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くすぐり小説スレッド6

1 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/21(水) 00:20:58 VE3j/ET.0
ジャンルや長編短編は不問。
職人さんに対する感謝を忘れずに。差し支えなければ感想もよろしく。


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2 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/22(木) 23:52:53 seUXHSqc0
新スレ乙
最近過疎が酷いから、小説投下して援助しよう


3 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/23(金) 00:13:27 4nxnKtQM0
期待して待っています


4 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/24(土) 16:05:18 u0zhx.LY0
NTRもの

僕は高校2年の相良浩二。そして
「浩二君おはよう」
笑顔で僕の元に駆け寄ってくる女の子。
彼女は黒田ミキ。
2ヶ月前から僕と付き合っている。
今日も一緒に学校に行く約束をしていたのだ。
「昨日は驚いたなぁ。浩二君にあんな趣味があったなんて」


そう昨日のデートの帰り、急に降ってきた雨を避けるため近かった浩二の家にミキをあげた。
互いに濡れているため、順番にシャワーを浴びることになった。
先にミキが入り、それから浩二。
浩二がシャワーを終えて部屋に戻ると自分の秘蔵同人を読んでいるミキの姿があった。
ミキはこちらを見ることなく、口を開いた。
「浩二君・・・これはなに?」
そうそれが普通のエロ本だったら平気だったかもしれない。
しかし僕のは・・・
「くすぐり全集」
「すいません!!」
僕はミキちゃんの前に滑り込むように土下座をした。
無音の中、雨の音とページが捲られていく音だけが部屋に鳴っている。
そして読み終わったのか、自分の傍らに本を置くと意外な言葉が降ってくる。
「浩二君ってくすぐりに興味があるの?」
バッと顔を上げると顔を赤らめたミキがもじもじしていた。
「・・・うん」
「私にしたいと思う?」
「・・・うん」
「してみる?」
「・・・うん・・・えっ?」
返事の中視線を落としていた僕は最後の言葉でまたミキちゃんを見た。
「ほんとにいいの?気持ち悪いとか思わないの?」
「彼氏のしたいことは、させてあげたいし・・・」
消え入りそうな声で言うが浩二にははっきり聞こえていた。
もう耐えられなくなり、浩二がミキに近づくとけど!!と待てを食らう。
「けど・・・初めてだから・・・やさしくね?」
まるで初エッチみたいな流れだな、と浩二は思ったがそれよりもくすぐりだ。
浩二はミキの足首を持ち足の裏に指を這わせる。
するとびくんと体をはねらせるミキ。
それを上下させるだけでミキは面白いように反応する。
「ちょっくすぐったいよぉ」
「そりゃくすぐってるし」
平然に言っているが浩二も興奮しすぎて今にも激しくくすぐってしまいそうだった。
だが何とか理性を保ちやさしくゆっくりくすぐっていく。
「きゃふっ・・・あふっ・・・」
だんだんと喘ぎにも聞こえだした声に浩二の理性がたもてなくなった。
指を激しく這わせようとした瞬間
ガチャっ
玄関が開かれる音。
この状況を見られたら・・・

「浩二誰か来てるの?」
母親がノックもなしに浩二の部屋を開ける。
そこには正座をしている浩二とミキ。
「あら、彼女?ごめんなさいね、お邪魔しました」
と出て行く母親。最後のいいもの見たという視線はやめてもらいたい。
はぁとため息をつくと
「続きは今度だね」
とミキは浩二の耳元でささやく。
そのままミキは荷物を持ち浩二の部屋を出て行く。
玄関で母としゃべっている声が聞こえるが見送りに行けないほど心臓がバクバクしていた。

「こっ今度ってさ」
学校に向かっている途中ですることでもないと思ったが聞きたかった。
「今度っていつ?」

するとミキは笑顔で
「今度は今度」


5 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/27(火) 19:04:20 EIC1RHPc0
あの笑顔から今日までの2週間はそんな色っぽい展開はなかった。
それどころかデートもしていない。
誘っても今日は・・・と濁されてしまう。

「まさか別れようとか言われんのかな」
自室のベッドに寝転がりつぶやいた。
まだ付き合って2ヵ月半。
けどもう2ヵ月半とも言える。
少しずつ自分のいやなところがバレて・・・
「いやいや!!彼氏の俺が信じないでどうすんだ!!」
バッと起き上がりパソコンの前に座る。
こんなとき、男ならエロ動画だ!
浩二はパソコンを立ち上げいつものお気に入りのサイトに飛ぶ。
当然、くすぐりのサイトだ。
そこのサイトは更新が少ないが結構いいのが落ちている。
「えーっと・・・おっ更新してる」
動画の欄にNEWの文字がある。
すかさずクリックするとウインドウが現れ動画をロードしていく。
動画が始まると1人の女性が拘束されマスクをつけた男たちにくすぐられている。
すぐにほかの女の人にと流れていくのを見るとこれはサンプルなんだとわかる。
「はぁやっぱサンプルだけだよな・・・」
そしてもう少しましなものと思ったがあ、そうでもなかった。
浩二は戻るボタンを押そうとしたとき、写っていた女性に見覚えがあった。
目隠しをしているとはいえ見間違うはずがない。
「これって・・・」
『あはははははっ!やめてくださぁぁい!!』
声にも聞き覚えがある。
そうそこには自分の彼女であるミキが拘束されマスクの男にくすぐられていた。


あの動画を発見して以来、浩二はなんとなく彼女を避けていた。
話しかけられれば返すがこちらから話しかけたりはしない。
まわりから心配されたため結構な避け具合だったのだろう。
聞きたくてもどう聞いていいのかわからないから避けるしかなかった。
今日も一人帰り道を歩いていた。

すると遠くにミキの姿が見えた。
数人の男とともに。
浩二は歩みを止め立ち止まってしまう。
邪魔だよというサラリーマンの声も耳に届かない。
ただミキの姿だけを見つめていた。
どこに向かうかを含めて。


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6 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/27(火) 20:01:51 EIC1RHPc0
ミキたちが入っていったのはその通りにあるラブホテルだった。
浩二は無理を承知で自分はさっきのグループの仲間だと伝えると店員は営業スマイル全開で部屋番号を教えてくれた。
本当にそんなことしていいのか、店員よ。
しかし浩二にとっては幸運だ。
すぐにその部屋に向かった。
ドアの前で自分のおろかさに気づく。
鍵はさすがにもらえない。終わったと思いながらもそのドアノブをゆっくりと下げると
開く気配がある。そのままゆっくりと手前に引くと本当に開いてしまった。
中からは声が聞こえてくる。
幸いにも気づかれていないようだ。
そのまま中に入りシャワー室に身を隠した。


「それで今日はなんでこの企画に応募してくれたの?」
「普通この手の企画は応募なくて終わるパターンなんだよね」
と男がミキに聞く。
「あの・・・ちょっと興味があって・・・」
「へぇ結構変態チックなんだね」
とからかわれるとミキはうつむいてしまう。
「まっ・・・まぁいいじゃん。早速やっていこうぜ」
ソファーに座ったミキの前に三脚に固定したカメラが置かれる。
そこからはAVのように質問をされ答えていった。
彼氏はと聞かれ少し間を置き、いると答えると
さらにそれなのにこの企画にと聞かれてしまった。
多分これは最中にもネタにされるだろうとミキは感ずいていた。
「じゃあ最後にこのタイトル言ってもらおうかな」
とカメラの後ろにカンペを出す。
ミキはそれを口にする。

「くすぐり性感奴隷 私をいっぱいくすぐって」

それを聞いていた浩二は怒りよりもう興奮の方が強かった。
彼女が自分以外の男に触れられるというのに、浩二はミキがめちゃくちゃにされるところを見たいと思っている。
だが見ることはできない。だから懸命に耳を済ませた。

「もう最初から強めでいくからね」
ソファーに器用に脚を開き拘束されたミキに言う一人の男。
左右から前後から手が向かってくる。
ミキは目を瞑りその感覚を待った。
「・・・?」
しかし少し待ってもこないので目を開けたとたん
「きゃはははははっずるいぃぃぃ!!」
4人はいっせいにミキをくすぐる。
足の裏、両わき腹、わきの下、首筋とあらゆる部分をくすぐられる。
衣服の上からだがくすぐったくてたまらなかった。
「あはははははっとめてぇ!やめてぇぇぇぇ!」
八本の手が自分の体を這い回る。
とてつもないくすぐったさ、苦しさなのにどこか快感が生まれている。
先ほどから男の手が胸に当たったりしているがそんなこと気にしない。
気にしている暇なんてなかった。
「いひひっあはっあはははははっ!!」
「ほらどう?どこがいい?」
「わきぃ!!わき腹くすぐったぃぃぃ!」
そんなところないと答えたかったのに自分の意思とはまったく違うことを口にしていた。
「わき腹だって揉もうぜ」
すると三人がかりでわき腹をもみしだかれる。
普通に揉んでいるだけなのかもしれないが、なぜかくすぐったく感じる。
「きゃははははっうんんんっきゃはははは!!」
「さてそろそろいいんじゃね?」
「だな」
全員がくすぐりを止める。
もう終わりかと思うと拘束を解かれ本当に終わりかと思い戸惑っていると
「そんなに心配しなくてもおわりじゃないよ。服脱いで全部ね」
改めて実感してしまった。
ミキはくすぐられることに喜びを感じている。
くすぐってほしい。この動画のタイトルのようにくすぐり奴隷みたいなものかもしれない。
ミキは言われたとおり服を全部脱いで裸でまたソファーに座る。
「さてじゃぁ今度は少し気持ちよく・・・ね」


7 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/28(水) 17:06:27 vwpResPk0
小説投下乙です
ところで、今みたいに他の人の小説が続いてる時、
別の小説を投下するのって良いんですか?
良ければ投下しようと思うんですが


8 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/28(水) 21:20:43 UBkNHgv.0
>>7
作品が混ぜこぜにならなければ、良いと思います。
名前欄にハンドルネームやペンネーム等を入れていただくと、他作品と区別がつきやすくなるのでありがたいです。
力作の投下を心からお待ちしています。


9 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:20:37 j32Zaov20
彼女とキャンパス


「ボディーペイントですか?」
「そう。シノちゃんの肌に絵を描くの」
九月中旬の少し肌寒い夜だった。
寮室のほの暗い照明を受けて、ルームメイトの白い肌がぼんやりと光っている。
私はベッド上の裸身に覆いかぶさって、彼女の身体に接吻を落とした。
「せんぱい、絵描くの上手でしたっけ?」
「んー、どうかな」
潤んだ目が私を見上げている。
絵を描くのは昔から好きだけど、批評された事がないから上手いかどうかは分からない。
描いた絵を他人に見せるのは、あまり好きじゃないから。


10 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:24:32 j32Zaov20
私は首を傾げ、彼女の滑らかな黒髪を梳いた。
「興味ない?」
「いや、そんなことは……。でも、なんか恥ずかしさに耐えられないかも。初めてなので」
「恥ずかしい? いつも二人で恥ずかしい事してるのに?」
私の問いにシノちゃんはほんの少しだけ耳を赤くした。
「恥ずかしいですよ。何度もしたからってそう簡単に慣れるような事でもないですし」
彼女は初心だ。
過去に彼氏がいた時期もあったそうだけど、結局何をするわけでもなく別れたらしい。
ちょっとした事でいちいち赤面し恥ずかしがる姿は、
普段の少し冷めた態度とのギャップもあって、堪らなく可愛かった。


11 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:26:18 j32Zaov20
「そっか、そっか。ごめんね、ちょっとだけ意地悪だったね」
「……凄く意地悪です」
「拗ねないの。あー、もう可愛いなぁ」
ぷい、とそっぽを向いたシノちゃんの頬に口付けすると、また少し赤くなった。
この子はわざわざ色を塗らなくても、紅色程度なら自分で表現できるみたいだ。


12 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:30:11 j32Zaov20
別にいつも通りのえっちに慣れたわけでも飽きたわけでもない。
ボディーペイントをしたいなんて言い出したのは、ただの好奇心だ。
柔らかくて瑞々しい彼女の肌に絵筆を走らせ、色を塗り重ね、絵を描く。
それはどんなに官能的な光景になるだろう。
想像しただけでも身体が疼いて、今日は授業に集中できなかったほどだ。
私は数日前寮に届いたアクリル製の絵の具と、以前から持っている絵筆、
それから白いビニールシートを抱えて、ベッド脇まで戻ってきた。
ベッドを汚したりでもしたら、口煩い寮監に小一時間説教されるのは目に見えているのでビニールシートを上から被せる。
それから簡単な準備を済ませた私は、シートの上にシノちゃんを招き寝転んでもらった。
彼女は私の我儘にいつも付き合ってくれる。
ボディーペイントの件についても恥ずかしそうではあったが、嫌がることなく受け入れてくれた。
彼女は本当に優しくて、そしてそれに付け入る私は本当に厭らしい。


13 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:33:21 j32Zaov20
「ところで、なにを描くんですか?」
一応局部だけは両手で隠しているものの、一糸纏わぬ姿を晒している所為で、
彼女の頬はすっかり上気し、敬語も若干震えている。
羞恥と期待の入り混じった表情を浮かべている様はいつになく扇情的だった。
「そういえば何を描くか、決めてなかったな。リクエストとかある?」
「え? じゃあ……。せ、せんぱいの、自画像とか……」
可愛らしい意見に思わず笑みを零すと、彼女は真っ赤な顔で口を尖らせた。
「な、なんで笑うんですかぁ! いいでしょ、別に……」
「いや、シノちゃんの思考回路って案外乙女チックだなって思っただけー」
「うぐ……。ほんとにせんぱいって意地悪……」
私が彼女に対して度々意地悪になるのは、彼女の純粋な反応が可愛くて仕方ないからだ。
この子には人のSっ気を刺激する才能があると思う。
まぁ、それはさておき。


14 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:35:43 j32Zaov20
「シノちゃんの裸体に私の顔をでかでかと描きあげるのもシュールで面白いけど、シュールすぎてエロさに欠ける気がするんだよね」
私は正直に言った。
「えー、せんぱいの自画像はボツですか?」
「うん。ていうか、こんな綺麗なキャンパスに私の顔なんて描いたら台無し」
「いや、せんぱいの顔の方が綺麗です」
すかさず言い返すも、綺麗なキャンパスというフレーズに頬の緩みを隠しきれていない。
「そんなに私の自画像見たいなら今度紙にでも描いてあげるから、今は他のにしようよ。ね?」
説得を試みて、シノちゃんの瞳に訴える。
暫く無言でにらめっこしていたけど、私の熱い視線に根負けしたか、彼女はすぐ目を逸らした。
「……分かりました。その代わり自画像は可愛めに描いてくださいね」
「やだよ、恥ずかしい。イケメン風に描く」
「あ、それでも良いです」
「イケメンすぎて現実とかけ離れちゃったらごめんね」
「自画像なんだから似せる努力はしてください……」


15 : 八国主 :2013/08/29(木) 00:48:11 pJJ5NnRE0
阿呆みたいに導入長くてすみません。
明日の投下では多分くすぐりあるかな、と。
ちなみにボディーペイント画像でモデルさんの腋の下に
結構複雑な模様が描かれてるのがあったんですけど、
それ描いてる最中、モデルさんがめっちゃくすぐったがってるの妄想してたら
無性に書きたくなってきて、書きました。


16 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/29(木) 05:15:39 2TD6rYck0
新作だー!
続きを楽しみに待っています。


17 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/29(木) 14:07:08 o4jQdAjg0
男たちの手には筆が握られている。
「これでくすぐっていくよ」
と軽く耳をくすぐられ甘い声が漏れてしまう。
1人2本の筆を持ってミキの体に近づけてくる。
合計8本の筆が自分の体を這い回る。
それを想像するだけでたまらない。
たまらなく興奮する。
そしてその筆がミキの体に触れる。
やわらかくミキの体を撫でていくたびにミキの口からはあえぎのような声が漏れる。
先ほどまで大笑いするしかなかったわき腹も、今の筆の刺激だと甘い刺激にしか感じられない。
「あふぅ・・・くふっっ・・・」
「さっきのとはまた違うでしょ?」
「はいぃぃ」
わきの下に這わせている筆をくるくる回転させながら1人が言ってくる。
さっきのくすぐりを味わってしまうとなにかこう・・・これは物足りない。
だがそれを表情だけで読み取られたのか、ほかの男もミキに尋ねる。
「もしかして物足りないとか?」
「そっそんなことぉ・・・あはぁん!!」
すると別の男が秘部に筆を這わせてきたため激しいあえぎをあげた。
「だからこの筆責めのときはこういう気持ちのいいところをやるんだよ」
するとほかのわき腹やわきの下をくすぐっていた筆が3点に集中する。
「あひぃ・・・そこっいやぁ・・・」
勃起した乳首、濡れ始めていた秘部を筆で刺激され甘い喘ぎをあげる。
左乳首はツンツンと刺激され、右は乳輪をくるくるとくすぐっている。
左右違う刺激にくすぐったいが、甘い快感が体に伝わってくる。
だが刺激は胸だけではない。
下から、秘部からもやってくる。
皮をむかれたクリトリスは筆が触るだけですごい甘い電撃が走る。
しかしそれをうまく緩和してくれるのが膣口をくすぐっている筆。
クリトリスよりもくすぐったさが強く気持ちがいい。
その二つの刺激、クリトリスの強い快感と膣口からくるくすぐったく甘い快感。
その3点の刺激はどんどんとミキを絶頂の頂へと押し上げていく。
「んんっ・・・きゃははっ・・・あんっんんんんっ」
「そろそろイキそう?イク時は言葉にしてくれるといいかも」
「あぁぁん・・・くるくるくるっ・・・あっイっちゃ・・・あぁぁぁ〜」
ぷしゃっと秘部から潮を吹き、絶頂を知らせる。
体は痙攣し快感に身をゆだねている。
「よし!!」
その声を聞いたときには口から笑い声が漏れていた。
「あはははははははっ!!くっくくすぐったいぃぃぃぃ!!」
絶頂し敏感になった体を男性4人に激しくくすぐられる。
それはやさしいくすぐりでもなければ筆の気持ちのいいくすぐりでもない。
暴力的で乱雑なくすぐりだった。
「きゃあはははははははっ!!いきがぁぁぁぁいきぃ!!」
「ほらほらもっともっと笑って!気持ちいでしょう」
「きもちよくないぃぃぃぃ!つらいぃぃぃ!!」
このくすぐりは本当につらいだけであった。
さっきまでのスキンシップのようなくすぐりではなく本当に暴力のようなくすぐり。
「あはははははっとめてぇぇぇぇぇ!!くすぐったいぃぃぃ!!」
「うそだっ気持ちいだろ?」
「つらぃぃぃぃぃ!やめでぇぇぇぇぇ!!きもちよくなぃぃひひいひっ」
「なら気持ちよくしてあげよう」
すると自分の秘部に何かを当てられた。
その当てられたものが激しく振動を始めたのだった。
「電マとくすぐりの快感におぼれるがいいさ!!」


18 : くすぐり好きの名無しさん :2013/08/29(木) 15:00:31 o4jQdAjg0
「ああああああああっあはははははははははっ!!」
秘部から伝わるのも暴力的な快感。
これはもう拷問にしかミキには感じられなかった。
「くすぐったいぃぃぃきもちぃぃぃぃぃ!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
だが秘部からくるのは快感。
いくら暴力的な快感でも快感は同じだ。
口からは気持ちいいと言っているがさっきの筆のような心を許すような快感ではない。
だが刺激はどんどんミキを再度絶頂の頂へ押し上げていく。
「あはははははっああああああああっ!!イクイクイクっ」
「はい、ストップ」
すると男たちはくすぐりを止め、なおかつ電マのスイッチも切ってしまう。
「!?」
ミキは男たちを見る。
男たちはニヤニヤとこちらを見ていた。
「あれ?気持ちよくないんじゃなかったの?」
「今、イクって言わなかったか?」
「まぁまぁ聞こうじゃないか。イキたい?」
「・・・・・・」
ミキは無言で返す。
さっきまでの彼らにだったらすぐさまうなずいたであろう。
しかし今の彼らには従いたくない。
カメラを近づけニヤつく男が聞く。
「だんまり?じゃあもう一回かな」
するとまたカメラを三脚に戻して4人が先ほどと同じ位置につく。
「はい、がんばってね」
するとまたミキの体を激しくくすぐりだす。
「きゃはははははっあははははははっ!!」
もう遠慮もなく未発達の胸や足の付け根などきわどいところもくすぐられていく。
そしてまた秘部に電マが当てられ激しく振動しだす。
「ああああああああああっ!!あはははははっ!!」
「ほら、やっぱ気持ちイだろ?」
またミキを絶頂の階段を駆け上がらせる。
「イクイクイクイクっ・・・またっ・・・あはははははははっ!!」
「イキたいって言うまでイカせないよ」
さらにニヤついていく男の顔。
しかもくすぐられて今度は階段を下らせていく。
「あははははははっきゃははははっ!!くすぐったいくすぐったい!!」
「あれっ?さっきはイクとかいってなかったか?」
「ほらもっかい」
また秘部に電マが当てられる。
「あああぁぁぁぁぁぁぁいい!イクっ!!」
「はい、ストップ」

何度も繰り返された。
途中で何度も失禁してソファーはぐしょぐしょだ。
ミキは耐えた。
ほうだった。
「イかせてください・・・お願いします・・・」
さすがのミキももう限界だった。
「やっとか・・・よしお望みどおりにたっぷりイかせてやるよ!!」
「あああああぁああぁぁぁあぁ!!」
電マが動き男たちの手つきもくすぐりながらも性感帯を刺激してきた。
乳首をつまみそこからわきの下をくすぐりにいったり、
足の付け根をくすぐった後にうちももを激しくくすぐったり
もう敏感になりすぎた体はすぐに絶頂がやってきた。
「あはっはっふあああぁぁあぁあぁぁ!イクっぅううぅぅぅぅぅ!!」
筆責めの時よりも激しく体を弓なりにそらして果ててしまった。
だがそれで終わりではない。
男たちはイったのにもかかわらず電マやくすぐりをとめたりはしなかった。
「やめてぇぇぇとめてぇぇぇぇ!!」
「イかせてくれって言ったのはそっちだぜ。思う存分にイキ狂えって」
男たちの残酷な言葉のショックでかミキは意識を失ってしまった。


19 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:20:44 CHBtZiec0
 こんばんは。
 本掲示板『【*/F】ゲームスレ12【*/M】』より、作者であるDDD様許可の元、『Dungeon of Tickling』の二次創作小説を書いてみました。

 作者であるDDD様も、ゲームを遊んだみなさまも、楽しんで頂ければ幸いです。どうぞ。

 〜・〜・〜

 私は、いつもあなたに尋ねたくなる。
 あなたにとって、『これ』は何?

 私を鍛えるための『特訓』。
 それは、あなたにとって、本当にそれだけのもの?
 本当は、もっと邪な想いがあるんじゃないの?
 私は、いつもあなたにそう尋ねたい。


 もし本当に、あなたにそんないやらしい気持ちがあったら?
 そしたら、私は……。


 凄く、嬉しい。

 ――辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。――


 〜・〜・〜
 

「この特訓の御蔭で体力が付きました。ほんとうにありがとうございました」

 それは、私のいつもの軽口。
 目を細めて、頬を吊り上げて、平坦な口調でそんなことを言う。私は今ここで、飄々とした魔女を演じ、余裕のある大人の女性を気取ってみせる。
 そう。それは、私の精一杯の強がり。

 目の前のあなたは気付いていないでしょう? 私が、今の状況にとてもドキドキしていることを。これから行われることがとても恐くって、そしてそれ以上に、凄く楽しみにしていることを。


「そんなに卑屈にならないでください……」

 すると、あなたはいつもそう返してくれる。

 肩をすくめて苦笑するあなたは可愛らしい。
 おっとりとした表情に、ふにふにと柔らかそうなほっぺ。まだまだ幼いあなたの顔は、女の子と間違えてしまいそう。
 金色の髪はとてもしなやか、まるで一流の職人が毛の一本一本まで選別したかのよう。それなのに、頭のてっぺんからあほ毛がぴょこんと飛び出しているのが、何だか可笑しかった。

 あなたは、小さな身体に纏った紳士服の襟を正すと、私をまっすぐに見つめて口を開いた。


「オネア様。これから、特訓を始めます」

 幼いあなたの毅然とした振舞いに、私はいつもドキリとしてしまう。
 私は、そんなときめいた心を隠すように、あなたの名前を呼んだ。

「ショロぉ〜、本当に今日もするのぉ〜……?」
「当然です。オネア様は、もっと強くならなければいけませんから」
「んぐぅ……」

 私の言葉を一蹴。こればかりは『こなくそぉ』と呻いてしまう。


 まっすぐに見据えるあなたの煌めく瞳が、磨かれた鏡となって私の姿を鮮明に映し出していた。

 これでも見た目は悪くないと思っている。海色の瞳を包んだ眼は、あなたよりは少し釣り気味。しわも染みもない薄橙色の肌は、自分の容姿に自信を持たせてくれる。
 けれど、赤褐色の髪の毛は、背中に伸びるまでの所々でぴょこぴょこと跳ねてしまっていた。少しだけ、お手入れを怠けちゃったかな?

 私は、別段ダイエットとかには興味ない。それでも、お腹はたるまず、胸も中々の形と大きさを保っているのは、私が存外恵まれた身体の持ち主だからなのかもしれない。
 だけど、あなたの瞳に映る私の服装を見ていると、少し溜息が出てしまいそう。タンスに入っていた、適当な白のタンクトップとジーンズ。次からは、勝負服のキャミソールでも出そうかな、そんなことを考えてしまう。


「あ、あの。オネア様……」
「んぇっ?」

 濃翠色の瞳を通して自身の身体を省みていると、あなたの頬が少しずつ桃色に染まってゆく。

「そ、そんなにじろじろ見られると、少し、恥ずかしいのですが……」
「ぇ、あぁ。ごめんごめん」

――そんなつもりはなかったのだけれど――
 私は、その言葉を胸の奥にしまい込んだ。

 たどたどしく言葉を紡いでゆくあなたは、年相応に可愛らしくて、そして愛おしい。
 私は、ついついあなたに意地悪をしてしまう。

「ふふっ、ショロったら初心よのぉー。可愛いのぉー」
「や、止めてください! そろそろ、始めますよ!」

 まったく、これから大変な目に合うのは、私の方なのにね。


20 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:21:17 CHBtZiec0
 私は、自分の身体を見下ろした。
 一国の王の座る玉座なんて目ではない。重厚な金属で出来た椅子は、まるでそれ自体が牢獄であるかのように大きく物々しい。

 それに反して、そこに座る私は何て情けない姿でいるのだろう。椅子の二回りも三回りも小さな私の身体は、がっしりと拘束されているのだから。
 両手は頭上に持ち上げられたまま金属の輪に留められ、両足はMの字に大きく開かれて指の一本一本まで拘束されている。
 私は、少しだけ両手足を揺すってみる。ガチャガチャとした金属音が、地下室を小さく響かせた。分かっていたことだけれど、それだけだった。頑丈な金属で作られた拘束が、非力な私に解けることなんて、あるわけがなかった。

 まるで清楚さの欠片もない、何ともはしたない格好を意識すると、私は身体の熱さを抑えることが出来なくなってしまう。
 私は、気持ち声を張り上げて言った。

「さぁ、ドンと来なさい! ショロの特訓なんて、屁でもないわ!!」

 それは、いつも通りのやせ我慢。
 私は、あなたの前では強がっていたい、余裕ぶっていたい。
 それは、本当につまらないもの。世界最凶の魔女と呼ばれた者として、そして何より、あなたの最も身近に居る大人の女性としての、ささやかな矜持。


「へぇ……」

 だけど、あなたは笑った。ほんの少しだけ、頬を引きつらせながら。

「そうですか。僕の特訓なんか、屁でもないですか」
「ぇ、あ」
「それなら、余裕しゃくしゃくの表情で、乗り切ってくださいね。オネア様」

 小さな身体には不相応な、大きな魔族の翼がザワザワとはためく。
 影の差したあなたの笑顔に、今度は私が頬を引きつらせた。

「ちょ、ちょっと待って! い、今のは言葉のあやってやつで!」
「えぇ、分かりました。始めますねー」
「待っ!? ショロぉっ!? あなた、絶対聞いて――」

 私の必死の弁解を、あなたは笑顔で聞き流す。
 そして、私の言葉は、襲い掛かる刺激に呆気なく吹き飛ばされてしまうのだった。

「なひぃひゃわあぁぁぁあぁぁああぁっ!!!?」

 次の瞬間部屋を包み込んだのは、私の間抜けな悲鳴だった。


 こうして、今日も始まった。
 私とあなたの、辛くて、苦しい、『特訓』の時間が。


21 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:21:57 CHBtZiec0
 〜・〜・〜


「うなぁっひひっ、ひぃっひひひひひひっ!!? そ、そんなぁっ! 最初っから、つよすぎぃぃっひゃぁっはははははっひゃははははははははははははははははははっ!!!?」

 あなたの指が、私の両腋の下を這い回る。
 まるで遠慮のない激しいくすぐり責めに、私は早々に大きな口を開けて笑い出してしまった。

「オネア様、僕の特訓なんて屁でもないのでしょう? そんなに笑ってしまって、どうしたのですか?」
「あぁっひゃひひひひっ!! ご、ごめんぅっくひひひひっ!! ごめんたりゃぁあっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? はひっ、はわっ!? わひゃぁっはははははははははははははははははははは!!!」

 変なスイッチが入ったあなたは、本当に意地悪。半目で口元にうっすらとした笑みを浮かべて、そんなことを私の耳元で囁いてくる。あなたの高くも落ち着いた綺麗な声に、ガチャガチャとした拘束具の音すら遠くに聞こえてしまう。

 あなたの小さな爪が、腋の下のくぼみをほじくる。硬くてつるつるした爪が肌のしわに引っ掛かる度に、私の背筋は電流が流れたようにびくびくと跳ね続けた。
 腋の下から、カリカリ、カリカリという音が聞こえてくる気がした。そして、それを一度意識してしまうと、私の耳の奥でありもしないその音が本当に響き始めた。カリカリ、コチョコチョコチョ、カリカリカリカリ。その音は、身には塗らぬ潤滑剤となって、私の身体を更に敏感にした。コチョコチョコチョ、カリカリ、カリカリカリカリ。


「オネア様の弱点はどこですか?」
「なひゃっ!!? ひゃひゃひゃひゃっ!!? そんな、そんなのぉほほほほっ!!? ひひゃっ、ひゃははっははははっ、ぁあっはははははははははははははははははははははっ!!!」

 あなたが突然口開いたのは、そんな言葉。
 私は、笑いながらも心の中で『こなくそぉ』と毒づいてしまう。あなたは、毎日毎日、どれだけ私の身体をくすぐり姦していると思っているの? これだけ私の身体を敏感に開発しておいて、そんなことも知らないの? そんな風に思ってしまう。

 だけど、息を絶え絶えにして笑い続けている私には、そんな文句を長々と垂れる余裕なんてない。私は、何とも素直に、情けなくあなたの問いに答えた。

「あひっ!! あひのうらよぉおっほほほほほほほほほほほほほっ!!! よわいのぉっ!! あひぃひゃっ!? ひゃぁっははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!?」
「えぇ、知ってます」

 呂律の回らない舌で必死に紡いだ解答を、あなたは笑顔で一蹴した。こなくそぉ。
 そして、あなたの次の言葉に、私は全身をぎくりと強張らせた。

「それ、半分ですよね?」
「えひゃっ!!? ひゃひゃひゃひゃっ、ひゃんぶんっ!!? ひゃんぶってえぇっへへへへへへへへへへへへ!!? ぇぁっひゃっははははははははははははははははははははははははははっ!!!」
「僕が、毎日毎日、どれだけオネア様の特訓に付き合っているとお思いですか? そんなことも知らないとでも?」

 溜息と共に出たのは、私の想いを焼き直ししたかのような言葉。
 そして、あなたは再び影の差した笑みを浮かべると……。


22 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:22:16 CHBtZiec0
「おへそ、弱いですよね。れろ……っ」
「ひゃわあぁぁあああぁぁぁぁあぁっ!!?」

 私のおへそを、ぺろりと舐めた。
 蕩けるようなくすぐったさに、私は両手足の拘束具をガシャリと大きく響かせた。

「んっ、ちゅっ。ぺろ……、んむ……っ」
「にゃひゃあぁぁぁあんっ!!? ひゃりゃっ、ぞくぞく、しへぇっへへへへへへ!!? へんにっ、なっひゃぁっはははははははははははははっ!!? あひっ、ひぁっひゃっははははっはははははははははははははははっ!!!」

 あなたは、暴れる私の腰にしがみ付き、おへそをぺろぺろと舐め姦す。

 おへそをくすぐられるのは、凄く変な気分。
 腋の下とはまた違う、ふにゃふにゃとしてしまうようなくすぐったさが、おへそから全身に広がってゆく。あなたの柔らかな舌が動く度に、お腹の筋肉が独りでにびくびくと痙攣するのが分かった。

「ひゃわっ!!? わひゃひひひひひひっ!!? ひゃめっ、しょれやめぇぇっへへへへへへへへへへ!!? ぐにゅぐにゅしにゃいえぇえっへへへへへへへへへへへっ!!!」

 まったく、私は毎日毎日、どれだけ身体をくすぐり姦されてきたというのだろう。
 おへそが弱いなんて、今の今まで気付かなかった。

 そして、私はそれを認識してしまう。
 おへそをくすぐられるのが弱いと、自覚してしまう。

 すると、私の身体はどんどん敏感になってゆく。
 あなたの舌が私のお腹の筋肉をこね姦す度に、耐えがたいくすぐったさが折り重なって、私の声帯を震わせていった。あなたの舌が私のおへそをほじくり姦す度に、蕩けるようなくすぐったさが私の腰を貫いて、全身を熱くさせていった。

 あぁ。私は、こうしてあなたに開発されてゆくんだ。
 私は、情けなく笑い狂いながら、そんなことをぼんやりと感じた。


「しょ、ショロぉおぉぉっほほほほほほほほほほっ!!? くしゅぐっひゃいぃっ、くしゅぐひゃぃよおぉぉぉっほほほほほほっ!!!」
「れろっ、んちゅ……っ。まだまだ、元気そうですね。こんなものじゃ、特訓を終わりには出来ませんよ」
「しょんなぁっ、ぁあぁぁっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? ひゃわぁぁぁあぁぁぁああっはははははははははははははははははははははっ!!! ぁははははっ、あぁぁっはははははははははははははははははっ!!!?」

 そして、私はあなたにくすぐられ続ける。
 ペロペロ、チュルチュル、ペロペロペロペロ。
 グニュグニュ、ペロペロペロ、レロレロレロレロ。
 あなたにおへそを舐められ続ける。

 その時間は、とても辛くて、苦しくて。
 それなのに、私の心の隅には、ずっとこんな言葉が住み付き続けていた。

――気持ち良い――


23 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:22:50 CHBtZiec0
 〜・〜・〜


「はひ……っ! ひゃぁ、はは……。くひ……っ!?」

 私は、一体どれくらいの時間、あなたにくすぐり姦されていたのだろう。
 数十分か、数時間か、数十時間か。それとも、まだ数分か。
 笑い悶えている時間は、いつもその正確な尺度を見失ってしまう。

 私は、もうへとへと。
 くすぐったい余韻に包まれて、荒い呼吸の隙間から小さく笑い声が漏れ続ける。
 顔は涙と涎、身体は汗だらけ、本当にみっともない姿。そしてそれをあなたに見られていると思うと、また涙が出てしまいそう。

 満身創痍な私に反して、あなたはまだまだ元気。
 息ひとつ乱れていないあなたの様子から、まだそう時間も経っていないことが分かった。


 あなたは、小さな瓶を取り出して、私に告げる。

「新しい方式を採用しました」

 あなたが手を傾けると、中に入っている緑色の液体がたぷんと揺れた。粘度の高いその液体を、私は知っている。だって、私は何度もそれを見、そして自らの全身に塗りたくられているのだから。
 私は、全身に鳥肌を立たせた。

「……ビンカンドラッグ…………」
「えぇ、そうです」

 やっぱり。
 全身の感覚を著しく鋭敏化させて、『特訓』の効果を飛躍的に上昇させる薬。

 だけど、腑に落ちないことがあった。
 ぬるぬるとろとろと、塗り付けるだけでくすぐったい、緑色の液体。

 その薬は、《もっと薄い色をしていた》ような……。


「本来、この薬は希釈して使います」
「へ……」
「素材が高価ですし、原液のままだと少し効き過ぎてしまいますから」

 あなたの『希釈』という言葉に、私の背筋が冷えてゆく。
 もしかしたら、あなたは今、とんでもないことをしようとしているのでは?
 口には出せない恐ろしい疑問を、あなたは至って事務的に答えてくれた。

「今まで全身に塗っていた分量を、一ヶ所に集中して使います。コストはそのままで、局所的に目覚ましい効果が期待出来ます」
「ひぃッ!!?」

 そう言ってあなたが手を添えたのは、私の足の裏。
 大きくMの字に開いた足は、指の一本一本まで開かれて拘束されている。
 無理やり反らされた足の裏は、それだけで敏感だった。あなたが軽く触れただけで、私は腰をびくりと震わせて悲鳴を上げた。

 あなたは、瓶の中の液体を、自身の手のひらに落としてゆく。

「ぁ……! やめ、止めてぇッ!!? そんなの塗られたら、私、壊れちゃ……!!?」

 私は、拘束具をガチャガチャと鳴り響かせながら暴れ出した。
 私の脳は独りでに、全身を敏感にさせていた薬が、両足の裏というただ二ヶ所に集中する様子を想像してしまう。
 まだくすぐられてはいない。それなのに、私の耳の奥で、またあの音が響き始めた。コチョコチョコチョ、カリカリカリ、コチョコチョ、カリカリカリカリカリ、コチョコチョ、コチョコチョコチョコチョ。

「ぁ……ッ! ひ……ッ!!?」

 壊れる。比喩なんて生易しいものではない。本当に、壊れてしまう。


「……始めます」

 恐怖で声が出せない私に、あなたは呟いた。
 顔を伏せているあなたの表情を、私は見ることが出来なかった。


24 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:23:12 CHBtZiec0
 〜・〜・〜


「――ッ!!? あひッ!! ぁ゛!!!?」

 その一瞬、私は声を上げることが出来なかった。
 それは、余りに強過ぎて。今まで感じたことのない刺激で。

 数多のくすぐりを受けてきた私でさえ、それを『くすぐったい』と感じることを遅らせた。


「ぃ゛あ゛ぁあぁぁっははははははははははははははははははははははははッ!!!? な゛ッ!!? ひはッ!!!? あ゛ぎゃあぁぁぁっひゃっははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!」

 そして、私の獣のような笑い声が地下室を響かせる。全身を縛り付ける拘束の金属音さえ、今はか細く小さなものに聞こえた。

 溢れる涙で、あなたの顔が見えなくなる。あなたが私の顔をじっと見つめている、それだけは辛うじて分かった。
 あなたは今、どんな表情をしているの? みっともない私を嗤っている? それとも、ただひたすら事務的に、無表情に私の姿を観察している?
 あなたの表情が見えないのは、何だか凄く恐かった。せめて、恥ずかしく笑い悶えている私を、どうか嫌わないで。

「あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!! あ゛ひがぁッ!! あひぎゃあ゛ぁぁっひゃっははははははははははははははははははははははッ!!!?」

 足の裏に襲い掛かるくすぐったさは、まるで衰えることはない。それどころか、段々と薬が沁み込んでゆくのだろう、ますます強くなってゆく。
 神経の隅々まで、骨の芯までくすぐったさが襲い掛かる。身体と意識が剥離する。私は、脳がどろどろに溶かされてゆくような心地すらした。


 あなたは、私の足の裏をくすぐり続ける。

「あ゛に゛ゃぁ゛あぁぁあっひゃっはははははははははははははははッ!!! しょ、しょろ゛おぉぉおぉっほほほほほほほほほ!!!? ひゃめ゛、しぬ゛ッ!!? しんじゃあ゛あ゛ぁぁ゛あぁぁっはははははははははははははははははははは!!!!」

 土踏まずに激しく指を這わせられる。
 ぽこんとへこんだくぼみに薬を塗り付け、指先でそれを掻き出し、そして再び塗り付ける。終わることのない塗布作業に、私は涙を撒き散らした。噴き出す汗は、薬の効果を薄めてはくれなかった。

「ふひゃあ゛ぁ゛ぁあぁああぁぁぁぁぁッ!!!? ひゃらッ!!? しょれッ!!! へん、にぃいぃぃぃッ!!? ぃ゛ぎゃあぁぁあぁぁっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!!」

 指の間を、しつこくほじくられる。
 大きく開かれた指の間は、あなたの指をすんなりと受け入れる。入り込んだ指が、時折足の甲まで撫で姦す。慣れない場所を責められる不思議なくすぐったさは、私の身体を不自然にがくがくと震わせた。

「ぃ゛い゛ぃ゛ぃッ!!!? く゛、くる゛ひいぃぃっひひひゃひゃひゃひゃぁっははははははははははははははははは!!! こわ゛れるうぅ゛ッ!!! こわれ゛ひゃあ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁあっははははははははははははははははははははははははッ!!!!?」

 指の付け根からかかとまで、爪で激しく引っ掻かれる。
 足の皮を剥いてしまうぐらいに激しい責めは、潤滑剤となった薬と共に、頭まで響かせるくすぐったさを与え続けた。全然痛くない、そして、酷くくすぐったかった。
 かぎ状に曲げられた指が、何度も何度も足の裏を往復する。時には指を揃えて、時には不規則に指を蠢かせて、何度も何度も足の裏を引っ掻き続ける。余りに激し過ぎるくすぐったさは全身にまで伝わり、私にありとあらゆる場所をくすぐられている錯覚すら与え始めた。

「あ゛あぁ゛ぁぁ゛っはははははははっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!? しょ゛ろ゛ぉ゛ぉお゛ぉぁあ゛ぁあっはははははははははははははははははは!!!! や゛めぇッ!! や゛め゛えぇぇっへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!!!」

 私は、ずっと笑い続けた。
 喉が千切れてしまいそうな程に声を張り上げて。涙と汗と涎に全身を塗れさせて。燃え尽きる程に身体を熱くさせて。

 そんな私を、あなたはずっと見つめていた。
 涙が溢れる私の瞳は、あなたの表情を伺うことは出来なかった。それでも、あなたがずっと私の顔をみていることだけは分かった。

――恥ずかしいよ、ショロ。こんな顔を見つめて、良いことなんてないよ――
 あなたは、それを聞いてはくれない。私を、ずっとくすぐり犯し続けた。


25 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:23:31 CHBtZiec0
 〜・〜・〜


 些細な後悔が、大きな災厄に繋がることがある。
 今の私にとって、後悔とは、履いていたジーンズのことだった。

「あ゛ぁあ゛あぁぁッ!!!? も゛ぉ、や゛めぇぇえっへへへへへへへへへへへへへへへへ!!!? も゛れひゃあ゛ぁッ!!? でひゃあ゛あ゛ぁぁあ゛ぁ゛ぁっはははははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!!?」

 それは、不意に起きたことだった。
 いや、もしかしたら、それはじわじわと訪れていたことなのかもしれない。
 ただ、余りのくすぐったさに気付かなかっただけで。

 お腹に感じる圧迫感。腰に走るむずむずとした感触。
 それは、迫りくる尿意。

「ひゃめ゛ぇッ!!? ほん、とぉ゛に゛いぃぃ゛っひひひゃひゃひゃはっはははははははははははッ、ぁ゛あ゛あっははははははははははははははは!!!? ら゛めぇッ!! ら゛め゛なのぉ゛おおおぉぉおおっほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!! ぃ゛、あ゛、ああぁぁぁぁぁッ!!!!?」

 だけど、気付いた時には遅かった。
 私の訴えは、あなたが聞き取るには余りに不明瞭だった。
 襲い掛かるくすぐったさは、私が尿意を我慢するには余りに激し過ぎた。


「ぃ゛や゛ッ、ああぁぁぁッ!!!! ――あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!?」

 私は、あっという間に失禁した。
 同時に私は、図らずとも秘部を意識し始めてしまう。足の裏から襲い掛かるくすぐったさと、失禁する解放感が混ざり合い……。

「あ゛ぁ゛あぁぁあぁっはははははははははははははははッ!!!? イッ!!? いッ!!? ――あ゛あ゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛ぁああぁぁあぁぁああああああッ!!!!!」

 私は、失禁と同時に絶頂に達した。


 そして、本当に大変だったのは、これからだった。


 もしも、私がお漏らししたと気付いていたら、あなたはくすぐる手を止めたかもしれない。冷静で優しいあなたなら、そうしただろう。

 だけど今、くすぐる手は止まっていない。
 あなたが、それに気付いてはいなかったから。

「い゛あ゛あぁぁぁぁあ゛ぁぁあッ!!!? あ゛ぎゃあ゛あ゛あぁぁあぁぁあっははははははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!? ら゛え゛ぇッ!! や゛え゛え゛ぇぇえぇぁ゛あぁ゛ああああっはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!!?」

 私が履いていた厚手のジーンズは、私の尿を臭いまで遮った。
 下着はもうぐしょぐしょで気持ちが悪い。それなのに、私の尿は衣服の外へは中々染み出さず、衣服の裏側でたぷたぷと溜まり続けていた。
 私の顔をじっと見つめているあなたが私の失禁に気付いたのは、もうしばらく後。


 それまでずっと、あなたは私をくすぐり続けた。

「あ゛びゃあぁぁあ゛っひゃはははははははははははははははははひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!!? し゛ぬ゛う゛ぅ゛うぁ゛あぁ゛あっひゃははははははははははははははははッ!!!? あ゛ぁ゛ッ!! ぁ゛あぁ゛っはははははははははははははははははははは!!!!」

 足の裏をくすぐり続けた。

「あ゛め゛ッ!!!? ま゛た、イ゛うッ!!!? イ゛、あ゛ぁ゛ッ!!? ――ぁ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛ああぁぁぁあああああっははははははははははははははははははははははッ!!!?」

 くすぐり続けた。

「あ゛ぎゃああぁぁあぁぁぁぁああっひゃははははははははははははははははははははははッ!!!!? ひゃ゛あぁぁっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!! ぁ゛あぁぁあぁぁぁぁああああああ゛っはははははははははははははははははははは……ッ!!!!! ぁ゛……、あ゛ぁ゛……ッ!!!?」


 ついに、私の意識は、深い闇に覆われてゆくのだった。


26 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:24:16 CHBtZiec0
 〜・〜・〜

――――
――


「んっ……うぅ……っ?」
「オネア様っ!!?」
「わっ!?」
「っ……! ぐすっ、ぅっ……! ぅえぇぇ……っ!」

 どれくらいの間眠っていたのだろう。地下室の隅に置かれたベッドの上、そこで目を覚まして早々、私は面喰らった。
 あなたが私に勢い良く抱き付き、嗚咽を上げて泣き始めたのだから。

「ごめ゛んなさい……! ごめ゛んな゛さぃ゛……っ!」

 その言葉に、私は先程までの出来事を思い出す。
 それと同時に、私の身体がかっと熱くなった。

 私は、自分の身体を見下ろす。
 私の身体にはお漏らしをした跡もなく、清潔な下着に着替えられていた。
 あなたが、着替えさせてくれたのかな? そう思うと、何だか顔が凄く熱かった。

 そして顔を上げて、あなたの顔を見つめる。
 綺麗な瞳は涙でぐしゃぐしゃ、鼻水まで垂れてしまっている。
 本当に、情けない顔。


 私は、あなたの背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめる。

「反省してる?」
「はい゛! しでますっ! すみ゛ま゛せんでした……っ!」
「そっか」
「う゛っ、え゛……っ! え゛ぇぇ……!」

 そして、私はあなたの頭を優しく撫で始めた。

――今回は、やり過ぎかな――
 だけど、私はそれを言葉にはしない。
 だって、あなたはこんなにも泣いてくれているのだから。こんなにも、私を想ってくれているのだから。
 だから、それ以上の言葉なんて、要らなかった。


 あなたは、私の胸の中で泣き続ける。
 その姿は年相応、まだ幼い子供の姿だった。

――あぁ、愛おしい――


27 : 辛くて、苦しくて。甘くて、愛おしくて。 :2013/08/31(土) 17:25:25 CHBtZiec0
 〜・〜・〜


「ねぇ、一つだけ教えて」
「……はい」

 あなたが落ち着いた頃、私はあなたを胸に抱いたまま尋ねた。

「あなたにとって、『特訓』って何?」
「何、ですか……?」
「私を鍛えるための『特訓』。本当に、それだけ?」
「ぇ……」
「私を鍛えるためだけなら、あそこまでさじ加減間違えたりしないわよね」

 そして、私はあなたの肩を優しく掴む。あなたの顔を胸から優しく離し、目をじっと見つめて問うた。


「あなたにとって、『これ』は何?」
「…………」


 次の瞬間、あなたは目を逸らす。
 そして、『何を言っているんですか』なんて、いつもの調子で溜息を付く。
 また、大人びた子どもに戻る。

 その質問に、答えてはくれない。

 だけど、私はそれで良い。
 あなたの瞳の中に、はっきりと見ることが出来たから。
 言葉を聞くことなく、あなたの綺麗な瞳から、その答えを得ることが出来た。

 あなたが『これ』に宿した、特別な想いを。


 だから、私はそれで良い。
 私は、あなたの表情を今やっと知ることが出来た。

 私の制止も聞かず、やり過ぎてしまった、本当の理由。
 とても簡単な理由、《興奮していたから》。

 そう思うと、凄く恥ずかしい。そして、嬉しかった。

「さて、そろそろ夕飯の準備をしに行きますね」
「えぇーっ。もっと添い寝してよぉ、ショロぉ〜」
「だ、駄目です! そんなこと言ってると、夕飯抜きですよ!」

 こなくそぉ。私はあなたの腰にしがみ付き続けた。


 私たちはこれからも、『これ』を続けるのだろう。
 毎日毎日、私はあなたに身体をくすぐられる。
 それは、『特訓』以上の『何か』。

 それは、とても辛くて、苦しくて。
 そして、甘くて、愛おしい。


 〜・〜・〜

 以上、続きません。レスを沢山頂いてしまいましたが、楽しんで頂けたら幸いです。
 今後とも、素敵な作品を心待ちにしております。

 こなくそぉ。(原作では一度も言わない)


28 : DDD :2013/08/31(土) 18:21:06 lJN5Hm9A0
 こなくそぉ。(´゚д゚`)
どこで使おうか迷うぞこなくそぉ。


29 : くすぐり好きの名無しさん :2013/09/02(月) 02:59:47 kmIFn50s0
久々に新作が着てたか
どちらさんも乙ですw


30 : 八国主 :2013/09/02(月) 19:59:51 zvjx8HBA0
前回投下した時、何故か明日も投下する的なこと言ってましたねww
そんなつもりなかったのに……
兎も角投下始めます


31 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:02:22 zvjx8HBA0
チューブを絞ってパレットに色を乗せ、水をたっぷり含んだ絵筆で適度に溶く。
ある程度色素が薄まるまで他の色を足し、イメージ通りの色ができたら、あとはキャンパスに塗っていくだけだ。
絵筆を持ってシノちゃんの脇に腰掛けると、目だけがこちらを向いた。
「せんぱい、何を描くつもりなんですか?」
「それはできてからのお楽しみ」
自画像はひとまずお預けにし、私は無難に花でも描くことにした。
彼女の上半身全体を一面様々な色の草花で彩るのだ。
「じゃあ始めるよ」
下書きも何もない真っ白なお腹に私は薄い緑を乗せた平筆を垂直に立てた。


32 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:05:38 zvjx8HBA0
「……っ」
絵の具を冷たく感じたようで、彼女はぴくんと身じろいだ。
目を瞑り、半開きの口からは温かい息が漏れていた。彼女の官能的な表情に、呼吸が心なしか速くなる。
私は絵筆を立てたまま、お臍の横を掠めるようにすぅっと茎を伸ばそうとした。
「ぃひゃ!?」
その時、奇声をあげてキャンパスが大きく横に揺れた。
おかげで絵筆の軌道も大きく横にずれてしまう。
「あ……」
慌てて絵筆を離した時には既に茎は真ん中で極端に折れ曲がっていた。
「す、すみません。その、思ってた以上にこそばゆくて……」
うっすら鳥肌が立っているお腹を彼女は片手で押さえた。
直接肌を筆で撫でられているのだから、まだ慣れないうちはくすぐったいかもしれない。
「大丈夫、大丈夫。謝るほどの事じゃないよ」
それに、私は美しい絵を仕上げようとはしていない。
ただ美しい身体に絵を描きたいだけなのだから、茎の二本や三本折れたところで構わなかった。


33 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:45:06 lPsDb5p60
しかし。
「ううん、せんぱいの邪魔をしちゃ悪いですから。こそばゆくても我慢します」
私の心情とは裏腹に、彼女はどこまでも真面目だった。
いつだってシノちゃんはそうだ。
私が巫山戯ている様子を一歩引いた所から眺めている。
えっちな悪戯をして、恥ずかしがったりはするけど自分から仕掛けたりはしてこない。
そんな真面目な彼女だから、ついからかったりして虐めたくなってしまう。
彼女の言葉は、知らず知らずのうちに私を意地悪にさせる。
今夜もやはりそうだった。
「ふぅん、動かないでいられるの?」
「なるべく、耐えられるよう頑張ります」
「そっか、そっか……」
私の笑みから何か不穏なものを感じ取ったか、彼女は顔を強張らせた。
「せ、せんぱい?」
不安げな声は私の嗜虐心を掻き立てる。


34 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:50:05 lPsDb5p60
私は妖艶な肢体に跨って、パレットで水分を充分補給させた絵筆を脇腹あたりにそっと添えた。
「やっ、ちょっ……!」
後輩の上半身は、毛先が触れただけでも、敏感な反応を示した。
「脇腹はダメ?」
まだ動かしていないにも関わらず、むず痒そうに頬をひくつかせる様子を楽しみながら、私は聞いた。
「だ、駄目です。まさか、ここに何か絵を描くんですか?」
「そうだよ。だから、辛いかもしれないけど動かないで欲しいな。 できるよねぇ?」
彼女は言葉に詰まった。
けれど、私の期待のこもった目に応えたかったのか、弱々しく首肯した。
「偉いよ、シノちゃん」
片手で彼女の頭を撫でると、彼女の顔に気恥ずかしさと嬉しさの混じった表情が浮かんだ。
全身の緊張が僅かに緩んだ隙を見逃さず、私は絵筆を滑らせた。
「ひにゃはは!?」
不意打ちの効果は絶大で、寮室に悲鳴じみた甲高い笑い声が迸った。
彼女の口からこんな笑い声を聞いたのは初めてだ。
「せ、せんぱい! いきなりはやめてください」
相当くすぐったかったようで、彼女の手は絵筆を握る私の右手首を無意識に捕まえていた。


35 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:52:00 lPsDb5p60

「シノちゃんの声、可愛いね」
私は興奮を隠しきれないでいた。
もっとくすぐったさに悶える彼女を眺めてみたかった。
絵筆の動きを止めているシノちゃんの華奢な手を容易く引き剥がし、くびれたウエストに楕円形の葉を描いていく。
「やは、あ、んふふっ! 待って、せんぱっ……ぃははっ!」
身動きをしないよう堪えている所為か、喘ぎ声とも笑い声ともつかない悩ましい声があがった。
滑らかで瑞々しい肌を穂先が走るたびに、腹部の内側から笑いの衝動がこみ上げる。
通電でもされているかのように、反射的に仰け反りそうになる身体を抑えて、彼女は歯を食いしばった。
くすぐったい。なり振り構わず大笑いしたい。
でも、羞恥心からそれを我慢している。
そんな表情だった。
もしかすると大笑いを始めることで今の体勢を崩す可能性を懸念しているのかもしれない。
私のお絵描きを邪魔しないよう腹筋まで痙攣させて、健気にも彼女は耐え続けていた。


36 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:55:26 lPsDb5p60

花は薔薇を描こうと決めていた。
色素の薄い雪色の肌には薔薇の真紅がよく映える。
私は片手でシノちゃんの脇腹に色を塗りながら、もう一方の手で丸筆を持った。
パレット上に出してある臙脂色を少量掬い、筆先に馴染ませてから持ち替える。
私は平筆を置くと、臙脂色に染まった丸筆を彼女の胸の脇辺りに下ろした。
「はぐぅ!?」
予想を上回る刺激に襲われたのか、シノちゃんは変な呻き声をあげて、身体を硬直させた。
毛質が変わってくすぐったさが増したのが原因か、はたまた腋や胸など性感帯に近い場所を撫でられたのが原因か、彼女は最早笑い声を抑えられなくなっていた。
「は、ひひっ! ひふっ、くふふ、くふふふふっ……!」
大人しく身体に絵を描かれるのもかなり辛くなってきたようで、彼女は両脚をばたばたさせ始めた。


37 : 八国主 :2013/09/02(月) 20:59:11 lPsDb5p60

「くすぐったい?」
分かりきっていることをわざと聞いてみる。
シノちゃんは、絶え間無く溢れる小さなくすくす笑いを止められないまま、必死に頷いてくだらない質問に応えた。
今、言葉を発したら笑い声を溜めていたダムが決壊してしまうことを悟っているようだ。
「あのさ。動いちゃ駄目とは言ったけど、別に笑い声まで我慢する必要はないんだよ?」
笑い声を我慢しなければ、身動きを耐えることもできない。
それを知っていながら私は意地悪をした。
「ねえ。シノちゃんの爆笑、聞かせてよ?」
筆の動きを止めることなく、ゆっくりと上体を下げていく。
彼女の可愛い顔が真近に迫った。
キスできる距離だ。
でも、私の標的は紅潮した頬でも、つやつやと艶やかに誘う唇でもない。
彼女の側頭部の方へ首を伸ばし、赤く熟れた小さい耳に口を寄せる。
身体の下で彼女が跳ねたのが分かった。
耳たぶの産毛を唇でなぞり、色っぽいうなじに鳥肌がぞわぞわと立つのを眺めて笑う。
「ね、笑って……? 可愛い鳴き声、聞きたいな。シノちゃん」
そして、少しだけ
ほんの少しだけ強く、甘噛みした。


38 : 八国主 :2013/09/02(月) 21:04:22 lPsDb5p60

その瞬間。
嬌声が勝手に私から飛び出した。
びくびくっと全身に震えが伝播する。
限界だった。
もう耐えていられない。
津波が押し寄せるような止めようのない激しい衝動が喉元までせり上がる。
両手で口を塞ごうとしたけれど、とても間に合わない。
声が濁流となって、噴き出した。
「ぷ、っははははははははははははははははははっ!!」
胸の横、肋骨の辺りをくしゅくしゅと筆がかき回す。
意識が飲み込まれそうな程のくすぐったさに襲われて、溺れているみたいに手足をばたつかせて身悶えた。
「ひゃはははははははははははっ!!」
くすぐったい
お願い、やめて……!
「あひはははははは、っひゃひゃひゃはははっ!!」
制止の言葉は激しい笑い声にかき消されてしまう。

ずっと今まで溜め込んできた笑い声を、私は全てぶちまけていた。


39 : 八国主 :2013/09/02(月) 21:09:48 lPsDb5p60
たった一本の筆にくすぐられてるだけなのに、おかしくなるほど笑っちゃう、そういうシチュが好きです
それでは、また後日きまーす


40 : くすぐり好きの名無しさん :2013/09/02(月) 21:34:15 kmIFn50s0
乙です
筆責めは快楽責めのみが多くて困るw


41 : くすぐり好きの名無しさん :2013/09/02(月) 22:49:37 4Zitcacw0
新作が続々あるな
どれも素晴らしいです


42 : 紋華青龍蝦 :2013/09/15(日) 19:22:45 hIaO3y2cO
女子バレー部くすぐり訓練


とある高校の女子バレー部。
身長の高い選手が多く、全国大会常連の強豪だ。
しかも、部員全員がなかなかかわいい。
その為メディアからも注目されている。
そんな女子バレー部にはある伝統の特別な訓練方法が存在する。



「なにしてんだ!しっかりあげろ!」
夜の体育館。
夜練中の女子バレー部監督、工藤永都子(35)は声荒らげる。
「もっと素早く動け!ちゃんとボールの下に入るんだ!」
永都子自身もこの高校の卒業生であり、もちろん高校生時代はあの訓練を受けたことがある。
3年生最後の大会を前に練習に熱が入る。
「集中しろ!今度こそ全国大会優勝するんだろ!!」 そう、この女子バレー部は全国大会常連ではあるが、優勝したことは一度もない。
だから永都子はなんとしてでもこの女子バレー部を優勝させてやりたい。
「ストップ!全員一旦集合!」
永都子の号令で全員が永都子のまわりに集まってくる。
「あなたたちしっかりしなさい。疲れているのはわかるけど、これくらいでへばっていたら優勝なんて無理よ!」
「はい!!」
大きな声で返事をする部員たち。
しかし、皆疲労の色が隠せない。
「………これからある特別訓練をします。」


43 : 紋華青龍蝦 :2013/09/16(月) 02:21:52 r72AWATQO

「え…?」
「と、特別な訓練…?」
部員たちがざわつく。
「私がこの学校の生徒だったころから…、いや、もっと前からあった女子バレー部独自の訓練方法よ。…最近はしてなかったけど、今の3年生は1年生の時に一度見たことがあるはず。」
「あ…」
何かを思いだし少し怯える3年生レギュラー陣。
「あなたたちがどうしても嫌ならしないわ…でも、私はあの訓練には見た目以上に効果があると思う。」
永都子の言葉に悩む3年生レギュラー陣。
なんのことやらさっぱりな1、2年生たち。
そして、3年生たちが答える。
「…はい。お願いします。私たち強くなりたいんです。」
「…わかったわ。」


コートの真ん中に円を描き座る部員たち。中心には永都子。
「まずは志乃。あなたからよ。」

二階堂志乃。ポニーテールの女の子。サーブが強い。身長174cm。

永都子に呼ばれ円の中心に行く。
「志乃、バンザイしなさい。腕を降ろしてはダメよ。」
「は、はい。」
志乃は言われた通りバンザイをする。
少しピチッとしたユニフォームは汗と腕をあげた体勢により、さらに志乃の身体にくっつく。
志乃のスラッとした体型が良くわかる。
「いくわよ。」
1、2年生は何が起こるのかとじっと志乃と永都子を見つめている。
「いくわよ。」
永都子は志乃の後から志乃のさらけ出された腋をくすぐりだした。


44 : 紋華青龍蝦 :2013/09/16(月) 02:26:38 r72AWATQO
ミスって「いくわよ」が二回出てた。
すまぬ。


45 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/03(日) 05:13:18 mQ/zcE8g0
長いくすぐり小説があります。せっかくなので投下させていただきます。
長いです。


46 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:16:02 mQ/zcE8g0


                ダゴチ
                                           著・青下 弘














〜ルサールカ русалка ―――妖怪或いは水の精〜
 ルサーリー週間中はルサールカによる危害を防ぐために、様々なタブーが課せられてい
る。(中略)要するに、ルサールカの依代、ルサールカが現れそうな場所には近寄るべから
ずということである。この掟を破るとルサールカの怒りに触れ、畑の作物に危害を加えられ
たり、くすぐり殺されたりすることになる。
 (中略)「昔はルサールカがたくさんにて、森の木の枝に腰掛けて身体を揺すっていたもの
だよ。夜だけじゃなくて、真昼もさ」。樹上のルサールカは美しい声で歌をうたって若者を魅
惑し、くすぐり殺す。ルサールカの虜になって殺された男はたくさんいる。
 犠牲者の中には、ルサールカと契約を結んだ男によって命を奪われた人もいた。
                 斉藤君子 1999,『ロシアの妖怪たち』大修館書店






「狭い…」
と開口一番に不満をこぼしたのはミヤコ(源氏名)、という女性。身長は155cm前後で、大
人になりきれていないあどけない小顔が、校則違反にならない程度の栗色のセミショートに
包まれている。きれいというよりは可愛い面貌肢体で、本人も分をわきまえているのか、そ
の特性を殺さぬよう、化粧も必要最小限に抑えている。

 無店舗型性風俗店『ティックリングサンクチュアリ』。

 事務所を兼用している待機所は、お世辞にも快適とはいえない空間であるに違いないが、
エアコンの効いた六畳の部屋で、ソファに深く腰を掛け、程よく脂の乗った両脚をブラブラさ
せながら読書をしている姿からはさほどストレスを感じさせない。
 美少女、という肩書きで十分通用するに違いないが、本人は頬骨の主張を必要以上に気
にしている。傍目にはさほど気になるものではないし、アイドルでもこの程度ならざらにいる。
しかしミヤコ自身、頬骨は厚かましさの象徴と感じており、笑顔になればなるほど際立つゆ
え、背伸び盛りのミヤコは人前で笑うことを潔しとしなかった。
 ミヤコという源氏名は自身で決めたものである。頬骨の出っ張りがミヤマクワガタの胸部
を髣髴とさせる、らしい。自虐ではなく戒めである、とのことである。

 くすぐりフェティシズム―――対象をくすぐって、悶え苦しませることにより性的快感を得る
という、不気味な性癖である。かつては拷問にも取り入れられたとされ、字面とは裏腹にハ
ードな性癖であることを物語っている。嬲りに嬲り、蹂躙に蹂躙を重ね、否応なく執拗に精神
の崩壊を貪るという悪辣極まる最低の嫌がらせである。
 ティックリング(=くすぐり)サンクチュアリという屋号通り、そこはそんな症状を患った人間
がやりどころのない呪われた情動を遺憾なく発揮するにお誂え向きの狂宴の舞台となって
いる。かつては宗教的儀式に基づいて選出されたであろうその生贄、現代ではすっかり“仕
事”という観念が板についており、高収入という単語に惹かれて自ら立候補した女性を、ブ
レーキを踏みながら法律とお店のルールの範囲内で楽しむという、世知辛くも人道的な体
制が一般的となった。
 社会単位で陵辱する風習が廃れ、今や社会が陵辱から守ってくれる。そう信じて望んだ
ミヤコの初仕事―――


47 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:18:49 mQ/zcE8g0
20××年、某月某日、18時、ホテル『スカーレットエルフ』702号室



「こんにちはー…」
 コッ、コッと控えめな音を厚い扉に飲み込ませた後、覗き込むようにゆっくりとドアを開け
た。三時間で九千円弱、このホテルで最も贅沢な部屋には一寸覗いただけでもはっきりと
わかる絢爛さが其処彼処に鏤められていた。一際目を引いたのは波打った大きな板を立
てたような平べったい水槽。その中で石鯛模様をした四匹のエンゼルフィッシュが漫ろな小
型魚との混泳を許しつつ静かに泳いでいた。ローソク型の電球をデザインに取り入れたシャ
ンデリア、ロングサイズのクイーンベッド、そしてその二つの高級家具の間にぼんやりとあぐ
らをかいている男がいた。
 ミヤコにとってはじめての『お客様』。周囲の趣向に富んだインテリアと馴染む気が微塵も
感じられない軽そうなグレイのウインドブレイカーを纏ったその男は、ミヤコに向かって正対
し、しばしの間を置いた後、座ったまま丁寧に頭を下げた。
 「高平啓二」と名乗ったその男、髪が軽く濡れていることから察するにミヤコが来るまでの
間にシャワーを済ませていたのだろう。表向きは最低限の性モラル、実際には女体を目の
前にして煩わしいシャワー云々などというやり取りの撤廃、一秒でも早く柔肌に指を食い込
ませたいだけなのだろう。
 高平はそそくさとシャワールームに向かおうとするミヤコの前に立ちはだかり、「大丈夫」と
いって手で制し、半ば強制的にベッドに向かわせた。
 シーツの上には、どこで手に入れたのだろうか、良質そうな体操着が綺麗にたたまれてい
た。丸首タイプの体操シャツ、首回りと袖口が紺に近い青で縁取られている。
 ミヤコが体操シャツを手に取ると、その下から出てきたのは縁取りと同じ色をした三角形、
体操着としては絶滅したはずのブルマだった。
 ロリータ・コンプレックス層を中心に、ただ単にコスチュームとしてそのような嗜好を持って
いる人が少なからずいることはミヤコも知らないわけではなかったが、しかし高平からはどう
にもそのような趣向に反応する雰囲気を感じられなかった。
 実際高平は、本来情欲を湧きたてるであろうミヤコの着替えシーンには目もくれず、いそ
いそとベッドの支柱に拘束具をセットしていた。まじまじと見られる覚悟をしていたミヤコに
訪れたのは安堵ではなく得体の知れない不安だった。
―――拘束具。
 ひょっとして自分はとんでもない安請け合いをしてしまったのではないだろうか。奇異な性
癖で魂を歪ませた存在に無防備な肢体を捧げる、そのことを軽く考えすぎていたのではな
いだろうか。
 不安が不安を呼び、悪いイメージばかりが先行する。そんなミヤコの背中に、
「ブラは外しておいてください」
 敬語ながらもどこか威圧感のある声が掛けられた。
 返答するタイミングを逃したミヤコの懸念はいよいよ深まるばかりだった。
 着替えるミヤコの動きが次第にぎこちなくなっていく。不器用そうな指使いでブラを外しに
かかった。
 …大丈夫…大丈夫よ…。柄にもなく緊張しちゃってるんだ…。ただちょっとくすぐられるだ
けだっていうのに…何を、大袈裟な…。
 着替えを終えたミヤコは、自分にそう言い聞かせながらベッドの上で女座りをとり、高平と
向かい合う形となった。
「…では、はじめます。どうぞ…お好きになさってください」
 そう口にすると同時に、ミヤコは今回のプレイ時間である六十分に設定したキッチンタイマー
を押した。
 禍々しい、まるで周囲の空間を歪めてしまいそうな高平の両腕がスゥ…とミヤコの肢体に
向かって伸びた。


48 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:20:04 mQ/zcE8g0
 人工知能の第一人者、人工知能の父とも呼ばれるマービン・ミンスキー先生は、"笑い"に
関して次のような見解を示している。即ち、脳が『経験的に処理し切れない』と判断した情報
に対し、"笑い"は『それを考えるのはよせ』という抑圧センサーの役割を果たしている、と。
 かのフロイト先生も、禁じられた思考に直面すると笑いが発生する、という理論を提唱して
いた。思考がオーバーフローしてしまうのを防ぐため、濃すぎる情報を薄める役割を果たす
のが"笑い"、といったところだろうか。何にせよ、歴史に名を刻むお二方が合致した見解で
ある。信じねばなるまい。
 ミヤコ自身は、学歴を用いて駒を進める生き方とは縁がなかったが、知的好奇心に関して
は決して人後に落ちるものではなかった。資料集めのセンスがない分、発想は危なっかしく、
不安定を常としていたが、独創的であることに違いはなかった。
 ミヤコは、"笑い"とはある種のバグだと考えていた。壊れたテレビの砂嵐だと思っていた。
感想が文字化けし、言葉にならなかったものだと思っていた。人が笑っている姿など、動物
からしてみれば、奇態も奇態であるに違いない。
 しかし実際には、それが"抑圧センサー"の役割を果たしているという。バグに至らしめぬ
ためのテトラポッドであるらしい。
 ミンスキー先生は、人工知能を持つロボットがバグに陥らないために、"笑う"よう施す必要
があると唱える。そう考えると『笑って誤魔化す』という日本語は、中々に的を射ている。
 ここでいう"笑い"にくすぐりの"笑い"も含まれるのなら、くすぐりとは畢竟、そのシステムを
逆手に取った悪戯、身体の外側から脳髄を直接攻撃し、神に対して反逆の意を示すことに
他ならない。
 火事の煙に攻められた人が、数十階のビルから飛び降りてしまう。喉が張り付かんばかり
に渇いた海洋遭難者が、海水に魅入られてしまう。同様に、延々とくすぐられた人は、気が
狂うまで、或いは窒息するまで笑ってしまうのかもしれない。
 ミヤコは、そのような残酷な想像を繰り広げる人間ではなかった。


49 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:22:55 mQ/zcE8g0
東京都、深川区――――
 江戸の名残を随所に残し、舶来文化に迎合せざるを得なかった山の手地域をどこか他人
事のように見上げつつ、粛々と古き良き日本を継承するその下町には、今でも袴姿や着物
姿が日常的に往来を行き来している。
 大通りから少し外れたところにある食事処『深之川』で、ライトグレーのレディーススーツを
纏った妙齢の女性、片桐神楽は、やたらと量の多い深川丼を前にげんなりとしていた。
 深川名物でもあるそれは浅蜊の味噌煮込みでご飯を埋め尽くしたもので、嘗て漁師町だっ
たこの地において、漁に出る前やその只中に手軽に調理し、すばやくかき込むための男飯
として食されていた。『深之川』の深川丼は生に近い玉子でとじてあり、更にかき込みやすく
なっているが、神楽は半分を食べたところでとうとう箸を置き、店主に謝って店を後にした。
「ふぅ…、ちゃんと調べてから来るべきだったか……」
 潮の匂いを乗せた風が神楽の天然の茶髪を靡かす。肩甲骨を覆う程度に長い髪は耳横
辺りからウェーブに近い巻き髪となっており、どこぞのお嬢様といった印象を持たせている。
身長は日本人男性の平均近くあり、ややつり気味の眉目、高い鼻、冷めた口元と相俟って、
迂闊に近寄りがたい雰囲気を帯びている。線は細い方だが、女性的な丸みは強く、ジャケッ
トの一つボタンがプルプル震えんばかりに張りのある胸が前方に突き出しており、細めのブ
ーツカットパンツにはゆとりを持って脚が収まっているが、臀部ではストレッチ素材がその効
果を遺憾なく発揮している。
 その扇情的なボディラインで道行く人々の劣情を掻き立てつつ、神楽は下町に不釣合い
なファミリーレストランの脇を抜け、その背後に佇む近代的な陰気さを纏った真新しいビル
に入った。
「お疲れ様です」
 受付嬢とフラッパーゲートの脇に立哨する警備員が神楽に声を掛けた。軽く頭を下げた
神楽はIDカードをタッチしてゲートを開け、エレベーターで四階へと向かった。その場所こそ
が片桐神楽の職場、『性癖対策本部 くすぐり課』に他ならなかった。
 性癖対策本部――――今年で発足からちょうど三十年目を迎えたこの機構は、児童買春、
児童ポルノが縦横無尽に巷を横行し、それが後押しとなって人々の性生活が乱れに乱れて
いた当時、もはや一刻の猶予もないとばかりに審議も要領を得ないまま児童ポルノ法の改
正、並びに売春防止法、風俗営業法の徹底見直しがなされ、根絶やしにせんとばかりの類
を見ない一斉摘発を経た後、性生活というプライバシーの最奥といえどこれ以上野放しに
はできないという国の意向を受け、相談所程度の規模だった前身が一新、国営といっても
過言でない巨大組織となってその名を轟かせるに至った。
 犯罪抑止も然ることながら、性癖対策本部は少子化対策の一旦も担っている。受精に至
りづらい倒錯した性衝動を矯正し、自然な性生活を営んで子宝に恵まれるよう環境を整え
なければならない。
 性癖対策本部のこれまでにおける最大の功績は、性癖はある種の精神病であるという認
識を世に広め、各個人の症状を詳らかに掌握するシステムを構築したことだろう。これによ
り、どんなビデオを購入したか、どんな動画を閲覧したか等は、性癖分析データを乗せて筒
抜けとなった。性癖を、社会に管理されているのである。
 当然、世間ではこの管理体制に対する毀誉褒貶が渦巻いた。あちこちで暴動が起きるこ
とが懸念されたが、豈図らんやネットの世界が炎上しただけで、性癖管理は静かに浸透し
ていった。発足当時に最も力を入れていた児童ポルノ課には、社会情勢もあって賛同の声
が大きく、これまで以上に集中して悪徳視された愛好家諸氏は為す術もなく飲み込まれ、
ある者は改心し、ある者は管理下に入った。
 くすぐり課が設立されたのは比較的最近で、フェチ一同はこの世の終わりの如く落胆を極
めている。しかし中にはこの機会にくすぐりを卒業しようと決意を固めているものもいた。性
癖は、贈り物でもあり十字架でもある。この溢れんばかりの劣情を正常な性欲に変換でき
ないものか……そう考える人も少なくないのだろう。


50 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:23:57 mQ/zcE8g0
 神楽は肘掛け椅子に腰を下ろし、ティーカップ片手に眼下に広がる由緒ある庭園を眺め
た。
「昨日もくすぐり、今日もくすぐり……。全く、頭がおかしくなるよ」
 溜め息をついて、ダージリン・ティーを口にした。その背中に、
「お疲れ様です、班長。ティラミスがありますが…どうですか?」
 神楽よりも若い小柄な女性、七瀬川聡美が声を掛けた。胸元をフリルリボンで飾ったベー
ジュのフレアワンピースを纏っている彼女は、低身長のため丈が膝を隠すこととなり、清楚
な印象を全面に出している。首を傾ける仕草が何ともいとけなく、愛くるしい。
「いや、いい。食べていいよ」
 聡美は「やたっ」と呟いて自分の席に戻った。食べたいのなら勝手に食べればいいのに…
と神楽は苦笑いした。
 性癖対策本部、くすぐり課、特別捜査班、班長。それが片桐神楽の正式な役職である。以
前は盗撮課で課長を務めていたが、一時"くすぐり強姦"ともいうべく事件が相次ぎ、くすぐり
フェティシズムの急激な増加もデータによって明らかにされたため、高い能力を有する神楽
がこの役職に抜擢されたのだった。特別捜査班の構成員は神楽を班長とし、その下に七
瀬川聡美を含む四名が就く計五名の少数精鋭メンバーである。
 穏やかな昼が過ぎ、オレンジ色の斜陽が窓から差し込む。本日も資料の整理だけで一日
が終わるかと思われたその時、新たな資料がくすぐり課に送られてきた。
 各々が資料を手に取るや否や、弛緩していた空気が一瞬にしてピンと張り詰め、資料を
捲る紙の音だけが静かに室内に木霊した。
「や…やっぱり妖怪…か何かの仕業ですかね……?」
 聡美が手元の資料を見ながら眉を顰めた。
 ――――被害者は私立××学園に通う女学生。昨日彼女は届出もなく寮に戻らなかった。
寮側からしてみればよくあること、友達の家ににでも泊まるのだろうと大して気にもしなかっ
た。が、本日未明、その寮から約七キロメートル離れた森の中で幹周一メートルほどの樹
木に背を預け、両手を後ろに回し、蔓で両手首を繋がれているのを偶然散歩で通りかかっ
た男性が発見、病院へ搬送された。命に別状はなかったものの、被害者の女性は発見さ
れた時から「おねがい、もうくすぐらないで!」と喚き立てながら悲痛な笑い声を上げ続けて
おり、精神科で治療に当たっている今現在もその症状は続いている。尚、現場及びその周
辺には加害者の痕跡が一切見られず、被害者の証言もてんで要領を得ないため、捜査は
難航を極めている云々…………
「ああ。でなきゃ私の出る幕じゃない」
 被害者の陥った状況を自分に置き換えてしまったのか、聡美は内股になり、震える身体
を自らの腕で抱いた。
 特別捜査班の任務とは、このような現代科学では説明の付かない性犯罪の解決に当た
ることである。警察業務のそれに似ているが、科学に準拠する必要がないという点と、人を
取り締まらず、その精神を蝕んでいるものを取り締まるという点で異なる。
 神楽は班長就任直後から八面六臂の目まぐるしい活躍を見せ、殆どの事件はその日の
うちに片付けてしまう超人振りを発揮した。しかし神楽自身は、どの事件にも手応えを感じ
なかった。どうにもいたちごっこをさせられているような、腑に落ちない思いを拭えなかった。
まるで試されているような……呼び寄せられているような……。
 神楽の鬼胎を余所に、その後しばらく特別捜査班は所在無かった。上層部では神楽を盗
撮課に戻そうかという話も持ち上がっていたらしいが、そんな矢先に起こった『女学生樹木
括り付け』。これまでよりも数段悪辣で、不可解な事件に神楽は歯噛みし、己の無力さを呪っ
た。同時に自分が何らかの岐路に立たされていることを静かに悟った。


51 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:25:52 mQ/zcE8g0
「ひゥッ!?」
 不意に脇腹を撫でられたミヤコは、思いがけず咄嗟に息を吸い、しゃっくりにも似た声を
上げてしまった。
 タイマーを押してまだ二秒、藪から棒の刺激だったことも勿論あるが、それより何より、ミ
ヤコは高平の指から伝わった例えようもなく不気味で、吐き気を催すような不穏な感覚に戦
慄が走ったのだった。
 ミヤコとて無論、友達同士と戯れ合いの一環でくすぐりあったことはある。自分で触れても
何ともないのに、それが他者の手になった途端、感度は著しく膨れ上がる。
 その"くすぐったい"という感覚は幾度となく経験したのだが、高平という男に触れられた感
覚は、ミヤコの知っている"くすぐったい"とは全く異種なものだった。
 快不快に振り分けられる類の刺激ではなく、ただただ怖い。
 その恐怖感は、ミヤコの身体をダンゴ虫のように丸めさせ、硬直させた。海千山千の人
体が為せる業、百戦錬磨の自然な反応である。だが高平は、そのような堅牢たる防衛反
応を、あたかも簡単な算数の問題を解くが如く、何の気なく、瞬時に対応した。
 高平は右手の五本の指先を一つに纏め、その窄めた指先をミヤコのほんのりと赤みを
帯びた膝小僧にトン、と優しく置いた。と思う間もなく、蜘蛛の子を散らすようにその指先を
解散させた。
「ィあゥッ!」
 そのむず痒さは、丸められたミヤコの身体を展開し、弛緩させた。瞬き一つの間の出来
事だった。
 所見によっては、くすぐり合いとはある種のゲームのようなものに例えられるかもしれない。
 インターバルを挟めば、蓄積されたくすぐったさは基本的には鎮まっていく。絶え間なくくす
ぐり続ければ、体力、精神力の回復を妨げることができ、一歩、また一歩と狂気に導くことが
できる。刺激から逃れられない状況に陥った場合は、防擽チョッキを纏うことで少しでもダメー
ジ効率を下げる必要がある。それが狂笑、叫喚、恐慌、嬌態等の喜怒哀楽、感情表現とし
て表出するのだろう。
 論を俟たず、闇雲にスピードを重視してくすぐり続ければよいというほど単純なものではな
い。脳にストレス、ダメージを与えるためには、"くすぐったい"という異様な情報を、一旦受
信させなければならない。処理の追いつくギリギリのラインを随時見極めることが責め手の
技量となる。
 高平はしばし動きを止め、ミヤコの様子を窺った。
 ミヤコはというと、相手に脅威を感じている本能が踵を返そうとすると同時に、仕事という
義務感に背中を押されて膠着し、何とも中途半端な表情、体勢で高鳴る動悸を鎮めようと
していた。しかし平静を取り戻す糸口さえ与えられずに、
「仰向けで大の字になってください」
 ミニバレーのボールをつかもうとするような、それぞれに軽く弧を描かせた十本の指をミヤ
コの前に掲げながら、高平はそう指示した。
 そんな両の手を眼前に、無防備な体勢を献上することが、如何に恐ろしく、度し難いか…。
内へ内へと逆らう手足をようやく四方へ解放したかと思いきや、高平がほんの少し手を近
づけた途端、ミヤコは咄嗟に身体を丸めてしまった。


52 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:27:38 mQ/zcE8g0
 「仰向けで大の字になってください」
 まるで録音していたかのように、高平は同じ調子で同じ台詞を吐いた。ミヤコは固唾を呑
み、瞼と唇をギュッ、と閉じた後、再び手足を四方へ伸ばそうと試みた。
 …次は決して身体を丸めたりしない。ゆっくりと迫りくる手がそのまま肌に触れようとも逃
げるものか。リラックス…リラックス…
 そんな悠長なことを考えているミヤコの脇腹が、突如高平の十本の指で、挟まれまれるよ
うに鷲掴みにされた。
「ぃやはっ!?」
 掲げられた手の行き先をろくに見てなかったミヤコにとっては、当然それは予測できない
刺激だった。
 高平はそのまま責めに入ることもなく、すぐに手を離した。どのような反応を示すかなど、
百も承知だったのだろう。ミヤコは決意も虚しく、また咄嗟に体を丸めてしまった。
「仰向けで大の字になってください」
 ゴメンナサイ、と謝罪の言葉を入れる間もなく、高平は機械的に言葉を発した。ミヤコは
恐怖と緊張で、まるで横隔膜が痙攣しているかのように、呼気に震えが帯び始めた。同時
に、如何にこの仕事を軽く捉えていたか、如何に知られざる性の世界を楽観視していたか、
そしてこの後、如何ほどの地獄が待ち受けているのかを、肌でひしひしと感じるのだった。
 三度大の字に身体を広げたミヤコは、首を軽く浮かせ、視線を高平の十の指先に固定し
た。
 紅潮を通り越し、青白くなりかけているミヤコの顔を一瞥し、高平はテレビのリモコンを取
るかのように、何の気なしにミヤコの脇腹、先程よりも下半身寄りの箇所をソッ…と掴み、
二秒間ほど指先を躍らせた。
「…っ! きゃはははははっ! はっ…」
 とうとうミヤコは、フェチ垂涎の笑い声を上げるに至ってしまった。
 平素はどちらかといえば落ち着いた口調を常とし、年頃の女子にありがちな、捲し立てる
ような物言いを決してしないミヤコだったが、笑い声に関しては年相応、若い女性ならでは
の高音域、高速度のあどけなさ、未熟さ、擦れ枯らしのなさを演出し、それでいて随所に大
人の艶やかさ、諦念、せつなさを帯びた、何とも嗜虐心をそそる悲鳴だった。
 僅か二秒という時間ながら、高平の十本の指は、それぞれ十往復もの運動をした。
 当然、その動きが紡ぎ出す異様な刺激を受けたミヤコは、大の字を保っていられる筈も
なく、今まで以上に必死に身体を丸めた。それだけにとどまらず、本能を抑えきれなかった
のだろう、無意識にベッドから降りようとする動きさえ見せた。
「はっ…はっ…、はぁ…はぁ…はぁ…」
 笑いの名残と、加速する恐怖とで息を荒げるミヤコを、高平は威圧と蔑みを微かに織り交
ぜた、無表情に近い顔でジッ…と見つめていた。先の台詞が繰り返されることはなかったが、
息の詰まるような沈黙は、言葉以上に命令を明白にした。
 人間とは、こんなにも縋りようのない顔をするものなのか。悉く世界観を踏み躙られるミヤ
コはそう感じながらも、何とか活路を見出そう、少しでも適応できるようになろうと、健気に
気力を振り絞り、ゆっくりと手足を展開し、無防備な体操シャツとブルマを晒した。
 間髪入れず、高平は先程と同様、ミヤコの下半身寄りの脇腹をソッ…と掴んだ。
「ヒッ…」
 と声帯を通して短く息を吸ったミヤコは、先程のくすぐったさが脳裡を過るも、負けじと本能
を押し殺し、身構えた。


53 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:28:53 mQ/zcE8g0
しかし次の瞬間、高平の十本の指が、それぞれ不規則に往復運動を始めたものだから
「アッ!? あははははははっ!」
 その意想外の煽動に、ミヤコはひとたまりもなく大の字を崩してしまった。
 実のところ、単純な規則性のある動きだったのだが、ミヤコは前の感覚への固着が過ぎ
たため、にわかにはその規則性を見出すことができなかった。
 先と同様、ミヤコの大の字が歪むと同時に、高平は手を離した。
 …大丈夫…もうすぐ慣れる…。大丈夫…。
 現実とは裏腹な自己暗示を掛けつつミヤコは、刺激を処理しきろうと神経を研ぎ澄まし、
涙目になりながらも、震える大の字を描いた。
 一見したところ、全うな思考による全うな意気込み、だが実際それは相手の思う壺だった。
辿るべきではない心得に、ミヤコは気付くことができなかった。
 ビギナーズラック―――。賭博の世界には馴染みの言葉だが、汎用性が高く、勝負事の
多くに親交を持っている。
 原点にして頂点…あの頃が一番よかったのに…あれは一体何だったんだ…ああ、あい
つはあの時でき過ぎてたんだな…と揶揄されながら朽ち果てていく。
 素人というのは、ある意味では百戦錬磨なのかもしれない。とあるルールある勝負事とい
う小さな世界に囚われず、長年積み重ねてきた、それこそ遺伝子レベルにまで達する膨大
な経験を武器に、縦横無尽に秩序を乱し、勝負の世界を攪拌してくる。ベテランの手練手
管を蹴散らす上、勘も鋭く、何も考えていないようで、その実、高い処理能力を有している。
 しかし学習能力の高い人類は、晴れて素人を卒業した途端、近い過去に魅入られてしま
い、己の位置を把握すると同時に現実に圧倒され、その世界の理に巻き込まれながら、一
から積み重ねざるを得なくなる。
 くすぐりに関しても、これと似たようなことがいえる。
 高平は、わかりやすい動きから始め、順を踏んでミヤコを責めることにより、頭と身体に
敢えて学習させたのである。寝起きの人間を大笑いさせるのは容易ではない。エンジンを
掛け、トップギアにまで持ち込まなければ、刺激の凄まじさに理解が及ばず、強烈な責めに
対し、十分な反応を示してはくれない。
 高平のそのような目論見など露知らぬミヤコは、不憫にも学習し、哀しくも集中してしま
い、次こそは我慢してみせると、いよいよ躍起になるばかりだった。
 そのような思考パターンに嵌ったが最後、賭博で大負けするかの如く、精根尽きるまで、
泥沼で足掻き続けることとなる。
「…っ、はぁっ…はぁっ…、う、うぅ…」
 くすぐりは、集中してしまった方が負けとなるタイプの勝負事なのかもしれない。専心すれ
ばするほど、神経は過敏になり、ミヤコの全身を覆う透き通るように白く、柔らかい肌は、た
だくすぐられるためだけに存在する玩具となる。
 高平は再び、大の字になったミヤコの下半身寄りの脇腹に向けて、ヌッ…と手を伸ばした。
ミヤコが震える深呼吸をしたのを確認した後、先程よりも若干大きく、逆立ちするくらいの手
の開き具合で、ミヤコの体幹を左右から挟んだ。
 息を止めていたミヤコは、声こそ上げなかったものの、その反動で、ビクンッ、とブルマに
覆われた臀部を浮かせた。
 大の字は、辛うじて保たれていた。しかし息をつく間もなく、高平はミヤコの脇腹を、巧妙
な強弱を織り交ぜて、容赦なくくすぐった。
「く…くゃははははっ! あぁ、あはっ、あははっ、やはっ!? きゃははははははっ!」
 今までにないほどに長く、気持ち悪く、複雑に神経を逆撫でする強烈な責めに、ミヤコは
廊下に漏れるほどの、激越な笑い声を上げた。
 同時に、ビクンビクンッと体躯を痙攣させ、その十本の指から逃れようと、大の字の影も
残さずに身体を丸めた。


54 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:29:54 mQ/zcE8g0
 しかし一旦指の動きは止まったものの、これまでのように高平の手がミヤコの胴体から
離されることはなかった。ミヤコは高平に脇腹を掴まれたまま、今にも蠢きそうな十の刺激
を蒙ったまま、女体で大の字を描かなければならなかった。そのような不条理を強要されて
いることに気付いた途端、ミヤコは恐怖で顔から血の気が引いていくのを感じた。
 高平にジィ…と見据えられ、早く身体を開かなければ…と思うものの、本能が内へ内へと
圧力を掛け、空手の三戦(サンチン)立ちのような、どっちつかずの恰好のまま、焦点の合
わない、どこか許しを請うような瞳で高平を見上げた。
 正常な人間だったら、余りにも儚く、弱々しいその姿に母性が働き、当然、守る方向に思
考のベクトルを向ける。このような状況に追い込んだ存在に対し、心の中で制裁の炎を宿
らせる。
 逆に、ネジの外れた人間は、「もっと虐めたらどうなるの?」と好奇心を込み上げずにはい
られない。或いは、その程度で音を上げている甘えが癪に障って仕方がない。虎視眈々と
逃げの算盤を弾く姿に、義憤さえ覚える。
 高平に関しては前者、最も単純にして、最も厄介。ただ純粋にくすぐり狂わせたい、その
一点張りであった。
 高平は、動きの止まったミヤコに対し、息を吹き込むが如く、十本の指をキュッ、と一往復
させた。
「きゃア!?」
 短い悲鳴を上げると同時にミヤコは、顔を背け、隙間なく脇を閉じた。肘で高平の呪わし
い手を引き剥がそうにも、オニオコゼよろしく激甚な竹箆返しが怖くて、何のアクションにも
繋げられなかった。十本の指は離れる気配もなく、両の脇腹に張り付いたままである。
「…や……いやぁ……」
 大の字はおろか、高平と顔を合わせることすら困難なほどに、ミヤコは心身共に萎縮して
いた。それと反比例するように、神経が過敏になっていることも認識させられた。
 震える呼吸をするたび、摩擦の強い体操シャツが上半身を撫で上げる。止まっている筈
の十本の指が、小刻みに蠢き回る。高平の脈動が、手のひらを介して脇腹を波打たせる。
粟立つ鳥肌が、全身を駆け巡る。
 今くすぐられたら、大変なことになる。
 そんな思いを知ってか知らずか、高平は脇腹から手を離し、ミヤコの両手首を掴んだ。
「……い、いや…」
 その意味を、ミヤコは瞬時に理解した。ギュッと拳を握り、両腕を硬直させることで、拒否
権に訴えた。その握り慣れていない感じの優しい拳が、高平には何とも可愛らしく感じられ
た。
 だからこそ、蹂躙するにやぶさかでなかった。
 高平は、ミヤコの非力を一蹴し、アルファベットの「Y」になるように、威勢よくバンザイをさ
せた。
「いやっ、いや!」
 ミヤコは、意味もなく目を瞑ったり、開けたりしながら、何とかして逃れようと、煽情的に体
をくねらせ、虚しくもがき回った。
 高平は意にも介さず、片手を離し、予めセッティングしておいた拘束具を手に取り、ミヤコ
の手首に装着し、間髪入れず、もう片方の手首も拘束した。
「やだっ、やめて! やめてください! ほんとに…!」
 拘束具を拒否することは、不可能ではなかった。ミヤコは人間としての実力で、拘束に至
らぬよう、展開を進めなければならなかったのだが、時既に遅し、高平は両手の拘束を完
成させ、両脚の拘束に取り掛かっていた。
 悲痛な哀願を続けるミヤコを傍目に、暴れられる程度の若干緩めの拘束だが、とうとう高
平は、無防備な女体を掌握するに至った。
「いやあああっ! やだっ! やっ、やぁっ! きゃああああっ!」
 生まれて初めての拘束。生まれて初めての不自由。生まれて初めての奴隷。そして、生ま
れて初めての恐怖。


55 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:31:58 mQ/zcE8g0
 拘束具をベッドの支柱から外せないか……手枷から手首を抜かせはしないか……足首
はどうか……という思考をループさせ、ミヤコは獣よろしく、ジャラジャラと鎖の音を部屋に
響かせた。
 高平はまだ臨戦態勢を取っていなかったが、ミヤコの精神は、先程の獰猛なくすぐったさ
と、無防備固めの現状とを連結させ、迫り来る阿鼻を予見し、相当なストレスに蝕まれてい
た。くすぐりは、超短期的ストレス責めなのかもしれない。
 放し飼いのセントバーナードが、浮き足立った幼子を追い回すのと同様、高平は、ミヤコ
の恐怖心が新鮮なうちに付け込もうとしたのだろう。
 右へ左へと忙しなく傾く体幹を窘めるように、むんず…と脇腹を両手で挟み込み、容赦な
く、徹底的くすぐりを開始した。
「やはっ!? きゃあぁあははははははっ! あははっ、あはははっ! いやはははははは
はっ!」
 狂おしい悲鳴は、くすぐりの刺激により小刻みに隔てられ、阿鼻叫喚の笑い声と化した。
「あぁあっ! やははははっ! あ! あ! あっ! きゃははっ、あはははははっ!」
 手足を激しくばたつかせ、鎖を鳴り響かせるも、感度は微塵も下がらず、鎖を目一杯引き
伸ばし、筋肉を硬直させるも、錯乱は一向に収まらず、髪の毛を振り乱し、目尻を潤ませる
も、高平の指はかたきし止まらなかった。
「あはっ、あはっあはっ! やだやだぁあ! やだあああはははははははっ!」
 枝葉である手足から刺激を逃そうとしても、効果を得られない、と判断したミヤコの無意識
は、支障箇所からも近い腰を、恥じらいもなく上下に振り動かし、ドンドンッと音を立てて、ベッ
ドに打ち付けた。くすぐる指を振り払おう、という目論見も裏目、ずれた指先が、別の箇所を
も刺激してしまうだけだった。
「あぁん! あっ、あっ! きゃはは、あははははっ…………」
 蠢き続けた高平の指は、一分経ってようやく鎮まり、ミヤコに自由な呼吸が許された。
「あは……あは……、はぁ…はぁ…あ…はぁ…」
 高々一分間だが、躯幹を剥き出した拘束状態でくすぐられる一分間は、ソファでくつろぐそ
れとは当然わけが違う。
 くすぐりという、矢継ぎ早に否応なく与えられる刺激に対し、神経質にされたミヤコの肌は、
その高速な情報を漏らすことなく処理しようと血道を上げた。その影響を受け、鼠のように呼
吸も高速化し、"笑い"現象に飲み込まれることとなる。そのような状態においては、時間さ
えも収縮され、所謂ウラシマ効果、外の世界の一分間が、ミヤコにはその何倍にも感じら
れた。
 湿った吐息を振り撒きつつ、大きく胸を上下させて呼吸を整えるミヤコだったが、敏感肌
に仕立てられたことと、恥も外聞もなく暴れ、体操シャツに擦られたことが重なり、ミヤコの
上半身に設置された、いとけない二つの突起が、ピンッと自己主張をしていた。
 仰向け、X字、四肢拘束。指の腹で優しく撫でることも、キュッと摘まんで捏ねくり回すこと
も、シャツの裾を鎖骨まで捲ってむしゃぶりつくことも、吸いたてるも甘噛みするも、思うが
侭に弄くり倒すことのできる状況である。
 しかし高平は、それらの浪漫を、論外と言わんばかりに遺棄し、ミヤコの踝の間辺りに両
膝を立て、ブルマからしなやかに伸びた太股に照準を合わせた。
「ひっ…」
 ミヤコが小学校低学年の時分、一番仲のよかった友達が、人一倍くすぐりごっこが好きな
質で、その子の得意技といったものか、率先してくすぐる箇所というのが太股であった。
 その子はくすぐりのことを"もにゅもにゅ"といっており、"もにゅもにゅごっこ"においては、
筆でくすぐるような表面的な刺激よりも、字面の如く、指を深く埋め込ませ、動脈を責めるよ
うな狼藉を好んだ。子供の柔肌は往々にしてくすぐりに弱いが、その子の"太股もにゅもにゅ"
は特にミヤコの苦手とするところだった。
 その子とクラスが分かれて以来、他人に太股をくすぐられたことがなかったミヤコは、当
時の二秒と耐えられなかったくすぐったさが蘇り、無意識に小さな悲鳴を発すると同時に、
両足首に繋がれた鎖をジャラリ、と引き伸ばした。
 その緊張した太股を弛緩させるが如く、高平はシダレヤナギさながらの力の抜けた指先
を、おもむろに太股に近づけ、なぞるようにゆっくりと肉柱全体を擦った。
「…くっ、…やっ…、んんっ、んーっ!」


56 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:32:59 mQ/zcE8g0
 それはくすぐりというよりは、性感マッサージに近い刺激で、ミヤコの声にも幾分か艶めい
たものが交じっていた。高平のくすぐりがその程度のものである筈もないが、緊張させるこ
とで感じるむず痒さがどうにも不快で、また、弛緩することで得る甘い心地よさにほんの一
瞬傾き、ミヤコは脚の力を抜き、鎖の張りを緩めた。
 しかし気を緩めた拍子、その機を逃さなかった高平の両手が、ミヤコの右太股を左右か
らガシッと掴み、十本の指を高速で踊らせた。
「あっ、あははははははっ!? きゃ、きゃあ! いやははははっ!」
 御無沙汰だった太股への異様な刺激、成熟してもその感度は露聊かも衰えていなかった。
加えて、幼い子供の脳髄が紡ぎ出す単調な動きではなく、才能と研鑽の集大成である。そ
れは拘束されていなかったら、ベッドから逃げ、部屋から飛び出したくなる程に、異様に気
持ちの悪い刺激だった。
「いやあっ、きゃあっ! あーっ! んあはっ!」
 四肢拘束されたブルマ姿の女性が、生脚を刺激され、妖艶に腰をくねらす。例えくすぐりに
興味がなくとも、それは世の男性の殆どが鬨の声を上げる光景に違いない。
「あはははははっ! やめっ、あはひゃひゃ…………?」
 ミヤコの笑い声が一際大きく、みっともなくなったその時、高平は突然手を離し、ピタッと全
身の動きを止めた。
 怪訝に思ったミヤコは、大きく肩で息をしながら、逸らしていた目線を石像のように固まっ
ている高平に戻した。しかし視線が交わる寸前、高平は先程置き去りにしていた左太股を
捕まえ、有無を言わせずもにゅもにゅと高速で刺激しだした。
「あっ!? あはははは! いやっ、いやっ! あはっ、あーっ!」
 不意を衝かれたミヤコは、先程にも増して品のない笑い声を上げた。矢庭に揉みしだか
れたのに加え、ミヤコは右太股よりも左太股の方が感度が高かった。
「きゃはぁっ! あはははははっ! あぁんっ、あぁっ! きゃはははは!」
 四肢を拘束されながらも、ミヤコは忙しなく身体を踊り跳ねらかした。右に捻じ曲げ左にく
ねらせ、内股になったり蟹股になったりと、可能な限りの運動をすることでストレスを解消し
ようと必死だった。それでほんの僅かでも、この気が狂わんばかりのくすぐったさを抑圧で
きるのなら、いかなる醜態でも喜んで晒すほどに理性が霧散していた。
 しかし、女であることを捨てるような甘えを、高平が許すはずもなかった。高平はミヤコの
左膝を、膝立ちしていた自分の両膝で挟み、そのままミヤコの左脛の上に軽く体重を掛け
て座った。
「…えっ……、…あっ!」
高平の意図に気付いたミヤコは、左脚をバタつかせようと試みたが、時既に遅し、ガッチリ
とホールドされた左脚は、ピクリとも動かすことが叶わなかった。高平は十本の指をウネウ
ネと蠢かしながら、時間の止まったミヤコの左太股へゆっくりと近づけた。
「い、いやっ! …くっ、…んーっ!」
 無尽蔵に湧き起こる精神的苦痛を誤魔化すべく、ミヤコは両腕と右脚を騒がせ、言葉に
ならない呻き声を上げた。
 来る…来る…ぶわぁーっと来る…。う…く…まだ……? く、来るなら来てよ…。来てほし
くないけど…、…何もされないの…怖いよ……。怖い…怖いよ……怖いよっ!
 そんなミヤコの思いを感じ取ったのか、高平は柔肌に接触するギリギリのところまで蠢く
指を近づけると、ゆっくりと引き離し、当てどなく空中を彷徨わせた後にまた近づける、とい
う動きを何度も繰り返し、少しづつミヤコの心を狂わしていった。


57 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:33:53 mQ/zcE8g0
「…あぁ、あぁ……あは…あぁあははぁ…」
 触れられていないにもかかわらず、指が近づくたびに、ミヤコは笑い声みたような息を零
した。ジャラジャラ、という鎖の音も大分静まったその時、蠢く高平の指のうちの一本が、ロ
ックされたミヤコの左太股にムリュ…と食い込むや否や、途端に残りの九本も肉に埋もれ
て、数倍の速度で蠢動しだした。
「ひっ…ひーっ! あっ、あははははは! きゃ、きゃあっ、きゃはははは、あーっ!」
 702号室は束の間の静寂を挟み、再び慎みもなく騒ぎ立てることとなった。
「くぁあはっ! いやはははははっ! あっあっ、あはっあはっあははっ!」
 高平の十本の指は、膝上から脚の付け根までの間を縦横無尽に走り回った。目隠しをし
ていたのなら、それが人間の指の刺激であるとは到底信じ難いほど、何か得体の知れない
小動物が這い回っているのではないかと思わせるほどに、奇怪でおぞましい感覚だった。
「いやっ! ほんとにっ! ほんとにいいひひひひっ! むぁあはははははっ!」
 『本当に無理だからやめてください』と言葉で示そうとしたミヤコだったが、高平の指は意
思表示さえ許さず、笑い声にバリエーションをつけるだけになった。
 高平は、完全に固定された左太股を重点的に責めつつも、時折思い出したように、暴れ
る右太股にも指を這わせた。その絶妙な変化が、ミヤコに慣れというものを許さず、常に新
鮮な感覚を与え続けることとなった。
「ひぁはっ! あはははっ! あへっ、あきゃあぁっ、あーっ!」
 もにゅもにゅもにゅもにゅもにゅもにゅもにゅもにゅもにゅ……
「きゃあぁははっはっはっ! はっ、はっ、あはぁあああっ!」
 ジャラジャラジャラジャラッ! ガチャッ! ガチャッ! ジャラララッ!
「あははははははは! あーっ! あーっ! あーっ!」
 高平による太股への執拗な責めは五分以上も続いた。その間、ミヤコは呼吸の殆どを笑
い声に乗せていたため、息も絶え絶えに憔悴していた。
 高平は下半身をベッドから降ろし、頤をベッドの上、ミヤコの両膝の間辺りに降着させ、ブ
ルマが具象化する三角形の頂点をジィーっと見つめながら、ミヤコの体力が回復するのを
待った。
 ミヤコは依然として拘束されたままだったため、その視線から逃れることは叶わなかった
が、もはや羞恥心に則る気力さえも残っていなかった。
 くすぐりの余韻であろうか、ピクッピクッ、と軽い電気ショックを与えられたように痙攣する
ミヤコを、高平は尺取虫じみた恰好のまま、孫に対するような微笑ましげな視線で眺め続
けた。
 その状態で三分ほど時間が流れた。
 呼気が小さく聞こえる程度にまで、ミヤコの呼吸は落ち着いた。バイタリティが感じられな
いと、責め手としても興醒めなのだろう。無為無策にくすぐり続けても、やがては人形をくす
ぐるのと大差なくなる。
 望まずして気力も体力も回復してしまったミヤコは、笑い続けた名残のせいか、はたまた
本能が未来を先取りしているのか、口元を僅かに吊り上げていたが、目は泣く直前の子供
のようで、全体としては不安と恐怖の入り乱れた、何とも可哀想な面持ちであった。
 高平は例の悪趣味な体勢のまま、ミヤコの両膝にそれぞれの手を乗せた。


58 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:36:11 mQ/zcE8g0
「ひっ……」
 短く声を上げると同時に、ミヤコの身体は軽く弾み、シャラリ…と鎖が小さく音を奏でた。
ハァ…ハァ…とミヤコの吐息は再び熱を帯び始め、くすぐりの刺激を隈なく処理する態勢に
入った。
 高平の十指が、先程の"もにゅもにゅ"の半分くらいの力加減で踊りだし、ミミズのように
ゆっくりと膝上からブルマ目指して侵食し始めた。
「ひィ…、ひいいぃぃぃっ……。あ、あはっ…、ん…んくぅ…ひははぁ…」
 ミヤコは、貧乏揺すりのように両脚を小刻みに揺らし、裏返った声を静かに響かせた。声
を殺そうとするも、高平の指がブルマに近づくにつれ、反応は著しくなっていった。
 柔肌を這う高平の指がようやくブルマに到達したとき、ミヤコは先程のような往復運動に、
つまりブルマを折り返し地点とし、膝上辺りにUターンする刺激に備えていた。しかし高平の
指は止まらず、あろうことか、そのままブルマの中にウネウネと侵入してきた。
「え…えっ!? えっ!? あっ、いやっ! あああっ……! いやはははははっ!」
 闖入者たちはブルマに少し入った地点で止まったが、不躾な舞踊は収まらず、少しづつ、
先程の"もにゅもにゅ"の強さ、速さ、くすぐったさに近づいていった。
「あっ、あっ、あっ! や、ちょ、あははははっ! きゃあっ、あぁん! やははははっ!」
 高平の指は、我が家のように出たり入ったりを繰り返し、また、臀部に回り込んで、ふくよ
かな肉絨毯を楽しみ、腰骨の辺りまで探索を進め、開拓工事を施行した。やがて卑劣な徘
徊は勢いの赴くまま、いよいよミヤコが全身を使って踊り狂うほどに、悪辣な力を帯び始め
た。
「あぁあぁははははははっ! いやっ、もっ、いやははははははっ!」
 身勝手な散策を続けていた十本の指は、漸次ある一点に纏まり始めた。その箇所こそが
ミヤコの下半身最大の弱点、悟られぬよう必死に隠してきた急所だった。
「きゃははははっ! あはきゃっ!? あっ! ちょっ、あーっ! いやあああああっ!」
 そう、鼠蹊部である。
「あははははははっ! あははっ、待っ、きゃーっ! 待はきゃは待はっ!」
 ミヤコは人間離れした勢いで腰をバタつかせ、高平の手を振り払うべく藻掻き回った。
 ブルマに入るかは入らないかの不安定な箇所ということもあり、高平の指は幾度も弾き飛
ばされたが、間髪入れずに再び潜り込み、意趣返しとばかりに踊り狂った。
「いやっ! あはははっ! きゃあっ、やだっ! あはははははっ! あーっ!」
 サービス業の心得を廃忘し、東西を失してひたすらに逃げ惑う。そのあられもないミヤコ
の仕事ぶりは、高平をして折檻せしめるに十分なものだった。
 高平の手は、それぞれの指を独立させて動かす詮術から、親指とそれ以外の四指の二
グループに分け、カスタネットのように挟む形態へと変化した。パク、パク、パク…小鰐の口
のように開閉するその手には、「プロ意識のない者は、この場で死んでもらいます」といった
ような、おどろおどろしいまでの峻厳酷烈な思いが込められていた。


59 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:37:57 mQ/zcE8g0
 高平は両腕を前方に向かってX字に交差させ、右手でミヤコの右鼠蹊部を、左手でミヤコ
の左鼠蹊部を挟んだ。仰向けに拘束された女体の、暴れる鼠蹊部を責めるには、この型が
最も適している。
「あっ、やっ! いやぁっ!」
 挟まれただけで背中に戦慄が走り、顔から血の気の引く思いをしたミヤコは、甲高い悲
鳴を上げながら、しきりに腰を振り乱した。しかし、はしたない踊りを続けたところで、ピッタ
リと張り付いた高平の手掌は、とても振り切れそうになかった。
 この期に及んで"仕事"を受け入れようとしないミヤコに、とうとう高平は懲戒処分を下した。
「きゃああぁぁああっ! あーっ! あーっ! あははははははっ! あーっ!」
 ジャラジャラジャラジャラッ! とミヤコの狂笑に負けず劣らず、鎖の音が姦しく響き渡った。
水に放り込まれた昆虫の如く、両手両脚を力の限りに暴走させた。
「あぁあははははっ! あはっ! あはっ! あはーっははははははっ!」
 過酷なくすぐり責めの犠牲になった際、ミヤコに限らず多くの女性は、まず耐えようと試み
るが、あえなく撃沈し、品性の欠片もない笑い声を上げる。次に、笑って収まるわけもない
ことを悟ると、可能な限り暴れて感度を落とそうと目論む。それでも埒が明かないことを悟
ると、やがて震源地を伸ばし、皮膚をピンッと張らせることで即興の雨戸を構える。とうとう
それさえも突破されると、ひたすら右往左往の乱痴気騒ぎ。万策尽きた女体は、瞳の輝き
を失うまでわけもわからず荒れ狂う。
「あひゃひゃひゃっ! あーっ! くひゃっ、きゃはははは! あーっ、あーっ!」
 責め手の気が収まらない限りは、如何に手練手管を練ろうとも、無駄骨を折ることにしか
ならない。緩みきった目尻からは滂沱たる涙が、だらしなく開かれた口元からは止めどない
涎が、場合によっては尿道括約筋が不随意筋と化し、
「きゃははははっ、あはっ、おしっこっ! あははははっ、おしっこもれちゃうううぅぅっ!」
 笑いながら失禁することになる。
 先程の約三分間のインターバルは、ミヤコに解放の緩みと待つ恐怖を植え付け、それが
カンフル剤となって、済ましてきた筈のものを呼び起こし、今や限界に達しつつあった。
「あはっ、やははははっ! だっ、ほんとにぃひひひひっ! でちゃあはははははっ!」
 ミヤコは可能な限りに拳を握りしめ、キュッと音が鳴るほどに爪先を丸めた。歯を食いし
ばろうとも思ったが、自身の笑いがそれを妨げ、「あうあう」と情けなく口元を歪めることしか
できなかった。我執剥き出しの両手脚を強引に押さえつけ、拘束されながらもできるだけ身
体を内側へ巻き込もうとした。
 そのミヤコの硬直が上限に達したのを見計らって、高平は不意にくすぐる指を止め、鼠蹊
部から手を離した。
「あははっ……えっ…? あっ、いやっ! ……んくうぅぅっ…!」
 緊張を解いた途端、ブルマの中で破裂せんばかりの尿意に襲われた。再び力を入れよう
としたが、高平のカスタネットがそれを許さなかった。パクパクパクパクッ! と高速で鼠蹊
部を揉み解し、搾り取るように尿道括約筋を操った。
「あぁっ! だめっ! だめだめだめだめぇあはははははっ! あっ…あーっ!」
 一滴…二滴…出口を見出した黄金水は、押し合い圧し合い我先にと詰め掛け、ついに決
壊に至らしめた。
 ジワ…とブルマの一点に影が差したかと思うと、ジョワァ…と猛然たる勢いでその面積を
拡げ、ビビビビビッ…とくぐもった音を立てつつブルマを振動させ、ポタ、ポタ、ポタ…と線香
花火のようにシーツに垂れ落ちたかと思うと、ポタタタタッ…と鹿威しの呼び水の如くベッド
に染み込ませた。


60 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:39:13 mQ/zcE8g0
 状況が状況とはいえ、失禁という事実はミヤコの自尊心を深く抉った。しかし悄然とする余
裕さえ与えられず、高平は我関せずといわんばかりに、鼠蹊部を捏ね続けた。
「あーっ! あーっ! もうっ、あーっ! やめあーっははははっははっ!」
 露出した鼠蹊部には、まだ水滴はついていなかったものの、失禁してもなお責め続けられ
るなどミヤコに予想できる筈もなかった。尿道を封鎖することも失念し、壊れたように首を振
り乱し、鼠蹊部のバグに乱れ狂った。
「あはははははっ! たっ、たすけっ! きゃははぁっ、あはぁっ!」
 失禁はまだ続いていた。
 濡れたブルマはベッドの上で激しく跳ね回った。魔の手からの解放を切実に願うも、高平
の手は暴れる鼠蹊部にピッタリと張り付いて、滑らすことすら儘ならなかった。強めることも
弱めることも、速めることも緩めることもなく、高平のカスタネットは気が狂う程の一定のリ
ズムで、淡々と鼠蹊部のみを責め続けた。
「うあんっ、あははははははっ! いやぁあははははっ! あああああああっ!」
 失禁はまだ続いていた。
 ミヤコの腰がベッドでバウンドするたび、濡れたシーツが水気を含んだ音を立てた。
 ドンッ、ドンッ、ドンッ、と腰の跳ねる音。ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ、と水の弾ける音。
 その二つが重なる音をベースに、ミヤコの悲愴感漂う笑い声が狂気のエレキギターを演
じた。これ程の大演奏にもかかわらず、音源はあろうことか、鼠蹊部である。
 その後、小休止を挟みつつ、アンコールに応えて三曲ほど演奏した。久方ぶりの"太股も
にゅもにゅ"は、あまりに進化し過ぎていた。


61 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:40:19 mQ/zcE8g0
 目を凝らせば星らしき斑点が疎らに確認できる東京の夜。科学を傍観する深川といえど、
隣接する大都会の影響は回避できず、締まりのない闇の中で日々無理矢理床に就かなけ
ればならない。その下拵えのため、労働の疲労が不十分な人々が安眠を得るべく、水を得
た魚の如く意気揚々と街へ繰り出すこの時間、性癖対策本部くすぐり課では堂々巡りする
議論が蒟蒻問答と化しつつも、誰一人として席を立つものはいなかった。が、やがて不毛
な時間に嫌気が差し始め、一人、また一人と口を閉ざし、自分たちの無能振りに天井を仰
ぐ羽目になった。室内がひっそりと静まり返ったのを見計らって、
「今はまだ情報不足です。とりあえず帰って寝ましょう」
 神楽が最初で最後の発言をして場を締めた。誰もが心の内に秘めていたことだが、被害
者のことを思う各々の良心が後ろ髪を引き、仕事する振りをさせつつ場に留めていたのだ
ろう。しかし神楽の一言で踏ん切りがついたのか、悶々とした思いに背中を丸める者はお
らず、それぞれ引き締まった顔をして会社を後にした。
「は、班長……」
「聡美、お前も帰って寝な。でなきゃ無理矢理ベッドに連れ込むぞ」
「いっ…!?」
 最後まで残っていた二人が電気を消し、くすぐり課を出ようとしたその時である。
 ビュウウ――――――…………ッ!
「うっ……なんだ……?」
 廊下に吹き込んできた突風が二人の頬を叩いた。目を細めながら見ると、突き当たりの
窓とその反対側の窓とが全開にされていた。
「きゃっ……もう…誰ですかぁ……?」
 聡美は猫背になって両手でスカートの前面を押さえた。と思う間もなく後ろが豪快に捲れ
上がったので、慌てて背筋を伸ばして片手で押さえつけた。廊下には二人しかいないにも
かかわらず赤面する聡美を余所に、やれやれといった面持ちで神楽は風上側の窓を閉め
に向かった。神楽が窓に手をかけるのとほぼ同時に、
 シュルルル…………パタパタパララララ…………
 風に乗ったA5サイズ程度の紙が、外から神楽の顔に向かって飛んできた。
「むっ……」
 顔の前に手を翳し、ソッと紙を受け止めつつ神楽は窓を閉めた。同時に、神楽の手に張
り付いていた紙も力を失い、ひらひらと舞いながら神楽の足元にこぼれ落ちた。
「まったく…誰がこんな…、あれ……それ、手紙みたいですね」
 聡美が乱れた髪を整えながら神楽に歩み寄り、流れ込んできた紙を拾い上げた。
「あんまり野暮な真似はしないようにな。さ、とっとと帰るぞ」
 手紙らしきものに目を落とした聡美を窘めつつ、神楽は先にエレベーターへと足を向けた。
家まで仕事を持ち帰らないように心掛けている神楽は、帰り道で"予習復習"を済ませなけ
ればならない。そのため、雑念の入り乱れた電車や、ぼんやりとできない車、自転車等は
使わず、往復で五キロメートルにも及ぶ道のりを毎日歩いている。
「おい、いつまで見てるん……?」
 後ろを振り返った神楽は、途中で言葉を切った。
「…………聡美…?」
 眉尻を下げ、虚ろな瞳で神楽に向き直った聡美の顔には血の気が感じられず、病的に蒼
白くなっていた。聡美はふらふらとした足取りで神楽に歩み寄り、
「班長……これ……」
 消え入りそうな声を出し、先の紙切れを手渡した。神楽は怪訝に思いつつ、やたらと達筆
なその書面に目を走らせた。


62 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:41:29 mQ/zcE8g0
『はじめまして。まずは自己紹介をしなければならないのですが、私には名前というものが
ありませんので聊か困っております。
 概念としては"妖怪"といわれているものが最も適当かと思われます。人々を脅かす手段
として"くすぐり"を採用しておりますので"くすぐり妖怪"ということになるのでしょうか。既存
の妖怪として人々に知れ渡っているのなら助かるのですが、どうにもそうではないようです
ので、命名の手間を省かせるべく、【ダゴチ】とでも名乗らせていただきます。
 さてさて、このたび妖怪である私が一筆したためるに至ったのは他でもありません、自ら
に授けられし能力といいましょうか習性といいましょうか、その余りに残酷無比な手段を以
て猛威を振るうことが心苦しくて堪らなく思われるようになったのです。できることならこのよ
うな役回りなど御免蒙りたいのですが、私は妖怪、これまで人間に非道の限りを尽くされて
きた動物や植物の強烈な怨念を一身に託されております。人々を奈落の底に突き落とさん
限り浮かばれない魂が、今この瞬間も私に縋りついて離れようとしないのです。
 その切実な千言万語の一切を無に帰そうとする人間側の領袖が性癖対策本部くすぐり課
特別捜査班班長片桐神楽、他ならぬ貴女であることに異論はないでしょう。あのような目覚
しい活躍を見せられては、"皆"に特定されても詮方なく思われます。
 盛者必衰はこの星に吸い寄せられし存在の宿命なのかもしれません。血で血を洗う酸鼻
な争いを放棄することは星そのものを殺すことになるのでしょう。私は貴女をいたぶり尽くし
て廃人にしなければなりません。ですが、もし貴女が辞任なさるのでしたら、その限りでは御
座いません。
 就きましては、今宵、その場所から北東およそ二キロメートルに位置しますホテル『スカー
レットエルフ』703号室にて宴を催したく存じます。前座は既に始まっておりますので、貴女
に職務を全うする意思がございましたら、逸早く御参加いただくよう申し上げます。
 神出鬼没にして不意打ちを常とするのが妖怪なのでしょうが、私の"くすぐり"は拷問史に
も例を見ない残忍性を帯びておりますゆえ、こうして同意を得た上で執行致そうと目論んだ
次第に御座います。』

「は…班長……! どうすれば……」
 泣く寸前の子供のような顔をした聡美が両手で神楽の腕に縋った。
「どうするもこうするもないさ。私は行く、聡美は家に帰って寝る。終わり」
「そんな……!」
 神楽はダゴチの招待状をブーツカットパンツのポケットに押し込み、なだめるように聡美の
肩にポンと手を置いた。
「"前座が始まっている"っていうのは要するに人質だ。この下衆は二日連続で被害者を出
そうとしてやがる。四の五の作戦を練ってる暇なんてない。被害を食い止める機会がこんな
に早く来たのだから、考えようによってはお誂え向きさ」
 二人はエレベーターで一階に向かった。重苦しい密室の中、伏し目がちだった聡美は意
を決したように神楽の顔を見上げ、
「班長っ…私も…!」
「ダメだ」
 進言するも、一蹴のもとに切り捨てられた。
「向こうは人質を取ってるんだ。私が妙な真似をしたら、有無を言わせず排除しかねない」
 夜の帳に包まれた深川には潮の匂いが吹き荒んでいた。何か言いたげに擦り寄ってくる
聡美をそれとなく振り切り、神楽は一人北東へ向かった。
「それじゃあまた明日な。明日はティラミス食べるんでよろしく」
 神楽の姿が見えなくなっても、聡美はその場から動けずにいた。胸の前で両手の指を絡
めて俯き、ただただ神楽の無事を祈るばかりであった。
 神楽は途中でタクシーを拾い、目的地へと急いだ。聡美に見せた気丈な振る舞いは、事
を荒げないための演技に過ぎず、"廃人"にされるのが怖くないわけがなかった。しかし、そ
れより何より、事情を知ってしまった聡美が憂患されてならなかった。神楽は清潔なシーツ
の匂いの中、聡美に魔の手が及ばぬよう胸に手を当てて祈った。


63 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:43:49 mQ/zcE8g0
 ブルマ、ベッドシーツは勿論、高平の手もミヤコの聖水でビショビショ、というよりはベトベ
トになっていた。高平はそれを嗅覚で堪能するような野暮な真似はせず、大人しくベッドから
降り、手を洗いに洗面所に向かった。
 高平が視界から消え、バシャバシャと手を洗う遠い音を聞きながら、ミヤコはふと自らを
鳥瞰した。してしまった。
 檻の中の獣の如く、厳重に鎖で拘束され、ベッドに磔にされている自分……。小学校以来
御無沙汰だったブルマを、何故かこの年になって履いている自分……。何の穢れもなく、純
粋無垢な瞳で駆け回った身体を応援してくれた体操着。ありがとうさようならの思いで別れ
を告げた筈の体操着を、土のない場所で着ている自分……。破廉恥に開いた脚の交点か
ら、幼稚園以来の大量のお漏らしをしている自分……。これっぽっちも楽しくないにもかか
わらず、顔が壊れるほど笑い続けた自分……。
 昔の自分を知る人々が、この体たらくを見たら一体どう思うことだろう。ミヤコは申し訳な
い気持ちで一杯になり、鼻を啜りながら静かに涙を流した。しかし拘束されているがため、
その涙を拭うことさえできない自分……。
 それでもその涙には、悔悟の念と更正の志が込められており、もう二度とこのような世界
に足を踏み入れるものかと、一銭も受け取らずに辞そうと、ミヤコは眦を決した。
 手を洗い終えた高平は、再びずけずけとベッドに上がり込んだ。
「……う……くっ……」
 ここに至り、初めてミヤコは露骨な敵意を顔に滲ませた。
 高平はミヤコに覆い被さるようにして、反応的なミヤコの顔を鉛筆一本分の距離でまじま
じと見つめた。
「…………っ」
 ミヤコは無言で顔を真横に背けた。が、高平も予測済みだったのだろう、ほぼ同時に自ら
の顔をミヤコの正面に運んだ。
「……くっ」
 ミヤコは発作的に顔を反対側に背けたが、高平はミヤコの顔と一定の距離を保ったまま、
連動しているかのように半円を描き、再びミヤコの正面に顔を配置した。
「…もっ…んんっ…!」
 高平の応酬が一頻り続いた後、ミヤコは観念したのか、正面を向いてキュッと目を瞑った。
しかし、忌まわしき高平の顔が視界から消えた途端、異様な刺激がミヤコの脇腹を襲った。
「ひっ……!?」
 ハッと目を開いたミヤコの正面には、やはり高平の顔がアップで構えていた。同時に、ミ
ヤコの脇腹を嬲ったであろう指の動きも止まった。
 ミヤコは無意識に顔を背けたが、相変わらず高平の顔も連動していた。いやな予感がし
つつも、気味悪さ余って、おずおず瞳を閉じた。
 すると案の定、ミヤコの肋骨を高平の十本の指が、柔肌を介してコリコリと刺激するのだ
った。
「いやぁ! きゃはははははっ! あはっ、はあああんっ!」
 ミヤコは目を瞑ったまま顔を振り乱した。外面内心共々、誓いの涙はどこかへ弾け飛んで
しまった。一溜まりもなく目を見開いたが、目と鼻の先の奇景に耐え切れず、再び視界を閉
ざした。
「くっ、あはははははっ! もういやっ! いやぁ! あぁあははっははっはっ!」
 次こそは目を開くまいという決意も脆く、忽ち高平と視線を結ぶに至った。深い湖のような
瞳、森閑とした口元、その薄気味悪さ、恐ろしさ……。
 「…ひっ……ひっ……ひいぃ……」
 開くも地獄、閉じるも地獄、取り付く島もない状況に、ミヤコの気は確実に狂い始めていた。
「あぁっ! きゃははっ、やはははっ!」
…………………………………………
「はっ、はっ、はああん! あはははははっ!」
…………………………………………
「きゃあぁああぁっ! あはっ、きゃはっ! あーっ!」
…………………………………………
 五分弱、高平のこの奇抜な責めは続いた。時間にしてみればたったの五分弱だが、ミヤ
コから正気を奪うには、それは十分過ぎるものだった。


64 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:45:52 mQ/zcE8g0
「ああぁあぁ! いやっ、きゃぁあ!いやああぁあっ!」
 ミヤコの目は開かれていた。高平の指も止まっていた。にもかかわらずミヤコは忙しなく
四肢と頭を振り乱しながら、指先を踊り戦慄かせ、爪先を開いては丸めつつ、金属的な叫
び声を上げていた。
「あーっ、いやっ、あーっ! きゃあぁぁっ! あぁっ、あぁっ!」
 何一つ穏健な情報のない時間、経験がまるで役に立たないイレギュラーの連続で、ミヤコ
の思考体系は恐慌状態に陥っていた。
 しかしその程度の狂態などどこ吹く風といわんばかりに、高平は表情を微塵も変えないま
ま、丹念に、執拗に、ミヤコの視界の中心に固着し続けた。傍から見れば、それは何と理解
しがたい状況であろうか。
「ふーっ! ふーっ! ふーっ!」
 そんなミヤコに追い討ちを掛ける非情の災禍、目を瞑っていないにもかかわらず、高平は
ミヤコの脇腹を容赦なくワシャワシャをくすぐり始めた。
「あっ、あはははははっ! きゃやっ! きゃあっ! あぁぁはははははっ!」
 時ならぬ懲罰に黒目が上弦となりかけたが、ミヤコは高平の顔を真正面に見据えるよう
努力した。
 余りに視線を飛ばしすぎるから、目を開けているのにくすぐられるのだ……。タコ殴りにさ
れている理性がそのように判断したのだろう。しかし誠意も虚しく、脇腹への刺激が中断さ
れることはなかった。
「いやっ、やだっ! きゃははは、あはあああっ! ぅあんっ、きゃひゃひゃはぁっ!」
 高平がブルマというコスチュームに固着した理由、それは紺色のブルマパンツが醸し出す
少女性ではなく、他でもない、上半身を覆う体操着シャツに秘められていた。
 高平が今演じているような、ワシャワシャと上半身を刺激するくすぐり。この責めを実践す
るに当たって、素肌に直接指を這わせてしまうと、摩擦力が強すぎて、流れるような動きを
体現できないのだ。
 一番くすぐったい箇所、一番責めてほしくない箇所というのは、女体の中を駆けずり回り、
瞬間的に変動しがちである。その変化に対して鋭敏に、迅速に対応するため、高平はミヤ
コに体操着を着せたのだった。体操着の表面は適度にツルツルとしており、指先を別の箇
所に移動させる際のタイムロスを、可能な限り縮めてくれる。
「あ、あは、ははははっ! いやっ、ダメッ! あおおおおおっ! あははははっ!」
 高平の指はワシャワシャとその勢いを保ったまま、群れを成して上方へ移動し始めた。こ
れまで一度も責めていなかった箇所、足の裏と双璧を為す人体の泉門。
 そう、脇の下である。
「やはは……あっ!? あぁぁあっ!? きゃっ、いやっ! いやあああああっ!」
 高平の指が脇の窪みに到達した途端、ミヤコの暴れ具合は一際激しくなった。刺激を受
けるたびに腰が浮き、首筋が粟立ち、頤が跳ね上がり、無防備な脇を閉じようと脊髄反射
が働くが、同じ人類が作った道具に阻まれ、無情の金属音が鳴り響くだけだった。


65 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:47:05 mQ/zcE8g0
 高平は生物の実験であるかの如く、柔らかく、いかにも弱々しいその脇の窪みに幾度とな
くグイッと指を埋め込ませ、正常な反射を楽しんだ。僅かな雲間に姿を暗ますことさえなく、
白日の下に晒され続ける。そんな不遇な脇の下に同情する気色さえなく、高平は当たり前
のように揉みしだき続けた。
「あっ、きゃはははははっ! あああぁぁっ! やあぁっ、もっ、やあああっ!」
 脇腹であるなら激しく腰を振り乱すことにより、僅かながら刺激を逃すことができるが、仰
向け大の字拘束における脇の下は殆ど自由が利かず、せいぜい大胸筋、広背筋を少し張
らせる程度が関の山である。
「あっ、あっ! あはははははっ! あっ! あっ! あっ! あっ、あーっ!」
 脇の下の自由が利かない分、ミヤコは後頭部をしこたま枕に打ちつけた。仮に頭の下が
大理石だったとしても、ミヤコは同じ行為に及んでいただろう。寧ろ、流血しながらショック
で意識を失うことができたら如何に平安であろう、とミヤコは感じていた。蛸がストレスの余
り自らの足を食べてしまうのと同様、ガンッ、ゴンッ、ガンッ! と身命を賭し、決死の形相
で頭を割りに掛かるのは不可避に違いない。
 くすぐられ続けるとは、それ程までに最悪の事態なのである。
 ミヤコのそんな願望も徒爾の極み、ボフ、ボフ、ボフ、と柔らかい枕が音を立てるだけであ
った。
「いやぁっ、きゃははっ! ぅくっ…くぁははははっ、うぷっ……ぷはひゃはあーっ!」
 後頭部への折檻を諦めたミヤコは、息を止め、窒息により絶入へ持ち込もうと考えた。し
かし声を殺すのもせいぜい二、三秒が限界で、直後には溜まっていた笑いが爆発的に起こ
り、否が応にも呼吸を整え始めるのだ。
「きゃははははっ! うわっはっ! あーっ! あぅあははははははっ!」
 ミヤコの笑い叫ぶ声から人間的な気取りが消え、息を吸う度に獣畜性が増していった。そ
れでもその発声には牝の媚めいた艶があり、溢れる唾液を拭おうとしているのか、時折伸
ばされる舌が何とも官能的であった。
 結局可能な悪あがきは、限られた範囲内で手脚を暴れさせ、びしょびしょのブルマを振り
乱しながらベッドに叩き付けることだけだった。枷に包まれた手首足首は、激しく暴れれば
当然痛みが走る。それによって多少なりともくすぐったさを抑えることができるので、誰に教
わるでもなく、ミヤコはその事実に縋り続けた。
「あはっ、いやあっ、あやあぁあっ! はっ、あはっ、あははははははっ!」
 高平はミヤコの腋窩が赤くなるまでくすぐり続けた。それに付随し、手首、足首も大分赤み
を帯びていた。
「あ…はぁ…はぁ…はぁ…(ゴクリ)…はぁ…はぁ…はぁ…(ゴクリ)…」
 ミヤコは遠目にもわかる程に大きく胸を上下させ、難病と戦っている体で酸素を補給しに
かかった。焼けるような気管支の痛み、嚥下される唾液から甘味が消え、まるで血を飲んで
いるかのような気持ちの悪さ、今にも攣りそうな筋肉の示す浮遊感、吐き気、眩暈……。無
理な運動をした直後に訪れる諸現象が一挙にミヤコに襲いかかった。これまで自分の身体
を大切にし過ぎてきた、その自愛の弊害なのかもしれない。
 とはいうものの、あれ程までに笑い続け、暴れ続けるにはそれ相応の体力が必要だった
はずである。自覚の機会がなかっただけで、ミヤコには生来高い運動能力が備わっている
のだろう。しかしそれが禍し、これ程までに狂気を引き出され、そして更なる深淵へと誘わ
れるのだから皮肉なものである。
 この日何度目かのインターバルを挟み、動悸も収まったミヤコに対し、高平は何の前触
れもなく、無造作にその脇腹をわしっ…と掴んだ。


66 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:48:12 mQ/zcE8g0
「あひゃっ!?」
 体力の回復を図られたということは、とどのつまりこの後も責めは続く。暗澹たる先行きに
難儀していたミヤコだったが、正直なところ、もう先程の鼠蹊部責め、脇責めを上回るような
苦悶に襲われることはないだろうと密かに踏んでいた。峠は越えたのだと激励していた矢先
に、ミヤコは何の変哲もない責めに対し、学習能力がないかの如く、敏感な反応を示してし
まった。
 次いで高平は、ミヤコのウィークポイントの一つである腋窩に指を埋め込ませ、コリッ、コ
リッ、と二往復させた。
「あんっ、きゃあっ!」
 やはり慣れた気配もなく、ミヤコはすっかり冷たくなったブルマをビクンッ、と跳ね上げた。
くすぐったいという感覚が非常に慣れにくい性質のものであるのに加え、高平の指は神経の
密集した箇所をピンポイントで抉り込んでくる。徹底的に壊された後、手厚く直される。その
堂々巡りに抗いようのないことをほんの僅かなタッチで証明されてしまったミヤコは、早くも
泣き出しそうな表情を浮かばせた。
 逃避交じりにふと目線を逸らした直後、これまでにない異様な感覚がミヤコの左脇腹を襲
った。
「いやはぁっ!?」
 短い笑い声を上げると同時に、ミヤコは刺激とは反対方向の右へと身体をくねらせた。
「…………え……?」
 高平は両の手のひらをベッドに貼り付けた状態で、動かしたような形跡は見られなかった。
だとしたら今の刺激は一体……と考えようとした矢先、高平は手を付いたまま、ゆっくりとミ
ヤコの右脇腹へと顔を近づけ、半泣きのミヤコの顔を真っ直ぐ見据えたまま着陸した。
「ひゃあっ!」
 そう、顎である。
 奇怪な刺激の思わぬ正体に動転しているミヤコを余所に、高平の顔は再び離陸し、半円
を描いて反対側、左脇腹に着陸した。この間、高平は不気味な程に無表情のまま、ミヤコ
の顔を見続けていた。
「あぁんっ!」
 続けざまに高平の顔はミヤコの乳房の下側、外側、脇の下、脇腹、臍回り等々、上半身全
体をポーン、ポーン、と跳ね回った。
「あははっ…きゃあっ…きゃっ…いやぁっ…きゃはぁっ!」
 どの場所を飛行し、どの場所に着陸しようとも、高平の顔はまるで地球に対する月の如く、
ミヤコの顔だけを真っ直ぐに見据え続けた。眼下で繰り広げられる狂騒、その有り様が余り
に現実離れしたものであったため、恐ろしくなったミヤコは視覚を閉ざした。
「いやあっ…あぁっ…あーっ…ああああっ!」
 しかし月のない夜ほど恐ろしいものはない。どこから襲い掛かってくるのかわからない恐
怖に耐えかねたミヤコは、堪らず目を開き、狂気の塊である満月に魅入られてしまった。
 高平の顔のピッチは少しずつ早くなっていった。
「きゃはっっ、あはっ、やぁっ、いやぁっ、ふぁあっ、ひゃあっ!」
 ポーン、ポーン、ポーン、ポーン、ポーン、ポーン。
「あーっ、あははっ、あっ、あっ、あぁっ、あはーっ!」
 ポーンポーンポーンポーンポーンポーンポーンポーン。
「きゃはははっ、あはっ、あははははっ、いひゃあっひっひはははっ!」
 これ以上早く動かせないという段階に達したところで、高平の顔はようやくミヤコの上半身
から離れた。


67 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:50:36 mQ/zcE8g0
 泣いたカラスがもう笑う。喜怒哀楽はどれも似たり寄ったりなのかもしれない。
「あは…は…はぁ…あはぁ…はぁ…」
 視覚的な嫌悪感も相俟って、ミヤコにとっては不快極まる責めだったのだろう。これまで
のようなコンマ何秒刻みの責めとは異なり、高平の顔が空中に浮かんでいるその待ち時間
に、次の刺激に対する準備が整ってしまうのだ。処理落ちを許されないがため、刺激の一
つ一つが単独のくすぐりであり、そしてそれが何度も繰り返される。ゴキブリが危険な空気
の流れに対し、一瞬にして背面体勢をとるように、ミヤコも刺激を与えられる度に、上半身
を一直線に避難させた。前の脇責めの時ほどではないにせよ、ミヤコの心拍数はかなり上
がっていた。
 それに引き換え高平は、あれ程激しく、不自然な動きを繰り返したにもかかわらず、息も
乱さず、顔色一つ変えていなかった。
 ミヤコの呼吸がある程度整ったところで、またしても高平は何の前触れもなく、十の指先を
ミヤコの脇腹にストッと着地させ、間髪入れずワシャワシャワシャッ! と猛烈なスピードで
上半身全体をくすぐった。
「きゃああっ! あははははははははっ! ……っ! あああはははははっ!」
 ドゥン、ドゥン、という緩慢で重い顎の刺激に照準を合わせ始めた矢先に、細かく、鋭く、繊
細でスピーディーな指責めである。驚愕と混乱を最大限に引き出すその落差に、ミヤコは不
自然な程に目を見開き、高くて小刻みな笑い声を上げた。
「あ、あ、あ、あ、あっ! きゃははははははっ! あはははははははっ!」
 人の声は、受けた刺激を忠実に表す。鳩尾に重い打撃を受けた時に上げる声、鞭で打
擲された時に上げる声、抓られた時に上げる声、頭を撫でられた時に上げる声、感じたま
まに声帯を通すことはメッセージにもなる。
 ミヤコの反応の変化を楽しむだけに止まらず、高平の指は休むことなく、体操着シャツ全
体を血気盛んに這い回った。
「いや、いやっ! いやいやいやははははははっ! あぁあぁあぁあぁっ!」
 声だけでなく、ミヤコの体躯も刺激に似たパフォーマンスを見せた。両手両脚を貧乏揺す
りみたように痙攣させ、高平の指の動きに合わせるように鎖を鳴り響かせた。哀れなマリオ
ネットは術師の意のままに踊り続けたが、声にも身体にも許容範囲があるため、そのような
同調も長くは続かず、結局は拠り所のない叫び声を上げながら、無秩序に暴れるほかなく
なる。
「きゃはははははっ! ああぁぁあはははははっ! いやぁあぁもういやああぁっ!」
 再び呼吸困難寸前まで追い込まれるかと思いきや、何とも中途半端なところで高平は指
の動きを止めた。
 ミヤコは乱れきった髪を汗の滲む顔に貼り付け、生気のない薄目で虚空を見つめながら、
震える呼吸を繰り返した。くすぐられることが如何にエネルギーを消耗するかを物語ってい
た。
「あはぁ……(ゴクリ)……はぁ、あ……(ゴクリ)……ははぁ……」
 今までの人生において、ミヤコはこれ程までに女体の需要を痛感させられたことはなかっ
た。他人のマネーゲームにお邪魔して、その一部を自分の財布に入れようとしているのだ
から、ある程度人権というものを縮小されても文句の言える立場ではないのかもしれない。
しかし女というものが、これ程までに蹂躙され得る存在であるなど、どうして想像することが
できよう。ミヤコはくすぐりによって玩具になったのではなく、玩具であることを自覚させられ
たのだった。
 おもむろにベッドの上に立ち、眼下でぐったりとする女体を繁々と眺めた後、再び高平は
ベッドから降りた。
 ミヤコはその姿をほんの少し目で追ったきり、首を動かすこともせず、呼吸を整えることに
専念した。また何の脈絡もなく脇腹を挟み込まれた際に、少しでも刺激を誤魔化せるよう、
暴れる準備として、筋肉を弛緩させることも忘れなかった。
 水面に浮かんでいるようなリラックス状態。だからこそ、高平に両足首を掴まれ、、グッと
力を入れて引っ張られた際に、ミヤコは何の抵抗もできなかった。
「あっ…!? ……え……?」
 気付いた時には、ミヤコの両脚はほぼ直角になる程度にまで広げられていた。また、臀
部が小水による水溜りの中心部に来る辺りまで動かされていた。つまり緩めの拘束による
歪んだX字が、ピンッと引き伸ばされたのである。拍車を掛けて無防備となった自身を鳥瞰
し、ドキッとした時には既に手遅れ、いつの間にか高平はその状態を維持する拘束を済ま
せていた。


68 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:51:44 mQ/zcE8g0
「……っ、……っ、……………………」
 戦々恐々ミヤコは肢体を動かそうとしたが、ほんの少し腰を振ることが関の山で、手脚を
躍らせようにも力が入らず、鎖の音を立てることすら困難であった。それでいて、肌が伸ば
されて張ってしまうようなこともなく、どの箇所に触れても、ふに…という柔らかさを堪能でき
るような、完全無欠の四肢拘束具合であった。
 もしこの状態で容赦のない指先に這いずり回られたら……。想像してしまったミヤコは顔
から血の気が引き、歯の根を合わせることができなくなった。
 しかし生粋の天邪鬼高平は、生贄の想像をなぞるような真似はしなかった。
「きゃひゃっ!?」
 猛り狂う指捌きを以て全身を突き回されるだろうという当て推量の下、意図せず刺激に似
た小刻みな笑い声を上げる準備を整え始めたが、ミヤコを襲ったのは全く異質な重たい感
触、再び高平は顎責めに興じた。
「あはぁっ、いやっ、いぁはっ、あぁっ、あーっ!」
 ドゥン、ドゥンと沈む顎。ポーン、ポーンと跳ねる顔。
 先の顎責めにおいては、左脇腹に着陸されたのなら右へ逃れる、という反射が許された
が、今回はそれさえも叶わない。完全無欠の四肢拘束が許してくれる動きは、ビクンッと僅
かに腰を浮かせることと、顔を振り乱し、首を仰け反らせることと、手足の指を意味もなく躍
らせることのみである。粛然たる体操着の地を、高平の顎は先よりも増して正確に、縦横無
尽に跳ね回ることが許された。
「きゃははっ、あっ、あはっ、きゃあぅ、あぁあっ、あああああっ!」
 自然な反応が妨げられるというのは、言わずもがなこの上ないストレスとなる。この状況
下においては、その苦悶を声帯に乗せて発散するほかない。故に、ミヤコの笑い声は一層
悲痛で、恐ろしいものとなった。
「あぁははっ、あぐっ、あがはぁっ、あひゃあっ、いやあああっ!」
 声だけ聞いたのなら、くすぐられているとは思えない呻き振りである。顎の刺激は異質で
はあるが単調で、人間の器用な指先が織り成す無情の蠢きに比べれば、理性の入る余地
は幾らかある。しかしそのためには目先を追い、顎の重たい刺激に照準を合わせなければ
ならない。高平が本責めに移行し、傍若無人に指先を暴れさせることを考えると、ミヤコは
今の緩やかな波に乗るわけにはいかなかった。徹底的なくすぐりの影に怯えている間は、
顎の刺激に対し受身を取ることさえも許されないのである。
「いやっ、あぁうっ、いぃやぁっ、あがぁっ!」
 いつ足場がなくなるかわからない絞首台の上に立たされ続けるような悪夢。もういっその
こと指責めに移行してほしい、早く決着をつけてほしい。しかし高平は、藁にも縋るミヤコの
思いを粉々に踏み躙り、顎による焦らしを延々と続けた。
「あははっ、あーっ、あはははっ、あはあはあっ!」
 ドゥン、ドゥンと沈む顎。ポーン、ポーンと跳ねる顔。
「……っ、……っ、……っ、……っ!」
 …………………………………………………………………………


69 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:53:28 mQ/zcE8g0
 結局高平は、ミヤコの覚悟を無下にあしらい、指責めに移行することなく一旦攻撃を止め
た。苦渋の準備が水泡に帰したミヤコの落胆と後悔は甚大で、顔を歪めることもできずに、
抜け殻のように虚空を見つめるだけだった。最善の選択をしたところで報われることはない。
あらゆる目論見は合気の要領で己に跳ね返ってくる。ミヤコは口元を僅かに吊り上げ、
「あは……」
 と静かに笑った。
 その無力な笑顔を一瞥した後、高平は首をコキッコキッと鳴らし、ミヤコの下半身へと目を
移した。
 紺色のブルマからピンと伸ばされた左右の脚がほぼ垂直に交わっていた。膝と足首はな
だらかにくびれ、太股とふくらはぎでは脂身と筋肉が精妙なバランスを取っていた。細さによ
る味気なさも、太さによる滑稽さもない、男の情欲を掻き立てる何とも瑞々しく、艶やかな脚
だった。元々の色白に加え、体毛も薄いため、間近で見ても粗がなく、思わず頬を摺り寄せ
たくなるような逸品である。
 しかしこの空間においては、ただくすぐられるためだけに存在する肉柱に過ぎない。高平
は、そんな不遇な脚を貪り尽くすべく、またしても勘所である鼠蹊部にスゥー…と指を這わせ
た。
「あうぅっ!」
 声と同時に鎖が短くジャッ…と鳴った。阻むものがなければ、ダンゴ虫のように身体を丸
めていたかもしれない。しかし完全無欠の拘束は四肢が四方に伸ばされた状態からの変
化を一切許さなかった。高平はそのまま指先を肌から離さず、筆や羽でくすぐるようなソフト
なタッチで、柔肌とブルマの境界をゆっくりとなぞった。
「ああぁぁ……っ! くひぃ、いいぃ……っ、…んあぁっ…!」
 やはり鎖がジャッ…ジャッ…と短く鳴ったが、それっきり反射は封じ込められ、無防備に展
開した肢体は不気味なまでの静けさを保っていた。
 ミヤコの反応を起こすことで拘束の按配を確認した高平は、指を離して身を起こし、ミヤコ
の眼前で両の拳を握ったかと思うと、ゆっくりと左右の人差し指を立てた。そして再び開か
れた脚の間、秘部の正面に位置取り、両手の人差し指を秘部に向けつつ平行に、その間
の隔たりが十五センチメートルほどになる形で固め、その状態のまま女体に迫り、それぞ
れの人差し指でミヤコの左右の鼠蹊部をムニッ…と突いた。
「あひゃあっ!?」
 先の顎責めの時と同様、ミヤコの腰はビクンッと僅かに跳ね上がった。跳ね上げられるの
なら、どこまでも跳ね上げたかったのかもしれないが、ミヤコの腰はコンマ一秒で元の位置
に引き戻されるのだった。
 高平の指は電極の如く、一突きでミヤコの鼠蹊部、延いては全身に痙攣を呼び起こした。
ミヤコは失禁の再現を憂慮しつつ、のべつ幕無しに突かれ続けるイメージを浮かべた。し
かし高平はミヤコの鼠蹊部から指を離すことなく、その柔肌に優しく埋め込ませたまま、矢
庭に人差し指をグルン、グルンと回転させ始めた。
「ぁあぁっ!? …あーっ! あっ、あっ、あっ! やあぁぁっ、いやああっ!」
 拘束が緩かったのなら、猛烈な勢いで両脚をバタつかせていたに違いない。
「あぁっ、あはははははっ! いきひひっ! きゃぁはっ、あはああぅっ!」
 鼠蹊部の筋がひっきりなしに上へ下へと弾かれる。その度にゾリゾリゾリッという獰猛な
不快感がミヤコを襲い、腰を中心とした痙攣の波紋が全身に広がる。髪を振り乱しては頤
を跳ね上げ、嚥下を許されなかった唾液が泡のようになって口元を彩る。身体が平静を装
っている分、首から上に獣の営みが凝縮されていた。


70 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:55:18 mQ/zcE8g0
「きゃぁあははっ! あはっ、あはっ、あっはああぁっ!」
 グルン、グルン、グリンッ……ゾリゾリゾリッ……。眉尻が垂れ下がり、目を見開いて泣い
ているような破顔を示した。あと十回転もしないうちに笑い声から低い呻き声に変わるかと
思われたが、高平の指は惜しげもなく、渦を巻きながら柔肌から離れていった。
 ミヤコは状況も飲み込めず、ひたすらに沸騰したやかんのような呼吸を繰り返した。やが
て自分が声を張り上げていないことに気付き、もうくすぐられていないという現状を導き出し
た。しかしそれも束の間、
「―――っあああああっ! あああははははははははっ! きゃあっ、あぎゃあぁっ!」
 高平はミヤコの両脚の間、ベッドの上に顎を乗せ、両の手を例のカスタネットに変形させ、
鼠蹊部が最も嫌がる刺激を高速で与え続けていた。
「あぁくぁははははっ! くぁあやあぁぁっ! あはは! あはははは!」
 ミヤコの脚は大きく開かれているため、両腕を交差させる必要はなく、下側に潜り込んだ
親指で鼠蹊部を突き上げ、上側の四指で鼠蹊部を押し込んだ。
 性感とも通じるところがあるが、くすぐりに関しても、初速にこだわり過ぎると尻窄まりにな
る嫌いがあるため、気付けの高速責めを終えた高平は、一秒に一揉みくらいのペースで、
じわじわとねちっこい刺激を与えた。
「あおっ! ……きゃあっ! …はぁ…はぁ…あおぉっ!」
 揉み解されるたびに、ミヤコは腰を痙攣させながら頓狂に悶えた。振り切ろうにも咥えら
れた鼠蹊部はピクリとしか動かせず、遣る瀬無い思いが手足の指先を意味もなく踊らせた。
足の指は一律に開いたり窄めたりするだけだったが、手のほうの動きは、如何にイレギュ
ラーな情報が全身を駆け巡っているかを明快に示し、その指の動きだけでも血湧き肉踊ら
せるものがあった。
 刺激に似通った踊りを以て、少しでも情報をアウトプットしようとしているのかもしれないが、
くすぐったさが余りに凶猛で、感電しているかの如く、掌を窄ませ、五指を反り返らせてしま
うのだった。
「あはっ! …あははっ! …あぁあぁあっ! …ぁああぅっ!」
 少しずつ高平の責めの感覚は短くなっていった。また、同じ箇所ばかり責めていると、痛
みがくすぐったさの妨げになってしまうため、時折指先で掃きつつ微妙にずらし、強弱をつ
けることで神経に仕事を与え続けた。
「きゃあぁっ! …うわあぁんっ! …あひゃはぁっ!」
 それにしても何という景観であろう。閉じることの叶わない無防備な股下に、何の障害もな
く陣取って、専横に内股に指を埋め込ませ、揉みしだき、擦りあげ、撫で回す。その柔らか
い脂肉を欲しいままに眼前に侍らせ、逃亡は疎か身動きさえも取らせないという厚遇。動か
ない鼠蹊部を意の向くままにコリッ…コリッ…コリッ……
「いやあははははっ! もういやっ! いやっ! あははっ、あーっ!」
 ついに高平の指はトップスピードに達した。四肢を繋ぐ四本の鎖がそれぞれ不規則にギッ、
ギッ、ギッと鳴り響く。拘束されていなかったら、どれほど暴れていたのか知れないが、ミヤ
コは静かにピクピクと震えるだけだった。発散の活路を絞られた不快エネルギーが、顔面、
指先、横隔膜から迸った。女体の惨状に感染することなく、高平はどこまでも丹念に、甲斐
甲斐しくミヤコの鼠蹊部を愛で続けた。
「あははっ! がっ、はっ! あぁははははっ! やめっ、あはははああぁぁっ!」
 浮気することなく、鼠蹊部だけを執拗にくすぐり続けた。
「やめぇっ、きゃはははははっ! おねっ、おあぁははははっ! あーっ!」
 動けない可哀想な鼠蹊部を、どうしたの? といわんばかりに、
「ああああっ、あははははっ! だめぇっ、あははははっ! ほっ、ほんとにぃぃぃぃっ!」
 コリッ、コリッ、コリッ、コリッ、コリッ、コリッ、コリッ……………………


71 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:56:27 mQ/zcE8g0
 ミヤコが正気の臨界線の外側に足を踏み出す間際、高平はミヤコを振り出しに戻した。
 先の失禁からは大分時間が経っていたため、ブルマもシーツもすっかり冷たくなり、鼠蹊
部のジン…とする温かさが際立った。サーモンピンク、朱色を通り越してすっかり赤くなって
いた鼠蹊部には、触れられていないにもかかわらず、今でも高平のカスタネットに挟み込ま
れているような感触がリアルに残っていた。それは指紋のざらつきまで読み取れそうなほど
に生々しく、今にも蠢き出さんばかりにドクドクと熱を帯びていた。
 まさか……そんな……とミヤコは必死に打ち消そうとするものの、
『そぉら動き出すぞ…ほら…ほら……こぉーちょこちょこちょこちょこちょこちょぉっ!』
 といった負の想像が加速するのをどうしても止めることができなかった。
 高平に蹂躙の限りを尽くされてきたミヤコの精神には、最悪の事態を想定し、それを避け
るように駒を進めるという堅実なマイナス思考が根を張りつつあったが、所詮は付け焼き刃、
ミヤコの負の想像は度を越え、実現してしまうほどの催眠状態にまで高められていた。もし
この状態で高平が、「三…二…一…」と呟き、指をパチンと鳴らしでもしたら、ミヤコはいつ
終わるとも知れない鼠蹊部責めに、肺が破れるまで笑い狂わされていたかもしれない。
 結果としては、ミヤコが高平のシャドーに嬲り尽くされることはなかった。しかしこの先の峡
谷に落ち込むくらいなら、既存の悪夢に浸っていた方がまだ幸せだったのかもしれない。
 依然として、完全無欠の四肢拘束。高平は、その無防備な脇腹を挟み込むように両膝を
立て、ゆっくりと腰を落とし、そろろそろりとミヤコの腹部に馬乗りになった。
「…………あ…………あ…………」
 ミヤコは頤を震わせ、虚ろ目で高平を見上げることしかできなかった。
 マウントポジション――――
 格闘技に通じていなくとも、一目でアドバンテージを理解できる、この上なく原始的な体勢。
チェックメイト、それはくすぐりにおいても同様である。
 くすぐりごっこでマウントポジションを取られた際の戦慄は、子供にとっては忘れ難い記憶
となるだろう。それだけなら、暴れることで逃れられもしようが、藪から棒に参加した第三者
に両手首を掴まれ、バンザイの形に固められた際の絶望感といったらない。相手が許してく
れるのを一秒でも早めるため、どれだけ可哀想な顔を演じられるかだけの勝負となる。
 それを今、少し成熟した女の子と大の男が、子供よりも真剣に取り組んでいるのだから、
これはホテルに隠れざるを得ない。加えて、"ごっこ"ではなく完全に一方的ときている。しか
も、両手だけにとどまらず両足までもが、誰が考え出したのか知らん拘束具で精密に繋ぎと
められている。更に、そんな女の子に対してマウントポジションを取るという、これ程までに
大人気ない大人がいるであろうか。


72 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:58:52 mQ/zcE8g0
 高平は、ミヤコの眼前で十指をうねうねと蠢かし、ミヤコの感度、恐怖を最高潮にまで引
き上げた。
「…………っ、……っ、……っ、…………っ!」
 ミヤコは息を詰まらせながら、その術に嵌まるほかなかった。
 十秒……二十秒……一分近く高平の"焦らし"は続いた。横隔膜を憑かれた様に暴れさ
せるためには、一つ一つの刺激をしっかりと受信させる必要がある。処理しようと試みさせ、
失敗に終わらせ、行き場を失ったエネルギーを女体に彷徨わせなければならない。笑い、
泣き、暴れ、失禁し、少しでも解放しようと荒れ狂うミヤコ袋小路に追い詰め、引きも切らず
異様な情報を与え続け、精神を蝕まなければならない。
 高平のくすぐりは、女の子の笑顔を引き出すためのものではない。
 ただ、壊す。
 そこに至るまでの過程をつまびらかに観察し、秒単位で目に焼き付けようとする悪逆無道
な衝動に魂を捧げている。
 ようやく準備の整ったミヤコに対し、高平はスゥゥ―――……と手を下ろした。
 じわじわと近付き、ゆっくりと大きくなっていく高平の両の手は、ミヤコの眼前で二手に分
かれ、そのまま視界から消えた。その手を再び見出したのは脇の下だった。
「……はあぁぁん! …あっ…あっ…ああぁぁぁっ!」
 十本の指先は、摩擦の弱い体操着シャツの表面を静かに滑り始めた。
「ゃあーっ! あはっ、あははははっ! あ……あぁっあーっ! あーっ!」
 指先を垂直に立て、指肉ではなく接地面積の狭い爪を以てむず痒さを演出した。それぞ
れの指が統一感なく無秩序に動き回る。刺激の弱さの割にはミヤコの悲鳴は甲高く、ブル
ブルッという腰の震えが跨る高平に伝わった。
 先程までのミヤコなら声を殺していたはずだが、絶望的体位の恐怖によって感度が著しく
上昇しているのに加え、今の内に少しでも発散しておこうという苦肉の策に無意識が乗じて
いたのだ。
 しかし高平には明け透けだったのだろう。女体の学習を労うわけもなく、高平は柔らかい
腋窩の肉に指先を抉り込ませ、刺激以上の笑いなど入り込む余地もないほどに、人間の横
隔膜の許容範囲を超越した情報を止め処無く送り込んだ。
「あっ、あーっ! ああぁはははははははっ! あゃぁあははははははっ!」
 モリュモリュモリュモリュッと、高平の十指は高速でミヤコの脇の下を弾み狂った。
 一本の指の刺激から逃れるべく、その指の両脇に盛り上がった柔肌の山に、間髪入れず
に別の指が押し込まれる。どこかに逃げ道はないかと彷徨い続け、ようやく見つけた空間
に顔を出した途端、残念でしたぁ! といわんばかりに待ち構えていた別の指に遮られる。
「いやああぁっ、あっあっあっ、あはははっ、あっあっ、きぎぃひひひゃひゃははははっ!」
 一向にパターンを見出せそうにない指の動きに、ミヤコの精神は高温高密度のプラズマ
状態になりつつあった。霧を吹いたような汗が珠となってミヤコの全身を覆った。震源地で
もある脇の下は顕著で、体操着シャツに浸透した湿り気を高平の指に伝え、室内に郁々た
る牝の芳香を充満させた。


73 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 05:59:55 mQ/zcE8g0
「いぃぃいあはははっははっ! あぁんっ、ああぁっ、くひゃひぁはははははっ!」
 まだ脇責めが続いた。他の箇所に一突きたりとも浮気せず、ひたすらに腋窩を穿り回し
た。指の関節が五つも六つもありそうにくねくねと踊るその指技は、ミヤコに慣れというもの
を許さなかった。ある指は指腹を押し付けてゾゾゾ…となぞり上げ、ある指はミシンのよう
に突きまくり、ある指は指圧のように揉み解し、またある指は優しく掻き毟った。
「ひぃっ、ひーっ! ひゃはははははああぁっ! あぐっ、あがぁははははははっ!」
 まだ脇責めが続いた。高平は飽くことなく、執拗に脇の下をくすぐり続けた。馬乗りされて
いる今となっては、僅かに腰を弾ませることすら叶わないため、廃棄すべきエネルギーは
笑い声に乗せるほかなかった。その小刻みな悲鳴はいよいよ痛ましくなるばかりで、辛うじ
て女の子の笑い声だったものは、次第に獣じみた咆哮へと変わっていった。
「あぐぁあははははははっ! わあぁっ、わあああああっ! あぁぅんぎぃひはははははっ!」
 まだ脇責めが続いた。もはや声だけでなく、顔からもミヤコの"女の子"が消え失せていっ
た。ギョロギョロと白黒する瞳からは涙が溢れ、同じ液体を慌しくひくつく鼻からも垂らした。
歯を噛み締めたかと思いきや、大口を開け、根元まで見えるほどにしどけなく舌を垂らした。
大笑いしている顔と大泣きしている顔は、表情筋の働き、活動している箇所とその程度とが
ほぼ一致するらしいが、いき着くところまでいった顔とは、このような顔を指すのだろうか。し
かし高平は、ミヤコの顔がどうなろうが知った話ではないといった面持ちで、
「きゃはははははっ! びゃはっ、ごめぇへへへへっ、なさぁあはははははっ!」
 まだ脇責めを続けた。怒涛の情報が首の動きさえも制限し、ミヤコは顔を振り乱すことも
できず、高平に向かって真っ直ぐ狂笑を晒し続けた。
 耳を劈く悲鳴は何なのか、どうして動けないのか、認識する暇もなく高平の指に揉み消さ
れていった。混濁する意識の中、"くすぐったい"という傍若無人な情報だけが確かなものだ
った。
「やだああああああっ! あぁっ、あーっ! ああああああああはははははははっ!」
 くすぐったい! くすぐったい! くすぐったい! くすぐったい! くすぐったい! 
「ああっ、ああっ、あああっ、ああっ、ああっ、あああっ、ああああああああっ!」
 ………………………………………………………………
 脇の下で表情筋を操作され、悪戯の限りに無惨な顔を引き出されたミヤコだったが、動
きを封じられていたせいか、息を荒げてはいるものの、呼吸困難に陥るほどではなかった。
その代わりに、
「あはぁ…あっ、はははぁ……は、は、は、はぁ……あひゃひゃひゃひゃあぁ……」
 ようやく脇の下が涼しくなったにもかかわらず、ミヤコは甘えるような笑いを上げ、ピョコピ
ョコと腰を動かし続けていた。指の感触が柔肌に纏わり付いているのに加え、肺臓と横隔
膜が遺伝子も知らぬ異様な動きを強要されたことによりすっかり自失していた。それを無理
矢理に抑える理由も気力もないミヤコは、ぼんやりとシャンデリアを眺めて呆けるほかなか
った。
 やがて呼吸が落ち着き、朧気な自分の笑い声も耳に入らなくなったが、その途端に森閑
とした一室が際立ち、何の変化もない無機物の存在感がそこはかとなく不気味に感じられ
た。
 ズズッと啜り上げる音が何と静かに響き渡ることか。その余韻に触発され、ミヤコはさめ
ざめと涙を流した。心が声を上げて泣くよう促したのか、呼吸に震えが混じり出した。もうし
ばらくその状態が続いていたのならば、やがてヒクッ…ヒクッ…といったような労しくも美しい
泣き声が部屋を染めていたに違いない。しかし高平の意想外な行動が流れを変えることと
なった。


74 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:02:41 mQ/zcE8g0
 高平はいつの間にやら自らのハンドタオルを手に取り、ミヤコの頬を伝う涙を母親のよう
な優しさで拭った。この不相応にミヤコが驚かないわけがない。声を上げて泣こうとしてい
た情動が霧散してしまう程に信じ難く、ただ高平の顔をまじまじと見つめるばかりであった。
 涙に次いで高平は、唾液で淫靡に濡れたミヤコの口周りを静かに拭い始めた。涙ならま
だしも、他人の唾液を自分のタオルで拭うという行為、それはこれまでの非道の数々から
鑑みれば不可解と捉えて然るべきだったが、ほんの一瞬、ミヤコは高平のことを"いい人"
と認識したのだった。
 そのため、高平が口角にタオルをあてたとき、拭きやすいようにとミヤコは殆ど無意識に
口を開いた。ミヤコの配慮を汲み取った高平は、その可憐な口にこれ以上ない優しさで、
「……っ、……っ!?」
 タオルを詰め込んだ。
「…ん……っ! んんん――――…………っ!」
 ミヤコは声にならない呻きを上げ、すぐさまタオルを吐き出そうとしたが、下顎を動かすも
舌先で突くもまるでビクともしなかった。口に入れる前から高平はハンドタオルの形を"整え
て"いたのだろう。何の抵抗もなく口内に収まり、手を使わずには絶対に取り出せない状況
に落ち着いていた。
「………………………………」
 優しく涙を拭われた直後ということもあり、口にタオルを突っ込まれるという善意の欠片も
ない行為をされてもなお、ミヤコは半信半疑にとどまっていた。高平は、ヒヨコのように追い
かけてくるミヤコの視線を余所にベッドから降り、ミヤコの両手首に繋がる鎖を、それぞれ
二十センチメートルほど緩めた。これにより、完全に動きを封じられていた両手に多少の自
由が戻ったが、それも束の間、高平は再びベッドに乗り、ミヤコとベッドの間にヌルヌルッと
入り込んだ。
「…………っ!?」
 高平はミヤコと同じく仰向けの形になった。高平の腹面とミヤコの背面が密着した状態で、
高平の首の前にミヤコの後頭部がある位置取りである。高平が入り込んだ分、ミヤコの身
体はベッドから離れることとなった。それにより、余裕のできた筈の鎖は、先程と同様にピ
ンッと張られ、微動だにしなくなった。
 再び完全無欠の四肢拘束、そして真後ろに高平である。
「………………………………」
 ようやく現状を把握するに至ったミヤコだったが、もう、すべては終わりである。
 高平はスゥー……と両手を挙げ、ミヤコの視界の隅にその存在を示した。ミヤコが視線を
移す前にその手はフッ…と沈み、視界から姿を消した。
「……っ!」
 先の脇責めと同じ演出であることを思い出したミヤコは、咄嗟に脇の下への刺激を予感し、
空頼みながら気構えを示した。しかし次の瞬間に高平の魔指を見出したのは脇の下ではな
く、乳房の両端、俗にいう横乳と呼ばれる部位だった。


75 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:04:03 mQ/zcE8g0
「――――――――っ!?」
 ビクンッという身体の動きさえ封じられていたミヤコは、タオルを通して短く息を吸い込む
ことしかできなかった。高平の指先が埋められたのは、横乳の中でも最も深い部分、脇腹
盆地から乳房山を望んだ際の、その麓となる部分である。
 鼠蹊部にしてもそうだが、人体においてこのように境界となっている部分の多くはデリケー
ト、つまりくすぐりには弱いのである。豊乳ならば薄ら一本の皺ができるその箇所に、高平
は小指から人差し指の四本を、その線上にそれぞれ正確に整列させた。そしてその地に
指先を埋めたまま、親指を背中側へ回し、掌がミヤコの脇腹にジャストフィットするよう優し
く包み込んだ。
 ミヤコのこの横乳の部分が、常人と比べても非常に弱いことを、高平は先の顎責めの際
に確認していた。ミヤコの上半身を顎で跳ね回り、様々な部分に抜かりなく着地したが、脇
腹側の乳房の麓は他のどの部分よりも嫌がり方が顕著だった。おそらくミヤコは、自分で
もそのことに気が付いていなかったのだろう。だからこそ、集中して責められることになった
際の驚愕、恐怖も一入である。
 この箇所を向かい合った状態でくすぐるのは、腕の構造上向いていない。高平がわざわ
ざミヤコの背後に入り込んだのはそのためである。
「……っ! ……っ! ……っ! ……っ!」
 一見、声を上げて笑い狂っているほうが辛そうに見えるが、必ずしもそうではない。冷水
にどれだけ長く腕を浸し続けられるかという寒冷血圧昇圧テストにおいては、被験者が笑っ
ているのといないのとでは結果に差が生じる。笑っている方が長く耐えられるのである。
 動きに加え、笑いさえも封じられているミヤコが感じているくすぐったさは、蓋し想像を遥
かに絶する。
 結論からいえば、この先高平は指先以外一切動かさなかった。ミヤコの身体も動かない
ため、映像にしたら何とも味気ないものになるに違いない。しかし悪夢はここでようやく佳境
に入ったところだった。


76 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:05:32 mQ/zcE8g0
 神楽が『スカーレットエルフ』の七階に着いた時には19時を回っていた。廊下に立ち並ぶ
数々の美術品はラブホテルの印象を崩さぬためか、西洋のもので統一されていた。その空
間につい先程まで江戸の町にいた人間が混ざり込んだのだから面食らうのも無理はない。
神楽は肖像画に目で追われているような感覚を覚えつつ、703号室へと急いだ。一刻も早
くそこに幽閉されているであろう被害者を解放すべく、槍が降ろうが逡巡できない状況だっ
たが、
「………………っ!?」
 神楽はその隣、702号室の前に差し掛かかると同時に足を止めた。
(な……なんだこれ…………)
 シュウシュウ…といった音でも聞こえそうなほどに、扉越しに感じる粘着質に禍々しい気。
不躾承知で神楽は扉に耳を当てたが、中からは物音一つ聞こえてこない。その静けさが一
層剣呑な雰囲気を引き立て、再び扉を見つめた神楽を総毛立たせた。
 神楽は今一度ポケットからダゴチの招待状を取り出し、そこに間違いなく『703号室』と記
されているのを確認した後、歩を進め、目的の部屋のドアノブを握った。
 鍵は掛かっていなかった。サテンゴールドのアルミ合金レバーハンドルをゆっくりと捻り、
おもむろに重たそうな扉を開いた。
「……………………」
 完全に扉を開ききったにもかかわらず、一寸先は闇、カーテンの隙間からスカーレットレッ
ドを基調としたホテルのネオンが漏れこんでくることもなく、徹底した黒に視界を覆われてい
た。
「……………………」
 怯むことなく神楽は部屋に足を踏み入れ、異形の輩が外に溢れ出さぬよう、静かに扉を
閉めた、その直後である。
 ゴオオオオ――――オオオオ…………!
 出発前の飛行機の間近にいるような轟音が響き、漆黒だったはずの視界が、雨雲のよう
な濃灰色に切り替わった。
「うっ……!」
 神楽は反射的に目を薄め、耳に手を当てた。しかし視覚と聴覚が驚嘆から覚めやらぬ内
に、
 ウウウゥゥゥ――――ンンンン――――!
 触覚、扉だった筈の神楽の背後から、青銅の壁が押し迫り、毎秒十センチメートルほどの
緩慢とした速度で、まるで心太の如く神楽を部屋の中央部へと押し出していた。
「……なっ……なっ……!」
 わけもわからぬまま、破れかぶれに押し返してみるもビクともしない。自分を無理矢理に
移動させるためのものだろうが、床との間に巻き込まれたところで青銅の壁が止まってくれ
るとも思えなかった。神楽は不承不承青銅の壁に先立ち、部屋の中央まで歩を進めた。
 耳を劈く轟音は鳴り止んだものの、大型船舶に乗っているような重低音が相も変わらず
内臓に響いていた。その音がどこから来ているのかと周囲を見渡すが、何も、ない。


77 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:07:32 mQ/zcE8g0
 濃灰色の正体は、石の壁。そこはライニングボンド敷きにされた石壁に四方を囲まれた、
絵に描いたような牢獄だった。広さは畳六畳敷、収容定員3〜4人の雑居房といった趣で
ある。
 ようやく神楽は、肉体から切り離された自分が異空間に連れて来られたのだと理解した。
同時に現実世界における自分が何らかの方法で強制的に意識を奪われ、703号室で倒
れていることを理解し、頭を打ってなければいいが…と冷静に心配した。
 瞑想による幽体離脱を体得している神楽は、こういった"夢の世界"においてもアイデンティ
ティを確立できる。ある程度は自由に意識のチャンネルを操作することができるが、体調が
芳しくない時などは、今回のように無理矢理引き込まれたりもする。その度に泡を食ってし
まうのだが、時間が経てば何ということはない、見えなかったものも徐々に見えてくるように
なる。
 青銅を背にした神楽の向かい、その石壁の手前に何やら蠢くものがある。神楽が近づい
て見てみると、それは野球ボール程度の大きさをした、水海月みたような半透明のスライム
物質だった。ぬちゃ、ぬちょ、という音を立てながら、跳ねるような動きを見せつつカタツム
リの倍くらいのスピードで神楽に近づき、ビジネス用パンプスの30センチメートル程手前で
その動きを止めた。
「まさかこれが」
「ダゴチです」
 低くて男らしい声質、厳格な上司を思わせる淡白な物言いは確かに足元のスライムから
発せられたものだった。
「本来不可視である妖怪の姿は、その人間の想像に大きく依存しています。狐のようなイメ
ージを持っていたらそのような姿で現れましたし、怪獣のようなものをイメージされてしまった
らもっと広大な空間が必要になってました。あなたの想像力が貧困で助かりましたよ」
「現実的と言ってほしいな。わからないものはわからない」
 廃人宣告をしてきた相手が目の前にいるにもかかわらず、神楽は飄々としていた。妙に
気構えした様子もなく、ゆったりと肩の落ちた姿勢、同時にどっしりと股関節に体重の乗っ
た姿勢で足元の半透明に応対した。
「この空間は何だ?」
「ここは相川紗江子さんの精神世界です」
「相川……? "前座"の被害者…か……?」
「ご名答。この空間は彼女が自らの精神状態を具象化したものになります。中々に古典的
な発想をする可愛らしい子じゃないですか」
 妖怪らしい血も涙もない観点に、神楽は憤りを隠せなかった。
「その彼女は今どこにいる」
 ダゴチは質問に答えることなく、ぬちゃ、ぬちょ、と音を立ててその場で締まりなく弾んだ。
神楽が語気を強めて同じ言葉を繰り返そうとした矢先、
 ゴゴゴオオォォ――――…………!
 雷鳴のような轟音を響かせながら、神楽の向かいの石壁がゆっくりと横にスライドした。
 開かれた先に現れたのは同じく濃灰色の世界、石壁に囲まれた畳六畳敷の牢獄に他な
らなかったが、物々しい雰囲気とは不釣合いな豪奢なベッドがその中央にドカリと据えられ
ており、その上に、
「なっ……!?」
 ブルマ姿の少女がX字に拘束されていた。


78 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:08:58 mQ/zcE8g0
「これがその彼女、相川紗江子さんに御座います」
「…………っ!」
 ダゴチが言葉を切るや否や、神楽は紗江子のもとへ駆けつけた。が、石壁の仕切りがあっ
た所でゴムのような感触に阻まれ、それ以上先へは進めなかった。
「残念ながら今の貴女は夢の片隅にお邪魔しているだけの不届き者に過ぎませんので、そ
の核心に直接踏み込むことは叶いません。テレビの中に入れないのと同じことです」
 神楽は渋面をつくって透明なゴムの膜から離れ、不快な音を立て続けるスライムを見下
ろした。
「あちらの監房に影響を与えることができるのは、この世界を操っている番組スタッフだけ
になります。あそこにいる紗江子さんは貴女からしてみれば単なる映像、仮に入れ込めた
としてもどうこうできる代物ではありません。本体は今、近くて遠い場所で順調に悶え狂って
います」
「…………あ……っ!」
 神楽はようやく702号室の前を通った際に感じた瘴気に理解が至った。同時に何の予防
線も張らずにあの場を後にした自分の浅墓さを呪った。
「……そこで落花狼藉に及んでるのは……式神みたいなものか……?」
 隣にいる紗江子は拘束された状態で眠っているようだったが、時折僅かながら顔を歪め、
身を捩じらせている。そんな紗江子を見遣りつつ神楽は尋ねた。
「まあそんなところです。見た目はただの人間ですが、私の一部が脳に寄生していますので、
思うがままに動かすことができます。現に今も動かしています」
「くっ……!」
 紗江子の身体がビクンッと跳ねた。間を置かず鎖の手足に繋がれた鎖が短く鳴り響いた
が、忽ち無慈悲な石壁に吸い込まれ、空虚な牢獄を一層際立たせた。
「"目覚め"かけているようですね。こちらでの目覚めは、あちらでの失神。目が覚めたら宴
の始まりとなります。宴が始まってしまったら…長くは持たないでしょう」
 それは"脅し"などという人間味溢れる誘導ではなく、単なる事実。神楽は『前座=人質』
だと捉えていたが、そうではなかった。取引の道具としてある程度丁重に保護される存在な
どではなく、類推解釈を許さぬ文字通りの"前座"、神楽という贄の前に用意された前菜に
過ぎなかった。下手に出たところで破壊活動を軟化させるとも思えなかったが、
「……要求は……何だ……」
 大人しくしていたところで紗江子の陥落は免れない。神楽は没義道の間隙を縫い、袋小
路の現状を打破すべくダゴチに尋ねた。
「招待状でも触れましたが、私は人間社会に溶け込んで共存するような妖怪ではなく、人間
駆除を不文律とする一派でございます。人間の傲岸不遜に虐げられた動植物の憎悪、特
に、永遠に続くかと思われる苦悶の末に狂死した動物の怨嗟が、似たような性質を持つ"く
すぐり"に着目し、怨念の投資を続けた結果組成されたのがこのダゴチに他なりません」


79 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:10:15 mQ/zcE8g0
「……………………」
「地上をくすぐり地獄に変えるべく、私はウイルスを作成して都市部を中心に散布しました。
くすぐりという性癖の発現は、さほど複雑な経緯を辿らずとも済みます。例えば、子供の未
発達な性感帯は他者に触れられると堪らなくくすぐったく感じるものです。そこで、触れたい、
という根源的な欲望を、くすぐったいと思わせたい、と勘違いさせるのが第一段階、その勘
違いを恒久化させるべく、因果を逆転させるのが第二段階、最後に正常な道への退路を断
てば、くすぐりに魅入られる人格が確立する、簡単に言えばこんなところです。他にも、くす
ぐられると人体の構造上"笑い"が起こるというのも責め所になります。"笑い"は"許容"の
シグナルだという社会通念が浸透してますので、そこで発生する勘違いも大いに利用させ
てもらいました。畢竟するに、勘違いに気付かせない、このことが性癖を齎す上で肝要にな
ります。そのためにはウイルスを体内に侵入させ、思考回路の要所要所を拡大、或いは封
鎖しなければなりませんでした」
「……………………」
「くすぐられる人間、特に若い女性からは"擽精"とでもいいましょうか、特別なエネルギーが
放出されます。そのエネルギーは罹患した者の飢えを満たし、その一部が私に還元される
ことになります。税金みたいなものですね。搾り取ったエネルギーとそこに至るまでに要した
エネルギーの差が謂わば利益となり、そのシステムを基本とし、これまで私は順調に勢力
を拡大してきました。万遺漏無きを期してウイルスの更改を重ね、より確実に、より凶悪な
人間を世に放ち続け、あとは時間の問題かと思われたその矢先に、少し困ったことが起こ
りました」
「……………………」
「性癖対策班部なるものが発足し、時を俟たずしてくすぐり課が設けられました。露骨な名
称と、それに見合った何とも馬鹿正直な機能は別とし、このような流れが訪れることは想定
内で、暗闇から牛を引き出させてうまく煙に巻く手筈は整っていました。しかし片桐神楽さん、
貴女の出現は予測できませんでした」
「……………………」
「私の"諸作品"を根絶やしにし、供給源を失った私を白日の下に晒し、無力化する。貴女
の能力にはそれを実現する可能性が秘められています。不本意ながら、私は強攻策を以
て貴女に血の粛清を行わなければなりませんでした。ところがです、さても恐ろしい貴女の
能力に目を見張っているうちに、私は実に妖怪らしい妙案を紡ぎ出してしまいました」
「……………………」
「侃々諤々申し上げますと、神楽さん、貴女を私の永久電池にしてしまおうと考えたのです。
擽精の総量というのは原則決まっており、概ねその人の根源的な生命力に比例します。と
ころが常識の前に立ちはだかり、思うがままに誘導できる貴女の能力の前には、そのよう
なせせこましい料簡が安定を保てるわけがございません。その蠱惑的な肢体に孕み得る無
尽の擽精、それをどうして放っておくことができましょう」
「……………………」
「しかしそれは青天井の残虐、私とて俄かには決断しかねます。ですのでこのような世界か
らは足を洗うよう忠告させてもらったわけですが……来てしまいましたね」
「私に返り討ちにされたらどうなる?」
「成長の止まった私のウイルスに人体が追いつき、少しずつ罹患者が消え、やがてくすぐり
フェティシズムという性癖は灰燼と化し、理解に苦しむ歴史として一時を経た後、無に帰す
ことになるでしょう。ですがそれは……」
 ゴウッ…と風を切る音と同時に、出処も知れぬ黒ずんだ物体が神楽の顔面に迫っていた。
瞬時に顔を庇うも、両の手首に重い衝撃、見るとそこでは獣畜扱いされた奴隷が装着させ
られるような分厚い鉄の腕輪がその役割をしっかりと果たしていた。
「万が一にもあり得ません。ご安心を」


80 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:11:37 mQ/zcE8g0
 神楽が泡を食う間もなく、その鉄の塊から伸びた堅牢な鎖が見る見る内に天井に吸い込
まれていき、その動きが止まったときには神楽はバンザイのポーズで固められていた。
「…なっ……ぐっ……!」
 万力で締め付けられるような無慈悲な激痛。顔を顰める神楽に構うことなく、ダゴチは悪
質な妖気を纏い、ぬちゃ、ぬちょ、という音を立てながらじわじわと近づいた。
「……ちっ……」
 ダゴチの無言の接近、それは神楽の情報収集の強制終了を意味していた。そのことを悟
った神楽は軽く舌打ちをした後、
「…………ふうぅぅ――――……」
 静かに目を瞑り、余裕綽々たる深呼吸をしたかと思うと、
「……ふっ…!」
 と眼光一閃、固められていたはずの両腕を、まるで背伸びをした後であるかのように何の
抵抗もなく下ろした。トラックで引っ張りでもしない限り千切れることはないように思われた骨
太の鎖は、あろうことか熱可塑性樹脂の如く、ぐにゃりと伸ばされていた。
「ほう……流石ですね」
 この力こそが、若い神楽が性癖対策本部にて権力を有するに至らしめたもの、ダゴチに
脅威を感じさせ、同時に魅了したものに他ならなかった。端的に言えば、それは『理(ことわ
り)を変える能力』である。


81 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:13:00 mQ/zcE8g0
 時間の流れる早さが変わるのは我々が身を以て体感しているところであるが、その時間
を含む理(ことわり)というものも絶対的なものではないらしく、時と場所によって意外なほど
にコロコロと変わり、現代科学に難癖つけていることが数多の実例に示されている。
 ある見習い修行僧が熟練の者に囲まれ、燠火の上を裸足で渡るという火渡りを行った。
その場では何ともなかったが、後日その旨を一般人である仲間連に語ったところ、「そんな
ことはあり得ない。絶対に火傷をする」と口々に罵られ、そうこうするうちに足の裏が爛れ出
し、病院に行くことを余儀なくされたという。未熟故、呆気なく理を変えられてしまったのであ
る。
 神楽は、この『理を変える能力』が突出して高く、それを用いてこれまで数々の難事件を解
決してきた。影響力という表現の方が適切であろうか、神楽の行く先々で"場"が神楽の世
界観に合わせるようになり、その独自の厳しい見解に基づく不測の事態が次々と巻き起こ
り、未熟な同僚はどうしようもなく振り回され、哀れな程にミスを連発することになってしまう。
それは妖怪と呼ばれる存在に対しても同様で、神楽は即座にその妖怪の"甘さ"を見出し、
これまでの理で運よく逃れていた事態を引き出し、溜まっていた不運を怒涛の勢いでその
妖怪に浴びせ、自滅の途を辿らせることができるのである。

 現実世界においても多大な影響力を発揮する神楽だが、このような"夢"の世界において
は、その力はもはや魔法に等しい。一介の妖怪が太刀打ちできるレベルではないのである。
頑丈そうに"見える"鎖を捻じ曲げることなど造作もないことだった。同様、手首を覆う分厚
い鉄の輪もバームクーヘンの如く真っ二つにできるはずだったが、
「流石です……流石ですが……」
 理は変わらず、鉄の輪はいつまでたっても鉄の輪のままだった。
「なっ…………! …………っ!?」
 神楽は捻じ曲がった鎖を更に引っ張りながら、鉄の輪を掴んで目を見開いた。
「残念です……。その鎖と腕輪とで"レベル"を変えてあるのです。私は憶測を以て、神楽さ
んの"レベル"では鎖は変えることができても、腕輪は変えられないと見込んでいたのです
が…………どうやら当たってしまったようですね」
 妖怪だから妖力とでもいうのでろうか、その力も無尽蔵というわけにはいかないのだろう。
効率よく事を進めるため、ダゴチは神楽の"レベル"を計り、最小限の力で制圧する必要が
あった。
「ということで鎖も腕輪と同じ"レベル"にさせていただきます」
 ダゴチがそう言うや否や、伸縮自在となっていた鎖はキンッ…と短く音を立てて固まり、神
楽が先程のように集中して引き伸ばそうとするも、ガキャガキャと不快な音を響かせるだけ
だった。加えて、不自然に引き伸ばされた状態で固まってしまったため、腰の位置まで下ろ
された手は殆ど動かすことが叶わなかった。


82 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:14:08 mQ/zcE8g0
「…………うっ……、…………っ!」
 圧倒的な戦力差を思い知らされ、息を荒げて周章狼狽する神楽に、ダゴチは何も言わず、
ただぬちゃ、ぬちょ、という音を立てながらゆっくりと近付き始めた。
「くっ……!」
 神楽は恐怖に駆られ、本能的に半透明のスライム物質に蹴りを見舞った。しかし、その
小さな物体が飛ばされることはなく、神楽の蹴りに分けられて二つに分裂することになった。
二つのスライム物質はそれぞれが別の生き物であるかのように神楽の左右のビジネス用
パンプスに向かって、不快な音を立てながらじわじわと近付いた。
「やっ……来るな…………っ!」
 神楽はまたも本能的に左足で片方のスライムを踏み潰し、間髪入れず右足でもう片方の
スライムも踏み潰した。それぞれのスライムは、ぼぅちゃぁ…と音を立てて平たく潰れ、しば
らくその動きを止めていたが、やがてブルブルと脈動し始めたかと思うと、薄い膜のように
形を変え、神楽のパンプスをヌルヌルと這い上がり始めた。
「うわっ、うわあぁっ!」
 水滴を弾き飛ばすように爪先を振り動かすも、半透明の膜は一向に離れる気配を見せな
かった。慌てた神楽は止むを得ずパンプスを脱ごうとしたが、靴下に達したスライムが接着
剤の役割を果たしているのか、どんなに力を加えても脱ぐことが叶わなかった。神楽が浮き
足立っている間にもスライムの侵食は進み、靴下全体に染み渡ったかと思うと、見る見るう
ちに靴下と同化し始め、気付いたときには素材の絹が跡形もなく消え、神楽はスライム状の
靴下を履かされていた。
「う…………く…………」
 そのおぞましい感触に、神楽は動くことさえ躊躇われた。
「手首、痛くないですか? 痛みは"邪魔"になりますからねぇ……外して差し上げます」
 パンプスの中からダゴチの声が若干くぐもって聞こえたかと思うと、両手首を覆う鉄の輪
と、それに繋がれた捻じ曲げられた鎖とが突として消え、神楽は拘束から解き放たれるこ
ととなった。両手が自由になったところで今一度パンプスを脱ごうと試みたが、まるで身体
の一部になってしまったかの如く吸い付けられており、当然中核であるスライム靴下も引き
剥がすことは不可能な状態だった。神楽は、ダゴチの"真っ向勝負"を受け入れるほかな
かった。
 真っ向勝負―――。要するにエネルギーの発散を抑えることができれば、つまりダゴチが
"黒字"となるほどに擽精とやらを吸い取られなければ、ダゴチは自滅の途を辿り、くすぐり
の歴史はここで幕を閉じることになるのだろう。だがもしここでダゴチのくすぐりに屈し、擽精
を介して力を奪われるようなことになれば、戦力差は絶望的、自分の"廃人"化は決定的な
ものとなる。その事実を骨身に刻み込んだ神楽は、両手で口を塞ぎ、脳が破裂してでもエネ
ルギーを解放しない覚悟を決めた。
「では遠慮なく……擽精をいただきます」
 パンプスの中、神楽の"靴下"がゆっくりと蠢き始めた。


83 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:15:24 mQ/zcE8g0
 両手で口を封じ、身体の動きを制限した上でのくすぐり責め。それは嘗て西洋を中心に行
われていた拷問の一つである水責めに近いものがあった。罪人を縛りつけ、口をこじ開け
て漏斗等を喉の奥まで捻じ込み、ひたすらに水を飲ませ続けるという単純ながらも凶悪な
所業。今ここで行われているのは、水が異様な情報に変わっただけのものだった。
 水責めも視覚的には地味な部類に入るとはいえ、膨れ上がる腹部から内臓の悲鳴を連
想することはできるが、今の神楽からはそのようなシグナルさえも見出せない。何に苦しみ、
如何なる脅威に耐え忍んでいるのかは傍目には理解できるものではない。しかしだからこ
そ、
「…………っ! ……っ! ……っ! …………っ!」
 体内を駆け回る狂気の渦は凄まじいものだった。渦はやがて疾風怒濤の巨浪を呼び起こ
し、神楽の全身の組織に激しく打ち付け始めた。
 間もなく平衡感覚を失った神楽だったが、何とか踏ん張り、震えながらも直立を保とうとし
た。しかしその努力に要したエネルギーは、擽精となって外に漏れていくことになってしまう。
力んで誤魔化すことなく、飽くまで体内で消化しきらなければならない。そのことに気付いた
神楽は力を抜いたが、同時に腰までも抜かしたように倒れこみ、うつ伏せになり、丸まり、
最終的には回復体位のような体勢に落ち着いた。
「……っ! …………っ!」
 口を押さえ、エネルギーの漏出を封じている歪みであろうか、涙腺が緩み、神楽の瞳は何
とも艶かしく潤いを帯び始めた。だがもしここで滂沱たる涙を流してしまったら、それは声を
上げてしまうのと同じ意味になってしまう。神楽は瞳を閉じ、強引に擽精をUターンさせた。
「随分と辛そうですが、今私は準備体操をしているのですよ? 慌てないで下さい」
 同じ調子で蠢き続ける靴下が、嘘か真か、血も涙もない発言をした。回復体位に落ち着
いてから、神楽は殆ど動きを見せなかった。ダゴチが単調な動きを続けているため、少しず
つ慣れが入ってきたのだろう。だが不快な情報が蓄積されているのは確かであり、いつま
で保つかわかったものではなかった。
 水という形あるものであるなら、人体の許容の限界というものにある程度は目処が立つの
かもしれない。だが"くすぐったい"という情報に対し、それを見極めようとするのは非常に困
難なことである。その区切りのなさ、底の知れなさは神楽の精神を一層蝕むこととなった。
 苦痛の際限を定められないのに加え、ダゴチの消滅にはどれくらいの時間を要するのか
もわからない。ルールのわからない世界に放り込まれ、ただ耐え忍べと言われるその理不
尽さ、横暴さ……。
「………………………………っ!」
 半透明のスライムは靴下の形を保っているため、足の指の間に入り込んでくるようなこと
はなかったものの、人外の存在が紡ぎ出す動きは、たとえ足の裏でなくとも猛烈なくすぐっ
たさと嫌悪感を催すに違いない。種々雑多のヌメる虫を詰め込んだバケツの中に足を突っ
込んでいるような堪らない気持ち悪さ、口を開けてしまったのなら笑い声に先行して吐瀉物
を撒き散らしてしまいそうな不快感が神楽を責め続けた。


84 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:16:53 mQ/zcE8g0
 頭の中が沸騰しているような感覚。閉じられた瞼の中で神楽の瞳は虚ろになりつつあった。
そんな矢先に靴下の蠢きは弱まり始め、やがては完全に静まり、当たり前の靴下を履いて
いるような感覚が神楽に戻った。
「なるほど、さすがは片桐神楽、天晴れな押さえ込みです。常人ならのた打ち回り、人によっ
ては壁に頭を打ち続けていたところですよ」
 素足を包み込む半透明のスライムがパンプスの中から言葉を放った。余裕たっぷりのそ
の語感からは、神楽が耐え抜いたことに対する焦りのようなものは微塵も感じられない。ま
さかこれで終わりだとは思わなかったが、準備体操というダゴチの言葉が陽動でなかった
ことに対する神楽の落胆は、決して小さいものではなかった。
「……所詮は…足の裏…。脳から最も離れている箇所の刺激で私を狂わそうなど……片腹
痛いな……!」
 そう言い放ちながら、覚束ない動きで神楽は立ち上がった。絵に描いたような強がりだっ
たが、その裏では言霊の魔術、くすぐりの理(ことわり)を変えようとする神楽の能力が働い
ていた。先の蠕動が偽りなく準備体操であるなら、この後に訪れるであろう本責めの受難
にはとても耐えられそうにない。そう感じた神楽の取ったこの策は、不利な現状を裏返す最
良のものであったに違いない。しかし、
「所詮は足の裏……ですか……。神楽さん……『足は第二の心臓』と言われているのを貴
女は御存知ですか?」
 神楽の能力が発動したのを感知したのか、言霊で"場"が変わりやすくなったこの状況を
逆手にとって、カウンターを浴びせるべくダゴチは言霊地獄を見舞った。
「仰せある通り、足の裏は脳から、そして心臓から最も離れています。心臓の働きだけでは
血液の循環がうまくいかないため、歩行等の運動によって筋肉を膨らませ、静脈を圧迫す
ることで血液を心臓へと向かわせます。この流れを心臓の運動に見立てて『足は第二の心
臓』と言われるようになったのでしょうが、この言葉はその由来を超越して、様々な場面で芽
ぐんでいるのが実情です。裏を返せば、足というものがそれほどまでに複雑で精妙で、そし
て重大な役割を担っている部位であるということになります」
 神楽は、背中に冷たい汗が流れるのを感じた。それにより、嫌な予感がしている自分に
気がついた。
「足にある骨の数は全身の骨の総数の四分の一にも達します。筋肉等も多く、且つ複雑な
付きかたをしており、その構成は何とも美しく、逞しく、合理性ゆえの芸術性を孕み、複雑さ
ゆえの繊細さを宿した至上の部位と言えるでしょう。貴女方は裸足の生活を長く続けた末
に今の靴社会に至ったわけですが、本来は歩くにせよ、バランスを取るにせよ、地面の状
態というものを把握しないことにはどうにもなりません。傾いている、ぬかるんでいる、崩れ
やすい、滑りやすい、それらの情報を逸早く察知し、全身に伝えて対応させるのが足の裏
に課せられた重大な役割の一つです。そのために微細な刺激でも逃さぬよう神経が張り巡
らされ、非常に敏感に組織化されています」
 このような"夢"の世界でなくとも、言葉の魔力というものは凄まじく、僅かな時間で人を豹
変させ得る破壊的な力を帯びている。神楽はそのことを重々に理解しているからこそ、足
元から這い上がってくる言霊が恐ろしくてならなかった。


85 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:17:38 mQ/zcE8g0
「ハエが前脚をスリスリと擦るのを見かけたことがあると思いますが、あれはクリーニング
行動と呼ばれ、前脚についたゴミを擦り落とし、常に清潔を保とうという意図に基づいてい
るそうです。ハエは足の先に味や匂い感知する感覚器官があり、クリーニング行動は餌や
産卵場所の状態をより正確に捉える助けとなっているとのことです。この行動は頻繁に見
られますが、それだけ繊細だということでしょうね。人間の足の裏も同様、味覚や嗅覚こそ
ないものの、それに匹敵する量の情報を用心深く正確に受信し続け、滞りなく迅速に全身
に伝えています。足の裏は謂わば露出した内臓、繊細で敏感、足の裏は非常に繊細で敏
感なのです」
「……う…………あ…………」
「人体の表面を覆う皮膚の中でも、一際異彩を放つのがこの足の裏。刺激に聡いからこそ、
刺激に弱い。それも当然、先陣切って刺激に望む人体の核弾頭であります。その複雑な構
成は歴史の集大成と言っても過言ではないでしょう。その至上の傑作に対して無礼を働くな
どというのは、神に固く禁じられた絶対悪に他なりません。ですがもし……もしですよ………
…。その足の裏を容赦なく、徹底的にくすぐったとしたら…………、人は……神楽さんは…
………どうなってしまうんでしょうねぇえぇ!」
「ひぃっ……!」
 ダゴチの語気が強まると同時に神楽は短い悲鳴を上げてしまった。撃鉄が落とされたこ
とを意味しているのだろう、神楽は半ば反射的に両手で口を覆った。
 "場"がダゴチの言霊に共鳴してしまったのなら、この空間は完全に支配されてしまったこ
とになる。それは自分の足の裏の感覚を以て確認するほか仕様がない。しかし、検証する
必要など、まるでなかった。


86 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:18:53 mQ/zcE8g0
 性癖対策本部くすぐり課、特別捜査班、班長。
 性教育委員会などと皮肉たっぷりに揶揄されることもある組織の中で、若くして一つの課
の顔となった神楽には人並みの感情表現が許されなかった。その特別な能力が老成させ
るに至ったのであろうか、元々寡黙な少女であったが、その嫌味のない静けさは周囲の気
を引き、聞き上手も相俟って広く慕われ、満喫とまではいかずとも相応の学園生活を営む
ことはできた。
 しかし性癖対策本部においては、その寡黙さに拍車が加わり、喜怒哀楽を失し、職業柄
の影響もあり、口調もいつしか淡白な男口調に変化していた。そんな神楽が久方ぶりに、
或いは生まれて初めてであろうか、惜しげもなく、弾けんばかりに、
「き、きゃはははははははははっ!」
 女の子の声をあげた。
 一溜まりもなく口を押さえていた両手を下ろし、腰を抜かしたように尻餅をついて、神楽は
異形の靴下を剥がしにかかった。が、ぴったりと張り付いたまま蠢き続ける半透明は金城
鉄壁に変わりなく、力の限りに押しつぶそうが、爪が剥がれるほどに引っ掻き回そうが、ま
るで意に介さなかった。
「あはははっ、あぅあああぁっ! ひはっ、あははははっ、ああーっ!」
 神楽は仰向けになって両脚を浮かし、駄々っ子のように浮いた脚を暴れさせ、ライトグレー
のブーツカットパンツが想定外のその運動にシャカシャカシャカッと悲鳴を上げた。
 先のダゴチの"準備体操"は、水責めで例えれば軽く捻った蛇口の水を漏斗に注ぎ込む
程度のものだったが、今神楽が味わっているのはバケツをひっくり返したような無慈悲怒涛
の刑。吐き出すことなく体内で消化しきるなど、土台無理な話であった。
「ひいっ、ひーっ! ひゃあはははははっ! あひゃはあああぁっ!」
「これは……想像以上ですね。質、量、共に申し分のないエネルギーが流れ込んできます。
その流れ…感じますか?」
「ひぐっ…………! …………っ!」
 ダゴチの言葉により、神楽は狂気の狭間で理性を呼び戻した。このまま狂い続けてしまっ
たのなら我が身の破滅、延いてはくすぐりフェティシズムという性癖が跳梁跋扈すること必
至である。神楽は眼球が飛び出しても構わぬ思いで再び両手で口を塞ぎ、仰向けの状態
で両膝を立て、靴底を床に接着させた。
「…………っ! …………っ!」
 この体勢のまま微動だにしないつもりだったが、募るくすぐったさの度合いに比例して神
楽の腰は浮き上がっていった。下ろそうとするも、得体の知れない力で引き上げられてい
るように腰の位置は上がり続け、首ブリッジのような形になったところで敢えなく、
「ぐ……うやぁははははははーっ!」
 撃沈した。理性はまたしても雲隠れし、自分が笑っていることが何を意味し、どのような結
果に行き着くのか、神楽は殆どわからなくなってしまった。ただでさえ皮の薄い神楽の足の
裏は、ダゴチの言霊によって更に繊細で敏感になっていた。


87 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:20:11 mQ/zcE8g0
「寝転がっているだけでは芸がありませんね。そんなにくすぐったいのでしたら神楽さん、少
し運動してみてはいかがですか」
 空中で両脚をバタつかせていた神楽だったが、足の裏の刺激に動かされ、気付いたとき
には姿勢よく立たされていた。ダゴチは言葉で脅迫したわけでもなければ、反射区を刺激し
たわけでもなく、ただ絶妙な"くすぐったさ"の変化のみを以て神楽を直立させた。
「あっ、あっ、あははははぁっ! あはっ、あはあぁぁぁああっ!?」
 くすぐったさから逃れようとする行為は、基本的には脊髄反射から成り立っている。熱いも
のに触れてしまった際に瞬間的に手を引くのと同様、まず人体はくすぐったくない方向への
単純な運動を選択する。それでも儘ならぬ場合、複雑な運動を必要としている場合は脳に
委ね、適切な命令を下してもらう。ダゴチはその原則に則り、神楽を直立させて足の裏全体
に体重が乗るように動かした。
 五感の情報を掻き集め、過去の経験等と照らし合わせつつベストな選択をする。この場
合は足の裏の触覚感のみであったが、脊髄反射が何の役にも立たないこの状況において、
神楽の脳髄は脇目も振らずに、いかにしてくすぐったさを抑えられるかのみに焦点を合わ
せていた。
 例えば足の裏が低位置であるほどくすぐったさは弱まる。同様に、腰の位置が高いほど、
背筋が伸びているほど、顎を引いているほど……といった具合に学習し、結果、「気をつけ」
の姿勢に神楽は落ち着いたのである。
 ダゴチは、神楽の脳髄がそのように選択するよう何千分の一秒単位でくすぐったさの調整
をやってのけた。当然神楽は、自分が何故「気をつけ」の姿勢をとっているのか知る由もな
い。
「正解です。さすがは神楽さん、優秀な脳味噌を浮かばせてますね。では次の問題に移り
ます。わかりますかね?」
 それは何という狂態であろうか。"解答"に至るまでの間、神楽の脳髄は神楽の身体を使
って試行錯誤を繰り返したのである。
「あーっ! あーっ! あぐぅ、あがぁっ! ああぁあはははははははあっ!」
 飛び上がり、へたり込み、丸まっては海老反りになり、また立ち上がっては跳ね上がり、
腕を振り回しながら蹴り上げ、脱臼せんばかりに無理な開脚をしたかと思うと寝転がったま
ま「気をつけ」をし、突として転がり始めたかと思うとまた跳ね上がり……。
「さぁさぁどうでしょう。わかりますか? わかるまでやめません」
 神楽の脳髄に向かって、ダゴチは退路はないという条件付けをした。
「あきゃあぁっ!あぁっ、あっ、……っはああぁっ!」
 散々に笑い回り、暴れ狂った挙句、神楽の脳髄が導き出した行動は、
「あははははああぁーっ!」
 全力疾走だった。
 学校のグラウンドであったなら一直線に走り抜けていたに違いないが、"夢"の世界とはい
え、ここは畳六畳敷の狭い牢獄である。走る、という解答を導き出した後も神楽の脳髄の試
行錯誤は続き、何度か壁に行き当たった末、ようやく一つの結論に達した。この限られた空
間を走り続けるためには、
「あははははああぁーっ!」
 壁に沿ってぐるぐると回り続けるほかなかった。
「正解です。安定するには規則的に回らなければなりません。神楽さん、綺麗ですよ」
 走り続ける神楽の足元から、ダゴチの賞賛の声が切れ切れに聞こえた。ベストな選択を
したところで、くすぐったさが収まるわけもなく、ただそれ以上のくすぐったさから逃げている
だけに過ぎなかった。
 余りにも惨めな姿。ふと自身を傍観した神楽は、ここまで平然と人間を狂わす妖怪が許し
難く、同時にどうにも止められないのが悔しくて堪らず、とうとう涙を流した。涙を流しながら
も、
「あははははああぁーっ!」
 笑い続けた。走り続けた。回り続けた。


88 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:21:32 mQ/zcE8g0
 比較的高い身体能力に恵まれた神楽も、笑いながら走るという奇行は長く続けられなかっ
た。薄れゆく意識、霞みゆく視界、朧気な世界の中、焼けるような肺の痛みがくすぐったさを
上回り、とうとう神楽はその場に倒れ込んだ。
「はひっ……! はひっ……! あはっ……!」
 それでもダゴチは倒れた馬に鞭を打つように、神楽の惨状に構うことなく強烈なくすぐりを
浴びせ続けた。荒れ狂う呼吸の間隙を縫って神楽は笑い声らしきものを上げ、足の裏から
全身へと痙攣の波を伝えた。走ることは疎か、立ち上がることさえ儘ならなかった。
「神楽さんは勝気で色気を隠してますからね。弱らせないと手弱女を引き出せません」
 ダゴチが言葉を終えると同時に、神楽の靴下の蠢きがピタリと止まった。
「はっ…、はっ…、はっ…! はぁ…、はぁ…、はぁ…!」
 足の裏に猛烈な刺激の余韻が残っているものの、地獄の責め苦から解放された神楽は、
安堵に浸る間もなく意識を失った。走り回り、叫び狂ったことによりどれだけの擽精をダゴ
チに吸い取られたか、そのような懸念は頭の片隅にも浮かび上がらなかった。

 頬に硬く冷たい感触を覚え、神楽は目を覚ました。頬に始まり、身体の側面で味わう重力、
神楽は見知らぬ場所で布団も敷かずに横向きになっている自分に気がついた。一つ、また
一つと霞が消えていく視界に入ってきたのは、薄暗い牢獄のような部屋…………。
「…………っ!」
 神楽はガバリと跳ね起き、宿敵の姿を確認すべく立ち上がった。しかし視覚に頼る前に、
ヌチャ…とした感触を見出した足の裏がダゴチの在り処を教えてくれた。
「ぐっ…………!」
 失神する前と同様、ダゴチは何ら変わらぬ姿で神楽の両足をしっとりと包み込んでいた。
時間の概念が曖昧なこの"夢"の世界において、どのくらいの間"眠り"についていたのか
は定かではないが、何の後遺症もなく、また疲労や擦り傷が跡形もなく消えうせていること
から察するに、高い治癒力が"眠り"に包含されていることは確かだった。
「今更何を逸ってるんです? あれだけの擽精を放出したのですから、もう覚悟は決まった
ものだとばかり思っていましたが……」
「あっ…………!」
 後の祭り、理不尽なまでの戦況の中、起死回生の策を案じる暇もなく嬲り尽くされ、気を
失うほどの狂態を晒してしまったことの意味を、ここに至って神楽はようやく理解した。しか
し今もなおスライムの靴下を履かされているという事実、神楽は恐ろしさの余り、その意味
については考えを進めることができなかったが、
「さて、神楽さん…。貴女のおかげで私にもようやく自由が戻ってきました。先程までは元の
靴下の形に縛られ、大雑把に強弱をつける程度のことしかできず、退屈な思いをさせたか
もしれませんが……」
 ダゴチの懇切丁寧な説明で、神楽は現実を思い知らされることとなった。
「今度の靴下は気に入っていただけると思います」
 ダゴチがそう言うと、神楽の靴下がブヨヨヨッ…と蠕動し始めた。
「ひっ……、や、やめ…………っ!」
 立っていることすら危険に感じた神楽は、すぐさま腰を下ろし、両足を前に投げ出した。
全てはパンプスの中の出来事であるため、見据えたところで何も読み取れはしないが、神
楽は自分の両足から目を離すことができなかった。
 ぬちゃ…ぬちゃ…みちょ…ぼちょ……という聞いているだけでくすぐったさを催すような音
がパンプスの中を木霊し、神楽の恐怖心を煽り立てた。目を瞑り、耳を塞ごうとも思ったが、
不快極まる粘着音がピタリと止み、その直後、
「…ひあっ!?」
 神楽の十本の足の指が、ウツボカズラじみた筒状の粘着物質に一斉に咥えこまれた。生
温くて粘っこい感触がそれぞれの指を隙間なく包み込み、動物のような歯はないが、口の
部分は捕らえた獲物を放すまいとする吸着性があるようで、内壁に無数のイボが点在して
いるのが感じ取れた。


89 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:22:28 mQ/zcE8g0
 余りにもおぞましいその感触に、そのままの状態でも引きつった笑いが込み上げてきそう
なものだったが、大人しい構造でないことは火を見るよりも明らかであり、神楽がその動き
を想像するよりも早く、
 ぶじゅるるるるるるるううぅ……!
 各々のウツボカズラは猛烈な勢いでしゃぶりつき始めた。
「ああっ!? やははははははははっ!」
 驚愕と混乱の笑い声を上げると同時に、咄嗟に神楽は震源地であるパンプスのつま先の
部分をそれぞれの手で握りこんだが、その程度でウツボカズラの勢いを止められるわけも
なく、神楽はのた打ち回ることを余儀なくされた。
「待って! あはははははっ! やきゃあっ、やぁん! あはーっ!」
 横寝の状態で目が覚めてから、間を置かずにこの状況である。目眩く急展開に、神楽は
ただ笑い転げることしかできなかったが、
「気に入っていただけたようですね。擽精が滞りなく流れ込んできます」
 ダゴチの言葉で我に返り、自分に課せられた命題を思い出した。
「うくっ…………! …………っ!」
 神楽は両手で口を塞いで、両脚を軽く開き、「人」の字で仰向けになった。
「…………っ! んんっ…………!」
 これまでがどうであれ、この先一切エネルギーを解放しなければ官軍である。その事実を
骨身に刻み込み、つま先から押し寄せる狂気の波を静めるべく、全身を防波堤で覆うイメー
ジを膨らませたが、
 ぶじゅるるるるるるるううぅ……! じゅぼじゅぼじゅぼじゅぼっ!
 獰猛なしゃぶりつきに加え、ウツボカズラ自身が高速で上下のピストン運動を始めたため、
「……あーっ! きゃはははははははっ!」
 神楽の忍耐は敢えなく瓦解し、
「あははははぁっ! だめだめだめぇっ! あぁあははははははははああぁっ!」
 くすぐったさしか認識できない笑い袋と化してしまった。
「このように技巧を凝らせるのも、ひとえに神楽さんが暴れてくれたおかげです。それでもな
お『笑う』ということは、『もっとくすぐってほしい』ということでしょうか。ご安心下さい、これは
一例に過ぎません」
 ダゴチがそう言うと、それぞれのウツボカズラは神楽の足の指をゆっくりと吐き出し始めた。
責めの意図がないその動きでさえ、神楽には堪らなくくすぐったく感じられた。おそらく神楽
の十本の足の指は、ウツボカズラの唾液じみたものでヌタヌタと濫りがましく輝いているに
違いない。
 そのまま指から離れていくかと思いきや、ウツボカズラたちはそれぞれ指の爪を隠す程
度の箇所で止まった。神楽は指の先端のみへの責めを覚悟したが、実際に刺激を見出し
たのは、
「あはぁっ!? あっあっあっあっ、ああぁあぁっ!」
 指又だった。両足で八つある指又にヒルのような粘着物質が張り付いていた。一寸程度
のやや平たいその物質は、それぞれの指又に跨るように陣取り、皮膚と接着している裏面
には無数の小さな突起が所狭しと密集していた。
「ひっ…ひーっ!」
 神楽は本能的にヒルを振り落とそうと脚を宙でバタつかせたが、実際のヒルと同様、易々
と引き剥がせる代物ではないらしく、逆に刺激してしまったのだろうか、八匹のヒルはその
場で尺取運動を始めた。


90 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:23:30 mQ/zcE8g0
「やっ!? あはぁははははははははっ! うわっ、ぁわあっ!」
 ヒルが動くたびに無数の突起が擦れ、神楽の指又をゾリゾリゾリッと刺激した。たとえくす
ぐりとは縁のない箇所であろうと、このヒルに尺を取られたのなら誰もが喚き散らすであろ
う破壊的なおぞましさ。その脅威が、風呂場で自分で洗った際にもくすぐったさを覚えてしま
う敏感極まる足の指又に張り付き、慌しく尺を取っているのだから、正気を保てるほうが異
常であるに違いない。
「あぁははっ、ぁあーっ! あーっ、あーっ、あああああ!」
 神楽は足の指を丸めてヒルの動きを抑えようとしたが、先のウツボカズラたちがそれを遮
った。神楽がどんなに力んでも、拘束具と化したウツボカズラは微動だにせず、無防備な指
又をヒルに供し続けなければならなかった。
「いやっ、きゃあっ! きゃははははははっ! あおおおぉっ、あああぁっ!」
 つり気味だった怜悧な眉尻は哀れなまでに垂れ下がり、鋭くも優しい瞳は涙越しにも光が
なく、可憐で端正な口はしどけなく歪みきっている。特別捜査班班長の面影は、どこにもな
かった。
「先端ばかり贔屓して広大な足底が焦れているようですね。神楽さん、お待たせしました」
 パンプスの中からくぐもった呟きが漏れると、ウツボカズラとヒルはドロリと溶けてその形
を失ったが、
「はっ…! はぁっ…! はっ……ひううぅっ!?」
 安息も束の間、神楽の足の裏全体を、夥しい数の"点"の刺激が襲った。それは足つぼ
サンダルのように可愛らしいものではなく、量、細かさ共に凶悪な、ピンが先丸型のヘアブ
ラシのような膚ざわりだった。
 ブラシ…………。神楽がそのイメージを浮かべるや否や、
 シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコォ!
 気が触れたようなブラッシングが始まった。
「ひあっ! あひゃひゃはははははははっ!」
 形はヘアブラシでも、その動きは床を磨くデッキブラシのそれに近かった。またピン自体
も一般的なヘアブラシよりも柔らかめで、動きに合わせて適度に撓り、不要に足の裏を傷
つけることもなかった。
 縦、横、斜め、規則的な往復運動も然ることながら、ピン自体の配置が変わって、幾つも
の円運動が繰り広げられたり、それぞれが螺旋を描いて中心に寄り集まったり、蜘蛛の子
を散らしたように拡散したりと、神楽の足の裏ではとどまることなく数多の図形が描かれ続
けた。しかし本人にそのような趣向を解する余裕などあるはずもなく、
「あはははははっ、やめてぇっ! やははははははっ、とめてぇっ!」
 ペダルを漕ぐように両脚を暴れさせ、髪の毛を掻き毟りながら悶え狂うほかなかった。ブ
ラシの毛先から黒インクが出るのだとしたら、おそらく神楽の足の裏は余すところなく塗りつ
ぶされ、黒一色となっていたに違いない。それほどまでに、
 シャコォ、シャコシャコォ! シャコココココココ、シャコシャコシャコォ!
 ブラッシングは執拗に続けられた。


91 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:24:34 mQ/zcE8g0
「少しヒリヒリし始めたかもしれませんね。治療をしましょう」
 ダゴチがそう呟くとブラシは消滅し、次いで現れたのは、
「ひっ……!」
 生温く、不快な弾力のある物質。神楽の足の裏の中心にぴと…と舞い降りたその感触は、
人間の舌を髣髴とさせた。舌先で着地したその物質は徐々に"身体"を倒し、舌の根までを
足の裏に密着させたかと思うと、
「あひぃあぁっ!」
 ゾゾゾゾゾ…と音が立つほど濃厚に舐め上げた。滑らかな人間の舌とは程遠いその感触
には、猛獣を思わせる剣呑なざらつきがあった。
「神楽さんの世界にはかつて『山羊に足の裏を舐めさせる』という奇天烈な拷問があったそ
うですね。くすぐったいのが前半、足の裏の皮が剥がれて激痛に変わるのが後半。それぞ
れの悶絶ぶりを楽しめるという中々に画期的な拷問ですが、私は痛め付ける趣味はありま
せん。ご安心下さい、この舌からは即効性の軟膏のようなものが分泌されております。決し
て痛みに変わることはなく、狂おしいざらつきをいつまでも楽しめる仕様になっております」
 舌は緩慢な動きで神楽の足の裏をなぞり上げた後、出し抜けに速力を上げ、そのざらつ
きとは不釣合いの甘えっぷりを発揮して神楽の足の裏を無我夢中でしゃぶり始めた。
「あははははははっ! あやぁっ! いやあああぁはははははあぁっ!」
 舌の動きを封じるため、神楽は悶え苦しみながらも何とか立ち上がり、地団駄を踏んで潰
しにかかった。しかしどんなに駄々をこねようと、ざらつく舌の甘えっぷりには敵わず、片足
に全体重を掛けたところで、舌の動きにはまるで変化が表れなかった。
「ひあああぁっ! いやっ、やっ! あーっ! あーっ!」
 背筋が粟立ち、全身の筋肉が弛緩した神楽は、再び腰を抜かしたように崩れ落ちた。同
時に、各足一つずつだった舌が、何の前触れもなくそれぞれ三つに増殖し、甘えん坊の二
組の三つ子は我先にと競い合い、猛然と神楽の足の裏に襲い掛かった。
「うあぁっ、きゃぅあはははははっ! だめだめだめぇっ!」
 複数の獣に足の裏をしゃぶり尽くされている感触。いくら視覚が「そんな獣は存在しない」
と訴えても、神楽の全身の組織一同は耳を傾ける余裕すらなく、足の裏から送られてくる強
烈な危険信号にただ恐慌するばかりであった。
 目を信じるか、足の裏を信じるか。長い歴史を鑑みて、これ程までに凄まじい刺激を受け
ておきながら何事もないはずがなく、高々目ごときが「気にするな」と声を掛けたところで何
の説得力もないのは明々白々だった。
 そんな恐慌の集合体、神楽の動きからは人間的な精神活動が一切感じられなかった。素
足で危険なものを踏みつけてしまうと誰もが咄嗟に足を引くが、何度足を引いても、どんな
に大きく足を引いても、危険は神楽の身から離れていかない。頼みの脳髄も「その靴下を
脱げ」の一点張り。脱げない。外せない。くすぐったい。反射は止まらない。くすぐったい。
「その靴下を脱げ」脱げない。外せない。くすぐったい。
「ああああぁぁっ、あはははははははっ! もういやあああぁっ!」
「この舌の分泌液は少々粘っこいですからね。ひょっとして痒いですか? 掻いて差し上げ
ます」
 ダゴチがそう言うと、ざらつく舌は引っ込んで再びブラシが顔を出し、神楽の足の裏全体
を破竹の勢いでブラッシングし始めた。足の裏が泡立つほどのブラッシングが終わるとまた
ざらつく舌に切り替わり、またしばらくすると忙しなくブラシが馳せ参じる、という継投が何試
合にも渡って繰り返された。


92 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:26:01 mQ/zcE8g0
「きゃあっ、あがぁっ! あやはぁあはははははっ!」
 それでも貪欲に擽精を求めるダゴチの蹂躙は終わらず、
「そろそろ物足りなくなってきたかもしれませんね。ではこれまでの復習も兼ねて……ささや
かなオールスターです」
 鉄壁のローテーションに更なる援護が加えられた。
 十本の足の指にはウツボカズラが喰らいつき、八つの指又にはヒルが跨り、足の裏全体
にはブラシと舌が悠然と構えた。
「…やだ……やめて……やめてえぇっ!」
 神楽の悲痛な懇願の直後、ごった返しのパンプスの中で種々雑多の粘着音がいつ終わ
るとも知れずに響き始めた。


93 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:27:21 mQ/zcE8g0
「あはははははははっ! やめでぇーっ!」
 という泣きの入った笑い声を上げながら、一繋がりになったもう一つの牢獄でベッドにX字
拘束されたブルマ姿の少女、ミヤコこと相川紗江子は愈々"覚醒"するに至った。
「はっ……は……、……えっ…?」
 視覚の狼狽、白を基調としていたホテルの部屋の内装が一転して陰気な濃灰色。奢侈な
シャンデリアは数百年の時を遡ったかの如く、味気なく曇ったプラスチックカバーに覆われ
た蛍光灯へと変化を遂げていた。カバーの表面にぼんやりと点在する黒点は紛れ込んだ
虫たちの死骸であろうか。
 聴覚の惑乱、タオルで塞がれた口からは発せられるはずのない判然とした悲鳴。据えら
れた大型のスクリーン世界をより楽しむためのこだわりの音響はなく、自分の悲鳴は一層
の悲壮感を帯びて途端に跳ね返ってきた。
 触覚の紛糾、明らかにホテル内ではない殺風景に視界を覆われながらも、背中を優しく
押し返す柔らかい感触。その間に入り込んでいた筈の脅威はなく、横乳を貪っていた魔の
蠢動もなかったが、ぴっちりとした体操着とブルマの着心地、手首と足首を咥え込んだ拘束
具の感触は確かなものだった。
(…ここは……どこ……? まさか……攫われた……?)
 紗江子の記憶は、動きと声を封じられて背後から高平に虐げられるまでは鮮明だが、そ
こから先は靄が懸かっているため、途中で自分は気を失い、その間にこのような場所に運
び込まれたとしてもおかしくないと考えた。
「んっ……!」
 紗江子は両手を拘束されていながらも、腹筋の力で僅かに上体を起こし、自分の足側の
場景を見遣った。
 一面の濃灰色。石壁に覆われた縦に長い牢獄のような部屋。窓もなく、扉さえも確認でき
ない。今の時代にもこのような場所があったのかと思わせる非人道的な圧迫感、この上な
く恐怖心を煽り立てる暴力的な造り。
 無理な体勢は長くは続かず、プルプルと震える首と腹筋を一旦休ませるべく、大きく息を
吐きながら上体を下ろし、ボフンと枕に頭を落としたが、
「……えっ…?」
 その寸前、視界の下方に何やら人影らしきものが流れたのを紗江子は見逃さなかった。
見逃すことができなかった。
 紗江子は今一度確認すべく、足枷に繋がれた鎖がピンと張るまで身体を頭側に這わせ、
これにより多少可動域の広がった上体を腹筋の力を以て精一杯起こした。その視界の下
部から徐々に這い上がってきたのは、
「…え、なに……? なんなのっ……!?」
 新しい傷と汚れに彩られたライトグレーのレディーススーツ、乱れきった長めの茶髪。人影
の正体は、まだ若いと思われる女性の、捨てられたように転がる凄惨な姿だった。


94 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:28:23 mQ/zcE8g0
「ひっ……ひーっ!」
 紗江子はその惨状に視線を奪われ、腹筋の悲鳴も聞かず、無理な体勢のまま固まってし
まった。目を背けることが、どこか恐ろしくて堪らないことのように感じられた。意識の有無
は確認できないが、生命活動を見て取ることはできた。しかしそれを生命活動と表するのは、
気高い人間の精神というものを冒涜する行為に等しいのかもしれない。
 顫動して止まない全身、何の意味もなく無秩序に動かされる腕、脚、腰、首……、何を見
ているのかわからないマンボウのような虚ろ目、そして歪んだ半開きの口からは、
「…ぁ……ぁは……ぇへ……ぇへへ……」
 笑い声じみた弱々しい呻きが、絶え絶えに漏れ続けていた。聞いているだけで気が狂い
そうな幽鬼の笑い、紗江子はこの女性が自分と同じく、否、それを遥かに凌駕するくすぐり
責めに晒されたであろうことを直感した。同時にその女性と同じ場所で磔にされている自身
に気付き、
「いやっ! いやああああぁっ!」
 紗江子は我を忘れたように取り乱した。どう考えても次は自分の番、ホテルでの執拗なく
すぐりが思い起こされた。鎖をガチャガチャ鳴らしながらの慟哭、眦に涙さえも溜まってきた
その時、
「おや、ようやく"お目覚め"ですか。寝起きなのに随分と元気ですね」
 人間の、渋い男性の声がどこからともなく聞こえてきた。口調は先の相手、高平と似通っ
ていたがどうにも違うらしい。紗江子は仰向けの状態のまま顔だけ起こしたが、声を発した
であろう男の姿は見当たらず、代わりに、
 ぬちゃ、ぬちょ……ぬちゃ、ぬちょ……
 という何とも耳に障る粘着質な音が自分に向かってゆっくりと迫ってきているようであった。
「ひっ……な…なに……?」
 音はベッドの右隣まで来たが、紗江子の顔の位置からは未だ確認できずにいた。左の手、
足首に繋がれた鎖を目一杯張り、その姿を見定めようとした矢先、
「やっ、いやあっ!」
 こぶし大の半透明のスライム物質が、グニョグニョとその形を変えながらベッドに跳ね上
がり、間を置かず更にもう一度跳ねて、紗江子の臍の上辺りに着地した。
「いやああぁっ! 離れてっ、来ないでええぇっ!」
 それが生き物なのかはわからない。ただとてつもなく危険な存在であることを直感的に理
解した紗江子は、狂ったように腰を振り乱し、得体の知れない粘着物質を振り払おうと必死
になった。
「別に落ち着かなくても構いませんが、参考までにお聞き下さい。ここはですね…………」
 半透明のスライム物質、ダゴチのゆったりとした丁寧な口調が落ち着きを齎したのか、声
の主が臍の上で蠢くスライムであったことで輪を掛けて乱れていた紗江子も徐々に静まり、
「つまりその……、貴方がわたしに危害を加えることは…ない、のね……?」
 スライムの講釈に耳を傾け、ものを尋ねるという、不自然極まりない現状を受け入れるま
でに落ち着きを取り戻した。しかし平静も泡沫、
「勿論にございます。このような痛ましい精神状態に陥っている女性に追い討ちを掛けるよ
うな真似がどうしてできましょう。ですが例えば……例えばですよ…………。現実世界で紗
江子さんを責め苛んだ悪辣非道の輩がですね、今もなお動かぬ女体を蹂躙し続けている
としたら……どうなってしまうかわかりますか…?」
「…………えっ…?」


95 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:29:23 mQ/zcE8g0
「寝ている人間に何らかの力を働きかけると、寝ている本人はその刺激に見合った夢を見
てしまうことがあるそうです。紗江子さんは歯が抜ける夢を見たことがありますか? 異様
に生々しい恐怖に脅かされるらしいこの夢は代表的な悪夢なのだそうで、身内の不幸や生
命力の低下等、様々な不吉な暗示が唱えられています。ですが一方、口内の状態がよくな
く、歯の健康が危険に晒されている時にも見やすい、といったシンプルな見解もあるそうで
す。本人の意思とは関係なくくしゃみをして菌を外に吹き飛ばしてしまう人体です。歯が抜
ける夢を見させて歯磨きを促すぐらい、然程難しい仕事ではないのかもしれません。つまり
ですね、現実世界の狂宴が時空を超えてこの"夢"の世界に舞い降り、今この瞬間に始ま
るかもしれない、ということです」
「…………っ!」
 紗江子は諸悪の根源を臍の上に乗せたまま、忙しなく周囲を警戒し始めた。ダゴチを親
切な水先案内人程度にしか認識しなかったことが禍し、ベッドの周りから聞こえてきた幾つ
かの水音の正体が、臍の上のスライムの一部が弾け跳んだものであることに紗江子は気
付くことができなかった。
 計七つ。水滴ほどの大きさだったダゴチの一部たちは、ブヨ、ブヨヨ…という奇怪な音を立
てながら少しずつその輪郭を象り始めた。
「な…なに…? いや……いやっ! 助けてっ……助けてよっ!」
 ダゴチは何も答えずに紗江子の身体から降り、ベッドから降り、静かに音を立てながらそ
の姿を晦ました。紗江子は必死に呼び掛け続けたが、やがて自分を取り囲む光景のその
余りの狂逸振りに愕然とし、声を上げることすら叶わなくなった。


96 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:30:46 mQ/zcE8g0
 水滴ほどだったスライム物質たちが膨張し、輪郭を持ち、質量を含み、色彩を帯び、人格
を宿して紗江子を取り囲み、その中の"一人"が、
「さ〜えちゃんっ♪ 何してるのぉ?」
 底抜けに明るい調子で紗江子に声を掛けた。
 可愛らしい膝小僧が見え隠れする程度の紺色のフリルスカート、白のオーバーニーソック
ス、グレーのボーダー柄の丸首半袖Tシャツの上から羽織るように丈が短めの薄ピンクのカ
ーディガンを着た少女の背中には、とうに在庫切れしたと思われる旧型の赤いランドセルが
確認できた。
 あどけなく、悪戯好きの顔をした身長120cm程度のこの少女は、幼女を卒業し、少女と
いう肩書きを手に入れてからせいぜい二、三年程度しか経っていないように思われる。
 声を掛けた一人を除く他の六人も、同じいでたちをした同じ少女で、ベッドに磔にされた紗
江子の全身を舐めるように見ながら、くすくす、にやにやと、それぞれ意味深な含み笑いを
見せている。その少女"たち"こそ、
「…あ……え……? ……ゆき…ちゃん…?」
 紗江子の小学校低学年時の親友にして"もにゅもにゅごっこ"の天敵、梶谷由希に他なら
なかった。
「くひひっ、さえちゃん何だか大変なことになってるねぇ。どうしたの? ねぇどうしたの? く
ひひひっ」
 先程とはまた別の由希が紗江子の顔に近付き、耳元で囁くように話しかけた。
 紗江子と由希が同じクラスだったのは小学校二年生の時が最後だったが、中学校三年
生までは同じ学校に在籍していた。由希が目の前にいるブルマ姿の成熟しかけた女性を
紗江子と認識できるのは、ここにいるランドセルの少女の人格が、紗江子の成長を知る現
在の梶谷由希であるのか、或いは見た目通りの当時の人格しか備えておらず、紗江子を
認識できるのは"夢"の世界を所以としているのか。もし後者であったなら、
「あれれ、動けないの? ぐふふ…確かめてみようかなぁ…♪」
 純真無垢な子供の残虐性が、紗江子の身体に遺憾なく降り注ぐこととなる。
「…え…待って……! ゆきちゃんっ……ねぇ、待って!」
 現実世界の狂宴が、"夢"の世界に舞い降りる。その言葉が頭の中で蘇った紗江子が、
にじり寄る由希たちを言葉で制するも虚しく、
「くふふふふっ、確かめるだけだってばぁ!」
 七人の由希が、無防備な紗江子の身体に一斉に襲い掛かった。
 特に打ち合わせをしたわけでもないのに、七人の少女の、十四本の腕の、七十本の小さ
な指が同時に辿り着いたのは、体操着シャツに包まれた上半身だった。ほぼ満員状態であ
るため、それぞれが好き勝手に這いずり回ることもできないし、"つぼ"を探ることも容易で
はない。しかしその乱雑な飽和っぷりを補って余りある量、七十というこれまで経験したこと
のない途轍もない数の刺激が、
「きゃあぁははははははははははっ! あーっ! あーっ! あーっ!」
 紗江子の正気を蜂の巣にし、狂宴の幕を切って落とした。


97 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:31:41 mQ/zcE8g0
 鎖を鳴り響かせながら暴れる紗江子に構うことなく、それぞれの由希はサディスティックな
笑みを浮かべながら指を動かし続けた。基本的に由希の責めは皮膚表面の浅い部分を刺
激するのではなく、指を深く埋め込ませ、肌の奥に眠る宝を穿り出そうとするような動きを主
体としているので、体操着シャツがコショコショコショコショッ…と音を立てることはなく、聞こ
えてくるのは、
 ガキャッ! ガチャガチャガチャッ! ガキャッ、ガキャッ!
 ドンッ! ボンッ、ボンッ! ボフンッボフンッボフンッ!
「動けなひっ! あははははははっ! うごけないからはああぁっ!」
 暴れる手脚を叱り飛ばす鎖の音と、頭と腰と手脚をベッドに叩きつける音と、体内の深刻
なエラーを伝える笑い声。責められる女体によって奏でられるものだけだった。
「さえちゃん、十分動いてるよぉ。嘘吐いたらダメ。お仕置きするよ? ほんとに動けないか、
もっかい確かめるから」
 由希たちの指は一旦紗江子の上半身から離れたが、
「ひっ……やだっ…、待ってっ……お願いっ…!」
 紗江子の懇願を聞き流し、蜜に群がる虫の如く、芋虫の身体を覆いつくす蟻の如く、
「あひゃあああおおおおぉっ! ひきゃははははっ! あはぁはぁはぁはああぁっ!」
 体操着シャツを喰らい尽くさんばかりの勢いで、再び紗江子の上半身へと殺到した。
 拘束されたうら若き女性の無防備な上半身を七人がかりで容赦なくくすぐり続ける。執行
側が大の男だけで構成されていたのなら、その光景は拷問史に載せられても何ら不自然
のないものである。
「ほら、やっぱし動ける。なんで嘘吐くの? ねぇ、何で嘘吐くの?」
 紗江子の顔に最も近い由希が、指の動きを止めずに首を傾け、笑い狂う顔を見下ろしな
がら尋ねた。
「きゃはははははははっ! ごめなははっ、ごめんなさいいぃぃひひゃははははぁっ!」
 詰め寄って上半身に手を向ける七人、叫び狂う乙女。遠めで見たのなら、腹を掻っ捌い
て腸を抉り出しているのではと勘違いする程の加虐。執行官が年端も行かぬ子供であるの
が唯一の温情であるかのように思われるが、見せしめ、見栄、職務等の些事に囚われず、
素朴な好奇心のみを以て壊れるまで遊び尽くそうとする童心は、時としては最凶の処刑を
創造することとなる。
「ダメ。お仕置き」
 七十本の指は、紗江子の呼吸が声帯を通す余裕を失うまで、満員の体操着シャツの上
で押し合い圧し合い踊り続けた。


98 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:32:55 mQ/zcE8g0
 絶え絶えの息吹が何らの医療器具に頼らず平常運行に復し、、死人よろしく蒼白となった
紗江子の顔が遡及するが如く赤らみ始める不自然さは"夢"の所以か、狂おしい悪戯の再
開を危惧し、ひたすらに震え慄くその姿を七人の由希たちは蟻の巣を観察する好奇の目を
以て繁々と視姦した。
「さーえちゃんっ、だいじょぶ?」
 毫も心配する様子のない声を掛けたのは紗江子の顔の左に控える由希。右手の袖口で
紗江子の口元の唾液を拭う優しさを見せつつ、左手の人差し指で何の悪気も魂胆もなく紗
江子の左脇腹をツンツンと突いた。
「あぅっ!」
 その不意打ちに紗江子の身体はビクンッと跳ね、素っ頓狂な声を発した。すっかり萎縮し、
塞ぎ込んでしまった肉人形が出し抜けに見せた溌溂とした滑稽な反応を無邪気な少女たち
が放っておく筈もない。一同顔を見合わせてにんまりと笑い、
「ねぇさえちゃん、だいじょぶ? だいじょぶ?」
 安否を気遣う建前を浴びせつつ、皆が片方の手の食指を立て、七人総掛かりで紗江子の
上半身を突きまくった。
「あうっ、あっ、あおぉっ! あはははっ、ひゃっ、あひゃあぁっ!」
 一本の指で突き続けるというこの行為、被虐側が笑い悶えていたならば傍目には"くすぐ
り"という認識を持たせることができるが、容易にそう至らせないのがこの責めの悪魔的醍
醐味なのである。
 人はくすぐられるとその怪刺激を処理乃至発散させるべく電気信号に変換して、体内の飛
脚がその情報を担いで津々浦々を駆け回る。しかし地球一高度な発展を遂げた筈の人体
をしても、"くすぐったい"という謎の情報に関しては何処を訪ねても「ウチではそんな仕事ぁ
取り扱ってねぇ」と尽く門前払い、情報が腐って体内で異臭騒ぎが起きる前に仕方なくその
電気信号を声に変換して「アハハ」と口から吐き出して取りあえずは一件落着。
 コチョコチョコチョ…という擬音に見合うような"くすぐり"に関しては人体というフィルターを
通した結果、アハハハハ…といった所謂笑い声に変換されて無事放出されるのだが、我々
はツン…ツン…ツン…という連続して突かれる刺激に対する効果的な発声を未だ編み出せ
ずにいるのである。この責めを受けた人間はまず驚愕と混乱の相を浮かべ、一瞬時間が
停止したかのような間を示す。その時体内では「早く声に変換して吐き出してくれっ」と怪情
報を担いで急かすも、「適切な悲鳴が見当たらん、他を当たってくれ」と頼りの肺・声帯・横
隔膜チームからも締め出され、再び広大無辺な人体に立ち向かわなければならない飛脚
の悲劇が繰り広げられている。その満身創痍となった飛脚の無益な体内一周が、外の世
界では一瞬の間となって表れるのである。
 結局は不完全な発声を以て少しでも飛脚の負担を減らそうと肺・声帯・横隔膜チームは
慣れない仕事に手を掛ける。そのため、一瞬の間を挟んだ後の被虐者の笑い交じりの悲
鳴は語尾に『?』がついたような、何とも不器用そうなアウトプットを演出することとなる。
「あぉっ、ははひゃあっ! やめへぇっ、あかはははっ、あーっ!」
 発声に乗せられなかった怪情報の残飯はとうとう体内で腐り、猛烈な不快感となって紗江
子の精神を蝕む。全身の筋肉の運動を以て毒素を放出しようとするも、両手脚を拘束され
たこの状況ではもはや袋小路、何者にも変換できない奇妙複雑な電気信号は体内で止め
処もなく腐り続けた。
「だいじょぶ? 返事がないけどだいじょぶ?」
「あははぁうっ! だっ、だいじょぉぶだからやめでええっ!」
「そっかぁ…、だいじょぶかぁ…。……ぎひ……」
 由希一同は再び顔を見合わせ、そしてやはりにんまりと笑い、それぞれ退屈していたもう
片方の手の人差し指をピンと立て、
「だいじょぶならぁ……、だいじょぶだよねえぇ!」
 全員が両の手で紗江子を突きに掛かった。


99 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:33:59 mQ/zcE8g0
「あぁあっ!? あっ、あっ、あー! あははあはあははあはははああぁっ!」
 上半身十四箇所を点の刺激が襲う。七人がかりで拘束された一人の女を突く。突く。突き
続ける。
「ひぎゃああおっ、あっ、あははあぁっ! やめっ、やべでえええぇっ!」
 七人が七人、無我夢中。こんなに面白い玩具はないとばかりに女体の悲痛な反応を楽し
んだ。更なる爆発を呼び起こすポイントはないものかと互いに切磋し合い、一切の妥協なく
蹂躙に励んだ。
 "夢"の世界とはいえ、ツンツンと突かれ続けて意識を失ったのは後にも先にも紗江子だ
けではなかろうか。七人の由希たちは実に満足気だったがそれも束の間、次はどのように
遊ぼうかと思いを巡らせ、玩具の充電が完了するのを今か今かと待ち続けた。ストレートな
好奇心に呼び起こされ、間もなく紗江子に意識と全快した肉体が返上された。
 覚醒すると誰しも状況を確認すべくつい瞼を開いてしまう。重たげな薄目に飛び込んでき
たのは曇りがちな蛍光灯と細かく直線で仕切られた濃灰色の天井面。途端、紗江子は直
前の被虐を思い起こし、覚醒を悟られぬよう薄目をゆっくりと閉じた。上出来の判断力、胆
力である。が、一日千秋の思いでその瞬間を待ち望んでいた由希たちに安手な小細工が
通ずる筈もなく、その滑稽な姑息さに声を殺して笑いつつ、互いに目交ぜし、どうしたもの
かと思いを巡らせ合った。
 目論見が明け透けであることなど露知らぬ哀れな餌食は如何なる奇計を以て事を進め
るか大真面目に考えている始末、その寝たふり姫の顔に二人の由希が音も無くソーッと近
付き、左右からそれぞれ紗江子の耳にフー……ッと優しく息を吹き掛けた。
「…………っ」
 寝ている筈の顔に一瞬力が入り、モゴモゴッと僅かに唇が歪んだ。顕露を疑うも未だ希望
を捨てきれず、頑なに脱力をに身を任せ、瞳を閉じ続けた。その様子が可笑しくて堪らず、
これ以上我慢できなかったか、二人の由希は詰めの一手を指すべく口を更に窄め、脳まで
届けと言わんばかりに勢いよくフ――ッ! と息を吹き掛けた。とうとう紗江子の仮面は剥
がれ落ち、
「あひいぃっ!」
 という甲高い声と共に瞠目し、頭を振り乱しながら跳ね上げた。その振る舞いが起爆剤と
なり、とうとう由希たちは吹き出してしまった。
「アハハハハハ! もうさえちゃんったら最高っ。見事にバレバレだったよ、アハハ!」
 赤面必至の恥辱だが、宴の再開に蒼白した顔面から、全身から、冷たい汗が流れるばか
り。『まず動けないこの現状をどう打破するか』という命題を立てて解決の糸口を見つけなけ
ればならない紗江子だったが、自若を欠いた頭の中では命題ばかりを反芻、やがて命題さ
えも曖昧模糊、『まずうご…まずうご…まずうご…まずうご…』と完全に思考が恐怖に牛耳ら
れていた。
「動けるのに動けないだとか、だいじょぶじゃないのにだいじょぶだとか、起きてるのに寝た
フリだとか、さえちゃんほんとに嘘吐きだよね」
 先程のように全員が上半身に群がっているのかと思いきや、声が発せられたのは下半身
よりも向こう側、いつの間にか靴下が脱がされているそれぞれの足の裏に対峙する形で二
人の由希がチョコンと正座していた。
「嘘吐いたらダメって先生いつもいってたじゃん。嘘吐かずに正直に解決しなさいって、それ
が一番近道だって」
 続く声の主は下半身、露出した生脚の上部、脂の乗り具合、弾力、肉感、肌触り、全てに
おいて最上等の品質に高められた太股の横に二人の由希がやはりチョコンと正座をし、怯
える紗江子の瞳の奥まで視線を放っていた。


100 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:35:44 mQ/zcE8g0
「それなのに好きでもない知らないおじさんに嘘吐いてお金盗んで。完全に犯人だよ」
 更に近付き漸く上半身。脇腹の横辺りで互いに向かい合う形で正座をしている二人の由
希は先程紗江子の耳に息を吹き掛けた張本人たち。横目で射抜いてくるその視線には子
供らしからぬ冷徹さが含まれていた。
「一人が嘘吐くとみんなが変になって迷惑するんだよ。さえちゃんわかってるつもりかもしれ
ないけど絶対忘れてるよ。それとも……」
 首を起こして見遣るも左右三人ずつの六人しか見当たらない。最後の一人、俄かに声の
出所を感知できない搦手から見下ろす由希の居場所は、
「嘘吐かなきゃ生きていけないの? だったら死んでもいいと思うよ」
 起こされた頭の後方、バンザイを強要する手枷の間だった。他の皆と同様にチョコンと正
座した姿を捉えたのも一寸、最後の由希の非情の宣告が終わるや否や、七人皆居合いの
達人の如く、一斉に正座をそれぞれの攻撃体勢へと変化させ、紗江子の精神を粉微塵に
陥落すべく、流れるように各々の爆撃箇所に臨み、凶悪な"仕事"に取り掛かった。
 一人でも大人十人分の非道性を有した残虐少女由希が七人で協力結束してうら若き乙
女の全身を嬲り尽くすのだから、如何なる潜在能力が人間に眠っていようとも抗う術などな
い。ただひたすらに、
「ああああああああああっ! あははははははあああああああああああっ!」
 笑い、泣き、叫び、悶え、暴れ、苦しみ、狂い、壊れるばかりである。
「きゃはははははっ! あはははははははっ! あーっ、あーっ、あーっ!」
 両脚の延長上に陣取った二人の由希がくすぐる箇所は無論足の裏。靴下と上履きに守
られていた小学生時代は殆ど責められなかった箇所故、由希の好奇心も一入、けたたま
しく鎖を鳴り響かせて暴れまわる足の裏を没我の体で追い回した。普段は滅多にお目に
掛かれない他人の足の裏が、まるで独立した生物であるかの如く踵をベッドに反発させて
跳ね回る。釣られるように踊り蠢く由希の指先は、不規則な足の裏ダンスに惑わされるこ
となく金魚の糞のように付いて回った。
「あおおぉっ! んおおおおおぉっ! あひゃひゃひゃひゃひゃあああっ!」
 下半身、神々しく露出した芸術的なラインの肉柱の左右に侍る二人の由希の主食は、果
たせるかな大好物の太股である。拘束具などという便利な道具を知らなかった由希は、暴
れる紗江子の太股をもにゅもにゅできるのはせいぜい十秒程度だろうと諦念を踏んでいた
が、今思う存分に指を埋めているのは決して逃げることのない、遮るものが何もない瑞々し
い太股である。念願の太股もにゅもにゅし放題の特権を前に、由希は悪魔にならずにはい
られなかった。紗江子の口からどんなにおぞましい悲鳴が聞こえてこようとも、二匹の悪魔
は決してもにゅもにゅと高速で蠢く指を止めることはなかった。


101 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:36:36 mQ/zcE8g0
「あははははっ、あひゃあああああああっ! たっ、たすけでええええへへへへへぇっ!」
 将棋でも指すかのように紗江子の上半身を挟んで向かい合う二人の由希の対局舞台は、
今まで皆で散々に苛め抜いた腹部、脇腹、胸回りである。乗車率300%の押し競饅頭が
一転、乗り換え客が一斉下車したお蔭で広々とした快適空間を手に入れるに至った。思う
ようにくすぐれなかったこれまでの鬱憤を晴らすように、四手二十指が七人がかりの責めを
凌駕するエネルギーを以て激動大荒にして神韻縹渺たる仕事っぷりを発揮した。
「あがあああぁぁはぁっ! きゃはははははははははははははははっ!」
 最後の一人、紗江子の"頭上"から全体を見渡す監督席に構える孤高の由希は正鵠を脇
の下のみに絞った。本来、この上ない隙を突いたところで瞬間的に腕に挟まれ、一秒も満
足にくすぐれない箇所である脇の下。それを独り占めにして蹂躙の限りを尽くし、上下反対
ながらも紗江子の悶え苦しむ顔を間近で堪能できるのだから、他の由希たちより聊か優遇
されているように思われる。両側からしっかりと挟みこんで密着した状態でくすぐり散らすそ
の指先は、紗江子がどんなに暴れ狂っても決して離れることはなかった。
「あああああだめぇええええぇっ! あーっ! あーっ! あーっ! あーっ!」
 死に物狂いで逃げ惑う足の裏を管轄する由希たちは、単に足底だけに拘らず、片方の手
で足の甲をくすぐって挟み撃ちにしたり、九十度旋回して踝の下から爪先にかけての側面
を挟み込んで刺激したり、足の甲側から五本の足指の間に人差し指から小指までの四指
を挿入した上でガッシリと掴んで完全固定し、もう片方の手で思う存分にくすぐったり、意表
を突いて舐め回したり、しゃぶり尽くしたりと、無尽蔵に溢れ出す責めのバリエーションを何
らの躊躇もなく紗江子の敏感な足の裏に浴びせ続けた。
「きゃはははははははははっ! あはっ、あはっ、んほおおおおおぉっ!」
 小学生のものとは明らかに異なる揉み応え抜群の成熟しかけた乙女の太股。その饗応
を受けた由希たちは膝上からブルマにかけての木目細かな曲面を余す所なくもにゅもにゅ
と高速で解し回った。やがてブルマ付近の内股、即ち鼠蹊部の反応が著しいことに気付い
た由希たちは、二人がかりで徹底した鼠蹊部責めを執行することとなった。執拗に急所を
刺激された太股が余りに暴れるものだから、二人はそれぞれ紗江子の膝の上に跨り、完
全に動きを封じてしまうという残酷刑に走った。震えることすら叶わない太股に獰猛な四手
が容赦なく襲い掛かった。
「だめだめだめえええええぇっ! あはっ! あはははっ! あはははははあああっ!」
 体操着シャツに覆われた広大な上半身を統べる由希たちは、内臓を警護する防人を嘲
笑うかのように悪戯の限りを尽くした。両側から肋骨をそれぞれ二手で以てグワシと掴み、
荒れ狂う指踊りを見舞ったり、骨盤上部にあるツボに指を埋め込ませて捏ねくり回したり、
笑い声に合わせて震える腹部を楽しむかのように人差し指を立てて突いてみたり、体操着
シャツの中に腕を突っ込んで熱帯びた柔肌を直に楽しむ狼藉を働いたり、腰の跳ねっぷり
が甚だしいので二人の由希がそれぞれ両脚で蟹挟みにして抑え込み、くすぐってくださいと
言わんばかりに海老反りになった胴体に遺憾なく猛威を振るったりと、呼吸器の狂乱をそ
の手に感じながらも一時たりとも間を置くことはなかった。
「きゃははははははははっ! いやっ、もういやああああああああああっ!」
 脇の下のみを徹底して蹂躙する司令塔格の由希は、紗江子の過ぎた破顔をうっとりと見
つめ続けながらも、他の誰よりも変幻自在な指技を披露し続けた。指先でさするようなソフ
トなタッチを見せたかと思いきや、指圧するように指を深く埋め込ませ、グリングリンと円を
描いて刺激したり、オイルを塗るように指腹で全体を撫で回した矢先に何の技巧もなくひた
すらに揉みまくったり、振り乱しながら跳ね狂う紗江子の頭を両膝で挟み込んで、固定され
た顔の悲愴っぷりを思いゆくまで堪能しつつもやはり脇の下からは手を離さなかった。
「あははははははははっ! あはははははっ! あはははははははははははっ!」
 七人の由希による共同事業は当然紗江子が失神するまで続けられた。


102 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:38:05 mQ/zcE8g0
 血の気の引いた顔面、微かに開かれた瞳の奥にはでんぐり返った白目、半開きの口、乾
き切らぬ涙、唾液……。
「さーえちゃんっ。……さえちゃん…………?」
 脇の下担当の由希が紗江子の頭を両手で抱え、持ち上げ、手を離し、落とす。ボフンと
音を立てて枕に落ちた頭が反動でズズッと横を向き、半開きの口から舌が垂れる。まるで
死体である。
 その様子を見ていた七人の由希はさすがにやり過ぎたかと思い、皆神妙な面持ちになっ
て互いに顔を見合わせた。せっかくの俎上の魚だから好き放題にしてみようという冒険心と、
どうすればよりくすぐったがるのかという好奇心と、くすぐり続けると人はどうなってしまうの
かという探究心とが同時に満たされ、虚無に陥った矢先、眼前に変わり果てた親友の姿で
ある。
 都合がいいのは百も承知で、紗江子が目を覚ましたら由希は心から謝ろうと思った。そし
て拘束具を外して、仲直りをして一緒に遊ぼうと思った。紗江子が許してくれるまで、いつま
でも謝り続けよう、七人全員が決意したその時である。
 グウウウウウ――――――ン…………!
 という圧倒的な力で以て、由希たちの小さな身体が引っ張られ、宙に浮いたかと思う間も
なく、
 ブンッ…………!
 という乱暴な音を耳に残し、皮膚が千切れんばかりの速度で何処かへ放り投げられたか
と思うと、
 ドンッ……!
 と背中に強い衝撃。緩衝材の役割を果たしたランドセルがなければただでは済まなかっ
ただろう。
「いたたた……。もぉ…なんなのぉ……?」
 由希たちの中の一人がそう呟いて身体を起こそうとした。しかし、
「あ……えっ…? あれっ……なにこれぇ…!」
 四方を石壁に囲まれた牢獄然とした部屋、床も天井も同じ素材で覆われていた筈、否、
現にそのように見えるのだが、由希の手脚は硬質であるはずの石床に"飲み込まれ"てい
た。ランドセルを挟んで仰向けになった由希の両腕は肘の辺りまで床に埋まり、両脚は膝
の下まで埋まっていた。力んで抜こうと試みるもまるで歯が立たず、それでいて岩の裂け目
に挟んだような締め付けはなく、ゴムのような柔軟性を有しているように感じられた。
「んっ……くっ……!」
 それぞれの由希が残りの由希たちを確認すべく頭を起こしてキョロキョロと周囲を確認し
た。が、それぞれの瞳に飛び込んできた光景は殆ど同一のものであったに違いない。
 つまり、七人が皆同じ恰好で固められ、内側を向き合って円を描いているのである。そし
てその円の中心には、
「ひいっ…! な…なに……?」
 襤褸雑巾のように転がるスーツ姿の妙齢の女性、片桐神楽の姿があった。まだ靴下と化
したダゴチの責めの余韻に怯え、苦しんでいるのか、
「…ひ…ぃひひ……ぁぉ……おぉ……あは…あはは…………」
 糸で操られているような統一性のない緩慢な動きを呈しつつ、半開きの口から笑いの残
骸を漏らしていた。


103 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:39:24 mQ/zcE8g0
 七人の由希は同時に直感した。これから、くすぐられる。その直後、
 ウィ――――――ン……
 という機械音が部屋に木霊した。ロボットが動いたような、何らかのシャッターが開かれた
ような、兎にも角にも何か高度な機械が発動したときに聞こえてきそうな暖かみのない音で
あった。
「あっ……!」
 七人の由希はそれぞれに向かい合う二人乃至三人のランドセルの異変に気が付いた。
間もなくその異変が他の者にも、そして自分にも訪れていることに気が付いた。
 ランドセルの中身を覗き見できる側面上部の隙間、そこから左右四本ずつ、計八本の機
械の蛇じみた物体がウネウネッと伸び、その先端では白手をした小さな人間の手のような
ものがワキワキと踊っていた。
「やぁっ、やだっ! やだあああっ!」
 もはやその機械の意図は明白である。由希たちは大いに取り乱し、あらん限りの力で手
脚を外しに掛かったが徒爾の極み、色を失ったあどけない少女に八本のアームがそれぞ
れ猛然と襲い掛かった。
 懇願する紗江子の声を聞き流して嬲り抜いた罰なのか、これは紗江子の怨念による報復
なのか、だとしたらどうすれば許してくれるのか、疑問は次々と湧き起こってきたが、しかし
簡単な推測さえも立てられなかった。アームの先端で踊るホワイトハンドは、対象が刺激慣
れしてない敏感な子供の肌であるにもかかわらず、機械だからこその無慈悲さを以て、
「きゃははははははははははっ! あはは、あはは、あははははははははっ!」
 その性能を遺憾なく発揮し、容赦なく由希たちを壊しに掛かった。
「まってえええぇっ! まっ、まっ、まひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!」
 八本のアームは長さが三種類、その内最も短い二本は由希の上半身上部、脇の下と脇
腹上部を専門でくすぐる機械だった。両腕が肘の辺りまで埋まっているこの状況において
は、無防備な脇の下を閉じられないばかりでなく、暴れようにも殆ど暴れることが叶わない。
一本の指で脇の下を突き、二本に増やして穿り、三本で掻き混ぜ、四本で捏ねくり回し、両
手十本で胸回りを血気盛んに躍り弾んだ。機械らしからぬ趣向に富んだ責めも然ることな
がら、機械特有の一本調子の責めを長々と執拗に続けたりもした。
「あははははっ、あははははははははははっ! きゃはははっ、あはっはっはははっ!」
 次に長い二本のアームは由希の上半身下部、腹部と脇腹下部を集中して責めるための
機械だった。ランドセルのために半ば宙に浮くこととなった由希の腹部はくすぐりの刺激に
合わせて腹踊りをしてるような変梃振りを見せた。大人の女性が演じたのなら何とも艶かし
く映ったのであろうが、幼気な少女の腰振りは滑稽ながらもこの上なく可愛らしいものだっ
た。その動きをもっと見たがるかのように、ホワイトハンドは機械にしかできない流れるよ
うな強弱の波に乗せて、由希のお腹回りを精密周到にくすぐり回った。どさくさに紛れてお
臍を穿るたびに由希は可愛らしい悲鳴を上げた。
「あはははははは、きゃひぃっ! あははっ、いやははははははきゃひぃっ!」


104 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:40:18 mQ/zcE8g0
 残りの四本は最も長いタイプのもので、左右の太股をそれぞれ二本がかりで入念にくす
ぐる機械である。太股は由希が最も熱を込めてくすぐる箇所であるが、裏を返せばそこが
一番くすぐったいという自覚を持っているということになる。そして最も嫌なくすぐられ方は、
コチョコチョコチョという指先による皮膚表面への刺激ではなく、もにゅもにゅもにゅというよ
うな高速で揉み解す強めの刺激である。そのデータを取り込んでいるからこそ片足に二本
がかりという補強を敢行したのだろう。ホワイトハンドは紺色のフリルスカートの中に侵入し、
少し触れただけでも敏感に反応してしまう泣き所を豪快に左右からグワシと掴み、指を埋
めて残像が見えるほどのスピードで揉みしだきまくった。
「うあっ! きゃははははははははははははははっ! あははははははははははっ!」
 七人七様の笑い声が陰気な密室空間に反響し、空中で交じり合ったものが狂気の波長
を形成し、それぞれの耳から体内へと入り込んで幼い精神を蚕食していった。叫べば叫ぶ
ほどに更なる恐慌を誘発し、由希たちの悶えっぷりは一層激しくなり、ホワイトハンドも興が
湧いたように残忍性を増していく。
 手脚をバタつかせることすら叶わない由希たちは、しきりに首を振り乱し、ランドセルで背
中を跳ね上げるような動きをひたすらに繰り返した。ギュッと固く閉じられたかと思えば、カッ
と見開かれる濁りのない瞳。少女の緩い涙腺が潤いを齎すも、視覚の情報を処理できる余
裕はとうに失われているようであった。
 床に手脚を飲み込まれて無慈悲な機械に休みなくくすぐられ続ける七人の少女、ここにお
いてはそれぞれが梶谷由希という独立した人格を有しているが、元々は水滴ほどの物質、
ダゴチの一部が弾け飛んだものに他ならない。人格を宿した己の一部が敢えてくすぐられ
るように仕向けたのもダゴチであり、ランドセルに内蔵された得体の知れない機械も無論ダ
ゴチの一部である。
 しかしそのような裏事情を露ほども知らない独立させられた人格、『梶谷由希』という正真
正銘の幼気な少女の、その未熟な思考能力で考えられること、何故自分がこのような災難
に遭っているかということに関して考えられることといえば、
「いやあはははははははははっ! さえちゃんごめんなさいいいぃっ!」
 紗江子の復讐以外に何もなかった。七人の内の一人がそう叫んだのを皮切りに、
「ほんとにごめんなさいいいっ! いあははははははははっ!」
「もうしなっ、しないからああははははははっ!」
「たっ、たすっ、さえちゃんたすけへえええええぇっ! あははははははははっ!」
 この折檻は紗江子の意思によるものだという懸念が一同確信へと転じた。捕まった犯人
への処罰、絵本の悪者の末路、因果応報を説く先生の戒め、制限された少女の思考は一
直線に理屈を固め、迸る叫喚の狭間、真剣必死に紗江子に謝罪し、遮二無二許しを乞い、
死にもの狂いで助けを求めた。


105 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:41:20 mQ/zcE8g0
 囂しい金切り声に混濁を除かれ、死体のような肌に赤みが戻ると同時に紗江子の意識が
回復した。しばらくは五感が朦朧としていたが、復調するにつれ耳を劈くような騒音が頭の
中でけたたましく響き渡り、重たげに首を起こして事態の把握に掛かった。
「な……なに…? えっ…なんなのっ……!」
 仰向けに拘束された自分の周りを由希たちが取り囲んでいないという事実に安堵する間
もなく、視界の下方で捉えた超自然的な光景に一切の心情を奪われてしまった。
 一繋がりになった隣室の中央には先程見た時と同様、意識の有無も知れぬレディースス
ーツを纏った妙齢の女性。本来はその状況も不気味に違いない筈なのだが、もはやどうで
もよくなってしまうほどの奇景、彼女を中心に円を描いて並んだ複数の少女が石床に両手
脚を抉り込ませ、複数の細長い腕じみた機械に襲われ、狂ったような絶叫を上げている。
「あ……あ……ゆき…ちゃん……?」
 その少女たちが先程まで自分の身体に群がっていた七人の由希だと気付くまでしばらく
の時間が掛かった。そして七色の絶叫を分解した結果、それぞれに笑いの要素が多分に
含まれていることに、つまり由希たちが恐るべき性能を有した機械に寄ってたかってくすぐ
られているのだと気付いたのは更に後になってからだった。視覚だけではくすぐられている
と俄かには理解できないほどに、その機械の腕は人間の処理能力を超越した動きを繰り
広げていた。
 これまで散々くすぐられてきた紗江子だけに、その機械が紡ぎ出すであろうくすぐったさを
想像すると由希の苦しみが自分のことのように感じられた。どうにかあの機械を動かしてい
るものを引きずり出して由希を救えないものかと、あれだけの嗜虐を受けたにもかかわらず
自分の身以上に由希のことを案ずる紗江子だったが、
「……えっ…………?」
 七重の悲鳴の山間に聞こえた由希の言葉に一瞬思考を奪われた。
 ……さえちゃん……やめて…………
 その言葉の意味するところを理解すると同時に、
「おねがいいひひひひひひぃっ! もうやべでえええええええっ!」
「あはははははは! だめえええええっ! だめだってばああはははははっ!」
「ゆるじでよおおおおっ! もうゆるぁあはははははははあああああぁっ!」
 由希の悲痛な懇願が次々と紗江子の耳に入ってきた。紗江子は兎にも角にも誤解を解
こうと、
「ゆきちゃんっ、違うっ、それ私じゃない! 私がやってるんじゃないからぁ!」
 窮屈な体勢ながらも力の限りに呼びかけたが、
「きゃはははははあああううぅっ! ほんとにむりだってばぁあはははははっ」
「うあああああああんっ! ごめんなざいいいいいいいいぃ!」
 由希たちの耳に入ることはなく、当然機械が止まることもなかった。


106 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:42:22 mQ/zcE8g0
 殆ど動きの取れない脇の下を穿っては突き、忙しなく揺れ動く脇腹を戒めるように鷲掴み
にして指を高速で踊らせ、可憐な太股を四方八方から弄り回して揉みしだく。疲れも情けも
知らない機械は獲物がどんな状況に陥ろうと、ただ粛々とくすぐり続ける。
「あははははははははっ! だめえぇおしっこがああああぁぁぁっ!」
 やがて七人の内の一人が、ひらめく紺色のフリルスカートの中で小水を滴らせるに至った。
間を置かず一人、また一人、そしてついには七人全員が清楚な白のパンツに影を広げるこ
ととなったが、
「あああぁっ、ああぁっ、ああああああっ! きゃははははははははははっ!」
 羞恥心を湧き上がらせることさえも許さず、冷酷無比な機械は我関せずと言わんばかり
に対象に激甚なくすぐりを浴びせ続けた。その虐待は閉ざされた牢獄が森閑とした本来の
姿を取り戻すまで、七人の少女が失神して悲鳴が止むまで延々と続けられた。


107 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:43:21 mQ/zcE8g0
 ガクガクと揺すぶられているように全身を激しく痙攣させ、ガクンと力なく首を仰け反らせ、
白目の周りに乾いた涙、口元に泡みたような唾液を付着させた少女たちの無惨な姿、しか
し何より恐ろしいのは、
「……うそ……でしょ……?」
 仕事を終えた筈の細長い機械の腕が、それぞれのホワイトハンドを由希の身体から十セ
ンチメートル程離れた場所にとどめたまま、まるで再開の時に備えているかようにピタリと
止まっているのである。
 由希たちの痙攣は次第にブルルルッと小刻みになっていき、やがてスゥ…と穏やかな脱
力状態に移行した。そしてしばしの間を置いた後、一人、また一人と目を覚ましては頭を起
こして目を見開き、間近に控えるホワイトハンドの群れに慄然とするのだった。
「……………………っ!」
 七人が全員、恐怖に駆られて甲高い悲鳴を上げそうになったが、それが引き金となって
起動しそうに思えてならず、由希たちは皆唇を噛み締めて声を押し殺し、息を殺して機械が
"諦める"一縷の望みに縋った。
 まるで先程の紗江子と同じ状況だとそれぞれが感じた。同時にその状況を面白がり、更
なる辱めを重ねてしまったこと、そしてこれが紗江子の復讐であるということが一つに繋が
り、
「ひっ……ひいいいいいいぃっ!」
 とうとう恐怖に耐えかね、七人の中の一人が姦しい叫び声を上げたかと思うと、
 ……ウィ――――――ン……
 という有罪判決の機械音がそれぞれのランドセルから発せられ、
「いやあああああああっ! おねがいゆるしてええええええええええっ!」
 神まで届けと言わんばかりの由希たちの絶叫の懇願も空しく、冷たい八本の腕はそれぞ
れの保有する小さな身体へと襲い掛かり、再び七人全員が失神に至るまで猛威を振るい
続けた。


108 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:44:31 mQ/zcE8g0
 ベッドにX字に拘束された状態で首を起こして前方、自分の足の先を見るという無理な体
勢を続け、上半身の筋肉が悲鳴を上げているにもかかわらず、紗江子は由希たちの塗炭
から一時たりとも目を離さなかった。耳を閉ざさなかった。
 結果、八の字に垂れ下がっていた少女たちの眉が次第に角度を緩め、ついには正負が
逆転、子供のものとは思えない鬼気迫った吊り上がりを呈するのを見逃すことができず、
 ……やめて……おねがい……たすけて……ゆるして……
 という藁にも縋る切実な声が、
 ……ころす……ころす……殺す……殺してやる……!
 という怨嗟の呪詛に転じるのを聞き逃すことができなかった。
 紗江子は由希たちの誤解を解くべく、遣る方ない情動が憎悪に満ちた怒りへと流れるの
を塞き止めるべく一心不乱に呼び掛け続けたが、その裏には、やがては解き放たれるであ
ろう少女たちが、復讐の鬼と化して自分に襲い掛かるのではないかという危機感があり、そ
の怨念が蓄積されていくことに対する恐怖がそうさせているに過ぎなかった。
 七人の少女が二度目の失神を迎えると、それぞれのホワイトハンドは掃除機のコンセン
トよろしくシュルシュルッとランドセルに吸い込まれ、両手脚を飲み込んでいた石床はペッと
吐き出すように由希たちの身体を解放した。
 跳ね上がるような痙攣から小刻みな痙攣、静寂、そしてしばしの間を置きとうとう覚醒、朦
朧とした面持ちで七人の少女はムクリと起き上がり、身体の自由が戻ったことを確認した少
女たちは、ベッドに磔にされた紗江子を親の仇であるかのように睨み上げ、
「……コロス…………!」
 とそれぞれ呟いて、ゾンビの如く紗江子の身体に這い寄った。
「いやっ、違うのっ、聞いてっ! ねぇゆきちゃんっ! お願いっ、聞いてっ!」
 悪鬼羅刹と化した由希たちに、紗江子の言葉が聞き入れられることはなかった。
 処刑方法は、当然、くすぐり。
 十回や二十回失神したところで十四本の腕が刑の執行を中断することはないだろう。地
獄の門は、今開いたばかりだった。


109 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:46:48 mQ/zcE8g0
「……あぅ……ぅ……、…う……?」
 六畳間に豪奢なベッド、その上に立錐の余地もなく一人の乙女、七人の少女という大盛
況な隣室とは対照的、同じ六畳間でも矢鱈広々と錯覚させられるもう一方の牢獄でポツネ
ンと譫言を漏らしていた神楽は、
「あははははははははははははっ! 殺してっ、もうごろじでえええええええっ!」
 轟き続ける人体のSOSにようやく魂を引き戻された。
「なっ……!?」
 即座に立ち上がり、悲鳴のする方向に顔を向けると同時に理解の範疇を超越した光景に
言葉を失いながらも、さすがは特捜班班長、物怖じする素振りも見せずに駆け寄ったが、
「うっ……!」
 神楽の"身体"には牢獄を仕切る透明なゴムの膜は健在で、ショーウィンドウの中のトラ
ンペットを眺める少年のように両手を当ててへばりつくことしかできなかった。
「ダゴチっ、出て来いっ!」
 赤いランドセルを背負った小さな少女たちは何者なのか、自分はどのくらい気を失ってい
たのか、あの相川という女性はどれほどくすぐられたのか、否応なく流れ込んでくる様々な
疑問を強引に振り切り、神楽はダゴチを無力化するという最優先事項に直走りに走るべく、
部屋の中央に戻って声を張り上げた。その直後、
 ムニュ……
 という感触を神楽は足の裏に感じた。
「うぁっ!?」
 まさかまだパンプスの中に潜り込んでいるのでは……、そう直感した神楽は反射的に猫
のように飛び上がってしまったが、視界に飛び込んできた足元の異変がその直感を否定す
ることとなった。
 それはピンク色をしたマットのようなものだった。いつの間にか石床から湧き出てきたそ
のマットは、紗江子が磔にされているベッドとちょうど同じくらいの大きさだった。
「……っ!」
 またも直感によってそのマット上に危険を嗅いだ神楽は咄嗟に駆け出していた。しかしそ
の直感は的中、神楽が左脚を浮かせ、右脚一本で踏ん張って前に進もうとしたその瞬間、
 ズズッ……!
 と猛烈な勢いでマットが横に引っ張られ、バランスを崩した神楽はボゥンッという音を立て
て背中から転倒してしまった。
「くっ……!」
 俎上の魚、神楽の脳裡にこのピンク色のマットの上で嬲り尽くされる自分のイメージが過
った。敢えて相手の土俵に立って返り討ちにしてやろうという当初の気概は情けなく消失、
恥も外聞もなく神楽は転がってマットから降りようとしたが、
 ムニョ……
 というマットと似た感触に遮られた。無様な姿を晒そうとする神楽に対して女性の品格を
諭すが如く現れたのは小型のタイヤじみたもので、下半分をマットに埋め込ませて半円を
生やし、神楽の二の腕と膝上に左右一つずつ、計四つがそれぞれの部位を囲っていた。
やがてその半円はズブブ…と這うようにマット上を移動し、神楽に大の字のようなポーズを
強要した。


110 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:47:52 mQ/zcE8g0
「おやおや、ようやくお目覚めですか。相川紗江子さんはもっと頑張っているというのに、妖
怪退治の職人がその体たらくではどうしようもありませんねぇ」
 端然ながらもどこか淡白で粘着質な声質、その声を聞いただけで神楽は全身が粟立った。
ダゴチの声は神楽の背中、ピンク色のマットそのものから発せられているようだった。つま
り突然に湧き出たマットと半タイヤ、それ自体がダゴチなのである。
「先にも触れましたが、擽精はその人の生命力に概ね比例する有限のものです。ですが私
の妖力と神楽さんのその胡散臭い能力が上手くリンクすれば、夢と禁忌の螺旋為す永久
電池が実現されます。そしてそのためには神楽さんの同意が不可欠となっております」
 半タイヤの半径は三十センチメートル近くもあり、拘束具と呼ぶには余りに心許ない緩さ
である。が、
「どうでしょう神楽さん、このまま埋まらない戦力差に嘆き続けるより、私と志を共にしたほう
が生きた心地がするというものです。そうすれば無闇矢鱈に貴女を虐める必要もなくなりま
す」
 抜けない。こんなにも隙間があるのに、どんなに頭を使って身を捩っても大の字を歪ませ
ることにしかならなかった。
「神楽さんはこれまで立派に戦ってきて、ここでとうとう敗れたわけです。誰も貴女を裏切り
者だなんて思いません。その功績を認めているからこそ、私は貴女に永遠を授けるのです」
 決して外せない知恵の輪。それでいてすぐにでも抜け出せそうな感覚を帯びさせるそのも
どかしさ、陰湿さ……。骨の髄まで甚振り尽くそうとするダゴチの卑劣さをひしひしと感じさ
せる拘束だった。
「神楽さん、どうか、懸命な返答を」
 ダゴチの言葉は誘導ではなく真実なのかもしれない。王将以外の駒を洗い浚い奪われた
絶望的戦況に違いない。しかし責任云々は元より、特捜班班長として、人間片桐神楽として
のプライドが追従を許さず、
「生贄である筈の私の同意が必要、か。そんなしみったれたルールに縛られるなんて、人間
駆除の妖怪がその体たらくではどうしようもないな」
 売り言葉に買い言葉、俎上で奇跡に縋るほか仕様がなかった。
「そうですか……残念です。そして……御愁傷様」
 ダゴチが短く言い終えるや否や、ピンク色のマットから人の指くらいの細さの無数の触手
がウネウネと伸び、
「うっ、うあっ…………、くっ…………」
 神楽の服の中に侵入し、その柔肌の上をスルスルッと這った。レディーススーツの両の袖
から入り、襟元から入り、ブーツカットパンツの両の裾から入り、靴下の溶かされたパンプス
の中に入り、臍の下から上下の下着の中にまで入り込んだ。
「あっ……! ひぅっ…………!」
 暴れたり、叫んだりしては擽精を放出することになる。神楽は両目を固く瞑り、歯を食いし
ばってゾワゾワッとする不快な刺激に耐えようとした。おそらくこの触手はそれぞれのポイン
トに到達した途端に狂喜乱舞するのだろう。神楽はそう予測し、身体を強張らせていたが、
 ビビビッ……!
 という鋭くも乱暴な音と同時にそれぞれの触手が天井近くまで跳ね上がったかと思うとピ
タリと止まり、そして一仕事終えたといった趣でマットに潜り込んでその姿を消した。
「…えっ……、……あっ…!」
 何が起きたのかわからず、神楽は一瞬呆けたような顔を見せたが、ようやく一糸纏わぬ
姿となっている自分に気が付いた。
「やっ……、ちょっとっ…………!」
 まさか生まれたままの姿にされるなど神楽は予想しておらず、散々に痴態狂態を晒して
おきながらもそこはやはり女性、人に見られているわけでもないのに今更ながらに赤面す
ることになった。


111 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:48:51 mQ/zcE8g0
「これは……想像以上ですね。一昔前に比べて現代の日本人男性はややボーイッシュな
体型をした女性を好んでいる傾向にあるようですが、神楽さんの身体はそのニーズにしっ
かり応えているではありませんか。スリーサイズの比率は現代のグラビアモデルそのもの
です。このような女体に有り付けるなど、妖怪冥利に尽きますよ」
 しかしその姿は安易に全裸と表現できるものではないのかもしれない。触手が乱暴に引
き裂いた筈であるのに、その切り口はどこも鋭利な刃物で裁ったが如く見事な直線を呈し
ており、パンプスさえも浅蜊の如くパカと左右に展開させられていた。
 全裸を魚の切り身だとするならば、今の神楽は活け造り。
「しかしせっかくの御馳走です。これまで散々に暴れていただきましたからね、乾いた汗を
流して綺麗にすることから始めましょう」
 ダゴチがそう言うと、ピンク色の神楽の舞台からまたしてもウネウネッと触手じみたものが
伸びた。その数は先程と同じくらいだが、太さは凡そ二倍、そして何よりも目を引くのは先
端の特徴的な膨らみ、それはどう見てもシャワーヘッドだった。神楽がそう認識した途端、
 プシャ―――ッ……!
 と勢いよくそれぞれのシャワーヘッドが神楽の身体に吐水した。
「うわっ……わっ…………!」
 ソフトなスプレーの刺激、人肌よりも少しだけ高い温度、全身満遍なく流されたが、それ自
体は決して不快なものではなかった。しかしその心地良い刺激を浴びれたのも束の間、ピ
タと同時に止水したシャワーヘッド群は、
 ブリュリュリュリュ……!
 という何とも気持ちの悪い音を立てて変形を始め、理容室のシャンプー入れに似たドレッ
シングボトル型に変わり、水滴に覆われた艶かしい神楽の女体目掛けて、お好み焼きのマ
ヨネーズよろしくピューッと一斉にボディソープを噴射した。
「やっ、ちょっ……あははははっ!」
 ダゴチにそのつもりはなかったのかもしれないが、神楽にはその刺激がたまらなくくすぐっ
たく感じられ、思わず身を捩って笑い声を上げてしまった。しかし柔肌への落書きは中々終
わらず、踊る女体に合わせて噴射を続けた。
 ようやく必要量に達したのか、仕事を終えた触手の先端は例の不快な音を立てながら、
息を吐く間もなくまたしても変形を始めた。シャワー、ボディソープときたのだから大方次は
スポンジで擦られるのだろうと、神楽はその感覚を想像して唇を噛んだ。しかしドレッシング
ボトルに代わって触手の先端に現れたのは、
「…なっ……!」
 巨大な回転式電動歯ブラシだった。変形が終わると同時にブラシ部分がシュイ―――ンッ
と回転を始め、ボディソープに彩られた剥き出しの神楽の身体にやおら近付いた。


112 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:49:50 mQ/zcE8g0
「あっ…、くっ、来るなっ……!」
 どうにもならないことは確認したはずだが、神楽は忌々しい隙間を有した半タイヤから抜
け出そうと必死で身をくねらせた。電動歯ブラシとの距離が縮まる程その動きは激しくなり、
それぞれとの距離がゼロになった途端、
「あああああああぁっ! あはははははははははっ!」
 女体の舞踊は輪を掛けて激しくなった。
「きゃはははははははっ! あーっ! あーっ! あーっ!」
 足首を上下左右の四方から電動歯ブラシが挟み込み、ジョジョジョジョジョッと皮膚表面を
刺激しながら膝まで達しては折り返す。同様、膝上を挟み込んだ電動歯ブラシたちが脚の
付け根まで磨き上げては折り返す。脇腹から始まった電動歯ブラシが脇の下まで達し、そ
こで往復するかと思いきや脇の下で小さく三往復してから折り返す。
「やだああはははははははっ! ひいっ、ひーっ!」
 瑞々しく張りのある乳房を磨く電動歯ブラシは外側から螺旋を描いて中心に向かい、乳
輪をなぞる直前で折り返すという焦らしを見せていた。腹部に至っては雑然、それぞれの電
動歯ブラシはゆっくりとスライドしながら通常の歯ブラシのような単調な往復運動を繰り返し
ていたが、臍を穿る電動歯ブラシだけは頑として動こうとしなかった。
「いやああああっ、はなれてええぇっ! あひゃははははははっ!」
 そして記憶に新しい足の裏に関しては、先程のダゴチの入念な責めによる汚れが手強い
のであろうか、他の部位よりも多くの電動歯ブラシが動員されており、一際激しく暴れまわ
っているにもかかわらず、連動しているかの如く何のそのと言わんばかりに付き纏い、隙
間もない程に丹念に磨き上げた。
「あーっ! もういいっ! もおいいいひひひひゃははははははっ!」
 四肢を跳ね上がらせる度に半タイヤにボゥンッと弾き返される。そして無意識のうちに不
可能な知恵の輪に挑もうとする。この猛烈なもどかしさをインプットした遺伝子は、より軟体
な子孫を残すべく遺伝情報を変化させるのではなかろうかと思わせるほどに、神楽は半タ
イヤ拘束に精神を攪拌されていた。
「おぉうっ! おほふっ! おおおおおおぉううぅっ!」
 と笑い声さえも壊れ始めた時に電動歯ブラシ群は神楽の身体から離れ、同時にその回
転を止めた。
「あ……あ……あ……」
 ピクピクと痙攣する剥き出しの若い女体。神楽は束の間の解放感に浸り、この後はイン
ターバルとなるシャワーに移行する、と自らを慰め、励ました。しかしそれは気掛かりな一
点を気付かぬ振りしてやり過ごそうとする自己暗示なのかもしれない。神楽の脳髄でその
事実が自己主張を始めた時、
 シュイ―――ンッ……!
 数ある電動歯ブラシの中の四つだけが再稼動し、気掛かりな一点に答えるべくおもむろ
に女体に迫った。
「いやっ、いいっ! そこはいいからぁっ!」
 そう、乳首と性器を磨かれていないのである。
「いやっ、あっ、…………ああああああああぁぁ…!」
 四つの内の三つは完全固定、即ち左右の乳首とクリトリスである。もう一つは割れ目をな
ぞるように花弁を小刻みに縦移動し、時折膣内に入り込むような狼藉も働いた。それぞれ
の電動歯ブラシは回転だけでなく上下方向の振動もあり、神楽は急速且つ強引に高みに
いざなわれた。


113 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:50:53 mQ/zcE8g0
「やめっ、あああああぁぁぁ! あっあっあっ、あっ、あっ、あはあああぁ…!」
 くすぐったがっているものとは明らかに異なる女の声。ダゴチによってその嬌声を引き出
されていることに屈辱感を覚えながらも、くすぐられるほど嫌悪感を覚えていない自分が神
楽は情けなくてならなかった。
 結局絶頂地獄に落とされることもなく、何とも中途半端なところで快楽責めは終了した。ダ
ゴチの狙いは何だったのか、単なる嫌がらせなのだろうか。その目的がはっきりせず、釈
然としない思いを抱えたまま再び神楽はシャワーヘッドによる吐水を浴び、ブラッシングに
よる泡立ちを流され、遮るもののない艶美な女体を晒すこととなった。
 シャワーヘッドによる吐水が終わり、神楽の周囲に聳える触手も引っ込むかと思われた
が、ピタリと止まったまま微動だにしない。まだ何かあるのかと思いながら頭を起こすと同
時に、神楽は水滴に覆われている自分の身体に気が付いた。
 おそらく水滴を拭って濡れた身体を乾かす必要があるのだろう、できればハンドドライヤー
のような温風が望ましいが、最悪乾いたタオルに身体を擦られても構わないと神楽は思っ
た。これは自己暗示でも何でもなく、高々身体を乾かすという行為に趣向を凝らすなど想像
できなかったからである。そのため触手の先端にあるシャワーヘッドが出し抜けにパァンッ
と弾け、細かく散ったその残骸が自分の身体に降り注いだ時、神楽は俄かに反応すること
ができなかった。
「な……えっ……?」
 残骸の正体は親指サイズの芋虫、その無数の芋虫が神楽の身体に余す所なく張り付い
ているのである。
「えっ…えっ? いやああああああああああああああああああぁぁぁっ!」
 神楽はこれまでとは段違いのけたたましい絶叫を上げた。同時に、
 ブジュルルルルルルルルルルルルルッ…!
 というその絶叫を打ち消すほどの大音量の不快音を立てて、膨大な数の芋虫が一斉に
女体表面を覆う大小の水滴を吸い取り始めた。
「あがああああああぁぁっ! あははははあああああああぁっ!」
 嫌悪感とくすぐったさの角逐。形は芋虫でもその敏捷性はゴキブリ並で、観客のウェーブ
のように柔肌の表面を波立たせた。
 ブジュルルルルルルルルルルルルルッ…!
 開かれた芋虫の口はその身の円周程もあり、神楽の肌に吸い付いたまま滑るように移動
していた。また吸い取りつつもその口の中では乾いた舌じみたものがレロレロと蠕動してお
り、繊細な女体表面を丹念に擦っていた。そんな芋虫が全身を隙間なく覆って這い回ってい
るのだから、女体が豪快に壊れた動きを演じるのは仕様のないことだった。
「あははははははははああああああ! ひぎっ、あぎいいいいいぃぃっ!」
 首筋を這い回り、脇の下に深く潜り込み、乳房を波打たせ、肋骨に沿って行進し、腹部を
痙攣させ、太股に蝟集し、膝裏を擦り上げ、足の裏で団子状になり、指又を行き交い、乳首
に吸い付き、クリトリスを啄ばみ、膣内に入り込んで内壁の水分までもしゃぶり尽くそうとす
る。しかしデリケートゾーンを侵されていることに意識を回らせる余裕があろう筈もなく、ひた
すらに暴れ、叫ぶだけだった。
 冷や汗を流し続けたせいか、芋虫によるドライ行動は中々終わらず、やがて精魂尽きた
神楽から狂態が消え、虚ろな目をして、
「あ……は……は……」
 と弱々しい声を漏らしながらピクピクと痙攣するも、
 ブジュルルルルルルルルルルルルルッ…!
 女体を取り巻く大音響とウェーブは我関せずといった趣だった。


114 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:51:58 mQ/zcE8g0
 仕事の出来映えにようやく満ち足りた芋虫たちは、ザワワ…と音を立てて神楽の裸体か
ら立ち退き、何事もなかったかのようにピンク色のマットに同化した。丹念なクリーニングの
甲斐あって、残された裸体の美しさと言ったら凡そこの世のものとは思えぬ程だったが、
「ひっ……ひ……ひっ……」
 その顔の引き攣り具合が全てを帳消しにし、感嘆の息を漏らすのを妨げていた。しかし如
何に芋虫の余韻が強烈だとは言え、神楽の怯えの持続は尋常ではなく、一区切りついたこ
とに対する安堵の念は微塵も感じられなかった。
「そろそろ効き目が表れる頃だと思いますが……神楽さん、どうやらお気付きになったよう
ですね。そうです、先程のボディソープにはくすぐったさを増長させる特殊な媚薬成分が含
まれていました。催淫オイルならぬ催擽オイルと言ったところですね。皮膚表面だけでなく、
身体の奥の奥まで浸透し、あらゆる刺激をくすぐったさに変換する優れものです」
 今の神楽は軽く息を吹き掛けられただけでものた打ち回ってしまうけたたましい笑い袋。
イタイイタイ病ならぬくすぐったいくすぐったい病。
「それではこれより、人類が経験したことのないくすぐったさの世界に神楽さんを招待します。
因みに解毒剤を投与しない限り、この媚薬は半世紀程その効力を保ち続けます。永久電
池となる覚悟が決まりましたらいつでもおっしゃって下さい」
 ダゴチがそう言うと、神楽の左脇腹の横からニュニュニュ…と一本の触手が生えた。見上
げたその先端に咲いているのは、楕円型をしたハンディモップのような生物。可愛らしいピ
ンク色のマットから出て来たものとは思えぬ程に毒々しい色彩、臓腑を腐らせたような毒紫
のハンディモップは、その表面を覆い尽くす疣じみた柔毛の一本一本が小刻みに震動しな
がらうねっており、全体がブブブブブ…という聞いているだけで気が狂いそうな音を立てて
いた。
「ひ……いやっ……、いやあああああっ!」
 媚薬のせいで迂闊に動けない神楽は声だけで蠢くモップの接近を拒絶したが、女体をくす
ぐるためだけに生み出された生物が聞き入れるわけもなく、とうとう神楽の柔肌に舞い降り
て一つ一つの震動と蠕動を余す所なく伝えた。張り付いた箇所は凡そくすぐりとは縁のない
左前腕であったが、
「あぎいいぃあああああああああっ! あぁあぁあははははははははははははぁっ!」
 神楽は尋常ならざる叫び声を上げた。声だけでなく、その刺激の極悪さを倍速にしたよう
な全身の運動を以て表現しようとしたが、非道の半タイヤに阻まれ、上に下にと女体が弾
み続けるだけだった。半タイヤの刺激、マットの刺激、それら全ては今の神楽には猛烈なく
すぐったさに変換されている筈だったが、
「あははっ! あは! あはははっ! あははははっ! あーっ! あああああああっ!」
 しゃぶりつく毒紫の刺激が残虐を極めているため、その他の刺激を認識しきれないのか
もしれない。
 くすぐりと縁のない箇所で刺激を女体に刻み込んだハンディモップがようやく柔肌を解放し
たかと思うと、間髪入れずに神楽の腹部に張り付き、臍を中心に円を描くようにブブブブブ…
と撫で回した。
「ひぎゃああああああっ! あひいぃっ! きゃははははははははっ!」
 暴れず、叫ばずにいたら、ものの数秒で脳髄が炎上するに違いない。そのどさくさに紛れ
て反対側にもう一本の触手が現れ、同じく先端に毒紫のハンディモップを蠢かせたそれが
神楽の右脇腹に舞い降り、やはりブブブブブ…と埋まって擦り上げた。
「うあぁあっ! あはははははあああぁっ! あははあはあははあははははああああっ!」
 まるで肋骨を直接くすぐられているような猟奇的感触。女体は限られた範囲内ではち切れ
んばかりに逃げ回ったが、ピッタリと張り付いた毒紫のモップは一瞬たりとも柔肌を手放さ
なかった。
 やがて右脇腹に張り付いたモップ状生物が、その滑らかな柔肌を北上し始め、臍回りを
執拗に責めていたもう一方の生物も意気投合したように北上した。ゴリゴリゴリッと肋骨の
段差を越えてそれぞれ辿り着いたのは、
「いやあああああぁっ! だめだめだめええぇぁあはははははははははあぁっ!」
 芋虫に最後の最後まで穿られていた脇の下だった。二匹のハンディモップは脇の下の地
形に合わせるように変形し、その窪みに一切の隙間を作らずに猛然と責め立てた。
「あぁはははははははっ! あっあっあっ! あーっ! あーっ! あーっ!」
 媚薬がなくとも敏感極まる箇所。しゃぶりついて離れない悪魔の刺激。神楽は目を見開き、
顎が外れんばかりに喚き散らした。


115 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:53:00 mQ/zcE8g0
 ようやく脇の下を貪り終えた二匹の毒紫モップは、一旦女体から離れ、空中でブリュリュ
リュリュ…と音を立てながら変形を始めた。神楽は眉尻を垂らし、その様子を涙を携えた虚
ろな瞳でぼんやりと眺めつつ、
「あは……えへ……へ…………」
 頤を痙攣させながら譫言を漏らした。
 やがて焦点を合わせる気力を取り戻した神楽の瞳に飛び込んできたのは、楕円型から
正円型に変形した毒々しいハンディモップの裏側だった。先程同様、やはり裏面全体が震
動と蠕動を繰り返しているが、円の中心部は特にその動きが甚だしく、柔毛が忙しなく伸び
縮みしながら回転していた。
 また神楽がそちらに目を奪われている隙に、両太股の間から新たに触手がもう一本生え、
その先端には楕円型と菱形の中間くらいの、若干小さめなハンディモップがブブブブブ…と
音を立てていた。
 よくよく見ると、その裏面の構成は先の二つよりもやや複雑、立てられた丸菱形の上方の
ある一点が二つの正円の中心部と同様に蠢きが技巧的で激しく、また丸菱形の中心部に
はいきり立った男性器じみた突起物が突き出ており、表面に柔毛を蠢かせながらジュプジュ
プ…とピストン運動を繰り返していた。
「ひ……ひっ……ひぃっ……」
 計三つのハンディモップが何処を責めようとしているのかは、思考能力が麻痺しかけてい
る今の神楽にも一目瞭然だった。それぞれは身の毛もよだつ音を立てながら、神楽の乳房
と秘部に同時に舞い降りた。想像を絶する無限快楽責めに晒され、延々と艶かしい女の声
を上げさせられるのかと思いきや、
「ああぁ!? あはははははははははははああああああぁっ!」
 響き渡った叫び声は、途方もないくすぐったさを表すものだった。
「前言通り、あらゆる刺激はくすぐったさに変換されます。先程念入りに神楽さんの性感帯
から性感を除去させていただきました。性感のない性感帯は足の裏や脇の下を遥かに凌
駕する絶好のくすぐり帯となります」
「きゃはははははほほおおおおおっ! いぎぃっ! あがぁあはははははあぁっ!」
 触手ビキニを纏った神楽は狂ったように暴れ回り、無駄であることも忘れてまたしても半
タイヤから抜け出そうと必死になった。
「今にも抜け出せそうな緩めの拘束ですが、そう肉体が認識してしまうことこそが致命傷な
のです。踏ん張りが利かないのも無論ですが、鼠は窮しない限り猫を噛まないのと同様、
わかりやすい拘束感がないと防御を固めることを忘れ、ただ逃げ出そうとしてしまいます。
いつまで経っても刺激に備えようとせず、常に新鮮な刺激の直撃を食らうこととなるのです」
「いやああああぁっ! あははははははああああっ! たすっ、けぇああああああぁっ!」
 鯵の開きの如く衣服や靴を展開されている神楽の悶えっぷりは、純粋な全裸のそれより
も痛ましく感じられた。振り払おうと必死に暴れたが、それぞれは吸盤のようにピッタリと食
い付き、仮に引っ張ることが出来ても容易に外せる代物ではなかった。
「その中途半端に残された衣服も同様、完全に開かれたにもかかわらず、まだ貝殻に守ら
れているような錯覚を引き起こします。その甘えが刺激に対する覚悟を妨げ、一層肌を敏
感にするのです」
「うあああああんっ! おーっ! あはははははははっ! あははははははははっ!」
 猛然と襲い掛かるくすぐったさが火であるなら、悲痛な笑いと狂乱の踊りが水となる。脳を、
心を、自分を守るため、神楽は必死で笑い叫び、暴れ狂った。しかし皮肉にもその行為が
擽精を放出し、ダゴチに更なる力を与えることとなる。
「いやっ、いやあっ! きゃははははははははぁっ! んおおおおおぉっ!」
 乳房に吸い付いた二つの正円モップ状触手はグニグニとその形を変えながら全体を揉み
解し、中心部の血気盛んな柔毛群は、図らずも自己主張をする乳首をコリコリと摘んではク
ニクニと弾き、乳輪上を回転しては突として舐め回す。
「あーっ! あーっ! あはーっ! あははあぁっ!」
 女性器を覆い隠すように貪る丸菱形モップ状触手は表向きは大人しいが、裏側の柔毛の
震動蠕動は乳房のそれよりも激しく、上部で幅を利かせる柔毛群は、ゆくりなく顔を出して
しまったクリトリスをコリコリと摘んではクニクニと弾き、四方八方から挟み撃ちにしては入
念に擦り上げる。男根状の突起は緩急を付けて抽送運動をし、膣内を余す所なく磨き上
げた。


116 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:54:36 mQ/zcE8g0
「あはははははははっ! だめだめだめだめだめぇあはははははははははああぁっ!」
 股座から生えた丸菱形モップ状触手の震動音にジュブブブブ…と水音が混じり始めた。
見ると秘部を覆い尽くすモップの脇から小水とも愛液とも取れる液体が溢れ出していた。次
から次へと流れ出し、もはや尋常ではない量に達している。しかしそのような些事に構うこ
となくそれぞれの触手は、
「あきゃあぁっ! きゃははははははははははははあああぁっ! あぎゃあぁっ!」
 飽くことなく、精密に、執拗に、性感帯をくすぐり続けた。
 失神すること十数回、手加減を知らぬそれぞれの触手は、神楽が目覚めると同時に最大
限の力を発揮し、その途端に女体は叫び散らし、弾み狂うのだった。神楽は意識ある限り
容赦なくくすぐられた。


117 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:55:27 mQ/zcE8g0
 蹂躙を終えた三本の触手及びその先端に咲いた毒々しいモップ状生物がピンク色のマッ
トに里帰りしてからどのくらい時間が経っただろうか。神楽の腰の痙攣は未だ止まらず、虚
脱した表情を浮かべながら尚も半タイヤから抜け出すべくクネクネと踊っていた。おそらく思
考能力が幼児レベルまで低下した状態なのだろう、そんな哀れな司令塔の管理下にある絶
世の女体に向かって、
「神楽さん、私と永遠を共にする契りをここに結んでください。そうすれば、身も心も楽にな
ります。この地獄の苦しみから解放されるのです。どうか、明哲な判断を」
 ダゴチは今一度甘い誘惑を示した。が、腐っても鯛、神楽は一瞬の気の迷いを見せるこ
ともなく、
「……………………っ」
 無言のまま首を横に振った。しばしの沈黙の後、
「……天晴れです、神楽さん……。では遠慮なく……とどめ刺させていただきます」
 ダゴチは敏感極まる柔肌に死刑を宣告した。血も涙も忌憚も躊躇もない妖怪の迅速な判
断。神楽は朦朧とする意識の中、どのような怪物がピンク色のマットから生えてくるのだろ
うかと想像を膨らませたが、
「ピッチャーの基本は……」
 ズブブ…と神楽の肢体を取り囲むように現れたのは、
「ストレートです」
 人間の手だった。太く毛深い男性の手、女性と思しき繊細な手、年端も行かぬ小さな手、
血管の浮き出た老獪な手、黒い手、白い手、種々雑多の手が柔肌に触れる寸前の所でワ
キワキと蠢いていた。
「ひっ…………!」
 やがては襲われるとわかっていつつも、神楽はその手に触れてしまわぬよう腰の痙攣を
強引に抑え、恐怖を押し殺して身悶えを止めた。
「その手はどれも現在地上で生を営んでいる実在する人間のものです。営んでいるとは言
えど、その生は陰鬱極まるもの、女性をくすぐること以外に何らの生きがいも見出せない
にもかかわらず、その唯一無二の支えさえ享受する機会に恵まれていないのです」
 耳、首筋、鎖骨、脇の下、脇腹、肋骨、腹部、臍回り、骨盤、臀部、鼠蹊部、太股、膝回り、
膝裏、足の裏、そして乳房、乳首、膣内、クリトリス。
「彼らは何のために手があるのかと日々苦悩呻吟する程に精神に異常を来しています。そ
んな漆黒の人生に一筋の光を差し込むべく、私はその思いをここに呼び寄せました。彼ら
は寝ている間、手だけの存在となってこの舞台で思う存分神楽さんをくすぐれる夢を見るこ
とが出来るのです」
 飢えた野獣の如く、それぞれの手は一斉に女体に襲い掛かった。
「無論そこに現れているのはほんの一部。全て呼び寄せてしまったらこの空間が手でパン
クしてしまうかもしれません。一通り終えるのにどのくらいの時間を要するのかは不明です
が、順番待ちがいなくなりましたら、二周目、三周目と続きます」
 狂乱に次ぐ狂乱。失神に次ぐ失神。芋虫やモップ状触手が可愛く思えてくるほどにおぞま
しい、人間の手。嬲りに嬲り、蹂躙に蹂躙を重ね、否応なく執拗に精神の崩壊を貪るという
悪辣極まる最低の存在。
 失神の回数は今や四桁に達しているが神楽は折れず、笑い、泣き、叫び、狂い、暴れ、
仰け反り、失禁し、潮を吹くことで必死に戦い続けた。どんなに擽精を放出しても決して諦
めない不屈の心、恰もそれは永久電池のようであった。


118 : 青下 弘 :2013/11/03(日) 06:59:21 mQ/zcE8g0

 悪夢の一夜を終えた後、相川紗江子は精神病院に入ることを余儀なくされた。当初社会
復帰は絶望的と見込まれていたが、半年の療養を経て無事退院、堕落した生活に終止符
を打ち、大学に進学した後、小学校教諭となった。

 忽然と姿を消した片桐神楽の最後の行き先を知る唯一の人物である七瀬川聡美は、そ
の後班長代理となり、最前に立って事件の捜査に乗り出したが、神楽の後を追うように、
間もなく行方不明となってしまった。

 因みに現在、ホテル『スカーレットエルフ』の703号室はちょっとした心霊スポットとなって
いる。何でも真夜中になると、どこからともなく狂ったような女の笑い声が聞こえてくるらしい。
 アハハハハハハハハハハッ、モウコロシテェェェ―――…………と。
 以前は一人のものだった声が、最近になって新たにもう一人加わったという。可愛らしく
も悲痛な笑い声であるそうだが……………

                                       〈完〉


119 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/03(日) 07:02:01 QrM/vLr.0
お疲れ様でした
この素晴らしい長文を書かれるのにどれ程の労力を割かれたか想像も出来ません
素敵すぎる文才とその労力に最大限のお礼と賞賛を捧げたいと思います
スパシィーバ


120 : 投下完了です :2013/11/03(日) 07:10:52 mQ/zcE8g0
 長々とスレ汚しをしてすみません。
 
 他の方の作品も楽しみにしております。

 では、失礼します。


121 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/03(日) 21:59:46 DTDw0y/E0
乙、すごい超大作でした
救いのなさがいい


122 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/04(月) 00:02:50 dn.viZqg0
超大作乙です!
腋や足裏など特定の部位を徹底して責める描写が素晴らしい
やっぱりバッドENDっていいわぁ


123 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/04(月) 00:12:00 ckS.He0Q0
乙でした
こういうシリアスで残酷な拷問系のくすぐり大好きです


124 : <くすぐり処刑済み> :<くすぐり処刑済み>
<くすぐり処刑済み>


125 : <くすぐり処刑済み> :<くすぐり処刑済み>
<くすぐり処刑済み>


126 : <くすぐり処刑済み> :<くすぐり処刑済み>
<くすぐり処刑済み>


127 : <くすぐり処刑済み> :<くすぐり処刑済み>
<くすぐり処刑済み>


128 : 玄野計 :2013/11/05(火) 20:34:14 rtBiiuiM0
タエちん・・・・ムフ


129 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/08(金) 13:13:35 /7xSJVD20
大作ですね!素晴らしい
序盤のミヤコの嫌がり方がツボでした。欲を言えば横乳責めを見たかった


130 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/20(水) 21:37:08 tE/LEiTU0
三国志の王元姫のくすぐり小説をかいてくださいお願いします


131 : くすぐり好きの名無しさん :2013/11/21(木) 00:04:21 7PiIzMt.0
誰かアマガミの絢辻さんかキミキスの二見さんの擽り小説書いていただけませんか?


132 : くすぐり好きの名無しさん :2013/12/08(日) 18:07:18 VO1ddvsg0
どばたかポケモンのセレナのくすぐり小説を書いてくれませんか?


133 : ユウ :2013/12/08(日) 18:18:58 iq4dm8DA0
こんばんは(*・ω・)ノ
というか、お久しぶりです。覚えて下さっている方もいらっしゃるでしょうか。
今年の夏くらいからworking!やシーキューブを少し書いていたものです。
(*・ω・)ノこれです。まとめ見て自分の名前がこれな事に気付きびっくりしましたwww
というか、本当にすみませんでした!
リクもらっておいて逃げました!なんか、書けなくて…。
この掲示板自体に足を踏み入れていなかったのですが、
つい最近見たら抑えていた欲望が爆発しまして。
またちょこちょこ、作品を投下させていただくと思います。
とりあえず、書けていなかった生徒会の真冬マシン責め。
これ書いて分かったんですけど、私日常系以外書けない!
マシンとか非日常になると描写が小学生並ですwww
と言うわけで拙い文章ですが、かきかけの途中まで。
ここに置かせていただきます。
あと、一応名前付けましたwww
宜しければ見てやって下さい!


134 : ユウ :2013/12/08(日) 18:23:13 iq4dm8DA0
「リアリティーある映像は、時に現実と同等になるのよ!」

会長がいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。

「生徒会の一存販売促進用ビデオ撮影ぃ…?」

会長以外の全員が怪訝そうな目で、今日の議題が書かれたホワイトボードを読み上げる。

『相変わらず、迷走しまくってんなぁ…』

おそらく全員がそう思ったであろう。むろん、会長をのぞいて。
呆れたような目をしている俺らに気付かない会長は、ぺったんこの胸を偉そうに反り返らせ、

「そうっ!時代はビデオ!素晴らしい映像美!ビデオを作って、生徒会の一存に出てくる生徒会役員がいかに素晴らしいか、全国の皆さんに見てもらうのよ!」

と言った。もう、俺だってだいたい読めている。これは企業が起こそうとしている新たな流行。ただ、とりあえず枯野と、というか企業側と約束もしてしまったので、俺はあえてそのDVDの趣旨を詳しく聞く。

「ビデオが流行ってるのかは知りませんが…。いつもよりはまともですね。で、どんなビデオを作るんですか?」

「ふふんっ!よくぞ聞いてくれたわ!今回はね、くすぐり、とかでいいと思うのよ!」

思わず茶を吹き出す生徒会役員三名。何だ。何を言ってるんだ。というか、企業は何を流行らせたいんだっ!?

「えっと…。それ、くすぐって何すんだよ?見せ物にならないだろ?」

首を傾げて聞いたのは唯一茶を吹き出さなかった深夏。おそらく、彼女は知らない。学生同士だと単なるじゃれあいとして扱われる『くすぐり』も、フェチの領域にはいると大変なことになるということを。

「そんなことないわよ。美少女が美少女にくすぐられて、かわいらしい声をあげてるのを見て、反応しない男はいないわ。それによって、役員の可愛らしさが引き立って、生徒会の一存の売り上げ向上につながるのよ!」

うーん…。理屈だけは大変立派だ。それがエロビデオじゃなければ。しかも、提案してる会長はエロビデオのつもり一切無いよな…。

そんな風に考えていると、千鶴さんからの熱い視線…と俺が認識しているアイコンタクトがやってきた。

『ここは、とりあえず乗っておきましょう。私たちに害は無さそうだし。深夏×アカちゃんか、私×アカちゃんね』

『とりあえず、会長は受けなんですね。前者はまだ分かりますが、後者でなんでいきなり突入してるんですか、千鶴さん』

『あら?キー君は見たくないのかしら?美少女が抵抗できないロリ美少女をくすぐって時には喘がせてるのよ?』

『あ…喘がせる…だと…!?』

思わず俺は立ち上がりそうになった。そして…何かに火がついた。

「会長っ!!」

間違いなく立ち上がる。机をバンッとたたき、全員の注目を集めることに成功。

「なっ…なによ、杉崎」

思わず怖じ気付く会長が若干俺から遠ざかる。にじりよる俺。遠ざかる会長。繰り返しても無意味なので、三回目ぐらいで俺の方が動作をやめる。そのかわり、新たなオーバーアクションを追加。ピシッと手を挙げ、高らかに宣言。

「そのビデオ、制作を俺に任せて下さい!」

「却下だよっ!」

即却下される。ふっ、そんなことは予測済みさ!

「じゃあ、会長は巧く作る自信があるんですか?くすぐりという、会長にとっては未開拓のジャンルで?失敗だけならいいですけどねぇ…。そのせいで会長の好感度ががた落ち、生徒会の一存の売り上げも激減。会長の元に入ってくるお金も激減、なーんて事にならなければいいですねぇ…?」

「お…お金…?」

「ええ。その点、俺に任せれば心配は無用です。完璧に、男を虜にする、素晴らしいビデオを作って差し上げましょう!」

「絶対えっちぃの作るでしょ!却下!」

「俺が作れば会長に被害を与えることはしません。さらに、そのビデオがかなりの売り上げを誇った場合、その売上金を会長にも差し上げましょう。ここまできて、断る理由があるでしょうか?」

「お…お金…。売り上げ…。人気…。名声…。」

所々関係ないワードも入っているが、明らかに目がイってる。きっと目の前には諭吉さんがヒラヒラと舞を踊っているのだろう。

「まぁ…。餅を持ちなって言葉もあるからね…。ま…まかせても…いい…」

「ありがとうございます!」


135 : ユウ :2013/12/08(日) 18:23:45 iq4dm8DA0
会長がすべての言葉を言い終わる前に腰より頭が低くなるまで頭を下げた。やった…!会長を言いくるめることに成功した!ははっ!これがっ!これがエロが絡んだ青少年の底力だ!見たか!
もはや誰に言っているのかも分からないが、内心でガッツポーズを決める。たぶん、餅を持ちなは餅は餅屋だろう。意味は間違ってないからよしとしよう。

「じゃあ、電話してきますね!」

「へ?ちょっと、杉崎、どこ行くの…?」

会長の言葉が聞こえた気がするが、無視だ無視だ!バタンッと扉を閉じ、生徒会室に隣接する廊下で携帯電話を取り出す。

「か…か…。あ、いた」

プルルルルル…プルルルルル…

何回かコールを続け、6回程鳴ったところで相手が電話にでる。

「クソガキか、切るぞ」

「おい、待てや」

名前を確認するなり切る体制を整えてきやがった枯野に思わず怒声を投げ掛ける。この新たなブーム(?)の発端は間違いなくコイツが属する企業。ならば、こっちのお願いだって少しくらい聞いていただきたい。

「む、何だ。私は忙しいのだぞ。今だって、貴様と電話をしながらタブレットでパズ○ラを行い、別の携帯でl○neをやり、ルービックキューブをやりながらサンドイッチを作っているのだ」

「しょうもない嘘吐くなよ!手何本あんだよあんたは!」

「うるさい、コンボが途切れた。切るぞ」

「あー、待て待て待て。今回の流行のことで、聞きたいことがあってさ」

そう言うと、相手側に流れている空気が、変わった気がした。そんな事分かりもしないのに。そして数秒の沈黙の後、チッと聞き慣れた舌打ちが帰ってくる。

「それは、新たな流行ではない。老害のせいだ」

「老害…?」

「あぁ。貴様に言うのすら腹立たしい話だがな」

そんな前置きの後、枯野のグチにもつきあってやりながら聞いた話は、確かに衝撃的だった。まぁまとめると…

「企業のお偉いさんが、生徒会役員(当然俺除く)の事が大好きで、単にくすぐりあっているところが見たいから会長の中にだけさり気ないブームを起こさせた、と?」

その要約は正解らしい。チッと再びの舌打ちと共にそうだ、と聞こえてきた。何と馬鹿らしい。

「じゃあ、お偉いさんに伝えといてくれよ。必ずや、素晴らしいビデオを作ります。だからそのために、機材がほしいって」

「機材だと?」

「おまっ…!くすぐりマシンの攻めの威力を知らないのか?!」

「そのような俗物には興味がないからな。まぁ、伝えといてやろう」

「珍しく素直」

「ふん、別にサンドイッチが旨くできたからでは無いからな!」

「何その新たなツンデレ!まぁいいや。よろしくー」

ブチッ

電話を切り、うーん、と伸びをする。準備は整った。最高のバックアップに、何をしても許される状況。あとは、くすぐられるあの子に伝えてあげるだけだ。


136 : ユウ :2013/12/08(日) 18:24:48 iq4dm8DA0

翌日
「微エロは時にディープなエロを凌駕し、とてつもなく官能的な存在となり得る!」

どよーん、と沈んだ様子の椎名姉妹と少しワクワクしている三年生コンビ。会長はもう自分に被害が来ないこと決定済みだし、千鶴さんは自分に被害が来るはずがないという変な自信があるし、それよりもまず誰かがくすぐられるという状況がサディズムを刺激しているのだろう。ただ、千鶴さんは俺にアイコンタクトを交わし、文句を言う。

『キー君、アカちゃんをターゲットにしないなんて、どういうつもりかしら?』

そのアイコンタクトを受け取りながらも返事はしない。そして、俺は語り始める!

「さぁ、みなさん!俺は今こそ問おう!くすぐられたときの少女の声は何なのか!?どんな声をあげるのか!はいっ!深夏!」

手を挙げたわけでもないが勝手にこちらから深夏を指名。ビシッと指を指すと、さすがは熱血少女。きまじめに答えてくれる。

「いや、別に…。笑うだけじゃねぇの?」

「はーい、残念。不正解」

指で×を作る。肩を大仰にすくめてやれやれ、と声を上げる。

「正解は、弱い子ならば時々喘ぎ声をあげる、です」

「分かるかっ!」

「そこでだっ!会長や深夏なんかは、多分くすぐっても笑うだけだろ?しかし、俺の予想でいくと、千鶴さんと真冬ちゃんは、思わず喘いじゃう派だと思うんだ。しかしっ!千鶴さんを喘がせてどうなる?!いや、興奮はするよ?!あぁ、するさっ!しかしだよ!存在が18禁みたいな人に今更喘ぎ声を披露してもらうよりも、普段そんな声を出さなそうな、出したら思わず恥じらっちゃうようなそんな子に!喘がせてみたい!それが男の本能!」

そう一気にまくし立てると、最初は意味を理解しなかった面々も意味を理解する。そして、真冬ちゃんがガタッと音を立てて立ち上がり声を上げる。

「ちょっ!ちょっと待ってくださいっ!そ、その話だと…まるで…」

「そう!君だよ真冬ちゃん!今回の被害…おいしい役は!」

「被害者って言い掛けましたよね!?今確かに被害者って」

「まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか!さぁ、どうぞあの磔台に!」

そう、今ここ生徒会室には明らかに馴染まない物体が設置されている。簡単に言ってしまえば磔台。X字で、中々見ない横置き型だ。床にかなりのスペースをとって存在している。しかもXの、上の二つの端から少し離れたところまで、掴むための輪っかがのびている。うわー、説明しづらいな、マジで!えっと、ポケモンのチョンチーっていただろ?あいつの触覚みたいな感じでXから輪っかが生えてるんだ。

「なんか、ちっさくねぇか?このX」

磔台をまじまじと見て感想を言う深夏。たしかに、少し小さく見えるかもしれない。

「まぁ、焦るなって。とりあえず真冬ちゃん。横になってみてよ」

「イヤですっ!」

髪を振り乱し必死に首を振って嫌々と言う真冬ちゃん。う、拒否されるだろうとは思って一応奥の手を持っていないこともないが…。
極力出したくないんだよなぁ…。
しかし、背に腹は代えられない。自らもダメージを覚悟して、真冬ちゃんに再度声をかける。

「そ、そういえばさぁ…。俺、今度中目黒と遊びに行く約束があってさぁ…」

「!?」

「もし、よかったらなんだけどさ。真冬ちゃんに遊びに行くプランを考えてほしいなぁ、なんて」

「しっ、仕方ないですねっ!この台に横になればいいんでしょうっ!」

「嬉しいよ、真冬ちゃん…」


137 : ユウ :2013/12/08(日) 18:25:54 iq4dm8DA0
何だろう、この空しさ。いや、断じて俺はおかしな事は言ってない!遊びに行くだけだ。男友達とちょっと遊ぶだけじゃないか!自分の中での目に見えないダメージを確認しながら、真冬ちゃんの表情を伺う。俺と中目黒のプランに惹かれてか颯爽と台に向かっていった真冬ちゃんだが、実際横になると結構な緊張をしているらしい。そりゃそうだ。みんなから見下ろされているような格好で、頼るべき台は全く頼りにならなそうな小ささ。真冬ちゃんの体がピッタリと収まると、少しでも動くと台から落ちてしまいそうに感じる。

…企業KOEEEEEEEEEEEEEE!!なに、その『役員の体にピッタリサイズの
台を作ることぐらい造作ないですが』みたいな感じ!!

「先輩…?何ですか、その気持ち悪い笑顔…」

「さぁ、真冬ちゃん。上の輪っかを握ってみよう」

真冬ちゃんのさりげない暴言をスルーして輪っかを握らせる。またしてもビクビクしながらであるが、そこがまたいい!あぁ、早く虐め…、いやいや、くすぐりたいなぁ…。
キュッと輪っかを握ったのを確認して、このマシンのスイッチを入れる。その瞬間、台がカタカタと振動を始める。

「な、なんですか、これ…」

その結果、台の中から出てきたのはマジックハンド・筆・羽根などなど。見ているだけでくすぐったくなるような品々。
さすがの生徒会役員も俺をジト目で見る…、かと思いきや。

「すげーっ!かっけーっ!変形ロボみたいだな!!」

「すごぉい…。これは期待できるわね!」

「これも、一種のSMよね。あぁ、早く動かないかしら」

誰一人として引かない!むしろ感動!いやぁ、流石碧陽学園生徒会だよ!この学園の未来が多少不安にはなったが、今更だ。それに、このままの放置プレイも中々にそそるが、真冬ちゃんに気の毒なので話を進める。

「真冬ちゃんも、深夏も思ったことだけどな。この台は真冬ちゃんにピッタリなんだ。だからこそ、こういう機能にピッタリなんだけど」

「せ、先輩…?な、何ですか…機能って…」

この暑い中、真冬ちゃんも半袖のシャツだけという夏服である。それは、防御が薄いということに他ならない!俺は右手の人差し指で、真冬ちゃんのわき腹をツーッとなぞった。

「ひゃぅっ!?」

いきなりの刺激に驚く真冬ちゃん。固定されてないのをいいことに、思い切り右方向に体をずらす。当然、台から少しはみ出すことになる。

その瞬間、この磔台の本当の機能が顔を出す。

真冬ちゃんの手足は、中からいきなり出てきたアームに堅く固定され、先ほど出てきた道具たちも真冬ちゃんに接近する。そして、さっき少しはみ出たわき腹のみに、その道具がすべて襲いかかる。

「いやっ!ひゃぁっ!んっ!あんっ!あぅっ!にゃぁっ!」

『おおーっ!』

生徒会役員(真冬ちゃん除く)が感嘆の声を上げる。動きだした機械への感動と、俺の予想通り、くすぐられているのに全く笑い声はあげず、ひたすらにあえぎ声をあげる真冬ちゃんに対しての驚きだ。
そんな異様な光景の中、1分が過ぎる。

「はぁっ…はぁっ…」

停止した機械は、くすぐる道具だけでなく、そのアームも活動をやめていた。また、輪っかを握るだけの拘束に変わる。

「はい、感想をどうぞ」

新聞紙を丸めただけの疑似マイクを向ける。

「何なんですか…ほんとに…。勘弁して下さい!」

「では、何なんですかと言われたのでこの機械について説明しよう」

「いや、そういう意味では」

「まぁ、もう分かるだろうけど、この磔台は真冬ちゃんにピッタリサイズ。つまり、少しでも動いたら台からはみ出ちゃうんだよ。で、この磔台は、5分の間にはみ出した部分をしっかりと記録してる。5分経ったら、自動的に拘束して、はみ出した部分だけをくすぐる。だから、くすぐられたくなかったら動かなければいいんだ。そしたら、自動的に一分間は休憩できる。拘束はされるけどね」

俺の説明を聞いた役員は皆一斉におーっ、と声を上げる。
当然、真冬ちゃんは憤慨。

「そんなのもうヤですからね!真冬降ります!」

真冬ちゃんは弱々しく握っていた輪っかから手を離す。
あーあ…。やっちゃった…。

ウィィィン… 人体反応が消失。人体反応が消失。
対象者が手を離したと思われます。
只今から、対象者の体に2分間全身くすぐりを実行。
二度と逆らおうとしない意志を培います。

「ふぇ!?うやぁっ、な、何ですかっ!?」


138 : ユウ :2013/12/08(日) 18:27:43 iq4dm8DA0
グイッと体をアームが押さえつけ、
真冬ちゃんは再び磔台へと戻される。
さらに、手首足首はガッチリと拘束される。
見るだけでくすぐったくなるような道具達の数は、
心なしか多くなっている。

「真冬ちゃん。喘ぎ声を聞かれるのが恥ずかしくても、
気にしなくていい。暫くしたら、笑い声になるからさ」

「誰もそんなこと聞きたくないですしまずなんですかこれっ!」

「あぁ、それは…」

ウィィィン…。
くすぐり、開始します。

「ひゃっ!んあぁぁっ!だ、だめっ!やっ…んっ…!
いやぁぁぁっ!にゃぁんっ!」

半袖の隙間から服の内部に入った筆が閉じることの出来ない脇の窪みを駆け回る。
薄いワイシャツの上から揉むように脇腹をくすぐるマジックハンドに、
手を激しく動かしてお腹をくすぐるマジックハンド。
スカートの中に入って内腿を撫でる羽根までいる。
うわ…。企業の御爺様方えげつねぇ…!
特にあの羽根!微妙にエロ入ってんぞおい!

「ふぁっ!んんっ!やぁぁっ…!ふ…、ふひゃ…、ふふふ…。
ふひゃはははははははっ!何でぇへへへへへっ!?
真冬っふふふふふっ…!あははははははははぁっ!」

「皆さん刮目!これがあまりにくすぐられて喘ぎ声から笑い声になってしまう様子です!」

「真冬があんなに笑うの…久しぶりだな…」

「いや、無理矢理笑わされてるけどな」

「真冬ちゃん、かわいいね!」

「うわぁ、純粋だなぁ、会長!」

「真冬ちゃん…可愛い…」

「あなたが言うとニュアンス違うんですよ千鶴さん!」

だめだ!我ながら引かれるくらいの勢いで真冬ちゃんを攻めているが、
この役員達は引くことがない!
それどころか感動してるよ!マジで大丈夫か碧陽!

「にゃははははははははっ!はっ…はぁっ…。はぁっ…」

やっと機械が止まった2分後。
真冬ちゃんは姉と違いあまり豊かではない胸を上下に激しく動かした。

「真冬ちゃん、分かっただろ?逃げられないんだ」

「そんな…はぁっ…。どや顔で…はぁっ…」

会長が俺の制服の裾を引っ張り、杉崎、と呼ぶ。

「何なの?この機能は…」


139 : ユウ :2013/12/08(日) 18:28:05 iq4dm8DA0

「あぁ、これは調教モードの一つです。
くすぐりを受ける人がこの輪っかから手を離した場合、
即座に拘束をしていつもより多い量の道具でくすぐります。
一回目だから2分ですけど、手を離す回数を重ねるごとに
時間は2倍になっていくんですよ。
つまり真冬ちゃんは」

俺はそこで台詞を切り、真冬ちゃんの窪んだ脇にスゥと手を滑らせる。

「やっ!」

流石に学んだのか、輪っかも握り台からもはみ出さない真冬ちゃん。

「輪っかを握ったまま、
台から落ちないようにしなきゃいけないってことです」

真冬ちゃんが涙目で俺を睨んでいる。が、気にしない。
俺はハーレム王になる男。将来はこんな目で見られることも所々あるだろう。今から耐えられなくてどうする。

「それは…すごい楽しそうね…」

千鶴さんが恍惚とした笑みでそう呟く。
ほかの役員二人もウンウンと頷くが、それは自分に被害が来ないから。
実際に真冬ちゃんは笑顔なんて微塵もなくなってるわけで。
そしてさらに俺は、3人を焚きつける言葉を放つ。

「千鶴さんは上半身。深夏は右足。会長は左足。
そんな感じで分担して、誰が早く台から落とせるか競争しません?」

プライドの高い美少女たちはすぐさまあくどい顔に変わり、
それぞれの立ち位置に着く。
みんな手をワキワキさせて、
さぁどうしてやろうか、みたいな目で真冬ちゃんをみる。
真冬ちゃんはその視線にまたもやビクッとなり、
俺に助けを請うが…。無理なのは真冬ちゃんが一番分かっているだろう。なにせ、このマシンを持ってきた張本人だからな。

「たっくさんくすぐってあげてくださいね!」

笑顔でみんなに激励をかける俺。
この段階では誰も、千鶴さんですら不思議に思わなかった。
なぜ、この女好きが率先してくすぐろうとしないのか?
そんなことを気付かせないように振る舞いながら、
俺は小声で呟く。
…じゃないと、痛い目…いや、くすぐったくて気持ちよくて、恥ずかしい目に遭いますよ?

リモコンの『対戦モード【快楽モード】』というボタンを押したときの俺の顔は満面の笑みだった。


140 : ユウ :2013/12/08(日) 19:08:16 iq4dm8DA0
ここまでになります。
続きができたらまた投下します!(*・ω・)ノ


141 : くすぐり好きの名無しさん :2013/12/08(日) 20:03:46 8G13i0is0
いいね!


142 : くすぐり好きの名無しさん :2013/12/08(日) 22:51:15 F9ZYHChA0
久々に投下きてたw
続き楽しみに待ってます


143 : くすぐり好きの名無しさん :2013/12/09(月) 16:42:33 Ww7hlUNU0
新作きたー!
のんびり楽しみに待っています。


144 : <くすぐり処刑済み> :<くすぐり処刑済み>
<くすぐり処刑済み>


145 : くすぐり好きの名無しさん :2013/12/17(火) 06:48:57 d8E3h6bQ0
千鶴って誰だっけ


146 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:42:10 nQVvC3a.0
自分の好きなシチュとかキャラとかを詰め込んだらこうなった。
短い上に文章力がほぼゼロなのですごい読みにくくなった気が…。ごめんね!







グロシアーナ砂漠にあるフェニックスの塔、その中層に一人の少女がいた。
メルヘンチックな衣装に身を包んで、現れるモンスターにストップをかけては所持品を盗み、
コメットやメテオを連射するその少女の名はクルル・マイア・バルデジオン。
彼女は資金稼ぎ兼アビリティ習得の最中なのである。

バッツは魔物を操って青魔法を覚えてくると言ってどこかへ行ってしまった。
レナとファリスはクーザー城でシールドドラゴン狩りに出かけている。
バッツから「どうせ暇ならフェニックスの塔で資金稼ぎをしてきてくれよ」と言われたクルルは、
置き手紙を残して資金稼ぎにフェニックスの塔へ向かい、今に至る。


「ん〜っ……はあ…飽きてきたなあ…」

リフレクトリングを盗み続けること既に90個、流石にそろそろ飽きる頃合いである。
大きく手を伸ばし、やや疲れ気味な表情が伺える。
時魔導師である彼女では、いくらシーフや竜騎士をマスターしていても限界がある。
そんな状態だからこそ、背後に迫った脅威に気付かなかった。

『ふふふ、随分油断してるわね?』

「え?」

バチン!という大きな音と頭部への痛みが彼女を襲う。

「痛いっ!……っ!」

不意打ちに倒れ込みながらも振り返ると、視界には先ほどの攻撃の正体らしき蔓が映った。
その奥には花や植物に包まれた女性がいる。
チャムキュビア――この塔に住む魔物の一種であり、
彼女が先ほどまでリフレクトリングを盗んでいた相手でもある。

「何するのよ!このっ!」

反撃のために、なんとか床から起き上がろうとする。
それを悟ったのか、チャムキュビアは周囲の蔓をクルルの手首と足首に巻き付けてきた。

「きゃっ!?…くっ…放してよ!」

『放してって言われて分かりましたって放す人が何処にいるかしら?』

正論である。ましてやモンスター、そもそも話が通じるような相手ではない。
ならばさっさと力ずくで解決する。そう踏み切ったクルルだったが…

「もう、おとなしくしなさいよ!ストッ…ひゃん!?」

突然走った左脇腹への不思議な感覚。それに気を取られたクルルは身を捩り、詠唱を中断してしまった。

『あら、なかなか可愛い声出すじゃない』

やっとのことで自分の体を見ると、チャムキュビアの蔓がローブ越しに脇腹を撫で回していた。

「な、何…え、蔓…?きゃはっ!」

『ほら、片側だけじゃないわよ?』

「んっ…あはっ…やっ…やめて…よっ…!」

今度は右側も同じように撫でられる。
チャムキュビアはローブ越しにクルルの両脇腹に蔓を当ててゆっくりと上下に動かしているだけだが、
幼くくすぐりに敏感なクルルの魔法を封じるには十分すぎる刺激であった。

「あぅ…い…ぃかげんに…ひゃふっ!…しなさい…よ…っ!メ…メテオ!」

やっとのことで隕石の魔法を唱える。時空に穴をあけ、流星群を呼び出す封印されし魔法。しかし…


147 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:42:44 nQVvC3a.0
『ふふふ、お名前は?』

「クル…ひゃふん!クルル…ひゃはっ!」

『よく言えました、クルルちゃん。ご褒美にたくさん、可愛がってあげる…』

「ふぇ…?」

混乱し、名前を言えば解放されると思い込んでいたクルルはその言葉の意味を捉えようと思考を巡らす。
しかし結論にたどり着くことすらできなかった。
なぜなら……

「…ふははははははっ!?や、やめっはははははははは!!」

チャムキュビアがクルルの脇の下に両手を伸ばし、
今までとは打って変わって激しくぐすぐり始めたからである。

『あらあ、私には喜んでるようにしか見えないけど?』

「そんなこっはははははは!!やだああああはははははは!!やめてよおお!!」

ローブに守られているとはいえ、敏感な脇の下を背後からくすぐられるのだから堪らない。
振り払おうにも、手足の蔓はあえて緩めに張られており、
暴れることはできてもほどくことはできない。

「うはははははははは!!ふあああっ!!もうやっははははははは!!」

体を捩って逃げようとしても上から押さえつけられていては
床に身体を擦り付ける形になってしまい、当然くすぐったさからも逃げることはできない。
そんなクルルの抵抗を楽しむかのように、チャムキュビアは次の行動に出た。

『ふふふ…やめてほしいかしら?』

「やめっやめてええっははははははは!!しんじゃああっはははははは!!ひゃああああっははははは!!」

『そうねえ。じゃあゲームに勝てたらやめてあげるわ。やってみる?』

チャムキュビアはクルルをくすぐる手を止めてそう言った。
ゲームといってもくすぐられる事には間違いない。
しかし断ってもどうせくすぐられることに変わりはなく、
なにより先程までのくすぐりによって疲労困憊であったクルルに選択肢はなかった。

「や…やる…やるから…」

『いいお返事ね、クルルちゃん…』

チャムキュビアはクルルの上から降りると蔓をあやつり、
体勢はそのままにクルルを仰向けにする。
その表情は怯えや困惑のほかにどこか期待も混ざっているようにも見える。

『あらあら、もしかしてクルルちゃん、期待してるのかしら?』

「しっ、してないっ!」

恥じらいがない所を見ると本人は自覚していないようで、
どうやら無意識のうちに期待しているようである。

『まあいいわ。ルールは簡単よ。
これからクルルちゃんを三時間くすぐるわ。
笑っちゃっても動いてもいいけど、
ギブアップしたらクルルちゃんの負け。どう?』

正確な時間は分からないが、窓からの日差しが倒された直後とほぼ変わらないあたり、
あまり時間はたってないのだろう。
それでも数十分とも思えるほどであった事を考えると、
三時間というのは絶望的な長さである。
しかし魔法がほぼ無力化され、力ではどうにもならないこの状況下で選択肢はなく、
さらに他の条件の甘さを考えれば耐えられない事も無い。


148 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:43:13 nQVvC3a.0
「うん…わかった…」

『ふふ、素直な子…じゃあまずは…』

チャムキュビアはそう言うと拘束されたクルルのローブの裾から手を入れ、
敏感なお腹をさわさわと撫で始める。

「んふぅ……きゃははっ!…ひゃはあぅ……やっあぁ…」

今までのローブ越しの刺激に比べれば優しいタッチだが、
素肌を直接触られている事とクルル自身のくすぐりへの弱さが合わさり、
クルルにくすぐったい刺激が送り込まれる。

「あふっ…直接なんて…ひゃはあっ!聞いて…ない…っ!」

『あら、ローブの上からなんて一言も言ってないわよ?』

チャムキュビアはそう言いながら手を移し、今度は脇腹を撫でさする。
まるで焦らして感覚を敏感にするかのようなくすぐり。
しかしその弱々しい刺激も少しづつクルルの精神力を奪ってゆく。

「ひゃはははっ!……くふふっ…!なあっ…撫でないでよ…!」

力を抜いた指先でさらさらと脇腹をくすぐられる感触に、意識せずとも悶えてしまう。
そしてしばらくしてクルルが慣れてくると今度は大きく開かれた脇の下に手を向かわせる。
その柔らかく敏感な窪みに指先が触れたとき、
クルルの幼い体がビクッと跳ねたのをチャムキュビアは見逃さなかった。

「あははっ……!だめ、そこだめえぇ……っくぅ…!」

眠っている神経を呼び覚ますような優しいくすぐりだというのに、
チャムキュビアの指が柔らかい素肌をなぞる度にクルルの身体がびくびくと震える。

『(ふふっ、相当ここが弱いみたいね…最後のお楽しみの一つになりそう
さて、次は……)』

チャムキュビアはローブから手を抜き、今度はスカートの中へと差し入れる。
そして少し開かれたクルルの太ももの内側をくすぐり始める。

「んあぁっ…!ちょっどこ触って…ひゃははああっ……!」

『ふふふ、ここも敏感なんでしょ?いつまで我慢できるかしらね?』

パーティの中で最も若いと言えど、クルルも14歳。性的にも体が発達してくる年頃である。
そんな彼女が内ももに与えられたくすぐりの感覚をただのくすぐったさと
受け入れる事ができるはずもなかった。
愛撫をされているかのようなくすぐりに頬は赤くなり、
笑い声の中にはどこか悩ましそうな雰囲気も感じられる。

「やあ……うひゃあっ!そこはやめっ……あはぁ…っはははは!」

チャムキュビアの手が少しずつスカートの奥へと潜り込んでいく。
それに伴いながらクルルの感じる感覚も
少しずつくすぐったさから気持ちよさへと変わっていく。
徐々に強くなっていくはしたない気持ちに必死に抗おうとするが、
甘い感覚に体が無意識に悶えてしまう。
更に単調なくすぐりに慣れてきているせいか、快感がより一層強く感じられる。


149 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:46:54 nQVvC3a.0
順番ミスしてしまった…申し訳ない。
最後に順番書いておきます




『あら…なにかしら、この石ころ?』

「っ…!う、うそ…」

蔓にくすぐられてろくに集中も出来ず、封印されていた魔法ですらまともな威力にならない。
しかもどうやらそれがチャムキュビアの逆鱗に触れてしまったようだ。

『自分の立場がわかってないみたいね…。いいわ、なら教えてあげる…』

そう言うと彼女はうつ伏せに倒れたクルルの上に陣取り、
がら空きの脇腹にその両手を優しくあてがった。

「んぅ…やだ…やだぁ…きゃはっ!ああっ……」

『ふふふ、まだ動かしてないのに…ほら、こちょ…こちょ…』

「きゃはは…ひゃは!ひゃあんっ!……んあぅ……」

チャムキュビアが指先を動かし始める。ローブの上からとはいえ脇腹をふにふにと刺激され、
ぎりぎり我慢できないくすぐったさにクルルは耐えるような笑い声をあげる。

『可愛い…そういえばまだ名前を聞いてなかったわね。お名前はなんて言うのかしら?』

「そんなの…きゃはははっ!しっ…知ってどうす…あはははっ!」

『名前で呼んであげられるでしょ?教えてくれないなら…こうしちゃうけど?』

そういうと脇腹をくすぐっていた手を徐々に上に動かしていく。
その先にあるのは、触られただけでつい身を捩ってしまうような、全身で一番のウィークポイント。
もちろんクルルも例外ではない。

「きゃははっ…!やめっ!来ないでっははは!」

『ほら、お名前、教えて?』

「ああっ…な、なに……ひゃはあっ…うあぁ……」

チャムキュビアはクルルの耳元でそう囁きながらハート型の精神波を放つ。
『誘惑』――文字通り誘惑して対象を混乱させる技。
指先が迫り、ただでさえ追い詰められていたクルルはいとも簡単にチャムキュビアに誘惑されてしまった。


150 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:48:28 nQVvC3a.0
―――

「ふあああぁ………あははっ…!うひゃあっ!?もうやだぁ……んふぁぁっ…!」

数十分後、チャムキュビアのしつこい責めによってクルルはすっかり蕩け切っていた。
それでもなお理性があるのは未熟とはいえ、時魔導師であるが故であろう。

『あらあら、だいぶ気持ちよさそうねぇ?こんなにメロメロになっちゃって……』

「ちっ、ちが…う……もん…ふわあぁ……んははっ……」

『でも、ここはこんなになってるじゃない?』

チャムキュビアがクルルの秘所を下着越しにくすぐるように撫で上げる。
すでにまるでお漏らしでもしたかのようにぐっしょりと濡れていた下着越しの刺激は
快感とくすぐったさが混ざったような絶妙な感覚をクルルに与える。

「〜〜〜〜っ!!///」

『ふふふ、素直になればいいのに……』

チャムキュビアはもう片方の手にも愛液をつけると、
今度は両手に絡みついたクルルの愛液を
内ももに塗りひろげるようにくすぐり始める。
ぬるぬるとした今までとは違う感触と、
自身の愛液を使われているという羞恥心からか、先ほどよりも顔が赤くなっている。

「んあっ…くふふふっ!やっ…やだぁっ…!こんなの…やめてよぉ……」

暖かいローションのような愛液がクルルの感覚をより一層鋭くする。
チャムキュビアはクルルの薄く敏感な内ももを円を描くように優しく撫でまわし、
ピアノを弾くように指先ではじき、感触を確かめるように爪でなぞる。
その度にクルルの口からは熱い吐息が漏れ、その身体はぴくぴくと小刻みに震える。

『だいぶつらそうね?そろそろギブアップしてもいいのよ?』

「きゃふぅ……ダメぇ…しちゃだめ……だもん…」

ギブアップすればこの責めは終わるだろうが、先ほど以上のくすぐり責めが待ち受けているのは間違いない。
今のクルルはそこまで頭が回らなかったが、頭の片隅に残った記憶がかろうじてギブアップを防いでいる。

『(思ったより耐えるわね…。その方が楽しいんだけどね)』

そう思いながらチャムキュビアはさらにクルルを焦らしていく。
しばらくしたあとにはクルルの内ももは愛液まみれになっていた。
拘束されているにも関わらず内ももを必死に擦り合わせようとしているのは、
相当焦らされて高まっている証拠だろう。
拘束が解かれればすぐにでも自分を慰めるに違いない。

「んはあっ……!おかし…くぅっ!?……なっちゃう………からぁっ……」

チャムキュビアがクルルのスカートから両手を引き抜く。
その指先にはねっとりとした透明な液体がたっぷりと付いていた。
明らかに愛撫といえるようなくすぐりから解放されたクルルはというと、
顔を赤くして俯き、目を潤ませながら体の疼きに耐えようと足をもぞもぞとさせている。
性経験の少ない彼女にこれほどの焦らし責めは強烈すぎであった。

『こんなになっちゃって…可愛い…。さあ、ここからがお楽しみの本番よ?』

不敵に笑うチャムキュビア。それもそのはず、これから"最後のお楽しみ"
の時間なのだから。

チャムキュビアが再びローブの中へ両手を入れる。
服の中でゆっくりと自分のウィークポイントに近づいてくる気配に、
クルルも期待と不安が混ざったような表情でそれを待ち受ける。
実際クルルは先程までのくすぐり責めと焦らし責めで発情しきっていた。
しかしその表情もチャムキュビアの加虐心を煽る要因になってしまう。
そしてついにその指がクルルの柔肌へ触れる。

「きゃはっ!?あっ…くぅ…あっはははははははははは!!やめっはははははははは!!」

チャムキュビアの指先についていたクルルの愛液が潤滑剤の代わりになり、
今までとは一味も二味もくすぐったさを与えてくる。

「うああっははははははははははは!!きゃっはっはっはっはははははは!!!」

『こちょこちょされてそんなに笑っちゃって、うれしそうね?』

「あっははははは!そんなわけなぁっはっはっはっはっは!!やだっはっははは!!」


151 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:49:40 nQVvC3a.0
窪みをくるくるとなぞられ、その中央を優しく撫でられ、
遊んでいるかのようなその弱めのくすぐりにですら絶叫してしまう。
実際彼女はクルルの反応を楽しんでいた。

『うふふ、ほら、動かしてないわよ?』

チャムキュビアはくすぐっていた手を止めて指をクルルの両腋の窪みにあてがって問いかける。
ただ指を置かれているだけなので笑ってしまうほどではないが、
敏感になったクルルはよほど気になるのか、そわそわと落ち着かないでいる。

「んっ………あっ………………うぅ…………」

じっとしていると、脇の下から愛液の甘酸っぱい匂いが漂ってくるのがわかる。
自分が感じていた証拠であるその芳香はクルルを羞恥で染め上げると同時に、
くすぐられている間には忘れていたもどかしさを再び呼び覚まさせる。

『もじもじしちゃって…………ふぅ〜〜……』

「ふあぁっ……あぁぁ……」

耳に息を吹きかけられると、無意識に身体が小刻みに震えてしまう。
吐息攻めで快感の許容量が下がったからか、下着の中がさらにびしょびしょになっていく。
そんな肉体的にも精神的にも隙だらけのクルルをチャムキュビアが見過ごすはずもなかった。
ぬるぬるになっているクルルの脇の下をチャムキュビアが再びくすぐり始める。

「うあぁ……ぁあっ!?あっはははははは!!いやっはっはっははははははははは!!」

指を激しく動かすのではなく、複雑かつ丁寧になぞるようなくすぐり。
そのためくすぐったさの中に秘所のもどかしさが残ってしまい、
クルルは何とも言えない奇妙な感覚を感じてしまう。
当然くすぐりによる開発などされていないクルルの体では絶頂に達せられるわけもなく、
チャムキュビアの責めも止む気配はなく、一瞬でも我慢できそうにない感覚がクルルを苦しめる。

「うあああっはははははははははっはっはっは!!はひゃひゃひゃああっっ!!」

少し触られただけでもつい閉じてしまうような脇の下を、よりにもよって無理やり大きく開かれたまま
更に愛液という名の潤滑剤を付けられてぐにぐにとくすぐられ続ける。
すでに全身は汗まみれになっており、チャムキュビアが指を動かす度にクチュクチュという音が聞こえる。

『ねえ、クルルちゃん?うれしいお知らせがあるのよ?』

「ふはは…っ!?へあっっははははは!!」

集中すらままならない状況の中、ある一つの事を思い出す。
チャムキュビアは最初に"ギブアップせず3時間を過ぎたら解放"と言った。
今まですっかり忘れていたが、もしかするとそろそろ……と、期待を持ちつつなんとか耳を傾ける。

『あと20分で3時間なのよ。それでクルルちゃん、あなたにはこれが見えるかしら?』

「あっははははは!!はぁぁぁっ………っ!!やだあああっははははははははは!!」

予想は当たっていた。が、最悪の結果もついてきた。
チャムキュビアの背後にふわふわといくつもたたずんでいるもの……
全部で十数本に及ぶそれは、チャムキュビアが使役する蔓であった。
その形状は様々で、柔らかそうな毛のようなものがびっしり生えているもの、
逆に何の変哲もなくシンプルなツルツルとしているもの、
先端が細く複数に分かれているもの、猫じゃらしのようになっているものもある。

「いやああああっはっはっはっはっはっは!!やめっきゃっはははははははははははは!!」

『いやなら、やめてもいいのよ?ふふふ……』

サディスティックな笑みを浮かべながら、チャムキュビアが数本の蔓をクルルの服へと入れ始める。
すでに耐えられなくなっているクルルは体を動かしてそれを拒もうとするが、
両手足を閉じられない程度に拘束しているチャムキュビアの蔓がそれを許さなかった。
そして……

「ひゃはははははははは!!あはあぁっ!?ぎゃああぁぁっはっはっはっははははははは!!」

最初に追加されたのは、ツルツルとした蔓による脇腹へのくすぐりであった。
柔らかい両脇腹に強めに押し付けられた蔓はもにゅもにゅとのたうちまわりながら、
左右とも同じ周期で上下運動をする。
単純だがそれゆえにクルルに壮絶なくすぐったさを与える。

『次はここよ?ほら、こちょこちょこちょ……』

「ぎゃはあっ!!あははははははははは!!もうだめえええっへっへへはははははははは!!」


152 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:50:28 nQVvC3a.0
その次のターゲットはたっぷりと焦らされていた内ももであった。
猫じゃらしのような先が楕円形に膨らんだ蔓がその先端をピタリとクルルの内ももにくっつけ、
そのままスッスッと撫で始める。
くすぐったさこそほとんどないが、愛液で濡れた内ももへの焦らし責めは
クルルの全身ををより一層敏感にさせる。
その結果さらに愛液が流れ出し……と、悪循環に陥っていた。

そして次はクルルの膝裏を先の分かれた蔓がくすぐり始め、
さらに脹脛に毛の生えた蔓が巻き付き、うねり始めた。

「ぎひゃあああっはははははははは!!やあああっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!」

膝裏と脹脛から予想を遥かに超えたくすぐったさが伝わってくる。
脇の下、脇腹、内もも、膝裏、脹脛を左右それぞれ、計10か所を同時にくすぐられ、
目からは涙があふれ出し、口からは笑い声とともに涎が出ていた。
そんな事をお構いなしにチャムキュビアはその手を休めようともせず、
少しずつ責め方を変えてクルルを慣れさせないようにしながらくすぐり続ける。

「うはははははははっはっはっは!!もうやだああっはっはっはっはははは!!!
ゆるしてっへへへへへははははは!!ごっ、ごめんなしゃああああっはっははは!!」

『あらあら、何に謝ってるのクルルちゃん?悪いことしてないんだから謝らなくてもいいのよ?』

一刻も早く逃れるために必死に許しを請うクルルだったが、
"何をどんなに言ってもやめてあげない"という趣旨の言葉で返されてしまった。
3時間近く全身を弄られ、笑いたくもないのに笑ってしまい、
クルルの体力はすでに限界を超えていた。
それでも体はくすぐりから逃げようと勝手に動き、笑いと同時に吐き出してしまった空気を取り入れようとし、
そして逃げた先にもくすぐりの魔の手が待っており、せっかく吸った空気も再び吐き出してしまう。

「ひゃははははああああっ!!やああっはははははははははは!!」

『そろそろ限界かしら…?じゃあ最高の幸せをあ・げ・る』

その限界を悟ったかのように、チャムキュビアは最後の追い打ちをかけた。
辺りに残っていた蔓を全てクルルのローブの中へと入れる。
鎖骨、背中、二の腕、お腹、胸……と、責められていないありとあらゆる場所へとぴったりとくっつく。
そして全ての蔓と自身の手を今までに見せない速さで動かし始めた。

「くはあああっ!!うぎゃああっはっはっはっはっはっはっは!!
ああっはっはっはっはっははははははははは!!」

あまりのくすぐったさに目の前がかすんで見える。
いや、違う。これは。

『気絶と絶頂と、どっちが先かしら?ふふふふふふふ……』

「あっははははははははは!!んあぁぁああっ!!ぎひゃあああっははははははっははははは!!」

チャムキュビア本人に脇の下を弄くり回されて、使役する蔓に他の場所をくすぐり回されて。
そして一瞬目の前がふっと真っ白になったあと、吸いこまれるように意識が遠のいていった。
チャムキュビアがくすぐりを止めようとする二分ほど前であった。
















「…………ル?……えてる?…………クルル?」

「ふえぁっ!?」

聞こえてきた声に跳ね起きると、そこには見慣れた竜騎士姿のレナの顔があった。

「お、ようやく起きたな。まったく、心配掛けさせやがって……」

少し離れたとこにはナイトのファリスもいる。じゃあさっきまでのは…夢?

「夜になっても帰ってこなかったから心配してたのよ?
飛竜が無理して山を越えてくれたからいいものの、
まさかあんな所で口から泡吹いて気絶してるなんて…」

違ってた。気絶ってことはさっきからむずむずする理由は……。
って、そんな事より。

「あれ、バッツは?」

「ん?あいつか?確かちいさなメロディとフラッシュ覚えてくるって言って出て行ったきりたぞ?」






翌日、見事"シェリー"と"コムサ ベラ"を"操って"青魔法をラーニングして帰ってきたきたバッツが口を滑らせ、
バル城に隕石の嵐が降り注いだ事は言うまでもない。


〜終〜


153 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 18:53:15 nQVvC3a.0
>146
>149
>147
>148
あとは順番通り


154 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 19:26:03 5Qkw5Irs0

FF5とは懐かしい
バッツがどういう風に操ったのかが気になるなw


155 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/14(金) 23:10:09 nUFkR55M0
乙!クルルかーいーよクルル


156 : くすぐり好きの名無しさん :2014/02/17(月) 18:53:48 UsdPOUgo0
>>146>>152 を順番調整とか加筆修正とかしました。
二度も書き込むのもアレなので、pixivに。
//www.pixiv.net/novel/show.php?id=3441335


157 : くすぐり好きの名無しさん :2014/03/03(月) 01:02:09 RdTs1oqU0
リリカルなのはのスバルとかが責められるのかいてほしいです。


158 : ガプヲ :2014/03/14(金) 18:44:09 9Tjqc5a60
これは【*/F】ゲームスレ12【*/M】にて>>405氏が制作した「夢の世界」を基にした二次創作です。
あくまでも私個人が考えたifストーリーであり、本編に密接に関わるものではありません。
また、後日談という形のため、若干のネタバレを含んでいます。
あらかじめご了承ください。










あの不思議な夢を見てから約一ヶ月が過ぎた。
目覚めた当初はただの夢だったのではないかと考えたが、あれだけ自分をくすぐってきたいじめっ子たちが大人しくなった様子を見て、ただの夢では無かったと再認識した花子。
あれからというもの、花子はいじめっ子たちに目を付けられる事もなくなり、穏やかな学校生活を過ごせるようになった。
しかし、そんな平凡な日々の中でも花子は悩む事となる。

それは……

「翔太くん」
「あ。は、花子、さん。な……なにか用?」
「えーと、先生が用具室からボールを持ってきてくれって」
「う、うん……わかった。そのー、わざわざ、ありがとう……ね」
「……あの」
「そ、それじゃ!」
「…………」

あの夢以降、同級生の翔太くんが花子に対し、どこかよそよそしい態度を取るようになってしまった事。

「やっぱり、悪い事しちゃった……かも」
謎の人物の影響で変な気分にさせられていたとはいえ、裸の翔太くんを気絶するまでノンストップでくすぐり続けた花子。
夢精程度だから心配無いだろうと謎の人物は言っていたが、その翌日から翔太くんはまともに目を合わせてくれなくなってしまったのだ。
今では挨拶をしようとするだけでもそそくさと避けられてしまう始末。
いじめられるのも嫌だが、同級生にそんな態度を取られ続けるのも気分のいいものではない。

「謝った方が、いいのかな……?」
そこまでは考えてみるものの、そこから先がわからない。
おそらく翔太くんは自分の夢の中で花子にくすぐられたと思っているのだろう。
まさかストレートに「夢の中で気を失うまでくすぐってごめんなさい」とは言えまい。

「うーん……黙ってた方が、いいかな?」
そんな風に考えてみるも、すぐに首を横に振る。
何も言わずに過ごしてきた結果がこれなのだ、このまま事態が良い方へ進む事はまずないだろう。
やっぱり謝った方がいいのだろうか?
しかし何をどのようにするべきなのだろう……
そんな思惑が浮いては沈み、沈んでは浮いてを繰り返す。

「……はぁ」
そんな事を思う度に花子は一つ、溜息を吐くのであった。


159 : ガプヲ :2014/03/14(金) 18:45:56 9Tjqc5a60
これはある日の夜、花子が眠りについた後の事である。



「……ん」

――おはよう花子ちゃん それともこんばんわ かな? いやいや お久しぶりの方がいいかもね――
ぼんやりとした意識の中、聞き覚えのある声が花子を呼ぶ。
「……あれ? ここ……」

まだ眠い目をこすりながら、花子は辺りをゆっくり見回す。
今どき珍しい石造りの壁と床。
中央には簡素なテーブルと椅子、傍には火のついていない暖炉が一基だけの小ざっぱりした部屋だ。
普段ではお目にかかれないようなその空間を花子はよく知っていた。
奇妙な生き物、野犬、そして人形が徘徊する迷路。
彼らの動きは皆バラバラだったが、共通して言える事がある。
花子を執拗に追い掛け、捕まえ、足腰が立たなくなる程くすぐってくるという事。
そんな者たちがひしめく場所を花子はたった一つしか知らない。

「これは……夢?」
――そうだね ここは夢の世界! って、わざわざ説明するまでもないか とにかくようこそ!――
この声の主も知っている。
こうやって声だけで現れる事もあれば、全身黒づくめの姿をして花子の目の前に現れる事もある正体不明の人物。
優しく(?)アドバイスをする事もあれば、あまり口にしたくないようなイタズラも平気で行う謎の存在。
その存在は一人だけなのか、それとも複数なのか。それ以前に男なのか女なのかすらも分からない、その身体の九割以上が謎で構成されていると言っても過言ではない存在。
それがこの夢の世界の住人なのだ。

「また……ここに来ちゃったの?」
――そうだよ せっかくいじめられる事も無くなったっていうのに なんだか嬉しくなさそうな花子ちゃんのため こうして会いにきたのです――
「別に嬉しくないわけじゃないよ。ただちょっと、悩んでるだけ」
――ほうほう それは大変だ あっ 言わなくても大丈夫 なんたってここは君の夢の世界でもあるわけだからね 君の考えはすぐにわかっちゃうよ――
こともなげに、まるで軽い世間話をするような気安さで謎の人物は言ってのける。
その言葉を聞き、心を見透かされているような気がして花子はどこか落ち着かない。

――うんうん なるほどなるほど よし それじゃいっちょーいつものやつ 行ってみますか――
「ちょっ……いきなり?」
一しきり一人で頷いておいて、勝手に納得した人物の唐突な展開に思わず花子はツッコむ。
――そりゃね 僕らは花子ちゃんにたくさん笑ってもらって リフレッシュして幸せになって欲しいからね あーだこーだ言うより手っ取り早いでしょ?――
「う。それは……」

かつて見た夢を思い出す。
いつ辿り着くとも知れない終点を目指して必死に走る花子。
そんな花子を怪物たちは追い、通路を塞ぎ、邪魔をする。
その度に花子は怪物たちを避け、かわし、逃げ続ける。そんな夢。
逃げている時は考える余裕など無かったが、後になって思えば相応のスリルはあった。
鬼ごっこや友達との遊びのそれとはまた違う、必死のスリル。
現実では実現できそうにも無いような状況がここでは起こる。
なぜならここは夢だから。

――ま 花子ちゃんが会いたいと思わなきゃ僕らもなかなか会えないわけだしね なんだかんだ言って内心じゃけっこー期待してたんじゃない? なんたって花子ちゃんはド……――
「だからそれは違うってば。絶対」
――おっと失礼 で どうする? やっぱやめとく?――
口ではそんな事を言っているが、花子の答えなど分かりきっているといった様子。
それにもし仮に花子が「やらない」と言ったとしても最終的は適当に流されてしまうのだろう。
「……やるよ。やらなきゃ出られないんでしょ?」
花子は半ば折れたような、半ば意を決したような口調で言う。
――おっ その言葉を待ってたんだよ! 偉い偉い やっぱり頑張る子は素敵だねー 応援したくなっちゃうよー――
「イジワル」
――……あー コホン それじゃ 準備に取り掛からせてもらうとしますかね――

そう言った次の瞬間、壁に扉があらわれる。
――さて 花子ちゃんの用意が出来たらいつでもどうぞ! ゆっくり目いっぱい 笑っていってね!――
そこで声は終わる。だが声が消えたとはいえ、今こうしている間も彼らは花子を見ているのだろう。

ドアノブにそっと手をかける。
この扉をくぐったら始まるのだ。夢の世界の鬼ごっこが。
「……とりあえず、進も」
ドアノブをゆっくりと回し、ドアを開け、一歩を踏み出す花子。

ぱたん。とドアが閉じた瞬間、ドアは影も形も消え失せていた。


160 : ガプヲ :2014/03/14(金) 18:48:54 9Tjqc5a60
扉を抜けた先を一言で表すなら、それは『奇妙』だった。

くるぶし程まで水の張られた床に、ゴールの扉が見えないほど遠くまで伸びた長い部屋。それは廊下と言っても差支え無いかもしれない単調な造り。
曲がり角や障害物が随所に散りばめられていた今までの部屋を考えると、むしろその単調さが不気味に感じられる。
そしてこの部屋を奇妙たらしめる理由はもう一つ。

「あれ、誰もいない……」
これから花子を追い回すであろう怪物たちの姿が何処にも無い、という事。
――ごめんね 言い忘れてたよ――
謎の人物の声が響き渡る。
――僕らも本気でセッティングしたから 今回はこの部屋一つだけなんだ 言うなれば超ハードステージってとこかな――
――でも心配しないで なんてったって本気だからね 部屋の構造はシンプルな分 ここの奴らはメチャクチャ強いからさ――
――捕まったら 今までとは比べ物になんないぐらい凄い事が待ってるよ なぜなら僕らは本気だから!――
「……やな本気」
――平気平気 花子ちゃんなら逃げきれるはずだよ 多分ね――
――それじゃ 今度こそスタートだよ 頑張ってね!――


よーい……ドンッ!


相手のいない鬼ごっこに戸惑いつつも花子は歩みを進める。
床と足が接触する度、水はちゃぷ、ちゃぷと音を立てる。
すっかり浸水した靴の感触に不快感を覚えるが、いつ何が起こるか分からない以上安易に靴を脱ぐ気にはなれない。
「誰も来てない……よね?」
数歩歩いたら後ろの確認。安全を確保した後、再び歩き出す。

それを繰り返して歩き続け、今はおよそ部屋の中盤まで差し掛かったあたりだろうか。出口はまだ見えそうにない。
不意に前方で何かが落ちる音がした。聞こえるのは自分の足音だけだった状況での突然の出来事に後ずさるが、出口を目指す他に道は無いという事実が花子を奮い立たせ、恐る恐るだが音のする方へと足を運ばせる。
身を屈めて水の中を覗き込む花子の目に奇妙な物体が映る。
「なんだろ、クラゲかな?」
音の正体はクラゲともイソギンチャクとも、はたまたナマコともつかぬ、なんとも不思議な生物。
毛糸のように細い触手をゆらゆらと揺らす、子供の拳ほどの大きさのその生き物は花子に興味を示した風でも無く、浅い水の中を漂っている。

触れなければどうという事はない。

一見して無害そうなその生物に毒気を抜かれた花子は、気を取り直して前方へと顔を向ける。
この時、ほんの数秒でも後ろに注意を払っていれば結果はまた違っていたのかもしれない。

「ほっといて進まなきゃ。…………?」
そんな時だった。


何かがバシャバシャと激しく水を蹴ってこちらへ向かって来ている事に気づいたのは。


161 : ガプヲ :2014/03/14(金) 18:50:16 9Tjqc5a60
瞬間、花子は駆け出す。
本能的に捕まってはまずいと悟ったのか、頭で考えるよりも先に身体が動き、水の廊下を全力で走る。

薄暗く、水飛沫が飛ぶ後方を振り返る花子。
自分を狙うのは三体の人型。顔らしい顔は無く、花子と同じぐらいの大きさの身体はピンク色の全身タイツで覆われた存在。
自動人形のようにも見えるが、関節や脚のしなやかな動作は人間に近く感じられる。

それに加えて、花子を捉えようとするのは三体の全身タイツだけでは無かった。
全身タイツ達が来るのを待っていたかのように上から一匹、また一匹と次々と落ちてくる奇妙なクラゲ。
それらは、先程の我関せずな動きから一転。ノロノロとした速度ながらも花子を追い、触手を伸ばす。

クラゲ達の捕獲の対象と認識されずに、直線距離を攻める全身タイツ。
今や水中に無数に浮かぶクラゲ達。
クラゲ達の僅かな隙間を見つけつつ全力疾走を維持したまま全身タイツから逃げ続けるのは極めて困難だったが、それでも未だに諦める気配を花子が見せないのは、今まで培ってきた技術と度胸の賜物と言えよう。
足場の悪い状況の中で靴が片方脱げるが、今はそれに気を使う場合ではない。

そうこうするうちに薄暗い向こうにドアが見えてきた。
安全地帯と言える、水の張られていないそこまで辿り着けばもう手出しはできないはずだ。
「はぁ、はぁっ……! あと、もう少し……! はぁっ、はぁッ……」

しかし僅かに顔を見せた安堵は長くは続かなかった。

「はッ……はぁ……! ッ!?」
靴の脱げた足に細い何かが絡まったと思った瞬間、足にピリリと小さな刺激が走る。
その刺激は痺れとなって瞬く間に全身に広がり、手足をもつれさせる。
自由の利かなくなった身体で水の中に倒れ込む花子の視界に飛び込んだのは、足に巻き付いたクラゲの触手と、動かない自分との距離をどんどん縮めていく全身タイツの姿だった。

――あちゃあ 惜しかったね ドンマイ――
――僕らも内心 焦り半分応援半分だったんだよ? いやマジで――
――でもまぁ 捕まっちゃったからね とりあえず大人しくくすぐられていっぱい笑うといいよ――
――あ 一応床の水は抜いとくから ほいじゃ排水スタート――

痺れた身体の上を飛び回るように声が聞こえるが気休めにもならない。
「うう……また、こちょこちょされちゃうよ……」


162 : ガプヲ :2014/03/14(金) 18:54:40 9Tjqc5a60
三人の全身タイツは花子を仰向けに転がし、そのうち二人が左右に張り付く。
残りの一人が抱き付くように覆い被さったところで、全身タイツ達は服越しから花子の身体をこちょこちょとくすぐり始める。
「くひゃひゃひひひっ! んひゅふふふふぅぅっっ!!」

あまり思い出したくない久しぶりの刺激に、花子は必死に身を捩ろうとするが痺れた身体はピクリともしない。
それを良い事に全身タイツはますますくすぐりを強めていく。
わき腹を手全体でぐにぐにと揉み、柔らかいお腹を指先でつんつんとくすぐったくいじめる全身タイツ。
「えひゃあははははははは!! ぐぃ、ぐにぐにゅやだゃああぁっっひひひひひ!!! つんつんもやめぇへへへへへへぇぇ!!! いっいぎができなひいひひひいいいぃぃ!!」

花子の笑い声に呼応するように、あるいはもっとその笑い声を聞かせろと言わんばかりに全身タイツはその指を激しく躍らせる。
右担当の全身タイツは残った靴と靴下を脱がすと足の裏をそわそわと撫でさするようにくすぐり、左に陣取った全身タイツはぐりぐりと乱暴気味に腋の下のくすぐったいツボへ細い指を指し込んでいく。
「ふぅぎゃいい゛ひぃぃ゛っっ!!! やめ゛てや゛めてえぇへへへへへへへえぇぇぇ゛っっ゛っ!! お゛がじぐな゛りゅう゛うぅぅ゛ぅうひゃひゃひひひへぇえ゛ぇぇ!!!!!」」
花子の必死の懇願に、全身タイツたちは無言という返事を返す。

全身タイツはおもむろに、水が抜けた床の上でデロンと伸びたクラゲを手に取り、花子の足へ押し付ける。
その途端、クラゲは息を吹き返したかのごとく膨れ上がり足の裏全体に吸い付き、しゃぶり尽くさんばかりに花子の足を触手でねぶる。
「あぎゃひへへへへへへへぇえぇっっっへへひひひぃぃぃっっ!!! ゆっ、ゆびぃぃひひひひひいいひぃぃぃ!!!! あじのゆびペロペロしに゛ゃいひゃひゃひゃひゃひゃひゃあああああんんっ!!!」

左右、お腹、そして足から来るバラバラのくすぐったさにひたすら笑い悶え続ける花子。
やがて全身タイツ達は服越しのくすぐりに飽きたのか、互いに目配せをすると服の中へ手を突っ込み、素肌を直接くすぐり出した。
腋の下、背中、お腹、そして胸……遠慮を知らない手と指が花子の敏感な部分を執拗に責め立てる。
「あ゛はぁっ♥ えへっ、えっちぃぃぃ!!! んひぃっ! そんな゛しぢゃだめりゃってゃり゛ゃやあはははは!!! あっ!! あひゃっ! んひゃひゃあひゃひゃひゃひゃ!!!!」

くすぐったさと気持ち良さが花子の頭の中で掻き混ざる。
くすぐったいのか、それとも感じているのか、自分の身体を蹂躙する感覚が何かも考えられない程に強烈な刺激。
今の花子に出来るのは抵抗とも呼べない抵抗として、全身を震わせることだけだった。
「い゛ひっ、いひへええ゛へはははぁぁ!!! んあ♥ こちょぐったひのぉ゛!? きもひいい゛の!? わがんないよおぉ゛っっ!! んぁあっ! やめ゛ぇへぇぇっっ♥」

そんな色責めも終わりが見えてきた。
全身タイツの一人がスカートの中に手を入れ、パンツの上から花子の一番の弱点をくすぐってきたのだ。
もどかしい力加減でわしゃわしゃと引っ掻くようにくすぐってきたかと思えば、指先を割れ目に埋め込むようにぐいぐいと刺激する。
もはや花子に抗う力は残っていない。

くすぐり担当の二人もラストスパートをかける。
一人は腋をくすぐるスピードを速めながら片手を花子の乳首へと伸ばして手のひらで転がすように弄り、もう一人も乳首を指先でつまんで責めながら、もう片方の手で残った空気を搾り取るかのごとく脇腹を揉みしだく。
「あひひぇひゃひゃひゃぁぁ!! くりゅっ、またきちゃう゛ぅっ! 気持ぢい゛いのくり゛ゅうぅぅ!! あひッ♥ ら゛めらめ゛らめっ゛♥ ッッ〜〜〜〜っッっ♥♥♥♥♥」
絶頂を迎えた花子は全身の力が緩んだのか最後に大きくビクッ、ビクンと弾けるように仰け反り失禁。
床に黄金色の水たまりを作りながら、くしゃくしゃになった笑い顔をそのままに気を失ってしまった……


163 : ガプヲ :2014/03/14(金) 18:58:01 9Tjqc5a60
「あ、れ……? ここは……」
次に花子が目が覚めた時、そこは先程と別の部屋だった。
家具も扉も何もない、あるのは椅子が一つだけの、ひどく殺風景な部屋。
花子は痺れの取れた身体を触って今の状況を確かめる。
先程のやり取りで乱れたぐしょ濡れの服は乾いた状態で整えられ、脱がされ放られたはずの靴もしっかり足にフィットしている。

――またまたおはよう花子ちゃん 久しぶりのアレはいかがだったかな?――
「……ばか」
思わずそむけた顔が赤く染まる。
謎の人物が言っていたように、「期待していた」というのは否定できないかもしれない。
くすぐりと同時に与えられる、下腹部がじんと疼くような気持ち良さ。
くすぐったいのはどうにも慣れないが、あの甘い感覚は捨てがたくもある。
責められて嬉しいのかと聞かれれば、甚だ疑問ではあるが。

――さて 花子ちゃんも起きたことだし そろそろ続きといきますか おーい みんな入ってきてー――
「続き……? ……! ちょ、待っ!」
これから自分の身に何が起こるかを察した花子だったが時既に遅く、先ほどの全身タイツが花子の周りを取り囲む。
まるで準備体操のようにわきわきと蠢く指の大群が嫌でも視界に飛び込んでくる。
――まあまあ 遠慮しないで せっかくスペシャルゲストを連れてきたんだからさ――
声の主が指を鳴らすと部屋が一瞬暗転。

次の瞬間には目の前の椅子に花子の見慣れた人物が座っていた。

「しょ、翔太くん……」
「う、ん……? あれ? ここどこ……って、え……花子さん!?」
ついさっきまで夢うつつだった翔太だが、目の前の花子、そして花子を取り囲む状況を見て一気に目が覚めたらしい。
「えーと……何してるの?」
「……ちょっと、ね」
――と いうわけで 僕らが招待したスペシャルゲストは翔太くんでした! わーパチパチパチ――
――さて翔太くん いきなりで悪いけどこれから君にはくすぐりショーに参加してもらおうと思っています――
「はあ……そうですか……って、え!? くすぐりショーって、い、いやいやいや! そんなっ、僕は別にそういうのはっ! なんというかっ、特に、今は必要していないというかっ!!」
あの時の出来事を思い出したのだろう、しどろもどろで必死に拒否する翔太。

――おやおや 随分ムキになって否定するあたり 君もなかなかスキモノだね ふふふ でも残念 今回はちょっと違うよ――
「へ?」
――君にはそこで愛しの花子ちゃんがくすぐられる姿をしっかりと見届けてもらいたいんだ――
目は丸く、キョトンとした顔の翔太。数秒後、表情はそのままに顔全体が一瞬で赤くなる。

――想像してごらんよ 君の目の前で可愛い女の子が人目を憚らず 身体をくねくねさせながら大声で笑い悶えるその姿を――
「……う」
――お父さんやお母さんにも言えないような あーんな所やこーんな所を いやーんな感じだったりあはーんな具合にこちょこちょされてるシーンだってひょっとしたらひょっとするかも……――
「お……おお、うおおお……!」
翔太は甘い囁きに生唾を飲み、声を震わせる。
この前と同じような口車に耳を傾けるあたり、案外乗せられやすいタイプなのかもしれない。

そんな翔太に花子はジト目で視線を送る。
「…………翔太くん、私がこちょこちょされるトコ見たいの?」
「……ハッ!? あ、いやっ! 別にそういうつもりじゃ……」
――なんなら ずっと目をつぶってても構わないよ そこは翔太くんの意志を尊重するからね――
それを聞いて翔太くんは多少の言い訳は立つと思ったようだ。
「そ、それじゃあ……ほんのちょっとだけ、見学させていただきます……」
「…………」
「う! ご、ごめん、なるべく見ないようにするから……」
「エッチ」
「うぅぅ……ごめんってば……」


164 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:00:23 9Tjqc5a60
――ほいほい それじゃ早速始めるとしますかね まずは……――

パチンと指が鳴った。それを合図に全身タイツ達が動き出し花子の服に手をかける。
――くすぐるのに邪魔な服は脱ぎ脱ぎしようね――
「やっ!? ちょっ、やだ……離してっ!」
上着の裾を抑えて必死に抵抗する花子。

――こら 大人しく脱ぎ脱ぎしなさいっての 仕方ない かくなる上は……――
白い霧が花子の周りを漂い、上半身に纏わりつく。
――身体に害はないから安心してね 服が破れやすくなるだけだから――
途端、布の感触が急に脆くなる。そして全身タイツ達の掴む所々から響く、布地の裂ける鋭い音。
たちまちのうちに上着を破り取られ、上半身裸にされてしまう。

「やっ……! いやあぁぁっ! 見ないでぇっっ!!」
花子らしからぬ大声を上げ、両手で胸を覆い隠しながら後ろを向いて座り込んでしまう。
「わ! わ! ごめん!」
思わず目を塞ぎ、顔を床へと向ける翔太。

全身タイツ達の作業はまだ終わらない。
流れるような手つきで靴と靴下を剥ぎ取ると、ついにはスカートにまで手を伸ばす。
「やだぁっ! 止めてってば!! 脱がさないでよぉ!」
残されたスカートを奪われまいと、花子は胸を隠すのも忘れ、必死に両手でガードする。
成長途中の胸を晒され、その先端の綺麗な乳首を隠す事も出来ない花子の姿を目の当たりにし、下に向いていた筈の翔太の視線は完全に前方へ釘付けとなっていた。

――よしよし 翔太くんもノッてきたみたいだね それじゃ一つ手伝ってもらおうか――
「て、手伝うって……何を?」
――花子ちゃんにそーっと近づいて 後ろから思いっきりこちょこちょしてあげなさい――
――あ 言っとくけど それ以上の事はまだやっちゃダメだからね こちょこちょするだけだよ?――
「だけど、それはさすがに……花子ちゃんに悪いような……」
――へーきへーき このままじゃラチが明かないし どのみちスカートも取っちゃうんだ それが早いか遅いかの違いしかないって――

そう言われて、翔太は花子を改めて見る。
学校では眺めるだけだった、花子がくすぐられる姿。
いじめられる姿は可哀想だと思いつつも、その笑い声と様子にズボンを膨らませていたのもまた事実。
今ならあの身体を撫で回す事ができるかもしれない。
そして思い出すのはかつて見た、今の状況とよく似た『夢』。
尤も、あの時は立場が逆ではあったが。
(これって夢の中……なんだよね。ホントに花子さんをくすぐるわけじゃないんだしセーフ……いやいやダメだ! いくら夢の中でもそんなことしちゃ! ……で、でもこの前の夢の事を考えたら……おあいこ、ってことでいい……のかな?)

……現実において、用具室で花子がいじめっ子たちに裸にされてくすぐられていたのを見た事を彼は失念しているようだがそこは触れないでおこう。


165 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:05:40 9Tjqc5a60
覚悟を決めたかのように一人小さく頷き、立ち上がる翔太。
そのまま花子の背後へ近づき、右手をわき腹、左手を背中へと持っていく。
「花子さん……ごめんね」
右手が柔らかくてすべすべしたわき腹へと刺さる。
左手が綺麗な背筋を羽のように優しく撫で降りていく。

「ふにゃひゃあうっ!?」
予想していなかった突然の刺激に、花子は身体を前に反らし反射的に腕を引いてしまう。
当然そんな絶好の隙を全身タイツ達が見逃す筈も無く……
「ふあっ、あひひひひっ、しょ、翔太くん、な、なんでえへへへへ!? きゃ……っ!」
スカートを力一杯引っ張られ、バランスを崩した花子はたまらず床に手をつく。
そこへ全身タイツの腕が花子に襲い掛かり、花子の両腕を後ろ手に拘束してしまう。
結果、正座の状態で拘束された花子はパンツ一枚の身体を無防備に晒す事となってしまった。

「ううぅぅ……離してっ! 見ないでよぉ……!」
花子の顔が恥ずかしさで耳まで真っ赤に染まる。
イヤイヤをするように必死に身を捩るが、全身タイツ達が施した拘束はそれ以上の抵抗を許さない。
「翔太くん……なんで……?」
「えっと……その、なんていうか……ごめん」
「ひどいよ……ばか」
「ごめん……」

異性、しかも同級生の目の前で裸にされたその羞恥心は並大抵ではないだろう。
声は震え、目が涙で潤み始めるのにそう時間はかからなかった。
――ほらほら 泣かないで花子ちゃん 翔太くんもさっきから謝ってばっかりだね それじゃ大人になってから苦労するよ?――
――さあ 笑顔笑顔 それそれ つんつんつん……――
溜まった涙が目からこぼれるその寸前、全身タイツの指が花子を襲う。

全身タイツの人差し指が背中、腰、お腹を悪戯っぽくつつき回す。
「ふぁっ、んひゅっ! やめっ……あひっ! んふ、くくぅ……んにゃぁ!」
くすぐったいポイントを的確に指で刺激され、花子は肺の空気を少しずつ奪われていくような錯覚に見舞われる。
しかしそれはこれから始まる本番の下準備でしかないような軽い刺激。決して我慢できないという程でもない。
ムズムズする刺激を相手に、花子は口を横一文字に結んで堪えようとするが、ギリギリの感覚はその口をピクピクと歪ませる。
「うくっ、っひひ……んっ、むぅ! ぷふっ、はぅぁっ……!」

一しきり指先の感触を堪能した全身タイツ達は、今度は手全体を使って花子の身体を撫でさする。
首筋や腕、内ももは勿論の事、耳にお尻、まだまだ成長の余地がある胸も存分にまさぐられた。
そしてたくさんの手が自分の肌を優しく滑る度、
「くくくっ、はぅひひゃひゃ、ぞ、ぞわぞわして……っへひひぃ、あ♥ あ♥ そこダメ……っひ♥ んんぅ、ちょっときもち……いい♥ かも♥ あん!」
花子の口から甘い声と吐息が漏れる。

翔太が見ている手前、声を殺して表情を抑えているつもりなのだろうが、却ってその気持ち良さを浮き彫りにしている事に花子は気づいていない。
羞恥心の涙声は気持ち良さによって蕩けた笑い声に変わり、うまく回らなくなった舌で言葉を発する。
そんな花子の姿を、顔を真っ赤にしながらも必死に見つめる翔太。
なるべく見ないようにすると言った事など既に頭の中から消え去ってしまっているらしい。


166 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:14:09 9Tjqc5a60
――よしよし 喜んでくれてるみたいだね それじゃ少し趣向を変えてみようか――
その声にはどことなく意地悪な声色が潜んでいるように感じられるが、
「んっ♥ くひひ、んぅ! やん♥ それズルい……ってば♥♥ はひひ、ひん♥」
抵抗も緩慢に全身タイツの優しい責めを一身に受けている花子にはそれを察する事はおろか、声すら耳に入っていない様子。
一方の翔太はというと、目の前の光景のある変化に気づいたようだ。キョトンとするやら目を白黒させるやらでとにかく表情が慌ただしい。

不意に、花子のお尻を誰かがやわやわと揉む。
「っひゃん! いきなりもみもみしにゃいでぇ……♥ でも、よかった、かも……♥ くひゅふふぅ……はぁ、はぁ……?」
「……ふーん、そんなに気持ちいいんだ?」
花子の様子に対してどこか拗ねたような、聞き覚えのある、あり過ぎる声。
全身を触られる感覚もそのままに、声のする方へと顔を向ける。

さっきまでいた筈の全身タイツの姿はどこにも無く、
「へっ……うそ……!?」
そこには代わりに、
「自分がくすぐられるのを見るのって、ヘンな感じだね。いつもこんな顔してたんだ……」
花子と同じ顔の人物、もう一人の花子がいた。

いや、一人だけではない。
「なんかちょっとガッカリかも。もっと嫌そうにしてると思ったのに」
うなじを撫でる腕を目で追えばそこにもう一人、
「これは少し反省してもらわなきゃダメみたいだね。……ふふ♥」
脚全体をマッサージするように触る指を辿れば更にもう一人。
気づけば三人の花子、いや、花子と同じ顔をした三人が花子の周りを固めている。
自分と同じ顔、同じ声をした存在が三つ。あまりの出来事に当然のことながら困惑する花子。

――驚いたみたいだね? ずっと無言でくすぐらせるのも芸がないと思って 花子ちゃんの姿形を取らせてみたんだけどどう?――
――同じなのは何も見た目だけじゃないよ? ちゃんと記憶とか性格もそっくりそのままにしてあるからね――
――強いて言えば…… ホラ こないだのアレ 覚えてる? 花子ちゃんの隠れたテクニシャンっぷりが垣間見えたアレだよ あの時の花子ちゃんを基にしたから そこの三人はさしずめドS花子ってとこかな?――
――どう? どう? すごいでしょ? 僕らはこんな事だって出来ちゃうのさ! なんたってここは……――
「夢の世界だから? ……こんなこと言ったら悪いけど、ちょっと悪趣味……だね」

――……あくしゅみ…………――

どうだと言わんばかりのその言葉に被せる形で花子がその続きを奪う。
自分と同じ存在をこうも簡単に作られてしまった身としてはその感想も至極当然なわけだが、どうやらそれは地味に彼らの心に来るものがあったらしい。
――……そっかぁ ナイスなアイデアだと思ったんだけどなぁ……はあぁぁぁ……まぁとにかく そういうわけだからさ……三人とも 後はよろしく……はぁぁぁ〜〜〜……――
先程のテンションはどこへやら、声は沈んだトーンでフェードアウトしていく。

「ちょっと待っ……痛!」
言いたい事はまだ残っていたが、その言葉は唐突に遮られてしまう。
「その悪趣味にこちょこちょされて気持ち良くなってたのはだーれ?」

全身タイツ改め、夢花子の一人が花子の乳首を軽く抓ったのである。
「違っ、それは変なところばっかり触るから……ひっぅ!」
「違わないよ。だってあれだよね、途中からあんまり抵抗しなくなっちゃったもん」
とぼけちゃって、と言わんばかりにわき腹をぐりぐりと刺激する夢花子。
「それに私がお尻触った時、"良かった"って言わなかったっけ? 嘘ついたらダメだよ?」
問い詰めるような口ぶりだが、その裏にある種の楽しみを見出したような声色で足の裏をカリカリとくすぐる夢花子はそう問いかける。
「ひっ、ひひ……違うってば、んっ! ひゃはっ、あはあっ!? はひゃ、うひゃひゃひゃひゃ!」

「ほら、そうやって嘘つく。……言ってわからないならお仕置きするしかないよね?」
「そうだね。正直になるまでお仕置きした方がいいよ」
「お仕置きだもん、いっぱいこちょこちょしなくちゃ」

「きゃひへへへへっっ!! いやひゃひゃひゃひゃひゃひゃああ!! やめりぇええ!」


167 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:21:12 9Tjqc5a60
出口の無い部屋での夢花子たちによる"お仕置き"。そこでは花子の笑い声が絶えず木霊する。



先程までの気持ち良さは一切排除された、まるで突き放すかのような指使いから行われるくすぐったさを突き詰めたくすぐり。
上げて落とすという言葉が最も相応しいであろう。甘ったるい快楽ですっかりほぐされ敏感になった身体にとって、その刺激の数々はあまりにも凶悪で強烈なものであった。

「まずは上からこちょこちょしてあげるね」
夢花子達の手が上半身に殺到し、腋の下に背中、脇腹やお臍をやりたい放題にくすぐる。
「やっぱりこちょこちょするならここが良いよね? こちょこちょこちょ……♥」
腕をすり抜けて到達した指が腋の下で暴れる。
「ひひぃい!? ぅあっはははははははははははははぁぁっ!!」

「これはどう? くすぐったい? ふうぅーっ……」
耳に息を吹きかけられ、耳の奥をぞくぞくした感覚に翻弄される花子。
加減した風量、相応の状況であったならばその刺激は気持ち良さに変換されたのだろうが、今の花子にとっては抵抗を妨害する一因でしかない。
「ふぁぁん! っくぅぅ〜〜っっふふふふ……っぷひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
全身の力を削ぎ落とすような耳への刺激に気を取られていると、すぐさま別のくすぐったさが電流のように花子の身体を駆け巡る。

「つんつんつん……くすぐったいでしょ? くすぐったいよね? でもやめてあーげない♥」
とにかくくすぐったさだけで責め嬲ってやろうとする夢花子にとって、外気に晒されたお臍は格好の的だった。
拘束されて隠せないのを良い事に、細くて綺麗な指はお腹の窪みへ潜り込み、こそこそとほじくり回す。
「いいっ、い゛っ、い゛ひっ! み゛ゃぎゃあっひひいひひひいひひひひぃぃぃ!!! に゛ょああぁぁぁぁっはっはっはっはっはっははははは!!!!! それ゛い゛やあぁぁへへへへへへへへへぇぇえぇっっっ!!!」
花子にとって、身体を洗う際にどうにも慣れない部分の一つがまさにお臍であった。
ボディソープをつけたタオルでそっと拭っても、自分の指でおそるおそる触れるように洗っても、最終的には込み上げる笑いがいつも花子の身を竦ませるのだ。
自分でも弱い部分を手加減抜きで弄られては一たまりも無い。

一度堰を切ったが最後、唾を盛大に飛ばしながら八の字眉のみっともない笑顔で必死に頭を振り乱す花子。

そんな花子に対し、夢花子たちは手を緩めようとはしない。

「だめだよ、お仕置きなのにそんなに楽しそうに笑ってちゃ。もしかして反省してないの?」
「今度は下の方をこちょこちょしちゃえ♥」
「ちゃんと反省するまでずっとこちょこちょの刑だからね♥♥」

下半身へ移動した指は、好きな部分へと張り付いて容赦の無いくすぐりを開始する。
足の裏、膝小僧、ふくらはぎ、太ももの内外……くすぐったい部分はとにかく徹底的にくすぐられた。

「ほら、こうやって両側からダブルこちょこちょ攻撃ー♥ もみもみもみもみ……」
両手が太ももを左右に挟むように取り付き、内側と外側を同時にくすぐる。
ぐにゅぐにゅと無遠慮に揉みしだいたかと思えば指の腹で掠めるように、かと思えばそんなソフトタッチも突然突っつき指へと変化する。
脚の付け根、大事なアソコの限界ギリギリまで指を運ぶ事はあっても、そこから先へは絶対に触れようとしない。
「あ゛はぁぁぁはははははははぁぁぁっっっ!!!! じぬぢぬじぬ゛う゛ぅぅぅうぅへひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁぁ〜〜〜っっ!!!! くぢゅぐっだぐでしんぢゃう゛よぉお゛ぉぉおほほほほほほぉぉおぉぉぉっっ!!」

「こうやって指をいち、に、さん、し、ご……集まってー、離れてー、集まってー……」
膝の上では五本の指が集合と解散を繰り返し遊び回る。
おふざけ程度の単純な動きではあったが、不規則に連続した刺激は単調な筈なのに慣れる事はない。

「かりかりかり……靴下も履けなくなるぐらいくすぐったくしてあげるんだから♥」
神経の塊とも言える足の裏を夢花子が見逃す筈など無かった。
神経の一つ一つ、足の裏の線一本一本を吟味し選り分けるように丁寧に指を動かし、カリカリと爪を立てる。
「や゛め゛ぎぃひひひひひひひひぃぃいいぃぃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!! そんな゛ざれだらも゛う゛はじれなぐな゛りゅう゛うぎゃあぁぁ゛っっははははははははははぁ゛ぁぁ!!!」
翔太の角度からは足の裏でどんな事が行われているのか知る事は出来ないが、花子の反応からそのくすぐったさは簡単に想像がつく。

ズボンは痛いぐらいに盛り上がり、もはや呼吸をする暇も惜しいと言わんばかりの表情で花子の痴態に食い入る翔太。


168 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:29:16 9Tjqc5a60
そんな中、太ももを責めていた夢花子はある事に気づき、無慈悲にもそれを指摘してしまう。

「あ……パンツ濡れてる。こちょこちょされただけでパンツ濡らしちゃったの?」
「い゛ひぃっ!! い゛ししししっ! ちがっ! ちがう゛ぃぃいひひひひひひひぃいぃぃっっっ!!!」
花子は必死で否定しようとするが、くすぐったさのせいで上手く言葉にならない。
そこへ夢花子が追い討ちをかける。
「嘘ばっかり。そうじゃなきゃこんなビショビショにしないよ」
そう言ってパンツの中へ手を入れ、"お仕置き"では一切触れられる事の無かったアソコをこしょこしょと直接刺激する。
「に゛ゃい゛ひぃっっ!? ぞれ♥ ぇあ♥ だめっ! あっあっ♥♥」

二人にくすぐりを任せ、秘部への責めに移行する。
パンツの中に潜む手はモゾモゾと這い回り、大事な部分を揉む。
「ぷにぷにしてて気持ちいい……」
「い゛ひへへへっははははははははぁぁっっ!! うぁぁ♥ やっ♥ やん♥♥ やだ♥ っひ♥ あ゛ぁっ!! あ゛ぁぁあぁ゛あああっッッ!」
指先で割れ目を優しく摘まみ、クリトリスを爪先で弾いて扱く。
夢花子の指が敏感な部分をイヤらしく刺激する度、花子は笑い声混じりの嬌声を上げながら身体をビクつかせる。
アソコから湧き上がる快楽、そしてお腹の奥に響く何か。混ざり合ったそれらは本来であれば花子が絶頂に達するのに十分すぎる筈だった。

しかしそれをすんなりと迎えさせるような者はここにはいない。
「気持ち良いばっかりになんてさせないよ♥♥」
「こちょこちょ♥ こちょこちょこちょ♥♥♥ ねえ、もっと笑って笑って♥♥」
二人がかりによるくすぐったさは与えられる快感の上を行き、気持ち良さだけに甘んじる事を許さない。
その結果として、三歩進んでは二歩下がるような、きわめて進度の遅い快感が花子を苛む事となっていた。
「あ♥ ぁ♥♥ ぁん♥ あ゛ひゃひゃひゃはぁっ!! え゛へっ、あ゛へへへへへへっ! も゛ういいっ゛♥ こちょこちょも゛っ! 気持ち゛いい゛のもぉ゛! もう゛や゛だよお゛っ♥♥ え゛へへへへ゛ぇへへへへへっ!!」

「もう一回聞くね? こちょこちょされてエッチな気分になっちゃったの?」
「あうぅぅぅ♥♥ あっあっあっ♥ ふう゛ぃひひひひひひひぃぃっっ!! ぢがあははははははははははぁあぁぁあ゛ははははっっ!」
その問いの対して素直に答えることなど花子には不可能だった。
出来る事といえば「違う」の一点張りで通すのみ。

当然そんな花子の姿は夢花子達を喜ばせるだけにしかならない。

「ふーん。そこまで言うなら……♥」
せーのの掛け声も無しに、夢花子達はぴったり息を揃えて花子の両足を持って抱え上げる。
「ぐしょぐしょのパンツなんか脱いで、翔太くんに全部見てもらっちゃえ♥」
いきなり宙に上げられてまごつく花子の最後の一枚をするりと奪い取るが、それだけでは終わらない。
そのまま股を大きく拡げられ、アソコを誇張するようなM字開脚のポーズで丸裸にされてしまった花子。


169 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:39:45 9Tjqc5a60
「ひっ……やぁぁああーーーーーーっっっ!!! やだっ、パンツ返してよぉ! 降ろしてぇっ!!」

一瞬の溜めの後、羞恥の絶叫が部屋中に響き渡る。
全身を捩ってこの辱めから逃れようとするが、両腕を拘束された上でしっかりと抱え込まれたこの状態ではまともに動くことなど出来はしない。
そうしている間にも夢花子たちは恥ずかしさを煽っていく。
「恥ずかしいカッコ、翔太くんに見られてるよ」
「ほら、翔太くんももっと近くで見て♥」
「知ってた? ここをこちょこちょされるのが一番苦手なんだよ?」

夢花子達は花子のアソコを指差し、突っつき、花子が見られたくない所の知られたくない情報をどんどん垂れ流す。
「その……流石にこれは、やりすぎ……なんじゃないかな……?」
「そんなことないよ、だってこちょこちょしてるのは自分だもん。自分を自分でこちょこちょするのにやりすぎなんてないよ♥」
自分と同じ存在をくすぐっているから問題ないと言う、よく分からない屁理屈で押し通す夢花子。

「ほら♥ こんなポーズでここをこちょこちょされるのが一番弱いんだよね♥」
夢花子の指が、蟻の門渡りや鼠蹊部といった花子の最大の弱点、最もキくポイントをダメ押しとばかりにくすぐる。
「あい゛ぃぃ♥ こっ、こひょほほほほほほぉっっっ!! こんに゛ゃの、もうい゛やだあぁぁあははははぁぁぁん!!!! はひぃいひひひっっ……うぐひひっ、えひひひぃぃ〜〜〜ん……」
溜まりに溜まったくすぐったさと恥ずかしさ。それらは限界を超え、花子はとうとう泣き出してしまった。

笑いながらボロボロと涙を流す花子。
そこへ、ようやく立ち直ったらしい謎の人物の声が部屋に響く。
――うーん 少しやり過ぎちゃったか みんなタンマ 休憩させてあげなさい――

しかし、くすぐったさから解放された花子の涙はそう簡単には止まらない。
「ううぅ、グスッ……やだぁ……もうやだよぉ……えぐっ、うぅ、うえええぇぇん……」
顔を真っ赤にして泣きじゃくる花子を前に、翔太はいたたまれぬ表情で俯いている。

――さて 仕上げといこうか よし翔太くん 花子ちゃんを慰めてやるんだ――
「でも……慰めるって何をどうすれば……」
声は耳打ちするように翔太に囁く。
――簡単簡単 頭を優しくナデナデしてあげればいいのさ――
「なでなで……ですか」
言われるがままに翔太は花子の頭に触れ、上から下へゆっくりと撫でる。
「花子さん、泣かないで……」
気の昂りを掻き消すような、刺々しさや荒々しさとは無縁の心地良い感覚。
それが頭のてっぺんから首元までを降りていく度、嗚咽の間隔が空いていく。
「んんっ……ひっく……はぁ、はぁ……くすん、えぅっ、はふぅ……」

――そうそうそんな感じ それじゃ次は空いている手でお耳をこちょこちょしてごらん――
――頭はナデナデしたままだからね ちょっと難しいかもだけど とにかくやってみそ――
「……はい」
翔太は口数も少なく、おそるおそる左手を伸ばすと、軽くて脆いものを取り扱うような柔らかい手つきでくすぐり始める。
熟した果物のように真っ赤な耳からは花子の体温が直に感じられた。
(花子さんの耳……すごく熱い……)
花子の方はというと、自分の耳を優しく触られ、フェザータッチでくすぐられる中にある種の安心感のような心地良さを見出し始めていた。
「ふあぁ……♥ 翔太くんの……っ♥ 指、っひゃん! ひんやりしてて、ひゅふふふっ! 気持ちいいっ、ひゃう♥♥ くひゃっ♥ あふふふっ」
(可愛い……喜んでくれてるのかな?)

この頃になってくると花子の頬を伝っていた涙はすっかり乾き、とろんとした恍惚の目で翔太の責めをほとんど抵抗もせずに受けている。
自分が今、何も纏わず何も隠さずの状態でいる事など、忘れていそうな表情だ。
「はぁ、ハァ……花子さん……ここ弱いの? 気持ち良い?」
それと同じくして、遠慮がちだった翔太の指も馴染んだように動き、試行錯誤といった所ながらも花子が甘い声を出すポイントを刺激する。
張り上がった股間がズボンと擦れて痛いのか、どこか頼りない腰つきだがそれでもくすぐるのを止めようとはしない。
「んぅ♥♥ ぁはあ……っぁん♥♥♥ おみみひぃ♥ あふ♥ んんぁぁっ、こひょこひょぉ……♥ はじゅかしぃ、ひん♥♥ けどっ、もっとぉほぉ……♥」


170 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:46:50 9Tjqc5a60
――そろそろ楽にしてあげようか 翔太くん 頭ナデナデはその辺にして その手を花子ちゃんのアソコに当ててみなよ――
――大事なトコだからあんまり乱暴に弄っちゃダメだよ――
だが、翔太の指使いに貪る様な色が無いところを見るに、その言葉は杞憂に終わりそうだ。
「花子さん……ここ、触るね」
「ひっん♥ んんっ♥ はぁ、はぁ……♥ あんんっ♥♥♥♥♥」
翔太の指先が花子の秘部をそっとなぞり、割れ目の中に埋まった瞬間、一際大きな声を上げる花子。

――いいねえ そこで少し指を動かしてごらん――
「こう、かな……」
「あっ♥♥ あはぁ♥ あんあぁぁ♥♥♥ なんか♥♥ お腹、ジンジンすりゅよぉ♥♥♥♥」
――その辺りにお豆さんがあるのがわかるかい?――
「お豆……? このちっこいやつかな?」
異性の身体をよく知らぬ翔太はうっかり指の腹でカリカリと掻いてしまう。
「あ゛ぁっ♥♥ だめだめ゛だめっ゛♥♥♥♥♥♥ それやっちゃだめ゛♥♥♥♥」
突然の強すぎる刺激に驚いた花子だが、気持ち良さの方が依然として勝ったらしい。
涎の垂れた口は痛みでは無く快楽に吊り上がる。

――おっとと いったんストップ それはクリトリスと言ってだな 女の子のおちんちんって言ったら分かりやすいかな?――
「おちん……わわ、ごめんね! 痛くなかった!?」
――大丈夫大丈夫 花子ちゃんはそれぐらいじゃ死なないから それより今の良かったね――
――よし 僕らが合図を送るから それに合わせて今みたいにクリトリスを可愛がってあげなさい――

――よーし みんな 花子ちゃんをくすぐったさの中でイカせてあげるんだ――
「はぁい♥」
「今まで辛かった? トドメ、刺してあげる♥♥」
「ふふふ。いくよ……何も考えられないようにしちゃう」

――いくよ せーの……――

「「「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ♥♥♥♥」」」


171 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:57:27 9Tjqc5a60
腋、お腹、太もも、足の裏……
幾度となく花子を弄り嬲ってきたくすぐったさがまたやって来た。
しかし併走する快楽がそれを中和させ、余分なくすぐったさを頭の中で快感に変換させる手伝いをする。
耳、胸、乳首、そしてクリトリス。
そこから与えられる気持ち良さは、度重なるくすぐり責めにより長くお預けを食らってきた心と身体にとって、蕩けてしまいそうになる程のご褒美と言えよう。
「あひひゃっひひひひひひぁぁっぁあぁん!!!!! いぎしししししししぃひひいひぃいぃっっッ!! んに゛ゃう♥ あッ♥ へひィっ♥♥ み゛ぎゃはははははははははぁぁああああぁーーーーっッッっ!!」

「もみもみもみ……我慢しちゃダメだよ♥♥ たくさん気持ちよくなっていいからね♥」
「くりくりくり……手だけじゃ足りないの? だったら……噛んじゃう♥♥♥ あむ♥ んちゅ♥♥」
「あ、ずるーい♥ なら私もっ♥♥ かぷっ! れろれろ……」

「ん゛ぁぁっ♥♥♥ あひえへぇ!!? ふぁぁあ゛はははははぁぁぁあぁっっはっはぁぁんんんんぅぅぅぅーーーーっっ!!! あ゛あぁ゛いぃぃっっ♥♥♥♥♥」

花子の口から出るのは笑い声とも嬌声ともつかぬ大声ばかり。今の花子にこの刺激を言葉で表現できる余裕など無かった。
そして何より今は悦びを増幅させ、絶頂を後押しする大きな要素があった。
「あ゛うっ! あ゛ひん♥♥ ひゃめ゛へへへへへっ! ひょおたくん゛♥ 翔太くんっっ!! んん゛ぁははぁっ♥♥♥」
「花子……さんっ! 花子さんっ! うぅ、僕っ……!」
色と熱が篭りに篭った翔太の視線。
本来ならば忌避すべき、見られる恥ずかしさ。なぜだか今はそれが妙に心地良く思え、花子の胸の中をカッと熱くさせる。
夢花子がそんな心の内を逸早く読み取ったのはさすが同じ存在というべきか。

「翔太くんに見られて嬉しいの?」
「自分にこちょこちょされて気持ち良くなって……男の子に見られてもっと気持ちよくなっちゃったの?」
「もうすぐ最後だもん、素直になっちゃえ♥ ううん、素直になるまでこちょこちょしちゃう♥♥」

指と舌使いが速くなる。
そして翔太の指が花子のクリトリスをコリコリと引っ掻く。

大量に送られる強烈な刺激を、幼い花子の頭と身体が当然処理しきれるはずも無く……

「あ゛♥ くる゛っ! なんかくる゛よぉっ♥ 翔太くんっ゛! 見てっ゛♥ っっっっ♥♥♥ 翔太くうぅ゛んっっっっ!!!」

「花子さん……僕もう、なんだか、あ、ぁあっ、変……っっああぁあっぅああっ!!!」
「っっッ!! ぁ♥♥ 〜〜〜〜っっ! ッ♥ っ♥♥♥♥」

身体をくの字に折り曲げ、股間を抑え込む翔太。
満足に動かせない姿勢ながらも、全力で身体をわななかせて小水を勢いよく噴き出す花子。

翔太は射精を、花子は失禁という形で、二人は同時に絶頂を迎えたのであった。

――おー 二人とも見事にイッたイッた 翔太くんはおしっこかかっちゃったね 別室で着替えてくるといいよ――
「うぅ、花子さん……はぁ、はぁ……」

――花子ちゃんも 新しい服用意してるから って 聞こえてるのかな? おーい?――


「はぁ……はァ……ッッ! はぁ、っん♥ へひゃ、ひゃひゃ、はひゃあぁ……♥♥ も゛うな゛んでも♥ いいや゛……っっ♥♥♥」


172 : ガプヲ :2014/03/14(金) 19:59:52 9Tjqc5a60
長い長いくすぐり責めが終わり、花子は部屋で一人待機していた。
いや、一人というのは些か語弊があるかもしれない。

――いやいや お疲れ様 今回も楽しんでもらえたかな?――
「…………」
一人と、おそらくは何人か。
姿は見えねど声は聞こえるその部屋で、花子は目が覚めるまでの時間を彼らと共に過ごしているというわけだ。

――あ 翔太くんはまだ着替え中だからもう少しかかるんじゃないかな――
「…………」
そんな花子の様子だが、やたら気さくに話しかけてくる声とは対照的にどこか冷めていた。

――しかしまあなんだな 彼もまさかまた夢精するとは思ってなかったろうね うん――
「…………」
口をへの字に結び、吊り上がった眉、眉間には可愛いしわが寄っている。
声に対してもあまり注意を向けていないようにも見える。

――でもまあ その あれだ 何はともあれ…… えーと あー……――
「…………」
花子があまり見せない表情。それは冷めているというよりも……

――……やっぱり…………怒ってる?――
「…………」

そう、花子は怒っていた。
人前で大声を出したがらず、いじめっ子に復讐を考えることもせず、欲がないとまで評された花子が珍しく怒っているのである。
理由の方は……言わずもがなであろう。

「……またやったでしょ。あれだよ、この前と同じ……その、エッチな気分になるやつ」
――……うん 服を破りやすくする時にちょっとね やり過ぎた……かも?――
「だいぶね」

――ごめんね 例によってあそこまで効くとは思ってなかったんだよ――
「…………」
――それにあの三人もあそこまで盛り上がるとは想定外だったしさ しっかりお説教して元の形に戻しておくから――
「……もういいよ。それより、翔太くんに……見られちゃった……」
今しがた終わったばかりの出来事が鮮明に思い出され、頬が熱く火照る。

イッた瞬間を直接見られたという事実。
絶頂やイクという事がどういうものなのか、まだまだ幼い花子にはピンと来ないがそれでも理解した事がある。
一つは途方もなく気持ち良いという事。
そしてもう一つ、人前においてそれは途轍もなく恥ずかしいという事。

「翔太くんもこんな感じだったのかな……?」
――うーん まあそうなるかな 自分のよく知ってる女の子に見られてるわけだから尚更かもね――
「あれ? でも確かこの前、用具室で私見られてて……」
――ありゃま まあ現実は現実 夢は夢 という事でここは一つ――
「……なんかズルイ」
――まあまあ それを言っちゃあキリがないよ ……っと 翔太くんもそろそろ目が覚めるみたいだし 今日はこの辺でお別れだね――
声と共にゆっくりと世界が白み、石造りの部屋は穏やかな光に包まれていく。

――大丈夫 いつだって会えるから心配しないで この調子だと週6ぐらいのペースで会えるんじゃない? どうだい嬉しいだろ?――
「何も言ってないのに……」
――とにかく 寂しくなったらいつでもおいでよ なんたってここは夢の世界だから!――
「……うん、ありがと。じゃ、またね」
花子は夢の世界の終わり、現実の世界の始まりの一歩をゆっくりと歩き出す。

その隣をついていくかのように声が花子を呼ぶ。
――あー それから時に花子ちゃん ちょっとお節介かもだけど……――
今までとは違ってどこか口ごもった、最後まで言おうか言うまいか迷っているようなそんな声。
――走って逃げるのもいいけど たまには自分から追い掛けてみるのも アリなんじゃないかな?――
「? どういう事?」
――ふふふ さあね ほら もうじき現実の世界だよ 寝坊なんてしたらお仕置きだからね?――
「……ばか」
霞んでいく世界の中、花子はゆっくりと目を閉じる。
次に目を開けた時、きっと布団の中にいる事だろう。

そして……


「……おはよう、ございます」


173 : ガプヲ :2014/03/14(金) 20:05:55 9Tjqc5a60
翌日、放課後の学校にて。


「これとこれはまだ大丈夫で……こっちは空気が抜けちゃってる。えっと……そっちはどう?」
「……う、うん。僕の方は大丈夫。だと、思うけど……。その、ありがと」
「……どういたしまして」

用具室に二つの人影。
一人は花子、もう一人は翔太である。
先生にボールの空気をチェックしてほしいと頼まれた翔太。
本来ならば翔太だけで良かったのだが、花子がその手伝いを申し出た事により、こうして二人で居残りをしているというわけだ。
(自分で追い掛けなきゃ……ダメだよね)
花子にとっては、こうでもしなければ話す機会を失ったままだから、と言うのが本音である。

「後で先生に言って空気詰めてもらわきゃ、ね」
「そう、だね。ははは……」
「えへへ…………」

とは言っても、何度か交わす言葉はすぐに途切れてしまい、それから先は沈黙が続く。
この会話の弾まなさ、目の前の空気の抜けたボールそっくりだ。
夢の中でお互いにイク瞬間を見せ合った手前、今度ばかりは花子も恥ずかしいやら気まずいやらでうまく顔を合わせられない。
そんな重たい空気に押し潰されないように、二人は黙々と手を動かしていく。
(どうしよ……なんて言ったらいいのかな……)

何か妙案が思いつくでもなく、そうこうしているうちに作業は大詰めを迎える。
「さて、と……。あぁ、やっと終わったぁ……」
「ふぅ……お疲れ様」
「え? あっ、いや、花子さんもお疲れ様。長く付き合わせてごめんね……」
うーん、と大きく伸びをする翔太と、ふっと小さく息を吐く花子。
やはり会話は石のように弾まない。
それと同じように居心地の悪さも最早限界に達していた。
「……別にいいよ。私がやるって言ったんだし」
「そ、そう? でも助かったよ」
「……良かった。翔太くん、先生の所に行くんでしょ? それじゃ私、先に帰ってるね」
「……うん」
「じゃあまた明日、だね。バイバイ」

「……待って!」
翔太は、自分の横を通り抜け急ぐように用具室を出ようとする花子の腕を掴む。
驚きに身体をすくませる花子。それを手で感じ取ったのか翔太はすぐさま腕を戻す。
「え……? な、何?」
「いや、その……なんていうか、今日は……わざわざ手伝ってくれてありがとう。それから……う、あー……なんて言うのかな……」

眩しいものを見るかの如く、顔は赤く視線はキョロキョロと落ち着かない翔太だったが、やがて意を決したのか溜まっていた言葉を吐き出す。
「花子さん……その、今までごめん!」
「ごめんって……え?」
「僕、本当は知ってたんだ。僕のせいで花子さんが悩んでた事。掃除の時とか挨拶とか……花子さんは話しかけてくれようとしてたのに僕はずっと避けて……それで花子さん、溜息ばっかりついてて……」
「いや、その」
「花子さんは何も悪くないのに、僕は今まで通りにしてればよかったのに……だから、ごめんなさい!」
そう言って頭を深く下げ、ギュッと目をつぶる翔太。

突然の出来事による、思考と時間の停止。

花子は翔太の言葉に、そして目の前の翔太にただただ目を丸くしてその場に立ち尽くす事しかできなかった。
「……………………」
しかし、それもほんの僅かな間。
時間はすぐさま動き出す。
「翔太くん、頭を上げてよ」
「で、でも花子さん……」
「もういいよ。…………私の方こそごめんね」
「え? ごめんって……」
翔太が頭を上げた先、そこにあったのは花子の穏やかな笑み。
「ううん、なんでもない。こっちの話。……ほら、早く帰ろ? 先生に終わったって伝えに行かなきゃ」
「……うん、そうだね。それじゃ、行こっか」
「うん」


今日はやっと仲直りが出来た日。
そして二人の距離がほんの少し、本当にほんの少し、それでも確実に近づいた日。

今日はそんな日だった。








「ねえ翔太くん、私を避けてた理由って……」
「え? いや、なんていうか……この前、夢の中に花子さんが出てきただけ、だよ。うん……アハハ……」
「……エッチ」
「えっ!?」


174 : ガプヲ :2014/03/14(金) 20:21:18 9Tjqc5a60
以上になります。
駄文かつ長文の投下、大変失礼しました。


ゲームスレにて「夢の世界」を発表された製作者様、お待たせしてしまい申し訳ありません。
拙い文章ではありますが、投稿された素晴らしい作品へのお返しになれば幸いです。

読者様、製作者様
長い文章に最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。


175 : くすぐり好きの名無しさん :2014/03/15(土) 00:28:55 znFbEuRE0
乙です、こいつはイイものだ……

pixivでの作品も拝見させてもらってますが、
描写台詞含めてリアクションのレパートリーが豊富なのが大変素敵だと思います!


176 : くすぐり好きの名無しさん :2014/03/15(土) 00:29:17 znFbEuRE0
乙です、こいつはイイものだ……

pixivでの作品も拝見させてもらってますが、
描写台詞含めてリアクションのレパートリーが豊富なのが大変素敵だと思います!


177 : ガプヲ :2014/03/16(日) 20:40:33 Vvbf6OZc0
たびたび失礼します。
>>158-173までを加筆修正、ある程度読みやすく前、中、後編にまとめてpixivに上げさせていただきました。

//www.pixiv.net/novel/show.php?id=3554739
からどうぞ。


178 : くすぐり好きの名無しさん :2014/03/18(火) 21:06:09 dmgSbGh20
乙です
こういう二次創作はいいw


179 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:55:40 1GmCqQdc0
小説を投下させていただきます。
拙い文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。


180 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:56:08 1GmCqQdc0
マイは目覚めた。
「ん・・・え?ここ・・・どこ?」
昨夜自分のベッドで眠りに就いたはずなのに、見覚えのない空間に自分はいる。
電話ボックスを想像させる箱の中にマイは立っていた。
なぜかマイの両足首には枷がつけられ、足を動かすことができない。
パジャマを着ていたはずなのに下着のみになっている。
箱は全面真っ白で前にはデジタル時計が2つついている。
マイは周りの壁を叩くが何も起きない。
「誰がこんなこと・・・?出してください・・・」
そう呟いた時にブザーが鳴り上のデジタル時計に「60:00」。下に「30:00」と表示された。
「何・・・これ?」
もう一度ブザーが鳴り60分の方のタイマーが1秒ずつ数値を減らし始めた。
一方で30分のタイマーは動く気配がない。
「どういうことなの・・・?」
出口がないかと壁を触るがやはり何も見当たらない。
ふと上を見ると取っ手が2つついているのに気づいた。
取っ手は肩幅くらいの幅で手を伸ばしてギリギリ届くか届かないかの高さにあった。
「何これ・・・?」
マイは何の気なしにその2つの取っ手をそれぞれ右手左手でつかんだ。
「きゃうっ!?な、何?」
取っ手を掴んだ時にカチッ、と音がし、30分のタイマーが動き出した。
さらにどこからかマジックハンドが出てきてマイの体をくすぐりだした。
「あう!?く、くくくくっ・・・いやっ」
何が起きたかわからず、たまらずマイは取ってから手を離す。
すると、後ろから出てきていたマジックハンドはどこかに消えた。
「何・・・何だったの?」
ふと前の時計を見ると下のデジタル時計の表示が「29:56」に変わっている。
「まさか・・・これって・・・?」
どうやら取っ手を掴んでいる間は下のタイマーが動くらしい。
しかし、マイには下のタイマーが示す時間の意味はわからない。


181 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:56:39 1GmCqQdc0
マイは結局何も出来ずに上のタイマーが先ほどの下のタイマーと同じ時間である「30:00」になった。
(このタイマーが0になったらどうなるんだろう・・・。)
そんなことを考えてるいると、上のタイマーと下のタイマーの時間が一緒になり、さらに上・下のタイマーが
同じように時間を刻み始めた。
すると、先ほどのマジックハンドが出てきて、マイの腕をバンザイの形にするように拘束した。
「え?何が起きてるの・・・?」
マジックハンドの数は増えていき、マイの体を取り囲んだ。
「まさか・・・いやっ、やめて・・・!」
そしてマイの脇・脇腹をくすぐりだした。
「いやあああははははははっははは!ヤダヤダヤダああああああやめてええええええ!
むりいいいいいいいいい、こんなのたえられっいやははははあはははああああああああたえられないよおおおおおおお!!」
普段大人しく声も小さいマイだが、マジックハンドのくすぐりを我慢することはできないようだった。
「ははははははは、あああああああああああっ!! もうむりいいいいいいいいいい!! とめてっ! 
おねがいだからあははははははっはははははは!! きゃぁぁぁとめてええええええええ!」


182 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:57:06 1GmCqQdc0
マイはこのあともしばらくくすぐられ続けた。
上下のタイマーが0になったとき、マジックハンドは元の場所に戻っていった。
さらに、またブザーが鳴り響き上のタイマーの表示は「60:00」、下のタイマーの表示は「30:00」に戻った。
「はぁ・・・はぁ・・・うひひ・・ひひひ・・・はぁはぁはは・・・。」
くすぐりの余韻がまだ残るマイだったが妙に頭は冷静であった。
上の取っ手を掴んでいる間は下のタイマーが進む、しかしくすぐられる。
取っ手を掴まずに時間が経過し、上のタイマーが下のタイマーに追いつくと、強制的にくすぐられる。
恐らくこのような仕組みになっているのだとマイは悟った。
「30分も・・・我慢しなきゃいけないの・・・?」
下のタイマーが0になったときにどうなるかはわからない。
しかし、マイには下のタイマーを進める以外に選択肢がないように感じた。
彼女は下のタイマーを進めれば外に出られるという希望的観測をしたかったのだろう。
「やるしか・・・ない・・・」
上のタイマーは55分を過ぎている、少しでも余裕を持たせるためにも早く始めなければならない。
マイは覚悟を決めて、取っ手を掴んだ。
「うっぐ・・・!ふっふふっんん・・・!くすぐったい・・・!」
マイはマジックハンドの攻撃を我慢する。どうやら先ほど強制的にくすぐられた時ほどくすぐりは強くないようだ。
(これなら・・・これなら30分耐えれそう・・・)


183 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:57:36 1GmCqQdc0
下のタイマーが20分を切ったとき、マジックハンドは動きを変える。
「あふん!?いやっ!あ!?ひゃっ!?くふぅ!?」
マジックハンドは一定のリズムで脇腹をつっつき始めた。
「ひぁはっ!あはははっ!あへっ、あきゃあぁっ、あっ!
あうあっ!、あおぉっ! あはははっ・・・、ひゃっ、あひゃあぁっ!
やめ・・・いやっ!?ひゃぁ!?あああ!ああああああっ!!」
リズムは同じでも突っつく場所をマジックハンドは変えてくる、ちょうど人間の人差し指を脇腹に突き刺すような。
「うひゃっ!?いやっ!?これ・・・だめっ!むりぃぃぃ!」
下のタイマーが15分を切ったくらいでマイはたまらず取っ手を離してしまった。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
上のタイマーは35分、下のタイマーは約15分、このまま進めば下のタイマーのノルマは達成できそうだ。
「やるしかない・・・やるしかない・・・」
マイは自分に言い聞かせて取っ手を掴んだ。
「あぁっ!んおっ!んひぃ!あん・・・いやぁ!?」
何度も手を離しそうになるがなんとか耐えて、ついに下のタイマーは残り10分になった。


184 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:58:05 1GmCqQdc0
ここでマジックハンドは新たな動きを始めた。
先ほどのテンポより遥かに早いスピードで、さらに5本指でつっつきはじめた。
「ははははははっ!あやぁっ!いやあああぁはははははあぁっ!」
あまりの刺激の強さにマイはすぐ手を離してしまった。
このあともマイは掴み続けようとするが、すぐに耐え切れなく離す、また掴むを繰り返した。
「ひあああぁっ!いやあああっ!ああああっ!ああああっ!いやはははぁああああ!」
「やめぇっっやめてぇ!くひっくははああああああああ!!あっいやあああはひいいい!!んひひひひひゃぁ!!」」
「たえてっ!いやぁあああ!たえてやるううううひやああああ!!」
取っ手を掴むことで脇腹は完全に伸びきった状態である。
それにも関わらずこのくすぐりを耐えるのは非常に大きな意思がなければ無理だった。
しかし、上のタイマーは無情にも進み、下のタイマーがようやく5分を切った時には上のタイマーは約10分であった。
(耐えないと・・・耐えないと・・・!)


185 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:58:22 1GmCqQdc0
残り5分を切ると、新たな動きが加わった。
マイの足の裏をブラシがくすぐり始めたのである。
「ひゃあああああああ!!くすぐっくすぐっったいいいい!いやあああ!」
今まで脇腹のみだったところに足裏の刺激が加わる。これはマイにとって耐え難いものであった。
「ぐひっぃぃぃぃぃぃ!うひいいいいひひひひいい!つらいいいっつらいよぉおお!」
「あはははははは!!はははああああ!ふうひゃあああ!うひひひははあああ!」
「いひひひひ、うひゃあああああああああはははははは!!」
何十分とも何時間とも感じるようなくすぐりの時間ではあったが、下のタイマーはついに0に達した。


186 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:58:45 1GmCqQdc0
「やったっ・・・!出れる・・・出れる・・・!」
疲れ果てながらも、耐え切った喜びが勝っていた、出れる、そう確信していた。
またもブザーの音。
上のタイマーは変わらず「60:00」、しかし、下のタイマーは「55:00」と表示された。
「えっ・・・そんな・・・そんなああああああ!!」
彼女はたまらず叫びだす。
つい先ほど過酷なくすぐりを耐えた彼女にこの現実は辛く重すぎた。
打ちひしがれている間に、上のタイマーは残り55分となり、ノルマの時間に追いついた。
つまり、ノルマを消化できなかった罰の時間である。
「そんなあああ!無理、無理だよおおおお!!」
「いやっいやあああああああああああああああああああ!!!!」


187 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:59:10 1GmCqQdc0
罰のくすぐりは30分耐えた時のくすぐりより遥かに苦しかった。
脇、脇腹、背中、お腹、太もも、股関節、膝、足の裏、全身をくまなくくすぐった。
「あひひっひひひっっ!! ひどいっひひひひひっひひひひひひ!! ひどいよぉぉっ! 
くくっくくくくっくくくくぅう!!いひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!! 
やっやぁ〜はははははははははははははっっ!! あはっあははははっあはははははははははははははははは!!」
「たすけっあああたすけてえええええ!!!あひゃああああああああははははは!!!」
「わたしがあああああ、なにをおおおおあうひひひなにをしたってあああああはははははああああ!!」
「ぴゃあああうひひひひうひひひひひゃぴゃああああああああ!!!」
彼女がちょうど狂う寸前というところで 55分の罰は終わった。
しかし罰は終わっても55分耐えるという現実は変わらない。

意識が朦朧としながらも取っ手を掴もうとするマイ。
ここまで絶望的な状況だが彼女はこの箱からの脱出を諦めていないようだ。
(さっきのくすぐりよりは弱いんだ・・・よわいんだ・・・そうだよ)
自己暗示をかけくすぐりを耐える準備をする。
しかし、先ほどの強い刺激はなかった。
「え?」
マイの頭がヘルメットのような物で固定された。マイは頭をまったく動かせない状況に陥った。
(今度はどうなるの・・・?)
彼女の不安をよそに、マジックハンドの駆動音が聞こえる。
刺激に対して準備をしていたが、なかなか先程のような強い刺激はない。タイマーは進んでいるのに。
不意に顔の前に大量のマジックハンドが出てきた。しかし、くすぐる様子はなく手には何か尖ったものを持っている。
「・・・こより?」
そう、マジックハンドはティッシュを丸めて尖らせたもの、つまりこよりを持っていた。
こよりを持ったマジックハンドが顔の前で行列を作っていたのである。
「ま・・・まさか・・・?」
そう、マジックハンドはマイの鼻をこよりでくすぐりだしたのである。
「ふぇ・・・ふああ・・・ん・・・」
もどかしい刺激がマイを襲う、しかし、マイの頭は完全に固定されているため逃れられない。
「うふ・・・ふふふ・・・はっくしゅ!!」
鼻の刺激に我慢できずにくしゃみが出た。
(これだけ?これだけならいくらでも耐えれる・・・。)
しかし、マイの考えは覆ることになる。


188 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 01:59:41 1GmCqQdc0
「くっしゅん!!はぁ・・・はっくしゅん!!くっしゅ!へっくし!!!いやっいやっっくしゅん!」
「やめ・・・やめ・・・はっくしゅ!きえっしょん!!ひっくしょん!いや・・・っ!くっしゅん!」
5分が経過したところで彼女は既に300回以上くしゃみをさせられていた。
マイの顔は鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
「ぶえっくし!!くしゅん!!はっくしゅん!!もういやっ・・いやぁああっくしゅん!!」
「くっしょん!!はなが・・ぶえっくしょん!はながこわれ・・っくしゅん!こわ・・・こわれるううう!」
ここまで連続のくしゃみをマイはもちろんしたことがない。
くしゃみがここまで辛く、呼吸ができなくなるほど苦しいものだと思ったことなどなかっただろう。

このままこより責めが続き、耐え始めて10分が経った頃、あの刺激が加わる。
「くひゃぁっ!!うひひひゃっくしょん!!うひゃああくしゅん!ぶえっくしゅひははははははああ!」
先程の脇腹つっつきが始まった。しかもこより責めは続いたままだ。
「あひ、ぶえっくしゅん!あははははは!やめっえっくしょん!ぶえっくしひひひ!はははははははは!
あははははははは!!くしゅん!っえくしひひひはあああああははははっくし!」
「うひっっくし!もうやめ・・・うひゃひゃひゃははは!やめてっくしゅん!!やめ・・ははははっくしゅん!」
「いやだ、いやあああはっくしゅ!ひひひひっくし!あああああああああああ!!!」
度重なるくしゃみ、くすぐりで、マイは訳がわからなくなっていた。
くしゃみにより呼吸がままならず、苦しさは先程よりも遥かにましている。
くしゃみが1000回を超えたのだろうか?ついにこより責めは終わった。


189 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 02:00:02 1GmCqQdc0
これほど未体験の刺激を受けながらもマイは一度たりとも取っ手を離していなかった。
脱出する、この1つの希望で彼女はひたすら耐え続けている。
下のタイマーが15分を過ぎたところでまた新たな刺激が始まる。
マジックハンドはつっつきをやめ、太もも、脇腹、膝の上を揉み始めた。
「おおおおほほっひっひゃっひぇへっへへへへへへへへへへ!!ふふぁあっははははははははははははあ!!
くしゅぐったいいいい!!くひゅぐっひゃいひょほっほぁはははっはははははははは!! 
ひゃへええっへへっ!! いひゃはっははははははは!!やめてえええええっええええ!!」
「ぜったいひひひひひ・・・ぜったいにでてはははははひゃひゃひゃ・・・でてやるうううひひひああああ!!」
「ふひゃ!?きゃあああはははははははははは!!やだっいやっいやっ!やはっやはははっっやははははっやははははははははは!! 
やぁあああだああははっははははははははあはははははは!!いやああああっははははははは!!」
それでも彼女は耐え続ける。

「あひひいいいはははあああ・・・はぐっ!ぐはっふぐっはがああああ!」
残り上のタイマーがちょうど15分、下のタイマーが10分に達したところでマイの口に猿轡が付けられた。
大声を出してくすぐりを紛らわすことが多少はできていたのに、それすらも許されなくなった。
さらにマジックハンドによってマイの目は塞がれた。
「ふぐううううううううううう!!ぐはああ!ほふぐうううううう!!」
視界を奪われ刺激がどこから来るかわからない恐怖。
先程のつっつき攻撃を行っていたマジックハンドも復活し、箱はマイから取っ手を離すように攻撃をする。
「ふがああああああ!ぐふぉおぉおおおお!んーーーーぐふぉおおおおおお!!」
「ふぐああ!ぐぉぉ!ふがああああああああああああああああ!!!」
「うぐぐぐぐぐぐううう!!ぐはっ!ふごおおおおぐぐうううううう!!」
これほどの刺激を受けてもマイはまったく取っ手を離さない。
(絶対に・・・外に出る・・・!!)
どこからこのような力が出てくるのか。彼女はこうして55分の攻撃を耐え切った。


190 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 02:00:47 1GmCqQdc0
猿轡が外される。
「ふう・・・はははは・・・はぁああ・・はははひひひ・・・」
笑いの余韻が残る。
「やった・・・!こんどこそ・・・ふふふ・・・出れる・・・出られる・・・!!」
目隠しを取った瞬間、信じられない光景を目の当たりにする。
上のタイマーも下のタイマーも「60:00」と表示していた。
「そんな・・・いやあああああああああ!!!!!」
「出して・・・!!こんなに頑張ったのにいいいいいい!!!」
「いやだ!!!出して!!!助けてえええええええ!!!」
彼女は狂ったように叫ぶ。
そしてブザーが鳴り、2つのタイマーが動き出す。
上のタイマーが下のタイマーに追いついた瞬間罰は始まる。
つまり、彼女が取っ手を掴もうともはや関係ない。
彼女の希望は完全に消え去ったのである。

無慈悲にもマジックハンドが彼女の両手を持ち上げ、X字の態勢を強制的に取らせる。
彼女もこの罰が終わらないことに気づいたようで、ひたすらに叫ぶ。
「いやああああああああああああ!!なんでええええええ!
なんでわたしがあああああこんなめにいいいいいいいいいい!!!!
いやっ!だれかあああああ!たすけてっふがぁっ!?」
マジックハンドは猿轡をマイの口に無理やり入れる。
「ううううううううううう!!!ううううーーー!!!!
ふぐああああああああ!!はふへへええええええええええええええ!!!」
猿轡をつけていてもはっきりと「助けて」と聞こえる。
だがこの声は誰にも届かない。
そしてまるで死刑宣告のようにマジックハンドが彼女の周りに集まる。
羽を持ったもの、こよりをもったもの、ヌルヌルした液体を出しているもの、
10本指のもの、爪が長く、非常に先端が尖ったもの。
様々な種類のマジックハンドがマイを取り囲む。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

彼女はいつ、どこで、誰によりこの箱に入れられたのか?
誰がこの箱に入れたのか、目的は何なのか?
そもそも誰かによって箱に入れられたのか?
この箱は一体何なのか?
助けは来るのか?

これらの謎は彼女には解きようがない。謎を考えることすらもうできない。

彼女は永遠に60分の罰を受け続ける。


191 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/07(月) 02:02:24 1GmCqQdc0
以上です。
駄文・長文の投下、失礼しました。


192 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/08(火) 18:27:11 ekQ1.Sqk0
無慈悲なシチュエーションがすばらしいですね!


193 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/08(火) 19:04:56 ch7XOMPQO
マジックハンド好きな俺歓喜。容赦ないくすぐり方がたまらんぜ


194 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/08(火) 20:54:29 HozQitBo0
グッジョブw
絶望的なラストがいい


195 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/09(水) 01:43:36 1ToEM37Y0
たまにss書いてみようかなって思うけど低クオリティなので載せたくなる


196 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/10(木) 00:01:21 j3H4VLQM0
>>195
よし、その意気だ!載せよう!


197 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/13(日) 22:33:29 bBIOhmEY0
日々ちょくちょく読んでてようやく青下弘さんの作品読み終えたわ。
性感の伴わない性感体くすぐり が最高に好みなシチュエーションだって気付けた、すばらしい作品だった


198 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/14(月) 21:35:18 Q4.2OPJw0
レールガンの佐天さんがくすぐりの能力に目覚めるSSとか
思いついたけど、もうすでにありそうだよなぁ・・・


199 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/14(月) 22:46:13 APEHPQ1k0
>>198
ばっかお前だよ!お前が最初だよ!
ぜひ!ぜひお願いしたい!初春とかみこっちゃんに使ってるのマジで見たい!


200 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/15(火) 23:42:45 3GHn7Z5A0
>>199
ある程度まとまったら投稿しようと思うけど、
忙しくて遅かったりするから期待せずに・・・


201 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/16(水) 00:52:25 xZ7mxqA60
>>200
無理だよ!期待するよ!
自分のペースで頑張ってくれ!超頑張ってくれ!


202 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/16(水) 04:29:17 p5IStlOA0
佐天さんの能力ネタか
確か精神系の能力で幻覚を利用して相手にくすぐったいという錯覚を起こさせる
ってネタを見たな

レベルは2だったかな
虚構擽感(ルーサルカ)だったっけ?


203 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/17(木) 15:16:27 GyYqQm2Y0
>>202
ググってもこのスレしかヒットしないんだけど……
どこで見たん?


204 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 02:01:26 RHd4VRQ.0
>>203
ゴメン、オフの話だった


205 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:07:45 koPdUgVI0
佐天さんのSSができたので載せておきやす
長くしちゃうと途中でエターなる可能性があったから
1話完結の短編っぽくしてみた(続きがあるとは言っていない)


206 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:09:21 koPdUgVI0
タイトル:佐天「人をくすぐる能力かぁ・・・。」

それはある日の身体検査(システムスキャン)後のこと・・・。
佐天涙子はいつものように、検査の結果を初春飾利に報告していた。
しかしいつもと様子が違う。佐天はとても嬉しそうだったのだ。

佐天「やったよ、初春!私能力者になってた!」

初春「え!?本当ですか!おめでとうございます、佐天さん!」

佐天「まぁレベル1なんだけどねー・・・。」

初春「それでもすごいですよ!それで、どんな能力だったんですか?」

佐天「いや〜・・・。そんなに自慢できるもんじゃないんだけどね〜・・・。」

初春「勿体ぶらないでくださいよ〜!気になるじゃないですか〜。」(ウズウズ)

佐天「はは・・・。分かった分かった。教えてあげる・・・。
   実際されてみれば分かると思うから、ちょっと後ろを向いてくれる?」

初春「え?いいですけど・・・。受けても大丈夫なんですか?レベル1とは言え能力は能力ですし・・・。」

佐天「大丈夫大丈夫♪痛いのとか全然ないし。私を信じて、ね?」

初春「わ・・・分かりました・・・。スカートめくっちゃダメですよ?」

佐天「分かってるって〜。疑り深いなぁ、もう♪」

初春は佐天の言葉を信じ、しぶしぶ後ろを向く。念の為スカートをおさえながら。
一体どんな能力だろうか?後ろを向く必要があるということは目に見えない現象なのだろうか。
色々能力の予想をしていると、不意に佐天の両手が初春の無防備なわき腹に伸び・・・。


207 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:10:44 koPdUgVI0
佐天「こちょこちょ・・・♪」

初春「ぶふっ!?ちょっ佐天さ・・・!」

佐天「こちょこちょこちょこちょ・・・♪」

初春「あはははっ!ひひひひっ!くっくすぐったいですよ!」

佐天「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ・・・♪」

初春「ぎゃははははははっ!?も・・・もう止めっあひゃはははははははっ!!」

始めは悪ふざけだと思って大人しく受けていた初春だったが、だんだんシャレにならなくなってきた。
肺の中の空気がどんどん吐き出されていく。く・・・くすぐった過ぎる・・・!
そんな初春の様子を知らないのか、佐天の指は容赦なく初春のわき腹にめり込む。

初春「止めっあひひひひっ!・・・止めてくださいっ!」(ポカッ)

佐天「あいたっ!?も〜初春〜。ぶたなくたっていいじゃ〜ん・・・。」

初春「ひぃ・・・ひぃ・・・。佐天さんがいきなりくすぐるからですよ!笑い死ぬかと思いましたよ!」

佐天「え〜・・・。大袈裟だなぁ、初春はぁ。」

初春「はぁ・・・ふぅ・・・。悪ふざけはここまでにして、ちゃんと能力教えてくださいよ。」

佐天「もう教えたよ。」

初春「えっ?」

佐天「だから今のだよ。『くすぐりを司る能力』なんだ。私の能力・・・。」

え?くすぐり?今のが能力?初春は軽く混乱した。
また佐天さんの冗談かなと思ったが、表情から察するに、どうやら本当のことのようだ。



佐天涙子 レベル1 精神系能力者  

能力名:擽手使い(ティクルハンド)←前例がない能力なので急遽付けられた仮名

能力詳細:触れた相手の脳に干渉し、触覚を敏感にしてくすぐったさ(のみ)を増大させる。


208 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:11:47 koPdUgVI0
佐天「これが私の検査の詳細・・・。あはは・・・。笑えるよね、くすぐりなだけに。」

初春「で・・・でもすごいじゃないですか!前例がないんですよ!?佐天さんが初なんですよ!?」

佐天「そりゃそうだけどくすぐりだしなぁ・・・。日常生活で役立てられる気がしないよ・・・。
   気軽に試せるものでもないし、レベルアップは望めなそう・・・。」

初春「さ・・・佐天さん・・・。・・・分かりました!私が佐天さんのお手伝いをします!」

佐天「え・・・?」

初春「レベルが上がればもっと色々できるようになるかもしれません!
   だから私が佐天さんの能力の向上を手伝います!」

佐天「それってつまり・・・。くすぐらせてくれるってこと?」

初春「そ・・・そうです。能力は才能による部分が大きいですが努力だって必要です。
   能力を沢山使えばレベルが上がるかもしれません。だから元気出してください。」

佐天「う・・・初春・・・!あんたって子は・・・。」(ぶわっ)

初春「さ、そうと決まれば移動しましょう。ここだと目立っちゃいますからね。」

佐天「OK!よ〜し!頑張るぞ〜!」


・・・初春の部屋・・・


初春「それであの〜・・・。佐天さん?」

佐天「ん?な〜に?」(にこにこ)

初春「どうして私は手足を縛られてベッドに拘束されてるんでしょうか・・・?」(ぎしぎし)

佐天「くすぐる時に暴れられたら困るからね〜。また叩かれたら嫌だし。
   それにさ、ここって寮じゃん?多少の防音機能はあるみたいけど、
   あまりバタバタしてるとお隣さんに迷惑かかるし。」

初春「そ・・・そうですけど・・・。」

佐天「という訳で、今から能力を鍛える為の訓練を始めまーす♪
   むふふ〜♪初春覚悟はいい〜?」(わきわき・・・)

初春「あ・・・あの・・・。お手柔らかに・・・。」


209 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:12:32 koPdUgVI0
佐天「OKOK♪この10本の指で〜・・・。初春のすべすべお肌を
   優しくやさし〜く撫でてあげる♪」

佐天は不敵な笑みを浮かべると、ベッドに拘束されて動けない初春の制服をめくり、
そのスラッとしたお腹に直接手を乗せた・・・。佐天の両手が万遍なく初春のお腹に広がる。

初春「うっくく・・・。佐天さん・・・。もうすでにくすぐったいです・・・くぅ・・・。」

佐天「え〜?いくら何でも大袈裟過ぎない?ただお腹に触れてるだけなのに。」

初春「何かこう・・・。ふふっ・・・触れられている箇所を中心に・・・。
   じわじわとくすぐったい感覚が広がっていくような・・・くひっ・・・。」

体をくねらせくすぐったいのをアピールする初春。
そんな初春の姿を見た佐天は、何かすごくムラムラした。
初春の笑い乱れる姿を見てみたい・・・。
佐天の中に黒い欲望が誕生しつつあった・・・。

佐天「それじゃ早速・・・。あ、そうだ。試しに・・・。」

初春「ふぇ・・・?」

佐天は何かを思いつくと不意に顔を近づけ、初春の耳元でそっと呟いた。

佐天「今から初春の無防備な体をいっぱいこちょこちょしてあげる・・・。
   ふふふ、暴れたって止めてあげないよ?いっぱいい〜っぱい
   体中こちょこちょしてぇ・・・。肺の中の空気全部吐き出させてあげる♪」

(さわさわ・・・)
   
初春「ふひっ!?さ・・・佐天さん・・・!?」(ビクッ)

佐天「本気出すとどれぐらいくすぐったいのか私にもまだ分からないけど・・・。
   きっとすっごいくすぐったいと思うよ〜?初春どこまで耐えられるかな〜?
   ほ〜ら♪この10本の指で初春を笑い狂わせちゃうからね〜♪」

(なでなで・・・)

初春「止めっひ・・・!さ・・・佐天さ・・・くくっ。
   や・・・やっぱりこの話は無かったことに・・・。」(ぷるぷる・・・)

佐天「だぁ〜め♪」

(ふにふに・・・)

初春「あぎゃははははははっ!?くくくっくすぐった・・・!
   あひひひひひひひぃぃぃっ!!」

佐天(やっぱり・・・。さっきより明らかにくすぐったがっている・・・。)


210 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:13:18 koPdUgVI0
佐天が試したのは『言葉責めで能力の効果が上がるかどうか』だ。
何しろ腐っても精神系能力なのだ。脳に干渉できるのだ。
相手の精神に揺さぶりをかければ威力が上がるに違いない。
・・・その予感は見事に的中した。

佐天「まだ全然くすぐってないのにもうそんなに笑っちゃって〜・・・。
   本気出したらどうなっちゃうのかな〜?」

(こちょ・・・こちょ・・・)

初春「ぎゃははははははははははっ!!ひひっ!!ひひひひひぃぃぃっ!!
   もう無理でずっあひゃはははははっ!!」(ジタバタッギシギシッ)

佐天はここぞとばかりに初春のお腹を弄ぶ。
お腹を手全体で撫でたり、ふにふにとつついたり、10本の指でグリグリしたり・・・。
その度に初春は可愛い悲鳴にも似た笑い声をあげる・・・。

佐天(た・・・楽しい・・・!くすぐりがこんなに楽しかったなんて・・・。
   ちょっと皮膚を刺激しただけでじたばたと暴れて大笑いする・・・。
   まるで・・・その人の感情を支配したみたい・・・!)

初春「はぁ・・・ひぃ・・・。さ・・・佐天さ・・・ん・・・。
   今日はもう・・・ひぃ・・・ここまでにしましょう・・・。
   もう十分・・・はぁ・・・訓練しましたし・・・ふぅ・・・。」

佐天「う〜ん。そうだね〜・・・。もう飽きてきたしね〜・・・。」(にやにや)

初春「じゃ・・・じゃあ・・・。早く手足の拘束を・・・。」

佐天「え?何言ってるの?私が飽きたのは『お腹をくすぐること』だよ?」

初春「え・・・。」

佐天「ねぇねぇ♪次はどこをこちょこちょして欲しい?
   せっかく私の訓練に付き合ってくれてるんだもん。
   初春の好きな部分をくすぐってあげる♪」

佐天は顔を引きつらせている初春ににっこり笑顔でそう言った。
そして、初春の顔の前で手をひらひら動かし反応を楽しんだ。

佐天「ねーねー♪黙ってたら分からないよ〜?
   どこがいいの〜?教えて教えて〜♪」

初春「い・・・いや・・・。もうどこも・・・。」

佐天「へ〜・・・。どこがいいか教えてくれないんだ〜・・・。
   じゃあ・・・適当に決めちゃお♪」

(がばっ)

初春「ひっ!?」


211 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:13:46 koPdUgVI0
佐天は初春に馬乗りになったかと思うと、そのまま姿勢を前に崩し、
初春の体と自分の体をぴったりとくっつけた。
そして、制服の中に手を入れ、がら空きになっている腋の下に手を添えた・・・。
佐天がほんのちょっぴり指を動かすだけで、初春の体がビクビクと揺れる。

佐天「これでもうクネクネできないよ♪ぴったり密着したからねー♪」

初春「お・・・お願いです・・・。うう・・・それだけは・・・。
   腋の下だけは止めてくだしゃい・・・。」(ガタガタ・・・)

佐天「だぁ〜〜〜め♪止めてあげな〜〜〜い♪じゃあ行くよ〜?」

初春「ひ・・・!ひぃぃっ!ダメですっ!もう嫌ですぅっ!
   くすぐったいの嫌ですぅぅぅ!」(ギシッギシッ)

佐天「5〜♪4〜♪3〜♪」

初春「意地悪しないでくだざいぃぃ!お願いでずぅぅぅ!」

佐天「2〜♪1〜♪」

初春「今度ケーキバイキングおごりまずがらぁぁぁぁ!!」


ぴたっ


初春「う・・・う・・・!」(ガクガクブルブル)

佐天「・・・・・・。」

初春「あ・・・あれ・・・?」

佐天「・・・・・・。」

初春「さ・・・佐天さん・・・!もしかして考え直してくれ・・・。」


希望を与えられ・・・。


佐天「0♪」

初春「え・・・・・・・・・。」


それを奪われる・・・。

その時こそ人は1番美しい顔をする・・・。


212 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:14:37 koPdUgVI0
佐天「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ♪」

初春「やめっ・・・ぎゃはははははははははははははははははははははははははっ!!!?」

佐天「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ
   こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ♪」

初春「ぐじゅぐったいぎひひひひひひひひひひぃぃぃぃぃ!!!
   じんじゃいまずぅぅぅぅぅうひゃはははははははははははははぁぁぁぁっ!!!」

佐天「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ
   こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ
   こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ♪」

初春「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」←もう声になってない

佐天は執拗に初春の汗ばんだ腋の下を責め続けた。
初春はあまりのくすぐったさに半狂乱になって暴れたが、
手足の拘束に加えて佐天に乗っかられている今、抵抗は無意味だった。
今の初春にできることは、精々笑い狂いながら全身を痙攣させ、
首をブンブン振り回すぐらいなものだろう。

佐天「必死に暴れちゃって〜。初春は可愛いなぁ♪そんなにくすぐったいんだ〜♪」

(こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ)

初春「あがっぎひっうぐふぅぅぅっ!!ぐえっぎひぃぃぃぃぃ・・・!!」

希望を与えられてそれを奪われた後のくすぐり・・・。
精神が弱れば弱る程、佐天の能力は効果を増していくのだ。

佐天「ど〜お?だんだんくすぐったいのが気持ちよく感じてきたんじゃない?」

(こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ)

初春「ごほっぎひっじんじゃっあがっ・・・!やべでっぐへっが・・・あ・・・!」

佐天「何言ってるか分からないよ〜。もう1度言ってごらん?」

(こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ)

初春「あ・・・が・・・!・・・・・・・・・・!!!」

次第に笑い声が失せ、苦しみに満ちた呻き声が部屋に響くようになった。
とうとう初春の肺の中の空気が全部吐き出されてしまったのだ・・・。
かろうじて呼吸できたとしても、すぐにまた空気を吐き出してしまう・・・。
そして最終的には吐く空気がなくなり、声すら出せなくなった訳だ・・・。

佐天「ありゃ?初春ったら顔面蒼白・・・。ひょっとして・・・やり過ぎた・・・!?」

そしてここでようやく、佐天は我に返った。
慌ててくすぐりを中断し、手を引っ込める佐天。


213 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/18(金) 23:15:30 koPdUgVI0
初春「・・・・・・!」

佐天「う・・・初春・・・?」

初春「すっっっ・・・はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜・・・。」

佐天「うおっ!?すっごい深呼吸・・・。」

初春「はぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・。ふぅぅぅぅぅぅぅ・・・。ひぃぃぃぃぃ・・・。ふぅぅぅぅぅ・・・。」

徐々に初春の顔色が正常なものに戻っていく。
そう、初春は助かったのだ。

・・・その後、初春はしばらく怒っていたが、佐天が100回ぐらい謝ったところで
許してあげたそうな。さすがは親友。心の広いことである。

ちなみにその後、初春は全身筋肉痛でロクに動けず、1日中佐天に看護してもらった・・・。



そして次の日、とある部屋・・・。

初春「うう・・・。まだ全身ガタガタです・・・。特に腹筋が・・・うう・・・。」

黒子「一体何があったんですの?今日は朝から辛そうな顔ばかりしてますわよ?」

初春「いやぁ・・・。はは・・・。ちょっとした人助けですよ・・・。」

黒子「・・・人助けは大いに結構。でも自分の体も大事にしないとダメですのよ?」

初春「はぁ〜い・・・。」

佐天が能力者になったのはまだ内緒だ。
何やら昨日のアレで色々得たものがあったらしく、
もう少し頑張ってから皆に公表したいらしい。

佐天さんが自分の能力を誇れるようになって良かった・・・
と思う初春であった・・・。


・・・一方、佐天の部屋

佐天「うーん…。くすぐりの威力自体はすごかったけど・・・。」

佐天「戦闘じゃ役に立たないなぁ・・・。くすぐってる間に殴られたら終わりだし・・・。」

佐天「戦闘で活かせればなぁ。初春や白井さん、御坂さんの助けになれるのになぁ・・・。」

佐天「・・・ま、悩んでもしょうがないか。これが私の能力なんだもんね、誇らなくちゃ!」

佐天「・・・さぁて。入念に手の手入れをしないとねぇ〜♪キレイな手の方がくすぐったそうだし♪」

佐天「あと指の運動もしないとなぁ〜。ああ、忙しい忙しい♪」

・・・佐天涙子。現在レベル1。
レベル2まであと●日・・・。       完


214 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/19(土) 01:31:15 kE5UOwA60
乙!
佐天さんサイコーの能力じゃないですか!
拷問官に就職することをおすすめします


215 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/19(土) 02:08:31 Fkfz1Hxk0
>>205
エターなる…?eternal!?
つまりこの小説は永遠に続くという解釈でよろしいですかな!?

冗談はさておき素敵な作品ありがとうございます!
最近小説書いてくれる人がちょくちょく出てきてくれるようになってうれしい限りだ


216 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/20(日) 00:54:40 FaMN7DrY0
やったぜ
レベルが上がるにつれてくすぐられる幻覚を見せるとかになるのかな・・・そんなことより乙です!


217 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/20(日) 19:28:34 MypjrNU20
>>214 >>215 >>216
感想とお褒めの言葉ありーです・・・
レベル2以降も設定は考えてるけども、
続くかどうかは未定・・・考えておきます


218 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/22(火) 23:39:42 ohhYGUvY0
スレチかもしれないけど質問失礼します。
くすぐり小説保管庫に作品を追加編集しようかな〜とか思ったんですが、
作品に題名が付いていないものって、保管庫に載せるときどうすればいいか分かる方いますか?


219 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/23(水) 00:09:31 rG3Bmy3U0
見た限りではそれっぽいタイトルを編集者がつけてるっぽいな
とりあえずそうやっといて後で作者が嫌ならそれに従えばいいんじゃないか?


220 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/23(水) 01:35:19 6k5UAeI60
魔法少女リリカルなのはStrikerSの機動六課フォアードメンバー(エリオは除く)でくすぐられるシチュエーションお願いします。


221 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/24(木) 06:33:50 zeLjuvpw0
>>211
唐突なⅣのセリフに草不可避


222 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/26(土) 01:40:45 yUwVZauo0
179です。
また新たな小説を書きましたので、投下させていただきます。


223 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/26(土) 01:41:09 yUwVZauo0
「・・・ん?えっ!?何これ!?」
「起きましたか?」
「え、誰ですか?」
「・・・あ、その声ユリ?」
「え、何で名前を・・・ってその声アスカちゃん?」
「そう」
「よかったー、アスカちゃんかー・・・ってよくないよくない!どういうこと?」
「そっちも足と手縛られてるの?」
「そうだよ!もしかして、アスカちゃんも?」
「そう、でもよかった、知らない人と背中合わせだったらなんかもっと嫌だったよ」
「よかったのかなぁ・・・何でこんなことになってるのか全然覚えてないよ・・・」
「私も覚えてない、ん、手の方は下に下げることできるんだ」
「ん、あっ!?手が持ち上げられたっ!?」
「え?あ・・・上の滑車で私たちを縛っているロープ繋がれてるのかもしれないわ、ちょっと手下げてみて」
「う・・・うん」
「やっぱり、ロープ繋がってるんだ」
「でも・・・どうしてこんなことになってるのか・・・」
「ユリも覚えてないよね?なんでここにいるのか?」
「覚えてないよ・・・アスカちゃんと一緒に勉強会してて、寝ちゃってそれから・・・きゃふっ!?」
「?どうしたの?」
「な・・・いやっ!?くす・・・うひひひくすぐられてる・・・」
「どういうこと?」
「ななななんか・・・ひふふふふ・・・だれか私をくすぐって・・・うひひ」
「え?どういうこと?くすぐられて・・・あっ!?」
「ふ・・・ふふふ・・・ア・・・アスカちゃうひひひひ・・・どうしたの?」
「私も・・・くすぐられてる・・・」
「え・・・?じゃあ二人ともくすぐられてああぁっははははあぁっあはははっ!?」
「ど・・・どうしたの!?」
「くしゅぐりがああああぁひゃひゃひゃ!!つよく・・・つよくなってるゅううう!!」
「ああああ、手が・・・増えてるうひぃいっ!?」
「わき、わきやめてぇぇぇええええ!!!くすぐったははははあああ!!!」
「ユリひぃ!手下げなよぁはぁん!まだ・・・こっち強くないからひゃん!」
「じゃあああ!!しゃげしゃせてえええ!!さげるよおおうひぃい!!・・・はぁはぁ止まった・・・」
「いやああああああ!!くすぐったああああああいいいい!ははははは!!!あははいやああ!!」
「アスカちゃん!?」
「ああああぁああぁあああっははははははは!!うひゃいいやぁああーーっはっはっはっはっ!!」
「もしかして・・・くすぐり強くなってるの!?」
「そおお!!そおおお!!はははあああああはいいいああああ!!」
「たぶん・・・たぶんだけど、手を下げてる方はくすぐり受けなくて、上げてる方はくすぐりをつよく受けるんだよ!
「そんなああああ!!いやあああ!!」
「えっ!?いやああ!!うひいいいっ!!てをおおおお!あげさせないでぇぇぇぇぇえええ!!」
「だってははははは!!!たえられないいいい!!!むり、むりいいいい!」
「いぁああああ!!!いいいいい!!あすかちゃあああん!!てええあげてぇぇぇぇぇ!!」
「いやああああ!はぁ・・・はぁ・・・くすぐったかった・・・」
「うひゃああいゃぁああああああ!!!たしゅけてぇぇぇぇえええ!!」
「たぶん・・・どっちかが完全に下げてないと二人ともくすぐられることになる」
「ぅふぅううああああぁぁあああっはっはっはっはっは!!だかひゃひゃひゃ!!だからってえええひゃひゃ!!」
「中途半端に二人とも上げるか下げるかするよりは、交代交代でくすぐられた方がいい」
「くるしいっひひひゃああぁはははっはははぁ!アスカちゃぁぁややぁあああん!!かわってぇぇぇぇ!!」
「わかった・・・ちょっと待って・・・覚悟が必要だから」
「はやくぅうぅぅぅううう!!いきがぁ!!いぎがでぎなぁぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「わかった、わかった・・・今あげるから・・・あはっ!?ははははあああああ!!!」
「うっ・・・はあ・・・ひひひ・・・つらかった・・・」
「あははっ、あはははっ! いやはははははははっ!はははははははは!!!」
「でも・・・なんでこんなことに・・・」
「あっ!?あはははは!いやっ、いやっ!あはっ、あーっ!はああああー!!」
「交代かぁ・・・アスカちゃん・・・30秒ごとでいいかな・・・?」
「いい!!あははは!!!いいよ!!いいからあああ!!あははははーー!!!」
「21、22、23、24・・・」
「あははは!!!はやくーーー!!はやくーー!!あっはははああっははは!!!」
「29、30!ふぅ・・・じゃあ・・・あげるね・・・うひゃあああ!!!?」


224 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/26(土) 01:41:34 yUwVZauo0
「はあ・・・はあ・・・はああ・・・これ・・・終わるのかな」
「しゅぐったぁぁああああぁぁあはははっははっはは! むりぃいいぃひひひひひひひひっ!」
「ユリ、数数えてる?」
「うひゃひゃはやひゃあ!!?えぇぇ!?えええはははは!!かぞえてぃええええ!!ないよぉぉおお!!」
「じゃあ、ユリ、ちゃんと1から数えてね」
「そんなゃあああ!!アスカちゃぁああーーん!!かぞえてょぉぉぉぉおぉお!!」
「こういうのは自分で数えたほうが不平不満ないでしょ?ほら、数えて」
「いちぃぃい!!にぃひゃああああ!!!ひぁあぁああぁああぁあぁっっ!?おおおっごおおおお!!」
「何3と4抜いてるの?ちゃんと数えてよ、不公平でしょ!?」
「わかりましたゃあああ!!!しゃああん!!しぃぃいひゃああ!!ごぉおおあひゃひゃひゃあああ!!」
「これ・・・私たちが死ぬまで永遠にくすぐられるなんてこと・・・ないわよね・・・」
「はちぃいい!!きゅううひゃあああ!!じゅふふふふうううう!!うひぃいいいひゃひゃああ!!」
「誰か片方がくすぐられ続ければ・・・」
「なんかあああ!!アスカちゃあひゃああ!!いったあああ!!うひいいっっひぃいいっ!!:
「・・・いや、何も言ってないよユリ、ほら、あともう少しだよ」
「にじゅううりょくぅううう!!にじゅうにゃにゃあああにゃあ!!!」
「ふう・・・ふう・・・はははああっ!?」
「うひひひひぃいい・・・くしゅぐったぁい・・・」
「にじゅういちぃいい!!はははああああ!!にじゅにはははああああーー!!」
「え・・・アスカちゃん・・・?なんで20から数えてるの・・・?」
「なにははああ!!いってるのぉおーー!!ちゃんと・・・ははあ!数えてるわよおおおははーーー!!」
「え・・・?それだったら・・・ごめん・・・」
「にじゅうはちはははーーー!!にじゅうくううう!!・・・はあああ、はぁ」
「きつっいぃいひひひひひゃぁあははははは!さあああん!!しいい!!ひゃはっははひゃあっっ!!」
「ユリ、今回から60秒ね」
「しょ、しょんなぁぁぁぁ!!!じゅうひひひじゅるいいいよぉぉぉぉぉおお!!」
「ずるくないわよ、平等でしょ、ほら、数えなさい」
「じゅうにいいい!!!ひひひはあああ!!!???あしがああひゃああああ!!!」
「あれ?カウント途絶えたね、はい、数え直し」
「いやぁぁぁぁ!!なんでぇぇ!!?あっぎぃっひひひひひひひひひひひひひひぃっ!」
「テンポよく数えないとダメに決まってるじゃん、ちゃんと数えてよ」
「だぁひゃあっう!!だってぇぇへええええ!!あしがああ!!あしもくしゅぐられてぇぇええっ!!」
「足?あら、足のくすぐりも増えたんだ、さっきまで脇とか脇腹だけだったのにね」
「あしゅかちゃぁぁあああん!!!うひっっな・・・あひゃあああひゃ!!かんがえてえええはは!!」
「何言ってるの?さっさと数えなさいよ」
「なんかああひゃひゃあ!!かんがえてぇぇっうかんがえてにゃいいいっ!?ひひいいぁぁぁひゃひゃあ!!:
「何も考えてないわよ、ただ平等にやってるだけ」
「んぎぃぃっひゃっぁああ!!!じゅうごおおお!!ああぁぁあはははははじゅうりょくううう!!!」
「はーい、がんばってー」
「にじゅうきゅぅううう!!うひっひっひいいさんじゅうう!!!いっきゃい・・・きゅうけぇええいい!」
「えっ!?あはっ!?いやあああ!!!ゆ、ゆりいいい!!なにをほほほほお!!やってんのよおおお!!」
「はぁ・・・ごめんね・・・どうしても・・・どうしても・・・くるしくて・・・」
「ふざけんじゃないわよぉおおおおおーーー!!!ゆりいいいい!!!はははあーーーー!!!」
「アスカちゃん、ごめん・・・ごめん・・・きゅうけいしたから・・・今あげるね」
「はあっ・・・はぁっ・・・ふざけんじゃないわよ!!!」
「そんなにひゃひゃっっあああ!!いわなくてもぉぉぉーー!!!」
「約束はちゃんと守りなさいよ!!!ユリ、罰として120秒数えて」
「いやだあああぁああぁぁぁっ!!ゆ、ゆるしてぇぇぇえっぇぇぇぇ!」
「ダメ、ほら、早く数えなさいよ」
「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!いちいいい!!にひひいいいい!!」


225 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/26(土) 01:41:58 yUwVZauo0
「ひゃくじゅううしゃぁぁぁん!!うひゃっ、ひゃくじゅうしいいひひひはぁぁぁははは!!」
「頑張ったからもう上げてあげるわ、感謝しなさい」
「うひゃああ!!・・・うひひひひゃひゃ・・・ふうはああ、はああ、はああ」
「あはははあーーー!!!はははは!!!はははーーー!!!・・・ふう」
「はぁ・・・はぁぅへぇ!?うひゃ!?ああああははははぁぁぁ!!はやいっ!?はやいょぉぉおぉぉぉ!!!」
「120秒数え終わる前に上げてあげたんだから借りは返してもらうわよ」
「しょんなぁぁぁぁ!!!じゅうううふふふひいいい!じゅうびょうもいってにゃいいいぃぃぃ!!!!」
「うるさいわね!!!ユリのくせに文句ばっかり!!!:
「ふぁあっっあはっははっはっはははははははははあははははははは!!あしゅかちゃぁぁぁぁぁん!!!」
「名前で呼ばないでよ!!!ずっと私あんたのこと嫌いだったんだから!!!」
「きゃひっひひ!?なんでひひひひひっひひひひぁああああああ!!なんでしょんなことぉぉおおお!!」
「このくすぐり、いつ終わるのか全然わからない、だからあんたずっとくすぐられててよ」
「いっっやあああああああっははははははっははっはあは!!!いやっ!!いやぁああああ!!!」
「片方がずっとくすぐられてれば片方は助かるのよ、ユリ、あんたには犠牲になってもらうわ」
「なんっへひゃははっははっははははっははぁぃいぃいぃ!!!てぉぉぉあげてぇぇぇぇ!!!」
「無駄よ、どんくさいあんたなんかよりこっちの方が力強いのよ、ずっと下げたままよ」
「もうやだぁぁああああっははっははっはははははははははははははは!!ひゃああひひゃああ!!!!」
「最悪、あんたが笑い死んでもくすぐられ続ければいいのよ、そしたら私は苦しくない」
「しょんなぁぁぁっ!!たじゅげででえええええ!!ともでゃちだよぉぉぉぉははあああ!!」
「私はあんたのこと友達と思ったことなんてない、笑い死ねばいいのよ」
「ふひゃっひゃああああっはははっははははっははははははははははは!!」
「はぁ・・・それにしてもいつになったら終わるのかしら・・・」
「ゆるしてぇえ゛ぇぇぇぇぇ!!!ごめんなさいぃひひひひひひひっひっひ!!ごめんなしゃいい!!!
「誰か助けにくるのかしら・・・まあ、待つしかないわよねぇ・・・んっ?」
「ぎひいいいぃぃぃぃぃ!!ぎぎゅおおぉおお!!あれっぇぇぇぇ!!どこぉぉぉぉおお!!!」
「あら、解放してくれるんだ、誰が見てるのか知らないけど」
「どこにぃぃぃいい!!どこにいくにょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「どうやら、私は選ばれたみたい、ユリ、ありがとう、そしてたぶんさようなら」
「ぐぎぎぎぃいぃゃぁぁぁあああ!!あぁぁぁぁああああ!!!!ぎゅぉぉおおぅうぃゃあああががががあ!!」
「だすけてぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇえへへへへへへへ!!やめ゛てよぉぉぉぉぉおほほほほほっほほほ!!」
「うがぁぁああああ!!ごぉぐぎゃぁぁぁぁあ!!ひゃあああああ!!!」
「おぼびゃぁぁぁぁあぁぁぁ!!!びゃぶばぁぁぁぁあ!!ぐぎょばぁぁあああごぶぼぉぉぉお!!」
「しぬぅうう!?いぎぎゃぁぁ!!いぎぎゃできにゃぃぃぃ!?ぉ!?うごぉぉぉおおおあぎゃぁ!!」
「やだああああああっ! あぁっ、あーっ! ああああああああはははははははっ!」
「くすぐっでゃいいいい!!!くしゅぐったゃひゃぁぁぁぁぃぃぃ!」
「もうゆるひてくらひゃひゃひゃいいいいっひゃっはっははっははははははははは!!!!」
「ぐじゅぐっだいいいいいいいいい!!んぉぉぉぉぉっぉぉぉぉおおおお!!」
「ふぎゃぁぁあああぐぉおおおぶびゃぁやぁぃぃぃぃぃひひひうぉぉぉぉぉ!!!」
「ぐぎゃぶぁびぃぁぁぁぃぃぃおごぉぉぉぉあぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぅぉぉぉぉぉおおおお!!」
「ぴゃああああああ!!!ぴひひひいぎゃひぃぃいいぴゃはぁぁぁぁぁぁああ!!!」
「もぉぉぉおお!!ほんんどにしぬぅぅぅぅうう!!しぬぅううぅぅう!!!」
「くしゅぐりでぇぇぇ!!くしゅぐりでしにゅぅうぅぅぅううう!!!」
「ぐじゅぐっだびぎゃああぁあおぼぉおぉおおうびゃぎじゅうぁぁぁぁぁあ!!!」
「はぐいあhふいgあいっがいっぎゃうぃgぎうぃううhおいぢおそおおおお!!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「                                 」
「                       」
「         」
「   」
「 」
「」


226 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/26(土) 01:43:17 yUwVZauo0
以上です。
投下してみると他の方のものと比べてかなり短いですね・・・。
拙い文章ですが楽しんでいただければ幸いです。


227 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:46:30 Gt9b84KI0
深夜。あるホテルの一室。女が寝ている。
人間が夜眠ることは至極当然のことではあるが、その女の状況は非常に不可解なものであった。
女の手と足はロープで縛られ、手と足は完全に伸びきった状態で拘束されている。
本来ならば健やかな寝顔を見られるはずであるが、その女にはアイマスクで目隠しをされている。
さらに目隠しだけではなくガムテープで口を塞がれている。
アイマスクをして眠る人はいるかもしれないが、まさか眠る前に自分の口を塞ぐ者はいないだろう。
こんな不自然な状態ながら、ベットの上で女は鼻で息をし、眠りについている。
そんな女の近くに覆面をした者が近づく。全身は黒づくめの服を着ており、性別はわからない。
同じ服装をした人間がX字拘束された女に近づく。ざっと5人だろうか。女を取り囲む。
女は猿轡と目隠しで表情をうかがうことはできないが、気持ちよさそうに寝息をたてている。まるで状況など理解していないだろう。
不意に取り囲んだ者たちが動き始めた。眠っている女をくすぐりだしたのである。
女は眠りながらもくすぐりに反応しているのだろう、寝返りを打ち出し、体が小刻みに動き始めた。
黒づくめの処刑者(?)は女の脇、脇腹、太もも、足の裏、股関節を思い思いのくすぐり方で責める。
やがて女も眠りから目覚め始めたのか、徐々に反応を見せ始める。
「んん・・・んん・・・んっ・・・んんんん・・・」
処刑者は女が反応をし始めたからか、くすぐりをさらに強め始めた。
「んんん・・・んんっ?んーーーっ!!!んんっ!?んんんーーーっ!?」
ついに女が眠りから覚めた。女は突如のくすぐりに激しい反応を見せ始めた。
女にとっては恐ろしい状況である。
眠りから目覚めたらくすぐられている、まったく身動きがとれないように拘束されている。
さらにアイマスクで目隠しをされている。声が出せない。
覚醒した途端にくすぐられるという混乱だけでなく、複数に同時に混乱が訪れ、女はパニックに陥った。
「んんぅぅぅぅぅぅ!?んんーっ!!んんんんーーーーーー!!!!!んんぅぅぅぅぅんんぅぅぅ!!」
また、女は複数の人間にくすぐられていることにも気がついていない。
普通の状態で複数の人間にくすぐられるのすら耐え難いものであるにも関わらず、
彼女は今、「自分がどのような状況に陥っているのか?」「なぜ身動きがとれないのか?」「視界を塞がれているのか?」
「声が出せないのか?」というパニックに陥った状況でのくすぐりは彼女にとって地獄以外の何物でもないだろう。
「んんーーーー!!!ぅぅぅぅぅんんんーーーー!!!んんんぉぉぉぉぉーーーー!!!」
処刑者たちはまったくくすぐる手を緩めない。
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!んんんーーーーー!!!!んんんぅぅぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
口を塞がれていなければとんでもない大声で叫んでいるところだろう。しかし、彼女はくぐもった声しか出せない。
「んんんんんんんーーーーーー!!!!んん!!!ぅぅぅぅんん!!!んんんぉぉぉ!!んんぉぉおおおおーーー!!!」
大声を出そうとするあまりに、口にがっちり貼られていたガムテープが緩まりはじめた
「ぉぉぉぉおおおおお!!!くうぅぅぅうううう!!!ぅぅうぅぅう!!くううぉぉぉぉおおおーーー!!」
「ううぅうううううううう!ふっふっふふふ!んっっんーーーー!!んふっふふっふっふふふふふふ!!」
「むふぅぅううう!?くぅぅぅぅぅぅぅぅぅーー!むほぉぉぉぉぉおお!!!!むふぅううぅぅぅぅう!!!!」
「ふくぅぅううううう!!くぅっ!?くっくっくぅぅぅぅぅーーー!!くぅぅぅぅぅふっふっふぅぅぅぅーーー!!」
「ふぉぉおおお!!くふぅううぅぅぅぅーーーー!!!むふぅうぅぅぉぉぉぉぉおーーーーーーー!!!!」
「むふぅううぅぅ!!くふぅぅぅうう!!んんんんぉぉぉぉっっっ!!!んんんぉぉぅぅぅぅうふぅぅぅうう!!」
声が聞き取れるようになってきたが、それでも自由に声を出せない。
処刑者たちの表情は覆面でまったく見ることができない。
笑顔なのか真顔なのか?どのような感情で女をくすぐっているのか?窺い知ることができない。


228 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:46:59 Gt9b84KI0
ここで処刑者たちは責め方を変える。処刑者たちはそれぞれの持ち場から彼女の上半身の周りに集まる。
そして処刑者たちは両方の手の人差し指で彼女の上半身をつっつきはじめた。
「んぉっっ!!ふぅぅっ!?むほぉ!?うふぅ!?んふぅぉ!?んぉぉ!んぅぅぅぅぉぉっぉ!!!」
不規則なリズムで突っつかれて、彼女は右に左に体を動かすが、動いた先に指が待ち受けている。
手も足も固定され、腰を動かすしかない彼女だが、その動きが彼女にとって裏目になってしまっている。
「ふぐっ!!むひゅっっ!!んふふふふ!!ふぐっっ!!ふぉぉっっ!?んぉぉおおおおーーーー!!!」
「んぉっ!?ふふぅぉ!!んんんぉ!ぉぉぉっ!むほぉぉっ!うほぉっ!?むふぅぅぅぁぁぁ!!」
「うふぅぅぅぅぅぅ!!!ふぉぉぉぉ!!ふぉぉんっ!!ふぉぉん!?むふぅぅ!!うぉぉ!!むふぐぉぉぉ!!」
彼女はくすぐられながらも徐々に状況を理解し始めた。
腕と足が縛られていてまったく身動きができない。アイマスクのようなものをつけられ視界が塞がれている。
テープのようなもので口を塞がれている。恐らく複数の人間によってくすぐられている。
しかし、彼女がそれを理解しようと状況が絶望的なことに変わりがない。
彼女はただただくすぐられるしかない。
そして処刑者たちも動き始める。彼女をさらに苦しめるためか?どこからか同じ服装の処刑者が現れた。
彼女の周りをさらに5人が囲み、既にいた10人によって彼女は苦しめられる。
最初の5人は突っつき攻撃を続け、後の5人は首、脇、足裏、太もも、膝を責める。
「くぅぅぅぅふっふっふぅぅぅぅぅぅーー!!くぅくぅくぅぅぅぅぅぅぅーーー!!」
「うほぉぉぉっっ!!!ふふぉぉぉぉおおおお!!ふぉっ!?くふぉぉぉぉおおんぉぉぉおおおおお!!!」
「んおおおおお!!くふぅぅぅ!?ふぉぉぉおお!!むふぅぅぅうぅぉぉぉぉぉおぉぉぉーーーーー!!!」
彼女は声を出そうとしすぎて、ついにガムテープがはがれ始めた。
それを見ていた処刑者の一人が間髪入れずにギャグボールを彼女の口にはめた。
「ふぉぉおお!!ふふふ・・・んぉっ!!??ふぐぅううううううううううう!!んふっふふふふっふーー!!」
「むっむぐふっふふふふふふふふ!!むぐぅぅううううううう!!んぎゅふふっふっふふふふふふ!!」
「ぐふぅぅぅぅぅぉぉぉぉぉおお!!!ふぐぅぅうううううう!!!むっっっむふっふっふふふふふ!!」
「ふぐぐっぐぐぐぐぐ!!んぐぐぐっんぐううううううううううううううう!!!!むふぅぅううう!?」
「ふぐっっふぐっ!!ふごっ!!ふごぉぉーーーーー!!ふっふっんぐふふふふふ!!ふぉぉぉおーーー!!」
彼女の動きが徐々に鈍くなってきた。恐らく意識が遠のき始めているのだろうか?
「ぐふっっふぐうぅぅううううううう!!んぐひゅふっふふふっふふ!!ぐひゅぅぅううう!!」
「ぎゅふっ!!ふぅぉぉぉぉ!!んぐぉぉぉお!!んぎゅぅうううううううううううううううう!!」
彼女はとうとう気絶した。しかし、処刑者たちの手は緩まることがない。
気絶しながらもくすぐられていることは感じているようで、彼女の体も微妙に反応している。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・??んぉぉぉぉっ!?んふふふふふふふふふーーーーー!!!!」
あまりのくすぐりに彼女は気絶から覚醒した。
そして、先程の眠りの目覚めのように、一瞬自分の状況に理解が遅れていた。
先程よりも状況の飲み込みは早かったものの、くすぐったいことに変わりはない。
「ふぎぃいいいいいい!?んぐっんぐぐっぐぐぐ!んぉぉぉぉぉっぉっっぉぉぉお!!!」
「むごぉっぉぉぉぉぉぉお!!ふぁふぅへぇぇぇぇぇぇ!!!ふぁふへへへへへぇぇぇぇぇ!!!」
「ふぁふへへへへ!!ふふふふっふぁふぁぁぁぃぃぃぃぃぃ!!!ふふふっふぁい!!ふぁふぇふぇふぇぇぇぇーー!!」
処刑者たちにやめることを必死に伝えようとするが、猿轡で言葉にならない。
「ふぁふぃぃぃぃ!!ふふぁぁぁ!!!ふふふふふっっっふぁぁぁぁぃぃぃぃぃーーーーー!!!!」
「ひゃふぇっっひゃふぇへぇええへっへへへへへ!!ふほぉぉぉおおおおーー!!むひぃぃぃいーーー!!」
「むぐぅぅぅぅーーー!!!ふぐぉっぉおぉぉーーー!!!ふひひひぃぃぃぃいーーー!!!」
「ふぁふぇふぇーーー!!ふぁふぇふぇぇぇぇぇーーー!!ふぉうぅっふぁふぇへへええええええ!!!」
「やめて」と連呼しても処刑者たちは手を緩めない。


229 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:47:17 Gt9b84KI0
処刑者の一人が彼女の耳元で「うるさい」と呟いた。どうやら女の声だ。
そしてその処刑者はガムテープを取り出し猿轡の上から口をさらに塞いだ。
さらに、彼女の鼻を親指と人差し指で摘んだ。
「んぐぅぅぅっぅぅぅぅぅぅ!!!んんーーーーーーーーーー!!んぅぅぅぅーーーーーーー!!!」
くすぐられるだけでなく呼吸まで封じられた女は先程よりも体を大きく捩らせる。
「んぐぉぉぉぉおぉぉぉおおおお!!!んぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!んぅぅぅぅぉぉぉーーーー!!」
「んんーーーーーーー!!ぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅんんーーーー!!!んんーーー!!んぉぉっーー!」
「んぉっ!ぉっ!!!ん・・・んぅっぅぅぅぅ・・・ん・・・」
意識がまた遠ざかり始めたところで処刑者は鼻から手を離す。
「んんんんっ・・・んふぅぅぅぅーーーーー!!!んぉぉぉぉーー!!」
鼻呼吸ができるようになったとはいえ、くすぐられて苦しいことには変わりない。
「んふぅぅぅぅぉぉぉぉーーーー!!くふぅぅぅぁぁぁぁぁ!!!!」
さらに鼻を摘んでいた処刑者は2Lペットボトルの水を取り出しキャップをはずした。
処刑者はなんと彼女の鼻に水を注ぎ始めた。
「ぐふぁぁ!!ごぼぉぉっ・・・!ぐぼぼぼ・・・ぐぼぉっ!!うごぼぼぼぼ・・・」
水を注がれていることに気づかない彼女はくすぐりの苦しさから鼻呼吸をしようとし、水をまともに吸い込んでしまう。
「おごごご・・・ごぼぼっ!?ぼぼぉぉぼぼぐぼぼごぼばぁ!!おぼぼ・・・ばばぉっ!?」
当然呼吸をしようとして鼻を水で満たされ、酸素が足りない状況に陥っている。
処刑者の優しさか、水を注ぎながら、処刑者はガムテープをはがした。
「ぐぼぼぉお・・・ごほぅっ!!ごごっ!おごごっ!ごほっ・・・ほごっ・・・」
咳き込みながらもなんとか彼女は口でなけなしの呼吸をし始める。
しかし、先程の優しさはどこへやら、処刑者は口と鼻に向かってペットボトルを逆さにし、勢いよく水を注いだ。
「ごぼぉ!?ふぐー!!…うぐっ…ううぅ…うぐぅ!!…うぐっ…ふぐっ…ごふっ…ごぼっ…」
まともに彼女は水を飲み込んだ。
「ぶおっ…ぐほっ…ふぐっ…むぐうぅ…ふぐぅ!!…ごふっ…ごぼっ…ぶく…ぶくく…」
「ぐぶっ…ごぼっ…うぐっ…ふぁふふぇがぼっ!!ごぼごぼごぼごぼ・・・」
ベッドの上で溺死しそうになっている人は今この夜、彼女だけだろう。
溺死寸前で運良く水がすべてなくなった。
「げほっ!!ごほっ!うおぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!」
休憩なしのくすぐりと水責めで彼女は発狂寸前に陥っていた。
「ほぐぉぉぉぉぉああああああーーーーーーーーー!!!!ふぐぅぅぅぅぅぅぉぉぉぉぉーーーー!!!」
「うごああああああああああああ!!!おごぉぉぉぉぉーーーーーー!!!うがぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!」
「ふぐぅぅぅぅぅーーーー!!うぐぉぉぉぉーーー!!うがあぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
「おぇえぇぇぇぇぇぇーーーー!!!うぉぉぉぉぇぇぇぇぇえぇぇーーー!!ふほへぇぇぇぇぇぇぇーー!!」
「ふふぉうへへへへへーーー!!!ふぁふふぇふぇぇぇぇぇーーー!!ふふっふっふぁぁぁーーー!!」
「ひふぅぅぅぅーーーー!!!ほんふぉに・・・ひふぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「ひひ・・・ひひが・・・ふぇひふぁいぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ふふっはっはぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!ふぁふへへぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「ふぃふぁふふぉぅぅぅぉぉぉぐごぎがごごごごごふぉふひふぇふぇふぇへへへほぉぉおぉぉぐごがががぁぁーーーー!!」
彼女はこの夜2度目の気絶をした。今度は失禁のオマケつきだ。
窒息死に限りなく近い症状である。この症状が彼女への責めの強さを物語っている。


230 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:47:37 Gt9b84KI0
責め続けられていた彼女は気づくと崖の上に立っていた。
崖の下はまったく見えない。奈落の底というやつであろう。
失禁するほどの責めを受けたことを彼女はなんとか思い出した。
しかし、あの時、そして現在も彼女は自分が置かれた状況にまったくついていけない。
「どこなの・・・ここ・・・」
半径1mくらいの足場の上で彼女は身動きがとれない。
周りにその足場以外の道はなく、奈落の底には何があるのかわからず、飛び降りる勇気はない。
おどおどもじもじしている間に、彼女の足場に変化が生じた。
地面に何も変化がないように見えるのだが、彼女の素足にあの感覚が蘇ってきた。
「くふぅっ!?ふふっ・・・うふっ!?ふふぅぅ・・・ふっふふふふふ・・・」
ここで彼女は裸足だということに気づいたが、そんなことより足を襲うくすぐりに思考を奪われる。
「くひひひひひひっ!!ふふっふふひひひひっひ!!!くふふふひひひっふふひひひひ!!!」
彼女はくすぐったさから逃れようと動いてもくすぐりの感覚から逃れられない。
全体重が足の裏にかかっているため、足の裏への攻撃力は増している。
「いやっ!!!もうくすぐったいのいや!!!うひひひひひはははははは!!!」
先程のくすぐりの恐怖が脳裏に蘇ってくる。
「くひひひははははは!!!うひひひひ!!いひひひひははは!!!うふふふひひひ!!!」
「ひひひはっははははーー!!!くふひひーーー!!ひひひはははぁぁーーー!!!うひぃぃ!!!」
「あははは!!!ひははは!!あははーーー!!!やめ・・やめてええーーー!!!」
「くすぐったいのいやぁぁぁーーーー!!!!もうやめてぇぇぇーーーー!!!」
ひたすらに足場の上で地団駄を踏む。しかし、まったくくすぐったさは収まらず、むしろ強くなっていく。
しかも、気づくと足場はどんどん狭くなっている。
くすぐったさに苦しんでいるうちに気づくと、直径25cmくらいの円形の足場になっており、
ただその場で足踏みを踏むことしかできなくなった。
「んひひひひひ!くひぃい!ひひひひひ!あはははははは!あははははははははは!」
このくすぐったさから逃れるためには得体もしれない崖の下に飛び降りるしかない。
しかし、飛び降りる勇気など彼女にはない。
「くくくくくすぐったいぃいいいい!!くすぐったぃぃぃぃぃーーーーー!!!」
「あし!!あしぃぃぃーーー!!!あしのうらがぁぁーーー!!あしのうらぁぁははははは!!!」
「たすけてぇぇぇぇ!!!とめぇぇぇぇぇ!!!やめてぇぇぇ!!!いやぁぁーーーーっ!!」
「いやぁっ!?もういやぁぁぁぁ!!!あーーーーっ!!あっ・・・!?」
くすぐったさから逃れるために足踏みをしているうちに、足場から足を踏み外してしまった。
そして彼女は真っ逆さまに奈落の底へ落ちていった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


231 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:48:45 Gt9b84KI0
どれだけの高さから落ちたのだろうか、大きな衝撃は受けていない。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
くすぐりの恐怖から落下の恐怖。
そして先ほど受けた凄まじいくすぐりもあり、彼女の精神は疲弊しきっていた。
「もう・・・帰りたい・・・。」
そもそも今自分がどこにいるのかまったくわからない。
いつからここにいるのかもわからない。
なぜあの絶対拘束の状態でくすぐられていたのか?
よくよく考えると謎だらけである。
今自分がいる場所もよくわからない場所である。
なんと表現するべきかわからない。上からスポットライトを当てられたような状態である。
先程の崖の下のような暗闇が取り囲んでいる。
「ひゃっ!?」
不意に誰かに彼女の足首を掴まれた。足首を見てみると、手首から先の部分の手が足首を掴んでいた。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
得体の知れないものに足首を掴まれている恐怖。
そして今の彼女は手を見ると「くすぐり」を連想するようになってしまっている。
またくすぐられるという恐怖が彼女を支配する。
その手は知らないうちに増殖を始めていた。
彼女の足元には数百の手が指を蠢かしていた。
「いやっ!!!いやっ!!!もういやぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!」
彼女は完全に確信したのである。くすぐられると。
数十の手が彼女の体を登る。そして彼女の体をくすぐり始めた。
「いやああああああああああああああああああ!!!あっあはははは!!うひひひははははは!!!」 
「や、やだっっやだあああああああああああ!!やめてええええええ!!やめてぇぇぇぇぇーーー!!」 
「あひゃああははははははあはははははははは!!やだっっやだやだやだああああ!!やだぁぁ!!!」
「うぎゃあああああああ!!!やめてぇぇぇぇぇーー!!もうよしてぇぇぇぇーーー!!!」
「た・・・たすけてぇぇぇーーー!!!たしゅけてくだしゃぃぃぃぃぃぃ!!!たしゅけてぇぇぇぇーー!!」
「ごめんなしゃい!!!ごべんなしゃぃぃぃぃぃぃーーーー!!!もう・・・もうゆるしてぇぇぇーー!!」
手たちは器用に彼女を転ばせ、彼女を地面に横にさせる。そして一気に手が体に群がる。
数百どころか数千、数万、数え切れない程の手が彼女をくすぐりはじめる。
彼女の顔以外手に埋まってしまいまったく見えない。彼女は必死に身を捩らせるが手は全く離れない。


232 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:49:47 Gt9b84KI0
手たちは器用に彼女を転ばせ、彼女を地面に横にさせる。そして一気に手が体に群がる。
数百どころか数千、数万、数え切れない程の手が彼女をくすぐりはじめる。
彼女の顔以外手に埋まってしまいまったく見えない。彼女は必死に身を捩らせるが手は全く離れない。
「うひゃああはははははははははは!!やめっひゃめえええええ!うぎゃははははははははははははは!!」
「だめっっこんなのだめえぇええへっへっへへへへへへ!!もうほんとにむりぃぃぃぃぃーーーー!!!」
「しにゅぅっ!!しぬぅぅぅーーー!!!しぬよぉぉおおおーーー!!!!たじゅげでぇぇぇ!!!」
「こんなのたえられないぃぃいい!!やめてえええええ!!がまんできなぃぃぃ!!!!ひぎゃぁあああ!!」
「やめやめっやめへっへへっへへへへ!!ぎゃははっはははっははっははっはあっはははははは!!」
「やらぁああああ!!だめへへっへへへへへ!!くすぐったいよぉおお!!うはははぁぁぁぁーーー!!」
「体中がくすぐったぃいいいいいいいいいい!!ゆりゅしてぇぇぇぇぇゆりゅしてええーー!!!」
「ほんどにむりぃぃーー!!じぬぅぅ!!じんじゃうよぉぉーーー!!」
「もうひゃめへくらはひいいひひひひひひひひひひひーーー!!ひゃめてくりゃひゃぁぁぁーーー!!!」
「にげられなぃぃぃぃぃ!!んぁああああん!!!あっあぁああはっははははっははははははは!!」
「ぎひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っぁぁぁーーー!!!」
「ゆびぃぃぃーーーうごかさないでええええええ!!い゛や゛ぁああああはああはーーー!!!!」
「い゛や゛い゛や゛、い゛や゛ぁぁぁぁぁあぁぁあああああああああああああーーーーーーーー!!!」
「こんなたくさんやめひぇええへへへへへへへへへへへへへ!!む゛り゛ぃぃぃぃぃぃーー!!」
「ぐじゅぐっだい゛いぃいいいいいいいい!!ぐじゅ・・・ぐしゅぐっだい゛いいいい!!」
「おねがいしましゅうううぅぅううーーー!!!とべでくだしゃぃぃぃぃ!!!!しぬぅぅぅ!!!」
処刑者たちのくすぐりすらも遥かに超えるくすぐったさ。
彼女の目は白目を剥き始め、顔は鼻水・涙でぐちゃぐちゃ、口は開きっぱなし、舌がだらしなく口から出ている。
さらに彼女を苦しませようと手は顔に殺到し始めた。


233 : くすぐり好きの名無しさん :2014/04/30(水) 04:50:00 Gt9b84KI0
数十の手が彼女の口へ。彼女は吐き気を催し始めた。
「お゛お゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええぇぇぇぇ!!!ぐひひひへへへへへえええええ!!!」
鼻の穴にも手は殺到する。もう彼女の顔は見るに堪えない。
「んお゛お゛ぉぉぉぉぉおーー!!!ぐぉぉぉお゛ぉぉぉ!!!!おぼえええええ゛ぇぇぇーーー!!」
彼女は限りなく死に近づいたような状態である。
「ぐぎぎぎぎがぼぼぼごぼぁぁぁぁぐべべへへへぇぇぇぇぇおぐぉぉぉお゛お゛ぉぉぉぉーーー!!!」
「ばぼぼぼぼべべべぶぶぐごごえごぶばびばばばばばおぼぼぼべべえええええええぇぇぇ!」
「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!ぴぎゃぁぁぁぁあああああーーー!!!」
「ぶびゃびゃびゃーーーーっっっ!!!ぶひひゃあああごぐぎぎぃぃぐぎゃぁぁーーーー!!!」
「んんんんぐごごごほほほぼぼぉぉぉぉっぉんぉぉぉぉおぉおおおおおおおおおお!!!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーー!!!!!!」
もう彼女も今日何度目の気絶かをおぼえていない。

「ほぐぉぉぉぉぉああああああーーーーーーーーー!!!!ふぐぅぅぅぅぅぅぉぉぉぉぉーーーー!!!」
「うごああああああああああああ!!!おごぉぉぉぉぉーーーーーー!!!うがぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!」
「ふぐぅぅぅぅぅーーーー!!うぐぉぉぉぉーーー!!うがあぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
彼女はまた処刑者たちの責めで覚醒した。
一体どれが夢なのか現実なのか彼女にはさっぱりわからない。
何度もくすぐられて彼女の体は敏感になっているようで、数万の手に責められた時の数十倍の苦しみである。
「むっむぐふっふふふふふふふふ!!むぐぅぅううううううう!!んぎゅふふっふっふふふふふふ!!」
「ぐふぅぅぅぅぅぉぉぉぉぉおお!!!ふぐぅぅうううううう!!!むっっっむふっふっふふふふふ!!」
「ううぅうううううううう!ふっふっふふふ!んっっんーーーー!!んふっふふっふっふふふふふふ!!」
「むふぅぅううう!?くぅぅぅぅぅぅぅぅぅーー!むほぉぉぉぉぉおお!!!!むふぅううぅぅぅぅう!!!!」
「ふぐっっふぐっ!!ふごっ!!ふごぉぉーーーーー!!ふっふっんぐふふふふふ!!ふぉぉぉおーーー!!」
「んんんんんぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
またもや失禁、気絶。

目覚めるとまた数万の手に囲まれる。気絶する。目覚める。処刑。気絶。くすぐられる。

ミキは目覚めた。とんでもない夢だった。地獄のような夢だった。
子供の頃から苦手だったくすぐりを夢の中で気絶するまで受け続ける。
疲れを癒すはずの眠りが、むしろ疲れてしまった。
「ふぅ、今何時だろう・・・。」
体を起こそうとするが、体が動かない。
手足が動かない。金縛り?もう夢は終わったはず。ここは現実のはず。
「くひゃぁっ!?」
夢だったはずのところで気絶するまで受けた刺激を感じた。右脇腹だ。
必死に目線を動かし右脇腹を見ると、指をくねくね動かした手がいた。
「いや・・・いやぁ・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」


234 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/01(木) 00:10:08 R5lWknFc0

ハードコアな責めがいいな


235 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/01(木) 19:19:48 QNEGrps.0
デモノフォビアか何かで?(錯乱)
いいぞぉ!いたいけな少女をこの世から
消し去ってしまえ〜!


236 : 146 :2014/05/05(月) 14:25:35 aVIdjUzw0
友人の腐女子Aに見事くすぐりフェチがばれるとかいう悲劇が…

ソフトくすぐり系を書いていたつもりがいつの間にか普通の百合小説になっていた。








「あーもう、暇すぎ!」

暇だ。暇すぎる。暇すぎて死んじゃう。しかも暑い。
だいたい夏というのはどうしてこうも昼が長いのか。
私、フランドール・スカーレットはこの通り暇であった。
屋敷の中を自由に動けるとはいえ、咲夜は掃除中、パチェは魔法実験。
美鈴は門のところで寝てるだろうし、
昼夜感覚の入れ替わっているお姉さまは今は寝ているだろう。
吸血鬼目線では昼に起きてる私のほうが昼夜感覚が入れ替わってる気もするけど。
出かけるにしてもここ最近は嫌になるほどの快晴だった。現に今日も雲一つない悪天候だ。

「相変わらず暇そうね」

私のベッドの上でおいしそうにケーキをほおばっているのは、親友の古明地こいし。
ちょっと待て、突然いるのはいつものことだからいいとして、そのケーキは?

「うーん、やっぱいちごジャムがべたべたしすぎてるかな」

「それ私のおやつなんだけど」

ああ、今日の午後の私の唯一の楽しみがなくなった。
いつの間にか紅茶まで飲み終わっている。いったいどんな教育を受けてきたのやら。

「で、今日は何しに来たの、こいし?」

「えっとねー、フランちゃんの部屋に立ち寄ったら暇そうにしてたから、冷やかしに来たの。
ケーキとお茶まで用意してあるんだもの、お客さんを待ってたんでしょ?」

「なわけあるかあーっ!ケーキ返せ!」

全力全開のスターボウブレイクをこいしに向けて放つ。
もっとも毎週3回は遊んでいる仲なので、お互いの手の内は知り尽くしている。
パターン性の強いスペルは軽々とよけられてしまうだろう。
というかパターンも何も、そもそもこのスペル、安置がある。

「わわっ、ごめんごめん!今度はお茶は残しておくから!」

「そこじゃないでしょ!」

「わかったわかった、今度紅茶買ってきてあげるから!」

「はあ…」

わかってないだろ、と思いながらこのことは水に流すことにした。
どうせ買ってきてもらうなら、普段咲夜が出さないような
ちょっとくらい高級な紅茶でもいいよね。

「で、どうせ本当に冷やかしに来たわけじゃないんでしょ?
何しに来たの?」

「フランちゃんとくすぐりっこしに来たのよ」

「よく堂々と言えるわね」

お姉さまのスカーレットシュートと同じくらいのド直球だった。
事の発端は数か月前。不意打ち気味にこいしが私をくすぐってきたときに
大げさに反応してしまったのでそのままされるがままにされたのが始まりだ。
まあおかげさまで何かに目覚めそうなんだけど……

「まったく…えっと、今日は私からだっけ?」

「そうだっけ?まあいいけど」

私のベッドにボフンと倒れこむこいし。
こうやって見ると無邪気で可愛くて、理想の女の子候補No.1なくらいなんだけど、
どうしてこうも自分勝手というか、自己中心的というか…
まあそれが好きなんだけど。

「…何そんなに見てるの?」

「何でもないわ」

こいしがまじまじと私の顔を覗き込んでくる。
きらきらした愛くるしい目。卑怯すぎる。ちょっぴり目をそらす。
なんとか平静を装ったけど、絶対顔赤くなってるだろうなあ。
耳元が熱い。心臓がドキドキする。これがいわゆる恋心なのか。


237 : 146 :2014/05/05(月) 14:26:46 aVIdjUzw0
「じゃあこいし、縛るから手、上げて?」

「はーい」

こいしが何の警戒もなく両手を上げる。
いつからこんなものがあったのか、ベッドの横に置いてある
手錠でこいしをI字に拘束して、太ももの上に腰を下ろす。
それをすんなりと受け入れるこいし。
実のところ仕返しでも狙っているのか、
それとも依頼は無意識に守ってしまう根はいい子なのか…

「あれ、くすぐらないの?」

「え、あっ…す、するわよ!」

訂正、ただのくすぐられフェチ。
こいしの服はゆったりしているから、袖や裾から手を入れるだけでくすぐることができる。
別に脱がしてもいいんだけど、こっちになれちゃってるし、なによりもう拘束しちゃってる。
ここ最近は上着を脱がすこと自体がほとんどない。
無防備に開かれたこいしの脇へと手を伸ばして、ふわふわと指を動かす。

「んふふっ…んんっ…くふぅっ!」

「まだ服の上からくすぐってるだけだよ?」

こいしはかなりくすぐったがりだ。
だからあんまり激しくくすぐるとすぐに息が上がってしまって長くくすぐれない。
おそらく能力の関係で他人との関わりが少なかったからだろう。
最も、私も軟禁状態だったから弱いんだけど。

「きゃはっ…やああっ!や、やめっ…!」

「相変わらず敏感だね、こいしって」

脇から脇腹に向けて、すーっと指でなぞる。目をぎゅっと閉じて、ふるふると震えるこいし。
そんなに強くくすぐってないんだけど…。
今度は脇腹をやわやわと揉んでくすぐる。

「んはははっ、ひゃはっ!フ、フランちゃっははは!」

脇へのさわさわとしたくすぐりに比べれば、脇腹を揉むくすぐりのほうが刺激が大きい。
それにこいしは脇腹のほうが弱いみたいだから、反応が大きいのも当然だ。
とはいえ、このくらいなら私でも我慢できるはず。…たぶん。

「あっははははは!お、おねがい、いったんストップ!」

「あ、もう限界だった?」

一度手を放してくすぐるのをやめる。
いつもよりちょっとギブアップが早い気がした。
優しくくすぐる分には私以上に耐えられるんだけど、ちょっとくすぐる手を強めると
すぐに白旗を上げてしまう。
私としては激しくできないのはちょっと残念だけど、
でもこいしが満足してくれるなら、まあいいかな。

「けほっけほっ……はあ……はあ……」

「大丈夫、こいし?」

「はあ……はあ……う、うん…」

ちょっとだけ目を潤ませてこいしが応える。
ああもう、いちいち可愛いんだから。
そんな風に見られたらもっといじめたくなっちゃう。

「さ、じゃあ2回戦はじめよっか」

「ふえっ!?ま、まって、まださっきのが…」

わめくこいしを無視して、裾から服の中に手を入れ、さっそく脇腹へと手を伸ばす。
そして撫でるようにこいしの素肌をくすぐる。

「ひゃっ!ちょ、まっ…あはっ…!やだっ…きゃははっ!」

「相変わらず弱いんだねー」

「う、うるさっははは!フランちゃんのいじわる、鬼、サディスト!
あはははははは!やめてってばああっはははは!」

「元からそのつもりだけど?ほら、こちょこちょこちょ〜」

手で撫でる動きから指を蠢かせる動きへと変える。
こいしの苦手な、激しいくすぐり。

「きゃはははっははははは!ちょっだめだってばああっはははは!
この悪魔、鬼畜、変態、バカ!」

なんか最後のほうに系統が違う言葉が聞こえた気がする。

「ほら、こっちならまだ平気でしょ?」

今度は胸の横あたりをくすぐる。ちょっと強めなのはバカって言った罰。
こいしも私もぺったんこだけど、こいしのほうがほんの少し膨らんでいる。妬ましい。


238 : 146 :2014/05/05(月) 14:27:12 aVIdjUzw0
「あっははははは!どこくすぐってんのおおおお!くふふふふっはははは!」

「まったく、なんでこんなにくすぐったがりなのに自分からされたいって言うんだか…」

「う、うるしゃああっはははははは!フランちゃんだって脇が弱いくせにー!」

「なっ…!何で知ってるのよ、こいし!」

ちょっとまって、私は弱点を教えてないはず。だいたいそんな事こいしに教えたら何されるかわからない。
ということはくすぐられてる時の私の反応が相当わかりやすかったか、もしくはカマをかけられたか。
前者の仮説に顔は一気に赤くなり、後者の仮説にこいしへの怒りが生まれる。

「うふふ、さすがにちょっと怒ったかなー?」

「うあっははははは!な、なにいって…んあうぅっ!?」

こいしが質問を終わらせる前に、手をぴんと伸ばされてがら空きになった脇の下へ人差し指を押し込む。
そしてこいしが耐えられるようにゆっくりと、ただししっかりと指を動かす。

「うはあっ!くふふ…んぅ、あはっ…!やあっ…うう…」

「このくらいならぎりぎり耐えられるんでしょ?」

「で、でもこれ…っ、なんかちがあっ!…うから…ふふっ!む、むりいっひひひ!」

それもそうだ、だって私が先週これをこいしにされて泣いたくらいだもん。
確か1時間くらいずっと生殺しにされっぱなしだったっけ?
だから2時間くらいはやり返さないと。

「ひゃあああっ!フランちゃんやめ、んはあっ!お、おかしくなっちゃう!」

「だーめ。おかしくなっちゃえばいいじゃない」

される側の時はものすごく辛かったが、する側に回ってみると意外と癖になる。
たった2本の指でこいしをよがらせてるという感覚がたまらない。
…なんか楽しくなってきた。

「ふっふっふ…先週の恨みーっ!」

「んっあっ!はあうっ!!!ご、ごめんなっ…ひゃううっ!!」

「別に怒ってないよー?」

「うっ、うそ、っだああっ?!うにゃあっはははは!!」

こいしの服の中で、脇の下をねちねちとくすぐる。
くるくるとかき混ぜたり、指を押し付けてぐにぐにしたり。
夏の気温と地下室特有の湿度で適度に汗ばんだこいしの肌は、
まるで石鹸が付いているかのように摩擦を生み出さない。

「フランちゃん、ちょっ、待って…んふっ!」

「また休憩?」

このまま続けるのもいいけど、こいしが倒れてしまったら続けたくても続けられない。
とはいえやめる気はさらさらないから、
両手合わせて10本の指をこいしの両脇でもぞもぞと動かす動きに返る。

「くくっ…んふっ…きゃはあっ!そ、それ…んははっ…だめ…っ!」

「このくらいなら平気なんでしょ、こいし?」

さきほどのくすぐりでこいしが暴れたから、だいぶこいしの髪が乱れている。
息は上がっていて、そのせいで顔も真っ赤だ。
ただほんのちょっぴり恍惚とした表情が混ざってる。

「どうしたの?そんな嬉しそうな顔して?」

「だってこうされるのが…ふふっ…一番好きなんだもん…」

さすがは変態…じゃなくて、くすぐられフェチ。
『フランちゃんにやってもらってるから』って言ってくれればいいのに。
指から力を抜いて、敏感な脇の下の神経をすりすりさらさらと優しく刺激する。


239 : 146 :2014/05/05(月) 14:27:39 aVIdjUzw0
「ねえこいし?」

「ひゃう…な、なに?…んんっ……うう…っふふふ…」

「なんでこいしはくすぐられるのが好きなの?」

私はくすぐられるのが好きというより、こいしに何かしてもらうのが好きなだけだ。
最近は本当に好きになりかけてそうだけど…。
だからこいしの持つ理由に前々から興味があった。

「くひひっ…んっ…なんていうのかな…されてると意識しちゃうから…あっ…」

「ふぅん…でもそれなら別にソフトじゃなくてもいいじゃない。
なんで優しくされるほうが好きなの?」

「ひゃんっ…そ、それは…あはっ…!」

なぜか赤くなるこいし。なんか変なこと言った?

「くふふっ…いわな、きゃ…っ!だめっ、…かな?」

上目づかいに問いかけてくる。やばい、可愛すぎる。

「教えてくれないの?」

「だ、だって…」

「ならこうするけど」

再びこいしを思いっきりくすぐる。それも先ほどよりも激しく。

「いひゃあっ!?あああっはははははははははは!やめっっへへへっはははは1」

「ほらほらー、言わないとずっとこのままやるからね」

「いやっははははははははは!わかったからああっはははは、言うからあっは八はあ!」

案外あっさりギブアップした。私としてはもうちょっとおもいっきりやりたかったけど。

「ほら、じゃあ優しくされたい理由教えて?」

「ぎゃっははははっははははは!!いうから、言うからやめてってばああっ!」

「だーめ♪」

「い、いじわるううっはっははっはははは!!」

だってまだ思いっきりやりたいのにこいしがすぐギブアップしちゃうんだもん。

「さわさわされるのがあああっはははは!きも、ちいいのっはははっはははは!!」

「はい?」

――はい?
口に出した言葉と頭の中での言葉とが完全に一致する。
一度手を休ませる。えーっと?

「フランちゃん、そ、その…あうう…///」

「……」

つまりこいしが優しくソフトにくすぐられるのが好きなのは、
気持ちいいから、と。たぶん性的な意味で。
正直こいしのくすぐられフェチがここまでとは思ってなかった。

「フ、フランちゃん…?」

「……ふふ」

「え?」

「ふふふふふ……」

これはいいこと聞いちゃった。
たぶんこいしには今の私は顔に影が落ちて目がキラーンって光ってる感じに見えているに違いない

「つまりこいしをねちっこくくすぐれば…」

「え、えっと…フランちゃん何考えてっはあう!?」


240 : 146 :2014/05/05(月) 14:28:01 aVIdjUzw0
3回目くらいのくすぐり攻撃再開。
でもさっき前とは違う。こいしに快感を与えるためのくすぐり。そして私も楽しんでる。
こいしが優しくくすぐられると感じてしまうというなら、
それを続ければこいしはイッてしまうかもしれないし、そうでなくても焦らし責めにできるわけだ。
つまり「フランちゃん、も、もう…ダメ…///」なこいしの可愛い姿が見られるわけである。

「ひゃははっ!んあっ…!フラ、ン…くふっ…こ、これ強すぎる…!」

「そりゃあ、くすぐられて感じちゃう変態こいしにはちょっとお仕置きしないとね」

うん、我ながらだいぶプチサディスティックなことを言った。

「変態なんかじゃ…くひゃっ…ない、…ないもんっ!ふはあっ…!」

「じゃあエッチちゃん。それともドМちゃんって呼ぶ?」

「やっだあっ…そんな…の…!ああう…くすぐらないでよぉ…」

やばい、可愛すぎる。(2回目)
こいしの腰にまたがったまま裾をたくし上げて、こいしに密着するように倒れこむ。
こいしと私の顔の距離、10センチくらい。
ちょっと両手が辛い姿勢だけど、こいしの価値は無限大なので我慢することにした。

「フランちゃん…ふふっ…近い…よ…うひひっ…」

「だってこいしの顔が可愛いんだもん」

「やはっははは…へ、変なこ…んふふっ…言わないでよ…ふぁあっ…」

体が密着しているので、こいしがもぞもぞと動いているのを全身で感じる。
よほどくすぐり責め…というか快楽責め?焦らし責め?
まあそれが効いてきているのだろう。

「はあんっ…フ、フランちゃん……きゃはんっ…くくっ…」

「気持ちよさそう。イキたかったらイッてもいいんだよ?」

「あふふ…む、無理…ひゃいん!…そこまで気持ちいいわけじゃ…んんー…っ!」

「ふふふ…じゃあなおさら続けないとね。こちょこちょこちょ…」

「くはあっ!?こちょこちょって言わなああっ!きゃはははっ!」

「ちょっ、あんまり暴れないでよ…ふぅ〜」

「ふああっ…そ、それだめえ…はははっ…んふぅ…」

途端に全身の力が抜け、くてっとなるこいし。
こいしに限らず、パチェもお姉さまも耳が弱い。
舐めたり息を吹きかけたりすると脱力するぐらいいいんだとか。
私は全然平気なんだけど、それはそれでなんか損してる気分だ。
ちなみにこいしは耳舐めはあんまり好きじゃないらしい。

「相変わらず弱いんだね…こちょこちょ…ふぅ〜…」

「うああっ!一緒はあっ…!はははははっ……や、やめてっっはははははっ…!」

指を押し付けて神経をなぞるように、あるいはつんつんと突っつくように。
時にはわしゃわしゃとかき混ぜるように、ふにふにとつまむように。
でも決して激しくせずに、こいしが嫌がらないように優しくソフトに焦らすように。
こいしがたまらなくなるように、時折吐息責めも混ぜて、時間をかけてたっぷりくすぐる。

「ひゃひひひっ、やだっ…ああんっ、きゃっははは……あぁぁ…くふふっ!」

「可愛いなあ…もう…」

「そんなこといいからっはは!もうやだっ…ああっ、げんかい、だかっ、らああ!」

気づけば結構時間が経っていた。楽しいことをしているとすぐに時間がかかるってよく言う。
時間を意識した瞬間どっと疲れが出てきた。くすぐり責めも結構疲れるものだ。
たぶん変な姿勢でやってるのが原因だろうけど。
さすがに限界に近いこいしをこれ以上お預けするのもかわいそうだし、
こんな状態のこいしをずっと見てきた私もそろそろ限界だ。理性的な意味で。


241 : 146 :2014/05/05(月) 14:28:28 aVIdjUzw0
「イキたいの?」

「ふえあっ…?んあっ…あははっ…ううぅ…」

なんというストレートな質問。普通の女の子ならまず答えない。
でも、今のこいしなら――

「うん…あはっ、ふふふっ…フラっ!…んちゃん、お願い…」

「ふふ、わかったわ」

言うと思った。こいしをくすぐる手を止める想像通りだ。
あとはここからどうしようか…。ムード的に激しくするのはよくなさそうだ。
だいたい私だって楽しみたい。

…だから甘々に責めることにした。

「こいし…」

「フランちゃ…んむっ?!」

こいしに覆いかぶさるようにしてキスをする。
ちょっぴり甘いのはさっきこいしが盗み食いした私のケーキのせいだろう。
左手をこいしの体の下に通して抱き寄せながら、右手を彼女のスカートの中へ入れる。

「んんっ…ちゅう…ぷはあっ……こいし…もうこんなにびちゃびちゃじゃない」

「あっ…んああっ…フランちゃんが…んっ…あんまり焦らすからだよ…」

「そんなにしたつもりないんだけど……んちゅっ……んっ……」

こいしの秘所は予想以上にびしょ濡れだった。
スカートを脱がしてじっくり見てみたいけど、今更ここを動くのも億劫だ。
こいしの唾液を味わいながら、下着の上からクリトリスを擦る。
直接中に入れないのは、こいしの処女(としての血)は大事だから。吸血鬼だもの。

「んっ…むぅぅっ……むちゅ…」

「んむぅ…んっ…はあっ…!フ、フラン…もうダメ…」

「はあ…はあ…もうイキそう…?」

「うん…ああっ、あっ、んああっ…も、むりぃ…」

涙目で訴えかけるこいし。天使すぎる。

「可愛い……ほら、イッちゃえ」

「ああっ、んあっ、ふああっ、んあああうううっっ!!!」

こいしが全身を痙攣させて絶頂に達したようだ。
しっかり密着しているので、こいしの絶頂を全身で感じられる。
できることなら一緒にイキたかったけど。

「…きもちよかった?」

「はあ…はあ…」

息切れしながらこいしが幸せそうな表情でこくこくと頷く。

「…ふう、ちょっと眠くなっちゃった…」

「そりゃああれだけやったからね。ちょっと休んだら?」

「うん…おやすみなさい、フランちゃん」

「おやすみ、こいし……」

とか言いつつも、ノンストップだったせいで私も疲れた。
私もちょっと寝よ………――――――


242 : 146 :2014/05/05(月) 14:29:38 aVIdjUzw0
「…ううん……?」

知らない天井だ。…って言いたいとこだけど、残念ながら見慣れたいつもの天井。
寝起きのせいか、頭がくらくらする。ああ、そうか。あの後寝ちゃったんだっけ。

……ん?天井?なんで天井?
だって目の前にはこいしの寝顔があるはずじゃ…

「ふっふっふ、ようやく起きたね、フランちゃん…!!」

「こっ、こいし!?」

右からこいしの声がするので振り向こうとするが、振り向けずにガチャガチャという
音だけが響きわたる。なにこれ、手錠?
強引に引きちぎろうとするが、なぜか壊れない。私からしたら粘土でできているようなものなのに。

「こいし、あんた何をしたの?」

「目が覚めたらフランちゃんが汗でべちょべちょだったから、シャワーで流してあげたの。
 それから着替えさせたついでに拘束してみたわ」

吸血鬼に流水ダメ、絶対。力が発揮できないのは多分そのせいだろう。
こいしが先ほどの私のように、私の上にまたがってくる。
というかついでに手錠するって、可愛い顔してどういう頭してるんだろうか。

「さあフランちゃん、今度は私がやってあげるから」

「な、なにを、かなー?」

聞かなくてもわかっている。
こいしの悪戯っぽい笑みと、わきわきさせた両手を見れば、嫌でも意識してしまう。

「うふふ…フランちゃん覚悟ーーッ!」

「ちょっ、こいし、いやああああああああああっはははははははは!」

この後私は仕返しと言わんばかりの強烈なくすぐりを数時間にわたって受けることになったのであった…。


243 : 146 :2014/05/05(月) 14:31:38 aVIdjUzw0
以上です。我ながらひどい文章力だ…
楽しんでいただけたら幸いです


244 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/06(火) 00:24:59 o3dW4Hdo0
gj!


245 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/06(火) 14:40:34 nEYOFmpQ0
久しぶりに東方もん見たな

良い物を見せて貰った


246 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/06(火) 16:24:27 nEYOFmpQ0
ここは幻想郷

ある山の麓、そこから流れる川を辿ると一つの湖に出る
その畔に建つ紅を基調とした一軒の館があった

咲夜「お嬢様。紅茶が入りましたわ」

この館のメイド長である十六夜咲夜がまた何時もの様に
自作の紅茶をお嬢様と呼ばれた少女に差し出す

レミリア「あぁ、判ったわ」
少し呆れた様に紅茶を受け取り口に含む

レミリア「やっぱり、まずいわね」

この館の主レミリア・スカーレット。見た目は幼いがこれでも500歳は越えて居る吸血鬼である
最もこの幻想郷ではこれ以上の年齢など幾らでも居るが

レミリア「また変な物を入れたわね?」
咲夜「変な物じゃなくて茶葉ですよ」
レミリア「前は毒草も入ってたけどね」
咲夜「気のせいですわ」

レミリア「何とか言え」
そう言って知らないと横を向く咲夜の脇腹をつつく

咲夜「はふっ…」
レミリア「へぇ」

レミリアの顔に笑みが浮かぶ、明らかにお嬢様の物ではない悪魔の笑みが
咲夜「あっ、まずい」
レミリア「何がまずいのかしら?」
咲夜「何でもありませんわ」
レミリア「ちょっと来て貰うわね」
咲夜(この目は…)

そう言って寝室と見られる一室へ付く
レミリア「咲夜。疲れてない?」
満面の笑みでレミリアが近付く
咲夜「だ、大丈夫ですよ」
レミリア「まぁまぁ、私が許すわ。そこに寝るのよ」
咲夜(これは冷めるまで離れた方が良いわね)
レミリア「ほらさっさと寝るのよ。お茶のお礼もあるから」

そっとスペルカードを手に取るが捕まれる
咲夜「ちょっ、お嬢様。駄目ですよ」
レミリア「暴れるなら、仕方ないわね」

レミリアが強引に手を引きベッドへ押し倒す
咲夜「な、何をしてるのですか?」
レミリア「暴れたら困るからよ」

そして咲夜を片手で押さえ付けたまま何故かベッドの横に添えてあった紐を手に取り
レミリア「何時ものお礼だから楽しむと良いわ」
咲夜「何時ものって…」
レミリア「何時ものよ」

そして人間とは思えない速さで咲夜の手足を縛りあげた。
というか人間ではない
レミリア「さて、行くわよ」
咲夜「行くってちょっと…お嬢様!やめてください!」


247 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/06(火) 17:22:04 nEYOFmpQ0
そしてレミリアは咲夜の脇腹に優しく触れ
レミリア「まずは、ここかしら」
咲夜「はふっ…」
レミリア「ほれ揉み揉み」

ゆっくりと添えた手を動かし出す
咲夜「くふふっ…駄目ですって」
レミリア「咲夜。リラックスしてれば良いのよ」
咲夜「お、お嬢様。これじゃ出来ませんわ…くふふふっ!」
レミリア「我儘ねぇ、もう少し強くすれば良いのかしら?」

そう言ってレミリアが浮かべた笑顔は、まさに悪魔の笑みである
咲夜「あはははっ!くふっ…!くすぐったいです」
レミリア「くすぐってるからねぇ」
咲夜「くすぐっ…やめ、くふふふ!」
レミリア「そろそろ強くするわね」

自分の指先で笑い転げる咲夜を見て、心底楽しそうにレミリアは咲夜の脇腹を揉み込んだ
咲夜「お嬢様っ…はははは!やめてくださあっはっは!」
レミリア「そんなに笑って、楽しいのね」

そんな皮肉を言いつつグリグリと脇腹を混ぜる
咲夜「やめへ…くふふふふ!あはっ…きゃははは…はぁ、はぁ…」
レミリア「楽しんでくれてるわね。ならこっちもしてあげるわ」

一瞬で脇の下に手を伸ばしコリコリと骨を刺激する
咲夜「そ、そこは駄目ですっふふふ!あはははは!」
レミリア「そこは、何かしら?」

思い切り聞こえて居るがレミリアが意地悪く聞き返す
咲夜「だから駄目ですっふぁっはっは!くひゃははは!」
レミリア「ここが良いのね?判ったわ」

にやけながらくすぐり続けるレミリアの表情は悪魔そのものであった
咲夜「駄目って言っ…はっはっは!お、お嬢様!くひゅふふふ!きゃはは…!」
レミリア「まぁ、揉み続けてもつまらないわね」

引っ掻く様に、それで居て痛み無い強さで、高速でレミリアの指が踊る
咲夜「あははははは…!っふふふ!これ嫌っ…ふははは!」
レミリア「そんなに気に入ったのかしら?」
咲夜「やめてくださ…きゃははは!ひぃ…ふひゃっ!あはははっ…!」
レミリア「ねぇ、咲夜。楽しい夜になりそうね」

そう言って脇を引っ掻いて居た手を止め靴を脱がせる
咲夜「…っはぁ、はぁ…お嬢様?」


248 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/06(火) 18:54:30 nEYOFmpQ0
レミリア「こっちはどうかしら?」

ソックス越しに土踏まずをなぞる
咲夜「…っははは!お嬢様。そろそろ…っふふ…やめてください!」
レミリア「まだよ。もっと楽しくしてあげるわ」

そう言って指を高速で往復させた
咲夜「くふふふ…!ひゃめてくださっははは!」
レミリア「噛んだわね」

レミリアがにやりと微笑み、さらに速度を上げる
咲夜「そんなっ…あっはははは!喋れなぃひゃははは…!くひゅふふっ!」
レミリア「さて、最後はやっぱりあれね」

レミリアは足をくすぐる手を止め、そっと背筋をなぞりあげた
咲夜「…はぁ、はぁ…ひゃうっ!」
レミリア「気持ち良いかしら?」
咲夜「はぅっ…っはぁ…お嬢様…本当にやめっ…くふふ!」
レミリア「そろそろ終わりだから大丈夫よ」

指先で背筋から首元まで優しくなぞる
咲夜「くふっ…!はぁ、はぁ…そろそろって何時なのですか」
レミリア「もう少しよ、最後に遊んでから」
咲夜「最後に…ちょっ、駄目ですよ」
レミリア「行くわよ、咲夜」

物凄い速さで脇腹と脇の下の間を掻き回す
咲夜「…っははははは!やめてく…ふははは…!はひゅっ!」
レミリア「咲夜。聞こえないわ」
咲夜「そ、それはっはっは!きゃはははふふっ…!あははは!」
レミリア「これで最後よ」

レミリアがそう呟くと指の動きがさらに速くなった
咲夜「きゃっはははは!くひゅふふふ…!死んじゃ…あははは!」

そして突然指が止まり

レミリア「咲夜」
咲夜「お、お嬢様…はぁ…はぁ」
レミリア「何時もお茶を淹れてくれてありがとう」
咲夜「お嬢様…?」
レミリア「変な物は入ってるけど腕は最高よ」
咲夜「当然ですわ」
レミリア「変な物は入ってるけど」
咲夜「…」
レミリア「…」

咲夜「と、ところでそろそろこれをほどいて欲しいのですが」
レミリア「気が変わったわ。もう少しやらせて貰うわね」
咲夜「ちょっ、最後って…きゃははは!くふふふ…!あははっ!」

そんな感じで結局朝になるまでこれは続いた様で

パチュリー「…何か騒がしいわね。まぁ良いわ」


249 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/06(火) 18:56:28 nEYOFmpQ0
ムラムラしてやった、後悔はしてない

即興だけど取り敢えず口調だけは気を使ったつもり


250 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/09(金) 10:43:28 EZl2MEZg0
乙、
じゃれあいっぽい感じが良かったですw


251 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/19(月) 19:36:42 CzAuDCgw0
レールガンでネタが2本浮かんだけど浮かんだだけで手は出なかった・・・

①くすぐりに目覚めた打ち止めの影響でシスターズ全員の間で
 くすぐりが大ブームになって、そんなシスターズが学園都市に
 集まってきて、学園都市がくすぐり地獄と化すお話
②食蜂にハメられて拉致された御坂がローション入りの拘束具付きお風呂に
 肩ぐらいまで浸からされて、自分を慕ってくれる友人や後輩(洗脳済み)に
 くすぐられて、お湯のせいで皆感電しちゃうから電気出せずにひたすら
 我慢する中、食蜂に色々ネチネチ責められるお話

うん、全然まとまってないのが文で分かるな・・・


252 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/20(火) 03:20:26 DxNCZ9HI0
>>251
②がとんでもなく好みなんだけどこれってトリビアになりませんか?
足裏ぬるぬる見せてくださいよ!それだけでアライグマは絶滅を免れるんですよ!?


253 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/20(火) 09:25:33 mXuhW1wU0
ねーちんの挟んでこするは!?
いつも露出してる綺麗なわき腹をこすこすして
おへそペロペロくらいされるべきだにゃー!


254 : くすぐり好きの名無しさん :2014/05/20(火) 12:01:26 sP8DdGws0
ミサカネットワークで感覚共有も可能なんですねそうなんですね!


255 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/16(月) 01:16:24 2y41iMU.0
某所で続編希望とか言われたから、くすぐり成分多めで続編書いてきましたの。
フラン×こいしその2









「さあフランちゃん、今度は私がやってあげるから」

「な、なにを、かなー?」


ごらんのとおり、私はこいしの手によってベッドに手錠で拘束され、
更に腰のあたりに馬乗りにされてしまっている。
もう一回整理しようか。
こいしがいた。なんかくすぐってほしいとか言ってきた。
そのあといちゃいちゃして疲れたから一緒に寝た。
そしてこのざまである。


「うふふ…フランちゃん覚悟ーーッ!」

「ちょっ、こいし、いやああああああああああっはははははははは!」


こいしが私の脇の下で10本の指をくすぐってくる。
まるで1本1本の指が独立した生き物のように…、
それでいて確実にくすぐったさを与えるように…!
こいしっ、やめて!くすぐったい!くすぐったいから!!


「くっはははははははは!!やめっ、こいしやめてええっへへへへ!!
お願い、ちょっとストップストップストっはははははは!!」

「どーう?目が覚めたかなー?」


こいしの手が一度私から離れる。
目が覚めてまだ2分。ナイス寝起きドッキリだ。


「…こ、こいし…はあ…ちょ、ちょっと激しすぎだってば…」

「え、そうだったかな…?ゴメンネ☆」


こいしが満面の笑みで、>▽< ←こんな顔で謝ってくる。
こいつめ、絶対反省してない。
少し落ち着いてから、もう一度こいしに問いかけてみる。


「それで、私はどうしたら解放されるの?」

「私の気がすんだらね」


選択肢なんてなかった。こいしの気は実際なかなか済まないからなあ…。
悔しいけど、寝てる間にされたシャワーのせいで全然力が入らない。
詰んだ。王手。チェックメイト。


256 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/16(月) 01:17:05 2y41iMU.0
「じゃ、続きやろっか」

「はあ……わ、わかったわよ…」


こいしにのしかかられたままま、大きくため息をつく。
2〜3日地霊殿に帰らなくても心配されないこいしが相手では仕方ない。


「ふふふ、ようやく素直になったね」

「素直って…ちょっ…んっ…こいし…っ…!」


再びこいしが私の服の袖から手を入れて、私の脇の下をくすぐり始める。
ただ、先ほどとは違ってまるで私に受け入れさせるような動き。
染め上げるかのように私の神経を徐々に蝕んでいく。
こいしにこんなに甘々にされたら、本当にくすぐりフェチになってしまう。


「ひぃうっ…んはあっ…!や、やるなら思いっきりやれば…ふふぁああっ!?…いいじゃな…い…っ!」

「んー?本当はもっとたくさんこちょこちょされたいのかなー?もしかして変態さん?」

「んにゃっ…!そんなわけ…くふふっ…ない…でしょっ…あはははっ!!!」

「じゃあこのままのほうがいいよね?はい、再開ー」

「うはああっ!やめっ…ひゃああっ!このっ、バカああああああああ!!!」


怒鳴ってもひるまない。それがこいし。
何とか逃げるために暴れてみようとするるも、流水やねちねちとしたくすぐり、
上に乗ったこいしのせいで全く動けない。
くすぐったさに反応してくねくねと動くだけ。


「あはは、フランちゃんくねくねしてる〜」

「ひゃああっははは……やっ…も、もうやめっ…こいし、もういい加減にっ?!」


突然こいしがどさっと倒れこんでくる。先ほど眠る前にこいしに私がしたのと同じように。
違うのは二人の立場だけ。
こんな体制でもくすぐるのをやめないこいし、なんて器用なんだろう。
あ、私もさっき同じ事やってたか。


「フランちゃん反応が可愛いんだもん。やっぱくすぐられてうれしいのかな?」

「くふふふっ…だからそんなんじゃ……ああっ!!やめてってばあっ…んふふっ!」

「…嘘つき。」

「…へ?」


こいしが一度手を休ませて、私の顔を覗き込む。なんだろう、このシリアスな雰囲気。
私そんなにとんでもない問題発言した?


「だって…」

「…こ、こいし…?」


こいしが私の耳元に顔を寄せる。
私の今までの経験から導き出される危険信号、
そしてそれを掻き消すほどの本能的な嫌な予感。
私が…こいしを恐れている…?


257 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/16(月) 01:17:24 2y41iMU.0
「ねえ、こいし!?ごめん、私が悪かったから!だからっ…」


とりあえず謝る。お姉さまが前に胸を張って自慢していた問題の解決法。
信憑性は薄いけど、何もしないよりはマシだろう。
拘束された今の状態ではこいしの表情を見ることはできない。
暗闇の中で天敵に囲まれた獲物の気分はこんな感じなのだろうか?


「……だって…………あれだけ楽しそうに笑ってたじゃん」

「はい……ふひゃぁああああっ!?」


唐突に体中に走る強烈なくすぐったさ。
その原因はもちろんくすぐりを再開したこいし。
ただそのくすぐったさは先ほどまでの比ではない。


「くひゃっひゃひゃひゃ!!こっ、こいひいいいっひひひ!!なにすんのおお!!!」

「ふふふ、私は別にフランちゃんに怒ってたわけじゃないよー?」


だまされた。この子はいつからこうなったのか。
脇の下を指でクルクルグニグニとされているだけなのに、
完全に無警戒だったせいでその刺激を全面的に受けることになってしまう。


「ちょっ、ストップストップ、やめええっはははは!!やだあああっはははっははははは!!
おねがいいっひひひははははは!!」

「こんなに笑ってるのに、フランちゃん、くすぐられるの好きなんでしょ?
そのまま受け入れちゃえば、もっと楽しくなるよ?」


耳元でこいしという悪魔のささやきが聞こえる。
こいしの吐息が耳に当たり、囁き声が耳にまとわりつき、私を恥ずかしさが襲う。
なのにくすぐったさのせいで、あっという間にそれが気にならなくなってしまう。


「ほらほら、脇の下弱いんだよねー?こちょこちょこちょ……」

「ふぎゃああっははははははははは!!な、なんで脇ばっかりいいっはははは!!」


こいしのバカ!くすぐったい!!
でも言葉に出したくても止まらない笑い声に邪魔されてしまう。


「あーそうだ!いいこと考えた!」

「ひぎゃっはははは……はあ…はあ…な、なによ…」


くすぐり地獄から解放される私。ああ、酸素っておいしい。
そしてにこにこ笑うこいし。少なくとも私にとって良くないことなのは確実だ。


「どう、フランちゃん?」

「どうって、何がよ…」

「脇の下がむずむずしてきたりとかしないー?」

「そんなわけ…あ…え…?」


じわじわと湧き上がってくる、まるで脇の下を無視か何かが這うような感覚。
くすぐったさではないが、どことなく不快感を覚える、あまり我慢したくない感覚。


「んんっ…こ、こいし…何をしたのよ…!!」

「えへへー、フランちゃんに『無意識に脇の下をくすぐってもらいたくなる』
って能力をかけてみましたー!」

「はああああっ!!?!!?」

「あ、早くくすぐってもらわないとどんどん敏感になっちゃうよ?」


そんなご都合主義があってたまるか。
でもこいしの言う通り脇の下のむずむずはどんどん大きくなっていく。
一刻も早く払いのけてほしい、でもそれはくすぐってほしいと頼むのと同じ。
そんな恥ずかしいことを言えるわけがない。


「フランちゃん、我慢は体に毒だよー?」

「うくっ…こ、こいしのせいでしょ…ああっ…!!」


258 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/16(月) 01:17:44 2y41iMU.0
体をよじらせ、なんとかしようとするもこんなことでは感覚というものは消えたりしない。
それでも少しでもなんとかしようと、体が勝手に動いてしまう。


「意外と耐えるねー。結構強めにかけたからそろそろ限界のはずなのに」

「こんなことで…ううぅ…私が降参するわけないじゃない…!!」

「フランちゃん頑張るねー!でも、そろそろ私が飽きてくるかなー。
だから…そろそろおしまい」


こいしが私の左の二の腕に人差し指をピタッとあてる。
そしてすぅーっと脇の下の直前までなぞらせる。
もう少しで脇の下をくすぐってもらえるというところで寸止めされた私は…


「ああああっ!!もうだめえっ!!こいし、おねがい、こちょこちょしてえええっっ!!」


我慢なんてなかった。


「ふふふ、ようやくおねだりできたねー、えらいえらい」


そういってふたたび両脇に手を伸ばして、指を蠢かせ始める。


「ほら、お待ちかねのこちょこちょだよ?うれしい?」

「ああああっはははははははは!!!!ふぎゃあああっはははははははは!!!
うれしいいいいっははははははっははは!!」


むずがゆさをくすぐったさが上書きする。
今まで私を苦しめていたむず痒さから解放されて、むしろ気持ちいいくらい。


「こうされるのも好きだよね。ぐにぐにぐにーー」

「んぎいいっははははははははは!!それっ、それいいいっのおおっははは!!!」


こいしが適度にくすぐり方を変えるせいで、慣れることが全くできない。
でも、それのほうがむず痒さから逃げるにはいいのかもしれない。


「ふふふ、すりすりー、さわさわーー」

「ぐひいいいぃっひひひ!!なでなではああっははははは!!それくすぐったいってばあっっ!!」


くすぐったすぎて、脇の下がおかしくなってしまいそう。
あれ、されないほうがむずむずでおかしくなりそう?


259 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/16(月) 01:18:23 2y41iMU.0
「いひゃひゃひゃひゃああっ!!ああっはははははっはははは!!やめえっへははははは!!」

「こんなに笑っちゃって、よだれまで出ちゃってるよ?そんなに楽しいんだ?」


楽しい?これが?
私は止めてって言ってる、でもこいしは笑ってるから楽しいって言ってる?


「ほら、もうちょっと強くして楽しませてあげる。泣いちゃうくらいにね」

「ふぁああっはははははっはははは!!いひひっ、んぎゃああっははははははははははは!!!」


楽しいのに泣いちゃうの…ってあれ、さっきからなんかこいしの顔が…
ぼやけてる?


「フランちゃんかわいいーーーっ!もう思いっきりやっちゃうからねっ!」

「んぎいあああっははははっはははは!!こしひいいいいっひひひひひ!!
もうやめええっはははははは……はは……………」


あ、あれ?なんか急に疲れが…ああ、あれだけ楽しんだもんね。
そりゃ疲れるか……


「こちょこちょー…って、フラン――ん?も――し!?だいじょ―――……」


あははは…ごめんこいし、ちょっと何言ってるのかわかんないな……
ちょっとギブアップ………

-------------------------------------------------------

「お邪魔しましたー!!」

「はあ…なんでこう元気なのかなー……」


その後私はこいしによって起こされた。どうやら気絶していたらしい。
一応わざわざ遊びに来てくれたんだし、正門まではちゃんと送りに行く。
嬉しそうにスキップしながら帰って行くこいし。
本人からしたら楽しかったんだろうけど、私からしたら地獄以外の何物でもない。
地獄の妖怪、恐るべし。


「んー、今日はもう寝ようかなーっ……」


さすがにあれだけの全身運動の後では、いくら吸血鬼でも疲れる。
夕日が沈んでいく空を背に、私は自室へと戻って行った―――。

-------------------------------------------------------

「ラララララララララーラーラーラー ラララララララララーラーラー♪」


夕焼けの中を歌いながら地霊殿に戻る。でも雲行きが怪しいのでちょっと急ぎ足。
まあこの季節だから仕方ないよね。

私がご機嫌なのは、フランちゃんに無意識の能力をかけたから。
といっても途中でかけたのとは違う、ちょっと別の種類。
というかフランちゃんにかけたのが「脇の下をくすぐられるのを無意識に求めさせる」じゃない。

私がかけたのは、「フランちゃんが無意識にくすぐられるのが好きになる」というもの。
あの時フランちゃんが求めてきたのは、私が能力を使ったことへのただの自己暗示。
つまりフランちゃんの思い込みってこと。


「うーん、このまま順調なら2か月くらいかな?」


くるっと後ろを振り返る。紅魔館のほうの空はすでに日が落ちて、暗くなっている。
いわゆる逢魔が時ってやつ。この時間に見える景色は何でも綺麗に見える気がする。


「ふふふ、今度はどうしてあげよっかなー?」


地霊殿へ急ぎ足で向かう、くすぐり調教を終えた覚妖怪の少女。
しかしその楽しそうな姿を見た存在はフラン以外誰一人としていなかった。


260 : 146 :2014/06/16(月) 01:20:17 2y41iMU.0
以上です。今回はくすぐり成分多めのはず…


261 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/17(火) 20:22:46 kD09Hdro0
ブラボー・・・オー・・・ブラボー・・・!


262 : くすぐり好きの名無しさん :2014/06/27(金) 00:15:55 dYO7ktv60
>>255
腋責めが自分のツボなのでドンピシャでしたGJ!!

ところで・・・EX三人娘というのがあってですね・・・


263 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:20:39 krpaYMZ.0
駄文でよければどうぞ

森の生贄

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ」
森の中を自分の村に向かって走っていく少年、太郎は村に伝わる生贄の儀式の内容を知ってしまった。
村はとてつもない田舎にあり、詳しく書かれている地図にでさえ載っていないことが多い、そんな村である。
その村には伝統の儀式がある。
それは毎年村の中から5人の女性を選び森の奥にある洞窟に生贄としてささげること。
田舎ではあるがなぜかこの村は女性がとても多く、7対3の割合で女性が占めていた。
昔は女性のほうが立場が上で男をあごで使っていたらしいが今では立場は逆転し、男が女を使っているのが現状である。
その1つとしてこの儀式があった。
しかし生贄とは言うものの生贄として森の奥の洞窟にささげられた女たちは、1年経つと自分の足でこの村に戻ってくるのであった。しかも無傷で。

そして先日、1年前にささげられた女たちが5人帰ってきた。
その家族たちは抱き合い、泣いて喜んでいた。しかし帰ってきたということは今度は新しい生贄が必要ということである。
新しい生贄の中には太郎の母の名前が書かれていて、太郎は泣いて母にすがった。
しかし1回決まってしまったことはもう覆らない。母も泣きながら何度も何度も太郎の頭をなで続けていた。
そして儀式の当日。
村長に名前を呼ばれた女たちが1列に並んでいく。
「蛍」
まだ小さく7歳くらいの女の子だ。
「まどか」
蛍と呼ばれた女の子よりは大きく多分10歳くらい。
「美晴」
年齢は上がっていき、14歳くらい。
「かれん」
20歳くらいのだいぶ大人びている女性。そして
「卯月」
太郎の母、卯月が呼ばれた。35歳の卯月はこの村の中でも美しく太郎の自慢だった。
「以上5人に今年は生贄になってもらう。頼んだぞ」
小さな子2人は泣き叫び、大きくなってきている2人も涙を浮かべていた。
卯月も太郎との別れに涙が浮かんでいたがぬぐうと他の4人を引き連れて森に入っていった。


264 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:22:23 krpaYMZ.0
母が生贄でいなくなってしまった太郎に対しては村全体で助けてくれる。
隣に住むお姉さんや友達のお母さんもよくしてくれた。
しかし母がいないのはやっぱり耐え切れなかった。太郎は夜遅く、1人で森に入っていった。
儀式の洞窟までやってくるとその洞窟からはなにやら音がする。
怖くなって逃げ出そうとしたがここは男の子、勇気を振り絞って変な音がする洞窟の中へ入っていく。
その変な音は次第にはっきりし始めて太郎にもわかるものに変わってきた。
「笑い…声?」
耳を澄ますとやはりそれは笑い声に聞こえる。
真実を突き止めようと太郎はどんどんと中に進んでいく。
すると笑い声だけではなく男の話す声も聞こえてきた。太郎は隠れながら近づいていく。
「きゃはははははははっ!!にゅるにゅるきもちわるいぃぃぃぃぃ!!」
「ほらっしっかり舐めろっ!!もっとひどくなるぞっ!!」
「いやあぁぁいやああぁぁぁぁ!!あははははははっ!!」
「お前もいやいや言ってないでさっさとやらないか!!」
岩の陰からそっとのぞきこむと裸の少女、蛍とまどかと呼ばれていた2人が壁から伸びた触手に体を拘束されくすぐられていた。
しかもたぶん男たちはそれを舐めろといっているのだとすぐにわかった。
太郎はそれを見て母の心配よりも興奮が勝っていた。
その姿から目が離せなくなり息を潜めながらそれをじっと見つめる。
「あはははははははっ!!いやあああっ!!うぐっ!うんんんんっ!!」
「いやああぁああ!!あああっ!うううっ!んんんんっ!!」
2人の笑っている口に大きな触手がねじ込まれる。
それがピストン運動を始めると太郎にもわかるように2人の目が変わった。
「ふぅ…やっと舐めたか…これでもう平気だな」
「ああ、じゃ帰るか」
男たちはそれを見届けると洞窟の出口に向かう。
太郎はそれに気づきさっきよりもいっそう息を潜めた。
目の前を通り過ぎすこし向こうに行くまでずっと息を止めて待つ。
足音が聞こえなくなると太郎は息を吸った。
「ぷはぁっ!はぁ…行ったよね…」
そして視線を元に、2人の女の子に戻す。さっきまでは顔を横に振って嫌がっていた2人は今ではおいしそうにその触手を舐めていた。
「ううんっ!ぷはっ!あははははははっ!!きゃはははははははっ!!」
「あははははははははっ!!にゃははははははははっ!!」
その触手が引き抜かれると笑い声があふれ出す。
すると壁に向かって拘束されていた2人の体が触手によってこちらに向けられる。
それにより自分と同じくらいの少女の裸と少し年齢が上の裸が丸見えになる。
しかしその2人はそれに気づいていない。目ははっきりと開いてこっちを見ているがなにやら遠くを見ているように感じられた。
それに気をとられていると後ろから太郎の足を1本の触手が絡んできた。
「うわっやめろっ!!」
蹴って解くがまた太郎に向かって伸びてくる。
太郎は恐れてそこから逃げ出した。入り口とは逆の方向、洞窟の中へと走っていった


265 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:22:55 krpaYMZ.0
「はあああぁぁんっ!!きもちぃぃ!!ああああんっ!!さいこうですぅぅ!!」
「俺の指も森神様からもらたんだぞっどうだどうだぁ?」
「いやははははははははっ!!ああああははははははははっ!!あはははははははっ!!」
今度は美晴とかれんが多くの男の中で裸になって犯されていた。
セックスという行為を知らなかった太郎は何をしているかわからなかったがすごく興奮した。
かれんは多くの男のペニスに囲まれて犯されていた。
手では扱き、足にはこすり付けられ、胸も腹も、体のいたるところにペニスを擦り付けられ快感を与えられている。
太郎はそれを見て何か変に感じる。
いくらなんでもこの男のペニスがでかすぎるのだ。
太郎はまだ小さいからというわけではなく本当に大きすぎる。
「おほほぉぉぉぉぉ!!きもちいいいいい!!イクイクっ!!」
体をびくつかせてあえぐかれん。しかし男の腰は止まらない。
「これくらいでイってちゃあとが大変だぞっ」
「はぁぁぁんっああああんっ!!くううううっ!!」
その太いものが何度も何度も行き来していた。
今度は美晴の方へと向くと美晴はこちらも多くの男に囲まれてこっちはくすぐられていた。
「いやははははははははっ!!きゃはははははっ!くすぐったぁぁ!あはははははっ!!」
「ほらほらいいだろ?ええっ!?」
その指もおかしい。指ではなくそれは木の枝のように分かれている。
しかもそれは自分の意思で動かせているようだ。
それがいっせいに襲い掛かってきているのだから美晴はとてもくすぐったいであろう。
太郎はこの光景を見ていてだんだんと恐怖を覚えていた。
見た目は人間の男だが一部が明らかにおかしい人ばかりなのだ。
はっきりと言ってしまうなら人ではなく化け物。
もしかしたら卯月がもっと変なやつに犯されているのではと思うともっと怖くなった。
太郎は意を決してさらに奥を目指した。
「おい変なのが奥に行ったぞ、いいのか?」
「ああ、きっと奥の息子とかそんなのだろ。毎年のことだろ」
「それもそうか」
男たちは気づいていたが太郎を見逃すことにした。
悲しむのは太郎なのだから関係ないと言って。


266 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:23:57 krpaYMZ.0
「………はっ……やぁぁ……」
奥から途切れ途切れの声が聞こえてくる。
それは太郎のよく聞いている声である。
この洞窟の最深部に到達するとそこには大きな木の根元が目の前に広がった。
そこはとても広く、太郎の想像していた最深部とはまったく違った。
だがそんなことに驚いている暇はなかった。あたりを見渡し卯月の姿を探した。
しかし自分の見える範囲には卯月は見当たらない。興奮していた頭がようやく落ち着いてくると耳に笑い声が聞こえてくる。
それは太郎の頭の上のほうから。
ハッとして上を見るとそこには手足を触手にX字で拘束されて空中に浮いている卯月の姿があった。
「あははははっ!!もりがみさまぁ!おしずまりっ…くださははははははっ!!」
目も何かによってさえぎられてどこから来るかわからないくすぐりに必死で耐えながらそう口にしている。
「まだまだだ…まだくすぐっているだけだ…」
卯月のさらに上から聴きづらい声が聞こえる。これが森神様なのかもしれない。
「きゃははははははっ!!おねがいぃぃぃひひひひひっ!!しますぅぅ!!」
これだけ乱れる母を見て太郎は助けることを忘れそれに見入ってしまう。
大量の触手は卯月のわきの下はもちろん、わき腹や内腿、足の裏などくすぐったいと感じるところすべてに這い回っている。
動きも卯月が慣れないように激しくくすぐっていたのが急にゆっくりになったり、くすぐるように動いていたのが突付くように、揉むように動いたりしている。
「もりがみっ…さまぁぁ!!おねがいですぅぅぅ!!しずまりくださいぃぃ!!」
さきほどから何度も何度も鎮まるように頼むが聞き届けられることはない。
「まだまだだと言っているだろう…貴様は生贄の中でも…最も辛い生贄になることを…自ら選んだ…簡単に終わると…思うな…」
この声の言うとおり卯月は自らこの1番辛いであろう生贄になることを決めた。
他の子たちを見たときに若い子達に辛いことはさせられないと自ら買って出たのだ。
「あはははははははっ!!きゃははははははははっ!!おっ…おねがいしまははははははっ!!」
「ふふふっ…今からこれとは…さきが思いやられる…」
すると今までくすぐっていた触手とは別の触手がいろんな所から現れて2本の棒になる。
「それでは…味わうがよい…ここからが…本当の儀式だ…」
瞬間、体を這い回ってくすぐっていた触手が止まり笑いも止む。何が起こるのかと卯月も見ている太郎も身構える。
するとその2本は卯月の股下まで移動すると膣と肛門に一気に挿入された。
「くはぁああああっ!!ああああああっ!!きつぅぅぅ…うんんんんんんんっ!!」
挿入されると思っていもいなかった卯月はそれによる快感に絶頂を迎えてしまう。
秘部から潮を吹いて体をびくつかせていると止まっていたくすぐりが再開されて、敏感になっている体から鋭いくすぐったさが体を襲った。
「うひゃっ!はははははははははっ!!あははははははははっ!!あああははあああああんっ!!」
挿入された触手もそのままなわけもなく動き始めると、卯月の口からは笑いとも喘ぎとも取れる声が漏れ始める。
体を動かして逃げ出したくともぎっちりと拘束されているためそれができない。
身をゆだねることしかできない卯月は必死に自我を保とうとする。
「ほほう…いつものとは…違うようだな…まぁ…そのほうが面白い…」
するとすべての触手が動きを早める。くすぐっているのも、挿入しているのも。
「あははははははははっ!!ああああはははあああんっ!!いやははははははあああんっ!!」
先ほどとは比べ物にならない快感とくすぐったさに意識が遠のきそうになったが卯月は維持でたえてみせる。
しかし膣に挿入されていた触手が発した何かによって一気に崩されていく。
それは男性の精液と同じような暖かさで子宮を埋め尽くした。


267 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:25:10 krpaYMZ.0
「これで…1人目だ…」
見る見るうちに卯月の腹は膨らみ妊婦のような腹になる。
「ははははっ!!なんでぇ!!なにがっあはははははははっ!!」
「ははははっ!!…貴様はこれから…私の子供たちを…作るのだよ…1年かけて…何人もな…」
そう妊婦のようなではなく本当に妊婦になっていたのだ。
拘束していた触手が卯月を地面近くまで下ろすとぺたんと尻をつかせた。
その間に卯月は1度経験したことのある感覚に驚きを隠せなくなる。
「そんなっ!!なんでぇへへへへへっ!!なんでなのぉぉ!!」
「最初は…驚くだろうな…私の子種は…早く成体になるのだよ…」
そういい終わると同時に卯月の秘部から大量の水が噴出される。羊水であった。
「いやぁぁぁぁぁ!はははははっ!!いやあぁぁぁぁぁぁ!!」
卯月は苦しむこともなく、すんなりと腹の中に宿された生命を産み出していた。
「痛みは感じないだろう…だから安心して…産み続けるのだ…」
体はまた空中に持っていかれくすぐられながらまた挿入されて犯されていく。
太郎は何が起こったのかもわからずに佇んでいると森神様の声が響きだす。
「今年で…そろう…産まれた命たちで…村を…私のものに…」
村が森神様のものになる。それは太郎でもわかる。侵略である。
人以上の力を持っているであろう存在が村に出て侵略する。そして飽きたらまた別の場所へ。
太郎は子供ながらすぐにそこまで答えを導き出した。
そしてもう1つの答えも。
今は卯月だけを助けても意味がない。まずはこのことを村に知らせなければと。
すべての答えを導き出すとすぐにここから逃げ出そうとするが、何かにじっと見られていると気がつく。
その視線のほうに顔を向けるとそこには先ほど卯月の腹から生まれた命がもう2足で立ち太郎をじっと見つめていた。
見た目は自分と同じ人間のようだが明らかに違う部分がある。手が先ほど見た男のように変な形をしている。
まずいと思い太郎は一気に出口へ走った。
全力で走りこの最深部の出口を抜けるときに振り返るとその命の手が勢いよく太郎に向かって伸びてきた。
それを何とかかわして逃げていく。
一心不乱に一目散に逃げていく太郎。
そして洞窟を抜けた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
村に向かって走る太郎だったが村の屋根が見えたところで急に意識を失った。


268 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:25:40 krpaYMZ.0
「太郎ちゃん起きた?」
目を覚ますとそこにはいつもやさしいお姉さんの顔がのぞきこんでいた。
「うん、おはよう」
「おはよう、今日はどうするの?」
「うーん…みんなと遊んでくるよ」
太郎は元気よく家を飛び出していった。
そう、なにもかも忘れていたのだった。

それから1年近くが経ち今日は生贄にされていた女たちが帰ってくる日だった。
儀式の準備が行われ村は少し慌しかった。
すると山道のほうから自分の母、卯月を先頭に女たちが歩いてきているのが見える。
そしてどんどん近づいてくるにつれて、その背後にいる多くの者たちに村のみんなが気がついた。
そこからはあっという間だった。
その後ろにいる多くの男たちによって村にいた男たちは制圧され村の真ん中に集められた。
女たちはというと
「あははははははっ!!きゃはははははっ!!これぇ!おもいだしたぁぁぁぁ!!」
「もりがみさまぁぁ!もっとおねがいしますぅぅふふふふふっ!!」
200人はいた女たちが現れた男たち1000人近くにみなくすぐり犯されていた。
森神という名を口にしながら。
そこで太郎も忘れていた記憶がよみがえってくる。
忘れてはいけなかった記憶が。
「あはははははっ!!もっともっとぉほほほほっ!!あははははっ!!」
太郎の目の前でくすぐられ挿入されている卯月が喘いでいる。
太郎を視界に捕らえているがもうそれが自分の息子と判断できなくなっている。
1年で快感とくすぐったさに脳は染まりそれだけを考えていた。
「あははははははっ!!きもちいいぃぃぃぃ!!きゃははははははっ!!」
太郎は泣きながらその姿を見ていることしかできなかった。


269 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:26:19 krpaYMZ.0
数日経った。
村の男たちはやってきた男たちによってどこかに連れて行かれた。
多分、殺されているのかもしれない。
だが太郎を含めた3人の少年たちは村の1つの家に捕らえられていた。
今日も何も起きないで1日が終わるのかと思っていたら、突然扉が開かれた。
2人の男が入ってきてこう言ったのだ。
「よかったなお前たち。母ちゃんに会えるぞ」
するとその男の後ろから卯月を含めた女性が3人入ってきた。
だが太郎は数日前の状態を知っている。目の前にいるのは記憶もないただの卯月の人形だ。
「太郎…」
うつむいて見ないようにしていた卯月から自分の名前が呼ばれた。
顔をあげるとそこには懐かしい表情を浮かべた母がいた。
「おかあさん…?」
「太郎っ!!」
卯月から走ってきて太郎を抱きしめる。
別の家族も同じような再会が行われていた。
しばらく卯月の腕の中で泣いていると別の家族の少年が悲鳴を上げた。
「ひょうっ!唯のやつ自分の息子のくわえてるぜ」
唯と呼ばれたその少年の母は男たちが言うように少年のペニスをくわえていた。
「おかあさんっ…なにするのっ」
「ごめんね、隆っおかあさんえっちでごめんねっ」
そう言ってまたくわえ直す。
するともう1つの家族も。
「祐樹のおちんちんかわいいっ…はむっ」
「ははっ孝子ももう舐めてらぁ」
孝子と呼ばれた母もそして
「ごめんね…太郎…私も…」
ズルッとズボンとパンツを脱がされてあらわになってしまった太郎のペニス。
それをまじまじと眺めた後、卯月はそれを口でくわえた。
「うあぁっ!!おかあさんっ!」
「はあんっ…おいしいっ息子のちんちんおいしいっ!」
「よしよし卯月も舐めたみたいだな。じゃ俺たちはこれで」
つれてきた男たちが出て行くと母親たちの行為は激しくなっていく。
着ていた服を脱いで秘部を手でいじっていく。
しばらくするとくわえていた卯月が口を離してそのまま床に寝転がった。
「太郎…おかあさんくすぐってっ」
「えっ?」
「おかあさんをこちょこちょしなさい。いっぱいいっぱいこちょこちょしなさい」
そういいながら太郎の手をとって自分のわき腹に持っていく。
「はやくしなさいっ…そうしないとちんちん触ってあげないわよ」
太郎はどきりとした。さっきまで卯月がしゃぶっていたペニスは舐められるたびに快感をうんでいた。しかし止まってしまったことによってもどかしさだけが残り触ってとせがもうとしていたところだったからだ。
「こちょこちょしたら触ってくれるの?」
「ええっ触ってあげるわ。だからまずこちょこちょして?」
「…うんっ」
太郎が添えられた手を動かすと卯月から笑い声が漏れ始める。
「うふふふっ…そうよ…じょうずね…」
「あははははっ!!ゆうきっそうよっわきのしたもっとくすぐってぇぇぇっ!!」
隣では孝子も同じように息子にくすぐられ、喘いでいた。
「いひひひひっ!そうそこっ!うふふふふふふっ!!たかしもいいわよっ!」
唯も体をくすぐらせていたのだ。
「ほらったろうも…ふふふっ…もっとくすぐっていいのよっ?」
「おかあさんっ!!」
何かが切れたように太郎の指は激しいくすぐりに切り替わっていった。
「あははははははっ!!たろうっそうっ!くすぐったいぃぃぃ!!」
「うははははははははっ!!あはははははっ!!ゆうき…もっともっとぉぉぉぉ!」
「たかしっそうよっ!!もっとくすぐったくしてぇ!えへへへへへへへへっ!!」
3人の母親は自分の息子にくすぐられて激しく笑っていた。そして秘部もぐっしょりとぬらしている。
そして3人の母親は一気に快感の頂上に連れて行かれた。
「「「きゃははははははああああんっ!!ああんっイクぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」」
3人声をそろえて絶頂し、体をびくつかせていた。


270 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:26:47 krpaYMZ.0
「ふふっ…太郎ったら母さんでこんなにしちゃって…おっぱいおいしい?」
今は子供たち3人が母親に甘えている時間だった。
太郎も祐樹も隆も母の胸に吸い付き、優しくペニスを扱かれていた。
「ああっ…おかあさん…でちゃうよ…」
「いいのよ、太郎。いっぱいビュッビュッしちゃいなさい」
「ああっ…あああっ…でるっ!!」
太郎のペニスから精液が飛び出し床を汚した。
「ふふったくさん出たわね。気持ちよかった?」
「うん…すごくきもちよかった…」
太郎は卯月にぎゅっと抱きついて胸に自分の顔をこすり付けて甘える。
卯月もそれに答えるように抱きしめ返していた。

「太郎…そう、そこよ…そこにおちんちんを入れるのよ…」
太郎の勃起はしているのものの大人と比べればはるかに小さいペニスを、卯月は自分の膣へと誘導していた。
膣の入り口を探して何度かクリトリスに当たり気持ちよかったが息子を中で感じたいと思い卯月はペニスを握って膣口にあてがい挿入するように言う。
しかしそれでも太郎の挿入は失敗する。
なぜかというと緊張しているからだ。さっきまでは同時に始めていた家族たちが今は太郎の挿入をまじまじと観察している。
「ふふっ…緊張しないの…さっ…きて」
ゆっくりと腰を沈めていくとペニスが今まで感じたことのない極上の快楽に襲われる。
「うわぁ…おかあさん…これすごい…」
「おめでとう…これであなたも…おとなよっ」
太郎の頭をそっと撫でて、優しい笑みを浮かべる卯月。
太郎はそれに興奮し、自ら腰を動かし始める。
「あはっ…じょうずよっ…あんっ…たろうっ」
太さやテクニックはないがその一生懸命さや自分の息子という愛おしさで感度が高まる卯月。
「さてそろそろやってあげようかしら。太郎君はそのままね」
唯と孝子がそういうと卯月の横に陣取ると体に向かって手を伸ばす。
その手は卯月のわき腹やわきの下に伸びるとこちょこちょと動き出したのだった。
「あははははっ!!はああああんっ!あああんんっ!!きゃはははははははっ!!」
「うわっおかあさん…そんなっ…」
くすぐられた途端、卯月の膣は急に締り、太郎にものすごい快感を与えた。
ペニスをそのまま溶かしてしまいそうな快感に太郎の腰も早くなった。
「たろうっ!きもちいいっ!きゃはははははっ!!あっもうイクっ!」
「あああっ!おっ…かあさんっ…ぼくもでちゃう…」
「はああんっ!!あはははははっ!!だしてっだしてっかあさんにいっぱいだしてぇぇぇぇ!!はああああああああああんっ!!」
どぴゅ!!それはほとんど同時だった。
太郎と卯月は一緒に体をびくつかせながら絶頂に身をゆだねる。
「はぁ…はぁ…たろうっ…がんばったわね」
「おかあさん…きもちよかったよぉ…」
「ふふっ…卯月さんたちよかったわね。じゃあ今度は私たちの番ね」
唯と孝子も自分の息子たちの始めてをもらう準備を始めたのだった


271 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:27:14 krpaYMZ.0
「太郎…きもちよかった?」
「うんっ…すごくきもちよかったよ」
何度も体を重ねた2人は抱き合いながら横になっていた。
太郎も、別の家族の子供たちも眠くなり始めたようで行為は終わっていた。
「明日もちんちん触ってくれる?」
「もうっ…エッチね…けどいいわよ…だから…おやすみ太郎」
太郎は聞き終わるとすっと眠りについたのだった。

太郎が目を覚ますとそこは家の天井ではなく、暗く吸い込まれそうな闇だった。
あわてて体を起こし、あたりを確認する。このひんやりとした感覚、ここは多分洞窟の中だとわかった。周りには祐樹と隆が寝息を立てていた。
あの母親たちとの甘いひと時は夢だったのかとがっくりと肩を落とす太郎。
しかし闇の向こうから卯月たちが現れた。多くの村の女性を連れて。
「太郎、起きたのね」
「うん…どうしたの、その人たち」
卯月の後ろにいる女性たちの表情はとろけているように見える。
しかもこちらを見てニヤニヤしているのだ。
「それは私が説明しよう」
その女性たちを割って現れた1人の女。
「森神様っ」
みなが口々にその女の名前を呼んだ。
「もり…がみ…?」
「ふふっそうよ、私が森神。僕ちゃんたちにわかりやすく言うなら…1番最初の生贄よ」
見た目は普通の人間だが内側から感じる何かが太郎たちを動けなくする。
「僕ちゃん…いや太郎と言ったかお前は見ただろう…生贄の有様を…」
卯月たちが犯されていたことを指しているのだとすぐにわかりうなずいてみせる。
すると森神は太郎に近づきながら話を進める。
「私たちのときはもっとひどかったのよ…生贄と言われて連れて行かれたこの洞窟で待っていたのは村の男どもだった!」
森神の口調がどんどん荒くなり始めた。
「そしてその男どもはみんなして私たちを犯し始めた。あくる日もあくる日も…それがいやになった私はいもしない森神に願ったのよ…こいつらを殺したいって…そうしたら私の中に何かが芽生えた。それが私の今の力」
手から触手を出したり、壁から同じような触手を出したりして見せながら森神はまだ続けていく。
「そしてこの力で男たちを殺してやったわ。そしてみんなを連れて村へ帰ろうとしたわ…けど私は力のかわりにこの洞窟から出られなくなっていた。しかも死ねない体に…だから考えたわ。そしたら気がついたのよ…復讐するために私はいるんだって」
そう言って洞窟の奥を指差す。太郎はその先のものを見ようと目を凝らすとそこには山積みにされた村の男たちの死体があった。
「これで終わりだと思ったけど違ったみたいなのよ…だから今度は男たちと同じことをしようと思ったの…そして君たちが1番最初の生贄。まぁ男たちはみんな殺してしまったから次の生贄が来るのはいつになるかわからないけどね」
そういうと森神は高々と笑った。
太郎たちが絶望に固まっていると森神は3人に近づき頭を小突く。
すると意識が遠くなっていき目の前が真っ黒になり始める。すべてが真っ黒になる前に目に入った母の卯月の顔は息子を見る目ではなく、獲物を見るような目をしていた。


272 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/14(月) 10:27:48 krpaYMZ.0
遠くから甘い声が聞こえる。そしてその声は自分の名前を呼んでいる。
その声に答えるように太郎は目を開いた。
「太郎君やっと起きたのね」
「あっ起きた起きた」
2人の女の顔がのぞきこんでいた。
動こうと手足に力を込めるが言うことをきかない。自分の手足の状況を目で確認すると何本もの触手で壁に拘束されていた。
「っ!?これは?」
「森神様が言っていたでしょ。これから次の生贄が来るまで太郎君たちは生贄になるって」
「次の生贄が来るまでは私たちのおもちゃなんだよ」
すると拘束されて隠せていないペニスを2人の女がいじり始める。
「ふふっいっぱいエッチなことしてあげるからね」
「そしてたくさんの女の人で。うふふふふふふっ」
「さて私の準備もできてるし生贄1回目はいただいちゃおうっ」
1人の女が太郎のペニスを握って後ろを向き前かがみになる。そして自分の膣にあてがうと一気に腰を押し付けてくる。
「うはぁぁっ!!」
「はああんっ!!きもちいいっ!」
「ああっずるい!…だったら私は太郎君のここいじっちゃお」
もう1人の女が太郎の小さな乳首を指で転がしていく。
「ああっ!!」
「ふふっかわいーっ!もっといじってあげるねーきゃふっ!!」
突然乳首をいじっていた女が悲鳴を上げる。
するとその悲鳴はだんだんと笑い声に変わっていく。そして挿入している女も笑い出した。
「うはははははははっ!!くすぐったいっ!あはははははははっ!!」
「あはははははっ!!きゃああんっ!!うふふふふっ!うんんんっ!!」
よく見るとどこから伸びてきているのか、触手が2人にまとわりつきくすぐっていた。
「きゃははははははっ!!これぇぇ!きもちいのぉぉ!!くすぐったくていいいいっ!!」
「あはははははははっ!!くすぐったいくすぐったいぃぃ!!あはははははははっ!!」
それによって挿入されている膣はいっそう締まって太郎のペニスに大きな快感を与えていた。
「あああああああっ!!もうだめっでるぅぅぅ!!」
我慢できずに射精をしてしまう太郎。
「ふふふふふふっ!もうイっちゃったのねぇ!あはははははっ!!」
「けどまだまだだからねぇへへへへへへっ!!」
太郎はそれから何度も何度も射精を迎えた。そう、何年も何年も…。

以上です


273 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/16(水) 02:07:30 w7wnH1Gs0
乙!
くすぐり逆レとはまた実にツボにはまったw


274 : 146 :2014/07/21(月) 00:26:32 wGljlLSw0
地霊殿の朝はお燐がお姉ちゃんを起こすところから始まる。
本来なら私も起こされるべき立場なんだろうけど、普段から気づかれないし
そもそも地霊殿に帰るのなんて週に一回、
それも遊びつくした後だから着いた時にはもう朝になっている。


「…で、朝っぱらからカステラ完食ですか」

「あ、お燐、気が付いていたのね」

「この時間に冷蔵庫開けっ放しにするのはこいし様くらいですからねー」

「あら、お燐が無意識に食べてるかもしれないわ?」

「あたいは夢遊病じゃないです!!」


しかしこの冷蔵庫という箱、なかなか便利である。
お姉ちゃんがお空の事件のあとに河童からもらったらしいけど、
そのお空の核融合をエネルギーにして食べ物を何日も保存できるんだとか。
買ってきた洋菓子を貯め込めるのはなかなかありがたい。


「さてと。じゃあお燐、ちょっと出かけてくるわ」

「あれ、いいんですか?せっかく帰ってきたのに」

「ふふふ、ちょっと面白いことを思いついたの」

「はあ…」


首をかしげるお燐を横目に、地霊殿のエントランスへ向かう。
昨日紅魔館から帰るときに見かけた、夕闇に光る発行飛行物体。
今日の行き先は――――



――空、ね。









――――――――――――――――――――――――――


275 : 146 :2014/07/21(月) 00:26:59 wGljlLSw0
近づいてくる足音と話し声。
人里で人気の喫茶店で新発売する予定の夏限定ずんだパフェの試食会の話か…。
正体不明のこの手のスイーツ、これに興味があるのはずばり年頃の若めの女子二人!
射程距離まであと三尺、二尺、一尺…………今っ!


「呼ばれて祓われてじゃっじゃーーーん!!!
 一つ目からかさ妖怪、多々良小傘だよーっ!」

「…きゃっ……!」


そう、この後きゃー!って言って逃げ出すはず!
ナイスわちき!人を脅かすには昼も夜もダメなら朝じゃないと!


「きゃーーーっ!かわいいーーー!!」

「この子が噂の『超絶可愛い系のからかさお化け』?きゃーーっ!」

「…へっ?」


あ、あれ?おかしいな…
瞬間、彼女たちの目が変わる。
獲物(可愛いもの)を見つけた、捕食者(最近の女の子)の目。
あ、これはやばい。


「逃げるが勝ちいぃぃぃぃ!!」

「あっ、待ってーーー!!」


飛んでしまえばこっちのもの。
彼女達との距離をどんどん引き離していく。
しばらく進むと、見慣れた人物…いや、妖怪を見つけた。


「うわああああああんん!!!!ぬえちゃああああああん!!!」

「こ、小傘!?どうした!?また驚かすのに失敗したのか!?」


さすがぬえちゃん、心にざくっとささる一言をストレートで言ってくる。
というかわちきが驚かすのが下手なだけなのかもしれないけど。
でもだからって、だからって……!!


「うわあああああん!!ぬえちゃんのいじわるうううう!!!」

「あっ、お、おい!!」


その勢いでぬえちゃんから離れるように逃げる。
ああ、ついショックで逃げちゃった。今度ちゃんと謝っておか


「いたっ!!…?」


あれ、何かにぶつかった?
下を見ると、黒くて丸い、円盤のようなものがひらひらと落ちていってた。
なんだ、飛倉の破片だったのか。
再び前に進みだして数十秒。


「あれ、黒い飛倉の破片なんてあったっけ?」







――――――――――――――――――――――――――


276 : 146 :2014/07/21(月) 00:27:19 wGljlLSw0
やってしまった。
急だったものだからついつい本音をポロリと…。
あとで小傘に謝りにいかないと…。ん?


「あれは…?飛倉の破片?」


遠く見える小傘の下側、ひらひらと落ちていく、真っ黒いUFO。
だがおかしい。正体を知っている私にはちゃんと破片にみえるはずなのに。
自分の撒いた種ではあるが、あの事件が私の勘違いであった以上回収作業も必要だ。
小傘は気づいてはいるが気にはしていないらしく、そのまま向こうへと行ってしまった。
鳥か妖精にでも見えたのだろう。
ゆっくりと落ちていく飛倉の破片のもとへ向かい、その破片に手を伸ば――








…むにっ。


「ほわあああぁぁぁあああっっっ!!?!!?!!?」


突然走ったわき腹を強く押すような感覚につい反射で声をあげてしまった。
伸ばした手を引っ込めて破片から離れるように後ろへ飛び退く。
っていうか何、妖精にでも当たった?
いや、ここへ来るときに妖精なんて見えなかった。
じゃあ飛倉の破片が小さなUFOに見えるだけで、実際はもっと大きい破片で、
それがたまたま私に当たっただけ?
悩めば悩むほどさらに複雑になる憶測。
だがしかし、怪奇現象は私を待ってくれるはずもなく。




…さわさわっ。


「ひゃいいいいいうううぅぅぅぅううう!!?!!?」


今度は太ももをさすられるような感覚。
当然反射で飛び上がってその刺激から逃げ、
今度はさらに持っている三叉の槍を構える。…が、その先に刺すべき対象はあらず。
矛先は虚空を向くだけで、その先からは何の気配も感じられない。


「な、なんなんだ…?」


全身の神経を集中させ、正体不明の怪奇現象を捉えようとする。
空気の流れだけでなく、極々僅かな気配さえも逃がさないように。
だが、それが結果的に逆効果になってしまう。


「ひゃわああぁぁああっっ!!?うひゃああっはははははは!!
やめろっ、ちょっ、まったああああっはははははははははは!!!」


両足の裏から伝わる、突然起こった指先で足の裏を触られるような猛烈なくすぐったさ。
捉えようとしていた間接的な感覚ではない、直接的な感覚。
じたばたと脚を動かすが、くすぐってきている何かも尋常ではない反射神経で
私の足を捉え続ける。


「あっははっははははっははは!!!うふふふっひひひははははははは!!
なにがああっ起こってるのおおっははははははは!!」


ふっ、と突然くすぐったさが止まる。どうやら一旦休憩らしい。
逃げようと思えば逃げられる、しかし相手の姿が見えない以上、
逃げたところでどう出てくるかが分からない。
ただ私だって大妖怪とまでは言えなくても立派な鵺という妖怪。
小傘にも教えた、人を驚かしてその後取る最善の方法、それは。


「逃げるが勝ちいいい!!…………うべしっ!?」


逃げられなかった。急に足を引っ張られるような感覚。
どうやら何かが巻き付いてきたらしい。
例え空中でも、転ばなくたってバランスは崩す。
体が前に転ぶかのように傾き、そして…。


「うにゃああっ!?うあっはっはっはっはっははははは!!!そこはだめだってばああっはははははははは!!!ぎひいいぃいああっははははっははははははは!!」


前に体が投げ出されたことで、両手も前に放り出される。
当然そんな状態では私の脇の下はがら空きなわけで。
まるでそれを狙っていたかのように、再び手らしき何かが
今度は脇の下に手を突っ込んできてくすぐってきたのだ。


277 : 146 :2014/07/21(月) 00:27:35 wGljlLSw0
「あああっはははははははっはは!!やめっ、ばかあああっはははははは!!!
そこやめええっっ!!うふふふふっひゃああっははははははははは!!」


もちろん咄嗟に脇を閉じるが、そんなもの意味がない。
閉じた脇の中でその指のようなものは蠢き、くすぐったさを与えてくる。
と、地面のほうを向いた私はあることに気づいた。
確かにここは空である。先ほど周囲の妖力を確かめたが、
その時は辺り一面濃い雲海で、当然妖精などいるわけもなかった。
ただし…なんかすぐそこに地面が見える。


「ひゃっはははっははあああ!!!なんでええええっはははっははは!!なんでくすぐるううぅぅうっふふふふふ!!!なんでよおおおっほほほははははは!!」


おそらくくすぐられている間に落下したのだろうが、問題はそこではない。
地面が近いということは、人間や妖精の生活域と近いということ。
ましてやちょうど朝の散歩にちょうどいい時間帯である。


「いやあっははっははははははっはははは!!ちょっ、せめてうえまでええっははははは!!おちっ、落ちてるんだってばああっはははははは!!」


『え、なに、あの笑い狂っているのが正体不明の鵺って妖怪?』
『うわあ、ちょっとドン引きー』
とか人間から言われたりしたら、それはちょっと嫌である。
というか嫌。断固嫌。絶対嫌。
ただそれを意識すればするほど、くすぐったさが激しく感じられる。


「うわああっはははははははは!!この、やめっっはははははは!!!離れろってええええっへへへへへへ!!ひゃめれえええっへへへへへへっひっひひひひひひ!!」


離れろって言って離れるやつがどこにいるか。
内心そう突っ込みながらも、結局は懇願することになる。
そして次の動きは完全に予想外のものだった。


「はにゃああっ!?なっ、ちょっ、なにやってんのおおっはははははははは!!た、たべるなああああっははははははっはははははは!!!」


両脚が何かに飲み込まれるような感覚と同時に、脇の下や脇腹を何かがのたうち回るような感覚。
両脚とも太もものあたりまで飲み込まれ、ふくらはぎや内ももをもにゅもにゅと揉まれる。
が、粘液のようなぬるぬるした感じはしない。
同時に脇の下から脇腹にかけても触手のような何かが当たっているらしく、それが激しくのたうち回ってくすぐってくる。


「うっひひひひひひははははは!!!このっ、離せ!離せってばあっはははは!!私はおいしくないってばああああっははははははははははは!!!!!」


指に触手に丸呑みできるほどの口、しかも認知すらできない正体不明の相手。
正体不明って相手にすると怖かったんだな。


「ふぎゃああっははっはははははははは!!!やめれってばああああっはははははははは!!そっ、そこやるなああっははははははははは!!!」


背中の翼の付け根辺りを触手にぐにぐにと押されるようにくすぐられる。
な、なんかものすごくくすぐったい…っ!
普段触られないところだから当たり前といえば当たり前の気もするけど…
私の反応が大きいことを確認したらしく、触手たちは翼の付け根を重点的に、しつこくぐにぐにと刺激してきた。


「うひひひっひっひはっはははははははは!!!離せえええええっっ!はなれろおおおおっはははははははは!
バカ、変態いいいっひひひひひひひひひひ!ひゃはははははっ…げほっ……げほげほっ…」


身体がぼふっと雲の中へ吸い込まれる。大きく開いた口から肺に雲が入り込む。
全く、誰だ雲の上に乗れるとか言うお伽話を考えたのは。
ところで今日はよく晴れた夏の日。
そういう日にできる雲は綿雲なわけで、その高さはかなり低い。
そしてこの真下は人里である。
これだけ大きな笑い声を上げていたら、
落下するどころかその前に正体不明の肩書が傷ついてしまう。
かといって両手で口をふさごうとしたがそれも叶わず。
両手は自由とはいえ脇の下もくすぐられているわけで、
自ら弱点を無防備にするようなことはできるわけもない。


278 : 146 :2014/07/21(月) 00:27:53 wGljlLSw0

「ぎいやああっははははははははははははは!!は、離せっ、やめっ、
落ちるから、落ちてるからぁぁぁあああああっっはははははははははは!!!」


そんな私の感情を見計らったかのように、脇腹と脇の下をくすぐる刺激がピタッととまる。
両脚はまだくすぐられているものの、口を押えられない理由のなくなった私はとっさに両手で口を押える。
例えそれがまるで弱点をくすぐってくれと言わんばかりの形でも、
なぜかこの時の私はくすぐられる恐怖より正体不明のプライドのほうが勝っていた。
そして、次に標的にされた場所は……


「ふぎゅうううっっっ!!?もごっ、ふぐふううううううう!!!ぐふううっふっふふふふふふふふふふ!!
(ちょっ、服の中に直接…ッ、やめっ、やめてってばあああああ!!!せめて外からやってよおおおっほほほはははははははははははは!!!)」


触手らしきものは袖の方から、腕らしきものは裾の方から服の中へと侵入してきた。
服の上からとは違いその刺激は直接的で、それゆえ先ほどよりも遥かに強烈なくすぐったさとなる。先程までとは違った、そしてより強力なくすぐり責め。


「ふぐっ、ふぐううううううっふふふふふふふ!!んふふふ!!んぐうううう!!
(それダメっ、反則、いやあああっはははははははははははははは!!!!出てってってばあああっははははははは!!)」


袖から入った触手が私の身体をまるでメロンの網目のようにスルスルと巻き付いて、
うねうねと動いて全身をまんべんなくくすぐる。
裾から入った腕はその網目の間に指をふわりと置いて私の肌を直に突っつく。
そして数回突っついた後、慣れさせないように他の網目に指を移して、また突っつく。
二種類の全く違った悩ましい刺激は私の我慢を今にも打ち砕きそうなほどだった。


「ぐふふふふっぐぐぐぐううううう!!!ふぎゅうっ、んんふふふふふふ!!!
(もう無理、無理だってばあああっははははははは!!やめてって、許してえええっへへへへへへへへ!!!)」


お腹、脇腹、あばら、胸とだんだんとくすぐる場所を変えていく指先。
だんだんと上に向かっている以上、どこを目的にしているのかもわかっていた。
そして、指先は目的地、私の弱点の脇の下にそっと舞い降りて……


「ふぐぐっ…!ふぎぃっ!!なっ、にゃにするっ?!ひゃはあっ!!あああっははははははは!!!
やだあああああああっっははははっははははは!!もうやだあああああぁっはははははは!!!」


我慢の限界を迎えて、脇を守るために口から手を放して大声で笑ってしまう。
抑えることができないような笑いの衝動。もう正体不明のプライドなんてなかった。
さらに脇を閉じたことで腕が体に密着し、その上から触手がさらに巻き付いてくる。
脇の下で挟まれた指先は突っつく動きからぐにぐにとする動きに変え、
じんわりと濡れた汗を潤滑剤に、先程まで以上のくすぐったさを与えて来る。
丸呑みの両脚に加えて両手まで動かすことができなくなり、
その状態で全身をくすぐられ、笑いながら落下する事以外出来なかった。


「ああああぁっはははっははははははははは!!!!りゃめ、おかしくなる!!
あたまおかしくなっりゃうからああああっはははははははは!!
もうやめれええええっへへへへへへへ!!いやだああああっははははっはは!!」


ぎゅっと閉じた目からは涙があふれ、口からは涎が止まらず、
それでも手や触手は私をくすぐり続ける。
私がどれだけ懇願しても、決してその動きをやめることは―――





―――スッ……



「ふぎゃあっははっはははははっっはははははははっ………はあ……え……?」


あった。
何の前触れもなく、私の身体からくすぐったさがなくなる。
それだけではない。服の中に入ってきた腕や触手の感覚も、
両脚を飲み込んで揉んでいた大きな口の感覚も。
肺の中から吐き出してしまった空気を吸うべく、深呼吸しようとしたとき。





「ふぎゃあっ!?」


ズドオォォォォォォォ……




突然目の前に広がる砂煙と、頭に響くような鈍い痛み。
ああ、人里まで落ちちゃったのか。
あー、向こうから駆け寄ってくる人間の女の子が見える。
でもその顔はぼやけてよく見えない。
どうやら墜落したときに頭を打ったらしい。


『お…おねえちゃああああああん!!!!』


あらら、逃げちゃった。まあこれでも妖怪ぬえ様だもんね。
ところで、あの子には私はどう見えたのかな…?
ああ、目の前が暗くなって――――……


279 : 146 :2014/07/21(月) 00:28:19 wGljlLSw0
『何よ、そんなに慌てて。何があったの?』

『お姉ちゃん!空からモザイクがかかったよくわからないものが降ってきたの!』








――――――――――――――――――――――――――



「う、うーん……?」

「あ、起きた起きた!ぬえちゃん、大丈夫?」

「こっ、こいし!?」


かけられている布団をはねのけて飛び起きる。
知らない部屋ではあったが、置いてあるぬいぐるみやハート形クッションなどで
こいしの部屋だとすぐに分かった。


「人里に行ったらぬえちゃんが倒れてるんだもの、心配だったから連れてきちゃった」

「そ、そうか…あ、ありがとう……」

「あ、せっかくだしお茶菓子持ってくるね」


小走りですたすたと部屋を出ていくこいし。
いい友達を持ったなー。さすがこいし、こういう時には本当にありがたい。
地底のお茶菓子かー。旧都地獄温泉饅頭が好きなんだけど、こいし知ってるかな?









――――――――――――――――――――



「うふふ、ぬえちゃんも意外と単純ね」


あれだけ私の前で笑い悶えていたのに、全然気づいていないんだもの。
サードアイから伸びるチューブに、触手を変形させて作った丸呑みできるほどの薔薇の花。
お姉ちゃんとかフランちゃんなら気づきそうだけど。
こういうところが可愛いからいいんだけどねっ。


「ええと、おまんじゅうおまんじゅうっと……あ、あったあった」












数分後、ぬえの悲鳴を聞いて駆け付けたさとりの目に映ったのは
「旧都地獄温泉饅頭」ではなく「急須と動く温泉饅頭」だったとか。


280 : 146 :2014/07/21(月) 00:30:09 wGljlLSw0
今回は以上です。7000字の壁が越えられない…
今更だけど、これってここより版権スレのほうがいいのかね?


281 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/21(月) 00:58:34 y/A0TnCw0
GJ!
欲を言えばもうちょっと飲み込みくすぐり描写が欲しかったかもw

>版権スレ
版権スレでもいいけど、今は過疎気味だし、特に拘る必要もないんじゃないかと


282 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/21(月) 17:22:32 s2x7o0j.0
おおおおいいね
気に入ったw


283 : くすぐり好きの名無しさん :2014/07/23(水) 12:00:40 .NSaccvc0
>>280
(どのスレで云々以前にpixivで先に見ましたとか言えない……)

しかしGJですわぁ


284 : くすぐり好きの名無しさん :2014/08/13(水) 15:14:30 pjhzzXTs0
素晴らしかったわ、できればでいいけどまたフラン受け希望。


285 : 146 :2014/08/31(日) 18:23:30 Y0UbbXoo0
昼か夜かもわからない、しかし明るくはない紅魔館の地下室。
といってもカチカチと1秒を刻んでいく時計が日付が変わる時刻に近いことを示している。
しかし部屋にあるシングルベッドには、部屋の主の吸血鬼のほかに
なぜか抱きつくように両手を回したまま眠っている覚妖怪が一人。

先程――正確には8時間ほど前、吸血鬼フランドール・スカーレットは
覚妖怪である古明地こいしからたっぷりと焦らし責めを受けていた。
しかし誰が見ても分かるようなその斜め上にずれたサディスティックな性格は、
決してフランを高みへ押し上げようとはしなかった。
あともう少しで頂上というところで、その感覚を突き落す。
もちろんこいしの狙い通りであり、疲れたからという理由で眠ることになった。
が、一度欲情してしまったフランの体は睡魔を寄せ付けようとはしなかった。


「……ん……ぅ………ぁ……」


フラン自身、自慰の方法を知らないわけではないし、回数は多くないものの経験はある。
しかしそれはもちろん一人でいるときの話である。
自分の隣に誰かが、ましてや密かに好意を寄せている相手であり、
このような状態を作り出した古明地こいしがいる状態でできるはずもなかった。


「……ぁぅぅ………ぃ…」


今夜でもう何度目になるだろうか。
夜行生物特有の暗闇に慣れた目で、目の前にある時計を見る。
しかしその時計の針はほんの少し向きを変えただけで、
前回見たときと全くと言っていいほど変わっていない。

そして主犯であるこいしは隣でフランの方を向いて眠っている。
まるで天使のような寝顔で、ときどきフランの首筋に寝息を吹きかける。
静寂の中絶妙なくすぐったさを与えるこいしの寝息は、わずかながらもフランの性欲を高めるのに一役買っていた。


「(うう…なんでこんなことに……)」

「Zzz……」


いつの間にかスカートの中に入れようとしていた手を慌てて引っ込める。
一刻も早くこのもどかしさから解放されたいのだが、
背後にいるこいしが起きているかもしれないし、起きていなくても起こしてしまうかもしれない。
部屋の外にでも出れればいいのだが、こいしが抱きしめてきているし、
部屋の外には昼間からパチェの日光結界が張りっぱなしである。
吹っ切れてもいいのだが、何よりも自慰行為をこいしに気付かれるのが嫌だった。


「(……どうしよう……)」


こうしている間にもついつい太ももを擦りあわせるような動きをしてしまう。
多少楽になる程度のその場しのぎにしかならないが、
それでも布団の中でのその動きは他者を目覚めさせるには十分である。
いまは平気かもしれないが、そのうち控えるようにしなければならないだろう。


「(せめて…せめて部屋の隅でなら……)」


286 : 146 :2014/08/31(日) 18:23:56 Y0UbbXoo0
なんとかこいしの手からだけでも逃れようとするが、
意外としっかりと抱きしめるこいしの両手は私を逃がそうとはしない。
それどころか体を捩る度に、
こいしのほんの少し膨らんだ柔らかい胸が背中にふにふにと当たって気になってしまう。


「(だ、だめ…!がまんがまん……!!)」


必死に何度も自分に言い聞かせて、なんとか自慰の誘惑から逃れ続けてきた。
しかし今はその誘惑はこいしが寝付いた時とは比べ物にならないほど強く、
この調子では長くてもあと10分といったところ。
少なくとも、たとえ奇跡が起こっても明け方まで耐えられないのは明白だった。


「(…大丈夫……せめてもう少し…!)」


ただし耐えるのに集中しすぎていてすっかり忘れていた。
全ての始まり。といえば言いすぎなような気もするが、背後にあるこいしの存在を。


「ぅー…ん…」

「……ッ!!?」


突然こいしが私を抱きしめ直す。
それだけなら別にいいのだが、どうやらその時に手の位置がかなりずれたようで、
都合の悪いことにちょうど腰のあたり、しかし秘所からは少し離れた位置。
その絶妙な位置関係はフランの理性を一瞬で緩ませる破壊力を持っていた。


「(ぁっ…こぃ…ぃ、そこ……)」


その適度な圧力が私の手を招き寄せる。
今までの衝動とは桁外れのその誘惑。
過去の記憶からその中毒性の高い快感を思い出してしまう。


「(…ちょっとだけ……ちょっとだけなら……)」


もう耐えられない。完全に私の負けだった。
女の子の気持ちいい場所へ、ゆっくりと右手を近づけ―――


287 : 146 :2014/08/31(日) 18:24:28 Y0UbbXoo0
「…えっ…?」


―――近づけられなかった。
がしっ、と何かに右手首をつかまれる感覚。
それと同時に胸のあたりに持って行っていた左手にも何かが絡みつく。
そんなことができるのは、いや、そんなことでなくても誰がやったかは明白である。


「起きてないとでも思っていたのかしら?」

「こっ、こいしっ!?」


今までずっと眠っていたという思い込みからくる驚き。
その直後、まるで風邪でも引いたかのような発熱。
ただしその正体は、こいしに自慰行為をしようとするところを気付かれたというものによる羞恥心である。


「ななな、なんで起きてるのよ!!」

「だってここまで追い込んだのは私なのよ、当然だわ」


言われてみれば確かにそうである。
すっかり昼間のこいしの行動は単なる気まぐれと思い込んでいたが、
もともとこいしはこういう性格だということを忘れていた。


「それで、どうしちゃったのかしら、フランちゃん?」

「………///」


そもそも追い込んだと言っていた時点で分かっているのは確実なのだが。
だがどうしちゃったと言われても、恥ずかしくて言えたもんじゃない。


288 : 146 :2014/08/31(日) 18:24:48 Y0UbbXoo0
「私に言えないようなことでもしようとしてたのかしら?」

「ち、違う…ッ!そんなんじゃなくて…!!」

「なら言っちゃえばいいじゃない、オナニーがしたいんです、って」

「…ばっ…ッ!!わ、分かってるんじゃないッ!!」

「私はフランちゃんにオナニーって言ってほしいの」

「…この変態」

「褒め言葉だわ」


とはいえ


「……さ、させてよ…」

「くすくす、何をかしら?ちゃんと言ってくれないとわからないわ」

「……お、おなにー…///」

「ふふふ、よく言えました」


と、そういいながら一瞬の間に私の右手までサードアイのチューブで縛り上げ、
ついでと言わんばかりに両手を頭の上に持ち上げさせられてしまった。


「……何するのよ?」

「お仕置き」

「…………」

「私の前でオナニーしたがっちゃうような、そのフランちゃんのエッチな気分を鎮めないとね」


背後から私の耳元に囁きかけられ、思わずビクッと跳ねてしまう。
こいしはくすりと少し笑うと、器用にチューブを動かして私の体をこいしの方に向けさせて、
両腕を上げていることによってがら空きになった脇の下へと両手を伸ばしてきた。


「くすぐったら気持ちいいどころじゃないから鎮まるわよね」

「…ッ!こいし、待って…!!」

「だ〜め♪」

「くひいっ!!?」


こいしの言葉と同時に私の脇の下に左右5本ずつ、計10本の指がくにっ、と食い込む。
いつもならこの後は撫でるような動きで優しめに責めてくるのだが、今日は違った。
前触れもなく、食い込ませた指を脇の下から浮かせたり、再び沈めたりとリズミカルに動かし始める。


「うはああっはははははははは!!待って、待ってこいしいいっひっひっひっひっひっひっひ!!
いきなり強すぎるってばあああっはっはっはっはっはははははははははははは!!!!」

「だってフランちゃん、優しくすると気持ちよくなっちゃうじゃない。
だから最初から思いっきりやらないとね」

「だからってええっへっへへへへへへへっはははははははは!!!
ちょっ、待ってえええええ!!!!待ってってばああっははははははははははははははは!!!」

「こらっ、暴れないの!」


ばたばたと暴れる私の両脚を、こいしが両脚で抱えるように拘束する。
その力はこいしの見た目からは想像もできないほど強く、
くすぐったさの反射で動かそうとしているというのに全くと言っていいほど動かせない。
両手も完全に固定されているため、出来ることは体を左右に捩ることと首を振ること、笑うことくらい。


289 : 146 :2014/08/31(日) 18:25:07 Y0UbbXoo0
「いやああああああっはっはっはっはっはっはっははははははははははは!!!
こいしいいいいいいいいいいっひっひっひっひひひひはははははは!!
離して、離してよおおおっっっははははははははははははは!!!」

「嫌よ。だってそうしたらくすぐりにくくなっちゃうじゃない」

「やだっやだあああっははははははははははははははははははは!!!
脇ばっかりいいいっひっひっひっひっひひひひひひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

「あら、他のところもくすぐられたいの?
フランちゃんって、結構欲張りさんなのね」


こいしがそう言い終える前に、サードアイチューブが両脚に纏わり付いてくる。
何が起こったかわからず笑いながら戸惑っていると、纏わりついたチューブが
私の足の裏、足の指の間、足の甲、ふくらはぎ、膝、膝裏…と、余すところなく器用にくすぐり始めた。


「うふふふふふふひひひひひははははははっはははははははは!!!
ちょっ、やめてよおおっほっほはははははははははははは!!!!
なんで足までえええええっへへへへへへへへへへへへへ!!!!」

「だって脇の下以外もくすぐってほしかったんでしょ?
ほらほら、こちょこちょこちょーー」

「やあっはっはっはっははははははははは!!そうじゃなっ、っはははははっははははははは!!
ストップ、やめっ、待ってえええっへへへへへはははははははははは!!!」


太ももをがっしりと固定するこいしの脚もそうだが、
くすぐってくるサードアイのチューブも意外と強い力で拘束しており、
膝から下を全然動かすことができないのはもとより、
足の指の間に入り込んだチューブが邪魔で指一本ですら動かせない。


「いやっはははははっはっはっはっはっはははははははは!!!
おねがああっははははははははは、もうやれへええええっへへへへへっへっへへへ!!」

「それなら、これを何とかしないとね」


ふっ、と右脇からこいしの手の感触が消える。
しかし左脇は相変わらずくすぐられ続けており、決してくすぐったさがなくなったわけではない。
それでもその刺激が和らいだことに変わりはなかったが、
その変化に気付く前にこいしは次の行動に移っていた。


「うひひひっははははは!!!んあああっ!!?こいしいいっひひひははは!!
どこ触ってるのよおおっははははは!!!」

「こんなにぐちゅぐちゅ……。もっとこちょこちょして、落ち着かせてあげないとね。
それともこんなにされても感じちゃう変態さんなのかしら?」

「うにゃっはっはっはっはっはっははははははは!!!
違ううううう!!ちひゃうのおおっほっほっほははははは!!!」


くすぐられて感じているわけではないが、焦らされて下着を濡らしていたのは事実であり、
また粘ついた液体が乾きにくいのもまた事実。
なんとか言い訳を言いたいものの、脇の下を蠢くこいしの指がそれを許さない。


290 : 146 :2014/08/31(日) 18:25:28 Y0UbbXoo0
「そろそろ止めないとね。フランちゃんが気持ちよくなったら意味がないもの」

「にひいいっひひっひひひひひひひ!!!んはあああああああっっっっ!!?!!?
うひゃあああっっっはははははっはっはっはっはっははははははは!!!!!」


こいしが再び脇の下を両方くすぐり始める。
しかし先ほどと違って、服の裾から両手を入れて直接くすぐってきた。
両脚をくすぐるチューブも、今までのヘアピン状に曲げた先端でこちょこちょとくすぐる動きから、
脚に沿って這わせてうねうねと蠢くようなくすぐり方に変わる。


「んふふふっふっふふふふふふはははははははっはははっはははは!!!
やらあああっはははは!!!にゃにこれえええっへへへへっへへへへへ!!」

「やっぱり直接のほうが反応がいいわね」

「うひゅひひひひひひひひひひひ!!!そうじゃにゃああああっはっはっはっはっはっは!!
にゅ、ぬるぬるがああああっはっはっはっはっははははははははははは!!!」

「ぬるぬる?」


先程こいしにスカートの中を弄られたとき。
こいしの手には私の愛液がべったりとくっついてしまっている。
こいしは無作法にも手に着いたぬるぬるを拭き取らずに再びくすぐり始めたため、
それが潤滑剤となって私の感じるくすぐったさをより大きくしてしまっていた。


「なるほど……これは新しい発見かもね。くすくす……。
今度これで責め尽くそうかしら」

「そっ、そんなこときゃんがえなくていいからあああああっはっはっはははは!!
いいからやめれえええっへへへへへへははははははははははは!!!」


ぬるぬるとした感触とともにくすぐったさが神経へと刷り込まれていく。
一刻も早くくすぐり地獄から解放されたいが、こいしが止めるということは考えられず、
この地下室も防音処理なうえに地上からそこそこ離れているため、
誰かが助けに来るということは考えられない。


「もうひゃらっ、いやらああああああああっはっはっはっはっはっははははははは!!!
もうやれえよおおおおおおっははははははははははははは!!!」

「フランちゃんったら、もうお顔がどろどろよ?
こんなになっちゃって、そんなにくすぐったいのね」


291 : 146 :2014/08/31(日) 18:25:46 Y0UbbXoo0
既に10分近く両脚と脇の下を全力でくすぐられ続け、私の顔は目からこぼれた涙と口から垂れたよだれでぐしゃぐしゃになっていた。
無論こいしも気付いているのは確実だが、そんなことは気にすることもなく、無慈悲に私をくすぐり続ける。
まるで術者に従う冷酷な使い魔のように。


「おねひゃああああっはっはっははははははははははは!!!!
たしゅけっ、しんじゃううっふふふふっふふふっははっははははははははは!!!
くりゅっちゃうかりゃああああっはっはっははははははははははははは!!!」

「平気よ平気、魔法使いだってそうそう狂わないんだから悪魔ならなおさら大丈夫よ。
それにくすぐられたくらいじゃ人間だって死なないわ」


こいしの口から放たれる、『くすぐったって命に支障はないんだからやめる気はない』という趣旨の言葉。
その言葉はまるでナイフ弾のような刃の弾幕となって、私の心に突き刺さる。
ぎゅっと閉じた目からは大粒の涙が溢れ、大きく開いた口からは涎が垂れて笑い声が押し出される。
何せここまで激しく持続的にくすぐられたのは、相手がこいしとはいえ初めてであった。


「ねえフランちゃん、そろそろエッチな気分はなくなってきた?」

「ぐひぃいいっ!!?ふひゃははははははははははは!!!!」


こいしはそうは言うものの、今までの経験で私の体は
くすぐり≒性行為
という方程式を組み立ててしまっている。
いくら優しく責めるようなくすぐりではないとはいえ、
私の体は性衝動を抑えるという効果は受け入れず、むしろより一層発情してしまっている。
暗闇の中見えるのはこいしの顔だけ、しかもその彼女のサードアイのチューブに拘束されているうえに
抱き付かれながらくすぐられているというそのシチュエーションも私をより一層とろけさせる要素になっていた。
しかし少なくともこいしほど性に溺れていないと思っている私は、次のこいしの言葉に翻弄されてしまうことになる。


「フランちゃん、さっきよりもっとぐちゅぐちゅじゃない」

「ぎゅひひひいぃっっ!!?いやっ、やらああっははっははあはははははははは!!!
うそっ、うそらよおおおっほっほははははははははははは!!!」

「やっぱりくすぐられて感じちゃう変態さんだったのね」

「うひやああっはっはっはっはっはっはっはっはっはははははははは!!!
ひらう、ひらうってばあああああっはっはっはははははははははははは!!!」


こいしが服の裾から手を抜き、再びスカートの中を触り始める。
先程と同じくなぞるような動きであるはずなのだが、先程まで聞こえなかったくちゅくちゅという音が私の羞恥心を煽る。
もしかしたらこいしがわざと音を立てているだけかもしれないが、
少なくともあろうことかくすぐられて感じてしまっているということを
私に深く認識させていることは紛れも無い事実であった。


292 : 146 :2014/08/31(日) 18:26:11 Y0UbbXoo0
「もうどうあがても無理よ。フランちゃんが感じちゃったことに変わりはないわ」

「うぎゅうひひひひひひひひひひゃああっはっはっははははははははははは!!!
もおやれ、やら、やだああああああっはっはっはっははは!!ゆるしてええええええ!!!」


もう一度手を脇へと戻し、再び両手でくすぐられ始める。
脇の下のこいしの手の動きが、ねちねちとくすぐるような動きに変わる。
こいしとしては弱めのくすぐったさで快感を与えようとしているのかもしれないが、
長時間くすぐりにさらされていたせいで、気持ちよさよりもくすぐったさのほうが割合が大きかった。
しかしそれでもくすぐったさを快感と捉えてしまう私は、笑いながら股間を濡らしてしまうという何とも情けない状況に陥ってしまう。


「ねえフランちゃん、そろそろ限界じゃないの?」

「ぐひひひっ、ひゃはっ!!こいしっ、これえええっっ!!?」


こいしが指の動きを極限まで弱める。
今までの想像を絶するくすぐったさから幾分か解放され、笑いをこらえられるほどではないもののだいぶ楽になる。
が、その休息もすぐに終わり、すっかり忘れていた一瞬も耐えられないようなもどかしさが全身に、特に秘所へと襲い掛かる。


「いやああああああぁぁぁぁあああ!!!!おねがい、これだめええっへっへっはっはははは!!
一緒はだめだってばあああああっはっはっははははははははは!!!無理無理無理、がまんできにゃああああああっはっははははははは!!」

「だったら気持ちよくなっちゃえばいいわ。
もっとも、そうなったらお仕置きでくすぐっちゃうけど。
それともくすぐられてもどかしいのを忘れていた方がいいのかしら?」

「いや、もういやああああっははははははははははは!!ふぐふぃひひひひひゃはははははははは!!!
両方ともおおおっほっはははははははは!!!」

「ふーん、"両方とも"?
じゃあお望み通り、"両方ともやってあげる"わね」

「ふひいいいっひっひひひっひひひひひひひひひ!!!ちがっ、どっちもいやなの、
もうゆるじでええええええっへっへへへへへへへへへへへへへっへっへっへっへっへ!!」


体勢を変え、より私に密着するこいし。
右手はスカートの中に入れて私の下着をくちゅくちゅと音を立てながらなぞり始め、
左手は左脇をくすぐるのをやめて私の背中に回し、そのまま右脇をくすぐり始める。
腕を後ろ側に回したことで、私は完全にこいしに抱き付かれる形になってしまった。
太ももにしがみつく両脚と、両手足を縛るチューブは相変わらずだった。


「んあああっひひひひひひひははははは!!!無理、こいひそれいやあああっははははははははははは!!!」

「ふふふ、フランちゃんピクピクしてる…かわいい。
もう我慢しなくていいんだからね?」


こいしの口から投げかけられる甘い言葉。
だがその通りにしてしまえば、私はこいしに自慰を見られ、お仕置きとしてくすぐられながらも絶頂してしまったという事実が出来上がってしまう。
しかしいくら心の中で拒絶していても体は正直であり、こいしの責めをどんどんと受け入れてしまう。


「あああっ、こい、こいしいいっひっひひひひひひひひひひひ!!!
だめ、私もうぅぅっははははっははははっはははははははは!!!」

「まだ始めてちょっとしか経ってないのに……。
さすが変態さんね、くすくすくす……
いいわ、気持ちよくしてあげる」

「ふあひっ、ひゅぎひひひひひっははははははははははは!!
んやあああああっ、あああああっはっはははははははははははは!!!」


293 : 146 :2014/08/31(日) 18:26:26 Y0UbbXoo0
脇の下をこねくり合わす指先の動きが激しくなる。
同時に、秘所に伸びたこいしの手に力が入り、布越しに強烈な快楽を与え始める。
脚を縛られた状態ではその耐え難い快楽を足を閉じることによって和らげることも出来ず、
突然激しくなったくすぐったさにも対処が遅れてしまい、あっという間に絶頂への階段を登り切ってしまう。
閉じた目の視界が漆黒から真っ白に変わり、ふわっと体が浮き上がるような感覚。
しかし――――


「でもやっぱりくすぐってあげようかな」

「えっ…!!あひっ!?うひひゃははははははははははははは!!!
だめえええっへへははははは!!やめないでよおおっははははははは!!!!」


あと少しというところで秘所を弄るこいしの手が離れ、再び服の裾から入り込んで、
もともとくすぐっていた左手とぬるぬるになった右手で両方の脇の下の窪みをじっくり、ねちねちと、しかし力強く、確実にくすぐったさを与えるようにこねくり回す。
ほんの少し手前のところでお預けを食らった体は高まることを止めようともせず、くすぐったいだけの間隔の中でも絶頂へと近づいてしまう。


「んあああっははははは!!あっあああっっっ!!!だめ、きちゃう、こいしだめえっははははははははは!!」

「くすくす、もういいじゃない、我慢しなくたって。ほら……」


















「くすぐられて、可愛い声出して、イっちゃえ」

「いひひっ、きゃはああああっ、あはははははははっはあああああっああああああぁぁぁぁっっっっ!!!!!」









――――――――――――――――――――――――――








「…で、どうしてくれるのかしら?」

「どうもこうも、全部こいしのせいでしょ…」


燭台で照らした地下室に、してやったりという表情のこいしと若干不機嫌な私。
私がこいしの悪戯によって不機嫌なのはよくあることである。
こいしが悪戯をすることもそれ以上によくあることであるが、珍しいのはその服装といったところか。
今のこいしは普段の黄色い若干だぼだぼの服と、私が普段使っているのと同じ真っ赤なスカートという姿。


「だってフランちゃんがあんなに濡らすなんて気づかないわ」

「う、う、うるさいっっ!!!そもそもあんたが手を出さなきゃよかったんでしょうがっ!!」


絶頂時に溢れ出た液体は数時間にわたって焦らされたせいか思った以上に量が多く、
私の下着やスカートだけでなく、シーツやこいしのスカートまでぐっしょりと濡らしてしまった。
私は着替えがあるものの、こいしは当然のことながら着替えなんて持ってきていないので、
仕方なく私の服を貸しているのである。
別に誰にも気づかれないんだから下着で帰ってもいいと思うのだけど……。
時刻はまだ夜の12時半を過ぎたあたり、何もやることはないうえにベッドが湿って寝ることも出来ないので、こうして床に座って喋っているわけである。


「はあ、眠いうえにやることないとか、なんか退屈しのぎはないの?」

「あら、またくすぐりっこでもいいわよ。くすぐるのは私だけど」

「…あんたに聞いた私がバカだったわ」

「まあ私が楽しめるからむしろさせてもらうけどね」


目の前からフッ、とこいしの姿が消える。
それと同時に後ろから手を回される感覚。


「え、ちょっ、こいしぃっ!?」

「どうせスカート乾くまで時間かかるし、朝までくすぐり抜いてあげるわ」

「いや、ちょっ、待ちなさい、さっきイったばっかりでびんかああああああっっ!?!?
待って、ちょっとまてこいしいいいいいいっひひひひひひひははははははははははははは!!」


こいしによるくすぐり責め。
夜12時直前から始まり、後に朝5時まで続くことになるその行為はまだ始まったばかりである。


294 : 146 :2014/08/31(日) 18:29:48 Y0UbbXoo0
pixivに上げたこいフラ非くすぐり小説の続き。
脚くすぐりを取り入れたのに途中から完全に忘れていたとかいうあるまじき失敗。

とりあえず投稿はここのスレ使っていきたいと思います。

忙しい人のためのここまでの話の流れ
フランがこいしに焦らし責めされる→寝れない(今ここ)


295 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/01(月) 00:30:08 eNbp9X5s0
最高でした。GJ


296 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/02(火) 09:55:11 hlOixMiQ0
毎度続編期待させて頂いております やはり腋の下は良いGJ


297 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/02(火) 10:28:50 d7u4KleE0
確かに途中までくすぐり小説だと忘れて見入っちゃってたw 



298 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/15(月) 04:31:07 SR1ngagU0
完全オリジナル&ジャンル初挑戦につき閲覧注意。

登場人物
:大島 紀裕(おおしま のりひろ)
以下、のりひろ。
身長182cmの大学2年生。心優しき好青年にして、本作のいじられ役。

:石田 ともこ(いしだ ともこ)
以下、ともこ。
のりひろの一年後輩で、彼女。本作のいじり役。ちなみに未経験。


<プロローグ>

「のーりひろっ」
 李亜拾記念大学、午後の講義が終わった講堂で、ともこはのりひろの背中にいきなり抱きついた。
 公衆の面前で何とも大胆な行動である。
 さて。のりひろの首にぶら下がるような恰好になったともこは、彼が恥ずかしがるのもお構いなしにその耳元へ口を近づけ、
「この後、ちょっと私の家に寄ってかない? 面白い遊びがあるの……」
 小声でそっと誘いかけた。
 親しい人にはノーとは言えないのがのりひろである。良いよ、と二つ返事に承諾した。

 この時、のりひろは気がつくべきであった。

 純粋なともこの笑顔に一瞬、悪魔のように妖しい光が差し込んだのを。


299 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/15(月) 05:57:15 NlSrUmI60
f/mならじゃんじゃんカモン


300 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/15(月) 13:33:46 kqvlVO3Q0
>>298
これは期待・・・と言いたいんですが、ちょっとタンマ!
それって大島さん、つまり男性側がくすぐられるストーリーになるのでしょうか?

もしそうなら、ここのように性別指定の無いスレに書きこむのはルール違反になってしまうので、
良ければ続きはこちらの くすぐる女の子/くすぐられる男の子 その8 スレに投下して頂いて宜しいでしょうか?
tp://jbbs.shitaraba.net/otaku/11739/


301 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/15(月) 13:36:04 kqvlVO3Q0
失礼、アドレス間違えました。こっちのスレでお待ちしております。
tp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11739/1409889198/


302 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/16(火) 13:58:24 Ig9gI.7.0
はあ、よく分かりませんが…
了解です。移動しますね。


303 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/16(火) 14:32:46 Ig9gI.7.0
すみません、理解しました。
男をくすぐっちゃダメなんですね。


304 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/16(火) 14:47:54 wIHQDKSU0
*/mをやたら毛嫌いする人多いよなこの掲示板


305 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/16(火) 19:14:28 zT1CkLZU0
毛嫌いってか荒れることがあったから投稿場所分けましょうねってなってるんじゃないか。
上の掲示板全体のルールの所に書いてある。


306 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/16(火) 23:41:11 UUvr6WYs0
m/mは嫌いだって人多いだろ?それの延長でそもそも男が受けるのも嫌、って人は一定数いるよ
棲み分けで来てるんだからいいじゃん


307 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/17(水) 00:13:31 vtmrH4xU0
お前はいったい誰と張り合ってるんだ


308 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/17(水) 00:19:27 8C1uq.dU0
なぜf/mがいま議論されているのにm/mを例に挙げるのか


309 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/17(水) 03:29:14 IP68nuso0
そういや俺も*/mと分かると回避しちまうな。
アレはどうしてなのか。
変な話他のジャンルの*/mはそんなに回避しないんだが、
くすぐりだけはなぜか避けてしまうわ。


310 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/17(水) 09:50:49 6tkDoCsM0
慣れの問題だろうな
昔は苦手だったが、今はどっちもいけるようになった


311 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/17(水) 12:49:49 YMuQ4qYQ0
いや生理的な話だから慣れはしないけど
まあ、どのみち住み分けられてるんだからそれでいいさ


312 : 146 :2014/09/18(木) 14:56:37 Unae/5DU0
あ、そろそろ大丈夫かな?






「本っっっ当に申し訳ございません!!!後で厳重に注意しておきますので!!」

「いや…うちのフランも悪いとこあるから、そんなに謝らなくても……」

「そうだよお姉ちゃん、レミリアさんもそう言ってるんだからお言葉に甘えるべきじゃない?」

「こいし、あなたはちょっと黙ってなさい」

「は、はい……」


紅魔館会議室。
主のレミリア・スカーレットとその背後で佇むメイド、十六夜咲夜。そして悪魔の妹、フランドール・スカーレット。
対して彼女たちと机を挟むように椅子に腰かけるのは地霊殿の主、古明地さとりである。
そしてその斜め後ろに私、古明地こいし。
直接関係ないような気もするが、すぐ隣にはパチュリーと小悪魔もいる。

事の発端は2日前、私がフランちゃんの部屋にお泊りに行ったとき。
余りにもお預けされたフランちゃんが可愛かったからその後もたっぷり遊んだのだけれど、
朝方になってついに反撃、しかも4人に分身して全員レーヴァテインを構えて。
レーザー4本くらいなら私は避けることは簡単でも、当然ながら部屋の壁やインテリアグッズまでは自ら避けようとはいない。
朝になって眠りに就いたばかりのレミリアは来なかったものの、その騒音を聞きパチュリーが駆け付ける。
部屋の惨状を見た彼女のその第一声が『スカートどうしたの?』なのは疑問点だったが。


「ま、まあ本当に気にしないで。あの程度の被害ならフランがよく起こすから」

「お言葉ですがお嬢様。
フランお嬢様が、というよりはお二方が、なのですが」

「うー…それ今言う?言っちゃう?」

「咲夜さん、さすがに今言うのはレミリア様の威厳が…」

「いいのよ、こあ。普段から騒いで私の創作活動を邪魔してる天罰だわ」


恐るべし紅魔館。みんな仲良くやってる地霊殿とは大違い。
こうしてみるとレミリアさんの立場が低く見える。
そう見えるだけで強いことには変わりないんだろうけど。


「と、とりあえずこいしにちゃんと説教しておきますので…」

「あー、ああ、うん、まあそれであなたが満足するんならいいんじゃないかしら?」

「本当に申し訳ございません…。ではこれで…。
さ、帰るわよ、こいし」

「えぇ〜……」




――――――――――――――


313 : 146 :2014/09/18(木) 14:57:03 Unae/5DU0
数時間後、私の部屋。
お姉ちゃんのお説教といっても、そんなに怖いものじゃない。
唯一の妹である私への溺愛っぷりはかなりのもので、お説教といってもどちらかと言えば
紅魔館への被害というよりも私への心配といったところ。
それでいいのかと突っ込みたくなるが、私としてはうれしい限りなので特に文句は言わない。
だけど話が長ったらしいのだけはちょっとね…。
最も閻魔様よりはまだましだろうけど。


「こいし、いるかしら?」

「いるよー」


ガチャリと音を立ててお姉ちゃんが私の部屋に入ってくる。
お小言はさっき終わったというのに、何の用だろうか。


「よかった、またどこかへ出かけたのかと思ったわ」

「…出かけたって、ちゃんと戻って来るもん」

「全く、あなたは猫じゃないんだから…。
実の姉として心配なのよ。」

「じゃあネコミミつければいい?」

「そういう問題じゃありませんっ!」


お姉ちゃんがちょっとだけ声を張り上げる。
ああ、猫はいいな、自由で。
私は猫になりたい。I wanna be the cat.


「わかったよ、もう外に出ないから」

「そういうことじゃなくて、その、せめてどこへ行っていつ帰ってくるかを教えてくれればいいのよ」


うへえ。それはそれでいちいち面倒くさい。
私思いのおねえちゃんのことだから、外に出ないなんて言ったら逆に出そうとすると思ったんだけどなー。


「とりあえず、今日は外に出ないで家にいなさい。私だって、その、寂しいのよ…」

「はあ…わかったよ、もう…」


入ってきたドアからお姉ちゃんが姿を消す。
大切にされるのはうれしいんだけど、されるぎるとちょっと嫌なんだよね。
地霊殿の御令嬢って言われるような箱入り娘ってのに憧れてた時期もあったけど、今はそうはなりたくないしなあ…。


「…はあ………」


ため息を大きくついて、ベッドにごろんと大の字に横になる。
外から聞こえる猫の鳴き声。きっとお姉ちゃんのペットの猫たちが中庭で遊んでいるのだろう。

フランちゃんにやったように、ペットたちにもいたずらをしたことはある。
ただそれは嫌がるそぶりはあるものの、決して拒もうとはしない。
飼い主の妹。そのステータスのせいで嫌われることはなかれど、ペットたちからは同じ反応をもらうことになってしまっていた。


「……」


物思いにふけっていても時計はなかなか針を進めようとしない。
特に名案が思い付いたわけではないが、何かを決心したかのように飛び起きる。
何をするか考えて動かないよりは、何でもいいから動いたほうがいい。






――――――――――――――――――


314 : 146 :2014/09/18(木) 14:57:20 Unae/5DU0
「…あっ……」


無意識にお姉ちゃんの部屋の前にいた。
開かれたドアから、机の上の書類の山と向かい合うお姉ちゃんの姿が見える。
お姉ちゃんの部屋は地霊殿の1階にある。
仮にも主であるから結構立派な部屋かと思いきや、案外そっけない感じである。
ピンク色の壁紙は私の部屋とお揃いでも、私の部屋にあるような大きめの机やベッドはなく、
書斎にあるような小さな机と壁一面にそびえたつ本棚、そして部屋の隅にたたまれた布団が目に入る。
前にせめてベッドくらい使ったらどうかと言ったけど、昔ながらの布団はお気に入りらしい。
地獄の真上とはいえ岩盤がすぐ床下にある1階は建物の中でもとりわけ涼しく、
お姉ちゃんも夏はこうして扉を開け放し、涼しい風を送り込んでいる。
そのせいか、部屋の中はまるで紅葉が色づく季節の夜のような、ひんやりとした涼しさだった。

本来ならそっと見守ったりだとか、何も言わずに立ち去ったりなのだろう。
しかし何と言えばいいのか、この時の私はとにかく退屈していた。
その退屈が無意識に表に出てしまい、私はある衝動に駆られる。

お姉ちゃんはいつも無防備だ。
サイコメトルの能力は気配すら簡単に察知する、気づいたときに対応すればいいだけだからだろう。
でもこうしてその能力が効かない相手が、よりにもよって一番の身近にいる。
それを知っているにもかかわらず、しかも今日は自ら私を地霊殿にとどめているにもかかわらず、
相変わらず無防備なまま、まるでバベルの塔とも比喩できる書類の山を前に私に背中を向ける。
猫1匹にすら反応するお姉ちゃんの後ろ姿は、私の本能を呼び覚まし――――――


「ひゃわあああっっ!!?!!?」

「…くすっ♪」


いつの間にか無意識にお姉ちゃんの背中を人差し指でなぞっていた。
水色の服に浮かび上がったしわの寄った一本の筋は、お姉ちゃんの肩をびくびくっと縮こませる。


「なっ、こ、こいしっ!?なにするのよ!!
そもそも入るときはノックくらい…」

「だってドア開けっ放しじゃん」

「あ、あのねえ……」


質素な椅子の背もたれごと、後ろからお姉ちゃんを抱きしめる。
ドアは開いていてもノックはできる。でもそれをするかどうかは私次第。
もちろんしないわ、だってやったら気づかれちゃうもの。


「ねえお姉ちゃん、遊んでよ」

「ごめんなさい、一緒にいたいのはやまやまなんだけど、仕事があるのよ」


今にも崩れそうな書類の山、といってもそんな堅苦しいものじゃない。
プライベートな手紙もあれば、旧都のお茶菓子やさんのチラシもある。
というかそれが7割近くを占めていた。


「…お姉ちゃんのけちんぼ」

「ごめんね、また今度付き合ってあげるから」

「わかったよ…じゃあね…」


また今度、というが私がここに来た理由はまさに『今日』は暇だからである。
『今度』の約束をされても、その時に私が暇とは限らない。
ならばどうするか。『今度』を『今日』にしてしまえばいいのである。
たとえ寂しそうに装っていても、お姉ちゃんにはそれを見破る手段はない。
なんせ、私が相手なのだから。





――――――――――――――――――


315 : 146 :2014/09/18(木) 14:57:37 Unae/5DU0
地霊殿にありそうでないもの、それはお風呂である。
いや、ないことはない。ただしペットたちの水浴び場になってしまっているのが現状である。
お姉ちゃんもそのことは知っているのだが、決して追い出そうとはしない。
飼い主の優しさもあるのだろうけど、旧都の温泉に足を運ぶあたり、よほど温泉が好きなのだろう。
だから時間は気まぐれで変わることはあれど、夜ご飯の後にお姉ちゃんがどこに行くかはわかっているようなものだった。


「うへえ……の、のぼせるぅ……」


大浴場の片隅にある檜風呂に浸かって既に1時間。妖怪なのでこの程度でのぼせることはないのだが、
それでもここまで長湯だとさすがにちょっと体に応えるものがある。
しかしこれだけ長く居座っているというのに、入ってきた者はほとんどいない。
お姉ちゃんがここにいるという話は旧都でよく聞くから、結構人も多いかと思っていたのだけれど。
と、そのとき、入り口のガラス戸越しに人影が写る。


「(来た…っ!!)」


ガラガラガラ…と、引き戸を開ける独特な音が響き渡る。
湯煙の先に見えるのは、バスタオルを纏った小柄でほっそりしたピンク色の髪の少女、古明地さとり。


「あら、誰かの気配がしたのだけど……」


げ、気づかれてる…?
どうやら人がもともと来ないんじゃなくて、たまたま来ていないだけの様子。
まあこんな大きい温泉宿、人が来なかったら潰れちゃうもんね。
…ん?


「お、誰かと思えばさとりじゃん」

「あら、キスメさん、あなたでしたか」


水汲み場のそばの桶からひょっこりと顔を出した緑髪の妖怪。
意気揚々と地底に立ち入った者の頭に洗礼と言わんばかりに落下する釣瓶落とし。
なぜ彼女がここにいるかはともかく、全くといって気付かなかった。
…じゃあキスメは1時間近くもここで何を?


「そんな浮かない顔してどうしたのよ」

「いや、実はですね、仕事が忙しくてなかなかこいしにかまってあげられなくて…」

「ははーん、なるほどね。
まあたまには仕事から離れて構ってあげるのもいいんじゃないかな?
さとり、あなたちょっと働き過ぎだし」

「そ、そうですかね…」

「さてと、じゃあ私はそろそろ上がるよ。
せっかくの妹なんだから、もっと構ってあげなきゃ」


ガッタンガッタンと桶に入ったまま跳ねて入口へ向かう。
桶から出て歩けばいいのに…。
しかしキスメが知ってか知らずか、とにかく機転を利かせてくれたことには変わりない。




「構ってあげなきゃ、か……」


うんうん、構って構って。
あとでキスメにお礼しとかなくちゃね。
絶好のチャンスを作ってくれたことには変わりない。
一旦上がってから私が入っていたのとは違う、
大きく白く濁った温泉へ浸かったお姉ちゃんの後ろへと回り込む。
足音を立てないよう、そーっと、そーっと……ん?


316 : 146 :2014/09/18(木) 14:57:55 Unae/5DU0
ツルッ



「あ。」


床にあった石鹸を踏んだなんてベタなオチじゃない。
いやまあ、確かに湿った岩肌の上でつま先立ちなんてしてたら転びやすいけどさ。
正真正銘なにもないところで転んだ。いや、現在進行形で転んでいる。
目先にいるのはお姉ちゃん。いくら私でも重力加速度と運動量には勝てない。
ならばぶっつけ本番、やるしかない。


「よっ、と。」

「うひゃあああああ!!?!!?なになに、突然なにぃぃいい!!?!!?」

「うわわっ、暴れないでよ、お姉ちゃん」

「え、ええっ、こいし!?」


驚いたお姉ちゃんがバシャバシャと水しぶきを上げる。
白く濁った乳白色のお湯が私の顔に降りかかった。


「あなっ、なんでここ知って…!!
っていうかいるなら最初からいるって言いなさいよっ!!!」

「えー、だってそうしたらお姉ちゃんを驚かせなくなっちゃうじゃん」

「驚かさなくていいです!」


必死になって怒っているが、内心嬉しそうな表情である。
額にしわを寄せながらもやや上目づかいできゅっと口を結んだその表情が何ともかわいらしい。
お姉ちゃんを後ろから抱きかかえたまま、温泉の淵とお姉ちゃんの間に滑り込むように、私もお湯へと入る。


「こいし、何してるの?」

「何って、お湯に入るんだよ」

「いや、それはわかるけど……
そうじゃなくて、手を離して広いところに行けばいいじゃない」

「だめだよ、だってこれから遊ぶんだもの」

「遊ぶ……?」


私の言葉に疑問符を浮かべるお姉ちゃん。
普段から心を読んでばっかりいるから、こういう時に考えられなくなる。
まあ気づかれて逃げ出されないからその方が好都合だけどね。

ちらりと入り口のすぐ近くにある木の板に目を向ける。
どこの温泉にもある効能表示。ここももちろん例外ではない。
古く若干朽ち始めたその板には、黒い墨でこう書いてあった。


317 : 146 :2014/09/18(木) 14:58:10 Unae/5DU0
―――――― 旧都名物 地獄温泉 ――――――
地底を流れる様々な成分が溶け出した地下水が、
旧地獄の熱で温泉となったものです。
ゆっくりしていってね!
※旧地獄の活性状態により、
 濃度が著しく変わる場合があります。
/*―――――――――効能―――――――――*/
美肌効果:高濃度の美肌成分がお肌をすべすべに
滋妖強壮:旧地獄の亡者の怨念が妖力を癒します
神経集中:精神を研ぎ澄まし、集中力を高めます
その他:疲労回復、免疫強化、金運、安全祈願…
――――――――――――――――――――――

金運や安全祈願はどうかとは思うが、それ以外の効果については勇儀のお墨付きである。
嘘が嫌いな鬼が絶賛するくらいだ、きっと表記は事実だろう。
…注意書き含めて。
地霊殿を出る前に、お燐とお空に最大出力で火力発電をしておくように言っておいた。
今頃文字通りの灼熱地獄、つまり超活性化状態になっているだろう。
よって今の温泉の状態は【特濃】といったところ。


「だからね、お姉ちゃん、今温泉に入ったままこうすると…」

「っひゃあっふふふうぅっ!?」


ただ脇腹をふにふにっと揉んだだけ。
しかし特濃状態の温泉のお湯は、触れたものの神経を極限にまで敏感にする。
若干とろみを帯びた白い液体は、今や即効性の薬物といってもいいレベル。
更に美肌効果がちょっとした潤滑剤の代わりとなり、
ちょっとした刺激でも、すぐさまくすぐったさへと変換させてしまう。


「くははははっ、こいし、やめなさっはっははははははははは!!!
はなして、はなしなさいよおっほほほほははははは!!」

「ダメだよ、だって離したら逃げちゃうじゃん」


真っ白なお湯で見えないけど、別に激しくくすぐっているわけじゃない。
ただ片手の指先でわき腹やお腹を撫でるだけの、単純かつ優しい動き。
しかしお湯はそこから生み出される刺激を、猛烈なくすぐったさとしてお姉ちゃんに伝える。


「うひひひゃはははあはははははっひひひひひひひひひ!!!
おねがい、やめっ、こいしいいっひひあははははっははははははは!!!」

「んあふうっ…ちょっとお姉ちゃん、くすぐったいからあんまり動かないでよ」

「あ、あなたよりもわたしのほうがあああっははははははは!!!
くすぐったいってばあああはははははへへへへへいひひひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


温泉に浸かっている以上、私にも影響がないわけではない。
くすぐったさにお姉ちゃんが身をよじらせただけでも、私のお腹がむず痒くなる。
長く使っていたお姉ちゃんほどではなくても、
肌がこすれただけでくすぐったさを感じてしまう程にはなってしまっていた。
だがこうしてお姉ちゃんと同じ感覚を共有するのも悪くはない。


「ああああっはははははははははははははっはっはっはっは!!!
あとでえええっ、あとでたくさん遊んであげるからあああっはっはっはははははは!!」

「え、ほんと!?」


一旦お姉ちゃんをくすぐる手を止める。
ぜえぜえと肩を大きく動かして呼吸をする音が聞こえる。
しかしくすぐりは止めても、お姉ちゃんを離そうとはしない。
なぜかって?


318 : 146 :2014/09/18(木) 14:58:28 Unae/5DU0
「でも今も遊んでほしいかな」

「えっ、ちょっ、あああああっっっ!!?!!?
いやああっははははははははっはははは!!やめなさ、ストップストップううっふふふふっふふふふ!!!!」


ほんのちょっぴり手を休めるフェイント。
普通にくすぐっているときでも引っかかってしまうようなものだが、
それはお姉ちゃんも同じである。
むしろ普段フェイントなんて引っかからない分効果絶大かもしれない。
あんまりお姉ちゃんに動かれると私もつらい。
先程よりもよりがっしりとお姉ちゃんにしがみつく。
密着することにはなるけど、中途半端な拘束で大きく動かれるよりはまだいい。


「いひゃはははっははははははははは!!!こいし、はなしなさいいいっひひひひひ!!」

「やーだ。これでも喰らえいっ」

「きゃはあっ!?わきはああっはははははははははは!!!!
ぬいて、てをぬきなさああっははははははははははははは!!!!」


つるりと脇の下へと手を滑り込ませる。
温泉の効能が行き届いた脇の下の皮膚は、何の抵抗もなく私の指先を受け入れた。
閉じられてしわの寄った脇の下の薄い皮膚を、薬を塗り込むような手つきでくすぐっていく。
…結構すべすべで癖になりそう。


「ぐふふふいひひひひひひひひ!!こいひ、ひゃははっ!!ぎゅひひひゃはははははははあははははははは!!」

「お姉ちゃん、笑い方がちょっとお下品だよ…
女の子なんだから『あはははは、やめてー』ってしなきゃ」

「むりむりむりいいいいいっははひひあはははははははははははは!!!
そんなことよりやめなさいよおおおっほほほほはほはははははひひひひひひいいい!!!」


笑い声と一緒にあふれたよだれが湯船に落ちていく。
あーあ、こんなのいい年頃の健全な男の子が見たらドン引きだよ。
まあ、この手のものが好きな人だったらむしろ夢中になるかもしれないけど。


「そういえば、お姉ちゃん?」

「あははは、いひぃ!?うにゃあああああっはははははっははははははは!!!
なにひょおおっほほほほほひひひひはははははははははは!!!」

「お燐に前に聞いたんだけど、こことここをこうされると気持ちいらしいよ」

「うぇひひっ!!?ひはあああああああっっっ!!うへへへへははははひひゃひゃひゃははは!!!」


お燐に聞いたもの。それは喉元とお腹を弄られると気持ちいいってこと。
もちろんそれはお燐が猫の妖怪だからであって、
割と人間に近い私たちが同じことをされたって、ただくすぐったいだけである。
普段やられたってたまらないのに、今の状態でやられたら私だって我慢できる自信はない。


「ぐふひゃはははは!こい、こいしいいっひあっはははははは!!
やめなさ、やめなさいよおおおっふふふふふふふふふ!!!!」

「んー、お姉ちゃんが気絶するか5分我慢するかしたらだね」

「ぎゅふふふふふっひっひひひひふふふふ!!!
む、むりだってばあっはははあははひゅふふふふふ!!!」


喉元をとお腹を一緒にくすぐっているせいか、こもった声を無理やり絞り出すような感じになってる。
さすがに喉元はこれ以上やるとかわいそうだし、お姉ちゃんが首をすぼめて手を挟み込んでしまうのでどうもくすぐりにくい。
首筋をくすぐっていた手を、指を動かしたまま下へ下へと動かしていく。
途中で手首の当たりにこりっとした感触を感じた。


319 : 146 :2014/09/18(木) 14:58:52 Unae/5DU0
「…お姉ちゃん、乳首硬くなっちゃってるじゃん」

「きゅははははははははは!!!あなっはははっはははは!!!
あなたがくっつくからああっはははははははっはははははは!!!」


うーん、まあお風呂の中で裸の女の子にしがみつかれたらまあそうなる…かな?
そうこうしているうちにようやくお腹の当たりへとたどり着く。
もう片方の手がすでにこの辺りをやわやわとこねくりまわしているが、
目的はそれに加勢することじゃない。


「お姉ちゃんのおへそ、ほじくりまわしてあげるね」

「ぎゃひひいっ!?ふへあああっくうはははははは!!!
それだめ、だめええへえふししひひひひひははは!!!」


お姉ちゃんの声の調子がさっきと変わる。
どんな感じかはわからないけど、さっきよりも耐えられないのは確かだろう。
それならそれでいいんだけどね。
私はもっとお姉ちゃんをくすぐりたいし、お姉ちゃんの声が聞きたいし、お姉ちゃんが悶える姿を見たい。
おへそに入れた人差し指をもぞもぞと動かす。
軽く指を押し付けてぐりぐりとしたり、中のしわを爪先でカリカリ引っかいたり。
その間に反対の手で周りをふにふにと揉みしだいていく。
くすぐりにおいて、近い場所を全く違う方法でくすぐられることほど耐え難いことはない。


「おねがっ、こいし、もうやめてええっへへへふくくくくくく!!!
それやめっ、一緒にやらないでっははははははははははははは!!」

「うん?じゃあ両手で同じことならいいのかな?」

「ひゅひいいっひっひはははははははははは!!!!
やめへ、いやだからあああっはははははははは!!!」


おへそから手を離して、両手でお腹をくすぐり始める。
こちょこちょとくすぐるのではなく、優しくなでまわすような動き。
なんて言うのかな、エッチの前に前戯でやるときみたいな感じ?
まあ私は好きになった男の子は【放送できません】して【削除されました】にして永久保存するから、相手は女の子ばっかりだけどね。
撫でたり、揉んだり、つまんだり。激しくはないけど、温泉で敏感になったお姉ちゃんにはこれでも絶叫して暴れるほどの刺激になる。


「ぎひっひひひあはははははははは!!!やめて、それだめだってばああっはっははははは!!
もうやめなさいよおおっほほっほほあははははははは!!!」

「我慢しない、ってことはくすぐられて気絶しちゃいたいのかな?」

「そんなことないいいいっひっひっひっひっひっひっひ!!!
ひいいっはっはっはははははははははははははは!!」

「ほら、あんまり声が大きすぎると女将さんに聞こえちゃうよ?」


そうとは言っても、手を休めるつもりはない。むしろさっきよりもちょっと激しくする。
必死に笑うのを我慢するのを見るのもいいけど、どうしようもない笑いの衝動に襲われてるのを見るのもいい。


「うふふ、お姉ちゃんすごい顔だよー?
わからないだろうから言葉で説明してあげよっか?」

「いぎいいいっひひひひしししし!!!いはああああっははははは!!
はぐう、いわにゃ、いわなくていいからああ!!もうだめええっへははははははは!!」


320 : 146 :2014/09/18(木) 14:59:11 Unae/5DU0
横顔を見るのが精一杯だけど、さっきから涎はだらだら、顔はくしゃくしゃ、涙はぼろぼろ。
ピンク色の髪はバシャバシャと脚を動かしてあげた水しぶきとお湯の湿気のせいで、しっとりと濡れている。
何とか私を止めようと両手を動かしてはいるけど、
脚を前に投げ出した中途半端で安定しない体勢で、なおかつくすぐられている状態では、
私を捉えるどころか体の横でじたばたさせるだけであり、結果として私に体重をかけて体を預けるような形になってしまっている。
こうなってしまっていては、いくら両手を前に回しただけ、しかもそれほど力を入れていない拘束とはいえ、
もともと体力のないお姉ちゃんでは脱出することはできない。
ただただくすぐられるだけ。いつ終わるかは私の気分と気まぐれで全部が決まる。


「んふふふふっふっふっふっへへへへへ!!やめ、ゆるひ、うひっひゃはははははは!!」

「あれ、お姉ちゃん謝るようなことしてたっけ?してないよね?謝らなくてもいいんだよ?
お姉ちゃんはこうやってただくすぐられてればいいの」

「そんっ、にゃあははあっはははははははははあ!!!
だめだめ、もうやめれよおおっほほほははははははははは!!!
ぎゃっはははははっははははははははは、いっひひっははははははははは!!!」

「そうそう、ここなんかも私がくすぐるの好きなんだよね」

「へふぅ!!?いひひゃあああっ!!?!!?」


手を下にずらして、"ここ"へと這わせる。
女の子の大事なところじゃなくて、脚の付け根のライン。
鼠蹊部、っていうのかな?よくわからないけど。
そこにそって指を押し付ける。なぞったり、引っかいたり。
膝の裏とか手首とかと同じで、関節の内側ってのは触られただけでもくすぐったいわけじゃないけど、なんかむずむずする。
そんな敏感なところを意図的にくすぐるのだから、くすぐったくないわけがない。


「ふひい!!いひゃあっ!!んああふふふうっ!!ぐひひひひぃいっ!?」

「あっははは、お姉ちゃんお腹ぴくぴくしてるー」

「ふははははっ!!やらああっははははははは!!!やめえええええあああっっ!!」

「うふふ、なんか変な声が混ざってるよ?
あそこに近いから感じちゃったのかな?」

「うみっひひひあはははははははっはっはっはっはっははは!!!
そんなっ、んふふぁああああああああああっっ!!」

「嘘つき。嘘は罪って、閻魔様が言ってたよ。
だからお姉ちゃんには罰を与えないとね」


お姉ちゃんの股間から手を離す。
ようやくの休憩に、過呼吸気味になって必死に酸素を取り込んでいる。
笑い続けてもともと少しもなかった体力を消耗したお姉ちゃんは、
拘束していないというのに逃げ出す様子はなく、疲労と拒絶の表情を浮かべたまま私に身を預ける。


「お、お願い、こいし、もう、許して、やめて……」

「ダメだよ、ルールはルール、守らないといけないんだもの。
もちろん罰はくすぐりの刑だからね。
さてと、どー…こー…にー…しー…よー…うー…かー…なー…」


糸の切れた操り人形みたいになってしまっているお姉ちゃんの全身にあるウィークポイントを、人差し指で突っついていく。
首筋、鎖骨、あばら、脇腹、お腹、おへそ、脚の付け根、内もも、膝の裏……
場所を変える度に「んくっ」とか「きゃふっ」といったお姉ちゃんのこらえるような声が聞こえる。
まあどこをやるかは最初から決まってるんだけどね。


「いー…うー…とー…おー…り!!
くすくす、脇の下に決まりましたー!!」

「あふぅっ、も、やだあ……やめて……」

「これはもう本気でやっちゃうしかないよねぇ……
うふふ、じゃあくすぐりの刑執行開始ー♪こちょこちょこちょー♪」

「うひゃはっ!?あああああっはっはっはっはっはっはっはっはははははっははは!!!
やめれえええええええっへっへへへへへへへへへ!!!ぎひゃあああああっはっはっはっはっはっは!!」


321 : 146 :2014/09/18(木) 14:59:26 Unae/5DU0
脇の下に手を突っ込んで、これでもかというほどに指でその薄く柔らかい皮膚を掻き回す。
秩序も規則性もない、まさにランダムといえる脇の下でのその動きは、
お姉ちゃんの体の奥底から笑いを絞り出し、温泉宿の女将さんどころか、外にいる通行人まで聞こえるんじゃないかと思えるほどの声を上げさせる。
さすがに身体だけは動かないのか、釣り上げられた魚のようにぴくぴくと動くだけだが、下手に動かれるよりはくすぐりやすい。


「うぎぎぎひひひひひひひひいいいいいっひっひっひっひっひ!!!
やべらさああああああああっははっははっはっはっはははははははははは!!!!
ぐるううううう!!ぐるっぢゃうがらあああああああっはっはっはっはっはっは!!!」

「大丈夫よ、妖怪どころか妖精だってそうそう狂ったりはしないわ。
だから安心してくすぐられてね、お姉ちゃん?」

「いやだあああああっはっはっははははははははははは!!!ぐひゅいひひっひゃはははははははははは!!!
やれで、やれでよおおおおっほあはははははははははは!!!!」


気まぐれで適当にくすぐりつつも、時々くるくると掻き回したり、グイッと押し込んだりと、
意図的に的確なくすぐったさを与える。
お湯の効能に加え、さらにくすぐられ続けて敏感どころか過敏ともいえる状態で、
しかも全身に数あるウィークポイントの中でも最もくすぐりに弱い脇の下を激しくかつ丁寧にくすぐられるのだから、文字通り狂ってしまうほどくすぐったいだろう。


「んにゃははははっはっはっははっははは!!!ぎひひひひいいいっひっひっひひひ…っゲホッゲホッ、っははは……!!!
うぐふうっふっふっふっふっふ……ひはああっっ…!!!!うへあああっはっはっはっは!!!」

「うふふ、お姉ちゃんお顔がどろどろのぐちゃぐちゃだよ?」


脇の下だけでなく、不意打ち気味にあばらや脇腹、お腹もぐにぐにとくすぐる。
まあこんなにされたら妖怪でも悪魔でも神様でも我慢できないよね。
くすぐられたいって思ったことはあるけど、さすがにここまではされたくないかな。


「えひっへえっへへっ……がはあっ……きゅひふふふふはは………あふあああっほほっはははは…へへ……」

「ん?あれ、お姉ちゃん?」

「ははっ……うははははっっ……う……あ……」

「あー、やっば、やっちゃった……」


一応顔を覗き込んで見る。
あーあ、泡吹いて気絶しちゃったよ。うーん、すごい顔になってる。
泡吹いて涙と涎でぐちゃぐちゃ、白目までむいちゃってるのに顔は笑ってるんだもん。


「うーん、どうせ起きた後にお説教は確実だしなあ……ん?」



――――――――――――――――――――――――――――――――



「………はっ…へっ…?どこ…?」

「あー、ようやく起きたね、さとり」

「キスメさん!?」

「浴場でぶっ倒れてたから部屋まで連れてきたんだよ。
夜になるとあそこ閉め切っちゃうし。
すごいことになってたけど、のぼせでもした?」


えっと、確かお風呂に入ったらキスメさんがいて、しばらく話した後先に上がっていって、
そのあとこいしが……そう、こいし!!


「キスメさん、こいし見ませんでした!?」

「ん?いや、私が気付いた時はさとり一人だったよ。妹さんはいなかったな」

「あのバカ……バカこいしいいいいいいいいいいいっっっっっ!!!!!!」

「あ、ちょっと、もう少し休んだ方がいいんじゃないの?」

「大丈夫です、お気遣いありがとうございますっ!!」

「あーあ、行っちゃったよ……まあ、これでよかったのかな?」





数刻前―――………


「あー、いたいた、釣瓶落としさーん!」

「うん、こりゃあさとりの妹さんじゃないか。…ってあれ、夕食の時にいたっけ?」

「それがねー、かくかくしかじか」

「これこれうまうま、なるほどねえ。それで、私がたまたまさとりを見つけたことにしてほしい、と」

「そういうこと。お礼に宿のお代代わりに払っておいてあげるから、よろしくお願いね」

「あーうん、まああとで見つかってお灸を据えられても私は知らないよ?」

「平気よ平気、しばらくしたらきっと落ち着いてるわ。じゃあよろしくお願いね」


ふっとまるで最初からいなかったかのように姿と気配を消す地霊殿の御令嬢。
血の繋がった姉とはいえ、地霊殿主のさとりに手を出すとは流石というか恐るべしというか。
まあ嘘つくような子じゃないし、早いところさとりの回収に向かうとしようかね。


322 : 146 :2014/09/18(木) 15:06:41 Unae/5DU0
以上になりますです。長い割にはくすぐり要素が後半半分くらいしかないですが、よければどうぞ。

*/mは名前の変わった僕っ子の*/fと捉えれば結構いける気がする…


323 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/19(金) 10:01:39 cMDTCWvs0

失神くすぐりはエロイなw


324 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/19(金) 17:14:27 fgecSLP.0
乙 毎回楽しみにしてるんだぜ


325 : 146 :2014/09/26(金) 00:01:05 YxOJqKz.0
いろいろとキラークイーンにインスパイアされて、
いろいろと今までの東方オンリースタイルから離れて、
いろいろと予想の斜め上に飛ばして書いていたら途中でアイデア的に詰んだ。

控えめで冷静でおとなしくて口数の少ない甘えん坊な金髪少女をこちょこちょしたい。









20XX年X月XX日、某国某所にて――……
堅苦しい言い回しだが、辺りに見えるのは摩天楼ではなく青空の下に広がる草原である。
その中の花畑で花束を作り上げる少女が一人。

病気の祖母の家へ見舞いに行くついでに花束を作る少女の名前はロゼッタ。
水色のフード付きの服に白のフリルをあしらった姿で、
フードの隙間からチラチラと金色の髪が見える。


「…こんなものかな」


片手で持てる程度の小さな花束を作り終えた彼女は、森の奥の祖母の家へ向かう。
魔女、狼、魔物…まあ野生の狼は考えられても、昼間から出てくるわけがなかろう。
それ以外に関しては、今の時代じゃ存在すら否定されている。
その年端もいかない見た目とその通りの年齢であり、
学校でも頭脳明晰と言われれば彼女という方程式の成り立っていたロゼッタも、
そういうものは物語と想像の世界にしかいないと思い込んでいる。
今の時代、せいぜい気を付けるべきは不審者くらいか。
ポケットから先日買ってもらったばかりのスマホを取り出し、GPS機能をオンにしておく。
まさか現代科学の象徴ともいえる機械によって事件に巻き込まれるとは、当時は微塵にも思わなかった…。





―――――――――――――――――――



すっかり遅くなってしまった帰り道。
この地方はこの時期、昼の時間がとても長い。
白夜になるほどではないが、夜9時ごろでも太陽が出ていることもある。
おばあちゃんは今となっては引退してしまっているがかつては民俗学者で、
小さいころから私にいろいろな話をしてくれた。
帰り際に必ず『帰りは狼に気を付けるんだよ』と言ってくるのは、その名残かもしれない。
赤ずきんじゃあるまいし…とは思うが、私を心配して言ってくれているんだし、
なにより夜になればこの森は本当に狼がいる。遠吠えしか聴いたことはないけれど。
…と、ちょうどそのときメールが届いたようだ。


「あ、お母さんかな?」


私には兄弟が一人もいなかった。
唯一の娘がこれだけ遅くなってしまったのだから、心配して連絡を入れてもおかしくはない。
スマホを取り出し、夕闇の中明るく光るその画面の文字を読む。
タイトル:無題。まあ別におかしくはない。
しかし差出人は母親の名前ではなく……


「…Deus Ex Machina?」


おばあちゃんの家にあった本に書かれていた気がする。
デウス・エクス・マキナ。ギリシャ劇などに登場する、
神が問答無用でその場を収めてしまうという設定とかだった気がする。
だけど所詮迷惑メール、開かずに消してしまえばいい。
そう思って受信ボックスを開いた瞬間―――………


「…えぇっ、な、なに!?」


周囲の空間がぐにゃりと歪む。
空間だけじゃない、平衡感覚も、重力も、自分自身の存在すら歪んでいるような錯覚に襲われる。
そんな不安定な状況だというのに、どこか安らぐようで眠くなるような、不思議な感覚に包まれる。


「…ふあぁ…な、なんで………」


重くなるまぶたを閉じぬよう必死に耐えるが、意志など無視するかのように意識が遠のいていく。
ぐるりとひっくり返った東の空に浮かんだ月が見え始めたころ、完全に彼女は意識を失った。




ばたりと倒れた彼女のもとに近づく人影が一人。


『これで参加者9人目、と。ちょっとやり方が強引過ぎたかな?ま、いっか』


ふわふわと宙に浮かんだその人物はロゼッタを抱え上げると、一瞬でフッと消える。
その跡にはロゼッタが倒れたときに折れた草の跡以外何も残らなかった。


―――――――――――――――――――――――――――


326 : 146 :2014/09/26(金) 00:01:27 YxOJqKz.0
「……んんうぅ……??」


ごつごつした寝床の感触の悪さに目を覚ます。
頭がガンガンする。たぶん二度寝した後に起きると感じるあの感覚と同じだろう。
辺りを見回すと、一面コンクリートの壁。
小さな机の上には私のスマホと、水色の玉のような物が書かれたカードがある。
どうやらどこかの建物のようだ。
だんだんと頭痛が晴れていく。
確かおばあちゃんの家にお見舞いに行って、帰りが遅くなって、
変なメールが届いて、なんかいろいろおかしくなって…そこから覚えていない。
…ということは誘拐?
いや、それにしては拘束もされてないのはおかしいし、スマホだって残っている。
警察に電話すればいいだけだし、GPSだってオンにしてある。
しかしそんな期待をよそに、画面に映し出されたものはいつもの画面でも圏外の表示でもない。


「なにこれ…」


青色の透明なタイルが重なったような背景に、『ルール説明』と『???』の文字。
どうやら何かのメニューのようで、???のほうは選択ができない…というか、カーソルが合せられない。
ルール説明を開くと、ずらりと文章が表示された。


『ルール』
1、目的
建物から7日間(168時間)以内に脱出することが目的。
1人で抜け駆けしてもよし、複数人で協力してもよし。
報酬は1億$÷ゲームクリアした人数である。
2、クリア条件
建物からの脱出、もしくはそれぞれに与えられた条件の達成。
3、失格条件
・168時間経過後にクリア条件を満たさず建物内に存在する場合。
・建物内において主催者側が"気絶"と判断した場合。睡眠などは含まれない。
・他の参加者に対する暴力行為。
・追加ルールに違反した場合。
4、カード
参加者にはMercury〜Plutoまでのカードのうち1枚が始めから配られている。
それぞれに各種クリア条件が書かれており、
さらにその他クリア確認等にも使うため、紛失はしないように。
!あなたのカードは『Uranus』です
5、各種個別クリア条件
Mercury:自身を除く参加者の半数がクリア
Venus:自身以外のすべての参加者の失格。能動的でも受動的でもよい。
Earth:Uranusの破壊
Mars:カード3枚の破壊。種類は問わない。
Jupiter:24時間以内に自身以外の参加者1人を能動的に失格させる。
Saturn:自身以外の参加者4人を能動的に失格させる。
Uranus:167時間59分59秒の参加
Neptune:84時間経過時点での参加者全員と遭遇している
Pluto:Mars所持者の失格
6、失格者
各種条件で失格した場合、ゲーム終了から168時間の間、拷問室送りになる。
規定時間の経過で解放だが、身体・精神の保証はできない。
7、追加ルール
主催者側がゲームの進展がないと捉えた場合、追加ルールを設ける場合がある。




なんかどこかで見たことがある。
確かキラークイ…いや、やめておこう。
しかし雰囲気と展開が似すぎている。ということは私はゲームの世界に?
いや、そんな現実離れしたことが起こるはずがない。
VRゲームなどというものも最近は開発されているようであるが、そんな感じでもない。


「そうだ、参加者……」


先程のルールには参加者と書かれていた。
このルールが正しければ、私のほかに8人参加者がいるはず。
スマホとカードを持って、部屋の外へと飛び出す。
誰かに会うことができれば、何かわかるかもしれない。


「あっ…」


十字に広がった迷路のような通路。
その右側の通路の奥から、私と同じ年頃の、
白地に赤の星模様のローブのような物を羽織った女の子がこちらへ走ってくる。
そのすぐ後ろの角からもう一人、16,7歳程だろうか、セーラー服の私たちよりも年上らしい女性も走ってくる。
どうやら彼女たちもこちらに気付いたようだ。…が、様子がおかしい。


「そこのあなた、はやくそっちに逃げて!!」

「え、え?」


手前の少女が私に声をかける。
その直後、彼女たちが曲がってきた角から目を疑うようなものが出てきた。


327 : 146 :2014/09/26(金) 00:01:40 YxOJqKz.0
「ひっ……!!!」


私のところまでたどり着いた少女と一緒に、反対側へ向かって逃げ始める。
通路の奥に現れたものは、マジックハンド。
私達よりも速い速度でこちらに向かってくる。


「あ、あれなに…!?」

「知らないわよ、あの女が私を襲ってきたらルール違反とか言うアナウンスが流れて、
そしたらあれが出てきたのよ!!」

「いやっ、離して!!!」


後ろから叫び声が聞こえ、振り返る。
見ると女性がマジックハンドに捕まっていた。
不思議なことに、明らかにマジックハンドが余っているにも限らず、
こちらへ向かってくる気配はない。
隣の少女も捕まった女性を見る。
その手に持つスマホには2つの文章が映っていた。

『セリア様、ルール違反により失格となりました。これよりペナルティを執行します』

おそらくセリアとはあの女性のことで、Jupiterのカードを持っていたのだろう。
Jupiterのクリア条件は24時間以内に誰かを気絶させること。
少女が襲われたと言ってた辺り、おそらくこの少女を気絶させようとして、
失格条件のルールに引っかかったといったところか。


「何するのよ、離してっ!!」


大の字に拘束された女性にマジックハンドが手をワキワキと動かしながら近づいていく。
その先には脇の下や脇腹、太もも。まさか。
そうこう思っているうちにマジックハンドが女性の体に触れる。
そして彼女の体をコチョコチョとくすぐり始めた。


「ひゃうぅっっ!!?あああああっはっはっはっはっはっはっはっははははははは!!!
やめ、やめてえええっはははははははははははは!!!助けてえええええええ!!!!」

「ど、どうしよう……」

「何言ってるのよ、逃げるわよ!
私たちまで捕まっちゃうじゃない!!」


彼女の言う通り、逃げたほうがいいだろう。
私たち二人だけじゃ、あの量のマジックハンドはどうにもできない。
捕まってあんな目に合うのはごめんだ。
あのセーラー服の女性には悪いが、この場をさっさと離れることにする。


「さあ、早く逃げよう!」

「う、うん…」

「やだやだやだあああああああっはっはっはっはっはっはははっはは!!!
待って、行かないでええええっはははははは!!!」


罪悪感を感じながらも、通路の反対側へと走り続ける。
絶叫とも取れる笑い声が聞こえなくなるほどまで、私たちは逃げ続けた。



―――――――――――――――――――――――――――――――


『…さっそく一人脱落か。これは今回はなかなか面白くなりそうだね』


―――――――――――――――――――――――――――――――



あの現場から離れた場所にある部屋で私たちは休憩をとっていた。
一緒にいた彼女は名前をリリアといい、Plutoのカードを持っていた。
どうやら白魔法を使うために魔法陣を描いたら吸い込まれたとか言っているが…。
まあその白魔法の存在はともかく、私と同じようにここへ連れてこられたのに変わりはないだろう。


「なるほど、じゃあロゼッタはおばあさんのお見舞いの帰りにここに来ちゃったのね」

「うん…」

「で、このルールもきっと冗談抜きで本物ね。現に違反者がどうなるか見たし……」

「私達も失格になったら……」

「い、嫌よ!私はあんな目にあうのは嫌だからね!!」

「私もあんな風にくすぐられるのなんて嫌……!」


もしかしたらたまたまくすぐりだっただけかもしれないけど、
そうだったとしたらチェーンソーやアイアンメイデンが出てきたっておかしくはない。
そんな物騒な発想を続けるのも嫌だし、リリアに伝えるのも嫌だった。


「それで、この後どうするの…?」

「どうするって言っても、目指すのは脱出でしょ?
たぶん条件を満たす以外でも脱出する方法があるんじゃない?
ロゼッタのはきっと脱出手段を探したほうがいいだろうし、
私も誰かを失格にするのは気が引けるし……」

「でもどうすれば外に出れるのかな」

「きっと出口が1階にあるわよ」

「…ここ何階?」

「…」

「とりあえず、階段探そうか…」

「そ、そうね…」


私達は部屋を出て、階段を探しことにした。


328 : 146 :2014/09/26(金) 00:02:08 YxOJqKz.0
「あーもう、疲れた!!」

「私だって疲れたよ……」


あれから5時間ほどが経った。
この建物を探索したところ階段が見つかり、もといた階が2階と分かった。
また先程の部屋のような休憩のできそうな部屋がいくつもあること、
その途中の部屋で地図らしきものを見つけたこと、
出口を開けるためには最上階にある鍵が必要なこと、
建物は10階構成ということ、
そして厄介なことにいたるところにトラップらしきものが仕掛けられていることが分かった。
1階に降りてから気づいたものの、2階で最初に追われたときに引っかかっていたらどうなっていたことやら。
とはいえ数は比較的少なめで、通路に張ったロープや色の違うタイルなど、
あからさまに罠だとわかるものばかりだった。
しかし試しに遠くから靴を投げ当てて起動させてみると、壁一面から羽箒が姿を現した。
ルールに合った失格条件に『気絶』があったことを思い出す。
まさか、気絶ってそういうことじゃ………
そして時刻は夜6時過ぎということもあり、今は1階の部屋で休息をとっている。
他の部屋と違って鍵がついており、部屋の作りもソファやベッド、キッチンなどまで完備であったため、
単独行動が前提になっているのか、2人で入るにはかなり狭い気もするが、
とりあえずここを寝床にすることに決めた。


「そういえばロゼッタ、あなたのカードってUranusよね?」

「そうだけど…?」

「だとすると気を付けておいた方がいいわね…」

「どういうこと?」

「あなた、クリア条件見ていなかったの?
Earthの条件がUranus所持者の失格ってなっているのよ」

「…!!」


条件の都合上、私はたとえ脱出しなくても最終的にクリア条件は満たしてしまう。
ということはEarthの所持者は脱出を考えない場合、最優先で私を狙うということである。
いや、Earthに限ったことではない、Venus、Saturn、やりかた次第ではMarsも敵になる。
暴力禁止のルールがあるとはいえ、ここにはトラップがたくさんある。
誘導さえてしまえば回避はできないだろう。
…もっとも、くすぐられただけで気絶するかどうかは疑問だが。
ただ私はくすぐりに強いわけじゃないし、むしろ弱い方だ。
先程のセリアがくすぐられていたのを思い出しただけでも脇の下や脇腹の当たりがむずむずしてしまう。


「さあ、明日どうするかだけ決めて、あとは休みましょ。
流石にもう疲れちゃったわ」

「そうだね……」

「まず目指すのは10階ね。ロゼッタも7日間も逃げ続けるのは嫌でしょ?」

「う、うん…」

「なら決定ね。あとは他の参加者に会ったときか……」

「それはその時に決めたほうがいいんじゃないかな?
相手のカード次第じゃ助けになるかもしれないし」

「うーん、それもそうか。でも注意しておいた方がいいことに変わりはないわね。
さ、もう寝たほうがいいと思うわ。寝ぼけたところを襲われるなんて最悪だからね」

「流石にちょっと早すぎない?」


リリアは真夜中に行動でもする気なのだろうか。
確かに他人と遭遇する確率は低くなるが、そっちの方が凶悪な参加者がいた場合、ハイリスクとなる。
暗殺者は夜に行動する。別に闇の世界に生きる人間でなくともそのくらいは常識レベルである。


「ところで、ベッド一人用なんだけど」

「いいじゃない、女同士だし」

「…そういう問題?」


リリアに促されるままベッドへと入り込む。
なんというか、彼女の性格には逆らえないような気がする。
私が控えめなのもあるかもしれないけど、活発というか好奇心旺盛というか…。
でも一見突拍子のないことを言い始めても、それが理に適っているから不思議である。
そうやっていろいろ考え込むうちに丸め込まれてしまう。
話術の才能でもあるんじゃないだろうか。
そうこうしているうちに、隣にリリアが入り込んでくる。


「あー、こうやって誰かと一緒に寝るのって久しぶりかも」

「この年で誰かと一緒に寝てることのほうが珍しいと思うけど」

「ねえねえロゼッタ、ぎゅーってしていい?」

「…まさかそっちの気がある系?」

「失礼ね、ただのスキンシップじゃないのよ」


329 : 146 :2014/09/26(金) 00:02:22 YxOJqKz.0
これはこれで面倒な人間に会ってしまったかもしれない。
リリアが私に抱き付いてくる。
真っ白で綺麗な肌に、金色でさらさらとした髪、透き通った宝石のような青い目。
まるで高級なフランス人形のような彼女に近くで見つめられているだけで、
気恥ずかしいような感覚がどこからともなく湧き上がってくる。
その妙な感覚に耐えられず、つい目をそらしてそっぽを向いてしまう。


「ああ、もう、なんでそっち向いちゃうのよーー!!」

「だって、そんなにまじまじと見なくても……」

「ううぅ、じゃあこうするんだから!」


リリアが私に密着するように体を動かす。
発育途中らしいその胸が私にふにふにと当たる。…ちょっぴり妬ましい。
なんかこう、あらゆる面でリリアに負けている気がする。
すると突然、脇腹の辺りにゾワゾワとした感覚が走る。


「きゃふっ…ちょっ、なにするのよっ……ふふふふっ…!!」

「ロゼッタちゃんって結構こちょこちょ弱いんだねー」

「や、やめっ……ああっあっははははは……!!」


後ろに手を回されて、そのまま脇腹を服の上からさわさわとされているだけ。
それでも私の体はくすぐったさを感じて、ぴくぴくと反応してしまう。
ぎりぎり我慢できそうで我慢できないその優しい刺激は、
私を無意識にリリアへと抱き着かせてしまう。


「こんなに抱き付いちゃって、、もしかしてそっちの気があるのはあなたじゃないの?」

「いひゃひゃはははっ、ちがっ……これはあああっははははっは……!!!」

「ふふふ、ぴくぴくしてるのが伝わってきちゃってるよ?かわいいね」

「ふひっ…いわにゃぅう、言わないでよおおっはははははははは!!」


耳元で囁かれた『かわいいね』の一言。
普段の日常じゃそんなことは言われず、耳元で囁かれるということもなかったので、
顔がかっと熱くなってしまう。
優しく甘いこの行為を、綺麗で私よりも大人びているリリアにされる。
きっと妹思いのお姉ちゃんって、こんな感じなんだろうなあ…。
くすぐったくて、今すぐにでもやめてほしい。
でも、もうちょっとだけこのままでいたい。
正反対の二つの思いをどうすることも出来ず、彼女の腕の中でただただ悶え続ける。


「あひうぅ……やるならもっと…くふふふふっ……すればいいじゃない…っはははっっ!!」

「そんなにしちゃったら他に人に見つかるかもしれないよ?」

「ううっ、もう……ひひゃっ……んふう……ああっはっはっははははっっ……!!」


一瞬たりとも我慢できそうにない刺激というのに、なぜか安心感が沸いてくる。
こうしてリリアに抱かれているだけだというのに、何か暖かい物に全身が包まれている感じがする。
ここへ連れてこられた時から、心の奥底に不安がたまっていたのかもしれない。
きっと今くすぐられるのを止められたら寂しさと恐怖に潰されてしまう、だからやめてほしくない。


330 : 146 :2014/09/26(金) 00:03:12 YxOJqKz.0
「ロゼッタ、もしかして楽しんでない?」

「ふひいいっ!!ひひゃふふふっっ……!!そ、そんなわけないいいっっ!!」

「さっきそっちの気があるとか言われたけど、それはもしかしてロゼッタじゃないの?」

「あふぁああっ!!?ち、ちがっふきゃはははは!!!やはああっはははは……!!」


本来、それが今のように優しいものでもあったとしても、すぐにでも逃げ出してしまいたい。
それがくすぐりというものだというのに、今の私はそれを求めてしまっている。
ほんの少しだけある逃げ出したい気持ちと、もっと強くしてほしいというもどかしさに促されて、
より一層強くリリアに抱き付いてしまう。
抱きしめる力を強くすればするほど、リリアの体温を服の上から感じる。
一度それを知ってしまえば、もう離れられない。くすぐりにも、リリア本人にも、そんな中毒性があった。
リリアに言われた通り、本当にその気になってしまいそうだ。


「ふーん、本当かしら?じゃあ、直接こうされるのはどう?」

「あはっ!!?ちょっ、なにするのっははははふふふふっ……!!やだやだ、やめてええっはははははは!!」


リリアが直接服の中に手を入れてくすぐってくる。
柔らかくすべすべとした脇腹を、さらさらと撫でるようにくすぐられる。
先程までの優しさを感じるものの、くすぐったさは先ほどの数倍にまで跳ね上がっていて、
さすがにこれを自らされたいとは思わない。
ところで今の私の服は薄手の水色のエプロンドレスにフードがついている、お気に入りの服だ。
だからリリアは私の脇腹をくすぐるために、スカートの部分の下から手を入れている。
長めの裾で中が見られるかどうかなんて気にしない私は、ストッキングなどもはいていない。
二人で枕に頭を並べている以上、脇腹のあたりまでたくし上げられ、布団の中で下半身は丸出しになってしまっている。
見られていないとはいえ、どうなっているかが自分で分かる以上、くすぐったさと同時に恥ずかしさが襲い掛かる。


「くひゃひゃひゃははははっ!!これだめ、だめだめだめええええっへへへへははははは!!
そんなにやらないでえええっひゃっひゃっひゃっひゃはははははは!!!」

「こっちの方がうれしいのかしら、かわいいかわいいロゼッタちゃん?」

「いっひゃっははははははっはははは!!!やめっ、やめてってばあっははははは!!」


両脇を人差し指の先でつーっ、つーっとなぞられる。
触れるか触れないか、そんなギリギリの距離で触られる。
服の上からではぜんぜんくすぐったくなかったのに、
直接柔らかい脇腹を弄られるだけで、笑い声が抑えられなくなってしまう。


「ふふふ、そんなに敏感なのね。これは次からも楽しめるかも」

「あっははははははははははははははは!!!いや、いやだああっはっははははは!!
ひゃはううっ!?うふふふははははははははは!!!」


リリアの指の動きが少しずつ変わっていく。
脇腹をただ上下になぞられると、指が上がる度に上半身のほうへゾクゾクとした感覚が広がる。
指先をこちょこちょと動かされると、身体がぴくぴくと痙攣する。
少し強めになぞられると、お腹から息を全て吐き出すような呼吸になってしまう。
つんつんと突っつかれると、一度突っつかれる度に途切れるような声を上げてしまう。
そしてふにふにと揉まれると、身体の奥をくすぐられるような感覚に笑い声が止まらなくなってしまう。


「うひひゃはははははは、リリアあああっっ、もうやめっっはははははははは!!
ケホケホッ……っははははは!!もういやっ……はははっ…ケホッっはははははは!!」

「あ、ちょっともうやめたほうがいいかしら?」


私をくすぐる手が止まる。
あれだけやめてほしかったのに、いざやめられるともどかしさにくすぐられていた脇腹がもぞもぞとしてしまう。
そのせいか、リリアが先ほどよりも魅力的に見える。


「ふひっ…はふぅ……はぁ…はあぁ……や、やりすぎ……」

「ご、ごめんね?」

「…いじわる」

「うう、だってロゼッタがかわいくてつい…」

「…なにそれ」


331 : 146 :2014/09/26(金) 00:03:22 YxOJqKz.0
笑い続けて疲れ切って、リリアのほうへ体を預ける。
ベッドの上なんだから別にそうしなくてもベッドになら身体は預けられるけど、
今はベッドではなくリリアを選びたかった。


「ロゼッタ?」

「…このまま一緒に寝てくれたら…許してあげる」

「…甘えん坊さんめ」


反論はしない。自分でそうだって気づいているから。
親離れが早く、兄弟もいなかったから今まで甘え足りなかったのかもしれない。


「じゃあ、お休み……」

「はいはい、お休みなさい」


さあ、明日に備えてもう寝よう。
明日から探索が本格的に始まる。
絶対にこのゲームをクリアして外に出なくちゃ、ね。


332 : 146 :2014/09/26(金) 00:04:48 YxOJqKz.0
気分転換に一旦東方ネタから離れて書いた程度なので、とりあえずここまで。
個人的にこの手のホラーというかサスペンスというか、そういうのが好きなので無理やりくすぐり要素を混ぜたらこうなった。
だってペナルティが死刑の代わりにくすぐりの刑でもいいじゃないですか(白目)


333 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/26(金) 02:40:04 K2EpYdfM0
乙!
この手のネタはエロイなw
殺害的な行為が難しいならトラップ設置とか、禁止エリアに誘い込んだりとかかな


334 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/26(金) 03:46:02 fKB6B7KU0
こういうの好き


335 : くすぐり好きの名無しさん :2014/09/26(金) 03:46:56 fKB6B7KU0
くすぐられるというより、くすぐりから逃げるのがテーマの話も面白い


336 : 146 :2014/10/04(土) 00:10:44 YhQvsY6c0
朝。
そうはいっても閉鎖された建物の中じゃ時計なしに時間を知ることなどできない。
だからこのゲームではある意味スマホがカギを握る。
そんな大切なスマホがベッド脇の小さな机の上で立てる振動音で目を覚ます。
隣ではリリアがすやすやと眠っている。
その存在に対する安心感もあるが、一方で『夢だったらよかったのに』と思う心もあった。
とりあえず時計を見よう。
そう思って着信音を鳴り響かせていたスマホに手を伸ばそうとしたとき、『それ』は私の視界に映った。


『あ、ようやく起きたんだね、おはよう』

「うわああああああああああああ!!?!!?」


椅子に座った少し年下くらいの銀髪の女の子。いや、男の子?
私に話しかけてきたその子はなんとも不思議な姿をしていた。
ピエロがかぶるような、2つのとんがりの先に丸いボンボンが付いた青と緑の帽子。
体の幅の3倍はあろうかという、横に大きく広がった蝙蝠の羽のような形をした黄色のマント。
果たしてスカートなのかローブなのか見分けがつかない紫色の服。
そして何より、床からふわふわと浮いたその体。


「うぅん…あ、ロゼッタおはよわああああああああああああ、だれ、誰その子!?」

「あ、お、おはよう…」

『………はあ、朝からハイテンションだね、君たち…』


呆れたようにため息をつくその子。
密室に突然誰かが侵入していたなんて、そりゃあびっくりするのは当然だと思うけど。
とりあえず、ぎゃあぎゃあ騒ぐリリアは少し放っておいて、
私とリリア共通の疑問を投げかけておく。


「…それで、あなた誰?」

『やっぱりメール見てなかったんだね。
僕だよ、ゲーム管理者のマキナ』

「…差出人と同じ名前…。
ということは、あなたが私達を連れてきたの?目的は何?」

『ご名答。連れてきたのは僕だよ。ただ目的に関しては言えないね。
ああ、攻撃しても無駄だからね。
君たちの目の前にあるのはただのホログラム、立体映像さ』


触ろうとすると、確かに私の手はその体をすり抜ける。
でもホログラムにしては完璧だ。不自然さもノイズも全くと言っていいほど見当たらない。
機械仕掛けの神の名を持つくらいのスペックはあるということだろうか。
まるで幽霊でも相手にしているかのようで、見ただけでは生身の人間と大差ない。
何とも不思議なマキナに興味を示していると、ようやく落ち着きを取り戻したリリアが戻ってくる。


「じゃあマキナ…って言ったわよね、どうして私たちのところへ来たのかしら?」

『いや、君たちだけメール開いてないみたいだったからさ、
エラーかどうかわからなかったから確認に来たってわけ』

「それならもっと早く来てもいいじゃない、今見たら最初のは昨日の3時ごろに届いてるじゃないのよ」

『まあ、僕だって一人でいたいこともある、ってこと』


マキナが私を横目で見る。その瞬間、私は察した。
まさか―――昨日のあれを見られていた?
リリアは気づいていないようだが、それに気づいてしまった私は途端に顔が熱くなる。


『とりあえず今はそれだけかな。
メールは届いたら1つ残らずちゃんと読んだ方がいいよ。
追加ルールとか重要項目とかも全部メール通知だからね。
じゃあそろそろ帰るから、頑張って脱出してね』

「あ、ちょっと!!」

『ん、どうしたの?』


リリアがマキナを呼び止める。
他に聞いておくべきことなんてあっただろうか?


「マキナ、あなたって…男?それとも女?」

『ふふふ、神に性別が必要だと思うかい?』


337 : 146 :2014/10/04(土) 00:11:02 YhQvsY6c0
「うっわ、8通も来てるわ…なんで気づかなかったのかしら」


リリアが朝食を食べながらメールボックスを見てそういう。
画面に映っていた?マークが一つ消え、代わりに封書のマークが出来ている。
どうやらメールボックスらしい。
残りの?マークは2つ、まだ何かあるということだろうか?
充電は残り100%、昨日からつけっぱなしだというのに少しも減っていない。


届いていたメールは、最初に女の子が捕えられたマジックハンドの解説、
1階でたまたま起動させた罠の解説、2日目開始の通知など、役に立つようなものからいらないものまでさまざま。
マキナに言われた通り、リリアと手分けして1通ずつ読んでいるのだが、
しばらくしてリリアが私に声をかけた。


「ねえロゼッタ、これって……」

「…なに?」


私に見せたメールのタイトルは、『休息室にたどり着きました』となっている。
おそらくこの部屋のことだろう。
内容は予想通り設備などについてだったが、最後に1文だけ気になる文章があった。

『なお、部屋に初めて鍵をかけてから12時間後に転送陣が発生し、部屋全体が罠となります』


「…リリア、私達って昨日の何時ごろここに着いたっけ!?」

「え、ええ、と、6時過ぎ?」


リリアが言い終わるかどうかというところで、部屋全体に光の帯が走り始める。
通知にあった転送陣が作動したと考えていいだろう。
明確に罠と書いてある辺り、これはかなりまずい状態。


「リリア、早く部屋から出ないと……!!」

「だめ、ドアが開かないわ!」


いち早く行動に出たリリアはドアノブに手をかけていたが、
ガチャガチャと音がするだけで扉が開く気配はない。
そうこうしているうちに、光の帯は立体的な魔法陣を形成していき、
部屋が明るく白く輝いていく。
私もリリアに加勢するが、鍵が外れているにもかかわらず、鍵がかかっているようにドアが開かない。


「…おねがい、開いて!!」

「この、開きな、さいよおおおおおおおっっっ!!!」


その瞬間、私の目の前は光で何も見えなくなった。
分かるのは一緒にドアノブに手をかけていたリリアの手の感覚だけ―――。





―――――――――――――――――――――――――――――――

『あーあ、せっかく伝えさせたのに。
まあ気づかなかったのも悪いし、いい勉強になるんじゃないかな。
さてと、転送先は…これにしようか』


338 : 146 :2014/10/04(土) 00:11:30 YhQvsY6c0
光が晴れていく。
辺り一面に広がった、あのお日様を直接見たような眩しく輝く景色がだんだんと色彩を取り戻していって―――


「うう、ロゼッタ、大丈夫?」

「う…ん、平気…」


辺りは先ほどまでいた部屋とは違う作りになっている。
なんとか立ち上がろうとするが、ぐるぐると回った後のように平衡感覚が狂ってしまい、
その場に座り込むのが精一杯である。
リリアのほうは…もっと被害が大きいようだ。


「うえぇ……気持ちわる……」

「だ、大丈夫……?」


部屋の広さは大差ないが、その一角が一段低くなっており、
ここからはよくわからないが白い何かが溜められているように見える。
その中へ床が坂のように続いており、その先は部屋の外に続いている。
あの中を進めということだろうか?


「そうだ、メール……」


マキナの言葉を思い出し、すぐさまメールボックスを開く。
新着通知は……3通。全てマキナからだ。

【ペナルティルーム】
特定条件で転送された際に送られる部屋。
いくつか種類があるが、どこへ飛ばされるかはランダムもしくは僕の気まぐれ。
使用中のペナルティルームには転送されないので、
他の参加者から襲われることはないよ。

【フェザーラビリンス】
ペナルティルーム:ランクA
脱出条件:最奥にある帰還用転送陣の起動。
仕掛けと罠:少なめ
通路全体がふわふわの羽毛で埋め尽くされた迷路。
これといった仕掛けは少ないけど、広めで地図のない迷路そのものが難関のため、高ランク。
難易度は高いけど他のペナルティルームに比べればリタイアのリスクは低いんじゃないかな。

【マキナコピー】
他人と遭遇しないからって、ペナルティルームで休息しようなんて甘い考えはできないよ。
ある程度までなら見逃せるけど、あまりにもペナルティとしてふさわしくないと思ったら、コピーを送り込ませてもらうからね。
ただの僕のコピーだけど、まあ捕まったらリタイアは確実と思ったほうがいいね。


「なるほどねー、私達は参加者だからゲームを盛り上げないといけない、ってことね」

「…もう大丈夫なの、リリア?」

「少ししたら治ったわ」


とりあえず説明を見る限り、脅威になりそうなのはコピーくらいだろう。
仕掛けも少ないとあるし、あまり気にしないでよさそうだ。
そしてこれも普通に探索する分には出現しない。
他に気になるのは、白く埋め尽くされたあの通路。
その淵まで行き、羽毛を一つ取り出してみる。
羽毛布団に入っているような、2センチほどの軽く小さな柔らかい羽毛。
それが深さはわからないが、通路を隅から隅まで埋め尽くしている。


「…これ、入るしかないの?」

「そうみたい。早くしないとそのマキナコピーってのが来ちゃうみたいだし」

「…はあ、最悪」


愚痴を漏らしながら、淵に腰かけてその中に片足を降ろしてみる。


「……っ」


ふくらはぎに羽毛がまとわりついてきて、むずむずとした感覚を巻き起こす。
膝のあたりまで脚を入れたがそこに足がつかないあたり、結構な深さがあるようだ。
不思議なことにあれだけふわふわとしていた羽毛が、まるで水のような流体性を持っていた。
手で少し掻き回すと何の抵抗もなく流れていくのに、
羽毛は舞い上がらず、泡風呂に浮かんだ泡のように浮いてもすぐに落ちていく。
一言で言えば、まさに羽毛のプールといったところ。
うっかりスマホを落としてしまえば、壊れはしないだろうけど相当面倒なことになる。
ボタンのついたポケットへとしまい込んでおいた方がいいだろう。


339 : 146 :2014/10/04(土) 00:11:49 YhQvsY6c0
「羽毛…よね、これ?
羽毛ってこんなに水みたいに動くの?」

「…知らないよ、そんなの」


結構な深さがあるとみて、プールサイドからプールに入るあの要領で羽毛の中へと入る。
だがその予想をさらに上回る深さに、手を滑らせて落ちてしまった。


「うひゃわあっ!?」

「ロ、ロゼッタ!?」


急に落ちたことで、服の中にまで羽毛が入り込んできて、
突然のくすぐったさと手を滑らせた驚きに声を上げてしまう。
底に足を付けて立ち上がると、ちょうど頭だけを上に出すような形になった。
羽毛特有の性質なのだろうか、人肌よりちょっと暖かい気がする。


「け、結構深いみたいね」

「…それより、服の中に羽が…」


歩くために少し体を動かすだけで、全身を羽毛に擦られる。
身悶えたり動けなくなったりするほどではないけど、ときどき身構えたりするほどのくすぐったさはある。


「しょうがない、入るしかないわね」

「あ、ちょっとリリア待っへああああっっ!!」


リリアが飛び込むと、その場所を中心に羽毛が私の方へ流れてくる。
その流れは私の服の中にも入り込み、歩いた時とは桁違いのくすぐったさが私を包み込んだ。


「ふはう……結構これはくすぐったいかも…」

「…リ、リリア、あなたねえ……」


顔だけ出したリリアにあきれ顔で答える。
気付いてないのか、確信犯なのか…。


「ロゼッタ、早くここを動かないとまずいんじゃない?」

「そ、そうだね…」


訂正、絶対に確信犯。顔がにやいてるもん。
とりあえず、リリアに言われた通りここを動こう。
どれくらいで来るのかわからないが、コピーが来てもまずいし、
どのみち脱出することには変わりない。
くすぐったさを少しでも抑えるために、
抵抗が何もないにもかかわらず水中ウォーキングのようにゆっくりと歩いていく。


「あうっ…くふふ、ロ、ロゼッタ、これなんとかならないの…ひゃひっ!!」

「…そんなこと…言われても…んっ…くぅ…!!」


小さな部屋から外に出るだけで30秒近くかかってしまった。
部屋の外は最初に連れてこられた建物と同じような迷路風の作りになっているが、
通路の奥まで羽毛が満ちている。
地図がないうえにこれだけの広大な迷路、さらに絶えずくすぐったさを与える羽毛に、
先が見えず絶望を感じる。
そしてさらなる悪夢が私たちを襲った。


340 : 146 :2014/10/04(土) 00:12:17 YhQvsY6c0
―――ガコン。


「えっ…」

「…リリア、部屋が…!!」


先程までいた部屋の入り口が、降りてきたシャッターによって封じられる。
部屋に戻れない以上、この羽毛の海から出るにはここを脱出しないといけない。
しかし災難はまだ終わらない。慌てふためく私たちに、さらなる仕掛けが襲い掛かる。


「いやっ、ちょっと、やだあああっはははははははっはっはっはっは!!!
なに、なにこれえええっははははははは!!」

「ううん…きゃふふふう……あはぁ、あああっははははははははははははは!!
だめ、止まって、とまってよおおっほほはははは!!」


通路の羽毛に流れが生まれたのだ。
かなりの速さで流れるにもかかわらず水圧のような抵抗を持たない羽毛は、
肩まで浸かった私の服の襟元から入り込み、鎖骨、胸、脇腹、お腹、腰、太腿と
身体中のあらゆる場所を撫でまわした後、スカートの裾から抜けていく。
意図的にくすぐってくるわけではないので暴れるほどではないにしろ、
初めて全身を同時にくすぐられる感覚に、
壁に手をついて内股になってその場から動くことができない。


「ふはははははは、ロゼッタああああっはっはっはっはっはっははははははは!!!
早く、早くここから出なきゃああっははははははははははは!!!」

「わ、わかってるってばああっははははははははっはっはっははははは!!!」


羽毛の流れに沿って通路を進み始める。
相対速度が下がったので幾分か楽になると思ったが、流れが速すぎて大して変ったように思えない。
唯一の救いは、脇を閉じておけばくすぐられないことくらいだろうか。
私が一番弱いところをくすぐられないだけ、まだましだろう。


「ふきゃきゃははははははははは!!!ロゼッタ、とにかく曲がってええ!!
曲がったほうがあっはっははっははは!!!いろいろ探しやすぁああああはははははは!!」

「で、でも角がああっ、角が見えないよおおおっほほほあっはははははははは!!!」

「それなら、まっすぐ進めばいいでしょおおおっははははっははははははっはははは!!!」


目線が水面(?)にギリギリなせいで、通路がどうしても一本道にしか見えない。
反対側にはすぐに曲がり角があったので、流れに沿ってこっちへ来てしまったことは失敗だった。
反対側へ進んで曲がった後に流れに沿って行けばよかったのだ。
しかしくすぐられているときに両手を上げるのと同じように、
自らよりくすぐったい方を選ぶことなど、たとえそれが効率的でもできない。


「もうやだあああああっはははははははは!!!くすぐらないでええええっっっ!!
こちょこちょしないでええええっへへへへへひゃひゃひゃひゃひゃはははは!!!」

「ロゼッタ、今倒れたらああっはっはっはっはっははははははははは!!!」


341 : 146 :2014/10/04(土) 00:12:34 YhQvsY6c0
思わず倒れ込みそうになった私をリリアが受け止める。
羽毛の流れは表層だけではない、通路の底の方も同じく羽毛が流れている。
こんなところで倒れ込んでしまえば、くすぐったさに立ち上がることも出来ず、
倒れ込んだまま全身をくすぐられることになる。
水と違って溺れることはなくても、小さな羽毛をたくさん吸い込んでしまえばそれこそどうなるかわからない。
ルールにも一切記載されていない「死」の文字が、私の頭に浮かんだ。
ろくな判断力のない今の私には、その文字の確実性が異常に高く感じられる。
その倒れてはいけないという言葉が、私を支える力になってくれた。
だが自分を勇気づけたところで、羽毛の動きが弱まるわけでもない。


「もうやっ、許し、許してよおおおおおははっははははははははは!!
たすっ、助けてえええっへへへへへへへはははははは!!!リリアあああああああっはははははは!!」

「わ、私だって助けてほしいのおおおっははははっはははははは!!!
うひいいいひゃははははははっははははは!!!!」


ほんのりと暖かい羽毛は、肌をくすぐるたびにその場所をどんどん敏感にしていく。
こんなところにずっと浸かっていては、数十分もすれば狂ってしまいそう。
昨日の夜にリリアにされたものとは違う、苦しめるためのくすぐり。
それなのに、羽毛の流れだけでくすぐってくるから、全くといって意志がこもっていない。
愛されているようなものでもなく、機械姦のようなものでもないこの仕掛けは、
私の好意をプラスにもマイナスにも偏らせず、ただひたすらくすぐる。
まあ建物全体が機械みたいなものだから、ある種機械に責められてることになるのかもしれないけど。
そんな私の前に現れた、左方向への曲がり角。正面と右側に通路はない。


「リリア、あ、あれえええっへっへっへっへっへへへへへははははは!!
曲がり角があああっははははははひゃひゃひゃっはははははは!!」

「それ、それ曲がってえええええ!!!!出口、出口探してええっはははははははははは!!!」


もちろんそこに出口があるかどうかも分からないし、そもそもこんなにスタート地点に近い場所に出口があるはずもない。
それでもそのごくわずかな可能性に期待してしまう。
ようやくまがったその先に見えた光景は―――――……


「ふあああああああああっはははははははははは!!!なんで、なんでよおおおおっはあっははははははは!!」

「もういや、いやだああああああっははははははっはは!!!出してえええっふふははははは!!
ここからだしてえええっへへへへははははははは!!!」


正面2メートルほどでの袋小路だった。


342 : 146 :2014/10/04(土) 00:13:07 YhQvsY6c0
―――――――――――――――――――――――――

薄く青く光る透明なタイルがふわふわと漂う漆黒の空間。
床には座標軸のように紫色の光線が直交しており、
まさにバーチャル空間といった雰囲気を出している。
そのある一か所が光り輝き、その中からマキナが姿を現す。


『ただい……っと、なんだ、いないのか。
せっかく僕が帰ってきたってのに』


誰もいない空間に話しかけたところで、誰かが出てくるわけでもない。
辺りから青いタイルをいくつか呼び寄せると、
それがあの建物内のカメラが参加者を撮った映像のディスプレイとなる。
罠に注意しながら最上層を目指す少女。
逆にうっかり起動させてしまい、召還されたくすぐりモンスターに追われる女性。
開幕早々リタイアとなり、拷問室――実際はひたすらくすぐられるだけだが――に送られたセリアも映っている。
あとは解除できるトラップを慎重に解除していくおじさま…彼は守備範囲外なのか、ディスプレイを閉じる。
ふと目に留まったのは、白い羽毛の流れを逆方向にさかのぼる2人の少女。
リリアとロゼッタの姿である。
本来、広大すぎるこの建物内では開幕早々他の参加者に出会うものではない。
にも関わらず、3人も同時に集まった彼女たちは、マキナも注目していた。
もっとも、そのうち1名は最速リタイア記録を大幅に塗り替えたのだが。


『あの年頃の子は動こうとしないから大抵コピーの餌食になるんだけど、珍しいこともあるなー。
まあ手間も省けたし面白そうだからいいか』


スクリーン上のボタンを次々タッチして、表示をDisabledからEnabledに切り替える。
その切り替えた数は3つ。すなわち、3種類の仕掛けが追加されたということ。


『さてと、二人はどんな反応を見せてくれるかな?』


画面の光が青白く反射しているマキナの顔は、
サディスティックで恍惚とした笑みを浮かべていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――





ロゼッタとリリアは意図的に用意されていたのか、
羽毛よりも高い位置にあるちょっとした休憩所のような場所で体を休めていた。
流れる羽毛に全身をまさぐられて体力を根こそぎ奪われ、
更に全身を敏感にさせられてしまい、くすぐられていないというのに体中がむずむずとする。
数分経って思い出したようにスマホを見てみると、この羽毛の仕掛けの詳細がメールで届いていた。

【リキッドフェザー】
フェザーラビリンス内羽毛循環システム。
水ではなく羽毛なので循環させる意味は全くないが、
迷い込んだ参加者をくすぐり漬けにする程度の効果はある。


「な、なにが循環システムよ……。
明らかにくすぐるのが目的じゃない…!!」

「…リ、リリア落ち着いて…とにかく今は休まないと…」


しかし仮にもペナルティルーム。何分も休ませてくれるほど甘くはない。
突然の警告音とともに機械音声が鳴り響く。


『浮島の使用時間ヲ超えマシた。コれよリ、浮島ノ沈下を開始しマス』

「なっ、う、うそでしょ!?」


警告が終わると同時に浮島は羽毛に沈み始める。
沈下というよりは落下に近かったが。
そのため、あっという間に再び羽毛に体を沈めることになってしまい、
休憩中の全身の神経にあのくすぐったさが襲いかかる。


343 : 146 :2014/10/04(土) 00:13:32 YhQvsY6c0
「うひゃああああっははっはははははははははははは!!!
待って、まってよおおおおおおっはははははははははは!!!」

「ああっああああっははははははははっはっはっは!!!
まだ、まだ休んでるからああああああああっっ!!!」


しかし不幸なのは、このタイミングで新たな仕掛けが追加されたこと。
ちょうどマキナがスイッチを切り替えたのが、浮島が沈んだ瞬間だった。
突然のくすぐりの再開にロゼッタたちは気づいていないが、メールボックスには新しく3件の通知が届いていた。

【エアジャグジー】
通路の底から銭湯のジャグジー機能と同じように空気が上に向かって出てくる。
まあ何度も言うけど水じゃないから、羽毛が舞い上がるだけなんだけどね。
せっかくなんだから楽しんでいってよ。

【渦潮】
その場でぐるぐると回転する流れを作り出す。
かなり早いし、感覚も今までと違うから結構きついかもね。

【ベビーパウダー】
いろんなトラップで使われるベビーパウダーを羽毛にも混ぜておいたよ。
どうなるかは…わかるよね?


「はひゃはははははははは、ひやああああっっっ!!!
ふへははははははははははっはっはっはっははははははは!!!」

「ひゃはっ、ひぐっふはははははははっはっはっはははははは!!
にゃっ、なにこれえええええっへひひひっひっひ!!」


先程まではなかった、私の立つ通路の底から空気が吹き上げられる感覚。
襟元から流れ込むものとは違って直接服の中に流れを作って羽毛を巻き上げ、
足の裏だけでなく秘所や内腿といった敏感な部分までも容赦なく刺激する。
更に私の真下を中心に渦を巻くような流れに変わり、羽毛が服の中でくるくると回転する。
直進的な流れと違って私を中心に回転する羽毛は、ひとつ残らず全てが私の体をくすぐり続ける。
リリアを見ても、顔以外は見えないがおそらく私と同じ状況だろう。


「ろぜっ、えははははははははは!!ロゼッタあああっはっはっはっはははははは!!
はやくにげ、にげなふふふふふはははははははああああっっっ!!!」

「わかってるってばあああっはっはっはっはっはっははははははは!!!
うふあふぁああっはっはっははははははは!!!うごけりゃいのおおおおっはははははははは!!」


股間への刺激に思ったより気を取られてしまい、さらに全身をくまなくくすぐられる。
身体に力が入らず今にも座り込みそうなのを何とか持ちこたえる。
壁に手をついて体を支えながら先へ進むのが理想ではあるが、
そんなことをしてしまえばがら空きの脇の下に羽毛が入り込んでしまう。
前に進もうにもよちよちと足を動かすことしかできず、全く前に進んでいるように思えない。
しかも渦から外に出れたとしても通路はかなりの数の渦が道を塞いでおり、
行けども行けども羽毛の渦に閉じ込められてしまう。


「きひひひっはははははっははははははは!!やだやだっ、やめっはははははははは!!
んあううう!?そんなとこ入ってこないでよおおおおっほほほはははははひひひひひ!!!」

「もういやっ、とめってよおおおおっふふひひひひひひひ!!
へあうははははははははははははは、だめだってばあああああっはっははははははははは!!!」


先程まではくすぐられて全身が少し汗ばみ、多少は楽になっていたというのに、
今はなぜかくすぐったさが全然変わらない。
まるで性質が変わったかのように水分を吸い取ってしまっている気がする。


「ロゼったああああああっはっはっはっはははははははは!!!
あ、あそこ、あれええっへっへっへっへへへへへへへ!!!」

「へふぁあいっはっははははははは!!ふくひひひひひひひっはははははは!!」


角を先に曲がったリリアが何かを見つけたらしく、私を呼ぶ。
なんとか角を曲がってみるものの、くすぐったさに涙がにじみ出ていて、ぼんやりとしか見えない。
ただし遠くに何かの文字が書いてあることと、その場所だけ浮島のようになっていることだけは分かった。
リリアはすぐに進んでしまったが、あれがゴールなのだろうか?
保証はないが置いていかれるのも困るし、そちらへ進むことにする。


『ふふ、でもね二人とも。すごろくとかって、
ゴールの前には"振り出しへ戻る"とかがあるものなんだよ?』

「ふぇひっ!?あははははははははっはっはっはっは!!マ、マキナああっ!?
くふはははっはははははっははははははははは!!!」


突然聞こえたマキナの声。響き渡る感じからするに、多分館内アナウンスみたいなものだろう。


344 : 146 :2014/10/04(土) 00:13:54 YhQvsY6c0
『確かにこのペナルティルームはもともと仕掛けは少ないよ。
でも、ゼロってわけでもないんだよね』


マキナがそういった瞬間、ピッ、という何かのスイッチが入った音。
それと同時に通路の床が後ろ側へベルトコンベアのように下がり始め、
羽毛の流れはこちら側へ変わり、更にその流れの速さや床からの送風、渦を巻く速さまでもが大幅に強くなった。
少しでも身を守ろうとスカートを上から押さえつけるが、
それによって服の中での羽毛の動きが乱雑になってしまい、羽毛ごと洗濯機にでも投げ込まれたような感覚に襲われる。


「うぇひはははははっははははははは!!!なにっこれええっはははははは!!!
戻さないでええっへははははははははは!!!!
んふわあああああああっはっはっはっははははははははははは!!!」

「んにゃはははははははははっはっはっははははははは!!!
もうだめ、だめだってばああああっはははははははははっはっははははは!!
おかひくなっちゃうううっふふふふふふふふふふ!!!!」


後ろへ流されることに本能的に危険を察知した私は、全力で前へと進む。
だが先程よりくすぐり責めが激しくなったせいで、歩く速度が反比例してしまっている。
しかもゆっくりとはいえ無理やり後ろへ後退させられてしまい、
急いでいるつもりなのに全く先へ進めない。
最初に小部屋を出たときの速さが100とすれば、今は30ほどだろうか。
壁のおかげで進んでいることには気づくが、
ゴールと思われる場所までの距離は目線が羽毛の水面とほぼ同じということもあり、
広く地平線の先まで目印になるものがない草原を進んでいるような、
すぐ目の前に目的地があるのにたどり着けないあの感覚を思わせる。


「ふきやはははははははっはっはっは!!!まってまって、しんじゃうってばああっはっはっはっははははは!!
こんなのずるいいいいいっひっひっひっひひひひひひ!!ずるいよおおおおっははははははははははは!!!」

「ロゼッタああああはははははははははははははは!!はやく、はやくううっふふふふふふふふふ!!!」


先に進んでいた分、リリアが相当遠くまで、というかゴールのすぐ目の前まで進んでいる。
浮島に手をかけているが浮島そのものが今までの端が斜面になっていたものとは違い、
端が垂直で、キューブのような形であった。
これだけのくすぐり責めの中であれに登るために腕に力を入れるのは難しいし、
リリアはどうだかわからないけど、非力で運動音痴の私じゃ簡単には登れなさそうだ。
そんなことを考えるうちに、リリアがあっさりとその段差を登り終えようとしていた。


「えふぁははははははっはっはははあああっ!!いひゃははあああっっっ!!
はああっっ……はあ…本当に、し、死ぬかと思ったわ……はあ…」

「はやいいいいっっっ!!はやいよおわああっはっはっはっはっはははははははは!!」

「ロゼッタ、早くこっちに手を伸ばして!!」


すぐ目の前に差し伸べられるリリアの右手。
数十センチほどの長さだが、今の私にとってその差は大きい。
私の手の長さを考えれば1メートル以上分の距離にはなる。
リリアの手を取ろうと、腕を差し出そうとする。…が。


「にひっひゃははははははっははははははは!!!できないいいっひひひひひひ!!」

「どうしてよ!!早くしないと…!!」

「だってええっへへへへへへへへへへ!!!わきいいっひっひひひひひ、
わきがああっはっはっはっはっはっはっははははははははははは!!!!」


手を伸ばすということは、脇の下の防御を捨てるということ。
それだけは何としてでも防いできたのに、最後の山場でノーガードなど、出来るはずもない。


「ほんのちょっとだけよ!!すぐ引き上げてあげるから!!」

「やああっはっはっははははははははははは!!!たすっけてええっへっへっへへへへ!!!
リリいいあああっはっはははっはははははひはははっふふふふふふふ!!」


くすぐったさから逃れたいという誘惑と「ほんのちょっと」という言葉に負けて、右手でリリアの手を取ってしまう。
がっしりと手を掴むことはできたが、その瞬間から脇の下の窪みの中へ羽毛が潜り込み、暴れ出す。
流れの安定しない窪みの中では羽毛一つ一つの動きはより複雑になり、
蝶か何かが脇の下で群れて羽ばたいてるような、そんな今まで経験したことのないくすぐったさを与えられる。


345 : 146 :2014/10/04(土) 00:14:21 YhQvsY6c0
「きゃっひひゃあああっはっはっはははははははははは!!もうやだ、むり、いやああっはっははははははははは!!!
がまんできないってえええっへへへへはははははは!!!」

「ちょっ…ロゼッタ、あなたも少し動いてってば!!」


手を掴んだといっても水の中ではなく羽毛の中のため、浮力なんてものはない。
私と床の間にはダイレクトに摩擦力が働く。
そのためにリリアに引き寄せてもらうということは期待できず、
多少前かがみになるので少しは速く歩くことはできるものの、結局自分で歩くことになる。


「リリアああっはっはっはっはっはっはっはははははははは!!!
はやくうえにあげてええっへっへっへえははははははははははははははは!!!」

「こっの……ロゼッタ、私だけじゃ重すぎて無理だって!!
もう片方の手使えるでしょ!?」

「やだやだやだああああっはっはっははははははははははは!!!!
もうくすぐったいのはいやあああっはっはっはははははははははは!!!」

「はあ、もう……」

「ふひゃははははああっ!?あああははははははっはっはっはっははははは!!!
なにするのおおおっふっふあははははははははははははははは!!!」


あきれたリリアは羽毛の中に手を突っ込んで、無理やり私の左腕を引っ張り出す。
当然左脇にも羽毛が舞い込み、脇の下の窪みを細く柔らかい繊維で掻き回す。
浮島の上へと腕を出され、反射的に自力でよじ登ろうとする。
もちろんそれを見計らったリリアも加勢してくれた。


「あふぇああっはっははははは…っはあ…よ、ようやく出れた……」

「ほ、ほんとうよ、もう……」


ずっとくすぐられて笑いすぎたせいで、もう喋るだけでも辛い。
先に上に上がったリリアも、さすがにまだ息が荒くなっている。


「ロゼッタ……はあ、大丈夫……?」

「ふぇああ……はぁ……だ、だいじょう、ぶ……それより……」

「…なに?」

「はふ……うぅ……だ、誰が重いですって…?」

「はあ…あ、えっと……それくらい元気なら大丈夫ね」


リリアがよかったー、と安心したように表情を和ませる。
私も声を出すほどの元気はないものの、微笑み返しておく。
思えば羽毛の中にいたときもずっと私のことを気遣っていてくれた。
それに対して私は自分のことばっかり。自分が情けなくて仕方がない。
私なんてたまたま出会ったばかりの人間に過ぎないのに、なんでこんなに優しくしてくれるんだろう。


346 : 146 :2014/10/04(土) 00:14:34 YhQvsY6c0
「うっわ、メール3件も来てるわ…。ジャグジーと渦潮とベビーパウダーって…」

「…なんで途中でメールが…はあ…来るのよ…」


くすぐられてる途中に送られたって見れないに決まってるのに。
ある程度気前がいいとは言っても、所詮マキナは私たちを連れ去った犯人ということか。
そんな気まぐれな神様からのメールは、今回もいつも通り来てほしくない時に来る。


「あ、メールだわ」

「ひゃひああああああっっっっ!!?!!?」


メールなど見る気にもならなかったので、私のスマホはポケットの中。
メールを受信したことでスマホ自身が震えだし、その振動は敏感になった私の体へと伝わった。


「ロ、ロゼッタ…?」

「…だ、だいじょうぶ、なんでもない…」


メールボックスには『クリアおめでとう!』の文字。
その内容はこうだ。

【クリアおめでとう!】
ペナルティルームをクリアできたみたいだね。
クリアしたから報酬を置いておいたよ。
本館で手に入るものよりもずっと強力だから、結構役に立つんじゃないかな?
本館へ戻るにはそこのレバーを引くと転送陣が発動するよ。
そうそう、のんびりしてたらクリアしててもコピーを送り込むからね。

改めて辺りを見回すと、確かに後ろに宝箱のようなものと工場にありそうなレバーがあった。
リリアが開けてみると、中にはサテンらしきものでできた手袋と、真っ白でふさふさの羽が一つずつ入っていた。


「あー、そういえばそういうゲームだったっけ、これ」

「…出来れば使うことにならないでほしいな…」


だがいざそういう事になった時は、やられるわけにはいかない。
結局は使いたくないと言いつつも、リリアは羽箒を、私は手袋を持っていくことにした。
試しに手袋をつけて自分を少しくすぐってみると、
くすぐり責めで敏感になっているのもあるだろうけど、かなりのくすぐったさを感じる。


「さて、あとはここから戻るだけね。スイッチ入れるけどいいかしら、ロゼッタ?」

「…むしろ早くここから出たいんだけど…」

「はいはい、じゃあ起動するわよ。よいしょ、っと」


レバーを切り替えた金属音とともに、ここに飛ばされたときのように辺り一面に光の帯が現れる。
もともと周りは羽毛で真っ白だったが、それの白さを塗りつぶして周囲の空間が眩しく光り、リリアの姿すら見えなくなった。


347 : 146 :2014/10/04(土) 00:24:06 YhQvsY6c0
ちょっぴりうれしいことがあって、その勢いで一気に書いてしまいましたとさ。
重要キャラっぽいのがさっそく出てきてるますが、
たとえ機械に責められてるとしてもくすぐる側に人格があったほうが想像しやすい…ような気がする。


348 : 146 :2014/10/04(土) 00:34:16 YhQvsY6c0
>>333
たぶんトラップは全部くすぐり責め、戦闘はキャットファイトみたいな感じになりそうです。
今回出たおじさまは…なんとなく埋め合わせに出してみたけど、需要あるのかなあ…。

>>335
ホラゲーって逃げたり不意打ちがあったり捕まったりと、くすぐりでも応用できそうな要素が多いと思うんですよねー。


349 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/05(日) 00:50:47 EOeY3AzI0
くすぐりトラップ系のお話大好きだから実に熟読してしまった…
トラップの説明メールとかそういうくすぐりに対する説明系がツボ


350 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/05(日) 05:58:23 otkEZQzg0
>>348
なんの埋め合わせだよ、どう考えても需要ねえよ
ていうか趣味じゃないならマキナはなんで呼んだんだよw

わざと主人公たちを騙してトラップに誘い込むためのサクラなのかと思った


351 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/05(日) 08:45:47 3nkiLG.Y0
何様?


352 : 146 :2014/10/05(日) 10:48:40 8sgxu2pY0
>>350
執筆上の需要って意味です、すいません。
くすぐられる需要って捉え方が当たり前ってことをすっかり忘れてた…
おじさまはくすぐられる予定はないですしくすぐりたくありませぬ。

呼ばれた理由に関しては、
マキナの「ただいま」発言からなんとか推測していただきたいところ。
そういう需要を持った子がそのうち出てくる予定です。
だがくすぐられるのはその子の方だ。


353 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/05(日) 15:53:48 9pWE8BTQ0
羽毛、いいですね


354 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/07(火) 00:45:15 q1rdS7Po0
続きが早く読みたいです。


355 : 146 :2014/10/07(火) 19:44:42 QZfNIEVs0
今回はくすぐり要素がないうえに短いので、まあ「こんなキャラがいるよー」程度に読んでおいてくださいませ。
男キャラが5割を占めるものの、そいつらをまとめて大人の事情で排除する回。




―――――――――――――――――――――――――

『うーん、なかなかいいものを見させてもらったよ。
さてと、保存保存っと…』


ロゼッタたちを送り込んだ迷宮内の時空データを無圧縮で保存する。
容量は見当はつかないが、指数にヨタとかグーゴルプレックスとかその辺の単位が出てくるのは間違いないだろう。
そもそもこの無限に広がるバーチャル空間自体がHDDみたいなものだから、容量なんて気にならないけど。


『それで、そろそろ出てきたらどうなの、スズラン?』

『げ、バレてるし』


集まった青いパネルの陰からひょっこりと少女が姿を現す。
紫と緑の和風の着物に身を包んだ、紺色の髪の彼女の名前はスズラン。
魔法を使って作り上げた使い魔だけど、完全自立だし僕の魔力も無尽蔵だから、かわいい恋人みたいなもの。
魔法生物だから性別はないんだけど、まあ服装とか性格とか身体とかが全部女性のものだから、実質女の子。


『そんなに不自然にパネルが集まってたら誰でもわかるよ』

『だよねー』


大げさに悔しがりながらこちらへ来るスズラン。
可愛いし素直だしいいとこだらけなんだけど、趣味だけがちょっとねえ…。


『マキナ、私が連れてきた子たちはどうなったの?』

『ああ、おじさんとあの子たちね。
偶然にも今は全員が一緒に行動しているよ』

『おじさまと一緒?
あのおじさまはSaturnのはずなのに、なんで?』

『まあ、見てみればわかるんじゃない?』


スズランのために席を変わる。
スズランの趣味、それはBL鑑賞。つまりスズランは腐女子である。
そのためにわざわざ少年2人とおじさんを連れ込み、開始時の部屋まで近くにしたのだ。
そして少年2人をおじさんがくすぐり責め…という予定だったらしいが、現実はそうそう甘くない。
スクリーンを見たスズランが驚きの声を上げる。


『…ど、どうなってんのよ、これ…』

『まあ僕としても予想外なんだよね。こういうのがあるから面白いんだけどさ』


スクリーンに映っているのは、全力で1階の通路を駆け抜ける3人。
彼らが通ったあとからは、壁や床を突き破って無数のマジックハンドや触手が飛び出してきている。


356 : 146 :2014/10/07(火) 19:45:01 QZfNIEVs0
「お、おいおっさん!!絶対俺たちに何かしただろ!!」

「知るか!!むしろこっちのセリフだ!!」

「いやだあああああ!!!まだ死にたくないいいいい!!」


全力で逃げる三人。…だが、逃げ方が悪かった。
1つの区画をぐるっと回ってしまったがために、マジックハンドたちが開けた穴同士がひび割れでつながっていく。
ひび割れによって物理的に周囲から孤立したその区画は、万有引力には逆らえない。
地下にあるのは、失格者御用達の拷問部屋だ。


「のわああああああっっっ!!!」

「だれかだずげてええええええええ!!!」


広く空いた地獄への大穴。落ちてしまえば助かるはずもない。


『わ、私の唯一の楽しみが……』

『拷問部屋に行って見てくればいいじゃん』

『私が見たいのは同性愛でショタじゃないのよおおおっっっ!!!』


わんわん泣きながらうずくまるスズラン。
しょうがないよ、僕だってまさかここまで彼女が実力者だったなんて、
不意打ちで連れ去った時には気づかなかったんだから。
スクリーンには、その大穴から黒い札が一枚飛び出すのが映っている。
導かれるように飛んで行った先には、ゴスロリファッションのいかにも現代風な少女、いや、幼女。
年齢は間違いなくロゼッタよりも年下だろう。


「やった、一気に三人も!!
全部で九人で、一人は私で、もともと一人リタイアだから…
あとは四人ね!!」


ウキウキしながらその場を去る女の子。
あの子にVenusとNemesisを渡したのは失敗だったかな。


『ほら、スズラン。
女の武器が涙だったとしても、泣いてばっかりじゃ嫌われちゃうよ?』

『ふえええ……』


喚くスズランを慰めながらスクリーン上の5/9の表示を見る。
2日目なのに、参加者9人で残りが5人。
今回は7日間逃げられる人はいないかもしれない。
さてと、じゃあスズランにも需要がなさそうだし、
あの三人は拷問部屋行きじゃなくて魔界のサキュバスの餌にでもさせておこうかな。


――――――――――――――――――――――――――――――――



8以降のルールはNemesis所有後に追加される。
別に表示されていないだけで実行はされている。
8、Nemesis
ゲーム開始時に参加者一人にランダムに配布される。
いわゆるジョーカーであり、"所持者"である場合、
追加ルール設定時においてさまざまなデメリットが生じることがある。
他者に貼ることで"所持者"を転嫁することができるので、条件達成のために利用可能。
所持者の定義は「失格していない参加者のうち、最も新しくNemesisに触れたもの」
所持者が不在となった場合、Nemesisによるデメリットは発生しないが、
Nemesisの所持者となることは可能である(最後に所持者だったものが失格した場所に配置される)
9、ペナルティ
Nemesis所持者は主催者側の気まぐれでペナルティを科せられる場合がある。
即失格ということはないが、ものによっては失格になる可能性もある。
10、NemesisBonus
Nemesis所持状態で失格した場合、拷問室送りの時間を168時間から120時間へ軽減する。


357 : 146 :2014/10/07(火) 19:53:40 QZfNIEVs0
ぶっちゃけ残しておいてもどうしようもないので、ストーリーレベルで除外させた。
反省も後悔もしていない。


それから他スレで話題になってるから言っておきますが、
私は好きで書いているので、350氏のレスのような不自然な部分の指摘は受け付けても、内容に対しての批判は受け付けん。
「嫌なら悟りを開け」→「それでも嫌なら見るな」
…と、荒らしに対してもロゼッタちゃんに対しても、いろいろな意味で全力でやらせてもらいますの。


358 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/07(火) 22:07:49 9AQ2NI.U0
期待して待ってます!


359 : 146 :2014/10/19(日) 18:06:01 vyltw10Q0
光に包まれた視界がだんだん晴れていく。
建物の雰囲気は変わらないものの、先ほどまで通路に流れていた羽毛はなくなっている。


「…戻ってきた?」

「そうみたいね」


すぐ隣には見たことがある扉。あの休憩室の扉だ。
しかし鎖や南京錠、KEEP OUTのテープに巨大な閂(かんぬき)、更には達筆すぎて何と書いてあるか読めないお札まで貼られて、
これでもかというほどにまで厳重に閉鎖されている。


「これだけ厳重にロックされてたから、あれだけ頑張っても開かなかったわけね」

「…そうだね…」

「さてと。ロゼッタ、とりあえず早く一番上の階を目指さないと。
あの迷路に連れていかれた分出遅れちゃってるわ」


リリアの言う通りだ。時間を確認すると既に昼の1時を過ぎている。
ここが1階であることを考えれば、私たちが一番出遅れているのは目に見えている。
最上階に鍵があると出口に書いていたものの、鍵がいくつあるとまでは書いていない。
最悪、1つしかない可能性もあるわけだ。


「さ、早く行くわよ、ロゼッタ」

「…走ってトラップに引っかかったら意味がないよ」

「う…」


全力で走り始めたリリアを言葉一つで止める。
確かに急いだ方がいいだろうけど、かといってそれでトラップで足止めを食らったのでは逆効果。急がば回れ、といったところか。


「…リリア、私も急ぎたいけど、安全に行ったほうがいいと思うの」

「そ、そうよね…」


1階や2階のトラップは色のついたスイッチだったりしめ縄のように太いロープだったりと分かりやすかったが、
それ以外のトラップもないわけではなかった。
起動させたわけではないが、危険なものであれば厄介極まりない。


「…じゃあ、行こ?」

「あ、ちょっと、どこ行くのよ!?」

「…どこって、階段に決まってるじゃない」


私が進もうとしたのは、リリアが走っていこうとしたのとは反対側。
どうやら階段の方向を本気で間違えていたらしい。
リリアは頼りになるんだけど、どうも抜けてるとこがある。
一見完璧なリリアを私がカバーしてあげてると考えると、ちょっぴり嬉しかった。
もちろん私がリリアに支えられてる分のほうが大きいけれど、二人で一緒って感じが、なんかこう……。


「あ、ちょっとロゼッタ、なに笑ってるのよー!!」

「…何でもないよ、ふふふ……」

「こっ、この、ロゼッタああああああ!!」

「…ちょっ、リリアああっ!?」


後ろからギュッと抱き付くように飛びかかられ、ゆさゆさと左右に振られる。
首筋に当たるリリアの吐息が、暖かくて優しくて心地よかった。




―――――――――――――――――――――――――――――――


360 : 146 :2014/10/19(日) 18:06:19 vyltw10Q0
「ねえ、ロゼッタ?」

「…なに?」

「何にも起こらなすぎてつまらないわ」

「…そう言われても……」


時刻はすでに5時を回っていた。
あれから3階まで登ったものの、余りにも目立ちすぎる罠ばかりでただ避けるだけで対処可能だったため、
ただ広大な迷路を歩くだけという、ただの作業じみた探索へとなってしまっていた。
一応他の参加者には気を付けてはいるが、全くといって気配がない。


「…あ、リリア、あれ……」

「ほんっとに危機感のない脱出ゲームね、これ」


3階の地図を見ながら通路を曲がり、顔を上げたその先には地図にも書かれている通りの4階への階段。
今までの例に洩れず、役所のパンフレット置き場のように4階の地図が置いてある。
この近くにも昨日の休憩室のような場所はあるが、12時間の制限時間のことを考えて4階を少し探索したほうがいいかもしれない。


「地図がないくらいのほうがちょうどいいんじゃないかしら」

「…部屋の場所とか忘れるよりはいいよ」

「それもそう……ね……」

「…どうしたの?」

「ロゼッタ、見て……」


階段の踊り場をちょうど曲がったところでリリアが立ち止る。
彼女の指した先には4階のフロアが広がる。
…のだが、少し様子が違っていた。
今まで3階まではどこかのビルのような、青いタイルの床と白い壁という無機質な造りだったのだ。
それが4階への階段を上り終えた先から、古い木造建築のようなボロボロの木でできた造りに変わっていた。
灯りがあるからいいものの、なかったらお化けでも出てきそうな雰囲気である。
その灯りも燭台の蝋燭であり、どことなく薄気味悪い雰囲気を出していた。


「…なにか出てきそう」

「ロ、ロゼッタあああ!!!そういうこと言わないでよ!!!」


どの道行かなきゃならないことに変わりはない。
気を引き締めて一歩ずつ歩き出すと、今までの人工物の床とは違った、その場に低い音が響いた。
吸い込まれるように消えた音が、不気味さをより掻き立てる。


「…リリア?」

「ひゃいいいいいいっっ!!
ななななな、なに!!?!!?」

「……はあ…」


後ろから聞こえてくるはずの足音が聞こえないので、振り返って声をかける。
しかしリリアはそんなに進みたくないのか、階段の最後の段から動こうとしていない。
ここまでリリアが怖がりだとは知らなかったけど、まあこの雰囲気じゃ仕方がない。
すくんで動けないリリアへ立ち寄り、その震える手を取る。


「…私が先に行ってあげれば大丈夫?」

「え、ああ、う…うん……ありがと」


361 : 146 :2014/10/19(日) 18:06:40 vyltw10Q0
リリアの前を行くため、私の目の前には誰もいない。
そう、誰もいない。いるのは私たちだけ。そう自分に言い聞かせる。
狼も幽霊も妖怪もゾンビも、そんなものはいない。絶対いないんだから。

ある程度歩いてみたが、見た目が違うだけで造りは今までと同じようだ。
フロアが四角い区画状の造りになっていたり、ところどころにある部屋には3階までと同様木箱や段ボールが積まれている。
その中身が空っぽであることも変わらなかったが。
もしかしたらもともと何か入っていたけど、他の誰かが持って行ったのだろうか?
階段からだいぶ離れた位置ではあるが、休憩室らしき部屋も見つけた。
あっさりと見つかったので今日の探索を終えるにはまだ早いが、今夜はここに泊まることになるだろう。
むしろ心配なのは……


「ね、ねえ、ロゼッタ…?」

「…なに?」

「い、生きてるよね!?勝手に取り憑かれてたりしないわよね!?」

「…生きてるし取り憑かれてもいないよ。
そんなに心配しなくても…」

「だってだって、全然喋ってくれないし!!」

「…喋って、って言われても…」


喋ろと言われても、話題がない。
いや、ないことはない。
だけど、何かが出てきたらどうするかとか、何時ごろに引き上げるとか、そういう事しか思いつかない。
下手に話をしてお互いを恐怖で染め上げるのも嫌だ。


「そうよ!せっかく女の子同士なんだし、ガールズトークでもしながら行かない?」

「…えええっ…っと…いいけど…」


ガールズトークってしようって言ってするものなのかな……。
私も話題をいろいろ考えたけど、明るい話題なんてぜんぜん浮かばなかった。
こんな暗いところでも明るい話題を出せるリリアは、やはり白魔導士のような光り輝く存在なのかもしれない。
それより、学校でもあまり人と話さない私はガールズトークどころか普通の会話すらほとんど経験がない。
いいよ、とは言ったものの、なにを話せばいいのか全然わからない。


「…何を話せばいの?」

「あら、ロゼッタってあんまりこういう話しないの?」


立ち止まった私に、リリアが顔をぐっと近づけてくる。
何かを期待するようなきらきらした表情には、
先ほどまでのいるかいないかもわからない何かに怯えた表情はすっかりなくなっている。


「…だ、だってそういう事したことないし……」

「ふーん…」


期待外れなのか、ちょっと残念そうな顔をするリリア。
しかし直後、その口元がにやりとした気がした。


「じゃあ必ず最初に話さなきゃいけないことも話してないんだ?」

「…最初に話さなきゃいけないこと?」

「そう、人生初めての話は恋バナって決まってるのよー?」

「…こい…えええええっっっ!!?」


そういうものなのだろうか…?
なんか嘘っぽい…でも何も知らないから本当かもしれないし…。


「ほらほら、ロゼッタも好きな子とかいるんでしょ?」

「…うぇ…あう……えっと……」

「幼馴染の話とかー、片思いの話とかー、ね?」

「…いないことはな―――」


意を決して話し始めようとしたとき、その異変が起こる。
ボロボロでところどころ隙間のある木造の壁の奥から聞こえるガチャガチャという金属音。
まさかと思い、足元を見ると細く銀色に輝く切れた糸。
しかしそれを確認できるかどうかのうちに、壁からアームが飛び出してきて私の両手足へと襲い掛かる。
驚きの声を上げる間もなく、左右の壁から出てきたアームによって通路の空中にX字に拘束されてしまった。


362 : 146 :2014/10/19(日) 18:06:58 vyltw10Q0
「ロゼッタ!!!」

「…な、なに……これ……!!!」


体を捩って逃げようとするが、手足首を掴んだアームは一向に外れる気配はない。
しかし二重の腕輪の間にゴムのような素材が入った構造のようで、空中に吊るされているにもかかわらず、
骨の髄にまできりきり響くようなあの痛さは全く感じなかった。
重力がかかる分の負荷は変わらず残っていたが。


「…リリア、なにかメール来てないの?」

「ええっと……」


スマホを取り出し、自身で確認した後私が読めるように画面をこちらへ向ける。
案の定マキナから届いたそのメールには、この仕掛けのことが書いてあった。

【ギミックアーム】
通路の壁から飛び出してターゲットを空中に張り付けるトラップだよ。
一度作動すると15分はそのままだから、まあ単なる足止めだね。
ただ他人からしたら完全に無防備なわけだから、下手に叫ばないほうがいと思うよ。
このトラップは作動させた人以外には害はないからね。


「…じゃあ私は15分はこのまま?」

「そういうことになるわね…うん?」

「…え?」


動きが止まったはずの壁の奥からの機械音。
この建物に来てからというものの、すでに3回もくすぐり行為の現場に立ち会っている。
そのうち1回分はリリアにされた分だけど。
ともかく、わざわざトラップで拘束しておいて何もしてこないはずがない。
どんな攻撃が来てもいいように警戒する。
たとえ耐えられなくても、無抵抗でくすぐられるよりはまだましだ。
だが訪れたのはマジックハンドでも筆でもない、不思議な刺激だった。


「…んあうっ……」

「だ、大丈夫!?」

「…なんか…んふうっ…ピリピリして……」


別に目に見える形でくすぐられているわけではない。
だが頭と両手足の先以外の全身至る所に、身体の内側からくすぐられるような、
我慢しようとしても全然和らぐことのない微小なくすぐったさが現れては消えていく。
まさか、これ…電気流れて……!!


「うやああっっ……やだやだっ、やめあああっっっ……!!!」

「くっ、このっ……!!」


リリアも感づいたのか、アームを外そうと手を伸ばす。
しかし、私に優しかったアームはリリアには少し厳しいようだ。


「痛っ!!」

「きゅひひひっっ…リ、リリアああ!?
ひぎゃはははははははははっははははは!!!」


バチッ、と私にも聞こえるほどの音を立ててからリリアが飛び退く。
どうやら私に触れている場所以外にはそれなりの電流が流れているようで、
リリアの反応を見る限り、たまった静電気程度の強さはあるのだろう。
私に流れる電流もだんだん強くなり、最初はむずむずする程度だけだったのに、
今はくすぐったくて笑い声が漏れてしまうほどの刺激になっている。
だが直接くすぐられているわけでないがために我慢ができないことは変わっていない。


「いははははははっ!!こんなの、むりいいいっははははははは!!!
それだめえええっへはははははひひひひひひっひっひっひっひ!!」

「うう、何もできないなんて…!」


363 : 146 :2014/10/19(日) 18:07:39 vyltw10Q0
電流の強さや間隔を変えているからなのか、
撫でられるようなくすぐったさ、突っつかれるようなくすぐったさ、
そしてこちょこちょと激しいくすぐったさと、いろいろな感覚が与えられる。
それらが部分的に襲い掛かるのではなく、
全身を余すところなく、まるで面積分の如く隙間なく覆い尽くすのだからたまらない。


「リリアああああっはっはっはっはははははははは!!!
あとどれくらあああっっ!!?ひいいっふふははははははは!!」

「え、えっと…あと11分…」


始まってからまだたったの4分。だというのに、最初の頃の耐えられるようなくすぐったさはどこにもない。
あるのは全身の裏側を走る、むず痒いようで一瞬も耐えられない、それでいて激しいくすぐったさ。
今の状態でも十分だというのに、その強さはさらに上がり続けている。


「ぐひひっはっはっはははははははははは!!!うくきゃははははははははははは!!」

「ロゼッタ、何とか外せないの!?」

「無理無理無理いいっははははははははははははは!!!!!
うはああっ、あああああああああっっっ!!?!!?」


あまりのくすぐったさに、視界がだんだんと歪んでいく。
ぐるぐると回った後の目を回したあれのような感覚。
気を失うようなものではないものの、今日一番のくすぐったさであることに変わりはない。
だがしばらくするとそのくすぐったさは全く別の刺激へと変わっていった。


「ふはははははははは!!!んふあぁああっっ!!?んあう……んんっ…や、やめっ…!!」

「ロ、ロゼッタ…?」

「ち、ちがうの…リリアぁ……あふぅ……これは…あ……」


今までの苦痛のようなくすぐったさが、激しさだけをどこかへ放り投げてしまう。
残ったのは電流によるひたすら優しいだけのくすぐり責めだけ。
それは昨日のリリアとのくすぐりっこよりも今日の羽毛責めよりも甘く甘く甘ったるいほどの刺激で、
場所次第ではくすぐりではなく愛撫と言ってもいいようなものだった。


「あー、えっと……」

「そうじゃないのぉ……んくふふぃぅ……き、きもちよくなんかあぁ……」


普段あまり人と関わらないがゆえに、私の中の性知識は充実していた。
もっとも、それを行動に移すことはほとんどなく、
自慰行為といっても掛布団を丸めて抱き枕代わりにしてもぞもぞとするくらいだが。
ただその感覚をもたらす行為を知ってしまっている以上、
それを感じているところを見られるというのは恥ずかしいという言葉どころじゃ表せない。
ましてやその相手がリリアである。
これから数日共に過ごす相手に、こんな痴態を見せるわけには行けない。
だがいくらそう思っていても、私の体は正直に反応してしまう。


「その…ちょっと離れてたほうがいい?」

「ま、まって……!!置いてかな…んふふ…いで……!!」

「でも…」

「いいか…らああっ!?あふぁああっひひひひははははははは!!!
いきなりいいいいいっひひはははははは!!!やめ、やめてえええっへへへはははははははははは!!!」


消えていたくすぐったさが突然戻ってくる。
高まった感覚はそれによってなくなっていくものの、快感を求めた神経は敏感になったままで、
くすぐったさを数倍に強めて受け入れてしまう。


「ぎゅはははひひはははははははははははははは!!!それだめ、まって、いやああああっはっははははははははっはっはっはっはっは!!!
くすぐったいのはいやあああああっはっはっははははははははははははは!!!」

「(あと7分…はやく、はやく……!!)」


364 : 146 :2014/10/19(日) 18:07:54 vyltw10Q0
電流によるくすぐり責めの恐ろしいところは、物理的にだけでなく感覚的にも体の内側からくすぐられることである。
手や腕などのくすぐったさを感じにくい場所でも、普通触られることのない内側からの刺激には敏感に反応してしまう。
そんな場所でさえ我慢できないほどくすぐったいのに、脇の下や脇腹などのくすぐりに弱い場所にも容赦なく襲い掛かってくる。
さらに人間や機械にくすぐられているわけでもないため、本来あるはずの身を捩ったときの一瞬の安らぎすら訪れない。
これが本当の逃げられないくすぐり責め、というものなのだろう。


「うぇひひひひひっふふふふふふふふふ!!!!きひゃああああっはははははははははははははは!!!
ひはふぅっ……!!あんっ……あうい………くひひひっ……!!」


再びあの甘ったるい責めが始まる。
ほんの少しくすぐったさが残るものの、それによって快楽に染まりきることはできず、どうしても目が冴えてしまう。
リリアに情けない姿を見られないという意味ではよかったものの、その焦れったさのせいで全身がどんどんと敏感になっていく。
その勢いは衰えるどころか加速していき、先ほどと同じはずの刺激だというのに、
ただ愛撫されているような感覚だったものが、全身がとろけてしまいそうなほどの快楽へと変わっていた。
股間にはしっとりとした感触が広がり、嫌でも自分が愛液を垂れ流して感じていることを認識させられてしまう。


「んんーっ……うひいっ…あはあぁ……うああっ!!」

「(…かわいい)」


下着がある程度は愛液を受け止めていてくれるが、宙づりにされている以上リリアにばれてしまうのは時間の問題だろう。
もしかしたらもうとっくのとうに気づかれているかもしれないが。
内側からのくすぐりもそうだったが内側からの愛撫もなかなか強烈で、
胸や内腿や尻もそうだが、特に乳首やクリトリスといった快楽を感じるための神経が集まった場所を優しく責められる感覚と、
膣や子宮といった体内の性感帯を本来触られる部分の反対側から責められるというのは、私に未知の快楽と中毒性を植え付ける。
もっともそういった場所は表側からも刺激を受けたことはないが。


「はあぁ………ん……いぃ……うふああ……んくっひひひひひっ…!!!
あっ、やだ、やだあ……あははははっ……こない、でっ……!!」


慣れない刺激のせいで、思っていた以上に早く高ぶってしまう。
あの何かにしがみつきたくなるような、ふわふわとした感覚がやってくる。
口では否定しながらも本能は逆らおうとはせず、全身で受け入れようと身を任せてしまう。
だが機械の気まぐれなのか、もう少しというところで快楽責めはくすぐり責めへと変わってしまった。


「い…ああっ…うひゃあっ!?んあああっはははははははははははははは!!!
またなのおおおおっふははははははははははは!!!!」

「ロ、ロゼッタ!!!」

「もういやああああああっはっはっはっはっははははははははは!!!!
はなしてええええっへへへへへへへへへ!!!はなしてってばあああっはっはっははははははははは!!!」


繰り返される2種類の責めを体は混同し始め、今はくすぐられている最中だというのに下半身が快楽を感じてしまう。
しかしそれ以外の場所へのくすぐり責めが快楽へ入り浸ることを許さない。
目元や頬に涙が伝うような感覚を感じ、口から入った空気もすぐに笑い声へと変換されて吐き出してしまう。


「ああああっはっはっはっはっはっはははははは!!!
りりゃああああ、あとどれくらあああっははは!!ふひゃああああっははははははは!!!」

「あと…あと2分よ、ロゼッタ!!がんばって!!!」

「あふぃいええあっはっはっはっはっははははははは!!!
わかったあああっはっはっはははははは、んぎいいいっひひひひっははははっはははははは!!!」


頑張れ、と言われても結局は耐えるしかないのだが。
しかし残り2分というところになって仕掛けが本領を発揮し始めた。
今まではくすぐり責めと快楽責めを交互に行うことで全身を敏感にさせてきていたのだが、
ここへきてまるで止めと言わんばかりにその両方を同時に仕掛けてきた。


「あぎいいっっ!!!ふはははひひひひゃひゃひゃひゃひゃああっはははははははは!!!
い、いっしょ、いっしょはあああっはっはっはっははははっはははははは!!!!」

「い、一緒?」


365 : 146 :2014/10/19(日) 18:08:05 vyltw10Q0
同じ場所を全く違う方法で責める。
人間どころか物理的なものであれば到底不可能なその責め方が今行われているのは、これが電流によるものだから。
一般的に使われる交流の電流というのは波のように周期や振動数を持っている。
早い話が交流電流というのはある種の波動のようなものということだ。
そしてその波形は機械の制御によってさまざまに変化させられる。
今私に流れている電流はきっと、くすぐり責め用の電流と快楽責め用の電流を、それこそミリ秒単位で交互に組み合わせたものだろう。
だから両方を同時に感じてしまう。


「はひひひひひひっ!!ああああっっっはっはっはっはっははははははははははは!!
それ、そこだめ、だめだってばあああっはっはっはっはははははははははははは!!」


脇の下には掻き回されるようなくすぐったさと、指先を束ねて撫でられるような感覚。
脇腹には素早く揉まれるようなくすぐったさと、上下になぞられるような感覚。
胸には付け根をこちょこちょとくすぐられる感覚と、先っぽをこねられるような気持ちよさ。
お腹にはつんつんと突っつかれるあの感じと、さわさわと撫でまわされる心地よさ。
そして秘所には下着の上から触られるようなくすぐったいような感覚と、内側から責められるわけが分からなくなるような快楽。
たとえどれか1つだけだったとしても耐えられないような責めが、その5か所以外も含めたほぼ全身を埋め尽くす。


「もう、やあっ、あひゃああああっはっはっはっはっはははははははははは!!!
やめて、ゆるしてえええっへへへへははははははははははは!!!!
ぐふふははははひひひひひゃははははははははははは!!!!」


時々軽い絶頂感を感じてしまいそうになるが、全てくすぐったさによって消されてしまう。
同じように、変化のないくすぐりによってある程度くすぐったさに慣れたとしても、すぐに気持ちよさによってその耐性が消えてしまう。
今の状況からしたら残り2分という制限がものすごく長く感じられるが、
もしもこれがなければ力尽きて死ぬまで永遠に気絶も絶頂も許されない生殺し拷問兵器へと変化していたに違いない。


「ひぐううははははははっはははははははははは!!!
ふくっきゃっはははははははははっはっはっはっははははははは!!!
くひひひひひひひっひひひゃっはははははっはははは!!!」


苦しい。辛い。もう嫌。助けて。
長く続いた激しい責めのせいで、負の感情で溢れかえっていく。
それでも他人の感情などお構いなしの機械は私を笑わせ、悦ばせようとする。
と、その時。


「にゃはああああっはっはっははははははははは!!!
はひああっ…うあぁ…あ……れ……?」

「ロゼッタ、大丈夫!?」


全身を駆け巡っていた耐え難い感覚が一瞬で消える。
それと同時に足元まで寄ってくるリリア。
その手には00:00と表示されたスマホが握られていた。

手足を拘束していたアームが伸びて、床に足をつけられるくらいまでに私の体が降ろされ、拘束が外される。
しかし体力をほぼ使い切った私は一人で立つことも出来ず、リリアへともたれかかった。


「…んふぅ……だ、だいじょうぶ…」

「そ、そう…よかった…。一人で立てそう?」

「…それはちょっと無理…かも」


あれだけの責めに晒されたせいで、完全に腰が抜けてしまっている。
こうしてリリアにもたれかかるようにして立っているだけでも精一杯だ。


「…リリア」

「どうしたの?」

「…もう今日は休みたい」

「そう…そうよね、じゃあ休憩室で今日はもう寝よっか」


たまたま見つけた休憩室の近くでよかった、と心から思った。
リリアがよいしょ、と言って膝の裏に手を通して私を持ち上げる。
こんなところでお姫様抱っこしてもらえるとは思っていなかった。ああ、幸せ。
…先程のくすぐりで全身の力が抜けきっていなくて、下着が濡れていなければもっとよかったのだけど。


「ほら、着いたわよ」

「…ありがと」


部屋に入って、すぐにベッドの上へと寝かされる。
ふんわりとした布団が心地よく、疲れ切っていたこともあってあっという間に睡魔が訪れる。
その睡魔はあっという間に私の全てを飲み込んで、眠りの世界へと連れ込んでいった。


366 : 146 :2014/10/19(日) 18:11:32 vyltw10Q0
書いてるとロゼッタちゃんへの悪戯が楽しくなって予定より長引くという…
今回で2日目完全終了のはずだったのに。

思いっきり快楽責めが入っているような気もするけど気にしない気にしない。
私は電気治療なんて受けたことないから完全に想像です。


367 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/20(月) 00:24:23 DVivFTqY0
むしろ快楽責め最高
くすぐりとの融合がいいよね


368 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:27:57 AL8taVqo0
 夕焼けに煌く大海原と、その上空を優雅に飛び舞うウミネコたちの鳴き声。
 立場上、滞在時のほとんどは船内で過ごさなければならなかったアセイラム姫だが、書物や口伝では得られない初めて体感する「地球」の記憶は少なくともよほど鮮烈に心に刻まれていたのか。ここがその地球ではなく、火星だということがすぐにも分かった。

「う……」

 重い目蓋をゆっくり持ち上げ少しずつ視界が広がっていき、部屋の白い天井が見えた。
 寝起きは良い方ではなく、重い頭を擡げ起き上がろうとするがビクともしない。

「こ、これ、は……?」

 清潔な白いシーツのベットの上に寝かされていたアセイラム姫は息を呑んだ。
 手首、肘、腰、太腿、足首に革のベルトが巻かれ、まるで自傷行為をさせぬよう厳重に束縛されている精神病患者のようだった。

 ――あぁ……負けてしまったのね。地球連合軍は……。

 まだ何も成し遂げていない形での不本意な帰郷。
 寝起きの頭でもすぐさまに理解できる現状だった。

 自分には殊更無愛想だったが、不思議と優しさを感じた少年。 
 その少年に恋心を抱いており、それをひた隠しにするも丸分かりだったのが可愛らしかった少女。
 弟の大胆な行動にはらはらと肝を冷やし、暇さえあればその弟に小言を述べていた過保護な姉。
 ひょうきんな発言でよく皆に呆れられていたが、どこか憎めない人柄な整備兵の少年。
 制服を交換してくれ、自分のドレスを嬉しそうに受け取っていた少女。 
 冷静沈着だが、どこかいつも無理をしているようにも見えた女艦長。
 常にお酒の匂いを漂わせていた中年の軍人。
 なぜかいつも自分に絡み、辛辣な言葉と憎しみと妬みの混じった視線を浴びせかけてきた少女。

 短い付き合いだが、アクの強い印象に残る面々ばかりだった。
 皇女という立場がゆえ、幼少の頃から誰に対しても距離を置かれ孤独を感じてきたアセイラムにとって、そうした者たちとの触れ合いは、戦時下という状況で不謹慎ながらも今までにない楽しさを感じる日々だったのかもしれない。

「皆さん……」

 彼らとの様々な思い出が頭を過ぎり、アセイラム姫の瞳からは涙が零れ落ち、頬を伝い白いシーツを濡らした


369 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:30:04 AL8taVqo0
「姫様、お目覚めですか」

 思い出に浸る間もなく部屋の自動扉が開き、一人の人物が室内に入ってきた。

「御初にお目にかかります。わたくし、ザーツバルム卿に仕えるイデア・コスタクルタと申します。ご存命、心から嬉しくにございます」

 仰向けに寝かされているアセイラム姫の横で片膝を地に着かせ、慇懃無礼に頭を垂れる二十代半から後半ほどの女性。
 艶やかな長い黒髪。前髪は切りそろえられていた。それに負けず劣らずな美しく整った顔立ちは、血統書付きの猫を思わせる。
 服装は火星の軍服だが、押し上げる胸部や丸みのある尻の膨らみなど、女体特有のフォルムが浮き上がり醸し出す色香は、軍装の固いイメージを和らげていた。
 気品ある笑みと王族にとっては慣れている丁重な態度をとっていたが、狡猾で嘲るようなものを感じ、どこかザーツバルムを思い出させた。子は親に似るというが、部下と上官もそうなのだろうか……。

「……この無礼な待遇はひとまず置いておきます。まず皆さんの安否を――」
「戦闘中の死傷を除き、地球人は皆捕虜として揚陸城に収監されています。カタフラクトを全壊させたときにはすっかり誠意喪失していたようで、抵抗も少なく死傷者の数はそれほど多くはならなかったようですね」
「そう……ですか」

 アセイラム姫は安堵のため息を深く吐き出し、先ほどまでとは違う意味の涙で瞳を滲ませた。

「流石に修羅場を潜り抜け生き残ってきた隊なのか有能な人材も多くいるようで、最終的には我が軍の戦力として加算しようかとザーツバルム様はお考えのようです」
「……随分と気前のいい待遇ですね」

 火星人は地球人が嫌い。
 惑星間戦争の遺恨と選民思想な教育によって、これほど統一された思想はヴァース国民にとって他にはないだろう。
 捕らえられた地球人は即刻処刑されても全く不思議でない、というよりはそれが通常だ。
 不自然なまでに加えられた手心は、逆にアセイラム姫の警戒心を促させた。

「使える物は使うと、我が主は柔軟な思考と懐の深さを持ち合わせているので……。浅慮で直情型のクルーテオ卿とは格が違うかと」

 柔らかいが、ザーツバルムを崇拝するものが詰まった物言い。そこには上官を慕う部下以上の、恋慕のようなものを感じた。

「それに爪を切り虚勢をした『愛玩動物』を愛でるのは、人として嗜みの一つだと主は」
「なんですかその不遜な物言いは! 口を慎みなさいッ!」

 アセイラム姫は拘束具を軋ませながら、キッとイデアを睨み据える。
 皇女の怒りに触れ睨まれようものなら、骨の髄まで君主政が染み付いているヴァース国民は老若男女問わず誰しもが震え上がるだろう。
 しかしイデアは、アセイラム姫の怒りを平然と受け流し笑みを崩さない。それほどに、こちらも骨の髄までザーツバルムの配下ということなのか。

「それと……あまり姫様の『お友達』たちを不遜に扱いますと、今後行われる交渉に不備が生じると思いまして」
「交渉……」

 両雄二度目となる戦争の火種となったテロ偽装の首謀者であるザーツバルムにとって、爆弾となりかねない自分の存在を生かしておく理由など一つしかない。
 アセイラム姫は厳かに、その名を口にした。


370 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:32:14 AL8taVqo0
「アルドノア、ですか……」
「お察しがよくて助かります」
「地球侵略だけでは飽き足らず、今度は皇族に牙を向けての内戦ですか……。職務熱心な家臣をお持ちになり、御父様も感涙でむせび泣いてしまうでしょうね……」
「本当にお察しが良くていらっしゃる」

 目論見を言い当てられるも、イデアはどこ吹く風といった様子でアセイラム姫の慣れない皮肉も軽く受け流している。

「とてもクルーテオ卿のことを浅慮と言えた口ではないですね。アルドノアがあるからと言って、そう事は簡単に」
「果たしてそうでしょうか」

 イデアは成熟した余裕の笑みをアセイラム姫に向けた。

「アルドノアという絶対的な王冠があるのを良いことに、下の者に雑事を全てを任せ、玉座でふんぞり返っていただけの人物と。十数年、裏で勢力的に活動を続け各所に太いパイプを築き上げてきた人物。アルドノアというアドバンテージがなくなった飾りの王と、憎き地球人との戦で勝利し多大な戦果を上げた騎士……皆はどちらに付くのでしょうね」
「それは……」

 不敬罪にでもされそうな爆弾発言ではあるが、的を射ている指摘に、アセイラム姫は言葉を詰まらせる。

「それに国民から絶大な人気を誇る、アセイラム・ヴァース・アリューシア姫君の後押しも加われば、まさに我が主の地位は磐石なものになります」
「全ては私があなた方に協力するという、あり得ない前提で話が進んでいます」

 二人の視線が交錯し、しばらく均衡していたがイデアはふっと表情を和らげた。

「……まぁ、長くなりそうなので、その話は一先ず置いておきましょう。こちらをご覧ください」

 そう言うと、イデアはベットの傍らに付いていたスイッチを押した。リクライニングするためのスイッチだったのか、ベットの上部が緩やかな動きで起き上がっていく。
 天井しか見えなかったアセイラムだったが、ようやく部屋全体を見渡せるようになる。
 医療施設だと思っていた部屋は、大小様々なモニターが並ぶ監視施設のようで、どうやら寝かされている拘束具付きのベットは持ち運ばれたものらしい。
 モニターを操作するコンソールの前には、数名の軍装姿の人物たちが忙しそうに働いている。なぜか全員例外なく女性だった。

「あれは……」
「えぇ、口だけでは信用を得られないかと思いまして。捕虜たちの五体満足な姿を見せておくようにと、ザーツバルム様が」

 収監所というよりは、病院と評したほうが正しそうな白タイルを基調の清潔感ある各部屋の中の様子が、モニターにいくつも写し出されている。
 アセイラム姫は目を皿にし、男女別5〜6人単位で分けられた各部屋の映像を食い入るようにチェックしていく。


371 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:37:22 AL8taVqo0
「伊奈帆さん……韻子さん……」

 まだ別れて数日も過ぎてもいないのにひどく懐かしい顔見知りを発見するたび、ほっとした気持ちになっていたアセイラム姫だったが、いつまで経ってもある人物の顔が見当たらない。

「エデルリッゾ……エデルリッゾはどこです!?」

 いつもちょこちょこと自分の周りを付いて回る姿が愛おしく、妹のように想っていた侍女の姿が見当たらずアセイラム姫は焦燥の色濃くし、イデアに問いただす。

「ご安心を、もちろん無事ですよ。彼女は一応ヴァース国民なので、ここには収容されていないだけです」
「よ、よかった……」

 付き合いの長い彼女の無事に安堵し緊張を解くが、どこか含蓄あるイデアの言い方に妙な引っ掛かりを覚えた。

「ではどこに……」
「戦闘区域にいたせいかひどく身体が煤汚れていたようで、今浴室に……映像を出してくれる?」

 そのような所にまで監視カメラを設置していいのかと疑問を口にする前に、イデアは部下に命じ、中央に設置された一際大きなモニターにある映像が映し出された。
 湯気に合わさる淡い照明によってどこか優しい光源の浴室の中には、見知った小さな体躯の少女――エデルリッゾがいた。
 普段結ってある栗毛の髪は解かれ一糸纏わぬ姿で、まだ肉付きの薄い発展途上の身体を惜しげもなく晒している。
 そこまでは、入浴中なのだからアセイラム姫にも分かる。しかし言い換えれば、他は全て理解が及ばない事象でしかなかった。


372 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:39:27 AL8taVqo0
「な、なにこれ……」

 群緑の瞳に映る、淫靡な後景にアセイラム姫は絶句した。
 エデルリッゾの両手足首には手錠が付いており強制的に揃えられ、窮屈なバンザイのような体勢で仰向けに寝かされている。
 その無防備に晒された凹凸少ない身体は今、イデアと同じ齢ほどの裸体の美女たち三人による妖しい手つきで撫で回されていた。
 エデルリッゾは目を見開き、大口を開けながら必死に抵抗する素振りを見せていたが、手足の自由を奪われ大人三人相手では勝てるわけもなかった。
 手と足それぞれ美女たちによって股で組み敷かれ、差し出すようにむき出しにされた腋下や脇腹、太股に泡塗れの手が次々と伸びていく。

「音声なしじゃあ寂しいですね。是非姫様には、エデルリッゾちゃんの可愛らしい声もお聞かせしないと」

 唖然した表情でモニターから目が離せないでいるアセイラムを横目に、イデアは部下に目配せをした。

『くっひゃひゃひゃはははははははははははあぁああんッ!! きゃぁあぁあっははははははははははははぁあああぁッ!!』

 途端、幼くもけたたましい爆笑がスピーカーを伝わって部屋中に鳴り響く。

『ひゃだあぁあぁあああッ、も、もおぉい゛ひゃあぁあああああああああッ!! ふぎゃっははははははははははははははははッ!!』
『だめだよぉ、そんな我がまま言ってーお姉さんたちを困らしちゃ』
『そうそう、こんな手触りのいい肌、若いうちからちゃんケアして大事にしていかないと』
『はぁい エデルリッゾちゃん、良い子だからきれいきれいしましょうねー。こちょこちょこちょ〜』
『いひぃいぃいいいいいいいいいいッ!! あ゛へひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!』

 身体を洗う建前でエデルリッゾに行われるそれは、全て美女たちの手洗いによるものだった。
 小さな足の裏はボディソープで塗りたくられ、ぬるぬるとした独特の動きよって土踏まずや指の間といった隅々まで洗われる。
 まだ毛も生えぬ腋下は艶かしい手つきによって掻き毟られながら、脇腹をつんつんと悪戯めいた動きで突かれる。
 まだ肉付きの少ない太股はむんずりと掴まれ、泡の滑りによって握りそこなうといった動きで責められる。
 するすると伸びた手先は股間へと侵入していき、ぴったりと閉じた割れ目を沿うように優しく擦られていた。

『ぎゃひっははははははははははははははははははははははははははは〜〜ッ!! うひぃひひひひひひいぃひひひひひひひひひひッ!!』

 大の大人でも発狂しそうなくすぐったさに、エデルリッゾは顔を真っ赤にさせ、華奢な身のどこからといった大きな嬌笑を上げている。
 いつものツンと済まし大人ぶった小生意気な態度は見る影もなく、そこには美女たちの苛烈なくすぐり責めに耐え切れず、顔をだらしなく笑いで歪ませ痴態を興じる一人の少女しかいない。


373 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:40:46 AL8taVqo0
『くぁあぁああはははっははははははははははははははははははッ!! ひえ゛さまぁあああああああぁあああッ!! ひへしゃま゛あぁあああぁあああッ!! たすけっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!! だひゅへでぇええぇええええぇええええぇええッ!!』

 猫のように腹を撫でられ、浅く開いた臍穴を指先でほじられビクビクと身を震わせながら、エデルリッゾは親よりも、誰よりも慕っているアセイラム姫の名を口に笑い混じりに泣き叫ぶ。
 敏感な少女には激しすぎる責めにより、思考能力が根こそぎ奪われた極限の状態で半ば反射的に出た言葉だった。

「な、なにを…なにをしてるんですっ!」

 エデルリッゾの狂乱な痴態を前に自失呆然としていたアセイラム姫は、自分の名を呼ばれはっと我に返りイデアを睨みつける。
 しかし睨まれた当の本人は、口角を上げ余裕の笑みで見つめ返した。

「なにって、エデルリッゾちゃんの身体が汚れていたので、洗ってあげているだけではありませんか」
「し、白々しい言い訳はやめなさい! エデルリッゾはまだ幼い身なのですよ! それをあんな
…は、破廉恥な……」

 アセイラム姫とイデアが喧々囂々する間も、エデルリッゾに対する責めは続いており、豊満な肉体の美女たちに囲まれ、その華奢な身体は好き放題くすぐられ玩具にされてしまっている。
 耳まで真っ赤に紅潮させ、鼻水や涎でぐちゃぐちゃになり弛緩し垂れ下がった表情。
 僅かに膨らむ可愛らしい乳房を彩る桜色の突起物は、妖しい刺激によりピンと勃ってしまっている。
 そんなエデルリッゾの今まで見たこともない姿に、アセイラム姫はなにか禁忌的ないやらしさを覚えしまい、頬を赤らめ慌てて視線をそらした。

「女同士の裸の付き合い、ただの戯れに過ぎませんよ。性的に見えてしまうのは、姫様が普段からいやらしいことばかり御考えになっているからかと……」
「なっ―-」

 イデアの不意打ちな一言に言葉を詰まらせ、エデルリッゾに負けず劣らずといったほど茹蛸のように真っ赤になってしまう。
 地球と火星の架け橋になるべく精力的に活動を続け箱入り娘とは程遠いが、やはり皇帝レイレガリアに特に可愛がられ大事に育てられてきた幼少時代の影響か、どうやらアセイラム姫は痴情なことには疎いようで、相当に初心なようだ。
 その事実にイデアは気分が高揚し、我慢しようにもどうしても頬が緩まってきてしまう。

「私がアルドノア関連で協力する代りに……エデルリッゾに対する苦行をやめる……そういうことですか……」
「苦行とは心外ですね。エデルリッゾちゃん、あんな気持ち良さそうなのに……。それに姫様は間違った解釈をしておられます」

 イデアは未だ嬌笑響く音声のボリュームを抑えるよう部下に指示を出し、見下ろすような形でアセイラム姫の傍らに顔を近づけさせる。


374 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:42:12 AL8taVqo0
「流石第一皇女に仕えている侍女なのか、若いながらにエデルリッゾの忠誠心は確固たるものです。それはわたしが言うまでもなく、姫様自身十分にお分かりかと」

 褒められているとは露知らず、勃起した乳首を弾かれながら腋下を同時にこちょぐられるエデルリッゾを、妖しい目つきで眺めながらイデアは続ける。

「そのエデルリッゾが、自身のせいで姫様の不本意な形でアルドノアを使用したとあらば、彼女は一生己を苛み続けることになるでしょう。いえ、一生どころか最悪自害も……。それを姫様も分かっているから――」
「ならば…っ、なぜこのようなことを!」

 苛立たしげに言葉を遮るアセイラムに、イデアは妖艶な微笑を浮かべずいっと顔を更に近づかせた。
 どこか官能的な香水の匂いが鼻腔をくすぐる。

「前座……牽制のようなものです」

 艶かしく光る唇を耳が触れるほど近づかせ、イデアは囁くように言った。

「姫様も、相当御弱いようで」

 熱い吐息が耳を撫で、アセイラム姫はピクッと身を強張らせる。

「……なんのことですか」

 流石に言ってしまうような間抜けなことはしないが、焦燥が顔に出てしまっていると、イデアは内心ほくそ笑む。

「ふふ……」

 支えになっていたイデアの右手が、そろそろとシーツを撓ませながらアセイラム姫の腋の方まで近づいていく。
 素肌に直接当たる薄い患者衣の感触がやけにムズムズする。ボリュームを下げた筈のエデルリッゾの笑い声がやたら耳に付く。

「ご幼少時代姫様に仕えていた世話係から聞いたのですが、姫様は入浴が苦手だったようで。身体を洗われるとはしたない笑い声を上げ、御身体を暴れさせてよく困らせていたものだと、ぼやいておりました」

 当時のことは今でも鮮明に身体が覚えている。
 泡のついたスポンジで背中や腋を擦られ、背筋にゾクゾクしたものが駆け抜け頭の中が真っ白になり取り乱してしまう、あの感覚を思い出す。


375 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:43:13 AL8taVqo0
「昔の、ことです……」

 気丈に振舞おうと努力するが、若干声が上擦ってしまう。
 家業柄、心情を表に出さないことには慣れているはずなのに、なぜか今に限って上手くいかない……。
 幼いころ耳掃除をしてもらうだけでこそばゆがり、腰が抜けて立てなくなってしまうこともしばしあった。
 今でもヘアメイクで他人の手が首すじに触れてしまうと敏感に感じてしまい、声を出さぬよう必死で押し殺していたりする。
 日常ですらこんな有様なのに、もし悪意ある意図的なくすぐりをイデアたちにされてしまっては……。
 考えたくもない悪夢。しかし、アセイラム姫は悶え狂るエデルリッゾと自分の姿を重ねてしまう想像を止められない。

「今は、どうなんでしょうね」
「ふくっ!?」

 イデアはベットの端に腰をかけ、腋下まで数センチのところ手を置いた。
 アセイラム姫は身動ぎというには大げさな感じでビクリと跳ね上がり、ベットの軋む音がした。
 イデアに悪戯っぽい視線を向けられ、慌てて目を逸らしてしまう。

「ひ、人並みです…」
「ふふ……人並み、ですか。でも人並みの人間がこんなことをされたら……どうなってしまうのでしょうねぇ」

 アセイラム姫の強がりはあえて咎めず、イデアはモニターに顔を向ける。
 エデルリッゾのくすぐり責めは今も続いており、妖しい刺激によって幼い割れ目からは愛液が溢れ出、その様子を美女たちにまじまじと見られ、からかわれていた。
 しかし当の本人に恥ずかしがる気力は残っていないのか、虚ろな瞳ではひはひと乱れた吐息を漏らしながら、だらしない笑顔を浮かべているだけだ。

「いい加減……曖昧模糊なことはせず、はっきりとしたらどうですか? 私の心を折るために……エデルリッゾと同様の拷問をするのでしょう。したければすればいいじゃないですか…っ」

 敵に宣告されるより先に、自ら言ってやろうという気概で、アセイラム姫はイデアを睨みつけた。
 先ほどまでの弱点が見つかり怯える様子が薄らぎ、覚悟の決まった芯の強そうな凛々しい表情に戻っている。
 十台半ばの少女がこんな状況に晒されれば、不安で泣き叫んでもおかしくはないのに、流石ヴァース帝国の皇女と言うべきか。
 目力ある群緑の瞳で睨まれ、イデアの背筋にゾクゾクしたものが駆け上がってくる。
 このくらい負けん気の強いほうが屈服させがいがあると、自分の立場も忘れ心が浮きだってきてしまう。

「つまり、ご協力してくださらないと受け取っても?」
「当たり前です」
「……それはとても残念ですわ、姫様」

 内心と真逆のことを嘯きながら、部下に目配せをしあるものを持ってこさせる。

「それはそうと、姫様は一つ勘違いをなさっていますわ」
「え……?」

 イデアはその答えを口にする前に、部下から渡されたシリンダー型の注射器をアセイラム姫の二の腕に押し付けた。

「な、なにをし―-」

 腕に力を入れられる前に、素早く静脈に鎮静剤を注入した。
 数十秒間まどろみに耐えるような仕草を見せていたが、アセイラム姫の目蓋がゆっくりと閉じていく。

「エデルリッゾに行った戯れ程度で済ますわけ、ないじゃないですか」

 アセイラム姫の穏やかな寝顔とは対照的な、邪な笑みをイデアは浮かべた。
 敬愛するあまり、ザーツバルムの亡き妻に外見を出来る限り似せてはみたが、残念ながら中身まで似せるのは無理だったらしい。正直者のオルレインとは違い、イデアは基本嘘つきだ。
 しかし彼女とて、常に嘘を吐き続けて生きているわけではなく、本当のことだってたまには言う。

 今がその時だった。


376 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:44:16 AL8taVqo0
 皇族の中で誰が一番の美貌の持ち主かと問われれば、ヴァース国民の95%がアセイラム・ヴァース・アリューシアと口を揃え答えるだろう。残り5%が違う理由の大よそは、同性による嫉妬だ。
 見る者が思わず感嘆のため息を漏らしてしまう淡い金色の髪。透き通るような白い肌。吸い込まれそうな群緑色のつぶらな瞳。完璧なバランスで配置された美しく整った目鼻立ち。
 少女としての面影を残しつつ女としての成長も節に感じられる肢体は、どこか神秘的な色香を醸し出していた。
 そして「甘やかされて育った皇族の姫君など、顔は良いが所詮中身は……」などと嘲りを持って彼女と対面した者は、高飛車さがいっさい感じられぬ優しげな笑みを向けられ、180度意見を変えてしまう。
 話してみると意外にもユーモラスに富んでいて、基本真面目でありながらどこかドジで抜けている愛嬌さが近寄りがたさを無くし、より彼女の魅力を高めていた。
 まさに国民皆から愛される理想の姫君といった言葉が似合う人物は、他に類を見ないだろう。

 ――そのアセイラム姫が、まさかこのような格好させられているとは、誰も夢にも思わないわよね……。

 そう皮肉めいたことを想いながら、イデアはうっとりと目を細め、自らが造った『作品』を飽きもせず眺めまわしている。
 彼女の目の前にあるのは、人一人余裕で入れそうなサイズの巨大な額縁のような物だった。
 しかし絵などは描かれておらず、代りに照明に反射し黒光りするラバーが張られ、それを盛り上げるようにしてバンザイをするような格好をした女体のフォルムが浮き出ている。
 いや……黒一面の中で一箇所だけ開く小さな穴からは瑞々しい唇が突き出ており。時折動く様子から人間――それも女が入れられている事が分かった。
 束縛性と薄さ、その両方兼ね備えた特注の素材によってか、ほどよい膨らみを見せる双乳はおろか乳首の位置、臍や腋の窪み、股間にあるなだらかな丘まで細かく見て取れる。肌を一切晒していないのにも関わらず、その姿はひどく艶かしく扇情的なものを漂わせていた。
 予算をケチらなくてよかったとイデアは心底思いながら、自身の裸体の型をこの上なく晒してしまっている人物の耳に唇を近づかせ、囁くようにその名を呼んだ。


377 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:46:05 AL8taVqo0
「アセイラム姫」

 急に声をかけたせいか、アセイラム姫は驚くような仕草を見せた。口だけでも結構分かるものねと、イデアは妙な関心を持ちながら続ける。

「とても素敵な格好ですよ」
「……そのように言われても、私には分からないのですが」
「まぁご存じないでしょうが、所謂バキュームベットと呼ばれるものですよ。姫様のために特別に発注した上物の素材で作らせたのですが……中々癖になる肌触りでしょう?」
「最悪です」

 どこか言葉が刺々しいのは、視界を塞がれ、身動きできぬ状況に不安する様子を見せたくない気持ちの現われだろうか。
 こんな格好をさせられても気丈に振舞う少女の健気な姿に、イデアは愛おしく思うと同時に嗜虐心も芽生えてしまう。

「では、最高になるよう、真心込めて持て成させていただきますわ」
「きゃっ!」

 いきなり右腋の窪みに細長い指を添えられ、先ほどまでの敵意剥き出しの態度が台無しになるような可愛らしい悲鳴を上げてしまう。

「まだ触れているだけですよー、姫様」
「んン゛っ…ふっ! んは…ッ、く、くくくくくぅうぅ〜〜ッ!」

 それを恥じる暇もなく、指先が触れる腋下からじわじわとこそばゆさが強まっていき、形のいい唇は笑いで歪んでいく。
 極薄生地の仕事によって阻害するものは無いに等しい感触を得られ、癖になるほど良いアセイラム姫の肌の手触りに、思わず顔が綻んできてしまう。

「では……こちらも失礼して」
「くひぃッ!」

 今度は両腋に手を添えられ、アセイラム姫は普段絶対に上げないような悲鳴を上げた。
 イデアは満足した様子微笑むと、艶かしい唇をアセイラムの耳下に近づかせていく。
 触れるかの勢いで寄せられた唇が開き、アセイラム姫にとっては悪魔の言葉が囁かれた。


378 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:47:13 AL8taVqo0
「こちょこちょ……」
「ふひゃッ!?」

 弾かれるようにアセイラム姫の口が大きく開き、白い歯を覗かせた。。

「こちょこちょこちょ〜」
「あっあっあっ、はぁああぁあああぁあああ〜〜ッ!! きっ…きゃはあああああっははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 その言葉を聞かされた瞬間、アセイラム姫の頭の中はこそばゆさでいっぱいになり、気づいた時にはもう、力の限り喉を震わせ慎みない嬌笑を上げてしまっていた。

「ほら、腋の下がら空きで撫で放題ですよ〜。こちょこちょこちょ〜」
「だめだめだめえええでええええぇぇええッ!! あ゛ひっひっひいいいいいいいいいいいいいいいぃいい〜ッ!!!」

 アセイラム姫の想像以上の豪快な笑い声を聞くだけで、イデアは達してしまいそうになる。
 そして煽ってはいたが、まさかここまで弱かったという真実も相まって、もうどうにかなってしまいそうだった。

「腋だけでは御飽きになると思いますので、今度はこちらを……もみもみ〜」
「やめっひゃっあ゛ぁああっひゃははははははははははははははははははははッ!!!」

 イデアは腋の窪みから脇腹へとポイントをずらした。
 ぴったりとあてがった指先にほんの少し圧力を加えただけで、あとはもう爆笑の嵐だった。

「ん゛ひぃいいぃいいひひひひひひひッ!!! ぎゃっははははははははははははははははははははははッ!!!」

 一度堰を切ると後は天井知らずに強まっていくばかりのくすぐったさの嵐に、アセイラム姫は木の葉のように翻弄され続けていく。
 エデルリッソの姿を見せ付けられながらも、生半可な気持ちではなく本気の覚悟はできていた。
 しかし、相手に一方的にしかも身動き一つとれない状態でのくすぐり責めを受け、その覚悟が全く足りていなかったことを、アセイラム姫は文字通り身を持って知った。
 許されたい。この頭の中を掻き乱すいい様のない刺激を止めてくれるのなら、もうなんだって受け入れてしまいそうだ。

「くすぐったいくすぐったいくすぐったいいいぃいいいぃいッ!!! あひぃいいいぃいいひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 気狂いしそうなくすぐったを少しでも紛らわすため、身体を暴れさすこともできないせいか「くすぐったい」という言葉を叫び続けることしかできなかった。


379 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:48:36 AL8taVqo0
「こちょこちょこちょ……。姫様はなんともお優しい方ですねー。わたしに付き合ってくださってそのような迫真の演技を……。人並み程度の耐性がある方なら、この程度でそんなに取り乱したりはしないのは十分承知しておりますので、ご無理はなさらずとも」
「ふぇっひぎひひひひひひッ!!! ちがっちひゃああぁあああッひひヒひひひいいいいいぃいいいいぃいッ!!! はひゃああああああああぁあぁあッ!!!」
「またまた、では次は股の付け根を、もみもみ…こちょこちょ〜」
「きゃああぁあああああああッ!!? あ゛っひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 股の付け根にそれぞれの指を添え、申し訳程度の力で圧迫しながら悪魔の言葉を囁き続ける。
 秘唇に近いそこはまた違った独特のくすぐったさを生み出し、アセイラム姫は大きく開いた口から景気よく唾液を飛ばしながら一際甲高い爆笑をあげた。

「よ゛っよわい、よわひからぁああああッ!! く、く、くすぐり弱いんですッ!!!」

 ヒクつく腹筋で呂律が回らない中、アセイラム姫は自らが否定した知られたくない真実を涙ながらに必死に訴え続ける。

「姫様は演技までそんなお上手なのですね。では……お臍とお腹にいってみましょうか」
「ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!! よわひぃいいいいぃいッ!!! くすぐりぃいぃい、ひょあ゛いからあぁあああああああッ!!! ぎゃひっははははははははははははははははははははははははははは〜〜〜ッ!!!」

 臍の中に指を入れ、痙攣する腹に手を添えられ、こちょこちょと耳元で囁かれる。
 それだけでアセイラム姫は、聞くも無残に取り乱した爆笑をあげてしまう。

「ふひぃえぇえええ゛っへへへへへへへへへへへへへへへへッ!!! よわひぃいいいぃいいいぃいいいッ!!! よ゛ひゃいんですぅうぅうっくああぁあああっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあぁアああッ!!!」

 この苦行を唯一止めれる人物に、笑いで呼吸が定まらない中、一縷の望みをかけて必死に自らの弱点を吐露し続ける。その情けなく懇願する少女の姿は、優雅な姫君のイメージとは程遠い。

「まぁ、そうなんですか。なら恥ずかしがらないで、最初から正直に言ってくださればよかったのに」
「ひっひひ、んはぁぁ、はぁんッ…んはぁ、んはぁっはぁっはぁっ」
「あらあら姫様、お口に涎がいっぱいですよ」

 イデアは白々しい演技をしながらようやく手を離し、唾液塗れのアセイラム姫の口周りを指先で丁重に拭っていく。


380 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:50:01 AL8taVqo0
「ふふ、ツンケンした所も中々新鮮でいいですが、わたしはやはり笑顔で正直なときの姫様が一番可愛くて好きですね」

 くすぐりの余韻が納まりつつある所を見計らって、イデアは含蓄ある言い方をしながら部下にある指示を出した。

『ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!! よわひぃいいいいぃいッ!!! くすぐりぃいぃい、ひょあ゛いからあぁあああああああッ!!! ぎゃひっははははははははははははははははははははははははははは〜〜〜ッ!!!』

 人の背丈ほどあるスピーカーを通して、録音された美声が台無しになった爆笑が部屋中に響き渡った。

「あ…あぁ…っ」

 あまりにも慎みを持たないあられもない笑い声に、アセイラム姫は最初、自らのものだとは気がつかないほどだった。
 自分の慎みの欠片もない爆笑を客観的に聞かされ、ラバー生地の下に覆われた白い肌は羞恥で真っ赤に染まっていることだろう。

『ふひぃえぇえええ゛っへへへへへへへへへへへへへへへへッ!!! よわひぃいいいぃいいいぃいいいッ!!! よ゛ひゃいんですぅうぅうっくああぁあああっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあぁアああッ!!!』
「やめっ…やめてください……」

 アセイラム姫の今にも泣きそうな震える声で願うが、それをからかうかのようにボリュームを上げられる。
 くすぐったさに敗北し、己を律せれず、敵に必死に懇願し弱点を告白する情けない少女の様子が鮮明に録音され。無慈悲にも何度もリピートされ続けた。

「ところで姫様。少しは考え直してはくれましたか?」
「なんの…ことですか…」
「いやですわ、アルドノアの件についてですよ。くすぐりが気持ちよすぎて忘れちゃってましたか?」
「んはぁっ!」

 イデアは証拠と言わんばかりに、見事に勃起しラバー生地を押し上げているアセイラム姫の乳首を軽く人差し指でちょんちょんと突いた。


381 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:51:38 AL8taVqo0
「……不遜な輩のために使うなど、言語道断です…っ」
「皇族が独占しているという現状も、正しいとは思えませんけどねぇ」
「独占ではなく管理です!! あなたのような人達が悪用しないための!!」

 少し鼻声の姫らしからぬ、子供が癇癪を起こしたようなヒステリックな声が言霊した。
 イデアにと言うよりは、今にも屈服してしまいそうな弱い自分を叱咤するかのようにも見える。

「はぁ……これでは、話は平行線のままですね」

 言葉とは裏腹に、イデアの心は浮き立っていた。
 予想を遥かに上回るくすぐりの弱さに、悦びと同時にここで姫が屈してしまったらどうしようかと内心肝を冷やしていた。
 これで心置きなく本番を愉しめる……と、イデアは口角を上げ、部下にある物を持ってくるように命じた。

「ご不安なようですから先に申し上げておきますと、私たちは姫様がお苦しみになるようなことは、一切しません」
「ふぅっ!?」

 思わず自分でも笑ってしまいそうな白々しい台詞を吐きながら、イデアは唯一外に突き出ている唇に、部下から手渡された鋭角三角形に丸みを帯びさしたような透明な物体――恐らく呼吸器を取り付けた。

「まずは姫様の苦手なものをお好きになるように協力させていただき、わたくしどもの誠意を見せてから、もう一度例の件に対してお願いさせていただきます」
「ふうぅっ、ううぅうううぅッ!!」

 嫌な予感しかせず、アセイラム姫は何かを叫んでいたが、呼吸器に阻まれ何を言っているのか聞き取れない。

「姫様の美声が枯れぬよう、暴れて御身体が疲れぬよう、『それ』だけを味わえるようご用意させていただきました」

 そんな姫の様子にも構わず、イデアは興奮で声が上擦りながら『それ』のスイッチを押した。

「ではまずは十分ほど……極上のくすぐりをご堪能ください」


382 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:52:41 AL8taVqo0
「ふうぅッ!?」

 身動き一つ取れず視界を奪われ、その上今度は言葉まで発せれなくなったアセイラム姫はすぐさまその異変に気づいた。
 緊張に汗ばむ腋下や、首すじや足の指の間に微かだが、むず痒い微かなくすぐったい振動を覚える。
 最初は視覚を奪われ、鋭敏になったことによる気のせいだと思った。

「んむんんッ!? ふううぅうぅうううぅうううううううううぅうううッ!!」

 しかし、徐々に強まり広がっていくくすぐったさに、それは気のせいではなく、そう思いたかっただけだということを嫌でも思い知らされる。
 足の指の間や耳の中や尻の割れ目――まるでくすぐりという名の液体に全身を隈なく包まれ、撫で回されるといった感覚が、指先一つ動かせないアセイラム姫の身体に容赦なく襲い掛かった。

「む゛ううぅうううううぅうううううぅうううぅううッ!!! ふう゛むあぁあああああああああぁあああああああああぁあッ!!!」

 先ほどまでのがまるで遊びだと思い知らされる激し過ぎるくすぐったさに、パニックを起こしたアセイラム姫の呼吸は、乱れに乱れるが、呼吸器の働きによって潤沢な酸素が供給され過呼吸にはならず、息苦しさは一切ない。
 バキュームベットにより身体の隅々までびっちり束縛され、指先一つ動かせない状態では吹き荒れるくすぐったい刺激に、身を暴れさせ疲れることもない。
 まさにくすぐりのみを純粋に対象者に与える――イデアが述べた「極上のくすぐり」だ。

「ぶふぅ゛ううう゛うううううううううう〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!! む゛お゛あ゛ああああああああああああああッ!!!」

 しかし、イデアにとっては極上のくすぐりだが、アセイラム姫にとっては極悪そのものだった。
 暴れられない、声が枯れるほど笑えれない、何一つ誤魔化しのきかないくすぐったさが全身を貫き、脳の中まで掻き乱される様な感覚に陥っていく。

「ッッんぶうぅうううううううううううううううあ゛ぁあああああああああ〜〜〜ッ!!!」
「ふふ、お気に召して何よりです。けれど、この子の性能はこれだけではないんですよ」

 最早一切隠すこともなくなった邪で妖艶な笑みを張り付かせているイデアは、アセイラム姫にその性能を身を持って教えるべく、部下たちに淀みない指示を出していく。


383 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:54:15 AL8taVqo0
「足の裏は少し乱暴にブラジで擦る感じ、指の間は羽根で擦るように。膝はさわさわ優しく、太股はちょっと強めに揉みしだいて」
「ほぶぁああああああああああぁああッ!!?」
「股の付け根と腰はくりくり指で揉んで。お尻の割れ目と穴は筆でこちょこちょ撫でる感じに……ふふっ皺の一本一本まで丁寧にね」
「うっぅううううぅううううううッ!!! む゛ひぃいいいいいいいいいいいいいぃいいいいいいいいッ!!!」
「背中は特に優しく這わせるようにして。脇腹はつんつん突く感じ。腋の下はローションを付けた指で掻き回して。あ、お臍を忘れていたわね…。えーと舌で嘗め回す感じでお願い」
「ふあ゛ふぁふぁああぅう゛ぅうぅうぅうぅううううううううううぅううぅう〜〜〜〜ッ!!!」
「乳首は刷毛で焦らす感じ。耳は吐息を吹きかけて。首すじはさわさわ撫でて。アソコは……やっぱりそうねぇ……ふふっ電気アンマ」
「ん゛お゛あ゛ぁ゛あぁぁああああああああぁあああぁあああああああぁああッ!!!!」

 イデアの淀みなく繰り出されるオーダーにを、部下たちは手馴れた様子でバキュームベットに反映させていく。
 感情のない機械は、他人に触れられただけで嬌声をあげてしまう少女だろうがお構い無しの、苛烈すぎる多種多様なくすぐりを過敏な身体に刻み込んでいく。

「姫様、どうですか? この子の性能。皮膚感覚の細かな解析を計算に入れて、電気刺激と振動で擬似的に色々なくすぐりを再現させているんですよ。僭越ながらわたくしも試用させて頂いたのですが……本物と区別のつかない良作のできだったと自負しておりますわ」

 言葉にしたせいで、当時の発狂寸前までいった感触を思い出したのか、イデアは思わず身を抱き寄せぶるりと身体を震わせた。


384 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:55:05 AL8taVqo0
「姫様も満足していただけると嬉しいのですが……」

 殊勝な物言い全く合っていない光悦した顔の表情で問うイデアだったが、アセイラム姫にそんなものを聞いている余裕など皆無だった。

「ぶふぅ゛ううう゛うううううぅうううううううぅぅうぅぅぅぅうううう〜〜〜〜〜〜ッ!!!! ふほっお゛ぉおおおおおおおおおおおおおおおおぉおぉおぉッ!!!!」

 濁流のようなくすぐたさが全身に襲い掛かり、それが消えぬ間にまた次の濁流が襲い掛かる。
 一秒でも止めて欲しい。
 少しでもいいから身体を動かしたい、大声を上げて紛らわしたい。
 イデアに対する反抗心は一瞬で消え失せ、頭の中はそのことでいっぱいだったが、それすらも冗談のようなくすぐったさの中に埋没していく。

 く、狂っちゃ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 アセイラム姫の最後にしたまともな思考も、荒れ狂う増大なくすぐったさの波の中にあっけなく呑まれていった


385 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:56:07 AL8taVqo0
 大小各種のモニターが壁一面に取り付けられコンソールが立ち並ぶ、主にこの建物内部を「監視」するためのシンプルで事務的な部屋だったはずだが、今は異様に情感めいた空気に包まれていた。
 その原因は明らかで、部屋の一角で行われているものにある。
 バキュームベットに捕われ己の身体の形を存分に晒し、くぐもった笑い声をあげている少女と、それに寄り添い妖艶な笑みを浮かべている下着姿の美女といった。シュールありながらどこか淫猥さを醸し出す情景がそこにはあった。

「こちょこちょこちょ」

 子供に言うような甘い、しかしどこか色っぽさのある擬音が聞こえた。
 その声の主――イデア・コスタクルタは、今までにないほどの極上の素材を前にしてすっかり身は火照り、秘所は猥らに疼き、愛液は下着に吸収しきれないほど溢れ出し、軍装の股間部まで染みができてしまった。そのため今は服を脱ぎ捨て、きめ細かい白肌が栄える黒のレースのランジェリー姿だ。

「こちょこちょこちょ〜」

 イデアは艶かしい太股を、未だバキュームベットに捕われているアセイラム姫の身体に絡みつかせ、添い寝のするような形で「こちょこちょ」と湿った吐息交じりに、まるで子守唄のように囁いていた。

「む゛ッばあああああああああッ!!!! うぁッ、う゛ぶぉふぉふぉふぉふぉふぉふう゛ぁああああああああああああッ!!!!」

 呼吸器に遮られているとは思えぬほど大きい、アセイラム姫のくぐもった絶叫ともつかない嬌笑を聞くたびに幸せな気持ちになるが、身体の疼きが更にひどくなってしまうのは考え物だとイデアは苦笑した。

「あらあら、姫様こんなにいっぱいお出しになって……」

 失禁対策のためか、アセイラム姫の尿道には尿管カーテルが差し込まれており、小水はカーテルを伝いバキュームベットの横に取り付けられたパックに入る仕組みになっている。

「ふふっ、こんなにお漏らしてしまうほど、気持ちよかったんですか?」

 透明な容器の中には、およそ成人女性が一日にする量を大幅に超す恥ずかしい液体がなみなみと注がれており、それを指し示すかのようにイデアはパックを指先でつんつんと突いた。

「ふはあ゛ああああああああふいいいいいいいいぃいいぃいいいいいいッ!!!!」

 しかし自らの粗相など気にしている余裕など皆無なのか、アセイラム姫はただくぐもった気狂いのよう嬌笑を上げているだけだ。

「くぅっ…はっ…ん、ん゛ぁんくぁぁッ!」

 はしたない大量失禁に、羞恥する余裕もなくなってしまうほど堕ちてしまっている姿に更に欲情したのか。思わずアセイラムの太股に潤う股間を擦り付ける速度が早まり、イデアは軽い絶頂を向かえてしまう。
 ちょうどその時、タイミングがいいのか悪いのか――
 イデアにとって誰よりも短い、アセイラム姫にとっては誰よりも長く感じる十分が経過し、バキュームベットの動きが停止した。


386 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:57:13 AL8taVqo0
「はぁっ…んっ……あら、もうそんな時間なの」

 さすがに部下たちの前でイってしまったのはばつが悪かったのか、イデアは髪をかき上げながら、少し取り繕った感じで感想を述べた。

「アセイラム姫、どうですか? 苦手だったくすぐりはお好きになられましたか?」
「あ゛ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!! え゛ひひひひひひひひひひひひぃひひひひひひひぃぃいッ!!!」

 イデアが呼吸器を取った瞬間、甲高い爆笑が部屋中に響き渡る。

「そうですか、それはそれはよかったです。では、そろそろ例の件も考え直していただけると有難いのですが……」
「くひゃひゃひゃはっはっはっははは!!! あ゛え゛ひぃへへへへへへへへへへへへへへへへへへッ!!!」

 バキュームベットのくすぐりによる、しつこく身体にこびり付く余韻のせいで アセイラム姫の精神は全く回復しておらず、ただ唇を歪ませ、けたたましい笑い声をあげているだけだ。
 しかしそんなことは構わず、イデアはその言葉にもなっていない嬌笑を都合良く解釈し、勝手に会話を進めていく。

「姫様、そんなことをおっしゃらずにご協力してくださいませんか。ほら、この通りですから――」
「ぎゃひぃいぃいいいいいいいいぃいッッ!!!! あ゛ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃああぁあああああぁッッ!!!!」

 腋を指で軽く突かれるだけで、アセイラム姫の爆笑は一段と大きく下品になった。
 幼少時代侍女に身体を触れられるだけで笑い声を上げてしまっていた彼女だが、最早今はもうシャワーを当てられるだけで悶絶するほど過敏な身体にされてしまっている。

 結局――苛烈過ぎるくすぐり責めによる余韻と、時折イデアが悪戯に身体に触れてしまうせいもあって、、アセイラム姫の精神が回復するまでに、バキュームベットの稼働していた倍ほどの時間が掛かってしまっていた。

「それで姫様」
「だめ…だめ、だめよ……」
「アルドノアの件のご協力は……」
「だめ…だめ…だめ……っ」

 ようやくくすぐりの余韻が治まり、唾液塗れの唇から笑い声が出なくなったが、アセイラム姫はずっとこの調子だった。
 もうまともに受け答えする気力もないのか、うわ言の様に「だめ」という言葉しか発しない。
 それはイデアにも、自身にも向けているような台詞でもあった。

「もう、姫様は欲張りさんですね。本当はもっとこちょこちょして欲しいから、頑なに協力を拒否しているだけでしょう」
「ひっ――」

 熱っぽく囁かれる「こちょこちょ」という単語を聞いただけで、アセイラム姫の全身に鳥肌が沸き起った。


387 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:58:32 AL8taVqo0
「まぁ、姫様のためですから、もう十分――いえ、何度だってわたくしたちはお付き合いしますよ」
「い、いやっっ!! いやあああああああああああッ!!」

 恐らく顔は見えないが、ラバー生地の下には、数時間前まで敵に屈しないと心に誓った気丈な振る舞いは見る影もなく、敏感な身体にとって天敵なあの妖しい刺激に怯え泣く少女の姿があることだろう……。
 そんなことを考えていると、イデアはたまらなくなってしまい。一度達したはず身体は再び火照りだしてきてしまっていた。

「ま、待ってっ、待ってッ!! き――っん゛ぶぅッ!!」

 アセイラム姫は何かを言おうとしたようだが、それを遮るようにして呼吸器が再び取り付けられる。
 何かをしきりに訴えかけているようだが、それをあえて無視したイデアは、アセイラムの耳元に湿った吐息をかけるように囁く。

「この子には優秀な学習機能もついていてですね。対象者の脳波を測定して一回目より二回目、二回目より3回目といった具合で、個々に合わした最適な……一番くすぐったくなる方法を選択してくれるんですよ」

 荒い吐息と共に説明をしていたイデアは、ふと気がつく。
 排尿のパックを見ると、今カーテルから大量の小水が注がれており、みるみると水位があがっていた。
 ――今からそんな調子では、一体これからどうなってしまうのだろうか……。
 イデアは心躍る気分でそう思った。

「だから飽きることなんて絶対にありえませんから、どうぞご安心して、心置きなく愉しんでくださいね……ひ、め、さ、ま」
「う゛ッ…む、む゛ンンッ!!? む゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァアアアアア〜〜〜ッ!!!!!」

 敏感な少女にとっては苛烈すぎるくすぐり責めは無慈悲にも再開され、呼吸機を割らんばかり勢いのくぐもった爆笑が響きわたる。
 その声にうっとりと聞き惚れながら、イデアは考える。
 この手の尋問はもう数え切れないほど経験してきたイデアだからこそ分かる、人が心の底から屈服する瞬間。
 さきほど、アセイラムにもそれが垣間見えたような気がしたが……。


388 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 02:59:45 AL8taVqo0
「きっと気のせいよねぇ。まさかアセイラム・ヴァース・アリューシアともあろうお方が、こちょこちょ程度で根を上げるなんてありえないもの」

 イデアは心にも思っていないことをつぶやきながら、外側からもくすぐってあげようと、腋に指を這わせていくと、後方から粘ついた複数の視線を感じ振り返る。
 見ると、ザーツバルムに無理を承知で頼みこみ揃えさせた自分好みの容姿の部下たちが、身体をもじつかせ、挙動不審といった様子でこちらをちらちらと見てくる。

 ――部下に対する配慮がかけていた。

 と、素直に反省し、イデア微笑を浮かべ部下たちに言った。

「もうそんなにそこ人いらないでしょ。手の空いた子からこっちにいらっしゃい」

 姦しい歓声が上がり、躊躇もなく花弁に群がる蝶のように、女たちはアセイラム姫に群がっていく。
 どうやらイデアは、容姿のみならず嗜好まで込みで揃えたらしい。

「ちゃんと交代もしてあげるのよ」

 アセイラム姫という、普通なら絶対に触れられない極上の身体に夢中なのか、返事はあまり芳しくないない。
 部下の何人かは、イデアと同じよう理由で軍装を汚したのか単に気持ちが昂ぶってきてしまっただけなのか、下着姿になってしまっている。
 そのはしたなさにイデアは苦笑するも――

「まぁ……わたしが言えた義理じゃないわよね」

 ショーツから滲み出た愛液が太股に伝っていくのを他人事のように眺めながら、誰にも聞こえぬような小声で独り言ちる。
 猥らな熱や疼きは今も尚高まっており、もう理性の限界近くまで達してしまっている。
 もしこの場に部下たちがいなかったのなら、即刻自慰に耽ってしまっていたことだろう。
 いや、自慰程度でこの炎のような情欲は収まりつくだろうか……。


389 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 03:01:33 AL8taVqo0
「……………」

 自然とアセイラム姫……いやバキュームベット自体に意識が向いていた。
 イデアは自他共に認める生粋のサドで、くすぐりも責める側専門だった。
 バキュームベットにしても試用テストはお気に入りの部下に任せ、その悶絶する姿を眺め心の底から愉しんでいた。
 しかし何度も試用テストを繰り返し、日々性能が上がっていくバキュームベットのくすぐりに悶え狂い、だらしない笑みを貼り付け痙攣する部下たちの可愛らしい痴態眺めているうちに、言い知れぬ好奇心が頭を過ぎる。
 ――いったいどれほどくすぐったいのだろうか、と。

 それからというもの、どうしてもその興味が頭から離れず、結局一週間ほど迷った末、疼く好奇心に負け、自らが次の被験者になると部下に告げていた。

 待ちに待った試用日当日――意外なほどに肌触りがいいラバー素材に素肌を包まれながら、不安とそれ以上の期待を持ってその刺激を待った。

 好奇心は一瞬にして後悔に変わった。

 バキュームベットが稼動した僅か数秒後には、イデアは止めてと笑い泣き叫んでいた。
 しかし呼吸機に遮られた状態では、当然部下に意思は伝わらず、五分間という短めの設定だったにも関わらず、イデアにとっては数倍にも感じる体感時間くすぐり抜かれ、人はくすぐりに対してこれほど弱いということを、これでもかと思い知らされた。
 終わった頃には、同性の誰もが憧れる知的な相貌は、唾液と鼻水塗れの見るも無残な弛緩した顔に変わり果て、絶頂と失禁を繰り返し痙攣する身体を、部下たちの前に晒してしまっていた。
 それからもう二度と、あの悪魔の機器は自分には使用しないと、心に固く誓った筈なのだが……

「む゛お゛ンあ゛ああああああああああああぁあああああぁあああああああああああああぁあああああああッ!!!!」

 アセイラム姫を見ていると、その決意がどうしても揺らいできてしまう。 
 太股を揺り合わせることが中々止められず、それのせいによってイデアの愛液は地面に垂れ落ちてしまっていた。
 増大な恐怖心が、そのまま淫猥な好奇心に成り代わっていく感覚。自暴自棄にも似た欲求で頭の中がいっぱいになる。
 あの淫魔の機械は相手を笑い狂わすだけでなく、一度その狂乱の責めを味あわせた者を魅了することもできるのかと、本気で疑ってしまう。
 そんな猥らな思考をしていると、遮るかのように一定の高い電子音が部屋中を響かせた。


390 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 03:02:49 AL8taVqo0
「アセイラム姫、失神なされました」

 アセイラム姫の状態をチェックしていた部下の報告に、まだ責めて数分と経っていない部下たちは落胆と不平の声を次々と上げた。

「ほら、壊しちゃ元も子もないんだから、もうこちょこちょしちゃ駄目よ。また今度好きなだけやらせてあげるから」

 不満たらたらといった様子の部下たちを窘めながら、アセイラムの肌を傷つけぬようゆっくりとバキュームベットを数名で脱がせていく。
 アセイラム姫の汗の愛液の混じった匂いが、むあっと外気に溢れ出し鼻腔をくすぐると同時に、誰もが息を呑み色めき立った。

「く、ひっ……ひっ、へひっ…あえ゛へへっ……」

 全く動けなかったはずなのに、美しい肌は上気するほど汗だくになりそれが照明によって艶かしく光っている。乳首は限界までビンとそそり勃ち、ワレメはまるでまだ笑っているかのようにヒクヒクと痙攣し、愛液を溢れ出させている。
 首から上は風呂で逆上せてしまったかのように真っ赤で、気品の欠片もない笑いで歪んでいる。瞳は裏返りそうなほど上向き焦点が合っておらず、何度拭けどすぐに涙と鼻水と涎が溢れ出し、顔を汚していた。

「あひッ…くひゃああああああああぁあああッ!!! ひ、ひへへッ…はひゃっ、はへぇ……」

 尿道カーテルを抜いた瞬間、まだ出してる途中だったのか、ワレメから小水が噴出し黄金色の弱々しいアーチを作り出した。
 放尿する開放感すらくすぐったいのか、ブリッジをするかのように腰をビクビクと浮かせ、枯れた笑い声と共に放水する姿は、とてもあの清楚な姫君のものとは思えない。


391 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(前編) :2014/10/26(日) 03:04:11 AL8taVqo0
「姫様、殿方にはとてもお見せできないお姿ですね。いろんな意味で」

 余裕ぶっていっているが、イデアの下半身の疼きはもう限界値まで達していた。
 まるで尿意に耐えるかのように忙しなく、太股同士を擦り合わせている。部下たちも似たようなものだった。

「じゃあ身体洗ってあげてから寝かせてね。…くれぐれもオイタしちゃ駄目よ」

 一応釘を刺しておくが、まだ痴態続くアセイラムの姿を熱っぽい視線を全く反らすことなくストレッチャーで運んでいく部下たちを見て、いったいどこまで我慢してくれるか分かったものではない、と懸念する。
 しかし、今はそのことに気を回している余裕などなかった。
 まだアセイラム姫の残り香が濃密に残るバキュームベット……。ごくりと生唾を飲み込む。
 最早迷うという段階は当に超えていた。

「ね、ねぇ……ちょっと今のデータをまとめる前に」

 今まで見た事のない羞恥に身を震わせ顔を赤らめるイデア姿に、部下たちの談笑は自然と止まり、視線は新たな魅力を醸し出している上司のほうへと集中する。

「今度はその……それ、わたしに試さしてくれないかしら」

 猥らな欲望で頭の中がいっぱいなのか、イデアはこのとき彼女らしからぬ失念――ミスを犯していた。
 アセイラム姫の失神という不完全燃焼で終わったことにより、極上のワインをテイスティングだけというお預けを食らった状態の部下たち。
 そんな自分と嗜好が似たり寄ったりの部下たちに、自らの意思で止めることのできないバキュームベットの操作を任せたらどうなってしまうのか……。

「じゃあ時間は…じゅ、十分もいらないわっ! とりあえず3分……。強さはさっきの20%ほどでお願い」

 上司の淫猥な願いを侮蔑の色も見せず、形だけは従順な笑顔を浮かべ、イデアの指示通り動いている忠実な部下たちにほっとし、機嫌を良くしたイデアは下着を忙しく脱ぎ捨て、不安とそれ以上の期待を胸にバキュームベットに寝そべった。

 ――良い部下たちを持って、わたしは幸せものね。

 柄にもなくそんなことを思った。
 それが間違いだったと、身を持って知ることになるまで、時間はそれほど掛からなかった。


392 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/26(日) 12:01:11 NGVeGILc0
途中で横から書き込んでいいか迷ったけど、区切りかなということで、
勃起してからシコシコ射精余裕でした

素晴らしい


393 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/26(日) 12:51:33 egxfxc120
うおーー姫様超かわいくて超くすぐりたいと思ってたから超GJ!
もっとアヘ顔見てみてぇなぁ…


394 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/26(日) 16:39:22 ZyLo/Ies0
容赦ないバキュームベッドくすぐり、最高でした!
えろすぎる!


395 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/26(日) 18:48:44 C3PKMoJ20
えろい! 素晴らしいです!


396 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/26(日) 21:33:15 OExytfBY0
ロリの発狂具合がいいねw


397 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/27(月) 11:01:30 NFIkb/io0
ところでバキュームベッドって足の裏もくすぐれるんかいね?

次はくすぐりハンドあたりで無限くすぐり地獄に落としてもらいたいわぁ


398 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/27(月) 20:52:03 67C2p.IM0
>>396
同意せざるを得ない
おね×ロリは非情で至高


399 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/27(月) 22:17:42 vL7dvDDAO
小梅じゃないか!


400 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:43:29 iUysFAL.0
 戦争は兎にも角にも金がかかる。軍事関係者なら誰もが身に染みていることで、それは惑星間戦争だろうが内戦だろうが変わらない。
 いや…今回ザーツバルムが目論む、政権奪取に向けての戦の出費規模は、第二次惑星間戦争のときと比べ、控えめにみて数倍、下手すれば数十倍に上ると予測され、同等にして語るにはあまりにも多額だった。
 まさか敵地と同じよう揚陸城を降下させ、辺り一帯焼け野原してから攻め込むことなどいった強引な手法など取れるはずもなく。仮にそんなことをしようものなら、火星の歴史に悪名刻むとち狂ったテロリストとして語り継がれ、政権奪取どころではなくなってしまう。
 そのため地球の時のような疾風怒濤、先手必勝といったものとは打って変わり、非常に細々と長ったらしくデリケートな戦になる。
 自軍に付きそうな火星騎士との交渉、有力な企業や貴族たちとの橋渡し、火力や物量に物を言わせた戦が少なくなり細分化された類の戦闘が多くなるため、それに見合わせた兵器の調達。国民の心を掴むという名の情報操作。何をするにしても金、金、金だ。
 湯水のように使われ、日に日に減っていく軍事資金。金はいくらあっても足りぬ状況に、軍の資金運用の全般を担っていたイデアは常々そのことで頭を痛めていた。
 しかしある時を境にその悩みの種は、今までが嘘のように解消されていく。
 小金稼ぎと小規模の資金洗浄……そして趣味の一環程度目的で始めていた、イデアのあるサイドビジネスが大当たりし、飛躍的な黒字を叩き出すようになる。

 その頃、偶然にもイデアの手元には金の卵を産む鶏たちが多数おり、そして彼女はそれを生かす術を誰よりも心得ていた。


401 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:45:26 iUysFAL.0
「ぎゃっっはははははははははははははははははははッ!!! わきっわきだけはぁぁあああああぁあっっくひゃあああああああ〜〜〜ッッははははははははははははははははははッ!!」
「ふぎぃいいいぃいいいいひひひひひひひひひひひッ!!! むりむりむりッ、そこむりだてぇぇええええぇええぇええぇええッ!!! ぐひゃぁあああああああああぁあッひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!」
「あっ、あっあっあっ……い、いいます、なんでもいいますかっあ゛あ゛ああああぁあああ〜〜〜っっくひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!! い゛う゛っ! い゛う゛からぁあああああああああああああっははははははははははははははッ!!!」

 見上げれば目が眩みそうな照明と、多種多様な撮影機材に囲まれるスダジオは、三者三様な嬌声が今日も鳴り響いている。
 物々しい業務用のビデオカメラがまるで観客のように取り囲む中、恥部が見えそうなほど際どい水着姿のイデアの部下たちが愉しそうに、三人の捕虜をくすぐる宴を繰り広げていた。

「きゃあぁあああああああああああぁッ!!! ふぎゃあぁあああははははははははははははははははははははッ!!」

 その中の一人、なぜかスクール水着姿の不見咲カオルは、弱点である腋下を左右それぞれ二人の部下たちにこちょぐられ、金切り声のような切羽詰った爆笑を上げている。
 意外にも着やせするタイプのようで、くすぐったさを紛らわすため、その豊満な肢体を前後左右にくねらす姿はどこまでも官能的だ。
 水着のサイズが小さいためか、文字通り今にもはちきれんばかりのようだ。

「カオルちゃん相変わらず腋がよわよわだねー」
「最初は仕事ができるクールな女ーって感じで格好よかったのに、ここをこちょこちょしてあげた途端すごく可愛くなっちゃったもんねぇ」
「ぎゃあああああぁあああぁあっはははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!」

 嘲りとも取れる言葉を浴びせられるが、それを咎める余裕などカオルにはない。
 天井のレーンに沿って吊り下げられた鎖付きの手枷によってカオルの両手は捕われ、Iの字のような体勢を強いられている。ご丁重に足枷もされており抵抗は微々たるものだ。
 部下たち二人はそれをいいことに、カオルの無防備な腋下に筆や羽根や自らの指で悪戯を繰り返している。

「あーーっ」

 そんな中、部下の一人が指先に微かなザラつきを感じ、意地悪な笑みを浮かべた。


402 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:46:32 iUysFAL.0
「駄目じゃない、腋に毛なんて生やしちゃあ!」
「そーだよ、ユーザーの皆様に失礼でしょ!」
「ん゛きゃはあぁあああああああああああああああああぁああッ!!! ぎゃあぁああぁあああはははははははははははははははははははははははははあああああぁああッ!!!」

 腋の処理が甘かったことを咎めるように、部下たちはローションをたっぷり付けた指先をカオルの両
腋へと突っ込み、クニュクニュと卑猥な音を立てながら乱暴に掻き回し蹂躙していく。
 身構える間もなく、腋の窪みの中にぬるぬると独特のくすぐったさが瞬く間に広がり、カオルはじけるようにその豊満な肉体を揺らしながら。憐れに笑い踊り狂う。

「ほらほらぁカオルちゃん。そんな大きなお胸とお尻振って悦んでないで、他にやることがあるでしょー」
「そうそう『はしたなく腋毛を生やしてごめんなさい』ってカメラに向かってちゃんと謝らないとー」
「ぎひぃいいいっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 止め処なく強まっていく弱点へのくすぐりを前に、恥じやプライドなど一切無くなっていた。

「ぎひひひひひひひひひひぃいぃいッ!! は、はしたなく…くっひゃひゃひゃひゃッ!! わひげ生やして…く…くくってぇ…ごめ、んひぃいいいいいいいいいいいいいいぃいぃいいいいッ!!? うあ゛ぁああははははははははははははははははははははははッ!!!」
「はーい、笑っちゃったから」
「もっかい最初からだね」

 言い終える直前に意図的にくすぐりを強められ、カオルは恥辱の懺悔を何度も言わされる。
 例え奇跡的に言い終えることができたとしても、部下たちは聞こえなかったなどと難癖をつけ、カオルが気絶するまでくすぐりを止めない事だろう。

「わひぃいぃいいいいいいぃッ!!! はひをおぉあ゛ぎゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃああああぁああああッ!!!」
「もう何言ってるか分からないよー、カオルちゃん」
「わきこちょが気持ちよすぎて、何も考えれなくなっちゃったのかなぁ」

 しかしこの悶絶地獄から逃れられる幻の希望に縋ることしか、今のカオルに選択肢は無かった。


403 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:48:18 iUysFAL.0
「あ゛へひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!! やばっやばひぃいいいいいいいいぃいいぃい〜〜〜ッ!!! ひゃばいがら゛あぁああああっはははははははははははッ!!!」

 不見咲カオルの横では、界塚ユキが爽やかな容姿に似つかない一際下品な爆笑を上げながら、長い黒髪を振り乱していた。
 ユキはスレンダーな身体が栄える白い体操着と赤のブルマーという格好で、カオルと同様サイズが小さいせいか裾が足りず、ヒクつく腹が丸出しな状態になってしまっている。
 人一人寝そべれるほどのサイズの座椅子のような物に座り状態で四肢を捕らえられ、中途半端なバンザイとM字開脚が合わさったような体勢を強いられ、弱点の足の裏を好き放題くすぐられていた。

「友好の証にね。捕虜の男の子たちに、あなたたちがこちょこちょされている映像を見せてあげているんだけど」
「あなたがゲラゲラ見っともなく笑う姿の映像の後が一番、トイレに駆け込む子たちが多いそうなのよ」
「ちゃんと『全部』監視されているのも知らずにねー」
「どう? 思春期の男の子たちから一番オカズにされている気分は?」
「あびゃっははははははははははははははははははははははははははッ!!! ぎゃひゃははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」
「まぁっ、そんな大笑いするほど嬉しいなんて」
「こっちとしても見せてあげた甲斐があるわねぇ」

 比較的色気ある大人の部類に入る部下たちは、気色ばみながら語り続けるも、今のユキはそれどころではなかった。
 椅子の座面、ちょうどユキの足首あたりには浅い溝があり、そこに左右個別の板状の足枷が嵌め込められるようになっている。今もそれがつけられており、足枷から伸びる五本の紐は、それぞれユキの足の指に縛り付けられてあった。
 足の指が広げられ全く動かせない状態で、くすぐり慣れた部下たちの責めは、ユキを笑い狂わすには十分すぎるほどの刺激だった。


404 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:50:10 iUysFAL.0
「わたしも足の裏とっても弱いんだけど……これとかたまらないわよね」
「ひぃいいいいいぃいぃいっっあ゛ひぃいいいいいひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁああぁあッ!!」

 毛のついた細長い棒状のものを足の指の間に入れられ、捻るような動きで何度も撫でられる。
 ユキは神経狂わす発狂ものの刺激から、何とか誤魔化そうと身体を左右に振り乱し、その反動によって体操着は更に捲くれ上がり、豪快なほど腹を見せてしまっていた。

「わたしはやっぱり予測できない他人の指でこちょぐられるのが、一番駄目ね。見てるだけでむずむずしてきちゃう」
「きゃあぁああぁあああッきゃっぎゃはははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 くねくねと妖しく蠢く十本の指先が、ユキの敏感な足裏に沿って軽やかに踊っている。
 ユキは、ジワジワと黒い染み広がっていくブルマの股間部を見せ付けるかのように、腰を上に突き上げ、尻を座面に叩きつけるかのような不思議な動きを繰り返す。

「もう、そういう動きするから男の子たちのオカズにされちゃうんでしょー」
「それにほら見てよ」

 下着をつけていないのか、汗でびっしょり濡れた体操着からは程よく膨らんだ乳房が見えており、よくよく間近で見てみると――

「……ほんと。勃ってるわこの子……」
「ふふ、ユキちゃんは足の裏くすぐられて苦しんでるのに、乳首なんか勃たせておかしいわよねー」
「ひゃぁああぁあああひひひひひぃいいぃいいいいいいいぃいぃいいいいいッ!!!」

 部下の一人が確かめるように摘むと、確かに疑いようも無いほどユキの乳首はギンギンに勃起をしていた。固くしこったものを摘まれ、弾かれ遊ばれるが、その刺激すら今の彼女にとってはくすぐったいらしく、腹の底からも爆笑を響かせ続けている。

「お股もなにか、汗じゃない別のものが滲み出ちゃるし……実は気持ちいいんじゃのかしら?」
「ならもっと気持ちよくさせてあげましょうよ」

 部下の一人が持ってきた道具を見下ろし、他人をくすぐり悶え狂わすのが大好きな女たちは満面の笑みを浮かべ頷きあった。


405 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:51:42 iUysFAL.0
「うひゃああああぁああああああああああぁあああああッ!!!? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!」

 脳天を貫くような刺激が足裏から沸きあがり、ユキは狂ったように何度も腰を突き上げ尻を座面に叩きつける。

「ユキちゃーん。ごしごしだよ〜」
「はーいユキちゃーん。こっちはさわさわだよ〜」

 見ると――右の足裏ローションをたっぷり塗りつけられ、柔らかそうなブラシで豪快にこすり付けられ。
 片や左の足裏はベビパウダーのようなものを撒かれ、さわさわと慈しむように撫で回される。

「お゛あ゛ぁあああぁああああああああああぁあははははははははははッ!!!! びぇへひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃああああああああぁああッ!!!!」

 一瞬で相手を爆笑させる激しい刺激と、優しくも腹の底から笑わせようとする意地悪な刺激。
 一つずつでもとても耐えられない刺激が、それぞれの敏感な足の裏に襲い掛かる。
 あまりのくすぐったさに気絶しそうになるが、絶妙のタイミングでくすぐりは弱められ、それすらままならない。
 全く止む気配の無い脳の中まで掻き乱す妖しい刺激。その刺激を少しでも誤魔化したいのに、一ミリたりとも動かせない足の裏。
 そんなストレスに晒され続け、ユキの精神は限界に達していた。

「も゛うやだぁああああああああぁああッ!!」

 快活で頼りになる、普段の界塚ユキしか知らない者なら耳を疑う幼児のような号泣。
 そのあまりのギャップに、部下たちも思わずくすぐる手を止めてしまう。

「あらあら、泣いちゃったの?」
「ユキちゃん可愛いー」
「はひっ…ひひひひひッ!! も、も゛う…くひひっ…やめてよぉぉ……」

 過度なくすぐり責めの嵐に、すっかり幼児退行してしまった様子のユキは、くすぐりの余韻に翻弄され、ひきつけのような笑い声と共にべそ泣きをしてしまっている。
 泣きたいのに笑うことしか出来ない辛さを、ユキはこの日初めて身を持って体験した。

「幼くなっちゃったユキちゃんも可愛いけど……」
「ちょっと子供にしてはねぇ……色っぽ過ぎるんじゃないかしら」

 部下の一人が舐め回すようにユキの全身を見つめていく。
 汗によって乱れうなじに濡れ張り付く長い黒髪。
 体操着は濡れ透けほぼ裸と変わらない、いやそれ以上破壊力。へそ丸出しの腹はヒクヒクと痙攣を続け妙に艶っぽい。
 男なら誰しもが目で追ってしまう自慢の脚線美は、開脚された体勢によって惜しげもなく披露されており、その中心、ブルマの股間部は妖しい蜜と、汗によって黒く大きな染みが出来てしまっている。
 それなのに子供のように泣きじゃくる姿は、どこか言い知れぬ背徳感を揺さぶるものがあった。


406 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:53:07 iUysFAL.0
「でも、そんな泣いちゃうくらい嫌なら、もうくすぐるのはやめるわ」
「とっっても、口惜しいけどね」

 嘲るかのような態度の部下たちは、急にトーンを落とすと、ローションとパウダー塗れの足の裏を拭きだした。
 触れられるだけでも悶絶するくすぐったさだったが、嫌がる素振りに相手が機嫌を損ね、また悪夢の責めを再開されるかもと思うと、歯を食いしばり必死で耐えるしかなかった。

「はーい、拭き終わった」
「綺麗なってよかったわね、ユキちゃん」

 足が綺麗に拭き終わる頃には、ユキの精神も多少は回復しており、同時に先ほどまでの痴態を思い出し、恥ずかしさのあまり誰とも目を合わせられなかった。
 しかし、幸か不幸か…いや、やはり不幸なのか。その赤面物の恥ずかしさは、とても近い未来別のもので塗りつぶされる。

「じゃあ今度は右がさわさわのパウダーでぇ」
「左がぬるぬるローションでゴシゴシね」
「……えっ」

 耳を疑うような台詞に、ユキはビクリと顔を上げる。
 そこには手心を加える気など微塵も無い、妖艶な笑みを浮かべるくすぐり魔たちがこちらを見つめていた。

「ずーっと同じくすぐりをしてたらそりゃ飽きちゃうわよね」
「ふふ、まさかそれで泣いちゃうとは思わなかったけど」

 ローションで濡れた手先と、パウダーを塗そうとする手が、無防備に晒された界塚ユキの足裏にじりじりと迫っていく。

「い、いや…いやああぁああああああああぁああああああああああッ!!!」

 二度目の幼児退行は、すぐそこまで迫っていた。


407 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:54:15 iUysFAL.0
「くっひゃはははははははははははははははははははッ!!! い、いう゛っいう゛かりゃあぁあぁあああああぁああッ!!! い゛やあぁああああああああああぁあぁあああぁああははははははははははははははッ!!!」

 強襲揚陸艦「わだつみ」の元艦長。ダルザナ・マグバレッジは、円柱を横倒しにしたようなオブジェに、腹ばいに跨がされた体勢で四肢を拘束させられ、意外にも甲高く可愛らしい笑い声を上げていた。
 他の二人と同様年相応でない衣装を着させられていたが、マグバレッジの場合は特にひどく、女の子のアニメキャラがプリントされたジュニア用のショーツとハーフトップという格好だ。

「ひゃあああああああッはははははははははははッ!!! な゛、な゛っな゛んでもい゛うッいいますからああぁあああああッ!! おしりだけはあ゛ぁああぁああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 一番大きいなサイズが用意されていたようだが、それでも安産型の大きな尻には窮屈すぎるようで、食い込みTバック状になってしまっている。
 その大部分を露にしてしまっている尻肉を、部下たちは劣情で濁った瞳を光らせながら、筆、羽根、刷毛、電動マッサージ手袋などを使いくすぐり回していた。
 数多くの羽根や筆、ねこじゃらしといったものまでが群がり繊細に這わせられ、時折大胆に揉み解される。その数多なたまらない刺激に翻弄され、激しくくねり逃げようとする尻の動きは圧巻の一言だった。

「いう゛うぅうぅう〜〜ッ!!! ひうからぁああぁああッ!!! おしりだめぇええええええぇええぇええっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」
「艦長ー、もうずっと前に知ってること全部吐いちゃったじゃないですかー」
「そうそう、今艦長にできることは、その可愛いお尻をふりふり躍らせてお客さんを喜ばせることだけですよー」

 筆や羽根でじっとりと舐るように撫でられ、羽根で払うように優しく這わせられ、電動手袋で尻を揉み解される。
 一際弱い尻に対する多種多様な責めに、マグバレッジは一秒たりとも耐えられず、見ているほうが赤面してしまうほどの豪快な尻の乱舞を繰り返す。そのせいでジュニア用のショーツの食い込みは更にひどいことになってしまっていた。

「なんでもい゛うからあぁあああっははははははははははッ!!! おねッ、おね゛がひぃいいぃいいいいいいッ!!! はひいいぃいいいいいいいぃいいいいぃいいッ!!!」
「もう艦長、一応隊のトップだった人なんですからー」
「そんな簡単に情報掲示なんてしちゃだめじゃないですかー」

 ユキほどの同年ほどの年下の女たちから、からかう様な口調で最早その役職ではない『艦長』と強調される。しかしそれを反発する気力など、今の彼女には微塵もない。
 度重なる尻へのくすぐり責めによって、マグバレッジのプライドは完全に崩れ去っていた。
 理知的な相貌をだらしない笑みで崩しながら、尻を猥らに振り、敵に出涸らしの情報掲示という媚を必死に売る……。
 当時の威厳ある立ち振る舞いは、見る影も無くなってしまっている。


408 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:56:23 iUysFAL.0
「はーい、皆今日もいっぱい視聴者数稼いでくれたから、今日は後十分で終わりにしまーす」

 そんな中、この場のリーダー格らしき女が、全体に響き渡る大きな声で言った。
 三人が心の底から待ち望んでいた、終了時間の提示。
 しかし――イデア・コスタクルタの指導の賜物か「上げて落とす」というスタイルは、部下にもきっちりと受け継がれていた。

「では、皆様待望の、今回から導入されるオークションを行っていきます」

 リーダーの女が、営業スマイルをカメラに向け淡々と説明をし出した。

「不見咲カオルのスクール水着。界塚ユキの体操着とブルマ一式。そしてダルザナ・マグバレッジの大きなお尻で伸び伸びになった可愛らしいショーツとハーフトップ。もちろん、今着させている衣装で汗その他もろもろがたっぷりと染みこんだ当サイト自慢の一品です。一品でも全品落札でも構いません。皆様どうぞ奮ってご参加ください」

 リーダーの女が言い終えた直後には、もうオークションは開始していた。
 三品は瞬く間に、六桁の数字の落札価格を叩き出していた。
 そのオークションは、三人とってはこの上ない恥辱なものだったが、その次の発せられた信じられない言葉の前には、最早どうでもいいことだった。

「そして一番落札値が低かった子には、罰ゲームとしてこちら――私たちが総力をかけて作り上げた自慢の品、くすぐりバキュームベットによる責めを一時間受けてもらいます」

 全員その恐ろしきくすぐりの魔具を経験済みなのか、悲鳴とも爆笑とも付かない三者三様の絶叫が木霊する。


409 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:57:56 iUysFAL.0
「では三人ともがんばってくだ」
「おねがひぃしまうぅううううううぅうぅッ!!! かっっん゛ひいいいぃい゛ひひひひひひひひぃいいいいぃいッ!!! かっへくらひゃっくひゃアアあぁああああああああああぁあああっははははははははははははははッ!!!」

 リーダーの女が言い終えるのを待てず、不見咲カオルはゾクゾクと気を狂わす腋への刺激に悶絶しながらも、弛緩しきった顔をカメラに向け必死の懇願を繰り返す。
 本人にそんなことを考える余裕などないだろうが、サポーターがないためか固く勃った乳首が浮き出る豊満な乳房を揺らしながら強請る姿は中々に効果的だった。

「ひゃだあぁぁあああああああぁぁああッ!!! ぎゃっひゃははははははははははははははっはははははははははははははッ!!! ひゃっへぇえええ、ひゃってええぇえええぇえええッ!!!」 

 界塚ユキは、いくつもの手や道具で弱点の足裏をくすぐり回され悶え苦しみ続けていたが、あのバキュームベットの責めがよほどトラウマだったのか、笑ってるのか泣いているのか判別のできない顔をカメラに向け、必死の懇願を繰り返す。
 どうやら失禁をしてしまったらしく、股の下には湯気立つ大きな水たまり出来ており、それがカメラに映された瞬間、最高落札値は大幅に跳ね上がった。

「艦長もぉ、お尻の動きは合格なんだけど、あの子達みたいに可愛くおねだりしないと負けちゃいますよ」
「艦長一番歳いってるんだから特にがんばらないと。ほら――ちょっと協力してあげる」
「きッッッきゃはあああああああああああああああああああああああああぁあああああああああああああああぁああああああああああああッ!!?」

 部下の一人が促すように下着を引っぱりずらすと、マグバレッジの菊門に電動ブラシを押し当てる。
 柔らかいブラシの毛先は、跨がされた体勢により広がっている肛門の皺を小刻みな動きで優しく擦りつけだした。

「げゃへひゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははああぁあああああッ!!!!」

 一分も持たずに自白してしまったトラウマの責めを再び加えられ、秘所から愛液を大量に噴出すと同時に、汗で濡れ光る尻は豪快に振り乱れ逃げ惑う。
 しかし何人もの部下たちは電動歯ブラシをその手に持ち待機しており、逃げてきた尻を迎えるようにして、その菊門に小刻みに震える柔毛を押し当てていた。


410 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 02:59:16 iUysFAL.0
「い゛へひぃぃいひひひひひひひひひひひひひひひひッ!!!! おひゃああぁああああああああああははははははははははははははッ!!!!」
「ほらほら、あの子にはちゃーんとこの刺激もできるようになってるよ」
「今度はそうやってお尻をエッチにふりふりして誤魔化すこともできなくなるけど、負けちゃっていいのかなー?」

 妙齢の美女のあられもない姿に欲情してしまったのか、部下たちは荒い吐息のこもった言葉を、マグバレッジの耳元で囁き続ける。
 くすぐりの激流に脳が掻き乱される中、これ以上されたらくすぐりという刺激に壊されるという恐怖に、危機意識が限界まで刺激された。

「がっへぇえええええぇええええええあ゛ぁああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!!! かっへくだしゃいいいぃいいいいいいいいいっひひひひひひひひっひいいいいいいぃいいぃいイイイイッ!!!!!」

 涼しげだった目元を限界まで見開き、この日一番豪快な尻の乱舞をしながら、甲高い嬌笑の懇願を繰り返し叫ぶ。
 エリートの道を辿っていた才女が、菊門をヒクつかせ大きな尻をカメラに向けながら振り乱れ、爆笑し強請る淫猥な姿。それは多くのユーザーの琴線に触れたのか、最高落札値は一気にトップに躍り出ていた。

「おねだいひいぃいいいいいひひひひひひひいいいぃいぃぃいいいいいッ!!! お゛ねがひゃいひゃからああぁああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!!」
「ひゃてぇええひゃってよおおおぉおおぉぉッ!!!! ぐひゃああぁっははははははははははははははははッ!!!!」
「かっへくだひゃいいいぃいいいいいいいいいっ!!!! ぎゃああぁあっはははははははははははははははははははッ!!!!」

 汗と愛液と尿の染みこんだ己の衣服を買ってくれるよう、くすぐりに屈服した女たちは、嬌声混じった笑い声で必死に強請り続ける。
 最終落札時間まで後五分――
 一時の安息を二人が手に入れ、一人は絶望のくすぐりに再び身を投じるまで、もうしばらく掛かることだろう。


411 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:00:27 iUysFAL.0
 界塚ユキ、ダルザナ・マグバレッジ、不見咲カオルの、敏感な身体にはたまらない狂乱の責めが行われている隣の部屋では、同じくして彼女らよりも一回り若い三人の少女たちがくすぐり責めを受けていた。
 こちらは三者三様なものとは違い、全員一糸纏わぬ姿に統一され、分娩台のようなものに拘束され横並びになっており、背もたれの部分に取り付けられたゴムバンドにより両腕を上げられ、脚は限界まで広げさせられ乙女の花園を曝け出した体勢を強いられていた。
 そんな彼女たちに、拘束椅子から飛び出たマジックハンドたちは、人間のような精巧な動きで手をわきつかせながら若い肌へと群がっている。

「ちょっ…んううっ、く、くうぅぅっ…や、やめ、くはッ!? ひっ…はひひひッ!」

 その中の左端、網文韻子は首すじや耳を撫でるといった、悪戯のようなくすぐりを嫌がり、肩を強張らせいやいやと首を振っている。
 今にも笑ってしまいそうだが、裸にされた上敵前で笑い声を上げてしまうのはプライドが許さないのか、歯を食いしばり必死に声を押し殺していた。

「くひぃっく、くっふふふぅうううぅうううぅうう〜〜ッ!」

 清涼飲料水のCMにでも抜擢されそうな、爽やかで健康美溢れるといった容姿の少女。
 そんな爽やかな容姿に似つかわしくない、同年代と比べてかなり発育のいい身体。
 巨乳と言って間違いない豊かな乳房と、割と濃く生え揃う黒々した恥毛。
 そんな韻子が、くすぐりを嫌がりマジックハンドの悪戯から逃げようと身をくねらす姿は、視聴者たちからは好評だった。

「んあっ、ああああっ…ん゛んぅっ…き、きゃははははッ」

 真ん中のニーナ・クラインは皆同様な責めを受けているのにも関わらず、舌足らずな笑い声にどこか艶かしいものが混ざっていた。
 こそばゆさにたまらず身体はビクついてしまうものの、韻子ほど嫌がる素振りは見せず、どこかその妖しい刺激を受け入れてしまっている節があった。

「ふぅっ…ふはっ…わ、腋ッ……はあああぁああっひひひひひひひ〜〜ッ!」

 無防備に開けられた腋の窪みにマジックハンドが一指し指を入り込ませ、のの字を書かれる。
 腋から噴き出るこそばゆさにニーナは身体をピクつかせるが、表情はどこか幸せそうで普段以上に垂れた目をトロンとさせている。
 まだ幼さが全面に残る童顔に、淫靡な表情を彩りくすぐられている姿は、多くのユーザーたちから高い評価を受けていた。


412 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:01:58 iUysFAL.0
「だめえええぇぇええええええッ!! きゃはあぁああっはははははははははははははははははははははッ!!」

 そんな他の二人とは対照的に、右端からは抑えの効かないけたたましい笑い声が聞こえていた。

「くしゅぐったいいいいいいっ!! とめっっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!! とめてぇえぇえええええええぇええッ!!」

 韻子やニーナと変わらない、悪戯程度のくすぐりの強さだったのにも関わらず、このくすぐったがり屋な少女、ライエ・アリアーシュには耐え切れないものだったのらしい。
 最初は一番反抗的な態度だったのにも関わらず、今は大口開け笑い悶えながら、身を振り乱しくすぐりを止めるよう必死な懇願を繰り返し叫んでいた。

「止めてとめてったらぁああぁああぁあああッ!! きゃーーーっははははははははははははははははははッ!!」
「ライエちゃん。他の子も我慢しているんだから、もうちょっとお上品にしましょうねー」

 この場を取り仕切っている司会らしき役割なイデアの部下が、ライエの頭を撫でながら嗜めた。
 咎めるような口調だが、普段は愛想の欠片もない生意気な少女の開けっぴろげな笑顔を前に、ニヤニヤとした顔で眺めている。隣の部屋同様のマイクロビキニの衣装も相まって、その言葉に全く説得力を帯びていなかった。

「くひゃあぁああああああッ!!! ぐひゃはははははははははははぁあああッ!!!」
「はぁ、この調子じゃ今日もライエちゃんの負けねぇ」

 司会の女の予想通り、少女たちを苛むもう一つのものに耐えきれず、ライエはその決壊を一番に向かえてしまう。


413 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:03:42 iUysFAL.0
「あ゛ゃははははははははははははははははははははっ!!! くあぁっあ゛っ…あぁあぁぁあああああああああッ!!!」

 ライエの願いどおり、マジックハンドのくすぐり責めは確かに止まったが、それはその決壊の後だった。

「あっ…はぁぁっ…あ゛…はあぁああぁああああああ……っ!」

 利尿剤入りの水を飲まされ、ぱんぱんに膨らんだ膀胱が萎んでいく感覚にライエはプルプルと身を震わしている。
 それと同時に、見せ付けるように開脚され丸見えのワレメから、ちょろちょろと断続的に熱水が出てきたかと思うと、それは瞬く間に強まり、大きな黄金色のアーチを作り出した。

「あ……あぁっ!?」

 くすぐりの余韻と限界まで張り詰めていた尿意の甘美な開放感に浸り、ぐったりと背もたれに身を預けていたライエだったが、自らが発している水音でふと我に返り、その現状にぎょっとした。
 見せ付けるように大股を開き、物々しくずらりと並ぶカメラと前で気持ちの良さそうに放水を続ける自分……。

「いやッ!! み、見るなッ!! 見るなぁぁああぁあぁあああああぁぁ〜〜っ!!」

 取り乱し口ではそう叫んでいるものの、限界まで張り詰めていたものの開放感は、とてつもなく至福の時を下腹部に与え、身体は歓喜でぷるぷると震え顔は気持ちよさそうに弛緩してしまっている。
 くすぐりで疲弊した身体と脚を閉じれない状況も相まって、結局最後の一滴まで出し尽く所まできっちり撮り収められていた。

「見ないで……見ないでよぉ……」
「ライエちゃん、また我慢できなったの? せっかくあなたに賭けてくれる方が大勢いらっしゃるのに……」

 咎めるような口調だが、やはり司会の女の声は弾んでいた。
 どうやらこの一連の催しは、誰が一番に我慢ができなくなるか賭けれるようなものらしい。
 ライエの勝率は10%にも満たなかったが、何故か人気がありオッズ率も高かった。
 しかしライエにとってそんなものはどうでもよく、排泄姿を衆目に晒された恥ずかしさと、途中までそれに気がつかず開放感に身を浸らせていた事に対する悔しさに、真っ赤にした顔を背け、すすり泣いてしまっていた。


414 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:04:51 iUysFAL.0
「はーい、じゃあ今日も最初の罰ゲームはライエちゃんでーす」
「きゃひいぃいいいいいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!? あ゛ぁあぁああぁああっっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 司会の女の合図と同時に、ライエの泣き顔は一瞬にして笑顔に変わる。
 見ると、先ほどまでよりの多くのマジックハンドがライエの身体に群がり、敏感な身体をくすぐり回している。

「う゛ひゃあぁぁああああああっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 直接の手だけではなく、マジックハンドたちは筆やブラシといった様々な道具を用い、無防備に差し出された少女の身体を責め立てる。
 さきほどまでの遊びのようなもので根を上げていた少女には、とても耐えれるようなくすぐりではなく、絶叫のような笑い声を上げる。
 しかしそれだけでは飽き足らないのか、マジックハンドの一つは、暴れ動くライエの太ももに血圧計のようなベルトを器用に巻きつけた。

「うぎゃっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!」

 途端、太ももを優しく揉み解すような独特の振動が起こり、ライエは限界まで仰け反り、狂ったように後頭部を背もたれに叩きつけながら、この日一番の嬌笑を迸らせていた。

「ふふ、今日も負けちゃったライエちゃんは、このまま気絶するまで大好きな太ももをもみもみされていてねー」
「ふぎゃびゃぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!! あ゛あ゛あ゛ぁああああああぁあっはははははははははははははッ!!!!」

 返事は最初から期待していないのか、司会の女はライエから背を向け、まだ健気に尿意から耐えている二人の少女の方に向き合った。


415 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:06:05 iUysFAL.0
「…くひっ…あ゛ん゛ぅッ…あひゃひぃいッ! だ、だめっ、も、もう漏れ…はひゃひゃひゃひゃッ!」
「ひゃっ…あっ…ト、トイレに……ひゃうッ! は…くくくくッ…トイレ…トイレ〜〜」

 しかし時間がたつに連れ、収まるどころか強まっていく尿意と、身体の力を抜けさせてくるくすぐりにより、二人の少女限界の兆しが見え始めている。

「ほらほら、ファイト。ライエちゃんってばすぐに負けちゃうから、あなた達にはがんばって貰わないと」

 司会の女は妖しく微笑むと、ワレメをヒクつかせながらも必死に耐える少女たちに向けて、ある「飴」を差し出した。


「最後まで我慢できた偉い子には〜、ご褒美としてこちら!」
「あっ……」
「あぁっ!」

 司会の女は韻子とニーナの間辺りに、妖しげな振動を奏でるハンディタイプの電動マッサージ機をマイクのように差し向けた。

「お姉さんがこれを使って気持ちよくしてあげる」

 強まっていく尿意によって苦悶だった少女たちの目の色が変わる。

「い、韻子っ…お、お願い! あたしも…も、もう……!」

 瞳を潤ませながら、ニーナは上目遣いで親友に懇願する。

「ご、ごめんっ! 私も……もう限界……っ」

 その誰もが庇護欲をそそられる姿に韻子は一瞬躊躇うが、ここ最近全く発散してない身体の疼きは限界に達しており、涙ながらに首を横に振った。
 捕虜生活によって自慰も儘ならず、中途半端なくすぐり、そして先ほど飲まされた水の中には利尿剤の他に媚薬も少量含まれていた。
 そんな状況で、思春期の若い身体が耐え切れないほど疼いてしまうのは、致し方ないことなのかもしれない。
 カメラに撮られていることも忘れ、少女たちは自らを絶頂の導くための権利を、親友に譲ってくれるよう強請り続ける。

「ん〜、このままじゃ二人とも喧嘩になっちゃうかな。お姉さん可愛い子達の喧嘩なんか見たくないし、残念だけどさっさと決めちゃいましょうか」

 司会の女は、慣れきった淀みない操作で、マジックハンドのくすぐりを強めた。


416 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:07:01 iUysFAL.0
「ん゛はあぁああッ!!? ぎゃっはははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 不意打ちで始まった本格的なくすぐりに、欲情でギンギンに勃起した乳首の乳房を激しく揺らしながら、仰け反るようにして豪快な爆笑を上げていた。

「ひゃひいッ!!? くひゃあぁああっははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 許容量を越えるくすぐったさだったのか、今度はその妖しい刺激を愉しむ余裕もなくなってしまったらしい。ニーナは切羽詰った甲高い笑い声を上げ、右に左へと激しく身を捩じらせ取り乱してしまっている。

「ふふ、大丈夫大丈夫。負けちゃった方も、ちゃーんと後で笑いイカしてあげるから……あの子みたいにね」

 司会の女は、チラリと右端に座らされ、ビクビクと痙攣している少女のほうを見やる。
 そのいつも無愛想な少女とは思えぬほど破顔した笑みになっており、気の強そうな目元はだらしなく下がり、涙と鼻水と唾液塗れで汚れていた。
 身体中から汗がびっしょりと噴出し、それが照明によって濡れ光りひどく艶かしい。
 カメラの前で大仰に股を開き丸見えのワレメは、まるで笑っているかのようにヒクヒクと動いていた。
 その様は、まるで夢の中までくすぐり犯されているかのようだった。

「ぎひゃああああぁあっははははははははははははははははははははははははッ!!! あひぇはへひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあああぁあああッ!!!」
「んへひへへへへへへへへへへへへへへえええぇえええええええッ!!! はひいぃぃいひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 ライエのように見るも無残に笑い狂わされながら、衆目の前で絶頂を晒すか。
 甘美な刺激に善がらされ、自らの内にある淫猥な部分を曝け出しながら衆目の前で絶頂を向かえるか。

 どちらがその結果になるか分かるのに、それほど時間はいらなかった。


417 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:08:28 iUysFAL.0
 稼ぎ頭二組の放映が効いたのか、韻子、ニーナ、ライエの少女組の放送が終了した時には、まだ月末まで一週間ほど残しているのにも関わらず、先月の売り上げを上回っていた。
 モニターがずらりと並ぶ、監視室件今は編集室で集計を取っていた部下の報告を受け、イデア・コスタクルタは満足げに頷き、周りにいた部下たちは歓声上げ労いの言葉をかけあっている。

「やっぱり変にシャッフルする、需要層で分けちゃったほうが正解だったみたいね」

 ざっと他の組の視聴数も確認してみると、どこも軒並み上がっている。
 イデアが創った、彼女の趣味が反映されまくりなアダルトサイトでは、番組個別でそれぞれ有料という、強気な姿勢で運営を続けている。
 しかも他のサイトの料金と比べどれも高額だったが、かなり質の高い美少女、美女揃いの甲斐も合ってか、集客数は減るどころか増加する一方だった。
 単価は高いくせに、顧客数は安定して伸びていく。
 まさに厚利多売とでも言うべきか……商売をする側としてはこれほど胸躍る言葉は中々ないだろう。

「今週はどっちのほうが上?」

 ダルザナ・マグバレッジ、不見咲カオル、界塚ユキを率いるアダルトチームと、網文韻子、ニーナ・クライン、ライエ・アリアーシュのヤングチームは数々の番組内の中でトップ2の人気を誇り、抜きつ抜かれつつな切磋琢磨な関係で視聴者数を伸ばし、売り上げに多大なる貢献をしていた。
 今週はどちらが上だったのかを聞くのが、なんとなくイデアの中で恒例事項になってしまっている。

「えっと……アダルト組の方が若干勝ってますね」
「へぇ、若い子たちに負けずがんばっているじゃない。若い子たちのは、もうちょっとハードなやつにして頑張ってもらおうかしら……」

 そんなことをつぶやいていると、姦しい歓声と、不満の声が所々で上がりだす。

 ――ニーナちゃん天使。韻子ちゃんが一番だから。マグバレッジお姉様最強。

 だなんだ、部下たちは好き勝手なことを喧々轟々と言い合ってる。どうやら彼女たちの間では、すっかり一押しというかファンが出来上がってしまっているらしい。

 ――少なくともここでは皆地球人に友好的ですよ、姫様。

 と皮肉めいたことを想っていると、議論に熱中していた部下の一人がイデアは誰のファンなのか鼻息荒く聞いてきた。

「そうねぇ、わたしは――」

 イデアは迷わず、これから行われるメインイベントの出演者の名前を口にした。


418 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:10:44 iUysFAL.0
 出演者の素性が故、流石に一般の会員には公開されず、そもそも通知されていない。
 一部の多額な融資を行う人間のみ回覧できる、ある種のステータスを持った番組は、連日通り妖しい熱気に包まれていた。

「ひゃっひゃひゃひゃっひゃめぇぇぇっッ!!! きゃーーーーっははははははははははははははははははははははッ!!!」

 恐らく日本人という人種で、可愛いがどこか垢抜けていない感じする十代半ばほどの少女が、一糸纏わぬ姿で腋をくすぐられ笑い悶えている。
 なんとかむき出しの腋を閉じようとやっきになっているが、少女を小さく囲う四角いアーチのようなものに括りつけられたゴムバンドよって四肢を捕らえられ、X字のような体勢を余儀なくされていた。

「くひゃあああああああああははははははははははははははははははっはははははははははははははははッ!!!」
「はぁ……こっちまでつられて身体むずむずしてきてしまう、よい鳴き声です」

 どこか艶かしいため息を吐きながら、背後に回り込み少女をくすぐっていた人物はうっとりと呟いた。

「ひゃっへひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁあぁああッ!!! びゃへでぇええええええぇええええぇええええッ!!!」
「こことか…ここも…みんな敏感に反応してくれるから困りました……。一番お好きなところが中々見つかりません」

 民を統べる皇族に生まれたからといって誰しもが美形とは限らない、がこの人物にだけはそれは適応されないだろう。
 艶やかな金髪に透き通る白い肌、可愛いと美しいの間でそれぞれを合わせ持つ見目麗しい容姿、アセイラム・ヴァース・アリューシア皇女は、その白い肌に似合う純白のガーターショーツ一枚という格好で、黒髪の少女の肌を堪能するように細い指を這わせている。


419 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:12:19 iUysFAL.0
「なら、こういうのはどうでしょうか? 私はこれをされるのが大好きなんですよ」
「ぎゃっぎゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 アセイラム姫は悪戯めいた表情を浮かべると、指を妖しく蠢かせながら腋から腰まで何度も往復させた。
 今までにない責めに少女はビクリと背を仰け反らせ、一際甲高い嬌笑いを響かせた。

「ほらほら、こちょこちょ〜」
「くひあぁああああああああぁあああ!!! い゛ひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!!」

 手馴れた様子で少女の敏感な身体をくすぐり続けているアセイラム姫だったが、下のほうを見るとしきりに太ももをこすりつけたり足踏みをしたりと、落ち着きがない。
 それもそのはずで、アセイラム姫は今、時間が経つにつれ強まっていく二つの恥ずかしい欲求から懸命に耐えていた。
 イデアたちの「教育」の成果もあってか、アセイラム姫は他人をくすぐり愉しさを早々に見出していた。
 しかし、そのせいかできるだけ長時間くすぐりたいがため、相手が気絶しないよう、絶頂しないよう要所要所で手を緩め弄ぶ癖ができてしまっていた。
 それでは、このショーも悪戯に長くなりダレてしまうと考えたイデアは、事前に利尿と媚薬作用のある水をアセイラム姫にたっぷり飲ませている。
 もし相手を失神や絶頂をさせない内に粗相をしてしまったら、身動きをできぬよう拘束し、気狂いするような熱い疼きの中、半日ほど放置されるお仕置きが待っている。

「こ、こちょこちょぉ…んんっ…こちょこちょこちょ〜…んんふぅっ…」
「あひゃひゃひゃあああッ!!! ふえ゛ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃああぁああああああッ!!!」

 密着しているせいで、少女がくすぐったさに負け振り乱した腰や尻が下腹部に当たり、膀胱や股間を刺激し、尿意や熱い疼きがひどくなっていく。
 しかしそれでもアセイラム姫は身体を密着させるのは止めず、額に汗をにじませ、時折引き腰になったり、尻をくねらしたりと尿意に耐えながらも、瞳を潤ませどこか光悦した表情を浮かべている。
 それはまるで、その我慢すら快感として受け入れてしまっているかのようだった。


420 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:13:53 iUysFAL.0
「ふひゃはははははははははははははッ!!! くうぅッくううぅうっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあああぁあああ!!!」
「あら…?」

 同じ状態の者としてか、アセイラム姫はそれを敏感に感じ取り、くすぐる手を止めた。

「んはあぁぁっ…はぁっ、はぁっ、はぁん」

 いきなり訪れた休憩にありがたいと思う余裕もなく、少女は息も絶え絶えに必死に呼吸を整えている。

「なにか今ものすごーく我慢してませんか?」

 熱く湿った唇が頬に触れるほどまで近づかれ、発せられた囁きに少女はビクリと身を強張らせた。

「ふふ、分かりやすくてとっても可愛い……。何がしたいか遠慮なさらずおっしゃってください」
「な……なんでもない…です」

 数多くのカメラの前、そして気後れするほどの美少女の前で、その恥ずかしい欲求はとても言えず、顔を真っ赤にし身を縮こまらせ俯いてしまう。

「ふぅん……」

 アセイラム姫は妖艶に目を細めると、人指し指を一本たて少女の背中にすーっと這わせた。

「きっ…きゃああああぁあああああああああああッ!!!」

 項垂れていた背筋が伸び、不意打ちで緩んでしまったのか少女のワレメからは熱水が数滴溢れ出てきてしまい太ももを伝っていく。

「正直に言ってくださらないなら、今度は耳に息を吹きかけちゃいますよ?」
「くひゃッ!! あ、あっああああああああぁあああああッ!! いうっいいますッ!!」

 少女はアセイラム姫の細い指を背中に何度も這わせられ、膝はガクガクと震えている。
 今にも決壊しそうな恥ずかしい欲求と、その上追い討ちのような言葉をかけられた頃には、すっかり心折られてしまっていた。

「あの……」
「はい、なんでしょう」

 正面で向き合い、ニコニコと興味深そうにこちらを観察しているアセイラム姫と目が合ってしまい、少女は言い知れぬ恥ずかしさのあまり泣きそうになりながら、搾り出すように小声でいった。


421 : アルドノア・ゼロ くすぐり小説(後編) :2014/10/28(火) 03:15:38 iUysFAL.0
「お、おしっこ……したいです……」

 ぼそぼそと小声だったが、この部屋の優秀な集音設備によって、少女の恥ずかしい告白はきっちりと拾われてしまっている。
 言った直後にはもうポロポロと涙を流す少女に、アセイラム姫は多くの人々を魅了する、今は少し意味合いが変わってしまった笑みを向けると、少女の太ももに両脚を挟むようにして絡め、抱きしめてきた。

「もう、そんな恥ずかしがらないで、私も一緒にしてあげますから」
「へ……あ……」
「最近、あのお預けも好きになってきちゃいましたし……」

 少し照れくさそうにはにかみながら、アセイラム姫は華奢な少女の身体に更に密着させていく。
 柔らかく心地よい感触に包まれ、先ほどまでの羞恥の苛まれている感情はみるみる薄らいでいった。

「だからそんなに泣かないで、あなたの可愛らしい笑顔を…皆さんにいっぱいお見せしましょう」

 優しくどこか淫靡な声音が耳にすんなりと入ってくるのに、思考はどこかおぼろげだった。
 胸がどきどきと高鳴る。それがどういったものかは説明できないが、もう戻れないということだけは少女は確かな気がした。

「笑顔は一番の友好の証ですよ。ほら笑って……ん…んぅぅ……っ」

 抱きついているアセイラム姫の身体がふるふると震え、太ももに何かじんわりと温かいものを感じた瞬間――弾けるようなくすぐったさが少女の身体に襲い掛かった。

「う゛あ゛ひいぃいいいいいいいいいぃいいいいいッ!!!? びゃっひゃひぃひゃああぁああっはははははははははははははははははははははははははははッ!!!!」
「あぁっ、いっぱい出してっ……わ、私も……っ」

 一つの嬌笑と二つの水流の音が合わさり、部屋中を響き奏でていた。


 アセイラム・ヴァース・アリューシア皇女。
 誰よりも地球の人々と友好を祈り願う火星の姫君は、その両方の友好のために、日々身を粉にして今日も笑顔で頑張り続けている。


アルドノア・ゼロ くすぐり小説 了


422 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/28(火) 06:08:18 qif7VhrU0
傑作超GJ乙!!
ごちw


423 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/28(火) 15:14:22 9tUsZy0U0
まさか艦長や補佐まで餌食になるとは…正にオールスターくすぐり、最高でした!
ユキ姉の足の裏くすぐりたいなぁ…

姫や侍女ちゃんのくすぐりまた見てみたいから続編希望!


424 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/30(木) 13:25:23 0Wt8rFVg0
最高でした!!まさかアルドノアのくすぐり小説が見れるとは…! ありがとうございました!乙です!


425 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/30(木) 17:38:43 2eLtGiyc0
これは名作


426 : くすぐり好きの名無しさん :2014/10/31(金) 19:56:02 medg/MNA0
ハードな展開が素晴らしいですねぇ。乙です!


427 : くすぐり好きの名無しさん :2014/11/01(土) 12:43:46 O4JfsqRg0
女の子が玩具どころか視聴率稼ぎの商品として扱われてるの、素敵です
最高にエロい長編でした!お疲れ様です!


428 : 146 :2014/11/05(水) 01:18:46 FnbCsLh20
やはり私は文章力が低いようだ…だって自分の書いた小説で抜けないもん。

アルドノア・ゼロの小説読ませていただきました!これはエロい(確信)


ようやく書き終わった2日目夜。
前半がf/fで後半はx/f。
マキナを僕っ子と捉えるか男の娘と捉えるかはともかく、スズランはほとんど女の子設定だからここのスレで問題ないと思うんだ



「…………寝れない……」


夜中の休憩室のベッドの中、私は全く寝付けずにいた。
目が冴えてしまっているわけではない。
ここへ来る直前に引っかかったトラップのせいで、全身がむずむずとしてしまっているのだ。
たった15分とはいえくすぐったさと快楽でじっくりと責められたため、たとえ眠くても寝付けない。
もっとも、焦れったい感覚はすでになくなっていたが、中途半端にくすぐられたことによって敏感になった神経がなかなか鎮まらない。
つまるところ、認めたくはないけど、その…くすぐられ足りない。


「(…リリアに言えるわけもないし…どうしよう…)」

「Zzz…Zzz…」


このゲームの内容が内容な上に、昨夜のリリアとのくすぐりっこ。一方的にされただけだったが。
普通の状況でもそうだが、こんな状況ではくすぐってほしいなんて言えるわけもないし言いたくもない。
確実に何かに目覚めたと思われそう。それだけは絶対に勘弁だ。


「…………」


右手で左脇腹を触ってみるものの、あの笑い出したくなる感覚は起こらない。
こんなこと誰かにされたらきっと大笑いしてしまうほどに激しく動かしても、全然何ともない。
くすぐったさとは不思議なものだ。
ただ一つ言えるのは、自分で慰めることができない以上、性的に高まったのよりも遥かにタチが悪いということだ。


「…うう…んっ……」


もぞもぞと体を揺すって布団に擦りつけてみるが、全く効果がない。
それどころか。


「……ぅん…ロゼッタ…まだ起きてたの?」

「リ、リリアっ!?」


うっかり隣で寝ていたリリアを起こしてしまう。…最悪。
相変わらずの一人用ベッドのため、リリアとの距離、実に10cm。
初日からそうだが、相変わらずリリアが綺麗すぎて直視できない。
その気恥ずかしさと、全身の奇妙な感覚によって、目の前でリリアに見られているにもかかわらず
つい悶えるような動きをしてしまう。


「……ふーん、なるほどなるほど、そういう事ね……」

「…え、えっと…あう…」


一瞬で見破られる。…変な才能でもあるんじゃないだろうか。
気付かれたのならばわざわざ言わなくてもいいのだが、
それはそれで別の抵抗感や恥ずかしさがある。
言い返そうにも図星すぎて、赤くなって俯くことしかできない。


「ロゼッタったら、そんなにくすぐられるのが好きになっちゃったのかしら?」

「…そ、そんなんじゃ…ない…っ!!」

「ふーん…本当なのかな?」


429 : 146 :2014/11/05(水) 01:19:00 FnbCsLh20
リリアの手が私の脇腹に触れる。
心から待ち望んていた、昨日と同じ優しいくすぐったさ。
昨日との違いは…自分から望んだことだということ。


「…んっ…ちょ、やめっ…!!」

「嫌なら守ったり逃げたりすればいいのに、どうしてしないのかしらね?」

「ふひゅひひひっ……い、いやっ……だって…っ!!」


脇腹から脇の下まで、指を歩かせるようにしてくすぐられる。
その場所に沸き起こるくすぐったさと背筋に走るゾクゾクとした感覚がたまらない。


「ふふっ、この無抵抗ちゃんめ……」

「うひはっ!!い、いじわる…っうはははははっ!!!」

「むっ、いじわるなんて失礼ね…ロゼッタが嬉しそうだからやってるのに」


左の脇の下へと潜り込んだリリアの手が、その窪みをこねくり回す。
先程までよりも強いくすぐったさに、口から洩れる笑い声が大きくなる。


「あははっははははははは!!!そんなっ、くすぐったいってっはははははははは!!」

「そりゃあくすぐってるんだから、当然よ」

「そうじゃなくて、さっきよりもっふふふはっははははっははははは!!
あひゃあああっははははははははは!!!!」


周りが木の壁なので反響がすくないが、結構な大声を上げていると思う。
それでもくすぐりを受け入れるのは、それだけ体が求めているからというのもあるだろうけど、
それ以上にリリアだから、という理由が一番大きい。…と思う。
たぶん他の人だったら逃げてるもの。
左の脇の下をリリアの指にくすぐられながらそんなことを考えていると、
お腹の辺りに別のくすぐったさが舞い降りてきた。


「ふひゃうううっっ!!?!!?な、なんなのおおおっはははっはははははっはははははは!!!」

「なにって、今朝拾った羽根よ」


羽根。そういえばあの羽毛の迷路で最後に拾ってたっけ。
見ることはできないがあの羽根が服の下で私をくすぐっているようで、
お腹の辺りにふさふさとした感覚が広がる。


「はひっははははっははははっはははははは!!!これ、くすぐったすぎるってばあああっはっはっはっはっはっは!!!
あああああああっはっはっはっははははははははははは!!!」

「すっごいふさふさだったからねー」


羽根の先端が臍の中へと潜り込み、くねくねと動いてくすぐってくる。
さすがに反射で逃げようと動いてしまうが右へ左へと体を捩ったくらいでは羽根から逃れることはできず、
全く無意味な抵抗となってしまう。
リリアのこの羽根も私のあの手袋も、あのマキナが用意したもの。ただの道具であるわけがない。
ロゼッタたちには知らされていないが、実際この羽根はハーピィという魔物の羽根であった。
ただでさえ軽くふわふわであるというのに、魔法生物である以上その抜けた羽根にまで魔力がこもっている。
そもそも魔法などというものと何の関係もない世界のロゼッタ達には、
ほんの少しの魔力でさえあらゆる刺激を強化するドーピング剤となる。
例えそれが痛みでも苦しさでもない、くすぐったさだったとしてもだ。


「はひんんっっはははははははははは!!!おへそだめ、だめええっへへへへへへへへへ!!!
がまんできないってええええええっへへへははははははははは!!!!!!」

「おへそばっかり気にしてるけど、こっちも忘れてないよね?」

「あひゃひゃひゃあああっはははははははははは!!?!!?
ちょっあははははははっひひひひひひひふふあはははははは!!!!」


突然、脇の下での指の動きが活発になる。
激しいけれど、しなやかな動きで脇の下の神経を狂わせる。
羽根による柔らかい刺激と違って、無理やりにでも笑わせるためのくすぐったさ。
いくらくすぐられたかったといってもこれには耐えられず、脇の下を閉じてしまう。
しかし一度潜り込んだ手を挟み込んだところでどうすることもできず、
結局は押さえつけたことによってくすぐったさが倍増してしまう。


「もどかしいのがなくなって、すっきりするでしょ?」

「くひひゃははははっははははははははは!!!なくなった、なくなったからあああっはっはっはっはっは!!
もうくすぐらないでえええっへへへへへっへっへっへはははははははは!!!」

「どうしようかしらねー、うふふふふ」


脇の下をくすぐっていた右手が離れ、左手と同じように服の中へ入り込んでくる。
狙われた場所は…私の背中。
手を広げて大きくさすったり、背骨にそってつつーっとなぞったり、つんつんと突っつかれたりと、いろいろな手法で責められる。
前からは一点集中の逃げ出したいくすぐったさが、後ろからは少し気持ちよさまで感じるようなくすぐったさが私を挟み込む。


430 : 146 :2014/11/05(水) 01:19:14 FnbCsLh20
「おねがあああっはっはっはっはっはははは!!!すとっ、やめってばあああっはっははは!!!
ほん、とにもうやめええっへへへははははははははは!!!」

「っと、ちょっとこれは本当にギブアップかしら?」

「はひぃ……うぁぅ……お、おわり……?」


やっとリリアから解放され、ぜえぜえと大きく呼吸をする。
確かにくすぐられたかったが、ここまで激しいのはさすがに嫌だ。
それを見抜いたかのようなタイミングで、リリアが次の責めを始めた。


「んはうっ……リ、リリアぁ……んふふふふっ……」

「ロゼッタはこうされるの、大好きなんでしょ?」


ぎゅっと強く抱きしめられたかと思えば、そのまま服の上から背中や腰、尻、太ももの裏側などの
体の裏側全体を撫でまわされる。
服の上からなので何かが触れている程度の感覚が普通なのだろうが、
先程のくすぐりのせいか、このソフトな刺激にさえくすぐったさを感じてしまう。


「きゃひひっ……やっ…めて…あははあっ!!
…い、いまはだめっ…!!!」

「ロゼッタ、嘘はついちゃダメよ?
こんなに私に抱き付いてきてるのに…」


指摘されて気づけば、また昨日と同じようにリリアに抱き付いていた。
反射的に慌てて離れようとしても、同じく私に抱き付いたリリアがそれを許さない。
彼女は慌てる私を気にする様子もなく、そのまま私をくすぐりつづける。
まるで、子供をあやすかのような手つきで、ひたすら優しく淡々とその動きを繰り返す。


「あふぁぁ……そ、そこっ…!!やめっはははははっっ………!!!」

「あら、ここが弱いの?」


リリアが手を這わせているのは、ちょうど尻と太ももの境目の辺り。
そのラインをなぞるように指先を滑らせている。
成長途中とはいえある程度発育した私には、
そのような場所を触られれば当然くすぐったさ以外の甘い感覚も感じられる。
慣れていないその気持ちよさについついリリアの後ろへ回した手に力を込めてしまう。


「こんな場所で喜んじゃうなんて、ロゼッタったら変態さんなのかしら?」

「ひぃはははははっ!!!ち、がうって…そんなんじゃっはははは……!!!んああああっっ!!」

「ふふふ、そんなエッチな子にはお仕置きしないと、ねえ?」

「ふひゃあああああっっっ!!!!い、いきなっ、つよくしちゃああああっははははははは!!!
やめれええっへへへへへはははっはっはっはははははは!!」


突然強くなった刺激に再び大声で笑い出してしまう。
そのくすぐったさの中には気持ちよさも混ざっているが、
くすぐったさのほうが強すぎてそんなものをゆっくりと味わっている余裕などない。
逃げようにも絡みつくように私を拘束したリリアの脚がそれを許さず、
せいぜい左右に体を捩るのが精一杯だ。
きっと布団がなければ、いやらしく腰を振る動きが見えてしまうだろう。


「あひあっはははははははははは!!!!そっ、だめってばあああっはははははは!!!
やめっああああああああっはっはっはっははははははははははは!!!!」

「ん?ここ?ここが弱いのかなー?」

「はひっんああああああっはっはははは!!!そっちだめ、だめええええっへへひひひひ!!!」


リリアの手が徐々に内側へと動いていき、それに伴ってくすぐったいと感じる場所も少しずつずれていく。
そしてそれらが内側に近づくにつれて、くすぐったさが快感へと変わっていく。
もう少しでくすぐったさが全て快感に変わる、そう期待を寄せていた時、リリアの手がぴたりと止まった。


431 : 146 :2014/11/05(水) 01:19:52 FnbCsLh20
「はい、おしまい」

「ひゃふう……ふぁあ…はあ…え……?」

「どう、ちょっとはすっきりしたかしら?」

「…え、あ…げほっ……う、うん……」


喉の奥に何かが貼り付くような感覚に咳き込みながら、その問いに答える。
確かにくすぐられる前までのあのもどかしさは完全に消えていた。


「よかった。じゃあほら、さっさと寝る!
寝坊なんかしてまた変なところに飛ばされたら嫌だからね」

「…そ、そうだね…」


さすがにあんな経験はもうしたくはない。
思い出すだけでも全身にぞわぞわとした感覚が走ってしまう。
あの事は忘れることにしよう。
といっても、だいたい忘れたい記憶ほど鮮明に残ってしまうものなのだが。


「ねえロゼッタ」

「…何?」

「……………」

「…どうしたの?」

「や、やっぱりなんでもないわ
じゃあ、おやすみっ!」

「…あ、ちょっと……」


向こうを向いて寝てしまうリリア。
…そうやって布団ごと持ってかれると困るんだけど…。
それにしても一体なんだったのだろうか?


「…ま、いっか。じゃあおやすみ……」


リリアの方へと寄せられた布団の中へ無理やり入り込む。
ちょっと窮屈だけど、これはこれでありかも…。


432 : 146 :2014/11/05(水) 01:20:42 FnbCsLh20
――――――――――――――――――――――――――――――――――






『くぉおおおらああああああ!!!!!スズラあああああああン!!!
なにやってくれとんじゃあああああああああああああ!!!!!』

『何って、大惨事枕投げ戦争の準備』

『枕投げって、いちいち中から羽根出す必要ないでしょ!!?
むしろ入ってるから投げられるんでしょ!!!??』


ちょっとした用事から戻ってきた、いつものバーチャル空間。
普段は暗闇の中に浮かぶ薄い座標軸のような青い線と青いパネルしか見当たらないのに、
今夜に限っては辺り一面に真っ白い羽根が散らばっていた。


『これ掃除するの誰だと思ってるの!?僕だよ僕、いちいち外に持ってくの面倒なんだから!!』

『火炎魔法使って燃やせばいいじゃない』

『…ここってただの空間だから換気がないんだけど?』

『まあまあ、これだけ羽根があればいろいろ遊べるでしょ?』


その言葉と同時にスズランの周囲の羽根が空中へ浮かび上がり、こちらへと飛んでくる。
ただの羽根とはいえ、数えきれないほどの量。纏わりつかれてはいろいろ面倒だ。
その羽根たちを咄嗟に展開した障壁ではじき返す。
そこまではよかったのだが、障壁に当たった羽根が立てた音がおかしかった。
金属同士が当たったような、キンキンという甲高い音。
落ちた羽根を見てみると、羽毛の先は針のように鋭く尖り、光を反射している。
どうやら魔法で金属質に変質させたらしい。


433 : 146 :2014/11/05(水) 01:20:56 FnbCsLh20
『スズラン、もしかしてまだあの3人がリタイアしたこと、根に持ってるの?』

『あたりまえよ!!!何か月待ったと思ってるの!?』

『そもそも何か月に1回くらいしかこのゲームやらないんだけど』


その言葉と同時にスズランの攻撃方法が変わる。
あえて僕を狙わない数本の羽根の弾の列で取り囲みつつ、
直径1mほどの球状にまとめた羽根を僕を目がけて撃ってくる。
当てにくい大振りの攻撃を確実に当てて、障壁の耐久度を削りきろうという作戦のようだ。
いくら使い魔のスズランの攻撃とはいえなかなかの威力で、すでに障壁にはひびが入り始めている。


『次やるときはみんな男の子にしてくれるって約束するまでやめないんだから!!!』

『はあ…しょうがないなあ……』


さすがに女の子ゼロとかは許せない。
これはちょっとお灸を据えておかないといけないな。
スズランの猛攻を止める方法、ここ最近はそんなことしていないので本人も忘れているようだが、単純で簡単なことである。
いくら自立しているといっても使い魔は使い魔。
普段から行動に制限をかけているわけではないが、マスターの命令は絶対である。
といっても僕の場合、魔法で無理やり拘束した方が速いんだけど。
そっちの方が抵抗してくれるぶん面白いしね。


『はーいギミックアームさーん、ちょっとスズランのこと拘束してあげて』

『なっ…マ、マキナ、なにするのよ!!』


異空間から現れたギミックアームがスズランの手足を押さえつけ、羽根の散らばった床へと押し倒す。
ついでにさりげなく魔法禁止結界を張ってスズランの魔法を封じ込める。


『さてと、使い魔がマスターに逆らうとどうなるかを教え込んでおかないとね』

『離してよ、この変態!ロリコン!サディスト!スケベ!』


ちょっとスズランの言葉にカチンときた。
変態もロリコンもサディストも認めよう。ただスケベなんていうオヤジじみた表現だけは許せない。


『……ふ……ふふふふふふふ………』

『な、なによ…』

『いやあ、僕ってほら、羽根でくすぐるのが好きだからせっかく羽根だらけだしそれで行こうと思ってたんだけどねえ…』


ふわっと宙に浮いてから床に拘束されたスズランの上へとまたがるように乗りかかる。
大の字に倒れた少女を上から見下ろす…うーん、絶景絶景。


『スケベなんてオヤジじみた風に言われたら、さすがに僕でもちょっと怒るよねー』

『……だからなんなの…?』

『だからこうする』

『うはぅううっっっ!!!!』


スズランのがら空きの脇の下へと両手を突っ込む。うん、いい反応。
スズランの服は結構厚手のはずだけど、服の上からなのにかなりくすぐったがっている。
まあ使い魔生成の時にそういうふうに設定したから当然なんだけど。
たぶん直接やったら笑い死んじゃうかな?


434 : 146 :2014/11/05(水) 01:21:35 FnbCsLh20
『本当はもっとラブラブイチャイチャな感じでやってあげようかなーと思ってたんだけどね。
スズラン可愛いし』

『かわっ…ふぎゃははっはははははっ!!!な、ならそっちの方がつらくなっはははははははははは!!!』

『でもこうやって全力で笑い悶えるスズランも可愛いよね』

『ふぐっひひひひははっははははははははっは!!!!
やめっ、やめてえええええはっははははははっはっはっはっははははははは!!!!』


全身を頑張って動かそうとしてるみたいだけど、手足にはギミックアームが取り付いてるし、
体には僕が上から乗っていることもあって、ほとんど動かすことができていない。
ほんの少しだけなら脇を閉じれるように拘束を緩めにしてはあるけど、
これも僕の趣味の範囲であって、それで脇の下へのくすぐりに抵抗できるかといえば、全くと言っていいほどできないくらいにしてある。
ガチガチに拘束するよりも、こうやってちょっと余裕を持たせた拘束のほうが僕は好きなんだよね。こっちの方が悶えてる感じがあるし。


『確か羽根でも先っぽでこちょこちょされるのが弱かったよね。
もしかして一か所だけされるのが弱いのかな?』

『あひいいっっはははっははははははははは!!!!!ぐりぐりするなああああっはははははひゃひゃひゃひゃひゃ!!!』

『残念、指先でぐりぐりじゃなくて指先でぐるぐるなのでしたー』

『どっちでもいいからひゃめらああああっはっはっはっはっはっははははは!!!!』


服の上から脇の下を人差し指でくるくるっと円を描くようになぞるだけ。
たったそれだけでこの反応なのはなかなかおいしい。
着衣フェチ兼くすぐりフェチの僕としては、服を脱がさなくてもこの反応だとすごくうれしい。
普通の子だとこうはいかないから、ちょっと手の込んだやり方じゃないといけないんだけどね。


『そういえばくすぐられてる時に耳責めされるのも弱かったよね?
こしょこしょこしょ……』

『ぎゃひいいいっっっ!!!!ふあああっはっはははははははははっはっははははは!!!
こしょこしょいわないでええええっっっっ!!!!』

『くすくす、スズランってば、僕が座ってる下でそんな風に動かれると、くすぐられて興奮してオナニーしてるようにしか見えないよ?』

『ふぇええっ、へんなこといわにゃああっはっはっははははははははは!!!!
この変態いいいいいっひひひゃひゃはははははははは!!!!!!』

『あ、スズラン女の子だからオナニーっていうよりも一人エッチって言ったほうがよかった?』

『そんりゃのいいひゃらああああっはっはははははははは!!!!
みみもとれいわないでよおおおおおっひはははははははははは!!!!』


435 : 146 :2014/11/05(水) 01:21:56 FnbCsLh20
スズランの表情を見るために顔を上げてみると、その顔は耳まで真っ赤に染まり、
口元には涎が広がって閉じた目には涙が溢れていた。
可愛い少女のその何とも言えない表情に、全身をゾクッと震わせる。
いつもは機械に任せて僕自身は見る専門だけど、こうやって自分でくすぐって間近で表情を見るのも悪くない。


『もうやっああああああああ!!!!くるっちゃう、おかしくなっちゃうってばああああっはっはっはっははははははは!!!
もうやめてよマキナあああっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!』

『大丈夫大丈夫、狂ってもおかしくなってもすぐに魔力供給して戻してあげるから。
だから僕の気が済むまでずっとくすぐられてね』

『ふぎいいいいやあああっはっはっはっはっはははははっはは!!!!
そんにゃのひどいよおおおおおおっほほほあはははっははははははははは!!!!』


何でもかんでも思い通りの機械仕掛けの神。
その僕が一風変わった性癖のために全力を尽くせばこうなる。
前にスズランに「この下衆っ子機械神」って言われたけど、これに関しては認めざるを得ないよね。
というわけで今回も全力全開。
今まで左右ともに人差し指だけでくすぐっていた脇の下に、5本の指全てを突き下ろす。


『はひいいいっっ!!!マ、マキナ、それひゃめっ……』

『全力でお・こ・と・わ・り☆』

『いやああああああああっはっはっはっはははははははははは!!!!
これむりい、むりだってえええっひゃひゃひゃひゃはあはははははははは!!!!』


10本すべての指を使って、服の生地ごとスズランの脇の下をかき乱す。
普段自分の手でくすぐり慣れてないとはいえ、滅茶苦茶にくすぐるのであれば僕にだってできないことはない。
くすぐる場所は脇の下の一点張り。普通であればある程度同じ場所をくすぐっていれば慣れが生まれてくるのだが、
くすぐりに対する感度を"普通"に対して遥かに高めにしてあるスズランにとっては慣れなんてないも同然。


『ぐひひひひひゃひゃひゃははははははははははは!!!!
やめえっへえへへへへへへ!!!!ゆるしへえええええええっはははははははははは!!!!』

『許すも何も、僕が趣味でやってるんだから気が済むまでやらせてもらうよ』

『ぎゃひひひひひひひっははははははははふふふふふふふふ!!!!!
ごめんなああああっっしゃあああああああっはっはっはっはっはっはっはははははははは!!!!』


服の奥からじっとりと湿った熱気が伝わってくる。
まあ笑うのって全身運動みたいだし、これだけ真っ赤になって笑い転げてればそりゃそうだよね。


『ぐはああっはっはっはっはっはっはっははははははは!!!ストップ、ギブギブギブうううううう!!!
もうくすぐらないでえええええっははははははははははは!!!!』

『あーそうそう、すっかり言い忘れてたんだけど』

『ふぁふぃいいいいっひひっひひひひひひひ!!!!なにいいいいっひひはははははっはははははは!!!
なんなのおおおおおおおおっははははははははははははははは!!!!!!』


ほんの少しの有利な可能性に賭けるスズラン。まあそんなの僕の気まぐれなんだからありえないんだけど。
そんなくしゃくしゃドロドロになったスズランの表情にうっとりと恍惚の表情を浮かべながら一言。


『実は魔力供給なら今も現在進行形で続けてるんだよね。
だから気絶して休める時間なんて1ミリ秒もないと思ったほうがいいよ』

『あああああああっはっはっはっはははははははははははは!!!!
もうやだあああああっはっはっはっはっはっはははははははは!!!
だれかたずげでよおおおおおおおおおっほほほあっははははははははは!!!!』


今の時間は…夜の3時。
どうせ僕の魔力なんて無尽蔵なんだから、明日の朝くらいまではずっとスズランと遊んでよっかな。ふふふふふふ……。


436 : 146 :2014/11/05(水) 01:25:55 FnbCsLh20
今回はここまでです。
サディスティックで変態でわがままで黒いキャラを作り上げてみた結果がマキナである。


437 : くすぐり好きの名無しさん :2014/11/05(水) 07:17:54 wsd9vpH20
上手いやん


438 : くすぐり好きの名無しさん :2014/11/05(水) 17:38:14 Np5N6eLk0
GJ
こっそりこいしちゃんのほうも期待しております


439 : くすぐり好きの名無しさん :2014/11/05(水) 20:43:57 tdcgTHi20
同意
作者さんのこい×フラをまた読みたい。
もちろん今作も最高でした!


440 : くすぐり好きの名無しさん :2014/11/09(日) 05:28:11 ALS03bTM0
リリアとロゼッタの優しい関係が好き
別の少女キャラが2人にどう絡むのかも気になる


441 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:38:00 H7pV.l420
 先人方の素晴らしい作品の後ゆえ、ハードさが足りないかもしれませんが、x/fで書いてみました。フェアリーフェンサーエフという作品のエフォールと果林が好きなもので。



「殺殺殺……殺、殺殺殺殺殺……」

 差し込む日光も木々によって遮られてしまう、薄暗い森の中。折り畳んだウサギの耳を模した形のフードがついたショートコートを羽織っている眼帯の少女が、丈の短いプリーツキュロットスカートから伸びる、二―ハイソックスに包まれた細い足を止めてポツリと呟いた。
 十代後半な彼女の細い右手には、不釣り合いなほど大きくそして物騒な三日月形の大鎌が握られており、それを杖代わりにして体を支えている。隠されていない赤い瞳は、目に見える景色に対して何の興味を寄せておらず、ただ視覚を司るだけの存在として前を向いていた。

「疲れた。もう歩きたくない。エフォールはそう申しているのですね?」

 眼帯の少女――エフォールの隣で同じく足を止めたのは、そのパートナー妖聖である果林だ。腰ほどまでに白い長髪を伸ばし、青い着物の上に白い割烹着を着ている彼女の頭部には狐のような大きな耳が生えていた。前髪に隠れがちな青い瞳は柔和で、彼女のややのんびりとした性格と非常にマッチしている。

「ですが、このティクルの森を抜ければ、ロボットダンスコンテスト会場のある村はもうすぐです。開催が明日とはいえ、休憩をとっていては夜になってしまいます。ですから、もうちょっとだけ頑張って歩きましょう」

 エフォールと同じく疲れが表情に出ているものの、果林はいわゆる人間とは違う。妖聖という存在である。女神と邪神がお互いを封印せんと争っていた太古の時代に、女神側の武器として飛び交っていたフューリーの一つ、すなわちエフォールの持つ大鎌。それに宿っているのが妖聖の果林だ。
 彼女のような妖聖のサポートを受けつつフューリーを用いて戦う者はフェンサーと呼ばれており、世界各所に散らばった全てを集めると何でも願いが叶う、という伝承を元にフューリー集めをしている者が多い。だがエフォールはそんなフェンサー達とは違い、願いに対しては全く関心を持っていなかった。

「殺、殺殺殺殺殺」

「別に今夜も野宿で構わないし、ぶっちゃけ面倒だから出場したくない……? エフォール、それはいけませんよ!」

 何年もの付き合いの長さから、口癖である「殺」の言葉だけで彼女が何を言いたいのかが手に取るようにわかる果林は、諌めるようにして叫んだ。

「いいですか? 私たちはこの森に入ってもう二日目にさしかかっているのですよ? そう、二日ですよ! 二日! 川で水浴びこそはしましたが、普通の女の子というものは、暖かいお風呂に毎日最低二回……いえ、三回でも四回でも入って、お肌に優しい石鹸を使って体を清潔に保たなければいけないものなのです! かのミナモトさんの家ではいつもそうだという言い伝えがあってですね……」

 くどくどくどくど、と言葉を続けて風呂のもたらす効果や女の子としての基本事項について述べる果林は、彼女の耳とエフォールのウサギフードと相まって、まるでお姉さんのようにも見える。

「私はエフォールに、普通の女の子らしい普通の物事にもっと興味を持って欲しいんです。エフォールは若くて可愛いんですから、多少踊りの技術が拙くてもきっと優勝を狙えるはずです。ほら、私が用意したそのうさ耳フードも可愛くて、審査員が私なら思わず満点にしちゃいたいくらいです! やっぱり女の子にはケモ耳が一番です!」

 果林の提唱する普通の女の子像は世間一般の常識とは若干ズレがあるのだが、それを指摘できる人物はここにはいない。そして、そんなことに無頓着・無関心であるエフォールも尚更のことであった。

「それに……優勝をすればエフォールの中で何かが変わるかもしれません。だからダンス大会に出ることは女の子らしさを磨くために重要なのであって……って、どうしました?」

 先ほどから馬耳東風とばかりに、果林の反対方向を向いているエフォールは、木々が所狭しと並ぶ茂みを見つめていた。慌てて声のボリュームを落とした果林も同じ方向に目をやる。


442 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:39:59 H7pV.l420
 静寂に包まれたこの場に吹いた一迅の風が、茂みを少しだけ揺らした。

「……殺」

「……待ち伏せたぁ上等だ、こそこそしやがって、どこの誰だか知らないが死にてぇのなら望み通り殺してやんよ……ですか。なるほど、この先に敵がいる。そう申しているのですね?」

 翻訳部分だけ意図的に作り声を発する果林に対して、エフォールはこくりと首を縦に振り、大鎌を大弓に変形させ両手に持って構えた。彼女は茂みの向こうから大きな殺気のようなものを感じたのだ。

「殺し合いなんて女の子らしくないこと、本当はして欲しくないのですが……仕方がありませんね」

 エフォールは幼い頃に、孤児をフェンサーとして養成しては大手企業や国家に売り飛ばす組織によって、戦闘技術や殺すための手法を徹底的に叩き込まれていた。更に、非人道的な実験や苦痛を、何年も繰り返し与えられたことで彼女の闘争本能は肥大化させられ、殺す・殺されること以外への関心を一切失わされている。原因不明の火災で組織が壊滅して自由になった今でもそれは変わらない。それゆえ彼女はフューリー集めどころか、食事や身だしなみや会話などといった年相応の少女が奔走するであろう物事にも一切興味を持たず、フェンサーやモンスターを襲うのみで、「殺したい、殺したい」という感情の発露として口癖の「殺」があった。

 その闘争本能によるものかエフォールは、殺しがいのある存在の気配に思わず口角を小さく上げた。

「……フェアライズ」

 エフォールが初めて「殺」以外の言葉を発すると、それに応えて空へ掲げた弓状のフューリーから光の矢が発射された。空中でUターンした矢がエフォールの腹部を貫くと、彼女の体が光に包まれ、憑依した果林の魂と一体化し、二人の意識が溶けて混じり合った。

「フェアライズ、シーケンス、コンプリート」

 まばゆさが消え姿を現したのは、右肩近くにキャノン砲が搭載された大きな機械の翼を鎧として纏う、妖聖の力で戦闘力が増したフューリーフォームのエフォールだった。

「さて……どうしますかエフォール?」

 エフォールの脳に直接声を響かせ、指示を仰ぐ果林。

「……必殺、滅殺、劇殺!」

「わかりました。では、バンカー射出!」

 全身全霊を込めて殺す、というエフォールの意思を汲み取った果林は、脚部の鎧からパイルバンカーを地面に打ち付け、これから行う攻撃の準備にかかる。

「固定完了! チャージ!」

 右肩のキャノン砲に粒子状のエネルギーが充てんされ始める。

「リミットアタック、スーパノヴァ! どうぞ!」

果林が叫ぶと、極めて高い殺傷能力を持った極太の破壊光線が、敵がいるであろう方向へと一直線に放出された!

――ズゴォォォォォォォォォォンンッッ!!

 数秒間の轟音が森の中を支配し、森の木の多くが消し飛んだ。

「………………」

 光線の軌道上にあった木々や茂みはまるで元から一本の道であったかのように削り取られ、ほとんど何も残らなかった。

「……やりましたか?」

 大きなエネルギーが衝突したことで、辺りは静寂と共にもくもくとした煙が広がり出していて視界が確保できず、その先の敵の所在を確認するように果林は言葉を発した。
 何度もモンスターやフェンサーを消し炭にしてきたこの技で、これまで立っていた者は一人もいなかった。その例に漏れず、今回もそうに違いない。果林は思っていたが、

――シュルルルルルッ!

「……なっ!?」

「……殺!?」

 しなるような音を立てて何かがエフォールの両腕に向かって伸びてきた。

 キャノン砲の反動から体を支えるために足を開いてバンカーで固定したままであったため動くことができず、油断していた果林との意識のシンクロにより反応が遅れたこともあり、普段ならば避けられたはずのそれらが巻きつき、大の字を描くように立ったままエフォールは体を満足に動かせなくなった。

「殺……! 殺、殺殺殺殺殺殺……!」

 ぐいぐいと腕を引っ張って、巻きついた何かを引きちぎろうと試みるエフォール。彼女の目に映る紐状のそれは、植物のツルと形容するのがふさわしい物体であった。

「エフォール! あれを!」

 果林の指摘を受けて顔を上げると、


443 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:44:08 H7pV.l420
「さ、殺……?」

 視線の先には、破壊光線を受けていたにも関わらず大きな存在感を主張している敵がいた。その正体は、見たことのない奇妙な大樹であった。

「あれは……モンスター、なのでしょうか?」

 春の象徴として祀り上げられる綺麗な桜が咲いている、かと思えばそのすぐ隣には秋に見られる鮮やかな紅葉が大樹を彩っていた。また、各所にはミカンやバナナや桃といった何種類もの美味しそうなフルーツがなっている。

「殺殺」

 そして何よりも彼女らの目を引いたのが、まるでハエトリグサよろしく食肉植物が埋め込まれているように、大きい口が閉じたり開いたりを緩慢に繰り返して、大樹のど真ん中で獲物の到来を待ち構えていたことだ。まるで数ある植物という植物を配合してできたキマイラのような存在に、果林は不気味なものを感じた。

「気持ち悪い。それには私も同意です。が、とにかく抜け出さないと、このままではあれに食べられてしまいかねません!」

 背中のジェット噴出装置の力を使えば抜け出すこともすぐに叶っただろう。しかし先ほどの攻撃で魔力を多く消費していたため自然回復には時間がかかり、機能が沈黙してしまっている。放熱が完了していないこともあってキャノン砲も同じく動かない。

「殺っ! 殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺っ!」

 そのため、両腕が動かせず武器を振るうことのできないエフォールにできる抵抗は、引きずり込まれないよう足をバンカーで固定しつつ、フューリーフォームによって向上した身体能力をフルに発揮してツルを引きちぎるしかなかった。

「頑張ってください、エフォール! 私も引っ張りますから!」

 ほんの僅かに引っ張られて土を削るが、お互い一歩も譲らない綱引きがしばらく繰り広げられている。

「殺……?」

 そんな中でボコッという音を立ててエフォールの足元の地面から、今度は葉が付いた枝が一本生えてきた。

「これは……?」

 ゆっくりと足に近づいてくるその枝は、腕を拘束しているツルよりも細くて頼りなく、伸縮性に富んでいるようにも思えない。強いて特徴を挙げるなら、葉が多いくらいで何の変哲もないただの枝にしか見えない。こんなものをひとつ生やして何の意味が、と二人が疑問を浮かべたその瞬間、

――こしょこしょこしょこしょ……

「んっ!?」

「きゃひぃっ!?」

 枝を揺らして柔らかな葉が、短いスカートと二―ハイソックスの間で露出する素肌を優しく撫でた。予想だにしなかった種類の刺激に、エフォールは吐息を漏らし、彼女と感覚を共有している果林は思わず素っ頓狂な声を上げた。

「ひ……ひひゃあっ! あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああふっ……! ふっっ、ふふふふふふふふふふふふふ……ふぁ、なっ、なんなんですかこれはぁ!?」

 一瞬力が抜け、エフォールの体は数センチ大樹に近づく形となった。慌てて力を込め直すと止まったが、枝はエフォールの右太もも辺りを追尾して離れず、葉をサワサワと這わせ続けている。再び地面からの小さな音を耳にすると、もう一本の枝が現れ、同じように左太ももを刺激し始める。

「さ、殺……! っっ……! さ、つ……ぅ、うぅ……さ、殺ぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 普段から表情を変えることも慌てることもあまりないエフォール。今の彼女はまだ笑い出してはいないものの、味わったことのない種類の刺激に動揺を隠せず、眉を曇らせてやや苦しそうに歯を食いしばっている。肌を襲う刺激と、果林から伝わる「くすぐったい」という感情との両方が彼女の脳に伝わる。


444 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:47:20 H7pV.l420

「さ、っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……! ああああっくくくくくくくくくぅ……! く、くくぅ……ううううぁぁぁぁぁぁ、さ、さつっ……! 殺っ……! 殺ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 エフォールの痛覚や苦痛に対する耐性は、組織の実験やこれまで何度も行ってきた殺し合いによって、並のフェンサーをはるかに凌駕するものがあった。しかし、その経験を持ってしてもくすぐりによる刺激を抑え込むのは難しかった。それでも彼女はなんとか正気を保ててはいるものの、

「ふくっ、くっ……くぅぅぅううう……! ふ、ふふふふふふ……ふっふふふふふふふふふふぁぁぁぁぁぁぁぁ! ああっっああぁぁぁぁぁぁぁぁ! ああああああああああああっ、はっははははははははははははははははははははははははははっ!」

 果林は両太ももに伝わる刺激に耐えきれず、一分と待たずに大きな声で笑い出してしまった。果林の笑い声がエフォールの頭の中で反響する。その声はたちまち外にまで溢れ出した。

 両手も両足も動かせないため、枝を払うこともできない。バンカーを収めるかフューリーフォームを解くかをすれば足は自由となり枝からは逃れられるだろうが、そうなると踏ん張る術を失った体をたちまち持っていかれてしまうに違いない。そのためエフォールは離れてくれそうもない二本の枝葉の攻撃に耐えながら、なんとか突破口を見つけなければならなかった。

「さつうううぅぅぅぅううううううううう……! うううううぅぅぅぅぅぅ……ぅぅぅぅぅぅんんんんっ!? んくっっ……く、くぅぅぅぅぅうああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!! ぁぁぁぁあああああふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!」

 スカート内部に深く潜り込んだ枝は太ももに沿って何度も葉を擦りつけながら、体の上の方へともぞもぞと昇り始め、スカートと肌のわずかな隙間を抜けて、腰の高さほどにまで伸びた。まるで鋸のように断続的なくすぐったい刺激を送り込んで、エフォールを笑わせんとばかりに枝は葉を揺らしている。葉が一枚ずつ上部に進行する度、肌と反対側の葉がスカートに引っ掛かり、ひらひらとはためいて隠れた部分が少し露わになるが、そんなことを気にしていられる余裕はエフォールにも果林にもなかった。

「っっ〜〜〜〜〜〜!?」

 ボコ、ボコ、と更に真下から枝が姿を現した。ただし今度は一本ずつではなく、一挙に四本が伸びてきて、内腿に葉っぱを掠めながら同じように上昇する。
 合わせて六本の枝が体に群がったことで声にならない声を上げ、エフォールの体から力が大きく抜けた。ショートコートの下には、胸を最低限の面積で隠すインナーしか着ていないため、彼女はすべすべとした白いお腹を常に外気に晒してしまっている。
 もちろんそれを見逃してもらえるはずもなく、外側の二本は両太ももから両腋の窪みまで全てに、内側の四本のうち内腿をさわさわ刺激しながら昇って二本はわき腹に、残りはおへそに葉を添えて、先ほどまでよりも激しく枝を揺らしてくすぐり始めた。

「きひっ!? きひっ、ひぃぃいっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ……!! ひ、ひひひひひひひひひひひひ……さぁぁぁぁあぅぅぅぅうふふふふふふふふふふふっ……!! さふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううぅぅぅつつつつつぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっっ、はっ、はひゃひゃっ!? ひゃ、ふっっ、ふぅぅぅぅぅううううんんんんんんんぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!」

 腋をくすぐる葉を払いのけようと力を込めて肘を体側に寄せようと動かすが、拘束が強く力も入らず、なかなか上手くいかない。胴体を揺らして、内腿を経由した枝葉の攻撃を避けようとするも、こちらも徒労に終わってしまう。腰をくの字に曲げるとエフォールの可愛らしいおへそが形を変え、ほじくるように葉はその中へと入り込もうと動いて刺激を送り込んだ。お尻やスカートを揺らして小さなダンスを踊らされている彼女は、ほんの一瞬のことであったが口から笑い声をこぼしてしまった。

「はぁぁぁぁぁぁあああああああああっははははははははははははははははははは!! ははははっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……そっっそんなとこっっ……!! こちょこちょしないでくださひっひひひひひひひひひひひひぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 エフォールと違って肌が隠れるような服を着ているにも関わらず、それをすり抜けて直接素肌と脳に伝わってくる刺激への対抗手段は無く、果林はただただ悶絶するしかなかった。


445 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:48:14 H7pV.l420
「もっっもうげんかぁぁぁあはっはははははははははははははははははははははははははは!!」

 果林の叫びと同時に、エフォールは彼女との精神のシンクロが段々と薄くなってきていることに気が付いた。全身を蝕む刺激から逃れたいあまり、無意識的に感覚の共有から外れるべくフューリーフォームを解こうとしてしまっている。

「っああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!! さ、さぁああああぁぁぁふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! ふぐっ、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ! うううっうううううううぅぅぅぅぅぅ……さっっ殺ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 くすぐったさで自然と内股になって膝をがくがく震えさせつつも、エフォールは意識の繋がりを繋ぎ止めようと必死にもがく。気をしっかり持って、という意味を込めて叫び続ける。

「っっ!?」

 だが内股になってしまったことで、位置にズレが生じて内腿に沿っていた葉が一瞬秘所に触れた。

「ヒッ!? いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 その刺激に果林は悲鳴を上げ、とうとうフューリーフォームを維持できなくなり、元のヒト型に戻ってしまった。彼女の肉体はエフォールの傍らにはじき出される。それに伴って鎧が消失し、足場を固めていたバンカーも無くなった。

「あ、あぁ……あは……は……はぁ……はぁ……」

 息も絶え絶えになって、果林は仰向けに倒れた状態で呼吸を開始する。

「殺!?」

 支えるものが無くなったため、エフォールの体が引っ張り上げられ宙に浮いた!

「あ……エフォール!?」

 エフォールはまるで高く掲げられた赤子のような状態になっていた。

 慌てて立ちあがった果林がどれだけが手を伸ばしても届かない高さに到達し、先ほどまでエフォールの体に群がっていた枝もその急上昇にはついていけなかった。

「ま、待って! エフォール! エフォール! え……きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 生身となった果林の存在を見逃さなかった大樹はツルを伸ばし、果林の体をぐるぐる巻きにして縛り同じように引き上げた。そして二人ともすぐさま大樹の元に寄せられてしまう。

「殺っ! 殺っ!」

 エフォールが足をばたつかせて暴れてもこれといった抵抗にはならず、

「殺っ! さ……」

 その体は食肉植物状の大きな口に、あっさりと飲み込まれてしまった。

 数秒経っても、エフォールが口の中から姿を現すことはなかった。

「あ……ああ……!」

 その一部始終から目を離すことのできなかった果林は、これから自分も飲み込まれてしまうとことへの恐怖を感じるより先に、己の無力さで後悔の念が募った。

「わ、私は……! 私は、なんてことを……!」

 自分のせいで、妹のように可愛がっていたエフォールがモンスターに食べられてしまった。自分がもっと意識をしっかり保っていれば、こんなことにはならなかったのに。そういった後悔が彼女の中でぐるぐると渦巻く。

「ごめんなさい……ごめんなさい……エフォール……」

 謝り続ける果林。攻撃の手段を持たない妖聖である彼女も、エフォールと同じように飲み込まれてしまった。

 地面から伸びていた植物が土の中に戻ると、森の中には誰もいなくなり静寂に包まれた。


446 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:49:08 H7pV.l420
 二人が大樹の中に取り込まれてからしばらくして。

「んぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? あぁっ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!! み、みみは!! 耳を弄るのだけはっっ、ひゃあああああああああああああああああっ!!」

 全身をツルに巻かれ、ミノムシのように肩から足首まで簀巻きにされて空中で吊るされ、身動きのとれない果林。そんな彼女が動けないのをいいことに、伸びてきた猫じゃらし状の植物がふさふさとした毛を狐耳の中に差し込んで、まるで掃除をするかのように動き回っている。

「あっひゃあああああああああああああああああっ!! や、やめっ! やめてっ! そこはよわっひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 頭を振り回して果林は刺激から逃れようとする。大きな蒼い耳飾りも激しく揺れた。だがそんなささやかな頑張りをあざ笑うかのように、猫じゃらしは耳を追いかける。

「あ、あぁぁぁぁぁぁああふ……ふひゃっ!? ひゃっ、ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!! ぃや、いやっ!! ぃやひゃっ!! いやですっ!! そんなのずるいですってっっへぇひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

 耳をピコピコと動かして、中に入った猫じゃらしを追い出すことを試みた。しかし追い出したのもつかの間。すぐさま回り込んだ猫じゃらしに耳の裏側をくすぐられると、果林は激しくのけ反った。その隙を狙って穴の中に猫じゃらしが再び殺到すると、彼女の声のボリュームがひと際大きくなり、全身がびくびくと何度も跳ねた。

「……ぅ」

 果林の絶叫が目覚ましとなったのか、放り込まれた際に内壁で頭を打って気絶していたエフォールの意識が覚醒し始めた。

「たすぁひゃひゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁははははははははははははははははははははっ!! はぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!! たすけてっ! たすけてくださいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

「っ! 果林!?」

 声が聞こえた方向に目を向けると、群がる植物に耳を蹂躙されて髪を振り乱しているパートナーの惨状に、エフォールは思わず目を見開いて名前を叫んだ。

「くっ……果林っ! 果林っ!」

 助けなければ、と体を動かそうとする。が、動けない。壁から伸びたツルが巻き付き、自身が空中でX字を描くようにピンと伸ばされて四肢を拘束されていることに、彼女は首を動かすことで気がついた。すぐには何かをされる気配はまだ無いものの、このまま何事もなく終わるという可能性はどう考えても無さそうだった。そのため彼女はフューリーが握られていないこともあってツルを斬り裂くこともできず、果林の身を案じて叫ぶことしかできない。

「ふぁあああああああああっ!! ふっふふふふふふぁぁぁぁああああっん!! はぁぁぁぁぁぁあああああっははははははははははははははははははははははははは!! っんんんんぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 しかし果林は果林で、くすぐったさでそれどころではなく、エフォールの声が耳に届いてすらいなかった。


447 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:50:06 H7pV.l420
 エフォールが呼びかけ続ける一方で、両手を体の横に揃えて起立の姿勢を取らされている今の果林が出来ることは、耳に群がる猫じゃらしを振りほどくために頭を左右に振るか、握りこぶしを作って全身に力を込めるか、足の指を細かく動かしてくすぐったさを少しでも誤魔化すしかなかった。

「は、はひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!? ひっひいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!! いぃぃぃいぃぃぃっ、いいいいぃぃぃいやひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃはっははぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 だが、最後の行動がいけなかった。くすぐったさに耐えていた果林の拇指と第二指で挟まれていた草履がとうとう外れ、足袋に包まれた彼女の足の裏が露わになったのだ。

「ひっひひひひひふあぁふふふふふふふふふふふふふっ!! あしっっ足もくすぐるなんってぇぇぇぇえええええぁあああああっはははははははははははははははははははははっ!!」

 それに気付いてももう遅く、待ってましたと言わんばかりに二本の木の根がそこへ近づいて、こちょこちょと指先でなぞるように、時には軽くひっかくように動き回った。

「はっきゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!? あっ、足に一体なにをかけっひゃひゃひひひひぃっ!!」

 そして足の裏をくすぐる二本に加勢するように、生暖かくぬるぬるとした液体を含んだ根も数本、彼女の足に群がる。

 しかし、こちらは他のものと違った性質を持っていた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? はっっはぁぁぁぁあああああああっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!?」

 その性質は皮膚を傷つけない程度の酸性。粘液を塗りこまれたことで白い足袋が溶けて、徐々に彼女の素足が見え出し始めたのだ。

「こ、こへぃひょうふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! これいひょうふされひゃらわたっひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 雪のように白くきめ細かい彼女の足は、先を丸めた際にできた皺を二本の根に軽く引っかくようにくすぐられ、粘液を含んだ根に土踏まずなどを汚される。たかが足袋、されど足袋。布一枚分の防御が無くなっただけで、果林の反応の大きさは一層高まった。

「あひっっ!? ひ、ひひひひひひひひひひいぃぃぃああああっはははははははははははははははははははは!! はぁぁぁぁぁあああああしがっ! しゃっきよりっ、さっきよりくしゅぎゅったひひっいいいいいいいいいいいいいいっ!!」

 彼女の反応が高まったのはそれだけが原因ではなかった。先ほど足袋を溶かしたものと違った種類の粘液が分泌され、現在は足の裏全体に広げるように塗られている。これが肌の滑りを良くすると同時に、皮下に浸透して皮膚の神経を過敏にしていた。

「だめぇぇぇぇぇぇぇ!! しょんなうぎょきさへたりゃっっ!! きゅすぐったくて死にゅっひゃあああああああああああああああっ!!」

 粘液まみれの土踏まずを、根は何度も何度も横断して責め立て続ける。細かく振動させるように動いたかと思えば、時々先を固定したまま動いて刺激を送り込む。
 こうなると、もう果林の頭の中は正常な思考ができなくなっていき、彼女はろれつも回らなくなっていく。


448 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:50:47 H7pV.l420
「ああああああああああああああぁぁ!! あふぃふぁぁぁっぷひゃはははははっはははははははははははははは!! あっあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 足の裏に意識を向けさせられている中で、ぽた、ぽた、と頭に何かが垂れてきている感覚。顔を上げそれが足の裏を過敏にしていた粘液と同じものだと気付くと、果林は更なる不安を募らせた。

――ただでさえ敏感な耳にあんなものを塗られたら……!!

 猫じゃらしに好き放題されている耳の方へと、徐々に粘液を垂らす根が斜め上から近づいてくる。その恐怖に果林は慌てふためいて身を震わせる。

「きゃっ、きゃけなひでぇぇぇぇぇぇぇぇ!! おにぇがひだからっっ!! しょこだけはひょんとにだみぇだめだめだめだめだぇえっへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 拒否するように頭を振っても動かせる範囲はたかが知れていた。あえなく両耳も粘液まみれにされ、それが耳全体に浸透すると感度が数倍に高まった。そして再度中に入った猫じゃらしが耳の毛と自身の毛を絡み合わせると、その瞬間に果林の全身に電流が走った。

「あっぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!? あっ!! ああああああっ!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ぐっあぁああああああああああああああああああああっ!! あぐっふぁぁああああああぁぁぁぁあぎゃっぎゃぎゃぎゃがぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあっ!!」

 喉が張り裂けそうなほどに大きな声で叫ぶ果林は、目じりに浮かんだ涙をまき散らし、閉じようと思っても閉じることのできない口元から涎をこぼし続ける。それらは足元にある花々に降り注がれていた。

「ぎょみぇんなさひっひひひひひひひいひぃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁはっははははははははははははははははははぁぁぁ!! あひゃまひゅかふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! きょうげひしひゃきょとひゃあふぁまひまふかふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ひゃやまりますかりゃあああああああああああああああああああ!!」

 果林が言葉にならない言葉で謝罪をするが、植物たちは責める動きを止める気配はない。むしろ、更なる反応を引き出そうと動きを速め、群がる数も増えていく。その度に果林の中の電流は刺々しく変化し、より大きなものへと増幅されてていく。

「もうやへふぇぇえっへへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! みひもあひもこわれひゃいまひゅからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ほきゃしきゅなふっふふふふふふふふふふふっっおかしくなっふふふふふふぁぁぁぁぁぁあああああふふぁはっひゃひゃひゃひゃははははははははははははははははははははははははははははは!!」

 笑い、咳き込み、唾液をまき散らす。意識が飛びかけてはくすぐったさで強制的に覚醒させられ、果林は一秒たりとも休ませてもらえず、思うように呼吸のできない。彼女は妖聖といえど、酸素を得られなければ人間同様に苦しさを味わう。

「くっ……殺、殺殺殺殺っ……! 果林を、果林を放して……!」

 そんな果林の姿を見るに耐えられず、エフォールは植物に対する殺意を大きくしながらも、果林を助けて欲しい旨を植物に訴える。


449 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:51:35 H7pV.l420
「いい加減果林を……ひぃぃぃんんっ!?」

 果林の方向を向いていたため、エフォールは露出した背中を舐められたような感覚に不意打ちのように襲われて、思わず目を見開いた。

「かふっ!? ふひっ、ひひひひひひひ……ひひひひひぃぃぃいふふふふふうぅぅぅ……!」

 用紙に見立ててまるで文字を描くかのように、エフォールの背中を何かが責め立てている。

「ふふぁぁぁぁぁ……! さふっさひゅっふふふふふふふふふふふぅぅうんん……!」

 続いて現れたものが、コートの前が空いていることから無防備な腋とわき腹を上下し、お腹をくるくると回るようになぞり出した。身じろぎする彼女の目に映ったのはまるで筆のように細かくふさふさとしたひげ根を持った植物であった。

「んんっ! んっ、んふっ! ふっふふぅぅぅ……ぅぅぅふぁっあふふぁぁぁ……!」

 優しく撫でられ、ぞわぞわする微弱な刺激にエフォールは小さく笑い声を上げそうになるが、なんとか食いしばって耐える。

 お腹をくすぐっていた植物がスカートを経由して降りると、右太ももから膝そしてすねの順番にサワサワとひげ根を沿わせ始める。その動きはまるでホウキのようだ。表側を掃除し終えると、今度は裏側や内側を同じ動きで這い続ける。

「くっ……くっふふふぅぅぅ……うあぁあうぅふ! ふっん……んっんんんんんんんんぅ……!」

 右脚の後に左脚、時々スカートの中で太ももやお尻にもひげ根でなぞられるエフォール。いいように体で動きまわられ不快感を露わにしている彼女が腰をわずかに揺らしても、植物にとっては大した妨げにはなっていないようで、そんなことはお構いなしとでも言わんばかりにくすぐり続ける。

「ふ、ふぁぁぁぁぁぁぁんんっ!?」

 腕や脚の付け根を刺激されると一瞬彼女は体を跳ねさせ、はっきりとした高い声を漏らした。その声は普段の感情を殺したようなものでも苦しそうに耐えるものではなく、年頃の少女らしい可愛らしいものであった。

「ひゃっふ……ふぁんっ! んっ、んくっふぅぅぅぅぅ……! ふぁふっっうぅぅぐぐぐぐぐぅぅぅ……!」

 植物が全身を舐めまわすように往復して駆け巡っているため、何度かその声を上げそうになるエフォール。タイミングを見計らったように動かれて翻弄され、呼吸が思ったようにいかない。

「はぁ……はぁ……」

 だがしばらくすると、伸びるひげ根を筆のように使ってなぞっていた植物が、どういうわけか次第に離れていった。


450 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:52:08 H7pV.l420
「……終わった?」

 その意図が読み取れないまま、ひとまず息を吸い込むがエフォールは疑問を頭に浮かべた。

 そもそもどうしてこいつはくすぐってくるのだ。食べるつもりなら一思いに飲み込んでしまえばいい。それなのに何故。と、エフォールは頭の中で思考をぐるぐると渦巻かせるが、答えは出てこなかった。

 何にせよ自分をくすぐっていたものが止まったのならあっちも……と、果林の方を見やるが、そちらは一向に止まる気配を見せず、彼女から苦しそうな笑い声を引き出し続けていた。そのため、エフォールはどうして自分だけが助かったのかがわからなかった。

「っっ!?」

 しかしその直後、何も触れられていないにも関わらず、これまでと違った感覚に全身が支配された。

「っくぅうううう!? ううっ! うぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ……ぐぅううううううううっ……!? かあっうぁぁぁぁぁ……! かゆいぃぃぃぃぃっ……! かゆいかゆいかゆいかゆいかゆいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 その感覚の正体は猛烈な痒み。先ほどまで触れていた根はいわゆる山芋に近い性質を持っており、それを肌に擦りつけられたことで、含まれている成分が痒さを誘発したのだ。衝動的に肌を掻こうとしてエフォールは手首を動かすが拘束は固い。

「かゆいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! かゆいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! うぎっ……うぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃ……うううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 傷がついてもいいから腋を、わき腹を、お腹を、背中を、思い切り掻きむしりたい。手首が落ちても血が出てもいいから手を動かして掻きたい。むずむずする全身に歯がゆい思いを抱えて顔を苦悶に歪めながら、なんとかしてツルを外そうと猛る野獣のように激しく暴れる。

「おねがいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! かゆいからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! あっ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!! かかせてっ!! 掻かせてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 彼女は決して、「殺」以外の言葉を話せないわけではない。言いたい意味は果林が読み取ってくれていたし、赤の他人と会話をするような場面もほとんどなかった。そして何より、これまでの彼女には殺したい欲が思考の第一を占めていた。だが、果林のことや全く動けないこの状況そして痒みがあり、彼女の中では殺したいという感情は無意識的に優先順位が下がっていた。

「あっ!」

 そんなエフォールの願いが届いたのか、四肢の拘束は外してはくれないが、見覚えのある葉の付いた枝が姿を現した。

「そ、それっ! それで掻いてっ!!」

 枝の先端はまるで人間の指先のように、彼女の目には映った。自分の痒みを解消してくれるような、そんな形に。


451 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:52:49 H7pV.l420
「はやくっはやくはやくはやくはやくはやくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! ぅぅぅぅぅぅぅぅうううううあああああああああああっ……!! はやくしてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 そのため、これまでくすぐられて嫌がっていたにも関わらず、今のエフォールは植物に触れられることを心から望んで叫んでいた。もどかしさで頭を振って、もじもじと身を振って。

「くぅぅぅうううぁぁぁぁぁぁぁぁ……!? ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……! なんで、なんでなんでなんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 焦らすようにゆっくりと進行する枝。それはエフォールの素肌に触れるか触れないか……いや触れることなく目の前で止まった。

「とまらないでっっ止まらないで!! きてっっきてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 やっと楽になれると希望を抱いたのもつかの間、どんなに叫んでもこれ以上枝は近づいてくれそうもなく、彼女の表情は絶望の色に染まった。

「ああっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! かぁぁぁぁぁぁっっ、かゆいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! かりんんんんんんんんんんんんん!! おねがいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! かゆいかゆいかゆいかゆいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 果林にっ掻かせてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 そのためエフォールは強く助けを求めて喉から声を張り上げる。

 エフォールの苦しみ喘ぐような声は、これまでずっと一緒に育ってきた大切な存在と、自分を苦しめている存在の両者へと、縋るような形で向けられた。

「うぎっぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……!! かりんだけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……かりんにだけ触れないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! こっちにもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! こっちにもっっさわってよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 いつまでたっても痒みが収まらず、額から脂汗を流しながら何かが触れることを求め続けているエフォール。彼女の目には耳と足裏を犯され続けている果林に対して、どこか羨ましそうな色が浮かんでいた。

「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!! うううぐぐぐぐぐぐぐぅああああああ……あぁぁぁぁぁぁあひゃんっ!?」

 しばらくすると、エフォールの体に何かが触れた。しかし……

「ぴゃひっ! ひっ、ひひひひひひひぁぁああっははははははははははははははは!! ちがっちがっひゃふっ! そうじゃないぃぃぃぃぃぃぃぃ!! それじゃないいいぃぃいいっひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」

 触れたのはふさふさとしたひげ根を持った植物達。エフォールの体に痒みを擦りつけていたそれらが、再度同じ要領でエフォールの全身に群がったのだ。望んでいた刺激と違ったことで、エフォールは笑い声を上げながら非難を飛ばす。

「きひっひゃひゃひひひひひひひぃ……!! っ!? ぎ、ぎぎぎぎいいぃいぃぃぃいいぃぃぃぃぃっ!! かゆひっひひひひひぃぃぃぃいあっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃああぁぁぁぁぁぁぁ!! さっきよりかゆひゅてくすぐったひっひひひひひひひひひひひひひひぃ!! ぃぎぁぁあぁぁぁぁぁはっっ、はふぃぃぃんぎぎっぎぎぎぎぎぃぃぃいぃいっひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ひげ根はまるで柔らかいブラシだ。これに触れられても痒さはほとんど解消されることなく、くすぐったい刺激を送り込まれ続ける。二種類の刺激を送り込まれながら同時に擦りこまれる成分によって、彼女の中で痒みが更に増強される。


452 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:53:30 H7pV.l420
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!! っっ!! っっっっあっ……がっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! くぅぅぅぅぅあぐぅぅああああああああああああああっ……!! ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 痒み成分を刷り込み終えて植物が離れると、くすぐったさが無くなったもののエフォールは痒さにのみ集中させられてしまう。それによって一層の痒さを意識せざるを得なくなりまた苦悶する。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! あぐっぐぎぎぎぎぎぎぎいぃぃいぁぁぁぁぁぁ……殺ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! さづさづさづさづさづさづさづざづざづざづぅ!! ざづぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! ざぁぁぁぁぁづぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 苦しみにより、一周回って殺意を向け口癖の「殺」を用い始めるエフォールと、

「こりょひてってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! ころひてくださひゃっはっはっははははははははははははぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! もういひゃなんへふっへへぇぇぇぇええええっへへへへへへへへへへへへへへへへ!! いっそころひへくだっひゃいいぃぃいいぃいぃいいいいいいいいいいいいいっ!!」

 ろれつが回らないながらもなんとか言葉にしようと笑い悶える果林。

 二人の痛々しい叫びは心の底から思いを込めて放出される。

 いっそ殺してくれ、と。

 しかし彼女らは知らない。ティクルの森の大樹は人間や妖聖を対象に、くすぐることで皮膚から植物を介して魔力を吸収、あるいは何らかの強い感情を抱いた時に発せられる体液や精神波に含まれる魔力を同じく吸収し、それらを養分にして成長していることを。

「いひゃひゃふふぁぁふふふふふふふふぁぁぁぁんんんっ!! いひっふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! いきがっっでひふぁいっふふえぇぇぇぇええへへへへへへへへへへぇ!! えぇぇぇえげっへへへぁあっははははははははははははははははははははぁぁぁぁぁ!!」

 すなわち、魔力の塊にも等しい妖聖の果林からはくすぐることで、

「がゆぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! ざづぅぅぅぅぅぅぅぅ!! さつさつざづざづぁあっああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁさつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! さつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 エフォールからは主に痒みで生じる強い感情を抱かせた際の精神波で、大樹は魔力を得ていた。

 彼女らがどれだけ助けを求めても、この森に立ち寄るような者は、少なくとも近辺には存在していなかった。フェンサーがいない近くの村では、この大樹は危険であるという言い伝えがあるため、狩猟や採取に来る村人が大樹に近づくことはない。
 そしてフェンサー御用達の情報屋も、この森にフューリーがあるという情報は得ていない。それゆえ、外まで声が届いていないこともあって、通りがかったフェンサーがエフォールらを助けるであろう確率はほとんど無きに等しい。

 幸か不幸か、ティクルの森の大樹は肉食性ではない。あくまでも魔力を得て生きているだけの存在だ。そのため、内部に取り込まれた者が消化されて死ぬということは起こらない。

 だがそれは裏を返せば、エフォールらは強制的に笑い声と体液そして精神波を吐き出され、出せる魔力が空っぽになるまで大樹の養分にさせられるしかないのだ。植物から刷り込まれる、痒みあるいは敏感さを誘発する粘液から微量の栄養を施され、魔力の一部も返還されて体内で増幅させられる。そしてそれを吸収するべく大樹は彼女らに植物を伸ばしてくすぐり、また粘液をかけて魔力を生みださせて、同じ行為を繰り返す。何度も、何度も。

「くっふふふいぃぃぃいいいんんんんんんっ!! くるしいれふっへへぇえへへへへぇぇぇぇぇぇぇぇええええええひゃひゃひゃひゃひゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ゆるひてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! へふぇぇえいぃぃぃいいぃひぃあぁぁああっはははははははははははははっはははははははははははぁ!!」

「さっくぅぅぅううっ……ぐぎぃぃぃぃぃぃ……!! ぎっぎぎぎぎぎぎいぃぃぃひひひっ!? ぷっぷぷぷぷぷぷぷぷふふふふふっ……!! ま、またくすぐったいのがっひゃあんっ!! ひゃっががあぁっああぁぁぁふふふぁぁぁっひゃひゃひゃはははっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!! ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁびゃああああああああっ!! かゆぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃくすぐったいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 やがて体内における魔力増幅のメカニズムも、いつかは飽和して止まるだろう。そうなれば晴れて解放される。しかしその時が訪れるのがいつになるのか。

 何日も何日も動けないまま……二人はその時が一秒でも早く訪れることを祈るしかなかった。


453 : エフォール・果林くすぐりss :2014/11/09(日) 14:55:13 H7pV.l420
以上です。
最初の①は気にしないでくれると助かります。


454 : くすぐり好きの名無しさん :2014/11/10(月) 02:37:43 oVVd7ww.0
乙!
渋の方も見てますぜ


455 : 146 :2014/12/21(日) 02:55:19 I7TcwAko0
殺伐とした小説スレにサンタさんが!!

没キャラ使ったちょっと早いクリスマスプレゼント。
ちょっと某長編に影響されてバッドエンド風味にしてみました。
いつものと設定だけ同じでキャラが違うだけとお考えくださいませー。

なお多忙につき本格的に復帰は年明けからのご様子。













『…まだやるの、お嬢さん?』

「くっ…一発も当たらないなんて…!!」


冷気の立ち込める無機質な通路。そこでは2人の少女が対峙していた。
宙にふわふわと浮き、奇妙な形の帽子を被った少女は機械神デウス・エクス・マキナ。
この世界での信仰の対象であり、実体を持ち万人から頼られる全知全能の絶対神である。
…その趣味は別として。
そして辺りを凍らせているもう1人の水色のドレスローブを着た少女の名はヘイル・グレシアラ。
その「氷河」という言葉にちなんだ名前の通り、氷属性魔法を得意とする魔女見習いである。

事の発端は7日前。マキナの手によって強引に連行されたグレシアラは、
これまた強引にエルキット・ゲームという脱出サバイバルに参加させられる。
そしてあと少しで脱出、というところで目の前に現れたのがゲームの主催者、マキナだった。


『氷魔法の特性って知ってる?
凍結させなきゃいけないから炎や雷と比べて魔法に速さがないんだよ。
ほらほら、そんな魔法には捕まらないよーっだ』

「こ、このっ…ならばこれはどうよっ!!
ラウンドブリザード!!」

『…これは…なるほどね…』


凍結に時間がかかるなら、凍結させてから照準を合わせればいい。
グレシアラはマキナを取り囲むように氷の棘を生成し、その後中央のマキナへと狙いを定める。
しかし手間のかかる手順ゆえに、詠唱中は無防備になる。その隙をマキナは見逃さなかった。


『隙だらけなんだから…パラサイトバクテリア』

「今のあなたに何ができ…んふぁあああ!!!???」


突然悲鳴をあげるグレシアラ。その声と同時に脇腹の辺りを抑え込む。
不意に訪れたのは、この7日間で嫌というほど刷り込まれたあの刺激。
最初のような強いものではないものの、今となってもムズムズとした感覚が全身に湧き上がる。
慌てて辺りを見回すが、あるのは無数の氷の棘とそれに囲まれたマキナだけ。
その様子がおかしいのか、マキナはこらえるようにくすくすと笑っている。


「このっ…ふひっ…な、なにしたの…!!」

『ふふふ、とある世界の国民的RPG4作目のある魔法に似たことをしただけさ。
最初に魔法細菌を感染させて、あとはそいつらの繁殖に任せておくだけ。
最初に魔力送るだけだから発動も早いんだよ』

「うひひひっ、か、感染…!?」


長ったらしい説明の間にも、身体中を何かが這い回るような感覚はどんどんと増大していく。
マキナが使ったのは感染系の魔法。
くすぐりに特化している以上、その特性上瞬間での効果は小さいものだったが、
それでもグレシアラの動きを止める程度のくすぐったさを生み出し、長時間拘束することはできた。
魔法の制御ができない今、宙に浮いた氷の棘はただのインテリアに過ぎない。
それを避けることはマキナはおろか、ただの子供にすら簡単にできてしまう。


456 : 146 :2014/12/21(日) 02:55:38 I7TcwAko0
『さてと、じゃあグレシアラちゃんをおいしく頂こうかな』

「きゅひひっ!!もっ、やだっ…!!くすぐられるのは嫌っ…!!!」

『可愛い反応見せてくれても止める気はないよ?
なんたってもっと可愛い反応になりそうだからね』


一体私が何をしたというのか。
確かにここに連れてこられてから、3人リタイアさせた。
最初に渡されたカードには土星の絵柄とSaturnの文字。
ルールによれば、他人を4人リタイアさせれば無条件にゲームクリアなのだ。
見ず知らずの他人を無理やりリタイアさせることに罪悪感も感じたが、
こんなところに独りで監禁された状況で手段を選んでいる余裕はなかった。
結局3人しかリタイアさせられず、おとなしく鍵を使ってゲームクリアを試みることになった。
だがそもそもその3人の犠牲だって、私や彼女らがここに連れてこられなかったらなかったはずだ。
それに気づいてから、私の罪悪感はすべてマキナへの憎悪へと変わる。
そう、悪いのは私じゃない。
今、目の前で私を拘束し終えたマキナが全ての元凶だ。


『えーっと、グレシアラちゃんの受けた責めは、っと…
触手ベッドにマジックハンド底なし沼に…あー、ハーピィルームにも飛ばされたのか』

「いわあっはははははっっ!!?言わにゃいでっふひひひ!!思い出しちゃうからああっはははは!!」

『おっと、そろそろ効果が出てきたみたいだね』


先程までのムズムズとした感覚は、いつの間にか指が蠢くような感覚へと変化している。
なんとか絶叫せずにすんでいたのだが、今は声を押さえることすらできない。
床に倒れ込み、じだばたとくすぐったさにのたうち回るも、ミクロサイズのくすぐり細菌の手から逃れることは出来そうにない。


「あああっはははははははははっはは!!!やめっれえあああっははははははっはっはっはっは!!!
これおわらせてよおおおっひひゃははっははははははは!!!!」

『ああ、最初に使った魔力がなくなるまではどうしようもないんだよね、それ。
でも僕を相手にしている以上、その程度のくすぐりで終わるわけはないよ』


パチリと指を鳴らすマキナ。その音と同時に辺り一面の壁、床、天井からいろいろな機械が飛び出す。
オーソドックスな羽根やブラシ、刷毛、マジックハンドのついたものから、
潤滑剤の役目なのかローションの染み込んだスポンジのついたもの、ベビーパウダーのような粉が付いたものまであった。
そのうちの4本、手枷のようなアームがグレシアラの両手足を掴み、空中にX字に拘束してしまう。
マキナ曰く、これだと全身くまなくくすぐれるので、自由に空中に浮ける彼女にとっては非常に好都合らしい。


『あはは、グレシアラちゃん、全身ピクピクさせてどうしたのかなーー?』

「このっははははははひひひひ!!!はなしなさいよおおおおおっっっ!!!
いひぃっ!!?っひひゃはははっふふはははははははっはははは!!!」

『このままルール通りに機械にやらせてもいいんだけど、せっかく久々に実体で出てきたわけだし、
それにこんな可愛い子が目の前にいるのに手出ししないのは面白くないからねえ…』

「ひゃひっ!!?なにすうっふっふふふふひゃはははははは!!」

『どうせ結末は同じなんだから、もういろいろ遊びつくそうかなって。
まずは…「ウィンドカッター」!!』


マキナの魔法詠唱と同時に、私のすぐ近くをかまいたちが通り抜ける。
直撃こそしなかったものの、ドレスローブが一部引き裂かれてしまった。
だが今の状況からして、マキナの狙いはそれが本命だろう。
その証拠と言わんばかりに、狙ったかのように脇の下や脇腹の辺りの布地が破けている。


『楽しめるものは楽しめるうちに楽しんでおかないと。
壊れたら楽しくなくなっちゃうからね』

「はひいいっっ!!ふひゃっ…あああっはっはっはっはっはっはっははははは!!!
やめっははははははあああああっっっ!!!!だああっめっへへへははははは!!!」


拘束されたグレシアラの後ろに回り込んで破れた服の隙間から手を差し込み、
直接左脇腹や右脇の下を指を押し付けるようにしてくすぐるマキナ。
その指先が生み出すものによってなのか、もともとかかっていた魔法によるものなのかはわからないが、
X字に拘束されてまともに動けないグレシアラの身体がピクピクと跳ね上がる。


457 : 146 :2014/12/21(日) 02:56:24 I7TcwAko0
「ぐひっひゃはははははははははふふふふふふふ!!!
くしゅぐったあああっはっはっはっはははははははははは!!!!」

『いい反応…いい声…まあもっともっと聞かせてもらうけどね』

「あふああっはっはははははははは!!!たすっけええはははははははは!!!」


魔法によるものとマキナ自身によるもの、その2つのくすぐり責めですら今までにないほどくすぐったいというのに、
そこに更に待ってましたと言わんばかりに辺り一面の機械が動き出す。
羽根や刷毛などはスカートや襟から服の中へと入り込んで素肌を撫でまわし、
筆は首筋や耳、膝の裏、内腿をさわさわとくすぐり始め、
マジックハンドは2つ1組で片方が手や足の指を開かせ、もう片方が手の平と足の裏をこちょこちょとくすぐりまわす。
さらに追い打ちをかけるかのように、
ローションスポンジは手足を、ベビーパウダーは服の中や首筋、太腿、膝裏など、
それぞれの特性に合った相方を見つけてそれを支援する。


「やめっらああああっはっはっはははははははは!!!!もうゆるひひぇええっひゃはははははは!!!」

『もう許してって、まだ始まったばっかりなのに何言ってるの』

「むりむりむりいいいっひひひあははははははは!!!!
もうらめ、げんかいだっればあああっはははっはははははははははは!!!」


実際、7日間でされたくすぐりを全てまとめてされてるようなものだ。
これまでのくすぐりですっかり衰弱しきった体でこの責めを耐えろと言うほうが無理難題だろう。
もっとも、マキナは耐えさせる気はないようだが。
サディストとかくすぐりフェチとかそういった次元ではない。
今のマキナは誰が見たとしても正真正銘の悪魔であった。


『今までたっぷりくすぐられて敏感になって、
そこを全力でくすぐられた感想はいかが?』

「ぎゃひっひひははははははははっへへへへははは!!!
しんじゃう、おかしくなっちゃうからあああっはっはっはっははははははは!!!」

『…ふーん、死んじゃいそうでおかしくなりそうなほどうれしいんだ…。
じゃあもっと激しくしてあげよっか』

「んふああああっはっはっははははああああああ!!!
もういやああああっはっははははは!!ゆるひふぇええっへへへへへへへへえええええ!!!」


手の平からこぼれたローションがそのまま腕を伝っていく。
その粘液がもたらす感覚は普段ならちょっと気になる程度の刺激のはずなのに、
今は他とは違ったくすぐったさとなってグレシアラを苦しめる。


「いひいいっははははははははは!!!手の平、だめっへへへはははははははあああああ!!!
んああああっはあああっ!!ふでっ、そこっ、いひゃあああっはははははははっはっはっはっはっは!!」

『ねえ、ちょっとは僕がくすぐってるとこの反応もしてくれないとつまんないんだけどさあ……』

「んにゃあああっはっはっはははは!!しらないいいいっひひひひふふふはっはっはっは!!
やめっ、はなしれええええっへへへへへええええっっっ!!!」

『全く…それじゃこうするしかないか』

「ぎゃひいいいっっ!!?ふひっひゃはははははっははははは!!!」


反応が全くないことに飽きたのか、
マキナは今までグレシアラのきめ細かな素肌を楽しむようにくすぐっていた手をそのままぐいっと押し込む。
皮膚の裏側、その奥深くにある普段刺激の届かないような場所に指を押し込まれ、
グレシアラはさらに大きな声を上げてしまう。


458 : 146 :2014/12/21(日) 02:56:43 I7TcwAko0
『余りにも反応がないんだもん。おもちゃは楽しむためにあるんだから、ね?』

「うひゃひはははははは!!ごめんなさい、ごめんにゃあああっはっははははははは!!!」


ふと、ここへ連れてこられる前の出来事を思い出す。
―――そういえば、妹と雪だるま作ってたんだっけ。
それで帽子の代わりにバケツ取りに行くって言って、妹が家に向かって…―――
脳裏に浮かぶのは妹の笑顔。可愛らしくて、無邪気で、見た人を幸せにするような…。
でもその笑顔をもう一度見ることは出来ない。
マキナとこの無機質な機械のくすぐり責めによって、きっと私はみじめに…。
そう考えると涙と嗚咽がこみ上げてくる。
しかし悲しみからくる涙はくすぐられて溢れる涙で洗い流され、
泣きそうになるその声は無理やり絞り出される笑い声へと変えられる。
希望も絶望も全てマキナの「暇つぶし」によって上書きされてしまう。


「ひひっひゃはははっははへへへへへ!!!やっひははははああああっはっはっはっはっは!!
あああああっはっはっはっはははははははははははははははははははは!!!!!」

『あー、そうそう、仮にも魔法使えるグレシアラちゃんならわかると思うけどー…』

「ふへええあああっはっはっはっははははははははは!!!にゃにいいっがああっははははははは!!!!
ぐふふふふひひひっへへへへへっへへへへ!!!ふぎいいいっひっひっひはっはははははは!!」


魔法?私でもわかる?
ただでさえ狂ってしまいそうだというのにこれ以上どんな責めを加えるというのか?


『不老不死の魔法でおなじみだけど、魔力って栄養素に変換できるから、
これからもずっと僕を楽しませてね?』

「いやあああああああっっっはっはっはっはっはっははははははははは!!!!
もうやだあああああああああっはっははははははははははは!!!!
ゆりゅしてよおおおおああああああっはははははははははははは!!!」


悲しみとか絶望とか、そんな言葉では表しきれないような気持ちがグレシアラの心を蝕んでいく。
彼女がようやく解放されるのはマキナが飽きたとき。
それが何日先か、何か月先か、何年先か。
それはグレシアラはもちろん、気まぐれでご都合主義のマキナ自身ですら知る由もなかった。


459 : 146 :2014/12/21(日) 03:01:41 I7TcwAko0
以上になります。
もうネーミングセンスのなさに泣けるというね。
氷河→グレイシア→グレシアラ

なおグレシアラちゃんの元ネタは雪の女王。
ロゼッタ→赤ずきん、リリア→アリスで揃えようとしたけど、リリアのアリス成分が絶賛迷子中。

改めて言うけど、今回のは本編とは全く関係ないよ!!
ゆっくり妄想していってね!!


460 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/21(日) 10:51:52 oxgRPtRY0
某掲示板の画像の小説を

ついこの前a●●zonでデュエルディスクを二つ購入した。

一応断っておくと俺はデュエリストではないしカードゲームは
中学時代の半ばあたりでもうすっかり疎遠になってしまっていた

では何故今になってデュエルモンスターズなのかというと実はこの前
ブラックマジシャンとかいう俺のドストライクキャラがいる事を知り
その上最近はカードが実体化するという夢のようなシステムがあり
しかもここ最近自分でカードを作れるというサイトがあることも知った。
そこで俺は ひ ら め い た

俺はとあるカードを自作し、ハマっていた頃に集めていたカードの中から適当なカードデッキを2つ作った。
そして自分のデッキの頭に自作カードを、もう一つのデッキの方にブラマジガールをセットした
これで準備完了だ、さてここからお楽しみだ…
俺は自作カードを守備表示にした後相手方のデュエルディスクを淡々と操作し
適当なモンスターを生贄にブラマジガールを召還した…




フィールドに出てきたブラマジガール(以下BMG)は困惑していた
対戦相手の男は全裸で股間に筒状のモノを装着している
目を覆いたくなるような光景だったがそれ以上におかしいのは
自分のマスターが存在していない事だ
自分を映し出しているデュエルディスクはテーブルの上に置いてある…
この対戦相手の男が自分を呼び寄せたのだろうか。。。

「これは一体・・・?」

キョロキョロしながら全てにおいて意味がわからないこの状況にBMGは思わず言葉を漏らす

「おお、俺の愛しのBMG…しっかり意思もあるんだねえ…んじゃ
ティックルキラーを攻撃表示に変更!!ティックルキラーの攻撃!!」


461 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/21(日) 10:52:13 oxgRPtRY0
困惑していたBMGは突如攻撃表示に切り替わった相手方のモンスターに身構える
拷問器具から無数の機械の手が生えたそのモンスターの攻撃力は。。。
なんと6000!!!レベル4にして攻撃力6000というその理不尽極まりないモンスターの前に
BMGはなすすべなく捕まってしまった。
両手足を拘束され、十字磔にされてしまうBMG

「こ、こんな滅茶苦茶なモンスター聞いたことないですよ!?」
「まあ俺の自作カードだからねー♪ちなみに女キャラ以外にはあっさりやられるよ
千眼の邪教神とかにも勝てない産廃カードだからね」
「そ、そんなぁー・・・っていうかそんなしょうもないカードで一体何を…?」
狼狽するBMGに男は無慈悲に答えた
「俺初めて君を見たときずっと可愛いなあって思ってたんだあ…何とか君を好きなように
弄べないかとずっと考えてたんだよ…」
「なっ…それじゃあこの意味のわからない状況はまさか…」
BMGの周りで蠢いているマジックハンドがBMGの服をゆっくり脱がし始めた
「あっ!ちょっ…いやっ!!やめて!!」
BMGは顔を赤らめながら恥ずかしさに暴れるが拘束が手首足首だけではなく
太ももと二の腕にまで掛っているためBMGは全く動くことが出来ず
成すすべもなく裸にされてしまった

「ちなみにこのマジックハンドを見ればわかると思うけど…」
男の顔が不気味ににやける
「俺女の子のくすぐられている姿が大好きなんだよねえ(ゲス顔)」
周りのマジックハンドがワキワキと手を動かし始めた

おおよその目的が読めてしまったBMGは思わず絶望に泣き叫んだ
「いやあああああああああ!!やめてください!!こんなのでくすぐられたら死んじゃいます!!!」
「大丈夫大丈夫、デッキには山のように死者蘇生を用意してるから、拷問攻撃!!」
こちょこちょこちょこちょこちょ…
「そっ…そういうもんだいじゃ…んひゃああああああっっ!!??」
BMGにマジックハンドが襲いかかり拷問を開始する
「ぎゃはははははははあはは!!あひゃっ!ひゅひゃああっ!!
ひゃひゃはひゃひゃあひゃひぃぃぃぃひゃひゃあああひゃはひゃはひゃひゃああ!!」
マジックハンドはBMGの体の隅々にいやらしく指を這わせていく
「ぶひゃははははははははははははは!!ふぎゅっぎひひひひひひひ!!くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
彼女の身体をくすぐっているマジックハンドは相手の弱点を的確に責め、笑い死にさせるようプログラムされており
BMGの一番弱いところと責め方を全身くまなくくすぐりながら探していった
「ハアハア・・・苦しいかい?相当くすぐったいみたいだねえ・・・」
男はBMGの悶絶する姿に欲情し、くすぐられている彼女を見上げながら自慰行為に勤しんでいた
「おひゃはははははははは!!無理無理無理いいいいい!!ぎゃはははははははははっ、止めて!!もうひゃめてえええええええ!」
「ゔあはははははははははっ! も゙ぉやだぁっ! 死ぬしぬっくくくくくくはははははひゃひゃひゃひゃひゃ……!」
基本的にどこの箇所を触ってもくすぐったいようで笑いが途絶えることは無かったが
所々笑いが激しくなったりビクンと痙攣する箇所があり、機械はその反応のよかった場所を揉んだり引っかいたり突っついたりと
くすぐりのバリエーションを変えながら一番くすぐったい責め方を探しだし学習していった。
「いひっ、いひができっ、ぐぅじひひひひひひひひっ! ひぁははははははははははっ!!あひいいいいいいいいいいいっ・・・・・!!!」
「よーし、弱点の解析はすんだな!!ターンエンドだ!!」
男が3発抜いたところで責めは一旦終了した。


462 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/21(日) 10:53:37 oxgRPtRY0

「ひゃべで…………もぉやべでぐだざいぃぃぃ……死んじゃうよぉ………。」

「ふう…お漏らしまでしちゃって・・・モンスターの癖にはしたないなあ(笑)」
「ううぅっ・・・ぐずっ、びどいぃよぉぉ・・・」
BMGはあまりの苦しさに漏らしてしまい恥ずかしさのあまり泣いてしまっていた
あくまでモンスターではあるがこんな事をされたので女の子としての恥じらいが
完璧に崩壊してしまっていたのである

そんなBMGに止めを刺す男の声がした

「ちなみに一応今までのは拷問を兼ねた弱点探しだよ。ティックルキラーは一ターン目で弱点を探し二ターン目で撃破する能力を持っているのだ」
「」

BMGはもう声を出すことができなかった、たった今召喚されたばかりなのに何故か走馬灯が頭の中を駆け巡った

「さてご苦労様、それじゃ 処刑モード発動」

無慈悲に響く男の声と同時にティックルキラーの攻撃が始まった


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!!!!」

獣のような叫びと同時に全く動けないBMGの体が急激に痙攣を起こす

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ!!!いやああああああああああああああああああ
じぬうううううううううううううううううううういぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

ティックルキラーは弱点解析が終わりBMGの一番弱いところを一番くすぐったい責め方で責め始めた
ほぼ精神崩壊を迎えていたBMGは無慈悲な処刑マシーンに

わき腹とあばらの辺りを激しく揉まれ
脇の下を引っかかれながら深いところを指でぐりぐりと指圧され
乳房をもまれながら乳首を指の先でこちょこちょとされ
股関節をぐりぐりと押され
股間の割目を揉まれその中をクリごと擦られていた

あまりのくすぐったさに激しく身を震わせ
涙と汗とよだれと鼻水を激しく振り乱し顔をぐちゃぐちゃにしながら笑い声とも悲鳴とも取れる
狂った叫び声を上げるBMG

「あぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ!!!ひいいいいいいぃぃぃぃ!!!!
ぎょひへへへいひひひひひひいひいいいいいい!!!!」

辺りに飛び散る体液や叫び声はまさに処刑と呼ぶに相応しい凄まじい惨劇であった

「すげえ、人間て死ぬまでくすぐられるとこんな風になるのか・・・
いやモンスターなんだけどさ・・・」
BMGをこんな風にした当の本人は軽くスプラッタ想像以上の惨劇に軽く引いていた

しばらくして

「ア"ガッガ・・・!!!エ”ッエ”ッエ”ッ・・・」
「「対象の生体反応消失 撃破完了」」
ティックルキラーの無機質な声と同時に痙攣を繰り返した果てに動かなくなったBMGは
撃破されたものとしてフィールドから消え墓地へ送られる

「なんか想像以上にえらいことになってたな・・・まあいいや暫くしたら
死者蘇生でもつかうか、それとも別の女キャラがいれば」

その後BMGでまた遊ぼうと死者蘇生を何度も使ったが
当の本人が墓地に引きこもり中々復活しなかったそうだ


おわり


463 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/21(日) 10:57:14 oxgRPtRY0
添画作成中…表情むずいっす
i-bbs.sijex.net/imageDisp.jsp?id=nikuniku22&file=1419126879029o.jpg


464 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/21(日) 19:33:03 iPO9K5Is0

良いねブラマジガール


465 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/22(月) 21:33:18 Biy6AoqE0
>>459
>>460
乙です!


466 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/23(火) 00:50:10 QmGQfsnA0
SSだけでなく、イラストつきとはいいねえw


467 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:30:41 M1.bzlrY0
クリスマスだけどクリスマス要素皆無な艦これくすぐり小説です。

 私には三人の姉妹がいる……らしい。

 ラオウ、トキ……じゃなくて、最上、三隈、熊野の三人だ。私の姉にあたるのが最上と三隈で、熊野は私と同じ日に生まれたから双子の妹みたいなもんらしい。
 でも姉二人は別の鎮守府にいるって提督が言ってたから実際に会ったことないし、熊野とはこの鎮守府に配属されてから初めて出会った。

 だからかなぁ……あんまり姉妹って感じがしないのは。なんていうの、ドラマとかにありがちな生き別れの家族との再会みたいで、妙に会話のノリとかが合わないワケ。

 そもそも私は横須賀生まれで、熊野は神戸生まれ。東西がノリと関係してるのかどうかはともかく、性格や好みやタイプもぜーんぜん違う。だからチグハグ。
ギャルっぽいよねーとか私は周りからよく言われちゃうんだけど、熊野はこう……良いとこのお嬢さまっぽい感じの子。ほら、よく言うじゃん? 白いワンピースの似合う、深窓の芦屋令嬢って表現。あんな感じ。芦屋は神戸市じゃないけどさ。

 ま、とにかくこーんな感じの理由が複雑に絡み合っているのか、私は同室の熊野とは今ひとつ打ち解けられてる感じがしない。会話もあまり続かない。私一人が会話を振ろうとしては空回りしちゃうの。

「熊野、くまのん、くまりんこ……うーん、最後のだけはなんか違うかも」

 件の顔を思い浮かべながら、名前の呼び方を考えてみる。仲良くなるためにあだ名を付けるべきか、それとも仲良くなってからにするべきか。それも含めて私は悩んでいて、部屋の前でドアノブに手を掛けられないでいる。

 姉妹として何を話せばいいのか、同じ重巡洋艦娘として実戦に投入される際にはどう連携をとっていけばいいのか、私はそれがわからない。

「でも……行くっきゃないよねー」

 わからないから立ち止まる、なんていうのは私の性分じゃないし、そんなのつまんない。頭のいいタイプじゃないから、アドリブでがんがん行くのが似合ってる。

「よし……! くっまのーん! ただいまーっ!」

 覚悟を決め、わざとらしいほどの大きな声を作りながら、私は勢いよく扉を開けた。


468 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:31:30 M1.bzlrY0
△△△


「あまり大きな声を出さないでくださいな……はしたない」

 開口一番に私を出迎えたのは、熊野のこんな言葉だった。同室になって一週間、今日こそおかえりなさいを言ってもらえると期待していたから、ちょっとだけ心にダメージを負った。

「……いやぁ〜、メンゴメンゴ。訓練後のご飯がウマくって、ついついテンション上がっちゃってさー」

 それでも気にしてないようなアゲアゲな自分を演じつつ、熊野とのコミュニケーションをとってみる。だけど、ベッド上で足を揃え三角座りをして壁に背を任せている熊野は、すぐに読んでいた本に視線を戻してしまった。

「あれのどこがいいのやら」

「えー、美味しいじゃんコンビニ弁当。皆が定食食べてる中でぇ、私一人だけ違うの食べるあの背徳感、たまんないよねー。くまのんも一度食べてみなよ」

「遠慮しておきますわ。あと、その呼び方止めてくださらない?」

「じゃあ、くまもん? それとも、くまりんこがいいの?」

「…………」

 とうとう何も言い返してこなくなった。わたくしはこれから読書ですので邪魔しないでくださいまし、とでも言いたげな態度だ。

 諦めた私は、自分のベッドに腰掛けて鎮守府近くのコンビニで買ってきたファッション雑誌を読み始めてみることにした。といってもほとんど読むふりで、パラパラっとめくっては一分もしないで閉じた。私の今のトレンドは、アクセでもワンピでもなく熊野だからだ。

「……はぁ」

 やることもないので反対側のベッド上の熊野を観察していると、さっきからため息をついては読書を中断し、肩を押さえて首や腕を回しているのが目に付いた。栗色のポニーテールが揺れている。私が同じ動作をしてもこんな上品にはならないなぁと感心しながら、ある妙案が浮かんだ。

「ねぇ。肩、凝ってるんでしょ?」

「え……?」

「よかったらマッサージしてあげよっか? 私、けっこうウマいよ」

 水上偵察機ではなく、その発展型の水上爆撃機である瑞雲を使った慣れない訓練で、肩こりを誘発したのだろうか。優しい姉貴分としてこれを解消してあげれば少しは感謝されるかもしれない。そこから親交を深めるというのも一つの手かもしれない。ウマいかどうかは私自身もわからないけど、そこはアドリブと聞きかじった知識でなんとかしてみよう。

「いえ、結構で――」

「遠慮しないの遠慮しないのっ!」

 断られるのはなんとなく予想がついていたので言葉を遮り、無理矢理自分のペースに引き込んで熊野のベッドに乗り込み、「うりゃー」っと甲板ニーソの膝辺りを上から押して三角座りを崩させ、濃茶色ブレザーの肩を掴んでうつ伏せになるように横に転がして引き倒した。


469 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:31:56 M1.bzlrY0
「い、いきなり何をするんですの!?」

 そしてすぐさま、あまり体重をかけないようにして私は熊野の上に乗った。読書を邪魔されたことで非難が飛んでくるが、終わりよければ全て良しだ。

「いいからいいから」

「こっちは全然良くありませっっ、んぁあっ!?」

 両肩を四本ずつの指でホールドし、両親指を使って肩のやや後ろの出っ張りをぐりっと押し込むと、立ち上がろうとした熊野の口から妙な声が出た。前方に伸びた手に持っていた本はぽろっとベッドに落ちた。

「あ……ぅあ……! あっ……! や……あっ、あぁっ……! っっ……! ぁうっ……!」

 左右に骨を転がす度、ゴリゴリと音を立てるが、それよりも熊野の声は大きい。

「うっ、んん……! ぁぐ、はっ……! はぁあぅぅ……!」

 めちゃくちゃ凝ってるじゃんって思ったけどそれより、

「うわぁ……えっろ」

 ああいうことをする時の声ってこういう感じなのかな? 少女漫画でしか見たことないけど、さ。

 それにさっきから熊野の体が強張り、ベッドのスプリングがぎしぎし軋んでてなおさら連想してしまう。

「うぇ……!? え、えろっ!?」

 あ、やばい。聞こえちゃってたみたい。口に出しちゃってたんだね私。

「年頃の乙女が……え、え、え、えろ、などと……あ、あああああああっありえませんわっ! 破廉恥ですわ! ハレンチ極まりありませんわっ!」

 手を止めて弁明しようとした私に対して、耳まで真っ赤にした熊野は叫んだ。顔は見えないがそちらも真っ赤なのだろうか。

 いやぁ……えろの二文字にこんなに反応するとかどんだけピュアよ。生粋のお嬢様って生き物は、皆こういうもんなの? 絶滅危惧種にもほどがあんじゃん。ぶっちゃけありえない。

「はしたない……あぁ、はしたないですわ。このような方が姉だなんて。おおかた、いやらしいことを何度も経験しているに違いありませんわ……! そう考えると、わたくしを触る手つきも何だかいやらしいものに思えてきましたわ……あぁおぞましい」

 なんだか好き勝手に、熊野の中で私の人物像が変な方向に捻じ曲げられていってる気がする。そこまで言わなくてもいいじゃん、テンション下がるぅ。私ぁバリバリの処女だっつーの。

「いてもたってもいられません。早くどいてくださいな」

「いやらしいことなんてしないって。てゆーか、肩もみでそんな考えに行きつくそっちの方がいやらしいんじゃ……」

「聞く耳持つつもりはありませんわ! それに……」

「それに?」


470 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:32:24 M1.bzlrY0
「さっきから、重いんですのよ……」

「お、重っ!?」

 熊野の何気ない一言が私の心臓を豪快に抉った。さすがお嬢様。触れてはいけない乙女のタブーを知らないとは浮世離れにも程がある。

「……いやいや、私そんな重くないって」

「重いものは重いですわ!」

「なっ……!」

 反論するも、またしても心を抉られた。

「…………」

 どうやら、優しくしてやろうなんて思った私がバカだったようだ。かわいい妹だと思って下手に出ていたらつけあがりおって。私にだって堪忍袋の緒はあるし、それはたった今切れた。実は最近ちょっと増えてきてるから、ズバズバと言われて正直カチンときた。

「ちょっと、聞いているんですの?」

 だから私はお仕置きとして、

「跨るのをお止めになってくださいません?」

 両膝で挟んでいる妹の背中めがけて、

「早くど、いぃっ!? ひゃあぁぁっ!?」

 つぅぅぅぅっと人差し指を下ろしてやった。甲高い声が出ると同時に熊野の体が少しのけぞった。

「な、な、な……?」

 何が起こったのかがわからない、という感じなのだろう。熊野の戸惑う様子から読み取れる。

「やっぱ、えろいじゃん」

 先ほどの熊野の口から出た声について、私は率直な感想を述べた。

「え、えろくなんてありませっっふぁあっ!? あぁぁっ、ぁふ……きゃひんっ!!」

 もう一度指を這わす。今度は真っすぐ下すのではなく、くねくねと蛇行するように動かしてみた。またしても大きな反応が返ってきたものだから、なんだか気分がいい。どうだ参ったか。

「反省した?」

「ぅ、反省……? この熊野に、何か反省することがあるとでも?」

 おおう、意外にも強情な態度を崩さないぞこのお嬢様は。あるいは、本当に自分が悪いと思っていないのだろうか。

「というか、マッサージはどうしたんですの? どくつもりがないのなら、仕方がありませんので受けて差し上げます。ですから、悪ふざけはこれほどにして早く再開してくださいな」

 しかもずうずうしい。受けて差し上げますとかよく言えたもんだ。

「あー、わかったわかった。そこまで言うんなら続きやってあげるよ、マッサージ」

 こっちが言いだして強引にやったんだし、責務は果たしてやろう。

「じゃあ、いっくよー」

――がしっ。

「え……?」

 でも、姉に対する口のきき方と態度がなっていないから、お仕置きは継続だ。あと重いって言ったし。

「一体どこを揉むつもりでぁあっはぁあっ!?」

 わき腹を両手で包むと、熊野の両肩がびっくりしたかのように跳ねた。

「もみもみもみもみ、も〜みもみぃ〜、いやぁお客さん凝ってますなぁ〜」

「ふっ!! ふふっ……ぅふっふふふふふふふふ……!! ふぁぁああぁあああっっ!? ああっっああっ……! あはっ、はぁぁぁあはははははははっ!!」

そして揉み解してみると熊野の足がバタバタと上下に暴れ、口からは楽しそうではないけど笑い声があふれ出た。

「はひぃぃっ! いあっはははははははははぁぁぁぁっ! あぁっ、ふふふふふぁはふふふふふふふ……! こ、これはっっ! ぁふっ、うぅ、ぅんんふふふっ……! ひぁぁぁぁあっはふふふふふふふっくくくくくくくくっ……! ぅぅぅぅぅぅうううぅぅぅくくくぁあっ! ま、マッサージでは、っあぁ……ないでしょうっ!?」


471 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:32:45 M1.bzlrY0
 そしてこのマッサージに対し、熊野は疑問を投げかけてきた。
 このような反応が返ってきたのは、マッサージとしての動きというよりはむしろくすぐりに近いような動きで、私が指をウニウニしているからだ。いや、近いなんてものではなく、くすぐる動きそのものだ。

「ちっ、ばれたか」

 世間知らず(かもしれない)お嬢様だから騙し通せると思ったが、さすがにそうはいかないらしい。素直に私は認めてやったが手を止めず、わき腹を揉むようにしてくすぐり続けている。

「今のは聞き捨てなりませんわひゃっ! ひゃっ! ふっ……ふふふふふふふふぁぁああっはははははははははははははっ!」

「だって熊野が悪いんだもーん」

 重いって言ったし、生意気だし、いつも私に冷たいし。

「なにがっっ、何ぃぃいっひひひ……ひ、はふぁっ! はぁぁぁあっははひゃひゃ! ひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃあぁ! あっ……! 何を言っているんですのよぉぉぉぉぉぉぉ!」

 熊野は、どうして自分がこんな目に遭わなければならないんだとでも言いたい気持ちなんだろう。

 でも私は止めてあげるつもりは一切ない。私がこれまで悩んだり傷ついたりしていた苦しみを、少しでも分かち合いたいのだ。本来の予定とは違ったけど、こういう形で親交を深めるのもいいんじゃないかな? ほら、ボディタッチはコミュニケーションの一つだしぃ。

「苦しかったりしない?」

 答えられるように、わき腹を揉む動きをゆっくりにしたり、時々指で突っつく程度の動きに変えてみる。

「きゅふっ! ふっ……くふふふふふふふっっ……! くすぐったきぇひっひひひひぃ……! くすぐったいだけ、ですわ……!」

 つんつんつんと私がわき腹を刺激するたびに、熊野の声が小さく震える。熊野は腕を閉じて顔を隠すように下へと向けて、身を守るように全体的に縮こまっていく。その行為はわき腹を突っつく手の障害にはなりもしていない。

「ふーん。聞いた話じゃ、くすぐったがり屋な子は感じやすいらしいからぁ……やっぱ熊野ってえろいじゃん」

「……っ!? で、ではっ、ぁぁふ……! わたくし、いっっ! く、くすぐったくなど、ぉふ……ありませっっ、んあはっ!」

 反骨心を弱弱しくも見せてきた熊野。お嬢様としての気品の高さがプライドに直結しているのだろうか、あくまでも自分がエロいと言われるのが心外なんだろう。それとも私に似て負けず嫌いなのかな。

「わたきゃはっ! はっっふぅぅぅぅうふっ……! えろくなどぉぉ……! いぃぃいやらしくなどほひゃんっ!? ひゃっ……きゃんっ! んやあぁぁぁぁ……!」

「あぁ、わかったわかった。えろくない、熊野はえろくないよーさっきのは冗談だよー」

 何にせよ熊野は、この手の話題をあまり好ましく思っていないようだということが分かった。今後の会話のため、参考資料にしておこう。それと、あんまりやりすぎても良くないし、そろそろ止めてやることにして手を熊野の体からゆっくりと離した。


472 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:33:49 M1.bzlrY0
「……ふぅ、楽しかった。笑った声もかわいいじゃん熊野」

 お仕置きっていっても、別にそんなきつくしてやるほど怒っていたわけではない。親睦を深めるための、スキンシップの一環としてくすぐっただけだ。もちろん重いと言ったことには個人的に反省してもらいたい点だけどさ。

「こんなもので言われても、うれしく、ありませんわ……」

「ホントホント。かわいいかわいい。こんなにかわいい妹がいて私は満足だよ。そんなかわいい妹の声を独り占めできたんだから、何かお返しを考えてあげなきゃいけないねぇ」

 顔を伏せたまま息継ぎをする熊野の体から退いて、ベッド上で隣にあぐらをかきながら軽口を叩いてみる。これの応答次第で、熊野と仲良くなれたのかどうかを測ってみよう。

「お返し、ですか?」

「うん、何でも言っていいよ。あー、でもなるべく財布に優しいものだと助かるかなぁ」

「そうですか……では!」

――ガバッ!

「え?」

 一瞬、何が起こったのかが分からなかった。

「今、お返ししてくださいな」

 が、背中に伝わる柔らかい感触とボフって音がしたこと。そして仰向けになった私が熊野の笑顔を視覚で捉えたことでやっと察した。

 起き上がった熊野が、馬乗りになって押し倒した私を見下ろしているということを。

「え、えーとさ、熊野?」

「なんですの?」

「お返しって言っても、そんな両手の使えない状態でどうすんのさ?」

 熊野は両手で私の両腕を掴んで離さない。体と両手を使ってベッドに押さえつける形で私を拘束しているけれど、くすぐられた仕返しをするというのならばどちらかの手をフリーにしなければならないのではなかろーか? 今の私に何かをしろと言われても、手が使えないんじゃどうしようもないわけで。

「それも、そうですわね。ですが、どちらかの手を離した隙に鈴谷が何をしでかすかわかったものではありません。いわば、千日手ですわ」

 よくわかんないけど、手詰まりって解釈でいいのかな?

「いや仮に離したとしても、もうくすぐったりしないって。うん、私もちょっとやりすぎたとこあったかもしんないって思っ――」

「……鈴谷、ちょっと目を閉じてくれませんか?」

「――たし……って、え?」

 私の言葉を遮るように熊野は言った。

「目ぇ閉じろって……」

 え、何? 何すんの? ナニしちゃうの?

意図が読み取れなくて私は思わず熊野の顔に目を向ける。なんで閉じないといけないの? 

「…………」

 でも熊野は何も言わない。真剣な表情でじっと私の瞳を見つめ続けている。

「ぅ…………」

 つられて私も口をつぐんでしまう。てゆーか顔が近い、近い、マジで。こんな風に見つめあってると……なんていうかマジでキスする五秒前的なムードじゃん。

 って……え、キス? キスでお返ししろっての?


473 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:34:19 M1.bzlrY0
「…………」

 改めて熊野の顔を見る。うん、一点の曇りもない表情。変わらない。体ごと顔を私に寄せて来てる。吐息のかかる距離になった。

 マジ……? 熊野、ガチなの? 女の子同士なうえに姉妹でキス? ちょ、レベル高くない? お嬢様って生き物はこんなにも異次元なの? てゆーか私、ファーストキスの相手が……熊野ってことになるの? 

 変な緊張感で自分の思考回路がどんどん変な方向になっていってる気がする。そんでもって熊野の目が語ってる。早く目を閉じろって。

「……わかった」

 つい、ムードに飲まれて合意してしまった。けど、これでお返しになるのならば、姉としてその意思を汲んでやらねばなるまい。仲が深まるのならやってやろうじゃん、キス。

「…………」

 少しだけ心臓の音が大きくなってる気がする。どっくんどっくん、とまではいかないけれど、トクントクン。うひゃー、緊張するなぁ。女の子同士でドキドキ感じちゃうとか思ってもなかったわー漫画だけの話だと思ってたわー……

目を閉じて、唇に意識を集中させて、私は待ち構える。

 が、

「ふーっ……!」

「っっきゃあ!?」

――ゾクゾクゾクゾクゾクゾクッ!

 体が急に覚醒したようにピンと跳ねた。耳の奥底に何かを注ぎ込まれる感覚に、思わず目を見開いてしまうと同時に全身がびくついた。

「なにすんのさ!?」

「耳、弱いんですの?」

「ぇ、あ……耳?」

「この動揺っぷり、その通りと捉えてよさそうですわね」

 言われて私が何をされたのかを思い出した。なるほど、今のは耳に息をふーってやっただけなのかぁ……って!

「キスは?」

「は?」

「いや、だから熊野、そのつもりじゃ……なかった、の?」

 何言ってんだこいつ、という顔の熊野。それを見て、私はよっぽどトンチンカンなことを尋ねてしまったことに気づいて耳まで真っ赤になってしまう。

「なっっ! 何を馬鹿なことを想像していらしたんですの!? き、きききききききききき……接吻などと!」

 そちらも赤面しながら、わざわざちゃんとした言い方に熊野は直した。ふーむ、どうやらその気があったわけじゃないのね。ちょっと安心。

「と、とにかく!」

 誤魔化すようにわざとらしく大きめの声を発した熊野が、再び私の耳への攻撃を再開しようとする。腕をがっしりと掴まれたままなため、私は逃げることも叶わない。

「ちょ、熊野! や、はふあぁぁぁぁぁっ!?」

 耳の産毛どころか全身が総毛立つようなくすぐったさを、再び息による刺激で与えられた。


474 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:34:42 M1.bzlrY0
 ふーっ、ふーっ、ふーっ、と何度も何度も熊野は、熱を持った私の耳を冷ますように息を吹きかけ続ける。

「ひゃっ!? ひゃわぁあんっ!!」

 まるで細長い槍のような鋭さを持った息。

「きゃひっ……ひひひいぃぃぃんんっっ……!!」

 首を動かして円やらせんを描くようにゆっくりと進んでいく息。

「ぁんっっああぁぁっ! ぁふっ……!!」

 内部から広がって耳全体を優しく包み込むような息。

 これらのいずれも、私の全身から力を抜けさせるには十分すぎる破壊力があった。ぞわっとした感覚で頭の中を支配する熊野の息遣いに、思わず耳を押さえるべく腕を上げようと暴れたり、伸ばした足を折りたたんで熊野の背中に膝を何度も当てるが、

「あっあぁぁぁぁ!! あうっ……ぅひゃあああぁぁぁっ!?」

 それを抵抗と受け取ったのか、熊野は息を吹きかける行為をさらに激しくする。私の腕をベッドに押し込む力も、お腹あたりにかける体重も一切緩めてはくれなかった。

「ん、すぅぅ……」

「ひっ……!?」

 息継ぎで小さく息を吸い込む音を耳にすると、私は身震えした。腕を上げられない以上、避けるしかないと思い、今度は息を吹きかけられる瞬間に、すかさず首を動かして頭を転がした。

 しかし結果として右耳が姿を見せてしまう形となり、

「ふ、にゃあぁぁぁ!?」

 間髪入れずに、右耳に息を吹きかけられたことで間抜けな声を漏らしてしまった。

「ぁ……! くぅぅぅぅ……ぅ、うひゃあっ……!」

「ふー……まだ、ふー……終わりでは、ふー……ありま、せんわ、ふー……」

「ひゃっ! ひひゃっ……! ゃ、はぅぅ……ちかりゃ……ぁ、はいらなっ……ぅふっ!」

 何度、私は息を吹きかけられたのだろう。熊野が息を吹きかけるのを止めて顔を上げ私の腕から手を離しても、腕を持ち上げる気力が私にはすっかり無くなっていた。

「ふふふ。鈴谷も、なかなかに可愛らしい声ではありませんか。さて、そろそろ私がされたのと同じことを――」

 このままじゃ熊野のターンは終わりそうもない。どうやらこのお嬢様、遠慮ってものを知らないらしい。ちょっぴりサディスティックな表情で、ワキワキと両手を私の体に熊野は近づけてきた。やられたのが耳だけとはいえ、今の疲弊しきった状態でくすぐられるなんて考えたくもない!

「――はぁ、はぁ……! く、ふ……う、うぅぅぅぅぅりゃああぁぁぁ!!」

 そのため私はその手が届く前に、最後の力を振り絞って畳んだ足で思いっきりベッドを踏みつけ、トランポリンの要領で反動を使って横に体を転がして、熊野を引き剥がしにかかった。

「して……きゃっ!?」

 熊野の小さな悲鳴がすぐ隣で聞こえた。

見ると、バランスを崩した熊野が仰向けで倒れている。

「……ぅ、一体、なに、が?」

 突然の出来事に驚いているのだろう。私はすぐさま跳ね起き、このチャンスを逃すことなく熊野の上に再び跨った。さっきまでの位置関係を逆転させることに成功した。やったぜ。

「はぁ……はぁ……よくも、よくもやってくれたじゃん」

「なっ!? す、鈴谷……?」


475 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:35:20 M1.bzlrY0
「いいお返しだったよ、うん。私からも……お返しのお返しをしてあげなくっちゃね!」

「け、結構ですわ! だいたい、事の始まりは鈴谷のせいで……って! どこに手を突っ込んでいるんですの!? や、やめっ! やめっっあんひゃあああああああああっ!?」

 怒りが有頂天に達してきている私は、熊野の服の裾を捲り上げてその中に両手を突っ込んで、指の腹を使い腰の感触を楽しむようにさすり始めた。そして時々摘むような動きも混ぜてみる。

「ひゃっひゃあっああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……! ぐっ、ぎゅふっふふふふっふふふふふぅぅ……ふひゃっ!? ひゃひっ、ひいっ!! ひっひひひひいぃぃ!!」

 変な情けをかけてもさっきみたいに仕返しをされるだけだ。反撃する意思も生まれないほどに屈服させてやるしかない。

「ひぃぃぃぃっ!! っふ! ふっふふふふふふふふぅぅぅぅぅ……うああああっ!! ははっふふああぁぁぁぁっ!! あっはははふふぁぁぁっ!! ぁはっ! はっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあ!!」

 体を揺らし、足をばたつかして熊野が暴れている。引き離されないよう注意しないと。

「ほーう、すべすべじゃーん!」

 熊野の素肌は触り心地がとてもよかった。さっすがお嬢様なだけあって体のケアは完璧なんだろう。でも、他の場所はどうなのかな?

 より熊野の体の上方へと手を届かせようと、私は前傾した。

「ひっひひひひひひひひ!! ひはっ!! はっははははぁぁぁ……あぁぁぁっはひん!?」

 細い腰の感触を味わった後にわき腹をナデナデしていた手がゆっくりと上方へ進行し、熱と汗を帯びた腋の下に先っぽがちょんと触れた。

「そ、そんな場所なんぇええへへぇ!? いっっ……! いいぃぃいやっやははははっははははははははははははぁっ!! やみぇなさひっひひぃぃぃあぁぁぁはひゃっひゃひゃははははははははははははぁぁぁぁぁ!!」

 その瞬間非難が飛んでくるが、そんなの関係ねぇとばかりに腋へ指を滑らせまくると、熊野は盛大に噴き出した。

「あああぁぁぁぁあっ!! かはっ! はははははぁっ! くっくくくくぅぅぅぅうああぁぁっふふふふふふふふふ!! ふっっ、ふぅぅぃいいい加減にしぁふはっはっははっ! はあぁぁっはひゃはははははひゃはぃひぎぃぃぃいやあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 今までで一番効いてるような気がする。よーし、続行続行続行!

 汗で濡れているのもあって腋の下は指で触るとすべすべだけど、いい感じに爪が引っかかる時がある。この微妙な違いが更なる反応を引き出せているのだと実感した私は、もっとそこを苛めてやろうと考えた。

「ほーれほれ、ど〜したどうしたぁ?」

 さらに前傾。

「ひゃあああぁっ!! ああぁっっひゃっひゃひゃひゃひゃ!! はぁぁあはっははははははははははひぃぃいっ!!」

「こちょこちょこちょこちょ〜」

 もっと前傾。

「も、もうっ! もうやっはあぁはははははははははははははぁ!!」

「ええのんか? ここがええのん――」

 突如、

「――くぁふっ!?」

太ももをひと撫でされたような感覚。私は思わず悲鳴を上げてしまった。

「な、なっ、きゅふっふふふふふぅ……! なん、でくすぐったひひぃっ!?」

 続いて訪れた、太ももを撫でまわされる感覚。その正体を掴もうと、手を動かしながらきょろきょろと首を動かしてみたが、私と熊野以外は誰もいない。

「ひゃひゃっ!? はひゃ、ふっふふふふふ……! くっ……く、くくくくぅぅぅぅ……! ぅあ、熊野ぉ!」

 となると犯人はただ一人、熊野しかいない。その証拠に熊野が、フリルのついた丈の短いスカートの中に手を侵入させていたのだ。

「ゆぁっあはっはははははははぁぁ!! ゆだっはあぁいいいぃっひひひひひぃぃぃ! 油断、大敵ですわぁぁあっははははははははっ!!」

 おそらく体がかなり傾いていたことで、熊野の手の辺りが死角になってしまい、気付かなかった私は見事に足元をすくわれたのだろう。

「ひゃんっ!? へっっへんなとこ触らなひっひひひぁぁぁぁっ!! んにゃはっはっはっはっはひゃっひゃひゃひゃひゃあああああああ!!」

 お尻や脚の付け根といった所も撫でられてしまい力が抜け、おかげで少しだけ私の手の動きも緩慢になってしまう。

「そほっほほほほほほぉぉ!! そっちこそやめっひひひあぁぁっははははははははぁ!!」

「やへっへはぁっ!! やっはははあぁふふふぅぅ……!! やめ、ないぃぃぃぃぃぃ!!」


476 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:36:31 M1.bzlrY0
 熊野の手を払い除けたい衝動に駆られるが、攻撃に使う手を減らすという選択肢を、あえて私は取らなかった。

「はきゃっ!! きゃっきぃぃいいぃあぁあぁぁぁっはははははっはぁぁぁぁぁあっはははははははは!!」

 私が熊野の服の中に手を突っ込んだまま、熊野が私のスカートの中に手を突っ込んだまま、膠着状態。お互いにくすぐり合うことを止めず、その強さや動きの激しさは時間と共に増すばかりだ。

「はぁぁああっ! すずぅぅあ、鈴谷っあぁはっ!! は、くくっ……! わたくしからぁぁ!! てひっ提案がっっふっ、ふふふふふふ……!!」

 数分続いた膠着状態に一石を投じたのは、熊野の言葉だ。

「てえぇへっへへへへへぇ!! ていあはっははははぁあぁぁっ!! っっはっははははははははぁっ!?」

「おたぎゃひにぃぃっひひひひひぃぃぃ!! いちぃぃひ、にのぉさんんんぁっはぁぁあっははははぁぁぁ!!」

「わかんなひぃぃぃぃぃ!! わきゃんなひってぇえええええええっ!! ぃぃいいぃぃぃあぁああああぁぁっはははははははははぁぁ!!」

 私の指が腋の下の窪みをなぞると、熊野が何を言ってるのかがわからなくなった。こちらもこちらで、太ももを揉み揉みサワサワされているから聞きとるのに集中ができない。

 だからといって手の動きを緩めて話をしようなんてわけにもいかなくて、くすぐったさにお互い耐え続け、何度も熊野は何かを言おうとして叫び、私はそれを聞こうとする。

 しばらくすると熊野の言いたいことがようやっと理解できた。イチ・ニ・サンの合図で、お互いに体から手を止めようということらしい。

 なるほど、このまま不毛な争いを繰り広げていても苦しみが続くだけ。となればこの提案を飲むのはやぶさかではないかもしれない。

「で、でぇぇええあぁっへへへへへぇええっ!! いちっひひっひひひひひひぃぃぃぃ!!」

「にぃいぃぃひひひひひひひひ……!! ひひぃいああああぁっ!! あっはははははははっあああああああああああぁ!!」

「さんんんんっっ……!! ぷぷっ! ふゅ、ふふふふふふ……!! ふぅぅぅうああ……!!」

 まるで示し合わせたように、熊野がイチ、私が二、熊野がサンと交互に合図を飛ばしあった。このような状況ではあるものの、私は姉妹の絆のようなものを一瞬感じ取れたような気がする。

「あ、あぁぁぁあああはっはははははははははぁ!? あああああぁ……! はにゃっ、離すって言っふきゃあああああああ!!」

「しゅずやはっははははははははっ!! すゅずっ、鈴谷こそぉぉ!!」

 が、残念ながらそれは気のせいだったようだ。もし絆があったのならば、相手が止めるのを信じてくすぐるのをやめていたに違いないだろう。合図の後もお互いの体からは手は離れておらず、私も熊野も笑い悶えている。私はサンで手の動きをちょっと緩めていたのに、熊野は止めてくれなかった。

「はぁううぅぅううっ!? く、熊野、どっっどこ揉んんんんあっはははははははははははははははははははっ!! そ、そんなとこっ! そこはだえぇっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃあぁぁぁぁぁ!!」

 太ももを揉んでいた熊野の指が、今度は脚の付け根に食い込んで離れてくれない。

親指でぐにぐにと力強く揉み込まれ続け、ツボに入ってしまったのかくすぐったさを堪え切れず腰が抜けて倒れ込み、大きくはないが良い感じに柔らかい熊野の胸へと私は顔をうずめる形となった。

「ん、んんんんぅぅぅぅぅうあっははぁ!! 重っほっほほほほほほほほぉ!! おもいぃぃぃいひひひひいいっ!?」

「まはっはひゃはははははぁぁぁ!! また重いっていぃぃいっっはっははははははぁぁぁ!! あっああああぁぁぁぁああひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」

 それでも熊野が手を止めない以上、私も手を止める道理はない。やや窮屈な姿勢で手を伸ばし続け、とにかく無我夢中で全ての指を総動員して熊野の腋の下を弄り回す。

「ひっひひひひひひひひひひ!! ひひぃぃあああああっ!! くふぁっはははははははははははははっ!!」

熊野も熊野で無我夢中なんだろう。顔は見えないけれど、その必死さは指の動きに乗せて伝わってくる。体を左右に振って私の顔に胸を押しつけている。


477 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:36:56 M1.bzlrY0
「ひゃひゃっひゃひゃあぁぁぁぁ……!! あっあぁぁぁぁ……あふっ!! ふ……!! はふっ……ふぅ、ふぅ……!」

 でも、熊野の手の動きは段々緩慢になってきているようにも思える。考えられる理由は私がくすぐり続けているからってのもあるんだろうけど、体勢の問題から熊野は腕を伸ばし肘をベッドから浮かさないと私の足へ指を届かせられないからに違いない。腕に疲労が蓄積しているのか、熊野は時々私の足から手を下ろしてしまっている。つまり、今の状況は私にとって有利に働いてるといってもいい。

 余裕が出てきたこともあり指を腋の下で動かしながら、息継ぎのために肘を杖にして体を起こすと、手を入れた際に熊野の制服の裾を捲りあげたことを思い出した。

「うふっ……ふふふふぁぁぁあっははぁぁぁぁ……! はふぁ……! ちゃーんす……!」

 見ると熊野のお腹は露出しており、形のいいおへそも姿を現している。

 となればやることは一つだ、舐めるしかない。そんな考えに行きついた私は少しだけ体を下げ、熊野のお腹に顔をうずめ直し、着地した先のおへそにチロチロと舌を這わせる動きも追加した。

「っっ!? なっっなにをっ!! 何しゅふっ!? ふっふふふふふふぁああああああああッ!? あふぇっへへへへへへへへへえぇぇぇぇぇぇッ!?」

 熊野が反射的に身をよじったりお腹を引っ込めたりするが、顔を密着させているのでそれはほとんど回避にはなっていない。

「ひっ!? ひぃぃぃぃいいいいぃあぁぁああああッ!! なんで舐えっひひひひぃぃいいいいいいいいッ!!」

 唾液でベタベタに汚したりしないよう気を付けながら舐め続けていると、熊野の手が私の足から完全に剥がれ、ベッドを叩き始めた。効果は抜群だ。

「はっふふふああぁぁぁぁッ!! はきゃんっ!! きゃひっひひひひひひひひはははははははは!! はっっ!! っく……くくくくくひゃひゃひゃあ!! ぁぁぁあああああああッッ!!」

――ボスボスボスボスボス。

「けほけほ……ん、ぺろ……! ぺろ……! こちょ、こちょ……!」

 ちょっとだけ室内が埃っぽくなったけど、これで熊野をくすぐることに集中できるようになった。熊野の声が大きくなるにつれて、お腹の震えが私の顔面に伝わってくる。

「ぃあひぃぃいぃいいいいい!! くっくぅぅぅぅぅううう……!! ぅあっ!? きゃっっははははははははははははははっ!!」

 腋の下の感触を十分に堪能したので今度はわき腹あたりに手を移動させ、爪を立てて十本の指で無造作に引っかき回す。

「はっああぁぁぁぁぁぁぁぁ!? はひゃひゃああああああああああ!! くすぐったひ!! だ、めぇぇええっっへへへへへへへへへへへぇぇぇ!!」

 腋の下ばかりに意識が向いていたのだろう。急な変化で熊野の声は驚きの色を帯びているようにも感じられた。

「きっひっひひひひっひひぃぃぃぃぃぃ!! そこはぁぁぁぁぁぁ!! そこがまんできっはははははははははははははぁぁ!!」

 時には人差し指のみで、あばらの一番下を引っ掻いてみると、これもまた大きな反応を示してくれた。指の本数は少ないにも関わらずということは、ここも弱点なのかもしれない。舐めるのを一旦止めて顔を上げてみると、案の定熊野は首を左右に振って笑い悶えている。

「すずうぅぅぅああああああぁぁ!! も、うっっ止めっ……! め、えへぇああっ!! はっひゃひゃあああああああああぁぁぁぁ!!」

 コリっと音を立てるようにあばらを押し込んでみると、ベッドを叩いていた熊野の体が一瞬、弓状に跳ねた。それに伴い声のボリュームも大きくなり、私の名前を叫んでいるようにも聞こえた。

(そろそろ……まずい、かな〜? んー、どうなんだろう?)

 そろそろストップしてあげる潮時かもしれない。でも、もしかしたら手を止めた瞬間に反撃をしてくる可能性もあるのではないか、という不安がどうしても拭い切れなかった。なのでひとまずは、あばらに沿わすように人差し指の腹でなぞる動きに変えて様子をうかがってみる。


478 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:38:09 M1.bzlrY0
「あああぁぁぁは……! はっ、ぁふ……! ふ、ふふふふふふふふ……っっ……! はぁうっ!?」

 さっきまでの縦の動きと比べると我慢がきくのか、やや穏やかな笑い声を洩らしていた熊野。ところが突然口を真一文字にして、小さな悲鳴のような声を上げた。

「ん? 熊野、どしたん?」

 様子の変化に、思わず尋ねてみる。しかしプルプルと震えるばかりの熊野は、無言で弱弱しく首を動かし始めるだけで答えを返してくれない。

「ねぇ、熊野ってば〜」

「ひきゃっ!? あっ……! む、うぅぅぅぅぅぅぅ……! だ、だめっ! 今はっ! 今だけは手を止め……! はぅっ!! うぅぅぅ……今は、だめなん、ですのぉっ!」

 あばらを指先で軽く突っつきながら改めて尋ねると、さっきまでと様子が違う。くすぐったそうに震えている……ように見えるはずなんだけど、少しだけ違和感がある。

「すず、や……お願いで……いえ、一生のおねが……きゃはっ! はっ、ぁ……! も、もうっげんかぃぃぃぃ……!」

「うわわっ!?」

 一瞬可愛らしい笑い声を出したかと思えば、熊野が上半身をちょっとだけ起こして私と目線を合わせた。頭がぶつかりそうになった。どこにこんな力が残っていたのさ!?

「げんかい、ですわ……! お退きに、なって、くださ……ぃぃいっ!?」

 私が指を動かしていない、すなわち熊野は何もされていないにも関わらず、目を見開いて体を一度痙攣させた。その直後、両手を伸ばして私の体を押してくる。

「え、ちょ……ま、まだ私とやり合おうっての!?」

 ふむ、どうやらまだ熊野は元気なようだ。なので慌てて両肩に置かれた熊野の手を払い、その体をベッドに倒した。

「ふぅ、危ない危ない……また反撃されるところだったよ。まさしく熊野の言う油断大敵ってやつだね!」

 そして私は、再び熊野の腋の下に手を差し込んでのくすぐりを再開した。

「ち、ちがっ! そうじゃなっ……! すずっ、はっっきゃあぁぁぁぁぁあああああっ!!」

 もう耳は貸さない。反撃の芽は摘むしかない。

 熊野を徹底的に脱力させるべく、こちょこちょと無遠慮に十本の指を腋の下で暴れまくらせる。

「ぎゃひっひひひひひひぃぃぃあああぁぁぁぁぁぁ!! ああぁぁぁぁぁああっはははははははははははは!!」

「い、痛っ!? 熊野、痛いってばっ!」

 熊野は盛大に噴き出しながらも大きく抵抗している。腕をむちゃくちゃに振り回して、私の体をぽかぽかと殴打し始める。あまり力は入っていないがちょっとだけ痛い。

「たたた……暴力的な妹には、こうだ!」

「ヒッ!? あ゛はっ!! はっあぁぁぁぁぁ!! 話を! 話を聞いはっはあぁぁぁぁぁっ!! あ゛あ゛あ゛あ゛はははははははははははは!! はがっがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


479 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:38:32 M1.bzlrY0
 腋の下に集中していた攻撃範囲を広げて、乱暴的かつ最大限に強い指の動きに変えた。腕の付け根に親指の爪が食い込んだり、人差し指と中指が腋の窪みを削るように、薬指と小指が胸の横を抉るように這いまわるといったような感じだ。そして、その手を激しく上下に動かして、くすぐる位置を限定させないことで熊野の体に慣れを作らせない。その証拠に、熊野の体がベッド上で陸に揚げられた魚のように激しく跳ねている。

「や゛め゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!! おねがっっお゛ね゛が゛い゛い゛い゛い゛い゛!! どいて! どいてくださぁぁぁあ゛はぁぁぁぁぁっあ゛ははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 けど、それでも熊野は抵抗を止めない。いやむしろ私が強くくすぐることでそれは激しくなっていく。熊野の背中に鬼気迫る何かを感じ取ったがその正体が何であるかわからない。

「もっっ、げん、かいぃぃぃぃぃ!! い゛!? ぃぃぃい゛ひはっ!! ははははっははははははははははは!! も゛れ゛っ、漏れちゃいそうなんですってばぁぁぁぁぁあっははははははははははははははあ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

「え、漏れ……? ん、んん……?」

 熊野がひと際大きく叫んだ後に、ほのかに香る何かが私の鼻腔を刺激した。

「あ゛っ、あ゛ぁぁぁぁ……! は、ふぁ……あ……あぁぁぁぁぁぁ……」

 熊野の声のトーンがさっきと微妙に違う。そしてなにやら嗅ぎ覚えのあるような匂いだったので、手を止めてその正体を確かめてみると、

「あ……」

 やってしまった。そう思った私は思わず熊野の顔を見た。

「すずやぁ……わ、わたくし……その……う、うぅ……」

 やってしまった。熊野も、もしかすればそう思っているのかもしれない。

「見ないで……見ないで、ください、まし……」

 端的に言うと、熊野は漏らしてしまったのだ。いわゆる、おしょんしょんを。

 赤くなった顔を隠すように手で覆っているのは、羞恥によるものだろう。お嬢様じゃなくても、たとえ姉妹の間柄であっても、失禁してしまった現場を見られてしまったのでは穴があったら入りたくもなってしまうわけで。

(やってしまった……)

 黄色い染みを形成したベッドシーツと、涙交じりの熊野の声。これらが調子に乗り過ぎた結果として目に見えて襲いかかり、私は頭が痛くなった。


480 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:38:52 M1.bzlrY0
△△△



「えーと、その……」

「聞きたくありません。鈴谷の馬鹿ぁ……」

 ひとまず私はすぐさま熊野を連れて部屋のバスルームに直行してシャワーを浴びさせた。熊野のために替えの下着や服を用意した後、私も汚れた服を着替え、染みのできたベッドシーツを処分しておいた。

 戻ってきた熊野は自分のベッドではなく私のベッドに腰掛けたのだが、泣き止んではいたもののいわゆる取り着く島が無いってやつで、私が何かを言おうとしても一蹴されてしまう。

「え、えーとさ、熊野?」

「…………」

「……その、ごめん。私も度が過ぎたというかエスカレートしすぎたっていうか、やりすぎたっていうか。何て言ったらいいんだろ……とにかく、ゴメン!」

「…………」

 頭を下げて謝罪の意を示そうとしても、何故だか口からは言い訳も一緒に出てしまう。妹をくすぐってお漏らしさせるとか、どう考えてもやり過ぎだった。これじゃあ仲良くなるどころか、かえって溝が深まってしまったようにしか思えない。どう考えても軽口を叩けるムードではなく、何を言っても熊野を傷つけてしまいそうな気がして、私は慎重に言葉を選んでいくしかない。

「あ、えと……そうだ。お腹、空かない?」

 時計を見ると、針が9時を示していた。熊野も晩御飯は数時間前に済ましているだろうし、私もお腹が空くには当分間があった。熊野からは返事がなかったけれど、それでも私は続ける。

「夜食にと思って、コンビニで買ってたサンドイッチがあるんだけどー……いる?」

 がさがさ、とベッドの上に置いていたコンビニ袋を漁って、黄色と白色がトレードマークな三角形を取り出して熊野に見せた。

「口に合うかどうかはわかんないけど、さ。タマゴサンド、私も好きなんだ」

 べつに物で釣ろうという魂胆ではないけれど、とにかく何をすれば熊野の気が晴れるのか、熊野がどうすれば機嫌を直してくれるのか、熊野がどうすれば私を許してくれるのか。わからないけれど、なんとかするしかないと思って、無反応を貫く熊野の傍にサンドイッチを置いた。

「…………」

「どう、かな……?」

 しばらくじっと見つめた後に熊野が手に取り、慣れない手つきでビニールを外して開封した。

「……美味しい」

 聞き逃してしまいそうなほどの小さな声ではあったが、熊野のその言葉を聞き私はほっと胸を撫で下ろした。

「よかった……」

「ええ。こんびに、とやらの食品も侮りがたいものですね」

「……いやー、嬉しいなぁ。コンビニの良さにとうとう熊野も気付いちゃったかぁ〜」

 段々と表情が綻んでくる熊野。そして無理矢理ながらではあるが軽口を叩く私。関係に一歩前進を感じたような気がした。

「……もっと食べたいですわ」

「え? あー……」

 が、サンドイッチは一個しかなかった。

「わかったよ。じゃあ買ってくるね、ダッシュで!」

 負い目もあるし、愛すべき妹の要望とあらば応えねばなるまい。

 私はすぐさまバビューンと部屋から出ようとドアに近づくが、

「お待ちなさい」

 熊野に後ろから呼びとめられた。

「え……?」

 足を止め、私は思わず振り返る。

「わ、わたくしも……」

 すると、

「わたくしも、一緒に、行きますわ……鈴谷」

 ベッドから立ち上がり、私の隣へと熊野がやってきた。

「う、うんっ! そうしよっか、熊野!」

 お互いに名前を呼び合い、そして外に出た。


481 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:39:09 M1.bzlrY0
「でも、なんで一緒に行こうって思ったの?」

 夜は少し冷えるから、二人して体が少し寄り添って歩いている。

「いけませんか?」

「ダメじゃないんだけど、その……熊野って私のことを嫌ってたんじゃないかなぁ、なんて」

「嫌う?」

「だって、これまで私に冷たかったし、さっきはとんだご無礼を働いちゃったし……」

「ぁう……思い出させないでくださいまし」

 熊野が顔を俯かせる。でもすぐに、「ですが……」と言葉を紡ぎ出して私に向き合う。

「嫌ってなど、おりません。それに謝るのはわたくしも同じですわ」

「え?」

「わたくしの姉である鈴谷がどのような素晴らしい方か。そんな期待を胸に抱いて着任早々挨拶をしてみれば……あまりにも予想外だったもので」

「あ……」

 言われて、私は熊野とのファーストコンタクトを思い出す。正直、黒歴史と言っていいほどのスベリっぷりだった。私だけテンション無駄に高くて、それに圧倒される熊野。チョベリグとかトゥギャザーとか言っちゃってたかも。

「今の鈴谷は最初の時ほどの痛々しさはありませんが……会うまでにわたくしの思い描いていた鈴谷像が粉々に砕け散り、そのショックでつい冷たく当たってしまい……意地になっていたのかもしれません」

「そうだったんだ……」

「今までも、鈴谷が仲を深めようと尽力していたことも、やや無理をしていたようにも感じていたことも、頭では分かっておりましたわ。まぁ、今日に関しては少しやり過ぎには感じましたが……」

「ご、ごめん……」

 今日のこと。つまり、くすぐり合いのことだよねぇ。思い出してみると度を過ぎてた。あの光景を誰かに見られていたり声を聞かれていたらと思うと、私は急に恥ずかしくなった。みっともない声を姉妹で響かせていたとか、実はデキているとか裸で抱き合っていたとか、あることないことが尾ひれどころか背びれ胸びれ、おまけに高級羽毛布団に高枝切りハサミがついて噂話のネタにされていたかもしれない。防音性の高い壁にマジで感謝。

「謝らないでくださいな。わたくしだって同じことをしたのですから。でも、これまでの私の行いが鈴谷の心を痛めてしまっていたのならば、わたくしの責任です。本当にごめんなさい、鈴谷」

「い、いいよいいよっ! 頭なんか下げなくていーから! 原因わかってホッとしたし、てゆーか全面的に私が悪いから頭下げるのはこっちの方で……あ、ほら! コンビニ着いたよ!」

 嫌われていたわけじゃない。その事実が嬉しかった。妙に照れくさくなって声のトーンが大きくなった。暗い夜を照らす人工的な光と見慣れた看板を見つけると、二人して足早に直進した。


△△△


「そんなに買うの!?」

 入って早々、目に映る物が全て新鮮なのか目をきらきらと輝かせた熊野が速攻で見つけると、どさどさと買い物カゴの中に何個もタマゴサンドを詰め込んでいく。私の言葉に対し、「それが何か?」とでも言うような表情を熊野は作る。

「いやお金払うの私だし、賞味期限とか色々ぉ……」

「気に入ったんですもの。仕方がないではありませんか」

 熊野が微笑む。

「ん〜、まぁいっか」

 この笑顔のため。そう考えれば、安い出費だ。

 うん、決めた。今日はタマゴサンド記念日にしよう。毎年、この日はそれを祝うことにしようそうしよう。腹いっぱいタマゴサンドを仲良く二人で食べる。そんな日。

 部屋に戻ってからそれを提案したら、熊野がまた笑った。それは良い日ですわね、なのか、何を妙なことを、なのか。どっちの意味での笑顔なのかはわかんないけど、多分両方。

「ふふ」

 私には三人の姉妹がいる。

「何がおかしいのですか、鈴谷?」

 最上、三隈、熊野の三人だ。熊野は私と同じ日に生まれたから双子の妹みたいなもんだ。

「なんでもないよ、熊野。ただ……」

 熊野とはこの鎮守府に配属されてから初めて出会い、今日で一週間だ。

「ただ?」

 会ったことのない姉二人がどんな人達なのか。それはまだわからないけれど、

「楽しいね」

 熊野は、私の可愛い妹だ。

「そうですわね」

 私も、熊野も、いい笑顔だ。


482 : 鈴熊tickle :2014/12/24(水) 21:40:54 M1.bzlrY0
以上です。トリックじゃないよ


483 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/25(木) 04:15:17 D3eoULWc0
GJ


484 : くすぐり好きの名無しさん :2014/12/25(木) 05:46:27 xJCa1Zuo0
いちゃいちゃ感、素晴らしいね


485 : 146 :2014/12/31(水) 00:11:05 bCV5zoKo0
こいフラ読みたいって言ってくれた方、嬉しくて書いちゃったじゃないかどうするんだ(歓喜)
2つめなのでクリスマス過ぎてるのは許してね。






「あー!!ちょっとこいし!!そのケーキ私が食べようと思ったのに!!」

「早い者勝ちよ。これ作ってるケーキ屋さん、ただでさえ人気ですぐ売り切れちゃうんだから、こういう時に貰っとかないと」

「こいし、あなたさっきも食べてたじゃない。フランさんに譲ったら?」


幻想郷に本格的なクリスマスが訪れるとしたら、紅魔館くらいだろう。
吸血鬼がクリスマスを祝うというのも奇妙な話だが、賑やかであればお構いなしのレミリアにとって、
クリスマスとはただの宴会と同値らしい。
今年はフランとこいしのよしみで、さとりもこいし、お燐とお空も招いて、
クリスマスイブとクリスマスで、1泊2日の大掛かりなパーティのようだ。
ペット2人は遊びに行ってしまったが。


「さとり、気にしないで大丈夫よ。全く、ほら、フラン、私のあげるから」

「わあー、ありがとうお姉様!!」

「咲夜、まだケーキもう1ホール残ってるでしょ。私の持ってきて」

「残念ながら、先ほどお嬢様がパチュリー様たちに差し上げてしまったのでもう残ってません」

「」


口に運んだティーカップから紅茶がこぼれ、レミリアの薄い赤のドレスに染みを作る。
『お一人様1ホールまで』と書かれた張り紙の張られた人里で人気のケーキ屋。
咲夜とレミリアで買いに行ったので2ホール買えたわけだが、
それもパチュリーと小悪魔含めて7人で、しかも別室のパチュリーと小悪魔にはまるまる1ホール分けたわけだ。
5人で8切れのケーキを食べたらすぐになくなるのは火を見るより明らかである。


「…お姉様、やっぱり食べる?」

「い、いいのよフラン、あなたが食べて…」


どうやら自分よりも妹を選んだようだ。
妹を大切にする幻想郷の姉たちの鑑。


「さとり様、お部屋の準備が整いました。
お休みになられるときは2階に上がってすぐの部屋をお使いくださいませ」

「あら、咲夜さん、ありがとうございます。
私はちょっと疲れてしまったので、休ませてもらおうかしら」

「あふぇ、おふぇえふぁんふぉうふぇふぁうふぉ?(あれ、お姉ちゃんもう寝ちゃうの?)」


ふらふらと揺れながら咲夜に教えられた部屋へ向かうさとり。
妖怪とはいえ、そのすべてが夜行性というわけではない。
吸血鬼や夜雀のようなもともと夜に行動するような妖怪はまだしも、
そもそも昼と夜の区別が時間でしかわからなかった地底の妖怪たちにとっては、
昼に起きて夜には寝るもの、そういう感覚でしかない。
ましてや引きこもりに近い生活のさとりが地底から地上まで出てきたのだ、その疲労は相当の物だろう。
つまるところ、昼でも夜でもお構いなしのこいしと、
地下室幽閉のせいで生活リズムが逆転したフランが変わっているだけなのだ。


「お姉様、私も眠い…ふぁぁぁあぁ……」

「そろそろ日付も変わるしね…咲夜、今日はお開きにしましょ」

「かしこまりましたお嬢様。後片付けはこちらで済ませますので…」

「たまには手伝うわよ。咲夜にいつも任せてちゃ悪いもの」


その性格と姿からは想像もできない親切さを見せるレミリア。
どうやら客を前にしていいところを見せようとしているらしい。
そのドレスにこぼした紅茶の跡が広がっていなければカリスマ溢れる紅魔館主である。


「じゃあ、私寝るね…おやすみなさい、お姉様…」

「ええ、おやすみ、フラn…あれ、こいしは?」

「さとり様とご一緒に部屋へ行ったのでは?」

「つい今までそこに座ってた気もするけどねえ…」


この後の展開が読めているのか、あきれた表情を浮かべるレミリア。
もっとも大した害悪にはならないので、それをどうにかしようとも思わなかったが。
その後こいしはレミリアの想像通りの場所に現れることになる。


486 : 146 :2014/12/31(水) 00:11:22 bCV5zoKo0
「んんーっ……疲れたー……」


今朝起きたままにベッドへと身を投げるフラン。
久々にはしゃいで疲れ切ったのか、そのまま石像のように動かない。
しばらくしてむっくりと体を起こすと、見慣れた少女の姿。


「あ、生きてた」

「疲れたくらいじゃ死なないわよ」

「それもそうね」


ベッドの上でごろごろしているフランの隣に腰掛けるこいし。
それを見てフランはちょっぴり不機嫌な顔をする。


「お姉さんと一緒に寝たらどうなの?」

「今頃お燐とお空にかまってるから、今行ったって面白くないもん」

「はぁ…」


実際のところ、疲れているのもあるがこいしにうんざりしているという理由も大きい。
そのせいか、普段のこいしへの態度はどこへ行ったのか、ため息をつくなりそっぽを向いてしまう。
だがわざわざ地下室まで来たこいしがそれを許すはずもない。
フランの後ろから覆いかぶさるように寝転がり、語りかける。


「ねえ、いいじゃない。せっかく久々に二人っきりなのよ?」

「久々って言えば久々だけどさ…せめて明日にしてくれない?」

「明日、ねえ…」


30秒ほどの沈黙。たった30秒といっても、2人きりでの無言の30秒というのはかなり長く感じるものだ。
しばらくして、こいしが口を開く。


「…明日になったわ」

「は?」

「時計を見ればわかるわよ」


枕元の時計へ視線を向けるフラン。
そこにあった小型の時計は12:00をたった今過ぎたところを指していた。


「こいし、あなたねえ……」

「明日って言ったのはフランちゃんよ?」

「ちょっとは常識を考えたらどうよ」

「始めて地上に出たときに緑髪の巫女さんが『この幻想郷で常識に囚われてはいけないのですね!!』
って言ってたって、紅白の巫女と白黒の魔法使いから聞いたわ」

「…あいつら…」


しょうがないのでこいしを説得するために振り向こうとするが、
後ろから抱き付かれた状態では羽根が邪魔でうまく動けない。


「どうしたのフランちゃん、もぞもぞして?」

「こいし、あんたが期待してるようなことじゃないわよ。ちょっと離して」

「やだ」

「なんで…ふぁうぅっっ!!?!!?」


突然声を上げるフラン。その脇腹にはこいしの指が食い込み、もぞもぞと蠢いている。


「あっ…ちょっ…と、フラ、ンんんふふふっっ!!…や、ぁっ、やめっ…!!」

「疲れてるって言ってたからマッサージしてあげてるだけよ?」

「マッさああっ……!!…こいっ、これ思いっきひゃひゃはははっ!?
もまにゃっ……くぅううふふふ………!!」


487 : 146 :2014/12/31(水) 00:11:34 bCV5zoKo0
こいしはマッサージと言っているが、その手の動きはどうみてもマッサージではなく、
くすぐったさを与えることを目的とした動きだ。
身を捩ってこいしの手から逃げようとするものの、その緩い拘束と異形の翼が邪魔になってほとんど動けず、
深く食い込んだこいしの指は脇腹を捉えきっており、結果的に何の抵抗にもならない。


「だってフランちゃんってこちょこちょされると気持ちよくなっちゃうんでしょ?
疲れてるなら気持ちよくなってもらわないと」

「うふっ、ふひひひっ……!!それっ、そういう意味の気持ちよくなる、じゃうぅんっ!!」

「ふーん、じゃあ別の意味で気持ちよくなることは認めるのね」

「しょうゆうっ…!!ことじゃ、ないって……っくくくっ…!」

「醤油?琴じゃない?吸血鬼なのにだいぶ和風のものに興味があるのね」


フランの反論をさらっと受け流したこいしは、何の前触れもなく右手をフランのスカートの中へ入れ、
下着の上から割れ目をすうっっとなぞりあげる。
もちろんもう左手はまだ脇腹から離れようとはしない。


「あっ…んふぅうっ……ひひゃんっ…!!な、なにすっはははははっ…!!」

「んー、さすがにまだ濡れてないか」

「濡れっ…!?あ、ちょっ、こいっしいいっ…!!!そりぇへっへへははははっっ!!!」


こいしが右手をスカートから引き抜き、閉じられた脇の下へ無理やりねじ込むと、
フランの反応が笑いをこらえるようなものから一転する。
戦闘で言えば服や鎧を貫通して弾が飛んでくるようなものだ、突然の刺激に驚いてもおかしくはない。


「あうぅっふはははっははははは!!こいっ、こいひいいっひふふふふふ!!!」

「ほれほれーー、もっと感じちゃえーー」

「んにいぃっ!?ひふっ、ふはははははっっ!!もうっ、やめなさっはははははは!!」

「んー?今日は脇が弱いのかな、フランちゃーん?」


弱点はその日のコンディションでころころ変わるようなものではないが、
フランを含め、人間であっても妖怪であっても脇の下は普通弱点だ。
ただこいしによって開発済みのフランの場合、その事情は少し違っていた。


「ふっうんんああっははははは!!!うひぃっんははははっ…んん…!!
くすぐったっ…ああっははははははっあああんんっっ!!」

「ふふふ、なんか変な声が混ざっちゃってるよ、フランちゃん?感じてきちゃった?」

「そっ、んなあっ…!!ふひっ、ちっぎゃあああっはははははははは!!!
もうやっらああああっはっはっははははははは!!!!」

「そうなんだ…ふーん…」


今度はこいしがちょっと不機嫌そうに顔をしかめる。
どうやらフランを笑わせたいのではなく、気持ちよくさせたいらしい。
脇腹や脇から手を離し、服の中へ手を滑り込ませ、
その柔らかいお腹やお世辞にも普乳とは言えない発達途中の胸をさわさわとくすぐり始める。
だが乳首や臍といった特に敏感な部分には触れない。


「はっ…ああぅ……こぃ…し、ぃ……ふあぁあっ……きゃっ…はぁ…んん……」

「あらあらあらー、フランちゃん、すっごいうっとりしちゃってるわよ?」

「だか、らああっ…!!そのっふふふふっっ…ゆっくりぃ…や、やめてってば…ぁあっ!!」

「やーだ、こっちのほうがフランちゃん可愛いもの」


指から力を抜いて爪先をさらさらと動かしてくすぐったり、
指先を揃えてすりすりと撫でまわしたり、
つつーっとなぞり上げるようにくすぐったりと、
さまざまな方法で動けないフランを責め続ける。


488 : 146 :2014/12/31(水) 00:11:48 bCV5zoKo0
「ひっひゃぁう……ば、かぁっはははっ…やっ…んんっふふふふっ!!?ふあっあ…」

「逃げたいなら逃げてもいいのよ?強くしてないんだから逃げられるでしょ、ふふふふふ……」

「こっの…あふっふははははっ!!ならやめっ、あっ…うああっはははははっ…!!」


逃げられるものなら逃げている。
しかしこいしの責めによってほとんど脱力しきっているフランにはその軽い拘束を抜け出せるほどの力もなく、
それどころかこいしに体を預けてしまっている。
これでは逃げるどころか逆効果だ。


「かわいい、かわいいよフランちゃん……ふうぅー……」

「んふああああぁぁぁぁぁ……こい、そ、それぇ…っははっ…いまは…ぁ、だ、め……」

「へえぇ…じゃあもっとやってあげないとね…ふうぅー……」

「ま、まってこいしいいああああぁぁぁ……や、め、だめぇええぇぇぇ……」


背後から耳へと息を吹きかけられ、フランの身体がふるふると震える。
そんなフランをこいしは愛おしそうに抱きしめ、その赤く染まった耳へと息を吹き続ける。
暖かいこいしの吐息はフランの力を奪い、集中力をなくし、理性を削っていく。
もちろん胸やお腹へのソフトなくすぐり責めは続けたままだ。


「ふふふ…フランちゃんの心も体も何もかも全部全部全部、とろっとろにしてあげる…
ほら、どこをこちょこちょされたいのかな、フランちゃん?」

「そっ…んなの、ない…んっふぁああぁ…あひっ!?ふははっ…あうふふっ……」

「嘘はだめだよ、フランちゃん?
(まだ堕ち切ってない……でも多分もうちょっとね)」

「ちが、うもん……あふぁ…ひはははっ……本当にいぃ…んうぅぁ……」

「ほんとにないのかしら?
本当は焦れったくてもっとしてほしいんじゃない?」


こいしが再びフランのスカートの中へと右手を滑り込ませ、
先程と同じく下着の上からすうっと割れ目をなぞりあげる。
しかしそこは先ほどと違い、ぬるっとした温かい液体で湿っていた。


「んんんっ……!!こいし、そこさわっちゃあぁ……」

「ふふふ、そうだよね、これ以上はもう触らない。
でも、それでよかったの?」


こいしは股間から手を離すが、そのままフランの内腿をカリカリサワサワとくすぐり始める
ただでさえ高まっているというのに、胸や内腿といった性感帯をさわさわと優しくくすぐられてはたまらない。
開発済みのフランならなおさらだ。
こうなってしまえばこいしがどれだけ激しくくすぐっても、
フランにくすぐったさと気持ちよさの両方が与えられることになる。


「ふふふふっ、こいしっ、だっめええっへへっはははははっ!!
やめ、それやめてっっはははははっはっははは!!」

「触らないでって言ったから触るのやめてあげたのに、ここもダメなの?
フランちゃんのわがままばっかりなんて、ずるい」

「わがまっっんははあははあははははははは!!!
あんたのっふふふふっ…!!ほうがぁあああっっ…!!」


じわじわと体を覆っていくくすぐったさに耐えられず、
こいしに抱かれたままもじもじと体を動かすフラン。
脚を閉じて内腿をくすぐるこいしに少しでも抵抗しようとするが、
そうしてしまうとつい耐え難い欲求に逆らえず、自分を慰めようと太腿を擦り合わせてしまう。
それをよしとしなかったこいしは、フランの両膝の間あたりに自分の片脚を割り込ませてしまった。
さらにもう片方の足でがっしりとしがみつき、フランが逃げられないようにしてしまう。
それでも今まで通りのくすぐり責めを続けるあたり、こいしはかなり器用なようだ。


489 : 146 :2014/12/31(水) 00:12:04 bCV5zoKo0
「だめだよ、フランちゃんだけいい思いしたら」

「ふあぅ…やあんんっっふふふふふふ…もうだめ、くすぐっふひいいっはははは!!」

「フランちゃんが冷たくしたんだから、お仕置きだよ」


フランが脚を無理やり開かされたことで、こいしへの抵抗は完全になくなり、
更に秘所を襲うもどかしさを慰めることも出来ない。
耐えきれずにそっと手を伸ばそうにも、最後の最後まで残ったフランのプライドがそれを許さない。
それをしてしまえば、こいしにくすぐられて発情してしまったことを認めることになってしまうから。


「ふふはっ…こ、んあぅ…も、もっやめっ……くふふふふふっ!!」

「フランちゃん、膝がごりごりされて痛いんだけど……」

「だってっへへへへっはははははっっ……!!む、むりむり、あうぁあああっっ…!!」


さわさわふわふわと優しくくすぐってフランにくすぐったさと気持ちよさを同時に与えるこいし。
しかしフランを絶頂に押し上げようとはせず、むしろその寸前で焦らし続ける。
こいしにとって、これは夜伽でありながらフランへのお仕置きでもあるからだ。
ただし気まぐれな性格のこいしのお仕置きは生半可なものではない。
今日はどうやら徹底的に焦らし続けるらしい。


「ねえ、フランちゃん?」

「んひゃふうぅっ!!?」


突然こいしに耳元に囁きかけられ、素っ頓狂な声を上げるフラン。
唇が耳たぶに触れるほどにまで近づかれての囁き声にはこいしの熱い吐息が伴い、
それがフランの顔を真っ赤に染め上げる。
それと同時にこいしが少しだけくすぐりの手を弱める。


「こうやって優しく甘々にくすぐられるの、どう?」

「んんぁっ……ふぅっ…ぁっ……べ、べつ、にぃ…ぃ……」

「ふうん…。それなら……」

「ふぁう…あっあっ……ふっひひひっ!?うはははははは!!?
ま、ひぇ、いやあっはっはっはっはははははは!!!」


今度はゆっくりと動かしていた指を早く動かし、無理やりにでもフランを笑わせようとする。
両手でフランの脇腹を突っつき回し、揉みしだき、脇腹の上で指を蜘蛛の足の如く蠢かせる。


「ふひゃっはっはっはっはっははははは!!!こいひっ、ひゃめええっへっへへへ!!」

「こうやって激しくされるほうが、いい?」

「あっはははははははは!!!うひいっ!!?ふっひゃははっはははははははは!!!!」

「かわいい……かわいいわ、フランちゃん…」


耳元でフランへ語りかけるこいしの表情は恍惚としており、もうフランを責め倒すことだけしか考えていないようだ。
けたたましい笑い声を上げるフランだが、それもこいしを更に夢中にさせる要因にしかならない。
その後こいしが再び手を緩めてフランに問いかける。


「さあ、どっちがよかった?くすぐったくされるのと、気持ちよくされるのと」

「んふふっ…はあぁ…は、はなして、よぉ…!!…ぅぅぁあ…っ…」

「あるいは、どこをくすぐってほしい、とかでもいいのよ?」


その言葉にフランがドキリと反応する。
今日、フランがこいしからほとんどくすぐられていないウィークポイント。それは脇の下である。
最初に少しはくすぐられたものの、途中からは全くと言ってくすぐられていない。
もしもそんなところをこいしにくすぐられたら…。
フランの背筋をゾクッとした何かが走り抜ける。


「…あ、えと…ふうっ…あぅあぁ……こ、こいしっ……」

「ふふふ、どこをこちょこちょしてほしいのかしら?」

「んんふふふっ……そのっははははははっ…!!そ、そっちはっ…っはははは!!」


490 : 146 :2014/12/31(水) 00:12:20 bCV5zoKo0
こいしの手が脇腹から動いていく。
脇腹を離れたあとあばらのあたりを突っつきながら上の方へと昇り始め、
胸の付け根の柔らかく敏感なところを激しめにこちょこちょとくすぐる。
ゆっくりと、しかし確実に近づいていくくすぐったさに、フランの心に焦燥感が生まれる。
しかし脇の下にたどり着く前に、あと2,3センチというところで手は止まってしまった。
しかしその敏感なところへの責めはフランを笑わせるのに十分なくすぐったさを生み出す。


「うふふっひひゃはははははっ!!んなああっ……こいっ、こいひいいっひっひっひひひ!!!
なん、なんでええっへっへへははははははは!!!」

「なんでって、フランちゃんがどうしてほしいか言ってくれないと何にもできないわ」

「んはあっはっはっはっははっはははははは!!!そんにゃ、の、いえなはああっはっはっはははは!!」


意地でも自分から求めようとはしないフラン。
これ以上激しくしても変わらないだろうし、弱くしたらそれは逆効果になってしまうだろう。
なんとかしてフランにおねだりさせたいこいしはとっておきの奥の手を使うことにする。


「ねえ、本当にいいの?」

「ひゃうっ…ふひいっ!?いにゃっはははははっ!?」

「見なくても分かるよ…フランちゃんのあそこ、もうとろとろでぐちゅぐちゅなんでしょ?」

「きゃははははっ!!?ぐふっふふふふ…ふはあっ!!!」


例え能力を捨てたとしても、覚りという妖怪に生まれたことに変わりはない。
他人の心が読めなくても、その心に漬け込むくらいのテクニックは心得ている。
なのでこいしは既に限界を迎えているフランの心に漬け込むことにしたのだ。


「このままだとずっともどかしくて、切なくて、くすぐったくて、苦しいままだよ?
弱いところくすぐられて、気持ちよくなりたくないの?楽にならなくていいの?」

「うひっひゃっはっはっはっははははははは!!こいし、わたし、わたしいいいっっっ!!!」

「せっかく二人っきりなんだから、全部私に任せればいいの。
ねえ、フランちゃん?私におねだり、してみて?」

「もう、もうううっふっふっふふふふふ!!ああっはっはっははははは、こいっひひっひっひひひゃはははは!」


このままいけばあと少しで堕ちるだろう。
そうすればあとはこいしの独壇場である。


「もう一回聞くよ?
フランちゃん、どこをどうしてほしいのかな?」

「ふはあっはっはっはははは!!わきぃ!!わきのしたああっはっはっはっは!!
わきのしたこちょこちょしてええっへへはははははははは!!!」

「……………ふふふ、ふふふふふふ…わかったわ、フランちゃん」


以外にも早めにこいしの手によって堕ちたフラン。
こいしにとっても想定外の早さだったようで少し間が開いたが、そんなことはどうでもいい。
抵抗する気がないのか、全く力の入っていないフランの脇の下へと両手をねじ込んでくすぐり始める。


「んあああああっはっはっはっははははははは!!っそれっ、それなのおおおぉぉぉおおっ!!
くすぐっふふふふあはははっははははははは!!!」

「そんなに嬉しそうな顔しちゃって…我慢しなくてもよかったのに」

「だ、だってえええっへっへっへっははははは!!
くしゅぐってにゃんていえにゃああっはっはっははははあははははは!!!」

「いつもやってるじゃない。
フランちゃんが何を言ったって驚かないわ」

「でもっでもおおっふふっひひひひひい!!ふくっくくくふっふっふふふ!!
はずかしっひっひひひひゃはははははは!!」


491 : 146 :2014/12/31(水) 00:12:38 bCV5zoKo0
軽く閉じられた脇の下によったしわをなぞるようにくすぐったり、
柔らかく敏感な皮膚に指を突き立ててプルプルと震わせたり、
こちょこちょと激しく引っかき回したりと、さまざまな方法でフランの脇の下をくすぐる。
フランとくすぐりっこを始めてから数か月。
経験も何度もあるが、フランはまだ自分からくすぐってほしいというのが恥ずかしいらしい。
こいしとしては前戯が楽しめるので構わないのだが、それでもどことなく腑に落ちないところがあるようだ。
そうこうしてるうちにフランの反応が少し変わってくる。


「んふっふふふふふふ!!こい、しいいっひひひひひひ!!
も、うちょっと、やさしくしてえっへへへへっはははははは!!」

「嫌よ。だってそうしたらフランちゃん、イッちゃうでしょ?」

「なんでええっへへははははは!!なんでよおおっほほはははははは!!
もうがまんできない、できないってばあっはっはははっはははは!!
きもちよくしてくれっへへへはははっひゃっひゃっひゃっははははは!!」

「あら、どこが気持ちいい、っては聞いたけど、気持ちよくするなんて言ってないわよ」


決して気持ちよくないわけではない。
しかし、こいしが思いっきりくすぐり過ぎているがために、
気持ちよさよりもくすぐったさの方が勝ってしまっている。
そう、こいしは最初からそのつもりだ。
これは冷たくされたことへのお仕置き。フランがおねだりしたところで、
それを叶えるかどうかはこいしの気まぐれですべて決まる。
ただ今回は不幸にも、こいしがしっかりと意思を持っていたようだ。


「いやああっはっはっはっはっははははっはははは!!
こいしいいいっひひひひひひ、あああっはっはっはっははははは!!
せめて、せめてあしだけええっへへへへ!!あしはなしてええっへへへはははは!」

「それもダメ。そんなことしたらフランちゃん自分でしちゃうでしょ」

「やだやだやだああっはっはっはっははははは!!
おねがいゆるひへえええっへっへははっはあははは!!」

「そうだなあ……」


さすがにこのまま続けるのもこいしのほうが疲れてしまう。
彼女も妖怪であって、疲れを知らない機械などではない。
自分が耐えられる限界の時間を模索し始める。
そして、こいしが出した答えは―――


「じゃあ、フランちゃんが感じすぎちゃってベッドにお漏らししたみたいに水たまり作ったら考えてあげるわ」

「ああああっはっはっはっはっはっはははははは!!!
そんなのやだああああはっはっはははははは!!」


こいしに言われたことを想像してしまい、フランの秘所から愛液が一気に溢れ出す。
ベッドに水たまり…いや、愛液だまりなんて作ってしまったらそれこそ恥ずかしくて外に出れない。
しかしフランの心の奥底に潜む、こいしの調教によって生み出された被虐願望がそれを望んでしまっている。


「もうやめれよおおっほははははははっはっはっははは!!
こいしいいっしひひひっっ!!んあああっ!!やっ、あああっはっはっはっははは!!」

「ふふふふふ……じれったくて、もどかしくて、切なくて、我慢できないでしょ?
もっともっとやってあげるから、おっきい水たまり、作ってね?」


にっこりと、しかしどことなくサディスティックな表情で笑うこいし。
数時間後、ベッドに広がったシミはどちらかというと
フランの悶える姿を見て発情したこいしのスカートの下あたりから主に広がっていたらしいが、
それはまた別のお話し。


492 : 146 :2014/12/31(水) 00:16:50 bCV5zoKo0
以上です。
初心忘れるべからず。初心と書いてこいフラと読む。
クルルどこ行ったとか言っちゃいけない。

最後に書く形になりましたが百合成分多め、いつも多いですがf/f嫌いの方はご注意を。
事後的な意味では焦らされたフランよりも発情したこいしのほうが気になります()


493 : 146 :2014/12/31(水) 14:06:59 bCV5zoKo0
残りが少ないので次スレ立てておきました。


494 : くすぐり好きの名無しさん :2015/01/01(木) 11:16:57 SUXH/xIQ0
>>493
乙です! あけましておめでとう! 今年もよろしく!


495 : くすぐり好きの名無しさん :2015/01/01(木) 18:32:29 FEvlQgUM0
焦らしとくすぐりのマッチがすばらしすぎる!
ありがとうございました!


496 : 146 :2015/01/02(金) 16:30:57 xSLIDB9I0
>>494
ありがとうございます。
今年もよろしくお願いしますですー。

>>495
こちらこそありがとうございますー。
あんまり焦らしくすぐり責めって見ないという…。


年始早々エルキットのロゼッタちゃんの顔グラアイコン描いてみたので
渋に投下してみました。
誰か画力よこせ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=47942145


497 : くすぐり好きの名無しさん :2015/01/05(月) 16:20:25 NXxoo9KY0
今まで好き勝手やってきたこいしがついに復讐されるといった感じのお話はまだですかね(期待)


498 : くすぐり好きの名無しさん :2015/03/28(土) 19:41:26 YiiyjIoM0
//jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11739/1420002374/

次スレはこちら
ついでに埋めますね


499 : くすぐり好きの名無しさん :2015/03/28(土) 19:41:38 YiiyjIoM0
次回も


500 : くすぐり好きの名無しさん :2015/03/28(土) 19:42:00 YiiyjIoM0
沢山のくすぐり小説が増えますように


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