殺。周囲の安全を確保しろ!』

魔弾が途絶えると同時に、兵士たちが先を争って突入。
視界を共有している小百合は、ロージェンスの死体を確認する。

「これは……いや、今は制圧を優先させる……!」

小百合は一瞬その光景に戸惑ったが、
すぐに兵士を前進させ、寺打らを確保させる。

すぐに応急処置を施すが、寺打が助かる見込みは無いだろう。
同時に、ミハエルの身柄を捜索するが……。

441イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/23(木) 01:18:03 ID:1sJsd2CgO
>>440

 ――Clear!...Clear,Clear!

 後の制圧はスムーズだった。
 非武装の乗組員に抵抗する術は無く、銃を突き付けられればたちまち降参していく。
 時間にして一分足らず。
 制圧はあっという間に完了した。


 ミハエル・ラングは船内で見付かった。
 操舵室の椅子に座って眠るように死んでいたのを発見されたのだ。
 遺体に外傷はなく、争った形跡も見られない。
 すでに死後硬直が始まっており、船が港に到着する前には息絶えていたと思われる。

442名も無き異能都市住民:2011/06/23(木) 01:31:21 ID:SSMHlh/20
>>441

「服毒自殺か……?
 いや、それにしては……。」

とりあえず、すぐに死体を回収。
同様に押収した麻薬類やロージェンスの顔をした死体と共に、
千夜のラボへと搬送する。

「寺打海産だけではこんな事ができるはずが無い……。
 やはり、商会全体が……?」

小百合は、あまりにもとっぴなこの状況に少し混乱しつつも、
少しずつ、少しずつ、考えをまとめていく。

(ミハエル・ラングも死んだ……後に残るのは、
 消去法で商会のみだが……メリットは一体?
 それにこの、ロージェンスの死体は……。)

// そろそろ〆かな?

443イベントGM ◆ZwSFISyT06:2011/06/23(木) 01:53:42 ID:1sJsd2CgO
>>442

 押収した麻薬を証拠に、寺打海産及び鮫嶋商会は徹底的に調べられた。
 アゼル連合国が主犯格に上ると、国際警察が捜査を引き継いだ。


 一方で、千夜のラボに持ち込んだロージェンスの顔をした死体。
 検査の結果、その10体全てが同じ遺伝子を持った人間であることが分かり、かつ遺伝子操作の痕跡も見付かったという。
 ただ、それがクローンなのか人造人間なのかは、判然としなかった。

//〆ですね。乙ありでした

444サラ:2011/07/04(月) 22:02:06 ID:bYREkklM0
//日常α675、ジンへ
//日を跨ぐため今更ですがこちらへ移動しました

「全くだね。……同情はするけど、賞金かけられるような奴は、
 大抵がコテンパンにされても文句が言えない奴ばっかりさ」

その辺りは、サラもドライだ。
やられた側を気の毒には思うが、やる側に異を唱える気は全くない。
悪党をやっつけて駄賃を貰う商売は、サラも経験がない訳ではないのだ。
賞金稼ぎに比べれば、サラがやったタカリなどはイタズラの内にも入らないだろう。
第一、彼女には読心術に近い能力がある。ジョーカーを引くことは万に一つもありえない。

「……そうだ、あの事件。誰かと話したかったんだ」

それまで眉を下げて笑みを浮かべていたサラだが、
例のオイルプラント騒動の件に話が及ぶと、目を瞑ってゆるゆると頭を振った。
酔いを追い出そうとしているのだろう。再び開かれた青い目には知性の光が戻っている。

「あたしはまぁ、お茶の間に顔知られないほうが都合いいんだけどね……。
 ……ただ、意図した偏向報道なら、必ず何らかの利害が動いてる。
 特に今回の事件は、都市の生命線を握ってどうこうするのが目的だったとは考え辛い。
 何らかの思想を後ろ盾にしたテロじゃない。似たような事件も以前あったらしいし……」

サラが言う以前の事件とは、4月3日の暴動のことだ。
これは後に関係者筋の間では共有される情報だが、
サラもどこからか、自分が都市を訪れる前の都市の暴動と、
それと今回のオイルプラント占拠事件の類似性に関する情報を仕入れていた。

445ジン:2011/07/11(月) 21:12:27 ID:h7GhYu/20
//把握しました!ありがとう
//亀レスなばっかりにご迷惑をかけて申し訳ない('A`)


>>444
キツく縛られた賞金首の背中を足先で小突きながら、頭を揺らしている様子をみつめる。
「お!酔いは抜けてきたか?
 さっきまではやったらヘラヘラしてたからよ…………顔を合わせても誰だかわからなかったぜ」

いつもの調子を取り戻し始めたサラの話を聞く。
先程までは自身が口にしたようなヘラヘラとした態度を取っていた男だったが
表情は段々と真剣なものに変っていった。

「……小難しい話はあんまりよくわかんねーからよ もうちょい掻い摘んで話してくれねぇかな?
 あ……やっぱりいい!やめて! もしシュウに聞かれたらまたどやされるからなァ…………
 ………………あぁっと……つまり『本気じゃなかった』って事か?
 ん!?"以前にもあった"?」

もちろん、一賞金稼ぎにすぎないジンは過去に起きた暴動の情報など持ち合わせていない。
こういった事件の考察にしてもあまり熱心な方ではなく、サラの的確な分析の内容も初めて聞く位だ。


「顔が知られない方がいいって?なんか不都合でも……ああそうか」
倒れた男の方に一瞥をくれる。
「そこのデカブツみたいなのに知れたら面倒だもんな。
 そういえばシュウの野郎……今朝からどこほっつきあるいてんだ?皿洗い逃げやがったなクソォ…………」

446サラ:2011/07/11(月) 23:19:53 ID:bYREkklM0
//お気になさらず!
//私も時間かけっぱなしですウフフ

>>445
「……つまり、後ろで糸引いてる黒幕がいるんじゃないかなって。
 以前の事件ってのは4月3日の暴動。ニュースにもなってるし調べりゃ出てくるはず。
 で、この事件は両方とも、実行グループは身元に共通性のない一般人ばかり。
 しかも全員ラリってて、死体から薬物が見つかってる。洗脳されてたんだろうね」

ジンが真面目な顔になったのに合わせて、サラは顔を綻ばせる。
それは女性らしい微笑みではなく、自信と好奇に満ちた少年的な笑顔だ。

「まぁ、信頼出来る奴に聞いた話じゃないし、どこまでホントか怪しいけどね。
 でもいくつかの事実が報道されてないのはホント。誰かが隠してる。
 HES社、観測局、マスコミ、情報はどこで止まってるのか……」

サラは、まだ地面に倒れている色黒の男の足元の地面から、
ラムネの瓶に入っているような、同じ大きさのビー玉を取り上げた。
それを、右の掌の上に載せ、小さく揺すって言う。

「どっちにしろ、あたしたちは、まだ誰かの掌の上にいるはず。
 ……あんたの相方も勘が鋭そうだったから、同じこと調べてたりして」

447ジン / シュウ:2011/07/13(水) 00:29:03 ID:rMhIcMso0
>>446
「…………まるで見透かされていたようだ 大した推察力だな」

現状をビー玉に例えた説明をしていた二人の後方。
灯りのない路地の暗がりから男の声が聞こえる。

「兄ィも彼女ぐらい察しが良いと助かるんだが……」
「あぁ!シュウッ! テメー今までドコであぶらうってやがったコラァッ!!」

物陰から何処からともなく現れた声の主は、行動を共にしていたもう一人の男だった。
シュウの姿を認めるなり、ジンは先程サラに向けたような怒りの形相で駆け寄る。

「あ、兄貴ッ! 書置きしてっただろッ!? 調べ物が……」
「ンなもん残したからって飯屋のバイトをサボっていい事にはならねぇだろぉがよォオオ!」
首に腕を回され髪の毛をくしゃくしゃにされている。
声色こそ怒っているが、端からはじゃれているようにしか見えないだろう。

振りほどこうとロックされた腕を掴んで抵抗するシュウの手から、一冊のファイルブックが落ちる。
開かれたその中にはプリントアウトされた新聞記事の切抜きが丁寧にまとめられていた。
記事の内容"2つの襲撃事件"の物であったり、HES社に関しての記述等もあった。


「……公共の情報端末から可能な限りの情報を集め
 例のプラントの仕事を紹介してきた情報屋からも話を聞き出した…が、恐らくそれが全部じゃないだろう」

拘束されながらも突然真面目な話をし始めたからか、ジンは唖然として腕の力を緩ませた。

「分かった事と言えば……先程アナタが言っていたように連中は身分も戸籍もバラバラの集団だった事
 中には暴動という言葉とは程遠い人間もいたそうだ…………一部のニュースサイトじゃカルト的思想を唱える奴もいたな
 そしてグループの中には異能者も複数人いる……それはもう知っていると思う
 次に全員が強い興奮剤のような物を服用していた事
 最後に制圧部隊を送り出したHES社の評判はあまり良いとは言えない事
 …………だが今現在のニュースなら少しは印象が変るだろうな。」

片や掻き集めた情報とその解明に頭を捻り、片やペラペラと喋り出した相方の言葉に首を傾げている。

「2つの事件制圧に立ち会った他の異能者達からも話を聞ければ もっと詳しい事がわかるかも知れないが…………
 そういえば アンタは所謂『魔法使い』と呼ばれている者か?
 この前はアンタの不思議な力の世話になったな。礼を言うよ。」

448サラ:2011/07/13(水) 01:32:47 ID:bYREkklM0
>>447
「……ふふっ」

和気藹々といった様子の二人に、サラは微笑む。
今度の表情は、楽しいもの、可愛いものを見て笑う、年相応の女の子の顔だ。
サラはファイルブックのページに視線を向けながら、
語られる内容に耳を傾け、相槌も打たず黙って聞いている。
シュウが一通り喋り終えたところでやっと、サラはやっと口を開く。

「どうやら、掴んだ情報は同じところまでらしいね。……HES社、か」

ぽーん、と、手にしたビー玉を放り上げる。
一瞬きらりと光ったそのビー玉は、真綿にマッチを近付けたように燃え上がる。
微かな炎を纏って落ちてきたビー玉は、サラがピンと立てた人差し指の先で、空中に静止した。
水を湛えたような姿のビー玉を、炎が包み込んで揺らいでいる。

「いかにも、あたしは魔法使い。と言っても半人前のヒヨッコだけどね。
 あの状況の突破口を開いたのはそっちの兄ちゃんだよ。こちらこそ、ありがとう」

そう言って、やや取り残された表情になっているであろうジンに視線を向ける。

「あたしは魔法よりも、あんたらが使った力の方が不思議。
 どんなに目を凝らしても、何をどうして攻撃してるのか分からなかったよ」

サラはそう言って小首を傾げてみせるが、実は丸きり分かっていないでもない。
謎の影を前にしたときのジンの能力は、念動力のように無色透明ではなく、
質感や質量を備えた、確かな形を持つ何かであると言動や雰囲気から感じていた。
が、シュウの方はサッパリだ。何らかの方法で遠くの敵を攻撃できる、という段階までの認識。
サラが二人に注目し出したのは、その見張りの兵士が倒れ伏した瞬間からなのだから当然だ。

449ジン / シュウ:2011/07/14(木) 05:03:40 ID:DOElDTKU0
>>448
あっなにテメー笑ってんだッ!とジンが照れくさそうに声を上げる。
そして放り投げられた物に視線を向けた矢先、発火するビー玉が落ちて止まった。
二人は何が起きたのかわからず、今の見たか?と顔を見合わせていた。


サラの言葉に二人は再び顔を見合わせる。

「? 俺? 不思議? …なんのこっちゃ?」
「…………そういう事か そういえば部隊の人間にも他の連中にも能力の事を明かしてなかったな
 何度も言ってるだろ兄ぃ…『スタンド』は『スタンド使い』にか目視できねぇのさ」
「あぁ?ああ…スタンドって"アレ"の事か」

話していた二人は何かの動きを目で追うようにして、ゆっくりと倒れた黒い男の方に視線を移す。
すると突然、大男の半身が持ち上げられだらんと腕と頭部がもたれる。
衣服の両肩付近には"手形"のような物がくっきりと浮かび上がっていた。

「俺よォ あんまりコレの事がよくわかってねーのよ………こんな力があるなんて知ったのつい最近だしよ
 シュウ、おまえ説明してやってくんない?」

「これは『スタンド』 "防衛本能"や"強い意志"から発現する異能だ
 念動力、超能力、霊能力、そういった異能の力と似たエネルギーをこいつは持っている
 精神のエネルギーとして形作られた実体を持ってはいるが…………
 普通の人間からは見ることも触れることもできないし、姿形もこの世の物とは思えないものばかり
 そんな"孤立(スタンドアローン)"した存在からそう呼ばれている…というのが俺の知る限りの情報だ
 ……アンタにも何かをきっかけに目覚める事があるかもしれないな」

450サラ:2011/07/23(土) 21:27:54 ID:bYREkklM0
>>449
話を聞きながらサラはビー玉の火を消し、ポケットに仕舞い込む。
何かを追う二人の視線に、サラも追従した。
そして、抱えあげられるように持ち上がった男の身体と、肩に浮かぶ手形……。

「……なるほどね。見えないけど、確かに"ある"のが分かる」

サラは自分の身体を庇うように腕を組む。
実体を持っているという説明からして、二人にはハッキリと見えているのだろう。
音も匂いも質量もない透明人間がそこにいる……。
そんなイメージがサラの脳裏に浮かんだ。

「……普通の人間"からは"触れないってことは、
 そちら側からなら、すり抜けるも触るも自由ってわけだ」

擬似的な質量を持っているのに、干渉は向こうからの一方通行。
それは脅威の一言に尽きる。透過と接触の対象を選別できるならば、
その攻撃には、どんなに頑強な防御も装甲も、意味を成さないことになる。
……この点に関してはサラ自身の念動力も似たようなものなのだが。

「……精神の実体化、か。世の魔術師が嫉妬で憤死するよ」

眉間に皺を寄せて説明を聞いていたサラだったが、
そこまで言うと、やれやれ、とサラは両手を広げて肩をすくめた。

「意志が力として発現できるなら、ホントは魔法なんて要らないんだ。
 逆にいえば、あたしみたいな輩がその能力に目覚めることはないだろね。
 その"孤立"へのアプローチ、……ずっと遠回りな道を、選んだ後だから。
 けど、いいこと教えてもらったよ。久しぶりに人間の限界の先を見た気分だ」

451ジン / シュウ:2011/08/07(日) 01:54:22 ID:uMOJ9mFc0
>>450
「……ほえー お前も今さっき似たようなおったまげる事やってのけたのに"コレ"は見えないってか?
 どうなってんだシュウ?目が悪いと見えねぇのか?……もしかして俺達だけなんかのビョーキだったり?」
「俺が知るわけ無いだろ」
やはりサラには見えていないという事を再確認する。
浮かび上がった手形はふっと消え、気絶していた男は力なく倒れ込んだ。

「ああそうだ 俺の場合、障害物があろうと百メートル程度は何処までも直進できる
 ただし"すり抜ける物の向こう側"が目視できなければ思うように能力は使えない」
「もし途中で見えなくなったらどうすんだ?」
「…………能力を自分へ戻す他ないな
 だから身を隠せるほどの大きな防具を持つ相手や、視界を遮断する防壁などには少々苦労する」
「しゃらくせぇぇぇよォォォ んな物ブッ壊しゃぁいい話だろ?」

同じタイプの能力を持つ物同士だと言うのに、理解や見識の程は違うようだ。
凡そ敵の位置を予測し透過して攻撃を仕掛ける事も可能だろうが、致命傷を与える事はできないだろう。


「思うんだけどよぉ……俺らにしか見えないコレと魔法とどう違うんだ?
 フツーの人には使えない力って言うならどっちも同じじゃないか?」
眉を顰めているジンが、誰に言うでもなくそっぽを向いて話している。

「……厳密に言えば違うのだろう 魔法使いの彼女が言うのだからそうに違いない
 魔法は古来より伝わる英知の一つだと聞く。人から人へ伝え授かり 受け継いで行くことができるものだ
 だが俺達のは違う…………例え強い精神力を持っているからといって全員が例外なく使えるわけじゃない」

もちろん、彼の知っている魔法はサラのそれとは大きく違うかもしれない。
ただ『スタンド』の本質とはかけ離れている事に変りはないだろう。


「……失礼。そういえば顔を合わせるのはこれで二度目だというのに まだ名乗ってもいなかったな
 俺の名はシュウ あっちはジンの兄貴 修行を理由にあちこち旅をして回っている者だ」

自分達の紹介を終えると、シュウは胸の前で合掌しお辞儀をする。

452サラ:2011/08/10(水) 20:43:20 ID:mRdm0I4U0
>>451
目の前で男が再び静かに横たわった。
動静の際立った二人の物言いに頷きながら、サラは頭の中で考えを巡らせる。
直進、向こう側、途中……。
そういった言葉は、能力の基点が自分自身であることを示している。
それらの説明は、サラが何となく感じ取れる雰囲気とも矛盾しないものだった。
それでも影も形も見えない以上、確かなイメージを掴むことはできない。

「……魔法は隠されてるから見えないだけだよ。
 今そっちの彼が言ってくれた通り、魔法は膨大な蓄積を持つ知識の総体。
 とりわけ、魔術の根源にあるのは一本の枝と一個の石。……即ち、梃子の原理」

サラはそう言うと両手の人差指でT字を作り、
それを動かして小さなシーソーのジェスチャーをしてみせた。

「意志が力になるなら魔法は要らない、ってのはそういうことさ」

そう言って、サラは得意気に笑う。
充分な筋力が元よりあれば、梃子の原理も持ち上げるだけの道具も必要ない。
それが精神、意志の力でこなせるならばなおのことだ。

「こちらこそ名乗るのが遅れちゃったね。あたしはサラ。
 ……見聞を広めるとは建前で、気ままに観光旅行中の身ですわ」

シュウの名乗りを受けてサラはおどけたように、
長いスカートを軽くつまんで、膝を軽く折って会釈をした。
と、丁度そこへ、放置されていた色黒の男がもぞもぞと動いて呻き声を上げた。
サラも優雅な笑みが一転、わざとらしく慌てた表情になる。

「あらら、気付けばだいぶ話してたみたいだ。悪いねお二人さん。
 ……その黒いのに余計なこと教えちゃ駄目だよ。それじゃ、またね」

サラはそう言って踵を返すと後ろ手にヒラヒラと手を振って、
ごく普通のゆったりとした足取りで表通りへ向けて歩き始めた。

453ジン / シュウ:2011/08/12(金) 00:37:31 ID:rMhIcMso0
>>452
能力を戻す、等とも述べたようにサラの考察は正解に近い。
問題の部分は"それらのルールから逸れた例外も存在する"という点だが
この場では関係のない事だろう。

「…………なるほどな
 異能者と一括りにされればそれまでだが……その力の本質も道程も大きく違う訳か
 良い話を聞いたよ 感謝する」
「隠されて見えない?……ああ……梃子……」

腰に手を当てながら真剣に話に耳を傾け、頷くシュウ。
ジンの方はと言うと、梃子のジェスチャーを目で追うばかりで
とても説明を理解できたような面持ちには見えない。


「ああ、よろしく お互い似たような訳合でこの都市に来たみたいだな」
「おう!よろしくなッ! また縁があれば会おうぜ」

異なる習しの挨拶を交わし、笑みを浮かべサラを見送る二人組。
手を振り返している間にも後ろから聞こえてくる苦しげな声の方へと振り返り

「よう、デッカイあんちゃん アンタ大丈夫かい?医者呼ぶか?
 ん?女? あぁ、それならオレとコイツが来る前にあっちに走ってったぞ」
「そこに倒れてる男は気にしないでくれ……連れなんだがちょっと"ヤキ"が回ってな」

そう言ってジンは表通りとは反対の方向を指差し、シュウは縛られた賞金首を肩に担ぎ上げる。
言伝はきっちりと守られたようだ。

454ルース&モロク:2011/08/28(日) 21:32:58 ID:3EaBc40s0
人通りの多い、ビジネス街の横の交差点。
真新しいリクルートスーツを身に纏った若い男が歩いていた。

――シュッ

上空から黒い線が男に向かって走った。
男はその瞬間、糸が切れたように動かなくなり、道の真中に倒れ付した。
コンクリートの道にも関わらず、男の傍らには黒い羽が突き刺さっていた。
倒れたスーツの男に、群がる通行人の中の一人が、黒い羽を見つけて空を見上げる。

「あれ……なんだよ?」
「か、怪人!」

空を見上げると、黒い身体に赤と白の模様を持った鳥のような怪人が、背中から生えた翼で宙に浮いていた。

【ツバメ系怪人 スケイルルース】

ルースは同じ黒い羽を構え、先ほどと同じように群がっている通行人に向かって、次々と投げた。
通行人達は羽に体を貫かれ、約十人程度がその場に倒れる。

「うわあああーっ!」

運よく羽手裏剣に当たらなかった通行人達は、その場から散り散りに走り出した。
しかし、交差点を曲がろうとしたとき、髪の毛が逆立ったラフな格好の男が現れる。

「どこに逃げるつもりだ?人間共、いや、獲物共」

ニヤリと笑った男は全身が鱗に覆われ、頭から剥がれ落ちる。
男の姿は、全身に棘と鱗を備えた、褐色の怪人に変貌した。

【ミノカサゴ系怪人 スケイルヌラタ】

「フンッ!」

ヌラタが腕についた棘だらけの鰭を振るうと、水の刃が飛び散る。
それによって、逃げ出そうとしていた多くの通行人がその場に倒れた。

「ちっ、手ごたえがねえ。
 おいルース!上から能力者探してくれよ!」

空を飛ぶルースに向かって叫ぶと、ルースは頷いて人を襲うことよりも、周囲を見ることを優先した。

455ルース&ヌラタ:2011/08/28(日) 21:33:35 ID:3EaBc40s0
//ぎゃあいきなり名前ミスった^q^

456名も無き異能都市住民:2011/08/28(日) 21:50:11 ID:SSMHlh/20
>>454

――ごぼ

非道の限りを尽くす二怪人。
そのうち、ヌラタと呼ばれた怪人の背後でにわかに水音が響いた。

「無粋すぎるね。」

排水口から、ゆっくりと吹き上がる汚泥。
やがて次第に形を成したそれはヌラタを嘲笑するように、口と思われる割れ目を歪ませる。

「余りに無粋で粗野。
 そして何より……君たちのやり方は洗練されていない。
 今時、そういうのは陳腐すぎて『観客』には受けないよ。」

現れたのは子供。未だ聖人にも達していないであろう、人間の子供であった。

457ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/28(日) 21:55:21 ID:WVrfsEdY0
>>454
【包帯をまいた少女は、たまたまそこを通りかかっていた】

「…いやなにおいがするの」
【ディスは、自重すると言っていたにもかかわらず。】
【たまたま通ってしまったために首を突っ込もうとしているのであった。】

458ルース&ヌラタ:2011/08/28(日) 22:04:56 ID:3EaBc40s0
>>456
「ああん?」

自らが手に掛けた死体をつついていたヌラタは、
首をかしげながら振り向いた。

「殺しに綺麗も汚いもあるかよ、ハハハ。
 俺はボロボロまで食い散らかすことしか知らねえんだよ」

呟きながら、現れた子供に近づいていく。

「お前も食らってやろうか、ああ!?」

ヌラタは子供に向かって、腕に備えた鋭い鰭を振り下ろした。

>>457
ディスの目の前に、突如ルースが飛び降りた。
右手には黒い羽根手裏剣を構えている。

「……わざわざこんなところに向かってくるとは……能力者か。
 まあいい、死ね」

ルースはディスの心臓を狙い、羽根手裏剣を至近距離で放ってきた。

459ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/28(日) 22:13:32 ID:WVrfsEdY0
>>458
「!?」
【突然目の前に現れた怪人を見て、】

「いやなにおい…てきなの!?」
【女の子とは思えない動きでバックステップをとり】

「だめなの!」
【包帯を素早く展開して手裏剣を弾き落とした。】

460名も無き異能都市住民:2011/08/28(日) 22:21:57 ID:SSMHlh/20
>>458

「あ゛っ゛っ゛」

鰭が子供の脳天を捉える。

肩甲骨まで振り下ろされた剛腕は
肉と骨を容赦なく砕き、一瞬にして絶命させ――。

いや。

「ひどいじゃないか、だから君は無粋だと言ったんだ。」

切り裂いたはずの肉と肉、骨と骨がジェル状の触腕となって
互いに繋がり再生し始めている。そればかりか、その触腕は鰭にまとわり付き、
それを切り裂かれた肉体部分に取り込もうとすらしているではないか。

「ただ……僕も『食う』事は得意でね。
 『食い散らかす』事はしない。全て、僕の『血』となり『骨』となる。」

461ルース&ヌラタ:2011/08/28(日) 22:33:28 ID:3EaBc40s0
>>459
「やはり能力者だな」

ルースは両手を下ろし、鋭い眼光でディスをにらみつけた。

「悪いが、これも命令だからな。
 俺達鱗怪人はより上位の怪人には逆らえない」

ルースはディスに歩みよってきた。

>>460
「なっ!?糞っ!!」

もがきながら、ヌラタはうめいた。
このままでは間違いなく逆に自分が食い殺される。

「離せぇっ!スライム野郎!」

ヌラタは頭を振り下ろすように下げ、
頭の鶏冠のような棘のある鰭を突きつける。

「くぉんのおおぉっ!」

ヌラタが力をこめると同時に、頭の棘が勢い良く子供に射出された。

462ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/28(日) 22:41:55 ID:WVrfsEdY0
>>461
「わるいとはおもってないの…
 まちのひとにわるいことするなら…」
【ディスはその怪人の眼光を見ても一切臆さなかった】

「『でぃす』がやっつけてやるの!!」
【無数の包帯が激しく蠢きながら怪人へと迫っていく。】

463バルト・アンデルセン:2011/08/28(日) 22:42:08 ID:SSMHlh/20
>>461

――ずじゃっ、べちゃぁっ

まるで泥に思い切り拳を叩きつけたような。
大雨の直後に、畑を耕しているかのような粘り気のある水音。

「だから、『食い散らかす事はしない』と言ったじゃないか。
 この『棘』も結局は、君の骨だとか表皮だとか、硬質の部分でしかないだろう?」

ぐじゅ、ぐじゅ、ぐじゅ。
打ち込まれた棘が見る間に体内へ取り込まれ、消える。

「結局は『生物』……『食物』に他ならない。」

打撃・刺突などの物理攻撃はこのスライム状の体には効果が薄い。
何か、他の攻撃手段が必要だ。

464ルース&ヌラタ:2011/08/28(日) 22:55:16 ID:3EaBc40s0
>>461
「やってみろ、相手になってやる」

ルースは畳んでいた翼を勢い良く開いた。
それだけでルースの周囲に疾風が吹き荒れ、無数の包帯の動きを阻み、
ルースは上空に飛び上がった。

「ハァッ!」

黒い羽根の内側から、
ディスに向かって大量の羽根手裏剣が降り注ぐ。

>>463
「ふざけるな……俺達スケイルはどんな生き物の力を超えた存在だぞ……。
 こんなわけのわからない奴に食われてたまるか!」

棘を放った頭を挙げ、口を開いた。

「俺から離れろおおおおっ!」

ヌラタの口から勢い良く水流が発射され、子供に襲い掛かる。
ただの高圧水流のようなものではなく、それ一発で小さな津波に匹敵する水量だ。

465ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/28(日) 23:03:20 ID:WVrfsEdY0
>>464
【怪人へと伸ばした包帯は、風に煽られてあちこちへと散らばっていく】
「うう…これはまもらないといけないなの!」

【包帯を自分の周囲で高速に回し、再び羽手裏剣をはじき飛ばしていく。】

【防御力は高そうだが…?】

466バルト・アンデルセン:2011/08/28(日) 23:16:17 ID:SSMHlh/20
>>464

「生物学者が言うところによると、優れた生物というのは
 単純に『強い』んじゃなく、『生存性』や『適応力』に優れた生物なんだそうだ。
 ……君はどちらの条件も満たしているとは見えないけれどね。」

子供のアメジストのような薄紫の瞳がヌラタを見つめる。
この子供は、ヌラタをまさに『食べ物』としてみている。同じ立場としてみていないのだ。

とはいえ、さすがの水圧には耐え切れなかったのか。
後ろによろめいた拍子に、ヌラタを逃してしまった。

「……無駄に抵抗すると苦しむ事になるよ。
 それこそ、蛇に生きたまま飲み込まれ、アバラを砕かれながらゆっくりと溶かされる鼠のように。」

ヌラタの腕には、細かい肉片がこびり付きそれがなお
独りでに動いて、じわじわと喰らおうとしているように見える。

467ルース&ヌラタ:2011/08/28(日) 23:28:39 ID:3EaBc40s0
>>465
「守ってばかりでどうやって俺を倒すんだ?」

空中でルースは手裏剣の射出を止め、
腕を組んでため息をつく。

「どうした、かかって来い!」

右手に風を集め、羽根の手裏剣を交えた圧縮空気の弾丸を作り出した。
それを勢い良くディスの包帯に投射する。
当たれば圧縮空気は弾け、周囲に羽根手裏剣がばら撒かれるだろう。

>>466
「くっ……畜生……!」

大量の水を吐き出し、ヌラタに体力は殆ど残されていなかった。
もうヌラタに手は残されていないと思われた。

「せめて……お前を道連れに……!
 うおおおおおっ!!!」

ヌラタは拳を握り締め、バルトに向かって殴りかかってきた。

468バルト・アンデルセン:2011/08/28(日) 23:51:26 ID:SSMHlh/20
>>467

再び振るわれる豪腕が、顔面に叩き込まれる。
その威力たるや屈強な格闘家ですら一撃で死に至るだろう。

「……本当に野蛮なんだね。
 鳥や獣でも、二度同じ罠には掛からない物だよ。」

ヌラタの腕はバルトの顔面を陥没させ、そのまま壁面まで貫いた。
いや、性格にはバルトに『喰らい付かれた』のだ。

たちまち、ヌラタの腕の消化が始まる。

469ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/28(日) 23:56:27 ID:WVrfsEdY0
>>467
「…まもってばっかりじゃだめならなの!」
【突如ディスを守っていた包帯から】
ジャキイン!
【表面からウニのように刺を怪人の方向へと生やしていく】

【圧縮空気に触れて、無数の羽手裏剣も集費へと飛んでいく。】
【それでもなおのこと進んでいく。】

470ルース&ヌラタ:2011/08/29(月) 00:09:38 ID:3EaBc40s0
>>468
「言っただろ……道連れだよ……!」

ヌラタは食いつかれていない方の手を、腰の怪人の紋章に当てた。

「食われて終わるぐらいならなぁ……」

ヌラタの身体に、紋章から徐々に亀裂が走っていく。
亀裂の中から、ビシビシという破裂音が響く。

「うおおおおおっ!!!」

――ドオオオォォォ……ン!!!

ヌラタの身体は、怪人が死を迎えた時と同じく、爆発四散した。
バルトに食いつかれていた腕も同様に。

>>469
「ぬっ……!」

ルースは受け流すように刺を交わす。
しかし、翼にかすり、黒い羽根が少し宙に舞った。

「ようやく来たか……だが、まだ俺には勝てない!」

ルースは空中で一度円を描き、加速をつける。
そして伸びた刺に沿うようにディスに向かう。
ディスに、怪人の黒く鋭い嘴が迫る。

471ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/29(月) 00:14:37 ID:WVrfsEdY0
>>470
「…そうくるなら」
【ディスはかたほうの手を背中に向ける。】

「これでどうなの!!」
【言うが早いかディスの背中にあった鞘から勢い良く剣が抜かれる】

「やあああ!!」
【包帯を操りながら勢い良く銀色の剣が振り下ろされる】

472バルト・アンデルセン:2011/08/29(月) 00:21:54 ID:SSMHlh/20
>>470

――ばしゃっ

怪人の自爆と同時に、バルトの体も爆ぜた。
いくらスライム状の体を持つとはいえ、熱のダメージは受けるし
体内で爆発が起きればただでは済まない。

あたりに四散した肉片はしばらくぶるぶると震えていたが、
そのまま、水に流れて排水溝に流れて消えた。

473ルース&ヌラタ:2011/08/29(月) 00:30:04 ID:3EaBc40s0
>>471
「なにっ!?」

ディスの武器が包帯だけだと思っていたルースは、モロに斬撃を受ける。
肩口から胸に掛けて、大きな傷が走り、赤と黒の羽根を撒き散らしながら地面に激突した。

「くっ……こいつ……」

すぐに振り返り、傷を翼で押さえつけながら立ち上がった。

「ハァッ!」

傷側とは反対の翼を振りぬくと、再び大量の羽根手裏剣がディスに放たれる。

>>472
――カツン

爆発が収まったその場に、怪人共通の、X字が入った鱗が落ちた。
鱗は一度跳ねると、まるで導かれるようにして何処かに飛んでいった。

474ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/29(月) 00:35:24 ID:WVrfsEdY0
>>473
「これいじょうはたたかいたくないけどなの…」
【その目は子供のものとは思えないほどの眼光を放っている】

「それでもくるなら…いくの!!」
【ディスは避けもせずにまっすぐに包帯を振り乱しながら走っていく】

【包帯で手裏剣を一部弾いていくものの】
ザシュっ!
【あちこちに手裏剣による傷を刻まれていく】
【それでもなおのこと走っていく。まるで痛くないかのように】

「この!なの!」
【再び剣を振り抜いていくようである。】

475ルース:2011/08/29(月) 00:43:02 ID:3EaBc40s0
>>474
「戦いたくは無いだと……?」

向かってくるディスに向かって叫びながら、ルースは右手を後ろに向ける。

「ふざけるな、俺達鱗怪人は、
 戦わなければならないんだ!」

振り抜いた剣を、ルースは素手で掴んだ。
刃はルースの手の平に食い込み、摩擦で煙が立ち上る。

「くらえ……!」

そう言って、ルースは右手をディスに突き出した。
先ほど放った圧縮空気のボールと同じものを、ディスに叩きつけようとする。

476ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/29(月) 00:58:02 ID:WVrfsEdY0
>>475
「だったらとめないとだめ…なの!?」
【受け止められたのを見てわずかに焦りを見せるが…】

「っ!!」
【ディスは片方の左手をつきだして圧縮空気を右手に圧倒的な握力でつかみにかかる。】

「…んなあああああああああああああああ!!」
【片方の手に持った刀に凄まじい怪力が込められて、刃を降ろしていく。】

477ルース:2011/08/29(月) 01:08:23 ID:3EaBc40s0
>>476
凄まじい力を加えられた刀は、そのまま地面に切り込み、砂埃を上げる。

「……こんな……あ……」

ルースはディスに再び手を伸ばそうとするが、
その腕はだらりと力を失う。

「……俺の……マケ……カ……」

――ドザッ……
――ドオオオォォォンッ……!

ルースの身体はその場に崩れ落ち、ディスの前で爆散した。
しかし、ルースの魔術的な力で固定されていた圧縮空気弾もその場で炸裂し、
黒い羽根手裏剣が大量にばら撒かれた。

478ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/29(月) 01:13:48 ID:WVrfsEdY0
>>477
「あう、やっとやっつけ
【喜んだのもつかの間】
――ドオオオォォォンッ……!
ドシュドシュドシュドシュドシュ
…た」
【羽手裏剣があたり一面にばらまかれると共に】
【ディスの前進に突き刺さったのであった】

「…うー、ゆだんしたのかなの…」
【ディスの体からドンドンと血がにじみ出ている。にもかかわらずディスは全身を見て困った顔をしている】

「けがなおさないとなの…でもどしたら…いいのかなの…」
【出血は包帯で抑えられている。】
【とはいえ全身を刺されたのに、まるで怪我した程度にしか見ないディスの姿は】
【はたから見れば異常としか思えないだろう。】

479ルース:2011/08/29(月) 01:16:25 ID:3EaBc40s0
>>478
ヌラタの死と同じ用に、ルースの爆裂した場所には、青い鱗が残されていた。
しかし、鱗はふっと浮き上がり、これまた同じように何処かへ飛んでいってしまった。

480ディス/騎士見習い少女 ◆My6NsjkSfM:2011/08/29(月) 01:20:02 ID:WVrfsEdY0
>>479
「あれは…どこにいくのかなの」
【空を見上げ、飛んでいくウロコを見上げる少女】

「でも、今はなんだか動けない、かなの」
【その場に座り込んでため息を付いた】

「むり…しちゃったの…かなの…」
【突きが光る空を見上げてつぶやいている。】

481想条 織我:2011/09/16(金) 22:42:50 ID:y79ArvVk0
霧の中を歩く男が居る。
高い身長に平凡な顔立ちであり、シンプルな服装にはどこか気品があった。

観測局や公安には名の知られた男であり、
一部の人間からは教祖と崇め奉られる。

そんな男が歩いているのは、電脳空間の都市区画だ。
設定は夕方、普段ならオレンジ色に染まる設定のこの区画だが、
霧が全ての光を包み隠すようにしていた。

「本部が…此処に移ってから、いつかは来てみたいと思っていたんだが…
いやはや、もっと早く来るべきだったか」

男は電脳空間が初めてなのか、しきりに感心している。

482黒沢小百合:2011/09/16(金) 22:51:42 ID:SSMHlh/20
>>481

まるでロンドンを髣髴とさせる濃霧の中、
唯一空が、まるで大火災でも起きているかのように
赤く染まる区画があるのが織我の場所からも分かるだろう。

――ズンッ、ズオオオッ

破壊音、爆発音、巨大な何かが倒壊する音。
どうやら、偶然にも同じ設定でログインした先客がいるらしい。

483想条 織我:2011/09/16(金) 22:58:33 ID:y79ArvVk0
>>482
「あの場所では『霧』も届かないな…」

霧は男を中心に半径200m程で広がっているようだ。

「…この世界で鍛錬を行っていると聞いていたが、あれがそうかな?」

興味深そうに破壊音に耳を傾け、想条はそちらへと歩みを進めることに決めた。
織我は区画を通り抜け、その破壊者を見える位置まで近付いてくる。

484黒沢小百合:2011/09/16(金) 23:13:25 ID:SSMHlh/20
>>483

近づくにつれ、硝煙の匂いとオイルの臭いが
チリチリと乾燥した空気に混じり、火災や崩れたコンクリート、
爆撃を受けたかのように、抉れた地面が目に付くようになり。

「ふむ、調子的には6、7分程度でしょうか……。
 まあ……まずまずといっていいでしょう。」

その中で唯一、殆ど被害を被っていない公園内に一人の女性が立っていた。
都市のニュースに良く目を通すものなら、彼女を知らぬものなどいないだろう。

485想条 織我:2011/09/16(金) 23:23:15 ID:y79ArvVk0
>>484
その光景を見て、ほう、と想条はため息をつく。

「あれは千夜の…ならば私の顔も割れているか。」

くつくつと笑いながら、彼女に近付いていく。
小百合は既に薄い霧の中に居た。

「いやぁ、良い物を見せて貰った。
軍事演習でも此処まで派手なものは無い…」

笑いかけながら、更に近付く。霧が少し濃くなった。

486黒沢小百合:2011/09/16(金) 23:31:40 ID:SSMHlh/20
>>485

「霧……こんな設定はしていたかな……。
 誰か別の人がログインしたのか……。」

小百合の顔右側にちょうど現れるウィンドウ。
コンソールまでたどり着かずとも、箱庭内の設定を変更、閲覧するための
簡易システムだ。

どうやら小百合は、それを用いてログイン履歴を見ようとしているらしい。

487想条 織我:2011/09/16(金) 23:36:31 ID:y79ArvVk0
>>486
ログイン履歴には、彼の名前と現在地が表示される。
そう、先程から既に、現在地が重なり合う程近くに男が居たのだ。

『ソウジョウ オルガ』

「その霧は私のものだ、すまない」

そして背後から声がかけられる。低くも無く、高くも無く、
平凡だが妙に耳に残る声。

「余りに素晴らしい有様だったので、つい見とれてしまった。
ねぇ、黒沢さん」

488黒沢小百合:2011/09/16(金) 23:45:34 ID:SSMHlh/20
>>487

「申し訳ありませんが、この霧を消していただけませんか。
 晴れた状態での砲撃訓練を行なっているので、この天候はあまり好ましくない。」

(ソウジョウ・オリガ……たしか、宗教関係の教祖だったか、司祭だったか……。
 よく、思い出せないな……たしかそんな感じの……。)

背後から投げかけられた声に、振り返りもせず答える。
たしか、何かの書類でこの男のデータに目を通した覚えがあるが思い出せない。

489想条 織我:2011/09/16(金) 23:57:02 ID:y79ArvVk0
>>488
「失礼、この霧に関しては私の手に負えるものじゃ無いんだ。
私が居ればそこに霧があるのでね」

「だが、薄くすることは出来る。やってみよう」

ざぁ、と霧が引いていく。いや、拡散しているのだ。
遠くから見ればそこに霧があることは解るが、密度が極端に薄くなっている。

「ふむ、…やはり、噂どおりの『スタンド』能力者なのだね。我が教団の中にも居たよ…。
…そのコンソールに示されている通り、私は『想条 織我』だ。
ラプラスグリートという教団を運営している。
どちらも書面で知っているかもしれないが、以後よろしく。」

眼鏡の奥の目がにっこり笑う。

ラプラスグリート。異能都市に本部を移動した宗教団体。
1代で築いたその新興宗教は圧倒的速度で肥大化しているが、
それに反して大規模な勧誘は一切行っていないという怪しげな団体だ。
教義も一切秘密にされており、目的の解らない大集団、ということで警戒されていた。

490黒沢小百合:2011/09/17(土) 00:10:01 ID:SSMHlh/20
>>489

「お手数をお掛けします。
 ええと、想条織我さん……ですか。」

小百合は、仮にも有名人である。

『暴君』だとか、『人殺し』だとか悪評が付いて回っているため、
アイドルなどより話しかけられることは少ないが、それでも見ず知らずに人に
話しかけられることも多い。

「ラプラスグリートの事は聞き及んでいます。
 ともあれ、ここは信仰の自由が認められた都市ですから
 社会的良識を外れない程度に活動するなら、私としては貴方がたに干渉する気はありません。」

(新興宗教……私に接触してきたという事は、なんだ。
 この私を取り込もうとでも、言う算段か……それとも……。)

しかし、力を貸すつもりも無い。

この場合、小百合は織我が自分に何らかの助力を請うか
手っ取り早く勢力を増やすために、自分を取り込もうとしているのだと判断した。

491想条 織我:2011/09/17(土) 00:26:51 ID:y79ArvVk0
>>490
「それはありがたい。私達も真理の探究を恙無く行えるというもの。
…いや、私が此処に来たのは本当に偶然でね、初めての電脳空間で貴方と会えるとは思って居なかった」

まるで心を見透かしたかのように、想条は躊躇無く言葉をつむいだ。

「それに、貴方のような生真面目で強い方には我等の教義も必要無いのでは?
勢力的には私達はこれで十分なのでね」

いや、本当にこれが推測や憶測、勘で話しているのだとすれば、
想条の言葉は『余りにも当てはまりすぎている』。
カマをかけるとか、そういう事なしに思考の急所を突いてくるような、魔術のような話術。

「ですが、会えたことは非常に幸運。
積極的干渉はしない、というその言葉、ありがたく受け取っておきましょう」

492黒沢小百合:2011/09/17(土) 00:43:50 ID:SSMHlh/20
>>491

話が進むたび、自分の考えを読んでいるかのように
的確にポイントを付いてくる織我。

プライドの高い小百合は、話の主導権が
そちらに移りかけていることを感じ段々と不快感をあらわにし始めた。

「その通り、私には貴方の宗教は必要ない。
 この私が仕えるのは神ではなく、夜刀神蔡生のみです。」

フン、と鼻を鳴らして。
夜刀神蔡生という存在自体が、神性を持つものであるという事は
この際目を瞑ったほうがいいのだろうか。

「いっそのこと、貴方も我々の夜刀神さんに帰依しては。」

493想条 織我:2011/09/17(土) 00:59:53 ID:y79ArvVk0
>>492
「噂どおり、気の強い方のようだ。最近余り見るタイプでは無いですねぇ」

褒めるようなその目つきも、なおさら彼女をいらつかせるだけだろう。

「そしてその狂信、も本物のようだ。」

丸眼鏡の奥が、ぐにゃりと歪む。

「帰依?それは出来ない。私は夜刀神さんに出来ず私達にしか出来ない事をやろうとしているのだ。
強いものに寄り添うのは真の安心では無い。
心のうちに強いものを持つ為の手助けなどという事は、強すぎる人には出来ないでしょう?」

私も弱い。そう呟いて、晴れ晴れとした笑みを浮かべた。

「だが弱い私が居なければ皆が困るというのだから、私は私の教団から逃げる訳にはいかないのでねぇ」

くつくつ、と笑う。

「まぁ、本当に今日は偶然でね。いやしかし、久々に刺激的な会話だった」

満足げな笑みを浮かべて。

「我々も大きな組織の責務というかね、この町に何か貢献しなければと思っているんだ。
何か起きたら、協力させて貰う。よろしくお願いするよ」

その代わり組織の肥大化を見逃せ、という事なのかもしれない。
とにかく不気味な男は背を向けて立ち去っていく。
しばらくして、コンソールに彼がログアウトしたという情報が表示されたのだった。


//絡みありがとうございましたー!

494黒沢小百合:2011/09/17(土) 01:08:31 ID:SSMHlh/20
>>493

「夜刀神さんにできない事等あるものか。
 彼女は、大樹。弱き人間たちのよりどころとなり、都市を襲う暴風を防ぐ、ね。」

小百合は、夜刀神蔡生にできない事があると織我が
発した直後から、彼をずっと睨み付けていた。

(夜刀神に仇名す者、討ち果たすべし。
 九族を滅ぼし、血脈を経つべし……。)

そして、織我がログアウトしたのを見届け
ほとんど八つ当たりのように、遠くに見えるビルに無数の砲火を浴びせて。

495名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 19:43:18 ID:PBnIervYO
ビルの壁がごりごりと削れ、窓ガラスは盛大に音を立てて割れて散った。
行き交う人々は訳も分からず叫び惑う。身の丈が二メートルもかくやと言わんばかりの大男が、街の通りで暴れているのだ
荒事になれっこの異能都市、その初動は確かに速い、しかしそのわずかな時間ですら力無き市民にとっては死活問題である。

「おおい!誰か!早く警備隊を……うごあっ!?」

一人の市民が大男に首根っこを捕まれ、持ち上げられ何事か大男に訪ねられている。市民は苦しみと痛みにあえいでとてもそれどころではなさそうだ。

496黒沢小百合:2011/09/18(日) 20:06:14 ID:SSMHlh/20
>>495

最初に現場に到着したのは地元警察や市民の自警団員ではなく、
千夜グループの治安維持部隊であった。

そして、その指揮を取る黒髪の女。
その整った顔はまったく忌々しい、と言いたげに歪んでいて。

「貴方は既に包囲されています。
 人質を直ちに解放し、武装を解除して投降しなさい。」

その女――黒沢小百合は、
包囲網を形成した兵士たちの群れから歩みでて、男に投降を促す。
とはいえ、小百合は端から交渉をする気などない。

自身を囮にして隙をうかがい、狙撃に適したポジションに密かに具現化した
兵士の銃撃で仕留めるつもりだ。

497名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 20:27:59 ID:PBnIervYO
「がっ……ぐうっ、た、たす」

『おう、あれか?よし』
そう呟いた大男は、ぶんと無造作に持っていた男を小百合に向けて放り投げる。

自身が包囲されている今の状況を小百合に告げられてから小百合に人質を解放(なげつける)までに要した時間はわずか一秒。あまりに短絡的にすぎ、逆に狙撃のタイミングが狂うかもしれない。

大男はおよそ武器になるような物は身に付けていないようだ。少なくとも何も着ていない上半身には。

498黒沢小百合:2011/09/18(日) 20:37:53 ID:SSMHlh/20
>>497

自分で前に出る以上、敵の攻撃に対する対策はとっている。
小百合は、既に掌に握りこんでいた紙片の内容を具現化した。

といってもなんら特別な物ではなく壁となる兵士を具現化する、程度のものだが。

「バカめ、唯一のアドバンテージを自分から手放すとは。
 見た目どおり、頭の中身はトロールと変わらないと見える。」

――ズガァアァァッ

途端、降り注ぐ銃弾の雨。
たとえ一撃で殺せずとも、無数の銃弾は皮膚を削り、肉をそぐだろう。

499名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 20:55:48 ID:PBnIervYO
『なんだぁそりゃあ!?』
いきなり現れた人の壁に対してか、それとも小百合の豹変に対してか、驚愕する男に銃弾の嵐が降り注ぎ、あえなく暴動は鎮圧された



かにみえた。金属と金属とがぶつかり合うような不快な音が聞こえる。
大男の体表は、不気味な光沢を放ち銃弾を寄せ付けない!

『チビが舐めた真似しやがって!』

銃弾を受けながら、大男は小百合に向かい猛然と突進を敢行する!

500黒沢小百合:2011/09/18(日) 21:05:28 ID:SSMHlh/20
>>499

「猪突猛進か。自分の武力に自信を持っているらしいが
 所詮は個の力。古代の戦場では勇者でも、現代ではただの的でしかない。」

小百合は男に対して冷ややかな目線を送ると、
そのまま身を翻し、距離をとる。

無論、それだけではなくグレートウォール――『万里の長城』を具現化した上でだ。

男に対する足止め、小百合を見失わせる撹乱、
一般市民へ被害が及ばぬための防壁。万里の長城はそれらを一挙にこなすだろう。

501名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 21:18:28 ID:PBnIervYO
『自信?じしんだぁ?』
何を思ったかその場でおもむろにダブルバイセップス!
『この上腕二頭筋に!』
流れるようにサイドチェスト!
『この胸筋に!!』
激しく情熱的にアドミナブルアンドサイ!
『この腹筋に!!!』

『自信をもたずしてなんとするもやし女!』
結果として、足止めには成功している。しかし爛々と大男を覆うエネルギーというか光沢が大きく増した。多分そういう能力なのだろう

502黒沢小百合:2011/09/18(日) 21:24:01 ID:SSMHlh/20
>>501

「どんな能力にも長所があり、弱点がある。
 そしていくら鍛えてたところで、人体には克服できぬ致命的弱点がある。
 それを今から、貴方に教えた差し上げましょう。」

――さああああああ……。

気持ちよくポーズを決めているであろう
男の周囲にまるで霧雨のように『水』が降り注ぐ。

航空機を使って、まるで農薬をまくように上空から。兵士に消火栓を狙撃させ、
そこから吹き出る水が。さらには放水車でも使っているのか壁の向こうから。

多彩な手段で撒き散らされる水は、瞬く間に周囲を濡らしていく。

503名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 21:32:29 ID:PBnIervYO
>>502
『もやし女。お前は正しい。確かに限界というものは存在するし、鍛えたところでどうしようもない事もある!』

小百合が具現化した壁をざっくり突き破りながら男は喋る。本能で嗅ぎ取っているのか、方角は正確に小百合のいる場所を捉えている。

『俺という例外を除いてな!!』

504黒沢小百合:2011/09/18(日) 21:45:21 ID:SSMHlh/20
>>503

「いいえ、筋肉と言うのは所詮脳という司令塔の命令を聞かざるを得ない。
 つまりは、いくら性能が優れていようと、結局はドライバーの腕前に依存しなければならない
 スポーツカーのようなもの。」

男を待ち構えたいたのは、兵士。
しかも先ほどのような軍用ライフルではなく、変わった形状の小型銃や、
よくて何の変哲もないショットガン武装した者たちだ。

「結局、脳から筋肉へ送られる『指令』は電気信号に他ならない。
 そして、この私が撒いたこの水……点滴だとかに使う『生理食塩水』を・・・…。
 撒き散らしたところで、どうすると思うねぇ。」

――バスゥッ――バシュッ

一斉に発砲する兵士。当然、ライフル弾を弾き返す男の皮膚に弾かれるが……。

「『生理食塩水』は『電気』をほぼ完全に伝動するぞッ!
 貴様がいくら強かろうと、なあ……そこに崩れ落ちるのだ。
 意思とは関係なく、脳からの指令を狂わされてッ!」

そう、小百合の具現化した兵士の装備している銃はテイザーガンと呼ばれる、非殺傷兵器。
弾丸が効かない強固な防御力を持つものの多い異能都市のこと、小百合も常日頃から
多少の搦め手は用意してある。

505名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 21:59:24 ID:PBnIervYO
『グガアアアアア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!』
それはまさに絶叫。電撃をもろに喰らい、男は小百合の言う通り崩れ落ち…………ない!
『ごろじでや゛る゛!!ぶち殺して!!』
怒りの赴くままに男を撃った兵士達を『今までと同じ様な勢いで』吹き飛ばし薙払い、小百合の方向に向かい再度突撃をしかける。
しかし男の体から溢れ出ていたオーラは徐々に失われていき、遂に消え失せた時男は崩れ落ちてしまった。

506黒沢小百合:2011/09/18(日) 22:14:09 ID:SSMHlh/20
>>505

「ふふ、その昔三国時代の呉の武将呂蒙は武道一辺倒の典型的武人でしたが
 君主孫権に学問を修めたほうが良いと諭された事がきっかけで武道のみならず勉学に励み
 後に過去の彼を知るものが驚くほど、高い見識を持つようになりました。」

水溜りに倒れ伏した男に笑みを湛えながら近づき、
嗜虐的に微笑みながらヒールで頭を踏みにじる小百合。

「とはいえ、このデクの棒には不可能でしょうねえ。
 もはや脳にも筋肉ばかりで、知識を詰め込むスペースが無いのだから。」

勝ち誇った小百合はそのまま
悪役じみた高笑いをするのであった。

507名も無き異能都市住民:2011/09/18(日) 22:24:21 ID:PBnIervYO
>>506
小百合に踏みにじられ、しかしぶつぶつと何やら自分の世界に入り込んでしまった大男であった。


大男、『戦闘不能/リタイア』

能力『誇大妄想狂/メガロマニア』
『ダメージ』を『自信』で肩代わりする能力。大丈夫だって言ってんだから大丈夫っつってんだろ!を地で行く能力。破られると暫く超落ち込む
但し元々頑丈な為、多分『再起可能』

とぅーびーこんてぃにゅー…→

508ゼオラ=アドヴァルド:2011/10/02(日) 22:33:59 ID:cvq7FI.w0
月の光も薄れて届く程の裏路地。
都市の中で最も寂れているともいえるエリアの一つ。
少女が腰を下ろした個所も比較的真新しい死体すら見える場所だった。

「……」
壁際の月の光すら通らない場所に降り立った少女。
身の丈以上の柄がある巨大な鎌を杖にして休息を取っている様子だった。

509ミラージュ:2011/10/15(土) 21:34:18 ID:cvq7FI.w0
街中にあるビルの壁面に取り付けられた巨大テレビ。
それの写す映像が突如、どこかのビルを写す映像へと切り替えられた。

事の発端は10分程前、このビルから左程遠くない街中でいきなり爆発が起きたのだと言う。
流石は異能都市。とでも言ったところだろうか
何のヒントも無いこの事件も、たったの数分で犯人の姿をカメラに写すまでに至っている。
そうしてカメラに写されていたのは真紅の鎧。
テレビカメラに向けられた視線。鎧の奥に隠された碧の瞳が妖しく光り―――。

―――ドン。
ビルの壁面に写されていた映像は一瞬にして立ち消え、砂嵐が埋め尽くした。

数秒すると新たな映像が映し出される。それは、事件の犯人の居るビルの様だった。
一般的にこの映像は市民へ離れる様に指示をする為の物、
だが、これにはもう一つ、別の意味が在るのだ。


【爆弾魔討伐指令】

【内容】
爆弾魔が暴れています。
倒すなり追い出すなりしてください。

【勝利条件】
真紅の鎧の撤退or破壊or停止。

【敗北条件】
PC全員の全撤退。

【場所】
中央部から少々はなれたビルの屋上。
テレビによって場所はアナウンスされ、誰の情報にもあるようです。

510ラルフ=ハインケルン:2011/10/15(土) 21:58:40 ID:xm/dFKGs0
>>509
「爆弾魔、か。
関係があるとは思えない、が行くべきだよな、ヒーローとしてはよ」

そう言って、ラルフは目標がいるであろうビルへと、ビークルを走らせて向かう。
重いビークルのエンジン音が辺りに響いた。

「時間が無いし、ここはこいつを使うか」
『バースト』

メモリをビークルのメモリ挿入部へと差し込む。
すると、バイク後方に4基のブースターが装着され、それが火を噴く。
爆弾魔の下へ青き疾走者が向かって行く―――。

//こんなんでいいのかと不安感がヤバイ。

511ミラージュ:2011/10/15(土) 22:07:50 ID:cvq7FI.w0
>>510
真紅の鎧がそこに居た。
律儀にも未だ動かず、現れた男に向かって。

「何だ、貴様は」
と問いかける。
頭部の奥の煌めきは碧の光を発している……。

512ラルフ=ハインケルン:2011/10/15(土) 22:14:06 ID:xm/dFKGs0
>>511
「そりゃあ、アンタを捕まえに来た……探偵さ」

下からブースター付きビークルで上がってきたラルフは、
真紅の鎧に向かってビークルから下りて言葉を返す。

「どこの誰かは俺はわからないが、ちょいと相手してもらうぜ?」

そう言って、ラルフはファイティングポーズを取る。
本人はやる気満々のようだ。闘志が満ち満ちている。

「(スーツを使わずに済むのが機密的にはありがたし、
ここは、ちょっとスーツ無しで頑張ってみるかね)」

513ミラージュ:2011/10/15(土) 22:23:29 ID:cvq7FI.w0
>>512
「捕まえに、だと?
 ……貴様如きが?
何故、如何して? 何のために?」
夜空に響く笑い声。
音声加工はされておらず、少女の物らしき声が通る。

「貴様がこの私を捕まえられると?
何故思った? 何故感じた? あぁ、貴様は愚かしいよ」
直立の状態から右腕だけを伸ばした。
手の甲の装甲が光り、そこから光の剣が現れる。

「まぁいい、この私と遊ぶ権利をやろう」

514ラルフ=ハインケルン:2011/10/15(土) 22:30:07 ID:xm/dFKGs0
>>513
「ああ、楽しすぎて狂っちまうんじゃないぜ?」

そう言って、彼は相手に向かい走り出す。
構えを崩さず、隙を見せず。

「まずは、こいつだ!」

相手から2m離れた位置から地面を殴る。
気を込めた腕が当たった場所から相手に向かい、黄色い衝撃波が向かっていく!
スピードは車のように素早い、だが威力は余り高くは無い。

//少々食事で抜けます、申し訳ありません。

515ミラージュ:2011/10/15(土) 22:52:37 ID:cvq7FI.w0
>>514
「そうだな、貴様。
 出来るかぎりで私を楽しませてみろ」
軽く跳びながら、肩についた身の丈以上もある盾を使い防ぐ。
その後、背部スラスターを展開し低空を浮かぶ。

真紅のベースに掘られた漆黒のエングレーブ。
金の文字で彩られた模様は何かの意味を持つのだろうか。

516九段坂桐子:2011/10/15(土) 22:57:12 ID:Or3y3X8Q0
>>509
【テレビ局・マスターコントロールルーム】
ソレ――後に爆弾魔事件と呼ばれる――の中継が始まってから、およそ十数分が経った頃。
コンコン、という固い音が部屋に響いた。音の発生源は、通路とこの部屋を区切る扉から。
指令や号令が交う中で、しかしその音だけははっきりと、部屋の中に居る皆に聞こえるように届いていて――

「……失礼、ちょっとお邪魔するよ」

防音の厚い扉が軋む音を立てて、ゆっくりと開かれていく。
通路の証明が室内へ射し込む。逆光の中、そこには一人の女が、薄い笑みを浮かべて立っていた。

517ラルフ=ハインケルン:2011/10/15(土) 23:18:35 ID:xm/dFKGs0
>>515
「なら、こいつは、どうだい!」

低空を飛ぶ相手に飛び上がって右に気を込める。
盾を殴りつける様に拳を振るい、
殴りつければ、盾の後ろの相手へ気孔の波を打ち込むという寸法だ。

「Power!Dunk!」

相手へと飛び上がり、拳を放つ!
最大速度、常人の二倍で走り込み飛び相手を殴りつけようと放つ!

518ミラージュ:2011/10/15(土) 23:41:02 ID:cvq7FI.w0
>>517
「愚図だな、
 ただの人間が、この私を墜とせると思うな!」
盾の裏面に取り付けられたスラスターの展開。
さらに垂直に逃げつつ、背部スラスターを展開することで急上昇。
上昇と同時にスラスターの角度を調整することで上空を擦れ違う形と成り、擦れ違いざまに光の剣で切りつけてきた!

519ラルフ=ハインケルン:2011/10/15(土) 23:50:26 ID:xm/dFKGs0
>>518
「とっ!!危ない危ない!」

突き出した拳から気孔を発射し、後ろへ緊急回避する。
ギリギリで剣を回避し、相手から1mは離れたが、バランスを崩した。

「ひゅー、今のはヒヤッとしたぜ……」

攻撃しても上に逃げられては話にならない。
何か手を考えなければ、この状況は覆るまい。
何か援護でもあればいいのだが……それは余り望めないだろう。
どうするか、と相手の出方を伺いつつ考える。

520ミラージュ:2011/10/16(日) 00:05:46 ID:cvq7FI.w0
>>519
「クク……。
 私を楽しませるんじゃなかったのか?」
やはり低空に浮かぶ真紅の鎧。
そこから嘲笑と他人を見下した言葉が漏れる。

腰のラックを開き、中からハンドガンを取り出した。
背中とチューブで繋がれたそれはバランスの崩れたラルフの足元を的確に狙ってくる。
「踊れ、踊れ!
 特別に私が貴様の為に舞台は整えてやる」

521ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 00:15:59 ID:xm/dFKGs0
>>520
「ハハハ、そう言うなよ。
こちとら、意外と普通の人間でね?」

崩れたバランスの体から的確に足元を狙う銃弾を誘導、回避する。
崩し流・狙い崩し。遠隔攻撃の弾道を動きで誘導し、回避しつつバランスを戻す。
欠点は攻撃できない事だ。

「いよ、っと!的確に狙うはいいが、それだけじゃ俺には当たらないんだよな、これが!」

的確に足を狙う銃弾を弾道誘導で回避しつつ、
地面に拳を打ち込んでいく。
逆転への布石、というほど大それたものではない。
やらないよりはマシな程度。

「それよか、俺には空見下すアンタの方が臆病に見えるぜ?」

相手をちょっと挑発してみる。
命の危険はまだ遠い、だが乗ってくれたらそれはそれで有り難い。
少しばかりの賭けだ。

522ミラージュ:2011/10/16(日) 00:30:05 ID:cvq7FI.w0
>>521
「フン、貴様余程打ち抜かれたいと見える!」
舌打ちがそちらからも聞こえただろう。
解りやすいほどに激昂している。

だが、それも危うい。
「貴様の舞台を整えてやる」
そう言い終わると同時、腰の辺りなら何かを射出した。
どうやら小形機械の様で、それらはすぐにラルフの周りを取り囲む。
そして一本から光の粒子が放たれると、それに続けて何本も粒子が飛び交う。
様々な角度から複数の光線撃の乱打が続く。

523ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 00:41:15 ID:xm/dFKGs0
>>522
「うおう!?そう言う手もあるんかよ!?」

ギリギリ(触れるとおもったら勘で避ける)で回避するが、次第に傷が増えてきた。
流石に拙い、と思った時。ベルトのロックが解除された。

「毎度毎度、計ったようなタイミングだぜ!」

そう思いながらも、両手で地面を思いっきり殴りつける。
すると、膨大な気の奔流が間欠泉のように噴出し、彼を攻撃から身を守っている!

「行くぜ爆弾魔さんよ!こっからが俺の本領発揮ってな!」

もしも相手の攻撃が気の奔流を突き抜けることが無ければ、
彼は自分の切り札を晒すだろう。
奔流の防御力は相手が今までどおりの攻撃ならば守りきれるほどに強い。
しかし、相手が強力な攻撃を出せば破られてしまうだろう。

524ミラージュ:2011/10/16(日) 00:55:36 ID:cvq7FI.w0
>>523
「この私を怒らせた罰だ!」
依然として小形機械の交錯は続き、光線の照射も止まない。
だが、それが気によって弾かれていると知った瞬間、全ての機械は行動を止め、真紅の鎧の元へ帰る。

「チッ、調子のいい生き物だ」
8個の小形機械を停滞させ、様子を見ているといったところだろうか。

525ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 01:08:42 ID:xm/dFKGs0
>>524
「さて、いくぜ!」
『ラピス!』

メモリを起動し、ベルトに横向きに挿入する。
そして――

「変身―――ッ!!」

両手でベルト左右のパーツを閉じ、
右手を前にかざした瞬間!

『Close Change!Jeneon Acceleration!』

蒼き気の奔流を切り裂き、瑠璃色の戦士が姿を現す!
鋭角的なボディに、三本のラインアイを持ったシャープなアーマー。
その背には小型のスラスターバックパックまで付いていた。
その名を―――!

「瑠璃色の疾走者!ジェネオン・ラピス!ここに参上ってな!」

右手を相手に向けて変身完了の宣言。
2ヶ月ぶりに瑠璃色の疾走者が大地に立った瞬間である。
そして左手でベルト部のコンソールにコマンドを入力すると。

『Call Machine gun』
「まずはこいつを食らいやがれってな!」

右手に瑠璃色の小型のマシンガンが転送される。
そして引き金をを引くと一発一発が鉄板すら貫通する威力のエネルギー弾が、
相手へと続けざまに連射されていく!
速度は一発が一発が銃弾並みだが、アバウトな狙いの為、数打てば当たるという側面が強い。
はたして通用するだろうか?

526ミラージュ:2011/10/16(日) 01:33:54 ID:cvq7FI.w0
>>525
「騒ぐだけ鬱陶しいだけだぞ、愚図め」
真紅の鎧は圧倒的な変化を遂げたルフを前に、少し距離を取る。
二人の距離は5m程と言ったところだろうか。

無数のエネルギー弾を前に、真紅の鎧は笑みを浮かべる。
そして、在ろうことか真正面に突進して来た!
マシンガン程の密度の弾丸。それに真正面から突っ込めばハチの巣は当然。
だが、真紅の鎧はちゅうちょしなかった、そして、弾丸による被害も最小限に納めていた。
降りかかる弾丸を視界で捉え、それが自身に当たるまでの速度を計算し、それより早くに全身に搭載されたブースターやスラスターで回避する。
超高速の思考を持つこの身体にのみになせる技。
途中、マシンガンの範囲を急上昇して飛び越える。
真上から狙いを定め切りかかって来た。

527ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 01:45:34 ID:xm/dFKGs0
>>526
「突っ込むかよ、だったらここは」
『Call Saber』

マシンガンを腰のラックに固定すると、大型の片刃の剣が転送される。
刃渡り60cmで、グリップが握り手についていた。
それで相手の剣を受けようと構えを取り、グリップを引く。

「さぁ、どう来っかな」

グリップを引くと、刀身にエネルギーが集中し、瑠璃色に光る。
群青の剣は瑠璃色に染まり、輝きは強くなった。
そして、切りかかってきた相手の攻撃を受けると。

「こいつは、どうだッ!」

剣を鍔迫り合いの状況に持っていかせると、もう一度グリップを引き、
相手に至近距離からエネルギーの刃を発射する!
この距離ならば超反応だろうと回避はぎりぎりにならざるを得ない。
もし回避したとしてもまたマシンガンの牽制射撃をする。

528ミラージュ:2011/10/16(日) 01:57:23 ID:cvq7FI.w0
>>527
「貴様だけに武器が在る訳ではないぞ?」
ククッ。
そう笑うと足のスラスターを駆動。
もう一方の手にも光の剣を作りだし、つばぜり合いをしている上から殴りつけるとその勢いで浮かび上がった。
ラルフの方に身体を向け、胸部の装甲を開く。
シールドと同じ大胆なエングレービングの施されたそれの奥には小さな穴が幾つも開けられている。
それらが一斉に発光を始め、

「弾けろ!!」
拡散ビーム砲を照射が行われる。
威力はそれ程でもないが、ビーム兵器は強力である。

529ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 02:07:15 ID:xm/dFKGs0
>>528
「マジかよ、当たると痛いのに!」

手でガードしつつ後退する。
幾発か直撃を食らったが、アーマーの防御性能に助けられて、損傷は軽微。
俺はセイバーを転送し戻すと、マシンガンをもう一度装備し、
マガジン部のメモリスロットに『レディエーション』をセットする。

『レディエーション』
「いくぜ!」

三回引き金を引いて球体状のエネルギーを射出、周囲を回転させる。
これだけでは何も意味が無いのだが、一応やっておく。
俺はマガジンのメモリスロットに『バースト』のメモリを挿し込む。

『バースト』
「喰らいやがれ!」

引き金を引いて相手に弾丸を発射。
幾発のエネルギー弾丸の中にチャージした弾丸を混ぜ、
5秒後に爆発するようにセットしてある。
うまく行けば相手の寸前で爆発するはずだが……。
当たらなかったら意味は無いが。

530ミラージュ:2011/10/16(日) 02:29:00 ID:cvq7FI.w0
>>529
「フン、さっさと私を捉えて見せるんだな」
空中を一回転して程良い高さに留まる真紅の鎧。
相変わらずの見下した笑みが続く。
その最中、ラルフの放った弾丸が鎧を打つ。
鎧はフン。と鼻で笑うと何事も無かったかのように右腕を掲げた。

掲げた腕に先程展開した8個の小形機械が集まっていく。
「そろそろ貴様を葬ってやろう……」
クク。と意地の悪そうな笑い声が響く、その時、
その笑みは急に調子を変える。ラルフの放った弾丸が爆発したのだ。
それは鎧の腰部を打ち抜いたらしく、バランスを崩し逆側に沈む。
「チッ、貴様ぁ……!!要らん小細工を!!」
腰部に添えてあった大型の砲身がバチバチ。と唸りを上げる。
爆発による故障だろうか、それとも……。

接近をするならバランスを崩した今だろうが、
散会していった小形の機械と腰の大型砲身が怪しい……。

531ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 02:45:27 ID:xm/dFKGs0
>>530
俺は素早く相手が機械が集まる前にコードを入力、
ライフルを手元へと転送する。
そして、『マテリアル』『ホーミング』『ロックオン』をマガジンへ装着する。
そして、コード『0・2・8・5・Enter』を入力。

「いくぜ、まずは一発目の撃ちだしだぜ!」
『Maximum』『Stag Buster』

ライフルにエネルギーを収束し――

「ライトニングスタッグバスタ――ッッ!!!」

高エネルギーの弾丸は発射されるとクワガタの形を形成する。
そして、飛来するその速度はスポーツカーの様であった。
稲光の様に瑠璃色の閃光を放ちながら、クワガタは相手へと向かっていく!

532ミラージュ:2011/10/16(日) 22:34:43 ID:cvq7FI.w0
>>531
鎧は被害の程度が大きかったのか動く様子を見せない。
輝くクワガタのそのまま正面からのみ込まれ、真の姿を晒す。
「思ったよりも……やりますね」
弾け飛んだ仮面の下に存在した顔はまぎれもなく少女の顔。
しかし、まだ年端もいかない幼いそれは、不自然なまでに冷静を保っている。

不自然に煌めく黄色い瞳……。
それがこの少女から人間味を薄くする。
「ヒーロ。と申しましたか。
 私から、この都市を救えますか?」
少女はもう一度右手を掲げる。
散会していた小形の機械が少女の背へと集まる。
8つの小形機械は変形を始め、一本一本が刃の様な形となり背中から伸びた管に取り付けられていく。

「その程度の力で!!」
8枚の刃が装着されると、それら紅い光を発する。
それに吸い取られるかのように、少女の瞳から光が消え失せ、駆動を停止してしまう。
ゆっくりと変形を始める鎧に対し、口だけは止めず、ぶつぶつと何かを呟いている。
「第二変形・アーキテクチャ……受信。
 レギュレータ・タッチアップ……OK。
 コードアップライン……接続。
 ランニングサポート……開始。
 ――――――システム・オールグリーン 2/3」
鎧の動きが大幅に早まり始める。
腰部後方の虚空が発光を始め、黒い円筒状の物が現れ、接続。
盾が立ち消え、今までよりもより巨大で側面をカバーする程のサイズの物が代わりに現れる。
完全な変形を果たした少女の鎧。
その途端、真紅の鎧はみるみる黒ずんでいき漆黒に染まっていく……。

533ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 22:46:47 ID:xm/dFKGs0
>>532
「いいぜ、アンタとこの都市、一緒に守ってやろうじゃないか」

そう言って、腰のアタッチメントパックのロックを解除する。
そこから取り出したのは群青色の他とは少し違った、
尖った形をしたメモリだった。

「行くぜラピス。ここで一発振り切ってやらないとな!」

そう言うと、ジェネオンにかけられていたエナジーシステムのリミッターが外れる。
ジェネオンスーツ全体が青から瑠璃色に輝き、溢れ出すエナジーは濃密な膜を形成している。
相手がどう出るだろうか、阻止するか?いやそれよりも相手が攻撃するのが先か。
どちらでも、彼がメモリをスロットに挿入するまで、1秒とかから無いだろう。

534ミラージュ:2011/10/16(日) 23:23:43 ID:cvq7FI.w0
>>533
完全に漆黒に染まった真紅。
しかし、刃の紅が灯りだし、点滅を始める。
だんだんと早くなるそのリズムに呼応するように動き出す少女。
そして、刃の光が完全に灯った時、瞳の煌めきも復活する。
「では、見せて下さい。貴方の力。
 都市を救う程の力か、この私が見極めてあげましょう」
駆動を再開した少女は差し伸べる様に右手をのばす。
それを合図としてか、上空の虚空に巨大な砲身が現れた。
1mを越えようかという経口の砲身。
そんな物が放たれてはビル自体も、そしてその周囲も多大な被害を受ける事になる。
それが解っていながらも、既に砲身の駆動は始まり、徐々に光が集まりつつあった。

「全て、吹き飛ばしてあげましょう」
砲身に向けて腕を伸ばす。
恐らく、その腕が下ろされれば発射の承認と言う事になり、直ちに周囲を光がのみ込むだろう。

だが、その腕が降りる事は無い。
『貴様もいい加減にしろ!』
声の発信源は間違いなく少女だ。
だが、それはラルフに向けられた言葉ではない事は確か。
「活動を再開した!?」
『貴様が書き起したせいで久し振りに意識が戻ってきたぞ?
 貴様、この僕に随分と長い休暇をくれた様だな』
少女は、少女自身に向けて喋っていたのだ。
「安易にまだ中途なデータを起こしたのが間違いでしたか……!!」
右腕を掲げたままの少女。
『そこの貴様、良い処に居るな。
 今すぐ僕を吹き飛ばせ。そうすれば貴様はヒーローだ』
クク。と笑い声を響かせる少女。
『何、心配はいらんさ。僕の痛みはコイツが肩代わりしてくれるらしいぞ。
 僕がコイツを留められる時間はそう長くないみたいだ。解ったらさっさとしろ』

そう言ったきり、少女は口を噤んでしまった。
動く様子も見せない事から、いまが大技を叩きこむのに適しているのだろう。

535ラルフ=ハインケルン:2011/10/16(日) 23:39:43 ID:xm/dFKGs0
>>534
「一つ聞くぜ、お前からそのガキを引き剥がすことは出来るのかい?
……できなくてもあらゆる方法は尽くすぜ?俺はヒーローだからな?」

そう言って彼はメモリをスロットに差し込む。
『スピード』という音声と共に全身の瑠璃色のエナジーが光を収束し、
スーツのシルエットが鋭角から流線形へと変わっていく。

「さぁて、疾走するぜ――ッ!!」
『Acceleration!』

瞬間、彼はその場から消えたと同時に砲身に強烈な打撃と斬撃が走る。
彼は消えたのではない。彼は『通常の1000倍の速度で行動している』のだ。
次に0.1秒も置かず本体に10発の強烈な打撃が同時に入る。
効果時間は15秒、だがそれは彼の体感時間だ。
実際には15秒×1000……つまり15000秒もの時間彼はこの速度で動き続けるのだ。

536ミラージュ:2011/10/17(月) 00:07:32 ID:cvq7FI.w0
>>535
『それは…大丈夫、だ……』
苦しげな声が少女の口から聞こえる。
大きな力が働く真紅の鎧を止めるにはかなりの力が必要になるのだろう。

「ぐっ、なんてことを……!」
砲身に攻撃が加えられると苦痛の声を上げる少女。
次々とタメージが蓄積されていく毎に場所の叫びもより痛々しく。
砲身に最後の一撃が加えられた時、痛みに悶えて苦しみの叫びをあげる。
「ぐっ、ああああぁぁぁ!!!」
ぐったりとして無防備な状態曝け出す少女。
もはや抵抗の術は残されていない。

537ラルフ=ハインケルン:2011/10/17(月) 00:19:53 ID:xm/dFKGs0
>>536
「―――ジェネオンキック!」
『Maxmum』『Jeneon Kick』

音声と同時にレーザーが相手に直撃し相手を拘束する。
そして―――

『Over Drive』
「Go!Bang―――ッッ!!!」

本体、砲身を含むあらゆる部位に同時に瑠璃色の強力な蹴りが入る。
あらゆる物質を破壊するとすら言われる究極の一撃が同時に入っていく。
そして―――。

『Time Out』
「これで決まりだ」

彼の大技でありフィニッシュブロー。
それが確実に決まったはずである為、勝負は付いたはずである。
もっとも、これがダメならば彼はこのビルを吹き飛ばすことを式にいれ、
行動しなければならないのだが。

538ミラージュ:2011/10/17(月) 00:43:05 ID:cvq7FI.w0
>>537
ラルフの決めの一撃が無防備な彼女に突き刺さる。
大きなアクションを見せる間もなく、痛みから叫びで逃げる事も無く、ただ悶える。

しかし、まだ完全な停止には至っていない様子で、
顔を上げると煌めきの収まりつつある真紅の瞳でラルフを睨む。
「ここは、一度、退かせてもらいます……」
ゆっくりと輝きつつある少女自身の装甲。
莫大なエネルギーの転移を示すかの如く、周囲の空気が震え始めた。
「覚えていなさい。
 私は、必ず。舞い戻る……!」
それだけを言い残し、重圧な装甲を纏った少女は光に飲まれて消えた。

//これにて『一先ず』終了となります。ありがとうございました!

539ラルフ=ハインケルン:2011/10/17(月) 00:47:47 ID:xm/dFKGs0
>>538
「おーおー、いつでもきやがれ。
ストリートファイトは歓迎だ。次来るときは特製のジャンバラヤを馳走してやる」

そう言ってメモリを抜き変身を解いて相手を見守る。
また、彼は彼女を止めることになるだろう。
そして、相手が諦めるか観念するまで止め続けるのだ。
彼は―――ヒーローなのだから。

「さて、俺も帰らないとな」

そう言って来た時と同じようにビークルに跨りビルから飛び出して行くのであった。

//一先ずって凄く不穏。でも楽しかったです、ありがとうございました。

540?????:2011/11/12(土) 21:00:08 ID:xm/dFKGs0
中央公園に陣取って人々をどんどん空間に開いた穴へと放り込む、
骸骨のような大量の兵隊達…アンサングの私兵『アンサング・ウォーリア』。
穴の隣で軽薄そうにけらけら笑う黒いマントに身を包み顔を見せない男。

「ははは、大量大量ーっと。
この分なら意外と目標数の人柱も余裕で確保できるんじゃね?」

そう言いながら顔を見せずに男は笑う。
声は高く、どちらかといえばその声色は少年の物に近かった。
骸骨の兵隊が大量に歩き回る異常な光景の中に助けは入るのか。

541?????:2011/11/12(土) 21:00:40 ID:xm/dFKGs0
//ageわすれ…何やってんの俺

542?????:2011/11/12(土) 21:01:18 ID:xm/dFKGs0
//ギャアア畜生本当に何やってんだ俺はッ!!

543名も無き異能都市住民:2011/11/12(土) 21:10:45 ID:moR4nLQU0
彼は、そこに居た

「……」

静かに、静かに歩み来る
大量に沸く骸に向けて進む歩みはただ真っ直ぐに

「――――」

暗がりから迫るその表情は読み取れないが
その存在はアンサングの目的に対して相反するモノであろう

544サラ:2011/11/12(土) 21:13:28 ID:mRdm0I4U0
「おいおいおいおい、観測局は何やってんだ……」

中央公園の外周、通りに面した外灯の上に腰掛ける女。
豊かな金髪をフードの下に隠した、いかにもな風貌の魔術師だ。

「あーもう、めんどくさい約束しちゃったもんだ」

大きな溜め息を吐いて、ぶつぶつと口の中で何かを唱え始める。
と同時に、彼女が座っている外灯の明かりを中心として、
同心円状に幾重にも、小さく複雑な魔法陣が広がっていく……。

545焔魔堂 宗也:2011/11/12(土) 21:16:53 ID:1sJsd2CgO
>>540

(……俺のターゲットはあれじゃないな……)
 黒マントが指揮する骸骨の群れを覗き見る蒼い目。
 アンサングの兵士達を観察しながら焔魔堂宗也はぼんやりと考える。
 彼は匿名の依頼でこの場に居る。
 あの大福餅――デリバーの仲介で依頼された案件はあんな骸骨を相手にしろとは云っていない。
 ……まだ、待ちだ。
 宗也は遠巻きに観察しながら、ターゲットの到着を待つ。

546?????:2011/11/12(土) 21:20:24 ID:xm/dFKGs0
>>ALL
「あーっ?なんだよなんだよ。
せっかく必要な数が集まりそうだったってのによ。
しかたねぇな、ウォーリアちゃん達、かるーくやっちゃて」

そう言って黒マントの男は大きい声で骸骨の兵隊達へと指示する。
指示されたと同時に数十数百と言う数の骸骨の兵隊が向かって行く。
手には銃や剣に棍棒とそれぞれ個体差があるが動きは遅い。
だが、この兵隊の恐ろしさはそのようなものではない事を直に気づくことになるだろう。

//
ジェネオン到着まで後4レス。

547名も無き異能都市住民:2011/11/12(土) 21:31:37 ID:moR4nLQU0
>>546
「―――…意思を持ってやってんのは…声の主、か?」
いやに陽気な声が遥か向こうから聞こえた

その前には
有象無象の骸は壁の如く迫り来る
静かな歩みを制止

「……やれやれ、先ずは辿り着くまでにひと難儀だな」

ふぅ、と短く息を切る
拳を胸の高さまで掲げ、迎撃の構えをとる

「対群戦闘――――始めるぞ」

迫り来る軍団の、先頭に当たる一体に拳を振るう
赤い陽炎の立ち上る拳は、重い拳撃と共に暴風を巻き上げ
さながら竜巻の様に一団を薙ぎ払うだろう

548サラ:2011/11/12(土) 21:36:05 ID:mRdm0I4U0
>>546
詠唱が進むにつれ、魔法陣は色濃く複雑になっていく……。
そして、サラがぴんと立てた指を地面に向けて振り下ろす。
すると、その魔法陣が外灯の支柱に沿って高速で下降した。
同時に、公園内の電灯という電灯が一斉に消える。

「……さぁ、小手調べだよ」

魔法陣は一瞬のうちに地面までたどり着くと、
そのまま波紋のように地形に沿って広がっていく。
血を走る青白い六重の魔法陣は雷撃の魔術によるもの。
踏めばスタンガンの如く雷撃に身体を貫かれ、常人であれば卒倒する威力を持つ。
六重の光の紋様が、音のない攻撃として、迫りくる兵隊たちに向かっていく……。

549?????:2011/11/12(土) 21:51:51 ID:xm/dFKGs0
>>547
拳から放たれる一撃によって先頭の一体は消し飛び、
ドミノ倒しのように後方の数十体も吹き飛びバラバラになるが、
バラバラになった兵隊の内数体は直にもとの姿に再構成され―――

「……―――!」

呻き声とも取れる音を発しながらまた男へと向かって行く。
どうやら並大抵の攻撃ではこいつ等は倒れることは無い様だ。
そして一撃で崩れていなかった数体が右と上から時間差で攻撃を仕掛けていく!
動きは非常に緩慢だが一箇所にとどまっていては取り囲まれてしまうだろう。

>>548
「…―――!!」

魔法陣に触れた数十の骸骨が電撃を受けて体を震わせ、
やがてバラバラになっていくが、その後ろから再び数十の骸骨が現れると、
今度は雷撃に怯むことなく迫っていく。

「―――!!」

だが、体が震えているのか動きがさらに緩慢になって居る。
しかし、数が極めて多くこのままではじきにサラへと迫っていくかもしれない。
しかも、まだ動いてる骸骨達は倒れた骸骨達を少しずつ取り込んでいっている。

>>ALL
「さぁて、これだけ騒ぎになれば奴等も出てくるかなー?
正体がばれる前に退散しちゃおーっと。じゃあね異能のみなさーん」

黒いマントの男は悠々とその場から離れていき、やがて姿を消した。
しかし、空間に開いた穴は塞がらず何か気配を漂わせながら蠢いている。

550サラ:2011/11/12(土) 22:08:34 ID:mRdm0I4U0
>>549
「あぁ、また苦手なタイプだ」

ショートしたと思しき外灯の上に、すっと立ち上がる。
逃げる準備だが、相手が跳躍して飛んでこない限りは自分は安全だ。
もっとも、こういう手合いの人外にとっては何でもないような高さだが……。

「……それ、ちょちょいのちょいっと」

サラが手を動かすと、指先に赤い魔法陣が展開され、
その先からテントウムシ程の赤い光の弾が射出される。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
それはバラバラな方向に緩やかなカーブを描きながら飛んでいく。
着弾するまではただの光の弾。が、触れれば小さく爆発、炎上する。
吹き飛ばしたところで再生することは隣の戦況を見て分かった。
が、果たして炎に包まれたらどうなるだろうか……。

551名も無き異能都市住民:2011/11/12(土) 22:11:25 ID:moR4nLQU0
>>549
「(―――気配が消えた…転移か?)」
拳を振り抜いた姿勢で、黒いマントの男の動きを察知する
「(…この状況で逃げるとは考え辛い…ならば)」

視線は眼前、吹き飛ばした骸を見据えて

「次手があると考えるのが筋か――――…っつーか、オイ」

その、再構成されていく様を目の当たりにする

「……アンデット、的な?」

数百体の呻き声はさながら地鳴りの如く
数百体の骨の軋みはさながら雷鳴の如く

「―――厄介、極まりない」

僅か一体の男の周囲に次々と覆い被さり、暴風の如き勢いを飲み込み殺す

「―――――――」

そう

「――――ォオオオオオ!!!!!」

それが、未だに只の暴風であれば―――!!

「鼓動を上げるぜ…俺を潰したければ、粉骨砕身の心意気で攻めて来い―――!!」

暴風は規模を拡げる
不死身の軍隊がせめぎ合うその中心で

男は大嵐の化身となりてその悉くを巻き込み屠る

拳撃の赤き結界は
持ち迫り来る――迫り狂う骸の群れを踏蹴しつつその領域を拡げていく

552?????:2011/11/12(土) 22:22:12 ID:xm/dFKGs0
>>550
「―――!」

炎に包まれた骸骨の兵隊は砂上の物質へと変化消失する。
だが、その間にも骸骨の軍隊は迫っていくが、街灯の上へは登れない。
だがしかし、一体の骸骨が合図をすると。

「―――!」
「「「―――!!」」」

つぎつぎと街灯へと迫るとなんと骸骨達は自らを踏み台として、
後から迫る骸骨達の足場となるように積み重なっていく!
放置すればサラが居る位置へと到達してしまうだろう。
だが爆発などの手を使えば街灯ごと崩れ落ちるかもしれない。

>>551
暴風のような拳撃の結界を前にしても緩慢に骸骨の軍隊は迫る。
吹き飛ばされた骸骨は一つまた一つと砂へと帰っていくが、
数限りないかのように勢いはおとろえない。
やがて一体の咆哮によりさらに攻撃は激化する。

「―――!!」

なんと、骸骨達のうち今まで控えていた銃を構え、
四方八方から男へ向かって一斉に射撃した!
男の拳撃の結界が厚く激しいのならばこの程度は効きはしないが、
なにぶん数が多く、凌ぎ切るのは難しいかもしれない。

553サラ:2011/11/12(土) 22:37:06 ID:mRdm0I4U0
>>552
「ただの人間なら一網打尽なんだけどなぁ……!」

サラは大きく後ろに跳躍、次の外灯の上にふわりと降り立つ。
骸骨の山の前に残された無人の外灯には魔法陣が一つ残されている。

「逃げ逃げ。……ああいう手合いは相手にしないのが一番いい」

回転を続ける黄色の魔法陣は地雷のようなものだ。
骸骨の山の重量が嵩み、こちらに倒れこんでくることを見越して、
何かが外灯に触れたら先ほどのような爆発炎上を起こすようにしてある。

「で、あれは何だ」

そしてサラの視線の先にあるのは、
先ほど黒マントの男が消えて行った空間の穴だ。

554名も無き異能都市住民:2011/11/12(土) 22:40:12 ID:moR4nLQU0
>>552
「――――よし」

もう何十何百体目かも知れない骸に拳を撃ちこんだ後

「……埒、アカンわ、これ…!!」
反転
そうそうに力押しを切り上げた―――!!

「(―――ヤロウ、飛び道具かぃ…!)」

発砲音と同時に勢いよく跳び上がる
「(この状況……上空に跳び上がるのはあぶねーんだが…ま、仕方ない)」

公園内を上から見下ろす形になり
改めて見えるその無数とも言える骸の群れに辟易する
加えて、無尽蔵の再生能力
瞬時に身を翻した所で相撃ちも期待出来ない

「完全に、公園のキャパ超えてるなぁ……着地したくねー…」

地面っていうか、もう骸である

「(さて、打開策は―――…あ?)」

そこで
その骸山の渦中に、ぽっかりと空いたスペースを見つける

それは>>549にて黒マントの少年が消え去った空間のトンネル

「気にするな…って方が、無理だよな」

――タンッ!!

男は“空中を蹴る”
見えない足場の様な物を蹴り進み、その空間の穴を目指す

555?????:2011/11/12(土) 23:01:55 ID:xm/dFKGs0
>>ALL
ようやくラルフと真由の二人は到着すると、
乗ってきたバイクでおもいきり骸骨の兵隊を潰しながら突っ切ると。
懐からメモリを取り出して真由はブレスレットへなぞらせ、ラルフはベルトに挿しこみ。

「変身!」
『Close change』
「変身っと!」
『Rise Change!』

瞬時にラルフは群青色の装甲を転送・装着、真由は緑色の装甲を転送・装着する。
二人は今まで持ち応えていてくれていた二人のほうを見ると。
周りにいた骸骨の兵隊を殴り飛ばしながらラルフはまっすぐ穴の方へ、
真由はサラに迫る骸骨の兵隊達を粉々に殴り飛ばしながら近づいていく。

>>553
爆発で多くの骸骨が粉々に吹き飛ぶが別の軍団がサラへと迫っていく。
その数はかなり減ったというのに数百に迫る数を保っていた。
しかしその軍隊は突如として粉々に吹っ飛んでいく。

「ハイヤァァ―――ッ!!!」

気功を込め、さらに身体能力が強化スーツによる拳撃は、
骸骨の兵隊を瞬く間に吹き飛ばしていき、その数を減らしていく。
吹き飛ばされた骸骨は少しづつ砂へとかえっていっている。

「ごめんなさい!くるのが遅れちゃって!
怪我はありませんか?」

街灯の下から緑の装甲に身を包んだ人物がサラへ話しかける。
声色は18くらいの少女の声をしていた。

>>554
男が迫っていく直前に空間の穴から一人の巨体が現れる。
鋼のような肉体と2mはありそうな身長と人外じみた雰囲気を漂わせている。
その巨体は迫る男に対して。

「チェリィア!!!」

咆哮と共に右手を握りこみ凄まじい速度で振りぬいていく!
たとえ距離が足りなくとも拳圧による衝撃波が男を襲うだろう。
なぜならそれによりにより巨体から離れていた骸骨ですらバラバラになってしまったのだから

>>545
新しく参戦した二人は気にしていないが、
宗也が狙っているのがもし二人の内どちらかだとすれば、
動かない手は無いだろう、狙っているのが人か技術かは別として。

556サラ:2011/11/12(土) 23:09:29 ID:mRdm0I4U0
>>555
「やーヒーロー、遅かったじゃない」

サラは蝙蝠のように足首を使ってぶらーんと外灯にぶら下がる。
が、サラの衣類や髪は足の方に向かって靡いており、
そこだけ重力がひっくり返ったようになっている。

「後はあんたらだけで何とかできるよねー?」

と、新たな青い魔法陣がサラの身体を舐めるように上下する。
任せたからー、という口ぶりだが、未だ万全の臨戦態勢のようだ。

557名も無き異能都市住民:2011/11/12(土) 23:17:06 ID:moR4nLQU0
>>555
「(エンジン音―――バイク?)」
男が進む後方
新たに現れたド派手な気配に僅かに視線を向ける

『変身!』『変身っと!』

眩いエフェクトと同時に進撃を始める二人
どうやら、第三者は骸の敵の様だ

「――――…か、かっけー…!」

変身ヒーロー
何というか、男子たるもの憧れの視線を向けずにはいられないモノであった

「(良い迫力だ、街灯のねーちゃんと合流すんなこりゃ…)」
援軍に頼もしさを感じる

そして

「―――――ッち!」

もうひとつの気配
―――前方から現れた巨躯に舌打ちをひとつ

「登場からもう―――臨戦態勢かよ…!!」

踏ん張りの効かない空中で
―――ギュル!!
男は身体を大きく回転させる

―――ガォンッ!!!
「――――ッく!!」
遠心力と体重を乗せた拳で迫る巨体の剛力に相対するが

その身は更に上空へと弾かれた

558焔魔堂 宗也:2011/11/12(土) 23:17:48 ID:1sJsd2CgO

 兵士の骸骨が破壊と修復を繰り返す、死ぬ事の無いアンデッドの躯が暴風へ街灯へ群がる混沌とした景色が広がっていた。
 いや、異世界と呼んだほうがしっくりくる。
 ぽっかりと口を開いた異界は異能者を呑み込んで漸く都市の一部に成り上がる。
 これが日常、これこそが常識。
(――それでこそ異能都市ッ!)
 昂る。
 宗也は全身全霊に滾る興奮を――開放する。
 燃え盛る“巨人の右腕”を創造する、轟と右肩から立ち昇る熱波が眼前に顕現する。

>>555

 ――そして、標的が到着する。
 任務は標的の撃破、唯一つ。
 燃え盛る“右腕”が掴むは熱波の刄、無尽の焔で象られた剣。

「――フランヴェルジュッ!」
 宗也は其の名を喚び、緑の装甲へと向けた切っ先を進撃させる。
 燃え盛る炎の剣が骸も捲き込み群れを為して緑の装甲――グリーンへと迫る。

559?????:2011/11/12(土) 23:31:26 ID:xm/dFKGs0
>>556 >>559
「いやいや、援護くらいは頼みますよー。
大抵の奴は殴り飛ばせるけど数だけは如何ともしがたいんだからッ、さ!」

周りに迫る骸骨に対して大立ち回りを演じつつサラへ言葉を返す。
余裕たっぷりだが、一撃ごとに骸骨が上空へぽいぽい飛んでいく様はコミカルにも思える。
しかし、直後に遠方から飛来した炎の剣迫り。

「やっば!?―――っぅ!」

両腕の気功で何とか防ぐが、意表を突かれた攻撃は正直驚いた。
たいしたダメージが無いのが救いだろうか、と思いつつ。
飛来した方向を見やる。

>>557
巨体の豪腕は容易く男を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた男を見てラルフは装甲に覆われた顔でしまったと舌を打つ。

「シット!だが間に合わせて見せるぜ!!」

両足にエナジーを集中し放出して飛行する。
高速飛行で素早く男性を受け止めると。

「HeyBoy?大丈夫か?」

いつかの特撮物で見たクワガタのような頭部と、
三本のラインが組み合わさったアイセンサーで男を見ながらラルフは男に聞く。

しかし、ラルフが助けた途端に巨体は次の一撃を振りかぶっている。
サラからは遠く、真由も足止めを喰らっている。
誰からも援護が無い場合このままではラルフ達は殴り飛ばされてしまうだろう―――。

560サラ:2011/11/12(土) 23:40:37 ID:mRdm0I4U0
>>559
「……その炎を気合いでぶっ飛ばせるんだから大丈夫じゃーん?」

にやりと嫌味たらしい笑みを浮かべる。
が、態度の割にサラは戦況をよく見ていたようだ。
サラが外灯から足を離す。身体が宙に舞う。
暗い色のマントが翻ると、手の中に木の杖が現れ……。

「……そーれ!」

青い魔法陣が、円盤のように杖の先から打ち出された。
純粋な魔力の結晶、切れ味鋭い魔法のチャクラムは、
空中の男二人を殴ろうとする巨人の腕へカーブを描き飛んでいく……。

561名も無き異能都市住民:2011/11/12(土) 23:42:29 ID:moR4nLQU0
>>559
「……いや、ボーイって歳でもねーが…てて、大丈夫だぜヒーロー、それより――」
アメコミ風喋り超かっけーとか思いながら
「―――次、来るぜ」
ビッと地面を―――拳を振りかぶる巨体を指す

「今夜は俺とお前でダブルライダーだ的な展開でひとつ頼む…!!」

ラルフの手を離れると再び空中を蹴り急降下していく

「この一発は俺が何とかする――――だからよッ!!」

”あのデカブツへの攻撃は任せる”と強く背中が語る!!

ギュルルルルル…!!
降下しつつも廻る身体
遠心力が乗る――乗る――乗る――!!!

回転力をそのまま破壊力へと昇華させて

「ォオオオオオ―――ラッ!!!」

巨体の一撃を相殺せんと、渾身の蹴りを叩き落とす―――!!

562黒沢小百合:2011/11/12(土) 23:51:31 ID:SSMHlh/20
>>>555

「……まったく、私がいないとすぐに……。
 こういった、『テロリスト』どもが湧き出してくる……。
 まるで、肥溜めから羽化する羽虫どものように……。」

冥府か、はたまた地獄の戦場か。

本来なら、安らかな眠りにあるはずの死者が闊歩し、
穏やかだったはずの日常へ侵蝕する、その光景をヘリから見下ろす
長い黒髪と、剃刀のような鋭さを身に纏う女性――黒沢小百合は、一人呟いた。

病気療養として長らく、少しの間都市の治安維持活動から離れていた彼女であったが
業務再開早々、さっそく都市を害さんとする者――小百合の言葉を借りれば『テロリスト』が
現れた。

「烏合の衆めらが、目に物を見せてくれるぞ……。
 ただ、数の力のみに拠って私を倒そうと、この都市を害そうとするなら、
 この私が、鉄火風雨を持って鉄槌を下すのみだ。」

公園から、少し離れた場所に何の前触れも無く『具現化』するのは、M1128『ストライカー』MGS。

ストライカー装甲車を機動砲仕様に改良したこの車輌は、
火力支援および対戦車用の50口径105mm砲を装備している。

「……都市に巣食う羽虫どもを叩き潰してやれ。」

十数輌ほど具現化された、それの105mm砲が一斉に火を噴く。
狙いも敵味方の区別すらない。

ただ、鋼鉄の雨のようにふりそそぐ榴弾のうち一つは、その着弾点に豪腕を揮う巨躯を捉えていた。

563焔魔堂 宗也:2011/11/13(日) 00:04:06 ID:1sJsd2CgO
>>559

 其処には細身のシルエット。
 身の丈の倍近い火柱を掴む“巨人の右腕”はラフなスタイルの一般人然とした男の右腕を包むように生えている。

「外したか。いや、アレを対処するとは中々、疾いな」
 悠然と距離を詰めながら、宗也は右腕を振り上げる。
 火柱――焔剣フランヴェルジュがゆらりと天を突く。

「アナタが誰かは知らないが、俺の生きる糧になってくれ――ッ!」
 轟と焔剣が振り降ろされる。
 焼け付く刀身に質量は無い、しかし衝撃の替わりに焔が拡がる。
 這い回る焔が大地を焼く剣撃が振り降ろされた。

564?????:2011/11/13(日) 00:26:32 ID:xm/dFKGs0
>>563
「意外と熱いんだけど……ジェネオン!スタイルチェンジ:青!」
『Yes,Ma'am. Change Blue』

スーツへ音声で指示を出すと、素早くスーツの装甲は青く変色する。
炎に対しては水、と言う彼女の直感での行動。

「高速の水流!
効果があったらいいんだけどね!」

大地を焼く焔に対して高速で水を腕部から噴出する。
勢いに任せて周りの骸骨も一緒に切断していく。
高速の水流噴射による切断攻撃メインのようだ。

>>560 >>561 >>562
「オッケイBoy。あのデカブツは任せな!」

手から離れた男へラルフはサムズアップを送り、
高速飛行を持って巨体へ接近する。

巨体が放つ腕を捕らえた2つの攻撃、砲撃と切断は巨体にヒットするが、
巨体の手は吹き飛んでしまったが、巨体は痛みに苦しむ事も無くその右腕を振るう。
手が無くとも拳圧による暴風はそれだけで脅威になるが―――

「ォオオオオオ―――ラッ!!!」

男が放った渾身の一撃は巨体の拳圧を相殺し、さらに。
ラルフの接近を許してしまった。

「Go Bang!!」
『Janeon Wave』

至近距離で右腕から放たれるエナジーの衝撃波は巨体を捉えダメージを与えるが、
巨体はその程度怯む事も無く、巨体の一撃を受ける前にラルフは後退する。
そしてラルフはジェネオンに装備されている通信機を使って小百合へ連絡する。

「Hey,Ms!援護してくれるのはいいがもう少し周りを考えてくれるかい?
出来れば骸骨を狙ってくれると有り難いんだが!」

そう言って小百合に骸骨の軍団の相手を頼む。
とは言うものの、彼自身これで言うことを聞いてくれるとは思っていない。
小百合の素性を調べるときによーく性格も知っているからだ。

>>ALL
巨体を召還した空間の穴は今だ残っているが。
大きく蠢いたと思うと、消滅していった。
骸骨の軍団が新しく出てくる事はなさそうだが、それでも約500もの兵隊が残っていた。

565黒沢小百合:2011/11/13(日) 00:43:31 ID:SSMHlh/20
>>564

『閣下、こちらへの交信を呼びかけるものがあります。
 どうやら、下で戦う一団からのようですが。』

「……通信の必要なし、攻撃続行せよ。」

ラルフの読みどおり、小百合は彼からの通信を無視した。
彼女にとって、自分の部下および異能者は戦いを有利に進めるコマであり
いくらでも替えが効く消耗品にすぎない。

……砲撃はますますもって激しくなってきた。

無数に降り注ぐ榴弾は、公園を無数のクレーターの残る
空き地へと替えながら、骸骨の軍団をなぎ倒す。

味方を巻き込んでいる、という事を除けば完全な殲滅攻撃だ。

566名も無き異能都市住民:2011/11/13(日) 00:44:27 ID:moR4nLQU0
>>562>>564
「―――手応え、アリだ」
振り切った蹴り足に感じる手応え
そして動きを止めた巨体に見舞われるヒーローの一撃

「…流石」

伊達や酔狂等では無い
様相の派手さに引けを取らない力に舌を巻く

「―――」
体制を立て直すか、と身を翻した
「……ん?」
その先にも

「――――ちょ、ま――なんて出鱈目――――!?」

当然の如く降り注いでいる近代兵器の雨あられ

ドドドドドドドドドドッ!!!
着地点が爆心地ストライクだった男は
両手に形成したエネルギーフィールドで爆風を防ぎつつも

―――ドッガさぁ――!!

公園の深い茂みの方へと文字通り吹き飛んで行った…

567焔魔堂 宗也:2011/11/13(日) 00:48:33 ID:1sJsd2CgO
>>564

(……高圧水流か、不味いな)
 青く変色し水流を扱うようになった女――声から判別したが――を見ると、宗也は右腕を素早く引っ込めた。
 残った火柱と焔の波紋が水流に当たった端から消えていく。
 そこに降り頻る榴弾の雨。
 敵味方の区別無い無差別な攻撃に移動を激しく制限され、走り出そうとした足が止まる。

「チッ――」
 割れた街灯の一本を“巨人の右腕”で捻り切り、振りかぶる。
 直後、“右腕”が肥大し、絶対届きそうに無かった距離を瞬く間に詰め、水流放つ女を街灯で横殴りにかかった。

568サラ:2011/11/13(日) 00:51:25 ID:mRdm0I4U0
>>564
「効いた! ……気がしただけか」

地面に降り立ったサラは杖を懐に仕舞い込む。

「さて、爆撃が来るぞー、爆撃が……。
 ヒーローのバックには爆発と相場が決まってる!」

誰に言うでもなく叫ぶと、攻撃の集中する巨人に背を向ける。
眼前には未だ数百の数を保っている骸骨兵たち。

「来な! 倒れるまで付き合ってあげようじゃない!」

サラが何かを指揮するように両腕を広げると、
足元に魔法陣が浮かび上がり、円錐状の炎の槍が幾つも宙に浮く。
あちこりに跳ね回りながら榴弾を避けるサラから、炎の槍は次々に打ち出される。
高熱の炎が榴弾から逃れた骸骨兵に向かって、迷いなく飛んでいく……。

「っとぉ! 余裕って訳にゃいかないな」

そんなサラにも榴弾が直撃し、サラの身体がバリアに包まれる。
杖を手に無傷で現われるが……。彼女の魔力の貯蔵量を示すピアスは、既に本来の1/3程の大きさだ。

569?????:2011/11/13(日) 01:06:40 ID:xm/dFKGs0
>>566
「オイオイ…大丈夫かBoy」

巨体から少し離れた場所から男が吹き飛ぶさまを見ていたラルフはそう呟く。
彼自身も砲撃を回避しつつ骸骨兵を砲撃が来る場所へと誘導していた。

>>568 >>567
「悪いけど…一気に決めさせてもらうわ!」
『Janeon Shot!』

右手のモニターの数字を素早く入力し、腰から引き抜いたバイスエッジガンを構える。
しかし、そこに街灯が迫ってきてしまった上に街灯が直撃した。

「いったっ!スーツが頑丈っていったって痛いものはいたいんだから!!」

結果として必殺の光弾は目標から大きくそれてしまった。
だが真由自身、大きく怯んではいるが受けた右脇腹を気にする事も無く、
バイスエッジガンを構えて宗也に真っ向から向かって行く!
背後から迫っていた骸骨の兵隊はサラの炎の槍によって迎撃されている。
だがしかし、サラの方が限界に迫っているの真由は気づいては居ない。

>>565
殲滅攻撃を利用しながら次々と骸骨の兵を倒していくが、
そのしぶとさと再生力で中々全滅させられない。

「シット、やっぱアイツをつぶすしかないか!」

そう言ながら彼は砲撃を利用して骸骨を撃退しながら、
巨体へと迫っていく。しかし、巨体は砲撃に怯むことなくこれまで使わなかった、
左腕を握り締めると。

「ヌヌゥゥオオオァァァァ――――リィィア!!」

空を飛ぶヘリに対して左腕を思い切り振り抜いていく!!
振りぬいた左腕からの拳圧は風を、音すらも凌駕してヘリへと飛来する。
しかし、巨体自体も砲撃によって体が傷ついていた。
巨体の体力が費えるのも近いだろうか。

570サラ:2011/11/13(日) 01:28:32 ID:mRdm0I4U0
>>569
「っ、いや、無理。こりゃ無理無理!」

榴弾の断続的な面による攻撃は、かなり精密な対処が要求される。
自分めがけて飛んでくる破片を逸らし、それができないものは杖で無力化する。

「ネジの外れた人間ってのは相手にしたくないね……」

そう言って、着弾地点に含まれる範囲から器用に離脱する。
そこは広場から距離のある、深い茂みの中。……榴弾の雨を掻い潜って、
ここまでサラ一人を追ってくるような気概ある骸骨兵などいるのだろうか。

「あとは時間の問題。成り行きを見させてもらおう」

そう言いつつも杖を収縮させ防衛機能を回復、
さらに自衛の魔法陣も展開と、一応の臨戦態勢だ。

571名も無き異能都市住民:2011/11/13(日) 01:37:10 ID:moR4nLQU0
>>569
「……シット…いや、やれやれ…うつっちまった」
はぁ、と嘆息する茂みの中
いや、すでに周囲は焦土と化し
男の座り込む一角を残して不毛の土地と変わっていた

飛来する航空爆撃を最小の動き、最小の力で周囲に散らしつつ

「環境保全もへったくれもねーな…」

戦況は
―――僅かに押している…か

面攻撃と点攻撃が図らずも相互に上手く作用し
骸群体、巨躯の大男、それぞれに効果的に働いているようだ

イレギュラーは、何故かヒーローを狙っている男
かなりの力で緑色のヒーローに肉薄している

さて、それじゃあ俺は―――

―――ガァンッ!!
数発目の弾頭と、数匹目の骸の両方を砕く

「……公園の、守護班って事で良いかな?」

男の背後には残り少ない憩いの場
何大戦かっていう、眼前に広がる阿鼻叫喚の現実から

せめて明日の誰かの平穏を守っていよう、と留まるのであった


【――――戦線離脱】

572焔魔堂 宗也:2011/11/13(日) 01:38:06 ID:1sJsd2CgO
>>569

「頑丈だな」
 手応えを感じた。
 だが相手は銃を構えて此方に走ってくる。
 恐らく、一撃必殺の技を仕掛けてくる……ならば迎撃しなければなるまい。
 しかし、追撃を与える間も無く榴弾の雨が宗也にも振りかかった。
 宗也は着弾点を見切って走り出す、しかし走ってどうにかなる代物では無い。
 ズドン、と炸裂の衝撃が宗也を捲き込んで拡がる。
 
 もうもうと辺りに土煙が立ち込める少しの間。
 宗也の姿は粉塵に隠れてしまった。見失ったか?

573黒沢小百合:2011/11/13(日) 01:39:25 ID:SSMHlh/20
>>569

――風圧により、ヘリが空中で揺れる。

今まで、小百合が模擬戦で敗北した原因の中で
最も多いのは、攻撃を回避するため空中へとヘリや航空機を使い回避したところに
追撃を受け、そのままやられてしまうパターン。

このままでは危険だが、一撃で撃墜されてしまう類の攻撃ではない。

「糞虫がッ……文字通り、『潰してやる』ッ!
 防御と攻撃を兼ねた、圧倒的質量でなッ!!」

巨体へと影が掛かる。

「――『駆逐艦』だッ!」

光を遮ったのは『船体』。
大日本帝国海軍の千鳥型水雷艇である。

全長82mと同時期の艦船から見ても小型ではあるが、600トンの重量を誇る。
それが、巨体とヘリとの間へと盾の様に割って入り、そのまま頭上に落下する!

574?????:2011/11/13(日) 02:01:54 ID:xm/dFKGs0
//レスを一部省略しています。
>>ALL
粉塵に隠れてしまった宗也を見つけることはきわめて難しい。
なぜなら、榴弾の雨に加えて巻き上がった粉塵で極めて視界が悪いのだ。
彼女はスタイルをウォーターブルーからベースグリーンへと戻すと。

「こういう状況ならね!」

そう言って彼女は、全身の感覚を集中し宗也を探す。
同時期に巨体の動きが駆逐艦の落下によって極めて弱った時を狙って。
ラルフは腰部よりメモリを取り出す。

「オッケイ、一気に決めるとするぜ!」

ラルフはメモリをベルトのスロットへとセットすると。
瑠璃色の輝き混沌とした戦場で上空まで輝いていく。

『Acceleration』

スーツの電子音声と共にベルトのモニターが15.00のカウントをスタートしたと同時に、
ラルフは戦場から誰の目にも止まらないほどのスピードで動き出した!

>>572
「――――」
『Maximam』

その場に立ち止まり右腕のモニタへコードを入力する。
この状況で仕掛けてこない道理は無いだろうと彼女は予測し。
次の一撃を確実に入れるためにその場から動かない。
大穴でサラを狙うことも考えたが、考えるだけ無駄と悟ったのだ。

>>573
「ウォオオオォォォ――――!!!」

駆逐艦を食らい、右足が膝を付いていて尚巨体は潰えなかった。
しかし、その胸部には何か紋章のような物が浮かんでいる。
そしてそこへ、1000倍の速度の世界からラルフは一撃二撃三撃と、
目にすら写らぬ速度で攻撃を加えていく。

小百合の目には巨体の周りを何か瑠璃色の線が駆け抜けていき、
それに対して巨体がダメージを受けているようにしか見えないだろう。

575サラ:2011/11/13(日) 02:12:27 ID:mRdm0I4U0
>>574
「……決まったな。私が煙草を吸う人間なら、
 格好良く一服つけて、溜息と一緒に煙を吐くとこだ」

サラはポケットから煙草を取り出して口に……。
そんな仕草をしようとして、手を握ったり開いたり。

「とはいっても、一応全てが片付くまでは見届けなくちゃ」

そう言うと、まだ少なからず残っている骸骨兵に向け、
先ほどと同じような――やや出力は控え目だが――炎の槍を投擲する。
そうして、駆逐艦を受け止めた巨体に視線を移した。

576焔魔堂 宗也:2011/11/13(日) 02:18:10 ID:1sJsd2CgO
>>574

 もうもうとした粉塵の奥。
 カチン、と金属音が鳴ったと思えば、

 小爆発。
 橙色に灯る熱波が膨らむだけの爆音も爆風も微弱な連鎖的な燃焼現象――粉塵爆発。
 温い風を撒き散らした跡、其処には誰も居なかった。
 まるで手品のように宗也は消え失せてしまっていたのだった。

【焔魔堂宗也 戦線離脱】

577黒沢小百合:2011/11/13(日) 02:22:56 ID:SSMHlh/20
>>574

「精度が甘い。砲撃隊は何をやっているか……。
 いや、もうその必要も……。」

小百合の目から見ても、既に眼下の戦闘は収束に向かい始めていた。

「……これ以上は、下に任せるとしよう。
 アレは後で役に立つかもしれん。」

暗闇で光るペンライトのように、縦横無尽に駆け回る光の帯。
小百合は、それを見下ろしながら舞台の具現化を解除し己の居城ともいうべき
千夜ビルへと、進路を向けた。

// ごめんよー。自分もそろそろ……。

578?????:2011/11/13(日) 02:32:02 ID:xm/dFKGs0
>>576
「逃げられたか…でも、モンスターは結果として何とかなるし、いいかな」

1000倍で動き、光の帯でうごき続けるラルフを見ながら。
真由は変身を解除する。

>>ALL
「ヌゥゥォオオォォォ―――ッ!!」
「悪いな、こいつで終わりにさせてもらうぜ!!」
『Time out』『Maximum』『Jeneon kick』

超高速の移動を解除し、空中から片足の飛びこみ蹴りを打ち込み、
さらにそこから胸部の紋章を両断するようにサマーソルトキックを打ち込む!!

「!?―――ォォォ!!!」
「Checkmate!」

着地と同時に指を鳴らして相手へ詰みを宣言すると同時に、
鋼のような筋肉を持つ巨体は紋章の輝きと共に爆発し、砂へと帰っていった。
その影響かは不明だがそれまで暴れていた骸骨達も砂へと一斉に帰っていった。

//一応戦闘はこれで終了ですー、皆様お疲れ様でした。

579サラ:2011/11/13(日) 02:45:06 ID:mRdm0I4U0
>>578
狙っていた骸骨が急に崩れ落ち、
無駄撃ちした一発を手を翻して吸収する。

「……やれ終わったか。無駄に駆り出されちまった。
 この調子じゃ絶対あいつらだけで何とかなっただろう」

誰にも聞こえない声で呟くて、
サラはゆっくりと公園を見回す。

「……しかし、こいつは酷い。
 また始めっからやり直しだ……」

戦場となった公園自体に何か未練があるのか、
心底がっかりしたような溜め息を吐き、肩を落とす。

「もっと上手いやり方を考えなきゃいけないってさぁ」

誰に向かっての言葉か、サラは頭を振って歩きだす。

この公園に誰かが仕掛けていたはずの見えない魔法陣。
それが、張られていたガラスが砕かれるように、使いのものにならなくなった。
そのことを知っているのは、ごく少数の人間だけである……。

580?????:2011/11/13(日) 02:57:13 ID:xm/dFKGs0
>>ALL
変身を解除したラルフと真由は、慌てた様にバイクに跨ると。

「ととと、面倒な奴らが来るぜ!」
「はいはーい!」

重い音を立てて2つのバイクはその場から離れていったが、
そこへ黒いコートの男が通りかかると。

「やれやれ…彼女も派手にやってくれる」

そう言って、瞬く間にクレーターだらけの公園を元通りに復元した。
復元し終わった後、彼は直にその場を離れていったようだ。

581黒沢小百合:2011/11/22(火) 23:50:29 ID:SSMHlh/20


鮮血と抉れた肉の欠片が飛び散り、悲鳴と罵声、怒号が飛び交う。

都市の暗部、地下暗黒街に設けられた闘技場、『地獄の窯コロシアム』は
今日も貪欲に剣奴たちから流れ出た脳漿と血液を飲み干す。

「……今日はどうにも試合に締りが無いですね……。
 もう少し、良い剣奴はいないのですか?前死んだ、あの大男だとか。
 この前の魔術師の女のような……。」

阿鼻叫喚の坩堝を、会場最上部に設けられたVIPルームから見下ろし
不満げに声を荒げるのは本来、都市の治安を守る使命を帯びているはずの女――黒沢小百合であった。

582ゆすら(荒御霊):2011/11/29(火) 22:58:51 ID:l41SfQLo0
緋河神社。
そこは、静寂と聖性がたたずむ、異能都市という都市の中では異質な部類に入る場所である。
都市の喧噪と混沌は、この神社とは無縁。
手水舎に流れる水の音と、神社に生えている木々に集まる鳥の声。およそ音と呼べるものは、それしかない。

「…………」

そんな境内にある池、その側に置いてある竹製の長椅子に、胡座をかくような形で座っている、一人の女がいた。
巫女装束に身を包んだ、二十歳も超えていそうな見た目のその女は、膝に肘を付けて頬杖を突いている。
彼女の静かな視線の先にあるのは、境内のど真ん中に刺さった一本の剣。
漆黒の刀身を持つそれは、不壊の魔剣。憎念の集合体。魔剣エクスカリバーである。

583エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/29(火) 23:10:53 ID:xm/dFKGs0
>>582
「フゥー……」
「……さて、なんだかんだついて来てしまったな」

その静寂と言う空間の中に二つの影が立ち入ってきた。
片方は何時もとは違いボロボロの白衣に灰色の綿ズボンをはいて着ている。
その表情は穏やかそのものだが、底が知れない何かを持っている男…エドワードだ。
もう一人はローブのような物を着ているが、胸元が少し空いている艶のある服装をしている。
その表情は少々困りっているようだが、状況を楽しんでいる風であった。

「付いて来たのは君の勝手だろう、私は彼の近況が聞きたかっただけだが」
「はっはっはっ、この私にもお前の近況を息子に伝える大役があるのでな」

そう言って二人は長椅子の前へ少しずつ向かってきている。
エドワードは口調は面倒そうに、女性はそれを笑っている。

584ゆすら(荒御霊):2011/11/29(火) 23:21:16 ID:l41SfQLo0
>>583

「……来たか」

長椅子に近づいてくる二人分の姿を認め、女は獲物を前にした猛獣のような印象を受ける笑みを口元に浮かべた。
ここにこうして魔剣を晒しておけば、いつかこの男が来ると思っていた。
もう一人、余計なのがついてきているのは誤算だったが、おおむね予定通りと言えよう。

(フン、この男が「そう」なのか)

頬杖を解かぬまま、女、緋河神社祭神ゆすらは、近づく二人を見つめ続ける。
その瞳はどこか凶暴性をはらんではいたが、面白がるような色の方が大半を占めていた。

585エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/29(火) 23:30:30 ID:xm/dFKGs0
>>584
「ああ、来てやったぞ。ふはは」
「君は口を挟むな…ややこしくなるだろう」
「嫌じゃ」

溜め息をついてエドワードは長椅子に座る相手を見る。
何と無く経験で神とか呼ばれる類と同じなんだろう、と感じた。
隣の彼女もくつくつと笑っている。

相手の此方を見る眼が深かったのならば、エドワードの深層に持っている『青さ』や、
彼が持っている異質といえる雰囲気にも気づくだろう―――。
もしかすれば『能力の根幹』でもある『一つの世界』も感知されてしまうかも、いやされてしまうだろう。
一方女性の方はなんらかの力が働いているのか、靄がかかった様に正体は見えにくい。
僅かに捉えられるのもほぼ人とは変わりはないだろう。

586ゆすら(荒御霊):2011/11/29(火) 23:50:10 ID:l41SfQLo0
>>585

「いつ来るのかと思っていたが……意外と遅かったな?
 女を待たせると怖い目に遭うのは経験済みだろうに」

ククク、と含み笑いをしながら、ゆすらは長椅子から立ち上がった。
その身長は170を超えていようという、女性としては割と高いもの。
立ち上がる勢いで胸元に入り込んだ長い黒髪を払い、魔剣を背にして二人の前に立つ。

「まあ良いだろう……そんなことは些細なことだ。
 私は回りくどいのは嫌いだから単刀直入に訊くが、そこの女は何だ?
 神前で身を晒せぬモノなのか? であれば帰ってもらおうか」

ゆすらは女を指さして、いきなりそんなことを言う。
パッと見ただけで正体のわからないモノは、この世に掃いて捨てるほどいる。
別段、それについてどうこう言うつもりはないし、それがそいつの個性となれば尚更。
だが……神前にして聖域たる神社にそんなモノが入り込んでは神としても面白くない。ゆすらは特に、その傾向が顕著な神であった。

587エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 00:00:13 ID:xm/dFKGs0
>>586
「残念だが、こればっかりはどうしようもなくてな。
どこぞの神にも、お前はずっと女難と言われたんでね」

含み笑いを受け流して肩をすくめながら彼は言葉を返す。
相手の所作を逃さず見ながら、彼は相手の質問へと返答する。
しかし、それを彼女は制止して。

「別に晒してもかまわぬが、一応この私は神様でな?
迂闊に晒してはこいつに迷惑がかかるのでの、この程度で勘弁してくれ?」

ローブの女性は僅かに靄を晴らしていく。それは神々しいが、どこか黒いものを持っている。
例えるならば、高貴かつ、深く黒い闇と言ったところだろうか。
だが、人に仇ナすものとは違っていた。

「あんまり迷惑かけたくないんじゃ。
ただでさえ息子が世話になっとるでの?それとも納得できんかや」

少し笑った顔を崩さずに彼女はゆすらを見る。
もし相手が怒ったらどうするんだ、とエドワードは思っていた。

588ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 00:12:47 ID:l41SfQLo0
>>587

晒しても良いが晒すと迷惑が掛かる、という女の言に、ゆすらは不快そうに鼻を鳴らした。
ならばどうしてこんな場所にいる、とでも言わんばかりの態度だが、それを口にすることはない。
面白くはないが、重要ではないからだ。
ただ、神域に胡乱な身を持ち込んだモノとして、ゆすらの記憶にはインプットされてしまったようだった。

「……で。お前は用事があってここに来たのだろう?
 いや、正確にはここ、ではなくこの剣に、か」

そう言ってゆすらは体をずらし、二人に剣の姿を晒した。
剣は以前と同じようにその黒々しい刀身を見せていたが、あのときほどの威圧感はまるでない。
それは封印されてしまったからだ、と言えばそこで終わるのだが、それとは少し違った感じでもある。

589エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 00:19:05 ID:xm/dFKGs0
>>588
「ま、ここに来たのはこの私の勝手。こいつは関係ないんでの」
「……ふぅー」

いつの間にか取り出した缶コーヒーを取り出して一口。
印象が悪くなったが、私のせいではないだろうと思いつつ。
相手が話したことに対して。

「私は貴方にも興味が無いわけではないさ。
何で剣がここにあるかについても、まぁ伏せておこう」

剣を見るが彼は何の感情も見せる事は無い。
後悔を捨てたかのように、その感情を閉ざしている。

590ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 00:30:47 ID:l41SfQLo0
>>589

男が魔剣に対してあまり顕著な反応を見せないことに、ゆすらは面白がるような笑みを見せて、

「こいつをここに持ち込んだ観測局の連中から話は聞いている。
 お前、こいつを浄化しようとしたとか? 千数百人規模の魂を一つの魂で相手取るとは、無茶の過ぎる男だな」

しかしそれは失敗した。最後の最後まで魔剣は男を拒絶し、その浄化を受け入れなかったという。

「失敗は当然の話だ。
 この剣は内情こそ魂の集合体だが、その意識はひとつの方向に固まっていて、もはや概念的存在といっても良かった。
 多くの魂の力からなる概念を、一つの魂で受けきれるわけがないのだ。例えお前が「外れモノ」だったとしてもな」

591エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 00:37:04 ID:xm/dFKGs0
>>590
「前にも、同じ様なことをしなかった訳ではない―――。
今回は、そう。私自身が初心を忘れてしまっただけだろうさ」

そう言って彼はまっすぐにゆすらを見ながら言葉を返す。
失敗したのは自身の不覚である、と。
同時にそれは不可能ではなかった、と言う事でもあるだろう。

「『力』を使えば概念の消去など容易だった、だがそれは彼らが救われない。
起こった事を無かった事にしてはならない、あくまで彼らが冥福を望めるようにしたかった。
もっとも、それも私は果たす事はできなかったが」

穏やかな顔のまま自分の気持ちを相手へと告げる。傍の女性も気持ちがわかっているのかはわからないが、
少し表情が曇っていた。もしかしたら、同じ様なことを彼女の前でもやったのかもしれない。

592ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 00:52:07 ID:l41SfQLo0
>>591

「容易だった、とは吹くじゃないか。
 それを本気で言っているのなら、今までお前は至極「簡単な」奴しか相手にしなかったのだろうな。
 世界はそれほど簡単なものではないぞ、エドワードとやら。今この場でその認識を改めた方が良いと思うが」

口の端をつり上げた不敵な笑みを浮かべて、ゆすらは男にそう言った。

「それにな、ああなった亡霊に救いなど必要ない。
 何故か? それは奴らはもう、「人の魂」であることを止めていたからだ。
 人格、個としての魂のあり方を忘れ、力の集合体として成った奴らに、救いを見せたところでどうなる?
 どうにもならない。いいかエドワードとやら、どうにもならないんだよ。
 剣は消えず、憎念の力も消えず、罪と穢れだけが残るだけだ。救いを容れるだけの意識が、もう奴らにはないんだ」

指摘されたそれは残酷な事実であったが、ゆすらの笑みは消えていない。
遊ぶでもなく、彼女は本心からそう言っているのだ。

593エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 01:07:15 ID:xm/dFKGs0
>>592
「そう思うなら、そう思うえばいいさ」

彼は相手の言葉に対して、自分の思った言葉を返していく。
否定するわけでも肯定するわけでもない返答。
自分の力が危険極まりない事を知っているが故に、
その力をを話さない。

「だからと言って、私は何もしないわけにはいかないさ。
そう言う、立場だからな。人の魂を辞めていようとも、救いを求める限り。
私はそう言う存在の声を聞かなければならない。喩えそれが無為な行為であっても」

彼はその行動を義務と言った。
その表情も変化する事は無く、彼はただ言葉を紡いでいる。

594ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 01:22:49 ID:l41SfQLo0
>>593

「フン、観測局の連中がこいつを持ち込んだときは面倒を持ってきたものだと思っていたが……。
 中々どうして。連中はそんなことを考えもしなかっただろうが、結果的に良い方向になったな」

ゆすらは笑みを消してまた鼻を鳴らすと、魔剣を地面から引き抜き、
長椅子の下に置いてあった鞘を持ってきて、それに魔剣を納めた。

「なあエドワードとやら。こいつらが求めていたのは、本当に「救い」か?
 よく思い出せ。こいつらが何を願ってこんな姿をとったのか。何を思って人の魂であることを止めたのか」

魔剣エクスカリバー。力なき人々の、最強にして最後の剣。
その目的は、全ての能力者と人外を絶滅させることにあった。
それを「救い」と呼ぶのならば「救い」なのだろう。ただ、それを満たすには剣の目的を完遂せねばなるまいが。

「そんなものは「救い」じゃない。それこそ無為だ。
 こいつらの声に従って、真っ平らになるまでこの世を刈り尽くしたとしても、この剣は消えない。
 だったらどうするか? 答えは一つ。まったくもって簡単な話だ。
 それらの魂を黄泉で漂白するのが、最善なんだ」

595エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 01:38:36 ID:xm/dFKGs0
>>594
「彼等はただ座への還り方を忘れたに過ぎない。
落ち着かせれば――とでも思ったのだろう、私は。結果は無残だが。
彼らの思いを忘れてはいない、思い出にはしないと誓っている」

彼は表情を変えることも無く、ただ笑って言葉を紡いでいく。
それは心が凍った機械のようでもあるが、悔しさを隠して苦虫を噛み潰す一人の神父のようでもあった。
心中では色んな感情が巡っている。だが彼は後悔しては彼らに顔向けは出来ない。
今まで犠牲にしてきた者に賭けて、この程度で後悔はしていられない。

「観測へ持っていかれた時も、少しずつだが座へと還す試みはしていた。
―――私にできるのは、私の世界を通じて座へと還すことだけだが」

それでも彼らが救われると言い難い。
だが全ては私の力不足であるだろう、最初から一人で立ち向かわねば良かった。
ただそれだけの事だ。

596ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 02:01:17 ID:l41SfQLo0
>>595

「フン、座か……」

エドワードが笑んでいるのとは対照的に、ゆすらの面持ちは不機嫌そのものへと変わっていっていた。
彼女はその不機嫌さを表すように、少々乱暴な手つきで魔剣と鞘を紐で固定すると、
何を思ったかそれを拝殿の横にある池へと投げ入れてしまった。
魔剣は水しぶきを上げて池の水面を叩き、少しの浮上の後、泡を出しながら沈んでいった。

「私にしてみればな、エドワードとやら。お前のしている事の方が残酷に見える。
 文字通り魂をかけた行いをしようとしていた亡霊達に、「救い」なんていう虚像を見せてから、
 死出の道を歩ませようなど、鬼畜の行いだ。餓鬼どもに酒池肉林を見せるようなものだ。
 「救い」なんてものはな、エドワードとやら。結局は生者のためのものでしかない。
 それで成仏するような奴らは、まだ生者の延長にいると考えるからそうなるんだ。
 普通ならそれで良い。むしろ最善だ。だがな、今回は違う。お前は彼らが永遠に失ってしまったものを見せびらかしたに過ぎないんだ。
 なんて残酷な奴なんだ、お前は」

ゆすらの顔はもはや、不機嫌から怒りへと染まりつつあった。
だが、その声に怒りは籠もっていない。それどころか、説教をするような感じでもある。

「もう奴らに残された「救い」と呼べるようなものは、もはや魂の休息しか残っていない。
 死の国の釜で炊いた飯を食べて、安らぎと充足感の中、現世を忘れていくのが一番なんだ。
 それがわからないのか?」

597エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 02:18:15 ID:xm/dFKGs0
>>596
「生きた者にだけ救いがあるか、成程、考えとしては筋が通っている。
彼等にとってはそれが最善だったのだろう。思考に余裕があったなら、いや。
後悔は逃げる事にしかなるまい」

特に相手の言葉に何の感慨も抱く事無く。
彼はただ自身の行いが正しかったのか、そうでなかったのかを判断しない。
それは目の前の相手が一番わかっているだろうし、結果を見れば明らかだからだ。

「だが、それがあの場で私が行った事への非難ならば。
私はそれを甘んじて受けよう。総ての事は何よりも結果が物語っている。
つまりは、私に出来ることは最早殆ど無いと、そういうことなんだな?
それと。私の本名はエドワードではないぞ、―――足■だ。聞こえたか?」

相手にそれが正しいのかを問い、そして自分の本名を告げる。
私自身が後悔しては彼らにやった事に申し訳は立たないだろう。
だから、それを受け入れて前に進む必要がある、と思う。
何よりも強くなるべきかは、きっと明らかだから。

598ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 02:31:20 ID:l41SfQLo0
>>597

「アダチ、か。それは名字だろうに。
 まあ、今はそんなことはさして重要じゃない」

ならばどうして外国人のような名前を使っているのか、という疑問がわいたが、
今し方自分が言ったようにそれはどうだって良いことだ。

「もう魔剣の中にあった魂は黄泉に送ったから、お前に出来ることは何もない、とうのもそうなんだが、
 いまこの場で重要なのはな、足立。
 今までどれほどの数、似たような事例に対して同じ姿勢を取って臨んだか、だ。
 百か、二百か。それとも万か?」

相手は確かに自分の言を受け入れた。
だが、それは現時点での話であって、過去はそうではないし、この先もそうだとは限らない。
その点について、釘を刺しておく必要があった。

599ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 22:56:03 ID:CnyWYgiA0
>>598
//無し

>>597
「ほう、そんな名だったのか。名と言うよりは名字か。まあ、覚え置こう。
 それで、アダチ、お前の言ったように、あの魔剣に対してお前ができることはもうない。
 中の魂を、私が黄泉に送ってやったからな」

視線だけで、ゆすらは池に沈んだ魔剣を示す。
魔剣は池に沈んだまま浮かんでこず、魔剣が生んだ波紋も収まりつつある。
池の水は瘴気に汚れることもなく、相も変わらず透き通った水面を見せて、日の光を反射してキラキラ輝いていた。
仮にも水神の社にある池だ。霊的に特別な池なのかも知れないが、ここからではそれを窺い知ることはできないだろう。

「もう一つ、訊いておきたいことがある。
 お前、「外れモノ」に至ったくせに、何故現世に立っているんだ?
 大概の奴はそこに至った時点で現世から解脱して、観念的存在となって世界を観測するだけの存在になるというのに。
 何の目的があってここにいるんだ?」

600エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 23:18:23 ID:xm/dFKGs0
>>589
「名字は足立、名前は幹也だ…と言っても今は名乗る資格は無い」

そう言うと、直後に相手の発した言葉に対して。
最早終わった事と、いうのかのように表情を変えず。
ゆっくりと相手を見据えて。

「そうか―――安心した」

それだけ言うと、片方の目から涙が一筋流れる。
拭い去る事も無く、速くにそれは乾いていった。
ボロボロの白衣が風に揺れる中、エドワードはその表情を僅かに曇らせ。
その次の相手の言葉に対して、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

「―――私、いや俺が現世に立ってるのは目的があるからだ。
一つは俺に『現実改変』を押し付けたオイジェスの真意を探る事。
他にも俺が持っている『無貌の神』を管理する為のと、一部時間軸のループの打破。
そして―――」

「―――親友と妹を助け出す為だ」

601ゆすら(荒御霊):2011/11/30(水) 23:36:00 ID:CnyWYgiA0
>>600

「ははあ、なるほどな」

エドワードの話を聞いて、ゆすらは得心がいった表情をした。

「そうかお前、「至った」のではなく「至らされた」のか。道理で。
 私はな、アダチ。正直なところ、人の身でありながら、人の身を捨てて「外れようと」する奴らが死ぬほど嫌いでな。
 もしその現場に立ち会ったらブチ殺して否が応でも黄泉送りにすることに決めているんだ。
 だから――――お前もそうしなければならないかと思っていたが……」

そこまで言って、ゆすらは「いや」と言葉を切った。

「余計な話だったな。
 それで、お前に目的があるのはわかった。背景が見えんものが多くて、何のことかわからんものが多いがな。
 だが、一つだけ訊かせてくれ。その親友と妹というのは、もしかしてもう死んでいるのか?」

602エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/11/30(水) 23:50:25 ID:xm/dFKGs0
>>601
「少し難しい話になる。
率直に言うと妹は魂を肉体から引き剥がされている。故に今妹は自分で肉体を動かせない。
そして、親友――健一は恐らく俺と同じ状態になっている筈だ…最後にあった時には健一は俺と同じ力を持っていた」

最後にあった、あの時間を思い出す。
オイジェスの驚愕の表情を忘れ去る事はできなかった。
まるで前にも見たような顔をしていたから。もしかしたら、ループしているのは――?

「だが、今は助けに迎えない…あいつ等が居る世界は世界同士が干渉しあって時間がループしている。
ループしている世界の数が掴めれば……どうにかなる筈なんだが、しばらくはできそうに無い」

603ゆすら(荒御霊):2011/12/01(木) 00:13:40 ID:CnyWYgiA0
>>602

「ああ、確かに難しいな。難しすぎて、訳のわからんことを言って私を煙に巻こうとしているんじゃないかって、
 疑わしく思えるくらいにな」

明後日の方を見ながら、ゆすらはぼりぼりと頭をかく。
そうしてから少し真面目な顔になって、顎に手を当てて何事かを呟き始める。

「絶対時間が捻れることはあり得ない。それは三千世界の崩壊を意味するからな。
 だとすれば問題は、それらの世界に流れる主観時間だろう。
 主観時間の過干渉で時間的重力が一時的に極大化して、重力の強大な捻れが出来ているのか……?
 それならば特定の時点で時間が反転するのも頷けるが、問題はそれを引き起こした引き金が何か、ということだが……」

自分の中で解釈しようとしていたゆすらであったが、何かに行き詰まったように「結局は仮説か」と吐き捨てた。

「すまない、少し考え込んでいた。
 それで、お前の目的とこの世界に何の関わり合いがあるんだ? 話を聞くにお前、この世界の人間ではないのだろう?」

604エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/12/01(木) 00:26:38 ID:xm/dFKGs0
>>603
「アレに関しては私自身掴み切れていない部分がある。
アカシックレコードを読み取るにも選別に必要な情報が少ない。
時間をかけてどうにかするつもりだったんだがな」

ふぅ、と溜め息を吐きながら彼は自分の状況を改めて面倒に思う。
足止めではないが、力を迂闊に使うことは出来ない。
なんとも面倒な。

「ああ。元の世界は闘凶荒宿…そこでしがない教師をやっていた男さ。
私の目的に直接この世界は関係は無い、が。
異界の扉で直接ループした時間に向かうわけにはいかないからな、中間地点として寄ったはずだったのさ。
だが、色々あってな……今は異界の扉は使えん上に真理への接続も8割がカットされている。
能力抑制は元々世界から重圧としてかかっていたが、此処では特にそれが強い様でな」

605ゆすら(荒御霊):2011/12/01(木) 00:39:27 ID:CnyWYgiA0
>>604

「はあ? アカシックレコードだと?
 ……ふぅ、これだよ。なるほど、道理で時間が掛かるわけだ」

アカシックレコードの名を聞いた途端、ゆすらはやれやれといった表情で肩をすくめた。
明らかにバカにした表情だった。

「あんなモノを覗いていたのか? あれか、お前、夏休みの宿題は答えだけ見て提出する類だろう。
 違っていても今は同類だぞ、お前。「答え」などと書いてある冊子を、平気で開いているようなものだからな。
 ここで忠告しておくがな、アダチ。アレを信奉するのはいますぐやめろ。
 あんなものは、上っ面しか撫でていない。ちょっと方法を知れば、すぐに情報を改ざんできるような代物でもあるしな。
 嘘じゃないぞ。私だってやってる。私の場合は、記載されるべき情報を削る、というやり方だが」

606エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/12/01(木) 00:52:51 ID:xm/dFKGs0
>>605
「押し付けられたんだ。放っても動いてもどうにかなる物じゃない。
だから必要情報を選別するしか、私にはどうしようも出来ないんだ。
根源にアクセスする権限を持つ以上、俺は真理から逃げられん。
それに私の真理と貴方が知っている真理とは毛色が違うものだと思うんだが」

実際はどうかなどは確かめことが無いのでわからないが。
馬鹿にした表情に対し私は自分への呆れ顔でしか答えられなかった。

「あくまで私が保有しているのは私の世界の情報でしかない。
もっとも、それが改竄自由だとすると私は異端者の烙印を押されたのは冤罪になるんだが」

607ゆすら(荒御霊):2011/12/01(木) 01:20:30 ID:CnyWYgiA0
>>606

「毛色が違う? あんなモノがそうそうあってたまるものかよ。
 なあ、アダチ。考えても見ろ。そんなものがどうして存在する? どうして存在しなければならない?
 そこに疑問を持った方が、はるかに建設的だとは思わないか?」

アカシックレコード。この世の全てを記録する、常識外れの記録装置。
それは「有る」と、その手の界隈ではまことしやかに伝えられてきた。
そこに「何故」を差し挟む者は皆無と言っていい。まるで、何者かに操られているように。

「お前がそれについて冤罪かどうかなど知ったことか。
 お前の言うように、冤罪としての理屈が成立するのだとしても、現に「外れモノ」の扱いを受けているからには、
 他に理由があるんだろうさ。それこそ、恣意的な何かが有るのかも知れんな?」

608エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/12/01(木) 01:36:10 ID:xm/dFKGs0
>>607
「アカシックレコードとは世界の記録、人間が持つ記録と同じく。
世界だって物事を記録している。世界だって別に死んでいるわけじゃない。
全能の記録装置、あらゆる次元の出来事を余す事無く記録装置などはありえん。
だが、世界一つの記録としてならばその存在はあっても可笑しくはあるまいさ。
―――とはいえ、『現実を改変する』能力が異端なのやもしれんが」

この世全ての記録、全てを記し写す万象。
定義としてそんなものを持つのは創造した何者かぐらいである。
ただし、世界一つの記録としては存在しても可笑しくは,無いと思う。

「ふむ、もしかしたら私の誤認と言う可能性も捨てきれないか。
私はただ自分の世界を記録庫として使っていただけなのかもしれん」

609ゆすら(荒御霊):2011/12/01(木) 01:50:47 ID:CnyWYgiA0
>>608

「ああ、おそらくそれだろう。
 現実を変えること自体は誰にだって出来るが、お前のそれはペテンに近い。抑制も受けようというものだ。
 ルールは遵守せねばならん。そんなことは、そのあたりに巣くっている蟻にだってわかる」

とはいえ、場合によってはそのルールを打破する必要があるだろう。それが人を「外れモノ」にする理由の一端だ。
命の輪を外れ、世界からも外れても自らの目的を完遂する。情熱的で、執念的だ。
だが、水の神、命の母たるモノを司るゆすらにとって、それは許されざる事だった。
だから言ったのだ。「見つけ次第黄泉に引きずり込む」と。

「お前の意志でない、というのであれば、今の状況は過酷そのものだろうな。
 ……お前、死にたくなったことはないか? 何なら、私が命の輪に戻してやろうか?
 お前が「外れモノ」だったとしても、私にはそれができる。何せ、私は神だからな」

610エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/12/01(木) 02:06:07 ID:xm/dFKGs0
>>609
「使いようによっては神すらも打倒する力、か。
だが、今はこの力がアイツへと繋がる僅かな糸…」

今は最早戻る事ができない我が身、この手で彼女の手を握れない。
それでも、前へ進まねばならない――捨ててきたものの為に。
目的の為にあらゆる物を捨ててしまったから。

「死にたくなった事は多々あるさ。だがその度に捨ててきたものに申し訳が立たないと、
血反吐を履いて足を前へ進めてきた。それに、その好意は感謝するが確実にいえるが不可能だ。
幾ら神といっても私の体が内包している『一つの世界』を変革させる事はできない。
そもそも出来るなら私の隣に立っている彼女がもう既に試しているさ」

611ゆすら(荒御霊):2011/12/01(木) 02:24:11 ID:CnyWYgiA0
>>610

エドワードが隣の女に言及するのを聞いて、ゆすらはそういえばこんな女も居たな、と思った。
無理もない。会話に入ってこないのだから、影も薄くなるというものだ。
ゆすらはそちらに一瞥をくれただけで、すぐにエドワードに視線を戻す。

「……言い方が悪かったな。私はな、アダチ。黄泉に通じる神なんだ。
 幾千万という魂を見てきたし、何より私の神としての本質、根源は「新生と終焉」だ。
 「変革」などと回りくどいことはせずに、お前の「世界」とやらの幕を閉じることも、不可能ではないと思うが?
 まあ、今すぐできる、というわけではないがな」

大言壮語も甚だしい言いようであるが、ゆすらの表情に遊びは混じっていない。

「何なら、試してみるか?」

612エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/12/01(木) 02:38:35 ID:xm/dFKGs0
>>611
「試してみるといいさ。見たくない物を見る羽目になっても私は知らないがね。
と……言いたい所だが私がいなくなってはコイツを管理する者がいなくなってしまう」

そう言って彼は黒い塊の様な長剣を取り出してゆすらへと見せる。
黒い剣はゆすらを見るような気配を見せた。
まるで剣自体に意思が篭っているかのように。

「『無貌の神』と呼ばれる代物だそうだ。
どこぞの平行世界の私が封印したものだが、中々に厄介でな。
とある神を封じているんだが、その神が分かり易く言うと『何でも取り込むし吐き出す』ような奴だ。
今は私が内包する世界に叩き込んで管理しているが、いなくなれば面倒なことになる」

613ゆすら(荒御霊):2011/12/01(木) 02:56:12 ID:CnyWYgiA0
>>612

「フン、やりもしないうちからよく吼える。
 とはいえ……「無貌の神」だと? そいつは白痴の魔王に使える神性の別名ではなかったか?
 話を聞くに、その神性というよりは魔王そのもののような印象も受けるが……いや、違うか。
 あの魔王は世界、などという器に入りきるような存在じゃないしな」

またぼりぼりと頭をかきながら、エドワードが取り出した黒い剣を見る。
何か見られたような感覚を覚えたが、ゆすらはそれに対して興味の無さそうな視線をくれただけだった。

「そんな危ないモノ、さっさと捨てれば良いだろう。
 門を超えて奴の庭にでも放り込んでおけば、一晩と経たず灰燼に帰するだろうに。
 クソ忌々しい話だが、あの魔王はゴミ処理機としてはこの上なく優秀だ。
 一つの世界に収まるような存在なら、砕くのにそう時間はかからんぞ?」

614エドワード=ニュートリング(劇場版仕様)+女性:2011/12/01(木) 03:05:50 ID:xm/dFKGs0
>>613
「言っただろう。収まっているんじゃない、私がかろうじて叩き込んでいる。
それに、コイツは健一に対する切り札でもある……捨てるに捨てられんのさ」

俺一人の干渉能力で敵うかどうかが分からない以上次善策は用意すべきだ。
結果、打てる手立てとしてこの剣が色々と都合が良かったのである。

「事が終わったら連中の庭に返しに行くさ。
一応それでこいつとは利害の点では一致している」

剣は興味のなさそうなゆすらに対して笑いで返す。
この状況を楽しんでいるのだろう。

615ゆすら(荒御霊)&白妙依紗子:2011/12/12(月) 01:16:19 ID:F0S9zaUs0
>>614

「叩き込んでいる、とか言っておいて、何が利害だ。ちっとおかしくないか、それ」

頭をかく手を止めずに、ゆすらは少し呆れた物言い。
どちらかというと、エドワードの言は無理矢理自分の目的に付き合わせている印象を受ける。
それに助ける相手に対抗策が必要なあたりも謎だが……あまり関係はないか、とゆすらは切り捨てる。
異世界人は自分が守護すべき相手ではないし、何よりこいつは人間ではない。
二重の意味で、積極的に関わる理由が打ち消されているのだった。

「まあ何でもいい。この土地と土地の人間に迷惑をかけることがないのならな。かけたら全力で潰しに掛かるが。
 それでお前達、これから……?」

どうする、と言いかけたゆすらの視線が、エドワート達の後ろに向く。
神社の入り口、鳥居の側。そこには、一振りの刀を脇に差した、怜悧な空気を纏う巫女が立っていた。
年の頃は二十そこらといったところ。だが、そうとはとても思えない、貫禄じみた雰囲気も漂っている。

「依紗子か、久しぶりだな。お前がここに来るとは思っていなかった」
「は、ゆすら様が土地を鎮めるのに時間が掛かっているのが、少々気になりまして。
 そのことを大社に相談したところ、我々が派遣される運びに」
「ハッ、旦那は相変わらず心配性だな。そんなに私が気になるのなら、ひと思いに「閨に来い」と言えば良いものを」
「ゆすら様はご冗談がお上手になられましたね」
「フン。で、何だ? お前が手ぶらで私の前に現れるわけは有るまい? 何か問題があるのだろ?」
「はい。どうやら死霊術を大っぴらに発動させた者がいたらしいのです。土地が穢れました」

その一言を聞いて、ゆすらはあからさまに顔をしかめた。

「ちっ、クズめ。そのクズはどうした」
「逃げの一手を打っているそうで。このままだと逃します」
「そんなクソ野郎はどうだっていい。土地が問題だ。すぐ行く。先に行っていてくれ」
「は。場所は報告せずともよろしいので?」
「お前の霊気の痕跡を辿るさ。お前の霊気は冷たくて気持ちいいからな。すぐにわかる」
「わかりました。では」

言い残して、依紗子と呼ばれた巫女は去っていった。
ゆすらは大きなため息をひとつして、

「土地に迷惑をかけるというのはこういうことだ。覚えておけよ。
 それで、さっきは聞きそびれたが、お前達はこれからどうするんだ?」

616エドワード=ニュートリング:2011/12/12(月) 01:53:45 ID:xm/dFKGs0
>>615
「一応といったろ?アレが何の含みも無しに力をよこすものか」

そう言って相手の呆れた顔に対してはっはっはと笑って返す。
とはいえ、彼自身がめいかくな部分をごまかしているような印象がある。
何か知られたくない事情が在るのか、ただ気分が乗らないだけか。

「私かい?私はどうやらここに縛られているようなんでな。
ここから、私はあいつ等を助けるために動くさ。幸い、方法は完全に閉じられたわけじゃなさそうでね」
「私は、まぁ元いた世界に返るだけかの。
元々私はこいつの顔を見に来ただけなのでな?然程用件があったわけではないよ」

617ゆすら(荒御霊):2011/12/12(月) 02:10:33 ID:F0S9zaUs0
>>616

「フン、狸どもめ……」

エドワードたちの返答に、ゆすらは面白く無さそうに鼻を鳴らした。

「ともかく、私の領域に触れるようなおいたはするなよ? それだけは念を押しておくぞ。
 あと、そこの女。正体を晒す気が無いのなら、二度とこの神社に近づくな。
 聖域に胡乱な身を持ち込んでいるんだ、本来なら鵺と同じように射殺されても文句は言えんのだぞ」

そう言い放って、ゆすらは二人の横を抜けて神社の入り口へ歩いていく。
その間、二人に視線を寄越すことはなかったのだが、鳥居の近くに来て、思い出したように、

「それと言い忘れていたが、池に投げ込んだ剣は拾うなよ。あとで局の連中に返さなきゃならんのだ。
 もうガワしかないから、どうせ主の元に戻されるだろうがな」

振り返らずにそう言ってから、今度こそ神社から出て行った。

618エドワード=ニュートリング:2011/12/12(月) 02:18:17 ID:xm/dFKGs0
>>617
「うーむ、本当に信用されんな私は…嘘言った覚えは無いんだが」
「本当にそう思ってるなら一度人生を振り返ったほうがいいぞオマエ…。
あー、はいはい。次来るときはちゃんと本体を飛ばしてくるから安心せんかい」

そう、女性は頭をかいて約束するように言葉を返した後。
主が去った後の神社から、二人は出て行っていく。

「あ、そういえば剣の主が誰か聞いてなかったな」
「もういいだろ……どうせがわだけなんだから」
「うーん、しかし素材としては優秀なんだがな、勿体無い」

619甲/調整中(ロール含む):2011/12/23(金) 22:55:28 ID:n1Ndck/E0
【草原】

「……すぅ……はぁ……」
一定のリズムでの呼吸が続く

郊外に広がる未開発地帯
春には新緑で賑わうであろう原野にて、赤いマフラーの男は佇んでいた

凛と張り詰めた冷気の中で
眼を閉じ、神経を研ぎ澄ませる

街の賑わいも届かない
ゆらりと舞い落ちる雪が周囲の音を掻き消す
思考をクリアに、雑念を払い自己に深く潜る

「……すぅ……はぁ……」

閉じた左の瞳から僅かに零れる緑の煌めき
見ると佇む男を中心に
舞い散る雪が渦を巻き螺旋状に上昇を始めていた

天に白銀の道が伸びていく

620ラルキム/黒いマフラーの男:2011/12/23(金) 23:15:53 ID:et1rlL8Y0
その場所から少し離れた場所にぽつんとある目立つ樹。
その上に、黒いマフラーを巻いた男が座り、その様子を見ていた。

「妙な力の動きを感じたと思ったら……能力者か。
 食い応えのありそうな……。
 さて、何の能力者かな……ひゃひゃひゃ」

ニヤニヤと白銀の道を見上げる。

「まぁ、目を付けられると敵わんから
 今は手は出さないがな……」

621甲/調整中(ロール含む):2011/12/23(金) 23:43:56 ID:n1Ndck/E0
「――――ふぅ〜」

一際大きく息を吐くと、伸びる白銀の螺旋上昇が停止する
雪は、重力を思い出したかの様に再び降り始める

「(さて、次は……)」

それと同時に、頭上を向く甲
緑色の螺旋模様が浮かぶ左眼の視線が捉えた先には

「……ちと、でかくし過ぎたか?」

直上に舞い上げ続けた雪で形成した、直径15m程の雪の塊

「まぁ、良いか」

その大質量が今、落ちて来る

「―――――」

ザシュッ
地面を強く踏み締める
目線は落ち来る巨大な雪玉に固定
上体を捻り身体を引き絞る

大きく引いた右拳に、力を込めて
雪の塊に―――打ち込んだ

「―――らッ!!!」

パァアアアアアアアンッ!!

静寂の世界に破裂音が響き

拳を打ち込まれた大きな雪の塊は破裂
周囲に広く、円状に霧散していった


//>>620スマセン!離席してました!

622ラルキム/黒いマフラーの男:2011/12/23(金) 23:51:54 ID:et1rlL8Y0
>>621
「腕力も十分……。
 能力者としては戦闘に手馴れてる方かな。
 ……まぁ、こんなところで訓練してるぐらいだから当然か」

足をぶらぶらと貧乏ゆすりさせ、
雪玉を破壊する甲を値踏みするように見ている。
その衝撃のせいか、タイミングよく吹いた風のせいか、ばさばさと黒いマフラーがはためいた。

「……少し戦ってみたいな、怪人としては……ひゃひゃひゃ」

楽しそうに笑っていた。

623甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 00:08:52 ID:n1Ndck/E0
>>622
「……っはー」

白く染まる息を吐き出す

霧散した雪玉は突風に巻かれた様に広域に広がって行く

緑色の輝きを称える左眼は【邪気眼】
“回転”を操る、その名を『螺旋眼』と呼称する
単純な腕力のみで雪玉を破壊した場合、ただ倒壊するのみであろう

しかし雪玉は破裂する様に霧散した

先程打ち込まれた一撃では衝撃を“回転”させていた
故に霧散し

力の残滓の残る雪が円状に広がった

「……ん」

能力で拡げた雪に、来る時には存在しなかった”何か”が触れた

「(……何か、居るな……野兎、にしちゃ大きいし…熊は、冬眠中か?)」

じゃあ、何だろうなと
興味をラルキムの居る方角に向けた

624ラルキム:2011/12/24(土) 00:17:36 ID:et1rlL8Y0
>>623
「……見られたか?
 まあいい、とりあえず身バレは避けるか……。
 自由に行動できなくなるからな」

呟きながら、全身が足元から鱗に覆われていく。
その姿は甲が見たとき、既に猛禽類がそのまま人型と貸したような"怪人"と化しているだろう。
ただ、黒いマフラーだけは変わらずはためいたままである。

鱗怪人。
異能都市をしばらく離れていた甲は詳しく無いかもしれないが、都市を襲う凶悪な種族である。
外見的な共通点は、紋章の入ったベルトと、身体のどこかに鱗が生えている以外は特に見られない。
最近死亡したという報道がされた黒沢小百合が追っていた事件の一つでもある。
先日出くわした緑色の怪人、ダーネスもまた、同じ一族であった。

「……」

この怪人は敵意が無いのか、無言で挨拶するように手を上げる。

625甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 00:25:17 ID:n1Ndck/E0
>>624
「(気配が変わった―――…?)」

注意を向けた先の存在が膨らんだ
物理的にでは無く、言うなれば存在の“格が上がった”様子を感じる

不審に感じ、足を向ける

その先に

「……?」

兎でも熊でも、まして人でも無い何かが
手を上げて待っていた

その姿は形こそ違えど、つい先日路地裏で見かけた『好戦的な針の怪物』に似ていて

「何だ、アンタは?」

言葉は通じるだろうと推察し、一定の距離で制止し声を掛けた

626ラルキム:2011/12/24(土) 00:37:16 ID:et1rlL8Y0
>>625
「哲学的なことを聞くんだな、ひゃひゃひゃ。
 そんな物俺にもわからねえよ」

笑いながら、怪人は甲の質問を茶化した。

「なに、警戒しなくても別に害を加える気はねえ……今はな。
 でもまあ、警戒すること事態は悪くはねえ。
 いきなり襲う同胞もいるし、言葉が通じない同胞も居る」

逆に聞いてもいないことを喋り、白い息を吐きながら一旦口を閉じた。
そして、数秒置いて再び口を開く。

「何だ、アンタ……だったな。俺の名はラルキム。鱗怪人(スケイル)だ。
 興味があったら調べてみな、この街には俺達の情報はそれなりに流れてる筈だからな、ひゃひゃひゃ」

627甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 00:52:02 ID:n1Ndck/E0
>>626
「スケイル?……それが、お前らの呼び名か」

実物に会うのは初めてであるが

怪人事件の大枠は、都市中に錯綜する報道や
蔓延する噂などで聞き及んでいた

「見境無し、ってのが俺の聞いた噂話の大半なんだがな」

腕を組み、距離を詰める
近づけば近づくほどに伝わる圧倒的な―――生物としての”格の違い”

上から下まで、一通り眺めて
鎧とは違う
美しさすら伴う甲殻の存在感に、知らず、息を呑む

「なるほど、おたく等も色々あるらしい」

聞き及んだ噂話
その中でも群を抜いて多かった事項があった
そしてそれが最も甲の興味を引いていた

その噂とは――――

「なぁ、あんた等ってさ俺等“人間”の区別ってつくのかよ?」

―――曰く『黒沢小百合は鱗の怪人に殺された』

628ラルキム:2011/12/24(土) 01:06:33 ID:et1rlL8Y0
>>627
「まぁ、見境無しってのはそこまで間違ってねえ。
 だが、この街には俺達を倒せるような能力者も居るには居るからな。
 変に人を狩ってそういうのに目を付けられても敵わん。
 俺は今様子見中だな、ひゃひゃひゃ」

だから、こうやって能力者の気配を感じても様子を見ているだけなのである。
戦いたいとうずうずしながらも。

「人間の区別?
 ……さあてね、全員ゴミとか言う奴も居れば、強者には一目置いたりする奴もいる。
 何が言いたい?怪人に肉親や友達でも殺されたか?ひゃひゃひゃ」

甲の何かを含んだ質問に顔を傾ける。

629甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 01:21:28 ID:n1Ndck/E0
>>628
「そうかも知れねぇから、こうして聞いてんだよ
 災害規模で死傷者を出してるお前等怪人どもから、
 街ごと守ろうって意気巻いてた奴が知り合いでな?
 尖ったナイフっつーか、刃だけのナイフみてぇな気性の女だったけどさ」

距離は既に二足ほどで互いに届く位置に
上背のあるラルキムに対し、見上げる様な形で甲は視線を送る

「そいつが、お前等に殺られたらしい」

眼と眼を合わせ
ちゃらけた様子を崩さないラルキムに、ただただ無機質な、声を掛ける

「――なぁ、知らねぇかな
 黒沢小百合っつー異能力者をよ」

630ラルキム:2011/12/24(土) 01:32:39 ID:et1rlL8Y0
>>629
「黒沢小百合、そいつのことは知ってるぜ。
 ああ、確かにそんな性格だ。
 多分結構な数の同胞が知ってるだろうな、俺達の宿敵みたいなもんだ」

街を守ることを仕事にしている人物だ。
多少街について調べている怪人ならば知っていて当然だ。

「だが、殺した覚えはねえな、そもそも俺はここ半月は人間を食ってねえ。
 殺したっていう奴も聞いたことはねえ。
 大体噂に過ぎねえんだろ、それは」

少々わざとらしくため息をつきながら言う。

「残念だ、あいつを殺すことを目標にしてた奴が居るぐらいだからな。ひゃひゃひゃ。
 次はあいつを殺した奴が狙われることになるだろうよ、人間怪人問わずにな」

631甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 01:43:35 ID:n1Ndck/E0
>>630
「殺るか、殺られるかっつー世界に身を置いてた奴だからな
 当然、相応の因縁は買うか……
 職務に旬じ過ぎだ、いや、いつかはこうなるだろう事は前々から思っては居たんだがな……」

視線を僅かに外し
言葉の最後の方は小さく、まるで自分に言っている様に呟く


「人間を食うって言ったな」

再び、視線を怪人に据えて言う

「俺等を殺すのは、俺等がお前等怪人の餌にでもなるからか?」

632ラルキム:2011/12/24(土) 01:55:36 ID:et1rlL8Y0
>>631
「理由はいろいろだぁ。
 強くなりたいって奴は自分より強い能力者の魂を食えば強くなれる。
 それだけなら、別にそこらへんの突然変異の害獣でも食ってれば人間に迷惑はかからんだろうな」

大げさにジェスチャーを加えつつ言った。

「しかしさて、どういうわけか俺達は人間を殺してやらなきゃ体調が悪くなる。
 人間にしかない栄養がある訳でもない。
 噂じゃ意図的にそういう風に仕組まれてるって話もあるが……」

頭をボリボリとかいた。

「それ以外にも、俺達は殆どが殺戮と戦いが大好きなんだよ。
 例外の甘ったれ野郎も居たには居たが……。
 最後は身体だけじゃなく精神までやられて発狂だな。ひゃひゃひゃ」

633甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 02:07:26 ID:n1Ndck/E0
>>632
「湧いて出て来た災害としか言えねぇな……笑えねえ」

事実、ころころと表情の動くラルキムに対し、甲は一切の表情変化を見せていない
まるで何かをこらえる様に平坦な言葉だけが紡がれる

「行き着く所まで敵同士でしか在り得ないってかよ、迷惑極まりねーな」

短く息を吐いて

「あぁ、分かった」


「戦うしか、ねーみてぇだな、やっぱ」

634ラルキム:2011/12/24(土) 02:22:14 ID:et1rlL8Y0
>>633
「おう、そういう意識で居てくれるなら、俺がべらべらと喋った甲斐があらあ。
 ぜひとも怪人に戦いを挑まれたらせいぜい付き合ってやってくれよ。
 食われてくれたらもっとありがたいが、そいつは少し望み過ぎかな……ひゃひゃひゃ」

怪人はそう言って、甲を見据えた。

「さて、少し昂ぶってるようだが、俺はまだ街を観察中だ。
 俺と戦うのはまた今度にでもしてもらおうかな」

怪人は立ち上がり、両腕の翼を広げる。
それだけで、その樹に積もった雪を全て吹き飛ばすような風が吹き荒れた。

「戦いたいのは山々だが、俺も必要とされてる身でもあるんでな……。
 勝手なことは出来ねえ」

635甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 02:36:52 ID:n1Ndck/E0
>>634
「――――」

赤いマフラーが大きくはためく
吹き荒れる風が身体を打ち付けて過ぎ去った

両羽根を拡げ、一層大きく見える怪人
それを見上げ

「吼えてろよ災厄」

紡ぐ声に熱が籠り
それまで無味乾燥を貫いていた表情が変貌を遂げていく

鋭くラルキムを見定めた両の眼と
暴風にかき乱される頭髪が紅蓮に染まり

“能力者”甲の――『邪気眼使い』としての貌が現れる


「次に会う時、今みてぇなニヤケ面が続けられると思うなよ」


荒ぶる嵐の様な存在感を持って
荒唐無稽の怪人に相対した

636ラルキム:2011/12/24(土) 02:47:49 ID:et1rlL8Y0
>>635
「その意気だ、そういうのも大好きだぜ、俺は。
 災厄に啖呵切れる程ののあんたの能力、
 楽しみにしてるよ」

声を上げずに、ニヤリと笑った。

大きく腕を振り上げ、振り下ろしながら高く跳躍。
先ほどと違い、風は殆ど感じられない。
無駄に力を示すようなハッタリは無意味と思ったからだ。

そして、緩やかに異能都市に向けて飛び去っていく。
やがて、その茶色い姿はビルの谷間に消えていった。

637甲/調整中(ロール含む):2011/12/24(土) 02:57:58 ID:n1Ndck/E0
>>636
ラルキムが飛び去った後

「―――……やれやれ」

呟く吐息は白く切れ
力に呼応した頭髪と瞳は元の漆黒へと還る

「(あんなのが、まだ複数匹居るってか……は、つくづく笑えねえな)」

踵を返す
足を向けた先は遠く煌めく都市部とは間逆―――仄暗い森へと進む


「(都市の邪気に当てられて、“力”も戻って来ちゃいるが……あれを見せられちゃあ、まだまだだな)」

久しく忘れていた緊迫感が、甲の感性を研ぎ澄ます
その感性が頭の中で激しく警鐘を鳴らしていた

「まったく―――厄介な都市だな、ここは」


群雄割拠の異能都市で、生き残るにはまだ―――足りない

638黒沢小百合:2011/12/25(日) 22:34:42 ID:SSMHlh/20
βスレ>>387

「シューッ……シューッ……。」

エキドナは甲を追撃せず後ろに飛びずさり距離をとった。

螺旋眼起動による甲の変化を警戒した。
状況から見ればそう判断するのが自然、だがそれにしては妙に警戒の色が薄い。


――甲は、己の体に生ずる変化に気づくだろうか。


致命傷は避けたものの、撃ち込まれた無数の甲殻の中には
甲の体に刺さったままの物もある。

その身体に残った甲殻から、甲の体表へと『甲殻』が伸び始めていることに。

639甲/調整中(ロール含む):2011/12/25(日) 22:54:47 ID:n1Ndck/E0
>>638
『螺旋眼』起動による状態変化
回転を操る『邪気眼』である『螺旋眼』は、使用者である甲の身体にもその能力を通す
頭髪、瞳が赤く染まったこの状態の甲は
自身の体内を流れる物質、血流、果ては邪気眼から供給されるエネルギーの循環を早め
身体能力やエネルギー運用の効率化を飛躍的に向上させていた

「――」

おかしい、と最初は思った
先程、己の身を削りながらも反撃を返してきた獰猛な怪人が
まるで様子を見るかの様に立ち止まっている

「――な」
次いで気付いた――自身の身体上に起きている異変に

めり込んだ
気にするまでも無いと判断した怪人の『甲殻』が己を侵食し始めているのだ

「ち」

自身の考えの甘さに舌打ちを吐き、怪人に向け走り出す
「(”腕力だけ”の訳がねぇだろ、あの異形が――気ぃ緩め過ぎだ、馬鹿野郎)」

何をしてくるか分からない筈の初見である怪人
それを甲は、これまでの攻防で単純なパワータイプであると判断しきっていた

実戦から長い時間離れていたツケが露見し
危機感が遅れて警鐘を鳴らす

「(――さっさと緊張感取り戻さねぇと……死ぬぜ、俺!)」

『甲殻の侵食』をどう食い止めて良いか分からず
甲は間合いを詰めようと様子見に立ち止まるエキドナに接近していく

640黒沢小百合:2011/12/25(日) 23:11:10 ID:SSMHlh/20
>>639

突貫する甲。

しかし、それは侵蝕に気付いた故の焦燥による物である事など、
容易に考えが付く。

――ダンッ

甲を嘲笑うかのように地を蹴り跳躍、距離をとる女怪人。
その口の端は余裕の笑みを湛えていて。

「……クイトメロ。」

口から、人語が漏れた。
その言葉に呼応するように、空中に人のそれに似た骨格が現れ。
10秒掛からずに甲殻に覆われ、新たな怪人と化す。

総勢8体。

それらは、甲を食い止めるべく蛮声を上げながらエキドナの前に立ちふさがった。

641甲/調整中(ロール含む):2011/12/25(日) 23:26:16 ID:n1Ndck/E0
>>640
「(両腕装甲――これは何とかなる、やや重いけど……問題は、“脚”か)」

甲殻の侵食個所を自己分析する
被弾点は最多で前面に押し出した手甲による部分だが
次いで多い個所が“両脚”で――これが不味い

当然、怪人の頑強な甲殻ともなればそれ相応の“重量”が在るし
伸びゆく甲殻は直ぐに行動の阻害を起こすだろう
ドッグファイトよろしく近距離戦を得手とする甲には、その僅かな違和感が致命傷に繋がるのだ

「ち、手前の能力をよーく理解してやがるぜ……!」

遠ざかる怪人の狡猾さに舌を巻く
猪突猛進に見えて、冷静で
ゴリ押し可能なパワーを持って、状況を読む力を備えている

これが――怪人か

改めてその存在の脅威を噛みしめた

「――ッ…どけぇッッ!!!」

焦りは言うまでも無くありありと見え
既に後手といわれる状況で甲は拳を構え――打つ

狙うは中央突破――最短距離で手下を撃破しなければ、本丸は尚も遠ざかるばかりだ

642黒沢小百合:2011/12/25(日) 23:50:46 ID:SSMHlh/20
>>641

『グギャァアァッッ!!!』
『ギャアッッ!!』

脇目も振らず、中央を抜こうとする甲を生み出された怪人が迎撃する。
しかし、怪人たち一人一人はそれほど手強くなく、次々と甲の拳に倒れていく。

しかし、第一波を倒したところで第二波、第三波と
下級怪人の部隊が次々と送り込まれるために、敵本体へと中々たどり着けず
スケイルエキドナは距離を一定に保ちながらも、時折甲を挑発するように叫び声をあげている。

彼女の能力は『怪人を生み出す』ことであり
ギリシャ神話において魔物の母と呼ばれる半人半蛇の怪物、
エキドナの名を冠するに相応しい。

そして、その能力の性質、身体的特徴のいくつか――。

女性にしては高い身長、豊かな体付き、
『彼女』の自慢であった、長く艶やかな髪にも見える蛇の胴体部分。

それらの類似点ゆえに、『黒沢小百合』を想起せずにはいられない。

643甲/調整中(ロール含む):2011/12/26(月) 00:05:22 ID:n1Ndck/E0
>>642

前に立ち塞がる敵のみを攻撃対象としている為
「――づ、がぁ…!!」
左右、後方からの攻撃は通る
中央狙いの代償をその身に刻みながら

「く、そ…!!」

勢いは、その物量に制され徐々に衰えていく

「――ぐァ!?」
遂には押し返され――敵陣の中央から弾き飛ばされた

「(……まったく効果的で……嫌らしい、闘いをしやがる)」
実に人間臭く
実に“アイツ”に似た戦い方だな、と地面を転がりながら思う

余裕が皆無な状況でこそ良く見えた
戦い方と併せて怪人のシルエットに『彼女』を何故か垣間見て

「――」

『甲殻』の面積が増す
蛇を想起させる締め付けもきつくなり

手詰みまで――あと一歩の体であった

644黒沢小百合:2011/12/26(月) 00:15:35 ID:SSMHlh/20
>>643

「コウフク……セヨ……。
 ソノママ、ウケイレレバ……ヨイ……。」

10体ほどの怪人の後ろに控えたエキドナの
たどたどしい声による降伏勧告が甲の耳に入る。


「ショウハイハ、ケッシタ……。
 ワレラニクダレ……。」

見下すように腰に手をあて、吹き飛ばされた甲を見るその姿は
小百合の物によく似ているように思える。

645甲/調整中(ロール含む):2011/12/26(月) 00:47:41 ID:n1Ndck/E0
>>644
「け、降伏……だぁ?殊勝な……提案、しやがる……」

思う様に動かない身体は痛みに軋む

「(……こんなモンか、畜生)」

久しく離れていた『戦場』で現実を見せられた甲は
怪人の声を遠く聞きながら――闇に染まる空を仰ぐ

戦場の現実は正直で
確たる事実を痛みを伴い甲に突き付ける

「(分かっちゃいたが……あぁ、そうだな……)」

でも、その事実を

認めなくてはならない

「(俺は――弱い)」

認めないと――這い上がれないから

「あぁ――」

『甲殻』が全身を犯し
怪人の降伏勧告が続く

「――うるせぇな……うるせぇよ」

思考は、何故かこの状況に置いてクリアで
緊張に固まっていた身体は、不思議と軽い

『甲殻』をギシギシと軋ませ
満身創痍の身体を起こす

「俺の、限界を……てめぇが勝手に決めるんじゃねぇ」

――バギンッ!!!

『甲殻』で固まる右腕の装甲を、乱暴に引き剥がす
「――ッぐ」
剥がされた個所に深い裂傷が奔り鮮血に右腕が染まる

その腕を

「螺旋眼、奥義――『無限上昇』」

天に突き上げた

朱に染まる腕に――周囲の力が螺旋状に集っていく……!!!

646黒沢小百合:2011/12/26(月) 00:55:43 ID:SSMHlh/20
>>645

「…………!」

動物的な勘からか。
それとも、『素体』に眠る微かな記憶が呼び起こされたか。

スケイルエキドナは咄嗟に身を翻し、距離をとろうとした。
同時に、少しでも時間を稼がせようと今いる下級怪人に突撃を命じる。

『ガアアアアァッ!!』
『グ、ガァアァッッ!!!』

下級怪人たちはエキドナの命令に従い、
甲へと集まるらせん状のエネルギーに導かれるかのように。
豪腕を振り上げ、彼を膾に刻むべく迫る。

先ほどのように、数で押し包むつもりだ。

647甲/調整中(ロール含む):2011/12/26(月) 01:11:59 ID:n1Ndck/E0
>>646
螺旋の力が渦巻く右腕を照準を定める様に、真っ直ぐエキドナに向けた
左眼に称える螺旋模様が壊れんばかりに輝き回る

――ドスッドンッガンッ!!
鈍い音が周囲に響く
下級怪人群の容赦の無い一撃は、既に動く事のままならない甲を覆い尽くしていった

だが

「……慌てるな、焦るな、恐れるな……ただ、覚悟しろ」

真っ直ぐ伸びた――右腕は、降りない

「“これ”は、てめぇらを貫く――俺の、意思」

そして

「そう、これが」

その螺旋を
その『魂の容』の名を――高らかに、叫ぶ

「これが――――『俺のドリル』だぁああああああああああああああッッ!!!!」

突き出した右腕の力が
ギャギャッ――ギュィイイイイイイイイイイイイイ……!!!!

闇夜に轟く回転音を放つ、『紅蓮のドリル』を具現化する

これこそが甲の決戦奥義
立ち塞がる総ての物を貫き進む――魂の具現

ドリルは尚も暴れ狂い

ただ一点を――エキドナを貫かんと突貫する

648黒沢小百合:2011/12/26(月) 01:22:47 ID:SSMHlh/20
>>647

甲へと群がっていた下級怪人が
螺旋の回転に弾き飛ばされ、バラバラになぎ倒されていく。

「ギッ……ギャオオォオォッッ!!!」

背を向け、甲から距離をとろうとしていたエキドナも、
一筋の赤い螺旋となって迫る、甲から逃れられないと判断したのか。
甲殻の最も分厚い背をむけたままで円の様に丸まり
『防御』の体勢をとって、それを迎え撃った。

――ギャリッ、ギャリギャリギャリギャリッ……ドガァッ!!!

摩擦音、と共に甲殻が砕け散りエキドナが吹き飛ぶ。
例の建設現場の資材に叩きつけられた彼女に、大きな鉄骨がぐわんぐわんと音を立てて降り注ぐ。

手ごたえはあったが……。
先ほど見たとおり、相手は例え甲殻が砕けようとも一瞬で再生する生物だ。
噂によっては、腕や足を引きちぎっても再生したという。

死体を見るまでは、安心できない。

649甲/調整中(ロール含む):2011/12/26(月) 01:35:51 ID:n1Ndck/E0
>>648
「届い――た、か……」

エキドナが吹き飛ぶのと同時に、右腕の螺旋は爆風を伴い霧散する
鮮血に染まっていた右腕は突き出したままの姿勢のまま、焦げ付いた様に煙を発していた

「――――ッぶ!」

胃から競り上がって来た大量の血液を、地面に吐き出す

突貫前に蓄積された下級怪人群の攻撃により
更には、無茶とも取れる能力行使により

甲の身体は限界を大きく超えたダメージを受けていた

故に、追撃に向ける余力は既に無く

「……ッは……ぁ……!!」

自らが形成した血溜まりに沈んで行った

最早、指先一つも動かす事はかなわないだろう



//甲サイド、ここで〆です

650黒沢小百合:2011/12/26(月) 01:56:11 ID:SSMHlh/20
>>649

甲を覆っていた甲殻がボロボロと剥がれ落ちる。
あの女怪人が死んだため能力が解除された、という事か。

――いや。

「グ、ア……ァ……イダ……イ……。
 ……ニンゲン……ゴトキ……ガ……。」

地面に突き立った鉄骨にしがみ付くようにして、
自らの体液で体を赤黒く染めた女怪人が立ち上がる。

酷く損傷し、捩れた左足。甲殻や皮が全て抉られ
骨が露出している右腕はぶらぶらと垂れ下がる。

そして、ヘルメットのような甲殻が砕かれ露になったその顔は。


――まさしく、黒沢小百合のそれであった。


「ゴロ゛……ズ……。」

おぼつかない足取りで、甲へと近づくものの
流れ落ちる体液は彼女の通った道筋を確りと示すほど多く。

「ガァ゛……ッ!」

途中で、足から力が抜け倒れ伏す。
それでもなお、這いずって甲へ止めを刺そうと腕を伸ばしたが……。
あと、1mというところで彼女は動きを止めた。

「グッ……。」

そしてそのまま、近くのマンホールを外すと中へ。
一見不可解だが、もう2〜3分もすれば甲にもその理由が分かるはずだ。
エキドナは、近づいてくる治安部隊の車輌のサイレンを聞きつけたのだ。

『気をつけろ、敵が潜んでいるかも知れん!』
『近隣住民の保護を最優先にしろ、連携を密にして――。』

声が、近づく。

// こちらも〆!おそくまでありがとうございました!

651エドワード=ニュートリング:2011/12/31(土) 23:02:45 ID:xm/dFKGs0
異能都市の都市部に存在する現在は解体作業が始まっている空きビルの中。
エドワード=ニュートリングは黒いロングコートを着込み、ボロい白衣を揺らしながら。
ビルの中を歩いていた。

「……」

表情は穏やかに、そして静かに笑ったまま。
暫く歩いていた歩を突然に止めると。
後ろを向いて一言言葉を発する。

「―――そろそろ、出てきたらどうかね?」

背後に刺さる気配に対して声をかける。
向けられる気配を柳に風の様に受け流しながら。

652スケイルエキドナ:2011/12/31(土) 23:16:04 ID:LIoRVs12O
>>651

「グルルルルル……。」

────ザリッ

うなり声、砂を踏みしめる音。
先ほどから、エドワードに痛いほどの殺気を投げつけていた獣が
夜闇の中から姿を表した。

人間離れした青い肌を鎧のような攻殻に包んだ女怪人。
かつては都市の守護者として名を馳せた黒沢小百合の成れの果てだ。

653エドワード=ニュートリング:2011/12/31(土) 23:26:43 ID:xm/dFKGs0
>>652
「―――そうか、そう言う事か…なら」

水平に構えた右手に魔素を集中し、術式を高速宣言する。
宣言した術式は水を変質させた氷の魔素。
威力維持のために通常よりも構築する魔素を増加、
発するのは氷の刃と地を這う氷の棘。

「―――死ね」

右手の術式を宣言し、相手へと氷の長剣が3本飛来して行き、
同時に地を奔る氷の棘が相手に迫っていく。
剣は突き刺さればそこを凍らせ腐らせていき、
棘は通り過ぎたものをゆっくりとだが凍らせていく。
不意打ちには余りにも遅すぎる行動、だが彼は間違いなく最初から殺す気でいた。
目の前に立っている者の存在を許しはしないと言うかのように。

654スケイルエキドナ:2011/12/31(土) 23:39:25 ID:LIoRVs12O
>>653

──ズガガッ

氷の剣は獲物を確かに捉えたが、それらは
エキドナではなく、彼女の前に突如飛び出し盾となった
三体の怪人を貫いただけだった。

「グアォッ!!」

同時に地を這う氷をよけるべく、天井に張り付く。

「……ユケ。」

その態勢のまま、エキドナが声を放つと
暗闇の中から、盾となった怪人と同じデザインの者、
数体が駆け出しエドワードを襲う。

655エドワード=ニュートリング:2011/12/31(土) 23:57:28 ID:xm/dFKGs0
>>654
「仕損じたか……」

元になったのが奴なのならこんな搾りカスの様な奴を相手になどして入られない。
―――本体を殺す。方法はそれだけ、それだけでいい。
剣を構える事も無く、俺は数だけの搾りカスを眼中にすら入れずただ本体を狙う。
向かってくる搾りカスを視界に入れて、左手の氷の術式を再宣言して前方に向かって12本の剣を射出。
自身は片足飛びで張り付いた本体に飛び掛っていく。

「……!」

片足飛びの跳躍から搾りカスを踏み台にしてさらに加速する。
そこから剣を本体へと振るっていく。
跳躍から目標到達まで約15秒。相手まで間に合うか。
だが反応速度を加味すれば回避される事の方が確率としては多い。
場合によってはこの場での制限を解除する事も視野に入れる。

656スケイルエキドナ:2012/01/01(日) 00:19:21 ID:LIoRVs12O
>>655

「ヒンジャク……ナ、カトウシュゾクガ……。」
絞りカスという言葉に反応し口元を忌々しげに歪ませるエキドナ。

「オマエハ、ワガ……コドモタチガ、シマツスル!」

エドワードの予測通りエキドナは氷の剣をすりぬけると
天井に張り付いたまま上階へ消えた。

『グギッ!』
『グギァッ!』

子供たちが相手をする、という言葉通り自らの僕に相手をさせるつもりなのだろう。
数体の怪人があるものは隣のビルから、あるものは壁を突き破り
合計3体出現した。

657エドワード=ニュートリング:2012/01/01(日) 00:30:39 ID:xm/dFKGs0
>>656
「邪魔するな搾りカス共、貴様等では相手にならない」

所詮は本体の3割にも満たない戦力が三ついた所でなんの意味も持たない。
剣を正面の一体へ魔素を込めて投擲していく。魔素が篭った剣は投擲されると同時に高速回転し相手へ迫っていく。
自身は素手で壁を突き破った個体へ迫っていき正面から右腕を振るう様に見せる。

「ハッ!!」

右腕はフェイント―――本命は左腕の掌底であり、そこから派生する魔素の爆発。
当たれば仕留められる可能性はある。しかし、無駄にしぶといかもしれないのだから次の手も考えねばならない。
フェイントに引っかかるか見切られるか―――どちらだ!

658スケイルエキドナ:2012/01/01(日) 00:48:20 ID:LIoRVs12O
>>657


投擲された剣は空を裂いて敵の一体へと迫り
その体を一撃の下に貫かんとしたが。

──ィン

直前で現れた鏡のような障壁にぶつかり
僅かな金属音を立てたのみで勢いもそのままエドワードへと弾き返されてしまった。

エドワードの狙った一体もそれを見越してか微動だにせず
腕を組んでその様子を眺めている。

この三体は先ほど倒した『絞りカス』とは違うようだ。

659エドワード=ニュートリング:2012/01/01(日) 00:55:23 ID:xm/dFKGs0
>>658
「フッ…」

素早く右腕を水平に振りぬいてバックステップで距離をとっていく。
成程、搾りカスは搾りカス並に力が回るか。
剣を空中でキャッチして距離をとったまま三体を見やる。

「防御、いや攻撃とも取れるか」

強靭だが、それを破る手段は自力で探すしかないな。
あれが自動防御ならばかなり目も当てられない事だが…。
カウンターで行くよりは正攻法で行った方がいいだろう――。
そう思いながら左手でコルトアナコンダを取り出して発砲する。

660黒沢小百合:2012/01/07(土) 01:13:14 ID:SSMHlh/20
>>659

氷の刃を弾き返した怪人を弾丸からかばうように、
別の怪人が身を躍らせる。

――ギィンッ!!

また、あの『鏡』。

再び張られた障壁によって今度は弾丸が弾き返された。
攻撃を防御し、弾き返す。一見、攻防一体の強力な能力のように見えるが
突破口は必ずあるはずだ。

661エドワード=ニュートリング:2012/01/07(土) 01:28:49 ID:xm/dFKGs0
>>660
「……?」

防壁が全員にあるのならば庇う必要性は無い。
ましてや俺が攻撃したのは攻撃中断・後退・取り出し・発砲のタイミング。
どんなタイミングでも使用可能なのなら誰かが防御に回る必要性は薄い。
と、なると使用に回数の制限・またはエナジー消費量による制限・一定威力以下の無効化…、
選択肢は僅かだが狭まった、しかし確証を得るには情報が少ない。

「提案1が正解に近いなら…。
直線に赴くは雷光……」

俺はアナコンダを空中に放ると、左手の術式を宣言し。
攻撃した二体とは違う残りに向かって発射する。
放つは雷光、直線にしか飛来はしないが見てから回避することが困難であり、威力はそこそこと言った所。
もっとも、コンクリートの壁を破るのがやっとといった程度だが。
放ってから直に正面の相手に向かって真っ直ぐ走りだしていこうとしながら、
剣を水平に構えて薙ぎの形に振ろうと思考する。

662黒沢小百合:2012/01/07(土) 01:38:38 ID:SSMHlh/20
>>661

「ギッ……!」

怪人――便宜上怪人Cと呼ぶ、を打ち据えんと、空を走る眩い雷光。
しかし、怪人Cは腕を向けられた時点で攻撃が来ると察知したのか、
横に素早く転がりそれを回避した。

異能・能力と言うのは兄弟など一定の繋がりを持つ者の間で共通する場合がある。
恐らく、この3体はそれぞれ同じような『障壁』を貼る能力を持っているのではないかと考えられるが
推測が正しいなら、何故この一体は障壁で防御せず、回避行動を選んだのか?

「ギャオオゥッッ!!!」

剣を構え、一気に間合いを詰めるエドワードを
先ほど銃弾を受け止めた個体(便宜上、怪人Bと呼ぶ)が迎撃。
やはり、例の障壁を前面に展開している。

ほかの2体(A、C)はエドワードの左右に回り込もうとしているが……。

663エドワード=ニュートリング:2012/01/07(土) 01:54:40 ID:xm/dFKGs0
>>662
「お前は…邪魔だ」

両手で剣を握る。加速して相手の前面へ向かい、相手の目の前で横にステップ。
ステップで着地した右足を軸に左回りに回転しながら―――。
相手に向かって力を込めて剣を振るって行く―――!

「通るか、通らないか…それが大事だ…!」

通るのならばやり方は増える。無かったとしても何も問題は無い。
そして、こいつらの行動で推測がまた一歩進んだ。
可能性だが、全員が防壁を張る能力は恐らく無い。
もっとも、隠している可能性も無きにしも非ずだがそれは後だ。
特化として攻撃と防御に分けられているのかもしれない。

664黒沢小百合:2012/01/07(土) 02:05:24 ID:SSMHlh/20
>>663

怪人Bへの斬撃。
氷の剣が障壁を裂くようにズブリと中へ沈み込む。
通用した……いや――。

障壁の表面、まるでかがみ合わせのように180度反転した切っ先が飛び出し、
エドワードへとグン、と迫る。

これだけなら強力な攻撃の反射能力で片付けられるが、妙な点がある。
それは、魔素を含んでいるはずの氷の剣。その反転した切っ先にはそれが感じられない。
エドワードのそれ自身は、障壁の向こうに確りと届いているのだ。

「ガアアアアッッ!!!」
「ギャォオオォッッ!!」
「グガァアアァッッ!!!」

しかし、悠長に考えている時間は無い。
前方から、障壁で斬撃を受け止めたB。左からA。右からC。

同時多発の攻撃。

防御するか?それとも回避するか?はたまた、迎え撃つか?

665風邪の人:2012/01/07(土) 02:21:04 ID:xm/dFKGs0
>>664
「―――南無三!」

同時多発の攻撃、氷の剣は脇腹にずぶりと突き刺さった。
私は直に手を離すと、出血している状態を気にもとめずに後ろへと、
両足の魔素を噴出させるように加速して後退する。

「間に合うか…!」

全力とは言え手を離してから後退を完了させられるまで約7秒はかかる。
相手の攻撃タイミングがそれより早かったらば多大なるダメージを負うだろう。
もっとも、幸いにも刺さった剣は薄皮一枚…痛みこそあるが許容範囲だ

666黒沢小百合:2012/01/07(土) 02:30:40 ID:SSMHlh/20
>>665

既に攻撃態勢に入っている相手に、
7秒という隙はあまりにも致命的。

左方向のAは鋭い鈎爪で胴を、右方向のCは回し蹴りで頭部を。
そして前方のBはくるんと体を回転させて、蛇の尻尾のような器官を鞭のようにしならせ
エドワードの足元を払おうとする。

上、中、下、憎たらしいほどにタイミングが揃っている。

667エドワード=ニュートリング:2012/01/07(土) 02:42:42 ID:xm/dFKGs0
>>666
「畜生め」

頭部を両腕で防ぎ、足元の攻撃と胴体の攻撃をまともに受けた状態で後退する。
出血は多い…だが、これくらいならば立っていられる。とは言え中々きついが。
やはり、一体三はキツイか?まぁ、まだやれない事は無い…と思いたい。

「まぁ、ここらで反撃といきたいな」

血が流れたせいか少々頭も落ち着いてきた。
それに、一部防壁系統の特性も多少だが掴めて来た。
まだまだここからだ、終わってはいない

668黒沢小百合:2012/01/07(土) 02:49:17 ID:SSMHlh/20
>>667

エドワードと怪人の間に再び、一定の距離が開いたが、
A、B、Cはいつでもお互いがカバーできるポジションをとり、
様子を窺っているようだ。

3対1、敵は未だ無傷。
状況的には劣勢と言わざるを得ないが……。

「グガッ!!」

――パシュッ!!

と、いきなり怪人どもは腕を振りぬき、腕部甲殻の一部を弾丸のように飛ばしてきた!
怪人の腕力によって放たれたそれは、狙いこそ曖昧なものの数が多くまるで散弾銃。
3体が協力し、途切れないように攻撃をおこなってくる!

669エドワード=ニュートリング:2012/01/07(土) 03:03:18 ID:xm/dFKGs0
>>668
「ここからは握らせてもらいたいものだ…。
流し逸らすは風の流れ……」

両足の魔素で術式を宣言し風の気流を作る。
直接攻撃を防ぐ効果は薄いが、弾丸の命中を逸らせる位は可能だ。
もっとも、直撃が掠めるに変化する程度だけれど。
そして、氷の剣を魔素に逆変換してその魔素を還元する。

「さて…そろそろ赴くか」

黒い剣を手元へと寄せて、片手ではなく両腕で構える。
何かを起こす前兆の様でもあるし、諦めたようにも思える。
しかし、何か得体の知れない脅威を放っていた。

670名も無き異能都市住民:2012/01/07(土) 22:14:03 ID:SSMHlh/20
>>669

怪人は、エドワードからにじみ出る何らかの気配をキャッチしたのか
やはり距離を一定に保ったまま、例の甲殻弾を放ち続ける。

怪人たちはこの距離なら、何をされようと近づかれる前に対応できるし、
風による防御の効果も限定的、廃屋で助けが来ないという状況ゆえに時間もあるため
このまま攻撃すれば、いつかは体力が尽きるだろうと考えているのだ。

「……フン、ミカケダオシカ……。」

スケイルエキドナは、素体となった小百合の能力を受け継ぎ
己の生み出した怪人と視界を共有する事ができる。

少し離れたビルの屋上で、エキドナは勝利を確信し笑みを浮かべた。

671エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 00:07:46 ID:xm/dFKGs0
>>670
「(奴等は自身の弱点をカバーしにかかるだろう。
……ハッキリ言って手段として取れる手は減っている。ならば)」

一撃を拡散させる―――その方法を取ることを選択する。
透明な魔素が剣を覆い、剣はそれを笑う様に鼓動を発しながら喰らっていく。
空間を僅かに軋ませながら剣を握る両腕の力を強めていき。
体についていく無数の傷を気にも留めず。

「一撃―――!」

強い気迫を込めた声と共に剣を振りぬいていく――!!

「滅殺――!!」

降りぬいた剣と共に相手にはまず剣圧によって生まれるの風、
浴びせられれば体を一息の内に切り刻む刃の様な風が襲い掛かる。
だが、これが本命とするならば余りにも緩い。何か別の手段があると見るのが正当だが――。

672名も無き異能都市住民:2012/01/08(日) 00:18:35 ID:SSMHlh/20
>>671

「ギッ……!!」

剣圧により、甲殻が押し戻される。
これでは遠隔攻撃は不可能であり、接近戦に持ち込むしかない。

お互いをカバーできる位置どりをとっていたC、Aは素早くBの背後――。
即ち、例の障壁を盾にして風の刃を防御する。

障壁の防御は絶対。

押し寄せる乱気流を押し戻し、相殺し、無効化する。
湖面の如く揺らめくその向こうで、スケイルエキドナと同じく口元だけが開いた
甲のような甲殻を持つ怪人が、嘲るように唇を歪ませる様が見えた。

ただ、今回も反射されているのは物理的な剣圧のみ。
空気中のマナや魔素の類は障壁を通り抜けている。

673エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 00:32:44 ID:xm/dFKGs0
>>672
「今だ…喰らいつけ!」

唇をゆがませる相手に対し、時間を置いて発動した剣の魔素が放たれる。
放たれるのは無の変異、浸食の魔素。あらゆる物を浸食し、崩していく。
ただ直線にはなったわけではなく、この魔素の渦は他の魔素を追い喰らっていく。

絶対の障壁防御。だが、恐らく効果があるのは物理的現象のみ――。
正確には推測だがさっきの氷の刃はただの氷で出来た刃物だった。
つまり、魔素自体は相手に付着していると言う事になる…はずだ。
あの障壁は受けた物の現象を反射する類なのかもしれない。
さらに恐らく魔素を反射する事はできない…渦は反射されたとしても、
浸食の魔素は魔素自体が対象を喰らっていく物…仮説が正しいなら通過した時点で相手はゆっくりと肉体を崩壊させていくはず。
……もっとも、相手自体が耐性があるならば話は違うが。

674名も無き異能都市住民:2012/01/08(日) 00:47:36 ID:SSMHlh/20
>>673

『ガァッ……、ギ……ギッ……!?』

乱気流を受け止める障壁を張っていた怪人Bが、苦悶の声と共に
首をかきむしり、その場に崩れ落ちる。

ボロ、ボロと欠け落ち灰のように風化する甲殻。
背後のA、Cはその光景を見て恐れおののき、ゆっくりと後ずさりしている。

『ギャッ!!ギャァアアァッッ!!!』

地面に倒れ付した怪人Bは耳障りな断末魔を最後にあげるとそのまま動かなくなり
ブスブスと肉が焼けるような、鈍い音をあげながらゆっくりと溶けていく……。

『ギ……ヒッ……!!』
『ガァッ……!』

身を翻し、逃げる怪人2匹。
仲間を殺され、臆したのか。

675エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 00:52:07 ID:xm/dFKGs0
>>674
「逃げるなら、負けて死ね」

黒い剣、そして同じ浸食の魔素を込めた投げナイフを順番に相手へ投擲する。
ナイフはナイフ自体も浸食されるため使い捨てだが…剣は刺されば相手を喰らっていく。
そして、また自分の力にしていく…訳ではないが相手を喰らっていくのは確かだ。

背中を向けている相手が逃げる事に集中するなら当たるだろうが、
そうでないなら、というより回避に心置ける余裕があるなら避けられるだろう。
剣もナイフも、追尾するように魔素を込められてはいないから。

676名も無き異能都市住民:2012/01/08(日) 01:14:14 ID:SSMHlh/20
>>675

獣のように四足で駆ける怪人の背に、ナイフと剣が迫る。
両者ともそれを叩き落そうと、尻尾を器用に振るったがその結果は明暗が分かれた。

「ギァッ……!?」

怪人Cが迫る剣を尻尾で打った瞬間、
魔素が浸透し、尻尾から徐々に腐り落ちていく。

「グ、ギ……ヒギャアアアアァアァァァァッ……。」

ボロボロと崩れる体に恐怖するように声をあげたが
足が崩れ落ちると同時に地面に体を投げ出だし、そのまま動かなくなりBの後を追った。

しかし、Aはナイフを叩き落したがなんのダメージも追った様子はなく、
それどころか反射された魔素が一瞬にしてナイフを喰らい尽くした。
どうやら物理を反射するB、魔法を反射するAといった具合だったのだろう。

Aはそのまま、廃ビルを飛び出し夜の路地へ消えていく……。

677エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 01:20:14 ID:xm/dFKGs0
>>676
「ちっ、私とした事が。
逃がしてしまったか…まぁいい。本体を潰せばいいだけだ」

何処にいるかは知らないが…いや。探査すればいい、力はある。
気脈から感じる奴の気配と気配から感知出来る居場所の把握―――。
それを目を閉じてゆっくりと行う。

「(必要なのは正確さ…)」

数分ほどあれば…奴がジャミングでもしていない限りは探知は可能だ。
もっとも、無ければ無かったで他の方法で探すだけだが。

678名も無き異能都市住民:2012/01/08(日) 01:23:14 ID:SSMHlh/20
>>677

ジャミングなどは掛かっていないし、
この周辺は人が少ないため、環境的ノイズも少ない。
そのため、探知は容易。

しかし、最初に逃げ延びた怪人の気配は既に遠くに逃げ去っており
今逃した個体も猛烈な勢いで、いずこかへと逃げていく。

679エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 01:27:55 ID:xm/dFKGs0
>>678
「搾りカスは遠くへ逃げたか。
追うのは簡単だが、それをするなら本体を…黒沢小百合を殺す方が先だ」

そう言って、ビルの屋上へ階段を上る。
アイツは上に逃げた…もっとも違うビルに飛んで行っただろうが…。
外に出て探知した方が速いかもしれない。治療の術式は後だ…。

680名も無き異能都市住民:2012/01/08(日) 01:38:29 ID:SSMHlh/20
>>679

外に出て探知を行なったがやはり、小百合の気配はない。
あの3体が敗北するとは考えていなかったのだろう。
別の獲物を探しに行ったか、それとも巣に戻ったか。

既に遠くに消えてしまっている。

681エドワード=ニュートリング:2012/01/08(日) 01:43:49 ID:xm/dFKGs0
>>680
「チッ…糞が…うっ!?ぶぁっ!?」

緊張が僅かに緩んだのか、吐血してしまった。
流石に血管が運動量に持たなかったらしい…強化無しでは当たり前か。
多量に口から血を吐きながら奴を必ず殺すと、心に誓う。

「今は…戻って治療、だな」

屋上からゆっくりと階段を下りていきながら、そう呟く。
逃がしたのは屈辱だが、それを悔やんだところで何も生むまい。
次にあった時にとどめを刺せば言いだけの事だ。

682名も無き異能都市住民:2012/01/08(日) 02:01:52 ID:SSMHlh/20
>>681

――それから数時間後……。

『ギ……グギッ……。』

何処かにある、スケイルエキドナの住処。
仲間を失い、一人逃げ延びた怪人が幾分か沈んだ足取りでそこに足を踏み入れた瞬間……。

『ゲ、ギャアアァアッッ!!!』

その首筋に蛇の胴体を思わせる尻尾が巻きつき、
バキバキと鈍い音を立てながら甲殻を砕いた。

「ニンゲン、ニ、ハイボク……スル……ヨウナ……。
 ヤクタタズ、ハ、クイーン、ノ、ハイカニハ……イラヌ……シヌガ、イイ……。」

――ボギィッ

『……ァッ!!!?』

鈍い音と共に、締め上げられた怪人の首が
ぐらりと揺れその口の端から緑色の体液が漏れる。
怪人の死体はその後、哀れも壁に叩きつけられブスブスと音を立てて溶けた。

「……クイーン、ニ……サカラウモノ、コロス……。」

683黒沢小百合:2012/01/15(日) 21:47:43 ID:SSMHlh/20
昨日の激戦の後、クロスたち3人は千夜グループの救護班に回収され、
そのまま最寄の施設の整った病院まで搬送されていた。

小百合は失踪時に致死量の血痕が発見されたというのに
クロスによって保護された時には目だった外傷はなく、心拍・脈拍も共に安定。
服装に至っても自らの血が染み込んで乾燥していた以外には、失踪時のままであったが……。

「――――――。」

如何なる手段を用いても意識が戻らない。
これには医師も首を捻るばかりで、魔術師による祈祷も意味を成さなかった。

684甲/無能力:2012/01/15(日) 22:06:29 ID:8dZxyt4s0
>>683
「……」

ガラス窓越しに、静かに横たわる黒沢を眺める

「(生きている……今はまぁ、それだけで行幸か)」

ふぅ、と息を吐くと病室の前を通り過ぎた

「(単純に考えりゃ……
  この能力を与えたっていう“クイーン”とやらを倒せば、事は済むのかも知れねえ)」

赤いマフラーの下の包帯を撫でて

「何にせよ、事件はまだ終わってねぇって事か……おっと、お世話になりました」
向こうから歩いてきた医者にぺこりと頭を下げて


「えーと……俺の治療費の支払いは黒沢のツケで」

シュタ、と手を挙げると足早に
何か言い掛ける医者を尻目に病院を去った

685ドーラ:2012/01/21(土) 21:11:31 ID:7gFzKdaU0
箱庭、荒野ステージ。
そこにて四肢を振るい、修行をしていると見受けることの出来る影が一つ有った。
武術を収めているのか、その小柄な姿から打ち出される拳足は中々の鋭さを持っている。

「――こんな感じ、だよね……ッ!」

そんな声と同時に打ち出された拳が、ぴしぃ、と周囲の空気を震わせる。
ふぅ、と息を吐いて、傍らに置いた巨大なリュックサックからタオルを取り出して汗を拭いているのは、一人の少女であった。
錆鉄色の髪と瞳、浅黒い肌の色が印象的な小柄ながらも存在感のある少女。
格好は動きやすくスパッツとパーカーという格好であった。

「……んー、鈍ってないけど、緊張感がなぁー」

慣れた様子で屈伸運動や柔軟をしながら、ぶつぶつとつぶやいているのだった。
妙に濃い、〝死〟の気配も有り、彼女の存在を見つけるのは難しくはないことだろう。

686ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/21(土) 21:14:03 ID:WVrfsEdY0
>>685
【同じステージ内に誰かが転送されてくる…】
「あう〜とっくんしようかなの〜」
【どうやら先日あった少女がこの空間に入ってきたようだ】

「…あう?もうさきにひとがいるかなの…」
【首をかしげながらあたりを見回す。その手には銀の刀を手に抱えている…】

687ドーラ:2012/01/21(土) 21:19:30 ID:7gFzKdaU0
>>686
「ん…………? あ、パンの…………えっと、ディスだっけ!?」

入ってきた影には見覚えがあって、ぱぁ、と顔を輝かせて声を漏らす。
たたた、と軽やかな動きであなたの元に駆け寄って行き話しかける。
浅黒い肌の少女には、貴方も見覚えがあったことだろう。

「やっほ、久しぶりってほどでもないけど久しぶりー!
ディスも、修行なの?」

フランクな調子で話しかける少女は、公園で有った時に比べて、薄ら寒い気配がより強いと言える。
先ほどまで修行をしていたため、彼女の霊的性質が一部解放されており、それが表出していたのだ。
周囲には、小さい鬼火――――人魂が、何個かふわふわ浮いているのだった。

688名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 21:24:51 ID:WVrfsEdY0
>>687
「あ、またあったの!えっと…」
【名前を聞いてなかったので呼び方に迷っているようだ】

「うん、とっくんのためにきたの〜。
 えっと…その、おなまえきいてなかったかなの…」
【頭を軽く掻いて言う】

689ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/21(土) 21:25:55 ID:WVrfsEdY0
//名前が…

690ドーラ:2012/01/21(土) 21:30:15 ID:7gFzKdaU0
>>688
「あ、そういえば名前言ってなかったっけ……!うっかりしてたと言うか、いっつもうっかりなんだよねぇ」

あはははー、と気の抜ける笑い声を響かせながら頭をくしゃくしゃと掻く。
唯でさえぐりぐり気味の癖っ毛がよりくしゃくしゃになっていた。
表情を含め人好きのする類の雰囲気であるため、霊的な気配を感じても怖くはないだろう。
彼女としてはお腹ペコペコの所をたすけてくれた恩人だったりもしている。

「わたしはドーラだよ。苗字はなくて、只のドーラさ」

苗字はなく、ドーラという一つの名を大切に貴方に名乗った少女。
軍事的知識があれば別だが、恐らく貴方にはその名前の由来はわからないかも知れない。

691名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 21:35:38 ID:WVrfsEdY0
>>690
「あうあう、『どーら』なの?
 そっかなの〜。よろしくねなの〜!」
【ディスはその辺の軍事用語は全く知らなかった。なので不思議にも思わずに笑顔で返す】

「みょーじがないのはいっしょかなの。『でぃす』のおなまえは『でぃす』だからなの〜!」
【ディスという名前は数字を意味する言葉…だがディスはその名前にも何も思ってないようである】

692ドーラ:2012/01/21(土) 21:38:43 ID:7gFzKdaU0
>>691
「ディスね、うん、いい名前だと思う!」
(……10番?大家族なのかなぁ……、それとも……うーん、まあ……いいかな?)

あなたの名前を聞いて、笑顔で右手を差し出すだろう。
差し出された小さな手は、職人としての努力が見える手で、豆が有り皮が硬くなっていた。

693名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 21:45:46 ID:WVrfsEdY0
>>692
「あうー、あくしゅあくしゅなの〜。」
【ディスは嬉しそうに手を差し出して握手を行う】

「あう。けっこうかたいなの。」
【ディスの手は子供の手らしく柔らかい手触りである。】

「そいえば、とっくんしてたんだよねなの。
 『でぃす』もとっくんてつだおっかなの?」
【ドーラの顔を見て尋ねる】

694ドーラ:2012/01/21(土) 21:49:11 ID:7gFzKdaU0
>>693
「これでも武器と兵器のぷろふぇっしょなるだからねっ!
毎日工具握りしめてりゃとーぜん掌くらい硬くなるさ!」

ぎゅぎゅ、と貴方の手を優しく握り締める。子供の手と言うよりは、職人の手だ。
亡霊らしく体温が低いため、ひんやりとして気持ちいいかも知れなかった。

「んー、いいの? こっちとしちゃやっぱり人が相手の方がやる気でるから頼みたいけどね」

手を離して、己の右手を握って、開きながらそう問いかける。
パッと見では余り強そうに見えないかも知れないが、ざわり、と彼女の周囲の空気がざわめいたのが分かるだろう。
うっすらと周囲に浮かぶ人魂のそれに酷似したオーラのようなものが浮かんでいた。

695名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 21:53:39 ID:WVrfsEdY0
>>694
「ぷろふぇっしょなる…なんだかすごそうなの!」
【言葉の意味はわかってなさそうだがディスは感心している】

「あう、なんかあったかくないかなの?」
【不思議そうに握られた手を見つめる。】
「でもなんかきもちいなの」
【それでも嬉しそうな顔で返す】

「あうー、いいの。ここでとっくんするときがほかのひともいたほうがはかどるの!」

696ドーラ:2012/01/21(土) 21:59:59 ID:7gFzKdaU0
>>695
「ふっふっふ、そりゃ兵器大好きだからね!」

得意げに胸を張り上げる少女。人殺しのためのものを作っているが、作る事に拘りを感じているのが此の少女。
それに、強力な兵器を正しく使うことが出来れば、それだけ戦いを速く終わらせることが出来るはずだと。
そう信じているからこそ、彼女は己の作る兵器に誇りを持ち、それを作る己の手にもプライドを感じていた。

「そりゃぁ、わたし幽霊だからねー、いわゆるゴースト!
と言っても、足も有るし体もあるんだけどさ」

なんだかんだでも死者の魂と兵器でできているのがこの少女。
生きている要素が1つとして存在しないのならば、熱を持たないのも当然と言えた。

「……ん、だったらお願いしたいかなっ!」

そう言うと、とん、と軽く地面を蹴って後ろに飛んだ。
その動きは軽いように見えて――――――。

ず ず  ん

――――重い。
轟音を響かせて着地した少女を見れば、彼女の重量の予想も着くことだろう。
重心を落として、両手を強く握り締めると、直後魔力が発露する。
びりびりと周囲を震わせながら、どす黒い魔力が彼女から発せられて、背中からは翼のように砲塔が生えてくる。
錆鉄色の髪と瞳はいつしかぎらぎらと輝く鋼色に染まっていた。

「――――よーっし、準備は万端、おっけーだよー!」

ぶんぶん、と腕を振り回しながら、満面の笑みで貴方の準備を待つのだった。

697名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 22:03:52 ID:WVrfsEdY0
>>696
「へーき…うーんいろいろいるの〜」
【ディスは驚きを隠せない…】
「ゆーれいでも『でぃす』はへーきなの〜!」
【そう言って笑う】

「もちろんなの。とっくんでもなけないつもりだよなの!」
【そう言ってディスも後ろに飛んで距離を取る】

「こっちもだいじょぶかなの〜」
【そう言うとディスの全身に巻かれていた包帯が、まるで生物のように蠢き始める。戦闘準備を完了させているようだ】

698ドーラ:2012/01/21(土) 22:10:05 ID:7gFzKdaU0
>>697
「ふっふっふー、人間じゃできない戦い方を見せてあげよう……!」

なんともムカツク顔でそう言った少女は、貴方が準備を終えたのを確認する。
こくり、と質問を聞いて了解の意を示すと、とん、と先ず一歩地面を蹴る。
そして――――息を深く吸って、二歩目のために足を動かして。

「よーっし、んじゃぁ――――――どーんっ!」

二歩目の左足が地面に付いた瞬間、文字通り砲弾の様な速度で〝射出〟された彼女を視認できるだろう。
砲弾にも形容して違和感のない速度と勢いで突撃する少女は、右腕を振りかぶって、そのままの速度で腹部に拳を叩きこもうとするだろう。
そして、その瞬間に更に右腕が〝打ち出され〟て、爆発的威力と速度を持つ重い一撃が初激として襲いかかることとなる。

699名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 22:15:24 ID:WVrfsEdY0
>>698
「どんなたたかい…あう!?」
【相手の出方を伺おうとした瞬間に】

【砲弾の如き勢いで飛んできたドーラの一撃がディスを襲う】

「あぶなの…!」
【ディスは体に巻いた包帯を硬化させてどの一撃を受け止めようとする】
ドゴっ!
【強烈な一撃にディスの体は激しく後方へと吹き飛んでいくが】

【その直後、包帯が吹き飛んでいくディスの体から次々とドーラめがけて伸び、突き刺しに向かっていく。】

700ドーラ:2012/01/21(土) 22:23:04 ID:7gFzKdaU0
>>699
一撃は文字通りの砲撃のような威力であり、己の拳足、肉体を砲弾の如く運用するのが彼女の戦い方であった。
拳はいつの間にか鋼鉄の様に硬化しており、強い魔力が全身を廻っている。

「よーっし、だんだん調子が上がってきた、どんどん撃つよー!」

どうやら一発目は小手試し飯と言うよりは、調子を整えるためのものだったらしい。
それを証明するかのように体から吹き上がる魔力の強さがより高いものとなっているのだから。
吹き飛ぶ貴方を追う様に、更に足を前へ進めようとするが、目の前には包帯の槍。
だが――――それによって、引いたり逃げる様な少女でもなかった。

「――――っしぃぁっ!」

右腕を叩き込んだ直後、跳ねるようにその腕を引き、左腕を前方の包帯の群れに突き出す。
四肢のバングルから薄手のミスリルの膜が展開され手袋となり、ニーソックスとなり。
そして同時に――――、莫大な魔力が前方に解き放たれて、その勢いで包帯の軌道を逸らし真正面に道を強引に創りだして。

――――踏み込み、爆発――――加速、その動作により先ほどの様に加速した少女。

「とぉぉぉっぉぉおぉっ!流星きぃぃぃいっく!」

次は飛び蹴り。
漆黒の流星が闇に線を刻み、高速で貴方の腹部に左足を叩きこまんと飛び込んでくる。

701名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 22:34:08 ID:WVrfsEdY0
>>700
「うー…たしかにとってもつよいなの…」
【起動の先ではディスが起き上がっていた。ダメージはあんまり無いように見えるが…?】

「あうー…くるほうがわかってたらなの…!」
【ディスは包帯の軌道が変わる感覚もわかっているようで、待ち受けるように腕をふるう】

「ええい!なの!」
【その場から飛び上がってドーラのキックをかわして】

「これでどうだなの〜!!」
【上から右手の渾身のパンチをドーラに向けて打ち込みに行く。】

702ドーラ:2012/01/21(土) 22:41:17 ID:7gFzKdaU0
>>701
ぐんぐんと凄まじい速度で接近してくる少女。
その速度は極めて速く、文字通り砲撃そのものである。弾体は人間だが。

しかしそれは空中に相手が飛び上がることで回避される、が。
ぶぅん、と彼女の左足の踵の辺りに魔方陣が展開される。

「とりゃーッ!ムーンサルト砲撃きーっく!」

爆発的加速で、その場で宙返りをする動きで、貴方の右腕を蹴り上げて回避と同時に攻撃をなそうとする。
どちらにしろ、空中で縦回転をしながら、一旦貴方から距離を離すことには鳴るだろう。

703名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 22:49:11 ID:WVrfsEdY0
>>702
「あうあう!!」
【右腕をそのドーラのキックで蹴り飛ばされディスはその場でくるくると宙で回る】

「うー…めがまわるなの…」
【地面に落下したあと…ディスは頭をくらくらさせながら立ち上がる】

「でもすごいちからなの…こっちもこれでしょーぶするの!」
【そう言ってディスは持っていた銀色の刀を振り上げてドーラに対峙する…】

704ドーラ:2012/01/21(土) 22:54:07 ID:7gFzKdaU0
>>703
「うぐぅ……回りすぎたぁ……!」

どすん、と重々しい音を響かせて地面に着地すると少し足元がおぼつかなかった。
空中戦はむしろ得意中の得意と言うか、撃ち出すのが得意なためそれは問題ないが、流石に平気ではないらしい。
ぎしり、と体から金属の軋む音を響かせて、ちりちりと漆黒の魔力がだんだん赤黒く染まってくるだろう。

錆びついた鉄と言うよりは――――固まった血と、焔。そんなイメージか。
戦闘の熱が、彼女の動力となり、彼女を駆動させる糧となり、その内側の力を次第に開帳していく事となる。
一歩をゆっくりと踏み進めて、両手を強く握りしめて構えを取った。

「――――うっし、じょーとー!かかってこいやぁ!」

吹き上がる魔力を全身に循環させて、文字通り基幹部たる心臓に〝火〟が入った少女。
溢れる熱が、周囲の空気をじんわりと歪めて、温かいのに薄ら寒いようなそんな不気味な気配を感じさせ始めた。

705名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 23:05:19 ID:WVrfsEdY0
>>704
「あう…おもたいのはもてるけど、こういうこーげきはちょっと『でぃす』にはたいへんなの…」
【軽く手を振りながらディスはため息を付く】

「うーん…これはまほーなのかなの…
 よくわからないけどこーげきしなきゃかなの!」
【ディスは距離が開いたのを見計らって】
バシュウウン!
【全身の包帯をあちこちへと伸ばし始めた、その中の幾つかはドーラに狙いを定めて飛んでいくが…ディスの姿はよく見えなくなる。】

706ドーラ:2012/01/21(土) 23:11:29 ID:7gFzKdaU0
>>705
「おぉぉぉおぉぉおっ!」

両手を天に向けて突き上げる少女、そして同時に空に巨大な魔方陣が生成される。
同時に――――、彼女を中心として莫大な魔力が大地に流し込まれていき。
大地が隆起し、剥がされ、岩塊が浮かび、空に舞い上がっていく姿が見えるだろう。
その動きにより包帯を防ぐも、幾つかは隙間を通り、彼女の体に傷を刻んでいく。
頬に傷が刻まれて、どろり、と血が零れ出すが、それでも手を上に上げ続ける。

「――――ふっふっふ、わたしの真骨頂は……、むしろ遠距離なのさ!」

いつの間にか、夜空には大量の岩の塊が浮遊している。
岩同士がぶつかりあわされ、砕かれ、押しつぶされて。
空中には数十の岩で出来た巨大な砲弾が生まれて、地上にその先端を向けている。

ごうん、ごうん。

砲弾達がジャイロ回転をし始めて、同時に魔方陣から光が漏れ始めている。
かなりの大技の準備が始まっているのは、嫌でもわかるだろう。

707名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 23:15:33 ID:WVrfsEdY0
>>706
「…なにがくるのかなの…
 とにかくなの」
【無数の岩の塊に警戒をしながらもディスは狙いをドーラに定める】

「やられるまえにやっつけてやるなの!」
【そう言ってディスは包帯の合間…ドーラの後方から勢い良く飛び出して】

「これでどうだなの!」
【その銀の刃をドーラに向けて振り下ろしにかかる】

708ドーラ:2012/01/21(土) 23:19:32 ID:7gFzKdaU0
>>707
後ろから聞こえた声、それを見て、少女はにぃっ、と笑んだ。
ならば、此方は撃ってしまえばいいとばかりに。

「――――――照準、決定。射線は通った――――発射っ!」

彼女が魔方陣に最後の魔力を叩き込んだその瞬間。
莫大な数の砲弾の雨が文字通りに彼女を中心とした範囲に打ち出されていく。
重力加速度と魔力により加速された弾丸は、直径10cm程という凶悪な口径。
ジャイロ回転で空気を裂くように襲いかかるそれは、当たれば並の防御ならば造作もなく吹き飛ばすだけの威力はある。

銀の刃が彼女の肩に食い込み始めた瞬間に――――、3発ほど。真上から貴方の体を打ち据えようと弾丸が降り注いて来るだろう。

709名も無き異能都市住民:2012/01/21(土) 23:24:26 ID:WVrfsEdY0
>>708
「あう?!!」
【ディスの体に襲いかかる弾丸。ディスの体は銃弾を浴びることになった】

「こういうことするためだったの…うー、たいへん…なの」
【確かにディスの体に銃弾が打ち込まれたはずだろう。しかしディスはいたがる素振りが全くない】

「でも…もうちょいだからなの!」
【ディスは構わず食い込んだ銀の刃を下の方へ降ろそうと力を込めた】

710ドーラ:2012/01/21(土) 23:30:34 ID:7gFzKdaU0
>>709
「――――ふふふ、打ち出せるのは――――――、自分だけじゃないんだよッ!」

とん。と優しく貴方の腹部に少女は振れることだろう。
ざくり、と皮膚が切り裂かれ、肉が引きちぎれ、血が零れて。
傷口から見える骨は鉄骨であり、流れる血は腐臭を漂わせていたが。

触れた点を中心に魔方陣が生成。
そして魔力を流し込み――――〝貴方を弾丸として撃ち出す〟つもりである。
その勢いは、体重が3桁の彼女を容易に飛翔させる程のものであり、極めて強力なもの。

もし吹き飛ばされれば、着地した瞬間にその点に残りの全ての岩が降り注いて来る事だろう。
遠距離攻撃こそが本領ならば、それを成功させるための技もまた、持っていて当然なのだ。

711ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/21(土) 23:40:18 ID:WVrfsEdY0
>>710
「あうあう…なにかなの…」
【突然発せられる魔力に警戒をするが…】

ドゴォン!
【何も言えないままディスの体は弾丸のように勢い良く空に吹き飛ぶ!】
【そしてそこへ岩が勢いよく降り注いできた。】
ドゴドゴドゴドゴォン!

【…ディスのいる場所には無数の岩が転がり落ちている…無事なのかどうかはまだわからない…】

712ドーラ:2012/01/21(土) 23:43:13 ID:7gFzKdaU0
>>711
「ってやりすぎた――――――!?」

ついつい熱くなり、ほぼ全力といっていい様な攻撃を放った彼女。
一応ながら着弾前に弾速を落としたとはいえ、かなり危険であった。
貴方の着地地点に全力で駆け寄っていって、岩を吹き飛ばしながら、様子を確認しようとするだろう。

713ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/21(土) 23:59:50 ID:WVrfsEdY0
>>712
【着地地点の岩を退けてみると…】
「うー…もうちょっと」
【岩を押しのけ、どうにか這い出したディスの姿があった】

「…ふぁー…すごくおもたかったの…
 『どーら』ほんとうにつよいなの…」
【あちこちに打ち身ができている他、先ほどの弾丸を受けてあちこちから血が出ている…】

「ふう、まだまだなの…!っとと」
【ディスは立ち上がろうとして、がくっと膝をついた】

714ドーラ:2012/01/22(日) 00:03:06 ID:7gFzKdaU0
>>713
「うう、ごめんね。ほら、手貸したげる」

そう言って、膝を付いた貴方に右手を差し出すことだろう。
いつの間にかミスリルの膜はバングルに戻っており、魔力もなりを潜めている。
内心では、全力でやっていたらミンチに成っていたかも、とヒヤヒヤして居たりしたのだが。

どちらにしろ、ある程度無事、無事というには傷が多いが――――な様子を見て、安堵するのだった。

715ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/22(日) 00:23:44 ID:WVrfsEdY0
>>714
「あうあう、ごめんなさいなの。
 なんかあんまりとっくんにならなかったかなの…」
【差し出された手を握ってディスはゆっくり立ち上がる。見ると結構痛そうな怪我もところどころに見られる】

「じょーぶじゃなかったらやられてたかなの…でも『どーら』もけっこうじょーぶなんだねなの」
【頭をカリカリとかいて微笑む。見ると頭からも血が滴っている。】

「でも、てかげんなしでとっくんしてもらえてちょっとうれしかったかなの」

716ドーラ:2012/01/22(日) 00:32:36 ID:7gFzKdaU0
>>715
「いやいや、あんまし気にしないでよ、こっちもこっちでやっぱり近接戦は苦手だなって確認できたしね」

立ち上がるディスの体に軽く触れると、黒い炎が傷口を舐めて、ダメージを吸い上げるだろう。
そして、手元に真っ黒な人魂が生まれて、それを口で吸い込んで飲み干した。
完治とは行かないがある程度傷は軽くなるだろう。

そして、先ほどまでの戦い方を見ていれば分かるだろうが、格闘は出来るが近接は苦手なのである。
遠くから一気に詰めて殴ってそして引いて、という戦闘が向いている、言わば一撃必殺の類。
そのため、相手が丈夫であれば有るほど、彼女にとっては加速度的に振りになっていくのである。

「まーね、これでもわたしがわたしになる前は、すぅっっごくおっきな砲台だったんだから!」

そう言うと、貴方の頭の傷を治そうと触れながら、イメージを見せるかも知れない。
人間数百人から千人近くが必要な、余りにも超大、巨大な砲台の姿が。
それを見れば、丈夫さも威力も、なんとなく納得できたかも知れない。

「ん、今度は本気の本気のすっごい砲撃しちゃうんだから!」

と、得意げに言い放つのだった

717ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/22(日) 00:41:56 ID:WVrfsEdY0
>>716
「あう〜、なんだかつかれがとれるかんじなの…」
【癒されでもしたのか少し穏やかな顔になる】

「なるほどなの…『でぃす』ははなれてたらちょっとにがてかなの…
 ほーたいのばしてもあたんないときがおおいからなの」
【腕の包帯をうねうねと動かしながら言う】

「おっきなほーだい?あう」
【触られた時に頭の中に巨大な砲台の姿がイメージされた】
「あうー!すっごいの!これってほんとに『どーら』なの?
 でっかいの!」
【かなり興奮している…】
「うーん、ほんきはものすごいのかなの…きになるなの〜」

718ドーラ:2012/01/22(日) 00:48:50 ID:7gFzKdaU0
>>717
「どっちかというと悪霊だからねー、悪いものを吸い込むのは大得意ってわけさ」

どう見ても悪霊には見えないが、戦死した兵士たちの魂がドーラ列車砲を依代に集まったのが彼女。
そう考えればカテゴリとしては悪霊が一番ふさわしいと言えただろう。

「殴る蹴るもできるけどねー、さっき見たいに岩を降らせたり、魔力を飛ばしたりする方がねー。
だから逆に近づかれると、ああしてふっとばすしか無いんだけどさ」

砲撃魔術という一つの物を極めようとしているのが彼女だ。
撃ち出す、という行動を極めて応用的に使用し、近接も遠距離もこなしているのだ。

「ふーっふっふふ、これでも元元は超巨大列車砲、ドーラ様だったんだからねー!
何KMも離れた壁も一発で吹っ飛ばせたしね!だ、から、本気は大体それくらいなんだよ!」

と、しばらく嬉しそうに自分のことを語って、いい時間になったら貴方を心配して、恐らく一緒に病院に行ったことだろう。

/*時間的に眠いので、そろそろ乙っしたー!*/

719ディス ◆My6NsjkSfM:2012/01/22(日) 00:58:43 ID:WVrfsEdY0
>>718
「そっかなの…でもこのなかでは
 けがとかしてもへーきなようになってるから、だいじょぶなの!」
【ディスは笑顔で返す】

「そっかなの…『でぃす』もそういうことできるようにがんばろうかなの。
 その…にがてなことあったらなんとかしなきゃだからなの」
【大きくうなずいて言う】

「あうー、れっしゃほう…そこまでできるなんて『どーら』ほんとにすごいなの!
 ありがとなの!べんきょになったの〜!」
【ディスはとても嬉しそうな顔をしてドーラとお話をした。箱庭から出たあとは怪我も形もなくなっていることに驚くかもしれない…】
//おつかれでしたー。

720名も無き異能都市住民:2012/01/23(月) 21:59:23 ID:yqDAU1es0
(1/2)

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act1

『賞金稼ぎギルド-暗黒の渦-』は、無法者どもで構成された非合法ギルドだ。
都市指定の犯罪者等を捕縛し、金と交換で身柄を適当な場所へ引き渡す。
そのやり口は、荒っぽくて、そして汚い。

暗黒の渦は、都市の目立たない位置に配置された酒場を根城としている。
太陽の光がビルによって遮られ、常に薄暗いこの空間は負の雰囲気で満ちており、されど日蔭者の楽園だった。

この酒場に一人の男が入店する。客たちが一瞥するが、瞬時にみな目を逸らしている。
鈍く光る銀髪を携え、目つきは鋭い。鍛え上げられた筋肉をずたずたのジャケットが包んでいる。腰には何故か万歩計。
彼はギルドお抱えの厄介者賞金稼ぎ、ドラグ・ラヴァストーカー。
狙った標的は『必ず』捕える――聞こえはいいが、『必ず』を達成する為の『手段』が最低なのだ。

「マスター、仕事をくれ」
カウンターの席に座り、酒場の店主に話しかける。ギルドマスターも兼任しているようだ。
怪訝そうな顔をした店主が、少し考えてから口を開く。

「お前に任せると、事後処理の情報ロンダリングが大変なんだよ。前にもほら、能力でビル数棟破壊してただろ?
 全部犯人に罪を擦りつけるのにどれだけの労力がかかると思ってんだ?」
「その件は悪かった。だから仕事をくれ」
「全然分かってねーじゃん。……まぁ、お前にはこれがお似合いだろう」
掲示板にピンで止めてあった、一枚の指名手配書を投げ渡した。

「あ? 俺にガキ一匹捕まえろっての? 割に合わねーだろ」
「だからこそ、だ。
 まずお前、加減を覚えろよな。それから大きな仕事回してやるからよ」
「ちっ、仕方ねー。マスターには迷惑掛けてるからな、言うこと聞いておいてやらぁ」
渡された紙をもう一度確認する。写真に写った少女は都市で多発している連続死傷事件の犯人らしい。

「なるほど、吸血鬼か……くく、いい砂嚢になりそうだな……
 マスター、行ってくるぜ。得意の情報戦で換金レートを引き上げといてくれや」
手配書をポケットにねじ込み、ドラグは酒場を後にする。
しばらく静寂に包まれていた酒場が、一人のお喋りをかわきりに賑やかさを取り戻した。

「さてと、」
酒場の店主は、
「情報ロンダリングの準備だ」
不測の事態に備え、情報操作の専門に片っぱしから電話をかけ始める。

721名も無き異能都市住民:2012/01/23(月) 22:00:04 ID:yqDAU1es0
(2/2)

夜の都市に爆発音が鳴り響く。
視界に飛び込んでくるのは、二人の人影。賞金稼ぎのドラグと、手配書に写っていた少女らしい。

「やはり丈夫だな、吸血鬼ってのは。だからこそ、なぶって遊べるんだ」
手に持っていた紙袋に手を入れ、まとめ買いした金平糖を一掴みとると口に含む。

「さぁ、逃げろよ。砂嚢<サンドバッグ>!!」
バラバラッ、と手から金平糖が地面にこぼれ落ちる。
地面に散らばった金平糖に足で蹴りを入れ、少女に対しショットガンの容量で飛ばす。

するとなんと、飛ばされた金平糖が爆発する!

「これが俺の邪気眼『爆足眼Lv1』だ……
 単純に蹴った部位が爆発する。まぁ、それだけの能力なんだが……」

……砂煙が次第に治まっていく。
少女は血だらけになって横たわっている。
何度も攻撃を受けた結果、自然治癒能力が低下しこのような結果を生んだのだ。

「もう終わっちまった。軟弱だな…、『爆足眼Lv2』を使うまでもなかった」
横たわった少女の首を掴み、上に持ち上げる。

「まだ満足してねぇぞ……、満たされねーんだ、こんなんじゃ……」
少女が目を開けると、不気味に微笑むドラグがいる。
首をぎりぎりと締め上げる。少女の顔が苦痛に歪む。

「いい、とても……」
人の苦しむ姿を見るのが、至上の快楽らしい。
だからこそ彼は賞金稼ぎとなった。正当な理由を付けて、人をいたぶるだけの為に。

722早瀬川巴:2012/01/23(月) 22:14:07 ID:D8TdtUsY0
>>720-721

「……悪いのですけれど、その子、私に譲ってくれませんか?」

深夜になって、赤のランプが点滅するばかりの信号機。
そこに腰掛ける形で、セーラー服姿の一人の少女がそこにいた。
闇夜に紛れていても爛々と輝く紅の瞳が、わずかな興味を持って男と少女に向けられている。

「たぶん一発殴り合う運命にある子だと思うので、それを果たす前に死んでもらっては困るのです。
 無論、ロハではありません。あなたは闘争に飢えているご様子。その相手をする報酬としてはどうですか?」

少女は今し方此処に来たばかりだが、二人とその周囲の様子を見れば大体の見当は付く。
男が何者かが気になるところだが、大方ヴァンパイアハンターか、賞金稼ぎといった類の人種だろう。
決して後に味方になる部類ではない。

723ドラグ・ラヴァストーカー:2012/01/23(月) 22:23:30 ID:yqDAU1es0
>>722
「……お前が相手になるって?」
男の鬼のような形相が巴に向けられる。
すると何がおかしいのか、鼻でせせら笑っている。

「いいだろう、譲ってやる。……この俺に勝てたら、の話だがな」
袋の中に手を入れ、金平糖を一掴みすると、それを宙へと投げる。

「小手調べだ。『甘み含有流星群<シューティングシュガー>』!!」
宙に浮いた金平糖に蹴りを入れる。
散弾銃の容量で、蹴り飛ばされた金平糖は『爆足眼Lv1』の効力により爆発物へと性質を変える。

724早瀬川巴:2012/01/23(月) 22:35:05 ID:D8TdtUsY0
>>723

「交渉成立なのです」

話が通ったことに、巴は年相応の少女の笑みを見せる。
そして、続く金平糖の雨あられを見て、

「なるほど、これが」

吸血鬼の最大の特徴である長大な犬歯をむき出しにする笑みに、その表情を変えた。
巴は座っていた信号機の上に立つと、そこを蹴って男に向かって跳躍した。
その行動は男の放った金平糖弾幕に突っ込むということと同義だったが、巴はそれに左腕を犠牲にするという選択で対応した。
それは左腕を来る弾幕に向かってなぎ払い、爆発を巴本体に寄せ付けないようにするという方法だった。
もちろん、左腕は爆発に晒されてズタボロになったが、そのおかげで弾幕を突破することに成功する。
そして、

「ではこちらからも小手調べですっ!」

無事な右腕が男に向かって凄まじい勢いで叩き込まれた。
見た目は少女の拳ではあったが、その威力は筋肉の十分に育っていない人間なら腹を貫通するほどの威力。
吸血鬼の怪力が見せる非常識の一撃である。

725ドラグ・ラヴァストーカー:2012/01/23(月) 22:47:17 ID:yqDAU1es0
>>724
左腕を犠牲にして特攻して来るとは夢にも思わない。
完全に意表を突いた少女の拳は男の腹へと深く穿たれる。
常人ならば即死する、その威力だが。

「なかなか重い……鍛えてなかったら即死だったな」
口元から血が流れ出るが、不気味な微笑みを浮かべている。
楽しくて仕方がないのだ。目の前にいたぶれる相手がいるのだから。

男は右脚の踵を地面に付ける。
それと同時にその場所は爆発し、勢いのついたハイキックへと変わる。

「その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる」
狙うは、頭。
もしまともに喰らえば、さらに『爆足眼Lv1』の能力で人体が爆発してしまう。

726早瀬川巴:2012/01/23(月) 23:00:02 ID:D8TdtUsY0
>>725

「〜♪」

男の腹が破れなかったことに、巴は驚きを露わにするように口笛を吹いた。
しかし、筋肉の鎧で守っていても、中に伝わる衝撃までは緩和できまい。
その証拠となるかのように、男の口から赤いモノが垂れている。

だが、のんびりと戦果を確認する余裕など無い。
間髪容れずにやってきた男のハイキック。狙う打点が高い。これは頭か。

「く……!」

体を半回転させ、今度は右腕でその蹴りを受ける。
するとどうだ。右腕が爆弾を仕込まれたように爆発したではないか。

「ぎ……ぐぅっ……」

血煙と両腕から来る激痛に顔をしかめ、巴は数度ステップを踏んで男から離れる。
右腕は肘から先が無くなり、左腕は筋肉が所々穴だらけ。酷い状況だ。

727ドラグ・ラヴァストーカー:2012/01/23(月) 23:08:54 ID:yqDAU1es0
>>726
「ふん、痛がるなよ。再生できるんだろ、吸血鬼。
 まだお楽しみはこれからだぞ。
 早く<ハリー>! 早く早く!! 早く早く早く!!!」
彼の銀の瞳が怪しく光る。『爆足眼』が次のLvへと移行しようというのだ。

「『爆足眼Lv2』だ。八秒前の自分の足跡に注意するんだな」
男がそう言った途端、
ボッ!!! と信号機がいきなり爆ぜる。

『爆足眼Lv2』
発動中、認知した対象の八秒前の足跡が爆発する。
ゆえに、相手はその場で立ち止まることができない。
相手を『必ず』捕まえることができるのは、この能力の為だ。
……もっとも、その被害は甚大なので、ギルドから厄介者扱いされているのだが。

728早瀬川巴:2012/01/23(月) 23:19:16 ID:D8TdtUsY0
>>727

なるほど、この男の能力は爆発に関係するものらしい。
攻撃力は高く、範囲も見た目通りに広い。が……。

「言われなくても、すぐに再生しますよ。おー痛い痛い」

巴の失われた両腕にどこからともなく蝙蝠の群れが集まってきて、その直視に耐えないものを覆い隠す。
そうして数秒後、蝙蝠の群れが散開する。後に残っているのは、肉体はおろか、制服の袖までも再生した両腕である。
しかし、そうこうしているうちに爆発が巴の元に迫っていた。

「へぇ、八秒。それは短いですね。それも爆発が追いすがるときた。これは怖くて震えちゃうのですよ」

怖いと言いながらも、巴の瞳と口元は笑っている。
と、おもむろに巴はその瞳を閉じてしまった。一体何を考えての行動なのか。

729ドラグ・ラヴァストーカー:2012/01/23(月) 23:26:53 ID:yqDAU1es0
>>728
「それでいい。
 その余裕なツラ、そいつを絶望色に変えるのが俺の楽しみでな」
紙袋の中から金平糖を一掴みとって、

「無論、Lv1の能力も併用して使用できるぜ」
散弾銃の容量で飛ばす『甘み含有流星群』を再び放つ。

「さぁ、どうすんだ。砂嚢」
『爆足眼Lv1』と『爆足眼Lv2』による併用コンボ。
範囲も大きく威力も高い、逃げ場が限られ、その攻撃は『必中』のように思えたが……

730早瀬川巴:2012/01/23(月) 23:36:21 ID:D8TdtUsY0
>>729

「では私は三秒、あなたを上回りましょう」

再び開かれた瞳は、血のような深紅ではなく、場違いなほどに輝く黄金に染まっていた。
しかしその色は、高貴さを表す黄金というよりは、戦場となった城から奪われたそれのような、
どこかおぞましい印象を相手に与えるものであった。

「……さて、ついて来れますか?」

そんな事を言っている間に、足下からは爆発が、正面からは金平糖弾幕が迫ってきている。
巴はそれを静かな面持ちで見やり、足を一歩、前に踏み出す。そうして金平糖と追う爆発が巴を捕らえた。


――――捕らえた、ハズだった。


爆発と金平糖は、そこにいた巴をまるで見えないかのように素通りした。
一方の巴はというと、歩いていたのは最初の一歩だけで、すぐに吸血鬼の力を見せつけるような高速の疾走に足運びを変えていた。
と、その姿を男が認識できた頃。

男の『背後』から、巴が先ほど放ったあの重い一撃、その衝撃力が急襲した。

731ドラグ・ラヴァストーカー:2012/01/23(月) 23:50:44 ID:yqDAU1es0
>>730
そう、彼にとって戦闘相手とはその強大な能力ゆえサンドバッグでしかない。
だからこそ常勝の二文字を刻んでこれた。しかし、慢心ゆえに相手の能力を分析するということを怠った。

結果として、背後からの衝撃力が彼の体を襲った。
人外の力は、余裕で男の体を浮かせ、何度も何度も地面にたたきつけられ、静止した。

「――ふっ、くくくくく」
それでも、まだ息があり、しぶとい。

「それがお前の能力か、なら、奥の手を使わなければならないな」
ゆっくりと立ちあがり。

「『爆足眼Lv3』、解放だ!」
男の瞳が一際怪しく光る。『爆足眼Lv3』が解放されようとしている。
すると、腰に付けた万歩計を見る。そこには32歩という数値が表示されている。

「32歩……これはお前と戦い始めてからの、俺の歩数だ」
地面に記憶された彼の足跡が、赤くなっていく。

「この技だけは使いたくなかった……マスターにどう言い訳すればいいんだ」
次の瞬間、

「32!!」
ボンッ!! と数値を宣言したと同時に、それらの足跡が全てが爆発し始めた!
その威力も今までの比ではない。邪気眼のLvに対応して、威力もまた上昇している!

――決着は、近い。

732早瀬川巴:2012/01/24(火) 00:06:11 ID:D8TdtUsY0
>>731

吹っ飛ばされる前に男がいた場所に踏み込んだ巴の姿は、男が起動した爆発に巻き込まれ、その姿を消す。
が、

「フッ、フフフッ、アッハハハハハハハハ! 何処を見ているのですか!」

連鎖する爆発の音に紛れて、どこからかそんな哄笑が聞こえてくる。

「三秒! 長いですか? 短いですか? この街の住人に訊いたら、一体どちらが多いのでしょうねえ!
 確かにあなたの爆発は素晴らしい! 威力、範囲、応用性、どれをとっても魅力的です!
 ……けれど、そこに胡座をかいて座っていてはいけませんねえ。生死も万物も流転していて、不変のものなどありはしない!
 それを見誤った! それがあなたの限界です!」

周囲は爆発の音と炎で満たされている。
その間を時折、巴の姿が行き来しているが、先ほどの様子から言ってその姿は当てにはならないだろう。

何故なら、紅に瞳の色を戻した、少女の姿をした吸血鬼が、いきなり男の前に現れるようなことが起きるからだ。
その右手は引き絞られた弓のように、力を込めて振り上げられていて、今まさに男に向かって放たれようとしている。

「……まあ、要はあんまり吸血鬼ナメてるとこうなるってことです」

そして、右手は放たれた。貫き手の形で、男の左目を抉るように。

733ドラグ・ラヴァストーカー:2012/01/24(火) 00:14:01 ID:yqDAU1es0
>>732
決着はついた。
左目を抉り取られた男は、完全に勝機がないことを悟った。
能力の相性もそうだが、やはり彼に足りなかったのは向上心。
お山の大将で居たことが、彼の首を絞めたのだ。

「おのれ……、許さん、貴様だけは……」
懐から札を出すと、いきなりそれが燃えだした。
そして、彼の姿は霧のように消失する。簡易の転移術式だったらしい。

734早瀬川巴:2012/01/24(火) 00:25:44 ID:D8TdtUsY0
>>733

「いわゆるおととい来やがれってやつなのです」

消えゆく男の姿に向かって、自分の首の前を、立てた左手の親指で真横に切る。
そして、右手に持っていた男の名残……眼球と呼ばれる丸い肉片をボールのように弄び、

「アレは生き汚い生き物ですね。根拠はあんましありませんけど。
 でもまあ、お土産も貰いましたし、戦果としては上々でしょうかね。
 ……周りは悲惨ですけど」

男の能力のおかげで、周囲は大穴と残留する熱に塗れている。
ここを復旧する仕事につく人間のことを考え、巴はお気の毒様、と独りごちた。
そして、ポンと高く投げた眼球を口でキャッチし、そのままモグモグと咀嚼する。

「ふうむ、やっぱり賞金稼ぎでしたか。しかも厄介な部類の……。これは大変そうですね」

眼球に含まれていた男の血、そこから男の記憶を読み取った巴は、ふう、と嘆息する。
と、そう言えば襲われていた少女が居たのを思い出し、そちらに視線を向けた。

735名も無き異能都市住民:2012/01/24(火) 00:38:40 ID:yqDAU1es0
>>734
襲われていた少女は、未だ眠り呆けている。

「むにゃむにゃ……もう食べられないよ……」
テンプレートな発言だ。
傷の修復も終わっているようだし、命に別条はないらしい。

読み取られた情報……
口封じの為のある程度のノイズが掛かっているが、名前といくつかの情報を知ることができた。
謎の賞金稼ぎギルド、暗黒の渦。その実態とは…?

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act1 終わり
→TO BE CONTINUE?

// お付き合いありがとうございました、楽しかったです!

736早瀬川巴:2012/01/24(火) 00:49:29 ID:D8TdtUsY0
>>735

「やれやれ、こっちはこっちで呑気なものなのです」

さっきまで殺されかけていたという緊張感の無い寝言を漏らす少女を、仕方がないなぁとでも言うような顔で見やる。
だが、このままここで寝かしていては、朝日にその身を焼かれる可能性がある。
そうなった場合、自分は何のために一戦交えたのかわからない。

「世話の焼ける子、なのです……よっと」

片手を引っ張り上げて背負い、地下街に降りる階段を目指す。

「それにしても……スパイラルシェード。聞いたことのない名前なのです。
 まあ自分はこの街では新参者もいいところなので、それは当然と言えば当然なのかも知れませんが……。
 後でアイリスさんにでも訊いてみることにしましょうか」

思考と同じ独り言を言いながら地下街に足を踏み入れた巴は、
背負っていた少女を階段の裏手のスペースに放り込むと、今来た階段を今度は上っていく。
それから数秒の後、未だ煙の収まらない夜の都市、その上空を、黒々とした蝙蝠の群れが飛んでいった。


//イベントお疲れ様でしたー

737名も無き異能都市住民:2012/01/25(水) 21:32:52 ID:RiN.SNZE0
(1/2)

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act2

「ねーよ!」
日の当たらない異能都市の一角、ひっそりと店を構えている酒場の店主が激昂する。
彼は舌打ちをしながら、客のビールを手に取ると、一気に飲み干した。

「まぁまぁ、落ち付いてマスター」
ビールを飲まれた客が宥めに入る。
勝手に飲まれたことに対して怒らないのは、店主の気質をよく理解できているからだろう。
店主は頭を押さえながら、愚痴を吐きだす。

「これが落ち付いていられるか!
 俺のパーフェクトな情報統制を、あの馬鹿が全部台無しにしたんだぞ!」
『賞金稼ぎギルド-暗黒の渦-』は、絶対にその名を表舞台に出させてはいけなかった。
このギルド、裏で様々な組織と繋がりを持っており、麻薬密売、地上げ等、何でも請け負う闇の組織だった。
もしこのことが世間に知られれば、都市の自治を気取る連中に潰されかねない。

「大丈夫ですよ。マスターの異能さえあれば……」
「……だと、いいがな」
酒場の店主――ギルドマスターは、情報を専門に扱う能力を持っている。
組織の情報を外部に晒されないよう、ギルド構成員にはセキュリティをかけており、
相手に無理矢理情報を引き出される、又は自分から組織の情報を話そうとすれば、組織に関する情報は全てシャットアウトされる。

「最低二人だ」
「……?」
「最低二人、暗黒の渦の情報は漏れてるっ……!」
力強くカウンターのテーブルを叩きつける。
危ない橋を渡るのが嫌いな店主は、完璧な情報統制を好む。
ゆえにわずか数人に情報が漏れただけでも、嗅ぎつけられる可能性を感じて不安になるのだ。

「長い付き合いだからって、あいつに仕事回すんじゃなかったな〜。
 俺が馬鹿だ。完全に馬鹿だった」
自らの失敗を嘲り笑い、次の一手を皆に告げる。

「こいつに繋がる奴ら、全員殺せ!!」
掲示板に写真をナイフで固定する。つい先日から賞金の掛かっていた少女だ。

738名も無き異能都市住民:2012/01/25(水) 21:33:44 ID:RiN.SNZE0
(2/2)

同時刻。
賞金の掛かっている少女のことだが……

「よいしょ、よいしょ」
埠頭で荷物運びのバイトをしていた。
彼女は吸血鬼であるから、一度に複数の積み荷を運ぶことができるのだ。

「うーん……」
その場で荷物運びの監督をしていた男性が、訝しげに少女を見ている。
彼の名はジーク・ブルースフィア。暗黒の渦の構成員の一人である。

「あのガキ、どこかで見たような気がするんだがな……」
ギルド内の掲示板をチラ見したとき、少女の顔を見ているのだが……
人の顔を覚えるのが大嫌いなようで、覚えていなかったようだ。
彼曰く、無駄なことに頭のメモリを消費したくないのだという。

「……どうでもいいか。
 まずは、この仕事を終わらせなきゃならん」

そのとき、他に荷物運びを行っていたバイトの一人が積み荷を崩してしまう。
かなり大きな音を立てて転がった積み荷の中から……

大量の真っ白な粉が出てきた。
バイトはかなりうろたえている!

「……」
ジークは激怒した。
必ず、かの情報漏洩に繋がるファクターを除かなければならぬと決意した。

ジークは人差し指を天に向け、そのままうろたえているバイトを指差した。

「死ね!」
そのセリフを皮切りに、他に積み荷を運んでいた者たちが次々にバイトを襲い始めた。
殴り、蹴り、荷物で叩き、致命傷を与え――四角い木箱に四角く入れて、海に落とした。きっと絶命した。

「ふー、誰かに見られてたら大変なところだった……
 まさかあいつ、束縛系に対する耐性を持っていたとはね……」

739萌葱 アテナ:2012/01/25(水) 21:52:11 ID:7gFzKdaU0
>>737>>738
「――――どこにでも、湧くもんだよね。…………さて、行こうかな」

物陰からそんなつぶやきが聞こえて。
かつん、かつん、と物音を響かせながら、一つの人影がその場に現れていく。
明かりの少ない埠頭という場で尚、輝く気配を感じさせる、そんな影は少女のシルエット。
月光が差し込む。最初に印象づかせたのは恐らく――――真紅。
燃え盛る赤の頭髪に、くろぐろとした双眸が目立つ、恐らく年齢が二桁行っているかどうかすらも怪しい少女だ。
格好はPコートにホットパンツ、黒タイツという動きやすさを重視しながらもそこそこ温かい格好である。

「――――もし、見られてたらどうするのかな? 
 どう考えても犯罪者っぽいからとりあえず私は確保するつもりなんだけどさ。
 おとなしくお縄について警察に行ってくれればあんまり乱暴にはしないよ?」

ざわり、とこの年齢としてはあり得ないほどに鋭い気配を見せる。
裏社会に関わるものならば、もしかすれば最近紛争地帯に介入していた一人の少女だと思い出せるかも知れない。
だが、人の顔を覚えるのが苦手な貴方ならば、知らなくても全くおかしくはないことだろう。

指を鳴らして、四肢の凝りを伸ばし、体内に魔力を巡らせる事で筋肉をほぐし即座にコンディションを最高にセッティング。
深く息を吐いて一瞬酸欠になりかけるまで酸素を抜いてから、胸いっぱいに空気を補給し、精神をリセットする。
目を瞑り、開いた少女は、既に只の少女ではなく、戦いに従事する一人の戦士でしか無かった。

一歩を踏み出す。間合いとしてはまだ15m以上は離れているか。
踏み出した一歩が地面に着くかどうかの刹那に、彼女の体を純白の衣が包み込み、夜暗を裂く衣装を纏わせた。
フリルをふんだんに扱いながらも、華美に過ぎず。ドレスと思わせるというのに、何処か勇ましさを感じさせる衣装。
なんとなく――――、魔法少女という言葉が、脳裏に浮かぶような姿だったかも知れなかった。

740ジーク・ブルースフィア:2012/01/25(水) 22:03:26 ID:RiN.SNZE0
>>739
「また面倒なのが来たよ〜、しかも見るからにヤバげだしな」
鋭い気配に身を貫かれ、危険信号を己自身から発しているのに気が付いた男は、

「第一に優先する事由は、口封じだ。悪いが死んで貰うぞ」
先ほどと同じように天を指差して、能力を発現する。

『死兆星<アルコルオーダー>Lv--』
複数人を対象とし、暗示を掛ける。人数に制限はない。ただし次の日の出までが有効期間。
ジークが天を指すとトリガーとなり、暗示を掛けた者たちの意識が飛ぶ。
その後、対象に指を向け続けている間、対象をあらゆる手段で攻撃をし続ける。
指が対象から外れると攻撃指令は解除され、暗示をかけられた者たちは意識のない状態へと戻る。
30秒後、暗示をかけられた者たちは意識を取り戻す。前後の記憶は吹き飛んでいる。
暗示に耐性がある者はかからない。

アテナに指先が向く。

「やっちまえ、使い捨てのバイト共」
周囲を取り囲む、知らずのうちに麻薬運びをさせられていたバイトたち。
まず長剣を持った能力者の男が、アテナに対して切りかかる。

741ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/25(水) 22:06:17 ID:oB5LASG.0
異能都市に蔓延る裏のネットワーク。
その素性を探るものは幾らでも存在する。
それは、都市に深く、網の目のように細かく存在しているが、
真実を知る者は少ない。むしろ、都市の闇に無知な人間も存在する。

「……」
街灯の頂点に立つ。漆黒のゴスロリドレスに身を包んだ少女。
膝まである紫の髪を風に靡かせながら、真紅の瞳は周囲を見下ろしていた。
その瞳に意思と言うものは感じられないが、深く、深く観察するような眼差し。

742萌葱 アテナ:2012/01/25(水) 22:10:17 ID:7gFzKdaU0
>>740
「――――やっぱりね」

はぁ、と予想していたようにため息を付いて。
もう十二分に温まった体は完全に臨戦態勢に整えられて、心も既に躊躇いを捨てている。
白刃が迫り、少女の白の衣を切り裂こうとしていくが、直後。

「……ッセイィ!」

ぱん、と何かが弾けるような音がして、バイトの背後。
斬りかかるバイトを意に介さない様に前進し、駆け出した。
右肩の装飾布が大きく切り裂かれていたが、バイトのもつ長剣が特別なものでなかった限り、大きく刃こぼれをしていたことだろう。
衣服に魔力を通すと先ほどと変わらない姿になるように再生していく。
全身の装飾は、どうやらムダなものでは無い様で、このフワフワとした衣装にも意味が存在するようだ。

そして、通りすぎて一歩――――――大地がビリビリと振動し、コンクリートが凹んでいく。
深く、深く踏み込まれた地面を破砕して、少女は莫大な加速を見せる。

「先ずは殴って成敗、後で十二分に公開しろ…………!」

白の線を夜暗に引き、躊躇いなく一直線に少女はあなたに接近していく。
もはや人間の枠を超えている異様な身体能力は、獣よりも尚暴力的であった。

743ジーク・ブルースフィア:2012/01/25(水) 22:23:15 ID:RiN.SNZE0
>>741
複数の気配を感じ、焦りがさらに募るジーク。

「貴様……」
右手に魔力のうねりが生まれ、水属性の剣が形成されていく。
男の身長ほどある刀剣が、禍々しい光と共に蠢いている。

「見て居るなッ!!」
彼女の立つ街灯に対し、剣を横薙ぎに一閃する。
刀剣の切っ先から放たれる幅の広い水の刃が、進路を阻むコンテナなどをバターのようにスライスして飛来する。

>>742
「そう簡単に近付けるか!」
指先は尚もアテナの方を向いている。
もしこの場にいるバイト達が、能力者だったならば……

バイトの一人が、真横から接近して来る。
彼は『触れた相手の速度を、強制的に0にする能力』を有している。
無論、アテナの速度を0にするため、触れようと右手をのばす。

そして、

ジークの持つ水の刃も、彼女の接近に合わせて、振るわれようとしている。

744萌葱 アテナ:2012/01/25(水) 22:36:57 ID:7gFzKdaU0
>>743
爆発的速度で接近していたアテナが、能力者が振れるかどうかの刹那に、あえて停止する。
そして、フリルに相手が触れようとした瞬間に、衣服に魔力を篭めて――――〝舞った〟。

「――――白百合」

飾り布が弾けて、無数の花びらを構成していく。
そして、彼女の全身から魔力の渦が吹き上がり、周囲を白の花びらで包み込んだ。
花びら一つ一つが衝撃を吸収し、破砕され、あらゆる攻撃の威力を軽減し尽くす効果を持つ。

本体に攻撃が届く前に、全ての攻撃のエネルギーを使い果たさせる構想の防御。
それにより、能力者の右手は恐らく止められ、水の刃の威力はかなり軽減されるだろう。
そのまま、ふわりと浮き上がるように地面から踏み切った少女は、速いのに速さを感じさせない水面を揺蕩う動きで跳ぶ。
空中で転身すると、空中からあなたに狙いを着けて、〝空気を踏んだ〟。

破裂音と同時に、刹那の攻防からの再度の接近。
動作は――――飛び蹴り。空中から重力加速も含めた蹴りが貴方の斜め前方から飛び掛る。
白のフリルが踊り、その姿は闘う花、と言ったところだったろうか。

745ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/25(水) 22:44:31 ID:oB5LASG.0
>>743
肉薄する水の刃。
それが少女に触れ、血を散らすと思った直前。
少女が暗黒と化し、その場から立ち消えてしまう。

「……別に」
現れたのは切り裂かれたコンテナの淵。
膝曲げて屈み、中に入っている白い粉をまじまじと眺めている。

その時、男が蹴落としたバイト達が海から上がってきた。
間違いなく殺したはず。しかし、現実問題としてその速度は遅くも男へと迫っていく。
瞳に光は無く、意思も示さない。死体が糸を張られ動かされている様な……。

746ジーク・ブルースフィア:2012/01/25(水) 22:56:03 ID:RiN.SNZE0
>>744
『速度を0にする能力を持つバイト』は花びらによる護りに遮られ、
鉄さえ容易く真っ二つにする水の刃も、衝撃が吸収され彼女には届かなかった。

「ちい……」
威力もそれなりの飛び蹴りがジークに襲いかかる。
咄嗟に右腕をガードに使い受け止める。衝撃は抑えきれず、靴が火花を散らしながら後ろへと追いやられる。

その間に襲撃するバイトの一人。
彼女の能力は『影を攻撃対象とし、攻撃した部位が影の主に対応してダメージが行く』というものだ。
背後から素早く接近すると、空中に居るはずの彼女の影をナイフで刺そうとする。

>>745
「奴も操作型の能力を持っている……?」
まずいな、と舌打ちする。
『死兆星アルコル』の指をさせる対象は一人だけ。
緊急度を考えると、眼前の相手を抑えるので精一杯である。

「『青の世界<ブルースフィア>』……解禁しちまうか?」
まずは接近する死体たちに対して、リーチの長い水の刃で一閃する。

747萌葱 アテナ:2012/01/25(水) 23:04:00 ID:7gFzKdaU0
>>746
破砕できる衣装には限度が有るため、物量で押し切れば決して防御を抜く事は不可能ではないだろう。
だがしかし、その防御は並の防御に比べて遥かに固い事は間違い無いと言える。
そして、その上で物理的魔力的能力には強いが、その代わりに絡め手には強くないのが、彼女の弱点だ。

「――――セェアィャァッ!」

蹴りを右腕に叩き込んだまま、空中で重心を練っていく。
ぐぐぐ、と右腕に更に強い力がかかっていくのが感じられるはずだ。
ナイフは影を引き裂き、少女の服の内側で、右肩から左腰に掛けて一閃の傷を生み出した、が。

「無寸脚!」

密着状態で空中で体を捻り、爆発するような衝撃を密着した足を通して貴方に叩きこむことだろう。
痛みに顔を歪めるも、そちらは気で痛みを散らし、傷を強化した筋力で締め上げることで止血。
衝撃を叩きこむ反動で後ろに飛んだ少女は、空中で後ろに宙返りして、その動きでつま先を背後のバイトの脳天に叩きこもうとする。
魔力により飛行している様子は見られないが、異様に滞空時間が長いという違和感が、そこには存在していたことだろう。

748ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/25(水) 23:11:10 ID:oB5LASG.0
>>746
海から地表へと帰ってきた死体共は真っ直ぐに男を目指していく。
恐らく、あの死体共はこの少女の能力によるものだろう。
その少女は粉を見つめるばかりで動こうとはしない。
暗黒の力と死体を操作する力……更に、少女からは得体の知れない暗黒性を感じる。

死体たちは簡単に水の刃に裂かれてしまう。
分断された肉体はこれ以上動くことは無かった。

749ジーク・ブルースフィア:2012/01/25(水) 23:21:38 ID:RiN.SNZE0
>>747-748
「なんつぅ勢いだ……!!」
アテナの繰り出した足技は、男の脇腹にクリーンヒット。
地面から体が浮き、そのまま吹き飛ばされ――背後にあったコンテナへと背中から突っ込む。
衝撃が体の中をのたうち回り、吐血。コンテナはひしゃげ、中から白い粉が舞い散った。

そのままの動きでバイトに爪先を叩きこもうとするが、このバイト、恐るべき反応速度でアテナの足首を掴む。
そして地面に叩きつけようとするが……

がくん、と地面に倒れ伏せる。暗示をかけられていた他のバイト達も同様に。
どうやら、ジークが指をさすことができなくなったため、『死兆星アルコル』の支配がなくなったのだ。

「くそ、気分が悪いし気味も悪ぃ……」
気味が悪い、というのはゼオラのことを指しているのだろう。
このまま逃げられても面倒だ、と判断し。

「仕方がねぇ……『青の世界<ブルースフィア>』、解放だ!」
ジークがそれを宣言した瞬間、異様な空間が彼を中心に球状に広がって行く。

『青の世界<ブルースフィア>Lv--』
自分を中心として、球状に広がる異空間を作り出す。その範囲は最大で200メートル。
空気を水と同じ性質に変える。呼吸は可能。
一度中に入ってしまったら、術者を倒すまで抜けだせない。

「この空間を作ってしまった以上、俺は無敵だ」
周囲が海の中のようになり、陸上とは違う戦いが幕を開けようとしていた。
先ほどまで使用していた水の刃は、この空間と同化し、見えなくなっている。

「見切れるか!!」
二人に対して放たれる、視認することが困難な、幅の広いの水の刃。

750萌葱 アテナ:2012/01/25(水) 23:35:40 ID:7gFzKdaU0
>>749

「ッ! …………セーッフ」

足を掴まれてもそのまま、余った足で打撃を叩き込めるため、回避は可能だったが、それでも隙を見せずに済んだのは僥倖だった。
ばさり、と地面に着地して、スカートの裾が地面に咲く様に広がり、欠損した布地が魔力で再生していく。
そして、貴方から感じられる魔力と、倒れるバイト達を見て。成る程と理解を覚える。
此処までは、序の口であったと。ここからが本当の正念場であるとなんとなくであるが、理解できた。
もとより逃げるつもりなどなかったが、ここで気持ちは決まった。この足は前に進むために振るうと。

水の中の世界。少女は蒼の中で体をひねる。身を任せるように浮かび、フリルが広がっていく。
多重、まるでミルフィーユのように数ピコメートルの薄さの金属板を重ねて金属にした衣装は、大量の空気を含む。
そのため、水の中において動作の阻害は余り起こらず、地上と大差ない動きを可能とする。
かなり実戦的に作られているその武装は、大抵の状況に対応できるように製作されているのだ。

水の中で放たれる水の刃。少女はそれを感じて、目をつぶった。
息を浅くして、心臓の動きを極力制限し、ぴんと張り詰めた気配を周囲に満たす。
斬撃が襲い来るその瞬間に――――水を魔力で固定化させて踏み、斜め前に跳ぶ。
その動きでスカートが切り裂かれ右腿に傷が付くが、かなりのレベルで回避できた。

「――――水の中で水をかき回せば、確実に水の流れに乱れが起きるんだ。
皮膚で風を感じるよりも、水の流れを感じるほうがよっぽど簡単。それも、ある程度の武術家に大してなら、尚更ね」

空気の中で風を扱えば、風が空気を乱し接近が予測できる。
同じように、水の中で水をかき回すような攻撃を放てば、空気よりも粘性の高い水は、視覚にさえ頼らなければ回避する事はある程度の練度が有れば不可能ではないだろう。
まあ、それを実戦でやってのけ、完全回避するのは流石に初見の彼女では難しかったようだが。

「此方も、似たようなこと、出来るよ?」

そういって、水の中で腰を捻り、離れた距離から貴方に左手を突き出すだろう。
同時に、水の中に螺旋の流れが生まれて、貴方の周囲の水をかき回して、大きく体勢を崩そうとすることだろう。
魔力と気の合一による莫大な身体能力強化と、鍛えられた武技により水をかいたのである。

751ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/25(水) 23:47:51 ID:oB5LASG.0
>>749
世界が青に包まれていく。
水が、男がが支配する世界に引き込まれていく。
「……!?」
少女は僅かに表情を強張らせた。
急激なバランスの変化から身動きが取れないでいる。
足場を蹴って飛び退こうにしても力を込めることが出来ない。
水中に浮いてしまえば、さらに行動が制限されるうえに、落下速度も遅くなる。
彼女の持ち味であるスピードが殺される形になってしまった。

そこに襲い掛かる不可視の刃。
回避は不可能と考えた少女はできるだけ防御力を高めようと目の前に氷を作り出す。
淡い碧色の分厚い氷の盾を目の前に置くが、無論コンクリートよりも脆い。
それで大した防御ができるわけもなく、依然としてせまる刃。それも、先ほどよりも威力は上と思われるもの。
腕を目の前に出し、防御の構えを取る。そこに、容赦なく突き立てられる水の刃。
少女の腕に填められた銀の腕輪が一瞬のみ、水の刃を耐える。
その際に生まれた強すぎる衝撃が彼女を押し、突き放される。
結果としてギリギリの回避。肩を刃が掠め、鮮血を流した。

752ジーク・ブルースフィア:2012/01/25(水) 23:54:00 ID:RiN.SNZE0
>>750
「優れた戦闘センスだ……」
素直に感嘆する。
すぐにこの空間の特徴を理解し回避、ましてそれを利用して攻撃して来るとは。

「素晴らしい、だが」
水の螺旋を、左手を大きく振るうだけで薙ぎ払い、消し去った。

「この空間が誰のものだと思っている? 制海権は俺のものだ!」
再び振るわれる水の刃。それは衝撃波となり、空間内を切り裂いて移動する。
先ほどのそれと同じに見えて、変わっている要素があった。
剣の衝撃波がこの閉鎖空間の壁に辿りついたとき、衝撃波は反射して再び空間内をさ迷うのだ。
しかも術者に対してその攻撃は無効と化す。
その衝撃波の数が増えれば増えるほど、この空間は自分だけが刻まれないミキサーと化す。

「踊れ、踊れ!!」
何度も振るわれる水の刃、空間内を彷徨う衝撃波を幾重も生み出そうとしている。

>>751
「こっちはこっちで大変そうだな……俺の牢獄へようこそ」
空間に翻弄されるだけ敵ではないと判断されたのか、彼は油断している。
空間内を彷徨う不可視の刃、それを切り抜けて攻撃ができれば……
ゼオラに対して油断している今がチャンスでもある。

753萌葱 アテナ:2012/01/26(木) 00:06:15 ID:7gFzKdaU0
>>752
「――――成る程、長引けば長引くほど、か。再生にかかる魔力量は多くはないけど……厄介だね」

空間内を駆けまわる衝撃波の流れを肌で感じて、少女はため息を吐く。
これだけの能力が有れば、もっとまともな人生も歩めただろうに、というそんな雰囲気。
ぐりん、と空間内を見回して、大凡の大きさとその曲面を覚える。これによって、相手から打ち出された衝撃波の反射角を予想するのだ。
そして、貴方が攻撃を産み出し続ける最中、人間ならば無限に攻撃を放ち続ける事は不可能であろう。
もし攻撃の間に一瞬でも隙が有れば、それを見つけて――――――。

「んじゃ、ちょいと応用。行きますか」

眼前に双掌。
練りに練られた技は、容易に目の前の水を撓ませて、歪ませて。
一瞬だけ水の中に一直線、貴方に向かう流れが生まれる。その流れは強く、衝撃波の軌道を歪ませる者。
その流れの中に放つと同時に潜り込んだ少女は、水を強く蹴り、魚雷の如き速度で接近してくることだろう。

754ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/26(木) 00:14:55 ID:oB5LASG.0
>>752
イライラする。
今は業と躍らせているというのに。
油断をして軽い傷を負う羽目になったが、ここまで付け上がるか……。

僅かに目を細める間にそれを思案する。

今も動く時ではない。
少々目障りだが……きっとアテナでもあの程度なら行けるだろう。

そう見越し、回避に専念することにする。
氷の壁を生み出し、それを蹴る。水中では踏ん張ることはできないが、
予め曲げた脚に接するように氷を生み出すことで、力強く蹴ることが出来る。
移動中に身体を翻す。これも水中ならではの動き。
移動が完了する前にまた膝を曲げ、氷を生み出しそれを蹴る。
足場を生成することで、自由な動きを手にし、完璧な回避を可能にしている。

755ジーク・ブルースフィア:2012/01/26(木) 00:17:23 ID:RiN.SNZE0
>>753
「ふぅはははは、この空間に死角などないッ!!」
彼はというと、自分の布陣の用意に夢中で、アテナの動向について気を配っていない。
『暗黒の渦』のギルド構成員は、皆強大な力を持つが、それゆえに慢心も多い。
例にもれず、このジーク・ブルースフィアも『油断』こそ最大の弱点なのだ。

>>754
「護ってばかりでいいのか? 防御なんか捨てて掛かってこいよ!」
ついに挑発する始末。
水中の結界は徐々に完成を始める。回避できる位置がなくなってしまったら……
ジ・エンドだ。

756萌葱 アテナ:2012/01/26(木) 00:31:23 ID:7gFzKdaU0
>>755
ぴぴぴ、水の中に紅が混ざっていくも、技でそれらを捌きつつ、貴方に拳が届きそうなあと一歩の距離。
しかしながら、水を支配する貴方にとっては、問題のない距離だろう。
そう――――――水さえ有れば。

「――――これを、待っていた。ここは空気のない空間。だけどね――――、空気は此処にあるんだ。
飛翔、開始――――――中止」

先ほど、説明したが。彼女の衣装の中には莫大な空気が含まれて膨らんでいる。
それらの空気を放出したり、逆に取り込んだりする事によって、空気中の浮力を操作し、空中の機動性をあげていたのだが。
先ほど水に取り込まれた時点で、彼女の服はふわふわの状態であっただろう。
そう――――一瞬少女一人を浮かせられる程度の空気が含まれているのならば。
それを飛翔に使用するのをキャンセルし、周囲に解き放てば。


一瞬である。水が開いた隙間に潜りこむのはほんとうに一瞬だろう。
真正面に、貴方の能力の通用しない死角が製造されるという結果を生み出すだろう。
もし、彼女の周囲に空気の巨大な泡が生まれれば、いや、成功しなかったとしても。


「――――天打」


水を引き裂きながら、只の正拳突きが貴方の土手っ腹に向けて叩き込まれる結果と鳴るだろう。
正拳突きという、余りにもシンプル過ぎる攻撃。だが、それゆえに、極めれば最強になる。
膨大な魔力の大半を身体能力強化に注ぎ込むという徹底が産み出したのは、防御すらを砕き一撃を叩きこむというだけの一撃。

ただ速く、ただ重く、ただ激しく、ただ強い。

そんな一撃が――――己の天命たる一撃が。

――――迫る。

757ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/26(木) 00:35:26 ID:oB5LASG.0
>>755
『暗黒の渦』と言うギルドは一通りの悪に手を染めていると言う。
それだけに大きな組織で情報を得るにはそれなりの苦労があった。
具体的に示せば、多大な金や、ある程度の依頼。とある企業の重役だった。

今ここに現れたのは手前で男と戯れるアテナの様な正義感からではないが……起こる結果は似たようなものだろう。
目的は『暗黒の渦』の偵察と、証拠を残さない殺傷。詰まる所、同業者潰しと言った所だ。

気が長いほうではない少女は度々の挑発に見兼ねていた。
結果的にそれに乗ってしまい、ついには攻撃を開始する。
「……」
迫る水の刃を氷を蹴って回避する。最早慣れた動きだ。
男の背後から迫る闇がある。それは男自身の影から伸びた巨大な手。
即座に掴み掛り、捕まえたなら地面に叩きつけるだろう。

758ジーク・ブルースフィア:2012/01/26(木) 00:48:35 ID:RiN.SNZE0
>>756
彼は最後まで、自分の優勢に酔いしれていた。
水圧のミキサーで全身の肉体を引き裂き、空間内の二人をバラバラにする予定だった。
いきなり、土手っ腹に拳が突き刺さったことも、夢に違いなかった。
視界が真っ白に反転していくが、それは勝利の余韻なのかもしれなかった。

「ぐ…は……ッ」
アテナの拳は、水と水の隙間を潜行し、全くの無防備であるジークの腹に叩きこまれる結果を生んだ。
肺からは大量の酸素が吐き出され、それと同時に真っ赤な液体も吹きだした。

>>757
>加撃<オーバーキル>
男の背後から迫る、巨大な影の手。
もちろん、抵抗のできないジークは掴み取られ、そして地面に叩きつけられる。
意識は完全に途絶え、ジークの作りだした『青の世界』は解除。
衝撃により吹き飛ばされるジークは、石で出来た地面に何度も体を打ちつけ、完全に気絶したのか、動かなくなってしまった。

759萌葱 アテナ:2012/01/26(木) 00:53:44 ID:7gFzKdaU0
>>757>>758
「――――ッ…………はぁ……!ゼオラちゃん、ナイスプレイ」

だん、と地面に着地して、ぺたんとボリュームを落とした衣装が重たく感じた。
頬からはだらりと血が流れて、純白を基調とした衣装を紅にすぐさま染めていく。
びっ、とゼオラの方に親指を立てて、貴方の追撃に賞賛の声を見せた。
だが、それを腕で拭い、立ち上がると、ジークの元まで歩いて行こうとするだろう。

「……って、ヤバイ。携帯が無いし…………、警察までこのまま引っ張ってくかな……?」

ジークを見下ろして、処遇をどうしようか、迷っているようだった。

760ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/26(木) 01:05:53 ID:oB5LASG.0
>>758
「……」
水の世界が消滅する。
高空に位置していた少女は鮮やかな着地を決めると男の元へと歩く。

『暗黒の渦』の構成員だと言うが、思うほど強力な相手では無かった。
……慢心や油断は敵でしかないと言う事か、危険視する程ではないという事か。

>>759
少女の声に振り返り、小さく頷いた。
芯まで濡れた衣服や髪が、重さを感じさせる。
張り付いた髪を後ろに流し、スカートの裾を摘まみ上げる。
「……最悪」

ゼオラも僅かに首を傾け、悩む様子を見せる。
しかし、その内容は少女とは少々異なる。
――如何に処理すれば自分に旨味が生じるか。
少女に視線を向ける。まだ悩んでいる。といった風の。
――それも、アテナに怪しまれない範囲の。

761???:2012/01/26(木) 01:14:19 ID:RiN.SNZE0
>>759-760
二人の目の前に現れる、怪しい謎の炎の揺らめき。
映し出される人影と、蠢く『ナニカ』のシルエット。

「『虫の知らせ』を受けて飛んで来たけど、ジークちゃん、負けちゃったのね……」
その正体は、妖艶な女性であり――彼女を取り囲む数百匹の炎の蛇であった。

「ここで口封じの為に殺しにかかってもいいけど……
 欠員を出すのは困るから、今日のところは回収させて貰うわよ?」
数十匹の炎の蛇がジークを取り囲み、そして移動させていく。

「後は……事後処理ね。みんな、やっちゃいなさい」
蛇たちは群れをなして、白い粉を燃やし始める。恐ろしい香りがあたりを漂い始める。
さらに『死兆星アルコル』の効果で倒れているバイトたちに、蛇たちが押し寄せる。
彼らはバイトたちの肉を食い破り、その中へと侵入していく。
この炎の蛇たちは、寄生魔力虫と呼ばれ、ヒトに寄生し、体内の魔力を喰らい、繁殖し、個体を増やす。
バイトに侵入した一匹が、体内を食い荒らし、三匹になって出てきた。他のバイトたちも同様に寄生され、その命を散らしていく。

「んふふ、じゃあ、次の機会に会いましょう。
 どうせいずれ、あんたたちに抹殺指令が下るんだしね」

彼女は炎の揺らめきのように体が歪み、そしてろうそくの灯が消えるようにその場から消失した。

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act2 終わり
→TO BE CONTINUE?

// やや急ぎ足だったけどこんな時間に……みなさんお疲れさまでした!

762萌葱 アテナ:2012/01/26(木) 01:18:21 ID:7gFzKdaU0
>>760
「せいっ」

ぱんっ、と気を込めながら構えを取ってその勢いで水を吹き飛ばした。
それでも湿り気は残っているが。装備を解除して、変身前の格好に戻った。
脛と頬、胴体に裂傷が有るが、ある程度止血は済んでいる。問題は、男の処遇であった。

ポニーテールを解いて、ばさばさと髪を振って、ゴムを仕舞う。
腰ほどに伸ばされた赤毛が風に乗って流れていた。

>>761

「……なに、黒幕?」

現れた女に、目を眇めて。
しかし、現れた焔の蛇の動きに少女はとっさに反応して、動き出すが、既に負傷している身では誰一人も助けられなかった。
ドクン。右目が疼き、紅い血の涙が零れて、脳裏に激痛が走り抜ける。異能の種が、一瞬だけその鼓動を見せた。

目の前の惨劇。それを見て。
去っていく女の影に、血を葺き散らしながら跳びかかり、拳を叩きこもうとするが――――

「――――――ッ、ふ……ざけんなぁぁぁぁぁあッ!」

当然のように、拳は当たらず。
血まみれのアテナは、そのまま地面に倒れこみ気絶するのだった。

763ゼオラ=アドヴァルド:2012/01/26(木) 01:33:56 ID:oB5LASG.0
>>761
現れた女と、繰り広げられる惨劇。
バイトの人間の身を喰い、その数を増やしていく蛇。

瞬きをする間に、散る命。
所詮、そんなものだと溜息をつきながら、女の消えた位置を眺めていた……。

>>762
「……」
礼でも言おうと思ったが、そんな雰囲気では無くなった。
暗黒と化してその煙霧は風に流れて消える……。

764名も無き異能都市住民:2012/01/30(月) 20:32:38 ID:gyCMfkJw0
(1/1)

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act3
〜 ASSAULT OF PARASITE 〜

『暗黒の渦<スパイラルシェード>』の構成員の一人、ムジナ・クロムウェルは都市の一角で、とある少女と対峙していた。
この銀髪妖艶な女性は、先日海上運送業のバイトたちに『炎の蛇』を寄生させ、惨殺した張本人である。

「やはり吸血鬼……、あの程度の幻虫では死なない……」
ムジナは指をパチンッと鳴らす。その音を合図に、少女の体内で何かが蠢き始める。焼けつくような痛みが彼女を蝕み始める。
少し経って、少女の悲鳴と共にそれは腹部を食い破って出てきた。その正体は『炎の蛇』。あの事件以来、ずっと彼女を苦しめてきたものだ。
しかし少女に寄生していた『炎の蛇』は全て除去されていたはずだった。それなのに、なぜ。

「不思議でしょう……、なぜまだ『炎の蛇』が体内にいるのか……」
彼女の生みだした『炎の蛇』――つまり『幻虫ギニアワーム』は幼生のときシストという膜につつまれている。
このシストは全ての攻撃に対して抵抗力を持っており、その為に完全な駆除ができていなかったのだ。

「今日は確実にあなたを殺しに来たの、上からの命令でね。
 だから、待ち一辺倒だった私が出てきたのよ」
彼女は新たに鉄パイプのようなものを生み出し、それを手に取ると。

「私は幻虫使いのムジナ・クロムウェル。その名を冥府への手土産に持って行きなさい」
うろたえている少女にゆっくりと近づいて、その命を奪おうとしている。

能力説明――

『幻虫召喚Lv3』
実在する寄生虫をベースに、その寄生虫の特徴を備えた幻虫を創造し、使役する。
幻虫の多くは宿主の『何か』を食し、その個体数を増やすことができる。
能力者本人の意思によって、幻虫を消滅させることができる。能力者本体を倒した場合も能力が解除され、生みだした幻虫は全て消滅する。

『幻虫ギニアワームLv2』
別名『炎の蛇』。宿主を見つけると皮膚を食い破って相手の体内に潜り込む。
常にその体は紅蓮に包まれており、寄生された者には焼けつくような痛みが走る。
体内に含有された『魔力を食い荒らし』、子どもを産みつける。成人した人間一人に対して三匹まで生殖を行い、宿主を殺す。
もし寄生して殺せなかった個体の場合、生殖して生みだされたうちの幼生の一匹はシストという膜に包まれ、休眠に入り、断続的に宿主から生命を奪う。
このシストの膜に包まれているときは、いかなる攻撃も無効とする。

765防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 20:47:26 ID:WVrfsEdY0
>>764
「そこにいる人!待ちなさい!」
【突然、後ろから声が聴こえる】

「苦しむ人を苦しめる…あなたは間違いなく悪人ですね!
 これ以上は許しませんよ!」
【千夜学園の制服をきたニット帽とマフラーの少女がビシッと言う音が聞こえそうな感じで指さしている…】

766銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 20:49:09 ID:HnkBBDEo0
>>764
「ちょ、ま、ストップ、あ、やべ! あ!」

 遠くから、何やら騒がしい叫び声が近づいてくる。
 見てみれば、大きなバイクが前輪を狂ったように波打たせ、暴走しているのだ。

「やべ、車軸がイカレてやが、あ、その! あ! あー……」

――ドンッ!!

 衝撃音。
 バイクが電柱にぶつかり、破片が辺りに舞い散る。
 外装やらギアやらと共に宙を舞うのは一人の男。
 飛び散る金属片の中で紅いコートが翻る。
 空中に放り出された男はそのまま少女と女性の前へと、飛んでいき、

「あ、その、あー!!」

 ちょうど、少女と女性の間へと転がり込むことになった。

767ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 21:00:43 ID:gyCMfkJw0
>>765-766
この妖艶な美女、完全に二人を無視している。
同一線上に入ったクロスすらも、その眼に入っていないかのようだった。
なぜなら、目の前の少女を殺すことで夢中だったからだ。
彼女の持つ鉄パイプのように見えたそれは、先端が槍のように尖っていて。

「うふふ……」
それを少女に突き刺した瞬間、またも目を疑うかのような現象が起きる。
そう、いきなり棒がぐにゃぐにゃに曲がり始め、少女の体内へと侵入しているのだ。

ハリガネムシという寄生虫がいる。今彼女の体内に侵入しているのは、このハリガネムシをベースとした幻虫だ。
これは、乾燥すると針金のように堅くなることから付いた名前の生物で、水に触れると元に戻り、再活動を開始する。
それと同様に、少女の血によって乾燥した幻虫が目覚めたのだ。
少女はあまりの苦痛から泣き叫ぶ。しかし吸血鬼だからなかなか死なない。まさに地獄絵図だった。

能力説明――

『幻虫ハリガネムシLv1』
鉄パイプのように長く、非常に堅い。先端は槍のように尖っている。ムジナはこれを武器として扱う。
敵に傷をつけた場合、その瞬間に傷口から侵入し、体内の『肉体を食い荒らし』、生殖を行う。
生殖の後、宿主の胃に侵入し、口腔から排出される。このとき押し寄せたハリガネムシの大群が気管を圧迫することがあり窒息する可能性も存在する。

768レア・アシェット:2012/01/30(月) 21:07:04 ID:4IkeO9mw0
>>764
リュックサックを開き、中から手斧を取り出す。
少女が此処にいる理由は勘であった。『悪意の臭いがする』という理解しがたい勘によって。
その勘は、外れてはいなかった。


「……」
手斧を、幻虫使いを名乗った少女へと投げつける。
「……よく分からないけど、止める。」
警告も何もかも無駄なのだろうと判断し、攻撃を開始する。

769防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 21:08:57 ID:WVrfsEdY0
>>767
「な、何かの能力でしょうか…
 しかし無視して攻撃するとは…許しがたいです」
【鶫の声は明らかに怒気をはらんでいる】

「ソレならこちらも勝手にやらせて頂きますよ!」
【そう言って拳銃…らしきものを懐から取り出して構える】
【そして拳銃が光り輝いたかと思うと】
ドキュウン!!
【光をまとった弾丸がその女性に向けて勢いよく飛んでいく。】

770銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 21:09:56 ID:HnkBBDEo0
>>767
「…………はい?」

 目の前で起きている事象が、一瞬理解できなかったようだ。
 飛び散る血飛沫をしばし眺めた後、我に帰ったかのように口を開く。

「ちょ、ちょぉおおおお何やってんのぉぉおおお!?
 っていうかグロ! コレ何? グロッ!!
 ねぇ何やってんのねぇ!? 新手のプレイか何かか!?
 って、ひぃいいいいなんか体内で蠢いてる音がするぅぅううう!!!」

 そう叫びながらも少女の前に飛び出し手を広げる。

「ちょっとストップ!! 何が起こってんのかわかんねーけど、これ以上やると死ぬぞ!
 いや、死ねないのか? 逆にツラいわ! 今すぐその……何? この何?
 よくわかんねーけど、コイツの身体にブチ込んだキモい蟲みたいなの、早く取り出せよ!!」

771ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 21:19:01 ID:gyCMfkJw0
>>768
「この子はもう逃げられないし、さぁーてと……」
ハリガネムシをさらに召喚し、投げつけられた手斧を弾く。

「群がる害虫駆除でも始めましょうか……」
足元から炎が巻き起こる。それは、『炎の蛇』の大群だった。

「寄生と言うより、捕食といったほうが正しいのかしら?」
『炎の蛇』に命令を出す、眼前の敵を喰らいつくせ、と。

>>769
鶫の放った弾丸は、彼女の目の前で静止し、やがて消えた。

「『絶対障壁<ネグレリアリジェクト>』」
ムジナの前に薄い膜の様なものが現れている。これも能力の一つなのだろうか……

「無駄よ、無駄……、その程度じゃ私は倒せない」

>>770
「オーケー、貴方もそういうプレイがお好み?」
手に持ったハリガネムシを振り回し、クロスに傷を与えようとしている。
傷つけられたら危険だ、体内に侵入され、肉という肉を喰らいつくされ、生殖、口から出てくる悲惨な絵となってしまう。

772銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 21:26:23 ID:HnkBBDEo0
>>771
「え、ちょ、ま――」

 まさか自分も攻撃されるとは思ってなかったようで、

「――って」

 ハリガネムシがクロスの身体を捉えた、
 が、

――ガキンッ

 硬質な音と共に蟲剣の切っ先は跳ね返される。

「いってぇえええええ!!」

 確かにハリガネムシはクロスの身体、胴体を捉えた。
 服も破れているのを見る限り、それは確実だろう。
 しかしそれでもクロスの身体を貫くことは出来ていない。
 そう、クロスの身体はとっくに、金属に『侵食』されているのだ。

「てんめぇ……」

 ゆらり、と、クロスの周囲に紅の邪気が満ちる。
 瞬く間に5本の刀剣が周囲の空間上に構築され、切っ先をムジナへと向ける。

「何すんだオラァアアア!!」

 クロスの怒りに呼応するかのように、5本の刀剣はムジナを狙って射出された。

773防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 21:27:33 ID:WVrfsEdY0
>>771
「弾を消されるなんて…
 一体どう攻撃すればいいんでしょう…」
【驚いた表情で止められた弾丸を見る】

「…しかし絶対防御などあり得るはずがありません…
 何処かに穴が…あるはず!!」
【そう言って鶫はおもちゃの拳銃を再び構えて何度も撃ち始める】

「何処かに穴が…」
【今度は走りながらいろんなところから発射する】

774名も無き異能都市住民:2012/01/30(月) 21:28:37 ID:4IkeO9mw0
>>769

――状況整理
・鉄パイプのような、槍のような武器(?)を確認。
・幻『虫』使いを名乗る敵。視認でも虫らしい物を確認。
・また、少女の体内に虫が侵入したように見える。寄生虫? →『寄生』という言葉を確認。
・こちらの攻撃を『弾いた』。ある程度の戦闘慣れ? 反射神経? →単純な遠距離攻撃では効果が薄い。


「――敵の攻撃。『寄生と言うより、補食』……寄生タイプなら、非常に危険」
数は多い。蛇の早さはどの程度だろうか。

「何にしろ、接近しての一撃が必要……必要になる。」

その場で1mをのブレードを持ち、蛇の速さや特徴を観察する。

775ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 21:42:58 ID:gyCMfkJw0
>>772
「こ、この子……!」
金属で構成された体、これでは肉を喰らうハリガネムシは侵入できない。

五本の刀剣が迫り来る――
しかし、彼女の前に張られた謎の薄い膜がその進行を阻む。

「なら――魔力を餌とする『炎の蛇』でどう?」
足元から這い出てくる『炎の蛇』の大群。多くの人間に寄生させ、生殖を繰り返した結果、数万匹のストックを持っている。
『炎の蛇』は金属の体を食い破り入るのではない。なぜなら魔力で出来ているから物質の干渉は受けないのだ。

>>773
この薄い膜は彼女を取り囲むように存在しているようだ。
現に、どの角度から撃っても弾丸は障壁に飲み込まれてしまう。

「貴方に『ネグレリア』は見えないようね。それなら、直接喰らってみる?」
彼女を取り囲んでいた存在が動きだす。
それは鶫に向かって、確実に向かって行く。水のように透き通っているが、どこか歪な――そう、その正体とは。

能力説明――

『幻虫ネグレリア・ファーレリLv3』
人一人を余裕で包み込めるほど巨大なアメーバを生み出す。
その体で相手を包み込むと、宿主の『思考力を食い荒らし』、それを養分に変えて生殖に必要な栄養素とする。
ある程度の養分を得た後、分裂し新しい宿主を探す。
また、ムジナはこれを体に纏わせることで『絶対障壁』という防御技にしている。

>>774
「私はね……」
『炎の蛇』が接近する。
そのスピードは普通の蛇と大差ないだろうが、いかんせん数が多すぎる。
しかも、寄生されたらほとんど一撃死と言う理不尽仕様。絶対に寄生されてはならない。

「この『炎の蛇』に寄生された人間が悶え死んで、その死体から蛇たちが這い出てくるのが好きなの。
 だから貴方も……そうなってくれるかしら?」

776レア・アシェット:2012/01/30(月) 21:52:54 ID:4IkeO9mw0
>>769
蛇の速度→『相手は投げる、発射する。等しなかった。それならあくまで生物の移動速度と大差ないと予測したが……』
それに味方の存在……二人? ――状況整理。

「……違う。必ず弱点はある。」
迫り寄る蛇にじりじりと後退する
あくまで離れすぎないように、近寄りすぎないように、蛇の移動速度と同じぐらいの速さで。

片手に、腰に下げて置いたいくつかの手斧のうち一本を握る。
情報が足りない? 手斧のうち一本を蛇に投げつけた。
『こちらからの攻撃は有効か?』

・蛇の攻撃は遅い。――一度包囲を抜けたら……?

777銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 21:54:01 ID:HnkBBDEo0
>>775
「うわ何か出てきてる!? 火はやべぇって火は!!」

 金属の皮膚といえど内臓器官までは金属化していない。
 それに炎は金属でも熱伝導で内臓を焦がす恐れがあり、下手すれば金属すら融解させられる。
 よってクロスは炎熱系の能力が大の苦手なのである。

「くっそ、おいてめぇら!」

 周囲にいる人々に向かって叫ぶ。

「飛べる奴は上に向かって飛べ!!」

 そう言いつつもクロスは巨大な杭を構築し、

「よい……っしょォ!!!」

 それを敵ではなく、足元のアスファルトに向かって撃ち出した。
 大きく太い杭は地下の下水道まで一気に貫通。
 道路は崩壊を始め、瓦礫が落下を始める。
 こうやって地面を這う炎蛇を下水道へと流し込む気だ。

「さて、忘れるわけにはいかねぇか」

 クロスはと言えば電柱の上へと飛び上がり、そして鎖を構築。
 それを未だに寄生中に体内を荒らされ苦しむ少女に向かって射出する。

「見ず知らずの奴だが、このまま苦しまれるのも寝覚めが悪い。
 俺には合わないが、助けてみるとすっか」

778防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 22:03:19 ID:WVrfsEdY0
>>775
「なんてことでしょう…なにか仕掛けがあるような気がします…」
【そう言って鶫は】
「こうなればコレでよく見ましょう!」
【懐から取り出した眼鏡を装着する…】

「ネグレリア?いや、よくよく見たらなにか見えます…
 これは…膜?」
【ソレが自分に向かっていることに気づいた鶫は慌てて】
「まずっ…はなれないと!」
【その場から素早くバックステップして下がる】

>>777
「…え?飛び…あわわわ!!」
【その声を利いた途端に突然崩れ落ちはじめた周囲の道路】

「とりあえず…この場から離れますー!!」
【瓦礫が問題無くなりそうなところまで後ろまで下がり続けてみる】

779ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 22:14:07 ID:gyCMfkJw0
>>776
投げた手斧は蛇にヒットする。蛇はぐにゃりと潰されてしまった。
物質的干渉を受けないと説明したが、あれは体内に入り込む為であって、外部からの攻撃には抵抗力がないらしい。

「繁殖能力が優れた生物は、基本的に弱いのよ。もちろん、『一体一体』はね……」
背後から接近している『炎の蛇』に気付いているだろうか。
彼女は気付かないように周辺に『炎の蛇』を撒いていたのだ。包囲網をつくり、逃げ場を封じるために。

>>777
下水道に『炎の蛇』は次々に落ちて行き、鎮火していく。

「戦闘センスの塊ね、あの子……」
こんな策を思いつくとは、思ってもみなかったようだ。素直に感心する。
地面を這うだけの『炎の蛇』では、電柱の上へは行くことができない。

「決めた、次の『切り札』は――あの子に使う」

見ず知らずの少女と言うが、どこかで見たことがあるような……
そんな寄生虫によって荒らされている少女の口腔からは、ハリガネムシが這い出てくる。
腹部からは魔力をたっぷり食した『炎の蛇』が這い出てくる。
この場合、クロスにとって危険なのは後者の幻虫だ。

そして、それに気を取られているうちに、ムジナは『切り札』の射出を行う。

「――これで、終わりよ」
ムジナの目に明滅する何かの寄生虫が宿っている。
その正体は幻虫レウコクロリディウム。相手の眼から眼へと光速でジャンプし、寄生する虫だ。
主な効果は以下の通り。

『幻虫レウコクロリディウムLv3』
眼から眼へと光速でジャンプし、宿主を変える恐るべき幻虫。
寄生された者の体は『全ての飛び道具を引き寄せる的』となってしまう。
ムジナはこの虫を一体しか存在させることができない。

実在するレウコクロリディウムは、カタツムリの触角などに集まり、虫のように見せて鳥に食われるという寄生サイクルを持っている。
宿主を様々な外敵に狙わせるようにする特徴を、この幻虫は備えている。

>>778
ネグレリア・ファーレリ。実在するアメーバは殺人アメーバとも呼ばれる寄生虫だ。
彼等は人間の体内に侵入すると、脳に移動し、炎症を起こす。その致死率はなんと100%。
その生物の特徴を備えた『幻虫ネグレリア・ファーレリ』は、相手ごと飲み込んで『思考力』を食べるというシステムだ。
もしも、取りつかれてしまったら……

780銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 22:26:05 ID:HnkBBDEo0
>>779
「あれ? この子、どっかで見たような。
 確か吸血kあちちちちちちちちち!!!」

 炎の蛇が触れ、ジワリとクロスの身体へとはい上がってくる。
 急いで電柱から建物の屋根へと飛び映ると、クロスは少女から一旦離れ、

「熱いって言ってんだろぉおおおおおおおおおお!!」

 体内から邪気を一気に拡散させ、魔力で構築された炎の蛇を邪気で強引に吹き飛ばした。

「……ッ、ふぅ。やべぇな、数匹剥がすのも一苦労か。
 ありゃ、あの群れの中に飛び込んだら自殺行為だ」

 そう言いつつも屋根の上から顔を出し、ムジナを睨んだ。
 その途端、

「がっ!?」

 左目に激痛が走る。
 何かが左目へと潜り込んだ。
 右目を眼帯で包んでいるクロスの視界は一気に真っ暗になる。

「がっ、う、ぐぅうう!?」

 躊躇なく左目へと指を突き入れるクロス。
 しかしレウコクロリディウムは既に寄生を完了していた。

「が……あああああああああああ!!!」

 グラリとクロスの身体が傾き、そのまま建物の上から落下。
 少女を屋根の上に残し、クロスはまたムジナの前へと姿を見せる。
 ドシャリと落ちたクロスは未だに立つこともままならず、左目を抑えてもがき苦しんでいた。

「て、てめぇ……何をした……ッ!?」

781防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 22:28:15 ID:WVrfsEdY0
>>779
「くっ…動きの中に生物的なものが見えますね…
 生き物?クラゲか何かでしょうか?」
【鶫は少しずつ下がりながらもその姿をじっと確認する】

「…ならばやるべきことは一つです」
【鶫は制服の中のポケットをがさごそ探って…】
「見つけた!」
【ポケットの中から取り出したのは…100円ライター】
「こんな事もあろうかと持っておいたんです!一応生き物なら」
【そう言って100円ライターに金色の光を通し始める…】

「この炎は耐えられないと思いたいです!!」
【やがて金色に光り始めた100円ライターを巨大アメーバに向けて、着火する】
ゴワァァァァア
【まるで火炎放射器のごとく激しい炎がアメーバに向けて迫る】

782レア・アシェット:2012/01/30(月) 22:32:10 ID:4IkeO9mw0
>>779
――攻撃は有効。
――水に弱い様子。

「……観察に集中しすぎた。」
何時の間にか、周辺一体を囲まれている。

「このような大群を使途できるほどに異能者が『強力』だったなんて……疑問は、まだ残るけど。」

「【コグニション】、スタンバイ。」
蛇は地を這うだけ、飛びはしない。そう観察した。

身を低く構えて。足を踏み出す。
あれだけ考えて、最終的に思いついた蛇への対処法は『自分の能力とも呼べる身体強化機械の能力』で、蛇の上を飛び越えること。

蛇は一列ではなく、大群の形をとっている。ならば直線ではそれほど長くないはず――『相手がこちらの能力。人間の限界ギリギリまで引き延ばした脚力』を知らないなら。

「……ッ」
失敗は死だが……失敗を恐れてはいない。

783ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 22:38:38 ID:gyCMfkJw0
>>780
「勝った……♪」
鼻歌を歌いながら、己の勝利に酔いしれる。まだ勝負はついていないのに。
指を三本立てて、クロスに見せる。

「いい、この戦いで、現状私と戦えるのは三人。あなたと、この子と、その子。
 この子とその子は寄生虫に対して、容易には近付けない。『だから飛び道具を使う』。
 そして、あなたは三人の中でも一番の戦闘センスと能力を持っている。だからね、一番早くあなたさえ消せれば――

 勝 っ た も 同 然 な の よ !」

炎の蛇を蹴りあげる。それは飛び道具とみなされ――全てクロスの方へと飛んでいく。

>>781
殺人アメーバはその火力によって焼き尽くされる。
全ての衝撃を吸収するといっても、熱には弱かったようだ。

「フンフンフーン♪」
勝利の余韻に浸っていて見向きもしない。
これこそが、暗黒の渦における負けパターン、『慢心』である。
チャンス到来――だが、『炎の蛇』が周囲を囲んでいるので、近付くのは容易ではない。

>>782
そう、この蛇たちを乗り越えた先に――
ムジナ・クロムウェルはいる! しかも、油断している!

しかし飛び道具の観察を怠っていれば……
全ての飛び道具は、友軍に向かうことになってしまう。

784銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 22:46:19 ID:HnkBBDEo0
>>783
「!?」

 炎の蛇が蹴られただけの筈なのに、まるで自分に吸い込まれるようにこちらへと向かってくる。
 今のクロスにはそれを知覚すら出来ることなく、たちまち炎の蛇に包まれた。

「がぁ……ああああああああ あ あ あ あ あ!!!」

 絶叫。
 身を焼くような痛みがクロスを包む。
 だが、その絶叫もやがて止まり、まるで真っ赤に燃え上がる塊がムジナの前に出来上がっていた。


――肉の杯は塵となり、骨は砕けて灰となる
   Dead bodies on the ground.
――しかし御霊は残響し、魂響となりて囁き叫ぶ
   The ghost crawled out, the ghost crawled in.


 炎の中から、歌が聞こえる。



――喰らわれし者の信念は、喰らいし者の糧となり、
   His appetite is filled up.
――腹で満ちる夢によって我が幻想を現創す
   And he realize one's long-cherished wish.


――血潮は鉄《クロガネ》、肉は銅《アカガネ》、骨は銀《シロガネ》、心は黄金《コガネ》
   The body is created by inorganics, minerals and metals.
――千滅の焔、色持たぬ温度、終わり無き無限を孕む鋳造の炉
   The heart is created by flame, blaze and Gehenna.

785防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 22:46:25 ID:WVrfsEdY0
>>783
「ふう…どうやら炎が弱かったようですね…
 しかし、余裕たっぷり過ぎるのは考えものですね」
【そう言って鶫はあたりを見回し始める】

「しかし…そう、なんと言いましたっけ…
 炎の蛇?とやらですか」
【近くに無事な消火器を見付け出したようである。ソレを抱えて鶫は睨みつける】

「飛び道具がダメというのはよく聞きましたが…!」
【よく見ると消火器が激しく光り始めている】

「相手が誰かわからなかったらどうなんでしょう…ねっ!」
【消火器の栓を抜いてホースから消火剤を発射し始めた】
バシュウウウウウウ
【その勢いは全体を霧に包みこむほどの勢いとなってあたりに激しく広がり始める】

786レア・アシェット:2012/01/30(月) 22:54:45 ID:4IkeO9mw0
>>783
着地はあまりうまくいかない。後先考えずに、全力で飛んだのだから当然だ。
体を回して、着地をする。なんとか体制を崩さずにすんだようだ。

飛び越えた蛇達は、走れば二度と追いつかれない――もう追いつかれてはいけない、
こちらの脚力は敵に知られたのだ。次からはそれを考慮したうえで、包囲を作られる。

それと、相手の能力はまだ生きている。つまり、まだ終わっていない。
相手に接近する間にまた別の虫を召喚されることは当然と考えるが、そこで足を止めれば、後ろの蛇に挟まれる。と、いったところだろうか?


とにかく走る。自分のスペック限界で。

「……幻虫使い!!!」
名前を呼ぶしか、挑発するしかなかった。
相手の油断をつくチャンスは失われるが、攻撃を受けている他の状況が芳しくない。

――強力な遠距離兵器の開発が必要。それだけを記憶して、コッチヲミロ。とばかりに叫ぶ。自分に注意を向けるため。

787ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 22:59:47 ID:gyCMfkJw0
>>784

ゾクリッ

圧倒的優勢がもたらした余裕を掻き消し、背筋が凍るような感覚を抱いた。
本能的に怯えているのか体が震える。どちらにしてもこいつを今なんとかしないとやばい――

そう考えた彼女の取るべき行動はこれ一本。
手に持ったハリガネムシで『炎の蛇』を薙ぎ払い、レウコクロリディウムの寄生能力により引き寄せ、全てを焼き尽くすのみ!

>>785
霧状のものは飛び道具とみなされないのか、炎の蛇たちは次々に逝き絶えて行く。
気付いた時にはもう遅い。

「し、しまった……」
クロスを倒す為に必要な『炎の蛇』が尽きかけてしまっている。
早く呼び寄せなくては――しかし若干のタイムラグがかかる。

>>786
動揺しているがゆえ、振り向いてしまった。
時間が大事な局面なのに、大きな隙を作ってしまった。

油断が自らを破滅へ導くのに時間は掛からない。
そう、次の瞬間に彼女は――

// 次でラストとしますね!

788防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 23:20:34 ID:WVrfsEdY0
>>787
「動きが鈍ったんでしょうかね?
 よし、今のうちに接近して!」
【あたりに消火剤をばらまきながらムジナへ向けて近づいていく】

【…それからしばらくたって】
【霧の中から金色に光る物が見える。】
「必殺の一撃を撃ちこめば…
 多分勝てますよねぇ!」
【そこから聞こえるのは鶫の声】

「名付けて…」
【右手に装着された手袋が光り輝いているようである。
 その手は握りこぶしとなって】

「ゴールドフィンガーパーンチ!」
【……ださい必殺技名と共に渾身のストレートとなってムジナに迫る】

789レア・アシェット:2012/01/30(月) 23:22:38 ID:4IkeO9mw0
>>787
「戦機は勘。また天来の声……。」
ある有名で崇高な人物の考え。そう――隙をつくよりも叫ぶのが正解だった。――

走力を更に高め、距離を一気に詰める。
ヒートブレードの電源をオン。『殺しても構わない』奴。であると判断し、威力は全開、容赦は無い。

「……」
ブレードを切り込む瞬間、相手の方向へと大きく足を踏み込み、体の動きを抑える。
だが、それによって此処までの勢いが死ぬことは無い。むしろ、その勢いは此処に集中する。

どこか国のものか、または暗号か。一般の人が知らないような言語を小声で呟く。
そして、ブレードを横薙ぎに力強く振るった。

790銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 23:24:29 ID:HnkBBDEo0
>>787
――光放つ鉱石、無念の魂により、
  Cross and growing soul ...

――今、此処に
   has to be doing just...

――紅き鬼が十字を振るう!!
   Let's ROCK “CROSS BLAME”!!


 詠唱完了。
 群がっていた炎の蛇が一気に吹き飛ばされ、炎より更に赤い紅が夜空を照らす。
 炎の中から現れたクロス。
 黒い装甲に身を包み、白く染まった頭髪は長く伸び、夜空を掻き乱す。
 ヴォンと装甲の表面に次々と紅く開く魔導回路が走ってゆき、

「鐵血装甲最終形態……」

 クロスの眼帯が内側から弾け飛び、輝く右目が露出した。
 金属操作能力。これがクロスの持つ邪気眼の力だ。
 それで様々な凶器を構築し使用、射出するのがクロスの基本戦闘方法。
 そして時には強靭な装甲で身を包み、強力な質量で相手に攻めいるのである。

          クロスブレイム
「極刑鬼神……『咎喰十字』!!」

 瞬時に周囲に形成される何本もの刀剣。それらはムジナを狙うのではなくクロスへと向いており、
 なんとクロス自身に向かって次々と突き刺さっていった。

「確か、物理攻撃でも破壊できるんだったよな?」

 そうだ。内部に入り込んでしまった炎の蛇を、自らの身体を突き刺すことで破壊したのだ。

「……ってぇー。あーあ、全身串刺しじゃねぇか。痛ぇし左目は使い物にならねぇし、何より喋るのも辛ぇ。
 これもう肺が焼けてんじゃねぇか? 腹も痛ぇから内臓もやべぇな。おいおい、どうしてくれんだよ」

 しゃがれ声でそう言いつつも、関節を軋ませて歩くクロス。
 全身から数々の刀剣を生やす姿は、さながらハリネズミだ。

「戦闘のセンスを褒められたのは嬉しいんだけどね、ちょっと安心するの早いと思うぜ。
 いや、お前のその能力スゲーよマジで。特に俺のこの左目に入ってきた蟲。
 『全飛翔物自律操作型呪印』とでも呼べばいいのか? どんな飛び道具も襲いかかってくるなんて厄介だ。
 だけど、よぉ」

 まるでクロスは臆することなく、なんとまた刀剣を召喚、四方八方に撃ち出したのだ。全て自分に返ってくるのを知りながら。

「返ってきたら、また打ち返せばいい。そうだろ?
 俺には出来るぜ。その為の、極刑鬼神だ」

 打ち出された刀剣はしばらくガムシャラな方向に飛んだが、しかししばらくするとクロスへと向き直り、襲いかかる。
 その刀剣をクロスは両手に取った別の刀剣で弾き返すが、その間に別の刀剣が、弾いても弾いても別の刀剣が襲いかかってくる。
 それを繰り返している間に、いつしかクロスの回りは刀剣の嵐が出来ていた。

「さぁ、覚悟はいいか? お前の能力が生み出したモノだ! しっかり……受け止めてみやがれ!」

 その刀剣の嵐を携えて、クロスはムジナに向かって一気に走った。
 クロスと共に刀剣の嵐も、ムジナに向かって近づいてゆく。

791ムジナ・クロムウェル:2012/01/30(月) 23:42:08 ID:gyCMfkJw0
>>788
「がッ…、はァ……」
ゴールドフィンガーパンチは彼女の腹部に突き刺さった。
体はくの字に折れ曲がり、肺の中の空気が全て吐き出される。
一瞬、何が起こったのか分からなかった。注意はレアに向いていたのだから。

>>789
ビームブレードにより彼女の体躯はズタズタに引き裂かれる。
しかし、彼女は人間とはいえ暗黒の渦の一員。このように即死級の一撃に耐えられるように体の強度を大幅に上昇させている。
まだまだ致命傷には至らない――

「……、さ、さっさと『炎の蛇』を召喚して、焼き尽くす、食いつくす!」
足元から火炎が湧きおこる。『炎の蛇』が召喚されようと――

「殺す、殺す、ぶっ殺」

>>790
「すッ…!?」
行っては帰り、帰れば打ち返す、刀剣の往復路、即ち刀剣の嵐。
それは彼女を飲み込んで、貫いて、一撃一撃の重さは確かに彼女の耐久を上回っていて。

(そんな…そんなそんなそんな、有り得ない……ッ!?)
こんな無茶な戦法が通るはずがない。能力以上に凄まじい『発想力』。
能力者同士の戦いにおいて、やはり勝敗を分けるのは能力の強さだけじゃない。
今回のようなイレギュラーな攻め方もまた、勝利を手繰り寄せる為の一つの要素となっているのだ。

ムジナは体中に無数の穴を空けられ、血が公園の噴水のように吹きだし、立っているのもやっとの状態。
――否、立ってはいるが『死んでいる』。

それと同時に能力が解除され、全ての幻虫は消えて行く。
『炎の蛇』も『ハリガネムシ』も『レウコクロリディウム』も。

――多くの犠牲者や被害を出したが、戦いは、幕を閉じたのだ。

// イベントはここでおしまいです。お疲れ様でした!

792防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/30(月) 23:45:11 ID:WVrfsEdY0
>>791
「だぁっと…利いたみたいですね…
 …本気を出しすぎてしまったんでしょうか…」
【息を荒げて少し離れた所でしゃがみ込む鶫】

「悪人とはいえ、死んでしまっては元も子もないです…」
【さすがに良心が痛むのか、目を背ける】

「あ、この場に居た皆さんは無事なんでしょうか…
 えっと…さっき襲われていたあの人は?」
【あたりを見回し、襲われていた人物の姿を探している…】

793銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/30(月) 23:57:51 ID:HnkBBDEo0
>>791
「これにて、終了、と!」

 トドメを刺し、クロスは動きを止める。
 同時に鎧も刀剣群れも音を立てて下へと一気に落ちていった。

「……っちぃ、左目もっていかれたぜ。不覚」

>>792
「ああ、危険だと思って、あそこの屋根の上だ」

 近くの建築物の上を指さす。

「ちょっとお前、連れてきてやってくんねーか? 俺は流石にボロボロだ」

794防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/31(火) 00:14:29 ID:WVrfsEdY0
>>793
「あ、あそこの上ですか?
 わかり…わっ!ど、どうしたんですか!?」
【クロスの姿を見て鶫はかなりビビっている】

「目がやばいじゃないですか!!
 あなたもかなり危ないんじゃ…」
【と言いつつも、建造物の屋根を目指す】

「えっと、ムリしないでくださいねー」
【屋根の上に登って先ほどの少女の姿を確認した】

795銃寺森クロス  ◆CROSS/.AzE:2012/01/31(火) 00:21:59 ID:HnkBBDEo0
>>794
「すまん、彼女のことは頼んだ」

 そう言いながらクロスは携帯電話を取り出すと、どこかに電話をかける。

「俺だ、急いで来てくれ。戦闘はもう終わったが、全身が焼けるように痛ぇ。
 あと少女一人の保護を頼む。そうだな、救急車二台だ。
 多分そろそろ意識切れるんで、場所はこの携帯のGPSを頼りに来てくれ。
 ……なにが『流石常連』だよ。やかましいわ!」

 そう言うが早いが携帯電話を懐にしまい、

「しばらく死ぬ。あとを頼む」

 ドサリと、瓦礫まみれの地面に倒れ込んでしまった。
 遠くから、救急車のサイレンが聞こえてくる。


///というわけで、自分も落ちます
///みなさま、お疲れ様でした〜

796防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/01/31(火) 00:25:58 ID:WVrfsEdY0
>>795
「えっと…わかりました、とりあえず彼女を救急車に届けますね…」
【そう言って倒れていた少女を抱え上げ、救急車の方へと向かっていく】

「あの人は…平気なんでしょうかね…」
【少し不安に思いつつも救急車が止まった方へと歩いていった】

//お疲れ様でしたー。

797名も無き異能都市住民:2012/02/03(金) 21:44:15 ID:N7.8C74w0
(1/2)

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act4
〜 ICE ASSASSIN INFERNO 〜

数時間前の話だ。

夜の静けさが漂い、冬の寒さが身を貫く。
先日、この交差点では大きな戦いがあった。無論、能力者同士の戦いである。
戦いによってアスファルトは裂け、ビルは傾き、近付くのさえ危険な状態になっている。
このような戦いは都市の至る所で起こっており、事後処理を行うために手間もコストもかかるため、
この場所は立ち入り禁止区域に指定され、そのまま放置されていた。
建築物や道路などは修復の見通しも立っておらず、死体となった者たちもその場におきざりのままだ。

その死体のひとつに近付いて行く人影が見える。
カバーに亀裂が入り、明るさが半分になった街灯は、その人物をかすかながら照らしている。

「良かったなムジナ……、体さえあれば『巻き戻せる』ぞ」
その言葉を発すると同時に、死体に『空間の渦』が発生する。
ミシミシ、とゴミ収集車が家庭ごみのパンパンに詰まったポリ袋を巻き込むような音が聞こえたと思ったら、

虫使いムジナ・クロムウェルが――五体満足のまま現れた。

「……、アンタが此処にいるってことは私は死んでいたのね」
死んだはずの女性が口を開く。いや、『巻き戻された』結果、『死んだという事実』が消滅したのだ。
人影はポケットに手を入れ煙草を手に取ると、その中の一本を口に咥え、

「お前ほどの能力者がやられたとは……、いったい何なんだあのガキは」
「いや、私が負けたのはそのターゲットじゃない。正義を気取る者たちに邪魔された……」
「どちらにしても、大きな痛手だ。早急にこのターゲットを仕留める必要が出てきた。
 仕方がない……、アイツは今日フリーだったな……、呼ぶか」
携帯電話を懐から取り出すと、誰かに電話をかけ始める。

「……ムジナ。火ぃ、持ってるか」
「ライターなんて持ってないわ」
「その蛇で我慢してやるよ」

798名も無き異能都市住民:2012/02/03(金) 21:44:45 ID:N7.8C74w0
(2/2)

サラディン・マローネは頭がおかしくなりそうだった。
現在、彼は組織で緑髪の少女とその関係者の抹殺を命じられており、そのターゲットの近くにいるのだが……

「おかしいぞ……、俺の『霧氷眼Lv1』が効いてねぇ……」
ここはターゲットの少女が潜んでいた路地裏だ。道幅は狭く、逃げ場が限られている。
少女は、自分を狙っているであろう存在に対し驚き戸惑い、足がすくんで動かない。

「なんで効いてないんだ……、分からん……」
「わ、私を殺しにきたんでしょ……」
「うっせぇ、お前の始末は後だ! まずはなぜ能力が効いてないのかその考察をだな……」

能力説明――

『霧氷眼Lv1』
発動中、彼を中心とした半径10メートルの地面が凍結する。
この凍結した地面に彼以外の人物が足(くるぶし以下を指す)を付けた場合、例外なくスリップし転倒してしまう。

「俺の能力に例外はねぇ……、なんで転ばねーんだ……」
「???」
転ばないのは当然である。彼女の靴は浮いているのだ。
『影』に対して発動する能力ゆえ、相手の『影』を踏んでしまうと、相手を踏みつけてしまうことになる。
だからこそ、地面から少し浮いている靴を履いている。ただそれだけなのだ。

「なんか悔しいぞ……、俺を、あんまり怒らせない方がいい……」
少女に接近し、その足を触ってたしかめている。遠目に見れば、こう思うだろう。
『変態だ』、と。

799名も無き異能都市住民:2012/02/03(金) 21:56:04 ID:cA7m7mYw0
>>797-798
男はいつもどおり、散歩をしていた。
大きなトランクを抱えて、カンテラで道を照らしながら。
傍から見れば奇妙な男だが、この都市ではまだ優しいほうであろう。

男は気まぐれで、先日起こったと言う戦いの現場を訪れてみることにした。
予備知識はまったく無い、本当に気まぐれなのだ。

「……立ち入り禁止ですか。
 当然ですね」

男は立ち入り禁止の看板の周りを歩いていた。
その中で、得体の知れない人間達がうろついているとも知らずに。

800イメル:2012/02/03(金) 22:01:23 ID:DVSghSLQ0
>>797-798

「待て――――――――――――い其処なる変質者めが!!」

肌を突き刺すような冬の風に乗って、凛と響く女性の声があった。
遅れて、がつん・がつん、地面を叩く硬い足音がいくつか。
それらの音の持ち主は、藍の毛並みの狼女であった。

「私の眼が黒いうちは……、……あれ、よく考えたら私の瞳の色、黒くない!
 え、ちょっと待ってちょっと待ってよ、こういう時なんて言えばいいんだ!?」

手に携えるは一本の、刀。
身に纏うは丈夫そうな黒いコンバットブーツ、紺のニーソックス。
風に靡くは千夜学園の制服(セーラータイプ)、リボンは爛々と赤く。赤く、
……あれ、この寒いのにコート着てないねこいつ。馬鹿じゃねーのこいつ。
っていうかこいつが着てるセーラー服よく見たら薄くね? 薄手の、半袖の、


―――――――― 夏 服 ッッ !!!

801サラディン・マローネ:2012/02/03(金) 22:11:59 ID:N7.8C74w0
>>799
立ち入り禁止区域に人影は見当たらない。ほんの数時間前、人は確かに其処にいたのだが。
気まぐれで訪れても、何も気付かないはずだ。『死体が一つなくなっている』ということも……。
それよりも、遠目に見える路地裏。そこで何かトラブルが起こっているようだ。

>>800
「近付いて来い」
いきなり現れた人物に対して、この物言いである。狙いはもちろん。

「近付いて来いって言ってんだろ! 確かめてぇんだよ! 俺今不調かもしれないしよォ!」
ビシィと指先を向ける変質者(仮)
もし、『霧氷眼Lv1』が正常に使用できていないのならば……

(逃げるしかねェだろ、オイ……)

802防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/03(金) 22:17:37 ID:WVrfsEdY0
>>801
「ん…また変な人が居るようですね」
【たまたま裏路地に少女が歩いてやってきた】

「そこにいる人!貴方は女性に何をしようとしているのですか?」
【ビシっとマローネを指さして声をかけた】

「返答次第では……やっつけますよ!」

803ガルテラ:2012/02/03(金) 22:18:59 ID:cA7m7mYw0
>>801
「……あれは……?」

遠めに見える路地裏。
立ち入り禁止区域の筈なのだが、数人の人影が見える。

「業者の人間にも見えませんし……。
 だからと言って勝手に入るわけにも……。
 ……偵察してみますか」

手に持っていたカンテラに、手を翳す。
するとカンテラの光が分裂し、小さな淡い光が舞い上がる。
それは、一匹のホタルであった。

「少しあそこを見てきてください」

男が路地裏を指差すと、ホタルは路地裏に飛んでいった。

804イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/03(金) 22:23:20 ID:DVSghSLQ0
>>801

「……ふ、いいだろう。
 その驕りこそが貴様の……弱点と……なるのだ……っ、
 あっちょっと待ってもうちょっと……久しぶりに刀抜くから鞘つっかえてるッ……」

ぎちぎちぎちぎち。
別に驕りでも何でもないのだが、とりあえずかっこいいセリフを言い放ちたかったのだろう。
そんな彼女は刀を抜くのに手間取って、えっらいかっこ悪い様を晒していた。

「…………ふぅ、とれた。
 よし、イメル――――参るッ!!」

数十秒も経過した後、彼女は地を蹴り、前進し始めた。
人狼という種の恩恵を受けた彼女の脚力は人間のそれとは比べ物にならず、
猛烈なスピードを以てサラディンに肉薄する。あと、10メートル……


「――――――ぎゃんッ!!?」

――のところで、盛大にずっこけた。霧氷眼の効果範囲に入ったのだ。
猛烈なスピードを保ったまま氷の結界に足を踏み入れた彼女は、前のめりに倒れ――

――――ズシャアアアアアアアアアア、と。盛大に滑りながら、サラディンへ突っ込んで行く!
ちなみに刀の切っ先は完全に「前」に向いていて、このままだと、サラディンの足あたりにブスリ、だ。

805サラディン・マローネ:2012/02/03(金) 22:26:53 ID:N7.8C74w0
>>802
「何って、確かめてるんだよ……!」
少女の足をすりすり、と触れている。言動と行動がもう変質者(モノホン)である。

>>803
もし、ホタルを通してそのヴィジョンが見えるのなら……
上記の通りのシーンが見えるはずだ。要約すると変態が行為に及ぼうとしている。だ。

>>804
「お、きちんと動作してんじゃ〜ん。……って、ぎゃああっ!?」
刺さった。

「痛ぇよ……、この! 馬鹿野郎がぁぁぁ!」
スタンしているイメルに対して、凍結させた自らの拳が振るわれる。

806柊宇都 綾:2012/02/03(金) 22:27:25 ID:oB5LASG.0


「ヴァージニアアアアァァッッ!!!!」


―――――バンッ!!!

飛来した四足の異形。
雷を纏ったそれは闇色の長い髪を持つ女を乗せていた。
月を背後に現れたそれは、背中の十字の一辺を引き抜き、緑髪の少女と敵対する人間に向けた。
髪と同じ闇色の瞳は、その人物に向かって冷徹な眼光を向けた。

「助けに、来た……いっしょに、かえ、ごほっ、っぐ……」
大声を出すと咽る。慣れないことをするから。

807防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/03(金) 22:34:51 ID:WVrfsEdY0
>>805
「おのれ〜!!足のすべすべさを図ろうなどとは変人め!」
【鶫は勢い良くかけ出していくが…】

「おうわわうわおうわあ!!」
【ものすごい勢いでつるつると足をもつれさせながらザラディンの方へと滑っていく】

「こんな所に打ち水でもしたんですか貴方はぁ!!」
【そのまま勢い良く足を滑らせて】

「あいたっ!」
【おしりから勢い良く地面に落ちる。スカートの中が見えてしまいそうになっている…】

808イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/03(金) 22:35:19 ID:DVSghSLQ0
>>805

「う、うぅう……私とて痛いわこのやろ! このやろこのやろ!!
 周到なトラップなぞ用意しおって……ギャインっ!!」

強打した鼻は真っ赤になって、孔からつーっと血が一筋垂れていた。
来る反撃に備えるため、刀を抜き、体勢を整え……ようとしてまたこけやがった。
今度は尻餅をつくようなかたちで、ずでっと。

――――結果、丈夫なブーツを纏った爪先は天に向かって蹴りあげられる。
所謂「サマーソルトキック」に似た攻撃が(ものっそい偶然に)、
サラディンのパンチを放つ腕に向けて放たれた。

809ガルテラ:2012/02/03(金) 22:37:56 ID:cA7m7mYw0
>>805
「……ああいうのは……まあ、助けるべき場面なんでしょうかね」

パチン、と男は指を鳴らす。
すると、十数匹のホタルがカンテラから飛び出し同様に路地裏に向かい、
サラディンに向かって体当たりする。
ホタルはただのホタルではなく、翅がブレード状になった特殊なホタルだ。

810サラディン・マローネ:2012/02/03(金) 22:46:17 ID:N7.8C74w0
>>806
「この人…、へ、へんたい……」
ヴァージニアが指差す者は、客観的に見れば変態行為に及ぼうとしていた者だ。

「誰が変態だ、ド低能がァ〜!!」
氷の拳でヴァージニアを殴り抜ける。彼女はぶっ飛んで、ビルの壁に突っ込む形になる。

「はっ、しまった!
 このままじゃ、こいつになんで俺の能力が効かなかったのか分からねぇ〜」

>>807
「ひゃっほ〜、絶好調じゃーん!」
能力がきちんと効いていることにご満悦の様子。

「そうそう、こうやって道行く女の子のスカートの中身をだな……」
態かも、じゃなくて、変態だった。

「だが死ね」
氷の槍を魔力で生成すると、防人を穿とうと放つ。

>>808
バシィッ、と腕を弾かれ、攻撃を止められたサラディンは。

「ぐぅぅ……、さては『運の良さ』でこのまま生き残ってきたな!
 だが、運だけではどうにもならないことを教えてやる!」
手のひらをイメルに向けると、そこから吹雪が放たれる。

「吹き飛べッ!」

>>809
ホタルによって何箇所か体が刻まれ、もうひとり敵が居ることに気付く。

「まだ居るのか……、ふざけやがってッ!」
遠距離型は彼が苦手とするタイプの攻撃だ。
理由は単純で、『霧氷眼Lv1』範囲外の敵に対応できないからだ。

「しかし、護るぐらいのことはできる……」
上空に向かって手をかざし、吹雪を起こす。
これによって、付近の空間が雪によって覆われる。この雪が相手の攻撃を探知してくれる。

811防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/03(金) 22:53:57 ID:WVrfsEdY0
>>810
【見えそうになったのを見て】
「この…やっぱり変態って…!」

【槍が飛んできたのを見て】
「あまりにも危ない!」
【手を使って勢い良く滑って攻撃を避ける】

「その女の子に手を上げましたね…
 コレで悪人大認定です!」
【そう言って手に持っていたリュックから取り出したのはおもちゃの鉄砲】
【しばらくするうちにその鉄砲は光輝きはじめる】

812ガルテラ:2012/02/03(金) 22:55:10 ID:cA7m7mYw0
>>810
カンテラを持った男はすぐに見つかってしまうだろう。
この男は隠れているのではなく、
ただ立ち入り禁止区域に入ってしまうことによる問題を恐れているだけなのだから。

「……この雪は一体?
 本格的に戦う準備をしたほうがいいのでしょうか……」

視界が雪に覆われる。
男は呟きながら、大きなトランクを抱えた。
トランクは、無数の光になって消滅してしまう。

813イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/03(金) 22:57:08 ID:DVSghSLQ0
>>810

「………………ッ!!」

ひぃん、と、空気を劈く悲鳴のような冷気の音。
次の瞬間に、轟。放たれた吹雪を避ける術は、彼女にはない。
冷たい暴力をその身に浴びて、詰めた距離は引き離されることとなった。

「……けほっ、言ってくれるじゃあないか、ええおい……
 その通りだ、運の良さだけでは『戦場で』生きていける筈などない」

二度・三度、地面を低くバウンドしたのちに転がって体勢を整えて。
刀を握り締め――きィん。異能の術を、行使する。
彼女の身体は、刀の表面から奔る蒼い光に包まれた。

「……見せてやるよ、『運』だけじゃないところを、
 私の闘争の、経験をなァっ!!!」

――光が止んだ後。彼女の身体には、蒼い光の線が走っていて。
それは彼女の胸元に、『龍』の紋様を刻み込んでいた。

814柊宇都 綾:2012/02/03(金) 23:01:28 ID:oB5LASG.0
>>810
胸に手を当て息を整える。
大声を出したのは何年ぶりかの事である。

「許さない……!!」
変態と聞いて彼女から湧き上がる明確なオーラ。
今までただの敵意だったものは、殺意として現れる。

「ヴァージニアは……」

異形の背を蹴り跳び上がった。
右手に持った大剣を、さらに左手で背中からもう一本を抜き取り、投げつける。
異形が変形して追いかける。
紅蒼それぞれ12の光を持った双頭の異形は紅蒼、それぞれの雷を放つ漆黒の大剣となる。
「僕のだ!」
空中から飛び込み切り伏せる。
単純な動作の物の、刃の重さ、落下の速度も相まって威力だけは相当な物だろう。

815サラディン・マローネ:2012/02/03(金) 23:11:48 ID:N7.8C74w0
>>811
「俺にとっちゃよォ〜。おめぇが『見せてきた』んじゃねえか? 違うのか?」
おもちゃの鉄砲が輝き始めるのを見て。

「そいつはやべえな…、いけねえよ」
先手をうって止める。そう考えたサラディンは氷の剣を生成し、

「そのおもちゃごと、真っ二つだ!」
投げつける。
回転する刃は正確に、防人の元へと向かう。

>>812
「攻撃が来ねぇ……、ただの野次馬だったのか、それとも……」
警戒は怠らない。
どちらにしても、誰かがもうひとりこの場にいるのだ。

>>813
「ほう、何かが変わったみてぇだが……
 俺を倒してぇなら、その足首切り取ってから来ることだなッ!」
イメルに接近し、10メートルの範囲に納めようとする。

(そゥら、転べッ!!)

※ 追記、下記の能力使用により、20メートルになっています。注意!

>>814
「ふざけんじゃねェぞ…!!」
その言葉に対して、ではない。
まさか三回連続で攻撃に及ぶとは思ってもいなかったのだ。

「この動作の俊敏さ……、人間じゃねーな……!
 ……仕方ねぇ、『霧氷眼Lv2』を解放だ!」

――大剣が、空中に『固定』される。

「おまえ、いきなり三本使うやつがあるか?
 相手がどんな『能力』を持っているかも分からないのに攻めて来たのか?
 頭を冷やせよ、ド低能ッ!!」

能力説明――

『霧氷眼Lv2』
『霧氷眼Lv1』の範囲を半径20メートルにする。
手に触れた物体(生物を除く)の時間を凍結し、空間に固定することができる。
サラディンが凍結した物体から20メートル以上離れることで凍結は解除される。

816防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/03(金) 23:19:58 ID:WVrfsEdY0
>>815
「ジロジロ見ようとしてたような…気がするって言ってる場合じゃなさそうですね!」
【力を貯めていた所に飛んできた回転する刃】

「ええい、ならばこれで!」
【そう言って手袋を付けた左手を刃の方へ向ける】

「受け止めてやろうじゃないですか!」
【その手も金色に光っている。その手は見事刃を受け止める…】

「これでどうだ!」
【そう言って鶫は金色に光る弾丸を連続3発発射した】

817イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/03(金) 23:20:43 ID:DVSghSLQ0
>>815

「ふん、どうやらその氷の床はお前が中心となって広がっているようだな。
 ならば簡単だよ、お前が『動かなければ』、床の範囲も移動しないんだろう!?」

構えた刀の切っ先は、地面に向かって一直線。
すっと一息吸い込み、一気に吐き出すと同時に、突き刺した。


「 ―――― ≪een≫ !! 」


その瞬間に、夜を昼に塗り替えるような――「閃光」が発生する。
彼女がとった行動は「目晦まし」。サラディンの足を一旦止めることが、目的だ。

818ガルテラ:2012/02/03(金) 23:23:06 ID:cA7m7mYw0
>>815
「来ませんね……攻撃してくると思ったのですが……。
 まあ良いでしょう、相手が変質者だということはわかりましたから。
 この中に入る口実も十分でしょう」

男は張られていたロープを超えていく。
やがてサラディンの目の前に姿を現すだろう。

819柊宇都 綾:2012/02/03(金) 23:27:54 ID:oB5LASG.0
>>815
「――――!!?」
『固定』された。
両手に持った二本の大剣が突然動きを止めた。
咄嗟の思考で腕を離し、着地し、蹴りを見舞う……筈だった。

腕を離した。しかし、問題はその次。
氷の床に足を付けた瞬間……滑る。
それによりバランスを崩し、月を見る形になって地面に転がる。

820サラディン・マローネ:2012/02/03(金) 23:41:36 ID:N7.8C74w0
>>816
光る弾丸はサラディンに向かう。
まさか、氷の剣が弾かれるとは思っても見なかったのだろう。
弾丸は一撃、そして二撃……

「ちっ……、なんだその黄金に光る能力は……」
口元から血を流しながら、三発目は空中に『固定』されていた。

「だから『遠距離』攻撃は嫌なんだよ、だが……」
『霧氷眼Lv2』を発動した今、触れさえすれば飛び道具は止められる。

>>817
「甘いぜ嬢ちゃん……、この戦いは乱戦だということを忘れたか!」
閃光が彼の目を晦ますならば、利用するだけの話だ。

この空間は現在、吹雪が舞っている。
光に反射した雪を『固定』。これによってイメルの方向に対しての閃光は止むことがない。

「この隙に、他の奴を殺るだけよ……!」

>>818
「よォ、あんたがさっきのホタル君かい?」
手に氷の剣を生成し、

「悪いがアンタから先に始末させてもらうぜェ。遠距離はウザイんだよォ!」
シンプルに斬りかかりに行く。もちろん、半径20メートルの氷の床も迫る。
転んだ瞬間を、絶対に彼は見逃さない。

>>819
「あと何本」
滑って転んでしまった綾を眺める。

「お前が大剣を持っていようが、全部固定してやるぞ……!」
ガルテラを斬りかかりに行くサラディン。その瞬間、上空を何かが横切って行く。

「……!?」
上空を横切って行く、その正体はナイフ。
そのナイフの影が、サラディンの影にぶつかった瞬間。

「な、なんだと…!?」
サラディンの腕から、鮮血が流れ始める。

「『影殺しLv2』……」
ヴァージニアが、ビルのガレキから這い出て来る。

「『影殺しLv2』は、影から影に攻撃できる能力……。
 当然、物体でない影をあなたは固定することはできない……
 そして、この能力は、発動中私の周囲に居る人物にも伝染することができる……!」

【重要】
ヴァージニアの能力により、この場に居る人物全てに対し、影を介して攻撃できるようになった!

821ガルテラ:2012/02/03(金) 23:56:00 ID:cA7m7mYw0
>>820
「どうも、お察しの通り、ホタルの人です」

暢気に挨拶するように頭を下げるが、能力は見ていた為、足元には注意する。
とは言え、避けるには半径20メートルは広すぎる。
そこで、男は自分から20メートル範囲に足を踏み入れ、
サラディンの及ばない場所を斜めに横切るように滑って逃げた。
サラディンの足が滑る速度よりも遅ければ、逃げられる筈だが。

男はすれ違う瞬間、カンテラを奇妙な構え方をした。
すると、弾丸のように素早く、一匹のホタルがカンテラから飛び出す。
喰らえば本当に本物の拳銃の弾丸並のダメージを受けるだろう。

822防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/03(金) 23:59:24 ID:WVrfsEdY0
>>820
「どんな能力かは言いませんけど…!」
【光っている右手をちょっと痛そうにさする】

「…厄介ですね…遠くから近接戦できれば…ん?」
【途中から聞こえてきた影殺しの説明を遠巻きに聞いて】

「実にグッドタイミングですねっ」
【左手の光る手袋を地面に映る自分の影にむけて】

「変質者に鉄槌を与えてくださいよっ!」
【勢いよくパンチを打ち込みに行く。狙いは当然サラディンに向かっている】

823イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/04(土) 00:07:40 ID:DVSghSLQ0
>>820

舌打ちをひとつ、己の失策に対して。同時に目を細める。
神鳴を操る異能を身に着けた今、光に対する抗力を多少は持ってはいたが、
それでもしかし閃光を身に浴び続けることは、つらいのだ。

と、そんな状況に響いたヴァージニアの声。
なるほどなァと、にやりと笑って見せた。

「なるほどなるほど、『物体でないもの』は固定できない、と。
 だからこの閃光も、固定できなかったのだな?
 だったら……」

眩んだ目を、ぎゅっと瞑ってぱっと開く。まだ視界ははっきりしないが、それで十分だ。
刀の切っ先をサラディンに向けて――――咆哮!


「 ―――― ≪kamuymakri≫ !! 」


瞬間、放たれたのは蒼い雷光による放電攻撃。
それはまっすぐサラディンに向けられ、中空を走る。

824柊宇都 綾:2012/02/04(土) 00:10:14 ID:oB5LASG.0
>>820
手を付き、全力で身体を浮かび上がらせ、空中へ。
男から相当な距離を離すと足場を確保した。

「フッ……ヴァージニア、ロウリッド。力を借りるぞ」
胸の谷間から何かを取り出す。
銀に光る刃。特殊な形状をしたナイフだ。
肌を傷つけないためのカバーを外す。
刃を剥き出しにしたそれを、落とす。氷を操る男と、足元の影を狙いとして落としたのだ。

―――カン。

地面に、柄が跳ねた音がする。
それと同時に、駆けだした。
半径20m。氷の領域に踏み込む瞬間、跳び上がった。

 20mもの距離を飛び越え、男に蹴りを入れる跳躍力はある。
だが、それでは完全にコースを読まれ、避けられる。
しかし、この少女にはそれを打開する一つの提案があった。

空中で身体をかがめ、丸くする。
真っ直ぐに男へと接近してきた少女が―――消えた。

跳んだのだ。
少女はそこにある『足場』を使い、上空へ飛んだ。
『固定』された大剣をバネに、

――バチバチッ。
「こっちだ」
ここは上空。
紅蒼二色の雷を纏う踵が、打ちつけられんと、襲う。

825サラディン・マローネ:2012/02/04(土) 00:21:40 ID:N7.8C74w0
>>821
「チィ、俺の能力を逆に利用しやがったな!」
チーターといいライオンといい、捕食者は己の身の危険を配慮しないものである。
だから、弾丸のように驚異的なスピードで迫るホタルには気付かなかった。
彼ほどの能力者ならば、固定できたというのに。

「ぐゥ……!?」
ホタルの弾丸は、彼の脇腹をかすめて行く。

「だから、遠距離攻撃は、嫌いなんだよォ…ッ!」
目には目を、彼は氷の弾丸を魔力で作りだし、撃ち込む。
その数はおよそ10。

>>822
「バカメ…ッ!」
能力をきちんと把握していなかった防人のミスだ。

「自らの影を、相手の影に触れさせるって意味だ、ド低能がッ!!」
自分の影に打ち込んだところで、その能力は発動しない。

「俺が見本を見せてやるよ……!」
『影殺しLv2』の範囲は、当然サラディンも巻き込んでいる。

氷の剣の影を、防人の影に重なるように飛ばす。もしも影同士重なってしまったら……

>>823
雷の速さは、常人にとって回避できるものではない。
彼は能力者だが、雷の速さに対応できるかというと難しいものだ。

「固定だ――がァッ!?」
雷というものは、触れることができない。
つまり、この能力の定義下では『物体ではない』として扱われる。

「チィッ…、やりやがったな……」
今度はイメルに対し、接近する。
半径20メートルの氷の床――例外なく滑らせる床が迫りくる。

>>824
「おおっと!」
サラディンは銀色のナイフ、それを身体と影共に当たらない位置へと移動する。

「能力さえ見破ればこっちのもんだ、影から影へと当たらなければどうってことはない!
 ……そして、空中のお前に逃げ場はねぇ」
彼は鞄から日本酒の一升瓶を取りだすと、地面に叩きつけて割る。
そして水しぶきを『固定』し、向かってくる稜をズタズタにしようとする魂胆だ。

「!?」
しかし、『固定』されていた大剣は見落としていた。
サラディンの視界から、稜は消え――

「こっちだ」
という声を聞こえたときには、踵は男の頭を穿つ。

「ぐ、ぐゥゥゥゥ……」
まだ倒れない。サラディンはやはり、強い。

「俺の切り札だ……、遊んでやろうと思ったが気が変わった……
 お前らは、これで終わる……『霧氷眼Lv3』!!」

能力説明――

『霧氷眼Lv3』
『霧氷眼Lv1』『霧氷眼Lv2』の範囲を半径30メートルにする。
サラディンを見た者を対象とし、対象の意識を凍結させる。
要するに対象とされた人物だけ時が止まったような錯覚を覚える。

「終わった……何もかも……。
 俺の姿をとらえてしまったとき……、お前たちの負けは確定する……」

そう、サラディンを見てしまった瞬間、全てが終わる。
だが、それを看破する為の布石は敷いている。……ヴァージニアが、その布石を。

// 次でラストターンになります。

826防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/04(土) 00:31:38 ID:WVrfsEdY0
>>825
「あいたたた、とんだミスしてしまいました…」
【地面にめり込んだ手を慌てて振る】

「影が…危ないなら…」
【自分に迫る影を見て…光る手をかざす】

「影を消してしまえば!!」
【そう言って手のひらをかざし、自分の姿の前で勢い良く光らせる。】

「さあ、どうですか?次はどんな手で来るんでしょうか」
【鶫は能力を聞いておらず、うっかり姿を視認してしまいそうになっている】

827イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/04(土) 00:36:01 ID:DVSghSLQ0
>>825

「ああ、それと……『滑る』スピードを、舐めないほうがいいぞ?
 私は北の方の出身だからなぁ、小さい頃なんか毎日滑って転んで――」

氷の床から逃れるようなことは、もうしない。
ちきり、刀を右上に構えてサラディンを待ち受ける。

「――――毎日毎日、猛スピードで回転する景色をッ!!
 見ていたんだからな、お前も精々気を付けるがいいさ!!」

足元に広がる氷の床、それは正しく効果を発揮してイメルを滑らせた。
だがしかし、彼女はそれを利用する。わざと踏みこんで、つるりとその足を滑らせた。
滑るスピードを上乗せして――刀を袈裟掛けに振り下ろす。

彼女の視界は確かにサラディンを捕え、「意識」は確かに凍結しただろう。
しかし……自然に「滑り来る」その攻撃は、止まらないのだ。

828ガルテラ:2012/02/04(土) 00:44:00 ID:cA7m7mYw0
>>825
氷のエリアを滑りきり、起き上がりながらサラディンに向く。
その隙に、サラディンの氷の弾丸がガルテラを捉えた。

「ぐっ……!」

ダメージは三発。
うち一発は太股に深々と突き刺さってしまう。
残りの七発は、その時点で体勢を立て直し、カンテラから光弾を発射することで吹き飛ばした。

「遠距離攻撃はお互い様じゃ……無いですか!
 影の能力、使わせてもらいますよ!」

ガルテラのカンテラから、大量のホタルが飛び出した。
カンテラを掲げた時点で、ガルテラはサラディンを見てしまった。
更に、広がった氷のエリアに飲み込まれてしまう。

ホタル達は一見見当違いの方向に、しかしサラディンの影に自らの影を突撃させる。
先ほどの物と同じ、切り裂く翅を持つホタル達だ。
一度影にたどり着けば、まとわり付くように繰り返し切り裂かれてしまうだろう。

829柊宇都 綾:2012/02/04(土) 00:51:16 ID:oB5LASG.0
>>825
「フン――――なら、」



「―――見なければいいのだろう?」

もう一本の刃。
腰に差した彼女の身長以上もあるそれ。
細身の鞘に納められ、帯や柄は水色のアクセントのあしらわれたそれは、居合刀。
これこそが大剣握る以前の彼女の性分。亡き父の愛刀。

「さぁ……」

刀を抜いた瞬間、冷気のようなものを感じるだろう。
この居合刀は、氷属性を内包するもの。
今でこそ雷を扱う検視であったが、かつての相棒は、氷であった。
瞬く間に、一閃。心眼と言う物が近いのだろう。
2m前後の長刀を、瞳を瞑り、居合。

「凍れ!!」

830サラディン・マローネ:2012/02/04(土) 01:01:18 ID:N7.8C74w0
>>826
「ほう、なかなかこいつ……、戦闘センスがある……!」
氷の剣による影は、防人の影にヒットすることなく、後方へ飛んでいく。

「上手くかわせたようだな……、しかし、だ」
『霧氷眼Lv3』の能力は、既に発動している。
防人は――

「ハハハハハ…! まず一人……!」
防人は――既に、サラディンの姿を視認してしまった。
その時点で意識は凍結してしまう。視界にサラディンが入っている限り、動くことさえできないのだ。

>>827
「お前たちの負け――」
イメルの攻撃は、対応できる速度ではなかった。
雷の速度よりは遅いとはいえ、『霧氷眼Lv3』があるのだ。攻撃が届くはずがない。

「――!? があぁッ!!」
その『油断』が、その『慢心』が、暗黒の渦<スパイラルシェード>に義務付けられた弱点。
『滑り来る』その攻撃を、回避しようという意思の欠如、それが明暗を分けた。

(ぐ…、傷が深い……、このままでは……。次の攻撃は固定する、殺られない為に、絶対だ!)

>>828
だが、

「こ、固定できない…ッ!!」
そう、彼を直接狙ってさえいれば、その場で『固定』することでダメージをなくすことができた。
しかし、実態のない『影』を固定することをサラディンにはできない。

「がぁぁぁぁッ!!」
サラディンの体を、無数のホタルが影と影に接触し、斬り裂いていく。

(まだだ…ッ、あと一人、意識を途絶えさせれば……!)
そう、ここに居る全員の意識を途絶えさせれば、この勝負は終わるのだ。
意識のない者たちの喉笛を掻き切るだけで終わる……

「そうだ、俺の、勝ち、なんだよォー!!!!」

>>829
「終わりだ……、これで……!」
冷気属性を纏う、2メートルもの大剣。
稜はもちろん、サラディンを見ないで振るうのだろう。しかし……

「固定すれば……、終わるんだ……!」
一閃される大剣、それに触れようとするサラディン。

「威力なんて無意味だ……、『触れる』だけで終わる……!」

……が。

「いいえ、あなたの負けよ!」
ヴァージニアが掛け寄ってくる。
『浮遊靴』の効果で、宙に浮いている彼女は、『霧氷眼』の効果を受けない!
ヴァージニアはナイフを振るい、サラディンの両腕を斬り落とした。
ナイフ程度では、人間の両腕を斬り落とすことはできない。
しかし、彼女は吸血鬼。人間では不可能なことを、可能にする!

(こ、こいつ…! 影の位置から、俺の腕の位置を……!)

両腕がなくなった今、『霧氷眼Lv2』の効力は失われる。
何しろ、手で触れた者を凍結させるということが、できなくなっているのだから……!

「凍れ!!」
2メートルにも及ぶ、稜の父の愛刀は――

「ば――ばかな!!」
サラディンの体を真っ二つに。その生命活動を――

「ぁ…が…」

――停止させた。

// イベントはここで終了です。お疲れ様でした!

831防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/04(土) 01:06:54 ID:WVrfsEdY0
>>830
「え?しまっ…」
【その瞬間に鶫の意識は凍りつき、動きを止める…】

「………」
【手袋にまとわせた光は消え失せ、最早やられるのは時間の問題かと思われた】

「…た、あれ?」
【動ける頃には戦いは既に佳境に入っており】

「あ、その…もう終わってたみたい…ですね」
【その場に鶫は座り込んだままぼーっとしていた。】

「あの、そこの貴方、大丈夫ですか?」
【ヴァージニアの居る方に向けて声をかけてみる】

832イメル / いぬはよろこび○○かけまわる:2012/02/04(土) 01:10:09 ID:DVSghSLQ0
>>830

「……ぅ、はっ!」

凍結した意識も、サラディンの死によって融解する。
ふっと息を吐いて刀を鞘に納めれば、蒼い光の線は消滅した。
改めて、自身の意識によってサラディンの最期を見定め、首を振る。

「ふ、最初に言っただろう。
 その驕りこそが貴様の弱点なのだ、と……」

(キリッ
最初の間抜けな姿をなかったことにするかのようにかっこよく収めようとする、


「…………はくぢゅん!? えっ、え、なにこれさむい!!
 えっ!? なんでなんで!!」

……が、そう上手くも行かないものだ。
夏服で暴れ回り、吹雪を浴びた代償は重く、後日彼女を風邪の症状で苦しめることとなる。

// お疲れさまでした!

833ガルテラ:2012/02/04(土) 01:10:42 ID:cA7m7mYw0
>>830
「……っ?」

固定が解け、周囲を見渡す男。
氷のエリアのせいで別の場所に滑っていたため、状況が一瞬では読めなかったのだ。

振り向くと、倒れたサラディンが血を流していた。

「……ただの変質者でしょう?
 ここまでやる必要は……あったのですか?」

彼は、この事件の詳細についてまったく知らないのだ。

座り込み、カンテラを掲げると、男が太股に刺さっていた氷の塊を引き抜いた。
カンテラの前で指を鳴らすと、小さな光の塊が飛び出し、男の怪我をしていた太股に乗る。
小さな音を立てながら、男の怪我がゆっくりと塞がっていく。

834柊宇都 綾:2012/02/04(土) 01:22:52 ID:oB5LASG.0
>>830
「……チッ」
この感触、間違ってもいい物ではない。
真紅に染まった刀を、刃の穴から噴出する水が洗い流した。
鞘に刀を収めながら、視界を左右に振る。

「……ヴァージニア」
少女の姿を見つけると、歩み寄っていく。

835ヴァージニア:2012/02/04(土) 01:25:25 ID:N7.8C74w0
>>831
「はぁ……、はぁ……」
『影殺しLv2』の『能力伝染』は、凄まじく体力を使うらしい。

「私は……大丈夫、だよ……」
防人を見て思い出した。
確か、自分を狩りに来る刺客だと思い込んで、逃げてしまったことがあった。

「なんだ……、私を殺す為に来たんじゃ、なかったんだ……」

>>832
驕り、油断、慢心、言い方は様々あるが……
最初に言っただろうか?

「言ってないよね」
ヴァージニアが突っ込む。

>>833
男は完全に死んでしまっている。
いくら傷を治そうが、生命活動は戻るはずもなく。

「その人は、暗黒の渦<スパイラルシェード>の一員……
 私の命を……、そして、私の知り合いの命を狙っているの……」
ヴァージニアは語る。

>>834
「リョウ様……」
稜の姿を確認し、覚束ない足取りで近付いて行くが……

「……ッ」
意識をなくし、地面に倒れ伏せてしまう。
能力の使いすぎ……あるいは神経質になってしまっていたからだろう。
彼女には休息が必要だった、その心を休ませる為に。

836防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/04(土) 01:30:33 ID:WVrfsEdY0
>>835
「あ、貴方は病院であった…妹さん?」
【そう言ってヴァージニアの顔を指さした】

「冗談じゃないですよ!殺しに来たわけじゃありません!
 私はその…貴方が以前襲われた時に時貴方を助けに来た人…の一人ですよ!」
【そう言って立ち上がった】

「とりあえず、元気そうでよかっ…て…大丈夫じゃなさそうですね」
【慌ててヴァージニアに駆け寄っていく】

837イメル / わんわんお:2012/02/04(土) 01:31:00 ID:QYyPcDfoO
>>835

「い……言った! 正確には二回目のレスで!」

メメタァ

「……それはそうと、お前は何故あんなのに付け狙われてるんだ……っはくしゅ!
 む、意識を失ったか……病院に送るべきか?」

意識を失ったヴァージニアを見、携帯を取り出す。
その間ずっとガタガタ震えてます。だれかコートかなんか貸してやってください。

838ガルテラ:2012/02/04(土) 01:34:20 ID:cA7m7mYw0
>>835
「……そういう、ことですか」

治った自分の足を、埃を払うように叩いた。
応急処置だが、歩くことは出来るだろう。

「謎の組織、この街にはいくつあることやら……。
 なるべくお目にかかりたくは無いものですね」

ホタル達が、わらわらと集まっていく。
同時に、光になって、カンテラを持っていない方の右手に集まってくる。

「それでは。
 命を狙われているなら気をつけてお帰りください。
 お知り合いも居て下さっているようですし……」

集まったホタル達は、大きなトランクになってしまった。
男はまだ足が痛むのか、少し引きずりながら歩き去った。

//さーせん、治してたのはガルテラ本人の傷です…

839柊宇都 綾:2012/02/04(土) 01:37:50 ID:oB5LASG.0
>>835
「……無茶をする」
彼女を拾い上げると、肩に乗せる。
少女の寝顔を眺め、優しく頭を撫でた。

>>836
「……何時かの」
スライムと対峙した事件の事を思い出し。

>>837
「必要無い……。連れて帰る」
呟きが聞こえたのか、其方を振り返り。

840イメル / わんわんお:2012/02/04(土) 01:59:00 ID:QYyPcDfoO
>>839

「そうか、要らん世話だったな……
 ……っていうか携帯壊れてるし……はくしゅっ」

どうやら滑ってこけた時に潰しちゃったみたいです。

「それじゃあ、私も帰るとするかな……っくしゅ、
 ……寒い……うぅ」

耳としっぽをへたらせて、(´・ω・`)とした顔で去っていった。

//ねねね眠い……お先に失礼しますっ

841防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/04(土) 02:05:11 ID:WVrfsEdY0
>>839
「貴方も知ってる人ですね…
 なんというか…あの時は助けていただいてほんとうに有り難うございました…」
【頭をポリポリかいて言う】

「えっと、その子とは知り合いなんですか?」
【倒れ込んでいる少女に目を向けて尋ねる】

842柊宇都 綾:2012/02/04(土) 02:20:01 ID:oB5LASG.0
>>840
「……確かに、寒いな」
相も変わらず、某魔界貴族の様な過激な衣装。
大きく身を震わせ、冬の厳しさを体に受けていた。

//お疲れ様でしたー!

>>841
「……お互い様だ」
其方を見て小さく頭を下げる。

「そうだ。話すのは……次にしよう」
肩に乗せた少女の状態を案じ、今は離れる。

「……ロウリッド」
少女がそう、従者の名前を唱えると、雷を帯びた二本の大剣は異形の馬へと形を変えた。
バチバチと電流を流しながら、首や足を震わせる。基本的な仕草は馬ににて、忠実に作られていた。
一息に跨ると鶫に向けてもう一度頭を下げる。
「また、キミと会いたい……次は、お茶でも交えながら」
そう言うと、異形の馬を走らせて街を駆けて行った。

843防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/04(土) 02:25:50 ID:WVrfsEdY0
>>842
「ええ、あんまり今日は活躍出来なかったかもしれませんけど…」
【少し申し訳なさそうだ】

「分かりました…またいつかお会いしましょう。
 その子のこととか…気になることも色々ありますし」
【そう言ってじっと綾を見送っていった】

「それにしても…私も疲れました…」
【人がいなくなってから鶫はとたんに表情を崩してヘロヘロと歩き出した】

「情けない姿、見せちゃ駄目ですよね」
【そう言って自分を励まし、その場を去っていった】
//お疲れ様ですー

844ヴァージニア:2012/02/05(日) 20:53:31 ID:I4JWtRrg0
動きやすい服装に着替えると、入口から広い敷地内へと歩み出る。
ヒュウゥと寒そうな音が聞こえ、冷たい空気が体にあたり震える。この季節はまだまだ寒い。
戦闘しやすい広い場所を選ぶと、綾が来るのを待つ。

鞄から護身用のナイフを取りだす。先日敵の腕を斬り落としたものだ。
手入れをするのを忘れて居たので、鮮血がまだついている。美味しそうだったのでつい舐めてしまった。
布で汚れをふき取ったのに、砥石で磨く。

「……」
いや、命のやり取りではないのだ。切れ味が良すぎるのはまずい。
地面の石に叩きつけて刃零れを起こす。これでいい。

845柊宇都 綾:2012/02/05(日) 21:30:46 ID:oB5LASG.0
>>884
―――ガシャン。
30分を少し遅れて現れた綾。
右肩に掛ける様にして持っていた大剣を下ろした。
如何にも鉄製と言った、シンプルで無骨なデザインだ。
しかし、それだけにこの大剣が重厚で破壊力に長けた物だと言う事が解る。
「甘えるな……本気を出しても、死にはしまい」
現に、地面に落ちただけの大剣が石の床に傷を入れた。

衣装も戦いの意思を彼女なりに押し出した独特なデザインだ。
左腕には、巨大な鋼鉄の鱗が何枚も折り重なった、まるで竜の腕の様な籠手を着けている。
重装備な左腕の割には、それ以外にの装備は非常に軽装。
レオタード状の衣服の、胸の辺りはこれでもかと言うほどに開け放たれ、腰を覆うのは何かの生物の巨大な牙。
左腰の辺りには、衣装とは似合わない、水色の帯を持った身の丈以上もある居合刀があった。

「……安心しろ、一騎打ちだ」
彼女の背後には機械の馬。かつて少女が恐れた異形が居た。
バリバリと二色の雷を打ち鳴らす異形の特性を少女は知っているだろう。

「だが、本気だ」
そして、最後に構えたのは左手に持っていた漆黒の大剣。
いや、漆黒と言うのは事実影のみ。至る所に張り巡らされたルーン文字が金色の輝きを帯びる。
そして、それが持つ禍々しさが辺りを支配しようとしている。この刃、強力な暗黒性を持っている……。

846ヴァージニア:2012/02/05(日) 21:42:20 ID:I4JWtRrg0
>>845
「っ……」
思わずたじろいでしまう。恐怖が己の内から湧きおこる。
しかし、この戦いは生きる為の戦いなのだ。実戦で敵は手加減などしてくれない。
乗り越えなければならない。この恐怖を。……まずは深呼吸をひとつして。

「……、……行きます!」
逆手にナイフを構え、戦闘の姿勢を取る。
まずは攻めなきゃならない。彼女は自分なりにタイミングを見て……駆け出した!
『逃走』を繰り返してきた彼女は、スピードが鍛えられている。
まぁまぁ、の速度だろう。減速を入れず、肉薄しようと試みる。

847柊宇都 綾:2012/02/05(日) 22:01:34 ID:oB5LASG.0
>>846
距離を詰めようとする少女を右目で凝視する。
綾は距離を詰められることを好まない人間だ。普通の人間よりも痛みを極端に嫌う。
吸血鬼の物とは別の、何かの呪い。極端な体質から来る何かのせいで、彼女の防御力は、極端に低い。
「来い……!」
その為に、その心にはすでに恐怖が生まれていた。
それを払拭する為に、それを悟られないために、鼓舞する。

そして、近づかれないために刃を振う。
身の丈以上もある刃を使ったリーチを活かした攻め。
大剣の振りとは思えないスピードで、周囲を薙ぐ。

848ヴァージニア:2012/02/05(日) 22:12:31 ID:I4JWtRrg0
>>847
薙ぎ払われた大剣、その大きさは綾の体格以上。
クリーンヒットした場合、脅威の一撃により全身は破壊され、それだけでもう負けを認めなくてはならない。
彼女には二つの選択肢があった。大剣を回避<アボイド>するか、受け流す<ディフレクト>か。
もちろん、前者を選択する。今のレベルでは、ヴァージニアは受けるだけでも危険だ。
とっさに踏み込んで、後ろに向かってジャンプする。
しかし、振るわれたスピードは早く、完全に回避することはできなかった。
剣のリートから逃げ遅れた彼女の足が刃によって傷付けられ、鮮血が舞う。

「……?」
傷つけられた瞬間だった。
ヴァージニアの右手の甲に、謎の数値が浮かび上がったのだ。
数値は『15』だった。いったい何を意味しているのだろうか。

再び接近しようと試みる。大剣の射程範囲を見極める。

(大剣を振るってきたら回避して……、接近しよう)
射程範囲内に一歩踏み込む。

849柊宇都 綾:2012/02/05(日) 22:19:30 ID:oB5LASG.0
>>848
「どうした……気を抜くな」
少女の一瞬だけブレた様子を気にしたのか、言葉を掛ける。
しかし、行動には変化は無く、一歩踏み出して右手の刃を突き出す。
大剣のリーチは2m強はある。さらに横幅もあり、怪力を生かしたスピードもある。

850ヴァージニア:2012/02/05(日) 22:31:41 ID:I4JWtRrg0
>>849
(しまった……!)
一歩分のリーチが加えられ、後ろにステップを踏んでから再度接近する方法が封殺された。
素直に横に避けつつ接近すればいいのだが、考えていた攻め方ができなくなると『攻められない』と考えてしまう。
柔軟な状況対応力や発想力がない。間違いなくヴァージニアに戦闘センスはない。
回避ができない、となると受け止めるしかない。
ナイフに左手を添えて突きを受け止める。威力は凄まじく、後方に吹き飛ばされる。
地面に叩きつけられ、頭から血を流している。

右手の甲にある数値は『14』になっていた。

(いったい……、これ、なに……)

戦闘はまだ続いている。
ヴァージニアは今度こそ、と予備のナイフを鞄から取り出して、綾に向かって投げつけた。

………

戦闘が行われている場所から、少し離れたところで。
怪しい人物が、その戦闘を眺めていた。

「戦闘訓練とはツイてるな…、本当にツイてやがる……
 俺が手を下さなくてもアイツが勝手に殺してくれるんだものな……
 俺の『天命眼Lv1』の力でな……」

能力説明――

『天命眼Lv1 -神の見えざる右手<リーディングハピネス>- 』
発動中、半径100メートル以内に居る生物の体に傷がついたとき、効果が発動される。
傷つけられた対象の効き手の甲に数字が浮かび上がる。この数値は対象の肉体年齢と同値である。
それ以降、傷付けられる度にこの数値は減少し、 0 になったとき、対象の生命が剥奪される。
本体を気絶させるか、射程距離内から離脱することでリセットされる。

851柊宇都 綾:2012/02/05(日) 22:40:16 ID:oB5LASG.0
>>850
突き出した右腕をそのままに、前進する。
そうして、突き差しと共に左腕の刃を振り下ろそうとした。
が、そこに襲い掛かるナイフが行く手を阻む。
「……!?」
目を見開いて、左腕を反射的な動きで大きく振る。
ナイフは弾かれ、少女の背後で落ちた。
急な動きのせいで攻撃が続かなくなった為に、武器を下ろす。
それだけの為では無く、一応、確認の為。

「……迷い?
 吸血鬼は、軟じゃないぞ……?」
少女に、そうやって投げかける。
言葉足らずだが、少女の事を心配しているのだろう。

852ヴァージニア:2012/02/05(日) 22:50:32 ID:I4JWtRrg0
>>851
まさか自らが攻撃を受けているとは、夢にも思わないだろう。
だから、数字は気にしないことにした。

「迷って……、ません……」
生き残る為に戦う。今あるのはそれだけだ。
『影殺しLv2』を発動する。能力伝染の効力は不利になるので使わない。

「続けてください……!」

ところで、背後に落ちたナイフだが、偶然にも横切っていたネズミに命中していた。
命中したネズミの背に、 1 という数値が浮かび上がる。

853柊宇都 綾:2012/02/05(日) 23:06:11 ID:oB5LASG.0
>>852
右手の刃を投げ上げると、空になった手は背中へと向かった。
背中にも大きく入ったスリットの裏側には、隠しナイフ。
持ち手から刃までが一律板状になっている物。先ほど木を突き抜けた物と同じもの。
「……続けるぞ」
刃をヴァージニアの足目掛け投げつける。

単眼による通常の人間より劣る視界が、
一対一と言う限定的な状況から来る狭まった意識が、彼女の中でネズミの存在を無かった事にした。
偶然でも起こらなければ、ネズミには気づかない。綾は器用な人間ではないのだ。

854ヴァージニア:2012/02/05(日) 23:11:15 ID:I4JWtRrg0
>>853
(はやい…ッ!)
隠しナイフの存在に気付いたときには、既に足に命中していた。
これもまたカウントに入る。『13』という数字が右手の甲に刻まれている。

「接近できない……、弾かれる……、それなら……ッ!」
刺さったナイフを手に取ると、空に向かってそれを投げる。
狙いはもちろん、自らの能力を生かす為。
自分の投げたナイフの影が、綾の影と交われば、それはダメージとなる。
そしてもしも命中すれば、例外なく襲われる……『天命眼』の魔の手に。

855柊宇都 綾:2012/02/05(日) 23:23:57 ID:oB5LASG.0
>>854
「解っている……」
少女の能力を理解していた。
先日の戦闘で、自らが明かしてきたのだから。

影を重ねれば問題ない。
そして、それくらいはできるスピードは有していた。
合わせようとしてくる少女の先を読み、思い装備に似合わず軽快に足を動かす。
ナイフが地面に刺さろうとするとき、影は重なっていなかった。
しかし、頭上に放り投げた大剣が、二人の影を繋ぎあわせ、
「見誤った……!?」
右肩に鋭い一撃を与えた。
痛みを極端に嫌う少女が、露出した部分に傷を受ければ明白だ。
その傷を見て、ナイフを引き抜こうとする。
視界の端、手の甲に、不気味な数字が映ったのを認識すると、思わずナイフを退かそうとする左手を止め、眺める。
「……?」

856ヴァージニア:2012/02/05(日) 23:30:45 ID:I4JWtRrg0
>>855
その数値を確認している間が、綾の隙となっていた。

「まだまだ…ッ!」
手にしたナイフに魔力を込める。その属性は風だ。
ナイフに纏わりつく風は、次第にその形を複数の鋭利な刃へと変え。

「行けッ!!」
数発の風の刃を、綾に向かって飛ばし始める。

857柊宇都 綾:2012/02/05(日) 23:51:29 ID:oB5LASG.0
>>856
「……何……!?」
風の刃が向かう。
綾はヴァージニアの魔法を知らない。
それの存在を、その使い方を。
それ故に対抗策が無いと思われていた、
しかし、大剣を逆さにし、自身の前に縦として差し出し、前進。

「鋼鉄の、ブレードは!」
カン、カン。
風を、刃を、その巨大な刃で受けながら進んでいく。
いくつかは綾の手を削り、生命の灯ったの蝋燭の数を減らしていくが、それにも恐れずに進む。

「こう、使うッ!!」
少女の目前まで迫った所で大剣を投げ捨て、飛び込む。
腕を伸ばし、少女の身体を抱き入れんとするだろう。

858ヴァージニア:2012/02/06(月) 00:02:53 ID:I4JWtRrg0
>>857
「剣を盾に……!」
その大きさでも軽々扱えている大剣を前面に押し出し、盾として使う。
これこそがヴァージニアも憧れる、戦闘センス。土壇場の閃き、危機の回避方法。

「……!?」
いきなり大剣を投げ捨てたと思ったら、抱擁されていた。
このまま、締め上げるつもりなのか。それとも……

「この数値……」
綾の腕にも不気味な数値が浮かび上がっていた。
いったい、これは何なのか。
// 綾の外見年齢が知りたいです。外見年齢=最大ライフとなり、受けた傷の数で減算すると残りライフになります。

………

「気付きやがったか……?
 気付いたなら仕方ない……、俺が直接狩りに行こう……
 『暗黒の渦<スパイラルシェード>』一の吸血鬼狩りの実力を持つ、この俺がな……」
この男はその能力ゆえ、何度も吸血鬼を狩ることに成功してきた。
不死身の肉体を持つ異形を倒すには、『天命眼』の勝利条件がもっとも簡易だ。
物陰から二人の様子を伺う。……恐るべき刺客が、迫る。

859柊宇都 綾:2012/02/06(月) 00:13:06 ID:oB5LASG.0
>>858
「緊急事態……だ」
彼女は冷静であった。
常に静の姿勢を取っている故に、それに気づく。

//外見は……割と大人っぽいです。体つきとか。中身は18です。

しかし、この原因が何処に居るのか。までは解らない。
背後に異形の馬を呼び寄せ、周囲に目を凝らす。

860ヴァージニア:2012/02/06(月) 00:21:58 ID:I4JWtRrg0
>>859
// うーん、『18』として、数発の風の刃の傷を考慮して『16』スタートでお願いします。

綾の利き手の甲に浮かぶのは『16』。
ヴァージニアの利き手の甲に浮かぶのは『13』。

周囲にその姿は見えない。どこかに潜んで能力を発現しているようだ。

……

「アイツは『13』…、俺ってツイてるぜ……
 『天命眼Lv2』……、神の手<ゴッドハンド>なら気付かれることなく――」

能力説明――

『天命眼Lv2 -神の右手<ゴッドハンド>- 』
『天命眼Lv1』の効果を半径200メートルまで拡大する。
カウントが『奇数』となっている者を対象とする。対象となった人物を巨大な光の拳で空間を越え、どこからでも攻撃できる。
その拳で傷を付けられなくても、殴った衝撃だけで 1 削ることができる。

「――殴って、そのライフポイントを削れるって寸法よォ!」
巨大な光の拳が虚空から出現し、ヴァージニアを殴り抜ける。
カウントが『12』となる。

「この 1 のアドバンテージが大きいんだ、これがぁ〜」

861柊宇都 綾:2012/02/06(月) 00:30:38 ID:oB5LASG.0
>>860
//了解!

「ヴァージニア……目を凝らせ。
 人の敷地に、土足で……一度、礼儀を教え込む必要がある」
左手の籠手を外す。そこで彼女は眼を凝らした。
左手の甲に現れた奇妙な刻印。それは16を差す。

862ヴァージニア:2012/02/06(月) 00:42:21 ID:I4JWtRrg0
>>861
男の名前はオイゲン・スタンハルト。
暗黒の渦<スパイラルシェード>の賞金稼ぎの一人で、吸血鬼などの異形狩りを得意とする。
その能力の異質さは、仲間内でも認められており。
暴力団同士の抗争に介入し、『天命眼』の能力で皆殺しをして解決したこともある。

「大事なのは、傷の数だ。傷さえ作っちまえば、それはカウントになる。
 この攻撃で、位置はバレるだろうが、手数が多い。上手く行けば、一人持って行ける」
魔力によって無数の光の剣を生成し、自らの周囲に配し――

「吸血鬼っていうのは、自分の傷を心配してないからよ。
 馬鹿正直に突っ込んできたり、わざと攻撃を受けるパフォーマンスをする。
 死ぬと分かってない奴が死ぬ時が、快感を覚えるんだ」

――射出する!

………

「リョウ様、危ないッ!!」
敵の攻撃を一早く察したヴァージニアは、射線上へとその身を移動させ、綾の盾となる。
彼女は綾が『吸血鬼だから死ぬことはない』と思っているが、『痛みを極端に嫌う』ということから、自分の身を犠牲にすることを選んだのだ。
大量の光の剣によって、ヴァージニアは無数の傷を負い、そして……

示した『0』と共に、ヴァージニアは倒れ伏せた。
これによって綾は理解するだろう。『天命眼』の恐ろしさと、敵の位置を。

863柊宇都 綾:2012/02/06(月) 00:50:40 ID:oB5LASG.0
>>862
意識した少女の行動は素早かった。
剣の場所から相手の場所は理解できた。
迅速に近づき、右手に持った巨大で超重量のそれを、振る!!

「ヴァージニア!!!」

864オイゲン・スタンハルト:2012/02/06(月) 00:57:28 ID:I4JWtRrg0
>>863
『天命眼Lv1』は、カウントが 0 の者を例外なく生命を剥奪する。
もう口も利くことはできない。

「ちぃ…、はぇえ!」
綾の振るった大剣は、オイゲンの肩を切り裂く。だが致命傷には至らない。
オイゲンの利き手――つまり右手の甲に『24』という数値が浮かぶ。
本人に対しても『天命眼Lv1』は例外ではないのだ。

「こいつに繋がりを持つ者は、全部消せと命令されている……
 テメーも一緒に、地獄に送ってやるよ!」
距離をとって、再び無数の光の剣を構成する。
先ほどとは違い、その攻撃はどこから来るか分かっているはずだ。

「喰らえッ!」

生命を食いちぎる輝きの刃たちが、射出される!

865柊宇都 綾:2012/02/06(月) 01:12:59 ID:oB5LASG.0
>>864
「……ロウリッド」
そう呼ぶと、異形の従者が少女の前へ飛び出した。
雷を纏い、その姿を変化させる。紅蒼の光を灯した規格外の大剣。
二本のそれらが盾となり、光の刃の殆どを遮断する。
甲に刻まれた数字は14……2つ、喰らってしまったようだ。

だが、それだけでは終わらない。
盾のおかげで被害が最小限に抑えられ、動くことに制限は無かった。
更に形を変えつつある大剣に手を伸ばしながら、さらに詰め寄る。
彼女が刃を手にしたとき、二本の刃は合体し、より大きなものへとなっていた。
それを、全力で男に向かって、振る。

866ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 01:14:42 ID:Ca0M7x2o0
小高い場所から見渡す青年がいる。
この辺りで戦闘が起こっていることは物音から察知していた。
ただ、この都市で戦闘行為がさも珍しくないことは、
最近新たにやってきた彼でもなんとなく理解している。

特に、これは『本気の戦闘』の音ではない。
勘を頼りに両の目を凝らし、ついに現場を見つける。

「(…あれは、たぶん訓練か、ちょっとした喧嘩、じゃれ合いか?)」

一方はヴァージニア。彼が始めて都市にきて出会った少女だ。
もう一方は初見だが、屈強な戦士であることは容易に見て取れた。。

違和感を感じたのは、二人が戦いを止めていること。
何かを警戒している…まるで共通の敵がいるかのような気配だ。

『…寸法よォ!』

声。かすかだが、確かに、何者かの声。
周囲を見渡すと、明らかに異質な存在…少女二人を狙う、刺客…を発見する。

「……ふむ……」

たしかヴァージニアは、自身に賞金がかかり、
狙われていると…そのようなことを話していた。
ではあの男は、彼女を狙う刺客だろうか……?
遠巻きに、様子を探っていると、

「……!」

光の剣。明らかに殺すつもりで狙っている。
青年は駆けた。 彼女たちはまだ気づいていない!
だが遅く、無残にも、彼の目の前でヴァージニアは倒れた。

----

>>864
「不意打ちは好きか?」

居るはずの無い『四人目』の存在。

「悪い。彼女に用があったんだけど、勝手に殺したからさ」

オイゲンの頭上に跳び上がった彼は、光る鞭で彼の首元を狙う。
それは速く、並の人間ならば確実に一撃で意識を失う鋭さを持っていた。

「混ぜてもらうわ」

867オイゲン・スタンハルト:2012/02/06(月) 01:24:21 ID:I4JWtRrg0
>>865
「神の右手<ゴッドハンド>!!」
相手の残りライフは『14』。偶数なので空間を越え、どこからでも攻撃することはできないが……

「お前が俺を倒す方法は二つある」
巨大な光の拳を、大剣の刃に打ち込むことで衝撃を緩和。
魔力で作りだしたものなので、本体へは届かない。

「一つは俺の能力を利用し、命の火を削ることだ。もう一つは、シンプルに俺を倒すことだ。
 人間である俺は、後者の方がずっと楽かもな――」
光の剣が未だに空中に無数に漂っている。
これらの剣群はまた、綾を穿つ為に放たれる。

>>866
「――そう、こんな感じにな!」
神の右手が振るわれる。光の鞭は輝く拳と相殺された。

「お前は人間だな、だったら後者で行くぞ――
 『天命眼Lv3』、解禁だ!!」

能力説明――

『天命眼Lv3 -神の右腕<メタトロン>- 』
『天命眼Lv1』の効果を半径300メートルまで拡大する。
『天命眼Lv2』で殴ったときに減算される値が 1 増える。
全てを焼き尽くす『神火』が半径300メートル以内に降り注ぐ。

雨のように降り注ぐ『神火』。
これに貫かれた者は、溶鉱炉の中に飛び込むような、そんな感覚を抱いて焼け死ぬ。

「さぁ、デスマッチの開幕だ!」

868柊宇都 綾:2012/02/06(月) 01:46:10 ID:oB5LASG.0
>>866
「誰だ……いや、誰でもいい」
視線すら向けずに。
彼女の頭はパンクしかけていた。
手合いの途中に突然の来訪者。それによって愛する存在が倒れてしまった。
その状況で、さらに現れた青年。それは有難い援軍なのだろうが、彼女には違って見えた。
初めの来訪者は、自分で切り刻まなければ既に気がすまなくなっていた。怒りが支配していた心で考える。故に。

「消え失せろ」

>>867
結果的に空振りで終わった綾は、持て余した力に振り回される……筈だった。
しかし、刃を手放すことで余った力を放棄し、攻撃の姿勢を維持することが出来る。
放られた大剣は空中で従者へと形を戻し、翻って着地する。
主に迫る光の剣に反応し、鮮やかな雷を放ち、相打ちにさせる。

背中のナイフを手に取り、4つ、投げつける。
さらに距離を詰める右手は、腰の刀に置かれていた。

869ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 01:53:01 ID:Ca0M7x2o0

>>867
予想外の反応速度に驚くも、それでも冷静に次の手を繰り出す。
単独で動く刺客なのだから、よほど自分の力に自信があるのだろう、とは経験則から理解していた。

「どこにでもいる…弱くて臆病な人間だよ」

弾かれた光る鞭は、二つに分かれ、片方は翻り、青年の頭上で変形する。
この鞭は空気でも操るかのように、自由に性質を変化させた。
鞭は先から薄く広がり、鉄のように固く、ゴムのように柔軟な盾となる。

この盾は球状に湾曲しており、受け止めるのではなく、受け流すものである。
完全に防げなくとも、直撃を避ければいい。
天から降り注ぐ熱源を上手く弾き、致命傷は防いでいる。
覆いきれない手足の先には焼け焦げた傷を作り、
青年の手の甲に光った数字は、瞬く間に減少し<<4>>を表している。

「だから、保険に入ってないのが心配で仕方ない」

もう一方に分かれた鞭は、地面に突き刺さると急収縮し、青年の落下を加速した。
青年の左手に握られているのは、光のナイフ。

>>868
「味方」

そう短く答えると、綾の攻撃を見ながらタイミングをあわせ、
落下加速しながら、オイゲンの首を狙う。

870オイゲン・スタンハルト:2012/02/06(月) 02:02:12 ID:I4JWtRrg0

>>868
「冷静じゃねぇな……、終わったな、オマエ」
それでも、これ以上のカウントをさせない為の努力を怠っていない。
この都市に住む者は、戦闘センスが本当に高い。

(ちっ……、カウントが『奇数』になれば、神の右手のラッシュが撃てるのに……)
彼には究極の必殺奥義があった。
『天命眼Lv3』の効果で、神の右手は相手に衝撃を与えるだけで 2 だけ生命を削れる。
さらに『天命眼Lv2』は『奇数』の時にどこからでも攻撃できる優れものだ。
だからこそ、『天命眼Lv3』が発動した時点で、『奇数』ならば勝利は確定していたのだ。

「何としても与える…、 1 ダメージを!」
三つのナイフは彼の体に食いつき、『21』の数値を右手の甲に刻む。
しかし、最後の一本を手に取ると、それを綾に向かって投げ返す。居合いの型を取っていることも知らずに。

>>869
「『4』だと……、奇数、奇数はまだか……!」
奇数は彼の中で美しい数字だった。
対になっていない孤高の数字。そのアンバランスさが大好きだった。

「いや、奇数じゃなくても……『4』なら……
 神の右手<ゴッドハンド>二発で、ノックアウトじゃねーか!」
神の右手を具現化させ、構える。

「ブチ込んでやる……!」

// 次でラストターンになります!

871柊宇都 綾:2012/02/06(月) 02:10:11 ID:oB5LASG.0
>>869
「だから何だ。消え失せろと言っている」
舌打ち。のみ。

>>870
何故だ。
偶の日に愛する存在と口を交わし、頼みを受ければこのザマだ。
一度、思うがままに感情が爆発し傷つけたことが悪かったのか。
もう、どうしようもない、今までの全てが悪かったのか。
何が、どうしてこうな……―――!!

完全な注意不足。
思考の果てに目の前を見ていなかった少女は肩を打ち抜かれ、転倒する。
傷の数は、一つ。

872ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 02:24:55 ID:Ca0M7x2o0
>>871
不快に思われるのも致し方ない。ここは彼女のテリトリーなのだ。
ただ、ヴァージニアを殺した者を放置してはいけないという、共通の理念を持っている。
この場は取り合わず、戦いに集中する。

>>870
落下ざまにナイフは振らず、着地と同時に、光の鞭は霧散する。
青年の周囲にジャスミンの強い《香り》が漂う。

「ルールは理解した…0にすれば勝ちか」

一瞬漂った《香り》は急速に集まり再形成され、能力制御下に置かれる。
光は『釘』を形成し、空中に静止した。
それも、10本や20本ではなく、100本近くが弧を描いた壁のように並ぶ。

「―射程圏内―」

光の釘の斉射、すべてオイゲンへと向かう。
釘は物理的な手段で防御できるが…面による攻撃、回避は困難。

873オイゲン・スタンハルト:2012/02/06(月) 02:36:37 ID:I4JWtRrg0
>>871
「『13』…?」
トリガーとなる一撃が――綾の肩を貫いた。

「『13』……!
 奇数が……、奇跡が……、ツイてるぜ……俺はよォ〜!!」
『天命眼Lv2』の力が振るわれる。
対象のカウントが『奇数』ならば、空間を越えてどこからでも攻撃できる。
これこそが彼の狙っていた、究極の必殺奥義。
有無を言わさず生命の灯を根こそぎ削り取り、数多くの吸血鬼を消し去ってきた能力。
反則スレスレの異能が、綾に牙を剥く!

「死ね!」
振るわれる拳(-2)。
「死ね!」
悪意を持って、振るわれる拳(-2)。
「死ね、死ね!」
殺意を持って、振るわれる拳(-4)。
「死んでしまえ!」
怒涛の神の右手<ゴッドハンド>によるラッシュが行われ、(-4)

「ラスト一発だぁぁぁ!!」

>>872
「――とその前に、コイツの駆除が先か」
ミチの狙いは頸動脈だろうと察した。
これをナイフで切れば、人間であるオイゲンの生命活動は停止する。

「神の右手<ゴッドハンド>、二発叩きこんでやる!」
振るわれる巨大な光の拳、ミチがそのまま攻撃してたならば、カウンターとして入っていただろう。
ところが、彼は来なかった。巨大な拳が視界を悪くしていたことで、最悪の事態が起こっていることに気付くのが遅れた。

「な、なんだと!?」
光の釘の一群が、オイゲンに対して飛来する。
拳をガードとして使うも、完全に隠しきれなかった体の一部は露出している。

「人間が……ただの人間が、この俺を……!」
自分が倒されるとき、それは人外の仕業によるものだと考えていた。
しかし今、自らを討とうとしている存在は、他ならぬ人間なのだ。
彼の誇りが崩れて行く。『異形殺し』として名を馳せたオイゲンが、ただの人間に殺されていく。

「やめろォ!」
傷と共に手の甲に浮かび上がる数値は減算していき、

「お前なんかで死にたくないッ!」
『0』の値を、刻み込んだ。

『天命眼Lv1』は、本体であるオイゲンですらも、例外なく生命を剥奪した。

……

オイゲンは倒れ、『天命眼Lv1』の効力は途絶えた。
それによって、綾の、ミチの手の甲に刻み込まれた数字は消滅した。

かくして、柊宇都邸敷地内で起きた『異形殺し』オイゲン・スタンハルトとの戦いは終わった。
ヴァージニアの死を、その地に刻んで。

// ここで終わりとなります。お疲れさまでした!

874ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 02:51:52 ID:Ca0M7x2o0
//お疲れ様でございました、突然の乱入で長引かせてしまい申し訳ない

青年…ミチの言葉は無く、ヴァージニアの死に悲観した。

倒れた綾に視線をやり、その傷を伺い―無事を察する。
その吸血鬼らしい再生能力により、傷は徐々に回復しつつあることを認めた。

たまたま綾のテリトリーの近くを通りがかっただけの身。異物なのである。
ここに長く留まれば、自分の身も危うい。
時期に眼を覚ますであろう綾にヴァージニアを任せることにして、早々に退散することとした。

875名も無き異能都市住民:2012/02/06(月) 21:15:48 ID:YlmP5ogI0
(1/1)

暗黒の渦<スパイラルシェード> Act5
〜 BEYOND THE DESTINY 〜

此処は賞金稼ぎギルド、暗黒の渦<スパイラルシェード>の本拠地となる酒場である。
酒場の主人は――ギルドマスターなのだが――数枚の写真を、ユーグという男に手渡す。
彼は写真を手に取ると、それを訝しげに眺め始める。

「君に始末してほしいのは、これだ」
酒場の主人は、写真を指差して標的を示す。写真に映っている面々は緑髪の少女に関わった者たちだ。

「こいつらを始末して、暗黒の渦<スパイラルシェード>の機密は保たれる」
「………」
ユーグはこの組織で働くことが嫌になっていた。
幼い頃に命を助けられたことに対して、確かに恩を感じてはいるが。
だからといって、悪事の片棒を担ぐのは彼の持つ正義感が許せなかった。
しかし、暗黒の渦の持つ力は強大だ。逆らえばどうなるかは分かっている。

「分かりました……」
けれども、彼の中にふつふつと湧き起こる怒りを治めることはできなかった。
力をつけたらいずれ、このギルドを潰してやると考えていた。

このギルドは、情報統制というケチなプライドで、彼の妹の命を散らしたのだから。

………

ユーグは標的を探す為、広場に出ていた。
とにかく、まずは任務を遂行することだ。そうでなければ、信用を失うことになってしまうからだ。

「指定された通りに……、騒ぎを起こそう……」
しかし、どう見てもやる気がない。いや、やりたくないのだ。
無関係な人を巻き込んで、さらに情報統制の為だけに人を殺めることなど。
……背に携えた鞘から、翼の装飾のあるロングソードを引き抜くと、魔力を込めて詠唱する。

「『風殺陣』!!」
広場全体を巻き込む、巨大な竜巻がうねり、周囲の建築物をずたずたに刻む。
異能を持たない者は悲鳴を上げ、逃げ惑っている。
このまま騒ぎが大きくなれば、出てくるかもしれない。彼の狩るべき、標的が。

876防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 21:23:26 ID:WVrfsEdY0
>>875
【飛んで火にいる夏の虫、の如くそこには一人の制服を着た少女が現れた】
「また異能者の騒ぎですか…今回もやっぱり誰かなんでしょうかね」
【おもちゃがいろいろはいった風呂敷包みを背中に抱えて既に準備万端といった感じである】

「それ以上騒ぎを起こしたら許しませんよ!!」
【渦の中心に居るであろう人物を指さして大声で答えた】

877天沢 裕太:2012/02/06(月) 21:24:03 ID:xm/dFKGs0
>>875
「どっちだ…?こっちか…?」

広場を少し頭を押さえながら歩く。頭の中には妙な声。
呼んでいる様な、囁いている様な。だがノイズが混じって何を言っているのかわからない。
俺がふと休もうと思った矢先に、竜巻はうねる、人々の悲鳴とともに。

「!?…何だ…?」

吹き飛ばされた体を空中で回転しながら整え、近くの壁を蹴って地面へ戻る。
悪魔の仕業か…?そう最初は思ったが、もしそうならもっと速く気づいたはず。
つまりこれは人にして人ならざる力―――異能のモノと考え直した。
俺はロングソードを持った男を目にしながら、懐の輸血パック100mgを口にする。

878ドーラ:2012/02/06(月) 21:26:13 ID:7gFzKdaU0
>>875
「どぉぉぉりゃぁぁああぁあぁっ!」

そんな叫び声と同時に、周囲に吹き荒れる風の一部が、〝死ぬ〟。
強力な大出力の魔力により風を歪ませて、風の無い場所を創りだしたのだ。
そこに立っていたのは、鮮やかなオレンジ色のつなぎに身を包んだ、浅黒い肌と錆鉄色の髪と瞳が印象的な少女。

全身からどす黒い魔力が膨れ上がり、周囲に死霊の気配をまき散らして立つ姿は、悪霊じみたもの。
その影響で、周囲の人々は一気に逃げ出すこととなり、被害者は極めて軽微で済んだことだろう。
両手首と両足につけられているブレスとバングルから銀色の膜が生まれて、四肢を覆い。
肘から先と膝下は白銀に染まり輝いている。

「また事件か――――!いい加減にしろって!ぶん殴るよ!」

ごきりごきりと拳を鳴らしながら、死霊はよく通る元気いっぱいの声で言い放った。
小柄かつ、威圧感のない外見。だが、纏う雰囲気を読めれば、その内面は決して外面通りではないと理解できることだろう。

879早瀬川巴:2012/02/06(月) 21:28:40 ID:y0dzgPtI0
>>875

その突然の惨劇を、比較的背の低いビルから見下ろす人影が、ひとつ。
セーラー服の上に紺色のダッフルコートを着た、この時期としては少し寒々しい格好の少女であった。
外見は一般人そのものであるが、前の開いたコートから、剣帯で吊られた長剣の柄が顔を出しているのが、
彼女の異質ぶりを演出していた。

「モノを取り返して、ほくほくしながら家路に就けばこれですか。
 異能都市って、やっぱり物騒なのです。退屈はしませんけど、ね」

吸血鬼・早瀬川巴。爆足眼の男の眼を抉った張本人である。

880ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 21:33:11 ID:Ca0M7x2o0
>>875
広場で屋台を広げ、のんびりとお茶を売っていた青年は、
突然の騒ぎに気づき飛び出す。
暴風竜巻で次々と建物の窓が割れ、建築物が崩れていくのを見て、
ひとまず屋台が吹き飛ぶのを防ごうと必死に木と屋台をロープで結ぶ。

「何だ何だ何だ…? 破壊活動…?どこの阿呆だ…?
 まるで騒ぎを起こしたいだけみたいな『力』の使い方じゃないか?」

881ユーグ:2012/02/06(月) 21:36:30 ID:YlmP5ogI0
>>876
「『標的<ターゲット>』の一人……、悪いけど、死んで貰うよ」
剣を構えて、防人を見据える。その男は、先日会ったヴァージニアの兄を名乗る者だった。
その眼光は獲物を狩りゆく目だ。職業柄、スイッチが入るとそういうモードになるのかもしれない。

-剣術 Lv3
 賞金稼ぎとして培われてきた戦いの技術。

>>877
「こいつは違う……」
写真にあったターゲットではない。
だからこそ、気絶で済まそうと考えているのだ。

>>878
「『標的』……、君か」
この少女も確か標的のはずだ。防人と同じく、先日出会っている。

「君も……、死んでもらおう……」

>>879
「こいつも『標的』……」
面識はないが、先日ドラグに痛手を負わせた女性だ。

>>880
「『標的』……多いな、本当に」
昨晩、オイゲンを葬った者だ。

882早瀬川巴:2012/02/06(月) 21:45:25 ID:y0dzgPtI0
>>881

「まあ、良い機会だし、試してみるのです」

呟いて、コートのポケットから取り出したのは指ぬきグローブ。
黒い革製の、至って普通のグローブだが、手の甲の部分にボタンが縫いつけられている。
それを両手にはめた巴は、グローブのボタンに、これまたポケットから取り出したパッチを取り付けた。
パッチは白地で、表面に何事かが刺繍されていたが、遠くからではそれを判別することはできないだろう。

「まずは様子見……もしかしたら、私が出なくても終わってしまうかも知れませんからね」

883防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 21:45:58 ID:WVrfsEdY0
>>881
「貴方は…そういえば病院でお会いしましたね」
【少し驚いた表情でユーグを確認する】

「一体何のつもりなんです?
 もしかして実の妹殺しでも頼まれたんですか?」
【そう言うと鶫は風呂敷の中からパチンコを取り出す】

「悪いですが…止めさせて頂きます!!」
【握ったパチンコが金色に光り始める。攻撃準備はほぼ完了しているようだ】

884ドーラ:2012/02/06(月) 21:46:19 ID:7gFzKdaU0
>>881
「ってこの前の――――。とりあえず殴って倒してそれから話聞かせてもらうから」

ふん、と鼻を鳴らして少女は貴方を睨みつけて。
直後、ぶちり、とつなぎの背中が破れて、両肩の肩甲骨の辺りから二本の砲塔が生えてくる。
肌の色が更に黒くなり、赤錆色の髪の色は、固まった血の赤に性質を近づけていく。

油断はできないと判断。最初からフルスロットルで、死霊の群体、群体の軍隊としての力を解き放ち始める。
口を開き、少女は百数人の声が折り重なる音声を吐き出した。

『我が名はレギオン、我らは大勢であるが故に――』

そこにいるのは既に少女ではない。背から生える砲塔が砕け散り。
空中に双つの召喚魔法陣が浮かび、そこから砲塔が二本飛び出してくる。
砲塔の内部で魔力が加圧されていき、〝砲撃〟を開始しようとし始めている。

885風邪の人:2012/02/06(月) 21:47:03 ID:xm/dFKGs0
>>881
「殺す気は薄い…?
何か目標がいるって事か…?」

相手の此方に向ける敵意は俺以外に向けている物と異なる気がした。
言うなれば獲物以外に目も向けない奴。泰司に似た感じだ。
なら、ちょっとは付け入る隙はあるか?

「Blood alter…アクト1…」

血液の循環する速度を、一段上げる。
まずは奴がどうやって動くかを考えろ、頭に血液を回し思考しろ…

886ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 21:53:27 ID:Ca0M7x2o0
>>881
対面し、それが相当の実力者であることを確認する。

「『標的』…?
 恨まれる覚えは…あるな。…昨夜の男のツレか?
 暗殺ならもっとスマートにやるんだな、
 それこそ、あの男のほうが暗殺者然としていたと思うが」

警戒しつつ、動きを待つ。

「騒ぎを止めて帰ってくれんか。商売の邪魔だ」

887ユーグ:2012/02/06(月) 21:57:24 ID:YlmP5ogI0
3

>>882
「対多人数の戦闘は、過去何度もやった……
 その極意は……、優先順位を付けて戦うことだろう」
巴は現在様子を見ているだけだ。危機としての順位は低い。
ただ、隙を見計らっているのかもしれない。だからこそ、確認は怠らない。

>>883
「妹は……、死んだ……」
攻撃の予備動作は完了しているようだ。
まずは武器を狙うことにした。相手の攻撃を止めることが鍵だ。
ウィングソードに風属性の魔力を帯びさせて、防人に対して飛ばす。
幾つもの風の刃となり、飛来する。狙いはその光り輝くパチンコ。

>>884
「飛び道具、か……」
防人に対しての防御行動を先に行っている為、複数の攻撃には対応しにくい。

「止むを得ない……、来たら能力で止める……」

>>885
「君は……気絶させる」
まだまだ相手は様子を見ているだけ、優先順位は低い。
攻撃をしなければ、反撃はされないと思っている。

>>886
「俺は、纏めて戦うのに慣れている……
 これは暗殺じゃない、皆殺しだ」
彼はどんな戦いでも勝ってきた。組織の恩義に報いる為に相応の努力をした。
だからこそ、強い。

888ドーラ:2012/02/06(月) 22:02:35 ID:7gFzKdaU0
>>887
右手を振り上げて、砲塔の砲口に魔方陣が浮かび、魔力が循環し始める。
そして、右手を強く振り下ろしながら言葉を紡ぐ。

「状況開始、ナンバリング――――アイン、ツヴァイ発射――――――!」

そういった瞬間、砲塔が赤熱し、黒焔の魔弾が二発、青年に向けて撃ち放たれる。
同時に吸い込まれるように砲塔は消えていき、魔弾の後ろを追う様に、少女もまた〝発射〟される。
足元に魔方陣が浮かび、射出された少女は魔弾のコンマ数秒後に青年に向けて拳を振るい、腹部へ拳を叩きつけようとすることだろう。

889防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 22:03:52 ID:WVrfsEdY0
>>887
「…死んだ?」
【その言葉を聞いて不覚にも鶫は玉を発射しようとした手を止めてしまう。】
【その結果】

「うわっ!」
【風の刃が握られていたパチンコを弾き飛ばし、遥か後方に飛ばしてしまった】

「くっ…どういうことです!
 あの子が死んだなんて…そんなわけ!」
【明らかに動揺が見える…まるで心の芯に何かが刺さったようである】
【慌てて次の武器を取り出そうとしているが、中々力を入れられないように見える】

890天沢 裕太:2012/02/06(月) 22:06:01 ID:xm/dFKGs0
>>887
今、奴の優先順位は低い…生憎と俺の能力は単体向け。
正直この状況では何も出来ないのだ。
逃げる算段を立てて―――去り際に一撃を加える…!
それが俺の立てたこの場で役に立てる方法だった。

「血液武装…投剣…」

銃に弾を込めるように、脚に力を込めて。
何時でも剣を作り出せるように準備をして。
じっと動きを潜めて、タイミングを待つ。

891ミチ ◆nHAHvndVGw:2012/02/06(月) 22:07:14 ID:Ca0M7x2o0
>>887
// すみませんが離脱させていただきます

「悪いが殺されるつもりはない。
 私は薄情者だから…じゃあな?」

青年は反転、全力でその場から逃げ出した。

892早瀬川巴:2012/02/06(月) 22:10:56 ID:y0dzgPtI0
>>887

向こうはこちらを頭数には入れていないようだ。
まあ、当然だろう。この位置は、単なる野次馬だと言い張っても通じる距離。
そう判断した巴は、場に集まっている能力者らしい人物を、指折って数え始める。

「ひい、ふう、みい、よう……四人ですか。これは袋だたきにあって終わりでしょうかね?
 ああでも、一人で騒ぎを起こしたって事は、それなりの力も持っているということでしょうか?」

自分だけの意志ではないとはいえ、巴も以前、似たような騒ぎを起こしたことがある。
あのときもこちら一人対複数の能力者、という構図になった。
能力的には拮抗していたために、巴は今もこうして五体満足で居られるが、彼は果たしてどうなのだろうか。

「興味がわいてきたのです。これは面白いことになりそうです」

893ユーグ:2012/02/06(月) 22:18:54 ID:YlmP5ogI0
>>888
「ぐっ……」
一発目の魔弾は、彼の肩を掠める。二発目の魔弾は、彼の脇腹を掠める。
三発目は……

「能力で止める……!」
三発目、彼女自身を弾丸とした攻撃が迫り来る。

「『浮け』……!」
彼女の体に触れた瞬間、宣言される『浮け』という言葉。
するとどうだろう、彼女の速度ベクトルがいきなり無となり、ふわふわと浮き始める。

能力説明――

『浮遊眼Lv1』
相手に触れて『浮け』と宣言することで空中に浮遊させる。対象は空中で推進力を得る方法がなければ、移動することが困難となる。
滞空時間、地面からの距離は触れた時間の長さに比例する。

>>889
「死んだんだよ……、もう帰ってこない……」
ウイングソードに魔力を込めると、次の攻撃の準備を行う。

「……」
横薙ぎに振るわれる武器。
それと同時に風属性を帯びた剣の衝撃波が一直線に防人へと向かって行く。

>>890
武器を手にしたことを確認する。
どうやら、騒ぎを鎮圧する為に攻撃を仕掛けてくるらしい。
油断はできないが――>>881で『標的』が逃げて行くことを視認すると。

「逃げられる……!」
少しだけ焦りを見せ、隙を生じさせた。

>>891
// 把握しましたです。

>>892
「さて、あいつはどうしたんだろうか……。
 先ほどのやつと違って、逃げるわけでもないし、戦おうとしているわけでもない。
 ……、楽しもうとしているんだな」
様子を眺めて、もしもそれが強い奴だと認識すれば、戦おうとするタイプ。そう勝手に思い込んだ。
この女性からは血の匂いを感じる。業の深さも感じる。……感覚的にだが。
だとすると、気を抜くわけにはいかない。

894ドーラ:2012/02/06(月) 22:24:28 ID:7gFzKdaU0
>>893
「レギオンたる私達を、そう簡単に止められると思わない方が良い。
戦場で死に、戦場から生まれた悪霊を――――舐めていると死が見えるぞ?」

声は、男性の色が濃いが、女性も中には混ざり、子供の声すらも聞こえている。
青年が能力により彼女を浮かばせようとすればその瞬間、薄気味悪い感覚を感じるだろう。
まるで、革袋の中に沢山の子鼠が詰まってうごめいている所に触れてしまったような、そんなおぞましさ。

空中でそのまま笑みを浮かべて――――右足を真上に振り上げて、〝空中を蹴る〟。
直後、足を振り上げたその先に魔方陣が浮かび、右足をそのまま真下に射出。
かかと落としが、頭上から襲いかかってくることだろう。空中戦は苦手どころか戦略の一つ、それ程動揺する事は無い。

895防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 22:24:36 ID:WVrfsEdY0
>>893
「そんなわけ…そんなわけあるものか!!」
【動揺しているのか、ふだんとは口調が変わり声を荒らげている】

「あの子は…そう簡単に死ぬわけ…私がそう簡単に死なせちゃ…」
【ブーメランを取り出し力を込めて】

「う、嘘よ!!」
【勢い良くユーグに向けて投げつけた。光り輝くブーメランがユーグに迫る】

896早瀬川巴:2012/02/06(月) 22:31:03 ID:y0dzgPtI0
>>893

「おやおや……一人どこかへ行ってしまいましたね。
 しかももう一人、逃げ腰というか、やり過ごそうとしてるような感じの人も……。
 これはちょっと、良くない傾向なのです」

複数人を相手取って戦っているあの能力者は、自分から騒ぎを起こした。
騒ぎたいだけの、少し頭がイってるような輩ならそれはそれで良いが、目的があって騒ぎが起こされたのならば、
その目的が完遂されるまで、彼は散発的に同様の騒ぎを起こすだろう。
そして、そのとばっちりを受けるのは、大体が力を持たない一般市民だ。

「……どこにも、こういう人がいるものですね」

やりきれないようなため息を吐いて、巴はためらいもなくビルの屋上、そのフェンスを跳び越えて、
足場のない空へと身を躍らせた。
真下の地面までは十数メートルあったが、軽やかに着地した巴に、その高さから落ちてきた影響は見られない。

「さあて、鉄火場の門はまだ閉じていませんでしょうかね?
 飛び入り参加ですよー!」

乱れた髪を撫で払うと、巴は戦場となっている広場に足を踏み入れた。

897天沢 裕太:2012/02/06(月) 22:32:44 ID:xm/dFKGs0
>>893
「Blood alter…アクト2!加速、脚!」

循環を加速させ、チーターの様な速さで目の前の男を猛スピードで通り過ぎようと加速する。
通り過ぎるのは男の右側――!!そして―――!

「射出準備、投剣…!!」

通り過ぎた瞬間に振り向かず後方の相手に向かって剣を放つ―!!
通り過ぎる事ができれば剣は放たれる、だが、逃げられるかは解らない。
攻撃は出来ずとも逃げられれば御の字だ…!!

898ユーグ:2012/02/06(月) 22:41:06 ID:YlmP5ogI0
5
>>894
空中戦を得意とする人物であったことが幸いした。浮遊空間において、それができない者は地を這う虫たちに等しい。
強烈なかかと落としが迫りくる。これを頭上に掲げた左腕でガードを行う。ビリビリとした衝撃が全身に走る。

「『影殺しLv1』……」
いきなりウイングソードを地面に突き刺そうとするユーグ。
その地面には、ドーラの影があった。

能力説明――

『影殺し Lv1 』
影を攻撃対象にすることができる。攻撃した影の部位に対応して、影の主にもダメージが行く。
光源があり影の形を視認することができなければ、能力は発動できない。

>>895
「『組織』は強い。現にアイツは死んだ……認めなくちゃならない」
ブーメランにユーグの指が触れ、少し傷ができるが。

「『浮け』!」
途端にブーメランはその軌跡を描くことをやめ、あらぬ方向へと浮遊し始めた。

「強い奴に逆らうことはできない……、支配されるままでなくてはならない……
 それこそが、俺の賢い生き方だ……」

>>896
「来たか……」
ついに訪れた、今まで様子を見ていた人物。
臆していたから、ずっと眺めていた? とんでもない。その風貌から強者の余裕が見て取れた。
現に飛び降りた時に傷一つ付いていなかったではないか。
人間ならば肉体が十分に鍛えられている証拠だ。そうでないならば、もっと危険だ。

>>897
「疾い…ッ」
通り過ぎようとすると同時に、ウイングソードによる斬撃を放った。
当たったかどうかは不明だが……

「くっ……」
背後という死角を突いた攻撃を受け、思わず驚いてしまったユーグ。
右脚から鮮血が吹き出し、アスファルトを赤く染める。

899防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 22:48:53 ID:WVrfsEdY0
>>898
「くっ…何が強い…ですか!」
【少し冷静さを取り戻したのか、今度はおもちゃの鉄砲を素早く取り出す】

「そうやって組織とやらの尻尾にぶら下がって生きるのが賢い生き方ですか…
 妹さんを失ってまでそんなところにいる理由なんてあるんですか!?」
【鉄砲に力を与え始めているのが分る】

「それが賢いなら…バカのほうが100倍マシですよ!」
【そう言って鉄砲の弾をユーグに向けて発射する。どうやら急所は避けて狙っているようである。
 足や腕など、行動を封じる箇所に向けて続けて4発撃ちこんでいく】

900ドーラ:2012/02/06(月) 22:51:48 ID:7gFzKdaU0
>>898
「――――――ッ、ぐ…………ッ、お゛ぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉぉッ!」

かかと落としを叩き込んだ直後、己の身に激痛が走り、腐臭を漂わせる黒い血液が溢れる。
いくら既に死んでいるため死にようが無いとは言えど、痛覚は存在し、体が壊れれば動くことはできない。
だからこそ――――、このチャンスを逃すのは望まない結果だ、あたったのだ、ならば――――。

「加速、加速、加速、重圧、重圧、圧縮、圧縮、弾は私。砲塔は私。
祖国が為に全てを滅せよ、我らはレギオン、祖国が為に死に、祖国の礎となる事も許されぬ物」

かかと落としをする足のつま先に、魔方陣が浮かび、攻撃があたった反動で跳ね上がった足を再度叩きつけることとする。
同じ事が連続で起こり、連続でかかと落としの連打が襲いかかってくることだろう。

「強者に良い様にされるか、男。私達も、強者の言葉に従いしかし、後悔を抱いて死んだもの。
誰かの言いなりではなく、己の心から出る動きで生きてみよ、生ける者よ。
賢い事よりも、〝良くある〟事こそが、求められる物なのだから」

口を動かすこと無く、黒い血塗れの双眸は、青年に向けられる。
脳に直接響く声は、この少女の人型を依代に宿る、数百の兵士、人民の英霊の声である。
間違い、死んだからこそ、正しい道を生者が歩くことをこの怨霊達は望んでいる。

901早瀬川巴:2012/02/06(月) 22:52:44 ID:y0dzgPtI0
>>898

「ええ、来ましたよ。これでも昔はこぢんまりした小市民でしてね。
 あなたの振る舞いは他人事じゃないんですよ」

巴は今や吸血鬼という正真正銘の化け物である。
だが、その大元には十六年の歳月を普通の人間として暮らした記憶があった。
その記憶が、ユーグの行為を承伏できない。彼女がここに来たのは、そういう理由があってのことだった。

「まずはちょっとした手品をば。
 ……気をつけないと火傷しますよ?」

巴は足下にポイ捨てされていた空のペットボトルを二つ拾って、それをポンと真上に投げる。

「……『爆足眼』!」

巴の左目が灰色に染まったところに、落ちてきたペットボトル。
それら二つを、巴はユーグに向かって蹴り飛ばした。
吸血鬼の怪力がそれらに凄まじい速度を与えていたが、それだけではない。
先ほどの宣言を聞いていただろうか? そのペットボトルは、接触すると爆発する特性を与えられていた。
まさに即席の炸薬弾である。

902天沢 裕太:2012/02/06(月) 22:54:12 ID:xm/dFKGs0
>>898
「3……2…1!」

相手の右側を、全力疾走の途中から跳躍して、背後の建物の屋根へ向かう。
その疾走から跳躍までの僅かな時間…少しの間だが相手の背後を取れたであろう位置から。
俺は背後に向かって30cm程の大きさの投剣を射出する――!

当たる保証は無い、相手の背後をとっているかもわからない。
だが、当たっても当たらなくても屋根に飛び乗った時点で逃げ切れることは確かだ。
走り始めた瞬間から相手はこちらに対応を返さなかったのだから。

903ユーグ:2012/02/06(月) 23:04:26 ID:YlmP5ogI0
7
>>899
「俺は組織に『恩義』がある……、それが理由だ、それだけが!
 そろそろ、本気を出すぞ……『浮遊眼Lv2』!」

能力説明――

『浮遊眼Lv2』
自身の体を自由自在に飛行させることができる。
『浮遊眼Lv1』の発動条件を『触れる』事のみに緩和する。効果は触れて離すまでの時間の長さに比例する。

発動が少し遅れ、数発の弾丸が肌を切り裂いたが、ユーグはいきなり宙へ浮き、
ランダムの軌跡を描きながら、凄まじい速度で防人へと肉薄する。

「まずは、浮かせる……!」
防人に背後から接近し、触れようとしている。

>>900
「俺は今、良くあろうとしている……
 だが、その為には、力を蓄える必要がある……お前らはその礎なのだ!」
ギルドを打倒する為には、支配できるほどの力を持つことだ。
だが、自らの力でどうにかしようとしているユーグは、決してそれを達成することができない。
まだ多くの知り合いを持っていたヴァージニアの方が強い。
かかと落としのラッシュを、ウイングソードで何度も弾き<ディフレクト>し、
『浮遊眼Lv2』の効果で、相手の背後へ素早く回ろうとしている。

「制空権、貰った……!」
魔力を込め、威力を高めたウイングソードが振るわれる。

>>901
「弾く<ディフレクト>――ぐ…ぁあああっ!!」
ペットボトルを弾くと同時に、『爆足眼』の力によって爆発が二度起こる。

「奪ったのか……、ドラグの能力を……」
ウイングソードを握りしめ、再度魔力を込め始める。
複数の風の刃を周囲に構築すると、その全てを巴に対して飛ばし始める。

>>902
「甘く見るなよ……、俺の剣術を……」
30cmの大きさの投剣を、ウイングソードによって弾き返す。
その弾き返す角度は、天沢にちょうど向かうように。

「一撃でも与えれば……、戦意を失うだろう……!」

904天沢 裕太:2012/02/06(月) 23:08:43 ID:xm/dFKGs0
>>903
流石に、上手くいくほどじゃあなかったか。
だが、血液武装で作ったその剣は弾かれると同時に空中に血の飛沫を撒き散らす。
急だったが、何とか対応は出来たらしい。

「悪いな!おたくの相手を出来るほど俺は強くないんでね!」

俺は屋根を蹴ってその場から離れていく。
逃げ切れるかは解らないけど。

//タイプ的に叶いそうでないし、そろそろ終わりっぽいので退散させていただきますー。
//駄目ですかね?

905ドーラ:2012/02/06(月) 23:13:51 ID:7gFzKdaU0
>>903
「――――、名を失い。一つの兵器を依代とする我等群体を、滅ぼせると思うか。
力を求めるならば、我らが力になる。男よ、お前が誠の心を以て、求めればこの土地は答えてくれる事だろう。
己一人で何かを出来ると思うなよ、人一人で何が出来るというのだ。誰かを頼ってみるという事を――――――」

全身から吹き上がる黒い魔力が体表で渦を巻く。
そして、背後から振るわれるソードに――――金属音が帰ってくる。

「――――――考えろ!」

体表に浮かべた魔方陣から砲塔を召喚しソードを受け止めたのだ。
しかしながら、うまく軸に当てる事は出来ず逸らすのみとなって右肩が深く切り裂かれる。
黒い血が吹き出すが、その血が圧縮されていき、砲弾として射撃される。
殺すほどの威力は持たず、少女は貴方を殺すつもりは無く――――〝止める〟つもりだと理解できるかも知れない。
このまま誰にも頼らず突き進めば、己のような存在が生まれるかも知れぬという危惧。
だからこそ、考えて欲しいのである。〝誰かを頼る〟という、一人で闘う事よりもはるかに難しい事を。

906防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/06(月) 23:17:15 ID:WVrfsEdY0
>>903
「その恩義とやらは…妹さんの命より重いんですか!!」
【鶫は次の弾を打とうとするが】

「は、速っ…く、ならば接近戦で!!」
【風呂敷から取り出したのは木刀。どうやらそれに力を込めようとしているようである】

「しまった…背後に…!」
【しかしさすがに後方から現れたユーグには対応出来なかった】
「あ、あれ?何がどうなって…」
【宣言通りに鶫の体が浮き始める。突然の感覚に戸惑いながらも】

「どんなことが来ても対応できないと…!」
【どうにか木刀に力を込めることに成功している】

907早瀬川巴:2012/02/06(月) 23:18:59 ID:y0dzgPtI0
>>903

「ええ、美味しく頂かせてもらったのです。
 ド派手に過ぎるので、あんまり使いたくはないのですけれど」

ニヤリと笑う巴は、しかし重要なことを伝えていない。
彼女が得た「爆足眼」の力は、レベルにして1の段階しか得ていなかった。
能力の元の持ち主から血という血を全て吸い上げれば、オリジナルに匹敵する能力を得ていただろうが、
流石に眼球一つだけではそこまで止まりである。
だが、それをユーグに伝える必要性はまったくない。うまくいけば、ミスリードによる隙も生んでくれるだろう。

「そして……私にも得物くらいはあるのです!」

飛来する風の刃を認めた巴は、剣帯に吊ってある鞘から、長剣を抜きはなった。
暗い紅に染まった刀身を持つその長剣を上段に振り上げ、一気に振り下ろしてアスファルトに打ちつける。
響く金属音と共に「爆足眼」の力がアスファルトに浸透し、爆発が起こる。
その爆風がアスファルトを破砕し、飛来した風の刃を明後日の方向に打ち逸らす。

「魔剣よ……!!」

爆発によって場を一時覆った粉塵の中から、もう一度剣を上段に構えた巴が飛び出してくる。
左目は灰色のまま。上段から振り下ろされるその斬撃には、未だ「爆足眼」の力が宿っているということを意味していた。

908ユーグ:2012/02/06(月) 23:48:34 ID:YlmP5ogI0
8
>>904
「『成功』か……関係ない人は巻き込みたくないものな」
徐々に離れて行く、天沢を見送った。これでいい。
不要な争いによって、誰かを傷つけるのは馬鹿らしい。
……いや、この戦いこそが、本当に馬鹿らしいのかもしれないが。

// はい、目標時間的にそろそろ終わりですので大丈夫ですよ。
// お疲れさまでした!

>>905
「ふん、だったら、試してみるといいさ……
 一人の俺にすら勝てないようじゃ、その『理論』も通用しない!」
金属に弾かれたが、ダメージは与えられたようだ。
それと同時に砲弾の射撃が開始される。ウイングソードで弾きを行おうとするが、間に合わない。

「ぐぅッ……、この程度で……!!」
だが、その威力は小さいものだ。殺気を帯びているものでなく、致命傷にも至らない。

「この程度……、何のつもりだ……、何が言いたい……」
ウイングソードに魔力が集まり、風が纏わりつく。

「お前は……、何が言いたいんだ!」
その言葉と同時に解禁される『浮遊眼Lv3』。
仲間という存在の強さを示すには、『個人』の攻撃では足りない……

「もう飛び道具によるガードは不可能だ、死ね!」
魔力により威力を高めたウイングソードが、標的の命を奪う為、彼の強さの礎の為に振るわれる。

能力説明――

『浮遊眼Lv3』
『浮遊眼Lv1』の発動条件を『触れる』事から『視認する』事へと緩和する。見つめた時間の長さで効果は変動する。

>>906
「ああ、重いさ。俺の命に比べたらな」
もし、あの時救われていなければ、この場にユーグはいない。
それに、妹の命を救おうとすれば、ギルドからは裏切り者の扱いだ。自分の命も危ない。

「お前は第三者の立ち位置でしかものを語っていない、それを理解しているのか!」
ウイングソードに魔力を込め、詠唱を始める。
風の刃が次々と形成され、防人の周囲へと漂い始める。

「もし、お前が妹を救えたと考えているなら……看破してみろよ!」
無数に生成された風の刃が、防人を切り刻まんと迫る。

>>907
(まずい…、Lv2以上は俺以上に被害が大きくなるぞ……
 いや、それを分かっていれば……、使ってこない。アイツはLv1しか使わない!)
魔剣を引き抜いた巴を視認する。『浮遊眼Lv3』の効力が襲いかかる。
しかし……

「ちぃ…、煙幕だと……!」
後少しで能力による浮遊が確定していたというのに、
粉塵によって視界を遮られたせいで、浮遊眼Lv3』の効力が無効化された。

「打ちあったら、まずい……!」
剣と剣がぶつかりあえば、爆風には指向性があり、こちらに飛んでくるはずだ。
後ろへと飛びのいた直後、さらにアスファルトに斬撃が放たれ、爆発が巻き起こる。
飛んでくる石の礫により、体中が傷だらけになるが……

「視えるぞ……、お前の姿が……」
『浮遊眼Lv3』の効力が、発揮される!

さらにウイングソードに力を込める。これが最後の攻撃と言わんばかりに魔力を込める。
詠唱したのは最初に広場ごと巻き込んだ竜巻『風殺陣』。それを発動させようとしている!

「終わり<ジ・エンド>だ!」

// 次でラストターンになります!

909防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/07(火) 00:02:07 ID:WVrfsEdY0
>>908
「確かに…私はあなた達の込み入った事情はわかりません…
 それでも、頼むことの出来る人がいれば…あの子は…!」
【ぐっと唇を噛み締めて木刀を振るう】

「私一人では無理でしょう…
 それでも最後まで」
【そう言って大きく木刀を振るい始めた】

「抗って見せますよ!!」
【そうして風の刃をその木刀で受け止めに行くが】
ガン!ガキィン!
【剣術の達人でもない鶫には全てを捌き切ることはできない】
ザクザクザク
「ぐっ…あぐっ!ぐはっ…!」
【鶫の全身を風の刃が次々と切り裂き始める。
 腕のみならず、脇腹、胸などのあちこちから鮮血が吹き出している】
「まだ…一撃…くっ…ぐぅ!」
【つぐみは血にまみれた手を勢い良く振って】

「届けェ!!」
【木刀を全力を込めてユーグに向けて投げ飛ばした。】
【その勢いは明らかに普通に投げるよりも上の速さになっている。一撃の威力もかなりのものになっているだろう】

910早瀬川巴:2012/02/07(火) 00:07:15 ID:y0dzgPtI0
>>908

(避けられた……!?)

地面に起こる爆発の向こうに、バックステップで間合いを開けるユーグの姿を認める。
巴はそれに追いすがろうとしたが、地面を蹴ろうとした足が、何故か、空を切った。

「!?」

足下を見れば、地面との間隔を持つ自分の足。
先ほど、ユーグの能力によって地面から浮かされた能力者を見かけたが、これもその能力だというのか。
そして、彼は今、なにがしかの力を放とうと準備をしている。
何を放たれるかは解らないが、文字通り地に足が付いていない今の状態では、防御も回避も厳しい。

(一か八か、大勝負でもやってみるのです……!)

そこで巴は、持っていた魔剣を地面に突き刺す。そして、その柄に足をかけた。
足をかけた柄の部分に爆発が起こり、火薬によって飛ばされる砲弾よろしく、巴の身体は爆風に乗って空中を駆けた。
その軌道は、剣に魔力を込めるユーグに一直線。弓を引き絞るように右手を後ろに引き、手を貫き手の形に変えて、

「いい加減にくたばりなさい!」

ユーグの目前に到達すると同時に、その手を彼の脇腹に向かって突き出した。
爆発の勢いと、吸血鬼の力による強い瞬発力。その二つがプラスされた肉の槍だ。
さて、彼はどう出る……?

911ドーラ:2012/02/07(火) 00:08:41 ID:7gFzKdaU0
>>908
「――――了解、止めて見せよう。……少なくとも、統合人格たるドーラは、お前の妹を友と思っていた。
ならば、ドーラを主人とする我等は、主の友の兄を救わねばならぬ――――故に、我等、第七連隊が魂、この時ばかりは解き放たせてもらおう。
我等、名無き礎。――――死せるも哀しみと後悔を捨てきれぬ未練の輩」

ぼこり、とドーラの体が膨らみ、血が飛び散って。
ソードが少女の体を貫いた瞬間に――――、溶け去るようにドーラの体が消えていき。
地面にがらんがらんと大量の機械部品がこぼれ落ちていった。


「――――指令を伝えるッ! 此れより、終幕を生き延びるが為の作戦行動を開始。
我等は名を失いしもの、我等こそがレギオンでありイモータル。
故に、我等が同類を生むことの無きが為、我等100と24の英霊は何をすべきか!?」

「「「「「決して諦めること無く、哀しみを産まぬ為に動くこと!」」」」」


そんな朗々とした声と同時に、大量の人魂が浮かび、収束していく。
個々では形を成す事の出来ぬ霊魂が収束していくことで、10体の兵士が、そこに生まれる。
そして集団の前に――――残りの人魂が集まり、そこには傷だらけでおぼろげで、全身から機械部品を飛び出させる少女が立った。


『ヴァージニアのお兄さんっ! 少なくとも、私はヴァージニアを助けたいって思ってるの!
だから――――力になりたいし、争いたくもない! だから、だから私は止めたい! だから――――行くよ、〝私〟!』


「「「「「サー」」」」」  「「「「「イエッサー!」」」」」


10と1の死霊の行軍が、今宵開始される。
爆発的に巻き起こる竜巻の中に、我先にと兵士が突撃していく。
統制のとれた行動と、軍団としての魔力運用によって、竜巻の中に斬り込んでいくも、次々と霊魂は吹き飛ばされていった。
ドーラの全身が崩れ、体から部品が吹き飛び、右腕は骨格である鉄骨だけで、目を構成するレンズに罅が入った、鉄屑の死霊となってもなお。
〝群体の軍隊である個体〟は、一人の統合人格の為に協力し、前に突き進んでいく。


「――――――――おぉぉぉぉおぉぉっ!!」

死霊がはじけ飛び、足元に魔方陣を描き、鉄屑が青年に向けて射出されていく。
残りの魔力の全てを注ぎ込んだ必殺の一撃。殺さず、意識をしかし奪い、〝止める為〟に、鉄が表に出始めた左腕を振りかぶる。

《 80cm cannon 〝DORA〟 》

ドーラがドーラたる所以の魔術。己の名を冠した列車砲の再現ともなる、全力の砲撃。
弾体たる、少女は――――全身からオイルと血を吹き出しながら、〝手を差し伸べる〟――――!

912ユーグ:2012/02/07(火) 00:37:30 ID:YlmP5ogI0
>>909
「やはりな……、お前では看破できなかった……」
風の刃で全身を刻み込んだのだ、もう戦闘不能といっていいだろう。
己の為に死線をくぐり抜けて来たユーグは思う。
やはり他者のために戦うといっても、所詮こんなものか――
背負うものがない者には、負けるはずがない。

「お前は妹の為に戦っても、護れなかっただろう……」
『浮遊眼Lv3』の力で、木刀を見据える。
その木刀は空中で静止して――動くことを辞めた。

「『風殺陣』の詠唱が終われば皆殺しだ……、お前ら全て……」

>>910
「いいや、お前の力でも俺は殺せない……」
推進力を得る為に魔剣を地面に突き刺し、そこから『爆足眼』の能力を使うとは。
やはり幾つもの戦場を乗り越えた者は素晴らしい戦闘センスを持っている。その発想力には見入るものがある。

「だが、『浮遊眼Lv3』には届かない」

届かないのだ。
認識した物体を全て宙に浮かせ、静止させる能力の前には。
飛び道具という飛び道具は無意味。勢いよく跳躍した巴のスピードも、無にされてしまう。

「吸血鬼、か……どんなに体が強くても、死ぬときは死ぬんだ。
 俺の妹も、吸血鬼になってしまったらしい……、でもその生命力があっても死んだ……」

>>911
「『風殺陣』の詠唱が完了する――さぁ、最後のチャンスだ、お前の持てる全力で来いッ!」
ドーラの最後の攻撃が展開されようとしている。
自らが弾丸となり、列車砲の射出と共に、ユーグに全力で向かっていく。

「この後に及んで甘いことを言うな! 弱き者は、強き者に屈するのみだ!
 強き者は弱き者を救うことをしないし、弱き者は強き者を救うことができない!
 ならば、自分の力で強くなるしかないのだ。強くなって、弱き者を支配する為にだ!
 お前たちに証明してやる。お前たちの――死をもってして!」
『浮遊眼Lv3』の効力がドーラにも及ぶ、視認しただけで起こる接近の拒否。
初速が早かった為、かなりの距離を縮めていたが……その腕は、ユーグの体を押しこむことだけに留まって。

「弱き者の末路、か……」

――ドスッ!

背後に浮かぶ、防人の力が込められた木刀が。巴の突き出した、手刀が。
押された衝撃によって、ユーグの心臓を射抜いていた。

「なん……、だと……」
三人の攻撃は、辿りついていた。
単独では突破不可能だった『浮遊眼Lv3』という鉄壁の壁を突き破って。
意図されていなかったものの、力を合わせることの強さは証明されていた。

ユーグは倒れ伏せる。
意識が途絶えた結果、『浮遊眼』の力も効力は失われる。

// イベントはここでおしまいです。お疲れさまでした!

913防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/07(火) 00:41:56 ID:WVrfsEdY0
>>912
「どうで…すか…力を合わせれば…
 越えられない壁なんて…ない…」
【ニヤリと笑って木刀を指さす…と同時に】

【勢い良く地面に落下した】
「がふっ…ううぅ…」
【苦しそうなうめき声を挙げて地面に倒れ込む】

「はぁ…はぁ…」
【自力で動くことは出来なそうだ…】
//乙ですー

914ドーラ:2012/02/07(火) 00:47:54 ID:7gFzKdaU0
>>912
「くっそ――――、なんで…………なんで…………!」

倒れ伏したユーグの様子を鉄屑は駆け寄って確認した。
心の腑が射ぬかれている。だが――此処は街中、万が一という事も有る、今すぐ病院に連れていけば――。
まだ、間に合う。そう理解した。体からねじや鉄板が落ちて行くが、それでも倒れこむユーグに肩を貸す。

「死なせないし、絶対に死なせないから――――!」

倒れる貴方を引きずって、なけなしの魔力を総動員して己を打ち出して、少なくとも救急車よりは迅速に救急病院にユーグを運び込んだことだろう。

915早瀬川巴:2012/02/07(火) 00:55:08 ID:y0dzgPtI0
>>912

「……そうです。誰しも死ぬときは死ぬ。
 力の弱い者なら特にそう。だから、私も一度は死んだ」

しぼんだゴム鞠のような感触の心臓から、巴は右手を引き抜く。
右手には肉片と血がべっとりと付着していて、赤く染まっていない部分はない。

「死ななければならない義務なんて、誰にもないのに、なまじ力を持つとそこを勘違いする。
 だからだれかを殺しにかかる。自分のために。誰かのために。組織のために。世界のために。大義名分結構。全部くそったれです。
 あなたを殺したのはその反動です。この場にいる誰でもない。当然の、報いです」

場にいた一人の能力者がユーグを引きずっていくが、おそらく手遅れだろう。
木刀はどうだったか知らないが、心臓の一部を破壊した。あそこから生還に持って行くのは、それこそ奇跡を期待せねばならない。

「誰も死なないで済む世界だったら、私はあなたに会わずに、あなたも私も幸せに生きたのでしょうけどね……」

右手に付いたモノを、右腕を払うことでその場にうち捨てた巴は、
爆発の衝撃で吹き飛ばされ、地面に転がっていた魔剣を回収して夜の街へと消えていった。


//イベントお疲れ様でした!

916〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 21:30:31 ID:7gFzKdaU0
その日、街の外れ、孤児院で爆発事件が起きた。
とある新進気鋭の写真家が、その事件の目撃者であったようであり、その惨状は極めて凄惨な光景だったそうだ。
唯一の生き残りである写真家は泣き叫びまともに会話をすることすら叶わなかったらしく、事情聴取は後日となった。
そして――――その夜、警察官たちが孤児院の前に捜査に集まった。そんな夜の事。

そこには、血が有った。そこには、肉が有った。
刑事達を含む13名の警察官と一般人が一斉に肉塊に変えられた、そんな現場。
人気の少ない夜中であれど、その〝爆発音〟は天高らかに響き渡ったことだろう。

「――――良い光景[エ]がとれだっぺぇ。やっぱり写真はりんじょうかんだべね、そだべ。
いいやぁ、にしてもシド兄も優しいっちゃね。あっしにも好きにやらせてくれるなんざ、ほんとほんとうれしいっぺさ」

肉と血の飛び散る爆心地の手前、瓦礫に座り込み酷い訛りで独りごちる影が有った。
ぶちり、固く焼かれたライ麦パンのサンドイッチを食いちぎり、もっしゃもっしゃと咀嚼する。
今宵、此処はその影のエンターテイメントの場、アーティストの独壇場である。

手が滑ってサンドイッチを地面に落として、慌てたようにそれを追う。
泥と血に塗れた其れを拾い上げて、汚れを落としながら――――。

「おてんとさまと畑の人におこられるっぺぇ!」

慌てて残りを口の中に押し込んで――――〝マスクを下ろす〟。
一瞬の痛いほどの静寂。チカチカと壊れそうに点滅した街灯が完全に点灯し、その影を照らし出した。
汚れだらけのオーバーオールに古いデザインのコート。腰にはベルトポーチ。
首元には――――旧式ながらも丈夫そうなフィルム式一眼レフが下がっている。
何よりも印象的であったのは、顔を覆うガスマスクのデザインか。
一面に間近に取られたであろう死体の写真が無数に印刷されたそれは――
どう見ても一般人のそれである格好に違和感しか無いはずなのに違和感なく合わさっていた。

徐にカメラを右手で握り――――、天にそれを向け、月に向かってシャッターを切る。
聞こえてくるのは空気を震わす破裂音。衝撃が天地に響き、この悲劇の舞台を刺激的に照らし出すスポットライトが天の上に映し出された。

917〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 21:37:07 ID:7gFzKdaU0
/*あげ忘れ*/

918ユーグ:2012/02/08(水) 21:48:03 ID:hXFaXudc0
>>916
「……、何だ?」
病院をこっそり抜け出していたユーグは、街の外れを歩いていた。
当然、その破裂音を嫌でも耳にする。彼は孤児院だったはず方向に目を向ける。

「能力者……、なのだろう……」
孤児院という場所に、爆発物があるわけがない。
いきなり爆発するとなると、そのような能力を持った者がいるということになる。
ユーグはその方向にあるものに興味を持ち、歩み出した。

「俺は……戦って強くならなきゃいけない。強者ならなおさらいい。俺が求めるのは力だ……」

919〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 21:55:59 ID:7gFzKdaU0
>>918
「オ、いい被写体だッペサね」

ガスマスクを通して漏れる声は不明瞭であり、訛りも相まって更にそれは顕著となる。
そして――カメラのレンズが貴方に向けられて、ユーグをそのファインダーから覗き込む。
前のめりの体勢から、シャッターに指を掛ける姿は極めて慣れきったもので様になっているといえるだろう。

「はイ、チーず。だっぺ!」

かちり。ユーグに向けてシャッターが切られたその瞬間。
ユーグの目の前に火球が生成されて一瞬で炸裂し衝撃波を辺りに撒き散らすことだろう。
威力は高く、発動はワンアクション。凶悪な何かが、遠距離から貴方を狙う。

920ユーグ:2012/02/08(水) 22:06:43 ID:hXFaXudc0
>>919
「アンタが能力者か。決めつけるぞ。なぜなら五体満足でいるからだ」
背負った長剣――ウィングソードを引き抜き、構える。
それと同時に、カメラのレンズがこちらに向けられる。一眼レフのカメラだ。

「なるほど、トリガーはそのカメラか」
シャッターが切られると同時に、バックステップで先ほどまでいた座標位置から離れる。
どのような攻撃かは想像してなかったが、直観的に危機を感じて動いたのだ。
結果として、少し爆風を受けてしまうものの、致命傷には至らなかった。

「予備動作は瞬時に行われ、攻撃範囲も広く、威力もある……なるほどな!」
ウィングソードに魔力を籠め始める。
淡い緑の光が刀剣に蛇のように纏わりつき、周囲に無数の風の刃を形成する。

「刻め」
ウィングソードを横薙ぎに振るう。生成された風の刃が、ガスマスクに向かって飛来する。

921〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 22:14:08 ID:7gFzKdaU0
>>920
「ははは、そそそそ、そんなことないっぺさね!?
あっしがシドさンに頼まれてアーとしてたりなんかしないべ!」

色々と頭が残念なのか、口から色々な情報っぽいのが漏れている。
統制のとれている組織なら、そもそもこのような人間を仲間にはしないだろう。
色々と、人間として必要なモノが破綻しているようなのがこの女性であった。

「――――いちたスいチハー?」

とん、と後ろに飛んでカメラを構えたままで、振るわれる風の刃を被写体としてファインダー越しに覗く。
ガスマスク越しの瞳は、楽しそうに細められており――――、そしてシャッターが切られる。

「にー!」

かしゃり。次は爆発が起こる事は無かった。
但し起きた現象は――――、風の刃の消失という現象だ。
手早い動作で片手でフィルムを排出、左手でそれを受け止め、ベルトポーチに放り込み、次のフィルムを装填。
同時に、取り出したフィルムをユーグに向けて全力で投擲してみせて。

「さア、ファビオラ・リオネイルの臨場感溢れる瞬間現像――――だっぺ!」

フィルムが砕け散り――――、ユーグの放った風の刃が〝現像〟されて襲いかかる。
威力も速度も、ユーグの放ったものと寸分違う事は無い物である。

922ユーグ:2012/02/08(水) 22:29:33 ID:hXFaXudc0
>>921
「なるほどな」
ユーグに対し向かってくる攻撃、それは、己の放った風の刃と差異はない。
『臨場感溢れる瞬間現像』……写真に映した技や術を消失させ、現像することで自らの攻撃手段とし利用する。
攻防共に優れた能力だ。こちらの飛び道具はほとんど無効、さらにそれを利用されてしまう。
しかしだ、風の能力者であるユーグは、風属性に対する耐性を持っている。
風の刃に刻まれると思った矢先、瞬間に魔力に再変換し、それをまた体内へと取りこむ。

「お前の能力はだいたい分かった。もっとも、まだまだそれで本領じゃないんだろうがな」
飛び道具はシャッターを押されるだけで取りこまれてしまう。フィルムリロードという隙もあるが。
やはり接近して斬りつけるのが最も単純に敵を看破する策だろう。
カメラに映らないように横に動きつつ接近するのがよいだろうが、彼はなんと真正面から一直線に突っ込んできた。

「カメラの仕組みはよく分からないが、そのカメラできちんと俺の像を捉えられるのか?」
一眼レフには反射鏡の跳ね上がりがある。つまり、その一瞬を狙って回避しようとユーグは考えているのだ。
銃も同じだ。反動の強い銃ほど狙いが正確ではない。ユーグは相手の一挙手一動作に気を配り、感覚的にカメラの動作弱点をとらえていたのだ。

923〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 22:40:21 ID:7gFzKdaU0
>>922
「おぉー、シド兄に見せたら喜びそウダベね。
そノ死に顔、最高のえんしゅっつで撮らセてもラウべ!」

ファビオラ・リオネイル、表の顔は戦場を駆け、廃退的かつ臨場感溢れる被写体を映し出す新進気鋭の写真家。
しかしその裏の顔は――――、人の死を撮る事に固執し、己の手で死を産み、死を撮影する猟奇殺人犯。
それでも表と裏の両方で名を馳せているのは、一重に組織に属しているからであった。

「そリぁもうだば! あっしぁコレでモプろの写真家だべさね!
どんなに動きが速くても映し切っテヤるべさね!」

貴方の挑発を真正面から受け止めて、ガスマスクは笑みを零す。
こしゅー、こしゅー、と息が漏れる図はコミカルで、悪人にも見えないが、人殺しなのは間違いない。
真正面から接近してくるユーグに、あいも変わらずカメラを構えるだけのショット。

「――ざンネンだっぺぇ。間違いだばさ」

ガスマスクの目が細められて――――、シャッターの音ど同時に〝瞼〟が閉じる。
同時に――――、上と下から衝撃が押し潰そうと襲いかかってくることだろう。
爆発と圧殺、それらが彼女がカメラによって使用できる戦闘能力。

そして、能力の行使に必要となる条件は――――、右目を閉じると同時にシャッターを押すこと。
カメラは開くまで媒体にしか過ぎず、主体はこの能力者自身に存在しているのが。
そもそも、カメラが無い頃から、彼女は能力の行使が可能であったのだ。

924ユーグ:2012/02/08(水) 23:03:58 ID:hXFaXudc0
>>923
(よし、シャッターが押されると同時に……)
カメラのファインダーから逃れるように跳躍し、回避を図ろうとするのだが。
上方と下方から迫る、謎の衝撃がユーグの体を挟み込む。

「ごっ、ァ!?」
完全に能力を読み違えていた。そして侮っていた。
カメラに映っていなくても、その能力の行使は可能だった。
つまり、カメラは能力を引き出す為の媒体に過ぎなかったということだ。
相手がこの能力だと決めつけ、他の可能性を考えることをしなかった自分が情けない。
慢心なんてしないと思っていた――いや、確かに驕っていたのは事実だ。

ドサァッ!! と地面に叩きつけられるユーグ。
体に負ったダメージは深刻ではないが大きい。移動動作に影響が出てしまうほどだ。

「相手の能力は強大。ダメージも大きい。
 こういう時にな……、俺がどうするか……知っているか?」
風の力で砂煙を巻き起こす。相手の視界を封じ、相手の能力を封じようと試みているのか――

――と思ったら、この男、逃げているッ!
相手が先に襲ってきたのだから、逃走も戦略としてはありだ。

「戦略的撤退、って言葉を知っているか?
 つまりその……なんだ、八回逃げると会心の一撃を連発できる、あれだよ」

ユーグは疾走する。
そしてその先で見つけた人影とは――

925金髪の着物の女:2012/02/08(水) 23:11:54 ID:xm/dFKGs0
>>ALL
―――一人は着物のを着た、金髪の女性らしき人。
瞳は深い物を見るように黒く、顔立ちも東洋人らしい。
だがしかし、女性にしてはどこか男性らしさが漂っている。
それでも、化粧と雰囲気がその男性らしさを打ち消していた。

彼女…は近くにいる誰かと話しているようで、珍しいモノを見たような、
どこか楽しげな様子だった。

「へぇ、結構色々取り扱ってるんだな。
短刀か、ナイフ……小柄とか無いか?
幸い、今はお金はあるから大体のものは買えるぜ」

女性らしい高めの声で、近くにいる商人らしき人に話しかけている。
彼女…はとても戦闘できそうには見えなかった。

926欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 23:18:55 ID:SSMHlh/20
>>923-925

ユーグたちから数ブロック離れた通りでは、
ごく身近で戦闘が行なわれていることなど露ほども知りはしない人々が、
露店の商品を眺めたり、友人と話を楽しんだりと思い思いの日常を謳歌している。

「ええ、取り扱っておりますともさ。
 例えばこれなど、非常によい品で……。」

その雑踏の中、金髪の女性と商談を行なう赤褐色の肌を持つ小鬼の姿があった。

彼の露店は外見こそみずぼらしい物の、様々なマジックアイテムや魔法の触媒が所狭しと
置かれており、ちょうどアメジストのような宝石の刀身を持つ、煌びやかな短刀を客に見せている。

927ユーグ:2012/02/08(水) 23:24:50 ID:hXFaXudc0
>>925
男が逃走を続けた先には、金髪を携えた着物の女性と、その話相手の商人がいた。
もしかしたら商人が傷薬を売っているかもしれない。自分に都合のいいように思考にバイアスを掛けたユーグの行う行動はただ一つ。
この女性から商人との交渉権を、即時譲って貰うことだ。
ユーグは懐に手を入れ、手もちの金銭を探る。出てきた紙幣は我々の世界で換算すると千円程度のものだ。
すぐさま金髪の女性の手に札を握らせると。

「譲ってくれ、頼む!」

>>926
ボロッブとの商談交渉権を勝手に譲って貰ったと都合よく解釈したユーグは、
露天商に商談を持ちかける。

「今すぐにだ。この額で傷と体力を瞬時に治せる薬をくれ!」
出せるだけの札束を懐から出すと、ボロッブに強制的に握らせようとし、

「出すんだ、早く、緊急だ!」
すぐそこまで、追跡者は迫っているかもしれない。
そのために焦っているが、常識的に考えれば、こんな無理難題を吹っ掛けてすぐに適当の商品を受け渡せる商人など存在しないはずだ。
もし、そんな芸当ができる商人が存在すれば――かなり腕のいい商人であることは間違いない。
いや、そうであって欲しいと思う、他ならぬユーグは。

928〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 23:25:12 ID:7gFzKdaU0
>>924

シャッターが閉じるその再現のごとく、衝撃がユーグを押しつぶした。
しかしながら、即死級の威力ではないのは、〝よく狙わなかった〟せいであろう。

「よーくよく、狙えば当たるっペさネ。昔かラ鳥追っかケテたのハ伊達じゃ無いべサ」

びちゃり、と足元の死体の足を踏みつぶしながら、カメラを死体に向けて、瞬きとシャッター音。
すると、死体が溶けるように消えていき、慣れた動作でフィルムを入れ替えた。
その後に巻き起こる砂煙。それを見て、カメラのフィルムを高速で巻き、シャッターを切る。

「はい、チーズ!だば!」

きゅぅ、と焦点の合った地点、砂煙の中心地点から爆炎が生まれ落ちる。
膨らみ上がる火炎が砂煙を飲み込み、吹き飛ばして視界を確実に確保してみせた。
なお、未使用のフィルムは後6つ。要は、無効化出来る攻撃の数が後6つだという事だが、この数は彼女のみが知ることだ。
ユーグが逃げるその後を追う様に、ガスマスクの死体偏向アーティストは駆け抜けていく。
野山を駆け鳥を架空のカメラで被写体としていた頃から、戦場を駆けて一瞬の死を切り取った現在まで。
腕力等全くないが、こと足に関してはカメラマンとして一級のスキルを保持していると言える。
肋が浮きそうなほどの細身の体からは予想もつかないむちゃくちゃなランニングフォームの移動で全力で追いすがってくる。

>>925-926

「いっつもそうだば――――! あっしは好きに写真を撮リタいだケなノニ、邪魔サレるっぺさ!」

そんな訛りの酷い、くぐもった女性の声が響き渡り、駆けるユーグのすぐ後ろを影が追うのが見えるだろう。
オーバーオールにジャケットにガスマスク、そしてカメラという仮装としか言い用のない格好。
そんな女性が、走りこんできて。カメラを構えて、唐突にシャッターを切ってみせた。

「綺麗な死に顔撮影[ウツ]サセろぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

途端、着物の女と子鬼の間に、真っ赤な火球が生まれ落ちる事だろう。
煌々と輝く其れは次第に膨らんでいき、数秒後には炸裂し二人を飲み込む筈だ。
溢れる危険な気配。反応さえ間に合えば回避することは可能ではあるだろう。

929金髪の着物の女:2012/02/08(水) 23:35:15 ID:xm/dFKGs0
>>926 >>927
「おいおい、いきなりだな。
じゃ、ボロップ。この短刀買うぜ。
お金は10万くらいでいいか?まぁ足りなかったら後で払うから」

そう言って彼女は煌びやかな短刀を細い指で取ると。
商人の手に10万の入った封筒を渡すと。

>>928
「おいおい…今日の奴は結構いきなりだな」

そう言ってカラン、と音を鳴らして跳ねる様にそこから飛び退く。
自分が立つ位置からだいたい10cm。
回避できたとは言いがたいかもしれない。

だが、彼女は至って余裕の表情だ…このなかで間違いなく弱くあるはずなのに。

930欠け耳のボロッブ:2012/02/08(水) 23:46:48 ID:SSMHlh/20
>>927

「ああん、なんだおめぇは!
 今は商談してんだ、じゃまするんでねえよ!!」

しかし、商人はユーグを胡散臭げに睨み声を荒げて追い払おうとする。
そう、常識的に考えていきなり現れた者にはいそうですかと、商品を渡すわけには行かない。
とくに、こういった人物に対しては。

風体や身にまとう雰囲気から判断するに、この人物は堅気とは思えない。
そして、何よりこの人と取引をすれば、なんらかの面倒ごとを背負い込むと
商人としてのカンがつげている。

「厄介ごとァ簡便だ。
 悪ィたヨソの店にあたってくんな。」

>>928

「んナッ――!!」

何の前触れもなく、発生する火炎。
膨れあがるように大きくなるそれに、周囲の人々の中からも驚きの声が上がる。
それはボロッブも例外ではなく、目を見開いて一瞬その場に硬直したように立ち尽くす。

(それみたことかっ!早速トラブルを運んできやがったこの御仁ッ!
 オイオイオイオイオイ、店の目の前だぞ――!!!)

その間にも、脳内を危険信号が駆け巡り瞬時に次にどうするべきかを判断。
足を無理やりに動かし、咄嗟に露店から横っ飛びするように駆け出す。

その際、いくつかの商品を引っつかんだが――。

931ユーグ:2012/02/08(水) 23:52:52 ID:hXFaXudc0
>>928>>930
「緊急だと言っているだろ、ならば知っている店を教えてくれ!」
その言葉を言ったときには、もう遅かった。
ショットが発生させた火球が爆発し、それが元で火災が発生。周囲はパニック状態に陥っていた。

「もう追いついてきやがったのか……」

932〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/08(水) 23:59:17 ID:7gFzKdaU0
>>929
「今日うつシた死体の数は24……だったべか?キリが良いから後6人は撮シタいッペさ」

爆風は大きく膨らみ、少し後ろに飛び退いたくらいでは熱で強い火傷を負う可能性が十二分に有る。
頭が弱かろうと田舎臭かろうと、百人を超える数をその手で被写体にした殺人鬼が、相手なのである。
こちらもこちらで殺そうとしていたりするというのに全くとして緊張感が感じられないが、纏う死臭だけは隠し切れない。

数合わせのために殺す辺り、人間の命を大したものと思っていないのは明白だったろう。

>>930

ど う っ !

吹き上がる火炎が露天を飲み込み、道を歩く人々を焼き尽くしていく。
煌々と燃える炎が辺りに燃え移り、周囲を明るく照らし出したことだろう。

「えーっと…………何人死んだべ。いチ、にィ、さァン。……たクサンでわかランべ。
後で現像すルしカナいべな。タイトルは何にするっぺ……」

死体の写真が印刷されたガスマスクを被る女性は、カメラを構えたまま、困った様子でそう呟く。
その間も、ぱしゃりぱしゃりとファインダーを覗き込みシャッターを切り、逃げ惑う人々を爆炎で殺していく。
そして、女性の目の前。そこには子と母がへたり込んでおり、怯えた目で二対の瞳がガスマスクを見上げている。

「た、たすけ、娘だけでも――――」

かしゃり、レンズが向けられて、ひぃ、と母娘の顔が恐怖に歪む。
震える子を抱きしめ、目を瞑り審判の時を待つだけの女性と子供。
だが――まだその時は来ない。まるで、シャッターを切る最高のタイミングを待っているかのような間、である。

>>931
「そーコのお兄さンも、皆モー!死んでくれなきゃこの二人、あっシが〝きれいに〟写真ニ撮っちゃウべさ。
こノ娘助けタカったら、あっしのカメラに映されてくれねぇべか?」

ファインダーで親子を覗きながら、彼女は周囲の人々の大半が死んだ状態で、生き残った能力者達にそう宣言した。
この状況は、彼女としては望むべき光景である。何故なら、このような〝臨場感溢れる光景〟をショットは求めるのだから。
一撃必殺、ワンショットのショット。それが彼女の通り名であり、確実に最高のシーンを撮る事にこだわる事からもその名は来ていた。

芸術家肌の殺人鬼としての稚気が、このような只殺すとは違う行動を生み出しているのだ。
人質を取られたが、此方は一人、大してそちらは3人。
隙さえ見つけられれば、この状況を打破する事も可能だったろう。

933金髪の着物の女:2012/02/09(木) 00:11:37 ID:xm/dFKGs0
>>932 >>931
「へぇ、随分面白い趣向じゃないか。
ちょうどいいや、オレも撮ってくれよ。一緒にさ」

彼女…は楽しそうに相手へとそう提案する。
アメジスト色の短刀を握って、目線は相手を誘うように。
だが、その提案は間違いなく自殺願望とも言えるものだ…何かを考えているようにも見えない。

「それとも、オレがいたら不満か?」

ちょっと眉を不満そうに曲げて、彼女は目の前の相手にそう言う。
まるで写真家に撮影を頼むように。

934ユーグ:2012/02/09(木) 00:12:28 ID:hXFaXudc0
>>931
「全ては臨場感の為、か……」
人質を取る行為に対して、彼のギルドで教わった対抗策はただ一つ。
その人質を取った敵に対して、間髪入れずに攻撃を行うことである。
人質を取った瞬間というのが、最も気が抜ける瞬間であり、チャンスだ。
……もっとも、相手が実力者である以上、そんな初歩的なミスをしているとも限らないが。

「いいか、これから起こることは全て現実だ。お前が完成させたい写真は既に頭の中で完成しているんだろうが、虚構でしかない。
 臨場感を凌駕してリアルに於いて反映実現される有質量全ての結果。それを行使する為の俺の能力が、これだ」

『浮遊眼Lv3』が――発動される!

視認した対象を、空中に浮遊させる能力だ。
ユーグはショットだけを見つめ、彼女のみを上空へ吹き飛ばそうと試みる。

935欠け耳のボロッブ:2012/02/09(木) 00:58:37 ID:SSMHlh/20
>>932

「野郎……ッ、よくもやらかしやがったな……!
 この俺の目の前で、よくも、だ!」

露天から飛び出す際に引っつかんだ道具は、『風生みの実』と『空掴みの篭手』の2種類。
風生みの実は叩き潰す事で、強烈な風をふきだすという奇妙な性質を持つ木の実。
空掴みの篭手は、その名の通り『空』を掴む事ができる魔道具である。

それらを組み合わせ風によって跳躍し上空へ逃れていたボロッブは
眼下の状況を俯瞰し、ギリギリと歯を鳴らして怒りを露にした。

「見てろォ、目に物を見せてやらぁ。」

幸い、何十にも術式を付加したリュックサックは火に巻かれても健在。
この程度の距離なら、術式によって触れずして中の品物を手にする事ができる。

――ひゅんっ。

幸い、男は目の前の親子に注目しており、自分には気づいていない。
この隙を突いて、ヤツの頭上へと移動すると液体の入ったのボトルを2つ取り出して
双方をぶつけて割り、混合液の雨を降らせた。

「目には目を、歯には歯を。火には火を、だ。」

片方は純度の高いアルコール、もう片方はビザンツ帝国海軍に伝わる『燃える水』。
空気に触れる事で化学反応を起こし発火する、液体ナパームだ。
当然、親子には当たらぬように例の風生みの実を落としてある。
それは地面に落ちると同時に親子と男の間で壁になるように風を発し、
混合液のほとんどを防ぐはずだ。

936〝ショット〟/謎の犯罪者集団イベントその1:2012/02/09(木) 01:04:28 ID:7gFzKdaU0
>>933
「なニ、撮らセテくれルべカ!?」

度の入ったガスマスクのレンズ越しに、爛々とした瞳で貴方に視線を向ける。
しかしながらファインダーは未だに母娘を映し続けており、余談を許さない状況だ。
そして――、迷う様子を見せたその直後。

>>934
「お、おおー!?う、浮カブべ!すごい、すごいべさ!
コれは、すごいのが取れそうだべっ!」

貴方の行動は成功に終わる。だが――――、一番の問題点であったのは一つだろう。
人質に取ったことは〝正直どうでもよかった〟という事だ。
かしゃり。無慈悲にシャッター音が響き、直後。地面に叩き潰されたカエルの様に親子はミンチになってしまった。

その後は、只々空中遊泳を女性は楽しみ、ぱしゃりぱしゃりと空中から地面に向けて写真を撮り続けるばかり。
そして、その動作に拠って、天から地上への爆撃のような光景を生み出し始めた事だろう。
爆撃の範囲も場所も安定しないが、だんだん空中で浮遊している状態を理解し始めたのか、正確に相手達の周囲で爆発や衝撃が襲い来る筈である。

>>935
「――――わちゃちゃちゃちゃ!?」

上から降り注いでくる火の雨を見て、真上にカメラのフィルムを投じる。直後にフィルムが砕けて死体が空中で再生されていた。
その死体が火の雨を大分防ぐものの一部がマスクに引火して空中でのたうち回るショット。
ぶちり、とガスマスクを引きちぎり、地面に叩きつけると、そばかすの目立つ分厚い眼鏡の女性がそこにはいた。
顔のつくりは異常なほどに幼く、未だ少女を名乗ってもよさそうな様子で。

「――――――な、なにするっぺか!? あっしぁただ綺麗な絵が撮りたいだけなのになんでみんなじゃまするんだぁぁあああぁあ!」

そう叫ぶと、カメラを投げ捨てて、手のジェスチャーでカメラを形作る。
そして、周囲を縦横無尽に、左目がまともに見えない状態で、右目を閉じ、手で架空のシャッターを押し、爆風を撒き散らしはじめた。
だが、今の彼女はカメラを持たない。飛び道具の無効化が不可能な今の状況、打破する可能性は十二分にあることだろう。

937ユーグ:2012/02/09(木) 01:19:45 ID:hXFaXudc0
>>936
「人質を取られたとき、即時攻撃を行うには理由がもう一つある。
 ……時間が勿体ないからだ。だから、仲間内で人質にされた者でさえ見捨てる。
 自分さえよければいいと思っている連中だ。二人死のうが二兆人死のうが知ったことじゃない。
 それに、人質に取られるということは弱いということだ。弱さは罪だ、淘汰されるべきなんだ」
人質に取られた親子が肉塊にされるのを見て、非情なことを言い放つ。

「ところで、空中でお前は推進力を得ることができるのか?
 言い方を変えよう、その状態で俺の攻撃を回避できるのか?
 ……お前もまた、淘汰されるべきなのか? 試してやろう」
ウィングソードに魔力を込め始める。緑色の魔力は奔流となり剣の周囲を渦巻く。

「『浮遊眼Lv2』を発動……」
『浮遊眼Lv2』――自身の体を浮遊させ、自由自在に飛行できる能力だ。
爆発の間と間を縫って、彼は空中に停止しているショットへと距離を詰めていく。

「至近距離で範囲を集中させた『風殺陣』――喰らいなッ!」
『風殺陣』――彼が一昨日、広場で使用して見せた、大竜巻を起こす術式だ。
それを一点に集中させ、貫通力と射程距離、スピードを極限まで高め――

――ウィングソードの突きのモーションと共に、切っ先から暴風の螺旋が溢れだした!!

938金髪の着物の女:2012/02/09(木) 01:23:38 ID:xm/dFKGs0
>>934
「馬鹿!アレにそんな事をしてみろ―――」

止めるにも遅き事、彼はもう既に使っている。
―――無駄に終わってしまった事は仕様が無い。
無駄死に…とは言いたくは無いが、オレにとっては多分そうだろう。

>>935 >>934
「ちっ…結局上手くいかなかった。
だけど、カメラが無くなったのは救いかな…」

そう言って彼女は宣言する。
自らの心の仮面たる狭間の力を。

「―――ペルソナ」

青白い光を放つ彼女の背後、そこに写る半透明の影――。
その姿は紫色の大きな体を持つ一つ眼の人。
開かれている瞳は真っ直ぐに相手を見つめ逃そうとしない。

「圧し付けろ、バロール…!」

バロールと呼ばれた巨体は、大きな眼でカメラを持っていた相手を見る。
魔王バロールの魔眼は捕らえた相手の戦闘能力をたちまち奪っていったと言う。
そして、その伝承の通りに相手の肉体に重圧を圧し付ける。
その重圧は常人ならば体を動かす事すらも苦痛になるほどのもの。
攻略するには伝承のように、バロールの眼を塞ぐ事。

彼女はその状態で一歩一歩相手へと近づいていく。
浮いている相手を見上げて、炎の雨を紫の巨体で防ぎながら。
相手に宣告を告げようとするように、ゆっくりと。

939欠け耳のボロッブ:2012/02/09(木) 01:33:20 ID:SSMHlh/20
>>936

親子が吹き飛ばされる様を目の当たりにしたボロッブは、
ひどく無表情に、まるで彼自身がその光景をしっかりと瞳に焼き付けようとするかのように。
その残骸を見つめてから、ショットを見つめ腰の短剣を抜いた。

「掬い様がねェな。
 この期に及んで、芸術家気取りかい。」

――ヒュボッ

火の雨によって、周りに散らばった火の一つ一つが
まるで蛞蝓のように血を這い、恐慌状態で爆風を撒き散らすショットの足元で
術式を作る。

「あんたのカメラが泣いてるよ。」

術式に目掛け、投げ落とされる短剣。
それは魔法の触媒として優秀なミスリル銀を刀身に組み込んだ儀式用短剣であり、
ボロッブ自身が付与した『術式』を術式に伝えるキー。

――ズンッ

周囲の瓦礫が、飛礫となって術式の中心であるショットへと飛来する。
次から次へと、次から次へと、次から次へと――。

爆発の合間を縫い、爆風によって削り取られても砕かれた飛沫は彼女を目指す。
ボロッブはショットを『磨り潰す』つもりなのだ。

940〝ショット〟&■■■■&〝ドラゴンフライ〟:2012/02/09(木) 01:48:26 ID:7gFzKdaU0
>>937>>938>>939
「あ、あっしは――――、芸術、芸術家……!ただ、綺麗な写真がとりたか――――ひぃぃぃ!」

一点集中の暴虐の螺旋が、一つ目の巨人の重圧が、術式を組み込んだ瓦礫の群れが。
一斉に空中で身動きの出来ないショットを狙う。
目をぎゅうと瞑り、身を蹲らせて恐怖に怯える姿がそこにあり。
彼女は当然のように、無慈悲にもその螺旋と、重圧と、ミキサーのように轢き潰す礫。

それらが彼女を飲み込み、死を齎す――――――

――――かと思われたが。

「■■■■ま■■■■■■■■シ■ト■■■■!!」

〝螺旋を握り砕く〟存在が、そこには現れていた。
背丈は2m程。ボロボロの外套に身を包む影である。
ずるり、と肉が引き裂け、骨まで露出した右手をユーグの方に伸ばし、肩にはショットを担いでいる。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」

あたりに響くのは、声ではなく、〝音〟だった。
ビリビリと、感情だけは有る異形が、只叫ぶ、叫ぶ。
えぐれた右手はみるみるうちに再生していく姿が目に映るだろう。

「――――■■■■■■?」

重圧を受け、肉がひしゃげ、骨がきしむ音が響く、異形。
だがしかし、異形はその度に肉体を再生させ、より強固に進化させている。
数秒の間の拘束は出来たものの、後は気にする様子すらも見せず、更に遣って来る大量の瓦礫。
それらを生身で受け続け、骨を飛び散らせ、肉を飛び散らせ、ボロ布の外套をさらにボロボロにして。

――――そのまま生きていた。
フードが外れて見えた頭部は、〝マスク〟に覆われている。
人間の唇だけを切り取り、それらを縫い合わせて巨大な頭部を覆うようにしたそれ。

沈黙が辺りを満たす直後ぴりりりり、と外套から携帯の着信音が鳴り響き。
異形はぎこちない動作で左手で携帯を取り出して耳であろう部分にそれを寄せる。
数秒後、携帯を操作すると、3人の居るであろう地点に携帯を投げ捨てる事だろう。

携帯はTV通話になっており、今流行りのスマートフォンの画面一杯に人間が写っていた。
タイトなスタイルのスーツに、真っ青なラバーのマスクをかぶった男がそこには立っている。
ラバーの目の部分は、大きなカバーにおおわれており、生えた触覚も相まってトンボのような印象を与えることだろう。

「はァイ? レディースアンドじぇんとるめぇーん。
どーもどーもどもども、初めましてっ、ボクはドラゴンフライ、って言いますー!あ、偽名ね当然。
ウチのショットちゃんがご迷惑をおかけしたみたいで悪かったねぇ。
ボク達の公演、胸糞悪かったかな?むかついたかな?嫌かと思ったかな?
そう思ってくれたなら、ボク達はとぉーっても嬉しいのさ。なにせボク達は化け物共――〝フリークス〟だからね」

大仰な動作で皆に語りかけるその姿は、新興宗教の教祖の様にも見える図。
マスクの目から覗く瞳は、楽しそうに細く歪められており。間延びした口調は妙に人間の心を言い方向にも悪い方向にもくすぐる。

「――――ちょぉーっと、愉快に痛快に楽しく苦しく全力でだらけつつボク達はこの街で遊んでみようと思うんだ。
あ、ボクはリーダーだけど、ボクを殺してもこの〝遊び〟は終わらない。
ボク達は皆化物だからね、ルールとかそういうのとか、大っキライなんだ。だ・か・ら。
ボク達が全員消えちゃうまでボク達の遊びは終わらない。ショットちゃん以外にも、そこのコとか色々面白いコは沢山いるからね!
皆も楽しみにしてくれるとうれしいかなーってね!じゃ、皆またいつか会おうねぇー!愛してるよぉ、あいらびゅー!」

ぷつん、と一方的な会話が切れて。
外套を纏った異形は、しゃがみ込み、地面を強く蹴る。
地面にはクレーターが出来て、数瞬後にはビル街の何処かに消えていったことだろう。


残ったのは、十数人の死体と、燃え上がる街。
得たものと言えば、これからもこの街が危機に瀕し続けるという情報だけだった。
――――人の姿をしながらも、人を喰らい、人を苦しませることを楽しむものこそが真の化物[フリークス]。
化物の無邪気な産声が、今宵この街に響き渡ったのである――――。

941金髪の着物の女:2012/02/09(木) 01:55:38 ID:xm/dFKGs0
>>940
「ちえっ、結局またこんなのか。
秋雪とか天沢に連絡しとかなくっちゃな」

話を聞き終わった後、彼女はその場から早々に立ち去っていく。
死体に眼もくれる事無く、もう興味を失ったように。

942欠け耳のボロッブ:2012/02/09(木) 02:07:13 ID:SSMHlh/20
>>940

突如行なわれた、謎の存在の一方的な宣言。
逃げさっていく、異形。

「野郎――。」

それは生来喧嘩っ早い気質のボロッブを、激昂させるに十分で。

彼は『空掴みの篭手』へその場で魔力をエンチャントし、
鋤にもにた刃を持、凶悪な武器として形状を変化さえ、異形を追った。
しかし、ボロッブ自体は身体能力が高いタイプの能力者ではない。

見失う事は分かっていた、しかし、それでも追わずにはいられなかったのだ。

// おつよー

943ユーグ:2012/02/09(木) 02:12:30 ID:hXFaXudc0
>>940
「魔術を握り砕いた……、だと」
突然の腐敗と再生を繰り返す謎の影の出現と、『螺旋を握り砕く』という振舞いに驚き、戸惑いを隠せない。
そして、大量の瓦礫を受けてもなお動き続けるそれを見て、異形の類だと理解できた。
次に携帯電話を取りだすと思ったらなんだ、このケフカのような道化は。

「ふ……、ふふ、遊ぶ為に……、愉快な奴だ……
 つまり、強い奴がわんさか来るって訳だ。……俺を子どもの玩具のように投げ捨て殺すか、俺の礎となるか……
 面白い……、次の公演を楽しみにしている……」
異形が去り、その街は地獄と形容するにふさわしい姿へと変貌していた。
もちろん、これは異形たちの序曲にすぎない。幾多の死屍を築き上げ、地獄の数珠繋ぎがこれから始まろうとしている。
当事者であるユーグは、特にどうでもいいという感じであった。
異能都市の治安を護る部隊でもなく、進んで他人を助けるというお人よしでもない。
彼にあるのは、強さを求める心のみだ。力で強者を屈服させ、弱者に変える。これだけが望みだ。
そして、彼にとって強者は餌だ。強者を餌として喰らい、レベル上げを行う。

「せいぜい利用させて貰うさ……、はぐれメタル共め……
 踊れ踊れ、化物<フリークス>ども……地獄を見せろ、この俺に……」

用がなくなった彼は、都市の夜の闇へと消えて行った……

// お疲れさまでした!

944神宮寺 真由子:2012/02/10(金) 21:54:05 ID:xm/dFKGs0
「なんと言うか、今日は辛かった…かも」

父さんとの最初で最後とも言える全力勝負、聖気の会得。
体の節々が痛んでいたけれど、治療を受けたらなんだかもう大丈夫になった。
それだけ体が丈夫になっているし、扱い方が上手くなったんだろうと思う。

「後は…あの子にもう一回会うチャンスだけ…かな」

ここに来て最初に勝負して最初に負けた相手。
その相手を思い出しながら私は道を歩く、広い公園で暗い夜道を一人。
最近は会っていないけれど、私はもう一度会えるだろうか。
そして、もう一度会ったあの子はどうなっているだろうか。

「考えてもしょうがないって言うのは、分かっているんだけど」

こう言う事を考えてしまうのが、精進が不足しているって事なのかも。
もっと強くならないといけないなぁ、と思いつつ、夜道をゆっくりと歩いていく。

945東西南北 良方:2012/02/10(金) 22:14:23 ID:7gFzKdaU0
>>944
「だー! 畜生うっせぇんだよ!」

そんな声と同時に、ばき、ごしゃぁ、と何かを殴り飛ばす音や骨の折れる音等が公園で響き渡るだろう。
十数秒そんな音が聞こえてから、恐怖の形相でそちらに逃げてくる黒服の男が見える筈だ。
助けを求めるように貴方の方に手を伸ばした直後。

「さ い ご っ」

後ろから綺麗な軌道を描くドロップキックを喰らい地面に叩きつけられて気絶した。
黒服の背中の上に立って、息を深く吐いたのは一人の青年。
しかしながらその風貌は――、余りにも目立ちすぎる格好と言えるものだった。

根元が赤で先端にかけてグラデーションが掛かり青に染まっていく腰ほどまでの長髪がよく目立つ。
如何にもな大きく色の濃い目を隠すサングラスを夜だというのに着用して。
格好はアロハ柄の和服であり、襟元にはフェイクファーをあしらい、両手首、首にはじゃらじゃらとアクセサリを身につける。
右頬には数字の0と書かれた刺青が刻まれており、どことなく嫌な気配を感じさせるかも知れない。

総括してしまえば――――キチガイとしか思えないファッションセンスの男が黒服の男達をボコボコにしていた。
走ってきた方向を見れば10名程度襲ってきていたらしく、全員地面に伸びていて。
右こめかみに裂傷がある程度で他はほとんど傷を負っている様子は見えなかった。

袖の袂からシガーケースを取り出すと、シガリロと呼ばれる紙巻と大差ないサイズの葉巻を取り出して口に咥え、火を点ける。
ふわふわと独特の紫煙が周囲に満ちて、煙の香味を楽しみ、落ち着いた所で――――ようやっと青年は貴方の事に気づいたのである。

「――――――うわ、やばっ」

眉間にシワを寄せて、貴方を見ながらどうしたもんかと小さく呟く。
荒れた髪を撫で付けつつ、煙を吐き出して思案にふける図は、妙に様になっていたのだった。

946神宮寺 真由子:2012/02/10(金) 22:25:42 ID:xm/dFKGs0
>>945
「んー……」

黒服は怯えて出てきて、此方に手を伸ばした。
つまりはそうなるまで目の前の誰だか知らない人はやった、と言う事。
とは言え、複数人いるという事は集団で襲い掛かったわけでもある。
個人としてはそっちの方が意外と許せないけれど、なんかもう終わってしまったらようだ。
眉間に皺を寄せて思案する様はアリバイを考える容疑者のようだが。

「こんばんは?」

疑問符をつけながら笑顔で挨拶する。私の今の格好は肩章つきのダブルライダースジャケットに、
ブーツカットのジーンズ、黒の革靴となんだか男っぽい。
まぁ、バイク乗っていったからなんだけれどエンスト起こしちゃったのである。
バイクに乗ってたら割と普通なんだけれど、女性がこの格好はなんかへんかもしれない。

947東西南北 良方:2012/02/10(金) 22:34:21 ID:7gFzKdaU0
>>946
「――お、おう。こんばんは」

少しばかり顔を引きつらせつつ笑み、ひらひらと手を振ってみせる。
男っぽい格好を見ても、此方のほうが果てしなく訳のわからない格好をしているから気にする事は無い。
そもそも、この青年もまたバイク乗りの為、それ程そういう格好には違和感を感じることはなかったのである。
まだ黒服の男の上に立っているが、どうやら見つかったことの方が問題で有ったみたいで、どうするかなぁ、と又ため息。

思い出したように顔を上げると、奥の方に走って行った。
大分健脚の様でその速度は中々というレベルよりもかなり早い。
数百メートル走って、何やら茂みをごそごそすると、また軽快な動きで走って戻ってくる。
和服だというのにやたらとアグレッシブである。というか着付けが半端じゃなく適当で日本好きの外国人が来てみた感じになっている。

右手に持っていたのは、私立千夜学園の校章の入った学生鞄。
そしてそのチャックを開けると、ごそごそと何かを漁って、学園の購買で人気のかつサンドを差し出してくる。

「――――コレ食っていいからとりあえず通報とかやめてくんね?」

サングラスに葉巻に変な和服に刺青にグラデ長髪で多分千夜学園の学生であろう青年は、賄賂をくりだした!
一つ500円で学生の懐としては痛いが、それでも人気の衰えることのないカツサンド。
冷えてなお芳醇に漂う特製ソースのかほりが貴方の鼻孔を擽り、心を揺れ動かすことだろう。
まあ――――、口止めとかそういうのじたいがこの青年の勘違いである可能性も十二分にあるのだが。

948神宮寺 真由子:2012/02/10(金) 22:46:06 ID:xm/dFKGs0
>>947
―――言動と、へんな和服に加えてこの性格。
ええっと、どこかで見たような気がするのだけれど。
私は少しずつ思い出していく、そして彼が鞄を持ってきたとき。
私は彼の事を思い出したのだった。

「ええっと、良方君…?であってる、よね?
とりあえず通報はしないから…事情、あるんでしょう?」

ちょっと狼狽して、苦笑いをしながら相手の行動に対して返事。
というか和服の着付けが適当…帯の閉まりは緩いし左右で微妙にずれてるし。
仮にも私は武術家の人なので、どうしても気になってしまった。
というより、かつサンドで賄賂をするというのはどう言う事なんだろう。

949東西南北 良方:2012/02/10(金) 22:57:17 ID:7gFzKdaU0
>>948
びしっ、とかつサンドを差し出して、口の端からは葉巻を見せる賄賂学生。
しかしながら、苦労して手に入れたカツサンドを賄賂にしなくてもいい感じになったと見ると途端に雰囲気が明るくなる。
見た目こそイカツイが精神構造は普通に男子高校生である。

「おうそうそう、3年目でようやっと2年生になれそうな良方君だ」

にぃ、と見た目のパンクというか、キチガイというか世紀末っぷりに似合わない案外愛嬌の有る笑みを浮かべてみせる。
夏も冬もアロハシャツに学生服とか変な服で色々と話題を呼んでいる、17歳の1年生であった。
和服の着付けが崩れているのに気がついたものの、そこは素人。治していく度に逆に崩れていく。
と言うか和服といっていいのか分からない、フェイクファーとか有るし、アロハ柄だし。

「……まあなぁ……。やっとまともに学校行ける様にはなったんだけどよー。っと、えーっと神宮寺で良かったよな?
まあ……色々その――――家庭の事情、的なアレ、みたいな物でああいうのにまだ狙われてるわけだ。
コレでも前よか大分マシっちゃマシなんだがな」

そう言うと、近くのベンチに座って徐にかつサンドの箱を開け始める。
どうやら戦ったら腹がへったらしい。短くなった葉巻をそこらに投げ捨てるともしゃもしゃと食べ始める。
ふと貴方の方を見て、カツサンドを一つ差し出してくるだろう。賄賂とかそういうのではなかった。

950神宮寺 真由子:2012/02/10(金) 23:12:07 ID:xm/dFKGs0
>>949
「私はもう18だから今年が最後かなぁ。
まぁ、大学に行くからまだ学校生活はあるのだけど」

見てられなくなったので、和服の着付けをせめてマシになるくらいまで直す。
帯がちゃんと締まってないのが多分一番の原因ではないだろうか。
帯を締めて、すこし襟とかの位置を直すだけで大分マシになった…と思う。

「とりあえず喫煙は良くないと思うかな。主に私が嫌だから。
そういえば、エドワード先生も良方君だけレポートが無いとか言っていたのだけれど、本当?
良方君が物理とか時空物理とか科学とか、単位とってたっけ?」

カツサンドを受け取りながら、彼の隣に座る。
私の方が年上なのだが、なんだか年下に感じないのは何故か。
ああ、人生経験の差か。私武術しかやってなかったもんね、くそう。
相手の顔を覗き込みながら、私は相手へと言葉を放つ。

「さっきの事だけれど、通報はしない。それは約束する。
でもね、その代わりに―――」

私は彼にいたずらっぽくわらったつもりで。
どう答えてくれるか楽しみにしながら言った。

「私と一手、手合わせ願えない?」、と。

951東西南北 良方:2012/02/10(金) 23:26:18 ID:7gFzKdaU0
>>950
「あーそうか。……俺はあと2年、無事に行けば学校行けるなぁ。
大学…………、うーん。高校出ればそれで俺はいいかも。行けない訳じゃないんだけどさ。
ちょいと自分探しの旅っつーか……、自由になって今〝俺が何をしたいか〟が分かんねーからさ。ちょいとそんなもんを見つけに行ってみようかな、ってな」

着付けを直してもらって、さんきゅ、と気楽な様子で礼を言う。
確りとした状態になってみれば、ガタイの良さも有ってセンスはドウであれそこそこ似合っていたといえるだろう。
どちらにしろ髪の色とかも相まって目が痛いほどの極彩色に彩られている事だけは如何ともし難いのであるが。

「あー……、一桁の頃から吸ってるからさ……。苦手な人の前じゃ吸わないから、神宮寺の前じゃ吸わねーさ、悪いね。
……それさっき出してきたわ、あの先生結構厳しいからなぁ。こってり絞られてきた所だ。
時空物理辺りなら能力の関係で強いからサクサク行けるんだけどな、英語とか語学苦手なんだよ俺」

実は理系のチンピラ予備軍と言うか、普通にチンピラな高校生。
しかしながらタバコが嫌いな人の前では吸わない主義らしく、シガーケースを確りと仕舞い込む。
辞めるつもりは無いのがそれはそれで良方らしいとも言えるか。

かつサンドを食べ終えて、ん?と貴方が此方の顔を覗き込むのを感じて首をかしげる。
サングラスの奥の案外にも穏やかな双眸が黒い障壁を間に挟んで貴方の視線を受け止める。
そして、悪戯気を含めて出されたダンスのお誘いに、くしゃり、とかつサンドの箱をつぶしながら立ち上がって。

「上ォ等ぅ! どうせなら箱庭でやるかい? 別に俺ぁ此処でもいいけどよ、黒服とか起きると面倒だしな」

まだ目覚める様子の無い黒服達を見回して、どうせ踊るならばダンスホールでと、誘いに誘いを返す良方。
別に此処でやってもいいし、場所を変えてもどちらでも良方は構わなかった。

952神宮寺 真由子:2012/02/10(金) 23:47:21 ID:xm/dFKGs0
>>951
「私もどこでもいいかな…まぁ、行くならなるべく速く行こっか」

相手の誘いに私は喜んで乗る事にする。
彼がどんな使い手なのはわからないけれど、身一つでどうするか。
と、少し思案をしながら彼よりも速く立ち上がって。

「ほら、速く行こ?」

彼女自身自覚もしないが、何の暗い感情の無い純粋な屈託のない笑みでそう言う。
彼女の人柄が良くにじみ出たとてもいい笑い。
切り揃えられた黒髪の短髪を揺らして彼女は彼に話しかける。

953東西南北 良方:2012/02/10(金) 23:55:08 ID:7gFzKdaU0
>>952
「――――うーっし、んじゃ行きますかね」

そう行って、近くの端末を操作して転送――。


――――所は変わって場所は荒野である。
箱庭、荒野ステージ。荒涼とした光景に、寒々しい風が吹き荒ぶも、気温はそれ程低くはない。
軽くアップをすれば十二分に戦闘に支障はないであろう場所だ。

いつの間に着替えたのか、和服ではなくアロハシャツにジーンズという格好になった良方。
長いグラデーションの髪を後ろで縛って纏めて、サングラスを外す。
サングラスを外してみれば案外童顔で、サングラス無しだとそれらの格好よりも普通の学生っぽい格好が似合いそうだった。

屈伸、柔軟、軽く体を動かしながら体を温めて、動ける状態へとシフトしていく。
先ほどまでの調子にのっているような軽い様子ではなく、真面目な表情を浮かべている姿は、学校では見られない姿だったろう。

(――――能力の全てを俺は今失ってる。……今の俺で何処まで行けるか、今の俺が何処まで変われるか――――)

ふぅ、と息を深く吐いて、夜空を見上げて口を開く。

「――――やってみるっきゃねえわな」

ぼきりぼきりと拳を鳴らして。青年は貴方の転送を待つのだった。

954神宮寺 真由子:2012/02/11(土) 00:12:28 ID:xm/dFKGs0
>>953
「―――」

転送して、ジャケットの前を空ける。
下には白いシャツを着ていたので、さっきまでぶっちゃけ窮屈だった。
胸が大きいのと言うは本当に不便だと思う。
でもこっからはそれを余り気にしなくていいのだから楽といえば楽だ。

「すぅ―――っ」

周天―――気を満たす様に、体を温めるように呼吸する。
魂からの気は問題無く、寧ろ今までよりも体は軽い。
ただ咎められたとおり使うときは今までどおり体の気を使っていかねば。
ただでさえ、ここ最近は電気発勁で命を削っている―――無理は駄目だ。

「はぁ―――っ」

吸った息を吐いてゆっくりと相手を探すように周囲を見渡す。

955東西南北 良方:2012/02/11(土) 00:19:57 ID:7gFzKdaU0
>>954
「――格闘なんざまともに習ったことねえんだけどよ。
ま、ぼちぼち頼むぜ、センパイ」

素人と云いつつも、構えと気配は全く以て素人には見えない。
喧嘩等で培ったものと言うよりは――――〝命の奪い合い〟の感覚を覚えさせる物だ。
同時に、異能の気配など微塵も無いというのに、重々しい気配が周囲を満たしている。

もう、そこに居たのは只のお調子者の高校生ではない。
運命を切り拓く選択をし、己の異能を捨ててでも自由を得た一人の青年が、貴方の目の前には立っていた。

拳を握らず、手は開き、腰を落とすと丹田に力を込める。
専門の格闘家や武術家とは異なるものの、重心の安定がそれに拠って図られた。
何処か底の知れない気配、〝経験〟が武術家たる貴方の前に立っていた。

956神宮寺 真由子:2012/02/11(土) 00:41:54 ID:xm/dFKGs0
>>955
「一手、手合わせお願いします―――」

そう言って一礼して、ゆっくりと構える。
その気配は静かで撫でる風の様であり―――〝拳士〟としての実力を示している。
彼女もまた異能の気配はなく、大きい気と強い芯を持っている。

そこに立つのは一人の拳士であり―――
神宮寺式気功術の後継者にして聖気発勁を受け継ぐ拳士が相手の前で立っている。

右の腕を相手へと伸ばし、左の腕は右よりも短く伸ばす。
その状態で先程の呼吸をゆっくりと繰り返す。
八極拳に近い物があるその構えは、安定した重心と陽気を満たすと言う行為が含まれる。
純正の拳士―――真っ直ぐであるが故に彼女の拳は研ぎ澄まされていた。

957東西南北 良方:2012/02/11(土) 00:48:45 ID:7gFzKdaU0
>>956
貴方が構えを取った直後に、とん、と軽い音が響く。

「ん――――じゃ、そぉらァよォッ!」

牽制とばかりに割りとスタイルの良い長い足を生かした前蹴りを放ってみせる。
蹴りにはキレと重さが兼ね備えられており、実践で使われても問題ない練度を誇る。
当然武術家たる貴方に取っては、技術面では拙い物にしか見えないかも知れないが、センスでそれを補っているのが分かるだろう。

ちりちりと右頬の刻印に痛みが走り、体が火照ってくるのを感じる。
戦闘用に生まれ、遺伝子を弄られた上でフラスコで育てられた生粋の人工能力者。
縛りを失い異能を失った今でも、卓越した身体能力と刻み込まれた戦いのセンスだけは健在であった。

958神宮寺 真由子:2012/02/11(土) 01:01:07 ID:xm/dFKGs0
>>957
前蹴り、私から左側―――勢いは強い。
キレや重さは極めて高いが、一方で拙さがある。
技術を才やカンで補っているように感じるものの、十分な脅威だ。

「―――」

その蹴りを左の手で受け流そうとしながら、相手の内側に入ろうと動く。
入れたならばそこから背面をぶつけるように体を動かす―――鉄山靠。
入れなかったのならば体を反転、頭を下げて相手に対して右足を蹴り上げる。
そもそも受け流せなかったらならば強引に背中をぶつけていく―――!

959東西南北 良方:2012/02/11(土) 01:12:02 ID:7gFzKdaU0
>>958
「あーらよぉっと!」

ひゅぅ、と風切り音が響き、良方の姿がブレる。
内側に入ってくるならば、と横薙ぎに蹴りを叩きつけようと、右足で回し蹴りを放つ。
鉄山靠に合わせるように放たれたそれは、一瞬拮抗すると良方を後ろに吹き飛ばす結果となった。

地面に頭から落ちて行くかと思われるも、手を逆立ちする様に地面に付けてバック転。
軽い音を立てて着地する良方の足にはじんじんとした痛みが残っていた。
息を抜くことはない。鋭い目が貴方を見据える。今の己に必要なのは、小手試しの戦いではないと。

「――――どうせ箱庭だ――――。殺す気でいくぜ?」

死すらも虚構とする場だからこそ、本気の本気で闘うことを可能とする。
今の己の本気が何処までなのか、今の己が何処まで通用するのか――――、それを知りたいと思った。

960神宮寺 真由子:2012/02/11(土) 01:33:39 ID:xm/dFKGs0
>>959
殺害する―――余り好きではない言葉である。
だってなんか全身全霊を賭ける事を放棄してる気がするんだもの。
けれど、どちらにせよ全力は常に出している。

「好きにどうぞ」

私は短くそう言うと気を張った右足で全身を蹴り出しながら、
右手を突き出して突進する。

真っ直ぐかつ解りやすいが、一足で相手に到達するほどの脅威となる速さ、
込められた力を持って相手へと襲い掛かる。
入ったならばそこから左足で脚払い、入らないなら相手のいる方向変更。
右ならば右肘撃ち、左ならば左手の手刀薙ぎ払い、後方ならば蹴り上げ。
対応できないほどの速さだったらば対策は無い…。
外した瞬間から約2秒が次の攻撃までの時間。逆を言えばそれまで隙だらけだ。

961東西南北 良方:2012/02/11(土) 01:40:10 ID:7gFzKdaU0
>>960
殺さなければ死ぬ。そういう所で生きていた。
だからこそ、良方に取っての全身全霊とは、命の奪い合いに他ならない。
それが良いことではない事も分かっては居るが、今の己に出来るのはそういうやり方だけだった。

「――――だぁッシャぁ!」

貴方の接近、それに動物的勘で正確に反応を返す。
優れた体幹からなる重心のブレの少ない安定感ある動きからの、跳躍。
接近にあわせて前に出て、顔面に右膝を叩きこまんと跳躍し、飛び膝蹴りを放ちに行く。
右でも左でも後方でもなく、そして右手を飛び越える軌道を以て、足払いは跳躍で回避して――真正面から倒しに行く。

962神宮寺 真由子:2012/02/11(土) 02:11:22 ID:xm/dFKGs0
>>961
上に来るとは、少し予想外だったかも。
左手で無理矢理に攻撃を流しながら右手を地面について勢いを殺す。
左手の甲が顔に当たる。痛い、ついでに右腕は擦り傷、やっぱ痛い。
後背面は地面に激突、痛い。

「つぅっ…でも―――」

その状態から左腕を膝から離して跳躍で空いた隙間に体を滑り込ませる。
そこから両腕で前転して体制を整えて、やっぱりこれじゃ無理か。
なんて思いながら、気を満たす呼吸を行う―――。
私も精進があまりにも足りないだろう、侮るなんて。

「全身全勁、陽気巡らす!」

気迫と共に震脚、全身全勁へと気を巡らしていく。
全身に気を巡らす事で硬気功による肉体強化を行える周天法の一つ。
攻撃でも防御でもないが、気迫と共に気で相手を呑む様に覆う。
気で相手を呑むことで相手の筋肉を緊張状態へと追い込んでいく。
しかし、相手に有効なのやら。幾ら陽気を巡らすとは言え練った訳ではない。
戦いながら、気を練って相手を少しずつ追い込んでいかなければ。

963東西南北 良方:2012/02/11(土) 02:22:32 ID:7gFzKdaU0
>>962
攻撃を流されるも、体格の良さを生かし、体重を掛けるようにした一撃は十分に重いだろう。
己の下をくぐり抜けられて、己もまた地面に音を響かせて着地する。
じんじんとした感覚が体を駆け巡り、僅かなりとも通ったと教えてくれた。

「――っふぅ」

口をふくらませて一気に息を吐くと、息を吸って目を見開く。
目の前の相手が、先ほどまでと違う、とそう理解した。
此処ぞという時に一服入れたいのが良方だが、葉巻を取り出す余裕は無さそうだ。

重々しい気配、飲もうとする気。
だが――――ここまでならば、何度も経験してきたレベル。
多彩な実戦経験、年齢が一桁の頃から実戦に〝使用〟されていた身。
その中には、そのような技術を使う者も存在していた事を覚えていた。

「――――――ッふん!」

気を張って、意識を強く持ち、己の両頬を強く叩く。
口元に薄い笑みを浮かべて、良方がじりじりと貴方に向けて間合いを詰めていく姿が見えていくことだろう。

964神宮寺 真由子:2012/02/12(日) 18:48:36 ID:xm/dFKGs0
>>963
「ふー…」

怯まぬ相手に、動揺する事はなし。
この程度なら、彼女にだって耐えられる範囲。
相手の一撃一撃をよく見て、合わせて行動し止めをさす。
隙を見逃さず、隙を作らせ時に自分が隙を作る。

「さて…どこから壊していいものか」

正攻法なら右上腕の筋肉、軸脚の脛からだ。
通じない相手も多いが、意表を突くという意味合いで首を取る勢いで鼓膜か耳小骨。
もっとも、少しこの相手には厳しいか……肋骨を折らせながら腿の間接を砕く…難しい。
ここは正攻法の逆、軸足の関節から攻めていくか。

薄ら笑いを浮かべる相手を前にしても、私の顔は変わらず。
強張っている様に感じた、多分死の恐怖を感じているからだと思う。

965東西南北 良方:2012/02/12(日) 20:29:22 ID:7gFzKdaU0
>>964
「――――」
(――――拳士としちゃ超一級って所か。格闘だけなら、今の俺じゃ正直不利だわな。
気も使えねーし、戦い方は我流だし。…………だけど……今の俺は今の俺にできることをするしか無い、か)


距離をゆっくりと詰めていく間に思考を巡らせていく。
己に出来ることは何か、どうすれば、己の真価を発揮できるのか、己の真価は何処にあるのか。
思考を巡らせ、どう闘うかを考えていく。先程よりも相手が本気に近いことは理解できるから。

「…………さて、どう攻めたもんかね」

カウンターを食らうのは痛い。此方の隙を潰されれば、その時点でかなり危ない。
かなり鍛えているとは言えど、気を込めた一撃であれば数発耐えられればいいところだろう。
とん、とん、とステップを踏みながら、重心をずらしたり、あえて隙を作ったりして相手の動きを青年は誘う事にした。

966神宮寺 真由子:2012/02/14(火) 20:32:48 ID:xm/dFKGs0
>>965
「さて…足るか足らないか、試し所ね」

相手が真っ向格闘勝負を仕掛けることはまず無い。
投石暗器奇襲騙し討ち上等と見た方がいいだろう。
警戒した所で如何にかなる物ではない。

―――何、ただ踏み砕くのみだ。

離れた距離の感覚、それは問題には入らない。
此方は拳士…武器は拳と気迫のみ。
此方にある遠距離手段はただ一つのみ。

「渇!」

震脚と同時に両手を前方で突き出す―――。
相手からの距離は約1m、拳の感覚は約8撃。
その八撃の距離を数秒感覚の一撃で詰める!

相手に襲い掛かるは不可視の打撃。
攻撃する気配はあるものの拳を突き出してから約5秒後に相手が立っていた場所へ襲い掛かる。
その技こそ本流ではないが『遠当て』…触れずに相手を殴る技。
もっとも、相手の警戒も高い筈。これは一種の牽制球であり試しだ。

967東西南北 良方:2012/02/14(火) 21:55:28 ID:7gFzKdaU0
>>966
実際の所、この都市に帰ってきたばかりの彼は、新たな装備も、武器も何一つ持っては居なかった。
故に、暗器は来ないし、投石如きでは貴方を騙すことができないとも理解していた。
すなわち――――基本的には真っ向からの戦いを彼はしなければならないという結果にあるのだ。

(――――く、るッ!)

ぞわり、と背筋に怖気が走り、だん、と地面を強く蹴り、横っ飛びに良方は動く。
びしり、と脇腹に衝撃が走るものの、大きなダメージになることはない、が。

「――――ッ…………チぃ………こうして見ると…………頼りすぎだわなァ!」

戦って初めて、己が如何に能力に頼って戦っていたかが分かる。
己の身体能力がいくら高かろうと、戦闘的勘が優れていようと――――、能力なしではこうも辛い。
その点、能力無しで闘うことの出来る貴方が彼は羨ましくもあったが、思う。
心の何処かで己はまだ――――自分が異能者だと信じているということを。

「――――――誰かに頼るな、最後に頼れるのは自分――――、己に全てを求めろ……だっけか」

己の上官、敵の組織のものだったとは言え、そこそこ人間的には良い者の言葉を思い出す。
己の可能性、己の努力、己の意思、何もかも、己を構成する全てを信じ抜き、己に全てを委ねる事。
その言葉を不意に思い出した。息を深く吐き、深く吸う。

「…………行く」

地面を強く蹴り、獣のような動作で地面を走り抜けていく良方。
先ほどまでの人間のような動きよりも野性味が強い物の、そちらのほうがしっくりと来るのか先ほどよりも動きは良い。
異能を持つ武器を融合し、獣と化して戦ったことが有るゆえ、その方が向いていたのだ。此れが、良方の持っていた可能性のその一。

此処から先は失ったものばかり――――、新たなものを引き出せるかどうかは、此処から先にかかっているだろう。

968神宮寺 真由子:2012/02/14(火) 22:31:17 ID:xm/dFKGs0
>>967
「さて、行くとしましょうか」

飛び込む様に、喰らい付く様に迫り走りよる相手へ。
構えと共に繰り出すは構え震脚!
踏み込むと共に猛虎の気迫を込めて吼える。

「発っ!!」

これだけでも立派な手段となるほどに研ぎ澄まされた震脚。
しかし、これは所詮次の撃を放つための準備でしかない。
彼女はそこから左手の中段狙い手刀を放つ。

届くか届かないかギリギリの距離を迷い無く詰める。
しかし、これは震脚で相手が怯まないと判断しての行動。
おまけに何の企みも無く放っているが故に搦め手も無い。

969東西南北 良方:2012/02/14(火) 22:44:41 ID:7gFzKdaU0
>>968
振動を感じて、踏み出す右足に力を篭めて、一気にしゃがみ込む動作に入る。
唐突に、貴方の目の前から良方が消えたようにも思えるだろう。
そして、震脚が完全に決まったと思われる瞬間に、既に彼は地上に居ない。

「――――――だぁラァッシャァッ!」

取った手は、特に優れている下半身の有効活用。すなわち、跳躍に寄る反撃だ。
貴方の手刀と交差するように、空中で左足が突き出され、顔面へと伸びていく。
がりがりがり、と気の込められた手刀が左足の肉を削ぎ、血を吹き出させる、が。

「届けやァ!」

重心を前に崩して、蹴りの軌道を下げ、みぞおちにつま先が突き刺さるように蹴りを落とす。
体格の良さとバネを生かした打撃だが、武術家のそれよりも威力的な効率は高くない。

970神宮寺 真由子:2012/02/14(火) 23:03:06 ID:xm/dFKGs0
>>969
「っ…!」

左手が思ったよりも力が入っていたようで。
頭上に脚が入りつま先まで伸びていく、途中鎖骨に当たったか。
しかし、反撃の手段はまだ、ある。

「佛っ!」

左手を素早く戻し、両手で足を掴もうと動く。
硬気功のお陰か、頭が揺れたが思考が揺れる程ではなかったようだ。
もっとも、頭がそれなりに痛いが。

脚をつかめたならそのまま倒れこむように後方へ投げ離す。
掴めなかったなら投げ離す要領で後方回転脚。
もっとも、それが通用する相手かどうか。

971東西南北 良方:2012/02/14(火) 23:15:17 ID:7gFzKdaU0
>>970
「――――ち、ィ……ッ! 一緒に連れてってやらァ!」

捕まれ、投げられる刹那。体をくの字に折り曲げて、貴方の襟首を右手で鷲掴みにするだろう。
そのまま、貴方の体にしがみつき、襟首を引っ張って締めに入ろうとするかも知れない。
しかしながら、その状態は隙が有る状態であり、もしかすれば下策である可能性もかなり高い。

抵抗することは十二分に可能だろう。

(何とかして……流れを持ってかねぇと……!)

流れを相手に持って行かれるのが何よりも怖い、そのために流れを自己に引き込むために強引な行動を選択したのだ。

972神宮寺 真由子:2012/02/14(火) 23:28:48 ID:xm/dFKGs0
>>971
その掴まれる刹那に、彼女は少しだけ不敵に笑った。
相手に尤も近づいた状態で、襟首を掴まれた右手を。

「勝ちを焦って強引な手に走りましたね。
その右手、まずはくびり殺させていただく」

締めに入ろうとする相手の動きをよく見ながら両手を離し、
相手の右肩の間接へ向かって腕による下から脇への発勁―――弱いが確実に関節を壊す一撃を放つ。
当たれば確実に間接を、いや下手すれば肩の骨を砕く一撃。

投げ飛ばそうとしたゆえに後ろへ倒れこもうとしている体を気にする事も無く。
相手へと攻撃を仕掛けるが、これを避けられてしまったら隙だらけになるだろう。

973東西南北 良方:2012/02/14(火) 23:38:30 ID:7gFzKdaU0
>>972
下策であった、その時に確信する。
そも近接において相手のほうが分が有るというのに、その状態で相手に有利な状況を作ったのがそもそもの間違い。
食らうのは必然とも言えるだろう。衝撃が良方の体の中を駆け抜ける、紫電のごとくに体を痺れさせて。

「――――ぐ…………ぁ……・ァ………………ッ! ぐ……ぅ」

だぁん、と強く地面を蹴って貴女から距離を離すも、既に激痛が全身に苦痛の叫びを上げさせんと奮闘を始めていた。
額に脂汗が浮かび、じんじんとした熱が、露骨に骨の損傷を物語る。
ああ――――ピンチだな。冷静なまでに良方はそう思う。

「――――まだ。……終わらねぇわな、終わらせる筈が無い」

びり、と嫌な気配を貴方は良方から感じるかも知れない。特に気を運用する貴女から見れば、その感覚は強く理解できる筈だ。
その嫌な気配は――――右頬に刻まれている、〝0〟という数字の刺青。そこから黒い力が漏れ出している。
ぎしり、サングラスが軋み、嫌な音を立てて。徐に良方は左手を頬に伸ばし、爪を立ててその刺青を爪で引き裂く。

「…………やろうぜ、センパイ」

何処か、吹っ切れた様子、ためらいのなさを今の良方は感じさせる。
そして、先ほどまで影ひとつ見当たらなかった〝異能の気配〟という物を感じられることだろう。

974神宮寺 真由子:2012/02/14(火) 23:54:05 ID:xm/dFKGs0
>>973
「もう少し続けたいけれど、残念です。
私もこれでも学校がありまして。それに夕飯も近いんです」

そう言って、彼女は演舞を舞う。
それは陽気を溜める儀式のような物であり、通常練る物とはレベルが違う。
見る見るうちに相手を呑む様な気配は大きくなっていき、空間が彼女の気で呑まれて行く。
彼女の行動が示していた。

―――次でくびり殺すと。

演舞の間にも隙が微塵も見られない。
この間に仕掛ければたちまち手痛い反撃で四肢を一つくびり殺すだろう。
その時は確実に致命傷を浴びせに掛かって来る。

「七孔墳血―――」

975東西南北 良方:2012/02/15(水) 00:05:35 ID:7gFzKdaU0
>>974
「おうよ、俺だって学校が有るし、此れ以上休んじゃどやされちまう」

そう言うと、貴女が演舞を舞う中で、良方は目を瞑った。
同時に、体から吹き上がる重く、暗い、〝未知〟の気配が御されていく光景が見えることだろう。
だんだんと、その力の収束が、彼の右目に篭っていき、サングラスのレンズに徐々に罅が入っていく。

「――――成る程、そういう事か。〝見えてきた〟」

そう呟いた瞬間、その双眸がかっ、と見開かれ、同時にレンズが粉砕する。
頬に有った〝0〟の刻印が這いまわるように移動していき、良方の右目に収まる。
黒目の中に浮かぶのは、0の数字で。それが〝黒く輝く〟。

「第一の世界」

左手をするりと前に伸ばして、何かを引っ張るような動作をする。
直後、左手には炎で構成された3m程の長棒が握られている。
ぐるり、と左手で器用にそれを回し、その先端を相手に突きつけた直後、その先端は槍へと変わる。
目の数字はいつの間にか1、へと変わっているのが見える事だろう。

「行くぜ――――」

腕を振りかぶり、体をひねり、構えを取る。
いかなる能力かはわからないが、先程より段違いの力を知覚しても可笑しくはなかった。

976神宮寺 真由子:2012/02/15(水) 00:21:50 ID:xm/dFKGs0
>>975
彼女は舞い続けていく、目の前の変化に戸惑う事無く。
相手の力の変化に恐れをなすことも嘲笑する事も無く。
ただ死力を賭して相手と打ち合うのみ。

「―――」
(武器。けれど出来ることに変わりは無い、ただ踏み砕くのみ)

陽気めぐらせる全身と、その力を一点へ。
必ず勝つと必勝の心得を胸に、相手と構える。
舞いを止めて、彼女は正面にいる相手へ踏み込んでいく。

一歩一歩、その一歩が震脚。
放たれる一撃は全て必殺であるというように一歩一歩ゆっくりと詰めていく。

977東西南北 良方:2012/02/15(水) 00:25:07 ID:7gFzKdaU0
>>976
「――――逆巻け、渦巻け」

炎の槍が、渦巻き、逆巻く。螺旋の如くに回転し、その力を練りあげていく。
その間、良方は理解する。この力はかなりの負担だと。
命を吸い上げられるかのような倦怠感、成る程これは厄介極まりない。

だが――今の自己には〝これだけ〟だ。
ならば、此れで行くしか無く、ならばこれを信じるしか無い。
だから、心を決める。――――勝ってみせると。

緊張感が高まっていき、今か今かと、衝突の時を良方は待ち続ける。
一撃で終わらせると、そう宣言するかのように、待ち続ける、その〝一撃〟の瞬間を。

978神宮寺 真由子:2012/02/15(水) 00:38:36 ID:xm/dFKGs0
>>977
「―――」

小細工も無く、彼女はただ目の前の相手へ向かい歩いていく。
相手が槍を突き出せば届く範囲であっても翔ける事も無く。
『ただ』一歩一歩歩いていくだけだ。

当然である。一歩一歩が震脚であるならば、踏み込みに一歩使う必要など無いのだから。
ただ距離をつめて殴る―――それだけで構わない。
必要なのは衝突の瞬間にいかに合気をできるかである。

979東西南北 良方:2012/02/15(水) 00:41:05 ID:7gFzKdaU0
>>978
「――――――っ」

ぽたり、顎から汗が滴り落ちる。
サングラスの下は案外童顔である素顔は、今は鋭い様相を呈し。
ただひたすらに、相手の攻撃の瞬間、隙が最も多くなる瞬間を狙う。

互いに大きな動きを見せることこそ無いものの、その間の空気は、激しく、鋭い。
衝突の時は、近いだろう。

980神宮寺 真由子:2012/02/15(水) 00:46:55 ID:xm/dFKGs0
>>979
「では、仕掛けよう」

そう言って彼女はその位置から、構えと共に反転する。
その行動は隙だらけで、まるで誘っているかのように見えた。
だが同時にその隙こそが次の一撃が大きいことを示す。

「この一撃に二の撃要らず―――」

言葉と共に隙だらけの状態から仕掛けるように体を動かす。
反転の状態から相手に向かって拳をぶつけようと動く。
その速度は視認すら難しいほどのもの。

981東西南北 良方:2012/02/15(水) 00:52:53 ID:7gFzKdaU0
>>980
「――――応」

答えを返す。弓のように全身をしならせ、ねじった状態は十二分に力を得ている。
その貯めを、一瞬で解き放つからこそ――――、強力なのだ。
業火が螺旋となって手の中で渦巻き、至近を持って投擲される。

「――――炎柱ッ!」

炎の〝柱〟が横に伸びて、打を放つ貴女に放たれる。
しかしながら、気を込められた拳に吹き払われて、威力が僅かに減退するだろう。
同時に、打撃を直で食らった良方は数メートル程吹き飛ばされて、内臓を損傷、ほぼ死亡に近い状態になる。

(――――――ち……ィ、負け……か、だが――――、掴んだ!)

右目に宿る力に、実感を覚えつつ、良方は死亡し、現実世界へと送還されていくのだった。

982神宮寺 真由子:2012/02/15(水) 00:57:08 ID:xm/dFKGs0
>>981
「――――――」

拳を放った後、数秒、そのままでいた。
そしてゆっくりと反転し、立ち構えを取ると。
長い長い一呼吸の後。

「―――相討ちか…私もまだまだ修練が足りない」

倒れこそしなかったが体の損傷は大きい。
連戦が出来ない以上、この勝負は相討ちだろう。
完全勝利は今だ遠いと思いながら彼女もまた送還されていく。

983「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/23(木) 23:59:24 ID:1sJsd2CgO
【連続放火魔イベント】
―― 容疑者の行動「弐舞兄妹」


 異能都市に太陽が墜ちた。

 夜陰の黒は打ち払われ、塗りたくられた影だけが、その黒さを放射状に伸ばしている。
 焼けるような白光に顔を覆う腕はヒリヒリと痛み、アスファルトから立ち上る匂いは真夏の炎天下を想起させる。
 その中心――否、原因はひたすらに輝く灼熱の光球。
 突如として現れたそれが、ただ一人の少女に依る現象とは俄に信じられなかっただろう。

 痛ましい絶叫が耳をつく。
 恐怖に息を呑めば布の焼けるすえた匂いに、生々しい死の香りが混ざり込む。
 太陽ではない、これは災厄だ。
 男の濃い影が白い地獄絵図を彩る。
 悲鳴と断末魔、笑い声と狂気によって。



▼連続放火魔イベント
【クエスト】弐舞兄妹
【日時】2/24 20:30〜
 ※続きを翌日に持ち越す可能性もあります。

【概要】
「妹よ、俺達が放火魔らしいぜ」
「誠意をもって応えましょう、兄さん」

 連続放火と殺人の容疑者としてリストアップされている弐舞兄妹が、街中で突如暴動を始めた。
 犯行声明の類いは一切無く、動機は依然として不明。
 現場の状況が判明するまで治安維持機関は動けないようだ……。

 貴方達は、暴動の現場を目撃ないし巻き込まれたものとして参加する事が出来ます。
 弐舞兄妹を鎮圧する事が目的になります、戦闘向きのキャラでお越しください。

【終了条件】
・弐舞兄妹の鎮圧(生死不問)

【その他】
▼ターゲット
兄/弐舞伝治 ニノマエデンジ
『纏雷骸』
 電気の鎧を着込み、その性質を体現する事を主とした邪気眼能力。

妹/弐舞晃 ニノマエヒカリ
『光の蕾』
 灼熱を伴う光の触手を操る、操作系能力。
 光の触手は冷えない特性を持ち、それぞれ縺れ合って様々な形を象る。

984「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/24(金) 00:05:34 ID:1sJsd2CgO
>>983


 惨状を煌々と照らす光の球は、始めより幾分か光量が抑えられていた。
 それでも十分に炎天下のような相様である。

「やっぱり素晴らしいわ兄さん。実に華やかな開幕ね」
 光の球の直下、交差点の中心。
 惨状に似合わないフリルがアクセントの服装をした小柄な少女が立っている。

「おうよ。世間様の御期待に沿えなきゃ恥だからな」
 動く度に、逆立つ髪が空中へ放電の火花を散らす、飾り気の無いシンプルな男。
 攻撃的な気配を纏った彼は少女からの世辞を背に受け、自慢気に胸を張った。

 彼らは弐舞兄妹。
 兄の伝治と妹の晃、二人共々件の連続放火魔の容疑者としてリストアップされている。
 二人とも、やはりそれらしい前歴のある劇場型犯罪者である。

「しっかし、骨のあるヤツは少ないな。心意気はあるが全く身になってない輩が多い!」
 陣を敷き魔術を試みる【NPC:少年】に放電する蹴りを浴びせ、内側から焼いた。

「まるで幽霊みたい」
 鞭の様に放たれた光の触手が兄の背に刃を向けた【NPC:剣士】を薙ぎ払い、更に追い撃ちをかける。
 息を吐く間も無い追撃をマトモに喰らった【NPC:剣士】は触手の熱に焼かれ、ブスブスと黒煙を上げていた。

「だよなぁ……見通し良くて人通りが多いなら。
 もっと強いヤツが居るハズだろ?」
「ここに居るじゃない。ふたり」 兄は妹の言葉に楽しそうに笑い、再び【NPC:向かい来る者共】を討ち滅ぼし始める。

 大通りの交差点。
 その中心で来るべき強者を待つ。



【NPC:民間戦闘員】
災厄に巻き込まれた勇気ある民間人。
弐舞兄妹に立ち向かったり、周囲の負傷者を回復したり、健気に立ち回るNPCである。
つまり、モブキャラクター。
この現場には参加者のみならず、そんな人々が無数にいます。
そして参加者はこのNPCの行動描写を自由に行えます、一度に何人でも動かせます。
自キャラと組ませるもよし、単体で使うもよし、複数人を一気に使うのもよし。
状況に合わせて上手に使いましょう。

985「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/24(金) 20:28:00 ID:1sJsd2CgO
// 20:30から開始します
// 途中参加、離脱は可能です
// 不明な点については、雑談やイベント議論スレにお願いします

986使い魔のキルリス:2012/02/24(金) 20:40:18 ID:do5XJmGE0
【街中】
街を灼くような炎。
目をつんざくような光。
崩れた建物の隙間、そんな場所に黒猫はいる。
ちょうど、兄妹を正面で捉えられる場所だ。

『―――-……(人間共め……)』

丸まった体から二本の前足だけで周囲を確認。オッドアイが見つめるのは兄妹。
発せられる、ナニカ。
人が理解し得ない言語。
兄妹らしき二人組に大勢で掛かる人々を見て。
猫らしく、にゃーと鳴き声を上げて。
二人に襲いかかったNPCの惨状をみて、にゃあと鳴いて。
惨状を創りだす大通りの交差点にいる兄妹を見つめて、再び鳴いた。

987防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/24(金) 20:44:33 ID:WVrfsEdY0
>>984
【炎に包まれた街中】
「やはり修行はぶっつけ本番ですね…」
【消火器を抱えた学生服の少女がそこへ歩いて行く】

「まずは鎮火させて頂きます!」
【そう言うと、手に持っていた消火器が光り輝き出す】

「でやぁ!!」
バシュウウウウウウウ
【猛烈な勢いで消火剤が噴射されていく】

「皆さん今のうちに!!」
【近くに居た民間人に向けて声を掛けに行く】

988 ◆uotUYGHVwM:2012/02/24(金) 20:47:41 ID:ZYOQcpKY0
「え?」

夜闇が切り裂かれるような光。
雪の降り積もる冬の寒さを吹き飛ばすような熱気。
響く笑い声と共に逃げ惑う人々。

全ての流れに取り残され、男は一人佇んでいた。

仕事終わりの買い物帰り。
そんな日常は一瞬で砕け散り、事の運びに思考が追いつかず停止する。

少しずつ状況を噛み砕き、飲み込んでいく。
思考が現状に追いつく頃には、男の周囲には逃げ惑う人は居なくなっていた。

吹き荒ぶ猛火の元に目をやれば、人間だった物が焼ける厭な臭いが鼻を突き
まるで太陽のように輝く光球の傍で狂ったように笑い声を上げる男女が居た。


「……ああ」

あいつらがこれを起こした。
それだけは瞬時に頭の中に入ってきた。
手にしていた紙袋を地面に置き、一歩足を踏み出す。

「何ですかこれ……テロですか?もう俺疲れてるから早く帰りたいんだけど、俺の家ってあんたらがいる方向なんだよね……」

989ミラージュ:2012/02/24(金) 20:58:54 ID:oB5LASG.0
「理解できん」
高速で現場を目指す少女は一人、呟いていた。
しかし、鎧の下の顔は嬉々としていた。
一昨日行った性能テスト、それを試す場面が、早速やってきたのだから。

始めは腕。真紅の籠手が填められる。
次に脚・胴体と順番に何処からか飛来した真紅の鎧が装着されていく。
最後に肩に着いた大型の盾。身長を越した側面の全てをカバーする大きなものだ。
「尤も、理解する気はないが」
真紅の鎧が完成した時、既に現場にはついていて。
兄妹を眺め……吐き捨てた。

990「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/24(金) 21:21:48 ID:1sJsd2CgO

>>986
 猫、である。
 周囲の人間はそうとしか知覚出来ない、そもそも敵の動向以外に気を配る余裕が無い。
 それは敵――兄妹自身も同様であり、つまりは誰にも見つかっていないのだ。
 並の探索<サーチ>系や、解析<スキャン>系の能力でも、その正体を推し量るには至らないだろう。
 故に、周りからは猫でしかなかった。

>>987
 消火剤はその役目を十分に果たし、逃走経路を確保する。
 非戦闘員は地獄の中に仏を見たような、藁にもすがる気持ちで押し合いへし合い駆けずり出す。

「おー、おー。救助活動ご苦労さんッ!」
 我先に向かう群集の波に紛れ、弐舞兄妹の兄――弐舞伝治が突如としてアナタの眼前に姿を現す。
 バチバチと帯電した脚を、逃げ惑う群れに挟み入れ――蹴り上げる。

「俺も協力してやるよ。救助者を減らす方向でね!」

>>988

 灼けつく光の球。
 この状況を形作る強烈なファクター。
 元凶とも言い換えられる、その下から状況に似つかわしくない声が飛んでくる。

「テロとは失礼な。
 私達は貴方達の求める声に応じただけのキャスト」
 少女の声。
 弐舞兄妹の妹――弐舞晃は誰にともなく語りかける。

「放火魔、殺人鬼。
 私達はそういう名目で容疑者としてリストアップされているの
 なら……応じない訳にはいかないでしょう?」
 ともすれば、他愛ない笑い話のように屈託の無い笑みを浮かべ
 だが確実に殺意の籠った一撃が逃げ遅れた【NPC:少女】を無惨に襲う。
 球体から伸びる、灼熱の白光を伴う光の触手、罪のない人々を葬った妹の能力。
 それが、今度はアナタに襲いかかる。

>>989

 現場の状況は、眩い白光のせいで把握しづらいだろう。
 だが、音は多い。
 日常的に目にする風景に戦場のそれが重なるほどに。

 白光の球体が惨状の中心に在る。
 その球体から伸びる多数の触手のうち、一つがアナタを標的に捉える。
 向こうからは見えているようだ、いかに高速といえど数が多く、ホーミング性能も高い。
 追い付かれ、触れてしまえば、肌を、石を、鉄をも焼く高温が襲うだろう。

991「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/24(金) 21:22:41 ID:1sJsd2CgO
>>ALL

兄妹の手によって様変わりしてしまっているが
普段は人通りの多い交差点である……。

人の通る道が四方八方から交わる、いわば流れの合流地点であり方々へ散らす基点でもある。
交差点の様相を観察する見方によれば、この基点は源とも言い換えられるだろう。

そして、その源の中心。
見えざる力の流れをより集める穴の概念、俗に言えばパワースポット。
大きな光の球を掲げる少女が陣取るのは、その直上である。

――『光の蕾』が一回り、大きくなったような気がした。
【蕾の膨らみ:1/3】

992防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/24(金) 21:35:02 ID:WVrfsEdY0
>>990
「これでよし…と!?」
【突如目の前に現れた伝治と言う男に驚く鶫】
「どうやら放火の主犯は貴方らしいですね」

【突然逃げ惑う人に向けられた足を見て…】
「…単なる放火ならまだしも…人殺しが目的なら」
【右手が光っている…力を貯めているようだ】
「ぶっ潰します!」
【右手を大きく奮って太ももあたりを狙って拳を振り下ろす】

993 ◆uotUYGHVwM:2012/02/24(金) 21:50:56 ID:ZYOQcpKY0
>>990
「……だよなあ」
そんな存在が素通りさせてくれる訳も無い。
少女が上げる悲鳴が耳を劈く。
チィッと舌打ちを鳴らし、女を睨み付ける。

「正義のヒーロー気取るつもりもねえが……」
懐から酒瓶を取り出す、弾く様に栓を抜く。
そのまま手を傾け、零れ落ちる液体を腕で受け止める。

「目の前で人殺されて、平生通りでいられる程図太くはねえんでな……!!」
酒を浴びせられた箇所から、血が滲むかのように紅色が拡がり染まる。
ビキビキと音を立てて血管が脈を打ち、蒸気を立ち登らせた。

「『酒呑-鉄血』ッ!!」
右腕を振りかぶり、姿勢を屈め、地を蹴り走る。
光の触手を瞳に写し、一直線に駆け抜け

「――」
踏み出した足を機転に身体を捻りこむ様に回し
光の触手を懐に入れ避けて

「――おらあッ!!!」
振りかぶり、力を溜め続けていた右腕を触手の先に打ち込み、打ち返す。

994ミラージュ:2012/02/24(金) 21:52:28 ID:oB5LASG.0
>>990
「邪魔だな」
降ろした両腕の、手首の装甲が開く。
そこから淡い光を放つ緑色の粒子が吹き出たと思うと、刀身の形をとって固定される。

光の触手を差し向けた少女は驚くのだろうか。
真紅の装甲に向けられた無数の触手。
光の支配する悪視界の中で、それを容易く切り伏せてしまったら。

995「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/24(金) 22:19:53 ID:1sJsd2CgO

光り輝く大きな球。
この場を炎天下のような日差しで焼いている元凶だ。
水を掛けても、冷気を浴びせても、その大きな球は冷える事なく灼熱を撒き散らす。
あの少女自身に対してこの大きな『光の蕾』は強すぎやしないか。
それぞれが持つ力のアンバランスさが、何か嫌な予感を感じさせる。

――『光の蕾』がまた、大きくなった。
【蕾の膨らみ:2/3】


>>992
 太股を狙う一撃が、満身の力を込めて辿り着く刹那。
 ――伝治の身体が“ズレた”
 既に狙いの軌道から外れた位置に、帯電した脚がある。

「纏雷骸――電気の性質を得る俺の邪気眼能力だ。
 どうやらテメェは、増幅かそこいらのチカラみたいだが……」
 バチィッ、と脚が空間に放電する。

「この“空間電導”の敵じゃねぇな!」
 ――と、声が後ろから聞こえる。
 極短距離の瞬間移動だ。
 伝治はアナタの背後から帯電した当て身を打つ。
 マトモに触れれば微弱な感電を引き起こし、僅かな間、自由に身体が動かなくなるだろう。

>>993
 ぐじゅり、と。
 質量があるのか無いのか判然としない感触を残して触手は裂けるように散った。

「あら、ずいぶんと向こう見ずね」
 触れた腕には灼熱が襲いかかったハズだ。
 それは見るまでもなく明らか。
 耐えられるから放ったのか、または別の策があるのか。
 晃は思案する間を棄却する。

「その打ち返した触手、今は何本に見える?」
 四方八方に裂けた触手が再び縒り集まり、歪な八叉を形成する。
 裂けたのではない。
 ほどけたのだ。
 穂先を鋭く八本の槍となった触手が、アナタの周囲を囲むようにアスファルトに撃ち込まれる。
 潜行している。
 このまま不恰好な鳥籠の中にいれば、確実に下から来る。

>>994
 覆い、包み込むように迫り来る触手。
 それらが標的に触れる事は無く、一刃のもとに斬り伏せられた。
 切断された触手の群れは、皆一様に漆黒の影を吐き出して、光の奔流の中に消え失せた。

「……! なにっ、今エネルギーが減って――」
 少女の声。
 触手の大元“光の蕾”を操る弐舞晃の声。
 あまりにも大量のエネルギーが減った事に驚き、それを為した存在に、戸惑いを覚える。
 しかし――

「ふふっ。兄さん、どうやら来たらしいわよ強者が」
 その声は歓喜に満ちていた。

996防人 鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/02/24(金) 22:31:40 ID:WVrfsEdY0
>>995
「消えた?!」
【突然のことに驚くが、後方にやってきた声を聞いて急いで振り向く】

「く、もう一発!」
【右の拳を反転させ、裏拳のように伝治に向けて振るいに向かった】
バチィっ
「くっ……な…にをっ!」
【微弱な電流が体に流れ込んでいく、その間に伝治に拳を届かせようとしている…間に合うだろうか。】

997名も無き異能都市住民:2012/02/24(金) 22:42:47 ID:SSMHlh/20
>>995

「う……、一体……。」

――ガシャッ

姉妹の最初の攻撃によって崩壊した瓦礫の一角で
がらりと小さな音を立てて、小さな瓦礫が転がり。

(どうやら、私は気絶していたらしいな。一体何が……。)

そうしてできた大きな瓦礫と瓦礫の隙間から、ゆっくりと這い出すのはエルフの女性だった。
彼女の金の長髪は額から頭部にかけて走るようにできた傷跡から流れる血液で
薄紅に染まっている。

―― 一体、なにがあった?

そんな、自分自身への問いかけに応じるように脳が本格的に活動をはじめ
この地獄のような状況から、納得できうる答えをはじき出そうとする。

そうだ、目の前で力を振るう、あの兄妹にはちらと見覚えがある。
あれだ。あれがこの惨状の原因だ。思い出してきた。

(得物は……よかった、無事だ。
 幸い、体もどうにか動く。傷も見た目よりは浅い……いけるか?)

次の瞬間、自然と体が動いた。
憤怒とも、報復とも、はたまた正義感だとか、そういった類の感情は
一切、感じなかったが戦わねばならない、理屈ではない何かに突き動かされた彼女は
己の得物である、弓に矢をたがえると対象――弐舞兄弟・兄に対して十分に狙いを定めてから
それを放った。

998 ◆uotUYGHVwM:2012/02/24(金) 22:48:59 ID:ZYOQcpKY0
>>995

衝撃と灼熱で皮膚が裂け、焼け焦げて血が噴出す。
噴出した血が打ち抜いた右腕を更に紅く染め上げ、光沢を放つ。
撒き散らされた血液は燃え上がり、蒸気を上げる。

「……問題無いね」

立ち上る蒸気が砕けた身体を覆うように纏われ、真紅の篭手を作り上げた。


見据えるのは少女の下に浮かぶ光球。
「……」
やはり巨大化している。
砂漠の中に迷い込んだかのような灼熱を放ち続けるそれは、今この場に存在するどの物よりも危険である事は容易に想像が付く。

「だったら、あれを壊して……ッ!?」
男の目には八つに枝分かれし、地下へ潜り込む触手が写った。
元を断つにも歪な鳥篭に閉じ込められた男にはこの場をすぐに脱する手は無い。

「ったく……」
男は再び拳を握り――振り上げた。
ビキンと音が響き、篭手の上から腕の半分程の太さと言う異常なまでに膨張した血管が脈を打ち、唸る。

「しつこい奴は嫌われるぞ……ッ!!」
そのまま拳は振り下ろされる。
アスファルトはまるで砂の城が壊されるかのように、一片の抵抗も見せず。
拳が打ち込まれた地点を中心として亀裂が生じ、隆起し、少女の視界を奪うように飛び散り、潜行していた触手が顕わになるように砕け散った。

999ミラージュ:2012/02/24(金) 23:01:06 ID:oB5LASG.0
>>995
「見えているぞ」
少女の本質は鎧であった。
人間の身体はただの触媒に過ぎなかった。
中の人間の精神を乗っ取り、『鎧』がそれを動かす。
形こそ人間ではあるが、今の彼女は機械的な、それ。
鎧からの情報を頭脳がいち早く解析する。
―――これだ、この速度! やはり天才の頭だ!
通常の人間とは比べ物にならない演算速度。
通常の人間ならあまりの速度で脳が焼け切れてしまうほどの処理を、可能にする。

「無論、貴様もだ!」
腰部に取り付けられていた、少女の身長ほどはある銃を前に投げる。
少女はそれを追いかけ飛行し、一回転して銃口が前を向いたそれを空中でつかむ。
身体を倒した状態から、ドリルの様に回転し、ビームの乱射を行った!


それにしてもあの光……。
鎧の中の、真紅に煌く少女の頭脳が『光の蕾』を捕らえていた。
風が吹く間隔で突き付けられる灼熱が鎧の中まで通り、中は蒸し返る様だ。

1000「弐舞兄妹」 ◆ZwSFISyT06:2012/02/24(金) 23:19:16 ID:1sJsd2CgO
// 次スレにいきます

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■