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スマートフォンゲーム・バトルロワイアル

1 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:00:53 Q/6Bc7Sw0
スマートフォンゲームのキャラクターを題材としたバトロワリレー小説企画です。
キャラクターの残酷描写や死亡描写が登場する可能性があります。苦手な人は注意してください。
(本企画ではアプリ移植版があるブラウザゲームもスマートフォンゲームとして扱っています)

また、原作ゲームのネタバレを含んでいる可能性もあります。
ご理解のうえで閲覧して下さい。

>>2 参加者名簿
>>3 名簿についての補足
>>4 基本的なルール
>>5 特殊なルール
>>6 状態表テンプレおよび投稿関係
>>7以降 オープニング


2 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:01:55 Q/6Bc7Sw0
【参加者名簿】

7/7【GRANBLUE FANTASY】
☆1ルリア/☆2カタリナ/☆2アリーザ/☆2スタン/☆2ヴィーラ/☆3パーシヴァル/☆2カリオストロ

7/7【Fate/Grand Order】
☆2マシュ・キリエライト/☆2レオナルド・ダ・ヴィンチ/☆3ランスロット[セイバー]/☆3ビリー・ザ・キッド/☆3李書文/☆2牛若丸/☆3土方歳三

7/7【艦隊これくしょん】
☆2吹雪/☆2叢雲/☆2天龍/☆2金剛/☆2赤城/☆2明石/☆2Bismarck

7/7【刀剣乱舞】
☆3大和守安定/☆3加州清光/☆3堀川国広/☆3和泉守兼定/☆3大倶利伽羅/☆3三日月宗近/☆3蜻蛉切

6/6【ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル】
☆1高坂穂乃果/☆1矢澤にこ/☆1星空凛/☆1高海千歌/☆1松浦果南/☆1津島善子

4/4【マギアレコード】
☆1環いろは/☆2七海やちよ/☆2深月フェリシア/☆2十咎ももこ

3/3【THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS】
☆1島村卯月/☆1渋谷凛/☆1本田未央

3/3【THE IDOLM@STER MILLION LIVE!】
☆1春日未来/☆1最上静香/☆1伊吹翼

3/3【THE IDOLM@STER SideM】
☆2天道輝/☆2桜庭薫/☆2柏木翼

3/3【ジョーカー枠】
☆3ガンダルヴァ@グラブル/☆3カーミラ@FGO/☆3呉キリカ@マギレコ

50/50

?/?【書き手枠】 ※追加は全てのプレイヤーの登場話が出揃うまで


3 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:02:55 Q/6Bc7Sw0
【書き手枠の利用について】
投稿前または予約時にキャラクター名を添えて宣言をお願いします。
また、本企画では上記のリストにないゲームのキャラクターも追加できます。
その際は宣言時に作品名も明記してください。

注意:以下に該当する作品は原則として追加できません
・成人指定ゲーム(全年齢版がある場合はそちら名義で)
・公式で日本語に対応していない(非公式翻訳はダメ)
・サービスが終了し、セリフやテキストを充分に記載したサイトもない(キャラ把握が困難なため)

重要:キャラを把握できる人が他にいなくて次話で殺されても泣かない

【星(☆)について】
名簿の星(☆)マークは、そのプレイヤーを殺害した場合に獲得できる交換石(後述)の個数を示す。
☆1を殺害した場合は1個、☆3を殺害した場合は3個獲得。死亡したプレイヤーは★になる。
これらの情報はプレイヤーに支給された「ルールブック」に記載されている。

星の数の基準は大まかに以下の通り。
☆1:戦闘経験に乏しい女性や子供
☆2:戦闘経験に乏しい男性or戦闘経験豊富な女性や子供
☆3:戦闘経験豊富な男性

上記の基準は厳密なものではないので、書き手枠のプレイヤーはある程度自由に決定してよい。
ロワ内での活動に応じて、放送時に星の数がアップデートされることがある。
例1:有力な対主催の中心人物が指名手配的に☆5になる
例2:強力な支給品を手に入れたプレイヤーの星が1つ上がる


4 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:04:02 Q/6Bc7Sw0
【基本ルール】
全員で殺し合い、最後に残った一人が優勝。脱出の権利を得る。
また、参加者は「優勝すれば聖杯の力で何でも願いが叶う」と説明されている。
首輪に相当するシステムはない(ゲーム進行に不都合なプレイヤーは星の格上げによって対応)

各プレイヤーはマップ内のバラバラの位置からスタートする。
マップ内にプレイヤー以外の住人はいないが、電気・水道・ガスは問題なく利用可能。

六時間に一度、放送として途中経過を知らせる文章が専用スマートフォン端末(後述)に表示される。
時間区分は以下の通り。スタート時刻は「朝」6時。制限時間は72時間、3日目の「朝」6時まで。

放送のたびに「禁止エリア」が3つ指定される。12回目の放送で36エリア全てが封鎖される。
禁止エリアに進入して一定時間以内に脱出できなければ、何らかの形で死亡する(演出は書き手の自由)
島の外の海域も禁止エリアと同じ状態になっている。

【時間区分】
朝:6〜8時 午前:8〜10時 昼:10〜12時 (放送)
日中:12〜14時 午後:14〜16時 夕方:16〜18時 (放送)
夜:18〜20時 夜中:20〜22時 深夜:22〜24時 (放送)
未明:0〜2時 黎明:2〜4時 早朝:4〜6時 (放送)

【制限関連ルール】
霊体化など肉体の非物質化は一律不可。飛行やワープには制限を掛ける。
肉体の防御力は、お互いに通常攻撃がある程度以上通用するものとする。
大きさの設定が不明なキャラクターは人間サイズとし、身体構造も人間同様とする。
飲食睡眠が不要であるという設定がない限り、人並みの飲食と睡眠を必要とするものとして扱う。

キャラクターが装備している火器は、特別な設定がない限り、見た目のサイズ相応の現実の火器並とする。

【所持品ルール】
本来の武器は没収、鎧や小手の類は装備させたままでもよい。
変身して武器を取得する魔法少女や、刀の付喪神の刀剣男士など、本来の武器の非所持がイメージしにくいキャラクターについては、初期配布の「交換石(後述)」を半分にする代わりに本来の武器を一種類持たせてもよい(書き手の任意)

開始時点の所持品として「一日分の水」「専用スマートフォン(後述)」が支給される。
スマートフォンの使用方法を知らないプレイヤーも、使い方の知識が自動的に身についた状態でスタートする。

参考として、一日分の水はおよそ3リットルほど。
食料は支給されないが、街などに行けば安全な水と食料品を調達可能。

※重要※
 アイテムを収納するバッグは常識的な性能のものとする。
 収容量は無限ではないし重さもなくならない。


5 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:07:30 Q/6Bc7Sw0
【専用スマートフォン】
本企画の定時放送はこの端末にテキストデータとして送信される(読み上げ機能あり)
「時計」「コンパス」「地図」「名簿」「ルールブック」のアプリがプリインストールされている。
「電卓」「メモ帳」などの基本的なアプリも使えるが、通話やメールの送信、インターネットへの接続などは原則不可。

バッテリーは期間終了まで使い続けても充分に持つ容量がある。
耐水・耐衝撃仕様。多少のことでは機能に支障をきたさない。
名簿は五十音順が基本でソート可能。途中経過放送のたびに自動更新される。
書き手枠で追加されたプレイヤーは第一回放送のときに名簿に反映される。

所有者が生きている限り、本人以外には操作できない。死亡するとロックが解除される。
電化製品店等で予備の端末を入手した場合、簡単な初期登録を行うだけで全てのデータが自動的に移行し、元の端末は使用不能になる。
(元の端末が壊れていたり、紛失したりしていても、データ移行は完全に成功する)

【ランダム支給品】
本企画のランダム支給品は、スマートフォン内に「交換石10個」のデータとして提供される。
交換石はスマートフォンの専用アプリ「バトロワショップ」において「ランダム支給品ガチャ」を引くために必要。
ガチャのレートは石3個で1回。つまり初期状態でランダム支給品3個+石1個。

交換石とランダム支給品は、至近距離にいる相手のスマートフォンにデータを送信する形で譲渡可能。

現地調達品は普通のバッグにしか収納できないが、交換石で手に入れた物品はスマートフォンに出し入れできる。
他人から奪ったものは、元々の持ち主から一定距離(数百メートル程度)離れた状態なら、所有権を奪ってスマートフォンに収納可能。

収納方法:該当物品に触れた状態でスマートフォンを操作する

【ショップ】
地図上の赤いマークが付いた施設では、交換石と引き換えにアイテムの入手やサービスを受けられる可能性がある。
形態や内容は書き手の自由だが、要求石数の上限の一例として、仮に脱落した参加者の即時蘇生をさせる場合は「交換石30個」が要求されるものとする。


6 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:09:17 Q/6Bc7Sw0
【状態表テンプレ】

【○日目/時間帯/エリア】
【キャラ名@作品名】
【状態】キャラクターの状態
【所持品】現地調達した物品、実体化中の支給品
【ストレージ】交換石の残り個数、データ化中の支給品
【思考】キャラクターの思考、行動方針など
【備考】

【投稿および予約について】
投稿と予約は本日19:00から解禁。
その間に、スタートダッシュとして企画者がオープニング以外に二作投下予定。
自己リレーは禁止しないが空気を読むこと。

予約をする場合はトリップをつけて宣言すること。期限は5日+延長宣言で2日追加。
延長宣言なしで5日過ぎるか、延長後に7日過ぎた時点で予約は自動的に破棄。


7 : オープニング ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:11:22 Q/6Bc7Sw0
――真っ暗な世界に、どこからともなく荘厳な声が響く。

「ようこそ、プレイヤー諸君」

体の感覚はない。目を閉じることも耳をふさぐこともできない。
暗闇の中をふわふわと浮かんでいるだけのように感じる。

「突然ですまないが、これから諸君らには絶海の孤島で殺し合いをしてもらう」

ふざけるな――という声も出ない。

「拒否権はない。七十二時間以内に最後の一人にならなければ、全員が死ぬだけだ」

「無論、勝者には相応の見返りを与えよう。万能の願望器――『聖杯』だ」

「望む者を蘇生させて帰還するもよし。己のみが帰還して聖杯の力を振るうもよし。後のことには干渉しないと約束しよう」

――急に、暗闇の中を落ちていく感覚がした。

「目を醒ませば、諸君らの手には機械が一つ握られていることだろう。仔細はそこに記録されている。それを頼りにせいぜい生き延びるがいい」

次第に落下速度が上がっていき、それに比例して意識が薄れていく。




その最中、何人かのプレイヤーは幻視を見た。捕らえられた人々の姿だ。

それは騎空士の少年少女だったかもしれない。人類最後のマスターだったかもしれない。艦隊の指揮者や付喪神を率いる者だったかもしれない。プロデューサーやマネージャーだったかもしれない。魔法少女と共にある存在だったかもしれない。

あるいは、全く個人的な関係を築いた人物だったかもしれない。何も見えずに終わったのかもしれない。

「――何かが視えた者がいるようだな。それは真実の光景だ。彼らは我が手のうちにある。生き残った者が望むのならば解放してやろう」

そして、意識が暗転した。




【バトル・ロワイアル開始 残り50人】


8 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:20:03 Q/6Bc7Sw0
オープニングは以上です。

マップはひとまずこちらに
ttp://fast-uploader.com/file/7072859524677/


9 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:25:11 Q/6Bc7Sw0
スタートダッシュ一本目、投下します。


10 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:26:14 Q/6Bc7Sw0
正規のプレイヤー達が会場に転送されたとき、島のどこかで三人の男女が動き始めた。
彼らは何も分からぬままに集められた正規プレイヤーとは違う。
この殺し合いを円滑に進めるために用意された存在である。
プレイヤーを率先して殺害することで「他人を殺さなければ殺されてしまう」という事実を知らしめることが、彼らに与えられた役割だ。

「一応、確認しておくよ」

三人の中で最も若く小柄な少女が、他の二人に向き直る。
右目を大きな眼帯で隠し、袖の長い衣装を纏った黒の魔法少女――呉キリカ。

「正規プレイヤーが途中で全滅すれば、聖杯の所有権は私達『ジョーカー』に与えられるわけだけど、その権利は私が独占できる……という契約でいいんだね?」
「構わねぇぜ。オレ様は過程を楽しみてぇんだ。ここに集められた強者共との戦いをな」

そう答えたのは有角の巨漢――エルステ帝国軍中将、ガンダルヴァ。
力を認めた敵にのみ抜く大刀を携えたまま、キリカを興味なさそうに見やる。

「私も同じよ。殺す過程、殺した直後にこそ意味があるの」

最後の一人、美貌の女殺人鬼が薄く笑う。
吸血鬼カーミラ。シェリダン・レ・ファニュが綴った小説に現れる女吸血鬼。
正確には、その名を仮面のように被った『血の伯爵夫人』エリザベート・バートリー。

だが、呉キリカはそれを知らない。知ろうとも思わない。
彼女が全てを捧げる美国織莉子に関わらない情報には、何の関心も抱けなかったからだ。

「それならいいんだ。聖杯は私が持って帰る。きっと織莉子の役に立つはずだ」

キリカは踵を返して二人に背を向け、その場を立ち去っていった。
その後姿が全く見えなくなったところで、カーミラは愉快そうに口を開いた。

「聖杯には興味がない――本当かしら」
「お互いにな。どうせロクなこと考えてねぇんだろ?」
「あら、失礼ね。私が今考えているのは、彼女の生き血もなかなか質が良さそうねってことだけよ」
「ふん……」

ガンダルヴァは不快そうに口元を歪めた。
『ジョーカー』として集められた彼らは、互いに協力し合うつもりなど毛頭持ち合わせてはいなかった。

そもそも、そのようなことは最初から期待などされていない。
殺して、殺して、殺して――限界を迎えて殺される。
いわば使い捨ての殺戮装置。殺し合いを円滑に進めるための潤滑油。
主催者側でありながら特権を与えられず、他の参加者と同じ条件で戦わされる理由もそこにある。

しかしながら、彼らはそれで終わるつもりなどない。
自らが聖杯を得るために、他の『ジョーカー』すら利用して殺し尽くす。
使い道がある限りは後回しにしてやろう――『ジョーカー』同士の相互認識はその程度のものだった。

「オレ様も行くぞ。見どころのある奴は早めに見繕わねぇとな」
「ええ。せいぜい暴れなさいな」

バトル・ロワイアル開始の合図とほぼ同時に、三人の殺戮者が解き放たれた。







【1日目/朝/エリア不明】
【ガンダルヴァ@GRANBLUE FANTASY】
【状態】無傷
【所持品】一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石10個
【思考】
1:強者を中心に狙う
【備考】
※現在位置不明。次話の書き手が好きなところに登場させられます

【カーミラ@Fate/Grand Order】
【状態】無傷
【所持品】一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石10個
【思考】
1:美少女を中心に狙う
【備考】
※現在位置不明。次話の書き手が好きなところに登場させられます

【呉キリカ@マギアレコード】
【状態】無傷、変身中
【所持品】一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石5個
【思考】
0:聖杯を織莉子のために持って帰る
1:無差別に狙う
【備考】
※魔法少女としての固有武装の「爪」を使用可能です
※現在位置不明。次話の書き手が好きなところに登場させられます


11 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:27:27 Q/6Bc7Sw0
記入漏れがありましたが、一本目のタイトルは「JOKERS」で。
二本目投下します。


12 : 常在戦場 ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:28:52 Q/6Bc7Sw0
「皆殺しにしなければ脱出できない島ですか……」

C-2エリアの廃寺に奇妙な風体の武者が佇んでいる。
牛若丸――十二世紀の武将、源義経九郎の若き日の姿であるはずなのだが、その姿は多くの日本人が想像する姿とは大きく違っていた。

まず第一に、少女であるということ。
そして第二に、甲冑とは名ばかりの異様な軽装であるということ。

胸部と胴体、そして腰の前部を守る装甲が一切欠落し、肩から胸部にかけてを覆う前垂れの板だけが胸を覆っている。
本人はその格好を全く気にせず、むしろ適切な装備だと言わんばかりの平然さで、与えられた専用スマートフォン端末を弄っていた。

「なるほど、取り決めは把握できました。まずは武器を手に入れるのが先決ですね。さっそく試してみましょう」

スマートフォンのショップアプリを起動して、交換石を三つ消費する。
思わせぶりな演出の後に表示されたのは、発煙手榴弾という兵器の入手を示す画面だった。
あくまで煙幕や信号として使われる道具であって、攻撃力は全くない。

「……召喚で一喜一憂する主殿の気持ちが少し分かりました」

牛若丸は露骨にがっかりしながら、もう一回支給品の引換を実行した。

「む……今度はいいものだ」

口元に笑みを浮かべ、手に入れた武器の詳細を表示する。
愛刀の薄緑に近い刃長の太刀、鶯丸。
日本刀としての質は間違いなく最高峰の逸品だ。
刀工・友成の作刀の素晴らしさは、牛若丸が生きた時代でも知れ渡っていた。

「これならば主殿をお救いする武器として相応しい。さっそく出立するとしましょう」

四つの石をストレージに残したまま、牛若丸は廃寺の境内に降り立った。

「名簿に記された名のうち、見覚えがあるものは六人。同名の可能性が低く、私が知る方だと断言できるのはマシュ殿のみ……刀や刀工の名まで並んでいるあたり、他は名を偽っている可能性も否定はできませんね」

実体化させた蛍丸を佩き、境内の大樹に飛び移る。

「まぁいいでしょう。ひとまずマシュ殿とカルデアのサーヴァント以外は斬り捨てればいいだけのこと。最悪でも、私が自ら首を刎ねてマシュ殿をお送りすればいいのです。そうすれば主殿もきっとお喜びになる」

まるで息をするような自然さで皆殺しを宣言する。
躊躇は微塵もなく、良心の呵責も一切ない。決意と呼べるほどの葛藤など皆無。
扉が閉まっているのなら開けて通ろう、という程度の当たり前の発想として、牛若丸は皆殺しを当面の方針と定めた。

主君に忠義を尽くすこと――それだけが彼女の望み。
しかし彼女は人心を読み取ることができず、あらゆる面において冷徹に最短距離を突き進む『獣』だった。
生前は兄のために能率的な殺戮手段をもって勝利を重ね、サーヴァントとして召喚されてからはマスターのために敵の屍を積み上げた。

たとえこの島にかつての部下や無辜の民草がいようとも、彼女は冷酷かつ嗜虐的に刃を振るうだろう。
忠犬じみた一面は主に対してだけのもの。囚われの主を救うために殺戮を成さない理由などない。

「さて、まずはどこから探りましょうか」

大樹の枝を蹴って加速する。
瞬きほどの間に、獣は朝日を浴びる山の中へと消えていた。




【1日目/朝/C-2 廃寺】
【牛若丸@Fate/Grand Order】
【状態】無傷
【所持品】蛍丸@刀剣乱舞、一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石4個、煙幕手榴弾(3個)@現実
【思考】
基本方針:マスターを救い出す
1:マシュ以外は基本的に皆殺し
2:カルデアのサーヴァントについては一旦保留
【備考】
※外見は第三再臨時のものです


13 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:29:51 Q/6Bc7Sw0
二本投下といったな、あれは嘘だ
スタートダッシュ最後の三本目投下します


14 : 艦と刀 ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:31:16 Q/6Bc7Sw0
「どうしよう……今の提督だった……よね?」

C-6エリア展望台。島の右半分を見渡せるその場所で、吹雪は混乱に頭を悩ませていた。
いつものように演習を終えて眠りについたはずが、目を覚ませばこの見知らぬ土地。
艤装はなく、手元にあるのはペットボトルが三本入った鞄とモバイル端末が一つだけ。
提督らしき人物の姿を見たのも一瞬だけで、本人だったのかどうかの確証も持ちきれない。

「殺し合い? どうしてそんな……と、とにかく、何か武器になるものは……」

スマートフォンで武器を得られるという話を思い出し、吹雪はとにかくそれを実行してみることにした。
――結果は拳銃が一つ。
普段から使っている艤装と比べると頼りないことこの上ないが、今は贅沢を言っていられない。
吹雪が立ち上がってその場を離れようとした矢先、近くの茂みがガサガサと揺れた。

「だ、誰っ!」
「待って! 何もしないから!」

とっさに銃口を向けた先から現れたのは、新撰組の時代劇に出てくるような服を着込んで刀を差した、時代錯誤な印象を受ける格好の少年だった。

「君、殺し合いに関わる気はないんだよね? それなら少し話をしないかい?」
「……少しだけなら」

吹雪は銃口を反らし、しかしグリップは握ったままで少年と会話することにした。
襲われるリスクは減らしたいが、それよりも情報を集めたいという思いが上回った。

少年の名は大和守安定。故あって素性は明かせないとのことだったので、吹雪も自分の立場を説明するのは止めた。

「いきなり信用して貰えるとは思わないけど、僕は殺し合いに乗るつもりはないんだ。仲間と合流して、首謀者を打ち倒すか島から逃れたいと思ってる」

安定が挙げた仲間の名前は、名簿の表示順で和泉守兼定、大倶利伽羅、加州清光、蜻蛉切、堀川国広、三日月宗近の六人。
どれも時代がかった名前だなと吹雪は思った。現代の人名らしく聞こえるのは堀川国広くらいだろうか。

「どれも信頼できる人達だよ。大倶利伽羅っていう人以外は絶対に協力してくれるはずだ」
「その人、何か問題が……?」
「ああ、えっとね、何て言うか……団体行動が物凄く苦手なんだ。事あるごとに、馴れ合うつもりはないとか、群れるつもりはないとか。皆の馬の世話の当番になっただけで嫌そうな顔してさ。でも、悪い人じゃないんだよ?」

そう言って、安定は困ったような笑顔を浮かべた。
首謀者の打倒と島からの脱出。それ自体は吹雪にとっても望ましい展開だ。
問題は安定という少年にどの程度の信頼を置くかである。

「提案なんだけど、ひとまず近くの町まで一緒に行動しないか。その後のことは町についてから決めるとしてさ」
「うーん……」

吹雪は口元に手を当てて、少しばかり考え込んだ。

「……分かりました、そうしましょう」
「よし、決まりだ。それじゃあ行こうか」


15 : 艦と刀 ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:31:55 Q/6Bc7Sw0
 



◇ ◇ ◇



この子は間違いなく軍事教練を受けている――安定からの吹雪に対する第一印象はこういったものだった。
何よりもまず、短筒を構える姿に戸惑いも躊躇いもなかった。
『敵の可能性があるものに武器を向ける』という行動の素早さが、彼女が普段からそうした環境で生きていることを物語っていた。

もしも自分が姿を表すのがもう少し遅かったら、彼女は間違いなく引き金を引いていただろう。
安定はそんなことを思いながら、やや距離を置いて隣を歩く吹雪をさり気なく見やった。

純朴な田舎娘といった容貌に、西洋の水兵服に似た服装。軍に関わりがあるとすれば海軍か。
けれども、歴史改変を防ぐ戦いを通じて得た知識の中に、こんな年端もいかない少女を海兵に仕立て上げた事例は存在しない。

「(戦う力はあるのかもしれないけど……やっぱり嫌だなぁ)」

安定は吹雪のことを、戦力候補ではなく保護対象と認識していた。
同行を申し出たのも彼女を凶刃から守るべきだと感じたからだ。

更に、安定にとっての不安材料がもう一つ。

「……土方、歳三……」

安定のかつての主である沖田総司の同士であり、同じ審神者に仕える堀川国広と和泉守兼定のかつての主。
もしもこの『土方歳三』なる人物が、偽名や同姓同名の類ではなくあの土方歳三本人だとしたら。
そのときに堀川国広と和泉守兼定がどう動くのか、安定には予想しきれなかった。

「今、何か言いました?」
「え? いや、歴史上の人物まで名簿にあったけど、どうしてなのか気になってさ」
「そういえばそうですね。牛若丸もいましたよ。まさか本物だったりして!」
「あはは。だったらビックリだね」

互いに一定の距離を保ちながら、それでも表面上は警戒心を見せることなく、二人はB-5エリアの町を目指して歩き続ける。銃と刀を携えたままで。





【1日目/朝/C-6 展望台】
【吹雪@艦隊これくしょん】
【状態】無傷
【所持品】ベレッタM92(残弾15/15)@現実、一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石7個
【思考】
1:B-5の町へ向かう
2:安定が信頼できるか考える
【備考】
※提督が捕らえられていることについては半信半疑

【大和守安定@刀剣乱舞】
【状態】無傷
【所持品】大和守安定@刀剣乱舞、一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石5個
【思考】
基本方針:主催者の打倒か島からの脱出
1:仲間と合流する
2:B-5の町へ向かう
【備考】
※審神者の映像は見えなかったようです


16 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 18:33:49 Q/6Bc7Sw0
以上でテンプレとオープニングおよびスタートダッシュ作の投下は終了です。
前述のとおり、企画は19:00からのスタートとなります。


17 : 名無しさん :2018/01/30(火) 20:41:44 fHtwDcng0
媒体によって作品の背景やキャラの性格等が違うものは全てスマホアプリ版準拠?


18 : ◆slmQHQixBc :2018/01/30(火) 20:57:57 Q/6Bc7Sw0
>>17
基本的にはそれでお願いします
ただあまり厳しくは考えず、他のロワでもありがちな「原作漫画名義のキャラクターに、アニメでの改変設定は反映させない」くらいの認識で考えてます


19 : ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 20:59:46 Nom.4Efw0
スレ建て&投下お疲れ様です。
金剛、書き手枠でレジスタンスのライダー@FGOを予約します


20 : ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:23:06 OkGlD.Qw0
投下します。


21 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:24:41 OkGlD.Qw0


【HEY! 提督ぅー! 今日も良い天気ネ!】

最早大分昔のような幻想。
果たして本当にあったのだろうか。
当然と思い込んでいた日常が、今は歯痒い程に遠い。

【んもう、Lunchはまだまだネー……それとも、私をEat!?】

彼女は前任地で各艦隊と反りが合わず、独りぼっちだった。
指示系統が働かず、個人としての火力に申し分はなくとも、戦果は上がらない。
連携が取れず、某国かぶれの口調も他艦隊からすれば巫山戯ているとしか思われなかった。
ある日、彼女が任務から帰還すると自室は見るに堪えない景色になっていた。
窓が割られ床一面に硝子の破片が飛び散り、家具の殆どが原型を留めていない。
終いには天上を見上げれば、赤い塗料で死を表現するような文章が長々と描かれていた。

そして彼女は鎮守府異動となる。
自ら志願したが誰にも止められず、他艦隊は嗤っていた。
瞳に邪気を納め、消えろと鋭い視線を一人に注ぐ。

敗戦国となった日本の現状を顧みれば、某国の色を残す彼女――金剛は妬みの対象である。
彼女自身もそれを理解していたため、敢えて口に出さず、陰湿な仕打ちに耐え続けた。
だが、ある時を堺に涙を流した。
センチになる夜でもない。真っ昼間から、胸からこみ上げる感情を抑えきれなかった。

当時は他鎮守府と演習を行っている最中だ。
他所の艦隊が気にする中、便宜上は味方である艦隊は我関せずと歩み寄ろうともしない。
流石に見かね、文句の一つでも言おうととある駆逐艦が動いた時、金剛は彼女を止めた。

潮風にやられただけデース! だから、気にしないで。

その一言に駆逐艦は嫌な確信に陥った。
彼女は無理をしているのではないか。それも原因は身内で起きている。
折角の艦娘として同じ時代に生を受けた者同士、あってはならないことだ。


『まだ泣いているじゃないか。そんなに辛いなら、俺のところへ来ないか?』


それは近くて遠い記憶。
軍用の白い手袋で目尻に溜まった涙を拭いてくれたあの人。
虚偽のない笑顔で手を差し伸ばしてくれたあの人。
私の大切な――提督。


私の命に代えても、貴方を守る。






22 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:25:02 OkGlD.Qw0

「……ん」

地図の表記ではキャンプ場。
木造のバンガロー内部の出来事だ。
そこで彼女は意識を取り戻す。
どうやら夢を見ていたようだ。
忘れたい過去と忘れたくない出会い。
曖昧に共存するあの頃の記憶を、無意識に思い描いていたようだ。

提督。
私の大好きな提督。
彼女――金剛は大切な男に思いを馳せる。
現実に挫けてしまい、どうしようもない状況を救ってくれた大切な人。

そんな彼が囚われている。
殺し合いを告げる謎の声を耳にした時。
ふと視界に飛び込んだあの人の姿を見間違えることはない。
あれは紛れもなく提督だった。

許せない。許さない。
私の大切な人を貶める奴は絶対に許さない。
聖杯という願望器に加え人質。外道極まりない行為だ。
そんな奴を許してたまるか。Burning、燃やし尽くせ。

さぁ、提督を救いに行こう。
まずは気持ち悪い感覚――脳内に植え付けられたような記憶を処理する。
スマートフォンと呼ばれる長方形型の物体を手に取ろうとした時だった。

「……!?」

腕が動かない。
正確には背面で縛られている。
謎のスマートフォンと呼ばれる物体に対する知識にも驚いたが、なんだこの状況は。
どうして自分が縛られているのか。


23 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:25:25 OkGlD.Qw0

「……はッ!? Naked Body!?」

意識を取り戻した直後で感覚が鈍る。
視線を下に逸らせば生々しい肌色が目に映る。
美しい腰回りにロープが回されており、どうやら椅子に縛り付けられているようだ。
そして自分の衣服はブラとソックスだけ。其れ以外は裸である。
半ば錯乱状態で首を回せば、窓の奥は暗くどうやら夜のようだ。

夜と認識した段階で肌寒くなったのか、悪寒が走る。
どうして自分は裸なのか。厳密に言えば裸ではない。
しかし裸と変わらない。誰かに脱がされたのだろう。誰にだ。

殺し合い。
そう、これは殺し合い。
金剛の顔色が急激に白くなる。
自分をひん剥いた男が近くにいる。頭が嫌な方向に働いてしまった。

これから自分がどうなるのか。
悍ましい未来を勝手に予想し、悪夢を振り払うように頭を大袈裟に揺らす。

「おう、もう目が醒めちまったか。モーニングコールにはちと早すぎるが……気分はどうだい」

悪人めいた面。
立派な髭。
立派なガタイ。
手入れはされていないだろう長く、潤いのない白い髪。
如何にも海賊だと言わんばかりの帽子に服装。

そしてなによりも、下衆な瞳。


24 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:25:45 OkGlD.Qw0

丁度対面に座る形でスマートフォンを弄る男に抱いた第一印象である。
言ってしまえば良いものは一つ足りとてない。
最初の言葉に謝罪もなければ、状況の解説もない。
つまり。

「私をこんな姿にしたのは貴方ネ、このPervert!」

「へぇ、中々いい目をしてるじゃねえかぁ……へへ、唆らせてくれる」

この男が自分を裸にした張本人であろう。
最大限の怒りと憎しみを詰め込み睨むが、男は笑う。
操作していたスマートフォンを尻のポケットにしまうと、彼女の元へ歩きだす。
バンガローは古いようでギシギシと、心を焦らせるような音が室内を満たした。
やがて男は金剛の目の前に到達すると、彼女の耳元へ顔を寄せ

「悪くないぜお前。体も極上だし、なんつっても俺の好みだ」

囁く。
男の吐息が耳にかかり、金剛の体の内外問わず、全てが一瞬にして張り詰めた。
本能が「ヤバい」と何回も繰り返し、誰が見ても分かるように鳥肌。
血色の悪い表情が更に悪化し、気色悪いを通り越した目の前の男に震えるしか無い。
逃げようと体を動かすも、腕や腰が椅子に固定されている。
がたんがたんと子供のようなその場でジタバタするだけであった。

「無駄な肉も少ねえ。それでいて全くない訳じゃない。胸も充分な大きさだ。顔と同じで、そこも可愛らしい色をしているなぁ……」

全身を舐め回すように見る男。
そことはどこなのか。無駄なことを考えた途端に、神経が研ぎ澄まされる。
最初から分かっていたことだが、考えないようにしていた。
この男が自分をどうするつもりなのか。そのことを。
その途端、気付けば口が開かれていた。


25 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:26:15 OkGlD.Qw0
「ち、近寄るなこの変態……変態!」

生きるために。
自らの意思を表明するように叫ぶ。
これに対し男は深いため息をついた。
一呼吸空け、即座に彼女のみぞおちへ拳を叩き込んだ。

「あぐっ、ぼぇぅあ……ぁ?」

「誰に向かって口利いてんだよ、あぁ?」

金剛の口から胃液が飛び散った。
痛みよりも先に自分が殴られた不可解さが体を支配する。

「俺はテメェの主なんだよ。それを変態……? 舐めたこと言ってんじゃねえぞ、雌犬がぁ!!」

更にもう一発。
肌と肌が無慈悲に重なり合う鈍い音が低く響いた。
金剛は俯き、更に胃液を吐き出した。
足元に掛かる生暖かい液体に嫌悪感を示すが、痛みが全ての思考を放棄させる。

「傷が出来たら商品としての価値も下がんだよ、無駄な労力になるじゃねえか!」

男は金剛の髪を荒く掴み上げ、彼女の顔を無理やり上げる。
焦点の合わない瞳は濡れており、頬を伝って涙が落ちる。
突然の出来事に頭が追い付いていないようだが、男はなんとも思わずに唾を吐きつけた。
べちゃりと気味の悪い音に襲われた金剛。刹那の時をも待たずに、鼻を刺激する悪臭に涙が止まらない。
男は慣れていた。意識の追い付かない女を。数ある商品の中でも自分の立場を理解しない奴隷はたくさんいた。

「ったく。いいか、テメェの所有者は俺だ。恨むならこのバンガローで寝ていたテメェの愚かさを恨め。
 俺はただ、無防備に寝ていた女をひん剥いて、縛り上げただけだ。分かったか、俺は悪くねえ。悪いのはテメェだ」

どんな理屈なのか。
今にも大声で叫びたい金剛であったが、言葉が出ない。
それは殴られた衝撃によってか。錯乱しているからか。泣いているからなのか。
分からない。分かることはただ一つ、自分が男の玩具にされることだ。


26 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:26:42 OkGlD.Qw0
「黙ってちゃあ、折角の女が台無しだ。口数の少ない女にも魅力はあるが、テメェは最初のうち、ナマイキにしてた方が唆る」

男はポケットからサバイバルナイフを取り出すと、刃を晒した。
あぁ、自分は殺されるのか。
煌めく刃に金剛は思考を放棄し、死を悟った。
本来の彼女ならば到底こんな思考に辿り着かない。
殺し合いという異常な舞台。突然裸にされた現実。レイプ魔と変わらない海賊。
最悪に最悪を重ね最悪を乗算した状況が彼女を狂わせる。

「こいつはぁ、備え付けてあったもんだが空気を読めるいい奴だ。
 さて……どんな色をしているか俺に見せてみなあァ!」

「……ぁ、い、ぁ……いや、ああ、ああああああああああああ」

鋭利な音が響くと、金剛のブラが切り裂かれ美しい乳房が露わとなった。
豊満な其れは幾多もの男の視線を奪っただろう。
誰もが触れたいと思っただろう。
誰もが倫理に隠された彼女の秘密を見たいと思っただろう。
咲く花は美しい桜色、海賊の男は下品に舌を晒しながら叫ぶ。

「とんでもねぇ! 軍の女は締まりけのないビッチか、使い物にならねえモンしかいねえと思ったが……テメェ、極上モンじゃねえか」

唾を撒き散らしながら男は金剛の胸の先に立つ桜色を舐め上げた。
ねっとりと自分を押し付けるように、桜色が穢れた煌めきに覆われた。

「それに乳臭くもねえ! こいつぁ、まさかの初モンだぁ!!」

歓喜に震え、天上を見上げる海賊の男。
もはや涙も流れない金剛の瞳は不自然に盛り上がった男の局部を目撃してしまう。
ああ、もうどうにでもなれ。
あんなモノが自分の中に入るとは到底思えないが、なんとかなってしまうのだろう。
ずしりと体を支配されるように重く響くのだろう。
下品なソレで中を掻き回され、排出されてしまうのだろう。


27 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:27:10 OkGlD.Qw0

「提督提督って寝言を漏らしてたからとっくに中古だと思ったが、今時に新品の初物でそれに顔も体も悪くねえときた。こんな状況じゃなかったら最高の商品だっただろうに」

「提督……ていとくぅ、ああ、ごめんな、さい。ていと、」

「壊れるのはまだ早え」

提督の名前を聞いた瞬間、金剛の脳裏は彼に埋め尽くされた。
彼はこんな自分を見たらどう思うのか。哀れな姿を、羞恥極まりない姿を。
その途端、枯れていた涙が溢れ返り、言葉も止まらない。
いや、それは言葉ではない。ただ、提督に対する謝罪が不完全な形で口から漏れる。

「提督……けっ、いいか? テメェのご主人はそいつじゃなくて、俺なんだよ。分かるか?」

「い、や。ごめんなさい。ていとくぅ、許して。私は、馬鹿な私でごめんなさい、だか、ら、もう一度、名、前を呼んで、ネ……」

「分かるかって聞いてんだよ」

海賊の男は壊れたゼンマイ仕掛けの玩具となった金剛の口に彼女の靴を捩じ込んだ。
咳き込む彼女を無視し、その場に屈むとあろうことか彼女の右足、中指の爪を強引に剥がした。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

絶叫。
体を震わせ、痛みを紛らすように暴れる金剛。
しかし厳重に縛られた椅子から解放されることはない。
咄嗟に視線を落とせば赤く染まる指。視覚に訴えったのか、痛みが跳ね上がる。
海賊の男は暴れる彼女の耳元で叫んだ。

「いいか、次に舐めたことを言ったらまた爪を剥がす。俺だってこんなことはしたくねえ。
 テメェの商品価値を下げても得はねぇんだよ……いいか、俺を怒らせんじゃねえ」

そして

「テメェが商品になるかどうか、俺が確かめてもいいんだぜ?」

海賊の男の顔が金剛の局部へ近付いた。
彼が発言する度に温い風が彼女の体に刺激を与える。
極度の状態に追い込まれているためか、嫌にも体が反応するようだ。
毛先まで神経が通っているかのような感覚に、金剛は耐え切れなかった。


28 : お前の価値こそがONE PIECE ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:28:39 OkGlD.Qw0

ごめんなさい提督。ごめんなさい提督。
ただただその言葉を繰り返すだけ。

ごめんなさい提督。ごめんなさい提督。
一心不乱にその言葉を繰り返すだけ。

ごめんなさい提督。ごめんなさい。
こんな私を許して下さい。見捨てないでください。

ごめんなさい提督。ごめんなさい提督。

永遠に続く謝罪に海賊の男は路上の蟻を見下すかの如く興味のない瞳をしていた。

「これはダメだ。少し時間を置いてからにするか。なに、こんな状況だ。
 死ぬ前に一発ヤラないと気が済まないカスだっているだろう。この女は上物だ、交渉材料としては破格過ぎる」

奴隷を求める人間はどの時代、どの世界にもいる。
それはこの殺し合いも同じだろう。
他者を殺し、自分の願いを叶える下衆が蠢く生地獄。
性奴隷のカードを一枚持つだけで、手札の価値は何倍にも跳ね上がる。

「交渉材料にならなくても問題はねえ。俺が使っちまうからな……ハハハハハハハハハハハハハハハハ! ……おっと、声を上げちゃいけねえ」

馬鹿をおびき寄せるにはまだ早い。
まずはこの名前も知らない女が理性を取り戻す時を待つ。
穴に突っ込む以外にも使い道はたくさんある。情報の交換すら行っていないのだ。
こんな極上の女を黙っておいそれと手放すものか。
夜は長い。退屈な時間を潰すために、彼女を支配するのも悪くない。


歴史に名を刻む男、コロンブス。


彼の手に握られるのは、奴隷の石を用いて手に入れた銃が握られていた。


【1日目/朝/C-6 キャンプ場のバンガロー内部】
【金剛@艦隊これくしょん】
【状態】精神的疲労(大)、精神的苦痛(大)、劣等感、現実逃避、提督に対する愛情(少)、提督に対する――(大)
    右足中指爪無し、裸(ソックス以外)、椅子に縛られている。
【所持品】
【ストレージ】
【思考】
1:ごめんなさい提督。
【備考】
※彼女の足元に衣服が散乱しています。


【レジスタンスのライダー@Fate/Grand Order】
【状態】高揚感、性的興奮(小)
【所持品】サバイバルナイフ@現地調達、拳銃(詳細不明)
【ストレージ】交換石17個、一日分の水(残量100%)×2
【思考】
基本方針:とことん楽しむ。マスター? 運がねえ奴から死んでいくのさ。諦めな。
1:女(金剛)を餌に殺し合いを立ち振る舞う。
2:襲ってくる奴は殺す。利用する奴も殺す。女は使い捨てる。
【備考】
※金剛のスマホを奪いました。


29 : ◆i2J2tzBdio :2018/01/30(火) 22:29:44 OkGlD.Qw0
これで終わりです。
初めて投下したので問題があるかもしれません。なにかあったら言ってください。


30 : 名無しさん :2018/01/30(火) 23:56:10 oIcOigw.0
投下直後にすみません、質問があるのですが、【THE IDOLM@STER MILLION LIVE!】の出展はGREE版準拠でも可なのでしょうか
直近にサービス終了する関係上ミリシタ準拠でないと把握が難しくなりそうなのですが…


31 : ◆slmQHQixBc :2018/01/31(水) 00:01:22 ccSxCqRs0
>>30
はい、どちら基準でも大丈夫です
シンデレラガールズも元々のアプリとスターライトステージの両方を含めた枠になっています


32 : 名無しさん :2018/01/31(水) 00:05:02 pcjtn8nM0
>>31
ありがとうございます


33 : 名無しさん :2018/01/31(水) 00:37:56 FXI0rMCU0
大相撲ごっつぁんバトルやプロ野球スピリッツAみたいな現実の人物を題材としたソシャゲからも出していいのかどうか気になる


34 : ◆slmQHQixBc :2018/01/31(水) 00:46:20 ccSxCqRs0
>>33
実在著名人はちょっとまずいと思いますね。このロワのルールではなくパロロワ全体の話として
特撮みたいに実在の俳優が演じたキャラクターとかなら問題ないでしょうけど


35 : 名無しさん :2018/01/31(水) 01:32:12 FXI0rMCU0
>>34
了解です


36 : ◆yOownq0BQs :2018/01/31(水) 01:57:44 VUM53hrc0
スタン、ダ・ヴィンチちゃんを予約して、投下します。


37 : 助手と天才 ◆yOownq0BQs :2018/01/31(水) 01:58:49 VUM53hrc0
「やあ、お目覚めかな?」

 目覚めたら、とびっきりの美女がにやにやと笑みを浮かべてこちらを見ていた。
見れば見る程美しい。自らの所属している騎空団にも美女はいるが、ここまでハイレベルな美女は相当のものである。

「――――は?」

正直、訳がわからない。スタンは眼をパチクリとしながら、無言で驚いた。
状況が全く掴めない以上、何も喋ることができないし、美女もマイペースにじろじろと此方を見ているだけだ。
数秒間、色々と思考を巡らせてみるも、状況は理解できない。
そもそもスタンは、このような美女とは縁がない。それだけは確かに言える。

「あの、ここは……」
「私の発明品、スピンクスメギド号の上だね。いやぁ、感謝して欲しいね。
 最初に見つけたのが私でなかったら、君は死んでいたよ?」
「それは大袈裟では?」
「大袈裟なもんか。絶海の孤島で殺し合い、その始まりが路上で倒れてましたというシチュエーション!
 殺意ある参加者だったら殺してる所さ」

 美女の口から放たれる衝撃の真実、ますます訳がわからない。
反論の言葉を紡ごうとするも、うまく声が出ない。
そもそも、自分は先程までタルウィの荒野で死にかけていたはずだ。
不治の病にかかり、アリーザを押し退けて一人で死のうとした。
そして、限界が来て倒れ、それから――。
最後に何らかの語らいをしたことまでは覚えている。
けれど、それ以降は全く頭にない。気づいたら、この美女に拾われていた。

「殺し、合い?」
「なんだ、説明を聞いていなかったのかい? 最初に集められた時に聞こえたはずだよ。
 最後の一人になるまで生き残れって」

 そこからはスムーズだった。美女はぺらぺらとただ事実を語る。
殺し合い。絶海の孤島。最後の一人。聖杯。
スタンからすると馬鹿げているとしか言えないものばかりだ。


38 : 助手と天才 ◆yOownq0BQs :2018/01/31(水) 01:59:07 VUM53hrc0

「……死後の世界じゃねぇんだな、ここ」
「死後なものか。いや、死後か? ともかくだ、どうやら私達は殺し合うことを強いられているみたいだよ?
 いやぁ困った困った。天才たる私もこれにはお手上げさ」

 そんな馬鹿げている事実をこの美女は淡々と並べていく。
全然困ったような表情も見せず、あっけらかんと。

「とはいえ、何もせずに死ぬなんて真っ平御免だ。私は最後まで抗う。
 こんな面白くないお祭りに放り込んだ怒りは頂点だ!」
「だから、俺を殺さなかったんですか?」
「そうとも。何をするにしろ人手は必要だ。無論、私は万能なので大抵のことは鼻歌交じりでできるが、やはり一人では限界がある。
 そこでちょろそうで雑用ができる助手を探していたら、君を見つけたという訳だ」
「つまり、俺は……って、ちょろそうってなんだよ!」
「おっと敬語が取れてきたね。絆レベルも上がったかな? さすがにそれは早すぎかぁ、はっはっはっ」

 何だ、この女。スタンの表情も段々と険しいものへと変わっていく。
これ以上関わっていたら碌な目に合わない。それは、あの騒がしい騎空団で散々学んだことだ。

「ともかくだ! 君を助手一号に任命する。炊事洗濯データのまとめその他諸々。きりきりと働いてくれたまえ」
「……断ると言ったらどうするんです。俺にだって断る権利はある」
「へぇ〜〜〜〜そういうことを言っちゃうんだぁ〜〜〜〜。倒れていた君を保護していた私に対して、そんな事を言っちゃうのか!
 受けた恩を返さずさようならしちゃう薄情な少年だったのか〜〜〜〜そうかそうか、悲しい、私は非常に悲しいよ!」
「情に訴えても無駄ですよ。そもそも、俺だって優勝を目指して――」
「ムリムリ。見た感じ、君じゃあ優勝できないって。私が知っている限りでは、出会って即逃亡したくなる危険人物たくさんいるし。
 大人しく、別の手段で生き残る方が楽だと思うなあ」

 確かに、美女の言う言葉は真実だ。
自分は未だ未熟。つい先程まで、不治の病で死にかけていた奴が優勝できるかと言ったらノーだ。
何故か体調は良くなっているが、失った体力はまだ戻っていない。
今すぐに戦えと言われたら正直厳しい所だ。

「それに、優勝して本当に聖杯が貰えるかどうかすら怪しいのに。
 こういうのは最後に嘘でしたって騙して始末されるのがお約束だろう?」

 理知的に、言葉を塞いでいく美女に対して、スタンは何も言い返せなかった。
この美女、とんでもなく口がうまい。そして、頭もいい。
スタンが考えてもいないことをその頭の中で幾つも構築している。


39 : 助手と天才 ◆yOownq0BQs :2018/01/31(水) 01:59:29 VUM53hrc0

「ともかくだ。私達には情報が足りない。それに、拠点も欲しい所だ。
 ああ、脱出手段を考慮しつつ、君以外の人員も確保したいな。ないものばかりで辛いが、やるしかない。
 これは愚痴になってしまうんだが、正直手放しで信用できる人間がほぼいなくてね。私の知ってる彼らではない可能性を考慮すると、現状の手札は君だけだ。
 なので、君は逃さない。私の計画に遠慮なく組み込ませてもらう」
「は、はぁ」
「それに、助けなくちゃいけない子もいるから、大忙しさ。こう見えても、結構焦っているんだよ。
 けれど、焦っても事態は好転しない。このような時だからこそ、冷静に行動しなくてはね」

 これはどうあっても、逃してくれない。
言葉通り、黙って従うのが一番利口な選択だろう。
とりあえず、彼女の言う通り、優勝というのも非現実的であるし、何より武器がない。
剣士であるスタンが無手で戦って並み居る強者を押し退けられる訳もなく。
この自称天才に付いていき、殺し合いから抜け出す。
流れるままではあったが、そうしようと決めたのだ。

「さてと、ある程度は落ち着いたみたいだし、後は移動をしながら語るよ。
 道中の移動は、私の発明品が快適さを約束しよう」
「わかった。ひとまず、あんたについていくよ。えっと、その……」
「ああ、私としたことが見落としていた。いい加減名前の共有ぐらいはしておかないとね。
 では、名乗ってくれたまえ。親愛を込めて、その名前を呼ぶからさ」
「……スタン」
「いい名前だ。では、スタン。私は、レオナルド・ダヴィンチ。君も親しみを込めてダ・ヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ」

 本当に大丈夫なのだろうか。
そんな心配はエンジン音に巻かれて消えていった。
 


【1日目/朝/E-3】
【レオナルド・ダ・ヴィンチ@Fate/Grand Order】
【状態】無傷
【所持品】全戦局対応型万能籠手@Fate/Grand Order、スピンクスメギド号@Fate/Grand Order、一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石4個
【思考】
基本方針:マスターを助けて脱出。協力してくれる人員が欲しい。
1:色々と考えているけれど、今はな・い・し・ょ。隠し事は美女の常だろう?
【備考】

【スタン@GRANBLUE FANTASY】
【状態】消耗
【所持品】一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石10個
【思考】
基本方針:とりあえず、死なない。
1:ひとまずダ・ヴィンチちゃんについていく。
【備考】
※剣と脚に想いを乗せて第5話、エピソード1終了後から参戦。
 不治の病は治っていますが、消耗した体力は戻っていません。
※名簿をまだ見ていません。


40 : ◆yOownq0BQs :2018/01/31(水) 01:59:45 VUM53hrc0
投下終了です。


41 : 名無しさん :2018/01/31(水) 09:23:29 pcjtn8nM0
すみません、>>21-28の投下は通しでいいのでしょうか
名簿にある書き手枠追加は全員登場してからのルールに抵触しているように思うのですが


42 : ◆MoMtB45b5k :2018/01/31(水) 11:35:34 qCc7e3bg0
春日未来、最上静香を予約します


43 : ◆slmQHQixBc :2018/01/31(水) 14:13:28 ccSxCqRs0
>>41
「追加は全てのプレイヤーの登場話が出揃うまで」なので、
書き手枠の締め切りが全員登場するまで、というルールです


44 : 名無しさん :2018/02/01(木) 22:31:05 iQ2WUDnA0
企画立て&投下乙です
立ち上がりにそれぞれ毛色が違う投下が続くと企画が始まったという感じがしますね
ここからどう転がっていくか楽しみにしております


45 : ◆MoMtB45b5k :2018/02/04(日) 08:56:53 pq9caIeQ0
延長します


46 : ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:52:07 MfxlR5dE0
投下します


47 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:52:50 MfxlR5dE0
川面は黄金色の朝焼けを乱反射してきらきらと輝き、静かな美しさをたたえている。
その反射光を浴びながら、佇む少女が一人。

「……」

彼女の名を、春日未来という。
765プロが推し進める「39プロジェクト」のメンバーにして、その中心的存在の一人。
既に「765プロライブ劇場」でのライブを何度も経験し、ファンの間でも徐々に名前が知られつつある存在であった。

明るさなら誰にも負けない彼女に、朝の川辺というシチュエーション。
これがグラビアの撮影ならばさぞ映える光景だっただろうが、その青ざめた表情が全てを台無しにしていた。
アイドルという厳しくも華やかな舞台で切磋琢磨していた彼女が突如巻き込まれた殺し合い。
それだけでも十二分すぎるほど理解不能なものであったが、この場所に立つ前に最後に見た光景が彼女の目に焼き付いていた。


48 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:53:13 MfxlR5dE0

「プロデューサー……」

名前を呟く。
39プロジェクトを推し進める中心人物にして、彼女のことも担当していた765プロのプロデューサー。
教師と生徒、あるいは上司と部下か。その関係は世間一般にいう子供と大人の関係とは微妙に違っていたけれど、まだ14歳の彼女にとっては自分の親、いやそれ以上の信頼を置く大人だった。
そのプロデューサーが、自分のために人質になっているかもしれないということ。

(どうしよう……でも……)

あの声の主が言っていた「聖杯」というのはよくわからないが、とにかく自分が最後の一人にならなければプロデューサーは助からないというのだけは分かった。
――けれども。

(……でも、そんなのダメだよね)

青ざめた顔に少しずつ光が帯びる。
そんなのは「楽しくない」。
ライブはとってもキラキラして、ワクワクして、楽しいものだ。だから、自分のステージを見に来た人たちには何よりも、楽しくなってもらいたい。
そう、初めてライブでセンターを務める時に、大先輩の天海春香と、他ならぬプロデューサーに教わったこと。
殺し合いなんて楽しくない。アイドルが楽しくないことをやっても、喜ぶ人なんてどこにもいない。プロデューサーだってきっと悲しむ。


49 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:53:32 MfxlR5dE0

ただの少女に過ぎない未来には、この島から抜け出す方法も、プロデューサーを助け出す方法も、殺し合いを止める方法も、何も思い浮かばない。
けれどここには仲間の最上静香も、伊吹翼もいる。
今は何もできなくても。彼女たちと一緒なら、どんな困難もきっと大丈夫。

「よーし! 春日未来っ、がんばります!!」

三人でずっと一緒に舞台に立ってきた日々を思い返しながら、大声で叫んで。
まずは二人を探そう――そう思った時、人の気配をすぐそばに感じた。


50 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:53:58 MfxlR5dE0

必死に考えるあまり全く周りが見えていなかったらしい。苦笑いして、心の中で舌を出しながら、少し緊張して振り返って。
しかしその緊張はすぐに解けることになる。
なぜならそこにいたのは、この場で誰よりも会いたかった二人のうちの一人だったから。
プロデューサーのことをいつも頼りないって言ってるけど、本当は素直じゃないだけで。
共に頑張って、共に舞台に立ち、同じ未来(あす)を追ってきた大切な友達。



けれど、朝焼けに照らされたその顔を見た時、言いようのない不安にとらわれて。



「しずかちゃ―――?」



その不安を声に出す前に。



「ごめんなさい」



小さな銃口がかすかに光ったのが見えて、彼女の意識は暗転していった。


51 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:54:18 MfxlR5dE0







どうしてこうなっちゃったんだろう?
一緒にたくさん練習して。舞台に立って、踊って。一緒にキラキラを一杯に浴びて。泣いて、笑って。
そんなふうにしてるうちに、静香ちゃんのことなら何でも知ってるって、そう勘違いしちゃったのかな。
どうしてそんなに悲しそうな顔をしてるんだろう?
あはは……何もわかってなかったね。
私がバカだからいけないのかな?
そういえばプロデューサーさんにも、勉強はちゃんとしなさいってよく言われてたっけ。
静香ちゃんは勉強がよくできたから、もっと教えてもらえばよかったのかな。
そうしたらもっと静香ちゃんのこと、わかってあげられたのかも。

――ごめんね。静香ちゃん。







崩れ落ち、かすかに血を引きながら静かな川の流れに流されていく春日未来の姿を、少女はじっと見つめていた。
少女の名は最上静香。
未来が誰よりも会いたがった、その一人である。


52 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:54:39 MfxlR5dE0

殺し合いが始まる寸前、参加者に見せられた幻影。
それは一人一人にとっての大切なものだったかもしれないし、あるいは何も見えなかった者もいるかもしれない。
参加者がアイドルであるならば、共に歩むプロデューサーの姿だったかもしれない。
そして最上静香はそのアイドルの一人である。
だが、彼女が見た幻影はプロデューサーの姿ではなかった。

(……お父さん……)

それは――それだけは、絶対に駄目だ。
確かに、反発はしていた。アイドルへの夢をめぐって何度も対立していた。
けれども、嫌いになったわけじゃない。
たった一人の肉親なのだ。
失われれば取り返しがつかない。
だから、幼い彼女には、最初からこの道を選ぶしかなかった。

……けれど最上静香は決して、酷薄な少女ではなかったはずだ。
例えどんな理由があろうとも、「親友であるはずの」未来を手にかけることなどを選ぶはずはなかった。

――二人の不運は、その「ズレ」にあった。
このときの未来はすでに静香や翼と共に何度もステージを経験し、三人は親友同士として絆を結んでいた。
だがこのときの静香はまだ、やっとの思いで39プロジェクトのオーディションに受かったばかりだった。
つまり、未来の認識では静香は親友だったけれど、静香の認識では末来は顔見せをしたばかりの同期、という存在だった。――でしかなかった、とも言える。

殺し合いという異常なシチュエーション。人質に取られた父親。そして、時間のズレ。
その全てゆえに、少女でしかない彼女の心の天秤は「殺し合いに乗る」に傾いてしまった。


53 : 彼女たちにはもう時間がないカウントダウン・ワン ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:55:09 MfxlR5dE0

だが、彼女にとっての最大の不運は何より、春日未来に真っ先に会ってしまったことだったのかもしれない。
同じ事務所に所属し、共に切磋琢磨するはずだった、けれども出会ったばかりの、アイドルである彼女を手にかける。
それは彼女が子どものころからずっと夢見てきたアイドルの夢を捨て、ひたすら家族を思うただの少女に戻る事を意味していた。

もしも会ったのが同じアイドルであっても、他の事務所に所属するアイドルならば。彼女を正しい道に戻すこともできたかもしれない。
あるいはまた彼女たち二人が、「違う世界」にいる「同じ二人」だったならば――。
しかし、全てはもう動き始めてしまった。

「私には…こうするしかなかったの。ごめんなさい」



3つの未来(みらい/あす)は、ここに絶たれた。



【春日未来 死亡】



【1日目/朝/F-5 地熱発電所】

【最上静香@THE IDOLM@STER MILLION LIVE!】
【状態】焦り
【所持品】一日分の水(残量100%)、
【ストレージ】交換石7個
【思考】
基本方針:最後の一人になって人質を救う。
1:自分が乗っていることは隠したい。
【備考】
※幻影として自分の父親が囚われているのを目撃しました。


【デリンジャー@現実】
最上静香がランダム支給品ガチャで入手。
女性でも扱える手のひらサイズの小型拳銃。


54 : ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 00:55:37 MfxlR5dE0
投下終了します


55 : ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 01:11:32 MfxlR5dE0
すみません最上静香の所持品にデリンジャー(1/2)@現実を付け加えます


56 : ◆MoMtB45b5k :2018/02/06(火) 01:21:23 MfxlR5dE0
度々すみません、最上静香の状態表に「※シアターデイズ! 静香メモリアルコミュ1直後から参戦」を追加します


57 : ◆slmQHQixBc :2018/02/06(火) 05:46:18 yc1fEE0g0
皆さん投下ありがとうございます。
ヴィーラ、松浦果南 予約します。


58 : 名無しさん :2018/02/06(火) 08:16:50 ANX1At7g0
誰も感想書かないロワ


59 : 名無しさん :2018/02/06(火) 12:18:45 vSvWrk.Q0
>>58
くっさい荒らしは消えて、どうぞ


60 : ◆slmQHQixBc :2018/02/10(土) 01:06:55 mr2A5.YE0
投下します


61 : SWIM! ◆slmQHQixBc :2018/02/10(土) 01:09:31 mr2A5.YE0
「ちょ、ちょっと待ってよ……仲間を集めて脱出するって言ったじゃない……!」

松浦果南はE-4エリア空港南端の断崖に追い詰められていた。
どうしてこうなったのか、彼女自身にも全く理解できていない。
訳が分からないままこんな島に放り込まれ、最初に出会った女性が脱出を考えていると知ってほっとしたのも束の間。

その女性がいきなり短剣で切り掛かってきたのだ。

軽症で済んだのは奇跡的な偶然でしかない。
女性の前を歩いていて、たまたま振り返ったときに攻撃が繰り出されたので、幸運にも狙いが逸れてくれただけだ。

突然のことに果南は頭が真っ白になりながらも、反射的にバッグを振り回し、女性に投げつけて一目散に逃げ出した。
三キロもの荷物を捨てた身軽さに物を言わせて距離を引き離すことができたが、何も考えずに走り続けたのが悪かった。
果南は知らず知らずのうちに空港がある半島部の南端に向かっており、自分から逃げ場のない断崖絶壁へ駆け込んでしまったのだ。

――そして状況は今に至る。

女性は落ち着いた態度で悠々と距離を詰めている。
今になって思えば、彼女が慌てることなく追いかけてきているのは、南に走っても逃げ場がないと知っていたからなのだろう。

「あれは嘘だったの、ヴィーラさん!」
「その引用は不正確ですね。私の目的はお姉様を無事に脱出させること。仲間を集めるというのは、そのために必要な人材を調達するということです」

赤い衣装の女性、ヴィーラは平然とそう言ってのけ、果南との距離を一歩ずつ詰めていく。

「だ、だからって何で私を……」
「どうして貴女を襲うのか、ですか? 単純なことです。そうした方がお姉様を助けられる可能性が高まるからですよ」

この人は危険だ――普通の女子高生に過ぎない果南にも、ヴィーラの異常性は嫌というほど理解できた。
笑顔なのに理性が感じられない。お姉様とかいう人のために誰かを殺すことに、何の疑問も抱いていないとしか思えない。

「貴女はお姉様の力になれる人間ではないでしょう? そういう方を生かしておいて、お姉様の邪魔をする不埒者に殺されたら迷惑なんです。どれだけ手を尽しても、殺害報酬の石一つは与えることになってしまいますから」
「石、一つ……そんなことの、ために……」
「たとえ小石の一つでも、お姉様のためにならないものは看過いたしません」

ヴィーラが素早い足さばきで一気に距離を詰める。
殺される。果南は生まれて初めて死の恐怖を覚えた。日常生活では決して感じることのない、冷えた鉄のような感覚だった。

「嫌っ!」

果南がとっさに選んだ対応は、後ろへ逃げることだった。
そこにはもう地面はない。果南の体は重力に引かれ、崖の下の海面へと落ちていった。


62 : SWIM! ◆slmQHQixBc :2018/02/10(土) 01:09:52 mr2A5.YE0
「……まったく、悪あがきにも程があります」

ヴィーラは空港南端の崖の縁に立ち、呆れ顔でそれを眺めた。
崖から落下した果南は、何と無事に着水しただけでなく海を泳いでの逃走を試みていた。

「石を使って飛び道具を……いえ、必要ありませんね」

残り二つの支給品で飛び道具を調達できれば、哀れな少女をスマートフォンとかいう装置ごと水底に沈めることもできるだろう。
だが、そこまでする必要があるかのかと考えると、いささか疑問だった。

スマートフォンに記された文章によると、交換石は無作為の交換だけでなく、何かしらの特典を得るためのコストとしても要求されうるらしい。
ならば、必要に迫られない限りは取り置いておくこともひとつの選択肢。
むしろ敬愛する『お姉様』への貢献を考えれば、自由度の高い石の状態のまま捧げる方が望ましいのではないだろうか。

それにあの少女は、方向から察するに同じE-4エリアの公園側の陸地を目指して泳いでいる。
確かに最短距離ではあるものの、それでも一キロは下らない遠泳を強いられる難行だ。
泳ぎが達者ならば着衣のままでも泳ぎきれる可能性はあるが、それもこの海が安全ならの話。
鮫のような危険生物の存在や、急な潮の流れひとつで容易く命を散らすことになるだろう。

「さて、もうここに用はありませんね」

逃げ出した松浦果南はもはや眼中になく、この場所にも特に目を引くものはない。
ヴィーラはあっさりと踵を返し、空港南の岬を後にした。




【1日目/朝/E-4 空港側陸地】
【ヴィーラ@GRANBLUE FANTASY】
【状態】無傷
【所持品】ソードブレイカー@現実、一日分の水(残量100%)×2
【ストレージ】交換石7個
【思考】
基本方針:お姉様(カタリナ)を無事に脱出させる
1:お姉様との合流
2:お姉様の脱出に役立つ人材を集め、それ以外は排除する
【備考】


63 : SWIM! ◆slmQHQixBc :2018/02/10(土) 01:10:24 mr2A5.YE0
「……はぁ、はぁ……」

結論から言うと、果南は一キロを超える距離を見事に泳ぎきった。
常日頃から水泳やダイビングに慣れ親しんできたことで鍛えられた泳力が、予想外のタイミングで役に立った形だった。

「助かったぁ……」

夏服の制服姿で、頭から靴の仲間でびしょ濡れのまま、公園の片隅で膝を突く。
命こそ助かりはしたもののコンディションは最悪だ。
ただでさえ疲労困憊なうえに、濡れた衣服が体温を容赦なく奪い続けている。
そのうえ飲み水を全て放り出してきてしまったという有様である。
不幸中の幸いは支給されたスマートフォンだけは死守できたことだ。

「良かった、ちゃんと動く。暖まるものとか着替えとか、出てくれればいいんだけど」

望みを託してガチャを回す。引き当てたのは都合のいいことに『衣服』のたぐいだった。
ただし、普通の服とは似ても似つかない特異な代物だが。

――カルデア戦闘服。

人理継続保証期間・カルデアの技術部が作り出した、激しい戦闘に耐えうることを前提とした魔術礼装。
機能の高さは折り紙付きだが、全身にピッタリと張り付く構造上、体のラインが否応なしに強調されてしまうデザインをしている。

「やった! 着替えだ!」

ところが、果南は怯むどころか喜色満面でそれを実体化させ、物陰であっさりと着替えてしまった。
果南の特技はダイビング――そう、この手の衣服はダイビング用のウェットスーツで着慣れていたのだ。

「これでよしっと。多分、あの人は追ってきてないと思うから……まずは皆と合流しないと」

肉体的な疲れは残っているが、休んでいる時間が惜しい。
果南は自分を奮い立たせ、公園の外へと駆け出した。






【1日目/朝/E-4 公園側陸地】
【松浦果南@ラブライブ!】
【状態】疲労
【所持品】カルデア戦闘服(装備中)@Fate/Grand Order、浦の星女学院制服(夏服)@ラブライブ!
【ストレージ】交換石7個
【思考】
1:仲間と合流する
【備考】


64 : ◆slmQHQixBc :2018/02/10(土) 01:10:46 mr2A5.YE0
投下終了です


65 : ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:40:40 H.1i5KdA0
皆さんの投下された話を見て読んで楽しむだけでなく書いて楽しみたいと思いましたので、本田未央、書き手枠でジル・ド・レェ[セイバー]@Fate/Grand Orderを投下します


66 : 偶像崇拝と主の実証 ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:42:53 H.1i5KdA0



 途方に暮れたと言わんばかりの顔で自動販売機から出てきたジュースを取り出すとプルトップを開けて呷る。視線は僅かに水滴の付いた空き缶と共に台の上に乗っているテレビへと行くが、しかしそこには青々とした画面があるだけだ。手元のリモコンでアナログやBSやらのボタンを押しても、せいぜい青一面がレインボーの長方形か砂嵐に変わるだけで、既に小一時間はCMの一つも見ていない。震災の時だってこんな事は無かった。仮にも芸能界で活躍している身分としては、その光景は余りに非日常のものであった。

(――ドッキリにしては手が込み過ぎてるよね……でも現実なわけないし。)

 ああ、これがドッキリだったらこれまでジュース二本開けたほかはちょっと人を探したり近くを調べただけのここは全部カットだろうなぁ、けっこう怖かったのに、ていうかこれは拉致だよ拉致などと思いながら本田未央は溜め息を吐いた。


 本田未央。職業、アイドル。
 動物の耳を思わせる外はねした明るい髪に暖色で揃えたカジュアルな格好の彼女は、深夜の消灯した病院には似合わない。もっともそれが無人の病院となれば、好奇心から肝試しにでも来たのだろうと邪推させるような奔放さを感じさせる少女だ。しかしそのような人でもまさか彼女が殺し合いに巻き込まれているなどというのは推測しようがなかろう。彼女は同じアイドルグループの他二人ともどもバトルロワイアルの参加者なのだ。

(――やっぱり、しまむーもしぶりんもいるよね。いや本当にいるのかわかんないけど、名簿的には。それにさっきプロデューサーもちらっと見えた気がするし。てーことはこれはニュージェネレーション全員まるっとドッキリにかけられたってことですかな?あの二人が仕掛け人だったら気づくし。)

 しかしこの少女、全く自覚は無かった。
 生き馬の目を抜く芸能界、魔法やらなんやらより怖いのは人間である。自分をトップアイドルと言い切るにはいかんせん恐縮してしまう彼女だが、それでもトップクラスのアイドル、間違い無く一流芸能人の彼女にとって、この状況は悪質なドッキリと受け取るのが至極真っ当な解釈であった。世の中には大河俳優を拉致して海外ロケをしたりジャングルの掘っ立て小屋で何日もロケさせたりする番組もあるという。それを考えると、今の状況はまさしくドッキリであった。ルールに書いてある72時間というのも、五日間のロケと考えれば妥当な上限だろう。この期間なら自分達三人もレギュラー番組のスケジュールとギリギリ重ならない、というのが彼女のこの『企画』への理解である。そういえば海外で似たようなテレビの企画があると同じ事務所のアイドルから聞いたことがあるあれは一般人を集めての長期のロケらしいがそれを芸能人でやるということなのだろうかそういえば名簿に外人っぽい名前があるのもそのせい――


67 : 偶像崇拝と主の実証 ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:44:06 H.1i5KdA0

 ガコンッッ!!

「ぴよぉっ!?」
(ぴよぉっ、ってなんだよぴよぉっって!もうちょいカッコイイ悲鳴にしとくんだった……)

 待合室に響いた音はさして大きくはない。慎重に開けようと試みられたその音はテレビの砂嵐の雑音よりなお小さく、その後に発せられた未央の奇声にかき消されてしまうほどのものだ。それでも彼女の耳には爆音の如く聞こえた――怖いもん。

 彼女がこの島に放たれて二秒、徒歩五歩の所にあったこのB-3東端のホテル。元々開いていた扉を開けとりあえず中に入ってみて一応鍵も受付近くの守衛室から拝借した鍵で閉めて(ここまでで三十分かかった)、その後ジュース二本開けた未央。はっきり言って最初は夢としか思っていなかった。それも悪夢のたぐいである。なのでおっかなびっくり見知らぬスマホの液晶を懐中電灯として見知らぬ病院に入り、さんざん看護婦を小声で探し、警備員に助けをと思い守衛室まで行ってその後さんざん病院内(明かりがついてる待合室付近に限る)を探索して一休みしながら、やっべえこれドッキリだ、と現実を受け入れていたところにこれである。正直、チビリかけた。

(聞こえたかな?聞こえてないよね、うん、聞こえてなって無理があるでしょ!)

 自分にノリツッコミするほどテンパっている。

(落ち着け未央、KOOLだ、KOOLになるんだ!そう、しぶりんのように……よしよし、スタッフさんか演者の人!きっとそう!違ってもそう接する!よし行くぞ!)

 だが吹っ切った。
 そして見た。
 でかああああああああああい。
 説明不要。
 身長はだいたい諸星きらり。
 人相は優しげな外人。
 そして向かって左側の鎧。
 匂い立つ死のイメージ。
 枕営業要求しそう。
 煌びやかな宝物。
 炎と白骨と川。
 マジヤバイ。
 陰鬱な城。
 女子供。
 死体。
 血。

「あ、死んだ。」

 思わずそう口にする『死』がそこにあった。



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68 : 偶像崇拝と主の実証 ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:45:42 H.1i5KdA0



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「ほう、これが自動販売機ですか。実際に使ったのは初めてです。このカードで支払いを?なるほど。」
「こういうSuicaみたいなのって外国には無いんですか?」
「そういったものがあるとは聞いていましたが、見たことはありませんでした。いやあお恥ずかしい。」

 そう言いながら音を立てて落ちてきたジュースの缶をしげしげといった感じで取り出す騎士を見て、未央はようやく笑った。
 騎士の醸し出す、いや、醸し出してしまう剣呑な空気に当てられて腰をぬかした彼女だが、その後の対応は早かった。引きつりながらも「おはようございます!」の大音声からの自分がアイドルで同じグループのみんなも殺し合いに参加していてプロデューサーが人質に取られていて――と慣れぬ敬語を大急ぎで捲し立てて会話の主導権を強引に握り、そして落ち着いて自己紹介をということでまずは飲み物でもと今に至る。そんな未央に苦笑しつつも騎士は彼女と並んで長椅子に座った。

「さて、一応聞いておきたいのですが……貴方は殺し合いに乗っていますか?」
(うわっ、すごいシリアスな顔。あそっか、どこでカメラ回ってるかわかんないし演技し続けないといけないのか。キッツいロケだなあ。ところで殺し合いって乗るものなの?)
「そんなわけないじゃないですか!私もしまむーもしぶりんも絶対乗ったりしませんよ!」

 彼女は騎士に驚いていた。纏う雰囲気に言動、全てが殺し合いという企画にいてもおかしくなさそうな、人の一人や二人殺してそうな男の佇まいに。自分も一応女優としての活動の心得はあると自負しているが、それ故に騎士の自然体の演技には感心してしまう。本職は違う、そう心の中で思った。

「ええ、貴方の人となりを見れば殺人などできないと……そして貴方がそう言う御友人方も同じだとわかります。ところで貴方はその二人がここにいることを知っていた理由を聞いてもよろしいかな?」
「?スマホのホーム画面に『名簿』ってありませんでした?」
「スマホ……ああこれですね。実は私スマホを触ったのは殆ど無いので、壊してはいけないと思い触れないようにしてきたのです。使いた方を教えて頂いても?」
「馴れれば簡単ですよ。まずは待受――え。」
「持った途端黒くなりましたな。」
「え、なん、あ戻った。また消えた!?」
「ふむ……失礼ですが、貴方のスマホで教えて頂いても?」
「はい。じゃあまずはこう持って――また消えた!?」
「なるほど、本人以外が持つと使えなくなるようですねぇ。」

 指紋認証みたいなものか?未央はスマホを検めた。よく見れば、見たことの無い機種だ。メーカー名らしきものも書かれていない。そしてよくよく考えれば電池が減っている様子もない。微妙に大きくて重いそののっぺりとした板を前にうーんと頭をひねるがなにもそれ以上に新しい情報は得られなかった。

「じゃあ私と同じように触れてみて、ください。ここの表みたいな絵のアイコンをタッチすると。」
「名前が出ましたな。」
「で、画面をなぞると。」
「おお、動くと。これは……いや、なかなかに心地良いものです……」
「ここ押すと英語とかに切り替わって、で、ここを押すとホーム画面に戻ります。」
「ふむ。この天秤の絵は何ですかな?」
「ルールブック、らしいです?」
「……状況は把握できました。」

 元から知識自体は聖杯により頭に入れられている。スマホの使い方講座を受けて使いこなせるようになった騎士は目を見開いてルールを読み、たっぷりと時間をかけたあとそう言った。目が飛び出しているという慣用句はあるがそれを実際に目にしたのは初めてである未央はそれだけで背筋がゾワリとしたが、根性で耐える。迫真の演技に呑まれてはいけないというアイドルの挟持が彼女を奮い立たせた。
 やおら騎士は立ち上がると、スマホをカンテラ代わりに使い辺りを見渡した。そして受付に目当てのものを見つけると「日本語を教えてほしい」と言って未央を呼ぶ。その手にはボールペンが握られていた。


69 : 偶像崇拝と主の実証 ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:46:44 H.1i5KdA0

『声を出さないで、我々は監視されています。』

 筆談。未央は察した。

『ここだと文字見えちゃいません?』
『――監視の方法に心当りが?』
『なんとなく、受付なら監視カメラとかありそうかなって。』

 どこから撮られているかわからない以上、ぶっちゃけた話はできない。そこで隠しカメラに撮られぬよう筆談なのだろうと、未央は考えた。
 一方の騎士は驚いていた。なんの魔道の知識も無さそうな彼女だが、最初の慌てぶりが嘘のように聡明な推察である。もしや彼女もまた自分と同じようにこの殺し合いの違和感に気づいているのではと思う。そして筆を取った。

『この殺し合い(という聖杯戦争)、本当のところどうお考えかな?』
『殺し合い(っていうロケ)なら、二人とはなるべく会いたくないな。』
『?』
『バラバラの方が(別々のカットでそれぞれ映れる的な意味で)見せ場をつくれるし。』
『見せ場(各自による戦闘と策謀)ですか。(戦うことの)自信があると。』
『(プレイヤーとして)自信はあんまりないけど、もう始まっちゃってるしやるしかないでしょ!』

 殺るしかない。その文字に騎士は戦慄した。目の前の少女は、恐らくなんの戦力もない。だがしかし、闘争への確固たる意志を持っている!
 そうだ、殺し合いをさせるならば監視は重要だ。自分でもそうする。苦労して集めた人間の死に様を主催者は是が非でも見たいだろう。なんなら何人か哀れな子羊を追い立てる狼も放ってこの聖杯戦争を遂行させるだろう。そして目の前の少女はそれを読んでいる。勘の良さか頭の回転の速さかは定かではないが、自身が監視されていることを知り、そしてその状況で自分という人間の本質を見抜きその正体を現した――そう誤解した。

(これならば、迂遠な真似をする必要もなさそうですね。)
「私はここを拠点に主催打倒(という名目)の軍を創ろうと思います。病院であれば負傷したプレイヤーが目指すでしょうし、情報も集まるでしょう。」
「(イベント的な奴かな、賛成しとこ)本当ですか!実は私もそんなことしたいと思ってたんですよ。ニュージェネレーションで集まりたいって。」
「(監視者への撹乱ですか、意志は伝わっているようですね)それではまずは互いの装備を確認しませんか?私は旗と本でした。」
「(高そうな旗と悪趣味な本……これで殺し合いは絶対無いな。なんかのアイテムかな?)あー、まだガチャ引いてないんですよ。この病院のどこかにショップていうのがあるらしいんです。それに使おうかなーって(て言っとかないと、怖くてやるの忘れてましたなんて言えないし)。」
「わかりました、捜索しましょう。」

 互いが互いの誤解に気づくことなく会話は終了した。二人はそれぞれに荷物を持つと立ち上がる。そうして歩き始めようとして、はっとした表情で未央は騎士へとかけた。

「名前言うの忘れてた!本田未央、15歳!346プロでニュージェネレーションってグループでアイドルやってます!」
「私もすっかり失念しておりました。不肖ジル・ド・レェ、此度は貴方のお傍らに侍らさせていただきます。」


70 : 偶像崇拝と主の実証 ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:47:55 H.1i5KdA0



【1日目/朝/B-3 病院内】

【本田未央@THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS】
【状態】無傷
【所持品】ジュース、財布、一日分の水(残量100%)
【ストレージ】交換石10個
【思考】
基本方針:ロケを頑張る
1:ジルさんと病院を調べる
【備考】
※この殺し合いをドッキリのロケと誤認しました

【ジル・ド・レェ[セイバー]@Fate/Grand Order】
【状態】無傷
【所持品】ジュース、螺湮城教本@Fate/Grand Order、ペノン@Fate/Grand Order、一日分の水(残量100%)
【ストレージ】なし
【思考】
基本方針:未定
1:まずは主催打倒を名目に人を集め情報収集する
【備考】
※本田未央をマーダーと誤認しました


【ペノン@Fate/Grand Order】
 騎士階級が持つ三角旗で、『神聖たる旗に集いて吼えよ』の際に掲げられる旗。この旗自体はジル・ド・レェの鎧や剣と同程度の神秘しかないが、本人の気の持ちようで能力が増減するきっかけになる。


71 : ◆g/.2gmlFnw :2018/02/13(火) 08:52:43 H.1i5KdA0
投下終了です
久々のパロロワで至らぬところもあるかもしれませんので、問題がありましたら本投下の処遇は>>1氏にお任せしたく思います


72 : 名無しさん :2018/02/13(火) 18:51:41 E4.zkSnQ0
乙です。剣ジルは予想外だった


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