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天気の子バトルロワイアル

1 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:02:42 XC8/QCPE0


―――――愛にできることはまだあるかい――――


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2 : 1月3日、午後9時より『天気の子』地上波初放送! ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:04:28 XC8/QCPE0



目を覚ました時には全てが変わっていた。

ここはどこだ?

困惑と共に辺りを見回す。周囲には様々な人影があった。

が、奇妙なことに、そのいずれにも黒いもやがかかっており、ソレが男なのか女なのか、はたまた大人なのか子供なのかもわからなかった。

わけがわからないと思いつつも、私はひとまず手を伸ばしてみるが、影に触れることは叶わず、すり抜けてしまう。

いったいこれはなんなんだろうと思いつつ、私は傍にある椅子にもたれかかった。

ブ―――ッ

突然のブザー音に、私はあわてて飛び跳ねた。
瞬間、身体が椅子に縫い合わされたかのように硬直し、不思議なことに声すら出せなくなってしまう。
たちまち襲い掛かる困惑と恐怖に飲まれる私を他所に。

ズチャズチャズチャズチャ

どこか軽快な音楽が流れ始め、いつの間に現れたのか、前方の巨大なスクリーンに映像が流れ始めた。

そして、映し出されたのはなにやら奇妙なパントマイムを踊り狂う頭部がハンドカムの奇人。それを見て憤るポップコーンと紙カップ、そしてハンドカムを捕まえるパトランプ。
No.More映画泥棒の文字と共に、再びスクリーンは暗転。

わけがわからない...呆然とする私を置いて、再び映像が流れ始める。映し出されたのは雨。途方もなくどんよりとした雲から降り注ぐ雨だ。
そこから流される映像は、少年と少女の物語。雨に包まれた世界を晴れにする少女と、彼女に惹かれていく少年のボーイ・ミーツ・ガールな世界だ。

どんよりとした空模様を晴らすまぶしいほどの陽光。弾けるような老若男女の笑顔。そして明かされる残酷な真実―――

なにやら編集したのか、ところどころ繋ぎに不自然な場面があったけれど、私は、当初の困惑すら忘れるほどの映像美に魅入っていた。

そして、少女が少年の前から消え去り物語が佳境に入ってきたまさにその時、バツン、とスクリーンから映像は消え失せ再び暗闇に戻る。

―――そんな、ここまで見せておいて生殺しだなんて。

不満を口に出そうとするもやはり声は出せない。身動きもとれない。


3 : 1月3日、午後9時より『天気の子』地上波初放送! ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:06:30 XC8/QCPE0

「―――堪能してもらえたかの」

キィン、というハウリングと共に声が響き渡る。
老婆だ。いつの間にか舞台脇に立っていた老婆がマイクを手にしていた。

「今の映画でなんとなく彼奴らの背景は掴めたじゃろう。天気は天野陽菜の存在によって保たれている。それがこの世界のルールじゃ」

コホン、とひとつ咳払いをし老婆は続ける。

「さて。そなたらにこれを見てもらったのには相応の理由がある。...これよりそなたらにはバトルロワイアルに参加してもらう」

バトルロワイアル。
その如何にも物騒な単語に理解が追い付かなかった。
バトル?ロワイアル?つまり私はだれかと戦わなければならないということ?

そんな私に答えるかのように、老婆は話を続ける。

「困惑している者もいるようじゃな。まあ、早い話がそなたら参加者同士で行われる殺し合いじゃよ」

殺し合い―――あっさりと告げられたその単語にますます困惑してしまう。
殺す―――つまり殺人をする。誰が。私が、誰かと?

「といっても、そなたら全員が死ぬ必要はなく、手を汚す必要もない。ただ制限時間まで大人しくしていれば帰れないこともない」

へっ、と思わず声を漏らす。
いきなり連れてこられて、雑に切り取り編集された映画を見せられて、殺しあえと言われたと思えば全員が死ななくてもいいという。

情報が二転三転しすぎだ。このお婆さんはなにをさせたいのだ。

「ルールは簡単。天野陽菜を連れ戻そうとする『森嶋帆高』を制限時間まで食い止めよ。『森嶋帆高』の生死は問わん。如何な手段をもってしても『森嶋帆高』を食い止めればそれでこのゲームは終わりじゃ」

森嶋帆高―――さきの映画の少年の名前だ。彼を止めれば殺し合いなんて起きず、私は家に帰れるのか。
なんだ、簡単じゃんと止めようとした思考に待ったをかける。
たしか、映画では天野陽菜は人柱となって現世から消えてしまったはずだ。彼女を連れ戻すということは彼女を現世に呼び戻すということ。
逆に言えば。彼女を連れ戻そうとする帆高の邪魔をするということは、彼女の存在を消すということではないか。


4 : 1月3日、午後9時より『天気の子』地上波初放送! ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:07:57 XC8/QCPE0
「そしてこのゲームにおいてそなたらの命運を左右する最も重大なルールじゃがな」
「神子柴――――!!」

突如、老婆の言葉を遮り、叫びが響き渡ったかと思えば、薙刀を持った女性が舞台に躍り出てきた。

「ふん、貴様か...下がっておれ。説明はまだ終わっておらん」
「うるさい...あんた、勝手に自殺したかと思えば今度はなに?ふざけるのも大概にしな!」
「今までわしの財力で暮らしてきた小娘がよく吼えるわ...それで?わざわざ上がってきて貴様はどうするつもりじゃ?」
「...あんたのことさ。目的はなんとなくわかってるわ。そしてそれが絶対に許せないことだってのも」

女性は老婆を睨み、薙刀を持つ手をぐっと握りしめる。

「娘たちはあんたを斬らなかったが、あたしは違う。あんたこそ日の本の...いえ、あの子たちの悪鬼。だから、あんたはここで私がたたっ斬る!」
「巫女でもない青二才がほざきよる。ならここで死んでもらうとしようかの」

老婆がパチンと指を鳴らすと、床下や背後から大量の魑魅魍魎じみた異形が湧いて出てくる。

「やれ、貴様ら」

老婆の合図とともに怪物たちは一斉にとびかかる。
女性は襲い来る異形にも怯まず、深呼吸をひとつ。そして

「ハッ!」

ザンッ。

一閃。怪物たちは、あえなく斬られ、あるいは吹き飛ばされ彼女から引きはがされた。

「巫女じゃなかろうが関係ないさ。...あの子たちに運命を託す他なかったあの時をバネに、私は鍛錬を重ねてきた。大切なものを失わないために。あんたみたいなクズからあの子たちを守るために!」
「...威勢がいいのは構わんが、状況は変わらんぞ?」

老婆の言うとおりだ。
あの女性は確かに強い。だが、怪物たちは際限なく湧き出て、なおも彼女へと迫りくる。
このまま続けば、女性は間違いなく体力が尽き怪物に殺されてしまうだろう。

「だったら―――」

女性は、薙刀を地面に突き立て、腕力で身体を垂直に立てる。
そのまま、薙刀を押し、宙に飛び翻り、老婆へと飛び掛かった。

怪物たちもその唐突なアクロバティックな動きに付いてこれず、老婆への接近を許してしまう。

女性の薙刀が、老婆へと迫る。

行ける!と私が確信したその瞬間

ボンッ。

小さな爆発音が響き渡った。

「...と、まあ、このように、わしに逆らえば巻かれた首輪が爆発し死ぬことになる。常々心しておくように」
「―――――キャアアアアアアアアア!!!!」

誰かの悲鳴が響き渡り、たちまち周囲が困惑と恐怖に満たされていく。
私もまたその一員となっていたが、しかしここで気が付く。
先ほどまで動かなかった身体が自由を取り戻していたことに。

なにがなんだかわからなかったが、これはチャンスだ。私はすぐに振り返りこの場から逃げ出そうとするが...

「やれやれ...小娘のせいで予定が狂ってしまったわい。ひとまずゲームを始めてしまうとするかの」

足元から激しく煙が噴射し、それを吸い込んだ私の膝が力を失いがくりと地に着いた。

「ルールの詳細はデイバックに張り付けてある説明書に記載されておる。忘れず目を通しておくことじゃ。そうそう、それと―――」

朦朧としていく意識の中、老婆の声が耳に木霊する。

「その説明書には各々がこなすことで褒美を得られるお題が記載されておる。それを達成した暁には如何なる願いをも叶えてやろう。例えば―――」

堕ちていく瞼が最後に映したのは、手で口元を隠す老婆と、爆死した女性の身体が光に包まれると共に、瞬く間に再生していく様。

「こんな、道理をこえたことも可能じゃ。どうしても願いを叶えたい者は是非とも参加してもらいたいのう」

堕ちる意識が聞き遂げたのは、女性の小さなうめき声と老婆の甘い誘惑だった。




【時女静香の母@マギアレコード 死亡】→【時女静香の母@マギアレコード 蘇生】


主催

【神子柴@マギアレコード】
【カメラ男@映画泥棒】
【パトランプ男@映画泥棒】
【ポップコーン男@映画泥棒】
【紙コップ男@映画泥棒】


5 : 1月3日、午後9時より『天気の子』地上波初放送! ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:08:23 XC8/QCPE0
「そしてこのゲームにおいてそなたらの命運を左右する最も重大なルールじゃがな」
「神子柴――――!!」

突如、老婆の言葉を遮り、叫びが響き渡ったかと思えば、薙刀を持った女性が舞台に躍り出てきた。

「ふん、貴様か...下がっておれ。説明はまだ終わっておらん」
「うるさい...あんた、勝手に自殺したかと思えば今度はなに?ふざけるのも大概にしな!」
「今までわしの財力で暮らしてきた小娘がよく吼えるわ...それで?わざわざ上がってきて貴様はどうするつもりじゃ?」
「...あんたのことさ。目的はなんとなくわかってるわ。そしてそれが絶対に許せないことだってのも」

女性は老婆を睨み、薙刀を持つ手をぐっと握りしめる。

「娘たちはあんたを斬らなかったが、あたしは違う。あんたこそ日の本の...いえ、あの子たちの悪鬼。だから、あんたはここで私がたたっ斬る!」
「巫女でもない青二才がほざきよる。ならここで死んでもらうとしようかの」

老婆がパチンと指を鳴らすと、床下や背後から大量の魑魅魍魎じみた異形が湧いて出てくる。

「やれ、貴様ら」

老婆の合図とともに怪物たちは一斉にとびかかる。
女性は襲い来る異形にも怯まず、深呼吸をひとつ。そして

「ハッ!」

ザンッ。

一閃。怪物たちは、あえなく斬られ、あるいは吹き飛ばされ彼女から引きはがされた。

「巫女じゃなかろうが関係ないさ。...あの子たちに運命を託す他なかったあの時をバネに、私は鍛錬を重ねてきた。大切なものを失わないために。あんたみたいなクズからあの子たちを守るために!」
「...威勢がいいのは構わんが、状況は変わらんぞ?」

老婆の言うとおりだ。
あの女性は確かに強い。だが、怪物たちは際限なく湧き出て、なおも彼女へと迫りくる。
このまま続けば、女性は間違いなく体力が尽き怪物に殺されてしまうだろう。

「だったら―――」

女性は、薙刀を地面に突き立て、腕力で身体を垂直に立てる。
そのまま、薙刀を押し、宙に飛び翻り、老婆へと飛び掛かった。

怪物たちもその唐突なアクロバティックな動きに付いてこれず、老婆への接近を許してしまう。

女性の薙刀が、老婆へと迫る。

行ける!と私が確信したその瞬間

ボンッ。

小さな爆発音が響き渡った。

「...と、まあ、このように、わしに逆らえば巻かれた首輪が爆発し死ぬことになる。常々心しておくように」
「―――――キャアアアアアアアアア!!!!」

誰かの悲鳴が響き渡り、たちまち周囲が困惑と恐怖に満たされていく。
私もまたその一員となっていたが、しかしここで気が付く。
先ほどまで動かなかった身体が自由を取り戻していたことに。

なにがなんだかわからなかったが、これはチャンスだ。私はすぐに振り返りこの場から逃げ出そうとするが...

「やれやれ...小娘のせいで予定が狂ってしまったわい。ひとまずゲームを始めてしまうとするかの」

足元から激しく煙が噴射し、それを吸い込んだ私の膝が力を失いがくりと地に着いた。

「ルールの詳細はデイバックに張り付けてある説明書に記載されておる。忘れず目を通しておくことじゃ。そうそう、それと―――」

朦朧としていく意識の中、老婆の声が耳に木霊する。

「その説明書には各々がこなすことで褒美を得られるお題が記載されておる。それを達成した暁には如何なる願いをも叶えてやろう。例えば―――」

堕ちていく瞼が最後に映したのは、手で口元を隠す老婆と、爆死した女性の身体が光に包まれると共に、瞬く間に再生していく様。

「こんな、道理をこえたことも可能じゃ。どうしても願いを叶えたい者は是非とも参加してもらいたいのう」

堕ちる意識が聞き遂げたのは、女性の小さなうめき声と老婆の甘い誘惑だった。




【時女静香の母@マギアレコード 死亡】→【時女静香の母@マギアレコード 蘇生】


主催

【神子柴@マギアレコード】
【カメラ男@映画泥棒】
【パトランプ男@映画泥棒】
【ポップコーン男@映画泥棒】
【紙コップ男@映画泥棒】


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6 : プロローグ ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:09:02 XC8/QCPE0



―――男は怒りを抱いていた。

千年もの間探し求めていたものをようやく見つけたというのに。
焦がれ続けた悲願達成への足掛かりをようやく見つけたというのに。
その矢先に首輪を付けられ呼ばれたのがこのふざけたお遊戯だ。
それだけでも怒髪天をつくというのに、鞄に張られた説明書の記載は更に怒りを募らせた。


【ゲームの終了方法】
①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に『森嶋帆高』の首輪の爆破を合図に全員退去。

この一文。さらに言えば、老婆の言う通りに帆高と陽菜の合流を阻止した際のクリア条件だ。
帆高が陽菜と会えなかった時、会場中に太陽光が差し込み1時間経過するまで抜け出せない。
なんだこのふざけた文面は。
あの陽菜とかいう小娘が天気を操りその代償に人柱となることで天候を安定させるというのはわかった。
だが、天候を取り戻した後になぜ1時間も待たねばならん。
これではまるで自分への個人的な嫌がらせのようではないか。

つまりはこういうことだ。
老婆は最初から自分を逃がすつもりはない。どう転んでも自分を殺すつもりだと。

腹立たしい。まったくもって腹立たしい。

どうやったかはわからないが、自分を部下から切り離し、あまつさえ奴隷の証のような首輪を嵌める。
ここまでの手間をかけてなにがしたいのやら。
自分への恨みを晴らすためだろうか。あり得る。こんな玩具を自分につけられるのはあの鬼狩り(いじょうしゃ)共くらいしか考えられない。
枷を嵌めておいて殺さないのは理解しがたいが、あの狂人共ならば積年の恨みを晴らすだの数多の怨念を思い知らせるだのと考えても可笑しくはない。

いいだろう。いいだろう。

ひとまずは貴様らの提示したルールに則り、太陽を迎え入れぬ為に帆高とやらを会わせてやろうではないか。
この雨が会場を埋め尽くすという数時間があれば充分だ。その間に奴らを殺し、脱出口を確保するとしよう。

「目障りな鬼狩り共...今宵、私が殲滅してやろう」

その怒れる者の名は鬼舞辻無惨。
千年の時を生きてきた至高にして究極の鬼である。


【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:健康、主催への不快感と激しい怒り
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]

基本方針:生き残り、神子柴含む鬼殺隊を殲滅する。
1:ひとまず帆高を確保し少しでも時間を稼ぐ。
2:鬼狩りは見つけ次第殺す。

※この無惨が参戦し、他の【鬼@鬼滅の刃】が参戦した場合、無惨の呪いは解かれている状況になります。
※参戦時期は炭治郎と義勇に鬼殺隊は異常者だと言った後です。
※体内に打ち込まれた薬が消えているかどうかはお任せします。



「クッキー...ビスケット...シャーベット...」

ひとつの民家と見間違うほどの巨体がひとつ。

それは雨に濡れたお菓子を手に落ち込むようにぶつぶつ、とお菓子の名前を口にし肩を竦めていた。

「マ〜マママママ...こんな雨じゃあお菓子も存分に食べられねえじゃねえかよ」

それはなによりも食に執着していた。

「おれの子供たちとも逸れちまったし...寂しいったらありゃしねえ」

それは己の知る中で誰よりも繋がりを夢描いていた。

「ああ、なんだっけぇ。ホダカだかホタテだかいうガキのせいでこんなことになったんだっけか?なら話ははええ...さっさとあのガキを殺して帰らねえとなぁ。マーマママママ...!!」

それは目的を達成する為なら手段を厭わぬ冷酷さと手段を有していた。

それ―――彼女の名はビッグマム。
長きに渡り、偉大なる海を支配する皇の一人である。


【ビッグマム@ONE PIECE】
[状態]:健康、軽い空腹
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:さっさと帰ってお菓子を食べる。
1:帆高を殺して帰る。

※参戦時期は少なくとも老婆になって以降です。
※ソルソルの実の天候を操る能力はプロメテウス以外は使用可能です。ただし、会場をとりまく雲に魂を与えることは出来ません。


7 : プロローグ ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:11:01 XC8/QCPE0



「......」

男は考える。

初めての経験だった。
眼前で人が死に、生き返り、あまつさえこの手で命を奪わねばならない。
彼とて数多の戦場を体験してきたが、しかし、それらとは別種の感覚に冷や汗をかく。
これは命を握り、握られている恐怖か?それとも未曾有の事態への興奮か?

(いや...いまは置いておこう)

いまの彼にとってそれらは些細なことだった。
いまの彼の胸中を占めるのは、あの映像で見せられた『神様』のことだ。

(私の尊敬する男は人をやめ神となった。私は人を謳歌し神になろうとしている。ならば―――あの『神』はどんな『神』になろうとしている?)

かつて彼が憧れた男は、誰よりも気品あふれ、何者をも寄せ付けぬ荘厳さに溢れ、なにより強かった。
だからこそ、多くの人間から、名声だけでなく彼という漢自身を『神』と慕う者は後を絶たず、その称号―――『大和国』の名は腐ることなく語り継がれている。
だがあの映像の『神』は彼とは違う。
己の生命を保持する為に幼き命を贄に永らえ、彼らの青春という名の輝きを奪い去る。
むしろ神どころか悪魔に等しい所業ではないか。

大和国はいつでも神たらんと険しい顔をしていた。
なら、あの神様は、少年少女の絶望を糧にいったいどんな顔をしているのだろうか。

「いや...なんにせよ」

なんにせよだ。
あの映像だけでは、少年少女たちがどのような関係なのかは測り切れない。
しかし、彼らの間には確かに"愛"がある。
でなければ、あんな大立ち回りは演じられまい。
そんな少年少女の愛を穢す権利など誰にもありはしない。

「若人の恋路を邪魔するような輩(かみさま)は、懲らしめてあげないとねぇ...!!」

彼の四股名は刃皇。土俵の神―――横綱として、君臨し続ける男である。



【刃皇 晃(ダワーニャウィン・ツェウェグニャム)@火ノ丸相撲】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帆高が愛を貫くならばそれを支え導く。
1:打倒主催者
※参戦時期はお任せします。


8 : プロローグ ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:11:29 XC8/QCPE0



(こんな雨の中で吸っても仕方ない)

懐から取り出しかけた煙草を仕舞いなおし現状を分析する。
突如集められた会場、嵌められた首輪、自分たちに命じる老婆、蘇生させられた女、森嶋帆高と天野陽菜を巡る催し、絶え間なく降り続く雨...

なにもかもが異常事態だ。
数多の修羅場を経験してきた自分でもこんなことは初めてだった。

とにもかくにも、あの老婆が悪であることに疑いはない。
奴は必ず殺す。その為には奴の元へと辿り着かねばならない。
ならばどうする。

人数はまた後で判明するようだが、この会場に自分以外の参加者が複数いることは認識できた
そしてバトルロワイアルと称されているが、なにも全員を殺す必要はなく『森嶋帆高』を殺せばこの催しは終わるらしい。
差し当って、この少年のことを考えてみる。
彼がただの猟奇犯罪者なんかであればなにも躊躇うことなく殺すだけだ。
だが、あの見せられた映像が本物ならば、彼は都会暮らしに苦労する至って善人寄りの平凡な少年だ。
決して邪悪な存在ではない。
ならば彼を生かし、残された1時間で主催を倒し生還する方法に賭けるか?
その為に、数多の参加者の命をBETする多大なリスクを負うか?

「......」


今までもずっと殺し続けてきた。銃で。ナイフで。毒で。爆弾で。
一度たりとも意味を疑わず。その価値を推し測り。
天秤が傾いた方を救うべく。
そう―――それは正しい。

多くを救う為には犠牲が必要だ。
幸福の数が不幸の数より多いなら、世界はほんの少しだけ救済に近づく。
救われた命が犠牲になった命よりも多いならそれでいい。
護られた数こそが、尊いはず。

そう、信じてきた。

だから彼―――衛宮切嗣のやることは変わらない。




【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生き残り主催を始末する。
1:森嶋帆高を殺し一刻も早くゲームを終わらせる。
※参戦時期は不明


9 : ルール説明 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:13:40 XC8/QCPE0
まとめwiki→ttps://w.atwiki.jp/0103/
地図→ttps://w.atwiki.jp/0103/pages/10.html

ルール

森嶋帆高と天野陽菜をとりまくバトルロワイアル。森嶋帆高が消えるか、彼が鳥居をくぐり陽菜と出会ったらバトルロワイアルは終了。


※ゲームの制限時間は2日

※参加者には大概のものが入る不思議デイバック、不明支給品1〜3、水と半日分の食糧、名簿と基本ルールが記載されたファイルが入っているタブレット、名簿と基本ルールが書かれた紙、文房具一式と懐中電灯が与えられます。


※会場には雨が降り続いており、光が差し込むことは絶対にない。


※ゲームが終わる主な条件は以下の3つ。
①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
②『森嶋帆高』が陽菜と出会ったら数時間後にエリア全体が浸水し、『森嶋帆高』と陽菜を除く魚人のような溺死しない種族も含めて全員死亡する。
③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。

※参加者には首輪が巻かれており、これが爆発すると如何な参加者も死亡する。
また、首輪の爆破条件は
①主催の意思
②強力な衝撃を与える。
のいずれかを満たしたとき。
禁止エリアはないため禁止エリアでの死亡はありません。


10 : ルール説明 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:14:53 XC8/QCPE0

※地図は大まかに以下の通り。
①【森嶋帆高】@天気の子はA-8からスタート
②主催の本部はD-3にある。
③天気の子で使われた廃ビルと鳥居はE-1にある。これを『森嶋帆高』が通り抜けた時点で陽菜が復活しゲームは終了となる。
一応の地図はありますが、書き手の方がSSを書く際に好きな通りに施設や地形を配置してくださっても構いません。






※特殊ルール

制限

①【ウェザーリポート@ジョジョ】のような天候操作系の能力においては、晴れ間を作るようなものは制限され封印される。ただし、雨を加速させるようなものは制限なしでOK。
②スタンドや霊体のような超常的なものは一般人やその能力を持たない者・道具からも干渉可能となる。



参加者には知らされないもの。

①【森嶋帆高@天気の子】が時間経過を待たずに死亡した場合、近くにいる参加者のうち1名が『森嶋帆高』になり、ゲームは続行される。
この際、『森嶋帆高』になった参加者は、5分間、首輪からサイレンが鳴り響き、首輪の色も赤色に変色してしまうため隠すのは困難。
その『森嶋帆高』が死亡した場合もまた、同じSS内の参加者1名が『森嶋帆高』になりゲームは続行される。
このルールは最後の一人になるまで適用される。


参加者に個別に知らされルールに明記されないもの。
(神子柴は各々のお題と言いましたが、実際はすべての参加者に同じお題です。開始時点では、『参加者たちは自分にだけ与えられたお題』という認識になっています。

・時間経過による終わりを迎えた場合、主催本部へ先着5名に如何なる願いをも叶える権利を与える。制限時間は帆高の首輪爆破まで。タイムリミットを迎えるまでは何度も更新可能。


※【登場話候補の募集について】
コンペ形式で登場候補話を募集します。条件は特になし。【森嶋帆高@天気の子】も対象ですので好きに書いてください。また、>>1の投下した4名も確定枠ではないので同キャラも気にせず書いてください。
最初から複数人が登場するSSの投下、最初からバトル、最初から退場話、なんでもありです。1話退場した場合、その参加者も名簿に載ります。
この関係上、支給品も参戦作関係なく好きな物を持たせても結構です。支給品に解説があると>>1が助かります。
この候補話の中から>>1が選んで参戦キャラを決定します。人数は生存者がだいたい40〜50くらいになるといいかなと思ってます。
期間は30〜40日くらいを考えています。場合によっては縮んだり伸びたりします。もしも>>1以外の作品が投下されなかったら上記の無惨、刃皇、ビッグマム、切嗣、帆高、時女静香の母の6人で本編が始まります。


11 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/03(日) 00:19:59 XC8/QCPE0
以上で投下を終了します。
候補話は今より受け付けます。天気の子は本日の午後九時から地上波で放映しますので本編未把握の方も是非


12 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/03(日) 01:44:58 WTlDOYnQ0
投下します。


13 : これは喜劇であって悲劇ではない ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/03(日) 01:47:25 WTlDOYnQ0
ー人生はクローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見ると喜劇だー




僕の人生は果たして悲劇だったのか?

ピエロのようなメイクをした人物はそう自問した。
白いメイクは降り続ける雨でどんどんと落ちていく。
そのメイクの下から現れたのは、うだつの上がらない、中年の男の顔。

初めは夢でも見ているのではないかと思った。
元々病院に収容された身だ。
もはや自分が狂っているのか狂っていないのかもわかりはしない。
だけれどもーー降り注ぐ雨の冷たさは確かにこれが現実であることを示していた。

あの映画のことを思い出す。
そして隣人のことをーー

僕はあの二人のように愛というものを信じられるのだろうか?
僕は彼女を愛していた。
だけれども君は僕を愛してなどいなかった。
僕にとっては愛とはなんだったのだろうか。

「Hahahahahahahaha……」

ゴッサムには神様などはいなかった。
ゴッサムで頼れるものはお金と権力、そして暴力だけだった。
あの映画の『神様』だって、生贄を求め、愛を引きさいた。
もし神様というものが本当にいるのであれば、それは嫉妬深く、残忍であるはずだ。
神様とは僕らという役者を動かし、容赦無く首を切る映画監督のようなもの。

「Hahahahahahahahaha……」

そうだ。僕の人生は喜劇なのだ。
そしてあの二人の物語だってそうだ。

だとすればーーー

「Hahahahahahaha! Hahahahahahaha! Ahahahahahahahahahahaha!!!」

一人、男は嘲う。

彼にとってはもはや、自分や他人の命、そして愛すらもただのjokeなのだ。


【アーサー・フレック@Joker】
[状態]:健康、顔のメイクが落ちかけている。
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:面白いジョークが浮かんだ。理解されないだろうけど。
1:森嶋帆高を生かすのも殺すのも面白そうだ。

※参戦時期は本編終了後。


14 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/03(日) 01:48:17 WTlDOYnQ0
投下を終了します。


15 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/03(日) 03:52:16 WTlDOYnQ0
投下します。


16 : されど神は人を笑う ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/03(日) 03:55:33 WTlDOYnQ0


「雨……か……」

歯軋りをするように男は呟いた。

男の名はロイ・マスタング。
アメストリス国の国家錬金術師である。

だがーー

「まったく、これでは中尉に罵られてしまうな……」

「焔」の錬金術師であるが故にーー雨の中ではその錬金術を行使できない。
しかし錬金術は行使できなくとも、軽口とは裏腹にその怒りは内で燃え立っていた。

自分は人の上に立つ人間だ。
だからこそ、多くを救うためには犠牲を出さなければならないことがあることはわかっている。
事実、上からの命令とあれば非道と思われることもやらなければならないことはあった。

しかしーーこんな馬鹿げた催しで人の命を弄ぶことなど断じて間違っている。
森嶋帆高といった。彼が何をしたというのか。
ただ、青臭くも真っ直ぐな愛を貫いていただけではないか。


この催しの主催者が何をしたいのかはわからない。
だが、主催者の甘言に乗せられ、無辜の人間を殺害することなどあってはならない。
そうだ。それは青臭い理想だ。

しかしーーあのことを思い出さずにはいられない。

かつて自らが従軍したあの戦いを思い出す。
あの老人の言葉もーー

もし「神」などというものが本当にいるのであれば、今頃自分を指差して笑っているであろう。

あの動く画の中で「神」は年端もいかない少女を生贄に求めた。

あの戦いの名目上の火種は「神」だった。
かつて自分が仕えていた者は「神」など信じなかった。
あの存在は「神」の力を欲していた。

「いつの時代も、どの世界も『神』とは私たちを笑い飛ばすのだろうな」

そう吐き捨てた。

この催しの主催は自分たちが「神」だとでも思っているのかもしれない。
かつて戦ったあの存在のように。

ならば、一人の人間として、戦おう。


【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師(原作)】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:打倒主催
1:可能であれば帆高の保護。
2:協力者がいれば合流したい。

※参戦時期は本編終了後


17 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/03(日) 03:56:49 WTlDOYnQ0
投下を終了します。


18 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/03(日) 11:09:01 xT6V1Gok0
投下します


19 : 神在りき世界の砂糖菓子 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/03(日) 11:09:48 xT6V1Gok0
―――くそったれ こんな世界、大嫌いだ


○ ○ ○

緑に生い茂る森林、立ち並ぶ白く高い建物。どれもこれも彼女の『世界』には存在しなかったもの

「……うわぁ」

そんな光景に、彼女は空を見上げ、今の状況を忘れて思わず声を上げてしまう。彼女がいた街や、富裕層の街でもここまでの光景は見られなかったであろうから



彼女にとって、『神』など存在しないものであった

だが、あの動く画には――文字通り『神』がいた。彼女自身が存在を否定していた、『神』だ



彼女は『神の代行者』だった。神が居ない世界において、罪人に裁きを下す者

けれど、彼女にとっては、たった一人の幼馴染の青年にとっての『神様』であれば十分だった

青年はある罪を犯した。故に彼はその罪を裁いてくれる『神』を求めた

彼女はそうなりたいと願った。けれど―――やっぱり嫌だった

彼が死ぬのは嫌だった。だけど、ダメだった。世界はクソッタレだった


青年がいなくなった世界に意味なんて無いと、彼女は青年の後を追った

そのはずなのに、目が覚めたら妙な動く画を見せられ、殺し合いをしろと言われた
どんな手を使ってでも、『森嶋帆高』を食い止めろという文言も含め


「……ははっ。そうか、そうなんだ」


自嘲めいた目で怪しく笑う。さんざん神の存在を信じず、『彼』だけの神を名乗っていた自分が、まさか本当に神様絡みの事に巻き込まれるなど思わなかった

だけど、チャンスでもあった。あの時見た『死者の蘇生』。神を名乗っていただけの自分とは違う、神の所業。だから――

「ごめん、マイザー。僕は、殺し合いに乗るよ。だって仕方ないじゃないか、本当に神様がいるんだったら、僕はそれに従わないと。―――神の代行者として」

『彼』への謝罪の言葉とともに、彼女の目は濁り、輝く

「でもねマイザー。それでも僕は、君に生きて欲しいんだ。たとえ僕はどうなったとしても、僕はマイザーに殺されることになっても、さ」

例え『本当に』神の傀儡と成り果てようと、例えその身が数多の罪で塗れようと、彼女にとっては『彼』こそが全てだった

彼を蘇らせるために全てを殺しつくそう、神の代行として使命を全うしよう




「――でも、こんな僕を、マイザーは、必ず止めようとするんだろうね」

最後に、そんな自嘲めいた言葉を発し、彼女は雨の中に消える




神よ、汝の名は明らかならず。されど罪はここにあり

我は飢え、満ち足りることはなく

故に神よ、汝の名は蒙昧に似る



【セリーナ@Shadowverse】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝してマイザーを蘇らせる
1:神の代行として如何なる手段を用いてでも『森嶋帆高』を食い止める

※参戦時期は『運命相克編-最終章-』第八章終了後


20 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/03(日) 11:10:13 xT6V1Gok0
投下終了です


21 : ◆qvpO8h8YTg :2021/01/03(日) 22:47:47 hTB26vO60
投下します


22 : 無能な僕は残酷 ◆qvpO8h8YTg :2021/01/03(日) 22:49:15 hTB26vO60
「ああああああああああああああっ! 畜生っ! なんで僕がこんな目にいぃぃぃぃっ!」


フードを深く被った人形――少年ドールこと小森昌はヒステリック気味に喚き散らしながら、雨に打たれる市街地を歩いていた。
折角メビウスという理想郷にて、他者と隔絶された理想の生活を謳歌していたというのに、あの神子柴と名乗る老人のせいで意図せぬ外出を余儀なくされてしまい、彼は憤りを隠せないでいる。

少年ドールは今後の方針を考える。

フィルム越しで覗いた『彼』や『彼女』がその後どうなろうが知ったことではない。
むしろ、ここぞとばかりにイチャコラ見せつけやがって、「リア充共くたばれ」とさえ思っている。

兎にも角にも、まずは『森嶋帆高』を見つけ出そう。
早急に理想郷(メビウス)に戻るためには、不本意ではあるが神子柴の指示に従い、彼をさっさと捕縛さえしてしまえばよい。


「あーもう!!! 面倒くさい! 何で僕がこんな目に遭わなければならないんだぁッ!!!」

一通りの行動方針を定めた少年ドールは再び不満を吐き出して、歩を進めようとする。

その瞬間――。

ヒュンーーという風を切る音とともに、少年ドールは仰向けに倒れた。

「っつぅううう!!!」

雨水に滑って転んだかと思って、上体を起こそうとした矢先――。
ヒュンーー。

再度風を切る音を知覚して、直後に彼の視界はブラックアウトした。




【少年ドール@Caligula -カリギュラ- 死亡】


23 : 無能な僕は残酷 ◆qvpO8h8YTg :2021/01/03(日) 22:49:59 hTB26vO60

「死んだか……」

ビルの窓からターゲットが息絶えたのを確認すると、柊ナナはふぅと一息ついて、手にする狙撃銃を降ろし、窓を閉じる。

柊ナナの行動方針は明白である。
ナナは「人類の敵」根絶のための任務に戻らないといけない。
早急な帰還を目指すということであれば、『森嶋帆高』を見つけ出して始末すればよい。

その為には、志を同じくする他の参加者と協力するという選択肢も視野に入れているのだがーー最初に視認したフードを被った参加者は及第点には至らなかった。
元より殺し合いという異常事態の中で、往来であんな堂々と喚き散らすような人間に利用価値があるとは思えない。
むしろ足手纏いにすらなりえる。

ナナにとって、このゲームにおける他参加者は自身の帰還に影響はないので捨て置いても良かったのだが、まずは自身の戦力把握のためにも、彼には支給された狙撃銃の威力を試す的になってもらった。


「わたしは帰るーーそして、任務を全うしてみせる」


決意の言葉を漏らして、ナナはビル内の一室を跡にする。

その表情には一切の迷いはなく、彼女の佇まいは冷酷無比な暗殺者のそれであった、



【柊ナナ@無能なナナ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、L96AWS(残弾28)、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:『森嶋帆高』を殺して早急に帰還する
1:『森嶋帆高』を探し出して殺す
2 : 他参加者に能力者が紛れているのであれば殺す
※少年ドールの死体と支給品は市街地に放置されています。
 ※参戦時期は少なくとも学園に転校以降してからとなります。具体的な参戦時期については後続の書き手様にお任せします。


24 : ◆qvpO8h8YTg :2021/01/03(日) 22:50:38 hTB26vO60
投下終了します


25 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/03(日) 23:50:11 GlnqC..U0
投下します


26 : 自己正当化の狂言師 ◆KP1xxDBMxw :2021/01/03(日) 23:53:04 GlnqC..U0
「糞! くそっ! クソクソクソクソ!」

絶え間ない雨の雫が滴り落ちていく中、人気の無い路地裏で一人の少年は、不快げに顔を歪めながら激しく地団駄を踏み続ける。思いっ切り水溜りを踏み抜いた瞬間、虚しく聞こえるのは水飛沫の音だけ。よく見ると彼の首には首輪が嵌められていた。

「誰よりも平和主義者で穏便に暮らしていた僕を問答無用で誘拐、長年に付き添った大事な妻達の仲を無惨に引き裂き、更には強欲の権能まで枷を掛けるなんて何たる悪逆非道だぁ!これって権利の侵害だよねぇ!」

了承も無しに遊戯の参加者として連れて来られた事で自分が被害者であるように、つらつらと釈明を述べる。
暫くして怒りで滲み出る言葉の嵐が止み、少年は長い溜息を吐く。そして肩を竦んで落ち着いた彼が口元を動かしていくと、

「近頃、全く悪趣味の遊戯を催した老害の考えは分からないなぁ。そもそもさぁ、わざわざ声を掛けたって言うのに無視するなんて礼儀知らずもいい所じゃない。本当に神経を疑うよねぇ、しかも急に凶器を持った野蛮な少女が割り込んできて、そっちのけで血みどろの争いをするんだもの。偶にこういう奴らも居るんだよ?言葉で分かり合える筈が残虐性を隠そうともしない蛮族の集まりが。まぁ、そんな彼らとは正反対、寛容で見守ってきた僕にも限度があるから許せないよね」

演説する並みの政治家も顔負けの主張を饒舌に言い切って見せた。

「確か、アマノヒナを連れ戻すモリシマホダカかぁ。きっと自分の周りが盲目で女体しか興味が無い。あのろくでなしの主催者から殺害指令を出されるなんて、よっぽど悪事に手を染めたんだね。自業自得な悪人がうろつかれては平和主義の僕にとって危険極まりない事だ。せめて強姦魔の手が届かないように無欲の僕が守ってあげようじゃないか」

ゲーム開始前の映像と老婆の言葉を思い出す少年は、いとも簡単に今後の方針を決めてしまった。しかも彼と同じ被害者であろう森嶋帆高の人物像を、映像から見ただけで独り善がりに決め付ける。

「果たして彼女は僕の妻に相応しい条件を満たしているのかな?顔は見事に文句無しだけど、あの男に大事な処女を奪われていたとしたら胸が張り裂けそうだ。そうだ、偏見はよくないよね。彼女の夫として務めなくてはいけない僕が、直接確かないと」


27 : 自己正当化の狂言師 ◆KP1xxDBMxw :2021/01/03(日) 23:55:02 GlnqC..U0
例え前述から矛盾していようと彼は恐らく自覚していないだろう。何故なら全てが自己完結に終わるのだから。
少年の名はレグルス・コルニアス。彼が居た異世界では畏怖の象徴たる魔女教に属し、『強欲』の大罪司教と名乗って多数の妻を引き連れていた狂人だ。

【レグルス・コルニアス@Re:ゼロから始める異世界生活】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高から守り、天野陽菜を自身の妻として見定め、彼女と出会った時に処女かどうかを見極める。
1:天野陽菜を捜索し妻に相応しいか見定める。
2:森嶋帆高に鉄槌を下す。
※参戦時期はお任せします。
※一応、強欲の権能である『獅子の心臓』と『小さな王』は発動します。しかし疑似心臓が無い為に制限時間は僅か五秒しかありません。


28 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/03(日) 23:55:37 GlnqC..U0
投下終了します


29 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/04(月) 01:19:20 kRRm2LS20
投下乙です!こんなに投下されて嬉しい...ウレシイ...

>これは喜劇であって悲劇ではない
ジョーカーきた!帆高と陽菜の馴れ初めを見せられて己の境遇と照らし合わせて比較しているのがなんとも虚しい。
他人どころか己も弄ぶ悪の化身に目を着けられた帆高くんの運命や如何に...どう転んでもロクなことにならなさそう(小並)。
投下ありがとうございました
>されど神は人を笑う
原作終了後の大佐はあの戦いに勝利を収めただけあって頼もしい。ハガレン世界だと神様というワードを聞くとお父様を思い出すよね。
得意の焔の錬金術がほぼ制限されている中で『人間』としてどこまで抗えるだろうか。
現状、後の投下含めて帆高守護に賛同してくれそうなのが横綱と無惨様しかいないのがちょっと不憫
投下ありがとうございました

> 神在りき世界の砂糖菓子
神を信じていない彼女が眼前で起きた奇跡に縋り帆高抹殺に賛同してしまうとは。
あのオババ、確かに奇跡は起こせる人なんだけどあまりにも泥船なのでゲームをクリアできた時のセリーナさんが心配になります。
投下ありがとうございました

>無能な僕は残酷
このロワ初の犠牲者(仮)となった小森くん、南無。
しかも積極的な無差別マーダーというわけでなく武器の性能確認のためというのがまた無情。
ナナちゃん容赦ねえ...このような戦場では演技をするつもりもないということだろうか。
冷酷無比な暗殺者から帆高は逃げられるのだろうか!?まあ逃げきれなくても次の『帆高』が生まれるだけだけど
投下ありがとうございました

> 自己正当化の狂言師
また厄介な男に目を着けられてしまった帆高くん。
限りない自己愛を連発するレグルス司教に強姦魔扱いされる帆高くん可哀そう。
「彼女の夫として務めなくてはいけない」どの口が言ってるんだなことを連発する司教様は一度横綱に引っぱたかれるといいと思います
投下ありがとうございました


30 : 喧嘩番長 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/04(月) 01:24:07 kRRm2LS20
強く。強く。誰よりも強く。

その為に幾千もの戦場を駆けた。幾万もの屍を積み上げた。

これこそが俺の強さの証、生きてきた証だ。

だから俺は曇天の空の下で戦い続ける。

強くなるために。俺の求める『最強』になる為に。


・・・・・・・

「気が乗らないなぁ」

ぴょこん、と揺れる橙色のアホ毛がひとつ。
ニコニコと人懐っこい笑顔を浮かべながらそう呟く青年の名は神威。
宇宙を荒らしまわる無法者の集い、宇宙海賊春雨の師団長の一人である。

「戦場を用意してくれたのは助かるし、日が差さないのも嬉しいけど、狩る獲物があれっていうのがなあ」

神威は根っからの戦闘狂である。それは彼が『夜兎』という戦闘種族の血を色濃く引き継いだ証左だ。
そんな彼をしてもこの殺し合いは興の乗るものではなかった。

神子柴なる老婆から見せられた獲物の資料。
あれを見る限り、帆高は陽菜に関することに限っては強くなれる素質はあるようだ。
だがそれはあくまでも素質。今の彼は地球人にしてもあまりにも弱く、肝心の成長もそこまで期待できるほどのものではない。
これではメインディッシュにはなりえない。精々、前菜がいいところだ。

「彼を狩る為に戦うのもつまらないし、かといって適当に彼を殺して帰っても面白味にかける...はてさてどうしたものか」

神威はひとまず散策し参加者を探す為にその歩を進める。
特に深い考えもないただの散歩。しかし幸運の女神はさっそく彼に訪れた。

―――ンゴオオォォォ

「うん?」

なにか聞こえた。聞き間違いでなければ非常に大きなイビキだ。
出所とおぼしき路地裏へと足を運ぶ。

「―――グゴオオォォォ〜〜!!」

男がいた。
ディフォルメされた動物がプリントされたファンシーな寝間着に身を包み、大きなイビキをかきながら眠る大男がいた。
ちょうど屋根などの遮蔽物が邪魔をし雨粒が当たりにくいとはいえ、この異常事態の中、こうも眠りこけるその姿からは知性など欠片も見当たらないほどだらしがない。
そんな男を見下ろしながら神威は思う。
果たしてこの男は見た目通りの馬鹿か、異常事態にも揺るがない強者か。

(期待させてもらうよ、お兄さん)

神威は、無防備な男目掛けて腕を振り下ろし

「こんなところで寝てると風邪ひくよ」
「んが...?」

そっと胸板に手を置き声をかけた。


31 : 喧嘩番長 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/04(月) 01:25:15 kRRm2LS20

・・・・・・


「―――というわけで、俺たち参加者は帆高って少年を邪魔しないと死んじゃうらしいよ」
「マジか」

大男―――東条英虎は、神威の説明を受けてポカンと口を開けた。
彼は流された映像を見ているうちに居眠りしてしまい、その内容をほとんど見ておらず、神子柴が見せた見せしめとの大立ち回りも認識していなかった。
その為、神威は東条に大まかに事の顛末といまの状況を説明することとなったのだ。

「いや、殺しは流石にマズいだろ...なに考えてんだそのババア」
「それについては同感さ。あんな子たちを虐めてなにが楽しいんだろうね。それで?あんたはどうするの?」
「...よくわからんが、とりあえずあのババアぶっ飛ばせばいいんじゃねえか?」
「うん、それも解決法の一つだろうね。殺し合いだなんて大層なこと謡ってるけど、肝心の主催がいなくなったらもう強制力なんてないも同然さ。じゃあ、それを邪魔する奴がいたら?」

ピリ、と空気が張り詰めるのを感じとった東条の眉がピクリと動く。

「さっき触れてわかったよ。あんたはただものじゃない。俺と同じ、『強い側の奴』だって」
「ほぉ...?」
「俺も、こんな茶番で踊るのは勘弁したいんだ。どうせ踊るならあんたみたいな強者と殺りあって楽しみたい」

神威はこの催しにはなんら興味を抱いていない。
人間を捧げられないと維持できない神様?愛の為に奔走する少年少女?
違う。神威の求める強さはそんな温いものじゃない。
世界も。愛も。強さの前にはどうだっていい。

「あんたもそうだろ?東条英虎」
「......」

東条英虎は考える。本当に珍しく考える。
神威は間違いなく喧嘩をふっかけてきている。この異常事態の中で、この喧嘩、果たして受けるべきかどうかを。

「ハッ...ちょうど、頭を使うのにも疲れてきたところだ。乗った」

即決。思考時間は僅か数秒で終わってしまった。これでも彼なりには頑張った方である。

彼にも死人が出るのは駄目だろうという最低限のモラルはあるが、正直、帆高達の為に戦えるかと問われればイマイチ乗り切れないモノがある。
東条は不良ではあるが、性根は悪人ではなく、動物や子供には優しい面もある。しかし、決して善人ではない。
いうなれば純粋な戦闘狂。彼の喧嘩はいつだって己が満足する為だけのものだ。
そんな戦いの中で彼は強くなった。僅か数年でトップクラスの不良高校の頂点に立ち、敗北を経ては拳で刀を叩き折り、銃で撃たれても死なない。
そんな『最強』を欲しいがままにしてきた。
故に、この喧嘩を拒む理由などどこにもなかった。

「喧嘩、しようぜ」

東条のその言葉を受けた神威は、にこやかに閉じられていた瞼を薄く開け、親指でクイ、と己の背後を差した。
路地裏なんかじゃなく広いところでやろう、というサインだ。
神威のサインに従い、路上に出て睨み合う二人。
その距離はまさに1メートルもないほどに近い。互いに拳を振るえば届く距離だ。


32 : 喧嘩番長 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/04(月) 01:25:46 kRRm2LS20

しん...と静寂に包まれる。

「いくぜ」
「きなよ」

瞬間。
道路で水浴びをしていた烏たちは怯えるように一様に飛び去った。
殺気だ。東条と神威の放った殺気がぶつかり四散したのだ。

それがゴングとなった。

互いの右拳が振るわれる。
初動は同じ。しかし拳速は違う。

ドズリ、と鈍い音を鳴らし神威の拳が東条の腹に打ち込まれる。
『夜兎』の身体能力は地球人よりも数段勝る。
素手で車を持ち上げ、あるいは破壊し、その脚でバイクに匹敵する速度を出すことも可能だ。
そんな力を地球人がまともに受ければどうなるか。人体は破壊され、運がよくても入院は必須になるのは目に見えている。
それが種族の壁。夜兎と地球人を隔てる大きな壁だ。
だから、この戦いはこれでお終い

「いてえじゃねえか...」

にはならなかった。
揺らぐことなく、地を血で汚すこともなく。東条は笑みさえ浮かべて左手で神威の右腕を掴んだ。

東条に格闘技の経験はない。防弾の類を着込んでいたわけでもない。
つまり、夜兎の拳を受けておきながら平然としているのには種も仕掛けもありはしないのだ。

ギリ、ギリ、と東条の右腕の筋肉が筋を張り拳が振るわれる。
腕を掴まれている神威にそれを避けることはできず、しかして焦ることもなく、迫りくる東条の拳を見つめ続けていた。

神威の頬に東条の拳が食い込む。神威は衝撃を殺すことなく受け止める。
東条の筋肉がメキメキと音を立て、腕が振りぬかれると神威の身体が錐もみ状に回転しながら吹き飛んだ。

「やるね、あんた」

即座にむくりと起き上がる神威を見て東条は笑みを深め、それを見た神威もまた笑みを深める。

首輪を嵌められ命を握られていても関係ない。
後先考えぬ喧嘩馬鹿共の遊び、第二幕開始。


【神威@銀魂】
[状態]:顔面にダメージ(小)、高揚感
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:戦いまくる。
0:目の前の男と戦う。
1:強い奴を探して戦い殺す。ハゲとかお侍さん(坂田銀時)とか知ってる奴がいたら嬉しいなあ。
2:帆高はどうでもいい。

※参戦時期は神楽たちと和解する以前です。


【東条英虎@べるぜバブ】
[状態]:腹部にダメージ(小)、高揚感
[装備]:動物柄の寝間着
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死人が出るのは駄目だろさすがに。
0:目の前の男(神威)と喧嘩する。
1:よくわからんが強い奴と喧嘩したい。
2:よくわからんがとりあえず帆高ってやつと会えばいいんだな?


※参戦時期は少なくとも悪魔野学園編以降です


33 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/04(月) 01:30:02 kRRm2LS20
投下終了です

>>10
の特殊ルール
【森嶋帆高@天気の子】が時間経過を待たずに死亡した場合、近くにいる参加者のうち1名が『森嶋帆高』になり、ゲームは続行される
ですが、正確には
【森嶋帆高@天気の子】が時間経過を待たずに死亡した場合、同SS内の参加者のうち1名が『森嶋帆高』になり、ゲームは続行される。
です。大変失礼しました


34 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/04(月) 01:30:35 kRRm2LS20
投下終了です

>>10
の特殊ルール
【森嶋帆高@天気の子】が時間経過を待たずに死亡した場合、近くにいる参加者のうち1名が『森嶋帆高』になり、ゲームは続行される
ですが、正確には
【森嶋帆高@天気の子】が時間経過を待たずに死亡した場合、同SS内の参加者のうち1名が『森嶋帆高』になり、ゲームは続行される。
です。大変失礼しました


35 : 恋を応援!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/01/04(月) 11:37:02 pfiezUT.0
昨日の天気の子視聴しました!
穂高の陽菜に対する想い…エモかったです!楽しめました!
投下します!


36 : 恋を応援!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/01/04(月) 11:37:35 pfiezUT.0
「ねぇ? おっこちゃんは好きな男子いる?」
それは、「恋」に関する質問。

「えっ!?いませんよ!それに、ほら、私って可愛くないし…」
それは、自分を客観的に見た上での言葉。

「そう?おっこちゃん、可愛いわよ?」
そう言って自分を褒めてくれているのは水領様。
旅館「春の屋」で宿泊しているお客様。

水領は心からのおもてなしにおっこのことを気に入り近隣の大型ショッピングモールへおっこを同行させる。
その最中での会話。

(グローリーさんのような綺麗な人でも失恋するんだ…)
(恋かぁ〜…一体どういうものなのかな?…私にはまだ早いかな…)
ショッピングが終わり、おっこは水領…グローリーさんが失恋をしたことを知り、「恋」について考えた。

その後、様々な出来事が多く起きた。
神楽の練習中、真月さんと大喧嘩…交通事故の関係者、木瀬一家の宿泊…
おっこは傷つきながらも乗り越え「若おかみ」として今日も働く…はずだった………

☆彡 ☆彡 ☆彡

「な…何なの!?あれは、一体!?」
小学生のおっこは困惑している。
いつものように若おかみとしてお客様をお出迎えするはずが、気を失い、気がつくと、椅子に座っていた。
その後、頭がカメラやポップコーンにパトカーについているランプの人達のやり取り…暗転…スクリーンに映像が流れだした。

内容は少女と、彼女に惹かれていく少年のボーイ・ミーツ・ガール。
(穂高さんは、陽菜さんのこと、好きなんだ……)
おっこは物語の少年が晴れにする少女のことが好きなのではないかと推測した。
(…なんか、素敵だな。これが「恋」ということなのかな?)
ふと、おっこは夏のグローリーさんとの会話を想起した。

少女…陽菜さんが、少年…穂高さんの目の前から消え去る物語の佳境!
(どうなるの?)
おっこは食い入るように物語をみていたがーーーーー

「―――堪能してもらえたかの」

それは、おっこをバトルロワイアルに誘う老婆の声ーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


37 : 恋を応援!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/01/04(月) 11:39:42 pfiezUT.0
すみません(汗)
帆高でしたね…改めて投下します!


38 : 恋を応援!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/01/04(月) 11:40:56 pfiezUT.0
「ねぇ? おっこちゃんは好きな男子いる?」
それは、「恋」に関する質問。

「えっ!?いませんよ!それに、ほら、私って可愛くないし…」
それは、自分を客観的に見た上での言葉。

「そう?おっこちゃん、可愛いわよ?」
そう言って自分を褒めてくれているのは水領様。
旅館「春の屋」で宿泊しているお客様。

水領は心からのおもてなしにおっこのことを気に入り近隣の大型ショッピングモールへおっこを同行させる。
その最中での会話。

(グローリーさんのような綺麗な人でも失恋するんだ…)
(恋かぁ〜…一体どういうものなのかな?…私にはまだ早いかな…)
ショッピングが終わり、おっこは水領…グローリーさんが失恋をしたことを知り、「恋」について考えた。

その後、様々な出来事が多く起きた。
神楽の練習中、真月さんと大喧嘩…交通事故の関係者、木瀬一家の宿泊…
おっこは傷つきながらも乗り越え「若おかみ」として今日も働く…はずだった………

☆彡 ☆彡 ☆彡

「な…何なの!?あれは、一体!?」
小学生のおっこは困惑している。
いつものように若おかみとしてお客様をお出迎えするはずが、気を失い、気がつくと、椅子に座っていた。
その後、頭がカメラやポップコーンにパトカーについているランプの人達のやり取り…暗転…スクリーンに映像が流れだした。

内容は少女と、彼女に惹かれていく少年のボーイ・ミーツ・ガール。
(帆高さんは、陽菜さんのこと、好きなんだ……)
おっこは物語の少年が晴れにする少女のことが好きなのではないかと推測した。
(…なんか、素敵だな。これが「恋」ということなのかな?)
ふと、おっこは夏のグローリーさんとの会話を想起した。

少女…陽菜さんが、少年…帆高さんの目の前から消え去る物語の佳境!
(どうなるの?)
おっこは食い入るように物語をみていたがーーーーー

「―――堪能してもらえたかの」

それは、おっこをバトルロワイアルに誘う老婆の声ーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


39 : 恋を応援!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/01/04(月) 11:43:16 pfiezUT.0
「…陽菜さんを連れ戻さないために帆高さんを食い止める……」
状況を整理しながら落ち着きを取り戻すおっこ。

「…そんなの、絶対おかしいわ!」
おっこは老婆のバトルロワイアルを否定する!

「帆高さんと陽菜さんは互いに通じ合っていた!その二人を引き離すなんて「神様」でもゆるされないわ!」
もう一度、映像の出来事を振り返る……

(…ウリ坊…美代ちゃん…鈴鬼君)
帆高さんがフェリーから海に落ちるところを須賀さんに助けてもらった場面は、交通事故からウリ坊に助けてもらったことを思い出す。

(陽菜さんの料理…とても美味しそうだった。康さんにお願いして作ってもらおうかな?)
旅館に必要な「料理」の描写……「春の屋」でも提供できないかと「若おかみ」として参考になった。

ラブ?ホテルで二人が歌っていたのは「恋するフォーチュンクッキー」に「恋」
二人の恋の想い……それは、女の子としての憧れ……

あの映像に映っていた帆高さんと陽菜さんには色々なことを教えてもらった。
(…もちろん、帆高さんがそのまま陽菜さんを連れ戻せたら、二人以外は死んでしまう…)
二人が出会えば自分を含めて死んでしまう現実も知ったうえでおっこは覚悟を決める。

「…それでも、私は二人の「恋」を守りたい!ウリ坊…私に力をかして!!」

若おかみはバトルロワイアルに挑む!

【関織子@若おかみは小学生(映画)】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:帆高さんと陽菜さんを出会わせてあげたい
1:まずは、帆高さんと出会う。
2:他の参加者と協力できたらしたい。


40 : 恋を応援!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/01/04(月) 11:44:09 pfiezUT.0
投下終了します。


41 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 17:40:23 AUVsipuY0
投下します。


42 : 泣かない堕天使 ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 17:44:39 AUVsipuY0

「不幸だわ……」


朝、いつものように目が覚めたら、映画を見せられ、目の前で人が死に、
訳のわからないことを言われ、目の前で人が生き返りーーーー

「ああ、もう。なんなのよ」

目鼻立ちのくっきりした、頭にシニヨンのあるその少女、津島善子はそう言った。

「いくらヨハネが神様に嫉妬された堕天使だからって、これはないでしょ……」

そう口にする。もっともそれはただの虚勢。
心を占めるのは、この訳のわからない状況に対する混乱、そして何よりも恐怖。
だけれども、幸いにも彼女はその感情に抗うだけの自分なりのやり方を持っていた。

「雨に降られるのは慣れてるけど、こう、全然日が差さないというのも憂鬱なものね……」

雨宿りをしつつ、そう呟く。そしてーーー

「怖い……お母さん、みんな……」

自分の首につけられたものを触る。冷たい。その物体には何の感情も介在しない。

「……爆発したら……」

死。昨日まで高校生活を謳歌していた自分には全く関係のないと思っていたその一文字。
それが、首に伝わる冷たさを通じて否応なしに迫ってくる。

最初に考えたのは、これはドッキリか何かではないかということ。
しかしプロのアイドルならまだしも曲がりなりにも一般人である自分を承諾もなく
拉致する組織などあるはずがない。

つまり、この訳のわからない状況は、自分の理解の範疇を超えているのだ。

あのお婆さんはあんなことを言っていた。
説明書に書いてあるお題をこなせばどんな願いでも叶えると。
他の人の説明書にどんなことが書いてあるのか想像もしたくないけど、
例えば「津島善子を殺せ」というお題でもあったらーー考えたくない。


そしてーー
森嶋帆高、といった。
あの男の子と陽菜ちゃんが出会ったら、私たちは死んでしまう。
でもーー

「ヨハネ、何を言ってるの? だからあの男の子の邪魔をする、そんなことがあっていいの?」

自然、語気が強くなったような気がした。

いや、あっていいはずがない。

私は幸運だった。
たくさんの良き理解者に恵まれた。

でも、森嶋くんはーー

もし、世界に理解者がたった一人しかいなかったら、その人を失う恐怖はどれほどのものだろうか。
もし、たった一人の理解者を失うことで世界が崩壊するのだったら、人はどうするのだろうか?

堕天使にはそのどちらもわからない。
でもーー

「神様、とやら。覚えておきなさい。私は人間界に降りてきた堕天使、ヨハネ。
あんたなんかよりも人間のことはよーく知ってるんだから」

そう言って、彼女は空を見た。
変わることのない雨天を睨み付けるかのように。



【津島善子@ラブライブ!サンシャイン!!」
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:対主催。自分は無力だが、こんなことは間違っている。
1:森嶋くんを助けたい。
2:初対面の相手には「ヨハネ」と名乗る(津島善子を殺せ、というお題があった場合に備えて)


43 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 17:45:09 AUVsipuY0
投下を終了します。


44 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 18:25:43 AUVsipuY0
すみません、津島善子の参戦時期は「少なくとも第一期終了後」としてください。


45 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 19:21:37 AUVsipuY0
投下します。


46 : 守られるべきは未来 ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 19:26:46 AUVsipuY0

「解せんな」

その男、いや、その生物はそう吐き捨てる。

それはもちろんこの訳のわからないゲームもそうだがーー

「つまりは、自分や他人の身を危険に晒しても森嶋帆高を守りたい、という者がいるということか?」

その生物、「最強のパラサイト」である「後藤」はそう自問した。

全滅の危険を犯してまで森嶋帆高を守ろうとする者がいる。
そうでなければこのゲームは森嶋側に圧倒的に不利だ。
名簿をざっと確認したところ、自分も含めて数十名もの名前が書かれていた。
森嶋帆高の年齢は見たところ泉新一とさほど変わりはない。
そのような人間が数十名もの人間に追われて二日間も逃げ切れるとは考えにくい。

すなわちーー

「参加者間での仲間割れを狙っているのか? 
森嶋帆高と天野陽菜との間の『愛』を利用することによって」

それは徹底的に合理的な思考を行う寄生生物には全く共感しがたい行動。
もっとも後藤にとっては「共感」と「理解」とは異なるが故、人間がそのような非合理な行動をしばしばとることは理解できる。

森嶋帆高。あの映画を見た限りでは少々攻撃的で危なっかしいただの少年にすぎない。
もっとも、あの映画の通りであれば、森嶋は天野のためならばこのゲームの全ての参加者をも犠牲にする覚悟はあるだろうが。

それならばーー

「……殺す、べきか」

その結論に達するのに全く時間はかからなかった。

森嶋帆高を殺す。
それは合理的すぎるほどに合理的であるパラサイトにとってはあまりにも妥当な結論。

「皆の命を守らねば、か」

くだらない、とでも言うようにそう吐き捨てる。

それはあの男が度々口にしていた言葉であった。


【後藤@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考、状況]
基本方針:森嶋帆高の殺害
1:協力できる者がいれば協力しても良い。

※参戦時期は市庁舎での戦闘後。


47 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/04(月) 19:28:03 AUVsipuY0
投下を終了します。


48 : ◆5IjCIYVjCc :2021/01/05(火) 01:13:59 7yXH.bY60
投下します


49 : どこにでもいる普通の殺人ピエロ ◆5IjCIYVjCc :2021/01/05(火) 01:14:35 7yXH.bY60
雨が降り注ぐこの町で黄色の雨合羽を着た少年が一人、走っていた。
少年は紙を折って作ったボートを道路の端で流れる水の上に浮かべて、それを追っていた。

「僕をクソ雑魚ピエロの下へ連れていけ!」

紙で作ったボートはそのまま水とともに道路の側溝の中へと落ちていった。

少年の名はジョージー・デンブロウ、ホラー映画のITに登場する第一犠牲者である。
だが、ここにいるジョージーは厳密には映画に登場するジョージーとは違う。

彼はネットミームによって生まれた「ペニーワイズがオススメするシリーズ」の世界のジョージーである。
このシリーズのジョージーとペニーワイズの関係は動画制作者によって様々である。
そしてこのジョージーはペニーワイズとはある意味仲が良い世界線のようだ。

ジョージーが船を流した理由はペニーワイズに会うためであった。
ペニーワイズがオススメするシリーズの動画はジョージーが雨の中でボートを流すシーンから始まる。
そしてボートは側溝の中に落ち、ジョージーが覗き込むとペニーワイズが顔を出して動画のテーマに沿った「オススメ」が始まるのだ。
例外も一応あるが、大体はこの流れで2人は出会うことになる。

そこでジョージーはいつものテンプレートな流れを再現することでペニーワイズとの合流を目論んだ。
ようは召喚の儀式みたいなものだ。
このバトルロワイアルの場にペニーワイズがいるかどうかは分からない。
もしいるとしても原作映画に出てくるホラー映画の怪物としてのペニーワイズかもしれない。

それでも、ジョージーはペニーワイズを探さずにはいられない。
兄や友達などジョージーにとって仲間と言える者達はいる。
だが彼らはオススメシリーズで活躍することはほとんどない。
あれらの動画群の世界観から参戦キャラを出すとしたら、ペニーワイズかジョージーくらいしかいないのだ。
よって、こういった企画でジョージーが出会える可能性が存在し、顔見知りと言える相手はペニーワイズしかいない。

このロワイアルでの勝利条件である「森嶋帆高と天野陽菜の合流」を阻止するか否か、
ジョージーにはなぜかペニーワイズが天気の子をオススメする世界線の記憶があった。
ジョージーは先ほど見せられた映像が映画の「天気の子」だということに気付いている。
途中で切られた続きも知っている。
森嶋帆高と天野陽菜がどういう人間でどんな関係か、2人が迎える結末も知っている。

なぜ主催者がこんなルールでバトルロワイアルを開催したのかは分からない。
だが、こんな戦いのせいで結末が改変されてしまったら「天気の子」が映画として台無しになる。
それを阻止するためにも2人の合流は手助けしたい派だ。

事情を知らない者は自分が生き残るために主催の思惑に乗ってしまうかもしれない。
ジョージー1人だけでそんな参加者全てを何とかすることは難しい。
だから協力者としてペニーワイズを探しているのだ。

ちなみにボートは名簿と基本ルールが書かれた紙を折って作った。
それらの情報はタブレットにも載っているらしいので紙の方を使っても問題ないと判断したからだ。

目論見通りボートが側溝の中に落ちたのを見届けるとその中を覗き込んだ。
その中は特に何かがいるわけでもなく真っ暗な闇が広がっていた。

(そう簡単には会えないか)

ジョージーが側溝から離れようとしたその時、中から何か物音がした。

その音に反応して再び中を覗き込む。
こんなところに隠れそうな奴をペニーワイズ以外にジョージーは知らない。
仮に本編ペニーワイズだとしてもジョージーには殺されない自信がある。

期待してジョージーは中を見てみたが…


50 : どこにでもいる普通の殺人ピエロ ◆5IjCIYVjCc :2021/01/05(火) 01:15:17 7yXH.bY60
「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!」


現れたのはペニーワイズとは別のピエロであった!

ジョージーは…

立ち向かった!
>逃げた!
気さくに話しかけた!

「ペニーワイズ以外のピエロに用はない!」
ジョージーはそう言ってその場から逃げ去った。
その走りはまるで映像を逆再生したかのような綺麗な後ろ走りであった。

ピエロは直ぐに追いかけようとしたが体が穴より大きくて出られなかった。
ピエロはマキタ 26mm ハンマ・ドリルを使ってコンクリートを破壊し穴を広げる!
破壊したおかげで測溝から脱出することはできた。
だが、その頃にはジョージーの姿は既に見えなくなっていた。

「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!」

ピエロ…否、ピエロの恰好をした殺人鬼は奇声を上げながら取り逃がした獲物を探す。
狂気の殺人鬼にとってこのロワイアルの特殊ルールは何の関係もない。
ただ、目につくものに襲いかかるだけである。

男の名は柊 遼。
川越の指名手配中の殺人鬼だ。


【ジョージー・デンブロウ@ペニーワイズがオススメするシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:映画「天気の子」を守るために森嶋帆高と天野陽菜を合流させる
1:この場にペニーワイズがいたら探す。
2:側溝にいた奴は放っておこう
※様々な「ペニーワイズがオススメするシリーズ」の動画内での記憶を持っているかもしれません。
※名簿、ルール用紙を失いました。

【柊 遼@高橋邦子】
[状態]:健康
[装備]:マキタ 26mm ハンマ・ドリル@高橋邦子
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本行動方針:???
1:ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁぁぁぁぁーっ!
※参戦時期は「エッチな夏休み」の本編開始前です。

【マキタ 26mm ハンマ・ドリル@高橋邦子】
柊 遼が得物として扱う電動工具の一つ。
おそらく現実に存在するものと同じだと思われる。


51 : ◆5IjCIYVjCc :2021/01/05(火) 01:15:36 7yXH.bY60
投下を終了します。


52 : 幸せの終わる世界が来る ◆EPyDv9DKJs :2021/01/05(火) 02:56:25 4chVQTZA0
投下します


53 : 幸せの終わる世界が来る ◆EPyDv9DKJs :2021/01/05(火) 02:59:32 4chVQTZA0
 タロットカード、十六番目のカード『塔(タワー)』。
 二十二枚の大アルカナで最も不幸とされる存在のカード。
 悪魔や死神でも逆位置は良い意味を持っていた李はするのだが、
 塔だけは正位置、逆位置問わずに凶となる暗示しか存在していないからだ。
 解釈次第では別、と言う声もあるが基本的には占いでこれは引くべきではない。
 意味は悲劇、自傷行為、突然のアクシデント、そして不幸。
 決してこのタロットに幸福の二文字はない。





「タワー!? どこにいるんだ!?」

 雨が降り注ぐ音に包まれながら、とあるビルの中を駆ける男がいる。
 紺色のローブを羽織った姿はファンタジー寄りの姿であり、
 この都会の真っただ中にあるようなビルには全く似合わない恰好をしていた。
 しかもここは人がいないのか音はダイレクトに響き渡っており、
 その存在感は単純な資格だけでは収まることはない。

 似合う以前の問題だ。
 彼このような世界に生きてはいない。
 壮大な碧空に浮かぶ島々で生きる人間だ。
 空の民、その世界ではそう呼ばれていた。

「タワー! 何故俺を殺さないんだ!?」

 そして空の世界でも指折りの狂人である。
 名前はロベリア。自他ともに認める天才魔術師だ。
 自分の幸福のために生きると言う、言葉だけなら響きのいいものだ。
 しかし彼の言う幸福は、少なくとも常人の感性とはかけ離れている。

 ロベリアの幸福の根源は『音』だ。しかもただの音ではなく、
 人を破壊した時の音や悲鳴を、クラポティと言う巻貝に録音して聴くのが彼の幸福。
 母を殺したときの音を再生しながら食べるパスタは格別という程の狂いっぷりだ。
 『人は誰であろうと幸福に生きる権利がある』と言う両親の教えを、
 自分が幸福になる形で恩返しするための行動した結果がそれである。
 彼にとって殺しはそのための手段でしかなく、目的ではない。
 人知れず、しかし殺し続けたことで破壊してきた人達の音を録りつづけた。
 大半に共感されることのないことであり、彼もそのことは理解している。
 理解できる人は、同じ破壊者ぐらいだろうと。

「キミがいなくてどうするんだ!?
 俺もキミも、あのときが満たされていたはずだろ!」

 そんな彼が辿り着いた幸福の極致は、自分の破壊である。
 破壊すれば死ぬだろ。言われればそうなのだが彼は特殊な立場にあったのだ。
 彼が契約した星の獣は、一度でも契約者が破壊に失敗すれば今まで破壊しきたた人数分、
 同じ殺され方を実行し、死亡しても強制的に蘇生させる、それが塔(タワー)の代償。
 ある騎空団との戦いに敗れた彼はその代償を無限とも言える程に受けることになった。
 父を殺したときのように破裂し、母を殺したときのように骨を四肢の先から砕かれ、
 端から見れば因果応報でも見るに堪えない光景ではあっただろう。
 だが、これでよかった。贖罪ではない。彼の求めてた幸福がそこにあったから。
 自分が壊れ、自分が死にゆく音。これが自分にとって求めた音であり満たされる。

『俺はっ、ようやくっ!!! 幸福に、なれた! 幸福にぃっ!! 生き果せたぁっ!!』

 ロベリアは同じ賢者である戦車の男のような痛みを感じないわけではない。
 痛みに悲鳴を上げ、苦痛にのたうち回るので間違いなく痛みは伴っている。
 しかし、それでも自分は生き果せたことに対して笑える、紛れもない狂人だ。
 だからこそ今このように焦っている。いつ破壊されるか分からずとも構わない。
 人を驚かせることにはなってしまうが、それ以上に彼にとってはそれが幸福だ。
 その幸福を与えてくれる唯一の存在であるタワーの気配が、欠片も感じられなかった。
 アーカルムシリーズの契約者はつながりが強く、何かしらを感じることができる。
 だが今は契約する前の時の状態に戻されたかのような、繋がりのなさ。
 どこを探しても、いつの間にか背負ってたデイバックにもそれらしいものはなく。
 ひとしきり探し終えて、雨がよく見える窓を前に膝をつくロベリア。

「何故だ……? 俺は幸福に生きたかっただけなのにっ!!」

 八つ当たりの如く近くの壁を魔法で破壊する。
 派手な音共にパラパラと壁の破片が崩れていく。
 建物への配慮や存在を示してしまう愚行とか、
 最早そんなことを考えられないぐらいの状態だ。
 お前が言うな、彼の所業を知ってれば誰もが言いたくなる、
 まさに自己中心を極めたかのような発言である。
 自分の幸福が奪われると言うパターンは想定しなかった。
 今まで自分がやってきたことをまさかされ返すことになるとは。
 無限に死に続けることが幸福なんて思える存在は普通いない。
 誰も奪いやしないだろうものを奪われて、酷く憔悴していた。
 永遠の幸福と言う絶頂から転落し、彼らしからぬ取り乱し方をする。


54 : 幸せの終わる世界が来る ◆EPyDv9DKJs :2021/01/05(火) 03:00:32 4chVQTZA0
「ハッ! まさかあのヴィエイヤール……!」

 思い出せばあの老人は何をしていたか。
 姿を見せた後、女性を蘇生させていた。
 そう、タワーの破壊と再生の如く。

「タワー、キミはそこにいるのか!?」

 厳密にはタワーの蘇生はあれほど自由ではない。
 契約者に死んだ人間を蘇生できるものなど、タワーと契約した彼が理解している。
 だが契約の代償を全て無に帰されてしまった今の状況を考えれば、
 老人が持つ力はアーカルムシリーズを凌駕してる可能性もあった。
 となれば、ありうることなのではないか。
 もしそうなあ最優先事項はタワーの奪還。
 それにアーカルムシリーズは極めて危険な存在だ。
 元々新世界創造の為の星晶獣であるのだから、
 野放しは団長になんていわれるか分からない。
 勿論それは二の次で、タワーの奪還は自分の為だが。
 そういうことなので、ゲームが終わってしまっては困る。

「確か、ホダカを制限時間までに止めればいいのか。」

 冷静になったことで漸く自分の目的を把握した。
 こんなに憔悴してるが、意外と映画はちゃんと見ている。
 彼の世界では映画と呼べるようなものはなかったので、
 大音量で展開される物語には興味があるにはあったからだ。
 ストーリーについては……まあ彼なので余り言わないでおこう。
 下手をすれば真面目な感想を抱く視聴者から非難されかねない。
 タワーの気配がないと感じたのはこのビルへ転送された後だ。
 彼の目的である帆高の到着を阻止することへの躊躇は全くない。
 他人を気に掛けるほどお人好しではないと理解している。
 だからこそ、他人の幸福を平然と奪える殺しができたのだから。

 阻止すること自体は簡単だ。
 それこそ帆高を破壊すればいいだけ。
 タワーがない以上国を滅ぼすレベルの力はないが、
 彼はそもそもタワーがなくても人を壊し続けてきた。
 だから殺すことに関しては問題はないかもしれない。

「問題は団長がいるかだな。」

 そうさせないのが、彼が身を寄せる騎空団の団長の存在。
 自分の求めた音を提供してくれた団長達に彼は礼をしたかった。
 そのお礼の内容が『自分の力を今後人の為に振るうように』と言うもの。
 今まで殺してきた分(彼自身は欠片も反省してないが)贖罪の為に振るう。
 だから彼を止める手段で殺すと言うのはそのままではしてはならない。
 団長や騎空団の団員がいなければ別かもしれないが、
 不用意な行動を今するわけにはいかない。

(それに、少し奇妙だ。)

 おかしいこともある。
 帆高を殺せばそれで皆すんなり帰れてしまう。
 だったら皆殺しにかかってしまうのが当然だ。
 そうしなければ全員死ぬ。当たり前なことだし、
 自分だって団長との約束がなければそうしてた。
 団長のようなお人よしであれば別だろう。
 タワーの契約を無効にするなんて手の込んだことをして、
 下手をすれば一分もかからず終わる催しをするのか。

(ホダカの『死滅』も引っかかるし、気になるな。)

 死亡ではなく死滅。複数でもいるかのようなワードだ。
 これが単なる誤字であれば気にも留めないが、
 ただの殺害したらそれで終わる気がしてならなかった。
 とりあえずは彼と出会って老人との関係を知っておく。
 最悪老人からタワーを奪い返すことさえできれば、
 彼が陽菜と出会おうと出会わなかろうとどうでもいい。
 外の雨に耳を傾けながらロベリアはこの建物から出ることを決める。



 天性の破壊者と呼ばれた魔術師。
 不幸を意味する塔の呪縛から解き放たれた彼は、
 もう一度幸福を手にするために動き出す。
 端から見れば不幸の果てを目指しながら。

【ロベリア@グランブルーファンタジー】
[状態]:タワーがいないことによる精神摩耗(中)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み、タワーのカードはない)
[思考・状況]
基本方針:タワーを取り戻し幸福に生きる。
1:ホダカに出会い老人との関係を調べていく。
2:そのまま殺すと何か引っかかるものがあるので気を付ける。
3:団長達団員がいれば必要以上の殺しはしない。いないのであれば……?
4:ルールの違和感について語れる人が欲しい。説明は下手だが。

※参戦時期は主人公の団へ加入済みです
 主人公の性別は現在表記していません(どちらでも問題ないように)
※タワーとの契約が解除されてるため、
 致死量のダメージを受ければ蘇生できません
※紫がタワーを現在所持、或いは自由に使えてると推測してます
 ただ使役の仕方が自由すぎるのでタワーとは別の可能性は考えてます
※帆高の『死滅』や一分で終わりかねないルールに違和感を持ってます


55 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/05(火) 03:01:38 4chVQTZA0
投下終了えす


56 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/05(火) 19:25:26 3g4LaSRA0
投下します


57 : 焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ ◆7PJBZrstcc :2021/01/05(火) 19:25:57 3g4LaSRA0
 俺は今、モーレツに腹が減っている。
 どれくらいモーレツかというと昼間は『地下鉄の風でスカートがめくれ上がったマリリン・モンローがノーパンだった』くらいだった。
 しかし今は『マリリン・モンローのエロビデオが18歳未満のみ無料ダウンロードできるようになった』くらいへと跳ね上がった。
 言葉の意味はやっぱり分からないが、とにかく空腹なことだけ伝わればいい。

 申し遅れたが、俺の名前は日野洋二。洋食屋『ひだるまキッチン』の店主にして、料理人だ。上に『日本一』とか『天才』とかつけてくれると嬉しい。

 そもそもなぜ俺がこんなに腹がすいているのかというと、今日の朝は胃の調子が悪く、朝飯をおにぎり一個で済ませたのが始まりだった。
 昼くらいには普通に戻り、俺の腹が飯を食わせろと主張していたが、俺の作った料理はどういうわけかオキャクサマと名乗る者共に食われていく始末。
 そんな理不尽に耐えてやっと午後九時。店の閉店時間となった。
 ここから俺の俺による俺だけのディナータイムを始めようとしたが、米がなかった。

 その直後、俺は映画を観ていた。
 何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も知らん。
 それに空腹のせいで全く内容が入ってこない。せめてポップコーンとコーラがあれば話も違ったが、そんなものはない。
 気付けば映画が終わり、代わりに居たのは知らんババア。

 ババアがいきなり殺し合いをしろだのああだのこうだの言っていたが、俺はほぼ聞き流す。
 流石にレディが殺されたと思ったら生き返るのはファンタスティックだが、俺の腹も負けじとファンタスティックだ。


 そうこうしているうちに、俺はいつの間にか街中にいた。
 鬱陶しく降り続く雨は俺の胃の悲鳴の代弁か。この雨を全て俺の口に入れれば多少空腹はマシになるだろうか。
 そう思っていると、俺の視界にファミレスが入った。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 瞬間、俺は駆け出していた。
 己の空腹を無理矢理力に変え全力疾走。そしてドアを開ける時間も惜しいので窓ガラスをガシャアアアアン! と突き破り突入。
 その勢いのまま厨房へと飛び込んだ。

 なお、この行いが世間一般から見れば強盗だとはさすがに気付いていたが、悪いのはあのババアだと思うので気にしないことにした。
 俺は腹が減っているのにババアはいきなり攫って映画を見せた挙句、殺し合いをしろとのたまうのだ。
 釘バットでボコボコにしても推定無罪だ。もし罪になったとしてもそれは法律が悪い。

「ゲェーハッハッハ! 食材どもよ、我が手によって美味しく調理されるがよい!!」

 そして俺はトンカツ定食を調理していた。
 正直、腹が減りすぎてこの辺りはほぼ何も覚えていない。
 だがこの見事な揚げ加減のカツとキャベツの千切り、そして味噌汁とホカホカのご飯は間違いなく俺の料理だ。

 俺は無心で料理を貪る。美味い、さすが俺の料理。
 そして完食。正直、食材と調理器具が普段使っているのより少し程度が低いのが不満だが、とりあえずはスッキリした。

「で、これからどうしようか」


【日野洋二@クレイジー・キッチン】
[状態]健康、満腹
[装備]不明
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合い? 知らん!!
1:とりあえず腹いっぱいになってスッキリ

※参戦時期は第一話「トンカツ」終了直後
※オープニングで上映された「天気の子」の内容をロクに覚えていません。


58 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/05(火) 19:26:22 3g4LaSRA0
投下終了です


59 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 00:18:02 UpI6K.Uo0
投下します


60 : 爆弾魔が振るう運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 00:22:13 UpI6K.Uo0
鳴り止まない雨の中、人通りが激しい道路で一人歩く女性――雪ノ下雪乃。傘を差した様子も無く衣服がずぶ濡れになりながらも、ふらふらと重い足取りを運んでいた。
彼女の首に首輪が装着され、また肩に別の黒い円形状の物も張り付かれている。

「……お願い、早く出て」

恐怖で震えていた雪ノ下が、手持ちの携帯電話で向こうの相手に掛けていく。彼女の声に焦りが滲み出ていた。

「貴方の言われた通りに着いたわよ、解除して! もうタイマーが!」
「よし、待ってろ。今すぐ解除する」
「そう、良かっ――」

コール中に出たのは渋い声が特徴の男性。彼は落ち着かせるように意味深な言葉を掛けていく。
安心し切った雪ノ下が言い切ろうとした瞬間、火に包まれて爆散する。突如の爆発で通行人の悲鳴が上がる。

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。死亡】

「ほぉ、これも問題無く作動したな」

道路の真ん中で焼き焦げた彼女の死体を、遠くにいた眼鏡の男が傘を差して眺めている。奇妙な事に爆発の直後で彼の耳に当てていた電話が不通となった。それを無雑作にゴミ箱の中へ投げ捨てる。
爆発させた元凶がこの男であり、彼の名はゲンスルー。グリードアイランドのプレイヤーであり、人々を爆死させてきた爆弾魔(ボマー)だ。
一握りの火薬(リトルフラワー)、命の音(カウントダウン)は問題無く扱えるだろう。これはゲンスルーがたった今、他の参加者達に試したからこそ確証を済ませている。だが欠点は遊戯に仲間のサブとバラが居ない事だ。
本来なら参加者達にゲンスルーは正体不明のボマーを知らしめて、『爆弾魔に気を付けろよ』、『ボマーがまた出たらしい』と口にして接触しながら命の音の条件を満たしていき、最後に能力の説明で爆弾を設置させる。そして備品の役割を果たすサブとバラの連携により『解放(リリース)』で自分達以外の全員を爆死させていく。グリードアイランドで使った手口と同じだ。この方法でゲンスルーは優勝を狙おうとしていたが、
上記の通り制限が掛けられている為にカウンター式でしか発動しない。それに一人生き残る事が大前提の優勝では仲間を殺さなくてはいけない。

『ルールは簡単。天野陽菜を連れ戻そうとする森嶋帆高を制限時間まで食い止めよ。森嶋帆高の生死は問わん。如何な手段をもってしても森嶋帆高を食い止めればそれでこのゲームは終わりじゃ』

だからこそ彼は胸を撫で下ろしていたが、この時に老婆が余計なルールさえ追加しなければ後悔してなかった。

「ブック――チッ、駄目か……」

雪ノ下の死体現場に多数のパトカーがサイレンを鳴らしながら集まってきたので、何かを唱えていたゲンスルーは不機嫌ながら雑踏に紛れ、その場から去る。


61 : 爆弾魔が振るう運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 00:23:34 UpI6K.Uo0
――こっちも立て込んでいるのに急に呼び出しやがって、糞ババアが。

随分前にゲンスルーは別の遊戯で無理やり連れて来られた。この先、東京で森嶋帆高と天野陽菜が二人して巡る茶番劇へと巻き込まれていく形で。
ゲンスルーは彼らを知っていた。それもゲーム開始前、彼が無理強いに見せられたのは、とある映画だ。それはボーイミーツガールというジャンルで壮大な映像美と派手さの音楽が飾る。
取り敢えず頭の中で整理しながら茫然と眺めていた。気だるげなゲンスルーの目に留まるのは――祈願で天気を晴れさせる天野陽菜、そして彼女と共にする森嶋帆高。
偶然では説明が出来ない奇跡を引き起こす天野陽菜もそうだが、躊躇無く人に銃口を向ける森嶋帆高も中々に普通とかけ離れた狂人だ。

――いかれたガキが派手な行動を起こしているからこそ、プレイヤーや警察に見つかるのもそう遠くもない。

遊戯へと巻き込まれた天野陽菜と森嶋帆高に同情はしない。二人の意を汲み取ってまで自分が爆死になるのは御免こうむる。

――どんな結末だろうとオレは知らねェよ。糞ったれのゲームでやるべき事は。

薄らと笑みを浮かべていたゲンスルーは森嶋帆高を殺害するつもりだ。いずれ彼を巡って反対派と賛成派が衝突するだろう。その隙にどさくさに紛れ、森嶋帆高を暗殺する。先程、命の音で雪ノ下雪乃を殺したのも彼女も含めて反対派だったから。
老婆が説明された全てをゲンスルーが、参加者に打ち明かした事で一つの収穫を得る。

――ババアの事なぞ信用してないが、どうやらオレだけではなくプレイヤー全員に話を通しているらしいな。

現状、天野陽菜しか見えていない森嶋帆高を生かすのにデメリットしかない。命を懸けてまで彼を庇う事自体が、ゲンスルーにとって理解し難く愚かな行為だ。

――それにしても、あの説明がどうにも引っ掛かる。

『天野陽菜を連れ戻そうとする森嶋帆高を制限時間まで食い止めよ。森嶋帆高の生死は問わん。如何な手段をもってしても森嶋帆高を食い止めればそれでこのゲームは終わりじゃ』
【ゲームの終了方法】
①森嶋帆高が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。一時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
ゲンスルーが老婆の口頭説明を思い出しながらデイバックからタブレットを取り出し、説明文と照らし合わせる。どれも矛盾は無く、同じ内容だった。

――オレとした事が見逃す所だったな。どれも終了条件に必ずしも殺害しろと説明されていない。そして、やたらと制限時間の終了を強調している。

しかし修羅場を潜ってきたゲンスルーが、小さな違和感を見逃す筈も無い。確かに老婆から森嶋帆高を食い止めるのに生死は問わないと言われたが、何も終了条件として彼を殺害しろと言われていない。ルールについて記載された文面も同じだ。眉を顰めるゲンスルーは、あの老婆が言質を与えない事に気付く。

――もし制限時間内に森嶋帆高とやらを殺せば終わるのか?

額に一筋の汗が流れるゲンスルーは疑問を抱いたまま歩いていく。この瞬間にリスキーダイスを振るうように腹を括るしか選択肢が無かった。鬼が出るか蛇が出るか、鳴り止まない雨音と共に胸騒ぎがおさまる事はなかった。


62 : 爆弾魔が振るう運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 00:26:07 UpI6K.Uo0
【ゲンスルー@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生還する為に何がなんでも利用する。
1: とにかく森嶋帆高を殺害してみない事には何も始まらない。
2:自身の駒つまり協力者と接触、そして手を組む。もし断れば爆死、利用価値があれば命の音で脅し駒を増やす。
※参戦時期はお任せします。
※傘と携帯電話は現地から持ち出した物です。

修正点
老婆が説明された全てを→老婆が説明した全てを


63 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 00:26:44 UpI6K.Uo0
投下終了します。


64 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 00:41:51 UpI6K.Uo0
自己正当化の狂言師について修正があります
近頃、全く悪趣味の遊戯を催した老害の考えは分からないなぁ

近頃、悪趣味の遊戯を催した老害の考えは全く分からないなぁ

森嶋帆高から守り、天野陽菜を自身の妻として見定め、彼女と出会った時に処女かどうかを見極める

森嶋帆高から守り、天野陽菜を自身の妻候補として定め、彼女と出会った時に処女かどうかを見極める

よろしくお願いします。


65 : 名無しさん :2021/01/06(水) 01:10:38 NCHgUKZQ0
投下乙です。
このロワだから見れるキャラが多くて新しい原作にも触れられていいですね。
そんな中正月早々色んなところで殺し合いに巻き込まれる鬼滅の刃勢、どんなキャラともロワを作れるかつてのらき☆すたのような趣があります。
同じ原作が出ていても十人十色の展開になるのがパロロワだと思いますので、特殊なルールのこの企画がどう動いていくのか楽しみです。


66 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/06(水) 01:17:53 UpI6K.Uo0
自己正当化の狂言師について二回目の修正があります……すみません。

あのろくでなしの主催者から殺害指令を出されるなんて

あのろくでなしの主催者から殺害指令が出されるなんて

レグルスの長台詞を書くのが初めてで気が遠くなります。
よろしくお願いします。


67 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/06(水) 03:28:29 k6jeqvWE0
投下します、久々なので色々と自信はないですけど、書いてみたかったので…


68 : ナイトウィッチ、現代に現れる ◆8eumUP9W6s :2021/01/06(水) 03:31:17 k6jeqvWE0
「…ええい、あやつらめっ…!」
雨が降りしきる中…金髪碧眼で、高貴なる雰囲気漂う少女はバッグを探り、そこから機械を…ストライカーユニットを発見し脚部に装着した後、一人呟いた。
彼女の名はハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン大尉。第506戦闘航空団、通称ノーブルウィッチーズのA部隊の戦闘隊長であり、夜間哨戒を得意とするナイトウィッチでもある。

彼女は怒りを抱いていた。
「おのれ…なぜ続きを見せぬのだ!これからというところだっただろう!?だというのに…これでは生殺しではないか!!」
…何故ハインリーケが怒っているのかを説明する為に、彼女の出自について少し触れよう。
彼女はカールスラント(現実でいうところのドイツ)の名門貴族の家系、それも欧州各国に対して影響力を持つ程の名家出身である。幼い頃より貴族として、そしてウィッチとしての使命を厳しく躾けられた上で育てられて来た。それ故に彼女は世間知らずな一面と、年齢に不相応な幼さ、そして激し易さを併せ持っているのだ。
本題に戻るが、ハインリーケは、この殺し合いに巻き込まれる前まで映画というものにあまり興味が無かった。戦友であり部下である黒田那佳中尉が映画好きな事は知っていたがし、映画を観たこと自体は何度かあったものの…興味が湧かなかった。
だがいざ「天気の子」を見せられると、彼女はすっかりスクリーンに映る映像に目を奪われ、警戒する事を忘れる程に夢中になってしまっていた。編集が入った物とはいえ、音にも、映像にも…彼女を圧倒し惹きつけた、未知なる物が、「天気の子」には盛り沢山に詰め込まれていた。
最もこれに関しては、彼女達ウィッチが属していて活躍している年代が1944〜45年な事も理由としてはあるだろうが。
しかし…これからという所で映画は強制的に主催者達の手で止められてしまい、そして───殺し合いの開始が宣言され、ルールが開示され、目の前で人が死に、目の前で生き返らせられた。
そしてそのまま会場に飛ばされた先で目覚め、今に至る。

「…それに、わらわは…わらわはあの場で、何もっ…!」
…とは言え、ハインリーケの怒りは映画をお預けされた事が主因ではない。彼女は過去の出来事により、弱き者を守ることこそが本当の高貴なる行いであり、貴族が背負うべき宿命…使命なのだと決意を抱いていた。しかし彼女は、何もできぬままむざむざと女性が首輪を爆破される様を見ている事しか出来なかったのだ。
ハインリーケは怒りを覚える、このようなふざけた催しを開いた主催者達に…そして、何も出来なかった自分自身に対しても。

「……いかんな。まったく、あの時といい、つくづく己の不甲斐なさに愛想が尽きるわ。
だがこうしてはおれん、あやつらの言っておったルールが何処まで信用できるかはわからぬが…とりあえずは森嶋帆高を見つけて守る必要があるのう。
…あやつのような弱き者を守る事が、わらわ達貴族の果たすべき使命…ノブレス・オブリッジなのじゃ」
気持ちを落ち着かせとりあえずの方針を定めながらも、ハインリーケはルールに疑問を抱く。彼女は、どうにもルールが開示された物だけだとは思えずにいたのだ。
(もしわらわがあやつらの立場なら…万一の時に備えてルールをいくつか伏せておく。もしくは…争いを誘発する為に敢えて、ルールを伏せる事もするじゃろうな。
…となると、あの悪辣非道な主催者達なら、何かしらいくつかのルールを隠しているとみた方がよいだろう。
…他にも、森嶋帆高を天野陽菜に会わせた後に起こるとされるエリア全体の浸水に備えて、脱出手段を探しておく必要もあるな。会わせた後から探していると、間に合わぬ可能性が出てくるぞ…。それに脱出するのなら、この首につけられた忌々しい首輪もどうにかせねば…。
…考えるべきことも、やらねばならぬことも多いのう)

ハァ…とため息をつきながらも、ハインリーケはバッグの中身を探る作業に戻った。


69 : ナイトウィッチ、現代に現れる ◆8eumUP9W6s :2021/01/06(水) 03:31:46 k6jeqvWE0
【ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、映画「天気の子」の続きが気になっている、主催に対する怒り
[装備]:ユングフラウ Ju88C-6(C9+DE号機)@ノーブルウィッチーズ
[道具]:基本支給品、約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fateシリーズ、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:対主催。主催者の打倒。二人を会わせつつ、このようなふざけた催しを終わらせ元の世界へ帰還する。出来れば映画の続きも見たい。
1:バッグの中身を確認した後は、まずは森嶋帆高の捜索を行うべきじゃ。見つけた後は、襲撃してくるであろう他の参加者から守らねばならぬ。
2:脱出手段も探す必要があるのう。
3:黒田達が巻き込まれていなければよいが…巻き込まれているのなら合流せねば。
4:あやつら(主催者達)はわらわ達参加者に全てのルールを開示しているのか?何かしら伏せているルールがあるのではないか?
5:バッグの中にはまだ何かあるかも知れぬ。使い慣れた武器(MG151/20)があるとよいのだが…。
[備考]
※参戦時期は原作及び漫画版の3巻終了後から原作7巻にて階級が少佐になる前のどこかです。
※作中にて舞台になっている年代が1944〜1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※エクスカリバーはまだ発見されないままバッグの中にあります。
※彼女の固有魔法である「魔導針」が制限されてるか否かは後続の書き手にお任せします。

【約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fateシリーズ】
セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)が使う剣の宝具にして神造兵装。所有者の魔力を光に変換後、収束・加速させて運動量を増大させ、神霊レベルの魔術行使を可能とし、放った斬撃は光を帯びたビームとなり、熱量によって相手にダメージを与える事が可能となる。
しかし今回のロワでは主催側の制限により、巨大な相手以外にはビームを撃てなくなっている模様。等身大相手だと普通に斬撃を飛ばすか直接斬るかするしか無いと思われる。

【ユングフラウ Ju88C-6(C9+DE号機)@ノーブルウィッチーズ】
ハインリーケのストライカーユニット。夜間戦闘が出来るようにカスタマイズされている…と思われる。


70 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/06(水) 03:32:57 k6jeqvWE0
投下終了します。彼女は原作だと(確認出来た範囲内では)映画を観た事があるという描写や設定、台詞はありませんが、このロワでは観た事自体はあるって事でお願いします。
当初は観た事自体が無いって事にするつもりでしたが悩んだ末にやめました。


71 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/06(水) 03:51:20 k6jeqvWE0
ミスに気づいたので修正します
映画好きな事は知っていたがし→映画好きな事は知っていたし


72 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/06(水) 23:17:35 UbXHy78Q0
投下します


73 : いつか燦然世界を救うため ◆2dNHP51a3Y :2021/01/06(水) 23:18:16 UbXHy78Q0
赤瓦の屋根が並び立つ家の近く、陽光届かぬ雨雲の下に彼女は居た

色素の薄い銀の髪を二つに括り、紅玉の瞳は未だ曇天に包まれた空を見上げ、大仰な肩章が飾られた外套と純白の制服を身に纏う、可愛らしい顔立ちにピッタリの華奢で小柄な体躯の少女

神奈川都市主席にして防衛都市貢献序列ランキング第一位――天河舞姫は、確固たる決意を瞳に秘め、そこに居た

「最初から答えは決まってるけど―――やっぱり、こんな事許してはおけない」

『森嶋帆高』と天野陽菜の事はある程度は見せられた映画で理解した。と言っても彼女の頭ではそこまで理解できているわけではない、むしろほとんど理解出来ていないかもしれない
けれど、理解できないとしても、それで助けないという理由はない。もし森嶋帆高が天野陽菜と出会ったことで世界の終わりが来るのならば、その終わりすら、黒幕な野望諸共ぶった切ってしまえばいい

「武器は……槍、かぁ。……うん、大丈夫かな!」

支給品としてあったのは、黄金の装飾が施された自分の背丈と同じかそれ以上ありそうな槍。一度外に出て振り回してみた所いい感じに扱えるだけは出来そうなため、自身の得物である出力兵装エリスが見つかるまでこれを扱うことに
もう一つ武器があったのだがそれは弓であり、細かな動作が求められる代物は自分には不得意、なので、もし持ち主が見つかれば槍も同じくその人に返してあげよう、とは考えている

「ええっと、確かその『帆高』って人がいるのが地図だと確か……!」

地図を開き、森嶋帆高がいるエリアを再確認しようと思った真っ先。舞姫が背後から感じたのは気配

「……誰!?」

直ぐに反応し、槍の矛先を気配の主へと向ける。気配の主は赤と黒のマントを羽織り、臍出しルックの黒い狩装束を着た、オレンジブラウンの髪の女性。整った目鼻立ちの美しさとは裏腹に、その金眼はまるで舞姫を獲物を見定める狩人の如く鋭い眼光で見つめている
少しの沈黙の後、口を開いたのは狩装束の女性だ

「質問、いいかしら。――どうしてその槍をあなたが持ってるの?」
「……!」

返答次第では殺意がそのまま襲いかねない威圧感が言葉となって舞姫の体を駆け抜ける。まず常人ならばその威圧だけで気を失いかねない。事実舞姫はその額に冷や汗を流している

「悪いことは言わないわ。それはあなたに扱えるような代物じゃない。こちらに渡しなさい。もし断るのなら―――」

女性の目的はあくまで舞姫が持っているであろう『槍』であろうことを、舞姫は察した。察した上で少しだけ頭を回らせ、そして取った行動が

「――ごめんなさい! ちょっとの間だけ使わせてもらうつもりだけだったんです! でもまさかいきなり使ってたかもしれない人と出会っちゃうなんて思わなかった!」
「えっ」

まさかの直角90度の綺麗な謝罪礼ポーズ。これには女性の方は目を見開き困惑

「いや、別にその槍は私の持ち物じゃなくて知り合いの持ち物だから。でもあなたじゃその槍を扱うのには荷が重いからそう言っただけなの。それに私の得物は槍じゃなくて弓の方で」
「……弓? あ、それって……これのこと?」

女性の『弓』発言に、舞姫が支給品袋にしまっておいた『弓』を取り出し女性に見せる

「――っそれ、『二王弓』!?」
「……はえ?」


74 : いつか燦然世界を救うため ◆2dNHP51a3Y :2021/01/06(水) 23:19:28 UbXHy78Q0
○ ○ ○


十天衆――空の世界における、それぞれ十種の武器の全空一の使い手が集った、全空の脅威に座する伝説の騎空団
そんな十天衆の一人であり、天星器『二王弓』を扱う最強の弓使いことソーンもまた、この歪な殺し合いに巻き込まれていた

知らない動く画とそこに映された物語、自身に付けられた首輪、そして容易く死者を蘇らせる力。何より余りにも不可解なルール

――『帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる』という一文が彼女の脳裏で引っかかっていた

死滅――死亡ではなく死滅。まるで『森嶋帆高』が複数人いるような言い方。そもそもの話、天野陽菜と出会わせないようにするならば『森嶋帆高』を殺すのが一番だろう。だが、それでは殺し合いそのもののルールは事実上形骸に等しいのだ
元々ソーンには『森嶋帆高』を殺すつもりなど無い。そもそも『森嶋帆高』が死ぬことで別の形での状況の悪化の可能性もあるのだ
行動指針としては、現状は森嶋帆高を天野陽菜を出会わせないようにすること。だが、どちらにしろ最終的に、首輪の問題が解決した場合のみ二人を合わせるつもりではある

ある程度の方針が固まり移動しようとした時に目に映ったのが天河舞姫と、本来なら同じ十天衆の一人ウーノが持っているはずの天星器『一伐槍』
どうして彼女がそれを持っているのか、まさか彼ほどの実力者が倒されて奪われたのか、情報の少なさから先走った結果、彼女の謝罪から更に手元からなくなっっていた『二王弓』の所在までわかり現在に至る

「ごめんなさいね。早とちりしちゃって」
「いいよ、気にしないで。とりあえずこの槍、一旦お姉さんに預けてもらった方がいいのかな?」
「そのつもりだったけど、なるべくは使わないでってことでいいかしら。素手で戦えるようだけど、もし差し迫った時は……。事が終わったら、ウーノには私から話しておくから」
「わかった。なるべくは使わないようにしておくね。で、えっと……」
「ソーンよ。そういえば自己紹介がまだだったわね」
「あ、そうだった。私は天河舞姫。気軽にヒメでいいよ。よろしくね、ソーンさん!」
「こちらこそよろしく、ヒメ。あと、私が言えた立場じゃないんだけど、無理だけはしないでよね」
「……うん!」

武器云々の話は終わり(二王弓はソーンの元に戻った)、先んじて森嶋帆高の保護を優先ということに
舞姫としては早々帆高と陽菜を出会わせたい気持ちはあるものの、ルールの問題などもあり後回し。というよりも出会わせたら出会わせたらで街が水没してあの二人以外が溺死してしまうからだ
ある程度の話は纏まったので、二人は雨雲に包まれた会場の中を進むのであった


○ ○ ○


(ソーンさんには、分かってたのかなぁ)

ソーンに言われた「無理だけはしないでよね」という言葉。それは舞姫にとってはある意味内心を見透かされた気分であった
天河舞姫という人物は『強い』。力だけでなく、その心もちも含めて。周りを悲しませないために自分の中の悲しみを押し込んで、それで勇猛果敢に突き進み、皆を導いていく。天真爛漫、単純明快でありながらも都市を守る主席としての覚悟を持ち合わせている

だが、そんな彼女にもつい最近悲しいことがあった
防衛都市の一つ、東京の次席こと宇多良カナリアの事だ。彼女と東京の生徒数名が突如現れたアンノウンに襲われ行方不明になったこと。一番悲しんでいたのは東京主席である朱雀壱弥であるが、カナリアとも仲が良かった天河舞姫としてもある程度の動揺があったのだ
事件の衝撃が覚めぬ中、彼女はこの殺し合いに巻き込まれたのだ。だが、結果的にそれはある程度の気分の持ち直しとなった

(……ソーンさんを余り心配はさせたくはないけど、みんなを待たせるわけにはいかないんだよね)

もちろん元の世界のみんなも心配である。カナリアを失った朱雀壱弥、神奈川次席にして自身の一番の友人である凛堂ほたる
でも、この場所には救うべき人達がいる、倒すべき敵がいる、だからこそ天河舞姫は止まらない。その明るさと確固たる意思を以って、彼女はこの雨天の中を進むのだから


75 : いつか燦然世界を救うため ◆2dNHP51a3Y :2021/01/06(水) 23:20:09 UbXHy78Q0
【天河舞姫@クオリディア・コード】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、一伐槍@グランブルーファンタジー、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:待ってるみんなのためにこの殺し合いを止めて帰還する
1:森嶋帆高の保護。本当は早く天野陽菜と出会わせたい所だけどそれが出来ないのがもどかしい

※参戦時期は『小公女のレガリア』から


【ソーン@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:二王弓@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いは止める
1:現状は森嶋帆高を天野陽菜の所に向かわせないようにする

※参戦時期はフェイトエピソード4終了後です


【一伐槍@グランブルーファンタジー】
天河舞姫に支給。十天衆の一人ウーノが所持する槍の天星器
所持しているだけで光属性キャラの攻撃力上昇(大)の効果を持つ
奥義『太一輝極衝』が使えるかどうかは後続の書き手にお任せします

【二王弓@グランブルーファンタジー】
天河舞姫に支給。現在はソーンが所持。十天衆の一人ソーンが所持する弓の天星器
所持しているだけで光属性キャラの攻撃力上昇(大)の効果を持つ
奥義『二王双極雷洪』が使えるかどうかは後続の書き手にお任せします


76 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/06(水) 23:20:35 UbXHy78Q0
投下終了します


77 : ◆A2923OYYmQ :2021/01/07(木) 17:34:42 k31J7e2A0
投下します


78 : ハイハイハイハイ ちょっといいトコ見てみたい♪ ◆A2923OYYmQ :2021/01/07(木) 17:35:37 k31J7e2A0
地べたにへたり込む一人の陰鬱な雰囲気の男姿があった
 
 「勘弁してくれ………」
 
 何故、爆弾魔(ボマー)の恐怖から逃れられたと思った矢先に、こんな目に遭わされるのか。
 頭を吹き飛ばされる恐怖に、また怯えねばならないのか。
 
 「何でまた爆弾なんて…………」
 
 死にたくはない。殺されたくもない。
 だが、どうする?『森嶋帆高』は一見平凡な少年だ。だが。『天野陽菜』なる少女。あの少女はおそらく…………。
 森嶋帆高もおそらく同類。『只の』人間なら、格闘技の世界チャンピオンでもどうにか出来る自信は有るが、森嶋帆高は『只の』人間では無いだろう。
 つまり勝ち目は無い。
 じゃあどうする?諦めるのか?
 全く、どうしてこんな目に遭っているんだ。
 ゲームの中とはいえ、結婚もしたし、定職に立って就いた。
 もう何日も家に帰っていない。妻は不安に思っているだろうし、職だって失っているかもしれない。
 顔だって変えられちまった。俺だと納得させるだけでも一苦労だ。
 いや、待てよ。これはひょっとしたら好機かも知れない。
 ここで条件を達成して あの老婆に一生遊んで暮らせる金を願えば────。その為には森嶋帆高を拘束なりする必要がある。
 出来る訳が無い。相手が一般人なら、世界最強の男にだって飼ってみせるが、同類相手なら十を越えたばかりの子供に不覚を取る程度のが自分だ。
 
 
 答えは出ない。
 
 「………………………………そ、そうだ!まずは手持ちの札の確認だ!!」
 
 現実から目を逸らす様に、男は叫ぶと、支給品の中身を確認し…………二度と見たくは無いものを見つけてしまった。

 「チ…チキショオオオオオオオオオ!!!!」

 男は涙を流して絶叫した。





【モタリケ@HUNTER×HUNTER】[状態]:健康[装備]:不明[道具]:基本支給品、リスキーダイス ランダム支給品1〜2[思考・状況]
基本方針:生還
1:森嶋帆高及び天野陽菜を念能力者だと推測しています
2:主催者に対し激怒しています


リスキーダイス
No.25
レア度:B(上から4番目)
カード化限度枚数:30
20面体のサイコロ。19面が大吉で、1面が大凶。
大吉が出るととてもいいことが起こる。
ただし大凶が出るとそれまでに出た大吉分がチャラになるほどの不幸が起きる。


79 : ハイハイハイハイ ちょっといいトコ見てみたい♪ ◆A2923OYYmQ :2021/01/07(木) 17:36:40 k31J7e2A0
投下終了です


ゲンスルーが居たので居ても立ってもいられなかったので、つい。


80 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:14:14 CEMebACA0
投下します


81 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:14:55 CEMebACA0
「一体、どうなってやがるんだ」

止む気配のない雨の中で、その長い金髪と赤いコートを濡らしながら小柄の少年が思案を巡らせていた。
エドワード・エルリック。
最年少国家錬金術師であり、その右手と左足の銀の義手、義足から鋼の名を持つ錬金術師だ。

「確か俺はプライドとやりあって、それで……」

最強のホムンクルスであるプライドと交戦し、奴が自らの体を乗っ取ろうとして逆にエドワードがプライドの魂に干渉した。
そこまでははっきりと記憶にある。だが、その後の記憶はシャットアウトされ気付けば妙な映画に上書きされ、訳の分からない催しへと強制参加させられていた。

「どうやってあそこから俺を拉致したのかとか、聞きたいことは腐るほどあるが……今はあのホダカってのを探すしかねえな」

あの映画をどこまで信じていいかは別にしても、このバトルロワイアルに森嶋帆高が深くかかわっているのは間違いない。
何より、現状この場に呼ばれた参加者達に最も集中して狙われているのも確かだ。
エドワード本人の帰還の為に事情を聴きだすのは当然ながら、彼の命が危うくそれを察してしまった以上は助けない理由にはならない。

「人柱、か」

どこぞのお父様を連想させるワードだ。しかも、これにも神様とやらが出しゃばってくる。
天野陽菜という少女が犠牲になることで、東京という都市が救われる。それは映画を通して分かった。
恐らく、あの後の展開を予想するのであれば彼女が救われれば東京は水の底で、大なり小なりその他の大勢が苦しむことになる。

「錬金術師(ひとばしら)を使って扉を開けたお父様のように、あの陽菜って女も扉を開ける為の……」

思い当たる事と言えばお父様が神を取り込んだ場面だ。
もしも、これと同様だとするならばあの雨を降らし続ける神様も抑えるか、あるいは取り込むか定かではないが、その為の扉を開く人柱とも取れる。
無論、あの映画とエドワードの住む世界は明らかに異なる。エドワードからすればあれは大分未来の、恐らくはシン国の人種に近い異国が舞台である。
錬金術の法則がそのまま適用されるか否か、判断材料には乏しい。

「あのヘンテコな映画を真に受けるわけじゃねえけど、異常なほどに雨が降ってんのは確かだ。
 とにかく、今はここの脱出手段とヒナって奴の救出も考えねえと」

何にせよ。誰も死なせたくないのがエドワードの考えだ。
先ずは首輪を外し、そして森嶋帆高に接触し天野陽菜を助けて他の参加者達とここから抜け出す。

「やあ、キミ一人?」

降りしきる雨の向こうから、飄々とした細身の男が話しかけてきた。
老人のように白い髪、死人のような青白い肌、そして継ぎ接ぎだらけの奇妙な外見の男は容姿に反してやけに馴れ馴れしい。

「あんたは……」
「俺は真人、キミと同じこのゲームのプレイヤーかな」
「……エドワード・エルリック」
「いやー良かったよ。こんな物騒な事に巻き込まれて、俺心細くてさ」

真人はホッとしたような笑みを浮かべ、それをエドへ向ける。

「ところで、キミ幾つ?
 見たところ15か、6ってとこだよね。でも、ちょっと小さすぎるんじゃない? 牛乳とか飲んでる?」
「喧嘩売ってんのか!?」

馴れ馴れしい上に人の地雷まで悪気なく踏み抜く。その態度にエドは激昂した。


82 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:15:25 CEMebACA0

「大丈夫、俺が伸ばしてあげるから」

グニィ

軽く落ち着かせるようにその小柄な肩に真人は手を置いた。たったそれだけで、人の肉体が子供が遊んだ粘土のように変形していく。
頭が膨張し、目玉が飛び出る。手足は歪な昆虫とも動物とも取れないモノへと変わる。

無為転変。

人が人へ向ける負の感情から生まれた呪霊である真人の生得術式。
相手に直接触れ、その魂に干渉することで肉体を変形し改造できる。

「お……え……と」
「二足歩行のままかどうかは、保証できないけどね」

目を見開くエドワードの瞳に映ったのは、人の肉体を維持できず苦しむのを楽し気に見下し嘲笑う真人の笑顔だった。

(やっぱ、首輪の辺りは干渉出来ないのか)

真人が最初に考えたのが、無為転変を利用した首輪の解除だった。
このゲーム自体は確かに面白そうではあったが、命を握られているのは気に入らない。
隙があれば首輪は外したいところだが、真人に何の察知もされずこんな場所に閉じ込める輩だ。何かしらの対策があれば面倒だ。
よって、これは実験だった。首輪を外すように肉体を変化させたとき、どうなるか。

結論から言えば失敗だ。他の肉体は変形できるが首輪周りは弄れない。つまり、本体ではなく首輪の方をどうにかしないとこれはどうにもならない。

(まっ、追々人間で実験していくとして……やっぱり森嶋帆高を探すのが先かな)

それはゲームからの生還もさることながら、単純にどう天野陽菜との間に割り込むのが面白いかという娯楽から来る思いだ。
天野陽菜を改造人間にして森嶋帆高を絶望させるか、またはその逆か、何なら両方改造してそれでも愛し合うか試してみるか。

考えれば考えるだけ発想が豊かになり、楽しくなってくる。

あの映画を通じて、真人は感動していた。絶対に森嶋帆高と天野陽菜は自分を楽しませてくれるという確信があったからだ。

「狡猾に行こう。呪いらしく、人間らしく」


83 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:15:51 CEMebACA0






腹部の辺りだ。鈍い痛みを覚え、尚且つ妙な浮遊感が全身を支配する。





「は?」








それが突如として、盛り上がった地面が意志を持ったかのように柱になり、真人へと吸い寄せられたと気付くのは一瞬だった。
まあ、何らかの呪術なんだろうなとか。呪力がないのにダメージが通るのは、主催の奴等の仕業かもしれないとか、そういったことはすぐに納得いった。

(一応、バトルロワイアルなんだし、呪霊と戦いになるくらいには拮抗した連中もいるだろうなって思ってたけど)

宙に舞い上がった真人は僅かな浮遊後に重力に従って、地面へと叩き付けられる。やはり、痛い。
どうやら呪霊でも物理ダメージを受けるようになっているらしい。
これは有意義な情報だ。相手が呪術師でなくても、こちらを払ってくる可能性もあるということだ。


「立てよ。ド三流」


だが、それよりも何よりも。


「格の違いってやつを見せてやる!!」


改造したはずのエドワード・エルリックがこの場に人の姿のまま真人を見下ろしている。


(間違いなく、魂の形状は変えたし、彼に呪力もなければ輪郭も知覚してる様子もない。つまり、効かなかった訳じゃない)

驚嘆もそこそに真人は立ち上がり、一旦距離を取る。それに対し、エドワードは両手を合わせ地面へと触れる。
瞬く光と共に隆起し無数の柱が真人へと襲い掛かる。

(物質を変形させた?)

手を巨大化させ正面の柱を薙ぎ払い、続く追撃を足を変化させ空高く跳躍し避ける。

「へえ、なるほどね。モノを作り変える能力、キミは俺が変えた魂の形を作り戻(なお)したってことか」

輪郭を知覚するでも、呪力で守るでもない。変えた魂を元ある形へと戻した。真人はそう結論した。


84 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:16:13 CEMebACA0

(なんだ。あいつの……錬金術か?)

真人の予想通り、エドワードは改造される最中自分の魂を錬成した。
これはかつて、疑似・真理の扉から脱出した際と、プライドとの交戦時にエドワードも魂に干渉した経験があったからこそ思い付いた方法だ
理論上は変質した物を元あるものに戻すだけ、等価交換の法則を破るものではなく、魂という概念に触れたことで真人の無為転変が肉体ではなく魂の変形に起因したものだと直感したからこそ可能となった。

(扉を開けちまって、通行料を要求されるかもしれないと思ってたがそうはならなかった。魂の錬成は人体錬成じゃない? あるいは、あいつの力が等価交換の法則を無視しているから?)

呪術という未知の力に考察を進めながら、エドワードは真人を観察する。
錬金術では考えられないが、人体をああも容易く変異させリバウンドすら起こさず、質量保存の法則をガン無視した変形を強制させる。
さらに真人本人も例外ではなく、自身の肉体を様々な形に変え戦闘へと応用していた。

いずれにせよ。あの能力もそして真人という人物が、それを行使することの危険性をエドワードはこれ以上なく肌で感じ取る。

(改造人間で様子を見るか)

懐から萎れた干し物のような物を取り出し、エドワードへ投げつける。
真人が改造した人間を収縮させ、常に身に着けストックしているものだ。真人の意思でそれは人間大のサイズへと変わり、人並み外れた速度でエドワードへ肉薄する。

「くっ!?」

両手を合わせ、鋼の右手を刃へと変える。あのキメラのような異形は俊敏かつ怪力だ。生身の人間が直接攻撃を喰らえばひとたまりもない。
その前に勝負をつけて――。

あれは、人間じゃないのか?

脳裏を過ぎる可能性。

今しがた奴の力を体感したばかりだ。なら、都合よく真人がエドワードにだけ改造したなんてこと、ありうるのか?
それはない。そんな良識を持つ相手となら先ず戦うことなどないからだ。

なら、やっぱりあれは。


「お… …がい」


「……え?」


「ころして」


85 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:16:30 CEMebACA0
応戦していくエドワードを見ながら真人も錬金術を名称を知らないながらも分析していく。

(戻さない。なんでだ?)

最初は改造人間をすぐに戻すと踏んでいたが、いざ戦わせてみればエドワードは防戦一方。
一度使うとインターバルが必要なのか。それとも改造人間に意地悪しているのか。

(モノを変形させる。……その対象を理解、しないといけないのか?)

真人の推測通り、錬金術は理解分解再構築からなる。つまるところ、元の形が分からなければいくらエドワード・エルリックでも治すことが出来ない。
単純に戻せるという力ではない。

(確かに、自分自身の元ある形なら誰よりも理解できる。でも、顔も名前も知らないような他人じゃ、理解のしようもない)

更に元の姿が分からない為に、別の形へと錬成しようものならば、それこそ人体錬成となり成功はしないだろう。
エドワードが改造人間から戻れたのは、あくまで歪に変えられた魂を元に戻したからであり、新しく別の形に変えたからではない。
変異した魂を材料にその人物自身を再構築するのと違い。なまじ別の形へと錬成しようとした場合、それは新しく別の人間を作ってしまう事に相違ない。

錬金術と無為転変の差異。

あくまで有限のものから有限の範囲しか作れない錬金術と、そこにある魂からあらゆる法則を無視し変異させるのが無為転変。


(でも、そんなことよりもさ)

だが、真人がもっと重要視したのは別の事だ。


(彼――殺せないんだ)


途轍もないほど楽しい笑顔で、改造人間を相手に立ち回るエドワードを眺めながら真人を喜んでいた。
手には刃を身に着け、物質を変異させる能力もある。頭も回るだろうし、あんな雑魚どもならすぐに片が付くはずだ。
なのに、一切攻撃も出来ないまま、成すがままに防戦に徹するエドワードは愚かですらある。


「安心しなよ。その改造人間達はあと数十秒で死ぬからさ」
「なに!?」

あえてリミットを教える。

「考えたんだ。俺の天敵になるかもしれないし、というか俺、天敵多いな……。で、ここで始末しようかなとも思ったんだけど。
 それよりもゲームをしようかなってさ」

ある程度能力の種は割れたとはいえ、未知の領域にあるには違いない。万が一を考えるなら、処理はすべきだが欲求が赴いてしまった。

「俺は、他の参加者でこの改造人間を一杯作ることにするよ。普段は使い捨てって事で、数を用意して質には拘らないんだけど今回はちゃんと出来る限り長生きできるようにしてさ。
 そうそう、意識もちゃんと残って絶望を味わえるように……嫌だろうな、意識があるまま怪物になるって」

「な、に……言ってやがる」

「早く止めないと大変な事になるよ。
 俺は逃げる。
 ――だから、エドワード・エルリック、足止めしてるそいつらを殺して早く俺を追いかけてきなよ」

その継ぎ接ぎを除けば、整った美男の顔が狂気の笑顔へと変貌する。


86 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:16:54 CEMebACA0

「どうせ、すぐ死ぬし。治せないんだろ? なら殺せば良い。
 そして俺を倒して、大勢を救えばいい」

出来っこないよな。そう心の中で吐き捨てながら、白々しく喋る。

「て、めェ……ふざけ――」

真人へと向かおうとするエドワードを改造人間達が遮る。これを排除しない限りは真人には永遠に辿り着けないだろう。

「じゃあね。また会おう、エドワード・エルリック。
 今度はもっとお友達を用意して待ってるよ」


わざとだ。わざと大袈裟な身振り手振りをしてゆっくり背を向ける。
まだ、間に合う。この改造人間を殺して、どうせ助からない。それよりも多くの犠牲者が出るより先に、今ならあいつは油断している。だから。


「待ちやがれ! てめえええ!!」


ただ、冷たい雨のなかエドワード・エルリックは一人立っていた。



複数の怪物の遺体に囲まれて。



鋼の信念たる殺さない覚悟は、人ではなくなったモノですらも例外としてはくれなかった。





【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:健康、精神ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ここから脱出する。
1:真人を止める。
※参戦時期はプライド撃破前後。



【真人@呪術廻戦】
[状態]:健康、
[装備]:ストックした改造人間
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:楽しむ。
1:ひとまず帆高を探す。
2:改造人間を増やして、エドワードと戦わせる。
※参戦時期は少なくとも虎杖悠仁を天敵と認識して以降。


87 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/07(木) 20:18:01 CEMebACA0
投下終了です
タイトルは鋼のこころで


88 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/08(金) 00:31:03 5MODYmPY0
みなさま投下乙です!

>恋を応援!若おかみ!
帆高たちの恋路に感銘を受け素直に応援したいと思うおかみが可愛らしいですね。
己の命がかかった中でも他者を重んじるその姿勢は他の参加者の救いにもなると思います。頑張れおかみ!

>泣かない堕天使
一般人らしい恐怖に怯える感性と中二病的なアレを拗らせてる忙しい子ですね
しかしその中二的な側面をうまく感情の起爆剤にして前を向ける強さは頼もしい。
ただの中二ではなくそれを活かしてさりげにお題対策してる強かさも心強い

>守られるべきは未来
大体のロワで無差別強マーダーの後藤さんもこの特殊な環境では狙いを絞るのは合理的で実にパラサイト。
断片的な情報からこのバトルロワイアルの狙いを探っていくあたりただの戦闘マシーンではないのが伺えてカッコイイ

>どこにでもいる普通の殺人ピエロ
「僕をクソ雑魚ピエロの下へ連れていけ!」ごめんこの冒頭のジョージーの台詞で吹いてしまった。
こいつの出典がよりにもよってオススメシリーズだからチクショウ!
で、相手も高橋邦子出典だからカオスすぎる。この二人だけなんか別ゲームやってる感じが凄い


89 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/08(金) 00:46:03 5MODYmPY0
>幸せの終わる世界が来る
文面の違和感を嗅ぎ取るロベリアさん鋭い。しかしそれでも帆高を葬るのには躊躇いもなさそう。
団長たちが参加するかどうかで彼のスタンスがかなり変わってきそうです。

>焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ
この男、やりたい放題である。それもこれも全部御子柴ってババアが悪いんだ(間違ってはいない)。
このバトルロワイアルについてなにも考えていない彼はほんとどうするんでしょうねこれから。
わかるのは彼がこれからもやりたい放題あるってことだけだ


>爆弾魔が振るう運命のダイス
来たかゲンスルー!ハンターハンターの頭脳戦を象徴するようなこの男、やはりルールの細かいところまで気づいて隙が無い。
強力な力を持っていながらあくまでも己が生き残るために戦うスタイルは帆高以外の参加者にも脅威になるでしょう。
少し質問ですが、このロワだとNPCがいないので、冒頭の人だかりやパトカーに乗ってきたのは他の参加者ということでいいのでしょうか?

>ナイトウィッチ、現代に現れる
映画に見惚れる参加者二人目。漠然とではなく己のするべきことを順番に筋道を立てて考えらえるのが非常に頼もしい。
彼女は果たして天気の子の続きを拝めるのでしょうか、気になります


90 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 00:55:50 eZsmY4Z20
再投下します。内容は同じですが、分かり易く纏め加筆しました。


91 : 爆弾魔が握る運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 00:58:24 eZsmY4Z20
チッ、チッ、チッ、チッ。
自分の心拍数に応じて聞こえるのは無機質な機械音。
鳴り止む気配すら無い雨の中、広々とした道路で一人歩く女性――雪ノ下雪乃。傘を差した様子も無く衣服がずぶ濡れになりながらも、ふらふらと重い足取りを運んでいた。
彼女の首に首輪が装着され、また肩に別の黒い円形状の物も張り付かれている。

「……お願い、早く出て」

恐怖で震えていた雪ノ下が、手持ちの携帯電話で向こうの相手に掛けていく。彼女の声に焦りが滲み出ていた。

「貴方の言われた通りに着いたわよ、解除して! もうタイマーが!」
「よし、待ってろ。今すぐ解除する」
「そう、良かっ――」

コール中に出たのは渋い声が特徴の男性。彼は落ち着かせるように意味深な言葉を掛けていく。安心し切った雪ノ下が言い切ろうとした瞬間、

「バァーカ、守るきゃねーだろ」
「嘘つき……由比ヶ浜さん、比企谷君」

突如、電話から言い渡されたのは悪意で煮詰まった否定だ。上の空へ見上げた雪ノ下が涙を流した途端、彼女は火に包まれて爆散する。突如の爆発で数人の悲鳴が上がる。

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。死亡】

「ほぉ……これも問題無く作動したな。さてさて、これでいい宣伝になってくれればいいな」

道路の真ん中で焼き焦げた雪ノ下の死体を、眼鏡の男が物陰に潜んで眺めている。奇妙な事に爆発の直後で彼の耳に当てていた電話が不通となった。それを無雑作にゴミ箱の中へ投げ捨てる。
爆発させた元凶がこの男であり、彼の名はゲンスルー。グリードアイランドのプレイヤーであり、人々を爆死させてきた爆弾魔(ボマー)だ。
一握りの火薬(リトルフラワー)、命の音(カウントダウン)は問題無く扱えるだろう。これはゲンスルーがたった今、他の参加者達に試したからこそ確証を済ませている。だが欠点は遊戯に仲間のサブとバラが居ない事だ。

(本当なら面倒な事もせず、さっさと解放で殺していたがな)


92 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/08(金) 00:58:25 5MODYmPY0
>いつか燦然世界を救うため
めちゃくちゃ強い支給品を同じ参加者に二つ支給するとはあのオババ何考えてるんだ?
それはさておきソーンさんも舞姫しっかりルールには疑問を抱いている模様。
舞姫とソーンは出会いは良好もいいところで見ているだけで微笑ましいですね

> ハイハイハイハイ ちょっといいトコ見てみたい♪
タイトルであっ(察し)となり本編でやっぱりとなる。
ゲンスルーたちに虐められている最中からの参戦とはなんと不憫な。
ゲンスルーが本編に参戦した時に果たして彼はどうなることやら。

>はがねの心
出やがったな真人!相も変わらずピンポイントで人の弱みに付け込みよる。
ニーサンがいきなりグニィされた時は焦りましたがすぐに対応して回復できるのはニーサン流石。
不殺のニーサンに改造人間を送り込むの本当に意地が悪い。流石は呪いですね


93 : 爆弾魔が握る運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 00:59:55 eZsmY4Z20
本来、参加者達にゲンスルーは先程の公開処刑でボマーの存在知らしめて、『爆弾魔に気を付けろよ』、『ボマーがまた出たらしい』と口にして接触しながら命の音の条件を満たしていき、最後に能力の説明で爆弾を設置させる。そして備品の役割を果たすサブとバラの連携により『解放(リリース)』で自分達以外の全員を爆死させていく。グリードアイランドで使った手口と同じだ。この方法でゲンスルーは優勝を狙おうとしていたが、
上記の通り制限が掛けられている為にカウンター式でしか発動しない。それに一人生き残る事が大前提の優勝では仲間を殺さなくてはいけない。

『ルールは簡単。天野陽菜を連れ戻そうとする森嶋帆高を制限時間まで食い止めよ。森嶋帆高の生死は問わん。如何な手段をもってしても森嶋帆高を食い止めればそれでこのゲームは終わりじゃ』

だからこそゲンスルーは胸を撫で下ろしていたが、この時に老婆が余計なルールさえ追加しなければ後悔してなかった。

「ブック――チッ、駄目か……」

雪ノ下の死体現場に多数の参加者達が集まってきたので、反射的に何かを唱えていたゲンスルーは不機嫌ながら雑踏に紛れ、その場から去る。

(こっちも立て込んでいるのに急に呼び出しやがって、糞ババアが)

随分前にゲンスルーは別の遊戯で無理やり連れて来られた。この先、東京で森嶋帆高と天野陽菜が二人して巡る茶番劇へと巻き込まれていく形で。
ゲンスルーは彼らを知っていた。それもゲーム開始前、彼が無理強いに見せられたのは、とある映画だ。それはボーイミーツガールというジャンルで壮大な映像美と派手さの音楽が飾る。
取り敢えず頭の中で整理しながら茫然と眺めていた。気だるげなゲンスルーの目に留まるのは――祈願で天気を晴れさせる天野陽菜、そして彼女と共にする森嶋帆高。

(あの小娘、まず念能力者かと思ったが)

ゲンスルーの見立てによれば奇跡を引き起こす天野陽菜は念能力者だろう。すかさず凝でオーラの状態を確認する。仮にオーラもしくは生命エネルギーを、彼女が隠で隠していたとしても彼の凝なら直ぐに見破られる。そう思っていたが、

(……違っていたな、たまげたよ。対して、アイツは銃でしか脅せない只の一般人だ)

不思議な事に天野陽菜の体からオーラが見えなかった。雨雲に日が差した瞬間から凝で見続けた為、見逃しは無い筈だ。見当もつかない彼女の正体はさておき、今回のターゲットとして指名された森嶋帆高は見る限りだと恐らく只の人間だろう。

(いかれたガキが派手な行動を起こしているからこそ、プレイヤーや警察に見つかるのもそう遠くもない)


94 : 爆弾魔が握る運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 01:00:37 eZsmY4Z20
遊戯へと巻き込まれた天野陽菜と森嶋帆高に同情はしない。二人の意を汲み取ってまで自分が爆死になるのは御免こうむる。

(どんな結末だろうとオレは知らねェよ。糞ったれのゲームでやるべき事は)

薄らと笑みを浮かべていたゲンスルーは森嶋帆高を殺害するつもりだ。いずれ彼を巡って殺害に関しての反対派と賛成派が衝突するだろう。その隙にどさくさに紛れ、森嶋帆高を暗殺する。先程、命の音で雪ノ下雪乃を殺したのも彼女も含めて反対派だったから。
老婆が説明した全てをゲンスルーが、参加者に打ち明かした事で一つの収穫を得る。

(ババアなぞ最初から信用してないが、どうやらオレだけではなくプレイヤー全員に話を通しているらしいな)

現状、天野陽菜しか見えていない森嶋帆高を生かすのにデメリットしかない。命を懸けてまで彼を庇う事自体が、ゲンスルーにとって理解し難く愚かな行為だ。

――それにしても、あの説明がどうにも引っ掛かる。

『天野陽菜を連れ戻そうとする森嶋帆高を制限時間まで食い止めよ。森嶋帆高の生死は問わん。如何な手段をもってしても森嶋帆高を食い止めればそれでこのゲームは終わりじゃ』
【ゲームの終了方法】
①森嶋帆高が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。一時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。

ゲンスルーが老婆の口頭説明を思い出しながらデイバックからタブレットを取り出し、説明文と照らし合わせる。どれも矛盾は無く、同じ内容だった。

(オレとした事が聞き逃し、見逃す所だったな。どれも終了条件に必ずしも殺害しろと説明されていない。そして、やたらと制限時間の終了を強調している)

しかし修羅場を潜ってきたゲンスルーが、小さな違和感を逃す筈も無い。確かに老婆から森嶋帆高を食い止めるのに生死は問わないと言われたが、何も終了条件として彼を殺害しろと言われていない。ルールについて記載された文面も同じだ。眉を顰めるゲンスルーは、あの老婆が言質を与えない事に気付く。

(制限時間の終了と共に殺さない事が終了条件だと仮定しよう。問題はこの3だ、これがネックになっているな)

ゲンスルーがまじまじと見張る内容とは帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。
ルールの1と違い、3は明白に帆高の死と書かれている。一番に解せないのは、

(死滅と言った妙な書き方だ。普通は死亡だろうが、何はともあれ隠している事は明白)

死滅という言葉を使っている点について。通常なら『帆高が死亡した』で説明するべきだと誰しもが思うだろう。まるで単数に向けられた言葉ではないと物語っている様だ。

(いいだろう、乗ってやるよ。制限時間内に森嶋帆高とやらを殺して暴いてやる)

口角を上げるゲンスルーが、派手な水飛沫と共に水溜りを踏み抜いた上で歩いていく。この瞬間にリスキーダイスを振るうように腹を括るしか選択肢が無かった。鬼が出るか蛇が出るか、激しい雨音と共に胸騒ぎがおさまる事はなかった。


95 : 爆弾魔が握る運命のダイス ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 01:03:43 eZsmY4Z20
【ゲンスルー@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生還する為に何がなんでも利用する。
1: とにかく森嶋帆高を殺害してみない事には何も始まらない。
2:自身の駒つまり協力者と接触、そして手を組む。もし断り自身の障害になり得るのならば爆死、利用価値があれば命の音で脅し駒を増やす。
3:先程の爆死でボマーの存在を知らしめ、正体を隠した上でキーワードの『爆弾魔(ボマー)』と共に参加者達へと接触する。あくまで保険として賛成、反対問わず全員に仕掛ける。
※参戦時期はグリードアイランドで解放(リリース)をした後になります。
※傘と携帯電話は現地から持ち出した物です。

修正点は
(いかれたガキが派手な行動を起こしているからこそ、プレイヤーや警察に見つかるのもそう遠くもない)

(いかれたガキが派手な行動を起こしがちだからこそ、プレイヤーに見つかるのもそう遠くもない)


96 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 01:04:18 eZsmY4Z20
再投下終了です。


97 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/08(金) 01:07:48 5MODYmPY0
>>96
再投下お疲れさまでした
慎重に慎重を重ねて如何に有利に立ち回るかを重視するクレバーな立ち回りがまさにゲンスルーです。
帆高殺害派も反対派も巻き込んでいくのが非常に厄介で恐ろしいですね。
雪のんは運が悪かったとしか言いようがねえ...南無


98 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 01:11:23 eZsmY4Z20
『爆弾魔が握る運命のダイス』の修正の報告です。
雪ノ下の死体現場に多数の参加者達が集まってきたので、反射的に何かを唱えていたゲンスルーは不機嫌ながら雑踏に紛れ、その場から去る。

雪ノ下の死体現場に多数の参加者達が集まってきたので、反射的に何かを唱えていたゲンスルーは不機嫌ながらも、その場から去る。
以上です。よろしくお願いします。


99 : シャッホロの狂い姫 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/08(金) 01:12:05 5MODYmPY0
「はわわ〜エライことになってしまったわぁ。クラリンもどこか行ってしまったしぃ」

振りしきる雨の下、能天気な声を漏らしながら青髪の少女が困ったように己の頬に手を添える。
両のおさげの横に犬のような耳を生やした彼女の名はアトゥイ。
大国・ヤマトの属国のひとつ、シャッホロ国の姫である。

「しかしさっきのはえかったなぁ。うちもああいう恋をしてみたいえ〜」

アトゥイの住む世界に映画やDVDといったものはない。しかし彼女はすっかり画面の中の世界の虜になっていた。
年頃の少年少女の穏やかな逢瀬、初々しい時間、迫りくる困難からの手を引いての逃避行...
流された映像はアトゥイに燻る恋心をワシ掴みにするには充分だった。

それだけに最後まで見届けられなかったことを残念に思う。ましてや、あの出演者を殺さなければならないと思うと。

「あのホダカって子を殺(と)らないとウチも死んでしまうのはなぁ。そればかりは堪忍してほしいわぁ」

主催の老婆が提示したルールでは、あの映画の主人公である帆高が陽菜と出会った時、参加者全員が殺され、逆に帆高を殺せば参加者は全員助かるとのことだ。
あの恋愛模様を邪魔するのは気が引けるが、己の命がかかってしまえば仕方ないというものだ。

「オシュトルはんがいればなにか思いついたかもしれんけどなあ。堪忍やでホダやん」

自分がそこまで頭が回る方ではないのは自覚している。それを補ってくれるのが戦上手のオシュトルなのだが、生憎と今は傍にいない。
が、ふと気づく。

「あっ、もしかしたらオシュトルはんもこっちに来とるかもなあ。来てたらホダやん殺らなくても済むかもしれん」

自分がなんの前触れもなく連れて来られたのなら、オシュトル率いる仲間たちもまた連れて来られている可能性がある。
もし彼らと合流できれば帆高を陽菜に会わせた上で自分たちも生き延びれる策を思いつけるかもしれない。
ならば帆高は確保に留めておいた方が良いだろう。

「ただ摘まみ食いくらいはしてもかまへんよなぁ」

先ほどまでの困り顔から一転、アトゥイの口角が吊り上がり邪悪な笑みを象る。
彼女は少女らしく、純粋に恋やお酒を楽しむ面もあるが、それ以上に隠しきれない本性を抱いている。
戦闘狂。
戦場には我先に突撃し、斬って切られて痛みと共に鮮血が舞い散る。
そんな戦場を彼女は駆けてきた。故に彼女は戦への欲求が人一倍高い。

そしてその欲求はこの会場に連れて来られてから一層昂っている。
己の命を握られている緊張感、会場中に漂う隠しきれぬ殺気と血の気。
それらが重なり、アトゥイの闘争心はいまにもはち切れそうになっていた。

「うひひ...腕が鳴るなあ...楽しみだえ!」

目をキラキラと輝かせながらシャッホロの姫は恐怖することなく征く。
愛も戦も彼女にとっては己の欲求を満たすモノにしかすぎぬのだから。


【アトゥイ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:健康、高揚感
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:戦いたい。
0:帆高を探してとりあえず保護し時間を稼ぐ。ただし陽菜と会ってゲームオーバーになるくらいなら殺す。
1:オシュトル達と会う前に、帆高を狙う者と戦いたい。強者なら尚良し。
2:オシュトル達も来ていれば合流する


100 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/08(金) 01:15:09 5MODYmPY0
投下終了です

>>98
修正確認しました、ありがとうございます。


たくさんの投下ありがとうございます。
コンペの期限ですが、状況によって変わるかもしれませんがひとまずは2月15日の0:00までの予定でいきたいと思います。よろしくお願いします


101 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 02:39:25 cQoya9z60
投下します。


102 : 雨中の長考 ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 02:41:42 cQoya9z60

「一人の生命は、全地球よりも重い、でしたっけね。
もっともこの状況では、二人の生命は、全参加者よりも重い、とでもなるのでしょうが」

眼鏡をかけた、美形のその男ーー明智健悟はそう呟いた。

(降り続ける雨、嵌められた首輪、まったく、金田一くんが巻き込まれたあの事件を思い出します)

とりあえず近くにあった建物に入り、基本ルールを読んでいく。


(『魚人』のような種族。つまりは魚人といった人間以外の者もこの場にいる可能性があるということですか)


これまた金田一が巻き込まれた上海での殺人事件のことも思わず思い出してしまう。
もっとも、目の前で死者の復活などというものを見せられては、人外というものを考えたくもなる。
そして次の一文も明智の推測をより強固にする。

(首輪が爆発すると如何なる参加者も死亡する。
つまりは首輪の爆破程度では本来死亡しない参加者もいる可能性がある、ということですかね)

そして主催の意思により爆破が可能ということは、参加者側の個別の動きを把握していると考えるのが自然だろう。

「まったく、これでは迂闊に話せませんね」

わざと他人に聞こえるような調子でそう呟いた。

(そもそもあの老婆の目的は何なんでしょうか)

それが1番の疑問だ。
森嶋帆高を止めることが主目的だと仮定しよう。
それならばあれだけの力を誇示できる主催者側だ。
こんな面倒なことを行わなくともさっさと森嶋帆高を殺してしまえばよい。
そもそも森嶋帆高が天野陽菜と出会うことも終了条件にある以上、それは考えにくい。
また、あの老婆は森嶋帆高の生死は問わないと言っていた。
だとすれば、森嶋帆高の殺害という線も難しい。

(私も登場人物の一人なのかもしれませんね。この悪趣味なゲームの)

何らかの見せ物という線が現段階では最も考えやすい。

それでもーーわからないことはある。
主催者側は結局殺し合いをさせたいのだろうか。
このゲームのルール上、殺し合いを加速させる要因というのはさほど多くない。
せいぜい達成することでいかなる願いをも叶えるというお題ぐらいだ。
そのお題が何人以上殺せ、といった場合なら、話は分からないことはない。
各参加者がどのようなお題を出されているのかは分からないが、
自分のものも含め、信頼できる参加者のものも確認しておく必要があるだろう。


警察官として多くの殺人犯と会ってきた。

金のため。愛のため。楽しみのため。
様々な動機を見てきた。

ーーーしかし

(見ず知らずの人間のために動く人間はそう多くはないと思うんですけどね)

警察官であるからこそ、そう感じざるを得ない。


103 : 雨中の長考 ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 02:45:01 cQoya9z60
あの映画の登場人物、森嶋帆高に共感できる者はそれほど多いとは思えない。
一人が犠牲になることで東京の水没が防げるのであれば、その一人に犠牲を強いる者は多いだろう。
そしてこのゲームの参加者であれば、自らの命がかかっているのであれば、尚更であろう。
つまり、多くの参加者は森嶋帆高を止めるために血眼となるのではないか。
そんな中、快楽殺人者でもない限り、他の参加者を進んで殺害する者はどれほどいるのだろうか。
せいぜい、自分のようにゲームを破壊しようとする人間を排除しようとするぐらいだろう。
そして自分のような物好きがどれほどいるのかは分からない。


そしてもう一つの疑問。

(そもそも、あの映画は何なのでしょうか)


ドキュメンタリー映画は何本か見たことがあるが、あの映画はそのようなものではない。
カメラワークや描写に徹底的にこだわった上質な娯楽作品。
少なくとも、用いられている音楽や技術、役者の質からして自主制作映画の域を遥かに超えている。
日本が舞台であること、そして作品から漂う雰囲気からしておそらくは日本、あるいは台湾や中国、韓国などの監督の作品だろう。
しかしあれだけ手の込んだ作品であるのであれば公開前に何らかのアクションがあるはずだ。
そして役者にも知っている人間は一人としていなかった。

(『森嶋帆高』か……)

あの映画がフィクションだと仮定すれば、『森嶋帆高』という人間は実在しない可能性も十二分にあり得る。
いや、そう考える方が自然かもしれない。
そもそも「晴れ女」という話自体が普通の人間からすれば荒唐無稽だ。
もっとも、このゲームや目の前で死者が生き返ること自体が荒唐無稽なのだがーー

「それにしても……」

ルール3。帆高の『死滅』という言葉は少し引っかかる。
まるで森嶋帆高が複数いるような書き方。
先ほどの『森嶋帆高』という人間が実在しないという仮定も合わせて考えると、
森嶋帆高は概念か何かなのかという気までしてくる。


(とりあえず帆高くんには私の身分は明かさない方が良いでしょうね)


あの映画の中で、森嶋帆高は警察に散々な目に遭わされていた。
思春期の少年というのは厄介なもの。
そして警察に対し不信感を抱いているのならば尚更だ。

(いずれにせよ、帆高くんが一人でいるのは危険が大きい。
なんとか接触できればいいんですが……)

あの映画の通りであれば、帆高がそう簡単に説得に応じるとは思えない。
もし拳銃を所持していれば危険度はぐっと増す。
襲われる危険性のみならず、他者を傷つける可能性も否定できない。


それでもーー警察官として市民を見捨てることは決してできない。


【明智健悟@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:ゲームの停止を目指す
1:帆高の保護
2:協力者を探す。特に首輪の解析などができる者がいれば有難い。
3:信頼できる参加者と出会ったらお互いのお題を確認したい。


104 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 02:48:14 cQoya9z60
投下を終了します。
『天気の子』は本来アニメ作品ですが、最初に見せられたものについては
明智は少なくともアニメではないと認識している扱いとしました。


105 : ◆KP1xxDBMxw :2021/01/08(金) 02:57:56 eZsmY4Z20
『爆弾魔が握る運命のダイス』の修正報告です。
何度もすみません、加筆するとどうしてもミスが生じます。不甲斐ない限りです。

「バァーカ、守るきゃねーだろ」

「バァーカ、守るわきゃねーだろ」

多数の参加者達が集まってきたので

多数の参加者が集まってきたので

上の空へ見上げた雪ノ下が涙を流した途端、

上の空へ見上げる雪ノ下の頬に一筋の涙が流れた途端、

道路の真ん中で焼き焦げた雪ノ下の死体を、眼鏡の男が物陰に潜んで眺めている。

道路の真ん中で焼き焦げた雪ノ下の死体を、眼鏡の男が傘を差しながら物陰に潜んで眺めている。

突如、電話から言い渡されたのは悪意で煮詰まった否定だ。

電話から言い渡されたのは悪意で煮詰まった否定だ。


106 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 03:46:09 cQoya9z60
投下します。


107 : They Are Alone. ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 03:48:19 cQoya9z60
安っぽい正義を標榜する連中はこのゲームの中でどう動くのか?

森嶋帆高を殺し残りの参加者を守る道を選ぶのか?
自らの命を賭して森嶋帆高を守るのか?
それともゲームの主催者と戦う道を選ぶのか?

人は皆、自己保身のためならモラルを捨てる。
罪もない少年を殺すことなんて簡単なことだ。
でも俺が見たいのはそんなものじゃない。


世の中に蔓延るモラルや倫理観というもの。
そんなものは危うく、悪い冗談だ。
この場にあいつがいるのかどうかは分からない。
だが、あんな甘ったるいラブストーリーを見せられた日には、
あいつの分身になる連中が一人ぐらい出てきたっておかしくはない。


俺は殺されたって構いはしない。


俺はただ、そいつがどう振舞うかを見てみたいんだ。

【ジョーカー@ダークナイト】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:対主催のスタンスをとる参加者や善意から森嶋帆高を守ろうとする者の破滅を見たい。
1:必要とあらば森嶋帆高を確保する。

※参戦時期は不明


108 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/08(金) 03:49:44 cQoya9z60
投下を終了します。


109 : ◆oN0T8/322o :2021/01/09(土) 22:00:06 eIQQhDHQ0
投下します。


110 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:00:47 eIQQhDHQ0
新宿の街並みの一角に、とある駅が鎮座している。
駅と言っても、今のこの閉鎖された新宿では、電車が動いている訳でもなければ改札に駅員がある訳でもない。
備え付けのコンビニはシャッターが下りているし、自動販売機にも電源が入っていない。申し訳程度の日常を醸し出すのは、無造作に詰め入れられたフライヤーのみ。
がらんどうとしたその空間の、設置されていたベンチの上に、一組の男女が座り込んでいた。
 
「……よし、とりあえず落ち着けそうだな」
 
一人は、長身ですらりとした体形の男性。
Yシャツにスラックス、そして不快感を与えないそこそこに整った顔は、人当たりの良い営業職として十分に通用するであろう程度に。
そしてもう一人は、制服を纏った小柄な少女。毛先を緑に染めた黒髪を二つにまとめた彼女は、雨避けとして被っていた、元は隣の男が羽織っていたであろうスーツを軽く広げ直した後、男に向けて頭を下げた。
 
「すいません、わざわざスーツなんて……」
「えっ……ああ、心配しなくていいよ。どうせ濡れるしかなかったし」
 
雨の中偶然に出会った二人がまず考えたのは、濡れすぎる前に行動することだった。
下手に行動を重ねれば、ずぶ濡れになって最悪風邪を引きかねない。
この場所を含むほとんどの建物がもぬけの殻で、医者がいるかどうかもわからない。ましてやあの老婆が言っていることが事実なら、体調を崩してあたふたしている余裕などない。
そう考えていた男が、少女の軽装を見かねて雨避けにジャケットを貸しつつ、ここまで走ってきた形である。
 
「あ……その、名乗るのが遅れました。私、高咲侑って言います。虹ヶ咲学園、音楽科……志望の普通科二年生です!」
 
女子高生──侑の言葉に、男も「そういや、自己紹介がまだだったな」と立ち上がろうとする。
だが、その最中にふと何かを思い出したかのようにコートの裏地を探ると、指先で探り当てた目当てのものを差し出した。
 
「こっちを見せた方が早いな。俺はこういう人間で……」
 
懐から取り出したのは、彼がいつも使い慣れている名刺。
普段身に着けているものはスマートフォンも含め粗方没収されていたが、懐に忍ばせていたこれだけは残っていたことに感謝する。
 
「……名刺?」
「まあ、仕事柄こっちの方が慣れててな。今証明しろっていうのも難しいけど──」
 
信用してくれればいいな、と続けようとしたところで、少女の様子の異変に気付く。
どこか只ならぬ視線で、名刺ただ見ているだけならいいが、どうもそうは思えないような目線で、少女は名刺を見つめていた。
何かあったかと覗き込もうとして、いきなり侑が飛び上がるように顔を上げる。
 
「……283、プロダクション?……アイドル?」
「……?ああ。アイドルのプロデューサーなんだ、俺」
 
答える、と同時に、少女ががたりと椅子を鳴らして立ち上がる。
驚いて身を引くよりも早く、その手は男の手を掴み。
その目を輝かせ、期待に膨らんだ目でプロデューサーの顔を覗き込みながら──少女は興奮気味に叫ぶ。
 
「あの!──スクールアイドルについて、どう思いますか!?」


111 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:01:13 eIQQhDHQ0
──スクールアイドルとは。
学生を中心とした、主に部活動としての形を取った学生によるアイドル活動であり、その立ち位置はいわゆるローカルアイドル的立ち位置にも近い。
メインは高校生であり、芸能プロダクションとの連携をする場所も決して多くないため、その活動規模は決して大きくはないものの、インターネットを通じた宣伝によって海外にもファンがつくこともあるらしい。
その頂点には「ラブライブ」──喩えるなら全国のスクールアイドル部による甲子園のようなものがあるが、彼女の学校にあるものはそれを目指している訳ではなく、最近では周囲の学校のスクールアイドルと連携したスクールアイドルフェスティバルなどあくまで自分たちのやりたいことを貫いている、と。
 
「……という訳で、スクールアイドル同好会として、プロのアイドルを見ていらっしゃるプロデューサーさんの視点を教えてもらえたら、と思ったんですが……」
「……うーん、アマチュアレベルとは言っても、流石にそんな大規模があったら聞き逃すことはないはずなんだが…」
 
そんな熱意の籠った侑の説明に対して、プロデューサーはどうにも浮かない表情で考え込んでいた。
いわばアイドルの本職であるプロデューサーならば、何かスクールアイドルについてもアドバイスを貰えないだろうか──そんな侑の出来心とは裏腹に、プロデューサーの知識はラブライブを含むスクールアイドルに関する知識が絶無であった。
 
「本職の人には知られてない、にしても存在すら知らないなんて……本当に聞いたことないんですか?」
「……俺が知らないだけならいい。だが、俺が担当してる子たちにも学生の子がいてな。そういった子たちからも話を聞かないっていうのは考えづらいか……」
 
283プロダクションで彼がプロデュースしているアイドルも、そのほとんどはまだ十代。流行に敏感であり、実際に学校生活を送りながら活動をしているメンバーが相当数だ。
自分がたまたま疎かっただけというならまだ分かる──それなりには詳しいつもりではあったが──が、そういった子たちが、ある種同業者ともいえる生徒が学校にいるにも関わらず一つとして話題に出さないということがあるだろうか。
特に、流行を積極的に追いかけるタイプの甘奈──大崎甘奈や、隠してこそいるがアイドルになる前から筋金入りのドルオタでリサーチも欠かさない結華──三峰結華などからも耳に入っていないのだから尚更だ。
どういうことだと思索するプロデューサーの頭に、ふと、ある思い出が去来した。
 
「……いや、そもそも……こういう考え方はないか?俺がいた日本と、侑さんが住んでいた世界は、似て非なる世界なんじゃないかって」
「……はあ?」
 
突然非現実的な内容を提示され、思わず侑の口から間抜けな音が出る。
それまで常識人だと思っていた目の前の男がよくない電波を受信しているのではないか、ということが頭を過ってしまい、思わず一歩引いてしまう。
 
「いや、こう、つまりさ。俺たちの世界には雨なんて降ってなかった──晴れ女の話なんて聞いたこともなかった。でも、実際こうして雨は降っているし、あのおばあさんの話が本当なら『森嶋帆高』もこの近くのどこかにいる」
「……まあ、それは、確かに」
「だから、こう…並行世界というか、そういったものから俺たちは呼ばれた、んじゃないか、って……」
 
少し自信なさげな先細りの声に、半信半疑といった表情を向ける侑。
下手をすれば老婆の話よりも信憑性のない荒唐無稽な仮説ともなればそのような表情ともなろうが、しかしそれならば業界人がスクールアイドルのことを全く知らないというよく分からない話もなくなる。
──実のところ、この男がプロデューサーを名乗る奇人であるという可能性も捨てきれないのだが、それならばもっとこのような変な仮説を声高に主張しそうなものである。
 
「……まあ、理屈は分かりますけど、ちょっと順応性高くないですか?」
「まあ……信じてもらえないだろうけど、三回くらいちょっとした異世界に行ったことはあるからな……」
「アイドルのプロデュースで異世界って……?」
 
高咲侑。
ファンタジーの類に興味がないわけでこそないが、超常現象を体験したことはないタイプの人間である。
尤もこの場合、体験したことのあるプロデューサーの方がおかしいと言えばその通りなのだが。


112 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:01:42 eIQQhDHQ0
 
「……まあ、お陰で今の状況でも、少しは落ち着けてる訳なんだが」
 
そう言いながら、彼は外を見やる。
つられてホームの外を見れば、そこにはやはり、入ってきた時と変わらず雨が降り注ぎ続けている。
 
「……本当に、降ってるんだな……」
 
この程度の雨であれば、勿論プロデューサーも侑も体験したことはある。
台風といえる程に激しくはなく、五月雨と言える程に寒くもない。
ただ、終わることなく延々と降り続けるだけの──しかし、十二分に災害と呼ぶべき、「止まない雨」。
それは、この新宿を余すところなく覆い尽くし、自分たちが水没しようと溺れ死のうと尚止まらぬ雨だという。
今だって、改札階の床は既に水浸しになり始めている。まだ目立ってこそいないが、このまま降り続けるならばホームへ降りる階段が滝のようになるのもそう遠くはないだろう。
流石に今すぐとはいかないが、あの老婆が時間切れと定めた時間が来るならば、この場所も──。
 
「……さっきの話、あれも、本当なのかな」
 
侑が一人ごちる。
さっきの話、というものがなんなのか、勿論男も理解していた。
あの老婆に見せられたアニメーション映画。現代を舞台にしたエンターテインメント──そう一蹴できさえしてしまえば、それでよかった。
けれど、少なくとも今、こうして降り続く雨があの都市に降り続いたものであることを完全に否定するだけの材料はない。
いや、むしろあの不可解な感覚と、今も互いの首元に存在している首輪を見れば、どうしても「もしかしたら」という感覚を捨てられない。
 
「……信じられない。けど、このまま待っていて止むと信じるだけじゃ──」
 
その選択は。
あの映像の中、ひた走る帆高の姿をただ見過ごしながら、久方ぶりの晴れの日を祝福した無辜の人々と変わらない。
それを悪い、と断罪することはできない──が、少なくともその裏にある事実を知って、実際に天秤を傾けなければいけない身になった二人がそれを選ぶことは、明確な逃避である。
天秤の片割れは、この雨を降り続けさせること──すなわち、自分たちの水没。
もう片割れは──森嶋帆高の殺害と、天野陽菜の消滅。
ただ一つそれだけを達成すれば帰れる、とはあの老婆も言っていたが、勿論二人とも殺人の方法は勿論、心構えなどもある訳が無く。
 
「さっき、スクフェスの話をしたじゃないですか」
 
ぽつり。
先に口を開いたのは、侑の方だった。
 
「近くの学校のスクールアイドルを集めた、スクールアイドルフェスティバル……だったか?」
「はい。私たちの学校が主導した、スクールアイドルの皆の為の企画です」
 
それは、一見この状況と何の関わりもない、世間話のようなものであった。
だが、彼女と同世代の年頃の少女たちと触れてきたプロデューサーは、十分に理解していた。
これは、彼女にとって必要な、言わなければいけないことなのだと。

「それをするまでにも、色んな大変なことがあったんですけど──本番で、雨が降って、本来なら終わる時間が過ぎてしまったことがあって」

それは、どこにでもある理不尽だ。
天気予報だって絶対ではないし、パフォーマンスの形式や作り上げてきたステージがトラブルを起こすこと自体は幾らでも起こりうる。
それでも、届けられないということは、やはりどうしようもなく辛いもので。

「でも、それでもみんなまだ残ってくれていて──みんなの好きが詰まったステージを」

──それはまるで、本当に虹がかかったようだったと。
ステージ演出の虹を仰いでそう思ったのだと、彼女は言った。
彼女の心に消えぬ思い出として、これ以上ない勇気が芽生えるきっかけとして刻まれたそれは、何物にも代えがたい思い出で。
──それはきっと、あの映画の中で「100%の晴れ女」に頼った人々も、同じなのだと、分かっているから。

「──だから、誰かに希望を届ける為の晴れ、っていうのは、失くなってほしくはないんです」

雨が晴れなければ、虹がかかることはない。
曇天のまま、雨のまま停滞し続けること自体を良しとすることは、きっとできない。
晴れた空の下で、希望を仰ぎ見ること。「好き」を貫くための舞台で、太陽の下「好き」を貫くこと。
それはきっと、かけがえのないことで。
だから、高咲侑は、晴れた世界を失くしてしまえばいいとは言えなくて。


113 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:02:20 eIQQhDHQ0
「でも」

──けれど。
けれど、だからといってすぐに肯定できることなど、もう出来なかった。
思い出すのは、優木せつ菜/中川菜々のこと。
彼女一人が辞めれば、すべて丸く収まると思っていた時の彼女の姿。
自分にスクールアイドルの輝きを教えてくれた、他ならぬ彼女が、他人の「大好き」を邪魔しないように息を潜めていたこと。
──森嶋帆高が何気なく好きだと言っていた晴れの為に、祈ることを決めた陽菜の姿は、自分が見た彼女の姿のようで。

「その為に、あの子を犠牲にしろだなんて。言える訳ないです」
 
それは、ただの綺麗事ではなく。
巡り巡って、輝きを探したいと彼女たちのおかげで、自分が叶えたい夢を見つけられたからこそ。
最初に輝きを示してくれたきっかけをくれた筈の優木せつ菜が、自分以外の輝きを蔑ろにしない為に身を引いていたからこそ。
天野陽菜にとっての森嶋帆高という存在に、共感を覚えて。
天野陽菜が森嶋帆高の為に願っていたことを──たとえその重みは異なるとしても──理解して。
 
 「──支えられて、支えて。見つけてくれる誰かがいて。だからこそ、私たちの好きは届けられるんだって、私は知ったから」

だからこそ。
その二つを鑑みた上で、少女は思う。
もしも、あの物語が今も続いていて。
天野陽菜が願った晴れか、森嶋帆高が願う天野陽菜のどちらかを選ばなければいけないと、世界が突き付けていたとして。

「──私は、諦めてほしくない。晴れも、陽菜さんも」
 
──それでも、諦めたくないと、少女は言う。
たとえそれが、神の摂理であろうと。
たとえそれが、世界の仕組みであろうと。
それでも、彼等が好きな空を、愛した世界を、捨てさせたくはなかった。

それを聞き届け、プロデューサーは静かに目を閉じる。
 
「……虹、か」
 
彼女が言った言葉が、ふと口をついて出る。
思い浮かぶのは、初めての283プロダクション合同ライブの時に社長が言い放った言葉。
 
──我々はこの空に、虹をかけねばならん──
 
そして、その言葉と共に浮かぶのは、やはり六色に色分けされた彼女たちの姿。
輝ける星の黄、揺らめく炎の紫。太陽の橙に花の桃色、ネオンの赤、そして夜光虫の青。
未だ一色は足りざれど、それぞれが己の色を持ち、今まさに描いている最中であって。
そして自分は、彼女たちがこの空に輝けるよう、支える立場であって。
 
──だが、今は。
その輝きを届ける為の空は、灰の一色に染まっていて。
新たな色を描く為の絵筆は、彼女たちのもので自分のものではない。
あくまで支える立場の彼は、未だ絵を描くことができず。
 
「──現実的には、やっぱり、難しいとは思う」
 
そして、そうした立場から言うのであれば。
彼は、彼にとって無責任なことは、言い切ることができない。
それは仕事であっても、今この場であっても、変わることのないことだった。
現実は時に無情で、期待を裏切られることも、別の誰かの都合に負けることもあって。
彼が奔走するアイドルの仕事で、ただ信じていれば望んだように彼女たちが輝くわけではないように。
だから、もし失敗したら──というその時のことを考えれば、軽率にそれを応援する訳にはいかない。


114 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:03:37 eIQQhDHQ0
「──それでも、やりたいか?」
「──っ」

──その上で。
もしも、それを望むのであれば。
己の輝きを見つけ、それを裏切らない為に、進みたいというのであれば。
可能性が如何に低かろうと、その輝きに手を伸ばそうとする彼女を、支えられる限り支えてみせる。
それが、283プロダクションのプロデューサーとして──いや、一人の人間としての、彼の在り方だった。

「──はい」

そして。
高咲侑も、決意する。
それは、失敗するかもしれない。
それは、後悔の道かもしれない。
人の命を握っている局面なのだから、猶更だ。
けれど、そうであっても──陽菜と帆高の、そして何より自分が思い描いた輝きを諦める訳にはいかないと。


──それは、決して叶わぬ願いであった。
只人である二人が足掻いたところで、運命を捻じ曲げることなどできない。
あるいは、森嶋帆高自身がそうであったように。
尋常ならざる神の、その摂理そのものに抗うことなど、彼等には出来はしない。

だからこそ、この願いは終わる定めにある。
今はまだ希望を謳えども、いずれいつかどちらかの選択肢を選び、どちらかの為に、彼等は動くしかない。
今はまだ可能性を信じていようと、いつか本当にどうしようもないのだと理解できてしまった時、その選択ができてしまう程度には、彼等はどうしようもなく賢明で。
虹を描くことを諦めるか、それとも虹の代償に己を含む多くの人々を諦めるか。
彼等に許されるのは、その二択だけしかない。
それが、この世界の摂理なのだから。

だから。
夢を叶える場所はなく。
空を塗り替える色はなく。
その祈りは、虚空に消えて。



「──はッ、随分と大それたことを考えるやつがいたもんだ!気に入ったぜ、男前にお嬢さん(マドモアゼル)!」



──けれど。
けれど、そこには“彼”が居た。


115 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:04:18 eIQQhDHQ0
「確かにそいつは、とんでもなく困難な道かもしれない。本来叶うべくもないモノを願う、身の丈に似合わぬ理想かもしれない」


薄暗いホームの外、声に応えて二人が仰ぎ見た先に。
雨に幾らか濡れながら、燃える炎の熱さを宿し。
その男は、さながら天を突くように屹立する。


「──だがな!少なくともその願いは、今ここにいる──オレが聞いた!聞き届けた!」



──雨空の下に──



──男がひとり──



「ならばこそ、オレはこう言おう──」



──彼のすがたは──



──虹色の如く輝いて──



「──人に、不可能などないと!」


116 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:05:06 eIQQhDHQ0



🌈


雨が、降っていた。
世界を暗黒に閉ざすかのような、雨が。
ごうごうと鳴り響く雨音は、風情を感じる余地もなく、耳障りな不協和音を奏でているようで。
行く道をも包み込む暗闇は、濁流と共に足を留め、ただ真っ直ぐに歩むことすらも阻み続ける。

成程確かに、それは晴らさねばならないものだ。
成程確かに、それは恵みを超えた、人を吞む災害のかたちだ。
この雨こそは、町も命も人の願いも、何もかもを飲み込む禍である。
晴れてほしいと祈る人々の心など構いなしに、ただ荒れ狂う激情のみが雨風に化けて世界を喰らう。
──それはあたかも、世界が龍の息吹に揺れる梢の葉と化したようで。

「人を殺さねば立ち行かない。誰かが犠牲にならねば、雨は止まない。
成程、ありふれてはいるかもしれないが、残酷な話だな、これは」

曰くそれは、神が定めた世界の摂理であると。
映像の中で神殿の主らしき老人が語っていた言葉は、確かに的を射ているのだろう。
天候。人類種が左右できぬ自然の猛威として、有史以来戦い、同時に畏れ続けてきたもの。
その凄絶さに関して言えばこの霊器にも覚えはあるが、まさしく神の気紛れの一端と言われても納得もできようものだ。


ならばこそ。
その雨を鎮めるにあたって、人々はきっと思うのだろう。

──その為なら、誰かが犠牲になるのは、仕方のないことなのではないかと。

ならばこそ。
その雨を見ても尚、少年はきっと思うのだろう。

──その為だとしても、彼女が犠牲になるならば、この雨が降り続いてもいいと。

ならばこそ。
ヒトは、何かを諦めるのだろう。
この世には、どうにもならぬことがあるのだと。
何かを犠牲にせねば手に入らぬものが、世界にはあるのだと。
大切なものを守る為ならば、それ以外は要らないと、跳ねのけるしかないモノであると。

人々は世界を生きていて。
少女が世界を背負っていて。
少年は少女を救わんとしていて。

人々も少年少女も、それぞれに、何かを切り捨てんとしている。

その在りようはきっと、曲がりようのないものなのだろう。
人々の明日への無垢な祈りも、少女から今はもう失われた希望も、少年の切なる願いも、きっと世界にはありふれたものであり。
そしてその先に、どうあれ結果が出る。
世界の容貌は、あるいは変化して、あるいは変化しないで。そしてきっとその先で、それでも世界は回るのだろう。
それを彼等は受容して、あるべき形に戻っていく。
    ・・・・・・・・・・・
そして、別にこれで良かったのだと、いつか思う日も来る。
──そういうものだ。
ヒトが生きていく世において、きっとそれはよくあることだ。
それはきっと、ありふれた物語の終焉で。


117 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:05:42 eIQQhDHQ0

「だが、なあ。それじゃあイマイチ物足りんとは思わないか?」

されど、されど。
男は笑う。
曇天の暗闇に閉ざされた街路を迷いなく突き進み。
滴る雨音の嘲笑を我知る物かと聞き流し。
その中に混じる諦めろという世界の声を、捻じ伏せるかのように力強く、笑う。

「──奇跡を謳う老婆よ。知らないようなら教えてやろう」

きっとこの場には、様々な諦感が溢れるだろう。
あるいは唆された殺戮への嫌悪と恐怖によるものかもしれないし、あるいはあの少年がひたむきさと鏡合わせに抱えているものかもしれない。あるいは──そんなものは、幾らでも転がり落ちることだろう。

「ヒトが掴む奇跡っていうのは、与えられるだけじゃあない。誰かが動いた先に転がっているものを、掴むことだって出来るんだぜ」

けれど、けれど。
それでもまだ、もしかしたらきっと、と。
願う声が、聞こえた。
願いたいとするものが、まだ、ここにいた。
希望を信じる、ただの人間が。
確かにここに二人、希望を胸に抱き締めて。
雨上がりの虹を、望んでいた。

それならば。
それならば、男は知らしめなければならない。
諦める必要などないのだと。
この世界そのものに、希望を求めても良いのだと。
それを信じて動くことが、きっと何かの波紋を産むのだと。

だからこそ。
彼は踏み入った。
希望を願う言葉を放った、彼等がいる空間へと。

そうして、今。
彼は、立っていた。
虹を夢見し二人の前に、泰然として。
希望を願いし二人の前で、不敵に笑い。


118 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:06:04 eIQQhDHQ0


「───、っ───」
「───は、はっ───」


──思わず、口から笑みが零れる。
晴天の霹靂のように現れた偉丈夫の言葉に、只人たる青年も少女も、揃って。
かの男が持つ荘厳な武器よりも、隆々としたその体よりも、圧倒されるのはその言の葉。
本来ならば、それで終わろう筈もない。武器を従え突如現れた大男の演説など、殺し合いの場では恐慌になろうとも仕方ない所業。況してや、笑うなどあろうはずもない。
されど、二人をうち震えさせるものは、決して恐怖では有り得ない。
遥か遠征を経て凱旋せし英雄のカリスマ──でもない。

可能性の光。
心の奥が疼き、燃え、震えるような高揚を呼び起こす、七色。
その光を、彼等はその時、確かに男に見出だした。

それは。その輝きは。
彼等彼女等が魅入られた、舞台の上で燦然と輝く少女達が宿すものとは、また違う。
されど、決して違えることなき──




──虹のような。
──『偶像(アイドル)』の煌めき。




「この曇天を!雨を!晴らしたその先に!─────ヒトは、きっと万人に捧ぐ虹を架ける!」


──高らかに叫ぶ!
今は遠き、遥か天空に向けて!
決して払われることのない、雲に覆われた天蓋に向けて!
否、その先の、いと高き空に棲む「ソレ」にすら届かせんとするように!

「誰かが、今も願っているのだろう。
──明日の空が晴れたら、あるいは生きていけるかもしれない。
──明日の空が晴れたら、あるいは彼が喜んでくれるかもしれない。
──明日の空が雨でも、あるいは彼女は生きてくれるならばそれでいい。

──けれど、もし叶うのであれば!
この雨の先、再びの晴れの先に、誰もが平等に虹が見れる日をと!」

──沈み行く太陽よりもなお赫き、決して消えぬ炎が如く。
──閉ざされた未来の地図に、凱旋すべき新たなる標を刻むように。
快男児は、猛る。笑う。咆哮する。

「だとすれば。だとすればだ!誰かが言わねばなるまい!
虹は架かると!
諦めるモノなどないと!
世界は肩に載せるものではなく、誰かが動き、作り出していくモノであるのだと!」

その右手は、巨山のように聳える砲を握り締め。
その脈動は、爛々と希望を謳う。
夢が、輝きが、願いがそこにあるのならば。
この空に、まだ見ぬ地図に、その到達点への標を示す。
それこそが──



「──いや、いいや!それは、オレがやるしかあるまいよ!」


119 : 虹、今はまだ雨の空に ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:06:20 eIQQhDHQ0
──稀代の哲学者、ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルが、かの男を評するに曰く。
彼こそは、世界を前に進める御心の開花であると。
神が与えたもうた人類の歴史の物語を、ヒトとして切り拓く世界の精神の依り代たると。
ならば彼は、神が定められた通りに世界を切り拓く、神の傀儡であったのか。


「──改めて、名乗らせてもらおうか」


──否。
生前のかの男は、あるいはそうだったかもしれない。
だが、彼の男を見て、ヒトは願った。
そして彼の男は、その願いすべてを果たした。
神の手心の介在があろうとなかろうと、それは民の願いを叶えてみせた。
その行いは、立ち居振舞いは、どうあれヒトの願いに応えるモノとして、ヒトの心に刻み込まれた。
ならばこそ、其れこそは誰かが願った世界を体現し、ヒトに可能性を示す英雄の具現である。
人類種が祈りし希望を肯定せし、人間の可能性の証明である。


「サーヴァント、弓兵(アーチャー)。英雄、ナポレオン」


故に、彼こそは。
ナポレオンという偶像のかたちを得た、人間の可能性は、吠えるのだ。



「──夢を!願いを!叶える男だ!」




──愛にできることは、未だあると。
──人(きみ)にできることは、未だあると。





【高咲侑@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、シャニPの名刺
[思考・状況]
基本方針:陽菜を犠牲にせず空を晴らす方法を見つける。
1:(ナポレオンに圧倒されている)
※参戦時期はスクールアイドルフェスティバル終了後、ラストシーンの転科試験よりも前です。


【プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、ずぶ濡れ
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、名刺数枚
[思考・状況]
基本方針:陽菜を犠牲にせず空を晴らす方法を見つける。
1:(ナポレオンに圧倒されている)



【ナポレオン@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:勝利砲@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:二人の希望に従い、晴天と陽菜を共に取り戻す方法を見つける。
1:まずは帆高を見つける。
※参戦時期は未定です。カルデア召喚後、二部二章で召喚された、マスター不在でロワ会場に現界した、のいずれでもよいものとします。


120 : ◆KV7BL7iLes :2021/01/09(土) 22:06:39 eIQQhDHQ0
投下を終了します


121 : ◆qvpO8h8YTg :2021/01/11(月) 01:15:58 zwucXH/M0
投下します


122 : 目指す未来は ◆qvpO8h8YTg :2021/01/11(月) 01:16:36 zwucXH/M0


『…………姫殿下を……頼む』

激闘により消耗した魂――。
その対価として消えゆく肉体――。

あの時、あの場所で。

その仮面は、志半ばで倒れる漢の想いと志と共に、彼の友へと託された。



◇  ◆  ◇



自らの額に触れ、その冷たい感触を指先より確かめる。

次にそれを掴んで取り外し、その正体を視界に収める。

やはり、己が手中にあるのは仮面(アクルカ)――ヤマトの絶対的支配者である帝より認められた者にだけに下賜される忠誠の証であり、無双の力を誇る戦術兵器でもある。

何故――。
何故、自分がこれを保有している?

そして何故――。
こうして五体満足で逡巡する自分が存在する?

あの時――宿敵との闘争にて魂の全てを仮面(アクルカ)へ捧げた自分は、後の事を仮面とともに友へと託し、世界から消滅したはずだ。

よもや、この地が、常世(コトゥアハルム)や地獄(ディネボクシリ)といった類いの場所ということはあるまい。

しかし、自身がこうして自我を保ち、この地に存在する手前、現在の状況に対してどのような行動を採るべきか決定を下さねばならない。



選ぶべき道は二つある。

一つは自らの芯にある「ウコン」としての一面――つまりは「義侠の漢」として、主催者打倒を目指す道。

弱きを助け強きを挫く者として--他者の命をあたかも消耗品のように扱う遊戯を強いるあの老婆には、憤りを禁ずることはできない。
義侠としての道を採る暁には、必ず誅せねばならぬ存在である。

更に気掛かりなのは、あの摩訶不思議な絡繰によって投影されていた『穂高』なる少年の安否だ。
この少年は、この遊戯の規定故、老婆に唆された他の参加者に狙われる立場となる。
こちらも捨て置くことは出来ず、早急な保護が必要である。


123 : 目指す未来は ◆qvpO8h8YTg :2021/01/11(月) 01:17:27 zwucXH/M0


そして、もう一つの選択肢――。
こちらは、自らに滾る義憤に駆られて主催者を討つ前者とは相反するものである。

それは、一度手放したヤマトの右近衛大将「オシュトル」としての責務を果たすべく、ヤマトへの早急な帰還を目指す道である。

今の自分は亡者の身――。

ヤマトのこと、幼き皇女殿下のこと――全てを“彼”へと託した。

いい加減で、お調子者で、楽ばかりしようとする男。
しかし何があっても、きっと何とかしてくれる--そう思わせてくれる……心地のよい陽だまりのような男。

だからこそ、この男ならば――と後の事を全て託した。

自分が志半ばで死滅したのは、精一杯やっての結果だーーそこに悔いはない。


だがもしもーー今一度ヤマトの地へと舞い戻る機会があれば、どうだろうか?
己が責務を全うすべくーー友と肩を並べて、再び姫殿下の元へと馳せ参じる可能性が僅かながらそこにあるのであれば、どうだろうか?


あの老婆は言った。
参加者に割り当てられたお題を完遂すれば、「如何なる願いをも叶えてやろう」と。
そして、それを実現しうる相応の力があることを、あの場で「死者の蘇生」という形で披露してみせた。


結果的に友へと押し付けてしまった己が使命を再び果たすため、義憤を抑え込み、主催者より与えられる「奇跡」を望むのも一つの道かもしれない。
だが同時にそれは、この悪趣味極まりない遊戯を肯定し、自らを修羅の道に堕とす所業となりえる。

それを選んだ時、『オシュトル』だった漢は、ヤマトに残した“彼ら”が知る『オシュトル』では無くなるかもしれない。



何れの道を採択するにしろ、時間が惜しい。
早急な行動が必要だ。


――それでは、選択することにしよう。


主催者に抗うか


主催者から齎される「奇跡」に縋るか、をーー。





【オシュトル@うたわれるもの 偽りの仮面】
[状態]:健康
[装備]:オシュトルの仮面
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:????????
1 : 主催者に抗うか、提示されたお題の完遂を目指すか、選択する
2:何故、託したはずの仮面が某の元に……?
※ハクではなく、本物のオシュトル(ウコン)です。
※死亡後からの参戦となります。
※主催者による制限で、仮面による変身は封じられています


124 : ◆qvpO8h8YTg :2021/01/11(月) 01:17:47 zwucXH/M0
投下終了します


125 : 名無しさん :2021/01/11(月) 12:01:56 lrEZ9Niw0
投下します。


126 : It's raining cats and dogs. ◆SrxCX.Oges :2021/01/11(月) 12:03:09 lrEZ9Niw0

 雨は、憂鬱なものだと思っていた。
 てるてる坊主を作ってみたり、連想ゲームで遊んでみたり、そんな風に気を紛らわせることが必要になるくらいに、雨とは気の滅入るものだった。

 雨は、憂鬱なものだと思っていた。
 でも、雨宿りと称して入った観覧車の中、貴方と二人で見つめた夜景は綺麗で。こんな機会が巡ってくるなら、雨も悪いものではないのかも、なんて思えたものだった。

 雨は、憂鬱なものだと思っていた。
 貴方と一緒にどしゃ降りの雨の中を走った時、髪の毛もシャツも肌に貼りつくのが、靴の中まで水が染みてぐちゃぐちゃになるのが、やっぱり楽しくて。きっと、貴方と一緒に浴びる雨だったから。

 雨は、憂鬱なものだと思っていた。
 それは、正解でも間違いでもあるのだろう。大切に想える誰かがそばにいれば、人はきっと、どんなに辛く苦しい雨でも受け入れて、生きていくのだろう。




127 : It's raining cats and dogs. ◆SrxCX.Oges :2021/01/11(月) 12:04:44 lrEZ9Niw0

 オープンテラスの座席に使われている小洒落た純白のテーブルと椅子が、雨粒に無慈悲に叩かれている。その様を映し出す窓ガラスもまた、表面
に無数の水滴を貼り付かせていた。
 テーブルも椅子も片付けた方が良いのではないかと思いつつも、雨の中へと出ていく気にはなれず。そんなことに意識を向けられる程度には平静を取り戻せていることを自覚しながら、グラスに注いだ冷水をまた一口飲んだ。
 来た時点で照明は元から点いていたのに、なんだか薄暗いように感じる。そんな印象を持ったカフェの店内で、桑山千雪の過ごす時間がそろそろ十五分を経過する頃だった。

「あの子、どうしてるのかな……帆高くん、でいいのかな」

 千雪が考えているのは、殺し合いに対する倫理的な是非だとか、殺し合いを一方的に命じた老婆の正体だとかではなく。何の予告も無しに始まったものでありながら気付けば見入ってしまったあの映画と、その中で主人公として登場する『森嶋帆高』という少年のことだった。
 あの映画の内容は、この殺し合いにおける一種のメタファーに留まるものなのか。もしくは、あの映画の登場人物であった『森嶋帆高』は、本当に実在するのか。
 もし後者であるならば、『森嶋帆高』は、今もこの雨天の中を駆けていることになるのだろう。世界に晴天をもたらすための人柱となった『天野陽菜』を取り戻すことを願いながら。本当に、ただそれだけを考えながら。
 捨て犬のように、その身体を濡らして。

「……ちゃんと止めなくちゃ、だよね」

 あの映画で綿密に描かれた『森嶋帆高』達の日常、擬似的な家族関係が成立してから離別の時を迎えるまでのドラマに、千雪は胸を暖められ、そして締め付けられるような思いを抱いていた。
 そして、そんな感性とは全く別に、頭の片隅では常に、考えていた。それを認めるのは少しだけ哀しいことだと思いながら、事実として考えずにはいられなかったのだ。
 この子は、ああ、なんて「愚か」なのだろうと。

 食い扶持を稼ぐあても無いまま、親と絶縁して東京へと辿り着いた、いつだって悪い大人の格好の餌食にされてもおかしくなかった『森嶋帆高』が。
 『天野陽菜』の持つ「晴れ女」としての力を利用したビジネスが有名になればなるほど、自分達の身元が特定されるリスクも高まるということに、おそらく気付いてもいなかっただろう『森嶋帆高』が。
 社会の一員として全うな理由で少年達を補導、いや、保護しようとしていた大人達を、自分達の中を切り裂こうとする敵だと見なし、その手を振り払った『森嶋帆高』が。
 たかだか数万円の乏しい資金を頼りに逃避行を始め、それにも関わらず三人一緒にいるという状況で熱に浮かされたように散財を始める、未来への展望も計画性もまるで持っていなかった『森嶋帆高』が。
 千雪には、「愚か」なものに見えてしまったのだ。

 理解はしているのだ。『森嶋帆高』はまだ教育を受けるべき年齢の子供であり、そんな彼に社会の構造を見通せるわけがなく、結局は全て、やむを得ない顛末であったのだと。
 しかし、狭い視野だけで状況を見つめて袋小路へと進んでいく『森嶋帆高』の姿に、感動とは別の、痛ましさを感じていたのは事実で。
 そのようにボーイミーツガールの物語をどこか醒めた視点から見てしまう自分がいるくらいに、桑山千雪は、大人であった。


128 : It's raining cats and dogs. ◆SrxCX.Oges :2021/01/11(月) 12:07:04 lrEZ9Niw0
「……ごめんなさい。持っていきます」

 カフェを経つ前に、出入り口の傘立てから持ち主不明の傘を二本拝借する。一本は千雪が使うため。もう一本は、今頃一人で雨に濡れているだろう『森嶋帆高』と出会えた時に、差し出すために。
 『森嶋帆高』を探そう。それが、千雪の立てた当面の目的であった。
 『天野陽菜』を取り戻すことだけで頭がいっぱいなのだろう『森嶋帆高』が、正気で行動できるとは思えない。
 無鉄砲ゆえに彼自身の生命を無為に散らしかねない、という懸念だけではなく。目的地とされる鳥居が彼の目の前にあれば、躊躇なくその下を潜ってしまいかねないことが、怖かった。
 世界がどうなったっていい。その言葉の持つ意を重みを真に実感できていないままに、彼が一人で罪を背負ってしまう未来が、怖いのだ。
 誰も傷付かないのは、とても幸せなことだ。しかし世界はそれを許してくれず、時には人に加害者となることを要請する。だからこそ隣人と言葉を交わし、気持ちを伝え合うことが、大切になっていく。
 自分達は、『森嶋帆高』と会うべきだ。その後の未来をどう迎えるべきかの展望なんて、まだ決まっていなくとも、まずは彼ときちんと対話をするべきだ。それが、今の『森嶋帆高』が享受するべき保護の第一歩であるはずだから。
 そのコミュニケーションの過程で、お互いの思いが、どんなにこんがらがってしまうとしても。

「私、まだ大人じゃないもんね」

 桑山千雪は、大人である。
 そして、年下の子達を守りたいと思うくらいにはお姉さんで。
 少年と同じ目線に立って、その必死な気持ちに寄り添おうと思えるほどに、桑山千雪は、少女だった。


【桑山千雪@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、名刺数枚
[思考・状況]
基本方針:できるだけ、誰も傷付かないことを目指す。
1:『森嶋帆高』を探す。


129 : 名無しさん :2021/01/11(月) 12:07:34 lrEZ9Niw0
投下終了します。


130 : 名無しさん :2021/01/11(月) 12:09:36 lrEZ9Niw0
>>128の状態表を修正します。

【桑山千雪@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:できるだけ、誰も傷付かないことを目指す。
1:『森嶋帆高』を探す。


131 : ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:01:06 HEsNdflw0
投下します


132 : ■■■ SKY,■■■ MAP ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:02:16 HEsNdflw0

私、■ちゃんだけのスクールアイドルで居たい。

だから、私だけの■ちゃんで居て──


それはきっと、呪いの言葉。
変化を恐れた少女の、どうしようもない呪詛。


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪     ♪


133 : ■■■ SKY,■■■ MAP ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:03:02 HEsNdflw0
「……」

雑音めいた雨音が屋根の上を踊るバス停。
すぐ近くに見える標識は、真っすぐと左に逸れる矢印が合わさったマーク。
“指定方向以外進行禁止”を意味する標識……分かりやすく言うのであれば“右折禁止”。
そんなバス停のベンチに座る、彼女は1人。

頭の中に反響するのは、先の老婆の言葉。

『森嶋帆高』を食い止めれば、元の世界に帰れる。
その上でお題を達成すれば、どんな願いでも叶えることが出来る。

(どんな願いでも。それって……)

あの子の夢を。
私の知らないところでピアノを始めて、私を置いていってしまう侑ちゃんの夢を、終わらせることだって出来るのかな。
目まぐるしいけど楽しいスクールアイドルの世界から、退屈で窮屈な、けれども侑ちゃんが隣に居る日常に、戻ることが出来るのかな。

彼女──私立虹ヶ咲学園普通科2年・上原歩夢の心には、老婆の言葉がとてつもなく甘美な誘惑としてこびりついていた。


134 : ■■■ SKY,■■■ MAP ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:04:30 HEsNdflw0
けれども。歩夢には、あの青年を止める勇気はない。
ましてや殺すだなんて大それたことは……普通の女の子に、出来る筈もない。
それでも。歩夢には、どうしても叶えたい願いがあった。

高咲侑に、置いて行かれたくない。
ファンのみんなのためじゃない、たった1人のために始めたスクールアイドル。
その“たった1人”に、置いて行かれたくない……。

「……」

脳裏にフラッシュバックするのは、昨晩の出来事。
私の傍から離れてしまう未来を語ろうとする侑ちゃんの言葉を遮るように押し倒した、あの出来事。

逃げるように侑ちゃんの部屋を後にして──気が付けば、先の映画。
ボーイミーツガール、っていうジャンルだったかな。
学校の帰りに侑ちゃんと映画館に寄ることはよくあったし、その手のジャンルだって幾つかは観て来た。
だからこそ分かる。何もしなければ『森嶋帆高』は確実に『天野陽菜』の元へ向かうだろう。
食い止めろ、と老婆から言われている時点で今更な話ではあるが。

願いを叶えたければ、彼を止めなければいけない。
高咲侑の夢を終わらせるためには『森嶋帆高』の願いも閉ざさなければならない。

分かっている。
その考えがどれほど残酷なのか。
分かっては、いる。

その選択肢は、裏切りの選択肢だ。
『天野陽菜』に対する裏切りであり、侑ちゃん、スクールアイドル同好会のみんな、そして……スクールアイドル・上原歩夢のファンに対する、裏切りだ。


135 : ■■■ SKY,■■■ MAP ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:05:32 HEsNdflw0
私はただ、怖い。
こんな私を良いと応援してくれる人が居る。
その気持ちが嬉しくて、大切で。
“高咲侑のスクールアイドル・上原歩夢”から“みんなのスクールアイドル・上原歩夢”になろうとしている。
侑ちゃんだけじゃなくて“上原歩夢”でさえ、私の元から離れようとしている。
それがたまらなく、怖いんだ。

ただ、少なくとも。
元の世界に帰るためには、あの青年を止めるしかない。
願いを叶える叶えないにしても……『森嶋帆高』が『天野陽菜』の元に辿り着いたら、私は死ぬ。
いま居る世界の命運を握っているのは、彼。私の命を握っているのは、彼なのだ。

いま。上原歩夢は、大きな岐路に立たされている。
『森嶋帆高』と高咲侑の未来を閉ざすか。『森嶋帆高』だけを止めるか。
或いは、何もせずに無意味な時間を過ごすか。

「そんなの、分からないよ……」


      ♪


136 : ■■■ SKY,■■■ MAP ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:06:36 HEsNdflw0
上原歩夢は、その一歩を踏み出せずに居る。
大切な人に答えを訊くことも出来ないまま。
すぐ近くに見える信号は、ランプが点らず真っ暗で。
バスが来ることも、恐らくない。
あの日の約束が目覚めることも、まだない。



ただ、少女は孤独(ソロ)で悩みを抱え込む。

想い──未だ、花開かず。

【上原歩夢@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康・焦燥
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:分からないよ……
1:私は、どうしたらいいの……?
※参戦時期は1期11話終了後、1期12話の手前です


137 : ◆Y1cfk9y5p6 :2021/01/11(月) 16:07:16 HEsNdflw0
投下を終了します


138 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:24:23 VW55QhpA0
みなさま投下おつです!

>雨中の長考
この状況下でも慌てず冷静な思考を保つ明智さんめちゃくちゃ頼もしい。
帆高の危険性を考慮しつつそれでも保護しようとするのはまさに警官の鑑ですね。

> They Are Alone
己が生き残るよりも参加者間の破滅への欲求で動くジョーカーさん恐ろしい。
帆高もそれ以外の参加者も彼と関わったら死ぬよりも酷い目に遭いそうだ。

>虹、今はまだ雨の空に
このロワ特有の殺しあわなくてもいいという序盤のゆとりを活かして一般人二人がどうにかして決意する流れがイイ!
そんな一般人ながらの決意を認めたナポレオンが味方してくれるのがカッコイイ。まさにただしき意味で英霊って感じです。
最後に『愛にできることは、未だあると。人(きみ)にできることは、未だあると。』がまたニクイ!

>目指す未来は
オシュトル、ただの義侠の男の立場であれば迷わずにいられたものの、そうでないから悩まなければならない。
どちらの道を選ぶにせよ悔いは残りそうなのがまた辛い境遇です。散ったままであれば悔いなく終われただけに猶更。


139 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:42:46 VW55QhpA0
>It's raining cats and dogs

大人と子供の中間の視点で帆高に寄り添ってくれる参加者は新鮮ですね。
帆高を愚かと称しつつも保護を優先してくれる千雪さんが温かい。

>■■■ SKY,■■■ MAP
シャニマス、ラブライブと続くアイドル勢。こちらは中々に不安定な時期からの参戦ですね。
名前くらいしか知らない帆高も案じるか、彼だけを切り捨てるか、アイドルとはいえ一般人に選択を強いるのは酷ですよね


140 : 潮火ノ丸と暁美ほむら ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:56:45 VW55QhpA0
〝相撲〟

土俵上で廻しのみを身につけ戦う日本古来の武道であり

数少ない『無差別級』の格闘技

ゆえに「大きく」「重く」ある者が絶対優位――


高校相撲においても体重100kgを優に超える巨漢がひしめく中、横綱という頂を目指さんとする彼の体はあまりに―


●●●●●●●

何度も何度も繰り返してきた。

何度も何度も失敗してきた。

何度も何度も大切な人が死ぬのを見届けてきた。

何度も、何度も―――

...その度に思い知らされる。

お前に彼女を救うことなど出来はしないのだと。


141 : 潮火ノ丸と暁美ほむら ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:57:46 VW55QhpA0
●●●●●●●

ザァザァと雨が降り続く。
黒髪の少女、暁美ほむらは傘も差さずにただ黄昏ていた。

「......」

足元の水たまりをぼんやりと眺める。

『鹿目さん...どうして...死んじゃうってわかってたのに...!』

その目に映るのは、かつての記憶。
全ての始まりにして幾度も見てきた敗北の証。

いつもそうだった。
降りしきる雨の中、亡骸を抱えて泣きじゃくって。
救いたいと願ってはまた打ちのめされて。
多くの運命を狂わせてきたというのに、結局、なにを為すこともできなくて。
挙句の果てには救いたかった人に全てを押し付けるハメになった。

「......」

スクリーンに映し出された少年のことを想う。
彼もまた想い人を救う為に奔走していた。大人たちを敵にまわして。
傷ついて。泥にまみれて。
それでも届かなかった。人の身でありながら神に抗うなど烏滸がましいとでも示すかのように。
駄目な奴がどれだけ頑張っても駄目だという現実を突きつけるように。
結局、彼は、私のように多くの人間に迷惑をかけただけだった。

「...どうしろって言うのよ」

ふと、そう口をついて出る。
帆高に対してもいまこの状況に置かれている自分に対しても。
どうすればいいかが皆目見当もつかない。

あの老婆を倒して殺し合いを止める?そんなことをしてもまどかは戻らないのに。
ルールに則り、帆高を殺して見滝原市へ帰る?まどかはもういないのに。
ならば提示されたお題をこなしまどかを連れ戻す?あの老婆にそんなことが出来るはずもないのに。なによりまどか自身が円環の理であることを望んだのに。

戦いとは心の持ちようひとつでいくらでも変わる。それは同郷の魔法少女である巴マミがなにより証明している。
いまのほむらにはその心を乗せようがない。できるのは、ただ途方に暮れることだけだ。


142 : 潮火ノ丸と暁美ほむら ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:58:18 VW55QhpA0

―――ダンッ

音が聞こえた。なにかを踏みしめるような音が。一定の間隔を置き、ほどなくして同じ音が聞こえた。
戦いが始まったのだろうか。いや、それにしては静かだ。銃声も聞こえなければ叫び声も聞こえない。
距離からして遠くはない。これからどうするにせよ、他の参加者がどういった者かくらいは把握しなくてはならない。
なるべく足音を殺しながら、音のする方へと向かう。

石段を昇った先の神社。音の主はそこにいた。

「120...121...」

こちらに背を向けた少年がいた。傍目から見ても目を引く、凄まじいほどの傷跡に筋肉で太った身体。
そして身を包むのは下半身の廻しのみ。ほむらの目には彼が『相撲取り』だと映ったが、しかし力士としてはその身体はあまりにも―――小さかった。

「123...124...」

少年はほむらに気づいていないのか、淡々と四股を踏み続けている。
雨の中、それもこの異常事態にも構わず、その脚は高々と、天に向かって突き上げるように振り上げられ、鎚のように力強く振り下ろされる。

ほむらは相撲になど興味はない。病弱で入院していた時も、相撲を食い入るように見た覚えはない。
けれど、なぜかこの時においては、彼女は少年の四股を踏む姿から目を離すことが出来なかった。

少年はただ四股を踏み続け。ほむらはそれをジッと見つめ続け。
三百回の四股を踏み終えたその時、ようやく少年はほむらに気づくのだった。


143 : 潮火ノ丸と暁美ほむら ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:59:19 VW55QhpA0
●●●●●●●●

ほむらと少年は雨を凌げる本殿へと避難し、簡潔な情報交換の場を設けた。

「ワシは潮火ノ丸じゃ」
「...暁美ほむらよ」
「それでお前さんはその...この殺し合いにはどう臨むんじゃ?」

遠慮がちに少年―――火ノ丸はほむらに尋ねる。
気が引けるのも当然だ。なんせいまは命を握られている状況、目的が食い違えばいまこの場で殺し合いが始まるかもしれないからだ。

「...少なくとも、いきなり森嶋帆高をどうこうするつもりはないわ」
「そうか。ならあんたといざこざが起きることはなさそうじゃな」

一安心、と気が抜けたような表情を浮かべる潮にほむらは思う。
こうして話していると、言葉は不思議な方言が混じっているものの、気さくで人のいい普通の学生に思える。

「...どうして四股なんて踏んでいたの?」

ならばあの。異常事態にも構わず高々と踏まれた四股は。背中越しからも窺えた異様な熱気はなんなのか。

「あんな音を出せば周りに響く。森嶋帆高じゃなくても、なにが起きるかわからないのはあなたもわかっているのでしょう?」

聞きたかった。聞かずにはいられなかった。
なぜこの少年があんな無謀な真似をしていたのか。

「...邪魔されたくなかったんじゃ。ワシにはこんなもんに時間をとられてる暇はねえからな」

火ノ丸の声音が先ほどまでとは一転して低くなる。

「今まで腐るほど言われてきた。『チビのお前にその相撲は向いてねえ』『その背で横綱なんてなれるわけがない』。それでも諦めねえ、心は折れねえとここまで相撲をとってきた。
けど、このナリでも横綱を目指してやると、そんな意地を支えてくれる人たちに出会えた。皆に支えられてようやく活路が開けたと思った矢先にこの殺し合い―――ふざけんのも大概にしやがれ」

今度の言葉には怒気と殺気が込められていた。
何度も死線を潜ってきたはずのほむらでさえ背筋に寒気が走るほどの気が。

「相撲の神様がワシのことを嫌いなのは構わねえ。才能だとか運命だとかをワシから抜くのも構わねえ。だからってここまでしやがるか。あの帆高って奴を見せつけてまでワシの心を折らせたいか」


ミシミシと音を立て筋が走る両腕を見てほむらは思う。
そうか。あの帆高の姿は、彼にとっても自分と同じ『神様に嫌われた者』なのだと。

「帆高を殺せば願いを叶えられる?横綱に相応しい身体でもくれるってか―――知ったことかよ。ワシは逃げんぞ。かーちゃんから貰ったこの身体で、ワシが好きなこの相撲で横綱になる。それがワシの生き方じゃ。
神様がなにを仕掛けてこようが関係ねえ。神子柴もこの殺し合いも『神様』ってやつも―――纏めてワシがぶん投げてやる」

火ノ丸の宣戦にほむらは息を呑む。
この殺し合いどころか神様さえぶん投げるという大胆な発言。
もしもこれを言ったのがただの一般人ならば内心で嘲っただろう。魔女の存在すら知らないあなたがなにを言うのだと。
けれど火ノ丸の目は真剣だった。怒りも殺意も微塵も揺らがぬほどに真っすぐだった。


144 : 潮火ノ丸と暁美ほむら ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 22:59:41 VW55QhpA0
「...とりあえず、着替えてもらっていいかしら。その恰好だと、その...悪目立ちするわ」
「む、そうじゃな...ちょっくら着替えてくるわ」

流石にこの場で着替え始めるほど常識知らずではなかった火ノ丸は、そそくさと別の部屋へと移動した。

「......」


一人残されたほむらは唇を噛み締める。
何も言えなかった。呆れたわけじゃない。非難するわけじゃない。
相撲と大切な人の存在と。戦場が違うだけで彼もまた命を賭けて戦う戦士だ。
だからこそその真っすぐすぎる姿が眩しく、同時に疎ましかった。

彼と違い、既に願いに対して折れかかっているのを自覚していたから。
何度厳しい現実に打ちのめされても諦めぬ姿にかつて抱いていた理想を見出してしまったから。

心が乱れているのは自覚している。ならば火ノ丸を置いてどこかに去ってしまえばいいというのにそれが出来ない。
まどかが願うであろう、人々を護るために戦う魔法少女としての自分を捨てたくないのか、あるいは彼からなにかを掴もうとしているのか。

「...ッ」

気が付けばほむらは立ち上がっていた。膝に両手を添え、片足を挙げる。火ノ丸とは違う、あまりにも不格好な四股踏みだ。
一見大したことのない運動だが、しかし、素人では回数を重ねる度に足が言うことを聞かなくなるほどの筋力トレーニングである。
もとは病弱な彼女の足がすぐに震えだしたのは言うまでもないことだった。



【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、火ノ丸への羨望と苛立ち。
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:己が為すべきことを見出す。
0:火ノ丸と共に行動する。

※参戦時期はまどかが円環の理と化した直後です。
※魔法は時間停止の盾です。

【潮火ノ丸@火ノ丸相撲】
[状態]:健康
[装備]:学ラン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:このバトルロワイアルも神子柴も神様もぶん投げる。
0:ほむらと共に行動する。

※参戦時期は高校編、全国大会出場前です。


145 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 23:01:59 VW55QhpA0
続いて投下します


146 : SYNERGY ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 23:04:16 VW55QhpA0
オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ

ザーザーと雨に晒され、旋風が巻きあがり、バサッ、バサッ、と旗が靡き、旗の描かれた神子柴が全てを見下すように笑みを浮かべている。

「クソッタレババアめ...こんなくだらねえこと考えた挙句クソみてェな旗を立てやがって...」

眼帯を付けた偉丈夫、鮫島は、つい先ほどの惨劇を引き起こした元凶を忌々し気に睨みつける。
彼には殺さなければならない男がいた。その名は雅。最愛の弟を食い殺した、吸血鬼の王である。
力になってやらなければならない男がいた。その名は宮本明。雅に支配された日本本土において、無双の強さを誇る救世主である。
護ってやらなければならない奴らがいた。両親が死に、この世の地獄を味わいながらも逞しく生きているスーパー小学生の山本勝次、アイドルのユカポン、クズで童貞のネズミ、デブの佐吉。
彼らもまた明と同じく大切な仲間たちである。

「帰しやがれ!とっととこんな茶番から帰しやがれ!!」

神子柴の旗へと叫ぶが、当然ながら返答はない。舌打ちと共に『主催本部』と書かれたネームプレートへと唾を吐き、これからのことを考える。
当然ながら、鮫島は神子柴の言いなりになるつもりはない。
確かにあの映画を信じるなら帆高を止めなければならないし、神子柴が超常的な力を有しているのも事実だろう。
だが、それが神子柴への信頼へと繋がるかはまた別の話。
仮に帆高を止めたところで「充分にこのゲームを堪能したぞ。さらばじゃ!」と一声で参加者の首輪を爆発させる可能性もあるし、この願いを叶える褒美というのも、本当に叶える保証はない。
ただ、森嶋帆高が天野陽菜と出会ってしまえばゲームオーバーになるのだけは確かだ。彼らの合流は防がなければなるまい。
それこそ、最悪、帆高を殺してでもだ。

(あのガキも結構無茶しやがるからな。俺らを見捨ててさっさとゴールインしちまうかもしれねェ)

鮫島のような体質もなく、明のような強さもなく、勝次のような経験を積んだわけでもなく。
惚れた女の為にあそこまで形振り構わず動ける行動力には関心するが状況が状況だ。
陽菜に会いたい一心で帆高が早まる可能性も無きにしも非ずといったところだ。
早く神子柴を殺してケリを着けた方が良いだろう。

「主催の本部の近くからってのはラッキーだったが、あのバケモンの群れを見た後じゃあな」

先の見せしめになった女と神子柴の立ち回りを思い返す。
神子柴のまわりには多くの魑魅魍魎が蠢いている。あの薙刀の女も相当の腕前だったが、しかしそれでも突破は困難だった。
恐らくこのまま突っ込めば彼女の二の舞だ。協力者が欲しい。それも明のような腕の立つ者が。


147 : SYNERGY ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 23:05:33 VW55QhpA0

「やはり主催本部か...いつ出発する?私も同行する」
「ッ!誰だてめェ!?」

突如かけられた声に、鮫島は振り返る。
声の主は緑色の学ランと奇妙な前髪が特徴的な青年だった。
青年は右腕をズボンのポケットに突っ込み、左腕を胸の前に構えながら言葉を続ける。

「我が名は花京淫。天野陽菜及び森嶋帆高の無念の為に、全参加者の心の安らぎの為に。奴には死をもって償わせてやる」
「あ?」
「あの二人をダシに参加者を潰し合わせようとしているのは一目瞭然!だがほとんどの参加者は本部を襲撃する発想には至らない...地図には乗っていないからな。そしてヤツは何故かこの会場から動きたくはないらしい」
「つまりなんだ、オメェもこの本部をぶち壊すってことか?」
「......お前のお陰で目星がついた。ただそれだけさ」

ハァ、ハァ、と鮫島の息が荒くなり眼の色が白くなる。
全くもってツイている。まさか自分と同じ考えの参加者にこんな早い段階で出会えるとは。

「ハ、面白ェ。俺は鮫島ッてんだ。俺たちでさっさとこんなクソゲームブッ壊してやろうぜ」

鮫島が笑顔で差し出した手に、花京淫もまた微笑み返し、ガシリと力強く握手を交わす。

「ところで鮫島さん...チェリーはないか?ガッつくようだがぼくの好物なんだ...くれないか?」
「チェリー?ちょっと待ってな...おっ、あったぜ。俺ァ食わねえからやるよ」
「サンキュー」

言うが早いか、花京淫はパクリとチェリーを咥え込む。

「レロレロレロレロレロレロレロレロ」

そのまま飲み込まず、舌でチェリーを弄ぶ様を見た鮫島は怪訝な顔を浮かべつつ、仲間になる者を集う為動き出すのだった。




【鮫島(兄)@彼岸島】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜3
[行動方針]
基本方針:ゲームから脱出
0:準備が整い次第、花京淫と共に主催本部へと襲撃をかける。
1:戦力になれる者、あるいは襲撃に使える支給武器を探す。

参戦時期は勝次を救出した後です。

【花京淫@もんむすクエスト!ぱらどっくすRPG】
[状態]健康
[装備]チェリー
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜3
[行動方針]
基本方針:ゲームから脱出
0:準備が整い次第、鮫島と共に主催本部へと襲撃をかける。
1:戦力になれる者、あるいは襲撃に使える支給武器を探す。

※ジョジョっぽい台詞で花京院っぽいことをする花京院にソックリなキャラだと思ってくれればいいです。
※スタンドは持っていません。エメラルドスプラッシュ!とか言いながらブーメラン投げたりナイフで切り刻んだりします。
※固有アビリティ
『うけたまり太郎!』『ジジイ!』『ブ男!』『カモ〜ン、ポルポルく〜ん!』『犬!』は使用できません。


148 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/11(月) 23:05:58 VW55QhpA0
投下終了です


149 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:19:44 HZDE4eBk0
投下します


150 : アンサイズニア ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:20:16 HZDE4eBk0
雨が降り注ぐ新宿の街、窓ガラス越しに建物の中から映る景色は移り変わる事もない雨雲特有の薄暗さに包まれている
建物越しでも聞こえてくる雨音は、店員もその客もいない静寂の中で唯一の音として響き渡っている
本来ならば大勢の人でごった返すその場所は、ただただ部屋に灯る照明と、沈黙したままの調理器具や装置が置かれたまま。冷蔵庫には上げる前の冷凍ポテトやらパンズや肉や野菜やらが来訪者を待ち望んでいるかのように鎮座している
ここはマクドナルド西武新宿駅前店。かの映画において、森島帆高と天野陽奈が初めてであった場所である
そんな場所の窓際の席に座る、今の雨曇の空のごとく表情が浮かばない少女が一人

「……どう、しよう」

福丸小糸――283プロ所属のアイドル。そしてアイドルユニット『noctchill』のメンバーの一人
『noctchill』は、言ってしまえば幼馴染4人で構成されたユニット。最も、小糸がアイドルになった経緯は幼馴染たちと一緒に居たいという個人的な願いからではあるが
然し、天才肌であった他の三人とは違い、小糸自身は他の三人においていかれないように、二度と離れ離れにならないようにと焦燥感を抱いていた
そんな彼女も、最初こそはそんな不安にかられ、自己評価も低かったのだが、プロデューサーやファンのみんなに支えられ、最終的にW.I.N.Gに優勝し――アイドルとしての一つの答えを得たのだ

だが、答えを得たばかりの少女に待っていたのは、輝かしい未来の舞台でも、絶望の奈落でもなく、この歪なる殺し合いの舞台だ
会場に飛ばされ、飛ばされた先が豪雨真っ只中尚の道の上。勿論髪も服装もずぶ濡れで、慌てて駆け込んだ建物がこのマクドナルド西武新宿駅前店
支給品にも暖房の類はなかったが、幸いにも店内には暖房が効いていたので時間が経てば体は乾くだけまし
水に濡れ未だ雫を地面に落とす白を基調としたブレザー制服、豪雨の圧で形が崩れ水滴が付着した髪は、まさに彼女の不安そのものが形作っているようにもみえた

プロデューサーも、事務担当も、社長も、スタッフやファンのみんなも、幼馴染の4人も居ない。知っている人間は誰も居ない
―――静寂、ただの静寂。雨音と、照明の輝きのみが在る、孤独な空間

今にも孤独への恐怖から思わず吐いてしまってもおかしくない程に気分が優れなかった。だが、そんな状況でもそこまで酷くなかったのは、ここに来る前に見せられた映画の事がまだ脳裏に過ぎっていたからだ

「……帆高くんと、陽奈ちゃん」

見るものの殆どを魅了したボーイ・ミーツ・ガールの物語
家出少年と、晴れ女であるヒロイン、その二人の物語

小糸は思う。天野陽奈の事。家族の為にと曖昧な目標のまま生きてきた彼女は、一人の青年との出会いから生きる意味を手に入れた
小糸自身もまた、一人になりたくないという思いから、アイドルという世界に曖昧なまま突入し、様々な苦難がありながらも自分なりのアイドルとしての望むべき道を掴んだ
どちらも、一人の男性の出会いから、自分の意義を見つけたのだ。曖昧だった色彩が、ピースが嵌め込まれた事で完成したのだ
あの神子柴という老婆の説明通りなら、森嶋帆高は必ず天野陽奈と出会いに行くだろう。もし再開したのなら、二人のハッピーエンドの代償としてこの街も、私達も水の藻屑となる
だからといって生存のために森嶋帆高を妨害したならば、天野陽奈は人柱として天に還り、森嶋帆高はひとり取り残されたまま死亡する

「……選べるわけ、ないよ」

弱音が、吐き出る。彼女にはどちらを取るという選択なんて出来ない
死にたくないのは心の底からの本音だ。まだ自分の進むべき道をやっと見つけたというのに、こんな訳のわからないことで死ぬのは嫌だ
だからといってそのために誰かを犠牲にすることなんでしたくない。あの映画を見せられ、二人のことを理解してしまったのならば尚更だ

二人の幸せを奪ってでも生きるという選択を、福丸小糸が選べるはずもないのだ
元より、そんな覚悟を、彼女が持ち合わせているわけもないのだ

「……どうすれば、いいの、私は」

寂しさや不安、死への恐怖からか、弱気に呟きながらその瞳からが大粒の涙が流れ落ちる
こんな所で死にたくない。こんな所で終わりたくない。ようやく始められたのに、ようやく自分にとってのアイドルとしてやりたいことが出来たのに
また会いたい、ノクチルのみんなに、プロデューサーに。でも生き残る為には二人が出会うことを妨害しなければならない。でもそんな事出来ない、誰かを犠牲にすることなんで出来ない。したくない。そんな選択をとったら、もう二度と戻れない気がするから

「わたし、は――」

思わず本音を大声で溢しそうになった、その途端であった
ジュゥゥゥゥ、という何かが揚げられている音が、キッチンらしき方から聞こえてきたのが


151 : アンサイズニア ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:20:50 HZDE4eBk0
(―――!?)

溢しそうになった声を無理やり抑え、机の下へ咄嗟に潜り込む
震える小糸には、店内に響き渡る何かが揚げられている音が怖く感じていた
数十分程経ち、軽快な音楽が流れる。この音はマクドナルドでフライドポテトが揚げ終わった時になるアラーム音。つまり誰かがフライドポテトを揚げていたということだ

だが、その主がどうしてここにいるのか、未だ机の下で震えている小糸にとっては未知の恐怖として彼女を蝕んでいる。もしかして自分を探しにきて、殺しに来たのかと
焦燥と恐怖で脳内が染まる。逃げようとして動こうとするも運悪く頭をぶつけてしまう。ぶつけた拍子に机が揺れ、灰皿が地面に落ちてカラーンと音を立てる

「――ぁ」

足音が近づいてくる。一歩ずつ、一歩ずつこちら側に
この場から早く逃げたいのに、頭をぶつけたせいなのか、うまく動けない。それどころか足がすくんで思うように立ち上がれない
動いてほしいのに動けない。必死に動かそうとしているに、それでも動いてくれない。そうしている内に足音は近づいてくる

「……嫌だよぉ……死にたくないよぉ」

アイドルとして、目指すべき自分自身が曖昧だった自分が、プロデューサーに助けられて、アイドルとしての'自分なりの答え'という名の翼をやっと掴んで、羽ばたいていこうとしたのに
こんな所で終わるなんて嫌だ。こんな殺し合いで、孤独なまま、ただ一人死んでいくなんて嫌だ

「―――死にたくないよぉ!!」

もう近くまで足音の主がいるのにも関わらず、叫んだ。普通だった、努力家な福丸小糸の涙の叫びを


「ちょっちょっと、落ち着いてください。少なくとも私は殺し合いに乗っていませんし、乗るつもりもないですよ」
「……ぴゃっ!?」

そんな小糸の叫びが天に通じたのか、足音の主は未だ動けない彼女に声をかけていた
足音の主は黒髪と赤い瞳が特徴的な、幼さの残る黒セーラーの少女。まるで日本人形を連想させるようなその容姿
それ以上に、彼女がかけてくれた言葉に、小糸はキョトンとしながらもその少女を見つめていた

「ですので、心配しないでください。……あ、これ食べますか?」

そんな小糸に、少女は諭しながらも、その手に持ったフライドポテトを摘み食いながら話しかけるのであった


○ ○ ○


「……落ち着きましたか?」
「……は、はい……」

数分後、落ち着いた福丸小糸は先程の少女と共に座席に座っていた。少女は未だに揚げたてであろうポテトを食べながら小糸を見つめてる

「ですけれど、あんな大声を出すのは余り良くないです。近くにいたのが私だったからいいにしても、もしやってきたのが殺し合いに乗っている危険な連中だったら小糸は間違いなく死んでいました」
「……うう……」
「ですがもう安心してください。この私がいればもう安全です! あなたの事は私が必ず守ってあげますから!」
「は、はぁ……」

などと大言壮語を言い切る少女に、小糸は呆れながらもその少女が頼もしく思えたのだ。なにせ自分を「守ってくれる」と言ってくれたのだ。この場所初めて会ったばかりの少女だけど、その赤い瞳の奥には決意にも信念にも似た何かを感じていた
ただし、フライドポテトを食べながら、というのを除けばもう少し威厳があったのだろうけど
最も、彼女に誘われ腹ごしらえとばかりにポテトを食べている彼女自身も人に言えた立場ではないが

「……コホン。そういえば自己紹介がまだでしたね。私は蒔岡玲といいます。あなたは?」
「わ、私は福丸小糸って言います……! そ、それで玲ちゃんはどうしてここに」
「いえ、私がここにいたのは偶然です。というよりも最初に飛ばされた場所がここの近くだったんですよ。……言っておきますけど、別にファーストフードの誘惑につられてここに来たわけじゃないです! 誰かいないか探しに来ただけです!」
(……どう考えてもポテト食べながら言うセリフじゃないかな……)

口ではそう言いながらも美味しそうにポテトを食べていく玲を、内心そう思いながらも何かしら言ったら怒られそうということで口には出さない事にしている小糸
但し視線ではそう思われたことに内心察したのか、「私は腹ペコキャラじゃないですよ!」と言わんばかりに小糸を見つめているのである


152 : アンサイズニア ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:21:21 HZDE4eBk0
「……コホン。とまぁ、一旦その話はおいておきましょう。まず重要なのは今度の私達の方針です」
「……うん」
「私はそこまで頭は良くないですし、戦えることぐらいが取り柄です。策とかそういうは私は本当にダメですので。だからまずは、小糸――あなたが何をしたいか、聞きたいんです」
「――私のしたい、こと」

玲に突きつけられた、選択。自分が何をしたい事
勿論こんな殺し合いに巻き込まれた事自体が嫌なことで、早くみんなの元に戻りたい気持ちはあるけれど

「……私は、あの人を、陽奈さんと帆高さんを出会わせたい。私も、プロデューサーやみんなの所へ帰りたい、です」

福丸小糸がアイドルとして得た自分なりのあり方の一つ。自分みたいななんとなくな居場所しか無い人たちの、私も含めた居場所になりたいという気持ち
だからこそ、あの娘から居場所を引き剥がせたりなんてさせない、彼と彼女を引き剥がせたりなんかさせたくない。勿論自分も死にたくない。だからどっちも取る。自分に出来ることなんてちっぽけだけど、それでも
そんな小糸の答えを聞いた玲は小さく微笑む

「……だったら尚更、あの神子柴とかいう不届き者の思い通りになるわけには行きませんね」


○ ○ ○

未だ雨は止まず。だが今の小糸そんな雨曇の空に負けない心持ちを取り戻していた
理不尽で、どうしようもなく残酷な舞台が幕を開ける。だけどそれに負けないで、みんなの元に無事に戻る。ファンにとっての居場所であるから、その居場所を失わせたくないという気持ちも、死にたくないという自分自身の思いも一緒くたにして
自分から歩かないと何も変わらないまま。だってわたしの人生の主人公はわたしなんだから

「ええっと、その、玲さんは戦えることが取り柄って言ってました、けれど……その……」
「大丈夫です、小糸からもらったこの妖刀・村正2号がありますから! これがあれば百人力です!」
(名前、付けたんだ……)

蒔岡玲が上機嫌ながら携えるその刀は、元々は小糸の支給品。最も小糸がこんな物騒なものを扱えるはずもなく、玲自身がそれを見た瞬間に自分に渡すように嘆願してきたのもあり素直に手渡した
その刀が、本来鬼を切る為の用途として使われる『日輪刀』であることを二人とも知らないのだが

まず目指すのは地図でA-8に指定されている場所。森島帆高がいる場所。もしかしたらもう既に別のエリアに行っている可能性も無きにしもあらずであるが、向かうだけでも価値はある
幸いにも玲の支給品に傘があった。この傘自体はは実は銃が内蔵されているため、もしもの時の為の自衛道具ともなる。最も玲は銃より剣にご熱心な為、自衛道具が手持ち無沙汰な小糸に手渡した

「さて、善は急げというやつです。遅れないでくださいよ、小糸!」
「えっ、待ってください玲さん……そのままじゃ、雨に濡れちゃいます……!」

雨を気にせず勇ましく一歩駆け出す蒔岡玲と、傘を開き水しぶきを飛び散らせながらも追いかける小糸の姿は、雨雲包むこの歪で残酷な舞台に挫けず駆け出す一筋の輝きでもあった


153 : アンサイズニア ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:25:11 HZDE4eBk0
○ ○ ○


福丸小糸は選択した。幾通りもあったであろう、その問いの答えを
それは、誰かにとっては何の変哲もない答えだったのかもしれない

だけど、この世に正解もハズレも間違いなくないとしたら
彼女はその言葉や思いを溜め込んで、遙か先を描いていく

the answer is inside of me


【福丸小糸@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、ずぶ濡れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、夜兎の番傘@銀魂、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:大切なみんなの元へ帰りたい。それに帆高と陽奈を再開させたい
1:まずは帆高を探しにA-8へ向かう
[備考]
※参戦時期は最低でも『W.I.N.G編』優勝後


【蒔岡玲@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]:日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いは止める
1:小糸のことは私が必ず守ります!
2:帆高を探しにA-8へ向かう

『支給品紹介』
【日輪刀@鬼滅の刃】
鬼殺隊隊員の基本装備。太陽に最も近く一年中陽の射す山と言われる「陽光山」で採掘される「猩々緋砂鉄」「猩々緋ひ鉱石」という特殊な鋼材を原料とする日本刀。但し、鬼を切れる以外は普通の日本刀と対しては変わらない

【夜兎の番傘@銀魂】
宇宙三大傭兵種族の一角でもある夜兎が、弱点である日光を防ぐために常に持ち歩いているもの。相手を殴り飛ばせるほどに頑丈な他、銃が仕込まれてもいる


154 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:25:24 HZDE4eBk0
投下終了です


155 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:28:26 HZDE4eBk0
もう一本投下します


156 : Welcome to 混沌 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:28:52 HZDE4eBk0
「へぇ、あの神子柴って婆さん、中々に面白いことをするじゃない」

その男は、この場においてもまさに異質であった。黒い衣装に西洋風の黒い仮面。もしここが人が行き交うオフィスであれば間違いなく変人扱いされること間違いなし
だが、そんな仮面の男はこの状況に義憤を覚えるでもなく、困惑に塗れるでもなく、ただただ興味深く納得していた

「古今東西殺し合いの物語というのはシンプルなパターンが多いけど、そこにまさか特定人物による関連をもたせるとは変わってるじゃないか」

殺し合いに善も悪もない。そこにあるのはただ混沌だ。善人が悪行を為し、悪人が善行を為す
殺し合いとはそういう生存本能の坩堝でもあり、人の本質が試される場でもある。極稀に、くだらない理由で自分自身を貫き通した結果周りを巻き込んで大きな思惑をぶち壊してしまうバカがいたりもするが、そんな宇宙級のバカは例外中の例外だから一旦は考えないことにする
殺し合いには役者が必要だ。目的のために殺し合いに乗るもの、殺し合いを止めようとするもの、思考を巡らせるもの、何も考えず動くもの――そして、ただ己が欲望がために場をかき乱すもの
だが、そこに森嶋帆高と天野陽菜という二人の異物が投入された

『制限時間まで天野陽菜と森嶋帆高を合わせるな』。それを前提にルール説明前に見せられたあの映画。単純な映像作品であるのか、はたまた平行世界の『現実』なのだろうか、その点に関して男にとってはどうでもいいことだ
まず参加者が『あの映画』を見た上でどう行動するかだ、お人好しな善人ならば両者を出会わせる上で主催の企みを打ち砕くのだろう、合理的な者なら帆高を陽菜と合わせないようにするかもしくは殺すであろう
その点、事前に映画を見せた主催の思惑は大当たりであろう。まるで綺羅びやかな輝きを魅せる万華鏡のごとく、参加者のスタンスは思い思いに揺れ動くこととなる

「本当に……ボク好みの愉快なゲームだ」

仮面の下に笑みを浮かべる。男は極度の快楽追求者だ
正義も悪も大義も主義主張も信念も思想も、命すらもどうでもいい。ただ自分さえ愉しければそれでいいのだ

「……さぁて、と。一部のバカは森嶋帆高を殺せばすぐに終わると考えてはいそうだけど。どう考えてもそんなつまんない事になるようにはしてないよねぇ。『死滅』なんて少し頭を捻ればわかる文言が書かれてるってのに」

普通に考えるならば、あの二人を出会わせない方法として手っ取り早いのは森嶋帆高の殺害だ。だが、それではこの殺し合いを開いた『意味』がない。そんな方法で解決するのならばさっさと首輪を爆発させるか、こんな回りくどいことをする必要すらない
故に、おそらくは――森嶋帆高は殺せない。いや、『死なない』。死なない存在を殺すならば魂か存在を消滅させるのが手っ取り早いだろう。だがその場合文面には『死滅』ではなく『消滅』でも構わない
死滅とは、その類が全て死に絶えることを意味する。―――おそらくは『森嶋帆高』は殺されることをトリガーに『増える』
増える手段は複数ある、プラナリアのような細胞分裂、魂が事前に分割されモブに混ざっている。もしくは――

(殺されたと同時に参加者の誰かが『森嶋帆高』に置換させられる。かな?)

これならば殺し合いというルールを組み上げた理由は納得出来なくもない。いくら『森嶋帆高』を殺した所で、殺されるたびに別の誰かが『森嶋帆高』になるだけ。映画で見た森嶋帆高が何の特殊な能力も持たいない一般人であることを含め、主催陣営が何かしら細工をしているとするならば納得だ
最も、殺し合いである以上は優勝者は必要、それならば最後の一人になるまでこの置換のループは続くであろう

(この場合だと、森嶋帆高が途中で死ぬのではなく、森嶋帆高が天野陽菜に会えないまま儀式が完了する事に拘る理由まではわからないか。まあ儀式って実は手順の方が大切だったりすることが多いから一旦はそういう認識にしておこうか)

殺し合いであろうと、何らかの儀式というのは目標よりもその手順が重要視される事例はなくもない。宗教的な意味がが関わっているのなれば尚更だ

(……いや? 天野陽奈は人柱で、儀式をそのまま遂行するということは彼女は人柱として天に還る。そういえばあの婆さんは願いを叶える手段を明確に話してはいなかった


157 : Welcome to 混沌 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:30:02 HZDE4eBk0
―――ああ、そういうことか。だったら納得だよ)


男の頭の中で、新たなピースが嵌った感覚がした

(彼女は、『橋』だ。主催連中と『神』への接点を繋げるための)

天野陽奈は人柱であり、雲を晴らす存在。だが、それはあくまで願いを『雲を晴らす』という前提であることだ。だがそもそも他の願いはどうだ? 村の繁栄? 大金持ち? 世界征服?
『神』が万能であるかどうかはわからないが、それでも願いを叶えるという神子柴の言葉にほとんど嘘偽りはない。但し、主催が神子柴の他におり、神子柴自身がただのスケープゴートであれば話は別ではあるが

ならば狙いは一つ、主催の最終目的を手助けするような行動を取りながらロワを男なりに楽しませてもらい、最後の最後で主催の狙いを掻っ攫ってしまえばいい

(本当ならこういう催し、ボクは開く側に居たかったんだけどまあそこは仕方がない。この様子だと次元力の行使も制限されているようだからね。まあ、この姿に変身出来ることだけは都合がいいか)

ガラス越しに映る自分の姿を確認し、これからの事を考えながら仮面の内に笑みを浮かべる
かつて混沌の盤上で好き勝手に暗躍し、最後の最後で次元の彼方に追放された苦い経験もある。そもそも相手は自分自身の次元力を制限できる手合いだ。神子柴か、それの裏でふんぞり返っている誰かかは知らないが、それ相応の準備をしなければならない

(まーずは森嶋帆高の確保が最優先。勿論ただ捕獲するだけは面白くない。少しばかり色々吹き込んでから他の連中に手渡してやるとしよう)

森嶋帆高の確保。このロワの鍵を握るであろう道化を先んじて手に入れる。そして何かしら吹き込んでしまえばいい。例えば「お前は天野陽奈と他数十名の命、どっちを優先する?」など、まあ男自身はもっと捻くれた問いを彼にぶつけるつもりではあるが
それと同時進行で情報の拡散を行い、多数の参加者を混沌に陥れる、真実だろうが嘘だろうが情報の質に関係はない。どうせなら正義の味方ぶったバカが崩れ落ちる姿を見るのも個人的な趣味としてありだろう

(後は……セオリー通りっていうのは余り好まないけど、首輪の解除を優先順位の一つに付け加えておくか)

男は常識はずれには定評がある。だが、この場においては彼もまたロワの参加者の常識的思考の一つに身を置かざるえない。それを少々不満に思いながらも動き出す

(神子柴、キミが天野陽奈を利用して何の願いを叶えようとしているかは知らないけれど。おそらく僕が関わろうとも関わらなかろうともキミの願いは叶うことは無いだろうね)
(だって――最後に笑うのは、今度こそこのボクなんだから!)

男の名前は『黒のカリスマ』――そして『ジ・エーデル・ベルナル』
かの世界において、多元世界の誕生の元凶となった、創世の芸術家である



【ジ・エーデル・ベルナル@スーパーロボット大戦Zシリーズ】
[状態]:健康、黒のカリスマの姿
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:表向きは主催の利になるように行動しながら、裏で主催の最終目的を掻っ攫って一人勝ちする
1:森嶋帆高の捕獲。何かしら吹き込んだ後はまあ適当に放置してしまおう
2:首輪の解除
3:情報の拡散。真実だろうが嘘だろうが足がつかない程度に片っ端からばらまいて混乱をもたらす
[備考]
※次元力の行使は黒のカリスマへの変身以外、全て封じられています
※参戦時期は最終回後。ランドルートかセツコルートかは後続の書き手におまかせします


158 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/12(火) 18:30:17 HZDE4eBk0
投下終了です


159 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/12(火) 20:11:14 5EJ/Szyc0
投下します。


160 : 菩薩は此処に居らず ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/12(火) 20:13:30 5EJ/Szyc0

東京は1923年、大震災により灰塵に帰した。
その後、多くの人間の手により復興を遂げた。
そして巨大都市、東京は確かに繁栄を謳歌していた。
林立する高層ビル、その数と高さは大正時代とは比べ物にならない。


–––––2021年。一人の少年と一人の少女が東京で出会ったその年。

–––––それは一人の魔人が一人の女を連れ帝都を去ったおよそ100年後のことである。



「……何が起きている」

長身痩躯で面長、両の手に白地に五芒星の紋様が象られた手袋をつけ、
不気味な雰囲気を身に纏った軍服姿のその男、
いや、「魔人」は雨の中自問した。


自分は天の龍を操り、月を動かすことで帝都に災厄を及ぼそうとした。
その自分をしても嵌められている首輪を外すことができない。
加えて、式神の解放等にも制限が課されているようだ。
自分以上の力をもつ者がいる、ということなのか。


161 : 菩薩は此処に居らず ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/12(火) 20:15:58 5EJ/Szyc0

魔人は帝都、東京の破壊を目論んだ。
そして一度は帝都を壊滅させることに成功した。
しかし、帝都はその大きな傷を癒し、蘇った。
魔人は幾度となく帝都を再度破壊しようとしたものの、
その試みは尽く阻止された。



物事には必ず代償がある。それはあの映画の中で語られていた通りだ。
風水や陰陽、魔術に通じている自分なら十二分にわかっている。
この催しに巻き込まれた人間がそんなことをどれほど気にかけるかは分からないが。
「東京」の水没を防ぐためには天野陽菜が人柱となる必要がある。
あの少女、天野陽菜はそれを受け入れていた。

––––随分と酔狂なことだ。


あの映画の中で描かれた「東京」が自分のいた世界の未来のそれなのかは分からない。
しかし自分にとっては滅ぼすべき「帝都」であることに変わりはない。
水没してしまえば関東大震災の後のような復興もままならない。


森嶋帆高と天野陽菜を引き合わせ、その後脱出する。
これがもっとも望ましい。
しかし、この場に自分以上の使い手がいると仮定するならば油断はするべきではない。
自分よりもはるかに力の劣る者たちにすら幾度となく煮湯を飲まされてきた。
この首輪にしても、死者の容易な蘇生にしても、あの老婆は底が見えない。




「……天気の巫女は人柱となる、か」


加藤保憲は想った。

帝都を守るため、おれと戦った宿敵–––愛すべき女のことを。



【加藤保憲@帝都物語】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高と天野陽菜を引き会わせた後、ゲームから脱出する。
1:脱出の方法と首輪の解除方法を探る。
2:森嶋帆高の確保。
3:利用価値がなく、なおかつ森嶋帆高と天野陽菜の合流を妨害する者は殺害する。

※参戦時期は龍動編後。
※一部能力が制限されています。
※加藤本体の扱いはスタンドや霊体のそれに準じます。


162 : ◆AXkfwQ7ZsY :2021/01/12(火) 20:16:27 5EJ/Szyc0
投下を終了します。


163 : ◆imEX.9elQs :2021/01/12(火) 21:11:19 GKF1CpX60
投下します


164 : 太陽に命届くまで ◆imEX.9elQs :2021/01/12(火) 21:13:17 GKF1CpX60



キレイ ダナア …

ナンデ ワレハ アアジャナイ……

ナンデ ワレハ ニゴッテイル……!?



雨の降りしきる町のビルの一角。
その屋上で一匹の獣が、天を仰いでいた。
生まれ落ちたばかりの幼体ながら、三メートル程もある巨躯。
神々しさすら感じる純白の毛並み。邪悪なまでの存在感。
そして何より、その獣の全てを現す下からねめつける様な眼(まなこ)を誇る、一匹の獣。

まだこの世の国々が形の定まらぬ「気」であった時、澄んだ清浄な気は上に昇り人となり。
濁った邪な「気」は下にたまって、獣となった。

生まれ落ちて暫く、獣はまだ影の如き闇の塊だった。
それ故、人に憑りつき同士討ちを行わせる事しかできなかった。
だがそれでは足りぬ。それではつまらぬと、獣はより人の恐怖と血を求めた。
そのため獣は偶然見つけた一人の赤子を住みかとし、赤子から育まれた憎悪と妬みを血肉としてその巨躯を作り上げる事とした。
目論見はまんまと成功し、遂に獣は産声を上げた。

獣を刺す名は多い。
曰く、妲己
曰く、玉藻の前
曰く、白面金毛九尾の狐
曰く――――白面の者





165 : 太陽に命届くまで ◆imEX.9elQs :2021/01/12(火) 21:13:41 GKF1CpX60


白面の者は苛立っていた。
今、この街には忌々しい太陽は見えないと言うのに。
殺し合いという、血と阿鼻叫喚を浴びる絶好の機会だと言うのに。
この街に至るまでに見せられた映像が―――白面の者の心を執拗なまでに掴んで離さなかった。


一人の少年と少女が心を通わせ、ただもう一度出会おうと天に挑む。
その光景は、陰に、闇に生まれついた白面の者にとって何よりも妬ましく、忌まわしく――憎むべき光景だった。
何より腹立たしいのが――あの映像が流れている時、白面の者は行動を制限されていなかった。
つまり、自由に暴れ、映像を台無しにすることも可能だったのである。
しかし主催の老婆はそれをしなかった。
まるで、白面の者が『天気の子』を見届けるのを分かっていたかのように。
白面の者にとって家畜の様に首にはめられた首輪よりも――なお、腹立たしい事実であった。


「―――面白く、無し!」


怒りのままに、憎しみのままに白面の者は行動を開始する。
―――我は憎む、光あるものを。命を、人を、愛を。全ての陽の者を!
この憎しみは、殺し合いに同じく呼ばれた参加者と森嶋帆高の絶望によってしか最早贖うことはできぬと荒れ狂う。
同時に、白面の者はニィィイイィイイと蕩ける様な破顔を浮かべる。
森嶋帆高をどう嬲り殺そうか。
それとも女の姿に化けて誑かし、天気の巫女への想いなど所詮は肉欲だったと証明してから殺すか。
それとも、天気の巫女の目の前で己の無力を思い知らせて殺すか。
純白の悪意は膨れ上がり続け、止まることを知らない。

森嶋帆高と天気の巫女だけではまったくもって足りない。
この殺戮劇に招かれた参加者も、自分に首輪などを嵌めたあの老婆も、天気の神すら。
絶望と恐怖を魂魄に刻みつけ冥府魔道へと送ってやらねばならない。
もう一度、分厚い雲に覆われた空を睨み上げ、地の底まで響く様に重厚で低い声で宣言する。


――――我は白面!その名のもとに、全て滅ぶ可し!!


【白面の者@うしおととら】
[状態]:健康、憎悪
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:森嶋帆高と天野陽菜に絶望を味合わせて殺す。
2:他の参加者を殺す、時には人に化けて殺し合わせる。
3:殺し合いを楽しむ


166 : 太陽に命届くまで ◆imEX.9elQs :2021/01/12(火) 21:17:00 GKF1CpX60

【白面の者@うしおととら】
[状態]:健康、憎悪
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:森嶋帆高と天野陽菜に絶望を味合わせて殺す。
2:他の参加者を殺す、時には人に化けて殺し合わせる。
3:殺し合いを楽しむ

※原作31巻「白面の者誕生」より参戦です
※一部能力が制限されています


167 : ◆imEX.9elQs :2021/01/12(火) 21:17:19 GKF1CpX60
投下終了です


168 : ◆.EKyuDaHEo :2021/01/12(火) 23:06:31 ahiygT0M0
投下します


169 : 風の使い手 ◆.EKyuDaHEo :2021/01/12(火) 23:06:53 ahiygT0M0
「ここはいったいどこなのだ...?」

彼の名前はヒュー。ぶりぶりざえもんが支配するもう一つの地球「しん次元」がある。そして彼はしん次元を守る救いのヒーロー、「SHIN-MEN」なのだ。そして彼は風の国、ボツワナワナの王子でもある。

「見たこともない場所だ...ゴウ達も見当たらないな...」

彼が言うゴウとは、同じSHIN-MENのメンバーであり炎の使い手...ゴウ以外にも、鉄の使い手カン、緑の使い手ニョキ、水の使い手スィがおり、彼らも同じSHIN-MENのメンバーだ。

「さっきのお年寄りのしていたこと...これはただごとではないな...」

女性はさっき首輪で爆破されて死んでしまった...しかしあのお年寄りはその女性をまた生き返らせた...あのお年寄りはただものではないとヒューは考える

「どうやらTON-MENは今回のことについては全く関係してないようだな...」

TON-MENとはしん次元を支配している悪者であり、よくしん次元の人々を困らせてはSHIN-MENが駆け出し戦った...しかしTON-MENがしていたことはひどいことではあっても人々を殺したりはしていなかった...しかし今回はどうだろう、TON-MENより遥かに強そうな主催者、そして様々な人が巻き込まれているこの殺し合い...今までの出来事とは比べ物にならないぐらいの事態だ...

「とりあえずルールを理解しておこう、下手なことをしてしまっては取り返しがつかないからな...」

そう言いながらヒューはデイバックを漁りルールが書かれている紙を取り出す...


170 : 風の使い手 ◆.EKyuDaHEo :2021/01/12(火) 23:07:08 ahiygT0M0
◆◆◆



「...なるほど、この森嶋帆高と天野陽菜という人物が重要になってくるのだな...」

ヒューはルールについて改めて理解する...しかし疑問が2つ浮かんだ、その一つ目は...

「天気はずっと雨のままで光が差し込むことはない...私の感情の変化で何とかなるだろうか...」

といいヒューは明るい気持ちになろうとした
実はヒューには感情の変化で彼の周りに雨が降ったり太陽がでたりする、そして仲間と共に過ごした楽しい日々を思い出したりして明るい気持ちになって太陽を出そうとするが...

「...ダメだな...明るい気持ちになっても太陽が出てこない...力を制限されているのか?」

どれだけ明るい気持ちになっても太陽は出てこなかった、そして彼はまた2つ試してみる

ヒュー...

「...空は飛べるみたいだが...いつもより低空になってるな...」

ヒューはまず試しに空を飛んでみる、すると飛べるのは飛べるのだがいつもより低空飛行になっていたのだ...そしてもう一つ、それは...

「ヒューヒュートルネード!!」

「ヒューヒュートルネード」...彼の唯一の必殺技であり、大きく広げた羽で風を起こして敵を攻撃する技だ。

「ふむ...技の方は特に制限などはされていないようだな...とりあえず技を使えることは分かったが...問題はこれからどうするかだな...」

ヒューの疑問の2つ目...それは森嶋帆高と天野陽菜をどう保護するかだ...

「森嶋帆高が天野陽菜に会えば浸水...森嶋帆高が天野陽菜会えなければ制限時間が終わり森嶋帆高が死んでしまう...」

彼が悩んでいたことはどっちに答えが行こうが犠牲者が出てしまうこと...自分は救いのヒーローSHIN-MEN...救いのヒーローとして何も出来ずに誰かが死んでしまうのは絶対にあってはいけない...しばらく考えるとヒューはある一つの答えが出た

「...確か森嶋帆高が天野陽菜に会えば数時間後に浸水と書いていたな...なら...脱出する方法を見つけて浸水する前に脱出するしかない...!」

ヒューが出した答え...それは脱出の方法を見つけて森嶋帆高と天野陽菜が会ってからの数時間の間に脱出...それがヒューの答えだった...

「方法とすればこれしかない...脱出できるかは分からないが可能性はあるかもしれない...ならそれに賭けるしかない...」

ヒューは僅かな可能性に賭けるしかなかった...

「だが私一人ではどうにもならない...主催者を倒さなくてはならないから誰か協力者を探さなくては...首輪も何とかしなくてはならないからな」

ヒューはまず協力者を探すこと、首輪を何とか外すことを目標にした

「絶対に死なせてはならない...私は救いのヒーロー、SHIN-MENだから!」

ヒューは誰も死なせたくないと思い行動を始めた...
救いのヒーロー...SHIN-MENとして...




【ヒュー@クレヨンしんちゃん SHIN-MEN】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:脱出する方法を探し、主催者を倒す
1:森嶋帆高を保護し、脱出の方法が見つかるまで会わせないようにする
2:協力者を探す
3:首輪を外す
[備考]
・表情の変化によって天気が変わるというのは制限されています
・飛行は出来ますが低空飛行になっています
・クレヨンしんちゃんの番外編シリーズ、「SHIN-MEN」からの参戦です


171 : ◆.EKyuDaHEo :2021/01/12(火) 23:07:39 ahiygT0M0
投下終了します


172 : ◆A3H952TnBk :2021/01/12(火) 23:09:16 5RiOWHLQ0
投下させて頂きます。


173 : One more time,One more song ◆A3H952TnBk :2021/01/12(火) 23:10:01 5RiOWHLQ0



どんなに遠く離れていても。いつかまた、僕たちは寄り添い合える。
あの大雪の日のように。きっとまた、二人で同じ桜を見ることができる。
とうの昔に、途方もないところへと行ってしまった日々。宇宙の彼方ほどの“距離”で分かたれた思い出に、あの頃の僕はずっと焦がれていた。

僕たちは、ずっと一緒にいられる。きっとこれからも、同じ道を歩み続けられる。そう信じていた。どうしてだったんだろう。あの頃の僕達は、ひどく無邪気だった。
遠く離れたところへ引っ越してしまった明里。遠く離れたところへ引っ越すことが決まった僕。僕と明里を隔てる、どうしようもない“距離”。もう会えないかもしれない。だから、会いたかった。
無我夢中で向かった。すぐにでも明里に会いたかった。だから僕は、初めての旅を経験した。
見たことのない路線。緩やかに走る列車。降り積もる大雪。悪意に足止めされているように、呆然と過ぎていく時間。もどかしくて、苛立たしく。それでも僕は、明里と会えて。

あの日から、僕の世界は変わった。
また明里に会えることを信じて。明里を守れる強さが欲しくて。僕はただ、漠然とした眼差しで、遠くを見つめるようになった。
あの空へと旅立ったロケットは、果てもなくて―――。

打ち続けた言葉は、何処にも届かない。大人になってから、何かを追い求めるように仕事へと打ち込んで。だけど、そこには何も残らない。
心の縁を失って、哀しみと虚しさだけが積み重なる日々に、耐えられなくなった。

無垢だったころの記憶は、どこまでも遠くて。
僕たちの心の距離も、ひどく離れていて。
だけど、あの頃の夢を見て。それが“思い出”だったことに気が付いて。あの踏切を振り返って、彼女がいなかった瞬間。

もう大丈夫だ、この先も。
僕はどうしてか、そう思うことができた。





174 : One more time,One more song ◆A3H952TnBk :2021/01/12(火) 23:11:01 5RiOWHLQ0



空模様は、変わりそうになかった。
鉛色の曇天。降り続ける雨粒。コンクリートにざあざあと打ち付けられる、雫の音色。
止むはずもない雨は、打ち捨てられたような新宿の街を淡々と覆い続ける。
終わることはない。留まることもない。暗雲のような現実を前に、景色はただ何も語らずに流れ続ける。

閉鎖された街の一角。古びた雑居ビルの入り口、屋根の下で雨宿りする二つの影。
黒髪の男性――遠野 貴樹は、呆然と立ち尽くすように雨雲の空を見上げていた。
沈黙が場を支配する。雨粒の音だけが反響し、二人だけの空間を静かに包み込む。
ここに来てから、どれだけの時間が経ったのだろう。何十分も、何時間も過ぎているような錯覚を覚えてしまう。貴樹は取り留めもなく、一息を吐く。

悪い夢を見ているのかもしれない。ここに送り込まれた直後、ひどく現実味のない状況を前にして、貴樹はそんなことを思ってしまった。
映画。バトル・ロワイアル。老婆。怪物。首輪。願い。失われたはずの命が、目の前でよみがえる。先程まで目に焼き付けていた情報が、貴樹の頭の中で乱雑に横たわる。
これが現実だなんて言われても、納得できるはずがない。だけど、ここに立つ自分の感覚は、どうしようもなく生々しい。

貴樹はこの街に放り込まれて、宛もなく、ただ打ち付けてくる雨をやり過ごすことしか出来なかった。
そうして辿り着いた雑居ビル。そこには、先客が居た。
青みがかった長い髪を持つ学生服の少女が、入り口を覆うシャッターにもたれかかるように座り込んでいた。
彼女は現れた貴樹を見上げて、少し驚いて。害を与えるつもりはないと貴樹が伝えると、微かに安心したような様子を見せた。
互いに名前だけ伝え合った。少女は、鎧塚みぞれと名乗った。
それから二人は、シャッターを背にして、沈黙のまま時を過ごしていた。
そうして、今に至る。

「止みそうに、ないね」

今更のような一言を、呟いてしまう。
みぞれは何も言わず、数秒の間を置いて、こくりと頷く。
あの映画に出てきた少年――森嶋 帆高。彼を巡るゲームが終わらない限り、この世界には雨が降り続ける。ルール説明でも示されていた通りだ。
耐えることのない空の涙。陽の光をもたらすための手段は、自分たちが生きるための手段は。
制限時間を超えて、このゲームを終わらせる。あるいは、誰かの手で直接、森嶋帆高を―――。

「あの……男の子」

蹲るように座り込んでいたみぞれが、振り絞るように声を出す。
静寂を破った少女を、貴樹はゆっくりと見つめる。


175 : One more time,One more song ◆A3H952TnBk :2021/01/12(火) 23:12:11 5RiOWHLQ0

「森嶋、帆高くん」

あの映画に出てきた少年の名前。
我武者羅で、どうしようもなく青臭くて、ひどく放っておけなかった、あの少年。
貴樹は、自らの脳裏に焼き付いた帆高の姿を反復する。
そして、みぞれが次の一言を呟いた。

「……どう、思いましたか」

彼を、どう思ったか。その一言で、貴樹は再び空を見上げた。
宛もなく都会へと飛び出し。野良犬のように彷徨い。掛け替えのない少女と出会い。子供たちだけで、束の間の一時を過ごし。そして、失ったものを取り戻すために、彼は奔った。
少女――陽菜は、遠くへと行ってしまった。巫女として捧げられて、惨たらしいほどの青空と引き換えに、遥か彼方へと消えてしまった。
それでも、あの少年は走り続けた。たとえ力が無くとも、社会を敵に回そうと、たった一人の大切な何かのために奔走した。
貴樹は、ふいに思い出した。
明里と会うために、栃木まで向かったあの日のことを。
もどかしいほどの時間が流れていく中で、それでも彼女と会いたい一心で進み続けたときのことを。

ああ、彼は―――あの途方もない“距離”を縮められるんだな。
貴樹の胸に訪れたのは、まるで感傷のような想い。
奇跡は起こらず、すべては思い出になっていくことを受け入れた自分とは違う。
そんな帆高が、貴樹の中で強烈な印象を残していて。

「まぶしかった。少しだけ、羨ましかった」

だから貴樹は、率直に答えた。
あの踏切を振り返ったときと同じように、寂しげに口元が微笑んでいた。
貴樹の反応を見て、みぞれは何も言わずに虚空を見つめる。

「私も……思いました」

雨音に掻き消されそうになるほどの、小さな一言。
変わらない空。降り注ぐ雨。
再び訪れた沈黙の中で、みぞれは口を開く。

「……あの子との“距離”が、怖かった」

絞り出すように、吐露するように、みぞれは胸の中の想いを吐き出した。
吹奏楽という道を示してくれた、大切な人。独りぼっちだった自分を掬い上げてくれた、掛け替えのない親友。
だけど彼女にとっては、そうではなかった。みぞれは、自分と相手の釣り合わない天秤に苦しみ、悩み、打ちひしがれた。
親友との壁が生まれることを、途方もない“距離”の中で心が離れてしまうことを、恐れ続けて。
やがて、あの“青い鳥と少女の物語”を通じて、答えを見つけ出した。
それは、親友からもらったものを胸に、籠の中から飛び立っていく決意だった。


176 : One more time,One more song ◆A3H952TnBk :2021/01/12(火) 23:12:59 5RiOWHLQ0

「今は、私自身が、答えを見つけて。だけど、それまでは……違って」

微かに震える声で零していくみぞれの言葉に対して、貴樹は何も言わずに耳を傾け続ける。

「森嶋くんは、私とは違う。最初から、迷わなかった。あんなに遠くても……必死に走ってた」

みぞれには、みぞれの人生がある。
大切な人との“距離”に心を掻き毟られ、執着の中でもがいて、そして“愛ゆえの決断”へと至った。
貴樹には、貴樹の人生がある。
大切な人との“距離”を想い、いつかまた巡り会えることを信じ続け、最後はそれらを“過去の記憶”として受け入れた。
全く違う道を歩んでいながら、二人はそれぞれの形で“離別”と対峙した。

森嶋帆高は、違う。
彼は、覆そうとしている。
それはきっと、奇跡というものであり。
二人の知らない、未知の領域に等しかった。
みぞれは自らの選択に後悔はしていない。親友がくれた道を歩き続けることを決めたのだから。
貴樹もまた後悔はなかった。それは諦観にも似た思いで、しかし何処か清々しい決別だった。

「帆高くんを、探そう」

貴樹が、そう告げた。
座り込んでいたみぞれもまた、立ち上がる。
命を懸けたバトル・ロワイアル。森嶋帆高に肩入れをすれば、きっと生きて帰ることなど出来ない。
死にたくはない。当然だ。貴樹もみぞれも、同じことを思っている。

だけど、それでも。
あの少年は、放っておけなかった。
無邪気で、愚直で。大切な者のために走る彼を、簡単に切り捨てることなど出来なかった。


【遠野 貴樹@秒速5センチメートル】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高を探す。
1:彼はきっと、自分とは違う。
※参戦時期は第3話「秒速5センチメートル」終了後です。

【鎧塚 みぞれ@リズと青い鳥】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高を探す。
1:この先どうすればいいか分からない。でも、森嶋帆高を放っておきたくない。
※参戦時期は映画本編終了時点です。


177 : 名無しさん :2021/01/12(火) 23:14:03 5RiOWHLQ0
投下終了です。


178 : ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:51:03 srcdwHH60
投下します


179 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:51:52 srcdwHH60

絶え間ない雨に打たれた新宿中央公園。鮮やかな緑に囲われ数多くの遊具が立ち並ぶそこは本来であれば名所として老若男女問わず人の影が途絶えないはずだ。
砂場に佇むクジラのシンボルが雨のせいでどこか生き物じみたような質感を見せる。写真の一枚でも撮ればその日は寝るまで微笑ましい気持ちに包まれるだろう。

だが今日はそんな日ではない。
突如言い渡された殺し合いという非日常は目に映る景色をも歪めた。

「──はぁ、…………」

濡れる事を嫌った少女、黛冬優子は素朴なウッドタイプの屋根に遮られたベンチに腰掛け、何度目かも分からないため息を吐く。
情報を整理し切れない。床に就いた後に連れてこられたものだからあの映画だって最初は夢かと思った。
夢なら夢で楽しもうと映画鑑賞に集中したはいいが問題はそこから。クライマックスシーンでぷつんとモニターが途切れたかと思えば直後開催された殺し合い。
肌を濡らす感触と念の為に抓った頬の痛みがそれが現実であることを冬優子に知らしめた。

そして────

「──何見てるんだい?」
「あ、い、いやぁ……雲雀さん、ミステリアスな人だなって思って〜」

この学ランの男、雲雀恭弥の存在。

冬優子がルールブックを確認した直後に出会ったこの男は人を殺しかねない眼光と威圧感を兼ね備えており、最初は本当に殺されるかと思ったぐらいだ。
彼が無差別に人を殺すような人物ではないと知ったのはその後、冬優子から興味なさげに視線を逸らし公園を出ようとした背中を見たのが理由だ。


180 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:52:32 srcdwHH60

(あ〜〜……やっぱ、声掛けたの失敗だったかな)

それを慌てて止めたのが冬優子だった。
訳の分からない状況で自分一人だったというのが途轍もなく心細かった、という少女らしいシンプルな理由で呼び止めたはいいものの此方から名を名乗ってようやく名前を知れたぐらいの会話しかしていない。

最初こそアイドルとして可愛らしく接し、警戒心を解こうと必死だったがあまりにも無反応だったせいで沈黙の時間が増え、今に至る。
当の雲雀は何を考えているか分からない無表情で、時折地図とルールブックを見ては鈍色の空を見上げていた。

(はぁ〜、どうしよ……)

現状、冬優子は何も出来ていない。いや、しようとする段階にも至れていないと言うべきか。殺し合えと言われて見知らぬ男性とこんなに気まずい時間を過ごしているのは自分くらいだろう。
雲雀に悟られぬよう再びため息を吐く。と、無限に続くかと思った静寂が遂に雨の音以外で打ち破られた。

「ねぇ君、何がしたいの?」
「え……?」

初めて雲雀の方から声を掛けられた驚きが質問の意図を汲み取るのを邪魔する。思わず冬優子は目を丸めて聞き返した。

「えっと……ごめんなさい、雲雀さん。もう一度──」
「君から声を掛けたんだから、僕に何か用があったんじゃないのかい?」
「──っ」

相変わらず鷹のように細められた双眸に射抜かれ冬優子の心臓が強く跳ねる。その後も速いペースで脈動するそれが過剰な程全身に血液を巡らせた。


181 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:53:17 srcdwHH60

「……あの〜、雲雀さんはこのゲームをどう思ってますか? ふゆ、殺し合い? とか、よく分からなくって……とっても不安で……」

早い話、彼は冬優子がこの殺し合いについての質問をするのを待っていたのだろう。冬優子はそれがタブーじみた話題だと認知していたせいか自然と避けていたが、結局のところ本題はそれだ。
だからこそ少し怯えを乗せた瞳を潤ませてそう問いを投げる。流石に催促された上で無視することはあるまい。この返答で彼の人と成りが多少知れるなら万々歳だ。

「くだらないと思ってるよ、こんなゲーム」
「……! なら、一緒に──」
「それで、君はどうしたいんだい?」

え、と再び言葉を詰まらせる。
くだらないと思ってる──その言葉を紡ぐという事は少なくとも雲雀は自分と同じくゲームを終わらせたいと思っているはずだ。
なのになんだ、この質問は。雲雀恭弥という男が何を考えているのか思考の一雫すら読むことも出来ない。
それでも。一瞬閉ざした口を再び開いて冬優子は不安そうに眉尻を下げる。

「ふゆは……やっぱり死にたくなんか無いですけど、でもでも……帆高さんと陽菜さんを犠牲になんかもしたくありません! だから、皆で協力して誰一人死なないようにしたいなぁ〜……って、ふゆは思います」

そこまで言い切ったところで冬優子は内心言葉を間違えたかと焦る。この男はどう考えてもそういう理想論に賛同するように思えない。
現実は厳しい、そんなのは無理だ。そう言われるのは明白だ。それでも冬優子の考える『ふゆ』はこう言うはずで何を言われようと取り消すつもりなどなかった。


182 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:53:59 srcdwHH60

「嘘つかなくていいよ」
「────えっ?」

だからこそ、予想だにしない返答は冬優子の思考を止める。
嘘? 何故そんな全てを見抜いているような顔で嘘だと断言できるんだ。雲雀から漂う重苦しい雰囲気がそんな抗議の声も挟ませない。

「正直に言いなよ、早く森嶋帆高を殺して欲しいって」
「──っ!?」

信じられない言葉を聞いた。
少なくとも、だ。あどけなさの残る青少年が言うにはあまりに現実からかけ離れている。

「君達のような弱い草食動物が考える事なんて決まってる。自分が安全で居られれば他人なんてどうでもいい──そう思ってるはずだ」

こいつは何を言っているんだ。
挑発的な笑みを浮かべて、心の底から見下すような目をしてまるで森羅万象物事の真理をを語るかのようにつらつらと言の葉の刃を並べる。

「自分の手を汚さず、危険を晒さず、あの二人なんかどうでもいいからこんなゲーム終わらせてほしい。そしてあわよくば与えられた『お題』もこなせたら──そんな風に思ってるんだろう?」

動悸が激しさを帯びる。口から絶え間なく空気が漏れて呼吸が乱れる。
この男も自分とは違う『お題』を配られているのか。そんな疑問点に気付くことすら出来ない。
雲雀が言葉を紡いで数秒──黛冬優子はそれに対して反論することが出来なかった。

実際、冬優子は思っていた。
あの二人の命と参加者全員の命、数で言えば後者の方が明らかに重い。あの映画がどんなに感動的なものだったとしてもあの二人がハッピーエンドで終わり自分を含めた何十何百もの命が潰えてしまうなんてたまったものじゃない。
自分が動かなくても参加者の誰かが帆高の殺害を試みるだろう。そうでなくとも二日間彼を拘束する人が現れるはずだ──そんな思考、ここに来てから何度も巡らせた。


183 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:55:11 srcdwHH60

「ふ、ふゆ……は……」

──まともな反論が浮かばない。
──俯いた顔を上げられない。
──身体の震えが止まらない。

当然だ、ここまで思考の奥を読まれるなんて普通は思わない。
普段の調子ならそんな事ないと『ふゆ』のまま答えられたはずなのに。この男の前ではそんな言葉通用しないと理解してしまう。少しでも嘘が交じっているのなら容赦なくそこを突いてくる筈だ。

だから冬優子は何も言えないまま雲雀の口撃を許した。


「──いつまでもそうやって綺麗な仮面を取り繕ってるといいよ。どうせ今までも偽物の顔を売って生きてきたんだろう?」


ぴたり、と。
少女の震えが止まる。
一生付き纏うと思われたそれは氷の如き言葉を得て、嘘のように鳴りを潜めた。


184 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:55:48 srcdwHH60

「安心しなよ、君が震えてる間に僕が森嶋帆高を咬み殺してゲームを終わらせるから」

雲雀はいつの間にか屋根という安全圏を嫌いごうごうと降り注ぐ雨の下を歩いていた。
もう黛冬優子に用はない。沢田綱吉のような強さと心を持った小動物なら協力してやらなくもなかったが彼女は違う。
これ以上時間を無駄にする訳にはいかない──飢えた一匹狼は獲物を探し求めて水溜まりを踏み抜く。




「待ちなさい」




──狼の足が止められる。
振り返る雲雀の瞳に映ったのは、両の足をしっかりと地に付ける黛冬優子の姿。
色素の薄い茶色の双眸はしっかりと、雲雀の姿を真正面から見据えていた。


185 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:56:30 srcdwHH60


「────知ったような口利いてんじゃないわよ、あんた」


先程までの冬優子とは別人のように低く、激情を滲ませる声色を雨の中でもくっきりと響かせる。
雲雀がトドメに放った言葉を聞いた瞬間、自然と震えは止まり異常な程呼吸が落ち着いた。代わりに腹の奥から煮え滾る怒りに似た衝動が冬優子を突き動かし、誰に言われなければずっと座っているはずだったベンチから立ち上がらせたのだ。

「みんなに愛される為に、認められる為にしてきた努力を馬鹿にすんじゃないわよ」

思いよぎるのはアイドルとしての自分。何度も道を迷い、立ち止まり、その度に背中を押してもらったかけがえのない思い出。
こんな状況で思い出すにしてはあまりにも煌びやかな記憶だ。大勢の観客に囲まれて、眩しすぎるスポットライトを浴びて、心の底からアイドルって楽しいと思えた。
そして、その結果を得るために血の滲む様な努力をしてきた。それを否定するなど──例え神が相手でも許しはしない。

「ふゆが偽物だって? ──はっ、笑わせないで。今見せている『ふゆ』も、今まで築き上げてきた『ふゆ』も、どっちも紛れもない本物よ」

──そうでしょう?
誰に投げる訳でもなく、ましてや今目の前で呆気に取られる雲雀恭弥に向けてでもない問いが雨音に掻き消される。
この問いは同じく会場に居る『彼』には届かない。
けれど、けれど。彼ならばきっとこう答えるはずだ。

『──ああ、偽物の冬優子なんていないさ──』

自然と握られた拳が震える。
恐怖ではない。奥底から湧き上がる勇気が、力が。黛冬優子という『本物』のアイドルの細胞を激しく震わせているのだ──!


186 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:57:09 srcdwHH60

ぴちゃり。

いつの間にか冬優子は雲雀と同じ舞台に立っていた。
大粒の雨が自慢の艶髪を濡らすのも厭わずに。あまつさえ足を取らんと大地に伸びる水の塊をも踏み付けて。目の前の気に食わない男を睨み付ける。

「あんたはあの帆高って人を殺すつもりなの?」
「そうだって言ったらどうするんだい?」
「決まってるでしょ────」

それが理想論だなんて知っている。
途方もない夢。とても自分一人でなんとかなるものじゃないなんて百も承知だ。
けれど、夢を見てもいいじゃないか。『ふゆ』が抱いた理想を叶えるのには黛冬優子の力が必要なのだから。

「────あんたを止めるわ。そして、誰も死なせずゲームを終わらせてみせる」

もう思わない。
自分が何もしなくてもこの殺し合いが終わって欲しいだなんて思わない。
そんな狡い事『ふゆ』が思う訳が無いのだから。未だ完成していない偶像は現在進行形で築き上げていかなければならないのだから。

「ワオ」

狼が唸る。
狂気的に、されど嬉しそうに。
少なくとも今この瞬間、黛冬優子という少女の行動は雲雀恭弥の予想を遥かに越えた。


187 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 17:57:53 srcdwHH60
冬優子は雲雀を睨んだままバッグから取り出した金属製のベルトを腰に巻く。雫の滴るそれは驚くほど簡単に冬優子を受け入れ、己が主を見つけ出した。
同時に雲雀も懐から一本の剣を取り出す。剣身を白金色に輝かせるそれは持ち主の意志によって蛇腹剣になるらしい。そういった武器の類は『アイツ』を思い出すから好ましくはないが、この際許容範囲だ。

何かが高速で冬優子の元へ飛来する。
赤い残像が雨を切り裂き、冬優子の身体をも傷付けんとさえ思われたそれは自ら彼女の手に収まった。
名をカブトゼクター。黛冬優子の覚悟と信念に魅入る者。ここにまたひとり、彼女の努力を認めた者が出来たのだ。


「────変身!」

『HENSHIN』


カブトゼクターを差し込んだベルトを中心に冬優子の体をハニカム状の翡翠色の光が包み込んでゆく。それはやがて全身に行き渡り、銀色のボディを構築した。
どこまでも続く青空のように。或いはそれを望むかのように麗らかな複眼が雲雀のものと重なる。今この瞬間だけは雨粒の煩わしさを感じなかった。

身に纏うは迷光、されど光を纏いし者は迷わず。描く晴れ模様を求め迸る。
かつて彼女の纏う光の持ち主であった天の道を行き総てを司る男がそうであったように。人が聞けば鼻で笑うような夢を叶えてみせる。

それが──黛冬優子というアイドルなのだ。


188 : 迷光 ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 18:00:05 srcdwHH60


【黛冬優子@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、決意、仮面ライダーカブトに変身中
[装備]:ライダーベルト&カブトゼクター@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本方針:『ふゆ』として、二人を犠牲にせずに殺し合いを止める方法を見つける。
1:雲雀を止める。
[備考]
※参戦時期は『W.I.N.G編』優勝後です。

【雲雀恭弥@家庭教師ヒットマンREBORN!】
[状態]:健康、闘争心
[装備]:僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本方針:帆高を咬み殺し、ゲームを終わらせる。強い者がいたら戦いたい。
1:目の前の敵を倒す。
2:後で神子柴も咬み殺す。
[備考]
※参戦時期は『継承式編』終了後です。

【支給品紹介】
【ライダーベルト&カブトゼクター@仮面ライダーカブト】
冬優子に支給された変身道具。使用することで仮面ライダーカブトに変身出来る。
クロックアップは体感五秒間が限度で、一度使用したら一分間のクールタイムが必要。

【僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)@Fate/Grand Order】
雲雀に支給された宝具。
巨人カリゴランテが仕掛けていた神をも捕らえる網。だったのだが、カリゴランテは自爆する形で網に引っかかってしまいアストルフォがセイバークラスへ霊基変化した際に剣へと鍛え直された。
持ち主の意志によって剣身が伸び、蛇腹剣になる。


189 : ◆NYzTZnBoCI :2021/01/13(水) 18:00:28 srcdwHH60
投下終了です。


190 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:17:50 bVXTxw3A0
皆さま投下乙です。
それでは自分も投下させて頂きます。


191 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:20:08 bVXTxw3A0

「ううっ……何がどうなっているの〜!?」

 どんよりとした天気の中で、わたしーー花丸円は叫ぶ。
 わたしは科目男子の四人と勉強しながら、いつもの毎日を過ごしていたはずだった。
 科目男子っていうのは、算国理社の教科書が人間になった男子たちのことで、わたしのことをいつも支えてくれるの。
 数か月前にママが亡くなってから、とても落ち込んでいたわたしの前に現れた。
 でも、科目男子たちの命は、わたしのテストの点数で決まっちゃうから大変! テストで10点しか取れなかったら、その科目男子は10日しか生きられないの!
 そんな科目男子たちは、わたしの家にルームシェアで住むことになって、わたしに勉強を教えてくれるんだ。
 だから、わたしはみんなの為に頑張りたかったけど……こんなことになっちゃうなんて、信じられない!

「これって、夢じゃない……現実、なんだよね? あのおばあさんの言ったことが本当なら、わたしは……」

 そこまで言いかけて、私は震えちゃった。
 勉強が苦手で、テストはいつも赤点ばかりのわたしでも……酷いことが起きているのはわかる。
 『もりしまほだか』というお兄さんを捕まえることができれば、こんなことを終わらせてくれると怪しいおばあさんは言っていた。でも、それはお兄さんが殺されてしまうことになる。
 つまり、わたしは殺人犯になっちゃうの!?

「……い、嫌だよ! こんな、わけのわからない……ことで、わたしが殺人犯になっちゃうなんて!」

 わたしは周りを見渡すけど、そこに科目男子たちはいない。
 ずば抜けた計算力で脱出の方法を見つけてくれそうな、算数ケイも。
 たくさんの言葉や文章でみんなを落ち着かせてくれそうな、国語カンジくんも。
 理科の知識で大変な状況でも生き延びる方法を見つけてくれそうな、理科ヒカルくんも。
 色んな文化や歴史に詳しくて多くの人と手を取り合ってくそうな、社会レキくんも。
 もちろん、ママがいなくなったわたしのことを何度も支えてくれた、おばあちゃんと親友の成島優ちゃんも。
 今のわたしのそばには……誰もいなかった。


192 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:21:07 bVXTxw3A0

「あぁ……わたし、またひとりぼっちになったんだ……」

 そして、ナイフで刺されたように胸の奥が痛くなり、涙がポロポロとこぼれてくる。
 科目男子たちと初めて出会った頃、わたしは算数が本当にわからなくて、ヤケになって逃げてしまったことがあった。
 わたしのテストの点数が悪いせいで、ケイは消えそうになったのに、そのケイに酷いことも言ってしまう。
 でも、ケイはわたしのことを必要だって言ってくれた。死んじゃったママだって、わたしのことを必要としてくれる人のため、わたしに勉強をしてほしいと願っていた。
 だけど……また、ひとりぼっちになっちゃった上に、わたしが殺人犯になっちゃうかもしれない。むしろ、わたしが死んじゃう可能性だってある。

「願いなんて、いらないよ……みんなと、一緒にいられれば……それで……」

 誰もいないことが、今はどうしようもなく不安だった。
 ひとりぼっちの寂しさに慣れることはできない。ケイから逃げた時も、林間学校で遭難した時も、わたしは不安だった。

「このままじゃ、わたしだけじゃなくてみんなも悲しんじゃう……もう、噛んだり滑ったりだよ〜!」

 ーーーーそれを言うなら『踏んだり蹴ったり』だよ!

 勉強は苦手だけど、ケンカはもっと苦手だよ。
 ママが死んじゃった悲しみを知っているのに、誰かを傷付けるなんてできない。
 あのおばあさんはどんな願いでも叶えてくれると言った。だけど、誰かを殺してまで叶えたい願いなんてない。
 死んじゃったパパやママとまた会いたい……そう思ったことは何度もあるけど、こんなことで再会しても二人は心からガッカリする。
 ひょっとしたら、このままわたしが死ねば天国でパパとママに会えるかもしれない。だけど、家で待っているみんなとお別れになるのは嫌だ。

「どうしたら、いいの……?」

 外は大雨だった。
 ここがどこなのかわからないし、何をしたらいいのかもわからない。
 レストランの中だから、ご飯を作れるかもしれない。だけど、怖くて料理どころじゃなかった。


193 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:23:00 bVXTxw3A0

「ほわっ……大丈夫?」

 どこからか、誰かの声が聞こえてくる。
 ビックリして、振り返ってみると。

「怖い目にあったんだね。でも、お姉ちゃんたちがいるから大丈夫だよ〜」

 いつの間にか、穏やかで優しそうなお姉さんが二人も立っていた。
 高校生くらいで、わたしから見ればずっと大人に見える。背は高く、スタイルもいいし、髪もサラサラしていて、お顔もとても綺麗だった。

「あ、あのっ!? え、えっと……!? わ、わたしはただのペケ丸ペケ子ですっ! だからっ、身代金だって全然ないですからっ!」

 だけど、わたしはパニックになっちゃう!
 今の世の中はぶっそうだし、小学生でも自分の身は自分で守らないといけないの! お姉さんたちも、いい人に見えて実は……

(ほわっほわっほわっ! 勉強が苦手な子なら、すぐに誘拐できるよね!)
(そのと〜り〜! ペケ丸ペケ子ちゃん、お姉ちゃんたちと一緒に遠い所へ行こうか〜!)

 悪魔みたいな格好で、不気味な笑顔を見せるお姉さんたちの姿が頭の中に浮かんじゃう!
 ましてや、今は殺し合いの真っ最中。わたしみたいな弱虫は、すぐに狙われるに決まっている。

「ギャーーーーーーーーッ!!」

 逃げ出そうとするけど、思いっきり壁にぶつかってしまった。
 当然、そのまま倒れてしまう。

「ほわっ!? た、大変! 怪我はない!? 彼方さん、どうしよう!?」
「真乃ちゃん、絞ったタオルを持ってきて! その間に、彼方ちゃんが見ているから!」

 そんな私の元に、お姉さんたちが駆けつけてくれた。
 二人とも、わたしのことを心配そうに見つめている。テキパキと動いてくれる姿に、わたしは目をぱちくりとさせた。

(……もしかして、本当に優しい人だったの?)

 勘違いをしていることに気付いて、わたしは顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなった。
 ドアがあったら隠れたいよ〜!


 ーーーー『ドアがあったら隠れたい』じゃなくて『穴があったら入りたい』だよ!


194 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:24:24 bVXTxw3A0



 ◆



「はい、どーぞ! 円ちゃんに真乃ちゃん! 彼方ちゃん特製のプリンだよ!」

 サラサラのロングヘア―が特徴なお姉さんーー近江彼方さんは元気な笑みと共に、プリンを持ってきてくれた。
 宝石のようにキラキラしていて、とてもなめらかで柔らかい。食欲がそそるし、いつもだったら迷わず飛びついていた。
 でも、今は大好きなプリンを見ても、スプーンが動かない。妄想スイッチをONにすることもできないし、動物たちとの楽しいお茶会も開けなかった。
 だって、今は優しい世界じゃないし、いつもわたしのそばにいてくれるみんなは誰もいない。だから、プリンだって食べられなかった。

「怖いかもしれないけど、大丈夫! お姉ちゃんたちが、円ちゃんを守ってあげるからね〜! だって、二人ともアイドルだから!」
「あ、ありがとうございます……」

 今だって、優しく微笑んでくれるのに、わたしは弱々しい笑顔しか見せられない。
 彼方さんたちはアイドルと言っていた。TVや動画サイトでライブをして、たくさんのファンから愛されている凄い人達みたい。
 人気アイドルだから、こんな時でも笑顔でいられるのかな? お姉さんたちの優しさに、ちょっとだけ心が温かくなる。

「円ちゃんの気持ちはわかるよ。私だって、こんな所に連れてこられて不安だったけど……彼方ちゃんが元気をくれたの!」

 そして、キュートながらも大人っぽいショートヘアのお姉さんーー櫻木真乃さんは、元気よくポーズを決めてくれた。

「それを言うなら、彼方ちゃんだって真乃ちゃんのほんわかした笑顔に癒されたよ〜? 外は雨でしっとりしてるけど、真乃ちゃんの「むんっ」があれば元気いっぱいになるよ〜!」
「ありがとうございます、彼方さん! こんな時じゃなかったら、暖かい公園で一緒にお出かけとかできたら楽しそうなんだけどな……」
「じゃあ、今度みんなで楽しくお出かけしようか! 彼方ちゃんに真乃ちゃんに円ちゃん、あの帆高くんや陽菜ちゃんって子達も誘って、みんなでピクニックだね! もちろん、円ちゃんの大好きなプリンだって用意するよ!
 円ちゃんのお友達だって、誘ってもいいんだよ〜?」

 二人はとても輝いていた。
 彼方さんはポカポカとした太陽なら、真乃さんはイルミネーションみたいに優しくキラキラしている。
 真乃さんも彼方さんも、たくさんのファンの人から必要とされていると、わたしは思っちゃう。今だって、わたしのことを心配してくれている。
 だからこそ、今のわたしがとってもちっぽけに見えちゃった……


195 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:25:55 bVXTxw3A0
「円ちゃん」

 しょんぼりしていたわたしに、真乃さんが優しく声をかけてくれる。
 顔を上げた瞬間、真乃さんはわたしの両手をゆっくりと握り締めてくれた。真乃さんの手はとても綺麗で、暖かい。ママもこうして、わたしの手を包んでくれたことが何度もあった。

 ----♪♪

 そして、可愛らしい唇からは歌声が出てきた。
 真乃さんの優しい歌声は、わたしの耳から全身を駆け巡って、プレッシャーを和らげてくれる。
 アイドルの歌声を目の前で楽しめる贅沢に、わたしの胸はドキドキしていた。

「ふふっ……円ちゃん、笑ってくれたね」
「えっ? わたし、笑っていました……?」
「そうだよ。円ちゃんの笑顔は本当に可愛いし、素敵だね! その笑顔が見れただけでも、アイドルをやっていてよかったと思うよ!」

 ニコッと笑う真乃さんに、わたしはときめいてしまう。
 レキくんもたくさんの人をドキドキさせる笑顔を見せてくれるけど、やっぱりアイドルはいつもこんなニコニコしているのかな。だとすると、レキくんの凄さを改めて実感しちゃう。

『オレには、おまえが必要なんだ!』

 そして、ケイの真っすぐな言葉と表情が私の中で浮かび上がった。
 ケイだけじゃない。科目男子たちと一緒にいるため、そしてママの期待に応えるため……わたしはいっぱい勉強したかった。
 真乃さんと彼方さんは、わたしを励ますための言葉をたくさん知っている。

「……やっぱり、二人ともいっぱい勉強をしたのですか?」

 気が付いたら、わたしの口からそんな疑問が出てきていた。

「わたし、わたしを必要としているみんなのため、勉強を頑張ろうって決めたんです。みんなのおかげで、わたしはちょっとずつテストの点数も上がるようになったんですけど……まだまだ赤点だらけで、ペケ丸ペケ子なんです。
 死んじゃったママは、わたしが100点を取れるって信じていましたけど……全然ダメで、わたしは二人みたいに頑張れないんです……」

 そして、どんどん出てくる重い言葉のせいで、レストランの空気もずーんと沈んでしまう。
 胸がまた痛くなっちゃうけど、もうどうすることもできない。わたしを心配してくれる、二人のことだって悲しませちゃう。


196 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:27:56 bVXTxw3A0
「……そんなことないよ。円ちゃんはとっても強くて優しい子だよ!
 今だって、私たちを応援してくれるから!」

 だけど、真乃さんは笑顔のまま、わたしの両手を包んでくれたまま。
 それどころか、指先から伝わってくる優しさが更に強くなった気がする。

「私も、最初は自分に自信がなかったんだ。でも、私をアイドルにしてくれたプロデューサーさんのおかげで、今はみんなを喜ばせられるアイドルになれたの。
 私は円ちゃんのことをよく知らない……だからこそ、円ちゃんのことを知っていきたいんだ! 私を信じてくれたプロデューサーさんたちの為にも!」
「彼方ちゃんも同じだよ〜! 
 円ちゃんは、みんなの気持ちに応えたいって思っている……それって、円ちゃんのママがそれだけ優しいってことだよね? だから、その優しさを色んな人に届けられるお手伝いをしてあげるよ!
 お勉強でわからないことがあったら、何でもお姉ちゃんたちに聞いてもいいんだよ〜!」

 そして、真乃さんと彼方さんは、わたしの小さな体を思いっきり抱きしめてくれた。
 二人の暖かさと優しさが全身に伝わって、凍り付きそうな心と体が一気に穏やかになる。綺麗な髪からはいい匂いも届いてきて、わたしの悲しみを洗い流してくれそうだ。
 もしも、お姉ちゃんがいたら……わたしが不安な時、こんな感じに抱きしめてくれたのかな。
 
「真乃さん、彼方さん……」
「円ちゃん、何があっても私達は味方だから……何でも言ってね?」
「それじゃあ、まずはみんなでプリンを食べようか! とってもおいしいよ〜?」
「……ありがとうございます!」

 まだ、不安なことだらけだけど、少なくとも今は笑うことができた。
 外の雨は止まないし、これからどうしたらいいのかわからない。もちろん、科目男子たちもいない。
 けれど、わたしのことを支えてくれる優しくて頼りになるお姉さんが二人もいる。だから、今はわたしも頑張りたかった。

(いつか、真乃さんや彼方さん達とも、いっしょにお出かけやお勉強もしたいな。だから、わたしはこんな所で死んじゃダメなんだ!)

 誰かが死んじゃう悲しみを、私はよく知っている。
 喧嘩なんて楽しくないし、誰かが喜ぶこともできない。それを避けるためにも、わたしはいっぱい勉強をしたかった。
 勉強をすれば、誰も傷付けることのないまま、みんなで帰ることができる。そんな希望を胸に、わたしは笑った。

「じゃあ、お腹ごぼうしらべとして……プリンをいただきますね! 真乃さん、彼方さん!」
「ほわっ? お腹ごぼうしらべ……?」
「それを言うなら、腹ごしらえだと思うよ〜」


197 : 誰かのための勉強 ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:30:55 bVXTxw3A0
【花丸円@時間割男子】
[状態]:健康、不安(中)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:誰も傷付けることのないよう、勉強をしたい
1:まずは真乃さんや彼方さんと一緒にいる
※参戦時期は原作3巻以降です。

【櫻木真乃@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:プロデューサーさんの、そしてみんなの期待に応えられるアイドルでいたい
1:まずは円ちゃんや彼方さんと一緒にいる
※W.I.N.G優勝、ファン感謝祭のMVP経験があります。

【近江彼方@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:円ちゃんの優しさを届けられるように頑張る
1:まずは円ちゃんや真乃ちゃんと一緒にいる
※少なくとも、スクールアイドル同好会のメンバーが全員揃ってからの参戦時期です。


198 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/13(水) 19:31:11 bVXTxw3A0
以上で投下終了です。


199 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/13(水) 22:10:59 ScFiQTQw0
投下します


200 : アサヒィスゥパァドゥルァァァァイ ◆2dNHP51a3Y :2021/01/13(水) 22:12:40 ScFiQTQw0
それは、一本の缶ビールだった

棒のような腕に手袋のような手が接着された、アサヒスーパードライの缶ビールだった

しかも無駄にデカイのだ。大人一人分ぐらいの大きさである

なぜこんな物がこんな所に存在しているのか誰にもわからない

そもそも雨に打たれている未開封のそれなりに大きな缶ビールという前代未聞の光景がこの場所には広がっていた



だが、この缶ビールに意思があるかどうかは別としてであるが、これがやることは唯一つ

この缶ビールはとあるアクションゲームのボスなので、とりあえずやってきた相手をリンゴで倒すことである





【アサヒ@I wanna make the Novelty】
[状態]:健康、残りライフ10
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず近づいてきたやつを倒す
[補足]
※1発攻撃が当たる毎に3分間無敵になります
※減少したライフは3時間毎に1ずつ回復します
※攻撃方法は上からリンゴを降らすのと、リンゴの弾幕壁を放つ事の二つです
※アサヒがいる空間の周囲50m範囲内において、左右方向への移動を行うとアサヒ周囲50m範囲内限定でループします


201 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/13(水) 22:12:51 ScFiQTQw0
投下終了しました


202 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:48:01 JJ1c79uE0
投下します


203 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:50:41 JJ1c79uE0
 ───目指す背中はかなたに遠く───





 どこかのショッピングモール。
 本来ならば人で賑わうであろう場所は、
 喧噪な音も雑多な人込みもどちらも存在しない。
 人を賑わせるような音楽と言ったものは流れず、
 延々と降り続ける雨音だけがBGMの如く流れていく。
 人によっては心地よく、人によっては鬱陶しいことこの上ない自然の音楽。

「君は、どうするつもりだ?」

 あくまでいないのは人込み。
 小休憩のためのベンチに座る人の姿はそこにある。
 雨は天井が遮ってるため言葉を紡ぐだけで、店内によく響く。
 一応此処は殺し合いの舞台。そこでこれはかなり愚かな行為だ。
 敵に居場所を教え、あまつさえ声の主は広々とした場所に座る。
 端から見れば正気ではないが、油断をしている様子は全くない。
 鋭い眼差しで、常に周囲へと警戒を怠る様子はなく、
 少なくとも場数は踏んだ人間なことは伺える。

 言葉を紡いだ女性はフードを被った女性だ。
 顔は端正で凛々しく、中性的な顔つきをしている。
 男女問わず惹きつけそうな彼女の名前は獅堂真希。
 ある世界で刀使と呼ばれる巫女の一人である。
 巫女とは言うが、先程の映画……陽菜のような立場ではない。
 同じ巫女は何人もいるし、人柱となるような犠牲になる必要も全くなく。
 (一応、約一名それに該当しそうな少女はいるにはいたのだが。)
 神秘的な存在ではあるし人の為に行動すると言う共通はあるものの、
 言ってしまえばそれだけになる。

「……」

 質問をした以上、相手は存在している。
 場所は近く……と言うより殆ど真希の背後。
 青みのかかった銀髪の女性が同じように、互いに背を向けた状態でそこにいた。
 真希よりは年上の、年の割には少々薄着が過ぎるものだが、
 青いコートを羽織ってるからかそれほど露出は感じられない。
 もっとも、二人揃って未だに顔を向けてすらいないので、
 相手の服のセンスを物申す段階以前ではあるか。

 二人は開始と同時に此処にいると言う、
 配置ミスにもほどがあるような至近距離だ。
 話し合いが通じないなら即座に戦闘開始の間合い。
 互いに場数を踏んできてるため存在には気づいており、
 軽い自己紹介の末にこの問答をしている状態に至る。

「傭兵ながら恥ずかしく思うな。
 気持ちの整理が全く追いついていないんだ。」

 頭に手を当てながら女性は悩ましく思う。
 こういう超常現象も、人が死ぬかもしれない状況も。
 どちらも自分にとってはありふれたものであるはずのもの。
 だというのに、彼女───シルヴァは心に余裕はなかった。
 忘れることのない、自分の悔恨たる過去の悪夢で精神が擦り切れ、
 そこから目を覚ませば、映画館からのこんな状況なのだから。
 武器の確認もできていなければ、映画の内容も集中して見れておらず、
 ところどころ飛んでいる程度に精神的に参っていた。

 自己紹介中、互いに互いの言葉を信じられなかった。
 空に浮かぶ島、刀使、星晶獣、荒魂……どちらも常識が通じないのだから。
 それゆえに互いの常識が相手に通じないのでは、信じるほかないことだ。
 そもそも、今こうして連れてこられたこと自体が異常でもある。
 人のいない都会は真希にとっては考えられないのも拍車をかけている。
 (シルヴァは空の世界に来た人物もいるようなので割と慣れてるが。)

「お題の願いに縋るものがあるかどうか、
 それで答えてくれてもボクは構わない。」

 願望の成就。ありふれた甘言だがその力も見せられた。
 シルヴァだって無欲な人間ではない。叶わないこともある。
 彼女は才能に胡坐をかかず、向上心を忘れることなく鍛錬もした。
 それでも無理なことがあった。嘗ての護衛任務で空を覆う程の魔物の群れ。
 一人ではどうにもならないものを軽々と超えたのは、彼女が追いかけた親友。
 共に並ぼうと必死に研鑽したのに、その親友と並び立つことを目指したのに。
 更に上の、誰の手にも届かない高みへと至っていた。まさに最強の射手たる光景。
 届かなかったが故に、言ってはならないことを口にしてしまった。

『これが、化け物の力……』

 自分の醜い嫉妬の表れ。
 繊細な彼女に言ってはならなかった。
 彼女は何処かへと消え、以来疎遠となっている
 今も後悔し続け、もう一度隣に並ぶ為に彼女は道を選んだ。

「親友の隣に並ぶ為───化け物たる力を得たい。」

 あると言う言葉への返事。
 穏やかな言葉を使わない純粋な本音。
 飾ることなく紡がれたそれに、嘘はない。

「だが、此処でそれを得られたとして、
 私は本当に化け物たる力を持てているのか……」


204 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:53:04 JJ1c79uE0
 自分の弱さと向き合わずに得たもので、
 本当に友と向き合えるかと言われて頷けるか。
 そんな考えをする卑怯な人間が、もう一度友になりたい。
 どこまでも臆病で、矮小な存在だと卑下したくなるほどに。

「ボクにも覚えがある。どれだけ研鑽しても、
 どれだけ力を付けようとも上を往く存在が。」

 最年少にして指折りの実力を持つ刀使、燕結芽。
 それ以上に頂へと到達した、自分が仕えた主折神紫。
 目指す存在は彼女の場所では届くことがない領域。
 強くなるためには、真希は手段でさえ選ばなかった。
 ノロと言う一種のドーピングにさえ手を出すほどに。
 なお、根底には守るためには敵の力だって利用すると言う、
 刀使としての使命に従った故の道であることは名義しておく。
 今ではこのドーピングについても反省している。

「喋りすぎたな……話を戻そう。」

 似たように誰かの背を追いかけていたようだが、
 この問答は元々乗るかどうかという話である。
 自分の境遇を重ね合わせて感傷に浸ってる場合ではない。

「お題をこなすかこなさないかで言えば、
 恐らく私は……こなすことはないはずだ。と言うよりはできそうにない。」

 団長と同じぐらいの年頃の少年少女。
 二人には一体何の罪があると言うのか。
 いや確かに犠牲にならなければ被害は増えるし、
 憲兵に取り押さえられて然るべき行為等微妙に擁護できないが。
 シルヴァの所属する騎空団に、人身御供になりかけた少女もいることだ。
 余りこの手の生贄と言うものに寛容的ではないのもある。

「だが、二人を邪魔しないなら死ぬ。
 命を捨ててまであの二人に惹かれたか?」

 惹かれたかどうかで言えば、割と真希も惹かれた方だ。
 目的の為なら銃だって撃つと言う端から見れば問題行動の数々。
 言ってしまえば自分も似たような部分があって少し共感を持てたから。
 彼と同じように思慮の浅さの部分なんて、まさに反省してる部分である。
 彼女の言うことはもっともだ。自分の命を捨てて他者の関係を願える人間はそうはいない。

「確かにそうだな……しかし、彼には後悔してほしくないと思っている。」

 自分は一生後悔するであろう過ちをした。
 彼らは友情とは少し形は違うものの、帆高には後悔してほしくない。

「ヒナを独りにしないであげてほしい。
 親友を追いやった私が、言えたことではないが。」

 ガラス張りの天井を眺めながらシルヴァは言葉を紡ぐ。
 雨は流れるように窓を滑っていき、何処かへと消える。
 友人から逃げて、背き続ける自分のように思えた。

「分からない話ではないな。」

 真希もシルヴァの気持ちは理解できる。
 この舞台に招かれる以前の、元居た世界でのことだ。
 彼女は亡くなった結芽を生き返らせようと行動をしていた。
 前例も何もない、推測に推測を積み重ねただけと言う淡い期待。
 それでも彼女を生き返らせる可能性に賭けたかった。
 戦力の確保の為だけではない。結芽を家族のような、
 大事な存在として助けたいと願っているからこそ。
 一人にしたくないからこそ。

「なら、行動でそれを示してもらう。
 ボクは帆高を止める側として動くつもりだ。」

 結芽を含む命が彼ら二人との天秤では傾かない。
 首輪と言う生殺与奪の権が握られている状態では、
 選択肢は帆高を止めるか死ぬかの二択以外選べるはずもなく。
 首輪をなんとかできる奴を呼ぶわけがないと思ってるのもあるが、
 力なき正義は無力……彼女が元居た世界で言った言葉の一つ。
 それは痛いほど痛感してきたものだ。
 口先だけで変えられるものではない。

「だが、あくまでボク自身は止めるだけだ。
 止めてる間に君が手段を見つけるなら別になる。」

 決裂のように見えたが、どちらかと言えば役割分担。
 自分が帆高と言うゲームの鍵を握る存在を一先ず止めて、
 その間にシルヴァがこの状況を打開できる手段を探す。
 確かに首輪を何とかできる人物を呼んでるとは思わないが、
 予期せぬものは案外存在する。不意打ちで二度も負けただけに、
 ネガティブと受け取れそうな思考を持ってその可能性を考えた。
 彼女自身人を守る刀使として帆高を死なせたくはないし、
 個人としてもシルヴァ同様に応援したくなる存在でもある。
 シルヴァの場合は自分以上に不可思議な力への理解が深いのと、
 自分の思慮の浅さも欠点と理解した今、其方を任せるべきと言う判断もあった。
 互いにそれを口にしたわけではない。そのような意図もない。


205 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:54:22 JJ1c79uE0
 誰かを孤独にさせたくない考えが、二人の目的につながっただけのこと。

「味方、と思っていいのか?」

「今のところは、と言う注釈がつくが。」

 単純な殺し合いなら無難に二人で共闘の道を選べた。
 しかしいかんせん帆高と言う不確定要素が厄介だ。
 どちらも両立できる程帆高は制御ができる人物でもない。
 最悪彼らを死なせざるを得ない可能性もすでに考えていた。
「その考えと行動だけでも、私にとっては助かることだ。」

 自ら危険な側を買うと言うその考え。
 この時点で彼女には十分信頼に足る人物だ。
 互いに席を立ち、目的の為に動き出す。

「……そろそろ動くか。」

「ああ。」

 方針もわかった。やることも決まっている。
 留まる必要も争う必要もない今、立ち止まる理由はなし。
 互いに荷物を持って席を立ち歩き出す。
 向かう方角は、互いに逆方向で。

「最後に一つだけいいだろうか?」

「なんだ?」

 歩みを止めてシルヴァは振り向き、質問に振り返る真希。
 振り向くと互いの間には雨音だけが流れる時間が過ぎる。
 何事かと怪訝そうな顔をしていると、

「いや、まだ顔を合わせてなかったなと。」

 そう告げられ、そういえばそうだったなと気付く。
 先ほどからずっと背を向けたままでの会話。
 こうして対面したのは今が初めてだ。

「確かに、顔は知っておかないと後が困るな。
 変なことを吹聴する輩もいるかもしれないことを考えれば。」

 あらぬ誤解と言えば、
 此処へ来る直前でもあったことだ。
 何があるのか分からないことを考えれば
 気を付けておくべきことの筆頭でもある。
 そう思って真希はフードを下ろし、自分の顔を晒しておく。

「引き止めてすまない。ホダカのことを頼む。」

「最悪殺しかねないボクに頼むのもおかしな話だな。」

「止めるだけで済ませる時点で、君の人柄は分かってるつもりだ。」

 あくまで真希自身が自分の矜持の為にしてるだけのこと。
 それは分かってるが、この短い問答で人となりと言うのはなんとなく理解できた
 どことなく自分と似ていて、自分に自信がない上で抱え込むタイプ。
 人のこと言えないとは、義妹たちに突っ込まれそうではあるが。
 目的を終えるとシルヴァは背を向けて歩き出し、
 同じように真希も反対側へと歩き出す。

(ある意味因果なのかもしれないな。)

 敵を射るような鋭い視線や緋色の髪。
 かの親友を思い出させてくるかのようだ。
 今まで逃げてきた自分に対する咎の如く。

(いつか、君の隣に立てるだろうか───ソーン。)

 親友の姿を思い出しながら、鋭才の射手は歩む。
 二人を、ひいては多くの参加者を助けるため。


206 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:55:21 JJ1c79uE0
【シルヴァ@グランブルーファンタジー】
[状態]:精神疲労(中)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:ホダカとヒナを会わせつつ生還を目指す。
1:首輪と主催を何とかする手段を探す。

※参戦時期は最終上限解放エピソードの途中
※映画の内容は集中してなかったので把握できてない部分もあります

【獅堂真希@刀使ノ巫女】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:二人を会わせたいが、解決できる見込みがない場合の覚悟はしておく。
1:シルヴァが対策を見つけられるならそれに賭ける。
2:それまでの間は帆高を守る。だが守り切れるかどうかか。
3:支給品にあればいいんだが、吼丸。
4:万が一老人の力が手に入れられるなら……

※参戦時期は『刻みし一閃の燈火』で単独行動をしてた時期。
 (アニメで言えば二期の序盤。ただ展開はアニメと少々違う)
※薄緑(吼丸)@刀使ノ巫女がない現在は写シなどは使えません。
 薄緑以外の御刀でも写シができるかは現在不明。

※互いにそれぞれの世界観をある程度理解しました










(行ったか。)

 二人がいなくなったあと、下を見下ろす影が一つ。
 この場にはもう一人だけ参加者が上階に潜んでいた。
 潜むことを優先として、上階ともあってかろうじて気付かれずにやり過ごせた。
 何も用意してないまま、経験のある二人を相手するのは得策ではない判断だ。
 事実、シルヴァは狙撃手ではあるものの肉弾戦は結構な腕はあるので、
 勝敗はともかく消耗してた可能性は高いので判断としては正しい。
 声が響くお陰で無理に近づく必要がなかったのも、
 気づかれなかった理由の一つでもあった。

 見下ろしていたのは、多くが黒で配色された格好をした少年だ。
 瞳を見れば整った顔をしてるのがよくわかるものの、それを隠そうとする謎の骨。
 何かの怪物のような頭蓋骨か、それを被ってるせいでその姿は分かりにくい。
 ……角度次第で見えそうなことについては何も言うまい。

 名前はジューダス。
 その名の通り裏切り者として歴史に名を刻んだ男の新たな名前だ。
 初対面の相手にそんな名を与えた甥のネーミングセンスは永遠の謎である。

(エルレインの手の者ではないが、
 シバと言ったか。最悪なタイミングを選んできたか……)

 今の彼には殆ど時間はなかった。
 彼のいた世界の上空に現れた彗星『神の卵』。
 それを落とさせないため、神の卵へ直接乗り込んだまではいい。
 エルレインの下へ向かう道中にジューダスは此処へと招かれてしまったのだ。
 カイル達は弱くはない。皆あの場まで乗り込む実力はあるのだから。
 だが相手は神に等しい存在。油断はできないし、今あの場には自分が消えた状態。
 仲間がいきなり消えたらカイル達のことだ、探して時間のロスだってありうる。
 スタン達が繋いだ歴史や世界の崩壊は目の前……時間は僅かなものだ。
 一刻の猶予すら惜しい状況にある中、終了の二日まで待てるわけがない。
 願いについても卵が落ちた後でそれが通用するのかも怪しい以上、
 欠片も当てにしていなかった。

 故に目的は一つ───早急にこの場からの脱出。
 現状導き出される最短ルートは帆高を殺害───

(いや焦るな。)

 ルールには帆高の死滅と書かれている。
 彼は何かしらの力で簡単には死なない身体なのかもしれない。
 焦りで映画の内容を余り把握してないが故に少し斜に構えた考えだが、
 映像が意図的に編集されてた風には感じたし、何より帆高にも首輪がある。
 ならば彼も事実上の参加者。なにか武器の支給の可能性も十分にあり得た。
 邪魔をするなら躊躇なくこちらを攻撃してくる可能性は否定しきれない。

 何より、先程の二人のように帆高を殺さず事態の解決を視野に入れる人もいるだろう。
 ジューダス自身も時間に余裕があれば、その道を選んでいるのだから。
 何人敵になるか分からない相手に、真正面から突っ込んでも勝てる未来はない。

(必要なのは安定した戦力か。)

 デイバックを漁っていると、
 武器となる真紅の刀を見つけて取り出す。
 武器類は没収されたが新たに支給されている。
 と言うことはほかの参加者も持ってると言うこと。
 支給品を確保して、十分な戦力を用意してから挑む。
 その為にする武器の確保の手段については、分かり切ったことだ。


207 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:55:48 JJ1c79uE0

(……まさに大罪人だな。)

 マリアンを人質にとられた時のことを思い出す。
 加担せざるを得なかったあの時とは違い、自分を縛るのは『時間』ただ一つ。
 仲間の歴史と言う、余りにも重いものを背負ってしまったが故の答え。
 元の世界で時間は経ってないだとか、希望的観測は一切考えない。
 嘗ての大罪人の如く、嘗ての仲間を裏切ったその非常さを持て。

(受け入れなければ前に進めない、か。)

 エルレインを倒せばリアラも死ぬ。だが倒さなければ世界も終わる。
 大事な仲間であるリアラを殺さずに済む方法はないか考えたカイルへ言った言葉。
 自分の歩んできた道も同じことであり、受け入れた果てが今になる。
 これからの未来に自分と言う過去の人間は必要はないだろう。
 元々生き返るはずのない人間だし、自分のした行為を変えるつもりもない。
 だがこれからの未来にはカイル達は必要だ。スタンやルーティ、多くの人が繋いだ未来を守る。
 故に裏切り者(ジューダス)にして、四英雄を裏切ったリオン・マグナスとして動き出す。

 親友の存在を想い、家族の存在を想い、仲間の存在を想う。
 各々が胸に秘めるのは形は違えど、大切な存在である。

【ジューダス@テイルズオブデスティニー2】
[状態]:焦り(小)
[装備]:不動国行@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:スタン達が築いた歴史を守るため、早急に帰還
1:参加者から支給品を入手しておきたい。準備次第帆高を狙う。
2:その為に今一度大罪人リオン・マグナスに戻る。

※参戦時期は終盤、神の卵突入中。
※映画の内容は多くは把握していません
※帆高が何かしら死ににくい、或いは支給品等で強化されてると踏んでます。

※シルヴァと真希の会話を聞いてるため、
 断片的に彼女達のそれぞれの世界観を把握してます

【不動国行@グランブルーファンタジー】
どこかサーベルのような形状に見えなくもない、真紅の妖紅刀。
国行を佩く者はすなわち天下の名剣士といわれるとかなんとか。
所持すれば闇属性の攻撃力上昇(大)と水属性の攻撃力上昇(大)の効果があるが、
ジューダスは闇と土をメインに、サブに風と光なので前者のみになる。


208 : ◆EPyDv9DKJs :2021/01/14(木) 16:56:32 JJ1c79uE0
以上で『Acacia』投下終了です


209 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/14(木) 18:57:42 4lb2mZkQ0
投下します


210 : この世界で最強なのは自分ただ一人 ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/14(木) 18:58:25 4lb2mZkQ0
全ての雨が空中で停止していた。
まるで時間を止めたかのように雨が微動だにせず動きを止めている。
そんな停止した雨の中を進み歩く黄金の甲冑を纏った男がいた。

彼の名は黒崎一誠、仮面ライダーコーカサスに変身し
クロックアップによって時間の流れを操作し
あたかも時間が止まっているかのように見えるのだ。

数秒ほど経ったタイミングでクロックアップは解除され
停止していた雨は再び降り続ける。

「妙な事になってますね」

屋内に入った黒崎一誠は変身を解除し近くにある椅子へ腰かけた。
変身した理由はライダーシステムに異常が無いかの確認、それと
単に白いタキシードを雨や泥で汚したくない、という理由である。

その結果、クロックアップの使用時間が普段より短くなっている事と
ハイパーゼクターがどこかへ消えてしまっている事に気が付いた。

「あの老婆の仕業ですか。小癪な真似をしますね」

主催者たちにはくだらぬ小細工を仕掛けた罪をその血で償わせよう。
だが今は他にやらなければならない事がある。

「森嶋帆高、あの少年を始末すればそれで終わる」

信憑性は定かではないが老婆の言う事が本当なら一人の少年の命を奪うだけで
他の全ての参加者が助かるという事になる。

「……それでは面白くありませんね」

黒崎一誠、彼は自分が頂点に君臨さえしていれば
人類が滅びようと何とも思わない究極のエゴイストである。
会場に集められた幾人の猛者達を目にして生かすつもりなど無かった。

「参加者達はあの少年の命を奪おうと、または保護しようと動くでしょう。
 必然的に少年の周りに強者が集まる事になる」

森嶋帆高は殺さない。
むしろ囮として生かし、彼に近づく参加者を狩り続けよう。
そして他の全ての参加者が死に絶えた後で最後にこの少年を殺し
唯一の勝利者となった私一人が生還すればそれでいい。

「他に強者はいらない。最も強く、最も美しいのは私だけです」

懐から取り出した青い薔薇を見つめる。
薔薇は最強の証、即ち薔薇に愛された私こそが最強。

【黒崎一誠@仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE】
[状態]:健康
[装備]:カブティックゼクター
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1、青い薔薇
[思考・状況]
基本方針:全ての参加者と主催者の殺害。
1:森嶋帆高の確保。
2:森嶋帆高を囮として利用し、他の参加者を狩る。
[備考]
※参戦時期は原作登場前です。


211 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/14(木) 18:59:04 4lb2mZkQ0
投下終了です


212 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/14(木) 19:04:20 mMc8yLEk0
投下します


213 : 考【すべきこと】 ◆7PJBZrstcc :2021/01/14(木) 19:04:58 mMc8yLEk0
 雨が降り続く偽りの東京のとあるビルの上、そこに一人の男が立っていた。
 彼の名前は脳噛ネウロ。魔界で生まれ育った魔人である。
 彼は今、猛烈に不機嫌だった。

 魔人が無理矢理人間界に行き、滞在したことによる蓄積ダメージ。
 更に人間の進化の先、シックスとの戦いで傷ついたネウロは一度魔界に帰ることにした。
 そして彼が再び人間界の地(正確には飛行機の外壁だが)を踏んだ瞬間、彼は殺し合いに呼ばれ、映画を見せられていた。

 映画の内容について思うところは無い。
 一応内容は頭に入れていたが、それよりもここはどこか、一体何が起きたのかを調べようとするもなぜか体は動かない。

 そして映画が途中で打ち切られ、神子柴による殺し合い開始の宣言。
 映画の内容に絡めた殺し合いのルールも気にかかるが、それよりも彼の脳内を支配するのは神子柴への不快感だ。

 確かに彼女が行う殺し合いは、謎が満ちている。
 どうやって自分達を集めたのか。
 なぜ殺し合いを行うのか。
 なぜ森嶋帆高を天野陽菜と会わせなければゲームが終わるのか。
 これらすべてを解き明かしたうえで殺し合いを破綻させれば、中々の謎を喰えるだろう。

 ここで彼が言う『謎』とは、人間の心に芽生え事件を引き起こす悪意が自らを守る防壁のようなものである。
 例えば殺人事件を起こし、見破られないようにするために犯人が作るトリックや、難解なパズル、強固な防壁などが該当する。
 この防壁を突破した際に生じるエネルギーがネウロの食糧であり、何よりも好むもの。
 そういう意味では、このゲームはかなりのものだ。

 だがしかし

「実は我が輩、こう見えてもドSでな」

 ネウロはそのうえで、このゲームが気に入らない。
 まずは、首につけられているこの首輪。
 自分を脅せば従うと思われていることもそうだが、それ以上に無理矢理こうやって命を盾に取り、人間に殺しを強いることが腹立たしい。
 この状況で殺人が起こってもそれは謎ではない。
 仮に謎があったとしてもそれは殺し合いという状況が作った、いわゆる養殖物の謎だ。
 養殖物の謎は、ネウロにとって不愉快極まりない。故に神子柴の行いは彼の逆鱗に触れた。

 そして第二に、彼から見てこのゲームは人間の使い方がなっていない。
 人間は生きていれば何度でも再起し、謎を生み出すとネウロは信じている。
 それを神子柴はこんなつまらない使い方で食いつぶそうとしている。
 故に彼女は彼の敵でしかない。
 それに

「例え森嶋帆高が天野陽菜と再会し東京に雨が降り続こうとも、我が輩の知っている人間ならその程度で怯みはせん」

 ネウロは人間を高く評価している。
 故に神子柴の目的が東京に晴れを取り戻すことだとしても、余計なお世話としか思えなかった。

 なお、ネウロは自分が人外ゆえに首輪の爆発で死なない可能性は一切考慮していない。
 本来なら今の彼は核が落ちても死なず、一億三十六度の溶岩を人間でいう温泉の感覚で楽しめるほどの人外だ。
 ならば仮に首輪の爆発、もしくはゲームオーバーで会場は水没しても死なないかもしれない。
 だがこうして参加者となった以上、最低限の対策は行っているだろうと彼は考えている。
 ネウロの知る人間界に今の自分を殺せる爆弾はないが、遥か未来、もしくは並行世界にはあるのかもしれない。
 仮に自分が首輪の爆発で死ななければ、その時点で興ざめだ。
 そのまま主催本部に乗り込んで、思いつく限りを仕置きを神子柴に叩きつけ、参加者を会場から逃がしてそれでおしまい。後は何の興味を起こらないだろう。


214 : 考【すべきこと】 ◆7PJBZrstcc :2021/01/14(木) 19:05:23 mMc8yLEk0

「まあそれはそれとして、そろそろこのゲームについて考えるとするか」

 そこまで考えて、ネウロは思考を殺し合いに向けた。
 ルールを改めて確認する為タブレットを起動させる。
 このタブレットは彼の見たことないものだが、別に悪意を以って使わせないようにしていない以上、使いこなすのは彼にとって容易だ。
 参加者の名簿は未だ用意されていないのが気にかかるが、ひとまずルールの項目を開く。

「やはり気にかかるのはこの文章だな」

 ③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。

「死滅という部分が引っかかる」

 これではまるで森嶋帆高が複数いるみたいではないか。
 いや、複数いるのではなく増えるのかもしれない。

 このゲームを最速で終わらせるなら、森嶋帆高の殺害するのが一番手っ取り早い。これくらいなら誰でも思いつくだろう。
 だがそれではあまりにも単純すぎる。
 しかし例えば、帆高を殺害したものが新たな『森嶋帆高』になる、というルールが実は存在するならば話は変わる。
 別に本当に帆高に変身するわけでは無く、ルール上『森嶋帆高』として扱われるだけならさらに面倒だ。
 帆高を顔はあの映画を観ていた者全員が知っているが、別人が『森嶋帆高』として扱われていれば隠れ潜みながら生き残るのは難しくはない。

「それにこれ」

 そう言ってネウロが別に取り出したものは一枚の紙。
 そこには神子柴が言っていた各々へのお題が書かれている。

「くだらん」

 それをネウロは一瞥しただけですぐにデイバッグに戻した。
 お題は要約するなら、ゲームが成立した後主催本部にたどり着けば先着五名限定で願いを叶えるというもの。
 映画の後に死者蘇生というデモンストレーションをしたのは、願いを叶えるという言葉の現実性を示す為。
 そして先着五名と言った以上、このお題が渡されたのは自分だけではない。
 最低でも六人以上、ともすれば参加者全員に行き渡っている可能性も高い。
 そのうえで願いに用がある者がいるなら、場合によっては他の参加者を殺すという選択肢も当然存在しうる。

 要するに、神子柴は一見森嶋帆高さえ死ねば解決するように見せつつも、実際はこの殺し合いでなるべく多く参加者を死なせようとしている。
 そうまでするなら最初から『最後の一人になるまで殺しあえ』と言った方が分かりやすいはずだが、とネウロは思案する。

「やはり最初にやるべきは、森嶋帆高を捜索だな」

 ここまで考えて出した結論は、なんにせよ森嶋帆高を探すことだった。
 このゲームの中心は確実に彼だ。
 彼を守るか殺すかは別にしても、必然的に参加者は彼に集まるはずである。
 その他の参加者に接触し、殺し合い打破の為の手がかりを探すのがネウロの狙いだ。

「その際はヤコの助手として接したほうがよいだろう。我が輩の知る人間界と同じかどうか知る参考となる」

 こうしてネウロは出発した。
 それもビルの屋上から直接飛び降りるという、魔人などの超常を知らなければ度肝を抜くような方法で。


【脳噛ネウロ@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]:健康、神子柴への強い不快感
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを打破し、謎を喰う。
1:まずは森嶋帆高、もしくは森嶋帆高扱いとなっている参加者を探す。
2:他の参加者と出会ったら、桂木弥子の助手として接する。
3:並行して首輪の解除方法も考える。
4:謎を喰った暁には、神子柴にキツい仕置きをする。

※参戦時期は最終回で人間界に戻ってきた直後です。


215 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/14(木) 19:05:48 mMc8yLEk0
投下終了です


216 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/14(木) 21:53:05 XT0Z5TXc0
投下します


217 : Down with Sticky Keys ◆2dNHP51a3Y :2021/01/14(木) 21:56:02 XT0Z5TXc0
StickyKey                                 ×

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○ ○ ○

「何がどうなってんだ……」

グランエスタード国「元」王子にして、今はユバールの守り手である青年、キーファ・グランは呆然に暮れていた
最後に憶えているのはアルス達に別れを告げた事ぐらいであり、その後は変な動く画を見せられたりした挙げ句呼ばれたのがこんな場所である

「というか、ここは一体どこなんだ……?」

グランエスタード島の外へ出てからというものは知らない事が知らない景色でまみれていたが、この場所はさらに奇想天外だ
父の城なんかよりもよっぽど高くて立派な白い建造物が立ち並ぶ場所。街のどこかなのだろうが流石にここまでのものはキーファでも見たことがないものだった

「……なんて言ってる暇じゃねぇな、流石にライラやみんなが心配してるだろうし」

だが、そんな高揚も一旦は抑え、気持ちを引き締める。自分がいなくなったことで残されたユバールの皆、そしてライラの事が心配だ
殺し合いだかなんだか知らないが、早くみんなの所に戻らないと、そうキーファが思っていた直後だった

「………あ?」

キーファの体を大きな影が覆いかぶさった。宙に浮く灰色の、大きな何か
おそらく馬車ほどの大きさがそれの前面にはキーファにとって見たことない文字の羅列が描かれていた

「なんだ、ありゃ……」

キーファとて、今までいろんな魔物と戦ったことがある。だが、あんな奇想天外な魔物……というよりも生き物であるかどうかすら疑わしいなにかを見るのは初めてだ。故に、その思考の硬直が仇となった

「―――あっ」

彼が「回避」という行動も思考の隙間すら与えず、その物体はキーファに向かって落下してきた
回避すら出来なかったキーファは、その物体によってその体を踏み潰され、トマトのごとく血痕を弾き飛ばし、彼を永遠の虚無へと誘ったのだ

【キーファ・グラン@ドラゴンクエスト7 エデンの戦士たち 死亡】


○ ○ ○


ラスボスというものは、いつの時代においても主人公の前に立ちはだかる存在だ

このI wanna be the Fangameのラスボスこと固定キー機能も、この歪な殺し合いに巻き込まれていた

ゲームのラスボスである以上、これがやることはただ、ただ相手を叩き潰すこと

どっちにしろ殺すことには変わりないが、こいつには余り関係のない話。ラスボスだからこそ手は抜かない、後倒された時は潔く

車ほどの大きさで低空飛行をしながら移動する固定キー機能という目撃者からすれば意味不明かつ宇宙猫状態になる事間違いなしであるが、そんなこと関係ない

例えこの場所がラストダンジョンだろうと、殺し合いの場だろうと、相手がkid君ではなとも関係ない

それは低くながらも宙に浮く、そして移動し、獲物を見つければ殺しにかかるだろう



【固定キー機能@I wanna be the Fangame】
[状態]:残りライフ100、キーファの血痕付着、低空飛行中
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:近くにいるやつは狩る
[備考]
※一回攻撃を食らう事にライフが1ずつ減少します
※攻撃パターンはボディプレス、炎弾(単発)、炎弾(放射状三発)、色違い分身召喚(4体)となります
※分身のライフは1体につき5となっております
※ライフが半分を切ると発狂し、虹色に点滅しながら連続バウンドによるボディプレスを倒されるまで行います


218 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/14(木) 21:56:21 XT0Z5TXc0
投下終了です


219 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/14(木) 22:25:48 XT0Z5TXc0
修正
the SHIFT , CTRL , ALT , or Windows Logo key by pressing one kgy at a time.

the SHIFT , CTRL , ALT , or Windows Logo key by pressing one key at a time.


220 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:50:37 v/xTa1lY0
感想の前に先に投下します


221 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:52:02 v/xTa1lY0
ぴちゃり ぴちゃり。
降りしきる雨音とは別の、水の跳ねる音が鳴る。
公園に設置された公衆トイレ。
雨風を凌げるその一室に一組の男女の姿があった。

「はむっ...んっ...おっちゃんの大きいなあ...ワタシの胸でも入りきらへんわ」

便座に跨りその豊満なる胸を寄せ、谷間から顔を覗かせる逸物に舌を這わせ唾液を滴らせる金髪碧眼の美女。名をカチュア・ラストルグエヴァ。
日本人の乳とロシア人の母を両親に持つハーフである。

「おぉ、その調子だ。いまから貴様のおマ〇コに入るモノだ。たっぷりと味わうがいい」

下半身を曝け出し、カチュアの胸に奉仕させているこの金剛力士像に酷似したハゲ頭は金剛様。
彼岸島という島に生息する吸血鬼、その中でも特別な混血種『アマルガム』にして、吸血鬼の首領"雅"の側近の一人である。

「言っておくが口で時間稼ぎをしようなどとは思うなよ。先の遊具のようになりたくなければな」
「そんな脅さんでも大丈夫や。ワタシもおっちゃんのみたいなご立派様が好きやからなあ」

彼らがこの殺し合いという状況下において、トイレで行為に至っているのには経緯がある。
金剛は性欲を持て余していた。
崩れゆく明治屋ホテルの652号室。そこで数多の女を強姦している最中に彼は呼び出された。
流れる映像の冒頭だけで金剛の息子様は萎び、乱交を邪魔された怒りをぶつけようとするも、須賀夏美と天野陽菜が出てきてからは一転。
彼女たちを犯してやりたいと思えば、むくむくと息子様は勃ち上がり気が付けば己の手でシゴいていた。
もう少しでイケる―――その瞬間、神子柴なる老婆が現れ再び息子は萎び。しかし昂る性欲は抑えきれず。
首輪を嵌められ会場に飛ばされた彼が真っ先に求めたのは女だった。とにかく性欲を解消したかった。
ほどなくして遭遇したのがカチュアだった。
彼女が何を言うでもなく、金剛は傍にあった滑り台へととバ ァ ンと掌を叩きつけ破壊。
そのあまりの威力に腰を抜かすカチュアに金剛は「私のチンコを受け入れろ」と迫る。
断れば死、というのを理解したカチュアは金剛に従い、傍にあった公衆トイレでことに至っているのである。


222 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:52:41 v/xTa1lY0

「はっ...はっ...」

肉棒を舐めながらカチュアは思う。
この男、今まで味わってきたモノの中でも1・2を争う大きさであると。

(難波のにも勝るとも劣らん...まさかこんなとこでまたアレ並のを味わえるとは思わんかったわ)

ゴクリ、と生唾を飲み込む。かつて抱かれたヤクザの難波輝の男根の感触を思い出す。
カチュアは中学の頃に実の父に強姦され、家を出て以降、男女問わず数多の人間と身体の関係を持ってきた。俗にいうヤリマンである。
その彼女ですら初物の如く挿入に手間取り信仰心を抱きそうになったのが難波の鬼魔羅である。
金剛のソレは難波のモノに匹敵する。ならばそれに見惚れてしまうのも無理はないというものだ。

(アカン...もう股間疼いてきたわ...)
「ああチクショウ!もう辛抱たまらねえ!」

カチュアの股座が湿り気を帯びるのとほぼ同時、金剛は背中でトイレのドアを押し、カチュアの髪を乱雑に掴み乱暴に連れ出した。
反論を聞く間もなく、今後はカチュアの顔を床に押し付け倒し、己は背後から尻を掴み股座を押し付ける。

「あんな狭い個室でやってられるか!ここでぶち込んでやる!」
「ちょ、他の参加者が」

ズ ブ リ。
カチュアの制止も聞かず金剛が侵入する。
そもそも個室で事に及んでいたのは雨を凌ぐだけでなく他の参加者への警戒も兼ねてである。
その辺りは金剛にも説明し同意を得たはずなのだが、金剛はそれをすっかり忘れていた。
そんな性欲バカへの怒りをかき消すほどの快楽を齎されたカチュアはだらしなく開口し涎が垂れ、涙すら頬を伝う。

「ぁ...かん...ッ」

思考は白く染まり、言葉もしどろもどろになる。

「ガハハハハハハ!気持ちええ!女の肉の内(なか)は最高だァァァ!!」

己の金剛棒を包む温かさと絡みつくような肉圧に金剛は歓喜の叫びを挙げる。

「ガハハハハハ!!どうだ私のチンコの味はァ!!」
「ぁっ...んっ、あっ、すごっ」
「そうかそうか!ならば崇め讃えるがいい!!金剛様の男根様と言えェ!!」
「こ、金剛様の男根様ァァァァ!!!」

パンパンと打ちつける音とぐちゅぐちゅとかき回すような音。
男の歓喜の嗤い声と女の嬌声。漂う生臭く淫靡な臭い。
老若男女も利用する公衆トイレはもはやただ一組による支配空間となっていた。


223 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:53:18 v/xTa1lY0
「ガハハハハ!!気持ちええ!!超気持ちええ!!!」
「もっ、だめ」
「ガハハハハ!!マジでこの女名器だぜ!!」
「あっあっあっ」

もはや思考が彼方へとトびかけているカチュア。
そんな彼女を眺めつつ、金剛は腰を振りながらニタリと笑みを深める。

「女よ。最高の快楽とはどんな時に生まれるか知っているか?」
「はぇ?」
「こういう時だ」

金剛の掌がカチュアの頭を上から押さえつける。
そして

「あがっ!?」
「ガハハハ!めちゃくちゃ締め上げてきやがる!」

加えられる万力の如き力にカチュアの頭蓋骨は悲鳴を上げ、締まりが強くなる感覚に金剛は歓喜の叫びを挙げる。

「最高だ!マジでこの女の肉の内最高だぜ!!このまま頭蓋骨ぶっつぶしてやる!!」
「は、はなしがちが...」
「ガハハハハ!!混血種の私が人間如きの願いなぞ律義に聞く必要はないだろうが!!ましてやこれは殺し合い!!このまま最強の締まりを生んで死にやがれ!!」

徐々に、徐々に痛みを増していく頭部にカチュアの脳も危機感を取り戻し、思考を取り戻していく。

「ま、まってくれや...!あんっあっあっお願いやからあっ」
「待てねェよ!もう待てねェよ!!ああイクッ!出ちまうっ!!」

カチュアの懇願ももはや金剛には届かない。
ピンと伸ばされたカチュアの腕にも目をくれず、腰の速さは増していき、頭部に込める力も増していく。
カチュアの額からは血が流れ始め、涎と涙と血が混じった液体が床を濡らしていく。
彼女は理解する。この男がイクのと同時、己の頭は粉砕されるだろうと。

「イクぞォォォォォォォォォォォ!!!」

快楽が頂点に達し、金剛袋から灼熱の如き熱さと共にこみあげてくる。


224 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:54:10 v/xTa1lY0
『ターゲット確認』

刹那。

金剛の背後より響く声。
金剛はそれに気づかない。否。気づけたとしてももう遅い。

『エネルギーチャージ』

ソレは己に搭載されたロケットエンジンを起動させターゲットへと狙いを定めた。
頭上に聳え立つ無防備にさらされた金剛の臀部へと。

そして。

『GO・TO・HELL!!!!』

ソイツの魂の叫びと同時、金剛の臀部に未曽有の衝撃が走った。

「ハガアアアアアアアア!!!!!?」

唐突な臀部の激痛に、カチュアの頭部へと込められていた力は吹き飛び、衝撃で腰を通じて金剛の溜め込んでいたモノがカチュアへと放出される。

「アッ、来とる、あついのきとるぅぅぅぅぅ」
「ガアアアア!ガアアアアアア!!」

先ほどまでとは一転、恍惚の表情を浮かべるカチュアと悶え苦しむ金剛。
ドクドクと粘ついた液が床へと滴り落ちていく。

「はあぁ〜、気持ちええわぁ...」
「肛門があああァァァ!アナルがあああァァァ!!」
「くははっ、むき出しのアナルにはよう効くやろ」

肉棒を引き抜き、伸し掛かってくる金剛の身体から這い出る。

「キッ、貴様なにをした」

憎々し気に睨みつける視線を他所に、カチュアは金剛のデイバックを探る。
そこから見つけたナイフを取り出してからようやくカチュアは金剛へと視線をやり、ニヤリと笑みを浮かべた。



「ダイレクトカンチョー君や」


225 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:54:52 v/xTa1lY0
「カ、カンチョー...!?」

慌てて己の尻をまさぐり原因を取り除こうとする金剛。その無防備になる瞬間を彼女は見逃さなかった。
ひゅっ、と空気の音が鳴り、金剛の頸に一筋の線が走る。

「ガッ!?」
「堪忍なあ。おっちゃんのチンポ結構好きやったし、ディルドー代わりに連れて歩いてもええかなと思っとったんやけどな」

けど、と言葉を切ると同時に、息を吐くようにカチュアは金剛へと幾度もナイフを振るう。

「おっちゃんが悪いんやで?欲張ってあんなプレイするからこうするしかなかったんや」

カチュアの一振り一振りが金剛の頸を断ち、両目を断ち、的確に人体の急所を裂いていく。

カチュアはただのヤリマンではない。
彼女は実在の殺人鬼の人格を脳に刷り込まれた"メデューサ"という人工的な殺人者である。
彼女のモデルはかの殺人鬼アンドレイ・チカチーロ、別名『ロストフの赤い切裂き魔』。
彼―――チカチーロは主にナイフを使い52人もの少年少女を殺害した。
故に。
彼は、カチュアは、ナイフを使わせれば右に出る者はいないのである。

「ぐ、この程度で私を倒せると思うなァ!」

だが、金剛も、元の金剛から分離し弱体化したとはいえ腐っても吸血鬼―――それも強力な力を手に入れた混血種。
人間ならば既に瀕死となるほどの斬撃を受けても致命傷には至らず、カチュアのナイフを掴み止める。
思わぬ反撃に動きが止まるカチュアへと拳を振りぬこうとする金剛。

が、しかし。

「ぐあっ!?」

肛門の痛みとは別の、強力な痺れが身体を襲い、為すすべもなく床に倒れ込む。

「あ、あが、がが、が」

痙攣し始めた金剛に疑問を抱きつつも、カチュアは金剛のデイバックを探り説明書を取り出す。

「なになに...『ベンズナイフ、0.1mで鯨も動けなくなる毒が塗ってあります』か...いやはや、おっちゃんついてないなあ」
「ふ、ふざけ...」
「せやけど」

カチュアが仰向けに倒れる金剛へと馬乗りになり、そそり立つ棒を体内に受け入れる。

「気持ちよく逝かせたるから喜びや」


226 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:55:51 v/xTa1lY0
カチュアが腰を動かし、ナイフを身体に突き立てる度に、中に這入っているものが硬さを増し、熱を帯びていく。

「おっちゃんの言った通りやで。命ってモンは今から死ぬって時に子孫残そうと必死にガチガチになるんよなあ」
「はがっ、がっ」

ぴゅーっ

先端から液が漏れ始め、カチュアの中を侵食していく。

「あっ、また出とる、いいっ、これいいっ」

まるで命の最後の輝きだと言わんばかりに、金剛の中から液が絞り出されドクドクとカチュアに注がれる。
その度にカチュアの背筋に快感による寒気が走り、ぴくぴくと痙攣し始める。

「ぞくぞくするっ、すっ、すごいのきそうやっ」

そして、金剛に溜まっていたモノが最後まで吐き出されるのと同時。

「イっくうううう!!!」

カチュアは涙を滲ませ恍惚な表情を浮かべながら仰け反った。

「...女」

下半身から全てが抜け出て、痛みも快感も感じられぬほど脱力し、両目が斬られもうなにも見えぬ暗闇の中。
金剛は最後の力で言葉を紡ぐ。

「お前のマ〇コは...緩かったが、最高の名器だ...ぜ...」

そして、金剛の心臓は鼓動を止め―――もう彼が動くことはなかった。

「......」

ぬぽり、と身体の中から金剛を引き抜き、彼の尻からぬぽり、と抜き取る。
その手に収まるのは、カチュアに配られた支給品。彼女を救った勇者である。

カチュアの掌に収まるそれは、横長の球体に手足と4つの排気孔がくっついた奇妙な玩具のようなものだった。
カンチョー君はその名の通り、相手の臀部の付近に置けば強烈なカンチョーをお見舞いしてくれる生物だ。
金剛に頭を潰されかけた時にダメもとで放ったものだったが、効果は絶大であった。

「助かったでカンチョーく...」

恩人へと礼を言い労おうとするカチュアだが、しかし目を見開き絶句する。

「コイツ...死んどる...」

―――カンチョー君は一撃のカンチョーに己の全パワーを費やすのである。
よって人生に一度のカンチョーを終えると共に命を散らすのであった...
ああ...さらばおしりの革命児カンチョー君―――

カンチョー君と金剛の亡骸を交互に見やり、カチュアはぽつりと漏らす。

「...凄い漢たちや」




【エロ金剛@彼岸島 死亡】
【ところ天の助の尻を刺したカンチョー君@ボボボーボ・ボーボボ(カチュアの支給品) 暁に散る】


227 : 浣腸 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:57:42 v/xTa1lY0

「けぷっ、腹ぁ一杯や」

満たされた下腹部をさすりつつ、金剛から回収した首輪を眺めながら、カチュアは己の方針を考える。
見せられた映画や帆高たちのことは今は置いておく。
彼女が引っ掛かるのはこの催しそのものについてだ。

(殺し合えってのは別にええ。けど、あの婆は確かにバトルロワイアルと言った...ならこのルールはなんや?)

カチュアは理不尽に強いられる殺し合いを既に経験している身である。
故に、殺し合いそのものにはさほど忌避感を抱いていない。
だからこそ、このルールと神子柴の言葉の祖語が気になった。

(参加者がたくさんおる中で、狙うのが森嶋帆高だけでいい?そいつはバトルロワイアルやなくて狩り【ハンティング】やろ)

あの映画を見る限り、陽菜はともかく帆高の方には特殊な体質や相応の実力があるようには思えなかった。
少々攻撃的な子供、程度である。もしも先の金剛と帆高が出会えばおそらく銃を使用しても帆高に勝ち目はないだろう。
かくいう自分も彼に負ける要素はない、と考える。剣技や高い身体能力を有する巴あやや怪力のカレンではなく、直接戦闘を苦手とする自分がだ。

金剛と自分を照らし合わせれば、参加者も全員ではないにしろ戦いや殺しに秀でる者はそれなりにいるはずだ。
そんな中で帆高と【殺し合い】が成立するとは思えなかった。
いくらあの老婆が横文字に弱そうでも流石にロワイアルとハンティングを間違える方が不自然だ。
あの老婆はこれがバトルロワイアルだという余程の自負があるのだろう。


それに、終了条件の『帆高の死滅』というルールも引っ掛かる。
帆高を『殺す』のではなく『死滅させる』とわざわざ書くということは、帆高は一人ではないのではないか。
同姓同名の人間も参加しているのか、あるいは―――『森嶋帆高』が増えるのか。

「なんにせよ、帆高を殺さんと話にならんか」

『森嶋帆高を消せば皆が助かる』というこのルールは、言い換えれば『森嶋帆高は皆の生殺与奪を握っている』ということになる。
参加者は逃げたいと思っても帆高が消えなければ逃げられないが、帆高はゴールさえわかっていれば逃げられるのだ。
であれば、ひとまずは帆高を殺し、神子柴からの反応を伺うしかない。

(首輪が外れれば状況はだいぶマシになるけどなぁ)

この殺し合いでの最大の問題点はやはり主催に管理されている首輪である。
幸いにも首輪のサンプルは手に入れてある。自分はさほど機械に詳しくないが、参加者の中に機械に詳しいものがいれば解析を頼むのも一つの手かもしれない。
さっきの金剛のような男はごめん被りたいが。

(人はしっかり見極めて選ばんとなあ。ワタシもいつまで薬が効くかわからんからな)

メデューサは常時その戦闘力を発揮できるわけではない。
メデューサを生み出す羽黒の研究医が作った発火薬が無ければその本質を発揮できない。そしてその薬の効果も永続ではない。
まだ身体のダメージは消えていないが、できれば薬が切れる前に事を終えたいものだ。

「さぁて、と。ボチボチ動くとしよか」

雨に濡れてはかなわないと毛皮の帽子をデイバックに仕舞い、カチュアは雨の中へと駆け出した。


【カチュア・ラストルグエヴァ@サタノファニ】
[状態]疲労(中)、出血(小〜中)、頭部にダメージ
[装備]ケープコート
[道具]基本支給品、エロ金剛の首輪、エロ金剛の支給品(ランダム支給品0〜2)、クロロのベンズナイフ@HUNTER×HUNTER、闇皇帝編のカンチョー君@ボボボーボ・ボーボボ、三世の尻を突き刺したカンチョー君@真説ボボボーボ・ボーボボ
[行動方針]
基本方針:森嶋帆高を殺す。
0:人を見極めながら行動する。
1:メデューサになる為の発火薬も欲しいが...

※参戦時期は堂島姉妹を逃がした後です。
※メデューサの薬がいつまで続くかは他の書き手にお任せします。


228 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/15(金) 23:58:14 v/xTa1lY0
投下終了します


229 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/16(土) 00:32:00 4mf3E.Lc0
みなさま投下乙です!

>アンサイズニア
アイドル勢の流れが来てるな?一般人らしく死に怯える小糸ちゃん、そうよねそれが普通よね。
そこに合流してくれた蒔岡さん、雨にすら構わず進むその背中が頼もしいですね

> Welcome to 混沌
Zシリーズ人気ボスきた!個人的にはあのゼロ距離ヒートスマイルにやられた変態の印象が強いですがやはりボスキャラだけあって頭がかなりまわって厄介ですね。
頭のまわる変態ほど厄介なやつはいないという最大の例だと思います

>菩薩は此処に居らず
己の願い【帝都滅亡】を叶えるために帆高たちを引き合わせようとするこの男。
過激派というか己の為ではありますが、それでも味方である彼に帆高はどう反応するのかが気になります

>太陽に命届くまで
と、とんでもねえのが来ちまった...時期が時期だけにあの超破壊光線は出ないとは思いますが、単に強いだけでなく非常に狡猾なのが厄介なところ。
ただひとつ言えることはきっとこの災厄はこのバトルロワイアルをめちゃくちゃにかき回していくことになるでしょう。うしお―――!とら―――!早く来てくれー!!


230 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/16(土) 00:48:42 4mf3E.Lc0
>風の使い手
風の使い手、そのタイトルの通りに参上したヒュー。
帆高と陽菜を会わせて猶予ある数時間のうちに脱出方法を模索するというヒーローらしい方針で心強いです。
同じような方針の無惨様と出会ったら果たしてどうなるのでしょうか。

> One more time,One more song
青春のにおいがぷんぷんしますなあ!どんなに離れても距離を縮めていく帆高を応援する二人。
しかしそんな二人でもやっぱり死にたくないと片隅で思ってくれるのはなんだか一般人として安心しますね。
案外、こういう人たちの方が帆高君も信用するかも。

> 迷光
「正直に言いなよ、早く森嶋帆高を殺して欲しいって」雲雀くん、煽りよる。
それに呼応してというか、偽物のワートに対して奮起するふゆはカッコイイですね。
「みんなに愛される為に、認められる為にしてきた努力を馬鹿にすんじゃないわよ」この台詞好きです


231 : ◆qvpO8h8YTg :2021/01/17(日) 16:39:39 dGAVZXxw0
投下します


232 : パンティ&ブリーフ ◆qvpO8h8YTg :2021/01/17(日) 16:40:33 dGAVZXxw0

「嫌ああああああああああああっ!!! 来ないでッ! 来ないでくださいぃいいいいっ!」

栗色の髪を乱しながら、市街地を駆け抜ける少女の名前は、一色いろは。
総武高校に通う一年生兼、生徒会長である。
止め処なく降り続ける雨により、いろはの身体はずぶ濡れとなっているが、そんなことは今の彼女には些末なことである。

原因は彼女に迫り行く一つの人影にある。

「ぜぇ……はぁ……はぁ……。 き、君…待ちたまえ……!」

野太い声が耳に入り、いろはは焦燥に満ちた表情で背後を振り返る。

「ひいっ!?」

そこには、雨のせいか、はたまた自身が流した汗のせいか、こちらも全身ずぶ濡れで息が絶え絶えながら走る中年男性の姿があった。

最初の会場――つまりはあの「穂高」なる少年と「陽菜」なる少女を取り巻く映画を見せつけられた劇場においては、複数の参加者の気配があった。
だからこそ、こうして他の参加者と遭遇することも想定されるものではあった。

では、なぜ一色いろははこうしてパニックになりながら、男から逃走を試みているのかーー原因はその男の恰好にあった。


「わ、私は少し話をしたいだけなんだァ……!」
「来ないで、変態ッ!!!」


いろはが男に言い放った「変態」という単語――それはまさに言い得て妙。
その男は、頭から女性の下着と思わしきものを被っており、股間を隠すブリーフは肩まで極限まで伸ばしクロスさせた、奇抜な恰好でいろはに迫ってくるのである。


ただでさえ訳のわからない状況に陥って恐慌状態であったのにもかかわらず、ゲーム開始早々に、このような変質者に遭遇したいろはの精神的ショックは推し量れない。

こうして、男とバッタリと遭遇してから現在に至るまで――いろはは、雨打たれる街の中で変質者からの逃走を続けているのであった。


「ハァハァ……しつこい、ですッ!」

いろはは拒絶の反応を示しつつ懸命に逃げるが、変質者の方も負けじと追走する。

やがて、追跡者と逃走者ーー両名の体力の限界に達しようとしたとき、この逃走劇は、唐突に終止符が打たれることとなった。


「っ!!?」

路上の水溜りに足を滑らせて、いろはが盛大に転倒したのである。


233 : パンティ&ブリーフ ◆qvpO8h8YTg :2021/01/17(日) 16:41:18 dGAVZXxw0


「はぁはぁ……ようやく追いついたぞ、お嬢ちゃん……」


いろはが顔を上げると、目の前にはあのパンツを被った中年男性が佇んでいた。


「ひいぃっ!!?」
「本当は、話だけでもーーと思っていたのだが……」


男はパンツの隙間の視線から、いろはに向けてねっとりとした視線を送っている。
男の視覚が捉えているのは、雨でずぶ濡れ姿となっている少女――その制服は雨水により透けており、可愛らしいピンク色の下着が醸し出されている。

そんな官能的な光景に、男はパンツ越しからでも分かるようにニタリと下衆な笑みを浮かべると、本能的に危険を察知したのかいろはは、身震いする。


「少しだけーーほんの少しだけ……君を『味見』してみたいと思ってしまった」
「嫌ぁあああああああああああああああああああーーー!!! 誰かっ! 誰か助けてッーーー!!!」


両手を抑え込み圧し掛かろうとする男に、いろはは絶叫を上げて抵抗する。

「っ!!! こ、このっ! あ、暴れるなっ! 暴れるのは私の息子だけで十分だッ!」
「嫌ぁッ!! 放してッ! 放して下さーーっふごっ!!?」


暴れ叫ぶいろはの口元に何かが押し込まれ、彼女は声を上げることができなくなった。
嘔吐感とともに吐き出そうとするも、口元を分厚い手の甲で抑えられて、それは許されない。
いろはの口に押し込められた異物の正体――それは、男が被っていた女性の下着であった。
混乱する合間に、いろはの身体は完全に男に抑え込まれてしまう。


「ンんんんんんんんんんんっーー!!!」
「ふふふっ……雨に濡れたその卑しい身体に、今度はスペルマの雨を注いでやろう」

素顔を露わにした男は、涙目になるいろはにその顔を近づけ、耳元で囁いた。
一見人の良さそうな笑みを顔に張り付けつつ、男は、いろはの制服を脱がさんとシャツに手をかけた。

その瞬間――。

「――うっわ……」

いろはのものでもなく、男のものでもないーー第三者の声が二人の耳に入り、その場は静止した。


234 : パンティ&ブリーフ ◆qvpO8h8YTg :2021/01/17(日) 16:41:58 dGAVZXxw0

◇ ◆ ◇



神子柴と名乗る老婆に押し付けられた迷惑極まりないゲームの開始早々――助けを求める女性の声を聞きつけ、颯爽と駆け付けた正義の美女は誰でしょうか?
そう、私です。



◇ ◆ ◇



「ま、待ってくれ、君! こ、これは誤解だ!」
「誤解と言われましても…状況証拠的にクロにしか見えませんが……。 とりあえず、まずはその子から離れてもらいましょうか」


灰色の髪を靡かせる魔女イレイナは、変態感丸出しの格好の男に白い目線を送っている。
男は慌てふためきながらも、いろはの拘束を解く。
解放されたいろははというと、口に詰め込まれていた女性のパンティを吐き出して、苦しそうにゲホゲホと咳き込んでいる。

地面に吐き出されたパンティを見て、イレイナはまたしても「うわ…」と引き気味な声を上げ、厳しい眼光をアメジスト色の瞳に宿らせ、男を一瞥する。


「――それで…どうして、このような事を行ったか説明してくれますか?」
「ち、違う! これは…だな……。 そ、そうだ、お題だ! 主催者が私に割り当てたお題が『他の参加者と性行為せよ』という内容だったんだ! だから、仕方なく――」
「呆れました。さっきは誤解だと弁明していたのに、今度はその子にいかがわしいことをしようとしていたのは認めるんですね」
「ぐっ!!?」
「第一にそんな都合の良いようなお題が割り当てられてるとは思いませんが……。例えそのお題の内容が本当だったとしても、主催者からのご褒美目当てで、いたいけな少女を無理矢理襲おうだなんて感心しませんね。貴方は本当に最悪最です」
「こ、この――言わせておけば……このコスプレ女がぁッッッ!!!」

イレイナにいいように言われた男は逆上し、イレイナの元へと猛ダッシュ。
相手は所詮女――腕力で幾らでも屈服させることが出来るだろうと、男は踏んだのだろうが--。

「グバァッ!!?」
「失礼ですね、コスプレではありませんよ。私はれっきとした魔女です」

イレイナは咄嗟に自身の杖を懐から取り出し、男に向かい衝撃波を発射。
結果として、男の身体は後方へと大きく吹き飛んだ。

「ゴホッゴホッ……。 ま、まさか…本当に魔女だというのか…」
「だからそう言ってるじゃないですか。 で、どうします? 今のは大分手加減してあげた方ですけど――このまま私と戦うつもりですか?」
「くっ、クソォッ!!」

男は悔しそうな表情を浮かべ、地面に転がっているパンツを回収――それを握り締めながらイレイナ達に背を向け、走り去っていった。
何故パンツを……と呆れたままイレイナはその後ろ姿を見送り、やがてその視線を傍らで尻餅ついたままのいろはへと、向ける。


「そこの貴方、大丈夫ですか?」
「は、はい、何とか…。あ、あの、ありがとうございます!」

立ち上がりお礼を述べるいろはに、イレイナは「いえいえ」と優しい笑顔とともに会釈し、
会話を続ける。

「そうですね――さしあたり、まずは自己紹介といきましょうか」


まずは、お互いの素性を知る上でも、状況を整理する上でも情報交換をすることにした。


【イレイナ@魔女の旅旅】
[状態]:健康
[装備]:イレイナの杖
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
0 : 目の前の少女(いろは)と会話する
1 : ひと段落したら、あの老婆を懲らしめに主催本部に乗り込みますか
2:道中で穂高君を見かけたら、保護してあげましょう


【一色いろは@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくないし、こんなゲームには乗りたくない
1 : こ、怖かった…
2:まずは目の前の魔女さん?と会話する


235 : パンティ&ブリーフ ◆qvpO8h8YTg :2021/01/17(日) 16:42:27 dGAVZXxw0


「ハァハァ……」

ここは雨降りやまぬ市街地の一角にある喫茶店。
閑散とした店内で、膝をついて呼吸を整えている人影が一つ。
羽黒刑務所の「所長」こと間久部は、魔女を名乗る少女から逃走してから間もなく、この喫茶店へと行きつけ、休息をとっていた。


「ク、クソッ!!! 何故私がこんな目に!」


間久部はここに至るまでの記憶を思い返す。

あれは「第11次殺人実験」の最中であった。
所長室で尿の香りが漂う甘城千歌のパンツの匂いを楽しんでいたところ、突然目の前が真っ白になりーー次に気づいたときには、見知らぬ場所で座らされ、穂高なる少年と陽菜なる少女が出演する映画のようなものを鑑賞していた。

これも仕事の疲れによるものかと、夢見心地のまま映画をそのまま鑑賞。
作中に出てくる「天野陽菜」や「須賀夏美」を凌辱したいな、と思いながらぼんやり眺めているとーー。
あの神子柴なる老婆がでてきてーー。
そこから次に気づいたときには、雨降る市街地のど真ん中に立っていてーー。
そこで、あの女子高生に遭遇してーー。
今へと至るわけだがーー。


身体に残る雨水の冷たさと、先程の魔女による攻撃の痛みが、自身の置かれている状況が夢などではなく現実であることを悟らせる。


「これが夢ではなく、現実であるならば早急に対策を講じなければなるまい!」

本来自分は駒を操る側の人間であり、決して盤上に出て行く側の人間ではない。
したがって、ここにいてはいけない存在なのだ、とーー。
間久部は、パンティを口に含み、その味を強く噛み締めながら、自身の生存のための策謀を巡らすのであった。



【間久部@サタノファニ】
[状態]:健康、腹部ダメージ(中)
[装備]:ブリーフ一丁
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3、甘城千歌のパンツ@サタノファニ
[思考・状況]
基本方針:生存優先。何故私がこんな目に…!
1 : まずは服を探す
2:先程の少女(いろは)は、中々良い身体付きをしていたな…
※「第11次殺人実験」中からの参戦となります

【甘城千歌のパンツ@サタノファニ】
「第10次殺人実験」中に甘木千歌が履いていたパンツ。
実験中に千歌が失禁したものをそのまま回収したため、匂いが残っている。
間久部は「第11次殺人実験」中、これを被り続けていた。


236 : パンティ&ブリーフ ◆qvpO8h8YTg :2021/01/17(日) 16:42:51 dGAVZXxw0
投下終了します。


237 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:34:10 H2L.AoVw0
投下させて頂きます。


238 : 忍者とプリキュア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:35:41 H2L.AoVw0

「凄い雨だな……」

 雨の冷たい空気が肌に突き刺さる中、桃園ラブは呟く。
 一見すると、どこにでもいる普通の女子中学生である彼女だが、実は伝説の戦士プリキュアだった。
 全パラレルワールドの支配を企む管理国家ラビリンスを相手に、フレッシュプリキュアとなって戦って、本当の平和を取り戻した。幼馴染の蒼乃美希や山吹祈里、親友の東せつなと力を合わせて何度も危機を乗り越えた。
 その矢先にこんな大事件が起きてしまい、ラブば落ち込んでしまう。天真爛漫な彼女でも、この一大事では笑えるわけがない。

「イースと……せつなとぶつかり合ったあの日も、こんな大雨だったね……」

 窓ガラスにぶつかる大量の雨水を見て、ラブはひとりごちる。
 ラブの脳裏に浮かび上がるのは、今でも忘れられないあの日の出来事。かつて、せつなはラビリンスの幹部イースであり、友達のふりをしてラブに近づいていた。
 せつながイースと知って、大きなショックを受けたけど……ラブはイースと戦った。イースの悪事を、そしてせつなの目から流れる涙を止めるために。
 あの日の大雨は、まるでせつなの悲しどんな願いでも叶えると謎の老婆は口にしたけど、ラブには信じることができない。みのようだった。

「……あの帆高さんって人は、陽菜さんのことを探しているのかな?」

 いつの間にか連れてこられた劇場で公開された映画では、『森嶋帆高』と呼ばれた男の人が『天野陽菜』という女の人を取り戻す為に走っていた。
 帆高が陽菜の為、精一杯頑張る姿がたくさん映し出されていて、ラブも胸が高鳴った。自分を信じて、完璧になろうと頑張る人は応援したいし、幸せゲットできるお手伝いをしたいと思う。
 だけど、怪しいおばあさんはこの世界に集められた人達に、帆高の命を奪わせようとしていた。しかも、帆高と陽菜が再会したら、ラブを含めた大勢の人を犠牲にしようとしている。
 絶対に許せない。

「帆高さんと陽菜さん……それに、みんなが幸せゲットできるように頑張らないと!」

 ラブは自分に言い聞かせる。
 どんな願いでも叶えると謎の老婆は口にしたけど、とても信じられない。一方的に人の命を奪う程に冷酷だから、明らかに罠としか考えられなかった。
 これまで、キュアピーチとして多くの幸せを守ったように、みんなで幸せになれる方法を見つけたい。ここでも、その気持ちを変えるつもりはなかった。


239 : 忍者とプリキュア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:36:51 H2L.AoVw0

「とにかく、まずは帆高さんを探さないとね!」
 
 まずは帆高を見つけて守ることが最優先だ。
 彼が多くの人から命を狙われるなら、キュアピーチに変身する必要がある。リンクルンはこの手にあるから、どんな敵が来ても帆高を守ることができる。

「できれば、傘があるといいんだけどな……ん?」

 手元に置かれていたデイバッグのファスナーを開いた瞬間、真っ先に出てきたのはフィギュアだった。
 可愛らしいコスチュームや髪飾りを身に身に纏った女の子で、プリンセスと呼べるイメージがある。女の子はもちろん、幅広い年齢層にも高い人気がありそうだ。
 何よりも、ラブもそのフィギュアから目が離せない。初めて目にしたフィギュアなのに、強い親近感すら抱いた。
 まるで、自分自身を見ているかのようにも錯覚する。

「えーっと……プリストロベリーの激レアフィギュア。人気アニメ、フラッシュ☆プリンセスの主人公……アブちゃんの変身した姿……?」
「そ、そのフィギュアは……!」
「えっ?」

 備え付けられていた説明書を読んでいたラブの耳に、男の声が響いてくる。
 振り向いた瞬間、金髪の男の人がいつの間にか立っていた。ややつり目で、背丈もそれなりに高く、帆高とほぼ同い年に見える。
 そんな彼は、頬に汗を流しながら震えていた。

「……ぷ、プリンセスストアに朝一で並んでも手に入るかどうかわからない、鬼激レアフィギュアじゃないスか……!?」
「知っているんですか? この子のこと」
「……オレ、大ファンなんス。何があっても、己の道を突き進んでみんなのために頑張ったプリンセスが。俺だけじゃなくて、極道さん……俺の大事な友達(ダチ)も、プリオタなんスよね」
「……なら、よろしければ差し上げましょうか? そんなに大切に想っているなら、このアブちゃんって子も喜ぶと思いますし」
「マジスか!? えっ……お気持ちはありがてーんスけど、めっちゃ鬼激レアフィギュアっスよ!? たぶん、今を逃したらもう手に入らないかも……」
「レアなら、尚更ですよ! あなただけじゃなく、あなたのお友達もアブちゃんを大切にしてくれるなら、あたしだってプレゼントしたいですし!」
「……マジサンキュっス!」

 アブちゃんのフィギュアを渡した途端、男は背筋を伸ばしながら敬礼をしてくれる。
 見た目はちょっと不良みたいだけど、いい人であるのは確かだ。

「私、桃園ラブって言います! あなたは?」
「……多仲忍者。"忍者"と書いて忍者(しのは)って読むっス。ただの高校生(コーボー)っスよ」
「忍者!? カッコいいお名前ですね〜!」
「あざっス。ラブちゃんも、キュートっすよ」

 金髪の男……多仲忍者を前に、ラブは目を輝かせた。
 だけど、忍者は自分の頬をペタペタと触っている。


240 : 忍者とプリキュア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:38:12 H2L.AoVw0
「……やっぱり、笑えねー」
「えっ?」
「オレ、昔から笑うのが苦手なんス。今だって、激レアフィギュアを譲ってもらったのに、全然笑えねえ……ラブちゃんに失礼なのはわかっているのに、笑えねえんスよ」

 忍者の表情は固いが、悲しみに染まっていることはラブも察する。

「無理して笑わなくていいと思いますよ」

 だから、ラブは微笑みを向ける。

「誰だって苦手なことはありますし、無理をしたら余計に笑えなくなりますって。それに今は、こんな状況ですから」
「確かに、今はこんな訳わかんねーことになってるっスね。ラブちゃんはオレのことを警戒しねーんスか?」
「うーん、いきなり声をかけられた時は驚きましたけど……忍者さんは私を傷付けてないじゃないですか! だから、優しい人だと思っています!」

 忍者を前に、ラブは自分の気持ちを叫んだ。
 彼が悪人であれば、いつでも不意打ちを仕掛けることができた。でも、忍者はアブちゃんのフィギュアに心を躍らせていたから、優しい人のはずだ。
 忍者の手の中にいるアブちゃんは、今も元気よく笑っている。この笑顔が、忍者の支えになっているはずだから、彼を疑うことはできなかった。

「いい子なんスね、ラブちゃんは。アブちゃんみてーっス」
「そうなんですか!? いや〜! 私も、そのアブちゃんに親しみを持っちゃうんですよね! なんだか、他人の気がしなくて……」
「なら、オレのとっておきの曲を聞かせるっス!」

 忍者は懐からスマホを取り出す。
 軽やかに操作をした瞬間……

『フラッシュプリンセ〜ス!』
「わあっ!?」

 明るくて、前向きなテーマソングが流れ始める。

「これが、F(フラッシュ)☆プリンセスのOPテーマっス!」

 熱く語る多仲忍者の表情は変わらない。だけど、瞳からは純粋で真っ直ぐな輝きが放たれていると、桃園ラブは感じた。


241 : 忍者とプリキュア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:39:00 H2L.AoVw0


 ◆


 多仲忍者は忍者(にんじゃ)であり、プリオタである。
 国民的人気アニメプリンセスシリーズは全話欠かさず視聴しており、内閣総理大臣・愛多間七にプリンセス達を布教する程のプリオタだった。
 そして同時に、アコギな真似をやらかす極道(ごくどう)たちと殺し合う忍者(にんじゃ)でもある。故に、忍者にはこの殺し合いを許すことはできなかった。
 許可もなく、人に映画鑑賞を強制した挙句に、出演者の命を奪えと戯言を口にするクソババアになど従える訳がない。だが、あのババアは只者ではないことも事実だ。
 もしかしたら、極道の連中もどこかに潜んでいるかもしれない……そう思った矢先、桃園ラブという少女を見つける。
 彼女は撫子アブとは正反対で、天真爛漫で前向きな少女だ。それでいて、オタに理解がある……もう少し年齢が上だったら、オタクに優しいギャルになっているだろうか。
 だからこそ、彼女の命を奪えるわけがない。

(見ているか、ババア? オレはテメーの思い通りにはさせねえ……テメーも、汚え極道どもも、オレの手でブッ殺してやる。このオレを呼んだのが、運の尽きだと思え)

 能面のような表情の裏で、地獄の業火の如く殺意を忍者は燃やす。
 決してラブには悟られないように。彼女のようなJCは、血生臭い世界など知る必要はない。
 極道みたいな連中は帆高を殺そうとするだろう。故に、早急に帆高を保護し、彼を狙う連中を殺さなければいけない。
 ババアは帆高を殺さなければ、忍者達が死ぬと脅しをかけてきたが、関係ない。

(オレは迷わねー! ラブちゃんも、帆高も殺させねえ……そうしねーと、オレの今までが嘘になるし、極道さんもガッカリさせちまう……
 極道さんも、こうするっスよね?)

 フラッシュ☆プリンセスのOPが響く中、忍者は偉大なる友達(ダチ)である輝村極道(きむらきわみ)の優しさを思い出していた。
 彼は立派な大人だ。こんな不愛想なガキを前にしても、満面の笑みをいつも見せてくれるし、時には一緒に涙を流してくれている。
 もしも、ラブや帆高を守れなかったら、極道を失望させる。彼の期待を裏切らない為にも、迷う訳にはいかなかった。


 友達(ダチ)と信じた大人の、本当の顔を知らないまま……


「忍者さん、素敵なテーマソングですね!」
「こんなもんじゃないスよ? アブちゃんの親友にして宿命のライバル、ヒース様のキャラソンだってマジパネエっスから!」


 桃園ラブという優しい少女を守り、そしてプリンセスシリーズを布教する。
 今はまだ、笑うことができなくとも、多仲忍者の真っ直ぐな想いは変わらなかった。


242 : 忍者とプリキュア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:40:56 H2L.AoVw0

【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:みんなを守れる方法を見つけたい。
1:まずは忍者さんと話をする。
※最終回後からの参戦です。
※キュアブラック、キュアホワイトについて知っているかどうかは不明です。

【多仲忍者@忍者と極道】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、プリストロベリーの鬼激レアフィギュア@忍者と極道、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あのクソババアの思い通りにはさせない。
1:まずはラブちゃんや帆高を守り、そして二人を襲う奴らをブッ殺す。
※少なくとも、愛多間七をプリオタにした後からの参戦です。


243 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:41:15 H2L.AoVw0
以上で投下終了です。


244 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/17(日) 18:50:36 H2L.AoVw0
誤植がありましたので報告を

 あの日の大雨は、まるでせつなの悲しどんな願いでも叶えると謎の老婆は口にしたけど、ラブには信じることができない。みのようだった。

「……あの帆高さんって人は、陽菜さんのことを探しているのかな?」

 いつの間にか連れてこられた劇場で公開された映画では、『森嶋帆高』と呼ばれた男の人が『天野陽菜』という女の人を取り戻す為に走っていた。
 帆高が陽菜の為、精一杯頑張る姿がたくさん映し出されていて、ラブも胸が高鳴った。自分を信じて、完璧になろうと頑張る人は応援したいし、幸せゲットできるお手伝いをしたいと思う。
 だけど、怪しいおばあさんはこの世界に集められた人達に、帆高の命を奪わせようとしていた。しかも、帆高と陽菜が再会したら、ラブを含めた大勢の人を犠牲にしようとしている。
 絶対に許せない。



 あの日の大雨は、まるでせつなの悲しみのようだった。

「……あの帆高さんって人は、陽菜さんのことを探しているのかな?」

 この大雨が、まるで引き離された帆高と陽菜の悲しみのようだった。
 いつの間にか連れてこられた劇場で公開された映画では、『森嶋帆高』と呼ばれた男の人が『天野陽菜』という女の人を取り戻す為に走っていた。
 帆高が陽菜の為、精一杯頑張る姿がたくさん映し出されていて、ラブも胸が高鳴った。自分を信じて、完璧になろうと頑張る人は応援したいし、幸せゲットできるお手伝いをしたいと思う。
 だけど、怪しいおばあさんはこの世界に集められた人達に、帆高の命を奪わせようとしていた。しかも、帆高と陽菜が再会したら、ラブを含めた大勢の人を犠牲にしようとしている。
 絶対に許せない。どんな願いでも叶えると謎の老婆は口にしたけど、ラブには信じることができなかった。


245 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/17(日) 23:52:24 660w00kM0
投下します


246 : 揺るぎなき信念 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/17(日) 23:52:44 660w00kM0
「雨がずっと降り続けるなんて、流石に気が滅入るっちゃ仕方ないわね」

そう憂鬱そうに呟くのは、OLのような正装に身を包んだ青い髪の女性

「……でも、最初の位置がショッピングモールなのは運が良かった、のかしら?」

光が射し込むこともないこの雨雲の下、最初の位置が施設の内部というだけでも利点である。しかもそこがショッピングモールであるなら尚更だ

「……っと、あったあった」

傍ら、視線に入ったのは一本の青い傘。それを手に持ち、デイバッグにしまう
永遠の雨曇の世界の中、雨を凌ぎながら移動するという手段は特に重要であり、余計な消耗を減らせるだけでも十分な代物だ

「………」

だが、彼女の中にはこのロワを開いた神子柴なる老婆と、あの映画の二人に襲いかかった『理不尽』に対し怒りを覚えていた


彼女の名前は陸島文香。―――然してその正体は『A(エース)』の一員。本名――上野まり子

彼女――いや、彼女たちは終わらせたはずだった。あの悪夢のような『ゲーム』を
だが、つかの間の幸せを謳歌していた最中、彼女はこの舞台に再び呼び出されたのだ

ただ呼び出されただけならばまだ良かったのかもしれない。問題はルールの根幹

【ゲームの終了方法】
①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
②『森嶋帆高』が陽菜と出会ったら数時間後にエリア全体が浸水し、『森嶋帆高』と陽菜を除く魚人のような溺死しない種族も含めて全員死亡する。
③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。

「……流石に悪趣味過ぎるわよ……ッ!」

抑えきれぬ怒りの余り無意識に拳を握り締める
老婆が見せた映像の意図、そしてあの二人を根幹においた悪趣味どころか反吐が出るようなルール
参加者に突きつけられるのは二種の選択。――二人を絆を取るか、参加者たちの命を取るか

これでは本当に生贄だ。愛し合った二人を引き裂く醜悪で下劣で吐き気を催すような邪悪だ。確かに森嶋帆高の行動には客観的な面で見れば無鉄砲な部分もあるであろう。だが、それを踏まえても二人を引き裂くあの老婆の企みが許せずにいた
――かつて『ゲーム』で恋した男が自分を守るため死んでいった経験がある、上野まり子からすれば
最も、過激派の暴走が原因で『ゲーム』の主催関係者の娘を、何も知らない少女を巻き込んだ結果になってしまった組織の一員に属している彼女が言えた立場でもないのであるが

「……ふぅ」

滾りそうな怒りを冷やし、落ち着くこうとする。こうも大規模な事をしでかせる連中だ
まずあの『ゲーム』の主催陣とはやることの規模が違いすぎる。おそらくは運よく組織の救援が来たとしても逆に返り討ちに合う可能性が高い
なにせ相手は『神』の存在を持ち出して来た上、あのような異形まで持ち出してきたのだから。別に神様の存在を全肯定する気はないが、――おそらくそれ相応の準備をしてきたとも思える

「――何にせよ、まずは彼と、この首輪をどうにかしないには何も好転しないわね」

懸念すべきは森嶋帆高の事だ。おそらく彼の事だろうから真っ先に天野陽奈を助けに行く可能性が高い。邪魔をすることになるのは気が引けるが、一旦は森嶋帆高が天野陽奈に出会わないようにするため、彼を捕獲することだ
勿論、天野陽奈をそのままにしておくわけではない。首輪の解除方法の確立と会場からの脱出の手段が整い次第、森嶋帆高と共に天野陽奈の元へと向かい、彼女を救出するつもりでもある

「せっかくのショッピングモールだし、何かしら使えそうなのを物色しに―――……」


247 : 揺るぎなき信念 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/17(日) 23:53:05 660w00kM0
ガタッ、と足音がした。誰の足音かは知らないが、まずここに『自分以外の誰か』がいる事だけは確か

「……ねぇ、誰かいるの? 安心して、私はあなたを襲ったりはしないわ」

などと常套句を言ってみるも、反応はなし。流石に言い方が明らかにあからさますぎた、とは内心思ってはいたが

「……まあ、そう簡単にはいかないわよね」

もしも、相手が相手だった場合に備えて武器の類をポケットにしまう。支給品の一つとして入っていたスタンガン。少々心もとない所もあるが、なるべく傷付けずに無力化する手段としては十分

「……こっちかしら」

足音がした方へと向かう。音の方面はショッピングセンターの正面フロア。広い間取りではあるがその分遮蔽物が少なく、銃撃戦となれば不利。最悪の想定も考え、なるべく物陰に隠れながら移動する

「……」

まだ人の気配は感じられない。静寂が彼女の肌にこびり付き、緊張を生む
もし、足音の主が殺し合いに乗っているとしたのなら――

「……っ!」

カランという音と共に、隣で何かが転がっていた

「……発煙弾!?」

気付いた時には既に遅い。発煙弾から白い煙が噴出、まり子の周囲の視界を遮る
白に包まれた視界で、聞こえる自分以外の足音

「……なるべく穏便に済ませたかったんだけど」

そっちがやる気ならば仕方ないと、スタンガンを構える。視界が利かないのはあっちも同じ条件のはず
すぐさま攻撃を仕掛けてこないところを見ると、霧が晴れるのを待っているか、そもそも銃を持っていないか。―――ともあれ、対象を見つけ無力化。話はその後だ

霧の中に影が見えた。動きを見る限り自身を探している用に見える。チャンスだと思い、足音を殺しながら近づく

「……!?」

気付かれずに近づくことに集中してしまったのか、何かに足が引っかかって思わず地面に転んでしまう
気がつけば糸のようなのが柱と地面を繋ぐように結ばれていた。あの煙の中だ、細い糸程度ならそれだけでも煙によって隠されてしまう

「……一体、何事かしら」

迂闊だったと後悔する暇を彼女に与えず、その影はそう吐き捨てながらもこちら側に近づいてくる
白いブレザーを着た赤い髪の少女。―――その姿を、上野まり子は知っていた。知っていたが故に、呆気にとられた表情のまま固まっていた

「………悠奈、さん?」
「……? え、あたしの事、知ってる……?」

悠奈と呼ばれた女性は唐突な名前呼びに一瞬沈黙。更に悠奈からすれば目の前の女性が自分を知っている理由がわからず、しかもその女性は何かに感極まったのか涙が溢れる始末

「ちょ、ちょっとっ!?」
「ご、ごめんなさい。つい、嬉しくて………その……」
「というよりも本当に誰なの!? どうして私の名前を……」

慌てていた。彼女からすれば、見ず知らずの相手が自分の名前を知っていて、かつ突然泣き出したとなれば当然である
そんな悠奈を見たのか少しだけくすりと笑い、改めて

「……お久しぶりですね悠奈さん。上田まり子よ……今は色々あって陸島文香って名乗ってるんだけどね」
「……えっ。まり子って……えええええええっっっ!?」

改めて、自分の名を名乗った上野まり子に対し、悠奈の思考が一度停止した後、脇目も振らず叫んでしまったのであった


248 : 揺るぎなき信念 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/17(日) 23:53:31 660w00kM0
○ ○ ○

時と場所が移り、モール内のある店舗の一角
というのも、先の件での悠奈の大声の事もあり一先ず物資確保も兼ねた移動の結果
悠奈曰く、偶然にもショッピングモールを歩いていた際に発煙弾の煙を見かけ、偶然駆けつけた結果とのことで、発煙弾の元凶のことも含めて移動したのだ

店内を物色しながら、陸島文香は旧知との会話を弾ませていた

「ほんっと、驚いたわ。まさかまり子だったなんて。ていうかだいぶ変わったわね」
「……あれから十年もしたら、誰だって変わっちゃうわよ」
「……10年、か」

10年前――陸島文香が、まだ上野まり子だった頃の話。運命の分岐点となったあのゲーム
秩序を重んじ、融通の利かなかった上野まり子が変わるきっかけとなった出来事だ
あれから、全てが変わった。悪意にまみれた『ゲーム』を一致団結し、犠牲が出ながらも抜け出すことが出来た
脱出後、非合法組織であり『ゲーム』を破壊しようと立ち上がった『エース』に拾われ、海外への逃亡生活を続け、10年の月日の果てに、上層部の暴走を止める名目で陸島文香はある殺し合いに潜入した
その殺し合いを打ち破った上で、陸島文香――上野まり子は今でも生きている

「私が死んだ後、色々あったようね」
「まぁね」
「……修平やみんなは?」
「今も戦ってるわ……つい最近、やっと、運営の首魁達のしっぽを掴んで、捕まえることが出来たんだけど」
「………そう」

悠奈の複雑そうな表情が、文香の目に燦然と映る。元々自分たちはそういう人生を歩む必要はなかったのだ
おそらくゲームの主催が縄について、これ以上起こるであろう悲劇が止められた喜びと、本来なら背負わせる必要なかった者たちに重荷を背負わせてしまった事への後ろめたさも、また彼女の中にあったのだろう

「……悠奈さんが気にする必要はないわ。修平くんや、私を含めたみんなが決めた道だから。だから気に病まないで」
「………」
「なーにしょげかえった表情してるのよっ。そりゃ誰だって落ち込みたい時はあるだろうけどさ。そもそも修平くんに託したのは悠奈さんなんだし。責任取らずに勝手にうじうじされたらおねーさん困っちゃうわ」
「……変わったっていうよりも、変わりすぎじゃないのまり子」
「にひひっ。でも私は悠奈さんが変わってくれなくて嬉しいのよ?」

悠奈を元気づけようとあからさまなお姉さん的セリフを呟いたまり子に、呆れ果てながらも返答する悠奈
そんな悠奈に対してまり子はまさにドヤる感じで笑顔を浮かべた

「……でも、少し気分が楽になったわ。ありがとね。……さてと」

そうまり子に礼を言いながらも、自分らしくなかったと振り返り気分を入れ替える

「……これからどうするか、だけど。どっちにしろ、まずやることは決まってるわね」
「その様子だと、悠奈さんも同じ?」
「ええ。―――まずは」

「「森嶋帆高の身柄の保護」」

最優先事項は森嶋帆高の保護。良くも悪くもこのゲームの鍵を握るのは彼の存在
穏健方針の参加者と一緒にいるならそれでいい。だが危険人物等に身柄を捕縛されたなら面倒なことになるし、帆高が天野陽奈の所まで辿り着いたなら会場が水に沈んであの二人以外全員溺死だ
だから彼をまずなんとかしないといけない。同時進行で別の準備をするにしてもだ


理不尽に屈せず、理不尽に曝された人たちを救うため。彼女たちは再び立ち上がる

その揺るぎなき信念を胸に、未だ見えぬ未来を手にするため



【陸島文香@シークレットゲーム -KILLER QUEEN-】
[状態]:健康
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いを止める
1:森嶋帆高の保護
2:首輪解除及び脱出手段の確立
[補足]
※参戦時期はDルート終了後

【藤堂悠奈@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いを止める
1:森嶋帆高の保護
2:首輪解除及び脱出手段の確立
[補足]
※参戦時期はDルート死亡後


249 : 揺るぎなき信念 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/17(日) 23:55:04 660w00kM0
○ ○ ○


「くそっ、あのカンの良いアマめ!」

誰もいなくなったエントランスホールで、一人の男が苛立ちながら吐き捨てる
あの発煙弾と、店で手に入れた糸で作ったトラップを仕掛けた元凶はこの男であり、自分の足音を聞いてやってきた文香を物陰からライフルで仕留めようとしたのだが、藤堂悠奈という予想外の乱入者の結果、自身の安全を最優先し一旦距離をとったのだ

「……まあいい。殺せるやつは他にもいるからな」

この男は生粋の邪悪だ。混乱に陥った世界にて、それに便乗し悪事を働く。元より人を銃で撃ちたいと思っている最悪の吐き気を催す邪悪である
だが、この男にとってこの殺し合いは絶好の催しでもあった。あのガキ一人さえ殺せれば願いが叶えられる。男の夢など簡単にかなえることが出来るのだ。それはそれとしてこの殺し合いが公認された舞台。まさに男にとっての楽園でも会った

「……あのクソガキを殺して、俺は億万長者になってやるぜ!」

男は嗤う。そのドス黒い欲望を抱えたまま。そのルールの裏に潜むものに気付かぬまま


【ライフル銃の男@ドラゴンボールZ】
[状態]:健康
[装備]:ライフル@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品一式、発煙弾三発入り(残り二発)、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高を殺して夢を叶える
1:せっかくだから殺せるだけ人は殺す
[補遺]
※参戦時期は魔人ブウと出会う前です


250 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/17(日) 23:55:16 660w00kM0
投下終了します


251 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/18(月) 22:51:39 LHjQqfao0
>誰かのための勉強
一般人3人のやり取りが和みますね。子供とお姉さんとの束の間の平和。
なんならこの子たちはロワ関係なくこのまま平和に過ごしてもいいかもしれないですね

>アサヒィスゥパァドゥルァァァァイ
俺に...どうしろというのだ...!タイトルを二度見しちゃいましたが見間違えじゃなかったようです。
てかこんなゲームがあるんだ、知らなかったです。

>Acacia
従来のロワとは違い、明確な対主催とマーダーという区分が薄いので利害が一致すれば組みやすいのが特徴ですね。
果たして別れた二人は再び再開できるのか。また気づかれなかったもう一人も犠牲なく帰還を叶えることができるのだろうか

> この世界で最強なのは自分ただ一人
タイトルの通り、最強は自分だけでいいというエゴイスト。ルールを逆手に取り帆高を囮にして参加者集めるのは驚異的ですね。
言動や薔薇を自分に見立てるところからナルシストっぷりが存分に発揮されてる


252 : キズナ・愛 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/18(月) 22:56:38 LHjQqfao0
身体が崩れ朽ちていく。

己を殺した者には適わぬ、ならばせめてと手を伸ばした先に倒れ伏していた弱者は、傷ついた身で尚、家族を庇うように被さっていた。

そんな背中を見て思い出す。

かつて自分にもあった『絆(つながり)』を。犯した罪を共に背負って死のうとまでしてくれた愛情を。

その繋がりを己の手で断ち切ってしまったことを。

倒れ伏した身体に、陽の光のような優しい手を乗せられて、己の犯した罪を自覚する。

そして、もうかつてあった絆には永劫に届かないと諦めたその時。

信じられないものを見た。

突如放り込まれた謎の空間に思わず目を瞬かせる。

次いで、斬られたはずの己の頭部と身体が元に戻っていることに気がつく。

なぜ。どうやって。いつの間に。

なにがなんだかわからないが、とりあえず用意されていた椅子に座ると、突如、白の幕に妙な頭部の男たちが能にも似た舞を踊り狂う。

確か、あのお方がほんの少しだけ聞かせてくれたことがあった。『映画』。何枚ものフィルムを使うことで動く写真を作り作品として成り立たせるものだ。

初めて見るソレに特に感動は無かった。でも、見せられたソレは違った。

ふとしたことで出会った少年が、日常を通じて少女と惹かれ合っていき。少年は少女を護るために全てに抗おうとした。

大人も。知人も。神様も。

自分たち以外の全てを敵に回してでも、少年は必死に少女を救おうとしていた。

その無垢な愛情を。決して諦めない背中を。彼らの間に確かにある絆を目の当たりにした俺は―――感動で震えた。


253 : キズナ・愛 ◆j7coLoRPl6 :2021/01/18(月) 22:57:33 LHjQqfao0



雨の中、傘も差さずに曇天の空を見上げる少年が一人。

「......」

先の光景は夢か現か。それすらも断じられぬほどに不可解な状況だった。
映画を途中で切られたかと思えば老婆に殺し合えと言われ、また別の場所に送り飛ばされて。
なにより殺し合いに生き残るルールが先ほどの映画の人物を殺せという妙なもので。

「...どうでもいい。興味がない」

生への執着などもはやなかった。
既に、欲した絆は戻らないと悟ってしまったし、頸を斬られ殺された時も死自体への恐怖もなかった。
もしこの場であの主催者に首輪を爆発させられても「そうかこれで終わりか」と済ませてしまうだろう。

けれど。
けれど、生への執着の代わりに得たものはあった。

「...あいつらは家族じゃない。なのに、なんであんなに戦える」

映画で流された『絆』。例え全てを敵に回しても守ろうとする本物の『絆』。
少年はあの絆が羨ましかった。眩しかった。
敵対していた少年たちや自分の両親のように、家族ですらない者があそこまで頑張っていたことに感動し打ち震えた。

「どうしてあの子は護ってもらえる。どうして想って貰える。僕とあの子の何が違うんだ」

同時に、あそこまで想いを寄せられる天野陽菜が疎ましかった。
あの娘も、己の欲で天候を操り、消えなければ降り続く雨であの都市を水に沈め多大な損害を生む存在だ。
人を食う鬼を悪鬼と見るのなら、存在が不特定多数の他者を害する彼女も悪鬼そのものだ。
なのに彼女は愛された。『森嶋帆高』から、世界を敵に回しても救いたいほど想われた。

自分は違った。
両親との絆はあった。けれど、彼のように共に生きるのではなく、鬼となった自分を殺した後に自分を死ぬという心中だった。
鬼となった自分をああも想ってくれる人は誰もいなかった。

「...僕にはもう手に入らない絆」

わかっている。彼女は自分とは違い罪を重ねなかった。
彼女たちの欲は人の為になってはいたがそれ自体が害を為すことはなかった。
だから自分には絆を紡ぐ資格がないのだと。

「...欲しい」

だからこそ。

「きみの絆が欲しいよ、天野陽菜」

だからこそ、汚れなき絆を欲さずにはいられなかった。

彼らの絆と自分の絆を比較して思う。いや、思わずにはいられなかった。

どうして父さんは彼のように最後まで頑張ってくれなかったんだろう。
どうして母さんは彼のように手を引いて逃げ出してくれなかったんだろう。
例え自分が人食いの鬼でも、力が及ばずとも、帆高のように全てを敵に回してでも一緒に生きてほしかった。
私たちだけはあなたの味方だと励ましてほしかった。人食いが悪であるなら一緒に人を食わなくていい方法を探してほしかった―――と。


両親が悪くないのはわかっている。
けれど、彼らとの間に在った絆は、自分が欲しかった絆ではなかった。
血のつながりが無くともあそこまで必死に守ろうとしてくれる帆高との絆こそが、自分の欲したものなのだろう。

だから少年は望む。
自分もあの絆が欲しいと。家族以上に、『森嶋帆高』にとっての『天野陽菜』になりたいと。

その為に必要なのはこの"お題"だ。
帆高を殺した後に制限時間以内に主催本部へ留まるというこのお題。
帆高は一度死ななければならないが、それはこの褒美で解消してもらえばいい。

「帆高...きみならくれる筈だ...僕の欲しい『絆』を...!」

誰もいない曇り空に少年は手を伸ばす。

頸を斬られ。最期に温もりを与えられ。過去を思い出し。
しかし冥府への道を奪われた少年には、もうかつての『絆』たちの声など届いてはいなかった。


【累@鬼滅の刃】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜3
[行動方針]
基本方針:本物の絆を手に入れる。
0:帆高を殺し、お題をこなして願いを手に入れる権利を得て帆高を蘇らせ自分が『天野陽菜』となる。
1:太陽の問題は後回し。

参戦時期は家族との一件を思い出した直後です


254 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/18(月) 23:14:49 LHjQqfao0
投下終了です


255 : ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:41:15 PO.Vby2g0
投下します


256 : ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:42:07 PO.Vby2g0

―――例え、世界の全てが雨色に溶けても







一人の少年がしとしとと、雨の街を歩いていた。
白い軍服に頭に巻かれた純白のターバン。青いタイツに同じく青いハイヒールを履いた少年。
小学生程のあどけない顔立ち、しかしその瞳は精悍でかつ冷静だった。
ともすれば、冷淡にすら映る程に。

(……さて、どうするかな)

一言で言ってしまえば、少年は招かれた殺し合いに興味がなかった。
分身はともかく、彼自身は無辜の命を奪ってまで敢えて叶えたいと思う願いなど持ち合わせていなかった。
加えて、自分の生にも、存在の継続にもそこまで執着はなかった。

何故なら―――少年、キャプテン・ネモは人類史に刻まれた英霊(サーヴァント)なのだから。
所詮は歴史の影法師。このバトルロワイアルで命を落としても、座に還るだけだ。
もっとも、ネモと海神トリトンを掛け合わせて召喚されたこの霊基で帰ることのできる保証が無いのを考えると、やはりこの場における死は存在の消滅と同義と言えるのかもしれない。
例えそうだとしても、今を生きる者達の命を奪ってまで永らえようとは思えないが。

(でも、『モリシマホダカ』を敢えて助けようとも思えないな)

この会場に連れてこられるまでに見せられた天気の子における森嶋帆高は、ネモにとって好感の持てる人間ではなかった。
メンダコの様に無力で愚昧で、フカの様に周りを顧みない。
ノーチラス号のクルーとしては、この上なく不適合だ。絶対に船に乗せたくはない人種だ。
まぁ、何処までも天野陽菜を求める姿勢だけは評価に値するかもしれないが、それだけだ。
命の危険を冒してまで二人を再会させる価値があるとは思えない。
それが船長(キャプテン)としてのネモの結論だった。

(…まぁ、あえて妨害する程不快だった訳でもないし…本当にどうするかな
いっそこのまま、全てが終わるまで適当な場所で待っていようか)

協力する気は起きないが、あえて妨害する気もない。
シオン・エルトラム・ソカリスやカルデアからの召喚という訳でもないのに、自分が幻霊として召喚された事への興味はあるが、殺し合いに参加する程の動機にはなり得ない。
だからいっそ、世界の意思が帆高を選ぶのか、それともあの御子柴という老婆を選ぶのか、見物しようと考えたのだが……


257 : ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:43:04 PO.Vby2g0

「ッ!?」


その時の事だった。
彼の目の前に、女の子が降ってきたのは。


少女と目が合う。
腰ほどまである長い黒髪に、緑のワンピース。そして、虚の様に黒く染まった瞳。
目の前にあるビルから飛び降りたのか、あと3秒ほどで、その全ては地面にぶちまけられ、赤く染まる事になるだろう。


「あぁ、もうッ!!」


気づけば、ネモは走っていた。
殺し合いなどどうでもいい。十秒前まではそう思っていたというのに。
それでも、目の前で人が死のうとしていれば、走らずにはいられなかった。
二十メートルほどの距離だ。後2秒では間に合わないだろう。
人間ならば。
しかしネモはサーヴァントだ。


「マリーンズ出撃!!」


指を指向し、号令を発する。
すると彼の前方に、救命用ボートを操る、水兵服を着た彼の分身が現れる。


「「「「あいさーッ!キャプテン!!」」」」


船長の号令に彼の分身、ネモ・マリーンズ達は高らかに答えた。
陸では多少スピードは落ちるが、雨の降りしきりる街だ、水には事欠かない。
すいすいとにボートは目にも止まらない速度で地面を進み、少女の落下地点(ネモ・ポイント)へと馳せ参じる。
そして――彼の分身が四人がかりで受け止めた。

「ナイスキャッチー!!」
「ボクら凄くない!?」
「今日のランチにはプリンつけてもらおうよプリン!」
「ベーカリーにお願いだー!!」

「はいはい、君たちは最高のサブマリナーだよ。報酬はベーカリーにね」


少女を降ろしわぁわぁと騒ぎ立てるマリーンズをネモは指を一度鳴らして消す。
ずっと呼び出したままでは騒がしいし、魔力の浪費となるからだ。
興奮の冷めやらない様子のマリーンズが消えるのを確認しながら、少女の方へと向き直る。

「キミ、怪我はない?
取り敢えず、何で空から降ってきたのか教えてくれるかな」

まぁ大方殺し合いに絶望して投身自殺を図った。そんなところだろう。
ともあれ助けてしまった以上、事情ぐらいは聴いておこうか。
そんな考えから、少女へと問いかける。
少女は答えない。返答は沈黙で、無言のままに立ち上がる。
そして、うわ言の様に一言漏らした。

「……でよ」
「なに?聞こえないよ」
「―――何で、邪魔するのよ!!このゲロカス!!!」

「……は?」

バキッ!!
そんな音と共に、端正なネモの頬に拳が突き刺さっていた。
一言で言うなら、命を助けた少女に、ぶん殴られていた。
それこそが―――キャプテン・ネモと、古手梨花の出会いだった。






258 : ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:43:35 PO.Vby2g0


殺し合いなんてどうでもよかった。
その言葉に何かを想うには、私の心は既に摩耗しきっていた。
全てがどうでもいい。自分の非力さなんて、嫌というほど知っている。
園崎詩音一人に勝てないのに、子供の私がどうやって殺し合いに優勝しろというのだ。

今は唯、全てを終わらせたかった。もう、これ以上苦しみたくなんてなかった。
だから、あと一回死ねば時を巻き戻すのを辞め、百年の魔女の歴史に幕を引こう。
そう思っていたのに。もう負けでいいと、思っていたのに。
私は雛見沢ではない知らない街…きっと東京に連れてこられていた。
それだけなら喜ぶべき事だったかもしれない。
首に爆弾付きの首輪を嵌められて、殺し合いをしろと命じられていなければ。

あはは…アハハハハハハハ!!
きっとあの御子柴という老婆は私に死ねと言っているんだろう。
なら、お望み通り死んでやろうじゃないか。
不幸な事に…いや、幸いなことに此処は屋上なのだから。
もううんざりだ。仲間が仲間を殺すのも。仲間が狂うのも。仲間に殺されるのも。
羽入もいなくなって……赤坂や圭一にまで!!
衝動のままに、柵を乗り越えて。私は虚空へ身を躍らせる、そして堕ちていく。

これで、やっと終われる。
そう思い、瞼を閉じて。
どうか、もう目を覚ましませんようにと願う。
そして、最後に思っていたことを口にする。



「―――死にたくない」



けれど、何時まで経っても慣れてしまった全てが終わる感覚はやってこず。
私は、少年の腕の中にいた。
此方の顔を覗き込んでくる瞳に、どうやらこの少年に受け止められたという事を察して。
けれど、浮かんできた感情は感謝ではなく、怒りだった。
何故、どうして邪魔をするの。
森嶋帆高も天野陽菜も私にはどうでもいい。
再会するにしても死ぬしても勝手にやっていればいい。私を巻き込むな!

怒りのままに私は少年をぶん殴った。
けれど彼は小動もせず、静かに私の腕を掴んで下ろす。
彼からしてみれば、恩を仇で返された形になるのに、怒ってはいないようだった。

「…ボクはキミと話がしたい。事情を聞かせてほしいんだ」

……ッ!
薄い蒼の瞳が、ずっと私を捉えて離さない。
腕もだ。私とそう変わらない線の細さの少年の力は、大石よりも強く思えた。


「……教えてあげない。どうせ信じない。頭のおかしい女だって、思うだけだわ」


は百年の魔女の声で、そう伝える。
だってそうでしょう?
私は昭和五十八年の雛見沢で死に続けていて、惨劇が起きるたびに時間を巻き戻しているだなんて。
一度は乗り越えた惨劇の日々を、もう一度歩まされているだなんて!
我ながら気の触れた世迷言だとしか思えない。
話したところで、誰も信じない。圭一たち部活メンバーにだって全容は話したことのない事実だ。
それを、今会ったばかりの、見ず知らずの他人などに教えられるわけがない。

「……信じるよ。ボクは。船乗りは意外と信心深い性質(タチ)だし、それに―――」

けれど、少年は私の拒絶に動じなかった。
何処までも真っすぐに、私の瞳を見つめて、そして彼は言う。

「―――ボクも、普通なら信じられないような存在ではあるしね」

彼が私にそう告げて指を鳴らすのと同時に、地面が盛り上がり始める。
何かが、私たち二人の地面から出ようとしている。
揺れる足元に立っているのも覚束ない。そんな私を彼は優しくエスコートするように抱き寄せる。
そして、地下から現れたのは…一隻の船だった。
黒い鋼鉄製の材質に、数十メートルはある長い船体。船体から伸びたハッチ。所謂潜水艦というモノだろうか。
その威容に圧倒される私を見て、彼は誇示する様に悪戯っぽく微笑み、そしてもう一度尋ねた。

「さて…今度は君の事を教えてほしいな」


259 : ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:44:05 PO.Vby2g0




最初はぽつりぽつりと。途中からは堰を切った様に。
古手梨花という少女は自らの事をボクに話してくれた。
話をする彼女は顔は、声は、まるで咎人の様に痛々しく苦渋に満ちた物だった。
口をはさむ余地など、あるはずもない。
時折頷くことはしたが、ボクは最後まで黙って彼女の話を聞いた。

「私が話せるのはこれで全部よ。どうだった?頭のおかしい子だと思ったかしら」
「……いいや、思わないさ。信じるよ、君の語った事の全てを」

ずっと仲間が惨劇を起こす運命にとらわれていた事。
その出口のない惨劇の袋小路を、一度は乗り越えた事。
それなのにまた出口のない惨劇の夜に取り込まれてしまった事。
彼女はその全てを語ってくれた。
語り口は自分を魔女だと思わせたいのか、大仰な物だったけれど。
声は余りにも痛々しく、悲痛に震えていた。


「それで?アンタは私の事を聞いてどうするの?私を助けてくれる?
それとも……殺してくれるかしら」

語り終わると、彼女はボクに尋ねてくる。
その表情は今にも泣き出しそうで、縋るような視線だ。
さて、どうしたものかな。
どうやら彼女も森嶋帆高と天野陽菜の事はどうでもよいと思ってるらしい。
…いや、願いを叶えるという言葉にも耳を傾ける余裕がない程、疲弊しきってるという事か。

それでは例え手を差し伸べる選択をした所で無駄だろう。
伸ばした手を振り払われてお終いだ。
彼女はそもそも助かろうとしていないのだから。
だから、このままボクが見捨てれば、また彼女は屋上に上って…

あぁ、クソ。
どうやらマスターの向こう見ずな所がボクにも少し感染ったらしい。
今のボクははぐれサーヴァントらしいというのに。困ったものだ。
ボクがこの選択をするのを見越していたとしたら、彼女の近くにボクを配置したあの御子柴という老婆は大したものだ。
ウミヘビの様に狡猾と言えるだろう。
ともあれ、腹は決まった。海の男は即断即決でなくてはならない。

「……うん、君の望むとおりにしてあげる
キミの邪魔をしたのはボクだ。だから責任を持つよ」

ボクの言葉に彼女の肩がビクリと震える。
魔力で作ったペーパーボックスピストルを向けると、どこか自嘲する様な笑みを浮かべて。
けれど、それだけで恐怖は無い様子だった。
…やはり慣れてしまっているらしい。

「…眼、閉じてなよ。大丈夫、痛くはしないから」
「自分を殺そうとしてる相手に宥められるなんて、ゾっとしない話ね」

皮肉を吐きつつも、彼女は素直に瞼を閉じた。
さて、ここからが勝負だ。
ボクはデイパックから支給されていた一本の腕を取り出す。
かつては何某かについていたであろう腕。けれどボクが用があるのはそこについている紋様だ。
ボクは少女の腕を取り、もう片方の手で模様が刻まれた腕を取る。
そして、魔力を奔らせた。

「……?」

少女が訝し気な顔をして、瞼を開く。
撃ち殺されると思っていた所に手を取られ、奇妙な感覚が奔ったのだから無理もないだろう。
彼女の手に刻まれた物の正体。それは三画の令呪。
つまり―――

「約束は必ず守る。けど今じゃない。
その前に、君にはボクに協力してもらうよ、梨花」

そう、彼女は、古手梨花は。
ボクの三代目のマスターとなった。


260 : ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:44:30 PO.Vby2g0




「……嘘つき」
「嘘はついてないさ。約束は必ず守る。
その令呪がある限り、ボクは君の望みを必ず叶えるよ。この街を一緒に出てからね」

そう言って、彼は、キャプテン・ネモは再び悪戯っぽく微笑んだ。
何でも彼はサーヴァントという、歴史に刻まれた英雄らしい。
そして、サーヴァントは自身の力をすべて発揮することはできず、誰かの力を借りる必要があるんだとか。
荒唐無稽な話だったが、羽入の存在を想えばすんなりと受け入れられた。
彼女が消えてしまったのも、私との繋がりが途切れてしまったからのだろうか…
まぁ、今となっては考えても仕方のない話だ。

とにかく、彼は私と同じでこの殺し合いにさほど興味がないが、だからと言って死ぬのはシャクらしい。
だから、首輪をどうにかして、彼の持っている船でどうにか脱出しようとしているらしい。
そのために、私の力が必要という事だ。

「……気軽に言うけど。この街から逃げ出すなんて、本当にできるの」
「できるよ。首輪を解析したらの話ではあるけど…ノーチラスは全能神ゼウスとだって渡り合った船だ。必ず、ボクたちの行きたいところへ届けてくれる」
「みー…それで、これからどうするのです?」
「そうだね、とりあえずは鳥居の近辺を目指そうか。モリシマホダカも、他の参加者もそこを目指すはずだ。そこで協力者や解析に使えそうな首輪の入手を目指す。そして…」
「そして?」
「あの御子柴という老婆の言ってた、願いを叶える力を僕たちが奪取するのさ」

冷静に、途方もない計画を語るネモの顔を、私は冷めた顔で見つめた。
希望を持つと、裏切られた時がつらくなる。
私はそれをいやというほど知っている。
けれど、ネモの言葉を振り払うほどの気力も、私にはなかった。
彼が後で必ず、苦しむことなく私を終わらせてくれる。そう約束したのもあるけど…
根底の所では、羽入の様な全てを打ち明けた繋がりに、私は飢えていたのだ。

泣いても笑っても、これが最後の勝負となる。
どんな結末になるしても、百年の魔女の旅路の果てを静かに受けれよう。
そう決めると彼の前に立ち、雨に打たれながら私たちは契約を交わす。
雨に濡れながら向き合う私達はまるで…さっき見た天気の子の二人の様だと、ふと、思った。

「ボクを殺すと言った責任だけは…ちゃんと取ってもらうのですよ…にぱー」


261 : ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:44:49 PO.Vby2g0




令呪の事は、今は教えなかった。
何故なら、今の彼女が令呪の使い方を知れば自分を殺す様命じかねないからだ。
かれど、彼女は心の奥底では本当は生きたがっている。
魔力パスを繋ぐ際、一瞬だがその感情がボクの所にも流れ込んできた。
ただ、それを願うには彼女は傷つきすぎている。

許せなかった。
自分の様なサーヴァントだけでなく、こんなボロボロの少女まで殺し合わせようとするあの御子柴という老婆が。
始めてこのバトルロワイアルという催しに、感情がある種の指向性をもった瞬間だった。

結局の所。
彼女を虐げ嘲笑うような惨劇の袋小路も。このバトルロワイアルも。
キャプテン・ネモには我慢ならなかったのだ。
彼女に、残酷な運命と戦う術を、与えてあげたかった。
一度は惨劇を乗り越えた強さを、彼女に取り戻してもらいたかった。
だから、ただ彼女を守護するのではなく、共に抗う道を選択した。
決して勝ちえぬ非力な彼女と共に、待ち受ける波濤を共に乗り越える。
そして、絶望の深海より浮上し、彼女のあるべき未来へと送り届ける。
その完遂のためならば、天にて今も雨降らす神にさえ弓を引こう。

紡いだ絆は殺伐としていて、甘酸っぱいボーイミーツガールには程遠い。
しかしやるべき事は鮮明で、不撓不屈の意思はこの胸に。ならば後は導くのみ。
彼女が凪いだ海の底で、迷わないように。



―――さぁ、抜錨の時間だ。


【古手梨花@ひぐらしのなく頃に業】
[状態]ヤケクソ、ネモと契約
[装備]令呪(三画)
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜3
[行動方針]
基本方針:取り敢えずネモの方針に従う
0:もし、脱出できそうになければ、ネモに殺してもらう。
1:鳥居のあるエリアを目指す。

※第十五話終了直後より参戦です。

【キャプテン・ネモ@Fate/Grand Order】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:脱出し、願いを叶える力を主催から奪取する方法を探る。
0:梨花を護衛しつつ、首輪の解析に取り組む。
1:帆高を捜索しながら、鳥居のあるエリアを目指す。
※マスター不在でロワ会場に現界しました。


262 : ◆imEX.9elQs :2021/01/18(月) 23:45:13 PO.Vby2g0
投下終了です


263 : ◆2zEnKfaCDc :2021/01/19(火) 14:51:47 t31kteJc0
投下します。


264 : There is…… ◆2zEnKfaCDc :2021/01/19(火) 14:52:36 t31kteJc0
『司令を与える。』

ㅤ彼は或る国で暗躍する暗殺者である。

ㅤターゲットからの信頼を勝ち取る話術。ターゲットの背後から忍び寄り、即座に殺害する実力。必要とあらば精密機械をも暗殺の道具とする技術力。その何もかもが一流の暗殺術を備えている。そんな彼がこの地に呼ばれる直前、彼にはひとつの司令が通達されていた。

『司令地でお前がすべきことはただひとつ。その場の人間を殲滅し、敵国の計画を台無しにしろ。具体的な場所は追って連絡する。』

ㅤ司令の内容は皆殺し。しかしその司令の続報を待たず、彼はこの殺し合いの地に送られた。そのため、本来の司令地であった宇宙船へと出向くことなく、この地で命令されたバトル・ロワイアルこそ具体的な司令内容であると誤解したのだった。

ㅤ下された命令――その場の人間の殲滅。現に司令地と思われる場所に飛ばされた以上、彼はその命令に従うのみ。

ㅤそして人間を殲滅するのであれば、最も効率の良い方法を彼は知っている――O2<酸素>を奪えば、人は生存できない。観せられた映画の通り、森嶋帆高と天野陽菜を出会わせれば、大雨によってこの会場は水に沈み、最も効率よくミッションは達成される。

ㅤしかし、それは当然ながら自らの命をも捨てる選択だ。それでも彼は迷わない。暗殺技術だけではない、彼の真骨頂。それは、司令の遂行のためには自らの命すら躊躇わず差し出せること。この任務によって国に貢献できる利権のためならば、生への執着など、もはや彼には無かった。

『To Code Name:Impostor.』


【Impostor@Among Us】
[状態]:健康
[装備]:赤い宇宙船服
[道具]:基本支給品、パプニカのナイフ@ドラゴンクエスト ダイの大冒険、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:『森嶋帆高』と天野陽菜を出会わせ、参加者を殲滅する。
1 :動きやすいよう、『森嶋帆高』と天野陽菜を出会わせまいとする参加者のフリをする。
2 : 『森嶋帆高』と天野陽菜を出会わせまいとする参加者を暗殺する。

【支給品紹介】

【パプニカのナイフ@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
<太陽>を司る赤い宝石が嵌め込まれた、パプニカ王国に伝わるナイフ。


265 : ◆2zEnKfaCDc :2021/01/19(火) 14:53:12 t31kteJc0
投下終了します。


266 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/19(火) 19:20:12 cMHryuxQ0
投下します


267 : 雨の中、傘を差さずに踊る人間がいてもいい。 ◆7PJBZrstcc :2021/01/19(火) 19:21:32 cMHryuxQ0
 バトルロワイアルの会場で、一人の男が怒っている。
 彼の名前はケンシロウ。
 邪知暴虐のケンシロウは決意した。必ずあの老婆、神子柴に裁きを下してやると。

 空から降る雨を飲みながら、神子柴への怒りに燃えるケンシロウ。
 彼としては、この雨が永劫降り続く状況は歓喜するところだった。
 なぜなら彼がいた世界は世紀末。僅かな水の為に女子供であろうと容赦なく死ぬ過酷な世界である。
 このケンシロウも例外ではなく、水と女、それから食料の為ならどんな悪逆非道も成す男だ。
 しかしここに居れば水不足には絶対ならないという。
 それはケンシロウにとって望むところであった。

 だが神子柴は世界に晴れをもたらせと言う。
 ケンシロウから見て、そんな非道は絶対に許せない。
 本音を言うなら、森嶋帆高と天野陽菜の恋物語などどうでもいい。
 というか、子供は嫌いなくらいである。一緒に行動しているリンやバットに対し、失せろと言うのは日常茶飯事だ。
 それでも、水の為なら二人を会わせてやろうと気持ちはあった。

 こうしてケンシロウは、森嶋帆高と天野陽菜の二人に同情したとかではなく、ものすごく個人的な理由で二人をめぐり合わせることにした。


 ところで、ここまでこの話を読んだ方はとても違和感を覚えていることだろう。
 ケンシロウはこんな水のことしか考えない悪逆非道な男ではないと思うはずだ。
 慈愛に満ち、強敵(とも)を思い、外道は許さぬ男だと認識しているはずだ。
 だがそれは北斗の拳本編の話。ここにいるケンシロウは違う。

 彼は『真・世紀末死あたぁ伝説』が出展のケンシロウである。
 故に場合によっては「み、水……それをよこせ。それも一台や二台ではない……全部だ!」と水を求めるし、
 彼の中で三人の兄はトキ、ジャッカル、バイクのエンジン音だし、ユダは兄貴ィと叫ぶしサウザーはすぐに矢を放つ。


 それはそれとして、ケンシロウがあてもなく水を飲みながら東京を彷徨っていると、目の前に怪物が現れた。
 どこか南国を思わせる体と、頭には河童を思わせる雨傘のようなものがある。
 こいつの名前はルンパッパ、ケンシロウとは別の世界にいるポケモンと呼ばれるものの一種である。

 ルンパッパは怒っていた。
 こいつはオーレ地方というところで活動する悪の組織、シャドーの幹部の内一人、ミラーボに従っているポケモンである。
 それなのに気づけばよく分からない映画を見せられ、誰か知らない人間に殺しあえと言われているのだ。

 ルンパッパに限らずトレーナーのいるポケモンは人間の言葉を理解できるが、それに対しどう思うかはそいつ次第。
 故にこいつは殺し合いなど知ったことか、さっさと主であるミラーボの元へ帰ると決めた。

 そして殺し合いの会場に降り立った直後、デイバッグの中から何か木の実の香りがしたので、とりあえず取り出して手に持つ。
 するといきなり、雨の水をちょこちょこ飲みながら歩く男の姿が見えた。

 その瞬間、ルンパッパはケンシロウに対しすり寄っていた。
 ルンパッパはケンシロウに対し、水を嬉しそうに飲む姿と、彼から感じる主に似た悪のオーラにシンパシーを感じたのだ。
 人間と行動を共にしていれば、野生ポケモンとして狙われることもないだろうという打算もあった。
 一方ケンシロウは、邪魔にならないのならどうでもいいとばかりに勝手に進んでいく。

 こうして一人と一匹は、特に何も言ってないのに行動を共にすることとなった。

 だが彼らは知らない。
 ケンシロウはこの会場にいること自体に今の所不満はない一方、ルンパッパはさっさと脱出したくて仕方ないことを。
 これがどう影響するのか、それは誰にも分からない。


268 : 雨の中、傘を差さずに踊る人間がいてもいい。 ◆7PJBZrstcc :2021/01/19(火) 19:21:59 cMHryuxQ0
【ケンシロウ@真・世紀末死あたぁ伝説】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:水の為、森嶋帆高と天野陽菜を会わせる
1:老婆(神子柴)め……地獄の底まで追い詰めてやる
2:怪物(ルンパッパ)はどうでもいい

※参戦時期は不明です。
※他の北斗勢が参戦している場合、真・世紀末死あたぁ伝説のキャラとして認識します。

【ルンパッパ@ポケモンコロシアム】
[状態]:健康、怒り、ケンシロウに対してシンパシー
[装備]:オボンの実@ポケットモンスターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:ミラーボの元へ帰る
1:とりあえずケンシロウについて行く
2:あの人間(神子柴)は許さない
3:雨は心地良い

※参戦時期はミラーボがボトムコロシアムにいる頃です。
※レベルは64、特性はすいすい、性別は♂、覚えている技はあまごい、ハイドロポンプ、ギガドレイン、しぜんのちからです。
※ミラーボ@ポケモンコロシアムorポケモンXD 闇の旋風ダークルギア以外の人間に従う気はありません。
ただし、ルンパッパ自身の判断で参加者と行動を共にすることはあります。
※ピーピーマックスはルンパッパ自身では使えません。他の参加者の手が必要です。


【オボンの実@ポケットモンスターシリーズ】
ルンパッパに支給。
持たせておくとHPが二分の一になった時食べ、HPの四分の一回復する。


269 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/19(火) 19:22:25 cMHryuxQ0
投下終了です


270 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:07:56 3dRd61TI0
投下します。


271 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:09:38 3dRd61TI0

 大切な人達がいた。
 彼女達と一緒に、夢を追いかけたいと願っていた。みんなと一緒に幸せになれるのであれば、どんなことだってしてあげたかった。
 いつまでも、アルストロメリアのみんなで夢と幸せを追いかけることができる。そんな暖かくて優しい夢を見ていられると思っていた。
 いつだって、どんな時だろうと。




 大崎甘奈が瞼を開けた瞬間、自分がソファーに寝かされていることに気付き、体を起こした。
 ぼんやりとした意識で、周りを見渡す。そこは家族の憩いの場とも呼べそうなリビングであり、テーブルやTVなどの家具が規則正しく設置されていた。だけど、誰かが住んでいた気配は感じられず、独特の生活臭も漂ってこない。
 どうして、甘奈がこんな所にいるのか? 微かな疑問と共に、丸いウォールミラーを目にした瞬間、自分の姿に目を見開く。
 いつの間にか、付けられていた銀色の首輪。映画館で繰り広げられた惨劇。リビングに置かれている謎のデイバッグ。
 そして、謎の老婆から突き付けられた、殺し合い。悪夢が脳裏に蘇り、甘奈は震えながら蹲る。

 殺し。

 たった三文字の言葉が、どうしようもなく恐ろしい。
 これまでの人生では全く縁がなかったはずなのに、いきなり自分に迫ってきた言葉が怖い。
 あの見知らぬ女の人が命を奪われた直後、どうすればいいのかわからなくなった。

――...これよりそなたらにはバトルロワイアルに参加してもらう

 そして、老婆の笑い声が頭の中で再生された。
 怖い。体が震えてしまう。瞳から涙が滲み出てきた。
 だけど、同時に甜花ちゃんの笑顔が、そしてアルストロメリアとして過ごした日々も脳裏に過る。

 不意に、甘奈は傍らに放置されていたデイバッグを見つめ、手に取った。





「ふふっ、なんだか面白そうなゲームだね……」

 真紅のジャケットと黒いシャツに身を包んだ金髪の青年、キングは鼻を鳴らす。
 ビルの頂上を歩く度に、コンクリートが音を鳴らした。もちろん、ビルから拝借した傘もさした上で。
 要するに、これはバトルファイトの一種だろう。アンデッドたちが己の種族の存亡を賭けて戦ったように、集められた参加者達で殺し合いをする。
 シンプルかつ愉快なゲームだが、招待状もなしに強制されては気分が悪くなる。しかも拒否権はなく、逆らえば首輪を爆発させられるおまけつき。
 どうせなら、僕をゲームマスターにしてくれればいいのに、という淡々とした思考が芽生えた。


272 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:10:48 3dRd61TI0
「まあ、いいや……どんなルールだろうと、この僕が全部めちゃくちゃにしてやるんだから」

 狡猾な笑みを浮かべながらキングは呟く。
 老婆のことは気に入らないけど、このゲーム自体は面白そうだ。あの老婆の反応を見る限り、仮面ライダーのような正義の味方気取りの奴らが大勢いるはずだ。また、帆高のような弱い人間も。
 弱い人間を徹底的に追い詰めるのも面白そうだし、正義の味方を絶望させてやるための駒にしてやるのも一興だ。どんなご高説を掲げようとも、この首輪がある限り、死の恐怖から逃れることは誰にもできない。
 殺戮の祭を楽しみながら、ゲームをクリアする。クリアすればどんな報酬でも得られるようなので、似たようなゲームを開催してやろう。正義の味方と弱い人間が苦しむ、恐怖と絶望のデスゲームを。

「それじゃあ、まずは相手を探さないと…………っ!?」

 キングは足を進めようとした瞬間。風を切り裂く射撃音が響き、右側に己の身を守る堅牢な盾・ソリッドシールドが展開される。だが、空気を震わせるほどの轟音と共に、ソリッドシールドに亀裂が走り、衝撃はキングの体にまで届いた。

「ギャアッ!?」

 唐突な振動に悲鳴をあげて、キングは尻餅をついてしまう。
 そして、キングは見た。天に輝く太陽を背にしながら、威風堂々と見下ろしてくる人影を。その眩さに目がくらみ、視界が揺れる。

「……貴様は我を見るに値せぬ」

 聞き覚えのない声と共に、人影の周りがより大きく歪んだ。
 その瞳に込められた殺意と憤怒を前に、キングは大きく震える。そして、反射的にコーカサスビートルアンデッドに変身するが、その一瞬でソリッドシールドが破壊された。

「うげぇっ!」

 発せられるのはコーカサスの惨めな声。
 ソリッドシールドが砕かれた途端、彼の左脇腹が無惨にも抉られて、2メートルに届くであろう巨体が揺れてしまった。
 何が起きたのか? それを理解することもないまま、無我夢中でサイコキネシスを発動させようと腕を振るうが、突如として固まってしまう。
 見ると、右腕に大量の鎖が絡み付いていた。どこからともなく伸びた鎖は、コーカサスの動きを止めている。

「こ、こんなもの……!」

 例え頑丈な鎖でも、カテゴリーキングに位置するコーカサスの腕力ならば千切れるはず。だが、コーカサスにはそんな刹那の時間すら与えられない。
 次の瞬間、稲妻の如く衝撃と轟音が頭部に襲いかかり、大きく伸びた一本角が無惨にへし折られてしまった。

「うぎゃああああああああああっ!?」
「耳障りだ、雑種が」

 コーカサスの悲鳴に対する答えは、冷たい宣言。
 激痛に悶えるコーカサスの首に、何かが食らいつき、重量感に溢れる巨体が易々と持ち上げられた。並の装甲を遥かに凌駕する耐久力を持つ骨格が、ミシミシと音を鳴らす。

「ぐ、げぇっ……!」

 肉が潰れるような醜い声を挙げた途端、コーカサスはようやく敵の正体を目にした。
 全てが黄金色に輝いている。その身体を包む甲冑も、針山のように逆立つ髮も、片腕で握り締めた斧も、何よりも目に見えないオーラも……圧倒的な黄金で、コーカサスの金がメッキに見えるほど。
 唯一、瞳だけが灼熱の輝きを秘めていて、コーカサスですらも震え上がるほどの激情が感じられた。


273 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:11:58 3dRd61TI0
「フン、よりにもよってこのような鼻紙の相手をする羽目になるとは……どこまでも我を愚弄するか!?」

 男の怒りはあまりにも一方的で、あのジョーカーに対する殺意は凄まじく、そして締め上げているコーカサスなどまるで意に介していなかった。
 だが、コーカサスの首を鷲掴みにし、宙吊りにする男の筋力は計り知れず、不死の存在であるアンデッドすらも死の恐怖を抱いてしまう。
 圧倒的な悪意と、与えられた激痛によって意識が朦朧とするが……
 
「このようなナメクジ……いや、ミジンコはおろか鼻紙一枚の価値すら持たない目障りな汚物を我に近づかせ、あまつさえ触れさせてしまう不敬! 魚の餌のミミズの方がまだ有益だ!
 我を徹底的に苛立たせた罪、死をもってしても償えると思うな!」

 次の瞬間、男の侮蔑が鼓膜を刺激し、コーカサスの意識が覚醒した。
 こいつは今、なんと言ったのか? 一番強いキングに向かって、ナメクジやミジンコどころか、鼻紙にも劣ると言い放ったのか?
 許せるはずがなく、コーカサスの怒りが燃え上がった。

「ふ、ふざけるな……僕を……!」
「誰の許しを得て、我に口を利いている!? この鼻紙如きが!」

 だが、コーカサスの言葉は、圧倒的な憤怒によって遮られた。ぶおん、と豪快な音と共に金色の巨体は放り出され、顔面から派手に叩きつけられる。
「ぐびっ!」という悲鳴は、地面を転がる音に遮られてしまい、コーカサスは壁に激突した。
 だが、コーカサスはよろめきながらも立ち上がる。激痛はするも、舐められたままでいることは耐え難かった。

「僕は一番強いんだ……僕はキングなんだ! 君みたいな奴に、負けるはずが……!」
「ハッ! 鼻紙風情が何を粋がっている?
 この我に減らず口を叩き続け、なおも不快な声を放ち続けるとは……その報いを受けるがいい!」

 男の叫びによって空気がピリピリと振動し、コーカサスは固唾を呑みながら構える。
 この男は強敵だ。油断をしたら一瞬で負けてしまうし、仮面ライダー達はおろか他のカテゴリーキングすらも上回る実力を持っている。恐らく、ジョーカーとも互角に渡り合うはずだ。
 空気の重みが増していく中、コーカサスは睨み付ける。黄金の男……人類最古の英雄王と崇められたギルガメッシュを。





 かつ、かつ、かつ。軽快な足音が響き渡るが、音を奏でる甘奈の表情は重苦しいまま。
 ざー、ざー、ざー。天から降り注ぐ雨粒が傘にぶつかって、心地いいリズムを刻んでいるが、甘奈は真っすぐに走っている。
 彼女はただ無事を願っていた。見知らぬ街のどこかにいるであろう甜花ちゃんと、また会いたかった。
 いつもなら、洋服や身体が濡れないように気を付けるが、今はそんな余裕などない。甜花ちゃんが命の危機に陥っていると考えたら、不安でいっぱいになる。
 デイバッグを担ぎながらの疾走だけど、日頃のレッスンで人一倍の体力はあるから気にならない。
 ただ、不安を拭い去るために走っていた。


274 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:12:46 3dRd61TI0

 ――な、なーちゃん……!

 映画が終わり、ようやく身体が自由になった瞬間、甘奈は見つけてしまう。
 世界でたった一人しかいない大好きなお姉ちゃん……甜花ちゃんの姿を。声が、甘奈の耳に強く焼き付いていた。

 ――て、甜花ちゃん!? 甘奈はここにいるよ、甜花ちゃんっ!!
 ――な、なーちゃん!? なーちゃんっ!?
 ――甜花ちゃんッ!

 あの惨劇や、老婆の言葉などお構いなしに、甜花ちゃんの元に走る。
 必死に伸ばした手が甜花ちゃんに辿り着こうとした瞬間……意識が消えてしまった。




 何もかもが、虚構のようだった。
 これがただの悪夢であればどれだけよかったか。しかし、首から伝わってくる冷たい感触が、現実を肯定している。惨劇の後では、自分たちの命が脅かされていることを思い知らされた。
 いつもは明るくて前向きな甜花でも、今が呑気でいられる状況ではないと理解できる。そして、救いのヒーローと呼べる人が現れてこないことも、本能が叫んでいた。


 ただ、甜花ちゃんを見つけたかった。
 アイドルとして活躍するために体力をつけたけど、首輪の爆発に耐えられるわけがない。ましてや、悪い人に狙われたりしたら、甜花ちゃんが殺されてしまうかもしれない。
 そんなのは絶対に嫌だった。


 デイバッグの中には、野球で使う金属バットや見知らぬ剣が入っている。これらで人を殺せと、老婆は言いたいはずだ。あまりにも一方的で不条理だが、じっとしていられない。
 甜花ちゃんがどこにいるのかさっぱりわからない。苛立ちと焦り、そして不安で頭の中が飲み込まれてしまい、無我夢中で走るだけ。


 やがて、甘奈の視界には川が飛び込んできた。
 荒れ果てた天気のせいか、濁った川の流れも非常に荒れていて、甘奈の心は更に荒んでいく。
 ただ、迷子のように、落ち着かない様子で辺りを見渡すことしかできなかった。






 コーカサスビートルアンデッドはギルガメッシュに惨敗した。
 いや、惨敗という結果すら甘く、初めから勝負にすらなっていない。ここで繰り広げられていたのは戦闘ではなく、拷問または蹂躙に見えるだろう。
 カテゴリーキングと称されたとは思えないほどに弱り切っていて、今も徹底的にいたぶられていた。

「う、ぐ、えっ! あっががががが、ががあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!」

 コーカサスから発せられるのは聞くも無残な絶叫。いや、もはや悲鳴でしかない。
 アンデッドたちから畏怖されて、仮面ライダーの脅威とされていたコーカサスが絶叫するなど、彼を知るものからすれば到底信じられないだろう。
 クモの巣に囚われた蝶のように拘束されて、一方的になぶられながら泣き叫ぶ怪人が、コーカサスであることを。


275 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:13:28 3dRd61TI0

「ぐげっ、ぐぎっ、ぐ、ぎゃあああがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁあぁああああっ!?」

 ギリギリギリギリギリギリ、と音を鳴らしながらどこからともなく飛び出した無数の鎖がコーカサスを締め上げていく。
 英雄王ギルガメッシュが誇る宝具・天の鎖。神をも縛り付ける鎖であり、相手の神性が高ければ高いほど、その拘束力は増していく性質を持つ。
 コーカサスは決して神などではなく、むしろドブネズミにも劣る汚物なため、神性など欠片も持っているわけがない。だが、コーカサスとて並のエネミーを凌駕するほどの力を持っていることを、ギルガメッシュはその眼力で見抜いていた。
 気に喰わないが、下手な小細工をされては面倒なので、天の鎖で拘束しながら王の財宝を用いてダメージを与えることにする。結果、10秒もかからずにコーカサスは負けてしまった。
 王の財宝で外骨格を容易く貫き、傷口を天の鎖で縛りあげて、コーカサスの肉体を確実に拘束していた。

「あああああががががが、がぎゃあああああああああああっ! が、が、が、がああああああああああっ!?」
「フン、何とも醜い……しかし、ここまでされてもまだ千切れぬとは」

 コーカサスの悲鳴と、無数の宝具でコーカサスの肉体が抉られていく中、ギルガメッシュは呟く。
 ただの鼻紙レベルの相手かと思いきや、ここまで追い詰めても未だに肉体を保っている。鼻紙よりも簡単に千切れなければ、コーカサス自体に何らかのスキルを持っている可能性がある。例えるなら、どんなダメージを与えようとも生存できる『不死』の肉体だろう。
 それとも、単純に頑丈なだけか?

「も、もう、やめ……ああぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」

 しかし、どちらにしても目障りな汚物だ。
 奴の『不死』がこの場でも適応される可能性は低い。痛めつければいずれ死ぬだろうが、それは別にギルガメッシュの役割ではない。
 これ以上、このような戯れで王の宝を汚されるのも気分が悪い。故に、ギルガメッシュは天の鎖を納め、解放されるコーカサスの首を掴んだ。

「な、なに……が……?」

 何も理解した様子もないまま、呆けたようにコーカサスは呟いた瞬間、戦闘で荒れたビルの屋上を眺める。
 そして……

「うっ……うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ギルガメッシュはコーカサスを勢いよく放り投げた。
 ビルの屋上から転落していくが、まるで興味が持てない。この高さならば転落死は避けられないだろうが、実にどうでもよかった。
 たった今まで痛めつけた怪人など、まるで始めから存在しなかったかのように、ギルガメッシュは辺りを見渡す。

「俺を手駒として扱い、あまつさえ無知蒙昧の雑種ども同等に見下ろすとは。
 どうやら、我とて油断をし過ぎたようだが……」

 ただ、ギルガメッシュは老婆への怒りを燃やしている。
 この英雄王を、あろうことかまるで存在しないものとして扱い、あまつさえ首輪を付けて殺し合いとやらに巻き込んだ。認められるわけがなく、その顔を叩き割ろうとした矢先、この世界に放り込まれてしまう。
 どうやら、老婆は一筋縄ではいかない相手のようだが、だからといって屈する選択などあり得ない。目障りな雑種は叩き潰すが、殺し合いなどを認める気はなかった。
 まずは情報収集と共に、老婆を屠る方法を思案しなければいけない。無論、目障りな雑種は捻り潰すが。

「ホダカ? と言ったか……? 貴様は我を失望させるなら、我は容赦しない……だが、精々足掻くがいい」

 そして、どこかにいるであろう帆高という人間に、ほんの一瞬だけ想いを寄せて。
英雄王ギルガメッシュの新たなる戦いが始まった。

【ギルガメッシュ@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、魔力消耗(小)
[装備]:王の財宝@Fate/Grand Order、天の鎖@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜6(ギルガメッシュ、キング)
[思考・状況]
基本方針:我を愚弄した老婆を許さない。
1:まずは情報収集。
2:ホダカについては保留。


276 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:14:29 3dRd61TI0






 ビルから転落しながらも、生きていた。
 満身創痍にされてしまい、死の恐怖に囚われたまま逃げ出して、地面に落ちてしまった。激突の衝撃でコーカサスの変身が解除され、人間の姿に戻ってしまうが……彼は生きていた。
 キングという名前も、カテゴリーキングとしての強さを背負った誇りもなく、また殺し合いに対する興奮もない。衣服もボロ切れ同然となっていたが、生きている喜びだけを噛みしめていた。
 芋虫のように地を這っていて、自然界に放り込まれたら10分も生き延びれないほど、弱々しい姿だ。
 羽や足をもがれ、角をへし折られたカブトムシの運命は決まっている。

 だけど、そんなことなど微塵も思わない彼は、足音を聞き取る。
 顔を上げた途端、一人の少女と目があった。視界がぼやけているせいで、顔はあまり見えない。

「ひどいケガだね」

 彼女の言葉は至極当然だ。
 普通の人間なら、傷を負っている誰かを見たら心配する。もちろん、人の不幸は蜜の味、という諺があるように、誰かの悲劇を遠くから眺めて笑う奴もいる。
 普段なら、不幸をエンターテイメントとして楽しむ立場だ。でも、今は少女の存在が救いだった。

「た、す……」

 だから、救いを求めて腕を伸ばす。
 彼女なら僕を助けてくれると、一縷の希望にしがみついて。

 バゴン。

 答えは、鈍い音と衝撃だけ。
 何が起きたのか理解できないまま、腕が地面に叩きつけられた。

「あがっ!?」

 固い何かで叩かれた痛みで、悲鳴を漏らす。引きずられるように、顔面から地面に激突して、口の中で血の味が広がった。

 ドガン。

「ひぎっ!?」

 殴られた音と共に、悲鳴と混ざった血が吐き出される。


277 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:15:53 3dRd61TI0

 ズガン。

「ぶびっ!?」

 殴られて、出血が激しくなる。

 ドガン。

「ふげっ!?」

 ズシン。

「いぎっ!?」

 バギン。

「あぎっ!?」

 ボゴッ。

「ぐびぇっ!?」

 何度も、何度も殴られてしまい、その度に叫ぶ。
 少女の細い腕が振るわれて、細いけれど固い鉄の棒によって、彼は殴られ続ける。腕が振るわれる度に、彼の体は地面に叩きつけられてしまう。
 時折、打ち所が悪く、眼球が潰された。歯も折られてしまい、爪も砕け散る。



 彼は忘れてしまっていた。善人ばかりではなく、誰かを蹴落とそうとする人間がいることを。呆れたことに、今まで多くの人間を陥れた報いが来たとは微塵も考えない。
 自分の行いに対する後悔や、またどうすればこの場を切り抜けられるのかを思考する余裕すらなく、ただ嬲られるしかなかった。これまで、彼が蔑んできた弱者たちのように。
 誰かに手を差し伸べず、挙句の果てに助けを求める姿を笑い続けた彼を救うヒーローなどいるわけがない。
 悪の怪人に変身するどころか、力を発揮する暇すらも与えられなかった。ごく稀にヒーローの変身を待たずに攻撃する敵もいるが、敵の変身を待つ一般人ばかりとも限らない。勇気を振り絞り、生身で敵に立ち向かう市民がいるように、少女から殴られ続けていた。
 もっとも、現れた少女は彼を悪の怪人とは知っているわけがない。
 ただ、一人の少女が瀕死の男をなぶる光景がそこにあった。



 何度目になるのかわからない殴打の後、少女の手がようやく止まる。
 ぜえぜえと息を切らせていて、彼女も体力の限界が訪れていそうだった。
 しかし、助かったと安堵できるわけがない。痛みで意識が朦朧して、逃亡はおろか命乞いすらできなかった。

「…………こっちにすれば、よかった」

 淡々とした少女の声が聞こえてくる。
 そして見てしまった。鉄の棒の代わりに、どこからか剣らしき物を取り出して、掲げている少女の姿を。
 その意味を一瞬で理解するも、身体が動くわけがない。震えることすらできず、自分に訪れる『死』を予想していた。
 やめて、と叫ぼうとした瞬間、喉に剣が突き刺された。


278 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:20:35 3dRd61TI0

「…………びゅ!」

 そんな意味の分からない悲鳴と共に、視界がブラックアウトする。自分の首が両断される光景を眺めないのは、果たして幸運だったのか。
 彼はもう動くことはない。きっと、この戦いに巻き込まれなければ、始めからこんな結末を迎えなかっただろう。
 普段の彼なら、少女を遊び道具にしていただろうが、完全に立場が逆転している。いや、少女からすれば彼は遊び道具ですらなく、踏み潰せる幼虫程度の脅威ですらない。

「簡単に切れた……」

 少女の口からそんな言葉が紡がれていくのを聞いて、ようやく気付いた。ああ、僕はこんな簡単に殺されてしまうのだと。
 殺し合いが始まってから彼が死ぬまでの時間は5分にも満たない。誰にも名前を知られず、またその死を惜しむ人物もいない。
 所詮、彼はただの踏み台に過ぎなかった。



【キング@仮面ライダー剣 死亡】
※死亡後、しばらく時間が経過すればラウズカードになるかもしれません。








 殺した。
 大怪我をして、助けを求めていた男の人の命を奪った。
 恐怖と罪悪感で、大崎甘奈は大きく震えてしまった。だけど、同時に覚悟も決まる。
 殺し合いに巻き込まれてしまった甜花ちゃんを救うため、森嶋帆高を殺さなければいけなかった。いざという時に迷わない為、瀕死の男を殺すことに決めた。

 助けることができればそれに越したことはなかった。
 でも、理想論を掲げている間に、甜花ちゃんがこの男の人みたいに殺されるのは嫌だった。
 甜花ちゃんが殺されるくらいなら、甘奈が悪者になって、森嶋帆高を殺す方がよっぽどマシだった。
 最初は鉄の棒で命を奪おうとしたけど、これでは時間がかかる。だから、苦しまないように剣で喉を突き刺してやった。
 そして、自分の心ごと見知らぬ男を殺した。殺人ではなく、鼻紙を捨てるのと同じだと自分に言い聞かせながら。

「手が汚れちゃった」

 既にこの両手は血で汚れている。
 雨で洗い流すことができなければ、もう後戻りができないことを甘奈は実感する。
 それに、あの森嶋帆高も殺さなければいけない以上、のんきに構えていられなかった。雨と血でずぶ濡れになったけど、もうどうでもいい。


279 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:21:45 3dRd61TI0

「……もう、甘奈はアルストロメリアではいられないね」

 そう口にした瞬間、胸が締め付けられてしまい。甘奈の瞳から涙が零れ落ちる。
 こんな汚れた手を甜花ちゃんに見せられない。彼女の綺麗な体を、血に染まった手で汚したくなかった。
 こんな甘奈の姿なんて、甜花ちゃんに見せられない……だけど、甜花ちゃんのことだって見つけたい。そんな矛盾に苦しむものの、すぐに振り払った。

「それでも、甘奈はがんばるよ……甜花ちゃんを助けられるなら」

 大崎甘奈は歩く。
 大切な甜花ちゃんを守るために、たった一人で罪を背負うことを誓って。
 間違えて、そして傷ついたりするのは甘奈だけでいい。そう決意する大崎甘奈の瞳から滲み出る涙は、雨に流されてしまった。


【大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、ずぶ濡れ
[装備]:金属バット、剣or刀系の武器(詳細不明)@?????
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:甜花ちゃんを守るため、森嶋帆高を殺す。
1:もう、アルストロメリアではいられないや……
2:甜花ちゃんのことも見つけないと……








 大崎甘奈が去ってから数分後。
 男の惨殺死体を目の当たりにした少女が一人……大崎甘奈の双子の姉である大崎甜花だった。

「ひっ、ひぃっ……!? し、死んでる……!?」

 名も知らぬ男の命を奪ったのが、双子の妹である甘奈であるとは夢にも思わないまま、甜花は震える。
 映画館で甘奈を見つけて、彼女に手を伸ばした矢先に、見知らぬ街に放り込まれてしまった。甘奈や千雪はもちろん、283プロのみんなはどこにもいない。
 せめて、甘奈だけでも探そうと思い、雨の中を飛び出した矢先だ。見るも無残な男の死体を目撃してしまったのは。

「ひいんっ!? な、なーちゃん……なーちゃんっ!?」

 その惨たらしさから感じる生理的嫌悪感から、甘奈を必死に呼ぶ。
 もしかしたら、なーちゃんもこの男の人みたいに傷付いているかもしれない。そんな不安から、たった一人の妹の名前を叫び続けるけど、返事はない。
『森嶋帆高』と『天野陽菜』の二人は気がかりだし、できるなら二人には再会してほしいと思う。もちろん、甜花たちが死んじゃうのは嫌だけど……二人が巡り会えないのはもっと嫌だった。
 でも、今はなーちゃんのことがもっと心配だった。

「なーちゃん!? どこにいるの、なーちゃんっ!? 甜花は……ここに、いるよ!? なーちゃんっ!?」

 甜花は叫びながら、街を走る。
 アルストロメリアになる前の彼女であれば、建物に隠れながらたった一人で震えていただろう。けれど、甘奈や千雪、そしてプロデューサーさんたち283プロのみんなとの出会いで成長して、少しずつ心が強くなっていた。
 また、甘奈や千雪にも頼らず、アイドルとしてたった一人で仕事をこなし続けたこともある。更には『W.I.N.G.』にも優勝して、多くの人から拍手喝采を浴びた。


280 : ちぎれゆくアルストロメリア ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:23:05 3dRd61TI0

「なーちゃんっ!? なーちゃんっ!? なーちゃん!」

 だからこそ、甘奈を失うことが怖かった。
 生まれた時からずっと一緒にいて、何度も彼女から支えてもらったことがある。彼女がいたからこそ、千雪やプロデューサーとも出会えた。
 もしも、こんな形で甘奈と永遠に別れることになったら……甜花は壊れてしまう。

(な、なーちゃん……! なーちゃんは、絶対に、死んだりしないよね……? なーちゃんに、何かあったら……甜花も千雪さんも、プロデューサーさんみんなも……悲しんじゃう!
 だから、無事でいて……なーちゃん!)

 たった一人の姉として、甜花は甘奈の無事を祈る。
 生まれた時から、ずっと輝いているなーちゃんが死ぬ訳がない。そんな願いを胸に、甜花は走り続ける。
 だからこそ、大崎甜花は考えもしなかった。たった一人の姉を助ける為、大崎甘奈はその手を血で染める覚悟を決めてしまったことを……


【大崎甜花@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、恐怖(大)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:????????
1:今はなーちゃんを探す。
2:帆高と陽菜の二人には……再会してほしいけど……
※少なくとも『W.I.N.G.』の優勝経験があります。


281 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/19(火) 20:23:30 3dRd61TI0
以上で投下終了です。


282 : ◆OmtW54r7Tc :2021/01/19(火) 22:13:18 qjR8xxdA0
投下します


283 : 恋のSword&Magic ◆OmtW54r7Tc :2021/01/19(火) 22:15:35 qjR8xxdA0
「なんだよ、チョコくらい用意しとけよな」

デイバックを漁りながら、その人物は愚痴る。
その体躯は人間よりもはるかに小さく、人間サイズのデイバックを見分するその様は、まるで残飯を漁る鼠のようだ。
しかしその種族は、鼠ではなく妖精。
そしてその妖精の名は―ミルモといった。

「しっかし、妙なことに巻き込まれちまったぜ」

ミルモは改めてここに連れられてくる直前のことを思い出す。
御子柴という老婆は、人間にも関わらず魔法を使って見せた。
しかも…一度殺した人物を蘇生させるというとんでもない魔法だ。
その光景に、ミルモは一つの仮説を立てた。

「まさか…ダアクの奴が蘇ったのか?」

ダアク。
それはかつてミルモたちが倒した悪の化身。
そして彼は、江口沙織という一人の少女を利用していた。
ダアクに操られた沙織は、人間にも関わらずそのフルートで魔法のような力を使ってみせた。
あの時と同じく、御子柴という老婆もダアクに操られているのではないか。
ミルモはそう考えたのだ。

「楓の奴も、いるかもしれねえな…」

南楓。
人間である彼女は、ミルモのパートナーである。
そしてダアクは生前、楓を消そうとしていた。
もしもダアクが関わってるなら、巻き込まれている可能性が高いだろう。

「あいつのことだ、きっと帆高って奴を陽菜って子になんとか会わせようとするだろうな」

南楓は優しく、お人好しな少女だ。
きっと彼女なら、あの映像を見てそう動くだろうという確信が、パートナーのミルモにはあった。

「まあ、楓一人じゃ頼りねえからな。手伝ってやるとするか」

犠牲を出さない解決方なんて分からない。
それでも、楓のパートナーとして、恋の妖精として、彼はその道を選ぶ。
犠牲を出さずに、帆高と陽菜を会わせるという道を。

「さてと、そんじゃあ行くか…ミルモでポン!」

ミルモは、支給された自身の魔法道具であるマラカスを構えると、魔法を使う。
魔法をかけられたデイバックは、地面を離れて宙に浮いた。
その状態でしばらく歩いた彼は、やがて一人の参加者と出会った。
その参加者の名は、甘露寺蜜璃。
恋柱と呼ばれる鬼殺隊の剣士。
恋の名を冠する称号を持つ二人が、顔を合わせることとなるのだった。


284 : 恋のSword&Magic ◆OmtW54r7Tc :2021/01/19(火) 22:16:31 qjR8xxdA0
♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

「え!?袋が宙に浮いてる!?それに…小人!?」

密璃がミルモと出会った第一声は、まあ当然の反応であった。
鼠のような小さい人間と宙に浮くデイバックなどというものを見れば、彼女が現代人だったとしても同じ反応をしていたことだろう。

「よう姉ちゃん…って、なんだ俺のこと見えるのか?」
「え、ええ…見えるけど」
「てことは、姉ちゃんも妖精のパートナーか?」
「ようせい?ぱーとなー?」

ピンと来てない様子の密璃に首をかしげつつ、ミルモは自分のことを説明する。
しかしそれでも密璃は、なんのことだか分からない。

「ごめんなさい、そのまぐかっぷ?っていうのも、ようせいっていうのも、何のことか分からないわ」
「本当かよ、うーん、てっきりここにいる人間は、全員妖精のパートナーで、俺たちのこと見えるんだと思ってたんだけどな…」

妖精は、基本的に妖精と契約を結んだ人間にしか見えない。
沙織のような例外はいるが、あれはダアクの力によるもので、ダアクの支配を離れた後は、アクミという妖精と契約を結ぶまでミルモたちのことが見えなくなっていた。(一応、ここにいるミルモとは別の世界線には銀河という素で妖精が見える人間もいるにはいるが、このミルモは知らない)
だとしたら、これは御子柴…あるいはその背後にいるかもしれないダアクの仕業なのだろうか。

「まあいいや、それで姉ちゃん…密璃は、これからどうするつもりなんだ?」
「決まってるわ!帆高君を、陽菜ちゃんに会わせてあげるのよ!」

そう言う密璃は、興奮した様子で腕をグッと握りしめる。

「あんなキュンキュンした映像見せられて、あの二人を引き裂くことなんてできるわけないわ!」
「おお…燃えてんなあ」

ミルモには、密璃の背後に炎が見えるような気がした。
まるで、彼女の元師匠が見守ってくれているかのようだ。


285 : 恋のSword&amp;Magic ◆OmtW54r7Tc :2021/01/19(火) 22:17:50 qjR8xxdA0
♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

「ところで密璃、お前チョコ持ってねえか?」
「チョコって…チョコレートよね?それなら確か…」

そういって密璃は、デイバックからチョコを取り出す。

「おー、チョコだー!」

チョコを目にしたミルモは、密璃の許可も取ることなくそれにかじりつく。

「…ん?」
「どうしたの?」
「いや…なんか普段食うチョコと感じが違うなあって思ってよ」
「口に合わなかった?普通のチョコだと思うけど」
「いや、別にそういうわけじゃねえ。これはこれでうまいんだけど…なんか懐かしい味と言うか、不思議な感じだ」

ミルモが食べたチョコレートは、大正時代のものだった。
それ故か、平成の人間界を生きるミルモには、不思議な感覚があったのだった。

「お、キャラメルもあるじゃねえか。…アクミを思い出すぜ。あいつ今頃どうしてるだろうなあ」

ちなみに密璃に支給されたのはお菓子の詰め合わせであり、チョコ以外にも色々あった。

「支給品といえば…そういえばミルモくん、剣とか支給されてない?私の支給品の中にはなくて困ってたの」
「剣?…あるには、あるぜ」
「本当!?」

剣があると聞いて、密璃は喜びの表情を浮かべる。
しかし、ミルモの方は何故か気まずそうな表情だった。

「…これだ」
「やったあ!これで戦え…」

ぺらっ

「……………え」
「ペラペラ剣…まあ、名前通りの剣だ」
「ペラッペラじゃない!」

剣であればこの際日輪刀でなくてもいいと思っていたが、しかしさすがにこんなペラッペラな剣で戦うのはきつい。
密璃の日輪刀もしなやかに曲がったりするものの、この剣はしなやかというよりしなびたという表現の方が正しい。

「ま、まあそう落ち込むなよ!その剣、お湯にかければ強くなるんだよ」
「お、お湯に…?」
「おう、実際にこの剣を使った俺が言うんだから間違いないぜ!」
「ううん…それじゃあとりあえず、お湯を探そっか」

こうして二人は、出発した。
その目的は、犠牲者を出すことなく帆高と陽菜を会わせること。
その為に彼らは探し求める。
二人を会わせる方法…ではなく、お湯を。


286 : 恋のSword&amp;amp;Magic ◆OmtW54r7Tc :2021/01/19(火) 22:18:52 qjR8xxdA0
【ミルモ@わがまま☆フェアリー ミルモでポン!】
[状態]:健康
[装備]:マラカス@わがまま☆フェアリー ミルモでポン!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:犠牲者を出すことなく帆高と陽菜を会わせる
0:お湯を探す
1:楓がいるかもしれないので見つけたい


【甘露寺蜜璃@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:ペラペラ剣(未覚醒)@わがままフェアリー ミルモでポン!
[道具]:基本支給品、お菓子の詰め合わせ@鬼滅の刃、ランダム支給品0〜2(少なくとも剣はない)
[思考・状況]
基本方針:帆高君と陽菜ちゃんをなんとか会わせてあげたい!
0:お湯を探す

【マラカス@わがまま☆フェアリー ミルモでポン!】
ミルモの支給品にして彼が魔法を使うための道具。
一度壊れてしまったが、修理の際にパワーアップした。

【ペラペラ剣(未覚醒)@わがまま☆フェアリー ミルモでポン!】
ミルモの支給品。
無印74話「坊ちゃまクエスト・ペラペラ剣の謎」でゲームの世界に登場した伝説の剣。
が、真の力を取り戻す前のためペラペラで役に立たない。(鈍器としては使えなくもないが)
お湯をかけて真の力を取り戻した時…その剣は【わかめ剣】となり剣先がわかめになる!
…一見くだらないかもしれないが、伸縮自在で新体操のリボンの要領で使えるため、実は密璃との相性は悪くない。

【お菓子の詰め合わせ@鬼滅の刃】
甘露寺蜜璃の支給品。
小説版鬼滅の刃「しあわせの花」第3話「占い騒動顛末記」にて、かまぼこ隊がさやという娘からもらった大量のお菓子。


287 : ◆OmtW54r7Tc :2021/01/19(火) 22:20:45 qjR8xxdA0
投下終了
途中タイトルがおかしなことなってますが、一番最初の「恋のSword&Magic」が正しいです


288 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:35:15 PgaomrM.0
投下します


289 : 6でなしブルーちゅ ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:36:43 PgaomrM.0
ここは会場内にあるアパートの一室、そこには野戦服を着た軍人風の男がいた。

「ふむ……先ほどの説明を聞く限り、『森嶋帆高』という少年を『天野陽菜』という少女に会わせないようにすればいいのだな?」

「幸い、さっき上映された映画で二人の顔は把握している。後は、彼らがどこにいるかを突き止めれば問題はない」

この男の名はコンバット・ブルース。元の世界では、ある皇帝の側近を勤め続けていた男である。

そんな彼は、先ほどの映画で得た情報を基にこの殺し合いを生き残るための作戦を立てていた。

「そして突き止めた後はどちらかを拉致監禁し、タイムリミットまで誰とも接触させなければそれでクリアーとなるはずだ」

そして彼が導き出した結論は、『どちらかを拉致監禁する』というものだった。

(それに……そのための仲間もついさっき見つけられたし、彼女ももうそろそろ戻ってくる頃だろう)

また、どうやら彼はこの会場内で仲間を作っていたようだ。

そして彼の考えた通り、誰かが扉をノックする音が聞こえてきた。

「入っていいぞ」と彼が返事をすると、扉が静かに開かれた。

そこに現れたのは……


290 : 6でなしブルーちゅ ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:37:46 PgaomrM.0
「ご主人様、命令通りこの周辺にある建物や地形について調査いたしました」

左手に黄金の斧を持ち、血に濡れた衣服をまとった、人形のような雰囲気をした女性だった。

そして彼女が部屋に入るとともに全身が光に包まれ、その姿はクラシカルなメイド服を着こんだものに変わっていた。

「次の命令はなんでしょうか?タマモにできることであれば、何なりとお申しつけください」

そういうと彼女は、ブルースの目の前でうやうやしく礼をした。

彼女の名はタマモ。『隷属のアリス』の二つ名を持ち、周囲の人間を"ご主人様"と呼んで付き従う女性である。

そんな彼女がこの男と知り合ったのは、数分前にさかのぼる……


291 : 6でなしブルーちゅ ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:38:30 PgaomrM.0
------------
数分前、メイド喫茶にて……

『ん……はぁはぁ、貴方様が望んでいるのは、こういうことですね……?』

『よく分かってるじゃないか。そうだよ、その無駄にデカい胸で、俺を楽しませてくれよ』

「……いいな、このエロ本。大事に保管して持って帰ろう」

ここで、コンバット・ブルースは人目もはばからずにエロ本を読んでいた。

実を言うとこの男、この会場に飛ばされてからというもの、ずっとここで支給品にあったエロ本を読んでいたのである。

そうしてこのエロガッパ、もといコンバットがエロ本に夢中になっているといきなり、厨房の中で何かが動く音がした。

せっかくいい気持ちに浸っていたのに敵襲か?、と思いつつも厨房の中に入っていくと、
そこにはメイド服を着た女性が料理を作る準備をしている姿があった。

「……貴様、何者だ?ここで何をしている?」

コンバットが指鉄砲を向けながら質問をすると、そのメイドは感情のこもっていない目で彼を見てこう言ったのだ。

「あなたも、私のご主人様になっていただけますか?」と……。

彼はメイドからの異様な問いかけに一瞬面食らったものの、すぐに言葉を返した。

「ああ……このコンバット・ブルースが、お前の新しいご主人様だ」

いかにも自分が新しいご主人様だと、渋い感じで返していた。

そしてそれを受けて、メイドの方も自分の名を名乗り、彼に深く礼をした。

「畏まりましたご主人様。タマモにできることであれば、何なりとお申しつけください」

「そうか、では、これからよろしく頼む」

またコンバットも彼女に対し、礼を返したのだった。


292 : 6でなしブルーちゅ ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:39:06 PgaomrM.0
------------

早い話が、メイド喫茶でエロ本を読んでいる最中に彼女と出会い、そして彼女の問いかけに答えた結果どういうわけか仲間に加わったのである…。

そして周辺の調査を終えて戻ってきた彼女に対しコンバットは、新しい命令を下した。

「そうか、では次は……膝枕をしてください♥」
「畏まりました。おやすみなさい、ご主人様」

彼はタマモに膝枕を命じ、そしてタマモは眉一つ動かさずにその命令を受け入れるのだった……。


…なお彼はタマモの問いかけに答える時、内心こんなことを思っていた。

(この店ではこういうプレイをしているのか?なら、全力で楽しむとしよう)

……はっきり言おう、この男はただのお間抜けヘンタイ野郎であると。


……そして、こんな男とそれに付き従うメイドは、今後一体どうなるのだろうか……?


293 : 6でなしブルーちゅ ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:43:20 PgaomrM.0
【コンバット・ブルース@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康、膝枕を堪能中
[装備]:エロ本@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:(会場内に他のエロ本がないか探しつつ)生還を目指す。
1:『森嶋帆高』もしくは『天野陽菜』のどちらかを拉致し、制限時間まで監禁する。
2:メイドさん……いいなぁ……♥
3:エロ本エロ本エロ本(以下エンドレス)
[備考]
タマモのことを、「コスチュームを変えることで何かしらの力を得る」タイプの真拳使いだと思っています。


【タマモ@Alice Re:Code】
[状態]:健康
[装備]:『不信の女神』のイデア・レコード@Alice Re:Code
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:ご主人様の意のままに
1:ご主人様の命令に従います。
2:タマモはご主人様の所有物です。何をしたっていいんですよ?
3:今日は貴方様が、私のご主人様です。
[備考]
自分のことを「ご主人様」と言った人に付き従い、どのような命令にも従います。
(現在はコンバット・ブルースが対象となっている)

【エロ本@現実】
 書いて字のごとく、18歳未満が読んではいけない本のこと。


【『不信の女神』のイデア・レコード@Alice Re:Code】
 アリスにのみ引き出せるとされる、異なる次元に存在する力であり、
 想像力を働かせながら使うことでそれに合わせた姿に変身できるとされている。

 なお、この『不信の女神』のイデアについては諸説あるものの
 「金の斧」という童話がモチーフになっているらしく、黄金の斧を取り出す能力のほかに、
 『嘘』や『裏切り』に対して過剰な反応を返すようになるという性格の変化が現れる。


294 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/19(火) 23:44:05 PgaomrM.0
投下終了です

ありがとうございました。


295 : ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 15:18:41 crkQbjcc0
以前コンペロワで書いたものを修正して投下します


296 : 月と太陽 ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 15:22:22 crkQbjcc0
――強く焦がれ、強く焦がれ



◇◆


灰色の雲が天を覆っている。
冷たい雨が全身を濡らす。
それを意に介さず男は静かに考え込んでいた。
自身に降りかかった不可解な現象に、思わず六眼を歪める。

(私は無限城に居たはず……何が起きた……?)

つい先ほどまで自分たちの拠点で、鬼殺隊を待ち構えていたはずだ。
それが何の前触れも無く唐突に奇妙な映像を見せられたかと思えば、こうして見知らぬ場所に放り出されている。
全く持って訳が分からない。

「急ぎ……戻らねばならぬ……」

何故自分を選びこの地に連れて来たのかは分からないが、今はこんな事をしている場合ではない。
猗窩座に続き童磨までもが敗れ、残る十二鬼月は自分と鳴女の二体のみ。
加えて主はまだ解毒が済んでいない。

こんな所でもたついている間にも、鬼狩り共の手が主に迫っている。

ならば森嶋帆高なる少年を殺すのが、手っ取り早く帰還出来る方法だろう。

だが

(願いが叶う……あの老婆は確かにそう言った……)

くだらぬ妄言、と一笑に付すことはできない。
実際に神子柴が死者を蘇生するのを、この目で確かに見た。
自分を無限城から連れ去ったことも含めて、神子柴が得体の知れない力を持っているのは間違いないだろう。

であるならば、太陽の克服という主の悲願も叶うのだろうか。
いやそれ以上に、ついぞ勝利することが出来なかったあの男にも手が――



『お労しや、兄上』



ギチリ、と。
刀を握る手に、力が入る。

こんな状況だというのに、こんな事を考えている場合ではないというのに。
憎悪が、嫉妬が、劣等感が。
心の内から溢れ出す。

「……何にせよ……あの少年を見つける必要がある……」

脳裏に浮かんだ光景を振り払うように呟く。

帰還か願いか。
どちらを優先するにせよ、まずは森嶋帆高を確保しなければ始まらない。
そう己に言い聞かせ、男は足早に動き出した。





灰色の雲が天を覆っている
冷たい雨が全身を濡らす
この身を滅ぼす日の光は微塵も姿を現さない

だというのに

未だ脳裏に焼き付いている、『継国縁壱』という名の日輪は
絶えず男の心を焼き焦がしていた


【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:体内刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:急ぎ無惨様の元へ戻る。もし本当に願いが叶うのならば…
1:森嶋帆高を確保する
[備考]
※参戦時期は無限城で時透無一郎と遭遇する前。

【体内刀@鬼滅の刃】
黒死牟の体内で生み出された刀。
無数の目が浮き出ており、刀身には血管のような筋が走っている。
破損しても瞬時に再生できる他、複数の刃を生やすことも可能。


297 : ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 15:23:01 crkQbjcc0
投下終了です


298 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/20(水) 21:09:44 /dJ.93ms0
投下します


299 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/20(水) 21:10:33 /dJ.93ms0
雨止まぬこの土地では外にいるだけで雨風で衣類は濡れ
体が冷え込み体力を奪われていく。
特に現在いる場所は山中であり、足場も視界も悪い。

辺りをきょろきょろと見まわしながらゆっくりと歩く少女、一条蛍は
不安と恐怖で震えながら進んでいくと
大きな山小屋を見つける事が出来た。

やっと休める……休息場所を見つけた蛍の足取りは軽くなり
急いで山小屋へと向かっていった。

そこには飢えた獣達がいるとも知らずに……

「……失礼します」

もしかしたら持ち主が住んでいるかもしれないと声を出しながら
山小屋に入り、奥へと進んでいく蛍。
リビングに向かっていったその時――

「お姉さーん!今から俺らとあそばなぁい?」
「えっ?」
「さすがタクさん、すげえ美人ゲット♪」

二人組の男が蛍の前に現れた。
彼らは蛍より先に山小屋を見つけ、根城としていた。

「俺、渋井丸拓男。略してシブタク♪」
「どーも、伊藤大祐っす。ヨロシク♪」

二人は雨で半濡れになった蛍の体を舐め回すように見つめ
いやらしい笑みを浮かべていた。

「へへへ、付き合ってよ〜素敵なお姉さぁ〜ん」
「こ、困ります……」
「困りますぅ、だって〜」
「きゃわいい〜〜、アハァ♪」

(きっと悪い人達なんだ!逃げないと……)
「おっと、どこへ行くのかな?ゆっくりしようよ」

蛍は玄関まで下がろうとするも後ろに回り込んだ大祐によって退路を塞がれる。
二人の男は蛍を逃がさない様に囲むように近づいてくる。

「お姉さんも名前教えてよ〜」
「い、一条蛍……です」
「蛍ちゃんか〜名前もきゃわいい〜〜」
「高校生ぐらいに見えるけど何歳かな?」
「……11歳です」

「……いやいやいやいや!!11歳は違うでしょ!お兄さん達をからかっちゃ駄目だよ!」
「ほ、本当です……嘘じゃありません……」
「その身体で小学生は反則でしょ!もうむしろ犯罪じゃん」

蛍の実年齢と見た目のギャップの差に男達はゲラゲラと笑う。
ただ談笑をするだけなら平和だっただろう。
もちろん、それはありえなかった。

「では大祐くん、このプリティーガールな蛍ちゃんのためにこれから授業を始めようと思う♪」
「はーい、タクさん先生!何の授業をするんですか〜?」
「それはねぇ〜保健体育の授業でーす!赤ちゃんの作り方を教えてあげよう♪」

二人はキャッキャッと笑いながら茶番劇に興じ
蛍を捕まえて寝室まで引っ張り込んだ。

「ほらめくって!脱がして!全部!」
「うひょ〜!待ってましたぁ!」
「嫌ァ!!お願い、辞めてください!!」

無理やり服を捲られると、ジュニアブラに包まれた豊満な胸が露わになると
シブタクは下衆な笑みを浮かべながら胸を鷲掴みにし揉みしだいた。

「嫌ぁあああーー!!助けてぇ!パパ!ママぁーー!!」

ぼこっ!

「痛っ……」

抵抗する蛍にイラッときた大祐が頬を殴りつけた。
痛みと驚きで蛍は声が出なくなる。

「あんまり騒ぐと、もっと痛い事しちゃうよ」
「うぅ……ぐすっ……」
「おいおい大祐くん、やりすぎだぜ」
「いやぁごめんごめん、ついカッとなっちゃってさ♪」
「気を取り直して、さぁ続き続き♪」


300 : コマンドーびより ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/20(水) 21:12:23 /dJ.93ms0
「その娘を離せ!」

突如、山小屋に新たな参加者がやってきた。

特徴として身長は190㎝、髪は茶、筋肉モリモリのマッチョマン。
しかも手には自動小銃が握られている。
彼の名はジョン・メイトリックス。
元コマンドー部隊の隊長である。

「は、はい!!」

シブタクと大祐はすぐさま蛍から離れ、手を挙げた。
この男には逆立ちしても勝てないのは一目瞭然だ。

メイトリックスは蛍の方に目を向ける。
服は無理やり剥ぎ取られて下着姿になって泣いている。
二人が何をしようとしていたか語るまでも無く理解出来る。

「ゲス共め……」
「待ってくれ!俺たちはこの子を守ろうとしていたんだ。へへへ」
「そ、そうだよ。女の子一人だけじゃ危ないと思ってさぁ」
「遺言はそれで終わりか?」

メイトリックスの顔は険しくなる。
虚言はむしろ火に油を注ぐ結果にしかならない。

「すまねえ!つい魔が差してやっちまったんだ!」
「俺達本当に反省してるからさ」
「もう二度とこんなことしないから許してくれよ……OK?」

「OK!!」

ズドン!

渋井丸拓男、シブタクは脳天を撃ち抜かれ絶命した。

【渋井丸拓男@DEATH NOTE 死亡】

続いて大祐を射殺するべく銃口を向ける。

「き、キャアアアアアアアア!!」

殺人に驚いた蛍の叫び声によってメイトリックスの手は止まる。
チャンス!とばかりに大祐は走り、裏口から脱出。
森の中へと逃げていった。

「あの糞ガキめ!」

生かしておいてもロクな事にならない。
殺しそびれた男を追うと考えたが
目の前で泣き崩れる少女を放っておくわけにはいかない。
メイトリックスは少女を怯えさせないよう、ゆっくりと優しくと語りかけた。



「落ち着いたか?」
「はい……すみませんでした」
「いいんだ。君ぐらいの年頃なら怯えて当然さ」

こんなか弱い少女をも巻き込む主催者達の悪質なやり口に
メイトリックスは怒りに燃えていた。
それはかつて娘を人質にとり、汚い仕事を強要させてきたアリアス一味をも超える極悪非道ぶりである。
奴らの言いなりになってたまるか。
どんな困難だろうと絶対に諦めない。
森嶋帆高を救出し、主催者共を皆殺しにしてこの殺し合いを打破する。

【ジョン・メイトリックス@コマンドー】
[状態]健康、主催者に対する激しい怒り
[装備]H&K 91A2(19/20)
[道具]基本支給品、(ランダム支給品0〜2)
[行動方針]
基本方針:森嶋帆高を救出し、主催者を倒す。
1:一条蛍を保護しながら森嶋帆高を探す。
2:首輪を解除し脱出手段を探す。
※参戦時期は本編終了後です。

【一条蛍@のんのんびより】
[状態]疲労(小)、頬に痣
[装備]無し
[道具]基本支給品、(ランダム支給品0〜3)
[行動方針]
基本方針:人殺しなんて怖い事はしたくないです。
1:メイトリックスさんと共に行動する。
2:森嶋帆高さんも死んでほしくありません。
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。


301 : コマンドーびより ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/20(水) 21:12:46 /dJ.93ms0


「クソが!あの筋肉ダルマめ、よくも俺の楽しみを!」

大祐は山の中を走っていた。
山道での移動は前回の殺し合いでも散々経験したのですっかり慣れてきた。
そう大祐が殺し合いに巻き込まれるのはこれで二度目だ。

前回は一人も殺さずに生存可能な条件だったのにも関わらず
欲望のままに行動し続けて、時には女を犯し、時には命を奪い
好き勝手に悪逆の限りを尽くした後に死亡した。

なのになぜ今、生きているのか?なんて理由はどうでもいい。
せっかく蘇ったんだから再び自由に楽しませてもらう。

現状に困惑し、どうしていいか分からないでいた渋井丸拓男を
甘言を用いて悪の道に引きずり込んだように――。

【伊藤大祐@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品、(ランダム支給品0〜3)
[行動方針]
基本方針:好き勝手に楽しむ。
1:楽しめそうな相手を探す。
2:森嶋帆高は俺がやらなくても誰かが代わりに殺すでしょ。
※参戦時期はAルート死亡後です。


302 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/01/20(水) 21:13:22 /dJ.93ms0
投下終了です


303 : ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 21:50:00 crkQbjcc0
投下します


304 : 愛がカレらの力になる ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 21:52:56 crkQbjcc0
「……やっぱり駄目かぁ」

とある学校の体育館。
飛電或人はため息を吐きながらゼロワンの変身を解除した。

周りに敵対的な者がいないにも関わらず変身をした理由は一つ。
ゼロワンドライバーを通じて衛星ゼアにアクセスする為だ。
飛電インテリジェンスが誇る通信衛星内部に意識を飛ばせれば、首輪の解除や、外部にいるであろうイズ達に連絡を取る事ができる。
そう考えた或人は、運良く支給されていたドライバーで変身を決行した。

結果、これまで通りゼロワンに変身は出来たものの、ゼア本体の思考回路に意識を飛ばすという目的は果たせなかった。

薄々予想していた事だが、そう簡単に首輪を外させてはくれないということだろう。
落胆しつつ、これからどうするかを考える。

「あの神子柴って婆ちゃん、何考えてんだよ…」

神子柴の説明が真実ならば、自分達は森嶋帆高を殺さなければならないらしい。
映画を見た限り、帆高は決して悪人などではないと言える。
ただ愚直なまでに、神様にすら逆らって自分の愛を貫こうとしている少年だ。

馬鹿な奴だ、とは思わない。
或人は知っている。
愛という原動力は良くも悪くも人間を、そしてヒューマギアへ大きな影響を与える。

一色理人がエスとなり楽園創造を目指したのは、婚約者への変わらぬ愛があったからだ。
天津垓がヒューマギアを嫌悪し、幾度となく自分を陥れようとしたのは、誰よりも飛電を愛していたが故に歪んでしまったから。
滅と迅の間には、仲間としての信頼だけじゃなく親子愛が存在している。
だからこそ迅は我が身を盾にしてまで滅を守り、滅は自分への憎悪でアークスコーピオンへ変身した。

それに或人自身、あれ程までに滅を憎んだのは、ひょっとしたらただの秘書として以上にイズを想い――

「…って、今俺のことはいいんだっての!」

ガシガシと頭を掻いて思考を戻す。
とはいえ、結局の所やるべき事は決まっている。

森嶋帆高を守り、どうにかして首輪を外し、バトルロワイアルを止める。

プログライズキーの大半とゼロツードライバーを奪われ、不破諌を始めとする戦友たちもいない。
これまで以上に厳しい戦いになるのは間違いない。

それでも。

「この殺し合いは、俺が絶対に止める」

『仮面ライダー』として戦う。

その想いを胸に、自分達を見下ろしているだろう者に向けて、堂々と言い放った。


【飛電或人@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:健康
[装備]:飛電ゼロワンドライバー+ライジングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(プログライズキーは無い)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:帆高を探して守る
2:首輪を解除する方法の模索
[備考]
※参戦時期は劇場版終了後。

【飛電ゼロワンドライバー@仮面ライダーゼロワン】
ヒューマギアの暴走に対処する為に飛電インテリジェンスの先代社長、飛電是之助が開発した変身ツール。
プログライズキーを装填し仮面ライダーゼロワンに変身する。
ベルトを装着することで通信衛星ゼアと装着者の脳を無線接続させ、ゼアの思考回路の中に入る事が出来る。
が、今ロワでは変身こそ可能だが、ゼアへの直接アクセスや外部への通信は不可能となっている。
ゼロワンに変身できるのは飛電インテリジェンスの社長である或人のみ。

【ライジングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン】
バッタのライダモデルが保管されたデータ・アクティベートキー。
このプログライズキーによって変身する「ライジングホッパー」は、脚力と跳躍力に優れたゼロワンの基本形態である。


305 : ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 21:53:29 crkQbjcc0
投下終了です


306 : ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 22:53:28 crkQbjcc0
投下します


307 : Unleashed Beast ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 22:56:52 crkQbjcc0
「涙がで、出ますよ…(感動)」

とある民家の一室。
そこで見るからに臭そうな男、野獣先輩が涙を流していた。

野獣先輩はあの映画の内容に感動していた。
このお喋りうんちもまた、後輩に恋をしている乙女である。
だからこそ帆高の陽菜への一途な愛に深く共感したのだ。

こいつはただの汚いホモビ男優であって、乙女じゃないだろいい加減にしろ!と思われる兄貴たちもいるだろうが、まま、そう焦んないでよ(神のお告げ)。

暫く泣いた後、野獣先輩は泣き顔から一転、修羅の形相となった。

「それはそれとして……ふざけんな!(迫真) あいつらが出会ったらこっちが死ぬとか頭に来ますよ!!(憤怒)」

映画に感動したのは事実だが、だからと言って何故あんな話したことも無い連中の為に死ななければならないのか。
とんでもない理不尽を押し付けてくる神子柴に怒りをぶつけるのは当然と言える。

「じゃけんHDKとHNは引き裂いてやりましょうね〜(ゲス顔)」

さっき感動してたのは嘘だったのかと言いたくなるような発言をする野獣先輩。
その表情は後輩の体を狙う人間の屑そのものであった。

加えて神子柴が言った「何でも願いを叶える」という言葉も、ホモ特有の鋭敏さでしっかり聞き取っている。
既に野獣先輩の頭にはお題をこなして願いを叶えてもらい、片思い中の後輩と幸せなキスをしている光景が浮かんでいた。

「Foo↑〜。ほら行くどー」

今ここに、己の欲望の為に動く一匹の野獣が解き放たれた。
やっぱり野獣先輩は人間の屑じゃないか(呆れ)


【野獣先輩@真夏の夜の夢派生シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:遠野と結ばれる為に、HDKとHNが会うのを阻止する
1:HDKを探しに行きますよ〜イクイク
[備考]
※(特に)ないです。


308 : ◆ytUSxp038U :2021/01/20(水) 22:57:29 crkQbjcc0
投下終了です


309 : ◆ytUSxp038U :2021/01/21(木) 16:06:08 JexD4nZA0
良く見たら野獣の状態表に誤りがあったので

【野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:遠野と結ばれる為に、HDKとHNが会うのを阻止する
1:HDKを探しに行きますよ〜イクイク
[備考]
※(特に)ないです。


ついでに投下します


310 : 2019:キングダムカム ◆ytUSxp038U :2021/01/21(木) 16:08:31 JexD4nZA0
「この本によれば、普通の高校生『常磐ソウゴ』…彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた。
 彼はアナザーディケイドとの決戦において、遂にオーマジオウへの覚醒を果たす。
 その圧倒的な力を振るい、愚かにも世界を支配しようと目論んだスウォルツを見事撃破しました。
 …その代償として、2人の仲間…いえ、友を失う結果となってしまいましたが…」

「本来の歴史ではこの後、崩壊した世界は常磐ソウゴによって再構築され、新たな物語が始まるはずでした。
 しかし、これより語られるのは常磐ソウゴが巻き込まれた新たな戦いの記録。
 天気の巫女と平凡な少年。この一組の男女を巡るバトルロワイアル」

「…どうやら、神子柴によって私の介入も禁じられているようだ。
 私がこの先の物語を語ることは、残念ながら不可能なようです。
 果たして常磐ソウゴがどんな結末を迎えるのか、それは皆さんの目で確かめてください」


「私は君を信じているよ、我が魔王……」


○●〇


311 : 2019:キングダムカム ◆ytUSxp038U :2021/01/21(木) 16:09:46 JexD4nZA0
○●〇


「……」

雨が体に降りかかる。

常磐ソウゴは肌に感じる冷たさを無視し、俯き立ち尽くしていた。

「ゲイツ……ツクヨミ……」

未来からやって来たレジスタンスの戦士たち。
ソウゴにとっては一緒に生活し、戦ってきた大切な友。
彼らと共に王としての道を歩んでいくのだと思っていた。

そう思っていたのに、スウォルツとの戦いで2人の命は失われてしまった。

「俺は……」

『どんな願いでも叶える』という、神子柴が放った言葉。
事実、首輪の爆発で死亡した女性を生き返らせるのを、この目ではっきりと見た。
ならば、神子柴が与えるお題とやらを達成すれば、自分の願いも叶うのだろうか。
もう一度ゲイツとツクヨミに会えるのだろうか。

自然と右手に力が籠る。
その手にあるのはジクウドライバー。
1年前の夏、ウォズによって与えられた王の力。
確かにこの力があれば、一般人の森嶋帆高を捕えるなど容易いだろう。

しかし、本当にそれでいいのかと自問する。
ジオウの力を、友を生き返らせるという己の欲望の為に使う。
自分の願いの為に、他者の願いを踏みにじる。
そんな暴君のようなものが、幼い頃より目指していた王の姿なのか?

映画の中で帆高は必死だった。
無鉄砲で、考え足らずで、一時の感情に身を任せる姿はお世辞にも良いとは言えない。
けれど、天野陽菜への想いはブレることがなかった。
彼女が人柱として捧げられる運命に抗い、今も陽菜に会う為に会場のどこかを走り続けているのだろう。

なら自分は?
最低最悪の魔王になる運命を覆し、最高最善の王になる為に戦って来たのではないのか?
今の不甲斐ない様が、ゲイツとツクヨミが信じてくれた『常磐ソウゴ』の姿なのか?


――そんな訳があるかっ!!


「……民が困ってるなら…」

ゆっくりと顔を上げる。
そこには既に迷いや悲しみは消え失せていた。
代わりに浮かんでいるのは、燃えるような決意に満ちた表情。

「助けるのが王様の役目、だよね」

神様が帆高と陽菜を引き裂こうと言うのなら、自分は王様としてそれに立ち向かう。
2人が再会する事で自分達が死んでしまうと言うのなら、そうならない方法を探すまで。

決意を新たに、ソウゴは雨の降りしきる街を歩き出した。


【常磐ソウゴ@仮面ライダージオウ】
[状態]:健康
[装備]:ジクウドライバー+ジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:帆高を守り、主催者を倒す
1:帆高を探して陽菜に会う手助けをしてやりたい
2:1の為に会場の浸水を防ぐ方法、又は会場から参加者が脱出口を探す
[備考]
※参戦時期は最終話でアナザーディケイドを倒した直後。
※ジクウドライバーは通常に戻っている為オーマジオウへは変身不可能ですが、何かのきっかけで再変身が可能になるかもしれません。

【ジクウドライバー@仮面ライダージオウ】
腕時計をモチーフにした変身ドライバー。
各種ライドウォッチを装填し回転させる事で、仮面ライダーに変身する。
ソウゴはウォズによって献上されたものを使っていたが、一度自らの意思でベルトを捨てゲイツに破壊された。
その後は紆余曲折を経て、ゲイツがオーマジオウから盗んだジクウドライバーを使い、再びジオウに変身し戦い続けた。

【ジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ】
仮面ライダージオウに変身する為のウォッチデバイス。
元々はライダーの力が宿っていないブランクウォッチだったが、ソウゴがジオウへの変身を決意したことで現在の姿に変化した。


312 : ◆ytUSxp038U :2021/01/21(木) 16:10:22 JexD4nZA0
投下終了です


313 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/21(木) 21:07:59 UjO.9UTM0
候補作の一部を収録させて頂きました。
また、収録の際に自作の「ちぎれゆくアルストロメリア」において一部の誤植修正及びラウズカードの解説を加筆させて頂くことを報告致します。

【ラウズカード@仮面ライダー剣】
あらゆるアンデッドを封印するためのカードで、形はトランプに近い。
アンデッドが封印されたラウズカードはBOARD製の仮面ライダーの変身、または強化などに使われる。
作中では重傷を負ったアンデッドに無地のカードを投げつけることで封印できるものの、当ロワではアンデッドの死亡によって自動的に封印される……かもしれない。
(実際の所は不明)


314 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:51:09 3n7WPONA0
投下します


315 : ファイナル・ギアス ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:52:14 3n7WPONA0
「なんだ。あの映画は」

降りしきる雨に打たれながら、緑髪の美女が俯いていた。
その長い美髪が頬に張り付き少し鬱陶しそうにしながらも彼女は屋外に入ることをしない。

「……私への、当てつけか」

彼女はC.C.は自分を嘲るように笑いながら呟く。
あの映画に於ける主人公、森嶋帆高のやっていることは個人的なエゴで我儘だ。
天野陽菜は自らが犠牲になることで、世界を……少しばかり過剰な表現になるにしても優先し、本人も納得した。
だが、森嶋帆高はそれを良しとはせず、彼女のために、いや自分の我儘で救い出そうとしている。

「なあ、まるで私みたいじゃないか……私の我儘でお前を生き返らせてしまったことと何も変わらない」

かつて世界の憎しみを自らに集め、その命に幕を下ろすことで世界に安寧を齎したルルーシュ。
きっと、その死を以て完結することを望んでいたルルーシュに、望まぬ新たな生を与えてしまったのは他ならぬC.C.だ。
もし、悪逆皇帝として名を馳せたルルーシュに生存がバレれば世界の安寧は崩れるかもしれないのに。
彼の死に酷く傷心した者達にも、何も告げないまま勝手な行いをした。

「……そうだ。ルルーシュ、ルルーシュは!?」

当然返事などないが、C.C.はその名を呼ばずにはいられない。
ルルーシュは一度死んでから、確かに生き返りはしたものの、その精神までは戻らなかった。
肉体だけは完全に復活し、だがその肉体に宿る心は元のルルーシュとはかけ離れた存在となっている。
元の記憶もさることながら、物事に対する決断力も殆どなく、大人の体を持った赤ん坊のようなものだ。

「もし、あんな状態のルルーシュがここに居るなら……」

C.C.はルルーシュの身の回りの世話のために常に傍にいた。
この場の呼ばれる前も、彼に食事を用意していたのをはっきり覚えている。
だとすれば、C.C.をこの場に攫った際にルルーシュを放置するだろうか。
以前ならまだしも今なら、何の力もなくこの催しの脅威にはならないにしても、ただ放っておくなど考え辛い。

いっそ二人一緒に連れてこられたと考える方が自然だろう。

そうなれば、以前ならともかく今のルルーシュには何の力もない。悪意のある参加者に会えば、どうなるか……。
一刻も早く探して保護しなければならない。


「何処だ。ルルーシュ……ルルーシュぅ!!」


「まるで母親気取りだな」


その悲鳴にも懇願にも聞こえる悲痛な声の先、針金が入ったかのように裾が重力を無視し逆立っている白銀のコートを纏った男がいた。



―――――


316 : ファイナル・ギアス ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:52:38 3n7WPONA0

「ふざけおって、あのババア……この屈辱許しはせん……!」


海馬瀬人は激怒していた。
この下らない催しもさることながら、強制的に鑑賞させられたあの映画にもだ。

武藤遊戯に敗れ、冥界へと還った王(アテム)。
しかし、奴を葬らねばならなかったのが海馬を於いて他にはいない。
だが実際は海馬の知れない遠くの異国で奴は敗北し、その姿を現世から消した。

その後、海馬コーポレーション社長という地位、権力、財力、全てを投入させ遊戯を冥界より呼び寄せる為にありとあらゆる手段を講じた。

だが結果としては失敗した。
人々の集合意識を集め、冥界へと行く方法は寸前で辿り着かず。遊戯を完全再現したAIは所詮は偽物の道化でしかない。
千年パズルを再完成させ、その器に再び魂を呼び戻す方法も、だがその器の遊戯にパズルには魂がないと否定された。

「おのれぇ……この俺に下らん茶番へと興じろとでもいうのか」

はっきり言ってどうでもいい小僧と小娘の馬鹿げたラブドラマにも反吐が出そうになったが、消えた小娘を取り戻そうとする姿に更に癪に障った。
あの小僧のように情けなく叫びながら、ふざけたゲームに乗り遊戯との再戦を果たせとでも言っているのだろうか。

「認めん。認めんぞ……」

餌を吊り下げ、それに無様に縋り付くと考えているであろうあの老婆も。
つまらん雨を降りしきらせ、生贄などを求める神とやらも。

両親もなく、唯一の家族であるたった『一人の弟』を置き去りにし姿を消したあの天野陽菜という小娘も。

「何より……奴は、アテム……貴様はこの俺が引導を渡してくれるわ!!」

そして遊戯を倒すべきは、この海馬瀬人でなければならない。



――――


317 : ファイナル・ギアス ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:53:15 3n7WPONA0


海馬がC.C.を見つけた時、確かにこう言っていた。

私の我儘で生き返らせたと。

神子柴も一度殺めた年増の女を蘇らせていた。
何かしらのトリックの可能性もあったが、願いを叶えると言っている以上、その証明であることに違いはない。
そしてこの目の前の女も生き返らせたと言った。

「貴様、冥界へと干渉できるのか」

「冥界?」

C.C.も冷静さを取り戻し、迂闊さを悔やんだ。あんな大声を張り上げていれば誰かに居場所を知らせるようなものだ。
それがルルーシュならばまだしも危険な思想を持った相手ならば、C.C.とてどうなるか分からない。
一応は不死ではあるが、その大元のCの世界も不安定であり完全な不死かは分からない。万が一ルルーシュを見つける前に死ねば、それこそ本末転倒だ。

「生き返らせたと抜かしていたな。それは冥界から、死者を呼び戻したということか」

事情は知らないが、男の要求を聞く限り死者の蘇生に関心があるのは間違いはないだろう。

「……お前にも、どうしても会いたい者がいるのだな」

感傷に浸っていた時に自分と似たような願望を秘めた相手に会ったと思ってしまったからか、相手の腹を探るような交渉ではなく一種の共感からの一言だった。

「貴様……!」

「すまない。気を悪くさせる気はなかった」

「チッ」

謝罪し、C.C.も我に返りながらこの男にどう対応するか思案を巡らせる。
ルルーシュの名に反応しなかったことから、考え辛いが悪逆皇帝のことを知らないのだろうか。
だが、どう見てもこの男は日本人だ。それはあり得ない。
自身の宿願を優先しているのか、それとも聞こえなかったか。

だが、現状C.C.には人手がいる。

居るかも分からないが、もしルルーシュがいるのなら人手がある方が見つけられる可能性も上がる。
しかもこの男は死者蘇生に関心がある。ルルーシュが居て、それが害されることは恐らく好ましくはないはず、C.C.とも利害は一致する以上、早々裏切りはしないだろう。

「お前が望む情報かは知らないが、いくつか教えてもいい」
「ふぅん」

ある程度、大まかにではあるがCの世界にまつわる事象、コード、ギアスについて口にする。
今、置かれている現状が異常時であるとはいえ、C.C.が考えているよりも海馬はそれらを素早く理解し、猜疑心から口を挟むことはなかった。
お陰で説明がスムーズに進んで助かったが、やはりルルーシュの名には一切反応していない。


318 : ファイナル・ギアス ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:53:45 3n7WPONA0

「――C.C.とか言ったか、大体は理解した」

ギアスという異能とそれを極めたものが受け継ぐコード。それらは今はどうでもいい。
重要なのはCの世界と呼ばれるそれだ。
集合無意識の空間、神とやらが居座るとされるそれは考え方によっては天野陽菜が消えて行き付いた先と仮説を立てることも出来なくはないだろう。
そして、そこでは死者との対面も可能となる。ならば、そこに冥界へと至る鍵があるのではないか。
奇しくも集合無意識を利用した方法は、海馬が冥界を明確に認識したきっかけでもある。一概に無関係とはいえない。

「お前、ルルーシュに興味があるのだろう?」

「貴様のお守りに手を貸せとでもいうのか」

「死人の蘇生……その成功例として実物を見ておきたくはないか? ……精神はまだ戻らないが。
 それに私達は利害が一致する」

C.C.の言うように、サンプルとしてルルーシュとやらが居るのであれば接触はしておきたい。同じように最初に殺されて蘇った年増もだ。
更にこの場で雨を降らし続ける神とやらを粉砕するのに、この女の力も要らないとは限らない。
そして両者ともに共通するのは、神子柴の持つ願いを叶える力に興味があること。

馬鹿正直にゲームに乗る訳ではないが、その力が本物であるのならお互いの悲願を達成するのに大きく近づくことになる。

「……よかろう、今は手を結んでやる」

「決まりだな。これは契約、私とお前は……」

共犯者と言いかけて、止めた。

「仮の……契約だ」

「なんでもいい。ふぅん、さっさと行くぞ」

この長い時を生きてきた中で、そんな特別な言葉ではなかったのに。

「……一つ聞いていいか」
「なんだ。時間が惜しい」
「これは、私の我儘だ。あいつは……ルルーシュこんなことを知らない……お前の、大切な相手は……」

私とはC.C.であり、帆高であり、あいつとはルルーシュであり陽菜のことでもあるのだろう。
気付かないうちに帆高という少年にC.C.は自分を重ねてしまったのかもしれない。
許されないと知りながらも、我儘の為に身勝手を働くどうしようもない自分を。

「ふぅん、誰が何をほざこうが俺は俺のロードを往く」

遊戯に否定された死者蘇生。だが海馬はそれを断じて認めず、新たな道を見つけた。

「そのロードが果てなき闇ならば……闇にも染まろう!!
 死したる王にとどめを刺すのはこの俺だ!!」

ならば後はひたすらに突き進むのみ。





「ワハハハハハハハハハハハハハ!!」





全速前進DA!!


319 : ファイナル・ギアス ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:54:29 3n7WPONA0


【C.C.@コードギアス 復活のルルーシュ】
[状態]:健康、心労(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ルルーシュが心配
1:ルルーシュが居るなら探す
2:ルルーシュを完全に復活させる
[備考]
復活のルルーシュでカレン達と合流する以前からの参戦です。



【海馬瀬人@遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS】
[状態]:健康、アテムに対する執着(異常)、目が血走っている
[装備]:青眼の白龍、遊戯の死者蘇生@遊戯王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:アテムを倒す
1:アテムと再戦する方法を探す。
2:主催と雨を降らせる神とやらも潰す。
3:一応、帆高は止める。
4:居れば天野陽菜の弟(凪)は保護しておく。
5:Cの世界か……。
[備考]
遊戯とのデュエルで死者蘇生を受け取った直後からの参戦です。
Cの世界に関してある程度把握しました。


【青眼の白龍@遊戯王】
攻撃力3000の強いドラゴンのモンスター。
実体化する
今ロワではスタンドのように出し入れ可能。
しかし海馬のその時の精神力や体力で強さが変動する。
例えば瀕死の状態で召喚すれば、攻撃力は0になるかもしれない。

【遊戯の死者蘇生@遊戯王】
デュエルを通じて、遊戯から受け取ったカード。
死者は現世に居てはならないというメッセージを込めていると思われる。
カードゲームとしてはモンスターを一体復活させる効果がある。
しかし、このロワでのリアルファイトでは効果を発揮しない。


320 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/21(木) 22:54:49 3n7WPONA0
投下終了します


321 : ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:16:39 ba8d0lP20
投下します。


322 : ディケイドの天気予報 ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:17:11 ba8d0lP20
「明日のお天気知りたいよ教えてね」

「……その前に、お前は何なんだ?」

とある公園の中で突然自分に話しかけたその存在に門矢士は困惑の表情を浮かべた。
そいつは普通に考えれば言葉を発っするようなものではなかった。

初見だとそいつは1枚のイラストのように見えた。
イラストの中には意匠を凝らした服を着た3人の少女が描かれていた。
その少女たちの服装から3人はアイドルでユニットを組んでいるのだろうと考えられる。
発せられる声はまるでその3人の少女から発せられているようであった。

また、イラストには少女たちだけでなくフォントの凝った文字で上の方には「FR@GMENT WING」、左上には小さく「THE IDOLM@STER SHINY COLORS」、右下の方には「02」と書かれていた。
その姿はまるでイラスト内のアイドルユニットの歌のCDジャケットのようであった。
…だとしたら何故そんな物が等身大になって意思を持ち、言葉を喋るようになっているのかということでさらに疑問が生じる。
門矢士は様々な世界を巡ってきた旅人であるが、今まで旅した世界の中にこんな姿をした者はいなかった。
その正体を予測できない。

「私たちトライアングル!」

士の「何なのか」という質問にそのイラスト――トライアングルは答えた。

「明日のお天気知りたいよ教えてね」

そしてまた、最初と同じ言葉を繰り返した。


323 : ディケイドの天気予報 ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:17:46 ba8d0lP20
「明日の天気、か」

今彼らがいる世界は『天気の子』を巡るバトルロワイアルの最中である。
この世界の天気は『森嶋帆高』の状態によって全て左右される。

『森嶋帆高』が天野陽菜に出会えば雨は止まずに会場を浸水させ、全てを水の底に沈める。
この場合、明日の天気は雨となる。

『森嶋帆高』が天野陽菜に出会えず制限時間が過ぎれば雨は止み、太陽光が会場中を照らして晴れとなる。
だが、その制限時間は2日ある。
つまり、この場合では制限時間に今日から見た明日も含まれているため、明日の天気は雨のままとなる。

明日の天気を雨以外にする手段はただ一つ、今日中に『森嶋帆高』の命を奪ってゲームを終了させることだけである。

このゲームの参加者は森嶋帆高を除いても数十人いる。
数多くの人間から命を狙われることになる森嶋帆高は今日一日を生き延びられるだけでも奇跡に近いだろう。

「つまり森嶋帆高は今日中に死亡する可能性が高く、そうなれば明日の天気は晴れになるだろう」

「wow」

トライアングルはの天気予報に喜んだ。
その場でぴょんぴょんと小さく跳ねながら喜びの感情を表現する。

「明日のスケジュール楽しみ」

「だが、俺は森嶋帆高を死なせるつもりはない。ならば明日の天気は雨となるだろう」

「は?」

士は先ほど自分がした天気予報を否定した。


324 : ディケイドの天気予報 ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:18:24 ba8d0lP20
「俺は世界の破壊者らしいからな。あの婆さんが何を企んでいるのかは知らないが、たった一人の人間を追い詰めるようなふざけたルールのゲームは俺が破壊してやる」

「ちゃう!ちゃうよ!違う!」

トライアングルは慌てて士の言葉を否定しようとする。

「くだらないお天気教えないで!」

トライアングルにとって明日の天気を晴れにすることは何よりも喜ばしいことであり、何よりも優先すべきことである。
だがもし明日の天気が晴れでないのならそれは絶対に許されないことである。

「明日のお天気を晴れにして!いけるね?」

「残念だが、そんな相談に乗ることはできない」

トライアングルがどんなに頼んでも門矢士が首を縦に振ることはない。

「もしお前が晴れのために森嶋帆高を殺そうとするのならば、俺はここでお前を止める」

「悲しさも悔しさも増えていく…」

トライアングルは怒りで身を震わせる。
自分はただ、明日の天気を晴れにしたいだけなのだ。
そのためならば人間1人の命なんて安いものだ。

森嶋帆高を今日中に殺せば明日の天気が晴れになることは尋ねる前から理解していた。
それでも天気について尋ねたのは自分の方針を他の参加者に押し付けたいがためであった。
門矢士に話しかけたのはたまたま最初に見かけただけだからだ。

だが、目の前のこいつはそんな自分を邪魔しようとしている。
そう宣言した。
それは決して許されないことだ。
ならば、強硬手段に出るしかない。

『カブト』

どんな手を使ってでも目の前のこいつに明日の天気は晴れだと言わせる。
賄賂に使えそうな物は手元にない。
ならば、暴力的な手段にも打って出る。


325 : ディケイドの天気予報 ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:19:54 ba8d0lP20
音声が流れると同時に黒いもやのような何かがトライアングルの体を包んでいった。
ただの四角形のイラストだったトライアングルに手や足、胴体といったものを持つ人型の何かに変わっていく。
黒いもやが晴れるとそこにはカブトムシにも似た赤い怪人が立っていた。

「何だ…その姿は?」

トライアングルが見せた新たな姿はディケイドも変身したことがある仮面ライダーカブトのようであった。
またはカブトに敵対する怪人のワームのようでもあった。
何故急に姿をイラストから怪人に変えることができたのかは分からない。
だが、カブトに関連する何かを持っていることは分かる。

「明日のお天気は晴れだね!何があっても晴れだね!」

「お前の言いたいことはだいたいわかった」

トライアングルの正体やどうやって今の姿に変身したのかはまだ分かっていない。
けれども、怪人の姿をとることで威圧、脅迫をしてこちらに要求を呑ませようとしていることは分かる。
だが、そんなことは士には無意味である。
相手が変身するのならこちらも変身するまでだ。

「変身!」

『KAMEN RIDE DECADE!』

門矢士はディケイドライバーとライダーカードを使用して仮面ライダーディケイドに変身した。

目の前に立ちふさがる相手がどんな存在なのかは関係ない。
様々な世界を旅し、与えられた役割を果たす。
それが、ディケイドという仮面ライダーなのだから。


【門矢士@仮面ライダーディケイド】
[状態]:健康、仮面ライダーディケイドに変身中
[装備]:ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:このバトルロワイアルを破壊する
1:目の前の怪人を倒す
2:森嶋帆高を保護する
※参戦時期は後続の書き手におまかせします。


【トライアングル@天気予報シリーズ】
[状態]:お天気ヤクザ、アナザーカブトに変身中
[装備]:アナザーカブトウォッチ@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:明日のお天気を晴れにして
1:何があっても晴れだね?(威圧)
※見た目は等身大にまで巨大化したTHE IDOLM@STER SHINY COLORS FR@GMENT WING 02のジャケットです。
※首輪はイラストの中の櫻木真乃に着けられています。


【ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド】
門矢士が仮面ライダーディケイドに変身する時に用いる変身ベルト。
差し込むライダーカードによって他のライダーに変身したり、技を発動させる。
制限によりディケイド以外のライダーへの変身は制限時間1分、10分のクールタイムを要するようになっている。

【アナザーカブトウォッチ@仮面ライダージオウ】
仮面ライダーの力を持つ怪人、アナザーライダーの一種であるアナザーカブトに変身するための時計型アイテム。
起動して体内に埋め込むことで変身する。
強いダメージを受ければ体外に排出されることもある。
仮面ライダーカブトの力を伴う攻撃でないと破壊することは不可能。
クロックアップは体感5秒が限度で、1分間のクールタイムが必要。


326 : ディケイドの天気予報 ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:20:11 ba8d0lP20
投下終了します。


327 : ◆5IjCIYVjCc :2021/01/22(金) 22:23:40 ba8d0lP20
(タイトル消すの忘れてました)
改めて投下終了します。


328 : ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 01:48:00 suhABG220
投下します


329 : 風の道しるべ ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 01:49:41 suhABG220
ざぁざぁと雨が降り注ぐ街。
そこに一人の少女の姿があった。

「はぁ、はぁ…」

ピンク色をした子供用の傘を片手に急ぐその姿は、10歳にも満たない幼女だった。

「えっほ、えっほ…」

その少女、鈴原小恋の頭にはさっき見た映画の内容がはっきりと刻まれている。

普段通り帰宅したはずなのに、どうして変な映画館にいたのかとか。
あのお婆さんはいったい誰なのかとか。
槍を持っていた女の人は本当に大丈夫なのかとか。
色々考えることはあるし、恐い気持ちもあるけれど。

それ以上に、映画に出ていた二人の事が気になった。

(このままだと、おにいさんとおねえさんは会えなくなっちゃう…)

小学1年生の小恋には難しい部分もあったけど、ホダカおにいさんとヒナおねえさんがお互いを好きなんだとは、何とくなく分かった。
そして、このままではおねえさんは消えてしまい、おにいさんとは二度と会えなくなってしまうと。

ふと、その境遇を自分に重ねてみた。

みのりちゃん。
お母さんがお仕事の間一緒に遊んでくれて、とっても優しい大人の女の人。
そして大好きなコイビト。

もしも自分がみのりちゃんと離れ離れになったら。
みのりちゃんが消えてしまって、二度と会えなくなったら。
それは凄く悲しくて、ちょっと考えただけでも涙が溢れそうになる。

そんな悲しい思いを、あのおにいさんたちもしてしまうんだろうか。
それは何だか凄く嫌で、放っておけなかった。

だからこうして走っている。
おにいさんが今どこにいるのかは分からないし、見つけたとして何をすれば良いのか、自分でも分かっていない。
それに2人が会っったら、自分たちが危ない目に遭ってしまうらしい。

だけど、じっとしてもいられなかった。
誰もいないお店から傘を「ごめんなさい」と言って借り、おにいさんを探しに走り出していた。

そうして、パシャパシャと音を立てながら足を動かしていたが、焦り過ぎていたのか足をもつれさせてしまう。

「わわっ!?」

そのまま倒れ、地面が目の前に近付き咄嗟に目を瞑った。

が、顔に来ると思っていた衝撃は来ない。
恐る恐る目を開けると、何故か視界が普段より高くなっていた。

「ったく、だから飛び出すなっつったろうがァ…」

声のした方を見ると、男の人が呆れたような顔をしていた。
視界が高くなったのは、地面に激突する直前に彼が襟首を掴んで持ち上げたからだと気付いた。

「で、でも急がないと…」
「それでコケてりゃ世話ねぇだろ。いいからもうちっと落ち着けや」
「あう……」

そう言われると言葉に詰まる。
確かに自分が慌てていたのは事実だ。
最初にこの男の人と出会い色々とお話したのだが、どうしてもおにいさん達が心配になり、止める声も聞かず飛び出した。
男の人は傘も差さずに自分を追いかけて来たのだろう、全身ずぶ濡れになっている。
傷だらけの顔をしていて、おまけに刀を持っていたから恐い人だと思ったが、本当は優しい人だったのかもしれない。

小恋は物凄く悪いことをしてしまった気持ちになった。

「ごめんなさい、さねみくん……」


◇◆◇


330 : 風の道しるべ ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 01:51:20 suhABG220
◇◆◇


どこまでもふざけている。
神子柴の開いた催しは、不死川実弥にとって苛立ちと嫌悪の対象でしかない。
自分含めた大勢を爆弾付きの首輪で支配し、一人の少年の殺害を強要する。
人の命をゴミのように見ているとしか思えない所業。
あの老婆は鬼舞辻無惨と同等の下衆に違いない。

(チッ、ざけんじゃねぇぞクソババアが…。あいつは無惨の仲間か?)

思わず舌打ちしそうになるが、小恋の手前やめておく。

鬼殺隊の宿敵であった鬼の首魁は既にこの世にはいない。
であるのなら、神子柴は生き残りの鬼なのだろうかと、実弥は考える。

大勢をこの奇妙な場所に拉致し、更には死んだ人間を生き返らせる。
どう考えたってただの年寄りに出来る事ではない。
そもそも死者の蘇生など、あの無惨ですら不可能なことだ。

(ならあのババアは無惨よりも格上の化け物ってことか?冗談じゃねぇぞ…)

無惨が死んだ事を好機と見て姿を現したとでも言うのか。
そんな馬鹿なと言いたい所だが、既に神子柴の異常性は見てしまっている。
それにあの映像が全て真実だとしたら、天野陽菜を贄に求めている神様とやらも実在する事になる。
人喰いの鬼を倒したと思ったら今度はは神様と来た。
これには実弥も頭を抱えたくなる。

だがこうして殺し合いに巻き込まれてしまったのは事実。
生きて帰る為には森嶋帆高を殺さなければならないそうだが、生憎と実弥にその気はない。
もしも帆高が人を喰う化け物であったなら、特に迷う事無く頸を斬り落としただろうが、相手は危なっかしい所がある以外は普通の人間。
そんな相手を胡散臭い老いぼれの言いなりになって殺すなど真っ平だった。

(あの帆高ってガキは惚れた女に会おうとしてるらしいが…それを指咥えて見てる訳にもいかねぇ…)

少年少女の恋物語に関しては特に言うことは無い。
甘露寺ならともかく、実弥にはその手の話に別段興味も無いからだ
しかし、帆高と陽菜が再会すると参加者が水底で息絶えるというのなら話は別だ。
少なくとも、このまま黙って帆高を陽菜に会わせる訳にはいかない。

無論実弥とて、何も陽菜がこのまま消えてしまえば良いと思っている訳ではない。
だからまずは帆高を見つけて、陽菜に会うのを少し待つよう話すつもりだ。
それから制限時間が過ぎる前に、帆高を死なせないようにしつつ、首輪を外す方法やこの場所からの脱出口を見つける。
そう簡単に事が進むとは思っていないが、現状では他に良い考えも浮かばない。

(まぁ、あのガキがこっちの話に聞く耳持たずってんなら、力づくになるだろうがなァ)

自分はまだ良い。
守りたかった家族は皆死に、痣の代償であと数年もしない内にこの世を去る。
だが小恋は、この幼い娘は自分とは違う。
帰りを待っている家族が、大切な人達がいるのだ。
そんな少女を己の我儘で死なせてしまうかもしれないと聞き、それでも陽菜に会うのを強行する気なら。
殴って気絶させるか、最悪骨一本はへし折って動けなくする必要があるかもしれない。

(とにかくあのガキに会わねぇと「もー!さねみくんってばー!」…あ?」

ふと見ると、小恋が膨れっ面をしていた。
どうやら持ち上げられた体勢のままなのが気に入らなかったらしい。
つい考え込んでしまっていた事に少しバツが悪くなりながら、「悪ぃな」と言って下ろしてやる。

(……こんなガキまで巻き込みやがってよォ…)

改めて思う。
神子柴なる老いぼれは気に食わない。

奴はわざわざ自分の傷まで治療していた。
上弦の壱との戦いで失った数本の指が、見事に元通り生えている。
おまけに支給品にはご丁寧に刀まで用意されていた。

これで森嶋帆高を斬ることでも期待していたのか。
それとも、願いを叶える為に邪魔者を斬るとでも思っていたのか。

玄弥たちを、大切な家族を生き返らせてくださいと泣きつく様でも想像していたのか。

(ハッ、いいぜ…お望み通りぶった斬ってやるよ……テメェの頸をなァッ!!ゴミクズババアが!!)

神子柴の正体が何なのかは分からない。
だが奴が人に仇なす存在だと言うのなら容赦はしない。

鬼殺隊が風柱、不死川実弥は新たな敵の出現に殺意を滾らせていた。


331 : 風の道しるべ ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 01:52:18 suhABG220
【鈴原小恋@お姉さんは女子小学生に興味があります。】
[状態]:健康
[装備]:子供用の傘
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:おにいさんとおねえさんを会わせてあげたい
1:おにいさんを探す
[備考]
※参戦時期は25話以降のどこか。


【不死川実弥@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:雪走@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:神子柴とか言うクソババアを斬る
1:小恋を守りながら帆高を探す
2:帆高に会ったら陽菜に会うのを待つよう話す。聞き入れないようなら力づくで止める。
3:首輪を外す方法と、会場からの脱出口を探す
[備考]
※参戦時期は無惨が死んだ後。

【雪走@ONE PIECE】
ロロノア・ゾロが所持していた良業物50工の一振り。軽量で扱い易い。
元々はローグタウンの武器商いっぽんマツの家宝だったが、ゾロの男気に惚れた彼から譲り受けた。
エニエス・ロビーでの戦闘で悪魔の実の能力者である海軍の大佐に破壊されてしまった。


332 : ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 01:52:48 suhABG220
投下終了です


333 : ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 15:22:42 suhABG220
投下します


334 : パーソナリティークライシス ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 15:23:56 suhABG220
「うわあああああああああああああっ!?」

薄暗い裏路地。
そこに男性の悲鳴が響く。

声の主、多間木匠はどうしてこうなったと混乱していた。

三年前の事件を追及して来た金田一を拳で黙らせた直後、駐車場にあった車の爆発に巻き込まれたはずが、
何故か五体満足で映画を見せられていたのだから、最初は困惑したものだ。
しかし、神子柴の説明を聞きこの状況はチャンスだと思い直す。

神子柴の言うお題を達成すれば、どんな願いも叶えてもらえる。
それが本当なら、自分を付け狙う何者かに二度と襲われずに済む。
おまけに殺し合いという無法地帯ならば、それこそ世間の目を一切気にせず好き放題やれるではないか。

ムカつく奴を殺してみるのも良いし、気に入った女がいたら十神まりなのように玩具にしてやりたい。
万が一お題が達成できずとも、森嶋帆高を殺せば無事に帰る事ができる。
あんなお寒いラブストーリーなんぞを見せつけてくれた帆高には、きっちりと「お礼」をしてやりたい所であるし、
いっそ帆高の目の前で、天野陽菜を嬲ってやるのも悪くない。

そう考えると、俄然やる気が出てくる。
デイバッグから取り出した短剣を片手に、意気揚々と歩き出した。

「精々楽しませてもうらうとするかぁ!」

数分後、多間木は路地裏で別の参加者を見つけた。
忠誠的な顔をした金髪の青年。
無表情で突っ立ってるそいつを、多間木は観察する。

見た所武器は何も持っていない。
周りには誰もおらず、今ならいける。
まずは適当にボコって動けなくした後、支給品を奪う。
それから初めての『殺人』をやってみるか、それとも都合の良い駒として使うか。

そんな事を考えながら多間木が青年に近付こうとした時、
青年が機敏な動きでこちらに迫って来た。


335 : パーソナリティークライシス ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 15:25:06 suhABG220
「なっ…」

唐突な事態に多間木の反応が一瞬遅れる。
その隙に接近した青年は多間木の腕をガッチリと掴む。
振りほどこうとするが、何故か腕が動かない。

というよりも、腕が「凍り付いて」いた。

「うわあああああああああああああっ!?」

謎の減少に思わず悲鳴を上げる。
青年はすかさず多間木の腹部を殴りつけた。
低く呻き崩れ落ちる多間木を見下しながら、青年は素早い手付きで彼の四肢を凍らせて、動きを完全に封じた。

多間木はまるでヤクザに脅されたサッカー部員のような、四つん這いの姿勢で拘束されていた。

「て、テメェこんな事してタダで済むとウグッ!?」

屈辱と恐怖で叫ぶ多間木の口に、何かが突っ込まれる。

あろうことか青年は自らのペニスを多間木の口内に突っ込んでいた。
腰を振り、血管の浮き出た肉棒を出し入れする青年。
多間木は息苦しさと気持ち悪さに抵抗しようとするが、凍った四肢は全く動かない。
そして青年は絶頂に達し、多間木の喉奥目掛けて勢いよく射精した。

「ヴォエッ!」

多間木はその青臭さに吐き気を催し、口内に溜まった液体を吐き出す。
その様子を冷めた目で眺めていた青年は、やがてゆっくりと口を開いた。

「ねぇ、どうして吐き出したの?何で飲み干してくれなかったの?ねぇ、僕のことバカにしてるの?」

その声には若干の苛立ちが込められているように感じられた。
青年は多間木の返答を待たず後ろの方に回ると、勢いよく下着ごと彼のズボンを下ろした。
何をされるか悟った多間木は顔を青褪めさせる。

「お、おい待てよ…!そんな事したら…」

震える多間木の抗議を無視し、青年は多間木の肛門目掛けて勢い良く突っ込んだ。


氷で出来た剣のようなものを。


336 : パーソナリティークライシス ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 15:26:23 suhABG220
「あぎぐぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!?!」

肛門が裂ける。
腸が斬られる。
想像を絶するような激痛に多間木は顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃに歪める。

しかし青年は止まらない。
何度も剣を出し入れし、その度に多間木の悲鳴は大きくなる。

それを何回繰り返しただろうか。
ややあって青年は剣を引き抜くと立ち上がり、痙攣している多間木を見下ろす。

「飽きちゃった」

その言葉に多間木は心の底から安堵し、

「じゃあ、死のうか(暗黒微笑)」

その意識は闇に葬られた。


【多間木匠@金田一少年の事件簿 死亡】


その後、多間木死体を犯し三度目の射精をした所で気が済んだのか、青年は身支度を整え路地裏を後にした。
デイバッグには記念として斬り落とした多間木のペニスが入っている。

自分の支給品にあった奇妙な果物。
説明書によると、食べれば特殊な力が使えるようになるとのことで、物は試しと齧りついた。
味はゲロウンコ茶漬け並に最悪だったが、効果は確かだった。

さっきは能力の練習がてら多間木で色々と試したが、悪くないと言える。
自分の思い通りに何でも凍らせる事ができるこの力を、青年はそれなりに気に入った。

青年にとって最初に見た映画の内容などはどうでも良かった。
ただあの男の子、森嶋帆高は中々かわいい顔をしていて印象に残っている。
帆高を自分の好きにできたら…。
そう考えるだけでズボンが膨らみだす。

「待っててね、帆高くん…」

薄っすらと笑みを浮かべる青年…MNR。
嘗て、6人の少年を殺害しその死体と性交、更には彼らのペニスを切断し自らに挿入するという、クッソおぞましい行為に走った連続殺人鬼。

数多のホモガキを震え上がらせた最凶のホモは、新たな獲物を求めて会場を彷徨うのだった。


【MNR@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:健康、悪魔の実の能力者
[装備]:アゾット剣@Fate/Zero
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜4(多間木の分も含む)
[思考・状況]
基本方針:帆高くんで楽しみたい(意味深)
1:適当に歩いて帆高くんを探す。その道中で気に入った人を殺して犯す
[備考]
※ヒエヒエの実@ONE PIECEを食べて能力者になりました。

【ヒエヒエの実@ONE PIECE】
自然系悪魔の実の一つ。
食べると全身から凄まじい冷気を放出し、あらゆるものを一瞬で凍結させる氷結人間となる。

【アゾット剣@Fate/Zero】
錬金術師パラケルススが持っていた剣の模造品。
遠坂家に代々伝わる物であり、遠坂時臣から言峰綺礼へ譲渡されたが…。


337 : ◆ytUSxp038U :2021/01/23(土) 15:27:14 suhABG220
投下終了です


338 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 17:36:19 UsjUfo320
投下します


339 : やまない雨(再) ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 17:37:52 UsjUfo320
時は大正、新発見と発明の時代!
古きものが新しきものとすれちがう、まさに夢と希望の変革の時代!
されど、時代の境目には犯罪と騒乱も特徴となるのである。
これからはじまる奇想天外奇妙奇天烈なる冒険の数々をご照覧あれ!


◇◆◇


仄かに昏い森の中にたたずむ妙齢の女性。


――――妙なことに巻き込まれた。

それが彼女――高城 秋生の抱いた最初の感想だった。

いつものようにカフェで働き、いつものようにご飯を食べ、いつものように寝る。
そんな当たり前の一日を終え、さあ新しい朝が来たと目を覚ましたら、椅子に拘束されていた。

身体の自由を奪われ絶体絶命。
どんなひどい目に遭わされるかと身構えてみれば、始まったのはあり得ないほどに美しい活動写真。
それもつい最近、仏蘭西だか亜米利加だかで一般公開されたという「発声映画(トーキー)」だ。

秋生の知る最新よりもさらに先を行く技術で作られているらしい映像が終わり、一体何のパーティーが始まるのやらと期待してみれば、告げられたのは殺し合いの始まりだ。
冒険探偵さんと行ったどんな冒険よりも奇妙な事態に巻き込まれ、どうしたらいいのかと肩を落としたのだった。

「雨……やっぱり、嫌な天気ね」

空を見上げて呟く秋生。
降りやむことはないという雨を見ていると、嫌が応にも苦い記憶が蘇る。


◇◆◇


カフェの扉が開き、見慣れた人物が入ってきた。

「あ、いらっしゃいませ!
 なに?美咲。嬉しそうね?」

入ってきたのは親友の美咲だった。
その表情はいつにもまして明るく、嬉しそうだった。

「聞いて秋生!私の力が世の中の役に立つかもしれないの!」
「美咲の力って…」
「うん。鬼の力を調べてみたいんだって。
 雨を呼ぶ力が研究の参考になるらしいの」

無邪気に喜ぶ美咲。
しかし、美咲の力は不安定なもので、日常生活の中でもしばしばあふれ出しそうになり、そのたびに彼女は抑制のための薬を服用しなければならなかった。

それを知っている秋生としては、不安を覚えずにはいられなかった。

「本当に大丈夫なの? その……抑えられなくなったりしない?」
「もしそうなっても、秋生が止めてくれるんでしょう?」
「そういうことじゃあ…!」
「うん。わかってる」

声を荒げかけた秋生を美咲が制して笑う。


340 : やまない雨(再) ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 17:48:07 UsjUfo320

「私が力を使うわけじゃなくて、研究員の人たちが調べるだけだから大丈夫よ」

そう言って、美咲は帝都を離れていった。


ひと月程経った頃、秋生は奇妙な噂を耳にした。


「おい、知ってるか? 1か月以上も雨が降り続いてる村があるらしいぞ。
 それがどうも鬼の仕業なんじゃないかって噂なんだ」

詳しく聞いても客はそれ以上のことは知らず、鬼の目撃談があるわけでもない。
噂をしていた当の本人たちは与太話だろうと笑っていたが、秋生は胸騒ぎが収まらなかった。


翌日、すっかりカフェの常連になっていた冒険探偵に調査を依頼。
真相を知るべく秋生も同行し、研究施設と思しき洋館を調べることになった。

研究施設は鬼がおり人間の死体を貪っていた。
そして秋生たちに気付くや否や襲い掛かってきた。

一度は倒したものの、再び立ち上がる鬼に秋生は語り掛ける。

「美咲。私がわかる?」

しかしやはり声は届かない。
雄たけびを上げ、再び襲い掛からんとする鬼に、秋生は独りで対峙する。


341 : やまない雨(再) ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 17:49:39 UsjUfo320

冒険探偵は退かせた。

親友を葬る様を見られたくはなかった。

「美咲。つらかったでしょう? いま、楽にしてあげるわ。
 …高城流鬼操術! いきます!」



―――そうして雨は止んだ。

帰ってきた秋生に冒険探偵が言いよどむ。
「あの怪物……いや、その……」

「あれは鬼よ」
きっぱりと言い切る。

「鬼には天候を操る力があるの。施設のやつらはその超自然的な力に目をつけたんでしょうね。
 ま、研究サンプルってとこかしら」
なるべく客観的に、なるべく中立に。なるべく感情を込めず、他人事のように。
訊かれてもいない、今回の事件の顛末を、秋生の推測を交じえて話す。

その事実に目を向けてほしくはなかったから。
目を向けてしまえば彼が負い目に感じてしまう。

けれど探偵というだけあって、彼は誤魔化されてはくれなかった。

「……美咲ちゃん、だったのか?」

「人の心をなくしてしまったらただの化け物だわ
 それにもう終わったことよ……」

冒険探偵は自責の念をありありと顔に浮かべる。

バレてしまった以上は仕方がなく、彼をよそに秋生は美咲に語り掛ける。

(あなたとの約束は守ったわよ。
 だから、ゆっくり休んでね……)


こうしてこの事件は解決した。
秋生の心に、傷を残して。


342 : やまない雨(再) ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 17:50:30 UsjUfo320


◇◆◇


そして現在。
このゲームに於いて己の為すべきことを考える。

ゲームの終了条件は三つ。
①森嶋帆高を制限時間まで天野陽菜と出会わせない。この場合、森嶋帆高は死亡する。
②森嶋穂高と天野陽菜が出会う。この場合は森嶋帆高以外の参加者全員が雨により溺死する。
③制限時間よりも前に森嶋帆高を殺害する。


しかし秋生はもう一つの終了条件があるのではないかと考える。

天候を操り雨を降らせる鬼の存在を知る彼女は、ここに降りしきる雨もまた、美咲のような鬼、もしくはかの施設で研究されていた気象兵器の力によって人為的に引き起こされた超常現象であると考えていた。

つまりそれは雨を降らせている元凶を止めて雨を降りやませることに成功してしまえば、森嶋帆高と天野陽菜が出会ったとしても森嶋帆高以外の参加者が死ぬことはないということだ。

特にこの雨の原因が鬼であるならばその抑止は高城流鬼操術を使う秋生にしか成し得ないことだ。

森嶋帆高には、それが成されるまでは天野陽菜を迎えに行くのを我慢してもらおう。
あの活動写真を見る限り無鉄砲なところはあるようだが、好き好んで不要な犠牲を求めるタイプの人間ではないだろう。


やるべきことは決まった。あとは動くだけだ。

冒険、戦闘に於いて愛用している鉄の爪は没収されたようだが、高城流鬼操術で手を鬼乃手に変化させることは問題なくできた。
万一襲われても十分に戦える。


美咲の時のような、誰かが傷を負う終わりにはもうしない。

強く決意し、歩き出す。


【高城秋生@パワプロクンポケット7 大正冒険奇譚編】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:雨を降らせている元凶を特定、抑止し雨を降りやませることでゲームを破たんさせる。
1:雨を降らせている元凶を発見、抑止する。
2:1を達成するまで天野陽菜に会わないよう森嶋帆高を説得する。


343 : やまない雨(再) ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 17:54:14 UsjUfo320
[備考]
高城秋生の参戦時期は『やまない雨』をクリアして生還以降、帝都最後の日(関東大震災)よりも前です。


344 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/23(土) 19:27:09 UsjUfo320
宣言し忘れてました。
投下終了です。


345 : ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 05:37:53 zrchgkSQ0
感想ありがとうございます。
すみません!
「恋を応援!若おかみ!」
参戦時期が抜けておりました…
[備考]
参戦時期は木瀬一家との出来事で両親の死を乗り越えた後、春、梅の香神社の神楽の日より前です。

別作品を投下します。


346 : 愛=×勝利と栄光=○ ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 05:44:44 zrchgkSQ0
雨が降り続く街に異形の生物が大地に足をつけている。
その生物は正面から見ると右側が炎に包まれて左側が氷に包まれているーーーーー

「愛?…青二才のヒュンケルあたりがほざきそうな人間の下らねぇ感情だッ!」

異形の生物の名は魔王軍六大軍団長の一人。氷炎将軍フレイザード。

愛よりも勝利と栄光を求める者。
(俺は…ミストバーンが寄越した不良品の鎧の所為で勇者のクソガキに敗れたはず……)
バルジ塔の戦いでフレイザードは戦死したーーーー

「…メラ」
言葉と共にフレイザードの右人差し指に炎が宿る。

(…呪文が使える。ハドラー様の禁呪法で生まれた俺をそのまま蘇らせるとは…どうやら、御子柴とかいうババアの死者復活はペテンじゃなさそうだ)

(あの下らねぇ人間共の生活には魔物の姿が映っていなかった…それに、妙な形の馬車に周囲の建物は明らかにオーザム王国を凌駕している技術!!)

(魔王軍による侵攻を一切受けていない国は存在しない…ということは俺らの世界とは別の世界が存在すると言うのか…?)

「…ということは、油断すると危ないな。デイバッグを見る限り未知な道具があるからな…」
フレイザードは暴力性だけでなく冷静な分析力を併せ持つーーーーー

(紙には、先着5名に如何なる願いを叶える権利を与えると書いてあるが、もし俺以外がたどり着けなければ、願いを5つ叶えてもらえることも可能ではないか…?)
邪な欲望が溢れ出す……

「まあいい、あの、ガキを女に会わせないで褒美の願いを叶えてもらおうじゃねぇかッ!」
(ま、叶えてもらったらあのババアは用済みだけどな……)
フレイザードの行動指針が定まったーーーーー

「バーン様ッ!我に勝利と栄光を!!!クカカカカカカカ〜〜〜ッ!!!!」」

勇者パーティを全滅させるというバクチに敗れた男が再び、殺し合いという名のバクチに挑む。

【フレイザード@ダイの大冒険】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:時間経過によるゲーム終了の願いの権利狙う。
1:【森嶋帆高】 を見つけ次第、事件経過まで保護する(死なない程度に)
2:自分以外の参加者は殺す
※参戦時期はバルジ塔の戦いで勇者ダイに敗れた後
※首輪は体内の核に付けられています。
※暴魔のメダルは手元にありません。
※別の世界が存在するのではと思考しています。


347 : 愛=×勝利と栄光=○ ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 05:45:24 zrchgkSQ0
投下終了します。


348 : 竜がYOSAKOI ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 15:31:44 zrchgkSQ0
投下します。


349 : 竜がYOSAKOI ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 15:33:20 zrchgkSQ0
「…一体、どうなってやがるんだ!?」

雨が降り続ける街に困惑の色を隠せない男…

「たしか、俺はうみねこ坐で映画を観ていたはずだったよな…?」

男の名は春日一番。
元東城会直系荒川組若頭。

「眠気に負け、途中寝ちまって…んで、目が覚めたら別の映画が上映されて…」
自分の所属していた組の息子荒川真斗の目を覚まさせるために拳を交え一連の騒動に決着をつけた一番は異人町に留まることを選択した。
ある日、馴染みのあるうみねこ坐の支配人にお勧めされた映画を観ていた一番は睡魔に負けて寝てしまった。
目が覚めると「天気の子」が上映され、現在に至るーーーーー

「…っといけねぇ。このままじゃ、風邪をひいちまう。どこか雨宿りをする場所を探さねーと…」
雨が降り注ぎ、一張羅の赤のスーツをこれ以上濡らさぬため、手ごろな休憩場所を探す春日。
「おっと!行き止まりか…」
走っていると目の前に行き止まりを示す塀に辿り着き、肩を落とす春日。
「…ん?なんだ?この音」
パシャ!パシャ!パシャ!塀の向こうから水面を蹴る音が聞こえーーーーー

「ッ!?わわわ、どいてくださーいッ!!」

「おわっ!」

春日の目の前にある塀からなんと、女の子が跳び越えてきたーーーーー

☆ ☆ ☆ アダッ!!?? ☆ ☆ ☆

☆彡 ☆彡 ☆彡

一番と激突した少女はとりあえず、屋根のある店の前で互いに自己紹介を交わしたーーーーー

「へぇ…するとハナちゃんはアメリカから日本へ来たのか?」
「そうデス!それに憧れの日本で【よさこい】を踊るのは、私の夢なんデス♪」
少女の名はハナ・N・フォンテーンスタンド。
ハナは自身の夢を一番に語る。

「…夢…か」
(親っさん…若…)
ふと、春日の脳裏に敬愛する2人の姿がよぎるーーーーー
(あの、御子柴の婆さんはザオリクを使いやがった。けど、それで2人が蘇っても、筋が通るわけねぇよな…)
御子柴が見せた魔法のような行いに一瞬、夢の日々を連想したが、すぐさま否定した。

「ところで、一番さんはJapaneseYAKUZAデスか?」
「ん…ああ、元、だけどな」
所属していた荒川組からは破門され、さらに大元である東城会は近江連合と共に警察に解散届を提出し東西の2大極道組織は消滅したーーーーー

「色々あってな…今は一番ホールディングスの社長ってわけだ!」
「OH!元YAKUZAでシャチョーさんデスか!?すごいデスね♪」

「いや、従業員の皆のおかげさ!それにハナちゃんも「よさこい」って踊りを踊るのが夢だなんてスゲェじゃねぇか!」

「ふふん♪それほどデモです!…一番さんも私と踊りませんか?」
ハナの提案。
「いや、俺はよしとくよ。踊りなんて修学旅行のフォークダンス以来だからな…」
(流石に喧嘩で使用しているダンスはまずいよな……)
口ではそういうが、先の騒動では、ダンススタイルで戦ったことがある一番だが、踊りを純粋に楽しむハナを見て申し訳なさそうに断るがーーーーー

「大丈夫!ただクルクルクルクル楽しく回っていればいいんです!だから、ほら!」
「お…おい」
そういうと、ハナは一番の手を掴み周囲を周る。

「〜〜〜〜〜♪」
「……」

(素敵な笑顔、長いまつ毛、大きな瞳、小さい身体に高くてきれいな声だ…)

一番はハナの顔を見つめる。


350 : 竜がYOSAKOI ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 15:34:34 zrchgkSQ0
☆彡 ☆彡 ☆彡

「…ふぅ。…どうでしたか?」
「…悪くねぇ。最高だったぜ」
笑顔でハナに答える一番。

「よかったデス♪…ところで一番さんは、どうしますか?御子柴おばあちゃんさんの言っていた通りに帆高さんを陽菜さんに出会わせないように行動するのデスか?」
「…そうだな。二人が出会えば、俺らは皆、水の藻屑。正直、死にたくねぇな…・」
「……」
ハナは一番の言葉を黙って聞いているーーーーー

「けどよ、あの帆高ってガキは陽菜って子に対する熱い思いを持っている!それを引き裂く神は神じゃねぇ!魔王だ!…魔王なら勇者が退治しねぇとな?」
一番はハナに自身の答えを伝える。

「一番さんはJapaneseサムライデス♪ カッコイイです♪」
一番の答えにハナは笑顔を見せる。

「おうよ!春日一番という人間は荒川の親っさんから教わった度胸とドラクエの勇者から教わった勇気から出来てるんだからなッ!」

そう。それが春日一番という男だ。

「私も死にたくはないデス…でも、穂高さんと陽菜さんを見ていたら2人の恋をまもってあげたいデス!だから私も抗います!」
ハナも自らのケツイを一番に語るーーーーー

「そんじゃあ、御子柴の婆さんの企み、一緒に阻止すんぞッ!ハナちゃん!」
「はいデス!アニキ!」

「…ハナちゃん…兄貴はよしてくれ……」

【春日一番@龍が如く7】
[状態]:健康 ジョブ:フリーター
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:御子柴の婆さんの野望を阻止する。
1:まずは、帆高を探す。
2:他の参加者と協力できたらしたい。

※最終章クリア後
※デリバリーヘルプは使用不可能です。
※会社経営で株価1位になり、サブストーリーをクリアしています。
※取得しているジョブのスキルや他のサブストーリーの進行度などは後続の書き手様にお任せします。

【ハナ・N・フォンテーンスタンド @ハナヤマタ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰るためにアニキと行動を共にする。
1:一番と行動を共にする。
2:えー…いいじゃないデスか♪アニキって響き私はスキです♪

※参戦時期はアニメ最終回後


351 : 竜がYOSAKOI ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 15:34:48 zrchgkSQ0
投下終了します。


352 : ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 15:39:43 zrchgkSQ0
…すみません(汗)
先ほどの投下作品のタイトル
竜がYOSAKOIから龍がYOSAKOIでお願いします。


353 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:04:05 EYNWcjDk0
投下します


354 : 汚怪なる血脈 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:04:39 EYNWcjDk0
――ショッピングモール地下駐車場。度重なる大雨によって雨水が流れ込んでおり、時が経てばここもまた一種の閉鎖された水槽にもなりうる場所

だが、そこで流れ漂う異質な液体――血、血、血
それは、こびり付いた黴の如くどす黒く、滲んでいる。それが雨水の中に混じっているのだ。まるで蛆虫の如く蠢いているようにも見えるその血の痕跡

駐車場の中心に――元凶は居た。まるで滑稽な道化師のごとく滑稽な格好をした赤い何か
道化師の足元には血がばら撒かれていた。仮面を被ったそれは、何かを今にも嗤いそうな顔で誰か追いかけている

道化の視線の先には、逃げるように走る青いフードの付いたコートを着た小柄な少女。フードに見え隠れする銀色の髪にはまるで牛の如き角のようなものが二本

少女の名はクムユ。鍛冶職人の家にて育った、空の騎空団のメンバーの一人

そしてそれを追いかける道化の名――アーカムシティに巣食う悪の秘密結社『ブラックロッジ』、その上位に立つ7人の幹部『アンチクロス』の一人、ティベリウス

なぜこのような状態へと至ったのか? それは少しだけ時を遡る

* * *

始まりはクムユがこの地下駐車場に迷い込んだ事からだ。鉱山組合との一件が無事解決した途端に連れ去られた挙げ句謎の映画を見せられて、気がつけばこんな場所

多少改善したとはいえビビり性でもあった彼女は当所こそわけの分からぬ自体に困惑し怯えるも、逆にわけも分からず死んでたまると強がり一念発起
支給品の方には『大口径南蛮銃』と説明書に記載されたダブルバレルのソードオフ・ショットガンとその弾薬一式。小柄なクムユにも扱えるぐらいには程よい大きさだったこともありこれを一旦の主武装とすることに

まずは森嶋帆高を探そうと思った矢先に出会ったのがこのティベリウス。
ティベリウスはティベリウスで目の上のたんこぶがいなくなったと思えば唐突にこんな所に呼ばれた事態にフラストレーションこそ溜まっていたものの、気分発散としてクムユに目をつけ、襲いかかったのだ

クムユの方はティベリウスを魔物か何かと認識して発砲。見事命中したのが良いが、ティベリウスの傷はまたたく間に再生。分が悪いと判断して逃げ出したクムユをティベリウスが追いかけ、今に至る―――

* * *

「待ちなさぁ〜いおチビちゃぁん」

道化師が壁や柱を両襟から湧き出た鉤爪で抉り取りながら少女を追う。大柄な服装ながらその動きは獰猛な肉食獣のごとく

「誰がテメーみたいなグロテクス野郎なんかに捕まってたまるかです!」

それに負けじと少女は追いつかれまいと叫ぶ

「あらやだ、啖呵だけは一人前。まっ、そっちの方がアタシも唆るから良いんだけど」
「言ってやがれです化け物!」

道化の挑発に声を荒げるも、実のところを言えば一発もろに打ち込んだはずなのに何事もなく再生する道化――ティベリウスをどうこうする手段を必死に考えてるしかないクムユ

何しろティベリウスの方は鉤爪での攻撃以外に手の内を見せていない。それに対しクムユ側はまだ確認していない支給品を除けばこの大口径南蛮銃のみ。しかも反動承知で一度それなりに大きな一撃ぶち当てたのに再生される

(せめて、あの気持ち悪いのを一撃で吹き飛ばせるぐらいの何かがあれば……?)

鉤爪の猛威から逃げながらも支給品袋の中を漁る。取り出せたのは懐中時計と爆弾が引っ付いたような何か。そして付記された説明書を見て彼女は一つの可能性に賭ける

(……? でも、これなら……!)


355 : 汚怪なる血脈 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:05:31 EYNWcjDk0
○ ○ ○

「へぇ、うまく巻いたようねぇ」

一転して雨音以外静まり返った駐車場内でティベリウスは周りを見渡し、警戒を続けながらも関心する
本来ならばあの程度の小娘ならば歯牙にも掛けない。しかし追い詰められた鼠は猫を噛むとも言う。だからこそ見下しはしても油断大敵

「でーも、まだまだ甘ちゃん」

だが、ティベリウスの目線は地面の水溜り……に映るクムユの姿を捉えていた。慎重に動いて悟られないようにはしていたが、こうなってしまえばこっちのものだ

「アタシに啖呵切った根性だけは、認めてあげるわぁ」

そう皮肉るように、今度は獲物を拘束で仕留めようとするチーターが如く、その体躯に似合わぬ速さで、クムユが隠れた場所に迫る

「そこかしらぁ!?」

鉤爪を振るい、その場にあった柱の一つがさけるチーズの如く引き裂かれ、瓦礫と化す

「……あーら、既の所で避けたのかし―――」

クムユの姿は無く、運良く避けれたと判断したティベリウス。然し道化師の足元には時計に何かが付着したようなものが。カチカチと音を鳴らすそれが何かを判断する前に、ティベリウスの姿は爆風と水飛沫に呑まれたのであった



「ざまーみやがれです!」

爆発と同時に、別の壁からクムユが自慢げに口ずさみながらも、その顔には安堵の表情が浮かんでいた
クムユの支給品の一つ『微睡む爆弾(チクタク・ボム)』。懐中時計型のチェーンマイルの形をしたそれは、英霊メフィストフェレスの宝具でもある爆弾
本来ならばメフィストフェレスの力で相手の体内に潜り込ませるのだが、本来の持ち主ではないので純粋な爆弾として機能したまでのみ
だが、普通に炸裂させ直撃させればただの人間ならばひとたまりもない。一撃で木っ端微塵に出来ればどれだけ再生力があろうが関係ない。そうクムユが足りない頭を捻って考えた策、だったが―――

「―――なるほど、ねぇ」
「……えっ?」


356 : 汚怪なる血脈 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:05:48 EYNWcjDk0
クムユは、あり得ないものを見た
物言わぬ死体となったはずのティベリウスが、起き上がっていた。よ
く見れば衣装はボロボロで、穴が空いた腹からは腸のような物がはみ出したまま、蠢いている。壊れた仮面の内に秘めていた血に汚れた髑髏、その目の空洞が明らかにクムユの方を見据えていた

『微睡む爆弾(チクタク・ボム)』が本来発揮する、『爆弾を相手の体内に潜り込ませる』力。それはまず相手の呪術に対する耐性を参照に成功判定を行い、その結果によって仕込まれる爆弾の数も変わる
今回は本来の使用者でないのも含め、判定されるのは『威力』。だがティベリウスはアンチクロス屈指の呪術の使い手。『呪い』という分野だけならアンチクロス内でも随一である彼には呪いそのものに対する耐性があったのだ
勿論、爆発が直撃した事でこのような大ダメージを食らう事になってしまったが――

「――よ、く、も。やってくれたわねぇ?」

髑髏がカタカタと震えながら声を発する。蛇の如く飛び出た腸が蠢く

「ひ、ひいっ?!」

その悍ましきグロテクスな光景に、クムユは思わず恐怖が漏れ出してしまうが、それが仇となった

「あ、いやっ! はなせっ! はなせですっ!!」

道化の腹から湧き出した腸がクムユに向かって飛び出し、彼女の身体を拘束する
だがその拘束はクムユの力では振りほどけず、腸が柱に巻き付く形でクムユの身体を磔刑の形へと固定
眼前のティベリウスの傷は徐々に回復しているだ

「……でも、さっきのは流石に危なかったわよぉ?」
「どう、して……?」
「残念だけど、アタシはこの程度じゃ死なない身体なのよねぇ。――この『妖蛆の秘密』のおかげでね」

自慢気に語るティベリウスが懐から取り出したのは、鉄の表層がついた黒い大冊の本。表面にはびっしりとへばりついた蛆虫と、クムユ自身に付けられたのと同じような首輪みたいなリングが付けられている

「……しっかしあのババァも考えたものよねぇ。アタシのこの不死の力が『妖蛆の秘密』に大きく左右されてるからって、これに首輪つけちゃうなんて」

ティベリウスの所有する魔導書『妖蛆の秘密』。それは単純な死霊を操る力を授ける魔導書という点だけでなく、ティベリウス自身の持ちうる不死性そのもの。故にその利点は同時に弱点にもなりうる
だからこそ主催はティベリウス本体ではなく魔導書の方に首輪をつけたのだろう
余談ではあるが、魔導書に付けられた首輪は、魔導書がティベリウスから3m以上離れた場合自動的に爆発するという制約もある
そうこうティベリウスが愚痴っていれば、ティベリウス自身の傷はほぼ完治に近い形まで戻っていた。だが腹の穴とそこから湧き出す腸の触手は健在だ

「……ちょーっと話しすぎたわねぇ。ま、いいわぁ」
「ば、ばけも、の……」

クムユは目の前の人の形をした化け物に対しそう言葉を溢すしか無かった。自分の知っている人たちは強い。だが、目の前にいる道化の強さは『人としての強さ』ではなく、『化け物としての強さ』
外道に落ち、外法を習得し、外道を持って蹂躙する。――そのあり方はただ生きているだけで人を害する人知を超えた存在

「ありがと、アタシにとっちゃそれ褒め言葉よ? でぇも、ちょっとばかし―――やかましいわね」

ティベリウスのその言葉と共に、クムユの腹に打撃が走る。まるで鈍器で殴り飛ばされたような衝撃が伝わり

「お、おごっ、おごぉぉぉぉっ!?」

大きな嗚咽と共に血が混じった吐瀉物を水溜りへとぶち撒けてしまう。更にティベリウスが鉤爪を振るいクムユの衣服を切断。かろうじてブラや下着は切断されなかったものの、次の行動次第で切り裂かれてしまう事は火を見るより明らかだ

「あ……やめ……」

そしてクムユは激痛に苛まれた思考の中で察してしまう。そして恐怖と共に、絞り出すように言葉が漏れる
この道化が今から自分に対して何をしようするのか


「――じゃ、お楽しみタイムといきましょうか。ク・ム・ユ、ちゃぁぁん?」


357 : 汚怪なる血脈 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:06:29 EYNWcjDk0
○ ○ ○

もしこの光景を見ているものがいたとしたら、それは間違いなくクムユという少女にとっての地獄であり、絶望だ

身体中の穴という穴を穿たれ、かき混ぜられ、今にも溺れそうな快楽へと呑まれゆく。触手は彼女の心を染め上げるために彼女の身体を嬲り、弄ぶ

年端も行かぬ少女の肢体は蹂躙される。蟲は彼女の中に入り込み、刺激する。その度に少女は淫靡な声を上げてしまう

我慢したくても出来ない。頭の中が真っ白に染まっていく。家族のことも、団長のことも、大切なことを忘れたくないのに、それすら快楽の渦に呑み込まれていく

そして、道化師の合図とともに、穴を穿っていた触手から液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった

―――

ごめんなさい、くむゆはもうだめかもしれないです

だって、こんなきもちいいのたえられるわけないです。きもちよすぎてくむゆのからだはいやらしくなってしまったです

・・・わすれちゃいけないのに、おもいだしたいのに、おもいだせない。きくうだん? だんちょう? なんだっけ?
・・・あ、でもくくるねえとしるゔぁねえのことはおぼえてたままだったです

でも、もうもどれない。くむゆはもうもどれないです。だって、こんなにきもちいことおしえこまれたら、もうむりなんです

だから、くむゆはごしゅじんさまのものになります。だからくくるねえとしるゔぁねえはくむゆのことをわすれてほしいです

ごしゅじんさまのためならなんでもします、ごしゅじんさまにきもちよくしてもらうためならだれだってころします だから――――







だれでもいいから ねえさんたちをころしてしまうまえに くむゆを ころしてください


358 : 汚怪なる血脈 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:07:31 EYNWcjDk0
○ ○ ○


「ふぅ〜……スッキリした。ストレス発散にもなったし、ついでに都合よく利用できる駒もゲットなんてツイてるわぁ〜」

そう爽やかな気分となったティベリウスの背後には、光の灯らぬ漆黒の闇に曇った瞳のまま、数多の混合液に濡れたままただ立ち尽くしたクムユの成れの果てがそこにあった

今の彼女は騎空団の一人でも、三姉妹の三女でもない、ただティベリウスに快楽を求めるだけの肉人形、体よく利用される玩具であった。もはやティベリウスの命令ならどんな事でも従う、操り人形

「……さあってと。暇つぶしはこれぐらいにして」

ティベリウスは思考する。大導師と、目の上のたんこぶであったデモンベインが倒され、もはやアンチクロスに逆らえるものは誰もいないとなった状況。そんな状況で自分はこんな催しに呼び出された

「……森嶋帆高と天野陽菜チャン、ねぇ」

ルールの根幹にある二人の存在。ぞんざい言ってしまえばティベリウスは森嶋帆高には興味はない。が、彼が神社に辿り着かせるわけにはいかないので、捕まえた上で四肢をもぎ取って死なない程度に対処してしまえばいい
だが、巫女である天野陽菜が話は別だ。巫女としての力もアンチクロスとして利用できるものではあるが、ティベリウス自身も天野陽菜に対しては極上の女体としての価値を見出していた

「アウグストゥスはいないわけだし、アタシがお持ち帰りしても、文句は無いわよねぇ」

事実上の指導者であるアウグストゥスは確認できる限りはいない。彼の判断次第で天野陽菜の安否は変わるものの、今は

「せっかくうるさいのもいないわけだし、アタシは自由にやらせてもらうわね。――それと。あの子、アタシが頂いちゃってもいいかしら、ね?」

巫女としての力を利用するにしても、ティベリウスの玩具にするにしても、まずは彼女を確保しなければ話は限らない

「……あの帆高ってガキ、探しに行くわよ。どっちにしろあいつがいる限りはこっちの手綱は握られてるも同然だし」
「――はい、てぃべりうすさま」
「抵抗するようなら殺さない程度に好きにしてもいいわ。どうせなら両手両足もぎ取ってもいいわよ? もしアタシより先に捕まえられたらクムユちゃんにはご褒美あげちゃう」
「――ありがとうございます。くむゆ、ごしゅじんさまのためにがんばります。だから、もしつかまえられたら、いやらしいくむゆのもっともっときもちよくしてください」


不死の道化は嗤う。道化に壊された少女は淡々と続く
少女の未来は閉ざされた、七逆十字なる外道の一角の手によって
壊れた彼女の救いは、壊れた絶望だけである



【ティベリウス@デモンベインシリーズ】
[状態]:健康(負傷は再生)
[装備]:妖蛆の秘密@デモンベインシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:アタシの自由にやらせてもらう
1:天野陽菜を手に入れる
2:森嶋帆高の捕獲
[補足]
※参戦時期は機神咆吼、デモンベインが撃破された後からの参戦
※鬼械神ベルゼビュートは召喚不可です
※首輪は『妖蛆の秘密』に仕掛けられています

【クムユ@グランブルーファンタジー】
[状態]:精神崩壊、陵辱による肉体へのダメージ(中)、衣服類の破損(大)
[装備]:大口径南蛮銃@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:ごしゅじんさまにしたがう
1:もりしまほだかをつかまえる。つかまえてごしゅじんさまにきもちよくしてもらう
[補足]
※最低でも『メイクアップ&ゴー』エピローグ後からの参戦

【大口径南蛮銃@鬼滅の刃】
鬼殺隊隊員である不死川玄弥がメインウェポンとして所有する銃
外観こそ外観はダブルバレルのソードオフ・ショットガンに似るが、散弾ではなく超大口径の弾頭を撃ち出す為、十二鬼月クラスの頸にもある程度通用する
ただしその威力のため常人がこれを使用したなら両腕で構えていたとしても身体ごと吹き飛んでしまう

【妖蛆の秘密@デモンベインシリーズ】
ティベリウスが所持する魔導書。この魔導書の力によってティベリウスは不死の能力を得ているが、逆にこの魔導書が破壊されれば不死の能力を失い死に至る


359 : 汚怪なる血脈 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 18:07:42 EYNWcjDk0
投下しました


360 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 19:05:56 EYNWcjDk0
修正
そして、道化師の合図とともに、穴を穿っていた触手から液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった

そして、道化師の合図とともに、ティベリウスからクユムの中に液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった


361 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 19:06:48 EYNWcjDk0
修正
そして、道化師の合図とともに、穴を穿っていた触手から液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった

そして、道化師の合図とともに、ティベリウスからクユムの中に液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった


362 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 19:07:07 EYNWcjDk0
修正
そして、道化師の合図とともに、穴を穿っていた触手から液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった

そして、道化師の合図とともに、ティベリウスからクユムの中に液体が迸り、放出される。それと同時に、クムユという少女がどうなったか――もはや言うまでもなかった


363 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/24(日) 19:07:19 EYNWcjDk0
ちょっと調子悪かったせいで多重しちゃってすまぬ


364 : みなぎる愛 ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 20:28:28 zrchgkSQ0
投下します。


365 : みなぎる愛 ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 20:30:21 zrchgkSQ0
ザァァァーーーーー
雨が降り続ける街ーーーーー

「……」
デパート内のソファに座る少女。
眠ってはいないが、目を瞑り思案をしているようだ。

少女の名は相田マナ。
大貝第一中学校の生徒会長にして、キュアハートに変身する力を得た少女。

(好きな人と引き裂かれるって胸がこんなに痛むんだね…)
それは、映画の帆高と陽菜のことを指しているーーーーー
(それに…)
マナは両手にある支給品に目を落とすーーーーー

(シャルル……返事が返ってこない。恐らくお婆さんの仕業かな…)
マナは憂愁の顔を見せる…
キュアラビーズとラブリーコミューンを組み合わせることによりマナは伝説の戦士【プリキュア】に変身することができる。
ラブリーコミューンはパートナーの妖精であるシャルルが変身した姿。
本来ならシャルルの喜怒哀楽があるところだが、パートナーであるマナに返事を返さず無言を貫く……

(まかせて…必ずシャルルの意識を取り戻して見せるから)
マナはラブリーコミューンを制服のポケットに仕舞うとーーーーー

パァン!
両手で自らの頬を叩く。

「よし!行くよ!」
マナは気合を入れる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ごめんなさいッ!必ず後で、お金は払います!」
外は雨が降り注いでいるため、店内の傘を拝借するマナは無人の店に頭を下げる。
階層を下る途中……
(でも、お婆さんは私がプリキュアになっても大丈夫と思っているということだよね…)
わざわざ、支給品にセットであることにマナの顔は強張る……

「帆高さんと陽菜さんが出会えば、街は水没して私たちは助からない…」
「…それでも、私はお婆さんの考えに賛同できない」
マナはキッと顔を引き締める。

「帆高さんと愛菜さん。2人を見ているとキュンキュンする」
マナは映画の内容に感動した。
たしかに帆高さんの行動には危なっかしい面が見られるが、陽菜さんに弟の凪君との日々をマナは否定しないーーーーー

「私は帆高さんを手助けしたい。だから戦うよ!」
親友の六花から「愛をふりまきすぎ」と称されるマナらしい理由。

みなぎる愛が街に解き放たれるーーーーー

【相田マナ@ドキドキプリキュア】
[状態]:健康
[装備]:キュアラビーズ ラブリーコミューン 傘
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:2人のキュンキュンを守り、お婆さんの願いを阻止する
1:帆高さんを見つけて、陽菜さんと出会わせる
2:首輪の解除及びに2人が出会っても街が水没しない方法を探す
※参戦時期は最終回後
※ラブリーコミューンのシャルルは意識が封印されているのか反応を見せません。今後、何かしら が起きれば反応を見せるかもしれません。

【支給品紹介】

【キュアラビーズ@ドキドキプリキュア】
ビーズのようなものがあしらわれた小さなチャーム。
ラビーズには色々な種類があり、マナに支給されたのは、自身の返信用ラビーズ。

【キュアラビーズ@ドキドキプリキュア】
プリキュアに変身するために必要な、スマートフォン型の変身アイテム 。
パートナー妖精が変身した姿で、マナのパートナーのシャルルが変身してマナに支給された。
動作はするが、本来であるシャルルの意識は御子柴により封印されており、会話はできない。
※何かしらが起きれば、喋りはじめるかもしれないが……


366 : みなぎる愛 ◆s5tC4j7VZY :2021/01/24(日) 20:30:31 zrchgkSQ0
投下終了します。


367 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/24(日) 21:23:31 1oQJVkHg0
投下します


368 : 俺、バトルロワイアルに参加します。 ◆7PJBZrstcc :2021/01/24(日) 21:24:02 1oQJVkHg0
 前触れもなくいきなり映画が始まった時、最初は夢だと思っていた。
 前にロエル達やトゥーラみたいに俺の夢に入って来る、何かとメッセージだと考えてた。

 とりあえず見ていた映画の内容は、素直に面白かった。
 主人公の帆高がわざとじゃないとはいえ銃を撃ったり、警察から逃げたのはどうかと思ったけど、それでも気づけば映画にのめりこんでいた。
 俺もツインテールを奪う敵がアルティメギルみたいに正々堂々しておらず、警察を使って攻撃してくるなら同じことをするかもしれないし。
 だけど映画は途中で終わり、代わりに出てきたのは映画とは関係なさそうな、神子柴と呼ばれたお婆さん。
 神子柴の言うまるで映画の内容が実際に起こったことみたいな物言いは気になったが、それよりも殺し合いだ。

「殺し合いなんて、絶対止めないと……」

 そうして移動させられた雨が降り続くバトルロワイアルの会場で、俺、観束総二は決意する。
 必ずこの殺し合いを止めて、その上で映画に出てきた帆高と陽菜を会わせてあげようと。
 ん? でもそれだとあの映画は本当に起きたことなのか?
 俺の知っている限り、東京で雨が降り続いていたなんて話がないのは、あの映画の内容が俺がいる世界とは別の世界で起きたことだろうからいいとする。
 実際にあったことが映画になっているのも、前に似たようなことがあったからそれと同じようなものだろう。
 じゃあこの殺し合いにいる帆高達はなんなんだ?
 まさか映画はあそこまでしかできてなくて、残りはこの殺し合いを基にして作るのか?

「いや、どっちにしてもまずは他の人と会わないと……」

 殺し合いという時点でアルティメギルの残党は絡んでいないだろうし、ここが異世界の可能性が高い以上、俺のことは誰も知らないかもしれない。
 でもとりあえずテイルレッドに変身したほうがいいと思った俺は、いつも通りに右拳を胸の前に構えるが――

「テイルブレスが……ない!?」

 テイルレッドに変身するための重要なアイテムが、俺の体から消えていた。
 高校の入学式の日、トゥアールと出会ってからずっと右腕に付けてたのに!
 というか、外れないから落とすとか無くすとかありえないはずだぞ!?

「まさか、盗られたのか!?」

 あの神子柴、まさかトゥアールと同じくらいの科学技術があるのか!?
 それでも念のためデイバッグの中を調べると、俺のテイルブレスはあっさり見つかった。

「……なんで一回没収したんだ?」

 疑問に思いながらも、俺はとりあえずテイルブレスを右腕につける。
 そして今度こそ変身しようとしたところで、視界に人が移った。
 ……変身するより先に、他の人と話しておいた方がいいか?
 そう思った俺はその人をを呼び止める。

「おーい!」

 俺が呼び止めると、向こうは特に何かをするわけでもなくこっちへやってきた。
 段々近づいてくると、俺が呼び止めた相手が男なことが分かる。
 この人デカい。身長が190以上あるんじゃないか。
 そしてなぜか上半身裸で、まるで見せつけているかのようなすさまじい筋肉がそこにはあった。

「あの、もし良かったら俺と――」
「俺の名前は東堂葵」

 俺が話しかけようとするが、それより早く目の前の男に自己紹介をされてしまった。
 そして東堂……さんだよな? 年上っぽいし。
 東堂さんはそのまま俺に問いかける。

「お前、どんな女が好み(タイプ)だ?」
「はあ?」
「まあ聞け」


369 : 俺、バトルロワイアルに参加します。 ◆7PJBZrstcc :2021/01/24(日) 21:24:26 1oQJVkHg0

 いきなり女の好みを聞かれて、俺は思わず唖然としてしまう。
 だが東堂さんは俺の答えを予測、というか似たようなことが何度もあったのかよどみなく質問の意図を説明し始めた。

「まず俺は殺し合いに乗つもりはない。森嶋帆高をどうこうするつもりもない。
 呪術師として一般人を傷つける訳にはいかんし、何より女の好みは違うが惚れた女の為にあそこまでやれる男は、つまらない男ではないだろう。
 そいつを守るために動きたいとも思う」

 そこで東堂さんは一度話を止め、俺を見る。

「しかしお前が信頼できるかは別だ。
 流石に一般人ならただ守るだけだが、お前は見た限りどうにも違うようだしな。
 それでも、殺し合いに乗るつもりはないがあの森嶋帆高をどうにかして解決するつもりなら俺達は相容れない。
 全員とは言わないが、せめて背中を預けるなら信頼できる人間がいいというのが俺の本音だ」

 一方的ではあるが、言いたいことは分かる。
 要するに、俺を信頼できる証拠が欲しいということなんだろう。
 でもそんなの証明する方法が――

「そこで性癖だ」
「何でだよ!?」

 信頼と性癖になんの関係があるんだよ!?

「性癖にはソイツの全てが反映される。
 性癖がつまらない人間は全てがつまらない」

 成程、ツインテールを見れば持ち主のことが分かるのと一緒か。
 ツインテールは見えるけど、性癖は見えないもんな。

「だから問う。お前、どんな女が好み(タイプ)だ? 男でもいいぞ。
 ちなみに俺は、尻(ケツ)と身長(タッパ)がデカい女がタイプです」
「そういうことなら……」

 東堂さんの言い分は分かった。
 そして性癖、つまり好きな女の子タイプか。

「東堂さん。あなたを納得させられるかは分かりませんが、俺の答えは決まってます」
「ほう。聞かせてくれ」
「俺の名前は観束総二。そしてツインテールの女の子がタイプです」

 俺はこれまでいろんな性癖の持ち主と出会ってきた。
 巨乳、貧乳、ぬいぐるみ、眼鏡、ポニーテール。それ以外にも沢山。
 だが俺の答えはこれしかない。
 俺はツインテールの為なら、どんな困難にだって立ち向かえる。
 異世界の敵と戦うことになったって、五感を消失したって、俺の思いは消えない。
 そう

「俺のツインテールは――――永遠だ!」

 俺は嘘偽りない思いを東堂さんにぶつけた。
 これで拒絶されるなら、もう諦めるしかできない。
 だがその心配は杞憂だった。


370 : 俺、バトルロワイアルに参加します。 ◆7PJBZrstcc :2021/01/24(日) 21:24:51 1oQJVkHg0

「――総二。今日から俺達は、友達だ!」

 なぜなら東堂さんは、涙を流しながら感激してくれているから。
 良かった。これで同行はできそうだ。

「高田ちゃんはツインテールだからな。きっとお前もファンなんだろ?」

 高田ちゃんが誰かは分からないが、どうにもツインテールらしい。
 ツインテールなら俺が知らないわけがないから、やっぱり東堂さんは異世界人とみて間違いないな。

「じゃあ早速行きましょう。東堂さん」
「おいおい総二。俺達はもう友達だ、敬語はいらん。そして下の名前で呼んでくれ」
「……ああ、分かったぜ葵!」
「おう!」

 こうして、俺と葵は行動を共にすることになった。
 まずは俺と葵が異世界人であるということを説明しないといけないけど、信じてもらえるだろうか。


【観束総二@俺、ツインテールになります。】
[状態]:健康
[装備]:テイルブレス@俺、ツインテールになります。
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:葵と行動する
2:帆高と陽菜を会わせてあげたい
3:葵や帆高達は異世界の住人なんだな

※参戦時期は20巻終了後です


【東堂葵@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:呪術師として、殺し合いには乗らない
1:総二と行動する
2:俺と総二は、友達だ!

※参戦時期は虎杖と親友になった以降です


【テイルブレス@俺、ツインテールになります。】
観束総二に支給。
総二がテイルレッドに変身するための道具。
なお、本来なら総二以外には見えないようになっているが、このロワでは参加者なら見えるようになっている。


371 : ◆7PJBZrstcc :2021/01/24(日) 21:25:17 1oQJVkHg0
投下終了です


372 : ◆ytUSxp038U :2021/01/24(日) 22:59:32 yNuNTTvI0
投下します


373 : ニューゲームは突然に ◆ytUSxp038U :2021/01/24(日) 23:09:14 yNuNTTvI0
「地球外生命体のエボルトを死闘の末、生意気にも撃破し新世界を創造した仮面ライダービルドこと桐生戦兎。その世界では馬鹿の万丈以外とは記憶を共有できず、仕方なく男二人のむさ苦しい生活を始めるのだった」
「…って、むさ苦しいは余計だろ!大体なんでお前がナレーションやってんだよ!?」
「おいおい、そんな冷たい事言うなんざ悲しいねぇ、戦兎ォ?別に良いじゃねえか、声の仕事は得意だしなぁ」
「全っ然良くねえよ!あと声の仕事とか言っちゃ駄目だろろうが!?」
「そもそもお前は消えたんじゃねえのかよ!?それと馬鹿って言うな!せめて筋肉つけろ!」
「そこはどうでも良いんだよ、この馬鹿!」
「お前まで馬鹿馬鹿言うんじゃねえ!この発明馬鹿!」
「喧嘩はそこまでにしとけ。お前らが新世界でよろしくやってる間、俺の方も色々大変だったんだぜ?――だが、消滅したはずのエボルトは奇妙な場所で目を覚ます。そこで謎の老婆から告げられたのは、とある少年を殺せとの命だった…。果たしてエボルトの運命は如何に!?」
「……とりあえず、お前がまたロクでもない事しようとしたのは分かる。分かりたくないけど…」
「なぁ、奇妙な場所ってどこだよ?謎の老婆って誰のことだ?」
「んなもん俺が知る訳無いでしょーが…」
「それでは本編どぞー☆」


――――


374 : ニューゲームは突然に ◆ytUSxp038U :2021/01/24(日) 23:11:09 yNuNTTvI0
「妙な事になっちまったなぁ…」

小奇麗なマンションの一室。
そうボヤいたのはモデルのような長身の男、石動惣一。
…ではなく、彼に擬態した地球外生命体のエボルト。
リビングにあるソファに腰掛け、これまで身に起きた出来事を思い出す。

氷室幻徳の悪足掻きのせいで動きを封じられ、万丈諸共パンドラパネルのエネルギーに飲み込まれた。
何とか万丈を吸収し、自分を追ってきた戦兎を殺そうとした。
が、忌々しいことに体内で万丈が抵抗し、その結果戦兎に敗北。
そのまま新世界創造の為のエネルギーとして、塵一つ残さずに消滅。

そのはずだったが…

「何故かこうしてピンピンしてる、と…。どこの誰かは知らないが大したもんだ」

あっけらかんとした口調だが、内心ではあの老婆への敵意と警戒心が渦巻いている。
自分を復活させた事は良い。
だがこうして首輪を嵌め、都合の良い駒のように扱うのは面白くない。
しかもどういう訳かこの首輪、体を流動体に変化させても外れなかった。
神子柴本人か、若しくは背後に何者かがいるのかは不明だが、自分よりも上の力を持つ者がいるのはほぼ間違いない。

加えて気になったのは森嶋帆高が主役の映画の内容。
あの映画の中には不可解な事にスカイウォールや三都の存在に一切触れられなかった。
自身が10年前に引き起こした『スカイウォールの惨劇』により、日本が3つに分かれたのは全国民にとって周知の事実である。
だと言うのに映画の中では、まるでスカイウォールなど最初から存在しなかったとでも言わんばかりの光景が存在した。

(ま、大方エニグマみてえな装置をあの婆さんが持ってるってこったろ)

それは最上魁星という科学者が開発した装置。
以前エニグマが原因で万丈がスカイウォールの存在しない世界に飛ばされた事があった。
あの時は自分の計画が台無しになりそうでヒヤヒヤしたものだ。

(それはともかくとして…あの映画の後で女を蘇生させた件も含めて考えると、『何でも願いを叶える』ってのもあながち嘘じゃねえってか……)

森嶋帆高を制限時間が過ぎるまで捕えておけば、願いを叶える権利が手に入るらしい。
もっとも、エボルトには素直にお題を達成する気も、帆高を殺す気も今の所は無い。

神子柴の目的が帆高に邪魔されず天野陽菜を神へ捧げる事だとして、それなら何故自分で帆高を殺さないのか。
映画の通りなら帆高はごく普通の人間。
超常的な力を持つ神子柴なら簡単に殺せるだろうに、こんな回りくどい真似をする意味が分からない。

(そもそも実際にお題をこなすなり帆高を殺すなりやったとして、奴が素直にこっちの言う事を聞く保障がどこにある?
 仮に無事帰してくれたとしても、一度拉致されて目を付けられてるなら、またこうして首輪付きの手駒にされるのがオチじゃねえのか?
 …どうにも信用できねえんだよなぁ)

極端な話だが神子柴の気まぐれで参加者全員の首輪が爆発する、という事態だって有りえなくは無い。
故にまずは自身を縛るこの首輪をどうにかして外す。
戦兎のような頭脳を持った者なら首輪の解析も可能だろう。
それから森嶋帆高の確保。
ロクに神子柴への対策も取れていない段階で天野陽菜に再会されるのは、流石に阻止しなければならない。

「後は俺自身の力をどうにかする、ってとこかねぇ」

チラリと視線を向けた先には、ソファとテレビの間に置かれたテーブル。
その上にはエボルト自身にも馴染み深い武器、トランスチームガンが置かれている。
デイバッグにはスチームガンだけでなく、ご丁寧にフルボトルまで支給されていた。
並大抵の相手ならブラッドスタークで難なく蹴散らせるだろう。

しかし、並以上の敵を相手取るのにブラッドスタークでは限界がある。
特に得体の知れない主催者と戦うなら、自分の本来の力である仮面ライダーエボルにならなくては話にならない。
その為のエボルドライバーやエボルトリガーはバッグに入っていなかった。
他の参加者に支給されているならどうにかして取り戻したいところだ。
「気が利かねえな」と愚痴りつつ、荷物を纏めて立ち上がる。

大まかな方針としては、やはり森嶋帆高の迅速な確保。
それと並行して、葛城親子のような首輪を解除できる技能を持った人物を探す。
とりあえずはこんな所だろう。


375 : ニューゲームは突然に ◆ytUSxp038U :2021/01/24(日) 23:13:24 yNuNTTvI0
「ま、それはそれとして」


玄関に置いてあった傘を手に取り、扉を開ける。


「このゲームは楽しませてもらうけどな」


今の所は帆高を殺す気は無い。
神子柴はどうにも信用ならない。
主催者の命令に大人しく従う気はない。
それらは本当だ。

だが忘れてはならない。
この男は善人などではなく、ましてや愛と平和の為に戦うのヒーローでは決してない。

幾つもの星を滅ぼして来た凶悪な生命体。
人間を、自分を楽しませる為の最高の玩具としか見ていない外道。

たとえ今は本来の力を失っているとしても、その本質は変わらない。

森嶋帆高と天野陽菜の恋物語も、彼は笑いながら無残に踏みにじるだろう。


軽薄な笑みを浮かべる星狩りの怪物は、雨が降り注ぐ街中を軽やかな足取りで歩き出した。



【エボルト@仮面ライダービルド】
[状態]:健康、石動惣一に擬態中
[装備]:トランスチームガン@仮面ライダービルド、コブラロストフルボトル@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:ゲームを楽しみつつ、神子柴への対策を取る
1:森嶋帆高を探して確保する
2:首輪の解除が可能な人物、またはその方法を探す
3:エボルドライバーとエボルトリガーを取り戻す
[備考]
※参戦時期は最終話で消滅した直後。
※体を変化させても首輪は外れないようです。

【トランスチームガン@仮面ライダービルド】
葛城巧が開発した拳銃型の変身ツール。
ロストフルボトルをセットする事でトランスチームシステムの怪人に変身できる。
武器としても使用可能で、エネルギー弾を発射する他、煙幕を張って撤退する、特殊なガスを散布し人間をスマッシュにする等の機能がある。

【コブラロストフルボトル@仮面ライダービルド】
トランスチームシステムの変身に用いられる人口フルボトル。
これをトランスチームガンにセットしトリガーを引くとブラッドスタークに変身できる。


376 : ニューゲームは突然に ◆ytUSxp038U :2021/01/24(日) 23:14:53 yNuNTTvI0
状態表をちょっと修正

【エボルト@仮面ライダービルド】
[状態]:健康、石動惣一に擬態中
[装備]:トランスチームガン@仮面ライダービルド、コブラロストフルボトル@仮面ライダービルド、大人用の傘
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:ゲームを楽しみつつ、神子柴への対策を取る
1:森嶋帆高を探して確保する
2:首輪の解除が可能な人物、またはその方法を探す
3:エボルドライバーとエボルトリガーを取り戻す
[備考]
※参戦時期は最終話で消滅した直後。
※体を変化させても首輪は外れないようです。


377 : ◆ytUSxp038U :2021/01/24(日) 23:15:35 yNuNTTvI0
投下終了です


378 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/25(月) 02:43:44 ZcqYYz3c0
投下します


379 : 不運少女 -アンラッキー・プレディ- ◆8eumUP9W6s :2021/01/25(月) 02:45:19 ZcqYYz3c0


気付いた時には、もう遅かった。手遅れだった。わたしには何もできなかった。
わたしはただ…わたしを庇って受けた銃弾により、致命傷を負っていた師匠が…初めて会った場所で、最期の言葉を遺すところに…泣きながら耳を傾けることしかできなかった。
「死なないで!」と、そう泣きじゃくり、駄々をこねる子供のように首を振り、師の胸に頭を埋めて嗚咽することしか…幼いわたしには、できなかった。


もし、大切な相手と二度と会えなくなった人が居たとして…それでもまだ、取り返せる手段が存在するのなら、第三者である私のなすべきことは───

ーーーー

降りしきる雨の中、黒髪を後ろに纏めて、飾り気が無くどこか口数が少な目に見える…朴訥とした雰囲気がある少女は、一人目を覚ます。

(…ここは、先程まで見せられていた映画の舞台…東京、か…?)
少女の名はジーナ・プレディ。第506戦闘航空団、通称ノーブルウィッチーズのB部隊の隊長で、階級は中佐である。
彼女は出現したネウロイを部隊を指揮しながら撃破、帰投した直後…気付いたらこの殺し合いに巻き込まれていたのだ。

(しかし、あの神子柴と云う老婆の言う事が全て事実なら…殺し合いはもう始まっているというのに、私はあのような懐かしい夢を…)
「…部下たちには見せられない失態だな」

冗談めかしてそう口に発してみるが、言葉とは裏腹に…彼女の心は主催に対しての怒りと、自分に対する怒りの炎が派手に上がっていた。

(あの老婆が何故、森嶋帆高と天野陽菜が会うのをわざわざ私達参加者に止めさせようとするのか…それはわからない。
それに…彼らが会ってしまえば、この街は水に沈み、森嶋と天野以外は皆死ぬ…と、老婆は言っていたな。
…どちらにせよ、私のなすべきことは変わらない。
みすみす目の前で民間人を死なせた責任は…あの老婆達を打倒して、取るよ。
…それに、あの映画はハッピーエンドになるべきだ。元の結末がどうであれ…たとえバッドエンドで終わるとしても、二度と取り返せない筈の大切な相手を、取り戻そうとするであろう男を止めようとは…私は思わない。)
「…ウィッチとしては、と言うより隊長としては恐らく失格だが…2人を会わせつつ、参加者が出来るだけ多く脱出出来る様に動く」

彼女はあの少年には…森嶋帆高には、幼い頃の自分のように、自分のせいで誰かが死んでしまうような思いをさせたくはないと、そう思っていた。
それ以上に…師を失い、異性の友人も失った自分とは違い、まだ大切な相手を助けれるチャンスがある彼を…助けたいと、そう思った。
こうして彼女は、当面の行動方針を定めた。


ーーーー

その後彼女は、バッグの中身を確認し…ルールを改めて確認する事にした。
その中でお題も確認したのだが…彼女はそれを達成するという選択肢を切り捨てた。
(師匠は最期の時、「死ぬのはこの空の下と決めていた」…と、そう言っていた。あの人は生き返る事を良しとはしないだろう。)

支給されていた自分のストライカーユニットを装着し、愛銃では無いものの、威力が高いらしい自分が見た事も無い銃を持った彼女は、ふと思考する。

(…ルールは恐らく、他にも何かあるだろう。
…森嶋帆高の『死滅』という書き方な時点で、恐らく彼を殺す「だけ」ではこの殺し合いは終わらない。
それに…ルールには書いてなかったが、もし森嶋が到達する地点である鳥居が、崩壊してしまえばどうなる?鳥居が崩壊していてもその地点に森嶋が到達出来ればいいのか、それとも鳥居が崩壊したらその時点で森嶋は天野を取り戻せなくなるのか…もし後者の推測が正しければ…鳥居の護衛もする必要があるか。
…いや、最悪の場合は鳥居がある地点自体が攻撃などにより消滅した場合だ。もしそうなれば…物理的にどうしようもなくなってしまうかも知れない。それだけは回避したいところだな。
最も、主催側が壊せないようにしている可能性も十分ある、が…確かめるには不安があり、情報も集まっていない。
…とりあえず、脱出手段を探し、他の506のメンバーが居たら合流、そして森嶋の保護をするべき…か。)


380 : 不運少女 -アンラッキー・プレディ- ◆8eumUP9W6s :2021/01/25(月) 02:45:52 ZcqYYz3c0

そう思考を纏めた彼女は、自らの固有魔法である「ホークアイ」を使い、周囲の索敵を行う。

「…いつもより見える距離が短いな。この首輪のせいか…?」
周辺に他の参加者が居ないことを確認した上で、彼女はため息を吐く。
彼女の固有魔法「ホークアイ」は、元々視力が高い傾向にある
(ストライクウィッチーズ2の最終話の描写より推定)
ウィッチよりも更に遠距離を見通し、更に自らの動体視力も向上させる、魔眼と呼称される物である。
しかし首輪の制限によるものか、見通せる距離が短くなっている事に、彼女は気付いた。

「…敵対者と遭遇する前に気付けたのは幸運だな。とはいえ…このような幸運はあまり当てにするべきでは無いか。
……森嶋帆高も、天野陽菜も、そして私も───今日が死ぬにはちょうどいい日だとは、思えないな」

かつて師が、明るい満天の星の下にて最期に遺した言葉…「今日は死ぬにはもってこいの日だ」と言う言葉を思い出しながら、降り止む気配が全くない雨の中、彼女は一人呟いた。

【ジーナ・プレディ@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、決意
[装備]:ノースリベリオン P-51D(44-14906号機)@ノーブルウィッチーズ、ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:対主催。主催者の打倒。二人を会わせて、参加者の脱出手段も見つけて、ハッピーエンドで終わらせる。
1:森嶋と天野を会わせたい。その為には森嶋の保護からだろう。
2:脱出手段を探しておきたい。
3:他の506のメンバーが居たら合流しておきたいところだ。
4:鳥居や、鳥居がある地点が破壊されたらどうなる…?
5:首輪の解除も必要になってくるだろうな。
6:信じるものを手放さず、なすべきことを手放さず、自分の進むべき道を手放さない。
[備考]
※参戦時期は原作終了後からです。漫画版は全3巻、原作である小説版は全8巻です。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【ノースリベリオン P-51D@ノーブルウィッチーズ】
ジーナのストライカーユニット。
ノースリベリオン P-51の決定版であるD型。
それまでのノースリベリオン P-51とは異なり魔力配分を効率的に出来るようになっており、更にマッピングの変更を容易にする改良が施されている為、戦場での使用目的に適時合わせたセットアップを、その場で行う事が可能である。
また形状も変更が行われている。

【ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス】
極秘裏にスペースビースト(わかりやすく言うとネクサスでの怪獣)を殲滅する事が任務である実働攻撃部隊ナイトレイダーの隊員が携行している、対スペースビースト用の大型銃の武装。
通常はビーム砲の形態だが、グリップとトリガーの部分を取り外す事でビームハンドガン形態のディバイトシューターに。
本体を変形させることで、ビームサブマシンガン形態のディバイトガンナーにも出来る…が、今ロワでは主催の手により変形不可能になっている模様。
ただしその代わりに、本来指紋認証によって管理されてる為隊員やナイトレイダーの母体組織であるTLT関係者以外には使用不可能な特性が無くなっている。
ランチャー形態では小型(2〜10m程)のスペースビースト程度なら殲滅可能な威力があり、52m程のスペースビーストを怯ませる事も可能。また強化装甲弾やナパーム弾を装填する事も出来る。
ただし威力が高い分反動も大きい。
(威力についても主催により制限がかけられている可能性があります)


381 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/25(月) 02:46:35 ZcqYYz3c0
投下終了です


382 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/25(月) 05:09:48 ZcqYYz3c0
誤字があったので修正します
>>379
あの神子柴と云う→あの神子柴と云う


383 : ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:28:29 srsw3v5w0
投下します


384 : 羽をもがれた蝶 ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:32:24 srsw3v5w0
「無い…無い……どうしてっ!?」

土砂降りの天気の下。
栗花落カナヲは全身が濡れるのも意に介さず、必死に支給品袋を漁っていた。

袋をひっくり返してみても、奥まで手を突っ込んでも、
自身の懐を探ってみても、目当ての物は見つからなかった。

「なんで……薬がないと……」

姉が残してくれた、鬼を人間に戻す薬。
炭治郎を救える唯一の手段だった。
確かに持っていたはずなのに、今は影も形も見当たらない。
考えられる理由は一つ、あの神子柴なる老婆に取り上げられた。

「そ、んな……」

薬が無い以上、炭治郎を人間に戻す手段は存在しない。
もう一度同じ物を作ろうにも、珠世と胡蝶しのぶは両名共に死んでいる。
あの2人がいないなら、薬は二度と手に入らない。

最早どうやっても炭治郎を救う事は不可能になってしまった。

「あ……」

それ以前に。
カナヲが戦場から連れ去られ、見たくも無い映画を見せられて会場に飛ばされるまでに、大分時間が経ってしまっている。
死に物狂いで体を動かそうとし、何度も何度も「私を炭治郎の所へ戻して」と懇願した。
しかし無情にも指一本動かす事はできず、声も出なかった。

その間、戦場にいた者たちはどうなった?

「いや……」

鬼と化した炭治郎は日輪刀でも太陽の光でも殺せない肉体になった。
対して、生き残った鬼殺隊の面々は大半が満身創痍。
鬼ではなくなった禰豆子に戦える力は無い。
そんな中で、唯一炭治郎を人間に戻せる薬を持った自分が消えたらどうなるか。

嫌でも分かる。
炭治郎はきっと皆を殺してしまった。

「あ…あああぁぁぁぁ…………」

仮にもし、炭治郎を人間に戻す方法が見つかって、元のいた場所に帰れたとして。
それで炭治郎が救えるだろうか。

否である。
人間に戻すという事はつまり、鬼になっていた間の記憶をハッキリ思い出させるということ。
兄弟子を、同期の仲間を、唯一残された家族を、大勢の人々を殺した罪を自覚させる。
そんな事をしたら、炭治郎の心は本当に壊れてしまう。

「うああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

自分に出来る事は何もない。
全てが手遅れなのだと、理解してしまった。

カナヲはただ、残酷な現実に泣き叫ぶ事しかできなかった。


385 : 羽をもがれた蝶 ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:36:31 srsw3v5w0
…………


泣いて、泣いて、泣き叫んで。
手の皮が擦りむけるくらいに、地面を叩いて。
そのうち声を出す気力も無くなって。
髪も拭くも雨でぐしょぐしょになって。
指一本も動かさず、その場で蹲って。

どれくらいそうしていただろうか。

やがて、雨で濡れた顔をゆっくりと上げる。


「…………さない」

「………ゆるさない」

「絶対に、許さない」


あの老婆が。
神子柴が自分をここに連れて来たせいで、炭治郎は人間に戻れなかった。
神子柴のせいで皆は死んでしまった。

神子柴だけではない。
森嶋帆高と天野陽菜。
そもそもあの二人が出会っていなければ、互いに関りを持とうとしなければ。
こんな馬鹿げた殺し合いなんかに、自分が参加させられる事も無かったかもしれないではないか。

無論それは八つ当たりでしかないと分かっている。
しかし、そでれでも帆高たちへの悪感情は抑えられない。

「お前は絶対に殺してやる……神子柴……!!」

血走った左目で虚空を睨み、ありったけの恨みを吐き出すその顔は、
まるで鬼のようだった。



【栗花落カナヲ@鬼滅の刃】
[状態]:全身ずぶ濡れ、神子柴への激しい憎悪、帆高と陽菜への不快感と怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴を殺す
0:?????
[備考]
※参戦時期は鬼化した炭治郎に薬を打つ直前。


386 : ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:37:20 srsw3v5w0
もう一つ投下します


387 : 残酷 ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:38:04 srsw3v5w0
『人を殺す前に■■■を殺せ!!」

『■■■やめろーっ!!』

『あんなに優しかったのに…!!元の■■■に戻れよォオオオ!!』

『■■■やめてくれ!頼む!!』

『■■■■■負けないで…■■■■■……!!』

『誰も殺さないで!!■■■■■お願い!!』

『■■■だめだよ。早く戻ってきて』

『■■■ちゃん泣かせたらだめだよ……』















『私の夢を叶えてくれ、■■■』
『お前が滅ぼせ。私の代わりに、鬼狩りを』


388 : 残酷 ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:39:07 srsw3v5w0
◇◆◇


肌に感じる冷たさに目を覚ます。

辺りを見回すとそこは知らない土地で、自分以外誰もいない。

さっきまで声が聞こえていたような気がする。

聞いているだけで、何故か胸が苦しくなるような声が。


しかし、今はそんな事どうでもいい。


空腹のせいか、無性に苛々する。

何かを食べたくて仕方ない。

真っ先に浮かんだのはあの少女。

少女に噛みついた時の血の味が忘れられない。

あれをもっと味わいたい。

溢れ出る衝動に身を任せて、一気に駆け出す。


『■■■』


不意に聞こえた誰かの声も、今の彼を止めるだけの力は無かった。



【竈門炭治郎@鬼滅の刃】
[状態]:健康、鬼化
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:人を喰う
[備考]
※参戦時期はカナヲに人間に戻る薬を打たれる前。
※殺し合いのルールを理解しているかは不明。


389 : ◆ytUSxp038U :2021/01/25(月) 12:39:50 srsw3v5w0
投下終了です


390 : 麒麟を討った男、リンと出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/01/26(火) 23:47:31 sE9MdDWU0
投下します。


391 : 麒麟を討った男、リンと出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/01/26(火) 23:52:50 sE9MdDWU0
「一体、どういうことだ…」

雨音鳴り響く街に一人困惑する少女ーーーーー
名は志摩リン。
キャンプ好きな祖父の影響を受けて一人キャンプが好きな女子高生。

(たしか、私は初日の出を見て、なでしこたちにあけおめのLINEを終えて、キャンプ場に戻っていたはず…)
先ほど述べた通り、ソロキャンプが好きなリンだが、本栖湖で遭難しかけた各務原 なでしこを助けた縁でなでしこを始め野外活動サークル略して野クルのメンバーとも関係が深まった。
LINEでの新年の挨拶を交わしキャンプ場に戻る最中、リンは映画館に招かれた。

「あれが、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールというやつか…」
とりあえず、流されるままに上映された映画を鑑賞していた。
(凄く、気になるところで…あれだもんな…)
そして御覧の通り、クライマックスに近づいたらバトルロワイアルの開始が宣言された。

(てか…あれ、マジなのか?帆高…さんと天野さんが出会うと街は水没するって…)
(それに、首にある首輪…)
リンの脳裏に浮かぶのは御子柴と名乗るおばあちゃんによって薙刀を持った女性の首が爆発して飛んだスプラッタ映画も真っ青の場面ーーーーー

「うそだといってくれ〜…」
頭を抱えるリン……

「あ…」
リンの視線の先にあるのはーーーーー
「私が乗っている原付と同じだ」
50㏄スクーター「Vino 」であった。

「てか、私のじゃん」
よく見ると自分の愛車だった。

(なんで、ここに…?あの、御子柴と名乗ったおばあちゃん…窃盗は犯罪だぞ?)
リンは御子柴に恨み節を吐く。

「…よし。鍵が付いているから、運転できるな…」
(とりあえず、バイクをこのままにはしておけないな…・)
リンは動くのを確認すると、愛車の扱いをどうするか悩んでいると…

ーーーーーバシャ
背後から水しぶきがはじけ飛ぶ音が聞こえた。
「ッ!?だれ」

☆彡 ☆彡 ☆彡


392 : 麒麟を討った男、リンと出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/01/26(火) 23:54:54 sE9MdDWU0
「………」

雨に打たれる老武将。

男の名は明智十兵衛光秀ーーーーー

戦国の麒麟(カリスマ)織田信長を本能寺にて討った正義と公正の神獣獬豸の精神を持つ信長の不動明王。

(…儂は落ち武者狩りに遭い、果てたはず…)
苦悩しつつも唐入りという魔道を突き進む敬愛なる主君を討った光秀だが、秀吉の【嘘】と【諫言】により光秀に味方する武将は数少なく…山崎の戦いで敗れ、落ち武者狩りに遭命を失ったーーーーー

「あの、御子柴なる老婆の秘術か」
光秀は先ほどの女人を蘇らせたことから御子柴が己を蘇らせたと推測する。

(それにしても、あの国は本当に日の本なのか…?)
光秀にとって先ほどの「天気の子」とやらの世界と人は吃驚仰天の連続であった。
(しかし、あの焼け爛れた戦国の世に比べれば、なんと愛愛しい国じゃ…)
それは、光秀が臨んだ誰もが飢えることなく、慈しみ溢れた微笑みの絶えぬ世に限りなく近づいている世界であったーーーーー

「…む?あそこに女子か…」
光秀はリンに気づいた。

「とりあえず、接触してみるか……」
光秀は少女に近づくーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「儂の名前は明智十兵衛光秀と申す」
光秀は己の名を伝える。

「え!?明智光秀!」
(…明智光秀ってあの【明智光秀】?)

(おいおい、マジかよ)

リンは老人の名前に半信半疑。
「…よければ、そなたの名前を教えてはくれんか?」

「は、はい…志摩リンです」

(てか、明智光秀ってこんなに年がいっていたのか!?教科書に載っている肖像画と全然違うな…)
所謂、多くの一般に知られている明智光秀との違いにリンは衝撃を受ける。

「リン…!?」
(なんと…娘と同じ名とは…)
一方、光秀も少女の名が自分の娘と同じことに目を見張る。

「あの…私の名がどうしたのですか?」
(え…何…?なんか怒らせたか?)
ビクビクしながら光秀と名乗る老人に尋ねるリン。

「なに…儂の娘と同じ名に驚いてな…」
「そうなんですか…」
(え…光秀の娘ってガラシャだけじゃないのか…てか、同じ名前か〜」
光秀の長女、倫は信長に謀反をすることとなった荒木村重の嫡男荒木村次に嫁いだ。

「それに、苗字があるとは!?志摩…リンは志州 の出身か?」
「え!?いや、山梨県です」
(いや、志州 ってどこだよ…)
リンは心の中でツッコみながら答える。

「山梨県…?」
考え込む光秀に…
「あの、もしかしたらですけど…」
(まるで、現代人が過去へタイムスリップの逆だな…)
リンは光秀に自分のことを含めて予想したことを説明する……

「なんと!?では、やはりあの、「天気の子」とやらのこの世界は日の本でリンは400年も未来の人間なんじゃな!?」
「はい、おそらくですが…」
(理解が早くて助かったぜ…)
聡明な光秀はリンの話を驚愕しつつも受け入れた。

「…リン。そなたのいる日の本は平和か?」
光秀はリンに尋ねる。

「え?…まぁ、他の国に比べたら十分平和だと思います」
(考えてみれば、女性一人でキャンプができるって平和な証だよな…)
リンは光秀に問われることで改めて今の自分の国(日本)が平和であることを知る。

「…そうか」
(儂の願いは400年の時を経て叶うのじゃな…)
リンの答えに光秀は微笑む。

「……」
(正直、主君に対して謀反を起こし、三日天下で終わった人のイメージだったけど、案外、違うのかな?)
リンは光秀の微笑む姿に距離を置く壁が少し壊れた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


393 : 麒麟を討った男、リンと出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/01/26(火) 23:58:17 sE9MdDWU0
「さて、儂らがしなければならいことは2つ」
「火薬入りの首輪の対処と帆高じゃ」

「御子柴と申す老婆の企み、必ずや阻止する。無論、リン。そなたを守ることを儂は約束する」
「はい…光秀さん。よろしくお願いします」
光秀の申し出にリンは頭を下げる。

「さて…それでは、移動をするが、馬があれば、便利なのじゃが…」
光秀の呟きに……

「あの…もしよければ、後ろに乗ってください」
(本当はダメだけど、この状況じゃ仕方ないよな…)

※原付は二人乗りは禁止です。

「なんと!?リンはこの奇妙な馬の乗り物を扱うことができるのか!?」
リンの申し出に光秀は驚く。
(…そりゃ戦国時代の人間は、馬は乗れてもバイクは無理だよな…)
光秀の反応にリンは苦笑する。

「はい。移動は私がしますので、光秀さんは後ろに乗ってください」
(ノーヘルに二人乗り…あー、お巡りさんに出会いませんように)

心の中でリンは祈ると共に疑問にツッコむ。
「う…うむ。かたじけない」
心なしか、光秀はワクワクした少年のような顔つきになっていたーーーーー
光秀はリンの後ろに乗る。

ブロロロロロッーーーーー………

(とりあえず、いくつか調達しないとな…)
(ヘルメットに…やっぱりキャンプ道具も手元に置いておきたい…)
リンはまず、ホームセンターに向かい Vinoを走らすーーーーー

「……」
光秀は運転をリンに任せてケツイを新たにするーーーーー

(火薬入りの首輪に摩訶不思議な秘術を使う相手…戦況は明らかに不利…)
(しかし、戦を決するのは【兵法】なり。老婆よ、そなたの思う通りにはさせぬ…!!)

かくして、「麒麟」を討った獬豸 は「リン」と出会った。

獬豸はくる。

【明智十兵衛光秀@信長を殺した男】
[状態]:健康
[装備]:甲冑(兜はない) Vino (同乗)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:兵法を用いて老婆を討つ
1:リンを守る
2:爆発する首輪をどうにかできないか考える
3:帆高を探す
[備考]
参戦時期は落ち武者狩りに遭い、死後です。
自身は御子柴の手で蘇ったと考察しています。
リンとの会話で自身よりも未来の世界だということを認識しました。

【志摩リン@ゆるキャン△ 】
[状態]:健康
[装備]:Vino (運転中)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰りたい
1:光秀と行動を共にする
2:とりあえず…この雨のままじゃ、まずいから、ホームセンターを目指す(ヘルメットやキャンプ道具など調達するため)
[備考]
参戦時期は【ゆるキャン△ 2期】第2話の初日の出を見終えてキャンプ場に戻る途中です。


394 : 麒麟を討った男、リンと出会う ◆s5tC4j7VZY :2021/01/26(火) 23:58:31 sE9MdDWU0
投下終了します。


395 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:47:44 ZhfoRwGU0
たくさんの投下ありがとうございます!

>考【すべきこと】
いきなりルールやお題の意図を察し推理するネウロすげェ!流石は魔界の謎を食い散らかした男。
しかも頭脳だけでなく直接戦闘も全然いけるのが安心感が半端ないですね。彼がビッグマムや白面の者とぶつかったらとんでもないことになりそう(小並感)

>Down with Sticky Keys
固定キーってなんだ(困惑)そしてこいつが殺傷能力持っているのもヒイイイィィィ訳わかんねえええ!!
おおきーふぁよしんでしまうとはなさけない

>パンティ&ブリーフ
なんだこのおっさん!?こんなのも殺さないでいてくれるイレイナさんは優しいですね。
「こ、このっ! あ、暴れるなっ! 暴れるのは私の息子だけで十分だッ!」やかましいわ

>忍者とプリキュア
忍者(しのは)とプリキュア、邂逅するのはまさに必然...!こんな異常事態でもブレずに抗おうとする二人、マジカッケッス。
忍者がプリキュアの正体知ったらめちゃくちゃテンション上がりそう


396 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:49:24 ZhfoRwGU0
投下します


397 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:50:07 ZhfoRwGU0
夢を見た。

大切な人が祈りを捧げながら消えていく、悲しい夢を。





「なんだよコレ...どうなってるんだよ」

振りしきる雨の中。
少年、天野凪はくしゃりとルールの説明書を握りつぶした。
あの神子柴という老婆が見せた映像。あれは間違いなく帆高と陽菜を中心にした出来事―――つまりは自分たちのこれまでの軌跡だ。
なんであんなものがある。警察に捕まった時には既に作られていた?
そんな馬鹿な。もしそうであるならば、帆高と出会った時から警察に捕捉されていたことになるが、それならばもっと早くに動くはずなのでこの線はあり得ない。
なにより衝撃的だったのは、陽菜が消えたことに神の意思が介在していたことだ。
正直、普段なら眉唾物だと笑い飛ばして相手にもしないだろう。けれどあの映画の顛末が自分たちにあまりにも酷似しており、且つあの状況で陽菜が消えること自体がまともではない。
ならば、神の意思は確かにあったのだと信じざるを得ないだろう。

(けど、これってつまり、あの婆さんは姉ちゃんをどうにかできるってことなのか?)

あの老婆はわざわざ陽菜と帆高を関連付けた殺し合いを開いている。
死者の蘇生すらこなすほどの力を持っているのだから、よほど神の領域を穢せる自信があるのだろう。
それどころか、既に陽菜を手中に収めているのかもしれない。いや、そちらの方が辻褄があう。
そして、陽菜を連れ戻すのなら、殺し合いのルールに従い、制限時間以内に主催本部へ留まる5人に収まればいい。
自分が誰かを殺さなくても願いが叶うのならば当然賛同したい。

だが、その最大の障壁が帆高だ。
願いを叶えるということは、彼を犠牲にするということになる。
無論、陽菜と帆高、どちらが大切かと問われれば陽菜だと即答する。
けれど、優先順位の優劣はあれど、それで帆高を見殺しにするのをよしと割り切れるはずもない。

「ちくしょう、どうすればいいんだよこんなの...!」

神や神にすら干渉できる力を持つ老婆が相手では、ただの小学生などあまりにも無力だ。
それがわからないほど、凪は愚かではなく純粋でもなかった。
己の無力さに打ちひしがれながらも、とにかく動こうとしたその時だった。

「え、あれ?」

動かない。まるでなにかに掴まれてるかのように足を動かせない。

「まさかこんなに簡単に見つけられるとは思わなかった」

建物の曲がり角から現れた少女がそう独り言ちた。


398 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:50:36 ZhfoRwGU0




私の世界は変わらない。

どれだけ頑張っても、いつかはルールが増えて世界が変わる。

それでも私の道は変えられない。

だからこれは運命。決して逃げられぬ運命だ。

そう言い聞かせてずっと戦ってきた。捕まえてきた。殺してきた。ずっと。ずっと。

そして、ようやく愛しい人に死(さいこうのおわり)をプレゼントされた。運命から解放されたと思った。

でもダメだった。

神様が変わっても、私の世界は変わらなかった。


399 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:53:43 ZhfoRwGU0


「...結局、こうなっちゃうか」

ジーナは曇天の空を眺めながらふぅ、とため息をついた。
自分は死んだ。愛しい男に胸を撃たれ、彼の連れ合いに託し、最期の口づけと共に命果てる。そんな最高の死を迎えた。
なのにこうして生きている。いや、生き返らせられている。化粧直しも完璧に。
しかも、一つの対象を捕縛あるいは殺害しなければ大勢が死ぬという、兼ねてからの課題と同じような条件付きでだ。
お前は死んだところで逃げられない―――そんな、意地の悪い神様からの嗤い声が聞こえてくるようだった。

「はぁ、若いっていいなあ」

このゲームの開始前に見せられた映画。
彼らもまた神に運命を弄ばれた存在であった。
己の身を犠牲にしなければ二度と陽の光が差し込まない世界になると、勝手に秤にかけられ、決定権さえ彼女たち自身には存在していない。
顔も知らない大多数の為に消費される存在として同情心が湧かない筈が無かった。心情的には彼らの恋を手助けしてあげたいとも思えた。

けれど、ジーナには立場というものがある。役目というものがある。
地球に理(ルール)を追加する髪を否定する者たち、『否定者』たちの組織(ユニオン)。
席は最愛の者へと譲ったが、しかしだからといって今も戦い続ける仲間たちを放っておくことはできない。
正規メンバーでないならないなりに助力をしなければならない。

その為には、まずここから生きて帰らなければならない。それはつまり、帆高と陽菜の犠牲を意味する。

「あーあ、あの子たち殺したくないなあ」

いつものことだ。
進んで殺したいと思ったことなど殆どない。
だからこれはいつもの課題だ。自分がやらなければならないことだ。

方針を決めたジーナが歩き始めて数分、早速、建物の影に身を潜め荷物を検分している参加者を発見した。
双眼鏡を取り出し横顔を改める。
どこかで見たことのあるその顔に、ジーナは、ああ、とポンと手を打つ。

(確かほだかちんとひなちんと一緒に逃げてた子)

帆高がセンパイと称し、陽菜とは仲良し姉弟だった少年、名前は確か凪だったか。
彼らの関係者まで巻き込む性根の悪さには呆れるが、しかしこれはある意味好機だ。帆高の身内である彼を確保すれば、帆高も下手な抵抗はしないかもしれない。

(...今さら、手段を選べる立場でもないよね)

相手はこちらに気づいていない。ならば拘束は容易だ。
ジーナの能力『不変(アンチェンジ)』があれば。
手をかざし、能力を発動させようとして気が付く。普段よりも能力の精度と強度が落ちていることに。

「ふぅん、そういうこと」

ジーナの不変の防御力は驚異的だ。それも、その気になれば殺し合いなど破綻してしまう程に。
彼女は空気の変化を『否定』することで空気の壁を作ることが出来る。
この空気の壁は本来ならば、たとえ隕石程の衝撃があったとしても壊すことが出来ない程強固だ。
当然、そんな中に引きこもられれば絶対防御が完成し殺し合いが成立しなくなってしまう。
この弱体化はそれを防ぐための措置だろう。いまのジーナの空気の壁は、耐えられる上弦が定められている。
それでも人智を超えた力が損なわれるわけではない。
伸ばした空気の手は凪が気づく前に到達しあっさりと捕縛してしまった。


400 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:54:16 ZhfoRwGU0


「...結局、こうなっちゃうか」

ジーナは曇天の空を眺めながらふぅ、とため息をついた。
自分は死んだ。愛しい男に胸を撃たれ、彼の連れ合いに託し、最期の口づけと共に命果てる。そんな最高の死を迎えた。
なのにこうして生きている。いや、生き返らせられている。化粧直しも完璧に。
しかも、一つの対象を捕縛あるいは殺害しなければ大勢が死ぬという、兼ねてからの課題と同じような条件付きでだ。
お前は死んだところで逃げられない―――そんな、意地の悪い神様からの嗤い声が聞こえてくるようだった。

「はぁ、若いっていいなあ」

このゲームの開始前に見せられた映画。
彼らもまた神に運命を弄ばれた存在であった。
己の身を犠牲にしなければ二度と陽の光が差し込まない世界になると、勝手に秤にかけられ、決定権さえ彼女たち自身には存在していない。
顔も知らない大多数の為に消費される存在として同情心が湧かない筈が無かった。心情的には彼らの恋を手助けしてあげたいとも思えた。

けれど、ジーナには立場というものがある。役目というものがある。
地球に理(ルール)を追加する髪を否定する者たち、『否定者』たちの組織(ユニオン)。
席は最愛の者へと譲ったが、しかしだからといって今も戦い続ける仲間たちを放っておくことはできない。
正規メンバーでないならないなりに助力をしなければならない。いや、してあげたい。

その為には、まずここから生きて帰らなければならない。それはつまり、帆高と陽菜の犠牲を意味する。

「あーあ、あの子たち殺したくないなあ」

いつものことだ。
進んで殺したいと思ったことなど殆どない。
だからこれはいつもの課題だ。自分がやらなければならないことだ。

方針を決めたジーナが歩き始めて数分、早速、建物の影に身を潜め荷物を検分している参加者を発見した。
双眼鏡を取り出し横顔を改める。
どこかで見たことのあるその顔に、ジーナは、ああ、とポンと手を打つ。

(確かほだかちんとひなちんと一緒に逃げてた子)

帆高がセンパイと称し、陽菜とは仲良し姉弟だった少年、名前は確か凪だったか。
彼らの関係者まで巻き込む性根の悪さには呆れるが、しかしこれはある意味好機だ。帆高の身内である彼を確保すれば、帆高も下手な抵抗はしないかもしれない。

(...今さら、手段を選べる立場でもないよね)

相手はこちらに気づいていない。ならば拘束は容易だ。
ジーナの能力『不変(アンチェンジ)』があれば。
手をかざし、能力を発動させようとして気が付く。普段よりも能力の精度と強度が落ちていることに。

「ふぅん、そういうこと」

ジーナの不変の防御力は驚異的だ。それも、その気になれば殺し合いなど破綻してしまう程に。
彼女は空気の変化を『否定』することで空気の壁を作ることが出来る。
この空気の壁は本来ならば、たとえ隕石程の衝撃があったとしても壊すことが出来ない程強固だ。
当然、そんな中に引きこもられれば絶対防御が完成し殺し合いが成立しなくなってしまう。
この弱体化はそれを防ぐための措置だろう。いまのジーナの空気の壁は、耐えられる上弦が定められている。
それでも人智を超えた力が損なわれるわけではない。
伸ばした空気の手は凪が気づく前に到達しあっさりと捕縛してしまった。


401 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:55:09 ZhfoRwGU0
現れたジーナの、陽菜と同い年くらいのその姿に凪は目を丸くする。


「あなた、あの映画に出てた凪くんだよね」
「な、なんだよあんた...これあんたがやったのかよ」
「質問に答えて」
「...そ、そうだよ」

可憐な外見とは裏腹の鋭い目つきとドスの効いた声音に、凪は下手に刺激すべきではないと察し素直に答える。

「時間も無いし先に言っておくね。あなたを帆高との交渉役に使わせてもらうから」
「交渉?」
「仲のいいあなたが傍にいればあの子も妙な抵抗はしないでしょ」
「なっ」

いきなり現れて拘束され、しかも告げられた内容は身内を害するものときた。
当然、感情のままに怒りたくなる衝動に駆られるも、しかしジーナの放つ殺気がそれを押し留めさせる。

「わかるでしょ。ルールに則れば、彼が死ななければ皆死んじゃうの。貴方も私も、みんな」
「それは...」
「神子柴に従ってもなにも変わらないかもしれない。でも、こんな滅茶苦茶なことをしておいて、ルールに書かれてることすら無視するとは思えない」
「......」

反論の芽すら許さぬジーナの威圧に凪は口を噤む。
彼もわかっている。神子柴が約束を守るにせよ守らないにせよ、帆高が死ななければ自分含めた参加者は生きて帰ることはできない。
それに、あの映画で見せられた部分では、姉が消えたのも自分たちの自業自得だと思う人も少なくないだろう。

「...勝手なこと、言うなよ」

尤も、それが納得できるかどうかはまるで別問題である。
それを看過できるほど、凪は大人ではなかった。

「みんな勝手すぎるんだよ、姉ちゃんも、帆高も、神様って奴も。何にも知らない俺の気持ちなんて全然知りやしないんだ」

感情のままに噛みつく。
自己犠牲に。元凶に。理不尽に。

「だからッ...放せよ...ぐ、がああああ!!」

空気の手による拘束から逃れようともがくもビクともしない。
例え主催からの制限をかけられていても、一般人からすれば十分すぎるほどの硬度だ。
いくら子供が頑張ったところで抜け出す術などない。

「下手に抵抗すると身体を痛めるよ」
「知るかよ、こんなところで止まってる暇はないんだ」

歯を食いしばり、どれだけ必死にもがいても抜け出せない。
空気の手は少年の意思を『否定』する。
それでも。
それでも―――凪は叫ぶ。ジーナの言葉を『否定』する。
助けたいから。押し付けたくないから。死なせたくないから。


「帆高じゃない...姉ちゃんは俺が助けるんだ!!」

「言うじゃねえかボウズ」

上空より声が飛来した。
凪でもジーナでもない、第三者の声が。



「その"反逆"―――俺が引き受けた!!」


402 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:56:41 ZhfoRwGU0


突如連れて来られた謎空間。踊り狂うカメラとポップコーン。映画。巻かれた爆弾首輪。謎のババア。湧いてくる大量の化け物。死んだ奴の蘇生。

馬鹿な俺でもわかる。
今の状況は、あの荒野で腐るほど戦ってきた経験ですらぬるま湯浸かってたと思えるほどヤバイってことは。

『だったら―――どうする?』

頭の中で声が問いかけてくる。
俺が兄貴として尊敬し憧れた、イキでイナセなあの男、ストレイト・クーガーの声が。

『この掛け値なしの異常事態だ。お前自身を含む大勢の参加者の身を護るなら帆高を殺すのが最適解だが』

ノゥ!!

『ならば帆高を陽菜に合わせて自分(テメェ)は大人しく水の底に沈むとするか?』

絶対にノゥ!!!

『ならばどうする』

をいをいをいをい...決まってんだろうがそんなことはよ。

このゲーム自体も、女生贄にしてご満悦の神様も、ソイツを利用してこんなクソゲームを開くババアもなんもかんもが気に入らねえ。
ああそうさ。こんな理不尽、気に入るはずもねえ。
だったらやることはひとつだろうが。

『どうやって!?』

この拳で!

『だったら―――やれ!!!』

言われるまでもねえ!!

さあ―――反逆だ!!!


403 : その運命に――― ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:57:37 ZhfoRwGU0


「ウラアアアアアア!!!」

雄たけびと共に、ジーナと凪の間に落下する影が一つ。
その影は地面に着地すると同時、轟音を立てて地盤を砕き砂塵を巻き上げる。

空気の壁によりダメージこそはないものの、その破壊規模にジーナは思わず目を見開く。
全貌を確認できた訳ではないが、乱入者は殆どが生身の男だった。
唯一右腕だけが金属のようなものに覆われていたがそれだけだ。
ジーナの知る中で、それだけの装備でこれほどの破壊力を有する存在は二つ。一つは性別や病気のような概念を司るUMA。もう一つは

「『否定者』!?」
「否定者だぁ?いいや違うね」

砂塵が雨にかき消され、乱入者の全貌が明らかになる。
立っていたのは、男。右腕に金属の装甲を纏い、逆立つ頭髪からギラついた双眸を覗かせる男。
男は獰猛な笑みを携え声高々に叫んだ。

「『反逆者(トリーズナー)』だ!!」

曰く、全てを断罪する能力者(アルター)。曰く、ソイツに目をつけられたら未来はない(ノーフューチャー)。
反逆者―――反逆者『カズマ』、いまここに反逆を宣戦する!!





【カズマ@スクライド(漫画版)】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:この殺し合いに反逆する
0:手始めに目の前の女に反逆する。

※参戦時期は『s.CRY.ed』を刻まれた後です。

【天野凪@天気の子】
[状態]疲労(小)、空気の手で拘束されている
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:姉ちゃん(天野陽菜)を助ける。
0:帆高や姉ちゃんを助けに行きたい。
1:なんだこの兄ちゃん!?

※参戦時期は逮捕されて以降です。

【ジーナ@アンデッドアンラック】
[状態]健康、精神的疲労(中)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜2、双眼鏡@現実
[行動方針]
基本方針:帆高を止めてゲームを終わらせて帰還する(可能ならば願いを叶えて仲間たちの戦いを終わらせる)。
0:凪を手に入れて効率よく帆高を仕留める。
1:反逆者...!?

※参戦時期は死亡後です。
※『不変』の能力は制限により精度や硬度が弱体化しています。


404 : ◆j7coLoRPl6 :2021/01/27(水) 09:58:15 ZhfoRwGU0
投下終了です
wikiの編集してくれた方、ありがとうございました


405 : ◆.EKyuDaHEo :2021/01/27(水) 20:07:59 ZCOAuboU0
投下します


406 : どの世界でも女は強し ◆.EKyuDaHEo :2021/01/27(水) 20:08:34 ZCOAuboU0
「森嶋帆高と天野陽菜を取り巻くバトルロワイアル...」


野原ひろしはデイパックに入っていたルールブックを見て呟いた、目が覚めたら映画館にいてある映画を見せられた、そしてその映画が終わると一人の老婆が現れたと思ったらいきなりバトルロワイアルをしろと言われた


「それにここは映画の中であった場所と一緒だな...雨もふりつづけてる...ということはまた映画の中に引き込まれたのか...?」


ひろしは辺りを見渡すと先ほど見た映画と同じ風景だった...かつてひろしは家族とともに息子の友達を探すため『カスカベ座』という映画館に入った...そこでは何故か映画が映し出されていてその映画を見ているといつの間にかその映画の中の世界に引き込まれていた...状況もほとんど似ているためまた映画の中に引き込まれたのかとひろしは考えた


「考えても仕方ねぇな...それよりもこのルールブックに書いてあることについて考えねぇと...」


ルールブックにはこのバトルロワイアルが終わる条件も書いてあり、そこには
『①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
②『森嶋帆高』が陽菜と出会ったら数時間後にエリア全体が浸水し、『森嶋帆高』と陽菜を除く魚人のような溺死しない種族も含めて全員死亡する。
③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。』と書かれていた


「森嶋帆高と天野陽菜が会えなければ森嶋帆高が死ぬ...逆に会えばエリアは浸水し皆が死ぬ...どうすればいいんだよ...」


ひろしにとっては森嶋帆高と天野陽菜は全く知らない人物、だが参加者の中には自分の大切な家族や知り合いが巻き込まれているかもしれない...ここで森嶋帆高と天野陽菜を会わせないようにして生き残り続ければ自分達は死なずにすむ...しかし、いくら全く知らない人物とはいえ死んでしまうのを見てみぬふりはとてもじゃないができないとひろしは考えた...どちらにせよ犠牲者が出てしまうのは変わりないのだ...


「いや!森嶋帆高とか言うやつも生き残ったやつも全員死なずにすむ方法があるはずだ!」


ひろしは再びルールブックに目を通す...すると気になるワードが目に入った


『数時間後にエリア全体が浸水』


「数時間後に...エリアが浸水...はっ!これだ!」


ひろしは閃いたと言わんばかりに声をあげた


「森嶋帆高と天野陽菜が出会ってから数時間後にエリアが浸水...この数時間の間に脱出すればいいんだ!」


脱出できる保証はひろしにはなかった...しかし森嶋帆高と生き残った参加者全員を死なせない方法はこれしかなかった、ひろしは僅かな可能性に賭けた


「だけど俺一人じゃどうにもならねぇな...誰か探すしかねぇか!」


ひろしは辺りを走りながら辺りを見渡すと近くに女性がいた


「お!誰かいた!お〜い!...ってうわ!?」
「?...!?」


ひろしはその女性に呼び掛けながら走っていった...が、つまづいてこけそうになるが何かを掴んで転ばずに済んだ


(あっぶねぇ...ん?...何か手に柔らかい感触が...)


手に柔らかい感触を感じたひろしは顔をあげると自分が掴んでいたものは何と女性の胸だった...


「あ...す、すまn「キャァァァー!!変態ーー!!」
バチン!
「ぶふぉ!?」


胸を触られたことでひろしのことを痴漢と勘違いした女性はひろしにビンタをかました


バチン!
バチン!
バチン!
バチン!


その後も往復ビンタのごとくかましてひろしは計10回ビンタされたのだった...


407 : どの世界でも女は強し ◆.EKyuDaHEo :2021/01/27(水) 20:09:30 ZCOAuboU0
◆◆◆



「す、すみません...勘違いしてしまって...」
「いや...全然大丈夫ですよ...ははは...」


往復ビンタをくらいながらもひろしは何とか話をして誤解を解くことができた


「あ、俺は野原ひろしです」
「私は時空管理局武装隊、機動六課の隊長、高町なのはです!」
(時空管理局武装隊?機動六課?...聞いたことない組織だな...いや、今はそれどころじゃないな...)


ひろしはなのはの言った時空管理局武装隊と機動六課という名前に疑問を思ったが今はそれどころじゃないと思いなのはに聞いた


「なのはさん、このバトルロワイアルについてなんですが...」
「私も考えていました...あのおばあさんを何とかしたいんですが私一人では難しいですね...」
「でもあんな力を持ってる人に太刀打ちできるんですか?」
「一応こう見えて私魔道師ですからね!信じてもらえないかもしれませんが...」
「いや、信じるよ!俺も家族と一緒に暗黒世界の王だったりオカマ魔女だったりエイリアンだったりって色々あったからな!」
「ひろしさんも色々あったんですね」


お互いそんな話をしていたが、ひろしは自分が思い付いた方法をなのはに話した


「ところでなのはさん、ここから脱出する手段ってありますかね...」
「ないとは言いきれませんが...例えあったとしてもあのおばあさんを何とかしない限り簡単には行かないと思います...首輪がある以上下手に動いては爆破される可能性もありますし...」
「そうですか...」
『ひろしさん...ひろしさん...』
「!?だ、誰だ!?」
「ひろしさん、ちょっと失礼します」


突然ひろしの名前を呼ぶ声が聞こえ一瞬焦ったがその声がデイパックから聞こえてきたのに気づいたなのははひろしのデイパックを開けると声の正体が姿を表した


「お久しぶりですね、ひろしさん」
「?...あっ!もしかしてお前、ミライマンか?」
「はい、覚えててくださりありがとうございます」


ひろしのデイパックから出てきたのは怪獣の人形...に憑依しているミライマンであった


「あ、あのひろしさん、その怪獣の人形みたいなのは...?」
「あぁ、こいつは前に俺達と一緒に怪獣と戦ったミライマンだ」
「初めまして、私は時空調整員のミライマンです」
「あ、私は時空管理局武装隊、機動六課の隊長、高町なのはです!」(時空調整員...聞いたことないけど時空管理局武装隊と似た感じなのかな...?)


ミライマンのことについて疑問に思うなのはだったが...


「ミライマンがいるってことは...もしかしてあれもできるのか?」
「はい、もちろんできますよ」
「よし!少しだが希望が見えてきたぞ!」


ひろしが突然希望が見えてきたと言っていたがなのはにはどういうことか分からなかった


「ひ、ひろしさん、希望が見えてきたってどういうことですか?」
「あぁ、実はミライマンには正義の心がある人を変身させることができるんですよ!」
「え!?そうなんですか!?」
「はい、私を持って『変身』と唱えると自分の思い描いた姿に変身することができるんです、なのはさんからも正義の心が見えますから変身できますよ」


その事を聞いたなのはも希望を持ち始めていた


「それは凄いですね!確かに少しは希望が見えてきた気がします!」
「でもいざあの主催のことを考えると他にどんな力を持ってるか分からないから自信はわかないな...」
「なに弱気になってるんですか!常に強い心を持ってないと前へ進めませんよ!とりあえず他に使える物を探すのと地図を見るために雨宿りできるところを探しましょう!」
「そ、そうですね」


なのはの圧に押されひろしは賛同することしかできなかった


(どこの世界でも女は強いな〜...色んな意味で...)
「ひろしさ〜ん!早く行きましょう!」
「へーい、今行きますよー」


なのはにビンタされたところを擦りながらなのはの呼び掛けにひろしは返事をし後を追うのだった...


408 : どの世界でも女は強し ◆.EKyuDaHEo :2021/01/27(水) 20:10:14 ZCOAuboU0
【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、顔にビンタ跡
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:脱出の手段を見つける
1.なのはさんと行動する
2.どこの世界でも女は強いな〜...色んな意味で...いてて
[備考]
・なのはが魔道師だということを知りました

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:主催を倒す
1.ひろしさんと行動する
2.少しずつ希望が見えてきたかも...!
3.どこか雨宿りできる場所を探し支給品と地図を確認する
[備考]
参戦時期は少なくともヴィヴィオの保護者になった後です


【支給品】

【シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃】
野原ひろしに支給。
見た目は普通の怪獣の人形だが時空調整員のミライマンが人形に憑依している。
シリマルダシを持ち「変身!」と唱えるとミライマンの力を借りて変身することができる
(※変身してない時はシリマルダシ(ミライマン)は[道具]表示、変身した場合[装備]表示とします)


409 : どの世界でも女は強し ◆.EKyuDaHEo :2021/01/27(水) 20:10:46 ZCOAuboU0
【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、顔にビンタ跡
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:脱出の手段を見つける
1.なのはさんと行動する
2.どこの世界でも女は強いな〜...色んな意味で...いてて
[備考]
・なのはが魔道師だということを知りました

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:主催を倒す
1.ひろしさんと行動する
2.少しずつ希望が見えてきたかも...!
3.どこか雨宿りできる場所を探し支給品と地図を確認する
[備考]
参戦時期は少なくともヴィヴィオの保護者になった後です


【支給品】

【シリマルダシ(ミライマン)@クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃】
野原ひろしに支給。
見た目は普通の怪獣の人形だが時空調整員のミライマンが人形に憑依している。
シリマルダシを持ち「変身!」と唱えるとミライマンの力を借りて変身することができる
(※変身してない時はシリマルダシ(ミライマン)は[道具]表示、変身した場合[装備]表示とします)


410 : ◆.EKyuDaHEo :2021/01/27(水) 20:12:14 ZCOAuboU0
投下終了です、バグで2回送ってしまいすみませんでしたm(_ _)m


411 : ◆ytUSxp038U :2021/01/27(水) 22:41:38 vgnGyrW60
投下します


412 : 早くしないと叱られる ◆ytUSxp038U :2021/01/27(水) 22:43:02 vgnGyrW60
「ちょっともー…、何よこれぇ」

何の変哲もないスーパーマーケット。
そこが少女のスタート地点だった。

「いきなり映画なんて見せて何事かと思ったら、殺し合いってあんた……。困るわよほんと」

巨大なおかっぱ頭振るわせながら、神子柴への愚痴を漏らす。
この異常事態に対し恐怖よりも迷惑という感情の方が勝っているようだった。

「さっきの天気の子も変な編集してんじゃないわよ。金ローだってあそこまで酷くないわよ。
 大体バトルロワイアルなんてあたしに出来る訳ないでしょ、こちとらお子様も安心して視聴できる番組やってんだから」

神子柴への文句は尽きず目を細めタコのような口になる。
が、急にぶつくさ言っていたのを止め、まるでお母さんに玩具をねだる子供のような口調になった。

「ねぇねぇ神子柴〜。映画のお供と言えば色々あるけど、定番の食べ物はやっぱりポップコーンよね?」

何故いきなりそんな事を聞くのか。
神子柴が返答する訳ないのに何故?
この奇行を見たら誰もがそんな疑問を抱くだろう。

「なんで?なんで、映画館で定番の食べ物はポップコーンなの?」

当然ながら神子柴からのリアクションは無い。
というかそもそも神子柴が少女の声を聞いているかも怪しい。
暫く待っても答えが返って来ないのに痺れを切らしたのか、少女は…


「ボーっと生きてんじゃねーよ!」


顔を真っ赤にして叫んだ。
ただでさえデカい顔を更に巨大化させ、スーパーマーケット中に響くような大声を出す少女。
もしも神子柴がここにいたら余りの迫力にタジタジになっていただろう。

「ポップコーンが映画館で定番の食べ物になったのは…スクリーンに投げつけるのに丁度いいサイズと軽さだったから〜!」

決めポーズと共に正解を言う。
いつもならこの後専門家の方に解説してもらうのがお馴染みの流れだが、この場には少女一人しかいない。

「……調子狂うわぁ。っていうか明日収録なんだけど、帰れなかったら責任取ってくれんの?」

何だか空しくなった少女は、ため息を吐きながらスーパーを後にした。



【チコちゃん@チコちゃんに叱られる!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:番組の収録に間に合うように帰して欲しい
1:人殺しなんで出来ないわよ。こっちは永遠の5歳なのよ
[備考]


413 : ◆ytUSxp038U :2021/01/27(水) 22:44:10 vgnGyrW60
投下終了です


414 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/27(水) 23:41:07 cFGGYF/c0
投下します


415 : Dear My sisters ◆2dNHP51a3Y :2021/01/27(水) 23:41:32 cFGGYF/c0
「――?!」

北条かりんが意識を取り戻した先にあったのは、大雨降り注ぐ大都市の交差点
本来ながら人々でごった返すそこはただ鳴り響く雨音以外に存在せず、困惑に塗れる少女の身体をただただ濡らすのみ。少し経って思考が働きすぐさますぐ隣の建物の近くに飛び込む

北条かりんの脳裏には、御剣総一の事が―――余りにも濃く焼き付いていた
あの『ゲーム』で、様々な事がありながらも脱出することが出来た。好きな人が出来た。だけどその彼は自分たちを守るため自ら犠牲となった

『ゲーム』をクリアし、鉄の牢獄から脱出した彼女を待ち受けていたのは謎の老婆とそれが見せた謎の映画、そして再びの『ゲーム』という現実

「……私、また、巻き込まれたんだ」

北条かりんには妹がいる。前の『ゲーム』において、妹の治療費に為に殺し合いに乗ろうとしていた時期もあった。昔の誰も信じられなくなった自分では、真っ先に帆高を殺す選択をしただろう

「……でも。……ううん、そんなことぐらい、分かってるよ」

けど、今は違う。そんなことをして元に戻った所で自分にとって大切な人が喜んでくれるはずもない。それを、あの『ゲーム』の中で、御剣総一に教えてもらった

「―――もうちょっとだけ待っててね、かれん。私は必ず、かれんの所に帰ってくるから」

少女は再びの思いを秘め、彼女にとっての狂った『ゲーム』の続きは幕を開ける





「――森嶋帆高、か」

あの老婆が示したこのゲームの鍵を握る存在、森嶋帆高
このゲームを終わらせる条件は制限時間が終わるまで森嶋帆高を天野陽菜の所まで辿り着かせない。もしくは森嶋帆高の『死滅』
『死滅』という言葉が無性に引っかかるが、どちらにしろ森嶋帆高を犠牲にする選択など取るつもりはない。けれどかつての自分同様大切な人のために周りを見ずに突っ走ってしまうような人だと感じた

「あの人を何とかしない事にはどうにもならないけど」

まずは森嶋帆高をまず見つけ出さない事には何も始まらない。あのまま森嶋帆高が天野陽菜と出会ってしまえばもっと多くの人が死んでしまう。事情を説明したとして聞き入れてくれるかという点も心配ではある

「……うわぁ」

最低限自衛のための道具が無いかとデイバッグの中身を探る。最悪小柄な身体を活かせるものが無いかと探してみれば……出てきたのは白亜の鷹を彷彿とさせる白の長銃

「いや確かに便利かもしれないけれど。これはちょっと……」

自動拳銃ならば最低限使えそうかなとは思っていたが流石にこれを扱える気はしない。高山さんあたりなら使いこなしてそう、などと内心思うが考えても仕方のない。なので他を確認しようと思った矢先

「あー! それ私の銃!」
「あ」

声がしたほうを振り向けば白ベレー帽の女性が、自分の持っていた長銃を指差し叫んでいる

「まって! 私は殺し合いに乗ってない!」

反射的に言い訳じみた言葉を叫んでしまった。流石にこれで信用してもらえるかと言われれば総一達と出会う前の私だったらまず疑う

「……えーっと、ごめん。そういうつもりで叫んだんじゃないから、ね?」
「ククル、さん? この人、一体……?」
「あー禰豆子ちゃん? 大丈夫、悪い人ではなさそう。……話、いいかな?」

だが、その不安とは裏腹に、ククルと呼ばれた白ベレー帽の女性は、続けて現れた黒髪の少女――ククルが「ネズコ」と呼ばれた少女に対し、自分が敵でないことを知らせた上でこちらとの話を所望してきた


416 : Dear My sisters ◆2dNHP51a3Y :2021/01/27(水) 23:42:23 cFGGYF/c0
○ ○ ○

「へぇ、ククルさんも『お姉さん』なんだ」
「その年でお姉ちゃんやってるかりんちゃんもククルお姉ちゃんから見たら十分立派だよね」
「……ええっと、ククルさんから見たらやっぱり私も妹扱い的な?」
「うん。なんというか見かけによらず逞しい所とかなんというかクム坊みたいで可愛いよ。あ・と、私のことは『ククル姉さん』って呼んでもいいのよ?」
「あ、あはは……」

かりんのの当所の心配は一気に吹き飛んだ。白ベレー帽の女性の名はククル、そして黒髪の少女名前は竈門禰豆子。二人はこの建物の中で偶然出会い、なし崩し的に一緒に行動することになったらしい
ククルとは『姉』繋がりと言うことでかりんとは話は弾んでいったものの、流石に妹扱いは少々文句を言いたくなりそうになるのであった
余談であるが例の銃は元々ククルの持ち物だということなのでククルに返却した

「ええと、禰豆子ちゃん、だっけ?」
「はい。かりんさん……ですよね」
「……ええと、その。……大変、だったんだよね?」
「……大丈夫です、かりんさん。確かに辛いことは沢山ありましたし、もう家族はお兄ちゃんしかいません。でも、だからってもうお兄ちゃんには何もかも背負わせたくはないんです。……鬼じゃなくなってしまったから、私はもう足手まといかもしれないけれど、それでも何かしないままよりは何か出来ることを頑張りたいんです」
「……そうなんだね。強いんだね。禰豆子ちゃんは。……『お姉ちゃん』として、かっこ悪い所見せられないかな?」
「じゃあククルお姉ちゃんがかりんちゃんに手取り足取り」
「いや、それは、その……」

竈門禰豆子の方は、全てを思い出したタイミングでこの『ゲーム』に呼ばれたとのことらしい。鬼舞辻無惨とかいう腐れ外道に兄以外の家族を皆殺しにされて、禰豆子自身も鬼にされ、兄や他のみんなのおかげで何とか正気を保ち、そして――兄たちが戦っている最中に兄の危機を察知して走り出した最中に思い出したのだ。
だが、そんなタイミングで呼ばれたのだ。彼女の心境がどのようなものなのか北条かりんには察せられるものではない。だが、妹の為に戦ってきた兄を、かれんの為に一人頑張っていたかりんとしては何かと共感できるものを感じていた
だからこそ、『妹』を持つ者として、かりんは改めてこの『ゲーム』を打ち破り、妹の元へと帰る決意を胸の内に灯す


準備を整える中、少女たちはそれぞれ思う

北条かりんは妹のため、そして今は亡き愛した男の為に

ククルは騎空団の一人として、一人の姉として

竈門禰豆子は未だ戦っているであろう兄のため



姉と妹。永遠に続く雨の中のトラワレビトたる彼女たちは、この雨曇(ゲーム)を晴らさんが為に


【北条かりん@シークレットゲーム -KILLER QUEEN-】
[状態]:ずぶ濡れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:このゲームを止めて、生きて妹の元へ帰る
1:まずは帆高を探す
[備考]
※参戦時期はかりんルート、ゲームクリア直後から

【ククル@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:ホワイトホーク@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:どちらにしろこのゲームは止める
1:シルヴァ姉とクム坊の事が気がかり

【竈門禰豆子@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:お兄ちゃんのことが心配
1:足手まといにならない程度には二人のことを手伝いたい
[備考]
参戦時期は原作22巻、記憶を取り戻した直後

『支給品紹介』
【ホワイトホーク@グランブルーファンタジー】
SSRククルの解放武器で、彼女が使う白亜の長銃。
ゲーム中のスキルである水属性対象の霧氷の刮目及び渦潮の攻刃の再現が可能かどうかは不明


417 : Dear My sisters ◆2dNHP51a3Y :2021/01/27(水) 23:42:33 cFGGYF/c0
○ ○ ○

「へぇ、ククルさんも『お姉さん』なんだ」
「その年でお姉ちゃんやってるかりんちゃんもククルお姉ちゃんから見たら十分立派だよね」
「……ええっと、ククルさんから見たらやっぱり私も妹扱い的な?」
「うん。なんというか見かけによらず逞しい所とかなんというかクム坊みたいで可愛いよ。あ・と、私のことは『ククル姉さん』って呼んでもいいのよ?」
「あ、あはは……」

かりんのの当所の心配は一気に吹き飛んだ。白ベレー帽の女性の名はククル、そして黒髪の少女名前は竈門禰豆子。二人はこの建物の中で偶然出会い、なし崩し的に一緒に行動することになったらしい
ククルとは『姉』繋がりと言うことでかりんとは話は弾んでいったものの、流石に妹扱いは少々文句を言いたくなりそうになるのであった
余談であるが例の銃は元々ククルの持ち物だということなのでククルに返却した

「ええと、禰豆子ちゃん、だっけ?」
「はい。かりんさん……ですよね」
「……ええと、その。……大変、だったんだよね?」
「……大丈夫です、かりんさん。確かに辛いことは沢山ありましたし、もう家族はお兄ちゃんしかいません。でも、だからってもうお兄ちゃんには何もかも背負わせたくはないんです。……鬼じゃなくなってしまったから、私はもう足手まといかもしれないけれど、それでも何かしないままよりは何か出来ることを頑張りたいんです」
「……そうなんだね。強いんだね。禰豆子ちゃんは。……『お姉ちゃん』として、かっこ悪い所見せられないかな?」
「じゃあククルお姉ちゃんがかりんちゃんに手取り足取り」
「いや、それは、その……」

竈門禰豆子の方は、全てを思い出したタイミングでこの『ゲーム』に呼ばれたとのことらしい。鬼舞辻無惨とかいう腐れ外道に兄以外の家族を皆殺しにされて、禰豆子自身も鬼にされ、兄や他のみんなのおかげで何とか正気を保ち、そして――兄たちが戦っている最中に兄の危機を察知して走り出した最中に思い出したのだ。
だが、そんなタイミングで呼ばれたのだ。彼女の心境がどのようなものなのか北条かりんには察せられるものではない。だが、妹の為に戦ってきた兄を、かれんの為に一人頑張っていたかりんとしては何かと共感できるものを感じていた
だからこそ、『妹』を持つ者として、かりんは改めてこの『ゲーム』を打ち破り、妹の元へと帰る決意を胸の内に灯す


準備を整える中、少女たちはそれぞれ思う

北条かりんは妹のため、そして今は亡き愛した男の為に

ククルは騎空団の一人として、一人の姉として

竈門禰豆子は未だ戦っているであろう兄のため



姉と妹。永遠に続く雨の中のトラワレビトたる彼女たちは、この雨曇(ゲーム)を晴らさんが為に


【北条かりん@シークレットゲーム -KILLER QUEEN-】
[状態]:ずぶ濡れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:このゲームを止めて、生きて妹の元へ帰る
1:まずは帆高を探す
[備考]
※参戦時期はかりんルート、ゲームクリア直後から

【ククル@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:ホワイトホーク@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:どちらにしろこのゲームは止める
1:シルヴァ姉とクム坊の事が気がかり

【竈門禰豆子@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:お兄ちゃんのことが心配
1:足手まといにならない程度には二人のことを手伝いたい
[備考]
参戦時期は原作22巻、記憶を取り戻した直後

『支給品紹介』
【ホワイトホーク@グランブルーファンタジー】
SSRククルの解放武器で、彼女が使う白亜の長銃。
ゲーム中のスキルである水属性対象の霧氷の刮目及び渦潮の攻刃の再現が可能かどうかは不明


418 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/27(水) 23:42:54 cFGGYF/c0
投下終了です 多重になってしまって申し訳ございません


419 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/28(木) 03:03:13 sd5G/iwc0
投下します


420 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/28(木) 03:03:54 sd5G/iwc0
出会い方が悪かった。


本来温厚で、好戦的とは言えない二人が、6mの空間を挟んで対峙する。
片方は拳を腰だめに、もう片方は剣を正眼に構えて。

高層ビルの廊下の曲がり角でばったり遭遇した二人。
殺し合いの場に置かれ、普段より緊張していたのだろう彼らは、目が合うと同時に獲物を抜いて間合いを取り、互いの力量を推しはかった。

そして両者が『相手がゲームに乗っていたらただでは済まない』という同じ結論に達し、この一色触発の状況ができあがった。


「なあ」
「なんだい」

拳を構えた少年が口を開き、剣を構えた少年が答える。
拳を、剣を収めることはない。目線は相手からそらさない。
臨戦態勢を解くことなく会話する。

「止めにしね? 悪い奴ならぶん殴るけどさ、そうじゃないやつ相手に戦いたくねーし」
「そうしたいのはやまやまだけど、こんな状況じゃあ難しいよ」

拳の少年から出された提案は和解。
剣の少年はやんわりといなす。

「僕が剣を収めたとして、君が襲ってこない保証はあるのかい」
「約束する、って言葉でいうのは簡単だけど、信用するかはそっちの問題だもんな。
 それにその質問、逆もまた然りってやつだろ? お前が相当強いのはわかるしな」
「だよね……。 僕もそう思う」

口を開けど打開できぬ状況。
剣の少年は少しずつ後ずさりを始める。

「ちょっとまってくれよ! せっかく会えたのにこのままお別れってのももったいなくね?」

拳の少年が慌てて剣の少年を制止する。
ひょっとしたら協力でいるかもしれない強者にこのまま去られてしまうのは痛手だ。


421 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/28(木) 03:05:04 sd5G/iwc0

「僕を信用できないから、そうやって構えも解かずにいるんじゃないのかい?」
「まあそんな感じだけどさ。そこはっきりさせるためにも一個訊かせてくんね?
 ほら、構えも解くし、距離もそのままでいいからさ」

そう言うと拳の少年は構えを解き、両手を開いて上に揚げる。
何も持っていないという意思表示だ。

「そうまでされたら剣を抜いてる僕が悪者みたいじゃないか……」

仕方なしといった風体で、しかしどこかほっとしたような表情で少年が剣を収める。

「僕はルカ。君は?」
「おう。俺は虎杖悠二。よろしくな」

ここで初めて互いに名乗る。
相手がだれで、何を考えているかもわからぬまま殺し合いに発展することは避けられた。
いくつもの修羅場をくぐってきた二人が取り乱す。
殺し合いという今の状況の異常さを物語っていた。


「それで、質問って言うのは?」
ルカが質すと虎杖も真剣な顔で応じる。

「まあ、真面目に答えてほしいんだけどな。
 ルカお前、どんな女がタイプ?」
「…………は?」


あまりにも想定外の質問にルカの脳がフリーズする。
さすがに言葉が足りないと思ったのか、虎杖が補足していく。

「いやその、俺の友達がな、女の趣味にはそいつの人となりが反映されるーとか何とか言っててさ。
 まあ、ダメもとで? 訊いてみたらお前がどんな奴かもわかるかなーって」


422 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/28(木) 03:05:52 sd5G/iwc0

なんだそのわけのわからない理屈は? と思う一方で、虎杖が真剣にルカを知ろうとしているのはわかった。
故にルカは答えた。顔を赤らめながらも、なるべく事細かに。

「え、え〜っと、お…胸は、大きくて、腰は、キュッとしまってて、目つきは少しきつめだけど優しくて、包容力があって……」
「ほうほう」
虎杖と同年代か少し年下くらいに見えるこのルカという少年。
なかなかいい趣味をしているように思う。

「それから髪は綺麗な銀色で、」
「うん?」
ずいぶん現実離れした特徴が出てきた。

「下半身の蛇体のほうも触ると気持ちよくて……」
「うん???」
現実どころか人間からも乖離した特徴が出てきた。
「ひょっとしてコイツ二次元の好み喋ってるんじゃ?」と不安になる虎杖を置き去りにルカは続ける。
てかまだあるのか。

「僕の料理を『美味しい、美味しい』っていっぱい食べてくれる人……かな?」
最後はかなりまともな条件が出てきた。


「い、いいんじゃねーかな?
 全部満たしてるのは難しいっつーか無理だと思うけど、いつかきっと近い人が見つかるぜ! うん!」
若干引きながらも虎杖は親指を立てる。

しかしルカは更に顔を赤らめながら答えた。
「いや、いつかって言うか、これ、僕の奥さんの特徴を羅列しただけだったりするんだけどね」

そう言って、えへへ、えへへと笑うルカに今度は虎杖がフリーズする。

そして5秒ほど固まったのち叫んだ。

「お前その歳で、結婚してんのーーーーーーーーーーー!!!???」


【虎杖悠二@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:びっくり!

※参戦時期は渋谷事変直前です。


【ルカ@もんむすくえすと!〜負ければ妖女に犯される〜】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:ひょっとして悠二、僕とアリスのことを知らない?

※参戦時期は原作終了後です
※ルカとその妻・アリスの冒険は物語としてまとめられ、もんくえ世界でベストセラーになっています。


423 : ◆ylcjBnZZno :2021/01/28(木) 03:07:47 sd5G/iwc0
投下終了です。
タイトルは「一触即発のち惚気」です


424 : ◆OmtW54r7Tc :2021/01/28(木) 06:44:56 74EgIRtg0
投下します


425 : ◆OmtW54r7Tc :2021/01/28(木) 06:45:58 74EgIRtg0
突如見せられた映像。
宣言されるバトルロワイアルと特別なルール。
これらの一連の出来事に、男は考える。
俺たちは、愛を試されてるんじゃないだろうか、と。

勿論試しているのは御子柴とは限らない。
御子柴の背後で暗躍しているものかもしれないし、あるいは運命を司る神かもしれない。

男は、支給された拡声器のスイッチを入れる。
あの時のことを知っていて御子柴がこれを支給したのかもしれないと思うと、奴に乗せられているようで少し癪だが。
それならそれで構わない。
これが…俺の愛だ!




『レイイイイイイイイインン!お前が好きだああああああ!お前が欲しいいいいい!』




男、ドモン・カッシュはふう、と息を吐く。
さあ、俺は俺の愛を示した。
森嶋帆高、お前もお前の愛を心の限り叫べ。
そして、運命を打ち砕け。


【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、拡声器、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:キング・オブ・ハートとして御子柴の野望を打ち砕く
1:拡声器で人が集まるかもしれないのでしばらくこの場に留まる

※参戦時期は最終回後。
※会場の中央を中心に拡声器の声が響き渡りました。


426 : ◆OmtW54r7Tc :2021/01/28(木) 06:46:47 74EgIRtg0
投下終了です
タイトルは「世界の中心で…」です


427 : ◆ytUSxp038U :2021/01/28(木) 14:52:26 9Msg3iys0
投下します


428 : あなたの羽は雨に撃たれて ◆ytUSxp038U :2021/01/28(木) 14:55:26 9Msg3iys0

分からない。
いったい自分はどうすれは良いのだろうか。

あの老婆への怒りはある。
今は人間同士で争っている場合では無いと言うのに、何故こんな馬鹿げた真似をするのか。
しかし、それ以上に「どんな願いでも叶える」という言葉が頭から離れない。

ただの戯言と片付ける事はできない。
勇敢にも立ち向かった女性が殺され、その後すぐに蘇生したのをハッキリと見た。
それだけではない。
今目の前に広がる光景は、あの映画に登場した街並みと全く同じだ。
遥か昔に失われたはずの地球文化が、見事に再現されている。
神子柴が、自分では想像もできないような「力」を持っているのは否定できな事実であった。

それで自分はどう動くべきなのだろうか。

願いを叶える為には課されたお題を達成しなければならない。
森嶋帆高を制限時間いっぱいまで足止めする。
そうすれば願いを叶える権利が得られるらしい。

しかし、それを実行に移すのには抵抗がある。
森嶋帆高の想いと天野陽菜の命を犠牲にして叶えた願いは、本当に正しいと言えるのか。
しかも願いを叶えられるのは先着で5人までだと言う。
これでは例え森嶋帆高を制限時間が過ぎるまで拘束したとしても、主催者のいる所へ辿り着けなければ願いは叶えられない。
確実に願いを叶える為には、他の参加者の妨害をしなくてはならない。
その結果、相手の命を奪うことになったとしてもだ。

けれど願いを叶えるかどうかを抜きにしても、帰還するには森嶋帆高に死んでもらう必要がある。
これでもし森嶋帆高が人を人とも思わぬ外道であれば、躊躇せず引き金を引いたかもしれない。
だが森嶋帆高が映画の内容通りの少年だとしたら、殺さなければいけない程の悪党だとは思えない。

考える事はそれだけではない。

仮にもし、願いを叶える権利を得たとして。
何を願うのが正解なのか。

仲間に聞いたらこう答えるだろう。
「あの化け物を消し去る事を願え」と。

それは自分も正しいと思う。
あらゆる手を尽くしても、倒すことができなかった怪獣王。
両親を殺し、地球を我が物にしたあの忌々しい怪物を本当に滅ぼせるかもしれないチャンス。
少し前なら迷う事無くその願いを口にしただろう。

「ユウコ、俺は……」

けど今は、どうしても“彼女”の事を考えてしまう。
死者の蘇生が可能なら、ナノメタルに侵食された最愛の“彼女”を救う事も可能なはず。

人間1人の命と、この先も怪獣王に脅かされるだろう大勢の命。
重要なのは後者なのかもしれない。

それでも“彼女”の事を諦めるなど、今の自分には出来そうもなかった。

「もしここにお前がいたら、何が正しいのか教えてくれたか?メトフィエス……」

答えは返って来ない。
縋るような問いかけは、降り注ぐ雨音に空しくかき消された。


【ハルオ・サカキ@GODZILLA(アニメ映画)】
[状態]:健康、迷い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうすればいいんだ…
0:?????
[備考]
※参戦時期は決戦機動増殖都市終了後。


429 : ◆ytUSxp038U :2021/01/28(木) 14:56:16 9Msg3iys0
投下終了です


430 : ◆.EKyuDaHEo :2021/01/28(木) 18:31:56 S.sbP7i.0
投下します


431 : 嵐と炎と鬼 ◆.EKyuDaHEo :2021/01/28(木) 18:32:57 S.sbP7i.0
「ここ...どこ...?」


少年、野原しんのすけが目を覚まし辺りを見渡すとそこは木がたくさん並んでいた森のような場所だった


「え〜と...オラ何してたんだっけ?う〜ん......忘れちゃったゾ」


しんのすけは先ほどまでの出来事を思い出すが思い出すことができなかった、数々の修羅場を乗り越えてきた彼だがそれでもまだ幼稚園児...覚えられないのも無理はない


「誰かいないかな〜...お〜い!誰か迷い子のオラを拾って〜!」
「拾ってやってもいいぜ?」
「お?」


しんのすけが声のした方を振り向くと顔は人間だが巨大な蜘蛛の体をしている人物が木から糸を垂らしながらしんのすけに呼び掛けていた


「...あんた誰?」
「俺か?そうだなぁ、俺はお前を助けにきた」
「オラをお助けに?」
「そうだ、お前さっき拾ってくれって大声で呼び掛けていただろ?だから俺がきたってわけさ」


男は助けにきたとしんのすけに言った...しかし本心は...


(へっ、こういう小さなガキは多少の暗示にもすぐ信用するからな...扱いやすくて助かるぜ、すぐに蜘蛛にしてやるぜ...小さなガキだから戦力になるか分からねぇがないよりはましか)


そう、この男はしんのすけを蜘蛛にしようとしているのだ...彼に名前はないが、あげるとするならば『累の兄』...那田蜘蛛山という山で人に毒を注入させその毒を喰らった人間は30分で顔から脚が生えた蜘蛛に変化させる異形な鬼...
そしてしんのすけの答えは...


「オラ蜘蛛のお兄さんに拾われたくないゾ」
「なに?」
「だって何かお兄さん不気味だし〜、どうせなら綺麗なお姉さんに拾われたいゾ〜」


しんのすけはお姉さんに拾われたい、そして累の兄の姿が不気味という理由で断った...それを聞いた累の兄は...


「ちっ!生意気なガキめ!そうか...なら...力ずくでも拾ってやるよ!斑毒痰!!」
「うおっ!?」


累の兄がついに本性を現し、しんのすけに攻撃を仕掛けた...しんのすけはギリギリだが累の兄の攻撃を避けることができた


「ほう、中々の身のこなしじゃないか...だが...逃げても無駄だぜ!!」
「え?...うわあぁ!?」


しんのすけの足に蜘蛛の糸が絡まり、そのまま木に吊るされてしまった


「離せおバカーー!!」
「へっへっへっ、足掻いても無断だぜ?お前は蜘蛛になる運命だからな!」


もうダメだと思ったその時...



ーーーーーザンッ!!ーーーーー



「な、なに!?」
「大丈夫か?少年!」
「お?」


突然現れた男は累の兄の首を斬り、そしてしんのすけの足に絡まっていた糸も斬りしんのすけを救った
まさにその姿はしんのすけが憧れるヒーローのようだった...


「その隊服...それにこの気迫...お前...柱か...!?」
「その通りだ!俺は炎柱!煉獄杏寿郎だ!」


累の兄は頭と体が灰になりながらも男の名を聞くとその男は煉獄杏寿郎と名乗った


「クソッ!よりによって柱なんかにーーー!!!」


そして累の兄は叫びながら塵一つ残さず灰になり消えていった...


【累の兄@鬼滅の刃 死亡】


432 : 嵐と炎と鬼 ◆.EKyuDaHEo :2021/01/28(木) 18:33:26 S.sbP7i.0
◆◆◆



何故煉獄杏寿郎が助けにこれたのか話をさかのぼること5分前...


「む?ここはどこだ?俺は竈門少年期達と列車に乗っていたはずだが...?」


煉獄杏寿郎も同じくこのバトルロワイアルに呼ばれていた...そしてこの状況に悩んでいた


「うむ...どうするべきか...」
「うわあぁ!?」
「!!」


突如しんのすけの悲鳴が聞こえてきた、そう、実は煉獄杏寿郎はしんのすけ達の近くにいたのだ...そしてすぐさま向かうとしんのすけが累の兄に捕まっているところを目撃し、参戦したのだった



◆◆◆


「ふぅ...バックとやらに俺の日輪刀が入ってて良かったな...」


そして今に至る、累の兄を倒した煉獄は自分のデイバックに日輪刀が入っていて助かったと安堵した...もし入っていなければ鬼の首を斬ることができずしんのすけは蜘蛛にされていたかもしれない
そして煉獄は日輪刀をしまいしんのすけに歩み寄る


「少年!怪我はないか?」
「オラ少年じゃないゾ、オラは野原しんのすけだゾ」
「そうか!しんのすけ少年!怪我はないか?」
「大丈夫だゾ!ほらこの通り元気だゾ〜!」
「うむ!それなら良かった!」


そんな会話をしているとしんのすけが目を光らせながら煉獄に言った


「にしても煉獄のお兄さん凄かったゾ〜!まるでヒーローみたいだったゾ!」
「ひーろー?それはなんだ!」
「ヒーローっていうのは悪者を倒す正義の味方だゾ〜!」
「そうか!正義の味方か!素晴らしい言葉だな!」


煉獄は正義の味方という言葉は素晴らしい言葉だと賛同した...


「ねぇ煉獄のお兄さん、オラお兄さんについていってもいい?」
「もちろんいいとも!先ほどのようなことが起これば一人では危ないからな!」
「わーい!わーい!」


こうしてしんのすけは煉獄と共に行動することにした...果たして二人にこれからどんなことが起きるのであろうか...



【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:お家に帰る
1.煉獄のお兄さんについていく
[備考]
・このバトルロワイアルについて理解していません

【煉獄杏寿郎@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:煉獄の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:主催を倒す
1.しんのすけ少年を守る
2.竈門少年達は無事だろうか...
[備考]
・参戦時期は魘夢討伐後、猗窩座乱入前です


433 : ◆.EKyuDaHEo :2021/01/28(木) 18:54:05 S.sbP7i.0
投下終了言うの忘れてました、後誤字があったので訂正します
誤→「へっへっへっ、足掻いても無断だぜ?お前は蜘蛛になる運命だからな!」
正→「へっへっへっ、足掻いても無駄だぜ?お前は蜘蛛になる運命だからな!」


434 : ◆ytUSxp038U :2021/01/28(木) 20:46:04 9Msg3iys0
投下します


435 : Eの復活/悪魔は三度目の生を受ける ◆ytUSxp038U :2021/01/28(木) 20:50:28 9Msg3iys0
少年と少女の青春。
天気の子とただの人間。
生贄にされる運命とそれに抗う者。

男にはどうでもいいとしか思えなかった。

神子柴なる謎の老婆。
森嶋帆高の命を巡ったバトルロワイアル。
死者の蘇生すら可能な神子柴の力。

男の心を震わせるものは一つとして無かった。

「ハッ、結局何も変わりはしない」

男は二度目の死を迎えたはずだった。
生まれ故郷を地獄に変えようとして、見事に失敗。
風都の仮面ライダーに敗れ、今度こそ完全に消滅した。

だと言うのに、こうして三度目の生を受けてしまった。

だが何も変わらない。
男がやるべき事は生前と同じ。
風都を、世界を死人だけが行き交う地獄に変えて、人々を絶望に叩き落とす。
それだけが、彼に残されたたった一つの野望。
それだけが、彼が彼である事の証明。

永遠という名の悪魔には、他に何も残っていない。

実の母は既に己の手で殺した。
NEVERの仲間も全員死んだ。
財団Xへの復讐心など、とっくに消え去っている。
かつて救えなかった少女の記憶すら、今となっては曖昧だ。

あのハーモニカの音色はもう、思い出す事も無いだろう。

「今の俺に必要なのは、力だけだ」

風都の仮面ライダーは人々の声援を受けた事で強大な力を得て、男を打ち倒した。
ならばそれ以上の力を手に入れて帰還すればいいだけと考える。
森嶋帆高を見つけたら適当に痛めつけて動けなくする。
神子柴からのお題達成に邪魔な参加者は一人残らず殺す。
力を手に入れたらまずは神子柴を排除し、それから改めて風都を絶望に叩き落とす。
実にシンプルだ。

「それにしても…やはりお前はどこまでも俺と共に或る運命のようだな?」

不敵な笑みを向ける先には、片手に握られた純白のメモリがあった。
『永遠』の記憶を内包したそのメモリは、彼がこの世で唯一信頼を寄せるもの。
家族や仲間を捨て去っても、このメモリだけがあればそれで満足だった。

「さて、最初に地獄を見るのはいったい誰だ?」

皮肉気な笑みを浮かべ、男は雨の中を傘も差さずに歩く。

男の名は大道克己。
かつて風都を恐怖に陥れた死人兵士。


【大道克己@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:ロストドライバー+T2エターナルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、細胞維持酵素×5@仮面ライダーW、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:力を手に入れて風都に帰る
1:森嶋帆高の確保
2:邪魔な参加者を殺す
[備考]
※参戦時期は劇場版で死亡後。

【ロストドライバー@仮面ライダーW】
ガイアメモリを装填し仮面ライダーに変身する為のベルト。
普段はバックルの状態で携帯され、腹部に当てることで自動的にベルトが伸長して装着される。

【T2エターナルメモリ@仮面ライダーW】
『永遠』の記憶を内包したガイアメモリ。
適合した人間と惹かれ合うT2ガイアメモリの特性により、大道克己の手に渡った。

【細胞維持酵素@仮面ライダーW】
NEVERが蘇生した体を維持するために必要な酵素。
これを投与することで不死身の肉体、常人の数倍の身体能力、死への恐怖心の消失といった数々の肉体的恩恵を享受できる。
定期的に投与しないと、NEVERは死体に還る。


436 : ◆ytUSxp038U :2021/01/28(木) 20:51:36 9Msg3iys0
投下終了です


437 : ◆5IjCIYVjCc :2021/01/28(木) 21:29:37 2SWz4r.U0
すいません。自作の「ディケイドの天気予報」の状態表とアイテムについて追記修正があります。

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
[状態]:健康、仮面ライダーディケイドに変身中
[装備]:ディケイドライバー&ライドブッカー@仮面ライダーディケイド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:このバトルロワイアルを破壊する
1:目の前の怪人を倒す
2:森嶋帆高を保護する
※参戦時期は後続の書き手におまかせします。

【ライドブッカー@仮面ライダーディケイド】
ディケイドライバーのベルトの左側に装着されるアイテム。
中にディケイドが変身等に用いるライダーカードが収納されている。
また、銃や剣に変形して武器としても用いられる。


438 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:02:30 pK001I260
投下します


439 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:03:07 pK001I260

「ァ……ウン、俺のヨロイはァあん……」

その男は幸運だった。

「無敵ィ」

その男はツイていた。

「素敵ィ」

その男は神に見放されていなかった。

「カ・イ・テ・キ」

その男はラッキーを取り戻していた。


降りしきる雨と高層ビルのジャングルの中に、一際異彩を放つ二足歩行の機械。
より正確には二足に別れた足部の底に車輪があり、それを用い車のように走行している。
人間のように胴があり、二つに分かれた腕と頭部が存在する。
機械の巨人、それは遥か彼方遠い惑星に於いてヨロイと呼ばれる破壊兵器だ。

「俺は……俺はァ! ラッキーだ!!」

ヨロイに仕込まれた無数の射出口から弾丸や砲弾を発射し、両の腕に装備された砲口から自らへの祝砲を放つかの如くミサイルが放たれる。
そう、これは完全復活した自らの幸運への祝杯なのだ。

「あの、アンラッキーに奪われた俺のラッキー……戻ってきている……!!」

優に180は超えた体躯、それに見合う盛り上がった筋肉を震わせ、顎が二つに割れた色黒の男は歓喜に悦んでいた。
恍惚とした表情で、涎を垂らしそうな程に口を開け目は蕩けきる。

ラッキー・ザ・ルーレット。

惑星エンドレス・イリュージョンにて、盗賊団ワイルドバンチを率いるリーダーだ。

ラッキー・ザ・ルーレットにとって運とは、特別なものであり鍛えようも磨きようもない。故に試したくなる。
何かを賭け、相手とトランプで対決するのは勿論のこと、する必要もないロシアンルーレット等は日常茶飯事だ。
そして、今日までその全てを持ち前の運を発揮し、荒くれ者共を率いるまでになった。

それが、かつてとある町を襲撃した際に遭遇したタキシードの男、夜明けのヴァンにより敗れ去り、そのラッキーは完全に奪われてしまった。
あのヴァンと会ってから、トランプでの対決に敗北し、相手は正面から撃つという自身の掟まで破ってしまい
ヨロイでの戦闘で完膚なきまでに打ち負かされ、自らのラッキーを完全に失っていた。


440 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:03:29 pK001I260

「だが、どうだぁ? 今日の俺は!!」

舗装された道路が罅割れ、ビルなどの建造物は瓦礫の破片へと粉砕されていく。

あの「天気の子」という映画を見せられ、奇妙なバトルロワイアルを強制された時は動揺したが
蓋を開ければラッキー・ザ・ルーレットに支給されたのは、このラッキー・ザ・キャノンだった。
ヴァンに破壊された筈だが、修復したのか動作には何の異常もない。

バトルロワイアルのルールは、森嶋帆高を天野陽菜と会わせないこと。
そして先着で5名に何かしらの願いを叶える権利を与える。さしずめ金だろう。

乗っても良いとラッキー・ザ・ルーレットは考えた。

ラッキー・ザ・キャノンがある限り、敗北などあり得ないからだ。

他にヨロイがあれば、その巨体さの為目立つはずだが、ラッキー・ザ・キャノン以外にそれらしき姿はない。
つまり、ヨロイを配られたのはラッキー・ザ・ルーレットただ一人という事になる。

生身の人間が如何な武装をしようが、ヨロイに勝てる訳がない。

無論、特殊なモーションにより空から呼び寄せることのできる特異なヨロイを持つヴァンが居る可能性も考えた。
しかし、今のラッキーを考えればいない、よしんば居たとしてこの運ならば負ける気がしない。

「ラッキー・ザ・ルーレット、完全復活だぁ!!」

やることは一つ。
この広い会場内をチマチマ森嶋帆高を探すなどまどろっこしい。
ここにいる全員を殺してしまえば、その内の一人が森嶋帆高でゲームセットだ。先着5名を争う必要もなく、何なら5名分の権利を頂いたって良い。
片っ端から、ぶっ放せば全員死ぬだろう。


441 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:03:53 pK001I260


「おい、お前」


「あ?」



この破壊の限りを尽くした残骸の中、一人の青年がラッキー・ザ・キャノンの真正面に突っ立っていた。

「アンタ、随分とラッキーに拘ってるみたいだな」

まるで立ち塞がるかのように、強い眼光をコックピットのラッキー・ザ・ルーレットに向けている。

「当然だ。男は、毎日がテストだ。
 男は欲望に、夢に、運に、全てに自分を試される。
 そこから逃げない男だけが、ラッキーを手にすることができる」

「へえ、俺もラッキーには自信があるんだぜ? どうだい、俺と運比べで勝負ってのは」

イカれてんのかこのガキ。それがラッキー・ザ・ルーレットの最初の心象だった。

「俺のこのバッグ、まだ中身も何も確認していない。この中にそのデカブツを倒せるものがあるかどうか試してみないか?」

「ククク……正気か、お前? 銃やそこらでヨロイに勝てると思ってんのか」

ガキが持っているバックに入る武器なぞ、それこそ精々がマシンガンか手投げの爆弾程度の物だろう。
到底、ヨロイに傷一つ付けられる代物などではない。

「なんだよ。運には自信があるんじゃないのか?」

だが、そのガキは挑発するように口の端を釣り上げた。

結果は火を見るよりも明らかだが、ラッキーに自信があるとなれば、黙ってはいられない。
売られた運の比べ合いは買う。そして必ず勝つ。
それがラッキー・ザ・ルーレットの掟だ。

「ガキ、名は?」

「遊城十代」

ラッキー・ザ・キャノンの砲口を十代の眼前に向ける。

「良いだろう。やってみろ。俺のラッキーを覆せるものならなぁ!!」

トリガー一つで、跡形もなく消し飛び赤黒いミンチが辺りに散らばるであろう。


442 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:04:14 pK001I260

「フッ……」

「なんだ? 恐怖で笑うしかないってか?」

「まさか、ワクワクしてるのさ。
 この引きで、アンタのロボットをぶっ倒せるモンを引けたら面白いだろ?」

「そんなもの、あるはず―――」

十代は不敵に笑った。

「でも、引けたら面白いよな!」

十代の手がバッグから引き抜かれる。
腕の先、人差しと中の指に挟まれて引き抜かれたのは、ちっぽけなカードだった。
それを見て、ラッキー・ザ・ルーレットは思わず吹き出す。

「なんだそれは? ただの紙っきれじゃねえか!!」

分かってはいたが、このラッキー・ザ・キャノンの前では何を引こうが無意味、不幸(アンラッキー)でしかない。
とはいえ銃や刃物ならまだしも武器ですらないとは、ラッキー・ザ・ルーレットですら半ば同情してしまいたくなるほどにツいていない奴だ。

「ガッチャ! 来てくれたぜ、俺の切り札(ラッキー)!」

「ほざけぇ! アンラッキー!!」

「!?」

これ以上茶番に付き合うのも時間の無駄だ。
トリガーに掛けた指を引き、爆音と共に砲弾が放たれた。

「さーて、次のアンラッキーな奴は誰か……」

ラッキー・ザ・キャノンの砲弾がコンクリートで敷かれた道路を砕き、灰色の破片が舞い上がり巨大なクレーターを空ける。
満足そうにラッキー・ザ・ルーレットはそれを見て、新たな獲物を探そうとヨロイの進行先を変えようとして。

「待てよ」

眼前に展開されるディスプレイに表示されるのは消え去った筈の標的、その照準がロックされたままだ。


443 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:04:36 pK001I260

「言っただろ? 俺は切り札を引いたって、これが俺のラッキーカード。
 ―――E・HERO ネオスだ!」

十代の瞳がオッドアイへと変わり、巻き上がった粉塵のなかから一体のHEROが姿を現す。
白い固く締まった筋骨たくましき戦士、その相貌は地球上の存在ではなく宇宙からやってきた事を表していた。
両腕を交差させ防御の姿勢を取り十代を守る姿から、ヨロイの一撃をこいつが防いだというのを一目で理解する。

そう、ヨロイの一撃を、生身の人間が防いだのだ。

ヨロイは同じくヨロイでなければ倒せない。
それほど強大な戦力を持っているのに対し、このガキはあの妙なカード一枚で切り抜けた。

「こ、いつ……!」

ラッキー・ザ・ルーレットの脳裏をあの月夜の光景が過ぎる。
自らの誇るラッキーを凌駕し、己の全てを斬り裂き奪い去った黒のタキシードと白のヨロイを。
消し去れねばならない。理由は分からないが、あの時の運を失っていく感覚と同じものを感じる。

この不幸(アンラッキー)は危険だ。

「……俺のラッキーは……まだ、枯れちゃいない」

巡ってきた二度目の好機(ラッキーチャンス)、これは試されているのだろう。
神に、運命に、幸運に。
ならば乗り越えてやろう。今までもそうだった。常に自らの幸運を試し全てを手にしてきた。

ヴァンに敗北し奪われたラッキー、それが運命だというならば今度こそは乗り越えるまでだ。





「消え去れ! アンラッキー!!」


444 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:05:00 pK001I260
破壊の限りを尽くす鋼鉄の巨人を前に遊城十代はワクワクしていた。

雨の降る都市のなか繰り広げられる少年少女のボーイ・ミーツ・ガールを巡った殺し合い、
死者の蘇生を行う等神の如き力を持つ老婆、そして正しく文字通りの天候を司る神。

そのなかで、提示された生還方法が少年と少女を犠牲にすること。

今、置かれているのは最悪の状況である。それを理解できない程、十代はもう子供じゃない。

天野陽菜を見殺しにする気はない。だが、森嶋帆高を放置すれば多くの死者が出る。
森嶋帆高の気持ちは痛いほど理解できる。十代も大切な親友を助けようとするあまり、周りを見ず身勝手に突っ走り多くの仲間を犠牲にした。
幸いにして、十代は仲間を取り戻せたが森嶋帆高はどうなるか分からない。

あの映画で帆高に良くしていてくれていた須賀圭介、須賀夏美、天野陽菜の弟の凪。
彼らは紛れもなく、帆高の仲間であり大切な絆だ。
もしもこの場に居るのであれば、帆高はその仲間すら傷付けるかもしれない。

大いなる力を持つ者として、多くの犠牲を払うことは出来ない。それは生贄として捧げられる陽菜も含めてだ。
そして個人的な私情から、帆高には誰も傷付けて欲しくない。当然、帆高自身にも傷ついて欲しくはない。
かつての自分がそうであったからこそ。

だからこそ、殺し合いを止める。
それを企てた神子柴達を倒す。

同時に、予測も出来ない異常事の連続に十代は心躍らせていた。

神子柴の持つ力も、神様とやらも……そして目の前にあるこの巨大ロボも、様々な経験を経た十代から見ても初めて見るワクワクの連続だ。

大人になってから、世界は楽しい事ばかりじゃないことを知った。自分の背には重大な責任が宿り、絶対に負けられない戦いだってある。
この殺し合いだって、死んでしまうかもしれない。怖くないかと言えば嘘になる。


「消え去れぇ、居なくなれぇ、砕け散れぇ!」


それでも何があろうとも、なくしちゃいけない大切なものがある。
どんな大人になろうと決して忘れちゃいけないものが。



「アンラッキィィィ!!」

「へへっ、アンタも神子柴も、この世界に居る神様も―――ぶっ倒すことにワクワクしてきたぜ!!」


445 : 幸運対決! ネオスVSラッキー・ザ・キャノン ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:05:16 pK001I260
【遊城十代@遊戯王デュエルモンスターズGX】
[状態]:健康
[装備]:E・HEROネオス@遊戯王デュエルモンスターズGX
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルを止め、神子柴達をぶっ倒す。
1:この巨大ロボを倒す。
2:帆高を探す。
[備考]
※本編終了以降から参戦です。



【ラッキー・ザ・ルーレット@ガン×ソード】
[状態]:健康
[装備]:ラッキー・ザ・キャノン@ガン×ソード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝し願いを叶える
1:十代を殺しラッキーを取り戻す。
2:ヴァンもいれば殺す。
[備考]
※本編一話終了後から参戦です。


【E・HEROネオス@遊戯王デュエルモンスターズGX】
実体化させてリアルファイト可能。
戦闘方法は肉弾戦であったり、ビームとか出す。
見た目はウルトラマンだが必殺技は「ラス・オブ・ネオス」というチョップ


【ラッキー・ザ・キャノン@ガン×ソード】
ヨロイと呼ばれる巨大ロボット。
巨大な主砲があり高い火力を誇るが、機動力は低い。


446 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/28(木) 23:05:42 pK001I260
投下終了です


447 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/29(金) 03:21:35 FwUO5bgU0
投下してみます


448 : 泣き虫な魔女(ウィッチ)と紫紺の戦士(仮面ライダー) ◆8eumUP9W6s :2021/01/29(金) 03:24:11 FwUO5bgU0
私は、仲間を…友達を助けられなかった。

「ジェニファー…!…次はきっと…きっと助けるから!」

……そう言ったのに…決めたのにっ…なのに、ジェニファーが乗せられた船は…私と、一緒に居た那佳の目の前で…爆発、して……。

……その現実を受け入れられないまま、海で意識を失った私は───気が付くと映画館に居た。
そして訳もわかんないまま、自分が今生きてるのか死んでるのかすら把握出来ないままに私は、映画『天気の子』を見せられ…殺し合いのルールを説明され、目の前で人が死に、甦らせられる所まで見させられた。頬を涙が伝う感覚を感じたけど…身体が動かせなくって…私はそれを拭えなかった。
…説明内容は殆ど頭の中には入ってこなかったけど、森嶋帆高と天野陽菜を会わせるか、会わせないかの二択を選ばせようとしてる事と、自分が殺し合いに巻き込まれてしまった事ぐらいは…私でも理解は出来た。

そして…神子柴と名乗ったおばちゃんの手によるもんなんだろうか?…とにかく、会場内に飛ばされて今に至る。

もう既に死んじゃってるかも知れないけど…それでも私は、死にたくは無い。2人が出会ったら数時間後にはみんな水に沈む事になる。そんなのは嫌だ!
…でも、だからって…森嶋や天野、それに他の参加者達を殺してまで、生きたいなんてこと、私は思えなくって…。

…お題も見たけど、これを達成した上で、主催本拠地に行けば…ジェニファーを生き返らせれるかも知れない。でもっ…それには、森嶋と天野の犠牲が必要不可欠で…ジェニファーは、誰かを犠牲にしてまで生き返りたいなんて思う奴じゃない…それはわかってる。…せめて森嶋には、私みたいな思いはさせたくないとも思う。
…だからと言って…友達の、ジェニファーの命を簡単に諦めるなんて…私にはっ…!

「……格好悪いよなあ……私…どうすりゃいいんだよ…こんなのっ……!」

自然と目から涙が溢れてしまう。私はそれを拭いながら…座り込み途方に暮れていた。

----

青年は夢を見ていた。両親が目の前で焼死するのを、ただ見てる事しか出来なかった過去を…そして、所属していた組織がアンデッドの手により壊滅し、更に尊敬していた先輩が裏切ったと聞かされた末、当の本人が自分を置いて何処かへと去って行った光景を───

「何故見てるんです!?」
「橘さん!?本当に裏切ったんですか!!」
「あんたと俺はっ、仲間じゃなかったんで…ぐぇっ!?」
「…何故だ!何故だっ!何故だぁっ!」

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「…夢か」
青年…剣崎一真は目を覚ます。彼は人類基盤史研究所、通称BORDERに所属していた仮面ライダーである。
…最も、組織は壊滅したのだが。

「…俺は、森嶋帆高も天野陽菜も死なせない!神子柴を…主催を倒して、人々を守って、脱出手段を見つけてみせる!」

剣崎一真は強い正義感の持ち主である、彼は主催に、そして森嶋と天野を引き離そうとする神に対する怒りを胸に抱きながら、そう決意した。
とはいえ彼は、同僚の広瀬栞や居候先の白井虎太郎との関わりによってある程度マシになったとはいえ…先輩である橘朔也の裏切りや組織の壊滅によるショックにより、メンタル面ではまだ万全には遠い状態である。

そんな剣崎は、支給品を確認しようとバッグを開けようとしたーーーーその時であった。
彼の耳に、少女の泣く声が届いたのは。
剣崎はバッグを開くのを後回しにして、泣く声が聞こえた方へと走った。

----

「大丈夫か!?」
少女を見つけた剣崎は、彼女に声をかける。
「…誰…?」
涙を零しながら振り向いた少女に、剣崎はまず自分の名前と、殺し合いには乗っていない事を示そうと思い、言葉を紡ぐ。
「俺か?俺は剣崎一真。主催を打倒する為に動こうと思ってる。…君は?」
「…カーラ、カーラ・J・ルクシック。…剣崎さん…私、どうすればいいかっ…わかんなくって……!」

少女は…カーラは、剣崎から害意や敵意を感じなかったのもあり、自分も名乗った上で…自らが抱えている悩みを話してみる事にした。


449 : 泣き虫な魔女(ウィッチ)と紫紺の戦士(仮面ライダー) ◆8eumUP9W6s :2021/01/29(金) 03:24:55 FwUO5bgU0
【カーラ・J・ルクシック@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、迷い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしたらいいんだろ…
0:剣崎さんに言ってみる
1:森嶋や天野に死んでほしくは無い…けど…。
2:…ジェニファー…私っ…。
[備考]
※参戦時期は原作及び漫画版での3巻にて、ジェニファーが死亡したと誤解して海に溺れた後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1944〜1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【剣崎一真@仮面ライダー剣】
[状態]:健康、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴たち主催を打倒し、人々を守って脱出手段を見つける
0:とりあえず彼女(カーラ)の話を聞こう
1:カーラの事は放って置けない。
2:…橘さん…。
[備考]
※参戦時期は本編2話よりは後、本編14話よりは前です。詳細な時期は後続の書き手にお任せします。


450 : ◆8eumUP9W6s :2021/01/29(金) 03:26:01 FwUO5bgU0
投下終了です


451 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/29(金) 17:56:02 jxZAak4Q0
投下します


452 : またしても何も知らない ◆2dNHP51a3Y :2021/01/29(金) 18:00:33 jxZAak4Q0
「……あれ? ……ここ、どこ?」

自らの死すら自覚していない、死んだはずの夢使いの魔法少女が目を覚ますと、そこには知らない天井がありました
どうやら彼女はホテルらしき場所の個室のベッドでぐっすりしていたようです

【三条合歓@魔法少女育成計画シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ここ、どこ……?
1:????
[補足]
※寝ていたため映画の内容もルールも何も知りません
※ついさっき目が覚めたばかりです
※参戦時期は死亡後


453 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/29(金) 18:00:45 jxZAak4Q0
投下終了します


454 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:23:52 9fF0kWv60
投下します


455 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:24:24 9fF0kWv60
「そうか、森嶋帆高……お前は神に挑むか」

天から降り注ぐ雨、窓からそれを眺めながら一人の男は嬉しそうに笑っていた。
血のように赤いコートをはためかせながら、死人のように色白い男は真紅の瞳を麗せて、これ以上なく笑う。

吸血鬼アーカードは実に楽し気に笑っていた。

「面白い、面白いぞ。惚れた女の為に、全て投げうつのか?」

敵は強大だろう。障害も少なくはない。
生贄に捧げられた少女、神の玩具となった天野陽菜を取り戻すべく、森嶋帆高は突き進むのだろう。
例え、相手が何であろうと。例え、化け物を前にしても。

諦めが人を殺す。
だが、誰もが諦めようとするなか、あの少年は諦めていない。

人間だ。これ以上なく、人間だ。

ククッと笑う。

「出来れば一目見ておきたいところだが……しかし、命令(オーダー)は受けていない。我が主は、インテグラはいるのか?」

森嶋帆高に興味はあれど、考えるべきは主たるインテグラの事か。
何の命令こそないが、主の守護は下僕の勤めではあるだろう。
バトルロワイアルに巻き込まれていればの話だが。

だが、仮にインテグラが居れば。
その命令が森嶋帆高を打倒し、全ての参加者を生きて返す事であるのならアーカードはそれに従う。
微塵の容赦もなく殺し尽くす。

もっともインテグラに限り、そんなつまらん命令などないとアーカードは思う。

インテグラのことだ。つまらん力を手にしてはしゃいだ老婆を討てと命じるだろう。

楽しみだ。実に楽しみだ。

化け物は人に倒されるべきだ。

森嶋帆高。
立ちはだかる敵を滅ぼし、天空を支配する神を討ち取り、女を取り戻して見せろ。

「……チッ」

昂る思いを、だが窓に打ち付けられる雨風を見て萎えた。

つまるとこ従順な従者がすべきは主人を探す事なのだが。
それが少し、面倒な事になっていた。


456 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:24:53 9fF0kWv60



「どうなってんだ」

蟲の王、そのあまりの巨体さと銃弾すら跳ね除ける強靭な肉体を持つ化け物。
その心臓を破壊する為に体内に侵入し、だが人間を変異させる虫に左腕を変化させられ意識を失った。
スーパー小学生、山本勝次は困惑する頭を整理しながら、飛んでいた記憶を思い出す。

「俺、あそこから出れたのか?」

気付けば映画館にいた。
日本が平和であった頃、母親と時々観に行ったりしたこともある。懐かしさと嬉しさを感じつつ、もしかしたら自分は死んだのだろうかと疑う。
だって、そうだ。もう日本でこんな光景ありえないから。

吸血鬼に支配された日本、そこで人間は迫害され文明は滅んだと言ってもいい。娯楽なんてもの嗜む余裕もなかった。

走馬灯、あるいはあの世の天国というところなのか。

―――冗談じゃねェ。

想うのは仲間達の事、勝次を心臓へと行かせる為、化け物バッタと死闘を繰り広げ続ける宮本明。
蟲の王と激戦を繰り広げているであろう仲間達、クソハゲ、ネズミ、ユカポン。
まだ、何も成し遂げていないのに仲間を置いて死ぬ訳にはいかない。

気付けばさらに場面が変わり、クソババアからクソみたいな話を聞かされバトルロワイアルとやらに巻き込まれた。

「畜生ォ! 戻らねェと!!」

勝次は焦る。残された仲間達はどうなったのか? 蟲の王は倒されたのか?
心臓を破壊した記憶はない。そうだとしたら、仲間達はまさか……。

願いが叶うだか言ってたが、信じられない。とにかく気になるのは仲間達の安否だ。
未だあの場所で戦ってるのか、もしや勝次と同じようにこの場に攫われたのか。

「……東京か、ここ」

雨が降り続ける中、幸いにも屋内に連れ込まれたらしい。窓ガラスから外を覗いてみるが、都市部であるのは分かる。
多分、東京だろう。
しかし、勝次の知るそれとは大きく異なる。
吸血鬼により荒廃した東京とは思えぬ、非常に綺麗に整備された街頭は先ほど見た映画館のように昔を思い出す。

「何か知らないけど、やべェんじゃねェか?」

これは多分、本当に凄ェことになっている。
とにかく、全てが異常だ。腐るほど化け物共やクソみたいな世界を見てきた勝次でさえも、そう直感する程に。
一人でどうこう出来る問題じゃない。
まずは仲間達を探そう。そう思い立ち、駆け出した足を止めた。


457 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:25:25 9fF0kWv60

ワァーワァー

「拘束制御術式(クロムウェル)第3号、第2号、第1号……解放」

(なんだあれ、やべェ!)

長身で黒髪の外人らしき男が呪文のようなことを呟き、その瞬間全身が崩れ百足や無数に目玉のある獣のような姿へと変貌する。
吸血鬼かなにかだろうか。
とにかく、今あいつと出くわすのはやべェ。早いとこ逃げよう。

「ほう、誰かいるな」

(ひいい! 気付かれた?)

男は勝次に気付き、歩み寄ってくる。

どうする? 逃げるか? 駄目だ、間に合いそうにない。
ここで死ぬのか? 

「……こんなとこで死ねねェ」

今も戦ってる仲間達がいるんだ。ここで、一人だけ死ぬ訳にはいかない。
そうだろ? 明。

支給された拳銃を片手で持ち、化け物を睨み返す。
どうせ殺されるとしたって、せめて一矢報いてやる。





「まあ、待て少年……これはただの確認だ」



「え?」



アーカードは自らの体の異常に気付き、試運転として拘束制御術式を開放していた。
ここに呼ばれる以前、シュレディンガーを取り込んだが為にどこにでもいて、どこにもいない存在となり、そして数万の命の中で自我を確立できず消滅した。
その後、ひたすら自分の中の命を必死こいて殺し続けていたのだが、神子柴はアーカードの中のシュレディンガーを排除したのだろう。
代わりに幾つかの命を詰め込まれていた。

恐らくはバトルロワイアル用に調整したといったところか。

体の異常を把握したところで、この少年、山本勝次が居合わせた。


458 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:26:06 9fF0kWv60

「宮本明、クソハゲ……ユカポン? ……HAHAHA」

アーカードは歓喜しながら勝次の話を聞いていた。

「な、なんだよ……笑うとこあったか?」

勝次は怪訝な顔で言う。

数分前、銃を構え戦う意思を見せた勝次だったが、アーカードが拘束制御術式を封じ人の姿に戻ったところで情報交換を持ち出した。

流石に信用は出来ないと考え離れようとする勝次だったが、今まで出会った吸血鬼と違い、先の姿はともかく理性的であったこと。
何よりあのクソ吸血鬼達とは違い人間を見下すような視線ではなく、むしろ人間に対し敬意を表しているような様に自然と警戒を解いてしまった。

こんな吸血鬼は見たことがなかった。何なら、紅茶まで淹れてくれた。
支給品が紅茶セットだったらしい。

「いや、素晴らしい……全くもって、人間は素敵だ」

「は、はあ……」

吸血鬼に占拠された日本。
そのなかで逞しく生きる勝次、更に人の身でありながら数々の化け物を打倒する宮本明という男。
鮫島、ユカポンといった頼もしき仲間たち。
アーカードにとって、これ以上なく羨望してしまう人間達だ。

そして、このガキ山本勝次。
左腕を化け物に変えられてもなお、仲間の元へ赴こうとする強い意志。
決して、諦めない。固い信念。
先程、拘束制御術式を見てもなお、立ち向かおうとしたのも納得がいく。

「山本勝次、お前は仲間達を探している。私も主を探している……ここは同盟といかないか」
「同盟?」

アーカードもまたインテグラに仕え、探している事を大雑把に説明していた。


459 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:26:40 9fF0kWv60

「そうだ。私は少々、困っている」
「困るって、アンタ強ェんだろ?」
「外に出れない。吸血鬼だからな」

言われてから、勝次は呆けていた。
外に出れない? どういうことだ。日光を嫌うとかいう伝承はまだ聞いたことがあるが、天気は雨で太陽なんて出る気配もない。

「雨だ。私は流水を渡ることが出来ない」

アーカードは上位の吸血鬼であり、日光はもちろん十字架やニンニクも効かない。
船や飛行機があれば、海といった流水も超えることは出来る。
当然、この雨の中もそれを避ける何かさえあれば、超えることは出来る。だが、気が利かないことにアーカードに支給されたものの中にはそれがない。

多少の雨ならばあるいは超えられるのかもしれないが、二日で参加者全てを溺れ殺すほどの規模の雨となれば話は別だ。

だからこそ、闘争の予感を目の当たりにしながら、この檻のような建物の中動くことが出来なかった。

「何言ってんだよ! 俺が見た吸血鬼はそんなの……」

「お前の言う吸血鬼(それ)と吸血鬼(わたし)は近しい質の……だが同名の別種の存在だ」

勝次の語る吸血鬼はウィルス性であるらしく、いわゆる病気のようなものだ。
一部、驚異的な固体や雅という真祖のようなものもいるらしいが、アーカードの知るそれとは大きく異なる。

「吸血鬼の伝承を知っているか? 十字架が苦手でニンニクを嫌う、大まかに言えば私が属するのはそれだ。
 お前の見てきたモノは、その伝承に近いが故に吸血鬼と比喩で命名されたものだろう」

「じゃあ、アンタは血統書付きの吸血鬼なのか」

「そんなとこだ」

言われてみれば、クソ吸血鬼共は異常なほどに凶暴であり、血に対しても吸わねば邪鬼になるなど、必死さもあった。
それに比べ、このアーカードは余裕たっぷりで、非常に冷静ではある。

「そこで私の代わりに、この辺を散策して欲しい。そうだな……乗り物があればいい。車だ」

「俺、小4だぜ?」

「アクセル踏んで、ハンドルを回せばいい。簡単だろ?」

「傘じゃダメか……?」

「車だ」

淹れて貰った紅茶を口に含み考える。
話してみた感じ、少しばかり変人のようではあるが、クソ吸血鬼とは違い何かしらの芯のようなものはある気がする。
吸血鬼に対し嫌悪感がない訳ではないが、近しい別物と考えればそれなりに受け入れることも出来た。

だからこそ、一つ確認しておかないといけない。


460 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:27:24 9fF0kWv60

「アンタ、そのインテグラって人が居なかったら……どうする気なんだよ」
「どうする、か……主の元へ帰るつもりだが」
「……ってことは、あの帆高ってのを殺す気なのかよ?」

アーカードは静かな笑みを勝次に送る。

「番手っ取り早い方法ではあるだろうな」

「それなら、俺ァ協力できねェぞ!!」

「何故だ人間、森嶋帆高を止めれば全員が生きて帰れる。願いも叶うと言っていたな。
 お題をこなし。その権利を得ればいい。……お前の、吸血鬼に支配された日本を取り戻せるかもしれないぞ?」

「なめんなよ。誰がそんなもん乗るかよ」

その笑みに対し、勝次は強く睨み返し断固として拒否した。

「あんな奴が言う事聞いてくれる保障なんて、何処にもねェし……約束したんだ強く生きるって。
 帆高と陽菜ってやつらを自分の為に殺しちまうなんて、母ちゃんとの約束を破っちまう」

勝次は母と死に際に強く一人でも生きていくと約束した。
そんなものを誰かに強要するなど母は望まない。
大事な人と別れる苦しみだって、その時に嫌というほど味わった。
同じように誰かが自分のような目に合うなんてそんなのも嫌だ。

「もしも、こんな糞ゲームに乗るならお前はあのクソ吸血鬼共と同じだ! 絶対手なんか組まねェ、俺はこっから一人で出てく。
 どんなに痛みつけたって言う事は変わんねェし、ヘッ殺してみろ! 雨で身動き取れなくなって困るのはお前だ!!」

拘束制御術式の解放を見た後で、このガキはここまでの啖呵を切ってきた。
あのおぞましくも恐ろしい化け物の姿を見た上で、このガキは諦めず手持ちの手札で挑んできた。


461 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:27:47 9fF0kWv60

「ククク……何てガキだ。……確かに、困るのは私だな」

アーカードは歓喜に湧き、張り裂けそうな満面の笑顔を見せる。

「では、どうしろと言うのだ? 私はどうすればお前の協力を得られる?」
「この糞ゲームをぶっ潰すのに力を貸せよ。明や鮫島達……俺みたいにゲームを潰そうとしてる奴等の力になってくれ!」
「なるほど、私が戦う為の力を……お前は雨の中動ける足を、か……いいだろう」

嬉しい。嬉しいぞ。 

人間はこんなにも強い。
人間はこんなにも素敵だ。
人間はこんなにも素晴らしい。


「まずは、ここを拠点に周辺を散策しろ。二時間程を目安に一度戻ってこい。
 もしもお前の言うクソ吸血鬼のような……いわゆるゴミ共がいればここに廃棄しに来い。私が処理してやる」

勝次は紅茶を飲み干し、気合を入れたアーカードに背を向けた。


「分かったぜ。アンタももしここに明たちが来たら、俺の事伝えといてくれよ」


さあ、人間よ。
化け物を、神をも討ち倒してみせてくれ。
天気の巫女を奪い返し、この目障りな雨を止ませてみせろ。

雨のなか、戦場へ赴く小さな背中を見送り、アーカードはほくそ笑んだ。


462 : 紅茶 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:28:13 9fF0kWv60


【アーカード@HELLSING】
[状態]:健康
[装備]:紅茶セット
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:インテグラを探す。居なければ勝次に力を貸す。
0:勝次の帰りを待つ。
1:雨のなかを移動できる車が欲しい
2:森嶋帆高にも会ってみたい
[備考]
※シュレディンガーを取り込んだ直後から参戦です
※取り込んだシュレディンガーは排除され、代わりにある程度の命の残機が入れられています。
※雨(流水)を素で渡れません。
※ロリカードにはなれます。


【山本勝次@彼岸島 48日後…】
[状態]:健康、左腕変異
[装備]:拳銃@彼岸島
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:糞ゲームを潰す
1:仲間達を探す。
2:アーカードのかわりに周辺を散策する。
3:傘や車があれば確保する
[備考]
※蟲の王戦で意識を失った後からの参戦です。


463 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/29(金) 19:28:39 9fF0kWv60
投下終了します


464 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/29(金) 23:37:28 Cb2FZ1u60
自作「ちぎれゆくアルストロメリア」にて、以下の支給品解説を加筆させて頂きます。

【王の財宝@Fate/Grand Order】
英雄央ギルガメッシュが誇る宝具の一種であり、かつて黄金の都と称されたバビロニアの宝物庫に繋がる門を開ける。
古今東西、あらゆる英知の結晶が財宝として納められていて、それら全てを武器として発射させることが可能。
破壊力も高く、上下左右問わずあらゆる方向から発射できるが、量に応じて相応の魔力を消耗する。

【天の鎖ギルガメッシュ@Fate/Grand Order】
英雄央ギルガメッシュが誇る宝具の一種であり、普段は王の財宝に収められている。
相手の動きを拘束するための鎖であり、相手の神性(神にまつわる伝説に関わり、何らかの加護を受けた状態)が高ければその分だけ強度も強まる。
一方、神性がなければただの鎖程度の拘束力しか持たない。

そして投下をさせて頂きます。


465 : 極道が如く ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/29(金) 23:38:41 Cb2FZ1u60

「人殺しなんて、そんな物騒なこと……ダイバンの企画部長の私にできるわけがないでしょ」

 名も知らぬ店舗の椅子に腰掛けながら、輝村極道は呟く。
 着慣れたスーツやネクタイ革靴を見事に着こなし、革靴も濡らさないことで、立派な会社員のイメージを崩さないように気を付けながら。

「そりゃあ、昔から身体を動かしてきたし、不埒な輩から身を守る術は身に付けてきたよ? でも、未来ある若者の命を堂々と奪うような真似はしたくないなぁ」

 周囲を見渡しながら、わざとらしく口にする。まるで、通話アプリで画面の向こう側にいる誰かと会話をするトーンだった。

(一見すると、監視カメラらしきものはない……でも、あの老婆は私の動向をリアルタイムで把握しているだろうな)

 そして、周囲を注意深く見渡している。
 この辺りに誰かが隠れている気配はゼロで、目を凝らしても小型のカメラと思われる機械は一台も設置されていない。だが、裏社会で生き続けてきた極道は、今も自分達を嘲笑う老婆の姿を脳裏に思い浮かべていた。
 株式会社ダイバンの商品企画である輝村極道だが、それは表の顔。極道の正体は、社会から見捨てられた孤独な者たちの集合体である極道(ごくどう)だ。その極道のカリスマである“破壊の八極道”の1人として、多くの極道から慕われる男が極道(きわみ)だった。

(私としたことが、油断したか……これでは他の者達に示しがつかないし、何よりも私の理想像からは程遠い。こんなザマでは地球の破壊など夢のまた夢だ……この借りは1億倍返しでも、生温いぞ)

 溜息を吐きながらも、極道は静かな殺意を老婆に向けていた。
 森嶋帆高と呼ばれた少年の命を奪うデスゲーム……未来ある無鉄砲な少年の命など、極道ならば確かに容易く奪い取れるだろうし、何よりも極道自身が奪った人間の命は数え切れない。
 だが、わざわざあの老婆の言いなりになるのは気に入らなかった。

(あの老婆は私の正体を知っている……どんな方法を使ったのかは知らないが、私を拘束したことは事実だ。そして、私を反抗させない為の方法もいくつか持っているだろう。
 例えば、私が殺人を犯す場面を録画して、強請るとかね)

 気が付いた時には、極道は既に劇場で映画を見せられていた。
 力づくで脱出しようにもビクともせず、挙句の果てにバトルロワイアルを強制されてしまう。昔、そのようなタイトルの大ヒット映画があった気がするが、それは置いておこう。
 最大の問題は、極道自身が囚われた挙句に生殺与奪を握られてしまったことだ。


466 : 極道が如く ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/29(金) 23:39:54 Cb2FZ1u60
(万が一、私があの少年を殺して生き延びたとしよう。老婆はそれをネタに、私を脅迫できるはずだ。そうなっては、私が老婆の命を奪ったとしても、老婆の仲間が証拠をダイバンに流したら……私は一巻の終わりだな)

 それこそが、極道にとって最大の懸念だった。
 既に、あの老婆が圧倒的に有利な状況だ。そんな中で極道が力を発揮しては、その場面を動画にされてSNSにアップロードされるのがオチだ。生死に関係なく、輝村極道の社会的信頼は地に落ちてしまい、ダイバンと極道(ごくどう)の両方が潰れてしまう。

(何よりも、彼が……忍者(しのは)君が永遠に笑えなくなるはずだ。彼がいたら、きっと少年を助けようと動くだろう。孤独に街を彷徨った、帆高のことを)

 極道の脳裏に思い浮かぶのは、最近できた友となった少年……多仲忍者だった。
 一見すると不愛想だが、その胸には熱い炎が燃え上がっている。何故なら、極道と並ぶほどのプリオタであり、熱いプリ語りを何度も交わした程の仲だ。
 笑うことができない忍者のため、極道は友になると決めた。そのおかげで、忍者とはかけがえのない時間を過ごすことができたし、その全てが極道にとって安らぎであった。

(忍者君がいなければ、私は彼らの死を受け止めきれなかっただろう。私には出来すぎた”仲間”である彼らのためには、私自身が真っすぐに進まなければいけない……そう教えてくれたのは、他ならぬ忍者君だからね)

 夢澤恒星も殺島飛露鬼も、忍者(にんじゃ)との殺し合いの果てに散った。
 そんな時ですらも、家庭環境ととある事故のせいで”感情”が理解できなくなり、二人の喪失でも心が動かなかった。だけど、忍者のおかげで前に進むことができている。
 忍者がいなければ、例えようもない喪失感を抱えたまま、宿敵との戦いに赴くことになっていた。

「帆高君、見ていてとても心配だから私が守ってあげないとね。この社会は、私の友達みたいな優しい大人ばかりじゃない……君を食い物にしようとする悪い大人もたくさんいるんだ」

 ここにいない帆高に諭すように、極道は独り言を口にした。
 映画の中で帆高は無謀にも東京に飛び出して、天野陽菜という少女と出会い、その果てに消えてしまった陽菜を取り戻す為にたった一人で走り出した。今もなお、帆高は陽菜の為にどこかを走り続けているはずだ。
 そんな帆高の姿は、多くの人には尊く見える一方で、嫌悪の対象としか眺めない大人もいるはずだ。もちろん、陽菜をエサにして帆高を釣ろうとする大人も多い。
 相変わらず極道の心は動かないが、帆高を支えたいと願う人間が現れることは理解できる。


467 : 極道が如く ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/29(金) 23:41:54 Cb2FZ1u60

「でも、私がいれば大丈夫。私が君の助けとなろう」

 フラッシュ☆プリンセスにて屈指の人気を誇るダークヒロイン・ヒース様の信念を真似るように、極道は立った。
 世界から見捨てられ、孤独に忘れ去られた者達のためにヒース様は戦い続けた。帆高と陽菜もまた、世界に疎まれてしまった少年少女達だ。ヒース様ならば、そんな二人にも手を差し伸べる。

 ――本当の親みたくよくしてくれた人が死んで…

 ――オレ…酒で…このつれえ気持ち洗い流せたらなあって思って――…

 ある日、行きつけの居酒屋にて涙を流した忍者の姿を、唐突に思い出した。
 今の帆高もまた、忍者のようになりかけている。このままでは、大切な人を失うという不安や恐怖と戦いながら、陽菜と巡り会うことだけを考えて走り続けているだろう。
 帆高は故郷を飛び出し、陽菜は家族を失って、その果てに疑似的な家族であろうとした。当然、帆高達に生活能力があるはずがなく、近いうちに破綻する運命にあった。
 映画では忌々しい警察(サツ)が現れたものの、その介入がなければ帆高達を救えなかったことも事実。今回ばかりは、極道と言えども警察(サツ)の判断を肯定する。

「待っていてくれ、帆高君。私が君の元に駆けつけるから、死ぬんじゃないぞ……!」

 今もどこかで走っている帆高に想いを寄せながら、極道もまた動く。
 まずは財布から紙幣を取り出して、店に用意された大人用の傘を二本ほど拝借した。「おつりは結構です」という、独り言と共に。
 もちろん、窃盗罪に問われかねないし、今の極道の行為は立派な犯罪だ。だが、今回は状況が状況であり、そもそも極道自身が誘拐及び監禁の被害に遭っている。故に、老婆とは司法で徹底的に戦う覚悟もあった。
 また、帆高を守る過程において危険人物と出くわしたとしても、正当防衛の範囲内で戦うつもりでいる。極道(ごくどう)として長きに渡る戦いを経てきたから、無力化させるだけの戦いも充分に可能だ。
 無論、必要性と相当性が認められるには、相手に対する過剰な攻撃は許されない。骨は折れるが、今後のためには必要だ。
 その果てに、あの老婆達は始末するつもりだ。

(忍者君……安心してくれ。私は、帆高君を見捨てるような真似はしない。彼も、君の良き友になれるはずだから)

 極道は友に想いを寄せる。
 友と認めた少年に、大きな秘密を秘めていることに気付かないまま……

「そういえば、あの映画の中に出てきたコスプレイヤーたち……彼女達も、やけに存在感を放っていたな。黒と白のコスチュームを纏ったヒロインは、何者なんだろう?」



【輝村極道@忍者と極道】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、大人用の傘×2
[思考・状況]基本方針:森嶋帆高を守り、老婆達を始末する。
1:まずは帆高君を探し、そして保護する。
2:帆高を守るために戦うが、今は正当防衛が成立する範囲内で。


468 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/01/29(金) 23:43:14 Cb2FZ1u60
以上で投下終了です。


469 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:13:37 kyFtX0e20
投下します


470 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:14:00 kyFtX0e20
「神子柴ァッ!!!」

曇天の雲を突き抜けんばかりの怒号が雨の中に迸る。

「よくも……よくもこんな……!」

少女は知っている。あの神子柴という老婆を。人でありながら人でなしの、吐き気を催す邪悪の存在を
かの外道は自らの欲の為に巫(かんなぎ)を犠牲にし続け、その罪を精算することもなくほぼ逃げ勝ちの形で自決した

だが、その外道こと神子柴は生きていた。どんな手段で蘇ったか、そもそもあの時の自決は嘘だったのか、感情のままに叫ぶ少女――時女一族の巫こと魔法少女『時女静香』には窺い知れない

「よくも、母さんを……!」

それ以前に、彼女が荒れている理由にはもう一つ。神子柴に逆らい彼女を止めようとした薙刀の女性。その女性は紛れもない時女静香の母親だったからだ
最も、その彼女は殺された後に一度蘇ったのだが、そもそもの話母親が目の前で殺された当所は茫然自失という所だったのでそれに気付かないのは仕方ない所もあるが

「……ッ!」

悲しみと怒りを心の奥底に飲み込み、邪念を振り払うが如く首を振り心機一転する
いつまでこうしてウジウジしていても何の解決にもならないし、何より

「……森嶋帆高と、天野陽菜」

――この二人。客観的に見れば二人もまた神子柴の企みに巻き込まれた被害者なことに変わりはない
然し映画で見た森嶋帆高が何も考えずに天野陽菜の所に向かったのであれば、他の殺し合いに反対する無辜の者たちすら危険に晒す
だからこそなるべく優先すべきは森嶋帆高を見つけること。彼を探さないことには何も始まらない

霧峰村の時はちはるとすなおの二人がいてくれたが、今はその二人はいない。そもそも都会という所へ初めて来た時女静香にとって雨以外の周りは何もかもが未知の産物だ

「……帆高って人がいるのはA-8。ここからじゃ遠すぎる……!」

運悪く静香がいる場所はC-2。まるで神子柴による嫌がらせとも言わんばかりに、森嶋帆高との初期位置とは遠くかけ離れている
だが、天野陽菜のいるE-1はA-8との距離はかなりのもの。急がなければいけない事には変わりないが、それとは別の意味で余裕がある
森嶋帆高が最短ルートでE-1まで行くと仮定して、そのルートに重なるであろう。ならばまず向かうのはB-4及びB-5。待ち伏せて捕まえる形になるがそれが一番最適だ

「……善は急げ、になるか」

そうと決まれば急げとばかりに駅のホーム内を猛スピードで駆ける。列車の騒音や到着のアナウンスが存在しない駅の内部は一層不気味だ。そもそも時女静香からすれば初めて『都会』というものがこういう形で経験することになるなんて思いもよらなかっただろう
こういう時に限って何かしらの災いが起きる。だがなるべくはそんなことが起きてほしくはないと思っていながら外へと繋がる駅の正面出入口へと向かう
だが、静香の心境とは裏腹に、彼女の視界に映ってしまったのは、常軌を逸する光景であった


471 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:14:22 kyFtX0e20
○ ○ ○

――飼い犬はご主人さまに逆らえない、その言葉だけが全てであった

男性に寄生しては性欲と身体能力を高め強姦事件を引き起こす正体不明のウイルス性生命体《ファントム》、そして《ファントム》を倒す力を得た変身ヒロイン
その中で筆頭ヒロインとも称されたヒロイン省所属の変身ヒロイン、シルヴィアハート――
本名、御影寺凜音(ごえいじ りおん)

然して、駅のホームにいる今の彼女は変身ヒロインなどではなく、ただの雌奴隷だった
きっかけは些細な油断から捕まってしまった事から。それは自分を疎ましく思っていたヒロイン省所属の上司である笹部による醜悪な罠であった
密かに《ファントム》寄生者と手を組み、彼女を罠に嵌め、シルヴィアハートをただの家畜に堕とすため、シルヴィアハートのプライドを完膚無きまでに叩き壊すために。妹を事実上人質にされた彼女は、もはや笹部の言葉に逆らうことなど出来なかった

裏で作り上げられた変身ヒロインを家畜とするための姦獄牧場に投入させられた彼女は、度重なる調教によって壊され続けた。搾乳地獄、嫉妬からなる他の家畜との縄張り争い、Bランクに落とされてからの便女扱い。―――そして何より、彼女の心を砕き、社会的人生を完全終了させるに至ったあるきっかけ

始まりは笹部からの提案であった。「扱いを改める代わりに、牧場から逃げ出した変身ヒロインを拉致する」という内容
こんなゲス男に従う気など毛頭なかったが、他の変身ヒロインに付けられた首輪を爆破すると脅され、更に元の生活という甘い汁に誘われ、彼女は誘惑に負けてしまった

自分を虐げた他家畜への復讐、家畜としてまだまともな扱いのAランクへの復帰という名の欲望のままに、彼女は脱走した変身ヒロインを拉致し続けた

……それが彼女の社会的地位を完全に終わらせるための罠だということに気付いた時には、全てが手遅れあった

嘘のニュースによるでっち上げの罪、そして笹部の指示による国民の前での無様で惨めで情けない痴態の果てに、彼女は国民からの嫌われ者となった
妹から侮蔑の言葉とともに決別され、両親からは失望され、お隣から達は怒号混じりの罵倒を浴びせられ。御影寺凜音の変身ヒロインとしての人生は、余りにもあんまりすぎる形で終焉を迎えた

終焉の底はただの無限地獄。Bランクよりも過酷で悲惨な扱いをされるCランク。巨根の畜生に犯され、望まぬ出産で生まれた子は取り上げられ母としての幸せすら与えられない
完全に壊れた彼女は、ただただ家畜として性欲を貪るただの雌豚に成り下がったのだ


無限地獄の果てに開いた穴の先、未知の光景が広がっていた
とある少年と少女の物語である映画内容も、神子柴なる老婆が話した殺し合いのルールも、今のシルヴィアハートの耳に入っているかどうかすらも曖昧だった

「あは……は……」

奇跡的に思い出した、自分の人生が完全に終わったあの日。絶望の刻ばかりを思い出す
一時とはいえ地獄への逃避とこの身に焼き付いた性的欲求に負けた自分への罰

「あはは、あはははは……」

壊れたラジカセのごとく、乾いた笑い声のみを響かせる。自分は何もかも失った、女としてのプライドも、変身ヒロインとしての矜持も、御影寺凜音としての人生と家族を
今の自分はただの家畜でしか無い。崩壊した理性の中で、ただただ笑い続けるしか無かった

今彼女に付けられた首輪は、笹部による変身ヒロインとしての力を封じるものではなく、殺し合いの為に付けられた代物であり。封じられた変身ヒロインとしての力は事実上復活している事に彼女は気付かない
最も、もはや今の彼女には、優勝して全てを取り戻そうなどという思考すら思いつかないだろう

そんな彼女に、困惑の視線を向ける一人の男の存在を、この時の凜音はまだその存在を意識すらしていなかった


472 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:14:40 kyFtX0e20
○ ○ ○

ある意味これはピンチでもありチャンスであった
死んで幽鬼と成り果てた自分がヨミガエリを果たす最大のチャンス

執行者共にボコボコにされ、復活の手立てを永遠に失ったと思えば、妙な映画に妙なババアに殺し合いのルール。しかも帆高とかいうのをなんとかすればどんな願いでも叶えてもらえるという大盤振る舞いだ

だが、話を聞くに先着で5名だ。そうなればさっさとあの帆高とかいうガキを殺して早く夢を叶えて貰う他ない――。それが、幽鬼カルネアデスこと、南羽新志の思考の全てであった

この南羽新志という男が人間態でこの駅のホームを彷徨い、最初に見かけた人物が何を隠そうシルヴィアハートこと御影寺凜音

「……なんだ、こりゃ」

見るも無惨な彼女の姿に対し、欲情以前に困惑の表情が浮かぶ
数多の穴から男たちの陵辱の証として注ぎ込まれた濃厚な精が溢れ出し、長い黒髪や顔面は精液でガビガビ。着ているグローブやソックスの中身まで白濁で穢されており、白い肌はもはや全身が白い雄汁でコーティングされてしまっている

「……牧場の、人?」
「誰だか知らんが、勿体ねぇ事をするもんだ」

凜音のうわ言を聞き流しながらも、上っ面だけとはいえ同情の言葉を溢す

「ま、どこかで男の恨みでも買ったってんなら、自業自得か?」
「も、もうしわけございません……おめぐみを、マゾ豚家畜のシルヴィアハートに淫乱子宮に男性様のおちんぽみるくをお恵みください……ぶひぃ……」
「……うわぁ」

もはや女の尊厳を投げ捨てた哀れな懇願に思わずドン引きする。南羽とて恨みのある女を壊したい願望こそあれど、ここまで壊してやりたいとまでは思っていない

(……いや、待てよ?)

本来ならこんなガラクタ女は放っておけばいいと思っていたが、ふと南羽の頭に妙案が浮かぶ
この様子だととにかく酷い目にあってきたという点しか察することが出来ないが、頭までご丁寧にぶっ壊されたのだ。……こいつは体の良い道具として使える
この女と出会う前、手っ取り早く力を手に入れれるという誘惑から説明をあまり確認せず食べた『指』のおかげで幽鬼としての自分の力も上がっているとはいえ、考慮の憂いはなるべく取り除いていたほうが良いであろう

「(こいつを使って同情誘ってっていう手も使えなくはねぇな。やばくなったら小衣の時見たく見捨てちまえばいいだけだ)……おい、メス豚」
「……は、い。なんでしょう、か……?」
「そんなにミルク恵んでほしいってんならこれから俺の言うことに従え。全てが終わったらお望み通りの扱いをしてやる」
「は、はぁい……」

南羽の言葉の裏に気付かぬまま、凜音は顔を赤らめ恍惚な表情を浮かぶ

(見りゃ見るほど、本当に豚じゃねぇか。気持ち悪ぃ……)

南羽は凜音への嫌悪の視線を隠そうとしない。だが、そんな事を知ってか知らずか凜音は南羽に縋り付くように手を地に付け四足歩行で歩き始める。さながら飼い主に従う犬のように
だが、南羽の視線に思わず発情してしまったのか、凜音の秘唇から生暖かい黄金水がアーチを描き放出される

「おい、誰が勝手に漏らしていいっつった!」

その醜態に怒りを見せ凜音の腹を思いっきり蹴り飛ばす。丸太のように転がった凜音の二つの穴からは今まで男たちや動物、合成獣から注ぎ込まれた濃厚な白濁液が衝撃で吹き出す

「……誰だか知らねぇが飼い犬の躾ぐらいちゃんとやがれ飼い主。ま、気持ちはわからんでもないけどな」

奴隷の醜態に主の躾がなってないと呆れると同時に、女をこのように屈服させたらさながら最高の気分だろうなぁと名も知らぬ女の飼い主に対し少しばかりの感情を向ける
横目を見れば「もうしわけございませんご主人さま」とボソボソと呟きながら起き上がろうとする凜音の姿
もはや呆れを通り越した心情が込み上げながらもこれからどこへ行こうかと模索しようとしたその時であった

「―――お前」
「……あ?」

南羽新志と御影寺凜音の前に、その魔法少女が現れたのは


473 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:15:02 kyFtX0e20
○ ○ ○


その怒りは、燃え滾るマグマ、まさに大噴火を引き起こした活火山の用に膨れ上がっていた
人一倍正義感の強い時女静香にとって、目の前の光景は到底許せるものではなかった
――いや、絶対に許しておけるものではなかった

「――彼女を、どうするつもり?」

静寂を劈く程の冷たい怒りが南羽の耳に届く

「……何って、家畜をどう扱おうと人間様の勝手だろうが?」
「家畜、ですって……!」
「そうさ。どうにもこうにもこいつ、どっかで恨み買ったのか体の隅々まで満遍なくぶっ壊されたらしいからよ。俺様が有効活用してやろうって思ってんだ」

未だ起き上がろうにも液を放出した快楽の余韻で起き上がれぬ凜音を尻目に、下卑た笑みを浮かべながら静香に事情を説明する
それを聞き、凜音に一瞬視線を向けた静香が抱いたのはどうしようもない悲しみと怒りだ

「……そう。少しだけ安心したわ。あなたがどうしようもないクズ野郎って事が分かって」
「――気に入らねぇな、その目。俺を裏切りやがったあの女に似てやがる」

もはや敵意を隠そうともしない。否、隠す必要もない。この男を生かしておけば沢山の人が犠牲になるだろうから
そんな静香の思考を知ってか知らずか、かつての恋人であった不動寺小衣を思い出してか南羽新志は苛立ち始める

「時女の巫が一人、時女静香。――日ノ本の為、そしてこの少女のために、貴様という悪意を討伐させてもらう!」
「……やってみろよ年端も行かねぇガキが。大人の厳しさってのをその身に刻み込んでやるよ!」

叫びと共に、両者の姿は変化する
片や、紫を基調とした和装の魔法少女の姿。片や、青いマントを羽織り杖を持った異形の姿

変身完了と同時に、静香はその手に持った七支刀からは焔が、南羽新志もとい幽鬼カルネアデスの杖から魔力弾が発射、両者の攻撃は相殺され、爆発と共に煙が充満
カルネアデスが杖を振るい、煙を振り払えば静香の姿はない。いや、それだけではない

「……あのガキ!」

あのメス豚……御影寺凜音の姿までもが消えていた。然し追跡は容易い。先程あれが小便と白い液体をぶち撒けていたおかげで痕跡は残っている。それを追いかければいいだけだ





「……どう、して」

凜音は、久しぶりに感じる他者の思いやりに困惑していた
全てを失った彼女にとって罵倒と快楽と暴力だけが自分を構成する全てだと思っていた。だが、この少女は本気で自分を助けようとした。こんな家畜以下の雌豚を助けるなんてありえない。自分の評価は余りにも地に落ちて、誰も助ける人など居ないはずだと自覚していたからだ

「……あなたに何があったか、私にはわからないけど。でも、放ってなんて置けないから」

そんな疑問に満ちた視線を向ける凜音に、優しく微笑みながらも、羽毛を被せて応える静香の姿は、凜音にとっては余りにも眩しすぎた

「……なん、で。私には、もう家畜としての人生しか、残って、ないのに……。誰かに助けてもらう資格なんて、もうないのに……」
「あなたはここで待ってください。……大丈夫です、私だって巫として戦場を乗り越えた身です。そう簡単には倒されません」
「まっ……て……」

凜音の言葉が届く前に、静香は駆け足立ちに行ってしまった。その自信の溢れた姿に、忘れきったはずの記憶が蘇る
正義のヒロイン《シルヴィアハート》。自分が家畜となる前の人生。変身ヒロインとして、罪のない女性たちを助け続けた輝かしい人生。生きがいに満ち溢れていた人生
だが、それはもう戻ってこない。家畜として、便所として、雌豚として刻み込まれた快楽調教の傷はもはやどうしようもないものだ
けれども、凜音が気付かぬ内に、砕けたプライドのカケラが、自分を助けてくれた少女の凛々しさを機に再び組み直され始めている

「……くや、しい……」

思わず涙を流し、自分の不甲斐なさを悔やんだその言葉は、紛れもない変身聖姫シルヴィアハートとしての心のカケラ

「わた、くし、は………!」
「……おい」

思いが零れそうになった時、その『彼女』は凜音の前に現れた


474 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:15:42 kyFtX0e20


痕跡を辿り、追いかけて来たカルデアネスと魔法少女、時女静香の戦い

「てめぇも無駄な事をするもんだな! あんな女助けた所で何の意味もねぇってのに! またどっかで男相手にケツ振って快楽貪ってんだろうよ!」
「無駄かどうかなんてどうでもいい! 私は私が助けたいと思ったからそうしただけ!」
「調子こいてんじゃねぇぞ偽善者が!」

杖と七支刀の鍔迫り合い。距離をとっての飛び道具の打ち合い。実力は互角……否

「……随分しぶてぇなガキ。……が、これを相手しながらは流石にきついんじゃねぇのか?」
「くっ……!」

実際は静香の方が不利。その理由はカルネアデスが召喚した四足歩行の怪物が原因であった
ルクレチウス――動きの鈍さを補う怪力とタフネスさを持つ中型の幽鬼
これを盾代わりとして自身は後方に徹するのがカルネアデスの必勝パターン。1体しか呼び出せないという制限こそあるものの、やられてても力が続く限りは何回でも呼び出せる
最も、カルネアデスが食べた『指』のおかげで本来よりも出力が上がっているのも彼が静香相手に有利に戦えている理由の一員でもあるのだが

(この男……立ち回りが上手い!)

近距離遠距離戦では埒が明かないということで召喚されたルクレチウス、静香からすれば倒せないわけでもない相手ではあるが、距離をとってルクレチウスの援護に徹するカルネアデスた兎に角厄介であった
しかも倒しても倒してもすぐまた次が呼び出されて厄介この上ない。しかもそれを相手自身が自覚している為か動きが最適化されており追跡は困難

(……こうなったら)

だが、手詰まりというわけではない。マギアの広範囲攻撃で目の前の怪物毎ごと一掃。幸いにも例の彼女がいる場所は攻撃範囲外。ルクレチウスの攻撃を避けると同時に後方に退き、七支刀を構える
それを確認したカルネアデスが取った行動は杖の投擲。勿論妨害してくることは予測できていたため速度を落として回避。しかし

「……させるわけねぇだろバーカ」

カルネアデスの言葉と共に、地面に突き刺さった杖の周辺に陣らしきものが展開。ギリギリで避けた事が仇となり陣の内に入り込んでいた静香は放たれた紫の光を浴び、身体が麻痺してしまう

(杖を投げたのは悪足掻きじゃなくて陣の構築の為……! しまっ、動けな……)

気付いた時には既に遅し、杖は瞬く間にカルネアデスの手元に戻り、静香の正面には豪腕を振りかざすルクレチウスの姿
振りかざされた拳は静香の腹部を大きく凹まし、くの字のまま壁まで殴り飛ばされる

「ごはぁ!!」

衝撃が全身に伝搬し、骨が軋む。何本骨折したかわからない。七支刀を足場代わりになんとか立ち上がるも、先程の麻痺もあってかまともに身体を動かせない

「……こいつの拳はよく効くだろぉ?」
「……あ……ぐぅ……」

今の状況は、間違いなく時女静香の圧倒的不利であった


475 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:16:01 kyFtX0e20
○ ○ ○

凜音の姿を物珍しそうな目つきで見つめる、五寸釘と金槌を携えた、黒い学ランの女性。

「ねぇ、さっきから騒がしいんだけど、何かあったのか? つーかなんでソックスとグローブだけ?」
「え、あ、え……? 実、は……」

女とは到底思えない男勝りな口調に戸惑うも、別に話さない理由も無いので喋る

「私を助ける為に、知らない人が……」
「あーそういうこと。それで誰かさんがドンパチやってるわけ、で、アンタはどうするのよ?」
「……え」
「だからアンタはどうすんのよって聞いてんのよ?」
「……」

女性からの予想外の質問に凜音は口ごもる。今の自分に何が出来る? 何も出来ないただの雌豚に

「何が、出来るの……私に……」
「あ?」
「何もかも失った私に、落ちぶれてただの雌豚家畜に成り下がった私に……」

そう、凜音には何も残っていない。彼女の人生は既に何もかも終わった。終わった果ての地獄で男の性欲を満たすだけの家畜として飼われ続けるはずだった人生
それが何の因果かこんな所に呼ばれた。何をしたい? だったら何をすればいい? わかるわけなんて無い。そもそも……自分はもう何も出来ない。変身ヒロインとしての力を封じられた今の自分では

「……私の身体を見たら、わかるよね。こんなになって……軽蔑したでしょ。私はもう嫌われ者のレッテルを貼り付けられて、帰る場所なんてあの地獄以外の何も」
「……ああ、そうかよ」

凜音の言葉に、女性の表情が歪む。その顔は、侮蔑ではなく、彼女が思っている意味でもない『嫌悪』の。そして―――凜音は女性に思いっきり殴り飛ばされた

「あ――え―――」
「―――気に入らねぇ」

女性の表情に、嫌悪どころか怒りの感情が増える

「自分はもうただの雌豚だから何も出来ませんだ? 自分は全部失っただ? ……それで助けてくれた奴見捨てて自分だけで自己完結してんじゃねえよクソ女」
「―――あ」
「拳、見えてたでしょ? つまりてめぇは何も出来ねぇんじゃねぇ、勝手に諦めたふりして何もしないだけだろうが」
「そ、れ、は―――」
「こっちとらてめぇがどうやって生きていたか知らないけど、それ込みでも今のてめぇが気に入らねぇ。気に入らねぇから殴った。喝入れるために殴った。理由はそんだけよ」

女の言葉を聞いている内に、忘れていた記憶がポツンポツンと漏れ出し、思い出す
女の指摘に、自分が変身ヒロインだった感覚を思い出す
冷静になる……今付けられてる首輪は牧場の家畜に付けられているものではない。別の首輪。つまり変身ヒロインとしての力は封じられてなどいない
そんな事を考えていれば、不思議と自分の顔が雌の顔ではなくまともな顔になっている事に凜音は自覚する

「マシな顔できるじゃねぇか。ったく」
「……雌奴隷に対していきなり顔面パンチはきついですわ。まだたるみが抜けきっていないですのに」

口調も不思議と前の時に戻る。お嬢様学校の学生としての凛々しさに

「で、てめぇはまだその雌奴隷とやらのまま?」
「……さぁ。少なくとも今はまだかしら?」

女性の言葉に軽口を返すぐらいには元気を取り戻した。今の凜音は、雌豚家畜なのでは

「でも、今から始め直すのも、悪くないかもしれませんわね。どうせ人として一度終わってしまった身ですもの」

念じ、光を纏う。この格好では決まるものも決まらない。
光が止む。雄汁まみれだったはずの黒髪と白肌はその艶を取り戻し、変身ヒロインとしてのコスチュームを華麗にまとい―――

「……そんじゃま、てめぇの言った女ってやらを助けに行きますか」

女の言葉と同時に、正義の変身ヒロイン《シルヴィアハート》は復活を果たしたのだ


476 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:16:21 kyFtX0e20
○ ○ ○

「はぁ……はぁ……」

時女静香は、絶体絶命であった。先の一撃で動きの制裁が欠け、ルクレチウスの拳やカルネアデスの飛び道具に当たり始めている。疲労もダメージも蓄積し、もはや攻撃を避けるだけでも精一杯。最終的には倒れ伏してこのザマだ

「……無駄に手こずらせやがって」

見下した態度を隠さぬままカルネアデスが静香へ近づき、ルクレチウスに命じ彼女の身体を持ち上げる
今の彼女に、ルクレチウスを振りほどく力すらもまともに残ってはいない

「今ここで俺様に土下座して無様に許しを請うなら、命だけは助けてやってもいいんだがな」
「……誰が、そんな事を……!」

カルネアデスの誘いに、確固たる意思を以て拒絶する。例えこの身尽きようと、悪鬼に堕ちようと、最後まで世の為・人の為に戦う事が時女静香にとっての揺るぎなき信念
このままやられるならばせめて同士討ち覚悟の自爆などと考えている。友人たちを悲しませてしまうという心残りはあった。だがこのまま目の前の邪悪によって体よく利用されるよりは……

――だが、静香がその選択をする必要はなくなった。なぜならば

「シルヴィア・フレイム!!」
「―――!」

聞こえた声とともに、どこからともなく放射された炎に包まれ、ルクレチウスの身体が燃える。その隙を突き、残った力を使い離さなかった七支刀でルクレチウスの腕を切断し拘束から脱出
逃さんとばかりにカルネアデスた飛び道具を放つも、横から放たれた炎によって消滅させられる。着地の際によろけた静香を支えるように受け止めたのは黒髪靡かせた一人の変身ヒロイン

「あな、たは」
「……先程は見苦しい所をお見せしましたわね」

それは、先程静香が安全な場所へ誘導した少女、御影寺凜音。然しさっきまでの彼女と違い、まるで魔法少女のような、というよりも変身ヒロインみたいなコスチュームに身を包み、その姿に一種の気品さを感じさせる、完全に人違いですかと言われても仕方のない立ち姿

「て、てめぇ……!」

今の凜音の姿に一番驚いたのはカルネアデス。先程までただの雌豚だった女がこんな力を秘めていたなんて思いもよらなかった

「……だ、だが、いくらてめぇた戦える奴だとしてだ。俺様の優勢は何ら代わりねぇんだよ!」

燃え尽きたルクレチウスを尻目に、再びルクレチウスを召喚し凜音――シルヴィアハートへと襲いかからせる

「あら、そうかしら? ……じゃあ背後には気をつけたほうがいいわよ?」
「何だと?」

シルヴィアハートの言葉にカルネアデスが後ろを振り向けば、身体に刺さった一本の釘。そして――

「がぁぁぁぁぁ!」

釘を介して何かが流し込まれ、カルネアデスの右腕が弾け飛ぶ。それと同時ルクレチウスの拳を受け止め地面に突き刺した後、シルヴィアハートの炎をまとった拳がルクレチウスの身体を貫通し、消滅させる
弾け飛んだ右腕が、シルヴィアハートの背後から現れた学ランの女性がキャッチした


「クソがっ! クソがっ! クソがァァァっ!」

たった一人の増援がきっかけで優勢だったはずの自分の状況が覆されたことに動揺し、激痛にのたうち回りがら狼狽えるカルネアデス
おそらく釘を撃ち込まれたのはルクレチウスが雌豚だったはずの女に撃破されたと同時。そして釘を打ち込んだのはあの学ラン女。
もはや重症を負った上でルクレチウスがやられた以上、形勢逆転されたカルネアデスが取った行動は逃走

「……あいつ、逃げるつもりか!?」

あのままあの男を野放しにしておけばどこかで被害が出る。静香としては追いかけたいがダメージが響き動けない。だが、そんな彼女の心配を露知らずシルヴィアハート

「何も、問題はありませんわ。もうあの化け物は詰んでいますのよ」
「……え?」

その言葉に首を傾げる静香の傍らで、先の学ラン女性がカルネアデスの右腕に、懐から取り出したであろう藁人形にを置き、その手に五寸釘と金槌を構え

「――芻霊呪法『共鳴り』!」

右腕の残骸ごと、釘で藁人形を貫いた





それは、カルネアデスが逃げている時に起こった

「あがっ!!??? がっ―――!?」

自分の心臓を中心に身体を内側から穿つかの如く飛び出る無数の『釘』

「あがががっがががっ、ががががが――――――」

――芻霊呪法『共鳴り』
対象から欠損した一部を人形を通じて呪力を打ち込むことで、対象本体にダメージを与える術式。対象との実力差及び欠損部位の希少価値によって威力が変動するが、今やそんな事は関係ない
もはや、カルネアデスに生き延びるすべなど存在しないのだから

(こんな、こんな、事が、この俺様が、またしても、小娘なんかにぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!)

内より湧き出る釘に貫かれながら、幽鬼カルネアデスの魂はその悪意諸共、取り込んだ指を地面に残し、弾け飛んだ

【南羽新志@CRYSTAR -クライスタ- 死亡】


477 : 神の見えざる手 ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:16:40 kyFtX0e20
○ ○ ○

「……改めてお礼と自己紹介を。私の名前は御影寺凜音。ヒロイン省所属の変身ヒロイン《シルヴィアハート》。……と言っても、罠に嵌り醜態を晒した挙げ句さっきまでの雌家畜でしたけれど」
「私は時女静香。霧峰村の巫……魔法少女って言ったほうが正しいかな。……で、そこのあなたは?」
「釘崎野薔薇。変身ヒロインとか魔法少女とかってのは知らないけど、巫って言い方されると田舎臭いわね、なんていうか」
「まあ、村の外に出るがこれで初めてになっちゃいましたし……。釘崎さんって、田舎を毛嫌いとかしているのかな?」
「……まあ、な。だけど、今はノータッチで頼む、魔法少女」
「……釘崎さん、でしたわよね。あの時はありがとうございますわ。それに、あの時のげんこつよく効きましたわよ」
「だいぶまともな面構えになったじゃねぇか。そういうのでいいんだよ。もう二度と、自分を雌豚なんかと卑下する必要もねぇっての」

簡単な自己紹介を終え、今後の方針を考える。三人の共通思考としてはあの神子柴を止めることとと森嶋帆高を見つけることだったためか、三人で行動することはもはや決定事項となったのであった


神の見えざる手――家畜にまで落ちぶれたはずの少女は、一人の魔法少女の決意と、一人の呪術師の気まぐれによって救われた

神在きこの舞台において、神の見えざる手はどこかへ届く

【時女静香@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝】
[状態]:魔法少女姿、負傷(中)、身体のいたる所骨折(中)、疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴を止める
1:凜音、野薔薇と共に行動する
2:森嶋帆高を探す

※参戦時期は最低でも都会へ出る前
※空間停止の魔法にはある程度制限が掛かっています


【御影寺凜音@変身聖姫シルヴィアハート 〜家畜となった敗北ヒロイン〜】
[状態]:変身ヒロインの姿、健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:変身ヒロインとして、この催しを終わらせる
1:静香、野薔薇と共に行動する
2:森嶋帆高を探す
3:もう二度と折れたりなんかしない

※参戦時期は終章後
※快楽堕ちから復活しました

【釘崎野薔薇@呪術廻戦】
[状態]:
[装備]:五寸釘(ストック残り???)、金槌、藁人形(ストック残り???)
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本方針:あのクソババァをとっ捕まえてクソ下らない催しを終わらせる
1:静香、凜音と共に行動する
2:森嶋帆高をとっ捕まえる

※五寸釘と藁人形の残りストックは後続の書き手にお任せします
※参戦時期は最低でも交流戦後

○ ○ ○

「……予想外の拾い物とするとは思わなかったぞ」

残された『指』を拾い、呟くは1つ目の異形

百年の荒野を待たずして、かのものは蘇り大地へと降り立った

死した自分がなぜここにいるのかなどは検討もつかない

かの呪霊は言った。自分には'飢え'が足りなかったと

ならば良し。理想のためならば、未来を焼き捨ててまで、手に入れてやろう



【漏瑚@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3、宿儺の指@呪術廻戦
[思考・状況]
基本方針:どんな手を使ってでも理想を手にする
1:???

※参戦時期は死亡後

【宿儺の指@呪術廻戦】
特級呪霊・両面宿儺の20本の指の屍蝋のうちの1本、特級呪物。通称「宿儺の指」
1000年前の呪術全盛の時代に宿儺を封印した物
最強の呪物の一つであり、宿儺の指を取り込んだ一般呪霊を特級に進化させるほどの力を持つ
人間が取り込むことで宿儺をその身に受肉させることもできるが、指自体が猛毒のため、取り込んだ人間はほぼ確実に死亡する。また肉体が耐えられたとしても精神が宿儺に支配される。残りの指も会場の何処かにあるかもしれない


478 : ◆2dNHP51a3Y :2021/01/30(土) 17:16:56 kyFtX0e20
投下終了します


479 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/30(土) 21:16:29 bhLLDj/Y0
投下します。


480 : 愛なき時代に、生まれたわけじゃない ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/30(土) 21:17:04 bhLLDj/Y0
ここはとあるビルの屋上、そこにこの男はいた。

その男は、力強く男らしい目と眉、そして分厚い唇をしていた。

彼は思案していた。それはほかならぬ、先ほど上映された映画と、そのあとに宣告された殺し合いのことについてだった。

そして彼は憤っていた。それは、愛する者同士を引き合わせることを許さず、殺すよう宣告しているこの催しについてだった。

―― このままあの二人を見捨てるわけにはいかぬ、そしてこの催しに参加させられたすべての人も同じく、救わねばならない。

彼は思案の果てに、そう決意した。

そうと決まれば後は行動するだけだ、そして彼は『いつものアレ』を天に向かっておこなった。

「サー………ビスッ!!」

そういうと彼は決意表明として、来ているものの裾をつかんで全力でめくりあげたのである。

―― 彼の名はサービスマン、世界にサービスを振りまく、愛の伝道師である。

【サービスマン@ボボボーボ・ボーボボ(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:サービスの神髄のまま、帆高と陽菜を含む参加者全員を救う。
1:わが心、サービスがままに!
2:ラブ・アンド・サービス!
[備考]
エリア内に、彼の『サービス』を目撃した参加者がいる可能性があります。


481 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/01/30(土) 21:17:35 bhLLDj/Y0
投下終了です。

ありがとうございました。


482 : ◆DJ6C0hLJds :2021/01/31(日) 00:11:07 DxWlHwwY0
投下します。


483 : HELL! or HELL? ◆DJ6C0hLJds :2021/01/31(日) 00:13:01 DxWlHwwY0

「全くわけがわからないわ」

猫耳が付いたヘッドホンをつけた少女が支給されたタブレットの説明書を読む。
あのアニメーション映像。内容はともかくBGMや劇中歌は興味を引くものがあった。
が、問題はそのあとのことだ。
 
「人殺し? No, thank youね」

人が人を殺してはいけない。
倫理・一般常識として当たり前の範疇の知識だ。
それと『どんな願いでも叶える』という権利。

「はっ、くだらないわね」

少女は一言で一蹴する。
彼女は他人に叶えてもらえる程度の願いなど持っていない。
自分の手で叶えてこそ意味があるのだから。

だが、しかし!

彼女にとって、この状況は舐めらてるような気がしてならなかった。
そう、考えるとあの神子柴という奴に対して怒りが湧いてきた。



「神子柴、絶対ぶっ潰す!!!!」



チュチュこと――――『珠手ちゆ』が口に出したあまりにもドストレートな決意宣言。
(ちなみに彼女の言う『ぶっ潰す』とは『相手にギャフン』と言わせる程度のことである、悪しからず)
そのためにチュチュにまず必要なのは……協力してくれそうな人。

チュチュ自身は――――無力なのだ。

悔しいが、自身にはこの状況を覆せるような超常的な力はない。
ましてや、チュチュは根っから……かなりのインドア派。
こんな雨の中、無暗に走り回ったりでもしたら速攻でスタミナ切れするであろう。
そんな中、もし襲われたりしたらまず助からないであろう。

だから、今は状況の整理に徹する。
それしか今できることがないのだから。
さらに言えば…………。

(マイク一つで戦えるわけないでしょ!!)

チュチュに支給された一本のハンドマイク型マイクロフォン。
確かに音楽や言葉には人を動かす力(パワー)がある。
チュチュ自身、それは知っている。
だが、このバトルロワイアルという状況でそれがどれほど通じるのか定かではない。

このマイクで、チュチュの声がどこまで届くかも分からない。
ましてや、それによって危険人物を呼び寄せる可能性も十分にある。
森嶋帆高を探す前に自分の命が危ない。

そんな時であった。


「誰かいるのか?」
「!?」


もう一つ少女の声が聞こえた。


 ◆  ◆  ◆


484 : HELL! or HELL? ◆DJ6C0hLJds :2021/01/31(日) 00:13:32 DxWlHwwY0


 雨の中。
 少女は一人佇む。
 
 濡れる金の髪。
 赤い瞳に映る雨粒。
 雨雫が彼女の背負ったCHARMを伝う。

 ここは新宿。
 なら、新宿御苑にルド女のガーデンがあったはずだ。
 しかし、新宿御苑にあるはずのルド女のガーデンはない。

 ……ここは何かがおかしい。

 この新宿にはヒュージとの戦闘の跡が一切見られない。
 ここは彼女の知る新宿……本当に日本なのか?

「……野良猫の一匹もいないな」

 これからどうすべきだろうか?
 『森嶋帆高』という少年を探して保護すべきなのだろうか?
 一柳梨璃なら迷わず行動を起こしただろう。
 だが、それは本当に自分が今すべきことなんだろうか?
 あの老婆の言うことに「はい、そうですか」と素直に従うのも癪だ。


「………ヘックション」

 
 小さくくしゃみをした少女。
 考えをまとめようにも雨音が耳障りで何よりも寒い。
 ひとまず、どこか雨を防げる場所の入ろう。
 そんな時であった。

 

「神子柴、絶対ぶっ潰す!!!!」



 少女の声が聞こえた。
 あまりにも清々しいまでの主催者打倒の宣言。
 一瞬呆気に取られたが、誰か近くにいることはわかった。

「行ってみるか」

 ふらりと声のする店内に入る。
 するとそこには…………。

(猫耳!!????)

 猫耳を付けた少女がいた。
 ちょっと変なテンションになったが、『安藤鶴紗』という少女は猫が好きなのだ。


 ◆  ◆  ◆


485 : HELL! or HELL? ◆DJ6C0hLJds :2021/01/31(日) 00:14:03 DxWlHwwY0

「見たことのない制服だが、お前、どこのガーデンのリリィだ?」
「Garden? Lily? なんのことよ?」
「?」
「??」

互いに疑問符を浮かべる。
チュチュとしては目の前の少女の身の丈に合わないほどの巨大な剣がちょっと怖い。
鶴紗としては目の前の少女の猫耳がものすごく気になる。
それでも、互いにこの殺し合いの場で出会った初めての人間。

「安藤鶴紗。百合ヶ丘の一年生だ」

無愛想ながらも名乗る鶴紗。
『百合ヶ丘』といえば世界的な名門のリリィ教育機関である。
しかし、チュチュには『そういう名前の学校の一年生』としか思えなかった。

「私はこういうものよ」

チュチュは自身の名刺を鶴紗に手渡す。

「『RAISE A SUILEN プロデューサー Chu^2(チュチュ)』……?」
「ええ、略して『RAS』よ、まさか貴女知らないの!?
 この大ガールズバンド時代のニューリーダーのRASを!?」
「大ガールズバンド時代……?」

ここでも話が全く嚙み合わない。
だが、互いに嘘をついているような様子もない。
今、ここで嘘をつくメリットが互いにない。

「OK、一先ず、落ち着いて少し話がしたいわ」
「同感だ」


コーヒーを一杯ずつ。
チュチュ達がが飲む新宿のコーヒーは苦い。


【珠手ちゆ@BanG Dream!】
[状態]:健康
[装備]:ハンドマイク型ヒプノシスマイク@ヒプノシスマイク
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:神子柴、ぶっ潰す!(殺し合いには乗らないし、主催者の言う通りにもしない)
1:協力者を探す
2:出来れば森嶋帆高も探しておきたい
[備考]
・参戦時期はアニメ3rd Season最終回後から


【安藤鶴紗@アサルトリリィ】
[状態]:健康
[装備]:ティルフィング先行量産型@アサルトリリィ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らないが……
1:森嶋帆高を探す? 
2:チュチュの猫耳ヘッドホンが(とても)気になる。
[備考]
・参戦時期はアニメ版最終回後から


ハンドマイク型ヒプノシスマイク@ヒプノシスマイク
H法案によって人を殺傷する全ての武器の製造禁止及び既存の武器が廃棄されたヒプノシスマイクの世界において、武器に取って代わり使用される。
このマイクを通したリリックは、人の交感神経・副交感神経等に作用し、様々な状態にする力を持っている。
『ペンは剣よりヒプノシスマイク』。

ティルフィング先行量産型@アサルトリリィ
ヒュージに止めを刺せる唯一の決戦兵器『CHARM』の一種。
ブレードモード、バスターランチャーモード、ショートブレードモードの3段変形が可能。


486 : ◆DJ6C0hLJds :2021/01/31(日) 00:14:32 DxWlHwwY0
投下終了です。


487 : ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:43:14 edEgZc4g0
投下します


488 : 姉妹 ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:46:14 edEgZc4g0
中学校。
本来は勉学や部活動に励むや生徒がいるはずの場所だが、人っ子一人見当たらない。
それもそのはず。
この学校が存在するのは、神子柴が用意したバトルロワイアルの会場。
あくまで施設の一つとして設置されたこの場所に、余計な人間は必要ない。

そんな無人の校舎に、足音が響く。
荒い息遣いと共に廊下を走っているのは2人の少女。
黒髪の少女が年下と思われる少女の手を引き走っていた。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…!」

黒髪の少女、黒澤ダイヤに普段の凛とした表情は無く、明確な焦りが現れている。
手を引かれている少女、黒澤ルビィの顔にはハッキリとした怯えがあった。

姉妹揃って浦女にいたはずなのに、気が付けば見知らぬ場所で映画を見ていて、
映画が中途半端な所で終わったかと思えば、老婆から映画の主人公である少年を殺せと命じられた。
その後で女性が殺されてパニックになったが、急に意識が遠ざかり、見知らぬどこかの校舎内に放り出されていた。
幸いお互いのスタート地点が近かったのか、直ぐに再会できたが。

怯えるルビィを慰めながらも、ダイヤ自身困惑していた。
悪い夢だと思いたいが、それにしてはリアリティがあり過ぎるし、目の前にいるのは正真正銘本物のかわいい妹だ。
どこかに腰を落ち着けて考える時間が必要だと思った。

その時だった。
“あの男”が現れたのは。

この異常事態にも関わらず悠々と歩いてきた男を見た瞬間、ダイヤは動けなくなった。
圧倒的な、同時にに怖気が走る程のおぞましい存在感。
18年間生きて来たが、これ程までに得体の知れない人間は見た事が無い。
いや、そもそもこの男は本当に人間なのか?
そんな馬鹿げた疑問が浮かぶ程に、目の前の男からは尋常でない『圧』が放たれていた。

「お、お姉ちゃ……」

か細い妹の声にハッとする。
見ればルビィも男の威圧感にやられたのか、顔面蒼白で震えている。
それを見た瞬間、ダイヤは妹の手を引いて走り出した。
男が何者なのかは分からないが、あのまま留まっていてはいけない。
逃げなければいけないと、咄嗟にそう思っての行動だった。

廊下を抜け、階段を駆け下り一階を目指す。
息を切らせながらも入口に辿り着いた。
だが、不運な事に鍵が閉まっており出入りが出来なくなっていた。

「そんな…!?」

押しても引いても扉はびくともしない。
ここが駄目なら非常口を探そうとしたが、背後から足音が聞こえて来た。
あの男に追いつかれる。
そう思ったダイヤは、咄嗟に目に入った部屋に飛び込んだ。


489 : 姉妹 ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:47:51 edEgZc4g0
そこは職員室だった。
多くの教員机の上には書類や教員の私物が散らばっており、まるでついさっきまで人がいたような雰囲気があった。
ダイヤは一番奥の教員机の下に、ルビィと共に身を隠した。

姉に抱きしめられて縮こまっているルビィは、今にも泣き出しそうになっている。

「大丈夫、大丈夫ですわ……」

少しでも妹を安心させようと強く抱きしめる。

ガラリ、と職員室の扉が開かれた。

心臓が跳ね上がり声が漏れそうになるのを必死に抑える。

カツ、カツ、カツ、カツ

足音が部屋に響く。
段々と2人が隠れている机に近付いて来る。

だが、何故か直前でピタリと止めた。
2人がじっと息を潜めていると足音は遠ざかって行き、再度扉を開き出て行った。

シーーン

暫く待ってみたが、もう足音は聞こえない。

(助かった…?)

恐る恐る顔を出そうと腰を浮かせかけた時、


ガッ


身を潜めていた教員机が、勢いよく持ち上げられた。

「ハッ、鬼ごっこの次はかくれんぼか?」

そう言って、男は片手で持ち上げていた教員机をポイッと放り投げる。

異様な男だった。

黒いコートを着た白髪の、まだ年若く見える顔立ち。
その肌は病的なまでに白く、口からはギラギラと尖った牙が覗いている。

怯える少女達を見下ろしながら、男は嗤う。

「ただ逃げ惑うだけのつまらん人間だが、女ならば幾らか楽しみようはあるか」

ルビィ抱きしめながら、男をキッと睨みつける。
腕の中ではルビィが小さく「お姉ちゃん…」と、震える声を漏らした。

ス、と。
男が笑みを消し、何かを考える仕草を見せた。

「そうか、妹か…」

小さく呟いたかと思えば、再度ダイヤ達へ視線を戻す。
顔に浮かんだ笑みは、先ほどよりも醜悪に見えた。

「きゃぁっ!!」
「お、お姉ちゃん…!」

男はダイヤの首を掴み軽々と持ち上げた。
必死に藻掻く少女に顔を近づける。

「そこの貧相なガキではなくお前にするつもりだったが、気が変わった」

言うや否や先ほどの教員机と同じ感覚でダイヤを放り投げる。

「っあ……」

受け身を取ることもできずに、頭から壁に叩きつけられる。
視界が酷くフラつく。ルビィの泣き叫ぶ声がいやに遠く聞こえる。
倒れている場合ではない、ルビィを助けなければ。
そんな考えとは裏腹に体中から力が抜けていく。

徐々に意識が薄れる中で最後に見たのは、妹の泣き顔と、男の笑みだった。


◆◇◆


490 : 姉妹 ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:50:11 edEgZc4g0
音が聞こえる。

何かを打ち付けているような音が。

それが一定のリズムで響いている。

何の音だろう?

それに何だか頭が痛い。

痛みに顔を顰めると、徐々に意識がハッキリしてきた。

同時に音も良く聞こえてくる。

何だろう、肌を叩いているようにも聞こえる。

…違う。

今は音の正体や頭の痛みよりも大事な事がある。

そう。

大事な妹の――


「ルビィ!?」

意識が覚醒すると同時に、頭の鈍痛も酷くなった。
だが今のダイヤにとってそんな事は二の次だ。
あの男に気絶させられている間、妹はどうなったのか?
焦る心のまま、先ほどからずっと音がしている方へ顔を向ける。


そして見てしまった。

「――――」


ドビュッ

「こんな餓鬼でもそれなりに楽しめるものだな」

自らのイチモツを曝け出した男。

「ん?丁度いいタイミングで起きたじゃないか」

虚ろな顔で横たわる少女。
身に着けているものは髪を結うリボンと黒のソックスくらいであり、幼さの残る裸体が晒されている。
ドロドロとした白い液体が、秘部から溢れ出し床を汚しているのを見た瞬間、

「あ……」

全てを理解した。


「お前ぇえええええええええええええええええええぇぇぇぇえええエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!」

絶叫と共に飛び掛かろうとしたが、呆気なく押さえ付けられる。

「予想通りの反応だな。いや、そうでなくてはつまらんが」
「ああああああああああああああ!!離せ!!よくも、よくも…!!」

拘束を解こうと暴れ回るが、男は力を全く緩めない。
怒り狂うダイヤへ、新しい玩具を見るかのような視線を向ける。

「私が憎いか?私が許せないか?私を殺したくてたまらないか?ならば、私を殺しに来い。少しでも私を楽しませてみせろ。それまで妹は生かしておいてやろう」

カラン

男はダイヤの目の前に刀を放る。
自身に支給されていたその刀をダイヤが手にしたらどうなるか。
そんな遊び心で自らの支給品を譲渡した。

「…ああ、まだ言っていなかったな」

血走った目で睨みつけるダイヤへ、邪悪な笑みを見せつける。


491 : 姉妹 ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:51:30 edEgZc4g0
「私の名は雅。お前たち人間ではどう足掻こうと決して手の届かない、吸血鬼の長だ」

そう言うとダイヤを背後に投げつけた。
先ほどよりも力を抑えている為気絶はしなかったものの、ダイヤは痛みに思わず呻く。
その隙に未だ放心しているルビィを引っ掴み、ガラス窓をぶち破って去って行く。

「待ちなさいっ!」

人間離れした脚力で、あっという間に二人は遠ざかって行った
静止する声が職員室に空しく響く。

「許さない…!あの男だけは、絶対に…!!!」

今のダイヤには森嶋帆高と天野陽菜などどうでも良かった。
雅と名乗った男。
妹を汚したあいつは絶対に許さない。
何としてもあの男から妹を助け出す。

刀を拾い上げると割られた窓を飛び出し、ダイヤは脇目もふらずに走り出した。


【黒澤ダイヤ@ラブライブ!サンシャイン!!】
[状態]:頭部と背中に鈍痛、精神疲労(大)、憎悪
[装備]:紅桜@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:雅からルビィを助け出す
1:雅を追いかける
[備考]
※参戦時期は少なくとも第一期終了後。

【紅桜@銀魂】
鍛冶屋、村田鉄矢が鍛え上げた刀と機械兵器を融合させた刀。
人工知能を持ち、使用者に寄生して戦闘データを蓄積し進化する悪魔の兵器。


◇◆◇

ザー ザー ザー ザー

実に面白い事を考える老婆だ。
最初に観た映画は酷くつまらなかったが、この催しは悪くない。
参加者どもが血眼になって自分を殺しに来るこの状況で、森嶋帆高はどうするのだろうか。
或いはそんな連中から森嶋帆高を守ろうとする者も出てくるかもしれない。
そいつらがかち合ったら、人間らしい醜い争いが起こるのだろう。

日本を支配してからは退屈でつまらない毎日だった。
こんな面白い催しに招いてくれた事には礼を言ってやってもいい。

だが、この首輪はいただけない。
これで私を飼いならしたつもりか?
私を高みから見下ろし、支配者を気取っているのか?
今はそう思っていればいい。
どうせ長くは続かない。

この催し飽きるまで遊んだ後は、神子柴よ、お前とも遊んでやろう。

さて、この娘はどうするか。

殺すのは容易いがそれではつまらんな。
吸血鬼にして姉に再会させてやるか、それか別の遊びを考えるか。
どうせ時間は十分ある。
焦る事も無いだろう。

…ああ、それにしても。

こんな面白い催しでも、やはりお前がいなくては物足りない。
今も昔も、私を最も楽しませてくれるのはお前なんだよ。
ここにお前もいるのなら、早く私の元に来い。
いないのならば、無理やりにでもこの会場に辿り着け。
たとえどんな場所だろうと、どれだけ困難な道だろうと。
私がいると知れば、お前は必ず私を殺す為にやって来る。

そうだろう?明。


【雅@彼岸島】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品1〜5(ルビィの分も含む)
[思考・状況]
基本方針:やりたいようにやって楽しむ
1:明がいるのなら会いたい
2:この娘(ルビィ)はどうするか
3:さっきの女(ダイヤ)がどう動くか期待
[備考]
※参戦時期は48日後で精二を喰い殺した後。


492 : 姉妹 ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:52:27 edEgZc4g0
どうしてこうなっちゃったんだろう。

スクールアイドルのレッスンをして。
花丸ちゃんや善子ちゃんとお喋りをして。
そんな風に、いつもの日常を過ごしていたのに。

ルビィ、これからどうなっちゃうのかな。
もっと酷いことをされちゃうのかな。

こんな汚れた体じゃ、もう皆には会えないのかな。

分かんない。
分かんないよ。

お姉ちゃん……。


【黒澤ルビィ@ラブライブ!サンシャイン!!】
[状態]:精神疲労(極大)、放心、ほぼ全裸
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:?????
0:……
[備考]
※参戦時期は少なくとも第一期終了後。


493 : ◆ytUSxp038U :2021/01/31(日) 00:53:26 edEgZc4g0
投下終了です


494 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:00:10 EBQv8UCQ0
投下します


495 : FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:01:56 EBQv8UCQ0
「これは売れるぞ……絶対売れる」

「売れるって、あんた……」

決してして大柄ではないが、体躯の良い髭を生やした悪人面の中年男が喜びの溜息を吐く。
それに対して、テーブルを挟み中年男の正面に座る長身で無精髭を生やした男が、呆れるように声を洩らす。

ここは森嶋帆高を巡るバトルロワイアル、その会場に設置された施設の一つ。
乱雑に積み上げられた本や資料、机に置かれた使い込まれたパソコン、それなりに整頓されたキッチン。
仕事場であり、生活感が溢れだすここは須賀圭介その人の事務所であった。

「間違いないよ。須賀さん、あんたの言ってた通り、神様は本当に居て陽菜ちゃんは生贄になったんだよ」
「……」
「少なくとも、その娘は消えたんだろ?」
「だからって……」
「そこで、あのババアがどう絡むのかは俺にも分かんねえけど……とにかく、神様はいる」
「……工藤さん」

中年男に語り掛けられているのはこの事務種の主、須賀圭介だ。
あの映画、今までの自分達に起きた出来事をダイジェストに纏めたかのような、
そんな、奇妙な映画を見せられた後に妙な殺人ゲームの開始を宣言され、気付けば見慣れた自分の事務所に居た。

あまりの異常時に混乱するも、須賀は周辺の様子を伺う為に外に飛び出し、この男と工藤仁と出会った。

工藤は映画の内容から、須賀の素性をある程度把握しており、何がどうなっているのか、説明を求めてきた。
須賀も混乱している自分を改めて落ち着かせる意味合いも兼ねて、事務所内であの天気の子と題された映画について大まかな説明をする。

少なくとも、天野陽菜の消息が途絶えたことは間違いないと。

そして工藤は一言、売れると言い出した。

「俺さ、コワすぎっていうDVD撮ってんだよ。簡単に言うと、心霊現象を検証してるドキュメンタリーなんだけど……」

「フェイクドキュメンタリーってやつですか?」

「いやマジもんだよ。ちょっと見てこれ」

「僕も是非拝見したいですねぇ」

ヌッとスーツを着こなした英国崩れのおっさんがソファーの陰から飛び出してきた。

「なんだこのおっさん!?」
「ああ、失礼」

工藤が目を見開き身構えるのをよそに、おっさんはスーツの内側に手を忍ばせる。
まさか銃ではないか。
どこぞの少年が銃を所持していた記憶から、須賀に緊張が走るが予想を裏切り出て来たのは一つの黒い手帳だった。

「警視庁特命係の、杉下右京といいます。
 先ほどは大変失礼致しました。実に興味深いお話だったもので、つい聞き入ってしまいまして……」

それは工藤も須賀も何度か見たことがある警察手帳だった。


496 : FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:02:29 EBQv8UCQ0

工藤に支給されたアイテムの一つが、今までにカメラに納めてきたコワすぎのDVDセットだった。
都合がいい事にここはライターの事務所だ。再生機器には困らない。




「僕、幽霊は信じていましたが……ンフッこんなビデオがあるのなら、もっと早くにお目に掛かりたかったものです」



流石に全てをフルで見る訳にはいかないので工藤がシーンを飛ばし飛ばし、重要な場面だけを見せたがそれだけでもある程度の内容は理解できた。
喜んで見ている右京の横で、須賀も怪訝そうにテレビ画面を見つめる。
確かに面白い。一見、低予算のフェイクドキュメンタリーだが話は練られていると思うし、怪異に対する民謡伝承の考証もしっかりはしている。
特にトイレの花子さん回は、タイムリープものとして完成度は高い。

「……これ怪異の場面、CGで誤魔化してんじゃ……」

「あのさ、須賀さん……もう認めようよ。
 さっきのババアは人生き返らせてるし、実際に陽菜絡みでバトルロワイアルが起きてんだよ!
 なあ? そう思うよな? 杉下さん!」

「須賀さんの語った陽菜さんが本当に天気の巫女であるかは別として、それを神子柴という老婆が信じているのは確かでしょうねぇ」

「……ん? そのビデオカメラ……ウチの?」

「ちょっと貸してくれよ」

何処からか持ってきたビデオカメラを片手に須賀たちを映そうとする工藤、まるで番組の収録のようだ。

「まさか、これ撮って売る気かあんた!」

「絶対に売れるからこれ、ちゃんと皆にも金は払うからさ」

嫌な予感はしていたが間違いない。
これは、この男はバトルロワイアルをカメラに収めてドキュメンタリーにするつもりだ。

「人が死ぬかもしれないってのに……!」
「モザイク入れるから……」
「そういう問題じゃ」
「あと俺、このバトルロワイアルから脱出する方法考えたんだよ」
「はいぃ?」

そう言うと工藤はビニール袋から薄汚い黒の飾り物を取り出す。
これは先ほどのDVDで嫌というほど見せられた。確か呪いの髪飾りだ。
本物の髪の毛で作られていると言っていたが、実物を目にすると一際不気味に見える。

「これ、帆高くんに着けてさ、陽菜ちゃんのとこ行って貰おうと思うんだよね」
「なに、言って……」
「天気の神様と呪いの髪飾り……どちらが勝つのか、実験だよ! 実験!!」

劇中、工藤はこれを用い怪異に挑んでいる場面が多々あった。それと同じくらいに身に着けた者や関わった者は行方知れずになるか、死んでいる。

「こんなもん着けて、どうなるか……!」

ないとは思うが、もし帆高が工藤の言った事を真に受けて、そして呪いが本当にあったのだとしたら。
帆高は、いや陽菜だって巻き添えで、呪いの犠牲になるかもしれない。


497 : FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:02:55 EBQv8UCQ0

「大丈夫だって、俺は平気だったから。
 それに帆高くん一人じゃ戦う手段ないじゃん。だからさ、これつけて……」

「あんた、ふざけるなよ!」

「じゃあ、どうすんだよ! あの神様何とかしないと俺ら溺れ死ぬんだよ!!」

「いい加減になさぁいあああ!!」

「うるせええ!!! 俺の勘がな! これ使えって言ってんだよ!! このままじゃ皆死んじまうぞ!
 んなこと言ってる場合じゃねえだろうがぁああ!!」

叫びながら掴みかかる工藤を右京は華麗な身のこなしでいなし逆に関節技を決めた。

「―――いててて!?」

「いいですか! このままでは我々が死ぬのは事実です!!
 しかし、だからといって無暗な行為は自らの首を絞めるだけではありませんか!?」

「分かった! 分かった!! 分かったから、ちょっとタンマ……!」

お得意の暴力ではどうやっても叶わないと悟ったのだろう。
工藤は先ほどの威勢は何処へやら、弱弱しい声で悲鳴を上げた。

「僕もその方法を考えていなかった訳ではありませんが、
 その髪飾りが果たして神にどれだけ有効かも未知数であり、しかも使用者にどれだけのリスクがあるかも不明。頼るには些か早すぎますよ」

「……分かった。まだこれは、最終手段だから……首輪外そうよ、首輪」

右京から解放された後、おっかなびっくり距離を開いて、工藤はカメラを大事に抱える。

「……」

どちらにしても撮影をやめる気はないのを見て須賀は呆れ果てた。

「じゃあ、取り合えず……首輪外せる奴探そう……須賀さんもそれでいいよな?」
「僕もそれが良いと思いますよ」

とはいえこのゲーム、須賀一人で何がどうこう出来るわけでもない。
一応はバトルロワイアルに反対派で、協力できそうな人物と二人会えたのだ。
工藤の監視の意味も含めて、行動を共にしても良いかもしれない。

「ただ工藤さん、早まった真似は控えてくださいね」
「分かってる、分かってる」
「本当でしょうかねえ」

大丈夫かこいつ? 
怪訝そうな顔をしながら須賀は溜息を吐いた。


498 : FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:03:54 EBQv8UCQ0


「ところで須賀さん、それは結婚指輪でしょうか? 二つ付けていらっしゃいますね。……それは奥様とご関係が?」

「杉下さんでしたっけ? ……今、言わなきゃいけませんか?」

「ここは貴方の事務所という事で……女性の化粧品などを見つけましてね。
 もし、それらが奥様のものでご健在なら当然、結婚指輪ももう一つある片方を嵌めるはず……しかし、貴方は今二つの結婚指輪を嵌めていらっしゃる。
 ……どうにも気になりましてね」

「化粧品はウチで雇ってる姪のもので、妻は亡くなりましたよ……」

「それは……失礼致しました。
 それともう一つだけ、これも気になっていたんですよ。

 貴方はオカルトを否定なさっていますが、いざとなれば必死にあたかも存在を認めるかのように、工藤さんをお止めになられた。
 ……これ、ムーですね? オカルト誌です。これの貴方が書き上げたと思われる原稿らしきものも拝見しました。
 あのコワすぎのビデオも貴方は実に興味深く、鑑賞なさっていた……。

 須賀さん、貴方はオカルトを否定しながら、強い関心があるのではありませんか?
 ああ、先ほどから何度も指輪にお触れになっていますね……癖でしょうか?」

「……いけませんか」

「細かい事が気になってしまうのが、僕の悪い癖」

「……その癖、治す気ないでしょ」

「ただ……僕は今の時点で帆高くんを陽菜さんに会わせるべきではないと考えています。
 あまりにも不確定要素が多く、二人にとってもそして我々にとっても危険だからです。須賀さん、貴方は―――」

「……」

「二人とも、何話してんだ!? 早く行くぞ!!」

工藤の怒声で話は打ち切られ、右京は背を向ける。

まるで、あの刑事に全て見透かされているかのような。それも自分の知らない心の底まで見通されているような。

「二人を会わせるな。……そんなこと」

分かり切っている事だ。
二人が会えば他の人らが死ぬ。だから、食い止めろなんて誰がどう考えてもその結論に至る。

また、無意識に指輪に触れながら須賀は右京の後を追った。


499 : FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】 ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:04:22 EBQv8UCQ0

【須賀圭介@天気の子】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帆高を見つけてから考える。
1:工藤を警戒。
[備考]
※陽菜が消えて以降からの参戦です
※コワすぎ本編をある程度把握しました


【杉下右京@相棒】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:誰の犠牲もなくゲームから脱出する。
1:首輪の解析と帆高の探索。
2:工藤を警戒。
3:それはそれとして幽霊や神様がいるなら見たいですねえ
[備考]
※参戦時期は冠城登場以降の何処かです
※コワすぎ本編をある程度把握しました


【工藤仁@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!】
[状態]:健康
[装備]:呪いの髪飾り@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!、ビデオカメラ@現地調達
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、コワすぎ!DVD@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!
[思考・状況]
基本方針:コワすぎ!を撮る。
1:なんとしてでも右京の隙を突き、帆高に髪飾りを渡して陽菜の元に送り込んで、髪飾りの呪いと神様を戦わせる。
2:右京を警戒。
[備考]
※参戦時期はタタリ村に行く前の何処かです



【呪いの髪飾り@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!】
人を呪い殺すための呪具であり、身につけたものは死亡もしくは人知れず行方不明になる。
工藤はこれを手に巻き付け、ぶん殴って除霊(物理)を行う。
除霊された被害者は正気に戻ったりもする。
工藤にも呪いが降りかからない。
普段は犬のウンコを入れるように、ビニール袋に入れて保管してある。


【コワすぎ!DVD@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!】
工藤たちの活躍が収録されている。


500 : ◆VNz2VDTKZc :2021/01/31(日) 11:04:54 EBQv8UCQ0
投下終了です


501 : ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 00:05:00 Vq/o5n4Y0
投下します


502 : 嘘も誤魔化しもきかないこの世界 ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 00:07:27 Vq/o5n4Y0
シーーン

静まり返ったデパート内で、一人の参加者が恐怖に身を震わせていた。
その者はまだ幼い、小学生くらいの少女であった。

「こ、こんなのありえませんわ…。どうせ夢に決まって……」

少女…北条沙都子は自分の身に降りかかった事態を必死に否定しようと言葉を紡ぐ。
いきなり妙な映画を見せられた時は困惑こそしたが、スクリーンに映し出される物語に魅せられてしまい、
最初の困惑も忘れて夢中で鑑賞していた。

だが映画が中途半端に終わったと同時に現れた老婆。
その老婆の手で人が殺された時、映画を見ていた時の興奮は、一気に恐怖へと変わった。
女性の死体に悲鳴を上げた瞬間意識が遠のき、こうしてどことも知れぬ森の中に立っていた。

きっと自分は悪い夢でも見ているのだと思い込もうとした。
けれど夢にしては余りにもハッキリと、先ほどの惨たらしい光景が脳裏に焼き付いている。
おまけに首をなぞると冷たい金属の感触があり、嫌でもこれが現実だと思い知らされてしまう。

「ぅあ……」

歯がカチカチと鳴り、涙が溢れそうになる。
恐い。どうしようも無いほどに恐い。
いつも自分を支えてくれる部活メンバーは傍にはいない。
こんな訳の分からない場所で一人ぼっちだなんて、耐えられない。

映画に出ていた少年を殺せば無事に帰れると老婆は言っていた。
今すぐにでも仲間の所へ帰りたいが、その為に人殺しなんで出来る訳がない。
しかし殺さなければ帰れないどころか、この場所ごと水に沈んで死んでしまう。

どんな願いも叶えるとも言っていたが、その為には結局他人を傷つける事になければならない。
普段からトラップマスターなどと呼ばれているが、他者を殺す為にその技能を使えとでも言うのか。
仮にもし願いを叶えて、失踪した兄が帰って来てくれたとしても、人を殺してしまったらきっと自分は兄や仲間に拒絶されるに決まってる。

正に八方塞がりな状況。
思わず膝を抱えて泣いてしまいそうになる。

その時だった。


ハァ ハァ ハァ ハァ

「ヒッ!?だ、誰ですの…?」

突如聞こえた荒い息遣いに、沙都子は心臓が跳ね上がりそうになった。
慌てて振り返ってみると、誰かが電源の入っていないエスカレーターを昇ってこちらに近付いているのが分かった。
姿の見えない人物に警戒を抱くが、同時に期待してしまった。
ひょっとしたら自分の知る誰か、圭一達が現れるのではないかと。

そんな思いを抱き、沙都子はエスカレーターを注視する。

そして見た。
現れた者の姿を。


503 : 嘘も誤魔化しもきかないこの世界 ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 00:08:51 Vq/o5n4Y0

「えっ……」

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…!」

現れたのは見知らぬ男。
肥満体で汗が滲んだシャツ。
顔にはニキビが浮き出ており、不衛生な印象を与える外見をしていた。
だが、それよりもっと異質な特徴が二つある。
本来人間にあるはずの白目がなく、代わりに赤黒い瞳が沙都子を捉えている。
大きく開かれた口からは、鋭く尖った二本の犬歯が突き出ていた。

余りにも異様な男の風貌に沙都子の思考は、一瞬フリーズしてしまう。
男はその僅かな隙に、図体にに使わない俊敏さで沙都子に襲いかかった。

「い、いやっ!離してください!」

沙都子は男から逃れようと藻掻くが、倍も体格に差がある男には全くの無意味。
少女の必死の抵抗を嘲笑うかのように、男は沙都子の白い首筋に噛みついた。

「あっ、あっ、あぁ…」

男に噛まれた瞬間、沙都子は体中が痺れるような感覚に襲われ、徐々に力が抜けていった。
ゴクリ、ゴクリ、と男が沙都子の血を吸う。

(い…やぁ……なに……これ……)

視界が定まらず、意識がぼんやりとしてくる。
血を吸われる度に体が痙攣し、そして

チョロロロロ

失禁により水溜まりができた。

「っかー!美味ェ!初めて飲んだが、生JSの血は最高だぜ!」

男は満足気に口元を拭うと、痙攣している沙都子を見下ろす。
漂うアンモニア臭と、尿で濡れた下着。
それらを眺めるニキビ面には、隠しようも無い下劣な欲望が浮かんでいた。

「ついでだ。ちょいと味見しとくか」

ビリ ビリ

あっという間に男は沙都子のスカートと下着を破り捨てる。
凄まじい恐怖と嫌悪が沙都子の中に湧き上がるが、体に力が全く入らない。
男が自分に何をするつもりなのかは、ぼんやりした意識では考えがつかないが、ロクな事で無いのは確かだ。
この男が自分に向ける視線は叔父とは違う、されど害を与える者という点では同じ。

「や、やめ…て…」

絞りだした声を聞いても、男が躊躇する様子は無い。
ただ舌なめずりをしながら、自分のズボンをパンツごと一気に下ろし、そそり立った肉棒を露わにする。

「へへ、少しくらいは優しくしてやるから安心しろよ。まぁ、ついやり過ぎるかもしれな――





ザンッ





――へ?」

男は何か違和感を自分の右腕に感じた。

キョトンとしながら視線を移すと、そこにあるはずの腕が無く、血が噴き出していた。


504 : 嘘も誤魔化しもきかないこの世界 ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 00:10:45 Vq/o5n4Y0
「ギャアアアアアア!!俺の腕がァァァァ!?」

突然利き腕を失い男は悲鳴を上げる。

「おい」

のたうち回る男へ掛けられる声。
男が見上げてみると、そこにはこちらを睨みつける者がいた。


◆◇◆


顔に一筋の傷を持つ男、宮本明は冷たい瞳で吸血鬼を見下ろす。

蟲の王を撃破し、左吉の仇を取るべく吸血鬼たちの集落を目指していたはずが、バトルロワイアルとかいうふざけた遊びに参加させられていた。
死者の蘇生すら可能な神子柴の力に思う所はあったが、それよりもこの吸血鬼の方が先である。
スタート地点だったデパート内から聞こえた物音の方に来てみれば、幼い娘が吸血鬼に犯されかかっている場面に遭遇し、特に躊躇する事もなく支給された西洋剣を振るった。

「テメェ!何しやが…って、あ〜!?お、お前はあの時の…!?」

左手で自分を指さす吸血鬼を訝し気に見やり、一瞬の間を置いて明も思い出した。

「…そうか、初めてユカポンと会った時にいた奴か」

明の仲間であるアイドルのユカポン。
この吸血鬼はユカポンのファンであったが、彼女への歪んだ愛が爆発し日常的にレイプしていた。
逃亡したユカポンを仲間と共に捕えた所を明一向に遭遇、仲間はあっという間に斬り刻まれ、この吸血鬼もまたユカポンに包丁で滅多刺しにされ殺されたはずだ。

やはり神子柴の持つ力は本物なのかと、内心警戒を強めながら尋問を続ける。

「俺の質問に答えろ」
「ざけんじゃねぇぞクソ人間!あの時テメェらさえ来なけりゃ、俺はユカポンとアナルセックスを『ザンッ』ってうげえええええ!!また腕がァァァ!!」

以前と同じように吸血鬼は両腕を失った。
ついでと言わんばかりに両脚も切断し達磨にしてやる。

「アガァァァァ!!今度は足がああああああ!?」
「大人しく答えろ。それともまだ斬られ足りないか?」
「ひいいいいいいいいいいっ!こ、答えますううううう!だから命だけはあああっ!」

首筋に剣を当て言い放つ明に、吸血鬼は強気な態度を一転させた。
命乞いする吸血鬼を見下ろしながら、明は質問を投げかける。

「お前は自分がどうやって生き返ったのかを知っているか?」

最初の質問は蘇生の方法。
生き返らせた力の正体が分かれば、神子柴へ繋がる手掛かりが得られるかもしれないと踏んでの考えだった。

「そ、それが俺にもサッパリでして…。ユカポンに包丁で殺された所までは覚えてるんですが、気が付いたらあのババアに映画を見せられてたんです…」

神子柴の力が何なのかは分からなかった。
ただやはりこの吸血鬼が一度死んだというのは確かなようだ。

「なら次に…このふざけた殺し合いには雅の野郎が関わっているのか?」

雅。
この手で殺さなくてはならない吸血鬼の王。
ひょっとしてこの悪趣味なゲームには雅も一枚噛んでいるのでは?と疑問に思い聞いてみたが…。

「さ、さっきも言った通り俺にも何が何だか分からないんです…。だから雅様が今どうしているのかも全然……」
「……そうか」

予想はしていたが、やはり雅についての情報は得られなかった。
尤も、こんな雑魚吸血鬼が重要な情報を知っているとは最初から期待しておらず、あくまで一応聞いただけなので大して落胆もしなかったが。

「あの〜…。ちゃんと素直に答えたんだし、これで助けてくれビュッ!?」


【ユカポンのファンの吸血鬼@彼岸島 死亡】


505 : 嘘も誤魔化しもきかないこの世界 ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 00:13:40 Vq/o5n4Y0
用済みとなった吸血鬼の首を刎ねると、血を振り払い剣を鞘に収める。
そしてようやく放置されていた沙都子に話しかけようとした。

が、彼女はとっくに意識を手放していた。

ただでさえ吸血鬼に襲われた時点でいっぱいいっぱいだったのに、間近でスプラッタショーを見る羽目になったのだ。
精神的に限界が来たのだろう。

「仕方ねぇ…」

少々バツが悪そうにしながら沙都子を担ぎ上げる。

(年の頃は勝っちゃんと同じくらいか……)

まずはこの少女を寝かせられる場所に移動する。
それから着替えも見つけてやった方が良いだろう。
幾ら小学生とはいえ下半身丸出しはかわいそうだし、自身にあらぬ誤解が掛けられても困る。
そこまで面倒を見てやる義理も無い見ず知らずの相手だが、このまま放置するのも気が引ける。

(俺も甘くなったもんだな…)

本土に来たばかりの頃の自分なら、きっと幼子だろうと無視していただろう。
あの頃は雅を殺す事以外に、余計なものを背負う気は無かったのだから。
しかし、自分は本土で気の許せる仲間を得た。
信頼できる仲間と共に戦い生き抜く中で、忘れていた温かな人の心を思い出した。
だからだろうか。
こうして名前も知らない少女を放っておけずにいるのは。

だからこそ、自分は帰らなければならない。
仲間が、そして宿敵が待つ場所へ。

崩壊した日本ではない、雅に支配される以前の街が再現された会場。
ここがいったいどこなのかは知らない。
だがもしこの地に雅がいないのならば、のんびりしているつもりも死ぬつもりも無い。
手っ取り早く帰るには森嶋帆高を殺せば良いらしいが、あの映画を見た限りだと帆高は普通の人間。
余程の大悪党ならばまだしも、滅多な事以外で人を殺すつもりのない明としては、あの危なっかしいが善人寄りの少年を殺す気は今の所ない。
何より神子柴が素直に約束を守る保障も無い。
爆弾付きの首輪を嵌めて、一方的に命のやり取りを強要する輩を信用しろと言われても無理な話だ。

だがもしも、もしも他に方法が無いのだとしたら。
その時は帆高を――

「いや、まだ結論を出すには早いな」

今はまだ考えが纏まっていない。
焦って答えを出して、取り返しのつかない事態になったらそれこそマズい。
今は担いでいる少女を介抱してやる。
それから森嶋帆高を探す。
今は殺す気は無いとはいえ、こちらの生死を無視して天野陽菜に会おうとするのなら流石に止めなければならない。

「にーにー……」

一先ずの方針を決め歩き出した時、少女が声を漏らす。
夢でも見ているのだろうか。
それとも無意識の内に、誰かに助けを求めているのだろうか。
明には判断が付かなかった。
しかし、「にーにー」という呼び方から、恐らく少女の求める人物というのは…

(兄貴、か……)


【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:気絶、精神疲労(大)、失禁、下半身裸
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない、生きて帰りたい
0:……
[備考]
※参戦時期は前原圭一が転校してきて以降のどこか。


【宮本明@彼岸島】
[状態]:健康
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜5(ユカポンのファンの吸血鬼の分も含む)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗る気は無いが、襲って来るなら容赦しない
1:少女(沙都子)を寝かせられる場所に移動する
2:森嶋帆高を探し、天野陽菜に会うのを強行する気なら止める。(今の所は帆高を殺すつもりは無い)
3:吸血鬼や化け物は殺す
[備考]
※参戦時期は48日後で蟲の王を倒し、筏で移動してる辺り。

【無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate/Zero】
円卓最強の騎士、ランスロットの愛用の剣。
『約束された勝利の剣』と同等の強度を誇り、決して刃こぼれする事はない。
また、約束された勝利の剣と同じく神造兵装とされる。
『約束された勝利の剣』の兄弟剣とされ、人類が精霊より委ねられた宝剣。


506 : ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 00:14:53 Vq/o5n4Y0
投下終了です


507 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 00:21:14 0Dk6kXfQ0
投下します


508 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 00:21:49 0Dk6kXfQ0
 何処かの事務所か。
 応接室らしき場所のソファに腰掛ける、
 白黒を基調としたメイド服の少女が座り込む。
 微動だにせずにいる姿はまるで人形のようだが、
 参加者としての首輪がそれを否定してくる。
 黒いツインテールを揺らしながら赤い瞳を開く。

(奇怪な状況も、二度目ともなれば驚きませんね。)

 彼女はグレア。ユウロピウム社の持つナノコロナ技術によって、
 製造された……砕けて言えばパソコンの機能を備えた人造人間のメイドである。
 よくわからないまま何処かへ送られる、と言うことはすでに経験済みだ。
 元々感情の起伏が余りあるわけではない上での二度目。大して何も思わない。
 老婆の不可思議な力も、ユウロピウム社の割とトンデモ技術もみたことだ。
 あれを上回るものとしても、今になって驚くほどのことでもなかった。

(帆高と陽菜、でしたか。)

 先ほど見せられた映画にして、
 このバトルロワイアルの主要人物。
 映画を眺めてると、どことなくあの物語には少しだけだが覚えがある。
 彼女が今の主に取り寄せてもらった児童書『ムーンプリズン』。
 月の怒りに触れたことで月の下でしか存在できなくなった姫を、
 嘗ての親友があえて月の怒りを買ってでも共にあろうとした展開がある。
 決して長い時間ではない。人の生きる時間においては短い時間での関わり。
 それでも、二人にとってはその時間が大事なものであり、尊いものだと。
 プルケも帆高も、後先考えず捕まっても仕方がない行動をしてるところが似るのは、
 少々いかがなものかとも思うが。

(私にとっては、もう羨む理由もないですね。)

 心にぽっかりと空いていた穴。
 どこの誰とも分からない人間の下へいきなり送られ、
 友と言える存在もいなかった故に孤独だったのも昔の話。
 料理ができるのにめんどくさがったり、人並みの欲もある何処にでもいる主。
 彼女にとってのよりどころは既にある。今更願うものなんてものはないし、
 バトルロワイアルについては欠片も興味なかった。

(どう行動しますか。)

 とは言え放っておけば自分は死ぬ。
 他人に任せていればいいと言うものでもなし。
 生に執着はしないが、ようやく得た場所がある。
 それを捨てたくはないので、一先ずやるべきことを決める。
 本来は主の指示も必要だが、主がいない今は自分の意志で動く。

(手段は基本的に二つ。帆高の死滅、及び首輪の解除からの脱出。)

 正直なことを言えば自身の命が最優先。
 主以外の赤の他人を優先する道理はない。
 無論、必要でもないならそれに越したことはないが。
 主がいた場合は流石に優先せざるを得ないものの、
 呼んだところで何の面白みもないだろうからその線は放っておく。
 本音を言えば、こんなのに参加なんてしないでほしいのもあるが。

(……ネットワーク機能はあるようで。)

 両手を少し広げながら目を閉じる。
 どこに繋がってるのかは知らないが、
 此処にもネットワークの回線は生きている。
 ひょっとしたら首輪が回線の役割も担ってるのか。
 事実は分からないが、普段通り検索で大概のことは分かるだろう。

(検索する言葉は考えないと、一発でアウトでしょうけど。)

 自分を拉致した以上は性能も知っているはずだ。
 旧型と言えども検索機能は十分に機能している中、
 相手がそのネットワークを把握してないわけがない。
 ストレートに首輪の解除方法なんてものを調べれば
 間違いなく回線が使えなくなるか爆発で終わってしまう。

(解除は秘密裏に行うとして、
 もう一方の帆高の死滅……これはなんなのでしょうか。)

 ルールの一文に疑念を抱く。
 死亡の方が単純で分かりやすい。
 態々死滅と言う表記は珍しい方だ。

(ひょっとして帆高は複数いるのでは?)

 これが表記ゆれでもなんでもないのなら。
 その前提で考えたことで思いつく一つの仮説。
 想えば老婆は帆高が一人とは一言も言っていない。
 ルールにもそれらしい一文の存在はなかった。
 一人を相手に何人もの参加者を食い止めるのは容易だが、
 もし何人もいればそれは食い止められるわけではない。
 自分のように人造人間の技術はとうに進んでいる。
 今更帆高が五十人や百人いたっておかしくはない話だ。
 一先ずは一人と仮定しておいて行動はするものの、
 増える可能性については気を付けておきたい。
 ……実際は増えるわけではないが。


509 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 00:22:38 0Dk6kXfQ0
「一先ず、彼を探してからにしましょう。」

 何にしても帆高が目的地に着いたらゲーム終了。
 ゲームが続けば最悪二日までの猶予があるが、
 終われば数時間と大幅に短いタイムリミットになる。
 何よりも回避するべきなのは此処であるのは間違いない。
 あの性格だ。話し合いが通じるかどうかは別としても
 せめて目の届く範囲にいなければならない。
 見つからなければ最悪ゴール地点で待つのも手か。
 かなり際どい所だが、同じ思考の人もいるはず。
 一先ず彼が移動するラインを特定する為に席を立つ。

「フィリップ!」

 同時に、事務所の扉が勢いよく開かれる。
 外で降り注ぐ雨に打たれていたのがよくわかる程に、
 髪に、服に、帽子から水が滴り落ちている、若い男性と視線が合う。

「……悪い、此処がうちの事務所に似てたから、
 ひょっとしたら俺の知り合いがいると思ってた。」

 予想してた人物と全く違う相手に、
 どこか照れ臭そうに帽子を深く被る。

「私の自宅ではありませんので、どうぞご自由に。」

「そうかい。ちょっとタオルでも借りるか……」

 男性、左翔太郎はタオルを借りるとは言っていたが、
 ついでにコーヒーに傘と割と図々しく色々借りている。
 どうにもグレアにはそれが疑念だったものの、
 彼曰く人の気配がしないので気にする必要がないと分かってるからだ。
 彼女にとっては人込みとかには全く無縁の世界にいたので、
 人がいないと言うことについてデータあると言えばあるが、
 余り感じたことがないので実感はわきにくい。

「コーヒー、アンタも飲むか?」

「いえ、私は食事の必要はないので……」

 閉鎖的な家にいたときは主に言われて付き添ったが、
 今回は食料は人にとっては大切な代物になる。
 無暗に消費しない方がいいと判断して断っておく。

「ナノコロナ技術、か……NEVERみたいなトンデモ技術だな。」

 コーヒーを淹れる間、二人は軽く自己紹介を済ませる。
 ガイアメモリと言い、世の中には不思議な力もあるようだ。
 前に出会ったオーズもメモリとはまた違った力でもあった。
 世の中には見知らぬものがまだまだ存在しているらしい。

「一息ついたら俺は帆高を探しに動くが、アンタはどうするんだ?」

 互いにお題を達成する気はない。
 となればお互い仲間の立場になる。
 左としても守ってあげるべき対象になりうるが、
 残念だが今の彼にはメモリもなければドライバーもない。
 いくら腕っぷしが強いと言えども、戦うには限度はある。
 此処に置いていく方がまだ安全とも言える状況だ。

「私一人残ったところで何も変わりはしません。
 事態解決の為、協力し合うのはどうでしょうか。
 検索機能もあるので、ある程度はサポートできますが。」

「検索……」

「どうかされましたか?」

「いや、あんたと同じような検索ができる奴がいてな。
 そいつを思い出しちまったんだ。」

 相棒であるフィリップはもういない。
 消えた今も何処かにいるような気がすることもあったが。
 今は一人で風都を泣かせる犯罪者へと立ち向かっている。
 (厳密には照井たちもいるので厳密には一人ではない)

(検索ができる人?)

 自分のように検索ができる存在がいるのは不思議ではないが、
 ナノコロナ技術は大手企業の割に、彼は知らないようでもある。
 恐らく自分達とは別の存在でありながら、検索機能を備えた存在。
 これについてはあの老婆の力よりも興味が惹かれる存在だが、
 初対面相手に尋ねられる相手ではないのは表情から察せられる。

「大切な人のようですね。」

 知り合いと、他人行儀な言葉で言うには影を落とした表情。
 彼には知り合いの一言で済ませられない、大切な間柄なのが分かる。

「ああ、俺にとっては相棒だ。」

「私にも大切な人がいるので分かります。変態ですけど。」

「酷い言い草だなおい。」

「それぐらい言い合える間柄、と思っていただければ幸いです。」

「確かに、俺も亜樹子とはそんな感じだな。」


510 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 00:23:04 0Dk6kXfQ0
 コーヒーを飲み終えるまでの間、軽い談笑が続く。
 凡そ殺し合いとは無縁そうな空間に見えてしまう程に、
 此処では何も起きないまま時間が流れている。
 とは言え談笑ついでに自分の支給品を確認したり、
 時間を余り無駄にはしていなかったが。

「検索機能ってなんか制限はされてるのか?」

「試そうと思ってた矢先に会ったのでまだ。
 検索をしてみようかと思いますが、何かありますか?」

「いや、現状だと情報不足だ。
 今は移動手段でも探してみるか。」

 雨の中だろうとお構いなしに帆高は動くが、
 帆高を殺すつもりであろう参加者だっている。
 同じように動いて体力を消耗するわけにもいかないし、
 移動手段を確保しておくことで後に繋がるので欲しい所だ。
 最悪、徒歩は覚悟する必要はある。

「んじゃ、よろしく頼むぜ。」

「改めてよろしくお願いします左さん。
 私が見限るまでの間、私は貴方と共にありましょう。」

「怖いこと言わないでくれ……」

「私のユーザー登録における前口上みたいなものです。
 余程酷い行動をしない限りは大丈夫なのでご安心ください。」

 事態を解決するようなまっとうな人間であれば、
 見限ることは一先ずないことはごもっともな話だ。
 左は目的を曲げるつもりはない。願いを叶える力を前にしても、
 フィリップを復活させようだなんて考えは持っていない。
 風都でなくとも、街を泣かせる奴を許すわけにはいかない。

「思ったんだが、雨は大丈夫なのか?」

「そこもご安心を。この体は防水です。
 体温とかは感じますが濡れてても問題ありません。」

「何があるか分からない、あんたも持っておきな。
 他の人に渡すこともあるかもしれないし、最悪傘だって立派な武器だ。」

「それもそうですね。」

 事務所にあった傘を拝借しながら、二人は雨の街へ飛び込む。
 目指す場所は途方もない場所。しかし必ず乗り越えていつもの場所へ戻る。
 二人はこのバトルロワイアルでも下から数えた方が早い程度に強くはない。
 しかし、その覚悟は冷たい雨の中でも熱く、それでいて鋼の如く固い決意だ。

(問題は、メモリか。)

 とは言うが、左としては問題となるメモリとドライバー。
 あれがあれば大分安全になるものの、彼の支給品にはなかった。
 確かにない。それは困るのだが、その内来ると言う確信がある。
 大道克己が起こしたあの事件の時と同じように。
 きっと切り札は、自分の所へとやってくる。
 そんな気がしてならなかった。


511 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 00:23:50 0Dk6kXfQ0
【左翔太郎@仮面ライダーW】
[状態]:濡れ気味
[装備]:傘@現地調達
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(確認済み、ベルトとメモリではない)
[思考・状況]
基本方針:街の泣かせる奴は放っておけない。たとえ風都でなくとも。
1:グレアと一緒に行動。検索機能も使ってみるか?
2:切り札は来る。そんな気がする。

※参戦時期は最終回、フィリップ復活前です。
※一時的にグレアのユーザーとして登録されてます。

【グレア@Glare】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:主の下へ帰還。
1:首輪の解除手段の模索。
2:最悪自身の生存を最優先。必要以上の犠牲は可能なら避ける

※参戦時期は1のエピローグ中です
 あくまでGlare1.10(または1.20)である為、
 1moreなど続編等で追加された設定等はありません
※検索機能は使えますが、ゲームを破綻させるものは検索できません
 (一例:帆高の現在位置、首輪の解除方法、参加者の位置情報等)
 Glare以外の固有名詞も引っかかるかは現時点では不明
※帆高が複数人いるのではないかと推測してます


512 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 00:24:58 0Dk6kXfQ0
以上で【Gの始まり/ただのメイドに非ず】投下終了です


513 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/01(月) 01:05:04 0Dk6kXfQ0
グレアの状態表ミスってました
正しくは此方になります

【グレア@Glare】
[状態]:健康
[装備]:傘@現地調達
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:主の下へ帰還。
1:首輪の解除手段の模索。
2:最悪自身の生存を最優先。必要以上の犠牲は可能なら避ける

※参戦時期は1のエピローグ中です
 あくまでGlare1.10(または1.20)である為、
 1moreなど続編等で追加された設定等はありません
※検索機能は使えますが、どこまで検索可能かは現時点では不明
 (Glare以外の、他作品の固有名詞も引っかかるかどうかも現時点では不明)
※帆高が複数人いるのではないかと推測してます


514 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 17:21:45 1bDlp9GI0
投下します


515 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 17:22:01 1bDlp9GI0
クーケン島っていう、なんてことない島の

ラーゼンボーデンっていう、なんてことない村

そこで暮らしていた、なんてことないあたしは、ひょんなことから冒険をした

誰も経験したこともないような、誰も知らない、あたしたちだけの大冒険を二度も

嬉しいこともあったし、悲しい別れもあった

今でも、あの大冒険を知る人はほどんどいない

始まりも終わりも、何も知ること無く。皆、毎日変わらず暮らしている

あたしは今でも時々思い出す、あのときの仲間たちと過ごした日々――

そして、眩しいくらいに輝いていた、あの奇跡のように貴重で得がたい、一夏の日々のことを



王都から故郷に帰ってまもなく、なんてことない日々の生活の中に戻ったあたしの前に

――人生最大の困難が待ち受けていた


○ ○ ○

「うわぁ……」

窓から今だ雨降り止まぬ外景色に映る高層ビル郡を眺める少女が一人。名をライザリン・シュタウト。クーケン島ラーゼンボーデン村出身の農家の一人娘にして、錬金術師である
彼女のいた世界において、王都ですら見なかった巨大で頑丈な建物がまるで森のごとくそびえ立つ光景は流石に壮観としか言いようのない光景だ

「……なんて、今回ばかりは呑気に眺めている余裕なんてないよね」

王都から島へ戻ってきて、またいつもの日常が始まると思っていた途端に、この訳のわからない何かに巻き込まれ、見せられたのはライザのいた村にも王都にもなかった動く画
地元の鬱屈から逃げ出し、少女と出会った少年のボーイ・ミーツ・ガールの物語。元々ライザが錬金術師になったきっかけの一つとしても、退屈な村のしがらみからの脱却というのもあり、細かい所はともかく共感できる部分もあった

……今回、神子柴なる老婆が言っていたのは、あの動く画の物語の主要となる人物、森嶋帆高と天野陽奈が深く関わる『殺し合い』のルール

①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
②『森嶋帆高』が陽菜と出会ったら数時間後にエリア全体が浸水し、『森嶋帆高』と陽菜を除く魚人のような溺死しない種族も含めて全員死亡する。
③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。

はっきりと言えばこんな事を言い渡された上で、目の前で人が殺され、あまつさえこんな老婆の身勝手な催しに関係のない人たちまで巻き込まれた。それも含めてライザの中に神子柴への怒りも十分に燻っていた
勿論人が殺されるところを始めてみた事によってライザにもそういうものに対する「恐怖」は芽生えていた
、だからといってこのまま二人が引き裂かれるバッドエンドの上に森嶋帆高が死んでしまうとなれば自ら選択して人柱になった陽菜の思いが踏み躙られるも同然――そんな事を許せるはずもない
自分が今まで習得した錬金術のノウハウで、何とか二人が出会った上で助かる手段を模索しようとしていた

「……でも、流石に釜が無いのは致命的かなぁ……」

問題は山積みだ。武器の方が支給品に「まどうしの杖」なるものが入っていたからまだいい
致命的なのは、「錬金釜」が無いことだ。錬金術には錬金釜が必須、それがなければ何も始まらないのだ

「……ホダカって人を探さないと行けないし、何より素材も集めないと行けないから、その時にでも見つかれば苦労はしないんだけどなぁ……」

この支給品が入った袋、一体どんな技術を使っているかは知らないが、兎に角なんでも入るのだ。実際大きさに似合わない「まどうしの杖」が入っていたのだ。素材の貯蔵に関してはこの袋があればある程度は大丈夫だろう
後は帆高や錬金用の素材を探しながら錬金釜かそれの代用になる物があればいいのだが……

「……どうやらお困りのようじゃん? お嬢ちゃん」
「えっ……誰……!?」

突然聞こえた声に、思わず杖を構え備える。一人で戦うのは久方ぶりであるが、だからと言ってこんな所でやられるつもりもない。無理はせずもしもの時は逃げるつもりではいた
そんなライザの前に現れた声の主は、長髪を靡かせる一人の偉丈夫。飄々とした態度ながらもその佇まいには一切の隙を感じられない

「待てって嬢ちゃん。オレはあんたをどうこうするつもりはねぇさ。むしろ手伝っても良いって思ってる」
「えっ……?」
「だからまずはその杖を下ろしてほしいってことよ。……っと。先に自己紹介しとくか。俺の名前は、ヤクトワルト」
「え、あ……はい。私は、ライザ。ライザリン・シュタウトです」

唐突な偉丈夫の――ヤクトワルトの宣言と自己紹介に、思わずつられて自己紹介してしまうライザであった


516 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 17:22:49 1bDlp9GI0
○ ○ ○

一旦落ち着き、二人はベンチ・テーブルで情報交換を行うことに
偉丈夫の名はヤクトワルト。現在はエンナカムイという国に属している流離いの剣豪とのこと。ライザとしてはその飄々とした性格から真っ先にクリフォードの事を思い浮かべたが、実際に話してみればクリフォードとは強さも何もかも違うことをその身に感じるのであった

「……なるほどな。ライザちゃんは二人を会わせた上でみんながなるべく助かる方法を探したいってことか」
「はい。……でも、錬金に必要な釜がないから、素材やホダカさんを見つけるのも兼ねてこれから探しに行こうと考えていたんです」
「ふむふむ……。事情は大体わかった。……だが、その前に一つ良いか?」
「なんですか、ヤクトワルトさん」
「こういう事を初対面の嬢ちゃんに聞くのは心苦しいが……。嬢ちゃんもそれなりに修羅場を潜って来たってのはわかる。だが、今回ばかりは違う。俺が今まで経験してきた戦場でも、嬢ちゃんが今まで経験してきた冒険とも違う。一人の男を中心に権謀術数、陰謀詭計が巡り巡る陰惨な舞台だ」
「……」
「だからな嬢ちゃん。……嬢ちゃんにとって手酷い傷が残るかもしれねぇってことじゃん。下手したら死ぬなんかよりも」
「――でも」
「それと嬢ちゃん――最悪、初めて人を殺すことになるぞ?」
「―――ッ!」

ヤクトワルトのその言葉に、ライザは思わず口籠る。モンスター等は倒したことはあっても、『人』を相手にして戦ったことなどまるでない。それが人同士の殺し合いであるならば尚更だ
だからこそヤクトワルトは問う。もしもの時、最悪の事態に陥った時、ライザリン・シュタウトに人を殺す覚悟があるかどうかを

「―――それでも、だから黙って見てるだけなんてしたくない。そりゃあんなもの見せられたら死にたくないなんて思っちゃうけど。それでも私には帰る場所があるし、待っている人達だっている。生きて帰るにしても……みんなに顔向けできないような事だけはしたくない」
「……いいのか、嬢ちゃん?」
「……結局、私が今まで冒険してきたことと同じなのかな、ある意味だと。だからね……もしその時だったとしても、私はなるべくは殺したくない」
「―――」

故にライザもヤクトワルトの問いに答える。例えどんな苦しい時でも、自分自身だけは捨てたくない
ある意味いつもの冒険と変わらない、命の危機もあるし、新たな出会いもあった。ただそれが、今回ばかりは今まで以上の困難であることぐらいで
そんなライザの、覚悟の籠もった言葉と、その決意を秘めた瞳を見て、ヤクトワルトは誰かを思い出したようにニッコリと笑い

「……いいじゃん、決めたぜ。俺は、嬢ちゃんに賭けることにするじゃん」
「……! ありがとうございます、ヤクトワルトさん!」

彼女への協力を決めたヤクトワルトに対し、ライザは満面の笑みでお礼を言うのであった


【ライザリン・シュタウト@ライザのアトリエシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:まどうしの杖@ドラクエ7
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:ホダカとヒナを再開させた上で、なるべくみんなを助けて生きて元の世界に帰る
1:錬金釜かそれの代用になるものを探したい
2:ホダカと錬金素材の捜索

※参戦時期は2終了後

【ヤクトワルト@うたわれるもの3 二人の白皇】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:嬢ちゃんに賭けた以上、彼女についていく

※参戦時期は最低でも帝都奪還後

【まどうしの杖@ドラクエ7】
先端の赤い宝玉を手で掴んだ形状の、魔法の杖。
道具として使うと火球を飛ばす「メラ」の効果がある


517 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 17:25:12 1bDlp9GI0
投下終了です タイトルは『錬金術師と陽炎の剣豪』です


518 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:39:45 TI/gtJOs0
投下します


519 : 山茶花の跡 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:41:53 TI/gtJOs0
「神子柴ァ...」

ギリリ、と歯を噛み締める。
彼女は怒っていた。その身を濡らす雨でさえ彼女の熱を冷ますことができないほどに。
その身に刻まれた痛みと絶望に。なにより、あの外道がやろうとしていることを考えればもう怒る他なかった。
彼女は時女静香の母。セレモニーにて死に、再び蘇らせられた参加者である。

(わかってんのよ...あんたが私をどうして蘇らせて、あまつさえ参加させたのかは!)

恐らく、自分が素直に従うとは露ほども思っていないだろう。
奴はこう考えるはずだ。『いい機会だ。蘇生の奇跡が真実であることを知らしめてもらおう』と。
奇跡の存在を実感してもらえればこの腐った催しに従う人間が増えるのを狙っているに違いない。
だが、彼女は神子柴の行使する『奇跡』の正体を知っている。
その正体は、『久兵衛』様との契約により生まれ変わる『巫(かんなぎ)』。
久兵衛様は少女の魂を捧げるのと引き換えに、悪鬼と戦うための力を捧げてくれる。
しかし、巫はその代償として、魂の穢れを祓い続けなければいずれは悪鬼に変わってしまう。
恐らく、神子柴はこのシステムを使い奇跡をこの世に下ろしているのだろう。
許せない。願いなど叶えさせるわけにはいかない。


ではその認識の拡大を抑えるにはどうすればいいか―――この命を今すぐに断ち、「実は生き返っていなかった」ことにすればいいのだが、生憎とあんな外道になんの報いも与えられず死ねるほど殊勝なタチではない。
それに、あの蘇生だけで奇跡を信じてしまった人間にはもうどうしようもない。他者を犠牲にしてでも叶えたい願いというものは理屈で止められるものではないのだから。
ならば、犠牲者が出る前にあの悪鬼を叩き斬ってやるだけだ。

(その為にはあの二人...帆高くんと陽菜ちゃんは会わせる訳にはいかないわね)

彼らが出会えば参加者たちは死に絶える。あの映像から、帆高が向こう見ずな性格であるのは伺えるが、冷静ささえ保つことが出来れば無理に会おうとはしないだろう。
だが、制限時間が二日というのが枷になる。
二日、と聞けば長く思えるかもしれない。だが、知り合いがいるかもわからず、且つ備えもロクにない状況で果たしてどれだけの信頼を築け準備を整えられるだろうか。
最初の一日目はまだいいかもしれない。だが、二日目ともなれば帆高も参加者も気が気でなくなってもおかしくない。
帆高は死の恐怖から、参加者は殺し合いを終わらせるために争いが始まるのも容易に想像できる。

やはり帆高の確保は早急に執り行うべきだろう。
ようやく思考が落ち着いてきた静香の母は、ひとまず雨宿りしようと傍の建物の戸に手をかけたその時だ。

(誰か、いる)

気配がした。戸の向こう側に、恐らく参加者であろう気配が。
相手もこちらに気づいていたのか、警戒の色が濃くなっている。恐怖に怯える一般人ではない。敵ならば容赦はしないという、戦士でしか放ちえない凍てつくような殺気を。

(どうしようかしら)

相手が自分と同じく神子柴への反旗を考えている者ならばいい。だが、もしも願いを叶える為に奴へ従おうとする者だったら?
自分が立ち止まったことから、恐らく相手も気づかれていることを察している。それでも声をかけてこないということは、こちらを測っているのだろう。

(このまま止まってても埒が明かないわね)

ふぅ、と息を吐き、腹を括る。
こういう時は当たって砕けろというやつだ。

「この声に聞き覚えがあるでしょう?私は神子柴に殺され、そして蘇らせられた女。当然、私はあいつを討つつもりでいるわ。私に協力―――いえ、話を聞く意思があれば中に入るのを許してほしい。ダメならこのまま去ろうと思う」

正々堂々の反逆宣言。隠し事をする柄でもないし、これでも敵意を収められなければそれまでだ。
果たして、答えはほどなく返ってきた。

「あいわかった。ご無礼、どうかお許しを」

敵意を収めた快い返答に、静香の母は肩の荷がひとつ降りた気持ちになった。


520 : 山茶花の跡 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:42:59 TI/gtJOs0


(いやはや...全く奇怪なこともあるじゃない)

長い青の髪を後ろに束ね、痩身でありながら無駄なく引き締まった筋肉を白の着物から覘かせる漢、ヤクトワルトは静香の母と情報を交換しながら思った。
ヤマトを治める帝の没後から始まった長きに渡る戦いが終わり、生き残った仲間たちが各々の歩む道を見つけたのと同様に、彼もまた養女シノノンと共に新たな帝・アンジュの補佐にまわり平穏な日々を過ごしていた。
それが気づけば妙な映像を見せられ、これまた妙な老婆に殺し合いという名の人間狩りを命じられ、そして最初に出会った参加者が見せしめとして殺された女だ。
数多の戦場を渡り歩いき死線を潜ってきた彼でも困惑を抱かずにはいられなかった。

(しかしまあ、理不尽な状況なんてのはいつものことじゃない)

思い返せば今までの戦いは想像も及ばぬ理不尽塗れだった。
シノノンを人質にとられたこともあった。
人の身で戦うことを想定されていない巨大獣、ガウンジに退路と進路を挟まれたこともあった。
かつての友と戦うハメになったこともあった。
幾万の軍勢に少数で立ち向かうことを余儀なくされることもあった。
剣で切れない異形の軍勢に進路も退路も塞がれひたすら持久戦に臨んだこともあった。
腕の一振りで家屋を粉砕する怪物と戦ったこともあった。
神の如き力を宿し暴走する仲間を連れ戻す為に戦ったこともあった。

この催しもまたこれまでの戦いの一つと思えば、恐怖もさほど湧いてはこなかった。

「それで、ええと...静香の母...面倒だし姉御でいいかい?」
「ええ。私もイチイチ静香の母と呼ばれるのもなんかむず痒いし」

不思議なことに、静香の母は己の本望を名乗ることが出来なかった。
口頭で伝えようものなら、口元がぼやけ声にもノイズが走りヤクトワルトに届かず。
では筆談でと紙に文字を書いてもやはりモザイクがかかり解読できず。
仕方なしに、彼女のルール説明書に記載されていた『時女静香の母と名乗ることのみ赦す』というルールに従い、静香の母と名乗る他なかった。
この措置になんの意味があるかは分からないが、二人はもうそういうものだと割り切り話を続ける。

「ヤクトワルトさん。協力してくれるのは嬉しいけど、本当にいいの?」

静香の母は、ヤクトワルトが間も置かずに共闘に賛同してくれたのが気がかりだった。
この殺し合いはただの殺し合いに非ず。奴の言う通り、殺すのが嫌であれば我関せずと隠れていれば生還できる可能性もある。
神子柴に逆らえば首が飛ばされるのは実証済みだが、それでもああもあっさり助力を受け入れたのは何故か。

「そうさなあ。理由は色々とあるが―――あんな外道にいい様にされて黙っちゃいられねえタチなのと、あんたが気に入ったからってのが主な理由だ」

ヤクトワルトはニヤリと笑みを浮かべる。


521 : 山茶花の跡 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:43:49 TI/gtJOs0

「一遍殺されてからもめげずに歯向かうなんざ、そんじょそこらのヤツにはできやしねえ。その度胸に惚れ込んだのさ」
「あらやだ。おばさんをからかってもなにも出ないわよ」
「謙遜するこたあねえよ。ウチのシノノンもあんたみてえなイイ女になって欲しいと思うんだからよ。それに」

ケラケラと二人が談笑する中、ヤクトワルトは目を細めて回顧する。

「奇跡ってのは、そうそう起きないから眩しいってもんじゃない」

『ヤクトワルトォ!』

ヤクトワルトの思い返す奇跡。それは、ハクの死により大神(ウィツアルネミテア)の力を解放してしまい暴走状態に陥ったクオンとの闘いの時。
彼女の放つ遣いの猛攻に、仲間たちがみな傷つき疲弊し、遂にその刃が幼き命を断たんとしたその時だった。
彼―――ハクは帰ってきた。皆の奮闘を、クオンの声にならぬ叫びを受けて。
クオンを呪縛から救い、戦いを終えた後に消えてしまったことからして、幻だったと思う者もいるだろう。
しかし、確かに彼はネコネへの凶刃を防ぎ、仲間たち一人一人に呼びかけ、共に背中を預け、肩を並べ、クオンを連れ戻した。
その勇姿を。温もりを疑うことはなかった。間違いなく、あれはハクが掴み取った束の間の奇跡だと。

なればこそ、あの輝きをくすませるようなモノには微塵も興味が無かった。
奇跡を掴み取ろうとする少年―――森嶋帆高を玩具にするような老婆の戯言など聞く耳ももたなかった。

「なにか意味深な言葉ね。思い当たることでもあるのかしら」
「まあな。そこはおいおい話そうじゃない。全て終わったら、いい酒とつまみを肴にしてな」
「それいいわね。楽しみにしてるわ。あなたほどの漢が入れ込む奇跡の話を」
「おうよ。んじゃまあ、そろそろいくとするじゃない」

二人は荷物を纏め、家屋を後にする。
雨は未だに止まず先行きすら見えぬが、しかし彼らの歩みには一寸の淀みもなかった。




【時女静香の母@マギアレコード】
[状態]健康
[装備]宇髄天元の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:神子柴を斬る。
0:ヤクトワルトと共に、神子柴へ反旗を翻す者たちを募る。
1:帆高は見つけ次第確保する(殺しはしない)

※参戦時期はマギアレコードのサイドストーリー『深碧の巫女』終了後です。
※制限により本名は名乗れず『時女静香の母(若しくは静香の母)』としか名乗れません。本名を名乗っても口元にノイズが走り相手には一切聞こえず読唇術でも読み取れません(筆談も同様)。

【ヤクトワルト@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]健康
[装備]無限刃@るろうに剣心
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[行動方針]
基本方針:神子柴を斬る。
0:静香の母と共に、神子柴へ反旗を翻す者たちを募る。
1:帆高は見つけ次第確保する(最悪、殺すことも辞さない)。

※参戦時期はゲーム本編終了後です。


522 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:44:15 TI/gtJOs0
もう1作投下します


523 : 空にそびえるくろがねの城 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:45:48 TI/gtJOs0
『な ん だ こ れ は』

見せられたものに対して彼は憤慨する。

眼前で流されるはボーイ・ミーツ・ガールのジャンルが相応しい映画。
都会に憧れ上京してきた少年が運命の人と出会い悪戦苦闘しながら共に過ごし、しかし明かされる運命に抗えず運命の人を失い悲観に暮れる。
その無情さ。悲劇。

『な ぜ 、 こ の 映 画 に マ ジ ン ガ ー Z が 出 て お ら ん ッ ッ ! ! ! ! !』

そんなものは彼にはどうでもよかった。
彼の言うマジンガーZ―――つまりは、天才漫画家永井豪によって創り出されたロボットモノのマンガ及びアニメ。
それまでもリモコン操縦する巨大ロボアニメや等身大ロボットアニメはあったが、主人公が乗り込み戦車や戦闘機のように操縦する人造巨大ロボットはなかった。
つまりは、マジンガーZこそが巨大な人型ロボットアニメの先走りと言っても過言ではない。
悪役・Dr.ヘルが繰り出す機械獣との闘いはお茶の間の子供たちを熱くさせ、縮小しかけたアニメ界を好転させ、おもちゃや関連グッズは飛ぶように売れて大好評。
玩具メーカーはこぞってマジンガーZへと投資!40年間の放送を経て未だに完結せずアニメの放送も2500回を突破!
他にもスピンオフ『さらばマジンガーZ不滅の勇者たち』『帰ってきたマジンガーZ』『マジンガーZジェネレーションズ』『マジンガーZヴォイジャー』『マジンガーZグラマラスキラー』『マジンガーZキルズ』etcetc...とにかく数限りない作品群が生まれ世界124ヵ国で放送もされている!!
もはや日本、いや世界の書籍・映像、いや経済をマジンガーZが支配していると言っても過言ではない!!!
そのマジンガーZがこの映画には出ていない!!!

「いや、ジャンルが違うから」という言い訳は通用しない。
ただの少年少女の恋愛模様を描いただけならばそれも通るだろう。しかし、この映画は明確に『神』を描写している。
神―――すなわち、マジンガーZでなければならない存在を。

『そ う 。 あ れ が マ ジ ン ガ ー Z で あ れ ば な ん ら 問 題 な い 。 あ る い は マ ジ ン ガ ー Z が 打 ち 倒 す 敵 で あ れ ば そ れ で い い 。 だ が . . . 思 い つ か ん ! こ こ か ら 違 和 感 な く マ ジ ン ガ ー Z を 登 場 さ せ あ の 神 を 倒 す 術 が ! !』

マジンガーZは今まで機械獣のような化学と技術の結晶から生み出された敵と戦ってきた。
だがこの映画の『神』はどうだ。倒されねばならぬ敵でありながら、マジンガーにもできぬ天候操作を容易く行い、あるいは人間に貸し出し、物理的な手段で邂逅することは適わない。
恐らくこの映画の尺はもう半分を過ぎているのだろう。残りの尺で果たしてマジンガーZを登場させ神を倒せるか?
否。無理だ。マジンガーZは子供向けアニメでありながらロジカルに展開を組んでいる。
マジンガーZのパイロット兜甲児のように選ばれた血統でもなければ訓練をしたわけでもないあの少年に扱える代物ではない。
つまりは最強。マジンガーZを差し置いて、この神は最強の座についている!!

ふざけるな。ふざケルナ!フザケルナァァァァァ!!!

我は許せん!!マジンガーこそ神であり魔神である!!!マジンガーが最強でないなど!!!存在しない世界など認めてなるものかッッッ!!!!
消してやる...このような映画など、存在すら消してやるッッッッ!!!!


524 : 空にそびえるくろがねの城 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:46:32 TI/gtJOs0



『ブ レ ス ト フ ァ イ ヤ ー ! ! ! ! !』

胸板から放たれた豪熱が眼前のビルに向けて放たれる。
ビルは瞬く間に原型を失い、その後ろの建物もまた溶かされる。

『ム ウ ゥ 、 な ん だ こ の 威 力 は』

【彼】は目の前の成果に不満げに言葉を漏らす。
本来ならば、地図上で言えばこのエリアから端まで平然と届くはずの威力が出せるはずだった。
だが、いまのブレストファイヤーは本気ではないとはいえ建物を数件溶かしただけだ。
これでは本来の威力にはほど遠い。雨が降り続き湿度が高いことを踏まえても尚だ。
そもそも身体自体が普通に縮んでいる。

『こ れ も あ の 老 婆 の 仕 業 か 。 小 癪 な マ ネ を』

わざわざ自分を巻き込み、首輪を嵌め、あんな不愉快極まりない映画を見せたのだ。
よほどの調整が無いと参加者との殺し合いなど成立しないのは奴も承知の上だろう。

『ま あ い い 。 不 快 だ が 今 は 貴 様 の 余 興 に 付 き 合 っ て や ろ う』

この首輪が爆発すれば自分は死ぬ。
そのルールが絶対であるのは間違いない。ならば今は帆高を殺すことでこのバトルロワイアルを次のステージに進めることにする。
そう。この配られた『お題』による願望争奪戦へと。

『だ が 覚 悟 し て お け 。 最 後 に 笑 う の は 神 で も 貴 様 で も な い 。 我 、 否 、 マ ジ ン ガ ー Z だ ! ! !』

ヴオオオオオオと叫び声を響かせる。

【彼】―――いや、ソレの名は『マジンガーZERO』。
最終にして原初。唯一無二のスーパーロボットである。





【マジンガーZERO@真マジンガーZEROVS暗黒大将軍】
[状態]疲労(微弱)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:マジンガーこそ最強也
0:帆高を殺しお題とやらを完遂し、『天気の子』そのものを主催ごと抹消する。
1:マジンガーは最強故に他の参加者の助力など不要!故に見つけ次第殺す!!!

※参戦時期は32話より。
※制限により技を放つ度に疲労が溜まります(スパロボみたいな感じ)。また、制限により魔神パワーは全て封印されているのに加えかなりの弱体化を受けています。
※主催の調整により全長が5〜9m以内になっています。


525 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:47:03 TI/gtJOs0
投下を終了します


526 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 17:49:44 TI/gtJOs0
皆様改めて投下ありがとうございます。
このコンペの募集も今月の2月14日23:59が締め切りになります。
期限は残り2週間となりますのでよろしくお願いします


527 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 18:11:21 TI/gtJOs0
続いて感想を

>揺るぎなき信念
まさかの顔見知り同士の邂逅。しかも狙いも同じこれは安心できる...と思いきやなんだあのおっさん!?
名もなきキャラでありながら魔人ブウ編のキーパーソンがここで出てくると思わなんだ...しかしこの男、根っからの邪悪である。

>ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール
地獄を味わい続けて帆高と陽菜とかどうでもいいわーマジでな精神で自殺しようとするもそれも止められて...
開幕から既にズタボロな梨花ちゃまをを見て敵意を抱くキャプテンカッコヨス。
果たして梨花ちゃまはキャプテンと行動することで救いを見出せるのだろうか

>There is……
巷で流行りの通称宇宙人狼からの参戦。台詞すらなく淡々と参加者全員の殺害の目論見を進めるのが恐ろしい...
このロワではこういう奴が一番厄介だと思います

>雨の中、傘を差さずに踊る人間がいてもいい。
救世主キター...と思いきや読み進めると「ん?」となり出典でツッコまざるを得ない。
いやそこから!?となりルンパッパも加わりカオスに。しかし水がテーマであるのでこのロワには最適な二人でもあります


528 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/01(月) 18:28:41 TI/gtJOs0
>ちぎれゆくアルストロメリア
我様つえええ!キングは手を出しちゃいけない奴に喧嘩売っちまったなと同情した矢先に更に不運が。カワイソカワイソなのです。
キングさんを殺したことで曇るなーちゃんが非常に悲しいし真実を知った甜花ちゃんの行く先が気になります...ああ、可哀そうだ、可哀そうだ

>恋のSword&Magic
ミルモってまた懐かしいな!それにしても恋柱、ぶれねえ。流石無惨様相手にもギャグシーンを忘れなかった女だぜ。
愛に携わる二人の行く末や如何に。とりあえずお湯だお湯

>6でなしブルーちゅ
なにやってんだテメー!!この異常事態でもエロ本堪能してるのは流石三世の傍でも読み続けただけあるよコンバット・ブルース。
タマモさんには逃げて欲しいですが、この企画に続々増えつつある変態共と比べたら紳士的に接してくるコンバットはまだ当たりの部類に入るのかもしれない。

>月と太陽
天気の子と願いを叶えるという謳い文句を見て太陽の克服が過る兄上。
しかもその理由が未だにブレない『弟を超える』なのがお労しや(たぶん克服しても永遠に超えられないだろうなあ)


529 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 20:14:34 1bDlp9GI0
投下します


530 : 美しき肉食獣は再び嗤う ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 20:15:37 1bDlp9GI0
「ンンンンン〜〜〜〜」

笑う、哂う、微笑う、嘲笑う、嗤う、呵う。道化師じみた和装の男は笑う

「ンンンンン、ンンンンンンン〜〜〜〜〜!!!!」

天を劈くが如く、その身を豪雨に打たれながらも関係なく、その男は只々笑っていた

「――――――――」

そして、時が止まったかのように笑い声は止み、沈黙





「―――まさか拙僧がこのような事に巻き込まれようとは。異星の神とは無関係、さりとて『本体』との接続も不可能。いやはや、あの神子柴なるご老女、中々に良い腕をしておられること」

先程とは打って変わり、饒舌に言葉を紡ぐその男

「此度の催し、中々に面白いものと見た。拙僧としては催しを開く側として来たかったのですが、そこはまあ、致し方なし」

まるで無限に湧き出る蛆虫が如く、男からは瘴気が溢れ出る。そして言葉も紡ぎ出る

「ですがこの斯様な催し。折角拙僧をも呼び込んだこの雨溜りの地獄。鍵を握るは天気の巫女とその伴侶たる少年。出逢えば拙僧らが死に、出逢えなければ少年が死ぬ。何とも滑稽、何とも愉快」

男は笑う。言葉を紡ぎながら笑う

「ええ。ええそうとも。この身は既にただ一人。ですが残骸故に結構! ならばこの盤面、このキャスター・リンボ――蘆屋道満の新たなる始まりの幕開けと致しましょうか!」

故に男は笑う。嘲笑う。嗤う。

是は神を喰らいしモノ

神を引き裂き、貪り、その血肉へと変じたるモノ

黒き神を自らの太陽へと取り込んで、悪の神を自らの魔力へと置き換えて

強大なる存在によって導かれた自我(エゴ)の雫、はち切れんばかりの悪意を核として成された悪鬼

―――その名は、蘆屋道満



「フフッ、ハハハハッ、ハハハハハハハハハ!!」

獣は嗤う。美しき肉食獣は再び嗤う

かの陰陽師に老婆の思惑も、天気の采配も、少年の思いなど何も関係などない

―――美しき肉食獣は、只々笑う


【キャスター・リンボ(蘆屋道満)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本思考:己が欲望のままこの催しを引っ掻き回す
1:森嶋帆高をどうしようか

※最低でも生活続命の法を破られた後からの参戦


531 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 20:15:50 1bDlp9GI0
投下終了します


532 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 20:32:10 1bDlp9GI0
投下します


533 : 悪夢より来たりて ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 20:37:02 1bDlp9GI0
「……あの老婆め」

黒いスーツの男は、その懐にワイヤーを忍ばせ、たたただ忌々しく吐き捨てる。この茶番とも言うべき催しと、それに巻き込まれた今の状況に苛立ちながら

グスタフ・カウンターフェルト、夢の世界の創造主にして支配者。本来であれば世界そのものを作り上げることの出来る神の如き存在
然して、彼の力は他の者達に奪われ、その力を失っていた。残った力を用い異世界より呼び寄せた青年The kidを用い自らの力を奪った者たちを倒させ、力を取り戻そうとしていた

だが、全ての力を取り戻し、歓喜した矢先にこれだ。老婆に見せられた映画、老婆の使役する怪物、そしてこの首輪。どれもこれも忌々しいものでしかない

「どちらにしろ、この状況下で出来ることは少ないか」

己が力も当たり前とばかりに制約が掛かっている。それは致し方のないことだ

「忌々しい。だが、これは逆にいい機会かもしれん」

だが、これは逆にチャンスでもある。老婆の、その裏に潜む者の、そして神の力を奪う、最大のチャンス
そして何より、ここには最後のじゃまになりうるThe kidはいない
まずは首輪の存在だ。これさえなければ後は身の振り方を気をつけながら奴らを始末する機会を待てばいい。数多の異界の者の力を貪り尽くし、手中に収めたその時こそ、この身は真に新世界の神へと至らん

「―――どうやら、存外楽しめそうだ」

異なる世界、異なる力、――無限の彼方の、その果ての世界にて、夢喰らう創造主は不気味な笑みを浮かべていた


【グスタフ・カウンターフェルト@I wanna be the best guy 2】
[状態]:健康
[装備]:単分子ワイヤー@魔法少女育成計画シリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:異界の者の力を全て奪い尽くし、その果てに新世界の神となろう
1:首輪解除を最優先

※世界構築に関わる能力は使用不可
※ストライカー召喚は不可。その他の技は使用可能

【単分子ワイヤー@魔法少女育成計画シリーズ】
魔法少女の一人、マジカロイド44の魔法「未来の便利な道具を毎日ひとつ使うことができるよ」で呼び出せた秘密道具の一つ


534 : 悪夢より来たりて ◆2dNHP51a3Y :2021/02/01(月) 20:37:12 1bDlp9GI0
投下終了します


535 : ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 21:46:10 Vq/o5n4Y0
投下します


536 : ほら見て、愚かな駒よ ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 21:50:32 Vq/o5n4Y0
「ふーん、それじゃあここって、トオルくんが通ってる幼稚園なんだ」
「そうななんですけど、でもここは春日部じゃないはずなのにどうして…?」

バトルロワイアルの会場にある施設の一つ。
ふたば幼稚園にいるのは一組の男女。
どちらもまだ幼い、幼稚園児と小学生だった。

少年、風間トオルは最初、唐突に巻き込まれたこの状況に恐怖していた。
これまでにも何度か野原しんのすけ達と共に大事件に巻き込まれる事はあったが、あんな間近で人が死ぬ所を見たのは初めてだ。
普段は5歳児らしかぬ大人びた態度を取っているとはいえ、女性のグロテスクな死に様はトオルの精神を磨り減らすのに十分過ぎた。
それにいつも一緒にいるかすかべ防衛隊の4人がいないのも、トオルの不安を加速させた。

見知らぬ住宅地に一人ぼっち。
恐怖で居ても立っても居られなくなったトオルは、脇目もふらずに駆け出した。
その道中で見つけたのは、自身が通っている幼稚園。
何故こんな所にあるのか疑問はあった。
けれどそれ以上に、ひょっとしたらここにしんのすけ達や先生たちがいるのではという一抹の希望に縋り、
トオルは土足である事も忘れて幼稚園内に飛び込んだ。

しかし希望も空しく、しんのすけ達はいない。

『ん〜?誰かいるの?』

代わりにいたのは見知らぬ人物。
トオルよりも年上の、パッチリとした瞳の可愛らしい少女。
足に障害があるのか車椅子に乗っている。

予想していたのとは違う人物の登場に、当初は困惑と警戒を見せていたトオル。
だが少女と言葉を交わす内に、そんな感情は徐々に薄れ、不思議と相手への信頼感のようなものが芽生え始めた。
むしろ少女の甘ったるい声に心地良さを覚える程だ。

冷静さを取り戻したトオルは改めて少女と情報交換をした。
話を聞くと少女自身にも何が起こっているのか分からず、気が付いたら幼稚園の中にいたと言う。
ちなみにふたば幼稚園がここに存在する点については、「あのお婆さんが不思議な力を使ったのでは」、という少女で言葉に一先ず納得する事にした。
現実的に考えれば有りえないのだが、それを言ったら今の状況も十分常識とはかけ離れている。

それにしても、とトオルは少女を見やる。

こんな脚の不自由な女の子まで巻き込む神子柴に、トオルは不信感を抱く。
同時に決意する。
自分がこの少女を守ると。

正直言って今でも恐いし、幼稚園児の自分に何が出来るのかなんて分からない。
家に帰るには映画に出ていたお兄さんを殺さなければならないようだが、それが間違っているとは5歳の自分にも分かる。

けれども、この少女を見捨てて恐怖に逃げ惑うという事だけは、
絶対にしてはいけない気がしたのだ。

そんな決意を伝えると、少女は身を屈めてトオルに顔を近づけた。

「わぁ!ありがとう、トオルくん」

チュッ♥

「へっ?…うええええええええ!!?!///」
「えへへ。がんばるトオルくんに、お姉さんからのご褒美なのじゃ〜♪」

頬に伝わった柔らかい唇の感触に、トオルは慌てて真っ赤になった顔を少女に向ける。
悪戯っぽく笑った少女の顔を見てトオルの心臓は高鳴った。

「それじゃあトオルくんは今から可愛い騎士(ナイト)様ってとこかなー?」

少女の言葉にトオルは鼻を伸ばしかけた顔を慌てて引き締め、言葉を返した。

「はっ、はい!ぼ、ぼくに任せてください、モナカさん!」


537 : ほら見て、愚かな駒よ ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 21:52:20 Vq/o5n4Y0
●○●


(うわキッモ……)

あからさまにデレデレし出したトオルを眺め、塔和モナカは内心で毒を吐く。
騎士などと気取った言葉を使ったが、これなら犬のほうが相応しいかもしれないと思った。

遭遇した時はこちらを随分警戒していたが、そんな相手を懐柔するなどモナカにとっては容易いことだ。

『超小学生級の学活の時間』。
それはモナカの持つ唯一無二の才能。
自身の放つ言葉はまるで甘い毒のように相手の心を侵食し、掌握する。
特に子どもに対して絶大な効果を発揮する力によって、トオルはすっかりモナカに心を奪われてしまっていた。

ついでに車椅子に乗っている姿も、同情を誘うのに効果てきめんだったのだろう。
今まで自分に心酔していた子どもたちと一緒だ。
本当は歩けるにも関わらず、このアイテムを使えば勝手に優しくしてくる。
支給品として与えられた時はどうしようか少し悩んだが、“駒”を確保するのに役立つだろうと思い再度使うことにした。

それにしてもと、モナカはバトルロワイアルについて考える。

森嶋帆高と天野陽菜の処遇を巡り起こるだろう参加者同士の対立。
願いの為に他者を蹴落とし争い合う。
ぶっちゃけコンセプトはそう悪くない。
しかし、自分にまで首輪を付けて参加者扱いするのはちょっぴり不満である。
どうせなら、自分もバトルロワイアルの運営側にして欲しかったと思わないでもない。

(ま、それならそれで、やりようはあるんだけどねー)

生きて帰る為に森嶋帆高を殺す?
森嶋帆高と天野陽菜の恋の為に打倒神子柴を目指す?
願いを叶えてもらう為に神子柴の命令通りに動く?

そんなつまらない真似は真っ平だ。

青臭い恋の為に愚直に突っ走る森嶋帆高も。
天気の巫女としての役目を果たそうとする天野陽菜も。
都合の良い犬と化した風間トオルも。
顔も名前も知らない有象無象の参加者も。
そして、神様気取りで見下ろしている神子柴も。

一切合切全てをめちゃくちゃに搔き回し、一人残らず絶望に叩き落とす。

(二代目江ノ島盾子を名乗るなら、それくらいは余裕でこなさなきゃねー♪うぷぷぷぷぷぷ…)

可憐な笑顔の下に邪悪な本性をかくし、絶望の後継者を名乗る少女は笑っていた。


【風間トオル@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、使命感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:モナカさんを守りながら帰る方法を探す
1:モナカさんを守る
[備考]
※映画での出来事を幾つか経験しています。具体的な参戦時期は次の書き手にお任せします。


【塔和モナカ@絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode】
[状態]:健康
[装備]:子供用の車椅子
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルをめちゃくちゃに搔き回す
1:次はどうしよっかなー
[備考]
※参戦時期は召使いと共に塔和シティを脱出した後。


538 : ◆ytUSxp038U :2021/02/01(月) 21:53:09 Vq/o5n4Y0
投下終了です


539 : 電波の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/01(月) 22:38:34 tC1UYVVc0
残り2週間。参加者がどうなるのか楽しみです!
投下します。


540 : 電波の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/01(月) 22:39:32 tC1UYVVc0
「一体、どういうことなんだよッ!?」
雨音がBGMとなる街に大きな声を上げた少年。
少年の名は森嶋帆高。
離島から東京へと家出した少年。
それだけならただの家出少年で終わるが、100%の晴れ女と称される天野陽菜と出会い帆高の運命は大きく動きだした。

(俺が家出したクルーザーから陽菜さんが消えるまで、ずっと盗撮されていたっていうのか!?)
陽菜さんが消えた朝。
両親が行方不明届を出したこと。陽菜さんを救うため一度だけ発砲したために銃器・爆発物不法所持容疑がかけられた帆高は警察に羽交い絞めにされて取調室に連行された。

(それに、俺が陽菜さんに出会うのを阻止するだって!?)
もう一度彼女に会いたいーーーーー思いが爆発して警察署から飛び出した突如、視界が暗転し気がつくと映画館の席に座ったいたーーーーー
そして、見せられたのは【天気の子】というタイトルに自分と陽菜さんが主演に見えるように撮られた映像だった。

「夢じゃないんだよな…?」
陽菜さんが人柱として消えたところまで映像が流されると、後は神子柴 と名乗るお婆さんが自分を標的にしたバトルロワイアルを宣言した。

「ッ!?そうだ!早く陽菜さんの元へ行かなくちゃ!」
(俺はもう一度あの人に!会いたいんだ!)
帆高は地図を見て陽菜が囚われているあの廃ビル…E-1へ走り出そうとするーーーーー

スッーーーーー
突如、少女が目の前に現れた。

「わっ!?」
帆高は驚き尻もちをつく。

「いけない、いけない、驚かせちゃったよ」
少女はそう言いながらくすくす笑いを続けた。

「い…いつからいたんだ!?」
(まさか!?俺を狙う参加者!?)

「ルールは簡単。天野陽菜を連れ戻そうとする『森嶋帆高』を制限時間まで食い止めよ。『森嶋帆高』の生死は問わん。如何な手段をもってしても『森嶋帆高』を食い止めればそれでこのゲームは終わりじゃ」

映画館でのお婆さんの言葉を思い出した帆高は【死】を連想するが少女は…

「…去年から」
笑いながら答えたーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


541 : 電波の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/01(月) 22:41:37 tC1UYVVc0
「去年から…って」
(嘘だろ!?)
少女の答えに懐疑の視線を向ける帆高。

……チリチリチリチリ。

「うッ!?」
(何だ…この…「粒?」脳を駆け巡る感覚は…?)

感じたことがない感覚に頭を抑えた帆高にーーーーー

「月島瑠璃子」
「え?」

「私の名前」

目の前の少女は淡々と自己紹介をした。

「……ああ。僕はも」
少女の自己紹介に帆高も同じく自己紹介しようとするがーーーーー

「知ってる。森嶋帆高君でしょ?観てたから」
「じゃあ、君も参加者なんだね」
(やっぱり。じゃあこの子は俺が陽菜さんの元へ行くのに反対なのかな?)

少女ーーーーー瑠璃子が予想通りバトルロワイアルの参加者だと知ると、帆高は身構える。

(何だろう…陽菜さんとはまた違う…新窓のお嬢様…手を触れたら壊れてしまうガラス細工…)
身構えつつも瑠璃子を見た帆高はそんなイメージを抱いたーーーーー

「瑠璃子でいいよ。帆高ちゃん」
初対面のはずだが、この少女にはそう呼ばれた方がしっくりとくるように感じた。

「じゃあ…瑠璃子さんで」
陽菜さんと違い自分と同学年にように思えた帆高は瑠璃子の呼び名をそう決めた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


542 : 電波の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/01(月) 22:44:16 tC1UYVVc0
「…瑠璃子さん。俺、行かなきゃ」
帆高は一刻も陽菜の元へ向かいたい一心から瑠璃子との会話を断ち切ると再び走りだそうとするがーーーーー

「まって…私も付いていくわ」
帆高を制止する声。
「どうして…?」
帆高の疑問に瑠璃子は答える。

「そこなら、電波を集められると思うから」
瑠璃子は帆高と行動を共にしたい理由を述べた……

「……」
(はぁ!?電波!?この子何を言っているんだ…?)

「普通の電波を集めるときは金属のアンテナを使うけど…」
何を言っているのかさっぱり分からない。

「でも、私の電波は金属のアンテナじゃ集められないから、身体を使うの。私がアンテナになるの」

……チリチリチリチリ。
脳髄と頭蓋骨の隙間を跳ね回る粒子の焦燥感。

(…なんか、この子と話すたびに扉が開くような感じがする……)
その扉が何なのかはまだ帆高にはわからないがーーーーー

(瑠璃子さんは…扉を開いてしまった?)
確証は持てないが帆高は瑠璃子が「壊れた」・「開いた」者だと瞳を見つめて感じた。

「帆高君も……私とおんなじだよね?」
「え?」

「帆高君もできるんでしょ?」
「…何が?」

「電波の受信」

瑠璃子と名乗る少女はその綺麗で澄んだ瞳で僕を見つめたーーーーー

「…正直、電波とか全然意味がわからないんだけど…」
正直に瑠璃子に返答するがーーーーー

「いいの、そのうち気づくから」
「いや、だから…」

「大丈夫。そのうち、教えてあげる」
無邪気に微笑んだ。

「天野さんの元へ行きたいんでしょ?」
心の中を見据えたかのように

「届いたの電波が。帆高ちゃんを助けろって」
「帆高ちゃんを助けてあげるよ」
瑠璃子は帆高に向かって手を伸ばしそう答えたーーーーー

……チリチリチリチリ。

「……」
(正直、電波とか意味が分からないことを言っている。なんか危ない薬でもやってるんじゃないのかな…?)
帆高にとって瑠璃子は明らかに異質ーーーーーしかし、その微妙に焦点がずれた、星のない月夜に見た湖のような瞳に帆高はーーーーー
「…よろしくお願いします」

帆高は瑠璃子の手を握っていた。

天野陽菜に会いたいーーーーー謝りたいーーーーーその一心がーーーーーー

狂気の扉を開きかけているのかもしれないーーーーー

【A-8/住宅街】

【森嶋帆高@天気の子(映画版)】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:鳥居がある廃ビル屋上へ行き、陽菜を連れ戻す
1:陽菜さんを取り戻す!
2:瑠璃子と行動を共にする
3:頭が…ちりちりする……
※参戦時期は警察署から飛び出した直後
※瑠璃子との接点で頭に電波が届くようになりました。

【月島瑠璃子@雫 オリジナル版】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:鳥居がある廃ビル屋上で電波を集める
1:鳥居がある廃ビル屋上へ行き、電波を受信する
2:森嶋帆高と行動を共にする。
※参戦時期は太田香奈子が発狂した数日後
※瑠璃子の周囲に電波が集まります。電波に触れ続けると…狂気の扉が開くかもしれません。


543 : 電波の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/01(月) 22:46:02 tC1UYVVc0







(………)
帆高と瑠璃子のやり取りを路地裏から覗く影……
影の正体は、北条時行。
鎌倉幕府第14代執権北条高時の遺児。

信頼していた御家人(足利高氏)が裏切り、時行は全てを失ったーーーーー
時行は生きることに絶望した。
しかし、燃え盛る葛西ケ谷東勝寺 から突如、謎の建物の座布団らしきものに座り、奇天烈なのを見せられた。

(…あれって、帆高…と申す者…)
老婆によるバトルロワイアルが宣言され、時行は先ほどまで自分がいた鎌倉とは比べられないほど進んだ街に佇んでいた。
とりあえず、雨をしのごうと移動すると、件の人物が女の人と話しているのを目撃した。

(…どうしよう)
2人の前に姿を見せるか悩んでいると歩きだしたので、時行もとりあえず、隠れながら跡をつける。

(本当なら、私も父上と…皆と一緒に腹を切ろうと思っていた…)
潔く死ぬのが当たり前の時代に生きた少年がーーーーー

(帆高と陽菜…二人のおかげで【生きる悦び】にときめいてしまった)
時行は【天気の子】の住人に、とりわけ2人の笑顔に希望をみたのだ。

(帆高殿…責任は取ってもらうぞ)

多くの参加者が帆高を殺そうと行動を起こすであろう中、誰よりも生き延びる才能を持つ時行が帆高を守ろうとする。

生存本能の怪物は目覚めたーーーーー

【A-8/住宅街】

【北条時行@逃げ上手の若君】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:隠れながら逃げながら帆高のサポートをする。
1:帆高が死なないようにサポートする(隠れながら)
2:首輪の対処も考慮する
3:あの女の人は誰だろう…?
※参戦時期は1話の燃え盛る寺から


544 : 電波の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/01(月) 22:47:24 tC1UYVVc0
投下終了します。

そして、すみません!
自分が投下した作品で神子柴を御子柴と表記していました…大変失礼しました。


545 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/04(木) 17:03:22 09Twh/ic0
投下します


546 : 信じる意味を書き換えて ◆2dNHP51a3Y :2021/02/04(木) 17:03:43 09Twh/ic0
「―――さて、お互いの紹介と事情の説明はこれぐらいで構わないかな?」

それは、まさに天より降り注いだ黄金の如く優美な顔立ちをした男だった
雨空の薄暗さすら掻き消さんとばかりに綺羅びやかな金髪を靡かせたあ、まるで神とも言わんばかりの威圧感と印象を与えかねないその男

「……ああ。そちらの事情も、大体わかった」

対するは、その両眼を黒の目隠しで覆った白髪の男。基本的な日本人成人男性を超える身長を持ち、その隠されてた両眼からは金髪の男を見定める鋭い眼光が目隠し越しに確認できる

今でこそこうして、ある建物の一室にて両者とも椅子に座りこうしてテーブルを挟んで会談出来ているが、実は出会った当初は一触即発の雰囲気であったのだ、その原因だったのが

「(……二人は気にしなくてもいいとは言ってくれたけど、なんというか一人省かれている感じが何とも)」

そう内心思いながらも二人の会話を座って見つめていた、黒のブレザーと白のチェックスカートを着込んだ紺色の艶髪をカチューシャで留めた少女――八雲学園二年生にして生徒会長こと陰陽師、神坂理央
理央の手元には、内に飲み干した跡が残る白いカップ。彼女もある程度自己紹介や事情の説明をしていたのだが、途中から二人の独壇場になってしまったため、淹れられていたホットコーヒーを飲み干してしまったわけだ



話は三人が出会った所までに遡る
まず金髪の男が理央と出会ったのだが、その時の理央の状態は兎に角酷かった
着ていたのは上半身のブレザーと黒のニーソックスのみ。しかもその唯一着ていた服というのが大量の白い液体で塗れ、異臭を放っていたのだ
口を含めたどの穴からも精液が溢れ落ち、股間からはジョロロロとアンモニア臭漂う黄色い液体を垂れ流す。ふくよかな乳房から乳汁が溢れこぼれ、その全身は甘い匂いと性の異臭の塊と化していたのだ

そこに運悪く遭わせたのが白髪の男だ。疑いの目だけであったが、状況が状況だけに理央がこのザマになっていた原因が目の前の金髪の男だと思った事もあり、二人は一つでも間違えば戦闘勃発の危機的状況

だが、幸運にも両者の殺意に近い睨み合いの余波で、一種の淫乱状態から脱却できた理央が事情を説明したことでその場は収まり、一時彼女が体を洗い着替えるのを待ってから、改めて3人で話し合う場となり、今に至る
余談であるが、理央のカチューシャ以外の今の服装は支給品に入っていた代物。ご丁寧に下着の類もあったので拝借させてもらい今の格好だ



時間は戻り、お互いの自己紹介及び、状況の確認をした三名
理央は陰陽師として、白髪の男は呪術師として、そして金髪の男は魔術師としての意見を出し合い、それぞれある程度の考察を巡っていた
まずはルールにあったゲームが終わる条件

①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
②『森嶋帆高』が陽菜と出会ったら数時間後にエリア全体が浸水し、『森嶋帆高』と陽菜を除く魚人のような溺死しない種族も含めて全員死亡する。
③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。

まず目に付いたのは『死滅』という文言だ。これではまるで森嶋帆高という人間が複数いるような文言だ。本当に複数人いるのか、それとも認識上かあるいは実際に『森嶋帆高』にされるかは不明であるが、何にせよ森嶋帆高を殺してでも止めるという方法を取る事自体が主催の思惑の手のひらの上だろう
そして参加者毎に提示されたお題は3人共同じ内容。三者とも『自分にだけ与えられたお題』と考えてはいたが、そもそもの問題、参加者へ出されたお題は全て同じ内容なのでは?という予想が飛び交っていた
……最終的には、キーパーソンである森嶋帆高及び協力してくれそうな他参加者の捜索、首輪の解除を方針として三人は共に行動することとなったのだ


547 : 信じる意味を書き換えて ◆2dNHP51a3Y :2021/02/04(木) 17:04:14 09Twh/ic0
○ ○ ○

「……まさか、二度目の復活をするとは思わなかった」

金髪の男は思考する、元より自身は二度死んだ身。希望は既に別の者に託した

しかし、男の中に心残り――仲間とともに世界を救いたかったという思いがあったのも確か

「……神、か」

男は思う。かの二人に理不尽を齎した神の事を。かつて自身と盟を結んだ大神とは違いし神
かの神が何を思うてこうしたかなど男にはわからない。然し――

「こればかりは一度会って見なければ、わからないか」

自分は映画を介してしか森嶋帆高を知らない。故に彼と会い、理解しなければならない
例え、どのような結末になろうとも

かつて、最強の秘匿者であった青年はこれにて三度目の生を以ってこの地へと降り立った
彼が信じるは『人の可能性』『人の美しさ』。かつて彼は世界を救うために世界を敵に回した
その果て、彼は人類最後のマスターに希望を託し、この世を去った

人間は、誰であろうと頑張っている。天野陽奈を助けようと駆ける森嶋帆高を、そんな彼のために自ら人柱として捧げた天野陽奈も

もし、かの『マスター』ならどのような選択をするだろうか――
いや、それは愚問であった。彼ならば、森嶋帆高も、天野陽奈も、そして晴れ空をも取り戻す選択を掴み取ろうとするのだろうか

だからこそ、男は―――『キリシュタリア・ヴォーダイム』は、三度目の生を踏みしめ、歩み始める

○ ○ ○

(――さてと、一体誰がどうやって僕をここに連れ出したの、やら)

白髪の男、呪術師最強『五条悟』は思考する

新宿事変の折、彼は夏油傑の『皮を被ったナニカ』の罠に嵌り、獄門疆の中に封印された
封印されてしまった以上は後を教え子たちに託すしか無かったのだが、結果として今回のゲームに巻き込まれたお陰で外の空気を吸うことが出来ている

(あの神子柴とかいう婆さん……何かしら裏がありそうだ)

新宿事変にあの特急呪霊達を、夏油傑の皮を被ったナニカの目を掻い潜った上で自分をここに連れ出した存在。しかも獄門疆の封印から自分を解き放った上で、だ
いくらあの老婆がどうにか出来るほどの呪術師であったとしても、それを個人でするとなれば明らかな限界がある。会場の事といい、少なくとも協力者がいなければ始まらない

(でも、僕をここに呼んだって事は、それだけ自信があるってことだ)

仮にも呪術界最強と言われた自分をこんな催しに招待した輩だ。それだけの余裕と自信があるということである。だが、だからといって舐められたままでは気分が悪い

(その驕り、いつか後悔させてやるよ。神子柴)

故に、老婆の見え透いた余裕を打ち破らんと、最強の呪術師は密かに微笑んだ


○ ○ ○

(……早苗)

神坂理央は思う。あの時救うことが出来なかった友人の名を心の内に呟いて
自分は友人を救えなかった、かの極悪非道なる陰陽師、六道彰光の手から

情けなかった、助けたいと願っていたのに、等の自分は淫獄と化した学園で淫れよがっていた
友人を助けるなんて言い訳をして、情けないプライドだけ守って快楽に溺れいた自分が悔しかった

(……今度こそ、負けたくないよ)

だからこそ、悔しさも悲しみも全て飲み込み立ち上がるしか無い
今まで受けた陵辱の痕跡は身体にこれでもかと染み付いてしまっているが、だからといって立ち止まるわけには行かない
けれども今は、この『ゲーム』を終わらせないことには何も始まらない。おそらくあの彰光よりも強大な実力を持ったこのゲームの主催者たちを倒さない限りは
結果として自分を快楽の水底から引き上げてくれた結果となった出来事だが、だからといって許すつもりもない

(……待っててね、早苗。今度こそ、助けに行くから。もう、負けないから)

今だ癒えぬ快楽の傷を抱えながらも、少女はその決意と共に覚悟を決めた


548 : 信じる意味を書き換えて ◆2dNHP51a3Y :2021/02/04(木) 17:05:16 09Twh/ic0
【キリシュタリア・ヴォーダイム@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高と天野陽奈を助けた上で、晴れも取り戻し、このゲームを終わらせる
1:森嶋帆高の捜索。直接会ってみなければ詳しくはわからない
2:協力者の捜索。もしカルデアのマスターやその仲間がいれば……?
3:首輪の解除

※死亡後からの参戦
※理想魔術は使用不可能

【五条悟@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:『ゲーム』を終わらせる
1:森嶋帆高の身柄の確保
2:協力者(いれば呪術校関係者)を探す
3:首輪の解除

※獄門疆に封印された後からの参戦
※無下限呪術に制限が掛されています

【神坂理央@陰陽生徒会 淫呪の鎖】
[状態]:健康
[装備]:虹ヶ咲学園の制服一式@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:『ゲーム』を終わらせて、元の世界に戻る
1:もう二度と負けたくない
2:森嶋帆高を探す
3:協力してくれる人がいてほしい
4:首輪の解除
5:もし早苗や彰光がいたなら、私は……

※第四章『淫式堕悦』終了後からの参戦
※理央に仕掛けられていた式や結界は解除されています
※調教・陵辱の痕跡は深く根付いており、男根の目撃等で激しく発情してしまう可能性があります
※精液塗れになったブレザーと黒ニーソックスは洗浄された上でデイバッグの中にしまわれています


549 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/04(木) 17:05:26 09Twh/ic0
投下終了します


550 : ◆ytUSxp038U :2021/02/04(木) 19:46:32 c/uIgP5.0
投下します


551 : 2021:リベンジャーアゲイン ◆ytUSxp038U :2021/02/04(木) 19:49:06 c/uIgP5.0
「スウォルツゥウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!」

怒りのままに青年が叫ぶ。
加古川飛流にとって森嶋帆高と天野陽菜の恋物語などどうでもよかった。

自身に仕える振りをして、最後はあっさりと見捨てた男への憎悪が募る。

いや、スウォルツだけではない。

アナザージオウⅡのウォッチを奪った海東大樹。
忠誠を誓っておきながら、結局は自分を騙していただけだったウォズ。
どこまでも邪魔をし続けた門矢士と明光院ゲイツ。

そして自分の人生を狂わせた原因である男、常磐ソウゴ。

どいつもこいつも、この手で地獄に叩き落としてやらねば気が済まない。

だがアナザージオウⅡの力を失っている以上、今の自分では常磐ソウゴ達には届かない。
連中を叩き潰す為の更なる力を得る方法は一つ。

「…いいだろう。神子柴、今はお前の望み通りに動いてやる」

制限時間が過ぎるまで帆高を捕え、邪魔な参加者は全て排除。
そして力を手に入れ、常磐ソウゴをも超える魔王として邪魔する者を一人残らず殺す。

一度は惨めな敗北者へと成り下がった男は、魔王としての再起を賭けて動き出した。


【加古川飛流@仮面ライダージオウ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:常磐ソウゴを超える力を手に入れる
1:森嶋帆高を探しつつ、他の参加者を排除する
[備考]
※参戦時期は43話終了後。


552 : ◆ytUSxp038U :2021/02/04(木) 19:49:45 c/uIgP5.0
投下終了です


553 : ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:55:47 wHyLEh2.0
投下します


554 : 災厄の二人 ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:56:30 wHyLEh2.0
いやぁ、えらい事になってもうたなぁ。
あの天気の子なんて話題作を無料で見せてくれたのはええけど、その後に殺し合いなんてなぁ。
おっちゃん、ちょっとお話に付いて行けんわ。

取り合えずルールは頑張って覚えたで。
森嶋帆高くんを殺せばええみたいや。
おっちゃん、人殺しは流石にしたくないんやけど他のみんなの為に頑張るわ。
なんか放っとくと、雨がぎょうさん降ってみんな溺れてまうみたいやしな。しゃーないわな。

それはそれとして天野陽菜ちゃんや、えらい可愛かったな〜。あの娘、絶対帆高くんより年下や、おっちゃんには分かんねん。
ほんま画面越しやなかったら、いつもみたいにオナホにしたかったんやけど……生憎体も動かせへんかったからな〜。

まあええわ。
あの婆さんは言う事聞いたら願いを叶えてくれる言うてたし、お題こなして陽菜ちゃんハメさせてもらおか。

待っててな陽菜ちゃん。おっちゃんすぐ行くからな。
きっと陽菜ちゃんの処女は、おっちゃんに貰われるために帆高くんが守ってくれたんやろな。
おおきにな。ほんま帆高くんには感謝しとるで、陽菜ちゃんの処女はしっかり味わって、おっちゃんがありがたく貰ったるで。

それにしたって、いくらなんでも俺がいつも全裸やからって雨の中にこのまま放り出すのはどうかしとるわ。
取り合えず、雨風凌げるとこ行って服やな。このままじゃいくらおっちゃんでも風邪引いてまう。

「おっ……おるやん」

冷えた体を暖めるには、そら人肌や。とくにロリのプニプニした未発達ボディは最高やで。
おっちゃんの前におったんは、そら丁度ええ美少女やった。

なんやろな。黒いフリフリのついたドレスみたいな服、あれゴスロリっていうんかな。
そんでもって、雪みたいな白い髪、間違ってもババアの汚い白髪とは違うで。艶々してほんまに綺麗な髪や。
青い目も宝石みたいで見惚れそうやね……。

あれや、昔に政治家が読んでたとかいう人形の漫画に出て来た、水銀なんとかっていうのにそっくりや。

外人さんやろか。えらいべっぴんさんやな〜。

あかんわ。おっちゃんのチンポビンビンやで、もう我慢できんわ。

おっちゃんな。時間止められんねん。

ほな見てみ? ぎょうさん降ってた雨が止まってビー玉みたいになっとるやろ?
びっくりしたやろ?
こうしてな、おっちゃん気に入った娘見つけたらオナホにしてハメたりしてんねん。

「全然、美少女(オナホ)が見つからんかったから、ちょっとイライラしとったけど……これは上物やで」

おっちゃん、もうギンギ――。

「え? えっ……あ、ぎゃあああああああああああ!!!! あし、あしィィいいいいい!!?」

違和感感じて下向いてみたら、おっちゃんの足、なくなっとる……。

太腿から先がキレイにすっぱ抜かれとる。そのままバランス崩して転んでまう。当然やな、足がないんや。


555 : 災厄の二人 ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:56:57 wHyLEh2.0

「……なるほど、面白い力を持ってるようね? 時間の停止、といったところかしら」

あまりの痛みに時間停止も解けてもうた。

「やはり、醜いな。人間よ」

何処からともなく、もう一人現れよったわ。
すごく引き締まった筋肉質な体ってのが、服の上からでもよう分かる。
そんでもって、黒い胴着みたいな服を着て血だらけのおっちゃんを上から見下ろしとる礼儀知らずな奴や。
ええ歳してそうなのに、礼儀を知らんな。年上は敬わなあかんわ。

「な、なんや……」

その男が手からライトセイバーみたいなん出しとるのは分かんねん。それでおっちゃんの足、切ったんも分かんねん。認めたないけど。
けど、いつ切ったのかまるで分らんわ。時間を止める前って事やろか? 全然気付かんかったで。
こんなんいくら時間止められても無理やで。早すぎて時間停止が間に合わへんもん。

「―――ごぼっ!?」

女の子から、火の玉みたいなんが出てきて、おっちゃんの横で急に爆破しよる。美少女の桃乳首は歓迎やけど、こんなん勘弁や。
とんでもない衝撃が走って、強くアスファルトに体を打ち付けてもうた。
忘れちゃあかんけど、おっちゃん全裸やからな。めちゃくちゃ痛いで。
皮が擦り剝けて、足の切り口から雨が血に染まって赤い水溜まりが広がっとる……。


俺の勘が言っとる。こいつらは、マジにヤバいわ。


「時間停止と言っていたな……。厄介な力のようではあるが、使い手がこれではな」

これ、ほんまに不味いんちゃうか?
今まで何人もオナホにしてきたけど、こんなピンチ初めてや。
それにもう、足がなかったら街を出歩けへん。新しい少女(オナホ)との出会いもあらへんやんけ。

「ぁ……がっ……」

なんでや。なんでこんな理不尽な目におっちゃんが合わなあかんねん。
おっちゃんがなんかしたんか? そこまでのことやったんか?

「見る気も失せる」

男が掌翳してきとる。もうおっちゃんにだって分かる。
きっと、ビームみたいなん出してそのまま消し炭っちゅうわけやわ。

「まあ、待て……ザマス、いやここではブラックという名で呼ばれてたのかしら?」
「リーゼロッテよ、なんの真似だ。こんな汚物を生かす価値などなかろう。一刻も早く私の視界から消し去りたいのだ」
「少し、遊んでも良いでしょう?」

嗜虐的な笑い顔のリーゼロッテちゃんはとっても可愛かったが、それをおっちゃんに向けられてるって考えたら身震いしてきたわ。
気付けば雨で熱が奪われたのと、恐怖心でおっちゃんのチンコシナシナや。

「お前、そうね……あの建物、見えるかしら?」
「……は?」

建物ってあのビルの事やろか? 数メートルくらい先に確かにある。

「少し時間をあげるわ。その時間内に、あそこまで辿り着けたら助けてあげる……」

「ほ、ほんまか? ありがとな嬢ちゃ―――ぐェ……!」

脇腹に鋭い蹴りが飛んできよった。
内臓が潰れたんか言うほどに衝撃に喉を逆流して、胃液やら朝食ったチキンやらが口から飛び出してきよる。

「ゴッ、ご、ほォ……!?」
「フフフ……ほら、早く……間に合わないわよ?」

これ、嬢ちゃんの蹴りか? いくらなんでもありえんわ。こんな小っちゃな娘がこないな脚力持っとるなんておかしいわ。


556 : 災厄の二人 ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:57:20 wHyLEh2.0

「ぐっ、ごっがあっ……!」

息、でき……へん。
何度も何度も蹴ってきよってからに。
けど、死にたない……俺、死にたないんや!!
もう禿げあがって、バーコード頭で全身ぜい肉だらけの汚い中年おっちゃんやけど……俺死にたない! もっといろんな美少女(オナホ)をハメたい!!

「あら、大分頑張るじゃない。足もないのに器用に手で、芋虫みたいに張って行って……お上手お上手」

「か、は……ぁ、はぁ……!」

手拍子までして、リーゼロッテちゃんはすっかりいい気になっとる。

けど、忘れとるみたいやな? おっちゃんには時間停止があるんやで。
俺が念じた瞬間、時間が止まって、雨がビー玉みたいになる。
どうや、これなら這って行っても十分間に合うで。

ほな、このままゴールまで一直線―――


「あ? あ、ぁああ……がぎゃあああああああああああ!!?」


這おうとして気付いたわ。おっちゃんの左手が、肩から先が消えとることに。
とんでもなく血が噴き出て、もう意識飛びそうや。
あまりの激痛に、おっちゃんの時間停止が強制的に解除されてもうた。

「お探し物は、これ?」

リーゼロッテちゃんの満面の笑みの横におっちゃんに左手があった。ニコニコして、くるくる手で回しながらこっちに見せ付けとる。
……狂っとるわこの娘。

「随分いい様になったわね……。そうだ、豚のように鳴きなさいな」

「ぶ、ブヒ……ブヒヒ……」

「アッハハハハ……服も着ないで言葉も使わないなんて、もう家畜同然ねえ?」

おっちゃんの左手で俺のケツを叩いてきよる。まるで調教されとる馬やで、何たる屈辱や。
もう全身痛いわ。けど、おっちゃんは負けんわ……片手でも這って、意地でも辿り着いたる。







「目障りだ。消えろ」







最後におっちゃんの見た光景は、とんでもなく大きな光に飲み込まれていく場面やったわ。








【時間停止おじさん@本当にいた!!時間停止おじさん 死亡】


557 : 災厄の二人 ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:57:48 wHyLEh2.0



「短気ね」

リーゼロッテは退屈そうにブラックを見やる。

「あまり、余計な時間を食いたくないと言っているのが分からないか?」

ブラックと呼ばれたその男、神・ザマスは最早呆れの最頂点にまで達し、心底疲れ切ったような溜息を吐いた。
己が肉欲の為に突き進む森嶋帆高という男もそうだが、この中年男も実におぞましい。
頭や指の先々まで性欲に支配されているとでも言うのだろうか。

あの男がリーゼロッテを見つけ、股間を膨張させた様など忘れ去りたい程に汚らしい光景だった。
それほどまでに繁殖したいのか。
虫けらも然り、下等な生き物ほど良く増えるということなのかもしれない。

よもやこの場に呼ばれた者共はあんな変態的な連中ばかりとしたら、あの神子柴と呼ばれた老婆の感性を疑わざるを得ない。

(いや、人間など元より下劣。
 何という醜さ、何という愚かしさなのだ……やはり人間、滅ぶしかないな)

益々人間に対しての憎悪が増してくる。

「人類鏖殺、下等な人間とは思えぬ高尚な夢想ではあるが……所詮は人間だな。汚らわしい本性が垣間見えるぞ」

そして、やはりリーゼロッテもその思想には共感はするものの、根っから相容れる存在でもない。
人の残虐さを凝縮したかのような、まさしく穢れた魔女だ。

「だから、浄化するのではなくて? 罪に穢れたこの世界を救済するにはそれしかない」

嘲るようにリーゼロッテは笑う。

ブラックの目的、それは幾度となく争い間違いを犯す存在、神の唯一の失敗作たる人間を滅ぼす事だ。
その為にとある世界の人間をほぼ滅ぼし尽くし、理想郷を創り上げる寸前であった。
リーゼロッテの悲願も同じく、人間を滅ぼす事。
かつて愛した男の夢を引き継ぎ、その胎に埋め込まれた虚無の魔石に数百年生かされながらも、人類を滅ぼさんが為に暗躍し続けてきた。

「……貴様、制限の把握は十分か?」

このバトルロワイアルにおいて、強者に位置づけられる者が少なからず課せられる枷の一つ。
特にこの二人にとっては、それが大きな影響になりつつあった。
ブラックの制限は、元より備わっていた強大な戦闘力の大幅な弱体化だ。星すら砕く力がいまや、そこいらのビルを消す程度だ。
他にも強化変身体であるスーパーサイヤ人ロゼが使用に伴い、莫大な消耗を強いられている。

「ククク……私の本来の力の弱体化と、ロゼへの負荷の重さ……真の神の美しき威光は、紛い物の神には些か眩しすぎるらしいな。
 やはり、私はただひたすらに孤高というわけか……フフフ」

「……」

制限という圧倒的不利を思い出しつつも、唐突に自己に酔いしれ思わず声に出しながら笑い出すブラック。


558 : 災厄の二人 ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:58:35 wHyLEh2.0

(それに力が拮抗すればするほど戦いは面白くなる。……私の弱体化という方法は気に入らんが、前菜としては戦いを楽しめそうだ)

闘争を欲するサイヤ人の肉体が今か今かと戦いを求めるのを肌で感じる。
やはり、戦いの中でこそより鋭く、美しく、強くこの肉体は磨かれていく。

(前菜ども……そして神子柴といったか、私をガッカリさせてくれるなよ?)

ブラックは自身も気付かぬ程の欲求を滾らせた。




(制限、か)

それを横目にリーゼロッテは思案する。

リーゼロッテ制限、それは不死の肉体への再生力の大幅な低下だ。
殺し合いというだけあり、果たして不死身の自身をどう扱うのか気にはなっていたが、こうして直接体に干渉されるとは予想外だ。

この首輪の爆破を受ければ恐らくは死ねると思えるほどの制限、リーゼロッテはゲーム開幕直後にわざと首輪を起爆させようかとも考えていた。

(奈落堕とし(ケェス・ピュトス)を行使し、世界が終わるその寸前にこんな茶番へ付き合わされたのは腸が煮えくり返る思いだったけれど……)

あの映画を見せられる以前、リーゼロッテは世界を滅ぼすその数刻手前であった。
だからこそ、怒りに任せゲームを妨害することも考えたが、本当に森嶋帆高を止めることで願いを叶えるのであれば乗るのも悪くはないと考えた。
ゲームのルール通り、お題をこなし願いを叶えられれば良し、そうでなくても生還できれば奈落堕としを再行使するまで。

仮に、死ぬのであれば……それでも良かった。

悠久の時を生きた少女の願いは、自らの死。叶うのなら、それでも良い。

「大体把握できたわ」

「ならば行くぞ。このゲームのルールは森嶋帆高をゴールさせないことだ。
 さっきのような茶番で時間を潰している間に、奴が天野陽菜の元に辿り着かれてはかなわん」

都合のいい手駒(ビジネスパートナー)も手に入った。

ブラックの悲願も人類の滅亡、そしてリーゼロッテは仮に自らが死んでもブラックが生き残りそれを果たすならば、それでも構わない。
逆にブラックが死のうと、思う所もない。

強さも本来の力は自身を遥かに上回る。
お互いに特に情もなく、目的も一致し思う存分使い潰せる。

これ以上なく申し分ない手駒かもしれない。


(フフッ……あの映画、昔を思い出すわね。……けれど、ヴェラード貴方は……)

森嶋帆高と天野陽菜の純愛を見ていると、自分が最も愛した男を思い浮かべる。
だが、その人類鏖殺という、悲願を成就しようとしたその寸前で、別の姿形ではあったが彼は否定してしまった。
沸々と怒りが沸き上がり、その愛が憎悪に塗り潰されていく。

―――そなたを殺す。

ヴェラードが約束したのは、世界を滅ぼしてもただ一人孤独に生き残るやもしれぬリーゼロッテに対する救いだった。
しかし、それが果たされることは最早ない。


(いいわ。甘酸っぱい想いを味あわせてくれたそのお礼に森嶋帆高、天野陽菜……貴方達には甘美な絶望を与えてあげる)


そこに居たのは。愛した男との約束を永遠に果たされぬまま、魔女としての末路を進まねばならない災厄そのものだった。


559 : 災厄の二人 ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:59:04 wHyLEh2.0




【ゴクウブラック(ザマス)@ドラゴンボール超】
[状態]:健康、人間に対する嫌悪(限界突破)、戦闘欲求(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:人間0計画を果たす。
1:森嶋帆高を殺す。戦いも楽しむ。
[備考]
※戦闘力が強く制限されています。消耗も激しくロワが破綻する程の力はありません。
※本編でロゼに変身して以降からの参戦です。


【リーゼロッテ・ヴェルクマイスター@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:人類鏖殺。
1:お題をこなし人類鏖殺を叶える。
2:森嶋帆高を見つける。
[備考]
※魔力、不死性が制限されています。
※本編の最終決戦直前からの参戦です。


560 : ◆VNz2VDTKZc :2021/02/04(木) 23:59:24 wHyLEh2.0
投下終了です


561 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:08:30 QP.Ozxok0
投下します。


562 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:09:27 QP.Ozxok0

「あたしはヒーローですから、こんな殺し合いは絶対に認めませんーーーー!!」

 雨空の下、小宮果穂は傘を手にしながら全力で叫ぶ。
 283プロに所属するヒーローアイドルにして、全力系アイドルユニット・放課後クライマックスガールズのリーダーである果穂は、特撮ヒーローが大好きな小学6年生だ。
 毎週、特撮ヒーロー番組を欠かさず視聴しており、最近のお気に入りは『ジャスティスV(ファイブ)』の主人公・ジャスティスレッドである。人類の守護者たるジャスティスレッドに憧れて、ヒーローみたいなアイドルを目指す果穂が殺し合いなど認める訳がない。

「おばあさん! あなたが何を考えて、あたし達にこんな酷いことをさせているのかは知りません! ですが、あたしのやるべきことはたった一つです!」

 果穂は大きく胸を張って宣言する。

「お父さんとお母さんは、あたしのことを心から信じてくれました!」

 声量はもちろん、小学6年生女子の平均身長を上回る背丈も加わって、その言霊には大きな力が凝縮されていた。

「夏葉さんも! ちょこ先輩も! 樹里ちゃんも! 凛世さんも! プロデューサーさん達283プロの皆さんも、あたしのことを信じてくれました! だから、あたしはみんなの期待を裏切らない為にも、森嶋帆高さんを絶対に助けてみせますッ!」

 一切の嘘偽りのない果穂の叫びは、湿った空気を吹き飛ばしそうな程に大きい。
 謎のおばあさんによって映画を見せつけられてから、森嶋帆高というお兄さんを捕まえろと命令された。捕まえた暁にはどんな願いでも叶えると言われたけど、とても信じられない。
 何故なら、古今東西多くの特撮番組では、人の悩みを利用して悪事を働く怪人がいくらでも出てきたからだ。怪人の言葉に惑わされたことで生まれた不幸も数え切れない。
 実際に、人の命を蘇生させる場面を見せつけられても、果穂が殺し合いに乗る理由はなかった。

「私も、果穂ちゃんと同じだよっ! 今まで、Aqoursの高海千歌として輝き続けたように……自分に嘘をつかない為にも、輝き続ける!」

 そして、果穂の隣で叫ぶ少女がもう一人。
 彼女の名前は高海千歌。沼津の浦の星女学院にて設立されたスクールアイドル・Aqoursのリーダーであり、果穂にとって最初の仲間だった。

「私……高海千歌は輝きたい! 果穂ちゃんと一緒に、森嶋帆高さんを助けてみせる!」

 千歌の叫びは、果穂の胸に響く。
 雨に濡れた街に放り込まれた矢先、果穂が最初に出会ったのは前向きで行動力に溢れた千歌だ。
 彼女は微笑みと共に果穂の手を優しく包んでくれた。そのぬくもりがあったからこそ、雨の中でも震えずに済んだ。
 だからこそ、今もこうして宣戦布告ができている。


563 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:11:53 QP.Ozxok0
「あたしはーー!」
「私はーー!」

「「みんなを笑顔にする、アイドルだからっ!」」

 そして、二人の叫びは重なった。
 生まれ育ちや、所属ユニットが違えども、その志は変わらない。街を飲み込む陰鬱とした風と空気をものともせずに、果穂と千歌はアイドルで居続けていた。

「……こりゃまた、ずいぶんと可愛らしいヒーローさん達だね」

 パチ、パチ、パチ……乾いた拍手と共に、男の声が聞こえてくる。

「だ、誰ですか!?」

 果穂は振り返る。
 そこには、果穂や千歌はもちろん、夏葉やプロデューサーよりも背丈の高い男が不敵な笑みと共に立っていた。ハリネズミのように逆立った髪と、見事に着こなされたスーツの黒によって、「デキる大人」という印象を与えてしまう。
 輪郭や鼻筋も整い、目つきこそはやや垂れているものの、見事にイケメンだった。

(こ、この眼力! どんな人でも魅了させそうですが……油断できません!)

 だけど、果穂は現れた男を前に身構える。
 男の瞳は怪しい輝きを放っていて、油断すれば吸い込まれそうな雰囲気を醸していた。
 一見すると優しそうに見えても、実は悪人だったキャラクターは特撮ヒーロー番組には珍しくない。
 何よりも、知らない人に声をかけられてもついて行くのはダメ。この状況なら尚更だ。

「この状況なのに、しっかりしてるねぇと感心しただけさ。オレに敵意はないよ」
「そうでしょうか? そう言って、私達を油断させることだって、できるはずです」

 果穂を庇うように、千歌は一歩前に出た。
 先程までの明るい雰囲気とは打って変わり、真摯な目つきで男を見つめている。

「悪ィ悪ィ! 嬢チャン達の言うトーリだ! けど、嬢チャン達が叫んでいる間に、オレが襲いかかることだってできただろ? でも、オレはそうしてねぇ……それが答えじゃないのか?」

 そして、男は自分のバッグを足元に起きながら、両腕を掲げた。
 彼の言葉も一理ある。本当に彼が悪人であれば、叫んでいる間に二人とも狙われていたはずだ。

「安心しな。オレぁ”少女(ミセーネン)”に興味ねーし、条例違反はマジ勘弁だ。嬢チャン達も、オレみてーなオジサンは守備範囲外だろぉ?」
「……一体、何者なんですか?」
「オレか? オレぁ、ただの”大人”さ……どこにでもいる、何の変哲もない”大人”さ。よろしくぅ」

 千歌の問いかけに対して、現れた男は意味深なウインクで答えた。


564 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:12:53 QP.Ozxok0




 元暴走師団『聖華天』の初代総長にして、90年代に日本の全暴走族から”暴走族神(ゾクガミ)”と崇められ……”破壊の八極道”の一人にまで登りつめた男が殺島飛露鬼だった。
 退屈な”大人”の日常を破壊する為、悪童(ガキ)に戻りたかった5万人の暴走族を率いて、社会と……そして宿敵忍者(にんじゃ)に宣戦布告した。
 そして、帝都高での暴走の最中に出会った忍者(にんじゃ)と一騎打ちをし、殺島は完膚なきまで負けた。

(オレは……地獄に行くことも許されねえのか? いや、この世界こそが地獄みてーなものか)

 だけど、気が付いたらこんな奇妙な状況になっていた。
 少年少女の甘酸っぱい青春物語が描かれた映画を見せつけられたと思いきや、山場を迎えた所で終わってしまい、妙な老婆から殺し合いを突き付けられてしまう。
 そして、これはまた奇妙な格好をした女が怪物を蹴散らしたと思いきや、その首が吹き飛ばされた。だが、次の瞬間には女は命を取り戻している。

 ーーこんな、道理をこえたことも可能じゃ。どうしても願いを叶えたい者は是非とも参加してもらいたいのう

 そんな老婆の言葉が、殺島の心を大きく揺さぶった。
 どんな願いでも叶う……死者蘇生をこの目で見せつけられては、信じるしかないだろう。
 当然、殺島が世界でたった一人だけ心から愛した娘……花奈の命だって、取り戻すことができるはずだ。

 ――パパ

 忍者との一騎打ちに負けた直後、殺島の目の前には二つの階段が用意されていた。
 光り輝く天国への階段と、闇に覆われた地獄への階段。天国への階段からは、花奈の声が確かに聞こえてきた。
 花奈の声に心が動き、一歩前に踏み出そうとした瞬間に、殺し合いに巻き込まれてしまう。正直、勝手に生き返らせられたことは迷惑極まりないが、こうなった以上は話は別だ。
 ちゃんとした”大人”になれなかったせいで、守れなかった花奈を救うことができる。
 ちゃんとした”大人”になれなかったせいで、殺されてしまった花奈に幸せな人生を歩かせることができる。
 その後は、花奈の安全も保障させて、ちゃんとした”大人”になれなかった殺島は一人孤独に死ねばいい。そんな決意を静かに固めた途端、雨に濡れた街に放り込まれた。


565 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:13:58 QP.Ozxok0
 森嶋帆高というガキを捕らえれば、その時点でゲームクリアだ。生死に関係ないなら、簡単なはず。あんなガキの一人や二人、殺島にとって敵ではない。
 そう思った矢先、二人の少女の叫びが耳に届いた。あまりにも無防備で、自分達を標的にしてくださいと言っているようなもの。
 だが、二人のデイバッグに何かマシな道具があるかもしれない。故に、殺島は少女たちの命を奪おうとしたが……

「お父さんとお母さんは、あたしのことを心から信じてくれました!」

 ーーパパ

 少女の叫びと、花奈の呼びかけが重なってしまい、手が止まってしまった。

 ーーパパ……花奈のお願い。
 ーーママとずっとずっと…仲良くしてね。

 そして、殺島の脳裏に浮かび上がったのは、花奈の笑顔と優しい約束だった。
 ふと、花奈とおそろいの”腕輪(ブレス)”が目に飛び込んでくる。フラッシュ☆プリンセスという、花奈が大好きなアニメに登場した安価(チャチ)な玩具だが、殺島にとっては世界で唯一の宝物だった。
 花奈は心優しい娘だ。なんでも出来て、なんにでもなれる可能性を秘めていた。
 もしも、二人の少女達と同じ年頃になれば、素敵な友達に囲まれていたはずだ。

(……そうだよな。こんなことで、生き返っても……花奈は喜ばねえよな)

 これまで数え切れない程の命を奪い続けた。
 その中には、平穏な日常を過ごしていた家族も含まれているだろう。彼らまたは彼女らの、暖かな日々を踏み躙ってきた。
 もちろん、良心の呵責はないし、そんな殊勝な心がけがあれば最初から暴走族を率いたりなどしない。我が物顔で暴れることに何の葛藤もしなかった。
 だけど……今は少女達の命を奪うことができなかった。

(悪ィことをしたら、責任取んねーといけねぇ……あの二人を、守ってって言いたいんだろ? 花奈)

 花奈が残した「パパだいすき」というメッセージが、そう訴えているように錯覚する。
 天国の花奈に会うことができなければ、聖華天の奴らと地獄の底へ突っ走ることもできない。”暴走(ユメ)”の中に逃げることも許されなかった。
 花奈が死ぬきっかけを作った忍者(にんじゃ)は今も許せねぇ。この街のどこかに忍者(にんじゃ)がいたら、この手で殺してやらなければ気が済まない。
 それ以上に、かつて”大人”になろうとした自分自身が、心の底で何かを訴えているのを感じていた。

(ハハッ……オレってば、いつの間にこんなセンチになっちまったんだ? 負け犬にもなれねえ、こんなオレがよ……情けねえよ……)

 自嘲するものの、悪くはないと思ってしまう。
 ただ、花奈を殺人の言い訳に利用せずに済んだことに、安堵を抱いていた。

(悪ぃ、オメーラ。地獄の底に出発はまだかかりそうだ……先に、やらなきゃいけねーことができたからよ)

 殺島を神と慕ってくれた聖華天の連中に、確かな想いを寄せて。
 そして、何かに導かれるように、殺島は二人の前に立った。


566 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:15:42 QP.Ozxok0





「殺島飛露鬼さん……凄いお名前ですね!」
「でしょ〜? 昔から、よく言われちゃうよ! それを言ったら果穂ちゃんだって、いいお名前じゃん?」

 誰もいないカフェにて、小宮果穂は目を輝かせていた。
 殺島飛露鬼という名前の男の人は、本人の背丈も相まって強そうな印象を与えてしまう。

「殺島さんはとっても背が高いですけど、スポーツとかやっていたのですか?」
「おぉ? 千歌っちは鋭いねえ! その通りさ……オレは過去に色んな武術を嗜んでいたんだぜ?」

 そして、千歌も殺島に対する警戒を解いている。
 殺島のフレンドリーさも相まって、楽しく会話できるまでに時間が必要なかった。

「ん……?」

 そんな中、殺島に対する果穂の目つきが変わる。

「どうしたの? 果穂ちゃん」
「殺島さん、可愛いアクセサリーを付けていますね!」
「あぁ、これか。これはな……オレにとって大切な宝物さ。愛する娘からの、贈り物さ」
「娘さん!? じゃあ、殺島さんはお父さんなのですか!? すごいです〜!」
「そう。オレはお父さん……だったんだ」
「えっ? お父さん、だった……?」

 その瞬間、部屋の空気が一気に重くなってしまう。
 今、触れてはいけないものに触れてしまったことを察したが、もう遅い。
 殺島も笑顔を保っていても、瞳は暗くなってしまう。

「オレが世界でたった一人愛した娘さ。花奈は、とても可愛かった自慢の娘……二人にも会わせてやりたかったぜぇ?
 けどよぉ……オレは花奈を守れなかった……亡くなったのさ」
「ご、ごめんなさい! 殺島さん! そうとは知らずに、あたしは……!」
「別にいいって」

 淡々と告げる殺島を前に、果穂は涙ながらに謝罪する。

「……さっき、オレはどこにでもいる”大人”と言ったけどよぉ、本当のオレはそうじゃない。惨めで情けない、ただのクソガキなのさ。
 ”大人”だったら、愛する娘も守ってやれた。それもできないオレは……」
「違いますっ!」

 殺島の自嘲を遮るように、千歌は大声で叫んだ。
 突然の声に目を見開く殺島を前に、千歌は真摯な表情を浮かべていた。


567 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:17:39 QP.Ozxok0

「殺島さんは、惨めでも情けなくもありません! そんなことを言ったら、私なんてバカチカです!
 勉強が苦手で、下っ端で、志満姉や美渡姉を呆れさせて、いっつも周りに迷惑をかけてばかりでした!
 でも、殺島さんはこんな私を笑っていませんし、果穂ちゃんのことも褒めてくれました!
 だから、殺島さんは立派な”大人”です!」

 言葉が紡がれる度に、千歌の瞳からは涙が滲み出ていた。不器用ながらも、殺島の悲しみに寄り添おうとしているように。

「……あたしも、千歌さんと同じ気持ちですっ!」

 千歌の思いやりに後押しされて、果穂もまた叫ぶ。

「あたしにとっても、殺島さんは充分に”大人”ですよ!
 今だって、あたしみたいな子どもを見守ってくれているじゃないですか! それに、あたし達とこうしてお話もしてくれています!
 だから、殺島さんは立派な”大人”ですし……あたし達のスーパーヒーローです!
 もしも、殺島さんに何か酷いことを言ってくる人がいたら、あたしが力になります! あたしが、殺島さんが立派な”大人”ってことを証明させてみせますからっ!」

 果穂は必死に言葉を紡ぐ。
 まるで、砕け散ったガラスの破片を、一枚残さず拾うように……殺島という男の心を、少しずつ救おうという意志を込めて。

「あたしだけじゃ、頼りないかもしれませんっ! 
 でもっ! あたしには頼れる人達がいっぱいいます! 283プロのプロデューサーさんや、放課後クライマックスガールズの皆さん……それにあたしのお父さんやお母さんも、みんな殺島さんの味方になってくれます!
 あたしみたいな、子どもが……何を言ってるんだと、殺島さんは思うかもしれませんッ! ヒーローなのに……アイドルなのに……何を言えばいいのかわからなくて……気の利いたことを言えなくて、本当にごめんなさいっ!
 でも、あたしは……殺島さんを助けたいんですっ! だからっ……だからっ……!」

 やがて、嗚咽を漏らしてしまい、果穂の口からまともな言葉が出てこなくなる。
 果穂と千歌には、殺島の悲しみや絶望を理解することができない。愛する娘を失った彼を救う言葉を、果穂と千歌は持っていない。
 それでも、果穂と千歌は殺島を支えたいと思っていた。

「だ、だがらっ……! やじまざんも……! えぐっ、ひぐっ……!
 あ、あだじに……っ! あだじに、何でも……! うぐっ……えぐっ……!」
「が、がぼぢゃん……! お、おしぼりで……! がおを、ふぎなよっ……!」
「う、ううっ……ず、ずみまぜん……ぢがざんっ……!」

 おしぼりを手に、果穂と千歌はぐしゃぐしゃになった顔を拭く。
 そんな二人に殺島は呆気に取られてしまうが、次の瞬間には笑みを浮かべた。


568 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:19:19 QP.Ozxok0
「……オレとしたことが、二人を泣かせちゃうなんてな。マジでごめんな」
「や、やじまざんの、せいじゃありまぜん……! あ、あたしが……あたしが無神経なことを言ったから……!」
「マジで大ジョーブ。むしろ、二人を見ていたら、思い出しちまったよ……オレや花奈の為に泣いてくれた奴らのことをよ」

 果穂と千歌を諭すように、殺島は微笑む。その姿は、落ち込んだ娘を励ましてくれる優しい父親そのものだった。

「今は思いっきり泣きな……子供は泣くことも仕事だろ? オレも、もう少しだけ”大人”になってみるからさ」
「や、やじまざん……!」
「う、ううぅぅっ……!」

 そのまま、思いっきり泣く果穂と千歌に、殺島は最高の笑顔で見せていた。
 未だに外で降り続ける雨のように、二人のアイドルは泣いた。まるで、悲しみを洗い流そうとするように。
 そして、アイドルを見守る一人の”大人”は、久しく忘れていた感情を思い出していた。


 大人になって、子供を守ることが……とても幸せだったことを。



【小宮果穂@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:正義のヒーローとしてこの殺し合いを認めません!
1:千歌さんや殺島さんと一緒に頑張ります!

【高海千歌@ラブライブ!サンシャイン!!】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:自分に嘘をつかない為にも、殺し合いを認めない!
1:果穂ちゃんや殺島さんと一緒に頑張る!
※少なくとも、Aqoursのメンバーが全員揃ってからの参戦です。

【殺島飛露鬼@忍者と極道】
[状態]:健康
[装備]:拳銃×2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、花奈とおそろいの”腕輪(ブレス)”@忍者と極道
[思考・状況]基本方針:責任を取るため、もう少しだけ”大人”になる。
1:花奈の為にも、果穂と千歌の二人を守る。
2:帆高については……?
※忍者との一騎打ちに敗れ、天国への階段を登ろうとした直前からの参戦です。

【花奈とおそろいの”腕輪(ブレス)”@忍者と極道】
殺島飛露鬼が愛娘の花奈から貰ったプレゼント。
人気アニメフラッシュ☆プリンセスの玩具で、「パパだいすき」というメッセージが書かれている。


569 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 07:20:21 QP.Ozxok0
以上で投下終了です。


570 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 15:24:51 xnqhCBsQ0
投下します


571 : 未来を救うのはこの勇気さ ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 15:28:23 xnqhCBsQ0
「何がどうなってるんだ…」

年季の入ったアパートの一室。
そこが青年、トランクスのスタート地点だった。

ザマス達との死闘を終え、マイと共に分岐した未来へ向かっていたはずだ。
なのにいきなり見知らぬ映画館に拉致された挙句、バトルロワイアルというふざけたものを強要された。
薙刀を持った女性が殺された瞬間、動けるようになった体で老婆を止めようとしたが急に意識が遠のき、目が覚めたらこれまた見知らぬ部屋に転がっていた。

(分からない…あの神子柴という人は何なんだ…)

どんな願いでも叶えると言っていたが、それはつまり神子柴はドラゴンボールを確保しているのだろうか。
確かに神龍の力なら死者の蘇生も可能だ。
だが最初に女性を生き返らせた時には神龍の姿は無く、気も感じられなかった。
では少なくとも死者を蘇生させる力は神子柴本人の能力とでも言うのか。
そんな事が可能な老婆の正体はなんだ?

それに自身の不調も厄介だ。
目が覚めてすぐ自分の体がいつもよりも重く感じられた。
もしやと思い気を開放してみると、普段では有りえないような疲労が伸し掛かった。
考えられる可能性は一つ、神子柴にパワーを制限されている。
試してはいないが、恐らくは超サイヤ人への変身も普段通りにはいかないだろう。
こんな枷を付けてまで、自分をバトルロワイアルに参加させたがる理由が分からない。

加えてあの映画の内容も気になる。
映画の中で天野陽菜は神に捧げられそうになっていた。
神子柴の説明通りならあの映画の内容は全て真実という事になる。
だが界王神や破壊神がそんな贄を求めているなど、一切聞いた事がない。
もしかしたら自分が知らないだけで、そういう神様もいる可能性もあるが。

「分からないのに考え込んでも仕方ないか……」

答えが出ないのにだらだら考えていても時間の無駄でしかない。
なので神子柴の正体は一旦置いておく。

それよりも森嶋帆高をどうするかが先だ。
危なっかしくて、冷静さが足りない少年。
映画を見た限りでは、そんな印象を帆高に抱いた。
しかし、彼の天野陽菜への想いは否定しない。
少なくとも彼は大切な人が消えようとしているのに、ただジッとしているだけの男でないのは確かだ。

自分だって、もしもマイが消えてしまいそうになったら、周囲の静止の声を振り切ってでも駆け付けようとするだろう。

神子柴が言うには、少年少女が再会したら会場は水底に沈むらしい。
だが、だからと言って罪の無い彼らの犠牲を容認することなどトランクスにはできない。
そもそも人の命をゴミのように踏みにじる、人造人間やザマスのような外道に大人しく従う義理がどこにある?
あんな者の言いなりになってしまっては、父や師匠に顔向けできない。
故にトランクスは決意する。
帆高を守り、必ずや神子柴を倒すと。

問題は参加者の命を縛るこの首輪。
残念ながらトランクスに首輪を外すだけの技術力は無い。
けれど母のような技能を持った人間ならば、可能性はある。
そんな者が参加させられているかは分からないが、探してみる価値は十分ある。

大まかな方針を纏めたトランクスは剣を背負い、手早く出発の準備をする。
愛用の剣は神子柴に没収されたのか見当たらず、デイバッグを漁った所出て来たのは別の剣。
見ただけで名剣と分かる眩さを持つ武器を、「少しの間お借りします」と顔も知らぬ持ち主に断りを入れ使わせてもらう事にした。

(少しだけ待っていてくれ、マイ。俺にはまだ、やらなきゃいけない事ができた)

未来から来た超戦士は、新たな戦いに臨む。


【トランクス(未来)@ドラゴンボール超】
[状態]:疲労(小)
[装備]:燦然と輝く王剣@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:神子柴を倒す
1:帆高を守る
2:首輪の解除が可能な人物を探す
3:神子柴は何者なんだ?
[備考]
※参戦時期はマイと共に分岐した未来へ帰還した直後。
※戦闘力に大幅な制限が掛けられています。ロワを破綻させる程の力は発揮できません。
※超サイヤ人への変身が可能かどうかは次の書き手に任せます。

【燦然と輝く王剣(クレラント)@Fate/Grand Order】
円卓の騎士の一人、モードレッドが叛乱を起こした際に奪った王位継承権を示す宝剣。
「如何なる銀より眩い」と称えられている。


572 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 15:29:16 xnqhCBsQ0
もう一つ投下します


573 : 名探偵の傍にいた者 ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 15:35:06 xnqhCBsQ0
「むぅ、困ったの〜…」

眼鏡をかけた恰幅の良い体系の老人がため息を吐く。
老人、阿笠博士は民家の椅子に腰掛けながら頭を抱えていた。

殺人事件に巻き込まれるのは今に始まった事では無い。
だがこの状況はこれまでの事件とは根本的に何かが違う。
そんな異質な空気が漂っている気がしてならない。

所々の編集が気になったが、それ以外は面白かったあの映画。
あれはフィクションではなく全て真実で、天野陽菜は今も神への生贄にされかかっている?
更に神子柴は死んだ者すら生き返らせる事が可能?
とてもじゃないが、はいそうですかと簡単には信じられない。

阿笠がまず思い付いたのは、神子柴と最初に殺された女性は実はグルだったのではという疑惑だった。
何らかのトリックを使い首輪の爆発で死んだように見せかけ、生き返った振りをして参加者を騙す。
そうして神子柴の超常的な力は本物だと参加者に思い込ませる事で、バトルロワイアルを促進させる。
女性の頭部がビデオの巻き戻しのように治るのは見たが、急に意識が遠ざかった事も有り、ハッキリ生き返るのを見た訳では無い。
もっと言えば森嶋帆高と天野陽菜すら、神子柴の指示で動く仕掛け人という可能性だって無いとは言い切れないのだ。

(という事は首輪の爆弾も偽物?じゃがあの女性の怒り様は到底演技とは思えんかった……。うーむ、新一ならもっと良い推理が出来たんじゃろうがのう…)

親しい探偵の顔が浮かぶが、彼らはここにはいない。
彼らのような推理力が無いなら、これ以上考えても答えは出ないだろうと考えを打ち切る。
推理力が無い自分に出来る事と言えば、発明家としての技術力を活かし首輪を外す事だろう。
首輪を付けている以上、脱出も反抗も不可能である。
爆弾が本当に付いているのかはまだ分からない。
だがもしも付いているならば一刻も早く解除して、大勢の参加者たちの安全を確保しなければならない。

だが一方で不安もある。
正確な人数は分からないが、恐らくは大勢の者がバトルロワイアルに参加させられている。
大人数に一斉に反抗されれば、主催者とて無事でいる保証は無い。
それにもしも参加者が脱出してしまい警察にこの事が発覚したら、主催側に居た者は全員御用となるのは間違いない。
それを防ぐ為の、爆弾付き首輪なのだろう。
つまり主催者にとっては、絶対に外される訳にはいかない代物だ。
そんな物を、果たして自分は本当に解除出来るのだろか。
発明家である自分をわざわざ参加させているのは、絶対に解除は不可能だという神子柴の自信の顕れなのではないか。

「いかんいかん。最初からこんな考えでは外せる物も外せんわい」

頭を振りネガティブな考えを打ち消す。
まだ解除は不可能と決まった訳ではない。

まずは必要な工具を手に入れようと、今いる民家の探索を始めた。


【阿笠博士@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(阿笠視点で首輪解除に役立ちそうなものは無い)
[思考・状況]
基本方針:生きて脱出する。その為に首輪を外す
1:必要な工具を探す
2:映画の内容に関しては半信半疑
[備考]
※参戦時期は不明。


574 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 15:36:01 xnqhCBsQ0
投下終了です


575 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 17:49:21 QP.Ozxok0
◆ytUSxp038U 氏の投下作を収録させて頂きました。
また、自作の「父」にて「拳銃×2」の出典を忍者と極道に加筆させて頂いたことを報告致します。


576 : ◆VNz2VDTKZc :2021/02/05(金) 18:10:19 RsFyMDh60
収録お疲れ様です 自分も投下します


577 : 光をつぐもの ◆VNz2VDTKZc :2021/02/05(金) 18:11:20 RsFyMDh60
【ペイジ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【ジョーンズ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【プラント@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【ボーンナム@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

【ジョージ・ジョースターⅡ世@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【ブルりん@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

【梨央ちゃんの隣人@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

【涙目のルカ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】


「へえ、力が弱まってるんだ」


ある死体はただひたすらに血を流し、赤く染まる。ある死体は生身の部分が残らない程に黒い燃えカスと化する。
ある死体は四肢をバラバラにされ、人としての原型を留めていなかった。
地獄というものがあるのなら、この青年は今それをこの世で再現したといっても過言ではない。

「道理でね。思ったようにいかないと思ってたけど」

青年の脳裏にあるのは、これ以上の惨劇であったらしい。これだけの凄惨な場面を演出しておきながら、少し首を傾げ楽し気に笑う。
ン・ダグバ・ゼバは楽しくて仕方なかった。

バトルロワイアルも映画の内容も殺し合いを開いた老婆にも特に関心はない。
あるのは、新しいゲームに対する高揚だけだ。

「変わったゲゲルだけど……僕を笑顔にしてくれるのものなのかな?」

気まぐれに試してみた天候操作は作用せず、雨はそのまま降りしきる。
純粋な戦闘力も元の力に比べれば劣化しており、発火能力などもそれなりの相手ならば即座に対応可能なレベルになっていた。

「クウガも居ると良いんだけどな」

究極の闇となるクウガと決着を着ける寸前で呼ばれてしまったが、まあゲームのルールに乗れば帰れるのだから丁度良い余興としかダグバは思わない。
もしクウガが居れば、ここで戦う。居なければ森嶋帆高を殺して、そのあとここに居る全員でゲゲルを新たに始めるのも面白い。
願いを叶えるのは先着五名とあったし、それで参加者間での争いになればダグバも参戦しない理由はない。

「これは、きみが……やったのか?」

「うん、そうだよ」

特に理由もなく、次の殺戮を求めるダグバの前に一人の青年が現れた。
リントの服にしても、グロンギの服にしても随分変わった出で立ちのように見える。
何かしらのスーツ、リントにはリントを狩るほかにも救う役職があるとは知っていたが、その類に近い気がする。


「きみは、僕を笑顔にしてくれるのかな?」


「……!?」



少し考えたところでどうでもいい事だと考えるのをやめた。
彼が、笑顔を齎してくれるのならどうでもいいことだ。


578 : 光をつぐもの ◆VNz2VDTKZc :2021/02/05(金) 18:11:47 RsFyMDh60




「……僕は」

この殺し合いに、ウルトラマン(じぶん)は関与すべきなのか。マドカ・ダイゴはそう考えていた。

これがただの殺し合いならば、当然止めていた。そんな命を何とも考えない事を許してはいけない。
けれど、これには皆が助かる方法がある。天野陽菜が犠牲にさえなれば、その他の大勢の人々は生きて帰れる。

映画の中でもそうだった。
彼女が消えることで、東京は救われる。たった一人の犠牲で何万といった人たちが助かるのだ。
それに抗おうとするのが、森嶋帆高という少年なのだろう。
あの映画の続きは定かではないが、世界を構築する社会から彼は一人孤立するのかもしれない。

「何故、また僕の手に……」

失った筈の光(スパークレンス)がダイゴの手には握られていた。
この力で、森嶋帆高を止め、ここに居る人達を……映画で描かれた人達を救え。

そう言っているのか? 殺し合いを開いた神子柴が。生贄を欲す神が。

いやティガは。

それとも静観すべきなのか。
これは人々が選ぶこととして、ウルトラマンが介入すべき事ではないのか? それが一人の少女を犠牲にするという選択であっても。

あるいは、戦うか?
あの天空に座する神、かつて矛を交えた邪神と同じく神格の存在に挑むか?
勝てるのだろうか。仮にウルトラマンの力があったとしても、もし負ければ報復として東京どころか世界を水の底に沈めるかもしれない。
何よりそれは、助かろうとする人々を、世界を敵に回す事にもなる。
 
「これ、は……」

葛藤の最中、至高が一瞬で制止した。
眼前に広げられた死の光景に、GUTSとして修羅場を潜ったダイゴですら表情を歪める。
圧倒的な暴力の前に、晒された遺体の山、人が燃え焦げた異臭には吐き気を覚える。


目の前の白い青年はそう、楽しそうな笑顔だった。

これが、殺し合いなのか。
彼のような殺戮者が他にも居るのなら、一刻も早く森嶋帆高と天野陽菜を下し殺し合いを止めなければもっと多くの犠牲者が出る。
なら―――

「違う」

誰かを犠牲にする事なんて間違っている。
倒してみせる。それが神だとしても、ここに居る人達も森嶋帆高と天野陽菜も救う為に。


579 : 光をつぐもの ◆VNz2VDTKZc :2021/02/05(金) 18:12:37 RsFyMDh60

「……ダイゴ。お前の正しいと思ったことをやれ!」

相手は強大だ。目の前の青年はあの邪神に連なるかのような闇に属するような者だろう。
そして、人を生き返らせる奇跡を行使する神子柴。
全ての元凶と言っても良い、天気を操る神。

たった一人では、到底勝てない相手かもしれない。
だが、ダイゴは見てきた。
例えウルトラマン一人では無理でも人間はみんな自分自身の力で光になれることを。

その光が、かの邪神を打倒したことを。

手にしたスパークレンスを翳し、人としてウルトラマンとして戦う決意と共に秘められた光を開放する。


「―――ティガ!!」


眩い閃光の中から、光の戦士ウルトラマンティガが降臨した。


「光の……リント……?」


ダグバはただただ楽しかった。
クウガもダグバも闇の力を持つが、いまこの戦士はそれとは違う新たな光を持っている。


「フフフフ……ハハハハハ」


同じく、人の姿からその闇を開放し白き異形のものへと変異した。



「さあ、僕を笑顔にしてよ」



光と闇が今ここに交差する。


580 : 光をつぐもの ◆VNz2VDTKZc :2021/02/05(金) 18:13:21 RsFyMDh60


【マドカ・ダイゴ@ウルトラマンティガ】
[状態]:健康、ウルトラマンティガに変身
[装備]:スパークレンス@ウルトラマンティガ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:ダグバを倒す。
[備考]
※最終回以降から参戦です。
※ティガへは等身大サイズのみ変身可能、その他諸々も制限されてます。


【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ゲゲルを楽しむ。
1:ティガに笑顔にしてもらう
[備考]
※クウガとの決戦前からの参戦です


【スパークレンス@ウルトラマンティガ】
ウルトラマンティガに変身できる。
最終回で消えたが、ロワ内で再び復活した


581 : ◆VNz2VDTKZc :2021/02/05(金) 18:13:39 RsFyMDh60
投下終了です


582 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 18:38:30 xnqhCBsQ0
投下乙です
>>575
収録お疲れ様です。投下します


583 : 強欲な楽園の王 ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 18:40:12 xnqhCBsQ0
「おいおい、何だってんだよこいつは…。随分と面白え事になったじゃねえか」

紫の巨大なアフロヘアーの男が、高揚を抑えられぬ声を上げる。
バトルロワイアルへの恐怖は微塵も無く、むしろ新しい玩具を見つけた子どものような期待に満ちた表情が浮かんでいた。

無人島に住み着いていた野生の猿を力で支配し、自分だけの王国を作り上げ自由に生きて来た。
ところが奴隷として拉致した連中に反乱を起こされた挙句、正義のヒーローと生意気な子どもに敗北し、王国は呆気なく崩壊。

王様から一転して囚人に成り下がった所で、このバトルロワイアルに招かれた。
青臭い恋愛映画は好みではないし、首輪を付けたのは気に入らないが、どんな願いも叶えるというのは実に魅力的である。
神子柴から与えられたお題によると、帆高が陽菜に会えず制限時間を過ぎ、その後主催本部に辿り着いた先着5名の願いを叶えてくれるらしい。
ならやることはシンプルだ。
帆高を探して死なない程度に、されどマトモに動けないくらいに痛めつけてどこかに監禁する。
それから利用できる参加者は徹底的に利用してから殺す、使えない輩はさっさと殺す。

実に分かりやすい。

願いを叶えたら再度自分の王国を手に入れる。
それも島一つなんてケチくさいことは言わない。
日本中、いや世界中の誰もが自分に逆らうことのできない、そんな王国を手に入れる。

「願いを叶えたらお前らにもたっぷり礼をしてやらなきゃな。なぁ?アクション仮面にしんのすけクンよォ!!」

自分を敗北に追い込んだ者たちへ復讐する未来図を思い描き、男は残忍な笑みを浮かべた。


【パラダイスキング@クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:願いを叶えて新たな王国を手に入れる
1:帆高を見つけ、死なない程度に痛めつけて監禁しておく
2:利用できる奴は利用。そうでない奴はさっさと殺す
[備考]
※参戦時期は本編終了後。


584 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 18:41:04 xnqhCBsQ0
投下終了です


585 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 21:02:16 xnqhCBsQ0
>>571の自作品ですが、収録したものを少し修正しました

問題は参加者の命を縛るこの首輪。
残念ながらトランクスに首輪を外すだけの技術力は無い。
けれど母のような技能を持った人間ならば、可能性はある。
そんな者が参加させられているかは分からないが、探してみる価値は十分ある。

問題は参加者の命を縛るこの首輪。
トランクス自身はタイムマシンの操縦をこなすなど、決して機械に弱いという訳ではない。
だがこの首輪を分析・解体できる程の技術力は流石に持ち合わせていない。
けれど母のような技能を持った人間ならば、可能性はある。
そんな者が参加させられているかは分からないが、探してみる価値は十分ある。


586 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:39:05 QP.Ozxok0
投下します。


587 : 影に沈むもの ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:39:59 QP.Ozxok0


 ――――彼を飲み込んだのは、大いなる闇と呼ぶに相応しい邪悪なものだった。



 ◆



 マサキ・ケイゴという男は類い稀なる才能を誇り、それでいて血の滲むような努力を欠かさない天才物理学者だ。その成果で多くの人間から認められ、宇宙開発企業・サイテック コーポレーションの最高責任者という地位まで手にしている。
 事実、マサキの生み出した発明によって、人類の宇宙進出は大幅に進んだ。地球平和連合TPCのメカニックの大半は、彼がいなければ完成しなかったかもしれない。
 しかしその一方で、彼は傲慢な男でもあった。力を持たない者を見下し、テレパスを始めとした神秘的な力を軽んじている。
 自分自身。そして科学を信じて、人類を導こうと力を尽くしてきたはずだが、いつしか己の才能と資質に溺れてしまったのだ。


 超古代の遺伝子を受け継いでいることを知った彼は、人類を導く手段として巨人・ウルトラマンの力を求めるようになる。
 マドカ・ダイゴがティガの地に封印されたピラミッドで力と巡り合ったことを知って、マサキは超古代の遺跡を探し求めた。その為に地の鮫ゲオザークを生み出して、地底遺跡を発見する。
 そこには巨人の石像があった。しかし巨人の力を得るには光が必要だった。
 ダイゴがゲオザークとの戦いで疲弊した隙を狙った彼は、自らの腕力を誇示するようにスパークレンスを奪い取った。
 その後、彼は計画の為に結託していたタンゴ博士がTPCより持ち出したアークを利用する。アークとは、ティガのピラミッドにて破壊された巨人像の砂だ。
 アークとスパークレンス。そしてマサキが開発した光遺伝子コンバーターを利用して、彼は巨人の力を手に入れた。



 人としての強すぎる野心を、その胸に宿らせたまま。



 巨人の力を手に入れた彼は遺跡から熊本市内に降臨し、サイテックネットワークより流した演説を利用して人類を導こうとする。だが、彼の心が巨人の強すぎる力に負けてしまい、影を継ぐもの・イーヴィルティガとなって暴走してしまった。
 イーヴィルティガはその圧倒的な力で暴れて、人々を恐怖を植え付けてしまう。その姿は、人類の平和を脅かした凶悪怪獣や宇宙人と同じだった。
 そんなイーヴィルティガを止める為に、超古代から慕ってきた相棒もまた熊本市に現れる。超古代狛犬怪獣 ガーディーは、間違った心を持ってしまった主人を取り返す為、懸命に説得したが……それに構わず、イーヴィルティガは容赦なくガーディーを嬲った。
 どれだけ傷付こうとも、ガーディーは涙を流して説得を続けるが、無情にも届くことはなかった。
 そこに、力を取り戻したマドカ・ダイゴが変身するウルトラマンティガがようやく駆け付けて、ガーディーを守ろうとするが……そんな彼らを嘲笑うように、イーヴィルティガはガーディーの命を奪った。


 心を取り戻そうと力を尽くしたガーディーを虫けらのように殺したイーヴィルティガに、ウルトラマンティガが怒りを覚えない訳がない。 
 光を手にした超古代人の末裔同士の死闘が始まった。それは超人同士の戦いではなく、人の心が引き起こした戦い。
 戦いの果てに、イーヴィルティガはウルトラマンティガの放つゼぺリオン光線を浴びてしまい、その肉体は消滅した。混合したセルチェンジビームの効果によって、マサキの肉体は解放されたはずだった。


 その時だった。彼を取り巻く全ての世界が変わったのは。
 本来の歴史なら、そのまま彼はTPCに拘束されるはずだったが、強大なる野心と苦しみに目をつけられてしまったのだ。
 まるで、彼がやり直すチャンスを打ち砕くように。


 自身に煮え湯を飲ませたウルトラマンティガの姿はどこにも見られない。
 いつの間にか、劇場の座席に座らされていて、映画を見せつけられていた。マサキの困惑などお構いなしに、少年少女の青春をテーマにした物語が大きく映し出される。
 そして、マサキ達の前に現れた謎の老婆が、信じられない宣告をした。

「殺し合いだと……バカな、何の冗談だ……」

 震える声で、怯えたようにマサキは呟く。
 この世界はいずれ大いなる闇に覆われることを彼は知っていた。闇を覆う世界を光で照らして導くものが必要だったからこそ、マサキは巨人の力を求めた。
 だから、殺し合いなんて馬鹿げたことをしている場合ではない。森嶋帆高という少年を捕らえろと命令されたが、そんなことに従う義理はなかった。
 ウルトラマンティガは一体何をしているのか。どうして、この異常事態に立ち向かわないのか。


588 : 影に沈むもの ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:41:05 QP.Ozxok0

 そうして、気が付くと見知らぬ場所に転送されていた。

 ここは先程までとは違って、雨が降り続ける市街地だった。熊本市内で見つけた地底遺跡の入り口のように、一見すると争いとは無縁の場所に思えるだろう。
 だが、今が平和であることにはならない。何故なら、あの老婆が世界のどこかで嗤っているのだから。
 ウルトラマンティガが老婆を打ち破ったとは到底考えられない。粘り付くような笑みは、今でも脳裏に張り付いている。
 ここから脱出し、いずれ来る大いなる闇を祓わなければならないが、その為に必要な光がなかった。ゲオザークや光遺伝子コンバーターのような力だって、今は手元にない。


 どす黒い感情がマサキの中で渦巻いていく。
 老婆に囚われた時から、この身体が震えている。ついには身体が重くなり、膝をついてしまった。
 もしも、この場に正しい心で光を持ったものが居れば、彼の心を支えただろう。だが、

「さっそく獲物を見つけるとは、俺も運がいい……」

 彼の耳に響いたのは、氷のように凍てついた声。
 唐突に声をかけられて、驚きながらも振り向いた先に見えたのは、カボチャで作られたような顔だった。

「いや、こういう場合は獲物と呼べばいいかもしれないな」
「……何だ、お前は」
「俺の力の実験台になるだけのお前が聞いて何になる?」

 2メートルを超えるであろう巨体は、西洋貴族を彷彿とさせる紫色のウエストコートや長ズボンに纏われていて、肩からは巨大なマントが風に棚引いている。
 まるでハロウィンの仮装のような格好だったが、巨躯から放たれる殺気は本物だった。

「さあ、絶望しろ」

 現れた敵はマサキの疑問に答えることなく、硬質感に溢れた足を用いた蹴りを放つ。それに対抗する術をマサキが持っている訳がなく、ただ吹き飛ばされるしかなかった。
 声にならない悲鳴と共に、地面に叩きつけられる。それを心配する者などいる訳がない。



 そうして、一方的な嬲り殺しが始まった。
 マサキが如何に優れた身体能力を誇っていようとも、それは人間の域を出ない。人智を超えた怪物を前にしては、彼が蔑んでいた愚かしい旧人類と同じだった。
 時折、マサキは怪物の体躯を殴り付けたものの、蚊に刺された程度の手応えすら感じない。そこから反撃を受けるだけ。
 一撃受ける度に、マサキの命は確実に奪われていった。

「人間にしては中々粘る……だが、終わらせてやろう。ナイトパンプキンの手に終わることを、光栄に思うがいい」

 やがて何度目かの暴力の後、倒れ伏せたマサキに対して、怪物は言葉を紡ぐ。ナイトパンプキン、とはこの怪物の名前らしいが……今となってはどうでもよかった。
 ナイトパンプキンの周囲から暗闇が噴き出し、周囲の光を遮っていく。また、闇の中に飲み込まれてしまった。全てを虚無にするモノが、マサキという存在を飲み込もうとしていた。


 このままでは、殺されてしまう…………
 何の為に力を求めたのか。何の為に人類を導いて、そして闇を払おうとしてきたのか。
 こんな所で終わる為? 違う。
 怪物の獲物にされる為? 違う。
 光が闇に飲み込まれるのを黙って見ている為? 違う。



 力だ。
 力さえあれば、闇を払える。
 巨人になる力さえあれば、この怪物だって倒せる筈だ。


589 : 影に沈むもの ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:42:19 QP.Ozxok0


 無意識の内に腕を伸ばす。すると、硬い何かが指先に当たった。
 反射的に、その何かを握り締めた途端、全身を駆け巡る血の流れが激しくなった。
 尽きかけていた命が、再び激しく燃焼する。節々の枷になっていたであろう苦痛すらも、思考から消え去っていた。

「何だ……まだ俺に歯向かおうとしているのか?」

 マサキは立ち上がり、ナイトパンプキンを鋭く睨みつける。奴は微塵も動じなかったが、別に構わなかった。
 足元に目を向けると、小さな人形が落ちている。普段なら取るに足らないガラクタとして切り捨てただろうが、彼は拾い上げた。
 何故なら、この二つは力を与える奇跡のアイテムなのだから。

「お前……それは、一体何だっ!?」
『ダークライブ! ゴルザ!』

 ナイトパンプキンへの返答は、暗闇よりも邪な叫び声。それは彼を生まれ変わらせる、魔法の言葉だった。
 マサキの肉体は一面の闇に溶け込んでいき、人間のそれから大きく変貌した。引き締まった体躯は岩のように逞しくなり、超古代より蘇りし悪魔の力を手に入れる。
 光を求めし男にとって、忌むべきモノであったはずの力を……彼は受け入れた。

「チッ……だったら、終わらせてやろう!」

 ナイトパンプキンの顔面は肥大化し、弾丸となるように突貫した。
 人間であれば、トラックと衝突するに等しい衝撃が襲い掛かるだろう。だが、

「……グアアアァァァッ!」

 剛腕の一振りで、それをあっけなく弾き返した。蚊を払うように簡単だが、確かな手ごたえはある。
 先程までの余裕が嘘のように、悲痛な叫び声を上げた。

「クッ……そんな力を手に入れたところで、俺に勝てるとでも思ったか!」

 ナイトパンプキンは喚いているが、最早それは羽虫の声に等しい。
 地面を轟かせる勢いで駆け抜けた彼は、異様なまでに発達した巨木の如く尻尾を振るい、ナイトパンプキンの巨体を吹き飛ばす。
 バゴン! と、耳を劈くような轟音が響く。まるで、トラックが壁に激突したかのように凄まじかった。
 見ると、腕の間接が奇妙な曲がり方をしている。恐らく、骨でも折れてしまったのだろうが、それなら好都合だ。醜い怪物に逃げられることがなくなるのだから。

「が、ぐ、あ…………ッ!」

 地面に這い蹲る姿を、冷めた瞳で見つめる。
 こんな醜く、弱々しい怪物が進化した人類の長に牙を向けている。そして、ほんの一時とはいえ、怪物の愚かな行為を許した自分自身を恥じる。
 力が足りなかったからこそ、光を得ても敗北を喫した。もう二度と無様な姿を晒せない。

「お、おのれっ…………!」

 鋭い眼差しを向けてくるが、最早ただのそよ風に等しかった。
 そこから何か言葉を続けようとしただろうが、耳障りな声など聞くつもりはない。冷酷に、そして淡々と腕を振るって……カボチャの如く頭蓋を叩き潰した。




 人間の姿に戻ったマサキ・ケイゴは、目の前の光景に笑みを浮かべている。
 そこに、他者の命を奪ったことに対する罪悪感は微塵もない。力への充足感を得て、それを用いて愚かしい弱者を打ち破れたことに対する歓喜を味わっていた。
 彼はその手に握り締めているスパークドールズとダークダミースパークを見つめていた。


590 : 影に沈むもの ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:45:33 QP.Ozxok0

「これだ……これがあれば……闇を払える!」

 この力は本物だ。
 ナイトパンプキンを軽々と屠り、そして今でさえも力が体中に漲っている。その勢いでマサキという存在そのものが張り裂けてしまいそうな程だ。
 一体、如何なる原理でスパークドールズからゴルザの力が生まれるのか。まさか、超古代には石像となった巨人以外にも、人知を遥かに超えた力が眠っていたのか。
 しかし、今はそれを解き明かす余裕などない。

「神子柴……僕は……いや、私はお前を打ち滅ぼす。私は進化した人類なのだから!」

 マサキにはやるべきことがある。力を得て、大いなる闇を照らす進化した人類になる……そんな崇高なる使命があった。
 本来の形とは違ったものの、巨人に並ぶ大いなる力であることに代わりはない。スパークドールズさえあれば、進化した人類になりえた。
 人類に牙を向けるおぞましい怪獣の姿になることは気に食わないが、背に腹は代えられない。


 そしてその過程に、もう一つだけやるべきことがあった。


「私を冒涜した光……そして、愚かしい旧人類どもを粛正する。この私こそが、光を手にする進化した人類の長なのだから!」

 あの老婆の元に辿り着くには、こんな下らない殺し合いとやらに生き残らなければいけない。その条件は、力を持って森嶋帆高を捕らえることだ。
 屈する形になるのは癪だが、それ以外の手がかりはない。他の方法を捜すこともできるが、ここは怪物が跋扈する世界。呑気に構えていては、その隙を突かれてこちらが殺されてしまう。
 ならば、殺し合いに乗る以外に方法はなかった。


 だが、それは何も悪いことばかりではない。
 恐らくこの殺し合いには、堕落した旧人類も巻き込まれているだろう。そして、我が身可愛さに他者を陥れようとする愚かな人間も。
 そんな者達など進化した人類が生きる世界には必要ない。生き残ったとしても、理想に満ちた新世界を穢すだけ。
 あの映画に登場した森嶋帆高も、衝動のままに時間を浪費した愚か者だ。そんな帆高の周りにいた人間どもも、新世界には不要の汚物。
 あのマドカ・ダイゴは……ウルトラマンティガは、愚かにもそんな奴らすらも守ろうとするだろう。そんな男が光を手にして、平和が守られたとしても……人類は堕落してしまう。そうなる前に、ダイゴも粛清しなければならなかった。
 そうして愚か者達を粛清しきった後は、神子柴達をこの手で葬り去り……人類を導く。その為にも、戦わなければならなかった。


「ああ……光よ! 私を見るがいい! 私こそが……進化した人類だっ!」

 ナイトパンプキンによって覆われた闇が晴れた頃、マサキは高らかに叫ぶ。その心に闇が撒かれてしまったことに、気付かないまま。


 闇の支配者・ダークルギエルに忠誠を誓う闇のエージェント達は、心に闇を持つ人間達にダークダミースパークとスパークドールズをばらまいた。
 それによって人間は凶悪な怪獣と化して、降星町の各地で猛威を振るった。人間の悪意と怪獣の力が合わさったことで悲劇が起きたように……マサキ・ケイゴの心に闇が反応してしまい、彼の心を塗り潰してしまった。
 もしも、ここにいる彼が罪を償った後だとしたら……闇には負けなかっただろう。だが、今の彼はウルトラマンティガとの死闘に敗れ、狂気に溺れてしまっていた。
 更に、追い打ちと言わんばかりに悪意が襲いかかり、彼の影が育てる絶好の材料となった。二つの闇は影をより強くし、そしてマサキという男の心を容赦なく沈めてしまう。
 狂気は彼から良心を奪い取り、代わりに光への憤怒と憎しみが生まれ……結果、新たなる影が産み落とされた。


 何も知らないまま、己の心が闇に負けてしまったことに気付かないまま、天才科学者は歩みを進める。
 男の笑みは凄惨なものに変わってしまった。まるで、彼が憎む闇のように。


591 : 影に沈むもの ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:45:56 QP.Ozxok0

【マサキ・ケイゴ@ウルトラマンティガ】
【状態】:ダメージ(小)、精神汚染(小)
【装備】:ダークダミースパーク@ウルトラマンギンガ、スパークドールズ(ゴルザ)@ウルトラマンギンガS
【道具】:支給品一式×2、ランダム支給品1〜5
【思考】
基本:進化した人類として、老婆及び愚かしい旧人類どもを粛清する。
1:神子柴達を粛正する為、森嶋帆高を抹殺する。
【備考】
※ウルトラマンティガとの戦いに敗れた直後からの参戦です。


【ナイトパンプキン@Go! プリンセスプリキュア 死亡】


【ダークダミースパーク@ウルトラマンギンガ】
ウルトラマンギンガに登場したバルキー星人を初めとする闇のエージェント達が、人間達の「ダークな心」から生み出した変身アイテム。
手にした人間の悪の部分を増幅させ、スパークドールズを差し込めば怪獣に変身して暴れることができる。


【スパークドールズ(ゴルザ)@ウルトラマンギンガS】
超古代怪獣ゴルザの力が封印されたスパークドールズ。
ダークダミースパークなどの各種スパークに足の裏を差し込めば、ゴルザに変身することが可能。
ただし、制限によって巨大化は不可能。


592 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/05(金) 21:46:52 QP.Ozxok0
以上で投下終了です。


593 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/05(金) 21:52:30 Trbhnr320
投下します


594 : Future gazer ◆2dNHP51a3Y :2021/02/05(金) 21:52:54 Trbhnr320
どこかの建物の最上階。雨除けの屋根に隠された空間の中にポツンと置かれている一脚のベンチ。そこに座り込んで物思いに耽る青年が一人

「天気の巫女、か……」

そう呟きながらも青年が見据える先には、エリアD-3に健在する神子柴らこのゲームを開き自分たちをここへ呼び込んだ、所謂『主催者』たちの本拠地

「本当に、カミサマのおひざもとだな」

青年は思う。天気の巫女を人柱として、神の意志により雨が振り続けるこの会場はまさに『神様のおひざもと』なのだろう

「……反吐が出る」

気に入らない。それが青年の思考である。青年の世界もまた『カミサマ』によって全てが支配された『カミサマのおひざもと』であった
ここもまた、神の手のひらの上。ならばあの神子柴なる老婆は、天野陽奈という巫女を手玉に取る神様気取りというべきか
青年にとって、あの映画を見る限りは、天野陽奈もまた生贄なのだろうと思っていた。ただ違うことは、その神様が機械仕掛けか、本物だったかの違いだ

主催者によって用意されたこのゲームの結末は二つ。天野陽奈と森嶋帆高が出会い、この会場が雨に呑まれて二人以外が死に絶える
もう一つは、天野陽奈が人柱となりこの世界から消え、森嶋帆高は無力感と絶望に苛まれたまま爆死する

「どこまでも、気に入らない」

どちらの結末も、気に入らない。まるであの老婆はこの二つの選択肢のみ取らせんがためにこのルールで自分たちを縛り付けたとも思える
青年にとって、森嶋帆高はある意味映し鏡でもあった。神の秩序への反逆、大切な人を助けるために無謀とも思える行動に取る
ただし青年にとっての森嶋帆高の初期印象はどちらかと言えばあの時の褐色少女の方だ。両親の仇を取るだけために無謀にもカミサマを倒そうとした。―――カミサマの被害者
後先考えず、ただ自分の感情の赴くままに向かおうとした彼女と、今の森嶋帆高は被って見えたのだ。それと同時に、あれはある意味自分自身のあり得た姿とも思えた
ただ、助ける相手が天野陽奈か、『妹』か、ただそれだけの違い―――

「……あんたは、どうなんだ? このゲーム」
「……そうね。アンタと同じで、気に入らないわ」

青年の呟きに答えたのは、その背後で同じベンチに座り空を見上げる一人の少女の姿。彼女の苛立ちと怒りが面に現れているかのごとく、その周囲には青い静電気のような物がピリピリと青白い光を雨粒に映している

「こんな訳のわからないのに巻き込まれただけでもご立腹だってのに、それでいて理不尽な二択迫られちゃあそりゃ苛つくったらありゃしないわよ」
「だったら、どうするんだ?」
「そりゃ助けるに決まってんでしょ? 森嶋帆高も天野陽奈も」

その苛つき混じりのセリフの中でも確固たる決意の言葉を言い放つ少女

「……なるほどな」
「そういうアンタこそどうすんのよ?」
「お前と同じだ。それに俺個人としてもあの神子柴とかいう老婆は気に食わない。どちらにしろあのカミサマ気取りのババアには一発お灸をすえてやるっていう意見は共通しているようだ」
「それを聞いて安心したわ」

少年の返答に、少女は安堵。何にせよ目的はある程度共通しているということが分かっただけでも価値はある

「それで、探しに行くのよね? 森嶋帆高」
「ああ、あいつには改めて天野陽奈の事も含めて色々と聞きたいことがある」
「はいはい。それにこれ、外す手段どうにかして探さないと」

と、少女が指を指したのが自身や少年にも装着させられた首輪。ここに来る前の少女が自身の能力で首輪を弄ろうとしたものの、警告アラートを鳴らされ敢え無く断念。結果として少年と出会う切欠となったために結果オーライというやつであるが


595 : Future gazer ◆2dNHP51a3Y :2021/02/05(金) 21:53:32 Trbhnr320
の恵みにして神の怒り。天気とは即ち天の気分。神が怒りにうち震えば雨は豪雨と代わり災害となりうる
かの老婆は神の気分を巫女を利用し己がものと驕り操る者。神の代行者。そしてその上にいるであろう真実の神

だが、ここにいるのは神への反逆者。架空に唾吐く者。科学の体現

―――少年の名前は麻生ケイスケ。少女の名前は御坂美琴

此度の舞台、ガラクタの天幕の外よりカミサマを討ち果たさんと二人は立ち上がる


【麻生ケイスケ@ガラクタノカミサマ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴を倒して『ゲーム』を終わらせる
1:森嶋帆高を探し、彼から事情を聞き出す
2:首輪の解除方法を探す

※参戦時期はカミサマの本拠地突入前

【御坂美琴@とあるシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:『ゲーム』を終わらせ、森嶋帆高も天野陽奈も救う
1:森嶋帆高を探す
2:首輪の解除方法を探す

※参戦時期は最低でも大覇星祭編終了後


596 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/05(金) 21:53:48 Trbhnr320
投下終了です


597 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 22:08:06 xnqhCBsQ0
>>571をまた修正しました。把握甘くて申し訳ない
ついでに投下します


598 : 絶望の天使 ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 22:09:45 xnqhCBsQ0
異様。
男の姿はその一言に尽きた。

整った顔立ち。
短く切り揃えた金髪の髪。
ここまでは普通の人間と変わらない。
だがその肉体は、人間とは、地球上の生物とは余りにかけ離れていた。

白一色の、無数の猛禽類の翼が混ぜ合わさったかのような身体。

怪物としか言いようのない姿の男が、雨で全身を濡らしながら、会場の一画に浮遊していた。

男が抱く感情はただ一つ。
抑えきれない程の憤怒。

長年囚われ虐げられた同胞の解放。
人類の抹殺。
そして、弟との決着。

それら全てを、ゴミにも劣る茶番に邪魔された。

更に感覚で分かる。
自分の力が、融合した同胞たちの力が明らかに弱まっていると。
本来であればこの雨降る会場ごと参加者を皆殺しに出来るはずが、今は不可能となっている。
あの老婆か、それとも協力している別の者が枷を付けたのかまでは分からない。
だが同胞の力を、命を、こんなふざけた遊びの為に弄ばれたのは事実。

既に男にとって神子柴は、地獄すら生温いと思える程の絶望を与えてやらねば気が済まない存在と化した。

あの人間のガキを殺せとのたまっていたが、言われなくとも殺してやるつもりだ。

森嶋帆高だけではない。
自分以外の参加者も、天野陽菜も、自身の邪魔をするならば神であろうと。
一人残らず消し去ってやろう。

「待っていろ、人間ども」

怒れる王が、全てを滅ぼす為に動く。


【ミリオンズ・ナイブズ@TRIGUN MXIMAM】
[状態]:健康、主催者への怒り(極大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:参加者も主催者も全て殺す
1:自身に課せられた制限を解く
[備考]
※参戦時期は原作12巻でヴァッシュを殺すことを決めた直後。
※エンジェル・アームの出力が強く制限されています。


599 : ◆ytUSxp038U :2021/02/05(金) 22:10:43 xnqhCBsQ0
投下終了です


600 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/06(土) 00:27:37 oPXgGBTk0
投下します。


601 : 水の音 ◆5IjCIYVjCc :2021/02/06(土) 00:28:12 oPXgGBTk0
「フフ…面倒なことになったものだ」

あるビルのオフィス内で1人の男がそう呟いた。
男の名はンドゥール、DIOに仕えるスタンド使い『エジプト9栄神』の一人である。

「これからジョースター達を殺しに行くところだったというのに…あの神子柴という老婆…余計なことを…」

ンドゥールはエジプトに到着したばかりのジョースター一行を襲う予定だったのだが、その直前にここに連れてこられた。
このままではンドゥールはDIOからの指令をこなせなくなってしまう。
それはつまりDIOを裏切るも同然なことである。
DIOへの忠誠心の高いンドゥールにとってそれはとても耐え難いことであった。

「ここから脱出するためには…森嶋帆高を殺すのが手っ取り早いか」

このゲームで殺す必要があるのはただ1人、森嶋帆高さえいなくなればこの戦いは終わる。
自分をこんな状況に陥れた神子柴の思い通りになるのは気に障る。
が、DIOのためにもンドゥールはすぐにでも元の場所へと戻らなければならなかった。

「心配なことがあるとすれば…この雨か……」

ンドゥールは全盲である。
それと同時に常人よりも優れた聴覚を持っている。
この聴力によりンドゥールはたとえ4km離れた場所にいる敵だろうと把握し、自分のスタンドの『ゲブ神』の能力で相手を殺すことができるのである。

しかしこの場では本来自分がいるはずだった砂漠とは違い、常に雨が降る環境となっている。
これでは雨音により森嶋帆高や他の参加者達が出す音がかき消されるのではないか。
そのことが唯一の懸念事項となる。
それに今手元には普段から使っている音を探知する杖もない。
ンドゥールはこの会場において自分の力を十分に発揮できないかもしれない。

「だが…小僧1人程度はおれの敵ではない」

ターゲットである森嶋帆高はスタンド使いでもなんでもない普通の人間である。
天気の巫女である天野陽菜と深い関わりがあるが、帆高自身には特殊な能力は何もない。
居場所さえ分かればゲブ神で始末することは容易いだろう。

ンドゥールは元々、数々のスタンド使いの刺客を退けてきたジョースター一行と戦うはずだったのだ。
たとえ自分に不利な環境であろうと彼らよりも大したことのないただの人間である少年1人殺せなくてはエジプト9栄神の名が廃る。
他の参加者の妨害があることも考えられるが、その時は先に排除すればいい。

こうして彼はその場を立ち、移動し始めた。
周りを確認するための杖の代わりとしては支給品の中にあった刀を用いることとした。
恐れることはない。
今はまだどこにいるのかも分からないが一たび見つければ自分の能力ですぐに殺すことができる。
ンドゥールは自分に絶対の自信を持って森嶋帆高殺害のために動き出した。

【ンドゥール@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、全盲
[装備]:冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:速やかにエジプトに帰還する
1:森嶋帆高を探して殺す
※ジョースター一行に襲いかかる直前から参戦です。

【冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃】
鬼殺隊の水柱、冨岡義勇が扱う日輪刀。


602 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/06(土) 00:28:39 oPXgGBTk0
投下終了です。


603 : 水色の羽根と白いツバサ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/06(土) 10:11:20 MeqROr960
投下します。


604 : 水色の羽根と白いツバサ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/06(土) 10:14:45 MeqROr960
「いくぞ!ばいきんまん」 歌バイキンマン

ボォーポポ!ボォーポポ!ボォポポポポ〜♪
ボォ―!ボォ―!ボォ―!……ボォ―♪♪♪
ダダダダダーン!!

「おれはすてきな ばいきんまん♪」

「眼にも見えない早技で♪」

「どんな敵でもいちころさ♪」

「世界はやがておれのもの♪」

「ばいきんまん♪ ばいきんまん♪」

「バイキンだから キンキラキン♪」

「ハハハハハ ハヒフヘホ〜〜〜〜♪」


……

☆彡 ☆彡 ☆彡

「…よし、バイキンufoの出来上がりだ!」

「う〜ん、やっぱりオレ様、天才♪」

完成したバイキンUFOを前に自画自賛をしている人…ならぬバイキン。
名はばいきんまん。アンパンマンの宿敵。

いつものようにアンパンチで遠くへ飛ばされたばいきんまんは気がつくと、映画館の席に座り「天気の子」を鑑賞していた。

「ふん!ホダカとヒナのつまらない恋愛を見せられた!」
ばいきんまんにとって他人の恋愛話ほど退屈なものはない。
天気の子の内容に不満があるばいきんまんーーーーー

一方ーーーーー

「歌いながらUFOを作るなんて、ばいきんまんは凄いっすねー♪」

「そうでしょ!そうでしょ!オレ様は凄いのだ♪」

バイキンマンの歌に作業を眺めていた女の子。
名は芹沢あさひ。
283プロに所属するアイドルの一人でStraylightのセンターを任されている。
W.I.N.G の優勝を果たした瞬間、あさひは映画館の席に座り、ばいきんまんと同じく「天気の子」を鑑賞する羽目となったーーーーー

「2人はキラキラしてたっす。できることなら出会わせてあげたいっすけど」
ばいきんまんとは違い、ボーイ・ミーツ・ガールな天気の子の内容には好意的なあさひ。

しかし……

「プロデューサーさん。心配してるっすよねー」
優勝まで自分をプロデュースしてくれたプロデューサーに再会できないのはーーーーー

帆高の応援はしたいが死にたくはない。
その思いがあさひを包み込むーーーーー

ホームセンターで出会った2人は互いに自己紹介を交わし、ばいきんまんは売られている商品でばいきんUFOを作り始め、今に至るーーーーー


605 : 水色の羽根と白いツバサ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/06(土) 10:16:05 MeqROr960
「ばいきんまんは、殺し合いに乗らないっすか?」

「もちろん!」
あさひの質問に力強く答える。

「オレ様は命令するのは好きだけど、誰かに命令されるのは大大大嫌いなんだ〜!!」
ばいきんまんは善悪でいうと【悪】である。
しかし、他者に命じられて従うバイキンではない。

「私も、殺し合いは楽しくないっす!だからお婆ちゃんの言う通りにはならないっす」
「でも…この首輪をどうにかしないと私ら言う通りにするしかないっすよ…」
顔を曇らせるあさひにーーーーー

「ふん!こんな首輪はオレ様にかかればチョチョイのチョイだ!」

自称「天才」科学者のばいきんまん。

「おお!自信満々っすねー」
ばいきんまんの言葉にあさひは顔を輝かせて両手をパチパチと拍手する。

「でしょでしょ?だってオレ様は天才科学者だから!」
あさひの言葉にばいきんまんは有頂天。

「そのためにも、まずは同じ首輪を入手しなくちゃな!」
「でも、殺し合いに乗らずにどうやって入手するっすか…?」
あさひは首を傾げてばいきんまんに尋ねる。

「ふふん!おそらく、他の参加者達はマヌケだからホダカを巡って争うはず…そこで死んでしまった参加者から首輪を借りれば問題な〜い♪」

「……」
(かわいそうだけど…仕方がないっすよね…)
死者から首輪を入手するというばいきんまんの作戦は若干、道徳心を悼めるが、この状況の中では仕方がない、そしてプロデューサーに再開したいという思いが躊躇を上回る。

「…うん。殺さないで入手するには、それしかないっすね…」
「おお!あさひちゃんは、本当に物分かりがあって助かるな♪」
自分の作戦に同意を見せたばいきんまんは喜ぶ。

「よし!あさひちゃんも偉大なるオレ様の手伝いをさせてやる!」
「おお!よろしくお願いするっすよ♪」

バイキンUFOに乗り込むばいきんまんとあさひ。

「じゃあ、まずは首輪を解除するために首輪探しへレッツラゴー!!」
「オッケーっす!」

バイキンUFOは空高く上昇して移動を始めるーーーーー

「ハ〜ヒフ〜ヘホ〜!」
「ハ〜ヒフ〜ヘホ〜! っす!」

帆高に対するスタンスは別々だが、白いツバサと水色の羽根は羽ばたくーーーーー

【ばいきんまん@それいけ!アンパンマン】
[状態]:健康
[装備]:バイキンUFO(操縦)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:首輪を解除して神子柴をギャフン!と言わせる
1:首輪を入手する
2:あさひちゃんを守る
3:ホダカに遭遇したらお邪魔する(人の恋路は邪魔する)
[備考]
参戦時期は後続の書き手様におまかせします

【芹沢あさひ@アイドルマスターシャイニーカラーズ 】
[状態]:健康
[装備]:バイキンUFO(同乗)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰ってプロデューサーに再会したい
1:ばいきんまんと行動を共にする
2:首輪を入手する
3:できたら帆高と陽菜の2人には笑顔になってもらいたい(恋路は応援したい)
[備考]
参戦時期はW.I.N.G で優勝した直後


606 : 水色の羽根と白いツバサ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/06(土) 10:16:52 MeqROr960
投下終了します。


607 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/06(土) 11:43:38 klikhZYc0
不安もありますが投下します


608 : 帆高が陽菜に会う時!東京は水没する! ◆8eumUP9W6s :2021/02/06(土) 11:49:32 klikhZYc0
(…ここは、先程の映画の舞台になっていた、2021年の東京か…?)
白い服を着た、オールバックな髪型の男は1人思案する。彼の名はリュウヤ、時間保護局のレンジャー隊の隊長を勤めている男だ。

(私は、確かに30世紀に帰還した筈…あの神子柴という老婆、何者なんだ…)
この殺し合いに招かれる前彼は、西暦2000年に赴き、時間保護局が開発したものの時間移動実験に失敗、行方不明になった後現代で暴走した生体戦闘ロボットGゾードの破壊任務を、紆余曲折の末に達成。ブイコマンダーを滝沢直人が所有している事を確認したのち、部下達よりも一足早く30世紀に帰還した…筈であった。

(あの老婆達がやっている事は、間違いなく時間保護法に対しての違反行為に当たる。30世紀とは繋がらない…別の時間軸と言うべき世界であるこの場に置いても、時間保護局の人間としては、奴等を時間保護法違反で逮捕すべきだろう)
彼らが属している世界の過去では、2001年に東京付近にて発生した大消滅により、地上の3分の2が飲み込まれて消滅した末、生き残った人類達の手によって徐々に世界が復興していき、30世紀に至っている。その為、彼らの歴史では「天気の子」という映画自体が生まれていない可能性が高く、また2021年に東京が存続している世界が、彼らの世界の過去になる事は、彼からすればあり得ないことであった。

(だが…奴等の技術力が…この私を、30世紀からこの世界にまで移動させれる程の技術力があれば…運命を変える事が出来るやも知れない…)
彼は時間保護局としての使命感自体は持ち合わせている。しかし…彼は自分の運命を…ブイコマンダーを所有した上で2000年に派遣された自分が、現地で殉職する運命を、6年前のGゾードの時間移動実験の際に見てしまっていた。
死の運命を目の当たりにしてしまった彼は、それを回避するために…本来の歴史を改変する道を選んだ。30世紀さえ残っていれば、例え他の全てを犠牲にしようとも…他ならぬ自分が、時間保護法に対して違反していようとも、自分が生き延びる事さえ出来ればそれでいいのだと。
その為に彼は、自分とは無関係な存在である滝沢直人にブイコマンダーが渡るように仕組み、彼を自らの身代わりに仕立て上げようとしていたのだ。
彼にとっては滝沢直人も、あの映画に出ていた森嶋帆高も天野陽菜も、自身が生き延びる為に利用出来そうな存在でしか無い。
森嶋帆高の意思と、彼の選択は、この世界の歴史に大きな影響を及ぼすだろう。だがそんな事は彼の知った事では無かった。

(私を連れて来れる以上、主催陣は出来れば逮捕しておくべきだ。放置すれば間違いなく厄介な事になる。だが…森嶋帆高や天野陽菜にはそこまでの力も、脅威も無い。
2人が会えば東京は沈むのは問題だが…奴を足止めしたい参加者も、奴を保護したい参加者も多いだろう。間違いなく対立も生じる。…なら私は、その隙に脱出手段や首輪の解除手段を探した方がいいだろう。
それらを確保できたとして、可能ならだが…主催の技術を手に入れる事を狙う。それさえ手に入れば、わざわざ滝沢直人を身代わりにする必要も無く、計画を大幅にスキップ出来る。…が無理はしない、何よりもまず優先するべき事は、私が生きて30世紀に帰還する事だ)

自らの方針を定めたリュウヤは、バッグの中身を確認した───

----

(…まさかクロノチェンジャーが入っているとはな。奴等め…やはり我々の世界への移動や干渉を行う手段を持っているな)
バッグの中を確認したリュウヤは、クロノチェンジャーを腕に付けた後、周辺の捜索を行おうとした…その時である。背後から殺気を感じた彼は咄嗟に横転する。
その一瞬後、両手に刃物を装備した奇怪な襲撃者が奇襲を仕掛けて来た───!


609 : 帆高が陽菜に会う時!東京は水没する! ◆8eumUP9W6s :2021/02/06(土) 11:50:28 klikhZYc0
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(ロンダーズ…?いや、あのような囚人が収監されていた記録は無い…さては私のようにこの世界とは別の世界から呼ばれた者か。あの様子では対話は不可能だろう…ならば!)
「クロノチェンジャー!」
咄嗟に初撃を回避したリュウヤは思考を纏めながら、クロノチェンジャーのボタンを押す。その瞬間、彼の身体はクロノスーツを纏い、タイムレッドへと姿を変えていた。
刃物を振り回す襲撃者に対抗する為、タイムレッドはクロノチェンジャーの収納機能を使って、時計の長針と短針を模している二ふりの剣、ダブルベクターを手に取る。

「………………………………」
「ふん!やあっ!だぁ!」
互いに剣を振るい合う形になるが、ここで襲撃者は飛び蹴りを仕掛け、予想だにしていなかった攻撃にタイムレッドは吹き飛ばされてしまう。

「ぐぅっ…!!」
(奴め…刃物を振り回すだけでは無いようだな…ならばこちらは…!)
「ベクターハーレー!」
リュウヤは作中での描写から推定するに格闘戦も得意とはいえ、接近戦のリーチは相手の方が長めである、それを踏まえて彼は…ダブルベクターを柄の部分で合体させてツインベクターにした後、エネルギーを放つ飛び道具であるベクターハーレーを使った。
光線は襲撃者にある程度のダメージを与える…も、襲撃者は不利を悟ったのか、ここで撤退する事を選ぶ。

「待てっ!…ちっ、逃げられるとは」
ベクターハーレーを回避しながら撤退していった襲撃者を尻目にリュウヤは、変身を解除しながら珍しく苛立ちを見せる。

(対話が望めない以上、奴を生かしておく意味は無い…だが逃亡されてしまった。これがどう響いてくるか…)
そう思いながら彼は、襲撃者が逃げていった方向を警戒しながら進んでいく。

…暫く先には、身体の上半身と下半身が泣き別れにされて生き絶えている青年の死体が転がっていた。
しかしリュウヤは顔色一つ変えず、冷静に思考を回す。
(先程の奴の犠牲者だろうな。奇襲されてあの刃物で真っ二つになったんだろう。…反応が遅れていれば、私もこうなっていた、か。
…どのみち、こいつのような末路は迎えたく無い物だ。
しかし、バッグの中身が持ち去られている…という事は、あの刃物は着脱式という事か)

襲撃者について推測した後彼は、死体には目も暮れずその場を立ち去った。

【ミハエル・トリニティ@機動戦士ガンダム00 死亡】

【リュウヤ隊長@未来戦隊タイムレンジャー】
[状態]:健康
[装備]:クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:自身の生存が最優先、出来ればだが、主催達をどうにかしておきたいところ
1:他の参加者と遭遇する事があれば、襲撃者の事は伝えておいた方がいいだろう。
2:他の参加者が森嶋帆高と天野陽菜の処遇で対立するであろう間に、首輪の解除と脱出手段の捜索を優先するべきだ。
3:我々の時代へ干渉出来るであろう主催の技術力を、手に入れる事が出来るのならあるいは…。
[備考]
※参戦時期はCase File 44「時への反逆」終了後からです。
※襲撃者が別の世界の住人な可能性を考えています。
※天気の子世界は、自分達の30世紀とは繋がらない世界だと思っています。

【クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー】
タイムレンジャーに変身する為に必要な装備。今回リュウヤに支給されたのは彼の先祖である浅見竜也が使用している物であり、彼自身も使用した事がある物である。
収納機能があり、ダブルベクターやボルユニットを取り出す事が可能。
ただし今ロワではレッド用のボルユニットである「ボルブラスター」は取り出す事が出来なくなっている。他の参加者に単体で支給されている可能性あり。
なお、初回起動時には時間保護局の1チームの規定人数である5人がいないと起動できないようになっているが、一度起動すると、以降は単独でも起動できる為問題は無い。


610 : 帆高が陽菜に会う時!東京は水没する! ◆8eumUP9W6s :2021/02/06(土) 11:51:16 klikhZYc0
----

一方襲撃者は、次なる標的を探して動いていた。
襲撃者の名は、奇怪宇宙人ツルク星人。地球に来た理由は「地球侵略が目的」とされているが、それらしき行為を一切せず、言葉を介さずに不特定多数の人間を殺傷する通り魔的な犯行を繰り返している凶悪宇宙人である。
彼…或いは彼女にとっては、天気の子はどうでも良く、森嶋帆高も天野陽菜も、ただ殺す対象でしかなかった。
とはいえ、森嶋帆高については、他の参加者が集まる要因になる為殺す前に利用するつもりだが。
…このロワでのツルク星人の目的はただ一つ、主催も含めた全てを殺し尽くす事である。

【ツルク星人@ウルトラマンレオ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、ミハエルの持っていたランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ただ全てを殺す。理由など無い
0:発見した参加者を殺しにかかる。先程のように防がれて分が悪いようならその場は撤退。しかしいずれは殺す。
1:森嶋帆高は利用するだけしたら殺す。それまでは後回し。
2:例えウルトラマンが居ようと関係無し。殺すのみ。
3:巨大な相手や、参加者が複数人纏っている場合には、巨大化を試し出来るようなら纏めて殺す。出来ないのなら1人ずつ殺していく。
4:殺した相手の支給品は貰っておく。意志を持つ類の物は殺すが、後回しの方がいいかもしれない。
5:首輪を解除しようとしてる参加者は殺すのは後回し。解除方法が確立されたら可能な参加者を脅して解除させた後に殺す。
[備考]
※参戦時期は後続にお任せします。
※等身大の状態での参戦です。巨大化形態になれるかどうかは不明です。
※ なお、作中ではウルトラマンレオを象った宇宙金属製のレリーフを、通り魔を行った現場にわざと落としたり、ガードレールを飛び越える際に両手の刃物を外していたり、巨大化した際は両腕に手指と刃物が同居している為、ツルク星人の刃物は着脱式か、手先を変化する事が可能なのかのどちらかだと思われます。


611 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/06(土) 11:52:14 klikhZYc0
投下を終了します


612 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:26:16 WzbP8ggA0
投下します


613 : include ~カガクと魔法が交わる刻~ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:26:51 WzbP8ggA0
「天気の巫女、そして神。にわかには信じられませんね」

まず少女から出た言葉は否定。科学の世界に生きるものとしての、当然の返答

「そもそもあの映像が現実の出来事とも言い難いです。ただでさえ天候の操作なんて前例はあれどそれが真実であったが眉唾物でしたというのに、それと同じ『カガク』だとしても分野的な意味での専門外です」

19世紀のアメリカに、チャールズ・ハットフィールドという気象学者が存在した。彼は『人工的に雨を降らせる技術』を開発し、それを商売として実用化していた時期があった。意外にも成功率は高かったという
だが、それでも『雨を晴らす』方法を確立していなかったがためにとある場所で水害を起こしてしまい、それは廃業となった
今回例として上げられたのは『雨を降らす』方法であるが、当時の陪審員ら同様に天候を人の手で操作するなどそれこそ眉唾物である

少女は神子柴の言葉に対して半信半疑。そもそも夢を叶えるという文言すら嘘偽りの可能性の方が高い
説明の際に見せられた異形も、別のカガク者による合成獣だという考えがまず浮かび上がっていた

「……映像の内容は、まあノーコメントですかね」
「でも、二人のシーンに愛莉ちゃん大分見入っちゃってたよね?」
「そ、それはですね――!」

少女のつまらなさそうな呟きにツッコミを入れたのが、まるで魔女と言わんばかりに風貌をした長い金髪の女性。威厳がありそうでそれでいてゆったりしたような雰囲気とは裏腹に、その突っ込みは鋭い
愛莉と呼ばれた少女は思わず顔を赤らめ否定するも、実はこの愛莉という少女は例の映画に大分見入ってしまっていたのは事実

「それとさ、あのお婆さんの言ってること、私はほんとだと思うなぁ」
「私は今でも否定よりですけどね。それは『魔女』としての言葉でしょうか?」
「魔女としてもだけど、一度転生した身でも、ね」
「そもそも魔法やら転生やら死者の蘇生やら……最後はまだ兎も角前の二つはまだ信じきれていません」

女性の言葉に、愛莉は否定気味だ。カガクというのは本来迷信だと思われていたものを解き明かしながら進み、試行錯誤し、成長していった人間の知識の結晶だ
だからこそ愛莉は当初こそ女性の言葉を信用していなかったし、神子柴の言葉も半信半疑であった
『魔法』――科学にとって、真っ向から挑戦状を突きつけるような、そんな埒外の技術に対し

「まあ、仕方ないよね、そういうとこは。でも、少しでも信用してくれただけでも私としては嬉しいかな?」
「あなたのその物腰の良さが信用出来る証拠ではないでしょうか。最も、魔法に対してはまだ半信半疑の類ですが」

けれど、目の前で死者の蘇生とやらを見せられたカガク者・久世愛梨にとって、否応にも魔法というものが存在する事を認めざる得ない結果となった。自分の想い人なら何だかんだで受け入れそうだっていう根拠や、彼ならまず相手側に寄り添ったりという行動を取りそうだろうという、彼女自身も彼に絆された影響もあって

「……と、まあ。お喋りもこれくらいにしておきましょう。前提としてこのルールですが、余りにも粗が多すぎます」
「『粗』って、帆高くんの事?」
「そうです。森嶋帆高がルールの根幹となっているのに、彼もまた私達と同条件というのであれば、あまりにもゲームとしては歪です」

ルールにあったゲームを終わらせる条件は二つ。どちらも森嶋帆高が関わっているが、まず軽く文面だけを見れば森嶋帆高を殺せばゲームが終わるという考えに至る参加者も多いだろう
だが、それが不自然だ。人柱を妨害させない為だけならば森嶋帆高をこんな回りくどいやり方で止める必要もなく、ゲームとしては森嶋帆高と天野陽奈の犠牲さえ許容すれば他の参加者はあっさりと助かる

「それにこの『死滅』という文言。まるで彼が複数いるみたいな言い方じゃないですか」
「うん、それは私も思った。まるで強いスライムみたいに分裂したりするのかなって」
「分裂にしろ、私が思ったのはそれです。ですが映画を見る限り森嶋帆高はそうには見えない。森嶋帆高が私達と同じ条件ならば彼にもこの首輪が填められているはずですから」

『死滅』。ルールには『森嶋帆高の死滅』という言葉が存在していた。まるで森嶋帆高が複数いるような言い方。あまりにも不自然。確かに複数いる前提ならばこの杜撰に見えるルールにもある程度の納得が出来る


614 : include ~カガクと魔法が交わる刻~ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:27:09 WzbP8ggA0
「……まさかとは思いますけど、森嶋帆高であることを隠して別の名前を名乗っている人物がいる? でも映画の中でそんな風な描写はなかった」
「誰かが森嶋帆高にされちゃうとか?」
「……その可能性もありうるのも怖いところですね。私としては『ルール』上で森嶋帆高にされるという可能性を敷き詰めていたのですが」

科学者の少女と、魔女の女性が挙げた考察。どちらの考えにしても他の参加者がとばっちりを喰らう面倒くさいルールだ。だがそれならばなおさらルールへの理解も深まる

「ともかくです。これで分かることは、安易な考えでの森嶋帆高の殺害は避けるべき。ということになりますね。誤解の無いように言っておきますけど、私は人殺しなんてするつもりはありませんよ。疑ってたりしませんですよね?」
「疑ってなんか無いよ。だって愛莉ちゃん、見るからに私となんか似てる感じだったから……愛莉ちゃん、結構お人好しだよね?」
「……そう見えますか? これでも私は人間不信な部分もありますよ」

魔女の心配と安心が入り混じった言葉に、愛梨は自嘲気味ながらも答える
かつてカガクの力で世界を幸せにできると考えていた少女は、たった一つの悲劇を切欠にその身をサイボーグへと自ら望んで成り得た

「でも、私はそう思わないかなぁ。だって普通の人が見たら胡散臭さ全開の私なんかの話聞いてくれてさ。魔法なんて眉唾〜なんて言ってたのに」
「実際に見たものを最後まで信じきれないほど私は冷酷ではありませんよ。正直まだ信じれていませんですが」

そんな少女の孤独を癒やしたのはたった一人の少年の良心。彼がどのような過去であろうと、彼女は彼の今を見て、彼に救われた事実があるだけで十分だった。例え自分が彼に選ばれなかったとしても

「やっぱり愛莉ちゃんは、いい人だよ」
「……お世辞はそのぐらいにして、行きましょう。首輪の解除には何もかもたりませんし、森嶋帆高に会って事情を聞き出さないといけません」
「はーい。でも私の方が年上なんだから素直に頼ってもいいんだよ?」
「……その時になったら、頼らせてもらいますね」
「そう言ってもらえると嬉しいなぁ。それじゃ、行こっか――――」


「この『ゲーム』をぶち壊しに」
「この『ゲーム』を止めに」


カガクと魔法。決して交わることのない2つの世界
カガク者の名は『久世愛莉』、魔女の名前は『アズサ・アイザワ』


2つの世界が交差する時、物語は始まる


【久世愛莉@カガクなヤツら】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:このゲームをぶっ壊して、遥希さんやみんなの所へ帰る
1:森嶋帆高の捜索、彼から事情を聞き出す
2:首輪解除の手段を模索

※参戦時期は最終話以降

【アズサ・アイザワ@スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:このゲームを止める
1:森嶋帆高を探す。彼から色々聞きたい
2:首輪解除の手段を探す

※参戦時期は後続の書き手にお任せします


615 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:27:29 WzbP8ggA0
投下終了します


616 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:43:33 WzbP8ggA0
投下します


617 : あんぱん生活〇〇日目 ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:44:23 WzbP8ggA0
「どこだここぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!???」


【山崎退@銀魂】
[状態]:健康、混乱中
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2、あんぱん
[思考・状況]
基本方針:???
1:どこだここぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!???

※参戦時期は最低でも『食事はバランスを取って考えろ』からあんぱん生活24日目以降


618 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/06(土) 13:44:35 WzbP8ggA0
投下終了します


619 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/06(土) 17:15:24 PJxXHu0k0
投下します


620 : 「逃げないぜ」 ◆7PJBZrstcc :2021/02/06(土) 17:15:52 PJxXHu0k0
『おいおい、今時デスゲームものなんてありきたりすぎるぜ。
 第一そういうのはジャンプじゃなくてマガジンでやるものだろ?』

 殺し合いの会場にあるビルの一室で、ヘラヘラと笑いながらという、とても異常事態の渦中とは思えない態度で少年が文句を言う。
 上半身は無地の白Tシャツ、下半身は学ランのズボンというファッション以外に特徴のない外見をしている彼の名前は球磨川禊。
 つい先日、高校を卒業したばかりの無職である。
 そんな彼はさっきまでアイドル、須木奈佐木咲のライブ会場に居て、ライブが終わったのでネジで出来た花束を置いて出ていくところだった。
 のだが、気づけば映画を見せられ、神子柴と呼ばれた老婆に殺し合いを命じられている。

 もっとも、球磨川は神子柴に従うつもりは全くない。
 確かに彼女が見せた力は驚異だ。
 死者蘇生は7932兆1354億4152万3222個の異常性(アブノーマル)と、4925兆9165億2611万0643個の過負荷(マイナス)を持つ安心院なじみにも出来ない。
 にも関わらず神子柴は事もなげに成し遂げたのだ。流石の彼もちょっとだけビックリした。

 だからと言って球磨川は怯みはしない。
 相手が強いから、凄いから、得体が知れないからと言って、ひれ伏すような生き方は過負荷(マイナス)ですらない。
 それに

『決めてるんだ。こういう状況では一番弱い子の味方をするって』

 球磨川禊は弱者の味方だ。故に争いが起こるなら一番弱い者につく。
 そしてこの殺し合いで一番の弱者は森嶋帆高しかいない。
 ひょっとしたら彼の後輩である黒神めだかや人吉善吉のような人間がいて、帆高の味方をするかもしれない。
 だがそうでなかったとしても球磨川は揺るがない。
 例え自分以外の全員が森嶋帆高の妨害をしたとしても、球磨川だけは殺し合いの中でで生きている限り帆高の応援(バックアップ)をする。

 そう決めたなら進むのみ。球磨川はビルから出ていくべく、エレベーターへと向かっていく。

「僕は逃げないぜ、咲ちゃん」

 その過程で歩きながら球磨川は小さく呟く。それは彼なりの宣戦布告であり、決意表明
 彼はこの殺し合いに呼ばれる直前、友達に勝ち負けの世界から降りてしまうのではないかと危惧されていた。
 決して勝てない筈の負完全が、よりにもよって黒神めだかに勝ってしまったのだ。
 その充足感を胸に敗北から逃げ出すのではないかと。
 だから彼は友達にこう言われた。「敗北を恐れず敗北を愛して、潔く負けやがれ」と。

 『GOOD LOSER GOOD LUCK』と。

 だから彼は戦う。二度目の勝利を目指して。
 次の相手は殺し合いの主催者である神子柴と、天野陽菜に犠牲を強いる神様そのもの。
 そんな強敵相手でも、彼の歩みは揺るがない。


 グッドルーザー球磨川 蛇足編、ここに開幕。



【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:『帆高ちゃんを全面的に応援(バックアップ)する』
1:『決めてるんだ。こういう状況では一番弱い子の味方をするって』

※参戦時期はグッドルーザー球磨川 完結編終了後です。
※首輪を『なかったこと』にはできません。
その他の制限は当選した場合、次の人にお任せします。


621 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/06(土) 17:16:18 PJxXHu0k0
投下終了です


622 : ◆qvpO8h8YTg :2021/02/06(土) 18:52:09 bf.I1gQg0
投下します


623 : 抜け出してって ◆qvpO8h8YTg :2021/02/06(土) 18:54:03 bf.I1gQg0
「おぉ、なかはひろいぞぉ!」
「シ、シノノンちゃん! まだ走らないで、足元暗いから…」


雨止まぬ市街地の中に佇む民家。
そのリビングで走り回る獣耳の少女は、シノノン。
そんなあどけない幼女を慌てて諫めている紅色の髪の少女は、桜内梨子。

梨子はあたふたしつつも、扉付近にあるスイッチがあるのを発見すると、それを押す。
すると瞬く間に、暗黒の空間に人工の光が照らされ、部屋の全容が明らかになる。

梨子にとっては、何てこともない日常にありふれた「部屋の照明を付ける」だけの行為に過ぎなかったが、シノノンにとっては、奇想天外、摩訶不思議な出来事のようで「おぉ〜」と感嘆の声をあげたのであった。


(これから、どうしよう……)

そんなシノノンのあどけない反応を見据えつつ、梨子は溜息をつきながら、ここに至る経緯を回想する。


あの最初のホールで映画を鑑賞し、神子柴なり老婆から説明を聞かされた後、気付けばどしゃ降りの雨の中、路上にぽつんと立っていた。
暫く途方に暮れていた梨子であったが、間も無くして、「とぉちゃん」と声を上げて路頭を彷徨うシノノンを視界に収めた。
殺し合いの最中で、こんな幼子を捨て置くことなど出来ず、声を掛けて保護。
まずは腰を落ち着かせる場所を確保したいと、近場の民家へと入りーー今へと至る。


(シノノンちゃんのためにも、今は私がしっかりしないと!)

自分の頬を軽く叩いて、改めて奮起する梨子。
まずは、今後の方針を決めようと思った矢先――。


ドンドンドンドン。

玄関の方から扉を叩くような音がして、梨子はビクリと震えた。
シノノンは「だれかきたのかぁ」と口をあんぐり開けている。

「シノノンちゃんはここにいて。私が様子見てくるから」
「おぉ、わかったぞぉ!」

元気よく返事をするシノノンをリビングに残して、梨子は玄関に向かったが、梨子が玄関の前に立つ頃には、ドアを開けようとする音はすでに鳴り止んでいた。

ガチャリ、と恐る恐る扉を開けて、外の様子を窺う梨子。

「何じゃいね、人がいたんかいな」
「っ!?」


玄関先にいたのはアロハ服を着込んだ金髪の中年男性。
梨子を訝しげに見つめるその目付は鋭く、お世辞にも品性の良い類の人間とは言えない――所謂チンピラと称されるような男であった。
その風貌に怯みつつも、梨子は恐る恐る話しかけてみる。


「あ、あの…あなたもこのゲーム参加者なんですか?」
「そんなもん首輪見りゃわかるやないか、ボケがッ!!!」


男からの恫喝めいた返答に、梨子はビクリとたじろぐ。
そんな梨子の様子など知ったことかと、男は更に言葉を畳み掛ける。


「おい、おどれ! この中にあの穂高とかいうガキはおらんかいね?」
「い、いませんけど…」
「チィッ! あのボケ、どこにおるんね…」
「あの…森嶋君を見つけたら、どうするつもりなんですか?」
「あぁん? んなもん決まっとるね、歩けないように痛めつけんね。 ゲームやら何やら知らんが、とっとと儂は帰りたいんね」
「っ!?」


一切躊躇いもなく他人を傷つけると言ってのける男に、梨子は戦慄し--やはり、目の前の人物は悪い人間だと悟る。


624 : 抜け出してって ◆qvpO8h8YTg :2021/02/06(土) 18:55:11 bf.I1gQg0

とそこで、金髪の男は何かを思い出し、勢いそのまま梨子へと詰めよった。

「そういやワレェ、主催者から支給品貰っとるやろ? それを渡さんかい」
「えっ? ど、どうしてですか…?」
「おどれ、大方この家に籠もって、誰かがあのガキシバくのを待つ魂胆やろ。 支給品も宝の持ち腐れやね。 それなら儂が有効活用したる言うてんね!」
「ち、違います! 私は――」


自分にはそんな邪な考えなどないと否定しようとする梨子。
しかし男は聞く耳など持たず。

「じゃかあしいわッ! 黙ってて渡しゃあええねんッ! 家の中にあるんか!?」


あたふたする梨子を押し退けて、開放されたままの扉から家の中に押し入ろうとする。
シノノンがいる家の中に、このような粗暴な男の侵入を許してはいけないと、梨子は男にしがみつき、引き止めようとする。


「ちょっ、止めてください!!」
「放さんかいなぁ、このダラズがぁッ!」


瞬間、男が怒声とともに梨子の顔面目掛けて横殴りに拳を叩きこんだ。
梨子は「きゃあっ!」と小さな悲鳴とともに、地面に倒れ伏せる。

これまでの人生において、男に全力で殴られたことなどなかった梨子。
涙を滲ませ、殴られた頬を手で抑えて、「うぅ……」とその痛みに悶える。


「この糞ボケがッ! 大人しゅうしとけば痛い目にあわずに済んだんね!」


男は、すすり泣く梨子に更なる罵声を浴びせて、ツバを吐き捨てた。


その時であった。


「りこを、いじめるなぁ!!!」

家の奥底より、シノノンが大きな叫び声とともに姿を現した。

「何じゃいね、このガキはッ!」
「シノノンちゃん、来ちゃダメ! 逃げて!」


予期せぬシノノンの登場に、男と梨子は異なる反応を示す。
しかし、シノノンはそんな二人の反応を気にすることなく、キッと男を睨み付けたままである。

「何じゃい、その目はぁッ! 前歯へし折られたいんかいッ!」

男は激昂し、幼女を蹴り飛ばさんとズカズカと家の中に入り込んでいく。
「だ、駄目―――!」と梨子の悲鳴が木霊するが、シノノンは特に臆した様子はなく「んしょ、んしょ」と傍らから黒色に光る大型銃のようなものを引っ張り出した。


「な、何じゃいねッ!!? それはっ!?」

想像だにしなかった得物の登場によって、男は怯んだようでその場で固まるが、これはシノノンによって好都合――銃の重さにグラつきながらも、そのまま銃の照準を、棒立ちの男に定めてその引き金を引いた。
そこに一切の躊躇はなかった。

「ぐわぁああああああああああ!!!」

男は悲鳴を上げて、その全身はたちまち光に包まれる。


625 : 抜け出してって ◆qvpO8h8YTg :2021/02/06(土) 18:57:51 bf.I1gQg0
そして次の瞬間――。

「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「っ!!?」


男の服装は一変――女性が着るようなピンク色のハイレグカットの水着を着こんだ姿となり、両手を股間のラインに合わせてV字に引きながら、謎の掛け声をただ発する存在となっていた。

奇怪な現象に目を丸くし、呆然とする梨子。
シノノンは「おおぉ!」と感嘆の声をまた漏らす。


「シノノンちゃん、これは一体……?」
「これはオレのしきゅうひんだ。よくわからないがうまくいったようだな」


ハイグレし続ける男は放置して駆け寄ってきたシノノンは、困惑する梨子に銃の説明書のようなものを見せてきた。
そこには以下のように記載されていた。


ハイグレ光線銃:光線を浴びた人間は10分間ハイグレ人間となり、無心でハイグレし続けます。連射は出来ませんのでご注意ください


「ハ、ハイグレ人間って……」

正直ゾッとするような効果だし、眼前の光景も見るに堪えられないとてもおぞましいものではあるが、この破廉恥な支給品に助けられたのは事実だ。

しかし、悠長にはしてられない。
説明書には洗脳状態は10分経過すれば解除されるとのことだ。

自我を取り戻した男がまた逆上して襲い掛かってくるのは目に見えている。


「シノノンちゃん、一旦ここから離れるわよ」
「おお、りこ。ついていくぞ〜」


梨子とシノノンは互いに手を繋ぎ、民家から急いで離れていった。


二人の少女の苦難はまだ始まったばかりーーー。



【桜内梨子@ラブライブ!サンシャイン!!】
[状態]:健康、顔面打撲(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには反対。森嶋君は助けてあげたい
1:とにかく今は逃げる!
2:シノノンちゃんは私が守らないと!
[備考]
※参戦時期は第二期5話以降からとなります。


【シノノン@うたわれるもの 二人の白皇】 
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ハイグレ光線銃(クレヨンしんちゃん)、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:とぉちゃんをさがす
1:しばらくは、りこについていくぞぉ!
2:ほだかも、りこも、オレがまもってやるぞぉっ!
[備考]
※参戦時期は帝都奪還以降となります。


【支給品紹介】
【ハイグレ光線銃@クレヨンしんちゃん】
ハイグレ魔王軍が使用する銃。
撃たれた相手の衣服はハイレグレオタード姿に変わり、「ハイグレハイグレ」の掛け声と共に強制的に卑猥なポーズを取る。
本ロワで主催者側により細工が行われており、ハイグレ洗脳は10分で解除され、服装も元に戻る。
また連射は不可とされており、一度利用するとリチャージに時間が掛かるようになっている。







民家に取り残された男――北条鉄平は無心になり、卑猥なポーズをとりつつ、声高らかに叫び続ける。


「ハイグレ!ハイグレ!」と。


彼に刻まれた洗脳が解除されるまで後5分―――。


【北条鉄平@ひぐらしのなく頃に】 
[状態]:健康、ハイグレ洗脳中
[装備]:ピンクのハイレグカット水着
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帰還するため穂高を妨害する
1:ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!
[備考]
※参戦時期に関しては次回以降の書き手様にお任せします。


626 : ◆qvpO8h8YTg :2021/02/06(土) 18:58:23 bf.I1gQg0
投下終了です


627 : ◆ytUSxp038U :2021/02/06(土) 21:52:25 uY3Z1Ij.0
投下します


628 : バトロワハンサム ◆ytUSxp038U :2021/02/06(土) 21:54:02 uY3Z1Ij.0
推奨BGM B'z『LOVE PHANTOM』


「おのれ……許さんぞ神子柴!!」

彼は怒っていた。
バトルロワイアルと言う悪趣味なゲームに。

殺し殺されの無法地帯では、毎回悪事を働くブサイク三兄弟のような連中が、ここぞとばかりに暴れ回るだろう。
そうなればきっと多くの美女・美少女が悲惨な目に遭う事は間違いない。

「何たる卑劣…あのブサイクババアめ!」

神子柴の顔はハッキリ見ていなかったが、こんな真似をするのだからきっとブサイクだと決めつける。

「のんびりしている場合ではない!急がなければ!!」

刀を装備し走り出す。
天野陽菜やまだ見ぬ美女・美少女たちを救うため。
あとついでに、森嶋帆高やその他の男も一応助ける為に。

立ち塞がる悪しきブサイクどもは、必ず正義の刃で叩っ斬る。
たとえどんな困難が待ち受けていようと、止まりはしない。
必ずや、あのブサイクババアを成敗してやると決意する。

「何故なら僕は、ハンサムだから!」


【ハンサム侍@笑う犬シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:時雨@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:神子柴を成敗する
1:天野陽菜や見ぬ美女・美少女たちを助ける
2:ついでに森嶋帆高やその他の男も助ける
[備考]
※参戦時期は不明。

【時雨@ONE PIECE】
海軍のたしぎが持つ業物の刀。


629 : ◆ytUSxp038U :2021/02/06(土) 21:54:36 uY3Z1Ij.0
投下終了です


630 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:46:41 fVDxBHhU0
投下します


631 : とぐろ頭レ〇プ!野獣と化したメス猫 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:48:06 fVDxBHhU0
ここはとあるビルのエントランス部、そこでは異様な光景が広がっていた。

なんととぐろを巻いた頭をした男が、胸元からへそのあたりまで開いた衣装をまとった、妖精のような風貌の少女に押し倒されているのだ。

男の名はソフトン、バビロン真拳の使い手兼ソフトクリーム屋のバイトをしている男である。

そんな彼は今、自分より明らかに非力と言える少女によって押し倒されてしまっていた。

「(な……か、身体がうまく動かない……!)」

それは、目の前にいる少女が彼に『動きを制限する魔法』をかけたからだった。

そして彼に魔法をかけた少女の顔は異様なほどに紅潮しており、明らかに異常と言える状態であった。

それ故にソフトンは彼女に対して、全力で相手するのをためらってしまったのも原因だった。

「やっと大人しくなったナ、これからたっぷりと愛し合おうナ」

また、彼を押し倒している女性の名前はナナナナ、『道化のアリス』の二つ名を持つ、悪戯好きな少女である。

「ふふふ……ナナナナ、これが欲しかったのナ……でもぉ……まだフニャフニャで柔らかいのナ……」

「だから……"奉仕"してあげるのナ」

そういうと彼女はソフトンのズボンに手をかけ、無理やりはぎ取ろうとしていた。

このままでは健全な青少年に到底お見せできない光景が広がろうとしていたが、そこに救いの手が現れた。

突如としてガラス張りの壁が砕け散り、何者かが飛び込んできたのだ。


632 : とぐろ頭レ〇プ!野獣と化したメス猫 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:48:45 fVDxBHhU0
「公然ワイセツ!」

その声が聞こえるとともに、ソフトンのズボンを下ろそうとしていた痴女の頭に強烈な一撃が加えられたのである。

「こんな場所でそんないかがわしいことするなんて、先生許さないわよ!」

彼女の頭を殴ったのは、魚雷に女性の顔と手足が生えたような姿をした謎の生命体だった。

彼女の名前は魚雷ガール、伝説のボケ殺しの一人である。

「……ってソフトン様!一体何があったんです!!というか、その女は誰ですか!?」

そして、ソフトンにゾッコンLOVEな乙女でもある。

そんな彼女は今、凄まじく混乱していた。

何故ならば先ほど少女を全力で殴ったせいで、気絶した少女の顔がソフトンの股間に押し付けた姿になったからである。

……まあ要するに、どう見てもアレをしているようにしか見えない状態になったからである。

「ああ……魚雷殿、身動きが取れなくなって襲われそうになっていたんだ。助けてくれて感謝する」

しかし当のソフトンについては、自分がいまどういう状態になっているのかを意に介することなく、普通に彼女に感謝の言葉を述べた。

「……無事で何よりですソフトン様!」

それに対して魚雷ガールは、ソフトンの一切迷いのない言葉から追及するのをやめることにしたのだった。

「しかし……無理やり襲おうとするなんて、とんでもない女ですねコイツは!」

しかしそれでも、魚雷ガールとしては先ほどの少女に対する怒りは収まってはいなかった。

「いや……先ほど戦ってみて感じたことなのだが、どうやら彼女は『何か別の意志に操られていた』らしい」

「おそらく先ほどの行為は、彼女の意志ではないはずだ。まずは彼女が目覚めるまで、待つとしよう」

ただしソフトンは、そんな彼女の怒りに反して少女のことをフォローした。

彼女は何か別の人に操られていたのではないか、とそう言ったのだ。

「承知しましたわソフトン様!それなら彼女に非はありませんわね!」

そしてその言葉を受けた魚雷ガールは、あっさりと手のひらを返した。

こうして二人は、まずは彼女が目覚めるまで待ち、その後話を伺うことにしたのだった……。


633 : とぐろ頭レ〇プ!野獣と化したメス猫 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:49:10 fVDxBHhU0
--------
そして数分後……

「あいたたた……とんでもない一撃を食らったナ……」

先ほど魚雷ガールに全力で殴られた少女が、頭を押さえながら目を覚ました。

またその姿は先ほどの妖精風の姿とは打って変わって、頭から猫耳が生えた姿に変わっていた。

更に言うと上はビキニ風の衣装、下はホットパンツと、割と煽情的な衣装になっていたのである。

「……やっと目覚めたようね、いきなりで済まないのだけれど、さっきのことについて説明してくれないかしら?」

「まだ頭が痛む中頼むのも申し訳ないが、説明してくれると助かる」

そして彼女が目覚めたのを確認した魚雷ガールと、やっと動けるようになったソフトンが彼女に対して質問をしていた。

それに対して彼女は、とても申し訳なさそうに説明を行った。

「……ああ、さっきのレ〇プ未遂のことについてだナ……あれは本当に済まなかったナ……」

「イデア…さっき妖精風の見た目に変わっていたけれども、ナナナナはそういった力を使えるのナ……」

「強大な力を得られるけれども、元になった誰かの影響を必ず受けることになって……あの姿の場合は、ずっとムラムラして、止まらなくなってしまうのナ……」

「必死に我慢すればするほど、余計にひどくなっていって……あんなことをしてしまったのナ……」

「……でも、先ほどの一撃でイデアが解除されたから、今はもう大丈夫ナ!普段のナナナナは、絶対そんなことしないから、安心してほしいのナ!」

先ほどのあの行為は、自分がその時使っていた力による影響を受けたものであって、自分の意志でやったわけではないと、そう説明をしたのだ。

「そうか、やはりアレは、自分自身の意志ではなかったという事か……」

「……仕方ないわね。やったことはあまり許されることじゃないけど、ソフトン様は許しているみたいだし仕方ないわね」
「でも次同じことやったら、さっきのアレだけじゃすまさないわよ!気を付けなさい!」

そして彼女の説明を受けた二人は、一応は彼女のことを許すことにしたのだった。


634 : とぐろ頭レ〇プ!野獣と化したメス猫 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:49:38 fVDxBHhU0
その後、一通り説明を終えたナナナナはあることをしていないことに気づき、急いでそれを行った。

「……そういえば名乗り忘れていたのナ。ナナナナの名前は、ナナナナというのナ」

それは、まだ自己紹介をしていなかったということだった。

「私はソフトン、普段はソフトクリーム屋のバイトをしている」

「私は魚雷ガール、絶対におふざけは許さないわよ!」

それに対して、二人とも自己紹介を行った。

「ソフトンに魚雷ガールなのナ、分かったナ!……ところで"もう一人"いる気がするんだけれども、気のせいかナ?」

しかしナナナナは、それに対して少し釈然としない様子で返していた。

"もう一人、誰かがいる"……彼女はそう感じているのだ。

「……確かにもう一人いるにはいるけど、私がここにいる限り出てくることはないわよ」

そしてナナナナの疑問に答えたのは、魚雷ガールだった。

彼女は少し驚きながらも、"もう一人の存在は、自分がいる限り現れることがないこと"を彼女に説明したのだ。

「……分かったのナ、そちらにもいろいろと事情があるみたいだし、詮索するのはやめるのナ!」

それに対してナナナナは、魚雷ガールのその言葉を受けてこれ以上詮索するのはやめることにした。

そうして一通り話をした後、唐突にナナナナは彼らにある質問をした。

「……ところで二人は、これからどうするつもりナ?ナナナナは主催者のことが気に入らないから、あいつらをぎゃふんと言わせるつもりナ」

自分は主催者に立ち向かうつもりだけど、二人はどうするつもりなのかと、そう質問をしたのだ。

「私はバビロン神の意思に従い、主催者たちに裁きを下すために戦うつもりだ」
「私も同じで、あの主催者たちをボコボコにぶちのめす予定よ」

そして彼女の質問に対して、ソフトンと魚雷ガールは自分たちも主催者たちに立ち向かうつもりだと、そう答えた。

「……どうやら君も私たちも目的は同じらしい。ならばともに戦うべきだと思うのだが、君はどうしたい?」

こうしてお互いの目的が同じだとわかったところで、ソフトンがナナナナに対してともに行動しないかと提案をしてきた。

それを受けてナナナナは強く頷き、同意を示していた。

……なおその提案に対して魚雷ガールは先ほどの件を含めて少し難色を示していたが、ひとまず納得することにしたのは完全に余談である。


635 : とぐろ頭レ〇プ!野獣と化したメス猫 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:50:16 fVDxBHhU0
--------
そして行動を共にするという事が決まった彼らだったが、突如としてナナナナから衝撃の一言が送られることとなった。

「ナナナナも、心強い仲間が欲しいと思っていたところナ!じゃあ、これからよろしくなのナ!ソフトン……いや、"パパ"!」

……この後、魚雷ガールから「ソフトン様のことをパパと呼ぶなんてふざけすぎ!」という言葉とともに強烈な一撃をお見舞いされたのは言うまでもない……。


【ソフトン@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:主催者たちに、バビロン神の裁きを下す。
1:バビロン神の意思に従い、帆高と陽菜を含む参加者を救う。
2:愛を踏みにじり、あまつでさえ殺し合いを始める主催者たちに裁きを下す。
3:この少女(ナナナナ)の持つ力が気になる。
[備考]
参戦時期は無印終了後から真説までの間。
頭の色は、アニメ版と同じくピンク色です。
その他、制限により黒太陽の力は使えず、またバビロン神の召喚は行えません。
ナナナナの説明から彼女を「別の人間の魂を憑依させる」真拳使いだと思っています。

【魚雷ガール@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:帆高と陽菜を救った上で、主催者たちをぶちのめす。
1:帆高ちゃん、何か辛いことがあったの?!先生に話してごらんなさい!
2:陽菜ちゃん、あなたはもっと自分を大切にしなさい!
3:ソフトン様を襲ったこの女(ナナナナ)を監視する。
[備考]
制限により『OVER』に変化できません。
また飛行能力が著しく制限されています。

【ナナナナ@Alice Re:Code】
[状態]:健康
[装備]:『色欲の妖精』のイデア・レコード@Alice Re:Code
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:打倒主催
1:このイデア……やっぱりいろんな意味でアブナイナ……。
2:このソフトンという人、とてつもない力を宿しているナ、とても気になるナ!
3:魚雷ガールの中にいる人が、すこし気になるナ……。
[備考]
ソフトンおよび魚雷ガールを『イデアの元となった誰か』と認識しています。
また、魚雷ガールの中にいる『OVER』の存在に気づいています。

【『色欲の妖精』のイデア・レコード@Alice Re:Code】
 アリスにのみ引き出せるとされる、異なる次元に存在する力であり、
 想像力を働かせながら使うことでそれに合わせた姿に変身できるとされている。

 なお、この『色欲の妖精』については「夏の夜の夢」に登場する妖精の女王がモチーフになっており、
 相手の動きを鈍くするなどの能力があるがその代償として、
 『とてつもなくエッチな気持ちになる』というデメリットが存在する。


636 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/06(土) 23:52:11 fVDxBHhU0
投下終了です

余談ですが、ナナナナはプレイヤーのことを基本的に"パパ"と呼びます。

以上、ありがとうございました。


637 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/02/07(日) 00:05:52 F2yzkh/M0
投下します


638 : 図書館のツボにご用心 ◆IOg1FjsOH2 :2021/02/07(日) 00:06:46 F2yzkh/M0
コツコツコツ……

不安げな表情で無人の図書館を歩く一人の少女がいた。
引っ込み思案な性格とは裏腹に自己主張の強すぎる豊満な胸が特徴的な彼女の名前は神楽鈴奈。
メビウスからようやく現実世界へ帰れたというのに
こんな恐ろしいゲームに参加させられ、恐怖で彼女の心は張り裂けそうだった。
怖くて怖くて、涙が溢れてくる。

(どうして私……こんな所に……助けて、小森くん!)

図書館を歩いていると思いだす、彼の事を……。
オスティナートの楽士である少年ドール、小森と鈴奈は図書館で出会った。
そして鈴奈と小森はその場所で約束を交わした。

『一緒にお弁当を食べよう』と――

彼の事を思うと少しだけ勇気が出てきた。
怖がってばかりいても何も始まらない。
今は図書館の探索だけでも、と鈴奈は歩き続けた。

「……これは?」

部屋を一つ一つ調べているとディバッグが落いてある部屋があった。
誰かが捨てて行ったのか?それとも忘れて行ったのか?
気になった鈴奈はディバッグの置いてある部屋へと入った。

すると扉の前では暗くて気付かなかったが
部屋の隅に大きな壷が置いてあった。
図書館には不釣り合いなほど大きな壷である。

どうしてこんな所に壷があるんだろう?
神楽鈴奈は頭にはてなマークを浮かべながら近づく。
壷の中は暗くて見えない。
鈴奈が壷の中へ手を伸ばした、その時――

すずなはツボをしらべた
なんとツボはツボックだった!

ガブリ!

右手に鋭い痛みが走った。

「ひっ!?い、いやあああああああああ!!!!」

壷の中から不気味な顔が出現し
サメのような鋭い歯が鈴奈の右手首に齧り付く。

「やめてぇえええええ!!離してくださぁぁあああい!!」

歯が皮膚を突き破り、骨まで食い込む。
泣き叫ぶ鈴奈の悲鳴を他所に腕を左右に振り回し、齧る力が更に増す。

メリメリメリ……ブチッ

「――ッ!きゃああああああああ!!!!」

右手首から先が千切れた。
壷からはボリボリと咀嚼音を響かせる。

この壷はただの壷では無い。
ダンジョンに入り込んだ冒険者に向けて用意されたトラップモンスター。
その名もツボック、壷の中のアイテムを目当てに来た冒険者に襲い掛かる性質を持つ。
落ちていたディバッグもツボックでは持ち運べない為に、放置されていたものだ。

「壷の……お化け?逃げないと……」

鈴奈は右手の痛みに耐えながら部屋から出ようとする。

すずなはにげだした。
しかしまわりこまれてしまった!

「いや……」

ツボックに回り込まれ退路を塞がれた鈴奈。
カタルシスエフェクトを発動させ、戦おうとするよりも早くツボックは行動した。
逃げるのに失敗したら1ターンは魔物だけしか行動出来ない。


639 : 図書館のツボにご用心 ◆IOg1FjsOH2 :2021/02/07(日) 00:07:16 F2yzkh/M0
『バギマ』

室内なのに突風が吹き荒れる。
鈴奈の体は何ヶ所も切り裂かれて壁に叩きつけられた。
後頭部を強く打ち、意識が飛ばされそうになる。

「いたい……いたいよぉ……、あがっ!!」

ツボックの飛びかかり。
勢いよく鈴奈の背中にのしかかり
ゴキャッという音と共に背骨が砕け散る。

「ごふっ……こほっ……たすけてぇ……こもり、くん……」

肺が押し潰され、呼吸も満足に出来ない。
絶え絶えの息で必死に助けを求めるも、彼女のピンチを救ってくれるヒーローは現れない。

視界が黒く染まる。
生暖かい息をかけられる。
ヌルヌルとした唾液が頭にかけられる。


顔中に鋭い激痛が走る!!


「ああああああああああああああっっっっ!!!!痛い!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」

ツボックが鈴奈の頭部に噛み付いた。
鈴奈の鼻と目の間からツボックの歯が突き刺さる。
首をへし折らんが勢いで頭を引っ張りながら齧り続ける。

「ひぎいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!やめてぇえええええええええええ!!!!」

ぶつんっ

何かが切れる音を聞いたが最後に鈴奈の意識が消失した。

ボリボリ、ムシャムシャ、ごっくん

頭蓋骨を噛み砕き、脳味噌を咀嚼し、脳漿をごくごくと飲み干す。
鈴奈の頭部を味わったツボックは満足しながら別のエリアへ移動する。
死体の傍にいては他の参加者に警戒される事はツボックでも理解できた。

ダンジョンではレアなアイテムが多数手に入る。
ただしトラップモンスターにはご用心を

【ツボック@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
基本方針:ツボに近づいた参加者を攻撃する。
1:図書館のどこかで待機する

【神楽鈴奈@Caligula -カリギュラ-(アニメ版) 死亡】

※右手と頭部の上半分が食い千切られた神楽鈴奈の死体が図書館で放置されています。
※神楽鈴奈とツボックの支給品図書館で放置されています。


640 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/02/07(日) 00:07:46 F2yzkh/M0
投下終了です


641 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 11:23:48 rjt1PoP20
投下します


642 : 郡千景は勇者である ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 11:24:09 rjt1PoP20
―――私は彼女の事が好きになれなかった。嫌いだった

―――私には持っていたいものを持っていて、それでいて正しくて強くて、みんなの中心にいる彼女が

―――けれども、私は嫌いの感情と同じぐらいに憧れていて、好きだった


○ ○ ○

「……はぁ」

降り注ぐ雨を窓の内より見つめ、ため息。艷やかな黒の長髪と透き通った躑躅色の瞳。そして彼岸花をイメージさせる衣装に身を包んだ、一人の少女
彼女の憂鬱は、このゲームに呼ばれた事でも、失ったはずの勇者の力が戻ったことでも、神子柴に見せられた映画の感傷に浸っていた事でもない
それは、なぜ自分は蘇らせられた、のか――

「あの神子柴って人は、分かってて私を蘇らせたのかな」

郡千景の人生はお世辞にも良いものとは言えなかった。両親の不和、生まれを発端とするクラスメイトからのいじめ。村の人々からも嫌われるような毎日から、彼女が価値を見出すきっかけとなったのは『勇者』としての義務、それによる信頼できる仲間とも出会い

悪化する状況、嫉妬と精神不調からなる拗れ、その果てに追い詰められ、仲間に手を掛けようとして、勇者の力を剥奪され、己が醜い嫉妬とその仲間に対する憧憬を自覚、仲間を守らんがためにその身を犠牲とし、息を引き取った

映画の内容は兎も角、もし『前の自分』ならゲームに乗る理由はいくつでもあったのだろう。それこそ村への復讐なんて悍ましい願いも

「……でも、残念だけどね神子柴。私はあなたの思い通りになるつもりはないわ」

だからこそ、自分の中の感情を向き合い、自覚したからこそ、彼女はゲームに乗ることを拒絶する
それは、こんな自分でも仲間だと言ってくれたみんなの為だ。眩しいぐらいに真っ直ぐで、自分には勿体ないぐらいのみんな
それは『勇者』郡千景ではなく、『みんなの仲間』だった郡千景として

「そうなったら、まずはあの帆高って人を見つけないと」

一先ず優先するべきは森嶋帆高の保護。彼の存在がゲームに関わってくる以上、殺されないように保護しなければならない。映画で見た感じ、彼の性格はお世辞にもいいとは言えない。まあ罵詈雑言は言われ慣れてるから、徐々に相手の心を解しながら対話してけばいいとは思う

「――今更資格なんて無いと思っていたけど。今だけは―――」

勇者・郡千景として、誰かを守ろうとするのも、悪くないと。そう思っていた
自分では、高嶋さんみたいな事は出来ないと自嘲じみた笑みを浮かべながら


【郡千景@乃木若葉は勇者である】
[状態]:健康、勇者衣装
[装備]:大葉刈@乃木若葉は勇者である
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:今だけは『勇者』として、このゲームを止める
1:森嶋帆高を探す

※死亡後からの参戦

【大葉刈@乃木若葉は勇者である】
郡千景の勇者としての武器。形状は巨大なデスサイズ


643 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 11:24:21 rjt1PoP20
投下終了します


644 : 天気の子のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 11:37:04 Bt1rulvs0
投下します。


645 : 天気の子のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 11:38:20 Bt1rulvs0
「ククク…唆るじゃねぇか」

雨音が鳴り響く東京ーーーーー

無数にあるとある喫茶店。
店内の椅子に腰を下ろし飲み物を飲むと少年は呟く。

「え?この【レモンミルクティー】が?」
向かい合わせに座っている少女はそう問い返した。

「ああ。普通、ミルクとレモンの組み合わせは店では出さねぇからな」
「?どうして?」

「まず、ミルクの中にはタンパク質が入っている。タンパク質は酸…レモン汁が交わると固まっちまうんだ。まぁ、料理は見た目も肝心っていうからな……人様に出せるようにできなくはないが、わざわざ、そんな手間をかけてレモンミルクティーを出すくらいならミルクティーもしくはレモンティーの方が合理的だ」

「ふ〜ん。美味しいのにね」
少女は少年の言葉に耳を傾けながらレモンミルティーを口に運ぶ。

「それには同意するぜ。ま、チーズ作りには最適だがな」
「え?牛乳とレモンでチーズが作れるの?」
「ああ。固まったのを数十分こすりゃあ、カッテージチーズの出来上がりさ!……ククク」
「それにレモンは化学と相性が100億%合う果実だしな」
(店で出すレモンミルクティーの欠点にレモン電気を知らない…どうやら、このファラの話は真実(マジ)のようだな…)

「へー……そうなんだ」
(千空って物知りなんだね…う〜ん、男の子にしては細い体…キールみたいだわ)

少年の名は石神千空。
科学部部長の根っからの科学オタク。
ある日、地球上の人間が石化してしまった石の世界(ストーンワールド)にて文明を復活させようと科学王国を建立させた。
ついに、石化の爆心地に辿り着いた千空はこの悪趣味な催しに巻き込まれた。

少女の名はファラ・エルステッド。
インフェリアのラシュアン村の前村長ノリスの娘。
幼馴染のリッドと暮らしている日々に少女…メルディと出会った物語は二つの世界全体を巻き込む大問題に発展し、最後は【神】ネレイドを討った。
その後、インフェリアへ戻ったファラは仲間と離れ離れになったキール・メルディに会うために船で移動する直前、お土産を残して千空同様巻き込まれた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


646 : 天気の子のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 11:40:07 Bt1rulvs0
「それしても、千空のいた世界…全人類が石になるなんて、驚きだよ」
「こっちも、二つの世界が平行に向かい合っている世界に晶霊術…聞いただけで唆るぜ」

神子柴により会場へ移動された2人は目に留まった喫茶店で自己紹介も兼ねて情報を交換していた。

「どうやら、神子柴は別世界の生き物を集める力を持っているみてぇだな」
「うん。そうみたいだね」

「あの、映画は西暦2021年…俺らの世界が石化したのは2019年。明らかに辻褄が合わねぇ」
「それにファラが住んでいるインフェリアやセレスティアの世界も悪いが今の今まで聞いたことがねぇ」

「私の住むインフェリアやセレスティアにはホダカの東京のような文明はないわ」
「それに、千空の言う人類が石化したなんて聞いたのはここが初めてよ」
千空の仮説にファラも納得する。

千空はデイバッグの中に入っていたルールを確認する……

「帆高を殲滅…か。こりゃ、裏があると見て間違いねぇわな」

「どういうこと?」

千空の言葉にファラは首を傾げる。

「ただ、帆高の殺害が目的なら【死亡】でいいはずだ。死滅ってわざわざ書いてあるからには帆高が複数いんのか、他の参加者を帆高と認識するシステムがあるのか…」
(一番の最悪は、俺らの体が帆高に変化しちまう…だ)

「ま、生死を問わず帆高を食い止めろというわりにゃ食い止める気がない参加者も集めてバトルロワイアルを始めるなんて死ぬほど合理的じゃねぇ」
「必ず、 神子柴には別の狙いがあるはずだ」

「そうだね…少なくとも私はホダカを殺すのに乗るつもりはないもの」
千空の言葉に頷くファラ。

「それに、死者を蘇らせるなんて【ファンタジー】を披露した癖に俺らを脅すのは爆弾首輪という【科学】これには必ず意図がある」

「首輪も神子柴の力も科学的に突き止めてやるよ」
「……それは、神様と戦うことになっても?」
かつて【神】を討った一人は千空の覚悟を試す。

「安心しろ、100億年も前から科学の世界では【神】は留守だ」

「……」

「千空は覚悟ができているんだね。……うん。決めた!」
「あ……?」
千空の言葉を聞き、確信したファラは椅子から立ち上がると!

「頭を使うのは千空にまかせるよ!体を使うことは私にまかせてね!」

ファラの言葉は、親友がかつて口に出した言葉ーーーーー

「……充分だ。ファラ、お前の武力は期待100億%だ」

「うん♪私たちならイケる、イケる!」
ファラの言葉に千空は笑みを浮かべーーーーー

「この雨足鳴りやまぬ世界(天気の子)のアダムとイヴになってやる!唆るぜこれは!」

これは、ファンタジーに挑む科学の物語ーーーーー


647 : 天気の子のアダムとイヴ ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 11:40:19 Bt1rulvs0

【石神千空@Dr.STONE】
[状態]:健康
[装備]:石化装置
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:科学の力でファンタジー(神子柴 )に勝つ
1:まずは、首輪の対処を講じる。(試して試して試しまくる)
2:病院・ホームセンターで材料確保
3:帆高に出会ったら、保護
[備考]
参戦時期は180話からです。
※ファラとの会話でインフェリア(エターニア)の知識を得ました
※首輪には盗聴器が仕掛けられていると想定し、大事な会話は紙とペンで行います。

千空の首輪解除仮説
①石化装置及び石化復活薬を使っての首輪解除
かつて司による死を乗り越えた方法。
まずは石化復活液(硝酸とエタノール)の入手。
しかし、失敗は死。バトルロワイアルに乗った人物を捕らえて試す

②分解
電気回路をいじる。まずは、工具の入手

③液体窒素
爆弾ごと凍らせる。凍傷を防ぐ手段がないと不可

④ファンタジーと科学の融合
ファンタジーと科学を融合させる。…ま、あまりこの手段は使いたくはねえな。

いずれもまずは試す。科学はそういうものだ。

【支給品紹介】

【石化装置@Dr.STONE】
複数の輪が重なり合ったような不可思議な形状をした人工物。
至近距離で石化の範囲及び石化するまでの残り時間を武器に向かって唱えることで効果が発動する。なお、石化した部分を引き千切れば石化の連鎖が止まるといった特徴がある。
残りエネルギーが少なくなると指定した範囲よりも狭い範囲しか石化できなくなり、やがて使用不能になる。

【ファラ・エルステッド@テイルズ オブ エターニア 】
[状態]:健康  称号アイアンフィスト
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:千空のサポート・ 皆を守りたい
1:千空を守る(第一優先)
2:帆高に出会ったら守る
[備考]
参戦時期はED後
※治療功 解毒功 は制限により効果減少 回生功は使用不可


648 : ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 11:40:34 Bt1rulvs0
投下終了します。


649 : 拳・剣・鍵 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 17:43:03 Bt1rulvs0
投下します。


650 : 拳・剣・鍵 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 17:43:52 Bt1rulvs0
その夜、僕は夢を見た。
島にいた頃の夢だ。
あの日、父親から殴られた痛みを打ち消すように、自転車のペダルをめちゃくちゃに漕いでいた。
あの日もたしか、島は雨だった。空を分厚い雨雲が流れ、でもその隙間から、幾つも光の筋が伸びていた。この場所から出たくて、あの光に入りたくて、海岸沿いの道を自転車で必死に走った。追いついた! と思った瞬間、でもそこは海岸の崖端で、陽射しは海のずっと向こうまで流れていってしまった。
―――あの光の中に行こう。僕はあの時そう決めて―――、
そしてその果てに、君がいたんだ。

新海誠 『天気の子』 株式会社KADOKAWA 2019 第九章 快晴より

「陽菜さん。陽菜さん。陽菜さんーーーーー」
少年は走る。走る。走るーーーーー

少年の名は森嶋帆高。
神子柴により多くの参加者の標的とされたであろう家出少年。

(あの映像…あれは一体なんなんだ!?)
A-8住宅街を走る帆高は先ほどの映画館での出来事を振り返るーーーーー

(あの映画…【天気の子】…俺と陽菜さんがどうして!?)
警察署から逃走した僕は、自転車で逃げようとした。
しかし、キーロックで繋がれていたのでそれは叶わなかった。
このままでは、陽菜さんに会えないーーーーー
気づいたら、映画館の席に座って映画を見せられた……僕と陽菜さんの日々がーーーーー

「はぁ…はぁ…はぁ…嘘だろ」

走ったのはいいが、雨音止まぬ街をずっと走るのは困難で一度、仕切り直そうと雨宿りをした帆高。

(あの家出したクルーザーから陽菜さんが消えたラブホテルでの一夜まで全て盗撮されていたのか?)
呼吸をしながら、先ほどの映画を想起する。

(それに、陽菜さんの元へ向かうのを阻止するバトルロワイアル!?冗談じゃない!!)
神子柴と名乗る老婆によると、自分の生死を問わず多数の参加者がいることに体を震わす。

(でも、それでも、行かなきゃ!!そうしなければ、後悔する一生!!)
「…よし!」
息を整えて休憩を終えると帆高はまた一走りしようとするがーーーーー

「待った!ーーーーー君、帆高君だよね?」

「え!?」

顔を振り向くとーーーーー

「安心して!ボク達は味方だよ」

女性とネズミがいた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


651 : 拳・剣・鍵 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 17:47:00 Bt1rulvs0
「渚……先生に王様……」

女性の名は川越渚。
地方にある県立坂上町高等学校の教師。
顧問は剣道部で二度にわたる全日本女子剣道選手権大会の優勝者で4段の腕前を持つ。
部員が小段試験を受けるので、自身も五段に挑戦し、見事合格した。
とある事情で試験に臨んだため合格後、疲れ果ててベンチで眠って最中、渚は映画館に呼び寄せられた。

「神子柴はおそらく何らかの方法で多世界の住人を集めたんだ」
そして、帆高に王様と呼ばれた人ならぬネズミ……
名はミッキーマウス。
ディズニーキャッスルを治める王 にしてキーブレードマスター。
キーブレード墓場にて光と闇の最終決戦が行われようとする直前、ミッキーは映画館に呼び寄せられた。

「私とミッキーは君たちが主演に撮られた映画を同じ映画館で鑑賞したわ。そして、その後の出来事も……」
渚の表情が暗くなるーーーーー

その後の出来事とは槍を手にした女性が神子柴と名乗る老婆に立ち向かうが、奮闘空しく爆弾首輪により殺害されたことーーーーー
そして、バトルロワイアルの宣言に死者復活の奇跡。

「このまま、君が陽菜ちゃんの元へいけば、私たちは海の藻屑となるわ・・・でも」
「たとえ、神様でも、人の恋路を邪魔するのは黙ってみていられないわ」
映画を通して、渚は帆高と陽菜の味方をケツイしたのだ。

「渚先生……」
(この人達は味方をしてくれるのかーーーーー?)
渚の言葉に帆高の表情は明るくなる。…が。

「だけど、帆高くん。陽菜ちゃんを守るとはいえ、拳銃を発砲したのはいけないことよ」

「……」
(それは、わかっているよ!でも、そうしなければ、陽菜さんはーーーーー)
教師として渚は帆高の行動を咎める。

(やっぱり、大人はわかってくれない…!)
先ほどの明るさから帆高の表情は沈む。…が。

「でも、女の子を守ろうとしたのは男の子として偉いと先生は思うな」
「……」
(え…?)
帆高は家出とはいえ、身分証を出せない高校生に冷たい東京の人に話を聞いてくれない警察。家出の原因となった父…大人に信頼を持てなくなっていたが、渚の言葉に帆高は渚に信頼を抱く。

「それと、帆高君!島で何かあったから家出したんだと思うけど…君のご両親が行方不明者届を出していた。それはつまり君のことを心配しているという何よりの証拠」

「……」

「だから……」
「軽率な行動は禁止!……先生と約束しなさい」

「……わかりました。渚先生)
(渚先生の言っていることはわかる。でも…ッ!!早くいかないと陽菜さんがッ!!)

早く、行かなければ、もう二度と出会えなくなるのでは…?その一抹の不安が帆高の

「よし♪えらい、えらい♪」
(う〜ん。口ではそう言ってはいるけど、一刻も早く陽菜ちゃんの元へ駆けだしたい様子ね…目を離せないな……)
教師としての勘が働いたのか渚は帆高の心中を察した。

「ハハ。ボクもナギサ先生も君とヒナの恋は応援する側だからね♪」
王様…ミッキーもホダカとヒナの恋には応援の立場。
それにキーブレードマスターとして神子柴の行為は見過ごすわけにはいかない。

「それじゃあ、行こう!」

ミッキーの言葉に帆高と渚は頷き、行動を共にする。


652 : 拳・剣・鍵 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 17:47:14 Bt1rulvs0
【A-8/住宅街】

【森嶋帆高@天気の子(小説)】
[状態]:健康 陽菜の元へ行きたい焦り(小) 他者への不信感(小)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:鳥居がある廃ビル屋上へ行き、陽菜を連れ戻す
1:陽菜さんを取り戻す!
2:渚先生・王様と行動を共にする
3:早く…E-1へ…行かなきゃ!
※参戦時期は9章快晴p224自転車の車輪とガードレールがキーワイヤーで繋がれていることに気づいた直後。
※王様との会話で様々な世界の住人がこのバトルロワイアルに参加していると把握しました。
※焦りや不信感が爆発したら暴走する行動をとるかもしれません。

【川越渚@妹先生渚】
[状態]:健康
[装備]:木刀(材質は本赤樫 )
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:ミッキーと共に帆高を守りつつ、事態の打開
1:教師としてミッキーと共に帆高を守りつつ保護
2:帆高の行動には注視しておく(暴走しないよう)
3:E-1 を目指しつつ、首輪の対処を考える
[備考]
参戦時期は

【支給品紹介】

【木刀(本赤樫)@現実】
日本刀を模した木製品。ミッキーに支給されていたが交換をした。
本赤樫は木刀に使われる樫の中では一番強く、打ち合いにも素振りにも向いている 。

【ミッキー(王様)@キングダムハーツⅢ】
[状態]:健康
[装備]:キーブレード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:ナギサ先生と共にホダカを守りつつ事態の打開
1:ホダカ・ナギサ先生を守る
2:首輪の対処を考える
[備考]
参戦時期はキーブレード墓場で光と闇の決戦を行う前です。

【支給品紹介】

【キーブレード@キングダムハーツ】
鍵のような形状をした剣 。渚に支給されていたが交換をした。
武器として使えるが一番の特徴はありとあらゆる鍵を開け閉めできる力を持つ。
また、持ち主の手から離れても、即座に手元にワープする形で呼び戻す事が可能で、瞬時に逆手持ちに切り替えるという変則的な事も出来る


653 : 拳・剣・鍵 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 17:48:03 Bt1rulvs0









ヒタ…ヒタ…ヒタ…

彼らの後をつける足音……

ヒタ…ヒタ…ヒタ…

雨音がその足音をさらに気づきさせないーーーーー

(…まさか、森嶋帆高に早く出会えるとは…)

足音の正体はぬらりひょん。

人間の世に憂い、妖怪の復権を目指して行動を起こした妖怪。
彼が仕掛けた第二次妖怪大戦争は人間を信じる幽霊族の生き残りにより阻止された。
ぬらりひょんは同胞の死の責任を取り、自殺ーーーーー自爆をしたのだ。

(どうやら、神子柴…あの老婆の手で蘇ったようですね……)
死んだはずの自分が生きていることにぬらりひょんは神子柴の力の所為と予測する。

(…それにしても、殺し合いとは人間もつくづく愚かな生き物ですね…鬼太郎君。それでも、あなたは、まだ人間の肩を持つのですか?)
ぬらりひょんは、宿敵の顔を想起しながら後をつける。

ヒタ…ヒタ…ヒタ…

(まぁ、いいでしょう…幸い、森嶋帆高に出会えたのは僥倖。焦らず隙を見つけるとしますか…特にミッキーと名乗るネズミ?は唯者ではなさそうですからねぇ…)

同行者のミッキーの力にぬらりひょんは警戒する。

(私はぬらりひょん!ぬらりくらりと行きましょうか……)

【ぬらりひょん@ゲゲゲの鬼太郎(6期)】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:帆高達の後をつける。隙を見て、帆高を拉致する
1:帆高達の後をつける。ぬらりくらりとーーーーー
2:ミッキーに警戒。
[備考]
参戦時期は最終話、自爆した後。


654 : 拳の子・剣の子・鍵の子 ◆s5tC4j7VZY :2021/02/07(日) 17:51:30 Bt1rulvs0
投下終了します。
冒頭は小説「天気の子」から引用しております。

すみません。
タイトルですが拳・剣・鍵から拳の子・剣の子・鍵の子 の変更でお願いします。

また、川越渚の参戦時期が記入がきちんとできておらず……

[備考]
参戦時期は昇段試験に合格後でお願いします。

色々と修正もうしわけありません。


655 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 18:15:44 rjt1PoP20
投下します


656 : 陽は再び ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 18:15:56 rjt1PoP20
「ふっざけんじゃねぇ!」

大雨降らす雲に向けて少年が一人。その名、蒼月潮
かつて獣の槍を手にパートナーと共に大いなる災厄たる『白面の者』を討伐せしもの

白面の者を斃し、今や彼もただの一般人の一人に過ぎない彼であるが、それでもこの催しを許せるはずもなかった。何よりも―――映画で見た天野陽奈のあの悲しそうな顔が、潮の脳裏に焼き付いていたからだ

「こんなの……あんまりじゃねぇか……!」

天気の巫女としての結末。お互いに思われている関係を引き裂くなんて現実が認められるわけもなかった。だからといって他の皆の犠牲を許容することなんで出来ない
ならばどちらも救う――それが蒼月潮の選択だ。が、かつてとは違い、槍も、信頼できるパートナーも居ない。それどころか

「――ねぇ。……武器いっこもねぇぇぇぇっ!!」

支給品袋を探ってみても武器になるようなものが一切ない。実は微かに獣の槍あったらいいなぁなんて半分冗談気味に期待していたが入っているはずもなく。――が、彼の決心がそんな事で諦めてしまうものでもはない

「こーなったら仕方がねぇ! 待ってろよ!」

少年の冒険は、また新しく始まったばかりだ


【蒼月潮@うしおととら】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3(武器の類ではない)
[思考・状況]
基本方針:ゲームに乗らない。天野陽奈もみんなも救う
1:森嶋帆高を探す
2:何か武器はないか

※参戦時期は最終回後


657 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 18:16:07 rjt1PoP20
投下終了します


658 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 19:08:50 rjt1PoP20
投下します


659 : 修羅 ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 19:09:06 rjt1PoP20
「――下らぬ」

雨降り注ぐ街を窓のうちより見据えながら、黒衣の男はつまらなそうに吐き捨てる

男にとって、強者との死合いのみが全て

故にこのような催しにも、森嶋帆高にも興味はない

かの少年が強者であるならば話は別だったが、映画を見る限りではそのようではない

「だが、袋に入っていたこれは、中々に使えそうではあるか」

そう言い取り出したのは一本の刀。名は『真・普天幻魔』

「得物とは使い捨てののが当然だと思っていたのだがな」

この手には在りし魔導書『屍食教典儀』が在れば得物―――刀の補充はいくらでも利く。だが、業物となれば早々換えが利かない事は男も存じている

「――まあいい」

男は、修羅は征く。今だ見ぬ未知なる強者との戦を求め

修羅の名はティトゥス。ブラックロッジが大幹部、アンチクロスの一角なりて


【ティトゥス@デモンベインシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:屍食教典儀@デモンベインシリーズ、真・普天幻魔@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:死合う
1:どこかへ向かう。見つけた参加者とは死合う

※参戦時期は機神咆吼、ウィンフィールドと二度目の戦いを終えた後
※鬼械神皇餓は召喚不可能です

『屍食教典儀@デモンベインシリーズ』
ティトゥスが保有する魔導書

『真・普天幻魔@グランブルーファンタジー』
六道武器が一つ。全空中にその名を轟かす幻の刀が、真の力を開放した姿。この世の物質では捉えられぬ魔でさえ断ち切る力を持つ。この刀がどのような物質で、誰の手によって打たれたものなのか、真実を知る者はいない。


660 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/07(日) 19:09:18 rjt1PoP20
投下終了します


661 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/07(日) 21:54:20 BUBZPM7c0
投下します


662 : 虎の威を借る狐は、虎に喰われるのが定め ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/07(日) 21:55:19 BUBZPM7c0
ここはとある学校の教室、そこには白衣を着た女性がいた。

彼女の名前はリーネ・ベネケ。クルツ国と呼ばれる王国で、人間の身体に関する研究としておびただしい解剖実験を行い、
また超人的な力を手に入れる薬を作るために罪のない人達を実験材料に使い続けてきたマッドサイエンティストである。

「ここはどこかしら……?それに、私は勇者に殺された筈じゃあ……?」

彼女は困惑していた。あの時自分は勇者によって大量の毒薬を飲まされて殺された筈だった。

なのに気が付けば知らない場所で変な映像を見せられ、そして訳も分からないまま殺し合いに参加することになったのだから。

しかし彼女はあまり悲観してはいなかった、何故ならば……。

「まあとにかく……私は生き返った!ならばこんなところから早くオサラバして、あのにっくき勇者をひき肉にしてやりますわ!」

自分の頭脳に勝てる者はいない、天才である自分ならば確実に優勝できると、彼女はそう思い込んでいた。

また彼女の支給品の中には、彼女の世界にはない"銃"というものが入っていた。

接近せずとも相手を殺せて、しかも力もほとんどいらない……彼女にとってこれは正に天恵ともいえるものだった。

そうして彼女が根拠のない自信を持ったまま叫んでいると、突然扉が開いた。

何者かが現れたと彼女が振り返ると、そこには彼女にとってとても汚らわしい存在がいた。

醜い顔に屈強な身体、そして緑色の肌をした亜人……オークがそこにいたのだ。

またその身体は布一つまとっておらず、すべてをさらけ出した姿であった。

「何だ、ただの汚らわしいオークのようね。さっさとくたばりなさいな」

彼女はそんなオークに対して、嫌悪感を隠そうともせずに左胸めがけて銃を発砲した。

これであのオークを殺った、彼女はそう思っていたがそれは間違いだった。

何とそのオークは彼女が発砲した瞬間身をそらして、見事に銃弾をかわしたのである。

それに彼女が面食らっていると、そのオークは勢いよく接近して彼女の首元をつかんで壁にたたきつけたのだ。


663 : 虎の威を借る狐は、虎に喰われるのが定め ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/07(日) 21:55:53 BUBZPM7c0
「ぐ……ううっ!」

壁にたたきつけられた衝撃で彼女がうめくと、突如目の前のオークが喋りだした。

『会話もせずにいきなり攻撃とは……随分と野蛮ですねぇ』

オークが人間の言葉を使ってしゃべっている、彼女はそれを見てとても驚いていた。
そんな彼女の驚きを察したオークは、再び彼女に対してしゃべり始めた。

『まあ、そう驚かないでくださいよ。僕らは貴方たち人間が思っているような種族じゃないんです』
『知的生物なんですよ、人間の言葉の習得が造作ない程度には』
『もっとも、人間への移植用に声帯を作り替えられた僕以外は、身体の構造上人間の言葉を喋れないのですがね』

自分たちは実は高度な知能を持っている種族であると、彼女にそう説明をしたのだった。

「な……!」

そしてそれを受けて彼女はさらに驚いた。

知性のカケラもないようなオークが、実は自分たち人間と同等の知能を持っている、それが彼女にはとても信じられなかった。

『しかしよくもまあ……さんざん侮辱してくれましたねぇ……あの王国の人達といい、最近の人間はみんなこんな感じなんですかね?』

「そ……それは……!」

そのオークは、先ほどの彼女の言動に少し怒りを感じているようだった。そしてそれを受けて彼女は何とか謝罪しようとしていた。

しかし彼女のその行動は、再び彼が喋り始めたことで止められることとなった。

『まあ好都合でしたよ……さすがに僕一人ではここにいる人たち全員を殺すのは難しいと考えていましたから、仲間が欲しいと思っていたんですよ』

「……何が、言いたいの……?」

彼女はオークのその言葉を理解できなかった。自分がいることと、仲間を増やすことがどうつながるのかと、それが分からなかったのだ。


664 : 虎の威を借る狐は、虎に喰われるのが定め ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/07(日) 21:56:26 BUBZPM7c0
『説明しなければわかりませんか?……あなたには僕たちオークの子供を産んでもらいます』

そういうと彼は自らの陰茎を彼女の下着の中に入れ始めた。

この瞬間彼女は気づいた、このオークは自分を陵辱するつもりなのだと。

自分があの汚らわしいオークの母親にされてしまうのだと、そう気づいたのだ。

「イヤ…イヤッ……イヤアアァァァッ!許して…っ!!何でもするっ!何でもするからァ!!お願いだからソレだけはやめてぇぇーっ!!」

そして彼女は目の前のオークに嘆願した。

恥も外聞も、天才であるという誇りさえもすべて捨てきった哀れな姿で、私を陵辱しないでと必死に許しを請い続けた。

『……本当に、何でもするんですね?』

「そうよ!だから……」

そんなオークの言葉を受けて彼女の目に一瞬だけ希望の光が見えたが、その後に続いた言葉によって彼女は深い絶望へと沈むことになる。

『何でもするんなら、僕の子供を孕んでくださいよ』

その言葉とともに、リーネの秘所はオークによって無残に貫かれるのだった……。


665 : 虎の威を借る狐は、虎に喰われるのが定め ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/07(日) 21:56:51 BUBZPM7c0
--------
それからしばらくして……

「あう……はあはあ、もっと……もっとぉぉ……!もっとほしいのよぉぉ……お願いぃぃ…!!」

そこには、全身を白濁液まみれになったリーネがいた。
またその下半身には黄色い水たまりができていた。
そして彼女の顔は異常に紅潮しており、また目の焦点が定まっていなかった。

完全に発情しているのだ、他ならぬ、彼女が汚らわしいと侮辱したオークの手によって。

『……まったく浅ましいですね、これではどちらが家畜か分かりませんよ?』

その光景を見たオークは吐き捨てるようにそう言った。

人間はさんざん自分たちオークを家畜かそれ以下の存在として扱った。

しかし今はどうだ、どう見ても目の前にいる存在の方が家畜以下の存在に見えるではないかと、軽蔑するようにそう言ったのだ。

「いいわよぉ……家畜でもぉ……この快感さえくれれば……どうだってぇ……♥」

そしてそんな彼の軽蔑するまなざしなどを受けてなお、リーネはそれを意に介する様子はなかった。

もう家畜以下でもいいから、もっとシてほしいと、彼女は焦点の定まらない目のままそう嘆願したのだ。

『……仕方ありませんね、ペットの躾は飼い主の役目ですからね』

オークはあきれるようにそう言った。そしてそれを受けて彼女は、失禁しながらもとてもうれしそうな顔で感謝の言葉を述べていた。

「ありがとうございます……ありがとうございますぅぅぅ!」

――こうして人間への復讐を実現させつつあったオークは、別の世界でも人間たちに牙をむいたのであった……。


【リーネ・ベネケ@復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する】
[状態]:発情、白濁液まみれ
[装備]:44オートマグ@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:オーク様の言うとおり♥
1:勇者への復讐なんて……もうどうでもいいやぁ……♥
2:アタマ……とろけちゃったぁ……もう研究なんて……できないや……♥
3:もっとぉ……もっと欲しいのぉ……♥
[備考]
参戦時期は、勇者に復讐されて死亡した後。
オークの精液を浴びた結果、常時発情状態になっています。

【声帯を作り変えられたオーク@アップライジング】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:人間たちに復讐するために、人間が殺してきた数以上のオークを産ませ続ける。
1:まずはこの会場から脱出して、再び人間たちへの復讐を始める。
2:この会場にいる人間の女性を襲い、同族を増やし続ける。
[備考]
参戦時期は最終回後、人間たちに自分たちの同胞を産ませ続けることで王国を崩壊させた後。
制限により、身体から発せられる媚毒の効果が低下しております。


666 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/07(日) 21:58:34 BUBZPM7c0
投下終了です

以下に各出展元について解説いたします。

リーネ・ベネケ:原作小説では第1巻、漫画版では2〜3巻に登場。

アップライジング:煌野一人の漫画『パラサイトクイーン』内に全話収録済。

以上、ありがとうございました。


667 : ◆OmtW54r7Tc :2021/02/09(火) 19:32:29 B5ekWKaE0
投下します


668 : 夢の狂演 ◆OmtW54r7Tc :2021/02/09(火) 19:33:31 B5ekWKaE0
「これは…アラバスタですな」

突然、わけの分からないことを言い出す一人の男がいた。
彼の名は、中津川嘘風(なかつがわうそっぷ)。
頭ワンピースの、狂人である。

「クロコダイル(神子柴)め…この一帯にダンスパウダーで雨を降らせることで周辺の雨を奪い、アラバスタの国民たちに王家への不信を植え付ける気か…!」

嘘風の(頭ワンピースな)考察は続く。
ナミ(陽菜)とサンジ(帆高)を会わせないようにしろというのは、我ら麦わらの一味を合流させて、自分に歯向かうことを恐れてのことだろう。
奴の好きにさせるわけにはいかない。
彼らと合流し、クロコダイル(神子柴)の野望を止める。
そして、アラバスタに雨を取り戻すのだ。

…ちなみに陽菜がナミなのは天気繋がり、そして彼女に恋をしているから帆高がサンジである。
「ナミとサンジはもういるだろ!」という恋ピ読者のツッコミが飛んできそうだが、問題ない。
この嘘風は、山本や菜美と出会う前から連れてこられたので、ナミもサンジも枠が空いているのである。

「こうしてはいられません!ナミさんとサンジさんを見つけ、クロコダイルの野望を止めましょう!船長(キャプテン)!」
「おう!」


669 : 夢の狂演 ◆OmtW54r7Tc :2021/02/09(火) 19:34:21 B5ekWKaE0
嘘風の言葉に対し、船長と呼ばれた人物は威勢の良い声で応える
その人物は、麦わら帽子をかぶった少年だった。
そう、モンキー・D・ルフィその人である。
偽ルフィとか、麦わら帽子かぶった山本君とか、麦わら帽子かぶった全然関係ない別キャラとか、そんなオチはなく。
正真正銘、マジモンのルフィがそこにいた。

「よく分かんねえけど…ようするに、ナミとサンジもここに連れてこられてて、あいつらと合流してあの神子柴ってばあちゃんを倒そうってことか?」

ルフィは、帆高や陽菜の物語の上映中、グースカ眠っていた。
映像が終わって神子柴が現れたころになって目を覚ましたため、神子柴という老婆が悪い奴という認識だけはあったが、それ以外のことはさっぱりだった。
故に、嘘風が語るナミとサンジのことも、自分の仲間のナミやサンジと勘違いしていた。

「ええ、その通りです。船長」

その通りじゃねえよ。ちゃんと説明しろ。

「分かった。そんじゃ行くとするか!…にしても「ウソップ」、お前2年前に比べて随分でっかくなったなあ。鼻は短くなってるけど」

彼が勘違いしていることは、もう一つあった。
それは、目の前の嘘風を、ウソップだと思っていること。
彼は、2年の修行を終えてシャボンディ諸島に戻ってきた直後にこの場所に呼ばれた。
そして、本来の時系列で偽ゾロと偽サンジに騙されたように、この偽ウソップを本物と勘違いしていた。
さすがに別人すぎるが、「2年も経てば人相が変わることもあるだろう」と納得してしまっていた。
それにこの中津川嘘風という男、何度も言うように頭ワンピースであり、自分のことをウソップだと思い込んだ狂人である。
そんな狂人から東の海や偉大なる航路での冒険の日々を語られるものだから、ルフィもつい彼がウソップだと信じてしまった。(ちなみに変なところで勘が鋭いのか、ルフィとの会話で彼の参戦時期を察した嘘風は、2年後編の内容については彼の前で触れなかった。レイリーからワンピースの正体を聞くことを拒絶したルフィに未来のことを教えるのは解釈違いだと考えたため)

こうして、奇妙な共演…いや、狂演をしてしまった両者は、歩み始めた。
仲間(と思い込んでる他人)と合流するため。
そして…アラバスタに雨を取り戻すために。


670 : 夢の狂演 ◆OmtW54r7Tc :2021/02/09(火) 19:35:50 B5ekWKaE0
【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴をぶっ飛ばす
1:ナミとサンジと合流する
[備考]
※参戦時期は2年後、シャボンディ諸島に上陸した直後です。
※嘘風の語るナミ(陽菜)とサンジ(帆高)を自分の仲間のナミとサンジだと勘違いしています。
※嘘風のことを本物のウソップだと勘違いしています


【中津川嘘風@恋するワンピース】 
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ナミ(陽菜)とサンジ(帆高)と合流し、クロコダイル(神子柴)を倒してアラバスタに雨を取り戻す
1:ルフィと共にナミ(陽菜)とサンジ(帆高)を探す
[備考]
※参戦時期は山本や菜美と出会う前です。


671 : ◆OmtW54r7Tc :2021/02/09(火) 19:36:30 B5ekWKaE0
投下終了です


672 : ◆oUF53W6sMM :2021/02/09(火) 22:42:59 oGbA5iv.0
投下します


673 : クイズ王 伊沢拓司 ◆oUF53W6sMM :2021/02/09(火) 22:43:22 oGbA5iv.0
「殺し合い…」

この会場の一環、『クイズ王』伊沢拓司は、自らの置かれた状況に困惑していた。

伊沢がいかに日本最高級の大学、東京大学を卒業し、クイズ王として活躍する程の頭脳を持っているとはいえ、殺し合いという非現実的な出来事を理解するのには時間がかかった。

(クイズの理論で考えましょう。とりあえず人を殺すというのは法に抵触するので論外、かといって無闇に動けば危険があるのも事実……)

そして、伊沢が選んだ行動は、ここから無闇に動かないということだった。

その行動が吉と出るか凶と出るか、それは神様だけが知っている。


【伊沢拓司@東大王】
[状態]:健康
[服装]:東大王の時の衣装
[道具]:基本支給品一色、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺しはしない
1:ここからどうしようか?


674 : ◆oUF53W6sMM :2021/02/09(火) 22:43:40 oGbA5iv.0
投下完了です


675 : 名無しさん :2021/02/10(水) 02:51:01 qZ8jypfk0
投下します!!


676 : 旅人達とスピリチュアルガールズ :2021/02/10(水) 03:00:42 qZ8jypfk0
「怖がらないでくれ、私は敵ではない、今からデイバックを君に投げ渡す!!」

私、モハメド・アヴドゥルは病院の柱に身を隠している少女にそう言った。



事の始まりはアヴドゥルが偶然病院の近くに転送されたことから始まった。

(殺し合い・・・私は勿論そんなものにのる気はない、だが一つ気になるのが・・・帆高という少年だ)

あの時見せられた映画には自分が今いる世界の大まかな様子が分かった。そして帆高と陽菜の関係も少し把握できた。

だがその後に疑問がいくつも出てきた。最後まで物語を知れなかったというのも理由だが他にも疑問が出てくる。
何故な人柱がいなければ天候が必ず雨になるのか?そして彼女は何故天気を自由自在に操れるのか?スタンド使いなのかと考えたが映画を見る限りそんな言葉は少しも出てこなかった、では何故だ?また、どれくらい天気を操れるのか?彼女は雷まで落としてみせた。追いかけられている状況をどうにかするように祈ったら雷が出たのか?それとも雷を落とすように願ったのか?どっちなのか?
そして私を含めて何故参加者はこの世界に招かれたのか?
・・・いや、思考は一旦やめておこう。こういうのは承太郎など他の人と話しながら情報を得て話し合うべきだ。

そうなると行くべきは・・・

アヴドゥルは偶然近くにあった病院に行くことを決めた。ここならもし負傷者がやってきても治療を施すことが出来るし、更に殺人者がやってくる前に来れたなら他の参加者が待ち伏せに遭い泣きっ面に蜂の目に合う事はなくなるだろう。
アヴドゥルは炎の探知機を展開し、病院の生命を感知する。
感知できた生命は・・・一人

アヴドゥルはその人が誰かを窓から見るべく病院の周りを一周して・・・見つけた。その一人というのは何も武器を持っていない紫色の髪をした翡翠色の奇麗な目をした美しい少女だった。

アヴドゥルはその少女に対し警戒をそこまでする必要がないのではと考えた。スタンド使いの可能性はあるがそれでもそこまで警戒する必要がないのではと考えた。妙なシンパシーを感じたからだろうか?

そうしてその女の子に近づいた結果が現在の状況である。


そしてアヴドゥルは本当にデイパックを投げ渡した

「私は何もしない!!どうか話がしたいのだがいいだろうか!?」

するとその少女はおずおずと出てきた・・・

「ほ、本当に信頼していいん?」
「いきなり信頼するのは難しいかもしれないが、私としては・・・信頼してくれると嬉しい」
女の子はじっとアヴドゥルを見つめる。そして導き出した結論は
「・・・ええよ、うちも信じる。貴方はうちにとって信頼できる気がする。・・・カードもうちに告げているみたいやからね」

そう言って出したカードを見せてきた。それはアヴドゥルにとってとても縁深いカードだった。
「この場で目が覚めた後、占ってみたんよ、うちの運命を、そうして出てきたカードがこの『教皇』の正位置やった、意味は・・・」
「『伝統・信託・年上との縁』・・・、成程、確かに私は年上だな」
「タロットについて知ってるん?意外な人やなぁ、うちが会ってきた人は皆珍しい言うんよ?」
「やはり君との妙なシンパシーを感じたのはそのカードのおかげかもしれないな・・・私の名前はモハメド・アヴドゥル、君の名前は?」
「うち?・・・うちの名前は東條希!!」


677 : 旅人達とスピリチュアルガールズ :2021/02/10(水) 03:01:46 qZ8jypfk0
「スタンド・・・霊波紋って言うんやね?そんな能力初めて知ったなぁ♪」
「スクールアイドル・・・学生でアイドルをやるのは聞いたことがなかった。未来は進歩しているのだな」

二人は互いに情報を交換し、二人が本来いたはずの年代の話も話し合った。勿論炎の探知機は展開している。

「うちの時代では珍しくないんやけどね、皆凄いんよ!!A-RISEとかうちの仲間とか・・・」
「μ's・・・ギリシャ神話の文芸を司る女神たち『ムーサ』に由来名前が、見事だな」
「ほめてくれると嬉しいなぁ、実はその名前うちが付けたんよ!!」
「見事なネーミングセンスだ、私のスタンドももう少し洒落た名前を付けるべきだったかな?」
「十分良いとうちは思うよ?マジシャンズレッドってかっこいいやん♪」

そうして互いに話し合った後現在の状況を話し合う事になった

「君はどう思う希君、このロワイヤルの意味は」
「うちもやっぱり分からないなぁ、この問題は帆高君と陽菜ちゃんの問題だと思うんよ、うちは出来るなら会って欲しいって思う。その代わりにうちらが死ぬって事は絶対阻止したいけどね、その問題に何でうちや貴方などの参加者が関係しなくちゃいけないんやろ?」
「やはり君もそう思うか、私はこの世界の天気は良くなって欲しいと思っているし、二人にも会って欲しいと思っている。だがどちらが会おうが、この世界の天気が変わろうが私達の世界には何も影響がない。ただ私達が殺し合い、その殺し合う状況を見て楽しみたいというのが主催者の企み、ってなっている方がよっぽど理解は出来ないが納得はしやすい。何故回りくどい方法で殺し合わせるのか?」

この話を聞いていて違和感を感じないだろうか?そう、この時点で二人は互いのいる世界が時代が違うだけで同じ世界だと勘違いしているのだ。『ラブライブ!』の世界と『ジョジョの奇妙な冒険』の世界は決して同じではない。そのことを二人はまだ知らない

「うちもその2つが叶う事が願いだけど・・・そう簡単に上手くは—」
「静かに、私の探知機が反応した」

アヴドゥルは静かに人差し指を口に近づけた。希もあわてて口を閉じる。

「そこに二人いるのは分かっている。私達は争いをするつもりはない、そちらも戦うつもりがないのなら手を挙げて出てきて欲しい」

そういって出てきたのは・・・茶髪の大胆不敵な様子を見せる青年と黒髪のツインテールの少女だった

「驚いたな、何で俺たちが近くにいる事が分かったんだ?」
「・・・無害な少女を連れている事から害意はなさそうだな、何故君の場所が分かったのか、それは私の能力だからだ。詳しい事は君達の名前を聞いてからでよろしいか?」
アヴドゥルはまだ完全に信頼できない為に能力といいスタンドの存在を隠す。

「おっと失礼だったな、名前を聞くときはまず名乗るのが礼儀だったな、私の名前はモハメドアヴドゥル、君たちの名前は?」
「俺は通りすがりの・・・仮面ライダー、世界の破壊者だ」
「つ、士さん!!そういう言い方じゃ誤解生みますよ!!」
「世界の破壊者・・・少し気になるがそうではなく本名を伺いたいのだがよろしいか?」
「・・・門矢士だ」
「わ、私の名前は宮水三葉です!!」


678 : 旅人達とスピリチュアルガールズ :2021/02/10(水) 03:02:46 qZ8jypfk0
「スタンド・・・霊波紋か、大体わかった」
「仮面ライダー・・・未来はそんな存在までいるのか」
「希さんも巫女さんなんですか!!奇遇ですね!!私も巫女で神社を営む家系なんです!!」
「三葉ちゃんも巫女なん!?こんな場で会えるとは思わなかったなぁ(うちが年上だからって敬語使わなくてもいいんやけどなぁ、それに、年下と会っている現状から考えるにタロットの占いは絶対という訳ではないんやなぁ)」

4人は情報を交換しながら魔術師の炎で士と三葉の髪の毛を乾かしている。因みに実は三葉の物語に年上の言葉は関わってくるので希の占いはまだ効果は続いているのだが希はそのことを知らない

「未来?お前の時代から仮面ライダーはいたぞ?それに霊波紋を使う悪いやつと戦った仮面ライダーとは一度も会ったことがないが?」
「そんな馬鹿な、私が知る限り仮面ライダーという者がいるという事は聞いたことがないぞ?」
「スクールアイドル!?その事に関する事貴女と近い年代である私も聞いたことがありませんよ!?」
「糸守町に隕石が落ちた!?そもそも糸守町ってうち知らないんよ!?」

ここにきて互いに情報交換する中で食い違いが出てきた。その食い違いの中で士は一つの結論を出した。

「大体わかった。俺たち4人が本来いるはずの世界はバラバラだという事だ」
「・・・成程な、確かにそう考えた方が納得は出来る」
「平行世界・・・スピリチュアルやんなぁ」
「平行世界の人と会うってことあり得るんですね・・・普通絶対に会えないはずなのに・・・」

三葉もまた普通絶対に会えない出会いを経験したものなのだがその事も彼女は覚えていない

「まぁ最も、俺自身の世界はないがな、俺は世界を旅する旅人だ。俺はある仮面ライダーの決着を見届けて新しく旅を始めた所に巻き込まれた、という訳だ」
次に話し始めたのは互いの元々の状況だ。

「次は私かな?私はDIOという巨悪を倒しに行く中で遂に本拠地の門を潜り抜けた所で巻き込まれた」
「うちはちょうど卒業式が終わって学校を出ようとした瞬間に気が付いたら巻き込まれたんよ」
「私は先ほど言った隕石が落ちてきた衝撃が落ち着いた瞬間でした、そして巻き込まれて呆然としていたら門矢さんに声をかけてもらったんです」

4人はその後も話し合う、互いの状況も、互いの仲間もそして—

「じゃあ最後に話し合うべきことは・・・お前ら3人は帆高をどうしたい?」

最後に話し合いに選んだテーマ、それはこのロワイヤルにおける最も重要な事だった・・・!!


679 : 旅人達とスピリチュアルガールズ :2021/02/10(水) 03:03:03 qZ8jypfk0
【門矢士@仮面ライダージオウ】
[状態]:健康
[服装]:ジオウにおける服装
[道具]:基本支給品一色、不明支給品1〜2
[装備]:ネオディケイドライバー、ディケイドの基本カードのみが入ったライドブッカー
[思考]
基本:この殺し合いを破壊する、仮面ライダーとして希と三葉を守る
1:御子柴の思い通りにはさせない
2:帆高をどうするべきかをこれから話し合う
3:霊波紋について興味
4:支給品も詳しく調べてみるか

時系列は仮面ライダージオウ最終回後です。そして設定としては現在士は仮面ライダーディケイドのカードしか持っていません。他のクウガ〜ゼロワンのカードは参加者にランダムに配られています。それぞれのカードを手に入れる事でそれぞれの仮面ライダーに変化&特殊能力を使えるようになります。フォームライドの制限に関しては並列はカードを手にした時点で可能としたいと思います。中間と最強は>>1にお任せします。

【モハメド・アヴドゥル@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[服装]:旅衣装
[道具]:基本支給品一色、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らず皆を守る
1:帆高を出来る事なら会わせてあげたいが・・・
2:何も特殊能力がない二人に何か処置をしたい
3:出来るなら承太郎など仲間とも合流したい
4:仮面ライダーか、興味深い

【東條希@ラブライブ!】
[状態]:健康
[服装]:音ノ木坂学園制服
[道具]:基本支給品一色、タロットカードの全て、不明支給品1〜3(まだ希は確認していないが支給品の中に一つ仮面ライダーに変身する為の物がある、出来るなら仮面ライダーライアをお願いしたい)
[思考]
基本:この殺し合いには乗らず皆で脱出する
1:帆高君の運命は占うべきなのかな?
2:同じ巫女さんと会えてうれしいなぁ
3:士さんやアヴドゥルさんも頼りがいがあるいい人やなぁ、だから頼っている現状が申し訳ないなぁ
4:μ'sの皆も来ているんかな?出来たら来ないでいて欲しいなぁ・・・

【宮水三葉@君の名は】
[状態]:健康
[服装]:高校の制服
[道具]:基本支給品一色、不明支給品1〜3(まだ確認していないが一つスターダストクルセイダースのメンバーの霊波紋のDISCがある)
[思考]
基本:殺しはしたくないし、何とか殺し合いから抜けたい
1:希さん・・・同じ雰囲気の人に会ったことがある気がする(奥寺ミキの事を無意識に連想しています)
2:士さんやアヴドゥルさんには感謝の気持ちしかない
3:もしかしたらこの殺し合いの場に私が会いたかった人がいるのかな?
4:帆高君に似た人を・・・私は誰か知ってる気がする。

三葉は現在あの時の記憶を忘れています。もしかしたらこのロワの中で思い出すかもしれません。


680 : 名無しさん :2021/02/10(水) 03:08:27 qZ8jypfk0
投下完了しました!!長文すみません

因みに「ディケイドの天気予報」で既に門矢士がかぶっているのは承知なので、どちらがいいかを1さんは考えてくださるとうれしいです。


681 : ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:43:45 KYBDUes60
最近不眠症で今日も眠れなかったので、その間に書いたやつを投下します。


682 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:44:47 KYBDUes60
 外は雨が降り注ぐ中、少女は学習机に腰を下ろした。
 黒と、赤と、白。
 長く艶やかな髪に、典雅な美貌に輝くは赤い双眸。その身は熟し婉然たる肉体を白い着物で包んでいる。
 だがそれらは彼女の本性ではない。本来は何尺も伸びる爪と、十尺の巨体と、男女を狂わす妖の術を持つ。
 美貌と手練手管で人を狂わす女郎蜘蛛の妖。名は初音。比良坂初音と名乗る時もある。
 雨音だけが教室内に響く中、初音がふと口を開いた。
「活動写真は初めて見たけど、退屈なものね」
 映像と音楽の繋ぎ、その美しさ。視点の細やかな変化。それらは確かに素晴らしかった。
 だが、肝心の中身は凡庸な恋愛。幾百、幾千と見て、そして踏みにじってきたそれでしかない。
 神と呼ばれる者が多少関わっていたとしても大した事ではない。

 机から降りた初音は着物をはらりと脱ぎ、全裸になった。次の瞬間、瞬時に糸が初音の身体に纏わり、黒を基調とした古風なセーラー服へと変じていた。

 冷たいリノリウムの床、コンクリートの壁、硝子の窓。
 それらはこの場に転移させられた初音が気に入った物達だ。土のぬくもりよりもこれらの人の作った冷たさがなんとも心地よい。
 スカートをつかみ、くるくると廻る。それに飽きて止めた後、ドアの開いた空間を見ると、一人の白い着物を着た白髪の少年がそこに立っていた。


683 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:45:53 KYBDUes60
 学校の廊下を一人の少年がゆるゆると歩く。
 白い着物、白い肌、白い髪、朧げな表情のその姿はまるで粉雪の様な儚げさだ。
 だが着物にある蜘蛛の巣と赤い斑点の意匠、顔にある赤い線に沿ってある赤い斑点と赤い瞳が少年を異相にしている。
 彼の名は累。少年から人食いの化物『鬼』に変じて二十年余り。鬼としては若年だがそれでも鬼の首魁、鬼舞辻無惨のお気に入りで、無惨に選ばれた精鋭『十二鬼月』の一員『下弦の伍』だ。
「活動写真……初めて見たけど結構いいじゃないか」
 音楽はうるさかったし、映像も帆高と陽菜以外の人間の行動は邪魔だった。
 累はただ、帆高と陽菜の関係のみに興味を惹かれた。
 特に晴れの天気に喜ぶ人間どもを踏みつけにしてまで陽菜を求める様を帆高が語る場面は感動で身体が震えた。
 もしかしたらあの二人にあるのは自分が求めている本物の絆かもしれない。
 それを手に入れられたら――そう思い興奮した累が手を握る。すると自分の身体の変化に気づいた。
 累が家族にした鬼達に分け与えた力、鬼の固有能力である『血気術』が全て戻っている。
「……多分あいつら死ぬだろうな」
 残された連中に対し累はそう思った。
 所詮家族と言っても本物の絆なんて最初からなかった。恐怖の絆が無ければ山を下りるか、それぞれ山の中で勝手に動くか、それは分からないが累が分けた力が無ければ鬼殺隊に殺されるだけだろう。
 そうなると家族作りは一からやり直し。まあそれもいい。あいつらにも愛想が尽きてきたところだ。
 そう思いながら廊下を歩いていると教室の中から足音が聞こえてきた。
 開いたドアから覗くと、濡れ羽色の髪と黒い服を着た女がスカートのすそを掴み、くるくると回っている。
 動きは稚気を帯びた調子だが、全体は実に風雅な印象を与える。累は他人の容姿に興味が薄いが、それでもその女の優雅な様には興味を惹かれた。
『こいつを痛めつけて家族にするのもいいか』
 累は初音のいる教室に入った。


684 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:46:25 KYBDUes60
 目と目が合う初音と累。二人はお互いに持つ赤い瞳から何かを感じ身構えた。
 累は糸を手から出し、初音を縛るよう全方位から襲う。
 その糸を初音は手を黄色と黒の斑模様をした異形に変え、掌から糸を出し全て絡めとった上で鉤爪で切り裂いた。
「蜘蛛の妖? 貴方、名は? 私は初音、比良坂初音よ」
 強い興味で興奮気味に初音は尋ねた。四百年生きて他の妖に出会ったことなどほとんどない。まして蜘蛛の妖となると一匹だけだ。
「僕は累だ。お前は強いな。これほど強い奴にはあった事がない」
 正確には累より強い鬼は無惨や上弦の鬼達がいる。だが彼らを家族にするわけにはいかないし、無惨以外会った事もない。故に累が今まであった鬼の中では無惨を除いて最高の強さだった。
 これだけの強さなら、自分の力を分け与えれば自分を護れる強さになり、命懸けで自分を守ってくれるような本物の絆を結べるかもしれない。
 そう思った累は両手を赤く染め、本気の糸を作る体勢に入った。
「戦おう。僕が勝ったら、お前を僕の家族にする」
 家族という戦いには似つかわしくない言葉に初音は一瞬訝しげな顔になったが、すぐに元の微笑みに戻った。
 これから戦いの高揚を味われるのなら理由など些細な問題だ。
「構わなくてよ。その代り、私が勝ったら貴方の身体を私のものにするわ」
 初音はすっと目を細め、唇を引き上げる。玲瓏な顔つきに輝く瞳はまるで月光に照らされた鏡のようだ。

 累の出した赤い糸が鋭く空を切る。
 初音は鉤爪で斬ろうとしたが弾くのみにとどまった。先程とは違い、明らかに強さが増している。

 累は十二鬼月とはいっても、下から二番目の『下弦の伍』だ。だが、他の鬼達に分け与えた力が全て戻った現在の本来の状態は『下弦の壱』に匹敵する。
 それ程の力をもっていて上を目指さなかったのは地位に興味が無かったことと、家族を作るため他の鬼に力と血気術を分ける必要があったからだ。

 さらに糸を繰り出す累に対し、初音は駿速で糸を手から出し、糸を軟千本も束ねた柱を数十本作り出す。
 累の糸は柱を切断するが、斬る度初音の糸が粘りつき、そのわずかな隙に初音は柱の陰から影へと移る。
 ならばと累が糸を複数出し、多方向から切ろうとすれば、やはり初音の柱の糸がはばみ、影や天井に張った巣へと三次元的に移動し躱し続ける。
 累は中々捕まえられないこの状況にいら立ちを感じ、両腕の血管が浮き出るほど力を入れて血気術を使う準備に入った。
 鬼ならどうせ日輪刀で首を刎ねられなければどんな怪我をさせてもすぐに治る。手加減なしだ。
 累は中空が開いた網状にした糸を、初音に向けて飛ばす。

 ――血気術・刻糸輪転


685 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:47:09 KYBDUes60
 高速で繰り出されたそれは、糸の柱を千々とし初音に向かう。
 それに対し初音は両手から糸を吐き、累の糸に絡めて後ろに飛んだ。
 出し続ける糸は累の糸にべとついている。
 初音は累の糸の勢いを殺そうとしたがそれは出来ず、教室の壁と累の糸に挟まれ、壁を砕き弾き出された。
 累の糸に絡みついた糸は切断を鈍らせ、壁を切り裂きつつ、粉々に砕いた。
 さらに廊下の壁も砕いたのか、轟音が二重に鳴り響く。教室内に粉々にした壁の煙が巻き起こる。
 累は煙が落ち着いた後、切り裂いた壁の穴から廊下に出た。
「……細切れになったはずだけど、再生の気配がないな」
 累はあたりを探すが、再生しようとする肉片らしき蠢くものは見当たらない。そして何より不可思議なのは。
「なぜ壁が切れてない?」
 累の出す最強の糸なら二枚の壁などあっさりと斬れるはずだ。実際先程音がした。それが何故無事なままなのか。
 疑問に思った累が壁の近くに近づいた瞬間。
「捕まえた」
 壁から糸が飛び出し、累の身体を瞬時に縛り、壁の中に仰向けにして引きずり込んだ。
 その中は蜘蛛糸で編まれた繭。その中で初音は累をふわりと柔らかく、それでいて力強く背後から抱きしめ、素早く累の首筋に蜘蛛の牙を打ち込んだ。
 初音は粘る糸で累の糸で斬れることを防ぎ、教室の壁が切断された後、粉々の壁で累の視界から初音が見えなくなった瞬間を狙って中間の穴の部分に飛び込んだのだ。
 そして斬られた学校の壁に土蜘蛛のような巣を作り、切断されなかったように糸の巣で形を整え、平面に見えるように色を調整して累が確認に来るのを待ち構えていた。
 糸の巣の中で初音は音をならして累の血を飲み、同時に蜘蛛の毒を注ぎ込む。
「中々強かったけど蜘蛛の妖としてはまだまだね」
 歯を放し、甘い息を累のうなじに吹きかける。
 単なる力なら、本性を見せなかった初音より全力を出した累の方が強かっただろう。だが初音は自分より強い敵と戦った、そのために創意工夫を凝らした経験がある。それが初音と累の勝敗を分けた。
「こういう風に、影に潜み得物を狩る。それが蜘蛛」
 初音は愛を囁く様に息荒く震える累の耳元で喋った。
「お前は僕に何を――打ち、込んだ?」
 累は台詞の途中で自身の身体の状態に困惑した。身体が燃える様に熱く、蕩けたように力が入らなくなり、全身がぞくぞくと痺れる。
 累の問いに応えず初音は嗜虐の笑みを浮かべ、累の着物の下に手を差し入れ、累を握った。
「ひっ!?」
 累は自分が出したとは思えない声に驚いた顔になった。全身が意志とは無関係に小刻みに震える。
「まだ来てなかったのね。大丈夫、全て私に委ねなさい」
 累を握った初音は、揉み、こすり、先を親指でねぶる。
 それらに対し累は何もできず、未知の感覚に恐怖を感じ始めていた。
「はっ、はあぁっ」
 毒と初音の指で累は本格的にたけり立ってきた。初音は素早く累にまたがり己の中に入れた。
「あ、ああっ!」
 初めての感覚に累は喘ぎ、叫ぶ。
「貴方、私と同じかと思っていたけど違うみたいね。別の妖なんてこの百年会ったことが無いけど、貴方は一体何の妖?」
 累と繋ぎ、合わさった事で初音は累が己との違いを感じ取った。
「僕は……あのお方の血を注がれて変化した鬼だ……」
 初音はそれを聞き、表情を意図的に消した。次の瞬間には微笑を浮かべていた。
 初音は累をゆっくりと沈め、円を描く。
「ああっ! 何かが、何か変だ!」
 累はそれに対し漣の様な何か得体のしれない感覚が押し寄せてくる様に困惑していた。
「貴方、変化した歳も、鬼になってからの年月もお若いのかしら。まだその感覚の正体が分かっていなかったようね。落ち着いて、ゆっくりと息をして。」
 このまま嬲るのも悪くないが、全身の骨が抜けたような累のこの状態では自分が楽しめない。そう思った初音は累と話して気をそらそうとした。


686 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:47:34 KYBDUes60
「貴方は言ったわね。自分が勝ったら家族になれと。どうして家族なんか欲しがるの?」
 初音には宿敵がいるが家族はいない。
 初音が今まで見てきた人間の家族ははした金で親が子を売り、気分次第でいたぶり、子は黙って耐える。そんなものばかりだった。
「……僕は本当の絆が……欲しい。息子を命を……捨ててまで救う……父親の様な……そんな本物の絆が」
 累は身悶え、身体を震わせ、潤んだ瞳で、息も絶え絶えに答えた。
 それを聞いた初音は成程、と得心した。
 確かにそんな家族は初音は見たことがない。妖相手に命懸けで立ち向かう、そんな絆は知らない。
 しかし、例えあったとしても、数十、数百年も過ぎれば愛憎も薄れ、飽き果てるのではないか。
 初音自身、気に入った人間を妖にし、飽きて精を全て奪って殺した者たちは百人を超えるだろう。
 また別の話だが、愛憎で結ばれた親子を籠絡し、母子相姦により絆と命を断ち切った事もある。
「貴方はどうやって手に入れる気かしら?」
「家族を恐怖という“絆”で縛れば……いつか必ず手に入る」
「その絆が永遠に続くとお思い?」
「永遠じゃ、なくてもいい。本物の絆が手に入れば……僕が本当に欲しかったものが……わかると思ったから、僕はそれを求めてる……」
「『本物の絆』はそのための手段?」
「……違う……違う。僕は……僕は……守ってほしい。受け入れてほしい。寂しいんだ……」
 これが初めての快楽を恐怖と誤認した累が無意識に発した本音だろう。そう初音は思った。
 家族にした者を自分で守れば絆なんて恐怖で縛らなくても簡単に手に入るだろうに。
 しかし守るという言葉は気になる。それは暗に鬼を狩る存在がいる事を示しているからだ。
 別の妖なのか、または初音が生まれる数百年前にいたという妖を討つ武者なのか。
 どちらにせよ、羨ましい。そう初音は思った。
 初音の楽しみは人間を籠絡し、道徳を踏みにじらせ絶望と快楽の虜に堕ちさせる事。もう一つは宿敵との戦いだ。
 宿敵と言っても憎悪などたがいに朽ち果てている。それでも戦いの高揚はやまない。それさえ失われた時の空虚を思うと死すら恐怖に値しない。
 だが累には彼ほどの実力をもってしても命を討たれる危険がある敵がいるらしい。それを思うと初音のうなじが粟立つ。それは恐怖か、それとも歓喜か。
 何にしても累は追われ殺される危険が常にある故か、強く幼いゆえの残酷さ我儘さがありながら、その芯はひどく脆い。
 妖として生まれ四百年。初めて他人を――人ではないが――愛おしいと思った。
「良くてよ。賭けとは関係なしにお望み通りあなたの家族になってあげるわ。これから私の事は姉様、とお呼びなさい」
 飽き果てるのに百年か、二百年か。その間退屈から解放されるのなら、この幼い鬼と共に追われながら家族をするのも面白い。
 初音は全身の糸をほどき全裸となり、累の喉笛を甘噛みし、累の胸板に胸をあて、全身で累を貪らんと動く。
「……姉様」
 全身を喰われる恐怖。それが姉様と呼んだ瞬間、累の中で何かが裏返った。
「姉様!」
 累にとっても不思議な事だが食われる事に対し、なにやら快感を感じ始めていたのだ。
 丁度家族に罰を与えるとき、抱いた僅かな快楽が何万倍にも増幅されたような。
 一度そう感じると心が昂り、累自ら力の抜けた身体へ必死に全身全霊を込めて動き始めた。
「そうよ、その調子……もっと先へいきなさい」
 紡いだ因果の糸に、蜘蛛と鬼は舞う。どこまでも果てしなく上り詰めていく。
「ああっ、姉様っ! 姉様ぁっ!!」
 累は叫びながら、人間なら一度で壊れる快美恍惚の極みに達した。
 累の初めてのほとばしりが初音を満たす。
「ああ……素敵。もっと注ぎ込んで。貴方の力も、呪いも」
 己とは別の妖の力、能力が不可分となっている呪いと共に初音へと注がれる。
 初音は体に力が漲る感覚に震えた。
 おそらく穢れなき童子童女の精を百人吸ってもこれ程の力は得られないだろう。
 初音は久々の充実感を味わっていた。


687 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:48:20 KYBDUes60
 行為を終えた後、初音と累は全裸で巣の中に横たわり、互いのぬくもりを感じ取っていた。
 その間、初音は累がどんな妖なのか、今まで何をして来たのか尋ねた。特に力と付随する呪いについては重点的に聞いた。
 その話は実に興味深いものだった。
 全ての鬼の起源、人を鬼へ変える鬼、鬼舞辻無惨。その鬼達を追い、狩る鬼殺隊。その中で追われる鬼を力を分け、家族として暮らしてきた事。
 尚、累は先程の行為の余韻で陶酔した意識のまま無惨の名を口にした時驚愕し怯え、何事も無かったことに呆然としていた。
 累が言うには無惨の作った鬼は全て名前を口にするだけで自壊する呪いがかけられているという。
 多分鬼の力と呪いを吸い取ったせいだと初音が説明すると、累は落ち着きを取り戻した。
「そんなに鬼達がいるなら、私でも誰かに合っているはずだけど……一匹も見かけたことは無いわね」
 生の殆どを山の中で暮らす初音だが、流石に影ながらとはいえそれほど大規模な争いが行われているのなら噂くらいは聞くはずだ。同じ人外の者ならなおさらだ。
「自分で言っても信じられないけど……貴方と私の住まう世界は異なる、としか思えないわね」
「世界が?」
「私達を簡単にまとめて放り投げるように場所を移動させられるのですもの。私達は異なる力を持っているのでしょう」
「そういえば……鬼の中には相手をそいつの家の部屋から部屋に転移させられる奴がいると聞いたことがある」
「ところで推測が当たっていたとしたら、貴方は元の世界に家族にした鬼を置き去りにしたままだけど、どうするの?」
「いいよ、あいつらなんかどうでも。今ここに姉様がいるんだから」
 そう言い、累は初音の手を握った。
「これからどう行動するか、何にしてもまずはこの首輪ね」
 糸を初音は累の首輪を撫でた。
「これを外す、または外せる者を傀儡にして外させてあの老婆を食べる。
 それと合わせて帆高を探して巣に張り付けておきましょう。他の連中に殺される前に」
「あの男を捕まえてどうする気?」
 累は帆高と陽菜の二人にあると思われる本物の絆を手に入れるという目的がある。では初音は何のために捕らえるのか。
「試すのよ。あの帆高という子と陽菜という少女の絆が本物かどうか」
 初音は怜悧な微笑を浮かべた。
「どうやって?」
 累は楽しげに尋ねた。試すとすれば帆高という男の前で陽奈という女をいたぶり、身を持って庇うかどうか。
 それが累の本物の絆の試し方『命を懸けて家族を救えるか』だ。
 だが、この場に陽奈はいない。なら帆高の足を斬って、身体をなます切りにしそれでも向かうべき場所へ這ってでも進もうとするか――
「勿論、並の人間では全てがどうでも良くなるような快楽でよ」
 思考に割って入った初音の言葉と笑みに、累は先程の涅槃を思い、納得して頷いた。
 あの時、何もかも忘れた。家族を求める焦燥感も、本物の絆の事も、姉様と躊躇いなく言えた理由も。
 何もかも忘れた瞬間、何かが失われ、何かが満たされた。そんな感覚を累は抱いていた。
 確かにあれに耐え、尚且つ陽菜の事を求められるのなら……本物の絆と言えるかもしれない。
「もし耐えられたら、帆高も陽奈も家族にしてあげましょう、累。
 私も無惨のように人を妖に変える力を持っているの。貴方から奪った力と合わせれば貴方の様な鬼に出来るわ」
 そう言い、初音は累の髪を宝物のように撫でつけた。
「そうだね、そうしよう姉様」
 累は初音の胸に顔をうずめた。累は思った。こうして誰かに対し無防備に身を任せられる時は今まであっただろうか。
 累は赤子の様に何もかも忘れ、初音の身に抱き付いていた。


688 : 紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹 ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:48:42 KYBDUes60
【累@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:白い和服
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:首輪を外し、神子柴を殺した上で帆高と陽奈を家族にする。
1:初音を信頼し、行動に従う。
2:帆高を探索する。
3:帆高を初音に試させる。
[備考]
※参戦時期は本編開始前。
※他の鬼に分け与えた力、血気術が戻っています。
※無惨の呪いが一部解除されています(名前を人前で言える、情報を告げられる、同族嫌悪が無くなっているなど)。日光は克服していません。
※初音の能力の一部(糸による巣や衣作り、結界作成、子蜘蛛の生成など)を付与されています。
※鬼の力が吸われ、原作並に弱体化しています。

【比良坂初音@アトラク=ナクア】
[状態]:健康、一部鬼化。
[装備]:糸で紡いだセーラー服
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:首輪を外し、神子柴を殺した上で帆高と陽菜を絶望させて累の様な家族にする。
1:妖として未熟な塁との『家族』を楽しむ。
2:糸の結界を街中に張り、帆高を探索する。
3:帆高を手に入れて試し、鳥居へと連れて行く。
[備考]
※参戦時期は本編開始前。
※無惨の呪いが一部引き継がれています(読心、位置情報把握、視覚接続など)。日光の弱点は引き継いでいません。
※鬼の力を吸収し身体能力、耐久力、回復能力が向上しています。


689 : ◆Mti19lYchg :2021/02/10(水) 04:49:06 KYBDUes60
投下終了です。


690 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:13:55 5BBpSbbk0
投下します


691 : 頭の出来が違うので 問題はナシ ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:14:33 5BBpSbbk0
 雨が降りやまない東京で、一人の男が怒っている。
 男の外見は丸々と太っているというか、デフォルメしすぎて作者手抜きしてるだろと言いたくなるくらいに丸かった。
 もはや、丸に手足が生え、白衣を着ているというレベルだった。
 彼の名前は剛万太郎。
 北海道の桜町という所でマッドサイエンティストをやりながら、家族と呼べるほど絆の深い同居人達や、騒がしい友人達と楽しく毎日を過ごしている。
 そんな彼は今、猛烈に怒っていた。

「何が神だ――――――っ!!」

 普段の剛ならこんな風に怒ったりはしない。
 殺し合いに怯え、戦闘力のある友人達と合流したくてたまらないだろう。
 向こうも首輪を外せそうな知り合いは剛とその仲間位なので、ギブアンドテイクは成立する。
 だが殺し合いの前に見せられた天気の子。そこにどうしても、剛は見逃せない部分があったのだ。 

「ワシは貴様なんかとうの昔に手を切ったんだ――――――!!
 お前の言うことなんか、絶対聞かないからな―――――――!!」

 それは映画の中で神が見せた振る舞い。
 天気を盾に、天野陽菜を贄とすることを認めさせようとするその暴虐が、剛には我慢ならなかった。
 だからこそ、森嶋帆高の神に逆らうという姿勢に胸がすき、叶うなら手伝ってあげたいとも思っている。

 剛は神を見限っている。
 その昔、科学者を目指し通っていた大学は学費が払えずクビになり、住んでいた家も家賃を払えず追い出された。
 しかし、剛と拾った猫と作った発明品の三人(?)でその日暮らしをしながらも、彼は科学者になることを諦めなかった。
 だがある日、拾った猫と発明品は、猫の親の仇を見つけ復讐に行ってしまう。
 慌てて追い掛けるも猫達は返り討ちにあい死亡寸前。そこで剛は通っていた大学の設備をこっそり使い、自身の発明品を利用してサイボーグにして助けようとした。
 でも猫の心臓は一度止まってしまう。そこで剛は運命を心底呪い、悪魔に魂を売ってでも猫の復讐を成し遂げようとした。
 結局、猫自体は生きており復讐に決着をつけ、それからは二人家族となって生きていくのだがそれはまた違う話。
 少なくとも現在、剛の傍にその猫はいない。

「カカカッ。中々いい啖呵を切るな、若造」

 しかし、剛の叫びを聞き届ける者がいた。
 普通に考えれば、殺し合いの最中で大声をあげるなど愚の骨頂。
 いくら森嶋帆高を止めればいいとはいえ、この機に乗じて他者を傷つけることを企む残虐な参加者がいてもおかしくはない。
 だが幸運なことに、ここに現れた殺し合いの参加者は、剛と同じく殺し合いに抗うものだった。

「だ、誰だ!?」
「ワシもあのババアの掌の上で踊らされるのは気に食わん。
 それに何より、このワシ相手にトーマス・ライトでもない奴が、科学で上回れるなどと思いあがるのが、腹立たしくて仕方がないんじゃ!」

 剛が声の主に目を向けると、傘を差した一人の男が不敵な笑みを浮かべて佇んでいた。
 男は剛と同じく白衣を纏い、彼は対照的に痩せており、Wの形をした白いヒゲが特徴的な、彼より明らかに歳上だ。
 彼の名前はアルバート・W・ワイリー。
 剛とは違う世界で、ロボットを使って世界征服を企む、悪の科学者である。


692 : 頭の出来が違うので 問題はナシ ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:15:00 5BBpSbbk0





 雨露を凌げる場所に移動した二人は、どちらともなく情報交換を始めた。
 その過程で分かったことは、お互いに別の時代の人間でなおかつ、違う世界の住人であるということである。
 ワイリーからすれば当然のロボット技術やトーマス・ライトという博士の存在を、剛は知らなかったからだ。
 そこで異世界転移経験のある剛が、互いは別の世界の住人だと結論付けた。

 剛からすれば異世界は経験済みの事の上、宇宙人に超能力者と友達をやっているのだ。受け入れるのはそう大したことではない。
 一方のワイリーも、多少戸惑ったとはいえ確かなものとしてのしかかっている以上、潔く受け入れた。
 常識的でない、という理由で現実を受け入れない狭量さは彼には存在しない。そんな奴は科学者の名折れだと、ワイリーは思っている。

「しかしあの時、首輪を爆破させ死んだ女を蘇らせたあれ、何じゃと思う?」
「いやぁ、ボクには分からないです……」
「だろうな。ワシにも分からん」

 いつの間にか話は神子柴がどうやって死人を蘇らせたかに移っていたが、さっぱり分からないという結論にあっさりたどり着いてしまった。

 ちなみに、ここで一人称がボクになっているのは剛である。
 自分より年上の相手と話す機会は少ないものの、目上相手には敬語を使う常識が彼にもあった。

「やはりあの力について知るには、あの時死んだ女に接触するべきだろうな」
「そうですね。考えて見れば、ボクたちはあのお婆さんが何者かも知りませんし」
「その過程で適当な参加者から首輪を手に入れて、それを基にサクっと外してやるとしよう。
 そして最後にはあのババアから謎の力を奪い取り、元の世界に帰ってその力を礎に最強のロボットを作り、今度こそ世界征服じゃあ――――っ!!」

 情報交換と行動方針の話し合いのはずが、いつの間にかワイリーの決意表明になっていた。

 ワイリーが世界征服を企むのは、偏に己の技術がライバルであるトーマス・ライトを上回っていることを証明する為である。
 彼は学生時代、トーマス・ライトと同級生だったのだが、何をするにもワイリーはライトに負け、二番手に甘んじていた。
 ワイリーにはそれが屈辱だった。
 その屈辱を晴らす為なら、ワイリーは何でもする。
 人を騙すことも、人質をとることも、土下座して命乞いすることもする。

 そしてワイリーは諦めない。
 何度負けても、例え牢獄に囚われようとも、殺されかけようとも、彼は絶対に世界征服を諦めない。
 そんなバイタリティの塊みたいな男に、科学の力で戒めを作ればどうなるか。
 答えは火を見るよりも明らかな現状である。

 これがもし、魔法や呪いという超常が首輪の代わりをしていれば、大人しく優勝を目指したかもしれない。
 あるいは、ワイリー自身が殺し合いの主催になるという選択肢もあったかもしれない。

 だが神子柴はこともあろうに、科学でワイリーを抑え込みにかかった。
 彼はそんな真似をされて、黙って屈するような男ではない。


693 : 頭の出来が違うので 問題はナシ ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:15:26 5BBpSbbk0

「行くぞ剛! 方針が決まったのならさっさと行動するのみじゃ!!」
「はい!」

 傘を手にずんずんと歩くワイリー。
 その背中を慌てて追い掛けようとする剛。
 その前に、彼は支給品を検める。雨の中、傘も無しに歩きたくはない。

 しかし、剛のデイバックには傘はなく、雨合羽しかなかった。
 他の支給品に雨を凌げそうなものはなかった。
 仕方ないので慌てて合羽を着る剛。

「あ、待ってくださいよワイリー博士〜〜!」

 そしてワイリーは剛を待たず先に進んでいくので、彼は必死になって追いかける。


 こうして、マッドサイエンティスト二人の、天気の子にまつわる殺し合いが始まった。


【剛万太郎@サイボーグクロちゃん】
[状態]:健康
[装備]:雨合羽@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み。雨を凌げるものはない)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしない
1:ワイリー博士と行動する
2:できるなら、帆高くんと陽菜ちゃんを会わせてあげたい

※参戦時期は本編終了後です。

【アルバート・W・ワイリー@ロックマンシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:神楽の番傘@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:こんな殺し合いはとっとと抜け出して、神子柴が持つ力を手に入れ、その力で今度こそ世界征服できるロボットを作り上げる。
1:まずは最初の場で神子柴に向かっていった女(時女静香の母)から情報を手に入れる
2:その過程で首輪を解除するために、首輪のサンプルを手に入れる
3:戦闘力のある、神子柴に抗う参加者と合流したい


【雨合羽@現実】
剛万太郎に支給。
なんてことのない雨合羽。
傘と違い手が塞がらないので、自転車に乗る時とかは便利。

【神楽の番傘@銀魂】
アルバート・W・ワイリーに支給。
日光に弱いという設定がある銀魂のヒロイン、神楽の持つ日傘。
日傘のはずだが、割と雨傘としても用いられている。
また、機関銃が仕込まれており、いざというときには武器にもなる。
弾が切れるとなぜか醤油が出る仕様。


694 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:16:00 5BBpSbbk0
投下終了です。
続いてもう一本投下します


695 : 強力若本 ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:16:40 5BBpSbbk0
「下らんガキ共の恋愛などどうでもいい! 俺の渇きを、癒せええええええええええええええ!!」


【バルバトス・ゲーティア@テイルズオブディスティニー2】
[状態]:健康
[装備]:ガイアクリーヴァー@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:皆殺し
1:森嶋帆高も天野陽菜もどうでもいい

※参戦時期は不明です。


【ガイアクリーヴァー@テイルズオブシンフォニア】
攻撃力999を誇る戦斧。地属性が付いている。


696 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/10(水) 19:17:09 5BBpSbbk0
投下終了です


697 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:27:23 3ocDb0pk0
皆様投下ありがとうございます
候補面子がかなり豊富になってきてとても驚いています。
感想が追いつかなくて申し訳ありません...全て書くつもりではいるのでよろしくお願いします


698 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:28:10 3ocDb0pk0
人にされて嫌だったこと、苦しかったことを人にやって返して取り立てる。

自分が不幸だった分は幸せな奴から取り立てないと取り返せない。

それが私たちの生き方だ。たとえ死のうが譲るつもりは毛頭ない。





ぴちゃり、と水の跳ねる音が鳴る。

「あら、いい男じゃない」
「そいつはドーモ」

暗がりの部屋の中、一組の男女が向かい合っていた。
男は金髪で黒を基調とした服装に身を包み、女は袖のない着物の美女だった。

「顔が綺麗な男は好きよ。綺麗な奴ほど食が進むもの」
「食ってのは、つまり俺の身体目当てってワケェ?キャッ」
「ええ。綺麗なとこはちゃあんと食べてあげるわ」

おどけるように己の肩を抱き慄く男に対し、女は妖艶にほほ笑みかけながら濡れた口元を拭う。
女の名は堕姫。人間を喰らう鬼である。

「俺を食う、ねえ...お前、そういう趣味か?それとも主食人間の怪物様ってか?」
「恐いなら逃げてくれてもいいのよ?獲物は少しくらいイキが良くないと準備運動にもならないもの」

堕姫が軽く手を振ると、それに合わせて着物の帯がひとりでに動き高速で飛び、男の右耳を切裂いた。

「わかるでしょう?私の強さと恐ろしさが。恐怖で引き締まった肉はまた格別なのよねえ」

悠然と歩を進め距離を詰めていく堕姫に警戒の意思はない。
己の力を確信している者特有の余裕の表れだ。
実際、男も彼女の実力は身に染みている。
だが、それでも。

「―――ハハァ」

男は、笑った。失った右耳を意にも介さず。
流れる血と痛みすらも楽しむように。
悪魔を彷彿とさせるほどに大口を広げて笑った。

「何笑ってんのよ。気でも触れたの?...笑顔は醜いわね。顔以外を食べてあげるわ」
「いやな、いきなり連れて来られてタルイ映画見せられて、ガキ一人を狩れ、なんてつまらないゲームに巻き込まれて萎えてたんだよ。
けどよ、ちゃあんといるじゃねえか。同類(おなかま)が」

バチバチ、と何かが弾けるような音と共に、男の全身が黒の表皮に包まれ両肩や頭部に突起状の棘が生える。
突然の変貌に、堕姫は数舜、呆気にとられるも即座に切り替え帯を男へ向けて放つ。
当たれば致命は必須。しかし男は避けようとする素振りさえ見せない。
帯が男へと辿り着くその寸前、表皮に包まれ隠された奥底で、男はなおも笑っていた。

「狩野京児だ。仲良くしようぜ」


699 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:28:53 3ocDb0pk0



痛みや恐怖で歪む表情が好きだ。相手が命を失った瞬間の表情はいつまでも眺めていられるほど大好きだ。

人の社会で殺せば将来と家族に迷惑がかかるからやらなかったが、法律に縛られない人外共の魔境ならソイツを思う存分楽しめた。

暴力が、殺し合いが好きなのに理由はない。

両親も親族に遡ってもまともで、虐待の経験すらない。

コイツは、言い訳の効かない、産まれ持っての性(さが)だ。





ドン、と稲光の音が響く。

「あ"ああ"ガヴァガアアア」
「ギャーハハハハハハハッ!!!」

降りしきる雨の街道で、帯ごと全身を焼かれた美女が転がりのたうつ様を、黒の悪魔が狂喜の笑い声を挙げる。

「どうしたよ!食うんだろ俺を!!さっさと立ってみやがれよォ!!」
「こ、の、なめんじゃ」
「おせえって!!!」

京児が乱暴に足を振るうと、堕姫の顎がカチあげられベキリと首の骨が折れる。

「ぐっ」
「オラボサボサしてんな!!」

次いで、京児の腕から放たれる電撃が堕姫の両足を焼き切った。

「ヒ、ギイイィィィ―――アァッ!!!」

堕姫は涙目になりながらも歯を食いしばり思い切り叫ぶ。するとどうだろう。
折れた首は戻り、いましがた焼き切られたばかりの足が再生したではないか。

バ チ ィ

間髪いれずに放たれる電撃に、今度は両手足が同時に焼き切られる。
そのままベシャリと顔面ごと地面に突っ伏せる彼女を見て、京児は更に鼻歌交じりのご機嫌な笑みを浮かべた。

「う、ううう、手足さえ戻ればあんたなんか、あんたなんかぁ!!」
「おーそうかぁ。再生速度が自慢か。なら俺が尽きるかてめえにガタが来るか耐久レースといこうじゃねえか」

堕姫の手足が戻るのと同時、放たれた雷に焼き切られ。戻っては焼き切られ。
そんな同じ光景が何度繰り返されただろうか。

「ッ!」

先に疲労が表れたのは堕姫だった。
手足の再生速度が見るからに落ちていた。


700 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:29:32 3ocDb0pk0
(消耗しすぎたんだわ!はやく、はやくあいつを食って回復しないと!)

「レースは俺の勝ちみてえだなあ」

京児はその隙を見逃さない。
焦燥する堕姫へ再び電撃を放ち、両手足を焼き切る。
そのまま堕姫は尻餅を着き壁に背中を預けた。

「う、うううう、このっ、このっ!」
「『再生力が落ちても私に限界はないんだ!いい気になってられるのは今の内だ!』かぁ?」
「ッ!ええそうよ!私は上弦の鬼!万全ならあんたなんかすぐに捻り殺してやるんだから!」

京児は堕姫の剣幕にも怯まず、どころかその殺気を堪能するかのようにニマリと笑みを深める。

「おぉ〜こええ。じゃあ殺される前にたっっぷり楽しんでおかねえとなあ!」

ずい、と堕姫へと顔を寄せると同時。

ず ぶ り。

京児の手刀が堕姫の腹部を貫いた。

「あ、があ」
「その様なら治るのに30秒はかかるよなぁ。30秒ありゃあ充分遊べるよなああぁ!?」

中に詰まった柔らかいものを遠慮なしに握りしめ、一気に引き出す。
堕姫の腹部から血と共にピンク色の腸が零れ出て、加えて、空いた腹部に電撃を流され、内臓が全て焼きつくされる。

「がほっ」

激痛に涙が零れ、元の美貌が原型もないほどにぐしゃぐしゃに崩れる。

だが、鬼はその程度では気を失わない。ましてや十二鬼月に比類するほどの強靭な鬼であれば失うことなどできない。
尤も、気絶できたとしてもこの男がそれを許すはずもないが。

「あと5秒」

右の眼窩に指が差し込まれ、眼球が破壊され引き抜かれる。

「4秒」

頭部を掌で挟み込み両耳を焼き切り、脳髄へと電撃を流し込む。

「3秒」

するりと首を撫でた後、堕姫の豊満な胸に掌を突き立て、勢いのまま肋骨をへし折る。

「2秒」

骨をかき分け、中にある心臓を握りしめる。

「1秒」

勢いよく腕を引き抜けば肋骨は花のように露出し、握られた心臓から繋がる管が伸び血を滴らせる。

「0」
「ぃ、ぎが、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

グシャリ、と心臓が潰れると同時、堕姫は淀んだ悲鳴と共に口端から泡と涎を垂れ流し、壊れた玩具のようにビクビクと痙攣する。


701 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:30:12 3ocDb0pk0

「10秒経過ぁ。...再生はほぼ限界みてえだが、これでも死なねえとはな。ヴァンパイアじゃねえなてめえ」
「......」
「どうしたぁ?さっきみたいに威勢よくキャンキャン吼えろよ。お前なんか敵じゃねえ。今すぐ脳みそぶちまけてやるって」
「ぉ...に...」
「もう声が出ねえか...可哀想になあ」

哀れむような眼とは裏腹に、京児の尻尾がうねうねと蠢きハートマークを描く。
そして。
ドスリと腹部から頸にかけて尻尾が貫通し、モズのはやにえの如く空へと身体が持ち上げられる。

「ごえっ、ゲボッ」

堕姫は潰れたカエルのような鳴き声を漏らす。

「安心しな。顔だけは残しておいてやるよ。潰しちゃ意味ねえし、自分がどうなってるか確認できた方がいいもんなァ」
「...!」
「ギャーハハハハハハ!!」

堕姫は心底恐怖した。
今までも死線を潜ってきたことはある。自分たち『鬼』を狩りにきた鬼殺隊との戦いでは、奴らは例外なく全力で殺しに来た。
鬼は人間よりも優れているから、奴らは命を捨ててでも鬼を殺す為に向かってきた。
けれど、この男は違う。鬼を殺す為ではない。ただ己の欲を満たすだけに鬼を壊しに来ている。
異常者。この男はまごうことなき異常者だ。

「ぃや...」

身体は再生し続けているが、戻ったところでまたあの雷の餌食になるだけだ。
このまま甚振り殺されるしかないのか。
あのお方に認められたというのにこんなゴミのように死ぬしかないのか。

「助けて」

堕姫は目を瞑り涙と共に叫ぶ。
鬼とは思えぬほどみっともなく、子供のように。

「助けてお兄ちゃん!!」




ギャ ギャ ギャ




聞きなれた音がした。
いつだって自分を護ってくれた、血の鎌が渦巻く音が。

京児の尻尾が切断され、堕姫の身体が地に落ちる。

「悲鳴が聞こえたと思って来てみればなああ、なにしてくれてんだよお前ぇ」


―――ああ、そうだ。自分が苦しんでる時。困ってる時。いつだって彼は傍にいてくれた。護ってくれた。

「お...にい...」

能力で繋がっていなくても関係ない。
傍にいなければ探して見つけ出してくれる。助けを呼んだらどこからだって駆けつけてくれる。

「お兄ちゃん!!」

現れた兄―――妓夫太郎の背中に、堕姫は弾けるような笑顔で歓喜した。


702 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:30:49 3ocDb0pk0



俺たちは二人で一つだ。




「お兄ちゃん!ソイツがアタシを虐めたの!アタシは頑張ってお肉を食べようとしただけなのに!!鬼じゃなかったら死んでたくらい甚振ってきたの!わああああん痛いよぉぉぉ!!」
「よ〜しよし。もう大丈夫だぁ。痛かったよなあ辛かったよなあ」

再生途中の身体で泣きわめき縋りつく堕姫を撫でながらあやす妓夫太郎。
その背中へと京児は蹴りかかるも空を切る。
妓夫太郎は、蹴りが当たる寸前に堕姫を抱え飛び退き躱していたからだ。

「そのまま身体を治してろよなあ。後でたっぷりと食料を探してきてやるからなあ」
「うん、うん!」

堕姫が泣き止むと、妓夫太郎はぐるりと振り返り、顔を搔きむしりながら京児を睨みつける。

「俺の妹を虐めやがって...覚悟できてんだろうなあああ」
「ハハァ、そいつの兄貴かお前。出来の悪い妹を持って大変だな」
「今のうちにせいぜい吼えてろ。もう謝っても許さねえ。妹にしやがったみたいにバラバラにしてくびり殺してやるからなああああ」

妓夫太郎の剣幕にも動じず、依然として笑顔の京児だが、その思考は冷静に現状を分析している。

(強ええな、コイツ。あの女よりも数段上だ)

己の尻尾を容易く切裂いた血の鎌や先ほど見せた高い身体能力。
加えて、こうして向かい合ってるだけでも漂わせる異様な気配。

「いいね。ゾクゾクしてきたぜ」

こんな強者を殺した時、どんな表情を見せてくれるだろう。
想像するだけで京児の胸はときめいていた。

「ヘイ。カモァン」

京児の挑発と共に妓夫太郎の足が地を蹴り、戦いが始まった。

ギャ ギャ ギャ

禍々しい音と共に血の鎌が空で渦巻く。

―――血鬼術 飛び血鎌

降りかかる複数の血鎌に対して、京児は掌を向ける。

―――黒雷(ネグロボルト)

バチリ、と稲妻の音が鳴り生み出されるは、黒色の電撃。
先ほどまで堕姫に使っていたものとは違う、己の意思で自在に形を変える雷の鞭である。
ポイ、と鞭を手放せば、血鎌と同じく自動で蠢き飛び掛かっていく。
降りかかる血鎌と雷の鞭が衝突し、弾けた欠片同士でさえ再び蠢きぶつかり合いミクロの領域にまで四散していく。
その傍らで、妓夫太郎の本物の鎌と装甲に包まれた京児の腕がぶつかり甲高い金属音を奏でる。


703 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:31:29 3ocDb0pk0

「ハッハァ!!」

京児の後ろ廻し蹴りが妓夫太郎へと放たれ後方へと吹き飛ばす。
加えて、頭上から電撃を放ち追撃。
その衝撃に妓夫太郎の動きが止まるが、しかしものの数舜で復活。
迫りくる拳を鎌で受け止め、お返しと言わんばかりに前蹴りで京児の身体を吹き飛ばし、怯んだ隙を突き再び距離を詰め鎌で斬りかかる。

(なるほどなぁ。妹がやられちまうわけだ。この雷は鬼でも喰らいたくねえからなあ)

打ち合う最中でも妓夫太郎は冷静に京児を分析していた。
まず厄介なのがこの装甲。生半可な攻撃ではダメージを通すことができず、本人の身体能力も侮れないものがあるため攻撃が当てにくい。
加えてあの電撃。食らっても死ぬことは無いが、細胞ごと焼き切るのが厄介だ。
鬼殺隊の日輪刀のようにただ斬るだけならすぐに再生できるが、細胞を焼かれればどうしてもそちらにも再生力を割き再生速度が落ちてしまう。
それを何回も繰り返し受けてれば消耗はあっという間に甚大になり堕姫のように底を着いてしまう。

(だが弱点は見つけた)

打ち合いの中で京児が密かに距離を取ろうとすれば、間髪入れずに妓夫太郎も距離を詰める。

(こいつの電撃...あの血鬼術が相手してる方の黒い奴は別としてもだ。至近距離じゃあロクに使えねえ。自分も巻き込むからなあ)

先ほど受けた落雷は確かな威力だったが、範囲が広いためにこうして近づいていれば受けることはない。
そして、間髪入れずの連撃はできない。あの威力を保つには最低でも5秒以上のインターバルが必要だ。
接近戦でまともに使えるのは、特定の部位に放つ為の範囲を絞った電撃くらいだ。
威力を抑えた電撃程度なら、妓夫太郎の再生力を持ってすれば、多少受けたところで問題はない。

「妹にはそれで通用したかもしれねえが、俺には通用しねえなあ。俺はあいつよりも強いからなあ」

それに、と言葉を切り、妓夫太郎はニヤリと笑う。

「お前には出来ないことを俺はやれるんだよなあ」

ギャ ギャ ギャ

妓夫太郎の両腕を血が渦巻き円を象る。

―――血鬼術 円斬旋回・飛び血鎌

広範囲から襲い来る血鎌に対応するも、妓夫太郎本人の鎌までもは防げず被弾を許す。

「おまけだ」

―――血鬼術 飛び血鎌

加えて、斬りつけた箇所から幾度も血鎌を放ち装甲へとダメージを重ねていく。
いくら装甲が頑丈とはいえ、同じ個所に力を加えられ続ければ脆くなっていく。
ほどなくして、京児の装甲は割れ、その下の中身へと斬傷が刻まれた。

「鎧ってのは一遍ヒビが入れば脆いもんだよなあ」

間髪入れずに血鎌を京児の両足に放ち切り落とす。
支えを失い上体が崩れる京児はもう逃げることは出来ない。
トドメをささんと妓夫太郎の鎌が京児の頸へと振り下ろされる。


704 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:32:09 3ocDb0pk0

ド ン ッ

落雷。予想外の衝撃に妓夫太郎は動きを止められる。

「ガァ、テメェ、自分ごと...!」

妓夫太郎の視界がホワイトアウトしたのはほんの数舜だった。
しかし、視界が戻れば、そこに京児の姿はなかった。

(逃げた...?いや、雷のダメージは自分も受けたんだ。近くに隠れたんだなあ。悪あがきしやがって)
「お兄ちゃん!」

戦いの動きが止まったのを見計らって、堕姫が妓夫太郎の背中へと飛びついた。

「お前、もう身体戻ったのか?」
「うん、お兄ちゃんが時間を稼いでくれたからほらこの通り!帯は焼かれちゃったから使えないけど...」
「ならいいが離れてろお。あいつがどこから襲ってくるかもわからねえ」
「大丈夫よ、アタシ見てたもの!あいつが再生させた尻尾を使ってそこの家に入っていったのを!」

堕姫が指さしたのは、人一人が入るには充分な大きさの穴が空いた壁。
堕姫の証言を裏付けるかのように、血痕が点々と地面を濡らしている。
妓夫太郎は堕姫を撫で褒めた。

「よく見てたなあ。偉いぞお『梅』」
「あ...名前」
「嫌だったかあ?」
「...ううん、堕姫よりも梅がいい。私はお兄ちゃんの妹だもの!」
「...そうかあ。なら行くぜ梅」
「うん!」

充分に撫でられ満足した堕姫は、妓夫太郎から離れ共に家へとにじり寄っていく。

「雷なら死にはしねえが頸だけは気をつけろよお。今は俺と繋がってねえんだからよお」
「解ってるわ。油断せずにあいつを嬲り殺してやるの。やられた分はちゃんと取り返さないと」
「そうだなあ。それでこそ俺の妹だあ」

二人は勝利を確信する。
血鎌を通じて毒も仕込んだ。両脚も切り落とした。後は嬲り殺して食らいつくすだけ。
この追い込んだ状況が故に―――ではない。

二人が一緒ならなにも怖いことはなかった。
例え一度殺されていても何にも変わらない。
梅と妓夫太郎。二人が揃えばそれだけで最強だ。
彼らの世界とはそういうものだった。

「ッ...!」
「どうしたぁ?」
「なんか、急に首に痛みが」

『―――首輪への過剰干渉確認。起爆します』

「は?」

けれど、彼らの世界が壊れるのにも、いつだって前振りなんてものはなかった。


705 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:32:56 3ocDb0pk0


ボンッ、とそんな軽い音と共に首輪が爆ぜ堕姫の頭部が地に落ちる。

妓夫太郎が呆然と立ち尽くすその最中、彼の視界は捉えた。
宙を舞う、銀色の糸を。堕姫の血が着いたその糸が、京児の隠れた家へと繋がっているのを。

「―――何してんだてめええええええええ!!!!!」

怒髪天を衝く勢いで激昂し家へと侵入する妓夫太郎。
いた。両脚を失いながらもこちらへと鋭い視線を投げかける男、狩野京児が。

「よくも俺の妹を!!死ね、死ね、死ねええええええ!!!」

怒りのままに血鬼術を振るい京児へと躍りかかる。
黒雷が血鎌を捌き、雷撃を放とうとする掌も関係ない。
己を護る、ということすら考えず感情任せに振るう鎌は京児の腕を切断し雷撃を不発に終わらせる。

殺す。腸を引きずり出して。生まれてきたことを後悔するほどに痛みを刻んでから首を斬って脳天をカチ割ってやる。
振り下ろす鎌は、しかし京児へと届かない。

京児に残された最後の左腕が放り投げた翼が、妓夫太郎の身体を空へと持ち上げていたからだ。

「ああああああああ!!!!クソッ、クソッ!!!!!返しやがれ!梅を返しやがれえええええ!!!!」

遠ざかっていく京児へと血鎌を放っていくが、その悉くが黒雷に阻まれる。
己の身体が上空へと加速していく中で必死に手を伸ばすが届かない。
妹の仇にも。塵になっていく妹の亡骸にも。

妓夫太郎の手はなにを掴むこともなく、ただ虚空を掻きむしるだけだった。


706 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:33:29 3ocDb0pk0



『泣くな、ネコネ。これは仮面の者の定め...悔いはない』

いつも、いつもそうだった。

『ネコネ、幸せにな』

大切な人達が消えゆく時に、私は何もできない。託されるだけで、何にも返すことが出来ない。

その度に思う。どうして私はこんなにも弱いままなのだろうと。







「森嶋帆高を見てないかい」

それは唐突な出来事だった。
獣の耳を生やした少女―――ネコネは、目つきの鋭い妖艶な美女―――堕姫にそう声をかけらた。
森嶋帆高。この殺し合いが始まる前に見せられた映像に出ていた少年である。
まだ会っていない旨を伝えると、堕姫は興味が無いと言わんばかりに立ち去ろうとし―――ピタリと止まり振り返った。

「そういえばお腹が空いたわねえ」

そんな思いつきのようなセリフと共に、肩口に痛みが走った。
堕姫に肩の肉を噛み千切られたのだと気づいたのは、その数秒後だった。

「あら、あんたの肉は味わったことのない変わった味がするねえ。あたしは好きよ、あんたの味」
「ど、どうして」
「あたしは鬼よ。人を喰らうことのできる特別な存在。喜びな、あんたは美しい顔をしてるから骨までしゃぶってあげる」

舌なめずりする堕姫の目を見て、ネコネはかつて戦った獣を連想する。
巨大獣ガウンジ。獰猛な気性で、人間をただの餌としか見ない龍型の獣だ。
彼女が人間ではないと悟ったネコネはとっさに攻撃用の呪符・夕星を放ち、烈火の陣を敷く。
獣であれば大なり小なり火を怯える筈だという直感だ。

だが、それが逆に彼女の逆鱗に触れた。

「――――お前ええぇッ!!」

堕姫は目にも留まらぬ速さで、火に巻かれるのも構わずネコネのもとへと駆け出す。


707 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:34:03 3ocDb0pk0

横なぎに腕が振るわれると察したネコネは咄嗟に飛び退き距離をとる。

「ぁ、れ?」

走る激痛に腹部を抑える。
恐る恐る抑えた掌を返し見れば真っ赤に染まっている。
腹部を切られたのだ。躱しきれなかったただの手刀で。
それを認識したネコネの身体は力を失い膝を着いてしまう。

「よくもアタシに火なんて放ってくれたわね。大して焼けなかったけど嫌なこと思い出させてくれるじゃない」

ずぶり、と腹部から堕姫の腕が侵入する。

「う、あああああああ!!」

痛い。いたい。イタイ。

ネコネの悲鳴にも構わず、堕姫はネコネから引きずり出したものを喰らい始める。

「こっちも悪くないわね。ならこっちはどうかしら」

今度は右目を抉られた。激痛が脳髄を支配し思考にもやがかかる。
取り出された眼球も美味しそうに咀嚼する堕姫を見て、己がここで死ぬのだと確信する。

(どうして...どうしてこんなことに...)

ヤマトを取り巻く戦いが終わり、暴走するクオンを連れ戻して、ここからが新しい国だと意気込んだ矢先に殺し合いに巻き込まれて、こんなデコポンポのような死を迎える。

(罰...なのですか)

脳裏に過るのは、仮面を友に託し散りゆき消えていった最愛の兄・オシュトル。
武力において最強の敵・ヴライとの戦いの折、ネコネの横やりにより、オシュトルの渾身の一撃は外れ勝機を逃し、更には自分を庇った為に致命傷を負い、最後の輝きとして禁断の力に手を染め死んでしまった。
あの夜のことを悔やまないことは一度も無かった。
それと同じで、いくら悔やんでも、皆の戦いに尽力を尽くしても罪が消えることはないというのか。

(あに様...私は...)

流れる涙は痛みか懺悔によるものか。
滲む眼で虚空を見つめる中、視界に映るのは新たにやってきた来訪者の男。
彼と目が合ったネコネは、早く逃げるよう目で訴えかける。
だが、男の目にはは目の前の惨状に対する恐怖は微塵も映っていなかった。
哀れみ。傷つき倒れ伏すネコネへと悲し気な視線を向けていた。

それから。

男が異形に変貌したかと思えば、堕姫を蹴り飛ばし部屋から追い出した。
そのまま追いかける前に、こちらを一瞥だけして、傍に落ちていた毛布を割かれた腹部に当たらないよう掛けてくれた。
こちらを死んだものと認識したのだろうか。それも時間の問題だが、やれることはやらねば。


708 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:35:21 3ocDb0pk0

(一か八かですが...)

静寂に包まれた部屋の中で、ネコネは必死に零れた内臓をかき集め傷口に無理やり押し込む。
失った部位や血液を元に戻す符は無い。そんなものがあればオシュトルは死んでいない。
それでも、出来得る限りの治癒をできればまだ助かる可能性はある。

(死ぬ訳にはいかないのです...兄様や【あの人】に託されたのですから...!)

清月―――治癒の陣。
癒しの光がネコネの身を包み、傷口が閉じていき痛みが治まっていく。

時折、外から堕姫のものと思しき悲鳴と男の笑い声が響き渡るが今は無視だ。
力なく壁に背を預け、ネコネはあの映画の登場人物へと想いを馳せる。

森嶋帆高。
彼もまた己の行いがまわりまわって陽菜という少女を苦しめる羽目になった。
そして、周囲を敵に回してでも陽菜を留めようとした。
昔ならば潔く運命を受け入れるべきだと思ったかもしれないが、今なら解る。
自分も帆高の立場で、オシュトルが消えてしまうと解れば、それこそヤマト全土を敵に回しても抗おうとするだろう。
だから彼らを憎むことはできなかった。責めることはできなかった。
どうか彼らが傷つかずにこの殺し合いが終わりますように、と密かに願う。

やがて、激しい稲光と共に部屋に黒の塊が飛び込んできた。
先ほどの男―――狩野京児だ。
ところどころから血を流し、両脚も失っている。

「ん...生きてたのか」

こちらに気づいた彼が、さして驚いた様子もなく問いかけてきた。

「...時間の問題ですけどね」
「助からねえのか」
「一か八か、といったところです」
「そうか。ならその毛布被って隠れてな。運が良ければあいつらから逃げられるかもしれねえ」
「あなたはどうするのですか。その両脚で逃げられるのですか」
「無理だな。ついでに言えば毒も喰らってるからロクに動けねえ」

ネコネの目が見開かれる。
この男は己の死期が近いのを悟っている。なのになぜこうも余裕でいられる。

「恐く、ないのですか」
「別にィ。殺し合いなんだ。そりゃ殺されもするだろ。いつもは相手で、今回は俺。ただそれだけだ」

あっけらかんとした態度で言い放つ京児に、ネコネは眉根を寄せる。
気に入らない。命を軽視するような物言いをするこの男が。
きっと、時折聞こえてきた悲鳴と狂喜の嗤い声が、彼という漢の人生を表しているのは疑いようもない。

ならば彼が死んだところで心が痛むことはない。
お言葉に甘えて、隠れて耳を塞いでいれば助かるかもしれない。


709 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:36:06 3ocDb0pk0

けれど。

(兄様なら、こうするのでしょうね)

清月―――治癒の陣。
己にかけていた治癒を中断し、京児へと治癒の陣を敷く。

単純な話だ。
失血死及び内臓損傷で死ぬ可能性の高い自分が堕姫を欺き隠れおおせる可能性と、まだ毒さえ消えれば余裕がありそうな京児に託す可能性。
どちらが生存者が残る確率が高いか、考えるまでもない。
それでも、京児がただの下衆であれば自分を優先するだろう。

だが、ネコネは放ってはおけなかった。
倒れるネコネを見つめていた京児の目が、オシュトルが向けてくれた目に似ていたから。
もしかしたら、彼にも護るべき弟や妹がいるのではないかと思ってしまったから。
ただそれだけが、ネコネには大切なことだった。

「こいつぁ...」

身体の毒と疲労が消え去ったのを不思議に思いつつも、倒れ伏すネコネを見て察したかのように少しだけ目が見開かれる。
が、取り乱すこともなく、ただ淡々と告げる。

「礼を言うぜ。お礼と言っちゃあなんだが、あのチワワを殺してやる」

チワワ、というのは語感的に堕姫のことだろう。
そんなことができるのか、と目で問いかけると京児は凶悪な笑みと共に舌をベロリと出した。


710 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:36:41 3ocDb0pk0

「さっき遊んでた時にあいつの首輪にウニラを仕掛けておいた」
「ウニラ...?」
「ちょっとの衝撃で硬い針が飛び出すアイテムらしい。で、この糸を引っ張りゃあ」

グイ、と京児が手に持った糸を引っ張れば、少し遅れてボン、と小さな爆発音が聞こえた。

「ハイ、終わり〜。あと、そのまま伏せてろよ」

元々起き上がる気力も無いが、言われた通りに床に突っ伏すネコネ。
ほどなくして、絶叫と共に、瘦せこけた男が暴風の如く飛び込み血の鎌を伴い京児へと斬りかかってきた。

あまりの迫力に突っ伏したまま顔を上げられずにいたが、ほどなくして暴風はピタリと止んだ。

残る力で顔を上げると、先ほどまでの爪痕だけを残して、男は消え去り京児だけが残っていた。

彼はどこに行ったのか、どうやって退けたのか。もはやそれを聞く気力もない。
ただ途方もない脱力感に襲われる中、京児が声をかけてきた。

「なにか残す言葉はあるか?」

先ほどまで邪悪な笑みを浮かべていたとは思えないほどに優しい声だった。
オシュトルが散り際に自分とハクに掛けてくれたような。そんな温もりに溢れる声だ。

「オシュトル...ハク...彼らを知る者の...ちからに...」
「...ま、出来る範囲でな」

了承の意を示してくれた京児に安心感を抱き、完全に脱力する。

「ワリーな。最後くらいキレイなもん見て終わりたかっただろ」

そう言った京児の横顔はどこか寂し気で。
なんでそんなことで謝るのですか、汚いものなんてこの視界のどこにもないというのに。と、少しおかしな気分のまま目を閉じた。


もしもこれが犯した罪への罰だとしたら、なんて恵まれた最期だろうと思う。
最期の顔が、苦痛に歪んだ顔ではなく、敬愛した兄のような微笑みだったのだから。


711 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:37:29 3ocDb0pk0






首輪を回収するついでに、ネコネへと毛布をかけながら、つまらない真似をするものだ、とため息をつく。
さっきの『鬼』共とやらは中々良かった。実力も申し分なく、久々に命を諦めかけるほどのスリルを楽しめた。
だからこそ、こんな首輪を巻いて強制的な戦闘を強いるだの、森嶋帆高という人間を狩るだのというまどろっこしい枷が不要にもほどがあった。
それに、怪物だけでなくネコネのような明らかな非戦闘員ですらも巻き込むときた。
ノり切れない。
わざわざ子供をダシに使う必要がどこにある。
怪物だらけの大殺戮大会にでもしてくれれば喜んで賛同したというのに。

「ま...これはこれで楽しませてもらうけどな」

まだこの会場には自分の知らない怪物が潜んでいるかもしれない。
そう思えば胸が高鳴ってくるというものだ。

電撃が従来の法則に乗っ取り、どこまでも雨を伝う訳ではないのは把握した。
鬼とやらの構造も堕姫で遊ぶことで粗方把握した。
そのうえ、本来は夜にしか戦えない制限もここではないらしい。

ならば、ここからが本当のお愉しみというやつだ。

限られた手札でどこまでいけるか。
従来からのBOSSの方針―――不要な人間殺しはNGに従いどこまで戦えるのか。
自分が死ぬかあの婆が死ぬかのシーソーゲーム、どちらが勝つかはわからない。
だからこそ、闘争というものは面白い。

「まずは首輪を外すことか...その為には道具かァ」

狩野京児。生まれながらに暴力と殺戮に愛された異常者だが、真祖ドミノ・サザーランドにも評された冷めきった理性は未だに健在だった。


712 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:37:53 3ocDb0pk0



俺たち二人が揃えば最強だ。

寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら。

ずっと一緒だ。絶対離れない。

ほらもう何も怖くないだろ?




「殺す」

ボリボリボリ。
額から血が流れるほどの早さと強さで妓夫太郎は額を掻きむしる。

最愛の妹だった。己の命よりも大切な自慢の妹だった。
彼女の為ならなんだってできた。なんだって我慢した。
妹は、妓夫太郎にとっての全てだった。

その彼女が、死んだ。己の眼前で、あまりにも呆気なく。

これが涙なしでいられるか。絶望せずにいられるか。

「殺す殺す殺す。絶対に殺してやる」

それでも妓夫太郎の心は未だ折れない。折れてる暇はない。

「確か願いが叶うって言ってたなああの婆」

実際に、主催者である老婆は殺されたはずの女を蘇らせていた。
そして、勝者には何でも願いを叶える権利があると嘯いて。
ならばお題とやらを完遂できれば妹を蘇らせられる。

「だったらよおおお死ぬしかねえよなああ森嶋帆高あああ」

妓夫太郎からの帆高の印象としてはあまり悪くなかった。
自分の勝手で後先考えずに上京してきて。
行き当たりばったりで始めたことがまわりまわって己の頸を絞め。
手段選ばず周囲を敵に回しても守りたいものは護り切れない。
あまりにも惨めでみっともなくて、整った顔立ちを除けば嫌いじゃなかった。
上手いことこの殺し合いを抜けられれば、無惨様に鬼にしてもらえるか進言してやってもよかった。

けれど、そんな感傷ももう無意味だ。
帆高が死なない以上、妹を蘇らせることが出来ないならば優先すべきは当然妹だ。

「待ってろよなああ梅。兄ちゃんが絶対に助けてやるからなあああ」

真っ赤に晴れ上がった目の鬼は、涙が溢れないようにと天を仰いだ。


713 : 兄貴と私 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:38:16 3ocDb0pk0

【ネコネ@うたわれるもの 二人の白皇 死亡】
【堕姫(梅)@鬼滅の刃 死亡】


【狩野京児@血と灰の女王】
[状態]疲労(絶大)、両脚再生中、右腕再生中。
[装備]クローステール@アカメが斬る!
[道具]基本支給品、ネコネの首輪、ネコネの支給品(錫杖、不明支給品0〜2)、ランダム支給品
[行動方針]
基本方針:殺し合いを愉しみつつゲームを止める(素直に従っていたら生き残れないため)。
1:ドミノや善たちがいたら探す。いなければ基本方針に従い好きにやる。
2:妓夫太郎には要警戒する。
3:首輪を解析するための道具が欲しい。
4:ネコネの知り合いのオシュトルとハク、その仲間たちがいれば探してやる。
5:森嶋帆高は...まあ、探してやる。
6:人間はなるべく殺さない。
※参戦時期は黒雷習得以降です。
※支給品の、キメラの翼@ドラゴンクエストシリーズ、ウニラ@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズは使用しました。
※ヴァンパイア特有の、夜でないと変身できない、殺しあえない制限が外されました。
※電撃は10メートルを超えた辺りから一気に威力が損なわれます。その為、屋外で電撃を放っただけで水を伝い参加者全員にダメージ、などは不可能です。


【妓夫太郎@鬼滅の刃】
[状態]疲労(小)、怒り(絶大)、精神的疲労(絶大)、涙
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:願いを叶えて妹を生き返らせる。
0:陽の光を防ぐ術を確保してから帆高を殺して願いの争奪戦の段階へと舞台を進める。
1:さっきのイカレ野郎(京児)は絶対に殺す。

※参戦時期は死亡後
※京児とは別のエリアに飛ばされました。


714 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 22:38:39 3ocDb0pk0
投下終了です


715 : TOLOVEるテクニック ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 23:42:21 3ocDb0pk0
う〜、美少女美少女。
いま、美少女を求めて全力探索している私はどこにでもいる一介の校長先生。
強いて違うところを挙げるとすれば、性欲が強すぎるってところかのう。
名前は彩南高校の校長。

突然拉致されて妙な映画を見せられ殺し合いをしろと言われても、儂だって曲がりなりにも教師、そんなことはできるはずもなく。
しかし、死にたくもない為、あの老婆の言う通りに隠れて過ごしてやり過ごそうと考えた。
そんなわけで、ふと見つけた公園のトイレで、隠れるついでにお気に入りのあの娘を待ち伏せすることにしたのだ。

「ん」

ふと見ると、ベンチに一人の若い男が座っていた。

ウホッ!いい男...

そっちの趣味がない私がそう思っていると、突然その男は私の見ている目の前でツナギのホックを外し始めたのだ...!

「やらないか」







「あふぅ...」
「ふう...中々イイ締まりだったぜ」
「しゅごい...ワシ、何かに目覚めちゃった...」

俺の名前は阿部高和。しがない自動車整備士さ。
突如謎の映画を見せられた上に殺し合いなんて妙なことに巻き込まれちまったが、幸運なことに、開始早々に上物とヤることができた。
このまま二日間しけこむのも悪くないが、悪党がのさばり若人の青春を食い物にする様を黙って見てるってのも胸糞悪くなっちまう。

「俺としちゃああの二人をどうにか助けてやりたいんだが、校長先生はどう思う?」
「ハイ...わしの心はあなたのものでしゅう」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあトコトン悦ばせてやるからな」
「ハイイイィィィ!!」

俺が腰を振るたびに校長先生の嬌声が奏でられトイレ中に響き渡る。
それはまさに俺たちの反撃の狼煙に相応しい演奏だった。

「さて、それじゃあしっかりケツの穴を締めとかないとな」



【阿部高和@くそみそテクニック】
[状態]疲労
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:帆高達を救った後、一発やるか誘う。
1:校長と共に殺し合いを止める。
2:いい男がいたら誘う(無理強いはしない。強姦ダメ、ゼッタイ)

※参戦時期は不明



【校長@TOLOVEる】
[状態]疲労、肛門拡張
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:この心、貴方に捧げます。
1:阿部さんに従う
2:ヤミちゃんもいれば共に阿部さんに悦びを刻んでもらいましょう

※参戦時期は不明
※いい男の悦びに目覚めました。


716 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/10(水) 23:42:45 3ocDb0pk0
投下終了です


717 : ◆DJ6C0hLJds :2021/02/11(木) 01:59:17 H/MDn3Io0
投下します


718 : Double A-side ◆DJ6C0hLJds :2021/02/11(木) 02:00:24 H/MDn3Io0

家電量販店のマッサージチェアに座る男。
肩の凝りが十分に解れる……どころではない。
身体全体がもうぶるんぶるんと震える。

その男、(元)毛狩り隊Aブロック隊長『ところ天の助』。
その天の助の前には眼鏡をかけた地味な見た目の少女が一人座っている。

「だからさ、俺ところてんだから、わかるかい、お嬢ちゃん?
 こういうイベントはやっぱり事務所を通してもらわないとね」
「天の助さんは芸能人……なんですか……?」
「ノーコメントだ!」
「…………」

声全体を震わしながら答える天の助。
しかし、目の前の少女は座したまま大人しくしている。
ツッコミなど入れる様子など微塵もない。

「あのう……天の助さん、あなたの首輪は?」
「ここにあるだろ?」

天の助の体内をよく見ると首輪らしきものが見える
現在の天の助の身体を構成するものは『ところてん:94% ゼリー:5% 首輪:1%』である。
天の助の場合、首輪が首に巻かれてもすぐに取れる可能性がある主催者側の配慮だろうか? 知らんけども。

「それ、簡単に取れるのでは?」
「実はな、お嬢ちゃん、簡単に取れないんだ」
「はぁ……そうなんですか……」
「取ろうとすると俺の身体自体が爆発するらしい」

ところてんが爆発する。
少女は目の前のところてんがちょっと何言ってるかわからなかった。
だが、少女――――『鳰原令王那』が思うことは一つ。


――――ああ、この夢は私に与えられた『罰』なのだろうか?


719 : Double A-side ◆DJ6C0hLJds :2021/02/11(木) 02:00:48 H/MDn3Io0


大切な人に自身の存在意義を否定された。
自分を暗闇の中から見つけて、大切な人に。
ならば、もう自分は必要ないのだろう。
ライブも自分がいなくても大丈夫そうだった。


だから、彼女は『鳰原令王那』に戻った。


そして、次に思い出すのがあの映画に、あの神子柴という老婆が言っていた殺し合い。
普通の平和な日本の東京都という国で殺し合い。わけがわからなかった。
自分に支給されたものが「さつまいも」。わけがわからなかった。
極めつけは目の前の喋る人型のところてん。本当にわけがわからなかった。


これが質の悪い夢でなければなんなのだろうか?


「ところで、お嬢ちゃん、ところてんには何を付けて食べる派?」
「ポン酢です」
「ポン酢!?」
「意外に美味しいですよ」

こんな無茶苦茶な夢は早く終わらせたい。
なら、『森嶋帆高』という人を探すべきだろう。
そして、彼を…………果たして、ちゃんと殺せるのだろうか?

さつまいもを握る手が自然と震える。
先ほど、天の助の持っていた『大根』(本人曰く『魔剣大根ブレード』)を叩き折った。
支給された『さつまいも』で、だ。
だから、令王那は天の助にもの凄く怒られた。
だが、ちゃんと謝ったら許してくれた、なんなのだろうか、このところてんは?

「で、令王那ちゃんは何がしたいんだい?」
「それは……まだわかりません……」
「そうか……(あれ、ここギャグ出来ないシリアスな空間なのか!?)」

少女は悩む。
一体、どうすればいいのか。
一体、何をしたらいいのか。

答えは誰もところてんも答えてはくれない。

一方、ところてんは震える。
この震えはマッサージチェアによるものではない。
これはあの老婆に対する怒りだ。

『ふざけやがって、俺の『ぬのハンカチ』を取り上げやがって!』

だが、それを決して口には出さない。
今、そういう空気ではないのだから。


【鳰原令王那@BanG Dream!】
[状態]:健康
[装備]:さつまいも@テイルズオブデスティニー(リメイク版)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:夢から覚める
1:森嶋帆高を殺す……?
2:この喋るところてんは一体なんなのだろうか?
[備考]
・参戦時期はアニメ3rd Season11話冒頭から
・この殺し合いを夢だと思っています。

【ところ天の助@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康
[装備]:折れた大根@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(ぬのハンカチはない)
[思考・状況]基本行動方針:主催者はボーボボとかが倒すだろうし、自分は好きにやる(殺し合いには乗らない)
1:目の前のお嬢ちゃん(鳰原令王那)が危なっかしいので一緒にいる
2:ぬのハンカチを探す
[備考]
・参戦時期は少なくともボーボボに10円で買われた後
・首輪が体内に埋め込まれています、他人からの目視も可能です(無理やり外そうとする天の助が爆発します)


さつまいも@テイルズオブデスティニー(リメイク版)
斧です。
多分、人体とか切断できます。斧ですので。

大根@現実
野菜です。
多分、人体とか切断はできません。野菜ですので。


720 : ◆DJ6C0hLJds :2021/02/11(木) 02:01:11 H/MDn3Io0
投下終了です。


721 : ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:52:58 U5u/NcTA0
投下します。


722 : Shiromo ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:53:32 U5u/NcTA0
「ぷい?ぷい?」

雨の降りしきる平地。
そこでは、緑色の体に、赤い斑を持った生物が雨に濡れながらキョロキョロと辺りを見回していた。
名前はシロモ。元々は名前の通り白い体毛を持っていたが、ある出来事によって現在の様な姿に変わってしまったのだ。

その姿は、シルエットだけを見ればごくありふれた乗用車にも見えなくはないだろう。

そう。彼はとある世界で人間と共に生活していた、『モルカー』と呼ばれる種族である。

モルモットが車になった生物、それがモルカーと言えよう。

しかし、そんな彼もこのゲームの参加者としてこの場所に召喚されてしまったのである。

─そこで、何故彼がこの会場に居るのか、ここに転送される直前まで遡ってみよう。

◆◆◆

シロモ達が元々住んでいた所は、既に荒廃していた。

辺りは砂漠化し、道路の脇には傾いた信号機等が点在していた。
腕の無いモルカーでも開けられる車庫もあったが、内部にはモルカーでも装備出来る武装が置いてある程。

更には、ゾンビ化した人間達が蔓延し、彼らモルカー達も襲撃を受ける対象となってしまっていた。

シロモ達もそうだった。
一緒にいた同種族のテディと共にゾンビの群れから必死に逃げていた。

逃げている最中に発見した車庫に一先ずは避難し、テディと共に装備を調達する。
元より豪快で暴走しがちだが、面倒見の良かったテディが武装して前線に出て、ゾンビ達を追いかえしてくれた。

─しかし、道路を歩い


723 : Shiromo ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:54:12 U5u/NcTA0
ていた他のモルカーに気づけずに、彼の周りでもゾンビ達を追いかけ続けてしまっていた。
そうした結果、そのモルカーが目を回してバランスを崩し、背中に載せていたハンバーガーを落としてしまう。

落ちたハンバーガーを食べようとしたところで、目を回していたモルカー・バーガーモルカーが立ち直り、介入する。

バーガーモルカーの機転によって、自分とテディは野菜、人間のゾンビ達はパテ(肉)、そして残ったバンズは飛んで来た鳥達でそれぞれの物を食べる事になったのだが…。

しかし肉に齧り付いていた1人のゾンビが、誤ってシロモの耳にも齧り付いてしまう。
すると、シロモもゾンビ化し、それを目にした2匹のモルカーはこれまで食べていた野菜を加えたまま逃げ出してしまった。
取り残された彼は、これまた人間のゾンビ達が食べていたパテを取り上げ、逃げた2匹を追いかけ出す。

後ろからは人間のゾンビ達が迫って来たが、それでも走り続ける。

─だが、その最中で突然視界が暗転した。

ふと辺りを見回すと、薄暗い空間にいた。
そしていきなり大きな音が鳴り、驚くが直後に身体が動かなくなる。
すると、目の前に奇妙な頭の人間4人が現れる。
──暫くすると、雨の空に先程の人々とは異なる2人の人間が現れる。

そして照らされる陽光に、沢山の人間。

それは、元世界が荒廃する以前の懐かしい光景でもあった。
人間で無い彼でも見とれる映像美であったが、人間の少女が消え去った所で映


724 : Shiromo ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:54:48 U5u/NcTA0
像が切れる。

そしてまた知らない人間が何かを話し始めた。

更にまたまた知らない人間が武器を振り回し、これまで見たことのなかった生物達を薙ぎ倒していく。

そして、武器を振り回していた人間の首が突然飛んだと思ったら、元に戻っていくのを目にしたところで再び視界が暗転した。

◆◆◆

そして、現在に至る。
突然、見知らぬ場所に転送され、右も左も分からずにいる彼は、とりあえずは適当な方向へ進むことにした。


725 : Shiromo ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:55:33 U5u/NcTA0
【シロモ@PUIPUIモルカー】
[状態]:ゾンビ化、びしょ濡れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず辺りを探索する。
1:怖い人間が居たら逃げる。
※参戦時期は第6話において、人間のゾンビに噛まれて自身もゾンビ化した後、自分を見て逃げ出したテディとバーガーモルカーを追いかけている最中。
※彼に噛まれることでゾンビ化した参加者は、時間経過で死滅します。
※ゲームのルールを理解していません。


726 : ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:56:12 U5u/NcTA0
投下終了です。


727 : ◆bLcnJe0wGs :2021/02/11(木) 12:59:42 U5u/NcTA0
>>723
失礼します。
誤字を発見しましたので修正させて頂きます。
加えてではなく、咥えてとなります。


728 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/11(木) 17:17:31 wKoMrKnc0
投下します


729 : 俺はとことん止まらない!! ◆7PJBZrstcc :2021/02/11(木) 17:18:36 wKoMrKnc0
 殺し合いの会場の中にあるとある宝石店。
 そこでは太陽に手足が生えたような外見をした謎の生物が、店にある宝石を無断で使って自分自身を着飾っていた。

「オホホホホ! ジュエリーよ! これがマダム界の頂点の証なのね〜〜!!」

 彼の名前は首領パッチ。
 50年連続でキングの座を守り続けていた凄腕のハジケリストである。

 ちなみに首がなさそうな外見をしているが、首輪は一番上のトゲに付いている。
 トゲはどれも取り外しが可能だが、首輪が付いているトゲを外すと死ぬ。
 どういう因果かは不明だが、とにかく外した瞬間に死ぬようになっている。

 そしてここにいるのは彼一人ではない。

「全く。そろそろ僕の話も聞いてほしいな」

 宝石を着飾る首領パッチに対し、無感動な声を向ける謎の生物。
 白く長い耳を持つ、まるで魔法少女のマスコットみたいなこいつの名前はキュゥべえ。
 しかしこいつには、なぜか首輪が無かった。

 正確に言うなら、この店にいる『参加者』は首領パッチ一人だ。
 キュゥべえは、首領パッチに支給された支給品の一つである。

「おう。何だ、難波の白兎」
「僕は別に関西出身じゃないけどね。
 それはともかくとして、首領パッチ。僕と契約して、魔法少女になってよ!」
「何!?」

 キュゥべえの言葉に驚く首領パッチ。
 それはキュゥべえの言葉が非現実的だから、ではない。

(魔法少女……それは女の子の憧れ! つまりヒロイン!!)
「君の願いを一つ叶える代わりに、君には魔法少女として魔女と戦ってもらう。
 それが契約なんだけど……って聞いてる?」
「ゲッヘッヘ……魔法少女になれば主人公もヒロインの座も俺の物……」

 キュゥべえの話を聞きながら、とても主人公もヒロインもしなさそうな邪悪な笑い声をあげる首領パッチ。
 とはいえ話自体は良いように受け取ってもらえてそうなので、色よい返事が聞けそう、と安心するキュゥべえ。
 しかし、首領パッチ相手にそんなまともな判断は悪手でしかない。

「甘えるな――――――――――!!」

 なんと、首領パッチはキュゥべえを掴んで、外に全力投球してしまった。
 宝石店のガラスをぶち破り、そのままの勢いで東京の空を裂くキュゥべえ。
 それを見送りながら、首領パッチは叫ぶ。

「カレーにはやっぱり、エビフライですたい!!」

 謎の叫びをあげて満足した首領パッチは、更に宝石を自身に飾り付けようとする。
 しかし、そこで彼の脳内に謎の声が響く。

『首領パッチ、君はそれでいいのかい?』
「お前は、ジャスティスブレイバー木村!」

 声の正体は、全裸にネクタイだけの姿をした、ダンディなちょび髭で有名なジャスティスブレイバー木村だった。
 更に別の声が首領パッチに語り掛ける。

『君のすべきことは他にあるだろう?』
「アドバンス木村……」
『戦え。誰でもない木村の為に』
「ブラジル代表木村一郎……」

 世界、いや宇宙中の木村が首領パッチの脳内で語り掛ける。
 それに対し当の首領パッチは

「うるせえええええええええ―――――――――っ!!」

 付けていた宝石を吹き飛ばす勢いで、冷たく切り捨てた。
 だがこれで彼はやるべきことを見出し、デイバックから首領パッチソードことネギを取り出しながら店の外へと駆け出していく。
 やるべきこと。それは

「待ってろや森嶋帆高!!
 あの映画のヒロインは俺だ――――――――――っ!!!」

 天気の子のヒロインの座を奪い取ることだった。

 走れ首領パッチ! ヒロインの座を手に入れる為に!
 絶対無理だと思うけど!!


730 : 俺はとことん止まらない!! ◆7PJBZrstcc :2021/02/11(木) 17:19:05 wKoMrKnc0
【首領パッチ@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康
[装備]:首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:ハジケるぜ!!
1:あの映画(天気の子)のヒロインはオレだ――――!!

※参戦時期は無印終了後、真説開始前です。
※首輪は一番上のトゲに付いています。そのトゲを外すと首領パッチは死亡します。
※飛んで行ったキュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカシリーズは生きています。
キュゥべえの行方はこのSSが当選した場合、次の人にお任せします。


【首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ】
首領パッチに支給。
剣と言い張るが、実はただのネギ。
巨大ロボを切り裂く描写もあるが、このロワでは単なるネギ。

【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカシリーズ】
首領パッチに支給。
魔法少女のマスコットのような外見をした宇宙生物。正式名称はインキュベーター。
キュゥべえと契約することで一つ願いを叶えてもらう代わりに、魔法少女となる。
この時の願いで『殺し合いからの脱出』など、ロワが破綻するような願いは叶えられない。
本来ならキュゥべえは魔法少女の素養がある人間にしか見えないが、このロワでは参加者の誰もが視認でき、契約も可能。
また本来なら死亡した場合、新しいキュゥべえが本星から送られるがこのロワではそれはなく、このキュゥべえのみの単一存在である。


731 : ◆7PJBZrstcc :2021/02/11(木) 17:19:32 wKoMrKnc0
投下終了です


732 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:37:33 K6EXSdqs0
投下します


733 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:40:00 K6EXSdqs0
ここはある路地裏……。

そこでは、二人の少女が必死に怪物から逃げていた。

「くるみちゃん!早くこっちに!」

同行者の手を離さないように、必死に掴んでいる少女の名前は及川雫。

牛を愛する牧場娘であり、また規格外の大きさのモノを胸に付けたアイドルである。

「雫しゃん、待ってぇ〜!」

そして彼女に手を引かれながら一緒に逃げている少女の名前は大沼くるみ。

少しオツムが弱い上に舌足らずな少女であり、雫同様に大きなモノを持ったアイドルである。

「待てぇぇぇっ!!一発ヤラせろぉぉぉっ!!!」

そして彼女たちを追いかけているのは、異様な姿をした怪物だった。

筋肉がむき出しになっており、さらには体中に鉄板が突き刺さった姿の怪物だった。

彼女たちはこの会場に飛ばされ、ともに状況確認などを行っていた時に突如この怪物に襲撃されたのだった。


734 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:40:31 K6EXSdqs0
そうして二人は必死に怪物から逃げ続けていたのだが、その逃走劇がついに終わりを迎えてしまった。

「どうしましょう雫しゃん!もう逃げ道がないですよぉ〜!!」

壁際に追い込まれて、逃げ道がなくなってしまったのだ。

こうして逃げることもできずに怪物に追いつかれてしまった後、突如として怪物の姿が変化した。

「せっかくだから自己紹介しとこう!!俺は一回の射精で1リットルのザーメンを流し込む男、ガロン塚本だ!」

そこには、尖った鼻にその大きさに対して黒目が小さい目、やせ形だがお腹が膨らんでいるなどまるでゴブリンのような姿をした男がいた。

彼の名前はガロン塚本、ある大学のSM同好会に所属している男であり、自己紹介の通り大量の精液を流し込める男である。

「しっかし俺も運がいい!こんなところでこんないいオンナと出くわせるとはなあぁぁ!!」
「たっぷり調教して、俺の言うことしか聞けないようにしてやるぜぇぇ!!」

彼の股間は異様なほどに屹立しており、これから彼女たちに何をするつもりなのかは明白だった。

このままでは自分たちはとても汚らわしいことをされてしまう、二度とアイドルなんてできないカラダにされてしまうと彼女たちは恐怖した。

「あ…っ!ああああ……っ!!止まって…止まってよぉぉ……!」

そしてその恐怖から、くるみは失禁をしてしまった。

「……うわ、クセえなあ、興ざめだよ」

その光景を見て彼は汚いものでも見るかのように吐き捨てた。

またそれを受けたことでくるみは、ヒック、ヒックと泣き始めてしまった。


735 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:40:57 K6EXSdqs0
「……だがまあ、これも良いアクセントになりそうだなぁ!まずはお前からだ!」

そういうと塚本はくるみに対し、自分の股間を見せつけるようににじり寄ってきたのだ。

「……くるみちゃん、早く逃げて!」

このままではくるみちゃんが危ない、そう思った彼女はせめて彼女だけでも逃がすために塚本に突進をした。

「邪魔するんじゃねえ!お前は後でタップリと可愛がってやるから、そこで大人しくしてやがれ!!」

そう言うと彼は、雫の顔をビンタして吹き飛ばしたのだった。

その瞬間くるみは驚いてしまい、その拍子に足がもつれて転んでしまった。

こうして転んでしまった彼女を塚本は、長い髪の毛を掴んで無理やり起き上がらせた。

そしてその後、彼女の下着を無理やりはぎ取り、また自分のパンツを脱ぎすててイチモツをさらけ出した。

もうこれで、完全に逃げることはできないと、雫とくるみの二人は絶望した。

「……じゃあ、一発ヤるしようかなあぁぁ!!」

しかしそこに救いの手は現れた。

「はぁい、そこまでよ」

その言葉とともに、先ほどまでくるみをレ〇プしようとしていた男の頭が何かに挟まれた。

そして全力で締め付けられた後、勢いよく投げ飛ばされたのだ。


736 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:41:35 K6EXSdqs0
「ぐう……いったい何者が……」

痛む頭を押さえながら塚本が相手の姿を確認すると、そこにはペンチのようなものを持ち、厚底のブーツに露出度の高いボンテージスーツを着た男がいた。

更に言うと唇には青紫色の口紅をして、耳にはイヤリングをしているなど全体的にオネエな感じだった。

「ほほほ、アタシが何者かって?アタシは閻魔大王、地獄に行く前に悪い子ちゃん達の悪事を裁いちゃうわよん」

その男は自分のことを、"閻魔大王"と名乗った。

それを受けて塚本はしばらく、彼をバカにするような笑みを浮かべた後彼に話しかけた。

「……その閻魔様が、俺に何の用なんだい?」

俺に何の用か、とそう尋ねたが目の前の男は彼に対して呆れたような表情を浮かべて回答をした。

「心当たりがないの?だってアナタ、今までも女性にヒドイ事してるでしょ?閻魔様はね、ぜーんぶお見通しよ♥」
「だからね……たっぷりと『お仕置き』してあげるわ。執行猶予は…ないわよ♥」

当然だけどもやったことの報いはしっかり受けてもらうと、そう回答をしたのだ。

「ふん……『VIOLENCE!』だったらここでお前をぶちのめして「もう判決は下っているのよ?ジタバタしないの!」……なっ!!」

彼は驚いた。自分は再び変身して殴りかかろうとしたが、男によってペンチのようなもので挟まれた瞬間、一切身動きが取れなくなったのだ。

「判決ー、カマ茹での刑ー! あっついわよ〜♥ うふふふふ〜♥」

そして彼のその言葉とともに塚本の視界は白いモヤがかかっていったのだった……。


737 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:42:14 K6EXSdqs0
〜〜〜

「……どこだここ?」

気が付くとガロン塚本は、先ほどとは別の場所にいた。

そこには先ほど自分が襲おうとした女性たちや、オネエ言葉の変質者はどこにもいなかった。

「しっかしあのヘンタイ、『カマ茹での刑』だなんて言っていたけどもどう見ても普通の温泉じゃねえか」

そう、彼はいつの間にか温泉の中にいたのである。

そうして彼が戸惑っていると、突如として何者かが声をかけてきた。

「アラ〜、お客様よ〜」
「へえ〜、顔はブサイクだけどイチモツはなかなかのものね〜」

彼に声をかけたのは、女性のような口調で話す、ガタイのいい男たちだった。

「……ちょっと待てよ?まさか『カマ茹での刑』って……釜じゃなくて……!」

その瞬間彼は気づいた、先ほど宣告された『カマ茹での刑』がどういう意味だったのかを。

「「せっかくのお客様だし、たっぷりサービスしてあげるわよぉ〜!」」

そう、カマはカマでも、『オカマ』の方であることを……。

「頼むからこっちくんなあぁぁぁー!!」

そうして塚本の姿は、大量のハートマークとともにフェードアウトしていくのだった……。

〜〜〜
「ほっほっほ〜♥ これにて閉廷〜♥」

そうしてそこには、白目をむいて口から泡を吹き出している塚本と、そんな彼を見下ろしながら口元を押さえて笑っている閻魔がいた。

「くるみどのー、雫どのー、何とか間に合って、良かったのですー」

また先ほど閻魔が現れた場所から、水色と白の縞模様をした着物を着た少女が現れた。

「あら?この子たちは芳乃ちゃんの知り合いだったのね、早いうちに合流できてよかったわね♥」
「自然と笑みが溢れてくるのですねー、良きかな、良きかなー」

彼女の名前は依田芳乃。不思議な力を持ち、まるでまるで神社に祀られている存在のような少女である。

そして、雫やくるみと同じ事務所でアイドルをやっている女の子でもある。

「芳乃しゃ〜ん、こわかったよぉ〜!」

彼女の顔を見た瞬間くるみは、涙やら鼻水やらを垂れ流したまま芳乃に抱き着くのだった。

「くるみどのもー、ご無事で何よりなのでしてー」

それを受け止めた芳乃の方は、何も気にすることなくそれを受け止めたのだった。

「あらあら、可愛い顔がぐちゃぐちゃになっているわよ。ちょっとタオルとかがあったはずだから、これで顔を拭きなさいな」

しかし男の方は、くるみが顔をぐちゃぐちゃにしていることについて少し小言を言ったのだった。


738 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:43:05 K6EXSdqs0
「ところで閻魔様ー、この男の人はー、この後どうするのでしてー?まさかこのまま、殺すつもりなのでしてー?」

彼女は彼にそう尋ねた。先ほどまでくるみたちを襲おうとしていたこの男を、これからどうするつもりなのかと。

「どうもしないわよ、この子はちょっと悪夢をみているだけで、命に別状はないわ」
「それに、あくまでアタシの仕事は悪い子ちゃんにお仕置きするだけで、基本的に人を殺すつもりはないのよ」
「だから、後はこのままほっておくだけよん♥」

その質問に対して彼は、これ以上は何もするつもりはないと回答した。

「分かりましたー、この後のことはー、天運に任せまするー」

こうやってやり取りをしていたが、そこに雫が彼女たちにある疑問をぶつけた。

「……えっと、芳乃ちゃん……?この人は一体……誰ですか…?」

それは、今芳乃が仲良く会話をしているこの男は、一体誰なのかという事だった。

「すでに名乗っておりまするー。この方はー、本物の閻魔大王なのでしてー」

その質問を受けて芳乃はとても信じられないような内容を返した。

今目の前にいるこの男が、本物の閻魔大王なのだという事を彼女たちに説明をしたのだ。

(……到底信じられませんが、この人が私たちを助けてくれた……感謝しないといけませんよね)
「私たちを助けてくれて、ありがとうございます!」

それを受けて雫は、少し信じられないといった様子だったがまずは彼に対して感謝するのだった。

--------
それから、くるみが落ち着くまで待った後……

彼女たちはいまだ気絶したままのガロン塚本を置き去りにした後路地裏から抜け出していた。

あんな目にあったのだから、一刻も早くあの場所から離れたいだろうという判断によるものである。

「閻魔どのー、これからどうするつもりなのでしてー?」
「まずは安全そうな場所を探すことが先決ね。後は……そこを拠点にしてから帆高ちゃんを探すつもりよ」

移動中、芳乃がふとこれからどうするつもりなのかと彼に尋ねた。

そしてそれに対し彼は、安全そうな場所を見つけた後先ほどの映画に出てきた少年を探すつもりだと、そう答えた。


739 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:43:41 K6EXSdqs0
「えっと……なんでさっき映画に出た男の子を探すつもりなんですか……?…まさか……!」

それを受けて雫は疑問をぶつけた。彼に何かするつもりなのかと、そう思ったからだった。

「さっきも言ったはずよ?アタシは基本的に人を殺すつもりはない、とね」

彼女のその反応を受けて彼は、彼女が考えているであろうことをすぐに否定をした。

「じゃあ、何で探すつもりなんでしゅか……?」

その回答に対して、今度はくるみの方が彼に質問を行った。彼女にとってはまったく理由が分からなかったからだ。

「……見極めたいのよ、彼をどうするべきなのかを」
「彼がやってきたことは、正直に言えばあまり許されるべきことではないわ」
「おもちゃだと思って銃を発砲したり、いつだれが傷ついても不思議ではないこともしていたわ」
「……でもね、彼の目には"光"があった。神にケンカを売ってまでもあの女の子を守りたいという、決意の光がね」
「アタシはそれを見極めたいのよ、あの子の目に宿る光をね」

こうして彼は彼女の疑問に答えた。

生前の行いを基に、白黒はっきりつけて判決を言い渡す。そんな自分が彼をどう判断すべきか、それを見極めたいと、そう答えたのだ。

「……わたくしも、手伝いまするー。わたくしも、それは気になりまするのでー」
「く、くるみはそんなに頭良くないかもしれないけど……手伝いますぅぅ…」
「私も手伝いますよー♪私も、あの二人には幸せになってほしいですからね♪」

そしてそれを受けて彼女たちは、それを手伝いたいと申し出たのだった。

「ふふ…助かるわぁ♥ありがとうね、みんな」

―― こうして彼女たちは、帆高の思いを確かめるという共通の目的の元に一致団結するのであった……。


740 : 白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:44:29 K6EXSdqs0
【獄王閻魔@モンスター烈伝オレカバトル】
[状態]:健康
[装備]:ヤットコ@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:悪い子には、オ・シ・オ・キ♥
1:帆高ちゃんをどうするかは、会ってから判断するわ。
2:誰かがね、白黒つけなくちゃならないのよ。
3:アンタたちは、アタシが責任もって元の世界に帰してあげるわ。
[備考]
制限により、『カマ茹での刑』の威力が若干下がっています。
正確には、毒などの状態異常が発生しなくなっています。


【依田芳乃@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:
1:他に呼ばれているアイドルがいないかー、わたくしはとても心配でしてー。
2:このお方はー、間違いなくー、閻魔大王なのでしてー。
3:ですからー、このお方と共にいればー、おそらくは安全なのでして―。
[備考]
獄王閻魔が、本物の閻魔大王だと気づいています。


【及川雫@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、顔にビンタされた跡
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:生きて帰りたい。
1:自分たち以外に、呼ばれているアイドルがいないか心配。
2:くるみちゃんのためにも、早く下着を探してあげないと…。
3:いくら芳乃ちゃんの言葉でも、この人が閻魔大王だとは信じられません。
[備考]
獄王閻魔のことを、本物の閻魔大王だと信じていません。


【大沼くるみ@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、ノーパン
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:生きて帰りたい。
1:こ…こわかったよぉ〜。助けてくれて、ありがとうございましゅ〜!
2:うぅ…、おまた、スース―しゅるよぉ…。はずかしいよぉ…ぐすっ。
3:自分たち以外に、呼ばれているアイドルがいないか心配。
[備考]
失禁したのと、ガロン塚本によって下着を破かれたため、ノーパンになりました。
獄王閻魔のことを、本物の閻魔大王だと信じていません。


【ガロン塚本@親子の穴に出しまくり】
[状態]:気絶、メモリの毒素による凶暴化、悪夢にうなされている
[装備]:バイオレンスメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:生還する。あといいオンナがいれば××したい。
1:(気絶中)
[備考]
『カマ茹での刑』により、オカマに襲われる夢を見ています。
なお、メモリの毒素により自分自身を制御する事ができず、暴走しています。


【ヤットコ@現実】
閻魔大王が嘘吐きの舌を抜くのに使うアレのこと。

本来は針金や板金などをつかむための鉄製の工具で、対象を曲げたりする加工に使う場合もある。
その形状からペンチと混合されがちだが、ヤットコには物を切断する能力がない点が異なる。


【バイオレンスメモリ@仮面ライダーW】
『暴力』の記憶を内包したガイアメモリで、曲げた左腕がデザインされている。

使用することで体中に鉄板が突き刺さった、筋肉がむき出しになった姿の怪物に変化することができる。
その見た目通り比類なき超腕力を持ち、また左腕の鉄球を用いた接近戦を得意としている。


741 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/12(金) 01:45:19 K6EXSdqs0
投下終了です

ありがとうございました。


742 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/12(金) 01:59:53 FMzBEx0k0
短めですが投下します


743 : ロワでもやっぱりツイテナイネン ◆8eumUP9W6s :2021/02/12(金) 02:01:46 FMzBEx0k0
バッグの中身を確認し、支給品の説明に目を通し終わった少女は、一人叫ぶ。

「ひどいじゃないかー!!」

使い慣れた装備は一切手元に無く、あるのは使うと灰になる変身ベルト、飲むと死に至る水、取り込むと死ぬか乗っ取られる指のみ。
少女は途方に暮れた。

【ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン@ブレイブウィッチーズ】
[状態]:健康、途方に暮れている
[装備]:なし
[道具]基本支給品一式(ただし水は無し)、カイザギア@仮面ライダー555、豪水@ONE PIECE、宿儺の指@呪術廻戦
[思考・状況] 基本方針:生きて元の世界に帰りたい
0:ひどいじゃないかー!!
1:もしイッルやひかり達が居るのなら、合流したいなぁ〜…
[補足]
※参戦時期は本編終了後以降からです。詳細は後続にお任せします。
※豪水が支給されている為、代わりに普通の水が支給されていません。

【カイザギア@仮面ライダー555】
スマートブレイン社が開発した、オルフェノクの王を守る為に製造された3本のライダーズギア(仮面ライダーへの変身と戦闘に必要なツール一式の総称の事)の内の一つ。
普段は銀色の専用アタッシュケースに収納されている。
ファイズとは違い、オルフェノクの記号が埋め込まれてさえいればこれを使うと誰でもカイザに変身可能だが、記号が適合しなかった場合は一度変身が解除されると灰化して死亡する。また適合した場合も変身する毎に記号が摩耗し、最終的には灰化する。
ただし純粋なオルフェノクの場合は問題無い。また記号が埋め込まれて居ない純粋な人間は変身不可能(劇場版「パラダイス・ロスト」での描写より)だが、今ロワでは主催の手により純粋な人間も使用が可能になっている。なお変身を解除する(orさせられる)と灰になって死ぬ。
今回はカイザドライバーとカイザフォンのみが付属しており、カイザショット、カイザブレイガン、カイザポインターは未支給。他の参加者に支給されている可能性あり。

【豪水@ONE PIECE】
アラバスタに納められている、飲むと一時的に力を得れるが、代償として服用後から一定時間(作中でのチャカの台詞から推測すると数分程度)が経過すると、飲んだ者が命を落としてしまう水。
飲んだ者の身体にはしましま模様のアザが出る。

【宿儺の指@呪術廻戦】
特級呪霊・両面宿儺の20本の指の屍蝋のうちの1本、特級呪物。通称「宿儺の指」
1000年前の呪術全盛の時代に宿儺を封印した物
最強の呪物の一つであり、宿儺の指を取り込んだ一般呪霊を特級に進化させるほどの力を持つ
人間が取り込むことで宿儺をその身に受肉させることもできるが、指自体が猛毒のため、取り込んだ人間はほぼ確実に死亡する。また肉体が耐えられたとしても精神が宿儺に支配される。残りの指も会場の何処かにあるかもしれない
(以上、◆2dNHP51a3Y氏が執筆した候補作「神の見えざる手」より引用させて貰いました)


744 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/12(金) 02:02:43 FMzBEx0k0
投下終了します
ニパの反応については原作ネタ+テラカオスロワの某話のリスペクトです

そしてまた短めですがもう一本投下します


745 : 失われた人としての尊厳、混濁する記憶 ◆8eumUP9W6s :2021/02/12(金) 02:03:48 FMzBEx0k0
「見ていてくださいクランク二尉!!ボードウィン特務三佐!!俺はあの神子柴という薄汚れた老婆を殺し、そして今度こそ!あのネズミ共を…罪深き子供共を一掃して見せます!!」

【グレイズ・アイン(アイン・ダルトン)@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ】
[状態]:健康、錯乱、記憶混濁
[装備]:なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況] 基本方針:神子柴のような薄汚れた輩を一掃する!!!
1:罪深き子供(三日月・オーガス)は今度こそこの手で…!!!
2:俺はクランク二尉の命令に従いクーデリア・藍那・バーンスタインを捕獲しなければならなかった!!!
[補足]
※参戦時期は死亡後からです。
※記憶が混濁しています。状況次第だと人違いをするかも知れません。
※サイズは主催の手である程度まで縮小されています。


746 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/12(金) 02:04:20 FMzBEx0k0
投下終了します


747 : ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:26:25 WMB5UHD.0
投下します


748 : キボウノヒカリ ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:38:55 WMB5UHD.0
「何でだよ、何でこんなっ…!」

小奇麗な民家。
ゴーグルの少年、榊遊矢は壁に拳を叩きつけた。
できれば悪い夢であって欲しいと願った。
ロジェとの戦いを終え、ようやく柚子と再会できたのに、今度は殺し合いに巻き込まれたのだから。

「くっ…」

ならばどうする?
柚子の元へ帰る為に為に森嶋帆高を殺すか?
神子柴に命じられるがままに、自分の手を血で汚すのか?
そうする為の武器なら持っている。

デュエルディスクにセットされている自分のデッキ。
リアルソリットビジョンが取り付けられているディスクなら、召喚したモンスターで相手を殺すことも可能だろう。

「……ふざけるな。俺は殺し合いなんて絶対にしない!」

デュエルは誰かを傷付ける為の道具ではない。
真剣勝負を通じ互いを、見ている者を笑顔にする為のものだ。
だからこそ遊矢は神子柴を許せない。
デュエルをただの道具としか見ていない、アカデミアと同じあの外道を。

(ユート、お前も怒ってるんだな)

怒りを覚えているのは遊矢だけではない。
彼の中に居るユートも同じだ。
声は聞こえずとも分かる。
アカデミアと同じ非道にデュエルを利用する神子柴へ憤りを感じているのだと。

「神子柴、お前の思い通りにはさせない!」

誰かを殺すことはせず、他の参加者と共にこの殺し合いを打破する。
それが遊矢のスタンスだ。
この残酷な遊戯の場でも、己を曲げることなく、デュエルで笑顔を与える。
神子柴を倒し、柚子達の所へ必ず帰る。

それに帆高の事も何とか助けてやりたい。
大切な人と引き離される辛さは、二度と会えなくなるかもしれない恐怖は、遊矢自身嫌という程知っている。

「…よし。行こう」

やるべきことは多いが、グズグズしていたら悲劇で終わってしまう。
そうならないために力強い足取りで踏み出した。

「誰かいるのか?」

だがその一歩は声を掛けられたことで静止する。
遊矢は驚愕の表情を作った。
突然声をかけられた事もそうだが、何よりの驚きは。

「と、父さん……?」

その声が自分の父、榊遊勝のものに酷似していたからだ。
固まっている間に声の主は姿を見せる。
遊矢の前に現れたのは、銃を構え屈強な肉体を持った知らない男だった。


◆◇◆


749 : キボウノヒカリ ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:40:57 WMB5UHD.0
「奴は一体何を考えている…?」

クリス・レッドフィールドはその精悍な顔を顰め、雨が降り注ぐ空を睨みつけていた。
BSAAのエースとして数々のバイオテロと戦ってきたが、今回の事件は一際異常に思えた。
ゾンビやB.O.W.とは違う、言い知れぬ不気味さを放つ神子柴という老婆。
日本を舞台にしたあの映画の内容が全て真実かはまだ分からないが、彼女をこのまま放置する気は自分には無い。
奴はアンブレラやトライセルと同じ、悪意をもって兵器をばら撒く犯罪者達と変わらない存在だ。

(ああ、俺のやることは変わらない)

たとえバイオテロとは無関係でも、これから起こる惨劇を見て見ぬ振りなどできない。
必ずこの手で神子柴の凶行を止める。

幸い支給品には恵まれていた。
一つは現在背負っている巨大な十字架、パニッシャー。
機関銃とロケット砲を搭載した強力な重火器。
バッグからこの冗談のような代物を見つけた時は、流石に目を剥いた。
二つ目はオートマチックの拳銃。
パニッシャーは強力だが、その大きさから取り回しに些か不便さがある。
それを補う為のサイドウェポンとして十分な代物だ。

「…悪くないな」

クリスは自身の身体を見回しながら呟く。
現在彼はBSAAの戦闘服ではなく、黒一色のスーツで身を固めていた。
バトル・ドレス・ユニフォーム、通称BDUと呼ばれるスーツが最後の支給品。
普段着ている防弾ベスト等よりも遥かに防御に優れていそうなそれを見て、満足気に頷く。

パニッシャーはかなりの重量だが、それを感じさせない俊敏な動きで周囲を警戒しつつ、移動を開始する。

暫く歩いた先でふと、人の声が聞こえた。
用心しながら近付くと、声の発生源は民家の中からのようだ。
いざという時はいつでも引き金を引けるよう構え、声を掛ける。

「誰かいるのか?」

中からは自分の声に反応してか、動揺する気配が感じられた。
慎重に扉を開け中に入ると、そこには一人の少年が居た。


◆◇◆


750 : キボウノヒカリ ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:42:01 WMB5UHD.0
部屋に入ってきたクリスを前に、遊矢は固まっていた。
父と非常によく似た声の屈強な男。
しかも手には拳銃が握られている。
これまで命がけの戦いを繰り広げてきた遊矢だが、それらは全てデュエルで決着を着けるものだった。
その為拳銃など映画の中でしか見たことがない。
直接的な凶器を向けられ咄嗟の行動が遅れてしまった。

「突然で済まないが、君は森嶋帆高を殺す気でいるのか?」

遊矢の様子を見兼ねてか、クリスはなるべく穏やかに告げる。
勿論万が一を考え、トリガーに指を掛けているが。

「っ、いえ、俺は誰も殺したりなんてしません。こんなの間違ってる!」

への怒りが力強い言葉で告げられた。
遊矢の揺ぎ無い目を見たクリスは、そうかと言い銃を降ろす。

「いきなり銃を向けて悪かったな」
「い、いえ。あっ俺は榊遊矢って言います。貴方は?」
「俺はクリス・レッドフィールドだ。神子柴を逮捕しバトルロワイアルを止めるつもりだ」

向こうも殺し合いには乗っていないらしい。
その事にホっとする。
そしてふとクリスの言った言葉が気になり、聞いてみた。

「あの、逮捕って事はクリスさんは警察の人なんですか?」
「少し違う。俺はBSAAの所属だ」
「びーえすえーえー?」
「…そうか。君は日本人だから、知らないのも無理はないか」

日本では余りバイオテロの事件は発生していない。
なら遊矢がBSAAを知らなくても当然かとクリスは思った。

「しかし、遊矢は中々肝が据わっているな。こんな状況ならもう少し慌てそうなものだが」
「それは…デュエリストとしてそれなりの修羅場は潜って来てますから。
 …流石にこんな事件は初めてですけど」

頬を掻きながら言う遊矢の言葉に、疑問が浮かぶ。

「デュエリスト……?それはいったい……」
「えっ?知らないんですか?」
「ああ、初耳だ」

今度は遊矢が驚いた顔をする。
デュエルモンスターズは日本のみならず、世界で最も有名な娯楽と言っても過言ではない。
興味の無い人間でも一度は聞き、目にしたことがあるはずだが…。
と、遊矢の脳裏に一つの仮説が浮かんだ。

(もしかして別の次元の人なのか?)

世界は一つではなく四つの次元に分かれていると赤馬零児から聞いている。
しかし、ひょっとしたらレオ・コーポレーションが未発見なだけで、他にも別の世界が存在するのではないだろうか。
デュエルモンスターズが存在しない世界などが。
急に考え込む素振りを見せた遊矢にクリスが声をかける。

「すまない。何か気に障る事を言ってしまったか?」
「あ、違うんです。……あの、信じられない内容だと思うんですけど、俺の話を聞いてくれませんか?」

そして遊矢は話した。
デュエルモンスターズというカードゲーム。
それを利用して次元侵略を実行しているアカデミアと、それに対抗するランサーズ。
世界は一つではなく複数の次元に分かれていること。
全てを説明すれば膨大になってしまうので、なるべく簡略しながら。

聞き終えたクリスはやはりというか、疑わしげな顔をしている。
それもそうだろう。
遊矢とてユートやユーゴといった別次元の自分を知っていなければ、信じることはできなかった。
そこで試しにリアルソリットビジョンでモンスターを一体召喚してみせた。
屋内でオッドアイズ等を出す訳にもいかないので、手頃な大きさのEMモンスターをセットする。
そうして出現したモンスターを見てクリスは目を見開く。
恐る恐る触れてみると、本物の生物と変わらないであろう触感があった。

「どう、ですか?」
「ああ…。確かに俺の知る限りこんな技術は存在しない」
「じゃあ…!」
「君の言う別次元の話。信じるべき、なんだろうな」

遊矢の説明ではアカデミアとやらはデュエルモンスターズを用いて一つの世界を支配下に置いたのだという。
もしこんなものがあれば、世界中の武器商人が目を付けない訳が無い。
現実離れした話だが、次元戦争とは事実なのだろう。

今度はクリスが手短に自身の身分と世界の事を説明する。
ある企業の狂った研究により、死体が蘇る事が可能となってしまったこと。
生物兵器が世界中の戦争で使用されており、そんな事態への対抗策として結成された組織、それがBSAA。

既に非日常に居るとはいえ、ホラー映画のような事件が実際に頻発しているというクリスの世界には、遊矢も驚きを隠せなかった。

「それじゃあ行くか。まずは森嶋帆高を保護しないとな」
「はい!」

遊矢は思う。
殺し合いに反対する人はちゃんといる。
他の参加者の人達とだってきっと協力することができるはず。
争いあっていたトップとコモンズが、最後には和解できたように。

(待ってろ神子柴。俺は必ず皆でお前を止める。そして柚子や皆の所へ戻るんだ!)


751 : キボウノヒカリ ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:43:29 WMB5UHD.0
誤字あったので訂正

部屋に入ってきたクリスを前に、遊矢は固まっていた。
父と非常によく似た声の屈強な男。
しかも手には拳銃が握られている。
これまで命がけの戦いを繰り広げてきた遊矢だが、それらは全てデュエルで決着を着けるものだった。
その為拳銃など映画の中でしか見たことがない。
直接的な凶器を向けられ咄嗟の行動が遅れてしまった。

「突然で済まないが、君は森嶋帆高を殺す気でいるのか?」

遊矢の様子を見兼ねてか、クリスはなるべく穏やかに告げる。
勿論万が一を考え、トリガーに指を掛けているが。

「っ、いえ、俺は誰も殺したりなんてしません。こんなの間違ってる!」

神子柴への怒りが力強い言葉で告げられた。
遊矢の揺ぎ無い目を見たクリスは、そうかと言い銃を降ろす。

「いきなり銃を向けて悪かったな」
「い、いえ。あっ俺は榊遊矢って言います。貴方は?」
「俺はクリス・レッドフィールドだ。神子柴を逮捕しバトルロワイアルを止めるつもりだ」

向こうも殺し合いには乗っていないらしい。
その事にホっとする。
そしてふとクリスの言った言葉が気になり、聞いてみた。

「あの、逮捕って事はクリスさんは警察の人なんですか?」
「少し違う。俺はBSAAの所属だ」
「びーえすえーえー?」
「…そうか。君は日本人だから、知らないのも無理はないか」

日本では余りバイオテロの事件は発生していない。
なら遊矢がBSAAを知らなくても当然かとクリスは思った。

「しかし、遊矢は中々肝が据わっているな。こんな状況ならもう少し慌てそうなものだが」
「それは…デュエリストとしてそれなりの修羅場は潜って来てますから。
 …流石にこんな事件は初めてですけど」

頬を掻きながら言う遊矢の言葉に、疑問が浮かぶ。

「デュエリスト……?それはいったい……」
「えっ?知らないんですか?」
「ああ、初耳だ」

今度は遊矢が驚いた顔をする。
デュエルモンスターズは日本のみならず、世界で最も有名な娯楽と言っても過言ではない。
興味の無い人間でも一度は聞き、目にしたことがあるはずだが…。
と、遊矢の脳裏に一つの仮説が浮かんだ。

(もしかして別の次元の人なのか?)

世界は一つではなく四つの次元に分かれていると赤馬零児から聞いている。
しかし、ひょっとしたらレオ・コーポレーションが未発見なだけで、他にも別の世界が存在するのではないだろうか。
デュエルモンスターズが存在しない世界などが。
急に考え込む素振りを見せた遊矢にクリスが声をかける。

「すまない。何か気に障る事を言ってしまったか?」
「あ、違うんです。……あの、信じられない内容だと思うんですけど、俺の話を聞いてくれませんか?」

そして遊矢は話した。
デュエルモンスターズというカードゲーム。
それを利用して次元侵略を実行しているアカデミアと、それに対抗するランサーズ。
世界は一つではなく複数の次元に分かれていること。
全てを説明すれば膨大になってしまうので、なるべく簡略しながら。

聞き終えたクリスはやはりというか、疑わしげな顔をしている。
それもそうだろう。
遊矢とてユートやユーゴといった別次元の自分を知っていなければ、信じることはできなかった。
そこで試しにリアルソリットビジョンでモンスターを一体召喚してみせた。
屋内でオッドアイズ等を出す訳にもいかないので、手頃な大きさのEMモンスターをセットする。
そうして出現したモンスターを見てクリスは目を見開く。
恐る恐る触れてみると、本物の生物と変わらないであろう触感があった。

「どう、ですか?」
「ああ…。確かに俺の知る限りこんな技術は存在しない」
「じゃあ…!」
「君の言う別次元の話。信じるべき、なんだろうな」

遊矢の説明ではアカデミアとやらはデュエルモンスターズを用いて一つの世界を支配下に置いたのだという。
もしこんなものがあれば、世界中の武器商人が目を付けない訳が無い。
現実離れした話だが、次元戦争とは事実なのだろう。

今度はクリスが手短に自身の身分と世界の事を説明する。
ある企業の狂った研究により、死体が蘇る事が可能となってしまったこと。
生物兵器が世界中の戦争で使用されており、そんな事態への対抗策として結成された組織、それがBSAA。

既に非日常に居るとはいえ、ホラー映画のような事件が実際に頻発しているというクリスの世界には、遊矢も驚きを隠せなかった。

「それじゃあ行くか。まずは森嶋帆高を保護しないとな」
「はい!」

遊矢は思う。
殺し合いに反対する人はちゃんといる。
他の参加者の人達とだってきっと協力することができるはず。
争いあっていたトップとコモンズが、最後には和解できたように。

(待ってろ神子柴。俺は必ず皆でお前を止める。そして柚子や皆の所へ戻るんだ!)


752 : キボウノヒカリ ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:45:40 WMB5UHD.0
遊矢が胸中で宣戦布告している時、クリスもまた考えていた。

(神子柴、奴も別次元の人間なのか?)

神子柴が自分達とは別の世界から来たというなら、色々と説明がつくことがある。
死者を生き返らせた方法、質量保存を無視したデイバックの謎。
それらがリアルソリットビジョンのような未知の技術を使ったというなら、多少強引だが納得がいく。

(奴の情報がいるな。その為には彼女とも会っておくべきか)

最初に殺され、そして蘇生させられた日本人の女性。
神子柴に食って掛かった剣幕や、神子柴の態度を見る限り何らかの因縁があると見て間違いない。
相手がどんなスタンスかは不明だが、接触を図りたい所だ。

チラリと遊矢に視線を向ける。

(デュエルで皆に笑顔を、か……)

遊矢の方針はさっき聞いた。
殺すのも殺し返すのもせず、デュエルを通じ分かり合いたいと言っていた。
培ってきた観察力がその信念は本物だと伝えてきた
彼の真っ直ぐな目を見れば分かる。
眩しい願いだと思った。
今の自分では口に出来ない青臭く、けれど希望に満ちた夢。
そして同時にこう思う。
遊矢の考えでこの殺し合いを破壊できるだろうか。

断言してもいい、不可能である。

クリスは知っている。
世界には己の利益の為に平然と大勢を死に追いやる犯罪者たちが居ることを。
一欠片の良心さえ持ち合わせていない、アルバート・ウェスカーのような悪を。
そんな連中と戦ってきたクリスからすれば、遊矢の考えは甘いと言わざるを得ない。
だからといってその夢を捨てろなどと言う気は無い。
むしろ彼のような考えの人間こそ、今必要なのだと思っている。

この殺し合いの中で遊矢はきっと突きつけられる。
笑顔にするだけでは解決できない現実を。

(その時手を汚すのは俺の仕事だ)

この優しい少年が手を汚す必要は無い。
それらは全て、大人である自分が背負うべき業である。
ホルスターの銃を意識しながら、クリスはそう決意した。


こうして若きエンタメデュエリストと、対バイオテロのスペシャリストは民家を後にした。
彼らが笑顔の未来を手に入れるか絶望に沈むかは、今はまだ誰も知らない。


【榊遊矢@遊戯王ARC-V】
[状態]:健康
[装備]:遊矢のデッキとデュエルディスク@遊戯王ARC-V
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:バトルロワイアルを止める
1:クリスさんと行動。帆高を探す
2:襲われたら戦う。ただし殺す事は絶対にしない
[備考]
※参戦時期はエクシーズ次元に跳ばされる直前。
※バイオハザードの世界に関する情報を聞きました。

【クリス・レッドフィールド@バイオハザードシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:パニッシャー@TRIGUN MAXIMAM、ベレッタM92@現実、ゼクトルーパーのスーツ@仮面ライダーカブト
[道具]:共通支給品一式、パニッシャーの予備弾×?、ベレッタの予備マガジン×?、ゼクトルーパーのヘルメット
[思考]
基本:神子柴を逮捕し、バトルロワイアルを潰す
1:遊矢と行動。帆高を探す
2:神子柴に関する情報を手に入れたい
3:映画の内容が全て真実かは疑問
[備考]
※参戦時期はバイオハザード5終了後〜6開始前。
※デュエルモンスターズ及び異なる次元の情報を聞きました。
※予備の弾丸の数は次の書き手にお任せします。

【遊矢のデッキとデュエルディスク@遊戯王ARC-V】
榊遊矢が使用するデュエルモンスターズのデッキ。
シンクロ次元篇までに登場したカードが入っているが、もしかしたら抜き取られているカードがあるかもしれない。
制限によりモンスターは最大5分間までしか召喚できない。また、一度使用したカードは二時間経過しなければ再使用不可。

【パニッシャー@TRIGUN MAXIMAM】
最強にして最高の個人兵装。
巨大な十字架の形をしており、縦長の部分には機関銃、反対側にロケット砲が仕込んである。
装甲も堅牢で、鈍器のように直接叩きつけて使用することもできる。

【ゼクトルーパーのスーツ@仮面ライダーカブト】
ZECTに所属する戦闘員が着こむ、蟻をモチーフにした戦闘服。
特殊な素材で作られていて刃物やライフルにも対処できるが、脱皮したワーム相手には効果が薄い。


753 : ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 15:46:38 WMB5UHD.0
投下終了です


754 : ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 19:58:24 5NNkvXdc0
投下します


755 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 19:59:26 5NNkvXdc0
雨と民俗学というものは、到底切り離して考えられるものではない。
雨が続けば川は氾濫し、土地は崩れる。だからといって、雨が降らなければ作物は育たない。バランスが大事なのである。

そして。古来より人間は供物を捧げ、神仏に祈りを捧げ、日乞いや雨乞いといった願いを込めた。
人智だけではどうしようもない天候というものに対する人間の考え方は多種多様であり、民俗学の研究において、取っ掛かりともいうべき項目である。

「とはいえ。傘も差さずに雨の中を出歩くことは、やっぱり人体にとって良くないことだけどネ」

そんなことを呟きながら、雨宿り先の建物を見つけたロングヘアーの男。軍服を思わせるようなカーキ色の制服を身に纏い、両手にはぐるぐる巻きの包帯。そして、口元を隠すように、チャックのついた黒いマスク。
彼は、名を真宮寺是清。〈超高校級の民俗学者〉と呼ばれる男だ。

是清が記憶している限り、自身は元々、才囚学園という檻の中に居た。モノクマ(及びモノクマーズ)と名乗る不吉なヌイグルミによって、コロシアイ共同生活などという狂ったゲームに参加させられていた。
コロシアイは、二度に渡って起きた。いずれも高貴な使命を持って起こした、美しさすら感じられる事件であった。
そして。気が付けば彼は、映画館の中に居た。

新たなモノクマの動機か。最初はそう思っていたが、何か様子がおかしい。
首謀者が操っていたであろうモノクマの姿はなく、これまでとはルールの異なるコロシアイ……いや、殺し合い。
ひとまず状況を一旦整理した方が良いだろうと考え、落ち着ける場所を探し……現在に至る。

「……おや?」

中に居た、黒髪の少女──学生服であるところを見るに、彼女も学生であろう──と目が合う。
どうやら先客が居たらしい。


756 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:00:54 5NNkvXdc0
   ♪     ♪

「……ところで、設備って勝手に使っていいんでしょうか」
「まあ、いいんじゃないかな。店主も他の客も姿が見えないし……それに、状況が状況だからサ」
「では、とりあえず温かい飲み物……コーヒーでも淹れますね」
「ありがたく頂くヨ」

自己紹介を済ませたあと、そんなやり取りをしてコーヒーを一杯。
マスクのしたまま目の前の男性が、いつの間にかカップに注いだ飲み物の嵩を減らしていることに驚きつつも、私……中川菜々は話を進める。

「ちなみに中川さんは、どこかの学校の生徒会長……でいいのかな?」
「えっ? ああ……これですか」

右腕に巻いた、私が虹ヶ咲学園生徒会長であることを示す腕章。
隠していたわけでもないが、真宮寺さんはこれに気付いたのだろう。

「状況を整理しようか。中川さんも例の、尻切れ蜻蛉な映画を鑑賞したんだよネ?」
「ええ。帆高さんと陽菜さん、これからどういう結末に向かうのかというところでしたね」
「そしてどういうわけか、あの映画の結末が僕らの命にも関わって来る」
「……はい。神子柴さんの言葉通りであれば、そうなりますね」

言いながら、あの映画館で目撃した、凄惨な光景を思い出してしまう。
首輪が爆発……深夜アニメやライトノベルには、時折そういったグロテスクな表現が登場する。
が、現実で目の当たりにするとなると話は別だ。
無意識に、首元へと手が伸びる。……コツンと、硬い感触がした。


757 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:01:42 5NNkvXdc0
「僕たちは森嶋帆高と天野陽菜を出会わせてはいけない……それが、この殺し合いのルールだったネ。出会えってしまえば、僕たちは水底に沈む」
「真宮寺さんは……2人が出会うのを、阻止するつもりですか?」
「……ん?」

私の言葉に、真宮寺さんの顔色……もとい、目の色が変わる。

「その口ぶり……すると君は、仲良く溺れて心中する方を選ぶというのかい?」
「い、いえ、決してそういう意味ではありません。私だって、まだ死にたくはありませんから」
「……」

真宮寺さんの、無言。それはきっと「どういう意味かな?」という意味を含んだ無言。
唾を飲み込んで、私は答えた。

「矛盾しているのは分かっているんです。元いた日々に帰りたい。けれども、帆高さんと陽菜さんも合わせてあげたい、そう思っているんです」
「ククク……君の言う通り、それは矛盾だ。殺し合いのルール上、その2つの願いは相反する物サ」

真宮寺さんは、厳しい現実を語る。

「っ……それでも、私にはあの2人を放っておくことは出来ません。生きて帰るためとはいえ、あの2人を出会わせないなんて……」
「それは、君のもう1つの名前に関係していることなのかな?」
「えっ……!?」

思いもよらぬことを言われ、目が泳ぐ。
動揺した態度で確信を得たのか。僕が踏み込んでいい話かは分からないけれど、と前置きし、彼は話を続ける。

「君の自己紹介、名前を教えてくれた時の声色や様子……民俗学に携わる中で色んな人間を観察して来たから、何となく分かるんだ。中川さん、君にはもう1つ名前がある……違うかい?」
「……同好会の皆さん以外で。まして、こんなにすぐ見抜かれたのは、あなたが初めてです」


758 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:02:25 5NNkvXdc0
   ♪     ♪

虹ヶ咲学園生徒会長・中川菜々。
彼女のもう1つの姿は、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会元部長・優木せつ菜。

「──なるほど。つまり君は、厳格な両親の期待を裏切らないよう努力しつつ、裏では自分の趣味にも没頭していたんだネ」
「……はい。ただ、気持ちが熱くなりすぎたせいで、同好会の皆さんには迷惑をかけてしまったこともあります」

かつて、同好会のメンバーが5人だった頃。
スクールアイドルの頂点を決める大会・ラブライブを目指すことに固執しすぎたあまり、メンバーの『大好き』な気持ちを尊重出来なかった。
意図的ではなかったにせよ、他人の『大好き』を潰そうとしていた自分に『大好き』を叫ぶ気持ちはない。
その事を負い目に感じた優木せつ菜は引退し、一度は同好会も廃部となった。

「そんな中で、ある2人が、新しくスクールアイドル活動を始めたんです」

1人はスクールアイドルとして。もう1人はマネージャーとして。
そのどちらも、私のライブをきっかけにして。
そして。彼女たちは閉ざしていた優木せつ菜の気持ちに再び火をつけることとなる。

「頂点を目指そうとして『大好き』を貫けないなら、頂点なんか目指さなくてもいい。もっと違うやり方で、自由に『大好き』を叫んでいい。そう教えてくれたんです」

こうして、優木せつ菜は復活。同好会も、今や9+1人の大所帯になっていた。

「同好会の元に帰ることは絶対条件だと思っています。それでも私は、帆高さんや陽菜さんの『好き』を……いえ。2人の『大好き』を否定したくはないんです!」

そう宣言した時には、自然と椅子から立ち上がっていた。

この世界そのものが、それを二律背反として許さないのだとしても。
世界に抗って、どちらもつかみ取りたい。
それが、中川菜々/優木せつ菜の、心の底からの願いなのだ。


759 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:03:04 5NNkvXdc0
「それに。私にも願い事はありますが……誰かの『大好き』を否定してまで、叶えたくはありません」
「……」
「ごめんなさい、長々と自分語りをしてしまいましたね」

途中から無言だった真宮寺さんに気付き、慌てて私は席に座る。

「いや、よく分かったヨ。君は素敵な友達に恵まれたんだネ」
「あはは……」

照れ隠しのように頭を掻く。そして。

「そういうことなら、僕も出来る限りで協力をしようじゃないか」
「本当ですか!?」

彼の言葉は、私にとってはとても嬉しいものだった。

「この殺し合いの中で、どこまで足掻くことが出来るかは分からない。それでもやるというのであれば、出来る限りの協力は惜しまないつもりサ」

「本当にどうしようもないと分かった時は、潔く帆高と陽菜のことは諦めてもらうけれど」と彼は付け加える。
それでも、真宮寺さんという協力者を得られたことは、私にとって大きな一歩である筈だ。

「というわけで……ああ、どちらの姓で呼んだ方がいいかな?」
「優木でいいですよ」
「じゃあ優木さん。改めて、よろしく頼むヨ」
「はい、こちらこそ!」

がっしりと、握手を交わす。
包帯を巻いている手に触れるというのは、いささか独特な感触がした。


760 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:03:37 5NNkvXdc0
   ◆    ◆

みるみるうちに笑顔になっていく中川さんもとい優木さんを見て、僕が心の中で出した結論は1つ。

──彼女は「合格」だ。姉さんの友達に相応しい。

僕には、大好きな姉が居る。姉さんも僕のことが大好きだ。
例え許されないものだと分かっていても、そこには恋愛感情があった。
けれども、姉さんは病で死んでしまった。僕は悲しくて、気が狂ってしまいそうだった。

でも姉さんは、そんな僕を救ってくれた。
ある日行った“降霊術”で、僕の身体の中に降りて来てくれた。姉さんは今でも、僕の中に居る。
その経験から、人は死んでも霊として形を変えて、魂は生き続ける……そう思うようになった。
そして僕は、姉さんのために──多くの人間を、殺して来た。
霊である姉さんに友達を作ってあげるために、100人近くを霊にした。

100人近くと言っても、僕は無差別殺人鬼じゃない。
姉さんに相応しいと思った女性だけを狙っていた。
もうすぐ100人。そんな中で巻き込まれたモノクマによるコロシアイ。

才囚学園の中に居た女生徒たちは、2人を除いて全員合格だった。
けれども、合格だと思っていた彼女たちは、コロシアイの中で次々と命を落としてしまっていた。
姉さんの友達にするためには、僕自身が手に掛けなければいけない……だから僕は焦っていた。

そんな中で、舞台は神子柴主催の殺し合いに変わった。


761 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:04:33 5NNkvXdc0
さて。いま僕が置かれている状況がモノクマの用意した動機の延長上……という可能性は、限りなく低いだろう。
殺し合いのルールそのものや首輪、超高校級の事を知らないような素振りを見せた優木さん。根拠としては主にこの辺り。
森嶋帆高を取り巻くルールに関しては少々違和感があるが……その意味はいずれ精査していくとして。

何故状況が変わったのかは、民俗学的な見地からの説明はつかない。
けれども「殺し合いだが殺さなくてもいい」というルールは、僕にとっては非常に好都合だった。
言い換えれば、好きなだけ殺しても良いのだから。

というわけで今すぐにでも優木さんを姉さんの友達にしてあげたいが……それは一旦やめておく。
コロシアイに慣れていたこともあって、単なる殺しでいいのかと、頭が殺し合いに順応出来ていないのだ。
それに……。

「ところで真宮寺さん。民俗学というのは、具体的にどういうものを?」
「そうだネ。由来が分からないけれど、現代に根付いている風習があるだろう? 例えば七五三や節分──」

目の前で興味津々に民俗学の話を聞く優木さん。
彼女のお友達も、軽く話を聞いただけだが皆「合格」といって良いだろう。
もしこの殺し合いの場に居るのであれば。或いは殺し合いから生還し、彼女のお友達と会うことが出来れば──



──ああ、そうそう。これを忘れちゃあいけない。
この殺し合いにおいて、僕の手が届く存在なのかはまだ分からないが。
天野陽菜も、勿論合格だ。


762 : 民俗学者の殺し合い新学期 ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:04:55 5NNkvXdc0
【中川菜々@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康、民俗学に興味津々
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界には帰りたいが、帆高と陽菜の『大好き』も否定したくない
1:協力者が居るのは心強いです
2:民俗学のお話、とっても面白そうです!
※名簿には本名である『中川菜々』の名義で記載されています。
※参戦時期は少なくとも1期5話より後です。詳細な時期は後続の書き手にお任せします。

【真宮寺是清@ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:姉さんの友達を増やす
1:ルールの違和感は一旦保留
2:すぐには殺さないけれど優木さん、君は合格だヨ……!
3:もしも優木さんの友達が居た場合は……
4:天野陽菜も、勿論合格だヨ
5:優木さん、民族学って言うのはね……
※参戦時期はChapter2終了後、Chapter3(非)日常編の序盤辺りです。


763 : ◆Y1cfk9y5p6 :2021/02/12(金) 20:05:28 5NNkvXdc0
投下を終了します。


764 : ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 20:21:33 WMB5UHD.0
投下します


765 : 果てしない憎しみの炎 ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 20:26:56 WMB5UHD.0
「許せねぇ…あんなものを見せつけやがって!!」

雨に打たれながら怨嗟の声を吐き出す青年。
その姿は耳当てをしパーティー帽を被り、頭に複数本のロウソクを巻き付けているという珍妙なものだった。
彼の名はリュウ。
三重県の平和を守る合体ロボット、サンゴッドVのパイロットである。

リュウが怒っているのは神子柴の凶行が原因、ではない。

「チクショウ!どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがってよぉ!」

映画に出ていた森嶋帆高と天野陽菜の甘酸っぱいラブストーリー。
彼女いない歴=年齢のリュウにとって、あの二人の恋物語など、見ているだけで殺意が湧いてくる。
ただでさえ自分の乗るサンゴッド3が合体からハブられたり、1と2のパイロットが付き合い出したりで心がささくれ立っている所にこの仕打ち。
リュウの堪忍袋の緒はアッサリと切れた。

従って、森嶋帆高とかいうイケメン野郎をぶち殺すのに迷いは無かった。

「そうだ!あいつを殺して、俺もリア充の仲間入りしてやる!」


【リュウ@超合体戦士サンゴッドV(ギャグマンガ日和)】
[状態]:怨み、嫉妬
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:森嶋帆高を殺して彼女を手に入れる
1:リア充は見つけ次第殺す
[備考]
※参戦時期はクリスマスに丑の刻参りをした時。


766 : ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 20:27:37 WMB5UHD.0
投下終了です


767 : ◆ytUSxp038U :2021/02/12(金) 20:34:23 WMB5UHD.0
すみません、ちょっと修正

その姿は耳当てをしパーティー帽を被り、頭に複数本のロウソクを巻き付けているという珍妙なものだった。

その姿は耳当てをしパーティー帽を被り、頭に2本のロウソクを巻き付けているという珍妙なものだった。


768 : ◆bLcnJe0wGs :2021/02/12(金) 20:49:08 aDUPI1AQ0
投下します。


769 : 今度は自分が助けに行く番 ◆bLcnJe0wGs :2021/02/12(金) 20:49:41 aDUPI1AQ0
雨の降り続ける、何処かの公園。
そこでは冷たい雨の中、一人の男性がこの状況を打開すべくその足を動かしていた。
名前はシードル・レインボウ。
物質プレーン、或いは物質界と呼ばれる世界にある、コヴォマカ大国の魔法学校ウィル・オ・ウィスプの卒業生である“美”の魔法使いであり、芸術家でもある。

彼はゲームには乗らず、他に巻き込まれた参加者達を助ける為に、スタート地点で目覚めるや否や、近くにあった木で手早く支給品の確認を行い、すぐさま動き始めたのであった。

嘗て、雪山で遭難していた所を助けてくれた救助隊の人々や、臨海学校中の事件に巻き込まれていた所を助けてくれたクラスの皆の様に。

◆◆◆

シードルは2歳の頃、母親に見習って絵を描く様になり、10歳の頃に初めての個展を開いた時には神童とも呼ばれる様になっていた。
従妹のスフレにも、絵を教えていた。

しかし、シードルには過去のトラウマもあった。

それは両親と共に、芸術祭の準備ををする為に、パナシェ山に行った時の出来事だった。

母親が氷の彫刻作りに熱中している時、外は吹雪になった。
吹雪は4日間も続き、食糧も底を尽きた。
母親は助けを呼びに行くと言って外へ出たのだが、戻って来なかった。
その次の日に彼と父親は救助隊の人々に助け出されたのだが、母親は二度と戻って来る事は無かった。

臨海学校中の事件の時も、遭難事件の事を思い返して氷山に向かう事を一度は拒否したものの、戻っ


770 : 今度は自分が助けに行く番 ◆bLcnJe0wGs :2021/02/12(金) 20:50:27 aDUPI1AQ0
て来なかった、助けられなかった母親が居た、自分の境遇と重ね合わせて、氷山へ単身向かう事を決めた。

氷山の奥地で、ピンチに陥っていたクラスメイト達を自身の魔法で救い、彼等と合流。

その後も、事件に巻き込まれていた残りのクラスメイト達を次々と助け出し、最終的には事件の元凶たる存在を討ち取るまでに至った。

◆◆◆

そして時が経ち、シードル達は魔法学校を卒業した。

卒業後も、シードルは芸術家としての活動を続け、臨海学校での出来事を何枚も絵に描き、世に送り出した。
そして、また臨海学校での出来事を絵に描いている途中にこのゲームに巻き込まれた。

嘗ては他者に助けられていたのだが、今度は自分が助けに行く番。

この場所に一人で投げ出された彼は、この悪趣味な催しを食い止める為に、走り出すのであった。


771 : 今度は自分が助けに行く番 ◆bLcnJe0wGs :2021/02/12(金) 20:51:00 aDUPI1AQ0
【シードル・レインボウ@マジカルバケーション】
[状態]:体温低下(小)、雨に濡れている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:ゲームには乗らず、他の参加者達を助ける。
1:帆高も陽菜も参加者達も助ける。
※本編終了後からの参戦となります。


772 : ◆bLcnJe0wGs :2021/02/12(金) 20:51:21 aDUPI1AQ0
投下終了です。


773 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:08:52 MTvl9G2g0
みなさま投下ありがとうございます!
私も投下します


774 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:09:44 MTvl9G2g0
フゥ、と吐いた紫煙が雨へと溶けていく。

男は一度死んだ。同士に心臓を貫かれ、灰となるその寸前まで人の死を求めて散った。
だが意識を取り戻したかと思えば、『天気の子』なる映画を見せられ、死ぬか登場人物の森嶋帆高を殺すかと選択を迫られ会場に送り込まれた。

「......」

あの映画自体に対してはこれといった感想はない。
娯楽作品に興味は無いし、普遍的な『綺麗』『凄い』といった正の方面の感傷を抱けるような環境で生きてはこなかった。

それでも思ったモノはある。
そしてそれを共有したい想いも。

「なあ、お前はあの映画どう思った?」

だから男は声をかけた。
傘もささず、この異常事態においても警戒心など見せず、ふらふらと彷徨い通り過ぎようとする少年に。
悍ましいほど血まみれの道着に身を包んだ少年に。

「......」

少年は見るからに疲弊し焦燥しきっていた。
息を切らし足元もおぼつかない。ただただなにかを求めるように足だけを動かし彷徨っていた。

「あの帆高ってガキが報われなくてスッキリしたろ」

少年の足が止まる。

「世の中にいるんだよ。ああいう、理不尽に縁がなくて平和に生きてきて、自分を善良だの正しい奴だと思いあがる奴らが。俺たちみてえな奴らとは真逆のな」
「......」
「目を見りゃわかる。お前も俺と同類だ。ずっと理不尽にさらされてクソみてーな人生送ってきたんだろ」

先ほどまでは無関心を貫いていた少年も、気づけば気だるげに話す男の話に耳を傾けていた。


775 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:10:44 MTvl9G2g0

「...ずっと、じゃない」

ようやく口を開いた少年だが、男は特になんの反応も示さない。

「優しくしてくれた人たちがいた。護りたいと思った人たちがいた」
「じゃあそいつはなんだ?」

男は煙草で道着を指しながら問いかける。

「その血はお前のじゃない。外から付着したものだ。自分の出血ならそうはならない」
「......」

少年は否定せず、ただ俯き沈黙する。

「殺ってきたんだろ。お前の暴力で」
「......っ!!」

悲痛な面持ちになる少年に、男は慰めも諫めもせずに変わらぬ調子で淡々と言い放つ。

「楽しかっただろ。今までヘラヘラ生きてた連中があっさり壊れるのを見るのは」
「違う」
「ムカついてたんだろ。俺たちが泥すすってる時にすら邪魔してくる平和ボケした奴らが」
「違う!」
「ならなんで殺したんだ?」

激昂する少年だが、男が冷徹に言い放った言葉に押し黙ってしまう。
本当に違うと言い切れるのか。己の拳が汚れるのも厭わず、連中を殺戮したのは私欲ではなかったのか。
そんな葛藤が顔に滲み出る。

「別に怒ってる訳でも責めてる訳でもねえよ。ただお前を放っておけなかっただけだ」
「...なぜ」
「腐らすには勿体なかったからな。思い知らされたんだろ。他人を護る為の暴力なんざクソの役にも立たねえことを」

男の言葉の通りだ。
少年は師から学んだ武術で強くなった。その強さで師とその娘を殺した者たちを殺し仇を取れた。
でもそれだけだ。いくら強くなろうが守りたかった者たちは護れず、師から学んだ志―――人を守る為の拳―――を守ることすらできず。
終わった後にはただただ空虚しか残らなかった。


776 : 掃き溜めの兄弟 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:13:15 MTvl9G2g0


「俺に...どうしろと...」
「周りをお前よりも不幸にしてやれ。誰を、だなんて絞るんじゃねえ。目につく平和な奴ら全員をだ」
「...それに何の意味がある」
「お前が実証したろ。その場しのぎだろうが救われた気持ちになるって」

今度は違うとは言えなかった。
怒りに任せて拳を振るっている間。ほんのわずかも悲しみを忘れられなかったとはいえない。
敵を壊していく度に、彼らの敵討ちだと欠片も思わなかったとは言えない。

「変わろうぜ兄弟。俺たちが今まで受けてきた理不尽を、バカ共にぶちまけてやるんだ」
「...その手は取らない」

差し伸べられる手を少年は握り返すことはしない。これ以上師から学んだ拳を血で汚そうとは思えなかったからだ。

「けど、お前の邪魔をするつもりもない」

だが、無遠慮に払うこともしなかった。
気づいてしまったからだ。男の左側頭部から覘かせる、耳元から抉られたような巨大な傷が。
形は違えど、この男も理不尽に晒され続けてきたのだと。
少なくとも。もうなにも残っていない自分が、曲がりなりにも何かを為そうとする者の邪魔をする気力など失せてしまっていた。

「そうか。見どころあると思ったんだがな」

男はそう呟くと、少年には目もくれず去っていく。
その背中を見て何か喉元から出かける少年だが、しかし止めた。
少年は男の名前を知らないしどうでもよかった。

『変わろうぜ兄弟。俺たちが今まで受けてきた理不尽を、バカ共にぶちまけてやるんだ』

ただ、彼のその言葉だけがどうにも腹の底で渦巻いていて。

―――陽菜さんと引き換えにこの空は晴れたんだ!それなのにみんな何も知らないで、馬鹿みたいに喜んで...!こんなのってないよ...!

そんな惨めで滑稽な姿を晒した少年の姿が脳裏に焼き付いて離れなかった。




【狛治@鬼滅の刃】

[状態]精神的疲労(大)、帆高に対して...?
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:どうすればいいかわからない。
1:......
※参戦時期は道場を襲撃後から無惨と出会う前


777 : 掃き溜めの兄弟 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:13:57 MTvl9G2g0

「......」

フィルターギリギリまで吸い終えた煙草を唾と共に吐き捨てる。

(またフラれちまったな...)

男―――芭藤哲也は死ぬ前の夜を思い返す。
その夜も彼は勧誘していた。
気が弱いものの、ヴァンパイアとしての高い潜在能力を秘めた青年・七原健。
彼もまた貧乏な家庭で理不尽な暴力に晒され育った少年だった。
芭藤は己に似た境遇である彼を気に入っていたし、誰に頼まれるでもなく味方にしておきたかった。
結局、弱者の為という甘い考えを捨てなかった七原は手を取ることはなく、瀕死になった自分の心臓を貫いて前へと進んだ。
今頃はあの性格が災いして災難に遭っているのが容易に想像がつく。

(今はあいつのことはいいか)

思考を切り替え、今後の方針を考える。
芭藤は帆高を探し保護しようと思っている。
あの映画に感銘を受けたからではない。帆高を餌に殺戮を繰り返す為だ。

あの映画を見た者は殺し合いへのスタンスはどうであれ、ひとまずは帆高を見つけようとする。
そこを狙う。
帆高を守ろうとする者にも、生きる為に殺そうとする者にも、等しく死という不幸を与える。
そして、最後の二人になった時に己の行いで人が死ぬことを帆高に突き付け、その答え如何によって彼の生死を決める。
罪の意識を抱えて陽菜の元へと向かうならよし、そうでないなら帆高を殺し殺し合いに優勝する。

理由はない。生きたいという執念もない。
ただ、これがより多くの不幸を産める手段だからそうするだけだ。


(あのガキがいれば楽になったんだろうがな)

先の少年を思い返す。
もしも先の少年があの有様でなければさっさと殺していただろう。
けれど、あの絶望し切った目は気に入った。どう転ぼうが、少なくとも自分の邪魔だけはしないだろう。
だから捨て置いた。より多くの参加者を不幸にする手段の一つとして。

ピタリ、と足を止め振り返ることすらせずにぽつりと呟く。

「あばよ、掃き溜めの兄弟よ」

今生の別れのように告げるその背中は、どこか寂し気だった。







【芭藤哲也@血と灰の女王】

[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:全ての参加者を不幸に引きずり下ろす。
1:帆高を擁護しつつ殺戮して回る。
※参戦時期は死亡後


778 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:14:26 MTvl9G2g0
続いて投下します


779 : ワイルドチャレンジャー ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:14:59 MTvl9G2g0


十種競技(デカスロン)―――二日間に渡り、十種目の合計得点を競う陸上競技。
デカスリートにはパワー、スピード、テクニック...その全てが求められる。十種競技を制した者には、惜しみない賞賛と「キング オブ アスリート」という称号が与えられる。

そんな苛酷な競技で、伝説と呼ばれたデカスリート...室淵剛三。

ハンマー投げ選手の父とやり投げ選手との母との間に生まれたサラブレッド。
生後十日目にして立ち上がり、家族を驚かせた。
本格的に陸上競技に取り組みだしたのは中学生の時。あらゆる競技の記録を塗り替え、「神童」と呼ばれる。
16歳の時、十種競技日本代表に初選出。

以降、25年もの間、第一線で活躍し、数多の勝利を積み上げた。
国際大会での敗北はわずかに5回。その能力は時に専門競技者をも上回った。

国民的英雄となった室淵剛三。もはやその活躍は一競技者の域を超えていた。

だが―――、二年前、四一歳の時、突然の引退発表。
室淵剛三は、表舞台から姿を消した。




「殺し合い、か」

雨水がその屈強な身体をシャワーのように濡らす。
常に不敵な笑みを絶やさない彼こそが、室淵剛三。身体能力だけで多くの猛者と渡り合ってきたアスリートだ。

彼は裏の顔として、企業間における代理戦争こと、拳願試合の闘技者に属している。
その試合では稀に死人が出ることはあるものの、進んで人を殺そうとするタイプは非常に珍しい。
彼もまたそのタイプの闘技者だった。
格闘技の経験が無く、高い身体能力にモノを言わせるタイプであるため技術は無いに等しいが、それでも相手を殺す為に戦うようなことは無かった。

そのため、あの老婆の殺しあえという謳い文句には反発心しかなかった。
特にこのルール。『森嶋帆高を死滅させればゲーム終了』。
この明らかに帆高を殺しに行かせる為の誘導尋問。これが彼の琴線に触れた。

「神子柴よ。これはあなたからの挑戦状と受け取っても良いのかな?」

室淵はかつては国民的スターにまで登り詰めた男だ。
恐らく、神子柴もルールに素直に従う男だとは思っていまい。
ならばこれは挑戦状だろう。
『果たして世界の室淵はこの理不尽なルールにも抗えるのか』という。

「受けてたとうじゃないか」


780 : ワイルドチャレンジャー ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:15:20 MTvl9G2g0

問題ない。むしろ、これぐらいの理不尽の方が挑戦し甲斐があるというものだ。
これくらいの難関を超えねば怪物は倒せまい。
そう。拳願会の猛虎こと、若槻武士は。

「フフ...全く、挑戦とはなんと甘美な響きだろうか」

室淵は既に一般人なら全盛期をとうに過ぎている年齢だ。
だが、若槻武士と戦ってからは更に一皮剥けることが出来た。
彼という怪物への挑戦欲が室淵剛三を更なる高みへと押し上げたのだ。

「森嶋帆高くん...私は君の挑戦も応援しよう。神への挑戦とはなんとも男らしいじゃないか」

あの映画は見るからにまだ終わっていなかったが、目を閉じればいともたやすくその光景を思い描ける。
きっと彼は神様から陽菜を取り戻す為に挑戦を続けるだろうと。

両腕を広げ、深く息を吸い目を閉じ精神集中。

そして―――室淵の目が全開に見開かれる。

―――さあ、挑戦だ!




【室淵剛三@ケンガンアシュラ】
[状態]:健康 高揚感
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:犠牲者を出さずにゲームを終えることに挑戦する。
0:帆高を保護する。
1:若槻がいれば探して挑戦する。


781 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/12(金) 22:15:44 MTvl9G2g0
投下終了です


782 : ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:14:16 UXp5dslA0
投下します。


783 : 雨雲の上の、空と虹と流れ星 ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:15:25 UXp5dslA0
島村卯月はアイドルである。
当然、誰かを殺そうとしたことなどない。
だから、急に人を殺せと言われた時は頭が真っ白になった。
その対象が先ほど見せられた映画の、自分と年齢もさほど変わらない少年だと言われればなおのことだ。

だが、卯月には普通のアイドルとは違うところがあった。
今のように、突然別の場所に連れてこられる事象を経験したことがあるのだ。
もっとも、このような物騒な首輪と殺し合いの強要はなかったが。





卯月が投げ出されたのは新宿駅周辺の道だった。
しばらく呆然としていたが、雨で服が濡れ始めているのに気づいて近くの家電量販店へと駆け込む。
普段ならば人でごった返しているはずのそこには、まるで人の気配がなかった。
世界に自分しかいなくなってしまったようだと錯覚する。

そんな別段珍しくもない場所なのに、懐かしさがこみあげてきた。
軽く雨水をぬぐって落ち着いたところで、自分の服装を改めて確認する。
それは自分がよく来ていた制服でも私服でもなく、ステージ衣装でもなかった。
いや、ステージ衣装とは少し近いかもしれない。まぎれもなく、自分が空の世界で纏っていた服だった。

「……こんな形で、元の世界に戻ってきたくはなかったなぁ。」

もしかしたら、厳密には元の世界とは違うのかもしれない。
卯月が知っている限り、あのような薙刀をいともたやすく振るうような人がいるとは聞いたことがない。
そのあとの異形の化け物との大立ち回りも、超常的な力による蘇生も、元の世界の常識としてはありえないことだった。
魔物や星晶獣のようなものが存在する空の世界ならばともかく。
いや、星晶獣でもあのような蘇生が可能なのかは疑問が湧くところである。
だがそれらを抜きにしても、ここに来る道中の町並みは卯月にとって非常に懐かしいものだった。

「これから、どうしようかな……。」

殺し合いに乗り気ではない。卯月の気持ちとして、森嶋帆高には頑張ってほしい。
でも、それだと自分が死んでしまう。それも嫌だった。
まだ自分は夢半ば、トップアイドルになっていない。
それに、長い間お世話になった団長さんにお礼の言葉も言わずに死にたくもない。
同じように空の世界にいるはずのニュージェネレーションズのふたりのことも気にかかる。

答えのでなさそうな思考のループを一旦止めて、自分の支給品を確認することにする。
その中に気になるものを見つけたので、取り出してみた。どうやらそれは、剣と防具のセットのようだ。
お姫様のようなティアラ、右肩の肩当て、西洋風の長剣の3点セット。……剣に歯形のような欠けた傷跡がついているのが気になるが。
ティアラがまるでアイドルの衣装のように綺麗で、思わず頭に装着する。
心なしか、沈んだ心も明るくなった気がした。

ティアラを付けた勢いのままに、肩当てもつけて剣を構えてみる。
装備の重さに振り回されることもなく、剣は卯月が使用していたものより少し長いが扱いに不便はなさそうだった。

「……なんだか、いい感じかも!」

剣を構えたままに、使い勝手を確認しようと数回の素振りを試みる。

―――空を切る甲高い音が、家電量販店の中を木霊した。
普段の卯月では考えられないような体の軽さと、一閃の速度に自分でも驚く。
というか今、爆発音のような音が聞こえなかっただろうか。
そして、その代償はすぐに卯月の体を襲うことになる。



◇◆◇


784 : 雨雲の上の、空と虹と流れ星 ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:16:54 UXp5dslA0
矢澤にこはスクールアイドルである。
それはどんな場所、どんな世界でも変わらない。
こんなわけのわからない状況でも、自分を曲げることはない。

もちろん、いきなり殺し合いを強要されれば恐怖も感じる。
だが、空の世界で魔物に襲われたときを思い出せばこのくらいなんてことはない。
どちらかといえば、恐怖よりも怒りの感情のほうが強かった。





にこは街に投げ出されてすぐ、近くの家電量販店に駆け込んだ。
理由は単純、せっかくかわいくセットした髪がぐちゃぐちゃになるのを嫌ったからである。
もちろん、人の気配については注意を払っている。
とはいってもシロウトの一般人なので、視界に人がいるかと物音の有無しか確認はしていない。

落ち着いて一息付いたところで、さきほどの老婆の言葉を反芻する。
参加者同士での殺し合い、森嶋帆高を犠牲にしないと自分が死ぬ。
まったくもって馬鹿げている。人を無理やり攫って殺し合いを強要してる時点で今更な話だが。

「二度目のテナシーの町もようやくひと段落ついたところだったのに、この仕打ちはどういうことよ!」

実のところ、にこが比較的落ち着いていられるのには理由がある。
目が覚めたらさっきまでと別の場所だった、という経験が2度もあるのだ。
それに星晶獣のような何でもアリの存在を知ってしまえば、先ほどの老婆のような超常的な力も少しは納得がいく。

こういう状況で、相手の言うとおりに行動したところで事態が好転するわけがないとにこは思っていた。
つまり、老婆の提示するルールに従って参加者を襲ったり、森嶋帆高をどうこうすること自体がナンセンス。
どう転んだってあの老婆の掌の上に決まっている。なので、行動方針はにこの中で早急に決まっていた。

「問題は、どうやってあのおばあちゃんに一泡吹かせるかよね。」

これが最大の難問である。にこはスクールアイドルである前に高校生。
ただのJKひとりにできることなどたかが知れている。
空の世界でも、μ'sの仲間や団長さんたち(気に食わないけどメデューサも)と一緒だったからこそライブは成功させられたのだ。
ひとりではダメだ―――とまで考えたところで、外から誰かの足音が聞こえるのに気づいた。

「ッ!」

とっさに物影に隠れて様子をうかがう。
仲間が必要だとしても、足音の人物が殺し合いに反対しているとは限らないのだ。
相手がどんな人物なのか見極めるために、じっと観察した。
しかし、すぐに気が抜けた。相手は自分と年も変わらなそうな少女だったのだ。
しいて言えば服装が派手で目立つことが気になるくらいだった。

そんなことをしている間に、少女は自分の支給品を確認し始めた。
そういえば、と自分も確認していなかったのを思い出してデイバックの中から無造作に支給品を探ってみる。
手触りからあまり大きなものではなさそうだったので、試しにひとつ取り出してみた。それは、黒いUSBメモリのようなものだった。
普通のUSBにしてはサイズが少し大きい気がする。何より目立つのは、大きなアルファベットのJと小さなJOKERの文字。

一般的に浮かぶのはトランプのジョーカーと、ピエロのような道化師のイラスト。
にこのことを道化師だとでも言いたいのだろうか。甚だ失礼な支給品である。
……ジョーカーにはトランプから転じてワイルドカードや「切り札」の意味もあるのだが、残念ながらにこはそれを知らなかった。

本来の意味も使い方もわからず、ハズレの支給品かもしれないと思って少女のほうに視線を戻す。
ちょっと目を離してる間に、少女は剣を構えていた。心なしかさっきよりも表情が明るい。
まさかあの人畜無害そうな顔で殺し合いに乗り気なのか?とにこが驚きを隠せないでいる間に少女は剣を振りぬいた。



―――空気を切る音、というよりは破裂音という表現が近いかもしれない。
衝撃の余波が自分のところまで及んだので、思わず手で顔をかばう。
普通に過ごしている限り聞くことはないだろう轟音だった。剣が眩しいくらいに光って見えたのは気のせいだろうか。

少女の周りにはおそらく元々このお店の商品や床、壁だったと思われる破片が散乱していた。
自分の周りはそこまでの被害はないが、商品棚がまだ少し揺れている。
少なくとも、アレに自分が襲われればどうなるかは火を見るより明らかだった。

どうにかして逃げなければ、と少女の様子を注視していると。
先ほどとは違った、気の抜けるような音がにこの耳に入ってきた。



―――ギュルルルル。

「うぅ……お腹が空いて、力が出ません…………。」

「いや、なんでよ!!!!!!!」

お腹の音と共にその場にへたり込む少女に、思わずツッコミを入れていた。



◇◆◇


785 : 雨雲の上の、空と虹と流れ星 ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:17:59 UXp5dslA0
天王寺璃奈はスクールアイドルである。
自分の気持ちを表に出すのは、少し苦手。
情報処理や機械方面のことは、少しだけ得意。

気持ちを表に出すのは苦手だが、それは感情の起伏がないというわけではない。
むしろ、内に秘めた感情は人一倍豊かである。
だから天気の子の内容には見入っていたし、いきなり死の恐怖を目の前に突き付けられれば怖かった。





璃奈のスタート地点は、どこかの建物の階段の踊り場だった。
上下の階を軽くのぞき込んでみたところ、どうやら家電量販店の中のようだ。
平常時であれば目を輝かせて商品を見て回っていただろうが、今この状況ではそういった気分にはならなかった。

「帆高さんと、陽菜さんを取り巻く……バトル、ロワイアル。」

二人が再会すれば自分たちが命を落とす。
雨が上がれば、森嶋帆高の首輪が爆発して天野陽菜は生贄となる。
どうしてこんなことに、と思ってしまう。
同好会も再始動したばかりなのに。まだまだ、これからだったのに。

「二人には再会してほしい、と思う。でも……。」

死にたくはない。スクールアイドルとしてやりたいことがまだまだたくさんある。
もっとたくさんの人に自分の気持ちを伝えて、心を通わせたい。繋がりたい。
でもそのために誰かを殺す、というのはその想いとまるっきり正反対の行為だった。

「どうすればいいんだろう……。」

じっとしていたら、嫌な考えに頭の中をすべて支配されてしまいそうだった。
自分の気持ちも揺れたままで、そんな嫌な沈黙に耐えられなくて行動を開始した。

まずは自分の手荷物を確認してみる。
どうやら、璃奈ちゃんボートは取り上げられなかったらしい。ちょっとだけ安心する。
最も、雨の降り続けている会場の屋外では濡れてしまって使い物にならないだろう。
びしょ濡れになったボードを想像すると、自分の心にも雨が降っているような錯覚を覚えて思わず首を振った。

続いて謎のデイバックを調べてみる。大概のものが入る、と書いてあったが本当なのだろうか。
手を入れてみると、確かに外観に比べて中の空間が広いように感じた。
驚きながらも、手に触れたものをつかんで取り出してみる。
しかし、出てきた支給品はもっと自分の心を沈ませた。

「これ……もしかして、銃?」

出てきたのは、奇妙な形をした銃だった。青を中心とした色合いに、アクセントなのか黄色の模様が入っている。
ハンドガンやリボルバーとも違う形状で、一回りくらいは大きいように見える。実物を見たことはないが。
何より先端が下に向けて折れ曲がっていて、中頃に何かを挿入できそうなスロットが存在するのが奇妙だった。
ご丁寧にピッタリとハマりそうなメモリ状のアイテムまでセットで入っている。

機械的な部分には若干興味をそそられるものの、それよりも銃というものが自分の持ち物に入っていることが怖かった。
まるで、これを用いて誰かを撃てとでも言わんばかりだ。
心臓が縮み上がり、まるで自分のものではないように高鳴る。冷や汗が額から垂れてくるのを感じた。



―――雷でも落ちたかのような衝撃音が聞こえてきたのは、そんな時だった。
びっくりしすぎて、本当に心臓が止まってしまったかと思った。
しばらく茫然自失していたが、ハッと我に返って状況を確認する。

どうやら、聞こえてきたのは一階の方のようだ。
……状況を考えれば、殺し合いに乗っている人が何かしら攻撃したと考えるのが妥当だろう。
先ほどまで感じていた恐怖が、今度は外から実感として自分を襲ってきた。
でも無抵抗で殺されるわけにはいかない。そっと自分のデイバックから、先ほどの銃を取り出した。
震える手でそれを握りしめる。手汗が滲んでいて、握り心地は最悪だった。

階段を降りて、壁に寄りかかりながら一階の様子をうかがう。
まるでFPSゲームのようだ、と少し思った。
同時に、これが本当にゲームだったらどれほどよかっただろう、とも。



最初に視界にとびこんできたのは、瓦礫などが散らばっている一角だ。
一目であそこが先ほどの衝撃の発生源だとわかるほどの惨状だった。
だが、予想していったような殺し合いは発生していなかった。

そこにいたのは、自分と年端も変わらないような二人の少女。
どちらも、一般的な私服とはかけ離れた服装をしていた。まるでアイドルのステージ衣装のような。
片方が剣を地面に突き立ててへたり込んでいて、惨状の中心にいることからそちらの少女が衝撃を起こしたのだと推測できる。
今は困ったような苦笑いをしているが、遠目で見てもわかるくらい笑顔が似合いそうな少女だった。
感情を顔に出すのがあまり得意ではない璃奈は、ちょっとだけ羨望の眼差しを向けてしまう。

もう一人の少女のことも確認しようと顔をよく見たとき。
―――璃奈は彼女が、自分の知り合いであることに気づいた。



「―――にこ、さん……?」



◇◆◇


786 : 雨雲の上の、空と虹と流れ星 ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:19:28 UXp5dslA0
「―――さて、情報交換はこれくらいで大丈夫よね?」

「……いつもだったら、にこさんがまた変なこと言いだしたって思ってたと思う。」

「ちょっと!それどういうことよ!」

まあまあ、と卯月さんがにこさんをなだめているのを見ながら璃奈は先ほど交換した情報を反芻する。
大前提として、二人は殺し合いに乗っていないこと。
先ほどの衝撃は、卯月さんが支給品をよく知らぬままに使ってしまったのが原因であること。

卯月さんは346プロダクションという事務所のアイドルであること。
にこさんと卯月さんは、先ほどまで島が空の上に浮かんでいる不思議な世界にいたということ。
空の世界の話は突拍子もない内容ばかりだったが、卯月さんもにこさんもこの状況で嘘をつくような人ではないと璃奈は思った。
二人の間の『団長さん』という共通の知り合いらしい人に関する知識も、概ね一致したようだ。
そして、情報交換の中で璃奈が一番ショックだったことは―――

「にこさん。本当に、私のこと覚えてないの?」

「残念ながらね。覚えてないというか、そもそも初対面なはずよ。
 状況が状況だし、アンタが嘘ついてるとは思ってないけど。」

どうやらにこさんは、私のことを知らないらしい。
私だけでなく、虹ヶ咲学園のみんなやAqoursのみんなのことも。
卯月さんも、スクールアイドルというのを聞いたことがないと言っていた。
三人の中だけでも、かなり情報の齟齬があるようだ。



情報整理が終わった後、にこさんは私たちに協力を依頼してきた。
こんなふざけたルールに乗っ取って誰かを殺すなどゴメンだと。
その為にどうにかしてあの老婆に一泡吹かせたいらしい。

「……そんなこと、可能なんでしょうか?」

卯月さんが不安そうに聞き返した。
璃奈も無言でそれに同意する。
ルールに従いたくないのは私も一緒だ。
でも、そんな理想論みたいなことが本当に可能なのだろうか。

「わかんないわよ。でも、このまま言いなりになるのは嫌でしょ?
 にこだってそりゃ怖いけど、だからってやらない理由にはならないわ。
 アイドルの仕事は、ファンを笑顔にさせることだもの。こんな正反対のこと絶対にゴメンよ。」

その言葉を聞いて、ハッとしたように卯月さんが顔を上げる。
表情にこそ出てないかもしれないが、璃奈もその言葉に息を呑んだ。
はっきりと自分の想いを言葉にできるにこさんが、少し眩しく見えた。

「みんなを、笑顔に…………。
 ―――わかりました。私にできることがあるなら、協力させてください!」

「……私も、協力する。何ができるかは、わからないけど。」

「決まりね!
 ……そうなると、一番ネックなのはやっぱりこの首輪よね。」

話がまとまったところで、にこは自分の首元を指さす。
これがある限り、生殺与奪の権はあの老婆に握られたままなのだ。
それを見た璃奈は、ふと思い立ち立ち上がった。

「ちょっと待ってて。すぐ戻るから。」

疑問符を浮かべて顔を見合わせる二人を後目に、璃奈は店の中を探し回る。
さほど時間をかけずに目的のものを見つけられたので、それをもって二人の元へ戻ってきた。
持ってきたのは、商品のひとつとして陳列されていたノートパソコン。

「私は、卯月さんみたいに戦えないから。何か別の方法で、力になれたらなって思って。」

「璃奈ちゃん、パソコンに詳しいんですか?」

「スクールアイドル同好会のみんなのMVとか、私が作ってた。」

わーすごいです〜!と感心する卯月に、照れ臭くなってちょっと顔をそむけた。



「よし、それじゃあ行動開始と行くわよ!」

改めてにこさんがそう高らかに宣言したとき。
それに水を差すように、くぅーっと情けない音が隣から聞こえてきた。

「すみません、先に何かごはんがほしいです……!」

「あーもう!にこがかっこよく締めてるんだから我慢しなさいよ!」

「気を引き締めたほうがいい?璃奈ちゃんボード『キリッ』。」

「アンタも悪ノリはやめなさいよ!!」

前途多難だが、一人の時よりは元気が出た気がした。
二人も、同じように思ってくれてたらいいな。
そう思いながら、璃奈は二人の後に続いて家電量販店を後にした。


787 : 雨雲の上の、空と虹と流れ星 ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:20:29 UXp5dslA0
【島村卯月@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康、王家の装備を使ったことによる空腹
[装備]:王家の装備@プリンセスコネクト!Re:Dive
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:みんなを笑顔にする。森嶋帆高も、巻き込まれた人たちも。
1:島村卯月、がんばります!
2:まずはなにか、食べ物が欲しいです……!
3:凛ちゃんと未央ちゃん、巻き込まれてないといいな……。

※空の世界(グランブルーファンタジー)からの参戦のため、細かい設定はそちらに準拠します。
 参戦時期は少なくとも最新のコラボイベント終了後です。
※コラボにおいて空の世界に残存していた描写があるため(最新コラボにて高垣楓と合流した際の描写など)
 もしかしたらグランブルーファンタジー出典のキャラやグラブルとコラボした作品、キャラについて知っているかもしれません。
※スクールアイドルについての知識を獲得しました。

※マップ中央付近の駅近くに、王家の装備で一階の一部が破壊された家電量販店があります。


【矢澤にこ@ラブライブ!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、T2ジョーカーメモリ@仮面ライダーW
[思考・状況]
基本方針:ふざけたイベントに真っ向から反逆する。
1:神子柴の意向には絶対従わない。
2:まずこの首輪を何とかするわよ。
3:……近くに飲食店とかあったかしら?

※空の世界(グランブルーファンタジー)からの参戦のため、細かい設定はそちらに準拠します。
 参戦時期は最終上限解放フェイトエピソードのラストにて元の世界に戻る直前です。
※コラボシナリオ中で実際に使っていた「ファランクス」という防御スキルについては使用できるものとします。
※璃奈の説明でスクスタ次元(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS)の知識を獲得しました。
 浦の星女学院と虹ヶ咲学園という学校の存在と、Aqoursや同好会のスクールアイドルの名前を知っています。


【天王寺璃奈@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:トリガーマグナム+トリガーメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、ノートパソコン、璃奈ちゃんボード(スケッチブック)、ピンクのカラーペン
[思考・状況]
基本方針:今、自分にもできることをする。
1:最初の目標は、首輪の解除。がんばる。
2:駅のほうに行けば、ファミレスかファストフード店があるかも……。
3:この雨じゃ、外だとすぐ濡れちゃうから璃奈ちゃんボードが使えない。ちょっと、かなしい。

※スクスタ次元(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS)からの参戦です。
 少なくとも同好会の再始動後で、μ'sやAqoursのメンバーとも面識があります。
※高咲侑などのアニメにのみ存在する人物との関係については後続の書き手にお任せします。
※空の世界について少しばかりの知識を獲得しました。



【王家の装備@プリンセスコネクト!Re:Dive】
歯形のような跡がついた西洋風の長剣「プリンセスソード」とティアラ、肩当ての3点セット。
能力を使うことで一時的に超人的な力を発揮することができるが、その代償として非常にお腹が空く。
元の持ち主はこれを用いてすさまじい膂力を発揮していた。

【トリガーメモリ@仮面ライダーW】
星そのものの記憶である「地球の記憶」がプログラムされたUSBメモリ型のアイテム、ガイアメモリの一種。
水色寄りの青色をしたメモリで「銃撃手」の記憶が内包されている。端子の色は金色。
これを用いて変身した仮面ライダーダブルは、トリガーマグナムを召喚して使用することが可能になる。

【トリガーマグナム@仮面ライダーW】
仮面ライダーダブルがトリガーメモリを用いて変身した際に使用する銃。
マキシマムスロットと呼ばれるガイアメモリを装填可能なスロットが存在し、これを用いてマキシマムドライブと呼ばれる必殺技を放つことができる。
その際の技の性質は挿入したガイアメモリによって変化する。なお、メモリなしで普通に射撃を行うことも可能である。

【T2ジョーカーメモリ@仮面ライダーW】
T2とよばれる最新型ガイアメモリのひとつ。「切り札」の記憶を内包している。
メモリ本体の色は漆黒で、旧型メモリと違い端子の色が青い。
T2ガイアメモリは適合者と惹かれあう性質を持っているが、なぜそれが今にこの手元にあるのかはわからない。


788 : ◆1qfrROV/6o :2021/02/12(金) 23:21:51 UXp5dslA0
投下を終了します。


789 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/12(金) 23:22:24 ma0HQNJc0
投下します


790 : 本性・表情・野望 リアルを隠した ◆2dNHP51a3Y :2021/02/12(金) 23:24:20 ma0HQNJc0
「へぇー、愛依ちゃんその年でアイドル? すごいな〜」

「一応ね〜。と言っても、ウチにも色々あったわけだけど」

雨雲が映し出す憂鬱な風景に負けじと、明るくもある会話が弾む二人の男女
薄麦色の髪に、怪しくも本人の気軽を表すかのように輝く黄金色の瞳を持ついかにもチャラ男という感じの男
その隣には色濃く焼いた褐色肌と髪色が美しく映る、所謂ギャルと呼ばれる種類の少女――283プロ所属アイドル、アイドルユニット『ストレイライト』の一人、和泉愛依

「そんな時でなんなのこれっていうか、最初はどっかの番組のドッキリに巻き込まれたって思ってたなんだけど……」
「この『ゲーム』の事?」
「そそ。それに神子柴っておばさんに見せられた映画。あれすんごい良かったんだけど、だからってあの二人をどうこうしてって言われても……」

愛依の脳裏に過るのは『ゲーム』説明の前に見せられた映画のことだ。こんな映画が存在しているのなら間違いなく愛依の友人たちが、同じ283プロ所属のアイドルの口コミやらで耳に入っているはず
と、映画の存在のことは置いといて、本題は中身の方だ。和泉愛依の視点からして映画の内容は惹かれるものがあり、異常な状況でありながらレイニー止めを喰らうまで見入ってしまっていた
だからこそ、選択をするには余りにも酷というものであった。どうしても、生き残る為には『森嶋帆高の死』が不可欠な要素として関わってくる

「ごめん、なんか弱気なとこ見せちゃって。冬優子に見られたら怒られそうかな。で、そっちはどうするワケ?」
「そうだねぇ……このゲームのタイムリミットは二日間。森嶋帆高が目的地に辿り着いて天野陽奈に辿り着いちまったらアウト。逆に俺たちが森嶋帆高をタイムリミットまでに足止めすれば俺たちは生還できる。しかも条件を満たした上で主催本部に先着五名でたどり着けばどんな願いでも叶えてもらえる。そして手っ取り早くみんなが助かる可能性として―――森嶋帆高を殺すこと」

男のそのセリフに、思わず愛依の目つきが鋭くなる。まさか彼はこのゲームに乗るつもりなのだろうかという疑いを向け。だがそんな愛依の視線を気にしたのが男はコホンと息を鳴らし

「待って待って。そうと決まったわけじゃない。どちらにしろ、愛依さんは放っておけないし。俺たちに何が出来て、何が出来ないか。それをはっきりさせないとさ。それに、愛依さんはどうしたいってのも聞きたいからさ? だから、俺は愛依ちゃんの方針に付き合わせてもらうさ」

と、愛依の心情をある程度汲んだ上での発言をする男。愛依にとってはある程度素性は明かしたとは言え、相手は見ず知らずの人間。少々胡散臭いのを感じるけどそれでもこの目で見て最低限信頼できると思えた相手
男の言ったとおり、自分たちに何が出来るか、何が出来ないか。もしかしたら自分のやることで彼に迷惑をかけてしまうかもしれない。だがそれは結局の所やり方次第でしか無い

「……帆高、探そっか」

そう。結局どのような選択であろうと、彼を探さない限りは何も拓けない。だけど、和泉愛依の選択は最初から決まっている
そもそもこんなおっかなくて犠牲を共用するようなやり方での脱出なんて認めない。そんな事をして帰った所でプロデューサーにも、家族のみんなや応援してくれるファンにも、それに冬優子やあさひに、面向かって顔なんて見せられない
舞台でのミステリアスな自分も、フリーでのいつもどおりの自分、そして今の自分も、紛れもない自分(ウチ)であることに変わりはない
そして――ストレイライトとして、こんな殺し合いに負けるつもりはない

「それが、愛依ちゃんの選択ってことでいいのかな?」
「うん。……こんなウチでも付き合ってくれる?」
「ああ、勿論さ。それじゃ改めてよろしくな、愛依ちゃん!」




「こっちこそよろしく――――貴信!」


791 : 本性・表情・野望 リアルを隠した ◆2dNHP51a3Y :2021/02/12(金) 23:24:31 ma0HQNJc0
○ ○ ○



(―――さて、と)

心の奥底で、崎村貴信は決意を秘めた愛依の傍らで邪悪に微笑んでいた

崎村貴信は『理不尽』が大好きであり、殺し合いを普通に許容できる狂人である

この『ゲーム』は、かつて彼が参加し死を持って『理不尽』と成り得た。あの後の結末を彼は知らないが、相応の結末となったとだろうと思いたいところだ

(……この様子だと、彼女はこのゲームを止める方向に、なるのかな? 森嶋帆高も、他のみんなも助けるつもりで)

だが、貴信にとって彼女の思いなど関係ない。森嶋帆高の事も。なぜならば―――

(ああ。いいじゃないか。だったら、俺は)




崎村貴信。前の『ゲーム』と同じ用に、『理不尽』と成りうる為、その思いも、心も、一切の容赦なく踏み躙るであろう


【和泉愛依@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:こんな殺し合いゲームには負けたくない
1:森嶋帆高を探す


【崎村貴信@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:皆にとっての『理不尽』そのものになりたい
1:当分は和泉愛依と共に行動。最悪切り捨ててもいい
2:森嶋帆高を探す

※参戦時期は死亡後


792 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/12(金) 23:24:43 ma0HQNJc0
投下終了します


793 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/13(土) 00:11:53 K4mYQryc0
投下します


794 : 一人遊びの動物大集合 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/13(土) 00:12:55 K4mYQryc0
ここは会場内にある、木々に囲まれた場所……。

そこには、到底人とは思えない何かがいた。

首から上は人間なのだが、その下の身体は無数の動物たちのパーツがまじりあったような姿をした何かが、そこにはいたのだ。

「ああ……私は今、猛烈に感動しています……!」

そんな彼は今、恍惚とした表情でうっとりとしていた。

彼の名は姉畑支遁、いろんな意味で動物が大好きな男である。

彼は一応人間であり、間違ってもこんな化け物じみた存在ではなかった。

ならばなぜ彼はこのような姿となっているのか?

それを説明するためには、少し前までさかのぼる必要がある……。


795 : 一人遊びの動物大集合 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/13(土) 00:13:27 K4mYQryc0
--------
姉畑支遁は今、とてつもなく興奮していた。

「こ、これは……こんな事が……!」

それは彼に支給されていたある本が原因だった。

「そうですか……世界にはまだまだ、こんなにすばらしい動物たちがいたのですね……!!」

彼に支給されていた物、それは動物の図鑑だった。

そこには彼が知らない、そして彼が生きていた時代にはまだ発見されていないたくさんの動物たちが載っていたのだ。

そしてそれを一通り読み終えた後、彼は何かを決意したかのように立ち上がった。

「……これを知ったからにはもうここにいる必要はありません、一刻も早くこんなところから出て、彼らを探しに行かなければ」

彼は先ほどの図鑑で知った動物たちに会うために、ココから脱出するという決意を固めたのである。

そうして彼が図鑑をしまうために再度バッグを開けたところ、何やら別のものが飛び出してきたのである。

「……これは何でしょう?何やらオオカミに似た形をしていますが……?」

それは腹部に『Z』の印が付いた、黒いオオカミのような機械だった。

またそれの口には、説明書と思われる紙をくわえていたのだ。

「えっと何々……こ、これは!」

彼は驚いた、それは他ならぬ、この機械がどういうものかについてだった。

「これを体に差し込めば、自分の身体を動物のように変化することができるのですか!では早速試してみませんと!!」

これを自分の身体に突き刺すと様々な動物の力を得ることができ、またそれに合わせて自分の身体も変化すると書いてあったのだ。

それを知った支遁はためらうこともなくそれを自分の身体に突き刺したのだった……。


796 : 一人遊びの動物大集合 ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/13(土) 00:15:43 K4mYQryc0
--------
……そしてその結果が、今目の前にいる怪物というわけである。

「……おっといけないいけない、今はこんなところで油を売っているわけにはいかないんでした」

そうしてしばらく恍惚としていた彼だったが、突如として意識を取り戻したのである。

「私には、まだ見ぬ動物たちと触れ合うという目的があるんです!こんなところでぐずぐずしている暇なんて無いのですよ!」

どうやら本来の目的を思い出したようである。

「となれば善は急げです!早速行動に移しましょうか!」

そういうと彼は自分の身体から翼や脚などを生やして移動を始めるのだった……。

……はっきりと言おう、このメモリはコイツに一番渡してはいけない代物であると……。


【姉畑支遁@ゴールデンカムイ】
[状態]:興奮状態、身体の色々な個所が動物化している
[装備]:ズーメモリ@小説 仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜
[道具]:基本支給品、動物図鑑@現実、ランダム支給品×1
[思考・状況]基本行動方針:自分がまだ知らない動物たちと触れ合う(意味深)
1:動物が、大好きなんだ…!!
2:動物が…好きで好きでたまらないんだ!!
[備考]
参戦時期は、オスのヒグマとウコチャヌプコロした結果腹上死した後。
ズーメモリの力を制御できていません。
(具体的にどんな姿になっているかは、後続の書き手に任せます。)

【動物図鑑@現実】
その名の通り動物についてまとめられた図鑑であり、
2021年時点で見つかっている動物たちについて網羅されている。


【ズーメモリ@小説 仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜】
『動物園』の記憶を内包したガイアメモリで、寝転がるパンダとキリン、そしてそれに巻き付く蛇で構成された『Z』がデザインされている。
また普段は黒いオオカミのような姿で行動しているなどかなり特殊なメモリである。

『様々な動物の能力を扱う』という能力を持っており、手や脚をそれらの動物の部位へと自在に変化でき、
やろうと思えば一度に複数の部位を別々の動物のそれに変形するキメラ的な運用もできるなど幅広い運用が可能である。


797 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/13(土) 00:16:11 K4mYQryc0
投下終了です

ありがとうございました。


798 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/13(土) 01:13:33 ytTda8vs0
投下します


799 : 兄弟子と弟弟子 ◆8eumUP9W6s :2021/02/13(土) 01:18:43 ytTda8vs0
降り止まない雨の中、二人の剣士は相対する。
片方は柄の悪い黒髪の青年で名を獪岳と云い、もう片方は金髪の青年で名を我妻善逸と云う。

仲こそ悪かったものの、二人は同じ雷の呼吸を学んだ兄弟子と弟弟子の関係であった。
しかし獪岳は、任務の最中に十二鬼月の上弦の壱「黒死牟」に運悪く遭遇。その場で殺されるか、鬼となって生き延びるかの二択を迫られた末に彼はーーーー「生きてさえいればいつかは勝てる」という思いと恐怖心から死を拒み、鬼となりそして…弟弟子である善逸に討たれた。
故に、善逸からすれば…獪岳は自分の手で殺した、二度と会う事のない相手だった。だが、目の前に居るのは確かに兄弟子で…しかも、新たな上弦の陸「獪岳」では無く、人間であり鬼殺隊隊士である「獪岳」の姿であったのだ。
それが原因で、善逸は警戒心を持ちながらも、混乱を隠せずにいた。

一方の獪岳はというと、彼も彼で現状に困惑していた。
彼からすれば善逸は、出来の悪いカスな弟弟子であり、どうしようもないヘタレで…そのくせ自分がどれだけ修練しても会得出来ない雷の呼吸の壱ノ型だけを使える、気に食わない相手であった。
しかし今目前にいる善逸は…険しい雰囲気を纏い、顔つきも険しくなっていて、心なしか焦っている様にも見える。
それ故か、自分が知っている善逸との差に若干の戸惑いを感じていたのだ。そして彼は、その事に苛立ちを抱いた。

暫くして二人は、ほぼ同時に口を切る。

「久しぶりだなァ、善逸。…いつ見ても貧相な風体しやがって、テメェはよ…」
「…獪岳。お前は…本当に獪岳なのか…?」

違う時系列から呼ばれた二人の行く末がどうなるのかは、まだ誰も知らない。

【獪岳@鬼滅の刃】
[状態]:健康、警戒、若干の困惑と苛立ち
[装備]:獪岳の刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:何が何でも生き延びる。生きてさえいればいつかは勝てる。…その筈なんだよ。
1:…どういうこったよ、これは。
2:あの森嶋ってガキは放っておいても他の参加者が殺すなり止めるなりするだろ。それより生き延びる事が優先だ。
3:…この刀は…?
[備考]
※鬼化する前のどこかからの参戦です。詳細な時期は後続にお任せします。

【我妻善逸@鬼滅の刃】
[状態]:健康、警戒、混乱、若干の焦燥
[装備]:善逸の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:元の世界に戻って炭治郎を止めたい
1:…どうしてアンタが…兄貴がその姿で、ここに居るんだよ…!? 
2:帆高にも陽菜ちゃんにも死んで欲しくなんてない…けどこのままじゃ炭治郎が人を…!
3:なんで足が治ってるんだろう。
[備考]
※炭治郎が鬼化した後元に戻される前からの参戦です。ただしそれまでに負った足の負傷は治っています。

【獪岳の刀@鬼滅の刃】
善逸の日輪刀と同じく色が黄色であり、鎬には稲妻のような文様が入っていて、彼の雷の呼吸への高い適性を表している。
ただしこの刀は、鬼と化した獪岳が自らの血肉から作り出したものである。その為、日輪刀なのは外見だけだと思われる。

【善逸の日輪刀@鬼滅の刃】
色が黄色で、鎬に稲妻のような文様が入っている日輪刀。善逸の雷の呼吸への高い適性を、この日輪刀は表している。
日輪刀とは、太陽に一番近い、一年中陽が射しているという陽光山で採れる猩々緋砂鉄と、猩々緋鉱石と云う、日光を吸収した特殊な鉄を使って打たれた日本刀である。その性質故か、鬼の頸をこの刀で斬れば基本的に不死身な鬼を殺す事ができる。


800 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/13(土) 01:19:19 ytTda8vs0
投下終了します


801 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 06:50:14 TT7ChCL20
これより投下します。


802 : 虹を目指して ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 06:51:59 TT7ChCL20
「大地さんは科学者なの!? じゃあ、みんなの首輪だって外せるのかしら?」
「いや、それは危険だ。まだ、情報が足りなすぎるし、下手に首輪に手をつけたら何をされるかわからない。夏葉さんの命は危険に晒せないからね」
「あっ、そうね……ごめんなさい、考えなしに聞いちゃって」
「いいや、俺もまずはこの首輪を外さないといけないと思っているからね。確実に外せるようになったら、夏葉さん達を助けると約束するよ」
「……ありがとう! 大地さん!」

 理知的で、かつ温かさを込めた大空大地の言葉に、有栖川夏葉は太陽のような満面の笑みを浮かべた。
 身長は170㎝を優に超えるであろう体格の良い成人男性と、優雅な雰囲気を全身から放つ少女が並べば、当人たちの容姿の良さと相まってお似合いのカップルに見えるだろう。
 しかし、ここは殺し合いの舞台となった街だ。お互いに敵意がないとわかり、有効的に会話することができても、決して油断することはできない。

「気付いたら映画館にいて、青春映画を見せつけられたと思ったら……殺し合いをしろなんて、信じられないわ!」
「あぁ……俺も、今まで色んなことを経験したけど、こんなことは滅多にない。でも、君のことは絶対に守ってみせるから、安心してくれ」
「それは頼もしいわね!」

 大地の答えに、夏葉は笑顔を取り戻した。
 防衛チームXioの研究員兼特捜隊員として、研究と怪獣との戦いに身を投じた青年が大空大地だ。一般常識はあるものの、アイドルなどサブカルチャーに関する知識はやや疎い。

「それより、大地さんの言っていることがよくわからないわ! 防衛チームのXio? 隊員? そういう組織が、日本にあったかしら?」
「いいや、俺は芸能人じゃなくて、地球を守るための組織に所属する隊員……簡単に言えば、お巡りさんや自衛隊員みたいなものさ。詳しく話すと、ちょっと長くなるんだよね」

 そうして、大地は自分自身とXioに夏葉ついて語り始めた。
 15年前に発生したウルトラ・フレアと名付けられた太陽フレアが地球を覆ったことがきっかけで、世界各地に眠っていたスパークドールズと呼ばれるオーパーツが怪獣になって、人類は対抗する為にXioと呼ばれる防衛チームを結成した。
 地球と怪獣の共存の為、そしてウルトラフレアから行方不明となった両親を見つける為に大地はXioに入隊して、日夜奮闘していることを。

「……えーっと、大地さん。それ、本気で言ってる?」

 もちろん、夏葉にとっては荒唐無稽な話でしかなく、怪訝な表情を浮かべていた。まるで、怪しい宗教に浸かった人間を見つめているように。
 だけど、そんな夏葉の反応を大地は真摯に受け止めていた。


803 : 虹を目指して ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 06:53:28 TT7ChCL20
「当然。もっとも、これは俺の世界の話だから、夏葉さんにとっては信じられないだろうけどね。だって、俺と夏葉さんはそれぞれ別の地球から連れてこられたから」
「せ、世界? 別の……地球? さっきから、何が何やら……」
「信じられないかもしれないけど、落ち着いて聞いてほしい。俺と夏葉さん、それにあの映画に出てきた帆高くんと陽菜ちゃん達は、みんな別の世界の住民なんだ。
 Xioや怪獣、それに映画に出てきた晴れ女の話を、夏葉さんは知らなかったよね? それが証拠さ」
「はぁ……」

 呆気にとられる夏葉を前に、大地は言葉を続ける。
 世界には、多元宇宙論(マルチバース)と呼ばれる仮説があり、数え切れない程の宇宙が存在する可能性が語られていた。それぞれの宇宙には地球と呼ばれる惑星が存在すれば、全く別の人生を歩む大空大地や有栖川夏葉もいる。
 怪獣とは縁のない人生を歩む大地や、アイドルじゃない夏葉も存在するかもしれない。だけど、この殺し合いに巻き込まれたのは、Xioの大空大地とギャルの有栖川夏葉だった。
 そして、映画に登場した帆高と陽菜を初めとした登場人物はもちろん、殺し合いを主催する神子柴達も、全く別の宇宙に存在する地球の住民だ。

「……要するに、この広い宇宙には数え切れない程の地球が存在していて、俺達はそれぞれ別の地球から連れてこられたのさ」
「うーん……なんか、ピンと来ないけど……ウソじゃないのかしら? 映画館だと、なんか変身して戦っていた女の人がいたし……」
「きっと、彼女もまた別の地球……それも、あの神子柴と同じ地球の住民のはずだよ。でも、彼女は神子柴にあんな酷いことをされたから、今頃どうなっているのか……」

 名も知らぬ女性は神子柴に抗おうと戦ったが、無惨にも首輪を爆破させられてしまった。だが、次の瞬間には女性の体は何事もなかったかのように再生している。
 神子柴は死者蘇生を実現させたのだろうが、その先の安全が保障されるとは思えない。むしろ、明確な反抗の意志を見せたことで、どこかに囚われている可能性すらある。
 かつて大地自身も、別宇宙からやってきた宇宙魔女賊ムルナウの罠に囚われたように。

「……酷いわよね。あんな、ことされて……」

 そして、惨劇を思い出してしまったのか、夏葉の表情は一気に曇ってしまう。
 多感な時期の少女に、人間の首が吹き飛ばされる光景を見せつけては、PTSDに陥ってもおかしくない。映像ではなく、生で目撃したなら尚更だ。
 今だって、些細な出来事をきっかけにパニックに陥ってもおかしくない。

「……ごめん、夏葉さん。嫌なことを、思い出させて」
「だ、大丈夫……いや、本当は少しきつい、けど……今は大地さんが、いてくれるでしょう? だから、平気だと思う……」

 それでも、夏葉は笑ってくれた。明らかな作り笑いだったが、大地を気遣っているのが一目でわかる。
 夏葉は優雅で心優しい女性だ。こんな状況でも大地の話にきちんと耳を傾けてくれて、何よりも大地を信じている。
 そんな彼女に誠意を向けるならば、守るという意志を確かな形で見せる必要があった。


804 : 虹を目指して ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 06:54:52 TT7ChCL20
「ご、ごめんなさい……大地さんが、せっかく私のことを……励ましてくれてるのに……」
「無理をしなくてもいいよ、夏葉さん。こんな状況だから、不安に思っても仕方がないよ。君を安心できるかどうかわからないけど、俺の秘密を一つだけ教えてあげるから」
「大地さんの、秘密……?」
「そうだよ」

 首を傾げる夏葉を前に、大地は懐から一台の電子端末……エクスデバイザーを取り出す。エクスデバイザーの画面に映し出されているのは、長らく共に戦ってきた相棒の姿だ。

「えっ? 大地さん、その機械って何かしら?」
『おいおい、大地! 私をこんな堂々と見せて大丈夫なのか?』
「えぇ!?」

 夏葉の疑問に答えたのは、エクスデバイザーに宿る相棒だった。
 当然、エクスデバイザーから流暢に聞こえてくる声に、夏葉は驚いてしまう。

「今は仕方がないだろ! 夏葉さんに俺達のことを説明しないといけないからさ! 協力してくれ!」
『……まぁ、仕方がないな。どうやら、今は緊急事態のようだからね』
「ありがとう、エックス! 夏葉さん、よく見ていてくれ……これが俺のもう一つの姿だ!
 エックス、ユナイトだ!」

 大地が相棒の許可を得た一方で、夏葉は未だに呆気に取られている。
 夏葉を真摯に見つめながら、大地はエクスデバイザー上部のボタンをタッチした。Xの文字を描くようにエクスデバイザーの両面パーツが開かれると、相棒を模した人形……スパークドールズが大地の手元に現れる。
 その手に握り締めたスパークドールズを、エクスデバイザーの画面にリードさせた。

 ーーウルトラマンエックスと、ユナイトします!

 エクスデバイザーから発せられるのは、相棒との団結を意味する電子音声。
 圧倒的な力がエクスデバイザーより流れ込み、大地を中心に虹色の輝きが発せられ、その眩さに夏葉は目を閉じてしまう。
 されど、大地は夏葉から目を離さずに、エクスデバイザーを天に掲げながら叫ぶ!

「エックスウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 ーーエックス! ユナイテッド!

 大地とエクスデバイザーの叫びが重なった瞬間、放たれる光はより眩くなり、Xの字を象っていく。
 光の中で自らの姿が変わっていき、大地は相棒との団結を実感する。これまで何度も、こうして相棒と共に戦ってきたのだから。
 そして、光はすぐに収まっていき、夏葉は瞼を開く。だが、そこに立つ大地は、既に大地ではなかった。

「やあ、お嬢さん! 初めまして! 私はウルトラマンエックスだ!」

 全身を銀色と赤で彩られ、胸に埋め込まれたX字の宝石が青く輝かせながら、仏像を彷彿とさせる穏やかな顔つきをした人型だ。彼……ウルトラマンエックスはフレンドリーな態度で手を掲げながら、夏葉に挨拶をする。
 しかし、肝心の夏葉はぽかんと口を開けていた。

「………………ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 だが、次の瞬間には驚愕の叫びをあげてしまった。


805 : 虹を目指して ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 06:56:39 TT7ChCL20





 10秒ほど経過した後。
 大空大地はウルトラマンエックスとのユナイトを解除し、エックスはエクスデバイザーの中に戻っていく。
 だが、有栖川夏葉は瞳を輝かせながら、エクスデバイザーを手にしていた。

「す、凄いわ! 一体どうなっているの!? 宇宙人!? 宇宙人って、本当にいたのね!?」
『こ、こら!? お嬢さん! あんまり乱暴に揺らさないでくれ!?』
「これは新発見よ! 放課後クライマックスガールズのみんなにも自慢できるし、果穂は大喜びするわ! 今度、果穂にも見せてあげたいわ!」

 大地からエクスデバイザーを借りた果穂は、まるで子どものようにはしゃいでいた。
 そんな果穂の姿を、大地は微笑みながら見守っている。彼女のように未来ある女性が笑っていられるように、大地は今まで戦っていたのだから。

「ねえ、大地さん! エックスさんの写真を撮りたいけれど、いいかしら!?」
「大丈夫だよ! ただ、インターネットにアップロードするのだけは、ちょっと遠慮してほしいな。俺達にも、プライバシーがあるからね」
「お安い御用だわ!」
『その前に、私を放してくれえええええぇぇぇぇぇぇっ!』

 普段の優雅な雰囲気が嘘のように、夏葉はスマホでエクスデバイザーを連写していた。
 放課後クライマックスガールズのリーダーである小宮果穂の為、夏葉はエックスの写真を一枚残さずスマホに保管する。頼れるリーダーである果穂は特撮ヒーローが大好きだから、ウルトラマンエックスを知ったらテンションが上がるはずだ。

「夏葉さんも、元気になってくれてよかったよ。君は、宇宙人に興味があるのかな?」
「えぇ、宇宙旅行ができたら楽しいでしょうし、そこで未知の出会いがあれば楽しいでしょうね。
 でも、それ以上に……私の頼れるリーダーが、エックスさんのことを知ったら大喜びするはずよ」
「へえ。夏葉さんはその人を大切に想っているんだね」
「当然よ!」

 大地が言うように、放課後クライマックスガールズのみんなは互いを大切に想っている。もちろん、283プロのみんなだって例外ではない。
 だからこそ、この殺し合いを許すことが夏葉にはできなかった。


806 : 虹を目指して ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 06:59:36 TT7ChCL20

 大地とエックスの二人は深い絆で繋がった相棒だ。
 地球と、そして宇宙の平和を守るためにいつも奮闘しており、数え切れない程の星々を渡り歩いたらしい。宇宙の守護者であるウルトラマンエックスは、夏葉のような地球人を守ることを使命としている。
 そんなエックスは背丈こそは夏葉より少し高い程度だが、独特の存在感や神々しさが感じられた。もっとも、今はエクスデバイザーの中に戻り、人情味の溢れる愉快な一面を見せてくれている。

「本当にありがとう……大地さんにエックスさん! あなた達のおかげで、元気になれたわ」
「いいや、俺達は何もしていないよ。夏葉さんが自分で決心した結果さ」
『大地の言う通りさ。君自身の心が強いからこそ、そうして立ち上がれているのだからね!』
「それでも、あなた達がいたからこそよ! 悔しいけれど、私一人じゃどうすることもできそうになかった……でも、あなた達みたいな頼れる人がいてくれたから、私も100%の力を発揮できるのよ!」

 有栖川家の令嬢として、自己研鑽を欠かさずに世界一を目指したアイドルが有栖川夏葉だ。
 家の名に恥じないよう常日頃からあらゆる努力を欠かさず、放課後クライマックスガールズの一員として、そして有栖川夏葉という一人のアイドルとして活躍し続けた。
 けれど、それは決して夏葉一人だけの力では成し遂げられなかった。夏葉をアイドルにしてくれたプロデューサーと、そして放課後クライマックスガールズのみんながいてくれたからこそ、今の夏葉がいる。

「当然、森嶋帆高と天野陽菜の二人も私は助けてみせる! 二人が再会できる機会を潰すなんて、あってはいけないことよ!」
「あぁ! 神子柴は二人が再会したら、世界は雨に飲み込まれると言っていたけど……そんな運命も変えてみせる。どんな原理かはわからないけど、研究を続ければいつか二人に青空を見せてあげられるはずだから」
『ならば、まずはあの帆高という少年を探さないといけないな。大地、お嬢さん……いいや、夏葉!』

 大地とエックスの力強い言葉が、夏葉の決意に火をともす。
 未だに降り注ぐ大雨では鎮火できない程に、夏葉の心は燃え上がっていた。

「大地さんとエックスさんは、いつだって宇宙の平和を守るために戦っているようだから……私も誓うわ!
 世界一……いいえ、マルチバースにその名を轟かせられる程の、宇宙一のアイドルになれるよう、この殺し合いを絶対に認めないことを!」

 この世界から……宇宙全てに響かせられるように構えながら、有栖川夏葉は宣言する。
 大空大地やウルトラマンエックスの二人と共に、100%の力を発揮して殺し合いを止めてみせる確固たる意志を込めながら。


807 : 虹を目指して ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 07:00:00 TT7ChCL20
【大空大地@ウルトラマンX】
[状態]:健康
[装備]:エクスデバイザー&スパークドールズ(ウルトラマンX)@ウルトラマンX、エクスラッガー@ウルトラマンX
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いを止めて、みんなを守る。
1:エックスと共に夏葉さんを守る。
2:首輪を解除する為に情報を集める。
[備考]
※劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックスにてグリムドを撃破した以降からの参戦です。
※制限により、ウルトラマンXの巨大化または長時間の飛行は不可能です。また、ウルトラマンゼロのサイバーアーマーで会場からの脱出もできません。

【有栖川夏葉@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:宇宙にその名を響かせられるほどのアイドルとして、殺し合いを認めない。
1:大地さんやエックスさん達と一緒に殺し合いを止める。

【エクスデバイザー&スパークドールズ(ウルトラマンX)@ウルトラマンX】
大空大地がウルトラマンエックスに変身するために必要なアイテム。
普段はエクスデバイザーにウルトラマンエックスの人格が内蔵されていて、大地がデバイザーを変形させることでエックスのスパークドールズが出現する。
また、エクスデバイザーには大地が出会った怪獣やウルトラマン達のサイバーカードも内蔵されていて、ロードさせることで力を秘めた鎧・サイバーアーマーを纏うことが可能。

【エクスラッガー@ウルトラマンX】
ウルトラマンエックスをエクシードXにパワーアップさせる虹色の輝きを放つ剣。
普段はエクスデバイザーに内蔵され、大地がエックスに変身した際に使用可能。


808 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 07:02:14 TT7ChCL20
以上で投下終了です。


809 : 名無しさん :2021/02/13(土) 10:33:16 C58cFLpg0
投下します。


810 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:34:02 C58cFLpg0



 明らかな悪党も天使もいない映画で、みんな適度に悪く、適度に善良で、適度に卑怯で、適度に正直な人々がもつれて破局に至ります。
 私たちがニュースを見るとき、結果だけ見ます。それは誕生日パーティーの芝生の上で起きた結果だけです。でも、そこには私たちが簡単に察知できない長い脈絡があるんです。
 映画はそんな結果に達した微妙な段階を2時間にわたって追っていける―それが映画の力ではないかと思う。
(ポン・ジュノ監督 ライブトーク)






811 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:36:04 C58cFLpg0


 雨に打たれながらもバイクを押して歩く、しなやかな腕と脚を露出させた若い女。その一歩前を行くのは、リーゼントヘアーの頭が目立つ、スーツ姿の男。
 殺し合いの舞台となる街でお互い最初に出会い、男が女を保護するという名目で、二人は行動を共にしている。
 女の方は名前を須賀夏美といい、男の方は高井高司という。
 二人の間には共通点があった。殺し合いの開始の前に上映された映画の登場人物である、ということだった。

「いや、そりゃあ帆高くんだって周りに迷惑かけてたのは事実だし、捕まっても仕方ないけど……もうちょっとこう、帆高くんの言うことに耳傾けても良かったんじゃないかなって、思うんですけど」

 森嶋帆高と天野陽菜を中心とした人間模様を描く映画において、夏美は二人と縁の深い人物として比較的長めの出演時間を割り振られていた。
 初心な子供を悪戯に弄りながら慈しむ、活気の良い女子大生。人柄の良さは伝わる描かれ方で、間違いなく優遇と言える扱いであった。夏美本人からすれば、少々気恥ずかしいものではあったが。

「あー、そーかい。生憎そういうサービスやってないんだがな」

 映画における高井は、端的に言って脇役であった。
 態度の良くない警察官、それだけで説明できてしまうような出番だ。彼の名前すら認識できない観客も少なくはなかっただろう。大多数の人間にただ自分の悪印象を植え付けられるようで、気分が悪い。
 幸いなのは、少なくとも彼が警察官としての職務を全うしていることは確かなものとして描かれていたことだ。(帆高を痛い目に遭わせたことに不満をぶつけられつつも)夏美が高井の同行を受け入れたのも、警察官としての彼への信用あってのことであった。

「これから私達で陽菜ちゃんのことも助けなきゃいけないんだから、刑事さんにも態度柔らかくほしいんですけどねー」
「助ける?」
「そうですよ。帆高くんだけじゃなく、陽菜ちゃんのことも助けなきゃ……二人の味方、必要でしょ」

 話題に挙がるのは、やはり帆高と陽菜のことであった。特に陽菜は、世界の秩序のための人柱として犠牲になったのだ。夏美の友人という点を差し引いても、胸を痛めるには十分だった。
 元々、仮にこの殺し合いが無かったとしても、夏美は帆高のもとへ駆け付けて、消えた陽菜を一緒に探すつもりだったのだ。その決意が、夏美の中で一層強まっていた。
 きっと、同じ思いを持った者は多数いるに違いない。理不尽な運命を課せられた子供を救いたい。それは普遍的な感情であると、夏美は信じていた。

「あの、刑事さんだって警察の人なんだから、人を助けるのに別に文句とか無いですよね。それともまさか、こんな状況だってのに、帆高くんを逮捕する方が大事だとか言ったり……」
「言うか。そこまで空気読めない馬鹿じゃねえっての」

 だから、夏美には腑に落ちない。陽菜を救うべきであるという考えに対して、高井がどこか消極的であることに。
 彼は、陽菜の境遇を残酷だと思わないのだろうか。そこまで冷酷な人間であるとは思えず、それ故に尚更、高井の考えがわからない。

「……俺らはな、あの子『だけ』を特別に助けるわけにもいかねえんだよ」

 だけ、とはどういう意味なのだろうか。

「刑事さん、それって」
「待て」

 その真意の問いは、高井に遮られた。鋭さを増した目つきで、高井は前方を見つめている。
 緑の作業服を着た男が一人、ぽつんと立っている。表情が読み取れないのは、距離が空いているからか、もしくは彼に表情が無いからなのだろうか。

「おい、そこのあんた。こっちは警察だ……一応聞くが、人を殺ろうって気が無いなら、俺があんたを保護するんだが……」
「…………テスト、開始」
「は?」

 作業服の男の前に、突然眩い光の壁が現れた。壁は男の身体を通過し、一際輝きを増す。
 思わず細めた目をまた見開いた時、そこに男の姿は無い。
 代わりに立っていたのは、一体の獣だった。金色の隆々とした表皮と、大きな二本の赤い角。
 あれは動物ではない、猛獣でもない。
 まさしく。

「……怪獣?」


812 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:38:11 C58cFLpg0
 いわゆるヒーロー番組なら、夏美も何度か見たことがあった。
 画面の中の怪獣は50メートルくらいのサイズということになっているが、実際には二メートルあるかないかの着ぐるみでしかないことを、夏美は既に知っている。
 だから、こうして巨大でもなんでもない怪獣を実際に目にしてみれば、なんだ、全然巨大ではない、こんなの別に平気……

 ――咆哮が、響く。

 …………ああ、駄目だ。全然平気じゃない。
 圧倒的な強者であることを訴える空気の震えに、サイズの大小など問題ではないことをわからされる。あの怪獣はどんな挙動をしても、自分達を殺せるのだ。
 どしんと地面を抉る、一歩、二歩。速度を増す。夏美の五体を粉砕するための、突進の態勢だ。
 逃げなければいけない。わかっているのに、身体が動いてくれない。

「あ……」
「離れてろっ!」

 迫る怪獣との間に、高井が飛び出す。夏美を庇うように。
 突き出した頭部が、轟音と共に高井の身体と激突する。

「衝撃を貰って……」

 しかし、高井の死は訪れない。無事だった高井の右手の中には、一つの貝殻があった。
 その貝殻を、怪獣の腹に押し当てる。

「返すっ!」

 先程と同じ大音響が鳴り、怪獣は一気に後方へと吹っ飛んだ。
 高井も正反対の方向へ飛ばされる。悶絶の声を上げながら蹲り、痛ましそうに自分の右腕を抑えつけていた。

「い、っでえ…………折れたんじゃねえか、これっ!」
「……ねえ、今の何!?」
「『衝撃貝(インパクトダイアル)』だとよ……物理的な衝撃なら、防げる」
「よくわかんないけど、とりあえずあの怪獣倒せたのかな!?」
「無理だろ絶対。おい逃げるぞ、バイク出せ!」
「わかっ……あっ」
 
 起き上がった怪獣の、口内で赤い光が宿る。同じく赤く滾る瞳が、夏美達を見据えていた。
 怪獣といえば口から吐く光線だろうと、夏美は察した。
 高井に与えられた『衝撃貝』では光線も防げるのだろうか。望みを胸に高井を見るも、ただ立ち尽くしていた。ああ、無理ということか。防ぐ方法は、無い。
 バイクを発進させて、逃げるのは間に合うか。一直線に放たれた光線に背後から貫かれて、二人揃って丸焼きにされるんじゃないか。いや、直撃を避けられたとしても、道路の一部でも爆散させれば、あるいは周囲のビルに当たって瓦礫が降り注げば、そこで退路は塞がれて、あとは二発目の発射を待つのみだ。
 ……詰んでいるのではないか。ここで、夏美の人生は終わるのだろうか。

「刑事さん、早く……!?」

 エンジンが掛かったバイクに跨がる。せめて運に恵まれてくれと……絶望的に僅かな幸運祈りながら、後部座席に乗るはずの高井へ呼び掛けた。
 しかし、高井は応じない。バッグの中に『衝撃貝』を突っ込み、そのまま夏美へと渡すだけだった。

「……っおらああああぁぁっ!!」
「ちょっと……駄目っ!」
 
 叫び、高井は怪獣へと向かって駆け出した。
 ばしゃばしゃと水音が鳴る中、高井は怪獣へ飛び付く。両手で怪獣の頭に掴みかかり、懸命に振り回そうとする。
 怪獣の吐き出そうとしている光線を、夏美の方には向けさせないとばかりに。

「刑事さん!」

 指示の言葉も最早出てこず、ただ高井へと呼び掛けることしか叶わない。そんな夏美の方を振り向き、高井は叫んだ。
 俺を置いて、とっとと逃げろ。

 その、次の瞬間。
 高井の半身が、惨たらしいほど明るい輝きで焼き払われた。





813 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:39:06 C58cFLpg0
 ふと気付けば、そこは雨宿りにも好都合な廃倉庫の中だった。
 一心不乱にバイクを走らせ続け、ひとまず自分は怪獣から逃げ切っていたのだと、夏美はようやく認識した。
 高井は、死んでしまったのだろう。最後に見た彼の姿は、怪獣の光線に撃ち抜かれる様だった。あれで生き延びられるとは、到底思えない。

「見殺しにしたんだなあ、私」

 仮にあの場に留まったとしても、夏美に状況を打開できた見込みは無い。結果論で言えば、夏美一人でもこうして生き残っているのだから、最悪の事態は避けられたとも言えた。
 ただ、胸糞が悪いというだけのことだ。陽菜も助けるべきだと大口を叩いておいて、人一人を見殺しにしなければあっさり死んでいた自分自身の情けなさに。
 そして、自分のために犠牲となった高井という男について、大きな喪失感を未だ抱けずにいることに。

「……私、酷っ。ウケる」

 実のところ、夏美が高井と行動を共にした時間は、対面してからのせいぜい5分間だけであった。その中で夏美との世間話に興じたわけでもなく、どちらかというと夏美の方から喋っていた。
 そんな彼は、あの映画の中では脇役であり、態度の悪さ以外の人柄は、よくわからない。
 実のところ、夏美は高井という男についてほぼ何も知らない。知らないままに、高井とは今生の別れを迎えることとなった。

「ごめん陽菜ちゃん、帆高くん。しばらく待ってて」

 バイクから降り、座り込んで塞ぎ込む。今はむしろ、こうしていたかった。酒が手元にあれば、迷わず呷っているところだ。
 思い出すのは、一度も笑みを見せることのなかった高井の横顔。彼と交わした数少ない言葉も、記憶から手繰り寄せる。
 夏美なりの、追悼の儀式であった。陽菜と違い、この殺し合いの場では「大勢の犠牲者の中の一人」として扱われるだろう彼の死を、一個人として悼むためのものだ。
 自身が救われない結末を選択して逝った高井のことを、彼によって救われた夏美だけは、決して忘れるべきではないのだと思ったから。


【須賀夏美@天気の子】
[状態]:健康
[装備]:スーパーカブ110@天気の子
[道具]:基本支給品、衝撃貝@ONE PIECE、ランダム支給品0〜4
[思考・状況]
基本方針:帆高と陽菜ちゃんを助ける。
1:しばらく休む。
[備考]
※陽菜の消失後からの参戦です。






814 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:40:13 C58cFLpg0




 高井高司は警察官であり、その職務は万人を犯罪の魔の手から守ることである。
 神子柴の仕組んだ殺し合いにより不当に生命の危機に瀕した者達は、全て高井が守るべき人間だ。その中に、優劣は設けられていない。
 森嶋帆高と須賀夏美のどちらが優先して守られるべきかなど、高井は決める立場に無い。須賀夏美とまた別の何者かという比較であっても、同様だ。
 その原則はやはり、「天野陽菜とそれ以外を比較した場合、天野陽菜はいかなる条件があろうとも何者よりも優先して保護されるべきであるか」という問いにおいても、高井は首を縦に振らないという形で反映される。

 人の世からかけ離れた神様か何かの力によって犠牲となった天野陽菜の境遇は、確かに同情に値する。夏美の言う通り、善意ある者ならば誰もが多少なりとも同じ気持ちを持ったことだろう。
 そう、誰もが同じ気持ちなのだ。その背負わされた運命を「映画によって紹介された天野陽菜」に対して、同じ気持ちを抱くのだ。
 ……それならば、「映画に映し出されることのなかった者達」は?
 森嶋帆高が天野陽菜との甘い生活を送る間にも高井が警察官として向き合い、しかし映画の中ではコンマ一秒たりとも描かれることのなかった、顔も名前もない市民達の幸福は? 高井の手の届かぬ範囲に生じた犯罪の被害者達の無念は?
 天野陽菜の境遇は、確かに同情に値する。
 しかし、人は誰しも各々の事情を抱えていて、各々がそちらを最優先事項にしたとしても、それは当然と言えば当然の判断だ。
 仕事柄、多くの人生を見聞きしてきた。その上で万人の盾として生きることを今も選んでいる高井には、天野陽菜だけが特別視されるべきだとは、思えなかったのだ。

 そして、だからこそ、予感がした。いつか、天野陽菜が誰にも特別視されなくなる時が来ることの。
 実に屈辱的な話だが。超人が、怪獣が闊歩するこの街で、高井のように呆気なく摘まれる命の数は、これから更に積み重ねられることだろう。
 自分の命すら危ういことへの実感が強まるにつれて、このように思う者も、増えてしまうのだろう。

 どうして、こんな辛く苦しい目に遭ってまで、所詮は赤の他人の天野陽菜を助けようと躍起になっているのだろう。なんと馬鹿馬鹿しい、自分は映画を観て気分が浮かれていたのだ。

 だからこそ、今は思う。須賀夏美を救えて、良かったと。
 映画の存在や人柱の真相が云々とは無関係に、天野陽菜を友人として救うという理由を持つ人間だった。天野陽菜には、森嶋帆高以外にも、最後まで味方になってくれる人がいる。
 こんな考えを持っていること自体が、結局は自分も天野陽菜を強く意識していることの証拠なのかもしれないが、そうだとしても。彼女を救おうと足掻いてくれる誰かがいて、自分はその誰かを守れた。
 これで、良かったのだ。

「……くそ、が……」

 良いわけが、ない。
 自分は祠子柴を逮捕できず、夏美の保護という責務を誰にも後継できず、まだ見ぬ無数の市民を犯罪の危機に晒したまま、敗者として死んでいくのだ。
 半分消し飛んだ身体は、もうまともに動いてくれない。既に視界もおぼろげだ。
 それにも関わらず、また頭を殴られる。何度も何度も、殴られる。わざわざ鈍器を用意してまで、こいつは高井を徹底的にいたぶろうというのだ。
 その顔は見えない。しかし、どうせ汚い喜悦に歪んでいることだろう。
 残された僅かな時間で、血に染まっていく視界の中の犯罪者へ向けて、憎しみを視線に乗せてぶつけることしかできないのが、ただ、悔しかった。



【高井高司@天気の子 死亡】






815 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:42:50 C58cFLpg0





 逃走する須賀夏美を追うこともせずぼんやりと眺めていた怪獣の、その肉体の輪郭が歪む。ほんの一秒ほどで、怪獣はまた一人の人間の姿へと戻っていた。
 怪獣の名はスカルゴモラといい、そして怪獣へと変身していた青年の名は、カブラギ・シンヤといった。
 カブラギが明確な害意によって須賀夏美らを襲撃しておきながら、彼女らをあっさりと見逃したことに、深い理由は無い。
 つまらない。そう思っただけのことだった。

 不本意に巻き込まれた形だが、ゲームと名の付くものには違いない。勝ち残ってカブラギの元いた地球に帰るまでの過程を、きちんと満喫しておくに越したことは無いだろう。
 と、決めたはいいのだが、大きな困り事があった。さて、このゲームの適切な楽しみ方とはいかがなものだろうか。
 カブラギは、強者との間で鎬を削ることには快感を見出だせず、また自己の実力を高めることを追求する意欲も無い。
 弱者が蛆虫のように死んでいく様を眺めるのが滑稽であることには違いない。変身(ウルトラフュージョン)のテストも兼ねて、偶然見かけた人間達を早速手にかけてみたが……何もかもが規定路線というべき流れにしかならず、まるで気分が盛り上がらない。
 人間同士を扇動して自発的に殺し合わせるのが、最も性に合っているのだろう。しかし、世界中を巻き込む戦乱を引き起こすならともかく、せいぜい数十人で行う殺し合いは、さすがに規模が小さすぎる。やはり、盛り上がりには欠けるだろう。
 ……考えるのも億劫になってきた。自らプロデュースするゲームでないのだから、趣味に合わなくても仕方が無い。所詮は老いぼれの用意した二流の催しだ。程々に付き合うくらいにしておこう。
 そのように結論付けたカブラギの背後で、じゃぶ、と水音が鳴った。半身を焼いたリーゼント頭の男にまだ息があり、身動ぎしたというところか。
 しかし、その考えは正確ではなかったと、カブラギは振り向いた先の光景を見て知ることになった。リーゼント頭の男は確かにまだ生きていた。そして、彼の身体の上に、また別の男が跨がっていた。

「……少し、見ていてください」

 ただ一言、カブラギに告げたその男は、見たところカブラギと同じく二十歳前後で、黄色人種であった。日本人ではないようなので、ひとまず韓国人ということにしておく。
 両手で持っているのは、大ぶりの石だった。頭上に振り上げ、これからリーゼント頭の男の顔面めがけて叩きつけるつもりらしい。
 カブラギは言われた通りに観察を続けるが、韓国人の男は姿勢を硬直させたまま、一向に石を振り下ろそうとしない。それどころか、五体満足でなくなったリーゼント頭の男から目を反らそうとする様子すら見られる。雨音の中に、荒い息と細い息が溶けていくばかりだ。
 どうせ放っておいても死ぬだけの男と言えども、自ら止めを刺すのは躊躇されるのだろう。だったらわざわざ出てくるなと、カブラギは思う。
 弱虫。そんな言葉が、口をついて出ていた。
 韓国人の男にも聞こえたのだろうか。途端、激昂したような雄叫びを上げ、勢い良く石を投げ下ろした。石を拾って、二度、三度、四度と殴り付け、肉と骨の砕ける音が鳴る。
 リーゼント頭の男は、今度こそ完全に動かなくなっていた。
 この場合、キルスコアは一応は韓国人の男の方に付けられるのだろうか。人殺しデビューおめでとう、そんな賛辞の一つでも送ってやるべきか。

「俺も、ちゃんと殺せる。殺せた。なれたんだ、父さんと同じに」

 それはカブラギに語りかけているようで、男が自らに言い聞かせているようにも聞こえた。

「……あなたに、頼みがあります。僕と手を組んでくれませんか? 僕は、どうしても勝たなければいけないんです」

 なるほど、あの退屈な殺人劇は、同じくゲームの遂行に肯定的であるカブラギへ向けた自己PR活動のつもりだったらしい。
 男は、キム・ギウと名乗った。本当に韓国人だったようだ。

 それからいくつか言葉を交わし、ギウの考えを理解する。
 小間使いのような扱いでも構わないので、一人では勝ち目の無いゲームに勝ち残るために協力させてほしいこと。
 先着五名の報酬を得るためには、ただ森嶋帆高を殺すだけでは駄目で、競合するライバルも間引きする必要があるということ。
 無差別に人を襲えるようなカブラギのような人間こそ、むしろ適材であると判断したこと。


816 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:45:25 C58cFLpg0
「……さて」

 組むも組まないも、別にどちらでも構わないというのが本音であった。
 カブラギの中に、ギウに対しての殺意は無い。いてもいなくても、どちらでも変わらない。肉壁にできれば良さそうな程度の矮小な存在なのだから、同行するなら勝手にすればいい。
 結論は既に出ているのだが、退屈凌ぎにもう一つ聞いてみることにした。

「森嶋帆高が実際にこの場にいるとして、だ。そいつを殺すことに、良心の呵責というやつは無いのか? お前が今殺した男と違って、まだ子供だろう」

 その問いに、ギウはぎっと歯を食い縛った。爆発しそうな何かを、押さえつけるように。

「……僕は、森嶋帆高こそ、誰よりも死ぬべき人間だと思っています」





 貧しい生活を送る少年達の姿に共感を抱いていた。そんな自分自身すら、すぐに悔いる羽目になった。ある段階から、映画鑑賞の時間はギウにとって耐え難い苦痛へと変化していた。
 脚本の出来が気に食わないのではない。映画の中盤で、水害の発生を描いた場面があったことが原因だった。

「あの映画の通りなら、東京はやっと晴れに恵まれた。みんな、やっと雨から解放された」

 森嶋帆高の雇われていた事務所の在処は、半地下だった。
 当然のように浸水による被害を大きく受けることになったが、足元まで浸かるほどの水が貯まった、それだけで済んでむしろ幸運だ。雨天がもう何日か続けば、事務所は使い物にならなくなっていたのだろう。
 東京という街で同じように水に住処を脅かされた人間は、沢山いたはずだ。生活に関わる家財を損壊した人間も、救急体制の逼迫により生命の危機に瀕した人間も、恐らくはいたに違いない。
 そんな苦境から、人々は救われたのだ。

「なのに、森嶋帆高は天野陽菜をまた世界に呼び戻そうとしている。また、雨を降らせようとしている」

 天野陽菜の犠牲が無ければ更なる深刻化が必至であった事態は、しかし、劇中で注力して描かれることは無かった。
 森嶋帆高が天野陽菜との再会のために駆け出したシーンに至っても、彼の選択に伴う代償の重みを説ける人間など、登場する余地が無かった。
 映画の主題は、あくまでも少年と少女の愛。森嶋帆高の物語において、キャスト名を与えられなかった無数の人々が雨によって被る苦しみは、ただの些事だ。
 少なくとも、ギウはそのように受け取っていた。

「家族の思い出が詰まった我が家が、糞の混じった泥水に埋められていく時の気持ち、わかるりますか? ……わからないでしょうね。森嶋帆高には、絶対に」

 物語が佳境に入った頃合いで、映画の上映は中断された。むしろ幸運であった。激昂も吐瀉物も、口からぶち撒けずに済んだのだから。
 そして、老婆から殺し合いを命じられた。正確には、森嶋帆高の討伐の是非を巡り、結果的に生じることが予想される殺し合いだ。
 須賀夏美は、紛れもない本人がこの街に存在していることが確認できた。それならば、森嶋帆高も同じくどこかにいるのだろう。
 ギウは、問いかけられている。今もなお天野陽菜を救おうとしているのだろう森嶋帆高は、生きるべき人間か、死ぬべき人間か。

「このゲームを終わらせるためなら、森嶋帆高を殺して良い? 願いだって叶えてくれる? 好都合ですよ。僕はむしろあの婆さんに言いたいくらいだ」

 この殺し合いは、誰かが死なねば終わらない。終わった時、ギウの立場はどうなるのだろうか。
 無垢な少年を見殺しにした男? 殺人を犯した男? どんな形であれ、また罪人となるのが確定したということなのだと、ギウは理解した。
 家族のために、真っ当なやり方で金を稼ごう。そんな「計画」は、もう破綻してしまったのだ。こんな殺し合いが始まったせいで。森嶋帆高が、いるせいで。
 だったらと、ギウは願う。
 家族四人での裕福な暮らし。どんな雨嵐にも脅かされない、地上に建てるマイホーム。もう誰にも蔑まれることのない、こびりついた「半地下の臭い」を綺麗に除去した身体。そんな幸福を、どうか俺にください。
 だったらと、ギウは呪う。
 もう二度と晴れなくたっていいと、映画のクライマックスではさぞかし情熱的に宣言することだろう森嶋帆高よ、報いを受けろ。もはや僕の同類ではないお前に、情状酌量の余地など与えない。死という形で、お前は未来に犯す大罪への償いを、今、果たすのだ!


817 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:46:26 C58cFLpg0
「僕の、社会の……この星の敵を殺す機会を与えてくれて、心より御礼申し上げます、ってさ!」

 天を仰いでの高らかな叫びは、ギウによる新たな「計画」の始まりの宣言であり。
 私怨や自嘲や諦念といった感情が歪んでごちゃ混ぜになった末に排出された、ゲームマスターである神子柴に対する敬意(リスペクト)の表明だった。
 雨粒に混じり、涙がギウの頬を伝っていた。泣き笑いの表情が形作られていた。

「…………この星の敵、か」

 ギウの思いの丈を聞き届けたカブラギは、一つのフレーズを反芻する。
 やがて、口許を緩ませて。耐えられなくなったのか、大声で馬鹿笑いをし始めた。

「いい、いいな! 気に入ったよギウ。森嶋帆高への報復、面白い」

 突然に機嫌を良くするカブラギを前に、ギウはむしろ困惑をし始めていた。
 ……実のところ、カブラギが他人の抱える動機に対して関心を持つタイプの人間だとは予想していなかった。
 須賀夏美らを襲ってから取り逃がすまでの一部始終を、ギウは陰から眺めていた。自身の姿を透明化させる不思議なマントを支給されたおかげで、気配を察せられることなく済んだのだ。
 夏美らを追うのではなくカブラギへの接触を図ることにしたのも、単にカブラギが人外の強さを持っていて、また殺し合いに対して明らかに肯定的であると思われたからというだけのことだ。
 しかし明らかに好戦的な人物であり、交渉が成立しないとしても仕方無い、その程度の思いで臨んだ共闘の提案であったのだが……意外なほどに、話は好転していた。

「……本当に、いいんですか? 僕はあなたに、メリットを満足に提供できていない」
「これから頑張ってくれれば十分だ。それに、ただ勝つだけじゃつまらないと思っていた俺にとって、今のお前は面白い。力を貸すのも、悪くない」

 人の心のわからない怪物かと思っていたが、奇妙なところに楽しみを見出だす男のようだ。彼にとって何がどう面白いのか、ギウにはわからない。
 いや、わからなくても良いのだろう。ギウの目的にカブラギは好感を抱き、協力を受け入れてくれた。親しげに、肩に手を乗せてくれている。それが、今ここにある事実なのだ。

「一緒にやろうか。バトルロワイアルってやつをな……ああ、そうだ。その前に一つ、お前に詫びておく」
「詫び?」
「須賀夏美を取り逃がしたこと、悪かったよ。次に会ったら、ちゃんと殺す。あの女の首を森嶋帆高の前に放り出して、お前の怒りをわからせるためにも、な?」
「……ははっ」

 森嶋帆高ばかりに気を取られて、すっかり忘れていた。家族のように親しく接していたあの女も、結局は森嶋帆高の同類じゃないか。
 このことを思い出させてくれる、怒りの火に薪をくべてくれるカブラギの言葉に、ギウは打ち震えていた。






818 : エキストラ ◆SrxCX.Oges :2021/02/13(土) 10:47:18 C58cFLpg0

 ところで。
 ギウとの協力を受け入れたカブラギだが、実はギウに明かしていない情報がある。自らの素性についての話だ。
 カブラギ・シンヤは、実はカブラギ・シンヤではない。
 カブラギという偽名を使っているとか、カブラギという人物に変装しているという話ではない。肉体も戸籍も、間違いなくカブラギ本人のものだ。
 カブラギという人間が、宇宙から飛来した別の生命体に寄生されて肉体の主導権を奪われたため、現在もその生命体がカブラギとして活動している状態である、というのが真相である。
 カブラギの体内に巣食っている地球外生命体の名を、寄生生物セレブロという。
 退屈を持て余していた中でセレブロが出会ったのが、キム・ギウという男だった。
 彼は、セレブロに森嶋帆高の殺害を持ちかけた。その動機を簡単に言えば、逆恨みだ。本来ならば瑕疵を突くのも容易い程度の、感情任せの理屈だ。
 ギウが何故これほどまでに殺意を滾らせているのかといえば、つまり、直前まで観ていた映画に感化されているというだけのことだ。
 映画の主役として活躍した森嶋帆高に、とても夢中になっている。だから、映画に一秒たりとも登場しないカブラギ・シンヤの人間性になど、ギウは興味が無い。

 愛のために都市を水底に沈めようとする少年を、その手で殺すために。
 享楽のために地球を火の海に沈めようとするエイリアンを、「寄生先」に選ぼうとしている。
 そんな構図になっていることにも、今のギウは気付いていない。

 とても気に入った。
 人類という総体が持つ愚かしさにしか興味が無かったセレブロに、個としての愚かしさを見せつけたギウという男は、いっそ感謝の対象ですらあった。
 矛盾を抱えたまま、瞬間的に沸いた殺意に呑まれ、人生を転落させていく。生ける喜劇として消費するには、うってつけではないか。
 ギウをどのように動かすか。いかに手を汚させるか……どのタイミングでセレブロとしての正体を明かせば、ギウを最も驚かせられるか。夢想するのが、楽しくてたまらない。
 言うなれば、キム・ギウ破滅ゲーム。
 全員で楽しむ殺人ゲームと同時に進行する、セレブロのためだけのゲームの始まりだ。

「キエテ・カレカレータ(いい気分だ)」

 その呟きは、雨音の中に掻き消され、ギウの耳には届かなかった。



【カブラギ・シンヤ(+寄生生物セレブロ)@ウルトラマンZ】
[状態]:健康
[装備]:ウルトラゼットライザー&メダル各種@ウルトラマンZ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:ゲームを楽しんで、勝ち残る。
1:ギウと行動しながら、ギウを弄ぶ。
[備考]
※第7話終了後からの参戦です。
※寄生生物セレブロに肉体を乗っ取られている状態です。カブラギ自身の意識は無く、思考は全てセレブロのものです。
※保有しているウルトラメダル・怪獣メダルは以下の通りです。
 ウルトラマンベリアル・ゴモラ・レッドキング・エースキラー・エレキング・キングジョー・ゼットン

【キム・ギウ@パラサイト 半地下の家族】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、サータンの毛皮@ウルトラマンZ、山水景石@現実、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:参加者を減らした上で、森嶋帆高を殺してゲームに勝ち残る。
1:カブラギと行動する。
[備考]
※エンディング後からの参戦です。


・支給品紹介
【ウルトラゼットライザー&メダル各種@ウルトラマンZ】
M78星雲・光の国で開発された変身アイテム。
手斧のような形状のウルトラゼットライザーに、ウルトラメダルまたは怪獣メダルをセットして読み込むことで、メダルに宿した力に基づいた変身(ウルトラフュージョン)が可能になる。
支給された7枚のメダルは、組み合わせ方により「スカルゴモラ」「サンダーキラー」「ペダニウムゼットン」への変身が可能。
変身後の姿は全長約2メートル級になるよう制限を課せられている。
カードによる認証機能が設定されているため、カブラギ以外には使用できない(別の人物が使用するためには、認証用のカードを新たに生成する必要がある)。

【サータンの毛皮@ウルトラマンZ】
忍者怪獣サータンの毛皮を用いて作ったマント。
いわゆる透明マント。身に着けている間、姿が見えなくなる。

【山水景石@現実】
水石とも呼ばれる観賞用の石。とても象徴的な見た目をしている。
れっきとした本物の石なので、水に浮いたりしないし、殺傷性のある鈍器としても使える。


819 : 名無しさん :2021/02/13(土) 10:48:24 C58cFLpg0
投下終了します。


820 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/13(土) 15:18:55 TadcZ4xs0
投下します


821 : 忍者と魔女 ◆2dNHP51a3Y :2021/02/13(土) 15:20:06 TadcZ4xs0
「はて、このような摩訶不思議な事が起きようとは――この璃刃壊左、長生きはしてみるものですなぁ」

雨降る空の下、どこかの店の外よりその光景を見つめるは、丸い片眼鏡を掛けた一人の老翁。その礼儀正しき仕草に隠れ、相応の実力者であることを感じさせる
かの者の名、璃刃壊左。東京の治安を守りし帝都八忍が一人

「然し、かの老婆、神子柴と申しましたか。まさか死者の黄泉還りをも容易く成そうとは。――先の彼女や、この身のように」

璃刃壊左は既に死んだ身の人間であった。極道共の悪だくみを察知し、それを止めんがために極道共を鏖に向かい、新種の麻薬(ヤク)らしきものを服用した「きわみ」なる男にあと一歩及ばず、せめてものとばかりに仲間たちに後を託し、この身は自爆したはずであったが
目が覚めれば可笑しな映画を見せられ、そして殺し合いを命じられる。いくら忍びの技とて人を黄泉還らせるのは不可能

「此度の件。どうやら解決には一筋縄では行かないようで」

90年以上生きてきた璃刃壊左にとっても、このような出来事や催しなど前代未聞である。だが、都市を守る忍者
として、巻き込まれた民は守り、同情の余地無き悪人は殺す
そして最も重要であり、自分たちの命運を握っているであろう森嶋帆高の保護も

「――さて、そちらはどう思います哉。クラウゼア殿?」

壊左が声をかけた方に居たのは、座席に座る『クラウゼア』と呼ばれた女性。全身漆黒の闇色マント、頂点に向かって尖った鍔広の黒帽子。闇色の装飾よりも美しき濡烏羽色の長髪
彼女の名は『クラウゼア・鳳・オリハルゲルド』。オルハルコン大陸に存在『した』小さな国カライルーズを護ってきた魔女である

「――そうね。『魔女』として意見があるなら、あの殺された女が戦ってた魔物みたいなのからは魔力を感じたわ。最も、死者の蘇生なんて、いくら魔法と言えど不可能に近いわ」
「不可能に近い――ということは『不可能ではない』とも受け取ってもよろしいと?」
「どうかしら。寿命を伸ばす秘薬はあっても、不死を得る魔法なんて聞いたこと無いから」

冷めた表情と訝しむような視線を壊左に向けながらも意見を口にする魔女クラウゼア。正直な所、クラウゼアにとっては壊左という男に対し、この殺し合いに巻き込まれる経緯も含めて複雑な感情を向けていた
まずこの二人が出会った経緯からして、壊左の忍びとしての雰囲気を感じ取ったクラウゼアが彼の気配に気づいたことによるもの

「やはり、私の事が信用でき無いようですな。ですが、仕方のないことでございまする。初対面で顔も知らぬ者同士、そう簡単に信頼できる関係になるとは思ってはおりませぬ」
「………」

まるで心の内を見抜かれたがの様な壊左からの発言に思わずクラウゼアの口が止まる
クラウゼアはある男の奸計により冤罪を被せられ、ヒトモトの忍者イヌワシによって魔法を封じられ、悪魔審問に掛けられた
全てはカライルーズ取り込もうと暗躍せし軍事大国ドラケニアの密使たる宰相ガギロギアによる陰謀。刻み込まれた快楽に溺れ、殺されそうになった寸前、死にたくないと願ったクラウゼアに死した母の守護魔法が発動。召喚された黒竜と、どこからともなく現れた敵兵によるカライルーズ民の虐殺を他所に脱出
その途上敵兵に捕まり犯さる、かつて自分を無力化した忍者イヌワシによって救われ、イヌワシを追いかけ母の故郷へ向かおうとした途端に巻き込まれたのがこの妙な催しだ
クラウゼアとてこの様な催しを許容できるような冷酷な人物ではない。騙されてたとは言え自分を追い立て辱めた市民たちが目の前で陵辱され命を奪われる様を見て胸を痛める程度には良識のある人間でもある
だからこそ、早急にこの催しを止めて元の世界への帰還、そして暴走の可能性のある帆高を早い段階で捕獲しなければという心情にも駆られている

「ごめんなさい。私、忍者のせいで酷い目にあって、逆に忍者のお陰で助かった。そんな出来事があったらどうにも忍者ってだけで疑り深くなっちゃうの」

だが、目の前の忍者はイヌワシとは違う、さらに言ってしまえばヒノモトや他の国でもない。クラウゼアからすれば未知の世界から来た、未知の人物だ
頭では分かっていながらも忍者というだけで疑ってしまったことに思わず謝罪するクラウゼア。さっき壊左が言った通り、顔も知らない初対面同士がそう簡単に信頼できるわけもない訳ではあるが……


822 : 忍者と魔女 ◆2dNHP51a3Y :2021/02/13(土) 15:20:22 TadcZ4xs0
「いえいえ、元よりそう容易く事が運ぶとは思ってはおりませぬので。それに、この下賤な催し、もしやすれば忍者坊や他の忍者も巻き込まれ、既に動いておられるかもしれぬで御座います」

壊左から出た言葉はクラウゼアに対しての気遣い、そしてありきたりながらも仲間に対する信頼の証

「それに、こうして命が続いているのであれば、この私めの入魂の洒落(ギャグ)を聞いて頂く為にも、ここで命落とすつもりはありませぬ」
「ギャグ……? ええと、それって……?」

壊左の言葉に思わずキョトンとなってしまう。恐る恐る内容を聞いてみれば





「―――アルミ缶の上にあるミカン」




風が、吹いた。恐ろしく寒気を感じる風を、クラウゼアは感じた
―――全く面白くない!などと叫ぼうと思ったが、そのあまりにも違いすぎるギャップに思わず

「……ふふっ」
「どうやら気に入ってもらえたようですな。これならば忍者坊も爆笑必至と、私めも考えたのです」

少しばかり吹き出した。壊左のどことなく嬉しそうな表情から、思わず言おうとした言葉は胸に仕舞い

「いいんじゃないの? その忍者って子が誰かは知らないけど、笑ってくれるんじゃない?」

などと、魔女は久しぶりに笑顔で喋っていた



かつて国を護り、国に裏切られた魔女。そして国と手を切り、己が正義に準じ民を護らんとする忍者
世界と越えた出会いが二人に何を見出すか、雨降らす天は、まだ何も知らない


【璃刃壊左@忍者と極道】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴を倒し、催しを止める
1:森嶋帆高の保護
2:もし忍者坊ら他の忍者がいるならば合流。極道共は鏖でございます

※参戦時期は死亡後

【クラウゼア・鳳・オリハルゲルド@高貴なる魔女クラウゼア 淫堕の異端審問】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界に帰る
1:森嶋帆高の早急は捕獲

※参戦時期はエピローグ後


823 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/13(土) 15:20:33 TadcZ4xs0
投下終了します


824 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:33:19 rtnI/2w.0
投下します


825 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:34:25 rtnI/2w.0
雨に打たれる路上で金髪の女と大きな口を持つ花のような怪物が対峙していた。

女の腰には特殊な形状をしたバックルのベルト――変身ベルトが巻かれていた。
その変身ベルトの名は戦極ドライバーといった。

「変身」

『リンゴォ!』

女は手に変身のためのアイテムである禁断のリンゴロックシードを持ちこれを開錠する。

『ロックオン カモン!』

ロックシードはベルトの中央にセットされカッティングプレートを押し下げらることで開かれる。
女の頭上に時空の裂け目であるクラックが開き、そこから先ほどのロックシードに対応するアームズが出現する。

『リンゴアームズ!デザイア フォビドゥン フルーツ♪』

リンゴアームズは女の頭から被さり鎧として展開する。
女はアーマドライダーイドゥン、もしくは仮面ライダーイドゥンと呼ばれる戦士へとその姿を変えた。

イドゥンの手元にはアームズウェポンであるアップルリフレクターという盾が出現する。
そのアップルリフレクターからもう一つのウェポンであるソードブリンガーという剣を引き抜き、構える。

「ハアアアアア!!」

イドゥンは剣を持ちながら怪物へ向かって突進する。
そして勢いをつけたまま怪物に向かって剣を横向きに一閃する。

だがその攻撃はあっさりとジャンプで躱された。

「ぐうっ!」

怪物はジャンプ後、空中でイドゥンの頭上をそのまま通り、ついでと言わんばかりに自らが生えている植木鉢を頭に叩きつける。

「せいっ!やあっ!たあっ!」

イドゥンは後ろに回り込んだ怪物の方へすぐさま振り向き、連続して攻撃を行った。
だが、それらの攻撃も相手に当たることはなかった。
むしろ攻撃しようとするたびに隙を狙われて反撃をくらう。

イドゥンがどんな攻撃を仕掛けようとしてもヒットすることは一切なかった。
対して怪物はその赤と白の水玉模様の頭のような花、牙の生えた大口、手のように扱う葉、その他様々な彼?にできる手段によって攻めていった。
戦いはイドゥンが劣勢のまま続いていった。

×××

「ハア…ハア…」

戦いが始まってから少なくとも20分は経過しただろうか。
その間、イドゥンから怪物に向けての攻撃が届いたことは一度もなかった。


826 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:35:24 rtnI/2w.0
それに対し、怪物の方は…

口から毒ガスを吐いてみたり、
とげ付き鉄球を出してぶつけてみたり、
ちょっと火を噴いてみたりと、
もはや自分に可能な攻撃はほぼ全て行えたと言ってもいいほど戦いは常に優勢であった。
止めを刺すつもりで強烈な攻撃もくらわせた。

だが、どれだけダメージを与えてもイドゥンはまだそこに立っていた。
この30分間の攻勢で変身解除されることもなかった。

「ふっ、ふふふ、どうしたモンスター、その程度か?」

少なくないダメージが蓄積され、体をよろめかせながらも彼女はまだ戦いを続けるつもりでいる。
これで相手が人間だったのならイドゥンのその諦めていないような姿に困惑することがあるかもしれない
が、怪物の表情に変化はなくどんな気持ちで彼女を見ているのかは分からない。

「次はその茎を伸ばして私の体に巻き付くつもりか?それともその大口で私を丸呑みにするつもりか!?」

イドゥンは突如、興奮しながら声を上げた。

「あの口の中に入ったら私はどうなってしまうのだろうか…きっと粘液まみれのぐちょぐちょな状態に…フ、フフフ、フフフフフ!」

自分が追い詰められている戦いの中、イドゥンの笑い声には明らかに喜びの感情が含まれていた。
本来、このライダーに変身した時に起こる副作用について知っている者がこの光景を見たら何かの異常事態が起きていると思うだろうか。

だが、こうなるのはある意味必然なことである。
この場でイドゥンに変身している女の名はダクネス、アクセルの街で随一のドMクルセイダーである。

×××

ダクネスはこの殺し合いには騎士として乗るつもりはなかった。
最初は森嶋帆高の保護のために動いていたダクネスだったが移動する途中で先ほどの怪物を見つけてしまった。
これをダクネスは冒険者として退治しようとしたのだ。


827 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:36:38 rtnI/2w.0
…いや、彼女には自分がその怪物を倒せないことには初めから気付いていた。
自分の不器用さにより攻撃が全く当たらないことは彼女自身がよく分かっている。
この場には頼れる仲間であるカズマ、めぐみん、アクアもいない。
それでも立ち向かったのはその初めて見る怪物がどんな攻撃をしてくるか、そういったことに興味をひかれたからだ。
なぜなら、先ほども述べたようにダクネスはドMだから。
それはもう、自分を冒険パーティに入れてもらうようにするためのアピールの際に遠慮なく盾にしてくれと言ってしまうほどである。
彼女による変態発言は他にも存在するがここでは割愛する。

もちろん人を襲いそうな怪物を倒すという意思もある。
それはそれとして相手がどんな攻めをしてくるのか興味がある。
だから彼女は自分が攻撃されることを想定して戦いを挑んだ。

そんな彼女に支給されたアイテムが戦極ドライバーと禁断のリンゴロックシードであった。
禁断のリンゴロックシードは通常のロックシードよりも危険なアイテムである。
これをアーマドライダーへの変身のために使用すると肉体を蝕まれていくのである。
戦極ドライバーの使い方やロックシードの危険性については説明書に書かれていた。
このことを知った時、ダクネスはこう思った。

(これを使ってしまったら私は一体どうなってしまうんだ!?)、と。

彼女は変身による負荷というものに興味を持ってしまった。

こうしてダクネスは現在、唯一彼女が持つ戦うための手段であるイドゥンの力で怪物退治に乗り出したのだった。
そして目論見通り、彼女は変身の副作用で体を痛めつけられながら、手も足も出ずに追い詰められていった。
盾は一応持ってはいたが普段彼女が扱うのは両手剣だからなのかあまり使いこなせていないしそもそも体を守るために使おうとしない。
仮面の下で見えることはなかったが、戦っている間ダクネスは痛みにより常に恍惚の表情を浮かべていた。
この戦いでダクネスは十分に喜び…否、悦びを得ることができたのであった。

×××

ここで一旦、視点を怪物の方へと変える。

タイトルと特徴から察することもできるだろうが、ダクネスと戦っていた怪物の正体はパックンフラワーである。
それもただのパックンフラワーではない。
大乱闘スマッシュブラザーズに参戦するための特別なパックンフラワーなのである。


828 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:38:57 rtnI/2w.0
そんなパックンフラワーはこのバトルロワイアルのことをあまりよく理解できていない。
せいぜい優先して狙うべきなのは森嶋帆高だという認識があるだけである。
彼はスマブラのためのパックンフラワー…大乱闘に勝利することが存在意義となる。
そのため彼の目的はただひたすら自分の敵を倒すこととなっていた。

大乱闘においては敵を場外まで吹っ飛ばすことが撃破することとイコールとなる。
このバトルロワイアルにおける場外がどこからで誰が自分の敵なのかは分からないが、とにかく出会った者を片っ端から吹っ飛ばすつもりであった。
そんな折に自分に挑んできたのがダクネスであった。
当然、彼女は吹っ飛ばすための対象となった。

戦いが始まった後、これまでに述べたようにパックンフラワーの方が常に優勢にあった。
だが状況は彼が望むものにはなかなかならなかった。

ライダーに変身したダクネスにどれだけ攻撃を浴びせても彼女が大きく怯むことはなかった。
通常必殺技のシューリンガンをぶつけてみても、スマッシュ攻撃をしてみても、変身解除させることもできず、大きく吹っ飛ばすこともできなかった。
これはきっと変身によるスペック向上だけでなくダクネス自身が元々持つ力も相乗されているのだろう。
パックンフラワー単体での攻撃はまだしばらく耐えることができるのだろうか。

それと同時にパックンフラワーは相手が攻撃を全く当てられないことにもさすがに気付いていた。
そして攻撃するたびに喜んでいることにもうすうす感づいていた。
これらのことからパックンフラワーはこの戦いを終わらせるためにある手段をとることにした。

×××

「そ、それはなんだ!?」

パックンフラワーがデイパックから取り出したものを見てダクネスは思わず声を上げる。
それは野球のバットであった。

「その黒く長く太く硬そうなもので私をどうす『カキーン!!』

ダクネスが何かを言う前にパックンフラワーは近づき、その隙に思いっきりバットを振りぬいた。
バットに打たれた瞬間、ダクネスにはこれまで味わったことのない感じの衝撃が走る。
これまでそれ自体の性能とダクネスの精神力により攻撃を耐えてきたアーマドライダーの装甲もついに限界が来て変身解除されてしまった。
そして彼女の体は凄まじい勢いをつけ、そのまま空の彼方へと吹っ飛んで行った。


829 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:40:31 rtnI/2w.0
パックンフラワーが使用したアイテムはスマブラでもおなじみのホームランバットである。
表情は仮面によりよく見えなかったが、こちらが攻撃するたびにする相手の反応にパックンフラワーはあるキャラクターを思い出した。
それはバットと同じくスマブラアイテムのサンドバッグくんである。

サンドバッグくんは先ほどまで戦っていた相手と同じく、攻撃するたびに喜ぶような反応をする。
特に彼を吹っ飛ばし役として用いるホームランコンテストでは吹っ飛ばされた後、頬を赤く染める。
だからどんな攻撃にも耐えて見せたダクネスも彼と同じようにホームランバットで吹っ飛ばしてやることにしたのだ。

とにかく、こうしてパックンフラワーは強敵というよりはうっとおしいという感じの敵を撃退することができた。
次の獲物を探すためにパックンフラワーはその場をあとにした。

×××

だが、パックンフラワーは1つだけ気付いていないことがある。
広大な会場を持つバトルロワイアルにおいて場外負けがルールとして設定されることは基本的にないのだ。
生か死か、それがバトルロワイアルでの勝者と敗者の違いとなる。
そのため、先ほど吹っ飛ばしたダクネスもまだ生きているため敗北したとは言えない。

彼のようなスマブラファイターは基本ダメージ蓄積により吹っ飛びやすくなるのだが、この場でそのシステムは採用されていない。
そのため、ここでは体力制が彼のような存在に対するダメージシステムとして設定されている。
さすがに実際にダメージを受ければそのことに気付くだろうが、先の戦いでそういったことは起きなかった。

この勘違いに気付かぬ限り、きっと彼の優勝は遠くなるだろう。

【パックンフラワー@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL】
[状態]:残りHP200、ストック1
[装備]:ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:敵を倒して優勝する
1:森嶋帆高を優先的に狙う
2:他の参加者もできるなら倒す
※自分が体力制になっていることに気付いていません。
※ダメージによりHPが0になると死亡します。

【ダクネス@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:ダメージ蓄積(大)、興奮
[装備]:戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、禁断のリンゴロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:騎士として殺し合いには乗らない
1:すごい…衝撃…だった…
※参戦時期は少なくともカズマのパーティに入ったよりは後。
※映画『天気の子』にアクア(のコスプレイヤー)がいたことに気付いているかどうかは不明です。
※どこまで吹っ飛ばされるかは分かりません。


830 : 対決! P・フラワー VS M・ナイト! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:41:37 rtnI/2w.0
【戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
ロックシードを装填することでアーマドライダーに変身するために用いるベルト。
装着者が手に取ったヘルヘイムの果実をロックシードに変化させる機能なども備えている。
本来はイニシャライズという機能により最初の使用者にしか使えないのだが、この場においては誰でも使用できるようになっている。

【禁断のリンゴロックシード@仮面ライダー鎧武】
錠前型アイテムのロックシードの一種。
戦極ドライバーへの装填により、リンゴアームズを呼び出す。
初めて完成されたロックシードであるのだが、使用者の肉体を蝕むという副作用を持つ。
これによって変身したアーマードライダーイドゥンは限定的なクラック操作能力を持ち、ヘルヘイムの植物を操ることができる。
クラック操作能力によりヘルヘイムの森へ行く場合、そこにいられる時間は最大15秒に制限される。

【アップルリフレクター@仮面ライダー鎧武】
ゴールデンアームズまたはリンゴアームズのアーマドライダーが召喚、使用するアームズウェポン。
使用者を護る堅牢な盾で、敵に叩きつけてダメージを与えることも可能。
赤く分厚い装甲板「リフレクラスト」は、攻撃を受け止めた際の衝撃を分散する効果を持つ。

【ソードブリンガー@仮面ライダー鎧武】
ゴールデンアームズまたはリンゴアームズのアーマドライダーが召喚、使用するアームズウェポン。
先端の二股に分かれた刃の間からエネルギーを発生させ、刀身を覆って強化することが可能。

【ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL】
スマブラシリーズ全てに登場する打撃アイテム。
このアイテムによるスマッシュ攻撃は隙が大きいが極大なふっとばし力を持つ。


831 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 18:44:10 rtnI/2w.0
投下終了です。


832 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/13(土) 22:07:26 rtnI/2w.0
すいません。今日投下した話の状態表について修正があります。

【パックンフラワー@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL】
[状態]:残りHP300、ストック1
[装備]:ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:敵を倒して優勝する
1:森嶋帆高を優先的に狙う
2:他の参加者もできるなら倒す
※自分が体力制になっていることに気付いていません。
※ダメージによりHPが0になると死亡します。
※ダクネスを倒したと思っています。

失礼しました。


833 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 22:28:41 TT7ChCL20
自作「虹を目指して」にて、一部の誤植を修正させて頂いたことを報告します。

そして投下します。


834 : 彼の名は ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 22:30:35 TT7ChCL20
 雨が降り続ける街の一角にて、彼は佇んでいた。
 気が付いたら、既に見知らぬ映画館に連れてこられてしまい、よく分からない映画を見せつけられた。男女の色恋沙汰にはまるで興味がなく、退屈極まりなかったが……その後に突き付けられた殺し合いには胸が躍った。
 しかも、ルールはあの映画に登場した帆高を捕らえること。生死に関係ないなら、帆高を殺しても構わないようだし、他の参加者達を殺しても問題ない。
 ならば、殺し合いに乗らない理由などなかった。


 雨が降り続ける街の一角にて、彼は笑っていた。
 一見すると、金髪であることを覗けば、彼はどこにでも見られる少年だろう。
 しかし、彼は普通の人間ではない。人間社会に害を成す極道(ごくどう)のカリスマである“破壊の八極道”の一人にして、殺人の王子様(コロシのおうじさま)と崇められた少年……ガムテ。いや、輝村照。
 通り名の如く、ガムテは数多の命を奪っていた。これまでの食べたパンの数をわざわざ覚えないように、彼の手にかかって命を落とした人間の数は計り知れない。


 雨が降り続ける街の一角にて、彼は走っていた。
 常に脳ミソが限界までイカれたガムテであっても、今が楽しい死亡遊戯(ゲーム)の真っ最中であることくらいは理解できる。
 また、神子柴と呼ばれた老婆が吐き気を催す程の悪意を秘めていることも、理解できた。底知れぬ悪意を潜ませたガムテすらも、息を呑むほどに。
 神子柴によって用意された首輪の威力は計り知れないだろう。それこそ、極道(ごくどう)であるガムテの命すらも、ほんの一瞬で奪い取れるはずだ。
 お前はもう、死んでいる……この首輪が付けられている限り、その運命からは逃れられない。
 だが、ガムテは微塵も臆さなかった。陽菜に会おうとする帆高を殺しさえすれば、その時点でゲームが終わるのだから。


「でも、すぐに殺してゲームクリアはもったいない〜☆」


 雨が降り続ける街の一角にて、彼は思いついた。
 せっかくの素敵なゲームを用意されたのだから、存分に楽しまなければ損をする。恐らく、この街には忍者と極道に匹敵するような連中がいるのだから、そいつらと思いっきり殺し合いをしたかった。

「決めた決めた☆ まずは帆高を探さないと☆ そして、帆高を利用して死亡遊戯(ゲーム)をもっと楽しくしてやるんだ☆」

 雨が降り続ける街の一角にて、彼は決めた。
 まずは帆高を生け捕りにして、彼を餌に他の参加者をおびき寄せてやればいい。帆高を殺そうとする参加者と、帆高を助けようとする参加者の両方が集まるのだから、死亡遊戯(ゲーム)を盛り上げることができる。


835 : 彼の名は ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 22:33:08 TT7ChCL20

「帆高をエサにすれば、みんな集まってくる☆ そうすれば、みんな大盛り上がり☆」

 もちろん、帆高は逃げられないように両足を潰してやればいい。人質になった帆高は、陽菜を救えないままゲームオーバーだ。
 タイムリミットを迎えた後は彼を始末して、めでたくガムテは報酬を貰えばいい。

「おっと? そういえば、他に誰がいるのかな……」

 雨が降り続ける街の一角にて、彼は足を止める。
 そして、片手だけでデイバッグから名簿を取り出した。忍者との戦いで手を潰されてしまったが、特に問題ない。
 参加者名簿を開いた瞬間……ニィ、と彼は不気味な笑みを浮かべた。


 雨が降り続ける街の一角にて、悪意を蠢かせる彼の名はガムテ。
 またの名を輝村照(きむらてる)。殺人の王子様(コロシのおうじさま)にして、輝村極道(きむらきわみ)の息子である極道(ごくどう)だった。


【ガムテ(輝村照)@忍者と極道】
[状態]:健康、片手欠損
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:この死亡遊戯(ゲーム)を思いっきり楽しむ。
1:死亡遊戯(ゲーム)を盛り上げる為、まずは森嶋帆高を捕まえる。
2:帆高を捕らえたら、彼を餌にして他の参加者達をおびき寄せる。


836 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/13(土) 22:33:22 TT7ChCL20
以上で投下終了です。


837 : ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 04:48:59 gwyv5xM20
投下します


838 : 噫無惨 ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 04:49:55 gwyv5xM20
神を崇める者。
神を否定する者。
神とはなんの関わりもない者。

神はどれを見逃すと思う?


答えは全て殺す、だ。





破壊の八極道が一人、夢澤恒星との戦いの末、相打ちとなり、僕は確かに死んだ。

伝えるべき情報も、忍者くんへの感謝も、全部伝えて、最後に笑って死ぬことができた。

けれど、どういうわけか再び生を得て、この妙な催しに巻き込まれた。

映像を見せられ、二人が出会うのを阻止しろと言われ、状況を理解するよりも早く、巻き込まれた人たちを助けることを決めた。

このゲームが終わった後、一度死んだはずの自分がどうなるかはわからないけれど、もう一度得たこの生は以前と何も変えない。
人のために生きて、もう一度、笑って死のう。




――――そう、思っていたのになあ。


839 : 噫無惨 ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 04:50:15 gwyv5xM20





祭下陽日の身体に夥しい数の白いモノがまとわりつく。

―――結局、なんだったんだろうなあ。この生き物。

考えるが、答えは出ない。

そもそも生き物なのかもわからない。

なにせ、例の“麻薬”をキメた極道をも燃やし尽くした“灼華繚乱”が、まるで通用しなかったのだから。


襲撃された当初感じていた激痛も次第に薄くなり、視界は白く霞んで何も見えない。


―――ああ、怖い。

何も為せずに死ぬことが。
何も残せずに死ぬことが。
こんなにも、怖い。


「……ごめんよ、忍者くん」


こうして、”帝都八忍”が一人 祭下 陽日は、笑顔とは程遠い顔で死に
その顔も程なくして貪り食われたのだった。


【祭下 陽日@忍者と極道 死亡】

【しらかみ様@裏バイト:逃亡禁止】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:人間を食べる

[備考]
夥しい数の群体で行動していますが、制限により別行動はできません。
その他の制限は後続にお任せします。


840 : ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 04:50:40 gwyv5xM20
投下終了です。


841 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/14(日) 05:11:00 jjhZnrfA0
投下します


842 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/14(日) 05:11:35 jjhZnrfA0
 雨が降り注ぐ街中を走る女性の姿がある。
 緑の装束に身を包み、ポニーテールを揺らし走る姿は可愛らしい。
 可愛らしさとは裏腹にその両腕は鋼の腕で、顔も険しい表情だ。
 帝都の特殊警察『イェーガーズ』が一人、セリュー・ユビキタス。
 悪を許さない正義の味方を体現する少女……ではある。
 嘘ではない。余りに行き過ぎた正義と言う点を除けば。

 彼女のするべきことは一つ、正義執行。
 なのだが、帆高の存在で複雑な事情になっている。
 彼はあの映像の中で銃を撃ったりといった犯罪行為をしてる。
 セリューとしてはこれも十分に悪であり、裁くべき対象に変わらない。
 彼女の一方的な正義は、相手がどんな事情があろうと捌いてしまう。
 人のためと言ったところで、盗みでも相手を殺すほどの行き過ぎた正義感。
 では彼女は帆高を殺す側なのかと言われると、はいと同時にいいえである。
 確かに裁くべき悪だが、この殺し合いを実行した神子柴と言う悪。
 彼女こそ悪の権化であり、殺し合いを強要する彼女を裁くべきである。
 帆高を殺せば裁く前に元の場所へ戻ってしまうのだから殺すわけにはいかない。
 そして願いを目当てに他人を私利私欲で殺そうとする輩も悪であり、
 殺し合いが終わり次第帆高自身も悪として裁く、
 ものの見事に彼女には敵が多い。

(私を生き返らせたこと、その命をもって後悔させてやる。)

 セリューは一度死んだ身だ。
 殺し屋集団ナイトレイドの一人であるマインとの戦いにより。
 あの時に自爆したはずだし、両断された下半身も戻っている。
 大方あの映像の中のように自分も復活させたことは予想できることだ。
 だからと言って、神子柴が正義などとは微塵も思いはしない。
 人を復活させながら殺し合いを望む奴のどこが正義か。
 生き返らせたことを免罪符とするつもりなど毛頭ない。

「!」

 雨の中か走っていると、
 近くのビルから出てきた一人の青年を発見。
 自分と同じく緑色の服装に身を包んでおり、
 相手もこちらに気付いて顔を向ける。

「そこの君! ちょっと聞きたいことが……?」

 顔を此方へ向けた瞬間、
 彼女を見やる青年の表情は普通ではない。
 あり得ないものを見たかのような状態だ。

「あの、どうしたんですか?」





 時は少し遡る。

「これも帝具、なわけないよな。」

 ビルの自動ドアから姿を見せる、ゴーグルを首から下げる緑髪の青年。
 緑のジャンパーも相まって、現代日本のこの場でも馴染んだ格好をしている。
 名前はラバック。暗殺を主とした殺し屋集団。ナイトレイドが一人。
 殺し屋と聞くと物騒だが、帝都も腐った人間のバーゲンセールだ。
 そんな帝都を終わらせるための革命軍の暗殺部隊、それがナイトレイド。
 自分たちの行為が綺麗なものとは言えないが、彼らにも信念と言うものがある。
 もっとも、ラバックはその結末を見ることなく退場してしまった死人。
 此処に生きているはずがないし、死者を生き返らせる帝具があるわけがない。

(次から次へとわけがわかんねえよ!)

 自分を生き返らせた手段は何か。
 自分を生き返らせた意味は何か。
 頭に入ってる『これ』は何か。
 神子柴の目的と言うのは何か。
 そもそもこの殺し合いの理由が何か。
 いいとこ育ちなので学自体はあるものの、
 この状況は不可解なことから帝具を超えた技術と、
 とてもじゃないが彼だって頭を抱えたくなるものだ。

 いや、一つだけわかることはあるにはある。
 頭に入ってる『これ』の説明書はちゃんと読んだ。
 読んだからこそ頭に入れて使って、使い方も理解した。

「ま、何にしてもやることは変わらないんだけどな。」


843 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/14(日) 05:12:17 jjhZnrfA0
 首輪で強制されてると言うことは、
 強制しなければ行動しない奴がいると言うこと。
 事実ラバックも進んで帆高を狙いたいとは思わない。
 別に女の子といちゃついていて羨ましいわけではないが、
 無関係な人間が巻き込まれてるなら、放っておくわけにもいかないだろう。
 生是からして名前も知らない女性を助ける彼なら、ある意味必然とも言うべき道。
 アカメも、タツミも、ナイトレイドの皆もきっとその道を選ぶだろう。
 無辜の民を犠牲にし続ける帝国のように、無関係な人間を巻き込む老婆。
 どちらも同じ。許すわけには行かない存在だ。

(相棒の代替え、とまではいかないにしても頼らせてもらうぜ。)

 自分を支え続けた帝具は自分の手にはない。
 代わりに、自分との相性のよさげなものを寄越してきた。
 頭に入ってるのは、守護霊を宿すとされるスタンドディスク。
 帝具と言うオーバーテクノロジー待ったなしのものがあったのと、
 元々手先が器用なお陰で、理解も飲み込みも非常にすんなりと入った。
 戦える手段の確立。次にいるとするならやはり協力者の必要性。
 主に彼は索敵など裏方担当で、首輪をどうこうしたりとかはできないし、
 いくらクローステールの代替えになる武器があるとしても違いもある。
 正面戦闘はブラートやアカメの水準が求められる可能性もある中で、
 一人で何とかしようと言う考えは、余り賢い選択ではない。
 まずは協力者を探すべく、街中を歩きだそうとビルを出た。

 ビルを出た瞬間早速、出会った。
 出会ってしまったと言うべきか。
 面識はない。しかし組織の因縁深い相手が。



「あの、どうしたんですか?」

(ヤベエヤベエヤベエヤベエ!?)

 純粋な疑問であるセリューに対して、
 ラバックは内心物凄く焦りまくっている。
 自分だって死者だ。死人が参加してる可能性もあるだろう。
 だがよりにもよって、何故とんでもない人物を復活させたのか。
 エスデスよりかはましだとしてもナイトレイドである彼と、
 帝都のイェーガーズは完全な敵対関係にある状態だ。
 しかもセリューの人物像はマインや情報収集で知っている。
 自分の行為が善あると信じて疑わないぐらいの狂気じみた正義。
 これがまだイェーガーズでもランとかウェイブ辺りならマシだと言えた。
 あの辺りなら状況が状況だから共闘を持ち掛ければすんなり受け入れてくれる。
 自分の正体が露呈すると索敵要因として困るが、そもそも表舞台から退場した存在。
 神子柴を倒した後自分が生きていられるかも怪しいし、そこまで困るものでもなく。
 だがセリューはぶっちぎりの論外。こんな状況だろうと悪であれば絶対に殺す。
 生きて戻れる可能性が低いとしても悪なら殺す。共通の敵がいても悪だと断定したら殺す。
 正体がばれてはいけないと言う一番胃にダメージがでかい相手である。

「い、いや。ちょっと険しい表情してたんでびっくりしたもんで。」

「あ、そうですよね。怖がらせてはいけないですよね!
 私はセリュー・ユビキタス、正義の味方です!」

 誤魔化すべく適当な言い訳をしておく。
 彼女は行き過ぎた正義感を持っているものの、
 悪と認識されなければ普通に接してくれる。
 一先ずその第一段階はクリアできた。
 指名手配で顔が割れてないことに喜んだのは、
 恐らくこれが今までの中で一番いいと思えることだろう。

「どうも、ラバック……です。えっと、セリュー、さんは何処へ急いでて?」

 彼女も死んだ身である。
 ある程度自分を省みた可能性もあるのでは、
 と思って彼女の目的をそれとなく尋ねるも、

「悪を裁き、人を守るのが私の仕事です!
 神子柴と言う悪を倒すことに変わりはありません!」

(死んでも根本変わってねえ!!)

 全く意味のない内容に涙が流れる。
 莫迦は死ななきゃ治らないとは言うが、
 価値観は死んだって直りはしない。
 これはナイトレイドだとばれたら確実に殺しに来る。
 余計なことは言わないでおくのが正解だ。

(とは言え、考えは一緒なんだよなぁ。)

 完全に敵対組織だが、此処は帝都ではない。
 帝都を守り、ナイトレイドを倒すのがイェーガーズの仕事。
 だから本来は仲良くなんてできるはずのない相手だが、
 此処では一先ず共通の敵ができていて、此方に気付いてない。

「よかったら俺も同行していいですか。それなりに戦える身ではあるんで。」

 戦力としては申し分がない。
 人物に難ありと言うことを差し引いても。
 シェーレの仇であると言うことには変わらないし、
 彼自身としても許せるかどうかと言われたら別だ。
 だが、今その私怨に囚われて先を忘れてはならない。
 その結果どれだけの参加者が危険な目に遭うのか。
 ……彼女を生かすリスクも大概ではあるが。


844 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/14(日) 05:14:48 jjhZnrfA0
「もちろん、大歓迎ですよ! 共に悪を滅ぼしましょう!」

 満面の笑みで手を差し伸べる。
 その手を、一先ずラバックは苦笑気味に取ることにした。



 ナイトレイドとイェーガーズ。
 組織としての因縁自体はあるものの、
 個人の因縁は比較的薄いと言う奇妙な二人。
 彼女は気づいてないが故でもあるが、予想外な共同戦線が成立する。



(そういえば、あのスタンドって奴には名前とかあるのか?)

 生物型の帝具ではないものの、
 何かしら名前を付けたいと思う。
 クローステールみたいに愛着も湧くかもしれない。
 名前を思いつくため辺りを適当に見渡す。
 灰色のビルが立ち並ぶ、東京の街並みを。

(そうだな……)

 石のような世界から解放されたい。
 故に、彼はそれを『ストーン・フリー』と名付けた。

【セリュー・ユビキタス@アカメが斬る!】
[状態]:濡れてる
[装備]:五道転輪炉
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴と帆高、そして帆高を私利私欲で狙う悪を裁く。
1:ラバックさんと行動。
2:一般人を保護、悪は裁く。

※参戦時期は死亡後です
※腕と口の銃に弾があるかは現時点では不明です(少なくとも頭の五道転輪炉はあり)



【ラバック@アカメが斬る!】
[状態]:不安(大)
[装備]:ストーン・フリーのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:神子柴に従うつもりはない
1:セリューと同行……でいいんかねぇ。
2:暇があればもう少しスタンドを理解したい。

※参戦時期は死亡後です。
 原作、アニメで最期が少し違いますが、
 どちらでも問題ありません(採用次第)
※スタンドの使い方は概ね把握してます。

【ストーン・フリーのDISC@ジョジョの奇妙な冒険】
破壊力:A スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:C 成長性:A
糸で構成された人型のスタンド。人型故に大概のことはできるが、
元々が糸なので手錠、防弾チョッキ、糸電話、分解して細い隙間に入れるなど器用
本体を糸状に変化させたり、他人も糸状に変化させることが可能
これを応用して、致命傷を自分の身体を糸状に分解して避けるなどの芸当も可能
ただし糸状に変化させる間は本体の肉体も物理的に消費していきかなり危ない(戻せば戻る)
此処にクローステールでの経験で更に改変が可能
(ただ糸の強度はクローステール程ではないので限度はある)


845 : ◆EPyDv9DKJs :2021/02/14(日) 05:15:16 jjhZnrfA0
以上で『旧態依然 ナイトイェーガー』投下終了です
一部白蛇ロワイアルの拙作『蜘蛛の糸』から流用してます


846 : ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:48:32 cBPpiRB60
投下します


847 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:49:18 cBPpiRB60
「ぐ、ぐああああああ……」

胸を抑え、黒のコートを着た長身の男が苦しんでいた。
丸藤亮、またの名をヘルカイザーとも呼ばれるこの男はカードゲームのやり過ぎで心臓病を患わっていた。
ゲームの開始地点にも恵まれていない。病んだ体には、この雨は凍てつく氷のように体温を奪って、心臓を更に締め付けていくようだ。

「はあ……はあ……。
 ふっ、この俺をこんな場所に寄越すとは……心臓を治したくば、殺し合いに乗れとでも言うのか? くだらん」

胸の苦痛が引き、大きく呼吸をする。そのまま頭を冷静に働かせ何が起こったのかを思い返す。
あの映画を見せられる以前、一番新しい記憶があのヨハン、正確にはそれに取り憑いたユベルという精霊とのデュエルだ。
奴の目的は知らないが、亮はその時の戦いを自身の死に場所として求め、そして敗北こそしたが実に満足した死を遂げた。

あとの事はよく覚えていない。映画も心臓が痛くて集中出来ず、あまり頭に入ってこなかったというのもあるが。

「……あの時のようなデュエルは、もう無理だろうな」

完全に燃え尽きていた。
命と命を懸け、知略を巡らせ、牙を研ぎ澄まし、いずれかを今か今かと刺し合わんとする極限化での駆け引き。
これ以上ないほどに充実し、そして自らを輝かせることのできたあの戦いを超える事は、もう自分には出来ないだろうと。

「森嶋帆高か、探してみるか」

正直なところ、殺し合いすらどうでも良いほどに無気力ではあった。
森嶋帆高を止めれば叶えられる願いとやらも関心はない。
命もさして惜しくもない。はっきり言えば、もう何もかもがどうでも良いとすら思える心境でもあった。
それでも根は善人の彼は、この場で一番命を狙われるであろう森嶋帆高を一応は保護しようと考える。

もしかしたら、またあの時のような……そんな願望を抱きながら。


「変わった奴だ。凄まじい闘気ではあるが、身体的には特に秀でてもない人間、か……」
「エド……? いや―――」


知り合いの声かと思えば、そこに居たのは異様な男だった。
特に手入れもせず無造作に放っておかれているであろう桃色掛かった赤の毛、全身に青い刺青のような紋章。
そして不気味なまでに白い肌を見て、亮が刺青と肌の色合いがパンダのようだ―――そう思った時に奴は肉薄してきていた。
人間とは思えぬ、いや人ではなくそれに近しい姿の何かなのだろう。

「来い、サイバー・ドラゴン!」

握り締められた拳は、その速度と強度ゆえに人が放っていい領域の物ではなく、例えるなら砲弾のような重々しさを兼ね備えている。
瞬時の判断は素早かった。脅威を即座に認識し、カードを翳すとそこには実体を持った現実として機械の龍がその主を庇う。
拳と機械の鱗が触れ、轟音が響き渡る。

「……式、というやつか?」

拳をわざとらしく開閉し手を鳴らしながら、十二鬼月、上弦の参である猗窩座は呟いた。
サイバー・ドラゴンと共に、衝撃を受けながら後方へ吹き飛ばされる亮を注視する。

病んだ心臓を差し引いても、肉体的には決して強くはない。鬼狩りや柱のそれとは違って鍛錬の後は見当たらなかったが、その動体視力と判断力は目を張るものがある。
本気どころかただのお遊びではあるが、先の一撃に対処したのがその証だ。
何より闘気だ。これだけは、何故かそこいらの鬼狩りですらも上回る程に練り上げられていた。

「クク……アンタは殺し合いに乗ったという事で良いのか?」

こちらに驚きつつも亮は不敵に笑い猗窩座に鋭い眼光を飛ばしていた。
少なくとも、ただの弱者ではなさそうだ。ならば、多少手合わせてしてみても良かろう。


848 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:49:42 cBPpiRB60

「……」

「yesと取るぞ。遠慮なく潰させてもらう……!」

亮もダメ元で使ったサイバー・ドラゴンが、実体化したことで胸が高鳴っていた。
デュエルモンスターズが実体を得るという事は、すなわちここは何処かの異次元なのだろう。
かつて、自分を何よりも輝かせた場所も異次元だった。だとすれば、この燃え尽きた抜け殻にも再び火が宿るかもしれない。
そんな歓喜と共に、亮は……いやヘルカイザーは心臓の痛みなど吹き飛んだ。

「融合召喚―――サイバー・ツイン・ドラゴン!!」

同じくもう一体の機械の龍が現れ、二体が歪んだ空間に飲まれていく。
そして新たに開かれた次元の裂け目より、雷のような光と共に新たな異形が現れた。
二対の頭を持つ、サイバー・ツイン・ドラゴン。

(あの札……呪符か)

見たことのない三枚のカードから現れる僕、あれを使役し戦うのは一目で明らかだ。
しかし、血鬼術の類ではないのも勿論、呼吸でも当然ない。では、一体何を用いた術なのか。猗窩座は興味深く観察する。

「エヴォリューション・ツイン・バースト!!」

二対の龍が砲口と共に息吹を放つ。高圧縮された電子の塊が弾丸として射出された。

「術式展開―――破壊殺・乱式」

構えと共に凄まじい速度で猗窩座は両拳を打ち出す。
ツイン・バーストに対し、体そのものが焼き飛ばされる前に拳を幾度も打ち付ける。
一瞬の拮抗の末、電子の息吹は掻き消されその余波でサイバー・ツイン・ドラゴンは耐えきれず粉々に砕け散った。

「サイバー・ツイン・ドラゴンを一撃で……!?」

人の身ではないと直感してはいたたものの、自らの操るモンスターがこうも容易く破られるとなればヘルカイザーといえども呆然とする。
しかも、生身でツイン・バーストを突破したにも関わらず、焼き爛れた拳は瞬き一つの間で瞬時に再生を果たしていた。

これが上弦の参たる鬼の驚異的な力だ。
その戦闘力も、そして何より不死性に対しても鬼という種の中でも、遥かに一線を画す。
生半可な火力では掠り傷にもなりはしない。

「破壊殺・空式」

猗窩座が虚空を殴る素振りを見せた時、亮は躊躇わず自身のカードを鷲掴みにし無造作に投げ飛ばす。
その刹那、一瞬にも満たぬ速度が殴られた虚空が砲弾となり亮へと乱れ飛ぶ。
並の鬼狩りでは対応すら敵わず、人として超越者の域にある柱を以てもしても、厄介と言わしめる遠距離技。

「パワー・ウォール発動!」

ばら撒かれたカードが光を伴い、結界のように亮の周囲を取り囲む。
空式の不可視の拳がそれらに遮られていく。

「ぐ、ぐううう……」

胸を抑え、亮はその空式を受け止める結界を見る。
パワー・ウォール。捨てたカードの数だけ、その攻撃の威力を軽減するカード。
これがサバイバルに近いバトルロワイアルであるなら、カードはなるべく温存したいが、この男にそんな手ぬるい真似は命取りであると亮はこれまでの戦いで理解した。
故に持ち得るほぼ全てのカードを犠牲にしたが、それでもなお威力は止めきれない。

「うおおおおお!!!」

殺しきれない威力が衝撃となり、亮を襲う。
元より病んでいる心臓に加えて、直撃こそ避けたが体に更に付加されたダメージはより心臓を蝕んでいく。
胸に迸る痛みに胸倉を掴み顔を苦痛に歪ませる。

「……フ、フフフ」

だが、そこには笑みがあった。

猗窩座は強者だ。それも飛びっきりの極上の敵と言えるだろう。
向こうがどう思っているかは知らないが、これほどの相手とならば自分はまた輝ける。あの最高の瞬間を迎えられるかもしれない。

何も要らない。

例え勝とうが負けようが、未来はない。構わない。
今、この瞬間を輝かせられるのなら。あのデュエルに匹敵しうる輝きを放てるのなら。命さえ惜しくはない。

「オーバーロード・フュージョン……発動……!」

「また呪符か、見飽きたぞ。やはり弱者か死ね」

闘志を燃やす亮に対し、猗窩座は退屈していた。
その闘気に惹かれ幾度か拳を交えてみたが、確かに札の力を借りているとはいえ、鬼狩りに匹敵しうる力はあったことは認めよう。
それでも十二鬼月の下弦はおろか柱などもってのほかだ。


849 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:50:01 cBPpiRB60

「現れろ……」

だが、それは誤りであったかもしれないと。猗窩座は瞬時に認識を変えた。

亮がばら撒き投げたカード、優に二十枚以上が光を伴って消失していく。それらの光が一つの異形の影を形作った。

「なんだ、こいつは……」

先程亮が召喚した機械の龍とは遥かに桁違いの威圧感。
二十を超える龍の首が猗窩座へと向けられる。
全身をピリピリと緊張感が突く、その視線から目を離すことが出来ない。

「キメラテック・オーバー・ドラゴン!!!」

機械の合成魔龍、キメラテック・オーバードラゴンと呼ばれたその魔物は怨念を込めた咆哮を猗窩座へと飛ばす。

「エヴォリューション・レザルト・バーストォォォオオオオ!!!」

亮の雄叫びを受け、キメラテック・オーバードラゴンからブレスが放たれる。
先ほどのサイバー・ツインとは比較にならないほどの圧倒的高火力、拳を打ち付けた猗窩座の顔が歪む。
しかし、それも束の間。ブレスの勢いが止んでみれば、猗窩座の体は所々傷付き焼き焦げてはいるものの五体満足。
痛んだ箇所を鬼の再生力で修復していく。

「今のは悪くは―――」

「―――ニジュウグォレンダァ!!」

「何ィ!?」

残る二十四の首、全てが猗窩座へと向けられる。それ見て全てを察した。
狙うは再生力の追い付かぬ圧倒的なまでの高火力による圧殺だ。

「お前は人ではない尋常ならざる再生力を持っているようだ。だが、その体でもこいつには耐えきれるかな?」

レザルト・バーストの爆音で聞こえるかも分からない猗窩座に笑いながら問いかける。
キメラテック・オーバー・ドラゴンは、その身に融合(いけにえ)として取り込んだ数だけ、攻撃力を増す。
まさしくキメラという名に相応しい怪物だ。
パワー・ウォールで捨てたカードを取り込ませることで、上弦の参すらも圧倒するまでのパワーを手に入れさせた。


「術式展開」


だが、相手もまた鬼の祖たる鬼舞辻無惨が実力を認め、その上弦の参を預かるにまで至った歴戦の猛者。
鬼としての身体能力、備わった血鬼術に驕ることもなく修練を積むに積み、武術の粋へと上り詰めた武道家でもある。

「終式青銀乱残光」

縦横無尽に放たれる拳の乱打。
その一撃一撃が必死の威力を持つ必殺拳。二十五のレザルト・バーストを上回る百の拳が炸裂した。


850 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:50:21 cBPpiRB60

「破壊殺―――砕式万葉閃柳」

迫りくるブレスを全て薙ぎ払い、宙へと飛翔する。
そのまま加速しながら下降しキメラテック・オーバー・ドラゴンへ拳を突き刺す。
機械のボディに亀裂が走り、その下のアスファルトの道路が軋み罅割れる。
莫大な破壊の威力が収まることを知らず、周囲一帯を破壊し尽くす。

「―――ッッ!!」

砕け散るキメラテック・オーバー・ドラゴン、更にその衝撃波が亮を襲う。血しぶきを上げながら、瓦礫の山へと吹き飛ばされていく。
弱った身体には、あまりにも過剰すぎるダメージは悲鳴を上げる事すらも許さない
ボロ雑巾のように雨の中放り出され、叩き付けられる。

「……敬意を表する」

破壊の根源たる猗窩座は、自身が齎した破壊痕に対し一瞥もなく、血に塗れ倒れ伏す亮に声を掛けた。

「先の攻撃は見事だった。鬼の再生を上回る程の高火力、柱といえどもそうは容易くはいかない」

「ッ、ガ、……ァ」

「大丈夫か? まだ死ぬな……名はなんだ?」

猗窩座は初見とは別人のように掌を返す。

「俺は猗窩座、お前の名は?」

「……急に、お喋りに……なったな……舐めているのか」

出血が尋常ではない。こんな怪我を負ったのは生まれて初めてだった。
もし猗窩座がこのまま追撃してくるのであったなら、こんな会話が成り立つ間もなく死んでいただろう。

「俺は喋るのが好きだ。最初はお前を弱者だと思い、喋るのも時間の無駄だと思っていたが、俺の見込み違いだったらしい。
 お前は強い、お前の名を覚えておきたい」

その理由は単純にして明快、猗窩座が好む強者だったからに過ぎない。
弱者ならば淘汰し、強者ならばその実力を称賛する。ただそれだけだった。

「ハァ……ハァ……ヘルカイザー亮だ」

気に入らないながらも、名乗られたからには名乗り返す。
猗窩座は満足気に笑ってみせた。

「へるかいざー? ……そうか、ならばヘルカイザー亮、一つ素晴らしい提案がある。鬼になる気はないか?」

「鬼? 桃太郎の……あれか」
 
「…………。鬼になれば、今よりもずっと強い力を手に入れられる。俺のように怪我も一瞬で治る」

鬼とやらの再生力、それは今までの戦いで嫌というほど身に染みた。
そして、次々とサイバー・ドラゴンの進化系を真っ向から打ち破るその強さも、鬼という異形の存在がなし得るのであれば納得出来る。


851 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:51:09 cBPpiRB60

「ヘルカイザー亮、その心臓……余命幾ばくもないな。人間の医療に明るくはないが、仮に治療を受けたとて戦いは出来ん。
 だが鬼になれば、それも全快する」

「……」

「戦って分かったよ。亮、お前の勝利への執念……生への執着、鬼なら死ぬことはない。老けもせず衰えもしない。
 ずっと若く、全盛期の強さを未来永劫保存し続けられる。何百年でも鍛錬をし続けて強くなれる」

「魅力的な、提案だな……」

「分かってくれたか!?」

猗窩座は歓喜のあまり満面の笑みを浮かべる。

今まで彼が鬼に勧誘してきたのは、恐らくはその殆どが鬼殺隊であった。
鬼に匹敵しうるのが、鬼かまたはその鬼を狩る隊士しかいなかった以上仕方のない事ではあるのだが
その鬼殺隊自体が鬼に身内を殺された等、憎悪を抱く者達の集まり、無惨曰く異常者の集まりと称されるほどの云わば復讐者の集団でもある。

当然、その仇的である鬼になるなど首を縦には振りはしない。

無論、純粋に人々を守る為に刀を取る者や、金や名声の為に安全に出世したがるような弱者もいる。
しかし前者はやはり鬼の勧誘など蹴るし、後者はする価値すらなく殺してしまうのが殆どだ。

だが、亮は鬼など関係ない人間だ。鬼に対する憎悪は存在せず、あるのは永遠の命という羨望しかない。
敢えて人を食う、太陽を浴びれば無に帰すと言った負の印象を避けて説明しただけのことはある。

「お前はもっと強くなれる。さあ、鬼となり俺と永遠に戦い続けよう!!」

この男は鍛えれば、肉体的にも柱や上弦にも匹敵しうる強さを持ちうると推測していた。
でなければ、猗窩座が興味を持つ程度に、闘気を練り上げることなど出来はしない。

恐らくは純粋な戦いとは違う、しかし何かしらの闘争に身を捧げていたのだろう。

あの竈門炭治郎も個人的には不快だが、僅か数か月で柱に食い込めるほどに技を体を磨き上げ、その強さは本物となった。
この男も同じように強くなれるはずだ。

「断る」

「なに?」

「……俺はもう、そんなもの要らないんだよ」

「強がるな。お前はもう数刻もせず死ぬ……心臓だけじゃない。その左腕、破れた腹、致命傷だぞ」

亮の左腕は肘から先がなく、赤黒い血を次から次へと垂れ流していた。
腹部も中から内臓が飛び出し、取り返しが付かない程に臓器が入り乱れ、アスファルトに飛び散っている。
力なく背を瓦礫に預け、残った余力でようやく会話をしていると言った様だ。


852 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:51:43 cBPpiRB60

「何が嫌なんだ? ここで死ぬ理由などない。鬼になれ」

今回ばかりは猗窩座も、説得にこれまでにないほど力を入れる。
鬼殺隊とは違い、鬼に悪印象がないのであれば、向こうも折れるだろうと考えていた。

「俺には、お前の言うような勝利への渇望も生への執着もない。……ただ俺は、今を輝かせたい……それだけだ」

血反吐を吐き、飛び出した内臓が更に腹から滑り落ちていくが、気にもかけず亮は……ヘルカイザー亮は立ちあがる。
既に話すだけでも限界だった有様から、立ち上がるとは猗窩座ですら驚嘆した。

「俺に勝ちたいのか? それなら鬼となり、俺に挑め。先ずは十二鬼月になれ、お前ならなれる。
 十二鬼月には入れ替わりの血戦がある。そこで俺と―――」

「お前と……永遠に戦う? 笑わせるな、そんなものは永遠ではない。それは同じことの繰り返しなんだよ……」

「何を言ってる?」

「そんなものでは錆び付いてしまう。俺は二度と輝けない……ならば俺は、永遠などよりこの刹那を手にする!」

言動が理解を超えている。この男は強さを求め、勝利を手にしたかったのではないのか?
それなら、鬼になれば済む話だ。なのに、何故ならない。
鬼殺隊のように、鬼に憎しみがある訳でもない。
人ならざる存在になることに恐怖を覚えるような軟な精神ではないのは、これだけの致命傷を浴びながらそれでも闘志を失わない様から分かる。

「死ぬぞ。死んでしまうぞ! ヘルカイザー亮!!」

今まで殺してきた柱たちに、この誘いに乗る者は誰一人としていなかった。
その選択について、共感こそできないが理解はできる。

特に煉獄杏寿郎のようにその背に守るべき弱者が居て、退くことが許されないのであるなら確かに命を賭してでも戦うしかないだろう。

本当に理解しがたく、反吐が出る。それでいて虫唾が走るが、一応は人間の持つ価値観として存在するのは理解は出来る。

だが、なんだ。なんだこの男は。
輝きというのが更なる強さならば、鬼となればいい。いくらでも輝けるではないか。心躍る戦いも永遠に楽しめる。

「人間のくだらぬ価値観か!? だが、ここで死んで何になる? 柱達とは違う。お前には助け、守るものとやらもないだろう!!
 弱者の為に死ぬ必要もない!! 鬼になろう」

殺し合いも最序盤、ここで死んだとしてもそれは哀れな犠牲者でしかなく、その死が何かを繋ぐわけでもない。

弱者を守るという煉獄の価値観はくだらないが、その死には意味があった。少なくとも炭治郎が強くなれたのは事実だ。

しかし、この男は何も残さない。ただ朽ち果て、何も繋がないまま死ぬだけだ。
それならば永遠にその強さを保存すべきだ。


853 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:52:13 cBPpiRB60

「フフフ……助け、守るもの、だと……? クク……それは、守る物の重さを知らねば出ることのない台詞だな……」

「な、に……」



――――狛治さん、もうやめて。


あの天気の子と呼ばれる妙な光景を見せられる以前、そう頸を斬られたんだ。それでも更なる強さを手にしようとし、その時に見知らぬ女が現れた。
いや、知らない女じゃない。誰よりも守ろうと、強く誓って惨めに死なせた女だ。

炭治郎が記憶を刺激し、義勇が呼び起したあのくだらない記憶。
 
そこに加えて、あの天気の子とやらだ。みっともなく女の為に泣き叫ぶあの小僧には反吐が出そうになる。

まるで、かつての人であった頃の記憶にある負け犬のように無様な姿は、虫唾が走る。

狙ってやったのだとしたら、あの神子柴とかいう老婆はこれ以上なく、効果があったといえる。



「お前に、何があったか知らんが同情してはやろう。……だがもう、誰にも止められん。止めさせもしない。
 付き合ってもらうぞ。この俺の命(ライフ)尽きる、その最期(ラストターン)まで!!」


「……鬼にならないなら殺す」


戦いの邪魔だ。そんな記憶は頭の隅にでも留めておけばいい。


「異次元からの帰還を発動! 次元を超え舞い戻れ、三体のサイバー・ドラゴン!!」


奴が来る。今、その輝きを放たんと。


「パワー・ボンド発動!」


三体のサイバー・ドラゴンが光に飲まれ、今その姿を変え進化を果たす。

丸藤亮が信じる究極の融合カード。
膨大な力を使用者にもたらすが、効果の発動後その主に同じだけのダメージを与える。まさに諸刃の剣に他ならない。
これを避け切られれば、何の手の打ちようもない、最大にして、最後に切り札を今ここに切る。

己が最も頼みを置き、信頼する最強の僕を今、ここに呼び起こす。



「サイバー・エンド・ドラゴン――――召喚!!!」



三対の首を持つ機械龍。
更にその強大な力はパワー・ボンドにより倍増する。
終焉の名を持つそれは正しくこの戦いの幕を下ろすには相応しい存在としてこの戦場へ降臨した。


854 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:52:39 cBPpiRB60


「術式展開」


――――もう、やめにしましょう。


聞こえてくる。愛おしいはずの、その声を掻き消すように血鬼術を開放する。




「エターナル・エヴォリューション・バーストォォォオオオオ!!!」


「破壊殺―――滅式」




三つの頭から放たれる電子の砲撃。
対するは間合いを詰め、放つ抜き手の一撃。たったそれだけの単純明快な技だが、単純故にその火力は凄まじく高い。
かの炎柱、煉獄杏寿郎の奥義、炎の呼吸玖ノ型・煉獄を真っ向から打ち破り、彼を屠り去ったのもこの技だ。
初めは拮抗したこの二者の激突も、拮抗は崩れ猗窩座が圧倒し始める。

「……やはり、な」

ヘルカイザーは笑う。
分かってはいた事だ。自らが全霊の頼みを置く、サイバー・エンドですら猗窩座からすればガラクタ同然だ。
そうでなくては、この戦いを輝かせる相手としては不足だ。

「決闘融合-バトル・フュージョン発動―――!」

思い出す。あの卒業デュエルを。

(懐かしいな……)

全力を出し合い、そして共に玉砕しきったあの輝かしきデュエルを。
あの時もこのカードが最後のカギを握っていた。

大事な弟はどんな答えを得て、迷いを振り切ったのだろうか。
無限の可能性を持つ後輩は闇に囚われず、このヘルカイザーを上回る輝きを起こして見せているのだろうか。
それを知るすべはもう何処にもないが。
あの二人なら、きっとこの屍を超えて未来へと突き進んでゆくことだろう。

「これは……! 何を、したァ!?」

猗窩座に圧し掛かる力が急増していく。
煉獄を破った滅式すらも威力を殺され、手の先から再生が間に合わず消失していく。

「サイバー・エンド・ドラゴンは貴様の力だけ強さを増す!!」

決闘融合は自身の使役するモンスターに、相手の力を上乗せすることが可能なカード。


「っがああああああ!!!」


サイバー・エンドは元の力に加え、猗窩座が数百年の鍛錬により積み上げた、その強靭な強さそのものを上乗せしたということに他ならない。
つまり、同じ強さ同士がぶつかり合えば、勝つのは更に別の強さを加算した方だ。それは必然でしかない。
故に負ける。猗窩座はここで敗れ去る。


855 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:53:10 cBPpiRB60



負ける。
負ける……?

駄目だ。
俺は、強くならなければいけない。

強く……。



『狛治さん、もう十分です』



「こ、ゆ……?」



涙を浮かべ、そして誰よりも狛治を重んじる恋雪のその手は。


『強くなりたいのではなかったのか?』


「無、惨……様」


『お前はこれで終わりなのか? 猗窩座』




振り払われた。



「ぐ、あああああああああああああァアアアアアアアア!!!」


今、生き延びる為に必要な事は強くなること。そうだ強くなりさえすればそれでいい。
そうだ。まだ強くなれる。約束を守らなければ。
殺してやる。殺してやるぞ、ヘルカイザー亮。


もしも、ヘルカイザーが素手で戦う猛者であったのなら。
もしも、その攻撃が光線の類ではなく、拳であったのなら。
もしも、この戦いが誰かを守るためのものであったのなら。

だがそんなもしもはここには存在せず、あるのはその手を振り払ったという結果のみ。


856 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:53:32 cBPpiRB60


「……流石だよ。お前の強さへの執念、足掻き……見事だ。血の滾りを感じるぞォ……」


既に視界は虚ろだ。胸の痛みが掻き消されるほどの重傷、抜けていく血の影響で立つだけで全身から悲鳴が上がる。
しかし、倒れる事だけはしない。
痛みなど吹き飛ばす程に、目など見えなくなろうとも構わない程に。

「この瞬間を感じている限り、瞬間は永遠となる……。
 今、俺は充実している……! お前のお陰で……俺は再び輝ける」

もう二度と味わえないと思えていたこの瞬間をまたも感じることが出来た。
あの二度とないと考えた輝きを放てている。

「猗窩座……俺からの手向けだ。受け取れェ! リミッター解除発動ォ!!」

「……!?」

「攻撃の後、定められた自壊と引き換えに、サイバー・エンド・ドラゴンの力は倍増する……!」

その言葉の通り、使用したモンスターの滅びを代償にその力を倍にするカード。

単純な火力であれば、サイバー・エンドは鬼にも引けは取らないが、あの再生力は非常に厄介だ。
いかに高火力で削ろうと、その端から再生されては意味がない。
キメラテック・オーバードラゴンは連続攻撃、その合間に再生されて奴を仕留めきれなかった。

ならば、その隙すらも与えず一瞬の最高最大火力で殺し尽くすしかない。

今、サイバー・エンドは決闘融合の効果で猗窩座の力を上乗せし、更にそれを倍にした攻撃力を手にしている。
例え、上弦の鬼であろうと一瞬で粉微塵に消し飛ばすのに十分なほどの火力を。


「これが、俺の最高の輝きだぁ……!」


何よりも、この瞬間を永遠と昇華するにふさわしい輝きを。
儚くも、苛烈な笑みを浮かべ、ヘルカイザーはその瞬間を永遠のものとした。



猗窩座が光の飲まれ、周囲一帯が消し飛ぶ。
その中央に居るであろう猗窩座の姿はもう何処にもない。

全てが光の飲まれ、白に染まり消え去っていく。

サイバー・エンド・ドラゴンもまた代償を支払い、その巨体を消失させていく。

無に帰した街の一角で、唯一立つ人影が一つだけある。





「ハァ……ぐ、……」


全身は焼け爛れ、顔も半分は吹き飛び右腕が消失しているが、辛うじて人型の姿は留めそこに立っている。


857 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:53:48 cBPpiRB60


「おれの、勝ちだ……ヘル、カイザー……」

猗窩座は立っていた。

サイバー・エンドの攻撃は上弦の鬼をも完全に滅却しうるほどのものだった。それ故、猗窩座は突破を諦めた。
技を避けるというのは、大分久方ぶりの事だ。なにせ鬼の体は基本的には不死、避ける必要がないからだが、今回ばかりはそうも言ってられない。
武人として気に障る選択だが、戦いとは結局のとこ生き残った者こそが勝者だ。

滅式を放つ手は緩めず、地面に足で穴を開け人一人が入り込める隙間を作り飛び込む。
後はそのまま穴を掘り進め、ヘルカイザーの後ろへと回り込んだ。

一瞬でも遅れていれば、猗窩座は消し飛びこの世にはいなかっただろう。
しかし、予期せぬこと、初めて遭遇すること、戦いの場にてそれらの事態全てに即座に対処する。
猗窩座にはそれが出来た

それでも、今の猗窩座は死に体だ。この有様では、柱でもないただの鬼狩りにすら負けるかもしれない。
そこまで追い込まれた。

「さ、いせい……が……」

上弦のなかでも特に再生に優れた猗窩座でも治しきれない。制限が課せられた影響もあるが、消耗があまりにも積み重なり過ぎたのだろう。

「……」

血の海の中で、ヘルカイザーは安らかに満足気な笑みを浮かべていた。
自らの勝利を確信したからか? いや、違う。輝けたからだ。勝敗も生死もどうでもよく、ただ輝こうとしていた。
かつては勝利に固執し、それだけを求め覇道を歩んでいたのだろう。だが、最後に辿り着いた境地に全身全霊で殉じたのだ。

この男に、後悔など微塵もなかった。


「俺、は……」


負けたのは奴で、勝ったのは俺なのに。

何故、奴のが満ち足りた顔をしている。

思えば、この数百年充実したことなどあったか? 高鳴る戦いは幾度かしたことはあるが、だが充実などしたか?

幾重もの無意味な殺戮と勝利を重ねて、それで何を得たんだ。

俺がしたかったのは……俺が殺したかったのは……。


858 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:54:12 cBPpiRB60


「竈門炭治郎だ」


考えれば、奴が全てのケチの付け始めだ。
杏寿郎との戦いも俺の勝ちだったものを、奴が戯言を抜かし放った一撃のせいで無惨様の機嫌も損ねた。
挙句の果てに、つまらん記憶までほじくり返してくれた。

炭治郎、義勇……よくも、よくも思い出させたな。あんな過去を。

まずは奴らを殺し、因縁を清算してやる。
同じく、あの過去を想起させる虫唾の走る森嶋帆高も殺す。目障りだ、皆殺しだ。


あとは殺し合いへの対処か。


①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。


厄介な話だ。
あの老婆の言う事を聞いても、鬼の身では生きて帰ることは出来ないとは。


③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。


しかし、これを見るに森嶋帆高を制限時間以内に殺しさえすれば、それでげーむとやらは終わりだ。日光も差すとは書かれていない。
あくまで制限時間が過ぎても尚、殺し合いが終わらなかった場合がこの制限時間に於ける終了条件なのだろう。

つまるとこ、帆高を殺しさえすれば日光は差さずに殺し合いを終えられるという事だ。

目的は最初から何も変わりはしない。
ただ保護するか、即殺すかの違いでしかない。

それから、あの別の何かに変わる感覚を今一度思い起こさねばならない。
ここに呼ばれる以前、頸を斬られても死ぬことはなかった。ならば、俺は到達しかけていたんだ。新たな領域へ。

そうだ。俺はもっと強くなる。強くなって……。


859 : 輝き ◆VNz2VDTKZc :2021/02/14(日) 06:54:33 cBPpiRB60

「先ずは……体を再生させなくては……」

再生の糧くらいにはなるだろうと、ヘルカイザーの遺体は取り込んだ。

あの輝きを、この身に刻み込むかのように。
自らも、いずれは輝けるだろうかと羨望するように。


『狛治さん』

「……」


気付けば、その声はもう届かなくなっていた。



【丸藤亮@遊戯王デュエルモンスターズGX 死亡】
※所持カードは戦いの余波で消し飛びました。




【猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:ダメージ(極大 再生中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:弱者は殺し、強者は鬼に勧誘する。
1:炭治郎、義勇、帆高を探し殺す。
2:別の何かになり、強くなる。
※頸を斬られてから、炭治郎に殴られる以前からの参戦です。


860 : 名無しさん :2021/02/14(日) 06:54:56 cBPpiRB60
投下終了です


861 : ◆diFIzIPAxQ :2021/02/14(日) 07:49:56 3Zn2HXqM0
稚拙な作品ですが、一旦は完成したので投下させていただきます


862 : return:wolfwood ◆diFIzIPAxQ :2021/02/14(日) 07:51:42 3Zn2HXqM0
雨が降り続く世界に、一人の男がいた。


「クッソ……、どんな状況やコレは……」


その男の服装は、首元から見えるYシャツを除けば上から下まで黒ずくめのスーツ。
パッと見だとヤのつく仕事に就いてる怪しげ満載な外見年齢20代の青年の名前は、ニコラス・D・ウルフウッド。

ある時は世界を渡り歩く巡回牧師。ある時は知り合いのトンガリ頭のガンマンと一緒に旅するアウトロー。ある時は暗殺組織「ミカエルの眼」の力を振るう凄腕の殺し屋。
人死にが当たり前の世界で生きてきた男は、まるで初めて見た光景だと思わせるような、目の前の大雨を目を丸くして見ていた。


「これ、全部水なんか……?」


スタート地点が雨よけがついていた建物だった為、運良く開始早々ずぶ濡れにならずに済んだウルフウッドは右手を出して、降り注ぐ大雨から掌に入ってきた水を落ちない様に口に含んでみる。
それは、料理を召し上がる時に出されるモノと比べれば冷たさとか味わいとかは違っているが、味に拘るグルメではないウルフウッドからすれば喉を潤すには充分なモノではあった。

目の前一面を覆いつくすモノは、間違いなく水。その事実を理解したウルフウッドは、呆然とした様な関心した様な表情をした後、彼はスタート地点であった建物の玄関前の段差に腰かけた。
まるでこの現象を初めて見たといった様な行動であったが、それも仕方がないこと。何故ならこの青年は、視界が埋め尽くされる程の大雨を、ましてや大量の水を見たことがなかったからだ。



彼が生きてきた世界は、地球から遠く離れた、見渡す限り砂まみれで町には銃の硝煙が燻る、人の心すらも乾いた砂漠と暴力の世界。通常・ノーマンズランド。
水が出る所に人が集まり、独り占めを行おうとして争いが起き、血が流れる事などもはや当たり前。人が生きる為の技能と人を殺す技能があべこべになってしまっている、厳しい世界なのだ。
その様な地に、空から滝のような水が何時間も降れば、誰も歓喜の声を上げ、宴やら水の奪い合いやらのどんちゃん騒ぎが始まる事は想像に難くない。
特にウルフウッドと共に生きてきた、トンガリ頭のガンマン―――ヴァッシュ・ザ・スタンピードがこの場に存在しているのなら、全身で雨に当たり、満面の笑みを浮かべて踊りだすのだろう。

しかし、少なくともこの場においてウルフウッドの傍にはヴァッシュは存在せず、彼がいる土地もノーマンズランドではない。ゲームを行う為に用意された都市なのだ。


863 : return:wolfwood ◆diFIzIPAxQ :2021/02/14(日) 07:54:49 3Zn2HXqM0
ここはどこなのか、ここにつく前に見たあの映像は実在のものなのか、これからどうするか
思い浮かぶと考える事は山の様にあり、本来なら即座に行動に移していくべき場面であったが、ウルフウッドは動く事はなく座っていた。
ウルフウッドが脳裏に考えているのは一つ。自身の事である。

「そもそも、ワイは死んだんじゃなかったのか?どうやってあのキズを直したんや」

ニコラス・D・ウルフウッドは死んだ―――少なくとも本人はそう認識している。

「家族」である孤児院の仲間たち、そして孤児院で一時期共に過ごしていて、自身と同じミカエルの眼の暗殺者になっていたリヴィオ・ザ・ダブルファングを救うために、ヴァッシュと共に暴虐に飲まれてかけた孤児院を守る為に戦い、師であったチャペルたちと死闘を演じ、肉体再生を促す薬物を過剰摂取したことによるオーバードーズと戦傷によって死を免れぬ身体となった。
そして、最期の時をヴァッシュと過ごし、言葉を語らい、孤児院の仲間を乗せた飛行船を見届け――――――気づいたら全く別の場所にいて、別の椅子に座っていた。

素人目からみても助かりようがなかった傷は、まるでそんなものは存在していないかのように傷跡一つない。
身体を軽く動かしてみたが、違和感も感じず、まったくと言っていいほど問題がない身体そのままだった。

自身の身体状況と、目の前の光景を少しずつだが理解してきたウルフウッドはここに連れてこられる前の事を思い出していく。


――――――困惑している者もいるようじゃな。まあ、早い話がそなたら参加者同士で行われる殺し合いじゃよ。
――――――ルールは簡単。天野陽菜を連れ戻そうとする『森嶋帆高』を制限時間まで食い止めよ。『森嶋帆高』の生死は問わん。

その2つを思い出したウルフウッドは、思考を働かせていく。



死ぬ筈だったワイを生き返らせた。あの時はもうハラ括ってたけど、人間誰しも生きたいモノだ。悪い気分やない。

殺し合いを命じられた。それ自体は正直別に良い。命のやりとりは日常茶飯事だ。

『森嶋帆高』を捕まえろといった。殺し合いよりもっと楽だ。気絶させるまでボコればいい。


864 : return:wolfwood ◆diFIzIPAxQ :2021/02/14(日) 08:00:14 3Zn2HXqM0
それぞれ一つづつの事なら別に構わない。しかし提示されたモノを繋ぎ合わせると話は変わってくる。


本来死に往く人間を、わざわざ蘇らせるような事して、
そんでやらせる事は、子供が標的のクソッタレな殺し合い?


舐めてる。ワイを、ミカエルの眼の暗殺者を。ニコラス・D・ウルフウッドという男を。


「命救ってお膳立てしといけば、ワイが素直にハイ分かりましたあの子供を始末しますって思っとんのかあのババアは……!」


こめかみに青い癇癪筋を走らせ、怒りを顕にするウルフウッドの脳裏に浮かんだのは2つ。
一つはこのゲームの主催者と思わしき老婆。顔を思い浮かべるとなんだかどんどんイライラしてきた。
もう一つは暗殺者として育てられた時よりも以前に生活していた、そして死ぬ筈だった戦いで守り抜いた孤児院とその子供達。

分かっている。孤児院で一緒にいた知り合い達と『森嶋帆高』は違う。
家出と言っていた以上家族はいるのだろうし、必死に逃避行をしていたがウルフウッドからすれば頭下げて大声で謝れば見逃す程のガキの遊びの様なモノ。ノーマンズランド基準なら酒のつまみにもならないチンケな話だ。何より少なくとも彼の周りは安全だ。自分が過ごしてきた、生きていくのも精一杯な日々と比べるとぬるい環境。その人間を捕らえればここから脱出できる。

それでもワイは、ニコラス・D・ウルフウッドは、あの少年を殺す気にはなれなかった


「こういう役割はおんどれやろトンガリ……。子守とかは今のワイには似合わんで……。」


ヴァッシュ・ザ・スタンピードは恐らくこの地にはいない。むしろこの場にいたら逆に困る。人間が生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているあの星が終わってしまう。奴にはここではない土地で一仕事をしてもらわないといけないのだ。
これはウルフウッドが行って行かなければならない。思いがけないロスタイムの仕事だ。彼はそう思った。


「ババア………、ワイを参加させた料金は高くつくで」


それとどうせ生き返らせるなら一緒にパニッシャーとタバコも用意しとけ、と口には出さずにウルフウッドは反旗を思わせる決意を言う。


死すべき筈だった狼の足掻きが、この雨の街でどれだけ喰らい付いていけるのか――――――それは、誰もわからない


【ニコラス・D・ウルフウッド@TRIGUN MAXIMAM】
[状態]:健康(ロワ以前のケガ・後遺症は完治状態)、軽いイライラ
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜3(銃火器と煙草はなし)
[思考]
基本思考:とりあえず黒幕っぽいババアをボコりにいく。
1:今は一応帆高を探していく方針で。ババアの敷いたルールは無視
2:自分からは極力揉め事は起こさない。ただし売られた喧嘩は買う。
3:とにかく銃が欲しい。できればタバコも
4:…そもそもワイは死んだんじゃなかったのか?
[備考]
※死亡後からの参戦です


865 : ◆diFIzIPAxQ :2021/02/14(日) 08:01:38 3Zn2HXqM0
投下終了します


866 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 11:26:01 pZs6Cif60
投下します


867 : 善悪の彼岸 ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 11:27:05 pZs6Cif60
怪物と戦う者はその過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ

お前が長く深淵を覗くならば深淵もまた等しくお前を見返すのだ


○ ○ ○


警察署の窓から覗かれる雨景色。朝日刺さぬ曇天の薄暗さ
その薄暗さの中に男はいた。柔道着を身に包み、窓の外よりは遠すぎて見えぬかの場所を、まるで殺人鬼の如き眼光で見据えている

「――度し難き」

男の言葉には神子柴への怒りだけではなく、森嶋帆高への怒りも含まれていた
理由は至極単純明快。神子柴も森嶋帆高も、彼にとっては『悪』に過ぎないのだから

犯罪者だけならまだしも何の罪のない無辜の民すら巻き込んでの殺し合いの開催。その時点で男の中での神子柴の評価は罪人一択
そして森嶋帆高。男が映画で認識しただけで森嶋帆高が『犯した罪』は軽いながらも数が多い。そして何よりも

「己が欲望のために東京を壊さんとするか、森嶋帆高」

これが一番の理由。天野陽奈が人柱となりて雨が止まる。逆に森嶋帆高が天野陽奈を連れ出すならば雨は止まず、東京は海に沈む
この催しに呼ばれた参加者が『自分を含めた』罪深き者達ならば兎も角、無辜の民すら巻き込んだ上でのこの所業はあまりにも許されることではない。否、もはや男にとっては森嶋帆高の関係者すらも男にとっては『悪の芽』に過ぎない。そもそも、東京が海に沈もうものなら東京だけでなく日本中が大混乱に陥ることは確定であろう

「貴様は俺がこの人生で出会った中で最悪の『悪』だ」

故に、最早贖罪の余地など与えない。元より贖罪すら許すつもりもない。神子柴も、森嶋帆高も、それに関わる者達も須らくして悪。正義執行の対象でしかない。東京を滅ぼそうとする悪は、断じて許すわけには行かない

「―――これより、正義執行を開始する」

男の名は阿古谷。警視庁所属警部。第44機動隊隊長。そして若桜生命所属の闘技者
―――通称「処刑人」


【阿古谷清秋@ケンガンアシュラ】
[状態]:健康、神子柴と森嶋帆高に対しての強い怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:神子柴と森嶋帆高は必ず殺す
1:『悪』は殺す


868 : 善悪の彼岸 ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 11:27:17 pZs6Cif60
投下終了します


869 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 13:50:45 FIqbfP6U0
投下します


870 : 黒と黒 ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 13:52:21 FIqbfP6U0
「先に逝く、せいぜい頑張れ」
自分の死を確信しながらそう目の前の敵に言い放ったと同時に、俺の意識は途切れた。
俺の人生はそこで───悔いを抱いたまま、終わる筈だった。

----

「…ここ、は…」
意識を失っていた青年、伏黒恵は目を覚ます。
(俺は…魔虚羅を呼んで、それから…今俺が生きてるって事は…あのクソ野郎が魔虚羅を倒したって事なのか…!?)
纏まらない思考をなんとか纏めようとするも混乱していた伏黒だったが、ふと、こちらを心配そうな顔で見つめていた少女と目が合う。

「…あ、起きたんですねっ!良かった…」
「アンタは…?」

ホッとした様子を見せる少女に、伏黒は問いかけてみる。

「私ですか?私、黒田那佳って言いますっ!」

人懐こい笑みを浮かべながら、躊躇うこと無く自分の名を名乗った少女に対し、伏黒は…少々考え込んだ後、名乗り返す事にする。

(コイツが俺を殺そうとしてたなら、チャンスは十分あった筈だ。わざわざ俺が起きるまで待つ必要なんてどこにもない。こっちに害意があるようにも思えない。
…服装が時代錯誤っつーか…結構際どい気もするがそれは今考えない事にする。
何がどうなってんのか、まずは把握しておかねぇと。)

「…伏黒。呪術高専の伏黒恵だ。さっきまで意識が無かったせいで、今どういう状況なのか俺はわかっていない。…説明できるか?黒田」
「呪術、高専…?
…説明ですねっ、わかりました、伏黒さん!」

一瞬キョトンとした顔を浮かべた黒田だったが、すぐに了承し、ここに至るまでの現状を伏黒へと話し始める事にしたのであった。

【伏黒恵@呪術廻戦】
[状態]:健康、混乱
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:自分の良心に従って、人を助けたい
0:俺は…どうして生きているんだ…?
1:とりあえず彼女(那佳)の話を聞こう。まずはそれからだ。
2:虎杖達がどうなったのかが気がかり。
[備考]
※渋谷事変にて、宿儺が魔虚羅を撃破した後からの参戦です。調伏の儀が中断された後なので、仮死状態ではなくなり気絶していた時からの参戦になると思われます。
※制限により八握剣異戒神将魔虚羅は呼べないor呼べても弱体化しています。どちらなのかは後続にお任せします。
※気絶していたので映画「天気の子」を見ておらず、ルールも把握出来てません。

【黒田那佳@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、映画「天気の子」の続きを見たい!
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:出来る限り誰も死なせたく無い
0:あの神子柴っておばあちゃんを止めて、森嶋君や天野さんを助けないとっ!
1:まず伏黒さんに色々と説明しなくっちゃ!
2:もしハインリーケさん達も巻き込まれてたら、その時は早いうちに合流したいなあ。
3:呪術高専…???
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。


871 : 黒と黒 ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 13:54:31 FIqbfP6U0
伏黒の状態表のミスに気付いたので修正します

【伏黒恵@呪術廻戦】
[状態]:健康、混乱
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:自分の良心に従って、人を助けたい
0:俺は…どうして生きているんだ…?
1:とりあえずコイツ(黒田)の話を聞こう。まずはそれからだ。
2:虎杖達がどうなったのかが気がかり。
[備考]
※渋谷事変にて、宿儺が魔虚羅を撃破した後からの参戦です。調伏の儀が中断された後なので、仮死状態ではなくなり気絶していた時からの参戦になると思われます。
※制限により八握剣異戒神将魔虚羅は呼べないor呼べても弱体化しています。どちらなのかは後続にお任せします。
※気絶していたので映画「天気の子」を見ておらず、ルールも把握出来てません。


872 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 13:55:56 FIqbfP6U0
短めでしたが投下を終了します


873 : ◆MHAerkj/WI :2021/02/14(日) 14:54:55 ENzjAUBM0
投下します。


874 : ◆MHAerkj/WI :2021/02/14(日) 14:59:04 ENzjAUBM0
「あたしは死んだはずなのに」

雨が降り続いていく中、肌が色白で黒いボディスーツを着た美人、ドツクゾーン所属のダークファイブの一人、ポイズニーは困惑していた。
自分はプリズムストーンを奪うためにプリキュアと戦って、闇に還った。
簡単に言えば死んだはずだったのだが、どういうわけか映画を見せられた挙句、バトルロワイアルに巻き込まれていた。

「まあ、いいわ。このゲームに乗ることは変わらない。」

ポイズニーはすぐに冷静になり、方針は決まっている。願いの権利を使って主であるジャアクキングにためにプリズムストーンをすべて献上する。
そのためには森嶋帆高を確保しなければいけない。
半殺し程度にしてどこかに隠せば問題ない。
愛などという感情はどうでもいい、ポイズニーとしては関係のないことだ。
問題はルールでは願いの権利は5人までと書かれてあるが、恐らく、願いを独占するために他の参加者と蹴落としあうだろう。
勿論、ポイズニーも他人と一緒に願いを叶える気はない。
それなら邪魔な奴らは始末していく。
今までだってすべてを支配するために奪っていたのだから。

だが、一つだけ大きな問題があった。

「厄介なことをしてくれたわね。」

得意の変身能力がかなり制限されている
ポイズニーの変身は老若男女関係なく、誰でも化けて、声まで完璧に変えることができるのだ。
変装できないわけではないが、森嶋帆高以外出来ない。
ならば普通に実力行使かあるいは森嶋帆高の変装を十分に利用する手もある。

「あたしは絶対に生き残る。どんな手を使っても。」

生前のような油断や隙は二度と作らない。
ドツクゾーンが生き残るためには光を食い尽くすしかない。
自分たちが生きるために。


875 : 悪の華のリベンジ ◆MHAerkj/WI :2021/02/14(日) 15:01:44 ENzjAUBM0
【ポイズニー@ふたりはプリキュア】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:願いをジャアクキングにプリズムストーン献上に使う
1:森嶋帆高を捕まえて、どこかに隠す
2:他の参加者を始末する
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※変身能力に制限があります。バトルロワイアルに来る前の変身した人物には変身不可能。
※森嶋帆高に変身するかは次の書き手にお任せします。


876 : ◆MHAerkj/WI :2021/02/14(日) 15:02:51 ENzjAUBM0
投下終了します。


877 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/14(日) 17:07:48 3L56fETs0
投下します


878 : ちょこ先輩、お許しください! ◆5IjCIYVjCc :2021/02/14(日) 17:08:30 3L56fETs0

「お菓子好きかい?」

「はい!大好きです!」

「ほっほっほ、そうかね」

「………」

「………」

(え?それだけ?)

【園田智代子@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いに乗りたくはないけど…
1:このおじいさん、お菓子が好きかどうかは聞いただけ!?
2:放クラや283プロのみんなが無事かどうか心配

【ボルガ博士@チャージマン研!】
[状態]:そうか、頭の中に爆弾が!
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:レセプションに戻る
1:あまり殺し合いなんてするものじゃないな
※頭の中に時限爆弾が仕掛けられています。
※いつ爆発するかは不明です。


879 : ◆5IjCIYVjCc :2021/02/14(日) 17:09:03 3L56fETs0
投下終了です。


880 : ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 18:09:41 gwyv5xM20
投下します


881 : 出撃!求Q究明団!! ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 18:10:46 gwyv5xM20
「クロケン参上!!」
「ピョンカラ上々!!」
「アニメ炎上!!」
「ウっ、ウッホ…特上!!」

「「「「世界の『?』を解き明かす! 我ら最強4人組!! 求Q究明団!!」」」」


A-7に設置された公園で四人の子どもたちがポーズを決めていた。

「…なお、『求Q究明団』のQはクエストのQである。フッ…決まった」
「ウッホ! お前まーたタイミング遅せーぞ!」
「ゴ、ゴメン」

降りしきる雨に濡れるのも構わず元気にはしゃぐ子供たち。
巻き込まれた殺し合いという非日常に、不安よりも興奮を覚えていた。

「なあ、アニメ!
 今日の探検(クエスト)は決まってるよな!」

『クロケン』と名乗った少年の呼びかけに、『アニメ』と呼ばれた少年が答える。

「そうだね。
 まず、今回俺らが巻き込まれたゲームについてまとめてみよう」
そう言って支給されたタブレットを取り出す。


「まず、これは小説や漫画なんかでよくあるような『最後の一人になるまで殺し合え〜』っていうものじゃないらしい」
「そうだな。あの婆ちゃんも『制限時間まで大人しくしていれば帰れる』って言ってたしな」
「『帰れないこともない』ね。混同するのは危険だよ。
 終了条件は『森嶋帆高の死亡』もしくは『森嶋帆高が天野陽菜に会うのを阻止する』の二つ。
 極端な話、『誰かが達成してくれれば』僕らは隠れているだけでもゲームは終わり、家に帰れる」

メガネを持ち上げるアニメに、クロケンは不敵に笑いかける。

「でも、そんなのつまんねえよな」
「その通り」

どうやってこの場に自分たちを連れてきたのか。
何が目的でこのゲームが行われているのか。
本当に天気が天野陽菜によって決定されているものなのか。
このゲームを勝ち抜いた先に何があるのか。

解き明かすべき『?(ハテナ)』は山ほどある。

世界の『?』を解き明かす最強4人組たる『求Q究明団』としてそこに目を背けることはできない。


882 : 出撃!求Q究明団!! ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 18:11:22 gwyv5xM20

「だから俺達の手で森下帆高を捕まえよう。
 そうすればこのゲームで誰かが死ぬこともないし、このゲームの謎について、森嶋帆高が知ってることを聞き出せるかもしれないからね」
「そうなりゃ俺達、本物のヒーローじゃんか! スッゲェ!」
「でも抵抗されたらどうする?」
「大丈夫!ウッホの支給品があれば誰でも言うこと聞くって」
「う、うん……! 任せて!」

すっかりびしょ濡れになってしまった彼らだが、そんなことには頓着しない。

ヒーローとして人を助け、活躍する自分の姿を思い浮かべ熱狂する。


「そうと決まりゃあ早速行動開始だ!
クロケン参上!!」
「ピョンカラ上々!!」
「アニメ炎上!!」
「ウっ、ウッホ特上!!」

「「「「世界の『?』を解き明かす! 我ら最強4人組!! 求Q究明団!!」」」」



求Q究明団の戦いが今始ま―――
「なんか、寒くね?」
ピョンカラの呟きが、歩み始めた彼らの足を止める。

「確かに。これだけ濡れれば当然とも思ってたけど、ちょっと寒いな」
「みんなだらしねーぞ! そんなんじゃ森下帆高を捕まえらんねーだろ!」
「クロケンはマフラーしてるだろ! ずりーぞ!」
「け、喧嘩はよくないよ…」
「そーだ! そんなことより早く建物の中に入ろう!」

多少の言い争いと共に走り出す四人。
しかしその足も、急激に下がった気温に止められてしまう。

木々が凍てつき、地面には霜が降り、空気中の水分すら凍結し宙を舞う環境下で、雨に濡れた少年たちが生き残れる道理など存在しない。

「あ……」
「さ、さむ……」
「な…んで……」
「たす、け……」


こうして、求Q究明団の戦いは『全員の凍死』という形で終わりを告げた。


【クロケン@神さまの言うとおり弐 死亡】
【ピョンカラ@神さまの言うとおり弐 死亡】
【アニメ@神さまの言うとおり弐 死亡】
【ウッホ@神さまの言うとおり弐 死亡】


883 : 出撃!求Q究明団!! ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 18:14:25 gwyv5xM20





「まったく、傍迷惑なことだ」

A-7エリアの中心部にて独りごちる男がいた。

何の変哲もないグレーのスーツに緑のネクタイ、ピチリと七三に分けられた髪型。

一見ただのビジネスマンにしか見えないこの男こそ「ナンバー4」「ストームレイン」こと洗谷。
世界的大企業であるジャジメントの日本支社における非合法活動部隊の長であり、気象を操る超能力者でもある。


「しかし、この雨はいったいどうしたことか。
 天候を操る私の能力でも降りやませることができず、気温を下げても雪にならない。
 そのくせ雨を強くすることには何の支障もない」

首をかしげる洗谷
だが、すぐに「どうでもいいか」と頭を切り替える。
答えの出ない疑問にかかずらっている暇などないという風に。


洗谷はとある作戦の準備中、気がついたらこのゲームに参加させられていた。

雨が降り続くこの街で、制限時間まで森嶋帆高を天野陽菜に会わせてはならない。
さもなくば街は雨で水没し、森嶋帆高以外の参加者は全員溺死することになるのだという。

馬鹿馬鹿しい話だが、現在洗谷は作戦行動中。
その真偽を確かめるよりも、可及的速やかにこの状況を終わらせて作戦行動に復帰することが最優先。

映画を見る限り、森嶋帆高に戦闘能力は備わっていない。
普通のか弱き一般人だ。
そして、名簿を見る限り大神博之や犬井灰根といった味方陣営の人間もどうやらいないらしい。

以上の事柄から、洗谷は会場すべてを凍てつかせ、片っ端から参加者を殺害することで速やかに事態を収拾することにしたのだ。


雨に濡れた体でおよそマイナス90℃まで下がったこの環境に置かれて、生存していられる人間などそうはいない。少なくとも森嶋帆高には不可能だろう。

かろうじて生き延びた人間がいたとして、超低温下ではまともに体を動かすこともできない。
そんなものは鳥を前にした芋虫に等しい。
雷やカマイタチで止めを刺せばそれで済む。

どこにいるかもわからない森嶋帆高を探して歩き回るよりは、会場を片っ端から死の世界にする方が余程効率的というものだ。


「さて、早いところ終わらせるとしよう」
そう呟いて、洗谷は東へ進路を取った。


【洗谷@パワプロクンポケット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:速やかにこの状況を終わらせ、作戦行動に復帰する。
1:森嶋帆高の殺害を最優先。
2:すべてのエリアを氷漬けにする。
※制限により能力の及ぶ範囲は1エリア分に留まります。また、洗谷が離れてから10分で元の気候に戻ります。
※以上の能力制限に気づいていません。
※参戦時期はホンフーとの決戦直前です。


884 : ◆ylcjBnZZno :2021/02/14(日) 18:14:47 gwyv5xM20
投下終了です


885 : ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:39:40 M8ePQbFg0
投下します。


886 : 穢れ切った奇跡を背に/求め ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:40:18 M8ePQbFg0
「炭治郎、もし私が一度死んで、この場で生き返ったって言ったら信じる?」
 堂島瀬里は竈門炭治郎に対し、そう尋ねた。

 ――――――――――――――――――

 炭次郎はこの場に降り立ち、困惑の極みに会った。
 失った右目と左腕の機能が完全に回復している。体力も元通りだ。
 服もいつの間にか鬼殺隊の隊服に着替えさせられている。その上の市松模様の羽織は禰豆子が縫ったものだ。縫い目でわかる。
 周囲を見渡すと、長い廊下に柱が直線に建ち並んでいる。駅の構内だが炭次郎にはその知識がない。
 足元にあった鞄の中身を確かめてみると、その中には炎の鍔が嵌められている刀。
 刀身を確かめると漆黒の峯に鍔元には『滅』の一文字。間違いない、最後の無惨との戦いで折れたあの刀だ。それが傷一つなく蘇っている。
 刀を納め腰に差すと、程よい緊張感が炭次郎に蘇り、落ち着きを取り戻した。
 他に誰かいないかと構内を歩くと、遠くに人影が見えた。
 近づいてみると何やらハイカラな服を着ている女性だった。鞄の中身を確認しているようだ。
 殺気の匂いは無いので、炭次郎は遠くから話しかけた。
「すみません、俺は竈門炭治郎といいます。名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

 ――――――――――――――――――

 堂島瀬里は、この場に召喚された後、自分の身体を見渡した。
 『私は確かに死んだはず』。それが瀬里が初めに抱いた疑問だった。
 だが、瀬里の身体には傷一つなく、それどころか死んだときの衣装ではなく、メイド服に着替えさせられていた。
 足元にはデイバック。中を確かめると自動拳銃と弾倉があった。
 通常の人間なら銃を見て動揺する所だが、瀬里は平然と銃を取り、弾倉を差し込みスライドを引いてチャンバーに弾丸を装填した。
 次の中身を確かめようとした時、腰に日本刀を差した少年が近づくのを見て、銃をデイバックの中に入れた。

 ――――――――――――――――――

「私は瀬里、堂島瀬里よ。あんたも映画見せられてこの悪趣味な狩りに呼ばれたわけ?」
「はい。あの活動写真はいいものでしたね。その後は最悪でしたけど」
「……何か変に古い言い方するわね。服装もなんか時代がかってるし」
 近づいて来た炭治郎の姿を見て、瀬里は遠慮なく言った。
「時代がかった……? ……まさか!?」
 あの活動写真であった塔。全面に硝子を張ったビルディング。蒸気をはかない機関車。善逸から話でしか聞いた事のない自動車。どれも炭次郎にとって未知の物だった。
 そして堂島瀬里の『時代』という言葉で思い出したのは、鬼殺隊の最終試験で出会った鬼。
 信じられないが、もしかしたら。
「……堂島さん。今の年号分かりますか?」
「瀬里でいいわよ。私も炭治郎って呼ぶから。それに今の年号って……平成でしょ?」
 変な質問だと瀬里は思った。
「俺にとっては大正です。やっぱり年号が変わっている……」
 だが炭次郎にとっては驚愕すべきことだった。
「何よ、まるでタイムスリップでもしてきたかのような事を……」
 呟いた途中で瀬里は気付いた。自分は生き返ってここにいる。ならもしかしたら時代を超えて人間を呼ぶことも出来るのでは――
「じゃあ、炭治郎――」


887 : 穢れ切った奇跡を背に/求め ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:40:40 M8ePQbFg0

 ――――――――――――――――――

「はい、俺も失った身体の部分が元通りになっているので」
 そして最初のやり取りに戻る。炭次郎は鬼の血気術という人知を超えた力を知っていたので、割とすんなり受け入れられた。
「じゃああの婆さんの生き返らせる力も、違う時代から人を召喚する力も信じるしかないか。けど、まさか大正から来たなんてね。100年くらい違うじゃない」
「俺も驚きました。百年後はこんなに発展していたんですね」
「まあ、私が生まれる前に日本が戦争で負けて、その後復興したわけだけど」
 炭次郎は興味深げに辺りを見回す。痣の代償であと十年も生きられない炭次郎にとって、百年後の世界など見る物すべてが驚きだ。
「次に聞くけど……私が『殺人鬼』で『人殺し』だって言ったらどう思う?」
 瀬里は軽く尋ねたため、炭次郎がその話の重さに気づくのに、時間がかかった。
「……その二つに違いがあるんですか?」
 重すぎて返答できるのはそれだけだった。
「違うわよ。趣味として、快楽のために、殺人そのものを目的として殺すのが『殺人鬼』。
 怒りや憎しみといった感情で人を殺すのが『人殺し』よ。私はその両方なの」

 瀬里のいた世界で『フェイスレス事件』と呼ばれる連続殺人事件があった。
 遺体はいずれも年若い女性ばかりで、猟銃で判別がつかないほど顔面を粉砕されていた。
 犯人が逮捕された時、世間はその意外性に驚いた。
 犯人は資産家の高校生になる姉妹たち――瀬里とその妹で、動機も不明瞭だったからだ。

 瀬里の世界ではこのような普通の10代の女性が突然殺人を犯す現象が起こり続け、それをマスコミは『メデューサ症候群』と呼んでいた。

 だが、今の瀬里は知っている。ある組織が実在した殺人鬼の人格を手当たり次第に植え付け、その芽の出た人間が殺人鬼――メデューサへと化すことを。
 その中でも特に瀬里の残虐性、殺した人数、銃の腕前はオリジナルのそれを遥かに超えていた。

 『殺人鬼』と『人殺し』。その違いを知ったのは生き返る前、ヤクザ相手に殺し屋まがいの事をさせられた際の事。
 脱獄するため、予め逃亡防止用に打たれていた毒の解毒剤を奪うよう指揮者兼監視役の連中を人質に取り、監視していた部屋を探したが全く見つからなかった。
『毒を使ったのは脱獄を恐れたからだ。つまりは今のような。逃げた実験動物には死んでもらった方が良いということだ』
 指揮者であるあの女、女医の香澄の冷たい理由で瀬里は絶望と焦りと怒りの余り、監視役の一人を打ち殺した。
 それを目にした香澄は一瞬動揺した後、呆れ、失望を露わにして言った。

『堂島瀬里……君はもう殺人鬼ではない。殺人鬼とは愉悦を以って人を殺す鬼。彼らは殺人そのものを目的として殺すのだ』
『怒りに任せて殺すのは鬼じゃない。ただの人間だ』
『残念だよ、瀬里。キミは今、ただの人殺しになった』

 『殺人鬼』と『人殺し』を分かつものは何か? 瀬里はその答えを知った。
 堂島瀬里は人の顔を破壊して愉悦に浸る『殺人鬼』であり、感情に任せて人を撃つ『人殺し』だ。


888 : 穢れ切った奇跡を背に/求め ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:41:08 M8ePQbFg0
「逆に尋ねますけど、堂島さんは人を喰らう鬼の存在を信じますか?」
「だから瀬里でいいって。頭硬いわね。そうね……時代が違うんだから、昔はいたのかもしれないわね」
 やはり無惨を倒した後、鬼の存在は消えたようだ。炭次郎は思わず胸を押さえた。
 そうなるとあの神子柴の存在が謎となるが。
「俺は殺された人たちの無念を晴らすため、犠牲者を増やさないため数多くの鬼の首に刃を振るってきました。
 だけど、鬼の中には自らの行いを悔い、苦しみ、歪んだ形とはいえ救いを求めていた者達もいました。
 俺はそういった者を空しく、悲しく感じました」
 今まで切ってきた鬼達の死を切望するほどの苦痛の匂い、糸を繰る十二鬼月の崩れ去る最後から噴き出た抱えきれないほどの悲しみの匂い、そして猗窩座の感謝の匂いと笑み。
「瀬里さん。あなたが本当に殺人鬼だというのなら多分誰からも許されず、遺族から恨まれ罵倒され憎まれているのでしょう。
 だけど、もし、世界中でたった一人だけでも受け入れてくれる人がいるのなら、救いはあるんじゃないかと思います」
 その中でいま最も強く思い出すのは上弦の陸の兄妹。彼らも身勝手な理屈で自分の私利私欲の為、多くの人を殺し喰らっていた。でもその絆は本物だった。
 最後は醜く罵倒し合っていたが、あの世で仲直りできていたらいいと思う。
「……炭治郎、あんたはそのたった一人になってくれる?」
「…………俺はまだあなたが」
「冗談よ」
 炭次郎が言いかけた途中で瀬里が割り込んだ。
「最後に聞くけど炭治郎、あんたは帆高をどうするつもり?」

 炭次郎は鼻の奥から血の匂いがするのを感じ取った。怪我など二人ともどこにも負っていないというのに。

「勿論、帆高君は守ります。そして陽菜さんも助け皆が脱出する方法を探します」

 炭次郎は強く断言した。 

「そう」

 瀬里は小さく呟きデイバックの中に手を入れる。

「じゃあ、死んで」

 そして取り出した拳銃で炭次郎の頭を撃った。

 一瞬のけ反った炭次郎。だがすぐに鞄を頭に当て、瀬里から離れた。
 同時に瀬里もデイバックを持ち、炭次郎から離れた。
 二人は互いから見て柱の陰に入り込む。

 瀬里は舌打ちした。判断を誤った。ヘッドショットは弾丸が頭蓋骨で滑るケースが多い。
 まず腹を撃って動きを止めるべきだった。


889 : 穢れ切った奇跡を背に/求め ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:41:30 M8ePQbFg0
「どうしてですか、瀬里さん! あなたからは快楽も怒りも憎しみもその匂いが無かった! あるのは決意だけだった!
 脱出するのには帆高君を殺すのが一番簡単から、その邪魔になる俺を殺す気ですか!?」
 額の傷を押さえて炭次郎は叫ぶ。
「私には妹がいるのよ! 同じように殺人鬼にされ、親からも見捨てられた妹が!」
 銃を握り締め、瀬里も叫ぶ。
「私が死んでたった一人で今も逃げ続けているだろう妹を、あの神子柴の奇跡なら救えるかもしれない!
 私はもう悪魔に魂を売ったから私自身はどうなってもいい! だけど妹は、真希だけは何とか幸せにしてあげたい!」
 話しながら炭次郎のいる柱から、少しづつ離れる。
「だから私は帆高を殺す! そして報酬で真希を助ける! 邪魔するなら炭治郎、あんただって誰だって容赦せずに殺す!」
 そして瀬里は炭次郎から逃げる様に駅の郊外へ向かっていった。

 羽織を破って額に巻いて血を止め、柱に身体を預けた炭治郎に深い悲しみがこみ上げてくる。
「分かりますよ、瀬里さん。俺も長男だから、禰豆子の幸せの為なら何でもしてあげたい」
 叫ぶ瀬里から悲しい程の強い決意が伝わってきた。
「でも、そのために他人を犠牲にしてしまっては駄目なんだ。
 こんな穢れた奇跡なんかじゃ誰も幸せになれない」
 判断が遅かった。あれだけの覚悟を決めてしまった瀬里に対しては、もう剣をもって止めるしかない。
 勿論殺す気は無いが、縛って動けなくするくらいなら出来る。
「俺は帆高君を守ります。その時に瀬里さん、あなたに会ったら必ず止めます」
 固い決意を心に秘め、炭治郎は外を目指し歩き始めた。


【炭治郎@鬼滅の刃】
[状態]:頭部負傷
[装備]:鬼殺隊隊服、炭次郎の日輪刀
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:帆高を守り、陽奈を助けて参加者皆で脱出する。
1:帆高を捜索する。
2:帆高を殺そうとする者がいるのなら戦って止める。
3:首輪を何とかできる人を探す。

[備考]
※参戦時期は204話後です。
※神子柴はそれぞれ時代が違う人間を呼んだと思っています。

【炭次郎の日輪刀@鬼滅の刃】
 元は戦国時代の鬼殺の剣士が使っていた刀。
 そこに煉獄杏寿郎の日輪刀に填められていた炎の鍔を嵌めている。
 漆黒の刀身に鍔元には『滅』の一文字が刻まれている。


890 : 穢れ切った奇跡を背に/求め ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:42:04 M8ePQbFg0



 瀬里は駅から出て、雨に打たれて走りながら殺人鬼に『させられてから』死ぬまでの出来事、そしてこれからの自分を思い返していた。


 ――だって面白いのよぅ。銃で顔を撃つと形が変わって。

 顔が滅茶苦茶に変形する様に愉悦を覚える殺人鬼の人格。それを自覚し、植え付けられたことを知ったのは刑務所での実験終了時であった。

 ――この私を実験動物にするなんて許せない。このままじゃいずれ私達殺される。その前にここから出るわ、必ずね……。

 だから、脱獄を志し、パパからも別国籍を用意したと告げられたことで決断。実験に乗じ、さらに同じメデューサの連中からも助けられて抜け出せた。

 ――愛してる。でも死んでくれ。

 だけど、脱獄してまで会ったパパからは見捨てられた。殺すために呼び出された。

 ――因果応報。因果応報。

 そうして私はパパが集めた、私が殺した人の遺族から復讐されて死んだ。

 そして死んでなお私は、羽黒の時と同じように首輪に繋がれ、殺しを強要されている。

 この状況はまるで悪魔の娯楽の様だ。希望をちらつかせて殺し合いを助長させるあたりが。
 死ぬ前ならここから抜け出す事を考えただろう。だけど刑務所から脱走して、親から殺した遺族達に売られて死んだ私には、もう戻る場所も行ける所もない。
 だから私は、あの神子柴の誘惑……何でも願いを叶えるという言葉に頼る気でいる。

 私は喜々として人を殺した。顔を銃で潰して、その様が面白くて笑った。羽黒刑務所に収監されてからも殺し屋扱いにされて人を殺し、監視していた奴も殺して脱走し、復讐を望んだ遺族達も命と魂を引き換えに皆殺しにした。
 そんな罪深い私に神様の救いなんてない。
 神にも社会にも親にさえ見放された私は、悪魔の囁きに頷くしかないのだ。だけどそれは私自身の為じゃない。

 真希――私と同じように殺人鬼の人格を植え付けられ人を喜んで殺し、同じく脱獄して追われる身となった、私にたった一人だけ残った大切な存在――妹だけは何とかしてあげたいからだ。
 私は最後に真希に幸せになってと言い残した。でもそれが呪いになっていないだろうか。
 真希も私と同じように快楽のままに人を殺し続けた。そんな残虐な殺人鬼が助けを求めても誰が聞いてくれる? もし聞いてくれる人間がいるなら、それは羽黒の様な殺人鬼の力を悪用しようとする者くらいだろう。
 もしかしたら私の幸せになってという言葉が重みになって、真希は何者かに利用されさらに罪を犯してしまうかもしれない。だから私はこの穢れた奇跡に頼る気でいる。
 真希を幸せにできるならなんだってやってみせる。帆高を殺す覚悟はある。神子柴に身も心も魂も売って、その結果私自身が消えてしまっても構わない。
 私はもう、自分の中の悪魔に魂を捧げているんだから。

 私は真希を、真希の罪や運命から逃れられるくらい遠くの世界――楽園へと連れていく。


【堂島瀬里@サタノファニ】
[状態]:健康
[装備]:メイド服、グロッグ32(14/15)、弾倉×10
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:帆高を殺し、報酬で真希を幸せにする。
1:帆高を探す。
2:脱出するために帆高を殺そうとする者たちと手を組む。

[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※神子柴はそれぞれ時代が違う人間を召喚したと思っています。

【グロッグ32@現実】
 自動拳銃グロック17のコンパクトモデル。
 32はリボルバー用の.357マグナム弾同様のポテンシャルをオートマチックで発揮させる.357SIG弾が採用されている。


891 : ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 19:42:26 M8ePQbFg0
投下終了です。


892 : ◆.EKyuDaHEo :2021/02/14(日) 19:43:37 lLgQA3Ec0
投下します


893 : ワンワンニャンニャン ◆.EKyuDaHEo :2021/02/14(日) 19:43:59 lLgQA3Ec0
ぼくはシロ、わたあめが得意な犬なんだ
ぼくはいま凄く困っていた、いきなりどこか分からないところにいて男の人と女の人の物語みたいな映像が流れてたけどよく分からなかった、そのあとにおばあさんがでてきて「ばとるろわいある」っていうのを言っていたけどそれもよくわからなかった
でも、そのあとに女の人がでてきておばあさんに攻撃しようとしたとき、その女の人の首についていた機械みたいなのが爆発して首から頭がなくなってた...なにかとんでもないことが起きてる気がする...


「これからどうしよう...とりあえずしんちゃんがいるかもしれないからさがそう!」


しんちゃんっていうのはぼくのかいぬしさんでかぞくなんだ。
お下品でおバカでよくおかあさんから怒られているけど、明るくて元気で道で飼い主さんを求めていたぼくのことを拾ってくれた優しい飼い主さん。
今回みたいにいきなり知らない場所に連れてこられたのは何回かあったからひょっとしたらしんちゃんやひまわりちゃん、おとうさんおかあさんも連れてこられてるかもしれない、そしてぼくはしんちゃんたちを探しに行こうとしたそのとき...


「そこのお前!ちょっと待つんだニャン!」
「!?」


突然呼びかけられて驚いたぼくは警戒しながらその声のするほうを見ると、そこには二本のしっぽがあって右耳が少し欠けていて腹巻きをしている赤い猫さんが二本足で立ってた


「な、なに...?」
「そんなに怯えなくて大丈夫ニャンよ、オレっちは殺し合いには乗ってないニャン」


乗ってないとは言っても世の中嘘をつく生き物はたくさんいる、でもこの猫さんは嘘をついてない気がするし悪い猫さんにはみえない


「そうなの?」
「そうニャン!それにオレっちは主催を倒したいと思ってるニャンよ!オレっちはジバニャンだニャン!」
「僕はシロだよ」
「そういえばシロ、お前飼い主いるかニャン?」
「飼い主さん?うん、いるよ、飼い主さんは道で捨てられてた僕を拾ってくれたんだ」
「それは良かったニャンね...飼い主さんは大事にするニャンよ...」


僕はジバニャンくんが悲しい顔をしながら言ったのに気づいた


「どうかしたの?」
「オレっちも元々は普通の猫で飼い主に可愛がられてたニャン...けど交通事故で亡くなって今はこうして妖怪として生きてるニャン...」
「!!...そうだったんだ...」
「オレっちが死んじゃって妖怪になった時、飼い主は動かなくなったオレっちを抱き抱えて泣いていたニャン...」
「...」


僕はジバニャンくんの話を聞いて色々驚いた、ジバニャンくんが亡くなったこと、ジバニャンくんが妖怪だったこと...続けて話すジバニャンくんに僕は黙って聞いていた


「だからシロ、お前も飼い主が大切だったら、飼い主の悲しませることはしちゃいけないニャン...」
「ジバニャンくん...」


妖怪って悪い妖怪が多いってイメージだったけどそんなことはなかった、ジバニャンくんみたいに良い妖怪もいるんだと分かった...


「うん!僕、飼い主さんを悲しませないために生き残って元の世界帰るよ!」
「そのいきニャン!」


僕はジバニャンくんと一緒に元の世界に帰るために頑張ることを決めた
しんちゃん、元の世界にいたら待っていてね!
もし僕と同じで連れてこられていたら...必ず僕がお助けするんだ!
僕は強い意志を持って前に進み始めた


【シロ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る
1.ジバニャンくんと行動する
2.しんちゃん達がいるかもしれないから探す
[備考]
・本人は気づいてませんがほんやくコンニャク@ドラえもんを食べているため人間にも言葉が通じる

【ジバニャン@妖怪ウォッチ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:主催を倒して元の世界に帰る
1.シロと行動する
2.ケータを探す
[備考]
・参戦時期は少なくとも100話のジバニャンが妖怪になった後に飼い主に別れを告げた後です


894 : ワンワンニャンニャン ◆.EKyuDaHEo :2021/02/14(日) 19:44:26 lLgQA3Ec0
投下終了です


895 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 20:29:33 FIqbfP6U0
不安ですが投下してみます


896 : 憎悪〜にくしみ〜 ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 20:34:38 FIqbfP6U0
止まぬ雨の中、1人の青年が立っていた。

「…我々との意思の共有が行われない。
だがいい、私は理解した。あの女が抱き、あの見せしめにされた女が抱いていただろう憎しみという感情を、映画の概念を、天気の子という映画の存在を、あの老婆が話したルールを…私は、我々の意思を代行する」

淡々とした声色のまま、青年は1人言葉を溢す。
彼には名前が無い。彼はフェストゥムと呼ばれている、身体の99%が珪素で構成されているシリコン生命体。それらを束ねるべき存在であるミールの意思の代行者、マスター型と呼称される個体であった。最も、彼等フェストゥムは「この段階では」一部の個体を除き、個という概念が確立していないのだが。
故に彼には名乗る名前も、呼ばれる名も無い。なので此処では、便宜上彼を「イドゥン」と呼称する。

この殺し合いに呼ばれる前のイドゥンは、「情報」という概念を理解した上で、自分達フェストゥムを滅ぼし得る新型ファフナーの情報収集を行っていた。
その過程で彼は、新型ファフナーの一機「マークニヒト」と、それに搭乗していたパイロットの狩谷由紀恵を同化し…そして、彼女が抱いていた「憎しみ」という感情を理解した。その直後にイドゥンは、この殺し合いに招かれたのである。

ミールとの意識の共有が切れている事に僅かばかりの困惑を抱くが、それに自分では気付かないまま、彼は目的を定める。
この殺し合いでのイドゥンの目的は二つ。
一つは、理解した憎しみのままに、森嶋帆高や神子柴も含めた、この場にいる人類を全て殺し尽くす事。
もう一つは、人類以外のこの場にいる者に対して、他の北極のミールに同化と言う名の祝福を与える事である。

しかしイドゥンは気付いていない。
ここに来る前、同じマスター型でありながら、人類を同化する対象か殲滅する対象としてしか見ていなかったイドゥンとは違い、人類との共存の道を探そうとし、意見を違えたミョルニル(こちらも便宜上の呼称)相手に、言葉を使った「対話」による意思疎通を行なってしまっているという事実に。
既に自らが、「個」や「存在」という概念を理解しつつあるという事に。

本来の歴史ではイドゥンは、人類軍と竜宮島部隊との総力戦の果てに、北極のミールを破壊され、そこから切り離された末に「個」を確立してしまい、最終的には「痛み」と「消滅」への恐怖を抱きながら同化された。
しかしこのイドゥンがどのような道を迎えるのかは…今後の彼次第である。

【イドゥン@蒼穹のファフナー Dead Aggressor】
[状態]:健康、人類に対する強い憎しみ、無意識の内に抱いた困惑(微小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この憎しみのままに神子柴を含めたこの場の人類を皆殺しにする、そうでない者は同化(祝福)する
1:私は私によって、映画「天気の子」とこの殺し合いのルールを理解した。
2:森嶋帆高を殺す前に、試しにE-1の廃ビルと鳥居の破壊を試みる。
3:マークニヒトの捜索。
[備考]
※第23話『劫掠〜おとり〜』にて、狩谷由紀恵を同化し憎しみの感情を学んだ後からの参戦です。
※フェストゥム形態への変化は可能ですがサイズはある程度の大きさまで縮小されます。
※名簿上でもおそらくはイドゥン表記になると思われます。


897 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 20:35:23 FIqbfP6U0
投下終了です
エミュ等が不安ではありますが、とりあえずはこれで


898 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 20:35:44 pZs6Cif60
透過します


899 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 20:37:26 pZs6Cif60
「おいおい、マジかよこりゃ」

いつまでも雨が降り続ける会場を、窓の内より眺めている金髪の男、手塚義光は改めて自らに起きた現象に驚きを隠せずにいた

「あのババァ、マジで人蘇らせる力持ってんのか」

何より驚いたのは死者の蘇生だ。あの時神子柴に無謀にも歯向かった女性は首輪を爆破され死亡した。そしてその力を誇示するかのように殺した女性を蘇らせた
手塚の記憶が確かであれば自分はあの時間違いなく死んだはずなのだから、死んだ自分がなぜここにいるのかという半信半疑気味な疑問にも合点が行く

「そして、森嶋帆高を妨害か死滅すりゃ先着五名で願いを叶えてもらえる。ねぇ……」

森嶋帆高が天野陽奈の元に向かうのを一定時間まで妨害、または森嶋帆高の死滅を達成すれば、主催本部に辿り着いた先着五名の参加者がどんな願いでも叶えてもらえる。が、どうにも胡散臭い

「なんで『死滅』って文面だ?」

まるで森嶋帆高が複数いるような言い方。森嶋帆高一人始末するだけなら説明は『死亡』で良いはずだ

「……そういうことかよ。けっ、面倒なルールを敷いてくれたもんだ」

考え付くのはルールにおける『扱い』。あのゲーム同様、自身に付けられた首輪やらで生死の判別や参加者の区別をある程度しているのだろう
もし『今』の森嶋帆高が死んで、別の参加者が無作為に『森嶋帆高』と扱われるならば、納得だ
そうなった場合、メリットは儀式さえ止めれば生還だけは可能。デメリットは他の参加者に狙われ続ける事になる。ということだ

「さて、どうしたもんかねぇ……」

根本的な打開策が無い以上、今はまだ森嶋帆高が天野陽奈の元に辿り着かれてしまうのは非常に困る。だから少々あのガキには痛い目を合わせてでも足止めしなければならない。デメリットのことも鑑みて殺害は最終手段。もし自分が『森嶋帆高』扱いにされたのならばそれこそガキの代わりに天野陽奈と出会い―――

「……まて、その場合だと首輪はどうなる?」

ふと思い返せば、『森嶋帆高』の首輪に関しての記述は存在していない。参加者は条件さえ満たせれば首輪を解除してもらえる。だが、天野陽奈を助け出した所で『森嶋帆高』の首輪は解除されるのか?
答えは―――否だ。あくまで溺死しないのは『森嶋帆高』と天野陽奈だ。だがその場合『森嶋帆高』の首輪は外されないまま

「……そういうことか、本当にめんどくせぇルールだな」

簡単な話、どうあがいても『森嶋帆高』は死ぬという可能性。神子柴というババァがあの儀式で何をしようというのかはわからない。だがどちらにしろ、天野陽奈に最初から逃げ場なんて無い
②のルールは、もしもの時に参加者を一掃するためだけの虐殺システムでしか無い。『森嶋帆高』が天野陽奈を助けても、全ては無意味

「となりゃ、まずはこの邪魔な首輪をどうするべき、か」

ならばやるべきは早急な首輪の解除だ。溺死のシステムやらが懸念ではあるが、首輪さえ何とかしてしまえば、主催の手で殺されるという事は無い

「……支給品には首輪の解除に使えそうなのはねぇ、が……。おっと、こいつは確か、シカゴタイプライターか。って弾数無限ってマジかよ! こいつぁ当たりじゃねぇか!」

シカゴタイプライター。かつてアメリカで開発され、禁酒法時代において警察とギャング双方が使っていた短機関銃。サブマシンガンという言葉の由来でもある。説明書には弾数無限と書かれており、明らかな当たりであった

「武器になりそうなのは、こいつぐらいか。だが、それでも儲けもんだ」

武器は揃った。方針もある程度整った。優先事項は首輪の解除と森嶋帆高の足止め。森嶋帆高の殺害はあくまで最終手段、最悪己が『森嶋帆高』扱いされてしまえば詰みに近い

(もしババァ共の企み全部ぶっ壊すってんなら……)

手塚義光が安易に殺し合いに乗る方針を取らなかったもう一つの理由。それは願いを叶えるという言葉が真実かどうか。死者の蘇生こそやってのけたが、その実本当にあの胡散臭いババアが願いを叶えてくれるかどうか
勿論あのババァが自分たちを逃がすつもりが無いというのであれば、その時は全力で抵抗する。そしてクソババァの目論見をぶっ潰す。もしそうなった場合

(殺るのはあのガキじゃなくて―――――天野陽奈か)

真に殺すべきは、もう一つの鍵である、天気の巫女こと天野陽奈


900 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 20:37:45 pZs6Cif60
【手塚義光@シークレットゲーム -KILLER QUEEN-】
[状態]:健康
[装備]:シカゴタイプライター(トンプソンM1)@バイオハザード4
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2(武器や工具の類ではない)
[思考・状況]
基本方針:首輪の解除を最優先
1:森嶋帆高の足止め。デメリットも考慮し殺害は最終手段として控え、痛めつける程度に留める
2:ババァが元より逃してくれるつもりがないのなら、神子柴の目的も潰させてもらう
3:もし主催の目論見を潰すならば殺すのは天野陽奈か……?

※参戦時期はBルート死亡後
※シカゴタイプライターはバイオ4隠し武器仕様の為弾数無限です


901 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 20:38:12 pZs6Cif60
投下終了です タイトルは『ハンターズ・プラン』でお願いします


902 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 20:45:43 FIqbfP6U0
投下乙です
憎悪〜にくしみ〜のミスに気づいたので該当箇所を修正します

もう一つは、人類以外のこの場にいる者に対して、同化と言う名の祝福を与える事である。


903 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/14(日) 21:11:03 K3wmtB3w0
投下します


904 : 時空(とき)を超えた遭遇(であい) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/14(日) 21:11:39 K3wmtB3w0
この会場内では今、とてつもなく人目を惹くものが走っていた。

なんとガラスでできた馬車が走っているのだ。

ガラスになっているのは馬車だけではない、なんとそれをけん引している馬もガラスでできているのだ。

そしてその馬車の中には一組の男女が乗っていた。

男の方は、星条旗の柄をしたパンツをはいたプロレスラー。

女性の方は、一人は白く長い髪をした、どこか高貴さを漂わせる美しい少女だった。
更に言うと白い髪の方はやたらでかい帽子をかぶっていて、異様な存在感を誇っている少女だった。

「……マッスルパワーさん、だったかしら?貴方のような力強いお方が仲間になってくれて、私はとても心強いわ」

白い髪の少女が、目の前に座っているプロレスラーにそう話しかけていた。

彼女の名前はマリー・アントワネット、フランス革命期に消えた王妃にしてヴェルサイユの華と謳われた少女である。
そしていまこの場にいる彼女は聖杯によって、ライダーのサーヴァントとして現界している英霊でもある。

「ああ……俺が求めているのは真の英雄との闘いだ。断じてあのようなゲスどもの言いなりになるためではない」

また彼女の言葉に対して男は、自分の信念などからこの戦いに乗り気ではないことなどを伝えていた。

男の名前はマッスルパワー、アメリカ合衆国出身のプロレスラーにして、常に強い者を求めてあらゆる大会に出場している男である。

「それに……俺としては、お前とは別の場所で戦ってみたいからな」
「あら?それは……どうしてかしら?」

また彼はマリーに対して、一度闘ってみたいという発言をした。

当然それに対してマリーは疑問を返した。なぜ自分と戦いたいのか、それが彼女には理解できなかったからだ。

「お前は"英雄"だろう?ならば一度お互いの力を試してみたい……それだけだ」
「あら、そういうことですの?……でも、困りましたわ…わたしはこういった求められ方をしたのは初めてでして……」

それに対して彼は「お前が"英雄"であるからだ」と答え、そしてマリーはそれに対して困惑した状態で返していた。

「……お前は、『ワールドヒーローズ』という大会を知らないのか?」
「えっと……申し訳ないのですけれども、存じ上げませんわ……教えて、いただけるかしら?」

マッスルパワーは彼女のその反応を受けて、かつて自分が参戦した『歴史上の英雄たちが戦いを繰り広げた大会』のことを知っているのかを尋ねた。

それに対してマリーは「知らないから、教えてほしい」と返した。

「そうか……では教えてやる、ワールドヒーローズという大会というのは……」

こうして彼は、ワールドヒーローズという大会、そして自分が繰り広げた数々の戦いについて説明するのだった……。


【マッスルパワー@ワールドヒーローズシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:主催者のことが気に入らないのでぶっ飛ばす。
1:俺が求めているのは、真の英雄だ……。断じてお前たち(主催者)のような存在ではない。
2:No.1の英雄であるこの俺が、一肌脱がないといけないな。
3:彼女(マリー・アントワネット)を、俺のプロレス団体に加入させるのも面白いかもしれない。
[備考]
参戦時期はワールドヒーローズ2のエンディング後、自分が立ち上げたプロレス団体に他の英雄たちを加入させた後。
マリー・アントワネットを別の大会で呼ばれた英雄、もしくはこれから呼ばれるかもしれない英雄だと思っています。

【マリー・アントワネット@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:百合の王冠に栄光あれ@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:帆高と陽菜の人生を、悲劇で終わらせたくない。
1:愛し合うもの達が引き裂かれてしまうなんて、あってはならないわ!
2:マッスルパワーさんの言う大会は、ちょっと興味がありますわ。
[備考]
参戦時期は少なくとも第1部第一章後またはカルデア召喚後のいずれかです。
マッスルパワーから、『ワールドヒーローズ』のことを教えてもらいました。
マッスルパワーのことを、未来から来た英霊だと思っています。


905 : 時空(とき)を超えた遭遇(であい) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/14(日) 21:15:56 K3wmtB3w0
投下終了です

はっきり言うとワーヒーとFGOをコラボさせたいという思いから書き上げました。
あと、マリーにしたのは完全に趣味です。

もう一つ、すみませんが先ほど投下した部分にミスがあったので該当箇所の修正をお願いします。

更に言うと白い髪の方はやたらでかい帽子をかぶっていて、異様な存在感を誇っている少女だった。
 ↓
更に言うとやたらでかい帽子をかぶっていて、異様な存在感を誇っている少女だった。


以上、ありがとうございました。


906 : ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:31:24 Atz1vyeo0
投下します。


907 : 雨の兎と御伽話(フェアリーテイル) ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:32:12 Atz1vyeo0
『携帯型心理診断、鎮圧執行システム。ドミネーター起動しました。
 ユーザー認証、宮下愛。参加者名簿への記載を確認。
 使用許諾確認。適性ユーザーです。

 現在の執行モードは、ノンリーサル・パラライザー。
 落ち着いて照準を定め、対象を無力化してください。』

「……なに、この銃。頭の中に声が直接聞こえてくる。」

「愛さん。だいじょう、ぶ……?」

宮下愛は脳内に直接声が響いてくるという経験したことのない現象に困惑していた。
状況からみて、この手元の銃から聞こえてるとしか思えない。
愛が銃のグリップを握った瞬間に銃が緑色に発光し始めたことからも間違いないだろう。
普段なら着ないような今の自分のスーツ姿と合わせると完全に殺し屋か何かである。



なぜこんな状況になっているのかは数刻ほど時をさかのぼることになる。
愛は先ほどまでスクールアイドル同好会の練習の一環として虹ヶ咲学園の周辺をランニングしていた。
汗だくになるまで走り切って、清々しい気持ちで帰ってきて着替えようとしたところでこの騒動に巻き込まれたのである。

そのため街に放り出された直後はもう酷いものだった。
汗でただでさえ冷たいのに、そこに雨まで加わってはたまったものじゃない。
藁にも縋る気持ちで支給品を確認したところ、謎の黒スーツが入っていたのでこれ幸いと近くの建物に飛び込んで着替えて今の服装に至る。
でもバスタオルはともかく女性ものの下着までスーツと一緒に入ってるのは愛さんどうかと思う。

そのタイミングで偶然開始地点が近かったから合流したのがこの望月杏奈ちゃんだ。
聞いた話によると彼女も765プロダクションというところのアイドルらしい。
こんな殺し合いに巻き込まれて、不安そうにしていたので愛さんが元気づけてあげた。
雰囲気がどこか友達の天王寺璃奈―――りなりーに似ててほっとけなかったのもある。

そして落ち着いてきたところでお互いの支給品を確認してみようということになり、愛さんの支給品から出てきたのがこの喋って光り輝く謎の銃である。
こんな回想をしてる間にもずっと語り掛けてきている。
確認してみたところ、杏奈ちゃんには聞こえていないようだったので本当に頭の中に響いてるようだ。
話している内容に興味はなかったが、かといって聞き流すわけにもいかずに耳を傾けている。



「この銃、めっちゃ危険じゃん!!!」

この銃の自分語りによると、本来は警察みたいな組織が犯罪者を捉えたり排除するのに使う銃らしい。
元々そんなことを説明する機能はないけど、この殺し合いにおいては親切心なのかユーザーが初起動したときに教えてくれるとか。
『犯罪係数』っていうよくわからない数値を計測して、相手の数値によってモードが切り替わるみたい。

今回に限っては殺し合い促進のために、ユーザーの意志で殺人モードにもできるんだって。
そんな機能いらない!!!って本気で思ったよ。

「……でも、これがゲームに乗ってる人の手に渡るほうが危険かぁ。
 もっちー、そっちの支給品はどう?」

「もっちー……?」

「あれ、嫌だった?もっちー呼び。」

「……ううん。嫌じゃない……。
 事務所にも、同じ呼び方をする子がいるから……びっくりしただけ、です。
 杏奈の、支給品は……なんだか、よくわからないのが出てきた。」

そういってもっちーが取り出した支給品は……確かによくわからない代物だった。
ひとつは、謎の細長い……試験管のような形のボトルとでもいうべきだろうか?そんな不思議なものだった。
半分に金色、もう半分に銀色の線が走っていて、液晶のような枠が左右に二つある。
もっちーが試しに振ってみると、それに合わせて変な音が聞こえてきた。液晶部分も赤く光っている。

「あはは!なにそれおもしろーい!!変な音するー!!!」


908 : 雨の兎と御伽話(フェアリーテイル) ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:33:10 Atz1vyeo0

「でも、これがどう役に立つかはわからない……です。
 もうひとつは……。」

そういって出してきたもうひとつの支給品は……なるほど確かにこれも見たことないものだ。
パッと見は腕に装着するための腕輪がついたダブレット……のようにも見える。
だが、それにしては液晶部分以外にもついているものが多い。
何より不思議なのは、横側に何十枚にもなりそうなカードの束がセットされていることだ。

「これって、もしかして……カードゲーム?」

「の、デッキ……だと、思います。」

「じゃあこれ、デュエルディスクってやつ?
 ああいうのっておもちゃなんだと思ってたよ。」

遊戯王オフィシャルカードゲーム。
有名なので、おそらく誰でも名前は聞いたことがあるだろうカードゲーム。
愛も名前くらいは知っている。遊んだことはないが。
こういったものを付けて勝負するアニメのポスターも見たことがある。

「……実際に売ってるのは、ただのおもちゃ……です。
 でも、これは……重たくて、本物の機械……みたいな感じが、します。」

「……でも、仮に本物だとしてどうやって使えばいいんだろ?
 カードゲームが遊べるだけなんじゃないの?」

二人して頭を捻ってみるが、全く思いつかない。
もっちーはカードゲームでも遊んだことがあるようだけど殺し合いでの使い方はわからなそうだった。
……実際はリアルソリッドビジョンにより、モンスターを実体化させて襲わせることもできる大変危険な兵器である。



―――そんなことをしてると、建物のドアが開く音が聞こえてきた。
誰かが中に入ってきた音だ。
音を聞くまで周りを警戒していなかった自分を恥じた。

「誰ッ!!!」

反射的に入口へ向けて光る銃を突き付けた。
明かりがついていないため、暗くて相手の顔がまだよく見えない。
身長や体つきから片方は成人男性、もう片方は愛とそこまで変わらない少女のように見える。
銃口が見えたのか二人とも手を上にあげていて、男性は何も持っていないが女性は赤い弓矢のようなものを持っていた。
愛の銃のように支給品だろうか。あまり扱いに慣れてはいなさそうだった。

「ちょちょ、ちょっと待って!俺たち殺し合いには乗ってないから!」

「だから三峰言ったじゃん戦兎さん!
 ちゃんと声かけて確認してから中入ろうって!」

「ばっかそれで中にいるのが殺し合い賛成派だったらどうすんの!
 みすみす殺されに行くようなもんでしょうが。」

二人とも銃を突き付けられるなりコントのようなやりとりを繰り広げ始めた。
もっちーも守らなければと警戒していた愛は、そんなやり取りを見て気が抜けてしまった。

『犯罪係数、アンダー100。執行対象ではありません。
 バトルロワイアルの間はトリガーのロックがかからないため、慎重に標準を定めてください。』

頭の中に響いてくる無機質な声もこう言っているので多分あの二人は大丈夫なんだろう。
でもトリガーはロックしてほしいと心から思った。



◇◆◇


909 : 雨の兎と御伽話(フェアリーテイル) ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:34:14 Atz1vyeo0
三峰結華は、もしかしたら雨とは縁があるのかもしれない。
普段からうっすらと自分でも思っていたことだ。
プロデューサーに283プロへスカウトされた時も雨だった。
……でも、だからってこんな悲しい雨まで降らせなくてもいいのに。




ひとまず4人とも殺し合いに乗ってないことはわかったので、改めて自己紹介と情報交換を済ませる。
戦兎さんと三峰は、会場に投げ出された直後の座標がすぐそこだったのでひとまず共に行動しつつ、雨宿りのために建物に入ったこと。
そして向こうの二人もついさっき偶然一緒になったこと。

望月杏奈ちゃんのことは三峰も知っていた。
アイドル好きな人間が、765プロダクションとその所属アイドルを知らないなどどいうことは、三峰の常識ではありえないことだ。
だがそんな三峰も、スクールアイドルという言葉は聞いたことがなかった。
自分が知らないだけならまだしも、まみみんやきりりんのような高校生組が話しているのすら聞いた覚えがない。

自分をスクールアイドルだと名乗る宮下愛という少女を観察する。
受ける印象としては、活発で明るい太陽のような少女だと思った。
283プロの中なら、放課後クライマックスガールズの小宮果穂が近いだろうか。
アイドルとしてデビューすれば、瞬く間に人気になりそうだと感じた。

「……仮説だけど、もしかしたらよく似た並行世界の人間なんじゃないか?
 スクールアイドルが存在する世界と、そうじゃない世界の。」

戦兎さんがいきなりそんな突拍子もないことを言い始めた。
突然の非現実的な言葉と意見に、アイドル組3人が顔を見合わせる。

「突拍子もないって言うなら、あの神子柴って奴が俺たちをこんなところに集めていることの方がよっぽどだ。
 それに俺の世界では昔、並行世界が絡んだ出来事も実際に起きてる。」

そして戦兎さんは語り始めた。
地球外生命体エボルトとの戦いや、エニグマという並行世界に干渉する機械を用いて2つの並行世界を衝突させ消滅させようとした最上魁星との戦い。
正直なところ俄かには信じ難い話のオンパレードだったが、戦兎さんの表情は真剣そのものだった。

「……かなり端折ったけど、これが俺が仮面ライダービルドとして戦った並行世界関連のお話だ。」

「愛さんにはビックリな話ばっかりだったけど……戦兎さんが嘘ついてない、ってことはわかるよ。」

「……でも戦兎さん、さっき言ってたけど今はその仮面ライダービルドになれないんだよね?」

「痛いところ突くじゃないの。支給品の中にビルドドライバーとハザードトリガーだけでフルボトルが一本もないって、嫌がらせか。」

「振る、ボトル……?
 ……もしかして、それって……コレ?」

そう言って杏奈が、自分のバックから何やら細長い筒のようなものを取り出した。

「いやもっちー、三峰さっきドライバーってやつ見せてもらったけど多分それは入らないんじゃ――」

「――それだっ!フルフルラビットタンクフルボトル!」

――えーこれなの?と思わず内心で突っ込んでしまう。
もっちーからそれを受け取った戦兎さんは左手で頭をかきながら「さいっこうだ!」と笑っていた。
すごい嬉しそう。でも髪の毛跳ねてるよ戦兎さん。




落ち着いた戦兎さん曰く、これからやるべきことはまず2つある。
ひとつは首輪を外すこと。
ふたつはこの会場からの脱出方法を見つけること。

「とにもかくにも、この首輪を外さないことには敵の掌の上だ。
 そして外した後も、この会場が水没する前に脱出しないと溺れてしまう。
 ご丁寧にこんなマップなんてのがあるんだ、多分何かしらの方法でマップ外にはいけないようになってるはずだ。」

「愛さんにも手伝わせて。こんな状況だし、他人事じゃないから。
 もっちーとゆいゆいはどう?」

「杏奈に、なにができるかは……わからないけど……。
 ……お手伝い、させてください。」

「待って、あいちー。もしかしてゆいゆいって三峰のこと?
 …………まあ、やるしかないでしょ。こんなところで三峰も死にたくないから。」

「―――なら、ひとつだけ約束してくれ。
 危険なときは、俺の後ろにすぐ逃げること。
 みんなの命は俺が守る。仮面ライダーは、正義のヒーローだからな。」

3人が頷いて、今後の方針についてまとまった。
みんなを守るといった時の戦兎さんの顔は、たしかに本物のヒーローのものに見えた。
もしかしたら果穂ちゃんなら目を輝かせていたのかもしれない、と思うと同時に283プロのみんなはこんなことに巻き込まれていてほしくないと強く思った。


910 : 雨の兎と御伽話(フェアリーテイル) ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:35:30 Atz1vyeo0


【宮下愛@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ、黒スーツ@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らない。みんなでここを脱出する。
1:まずは戦兎さんたちと一緒に4人で行動する。
2:もっちー、どこかりなりーに似ててほっとけないなぁ。

※アニメ次元からの参戦です。参戦時期は1期最終話の後です。
※遊戯王のアニメが存在することは知っていますが、その内容やキャラクターについては
 主催によって記憶にロックがかかっています。
※ドミネーターによって断片的にPSYCHO-PASSシリーズの世界観を把握しました。
※仮面ライダービルドの世界観を一部把握しました。
 少なくともエボルトの存在と平成ジェネレーションズFINALの話は知っています。


【望月杏奈@アイドルマスターミリオンライブ!】
[状態]:健康
[装備]:ユートのデュエルディスク@遊戯王ARC-V
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らない。みんなでここを脱出する。
1:杏奈にできることがあるかは、わからないけど……がんばり、ます。
2:もっちーって呼び方……流行ってる、の……?

※スクールアイドルの知識を獲得しました。
※遊戯王のアニメが存在することは知っていますが、その内容やキャラクターについては
 主催によって記憶にロックがかかっています。
※仮面ライダービルドの世界観を一部把握しました。
 少なくともエボルトの存在と平成ジェネレーションズFINALの話は知っています。


【桐生戦兎@仮面ライダービルド】
[状態]:健康
[装備]:ビルドドライバー+フルフルラビットタンクフルボトル+ハザードトリガー@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:仮面ライダービルドとしてみんなを守る。脱出方法も探す。
1:3人は俺が守る。なんたって、自意識過剰な正義のヒーローだからな。
2:まず調べるべきなのは、首輪の解除方法だな。
3:あと、マップの隅がどうなっているのかは把握しておきたい。

※参戦時期はTV本編終了後の新世界からです。
※スクールアイドルの知識を獲得しました。


【三峰結華@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:ソニックアロー+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らない。みんなでここを脱出する。
1:戦兎さん、変な人だと思ってたけど悪い人じゃないのかも。
2:もっちー、なんだかてんちゃんみたい。本当にステージの時とは全然違うんだなぁ。
3:まさか自分が愛称で呼ばれることになるとは……。
4:283プロのみんなは、こんなことに巻き込まれてないよね……?

※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※スクールアイドルの知識を獲得しました。
※仮面ライダービルドの世界観を一部把握しました。
 少なくともエボルトの存在と平成ジェネレーションズFINALの話は知っています。


911 : 雨の兎と御伽話(フェアリーテイル) ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:37:09 Atz1vyeo0


【ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ】
同作品シリーズにて公安局刑事課の刑事達が使用するアイテム。
銃口を向けた相手の『犯罪係数』という数値を計測し、規定数値以上の場合はトリガーがアンロックされる。
本来はシュビラシステムと呼ばれる装置と常にリンクしているが、今は主催によりリンクが切られており犯罪係数を測定しているのも主催です。
ユーザー認証は参加者名簿に基づいており、名前が記載されていればだれでも扱うことができます。
初起動のユーザーの場合、ドミネーターについて詳しく教えてくれるようになっています。

このバトロワにおいては99以下でパラライザー、100以上でエリミネーターに変形するように引き下げられています。
また殺し合い促進のために、4時間に一度だけ犯罪係数に関係なくエリミネーターに変形させることができます。
相手が人型より巨大だったり異形の敵だった場合などは、デコンポーザーの使用も解禁されるかもしれません。
エリミネーター4発またはデコンポーザー3発分の電力があります。もしかしたら充電するための設備がマップ内に存在するかもしれません。

【黒スーツ@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
アニメ版虹ヶ咲OP、虹色PassionsのOP映像にてメンバーが着ている黒スーツ。
OPのみで作中には登場していないため、本人はこのスーツのことを知らないし着たこともない。

【ユートのデュエルディスク@遊戯王ARC-V】
エクシーズ次元の決闘者、ユートのデュエルディスク。
モンスターなどをリアルソリッドビジョンで実体化させることができます。(杏奈はまだ気づいていません。)
実体化可能な時間には制限やクールタイムが存在します。具体的な時間は後続の書き手にお任せします。
デッキは当然【幻影騎士団】で、ユートのエースモンスターである《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》も採用されています。

【ビルドドライバー@仮面ライダービルド】
仮面ライダービルドに変身するためのベルト。
ふたつのフルボトルをセットして、横のレバーを回転させることで変身が可能になる。

【フルフルラビットタンクフルボトル@仮面ライダービルド】
仮面ライダービルドがラビットラビットフォーム及びタンクタンクフォームに変身するためのアイテム。
また後述のハザードトリガーの制御装置でもある。

【ハザードトリガー@仮面ライダービルド】
ビルドの強化アイテム。
使用するとハザードレベルを上昇させて圧倒的な戦闘力を得られるが、長時間使用すると理性を失い暴走してしまう諸刃の剣。
上記のフルフルラビットタンクフルボトルはこの暴走を抑えるために開発されたもの。

【ソニックアロー@仮面ライダー鎧武】
エナジーロックシードを用いて変身したアーマードライダーの基本装備である弓。
弓だが、両端に刃がついており近接戦闘も可能。エナジーロックシードを付けていれば弓の弾数は無制限。

【メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武】
新型ロックシードであるエナジーロックシードのひとつ。モチーフはメロン。
旧型ロックシード以上のエネルギーを持つが、ゲネシスドライバーという専用のドライバーがなければ基本的には変身できない。


912 : ◆1qfrROV/6o :2021/02/14(日) 21:37:44 Atz1vyeo0
投下を終了します。


913 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 21:52:32 FIqbfP6U0
短めですが投下します


914 : 千の夜をこえて ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 21:54:38 FIqbfP6U0
護りたいと思った、護りたかった相手が居た。何が何でも、そいつを救ってやりたかった。けど…そいつは、俺達が生きてる世界を救う為に…自分を犠牲にする事を選んだ。
…俺はあいつに、嘘を付いちまった。墓には…あいつの名前は無かった。なのに俺は…せめて、あいつが安心して、消えれるようにって…嘘を付いた。

このまま森嶋が、天野に会う事が出来なかったら、天野に会う事を諦めちまえば…多分、俺と同じ思いを抱えたまま、一生後悔を抱え続ける事になる。
…森嶋にまでそんな思いはさせたくねえって、そう俺は思った。

勿論死ぬのは御免だ。俺がここで死んじまえば、今まで背中に背負って来た物がみんな壊れちまう。そして、他の参加者達も死んじまうのはもっと御免だ。俺は全部を護るなんて出来ねえけど…山ほどの人を護りてえんだ。
だから俺は、脱出手段を探しながらあの神子柴って奴を倒して、この殺し合いを止める。
バッグの中に入っていた天鎖斬月を手に取りながら、そう俺は決心した。

【黒崎一護@BLEACH】
[状態]:健康、決意
[装備]:天鎖斬月@BLEACH
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:脱出手段を探しながら、主催を倒してこの殺し合いを止める
1:死にたくはねえけど…あいつには…森嶋には、俺みたいな後悔はして欲しくねえ。
2:知り合いが居るのなら合流したい。
3:危険な参加者が居たら、俺の手で止める。
[備考]
※参戦時期は、少なくとも劇場版第1作目である「MEMORIES OF NOBODY」以降からです。詳細な参戦時期は後続にお任せします。
※原作の千年血戦篇にて、一護は叫谷に一度行った事があると発言していますが、彼が叫谷に訪れた事があるのは劇場版第1作のみである他、該当する発言があった話が収録された単行本にて筆者が「叫谷について知りたければ映画一作目を見てください」という意味の発言をしている為、彼は劇場版第1作での出来事を覚えています。


915 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 21:55:03 FIqbfP6U0
投下を終了します


916 : 千の夜をこえて ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 22:07:36 FIqbfP6U0
支給品の説明を忘れていた為追記します

【天鎖斬月@BLEACH】
黒崎一護の斬魄刀である斬月が、卍解を果たした姿。
刀身、柄、鍔など全てが真っ黒になっていて、始解時に比べると形も小型化している。
また死魄装も変化し、黒いロングコートを纏ったような姿になる。
一護曰く、このロングコートも卍解の変化の一部らしいので、破れたりした後は霊力が回復するまで元に戻らないようになっている。
卍解した一護と最初に対峙した朽木白哉の見立てでは、卍解としての戦力全てを、小さな形に凝縮することによって、超速戦闘を可能とする能力があると推測されている。
描写などから、卍解すると移動速度や反応速度が大幅に上昇すると思われる。
また他の卍解とは違い、霊力の消費が少ない為か、作中にて解除されたのは虚夜宮でのウルキオラ戦で瀕死の重傷を負った時のみであり、それ以外の時は卍解を維持出来ている。


917 : 時空(とき)を超えた遭遇(であい) ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/14(日) 22:17:26 K3wmtB3w0
すみません、私の方も>>904の方で支給品の説明を忘れておりましたので追記いたします。

【百合の王冠に栄光あれ@Fate/Grand Order】
ギロチン・ブレイカーと読む。

栄光のフランス王権を象徴した宝具で、フランス王家の紋章(百合の花の紋章)が入ったガラスで構成させている美しき馬の姿をしている。

きらきら輝く光の粒子をふわりと撒きながら戦場を駆け抜けて、王権の敵対者にダメージを与え、
また同時に味方のバッドステータスを解除し、体力や魔力を回復させる能力を持っている。

なお馬とは別に荷台や乗車部分も存在しているほか、空中を掛けることも可能な描写もある。


918 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:22:04 pZs6Cif60
代理投下します


919 : ジャックジャンヌ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:22:40 pZs6Cif60
びょいん。びょいん。

夜の街にスプリングが跳ねる。

びょいん。びょいん。

真夜中に僅かな光を灯したビルは蝋燭立てのよう。

びょいん。びょいん。

怪人は童謡のように飛び越える。

びょいん。びょいん。

怪人の名前はバネ足ジャック。

びょいん。びょいん。

バネ足男は月輪を影に跳ねる。

あきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ!


○○○


920 : ジャックジャンヌ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:22:58 pZs6Cif60
『バネ足ジャック』
かつて19世紀ロンドンに存在した怪人。
仮面の奥を爛々と光らせ、口から青い炎を吹く。
特徴的なのはそのバネ足を活かした高い跳躍力。
甲高い笑い声と共に神出鬼没に現れて、女性達を驚かせて去ってゆく。
そんな都市伝説上の存在である。

「くだらないな」

その正体は彼。英国の放蕩貴族、ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイド。
バネ足ジャックは、かつて彼が行った悪戯を発端とする怪人である。

ウォルターは殺し合いに乗る気は無い。
先程見せられた幻灯機の映像には驚きはしたが、ミコシバに命じられホダカとやらを殺すのも癪である。放蕩貴族としての心根は反抗することを選ぶ。
この場でやることは決まっている。かつて姪を助けたようにホダカを守り、ミコシバを倒して帰る。それだけだ。
支給されていた衣装に身を包み、ウォルターは怪人バネ足ジャックへと変わる。
その跳躍力は21世紀の新宿というロケーションにおいても健在である。
ビル街を駆け、天井に乗り、道路の真ん中を我が物顔で跳ねる。
口から吐く青白い炎は夜の街を彩るアクセントとなる。
この世界が本来の新宿であれば、新たな現代怪奇になったであろう。
降り止まない雨に打たれ、バネ足ジャックは跳ねる。
なんとなく雨は好きでない。かつての日の事を連想してしまうから。

そうして、探索を続けていると、ビルとビルの間から二本足の機械の姿が見えた。
その機械はカシャンカシャンと人工筋肉を軋ませて、闇の中、モノアイを緑色に灯らせる。
錆びついたボディに雨が打たれるその姿は、何処か痛々しさすら感じ取れる。

「……自動人形か」

自動人形。オートマータ。
12世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパで作成されていた機械仕掛けの人形をそう呼ぶ。
かつて機械工学を専攻していたウォルターにとって馴染みのある言葉だ。
実用化したという話は聞いたことが無い。しかし、都市伝説の怪人がここに居るのだ。
ならば、似た存在がいるのはおかしな事でない。
殺し合いなどする気は無いが、あの人形が此方に危害を加える気ならば、この場で破壊するだけである。
カギ爪を構え、何時でも迎撃出来る体制へと移る。
その自動人形は怪人に気づくと、ガタガタとぎこちない動きで首を動かし、人工音声を紡いだ。

「ぜぼっと ドコ?」


○○○


921 : ジャックジャンヌ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:23:17 pZs6Cif60
ある世界。からくりに支配された街があった。
人々は暴虐を続けるからくり達に恐怖していたが、ある一人の科学者は命じられたまま破壊活動を行う彼らの姿に心を痛めていた。
ある日、壊れかけのからくりを見つけた科学者はそれを改造し、破壊性を取り除いた。
そうして、花を愛でることすらも可能な、心を持ったからくりが誕生した。
その生まれ変わったからくりは、かつて科学者が失った恋人の名を与えられる。
それが彼女『エリー』と呼ばれるからくりである。
科学者とエリー、そしてある冒険者達の手によって、からくり達の支配は終わり、街に平和が訪れた。

しかし、街を救ってもエリーと科学者は救われなかった。
エリーの姿は街を破壊したからくり兵そのもの、人々にとっての恐怖の象徴は受け入れられられるものでない。
人々はエリーが心を持っていることを信じない。もう不要だから壊してしまえという声すら上がった。
身勝手な人間達に失望した科学者は、それから生涯、誰とも会うことはなかった。
彼と彼女は二人だけで生きていく。恋人の死を受け入れることの出来なかった科学者は、永遠に死なない存在をそばに置いて自分を慰める。
彼は数年、数十年、数百年。科学者は永遠に『変わる事のない』愛を受け続けた。
その命が終わった後も。
永遠に。


○○○


922 : ジャックジャンヌ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:23:37 pZs6Cif60
「アタタカイ すーぷ ノメバ  ゲンキニナル」
「頂くよ『エリー』」
「オイシイ すーぷ ツクル」

新宿のとある一角にあるレストランの中。
歩きながら情報交換を終わらせた二人は、一旦今後のことについて話すことにした。
この店を選んだのは、雨に打たれて震えを帯びる彼の姿を見たエリーが、身体が温めるためにスープを飲むことを提案したからだ。怪人といえど雨に濡れた身体が冷えるのは変わらない。
怪人はバネ足ジャックの衣装が乾かし、からくり人形は調理場へと向かった。

(ゼボットってやつは……そうか)

ウォルターは横目にスープを作るエリーの姿を見る。
全身は錆に覆われ、大小の細かな傷が痛々しい。
ガタガタとぎこちない動きは危なっかしく、油を差していないのか、動く度にキィキィと耳当たりの悪い音が響く。
あまりに長い間、手入れがされていない事が分かる。
それは彼女の言う『ゼボット』がどうなったかを暗に示している。

(昔、『変わらない』ものを求めた奴がいたっけな。そんなコト出来やしねぇのに)
「すーぷ デキタ アタタカイウチニ」
「ああ、感謝する」

何百年もの間、口の付かれることの無かったスープを飲み込む。
新鮮な野菜を使って作られたスープは栄養豊富であり。食の細い者でも食べられるようにと柔らかく工夫され、一口毎に優しい心を感じられる。
そこから本来飲むべき相手のことを強く思っていることが分かる。

万物は『変わっていく』。
姿形は錆付き、動く度に軋む音が響く。留めることはできない。
エリーの姿は所々に痛々しさを感じさせるが、彼女の愛は永遠に『変わらない』。
『心』の籠った温かなスープは、雨に打たれ冷たくなった身体をほぐす。

「エリーよ、この後どうするか決めているかい」
「……ワカラナイ」
「だろうな」

エリーはからくりだ。だけど心がある。
先程見た映画でも、映像美にキレイという鑑賞を抱き。森嶋帆高と天野陽菜が離れ離れになるのはツライという感情を抱く。
からくり故に命という概念は理解出来ていないが、コロシアイなる言葉はエリーに辛い選択を強いる。
心を持たない只のからくり兵の一員であった頃なら、何も考えず森嶋帆高や参加者達を襲っていたであろう。しかし、今のエリーにそんな事は出来ない。

「私はホダカを探しに行く、戻ってくるまでここで待っていてくれ」
「……えりー ツイテイク」

彼女は他のからくり達とは違う。優しい心を持っている。
なにもせずに待っているという選択は彼女には出来なかった。
モノアイの視線を真っ直ぐに目に向けられて、ウォルターは『そうか』と返した。

「その前にだ、エリー。君のメンテナンスをさせてもらおう」

ウォルターの見立てでは、エリーはもう長く保たないだろうと判断する。
それは殺し合いという場に関係なく、既に彼女の寿命が近いということ。
永遠の愛を持っていても、『最高』を留めておくことは出来ない。数百年もの経年劣化は彼女を蝕んでいる。
今動いていること自体が奇跡的だ。近いうちに機能を停止してしまうことは見れば分かる。
事実、本来の世界においては彼女はゼボットの亡骸の側で静かに機能を停止する運命にあった。

「スープの礼だ。綺麗になれば、ゼボットとやらも喜ぶだろう」
「うぉるたー ……ホントウ」
「ああ、本当さ。私はオックスフォードを出ている。技術力は心配する必要ないさ」
「……アリガトウ」

降り注ぐ強い雨、生死無用の殺し合い。
この環境が彼女に残された時間を削る事は目に見えている。
専門職でないウォルターでは応急処置程度しか出来ないが、少しでもゼボットの側に居る時間を伸ばしてやろうというウォルターの心遣いである。
もっとも、彼女にその真意は伝えないが。

「それにしてもメイド、メイドのからくり人形か……」
「ドウシマシタ うぉるたー」
「なぁに、大したことじゃない」

くくっと小さく笑う。
窓から降り注ぐ雨が視界に入る。
かつての日の事を不意に思い出して、我ながらバカらしいと小さく呟いた。


923 : ジャックジャンヌ ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:23:52 pZs6Cif60
【ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイド@黒博物館スプリンガルド】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、バネ足ジャック@黒博物館スプリンガルド、修理キット@メタルマックス2、ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:殺し合い?くだらないな
1:ホダカを守り、ミコシバを倒して帰る
2:首輪を解析する
3:エリーの手入れをする
※参戦時期はスプリンガルド異聞 マザア・グウス後です

【エリー@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
[状態]数百年分の経年劣化(応急処置中)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[行動方針]
基本方針:ぜぼっとノトコロ カエル
1:うぉるたー ツイテイク
2:クビワ ハズス
3:……アリガトウ
※3代目のエリーです。
※参戦時期は現代フォロッド編のイベント終了後から機能停止するまでの間です。
※死という概念を理解していません。

【支給品紹介】
【バネ足ジャック@黒博物館スプリンガルド】
ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドに支給。
かつてウォルターの悪戯目的で作成された怪人の衣装。
手足に仕込んだバネや火炎放射など19世紀当時の最新技術を用いられている。
作中では2体存在するがこれはウォルターが使っていた旧式のバネ足ジャックである。

【修理キット@メタルマックス2】
ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドに支給。
破損・中破した戦車装備を直すことが出来る道具。
ただし修理するにはメカニックのような工学知識が必要。


924 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:24:09 pZs6Cif60
もう一作代理投下します


925 : いやぁ、映画って本当にいいもんですね ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:24:33 pZs6Cif60
「本物の映画を見ているようなモンだよ…」


【村田克彦@定額制夫の「こづかい万歳」 〜月額2万千円の金欠ライフ〜】
[状態]:健康
[装備]:ハンカチで包んだビール
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、週間プレイボーイ@こづかい万歳
[思考・状況]
基本方針:生の映画を眺めながら酒を飲む
1:森嶋帆高を巡る参加者達のドラマを眺める
[備考]
※参戦時期は息子と『アメトーーク!』を見るために「バーイ!!」とイカした退場をした直後です。


【横浜駅@横浜駅SF】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:侵食する
1:Suika不正者は見つけ次第、強制排斥する
[備考]
※数百メートル程の大きさに制限されています。
※現在周囲の建物を巻き込んで侵食しています。
※何もしなければ24時間後には会場を横浜駅で埋め尽くします。
※構内の非常停止ボタンを押すと死亡扱いとなります。
※横浜駅の支給品は構内の何処かにあります。
※自動改札を内部の工場で生産中です。時間経過毎に増えていきます。
※村田にはまだ気づいていません。
※村田も横浜駅に気づいていません。
※村田の初期位置は横浜駅構内です

【支給品紹介】
【週間プレイボーイ@定額制夫の「こづかい万歳」 〜月額2万千円の金欠ライフ〜】
村田克彦に支給。
世の中すべての情報が詰まっている。


926 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:24:46 pZs6Cif60
投下終了します


927 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:26:36 Jp71XMr60
皆様投下ありがとうございます!
私も投下させていただきます


928 : 災厄の種 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:27:50 Jp71XMr60




ド ン ッ

「あぅっ!」

銃声が鳴り少女の悲鳴が挙がる。
眼鏡をかけた少女―――暁美ほむらは肩を抑えながら体勢を立て直す。

「クハハハッ、いい声で鳴きやがるじゃねえか」

マスクを着け西部風の帽子を被った男、デュラム=グラスターは笑いながら引き金に指をかける。

「ど...どうしてこんな...!」

ほむらは困惑する。このバトルロワイアルは最後の一人になるまで殺しあう類のものではない。
森嶋帆高一人を殺せばそれで殺し合いが終わる。その為、彼を狙うにしても狙わないにしても、参加者同士が殺しあう意味はない。
配られたお題にしても、自分が主催本部に先回りすればいいだけだ。
だというのにこの男は顔を合わせるなり銃撃してきた。
会話もなく、ただそれが当たり前であるかのように襲ってきたのだ。

「冥土の土産に教えてやるとするか...依頼を引き受けたのさ、お題とやらの特典で生き返らせる代わりに、自分を狙うであろう全参加者を始末してくれとな」

デュラムはマスクの下でにやりと口元を歪め、再び引き金を引く。
放たれるのは実弾ではなく光のエネルギー。これがこの男の能力、SHOT(ショット)。
銃に自らの気を送り込み放つ技である。

「オラ食らいやがれ!」
「っ!」

まるで散弾銃のように放たれる光弾を、ほむらは必死になって躱す。
一発一発の殺傷力は実弾よりも劣るが、厄介なのは弾切れが無いことだ。
通常、銃には装弾数というものがあり、撃ち続ければ弾丸が切れて撃てなくなる。
この男にはそれがない。撃ち続けている限りは近づくこともできやしない。

「ククッ、うまく避けるじゃねえか...ならこいつはどうだ。避けれるもんなら避けてみなあ!!」

銃口に眩いほどの光が集っていく。
ほむらはその光景から察する。
あの男が放とうとしているのは、巴マミのティロ・フィナーレと似た技だと。

(私はこんなところで消耗するわけにはいかない...!)

今は手元にロクな武器が無いため、時間を止めてもデュラムを仕留めきれる保証はない。
もしもこの会場にまどかがいれば彼女への危険を減らす為にも無茶をするかもしれないが、不明な以上は無理をするつもりはない。

「ぶっ飛びやがれ!!」

ほむらが建物へと隠れるのとほぼ同時、デュラムの銃口から巨大な光弾が発射された。


929 : 災厄の種 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:28:14 Jp71XMr60
「―――!!」

光弾が着弾するのと同時、激しい爆発と共に建物は砕け崩落した。

「ククッ...死んだなこりゃあ」

デュラムは己の齎した破壊に満足気に笑みを零すと高笑いと共に踵を返していった。

それから数分後、ガラリと瓦礫を押しのけほむらが姿を現した。

「ケホッ、ケホッ」

吸い込んだ煙を追い出すかのようにほむらは咳き込む。

(どうにか逃れられた...怪我もほとんど無くて助かった)

万が一にもデュラム戻ってきた場合を考慮し、ほむらは急いで瓦礫の山から脱出しデュラムとは反対の方角へと駆け出した。

(さっきの人、依頼を引き受けたって言ってたけど...)

逃げながらほむらは考える。
デュラムの零した依頼人の正体を。

(こんな状況で誰かの殺人を依頼するなんてどうかしてるとしか思えない。それに、『自分を狙うであろう参加者』とも言ってた...)

特定の参加者を狙えと題された状況で、自分を護って欲しいかのような依頼を託す。
そんなことを頼むのは一人しかいない。

「森嶋帆高さん...あなたなんですか?」



【暁美ほむら(眼鏡)@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:とにかく死ぬ訳にはいかない。
0:ひとまずマスクの男(デュラム)から離れる。
1:マスクの男(デュラム)への依頼主は帆高...?
2:まどかや知り合いたちがいれば合流する。
3:マスクの男(デュラム)には要警戒する。

※参戦時期はまどかと『騙される前の私を救ってほしい』と約束を交わす前の時間軸。


930 : 災厄の種 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:28:43 Jp71XMr60

「あれで良かったのか?」

先ほどまでのハイテンションとは打って変わり、デュラムは落ち着いた口調で問いかける。

「然り。あのまま泳がせればあの娘は帆高の悪評を撒くでおじゃるよ」

時代がかった口調で答えるのは、貴族風の衣装に身を包んむ男だ。
男の名はマロロ。ヤマト八柱将ミカヅチ直属の采配士である。

「多少は腕に覚えがあり、積極的に戦闘を行おうとはしない者...まさにうってつけの人材でおじゃるよ。無力な者相手ではまずデュラム殿がわざと逃がしたことがバレてしまうでおじゃるからの」
「そううまくいくもんかねえ」
「否。結果はすぐには出ぬでおじゃるよ」
「あ?てめえこの俺様を出張らせてそれで済ませるつもりかああ?」

軽んじて見られていると思ったデュラムはマロロの胸倉を掴み上げる。
しかし、マロロは飄々とした佇まいで笑みは微塵も揺らがない。

「ひょほほ、案ずるでない。これはあくまでも仕込みでおじゃる」
「仕込みだと?」
「そう、仕込み。種を撒いた作物がすぐには育たぬように、マロの策もすぐには芽吹かぬものでおじゃる」
「どういうこった」
「デュラム殿にはあえて第三者の存在を言及してもらったでおじゃるな?『依頼された』『自分はお題の報酬で生き返らせてもらう』。と」
「ああ」
「それが肝でおじゃる。あの娘はデュラム殿の背後に森嶋帆高の存在を感じずにはいられなくなった筈...さすれば、他の参加者にこの情報を共有するでおじゃるよ」

ぐにぃ、とマロロの唇が厭らしく曲がる。

「この情報を聞いた時、果たして参加者はどのような解に辿り着くか...デュラム殿を気の違った者と見るか、帆高からの刺客ととるか...はてさてどちらでおじゃろうなあ」
「...そういうことかよ」

合点のいったデュラムはマロロから手を放し不機嫌さもナリを潜める。

そう。ほむらはあくまでも着火剤。
彼女一人が燃えたところで大局にはさほど影響がない。
火とは多くに燃え移ってこその火である。

マロロはほむらを基点に帆高の包囲網を作るつもりなのだ。


931 : 災厄の種 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:29:07 Jp71XMr60
「帆高がそう依頼したとなりゃあ、穏健気取る予定だった奴らも黙っちゃいられねえ訳か。エグイこと考えるぜ全くよ」
「ひょほほ、策配士たるもの、この程度はできねば務まらぬでおじゃるよ」
「ま、俺は好きにやれれば文句は言わねえさ。頼りにさせてもらうぜ策配士殿」

ニタリ、と互いに厭らしい笑みを交わし合う。

しかしその裏で、マロロの怒りは業火のように渦巻いていた。

(オシュトル...首を洗って待っておるがいい)

燻るは、この異常事態においても消えることなき偽りの憎悪。
植え付けられた記憶はマロロの脳内に焼き付き人格を歪ませる。

(ハク殿、今しばしの辛抱でおじゃる。マロは必ず願いを叶えるでおじゃる。その時は共にあの逆賊を討ち倒そうぞ)

願うは亡き友の蘇生。必ずや、二人で憎き彼奴に裏切りの代償を清算させる。

マロロは知らない。彼の願いが、かつての友が誰も望まぬ未来であることを。







【マロロ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:願いを叶え帰還する。
0:デュラムを暴れさせ、参加者の帆高への疑心暗鬼を募らせる。
1:帆高を殺し、願いを叶える為にお題を達成する。
2:ハクを蘇らせ共にオシュトルを討つ。

※参戦時期は蟲を入れられた後。



【デュラム=グラスター@BLACK CAT】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:
0:マロロの策に従い好きに暴れ帆高への不安を参加者間に募らせる。
1:帆高を殺し、帰還次第トレインに再度挑む。

※参戦時期はトレインに敗北後。


932 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:29:43 Jp71XMr60
もう一本投下します


933 : 魔法少女として ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:31:57 Jp71XMr60

「こんなの絶対おかしいよ」

わたしは思わずつぶやいた。
突如、巻き込まれた殺し合いなんていう異常事態。
それは漫画やドラマのような捜索話じゃなくて、実際に目の前で人が殺されてしまった。

怖いのはもちろん、悔しいし悲しかった。
わたしには力がある。魔法少女という、困った人を助けることが出来る素敵な力が。
この力があればわたしだって今までとは違う自分になれる。
そう思っていたのに、眼前の悲劇を止めることが出来なかった。
それが悔しいし悲しかった。
どうしてこんなことをするの。どうして殺し合いなんてしなければいけないの。

絶対に誰も死なせたくない。
そしてそれは、蘇生させられたとはいえ最初に主催に食って掛かった人も同じ話で。
結局、わたしはだれの犠牲も看過できなかった。

だから、わたしはわたしのできることをやらなくちゃ。

マミさんがいれば、きっとそうすると思うから。

(まずは帆高くんを探さないと)

この殺し合いにおける鍵は間違いなく彼だ。
確かに彼は向こう見ずなところがあるし、陽菜さんが消えることになった責任が無いとは言えない。
でも、だからといってこんな扱いを受ける謂れは無いと思う。
罰というなら、陽菜さんが消えた時の苦悶で充分じゃないか。

「助けないと」

改めて声に出す。
あの苦しそうな表情を思い浮かべるだけでわたしも胸が苦しくなってしまう。

「わたしは諦めない...絶対に」

現実がそんなに甘くないのはわかってる。わたしが夢見がちなことを言ってるのも。
でも、それを恥じるつもりは一切ない。
だって、魔法少女は夢と希望を叶えるんだから。

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:犠牲者を出さずにゲームを止める。
0:帆高を保護しつつどうにかして殺し合いを止める。
1:知り合いがいるなら合流したい。

※参戦時期は1週目の時間軸です。


934 : 魔法少女として ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:32:18 Jp71XMr60


鹿目まどかが決意を抱いていた頃。
彼女の姿を望遠鏡で覗き込む者が一人。

「ムムム...どうやらあっちの世界の私は主人公っぽいこと言ってるみたいだね」

まどかとよく似た風貌の少女が一人ごちる。
違うのはまどかと違い、手足が簡略化され三等身ほどの背丈になっており、声も控え目で穏やかなものではなく特徴的なダミ声になっていることだ。

彼女の名前は"まどか先輩"。鹿目まどかの暮らす世界とは別の、もっと混沌とした世界のまどかである。
まかり間違っても同一個体ではない。

「まったくマギレポの世界の私まで呼び出すなんて神子柴さんてば、とっとと自殺した時よりも力着けたんだねえ」

まどか先輩の住む世界―――いわゆる、マギア☆レポートの世界はゲームアプリ・マギアレコードを紹介する為の世界である。
その為、マギアレコードに関する情報は全て横流しされており、当然、神子柴の情報も開示された部分については知り尽くしているのだ。

「私も帆高くんを助けたいのはヤマヤマなんですけどねェ」

魔法少女姿からアイドルプロデューサーの恰好に変化し量のこめかみに指を当てながらウムム、と唸る。

「まだまだ私もやらなくちゃいけないことはあるんだよね。カミハ☆マギカの新曲プロデュースにマギレポの続きにいろはちゃん弄りにラーメン街道制覇、あとそれからそれから...」

指折りながら、やらなければいけないことを挙げ連ねるまどか先輩。その大半がかなり私欲的なことであることに突っ込んでくれる後輩は今はいない。

「まあそういう訳であっちの世界の私とは別の方針を取ろうと思うよ!」

片足を踵が臀部に着くまで挙げ、Vサインを空に掲げながら告げる先輩。
いつどこで誰が見ているかわからないのでこうしてアピールするのに余念が無いのだ。

「最終的には私が元の世界に帰れればなんでもいいんだけど、もしも別世界のわたしが邪魔をしてきたら...」

スン、とまどか先輩の顔が曇り目が据わる。
先ほどまでのハイテンションは何処ぞへと消え去り、蟹の手―――真っ赤に濡れたまどキャンサーを取り出し呟いた。

「戦争じゃあ...」


【まどか先輩@マギア☆レポート】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:とにかく生還する。
0:とりあえずはゲームに従い帆高くんを確保する方針を取るよ。
1:邪魔するならたとえ別世界のわたしでも...戦争じゃあ...

※参戦時期はマギアレコード本編の第2部が始まって以降です。


935 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:32:48 Jp71XMr60
もう一本投下します


936 : 咲き誇れなかった男 ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:34:28 Jp71XMr60

支配者も神も どこか他人顔
だけど本当は 分かっているはず

勇気や希望や 絆とかの魔法
使い道もなく オトナは眼を背ける

それでもあの日の 君が今もまだ
僕の全正義の ど真ん中にいる

世界が背中を 向けてもまだなお
立ち向かう君が 今もここにいる

愛にできることはまだあるかい
僕にできることはまだあるかい

君がくれた勇気だから 君のために使いたいんだ
君と分け合った愛だから 君とじゃなきゃ意味がないんだ

だから

「ヤオーッ!!! 徹甲弾(チェ゙ァジャタン)!!!!!!」



【赤坂衛(チーバン・ウェイ)@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:梨花(リーファ)を救うのはワタシネ
1:梨花(リーファ)を救う為にこの殺し合いを止めるネ

※景気づけに路上にあった車が破壊されました


937 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:35:01 Jp71XMr60
最期に投下します


938 : そして地獄がやってくる ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:35:27 Jp71XMr60
「グヌヌヌ...許さん、許さんぞぉ!」


老人は憤慨していた。

大量に蓄えた白髭と頭部を覆う大量の白髪は見るものに賢者を連想させ、その鍛え上げられた肉体は若者よりも精気を溢れさせている。

そんな老人が何故ここまで怒っているのか。
それは、こんな遊戯に招かれてしまったことである。

説明は受けた。条件を満たせば現世に生還できることも知った。それらを受け入れた上で、彼はこめかみに血管を浮き立たせる。

「このワシを奴隷のように、しかもこんな茶番に従わせるだとぉ!?ふざけおってゴミがぁぁぁ!!」

彼の怒りは正義感によるものなどではなかった。
それもそのはず。
彼の名はDr.ヘル。
世界制服を夢見る邪悪の化身ともいうべき狂科学者なのだから。

彼はその誰よりも優れた天才的な頭脳を有しているが故に、誰よりもプライドが高かった。
そんな彼が、どこぞの馬の骨と殺し合えと強制されれば憤慨のひとつや二つもするだろう。

「なにより気に食わんのが、奴がこの程度の仕掛けでワシを欺けると思っているところじゃ」

言葉を区切り、深く息を吸い込み、ピタリと止める。

そして

「聞こえておるのだろう兜十蔵ォォォォ〜〜〜〜〜〜〜!!!今だけは貴様の悪戯に付き合ってやろう!だが、それが終われば次は貴様の番じゃあああああ!!!」

天高く、爆弾のような怒声が響き渡った。


兜十蔵。
それは、Dr.ヘルの最大にして唯一のライバルである。
ヘルはこの殺し合いの説明時に兜十蔵の声や痕跡を捉えたわけではない。
だが確信していた。
別世界の者を拉致しあまつさえ身体を元の姿に戻し半ば強制的に従わせるなどという覇王染みた行い、それをこのDr.ヘルにできるのは自分とほぼ同等の天才的頭脳を持つあの男をおいて他にいないと。
奴は既に死んでいたはずだが、セレモニーで見せしめとして殺された女が蘇生させられた以上、奴も復活していてもなんら不思議ではない。


939 : そして地獄がやってくる ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:35:50 Jp71XMr60

「貴様は唯一ワシに届きうる頭脳の持ち主であることは認めておる。だが、それはあくまでも可能性の話!貴様がワシの上に立つなど断じて認めんぞぉぉぉ!!」

己が怒りとプライドを振りかざし、屈強な老人は駆ける。
幾つになっても、どんな状況に陥ろうとも、彼の突き進む道はただ一つ。
"世界征服"という漢の覇道、それだけだ。




【Dr.ヘル@真マジンガーZEROVS暗黒大将軍】
[状態]:超健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:戦いに勝利しこの企画の主催にいるであろう兜十蔵をぶち殺す。その後に改めて世界征服に乗り出す
1:従来のルール以外にゲームをクリアする方法があれば、兜十蔵の鼻を明かす為にもそちらを優先したい。その為にはまずは首輪を外す。
2:最悪、帆高を死滅させてゲームを次の盤へと進める。

※参戦時期は1万年前にタイムスリップし闇の帝王へと生まれ変わった後。
※アストラルボディは無くなり元のムキムキマッチョに戻っています。


940 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 22:36:45 Jp71XMr60
投下終了です
絶望鬼ごっこパロディに投下させていただいたものを一部使用いたしました


941 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:43:34 pZs6Cif60
投下します


942 : 今にも堕ちてきそうな灰の空の下で ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:44:12 pZs6Cif60
「――あはは」

少女は、余りにも理不尽に死を迎えようとしていた

『――無意味と知りなさい。愚かな児等よ』

少女の脳内に直接響くは、女の声。耳に聞こえる声は何の言語なのかわからぬ異質な男。だがその脳には直接声となって響く

「……無意味、ねぇ。そりゃ、こんな所で命乞いしても、逃してくれるわけ無いでしょうね、化け物」

身体中を『木の根』のような物に貫かれ、今にも命尽きようとしている金髪の少女。少女の今だ命灯る真紅の瞳に映るのは白い甲殻のような物に包まれた、屈強かつ長身な異形。少女の脳内に直接声を響かせている元凶はこの異形であった

『――元よりそのつもりです。最早人の優しさなど手遅れ。既にあなた達人間の時間は尽きた。星は人間のいない時間を望んでいるのです』
「知らない、わよ……そんな、ことッ……!」

異形の淡々とした声に、なんとか気力を振り絞っての言い返し。だが、そんな戯言は異形に―――特級呪霊の一角には無味無臭に過ぎなかった

「……でもね、あの娘が逃げれただけでも、アンタに勝ったも、同然なんだから……!」
『―――』

思い返すは、金髪の少女が最初に出会い、襲ってきた異形からなんとか逃した出来事、その結果として彼女の命は風前の灯火となってしまった
かつてのゲームで「誰も信じられない」と誰も信用しなかった時とは違う。彼女は変わった。ある男と否応なしに行動し、その内に信頼し、そして大切な人となった
ある意味、こんな自分らしくもない無謀な行動も、彼に影響されたのかな、等と心の内で自嘲気味に思っていた

『―――まあ良いでしょう。どちらにしろ、ここで朽ち果てる運命。あなたが逃した彼女も、いずれ殺すことになるでしょう。お別れです、死して星の賢者となりなさい、矢幡麗佳』

そう少女の脳に伝え、異形は去る。残されたのは死の寸前の少女。少女の中に走馬灯が巡る。ゲームに巻き込まれ、誰も信用できないと一人で藻掻こうとして、ある男と手錠で繋がれ一緒に行動し、そして惹かれ――

「……そう、いち」

男の名を呟いた少女は、ただひっそりと力尽きたのだ

【矢幡麗佳@シークレットゲーム -KILLER QUEEN-】


○ ○ ○


『―――』

異形は雨に打たれたまま、沈黙する。所詮は取りぬ足らぬ、呪術師ですら無い小娘。一人程逃してはしまったが、どうせ殺す事には変わりはない

一番不可解なのは自分がなぜここにいるかという事。宿儺の器(となんだかよくわからない呪術師と)との戦闘中、気がつけば映画を見せられあのような老婆に殺し合いを命じられた

だが、特級呪霊・花御としてはやることは変わらない。星を護らんが為、人を殲滅する。それは森嶋帆高も、天野陽奈も、神子柴なる老婆も変わりはない
勿論ただ殺すだけではなく、もし真人や漏瑚が居た場合の狼煙にも成りうる。合流次第で方針を改めて考えなければならないのかもしれないが

呪霊はただ雨の中を進む。全ては星に平穏を齎さんがために


【花御@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3つ
[思考・状況]
基本方針:星のために人間を滅ぼす
1:もしいるなら真人や漏瑚との合流

※参戦時期は、最低でも虎杖&東堂との戦闘中


○ ○ ○


逃げる、逃げる、逃げる

何もわからず。ただ逃げるだけ

何もわからないまま、助けられて

何もわからないまま、逃げ続けて

だけど『記憶を奪われた少女』は

ただ只管に、逃げるだけしか無かった


【アティ・クストス@赫炎のインガノック- what a beautiful people -】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3つ
[思考・状況]
基本方針:何もわからない
1:今はただ、逃げる

※参戦時期はAfter the Inganock 04、ギーのアパルトメントに到着するより前から


943 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:44:25 pZs6Cif60
投下終了します


944 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 22:59:55 pZs6Cif60
投下します


945 : デカァァァァイ 説明不要!! ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 23:00:10 pZs6Cif60
余りにも巨大な人がそこにいた

余りにもわけのわからない巨人がそこにいた

彼が持つ銃からは巨大な銃弾と巨大な水玉が放たれていた

それは余りにもでかすぎた




【でかキッドくん@I wanna be the LoveTrap】
[状態]:健康、残りライフ100
[装備]:銃(本体の一部)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3つ
[思考・状況]
基本方針:???

※一回被弾する事に3秒ほどの無敵時間が付与されます。なお無敵時間中に被弾すると無敵時間が伸びます
※その他行動パターンはこの動画を参照してください→ttps://www.youtube.com/watch?v=Nv4qJXtHHB0&t=7s


946 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 23:00:22 pZs6Cif60
投下終了します


947 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 23:27:29 FIqbfP6U0
投下します


948 : 黒い悪魔、現代製品に適応する ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 23:29:27 FIqbfP6U0
ここは映画「天気の子」の序盤、森嶋帆高が寝泊まりしていたネットカフェの中。
その一室に…幼い雰囲気がある金髪の髪をした少女、エーリカ・ハルトマン中尉は居た。
…基本支給品として参加者に配られていたタブレットの使い方を、すっかり把握しきってる状態で。

----

(うーんと…あ、わたしのユニットだ!とりあえず一安心かなぁ〜)
バッグの中身を確認したハルトマンは、ホッと一息をつく。
ここに来る前ハルトマンは、ネウロイにより撃墜されてしまい、ユニットは破損。救助を待つ身となっていた。
そんな中彼女はこの殺し合いに招かれ、眠気に耐えながら映画「天気の子」を見て、殺し合いのルールを聞いた。
しかし眠気に耐えながらだったせいか、映画の内容は兎も角、ルールを一度の説明だけでは把握し切れなかったのだ。

(ルールを把握しときたいなー…ルール載ってる何かが入ってれば良いんだけど…あっ、ひょっとしてこれに…?)

バッグの中を探っていたハルトマンは、基本支給品である名簿と基本ルールが記載されたファイルが入っているタブレットを見つける。紙の方もあったのだが、彼女はそれより先にタブレットの方を見つけたのだ。
しかしハルトマンは1945年の人間。時代が離れすぎていて、普通ならこのタブレットの内容を把握するのは困難だ。

だがハルトマンは、1時間程で操作方法等を把握、そしてルールを読み返した上で、冒頭に至る訳である。
彼女は基本的には柔軟な思考の持ち主で、慣れぬ環境への適応もし易いのである。使い方さえわかれば、後はあっという間に把握が出来たのだ。
なお名簿があるファイルは時限式のロックがかけられていて、まだ閲覧出来ないようにされている。
(流石にわたしにはこーいうのは無理かなぁ…大人しくその時を待つしかないか〜…。)

こうしてハルトマンはルールを把握した。その上で彼女は、文面に違和感を覚える。

(…森嶋帆高の『死滅』…かあ。なんか引っかかる書き方なんだよねー…。
…本当にこれ、森嶋が死んじゃったらそこで終わるのか〜?)

疑問を抱きながらハルトマンは、自らの方針を決める。

(…とりあえず、トゥルーデ達の元に戻りたい…けど、森嶋を止めたところで、わたしが戻れるのはあのネウロイに落とされた所かも知れない。それじゃあこの殺し合いを生き残っても全く意味ないもん。
…なら、二人が再会できるようにがんばりながら、脱出できる方法や、この首輪をなんとかする方法を探そう!
トゥルーデ達も巻き込まれてるかも…ってのがちょっと怖いけど…その時はその時で動こっと)

こうして、天使とも悪魔とも呼ばれる魔女(ウィッチ)は、行動方針を決めたのであった。

【エーリカ・ハルトマン@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、メッサーシャルフ Bf109K-4@ストライクウィッチーズシリーズ、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止めてトゥルーデ達の元に帰りたい
0:まずここら辺になにか無いか探そっと。
1:これ(基本支給品の中にあったタブレット)、便利だから元の世界に持って帰りたいな〜。
2:元の世界に戻れても、ネウロイに落とされたあの場所に逆戻りする羽目になる気がする…。それなら2人の手助けしながら、脱出手段を見つけちゃえばいいよね!
3:トゥルーデ達まで巻き込まれてないかが心配だなあ…もし巻き込まれてたら合流しなきゃ。
[備考]
※参戦時期は「RtB」ことROAD to BERLINの6話「復讐の猟犬」にてネウロイに撃墜された後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【メッサーシャルフ Bf109K-4@ストライクウィッチーズシリーズ】
ハルトマンが「ストライクウィッチーズ2」以降使用しているストライカーユニット。
カールスラント(現実で言うドイツ)のメッサーシャルフ社が開発した昼間戦闘用のユニットである。
K型は、Bf109の最終形態の予定だったG型にさらなる改良を加えた後期量産型であり、K-4はその中でも最も多く生産されたものである。


949 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 23:29:53 FIqbfP6U0
投下終了です


950 : ◆Mti19lYchg :2021/02/14(日) 23:33:55 M8ePQbFg0
タイトル及び内容の誤字脱字を修正しました。


951 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 23:40:42 pZs6Cif60
投下します


952 : それは紛れもなく、一発ネタであった ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 23:41:01 pZs6Cif60
「グリームニルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!」


【羆@大人はメスガキには負けないが羆は想定していないんだが???】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3つ
[思考・状況]
基本方針:人間は殺す


953 : ◆2dNHP51a3Y :2021/02/14(日) 23:41:14 pZs6Cif60
投下終了します


954 : ◆2zEnKfaCDc :2021/02/14(日) 23:41:53 hU.1O9WU0
投下します。


955 : 育成完了 ◆2zEnKfaCDc :2021/02/14(日) 23:42:23 hU.1O9WU0
「人格宿るなら……さすがに……服が欲しいんですけど……?」

【遺伝的アルゴリズムちゃん@Twitter】
[状態]:健康、全裸
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3つ(衣服の類はありません。)
[思考・状況]
基本方針:どうするにもまずは服を探す。
1:あめ、つめたい

※何代目からの参戦かは以降の書き手さんとご想像にお任せします。


956 : ◆2zEnKfaCDc :2021/02/14(日) 23:42:40 hU.1O9WU0
投下終了します。


957 : 名無しさん :2021/02/14(日) 23:47:08 7jO2ib1U0
今から投下しますが超長文なので最後に4人の状況はまた後すぐに投下します!!文だけ投下します!!


958 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/14(日) 23:48:24 7jO2ib1U0
(何で・・・何で俺と陽菜さんの関わりが盗撮されている上殺し合いに利用されてるんだよ!?)

この殺し合いにおける最重要人物、森嶋帆高は唖然としていた。おかしい、自分はほんの数分前まであの鳥居を通って陽菜さんに会いに行けるはずだった。気が付いたら映画館に入らされて自分の軌跡を見せられ目が覚めると見知らぬ森にいた

(もう少しで出会えるところだったのに!!何で!!何でここで足止めされるんだよ!!それに・・・!!)

説明書を見れば見るほど顔が青ざめていく事が自分の事ながら分かる。

①『森嶋帆高』が天野陽菜と出会えず制限時間が過ぎた場合、太陽光が会場中にくまなく差し込みゲーム終了。1時間後に森嶋帆高の首輪の爆破を合図に全員退去。
②『森嶋帆高』が陽菜と出会ったら数時間後にエリア全体が浸水し、『森嶋帆高』と陽菜を除く魚人のような溺死しない種族も含めて全員死亡する。
③帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。

この文に書かれている事が原因である。この文から帆高が読み取れたことは一つ。『どうあがいても自分が陽菜さんと会う事は許されない事である』という意思だった。

(何で・・・何で他の人が死ななくちゃいけないんだ?全く関係ない人達が)

帆高は陽菜を救う為なら自分の命を投げ出すつもりでいた。死んでも構わなかった。そして東京の天気がずっと雨でも構わなかった。『ただ雨になるだけ』なのだから、勿論それでもすでに許されないだろうことなのは分かる。それでも取り戻したかった。その為なら銃まで撃って脅す事ぐらい造作もなかった。
だが今回は明確に死ぬと書かれている、この事からつまり自分に求められているのは一人の命を救う代わりに他の人を・・・いや、一人所じゃない。多くの人の命を本当に踏み台にしなければならない
そんな事を彼女は許すだろうか?ただでさえ銃で脅し撃ちをした事さえ酷く批判した彼女だ。絶縁どころか二度と顔を合わそうとはしないだろう。それで会おうとすることに意味があるのか?そもそもそんなに多くの人を殺した場合の自分を自分が許せるのか?許せないだろう、きっと自殺してしまうかもしれない

帆高(どうすれば・・・どうすればいいんだよ!?このままおとなしく他の参加者に殺されるのを待つことしかできないのか?多くの人達が生きる為に、そして陽菜さんもこのまま犠牲になれと?)

どうすればいいのか分からず、右往左往していた時だった。
誰かに声をかけられたのは

「森嶋帆高・・・お前だな?」

その声に反応して振り返って見たのは射殺すような視線で見つめてくる茶髪の青年だった。
容姿はあの映像で参加者にバレているだろう。絶対に誤魔化せないという事実が穂高

「あ、貴方は、誰ですか・・・?」
「・・・名乗るかどうかは俺が今からする質問にどう答えたかによって決める」
「どうしてですか?名乗るくらいなら別に」
「殺す奴に名前を教えても意味がない事ぐらいわかるだろう?・・・変身」

『バナナ』
『カモン!ナイトオブスピアー!』

その青年は謎の赤い騎士に身を変えて・・・槍を首元に突き付けてきた

ゾクっ!!

殺気が体に伝わる。本気だ、本気で俺の返答次第でこの人は俺を殺す気だ!!


959 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/14(日) 23:49:06 7jO2ib1U0
「質問だ・・・これからお前はどっちの選択肢を取るつもりだ?」
「・・・選択肢を教えてください」
「一つ、このまま陽菜に会って俺達が死ぬ代わりに望みを果たす。もう一つは俺達の為に自分がこのまま俺に殺されて死ぬ、という選択肢だ」

先程まで自分が考えていた事そのものだった。それに今すぐ結論を出せと言われてしまった

「す、少し考えさせてください!!俺も今目が覚めたばかりで考えている途中d」
「ほう?考えている場合なのか?少しの時間が惜しい事ぐらいわかっているのか?お前の大切な人はたった今死にかけているんだぞ!!」
「俺だってわかってますよ!!だからって他の人まで俺に殺せというんですか!?」
「早く決断しろ!!俺にはやる事があった!!それを邪魔されて苛立っている!!1分で決めろ!!」
(1分!?無茶苦茶だ!!そんな短い時間で決めれるわけがない!!)

帆高は30秒必死に頭を回転して考えた・・・だが
(決めれる訳・・・ないじゃないか!!決めれないよこんなの!!)
流石に今回の選択肢は・・・帆高には・・・重すぎた

(殺されるんだな、俺・・・このまま・・・ごめんなさい・・・!!陽菜さん・・・!!)

帆高は諦めの境地で詫びていた・・・
(苛立っているという理由で殺されるなんてな・・・まぁ当然だよな、何かやっている途中に急に殺し合えって言わ・・・れ・・・?)
謎の男の気持ちになって自分が殺される理由を自分に納得できるように考えていた時の事だった
何故か違和感を感じたのである。

(・・・何で殺しあえって言われたんだ?この人が何かしたのか?俺は兎も角この人が何をしたのかなんて知らない、だがそれほどの悪い事をした極悪人ではないはずだ、もしそうだったら俺はいま生きていないし猶予もないはずだ、そしてこの殺し合いの参加者にも本当にそれ程の悪い事をした人はいたのか?いるとしてもそれが大半なのか?あの御子柴に挑みかかったあの人がとても悪い人とは全く思えないぞ?じゃあ何で招かれたんだ?そもそも悪い事をしたら警察のお世話になるはずなのに何で殺人までしなくちゃいけないんだ?何で罪に罪を重ねなくちゃいけないんだ?何で強いられているんだ俺達は?)
その瞬間頭に幾つも疑問符が湧いてくる。その自問自答を繰り返した果てに辿り着いた結論、それは・・・!!

「時間だ!!答えろ!!」
「・・・俺は」

一呼吸おいて・・・言い始めた。
「陽菜さんを助けに行きます」
「それは俺達に死ねって事か?」

槍先が首に少し刺さる。血が少しだけ流れていた。

「違います、貴方も、参加者の皆さんも生きてください」
「ほう、何を言っている?ルールでは何て書かれていたのか知っているはずだが?」
「・・・おかしいじゃないですか」
「は?」
「おかしいじゃないですか、何でこうも皆が命が握られなくちゃいけないんですか?何で俺が大切な人に会ったら皆死ななくちゃいけないんですか?何で関係ない皆さんの為に俺は死ななくちゃいけないんですか?おかしいじゃないですか!!このロワのルール、いや、この殺し合いそのものが!!俺はこんな殺し合い認めません!!」
最後になるほど声量が大きくなってしまっていた。だが仕方がないだろう。考えれば考えるほど怒りしか湧いてこなかったからだ。

「だから俺はこの殺し合いそのものに反逆します!!俺は何方の選択肢もとりません!!」
「・・・それがお前の答えか」

するとその男は・・・変身を解除した。
「合格だ、認めよう、お前も立派な強者だとな」


960 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/14(日) 23:49:48 7jO2ib1U0
「駆紋戒斗さん・・・ですか、戒斗さんでいいですか?」
「好きに言え、帆高」

今、帆高と戒斗は木影で雨を避けて食事しながら話している。
駆紋戒斗は帆高を運命に立ち向かうものとして認め、何故その答えを認めたのかを話し始めた

「あの、何故貴方は俺の答えを認めてくれたんですか?」
「単純だ、このロワイヤルにはまだ隠している事があると分かったからだ」
「隠している事?」
「この文を見ろ、おかしいと思わなかったのか?」

帆高が見た文、それは③の『帆高が死滅した場合、その時点でゲームは終了。残った者は帰還できる。』

何がおかしいのか・・・別におかしい所なんて、ん?死滅?死亡じゃなくて死滅?

「どういうことですかこれは?」
「死滅とは一匹残らず全てを滅ぼすことだ。普通複数いる害虫に対して使うのが当たり前だよな?じゃあ何でお前を殺した条件に使ったんだろうな?」
「・・・確かにおかしい、俺と何もかも同じ人なんて複数いる訳がない!!」
「一応平行世界のお前も連れてこられて殺す必要がある為に死滅と言ったのかもしれんがな、俺も連れていかれたことがあるからな、だがだったら説明すればいい話だ、平行世界を知る参加者ばかりいる訳がないからな・・・それを言わないという事は何かを隠している!!何かを隠して強気な態度で殺し合いをさせるような弱い奴に俺は屈するつもりはない!!」

帆高はこの人を本当に誇り高い人だと感じずにはいられなかった

「お前は良い選択をしていた。あの時お前は何方かを選んでいたらどちらだろうとこの殺し合いに屈した弱者として殺すつもりだったからな」
「は、はい・・・」
「そして、お前は先ほどの選択の為にどうするつもりだ?」
「・・・俺、陽菜さんの元に向かいます、そしてその途中に多くの参加者と会って話していきます!!そしてその話し合いの中で情報を得てどうすれば大量の雨が降ろうと皆が生きられるかの方法を考えてみせます!!」
「・・・いいだろう!!俺も同行してお前を守ってやろう、ただし時間制限がある以上全速力で走る必要があるようだな、覚悟はあるか?」
「はい!!絶対に御子柴には負けません!!」

「その戦い、僕達にも協力させてください!!戒斗さん!!帆高君!!」
「誰だ!?」


961 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/14(日) 23:52:42 7jO2ib1U0
「お前は誰だ?何故俺の名前を知っている?」
「僕、異世界の貴方に会ったことがあったんです。なので・・・ごめんなさい!!自己紹介を忘れてましたね、僕は宝条永夢です。小児科医をやってます」
「俺の事もこの人知ってて疑問に思ったんだんだけど、良い奴だから別に良いかなって、俺は剣崎一真、仮面ライダーブレイドだ」
「僕は広瀬康一です。あの、霊波紋というのを使えます、後で詳しく説明しますね」
「康一君気張りすぎじゃない〜!?そんなにガチガチだと仲良くなれないよ?アタシ、宮下愛!!愛してくれると嬉しいな!!愛だけに!!」
「お主は緩すぎじゃ、あの男の性格を見るにお主のような女は嫌いかもしれんぞ?わっちは吉原の番人、死神大夫、月詠じゃ」


事の始まりはA-7に配置されていた剣崎が歩いていた時の事だった

(こんな殺し合い絶対に止めてやる!!・・・でもどうすればいいんだろうな、主催者がいる所なんて分からないし、探すしかないんだろうか)

すると後ろから話しかけられた
「剣崎さん!!剣崎さんですよね!?」
「え?・・・あんた誰だ?俺あんたのこと知らないんだけど・・・」
「何でですか!?かつて一緒に戦った仮面ライダーじゃないですか!?」
「一緒に?え?」

こうして話し合う中で幾つか矛盾が出てきた。かつて自分がゲームの中に入ってきてくれて助けてくれたという永夢に対してそんなことは全く知らない剣崎、更に10年以上前にアンデットがアルビノジョーカーによって一斉再解放されてそれの対処をしたばっかりで本当にゲームに入った経験何て言うと、そもそも永夢が知る限りアンデッドが再解放されたということ自体起きたことがなかったという事実だった

「僕、貴方に会った後アンデッドについて興味をもって少しだけ調べてみたんです。ですがそんな事起きたという事実すら書かれていなかったです」
「そんな馬鹿な・・・?どういう事なんだ?」



「恐らくパラレルワールドというやつだろうな」

「誰だ!?」
「おっと、いきなり声をかけてすまんかったな、わっちは月詠、吉原の死神大夫・・・といっても分からんじゃろうな、わっちの江戸時代はお主たちとは違うからな」
「あなた江戸時代の人なんですか?となると過去の時代から人も呼ばれる事があるなんて・・・」
「そうわっちも考えていた・・・この二人の子供を保護するまではな」
「子供扱いは少し愛さんやだなぁ、こう見えて愛さん高校二年生だよ!!」
「・・・まぁ愛さんは納得出来ないかもしれませんが僕は認めています・・・この身長なので・・・」
「わっちから見れば主もどんなに背が高かろうと子供じゃ・・・この男の子、広瀬康一が宮下愛というこの女にいびられたのを保護して話を聞いてみたら驚くべき真相が分かったんじゃ」
「だから別にいびろうとしたわけじゃないってば!!誤解だよ!!確かに風貌はギャルっぽいけどアタシ皆と仲良くなりたいだけだからね!?」
「つ、月詠さん、本当に僕が勘違いしただけでこの人はいびっていたわけではありません。少し容姿がギャルっぽかったからビビってただけです・・・」

「うーん、愛ちゃんだっけ?皆と仲良くなりたいんだったら俺はその容姿は変えるべきじゃないかなって俺は思うよ、人は内面を見てもらう為にはまず外面が良い方が良いからな、誤解されると下手したら喧嘩になってしまうかもしれないからな、もっとも、外面ばかりじゃなく内面も見るべきだけどね」
このアドバイスは始との関わりを基にしている。始も本当は優しい心を持っているのに不器用&天音一筋だったために誤解され戦い合ったことがあった。やがてその果てに親友と言えるようになったが・・・その結末は結局始を封印するしか終われなかった・・・そして最後のアドバイスは志村の事を指している


962 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/14(日) 23:54:06 7jO2ib1U0
「それで月詠さん、驚くべき真実とは何でしょうか?」
「わっちは自分の時代の事を話した、宇宙旅行が出来たり、アイドルが存在していたり、バイクや車が存在しているという事実を語ったらそんなことありえないと二人は否定してきたんじゃ、それから更に康一は霊波紋という良く分からないものを出してきた。もちろんうちも愛も知らんかったし聞いたことがなかった。まぁもっとも、霊波紋は珍しいからわっち達が知らなかっただけかもしれんがな、だがわっちの江戸時代の比較を基に考えてみた結論が先ほど言ったパラレルワールドじゃ、まぁわっちの中にパラレルワールドを知る者がいない以上確定とは言えんがな」
「成程・・・分かりました。確かに平行世界の方が納得できます。僕も平行世界の仮面ライダーと一緒に戦ったことがあるので、そして3人は何をしにここへ?」
「仮面ライダーという存在がいるのか・・・?後で詳しく話してもらうぞ?それはともかく、わっち達は帆高という少年がこの殺し合いのカギを狙っているのは分かっていて、その少年が何処にいるのか考えてみたんじゃ、そうしたら愛が目的地に一番遠い場所にいるんじゃないかと言ってきてな、簡単に辿り着かれたらつまらんだろうからなという考えのもとA-8に向かっている途中だったんじゃ」
「・・・あんた等は帆高という青年に会ってどうするつもりだ?」
「仲良くなりたいって思ったの!!あんなに純情で優しい男の子、仲良くなったら面白そうじゃん!!」
「僕も同意見でした。かなり過激な所もありましたけど悪い人ではないと思いました、だからこそ守らなければ、抑えなければいけないと思いまして」
「わっちも同じじゃ、あの男の子を見てある年寄りも思い出したしな、それで、逆に主らはどうするつもりだ?」

「僕はあの男の子を導いてあげたいと思いました。彼女・・陽菜ちゃんも含めて二人とも助けてあげたい。そして皆さんも救う道も考えたいと思っています、それが今僕がやりたい事です」
「俺も同じだ、俺もこの殺し合いに巻き込まれた人達全員を助けたい、人を守る事が俺の戦う理由だから」

「わっち達と主等の考えは同じようじゃな、なら一緒に行動しよう」

そして歩きながら会話していくうちに様々な情報を交換し合った、スクールアイドル、侍、仮面ライダー、霊波紋・・・どれも未知の情報ばかりだった。

「成程、霊波紋は本来他の人には見えないはずの物なんですよね?」
「そうなんです、ですが何故か愛さんや月詠さんには見えていて・・・」
「俺にも見えてるから恐らく参加者全員に見えるようになっているんじゃないかな?どういう技術なのか知らないけど、恐らくこの首輪が関係しているんだろうけど」
「本当に計り知れん敵じゃな・・・うちらはそれに対する対処も考える必要があるな」
「そうですね、まずは帆高君と合流・・・いました!!・・・って戒斗さん!?」
「エムっち知ってるの?」
「・・・静かに、いったん様子を見ましょう」

そして会話を一部始終聞いて・・・二人が出発しようとした瞬間に話しかけたという訳だ

「成程な・・・何か妙な気配がするかと思ったらお前達だったのか」
「本当に・・・俺に協力してくれるんですか?」
「うん!!君が持つ陽菜ちゃんへの愛の思い、愛さんすごくよく感じたよ!!愛だけに!!」
「だからって銃とか撃ったりすることはやりすぎではないかと僕は思うよ、でも、それでも相思相愛を断ち切るつもりは僕はない、僕にもそれくらい大切な人がいるしね、だから守ってあげたい、君も陽菜ちゃんも」
「何より、主の大切な人が何故天候の為に犠牲にならなきゃいけないともわっちは思ったしな、確かに雨になる事は良い事ではないし、わっち達もその為に犠牲になるつもりはない、そのどちらにも抗うというならわっちも協力しよう」
「僕も君が本気で運命を変えるつもりなら助けてあげたい。そうしなければきっと多くの人が死んでしまうだろうから」
「俺も同意見だ」
剣崎は詳しく言わなかった。何故かは後で説明しよう

「・・・ありがとうございます!!」
「・・・一つ言っておこう」

その時、黙っていた戒斗は協力を申し立ててきた五人の顔を見て・・・結論を出した

「宝条永夢、剣崎一真、広瀬康一、月詠、お前たちは闘ってきた、そういう目が告げている、何かを守る為にな、お前たちは良いだろう、協力してもらおう





だが宮下愛、貴様はダメだ」
「・・・え?」


963 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/14(日) 23:58:12 7jO2ib1U0
「それで月詠さん、驚くべき真実とは何でしょうか?」
「わっちは自分の時代の事を話した、宇宙旅行が出来たり、アイドルが存在していたり、バイクや車が存在しているという事実を語ったらそんなことありえないと二人は否定してきたんじゃ、それから更に康一は霊波紋という良く分からないものを出してきた。もちろんうちも愛も知らんかったし聞いたことがなかった。まぁもっとも、霊波紋は珍しいからわっち達が知らなかっただけかもしれんがな、だがわっちの江戸時代の比較を基に考えてみた結論が先ほど言ったパラレルワールドじゃ、まぁわっちの中にパラレルワールドを知る者がいない以上確定とは言えんがな」
「成程・・・分かりました。確かに平行世界の方が納得できます。僕も平行世界の仮面ライダーと一緒に戦ったことがあるので、そして3人は何をしにここへ?」
「仮面ライダーという存在がいるのか・・・?後で詳しく話してもらうぞ?それはともかく、わっち達は帆高という少年がこの殺し合いのカギを狙っているのは分かっていて、その少年が何処にいるのか考えてみたんじゃ、そうしたら愛が目的地に一番遠い場所にいるんじゃないかと言ってきてな、簡単に辿り着かれたらつまらんだろうからなという考えのもとA-8に向かっている途中だったんじゃ」
「・・・あんた等は帆高という青年に会ってどうするつもりだ?」
「仲良くなりたいって思ったの!!あんなに純情で優しい男の子、仲良くなったら面白そうじゃん!!」
「僕も同意見でした。かなり過激な所もありましたけど悪い人ではないと思いました、だからこそ守らなければ、抑えなければいけないと思いまして」
「わっちも同じじゃ、あの男の子を見てある年寄りも思い出したしな、それで、逆に主らはどうするつもりだ?」

「僕はあの男の子を導いてあげたいと思いました。彼女・・陽菜ちゃんも含めて二人とも助けてあげたい。そして皆さんも救う道も考えたいと思っています、それが今僕がやりたい事です」
「俺も同じだ、俺もこの殺し合いに巻き込まれた人達全員を助けたい、人を守る事が俺の戦う理由だから」

「わっち達と主等の考えは同じようじゃな、なら一緒に行動しよう」

そして歩きながら会話していくうちに様々な情報を交換し合った、スクールアイドル、侍、仮面ライダー、霊波紋・・・どれも未知の情報ばかりだった。

「成程、霊波紋は本来他の人には見えないはずの物なんですよね?」
「そうなんです、ですが何故か愛さんや月詠さんには見えていて・・・」
「俺にも見えてるから恐らく参加者全員に見えるようになっているんじゃないかな?どういう技術なのか知らないけど、恐らくこの首輪が関係しているんだろうけど」
「本当に計り知れん敵じゃな・・・うちらはそれに対する対処も考える必要があるな」
「そうですね、まずは帆高君と合流・・・いました!!・・・って戒斗さん!?」
「エムっち知ってるの?」
「・・・静かに、いったん様子を見ましょう」

そして会話を一部始終聞いて・・・二人が出発しようとした瞬間に話しかけたという訳だ

「成程な・・・何か妙な気配がするかと思ったらお前達だったのか」
「本当に・・・俺に協力してくれるんですか?」
「うん!!君が持つ陽菜ちゃんへの愛の思い、愛さんすごくよく感じたよ!!愛だけに!!」
「だからって銃とか撃ったりすることはやりすぎではないかと僕は思うよ、でも、それでも相思相愛を断ち切るつもりは僕はない、僕にもそれくらい大切な人がいるしね、だから守ってあげたい、君も陽菜ちゃんも」
「何より、主の大切な人が何故天候の為に犠牲にならなきゃいけないともわっちは思ったしな、確かに雨になる事は良い事ではないし、わっち達もその為に犠牲になるつもりはない、そのどちらにも抗うというならわっちも協力しよう」
「僕も君が本気で運命を変えるつもりなら助けてあげたい。そうしなければきっと多くの人が死んでしまうだろうから」
「俺も同意見だ」
剣崎は詳しく言わなかった。何故かは後で説明しよう

「・・・ありがとうございます!!」
「・・・一つ言っておこう」

その時、黙っていた戒斗は協力を申し立ててきた五人の顔を見て・・・結論を出した

「宝条永夢、剣崎一真、広瀬康一、月詠、お前たちは闘ってきた、そういう目が告げている、何かを守る為にな、お前たちは良いだろう、協力してもらおう





だが宮下愛、貴様はダメだ」
「・・・え?」


964 : 日本を取り戻す ◆s5tC4j7VZY :2021/02/14(日) 23:59:13 Zk1IXd0o0
とうとう最終日、300人以上のエントリー
誰が選ばれるか楽しみです。
私も最後に投下します。


965 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/14(日) 23:59:29 FIqbfP6U0
投下しますとだけ言っておきます


966 : 日本を取り戻す ◆s5tC4j7VZY :2021/02/14(日) 23:59:40 Zk1IXd0o0
「日本を取り戻すーーーーー」

【阿倍野晋二 @テコンダー朴 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:神子柴を打倒し日本を取り戻す
1:神子柴を打倒し、願いを叶えさせる
2:参加させられた日本国民を守る(特に帆高は保護優先)
3:日本国民ではない参加者は守らない
[備考]
参戦時期は御前死合を制し、総理の座 に返り咲いた後


967 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/14(日) 23:59:50 Jp71XMr60
最後に投下します


968 : 二人の主人公 ◆8eumUP9W6s :2021/02/15(月) 00:00:48 4g/yvdH20
(どうしよう…。)

ある場所に、一人の少女が居た。傍には意識を失っていて、横になっている青年もいる。
少女の名は宮藤芳佳。そして青年の名はルルーシュ・ランペルージと言った。

宮藤はこの殺し合いに巻き込まれる前に、自らの独断行動が理由により、部隊が解散させられる事になってしまったショックで、そのまま意識を失っていた。
そして気付くと映画館にいて───映画を見せられ、ルールが説明され、人が死んで蘇らせられて…やがて会場に放り込まれた宮藤は、傍に意識のないまま倒れている青年を発見したのだ。

(…リーネちゃんと同じ、ブリタリアの人かな…?
…悩んでる時間なんて無い、まずはこの人を起こしてみよう!)

そう思いながら宮藤は、魔法力を発現させた。

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズシリーズ】
[状態]:健康、魔法力を発現させた状態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしよう…二人を会わせてあげたいけど、それじゃ二人以外はみんな死んじゃう…
1:この人(ルルーシュ)を起こす、起きないようならとりあえず、治癒魔法をかけてみよう。
2:みんな…大丈夫なのかな…。
[備考]
※参戦時期は1期の第11話「空へ…」にて、501JFWの解散を告げられた直後に倒れた時からです。
※作中にて舞台になっている年代が1944年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 復活のルルーシュ】
[状態]:肉体は健康だが精神が戻っていない、赤ん坊のような状態、意識を失っている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:???
0:………。
[備考]
※参戦時期は蘇生させられた直後からです。


969 : 日本を取り戻す ◆s5tC4j7VZY :2021/02/15(月) 00:00:49 hST6ayB20
投下終了します。
投下の途中で割り込んでしまってすみませんでした。


970 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/15(月) 00:01:24 4g/yvdH20
投下終了です、こちらも、割り込んでしまい申し訳ないです


971 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:03:15 sCIsHEO20
唖然としたのは宮下愛本人だった、当然である。助けようとした善意が拒められたのは今まで初めてだったからだ。
「貴様の言葉は薄っぺらい、何も重みは感じられない!!」
「何で!?アタシ本気で助けたいって思ってるんだよ!?」
「何も戦いを経験したことがない貴様がこの場でそのような事を言っても意味がない!!」
「確かに戦いなんて知らないよ!!だからって助けようとする事っていけないの!?一応アタシもアンタと同じドライバー支給されてるし」
「たとえドライバーを持っていたとしてもだ!!貴様今こいつの立場分かっているのか!?こいつを殺せばこの殺し合いは終わると参加者に言われてる、更にこいつが目的を達成したら俺たち参加者全員が死ぬと伝えられているんだぞ!!それでこいつを殺そうとしない奴と殺そうとするやつどっちが参加者の中で多いと思うのか考えたのか?更にコイツはあえて参加者の元に行って話に行こうとしているんだぞ!?そんなこいつを守るという事が簡単にできると思っているのか!?その為にお前は死ぬかもしれないという覚悟があるのか!?だから中途半端な善意は足手まといだと言っている!!文句があるか!?言ってみろ!!」

・・・愛は絶句した。当然である。成程、自分の善意は日常であれば歓迎される物であったのだろう、だが今この場は殺し合い、寧ろ邪魔になってしまう、そして何より・・・死ぬの言葉が頭に叩き込まれる

急に体が震えてきた。寒気がする、何でだろう、こんな気持ち味わったことがないや、そんなのに縁があるとは普段思わなかったから、確かに縁が無いわけじゃない、人はいずれ死ぬものだ、でも自分ならきっと長生きできるだろうとして考えたことはなかった。でも今、下手したら自分はこの瞬間死ぬかもしれないという恐怖が頭を支配しようとしている
その様子を見た戒斗は吐き捨てるように言った

「失せろ、貴様のような弱者が立ちいっていい世界じゃない、誰かに保護でもしてもらえ」
「愛ちゃん・・・大丈夫?」
「・・・分かりました、僕が愛ちゃんは守ります、皆さんは帆高君を」

「おやおや、探す手間が省けて良かった、やはりこういう所でも私は運がいいかもしれないなぁ、マイティアクションX」
突然何処からか声が聞こえた、その声は永夢にとって聞いたことがある声だった、とても冷酷で感情を感じさせない冷たい声、そして何よりこの自分に対する呼び方は・・・!!

「どうして・・・どうしてあなたが蘇っているんですか!!檀正宗さん!!」


972 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:20:30 sCIsHEO20
「ほう、その言い方はまるで私が死んだかのような言い方だなマイティアクションX、寧ろ死にかけていたのは貴様で私が見逃してあげた立場のはずだが」
「顔見知りですかい?社長さんよぉ、おや?俺の知り合いもいたようだなぁ」
そのそばにもう一人いかにも小物そうな帽子をかぶった男が現れる。その名前は・・・
「貴様もここに来ていたという訳か・・・シド!!」

「知り合いでしょうか?」
「恐らくな、だがとても仲がいいようには思えん」

「・・・何しに来たんですか」
「何しに来たか?こんな殺し合いに商品価値はない、だからさっさとこの殺し合いを終わらせる為にそこの少年を絶版しに来たんだが、文句があるのか?」
「俺も同じだ、俺には早く手に入れたい物があってねぇ、その為にもこんな殺し合い、ちゃっちゃと終わらせるためにそいつを殺しに来たんだ、それになぁ」
一呼吸おいて話し始めた

「・・・ムカつくんだよ、お前のようなガキは」
「え・・・?」
「あの映画見る限り、お前警察という大人に逆らい続けたよな!?ただの貧しいガキのくせに!!お前のようなガキを見るとあの男を思い出して本気でイライラしてくるんだよ!!ガキはおとなしく大人の言う事を聞いていればいいんだよ!!だからテメェのような大人に逆らうガキは一番消えるべき存在なんだよ!!テメェの方が陽菜より消えるべき存在だァ!!」
この言葉は・・・帆高の心に強く刺さった。
言うまでもない、自分の行動を全て否定されたからだ、その行動に罪悪感がなかった訳ではない為余計に響いてしまった、そして・・・
(・・・そうだよな、やっぱり俺は何もかも間違いだらけ、か・・・だったら俺はこのまま・・・)
心が壊れていく・・・その時だった
「ふん!!お前達はこの殺し合いに従ったという訳か!!・・・とんだ弱者だな」
「何だと・・・!?駆紋戒斗、お前はこの私を侮辱したのか?やがて全てを支配する会社の社長たる私を」
「すべてを支配する?笑えるな、そう言っているお前はたった今この殺し合いのルールに支配されていて従っている。こんな滑稽な事があるとはなぁ!!」
「貴様・・・!!」

「ガキガキガキ、うるさいです、確かに彼は逆らったかもしれません、大人に、それは許される事ではないかもしれない、ですが!!大切な命を救いたいという思いは抑えつけていいものではありません!!」
「何だお前、何でコイツを庇うんだ?その命一つの為に東京をずっと雨にしてもいいような奴なんだぜ?」
「そうはさせない、確かにその事は簡単に許していい事ではない、でも、人を救いたいという想いは誰かの命を踏み台にしない限り誰にも侮辱する権利はない!!俺は信じる!!帆高の事を!!」
「皆さん・・・!!」
かつて剣崎には皆に伏せていたい事である負い目があった、世界を救うために始を封印して、それが解放された後に自ら望んでバニティカードに封印されてそれを破壊し、完全に始を倒してしまったことだ。あの時のように救えないまま終わらせるという真似を・・・二度としないと再び誓う。誰かが犠牲にならなくちゃいけない運命を今度こそ破壊してみせると
そして、その言葉もまた・・・仮面ライダー達の言葉は帆高を救っていた、今まで分かってくれない大人は説教だけしかしてくれなかった、だが、ここに分かってくれた人達は・・・肯定もしてくれた。自分の間違っている所はしっかり言うがそれでも肯定してくれる大人がいてくれた。その事は帆高にとって大きな救いになった。

『仮面ライダー』、人類の平和と自由を守る者である三人が帆高を庇うように立つ


973 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:21:47 sCIsHEO20
「君は・・・いや君達は私に逆らうか・・・マイティアクションX、ならこちらも容赦はなく絶版にするまで、シド、探索までの縁だと思ったが付き合ってもらおうか・・・変身」
「はいはい分かってますよ・・・やっぱお前とは仲良くやれないようだな駆紋戒斗、たった今ここで始末してやるよ、変身」

『仮面ライダークロニクル・・・!!』
『チェリーエナジー』

『バグルアップ! 天を掴めライダー!!刻めクロニクル!!今こそ時は、極まれりィィィィ!!』
『ロックオン、チェリーエナジーアームズ!!』

自分の意志で自分の為だけに戦う二人のダークライダー、シグルド、クロノスが立ちふさがる。

「戒斗さん・・・剣崎さん!!いきますよ!!」
三人はドライバーを腰に当てて、変身の為に構える。

今回永夢に支給されたのはエグゼイドに変身する為の基本装備だけだった。だが愛や康一に支給されていたガシャットを渡され、ある程度戦力は確保できた。そのガシャットのうち一つはゲキトツロボッツ、もう一つは・・・!!

『バナナ!』
『マイティブラザーズXX!!』

ブレイドへの変身の待機音がこの場にいる九人に響いてくる

「帆高と陽菜の運命は・・・!!この世界に招かれてしまった参加者の運命は!!俺達が変える!!」
「「「変身!!」」」

『マイティ!!ブラザーズ!!2人で1人!!マイティ!!ブラザーズ!!2人でビクトリー!!エーックス!!』
『バナナアームズ!!ナイトオブスピアー!!』
『Turn up』

ブレイド、バロン、エグゼイド、三人の仮面ライダーが姿を現す。更に

「だーーーーーい変身!!」
『ダブルアップ!!俺がお前で!お前が俺で!(ウィーアー!)マイティ!マイティ!ブラザーズ!(ヘイ!)ダブルエーックス!!』

三人は四人へと変わる。

「いけ、森嶋帆高!!覆してみせろ!!自分の運命を!!」
「・・・はいっ!!」


974 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:22:57 sCIsHEO20
六人の仮面ライダーはそれぞれの武器を構え、戦いが開かれようとしていた。
その時―

「・・・せっかくの絶版対象が見つかったんだ、それを逃がすほど私が愚かだと思うのか?」

月詠、康一、帆高の三人が駆けだそうとした瞬間、

クロノスはバグスターウイルスをドライバーから出現させて―

「いけ、森嶋帆高を絶版にしろ」

三人を囲んでしまった

「やめろ!!」
「オイオイ、お前達が助けようとするのを見逃すと思っているのかよ?」

シグルドはソニックアロー、クロノスはガシャコンバグヴァイザーⅡでエグゼイド、ブレイドに斬りかかる、対抗するためにエグゼイドはガシャコンキースラッシャー、ブレイドラウザーでガードするが、何よりスペックが違う、抑えきれずに強烈な一撃を食らう

「「ぐあっ!!」」

すかさずエグゼイドはキースラッシャーをビームモードに変えて銃撃を放つがクロノスのこぶしの前に全て弾き飛ばされる。その隙にもう一人のエグゼイドがガシャコンブレイカー、ハンマーモードで殴り掛かるが、シグルドの弓の攻撃の前にハンマーを撃たれ弾き飛ばされる

(やっぱりクロノス相手にレベル20じゃ無理か!!)
このままでは救援なんてとても出来ない・・・!!

一方で月詠や康一もどう対策すればいいのか考えていた・・・!!

(くっ!!今わっちが持っているクナイを使えば何とか道は切り開けるかもしれんがそうなると今後の戦いが危うくなる!!出来る限りクナイの使用量は増やさないでおきたいがどうすれば・・・!!)
(僕の霊波紋じゃ攻撃スピードが遅い!!これだけの人数を相手に仲間を庇いながら突破できるのか!?)

・・・その時現れたのは―


975 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:23:35 sCIsHEO20
少し時を遡り・・・

「ほう、やっかいな邪魔者を出してきたな・・・」
戒斗がどうやってあのバグスターの軍団を突破できるようにするべきか考えていた、その時

「・・・アタシにも戦わせて」

話しかけたのは宮下愛だった

(まだいたのか、弱者はこの先立ち入る事は余計な事をしているのに過ぎないのに、はっきり言ってこの女は邪魔だ。さっさとにげてもらうか)

「まだいたのか貴様、いったはずだ、本気で戦う覚悟はないような女に」
「覚悟は・・・できたよ、アタシ」
「・・・何?」

「確かにアタシは逃げた方が良いのかもしれない、戦いでも碌に活躍する事も出来ないかもしれない、そして、守る為に死んじゃうかもしれない、でも!!だからってそれでこのまま動かないでいるなんて、助けたい人を助けないまま無視するのはもっと嫌だよ!!愛さんが、愛さんである為にも、生きる為にもアタシは逃げない!!それがアタシの・・・未知だけど行きたい道だから!!」
宮下愛が所属するスクールアイドル同好会は「仲間でライバル、ライバルで仲間」の関係の集まりで、それぞれがなりたいスクールアイドルを目指して努力するグループである。故にそれぞれの道を往くのを互いに応援し続けるのが・・・仲間の証だ

(ねぇ皆、今のアタシが決めた道が愛さんらしいよね?・・・そうだよね?だってあたしが本当にやりたい事だもん!!)
宮下愛は恐怖を感じながらも考えたのだ、自分が生きたい道を、そして覚悟も決めた、たとえ死んでしまう事になろうと後悔はしないと

「・・・ふん、その目、本当に覚悟を決めたようだな?良いだろう!!」

バロンは自分に配られた支給品を投げ渡した、その支給品が手元に配られていた時、運命を感じずにはいられなかった。
(葛葉紘汰・・・この女に力を貸してやれ、この戦いの間だけでもな!!)

その渡された物を見て・・・宮下愛は進み始めた、本来、宮下愛に配られていたのはマツボックリロックシードであり、黒影に変身しようと考えていた、だが、今回渡されたロックシードをみて、変身するライダーを変える事にした

「その覚悟!!ずっと胸に秘め続けて戦え!!そうあり続ける限りお前は強者でいられる!!」

その名前は・・・!!


976 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:24:27 sCIsHEO20
二人のダークライダーは慢心していた、ただの少女だと侮っていたのだ、故に彼女が二人がいる道とは別の道を通って帆高達の救援に行った際に無視していたのだ。彼女が既に「変身」していたことを知らずに・・・!!

「皆大丈夫!?今すぐ助けるから!!」
「愛さん!?本当に大丈夫なんですか!?戦う覚悟は・・・!?」
「・・・愛さんにはまだ分からない、戦う事でどれくらい痛い思いをするのか、辛い思いをするのかなんて!!でも!!それでもアタシも同好会の皆が信じてくれているアタシである為に戦う!!帆高君という信じられる希望の為に!!」

今という風は何を愛に伝える為に吹いているのか、戦いによる英雄への変化か、戦いによる死の警告か、どちらを伝えているのか、
希望が溢れる未来が待っているのか、それとも何も守れない絶望の未来なのか、何処に向かうかはまだ分からない、だが、たった今言える事はただ一つ、宮下愛は闘う事に決して後悔していないという事だ。

(皆、アタシに力を貸して!!ここにいる人達を守る為の力を!!)

そう思いドライバーを腰に当ててロックシードを施錠する。そして鳴らした音は彼女を象徴する色たる『オレンジ』
『ロック・オン』
法螺笛が鳴り響く、そのほら貝の音声によって感情が高ぶっているのが分かる。そして数多の仮面ライダーが言ってきた言葉を言い放つ

「変身!!」
『ソイヤ!!オレンジアームズ、花道、オンステージ!!』

今、ここに『部室棟のヒーロー』は正真正銘の『ヒーロー』へと姿を変えた、そう、仮面ライダー鎧武へと
「これが、アタシの今の姿・・・!!」

そして宮下愛は決め台詞を考えた、どんな台詞にしよう?そんな時、同好会の大切な仲間がスクールアイドルフェスティバルでヒーローを演じた際の台詞を思い出した、今はその言葉を借りよう、本当のヒーローになる為に
「ここからは・・・ここからは愛さんのステージだ!!」
それが偶然本来の鎧武の変身者と同じセリフである事も気づかずに


977 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:25:28 sCIsHEO20
「はぁぁぁっ!!」
無双セイバー、大橙刀で次々とバグスターを斬り、時には銃撃もまじえてバグスターを倒していく鎧武!!

「愛・・・!!あっという間に強くなったな・・・!!これなら・・・!!」
月詠はバグスターの一掃を鎧武に任してクナイを握り近接攻撃でバグスターを倒していく

「その姿・・・!!まさかお前のようなガキがなるとはなぁ・・・!!イラつくんだよぉぉぉ!!」
シグルドは何度も打倒された忌まわしき記憶が脳裏に蘇りながら、帆高達の真上に弓を放つ、現れたのは巨大なサクランボ、内部には複数の矢が入っているのが分かる
はっきり言おう、このままでは対処はとても無理だ。月詠がいくらクナイを放とうと全て折れるだろう、鎧武の刃でも守り切れる訳がない、次世代のライダーシステムが旧世代のライダーシステムより勝っているのが基本であり、仮面ライダーになったばかりの愛じゃ対処は難しすぎる。例え鎧武は鎧で耐えきっても他の三人は生身の人間、バグスターに生身で突っ込まなければいけないがその後帆高の安全を保護できるかは分からない

周りはバグスター、上空には無数の矢、帆高達が完全に無事なまま生き延びる道は・・・ない

たった一つの道を除いては・・・!!

「Act2!!」
康一はエコーズでピタっの文字を具現化、破裂する直前にさくらんぼにつける事で破裂することを阻止、そしてそのまま落ちていき何も影響を及ばさなかった

「何だと!?」
「どこを見ている!!」

よそ見をしていたシグルドをバロンがバナスピアーの突きが襲う、慌ててガードするが不意を突かれていた為抑えきれず攻撃を食らう

「ぐああっ!!」
「・・・使えんやつめ」

『ポーズ』

その瞬間、全ての時が静止する。
「森嶋帆高、君は私の仮面ライダークロニクルの繁栄の障害になってしまったことを悔いりながら絶版になるがいい」
『ガシャット!!キメワザ!!クリティカルサクリファイス』

キメワザを決めるべく、余裕磔磔に攻撃を構える。当たり前である。自分のポーズに時間制限はない、相手が無敵でもない限り確実に仕留める事が出来るのだ、ましてや相手は生身、余裕を持つことは当然だったと言えよう

「・・・何ぃ!?」
その余裕は致命的だったという事に気づかずに・・・!!
クロノスの行っていたポーズが急に解除され、周りの人達全員が普通に動き出してしまっていた。
その為、目前に近づいていたエグゼイドがキメワザをこちらに叩き込もうと接近していたのに気が付いた時には遅すぎた

『キメワザ!!アクションロボッツクリティカルフィニッシュ!!』

「ぐぬぬぅ!!」
強烈な赤ピンクの拳骨を纏った斬撃がクロノスを襲う、勿論クロノスに対してこの攻撃は弱いのは勿論である。だが攻撃は中断せざる終えなかった

「ならもう一度ポーズして・・・!!」
再びポーズボタンを押すが・・・反応しない

「どういう事だ!?」
驚いていたクロノスに・・・何と先ほどシグルドが放っていたサクランボの実像が驚くべきスピードで迫ってきていた!!
鎧武はピタっで止められていたサクランボの実像を見て、何と相手に蹴飛ばすことで攻撃するというとんでもない方法で攻撃したのだ!!運動神経の高さを生かした強烈なけりで急速に接近し、クロノスに接触した瞬間に康一は文字を削除する。それによって複数の弓の攻撃が逆にシグルドとクロノスを襲う!!

「ぐあああ!!」
「がはぁ!!」

その瞬間にバロン、ブレイドは必殺の斬撃を放つ!!
『スラッシュ、サンダー、ライトニングスラッシュ』
『カモン!!バナナスカッシュ!!』

「ウェェイ!!」「ハァァ!!」

二つの斬撃がクロノスにダメージを負わせる。

「がぁぁぁ!!」

更にエコーズはバグスターの足元に『ビュオオオ』を投げつけてバグスターを吹っ飛ばす、そして・・・!!

『ロック・オン!!イチ・ジュウ・ヒャク・セン・マン!!』
鎧武はオレンジロックシードを無双セイバーに装着、ナギナタモードに変えて、バグスターをオレンジの中に閉じ込める

『オレンジチャージ!!』
「え、えーと、こういう時は・・・どうしよ・・・う、ウオリャー!!」

閉じ込められたバグスター、全てを切り裂いた先に・・・一つの道が出来た!!

「行くぞ帆高!!康一!!愛!!あの道がわっち達が進むべき道じゃ!!」
「「はい!!」」
「うん!!」

四人はその道めがけて一目散に逃げだした


978 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:26:07 sCIsHEO20
「・・・行ったようだな、これから先大丈夫か?」
「大丈夫だと信じるしかない、きっと彼らの行く先は敵ばかりってことはないはずだから」
「・・・そういう話はこいつらをどうにかしてからにしろ」

クロノス、シグルドが立ち上がってくる・・・怒りを抱えながら

「貴様等・・・ここまでやって絶版になる運命から逃れる事が出来ると思うなぁ!!」
「お前らに大人を本気で怒らせた奴がどういう思いするか教えてやるよォォ!!」

相手はクロニクル最強のライダー、クロノス、そして変身者が弱かろうと次世代のライダーシステムを使ったライダー、シグルド

それに対する三人は能力的に分が悪い、このままでは勝てないだろう、その時



何処からかピンクの弓が・・・シグルドに命中した

「だ、誰だ!?」

「まさかここで会えると思わなかったわ・・・戒斗!!」
「あ、貴方は・・・湊さん!?」




(・・・ここはどこかしら?周辺は森のようだけど)

湊耀子は戒斗の代わりに死んだ後にこの世界に呼ばれ、映像を見て、殺し合いの場で目が覚めた。
(・・・自分は死んだはず、それなのに何故今生きているのかは、まぁいいわ、それよりこの殺し合いどうしようかしら)

湊は考えた。あの映画を見て、帆高をどうするべきなのか・・・いや、考えて10秒で決まった

(助けるべきね、あの男の子を)
湊は帆高を戒斗と重ねていた。似ている気がしたからだ、何が何でも大切な者を追い求めようとする姿勢が、かつて、呉島貴虎という男の部下だったが、彼女にとって人々を助ける為に無欲だった貴虎はつまらない男だと感じたのだ、一方で面白いと思ったのは凌馬だったが彼には求める王の資格はなかった。そして最終的に見届けたいと思った男はただ一人、駆紋戒斗だけだったのだ。
そして、それに似ている帆高もまた面白い男の子だと感じていた。見届けたいと思ったのだ。彼の行く先を、そして愛もかなって欲しいと感じた、自分が叶えられなかった愛を

その為に彼女も一番遠いところにいるのではと考えたA-8に向かっており、辿り着いた先では既に激闘が始まっていた。その先に愛した男である戒斗がいた事にも驚いた。そしてその対戦相手は元同僚のシドもいた。
愛する男と元同僚、どちらに味方しようとするのかは・・・

『ピーチエナジー!!』

語る必要もないだろう


979 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:27:17 sCIsHEO20
「・・・何で貴方は私を知っているのかしら?貴方みたいなライダー会ったことがないわよ?」
「後でそれは話す!!」
「貴様は協力してくれるようだな?だったらシドを任せた!!」
「・・・分かったわ!!」

耀子と呼ばない戒斗に少し違和感を感じたが手伝うのに文句はない、戒斗の横に並び立つ。

「湊、お前も俺の敵になるんだったら仕方がねぇな!!一緒に引導を渡してやるよ!!」
「相変わらず口だけはうるさいわね、ゲネシスドライバーの本当の戦い方を教えてあげるわよ!!シド!!」


【宝条永夢@仮面ライダーエグゼイド】
[状態]:軽度のダメージ、仮面ライダーエグゼイドに変身中
[装備]:ゲーマードライバー+マイティブラザーズXXガシャット、マイティアクションXガシャット、ゲキトツロボッツガシャット
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らずに参加者の運命を変える為に戦う
1:帆高、愛、月詠、康一、どうか無事でいてくれ!!(今は天才ゲーマーM状態なので呼び捨てです)
2:この戦いが終わったら合流しなくちゃな
3:湊にも戦いが終わったら説明する必要があるな
4:これからクロノスを三人でどう倒すべきか・・・!!
5:ブレイブやスナイプやレーザーやパラドはここに来ているんだろうか?

時系列としては平成ジェネレーションズFINALの後、仮面戦隊ゴライダーも経験してます。

【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康、仮面ライダーバロンに変身中
[装備]:戦極ドライバー+バナナロックシード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:主催者を倒しこの殺し合いの秘密を暴く
1:殺し合いに乗るような弱い奴を倒す
2:この戦いをいかに切り抜けるか考える
3:終わったら帆高達を追う
4:耀子の返事が遅れたのが少し気になった

時系列としては鎧武外伝バロン編の後

【剣崎一真@仮面ライダー剣】
[状態]:軽度のダメージ、仮面ライダーブレイドに変身中
[装備]:ブレイバックル+ラウズカード、スペードの1〜7
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いに巻き込まれた運命に仲間と共に戦う
1:とりあえずこの三人でクロノスを倒す
2:終わったら帆高達と合流したいがどう合流するか
3:他にも巻き込まれた参加者がいたら保護したい
4:他にもカードがあれば時間停止にも対抗できるが・・・!!

時系列は「劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE」の後

【湊耀子@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康、仮面ライダーマリカに変身中
[装備]:ゲネシスドライバー+ピーチエナジー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1、ラウズアブソーバー、ラウズカード、スペードの10〜12
[思考・状況]
基本方針:帆高の行く末を見届けたい
1:とりあえず真っ先にシドを倒し戒斗達の援助に向かう
2:そして戒斗達から話を聞く
3:耀子呼びしなかった事が少し気になった。
4:謎の仮面ライダーからなぜ自分の事を知っているのかも教えてもらう

時系列としては死亡後です

【檀正宗@仮面ライダーエグゼイド】
[状態]:軽度のダメージ、仮面ライダークロノスに変身中
[装備]:ガシャコンバグヴァイザーⅡ、仮面ライダークロニクルガシャット
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを早く終わらせる為に森嶋帆高を絶版する(つまり殺す)
1:それを阻むこの仮面ライダー達を絶版にする
2:シグルドがこれ以上役に立たないのならば切り捨てる
3:時間経過による願いをかなえる権利もいいかもしれない
4:他にも商品価値がある部下が欲しい

時系列は初めてクロノスに変身してCRライダーとバグスターライダーをまとめて倒した後です。
そしてポーズにも制限があります、時間停止は10秒のみで一度ポーズするとしばらくポーズは出来ません、この制限を把握しました。

【シド@仮面ライダー鎧武】
[状態]:少々のダメージ、仮面ライダーシグルドに変身中
[装備]:ゲネシスドライバー+チェリーエナジー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2〜3
[思考・状況]
基本方針:帆高を早く殺して黄金の果実を手に入れる
1:その邪魔をする奴には容赦しない
2:耀子は俺が裏切ったから怒ってるんだろうが知ったこっちゃない
3:正宗の事もどう出し抜けばいいかこの戦いが終わったら考えなくちゃいけないな
4:鎧武に変身した女は俺が潰す

時系列は黄金の果実を目にした直後です。


980 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 00:30:35 sCIsHEO20
「はぁっ・・・!!はぁっ・・・!!やっと抜け出せた!!」
愛は変身を解除し、生身の姿に戻った。

「さて、問題はこれからどうするかじゃな」
「・・・皆さん、一応話は聞いていたんですよね?」
「うん、聞いてたよ、全力で走りながら参加者に会って話を聞いていくって」
「その為にはわっち達は多く参加者がいるだろう場所をめぐる必要がある、更にこれから走り続ける以上栄養も多く補給できる場所があると良いかもしれんな、また、走っている途中に休憩する場所も欲しい、それに、主の為の自衛手段も確保しなければいけないだろうな、何の偶然か分からんがわっち達それぞれの武器以外何も武装を持っていないのじゃ」
「・・・月詠さん!!俺達には休憩する時間なんて」
「たわけ!!主の焦る気持ちも分かる!!だから協力しているんじゃ、だが休憩なしに何も成し遂げる事はないぞ!!わっち達がもしへとへとの状態で主の命、いやわっち達の命を奪うような者と遭遇したらどう戦えるというんじゃ!!考えて動かなければ簡単に死ぬぞ!!」

本気の怒りの形相で怒ってきた月詠に帆高はたじろいでしまった
「ご、ごめんなさい・・・」
「反省すればいい、だがこれから人が多く集まる場所を考えてみるが何があるか?」
「愛さんが思いつくのは病院かな?他にもコンビニやスーパーや駅ターミナルかな?でもコンビニやスーパーに食品はあるのかな?」
「一切人いませんもんね、僕もエコーズAct1にして上から見ましたけど小人数しか見つける事が出来なかったです」
「一番集まりやすいのは病院かもしれんな、この殺し合い、負傷者が多い事は想像できる、だがそのような人物を待ち伏せする人もいるかもしれん、どうすればいいものか・・・」

「・・・深く考える必要はないんじゃない?」
「え?」
「愛さん、思ったんだけど取り合えず動かなくちゃ始まらないと思う、じっとしていても何も進まない、だから!!走りながら見つけた場所を皆で考えて入ろうよ!!」
「・・・主は楽観的じゃな、だがそれが良いかもしれん」
「ではその方針で行きましょう!!帆高君もそれで・・・帆高君?」

帆高の様子がおかしい、それでよく様子を見てみると・・・帆高は・・・

「う、うぅぅ、グスッ・・・!!」

・・・泣いていた

「どうしたんじゃ帆高?」
「・・・ありがとうございます!!」
「「「え?」」」
「こんな立場の俺の為に、こんなに危なっかしい俺の為に・・・皆・・・考えてくれて・・・!!助けてくれて・・・!!嬉しいんでず!!俺は・・・!うぅ・・・!!」

嬉しかったのだ、本来自分は真っ先に殺される立場であるはずの自分がここまで手を差し伸べてくれている事が、戒斗、剣崎、永夢、愛、康一、月詠、皆が助けてくれている、自分と陽菜の為に
思えば自分の記憶でもそうだった、凪や夏美さんや圭介さんも、皆助けてくれた、それが天気を雨に変えてしまうと分かっていたうえで
自分は多くの人達の優しさに救われている、それが実感できて本当に嬉しくて涙が止まらない

「もう、そんなに泣いてたら余計助けなくちゃいけないよね!!アタシ達!!」
「そうですね!!絶対に会わせてあげなくちゃってやる気が出ます!!」
「ずっと怖かったんじゃな・・・自分の行いが本当に正しいのかどうかが・・・安心してくれ、わっち達は・・・最後まで主の味方じゃ」

康一君が涙をぬぐうハンカチをくれた、その優しさは陽菜さんを思い出した。俺にとってとても大切な人を

(・・・今なら本当に出来るかもしれない、陽菜さんだけじゃない、天候も、晴れのまま助けれるかもしれない、だって俺は独りじゃないんだから!!多くの障害が立ち塞がってくる事は分かってる・・・それでも!!)

飛び込んでく 嵐の中
何も迷わずに ためらう瞬間  その闇に飲まれる
疑うより信じてみる  自分の可能性
目醒めて行く 未来の世界を

(諦めない!!)


981 : 飛び込んでく 嵐の中 :2021/02/15(月) 01:00:02 sCIsHEO20
【森嶋帆高@天気の子(映画)】
[状態]:健康(首からの極微量の出血は元々顔に会った絆創膏で止めた)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2〜3
[思考・状況]
基本方針:天気も陽菜さんも何方とも絶対に救う
1:皆と一緒に走りながら行動する、単独行動はしないようにする
2:自分にも仮面ライダーのような力が欲しい
3:体力管理・・・そういえばあの時何で俺はしなくても走れたんだろうな、無我夢中だったからかな?
4:戒斗さん、永夢さん、剣崎さん、無事でいてください・・・!!
5:銃で脅すようなことはもうしないようにした方が良いんだな、やっぱり

【宮下愛@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、オレンジロックシード、マツボックリロックシード、戦極ドライバー
[思考・状況]
基本方針:帆高君はアタシ達で守る!!
1:とりあえず走りながら休憩&参加者と出会う。
2:人と仲良くなるのアタシ上手いからアタシが交渉しようかな?
3:ロックシードって他の使い方があるみたいだからそれで守るのもいいかもね!!
4:他のアタシの仲間は来てるのかな?来ないでいてくれたら嬉しい・・・

因みにロックシードの別の使い方とはインベスを開放して操る方法です。今作ではロックシードの持ち主は何も特別な手段を使わずに実体化したインベスを呼べます。現在愛の持っているロックシードでは、オレンジで等身大の姿で上級インベスを、マツボックリで小さな姿で初級インベスが召喚出来ます

【月詠@銀魂】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ、クナイ48本(2本バグスターとの戦いで折れました)
[思考・状況]
基本方針:唯一の大人として彼らをサポートする
1:皆と一緒に走りながら行動する、多くの人達と交渉していく必要があるだろう
2:自分の仲間も会えたら協力してもらうと嬉しいが・・・そう簡単に上手くいくかな?
3:体力管理の為にも美味しい料理が必要かもしれんがこの4人の中で料理が上手い人はいるのか?
4:あの3人・・・本当に大丈夫じゃろうか?少し不安じゃ
5:今後帆高が暴走してしまう可能性があった時は抑えなければいけないな

【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2〜3、霊波紋、エコーズ
[思考・状況]
基本方針:僕の霊波紋で皆を助けたい
1:皆と一緒に行動する
2:承太郎さんや仗助君がいたらいいんだけどなぁ、特に仗助君の能力は有効だと思う
3:僕のエコーズで参加者を探せば用心も交渉も出来るな、でも走りながら霊波紋は持つかな?
4:戒斗さん、永夢さん、剣崎さん!!無事でいてくださいね!!
5:僕の文字の「ポカポカ」で雨で濡れて冷えた体は暖めることできるな、後でやろう

因みに私のssの参加者の服装は愛と康一除いていつも着ている服で、愛と康一は学生服です。


982 : ID:sCIsHEO20 :2021/02/15(月) 01:05:10 sCIsHEO20
・・・やっと終わりました!!いやー超長い文作ってしまいすみませんでした!!

そして何と愛さんが書いている途中に被ってしまった・・・ですが仕方がなかったのでそのまま出しました。
誰が採用されるのか楽しみです。細かい口調は後でwikiで直しますね


983 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/15(月) 01:06:30 dxUG376Q0
投下お疲れ様です!
先ほど予約してたSSを投下して募集を締めます


984 : 愛に出来ることはまだあるよ ◆j7coLoRPl6 :2021/02/15(月) 01:07:25 dxUG376Q0
ずっと会いたかった。

あなたがいなくなってからずっと寂しかった。

死にたいと思う程に愛おしかった。

あの時、生きていて、死ななくてよかったと心の底から思う。

さっきの映画の彼らは、私のように離れ離れになってしまったけれど。
叶うなら、彼らの末路も私のように報われるものであってほしい。

だから今はただ喜ぼう。祝福しよう。

例え悲劇の盤上だとしても、この再会は紛れもなく奇跡なのだから。

私は、流れる涙を拭うこともせず彼を心の底から抱きしめた。

「会いたかったよ、ゴロー...!」




【二葉さな@マギアレコード】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:ゴローと共に生きる。
1:会いたかったよ、ゴロー...!
2:ゴローを三日月荘のみんなに紹介する

※目の前のゴローをかつて行き別れた猫のゴローだと思っています。


【№5(ゴロー)@青春兵器ナンバーワン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
基本方針:武士道とはペット道と見つけたり。
1:女神の抱擁
2:我が主の元へ帰還する。

※参戦時期は委員長に拾われた後。


985 : ID:sCIsHEO20 :2021/02/15(月) 01:07:33 sCIsHEO20
ごめんなさい、962と963投稿ミスで被ってしまいました、本当にごめんなさい・・・


986 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/15(月) 01:09:34 dxUG376Q0
投下終了です
これでコンペ募集を終わります
皆様たくさんの投下ありがとうございました!
一週間以内には名簿を確定して予約を解禁する予定です
よろしくお願いします!


987 : ID:sCIsHEO20 :2021/02/15(月) 01:27:44 sCIsHEO20
更に追記、今宝条永夢は分身していますが思考は大体一緒で現在書かれているエグゼイドの思考はオレンジのエグゼイドで、青いエグゼイドは普段の礼儀正しい人格です。今表記します!!

[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らずに参加者の運命を変える為に戦う
1:帆高、愛、月詠、康一、どうか無事でいてください!!
2:この戦いが終わったら早く合流しなければ
3:湊にも戦いが終わったら説明する必要がありますね
4:これからクロノスを三人で倒せるんでしょうか?万が一の為に退却の手段があればいいんですけど・・・!!
5:飛彩さんや大我さんや貴利矢さんやパラドはここに来ているんでしょうか?


988 : ◆8eumUP9W6s :2021/02/15(月) 12:45:19 fBhdv2B.0
自作の誤字や脱字を修正しました。


989 : ◆k7RtnnRnf2 :2021/02/15(月) 19:33:04 rCHEyfK60
自作「虹を目指して」にて誤植を発見したので、修正させて頂いたことを報告致します。


990 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/16(火) 00:21:06 qaJ.ieTk0
>コマンドーびより
シブタクと馴染みすぎてる大祐でまずやられましたね。出典デスノートだったかな?
そこからメイトリックス乱入で恒例のOK問答、もうカオスすぎるw

>愛がカレらの力になる
タイトルの通りです。『愛』を知る彼だからこそ突っ走る帆高を見捨てられず、そして殺し合い破壊宣言。
まさに理想の仮面ライダーな立ち振る舞いでした

>Unleashed Beast
人間のクズと見せかけて割と正論言ってない?気のせいですか、はい。
くさそうだのおしゃべりうんちだの散々な言われようですが、こんなのに尻をおっかけられる帆高くんも大概可哀そうだと思います

>2019:キングダムカム
続く仮面ライダー勢。一瞬揺らいだとはいえ、やはりというべきかあんな婆の言うことに従う訳にはいきませんよね。
彼の決意はあの婆に牙を届かせることが出来るのだろうか

>ファイナル・ギアス
いつどこでも全くブレない社長は見ていて気持ちがいいですね。
参戦時期が時期だけに大変そうなC.C.ですが、社長がお供だといらぬ心労抱えてルルーシュどころじゃなくなるかもしれない。


991 : ID:sCIsHEO20 :2021/02/16(火) 02:28:34 qXJIasD20
本格的に飛び込んでく 嵐の中を修正しました!!よく見やすくなったと思うので改めてみてくださると嬉しいです!!


992 : 名無しさん :2021/02/16(火) 09:20:31 T6HsQQ5k0
トリップ付けた方が良いですよ


993 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/02/16(火) 22:16:07 bv32y8YU0
以下の自作にて誤植を発見したので、修正させて頂いたことを報告致します。

・愛なき時代に、生まれたわけじゃない
・時空(とき)を超えた遭遇(であい)

以上、よろしくお願いします。


994 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/16(火) 23:38:06 qaJ.ieTk0
>ディケイドの天気予報
お天気ヤクザってなんだよ(困惑)
謎の怪人相手にも退かずバトルロワイアルを破壊しようとする士、頑張れ

>風の道しるべ
さねみくん呼び可愛い...可愛くない?
小さい娘にも動じずしっかりとお兄ちゃんを遂行する実弥さんまじお兄ちゃん。

>パーソナリティークライシス
ワタシMNR、強いネ...下衆被害者の巣窟である金田一屈指の極悪レイパーがこうも容易くヤられるとは恐ろしい
ヒエヒエの実が獲物を逃がさない為の用途に合いすぎてる...

>やまない雨(再)
パワポケって野球ゲームの筈ですよね?毎度のことながらなんで野球に関係ないワードがぽんぽんとんでくるんですか(困惑)
まああれほどの困難に遭遇した経験があるなら殺し合いなど些細なものですな!

>愛=×勝利と栄光=○
かつてのジャンプロワでも猛威を振るったフレイザードさん来た!
アニメではコンプライアンスに配慮しましたが、このロワではどうなるか

>龍がYOSAKOI
YAKUZAにテンション上げるハナさん可愛い!
アニキはこのふざけた殺し合いにおいても頼れる対主催になりそうですね

>汚怪なる血脈
スパロボ補正で忘れてましたがデモンベインってアダルトゲームでしたねと思い出させられました。
色々と穿たれてしまったクムユちゃんカワイソス

>みなぎる愛
愛に燃えるキュアハート、熱いですねえ。
こういう正々堂々とした対主催、わかりやすくて好きです

>俺、バトルロワイアルに参加します。
やっぱりブラザーはいつでも頼りになるしいきなり性癖問答してくる気持ち悪さも安定してる。
ツインテから即座に高田ちゃんを連想ゲームして総二くんを困らせるな

>ニューゲームは突然に
オババの目論見を冷静に思考して頼れる感を出してからの「それはそれとして楽しもう」が非常に厄介(誉め言葉)
こういうキャラが殺し合いを加速させてくんですよね


995 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/16(火) 23:39:10 qaJ.ieTk0

>不運少女 -アンラッキー・プレディ-
前の人とは違ってちゃんと考察を重ねた上で帆高達に寄り添ってくれるの心強いですね。
目指す目標は困難極まりないですが頑張って欲しいです

>羽をもがれた蝶
時期が時期だけに仕方ないとはいえ、鬼殺隊の中では珍しく帆高達を恨んでいる彼女。
八つ当たりだとはわかっているが止められないのが、鬼殺隊の根幹が恨みと怒りなのがわかってしまいますね

>残酷
↑からのタイトル通り。しかも妹の血まで吸っちゃってる状態で。
鬼の王になってくれと最後に託した無惨様ですが、自分が健在の時に出会ったらまあ普通に排除しにかかりそうですよね

>麒麟を討った男、リンと出会う
史実寄りからの参戦とは珍しい。
殺し合いという状況とはいえこんなキャンプはめったにないですよねリンさん

>どの世界でも女は強し
なのはにラキスケとかうらやまけしからん死にたいのかひろし(フェイト並感)
こういう状況でも冷静さを失わない父親の鑑

>早くしないと叱られる
あの特徴的なしゃべり声が容易く脳内再生される。相変わらずマイペースですねチコちゃん。

>Dear My sisters
姉妹同盟、可愛さと上下の兄弟がいるが故のメンタルに対して逞しさが備わっていて心強い。
一人っ子だと耐えられないことも誰かがいてくれるだけで心強くなりますよね。

>一触即発のち惚気
これは予想外の組み合わせ。ブラザーの性癖問答を受け継いでしまったか虎杖よ。
ルカさんもトンデモな出生してるけど虎杖も原作の方で明かされる出生が凄いことになりそう

>世界の中心で…
スパロボではこの告白であのヴァンさんがテンションあがってましたが、ここまで率直だとやはり気持ちがいい。
ドモンの告白が帆高に届いた時、彼は愛と向き合うことが出来るのだろうか

>あなたの羽は雨に撃たれて
今まで荒事に慣れた参加者たちは迷わず方針を決めてる人が多かったですが、やはり悩む人がいてもいいですよね。
一人を取るか大勢を取るか、まさにこのロワに則した選択肢です。


996 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/16(火) 23:39:39 qaJ.ieTk0

>嵐と炎と鬼
累のお兄ちゃんってもう少しキワモノ感が減ればしんちゃん時空にもいそうだししんちゃんだとあんま動じないよね。
そして煉獄さんも普通にしんちゃん世界に馴染みそう。

>Eの復活/悪魔は三度目の生を受ける
全てを失った人が殺意を持って襲ってきたら帆高君にはもうどうしようもない。それが仮面ライダーとなったら猶更。

>幸運対決!ネオスVSラッキー・ザ・キャノン
まさかのラッキー様参戦wしかも十代相手にかなり善戦して気になるところで引き!
相手が相手だし無理な気がするけど頑張れラッキー様

>泣き虫な魔女(ウィッチ)と紫紺の戦士(仮面ライダー)
迷う女とそれに寄りそうライダー。
こういう時にそっと寄り添ってくれる男に気持ちを曝け出したくなるのはよくわかります。

>またしても何も知らない
なにも知らない方が幸運かもしれません。このロワだと何もしてなくても無事に帰れるかもしれないですし。

>紅茶
流石は吸血鬼相手に金づち一つで立ち向かい、「この筋肉バカは俺の獲物だ」した小学生。当然、旦那はもう胸キュンですよ。
本来ならあった「片手失ったくらいで寝てられないよな」のクソかっこいい見開きを見たら旦那も号泣してテンションは更に爆上がりしそうですね。


997 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/17(水) 00:29:09 ZGH2rbQs0

>極道が如く
最近の原作で超人っぷりが明らかになった極道さん。
このロワ内だけでなくその先まで見据えてるのがなんとも頼りがいのある大人...しかし原作でもそうですが気にかけてるのが実は一番の敵である忍者なのがやはり寂しい

>神の見えざる手
漢女(おとめ)祭りじゃあああ!と言わんばかりに強い女達の祭典。使命感の強い女、肝っ玉の強い女、どん底から這い上がってきた強い女。
下衆野郎を協力プレイで退けて漢女同盟完成...と思いきやなんかヤベーの出てきた。しかも覚悟完了してる。

>愛なき時代に、生まれたわけじゃない
みんなだいすきサービスマン。かつてサービスをできず無念に終わった経験もあるからなおさらやめられませんよね。
是非とも↑の人達にサービスしてもらいたい

>HELL! or HELL?
「神子柴、絶対ぶっ潰す!!!!」いやあ文中にある通り清々しいですね。
原作でほぼ勝ち逃げしたあの婆をぶっ潰せるかが楽しみですね。

>姉妹
ヤりやがった!雅の野郎ヤりやがった!ただ下品なだけのエロ金剛とは違うあたりやはり首領の風格。
ルビィちゃんもダイヤちゃんも可哀そう...と思ってたらまーた雅様を喜ばせそうなもの持ってる...どんだけツいてないんだ

>FILE-XX【100%の晴れ女捕獲作戦】
工藤Dほんと迷惑な野郎だなwいや、考察が進んだり進展はちゃんとあったけども。
そして関係者の須賀さんのちょっとした挙動や部屋の痕跡やらから深層心理を見抜いちゃう右京さん頼もしいけど恐い。

>嘘も誤魔化しもきかないこの世界
雅様投下からほどなくしてタイトルの歌詞からしてもう完全に彼岸島回ですね。ユカポンファンことアイスデブは死んでも改心しないな
早々に散々な目に遭ってしまった沙都子ですが、明さんと一緒なら安心...いやむしろ刺しに行きそう。


998 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/18(木) 00:28:37 Kqdm18LA0

>Gの始まり/ただのメイドに非ず
着々と考察を進めていって頼もしいグレア。
戦闘力のある翔太郎とも上手くコンタクトを取れて安定した対主催になりそう。

>錬金術師と陽炎の剣豪
自分、投下した後に嘘だろ...となりました。ライザの錬金術は首輪考察にも繋がりそうで、それを護るヤクトワルトには頑張って欲しいですね。
ゲームでも相手の動きを制限するスキル+カウンター持ちなので護衛にはうってつけだと思います

>美しき肉食獣は再び嗤う
ロワ充道満、一人でもとても楽しそう。この人はどう転んでも最期まで笑顔で終わりそう

>悪夢より来たりて
巻き込まれた異常事態にも動じずむしろチャンスと捉える強かさ、このロワでも猛威を振るいそうです

>ほら見て、愚かな駒よ
(うわキッモ……)ちょっと、自分からキスしておいてそれはあんまりじゃないですか!?
風間くんの隠れオタクを嗅ぎつけて駒にしちゃうモナカ恐ろしス

>電波の子
おっ、ついに帆高くん来た。いきなり瑠璃子ちゃんと遭遇してしまって幸先不安ですがまあガンバレ。
そして逃げ上手の若君から時行くん...いやはええ!まだ単行本も出てねえ!

>信じる意味を書き換えて
五条先生キタ!これて勝つる!理央さんの痴態にも侮蔑の目を見せないのは流石は悟ね!(ロボ子並感)
キリシュタリアも味方に着けてこれはもう無敵だぜ!...どうやって崩すのほんとこの人ら

>2021:リベンジャーアゲイン
堕ちたな、飛流(もとから?)。復讐の為に他者を蹴落とすことに躊躇いなくなるとはまさに魔王

>災厄の二人
竿役のおっさーん!!
にしても地球規模でヤバイ奴らを呼び寄せるとは何考えてんだあの婆。とくにゴクウブラック。

>父
開幕熱いヒーロー宣言に心動かされたゾクガミ。このままあの日に浸りながら平和に親父しててくれ

>未来を救うのはこの勇気さ
ブラックに続いてドラゴンボール超から。戦闘も機械もイケる有力首輪解析班として強い(確信)

>名探偵の傍にいた者
まさか阿笠博士が来るとは。首輪解除要員としてあの謎の技術力を発揮できる時はくるのだろうか

>光をつぐもの
いきなり大量のジョジョキャラズガンでびっくり。そしてそこから始まる狂人VSウルトラマン。
曇らせてあげて、この笑顔。

>強欲な楽園の王
パラダイスキング、しんちゃん映画の中でも超能力を使わない純粋な強者って感じで印象深いんですよね。
超人怪物が多いこのロワでジャングルの王様はどこまでいけるか

>影に沈むもの
パンプキン、優勢に事を運んでいたがまさかの逆転敗北。いやそりゃこんな事故みたいな形は予想できないわな。
そしてマサキはタイトルの通り日陰に沈んでしまい、このロワでも波乱を巻き起こしてくれそうです

>Future gazer
対主催の御坂さんは首輪解析・戦闘と両方で心強い存在です。そしてカミサマに反逆する使徒のケイスケ。
彼らがあのオババごとカミサマを撃ち抜けるときはくるのだろうか

>絶望の天使
またヤバイ人が来ちゃった!しかもめちゃくちゃご機嫌斜めでらっしゃる。
無差別マーダーとなった彼の歩いた後に残るものは果たしてあるのだろうか

>水の音
水と言えばンドゥール。ンドゥールの水は自前なので雨は必要ありません。
とはいえ水に紛れて攻撃できるのはかなり驚異的なのでこれがジャイアントキリングに繋げられるかどうか。

>水色の羽根と白いツバサ
ハヒフヘホ〜〜〜〜♪悪役とはいえ積極的に人を襲わないのは安心感ありますね。技術力も高いですし。
スタンスに若干の違いはあれどそこらへんは折り合いつけて仲良くやれるあさひさんとバイキンマンは和みますね

>帆高が陽菜に会う時!東京は水没する!
>ただ全てを殺す。理由など無い こ、コエ〜。まずは首輪を外そうとかも無しでコレはコワイ。
一方で、死体を見たリュウヤ隊長も全然動じてなくて現代人との意識の差を感じます。


999 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/19(金) 00:47:35 Pfgw8OzM0
>include ~カガクと魔法が交わる刻~
映画に見入る愛莉さん可愛い。主催の首輪にカガク、起こした奇跡に対して魔法と対になっている二人がゲームに歯向かうのも必然か

>あんぱん生活〇〇日目
山崎退をロワ会場にスパーキング!!

>「逃げないぜ」
まさに球磨川って感じですね。
>グッドルーザー球磨川 蛇足編、ここに開幕 この一文が凄い好きです

>抜け出してって
私は何を見せられているんだ(困惑)。鉄平のハイグレを見せつけらた参加者は精神的ダメージを負いそう。
シノノンを庇う梨子ちゃんと梨子ちゃんを庇うシノノン、いいコンビになりそうです


>バトロワハンサム
神子柴ってキャラグラ出てないけど実際不細工なんでしょうか。
もしも時女の里がアニメ化したらキャラデザもわかるんでしょうかね

>とぐろ頭レ〇プ!野獣と化したメス猫
なんだこれはたまげたなあ。ウンコッコ博士を襲うだなんていい趣味してますねこの雌猫が。
当然キレる魚雷先生だがやはりウンコッコ博士の前では恋する乙女で大人しい。

>図書館のツボにご用心
幾多のプレイヤーを怒りに沈めてきたツボックくん参戦。
あいつに襲われた参加者はこうなってるんだと参考になりました

>郡千景は勇者である
ゆゆゆからの参戦!今度こそは郡ちゃんも勇者として生きれるのだろうか

>天気の子のアダムとイヴ
死者の蘇生やら陽菜を生贄にして天候を操る神様やらと千空にとって挑戦しがいのある敵ですね。
ファラという武力も手に入れて準備万端、そそるぜこれは!

>拳の子・剣の子・鍵の子
帆高くん2作目きた!焦燥感が溢れすぎて疑心暗鬼になってるのが帆高クオリティ。
渚先生はしっかり見守ってくれるようだが今の彼にその厚意はちゃんと届くのだろうか。そしてネズミー...げふんげふん

>陽は再び
獣の槍が無くてもめげずに前を向き続ける潮はまさにヒーロー。
相棒もいない中で果たして彼はどこまで足掻けるか

>修羅
強敵となる者だけ求める修羅。このロワだと強敵ってレベルじゃない参加者がかなり多いですが彼らと対面した時、果たしてどうなるか。

>虎の威を借る狐は、虎に喰われるのが定め
タイトルの通り、獣人が知能を有していればそりゃスペック的に勝ち目はない。
しかしこのオーク、ノリノリである

>夢の狂演
嘘風、願いが叶って良かったな。「アラバスタですな」じゃねえよ。
誰か本家ナミさんか菜美ちゃん連れきてツッコミいれてもらってくれ。

>クイズ王 伊沢拓司
クイズ王が考えることを放棄した時点で彼の運命はもう決まってるのかもしれない。

>旅人達とスピリチュアルガールズ
タロットの巡りあわせから始まったこの4人。
殺し合いに乗る乗らない以上に大切なこの「帆高をどうするか」という問いかけでどうとでも転びそうなチームですが果たして

>紡いだ因果の糸に、舞うは鬼と蜘蛛二匹
オネショタはいいものだ(逃避)。
絵面だけ見たらただの事案ですが、ヤったことはおっかない。これからも初音がパワーアップしていったらいつの間にか最強キャラになってる未来もあるかもしれませんね。

>頭の出来が違うので 問題はナシ
頭脳派マッドサイエンティストコンビ、爆誕。
悪人とはいえ敵の敵は味方ともいいますし、帆高くんも上手く交渉すれば味方に着けられるかも?

>強力若本
ぶうるあああああ!!!

>Double A-side
起きたら喋るところてんがいたら夢だと思うよね。
目の前のお嬢ちゃん(鳰原令王那)が危なっかしいので一緒にいる 普段はボケ倒す天の助のこういうちょっとした優しさが好き

>Shiromo
可愛い顔してゾンビだなんてギャップ萌え素敵!とはならない。
普通に危ないモルカーはいったいどうなってしまうのだろうか

>俺はとことん止まらない!!
おやびん最高おやびん最高おや便最高!!!
どこだったかのロワでもおやびんのやりたい放題に絡まれて苦労しているQBはカワイソウ。


1000 : ◆j7coLoRPl6 :2021/02/19(金) 20:19:20 Pfgw8OzM0


>白黒はっきりさせましょう(※迷ったときはピンクも可)
「待てぇぇぇっ!!一発ヤラせろぉぉぉっ!!!」開幕からヒドイ。そして唐突な最低自己アピールもヒドイ。
アイドル達を救ってくれた閻魔様ナイスです。早速知り合いに会えたアイドル達もこれを心強いとみるか不運と見るか。ガロンはそのままオカマに掘られててどうぞ。

>ロワでもやっぱりツイテナイネン
クソみてェな支給品詰め合わせセットで笑う。私に...どうしろというのだ...

>失われた人としての尊厳、混濁する記憶
落ち着け。そして冷静に周りを見なさい

>キボウノヒカリ
神子柴如きが榊遊矢に勝てると思うな。こういう状況だと遊矢の方針も参加者のメンタル調整的には頼もしいかもしれませんね
バイオハザードという絶望の世界を生きてきたクリスが上手いこと支えられればいいチームになりそうです

>民俗学者の殺し合い新学期
菜々さん逃げて!民俗学(意味深)されちゃう!
是清はこのロワでもお姉ちゃんのお友達(意味深)は見つけ出せるのだろうか

>果てしない憎しみの炎
「そうだ!あいつを殺して、俺もリア充の仲間入りしてやる!」クソみてェな逆恨みしやがって...
帆高くんイケメン認定されてよかったね(白目)

>今度は自分が助けに行く番
タイトルの通り。今まで助けられた人がまた他の人を助けることで世界は平和になっていくと誰かが言ってたような言わなかったような。
このロワだとそういうのとは無縁の人達が結構いるみたいだが彼は折れないでいられるのだろうか

>雨雲の上の、空と虹と流れ星
メンバーが王道なのに1部出典がお空の世界なせいでカオスにと思ったら最終的には王道に纏まる。こういう構成好きなんです。
一般人寄りではありますが戦闘力があるとないとでは生存率が断然変わってくるので頑張ってもらいたいものです

>本性・表情・野望 リアルを隠した
なんかアイドルとヤベーのが組み合わせられること多くないですか?オババはどんだけアイドルを壊して曇らせたいのか

>一人遊びの動物大集合
別ベクトルで一番ヤベーのが来てしまった。しかももう願いを達成したようなもんだから原作みたいに満たされて退場することが確定してしまっているのが質悪い。
ただ、肝心のウコチャヌプコロをする動物参加者がほとんどいないのが唯一の救いか(天の助とか首領パッチがこの類になるのだろうか)

>兄弟子と弟弟子
めちゃくちゃ気になる時期からの参戦の二人。
鬼でも鬼じゃなくてもスタンスを変えない獪岳に対して果たして善逸はどう決断を下すのか。

>虹を目指して
ウルトラマンを見てテンション上げる夏葉さんの気持ち、よくわかります。
アイドル×ウルトラマンの100%正義パワーで潰せオババの野望


>エキストラ
た、高井さーん!!映画に映っていない人々の事まで考え、最後まで警察の職務を全うして、夏美さんを逃がして...それでも満足して散らずに最期まで事件を解決したかったと悔やむ姿、かっこよすぎるよ...
そしてキム、虫の息の高井さんをその手にかけて決意したことで更なる悪意に引きずり込まれそうになってる...どうあがいても破滅しかみえねえ


>忍者と魔女
壊左さん、渋いねェ...と思ってたら飛び出してくるオヤジギャグ。そういうところお茶目よねお爺ちゃん。
同行しているクラウゼアさんの忍者苦手意識もお爺ちゃんを通じて克服してもらいたいものです

>対決! P・フラワー VS M・ナイト!
顔は良いのにほんとこのドMは...リンゴロックシードですら欲望を満たす道具にしか思っていないのは筋金入りです。
そしてパックンフラワー、まさかのスマブラ仕様の参戦。場外に落としてばっかだと勝利できないとというのを教えてあげたい。

>彼の名は
ガムテきた!無差別マーダー上等で殺し合い適正もバッチリ!これは暴れてくれそうだ!
まあこのロワだと集まったらいけない奴がゴロゴロ潜んでいるかもなのですぐに後悔するハメになりそうだけど


>噫無惨
続く忍者と極道勢...し、死んでる...あの最強格の陽日が悔いながら死んでいくとは...
ヒイイイ、しらかみ様、恐ろしや恐ろしや...


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