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明治期〜WW2の日本軍がファンタジー世界に召喚されますた
1 名前:管理 ◆YXzbg2XOTI 投稿日:2005/05/21(土) 19:55:03 [ o3Sl/XQs ]
自衛隊ではない日本の軍隊のスレッドです。
議論・SS投下・雑談 ご自由に。

ハイテク兵器VS剣と魔法

戦国自衛隊のノリでいて新たなジャンルを開拓すべし
銃を手に、ファンタジー世界で生き残れ!

・sage推奨。 …必要ないけど。
・書きこむ前にリロードを。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。
・SS投下中の発言は控えめ。
・支援は15レスに1回くらい。
・嵐は徹底放置。
・以上を守らないものは…アク禁する場合があります。 嘘です。

本家スレ 37章
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1115249813/l50

2 名前:管理 ◆YXzbg2XOTI 投稿日:2005/05/21(土) 20:00:59 [ o3Sl/XQs ]
暫定ガイドライン(分家Ver.)

1.「明治期〜WW2のがファンタジー世界に」とあるように、あくまで「当事の日本」が主に関わる話であること。
2.当事の日本というからには、日本軍の組織・装備はあくまで実際に使われたもしくは、研究がなされており直後の時代に配備された・あるいは配備されたかもしれない物に限る。
3.核兵器などの当事の日本が配備するにはナンセンスなものは極力避ける。
4.あくまで「ファンタジー世界」の話であり、F世界側の設定は作者が自由に決めることが出来る。
  ただし、「超兵器・超魔法まんせー」な話にならぬよう気をつける。また、無敵キャラは作らないことが望ましい。
5.ファンタジー側の人間もきちんと描写する方が好ましい。日本軍主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
6.戦術、戦略としてありえないものを避ける。たとえば人間の徒歩部隊が一日に100kmすすむとか。
7.萌え・色気はあくまで表現手段であり、目的ではない。 安易に狙ったり、しつこく要求するのは流石にウザイので自粛すべき。
8.叩き・煽り・嵐は徹底放置。嵐認定を受けた後に、かまった者も同罪とする。
9.SS作者は、抽出がしやすいようにトリップ装着を推奨。
10.感想書き込む人も節度や口調を考えるべし。作品が気に食わないなら透明あぼーん汁


2補足.どうしても出したい兵器がある場合は納得できるような説明を説得力のある理由つけてハッタリかますこと。
7補足.どうしても萌えが主体でやりたい場合は萌え専用スレ立てておくのでそこでやる事。

3 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/05/21(土) 20:13:11 [ 6KnBHENQ ]
日本………………Victoria
その他F世界国家…EuropaUniversalisⅡ
な感じに成りそうだなぁ…
F世界国家が10万ぐらいの兵を集められるかどうか必死になってる横で
日本が動員令発動でいきなり20万位の兵を登場させることができるとか。そんな感じ

4 名前:管理 ◆YXzbg2XOTI 投稿日:2005/05/21(土) 20:16:04 [ o3Sl/XQs ]
テンプレなのだが。

ハイテク兵器VS剣と魔法

ではなく

ローテク兵器VS剣と魔法

にしておけばよかったかもしれない。

5 名前:本スレ291 投稿日:2005/05/21(土) 23:20:12 [ kHqoVL5Q ]
よっしゃ、なんか小ネタでも考えてみるか。

6 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/05/21(土) 23:44:00 [ dvblaFz6 ]
ttp://imperialarmy.hp.infoseek.co.jp/index.html
とりあえず、参考になりそうなサイト貼っておくよ。

旧軍かぁ。沿岸の敵要塞に砲撃を行なう大和以下戦艦群とか
無敵の強さを発揮するチハたんとか
ゲリラ戦でおお暴れする台湾先住民族部隊とか
夢が広がるなぁ

最大の懸念事項は、1910年以降、日本領に某半島があることか…

7 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/05/22(日) 10:39:39 [ QpzZoscY ]
日本=世界の縮図の考えでは半島は日本ではないのでOKでつ
たぶん一緒に召喚されないでしょう
台湾は日本に入ってるが♪

8 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/05/29(日) 04:28:17 [ ThjEVAQ6 ]
明治大帝に元老達、華族に名を変えてもまだ多く残る武士・・・・・ああ、チビりそうなほど燃える!
伯爵とかが日本側にも普通に出てくるしwwww

9 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/02(木) 01:22:29 [ 8SWZiXPg ]
>無敵の強さを発揮するチハたんとか
そんなのチハタンじゃないw

10 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/04(土) 09:10:54 [ 3ylZ17FI ]
同士>9、安心したまえ。
魔法弾とゴーレム投石隊の前に易々と敗れ去るから。

11 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/04(土) 18:42:56 [ AVawMjRU ]
元薩摩藩士による斬り込み抜刀隊が チェストー! の気合と共に吶喊。

重装歩兵の鎧さえも一刀両断する必殺の『薩摩示現流一の太刀』!

12 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/04(土) 18:48:32 [ AVawMjRU ]
>>6 >>7
いや、某半島もいっしょに召還された方が話が広がりやすいのでわ?

たとえば異世界の弱小国に対して侵略を始めるチョン。
逆に異世界の強大国にあっけなく破られると、簡単に日和見って手下に成り下がるチョン。

13 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/04(土) 22:25:02 [ dvblaFz6 ]
>>12
マジレスすると1910年以降は完全に日本領なのでかってに動けないし
それ以前には、そもそもまともな軍隊も存在していない。逆に異世界の国に侵略されかねん。
そして、それに対抗する為に半島に進出する日本軍。日清・日露戦争の再現キター!

14 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/05(日) 00:32:06 [ 3ylZ17FI ]
日清日露にしちゃ技術力と周辺支援国のレベルに差が・・・
どっちかというと蒙古再来。魔法のてつはうで騎兵隊を殲滅だ!

15 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/05(日) 01:12:56 [ ErGU.EDY ]
>>13
いやーそこは かのミンジュク ですからね〜。
あの時代のチョソなら、まず大部分が未開族以下の精神文化レベルでしょうから、
どんな愚かな事をしてもおかしくないでしょう。

また逆に異世界の国に侵略されたら確実に日本侵略の尖兵になるはず。

16 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/07(火) 20:54:02 [ dvblaFz6 ]
小ネタ
「ねぇ。異世界の戦士さん」
「なんだいお嬢ちゃん?」
「(九四式自動貨車=6輪トラックを指さして)あなたもこの魔導武器を使うことができるの?」
「いや。これくらいの本に書かれていることを全部憶えて、ちゃんと言えるようにならないと、使えないんだよ」
「へぇ。そんなに長い提唱が必要だなんて。大変ね」
「(いや、そういうわけではないんだけど)」

注.旧日本軍で運転免許を取るには、運転操典を丸暗記しないと
車にも触らせてもらえなかった。
そのため陸軍でトラックを運転できる兵は非常に少なかった。
(軍事板信じられないが本当だスレより)

17 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/08(水) 17:11:55 [ Ft16CcDU ]
トラックは貴重品だろうからなあ
しかし戦前の日本が向こうに言ったら機甲戦力の重要性を理解できないで
ずっと塹壕戦してそうだな

18 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/08(水) 18:58:12 [ 4sbMrX3Q ]
満州帰りの軍人が本土に来たら車庫入れがぜんぜんだめだったとか
話聞いた

ほんとならきちんとした運転ができるのはさらに少ないな

19 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/12(日) 20:07:06 [ dvblaFz6 ]
銀輪部隊と騎士団って機動力はどっちが上だろう?

20 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/13(月) 00:15:41 [ VhrLjdrQ ]
銀輪部隊は道路が整備されてたからこその機動力。

21 名前:くろべえ 投稿日:2005/06/14(火) 10:48:53 [ Hgfu0Zhs ]
「突撃!」中隊長の号令により中隊は敵オークめがけて突撃する。

いくら敵の2倍近い兵力を有しているとはいえ、ヒトよりも圧倒的な体力と
生命力を有するオーク相手に鎧も無しに突撃するとは!他国の軍人が見たら
目を丸くするような光景だろう(よく兵どもは逃げないものだ!)。

だが、中隊長とて好き好んで突撃を命令したのではなかった。彼らの所持して
いる魔法の杖−38式歩兵銃−はそもそも敵騎兵の軍馬の骨を砕く程度の威力し
かなかった。あいにくとオークは軍馬よりも丈夫だったのだ。彼等の武器は他
には同じ威力で連射ができるだけの11年式軽機と擲弾筒や手投げ弾しかなく、
それでは敵に致命傷を与えることは困難だったのだ。

「重機さえあれば。」中隊長は唇をかみ締める、たしかに重機なら連中の厚い
皮膚をブチ抜き、その骨を砕く事ができるだろう。残念ながら中隊の装備では
連中に手傷を負わすことしか出来なく、結局彼らに残された手段は白兵戦で
決着をつけることだったのだ。



こんなのどうだろう。・・・間違えて本家に投稿したものです。

22 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/14(火) 10:56:47 [ dihuzP3s ]
>>21
早速の移転ご苦労様です。私は好きです、こういうの。
でも突撃しても衝撃力はオークの方が上じゃないですかね?

23 名前:くろべえ 投稿日:2005/06/14(火) 11:17:40 [ Hgfu0Zhs ]
>>22
ありがとうございます。

手持ちの武器は敵に致命傷を与えることができませんが、まったく効かない訳
ではありません、それなりに結構効いています。魔法援護なしの同規模長弓隊
の斉射よりは威力は上(魔法援護下で比べてもそのレベルによるでしょう)です。

効かないからと退却する帝国陸軍ではありません!
・・・ウソです。退却できない理由があるのです。

24 名前:くろべえ 投稿日:2005/06/14(火) 11:31:15 [ Hgfu0Zhs ]
暫定ガイドライン(分家Ver.)に、

「9.SS作者は、抽出がしやすいようにトリップ装着を推奨。」

と書いてあるけど、「トリップ装着」って何のこと?どうやるの?

25 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/14(火) 11:35:38 [ dihuzP3s ]
>>24
くろべえ#←半角
くろべえ#○○○○←適当に半角でアルファベットや数字を入れる。何文字でも良い。

26 名前:くろべえ 投稿日:2005/06/14(火) 11:44:30 [ Hgfu0Zhs ]
>>25
ありがとう!

27 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/14(火) 12:26:21 [ Q0OK0I52 ]
ふと思ったのが、重機といっても日本軍の重機は7.7mmだよな?
三八式歩兵銃実包と比べて、そう大きく変わるものかな?

いや、批難するわけじゃなくて、ふと思っただけだ。

28 名前:くろべえ 投稿日:2005/06/14(火) 12:51:21 [ Hgfu0Zhs ]
>>27
強装弾だし、重さも結構違うと思いますよ。

同じ7.7mmでも弱装弾の軽機が壁を貫通できないのに、やすやすと重機が貫通
していくという戦記もありますし。6.5ミリの38式とだと差はもっと広がるん
じゃないかなあ。

でも勘違いだったらごめんなさい。

29 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/14(火) 13:37:09 [ Hgfu0Zhs ]
調子にのって続編投下!

期待はずれなら御免なさい。

30 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/14(火) 13:41:00 [ Hgfu0Zhs ]
突撃をかけられたオークどもは浮き足だった。

オークはヒグマをも上回る強靭な体力と生命力とを併せ持つ種族だが、下手に
知能がある分逆境に弱い。つまり勝ちに乗じるととことん強いが、いったん不
利になるととたんに弱くなる。「統率」とか「踏ん張る」という言葉は彼らの
辞書には存在しないのだ。(もっともそんな言葉を知っていればこの世界の覇
者はヒトではなく彼等だっただろうが。)

逃げ出したオークどもの後ろ姿を見ながら中隊長−榊原政岑大尉−は安堵の溜
息を付いた。このまま戦い続けたらどちらかが(多分我々だろう)全滅してい
ただろう。政岑は中隊に集合をかけるとオークどもの死体を見に行った。

政岑の目が険しくなる。オークどもの死体はわずか6体、オークどもは100体程
いたのだ。それが、中隊の全力攻撃でわずかに6体。だが政岑の目が険しくなっ
たのはそんなことが理由ではない。オークどもの死体は銃弾が多数命中してい
たが、皮膚を貫通しているものは数えるほどしか無かったのだ。その僅かな例
も焦げ目が付いている事から、白兵戦時にゼロ距離から発射されたものだろう。
手投げ弾の破片にいたっては表皮を僅かに傷つけた程度だった。オークどもの
死因は銃弾や銃剣が目などの急所に当たったか、手投げ弾を口に突っ込まれた
といった「運が悪い」程度のものだった。

今回オークどもが浮き足だち逃げて行ったのは、「中隊の決死の突撃に恐れを
なした」というよりも「もうこれ以上痛い目にあいたくない」というレベルの
ものだったのだ。

31 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/14(火) 13:45:01 [ Hgfu0Zhs ]
「中隊長殿!集合完了しました!」中隊でも最先任の刈谷曹長が報告する。
「戦死1、負傷者8です。連中逃げてくれて助かりましたよ、あんなタンク
みたいな連中と豆鉄砲だけでやりあうのはもう御免です。」
「戦死の状況は?」「あの大豚どもに頭吹き飛ばされました。」
政岑の質問に刈谷曹長は忌々しそうに答える。
「ちょっと大豚が腕を払ったのですが、それが運悪く・・・。」

政岑は暗澹たる思いでその言葉を聞いていた。中隊の装備では連中を倒せない
、ならば大隊では?

機関銃中隊の重機なら連中に対抗できるだろう。だが機関銃中隊はわずか8挺
−それも定数で−しか保有していない、そしてそれは常に各歩兵中隊に分配
されている訳ではない(されない場合が殆どだ)。なら大隊砲は?駄目だ、お
そらく直撃しないと効果がない、そしてそれは困難なことだろう。帝国陸軍の
歩兵装備の根本から変える必要がある。

新型の99式小銃の配備を急がなければならない、すくなくともこれから派遣さ
れるであろう大陸派遣軍には。弱装弾だが、38式よりはマシな戦いができるだ
ろう。それに各歩兵中隊に臨時でいいから機関銃小隊を配属(もちろん機関銃
中隊とは別にだ)する、とりあえずそれで大分楽になるはずだ。

「この大陸はまったく訳がわかりません。」

刈谷曹長は呟いた。中国戦線を長く戦ってきた歴戦の彼からでたのとは思えな
い弱弱しい声だった。

「だが帝国が生き残るにはこの大陸が必要だ。」

政岑は刈谷曹長の言葉に驚きながらも、自分にも言い聞かすように答えた。
そうだ、日本が生き残るにはこの大陸を利用するしかない。もう満州も朝鮮も
ないのだ、だからこそ危険を承知で連中とも戦わざるえなかったのだ。

政岑は自分達が戦う羽目になった元凶どもの事を思い出した。いまのうちはせ
いぜい我々を利用するがいい、だがそれも長くはないぞ。心の中で元凶どもに
呪詛の言葉を吐くと気分を切り替えた。

「中隊、帰還する。」

32 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/14(火) 13:48:33 [ Hgfu0Zhs ]
投下終了。・・・文がまっすぐならないな。


帝国陸軍苦戦はNGかなあ。

33 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/14(火) 19:36:46 [ q6xPc7p. ]
手榴弾が通用しないなんていくらなんでも強すぎるような…

34 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/14(火) 20:06:26 [ f0L27png ]
そこでチハたんですよ!

35 名前:27 投稿日:2005/06/14(火) 21:16:34 [ Na/ZmgWk ]
>28
早速計算したところ、92重機の一発のエネルギを100%とした場合、
38小銃 73%
99小銃 91%
99軽機 85%
となりました。
さすがに27%も違えば、かなり違いますよね。
ただ、38式小銃で皮膚すらぶち抜けない相手では、92重機使っても弾は皮下脂肪で止まりそうな気が……
きっと気のせいですね。
ほかに対抗するだけなら、火炎瓶とか一式手投まる缶なども有効かなと妄想したり。

ちなみに89式小銃→49.6% 半分も無いのかよ。

36 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/14(火) 21:36:02 [ q6xPc7p. ]
弾丸の威力でくぐってみたら38式小銃よりAK47の方が威力が弱い
ことに驚いた…

37 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. 投稿日:2005/06/14(火) 22:02:24 [ YCFKREcc ]
皆様ごきげんよう。

   , ´  ̄`ヽ 
   ! . ノベ)ソ)     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  从(!゚ ヮ゚从   / 無粋な突っ込み屋と一部に不評なロサ・カニーナです(藁
    ([l蟹l]⊃ <  それはさておき、貫通力と殺傷力は実は別のパラメータに
    く/_|〉     \ なるのではないでしょうか。
     UU       \____________________

38式の6.5mm実包は、距離1000mで馬の頭蓋骨を貫通できる威力を持ちます。5.56mmSS109に関しては、
そうした具体的な例というものを知らないのでなんとも申し上げられませんが、人体内に侵徹後に弾体が
変形して内部組織を破壊する機能を期待されているという点から、貫通力をのものは6.5mmに対して勝るとは
考えられないでしょう。逆に言うならば、このクラスの実包の貫通力は対応防御の防弾チョッキを着用して
いない限りは人体に対して想定距離において十分な貫通力を有しており、逆に最低限必要な貫通力を
維持し得る限りにおいて人体組織破壊能力を付与するように、設計が変化してきた、と、考えてよいのではないかと。

なお、日華事変の事例ですが、92式重機で射距離2000mで人体に命中させ殺傷させた事例が多数ありますから、
92式のような弾頭の運動エネルギーがさほど高くは無い実包であっても、相当の威力を有するという事でしょう。
ちなみに頭蓋骨といえども生物組織ですから、むくの鉛弾ではない被甲弾頭で貫通できないというのは、余程
特殊な組成であるのではないでしょうか。ちなみに、92式重機の鉄鋼弾は、ごく至近でならば5mm程度の装甲を
貫通できたという話もありますね。

なお、弾を皮下脂肪で止めるというのは都市伝説以外の何者でもなく、衝撃波の伝播が音速で伝わる以上、
脂質の衝撃破壊速度が水とさほど変わらないはずですから、弾は当たれば非常に酷い惨状になるでしょう。
なお、弾の侵入による体内組織の破壊に関して、少し調べてみますと、何故にむくの鉛の散弾があれほど
恐れられたのかよく判ると思います(謎

38 名前:ロサ・カニーナを最近知った27 投稿日:2005/06/14(火) 23:10:52 [ Na/ZmgWk ]
>弾を皮下脂肪で止めるというのは都市伝説以外の何者でもなく

都市伝説だったのか…… 知らなかった……サンクス。
ていうか、1000mで馬の頭蓋骨を貫通できる銃弾を皮膚で止めるオークっていったい……

39 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/14(火) 23:36:50 [ Hgfu0Zhs ]
>33
旧軍の手投げ弾(りゅうが変換できないよ)は陶器製で低威力だったときいて
いますし、38式でも効果小なら効かないだろうと判断しました。ドイツ特製の
柄付き大型手投げ弾なら効果があるでしょう。間違えていたらごめんなさい。

帝国陸軍はその低火力ゆえに苦戦することになります。この世界では相当強力
な軍なのですが、無敵とまではいえません。


>38
だからこそ「この大陸はまったく訳がわかりません。」なのです。いままでの
「常識」が通用しない世界なのです。ということにしておいてください(笑)。

40 名前:27 投稿日:2005/06/14(火) 23:56:48 [ Na/ZmgWk ]
>旧軍の手投げ弾(りゅうが変換できないよ)は陶器製で低威力だったときいています

ひょっとしてとんでもない勘違いしてないか?
10年式に始まって、91式、97式、99式の各手榴弾が使われているが、全部金属製だよ。
うち大戦中は97式手榴弾が主力。発煙手榴弾もあるぞ。
陶器の手榴弾は物資の不足してきた大戦後期に、苦し紛れで作ったものだ。
メインの装備じゃない。

>いままでの「常識」が通用しない世界なのです。

設定ならまったく問題ないと思う。それくらいの方がおもしろそうだし。
でも、軍ヲタは突っ込みいれるのが仕事なので(笑)、気になったところは言わせてくれい。

41 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/15(水) 00:10:11 [ k8NKvVOw ]
王族オークは38cmの砲弾も防げます

42 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/15(水) 00:17:13 [ dihuzP3s ]
>>41
陸奥、長門が大活躍だな。

43 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. 投稿日:2005/06/15(水) 01:08:36 [ YCFKREcc ]
>40 27様 ごきげんよう。

   , ´  ̄`ヽ 
   ! . ノベ)ソ)     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  从(!゚ ヮ゚从   / 実は弾体の侵徹の挙動を調べると、重要なのは対象と弾体が接触した際に
    ([l蟹l]⊃ <  発生する衝撃波の伝播が相互破壊を行わせているのが判るのですね。
    く/_|〉     \ そうした物理学のごく初歩を理解していますと、軍事技術のかなりの部分は理解できるわけです。
     UU       \____________________

とりあえず、ここはファンタジースレの避難所ですので、無粋な突っ込みは最小限に留めるべきであると自戒しております(えー
というわけで、物理法則が通用しないにもかかわらず、物理法則が作動しているという世界ですから、それはそれ、笑って読めばよろしい
のではないでしょうか? まあ、火器弾薬技術ハンドブックを皆が皆持って読んでいるわけではないのですから、当たり前の話ですが。

ちなみに、帝国陸軍が低火力であるというのも、実は戦史をきちんと調べていればすぐに間違いと判る事実なのですが、これも無粋な
突っ込みですので、これ以上はやめておきましょう(謎

と申しますか、このスレのシリーズの一番最初に、名無し土方名義で散々「それ実際の自衛隊と違うから」と書き込んだのと同じ事を、
帝国陸軍関係のネタでもやるのも無粋ですよね?

44 名前:27 投稿日:2005/06/15(水) 02:15:56 [ Na/ZmgWk ]
>無粋な突っ込みは最小限に留めるべき
ういーす。泣く泣く了解。
つかカニ氏のカキコ(突っ込み)はSS作るうえでも、知識貯える上でも参考になるので、重宝してます。
以前、長論文スレでの160mm迫の議論はROMらせてもらい、特に砲弾の人力搬送とトラック搬送の比較、おもしろかったとです。

45 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/15(水) 06:55:42 [ Hgfu0Zhs ]
>40
27さま、以前帝国陸軍の手投げ弾は「備前焼」ときいて、そのまま信じてし
まいました、反省。・・・ということは「火薬量が少ない」、「爆発までの
時間が長く敵に投げ返される事もあった」と言う事も嘘かなあ。

突っ込みは間違いを知り、新しい知識を増やす事が出来るので、歓迎です。


>43
ロサ・カニーナさま、詳しいご解説ありがとうございます。

>帝国陸軍が低火力であるというのも、実は戦史をきちんと調べていればすぐに間違いと判る事実

「帝国陸軍歩兵中隊の瞬間的な火力は米軍歩兵中隊に負けない」とは聞いて
いますが・・・。

帝国陸軍の火砲総数は当時世界でも屈指だったとは思いますが、火力密度は
それ程高くなかったのではないでしょうか(それでも世界水準には達してい
たと考えていますが)。もちろん、帝国陸軍は火力を重視していたとは思い
ますが。

・・・ああ、またいっぱい勘違いを指摘されそうな予感。すいません、生意気
いって。こういうのを「釈迦に説法」?

46 名前:27 投稿日:2005/06/15(水) 12:06:32 [ MRo/Tjbo ]
>45
一部の手榴弾で投げ返されることがあったというのはマジですよ。
91式手榴弾は擲弾筒で撃てるようにする都合上、7〜9秒の遅延を持たせた。
しかし、普通に手で投げたとき、遅延が長すぎて投げ返されることが、中国戦線でありました。
そこで、新型の97式手榴弾では遅延を4〜5秒と縮め、この問題を解決しています。
威力については未確認…… エロイ人の降臨を待つべし

47 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/15(水) 16:15:11 [ q6xPc7p. ]
瞬間的な火力については擲弾筒を一斉発射した場合と聞いています。

48 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/16(木) 01:46:35 [ Hgfu0Zhs ]
第3段投下。

49 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/16(木) 01:47:15 [ Hgfu0Zhs ]
前回と全く同じ様にオークどもが攻撃を仕掛けてくる。

だが彼等にとっては不幸な事に、相手は前回とは異なる装備をしていた。政岑はオークどもがやって来ると、その学習能力の無さに呆れながらも、自信たっぷりに号令をかけた。

「中隊、打ち方始め。」

政岑の号令とともに中隊は猛然と射撃を開始するが、オークどもはその射撃音を聞いても平然と・・・はしていないが、前進をやめない。前回での戦いで「それ」を喰らっても致命傷にはならないと言う事を学習したのだろうか。いや、もしかしたら「それ」に対する恐怖よりも自分達の親玉に対する恐怖の方が勝っているだけなのかもしれない。なにせ「それ」の音が前回とは違っていたのだから。

オークどもの先頭の1体に「それ」が命中する。前回なら「それ」は彼等の厚い皮膚を貫通することは無かったが、今回は違った。「それ」は彼の皮膚を完全に貫通し、それだけに止まらず、「それ」は彼の骨にまで達し、骨を砕く。彼は何が起こったのかわからず、穴があいた自分の体を不思議そうに見る。その間にも1発、また1発と命中していき、さしもの彼も音を立て倒れる。彼が最後に見た光景は同じ様に倒れていくる仲間達の姿だった。

「さすが新型は違いますね。」

感にたえない、といった様に刈谷曹長が話す。

「弱装とはいえ7.7ミリだからな。」

おもわず笑みを浮かべながら政岑は答える。互いに無駄口をたたく余裕があるのだ。

前回中隊が帰還した時、政岑は他の中隊長達と共に大隊本部へ向かった。報告と一緒に意見具申をする為だが、なんとその場で大隊長より38式から99式への装備改変(それに伴い、軽機も99式に改変された)を申し渡されたのだった。
正直訳がわからなかったが、大急ぎで装備の交付を受けると中隊総出で新装備の調整にあけくれ、なんとか今回に間に合わせた(誰もが次は38式で戦いたくない為必死だったのだ)。

50 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/16(木) 01:48:19 [ Hgfu0Zhs ]
「しかし自分らがここに来た時には、もう送り出したとしか思えんのですが。」

なら最初から装備させろとでも言いたげに刈谷曹長は言う。

「まあ、間に合っただけでも御の字だろう。」その点は同感だが、さすがに立場上相づちも打てず政岑は刈谷曹長をたしなめる。

「それもそうですね。」

刈谷曹長は大きく頷く。実際必要な時に必要な装備が届くと言う事はまずないのだ、彼等は中国戦線でそれを思い知っている。

オークどもは自分達の置かれた状況に気づくとパニックを起こし、我先にと逃げ出すがそれは許されなかった。

「中隊前進。」

政岑は冷酷に中隊に命じる。政岑も政岑の部下達もオークどもを1体も逃がすつもりはなかったのだ(他の中隊とて同じ事だろう)。軽機が唸るとオークの1体が背中から血を噴出し、前のめりに倒れる、1時間もすると立っているオークは1体もいなくなった。

51 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/16(木) 01:49:16 [ Hgfu0Zhs ]
「中隊の損害は?」

「戦死、負傷者ともに無しです。ついでに連中は全部始末しました、一匹も逃がしちゃあいません。」

政岑の問いに刈谷曹長は満面の笑みで答える。

「そうか、林一等兵の敵はとったな。」

政岑はそう呟くとかつて戦場−というより殺戮場所−だった所に目をやる。そこでは倒れたオークどもの死を1体1体確認している部下達がいた。彼等はまだ生きているオークを見つけると頭を狙い、ゼロ距離で発砲する。さしものオークもその1発で即死する。

「銃声が多いな。」

政岑は顔を顰める。なんとしぶといのだ。

「まあ放っておいても死ぬでしょうがね。」もし一匹でも運良く生き残ったら癪ですから。

刈谷曹長は後半の言葉は省略(もっとも政岑とて同意見だったが)して答える。

今回の戦いは完勝だったが、まだ戦いは終わっていない。まだ敵の親玉(オークキングとかいうらしい)が残っているのだ。オークもあと100やそこらは残っているだろう。だが政岑も刈谷曹長もさほど心配していなかった。何せ次は大隊全力でそれに当たる為、重機で20〜30発も叩き込めば挽肉に出来るだろうと考えていたのだ。この完勝が彼等を酔わせていたのだろう。だから彼等は忘れていた、「この大陸はまったく訳がわかりません。」と自分達が言ったことを、ここが自分達の「常識」が通用しない世界だということを。

52 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/16(木) 01:49:47 [ Hgfu0Zhs ]
SS投下終了!


・・・自分で書いてて不安に思ったよ。

①「打ち方始め」って海軍だけだっけ?

②99式強すぎ?でもオーク1体仕留めるのに4〜5発は命中させてますけどね。

53 名前:27 投稿日:2005/06/16(木) 02:18:50 [ PDrFi0Xs ]
>52
「打ち方始め」というか、陸では決まった掛け声は無かったかと……
俺の読んだ本では、南支で戦ったような古兵どもは、かなり適当な掛け声で攻撃開始することが多いので、掛け声はかなり適当でもよろしいと思う。
2については、今さら言ってもなぁ、という気がしないでもないけど、別に良いと思うぞ。
正確か不正確かよりも、おもしろいかそうでないかの方が、よほど重要ってことで……

54 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/16(木) 04:40:38 [ cnr7oQIw ]
突撃喇叭をキボンヌ。

あとオークみたいなの相手だったら、地雷の方が効力的でわ?。

55 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/16(木) 18:13:33 [ Hgfu0Zhs ]
>53
>「打ち方始め」というか、陸では決まった掛け声は無かったかと……

成る程、27さまありがとうございます。

>正確か不正確かよりも、おもしろいかそうでないかの方が、よほど重要ってことで……

うう、それが一番難しい。今回どうでした?


>54
>突撃喇叭をキボンヌ。

それ、イイ!

>あとオークみたいなの相手だったら、地雷の方が効力的でわ?。

確かに。でも最初の戦闘で「亜人」相手に対戦車地雷を使うわけないし、対人地雷じゃああまり効果なさそうだったんですよね。
当時「クレイモア」みたいな対人地雷無かったろうしなあ。それに対戦車地雷じゃあ重さで反応するか判らなかったし(旧軍の
地雷あまり知らないんですよ)。

対戦車攻撃のように「爆薬かかえて」というのも最初は考えたのですが、そこまでオークは強くないのでとりあえず、通常の攻
撃でオークの「強さ」とこの世界の「異常さ」を表現しようと考えたのです。成功したかなあ。

56 名前:27 投稿日:2005/06/16(木) 19:00:35 [ j0A4fJPg ]
>対戦車地雷じゃあ重さで反応するか判らなかったし

日本軍の対戦車地雷には、アンパン地雷とよばれた93式地雷、陶器製の3式地雷があります。
これらはバネと銅線をつかった簡単な仕掛けで調整がなされているので、銅線の太さを変えることで、対人、対戦車の両方に使えまする。


>うう、それが一番難しい。今回どうでした?

これからに期待。がんがれ

57 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/17(金) 00:07:12 [ q6xPc7p. ]
中国戦線で大量に鹵獲したモーゼル系の小火器があったら
オークなんぞイチコロだろうなあ…

58 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. 投稿日:2005/06/17(金) 05:42:19 [ YCFKREcc ]
皆様ごきげんよう。

   , ´  ̄`ヽ 
   ! . ノベ)ソ)     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  从(!゚ ヮ゚从   / 実際問題として、帝国陸軍についての多くの通説の間違いをそのまま検証せずに
    ([l蟹l]⊃ <  書くというのは、プロであるならば非難されるべきかとは思いますが、
    く/_|〉     \ しかしアマの書くものですから目くじらを立てるべきではないかな、と
     UU       \____________________

>44 27様 ごきげんよう。
あくまで楽しむための書くという作業ですから、それに水を差すのも誉められた事ではないですよね、と、それだけのお話ですから。

ちなみに、多くの軍ヲタが間違って信じている事ではありますが、山がちであるからこそ、自動車化が重要になるのですね。
つまり、道路整備が行き届いておらず、徒歩機動しかできない場所であるからこそ、工兵作業で道路を建設し、自動車輸送で
部隊を展開する事に意味があるわけです。1944年のルソン島での戦いは、まさしくこの機械化による部隊の大量投入の効果が
満遍なく発揮された戦闘であり、よく軍ヲタが言うところの「山がちだから分解担送できる火器を」という知ったような意見を根底から
完膚なきまでに破砕した会戦でした(藁

そして、それは帝国陸軍も判ってはいた事ではあり、しかし予算が無いために泣く泣くあきらめ、酸っぱい葡萄の論理で目を背けていた、
と、それだけのお話であったりするのが、今から見ますと泣くに泣けないところなわけです。日本陸軍の工兵が、非常に建設工兵に力を
入れていた、という事実を、知ったかぶりする軍ヲタは碌に知らなかったりするあたり、非常に微笑ましいところではあります。

59 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. 投稿日:2005/06/17(金) 05:53:38 [ YCFKREcc ]
>45 くろべえ様 ごきげんよう。

   , ´  ̄`ヽ 
   ! . ノベ)ソ)     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  从(!゚ ヮ゚从   / 御作につきましては、私は何かコメントをするべきではないと
    ([l蟹l]⊃ <  思いますので、それについてはご容赦くださいませ。
    く/_|〉     \ あくまでここは避難所のSS投稿スレですし。
     UU       \____________________

日本陸軍の編制史を、少なくとも第一次世界大戦後から追っていきますと、彼らが乏しい予算の中から
それでも当時としては必要最低限の装備を整えていったのが理解できます。

編成は、まず運用ドクトリンと操典が先に存在し、それを最も効率よく実現するために組織化されるものです。
第一次世界大戦後の日本陸軍は、徒歩歩兵による浸透突破を主とした運用思想の元に編成されておりました。
そのため、小隊ごとに1丁の軽機関銃と1門の擲弾筒が配備され、小隊長に射撃開始権限が付与され、
それまでの中隊単位での敵との火力戦を主とした運用思想とは全く別の軍隊へと改変されていったのです。

実際、海軍の戦備充実に膨大な予算が食われなければ、もっと早い時点で三単位師団化や自動車化が進捗した
可能性が高いのですが、なにしろ装備の更新にえらい時間がかかり、しかも大陸中国への軍事活動が頻繁に
発生して貴重な予算が戦費として消費されていったわけです。

そうした状況下であっても、主力となる自動火器は開発が進められて配備が進んでいますし、また野戦砲兵の
更新も出来る限りの努力をもって進められていたわけです。実際、日華事変の発生時には、各歩兵連隊に山砲が
1個中隊4門、歩兵大隊に大隊砲が2門と速射砲が2門、重機関銃が8丁、各小隊に軽機関銃が1丁と擲弾筒が1門
配備されるに至っていました。これは、当時の貧乏陸軍としては並々ならぬ努力の結果であり、こうした火力発揮を
念頭に置いた編成指向の努力があってこそ、第二次上海事変から南京陥落までのあの神業的突破戦闘の成功が
達成されたわけです。

60 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. 投稿日:2005/06/17(金) 06:05:17 [ YCFKREcc ]
(>59の続きです)
日本陸軍における機関銃の運用は、基本的に敵に弾を当てるために連射するというものではなく、ある一定空間に
連続して弾を集中する事で敵の活動を阻害し、ある一定地点に釘付けにしたところで擲弾筒なり近接突撃なりによって
これを撃破する、という戦闘ドクトリンの元に運用されています。92式重機があれだけ大量に生産され、どれほど多くの
努力をもって最前線で使用されていたかを知りますと、92式重機の性格というものがどれほど日本軍の歩兵戦闘において
重要な位置を占めていたのかが理解できる事でしょう。

日本軍が短機関銃の配備に対して熱心ではなかったのも、敵の戦場機動の阻害、という機関銃の運用ドクトリンから
すれば、どう使用してよいのか皆目検討もつかない代物に、乏しい予算を割くつもりにはなれなかったというだけの話
であったりするわけです。その代わり、自動小銃の開発にはかなり早い段階から熱心に行っており、結局は予算の問題と
なりますが、弾薬の消費量を兵站機能が支えきれないという研究結果のために、泣く泣く正式化をあきらめているくらいです。

日本軍が歩兵用火器として求めていたのは、より遠距離から敵を火制してその機動を阻害し、擲弾筒による射撃や、
手榴弾や銃剣を用いた近接戦闘によってこれを撃破するのを容易ならしめる制圧火器であり、射撃によって直接敵を
無力化する火器ではない、というのが、非常に興味深いところではあったりするわけです。

日本軍も予算の都合がつくのであれば、十分な砲迫を整備して火力戦闘を行いたかったのであり、それは昭和15年の
山下奉文を団長とする陸軍の欧州派遣視察団のレポートにも明記してある事実であったりするわけです。

61 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. 投稿日:2005/06/17(金) 06:13:59 [ YCFKREcc ]
(>60の続きです)
というわけで、火砲の保有数は世界有数でもなんでもなく、とにかく貧乏で十分な火砲を揃えられなかった、
というのが実際のところですし、それを92式重機と89式擲弾筒と38式銃剣でなんとかフォローしていたのが、
帝国陸軍の実際であったのです。

現代の陸自が、異常なまでの火力戦指向であったのは、こうした帝国陸軍の怨念が背景にあるからであり、
陸自がなんと言われようとも野戦砲兵と戦車にだけは湯水のように金を使うのも、太平洋戦争において米軍の
火砲と戦車にどれほど苦しめられたか、という戦史を念頭に置いて見るとよく理解できることでしょう。

それから、6.5mm実包と7.7mm実包の間に、さほどの威力の相違は無いというのが私の見解ですが、それは
文字通り無粋な指摘でしかないので、一言個人的な見解という事で書き添えておきます。
あと、手榴弾の威力については、手元の資料がどこかに埋まったままですので、私はコメントは差し控えます(藁

ちなみに、米軍や英軍や仏軍や伊軍が、中隊以下で使用する各種機関銃について、どういう開発や配備や運用の
経過をたどったか調べて行くと、非常に笑えますのでお勧めしたいところではありますね(謎

62 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 07:26:36 [ DA54LZrA ]
>56

27さま、毎回ご感想&情報感謝!

対人・対戦車両用なのか・・・。踏んだら肉片になるなあ。


>57

モーゼルの7.92ミリなら楽勝です。でも「ただの」オークはこの世界では特別珍しい存在ではありません。脅威度(1体あたり)「下の上〜中の下」といったところですか。実際これが帝国陸軍はじめての、「この世界」での戦いなので戸惑い、苦戦しましたが、「ただの」オーク相手なら以後一蹴です。もっとも対抗できる武器が豊富だからなのですが。


>58〜61

おお、ロサ・カニーナさま降臨!

成る程、実に分かり易いです。

つまり後世あれこれ言われる帝国陸軍への批判は、当の帝国陸軍からすれば、「そんな事分かっている、じゃあこの予算でこれ以上どうしろっていうんだ」というところでしょうか。貧乏って悲しいなあ。

ロサ・カニーナさま、ありがとうございました。

63 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 12:30:16 [ DA54LZrA ]
本日もSS投下。書かないと上達しないし・・・。

64 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 12:30:48 [ DA54LZrA ]
<外伝>

指揮官機のバンクを合図に全機突撃する。

敵のワイバーンは96式艦戦に任せ、零式艦戦はワイバーン・ロードに殺到する。ワイバーン・ロードは航空機では考えられないような機動で零式艦戦の後方に付こうとするが、たちまち振り切られてしまう。

「遅いんだよ!」

西山二飛曹は叫びながらワイバーン・ロードを振り切ると高度を稼ぎ、今度は逆にワイバーン・ロードに急降下で向かっていく。狙うは一撃離脱、生物相手に格闘戦を挑む気などさらさらない。機銃を全門使用可能にし、照準機いっぱいに敵がみえるようになると射撃を開始する。
8門の7.7ミリ機銃から毎分7600発もの銃弾が放たれるが、敵周囲が光に包まれる。防護結界に阻まれたのだ。

「もう一回!」

再び射撃位置につき、射撃を開始する。やはり光に包まれるが、みるみるうちに光は淡くなっていき、ついには消えてしまう。その直後、ワイバーン・ロードは絶叫し血まみれになり墜落していく。防護結界が過負荷により消滅し、銃弾の嵐の直撃を受けたのだ。

「弱すぎるな。見習いか?」

開戦初期はなかなか手ごわい相手だった。敵の竜の性能はもっと高かったし、乗り手の腕も悪くなかった。もっとも編成には大きな欠陥があった、当時敵はワイバーン・ロード1体にワイバーン4〜6体を加えた部隊を1単位として運用していたのだ。その為にワイバーン・ロードの性能がワイバーンによって低く抑えられ、無用の損害を出していた。ワイバーン・ロードとワイバーンを別々の部隊とした時にはすでに大きく消耗した後だった。もしも最初からそれぞれが独立していればこちらも大損害を受けたところだ、何せ開戦後しばらく、こちらはワイバーン相手に格闘戦を挑んでいたのだから。

ふと周囲を見渡すとあらかた戦いは終わったようだ。ワイバーン・ロードは1体も見えない。やられるか逃走したのだろう。

96式艦戦隊の戦いも終盤に近づいていた、やはりワイバーンも96式艦戦の一撃離脱戦法の前に次々と敗れ、残ったワイバーンも逃走を試みるが、今度は自分達の倍以上の速度を誇る零式艦戦に追いつかれ、やはり落とされる。

今回の戦いに参加したのは日本軍が零式艦戦21型改Ⅰ(21型の20ミリ機銃2門を7.7ミリ6門に換装したもの)27機、96式艦戦54機の計81機。大陸同盟軍がロッシェル王国軍所属のワイバーン・ロード30体、ワイバーン120体の計150体だった。数で勝る大陸同盟軍ではあったが、ロッシェル王国空中騎士団は度重なる消耗で練度不十分であり、かつ個々の機体の性能差は絶望的であり、日本軍に終始圧倒された。結局帰還できたのはワイバーン・ロード2体だけ(うち1体は帰還後、竜騎士死亡・騎竜廃棄)であり、それで与えた損害は零式艦戦1機、96式艦戦2機のみという悲劇的なものだった。

65 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 12:31:23 [ DA54LZrA ]
<補足>
①ワイバーン・ロード
竜騎士の騎乗する特別なワイバーンで、優秀な血統のワイバーンを魔道強化したもの。通常の
ワイバーンとは異なり、強力な防護結界をもつ。火炎攻撃も行える。

最高速度480キロ時・航続距離1000キロ程度と、零式艦戦と比べて航続距離を除き、大差ないように見える(機動性を考えればむしろ上かもしれない)が、これは青壮年期における標準的な個体の能力であり、同年代でもプラス・マイナス10%もの性能差がある。さらに悪い事にこの記録は十分な休憩をあたえた後での記録であり、戦場へ向かう際に発生する疲労等は考慮されていない(ワイバーンの疲労度は戦闘能力に直結する)。


②ワイバーン
竜戦士が騎乗する通常のワイバーン。防護結界は持たないが、ワイバーン・ロードと同様(射程・威力共に数段劣るが)に火炎攻撃を行える。ロッシェル王国空中騎士団の主力である。

最高速度240キロ時・航続距離700キロ程度で、測定条件等はワイバーン・ロードと同様である。


*以上の説明はロッシェル王国空中騎士団保有のワイバーン・ロード、ワイバーンにのみ当てはまります。

66 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 12:32:43 [ DA54LZrA ]
<外伝1裏というより没原稿>

大歓声を背にワイバーンが次々に離陸していく、100を超えるワイバーンが行動を共にするなど一体どれ位ぶりだろう?竜騎士アンドレセンは考える。そうだ、開戦以来だ。

もっとも開戦時とは状況は大きく異なっている。ロッシェル王国空中騎士団は開戦以来、機械帝国「ニホン」の前に消耗を重ね、その兵力を大きく減じていた。今回の出撃は王国中から比較的まともなワイバーン(それでも性能は減じている)をかき集め、ようやく可能となったのだ。もう他には退役寸前の老体か生まれたばかりのワイバーンしか残っていない。乗り手も正規の竜騎士・竜戦士は数える程で、大半は見習いを繰り上げた者達だ。恐らくこの一戦がロッシェル王国空中騎士団の事実上最後の戦いとなり、今後王国は制空権を完全に失うことになるだろう。

そもそもロッシェル王国は大陸東部の一中堅国家であり、戦乱とは100年以上無縁だったのだ。そんな国があのような大帝国と戦う事自体が無謀だったのだろうか?事実我々が全力で戦い敗れつつある相手は、帝国の一派遣軍に過ぎない。やはり一部の小国のように戦わずに降伏していれば良かったのだろうか?アンドレセンは自分の考えがどんどん悲観的になっていく事に気づき考えを中断(とても一竜騎士が考えて良い事ではない)する。

急に指揮官の騎竜が大きく向きを変える。帝国軍だ!見たところこちらの半数ほど、重型がワイバーン・ロード同じくらい、軽型がワイバーンの半数以下だが、油断はできない。なにせ竜も腕も向こうの方が上なのだ。

ワイバーン・ロードの1隊が敵の軽型に向かおうとする。軽型相手なら互角以上に戦えるからだろうが、重型に阻止され各所で戦闘が始まる。アンドレセンも敵の重型と戦闘を開始するが、何度か敵の後ろに回りこんでも簡単に振り切られてしまう。ワイバーン・ロードの質が低下しているからだろう。なにせ今では通常の血統のワイバーンから作り、急速育成までおこなっているのだ、質が落ちない方がどうかしている。敵の品質は常に一定なのに!

重型が高度を上げ、急降下する。王国軍を恐怖に陥れた「鉄の雨」を使う気だ!防護結界が「鉄の雨」をなんとか防ぐ、しかし次は無い。再び重型は「鉄の雨」を降らせようと襲いかかってくる。アンドレセンは恐怖のあまり失神した。



ロッシェル王国が帝国に降伏したのはそれから3日後のことである。

67 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 12:34:00 [ DA54LZrA ]
SS投下終了。

・・・没原稿は余計だったなあ。

68 名前:27 投稿日:2005/06/17(金) 14:17:03 [ UAz0du2E ]

う〜ん、くろべぇ氏世界のナマモノは強すぎますね。
特にワイバーン・ロードの性能が「『超兵器・超魔法まんせー』な話にならぬよう……」に抵触しそうな気がします。
いや正直言うと、ありえねぇだろ……と、思っています。
ということで避難するだけでは能がないので、これについて勝手に「説得力ある説明つけてハッタリかまし」てみてもいいですか?

69 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/17(金) 21:52:24 [ k359.Za2 ]
質問、艦戦が参戦していますが空母を使用していますか?

70 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/17(金) 23:27:25 [ DA54LZrA ]
>68
27さま、いつもありがとうございます。

えっと今回ワイバーン・ロードの完敗なんですけど。書き方がわるかったのかなあ。

ワイバーンは複葉機のソードフィッシュあたり(攻撃機だけど)、ワイバーン・ロードはWWⅡ初期の旧式戦闘機あたりの速度とし、機動性を良くする事で対抗できるように設定したんですよ。
そうでもしないと全く日本軍航空隊に対抗できませんから。防護結界についてはまあファンタジーということで、ワイバーンとワイバーン・ロードの差別化です。
今回は相手が中堅国のロッシェル王国であり、度重なる消耗で練度低下し騎竜も不良品だったのでこのようにワイバーンの完敗となりましたが、本来ならもっとマトモに戦えるでしょう。


ワイバーン・ロードについては、以下のように配慮しています。

①最高速度は十分な休憩をあたえた後での記録(カタログデータ)であり、戦場では当然侵攻時の疲労により性能低下している。

②生物なので疲労するが、疲労は当然性能低下に直結する。連続出撃は困難。(後先考えず「薬」を使えば可能です。)

③生物なので航続距離は短めに。でもある程度は必要(最初はヘリ程度にしようとしたんですけどね)

④防護結界はあくまで装甲と考える。一定以上の負荷を与えれば消滅する。

⑤生物なので「生産」に手間がかかる。促成すれば当然性能などに問題がでる。

・・・結構厳しいな。でも以後もっと高性能のものをだすつもりだし。


>69
はい、その通りです。付近の海域の機動部隊からの増援です。

この時点の日本軍ロッシェル王国攻略部隊は王国の空軍力低下により、1個飛行団しか保有していません。
加えて、対地攻撃等直接支援に忙しいので海軍航空隊に急遽支援を要請しました。

いまだに96式健在です。WWⅡに比べれば日本ものんびりしてますね。

71 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/17(金) 23:28:19 [ CTsBg2Tc ]
くろべい氏乙!
俺は生ものが強いSSあまり無いんでイイと思うんですが
27氏の言うとうり「説得力ある説明つけてハッタリかまし」が必要かも知れませんね

72 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/18(土) 06:29:09 [ q6xPc7p. ]
日本の陸軍歩兵兵器を読んだら手榴弾の炸薬が65gぐらいしかない…
ドイツ軍の柄つき手榴弾に比べたら貧弱だなあ…

73 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/18(土) 06:48:27 [ DA54LZrA ]
すみません、レス70で「付近の海域の機動部隊からの増援」とありますが、これは零式艦戦のみであり、96艦戦は付近の海軍陸上航空隊からの増援です。


えっと、もしかしてみなさん勘違いしているかもしれないので・・・。

<64〜68の空戦詳細>
日本海軍航空隊 零式艦戦27機、96式艦戦54機の計81機参加。うち未帰還機(損害)は、零式艦戦1機、96式艦戦2機の計3機。

大陸同盟軍 ワイバーン・ロード30体、ワイバーン120体の計150体参加。うち未帰還機(損害)は、ワイバーン・ロード28体、ワイバーン120体の計148体。

となっており、大陸同盟軍のボロ負けです。

74 名前:27 投稿日:2005/06/18(土) 11:59:45 [ ksN.JMdU ]
>書き方がわるかったのかなあ。

いえいえ。
ただ、生物的に480km/sの速度を達成するにはどうすればよいか?
というのが気になっただけであります。
ただの好奇心であり、非難しているわけじゃないっす。(苦笑
まぁ、旧式戦闘機から算出して480km/sとするのなら『設定』として良いと思います。

ところで、最初っから『無理』と言うのはアホのすることなんで、いろいろ無茶な計算と流体力学を使って、なんとか480km/sをひねり出したいと思いますが、
体長や翼の大きさ、形などは、大体こんな感じというような設定はありますか? 


あとひとつ。
飛龍は、運用に大きな滑走路などは必要ありませんよね?
とすると、真正面から零戦に戦いを挑む必要ないと思います。
大きな整備も必要なく、エサさえあれば良いので、空戦を徹底的に避けて前線の小さな空き地からゲリラ的に運用するのが効果が高そうでそうですね。
戦闘結果見て、あまりにも飛龍がかわいそうで…… ナマモノで480km/s出すのは、並大抵の苦労じゃ無かろうに……
もし、飛龍を現在の攻撃ヘリのように運用できれば、対地攻撃に強みを発揮することでしょう。

75 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/18(土) 13:32:08 [ DA54LZrA ]
27さま、こんにちは。


>体長や翼の大きさ、形などは、大体こんな感じというような設定はありますか?

いえ、特にありません。そこまで細かく設定するとボロがでまくりそうで。ただ、基本的には1人乗りで、他に最大2人(非武装の場合)あるいはそれに匹敵する「もの」を積載可能としている程度です。「ハッタリかまし」て下さるのなら歓迎します。

他にレス70で書いてあることで、ワイバーンの設定は全てです。


>ゲリラ的に運用するのが効果が高そう

はい。ただ詳しくは書いていませんが、「竜騎士」ですので無駄にプライド高いです。

初めはまるで中世の騎士のように、ワイバーン・ロード1体にワイバーン4〜6体を加えた部隊を1単位として運用していました。ワイバーン・ロードとワイバーンを別々の部隊としたのは散々痛い目にあってからです。いいかげんゲリラ戦の効果が高いことには気づいていますが、少なくともロッシェル王国に関して言えば手遅れです。他の国々に期待しましょう。


>戦闘結果見て、あまりにも飛龍がかわいそうで

全くです。ただ、今回の飛龍たちは、切羽詰って粗製された「不良品」か耐用限界に近い「老朽品」です。生物にこんな表現はなんですが・・・。乗り手も訓練不十分な者が大半であり、マリアナ沖海戦のようなものです(もっと状況悪いかな)。


>飛龍を現在の攻撃ヘリのように運用できれば

はい。はじめワイバーンは「攻撃ヘリ」として設定していました。現在の設定でも対地攻撃を主任務としていて(日本と戦うまでは)、ワイバーン同士の戦闘はあくまで従(せいぜい敵ワイバーンを追払う程度)です。

しかし、日本の戦闘機と戦わせるとこれでは不利すぎです。悩みましたが、急遽航続距離を再設定し、最高速度も大幅に増やしました。ちなみに初期設定ではワイバーンが150キロ時、ワイバーン・ロードが250キロ時でした。

76 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/18(土) 13:55:18 [ DA54LZrA ]
ああ!大事な事書きわすれた。

ワイバーンは大メシ喰らいです。馬の何倍も飲食いします。

77 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/18(土) 14:24:41 [ Qj92boSo ]
480km/hも出せるなら数倍どころではない。一日に自重の何倍も食べる必要があるのでは?
それ以上かもしれない。正確な計算キボン。

78 名前:27 投稿日:2005/06/18(土) 16:56:57 [ aG4Z/M7g ]
>基本的には1人乗りで、他に最大2人(非武装の場合)あるいはそれに匹敵する「もの」を積載可能

馬と同程度ですかね? とすると0.3〜1トンくらいか。
ちなみに、現実には飛行生物の体重の限界は、12kg程度とされています。


あと、ひとつ質問なんですが、480km/sというのは、人を乗せた場合? 乗せない場合?

79 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/18(土) 21:39:30 [ DA54LZrA ]
うう、白状します。

①ワイバーン・ロードはワイバーンの中でも優秀な血統から選んで「調整」するし、「調整」時に高い魔法技術を要求されるから高いだろうなあ。

②ワイバーンは普通に繁殖させればいいから安いかな?でも使えるようになるまで時間かかるし、それまでの維持費とかかんがえると、ワイバーンも結構収得費用高いよなあ。

③維持費は、まず世話する専属の人員が何人も必要だな。医者(獣医?)も必要だし、ワイバーン・ロードなら世話に魔法士もいるだろう。後は食費か、鯨飲馬食というけどこいつらそれ以上だろうな。馬の何倍もでかいからなあ、10倍じゃ足りないな、もしかして20〜30倍?もっと?

④それだと費用はまだしも、兵站にえらい負担だ。とりあえず後で何とでもなるように「何倍」としておくか。そういえば、それだけ食べるなら糞尿もえらいことになるなあ。その後始末どうするんだ?もしかして大江戸リサイクル?そんなのファンタジーじゃないよ、イヤすぎる・・・。

というように考えていました。ああ、皆さんの視線が痛い。でも自分の貧弱な知識ではそこまで詳細に設定できないし、あんまり最初に細かく設定するとそれに束縛されちゃうし。


>78

最大速度480km/hとは、以下の条件で測定した際の記録です。

・青年期の雄で標準的なもの

・気候は晴れ、無風状態。気温は暑すぎず、寒すぎず。

・乗り手は標準装備の竜騎士のみ、他の積載はゼロ。

高度とかは・・・、そこまでは決めていません。



えっと、そんな訳(どんな訳だ)で、本日のSS投下。

80 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/18(土) 21:42:29 [ DA54LZrA ]
平和なこの地方に、ある日突然500あまりのオークがやって来た。おかしな事だ。

通常オークは数十から多くて100体程の一族で集落をつくる。まあ500という数はオークキングが率いているという事で理解できるが(かえって少ない)、理解できないのはその構成である。500全てが青壮年期のオス、通常では考えられない。

周囲の村々はパニックに陥った。当然だろう。よりにもよって500のオーク、更にやっかいな事にオークキングがいる。100体程度の集落を討伐するのでさえ正規軍500程(後方支援部隊を含む)必要なのだ。おそらく討伐には4000程の正規軍が必要となるだろう。もうこうなると戦争だ。

郡長官が中央に急いで報告すると、「すぐに討伐軍を送る」との返事が来たので、郡庁は大慌てで4000の兵(もっと多いかもしれない)の受け入れ準備を行った。

ところが派遣されたのはわずか200にも満たない兵。この部隊は先遣隊ではあるが、派遣総兵力は1000に満たない−これを聞いた時、郡長官は目の前が真っ暗になった。わずか1000程度の兵で一体なにができるのか!

しかし彼等は郡長官の予想に反し、わずか数日で400ちかいオークを討伐し、残すところオークキング以下100余りとなった。明日には全てのオークを始末し、討伐完了するそうだ。

郡長官のみたところ、彼等は全員魔法兵のようだった。不思議な事に鎧を着けず(妙な兜は被っていたが)様々な魔法の杖を持ち、それを使い分けて戦っている。しかしあんな魔法兵を、いつの間にわが国は持ったのだろう?

その疑問は解消される事なく決戦の日を迎えた。

81 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/18(土) 21:43:01 [ DA54LZrA ]
・・・短い!

すみません決戦前夜で終わってしまいました。自分とこの更新してたんで・・・。
(頭切り替えるの大変なんです)

次回こそは決戦を!

82 名前:27 投稿日:2005/06/18(土) 21:55:53 [ gI5msQx. ]
やはり、人を乗せた場合か……

人を乗せると、条件が一気に厳しくなりますね……
龍だけなら、レイノルズ数を低く抑えて、空気抵抗を事実上ゼロにする裏技があったのですが…

83 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/18(土) 22:21:03 [ Qj92boSo ]
そうだな・・・風速480km/hなんて風を受けたら首の骨が折れるんじゃないか?
まあそうなるまえにしがみついていられずに落ちるな。
風の流れを制御する魔法があれば、この問題は解決だし、空気抵抗も減らせるのではと思うが・・・
しかしこの魔法、日本が導入すればとんでもないことになるな。なにしろ機体形状の物理的な
制限がなくなる。速度大幅アップ、揚力アップで搭載量アップ、飛行中に魔法の効果範囲を
変えられるならもう最強。可変翼もびっくりの空力特性の変化が望める。などなど、F世界に
ハンデを付けてあげるはずが日本軍大勝利。小説の設定って難しいですね。

84 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/19(日) 01:28:44 [ 6KnBHENQ ]
マッハ1で飛行する一式陸攻とか見れるのか…

85 名前:27 投稿日:2005/06/19(日) 03:03:11 [ jih2eCMA ]
……
図書館に行って流体力学の本を読みあさったところ
「液体の粘性を考慮に入れた運動方程式は、今日では最も基本的な流体力学の方程式としてナビエ・ストークスの方程式と呼ばれている。
 この方程式は数学的に最も難解な非線形偏微分方程式であり、コンピュータが登場した今日でさえ、解を得るのは不可能であり、その存在を疑うものすらいる」
……
つーことで、計算のみで抵抗を出すのは不可能らしいです(泣)


しかたないので、いくつかのモデルを使いたいと思います。
連投行きます。

86 名前:27 投稿日:2005/06/19(日) 03:03:55 [ jih2eCMA ]
まず始めに、世界で始めて人力飛行機で英仏海峡横断に成功した、アルバトロス号

この機体のスペックは自重約100kg 出力が約70W くらいでしょう。
これで 3.2m/sの飛行が可能です。
目指す480km/hは、133.3m/sですから、41.6倍の速度を達成しなければなりません。

ここで、空気抵抗は(竜が理想的な流線型なら)速度に比例して増加します。
(もし龍が非流線型である場合、速度の二乗に比例します)

速度に比例するのであれば、速度を41.6倍にしても、抵抗は41.6倍にしかなりません。
すなわち70W×41.6=2912Wの出力が確保できれば、133.3m/sが達成できます。
人間の筋力は1kgあたり10Wの力が出せます。
したがって、要求される筋肉の重量は291.2kgです。
鳥類の翼を動かす筋肉は、全体重の20%であり、そうした場合、龍の体重は1456kgになってしまいます。
……1456kgでは重過ぎます。
しかし神は逃げ道を用意してくださいました。
鳥類の筋肉は、瞬間出力では人間の20倍であるという実験データがあります。
すると、筋肉はたった14.56kgで良く、龍の重体重も72.8kgに抑えることができます。

単一のモデルでは危険なので、もう一つ、ラジコンをモデルにしてみます。
ラジコンの基本スペックは出力1200W 速度100km/h
空気抵抗が速度に正比例する場合、5760Wが必要で、筋肉が28.8kg、体重は144kgです。

87 名前:27 投稿日:2005/06/19(日) 03:07:43 [ jih2eCMA ]
やはり重量は200kg以下で、やや現実味を帯びた数字に見えないことも無いですね。
スペックは二つの平均を採って
出力4336W、筋肉21.68kg 体重108.4kg
くらいとしましょう。
ちなみに、揚力は速度の二乗に比例して増加するので、過剰になった揚力の分を速度に振り分ければ(迎え角を小さくすれば)、さらに速度の向上が狙えます。


巡航速度を最高速度の半分の240km/sと見積もった場合で、この場合ですと、出力は2168Wとなります。
これで1000km飛行した場合、4.2時間の飛行です。使用したエネルギーは9106Wh。
エネルギー変換効率を発電所などと同じ40%と見積もると(これは非常に高い値で、通常生き物は25%程度)
22764Whのエネルギーを体内で消費している計算になります。
これは、だいたい81950000ジュールの熱量で、人間の一日に摂取する栄養の8倍、ほかほかご飯11.7kgに相当します。
このほかに基礎代謝として、体重1kgあたり20Wが必要で、これは何の運動をしなくても一日に26.7kgのほかほかご飯が、別途に必要となることを意味します。
これはピーナッツバター6.9kgと置き換えることもできます。

以上、終了。思ったより、理論上は現実的でしたね。
そう……理論上は…… 
…そこ! 慣性抵抗とかレイノルズ係数とか層流理論とかって突っ込みいれるなよ!

88 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 09:21:34 [ DA54LZrA ]
う〜ん、一応の設定では、

・ワイバーンは風の系統の魔獣で、風を自在操る(自分の周りのわずかな範囲のみ)ことにより、揚力を得る。なお、この能力で攻撃はできない。

・ワイバーンは進行方向に風系統の魔法障壁を形成し、飛行方向の逆風を中和、というか空気抵抗を大幅に緩和するので乗り手も平気。

・さらにワイバーンは火の属性もわずかに持っているため、この「火」を「風」で強化し、火炎攻撃を行うことができる。


と安易に設定したけど、これマズイかなあ。

89 名前:berkt 投稿日:2005/06/19(日) 10:39:23 [ RZMvcj6I ]
とどのつまり、人が乗って尚且つ空戦が出来る最高速度ってどのくらいなの?

90 名前:27 投稿日:2005/06/19(日) 14:08:43 [ cGfX9F3w ]
いや、おれはただ適当にやっただけで、別に設定があるんなら良い。

結局オレのは
>74
> ただ、生物的に480km/sの速度を達成するにはどうすればよいか?
> というのが気になっただけであります。
> ただの好奇心であり、非難しているわけじゃないっす。(苦笑
だから、気にすんな。

個人的なことを言えば、その三つの設定を使っているのなら、空力学的に一番邪魔な慣性抵抗を完全に無視できるようになるので、上の理論値に近づきそうです。
それと、一日の基礎代謝量から考えると、航続距離はもっと向上しそうですね。

91 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 15:18:51 [ DA54LZrA ]
>89

戦場到着までの疲労を考慮し、最大速度より5%程割引いた450キロ/h前後です。


>90

27さま、すみません。漠然とそう考えただけなんですよね、設定というにはあまりにファンタジーなんで。

92 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/19(日) 20:25:47 [ 6KnBHENQ ]
>>86-87
GJ 面白く読めた
やっぱこれぐらいで留めておくのが良いですね
細かいところは魔法で上手く濁らせて

93 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:51:44 [ DA54LZrA ]
本日のSS!

94 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:52:17 [ DA54LZrA ]
<外伝1補完版>

99式艦爆から投下された250キロ爆弾が吸い込まれる様に敵艦に向かっていく、一拍子遅れて爆音が起こり、敵艦は炎に包まれる。時折対空カタパルトより魔法の矢が放たれるが、全く当たらない。

「たっまや〜。」

「真面目にやって下さいよ、太田さん。」

太田二飛曹の不真面目な言葉に黒沢二飛曹が抗議の声を上げる。

「しょうがないだろ?もうやる事無いんだから。」

実際、爆弾1発落したらもう敵艦に対する攻撃手段は無い、後はただ同僚の活躍を眺めている(それも任務のうち)だけだ。

「機銃で攻撃します?」

「弾の無駄だよ。」

黒沢二飛曹の提案をあえなく却下する。まあいくらなんでも99式艦爆の7.7ミリでは効果ないだろう。もっとも彼等の上空を旋回している護衛の零式艦戦のように、8挺も搭載していれば話は別だが・・・。

「連中もご苦労だな、最初から最後まで俺達の活躍を指を咥えて見ているだけなんだから。」

太田二飛曹は心底同情したように言う。護衛の零式艦戦はいざという時の為に、機銃掃射も禁じられているのだ。

「もうこの辺りに敵機はいませんからねえ。この間西山さんも嘆いていましたよ。『敵のワイバーン・ロードと戦いたい』って。」

西山とは、零式艦戦隊の西山二飛曹の事だ。彼等と西山二飛曹は同期なのだ。

「ワイバーン・ロードねえ・・・。もうロッシェルにはいないんじゃないか?」

「太田さん、いくらなんでもそれは無いですよ。」

「でも陸軍の奴等の話だとワイバーン・ロードどころかワイバーンさえ滅多に見ないそうだぞ?」

95 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:53:01 [ DA54LZrA ]
無駄口をたたいている彼等の機体の横を99艦爆の1機が通過する。その胴体下には何か抱いている。爆弾ではない、機銃だ。零式艦戦に7.7ミリ機銃を増強する際に撤去した20ミリ機銃を、99式艦爆の爆弾架に搭載できるように改造したものだ。

「俺もあれが良かったな。何回も攻撃できるし。」

「何言っているんですか。動きが鈍くなるから嫌だって言って断ったの、太田さんじゃないですか。」

99式艦爆が20ミリ機銃を発射するとたちまち対空カタパルトが沈黙する。この機体の役目は「敵艦の対空砲火の制圧」なのだ。それを見て黒沢二飛曹は呟く。

「やっぱり太田さんには無理ですよ。あんな細かい仕事。」

「お前ね。」

そうこう言い合っているうちに戦いは終わった。結果はもちろん帝国海軍の圧勝だ。この戦いに参加したのは99艦爆12機(うち20ミリ機銃装備3機)、零式艦戦3機の計15機。損害は99艦爆の1機が小破したくらい(もちろん自力で帰還可能)で、敵小型艦は2隻とも沈没した。攻撃隊は再び編隊を組み、帰還する。

96 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:53:25 [ DA54LZrA ]
「太田さん、何食べているんですか?」

「干し肉だよ。お前も食うか?」

太田二飛曹はそう言うと袋を後部座席に放り投げた。袋を開けると、虹色の干し肉が入っている。

「これ・・・何の肉です?」

思わず聞いてしまう。こっちの世界に来てからいろいろな訳の分からないものを食べてきたが、このようなあまりにも怪しい肉は初めてだ。

「さあ?」

「『さあ?』ってよく食べられますね。一体どこで手に入れたんです?」

「この前上陸した時、陸軍の奴に貰った。なんでも陸軍じゃあ結構食ってるらしいぞ。なにしろ日本食は滅多に食えないそうだからな。」

陸軍の苦労に思わず目頭が熱くなる。ああ、艦の食事を訳が分からないと文句を言った自分が恥ずかしい。

「何やっているんだ?」

黒沢二飛曹の反省の仕草には、太田二飛曹は呆れた様な声をかける。

「ほっといて下さい。」

97 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:54:03 [ DA54LZrA ]
やがて複数の艦が見えてくる。帝国海軍の巨大な軍事力の象徴、機動部隊だ。この機動部隊は、第7航空戦隊(改装空母「大鷹」「沖鷹」「雲鷹」)に若干の護衛部隊(峯風型駆逐艦6隻)を加えたもので、ロッシェルを含む東部諸国の海上連絡線の遮断を主任務としている。

従来、「大鷹」型を始めとする低速の改装空母は、艦載機の運用が困難であり、飛行機運搬船として運用するのがせいぜいだった。しかし、この世界に来て事態は急変する事になる。

「風の魔石」というものがある。魔石といっても人工的につくられたものであり、本来は「風車を動かす為の風を生み出す」ことを目的に開発されたのだが、持続的に風を発生させる事が不可能と判明(ついでにコストも上昇)し、代わりに一部帆船の補助動力てして用いられてきた。風の魔石は5〜6ノットの風(無風状態の場合。風が吹いていればその分上乗せできる)を人工的に発生させる事ができる。持続時間は約1時間、再チャージにおよそ半日かかる。また、使用し続けると崩壊していく。

これに目を付けたのが帝国海軍だ、これさえあれば低速の改装空母にも自由に合成風力を作る事ができる。かくして、これらの低速の改装空母群も帝国海軍機動部隊の正式なメンバーとして働かされる事となった。ちなみに「大鷹」型の搭載機は、常用が零式艦戦9機、99艦爆12機の計21機。補用が零式艦戦2機、99式艦爆2機の計4機となっている。

98 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:54:47 [ DA54LZrA ]
「攻撃隊、帰還しました。敵艦は2隻と撃沈、損害は99艦爆1機小破です。」

航空参謀の言葉に長官は大きく頷く。

「もうこの海域での任務もあらかた終えたな。」

「はい、近いうちに移動命令がでるでしょう。」

その言葉に「大鷹」の飛行長が破顔一笑する。

「部下たちも喜びます。艦戦部隊の連中、退屈してますから。」

彼等が雑談をしているところに、通信参謀が駆け込んできた。

「長官、連絡機です。ロッシェル派遣軍の参謀が乗っています。至急長官にお目にかかりたいとの事です。」

「陸さんが?とにかくお会いしよう。」

陸軍の参謀が一体何の用だろう。とにかく急いで会う事にする。会議室ではすでに参謀が待機していた。長官が入室するとすかさず立ち上がり敬礼する。互いに挨拶を終えた後、本題に入る。

「ロッシェルが大規模な反攻作戦を計画しています。陸上の敵はこちらで対処しますが、敵の航空兵力に関しては不安が残ります。貴艦隊の支援を要請します。」

陸軍の参謀の言葉に首を傾げる。たしか派遣軍の近くに海軍の陸上航空隊−しかもかなりの戦力を持つ有力な部隊−がいたはずだ。それを告げると参謀は面目なさそうに答えた。

「もちろん応援を頼み、快諾を得ました。しかしお恥ずかしながら、陸軍航空隊は地上部隊の支援で手一杯で、海軍さんの陸上航空隊のみでロッシェルの航空戦力に当たることになります。それではかなりの損害を受ける事でしょう。」

「ロッシェルにそんな大規模な航空作戦を行える余力があるのですか?」

「確度の高い情報によると、30のワイバーン・ロードを含む150の航空戦力を投入するそうです。陸上航空隊は96艦戦なので、ワイバーン・ロードが相手では荷が重いかと。」

「150!開戦以来ですな。」

その数に驚きを隠せず長官は答える。恐らく使える飛竜を根こそぎ集めたのだろうが、それだけにロッシェルのこの作戦に賭ける意気込みが分かるというものだ。そしてこの作戦を挫けば、この方面の帝国の勝利に大きく貢献できるだろう。

「わかりました。当艦隊からも艦戦部隊を派遣しましょう。」

「感謝します。」

「しかし、良くそのような詳細な数まで分かりますね。」

「まあ、不利になればなる程、逃げ出す鼠は増えていくものですから。」

長官の疑問に、陸軍の参謀は何ともいえない表情を浮かべて答える。つまりは内通者という事だ。長官はその言葉を聞き、顔を顰める。

「祖国の危機に何という輩だ。そのような輩の言、信用してよろしいのですか?」

「まあ、ロッシェルは一部封建制をとっておりますからね、そのような輩も使いようです。もちろん裏もとっております。」

99 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:55:17 [ DA54LZrA ]
その後お決まりの言葉をやり取りを終え、会議は終了した。参謀が帰還すると、大急ぎで派遣部隊の段取りを決める。

「当艦隊から何機だしますか?」

航空参謀の問いに長官はしばし熟考し、答えを出した。

「27機出す。」

「27機!全戦闘機をですか。しかし、艦隊の防空はどうしますか?」

「艦隊の防空は99艦爆で行う。もうロッシェルにはこちらに差し向ける兵力は残っていないだろう。もしやって来てもその数は知れている、99艦爆でも十分対抗可能だ。」

「しかし、万が一・・・。」

「ロッシェルはこの戦いに全てを賭けるつもりだ、我々も持てる兵力全て注ぎ込む。」

航空参謀の意見具申を長官は退ける。その力強い言葉に航空参謀は敬礼して答える。

「かしこまりました。全戦闘機を派遣します。」

100 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:55:51 [ DA54LZrA ]
一方搭乗員待機室では艦戦隊の搭乗員達が待機していた。彼等はすでに今回の作戦の概要を聞き、だれが、居残りを命じられるかと不安そうにしていた。なにせ、ここのところ敵と戦う事もできず、同僚の艦爆乗り達の手柄話を肩身が狭そうに聞いていたのだ。

飛行長が入室すると皆が一斉に起立する。

「楽にしてよろしい。第7航空戦隊はその全艦戦を出撃させ、ロッシェル王国軍航空兵力を殲滅する。」

飛行長の言葉の意味を理解し、搭乗員達は歓声を上げる。

「いいか、我々の目標は一にワイバーン・ロード、二にワイバーン・ロード、三にワイバーン・ロードだ!ワイバーンになぞ目もくれるな!解散!」

誰もが出撃の準備で駆け回り、エレベーターに乗せられた零式艦戦が次々に上げられていく、やがて出撃時刻となった。

全くの無風状態、以前の「大鷹」型なら航空機の発艦はどうやっても不可能だっただろう。しかし今は違う、突如として6ノット程の風が吹き、25ノットの合成風力を作り出す。その風を受け、零式艦戦が次々に飛び立っていく。零式艦戦は機動部隊上空を旋回し、全機発艦すると編隊を組んで西に向かう。

目標はロッシェル王国軍空中騎士団!

101 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/19(日) 20:56:55 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

あれ、「沖鷹」がうまく変換できない・・・。

このSSは外伝1(レス64〜67)の直前の話です。

今回のSSは海軍です、実はマイナーな改装空母が好きなんです。「『大鷹』を出したい」
が今回のテーマです。なんとか屁理屈つけて登場できるようにしました。第1航空艦隊が華々しい活躍をする影で、彼等は黙々と任務をこなします。

102 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/19(日) 23:06:48 [ dihuzP3s ]
何でもありの世界になりつつありますね・・・
日本の状況がさっぱり見えてこないんで、何とも言いようがありませんが・・・

103 名前:27 投稿日:2005/06/19(日) 23:09:32 [ vd9HSrow ]
今回ふと思ったのは、たかだかフネ二隻に艦爆12も突っ込むのは、いささかやりすぎな気が……
まぁ、訓練や戦意向上のためなど、ほかに理由があって飛ばしたんでしょうね。

>「風車を動かす為の風を生み出す」ことを目的に開発されたのだが、持続的に風を発生させる事が不可能と判明(ついでにコストも上昇)し、代わりに一部帆船の補助動力てして用いられてきた。
ここはマジで爆笑させてもらった。
おまいら作用反作用の法則を以下略(笑

さて、楽しみなのは龍による対艦攻撃はどんなものが考えられるかだな。
展開からして、空母に攻撃が向けられるとみた!

104 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/19(日) 23:15:31 [ dihuzP3s ]
低空を飛行する雷撃竜に気をとられ、上空に迫る急降下爆撃竜に気が付かないわけですねw

105 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/19(日) 23:43:30 [ ITAwsCH2 ]
>おまいら作用反作用の法則を以下略(笑
三角帆なら逆風でも進めるのでそれに使うのでは?
そうすれば反作用が前に向けてに発生するのでやはり前に進める。
ドラゴンの火炎攻撃か・・・装甲目標に対してどれだけ被害を与えられるかですね。

106 名前:27 投稿日:2005/06/20(月) 01:10:53 [ 5K7J0.8M ]
>105  あ、ナルホド!

107 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/20(月) 03:19:34 [ m7qYglXo ]
漏れ、船に風車載せた、風力動力の外輪船を想像しちゃった。

108 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/20(月) 19:07:50 [ DA54LZrA ]
え〜、みなさんにバレバレですが、次回は飛竜による対艦攻撃です。99式艦爆はせまる飛竜部隊を阻止できるか?

ちなみに、この世界では99式艦爆が同僚の97式艦攻を押しのけ、空母打撃力の主役となっています。

97式艦攻の雷撃は強力ですが、その魚雷は高価であり、必要とする機会もまずありません。今では正規空母に1〜2個中隊ほど搭載されているのみで、軽空母には搭載されていません。対艦攻撃も雷撃ではなく、水平爆撃です。

99式艦爆は一種の「万能機」として重宝され、戦闘機代わりに用いられる事も少なくありません。ワイバーン・ロードには敵いませんが、ワイバーン相手なら十分です。一部ではワイバーン・ロードにも対抗可能な後継機を求める声もありますが・・・。

109 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/22(水) 13:48:35 [ DA54LZrA ]
「閣下、連中が動きました。重戦闘タイプ27体の出撃を確認済みです。」

「そうか。しかし27体か、おそらく全力出撃だろうな。」

副官の報告を受け、空中騎士団団長セルゲトフ竜騎将軍は会心の笑みを浮かべた。

今回の作戦−王国軍の総力を上げた反抗作戦−にセルゲトフは終始反対だった。結果が見えていたのだ、作戦が大規模すぎ、敵に察知される事を避けられない。そして待ち構えた敵に迎撃され、王国軍は全戦力を失うことになるだろう。しかし、王国宰相をはじめとする閣僚、はては軍務卿や大将軍までもが「賛成」、そうでなくても「反対はせず」となれば、一将軍が反対した所でどうにもなるものではなかった。

それにしても奇妙な話だ、皆が皆反対しないとは。近頃では講和派の勢いが増し、抗戦派と日頃衝突しているというのに。

おそらく講和派は、敗北により抗戦派の勢いを弱め、講和に持っていこうとしているのだろう。馬鹿な話だ。戦力を完全に失った後での講和など、どんな条件でも言いなりではないか。もっとも、王国軍が全滅するとまでは考えていないのかもしれないが。

抗戦派(セルゲトフもそうだが)も愚かだ、勝てないまでも痛打を与えられるなどと、本当に信じているのだろうか。或いは敗北続きで自棄になっているのか。

何れにせよ、この作戦の実行は決行される事となった。この戦いで空中騎士団はその歴史に幕を閉じる事になるだろう。それならば何とか帝国に一矢報いなければならない。そして帝国が決して無敵などではないという事を大陸中に知らしめるのだ。我等の名誉の為にも。

110 名前:名無し三等陸士 投稿日:2005/06/23(木) 23:31:26 [ BbUEfgGI ]
うーむ、竜と零戦のドッグファイトか……
なんか、ライトノベルの『ゼロの使い魔』にもあったな。
たった一機で、飛竜軍団をばったばったと撃墜していくんですよ。

111 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/24(金) 11:31:53 [ DA54LZrA ]
SS、投下。

112 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/24(金) 11:32:23 [ DA54LZrA ]
<王立飛竜育成所>

王立飛竜育成所とは、読んで字の如くワイバーンを卵から成獣になるまで育成する機関である。例外として、ワイバーン・ロード候補に選抜された個体は、幼獣のうちに魔法協会に送られ各種テストの後、ワイバーン・ロードに「調整」される。ここに不意の来客が訪れていた。

「これは竜士養成学校校長殿、当育成所に何用で?」

応対に出た所長は尋ねる。竜士とは竜騎士と竜戦士の総称であり、その養成学校校長とは帝国風に言えば飛行学校の校長といったところか。

「ワイバーンをお借りしたい。」

「ワイバーンを?ああ、お宅の竜まで持っていかれましたか。うちの竜も根こそぎ持っていかれました。やっと成獣になった竜までね・・・。」

所長は溜息と共に続ける。

「開戦前まで細々とやってきたのを、いきなり『増産しろ』なんて無理にきまっているじゃないですか。竜は工場で作られるのでは無いのですよ!卵のうちからじっくり育ててやらなければならないのです。でなければとても良い竜なんぞできやしません。」

日頃の鬱憤がたまっているのか、親交のある校長につい愚痴をこぼす。が、直ぐに我に返り慌てて謝罪する。

「あ、いや申し訳ない。」

「いや、お気持ちはごもっとも。当校でも事情は同じです。」

「そうですか、そちらも大変ですね。しかし我々の所にはもう幼生の竜しかおりません。残念ながら貴校のご希望には答えることはできません。」

「いや、幼生体で結構。それにわが校の用ではなく、『我々』の用です。」

そう言うと、校長は文章を手渡して告げた。

「空中騎士団長閣下からの命により、貴育成所のワイバーンを徴集します。」

113 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/24(金) 11:32:46 [ DA54LZrA ]
 
「命令?当育成所は軍務省直轄で、空中騎士団の命を受ける立場にありませんよ?それに幼生体でもかまわないとはどういう事ですか?」

所長は突然の展開に戸惑いながらも尋ねる。

「『魔薬』を使います。1度だけなら実戦に投入可能となるでしょう。」

『魔薬』とはこの場合、竜の能力を一時的に上昇させたり、疲労を回復させたりする薬のことである。便利ではあるが、副作用として竜の体に無視出来ない程のダメージを与える為、まず使用されない。幼生体の竜に実戦可能となる程の『魔薬』を与えれば死を免れないだろう。

「『魔薬』!そんな事をしたら竜が死んでしまいます!」

「我々はもう手段を選んではいられないのですよ。」

所長の抗議にも表情を変えず、校長は淡々と答える。

「とにかく竜はお貸しできません。お引取り願い・・・」

校長の態度に所長は怒り、拒絶しようとする。だが、それが彼の発した最後の言葉だった。彼の胸には短剣が深々と刺さっていたのだ。

「残念ですよ。できればこの様な真似はしたくなかったのですが、もう時間が無いのです。」

心から残念そうに言う。

やがて扉が開かれると、兵士達がなだれ込んできた。彼等は皆、血で塗れた剣を手にしている。

「所内の制圧完了しました。現在、使用可能な竜を選抜中です。」

兵士の言葉に黙って頷くと、校長は部屋を後にした。

114 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/24(金) 11:33:13 [ DA54LZrA ]

・・・数日後、王立竜士養成学校。

竜と竜士達が並んでいる。だがよく見ると竜達は幼生体だ、目も異常な程血走っている。数日前に強奪した竜だ。竜士達も竜に負けず幼い。いや、竜士ですらない、彼等はみな竜士養成学校の生徒達なのだ。

「諸君。諸君らにはこれより重大な任務が与えられる。」

校長の言葉に彼等は緊張する。今回の作戦で最上級生達は卒業を急遽繰り上げ、出撃する事になっている。ここにいる者達は最上級生ではないが、成績優秀な者ばかりだった。ということは自分達も。

「諸君らには、帝国の『クウボ』を捜索し、攻撃して欲しい。」

とたんに生徒達がざわめく、無理も無い。『クウボ』とは飛行型機械竜の母艦で、『センカン』−海に浮かぶ鋼の要塞−と並び、帝国の巨大な軍事力、恐怖の象徴なのだ。

「諸君らのような生徒達まで動員しなければならない事を許して欲しい。だが、今回の作戦は王国の命運を賭けた決戦である。この戦いに敗北すれば、王国は滅びる事になるだろう。」

生徒達のざわめきが止む。

「王国の命運は作戦に参加する全将兵の双肩にかかっている、もちろん諸君の双肩にもだ。」

生徒たちは目を輝かせる。『王国の命運は自分達の双肩にかかっている!』その言葉は彼等の心をくすぐる。

「諸君らは帝国の『クウボ』を発見し、沈めるのだ。帝国を王国から叩き出せ!」

校長の叫びに生徒達は呼応する。帝国の『クウボ』を沈め、英雄になる!もはや恐怖はない。彼等は竜達に駆け寄ると騎乗し、次々に飛び立っていく。

目標は帝国『クウボ』部隊!

115 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/24(金) 11:37:50 [ DA54LZrA ]
SS投下終了。

ロッシェル王国、なんかもう末期症状ですね。

116 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/24(金) 12:59:59 [ 6KnBHENQ ]
投下乙
「帝国」が召還されなければ(帝国が)辿っていた道ですね。
うまい具合にオマージュ(って言うのか?)になっとると思います。

117 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/25(土) 07:11:17 [ DA54LZrA ]
>>116

ありがとうございます。

次回対艦攻撃と言っておきながら、次回以降に持ち越しとなってしまいました。

118 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/26(日) 08:12:48 [ DA54LZrA ]
う〜ん、零戦から撤去した20ミリ機銃(99式1号、60発弾倉付)を着脱式のポッドにして、99艦爆の両翼下に1挺ずつ装着させたいけど、可能かなあ?

現在は胴体下の爆弾架に装着させて登場させているけど、両翼に装着した場合、主翼はもつのだろうか?

誰か詳しい方、教えて下さい。

119 名前:名無し三等陸士 投稿日:2005/06/26(日) 11:28:38 [ BbUEfgGI ]
似たような形のものでスツーカがありますが、
99艦爆と比べると重くて堅いんですよね、エンジン出力も上ですし

ただあっちは37mm、こっちは20mm
そこら辺の重量とか考えると出来るかなと思いますけど

くっつけたら空気抵抗も大きくなるし、翼が弱そうでちょっと怖い、
やっぱり無理かなと思います。

いっそのこと雷電を艦載機に改造した方がいいんじゃないかと

あの魔道具使えば出来なくは無いんじゃないですか?

120 名前:名無し三等陸士 投稿日:2005/06/26(日) 12:04:42 [ BbUEfgGI ]
すみません。
さっき調べたら99式1号の重量って25㎏以下だと言うデータがありました。

99艦爆は250㎏一つか60㎏を二つ搭載する事が出来るので十分可能です。

大変失礼しました。

121 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/26(日) 12:29:41 [ DA54LZrA ]
119さまありがとうございます。

>>やっぱり無理かなと思います。

やっぱり駄目ですか、かっこいいと思ったんだけどな。

いままでどうり胴体下の1門だけで我慢するか。


>>いっそのこと雷電を艦載機に改造した方がいいんじゃないかと

雷電は離着陸の難しい機体と聞いていますが、大丈夫でしょうか。

でもいいですね、艦上型の雷電。紫電改もいいなあ。

あれ?はたしてこの世界では紫電改は作られるのだろうか?雷電は大丈夫だろうけど・・・。


無理矢理理由付け→

零戦の後継機「烈風」の開発が遅々として進まず、業を煮やした海軍は中西が独自に研究開発した「紫電」に目を付け、これを元に新型機の開発を指示。

紫電に大幅に手を加えて完成した試作機を、烈風が完成するまでのつなぎとして採用。「紫電改」と命名。

いつまでたっても完成しない烈風を差置き、いつのまにか海軍主力戦闘機に。

あれ?なんか現実とそんなに変らないな。

122 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/26(日) 12:36:31 [ DA54LZrA ]
>>120

おお、大丈夫でしたか。これで99艦爆を活躍させられる。

119さま、ありがとうございました。

(レス121の時点ではレス120を読んでいませんでした。申し訳ありません。)

123 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/06/26(日) 15:43:28 [ BbUEfgGI ]
でも局地戦闘機は活躍させて欲しいですね。

雷電なんかは具合がよければ陸軍が採用していたかもしれない戦闘機なんで
見てみたいです。

124 名前:27 投稿日:2005/06/26(日) 17:11:31 [ wyPxy7U. ]
雷電を艦載機にするとか、あんまし笑かすなよ(笑


おれはずっと翼下についてると思ってたよ。>20ミリ機銃
てか、そっちのが現実的じゃないか?
胴体下の爆弾架なんかにつけたら、同調装置がないとプロペラを撃っちまうぞ。
あの位置で同調装置つけると、完全に無理じゃないと思うが、かなり改造が必要になりそうだし。

あ、だから、胴体下はやめて翼下に改めるのか!


そういえば、紫電なんかは翼下に20ミリ機銃ポット吊ってるな。

125 名前:sage 投稿日:2005/06/26(日) 18:32:04 [ 4FjFsiho ]
Bf109やFw190なんかも翼下吊り下げ式に機関砲設置したりしてますしね。
もちろん翼内武装がそもそも全く考慮されていないような機体だと
すぐにポン付けというわけにも行かないのでしょうけど。

126 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/26(日) 20:47:51 [ DA54LZrA ]
>>124

127 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/26(日) 20:53:43 [ DA54LZrA ]
ああ、間違えて打ってしまった。すみません。

>>124

僕もその方がいいと思ったのだけれど、主翼が大丈夫か不安だったんですよ。

だから「胴体下」ということにしておいたんです。実際、そう書いてしまっているし。

まあ、いままでは廃物利用で試験的に搭載していたということにして、これからは正式採用されたとして、両翼に吊るします。

128 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/06/26(日) 22:37:24 [ BbUEfgGI ]
日本版スツーカの誕生w
この世界なら不遇の呑龍や屠龍も大活躍できる!
そういえばこの世界の石油とかアルミなどの戦略物質なんかはどうなってるんだろう?

129 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/26(日) 22:50:59 [ 6KnBHENQ ]
>>128
それをゲットするために「帝國」は「王国」に戦争しかけてるんじゃアルマイカ

130 名前:27 投稿日:2005/06/26(日) 23:56:53 [ vn2JNZ2c ]
>128

これは想像ですけど、
99艦爆が量産され、空母に搭載され、さらに胴体下に機銃を装備するなどの改造を受けるほど時間があると言うことは、どう考えても、1940年後半以降、たぶん1941年が舞台になっているような気がします。

この時点で日本は戦争に備えてアルミ・石油などの資源を備蓄しているので、1〜2年は戦えます。。
当方の記憶が正しければ、南方の資源が最初に日本に入ってきたのが1942年の夏頃だったと思うので、それまでは普通に戦えるはずです。

蘭印に産するボーキサイトを積んだ船が最初に日本に入ったのが同時期としても、アルミ資源については最低でもあと一年はなんとかなるでしょう。
また、石油を大量に消費する艦船の行動を必要最低限にとどめれば、石油資源も相当の期間大丈夫でしょう。
飛龍とゼロ戦の空戦を読んだかぎりでは、飛行機の損失は非常に少ないようなので、アルミは余裕ですな。

まぁ、アルミが尽きたら、木製疾風キー106を量産しませう。
石油は人造石油とアルコールしかないな……

131 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/06/27(月) 02:02:27 [ BbUEfgGI ]
>>129
申し訳ない、浅はかでした。

あ、そういえば転移したのって列島全部ですか? これ
そうなると残された世界の大陸の陸軍は、孤立無援……?

その当時なら、大半の陸軍は中国で戦争中ですから、かなりの陸戦戦力がごっそりと消えてますよね?

132 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/27(月) 07:44:17 [ DA54LZrA ]
>128〜131

え〜とですねえ。思いっ切りご都合主義ですが、

転移時期は1941年12月7日です。対米戦直前ですね。

転移した土地は日本列島(千島〜沖縄)です。今頃満州や朝鮮・樺太はソ連に「開放」されているでしょうね。南洋や台湾はアメリカかな?それともイギリス?

不思議な事に、海外の日本人および日本資産(撤去可能なものに限定、当然土地や建物はNG、ただし工場内の「機械」はOK)も転移しております。これらの人々や物は日本国内の各地(空き地など)に出現しました。

日本国内であっても、外国の人々(朝鮮・台湾人含む)や資産(やはり撤去可能な物)は転移しませんでした。きっと今頃はそれぞれの母国に出現しているでしょう。

・・・という訳で、日本軍は全戦力転移済みです!



転移後しばらく事態の把握に追われ、把握後しばし呆然とし、やがて帝国は立ち上がり、生きる為の活動を開始します。

133 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/28(火) 12:17:19 [ DA54LZrA ]
現在、外伝1最終章(仮)を鋭意執筆中のくろべえです。自分の文才、というより作文力の無さを改めて痛感しております。ああ、他の諸氏の半分でも才能があれば。

それはさておき、外伝1の設定を少し話したいと思います。



<外伝1の設定①>

外伝1の時期は昭和18年半ば、転移してから1年半程たった頃です。

形振り構わぬ資源獲得もようやく(ある程度)達成し、転移初期に獲得した資源がやっと採掘可能となり、ようやく一息ついたところです。もっとも余りにも手段を選ばない、強引な手段はあちこちで敵を作りましたが・・・。


これまで資源を全く手に入れる事が出来なかった為(少量の石油を除く)、その影響は軍備にまで及んでおります。海軍も影響を大きく受けました。

まず戦艦については、「武蔵」を最後に建造していません。「信濃」は解体です。

空母についても、現在建造しているのは「大鳳」のみです。現在の空母戦力は以下の通りです。

第1航空戦隊 加賀、赤城
第2航空戦隊 飛竜、蒼竜
第3航空戦隊 瑞鶴、翔鶴
第4航空戦隊 隼鷹、飛鷹、龍驤
第5航空戦隊 祥鳳、瑞鳳、龍鳳
第6航空戦隊 海鷹、天鷹、神鷹(天鷹はぶらじる丸を改装したもので、海鷹のと同型)
第7航空戦隊 大鷹、冲鷹、雲鷹

他に練習空母として鳳翔があります。

また、補助戦力として、水上機母艦があります。千歳、千代田、日進、瑞穂は、改装しなくてもこの世界では十分有力な為、空母に改装されていません。特設水上機母艦も、偵察に留まらず空母の穴埋めとして活躍しています。

巡洋艦・駆逐艦についてはだいたい史実通りです。

海防艦等の護衛艦については、細々と建造される程度で、史実程の大量建艦は行われません。

潜水艦については開戦時の戦力維持で、旧式艦の後継艦の建造程度です。

134 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 12:59:22 [ DA54LZrA ]
SS投下!

135 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 12:59:53 [ DA54LZrA ]
3-1 <ロッシェル王国東部某拠点>

ロッシェル王国東部、すでに帝国の支配下にあるこの地域の某山中に彼等はいた。

「そろそろ出撃時刻か。」

空中騎士団第1空中騎士隊隊長は呟く。

この様な場所に、まるで山賊の様に潜んでいたのも今日この日の為。必ずや帝国に目に物を見せてやるのだ。

第1空中騎士隊は、空中騎士団の中でも最精鋭を誇った部隊であった。しかし、度重なる消耗戦により、第1空中騎士隊は彼も含め、既に全滅した事になっている。もっとも、残存戦力は2体の飛竜を残すのみとなっているので、事実上全滅といっていいだろう。

第1空中騎士隊はその後、空中騎士団長の密命により、地下拠点に潜み再起を図ることになる。この地下拠点は、元は陸上部隊が撤退時に放棄した施設で、かなりの食料も備蓄されていた。彼等は竜と共にここで辛抱強く、時を待った。

以前なら、この様な命令など、とても受け入れられなかったろう。だが、復讐心がそれを可能にした。他の「全滅」した筈の部隊の残党も、王国東部の各地に潜んでいる筈だ。もっともその戦力はわずかに飛竜10体程度である。通常の手段では、とても帝国に一矢報いる事などできないだろう。だから時を待ち続け、今日ついにその日がやって来た。

目標はあの憎き機械竜どもの母艦、「クウボ」。今「クウボ」には、あの悪魔のような重戦闘型の機械竜はいない、いるのは攻撃型のみ。これを逃せばもう次は無いだろう。1隻でもいいから「クウボ」を沈めなければならない。死んでいった仲間達の為、そして第1空中騎士隊の名誉の為に。


「諸君!ついに時は来た!我々、第1空中騎士隊はその全戦力を持って帝国艦隊を撃破する。」

隊長の演説に部下達の歓声が上がる。いまだ士気は高い、彼等もこの日を待ち続けていたのだ。

「なお我々の出撃をもって、部隊は解散する。」

続く隊長の言葉に、戸惑いの声が広がる。彼等は飛竜の出撃後、付近の帝国軍部隊に突撃するか、占領地域を突破し、友軍に合流するものと思っていたのだ。

「諸君らの戦争は終わったのだ。故郷に帰りたまえ。」

それを察した隊長はそう言葉を結ぶ。部下達はもう十分戦ったのだ。彼らに最後までつき合わせる訳にはいかない。

136 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 13:00:17 [ DA54LZrA ]
3-2

部下達が飛竜の最終調整を終える。最後に「魔薬」を注入すると、飛竜が悲しげな声を上げた。まともな竜士や竜兵で、「魔薬」を使いたがる者などいない。部下達も飛竜の目を見ないようにしている。しかし、もはや形振り構ってはいられないのだ。しばらくすると、飛竜の目が異常な程充血する。「魔薬」が効き始めた証拠だ。後は敵発見の報を待つのみとなる。

隊長は待機しながら考える。この極秘作戦に参加するのは、捜索部隊を別とすれば地下に潜った10体程度の飛竜のみ。うちワイバーン・ロードはわずかに2体のみ。敵艦隊に重戦闘型はいないとはいえ、攻撃型が30体以上いる。対空砲火もかなりのものだろう。

おそらく生きては帰れないな。

そんな事をぼんやりと考えていると、部下が報告書を持ってやって来た。敵艦隊の位置が判明したのだ。位置を確認すると、隊長は飛竜に騎乗し、号令をかける。

「第1空中騎士隊、出撃!」

第1空中騎士隊最後の飛竜部隊が飛び立つ。わずか2体ではあるが、2体ともワイバーン・ロードである。そしてこの極秘作戦に参加する飛竜部隊の中で、唯一のワイバーン・ロード部隊でもあるのだ。この作戦の成否は、彼等の働きに懸かっているといっても良いだろう。まさに第1空中騎士隊最後の任務に相応しい。

目標、帝国『クウボ』部隊!

137 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 13:00:41 [ DA54LZrA ]
3-3 <帝国海軍機動部隊>

「長官!ロッシェル派遣軍から緊急電です!『敵ワイバーン約20、貴艦隊ニ接近中。注意サレタシ。』との事です!」

「ほう。まだ余力を残していたか。」

通信参謀の報告に、長官は驚きの声を上げる。いったい敵はこの作戦に、何体の飛竜を投入しているのだろう。しかし感心ばかりはしていられない。直ちに迎撃態勢を整えなければならないのだ。


各空母より99艦爆が発艦し、既に上空で直衛任務に就いている99艦爆と合流する。その数18機。彼等は迎撃の為、報告のあった方角に向かって飛行する。

「いや〜。まさか留守を狙われるとはねえ。」

「笑い事じゃあないですよ太田さん!」

相変わらずの太田二飛曹の不真面目な言葉に、黒沢二飛曹がやはり抗議の声を上げる。

「零戦隊がいない以上、僕らがワイバーンを阻止しないといけないんですよ!」

「分かってるって。お・・・、いた。」

太田二飛曹の指差す方向には、多数の飛行物体が見えた。ワイバーンだ!

138 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 13:01:27 [ DA54LZrA ]
3-3

『クウボ』捜索攻撃部隊は、敵の重戦闘型の機械竜−零戦−がやって来たという方向を、只ひたすら飛行していた。いまだ卒業すらしていない学生達にとって、海上を飛行するという事はそれだけで神経を磨り減らすものだったのだ。だから、当然99艦爆の接近に気が付かなかった。

「?ずいぶん小型の竜だな。新型か?」

太田二飛曹は疑問の声を上げる。ワイバーン相手ならどうという事はない。機動性は向こうの方が高いが、速度で圧勝しているのだ。だが、新型となると・・・。

「油断する訳にはいかんな。」

幸い敵はまだこちらに気が付いていない。とりあえず一撃当ててみよう。太田二飛曹はそう判断すると、敵のワイバーンめがけて急降下をかけた。敵ワイバーンがみるみる大きく見え、やがて照準器にも一杯になる。チャンスだ!

「・・・!?」

が、声にならない叫び声を上げると、射撃もせずに再び上昇する。

「何やってるんですか!太田さん!」

黒沢二飛曹が彼にしては珍しく声を荒げる。しかし、彼の言う事はもっともだ。戦場での油断は死へと直結しているのだ。

「せっかくの敵の新型を倒す機会を!」

「あれは、新型の竜なんかじゃない!まだ子竜だ!乗っているのも子供だ!」

太田二飛曹は怒鳴り返す。畜生、なんであんな子供が戦場に出てくるのだ。連中はそこまで追い詰められているのか?

周りを見渡すと、多くの99艦爆が攻撃を躊躇っている。当たり前の事だ、誰だって子供殺しなんかに成りたい筈が無い。まして勝ち戦の最中なのだ、当然心にも余裕がある。

いい子だからそんな危ないもの捨てて、とっとと逃げちまいな。見逃してやるからさ。

太田二飛曹は何度も急降下をかけ、ワイバーンを威嚇する。ワイバーンは必死に逃れようとするが、どうにもならない。腕も機体も違い過ぎるのだ、それでも彼等は抱えている爆弾を捨てようとはしない。

だが何時までもそうはしていられない。やがて指揮官機が進みでると、ワイバーンに向けて発砲した。ワイバーンは血だるまになって落ちていく。猶予時間が過ぎたのだ。それを合図に他の99艦爆も次々に射撃を開始する。瞬く間にワイバーン部隊は全滅した。

「・・・帰還しましょう。」

黒沢二飛曹の声がどこか遠くで聞こえた。畜生、暫くは酒が不味そうだ。


その頃、第1空中騎士隊は帝国艦隊に向かい飛行していた。捜索部隊は敵の迎撃を受けたらしい。という事は、帝国艦隊はその近くにいるという事だ。捜索部隊がどの程度のレべルの部隊かは分からないが、おそらく全滅だろう。彼等の敵もとらなければならない。

やがて海上を進む巨大な船が何隻も見えてきた。

139 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 13:02:05 [ DA54LZrA ]
<補足> ロッシェル王国空中騎士団編制(開戦時)
ロッシェル王国空中騎士団は騎士団本部・本部付隊、第1〜12空中騎士隊、竜兵総隊、飛竜総療養所、総補給所、竜士養成学校から成る。

空中騎士隊は隊本部・本部付隊、第1〜10空中騎士中隊、竜兵隊、飛竜療養所、補給所から成る。

空中騎士中隊は飛竜小隊、竜兵小隊から成る。

飛竜小隊はワイバーン・ロード1体とワイバーン4〜6体から成る。


空中騎士隊はワイバーン・ロード10体とワイバーン40〜60体から成り、空中騎士団全体では定数上、最低600以上のワイバーン・ロードとワイバーンを保有していた事になります。これは一中堅国家としてはそれなりの数でしょう。

もっとも空中騎士団は開戦後、数日でその戦力を半減する事になります。帝国軍上陸を阻止するために帝国海軍第1航空艦隊と戦った為です。

140 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/29(水) 13:05:00 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

あれ?今日で終わりの筈だったのだけれど。

ごめんなさい。一応筋書きはできているのですが、表現力が追いつきませんでした。

次回に続きます。

141 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/06/29(水) 20:20:57 [ PJWI2AQw ]
乙、初めてこっち覗いたけど本家よりいいかも知れん。

142 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/06/29(水) 22:50:19 [ BbUEfgGI ]
乙です。
末期の日本状態ですね
竜の腹に何か仕掛けて神風でもしそうでならない。

143 名前:228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/06/29(水) 23:25:03 [ BXmSUpVk ]
遅ればせながら乙です
99式艦爆、いい仕事してますね。うちの祖父も99乗りでした。
あいにく陸軍の99式双軽ですがw

年端もいかない子供の無謀な攻撃。日本人のメンタリティとして心にしみます
レイテ沖や沖縄特攻を彷彿とさせる内容ですね
しかもそんな彼らをバタバタ落とすのは日本海軍。
その辺の「未来」を知り得る我々読み手が感じるパラドックスみたいな感覚が本作をよりリアリティのある作品にしている感じがします

144 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/06/30(木) 14:07:03 [ DA54LZrA ]
>141

有難うございます。本家に負けぬよう、頑張りたいと思います。

>142

サッキ119様、毎回レス有難うございます。応援は何よりの励みになります。

>143

228様、有難うございます。格上の作者様からのお褒めの言葉、大変嬉しく思います。

99双軽ですか、いいですねえ。ちなみにこの作品の世界では、99双軽はその高速性(陸軍爆撃機で唯一ワイバーン・ロードを振り切れる)の為、少数のエリート部隊に集中配備されています。

145 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 11:57:44 [ DA54LZrA ]
SS投下します。

146 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 11:58:25 [ DA54LZrA ]
4-1

第1空中騎士隊が艦隊上空に到達した時、艦隊は迎撃部隊収容の真っ最中であった。彼等に気付いた1機の99艦爆が行く手を塞ごうとするが、あえなく撃墜されてしまう。その事でようやく敵襲に気付き、直衛機と着艦を中止した99艦爆が向かってくる。だが、第1空中騎士隊の2体のワイバーン・ロードは爆弾を抱えながらも、その高速を生かし99艦爆の防空網を潜り抜け、1隻の空母−雲鷹−目がけ一斉に爆弾を投下する。

爆弾は2発とも甲板に命中した。必中を期して肉薄した成果だったがその代償として、1体のワイバーン・ロードが機銃弾の直撃を受ける。25ミリの銃弾は「魔薬」によって強化された防護結界を最初の数発で無効にし、残りの銃弾が生身の肉体に命中する。ワイバーン・ロードは原型も留めず絶命した。

残り1体のワイバーン・ロードに向かい、99艦爆が殺到する。1対20の空中戦が始まった。速力、機動性ともに99艦爆を大幅に上回るワイバーン・ロードではあるが、いかにせん数が違い過ぎた。しかも敵は戦い慣れ、編隊を組んで相互に連携して攻撃してくる。次第にワイバーン・ロードは追い詰められていった。

147 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 11:59:15 [ DA54LZrA ]
4-2

突然、艦隊が停止していた対空砲火を再開する。残りの攻撃隊が到着したのだ。99艦爆の包囲網に乱れが生じる。ワイバーン・ロードはその隙を突き包囲網を突破し、迎撃に向かおうとする99艦爆を牽制する。状況はたちまちの内に膠着状態に陥った。

攻撃隊は5体のワイバーンで、編隊を組まず多方向から単騎単位でやって来た。これを阻止しようと、護衛の駆逐艦が対空砲火を浴びせる。6隻の峯風型駆逐艦は、予備の魚雷と装填装置を撤去した代償として対空火力を強化していたが、それは13ミリ・25ミリ機銃を合わせて10挺程装備した程度であり、射撃統制装置すら装備されていなかった。これではとても有効な対空砲火を形成できず、次々に対空砲火を突破されていく。

この時、艦隊は3隻の大鷹型空母と6隻の峯風型駆逐艦から成り、空母を中心とした薄い輪形陣を形成していた。その為、この薄い一線を越えるとすぐに空母群に到達されてしまう。護衛艦の数も質も不足していたのだ。彼等は皆、被弾し煙をあげている雲鷹を目指している。

148 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 11:59:52 [ DA54LZrA ]
3隻の空母は必死に対空砲火を打ち上げる。皮肉な事に、その対空砲火は護衛の駆逐艦とは比べ物にならない程、強力なものだった。もっともそれは仕方の無い事であった。護衛の駆逐艦群は、水上の敵に対する護衛として付けられたものであり、その対空火力は足手まといにならない程度に増強されたものにすぎなかったからだ。艦隊の防空力は、空母艦載機に全面的に依存していたのだ。そのツケが今、回って来た。

空母の対空砲火により、1体のワイバーンがたちまち火達磨になる。しかし彼等は前進を止めようとはしない。残った4体のワイバーンが雲鷹に殺到する。彼等は雲鷹上空に到着すると、信じ難い程肉薄し、次々に爆弾を投下していく。投下後、また1体のワイバーンが火達磨になり落ちていく。

雲鷹は、投下された爆弾を必死にかわそうとするが、先の2発の爆弾に続き、更に2発の直撃弾と1発の至近弾を受ける事になる。1万8000トンの巨艦とはいえ、商船を改装した艦だ、その防御力は正規の空母とは比べ物にならない程低い。雲鷹の速度が目に見えて低下していく。

残った3体のワイバーンは爆弾投下後も離脱せず、空母群に対し火焔攻撃を行う。帝国海軍がこの世界で頻繁に行っていた「敵艦の対空砲火の制圧」だ。さらに1機のワイバーンが落されるが、剥き出しの機銃群に対してその効果は絶大だった。たちまち空母群の対空砲火弱まっていく。

149 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 12:00:16 [ DA54LZrA ]
4-3

帝国艦隊にとって間の悪い事に、東方から新たなワイバーン部隊がやって来たのはそんな時であった。ワイバーン部隊の数は僅かに3機、だがそれでも雲鷹に止めを刺すには十分だろう。

ワイバーン部隊は、やはり単騎単位でやって来た。必死で対空砲火を打ち上げる駆逐艦群を、嘲笑うように容易く突破し、雲鷹に向かう。もはや雲鷹の運命は風前の灯火であった。

しかし、今までロッシェル側に傾いていた幸運は、突如として帝国側に傾く。今まで99艦爆を一手に引き受けていたワイバーン・ロードが、突如暴走を始めたのだ。原因は幾つも考えられる。限界を遥かに超えた「魔薬」の大量投与、圧倒的多数の敵と長時間対峙するストレス、長期に渡る潜伏による障害・・・。神業的な高機動を失ったワイバーン・ロードは集中攻撃を受け、呆気なく絶命した。

邪魔者を仕留めた99艦爆はワイバーンの阻止に向かう。これを阻止、いや時間を稼ごうと、火焔攻撃を行っていた2体のワイバーンが行く手を阻もうとする。そして爆装した3機のワイバーンは速度を限界まで上げ、雲鷹に向かう。

99艦爆を阻止しようとするワイバーンの働きは、見事なものであった。彼等は自分の命と引き換えに、わずか2体で10機近い99艦爆を阻止したのだ。しかし、やはり10機近い99艦爆の突破を許してしまう。突破した99艦爆は全速で爆装したワイバーンに向かう。

爆装したワイバーンの1体が99艦爆に打ち落とされ、さらに1体のワイバーンが99艦爆の体当たり(もう残弾がなかったのだろう)で落される。しかし、それが限界だった。残る1体のワイバーンは、銃弾を受けながらも雲鷹に爆装したまま突入した。

150 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 12:01:02 [ DA54LZrA ]

4-4

今回の海戦で、ロッシェルは2体のワイバーン・ロードを含む33体のワイバーンを投入し、その全てを搭乗員と共に失った。しかし、その引き換えとして帝国に、空母1大破(最後の1発は不運にも不発だった)、空母1小破(機銃群破損)、零戦・99艦爆12撃破(うち撃墜は99艦爆5、他は雲鷹搭載中の破壊)という少なからぬ損害を与えた。これはロッシェル王国が、戦争期間を通じて帝国に1度に与えた損害としては、最大のものであった。第7航空戦隊は、その護衛部隊と共に、本土へ帰還を余儀なくされる。ロッシェル王国空中騎士団は、最後に帝国に一矢報いたのだ。

この海戦の結果は、勝利に慣れすぎた帝国海軍にとって衝撃以外の何者でもなかった。帝国海軍はこの結果を受け、いままでその生産性・整備性の悪さゆえに、採用を渋っていた新型艦爆「彗星」の正式採用を急遽決定する。「彗星」の登場により、99艦爆は急速に空母からその姿を消していく事になる。もっとも99艦爆はその使い勝手良さからその後も長期に渡って陸上航空隊で使われ続けるが・・・。



ロッシェル王国東海岸の某場所には、この海戦に参加し、全滅した飛竜部隊の慰霊碑が建立された。やはりこの海戦に参加した帝国海軍将兵からの寄贈である。

151 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 12:01:30 [ DA54LZrA ]
<補足>

今回の海戦でワイバーン部隊が使用した爆弾は、皮肉な事に帝国海軍の陸上攻撃用の250キロ爆弾を改造したものです。おそらく不発弾を回収し、利用したのでしょう。

というのも、そもそもロッシェル王国空中騎士団はあまり対艦攻撃を重視してこなかったからです。驚くべき事に、彼等が保有していた最大の爆弾の重量は100キロ程度であり、その炸薬も威力の低い(帝国と比較してのことです。これは純粋に技術力の差でしょう)ものでした。彼等は飛竜の動きが鈍くなるのを恐れていたのです。

もっとも、100キロ程度の爆弾でも、敵艦船を撃沈できると彼等は考えていました。しかし、帝国海軍の登場はこの考えを根底から突き崩したのです。彼等にとっては、帝国海軍の駆逐艦クラスでも十分大型艦であり、1万トン以上の軍艦など、彼らにとっては悪夢でしかなかったのです。

152 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/01(金) 12:02:32 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

ごめんなさい。あと少し続きます。

153 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/02(土) 00:04:26 [ BbUEfgGI ]
乙です。
流石に沈没は無しですかw
今までのやられっぷりが嘘みたいな大戦果ですねぇ
今回の教訓は,
どんな世界でも”死に物狂いになった人間は強い”ってことですかね
次も待ってます。

154 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/02(土) 00:09:28 [ ITAwsCH2 ]
GJ
正規空母や戦艦群の活躍も見てみたいですね
張り合える相手が居ないかもしれませんが

155 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/02(土) 04:10:58 [ BbUEfgGI ]
>>154
それはむしろ一方的な虐殺(屠殺か?)

この世界での大海軍国が、日本へと進撃、機会帝国日本の噂を誇張としか思っていなかった彼らは、自分の身をもってその認識を改めた。
自分達の船よりも遥かに巨大な船体、驚くべきことにその船体のほとんどが鋼鉄で出来ていた。
その船体には帆が無い、見えるのは城砦を思わせるブリッジ。
オールも見えない、どうやってかは知らないが、あれは風に関係なく自走する事が出来るようだ。
何よりも目を引くのは巨大な大砲、それだけでも自分達の砲よりも高性能だと言う事がわかる。
理屈ではなく直感、我々はここで死ぬ。
恐怖にかられた、一隻が司令官の命令を待たずに発砲。
しかし、照準もしないで、おまけに射程外からの砲撃には何の意味も無かった。
見張り台から連絡、視力を魔術で強化した見張り員その動きに気づいた。
「敵艦の大砲が動き出している!!」
その報告を受取った艦長以下、司令部の面々は敵艦に注目した。
間を置かずに敵艦が発砲。
その砲撃音がここまで聞こえそうだった。

ヒュルルルルルルルルルルルル!!!!

落下音。
艦隊の中央に落ちると思われたその砲弾は空中で炸裂、大音響を発し、中に詰め込まれた無数の焼夷弾が木造船を襲った。
三式弾。
元々は対空兵器として研究開発されたものだが、木造船が主流のこの世界の海軍相手に徹甲弾は効果が薄いという判断の元、現在全ての戦艦の主砲弾に使用されている。(なお、少量ながらも徹甲弾も積載している)
最初の砲撃でほとんどの艦が大破沈没した。
残った艦もパニックに陥った。
こちらの砲撃は届かなといのに、向うは好きなだけ此方を撃つことが出来るのだ、その恐怖は半端ではない。
やけになって敵艦に向かって発砲する艦、逃げ出そうとして他の艦と衝突する艦。
とうの司令官はそんな状況を呆然として見ていた。
飛び交う怒号と悲鳴、荒くれ者が多い船乗り達を御してきたという自信は呆気なく打ち砕かれた。
そんなもの、恐怖の前では何の意味も無かった。
そんなこっちの状況を知らずに、今度は此方に船腹を見せて全ての砲が此方を向く。
一斉射撃。
今度こそ最後。
辛うじて生き残っていた旗艦も轟沈した。
最後に見たものはこちらに向かって飛んでくる砲弾、何故か音速を超えて飛んでくるそれを、彼は認識する事が出来た。


すんません、調子こいて書いてしまいました。

156 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/02(土) 04:18:12 [ BbUEfgGI ]
すいません、帝国の艦名を出すのを忘れていました。
一応「大和」のつもりです。

157 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/02(土) 08:14:32 [ DA54LZrA ]
>153
サッキ119様、いつも有難うございます。

はい、流石にあの程度の戦力で撃沈はどうか?と思いましたので。「大破」という事で落ち着きました。

初めは撃沈という考えもあったのですが、上記の考えに加えくろべえの頭の中では、撃沈された後の帝国海軍の報復攻撃がもの凄いことになってしまい、没となりました。


>154
有難うございます。

くろべえも戦艦登場させたいです。まだ外伝2に何書くか決まってませんけど。

ちなみに、何故外伝か?というと、この世界の大筋は大体決めてあるんですよ。本当に大雑把にですけど。だけどそれを正伝として書くには、残念ながらくろべえでは力不足です。だから比較的短い話を、「外伝」として書いているのです。


>155
サッキ119様も、書かれてみては?

158 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/02(土) 14:41:35 [ ITAwsCH2 ]

第一話「序章は終わり、第一幕の開演が始まった」

大日本帝国に覇権を奪われ、凋落の一途をたどるA帝国は、事態を打開するために封印されていた
禁呪の発動を画策した。大地の奥底に眠っていると言い伝えられている伝説の火竜の魔力を借りて、
憎き機械帝国ニッポンを時のハザマに弾き飛ばすのだ。・・・そのはずだった。
計画はすんでのところで日本に察知され、帝国海軍陸戦隊が魔法施設を強襲。攻撃で魔方陣が損傷し禁呪が暴走、
魔法施設は直径100メートル程のクレーターに変わった。

しかし与えられたエネルギーの割には爆発が小さすぎる。儀式はすでに最終段階に移行しており、
ニッポンを弾き飛ばすには十分な魔力は蓄えられていた。では残りはどこに・・・?
宮廷魔道師たちが頭をひねっているそのとき、A帝国の帝都上空に雷鳴のような音とともに
これまでに見たことのない機械竜が現れた。

次回「二つの日本」  続きませんw

159 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/02(土) 17:49:37 [ UTNk7vB6 ]
>>158
続きを詳しく

160 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/02(土) 22:09:07 [ r9DJpMoo ]
>>158
大日本帝国VS平成日本国?

161 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/02(土) 22:56:24 [ H9y81ruQ ]
>>158
おながいします。続けてください。

162 名前:158 投稿日:2005/07/03(日) 11:49:34 [ ITAwsCH2 ]
いやほんとなにも考えずに書いた一発ネタだったので続きは全然考えてないんですが・・・

163 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:13:02 [ DA54LZrA ]
う〜む。他の方々のSSも投下され、だいぶ賑やかになってきました。

くろべえも投下しようと思います。

このSSはレス152でも書いたように、本来は外伝1の続き(エピローグ)でした。しかし、蛇足っぽいので外伝1から切り離し、外伝1の後日談として独立したお話にしようと思います。

では、SS投下!

164 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:14:17 [ DA54LZrA ]
  <外伝1.5>

1-1 ロッシェル王国王都

王城では現在、戴冠式の真っ最中であった。今まさに、新国王に王冠が授けられようとしている。

だが妙である。王冠を授けようとしている人物は見慣れない身なりをしているのだ。普通このような大役は、余程高位の神官か、前国王が担う。だが、この人物はどちらでもなさそうだ。

妙といえば、貴賓席にいる軍人達もそうだ。王都では見慣れぬ軍服を着ており、まるで大貴族のような扱いを受けている。

やがて、跪いた新国王の頭上に王冠が授けられる。授けた人物は厳かに言った。

「天皇陛下の御名において、汝をロッシェルの王に封じる。」

165 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:14:41 [ DA54LZrA ]
1-2

ロッシェル王国軍がその総力を上げて実行した反抗作戦は、王国軍の歴史的大敗で幕を閉じた。ロッシェル王国軍は、その戦力のほぼ全てを失い、継戦能力を失った。

この世界においては通常、戦争とは条件闘争の一環であり、戦争に負けた場合はその状況に応じて、賠償金や領土の割譲、不利な通商条約等の条件を飲む事になる。もっとも、このように完全に敗北した場合は話は別だ。「常識」ではロッシェル王国は滅亡して帝国の一地方となり、国王以下貴族達はその一部を除き、軽くて追放か幽閉、下手をすれば斬首となる。しかし、帝国が提示した条件は、信じられない程寛大なものであった。

①帝国は、帝国の一邦としてロッシェル王国の存続を認める。

②帝国は、現ロッシェル王家以下、貴族士族の身分を保証する。

③ロッシェル王国の外交権は帝国に帰す事とする。ただし内政権に関しては帝国の利益を犯さない限り、これを認める。

④ロッシェル王国は帝国軍の駐留、及びその行動の自由を認める。

⑤ロッシェル王国は毎年、帝国に一定額の金額を納める。       ・・・等。


要するに帝国は、ロッシェル王国を丸ごと「自治領」とするだけで、矛を納めようと言うのだ。このような寛大(というより生温い)な条件は前代未聞である。大陸、いや世界中が驚愕した。もっともロッシェル王国としては、どのような条件でも受けざる得なかったが。

結局、ロッシェル王国はこの条件を受け入れ、更に責任(主に国内に対して)をとる形で現国王が退位し、王太子が新国王となることで戦争は終わった。

166 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:15:21 [ DA54LZrA ]
1-3 再びロッシェル王国王都

王冠を授けられた新国王は、臣下の礼をとりながら答えた。

「臣、偉大なる陛下と帝国に忠誠を誓います。陛下と帝国に仇なす者には剣をとり、これを討ちましょう。」

「その御言葉、陛下にお伝えしましょう。」


これで大日本「連合」帝国に新たな一邦が加わったわけか。この光景を眺めながら、ロッシェル王国派遣軍司令官、いやロッシェル王国駐留軍司令官は考えた。

実は帝国の「一邦」となっている国は他にもいくつかあるのだ(もっともみな小国だが)。その国々も今回の戴冠式に代表を送っているが、彼等の表情は複雑そうだ。なにしろ彼等にとってロッシェル王国は「大国」なのだ、既に水面下では激しい主導権争いが行われているだろう。御苦労な事だ。


実のところ、帝国にとってこの戦争は、別にロッシェル王国自体が目的ではなかった。本当の目的は「大陸同盟」を解体し、その諸国を経済的に(もちろん軍事的にも)、帝国の影響下に組み込む事にあったのだ。

「大陸同盟」とは大層な名前である。しかしその実体は、ガルム大陸東部中小諸国が、大陸列強及び他大陸に対抗する為に結成された連合体である。そしてロッシェル王国はその加盟国であり、中核国の一つでもあった。そのロッシェル王国の脱落は「大陸同盟」の弱体化、ひいては崩壊に繋がるだろう。そう帝国は判断した。

その後、帝国とロッシェル王国は些細な理由から衝突し、軍事紛争が起こった。この「軍事紛争」はロッシェル王国にとっては全力を傾けた「戦争」だったが、帝国にとっては「局地紛争」にすぎなかった。

167 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:15:43 [ DA54LZrA ]

そして、帝国には「局地紛争」に止めればならない理由があった。「局地紛争」ならば他の「大陸同盟」諸国に参戦義務は無いのだ。だからこそ帝国は、最初の一撃には第1航空艦隊を
用いたが、その後はロッシェル王国よりも遥かに少ない戦力で戦い続けたのだ。その目論み通りに、他の同盟諸国は参戦を拒否し、形ばかりの資金援助と義勇軍派遣を行ったに過ぎなかった。もちろんこれには帝国の政治工作の影響もある。帝国は既にその傘下にある諸国に、同盟諸国に対する政治工作を命じたのだ(もっとも、一番影響を与えたのは、上陸時に見せた第1航空艦隊の打撃力であったが)。その結果がこの戴冠式だ。


ロッシェル王国の脱落に、「大陸同盟」諸国は動揺した。それはそうだろう、「大陸同盟」の無力さを全世界に曝したのだ。これからは列強の圧力を直に受ける事になるだろう。

そこに帝国は手を差し伸べたのだ。帝国は列強諸国と異なり、領土的な野心を持たない。現に、大敗したロッシェル王国にさえその存続を許した。いま帝国の陣営に入れば、帝国の一邦になることなく、その保護を受けることができるだろう。

その効果は絶大だった。既に多くの国々(大陸同盟に未参加の国々からも!)からの接触があった。彼等は、帝国を盟主とした同盟への参加を打診してきたのだ。そう遠くない将来、大陸をまたいだ大同盟が成立するだろう。帝国は、この世界のパワーゲームに参加する事を決意したのだ。

168 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:16:03 [ DA54LZrA ]
1-4

一体、何故帝国はこの世界に転移したのだろうか?ロッシェル王国駐留軍司令官の考えは続く。

もしこの世界に転移しなければ、帝国はアメリカを中心とする全世界と戦争していただろう。そして間違いなく帝国は破れ、滅びていただろう。

この世界に転移して暫くは戸惑ったが、帝国はなんとか必要な資源を確保し、今では経済進出すら考えている。経済も上向き、国民の暮らしも大分楽になった。

内地では「天佑」といっているそうだ。高天原の神々が帝国の窮状を見かね、この世界に帝国を隠したのだと。この世界を治めろと、帝国に与えたのだと。

そんな馬鹿なとは思うが、今まで異世界が存在する事すら知らなかったのだ。もしかしたら神々は本当にいるのかもしれない。そして・・・

そこまで考えが及ぶと、司令官は慌てて頭をふった。馬鹿な!軍人が神がかりになってどうする!そんな事は坊主が考えていればいい事だ。我々は、ただ現実を受け入れるのみ。

おそらく近いうちに、帝国を頂点とする大同盟が成立するだろう。そしてそれは、既存の秩序と真正面からぶつかる事になる。その結果は一つしかない、戦争だ。それも、この世界全てを巻き込んだ。

すでに帝国はその準備をしている。いままで凍結していた大型艦の建造を再開したのだ。

なんて事だ。この世界に来て、やっと平和になったと思ったのに。これじゃあ・・・。


「閣下。」

ふいに誰かに呼ばれた。王国宰相だ。

「何か御気に召さない事でも?」

不安げな表情で尋ねられる。そうだ、自分はこの王国における帝国軍司令官だった。それがしかめっ面してれば不安にもなるだろう。

「いや、考え事を。」

もう少しましな言い訳をしろよと、自分でも思いながら答える。

まあ、悩んでも仕方が無い。どんな事になるにしろ、アメリカと戦うよりは良いだろう。そう考え、強引に気分を切り替えると貴賓席を立った。

「今日は、どの様な豪勢なロッシェル料理が食せるのか?と悩みましてね。面目ない。」

「いいえ!そのような事などありません。ロッシェル中の食材を取り寄せました。どうか御堪能下さい。」

そうさ、こんな下らない悩み、美味いものを食えば吹っ飛ぶだろう。

「楽しみです。」

169 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:16:20 [ DA54LZrA ]
<補足>

帝国は資源の安定供給が可能となった事により、昭和19〜28年度の10年間で、軍縮条約以前の大型艦を更新する計画です。

具体的には、

戦艦は、改大和型4隻、新型高速戦艦(旧超甲巡)4隻 の8隻。

空母は、改大鳳型5隻 の5隻。

巡洋艦は、重巡16隻、軽巡12隻 の計28隻。

という大規模なものです。毎年、空母か戦艦を1〜2隻、巡洋艦を2〜3隻建造するという計算になります。この他に、駆逐艦以下の艦艇をいままで通りに建造しようというのですから・・・。

170 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/03(日) 12:18:45 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!今回は戦闘場面ありません。兵器もでてきません。御免なさい。

まあどうして戦争になったか、帝国がどうなっているのかを少し書いてみたんですよ。

171 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/03(日) 14:24:35 [ ITAwsCH2 ]
GJ
昭和28年くらいになるとジェットは登場しますかね。史実では大戦末期に
初期型ジェットの試作ぐらいまでは行ってますが,あれはドイツからの技術供与
によってできたものですしね。
ターボプロップエンジン搭載の富嶽+ジェットエンジンを積んだ震電 という
お約束?は見られるのでしょうか。それともF世界の技術を使って全く新しい
ものが…?なんにせよ次回も期待してます。

172 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/03(日) 19:16:45 [ BbUEfgGI ]
GJ!!
しかし、金があると使ってしまうって言うのは日本人の性質なんですかね。
いくら経済的に余裕が出来てきたとはいえ、こんなに軍艦を作る前に国力を底上げする方が先だと思うんですが……

173 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/03(日) 21:30:59 [ BWp6c0w2 ]
>>172
生産増強は国力増大が前提だと思われ…必要な鋼鉄の生産量が上がらないとあれだけの建造計画は実行出来ないだろうし。

しかし、陸軍と海軍の対立はほぼなくなるでしょうな…進出方面は大陸で一致してるわけですから。

174 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/04(月) 03:10:16 [ WU6qclZQ ]
いや、逆に傘下にした国々によって、陸軍寄り、海軍寄りみたいな感じで
勢力争い的なものが発生するのでわ?

175 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/04(月) 18:33:59 [ r9DJpMoo ]
>>172
激しく同意。
戦力では圧倒しているのだから、そんなくだらない物作る前に国内のインフラを整えた方がいいですよね。
余裕が出来たとは言え、実質国力には到底見合わない装備だし。
本来の歴史の流れであれば占領軍経由で入ってきたはずの品質管理の概念も入らずじまいですし、こりゃ国土がでかくなるだけで実質的な発展はかなり遅れるだろうな…

176 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/04(月) 18:59:04 [ BbUEfgGI ]
>>175
はい、やるべき事が多すぎなんですよ。
もともと総合力では欧米よりはるかに遅れているんですから。
せめてJIS規格の徹底や、その他化学工業、電子装備の研究が必要です。
軍備を強化するとしても、陸軍の完全機械化が最優先事項だと思います。
空と海の守りはいいとして、要塞や、都市の制圧は歩兵等が中心ですから。
せっかく時間的にも資源的にも余裕が出来たのですから
基礎を固めるべきなんです。

177 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/04(月) 20:48:39 [ r9DJpMoo ]
>>176
せめてラインを組んで統一規格のねじや部品でチハタンを量産できるような体制を整えてからじゃなければ、帝国は大陸で遠からず息切れするような気がします。
って、日中戦争の愚を繰り返すのかよ…orz
まあ、そこら辺にこの世界での帝国と大陸国家群の落としどころがあるような。
…うーん、作家さんには雑音だなぁ、これw

178 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/04(月) 21:39:28 [ DA54LZrA ]
皆様、レスありがとうございます。

え〜、帝国は元いた世界と同じ事を繰り替えそうとしております。懲りてません。

まあ太平洋戦争を行っていないので、当然こうなるんじゃないかな・・・。と考えました。

建艦計画については、保有艦艇の後継艦という意味合いが強いです(それが身分不相応であったとしても)。これは海軍の悲願でもあります。今のままでは遠からず、艦艇が使い物にならなくなると海軍は危惧(実際、戦艦や軽巡などの艦齢は洒落にならない程高いです)していました。そこに大量の資源が入ってきたものですから・・・。もっとも太平洋戦争中と違い、国民の生活もありますので、10年でこれ程の艦を建艦するのは無理でしょう。

国民といえば作品中にもでてきましたが、少し神がかっております。転移は「天佑」とされ、この世界への進出は熱狂的に支持されております。今まであった重苦しい雰囲気は吹き飛びました。

179 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/04(月) 22:17:16 [ fIFx11L2 ]
>>178
まあ、確かにまだ痛い目に合っていませんから、辿ろうとする道は同じようなものになるでしょうね。
ただ、「魔法」というファクターがありますから、これがどう絡んでくるかでしょうね(現に海軍は一部魔法技術を使用してますし)。
国民の間に魔法ブームが起こったりとか、頭の硬い帝大の教授連中が必死に魔法を否定したりとかw

180 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 11:44:15 [ r9DJpMoo ]
>>179
まあ、戦車はチハタンでも何とかなると思うので、まず最初に帝国が気づくのは『生産力不足』でしょうね。
劣勢に陥っているわけでなし、国民を徴用するわけにも行かないので、まず最初に帝国がぶち当たる壁になるでしょう。

181 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:48:48 [ DA54LZrA ]
>179

国民の間に魔法ブーム、面白そうですねえ。ちなみに帝大の教授達は今、何故転移したのかを研究しています。初めのうちは「転移」そのものを認めず、集団催眠とか言ってましたが。


>180

はい。帝国は転移してから生産能力はあまり変っていません。ただ、資源が入ってきた為に稼働率が上がってきただけの事です。科学技術も、外部から情報が入ってこない為に停滞しています。


さて、SS投下です。今日から新章です。何を書こうか考えましたが、こうなりました。

182 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:50:28 [ DA54LZrA ]
  <外伝2>

1-1 レムリア王国、王都王城

レムリア王国はガルム大陸東部に位置し、大陸列強が一つに数えられている。その王城では今、ある事件に直面していた。

「では、グラナダ大公国は我が国と袂を分かつというのか?」

「はい。その様、まさに謀反も同然で御座いました。」

レムリア王に報告するグラナダ大使−既に元大使だが−は怒りを隠し切れない様子だった。

グラナダ大公国は形式上こそ独立国ではあるが、実質的にはレムリア王国の保護国であった。そのグラナダがレムリア王国に対し、突然国交を断絶し、大使を追放したのだ。

大事件と言って良い。グラナダ大公国は小国である。とても列強が一つであるレムリア王国に敵う筈が無い。だからこそ、今まで屈辱的な仕打ちにも耐えてきたのだ。

「大使館に突如としてグラナダ兵どもが押し入り、『グラナダ王国はレムリア王国と国交を断絶した。大使以下、レムリア人は至急出国せよ。』と。」

「グラナダ『王国』か。奴ら本気だな。」

グラナダ大公国は、もともとはグラナダ王国といった。しかし、レムリア王国と同じ『王国』という称号はけしからぬと、数代前のレムリア王に無理矢理『大公国』に変えさせられたのだ。

183 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:51:18 [ DA54LZrA ]

「陛下!」

軍務卿が進み出る。

「このままでは、他の国々に示しがつきませぬ。至急討伐軍を組織し、逆賊グラナダを討ちましょう。」

軍務卿の言葉に、周囲の廷臣達も一様に頷く。しかし、外務卿が異を唱えた。

「陛下、お待ち下さい。」

「外務卿!グラナダ如きに臆したか!」

「相手はグラナダだけではない!」

軍務卿の罵声を怒声で制す。

「グラナダ如きが単独で我々に対抗しようなどと考える筈もなかろう!グラナダの背後には『帝国』がいる!」

その言葉に周囲はハッとなる。

『帝国』は数年前突如として「南海の果て」に現れ、その後幾つかの小国を併合し、最近では
ロッシェル王国を併合している。どうやらかなりの軍事強国であるらしい。

「『帝国』は各国に対し、さかんに外交工作を行っております。おそらくグラナダも『帝国』に篭絡されたのでしょう。他の傘下諸国にも動揺が見られます、何らかの引き締めが必要かと愚考します。」

グラナダを虐め過ぎたからこうなったんだよ。他の傘下諸国だって話は同じだ。外務卿は思いながらも口に出す事は出来なかった。

184 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:51:38 [ DA54LZrA ]

「いまガルム大陸にいる『帝国』軍は、ロッシェルに駐留している軍だけではないか!」

「わがレムリア王国よりも『帝国』の方が強いとでも言うのか!?」

たちまちの内に外務卿に対する非難の声が上がる。それでも外務卿は必死に言葉を続ける。

「諸卿。帝国やグラナダだけが相手ではありませぬぞ!帝国は最早、ロッシェルばかりか大陸同盟をも、その手に半ばおさめています!『帝国』という盟主がある以上、大陸同盟は今までのような張り子の虎ではありませぬぞ!」

実際、大陸同盟が動くかどうかはまだ半々といった所だがな。外務卿は心の中で付け加えた。今回、大陸同盟諸国はグラナダに対する『帝国』の行動を見極める可能性が高い。だが、動かないとも言い切れない。

外務卿と他の廷臣達との論争はその後も暫く続いた。

突然、外務卿の弁が中断された。レムリア王が怒りの余り、手にしていた杯を床に叩きつけたのだ。

「『帝国』め!ロッシェル如きに勝った位でいい気になりおって!」

その顔は憎悪で染まっていた。

「外務卿!余を馬鹿にした『帝国』とグラナダには罰を与えなければならぬ!これは決定だ!」

「御心のままに。」

こうなっては何を言っても無駄である。外務卿は説得を諦めた。

「軍務卿!」

「ハッ!」

「至急グラナダ討伐軍を組織し、グラナダを討て!皆殺しだ!『帝国』がもし援軍を送ってくればこれも討て!」

「御意。」

レムリア王国の意思は決まった。グラナダを滅ぼす事に。

185 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:52:09 [ DA54LZrA ]
1-2 グラナダ王国

グラナダ王国はガルム大陸東部に位置する小国である。その人口は100万にも満たない。この小国唯一の港は、現在戦場のような忙しさだった。『帝国』の援軍が到着していたのだ。

『帝国』の援軍は以下の通りである。

グラナダ王国派遣軍
<陸軍>常駐部隊、飛行場完成時には航空部隊も。 
第2師団、野戦重砲連隊、戦車連隊、独立機関砲大隊、独立速射砲大隊、他

<海軍>臨時派遣、飛行場完成まで陸軍支援。
第1航空艦隊(第1,2,3,5航空戦隊を主力とする。作戦機約480機)、陸軍部隊輸送船団、輸送船団護衛部隊、設営隊1個

陸上部隊は3万に満たない。グラナダと合わせても4万以下。対するレムリア王国討伐軍は10万と推定されていた。

「本当に大丈夫かね?」

「父上、もう済んだ事です。」

父グラナダ王の不安げな言葉を王太子は切って捨てる。今更いくら詫びたところでレムリアは許さないだろう。ならば戦うのみ、何も我らだけで戦う訳ではないのだ。

帝国がどのような国かいまだ良く分からないが、少なくともレムリアよりはマシだろう。それに帝国は今、諸国の目を気にしている。その御蔭で思ったより良い条件で国交を結べた。

レムリアの奴らをこの国から追い出せるのなら、悪魔とだって踊ってみせるさ。

186 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:52:37 [ DA54LZrA ]

<補足>

帝国の師団は史実より戦力増強されています。これは、転移時に労働力確保のため大規模な動員解除を行った事、損耗が無かった事が理由です。

具体的には、以下の通りです。
①歩兵大隊に速射砲小隊を配備し、歩兵砲小隊と合わせて、大隊砲中隊を新設。

②歩兵連隊の速射砲中隊と連隊砲中隊の保有火砲を50%(つまり2門)増加。

③師団速射砲隊、師団機関砲隊の新設。


もっとも、①②についてはほぼ完了しましたが、③についてはまだかなりの師団が未配備か、独立中隊規模の配備に止まっています。

187 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 13:54:31 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

ロッシェル戦も間もないのに次の戦争です。

188 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 14:03:59 [ DA54LZrA ]
訂正。

185 唯一の港→唯一の大規模な港

189 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 15:04:26 [ 6KnBHENQ ]
乙です

190 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 17:59:33 [ r9DJpMoo ]
>>187
SS投下乙です。
レムリア打通ですか、チハタン大活躍ですか?
(;´Д`)ハアハア

それは兎に角として…封建国家の分際でレムリア王国ってば凄まじい兵力を投入してきましたね。
徴兵制を施行できるだけの国家体制がある近代国家の帝国と比べれば、動員可能兵力はぐっと少ないのに。

191 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 19:52:23 [ ITAwsCH2 ]
確かに十万というと中世では最大規模の陸戦ですな。
そこはまあゴニョゴニョしてなんとかなったということにしておこう。
それに十万といっても正面戦力が十万ではないのだし。

192 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 20:40:26 [ H2bpFXmQ ]
まあ、10万といっても鉄条網と機関銃の防御陣地を中世の装備で抜こうとしたら全滅するのが関の山ですしね。
WW1の時に実証されてますしね。玉切れさえなければいくらでも来いって感じでは?

193 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/05(火) 20:43:52 [ BbUEfgGI ]
乙です。
新たな犠牲者か…
知らないって幸せだねぇ
これからの帝国の活躍に期待します。

194 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 21:45:22 [ Xtvh/krI ]
えー、零戦の機銃が改装された件に関連して、ちと質問。
陸軍の一式戦「隼」、主翼の構造上、翼内に機銃を搭載出来ないんですが。
このままだとお払い箱でせうか?
どこまでいっても、機首に2門しか積めませんから。

195 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/05(火) 21:51:46 [ Xtvh/krI ]
>>190
>チハタン大活躍ですか?

むしろ一式砲戦車の方が有用かと思われ。
どうせ撃つのは榴弾が主だろうから、大きくて射程の長い榴弾砲がいいだろうし、
直接間接どちらでも撃ててすぐに移動も可能なので、重宝されるでしょうし。

196 名前:228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/07/05(火) 21:58:38 [ uSRsjoLQ ]
乙です
贅沢言っていいっすか?
ピストルピートこと92式10センチ加農砲に活躍する機会があればうれしいです
え?ゲリラ的砲撃戦する意味がない?
失礼しました・・・

197 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 23:43:48 [ DA54LZrA ]
皆様、毎回御返事有難うございます。

>189
有難う御座います。今後も頑張ります。


>190
>レムリア打通ですか、チハタン大活躍ですか?
この戦車連隊は最新鋭の九七式中戦車改を装備した精鋭部隊です。ちなみに一式砲戦車と一式中戦車は、昭和18年も後半となった現在もいまだ量産されておりません。もう完成しているのですが・・・。

>徴兵制を施行できるだけの国家体制がある近代国家の帝国と比べれば、動員可能兵力はぐっと少ないのに。
え〜一応、本国は統一初期の江戸幕府並の動員力です(旗本衆+諸大名)。さらに、これに属国の軍が加わりますから・・・。


>191
>それに十万といっても正面戦力が十万ではないのだし。
はい、後方支援部隊が半数近く占めます。

198 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/05(火) 23:44:00 [ DA54LZrA ]
>192
>玉切れさえなければいくらでも来い
はい、コレヒドール島砲撃戦並に手当てしてあります。


>193
>これからの帝国の活躍に期待します
頑張って活躍させます。


>194
え〜、この問題については陸軍も頭を痛めております。とりあえず13ミリ機銃2門でお茶をにごしております。ちなみに現場では、二式戦の方がその高速性と武装から好評です。三式戦も極少数ですが配備されはじめました、もっともその整備性や生産性の悪さから、本国防空部隊のみ配備の予定ですが。


>195
残念ですが、上記のように一式砲戦車はいまだ量産されていません。


>196
>ピストルピートこと92式10センチ加農砲に活躍する機会があればうれしいです
しまった!92式10センチ加農砲も参加させれば良かった!



今回の派遣軍を見ていただければ御分かりだと思いますが、帝国軍気張っています。今回の戦いは、ただ勝てば良いのでは無いからです。

199 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/06(水) 13:47:11 [ H2bpFXmQ ]
くろべえさん、毎回楽しみに読ませてもらってます。
で、質問ですが帝國の兵器開発は敵野戦軍を撃破するにおいて何に重点を置いているのでしょうか?
歩兵の銃剣突撃は敵は鎧を着込んでいるので効果無し、とか。
車両なんかは、敵の火力は微弱だから装甲はあまり必要が無いとか、大砲よりも機銃のほうが野戦では効率が高いのでは?
といったような考えが出てくると思うのですがどうでしょうか?
13mm機銃搭載の軽装甲車でミートチョッパーとか・・・軽くて燃費が良くて安くてその上整備性がよければ・・・などと妄想してみたりします。

200 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/06(水) 17:00:36 [ DA54LZrA ]
え〜、本日のSS投下します。

199様、ご返事はSSの後に書きました。

201 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/06(水) 17:01:12 [ DA54LZrA ]
2-1

帝国は秘密協定に従い、グラナダ王国に援軍を送る事となった。グラナダ王国派遣軍である。

この決定は急なものであり、その過程も泥縄的なものであった。派遣軍司令官に任命された某将軍が任命後最初に発した言葉、「グラナダ王国ってどこだ?」がその全てを象徴していた。

驚くべき事に、帝国は未だ正確な世界地図を保有していなかった。もっとも、この世界の他の国々とてそれは同じ事ではあったが。ちなみに、その世界地図は国名と大雑把な形しか記入されておらず、元の世界における大航海時代以前の世界地図と大差ない(グラナダはレムリアの一地方として描かれていた)。

そんな訳であり、駆逐艦でグラナダに急派された前遣隊の最初の仕事は、グラナダの正確な地図を貰う事であった。あったが・・・。

「・・・これは?」

「わがグラナダ王国の地図ですが、何か?」

派遣軍参謀の疑問に、グラナダ王国の将軍は当たり前のように答える。その「地図」はまるで「子供が描いたような」ものであった。山には標高も等高線もなく、町や村の位置は実に大雑把であり、名前の無い村さえある。その位置関係も実に怪しい。聞いてみると、やはり距離はアテにならないそうだ。

「まあ、その地域に習熟していれば地図なんていりませんよ。地図なんて飾りです。」

グラナダ王国将軍は鷹揚に笑う。

そんな地図に何の意味がある!心の中で罵倒しながらも、この地図を同僚や指揮官達に配り、彼等から白い目で見られる自分を想像し、参謀の目の前は真っ暗になった。

結局、まともな測量をする時間などある筈もなく、とりあえずその地域に詳しい案内人を用意してもらい、あとは海軍の偵察機による写真撮影でしのぐ事となった。

202 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/06(水) 17:01:32 [ DA54LZrA ]
今後の事を考え、参謀は溜息を付く。

今回の作戦はただ勝つだけでは済まない、この世界における列強が一、レムリア王国軍を完膚なきまで叩きのめすことを要求されている。事実、派遣軍司令部が結成した時にやって来た参謀本部の某参謀はこのように言った。

「諸君らには精鋭師団を与えた、その他の部隊も惜しみなく与えた。重砲、弾薬もだ。当然、大勝利を期待している。それ以外の言葉は聞きたくない。」

参謀本部参謀殿のお言葉に、場は静まりかえった。おそらく「大」勝利でなければ、今後の軍隊生活はすばらしい事になりそうだ。

もっとも、その参謀の言葉は正しい。大陸同盟諸国をはじめ、帝国との同盟交渉を行っている国々は、今回の戦いを注意深く見守っている事だろう。この戦いの結果によっては、同盟の話も無かった事になってしまう。帝国はこの戦いで、彼等の盟主に相応しい勝利を上げなければならないのだ。

彼の任務は重大である。

203 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/06(水) 17:01:56 [ DA54LZrA ]
2-2

その夜、参謀は輸送時に世話になった駆逐艦長と酒を飲んでいた。やるべき事は山程あったが、飲まずにはいられなかったのである。自棄酒(問題は地図だけではなかった)だ。今日1日で、グラナダ王国軍は戦力としてまったく頼りにならない事がわかった。グラナダ王国軍は、話に聞くロッシェル王国軍とは比べ物にならない程練度が低かったのだ。派遣軍は単独で戦う事になるだろう。

「何も陸軍さんだけじゃあありませんよ。」

参謀の愚痴を聞いた駆逐艦長は、苦笑いをしながら話した。

「実はね、海軍もまともな海路図を持っておらんのです。」

帝国はこの世界に転移してから、各海域の測量を行っている。だが、測量船の数はあまりにも少なく、測量すべき海域はあまりにも広かった。つい最近ようやく本土周辺の海域の測量が終ったが、大雑把なものであり、いまだ大型船舶は座礁の危険性があるという。外洋にいたっては更に話は深刻だ、資源を運ぶ重要航路以外、全くの手付かずなのである。その為、艦隊に測量艦が同行する羽目になっているのだ。艦の座礁も1度や2度ではないらしい。

204 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/06(水) 17:02:13 [ DA54LZrA ]
「この世界の連中の水先案内人も、参考程度にしかなりません。なにせ連中、せいぜい駆逐艦程度のフネしか持っておりませんから。」

帝国もようやく重い腰を上げ、測量船の大幅な建造に踏み切ったが、例の海軍大型艦の更新計画のせいでバッサリと予算を削られてしまった(流石にゼロにはならなかったが)。

「まあ、『大和』あたりが座礁すればいい加減、上も目が覚めるのではないですか?」

駆逐艦長は笑いながら言った。もっとも、目は笑っていなかったが。


参謀は駆逐艦長の話を聞き、背筋が寒くなった。泥縄なのは今回の作戦だけではなかったのだ、本当に帝国はレムリアをはじめとする、この世界の列強と事を構える覚悟があるのだろうか。いまに大火傷をするのではないだろうか。

畜生、あの終わりの無い、底なし沼ような中国戦線からやっと足を抜け出したというのに(参謀は中国戦線に参加していたのだ)。まさか、また同じ事を繰り返すつもりじゃあないだろうな。

その後、2人は無言のまま酒を酌み交わした。互いに思う事が多過ぎたのだ。

205 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/06(水) 17:02:37 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

今日も兵器でてこなかったよ!前振り長くて御免なさい。

少しずつ帝国の状況を出すようにしております。今回出た話は結構深刻です。

ちなみにグラナダ王国軍は弱兵です。一中堅国とはいえ大陸同盟の中核として、自他共に認められているロッシェル王国軍とは比べ物になりません。地図も小国なのでアレで済むのです。


>199
199様、レス有難うございます。最後に書くのは、今回のSSを読んだ後の方が良くわかるかなと思ったからです。御免なさい。

帝国の兵器開発は昭和16年12月の転移以来停滞していました。最近ようやく再開したところです。実を言うと、帝国はロッシェル王国との戦争が初めての大規模紛争(それまでは小競り合い程度です)でした。この紛争は、いままで原住民と思っていた異世界人に対する認識を、ある程度改める機会でもありました。

いままで帝国は、「原住民相手にいちいち装備を変える必要なし、今のままで十分。いつまた元の世界に帰るか分からないし。」と考えていました。しかし、これからは徐々にこの世界に合った装備をする事になるでしょう。もっとも、いまだこの世界の事を帝国は十分把握していません。これはいまだこの世界に対する侮蔑があるためでしょう。足元をすくわれなければよいのですが。

・・・質問の答えになりました?

206 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/06(水) 17:10:48 [ BbUEfgGI ]
なんて悪質な環境なんだ……
お偉いさんは現場の事を何にもわかってない
その典型みたいな話ですね
つД`)
可愛そうな現場の方々にエールを贈らせてもらいます。
フレー!フレー!帝国軍!

207 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/06(水) 17:36:35 [ gY4wlmWo ]
たまりませんなあ…
海軍は山本五十六が海軍大臣になれば何とかなるでしょうが、陸軍は…。

ところで、今回の作戦の指揮官は誰なんでしょうか?
山下や本間ならいいですが、悪名高い辻、牟田口のコンビだと…。

208 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/06(水) 19:36:45 [ r9DJpMoo ]
うう…これは本来であれば戦争している場合では無いですね。
いやもう、国内の基礎技術力がどうとか、インフラ整備がどうとか以前に。
地図ってのは国内向けのものを除けば、極端に詳細なものを作ると国防上の問題が出てきますが…そこそこ詳しいものも存在しないとは、やはり、中世なのだなぁ。

帝国は戦後、測って測って測りまくらねばいけなくなりそうですね。
部隊が迷子になっても知らないぞう…
弾薬の前に、偵察機と測量士の数は足りるのか(余計なお世話)!?
戦後、測って測って測りまくりつつも、トラブルに巻き込まれる測量部隊のSSなんかも書けそう。

>>207
指揮官には栗林忠道や今村均はどうでしょう?
>辻、牟田口のコンビ
ひたすら勢いだけのコンビですねw
勝てても損耗率でかそうwww

209 名前:分家228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/07/06(水) 20:14:35 [ tw/ZWIF2 ]
乙です
牟田口だけは、牟田口だけは・・・・
中世の世界で十八番の「ジンギスカン作戦」
勘弁してくれw

210 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/06(水) 21:53:11 [ ewIsKeyI ]
質問ですが、日本国内で「大陸」の事はどれだけ報道されているのでしょうか?
日本は本土だけでは不足している食料や資源を求めて大陸に進出したわけですから、国民の関心はかなり高い物と思われます。
(傘下の国からの食料輸入…特に米は栽培出来るのかとか)

もしかしたら、
『○○王国にて田植え始まる』
『△△公国、米豊作』
などという記事が新聞の紙面を賑わせてるのでしょうか?
まさかこんなのまで検閲削除はされないでしょうw

211 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/06(水) 23:16:09 [ u9FMJxgs ]
地図の話でふと思った事。

そもそもこの異世界に南北の概念はあるのか?
方位磁石は役に立つのか?

……地図作るよりこっちの方が問題のよーな希ガスw

212 名前:199 投稿日:2005/07/07(木) 13:06:27 [ H2bpFXmQ ]
くろべえさん、乙です。
質問の回答がSSなんてステキすぎです。深く感謝いたします。
今回の話に登場した参謀殿には深く同情いたします。
なんというか国民のほうから軍部にふざけんな!!という声が激しくあがってきそうな・・・

213 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 14:34:35 [ YDmhvW1. ]
日露戦争なんか見てると国民がいけいけGOGOでもおかしくないかも。
天佑確信しちゃってるところだし。

214 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 15:02:19 [ hrNi68eo ]
くろべえ氏ってもしかしてKURO氏?KUROのどこかでみたような世界ってHPやってる

215 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 15:15:29 [ 7G.MQu9E ]
>>199
榴弾のほうがいいんでない?
効率は

216 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 16:15:22 [ ITAwsCH2 ]
>>214
HPにもそう書いてありますね。

217 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 17:20:45 [ r9DJpMoo ]
>>211
それが無ければ、そもそも測量自体できないでしょう。
人手不足ながらもきちんと測量を行っているようなので、地球と同じような回転軸に地磁気の極がある惑星であるということでは?

218 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/07(木) 17:32:25 [ DA54LZrA ]
>206
サッキ119様、有難う御座います。

ある程度計画的に始めた対ロッシェル戦とは異なり、全くの泥縄です。まあ、この世界にきてから大なり小なりそうなんですけどね。いままでは「力ずく」で解決してきましたが、今回はどうなるでしょうか。


>207
レス有難う御座います。

>ところで、今回の作戦の指揮官は誰なんでしょうか?
今回は山下将軍が軍司令官です。ちなみに、202の参謀本部某参謀は辻参謀です。


>208
レス有難う御座います。

帝国はまだ転移してから2年もたっていません。ここ1年でようやく資源などの目処がついてきたところです。やるべき事は山ほどあります。おっしゃる通り戦争などしている場合ではありません。しかし、帝国は経済の拡大へと突っ走ります。


>209
228様、有難う御座います。

牟田口将軍や辻参謀はぜひ出したいですね。辻参謀は今回回想で出ましたけど。

219 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/07(木) 17:32:39 [ DA54LZrA ]
>212
199様、有難う御座います。

ご期待に沿えて何よりです。


>213
レス有難う御座います。

はい、168を読んで頂ければ分かると思いますが、国民は拡大支持です。


>214
レス有難う御座います。

うっ・・・、よくウチの零細HPなんて知ってましたね。


現在、続きを執筆中です。どうぞこれからもよろしくお願いします。

220 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/07(木) 17:42:02 [ DA54LZrA ]
うわっ抜けてたよ、御免なさい。

>210
レス有難う御座います。

帝国は転移後、1年近く情報統制を行ってきました。ですので、国民が転移の事を知ったのは
ここ1年です。あまり情報も入ってきません。一般の人たちは「冒険ダンキチ」の世界を想像しております。(この時代、「ファンタジー」なんて言っても通じないでしょうしね)


>211
レス有難う御座います。

まあ、現実世界の法則も通用する「お約束」世界だと思って下さい。

221 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 18:50:42 [ r9DJpMoo ]
>>218
山下将軍ですか。
妥当な人事ですね。

222 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/07(木) 21:33:32 [ BbUEfgGI ]
山下将軍は後になんと呼ばれるのでしょうね?
やっぱり”グラナダの虎”とでも呼ばれるんですか?(この世界に虎がいればだけど)

223 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/07(木) 22:14:01 [ Q0gWcxFQ ]
そういや、この世界の種族構成はどうなってるんだろうか?
オークと人間は出てきたけどもその他はいないのかな?

224 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 08:52:17 [ DA54LZrA ]
皆様、レス有難う御座います。

>221
有難う御座います。今回絶対に「大」勝利をしなければいけないので。


>222
それは読んでからのお楽しみです。(え、もうバレバレですか?)


>223
エルフもドワーフもホビットもいます。一応ファンタジーですので。

・・・エルフと帝国の相性、悪そうと思うの僕だけでしょうか?

225 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/08(金) 11:33:26 [ r9DJpMoo ]
エルフと帝国の相性は、悪くないと思いますよ。
自然との融和は、神道を基本にした日本の伝統的な文化の一つでしょう。
神社に祀られている《御神木》の立派なやつとか見せれば、結構感激してくれるかも。
ただし、エルフと帝国《軍》の相性はかなり悪そうですねw

ドワーフは鉄鋼技術を学ぶために、帝国の鉄工所で働く姿が見られたりして。

226 名前:199 投稿日:2005/07/08(金) 12:00:04 [ H2bpFXmQ ]
>>215
>榴弾のほうがいいんでない?
>効率は
機銃の方が軽くて安いので数をそろえるのが容易だと思ったんですよ。
機銃の弾幕には中世の装備では対抗不可ですし。
また、装甲無しのバギーやジープに(これに該当するものが帝国にあったっけ?)機銃を取り付けて走り回られるだけでかなーり厄介な存在になると思います。
攻城戦や陣地戦での榴弾の価値はわかりますが、こちらから機動戦、遊撃戦を行うならば機銃のほうがコストパフォーマンスが良いと思いました。
また、車両に載っける場合、大砲だと重くなりますが、機銃なら軽くてすみますし。

227 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:09:00 [ DA54LZrA ]
>225
>エルフと帝国《軍》の相性はかなり悪そうですねw
確かに。彼等を登場させようにも軍と衝突しそうで怖いですよ。軍も手加減しないだろうし。

ドワーフにはどうだろう?


とりあえず、SS投下。

228 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:09:27 [ DA54LZrA ]
3-1

グラナダ討伐軍の拠点の一つ、ヒッカム基地は帝国海軍航空隊の強襲攻撃を受けていた。

「畜生、なんだこいつ等は!」

竜騎士の一人、ログニスは喚いた。彼の周囲を固めていた6体のワイバーンは既にいない、戦闘早々に撃ち落されたのだ。周囲に舞っているのは敵の機械竜ばかりである。最初はこっちの方が多かったのに!

敵の爆撃型の機械竜は恐るべきものだった。彼等は大きな爆弾を抱えているにも拘らず、ワイバーン・ロードよりも高速で、その爆弾を抱えたまま次々とワイバーンを打ち落としていたのだ。ワイバーン・ロードですら、油断していたら危ないだろう。戦闘型も恐ろしい、やはりワイバーン・ロードよりも高速であり、その「鉄の雨」は一撃で防護結界ごとワイバーン・ロードを引き裂いている。

これはもう戦争じゃない。ただの狩りだ、我々は獲物でしかない。

「獲物」を探していたらしい、1体の機械竜がこちらに向かってくる。見つかったのだ、逃げなければ。

だが、その距離は非常にもどんどん縮まっていく。

自分よりも速い奴等から、どうやって逃げればいい?

その答えは浮かびそうになかった。

229 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:09:52 [ DA54LZrA ]

3-2

ヒッカム基地司令は真っ青になっていた。無理もない、1個空中騎士隊が文字通り全滅したのだ。しかも敵には全く損害を与えていない。文字通りの完敗である。

しかしそれ以上に、彼は別の事に衝撃を受けていた。

彼等は何処から来た?

グラナダにはまだ、彼等の基地は無い。それは確かだ。

まさか、彼等は飛竜母艦からやって来たとでもいうのか?彼等の艦隊からここまで、優に500キロはあるぞ?


ワイバーンの行動半径は、カタログデータ上は240キロある。しかし現実的には200キロがいいところだろう。それ以上になると、ワイバーンは急速にその体力を消耗していく。対地攻撃任務では一層その消耗が激しくなり、150キロが限界だ。ワイバーン・ロードならその5割増しだが、ワイバーンとの混成出撃が常識であるため、意味が無い。

なんという事だ!彼等の竜は我々の3倍以上の行動半径を持つというのか!

230 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:10:13 [ DA54LZrA ]

戦争が変る。

基地司令は呻いた。500キロ以上という行動半径は、戦場に「後方」という言葉が無くなる事を意味する。もはや「安全」な場所など無くなる。

ワイバーンの存在価値も急速に低下するだろう。10体のワイバーンよりも、1体のワイバーン・ロードを必要とする。そんな時代が来たのだ。

帝国の機械竜は好き勝手に暴れている。対空カタパルトから魔法の矢が放たれるが、彼等の速度に全く対応できす、その数も少ない。彼らをを止める術はなかった。

231 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:10:35 [ DA54LZrA ]
3-3

今回の作戦は3箇所の敵拠点(ヒッカム基地もその一つ)の撃破であり、第1〜3航空戦隊の艦載機が参加した。

ヒッカム基地強襲を行ったのは、第2航空戦隊の54機(艦戦18、艦爆18、艦攻18)である。危険な強襲任務であるが、第1航空艦隊は自信を持って彼らを送り出した。

その理由は二つある。

一つはその高い練度。第1航空艦隊の搭乗員の飛行時間は最低でも1000時間以上、平均では2000時間にも達するのだ。

もう一つは、新型機の存在である。今回出撃した機体は以下の通りである。

零式艦上戦闘機22型、零戦の最新型である。21型と比べて全体の性能向上は僅かであるが、機首に2門、両翼に各2門の計6門の新型12.7ミリ機銃を搭載している。この新型12.7ミリ機銃は7.7ミリ機銃の低弾道性と連射性、20ミリ機銃の破壊力を目標に陸軍と共同開発したものである。22型の攻撃力は21型改(7.7ミリ機銃8)と比べて、発射速度こそ3割程劣るが、
単位時間当たりの投射重量では21型を大きく凌ぐ。その結果高確率で、最初の一撃でワイバーン・ロードを倒せるようになった(20ミリ機銃は破壊力は高いが、連射性と弾道性の問題で当てる事が困難)。

232 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:10:53 [ DA54LZrA ]

彗星艦上攻撃機、99艦爆の後継機である。零戦を上回る速度と、99艦爆を上回る搭載量を誇る。また、機首に新型12.7ミリ機銃2門、両翼に20ミリ機銃各1門搭載し、ワイバーン・ロードにも対抗可能となった。両翼に20ミリ機銃は主に対地攻撃用であり、爆撃後も対地支援が可能である。ただ生産性、整備性が非常に悪く、今回は正規空母6隻に各1個中隊のみの配備に留まっている(それでも全国からかき集めたのだ)。

天山艦上攻撃機、97艦攻の後継機である。速度が大幅に向上し、ワイバーン・ロードを振り切る事も不可能ではなくなった(対抗は不可能)。彗星「よりは」生産性、整備性が高く、99艦爆に奪われた空母主力爆(攻)撃機の地位を奪い返すという、艦攻乗りの悲願を一身に背負っている。その「軽爆」としての性能は陸軍からも注目されている。(改造型として偵察機がある。)

以上の3機種は、次期主力艦載機として海軍が採用した機体であり、当然真っ先に第1航空艦隊に配属された。これ等が今回の作戦に投入されたのだ。

その結果は満足すべきものであった。3箇所の基地は壊滅、進出していた3個空中騎士隊も全滅した。これはグラナダ討伐軍の行動に大きく影響を与える事になるだろう。これに対し我が方の損害は、全部合わせても5機と極めて軽微であった。

こうして対レムリア戦は、帝国軍の先制攻撃で幕を開けたのである。

233 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/08(金) 15:14:42 [ 6KnBHENQ ]
投下乙です

234 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:16:00 [ DA54LZrA ]
SS投下終了。

序盤は帝国軍の圧勝です。まあ彼等の油断もあったのですけれどね。

彼等は、まさか航空攻撃を受けるとは思ってもいませんでした。

気分的には後方基地だったのでしょうね。

235 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/08(金) 15:17:58 [ DA54LZrA ]
訂正、

228 非常にも→非情にも

236 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/08(金) 17:35:00 [ fIFx11L2 ]
>>226
それなら、ドイツ軍にならってサイドカー部隊なんてどうでしょうか?
遊撃部隊としてかなり使えると思いますが。

237 名前:228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/07/08(金) 18:49:53 [ ufKCQnPk ]
乙です
ついに彗星登場ですね
奇襲される基地が「ヒッカム」ってあたり。狙いましたねw
楽しみにしております

238 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/08(金) 19:56:26 [ BbUEfgGI ]
乙でーす。
22型かー
昔、何も分かってなかった頃に
なんで32のあとに22がくるんだろうって思ってたんですが、エンジンと機体の番号なんだって知ったときに思わずなるほどとか思ったりしてました。
帝国海軍機の航続距離は半端じゃないですから、簡単にアウトレンジできますね。
あと最初は蹂躙できても、あとでレムリアが何か切り札がありそうなきがします。
次も楽しみです。

239 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/08(金) 23:08:47 [ Xtvh/krI ]
乙です。
新型機銃は陸軍と共同開発ですか…やっぱり進出方面が同じだと対立はさほどではなくなるようですね。
天山に陸軍が注目しているなら、隼の代わりに零戦を使えばいいと思うんですが、そこは面子が邪魔をするんでしょうね。

240 名前:228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/07/08(金) 23:22:16 [ /8umgTDQ ]
陸海軍の規格の統一を進めているんでしょうね
天山を陸軍が運用するなら、スロットルの統一が問題になりますね
弾薬も同じ口径なのに共用できなかったそうですし。
いろいろ問題山積ですな

241 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 09:32:27 [ DA54LZrA ]
>233
有難う御座います。


>237
228様、有難う御座います。

彗星は対ロッシェル戦の戦訓から採用されました。対ロッシェル戦末期に空母を撃破されなければお蔵入りとなっていたでしょう。


>238、240
サッキ119様、いつも有難う御座います。

ちなみに32型は先行量産型を極少数製作しただけで打ち切られ、22型に移行しました。


>239
239様、有難う御座います。

陸軍では、海軍の零戦のように一機種で全てを任せられるような戦闘機を未だ保有していません。1〜3式戦、みな何らかの問題があります。陸軍が期待する4式戦は、試作機すら完成していない状態です。もっとも海軍とて、次期主力艦戦「烈風」が未だ完成の目処すらたたない状態ですが。

242 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:41:56 [ DA54LZrA ]
SS投下!

243 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:42:21 [ DA54LZrA ]
4-1 グラナダ王国東部海岸沖

グラナダ王国東部海域に多数の艦船がひしめきあっている。第1艦隊と共に、帝国海軍の双璧をなす第1航空艦隊である。


第1航空艦隊の編成は以下の通りである。

空母 加賀、赤城、飛竜、蒼竜、瑞鶴、翔鶴、祥鳳、瑞鳳、龍鳳

戦艦 金剛、榛名、比叡、霧島

重巡 利根、筑摩

軽巡 2隻(5500トン型軽巡)

駆逐艦 24隻(うち秋月型8隻)

艦載機 477機(艦戦162、艦爆198、艦攻90、艦偵27)−ただし水偵を除く。


実に軍艦41隻、艦載機477機(水偵を除く)という大艦隊である。元いた世界でも、これに対抗できる艦隊を保有する国はアメリカぐらいのものだろう。今回は更に、補給・支援船団とその護衛部隊までもが随伴している。まさに世界最大最強の艦隊である。

やがて東方から多数の機体が飛来して来る。レムリアに向けて放った第2次攻撃隊である。

244 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:42:57 [ DA54LZrA ]

4-2 

「長官、第2次攻撃隊の被害がでました。零戦2、99艦爆8の10機喪失です。被弾は現在調査中です。」

「10機!第1次攻撃隊の倍ではないか!敵の飛竜は第1次攻撃隊で撃破したのだろう?」

長官は第2次攻撃隊の損害に驚愕する。

「はい、搭乗員の話では、敵の対空砲火が予想以上に激しかったそうです。それと・・・。」

航空参謀は口ごもる。

「あくまで未確認ですが、敵の対空砲火の一部がこちらの機体を追尾してきたそうです。零戦は之を振り切る事が出来たそうですが、99艦爆は・・・。」

「ふむ。大尉、どう見る?」

長官は傍に控える、陸戦隊の制服を着た大尉に尋ねる。大尉は長身であり、褐色の肌と長く尖った耳を持っている。日本人ではなさそうだ。

「おそらく、対空用の『魔法の槍』です。捕捉した生命体反応に向かって自動追尾します。」

暫く熟考してから大尉は答えた。

「ロッシェルも使っていたヤツか?しかしアレは自動追尾などしなかった筈だぞ?」

「いえ、ロッシェル王国のものも本来なら自動追尾します。ただ、ワイバーン級の大型生物の生命体反応でないと捕捉できなかったのです。ロッシェル王国軍は士気と練度こそ列強に匹敵しますが、魔法レべルでは数段劣りますから。」

「対抗策は?」

「おそらく、反応感度を極限まで上げている筈です。その代償として、捕捉距離、射程距離ともに短くなっているでしょう。超低空飛行を行わなければ大丈夫です。」

245 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:43:17 [ DA54LZrA ]

「では急降下爆撃は危険だな。」

「魔法の槍は低速です。『彗星』なら振り切れるでしょう。」

大尉の言葉を聞いた長官は航空参謀に尋ねた。

「航空参謀、第3次攻撃隊に使える『彗星』の数は?」

「現在使用可能な『彗星』は25機です。」

「半分以上使えんのか?」

長官は驚いた。第1航空艦隊全体で6個中隊54機保有しているのだ。いくら第1次攻撃隊で全機使用したとはいえ、少なすぎる。

「はい、99艦爆と異なり整備が複雑ですから。おまけに今回が初めての実戦使用ですので、いくつか不具合が発見されました。」


長官は腕を組んだ。さて、どうする?零戦と天山だけで再度攻撃隊を出すか?それとも危険を承知で99艦爆も出すか?いや、それは問題外だ。

もう15機も失っている。加えてこれから地上部隊の支援を、長期に渡って行わなければならない。その損害も無視できない数だろう。ここで第3次攻撃隊を投入すれば更に損害は増える。

冗談じゃあない。搭乗員は簡単に養成できるものではない。まして1航艦の搭乗員は。

陸軍への協力も、今回はこれ位で十分だ。


長官は決断した。

「すでに初期の目的は達している。第3次攻撃隊は不要だ。」

246 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:43:48 [ DA54LZrA ]

4-3 グラナダ王国派遣軍司令部

「何だって?航空支援は行えない?どういうことだ!」

一人の派遣軍参謀が詰問する。相手は海軍の連絡将校だ。

「そうだ!航空支援は海軍の分担の筈だ!海軍は我々に丸裸で戦えとでも言うのか!」

さらに他の参謀が詰問する。司令部は、さながら査問会の様相を呈してきた。海軍の連絡将校は何とか反論を試みる。

「勘違いをしないで頂きたい。近接航空支援を行えないだけです。制空権はきちんと確保しますし、敵拠点への爆撃もおこないます。」

これで納得しろというのは無理だろうな。説得しながらも連絡将校は思った。陸軍にとって近接航空支援が有るのと無いのとでは、条件がまるで違ってくる。おそらく陸軍は、本来なら出さなくてよい損害を出す羽目になるだろう。そりゃあ怒るのも当然だ。

だが、海軍は機動部隊の身上はその神出鬼没にあると考えている。その海軍から見れば、機動部隊が1箇所に腰を据えて対地支援を行うなど(例えそれが必要であったとしても)邪道もいい所だろう。

247 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:44:08 [ DA54LZrA ]


想像した通り、彼の言葉に参謀達は一層殺気立つ。

「その位にしておけ、海軍さんに失礼だろう。」

いままで沈黙を保っていた軍司令官が初めて口を開いた。

「失礼しました。今回の敵拠点の撃破で大分楽になるでしょう。後は制空権さえ保証していただければ十分です。」

連絡将校に謝罪の言葉を述べると、再びまだ何か言いたげな参謀達に目を向け、睨みつけて言った。

「馬鹿者!最初から最後まで海軍さんにおんぶしてもらおうなど、それでも貴様ら陸軍軍人か!海軍さんが我々に手柄を分けて下さったとどうして考えられんのだ!」

「申し訳ありません!」

軍司令官の言葉に参謀達は一斉に立ち上がり、謝罪と共に敬礼する。その姿を満足そうに眺めると、軍司令官は言った。

「ここからは陸軍の戦です。帝国陸軍の戦いぶりをお見せしましょう。」

248 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/09(土) 12:44:09 [ BbUEfgGI ]
>241
史実とは違い、しばらくは零戦の独壇場みたいなものですから次期主力艦戦の開発も、そんなに急がなくてすみそうですね。
でも、ここらで陸海軍の装備の統合をやらないと後で苦労しそう。
海軍の雷電を陸軍で使うって言う話があった。という話をどこかで聞いた気がするのですが、そんな感じで徐々に統合していければ史実よりもマシになるのではないかと。

249 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/09(土) 12:44:40 [ DA54LZrA ]

SS投下終了!いよいよ陸軍登場です。

海軍航空隊の近接支援無しに戦う事となった帝国陸軍。

敵も制空権を海軍航空隊に抑えられて近接支援を受ける事は困難。

航空兵力無しに戦う事となった両者の勝負の行方は!


・・・あっ、もちろん軍司令官の言葉は本心じゃあありませんよ?

250 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/09(土) 13:05:05 [ Xtvh/krI ]
投下乙です。

>大尉は長身であり、褐色の肌と長く尖った耳を持っている。日本人ではなさそうだ。

もしかして、ダークエルフでしょうか?
迫害されている異種族からの志願兵というところでしょうか。
多分、F機関が裏で色々工作した結果なのでしょうが。

251 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/10(日) 00:34:00 [ Q0gWcxFQ ]
この世界で、八紘一宇、五族協和の理想はかなうのかな。
ちょっと、心配です。

252 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/10(日) 01:49:25 [ BbUEfgGI ]
やっぱり、暗黒神を崇拝しているとか言う理由で迫害されてるんですかね?
たしか帝国にも宗教の自由はあったはずですし、これに基づいて保護とか支援も行われているんでしょうか?

当時のインドみたいに軍事顧問を派遣して訓練とか、兵器の援助や協力体制をとっているのも面白いかも。

253 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/10(日) 10:49:50 [ DA54LZrA ]
>248
サッキ119様、レス有難う御座います。

はい、当分零戦で大丈夫です。ただ、零戦の性能向上はこれ以上期待できません。なのに次期主力艦戦である筈の「烈風」がいつ出来るのかも分からない状態では海軍も不安でしょうね。

痺れを切らした海軍は、とうとう保険の意味もかねて川西が独自に開発した戦闘機、「紫電」のテストを始めました(笑)。

零戦の次期改良型としては、32型を改造した戦闘爆撃機が研究中です。うまくいけば99艦爆の後継機として、彗星と平行生産されることになるでしょう。


>250
有難うございます。

陸戦隊大尉殿の正体は、仰る通りダークエルフです。

帝国はこの世界で唯一、公式にダークエルフの存在を認める国家です。


>251
レス有難う御座います。

帝国はまだそこまでは考えていません。というより、そこまでこの世界を「把握」していないのです。だからこそ、「『公式』にダークエルフの存在を認める」なんて事をやらかしたのです。


>252
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>やっぱり、暗黒神を崇拝しているとか言う理由で迫害されてるんですかね?
たしか帝国にも宗教の自由はあったはずですし、これに基づいて保護とか支援も行われているんでしょうか?

これについては次回以降のSSで書けたらいいなあと思います。

>当時のインドみたいに軍事顧問を派遣して訓練とか、兵器の援助や協力体制をとっているのも面白いかも。

現在帝国陸軍は大規模な動員解除により、とても全世界を相手にするには兵力が足りません。
その為、この世界の国々の軍も利用しようと考えています。その為の同盟交渉も行っています。

254 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/10(日) 11:36:27 [ DA54LZrA ]
<補足>帝国軍兵力 昭和18年初頭
帝国陸軍 100万人
師団51個(現役26個+予備役25個)、混成旅団58個(現役28個+予備役30個)となっています。御覧のように、転移前の部隊の半分が予備役に回りました。ただし、航空・重砲部隊は全部隊現役のままです。なお、以前の独立・国境守備隊は解隊され、装備は他部隊の戦力増強に使用されました。

帝国海軍 30万人
転移前から変化ありません。ただ戦力構成は変化しています。


帝国は転移後、大量の労働力を必要としたため、陸軍から100万人の動員を解除しました。彼等の労働力は、この世界で帝国が生きていくのに不可欠です。帝国は少なくとも、後5年は今以上の兵力を動員できないでしょう。

255 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/10(日) 23:12:50 [ wXB4VivE ]
帝国がダークエルフの存在を公式に認めたのは、彼らに対する先入観のなさでしょうね。
向こうの人間もエルフもドワーフもダークエルフも、「異世界の者」で一くくりにしてるんでしょうね…アメリカ人でもドイツ人でも「外人」で一くくりにしたように。
ダークエルフは迫害慣れしてるから、帝国の自分達への先入観のなさには気付いてる(それ故に協力を惜しまない)でしょうが、他国がどう見るかでしょうね…。

256 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/11(月) 07:55:41 [ DA54LZrA ]
255様、有難う御座います。

帝国の行為(『公式』にダークエルフの存在を認める)は、その国々によっていろいろな見方があります。「公式」には各国一致していますが。

ただ、「帝国は『思い切った事』をした」という思い(驚き)は共通しているでしょう。

257 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/11(月) 11:06:43 [ r9DJpMoo ]
>>256
>「帝国は『思い切った事』をした」
確かに、なんたら聖教団が火病起こしそうですねw
それと、迫害を逃れる為に世界各地のダークエルフが帝国へ流れてきそうです。
口コミ情報になるのは必至なので、ものすごく長いスパンで。
で、後にそれが『自由への脱出』とかいう題名で本になると妄想。

…ふと気づいたのですが、この大陸に普及している宗教は一神教ですか、多神教ですか?
それだけで、今後の展開にかなりの影響があるような…

258 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/11(月) 16:07:58 [ 6KnBHENQ ]
>>256
って事は、好意的な見方をする国もあるにはあるが、彼らは表立って表明できない。
という感じですか…
時に、この世界で「帝國」と戦わずして「帝國」陣営に入った連中っていますか?

259 名前:258 投稿日:2005/07/11(月) 16:08:49 [ 6KnBHENQ ]
すいません。『「ダークエルフ」以外で』を忘れてました。

260 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/11(月) 17:08:42 [ r9DJpMoo ]
>>258
取り合えず予想してみる。
ゴブリン:頭悪すぎで却下
コボルト:同上
オーク:万年発情期で、下手に受け入れるとえらい事になりそうなので却下
オーガ:人喰うので却下
ヴァンパイア:工夫すれば受け入れられそうだが、態度がでかいので却下
人狼:満月で理性を失うのを何とかすれば可能…やっと一つか
闇の種族駄目杉…ダークエルフと人狼以外受け入れられそうなのがいないorz

やはりドワーフとかホビットとかになりそう。

261 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/11(月) 19:29:49 [ Njsyi/d. ]
>>260
人狼は伝染病が原因の可能性があるぞー、と突っ込んでみる。
野戦病院で人狼化した帝国軍人が大量生産されるのもそれはそれで面白いが。

ヴァンパイアはどろどろの政治劇ができるので、捨てるのは勿体無い。工夫する余地は結構あると思うのですよ。
虐げられた若造(騎士風)が帝国に走るとか、異教風の色彩(ジプシー・イスラーム)とか、
あるいはいっそ日本人が吸血鬼に噛まれるとか。

あとあれだ。鉛玉が通用しない幽霊系の連中。
敵の戦死者とか聖地の守護神とかが祟りを起こしたので神道流に祀ってしまうという。
逆に帝国側の死者が英霊として戦場に舞い戻ってくるというのもあるな。

262 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/11(月) 21:36:01 [ BbUEfgGI ]
なんだか本家よりも面白そうだ。
まったりしてるし、このペースが続けばいいのだが………
ダークエルフを認めた事による、エルフとか他の妖精はどう反応するんだろう?

それと、妖精族との接触はどのように行われたのかが気になるところです。

263 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 09:54:23 [ DA54LZrA ]
>>257
257様、この世界は多神教です。

ただし神々の格はそれぞれ異なりますし、その国々により崇める対象の神は異なります。一応主神とされるレべルの神々については、それぞれ世界規模に展開する神殿によって祭られています。主神の信者によっては、「自分の信ずる神こそが唯一神であり、他の神々は唯一神の僕にすぎない」なんて言う連中もいます。

・・・ソードワールドみたいですね。


>>258、259
258様、大雑把な設定でよろしければお答えします。

>好意的な見方をする国もあるにはあるが、彼らは表立って表明できない。という感じですか…
この世界は、いままで「一定の秩序」の元で支配されてきました。しかし、その底流では矛盾・不満が溢れています。欧州における新教と旧教のような対立(多神教ではありますが)、支配・被支配民族間の対立等、火種に事欠きません。「帝国」の出現と行動は、これに爆弾を投げ込んだようなものです。帝国の行動に好意的な国々や人々(心の中で喝采を上げている者もあります)は、いわゆる「弱者」が殆どです。

>この世界で「帝國」と戦わずして「帝國」陣営に入った連中っていますか?
国レベルでは、やはり力を見せなければ無理でしょう。殆どの種族についても同じ事が言えます。自分達の生命を託す(帝国につくという事は既存の秩序との決別を意味します)のですから、自分達の盟主(保護者)に相応しい力をみせないと駄目です。例外はもう何も失う物のない種族達くらいでしょう。

264 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 09:54:47 [ DA54LZrA ]

>>260
260様、上記4種は帝国では「害獣」指定されています(笑)。

>>261
なかなか面白そうですよね。ドンパチやるだけがSSではないのだから。でもそうなると、それここに投稿していいのかなあ?それともラノベスレ?

>>262
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>ダークエルフを認めた事による、エルフとか他の妖精はどう反応するんだろう?
他の種族はともかく、エルフとは最悪です。エルフと交渉したある将軍は、エルフのあまりにも驕慢な態度(こっちを見下したような態度、一方的な要求等)にブチ切れました。そんな事が何度か続いたため、少なくとも軍はエルフ嫌いです。

>妖精族との接触はどのように行われたのかが気になるところです
「最初の接触相手はダークエルフだった」としか今は言えません。御免なさい。

265 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:56:13 [ DA54LZrA ]
SS投下!

ちょっと息抜き。話の流れに合わせた即興のSSです。

266 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:56:45 [ DA54LZrA ]
牢獄の中は真っ暗だ。窓さえ無い。だからもうどの位ここにいるのさえ分からない。

・・・もうそんな事どうでもいいけど。


僕はロイ、いわゆる「よつあし」だ。でも別に4本足で歩くという訳じゃあないよ?僕達獣人
に対する世間の呼び名さ。他には「獣憑き」なんていうのもあるらしいけど、「よつあし」には及ばないね。

獣人は本来、山奥人里離れたところで人目につかないように暮らしているらしい。だけどどういう訳か普通の人間達の間からも、たまに僕みたいな獣人が生まれてくる。生まれてすぐに、「よつあし」なんて分かればその場で「処理」できるんだろうけど、幸か不幸かある程度成長しないと変身できないんだよね。

「よつあし」と分かったら次の日には追放さ。そうでなければ家族が村8分にされてしまう。その場で殺される事も有るらしいけど、やっぱり多少は哀れに思ってくれるのか、大概は準備させてくれた後に追放だ。僕もそうだった。

267 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:57:04 [ DA54LZrA ]
僕達のように「人」の生活に慣れすぎた獣人は、元からの獣人(というのも変だけど)と違って森では暮らせない。(受け入れてくれるか分からないけど)獣人の村の場所も分からない。だから大抵大きな町に集まる。

町に入れば浮浪児もいる。そこに紛れ込む。ばれたらやっぱり追放、運が悪ければ「処理」。だからその町がどういう町か、ちゃんと調べておかないと駄目だ。という話を、以前知らないおじさんが教えてくれた。そのおじさんも「仲間」だったのだ。

「坊や。何故俺達がこんな目に合うか分かるか?」

「危険だから?」

「ああ、ある意味危険だね。知能は自分達と変らない。なのに体力・生命力は比べ物にならない。そんな奴らが徒党を組んだら?1000人なら?10000人なら?さぞかし危険だろうよ。」

「獣人は人に危害を加えるって・・・。」

「そりゃ魔獣だ。獣人じゃあない。もっとも連中にはどちらにしろ同じなんだろうがね。」

おじさんは鼻で笑った。そして僕に何枚かの銀貨(!)を握らせてこう言った。

「坊や、可哀想だけどこれ以上の事はしてやれない。だけど、我々獣人の誇りにかけて、これだけは誓う。いまにきっと俺達が誇りを持って暮らせるような国を作ってみせる。必ずだ。」

268 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:57:27 [ DA54LZrA ]

おじさんとはそれっきりだ。その後何年かの月日が流れ、僕は浮浪児のグループの一員としてどうにか生きてきた。正体がばれたのは、ちょっとした事からだった。

同じ浮浪児グループの一人が瓦礫の下敷きになって、助けるためには変身するしかなかったのさ。その後グループは大騒ぎ、僕は彼等に自警団に突き出された。助けるんじゃなかった・・・。

そんな訳で今ここにいる。初めは改めて自分の不幸を嘆いたが、今では達観している。まあダークエルフよりはマシさ。ダークエルフなんか見つかったら問答無用で火炙りだもんな。その前にも散々拷問とかされるらしいし。幸い僕はここに閉じ込められているだけだし、1日1度食事ももらえる。なんでもこの町の長は大変「慈悲深い」からだそうだ。・・・それにしても外がうるさいな。一体何だろう?


扉が勢いよく開いた。光が眩しい。

「おや?仲間が捕まっていると聞いてやって来てみたら。坊やじゃあないか。」

おじさんだった。何年ぶりだろう?でも服装が違う。以前のような粗末なものではなく、立派な鎧を着てる。

「おじさん。騎士さまみたいな格好だね。」

それを聞いたおじさんはガックリと肩を落した。

「・・・一応、王様なんだけどなあ。そうか騎士にしか見えないかあ。」

妙な単語を聞いた。

「王さま?おじさん、嘘はよくないよ。王さまの位は神さまから頂くんだよ?」

僕達「よつあし」を王さまにしてくれる神さまなんているもんか。「人」とさえ認めてくれないのに。

269 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:58:21 [ DA54LZrA ]

それを聞いたおじさんはにんまりと笑った。

「異界の神に王位を頂いたのさ。」

「異界の神さま?」よくわからない。

「あ〜、つまりだな。こことは違う世界があって、そこからその神さまはこの世界にいらしたのだ。」

・・・おじさんもよく分かっていないんだね。まあ新しい神さまが増えたということかな。

「とにかく!俺達の国を作ったんだ!・・・正確にはその神さまに作ってもらったんだけどな。」

「随分気前がいい神さまなんだね。」

よっぽど信者に困っていたのかな。

「まあ、俺達もその神さまの為に頑張ったんだけどな。」

「でもなんでわざわざこの町に?それに、まるで戦争するみたいな格好だよ?」

おじさんはその瞬間とてもこわい顔をした。僕、何か悪い事言ったのかな?

「戦争しにきたんだよ。」

「なんで!」

「この町の長がいるだろう。野郎、おまえみたいの捕まえちゃあ見目いい奴を侍らせてたんだ。よかったな男で。」

やっぱりそんな裏があったのか。今気付いたけど、おじさんの鎧は返り血で染まっている。

「こんな事して後が大変だよ。」

きっとみんなで仕返しに来る。

「来るなら来い。こっちだって人口5万の小国とはいえ、仮にも国家だぞ。」

「5万人!」

知らなかった。そんなに仲間がいたのか。これは後で聞いた話だけど、まだ増え続けているそうだ。

270 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:59:07 [ DA54LZrA ]


「それに、もしもの時は『帝国』におすがりするさ。」

「『帝国』?」

「その神さまの国さ。」

その神さまを崇めている国かと思ったら、その神さまが、2600年以上も直接治めている国らしい。なんでも、いまだ肉体を保っているえらい神さまだそうだ。

「それにダークエルフとかからも援軍もくるだろうしな。」

「なんでダークエルフが僕達を助けてくれるの?」

「その神さまがダークエルフの国も作ったからさ。だから俺達とダークエルフは仲間なんだ。もっとも待遇はダークエルフの方がいいけどな。」

だから俺達も頑張って、もっと認められなければいけない。とかおじさんは言っていたけど、僕は半分以上聞いていなかった。おじさんの話は驚く事ばかりだったけど、今度は格別だ。

ダークエルフの国まで作るなんて!なんて怖い者知ら・・・いや寛大な神さまなんだ。他の神さまが怖くないのかな?それとも他所から来たから知らないのかな?

271 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 12:59:27 [ DA54LZrA ]

沢山の兵隊さんがやって来て、僕の考えは中断された。なんとなく分かる、みんな仲間だ。

「陛下。後始末が済みました。」

兵隊さんたちの剣も真っ赤だ。何があったのか考えたくない。

「そうか。では帰還する。」

おじさんはそう言うと、今度は僕の方を向いて優しく言った。

「坊や、俺達の国に『帰ろう』。」

僕は黙って頷くしか無かった。

外にはもっと沢山の兵隊さんがいて、町の人たちを剣や槍で威嚇している。僕はなるべく見ないようにしていた。


丘の上の屋敷が燃えていた。

272 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/12(火) 13:00:25 [ DA54LZrA ]
SS投下終了。ちょっと雰囲気変えてみました。

273 名前:258 投稿日:2005/07/12(火) 15:06:05 [ 6KnBHENQ ]
投下乙です。
彼らが「何も失う物の無い種族」ですね。
「帝國」臣民は彼らと上手くやっていけるでしょうか…、先が気になります。

274 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/12(火) 18:30:52 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
うーむ、獣人の国にダークエルフの国ですか。
なんか、話のくだりで両者とも神道に改宗したように読めたのですが、気のせいですか?
だとすると、ダークエルフの巫女さんが…(´Д`;)ハアハア
…ではなく、この二国には神社が建てられて皇室の氏神である天照大神が奉られるわけですか。
太陽神をあがめるダークエルフと獣人…実に興味深い。

275 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/12(火) 18:48:48 [ iTFQRdj. ]
おもしろいです♪
ミニマムな存在から見た風景ってのも話の奥行きが広がりますね。
大東亜戦争初期の、東南アジアを開放していった光景を思い浮かべましたよ。


マイノリティ王国が帝国を立てている限り軋轢はあまりないでしょうね。
帝国にしても敵対される心配のない味方はありがたいし。
軋轢が生じるとしたら帝国を脅かす位に発展してから・・・当分なさそう

>>274
って事はもしヴァンパイアが帝国の支援で国作ったら太陽を崇めるヴァンパイアw

276 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/12(火) 19:37:45 [ Njsyi/d. ]
GJ!

ただ、彼らの住む国土をどこからひねり出してきたかが気になる。
後々パレスチナ問題のような大惨事に発展しそうな悪寒がするのだが。

また、移民や混血結婚なんかについてはどうなってるんだろう。
琉球やアイヌのようにすれば将来の軋轢も大分緩和されると思うのだが。

>>275
あらゆる闇の眷属を焼き尽くす裁きの主。呪われた生を絶ちて天に誘う冥界神。
いかにも根暗そうな吸血鬼の感性にはすごい合致しそうなんですが、太陽信仰。
それにほら、「月夜に佇む銀髪赤眼の巫女」がこれほどしっくりくる種族もないし。

277 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/12(火) 21:29:38 [ BbUEfgGI ]
乙です。

彼らに幸アレ。
獣人やダークエルフたちが末永く友人として付き合っていければいいですね。

何十年かたったら日本みたいに神道をベースに色々と取り込んでいそうな気がします。
なんたって誰でも神様になれる国ですから。
あ、すると戦死したら靖国に祀られるのか?

あと気になった事で、宗教観とか、他の種族の事とかが少しづつ出てきましたが
この世界にバチカンみたいな宗教国家はあるんですか?

「異世界の神など我らが主神の足元にも及ばぬわ」
見たいな事を言って、戦争ふっかけて逆にやられるとか

278 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/13(水) 09:09:33 [ DA54LZrA ]
>273
258様、有難う御座います。

彼等は自分達の持てる全てを帝国に賭けました。今後彼等は帝国の一邦の民として生きていく事になります。


>274
有難う御座います。

彼等は神道に帰依しました。でも「改宗」ではありません。彼等を信者として認めてくれる神(神殿)などいなかったのです。今までは、自分達の祖先を崇めていた程度です。


>275
>ミニマムな存在から見た風景ってのも話の奥行きが広がりますね。
有難う御座います。せっかく「外伝」としてあるのだから、ドンパチだけでなくこういう庶民生活レベルの話も増やしていきたいです。

>軋轢が生じるとしたら帝国を脅かす位に発展してから・・・当分なさそう
彼等は少数民族ですからね。ですから今の彼等の標語は「産めよ増やせよ」(安住の地も手に入れましたし)です。

279 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/13(水) 09:10:05 [ DA54LZrA ]
>276
有難う御座います。

>ただ、彼らの住む国土をどこからひねり出してきたかが気になる。
帝国が獲得した領土を下賜しました。一応人口の希薄な問題の無さそうな土地を選んでいます。ダークエルフにいたっては、帝国本国付近の大きな無人島群(人はいないが「害獣」はいた。駆除済み。)を下賜しました。

>後々パレスチナ問題のような大惨事に発展しそうな悪寒がするのだが。
人口が少ない為に軋轢が見えにくいだけであって、全く無い訳ではありません。少なくともその地域では彼等はもう弱者ではありません。彼らこそが多数派であり、支配者なのです。周囲の住民は将来の不安から、他所に移住する者も少なくありません(彼等もそれを奨励金付きで後押ししています)。

>また、移民や混血結婚なんかについてはどうなってるんだろう。
彼等が帝国本国に入国するには特別許可とパスポートが必要です。軍務等の公用、あるいは国費留学以外の入国は今のところ無理です。


>277
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>獣人やダークエルフたちが末永く友人として付き合っていければいいですね。
転移初期から戦うことなく帝国に服した両者は、今後「帝国譜代の邦」として、帝国諸邦および同盟諸国の中でも特別な地位を築く事になります。

>この世界にバチカンみたいな宗教国家はあるんですか?
結構あります。もっともバチカンみたいな、諸国も認める格式高い宗教国家は数えるほどです。

280 名前:レイベル 投稿日:2005/07/13(水) 17:00:26 [ 7QPkI2L. ]
横からすいません。獣人についてですがみんな人狼なんですか?それだとたしか
日本の神道では大口真神という狼の神様がいたはずですから思想面で使えそうですね。

281 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/14(木) 04:10:01 [ iMxLq8kU ]
>>241
>陸軍が期待する4式戦は、試作機すら完成していない状態です。

ひょっとして、五式戦の方が先に完成したりして…。
どうせ工場では首無し飛燕が大量に発生してるでしょうから。

282 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 08:01:46 [ DA54LZrA ]
>280
>獣人についてですがみんな人狼なんですか?
う〜ん。そこまで考えてなかったですね。やっぱり人狼が過半で、後は虎人、熊人・・・くらいかなあ?

皆さんはどう思います?


>281
飛燕は帝国本土防空用に少数要求(年1個戦隊程度)されている程度ですので、多少の納入の遅れはあるにしろ、なんとか生産(100万人以上が軍から職場に帰ってきましたしね)されています。

問題は彗星です。こちらは正規空母の艦爆更新用に、かなりの数を短期間で生産しなければいけません。その為エンジンの生産が機体の生産に追いつかず、工場では首無し彗星が大量に発生しています。(大きな原因の一つに、品質テストが史実よりも厳しいという事が挙げられます)

283 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/14(木) 09:44:46 [ r9DJpMoo ]
>>282
変身する動物は部族ごとに違ってもいいのではないかと思います。
最大種族は人狼で次いで虎や猛禽類やワニ、あとは変り種で龍の幼生体とか。
さすがに古代龍は反則だと思いますが、やっとこさ人に変身出来るようになったばかりのひよこだと人に狩られる心配も有りますし、獣人と一緒に住んでいることにすれば…

飛燕ですか…余裕が出来たおかげでハ40を何とか作れているのですね。
稼働率は史実よりもかなり良さそうですが、より生産も整備も楽なハ112への換装案はまったく上がっていないのでしょうか?
現在の帝国の基礎工業力だとオーバースペックな設計のハ40では、そのうち深刻な部品不足に陥るような気がするのですが。
それはそうと、このままのんびり研究できれば、ハ140も何とか完成させる事が出来そうですね。

284 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/14(木) 10:16:37 [ 6bp97uvY ]
毎回楽しく拝見しています
航空機は品質向上しそうですか歩兵の武装はどうなんでしょ?
百式機関銃の量産化はありえるのでしょうか?

285 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 12:58:10 [ DA54LZrA ]
>283
ご返答有難う御座います。やっぱりいろいろな種類の獣人がいた方が面白いですね。

>ハ112への換装案はまったく上がっていないのでしょうか?
現在陸軍は疾風の試作に全力を上げています。ハ112への換装案も出ていますが、必然的に疾風と競合することになります。・・・ギャンとゲルググ?

飛燕そのものについては、まあ高性能の機体を欲した陸軍のワガママです。「技術の冒険」という意味合いもありますが。


>284
有難う御座います。

>歩兵の武装はどうなんでしょ?
現在打撃力強化の為、38式小銃より99式小銃への換装中です。

>百式機関銃の量産化はありえるのでしょうか?
空挺部隊等一部の部隊のみの配備です。



さて、久し振りの連載SS投下!

286 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 12:58:42 [ DA54LZrA ]
5-0

1航艦はレムリアに先制攻撃を行い大戦果を上げたものの、予想を上回る損害を受けた。この損害は消耗を極度に恐れる1航艦司令部に衝撃を与え、各級指揮官達の度重なる意見具申にもかかわらず、以後大規模な航空攻撃を封印してしまう。

一方のレムリアは大損害を受けた後、地上部隊の支援という初期の作戦を変更し、その航空兵力全てを防空任務に回すこととした。ワイバーン・ロードを1部隊に単独集中してこれを主力とし、これに多数のワイバーン部隊や対空部隊を組み合わせ、濃密な防空網を形成したのである。この戦法は戦力を小出しする1航艦に少なからぬ損害を与え、1航艦の行動をますます消極的なものにさせた。

レムリアは1航艦を遥かに上回る損害を受けつつも、作戦目的を達成(その巧妙さは大陸列強の名に恥じぬものであった)したのだ。こうして空での戦いは膠着状態に陥り、戦いの行方は両軍の地上部隊に委ねられる事となる。

287 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 12:59:01 [ DA54LZrA ]
5-1 グラナダ国境

帝国・レムリア両軍はグラナダ国境付近で向い合っている。両軍とも決戦を望んでいるのだ。

帝国は一刻も早くケリをつけ、その勝利を諸国に見せ付ける必要がある。

レムリアも列強としての面子上、謀反を起こしたグラナダを早期に討伐する必要がある。今となっては、防空網が機能している間に帝国軍地上部隊を殲滅しなければならない事の方が重要(少なくとも『討伐軍』にとっては)となってしまったが・・・。


両軍の戦力は帝国軍が第2師団を主力とした約37,000(グラナダ軍10,000を含む)、レムリア軍が討伐軍全力の100,000(周辺の属国軍20,000を含む)であり、戦力比は実に1対3である。レムリアは帝国軍を包囲するような陣形をしいている。兵力差を活かし、包囲殲滅するつもりであろう。

288 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 12:59:41 [ DA54LZrA ]




5-2 グラナダ国境 帝国軍砲兵部隊

帝国軍はその最大の武器である砲兵−野戦重砲連隊と師団砲兵−を統一して運用していた。その戦力は96式15榴24門、91式10榴12門、90式野砲24門の計60門。彼等は前線後方、数キロの位置に陣取っていた。


「これは・・・。随分と気張りましたねえ。」

副官は思わず声を上げた。彼の目の前には、山と弾薬が積まれている。軍に入ってから大分経つが、こんな量いままで見たこともない。それだけで今回の作戦にかける軍の意気込みが分かるというものだ。

「まあ虎の子の我々野戦重砲連隊まで担ぎ出すくらいだからな。」軍も本気なのさ。

野戦重砲連隊長が答えを返す。今回の作戦に、派遣軍は1会戦分もの弾薬を用意したのだ。

「自分ら砲兵だけで敵さんを殲滅出来るのではないですか?」

副官は大量の弾薬を目にして興奮している。

野戦重砲連隊長は師団砲兵連隊も合わせて指揮する事になっている。彼等の任務は敵砲兵制圧である。その後敵歩騎兵に対し、突撃前の準備射撃を行うこととなっている。副官は、その準備射撃だけで敵を殲滅できるのではないかといっているのだ。

「油断すると失敗するぞ?」

289 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 13:00:11 [ DA54LZrA ]

立場上、連隊長は副官を窘めるが、全く同意見である。敵の砲兵群は資料によれば、射程は正規で2〜3キロ程度。ただ注意事項として、一部の砲(魔道砲)は、威力を減らす代わりに最大3倍程度射程を延長できるそうだ。もっとも、威力の低下が激しい(射程2倍で威力8分の1、3倍なら27分の1)のと、まず当たらない(測量手段が未発達)為まず行われないらしい。何れにせよどんなに頑張っても9キロがやっとであり、敵砲兵から10キロの距離をおいている自分達にはまず届かない。敵の反撃を気にせず、一方的に撃ち込めるのだ。敵の砲兵群は早期に制圧できるだろう。その後は敵歩騎兵が相手だが、これも一方的に撃ち込める。これだけの弾薬が撃ち込まれれば、敵は全滅だろう。


「総員集合!」

そろそろ時間だ、連隊長は興奮を抑えて命じる。彼にしてもこれ程の大砲撃戦は初めてなのだ。やがて連隊本部各員が集合し、連隊長の訓示を待つ。

「これより軍砲兵は、その全力をもって敵砲兵を殲滅する!総員、その実力を遺憾なく発揮せよ!解散!」

将兵は不動の姿勢をとり、連隊長の訓示を聞いていたが、「解散」の言葉に一斉に持ち場に駆けていく。

「全中隊射撃準備完了しました!」

いよいよか。連隊長は緊張する。無理も無い、なにせ1会戦分もの弾薬を渡されて、「派手にやれ」と言われたのだ。こんな機会はもうないかもしれない。

悪いな。敵さんには気の毒だが、こっちにとっては滅多にない機会なんだ。せいぜい派手にやらせて貰うぞ。

「目標、敵軍砲兵隊!撃ち方始め!」



この世界における陸戦史上最大の砲撃戦が幕を上げた。

290 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/14(木) 13:02:19 [ DA54LZrA ]
SS投下終了。

・・・さて、次は何書こう。これの続きか、それともロイ少年の続きか。

291 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/14(木) 18:32:43 [ r9DJpMoo ]
>>290
SS投下乙です
おをををを、帝国軍とは思えないくらいの重厚な砲陣地。
帝国軍も威信をかけて運べるだけ運んできたと言った感じですね。
いまさらですが10万かぁ…武装が中世とは言え、人海戦術もバカになりませんよね。
カチューシャがあれば、もう少し楽な戦になるのでしょうが…帝国軍には多連装ロケット砲の概念がまだ無いでしょうし、そもそもトラックに余裕が無いのがいかんともしがたし。

292 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/15(金) 00:16:36 [ BbUEfgGI ]
乙です。
いよいよ陸さん大活躍
レムリア軍を一掃出来そうな布陣ですね

後はちゃんと補給が行われていれば問題は無いはずですが、海軍の航空支援が受けられないというのは後の伏線ですか?
なんだかここらへんに帝国陸軍大打撃なことがありそうでならないんですが。

あと、獣人やダークエルフたちの国の勃興記みたいな話が呼んでみたいです。

293 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/15(金) 04:47:33 [ Njsyi/d. ]
乙ー。
レムリア側の無能な将軍が突撃命令出して部下を犬死させるパターンになりそうですな。
……つーかこの局面、後々まで悲惨な戦争の代名詞になりかねない代物じゃないか?

ところで偏執的かつ今更な感想だが、獣人という題材は実はかなり高難度な気が。
倫理観が人間の標準から決定的に逸脱してる獣人だって少なくないはずだし。

頻繁に変身するので裸族だとか、蜘蛛女の卵が孵化してチェストバスターとか、
生理的欲求に起因する独自で鮮烈な文化が絶対にあるはずではなかろうか。

いや、ご都合主義路線はぜひともそのまま突っ走って欲しいのだが、
「獣人だって普通の人々なんだ」という考え方はある種の欺瞞だと思う。
獣人が種族の尊厳のために戦うなら、鎧兜を着る前にまず変身すべきだろう。

294 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:09:47 [ DA54LZrA ]
>291
有難う御座います。

帝国軍砲兵にとって今後、これ以上の戦力を揃える可能性は十分ありますが、「派手に撃て」という命令はおそらく無いでしょう。(「好きなだけ撃て」ではありません、「派手に撃て」という命令です。嫌でも撃ちまくらなければいけないのです。)


>292
サッキ119様いつも有難う御座います。

>レムリア軍を一掃出来そうな布陣ですね
そのための野戦重砲連隊です。(笑)

>あと、獣人やダークエルフたちの国の勃興記みたいな話が呼んでみたいです。
そうですね、僕も少しずつ書いていきたいと思います。

295 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:10:50 [ DA54LZrA ]
>293
有難う御座います。

>倫理観が人間の標準から決定的に逸脱してる獣人だって少なくないはずだし。
まさしくその通りなんです!人間が彼等を「よつあし」と言うのは、何も理由のない事ではないのです。実はロイ少年も「おじさん」も種族こそ「獣人」ではありますが、その中身は「人間」です。彼等は「獣人」の思考ではなく、「人間」の思考に支配されています。そもそも生粋の獣人なら、「俺達の国」だの「獣人の誇り」なんて考えません。つまり、「獣人の国」には人間から生まれて、人間の社会で育った「獣人」しか住んでいないのです。「獣人の国」では生粋の「獣人」は住めないでしょう。彼等は「野蛮」ですから。

>生理的欲求に起因する独自で鮮烈な文化が絶対にあるはずではなかろうか
生粋の「獣人」にはあります。ただ、ロイ少年や「おじさん」が見たら顔を背ける事でしょう。

>獣人が種族の尊厳のために戦うなら、鎧兜を着る前にまず変身すべきだろう
彼等にとって、そんな「野蛮」な事はできません。変身した上で鎧兜を着るのは有りですが。


・・・以上が裏話です。

ただ、この事はあまり楽しい話ではないので伏せとくつもりだったんですよ。突っ込みがなければ。(今後もまず出てこないでしょう)

296 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:13:04 [ DA54LZrA ]
さて、本日のSS!即興SS第2弾!

297 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:13:40 [ DA54LZrA ]
僕は今とても迷っている。こんなに悩んだのは生まれて初めてだ。一体僕はどれを選択すれば良いのだろう?



あれから僕は、おじさんたちと一緒に「帰る」事になった。船に乗って数日、やっと港に着いた時には、僕はヘロヘロだった。・・・うう、もう一生船には乗らない。

「ここが僕たちの国?」

「いいや。ここは帝国直轄の港町だ。俺達の国はここから徒歩で2〜3日ってとこかな。まあ建設中の鉄道が完成すれば楽になる。」

「てつどう?」

「ああ、まあ沢山の荷車を機械獣に曳かせたやつだ。」

「きかい獣?」

「・・・なに自分を指差してる?ぼうやはカラクリじゃあないだろ?」

「カラクリの獣かあ。」

「・・・目を輝かせて何を想像しているのかは分からんが、多分ぼうやの想像しているのとは違うと思うぞ?」

おじさんは呆れた様に言う。でも、カラクリの獣かあ。完成したら絶対乗ろう。

298 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:14:18 [ DA54LZrA ]

「おっと、こうしてはいられん。ぼうや、俺はこれからちょっと用がある。悪いが、これであの売店で何か買い食いでもして待っててくれ。」

おじさんはそう言って、僕に1枚の紙を渡した。なにやら複雑な模様が描かれている。

「・・・これ、何?」

「ああ、そうか。知ってる訳無いよなあ。いいかい、これはお金だ。」

「お金?お守りじゃあなくて?」

お金って金貨とか銀貨とか銅貨じゃあないの?すごいお金持ちなんかは、宝石をお金代わりに使うらしいけど、これは紙だし・・・。

「これは帝国のお金なんだ。とにかく、これで買い物ができる。じゃあ、いい子にしてろよ。」

おじさんは行ってしまった。そういえば、僕はどうしておじさんと一緒に行動しているのだろう?ほかの保護された子供たちとは別行動だし、おじさんって「王さま」なんだよね?

いつの間にか吐き気もおさまり、あらためて町を見る。とても賑やかだ。仲間も沢山いる。なかには獣化したままで大きな荷物を運んでいる人たちもいた。きっと波止場の人たちだ。ダークエルフもいる!しかも親子連れだ!

本当に夢みたいだ。僕たち獣人やダークエルフが、姿を偽らずに町を闊歩するなんて。そんな思いを抱いて頷いていると、不意にお腹が鳴った。・・・そういえばお腹が空いた。

299 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:14:51 [ DA54LZrA ]

売店では、おねえさんが売り子をしていた。やっぱり仲間だ。

「いらっしゃいませ〜。あら?初めて見る子ねえ?」

「うん、今日、ナントからきたんだ。」

「ナントから!そう・・・、大変だったんだねえ。」

おねえさんはしみじみと言う。

・・・もしかして同情されてる?そんなに僕不幸?普通の獣人生活送ってきたと思うけど・・・。

「でも、もう大丈夫。天照大神が私達を守って下さるから。」

「?」

「帝国を治める神さまよ。とっても偉くて強い神様なのよ?」

「帝国の神さま・・・。」

僕もお世話になったんだよね。これからもっとお世話になるんだし、やっぱり信者にならなきゃあ失礼だよね。もっとも僕たち獣人を信者にしてくれる神さまなんて、他にいないけど。

300 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:15:20 [ DA54LZrA ]

「あっ!そういえば買い物しに来たんだよね!何にする?」

おねえさんの声で我に返り、あわてて品物を見る。何にしよう?いろいろあるなあ。干果物、ナッツ、麦飴、ジュース(冷い井戸水に果汁・甘草の煮汁・香草を加えた物)・・・。ふと一角に目をやると、なにやら見たことのない品物が並んでいる。

「おっ、良い所に目をつけたね。それは帝国のお菓子よ。帝国のお菓子は一番の人気商品なの。」

おねえさんは自信満々に言う。確かに綺麗な包装がされ、見るからに高級そうだ。

「今日は中でも特別な品が入ってきてるのよ。まだ本当は出しちゃいけないんだけど、特別だよ。」

そう言っておねえさんは品物を取り出した。

「じゃ〜ん。なんと!『も○なが』の『ま○ぃびすけっと』!」

「『ま○ぃびすけっと』?どういうお菓子?」

「う〜ん、堅パンみたいなものかな?」

「・・・・・」

堅パンとは小麦粉に豆粉、骨粉等を混ぜて焼いた保存食で、非常に堅く、金槌で割って食べるシロモノだ。お世辞にも美味しいものじゃあない。僕の反応を見たおねえさんは慌てて訂正する。

「あっあくまで『似たようなもの』を探せばよ?味は全然ちがって美味しいのよ?小麦粉に白砂糖とミルクと卵をたっぷり使って作ってあるんだから!」

「白砂糖とミルクと卵!」それは貴族の子供が食べるお菓子ですか?

「それだけじゃあないの。こっちは『きゃらめる』。とってもやわらかくて甘い、飴のお菓子。」

とってもやわらかい飴?どんな飴だろう。どれにしよう?とても迷う。お金はどちら一つ分しかない。

僕は今とても迷っている。こんなに悩んだのは生まれて初めてだ。一体僕はどれを選択すれば良いのだろう?

301 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:16:11 [ DA54LZrA ]



「・・・何やっているんだ?」

おじさんが呆れた様な声が聞こえた。今日は呆れられてばっかりだ。おねえさんも笑っている。集中のあまり、気がつかないうちに獣化していたのだ。・・・恥ずかしい。



結局2つとも買ってもらった。確かに両方とも、とても美味しかった。こんな美味しいもの生まれて初めて食べたよ。



<補足>
帝国の領土となった地域では、帝国通貨が流通しています。帝国の経済圏に組み込む為と、この世界の通貨を、帝国はそれ程保有していない(そのため交易は物々交換で行っていた)為です。まさか金貨を作る訳にはいきませんし。

といってもそれは簡単な事ではありませんでした。なにせロイ少年の言ったように、この世界の人々にとって、帝国通貨はとてもお金には見えなかったのです。そのため、最初はなかなか受け入れられませんでした。

帝国は最終的な解決方法として、本国から品物を取り寄せて、それを軍営業の売店で販売するという手段を用いました。支払い方法はもちろん帝国通貨です。・・・という事はあのおねえさん、軍属なんですね。

302 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:16:34 [ DA54LZrA ]

この方法は成功しました。お菓子や日用品だけでなく、医薬品や化粧品といった帝国本国でもいまだ貴重(といっても手に入らないと言うほどではなくなりましたが)な品々まで手に入るため、現地通貨に対する帝国通貨の闇レートは急上昇したのです。これらの品々は貴族や金持ちに高く売れますので、人気は高まるばかりです。現在では高くなり過ぎた帝国通貨の安定に苦労(下手するとこの世界の経済に悪影響を与えます。それは帝国の望む事ではありません)しています。

もっとも本当に通貨として受け入れられているかは、いまだに疑問が残ります。軍属の獣人たちの中には、現物支給で働いていると考えている者もいまだにいます。帝国貨幣を配給の券だと思っているんですね。

ちなみにロイ少年が食べたお菓子、似たようなものはこの世界にもあります。しかし、この世界では手の込んだお菓子など、金持ちや貴族の独占状態です。そんなものが庶民の入れる売店の店頭に並ぶ事自体が、「凄い事」なのです。

303 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/15(金) 08:16:59 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

304 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/15(金) 10:22:11 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。
いやー、こういう話で下地を作っていくとこの世界がどんなもんか分かってきますねー
>293氏の獣人の質問にもしっかり答えてあるのがまた、いいです。

タイトルをつけると”帝国と獣人の少年”?
まんまだw

305 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/15(金) 14:55:10 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
やはり天照大神を奉っているのですね。
果たして彼らに神道は根付くのか?
元旦に山に登って御来光を拝みに行くのか?
とにかくロイ君の今後に幸あれ。

P.S.
《機械獣》…マジンガーZの敵ロボットが客車を引いてる姿を想像してしまいましたw

306 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/15(金) 23:45:45 [ Q0gWcxFQ ]
投下乙です。
こういうファンタジー世界が分かる話はいいものですね。
ところで、少し気になったのですがこの世界の食糧事情はどうなっているのでしょうか?
やっぱり主食は麦なんでしょうか?

307 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/16(土) 11:26:15 [ iI5E3s4E ]
ふと、中国戦線で大量に鹵獲された7・92ミリ系列の火器はどうなってるかなあと
思ったり…
一応、航空機用の機銃弾薬として生産ラインがあるようだから使えるかなと。

308 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/16(土) 16:14:09 [ DA54LZrA ]
>304
サッキ119様、いつも有難う御座います。

このシリーズ、「この世界や帝国がどうなっているのか分からない」という声にお答えして始めました。この世界がお分かり頂けたのなら幸いです。

>タイトルをつけると”帝国と獣人の少年”?
実はくろべえ、タイトルつけるのが大の苦手であります。文を書くよりも難しいです。


>305
有難う御座います。

>元旦に山に登って御来光を拝みに行くのか?
彼等にとって、宗教を持つという事は憧れでした。当然その風習は実行しています。もちろん国には神社がありますし、巫女さんもいます。


>306
有難う御座います。

>この世界の食糧事情はどうなっているのでしょうか?やっぱり主食は麦なんでしょうか?
はい、小麦ですね。正確には「小麦っぽいもの」です。まあこっちの世界の小麦と交配可能なので、仲間なのでしょう(味もそっくりですし)。地方によっては米(ただし陸稲)や蕎麦「っぽいもの」も作っています。


>307
鹵獲兵器については、弾薬の補給が不可能ならスクラップのうえ再利用、補給可能ならば特定の部隊に集中配備して使用しています。

309 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/16(土) 16:16:58 [ DA54LZrA ]
昭和19年初頭、各務原飛行場

多くの関係者に見守られる中、上空で2機の戦闘機による空中戦が行われていた。勝敗が決まるたびに、悲鳴と歓声があがる。やがて空中戦が終了したのか、2機の戦闘機は着陸した。


次期陸軍主力戦闘機4式戦闘機は、「疾風」に決定したかに見えた。しかし、その後強力なライバルが現れる。ハ−40液冷エンジンをハ112空冷エンジンに置き換えた、3式戦闘機「飛燕」の改造型である。この機体はエンジンの換装により、最大速度こそ若干低下したものの、低空における飛行性能はかえって向上し、信頼性にいたっては比べ物にならない程増した。しかも既存の3式戦闘機の設備を流用し、すぐにでも生産可能である。この機体が4式戦闘機の候補に名乗りを上げたのだ。

疾風は2000馬力級の新型エンジンを搭載し、624キロという高速を捻り出す。しかし、この新型エンジンは未だ不具合が直らず、今後の課題となっていた。信頼性の高い3式戦闘機改造型に対し、これはあまりに厳しすぎるハンデであった。しかし、その624キロという高速はあまりにも魅力的である。当然議論は紛糾した。


「4式戦闘機は海軍の零戦のように、全ての任務をこなせる機体でなければならない。両候補ともにその能力を保有しているが、信頼性には大きな差があるのは否めない。」

「3式戦闘機改造型なら既存の設備を流用でき、今すぐにでも生産できる。機体、エンジンともに実績もある。採用すべきだ。」

「高度防空用の3式戦闘機と機体を統一することにより、機種の削減が期待できる。」

という3式戦闘機改造型を押す声が多かったが、疾風を擁護する声も少なくなかった。

「たしかに疾風は未だに問題を抱えているが、新型機にはよくあることだ。」

「600キロを超える速度を捨てるのは、あまりにも惜しい。」

「3式戦闘機改造型でお茶を濁せば、新型機の性能が停滞する。」

「いま列強諸国では、ワイバーン・ロードの新種開発に血眼になっている。500キロの壁もじきに破られるだろう。600キロを超える新型戦闘機の実戦配備は、政治的にも大きな意味を持つ。」


結局決着がつかず、今回の模擬空戦を行う事となったのだ。同時期、海軍は川西に紫電をベースにした新型戦闘機の開発を命じていた。

310 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/16(土) 16:17:17 [ DA54LZrA ]

今回は小ネタで、ちょっと未来のお話です。別名「ギャン対ゲルググ」です。さて、どちらが4式戦闘機として正式採用されるのでしょうか?まだくろべえは決めかねています。

311 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/16(土) 16:20:24 [ DA54LZrA ]
訂正  ちょっと未来のお話です→ちょっと未来のお話でした

312 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/16(土) 17:41:24 [ BbUEfgGI ]
たしか史実でも疾風の稼働率がひどいために、
現場から「四式戦3機より五式戦1機を送れ」
との要請もあるぐらいですからね。

どちらかと言うと五式戦を選ばないと、そのうち敵機が来ても飛べる機体が無いなんて事がありそうです。

313 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/16(土) 18:08:50 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
史実のように『どちらも』ではなく『どちらか』にする事になったのですね。
帝国陸軍がどちらを採用するかで戦局にどのような影響が出るのでしょうか、楽しみです。
場合によってはハ45を飛燕のボディーにつけることになるやも知れませんね。

鹵獲兵器の件なのですが、鹵獲されたVz26系機関銃は日本の11式軽機関銃よりもかなり使い勝手が良かったそうなので、いっそのこと11式をやめてVz26系のコピーに切り替えるのも一つの手ではないでしょうか?
ライセンス料もいりませんし。

314 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/17(日) 10:44:40 [ 8qzVzqQ. ]
ZB26の改良型(?)として96式、99式ってのもあるね

315 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/17(日) 21:23:42 [ DA54LZrA ]
>312
サッキ119様、いつも有難う御座います。

4式戦闘機に飛燕改造型が採用されれば、今後陸軍戦闘機は飛燕シリーズで独占されますね。

史実と異なりこの世界では、飛燕は高い評価を受けています。選りすぐりの熟練工達の「匠の技」によって作られたハ−40液冷エンジンは、やはり熟練の整備兵達の手によって運用され、素晴らしい性能を発揮しています。もっとも年60台にも満たない生産量もあり、ハ−40液冷エンジンは一部航空関係者から「芸術品」とも言われています。


>313
有難う御座います。

>史実のように『どちらも』ではなく『どちらか』にする事になったのですね。
そうですね、この世界では別に切羽詰っている訳ではありませんし、両方採用などという無駄な事はしないでしょう。ただ疾風が採用されれば、飛燕改造型と両方採用される可能性があるかもしれません。飛燕にエンジン付け替えただけですからね。

>場合によってはハ45を飛燕のボディーにつけることになるやも知れませんね。
疾風が採用されなくても、ハ45の研究は今後も続けられるでしょう。

>Vz26系のコピーに切り替えるのも一つの手ではないでしょうか?
ZB26軽機関銃の7.92mm×57弾は魅力的ですね。国内でも生産されていますし。


>314
現在、99式の生産が主となっています。

316 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:44:05 [ DA54LZrA ]
SS投下!

317 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:44:53 [ DA54LZrA ]
6-1 レムリア軍第2重砲陣地

レムリア軍第2重砲陣地には第8砲兵連隊が展開していた。この陣地だけで100門を超える重砲を保有しており、討伐軍全体では500門以上(軽砲も含めて)に達する砲を保有している。レムリア軍砲兵の間には両軍が未だ射程外で睨み合っているという事もあり、のんびりとした雰囲気が流れている。戦闘前の滋養食も振舞われていた。

レムリア軍の一砲兵である彼は、のんびりと滋養食を食べていた。戦闘前に滋養食を食べるのはレムリア軍の習慣である。滋養食は小麦粉に酒・卵・砂糖・ミルク等、栄養になりそうなものを混ぜて粥状にしたもので、まあ大昔から続く験担ぎのような物である。彼はふと空を見上げた。何か沢山の黒い物が降ってくるように見えたのだ。


突如として爆音が響き渡った。爆音は一度では収まらず、連続して次々と響いていき、ついには何回響いたのかさえ分からなくなった。爆音は炎と鉄の爆風を伴い、無防備な兵達を一瞬にして薙ぎ倒していく。

彼には何が起きているのかさえ分からなかった。帝国軍の砲撃だとは考えなかった。彼の知る『砲撃』とはこのような大惨事を巻き起こすものではないのだ。

近くの火山が噴火でもしたのだろうか?

「帝国軍の攻撃だ!」

誰かが叫んだ。そんな馬鹿な、こんな事「人の手」で出来る筈が無い。

「帝国軍が『火焔の王』を召喚したんだ!」

その言葉は、常識で考えれば一笑されるものであった。しかし彼には非常な説得力を持って聞こえた。そうだ、これは人の成せる技ではない。帝国の神が力を貸し、『火焔の王』を召喚したのだ。なんということだ、帝国が神に直接統治されているという噂は本当だったんだ!

陣地内は大混乱となった。誰もが何をすれば良いのか分からず、ただ恐怖に支配されていた。

彼にできる事は物陰に隠れて蹲り、自分達の神に祈る事だけであった。

318 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:45:33 [ DA54LZrA ]
6-2

帝国軍軍砲兵はレムリア軍重砲陣地をいくつかに区分し、各区画に常に1個砲兵中隊の射撃が行われるように調整していた。その射撃法は帝国軍とは思えぬ大雑把さであり、ただ割り振られた区画に万遍無く砲弾を撃ちこみ、時間がきたら次の区画に移るといった方法だった。この対砲兵射撃は1時間程続き、その後も前線の歩騎兵部隊にまで攻撃目標が拡大され、砲撃は続けられた。初めは軍砲兵の猛射を見て歓声をあげていた帝国軍兵士達も、その砲撃が3時間を越えたあたりから呆気に取られ、やがて日が暮れ始めるとざわめき始めた。彼等から見ても、今回の砲撃は「異常」だったのだ。結局、砲撃は日没まで続けられた。


レムリア軍は不幸にも、この世界初の近代砲兵による大規模砲撃の洗礼を受ける羽目になった。その被害は甚大であり、生き残った将兵にも深刻な傷跡を残していた。何の反応もせず呆然としている者、俯いて何か呟いている者、半狂乱に泣き叫んでいる者・・・、レムリア軍はいまだ混乱の中にいた。


「被害状況は?」

「詳細は不明です。もう日没ですし、生き残った将兵も半分は暫く使い物になりません。」

部下の報告に溜息を一つ吐くと、軍司令官は各指揮官達を見回してた。各部隊の指揮官が集められ緊急会議が開かれたが、誰もが無言だ。だが態度が雄弁に物語っている。

撤退すべきだ。

無理も無い。夜が明ければ敵の砲撃が再開されるだろう。そうなったらもはや軍の維持すら不可能である。多くの兵が「帝国軍が『火焔の王』を召喚した」と信じているのだ。ならばいまのうちに撤退するしかない。

319 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:45:57 [ DA54LZrA ]
笑いがこみ上げてきた。天下のレムリア軍がわずか3分の1の兵相手に、一戦も交えず逃げ出す!レムリアは世界中の笑い者になるだろう。だが撤退しても我々に未来は無い。おそらく主要な指揮官達は自裁のうえ家門断絶、自分にいたっては自裁すら許されないだろう。全く運の悪い事だ。


突然テーブルを叩く音が聞こえた。猛将の誉高い、第3竜騎士団長だ。

「諸卿は何故黙ったままなのです!これだけ一方的にやられたのですぞ!」

そう言い放つと今度は自分に向かい、言った。

「全軍による夜襲を提案します。朝になればただやられるだけです。夜なら少なくとも、あの砲撃はないでしょう。」


彼の言葉にとたんに周囲が活気ずく、あの砲撃は確かに恐ろしい。だが、あの砲撃さえなければ、そして夜ならば。どうせこのまま撤退するなど、現実には不可能なのだ。なら・・・。

「全軍による夜襲。そんな大規模な夜襲は過去に例がないぞ?」

「あのような砲撃も過去に例がありませんよ?一体敵はどれだけの砲を集めたのやら。」

「あれだけ精密な長距離砲撃をどうやって行ったのでしょうね?我々がやったら魔道士が何人いても足りませんよ。」

「まあいくらなんでも、夜間にあれ程の砲撃は不可能でしょう。砲兵も疲労しているでしょうし。」


指揮官達も饒舌になり、あの砲撃の事も軽口の対象となる程気分が落ち着いてきたようだ。いや、無理にそうしようとしているのかも知れない。誰もが夜襲の危険性は認識していたが、他に方法はなさそうだっだのだ。なにより、あの砲撃の再開される明け方までになんとかしなければならない。



レムリア軍は全軍による夜襲を決断した。

320 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:46:15 [ DA54LZrA ]
<補足>レムリア軍砲兵
レムリア軍砲兵は攻城砲兵と野戦砲兵に大別されます。攻城砲兵は要塞等の攻略の際用いられる特殊な砲兵であり、攻城工兵とともに工兵の指揮下にあります。その為、砲兵とは一般に野戦砲兵を指します。

野戦砲兵は機動性の高い野戦に適した砲を扱う砲兵で、野戦重砲兵と野戦軽砲兵に大別されます。

野戦軽砲兵は野戦砲兵の中でも軽量・高機動の砲を用い、歩兵連隊に配属されて歩兵の直協にあたります。射程は0.5〜1.5キロです。

野戦重砲兵は野戦砲兵の中では重量のある、大威力・長射程の砲を用い、砲兵連隊を形成して独立運用されます。射程は2〜3キロです。砲兵連隊の編制は以下の通りです。

砲兵連隊は連隊本部・本部付隊、3個砲兵大隊、1個魔道砲中隊、連隊段列より成ります。

砲兵大隊は大隊本部・本部付隊、2個榴弾砲大隊、2個加濃砲中隊、大隊段列より成ります。

砲兵中隊は中隊本部、3個砲兵小隊、中隊段列より成ります。

砲兵小隊は小隊本部、3個砲兵分隊より成ります。

砲兵分隊は分隊長、射撃班、弾薬班より成ります。

321 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:46:30 [ DA54LZrA ]
レムリア軍砲兵は観測手段として目視照準を主としていますが、補助手段として魔道士による魔術観測も用いています。魔術観測は目視できない長距離への射撃も可能ですが、即応性・安定性に乏しく、かつ少数の砲しか管制できないためあまり用いられません。

レムリア軍砲兵は帝国軍砲兵と比較して、発射速度、射程、精度、威力の全てに渡って、大きく遅れています(まあ前装式ですしね)。

魔道砲は火薬の代わりに魔力を用いて、魔力弾を発射する砲です。大きな特徴として、威力を減らす代わりに最大3倍程度射程を延長できます。ただし射程2倍で威力8分の1、3倍なら威力27分の1に低下します。この砲ならなんとか31式(38式じゃあないですよ?38式相手だと発射速度差でKOされます)野砲位には対抗できるでしょう。

322 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/19(火) 09:47:04 [ DA54LZrA ]
SS投下終了!

323 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/19(火) 10:42:15 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
帝国陸軍が、ソ連軍のような戦い方を…まあ、的はでかいので適当に撃ってもあたりますよね。
殺傷効果よりも精神的な衝撃を与える為に行われた砲撃だと理解しています。

しかし、よりにもよって帝国陸軍に対して夜襲ですか、しかも全軍で…成功するにせよ失敗するにせよ両軍にかなりの被害が出そう。

324 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/19(火) 16:53:26 [ BbUEfgGI ]
乙です。

「火焔の王か」ー
中世ベースじゃこりは虐殺だわな

次は夜戦ですか
帝国陸海軍伝統のお家芸ですが、どう転ぶのかなw
ここで戦車連隊を投入してレムリアを蹂躙するとか、日本刀で切り込まれておたおたするとか

ヤバイ、想像の幅が広がるw

325 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/19(火) 17:27:25 [ RRdTj3yc ]
こちら側が考えてることは敵も考えている、なんて話もありますな。
ガタルカナルでしたっけ?夜襲にでた日本軍と同じく夜襲に出た米軍が出遭ってドンパチやったってのは。

326 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/19(火) 17:56:29 [ Njsyi/d. ]
乙です。
……しかし……砲兵連隊、ねぇ……。
中国では唐代には火薬が発見されてたというし、
ワイバーンのような空戦兵器が既に存在するくらいだから、
砲戦を行う部隊、という概念がある事自体はおかしくないんだが……。

なんだろなぁ。技術レベルがとんでもなくアンバランスな気がするのだが。
兵器技術はワイバーンとか色々と前例があるのでまあ良しとして、
部隊運用についてはあまりにも近代的過ぎやしないだろうか?
少なくとも騎士階級が軍事的な利権を持っている国家で実現可能な発想とは考えにくいし、
地図の有効性も常識になってない段階の軍事研究で発想可能な方法論とも考えにくい。

まあ、発言力を得た天才軍師が部分的な革新をもたらしたとか、
魔術師を中核に置く部隊では象徴学・数秘学的な整合性が必要だとか、
条件闘争ゆえの戦場儀礼として芸術的な部隊運用が求められるとか、
考える余地は色々とありそうではあるが……。

327 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/19(火) 18:32:14 [ nbtnZDvc ]
乙です。
帝国陸軍は夜襲にどのように応戦するのか!?w
ギリギリで見つけられれば被害は最小限になるかも・・・。

今度、他国と海戦があった場合
潜水艦・潜水空母(伊ー401) VS 水竜・クラーケン
と、勝手に想像してる自分でした

328 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/19(火) 19:12:42 [ pnONEGFM ]
偵察飛行ができれば帝国軍は楽に撃退出来るのに。
レムリア軍の通信技術はどのぐらいだろう?

329 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/19(火) 22:43:02 [ Q0gWcxFQ ]
乙です。
うわー、砲弾神経症(でしたけ?)が発症してますね。
塹壕なんて発想がないでしょうから被害が甚大そうだ。

330 名前:228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/07/19(火) 23:38:49 [ FpTULZCQ ]
>>くろべえ殿
乙です。夜襲ですか。
楽しみです。夜襲って今までもなかなかなかった情景なんで・・。

>>329
シェル・ショックってやつですな
「映像の世紀 第2集」に詳しく映像付きでコーナーがありますたよ

331 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 01:42:23 [ 6KnBHENQ ]
>>330
第一次大戦のヤツでしたね、確か。
あれは当事者ではない我々が映像で見ても十分悲惨に見えますから、
彼ら歩兵は非常に悲惨だったのでしょうね。

映像の世紀のDVD欲しいなぁ…

332 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 02:02:59 [ e1vhQL0M ]
乙です。
夜襲は帝国に読みきられているんじゃないでしょうか?
帝国の望むものは圧倒的な大勝利。
これだけ砲撃でぶちのめすと敵のとる行動は、撤退か、乾坤一擲の夜襲か、の2択となるのは読めますからね。
(帝国軍がこういう状況におかれれば夜襲を考えるのは伝統ですし)
撤退→明るくなったらもぬけの空、のような長蛇を逸するのは避けたいですし、敵の夜襲なら伏撃。
で、余裕あるから敵の夜襲を伏撃しつつ別働隊で敵本隊を夜襲ってのが常道では?
成功すればまさに圧倒的な大勝利。

333 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 07:16:55 [ F04QFlfs ]
>323
有難う御座います。

仰る通り、今回の砲撃は殺傷効果よりも精神的な衝撃を与える為に行われたものです。その対象はレムリアだけではなく、この世界全てです。(ちなみに帝国軍には、現在同盟交渉を行なっている諸国の武官も同行しています)


>324
サッキ119様いつも有難う御座います。

この世界、国々の文明レベルの差が大きいです。小国(グラナダとか)は中世ベース中心ですが、中・大国では近世レベル、列強にいたっては近代に一部片足を踏み込んでいます。何故そんな風にしたかというと、中世ではあまりに文明レベルが酷過ぎて話が進めないのですよね。かといって全部近世にするのも面白くない。まあ第二次大戦直前の現実世界よりも大きな差があると考えて下さい。(いい加減ですいません。)


>325
有難う御座います。

う〜む、鋭いですね。じつは初めの設定ではまんまガタルカナル戦を取り入れようとしました。前衛に第7師団歩兵第28連隊を参加させたりしてね。ちなみに第2師団が配属されているのもそのその名残りだったりします。第7師団は山砲連隊なので泣く泣く除外しました。

334 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 07:17:15 [ F04QFlfs ]
>326
有難う御座います。

>……しかし……砲兵連隊、ねぇ……。
>部隊運用についてはあまりにも近代的過ぎやしないだろうか?
>少なくとも騎士階級が軍事的な利権を持っている国家で実現可能な発想とは考えにくい

そうですね。くろべえもそう思います。まあこっちの方が格好がいいという本音は脇においておいて、以下無理矢理の設定。

レムリアでは他国に先駆けて社会が発展し、列強にその名を列ねました。その代償として(社会が成熟したため)、従来の軍事制度−軍役制−は既に崩壊しています。騎士達は軍役通りの家臣を抱えてはいますが、彼らの家臣達は組織的な戦闘訓練などは全くといって良いほど受けておらず(個人的な武技にはそれなりに通じていますが)、およそ列強同士の近代戦では使い物になりません。しかしだからといって軍役制を放棄する事は不可能です、もはや軍役制は社会制度の根幹の一つになっているのですから。

彼らの主君である騎士達とて話は同じです、かつては騎士の全てが戦士だったのですが官僚化が進み、軍に入る者を除き近代戦を戦える者は存在しなくなりました。その割合も騎士の4割がいいところです、それ以上は行政(多数の「官僚」としての騎士を必要とします)も経済ももちません。

その為、レムリアは騎士達に軍役代わりの御用金を要求(名目はあくまで『臨時に』です)するようになります。こうして軍から騎士の郎党が排除(個人的な庸人・従兵という形で一部に存在しますが)され、戦争には軍に入った騎士達と「志願」した兵のみで戦われる事になりました。

レムリア軍の人員構成は歪です、将校・下士官(職業軍人、つまり騎士・准騎士)に比し、兵(志願した平民や自由騎士、郷士)が少なすぎるのです。この為、階級はともかく将校・下士官のポストは不足します。その解決方法として、レムリア軍は中隊の下に小隊・分隊を置き(分隊の下に班まである!)、部隊を細分化する事で彼等のポストを作りますが、それでも足りずに連隊、大隊の本部に多数の幕僚将校や本部付下士官の職まで設ける羽目になりました。その結果軍の指揮統制能力は非常に高くなりましたが、狙って行った事ではありません。軍はその指揮統制能力を過信し(彼等の仕事を作るということも多分にあります)、複雑な戦法を好みます。

・・・こんなのでどうでしょう?

335 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 07:17:38 [ F04QFlfs ]
>地図の有効性も常識になってない段階の軍事研究で発想可能な方法論とも考えにくい
先にお話した通り、個々の国の文明レベルの差は非常に大きいです。グラナダの地図はそのままグラナダの文化レベルを表しています。まあ大多数の国の地図も同じ様なものなんですけどね。たださすがに町の名前や位置関係、地形の特徴なんかはきちんと記されています。とくに国が大きくなるほどその傾向は強くなります。グラナダは小国ですから「地図は不要」なのです。実はあの地図、何十年も前に作られた国王の間の飾りで、それを剥がして持ってきたのです(笑)。

レムリアは列強なので、それなりに精密な地図を持っています。その中には当然グラナダの地図もあります。ただこういう技術は国家秘密なのでまず外部には漏れません。


>327
有難う御座います。

>帝国陸軍は夜襲にどのように応戦するのか!?w
夜襲です。これがやりたかったのです!

>潜水艦・潜水空母(伊ー401) VS 水竜・クラーケン
そういえば帝国海軍、この世界では潜水艦を何に使っているのだろう?哨戒や特殊部隊の極秘輸送位しか思いつかないよ・・・。こりゃあ潜水艦の設計思想が大きく変るだろうなあ。米海軍のフロム・ザ・シー?

336 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 07:18:14 [ F04QFlfs ]
>328
有難う御座います。

レムリアの長距離通信法としては主に、

①狼煙台の連続運用、②駅馬・伝馬、③魔道を用いた連絡

があります。①は伝達が速いですが不正確・不安定です。早期警戒用でしょう。②伝達は遅いですが確度が高く安定しています。③伝達速度が最も早く、確度も高いですが、伝達量が少なく、とても全ての通信を賄えません。最重要の国家機密用か大貴族達の個人使用位です。


>329
有難う御座います。

>塹壕なんて発想がないでしょうから被害が甚大そうだ。
そうですね。一応野戦陣地を作ってはいましたが、塹壕・たこつぼ壕といった発想は無いでしょう。


>330
228様、有難う御座います。

夜襲です。帝国軍の御家芸を奪えるか?


>331
世界で初めて受ける大規模砲撃です。しかも「砲撃」だなんて彼らには分かりませんし、納得もできない(まだ「火焔の王」の召喚の方が納得できます)でしょう。さぞ怖かったでしょうね。


>332
有難う御座います。

今回、帝国は細心の注意をもってこの戦いに望んでおります。としか言えません御免なさい。

337 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 09:42:33 [ CWS3YXCo ]
>潜水艦・潜水空母(伊ー401) VS 水竜・クラーケン
そういえば帝国海軍、この世界では潜水艦を何に使っているのだろう?

このことですが、旧軍の潜水艦では対潜攻撃はできないと思います。ホーミング魚雷でも装備してない限り水中の敵には潜水艦は勝てないかと・・・
後潜水艦の任務ですが、哨戒と特殊部隊の極秘輸送以外では、通商破壊や伊400潜のような潜水空母による奇襲航空攻撃くらいしか思いつきませんね。後は伊400クラスの改造潜水艦で敵地強襲揚陸とか・・・
執筆がんばってください。

338 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 17:04:56 [ r9DJpMoo ]
>>337
>そういえば帝国海軍、この世界では潜水艦を何に使っているのだろう?
通商破壊や輸送経路の破壊などに使っているのでは?
この世界の輸送艦隊ならば、潜水艦の艦砲射撃で沈められるでしょうし。

339 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:31:11 [ F04QFlfs ]
>337
>ホーミング魚雷でも装備してない限り水中の敵には潜水艦は勝てないかと・・・

ホーミング魚雷・・・。出来るの何年後だろう?10年で出来るかなあ?・・・ムリっぽいなあ。

>伊400潜のような潜水空母による奇襲航空攻撃くらいしか思いつきませんね。後は伊400クラスの改造潜水艦で敵地強襲揚陸とか・・・

残念ですが、伊400はこの世界では建造中止になっているんですよ・・・(潜水艦は転移初期の大軍縮の影響をもろに受けました)。御免なさい。

>執筆がんばってください。

有難う御座います!励みになりますよ。


>338
やっぱり皆さんの仰るように、哨戒・特殊部隊の極秘輸送・通商破壊の3つですかねえ。まあ今のところ、通商破壊はロッシェル紛争時のみで、レムリアに対しては行っていないでしょうけど。

340 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:31:36 [ F04QFlfs ]
さて、今日もSS投下!

341 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:32:24 [ F04QFlfs ]
7-1 帝国軍本営

「いやあ、さすが精強無比の帝国軍。帝国の前ではレムリアすら物の数ではありませんなあ。」

「全くです。あの砲撃の凄まじいこと!さすが『火焔の王』の力を込めた魔道砲!帝国こそ我らの盟主に相応しい。」

戦闘初日が終わりを告げようとしていたその夜、参謀殿は諸国の武官達に囲まれ苦笑していた。実は参謀殿、彼等の接待役を仰せつかっていたのである。


畜生、何で俺ばっかりこんな目に・・・。

342 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:32:49 [ F04QFlfs ]
7-2

話は暫く前に遡る。前遣部隊として送り込まれた参謀殿は疲労困憊になりながらも、なんとか本隊の受け入れ態勢を整えたのであった。問題の「地図」も海軍の全面協力の下、何とか見られるようにはなった。まさに参謀殿の血と汗と涙の結晶である。


「ご苦労。」

軍司令官は彼に労いの言葉をかけ、さらに暫くの休養をとる様に言った。

「?しかしこれからが本番ですよ?」

当然だ、しかも彼は参謀だ。

「いや、君にしか出来ない重要な任務があるのだ。それまで英気を養ってくれ。」

その後、軍司令官は更に付け加えた。

「これは命令だ。」

命令ならば嫌も応もない、彼は軍人なのだ。


休暇後、彼を待っていたのは友好諸国から派遣された武官達の接待役であった。どうやらこれが「君にしか出来ない重要な任務」らしい。まあ理由は分からなくはないのではあるが。


「どうされました?子爵。」


そう、実は参謀殿は華族なのだ。

343 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:33:06 [ F04QFlfs ]
7-3

この世界において、爵位は非常に重要な意味を持つ。帝国は−特に軍や外務省は−その事を痛感していた。この世界の官僚はその全てが貴族、悪くても騎士だ。こちらも爵位を持っていないと話が進まない、相手が侮辱されたと怒るのだ。その為外務省など、貴族院の御偉い華族を「お飾りの」全権大使として外交を行っている位だ。事実その後、難航していた外交交渉がトントン拍子に進んだという報告は別に珍しくもない。

もっとも影響を受けたのは軍だ。外務省と違い、貴族院の御偉いさんを使うのには少々無理がある。しかも偉い華族の数は少なく、軍が爵位を必要とする場面はあまりにも多かった。この世界において軍人は外交官であり、行政官であり、司法官でもあるのだ。友好的に接するならどうしても爵位が必要だ。

それゆえ参謀殿は軍にとって貴重な人材であった。参謀殿の家系は江戸時代には1万石の大名であり、さらには鎌倉時代にまで遡れる家柄だ。有名な人物を排出している訳ではないが、十分に名門といえるだろう。それになんといっても陸士出身の「身内」なのだ!

参謀殿の御蔭でグラナダとの折衝も円滑に進んだ。参謀殿はグラナダの将軍閣下をはじめとする高官達と互いの「家」の歴史を話し合い、相互理解に努めたのだった。現地の住民達も、こちらが爵位持ちだと知るとより協力的になるのだ。まったくこの世界は。

344 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:33:25 [ F04QFlfs ]
7-4

「子爵の御家は1000年も続く武門の御家だそうで。」

「いえ、たかが900年です。」

「900年で『たかが』とは!さすがは2600年以上の長きに渡って続く大帝国!我々とはスケールが違いますなあ。」

武官の1人が溜息を憑く。実は爵位の有無は第1関門に過ぎず、その歴史が重要なのである。参謀殿の古い家柄はこの臨時の「社交界」でも遺憾なく発揮されていた。


まあしかたないか。俺は別に陸軍大学校を出てる訳ではない「偽」参謀なんだからな。

正直鬱陶しかったが、なぜ自分が前線の中隊長から少佐参謀として後方に回されたのか考えれば嫌とは言えまい。

もはや自分が「軍の外交官」となってしまった事に彼は気付いていた。帝国がこの世界にある限り、永遠に自分は「軍の外交官」だろう。今後「軍の外交官」の重要性は高まるばかりだ。

自分の軍歴はもう「終わった」らしい。・・・自分は外交官に成りたかった訳ではないのだが。


下士官がやって来て、1枚の紙を参謀殿に渡した。参謀殿はその紙を眺めてニヤリと笑う。

まあ、仕方がないさ。「軍の外交官」を無難に過ごしていけば、中将にはしてやると言われたんだ。戦死の危険も殆ど無くなったんだし、贅沢言ったら罰が当たる。ものは考えようだ。



「さて諸卿!宴もたけなわ、ただ今より余興を一つ御見せいたしたく存じます!どうぞこちらへ!」

345 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:33:42 [ F04QFlfs ]
<補足>
帝国は官僚や軍人に一代限りか、その職についている間のどちらかの期間、爵位を与える事を
現在検討中です。案としては以下の通りです。

元帥号の大将  公爵
大将  侯爵
軍司令官級の中将  伯爵
中将  子爵      
少将  男爵
大佐  准男爵
少佐〜中佐  大騎士爵
少尉〜大尉  正騎士爵
下士官  准騎士爵

准男爵以下の爵位は、この世界の爵位に合わせて作ったものです。ただ元からの爵位との整合性もあり、難航しています。

もっともこの制度が出来ても、参謀殿の重要性は変りません。爵位は作れても歴史までは作れませんから。


*参謀殿の家系は創作されたものであり、実在のものではありません。

346 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/20(水) 21:34:07 [ F04QFlfs ]


SS投下終了!

砲撃終了後の帝国軍の一場面です。閑話休題ということで・・・。

せっかく帝国が召喚された訳ですから、自衛隊ではできない話をね!がコンセプトです。

まあ自衛隊では制約が多すぎて、くろべえにはムリという有力な説もありますが。


夜襲期待していた人、御免なさい。

347 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/20(水) 22:03:05 [ BbUEfgGI ]
SS投下乙です。

貴族かー
これから一番厄介な奴らだw
(百害あって一利なし)

参謀も大変ですね、体のいい生贄みたいなものですし
( ´Д` )=3ハア
彼には胃薬が必要かもしれない

348 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 22:07:20 [ k/nMWi4U ]
投下乙です。
華族といえば、海軍の醍醐少将がいますが、あのお方は潜水艇時代からの生粋の潜り屋…。
お飾りにされたらさぞかし嫌がりそうですなぁ…。

349 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 22:49:24 [ CWS3YXCo ]
・・・潜水空母がいない!? グハ!(吐血)
戦艦大和に続く男の夢(?)が・・・
まぁそれはさておき、参謀ある意味悲惨ですな^^;そのうち神経性胃炎起こしそうだなw
しかし余興ってなんだろ?気になる・・・
投下お疲れ様です。執筆がんばってください。

350 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/20(水) 23:58:56 [ Njsyi/d. ]
貴族制度があるなら、当然あれもあるだろうなぁ、政略結婚。
帝国との繋がりを磐石にするために自分の娘や孫を嫁がせようとするのはいかにもありそうだ。
あるいは家柄は良いが勘当寸前の一兵卒が現地の娘と恋仲になるとか(従軍慰安……いや、これは失言だが)。

ダークエルフや獣人関係でも、この貴族制度は考える余地があるような。
ダークエルフの方が“一族の歴史”が長いから優遇されている、と思われる節もあるし。
(事実はどうあれ、諸国はそう思うだろう)
実際、家柄は親から受けた教育の質に深く関わってくるので、
ダークエルフの族長が獣人の『おじさん』より有利な政治的判断を下した可能性は高い。
階級制社会で教育を受けるのは難しいし……そういや、識字率はどれくらいだろう?

351 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/21(木) 01:00:24 [ BbUEfgGI ]
>>350
やはり朝鮮半島を併合したときのように、日本語と現地語を教えるための学校を作るよう命令が出されるのではないですか?

352 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/21(木) 06:01:29 [ Njsyi/d. ]
>>351
いや、この場合の『教育』は高度な専門教育の事です。
歴史や慣習、法学や儀礼、人間心理、戦術教則、礼儀作法など、
人の上に立つ為政者や軍人として教わってないと致命的な技能の問題です。
“識字率”も自習する際の文献入手/読解の難易度を問題にしてるわけで。

353 名前:350、352 投稿日:2005/07/21(木) 06:07:17 [ Njsyi/d. ]
失礼。名前をうっかり忘れましたが、上記2レスは両方同一人物の発言です。

354 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 08:30:42 [ F04QFlfs ]
うう、今回のSS読みにくい!こりゃHPに載せるときに直す必要があるなあ。申し訳ない。

あっ、准男爵以下の爵位について詳しく知りたい方がいらっしゃったら、くろべえのHPの「帝国」世界の貴族を参考にして下さい。あれがくろべえの考える貴族制の基本です。まあ和風洋風の違いがありますけど。


>>347、350
サッキ119様、本当にいつも有難う御座います。

この世界、やはり貴族を抜きには語れません。友好的に接するつもりならば、こちらも爵位持ちで応対して彼等の面子を立ててやらなければなりません。そうでなければ相手を侮辱した事になります。まあこっちの世界でも昔はそうでしたよね?

参謀殿は陸軍にとって貴重な人材です。どこに出しても恥ずかしくない家系ですし、なんといっても「身内」ですからね。交渉時にも900年の家系というだけで一目おかれて、以後の交渉が楽になります。


>>348
有難う御座います。

>華族といえば、海軍の醍醐少将がいますが
そうですね。醍醐少将も気の毒な事に、本来の仕事そっちのけで「外交」やって(やらされて)いるでしょう。海軍といえば有名な方もいらっしゃいますが、かえって高貴すぎて不適格でしょう。あの方がでるとすればよっぽどの事でしょうね。

355 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 08:31:07 [ F04QFlfs ]
>>349
>・・・潜水空母がいない!? グハ!(吐血)
すみません・・・。現在潜水艦は転移前の現状維持で、老朽艦の後継建造しか行っていません。転移により運用思想も大きく変化しましたし・・・。

>まぁそれはさておき、参謀ある意味悲惨ですな^^;そのうち神経性胃炎起こしそうだなw
そうですね。彼は「外交官」として演技をしなければいけませんから、辛いでしょう。

>投下お疲れ様です。執筆がんばってください。
有難う御座います!


>>350、352、353
有難う御座います。

>貴族制度があるなら、当然あれもあるだろうなぁ、政略結婚。
そうですね。長期的に見れば避けては通れない問題です。この世界で盟主として振舞うつもりならば特にそうなります。また移民の問題も避けては通れないでしょう。これらは超大国としての「義務」ですから。・・・果たして帝国にそれだけの度量と覚悟があるのだろうか?

>あるいは家柄は良いが勘当寸前の一兵卒が現地の娘と恋仲になるとか
「外伝の外伝」のいいネタになりますね。

>ダークエルフの方が“一族の歴史”が長いから優遇されている、と思われる節もあるし。
じつは獣人も優遇されていますが、ダークエルフはそれ以上に優遇されています。これは獣人の「おじさん」も認めていますし、いままでのSSからもその様に読めると思います(えっと多分・・・)。

>ダークエルフの族長が獣人の『おじさん』より有利な政治的判断を下した可能性は高い。
大正解です!

>そういや、識字率はどれくらいだろう?
ピンからキリまであります。裕福な国(レムリアとか)ならば高いですし、貧しい国(グラナダとか)なら最悪です。もっとも江戸時代の日本程は高くないですけどね。

あと実にご都合主義ですがこの世界、会話は世界共通です。精々方言程度の差しかありませんし、帝国語もちゃんと通じます。きっとこの世界に満ちている「マナ」が互いの言葉を変換して、テレパシーの様に直接相手に伝えているのでしょう(ただし、文字は各地で異なります)。

356 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/21(木) 19:12:08 [ dvblaFz6 ]
>・・・潜水空母がいない!? グハ!(吐血)
伊400型は諦めるにしても、巡潜甲及び乙型ならいくらかある筈…それでガマンガマン
なに?水偵1機しか積めないじゃないカッテ?
バカモノ! バキッ(鉄拳制裁)
皇軍兵士なら数に頼るではない。大和魂さえあれば、一撃必殺で(tbs

357 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/21(木) 19:20:36 [ dvblaFz6 ]
やっぱ大陸には総督府なり総監府なりおかれるのかな。

358 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/21(木) 19:27:59 [ r9DJpMoo ]
>>357
ロッシェルにはやはり総監府が置かれるのではないかと。
王城の隣に王城よりでかい総監符がw
で、鞭はそれだけで、ロッシェルには帝国技術の投入という飴も支給されると。

359 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 21:27:27 [ F04QFlfs ]
>356
この世界では水上機は大活躍です。特に飛行艇は輸送機としても活躍しています(まだ飛行場の整備が進んでいないのです)。


>357、358
大陸には総督府も置かれていますが、直轄領に対してのみです。直轄領は重要な港や資源地帯に置かれています。それ以外は自治に任せたり、褒美に下賜したりしています。

ロッシェルは内政権を保有しているので総監府は置かれていません。代わりに「顧問団」と「連絡所」が置かれています。あと帝国軍も駐留しています。

「顧問団」は技術や政策に関する助言を行い、積極的には内政に関与しません。

「連絡所」は大使館代わりです。帝国の方針も伝えます。

駐留帝国軍は・・・、まあ内と外に対する備えです。


基本的に帝国はこの世界の領土に対して、戦略上重要な地域や資源地帯、重要な港以外興味がありません。これは元いた世界において、植民地に投資しすぎて内地が疎かになったという反省からです。・・・まあ転移で全てパアになりましたからね。流石にダムとか鉄道網とかまでは一緒に転移しませんでしたし。

360 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 22:16:01 [ F04QFlfs ]
さて、本日もSS投下!

361 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 22:16:25 [ F04QFlfs ]
8-0

暗闇の中、無数の生者が集まっている。人、馬、・・・そして竜。レムリア軍夜襲部隊である。

夜襲部隊といっても戦闘可能な兵力全てを注ぎ込んだ大規模なもので、その数およそ5万。夜襲は本来、精々1000以下の兵で行うものであり、これ程の規模の夜襲は過去に例がない。それだけに、この夜襲に賭けるレムリア軍の意気込みが分かるというものだ。もっとも自棄になっているだけなのかもしれないが。


何人が生きて帰れるかな。

第3竜騎士団長は将兵を見渡して考えた。会議でああは言ったものの、この夜襲は十中八、九、敵に見破られているだろう。昼間あれだけ力の差を見せつけられたのだ、尻尾を巻いて逃げ出すか、自棄になって夜襲を仕掛けるかのどちらかしか考えられないじゃあないか!仮に敵が夜襲を思い浮かばなかったとしても、5万の将兵がやって来るのだ。気がつかない方がどうかしている。

それでも・・・、夜襲しかない。

おそらく敵陣には重厚な防御がなされている事だろう。昼間に突撃すればさらに「あの」砲撃が加わるのだ。とてもではないが、敵陣まで辿り着けない。

だが、夜間なら。

「あの」砲撃も無いだろうし、昼間より敵の防御も弱まっている事だろう。こちらの指揮系統も滅茶苦茶になるだろうが、差し引きでまだ夜間の方が分がある。5万の半分、いやその又半分でも辿り着けば・・・。

奴らに目に物を見せてやれる。

もはやこの戦いの勝敗は決している。そんな事は分かっている。だがそれでも戦わなければならないのだ。


何よりも自分自身の名誉の為に。

362 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 22:16:51 [ F04QFlfs ]
8-1 帝国軍本営

「そうか、彼らは戦う事を決断したか・・・。」

海軍陸戦隊大尉の報告に軍司令官は重々しく頷いた。

「はい。その数およそ5万と推定されます。」

「5万!間違いではないのか?まだそんな余力があるのか?」

「はい、レムリア軍は昼間の砲撃で3分の1が戦死、さらに3分の1が負傷しました。連中、負傷者や軍夫まで駆り出して夜襲の準備をしています。かなり荒っぽい手段で士気も回復させた様です。」

「そうか・・・。敵も必死だな。」

「最後の悪足掻きという奴でしょう。」

大尉は表情を変えずに答える。

「しかし、よくそんな情報集められたな?」

「いえ大したことはありません。連中、大混乱でしたから。」

その言葉に大尉は初めて表情を変え、愉快そうに笑った。余程痛快だったのだろう。

「とにかくご苦労。君達が味方で本当に助かったよ。」

「有難う御座います。閣下。」

363 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 22:17:08 [ F04QFlfs ]
8-2

大尉が退室した後、軍司令官は改めて今の報告を吟味していた。

夜襲そのものは歓迎だ。撤退されるより余程いい。だが、あれだけやられてまだ戦意を失っていないとは。

「シナの連中とは大違いだな。」さすが列強と言われるだけの事はある。

それに夜襲という手も決して悪い物ではない。我々だって立場が同じならば夜襲を考えるだろう。5万の兵に夜襲をかけられたら、僅か1個師団に支援部隊を加えた程度の兵では対応しきれない。かなりの兵に防御を突破される恐れがある。そうなれば負けないにしろ、かなりの損害が出ることだろう。

「いつもの」我々ならば・・・な。

連中にとって運の悪いことに、今我々には余るほどの弾薬がある。彼らには想像を絶する火力が叩きつけられる筈だ.5万の兵のうち、一体どれ位が陣地を突破できる事やら。その前に逃げ出す事さえ十分に考えられる。全く楽な戦だ。

もっとも油断は禁物だがな。

そう、用心はするに越した事は無い。特にこんな何もかも上手くいっている時は。そう考え、軍司令官は電話を手に取った。



「私だ。島田中佐を呼んでくれ。」

364 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/21(木) 22:17:30 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。


今日も夜襲できない!?

双方の準備で終わってしまった・・・。

365 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/21(木) 22:54:02 [ e1vhQL0M ]
乙です。
準備だけで終わったとはいえ、面白く読ませていただきました。
続きが実に楽しみです。
ところでろくに防御施設も無い状態で、あれだけ砲撃食らって5万も生き残るものなのでしょうか?

366 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/21(木) 23:37:11 [ BbUEfgGI ]
乙です。

しかし、続きが気になってしょうがないですよ、この終わり方は……

あと陸戦隊大尉って、この間のダークエルフの方ですか?

367 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/22(金) 00:19:47 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
>「いつもの」我々ならば・・・な。
ま、まさか重機関銃と軽機関銃の針鼠ですか?
相手がどういう存在だかわかっていないレムリアに理解して貰う為には必要なこととはいえ…
この戦いでレムリアがこうむる軍事・政治的なダメージは凄まじく大きいものになるでしょうね。

368 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/22(金) 02:37:34 [ gVl2.lgM ]
>>367
むしろチハタンですよ。

369 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/22(金) 03:43:34 [ BbUEfgGI ]
アチラさんから観れば火を吹く鉄の獣にみえるでしょうね

370 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 07:46:41 [ F04QFlfs ]
>>365
有難う御座います。

>ところでろくに防御施設も無い状態で、あれだけ砲撃食らって5万も生き残るものなのでしょうか?

そうですね・・・、一応以下の考えからこの位かな?と考えました。

①10万という大兵力

②原始的とはいえ、一応防御陣地に篭っている。

③大雑把な砲撃

④絶対的な火力の不足。60門という少数の砲のうえ、重砲はその半分以下。(米軍師団砲兵と比べてみて、やはり見劣りする)


>>366、369
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>しかし、続きが気になってしょうがないですよ、この終わり方は……
有難う御座います。作者冥利に尽きます。

>陸戦隊大尉って、この間のダークエルフの方ですか?
そうです。大尉殿は特殊任務に就いておられます。

371 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 07:47:02 [ F04QFlfs ]
>>367
有難う御座います。

>ま、まさか重機関銃と軽機関銃の針鼠ですか?
この派遣軍、帝国軍とは思えない程火力が充実しています。(弾薬だけではなく火器もです)

>この戦いでレムリアがこうむる軍事・政治的なダメージは凄まじく大きいものになるでしょうね。
そうですね。334でも書きましたが、レムリア軍には多数の貴族・騎士が参加しています。王国体制の支え手である彼等の喪失は、レムリアにとって無視出来ない程の痛手でしょう。「回復できない」程では無いですが・・・。


>>368
派遣軍には最新鋭のチハ(97式改)もいます。1個連隊も!

97式中戦車改は昭和18年後半のこの世界において、帝国軍最強の戦車です。

372 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/22(金) 08:05:29 [ aMXLfAz6 ]
>>370
>60門という少数の砲のうえ

他国からすると、「手加減」してるようにしか見えないでしょうね…
100門だったら、200門だったら…と考えるでしょうし。

373 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/22(金) 11:15:05 [ r9DJpMoo ]
>>371
>派遣軍には最新鋭のチハ(97式改)もいます。1個連隊も!
すげえ!と驚嘆すべきなのでしょうが、orzとなってしまう自分がいる…

374 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:21:42 [ F04QFlfs ]
>>372
>他国からすると、「手加減」してるようにしか見えないでしょうね…

そうですね。でも、これが帝国の「精一杯」です。

100門や200門集める事も十分可能ですが、今回程の弾薬の手当ては・・・。まあ他国がそう思ってくれるように、今回大盤振る舞いしたのですけどね。


>>373
>すげえ!と驚嘆すべきなのでしょうが、orzとなってしまう自分がいる…

・・・チハは良い戦車ですよ?(笑)

375 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:22:08 [ F04QFlfs ]
ではSS投下!

376 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:22:38 [ F04QFlfs ]
9-0

レムリア軍は息を潜めて前進を続ける。

目指すは帝国軍陣地。

やがて帝国軍陣地まであと1キロの所まで到達すると、レムリア軍は前進を停止した。

「全軍、所定位置に付きました。」

「よろしい、作戦を開始する。」

レムリア軍司令官の命令が下される。


レムリア軍の長い夜が始まった。

377 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:22:59 [ F04QFlfs ]
9-1

突如として大光量が前衛部隊に浴びせられる。帝国軍が対空用の探照灯を浴びせたのだ。あまりの眩しさに一瞬身動きがとれなくなる。

ド・ド・ド・・・。

重苦しい、腹に響く音が鳴り響く。帝国軍が攻撃を開始したのだ。

たちまちの内に人馬が吹き飛んでいく。苦労して運んできた数少ない軽砲も、1発射撃すると集中射撃を食らい、次々に沈黙していく。

「突撃!」

悲鳴のような命令があちこちで下され、突撃が開始される。目標まで僅か1キロ!駆け足なら数分の距離である。しかし、それは彼等にとっては永遠にも感じられる距離だった。

肉弾による突撃は75㎜山砲や37mm速射砲、20mm機関砲に次々と粉砕されていく。さらに進むと重機、次いで軽機、小銃、擲弾筒が射撃に加わり、近付くほどその火力は増していく。

「なんという火力密度だ!」

第3竜騎士団長は自分の考えが甘すぎた事を悟った。

1万程の兵が辿り着くと考えていたが、これでは1千も辿り着けるかどうか。下手をすれば1兵も辿り着けない可能性すらある。

それにこの手際の良さ!

夜襲に気付いていた所か、監視すらされていた可能性が高い。我々は帝国軍の掌で踊っていたのだ。

とんだ道化だ!

だが今更撤退は不可能だ。後方から襲われ、やはり全滅する。

進むも死、退くも死。ならば、突撃あるのみ!

彼はありったけの声で叫んだ。


「第3竜騎士団前進!命を惜しむな!名こそ惜しめ!」

378 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:23:28 [ F04QFlfs ]
9-2

参謀殿は高台からレムリア軍の突撃を眺めていた。武官達への「余興」の為である。夜間ではあるが、強力な対空用の探照灯を何基も用い、まるで昼間の様である。

「いかがですか?」

武官達の顔は真っ青で返答も出来ない。彼等の眼下には地獄絵図が広がっていたのだ。ある者はしきりに自分の信じる神の名を唱えている。

まあ仕方がないか、これは彼等の知る「戦争」じゃあないものな。自分だってこんな光景願い下げだ。

「子爵、これは一体・・・。」

武官の1人が弱々しい声で尋ねる。

さあ、芝居の始まりだ。参謀殿は出来るだけ好戦的な表情を作る。

「おや?楽しめませんか?憎きレムリアを我が軍が叩き潰しているのですよ?」

「子爵。これはもはや戦争ではありませぬ。これではまるで・・・。」

ここからが勝負だ。出来るだけ冷酷な表情を作らねば。

「帝国は寛大です。恭順の意を示す者には厚く遇し、繁栄を与えるでしょう。ですが・・・。」

そこで言葉を切る。武官達は彼の言葉に食いついている。

「帝国が敵に対して取る行動はただ一つ、殲滅。徹底的な殲滅です。ちょうどあの様にね。」

眼下の光景を指し示す。そこには嬲り者になっているレムリア軍の姿があった。

武官達は声も出せず佇んでいる。少し脅し過ぎたか?

「おおっ、帝国との友好を望む諸卿には関係の無い話でしたな!いや、失礼!では余興はこれ位にして、宴の続きを楽しみましょう!」

参謀殿は大げさな身振りで振舞い、武官達を連れて帰って行く。


参謀殿の後に続く武官達の表情はまるで処刑前の罪人の様であった。

379 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:23:59 [ F04QFlfs ]
9-3

レムリア軍は帝国軍の攻撃により大打撃を受けていた。その損害は致命的と言っても良い、もはやその指揮系統すら粉砕されていたのだ。だが恐るべき事に、レムリア軍は未だ組織的な行動を維持していた。レムリア軍の誇る、多数の将校・下士官達が分断された部隊を各所で統制していたのだ、もはや職人芸と言っても良いだろう。この恐るべき組織力こそが、レムリア軍の強さの秘密であった。


「大したものだ。」

帝国軍司令官は感嘆の声を上げる。これでは通常の状態で戦えば、思わぬ損害を受けていただろう。1航艦を封じ込めた手腕といい、実に見事だ。

だが、それも終わりに近付いていた。度重なる打撃で、さすがの統制にも崩壊が始まってきている。あと一押しだろう。

「むっ。」

急に帝国軍司令官の顔が歪む。帝国軍の一部が暴走を始めたのだ。彼等は陣地から飛び出し、レムリア軍に向かい突撃を始めた。

軍司令官は思わず罵声を浴びせた。


「何をやっとるんだ!」

380 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:24:18 [ F04QFlfs ]
9-4

命令を無視し突撃を始めたのはある中隊であった。この中隊の中隊長はあまりの「敢闘精神」に欠ける戦法に、我慢が出来なくなったのだ。彼は部下が止めるのも聞かずに、逆襲を命じた。

「蛮族が帝国陸軍に夜襲を仕掛けるとは生意気な!帝国陸軍の銃剣突撃の威力を見せてやれ!」

彼の命により、中隊は突撃を開始する。帝国軍の防御に穴が開こうとしていた。

レムリア軍はこの機会を逃さなかった。付近の部隊をありったけ、この中隊にぶつけたのだ。

中隊は奮戦した。その戦い振りは決してレムリア軍に劣るものではなかっただろう。しかし、鎧も身に着けず、武器も銃剣と軍刀だけでは、数に勝るレムリア軍に抵抗する事は困難であった。中隊はたちまち磨り潰され、全滅した。


後には、ぽっかりと開いた防衛線が残った。

381 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:24:40 [ F04QFlfs ]
9-5

開いた「穴」にレムリア軍が殺到する。塞がれる前に出来るだけ多くの部隊を入れなければならない。第3竜騎士団も「穴」に突入した。「穴」を維持していた兵達が歓声を上げる。竜の存在は心強い。

「ここにいる全部隊の指揮は第3竜騎士団長がとる!全軍突撃!」

突入した全部隊を率いて第3竜騎士団は突撃を開始した。その数、竜30に兵およそ1000!


途中、帝国軍の小部隊に何度か接触したがこれを撃破。帝国軍本陣に向かい再び突撃する。


不意に先頭の竜が足を止めた。竜は前方に向かい威嚇を始める。それに呼応するかのように、他の竜も次々と足を止め威嚇を始めた。

「何事だ!」

「分かりません!こんな事初めてです!まるで何かに怯えているかのようで・・・。」

竜騎士団長の問いに、先頭の竜騎士が戸惑いの声を上げた。

「前方から何か聞こえてきます!」

部下の報告に耳をすますと、たしかに前方から何か地響きが聞こえてくる。地響きは段々大きくなり、こちらに向かってくる。竜はそれに呼応するかのようにますます威嚇の声を上げる。

382 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:25:05 [ F04QFlfs ]


「鉄の竜だ!」

兵から怯えの声が上がる。まずいな、帝国の「鉄竜」か。数も向こうの方が多い。その背中には敵兵を乗せている。

敵の鉄竜から閃光があがる。射撃を開始したのだ。

1体の竜が敵弾を受け即死する。貫通した敵弾はそれだけでは収まらず、後方にいたもう1体の竜の頭も吹き飛ばした。

なんという威力だ!こちらはまだ射程外だというのに!

有効射程に入る前に味方の竜が次々に吹き飛ばされる。鉄竜に向かって行った兵も、帝国兵の銃撃と鉄竜の攻撃により制圧されていく。もはやこれ以上の前進は絶望的だった。


畜生!ここまで来て!


敵弾の1発が騎士団長の騎竜を吹き飛ばした。

383 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:25:25 [ F04QFlfs ]
9-6

第3竜騎士団の突撃を阻止したのは、軍直轄の戦車連隊である。もしもの時の為に、本営の近くで待機していたのだ。この戦車連隊は連隊本部、戦車中隊4個、機動歩兵中隊、機動野砲中隊、整備中隊から成り、最新鋭の97式中戦車改43両、95式軽戦車11両を保有する優良連隊である。

97式中戦車改の長砲身47㎜砲は新たに開発された新型であり、今回が初の実戦であった。47㎜砲は期待に十分に応えた性能を発揮し、敵の竜を一方的に仕留めていった。その砲撃は強力で、たった1発で2体の竜を仕留めた例さえあった。

「敵集団殲滅しました!」

部下の報告に、連隊長の島田中佐は満足そうに頷く。今回は出番無しかと落胆していたが、幸か不幸か思わぬ出番があった。新型の97式中戦車改も満足のいく性能を発揮し、言う事無しだ。

「続いて残敵掃討に移ります!」

「その必要は無い。後から来る連中に任せろ。我々は前進を続け、『穴』を塞ぐ。」

我々戦車隊は前進して敵を粉砕するのみ、後始末は歩兵の仕事だ。


連隊は前進を再開した。

384 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:25:55 [ F04QFlfs ]

9-7

「ううっ」

竜騎士団長は痛みで目を覚ました。

周囲を見ると、辺りには竜やレムリア兵の死体が散乱している。どうやら自分以外は全滅したらしい。全身の力が抜けていく。

ここまでか・・・。

彼は近くの木にもたれかかり、空を見上げた。もうすぐ夜も明けるだろう。


ふと多数の人の気配を感じた。

帝国兵か?

だが、何をする気も起こらない。

どうにでもなれ。

半ば以上自棄っぱちな気持ちでいた。彼等がこちらに気がつき、向かって来る。だが様子がおかしい。

385 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:26:17 [ F04QFlfs ]

・・・もしかして、味方か?

やはりレムリア兵だった。彼等は自分達の前に一斉に整列した。

「第3竜騎士団長閣下ですか!」

兵の1人が声をかける。

「第15重歩兵連隊第7中隊総員5名、閣下にお供します!」

それを合図に次々と兵が集まってきた。

「第22重歩兵連隊第3中隊総員3名、お供します!」

「第7軽歩兵連隊第2中隊総員4名、お供します!」

たちまち彼の周囲には数十名の残兵が集まった。彼らは未だ戦意を失っていない、自分達を指揮する指揮官を探していたのだ。


まだだ!まだ終わってはいない!


彼等の存在が騎士団長の戦意に再び火をつけた。

「勇敢なるレムリア軍兵士達よ!これより敵本陣に向け、最後の突撃を行う!」

騎士団長の言葉に兵士達が呼応する。ここまで打ちのめされても、彼等は諦めてはいなかったのだ。


彼等は前進を始めた。最後の突撃を行う為に。

386 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/22(金) 16:28:24 [ F04QFlfs ]
SS投下終了!

チハ大活躍です。強いです。


・・・今日3レスも省略されてしまった。もっと考えて投稿しなければ

387 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/22(金) 18:09:48 [ BbUEfgGI ]
乙です。

チハタンブラボー

次はレムリア最後の悪あがきですか……
これがどう転ぶかが次の見所ですね

388 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/22(金) 19:09:04 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
…うーむ、レムリア軍ってば帝国陸軍並みにしぶといw
損耗率はどのくらいまで来ているのだろう。

389 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/22(金) 23:23:59 [ vKi75WjU ]
∩( ・ω・)∩チハタンばんじゃーい

390 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/23(土) 07:00:24 [ P/p7Wo2U ]
レムリア残存兵の攻撃の結果は玉砕だろうな…。
帝国軍の史実を立場を入れ替えて帝国自身が見る事になる。皮肉ですな。

391 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 08:04:18 [ F04QFlfs ]
>>387
サッキ119様、いつも有難う御座います。

次回は夜襲編後半です。もう殆ど出来ているので今日中に投稿できます。ご期待下さい。


>>388
有難う御座います。

>…うーむ、レムリア軍ってば帝国陸軍並みにしぶといw
レムリア軍は規模こそ(列強の中では)小さいですが、その強兵ぶりは有名です。他の列強諸国ならとっとと見切りをつけて逃げ出しているでしょう。

>損耗率はどのくらいまで来ているのだろう。
そうですね・・・。ガダルカナル戦の一木支隊?


>>389
チハは最強です!来年(昭和19年)には待望の1式中戦車、1式砲戦車の生産も開始されるでしょう。1式シリーズが量産された暁には怖い物などありません!・・・多分。


>>390
ロッシェル軍にしろレムリア軍にしろ恐ろしいまでの戦意ですが、彼らのような軍は、この世界では圧倒的な少数派です。そういう軍を選んでわざわざ戦っているんですよね。

今回参戦しているグラナダ軍1万なんか、帝国軍1個歩兵中隊でも楽勝でしょう。

392 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:41:07 [ F04QFlfs ]
ではSS投下!夜襲編後半です。

393 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:41:45 [ F04QFlfs ]
前進を始めて数分もたたずに、突如として銃声が響き渡る。帝国軍に見つかったのだ。

銃弾が雨の様に降り注ぎ、兵が次々に倒れていく。だが敵兵の姿は全く見えない、たちまちの内に、騎士団長を残して数十名の兵は全滅した。騎士団長は唖然とする事しかできなかった。

「おや?誰かと思えば、武勇の誉も高い第3竜騎士団長閣下ではないですか?」

彼を呼ぶ声が聞こえた。気がつくと、どこから現れたのか数十名の帝国兵が立っていた。声をかけたのは彼等の指揮官らしい。指揮官は腰に剣を下げ、兵達の手には銃(100式短機関銃)が握られている。

・・・いや、こいつら帝国人ではない

「御目にかかれて光栄です。自分は帝国海軍大尉としてこの部隊を指揮する者です。名は・・・」

「ダークエルフ・・・。」

騎士団長は忌まわしい者を見たような表情で呻く。

「そうか、今回の反乱は貴様らの仕業だな!また帝国を唆したのか!」

「唆したとは聞こえの悪い。臣下としての務めを果たしただけの事。」

394 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:42:06 [ F04QFlfs ]

騎士団長の詰問に、大尉は無表情に応じる。

「臣下?ハッ!」

騎士団長は大尉の返答に吐き捨てるように言った。

「帝国がこの世界に現れて僅か数年。数年ではとてもこの世界を把握出来る筈も無い・・・、それがこの見事な手際!全てお前等が帝国に入れ知恵をしての事であろう!」

「臣下として『助言』は当然の事でしょう?」

そう、帝国の欲する資源は何処にあるのか?諸国の動向とその風土、国力は?この世界に割って入るには如何したら良いか?我々の「知識」と「情報網」ならば。

「金の為なら何でもやる、薄汚い流れ者の暗殺者が!」

「・・・その言葉、取り消して頂きたい。我々の『王』は帝国から王位と領土を授けられ、さらに帝国公爵の位までも合わせて拝領しています。もはや『薄汚』くも『流れ者』でもありません。ついでに言えば私も帝国男爵の位を拝領していますよ?」

「王位・・・。それに帝国公爵に帝国男爵だと?」

395 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:42:23 [ F04QFlfs ]

騎士団長は大尉の言葉に衝撃を受けていた。神から授けられる神聖な筈の「王位」を、帝国が邪悪なダークエルフや、醜悪な獣人に授けているという話は聞いていた。聞いた時は皆と憤慨したものだ。その上爵位だと?こいつが帝国男爵?自分と同じ爵位だと?


「ふざけるな!」

騎士団長は怒りのあまり、剣を振りかざして突進する。周囲の部下達が銃に手をかけるが、大尉は目でそれを制した。

「死ね!下郎!」

騎士団長は呪詛の言葉を吐き、剛剣を放った。大尉はそれを紙一重でかわし、腰の剣を抜き放ち、抜くと同時に切り捨てた。・・・居合いである。

「カハッ」

「ふむ、流石『虎徹』。良く切れる。」

大尉の剣は『虎徹』を軍刀にし、更に魔術処理を加えたものだった。彼が男爵位を賜った際に、彼の義弟が贈ってくれた『虎徹』を加工したものだ。義弟の家に代々伝わる内の一振りらしい。

396 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:42:45 [ F04QFlfs ]

大尉は騎士団長の死体を冷たい目で眺めていた。

「ふん、時勢の変化に気付かぬ愚か者が。」

時代が大きく変ろうとしている事にも気付かないのか?まあ無理も無い、今まで安穏と暮らしてきたのだろうからな。だが、それが本当に永遠に続くとでも思っていたのか?だとしたら矢張り愚か者だ。

・・・ああ、一つだけこいつは正しい事を言っていた。我々は今でも『暗殺者』だ。ただし、帝国専属の。

「レイ様、敵兵全員の死亡を確認しました。」

1人の少尉が報告する。彼の腹心の1人だ。

「馬鹿者。『大尉』と呼べと言ってあるだろう。」

「申し訳ありませんでした『大尉』。」

彼の軽い叱責に、少尉は敬礼しながら言い直す。いい加減慣れて欲しいものだが、どうにもならないらしい。銃火器の使い方は直ぐに覚えた癖に。

「まあいい。これでここでの『我々の仕事』は終わりだ。暫くは国でのんびりできるぞ。」

397 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:43:16 [ F04QFlfs ]

彼の言葉に部下達は喜びを露にする。『祖国』での生活は、彼等の最も望むものなのだ。

無理も無いな。

部下達を見て、大尉は思った。隠れ里で息を潜めて暮らしていた彼等にとって、堂々と誰はばかることない、安穏とした暮らしは憧れだっだのだ。

それを一度知ってしまえば・・・。

帝国も我々無しではやっていけないだろうが、それは我々とて同じ事だ。もはや我々は帝国の庇護無しにはやっていけないだろう。「帝国の滅亡」は「我々の滅亡」と同義語になってしまった。もっとも最初から分かってはいた事だが。


それでも我々は帝国に賭けたのだ。

これから生まれてくる子供達のために。

彼等に祖国を贈るために。

彼等が太陽の下を胸を張って歩けるように。

彼等が将来、自分がダークエルフだと誇りを持って言えるように。


この選択に後悔なんかしていない。例えどんな結果になっても、絶対に後悔なんかしてやるものか!



「任務終了。帰還する!」

398 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:44:02 [ F04QFlfs ]

<補足>
ダークエルフは非常に優れた種族です。彼等はエルフに匹敵する知力と魔力に加え、獣人に準ずる身体能力まで保有しています。

彼等はその能力を生かし、諜報活動や暗殺・破壊工作を請け負って生活しています。彼等の結束は強固であり、そのネットワークは世界中に張り巡らされています。彼等に匹敵する規模・能力を持つ組織は他に存在しません。

彼等の顧客は非合法組織が主と思われがちですが、実は圧倒的に国家が依頼する仕事の方が多いのです。彼等に仕事を依頼したことのない国家は存在しないと言っても過言ではないでしょう。・・・もっともそれを認める国家などありませんが。

余程の大国でも、自前の諜報機関よりダークエルフの諜報力に依存しています。さすがに列強ともなると自前の組織をメインとしますが、やはり重要な補完としてダークエルフの力はかかせません。自前の組織だけではどうしても限界があるのです。


しかしこの情勢は、帝国の出現により一変しました。帝国がダークエルフを独占してしまったのです。これにより帝国は世界最大・最高の諜報機関を手に入れましたが、各国の諜報力は激減しました。諜報機関が機能しなくなった国すら少なくありません。

399 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:44:23 [ F04QFlfs ]

帝国にとって転移最初期にダークエルフと出会い、彼等の協力を得る事が出来たのは「天佑」でした。帝国は彼等の御蔭で、自分達の置かれた状況を的確に把握する事が出来たのです。

その後僅か1年程でまとまった資源が手に入るようになったのも、彼等が資源地帯を探し出してくれた御蔭です。彼等は帝国が必要とするが、この世界ではいまだ知られていない資源までも見事に探し出したのです!もっとも最初の1年は、ダークエルフの諜報能力全てを資源捜索に振り向ける羽目になりましたが・・・。(現在でも諜報能力の半分は資源探索に当てられています)

帝国はダークエルフに感謝し、最高の待遇で遇しました。王位や領土だけでなく、帝国の爵位までダークエルフに贈ったのです。贈った爵位は以下のものです。

王        帝国公爵
王太子      帝国侯爵
長老格の家    帝国伯爵
族長格の家    帝国子爵
族長に準じる家  帝国男爵

よく並び称される獣人では、王に帝国侯爵位、王太子に帝国伯爵位が与えられているだけですから、その異常な程の厚遇が分かります。

400 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/23(土) 13:46:03 [ F04QFlfs ]
SS投下終了!

これで夜襲編も終了です。

401 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/23(土) 14:11:05 [ iTFQRdj. ]
GJ!
夜襲編が終わるのと同時にダークエルフの事も色々わかっておもしろい話でした

402 名前:SS投下乙です 投稿日:2005/07/23(土) 16:43:35 [ r9DJpMoo ]
レムリア軍、可哀相なくらい徹底的に殲滅されましたね。
外征で動員可能な兵力を根こそぎやられたレムリアはどうなってしまうのか?
ここまで一方的にやられたら外交による譲歩を受け入れるのが普通ですが、レムリアはそれを受け入れる事はできるのか?
楽しみです。

ダークエルフ王は帝国公爵…ということは公国ですか。
なるほど、説明で聞いてはいましたが、SS形式で描写されると余計切実に分かりますね。
彼らが天照大神を喜んで祀った理由がよく分かりました。
闇に生き、闇に死す運命の者達がやっと手にいれた安住の地…泣ける(つД`)

403 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/23(土) 17:35:35 [ fsSzwiNU ]
義弟から贈られたって・・・・すでにダークエルフと帝國の人間とに婚姻が確立しているのですか!?
しかも相手は貴族が有力軍人っぽいしなんか李朝王室の取り込みみたいですな。

404 名前:350、352 投稿日:2005/07/23(土) 17:53:45 [ Njsyi/d. ]
乙です。
しかしこれはまた黒装束に忍者刀が似合いそうなダークエルフですな。
きっと印を組んで「火産霊招来、急々如律令!」とか言いつつファイアーボールを投げるんだろう。
……そういや、神道などの日本的信仰と魔法は相性としてどうなんだろう。
既存の魔法と融和するのか、独自の“日本的呪術”に変質するのか、それとも関係ないのか。

> 彼等はエルフに匹敵する知力と魔力に加え、獣人に準ずる身体能力まで保有しています。
えーと、それは『人間形態時の獣人と同等と膂力と持久力を持つ』という事ですよね?
皮膚や筋繊維の強度がケヴラー繊維に匹敵するとか、走ってバイクに追いつけるとか、
拳銃弾程度の傷は1分と経たずに完治するとか、切り落とされた部位が生え変わるとか、
内臓やら脳漿やらぶちまけた状態でも実は短期的生存にあんまり支障はないとか、
そこまでデタラメな身体構造を持ってるって事じゃありませんよね?
(逆に、変身後の獣人は常軌のうち半分以上に該当してても良いように思う)

405 名前:SS投下乙です 投稿日:2005/07/23(土) 18:19:20 [ r9DJpMoo ]
>>404
案外マナの影響で今までまじない程度でしか扱われていなかった
陰陽道とかがいきなり実質的な効果を持つものに変化して、
『帝国魔術』として使われ始めていたりして。

406 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/23(土) 18:49:02 [ BbUEfgGI ]
乙です。

見事にまとめましたね。
ダークエルフで締めとは思わなかったですが…
彼らと帝國の関係も分かりましたし、凄く良かったです。

虚徹か、ただでさえ名刀なのに魔術で強化されてるとなると、とんでもない業物ですね
しかも、持ち主は居合いの使い手、こりゃあ強力だ。
かなり、彼らと融和しているんですね。

407 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/24(日) 11:01:27 [ F04QFlfs ]
>>401
有難う御座います!

獣人の事は外伝でやっているので、今回ダークエルフについて少し書いてみました。・・・補足は蛇足だったかなあ。外伝でやれば良かったかも。


>>402
有難う御座います。

>外征で動員可能な兵力を根こそぎやられたレムリアはどうなってしまうのか?
いえ、いまだレムリアは戦力を保有しています。ただ東方総軍の野戦軍は全滅です。

>ここまで一方的にやられたら外交による譲歩を受け入れるのが普通
そうですね。ここまで完敗すればかなりの譲歩が必要です。

>ダークエルフ王は帝国公爵…ということは公国ですか
いえ、あくまで「王国」です。その辺の事情が少し複雑なんですよね。

中小企業「ダークエルフ社」は株式非公開の同族会社でしたが、世界有数の巨大企業「帝国社」の傘下に入る事になりました。「帝国社」は新たに発行した「ダークエルフ社」株式を買い取る事で、「ダークエルフ社」発行株式の3分の1を保有する事になります。これにより「帝国社」は「ダークエルフ社」社長(王)と並んで筆頭株主となりました。なお、「ダークエルフ社」社長(王)は引き続き留任し、「帝国社」の重役(帝国公爵)も合わせて兼任する事になりました。

・・・みたいなものかなあ。

>闇に生き、闇に死す運命の者達がやっと手にいれた安住の地
そうですね。帝国は彼等の安全を最大限配慮し、大陸から遠く離れた、帝国本土の近くの島(と言っても四国の半分程の巨大な島です)を下賜しました。ここなら安全でしょう。

408 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/24(日) 11:02:12 [ F04QFlfs ]
>>403
>義弟から贈られたって・・・・すでにダークエルフと帝國の人間とに婚姻が確立しているのですか!?
実はこの時代には珍しく、恋愛結婚です。義弟は長く続いた武家の家で、爵位こそもちませんが士族で資産家です。


>>404
350様、有難う御座います。

>しかしこれはまた黒装束に忍者刀が似合いそうなダークエルフですな。
そうですね。くろべえはダークエルフをこの世界の「忍」と考えています。

>……そういや、神道などの日本的信仰と魔法は相性としてどうなんだろう
それなんですよね問題は、今はまだ転移して数年なので出さないですむけど・・・。

>えーと、それは『人間形態時の獣人と同等と膂力と持久力を持つ』という事ですよね?
そうです。人間形態時の獣人とダークエルフは我々から見て「凄いな!」という身体能力を持っています。しかし我々人類より「数段上」といった程度であり、銃で撃たれれば不味い(当たり所が悪ければ即死も)し、回復力も野生動物程度です。・・・十分凄いか。

逆に獣人は獣化すれば、「グリズリー」以上のパワーとスタミナ、「虎」以上の俊敏さを合わせ持つようになります(種族差、個体差はありますが)。その代わり獣人は魔法は使えません。ただ、限られた極少数の一族だけ魔法を使えます。

409 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/24(日) 11:02:30 [ F04QFlfs ]
>>405
有難う御座います。

実はまだ構想段階であり、採用するかどうかは分からないのですが、以下のような案があります。

①マナの影響で、転移後生まれた子供達の中から魔力を持った者が出てくる。魔道士の誕生。

②マナの影響で、日本古来の陰陽道、修験道、密教、神道等が現実的な効力を持ち始める。(
これは405様と同じですね)

・・・今はまだ転移して数年なので結論を出さないですみますけど、皆さんは同思います?


>>406
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>見事にまとめましたね。
有難う御座います。そう言って貰えるのなら嬉しい限りです。

>虚徹か、ただでさえ名刀なのに魔術で強化されてるとなると、とんでもない業物ですね
「虎徹+2」です(笑)。

>かなり、彼らと融和しているんですね。
ダークエルフ達は帝国の文化に興味津々です。大尉殿は帝国武術、特に剣術がいたくお気に入りです。義弟の紹介で剣術と居合術を習っています。

410 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/24(日) 14:52:58 [ BbUEfgGI ]
帝國魔術に関してはマルニを希望したいです。
魔術を行使するに当たって、マナの濃度が現実よりも濃いために、霊的な現象が多発。
それにより、日本在住のオカルティストが専門家として講師をするのもありだと思います。

他の魔法とは体系が違う気がしますので、マナなどのエナルギーはこの世界の魔術師から教えてもらい、こちらの専門家がそれを応用できるようにしていくとか
それでいくと、いずれはマナそのものをエナルギーとした新型機関も出来るかもしれませんね
ほぼ無限の航続距離をもつ爆撃機や戦闘機や艦船……
帝國最強w

411 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/24(日) 17:12:03 [ BbUEfgGI ]
蛇足なんですが、朝鮮半島がこの世界にない分、かなり負担が軽減されてますよね?

当時の朝鮮総督府の経営?状態は赤字続きで、当時の金額で毎年1千数百万から二千万、時には三千万も本土から補填していたそうです。
併合時代から民間投資で50億、国家予算からは十数億も供出していたのです。

分かりやすく言うと、(資材が足りないですが)大和型戦艦が40隻以上も建造可能なんです。
戦争が始まっていてもこの補給金はあったと思われ、結構足手まといなんですよね。

412 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/24(日) 19:28:52 [ 6KnBHENQ ]
その金を今度はファンタジー世界の同盟国にドバドバ注ぎ込んでる可能性大
ダークエルフとか獣人とか帝國にとって「使える」連中は特に・・・
まあ彼らに注ぎ込むんなら大丈夫でしょうが…

413 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/24(日) 20:03:17 [ BbUEfgGI ]
ぶっちゃけいうと、ソースはハングル板からです。
そこからオススメサイト見つけて収集しました。

414 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/25(月) 01:21:58 [ IR.k4wag ]
ダークエルフや獣人達に与えられた「約束の土地」は、どんな所なんでしょう?。

あと他の種族(ドワーフやホビットみたいなの)は帝國に対してどんな対応してますかね?
やはり中立?

415 名前:350、352 投稿日:2005/07/25(月) 01:42:22 [ Njsyi/d. ]
>>410、411
そういう方面の話では興味深い考察が既存の版権作品にも存在する < 魔法のエンジン
“マナ”の正体は放射能であり、原爆投下を機に魔法が“発見”されるという話なのだが、
それによると、魔法技術に適応すると既存の技術開発ノウハウが破綻してしまうので、
数十年くらいの間は科学的に研究した場合と比べて総合的な技術力は落ちるらしい。
(魔法でダイレクトに成果を出せる場合以外は技術の進歩が停滞する)
そのため、成果物も魔法理論上の都合にのみ沿ったデタラメな設計が横行し、
たとえば航空機の操縦席代わりに位牌が組み込まれ、幽体離脱して操縦するとか、
どうしてもそういう系統の馬鹿げたものが増える傾向にあるらしい。
魔法処理はその手作業しかできないので生産性が低いという点もある。

ところで、
帝國魔術が②だと、霊的災害や祟りや妖怪の跳梁なども予測されるので、
その経済被害によっては朝鮮を抱えた方がまだマシにもなりかねない。
下手をすれば関東大震災級の惨劇やパニックも起こりうるだろうし。

416 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/25(月) 02:43:05 [ vKi75WjU ]
そこで帝國劇場の対降魔部隊ですよ。

417 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/25(月) 08:05:08 [ BbUEfgGI ]
>>415
なるほど、そうなるとやっぱりマルイチのほうがやりやすいですね
ファンタジーと科学の融合は難しいか……

418 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/25(月) 08:29:45 [ F04QFlfs ]
いままで名無しだったSSにも、ついに名前ができました。「帝國召喚」です。まあ無難なところですか?同名のものが無い事を祈ります。


>>410
やはり帝國の独自性を出したほうが良さそうですね。


>>411〜413
まあ、それだけ投資した物を失ったのだから帝國は堪りませんよね。なにせ我々のように「転移しなくても後数年で失う」なんて事、知る訳無いのですから。

いま帝國では「あの金で国内を開発すべきだった」と後悔の真っ最中です。ですからこの世界では帝國はあまり領土に執着していません。まあ重要な港とか資源地帯は別ですが、それ以外は気前良く下賜しまくっています。人気取りという事もありますけどね。

ですから帝國は、ダークエルフや獣人の国のような「特別」な国を除き、大規模な投資は行なわないつもりです。・・・つもりですが、資源採掘や港湾施設の拡大に多額の資金が必要ですし、諸邦にせめてある程度のインフラが無ければ困るのは帝國です。結局は412様の言う通り、「ドバドバ注ぎ込んでる可能性大」でしょう(笑)。

419 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/25(月) 08:30:00 [ F04QFlfs ]

>>414
>ダークエルフや獣人達に与えられた「約束の土地」は、どんな所なんでしょう?
獣人の国は帝國の所有する港の近くにあります。大陸内ですね。詳しくは近い内に出てくると思います。

ダークエルフの国は大陸から遠く離れた、帝國本土近くの島です。島といっても四国の半分程もある大きな島です。この島は無人島でした。沖縄を大きくしたような「南国の島」です。

>あと他の種族(ドワーフやホビットみたいなの)は帝國に対してどんな対応してますかね?
彼等は特に差別を受けている訳ではないので中立ですね。帝國も特に行動を起こしていません。もし帝國が行動を起こすとすれば、「大同盟」成立後でしょう。


>>415
>帝國魔術が②だと、霊的災害や祟りや妖怪の跳梁なども予測される
う〜ん、それは気がつかなかった。そりゃあそうですよね。帝國大混乱だ。


>>416
専門の対処部隊も必要になるでしょうね。


>>417
②も捨て難いですけどね。

420 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/25(月) 08:30:39 [ F04QFlfs ]
<補足>王と貴族
「帝國召喚」世界において、王と貴族(大公爵以下)はどう違うのでしょうか?

領土の大小?いいえ、確かに王の方が広大な領地を持っている場合が多いですが、下手な王よりも広大な領地を持つ貴族もいれば、中には千人程度の領民しかいない王もいます。

王とは「神」から王位を授けられた者です。ですから王になるには、今の王から位を譲ってもらうか、神から新たな王位を授けられるしかありません。王は大公爵以下の爵位を授ける事ができます。

貴族とは「王」から貴族の位を授けられた者です。ですから貴族になるには、今の貴族から位を譲ってもらう(その場合でも一応、王の許可が必要です)か、王から新たな貴族の位を授けられるしかありません。つまりどんなに力のある貴族でも、新たに貴族の位を作り与える事は出来ないのです。ただし騎士は貴族ではありませんので、騎士の位は与える事が出来ます。(大騎士爵の位は微妙で、国により異なります)

これで、王から大公に落されたグラナダ「王」の屈辱が分かると思います。グラナダ「王」は神から選ばれた存在でなくなったばかりか、自国内の貴族に対する決定権さえ奪われたのです。


では王でありながら他国(宗主国)の爵位を持つ者はどうでしょう。王もピンからキリまでいます。まあ、宗主国の貴族であり、自領の王位も持っているという考え方です。獣人の王である「おじさん」でいうと、以下の様にいえます。

「おじさん」は帝國侯爵で、「獣人の国」という領地を持っています。帝國より「獣人の国」の王位も与えられていますので、侯爵ではなく「王(侯王)」として「獣人の国」を納めています。ちなみに公爵なら公王、伯爵なら伯王、子男爵なら卿王として、「独立した王」と区別します。もっともこれは法的な話であり、一般にはみな「王」と呼称します。

421 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/25(月) 08:30:56 [ F04QFlfs ]

①王位を与える神とは?
神ならば王位を与える事ができます。まあその神の最高位の神官から貰うのですけどね・・・。これは神との「契約」ですので、その神の宗教がその国の「国教」となるのです。王位は神聖なものですのであくまで常識の範囲内でですが、1柱の神でいくつでも王位を作れます。

ただあまり弱小な神では困ります。神にも序列があり、例え国教として祭られている神があっても、より格上の神を疎かには出来ないのですから。(その点、序列の外にある「帝国の神々」は有利です)


②皇帝と王ってどう違うの?
「沢山の王を配下にもつ王」ではありません。それはただの大王です。

上記で王位は神にしか授けられないと書きましたが、例外が1つだけあります。それが皇帝です。

皇帝はその神の代理人として王位を授ける事ができます。ただし皇帝はその神1柱につき1人しか任命できませんし、その神に王位を与えられた者は皇帝の配下にならなければなりません。おまけにその神の神殿や信者も支配下に入らなければならないので、当然のことながら皇帝は殆どいません。精々、一地方の中級神から授けられる程度(当然上級の神ほど無理です)でしょう。


③皇帝と法王はどうちがうの?
法王はあくまでその神の宗教における最高位です。俗世間の出来事に介入する事は表立ってはできません。まあいろいろ理屈つけて口を出す者が多いですけどね。

皇帝はその神の「地上における代理人」です。俗世間においても、その宗教においても、絶対者として君臨します。

422 名前: 名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/25(月) 12:28:21 [ r9DJpMoo ]
>>419
帝國魔術に関する件ですが、怨霊の類は鎮魂の為の神社が立てられて祀られています。
祟神の力も増しますが、宮司の鎮魂の祈りもマナで強化されるので、何とかなるような気もします。
神田明神が移築した後取り残されてしまった将門の首塚は…どないしましょうw

あやかしに至っては人に混じって血がかなり薄れているのではないかと。
ですから例え土蜘蛛の子孫でも、いきなり糸吐いて人を喰らいたくなったりする例はあまりないのではないかと思われます。
鬼の子孫にいきなり角が生えてびっくりなんてのはありそうですが。

423 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/25(月) 13:40:45 [ BbUEfgGI ]
>412
いろいろありますね……
軍内部にもあやかしの傍系みたいのもかなりいるだろうし
古い家が鬼と人の混血だったり(型月世界での遠野家とかがいい代表例)
軍内部の高官や政治家にいきなり角や獣ノ耳や尻尾に羽、などなどが生えてきてパニックになったりとか

しかし、まだこの世界の魔法の発動プロセスとか原理とかが分かっていませんから、くろべえさんがどう処理していくか楽しみにしています。
陰陽寮の復活、もしくは宮内庁陰陽課の設立、数年後に陰陽省に昇格し海軍省、陸軍省に並ぶ一大派閥になったりetc,etc
予算の獲得が熾烈になりそうだな……

424 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/25(月) 18:33:06 [ NuDi4aLQ ]
陰陽道とかが使えるようになると歴史や霊的に京都とかが大発展しそうですね
陰陽学校とかが作られて政治の東京、魔法の京都、経済の大阪になるとか(笑)

425 名前:DFC 投稿日:2005/07/25(月) 18:46:43 [ EIQj6deU ]
案外、『魔界都市・新宿』みたいな場所が出来て、魔術や科学技術が異常なまでに発展したりするかも?

426 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 00:06:30 [ SOKdE0c. ]
一回外伝で帝國国民が海外について知りたいです
熱狂的に支持してるとはいえダークエルフのこととかこの世界の国々をどう思っているのか知りたいので

427 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/26(火) 01:11:29 [ BbUEfgGI ]
いっそのこと某スーパーSF大戦みたいに、同じ世界観の中でみんなでエピソードを書いていきますか?
もちろんくろべえさんの承諾をとってからですが。
どうでしょう?

428 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 01:22:23 [ r9DJpMoo ]
同意です。
とはいっても、ラノベな文章しか書けないのですが。

429 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 01:39:37 [ 1AUVUQak ]
昔、それをやったせいで、本編が潰されてしまうという事例があったから、
やめた方がよろしいかと。
本家の過去ログを見れば分かります。

430 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 01:54:26 [ iTFQRdj. ]
そうですね。一旦そうしてしまうとくろべえさんが自由に世界観の改変など
できなくなりますし。

431 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/26(火) 02:36:43 [ BbUEfgGI ]
失礼しました。
言われてみればそのとおりです。浅はかでした。

432 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 07:06:21 [ ThjEVAQ6 ]
神社の祭神が実効的な力を持つようになったら気象などに干渉する手段が出来るぜ!
技術革新も真っ青の変革かもwwww

>>424
陰陽道なら陰陽寮が復活するかもね。

あと京都や東京は四神相応等の呪的な防衛機構を予め組み込んで作ってあったり、
日本も結構ファンタジーな国なのよね。

433 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 08:46:16 [ F04QFlfs ]
>>422〜424
くろべえとしては①と②両方採用したいのですよね。面白そうだし。

転移して数十年、転移前の世界を知らない世代が多数派となった時代。「魔法」はもはや帝國臣民にとって欠かすことのできない存在となっていた。それどころか大陸の魔法に対抗するかのように、古代からの帝國独自の魔法−陰陽道、修験道、神道、密教等−がその力を発揮しつつあった。

・・・てな具合に。

434 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 08:46:35 [ F04QFlfs ]
<くろべえ案>
転移後に生まれた子供は「マナ」の影響で大なり小なり魔力を持ち、中でも強力な魔力をもった子供が魔道士として活躍できます(魔法が認識できる程発動するには、ある程度以上の大きさの魔力が必要です、つまりは才能ですね)。

くろべえは、魔力は「触媒」と考えています。マナと反応することにより「魔法」が発動するんですね。「触媒」(魔力)の大きさや種類・質等により、発動される魔法の威力・系統・発動速度等が異なります。

実際に魔法を発動するには、発動させる「意思」、制御する為の「精神力」と「知識」が必要です。現実的には「杖」や「符」等の「増幅器」も必須でしょう。

とすれば、古代からの帝國独自の魔法は架空とはいえ、何百年も磨きぬかれた系統だった「学問」です。この世界で「発動」しない筈がありません!・・・多分。

弊害も出てきます。上記のように魔力をもった人間が増えてくると、「迷信」が効力を持ち始めるのです。あまりにも多くの「魔力をもった人間」が信じるということで、現実的な力を持ち始めるんですね。


*上記はあくまで「案」です。みなさんの御意見、御感想を待っています。

435 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 08:47:01 [ F04QFlfs ]

>>426
分かりました、近いうちに書きましょう。ただ一度に全部知るのは無理だと・・・。少しずつ出てくる感じで許して下さい。


>>427〜431
皆さん、くろべえのような下手なSS書きに嬉しい限りです。

このSSは「現代日本」が転移する話を読んでいて、じゃあ太平洋戦争直前なら?という疑問から始まりました。

国民や経済も統制され、政府の自由度が大きい。海外への依存度が格段に低い。軍の兵器も完全国産。なによりも「去勢」されていない!

これなら転移した世界でもやっていける!と判断してこの物語は始まりました。


あの「戦争」を体験しなかった帝國は何処へ行くのか?


>>432
だからこそ②を捨てるのは惜しいのですよね。

436 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 08:49:02 [ F04QFlfs ]
訂正 待っています→お待ちしています

申し訳ない。

437 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 12:37:07 [ iTFQRdj. ]
帝国の魔法(陰陽道)ですが、考えてみました
架空ではなかった・・・転移前は、環境がマナが希薄で、魔力を持った人間が生まれることも稀だった。
ゆえに一般人または普通の陰陽師程度が使用しても発動しない、または効果がごく薄かった。
稀に生まれる安倍晴明のような才(魔力?)ある者が使用すれば術本来の効果が発揮できた。

異世界の魔術も帝国の陰陽道も、マナ使用による魔法発動のために磨きぬかれ、淘汰されてきた技術
であり、「迷信」「おまじない」程度では魔法発動に至らない(大気圏外=魔法発動  ロケット=技術 
迷信やおまじないは個人でジャンプしてるだけと言う感じ)

これなら、
・発動するにはマナが足りなかった位の才能ある陰陽師がいれば、早期に帝国魔法使用可能
・迷信やおまじないの弊害が防げる。
と思います。

438 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 13:26:32 [ RRdTj3yc ]
>>436
あんまり何でもかんでも詰め込んでしまうと「大日本帝国」の色が霞んでしまいますから
お気をつけて。
物書きも大変ですね。

439 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 14:10:29 [ SOKdE0c. ]
>>438
同意
魔法ばかりでチハたんや零戦が出てこないのは面白くないし前に誰かがネタで言ってた魔法で無限動力になった大和とかが出ると逆に萎えますからね。
詰め込むのはほどほどに。

440 名前:438 投稿日:2005/07/26(火) 15:46:15 [ RRdTj3yc ]
>物書きも大変ですね。
訂正します。
>我々のような贅沢な観客にあれこれ言われると大変ですね。

ちょっと皮肉っぽく読めたので・・・
頑張ってください。

441 名前:350、352 投稿日:2005/07/26(火) 16:16:55 [ Njsyi/d. ]
>>440、438、439
話を魔法方面に傾かせた主犯格の一人としては実に耳に痛い話ですが。

では、帝國の魔術は基本的に不可視不可知である、というのはどうだろう。
御守りやら地鎮祭やら調伏祭祀やらの宗教的儀式は確かに効力を持つし、
武道や茶道など“道”を学ぶ人間は魔力で自己や道具を増強しているが、
一般人の視点から見てわかる即物的な魔法現象は何も起こっていない。

知覚力の優れた魔術師が見れば確かにマナが集積されているのが視えるが、
帝國魔術の多くは対象の内面的な働き(クオリア)に関してのみ作用し、
そうでない場合も偶然や勘や幻視といった形を取るので、確証は得られない。
確率上の偏りと当事者や魔術師の証言以外に帝國魔術を立証する方法はなく、
立証できないので帝國の上層部が魔術を大々的に制度化・研究する事もない。
妖怪なども出現し始めているが、同じ理由からその存在は立証されていない。

逆に、F世界における既存の魔法は即物的な現象しか起こせない。
大陸側の思想では解明できないものに干渉する魔法など人間業ではなく、
別の意味で理解不能な近代科学と合わせて邪法、邪教呼ばわりもされる。
帝國は主に即物的な魔法を研究する体制を整えているが、成果は少ない。

これなら大日本帝國のイメージはほとんど変えずに済むのではないだろうか。
エースパイロットが「南無三!」と叫ぶと弾幕が機体を避けて通ったり、
熟練の狙撃兵がゴーレムの中枢や飛翔するワイバーンを一撃で仕留めたり、
何かご都合主義なイベントが起こったらそれは帝國魔術の力だという事で。

442 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 18:07:24 [ dT.GhyLM ]
あまり作者さんに要望を出すのは良くないかと。

443 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 19:03:07 [ Lpqim9j6 ]
うん、まあこういう設定もありだよねというだけのことで。
ss中での設定はもちろん作者に一任されているというのは前提としてみんな分かってる
と思うよ。

444 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 19:10:55 [ r9DJpMoo ]
色々あるけれども、くろべえさんも十数年後の設定と当初言っていた事ですし、問題はとりあえず凍結して先送りと言う事でいいのではないかと思うのですが。
…どこかで聞いたような玉虫色な方法ですみません。

兎に角、現状では数名を除いて実用化の段階までいたっていないと言うことでいいのでは?
それならばバランスも崩さないでしょうし。

P.S.皆さん、伝奇ファンタジー好きですね。

445 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 21:58:21 [ F04QFlfs ]
皆様、いろいろ有難う御座いました。

帝國が魔術を使い出すとすれば、それは帝國が「異邦人」ではなくなった時代でしょう。転移後の世界しか知らない子供達が成長し、社会で活躍する時代ですね。

それでも帝國文明の根幹は「機械文明」であり、魔法は副次的な物であり続けるでしょう。

魔法はあまりにも個人的な才能に左右され、その効果も大半が機械で代用した方が確実ですから。

446 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 21:59:14 [ F04QFlfs ]
さて、SS投下。

447 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 21:59:44 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」2-11

11-1

長い夜が明けた。

太陽の光が見せる景色は地獄以外の何者でもなかった。帝國軍陣地周囲には夥しい数のレムリア軍将兵、それに馬や竜の遺体が散乱していたのだ。良く見ると、レムリア軍将兵はその殆ど全てが武器を握り締め、帝國軍陣地に向かい倒れている。

「我等に大和魂あれば、敵にもレムリア魂あり・・・か。」

この光景を見た帝國軍司令官は呟いた。

まったく、敵ながら見事な戦いぶりであった。果たして立場が逆ならば、我々は彼等のように勇敢に最後まで戦えただろうか?

「閣下。」

彼を呼ぶ声がした。接待役を命じた参謀だ。

「何か?」

「ハッ。武官の方々が是非とも閣下にお目にかかりたいと。」

「ふむ。会おう。」

448 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 22:00:25 [ F04QFlfs ]
11-2

案内された部屋では、武官達が正装で勢揃いしていた。

「お待たせいたしました。武官の方々、一体何用でしょう?」

軍司令官の問いに、武官の1人が進み出た。

「これはこれは軍司令官閣下。お忙しいところ申し訳ありませぬ。実は我等一同、今回の戦勝について祝福したいと思いまして。」

「戦勝?何の事です?」

軍司令官は武官の言葉に怪訝そうな顔をする。

「いえ、今回のレムリアに対する勝利についてですよ。」

「・・・失礼ですが、まだレムリアとの戦いは終わっていません。もう少ししたら、再びレムリ軍陣地への砲撃が開始されます。」

「砲撃!?しかしレムリアにはもう、戦う力などございませぬ!」

「残念ながらそれを決めるのは我等ではありません。その証拠に、レムリアからは白旗も掲げられず、降伏の使者もありません。」

「しかし、それは・・・。」

軍司令官はいかにも残念だ。といった表情で答える。いや、実際残念なのだろう。立場上こちらから降伏を勧告する訳にはいかないのだ。敵の方から降伏してくるのが望ましい。

449 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 22:00:41 [ F04QFlfs ]
「では私は忙しいのでこれで。」

「お待ちください、閣下!」

話を切り上げ、退室しようとする軍司令官を武官達が慌てて止める。

「まだ何か?」

「閣下に対する非礼、重々承知の上でお願い申し上げる。どうかレムリア軍への慈悲を賜りたい。」

「と言うと?」

「レムリア軍に降伏の機会を。我等が軍使として出向いても構いませぬ。」

「・・・。」

軍司令官は武官達の言葉にしばし沈黙する。さて、どうする?個人的には賛成だが。

だが考えるより先に言葉が出た。

「わかりました。諸卿がそこまで仰るのであれば、レムリアに降伏する機会を与えましょう。ですが、軍使はこちらで出します。諸卿の手を煩わす事はできません。」

・・・まあいいだろう。彼等の顔を立てるという名分を手に入れたのだ、問題ない。

「閣下の寛大さに感謝を。」

450 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 22:01:31 [ F04QFlfs ]
11-3

交渉の席には数人のレムリア軍将校の姿があった。みな血でにじんだ包帯を巻いており、無傷の者はいない。自己紹介によるとみな大佐らしい。

「失礼ですが、貴官らが最高位なのですか?将官はおられないのですか?」

10万からの軍なら何十人もの将軍がいた筈だ。

「はい、将官で動ける者はみな昨夜の夜襲で討ち死にしました。現在数人の将官がおりますが重態で交渉に出る事はできません。」

指揮官先頭というやつか。

「そうですか。昨夜の貴軍の夜襲、実に見事でした。」

「ありがとうございます。」


会談冒頭は和やかに進んだが、やはり肝心の降伏問題は難航した。

451 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 22:02:01 [ F04QFlfs ]

「・・・では降伏はできぬと?」

「いえ。我々には降伏の権限はないのです。停戦以外は無理です。」

「では降伏の権限は誰にあるのです?」

「国王陛下です。」

おいおい。

「では王都に伝令を出し、返事が返ってくるまで待てと?」

どうせ援軍と一緒にやって来るのだろう。冗談じゃあない、返り討ちにしてもいいが時間がかかりすぎる。こちらも本国からせっつかれているんだ。

「それはあくまで形式的なものでしょう?現実的には誰が判断できるのです?」

「軍司令官閣下ならあるいは。」

死人ではないか。

「では砲撃再開しかありませんな。」

「砲撃は困ります。陣地には負傷して動けぬ者が大半です。」

「我が軍が望むのは降伏です。停戦ではありません。」

「将官ですらない我々には降伏に関する権限は・・・」

452 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 22:02:21 [ F04QFlfs ]

軍司令官は不意に卓を叩いた。この不毛なやり取りに嫌気がさしたのだ。室内に緊迫した雰囲気が流れる。

「全面降伏、応か否か!速やかに返答を!」

「では陣に帰り、皆と検討を・・・。」

「応か否か!」

レムリア軍の代表団は軍司令官の剣幕に真っ青になった。その体は屈辱の為か震えていたが、やがて顔を俯け小さな声で答えた。

「・・・応。」

「よろしい。」


この言葉をもって、戦争は終結した。


レムリア軍は1万8千人が捕虜となったが、その大半が重傷者であった。

453 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/26(火) 22:03:22 [ F04QFlfs ]
SS投下。グラナダ戦役終結。

454 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/26(火) 22:14:48 [ MwzCei/s ]
降伏したの大佐の名はパーシバルだなw

455 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/26(火) 22:18:37 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。

おお!
マレー戦と同じ事やってる!w
史実でもこのとき確かイギリス軍の司令官相手に、軍刀もって降伏か全滅かみたいな事やってましたよね?
流石は山下閣下だw
グラナダの虎って呼ばれそう……

456 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/27(水) 00:41:07 [ e1vhQL0M ]
乙です。
おお!いい終わり方ですね。こういうシメできましたか。
読んでいてニヤリとさせる書き方は見事です。
しかし、さすがは山下閣下ですな。
あとはこの戦いの結果が大陸中にもたらす結果を最大限に利用する政治局面ですね。

457 名前:DFC 投稿日:2005/07/27(水) 07:04:07 [ apD/6/cM ]
乙カレさまです。
うーむ、現場の人間は降伏しましたが、本国の継戦派が勝手に出撃しそうな悪寒がします。

458 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 11:00:52 [ F04QFlfs ]
>>454
>降伏したの大佐の名はパーシバルだなw
454様、残念ながら彼の名は後世には伝わっていません(笑)。


>>455
サッキ119様いつも有難う御座います。

>史実でもこのとき確かイギリス軍の司令官相手に、軍刀もって降伏か全滅かみたいな事やってましたよね?

この話、新聞記者の創作という説もあるようです。くろべえにはどちらが事実か分かりませんが、こちらの方が面白そうなので拝借しました。

>グラナダの虎って呼ばれそう……
グラナダの死神ですね、殺しまくったので。なんか漫画みたいだ。

459 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 11:01:11 [ F04QFlfs ]
>>456
有難う御座います。

>おお!いい終わり方ですね。こういうシメできましたか。読んでいてニヤリとさせる書き方は見事です。

有難う御座います。狙いすぎかな?とも思いましたが、何よりです。

>あとはこの戦いの結果が大陸中にもたらす結果を最大限に利用する政治局面ですね。

そうですね。戦いは終わり、次は政治の出番です。


>>457
DFC様、有難う御座います。

>うーむ、現場の人間は降伏しましたが、本国の継戦派が勝手に出撃しそうな悪寒がします。

次の舞台はレムリアです。降伏の報を受けたレムリアは・・・。

460 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:41:58 [ F04QFlfs ]
夜貼れなくなったので、SS投下!

461 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:42:33 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」2-12

12-1 レムリア王国王都

「派遣軍が独断で降伏しただと!」

王城ではレムリア王の怒声が響いていた。グラナダ派遣軍の降伏が伝えられていたからである。だが周囲は重苦しい雰囲気が支配していた。派遣軍の損害が余りにも甚大だったせいだ。

わずか3分の1(実質的には4分の1)程度の敵と戦い、死者8万人以上。生き残った者は重傷者−おそらくはもう2度と戦えぬ体であろう−が大半。10万の軍が文字通り「全滅」したのだ。このような事は歴史上初めてである。どうやらレムリアは不名誉な事で歴史に名を残す事となったようだ。

「陛下。派遣軍はもはや戦力を保有しておりません。降伏は仕方が無い事かと。」

廷臣の1人が進み出て王を宥めようとする。しかしそれは王の怒りを増大させるだけに終わった。

「黙れ!まだ2万近い兵がいたのだろう!兵は何故戦わぬ!」

462 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:43:11 [ F04QFlfs ]
その言葉を聞き、軍務卿は思わず拳を握り締めた。無能とは思ってはいたがこれ程とは!

何故勇敢に戦い、死んでいった将兵達の為に弔いの言葉一つ言わない!兵達が勇敢に戦った事は損害を見ても明らかではないか。将も殆どが討ち死にしたんだぞ?何故涙の1つも流してやれない!

「兵を集めよ!再戦だ!」

軍務卿は全身の力が抜けるように感じた。再戦?王は現状を認識していないのか?

今回の派遣軍は東方総軍と東方諸侯軍の全力をもって編成した、それが全滅したのだ。もはや東方には少数の警備兵と、今回軍を派遣せず資金提供のみだった諸侯の軍しか残っていない。全部かき集めても派遣軍の半分にも届かない。兵の質も比べ物にならない程低い。この空白を埋めるため、至急各総軍より部隊を抽出しなければならないが、これは各総軍の戦力低下を招く事だろう。

配下の属国にも不穏な動きが広がっている。いや属国だけではない、東方諸侯の動揺も激しい。それはそうだろう、国境の直ぐ向こうに帝國軍がいるのだ。暫くは内政にかかりっきりとなりそうだ。他国に対する影響力の低下は避けられないだろう。

463 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:43:30 [ F04QFlfs ]

ああ、軍の再建もある。10万の兵が消滅したのだ、一体戦力の回復まで何年かかるだろう。失った金と、これからかかる金のことも考えると頭が痛い。

やるべき事は山ほどある。それを放り出して再戦だと?王はレムリアを滅ぼす気か?

止めなければ。だが彼よりも先に、外務卿が進み出た。

「陛下、再戦についてご再考を。」

そして言った。


「大陸同盟が動き出しました。国境付近に大軍を展開中です。」

464 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:43:59 [ F04QFlfs ]

12-2

外務卿の言葉に「謁見の間」は騒然となった。恐れていた事が起こったのだ。

「外務卿!それは真か!」

軍務卿は思わず尋ねた。それが真実なら軍は何をやっているのだ!

「いかにも。軍務卿にも直ぐに軍からの報告があるでしょう。」

レムリア王が怒りを忘れて尋ねる。

「外務卿。『張子の虎』が動いたというのか?」

『張子の虎』とは大陸同盟に対する蔑称である。中小国がいくら集まっても何も出来まいという、列強の驕りから出来た言葉だ。

「はい。しかも諸侯の動員まで行っています。さらに数は増えるでしょう。」

「動員だと!」

常備軍だけでなく、全戦力を揃えようとしているのだ。これはただ事ではない。

彼等の頭の中で最悪の光景が浮かんだ。

大陸同盟と帝國に2方向から攻められ、さらに傘下の属国も次々に離反。レムリア国内が戦場となる悪夢だ。例え撃退できても国内は荒廃し、レムリアは列強の座から転落するだろう。いや、それどころかレムリア滅亡の危機でさえある。

「大陸同盟の大使どもを呼べ!釈明させるのだ!」


王の叫び声が空しく響いた。

465 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:44:34 [ F04QFlfs ]
12-3

王の剣幕にもかかわらず、大使達は実にのんびりとやって来た。その緊張感の無さは、今までの彼らからは想像すらつかないものであった。

「陛下。この度は我等に何用で?」

大使の1人が尋ねる。大陸同盟の中心国の一つ、ロンバルキアの大使だ。他の大使達が黙っている所を見ると、おそらく彼が代表として話すことで事前に合意しているのだろう。

まずいな。

外務卿は心の中で舌打ちをする。という事は大陸同盟は既に意思を統一しているとしか考えられない。そしてそれが意味する事はただ一つ。


「貴国らが我が国との国境付近に軍を展開している!どういう所存か!」

レムリア王の怒鳴り声としか思えぬ詰問、以前なら震え上がって釈明していた事だろう。だが、彼等はレムリア王の詰問にも平然としていた。

466 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:44:55 [ F04QFlfs ]
「只の演習ですが?」

「『只の演習』だと!この時期に!しかも国内に動員までかけて!」

「ですから演習ですよ。ああ、大演習ではありますね。正確には『大特演』−大陸同盟軍特別演習−といいます。」

「ふざけるな!」

レムリア王の罵声にも平然とロンバルキア大使は反論を始める。

「陛下。『我が国内で何をしようが我等の勝手』これは以前の陛下のお言葉ですぞ。」

レムリア王は怒りに震えている。それを察した外務卿が、慌てて会話に割って入る。

「大使殿。その事については一先ず置いておきましょう。しかし『演習』にロッシェルが加わっているのはどういう事です?」

「?ロッシェル王国はいまだ我等大陸同盟を脱退していませんよ?」

「ロッシェルはもはや独立国ではないですぞ!帝國の属国です!」

467 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:45:26 [ F04QFlfs ]
「大陸同盟には『独立国以外加わってはならない』等という規則は存在しません。」

そんなものは常識の問題だろうが!外務卿は心の中で罵りつつも、さらに質問を重ねる。

「ではその演習に『帝國』軍が加わっている事は?」

その言葉に周囲の廷臣達がざわめく。それはそうだろう、これでは『大陸同盟諸国が帝國とともにレムリアを攻めようとしている』と責められても言い訳できない。レムリア王にいたっては呆然としている。できれば最後まで伏せておきたかったのだが・・・。

「ああ、帝國はロッシェル王国の宗主国ですからね。別におかしな事等無いでしょう?」

だが大使は平然と屁理屈を言う。もはや疑いようもない、大陸同盟は『決断』したのだ。

外務卿は溜息を吐きながら尋ねる。

「・・・それが貴国等の下した『決断』ですか?」

その言葉を聞くとロンバルキア大使は急に姿勢を正し、重々しい声で返答した。

「外務卿、時代は大きく変ろうとしているのです。我々は乗り遅れる訳にはいかないのですよ。」

468 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:46:01 [ F04QFlfs ]

そう、これは彼等にとっては絶好の機会なのだろう。『旧体制』という牢獄からの脱却という。

「これで納得頂けたと存じます。では我等はこれで。」

ロンバルキア大使の言葉を受け、大使達は次々と退室していく。彼等の歩みは堂々とし、何も迷いも恐れも無いかのようだった。

「さようなら、大使方。願わくば貴国等の向かう先が幸あるものでありますように。」

彼等のあまりにも迷いの無い後姿に、外務卿は思わず声をかけずにはいられなかった。その外務卿の心からの言葉を聞き、ロンバルキア大使は振り返り答えた。

「有難う御座います、外務卿。ですが心配御無用、むしろレムリアに幸有らんことを。こ度の戦の後始末、一つ間違えれば・・・。」御国が滅びますよ?

「有難う。大使殿。」そんな事は分かっているさ。


彼等が退室して直ぐ、何かが倒れる音がした。

「陛下!陛下!誰か典医を呼べ!」



第36代レムリア国王崩御、享年48歳。長年の放蕩の果てとも、怒りの余りの憤死とも伝えられている。

469 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/27(水) 12:46:50 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。『大特演』発動!

470 名前:DFC 投稿日:2005/07/27(水) 15:10:48 [ 3VAU.d5Y ]
投下、乙です。
アレだけの砲撃(虐殺)と『参謀殿』の演技を見せ付けられたのですから、大陸同盟の決断は当然と言えますね。
…彼らは、「帝國」が自分達よりも重用しているダークエルフや獣人の国にどの様に接するつもりなのでしょうか?
帝國も臣国間の軋轢は好まないでしょうし、気になります。

471 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/27(水) 16:16:45 [ SOKdE0c. ]
大特演とは・・・
まさかそれを出すとは思いませんでした
さすがです!

472 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/27(水) 16:46:21 [ BbUEfgGI ]
乙です。
いやー、狸の化かし合いみたいで楽しめましたよ。
いよいよレムリアに止めが刺されるときが来たのですねw
見事でした。

473 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/28(木) 01:05:36 [ 6KnBHENQ ]
ロッシェルが帝國との戦争での損耗を機に、軍を(帝國の旧式兵器等で)更新しつつある状況で参戦したりすると面白い。

474 名前:473 投稿日:2005/07/28(木) 01:09:50 [ 6KnBHENQ ]
自分の文面が煽りみたいですね…スイマセン

475 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/28(木) 12:14:30 [ F04QFlfs ]
>>470
DFC様、有難う御座います。

>…彼らは、「帝國」が自分達よりも重用しているダークエルフや獣人の国にどの様に接するつもりなのでしょうか?

やはり帝國に最初に服属した種族ですし、「同盟国」と「帝國の邦」ですから、待遇の違いは理解はできるでしょう。納得できるかは別として。

帝國はダークエルフや獣人の優遇を撤廃するつもりはありません。ただなるべく波風立たないように「同盟国」とは接触させないように気を使っています。

>>471
有難う御座います。

『大特演』は関特演に似た性質を持っています。

>>472
サッキ119様、いつも有難う御座います。

レムリアは追い詰められています。対応如何によっては滅びるでしょう。

>>473〜474
有難う御座います。

帝國は兵器の譲渡には慎重です。現在、ダークエルフにしか譲渡していません。

476 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/28(木) 12:15:43 [ F04QFlfs ]
さて、ようやく第2章が終わりました。

くろべえが初めてこのスレに投稿してから1ヶ月半、ようやくここまできたかという感じですね。このスレもそろそろ500、できれば1000までいけるように頑張りたいと思います。

477 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/28(木) 21:13:28 [ pxWS1jOo ]
第2章終了、乙です。
実に楽しく読ませていただきました。
投下速度が速いのは実に素晴らしい事です。
これからも頑張ってください。
しかし、レムリアの王様は能無しだったのね・・・
私はまた、アウグストゥスみたく「余の軍勢を返せ」とか言って椅子に崩れ落ちるかと期待してました。w

478 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:22:01 [ F04QFlfs ]
>>477
有難う御座います。

>しかし、レムリアの王様は能無しだったのね・・・
はい無能です。ただ余計なちょっかいは出さずに、政治は家臣に一任していますのでそれ程害はありません。

家臣に一任しているのは見識ではなくめんどくさいからなんですけどね。

ただ怒らせると口出しして面倒な事になりますので、家臣達は外務卿のように最低限度の事しか報告しません。

479 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:23:03 [ F04QFlfs ]
ではSS投下。

約束のものです。

480 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:23:56 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」短編2

昭和18年10月−帝國、旭川−

「では良平の帰還を祝い、乾杯!」

旭川のとある一軒家に、大勢の人達が集まっていた。この家の長男が数年振りに帰ってきた祝いが開かれていたのである。今夜は旭川のいたる所で同じ様な光景が繰り広げられている事だろう。

旭川に本拠を置く歩兵第28聯隊が凱旋帰国をし、兵達に一時休暇が与えられたのだ。歩兵第28聯隊は精鋭聯隊であり、軍の評価も高い。それが災いして転移後あちこちの戦地に投入され、今日漸く旭川に帰ってこれたのだ。


「良平!向こうの世界はどうだった?」

当然話題の中心はこれである。國民に転移の事実が知らされたのは、転移から1年以上たった今年に入ってからの事なのだ。それ故に彼等の知る情報は限られている。

「兄ちゃん!冒険ダン吉みたいな世界なんだろ?」

「文太。全然違うよ。」

良平は弟の頭を撫でながら優しく答える。もう夜も更けているが、弟妹達は寝床につこうとはしない。一番下の妹は良平の着物の裾を握り締めてうとうとしている。だがいつもは厳しい大人たちも、今日ばかりは黙認だ。

481 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:24:27 [ F04QFlfs ]

「良平。獣人ってどんな連中だい?お稲荷様みたいなもんか?」

「いえ、普段は僕たちと変りません。いざという時に獣頭になって尻尾が生えて、毛深くなる位ですよ?気のいい連中で、良く飲み明かしたものです。」

「ほ〜、普段は俺達と変らんのか。そういえば獣人の王様は陛下から、侯爵の位を頂いたそうだぞ。たいしたもんだ。」

「良平。じゃあ『だあくえるふ』ってどんな連中だい?」

「う〜ん。僕も見たこと無いんですよね。小隊長殿の御話では『忍者』みたいな連中らしいんですが・・・。」

「やっぱり忍者か。新聞でもそう書いてあったものなあ。」

彼はこの世界の事を知る限り語る。皆興味深々だ。


「・・・ところで皆さんはどの位この世界の事を知っているんです?」

一通り語った良平は今度は皆に聞く、一体皆はどれ位知っているのだろう?

「いや・・・。俺達が知ったのは今年の正月を過ぎた頃かなあ。ここ(旭川)じゃあそうでもないけどあちこちで動員が解除されたり、妙な魚とかが配給されたりして、変だなあとは思ってはいたさ。まあ良いことではあるんだけどな。」

「ああ、確かに配給品に妙なものが混じるようになったよな。まあ味は悪くないし、もう慣れたけど。」

「去年の終わり頃から急に景気が良くなったしな。」

「新聞で初めて知った時は、何か悪い冗談かと思ったよ。」

「俺なんか今でも良くわからん。まあ外国の事だからどうでもいいけど。」

482 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:24:56 [ F04QFlfs ]

皆の話では大した事は知らないらしい。好奇心から「土産話」としてなら面白く聞くが、基本的には「帝國以外の外国がどうなろうと自分達には関係ない」といった感じだ。ただダークエルフと獣人については関心が高いようだ。

「まあ詳しい事は、後でこれでも読んでくれ。俺達はこの程度しか知らない。」

そう言いながら、父は押入れの奥から新聞の束を取り出して良平に渡した。



やがて客も帰り、家族だけの憩いの時間となった。さすがに弟妹たちも寝床行きだ。

良平は居間で父と飲んでいた。母は台所だ。

親父とさしで飲むのは一体何年振りだろう?何をから話したら良いだろう?話したい事、聞きたい事沢山ある。

「暮らしはどうだい?」心配してたんだ。

「ああ、悪くないよ。転移してから・・・かな?配給量も増えたし、一部の商品の規制も撤廃された。なんでもあと1〜2年で殆どの物資の統制が解除されるらしい。転移様様だ。」

そう言うと、父は俯いて何か考えていたようだが、やがて改まった表情で尋ねた。

「良平。本当にここは『別の世界』なのか?」

483 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:25:19 [ F04QFlfs ]
これは当然の疑問だった。そもそもこの時代の日本人に、『別の世界』等という考えはどうにも馴染まない。政府も説明に苦慮し、始めは『国全体が神隠しにあった』などと説明した程だ。

「うん。この数年あっちこっちを周ったんだけど、多分『別の世界』なんじゃあないかなあ。もっとも断言出来るほど世界の事を知らないのだけどね。でも上官方も皆そう言っているのだからそうじゃあないかなあ?」

「・・・そうか。良平、良く聞け。」

父の表情は真剣だ。

「お前はずっと外地にいたから知らんだろうが、最近妙な噂が広まっている。」

「妙な噂?」父が噂を気にするなんて珍しい。

「今回の『転移』は『天佑』なのだそうだ。」

ああ、それなら軍でも結構耳にする。

「・・・軍でも聞いているようだな。」

父は自分の表情から察して溜息を吐く。

「だがここからが本番だ、なんでも高天原の神々が帝國の窮状を見かね、この世界に帝國を隠したのだそうだ。そしてこの世界を治めよと、帝國に与えたのだそうだ。」

それを聞いた良平は思わずコップを落しそうになる。この世界を帝國に与える?それはまた随分と・・・。

484 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:26:19 [ F04QFlfs ]

「これは初耳のようだな。」

父はニヤリと笑った。

「『天佑』?便利な言葉だ、それだけで人は思考が停止する。『この世界を帝國に与える』?聞き心地の良い言葉だ、無理にでも信じたくなる。特にいろいろこじつけが出来そうなこんな時には。」

「父さん!」

それ以上は言って良い事ではなかった。だが父は笑いながら言った。

「何、お前だから言ったんだ。しかしお前、軍に入って随分『良い子』になったじゃあないか。まあ俺の話はこれで終わりだ、あとはさっき渡した新聞でも読め。」

そう言いながら父は席を立ち、寝床に向かった。


後に残った良平は呆然としていた。父は一体何が言いたかったのだろう?せっかくの数年振りの帰宅だというのに。

ふと新聞の束が目に付いた、父が渡したものだ。新聞を手に取る。

これを読めとか言っていたな。


『帝國、異世界へ!』
帝國は連合国の横暴に天誅を加えるべく対英米戦を決意した。しかし昭和16年12月7日、突如として帝國は「神隠し」にあう・・・

『帝國の良き友、ダークエルフと獣人』
帝國はこの世界で最良の友に出会った。ダークエルフと獣人である。ダークエルフ隠れ里に住む「忍者」であり、獣人は気は優しく力持ち、両者とも頼りになる友である・・・

『ダークエルフと獣人、神道修行』
ダークエルフと獣人は神道に帰依。明治神宮、伊勢神宮、靖国神社に神主及び巫女候補を派遣・・・

『ダークエルフと獣人、天皇陛下に謁見。帝國に忠誠を誓う』

『ダークエルフと獣人、帝國貴族に。領地も下賜。』

『忠勇なるダークエルフ○○、壮絶な戦死。2階級特進、御霊は靖国神社へ。』

485 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:27:05 [ F04QFlfs ]
こうして見ると、やけにダークエルフと獣人の記事が目立つ。彼等がいかに「優秀」で「善良」、「帝國の良き友」かくどい程強調されている。まあ言いたい事は分かる、「だから差別するな」だ。政府はそれを危惧しているようだ。

・・・だが何故父はこれを見せようとしたのだろう?それ程変な記事ではない。少し露骨ではあるが。


だが次の記事を見て唖然とする。なんだこれは。

『帝國、世界の盟主に』
帝國がこの世界に来たのは神の思し召しとしか考えられぬ。帝國はその意を受け、世界の盟主となるべき・・・

『帝國は世界を指導せよ』
帝國はこの世界唯一の先進國です。世界の酋長國、蛮族共を導かなければなりませぬ・・・

『帝國、軍備を増強せよ』
帝國は転移後、一時的に軍備を縮小しました。しかしそれは危険な事です、備えは疎かにしてはなりませぬ。帝國はようやく海軍の増強に乗り出しましたが・・・


まあ以前からそうではあったが、随分と威勢がいい。しかし以前は世界ではなく「亜細亜」が対象となっていたものだが。

やれやれ、ようやく平和になるかと思っていたのだけれど。どうやらこっちの世界でも長いこと戦う事になりそうだ。自分の除隊もまだ大分先になるだろう。まあ支那で戦っていた頃よりはマシではあるが。

486 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:27:26 [ F04QFlfs ]

溜息を一つ吐く。

畜生、もう考えるのは止めだ。自分は一兵卒に過ぎないのだから。


ああもう明け方か、一眠りしよう。今から寝れば昼には起きれる。なにせたった三日の休暇だ、有意義に使わねば。



次は一体何処に行かされる事やら。



<補足>
帝國の大衆には「帝國以外の外国がどうなろうと自分達には関係ない」という気持ちと「帝國は世界の盟主になるべき」という、実に相反した考えが同居しています。その人によってそれぞれの大小はありますが、この矛盾する2つの考えを両方抱えているのです。

「天佑」という考えは、訳の分からない事が起こったが結果的には幸運だったことから、広く受け入れられています。まあ自分をそうやって納得させているんですよね。

今回の良平や良平の父のような考えは少数派でしょう。

487 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 08:28:55 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。

488 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/29(金) 09:42:25 [ 6KnBHENQ ]
投下乙です
調子に乗ってボロを出さなけりゃ良いんですが…

489 名前:426 投稿日:2005/07/29(金) 11:02:24 [ SOKdE0c. ]
ありがとうございます!
これで国民感情や景気のこととかがわかりました
やはりダークエルフが戦死したら靖国に祭られるのねw

490 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/29(金) 11:27:08 [ ewIsKeyI ]
投下乙です。
次はダークエルフの大尉殿の家庭が見てみたいでつ。
奥方がどんな方か激しく気になりまつ。

491 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/29(金) 12:31:29 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。
なるほど、本土ではこんな感じですか
今のところ、景気も回復してきてるみたいですけど、果たしてこれが何時まで続く事やら
しかし、ダークエルフや獣人の巫女さんって……
なんか狙ってますか?w

492 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:07:04 [ F04QFlfs ]
>>488
有難う御座います。

>調子に乗ってボロを出さなけりゃ良いんですが…
その可能性も十分ありますね。ただ「どちらがマシか」という事もあるでしょう。


>>489
有難う御座います。

ちょっとくどい文になってしまいました。詰め込みすぎですね、反省。

>やはりダークエルフが戦死したら靖国に祭られるのねw
ダークエルフは帝國軍所属の軍人ですからね。獣人には帝國軍人はいない(軍属はいます)ので、それだけ優遇されている証拠です。

493 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:07:20 [ F04QFlfs ]

>>490
有難う御座います。

>奥方がどんな方か激しく気になりまつ。
大尉殿は独身ですよ?

>>491
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>今のところ、景気も回復してきてるみたいですけど、果たしてこれが何時まで続く事やら
動員解除が効いてきているのでしょうね。ただそれだけでは長く続かないので大陸進出を目論んでいます。どっかで聞いたような話ですね。

>しかし、ダークエルフや獣人の巫女さんって……なんか狙ってますか?w
いやまあ、当然神道に帰依したのなら候補を派遣するだろうな。と

でもそういうのにも挑戦してみたいですね。現在では力不足ですが。

494 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:08:41 [ F04QFlfs ]
SS投下!

本日は二本立て!

495 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:10:03 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」短編3

軽巡洋艦「大井」、「北上」。

艦隊決戦の切り札として連合艦隊の期待を背負った艦である、・・・転移前までは。


しかし異世界への転移という、常識では考えられない出来事により事態は急変する。この世界では自慢の酸素魚雷も「宝の持ち腐れ」だった。いや、魚雷そのものの存在価値すら疑問視されている。魚雷は高価なものなのだが、その攻撃対象が存在しない(確認できていないだけなのかもしれないが)のだ。

いまや駆逐艦ですら予備魚雷どころか、発射管にすら魚雷を半分も満たしておらず、巡洋艦にいたっては雷装撤廃の憂き目にあっている。この「大井」、「北上」も雷装を撤去(撤去した雷装は建造中の駆逐艦へ)され、港に綱がれっ放しである。殆ど予備艦扱いだ。主兵装を奪われた両艦はまるで落ち武者のような哀れさを醸し出していた。

496 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:10:26 [ F04QFlfs ]

「まるで俺達の状況を表しているかのようだ・・・。」

両艦を眺めていた1人の海軍少佐が呟いた。背中が煤けている。


魚雷がいらないという事は、それを扱う水雷科もいらないという訳で、当然水雷科は大幅な縮小を余儀なくされている。なにせ駆逐艦ですら重巡のように戦う御時世なのだ。

余った人員は当然転科だ、幾つかの道がある。

『艦をおりる』つまり陸に上がってデスクワークに専念という訳だ。陸に上がった河童である。

『特別陸戦隊へ』増強著しい特別陸戦隊が人手を募集している。陸軍の真似事など御免だが。

『砲術科へ』やはり増強著しい砲術科が人手を募集している。ただし扱うのは機銃である。当然肩身は狭い。前2者よりはマシな道だが、精々大尉までで少佐以上は難しい(全ての道で言える事だが)。

この3つが主な転科先だが、どれも先行きは暗い。だがそれにも係わらず、優秀な者程逃げ出していく。さながら沈没する船から逃げ出す鼠だ。

497 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:10:51 [ F04QFlfs ]

無理も無い。なにせ今建造される艦は、巡洋艦は雷装無装備、駆逐艦でさえ4連装発射管1基のみという有様だ。水雷科の将来は真っ暗である。


結局、行く先は陸上でのデスクワークとなった。窓際という奴である。もう艦長になるという夢は果たせそうにない。


畜生、最初から砲術科にすれば良かった。砲術なら絶対大丈夫だったのに。・・・水雷が駄目になるとも考えなかったけれど。


時々夢を見る。「大井」や「北上」の艦長として、アメリカの戦艦群に突撃する夢だ。

そんな夢を見た次の日は、必ずここに来るのだ。

「大井」と「北上」の哀れな姿は嫌でも自分を現実に引き戻す。辛いけれども必要な事だ。

自分の居場所はもう此処にはないのだから。


暫く両艦を眺めていた少佐は、やがて眺める事を止めて基地に向かい歩きだした。


途中一度も振り返ることはなかった。

498 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/29(金) 17:12:25 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。

499 名前:しおん◇K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/07/29(金) 18:42:32 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です
うう…水雷屋さん可哀想。
せっかく作った酸素魚雷も無用の長物に…
相手が木造もしくは木造鉄板張りな船では、当然魚雷の出番はありませんよね。
駆逐艦の主砲でもオーバーキル気味でしょうから、大艦巨砲主義にもこの修正の波は来るでしょうね。
大和に積むのは徹甲弾は言うに及ばず、通常弾どころか時限信管つきの榴弾ばかりになるのでは?
…何だか気を抜くと、この世界の技術水準に引っ張られて軍事技術が退化しそうですね。

500 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/29(金) 18:52:14 [ thcbRjfA ]
>>くろべえ氏
乙。切ないねえ、まるでベータを買っちゃったユーザーみたいだ。
ガレオン、バーゲンティン(これらすらオーバーテクノロジーかも知れん)は砲撃での攻撃がいいし
ラティーナやコルベットの肉薄攻撃も機関銃で相当できるだろうし・・・・。
これじゃバルカン魚雷艇(?)が活躍しそうだ。

501 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/29(金) 20:44:59 [ 7G.MQu9E ]
>>499
退化ってよりは進歩が遅れそうだな
まぁ兵器の進歩っていたちごっこだからな

対抗するために新たな兵器の開発とか
そういうのが薄れてしまうな

502 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/29(金) 23:34:30 [ pLzzU9vI ]
最初の異種族間カップルは帝国軍人と女ダークエルフさんのようですね。
転移の初期に知り合ったんだろうな。それをきっかけにダークエルフと
帝国の協力関係が始まったのか?
いづれ初期の話もかかれるみたいなので楽しみにしてます。

503 名前:DFC 投稿日:2005/07/29(金) 23:40:54 [ HJ2OE7G2 ]
投下お疲れさまです。
うーむ、魚雷がこんな目にあうってことは、関連技術(ソナーとか磁気探知)も進歩しなさそうですね。
F世界で水竜が戦場に登場して苦戦したりして。
P・S
後年、獣人・ダークエルフ・帝國人の血を引く『混血児』が生まれるとしたら、そのスペックはいかなるモノになるのでしょうか?

504 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/30(土) 04:48:29 [ BbUEfgGI ]
なんだか哀愁がただよってきますね
こいつらもそのうち解体されてしまうんじゃないですか?
使い道が無いですし。
あ、でも機銃や高角砲を多めに載せて対空護衛艦に改装するって手もありますよね

505 名前:490 投稿日:2005/07/30(土) 05:21:02 [ zXi6GRGM ]
>大尉殿は独身ですよ?

えっと、↓を見てダークエルフの大尉殿が既婚ではないかと判断したのですが、違いましたか?


408 名前: くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日: 2005/07/24(日) 11:02:12

>>403
>義弟から贈られたって・・・・すでにダークエルフと帝國の人間とに婚姻が確立しているのですか!?
実はこの時代には珍しく、恋愛結婚です。義弟は長く続いた武家の家で、爵位こそもちませんが士族で資産家です。

506 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 09:13:10 [ F04QFlfs ]
>>499
しおん様有難う御座います。

>相手が木造もしくは木造鉄板張りな船では、当然魚雷の出番はありませんよね
実はこの世界、大陸同士や島同士が近いこともあり、航海技術があまり進んでいないのです。まあ地中海のような穏やかな海を航海する程度ですか。

>駆逐艦の主砲でもオーバーキル気味でしょうから、大艦巨砲主義にもこの修正の波は来るでしょうね。
砲の場合はまだ陸上への「投射」という事で言い訳立てています。砲艦外交にも使えますしね。ただ改大和型4隻の建造には早くも異論が噴出しています。

>大和に積むのは徹甲弾は言うに及ばず、通常弾どころか時限信管つきの榴弾ばかりになるのでは?
もはや徹甲弾は用心のために「一応」搭載されている程度です。


>>500
有難う御座います。

現在の海軍は砲術科の天下(前からそうですがそれ以上に)です。対抗馬としては、航空が躍進しています。

あと各艦、機銃が増設されています。対空及び近接防御のためですが、それを操る人員の確保に頭を痛めています。

507 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 09:13:35 [ F04QFlfs ]
>>501
本編でも出てきてますけど、史実より兵器の開発がはるかに遅れて(停滞?)いますものね。一応、動員解除により生産レベルは史実よりも上の筈なんですけどね。


>>502
>最初の異種族間カップルは帝国軍人と女ダークエルフさんのようですね。
その通りです。

>いづれ初期の話もかかれるみたいなので楽しみにしてます。
有難う御座います。やはり省略されている昭和16年末〜18年前半の事も書きたいですね。


>>503
DFC様、いつも有難う御座います。

>うーむ、魚雷がこんな目にあうってことは、関連技術(ソナーとか磁気探知)も進歩しなさそうですね
必要ないですものね・・・。

>F世界で水竜が戦場に登場して苦戦したりして。
そこで捕鯨船ですよ(笑)!・・・いえ、冗談ではありません。転移初期の食料確保の為、よく捕獲したものです(現在でも捕獲しています)。まあ竜というよりも、そう呼ばれている大型海棲生物なんですけどね。

508 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 09:13:55 [ F04QFlfs ]
>>504
サッキ119様、いつも本当に有難う御座います!

>こいつらもそのうち解体されてしまうんじゃないですか?
このままでいくと、その可能性大ですね。後継の軽巡の建造も開始されましたし。

>あ、でも機銃や高角砲を多めに載せて対空護衛艦に改装するって手もありますよね
いま帝國海軍は人手(下士官・兵)不足ですからねえ。最近人手のいる空母とか陸戦隊とかも増強してますし・・・。

こいつら2隻に回す人員で駆逐艦4隻は動かせますから、多分海軍はそっちを選ぶでしょう。


>>505
大尉殿の妹さんが帝國人と結婚したんですよ。





・・・しかしこうして改めて本編とか読むと、帝國海軍がまるで冷戦後の米海軍みたいですね。くろべえの頭の中では、帝國海軍が生き残りの為に「フロム・ザ・シー」ばりの事をやってますし。

509 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 10:05:52 [ F04QFlfs ]
DFC様すみません。載せ忘れました!

>>P・S
後年、獣人・ダークエルフ・帝國人の血を引く『混血児』が生まれるとしたら、そのスペックはいかなるモノになるのでしょうか?

そうですねえ。あまり考えてませんでしたが、

①父母のどちらかの性質を継ぐ。ただし継がなかった方の性質も潜在的に遺伝するので、何世代か後に突然出現。

②両方の性質を大小の差あれど、両方受け継ぐ。ただ何世代か後に突然どちらかの性質を色濃く受け継ぐ者が生まれる可能性あり。

の2パターンでしょうね、きっと。



・・・答えになってないorz

510 名前:しおん◇K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/07/30(土) 13:46:37 [ r9DJpMoo ]
>>507
>大型海棲生物
リオプレウロドンみたいなやつでしょうか?
何でも25メートル以上になる凄まじくでかいのもいたとか。
ttp://www.geocities.co.jp/NatureLand/5218/riopureurodon.html

で、蜥蜴鯨とかいう実も蓋も無い名前をつけられていたりしてw

511 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:10:28 [ F04QFlfs ]
>>510
そうですね、こんな感じです。

でも自分で考えておいてなんですが、こいつ美味しいですかね?・・・というより食べられるのだろうか?

512 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:10:56 [ F04QFlfs ]
さて、SS投下。

513 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:11:48 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−0

0-1 第10歩兵団司令部

「ルンガ王国騎士団1000到着!」

「ケルト王国騎士団1200到着!」

諸王国の軍が到着する度に部下が報告する。さすがにこれだけ集まると壮観だ。帝國陸軍にはない『華』がある。

・・・しかし、まさかこんな戦国武将の真似事までする羽目になるとは。

思わず苦笑いがでる。今回の命を受け、慌てて戦国時代や中近世欧州の戦術を勉強しなおしたものだ。50の手習いというヤツである。


「第10集団全軍到着しました!」

第10歩兵団長は大きく頷いた。これで全部隊揃ったようだ。


さあ、大実験の始まりだ。

514 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:12:23 [ F04QFlfs ]
0-2

大陸同盟軍特別演習、通称『大特演』は帝國が大陸同盟軍を「使える」軍事同盟にする為の、非常に野心的かつ壮大な実験である。

大陸同盟は多数の中小国家の集合体である。その為動員できる兵力は最大でも精々1万前後、1千程度の都市国家も少なくない(例外としてロッシェルやロンバルキアのように数万の軍を持つ国があるが)。

それでも総兵力は数十万にもなる。『これを利用しない手は無い』と帝國が考えた方法は、極めて野心的なものだった。

同程度の兵力を持つ軍を集め、それを帝國軍が指揮しようというのだ。帝國軍の役割はあくまで指揮、火力支援および予備だ。一例を挙げれば、以下のようになる。


第10集団(集団長 帝國軍第10歩兵団長)
帝國軍第10歩兵団司令部
帝國軍歩兵中隊2個
帝國軍機関銃小隊2個
帝國軍野砲兵中隊1個(38式野砲4)
帝國軍速射砲中隊1個(94式速射砲4)
帝國軍通信隊
帝國軍段列(臨時編成)
諸王国軍5個(各1千程度)

上記の場合は現役師団である第10師団より部隊を抽出し、大隊規模の混成部隊を派遣している。総兵力も数千程度なので歩兵団司令部が指揮を行っている。

515 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:12:54 [ F04QFlfs ]
第110集団(集団長 帝國軍第110師団長)
帝國軍第110師団司令部(*予備役師団)
帝國軍歩兵連隊1個(1個大隊欠)
帝國軍山砲兵大隊1個(1個中隊欠、94式山砲8)
帝國軍野砲兵大隊1個(1個中隊欠、38式野砲8)
帝國軍機関砲大隊1個(98式高射機関砲12)
帝國軍通信隊
帝國軍段列(臨時編成)
諸王国軍3個(各1万程度)

上記のように総兵力が数万以上になれば現役師団より連隊規模の混成部隊を派遣し、予備役師団の司令部が指揮を行なう。

これらの集団をあつめて「混成軍」を編成、この「混成軍」を大陸同盟軍総司令部が指揮するのだ。今回帝國軍が占める割合は、大陸同盟軍の2割程度に過ぎない。この手法が上手くいけば、今後成立するであろう「大同盟」軍の標準編成となる。

516 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:13:19 [ F04QFlfs ]
何故このような手法を採る、いや採らなければならなかったのか?それは現在の帝國陸軍の台所事情と深い関係がある。

転移直後、帝國軍は総兵力270万にも達していた。しかし労働力の確保の為大規模な動員解除を行う羽目になり、このため帝國軍は総兵力130万と半分以下にまで激減した。

陸軍に限っていえば、約230万から実に100万にまで落ち込んだのだ!しかも航空戦力および重砲戦力は現状維持とされたので、歩兵戦力がその影響を一手に受ける事となった。

師団51個、混成旅団58個のうち現役に留まったのは師団26個、混成旅団28個。他は予備役として、司令部と装備の保管任務にあたる少数の人員のみの存在にされた。現役に留まった師団も実際に定員を満たしているのは3分の1以下、他はせいぜい充足率50%程度の平時編制にすぎない。100万もいながら、すぐに戦闘可能なのは10個師団相当に過ぎないのだ!

さらに悲劇は続く。やはり労働力の観点から、今後10年程は今以上の動員を行えないという研究報告がなされたのだ。という事は、後10年ほど僅か10個師団相当の戦力でなんとかしなければならない。師団数の圧縮による充足師団の増勢は不可能だ、これ以上のポストの減少はとても陸軍に受け入れられそうにない、なにせあれだけの大軍縮をやった後なのだ。


検討に検討を重ねた結果、兵力の不足を補うために帝國軍はこの世界の軍を使う事を決定し、今回大規模な「実験」に踏み切った。



大陸同盟軍特別演習、通称『大特演』の誕生である。

517 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/07/30(土) 21:14:26 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。

新章スタートです。

518 名前:DFC 投稿日:2005/07/30(土) 22:24:59 [ Q2U5NWn6 ]
投下乙です。
人員不足か、今も昔も体力不足は日本の弱点ですからね。当然の措置と言えるでしょう。
問題は完成にどれだけの時間が掛かるかですね。帝國としては、敵国に付け入る隙を見せたくないでしょうし。
P・S
海軍の方は『演習』を行わないのでしょうか?

519 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 01:01:39 [ xT8Ow6pc ]
>>518
>海軍の方は『演習』を行わないのでしょうか?

動力船と帆走船とじゃ、どうあがいても協調行動のしようがないと思われ。

520 名前:しおん ◇K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/07/31(日) 01:48:00 [ r9DJpMoo ]
>>519
速度も戦闘能力も桁違いですからね。
くろべえさんが地中海っぽい海と書いていたので、ガレー船のような気もします。

521 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/07/31(日) 01:57:20 [ r9DJpMoo ]
改めて…SS投下乙です
うーむ、苦肉の策ってところでしょうか。
中世レベルの軍隊と帝國軍の混成はうまく行くのか?
次の話が楽しみです。

522 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 03:18:51 [ nLLmBxmQ ]
しかし、まぁ、やっぱりダークエルフがか弱い弱者で
エルフが悪党扱いなんですな。

523 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 04:42:31 [ 4ajeW2MA ]
エルフは悪党というより『自分たちの世界』以外に無知なだけでわ?

524 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 09:35:23 [ eVeswFBo ]
>>動力船と帆走船 >>速度も戦闘能力も桁違い
日本の船大工が占領地に赴き、現地の船大工への指導の元、帆走も可能な遠洋漁船レベルの木造船建造。
コレにそれなりのエンジンや単装砲、機銃を載せて下っ端水兵に現地漁民とか使えば、それなりに使えるのでわ。

あと鹵獲した敵ガレー船とかに、不必要な区画排除&日本から持ってきた中古の焼玉エンジン載せて、
同盟国に供与して、独自の水軍を編成させるとか。

>>中世レベルの軍隊と帝國軍の混成
まずは大砲の火力で制圧。のちに「突撃喇叭!」ですな。

525 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 10:06:52 [ dvblaFz6 ]
信じられないが本当だ!スレまとめサイトより
ttp://karen.saiin.net/~clytie/
ttp://karen.saiin.net/~clytie/countries/germany/2reich.html
797 名前:名無し三等兵[] 投稿日:04/03/25 17:30 ID:KGhVp8OO
WW1時の仮装巡洋艦ゼー・アドラー及び、「最期の海賊」こと艦長フェリックス・フォン・ルックナー少佐の活躍こそ、
「信じられない本当の話」ではなかろうか。

ルックナー伯爵家は元来騎兵司令官を務めていた。
しかし大海原に憧れる嫡男のフェリックス少年は14歳で家出し、8年間を水夫として過ごし、望みどおり海軍士官となった。

1916年、ドイツ海軍は通商破壊に帆船を用いることを思いついた。
既に内燃機関が主流となっていたが、これは決して奇想天外な発想ではなかった。
なぜなら、帆船は燃料を必要としないという大きなメリットがある。
加えて重武装の施しようのないことから、敵の油断を誘いやすい。

ルックナー少佐が艦長に抜擢されたのは、その数奇な経歴が皇帝の目を引いた
ということもあるが、何より彼以外に帆船を操れる士官がいなかった。
イギリス製の「パス・オブ・パルマハ」に105mm砲2門と500馬力の内燃機関を搭載、
捕虜収容用の空間を追加した。
船名は「ゼー・アドラー」に変更され、偽名は「イルマ」とされた。
「イルマ」とは、ルックナー少佐がかつて愛した少女の名である。
798 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/03/25 17:32 ID:???
1916年12月21日に出航したゼー・アドラーは、クリスマスの日に
イギリス海軍の臨検を受ける。
しかし可愛い水夫を「寝込んでいる船長夫人」に仕立て上げ、
また書類の改変を前日までの嵐のせいにして誤魔化し、この場を切り抜ける。
そしてそのまま大西洋を南下、4ヶ月後にはドレイク海峡を回って太平洋を北上、
英米の商船を狩り続ける。
それは一隻の帆船によってもたらされたとは信じられないものであった。
獲物の中にはより強大な武装商船もあった。
20000t近い「ホーンガース」は火災を装ったゼー・アドラーを救助しようと不用意に接近、
突然の砲撃で無線アンテナを破壊され、
次いで「音だけは戦艦の主砲並み」の空砲で度肝を抜かれ、そのまま降伏した。
1917年8月2日に座礁大破するまで、この時代遅れの海賊船は連合軍に恐れられた。

これだけでも十分信じられないが、更に信じられないことに、
ルックナー少佐は獲物の乗組員を一人も殺していない。
このことで後にローマ法王より「人道の騎士」と賞賛される。
またゼー・アドラーの乗組員は大破後チリに抑留されるが、
病死した一人を除いて全員無事に帰国している。
そしてルックナー少佐は帰国後に、件のイルマとめでたくケコーンした

どうせなら、大陸同盟諸国水軍にこれをやっていただこうぜ

526 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/07/31(日) 12:17:50 [ BbUEfgGI ]
あー、それワールドウェポンに載ってたな
武装帆船って、かなり珍しかったから微妙に頭の隅に残ってた

527 名前:千葉が好き 投稿日:2005/07/31(日) 13:07:07 [ mSiubQ.I ]
SS乙〜
かなり大変そうだね。
ただ集めるだけではなく現地軍をどこまで指導するかだよね。
地上軍は多少火力の増強と指揮系統を指導するだけに
留めるかもしれないけど海軍はどうするんだろ。
内燃機関をこの世界にあまり広めてしまうと龍、魔法がない帝国の影響力も
弱めるだけだしね。

528 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 19:26:15 [ 8sF5t6Ug ]
内燃機関の有用性や構造が広く知れ渡ったとしても
製造に必要なだけの工業力なんて一朝一夕では育めないものだし、
帝國が供給したもの以外は鹵獲品くらいしか出回らないのでは?
仮に大量に鹵獲されたりしたとしても、敵国側では燃料が調達不可ですし。
「石油で動くそうだ」と原油そのまま入れて壊したりしそうですよね。

529 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/07/31(日) 21:50:32 [ rEDfdzmE ]
まぁ昭和初期の内燃機関なんて、滅茶苦茶稼働率悪いから日頃の点検整備が不可欠ですからね。
それに鋼材そのものの材質も軟いから、ボルトナット取り外すだけで、
ねじ山潰したりねじ切ったり・・・とかが関の山。

530 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/01(月) 00:04:45 [ sZTf.OAc ]
マスケット銃を製造させてナポレオニックな戦争をさせたら面白そうだな。
大砲はあるけど銃はないんだよね?

531 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 07:06:35 [ F04QFlfs ]
>>518
DFC様、いつも有難う御座います。

大特演は実験だけではなく、示威行動でもあります。だから・・・(ここから先は御免なさい)。


>>519
海軍はいままで他国との協調に消極的でした。共同作戦は不可能と考えていたからです。しかし今回の陸軍の行動により・・・。


>>520〜521
しおん様、有難う御座います。

地中海のような内海での行動がメインです。外海では沿岸での行動や、島伝いでの移動がせいぜいでしょう。その外海の向こうに帝國があります。


>>522〜523
ダークエルフはただの「か弱い弱者」ではない、とくろべえは考えています。そこでしか生きる道は無かった訳ですが、開き直って闇の世界で行動してましたしね。彼等は帝國の出現の意味を誰よりも早く理解し、帝國の懐深くに入り込みました。なかなかです。

エルフは外界の事にはあまり興味がありません。他種族に対する態度も「尊大」です。この世界の連中はエルフのそういう性質を知っていますし、エルフに対する憧憬が大なり小なりありますから(エルフ崇拝者までいます)それで済んできました。しかし帝國相手ではそうはいきません。帝國にとってエルフは「対話不能」、「己の実力もわきまえぬ蛮族」であり、エルフから見れば帝國は「生意気な人間」、「ダークエルフを保護する邪悪な者」、「世界の理を理解せぬ愚か者」です。相互理解の不足ですね。両者が歩み寄れる日は来るのでしょうか?


まあそういう話もあっていいのではないかと思いまして、こういう設定になりました。それにくろべえの頭の中で帝國軍人とエルフが話し合うと、こういう結果になりまして。

532 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 07:07:37 [ F04QFlfs ]
>>524
>同盟国に供与して、独自の水軍を編成させるとか
現在、武器供与は禁止されているんですよね。現在供与しているのはダークエルフにのみです(彼らには大量に供与しました)。次は獣人に対して少量供与される予定です。・・・実は帝國、まだこの世界の連中を信用していないのですよね。「武器供与の禁止」はそれを表しているわけです。ただ、今回の決定により一部処置が緩和されるでしょう。

>まずは大砲の火力で制圧。のちに「突撃喇叭!」ですな。
それがやりたかったのですよ。


>>525〜530
皆様、有難う御座います。

帝國は今回の決定を受け、武器供与を一部緩和する事でしょう。海軍も陸軍に刺激されて行動を起こすかもしれません。陸軍ばっかり影響力を強めるのは面白くありませんから。

武器の支給法は邦国には供与、同盟国には特価売却という形になるでしょう。こちらも商売なので、その後のアフターサービス(良心価格)でそれなりに小銭を稼ぐといった感じですか?問題はどこまでの供与を認めるかですね。

>どうせなら、大陸同盟諸国水軍にこれをやっていただこうぜ
外伝一本書けますね。

>大砲はあるけど銃はないんだよね?
一応、火縄銃程度のものがあります。ただ弓の方が(魔法援護の下なら)、威力・射程は同程度ながら発射速度ではるかに優れており、加えて安価です。だから全く広まっていません。騎士の鎧(魔法処理済み)がこちらの世界よりも丈夫な事も理由の一つでしょうね。

533 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/01(月) 10:57:59 [ r9DJpMoo ]
技術供与に関してなのですが、
彼らの技術レベルに合わせて、大陸同盟軍ヘは外洋航海型の帆船建造技術と先込め雷管式の
小銃作成法などの技術供与に抑えるのでしょうか?
というか、その程度に抑えないと彼ら自らの手でメンテナンスが出来ないような気がします。
帝国製兵器に関しては輸出するにしても、大陸同盟軍に行き渡らせる前に帝国国内の
生産能力がパンクしてしまう可能性が…

534 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/01(月) 11:12:09 [ nqhPtWkc ]
そういえばこの世界のエルフとダークエルフの違いはなんでしょう?
どうしてダークエルフは迫害されていたのでしょうか?

535 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 12:46:26 [ F04QFlfs ]
>>533
旧式の中古兵器をある程度売りつけてお茶を濁そうと考えていたのですが、やはりその方が良いでしょうね。帝國もいらぬ心配しなくて済むでしょうし。でも帝國儲けそこなった(笑)。

>大陸同盟軍に行き渡らせる前に帝国国内の生産能力がパンクしてしまう可能性が…
それはさすがに洒落になりませんよね。メンテナンスも大変ですし。


>>534
うわ、深い御質問!くろべえSSの暗黒面ですよそれは!・・・まあ冗談は置いておいて、お答します。

>エルフとダークエルフの違いはなんでしょう?
エルフとダークエルフの違いは、外見では肌が白いか黒いかの差だけですね。ただダークエルフが黒いといっても少し浅黒い程度です。

あと男性ではダークエルフの方が逞しい体つきかな?エルフは華奢ですね。ただ女性同士を比較すると体格差は殆どありません。

536 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 12:46:52 [ F04QFlfs ]
>どうしてダークエルフは迫害されていたのでしょうか?
ダークエルフは呪われた邪悪な存在として忌み嫌われています。その「存在」すら認められていません。いえ、正確には「存在」すら許されない存在と言った方が良いかも知れません。

何故ダークエルフはこの様な扱いを受けているのでしょうか?ダークエルフに対する差別は遥か昔から存在している事は確かですが、今となってはその理由さえ分かりません。なにしろ一切の研究が行われていない(出来ない)のですから・・・。

古い民間の伝承にはダークエルフの事がいくつか語られています。

①ダークエルフは嘗て魔王の僕であった。
魔王とは太古の昔に存在した「悪魔」の王です。あくまで伝説の存在であり、御伽噺のような物です。

②ダークエルフは邪神を崇拝している。
おかしな話です。この世界の考えでは、いかなる神も(少なくとも宗教的・国家的には)「邪神」呼ばわりする事など許されません。神は人を超越した存在なので、人が断罪する事などできないのです。おそらく①と被っているのでしょう。

③ダークエルフはエルフの犯罪者。
嘗てエルフの中で禁忌を犯した者達が、追放される際罰として肌の色を変えられて「ダークエルフ」となった。という言い伝えです。これもおかしな話です。何故エルフの犯罪者を人がそこまで忌み嫌われなければならないのでしょうか?人には関係の無い話です。しかもダークエルフとエルフを比較すると知力・魔力は同等ですが、体力、生命力はダークエルフの方が遥かに上です。エルフの方が遥かに長寿ではありますが、それはあくまで「神聖なる聖地」に住んでいての話であり、そこから出ればエルフの寿命は人と変りません。いえ、虚弱な分かえって早死にです。おそらくエルフ崇拝とエルフがダークエルフを非常に嫌っている事から作られたお話でしょう。

537 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 12:47:10 [ F04QFlfs ]
・・・こうして見ると、どれも説得力に欠けていることが分かります。まあダークエルフが非常に忌み嫌われている事は分かります。差別している人々に聞いても納得できる理由は返ってこないでしょう。もしかしたらエルフの長老なら何か知っているかもしれません。

ただダークエルフが闇の仕事を行っている事が事態を更に悪化させている事は否めません。



現在この状況に変化がおきています。帝國直轄領ではダークエルフが闊歩し、代わりにエルフが入国(入領?)禁止となっているのです。エルフは滅多に外界に来ませんけどね。この処置はダークエルフに対する帝國の配慮からですが、別の意味でとっている者も少なくありません。

538 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/01(月) 13:01:37 [ 28Zigou6 ]
ダークエルフの生活観というかモラル面というか、エルフなんかと比べて世俗的なんすかねぇ〜

たとえば帝國将校とかが戦友のダークエルフ将校を芸者遊びとかに連れ出した場合、
カルチャーショックでかかったり、逆にはまってしまい「ゲイシャガールさいこー!」
みたいな展開とかあったりして・・・。

539 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/01(月) 13:56:06 [ BbUEfgGI ]
つまり、元々は同じだとしても過去に分かれて聖地で暮らしたものが今のエルフ、よその土地に出て行ったのがダークエルフって事ですかね。
長い時間をかけて別の生物になったと考えれば納得できます。

聖地でぬくぬくしてた温室育ちのエルフよりも、外で逞しく育った雑草のようなダークルフのほうが強いのは当たり前ですね、そら体力が違うわけだ。

540 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/01(月) 15:44:30 [ r9DJpMoo ]
御伽噺で『魔王』とされる何らかの抑圧的な存在に手を貸し、その後は闇の仕事をしている事で汚れ者なイメージが固着したということでしょうか。
差別に関して言えば、深く考える必要はないかと。
人間という動物は『何となく』とか『伝統だから』という、何の根拠も無い理由で他者に優越感を持ち差別できるという変わった生き物ですから。

541 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/01(月) 20:00:25 [ nqhPtWkc ]
お答えありがとうございました。
原因はともあれ一旦迫害される側になってしまうと固定化してしまってなかなかそれを覆すのは
難しいって事ですね。
迫害されているから賎業につかざるを得なく、さらに迫害されると。
ダークエルフの方が体力的に優れているのも納得できます。隠れ里なんかが見つかって逃げる
時に体力がない者は逃げ切れず淘汰されてしまったでしょうから(涙
ダークエルフが日のあたる場所に出るために賭けた気がわかりますね。

ダークエルフの生活観は柔軟だろうな。森の木を切るな、森で火を焚くななんてやってれば
生き延びにくいだろうし。
憧れもあって帝国の文化はどんどん受容されそう。
すでにSSにも日本刀で居合いやってのける大尉さんいるし♪

542 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:55:37 [ F04QFlfs ]
>>538
>ダークエルフの生活観というかモラル面というか、エルフなんかと比べて世俗的なんすかねぇ〜
そうですね、考えはかなり柔軟です。ただ一族の掟に関しては厳しいですよ?

>たとえば帝國将校とかが戦友のダークエルフ将校を芸者遊びとかに連れ出した場合
上官に連れられたりして、そういう場面もあるでしょう。でも将校に列せられるクラスのダークエルフならそれなりに遊び慣れているんじゃあないかなあ?


>>539〜540
少なくとも帝國はそのように解釈しています。多少はダークエルフについて調べたのですね。


>>541
お分かり頂けたのなら幸いです。

>原因はともあれ一旦迫害される側になってしまうと固定してしまってなかなかそれを覆すのは難しいって事です

絶対的な強者の下、長い間保護されれば或いは差別が風化されるかもしれません。非常に困難な事であり、成功率も低いでしょうが。

543 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:56:34 [ F04QFlfs ]
さて、SS投下!

544 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:57:05 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−1

1-1

38式野砲が「敵砲兵」の射程外から砲撃を行い「敵砲兵」を牽制・制圧し、94式速射砲は1000mの距離まで進出して「敵拠点」の撃破する。重機がこれらの援護の下肉薄し、「敵の陣形」を崩す。「敵陣」は大きな混乱に陥ったと「判定」された。


「さすがレムリアを叩きのめした帝國軍砲兵!見事なものです。」

「まったく、僅か10門に満たぬとはいえ、100門の魔道砲にも匹敵しましょう!」

「これだけのお膳立てをして頂ければ、後は帝國のお手を煩わす訳にはまいりませぬ。仕上げは我等にお任せを。」

帝國軍火力支援の実演を見た諸将は口々に褒め称える。最初に支援兵力の少なさを見た時の不審げな態度とは雲泥の差である。百聞は一見にしかずとはこの事だろう。

545 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:57:32 [ F04QFlfs ]
彼等の最初の懸念は当然だけどな。

第10歩兵団長は思う。

第10集団は総員6500の旅団級の軍である。その重火力が僅か38式野砲・94式速射砲各4門、後は重機が4挺である。

少なすぎる。最低でも倍は欲しい。

それは第10歩兵団長の率直な思いであった。軍砲兵と航空部隊の支援が一応約束されてはいるが、彼にはそんな空手形はとても信用できるものではなかった。

そもそも帝國軍の優越性は、その圧倒的な砲兵戦力と航空戦力にある筈である。それがこの体たらくでは!グラナダにおける完勝とて圧倒的な砲兵戦力あればこそではないか。

そこまで考え、急に笑いが込み上げてきた。

圧倒的な砲兵戦力と航空戦力だって!?

彼の脳裏には、ノモンハンにおける圧倒的なソ連砲兵の火力が浮かんでいた。

本当の砲兵戦力とはああいうものをいうのだ。それがどうだ!我々はたったこれっぽっちの砲の配備すら惜しんでいる。それで「圧倒的な」砲兵戦力だって?悪い冗談だ、まるで鳥なき里の蝙蝠じゃあないか。

彼は自虐的な笑みを浮かべた。

だがその笑みの意味を理解した者はいなかった。周囲の者には「強者の余裕」としか映らなかったのだ。

彼は周囲の視線に気付くと笑みを止め、厳かに言った。

「さて、今度は諸卿の番です。貴軍らの戦い振りをお見せ下さい。」

546 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:57:50 [ F04QFlfs ]
1-2

「突撃!」

砲撃後、各騎士団が次々に突撃する。その姿は実に華々しく、まるで絵物語のようである。

しかし相互の連絡手段は伝令に頼るしか無く、統制した進退ができない。また一度突撃すれば帝國軍自慢の火力支援が困難−というより不可能−になるため、突撃のタイミングが非常に難しい。

やはり突撃は最後の手段だ。第10歩兵団長は改めてそう思う。

連中の白兵戦は馬鹿にできない、白兵戦に持ち込まれたら帝國軍でも不味い。負けないとは思うが大損害を受けるだろう。騎士の防御力は洒落にならないのだ。だがそれとこれとは話が別である。

まずは相互の連絡手段、指揮系統の確立。さらには相互支援や散兵戦術などの伝授。やるべき事は山ほどある。いったい使い物になるまでどの位かかる事やら。

だがその前に「事」が起きたら?

今回の演習のように火力で制圧。その後に突撃を命じ、後は各国騎士団の判断に任せるしかない。

やれやれ、本当に戦国武将になったようだ。きっと彼らも諸豪族の軍の統制に苦労した事だろう。

547 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:58:31 [ F04QFlfs ]
1-3

夜も更け、第10集団司令部では親睦の意味もこめた会食が行われていた。暫くは何気ない雑談であったが、話はやがで本題に入っていく。

「将軍。この度の『演習』いつまで?」

ルンガ王国騎士団長が意味ありげに問いかける。いつまで演習の真似事をしているのか?という意味である。

やはりただの演習とは思ってはいないか。

第10歩兵団長は内心溜息を吐く。皆が今回の演習はレムリア侵攻のための芝居だと思っているのだ。まあこれだけ兵や物資をかき集めておいて、「ただの演習です」は通じないだろう。

それに彼等の考えもあながち間違ってはいない。あくまでこれは秘密なのだが、終戦交渉が不調に終われば本当にレムリアに侵攻する事になるのだ。

「さて、それは総司令部の判断です。」

だがそんな事は表に出さずに惚ける。諸将も追求する気は無いようで、あっさりと引っ込む。

548 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:58:49 [ F04QFlfs ]
「そうですか。ですが『いざ』という時には我等ルンガ王国騎士団に先陣をお任せください。」

「いえ、我等ケルト騎士団にこそ先陣を!」

「いや!我等にこそ!」

たちまち諸将が騒然とする。話を引っ込めたのは良いが、もはや彼等の頭の中には「レムリア侵攻」は既成事実となっているらしい。やる気満々である。

これが話に聞く、先陣争いというやつか。

だが感心してはいられない。国境のすぐ向こう側にはレムリア軍が警戒しているのだ。彼等の鼻息ではいつ軍事衝突が起きるかわからない。そして偶発的な戦闘による戦争の拡大は帝國の望む事ではないのだ。


これは・・・、しっかりと手綱を握っておく必要があるな。


彼は今後の事を思い、もう一度溜息を吐いた。

549 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/01(月) 20:59:17 [ F04QFlfs ]
SS投下終了!

別名「少将閣下の憂鬱」です。諸国軍の指揮に苦労の連続なのです。

550 名前:DFC 投稿日:2005/08/01(月) 21:39:48 [ indTMAx2 ]
投下乙です。
砲戦力不足はハッタリで誤魔化すしかないでしょう。
戦場ではハッタリはかなり重要と思われます。相手を混乱させてその隙を上手く突くのが『軍師』の役割でしょうし。
>騎士団
基本的に功を焦る猪武者なんですかねぇ? 
彼らから見れば強大な帝國の爵位は喉から手が出るほどに欲しいんでしょうね。
帝国的には今回の戦争は、「交渉による終結で寛大さを他国にアピール」するのと、「徹底的に叩き潰して軍事力を他国にアピール」のどちらが良いのでしょうか?

551 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/01(月) 22:20:21 [ 4ajeW2MA ]
「交渉による終結で寛大さを他国にアピール」に一票。
「徹底的に叩き潰して軍事力を他国にアピール」を行った場合
本来の歴史での幻の本土決戦か、第二の泥沼の中国戦線になりかねないし。
ロッシェル王国のようにするのが一番じゃないかな。

552 名前:551 投稿日:2005/08/01(月) 22:23:13 [ 4ajeW2MA ]
>ロッシェル王国のようにするのが一番じゃないかな。
ごめん、間違えた。条件付の限定戦争にすべきだと思うに

553 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/02(火) 08:42:08 [ UnZbJb12 ]
「交渉による終結」に一票。
だけど長引く交渉にの間に、先走る他国軍が近場の町、村への略奪行為になんてのも有りで。

554 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/02(火) 10:25:56 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です
>そして偶発的な戦闘による戦争の拡大は帝國の望む事ではないのだ。
うーむ、さすがの帝國も日中戦争で、そういう展開は懲りたようですね。
しかし王国同盟軍の騎士団ってば、張り切っていますね。
しっかり手綱を締めておかないと、功をあせって暴発しそうw
あとは停戦に傾きつつあるレムリアの動向も注目です。
大特演の部隊は帝國軍単独ではなく、しかも既存の戦力で対抗可能なこの世界の騎士団。
レムリアとしては停戦交渉を行うにしてもその材料としてここで一発食らわせておかないと、どういう条件を突き付けられるのか分からないと考えたりするかも知れませんね。

555 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 14:14:34 [ F04QFlfs ]
>>550
DFC様、いつも有難う御座います。

>砲戦力不足はハッタリで誤魔化すしかないでしょう
まあ「運用の妙」でなんとかするしかないでしょうね。

>彼らから見れば強大な帝國の爵位は喉から手が出るほどに欲しいんでしょうね。
というよりレムリアを滅ぼして分け前(領地)にありつきたいのでしょう。さすがに独立国の家臣が他国の爵位を貰うのは不味いです。


>>551〜553
御免なさい。これからの内容に係わるのであまり言えないのですよ・・・。

ただ帝國はこれ以上の戦争継続は望んでいません。


>>554
しおん様、有難う御座います。

>しっかり手綱を締めておかないと、功をあせって暴発しそうw
帝國が一番心配している事です。

>レムリアとしては停戦交渉を行うにしてもその材料としてここで一発食らわせておかないと、どういう条件を突き付けられるのか分からないと考えたりするかも知れませんね
実はレムリアは王の死去により混乱しています。王の死を隠していたのですが、帝國が噂を広めたので発表するはめになりました。ダークエルフ大活躍です。

556 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:45:06 [ F04QFlfs ]
SS投下!

557 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:45:45 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−2

2-1 大陸同盟軍総司令部

大陸同盟軍総司令官兼、帝國派遣軍総司令官は頭を抱えていた。

これで一体何人目だ?

彼の目の前では某国の将軍が演説を行っていた。聴衆はもちろん彼1人である。殆ど聞いてはいないが、言いたい事は分かっている。

だからレムリア侵攻を、だ。

ここ数日、同じ様な意見具申が各国の諸将からなされている。今回のように1人で来るならまだマシな方で、だいたい数人−多いときは10人以上−でやって来るのだ。鬱陶しい事この上ないし仕事の邪魔でもある。だが応対しない訳にはいかない、何故なら帝國は彼等の盟主なのだから。


「我等が大陸同盟軍の兵力はレムリアを圧倒しています!」

彼が他の考え事−如何にかして逃げ出せないか−をしている間に、話は佳境に入ったようである。

558 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:46:06 [ F04QFlfs ]

まあ基本的に間違ってはいないけどな。

レムリア軍は軍管区制を採用している。東西南北に中央の5個「総軍」である。そのうち東方総軍はグラナダで壊滅した。残っているのは留守部隊程度である。わが大陸同盟軍と向かい合っているのは北方総軍で、留守部隊や地域警備隊を除外した野戦軍総兵力だけで10万以上を誇る。

ただし本来ならば、だ。

彼は心の中で付け加えた。10万以上という数字は諸侯軍や属国軍を加えての事である。現在諸侯や属国の動揺が激しく、とてもこれだけの兵は集められないのだ。更に悪い事に不穏な動きすらあり、これに対する備えの兵も手当てしなければならない。

まあ5万も動かせれば上出来といった所か。

彼の指揮下の大陸同盟軍は30万、寄せ集めとはいえ圧倒的だ。他の総軍からの援軍も当てにはならない。彼らもそれぞれの担当区域を空にはできないし、やはり同様の事情を抱えているのだ。恐らく他の3個総軍合わせても5〜6万程度がやっとであり、それも空白になった東方総軍へ派遣される事だろう。ああ、中央総軍を空にする気なら後3万ほどは捻り出せるかもしれないが。


諸将もそれが十分に分かっているからこそ、ここまで強気なのだろう。将軍の演説はますます勢いを増し、一向に終わらない。

559 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:46:52 [ F04QFlfs ]
「レムリアなど腐ったドアの様な物です!ひと蹴りで粉砕できましょう!」

「『手負いの虎』という言葉もありますぞ?」

どこかで聞いたような言葉だなと思いつつも反論する。どうやらどこの世界でも人間の考える事はみな同じらしい。

「レムリア王が崩御し、混乱している今こそ最大のチャンスなのです!」

「だからこそ、です。帝國は崩御したレムリア王の死を悼んでおります。」

帝國派遣軍総司令官は言い含めるように答える。

「王を失い、混乱にある国を攻める。そのような火事場泥棒のような真似を帝國にしろと?まさか卿はそのような事を仰るのですか?」

「いえ・・・、それは・・・」

とたんに将軍は口ごもる。

「帝國は盗人のような真似はしません。もし戦うのならば清々堂々と戦いましょう、グラナダのようにね。」

その言葉に将軍の肩が震える。彼とて『グラナダの悲劇』の事は知っているのだ。

「帝國はレムリア王の死を悼み、レムリアにチャンスを与えました。これは帝國の決定です。それとも卿は帝國の決定に異論がおありですか?」

これが決定打だった。将軍は真っ青になり、慌てて弁解する。

「いえ、私はあくまで帝國の為を考え、愚考したまでの事です。それが帝國の決定でしたら何の異論がありましょう。」

そう言うとそそくさと退室していった。


やれやれ、この文句は実に効果的なのだが出すタイミングが難しい。

560 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:47:22 [ F04QFlfs ]
2-2

やっと仕事に入れると思った矢先、また副官が来客の報を告げる。とうとう総司令官は癇癪を起こした。

「俺はいないと言え!」

「グラディア閣下ですが・・・。」

副官の返事を聞き、総司令官は途端に態度を変える。

「何故それを早く言わん!早速お通ししろ!・・・いや、俺がお迎えする!」

総司令官は慌てて部屋を出ようとするが、それを呼び止める声が聞こえた。

「お忙しいところすみません、閣下。」

「グラディア殿、お恥ずかしいところをお見せしました。」

来客は初老のダークエルフで、帝国陸軍少将の軍服を着ている。彼こそが陸軍に所属するダークエルフを束ねる男だった。彼はダークエルフの『長老』家の当主で、帝國伯爵でもあるダークエルフの重鎮だ。

561 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:47:43 [ F04QFlfs ]

「いろいろ大変そうでしたな。」

「聞いておられたのですか?ならば始めから・・・。」

「いえ、まさか彼の目の前に現れる訳にはいかないでしょう?」帝國軍少将の軍服を着て。

グラディア少将は意味ありげに笑う。だが言いたい事を察した総司令官は破顔して言った。

「いいではないですか、見せ付けておやりになれば!そうすれば連中も『時代の流れ』という物を少しは知るでしょう!」

それを聞き、グラディア少将は曖昧に頷いた。

総司令官はそれがどういう事態を招くか考えて言っているのだろうか?いや彼だけではない、帝國人は我々ダークエルフを重用する事の意味を少し軽く考えているようだ。まあ付き合い易くはあるが。帝國直轄領でエルフを入領禁止としたのも早計だ。我々の事を考えてくれるのは有り難いが、これではまるで我々が帝國を唆してやっているみたいじゃあないか。

内心溜息を吐く。だが帝國人が大切な友人である事に変わりない。そこまで考えが及んだ時、総司令官の声が聞こえた。


「ワインをお飲みになりますか?とっておきの奴があるのですよ。」

562 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:48:06 [ F04QFlfs ]
2-3

「これは!一体どこで手に入れられたのです?」

ワインを飲んだグラディア少将は思わず訊ねる。このようなワインはいままで飲んだ事がない。

「フランスですよ・・・。」

総司令官はどこか悲しげに答えた。


「フランス・・・。確か帝國が元いた世界における列強が一つでしたな。」

グラディア少将は帝國本土で得た知識を思い出す。

「ええ、既にドイツに占領されていましたがね。」

「帝國も列強の一つだったそうで。」

「ええ、決して『最強』ではありませんでしたがね。まあ列強に名を連ねる程度の『力』はあったと思いますよ。」

563 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:48:27 [ F04QFlfs ]
総司令官の言葉は驚くべきものだった。これ程の『力』をもちながら最強ではない?ただの『列強』に過ぎないと?

「正直信じられませんね・・・。」

「英国、フランス、ドイツ、イタリア・・・まあ1対1で戦えば勝つ自信はありますよ。先に根を上げるのは向こうでしょう。ソ連・・・まあ勝てないまでも負けない戦はできるでしょう。だが、アメリカは・・・、どうあがいても無駄ですね。転移前なら口が裂けても言えませんでしたけどね。」

総司令官は複雑そうな表情だ。まあ彼ほどの高位の軍人がそう言うのは内心忸怩たるものがあるだろう。

「ですからこの世界に来て内心ホッとしているのですよ。正直、もういかんと思っていましたから。」

まあ向こうの酒が飲めなくなったのは悲しいですけどね。と付け加える。

「だからこそ、この世界では慎重にやらなければいかんのです。今回の戦もこれで手打ちにしなければ。」

総司令官の真剣な言葉に頷いた。そういえば彼は陸軍の大軍縮を、身を呈して断行した者の1人だった。きっと前の世界での事を後悔していたのだろう。

564 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:48:51 [ F04QFlfs ]
2-4

「交渉の具合はどうです?」

総司令官は本題に移った。グラディア少将はレムリア情勢の報告に来たのだ。

「難航しています・・・。というより、交渉相手すら定まりません。」

グラディア少将は溜息を吐く。

レムリア王崩御は突然の事で、後継者が決まっていなかったのだ。いや今まで先送りにしていたというのが真実だろう。

レムリア王には沢山の王子がいたが、皆妾の子だったのだ。それぞれに思惑を持った貴族が後ろ盾になっていて、レムリアは大混乱に陥っていた。なにせ未だに王の葬式すら出せないのだ。

「未だに王位を巡って争っています。」

「この非常時に?」

王位を押し付け合っているのならば分かるが。

565 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:49:26 [ F04QFlfs ]

「まあ、国が滅びる時というのはこんなものでしょうね。」

「待って下さい!勝手に滅びられては困ります!誰がその後始末するのですか!」

「帝國でしょう?」

帝國が滅ぼしたのだから。

「そんな面倒臭い事に係わるのは御免です!」

それは彼の心からの叫びであるとともに、帝國の叫びでもあった。

今回の戦争はあくまで示威行動である。これにより大陸同盟を始めとする国々を自陣営に組み込む事が目的だったのだ。その目的は既に達した。後は多額の賠償金をせしめられれば文句なしである。そう、交渉の目的は『賠償金』なのだ。決して『レムリア王国』ではない。


帝國は現在それなりの領地を獲得しているが、これが曲者である。なにせインフラを一から整備しなければならないのだ。そんな無駄金は帝國にはない。ただでさえ莫大な投資をした満州以下の植民地を永遠に失ったばかりなのだ。

このうえ更に混乱したレムリアの面倒まで見ろと?冗談じゃあない、兵と金が幾らあっても足りないだろう。第一、レムリアにはこれから金蔓になってもらわなければならないのだ。

566 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:49:49 [ F04QFlfs ]
帝國がこれほど賠償金に拘るのには切実な理由があった。賠償金は帝國がこの世界で活動する上で是非とも必要なのである。

この世界での主要貨幣は金貨や銀貨、つまり貴金属なのだ。これでは帝國の通貨はとても貨幣とは認められない。いろいろ努力した結果、なんとか帝國直轄領では通用するようにはなったが、外国との貿易は今でも殆どが物々交換という有様である。

いままではそれで何とかなった、しかしこれから盟主として振舞うつもりならそうはいかない。是非とも大量の金銀が必要なのだ。レムリアからなら大金をせしめる事が出来るだろう。


「どうにかならないのですかね?」

「帝國使節団の方々と同じ事をお聞きになる。」

グラディア少将は苦笑する。

「まあ馬鹿王子や中央の貴族共の危機意識が足りないのですよ。しかも王位に目が眩み、頭に血が上っているんですな。」

総司令官の問いに、グラディア少将は露骨な表現で状況を言い表した。



「だから頭に少し冷水をかけたらどうですか?」

567 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/02(火) 22:50:22 [ F04QFlfs ]
SS投下終了!

568 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/02(火) 23:42:27 [ ThG9EvTQ ]
乙です!
このまま行くと冷水かけるために一発戦争ですね!
もし戦争なら大特演の効果が少しは出るのかな?

569 名前:DFC 投稿日:2005/08/03(水) 00:40:50 [ Q.pEuR7Y ]
投下乙です。
帝國としては、暗君の後始末など御免蒙りたいところですからね。
冷水には何が良いでしょう? 
小規模空爆? 首都進攻? テキトーに難癖つけて王族を何人か処刑(流石にコレはいかんか)?

570 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 01:52:05 [ ThG9EvTQ ]
冷水ならレムリアのどこかの港に大和の艦砲射撃なんてどうだろう?
あれなら申し分ない

571 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 03:27:17 [ nqhPtWkc ]
首都空爆かなぁ。帝国はとっとと止めにしたいわけですし、
話の通じない馬鹿が王様になっても困る。
SSにあるように王位を押し付けあう状態にして、「俺がやらなきゃ」
と思うような責任感のある王子?を引っ張り出すと・・・

572 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 03:37:12 [ mSiubQ.I ]
これが普通のスニー○ー文庫的なファンタジーなら遺児が逃げ延びて
数十年後に竜やエルフの軍団を大同団結し仲間にして英雄として悪の帝国を
倒しにくるだろうな。

573 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 09:13:31 [ Lpqim9j6 ]
そして勢いのまま帝国の勢力圏を脅かすも農民の支持をまったく受けずに
叩き出される……っと。
農民の支持……?そうだ!共産主義があれば!

574 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/03(水) 10:38:06 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
>だから頭に少し冷水をかけたらどうですか?
レムリアの首都へ一式陸攻で戦略爆撃でもやるのでしょうか?
ワイバーンも上がって来れない限界高度ぎりぎりまで上昇して王城近辺の貴族居留地域へ無差別爆撃すれば、連中に無力感を叩き込む事も可能でしょうが…
でもこれじゃあ、まるっきり戦争末期の日本ですね。

>>573
アカい勇者が生まれるわけですかw
帝國を倒す為に《世界同時革命の剣》を求めて旅に出るわけですね。
というか、封建制度と共産主義が化学反応を起こすと主体思想に…

575 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 19:05:13 [ s.zNlNrM ]
できることなら敵国を滅亡させずに降伏させるにゃらっぱり首都爆撃だな
チラシ巻いても読める人間は限られているだろうし王宮庭園のバラに信管除去済みの爆弾を
一式陸攻で落としにいけばいい。

576 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 19:20:04 [ Lpqim9j6 ]
>>575
実際に被害が出てしまうともう双方とも刀を納められないので
精神的ショックを与えるには細心の注意が必要ですね
王宮に模擬爆弾投下はやりすぎかもしれない
せいぜい主要都市にビラまき+港湾に大和出現、でいったん様子見するぐらいが
いいんじゃないかね。

577 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 20:09:35 [ nqhPtWkc ]
問題はへたな事すりゃ余計混乱、講和するにも相手がいない・・・
大臣、国乗っ取れ!

578 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 21:41:12 [ r9DJpMoo ]
相手国の国民に心底から敗戦を自覚させなければ、かえって泥沼になりそうな気もするのだが。
例えばイラクのように。

579 名前:rx 投稿日:2005/08/03(水) 22:00:32 [ .55bWIBE ]
>>578
占領統治した場合はそうなりますね。占領統治しないのなら問題ないでしょう。
ただ、他国と戦ってるときにソ連のように騙し討ちしてくる可能性は十分ありますが。

追伸 くろべえさんへ
感想が増えて返事を書くのも時間を食うと思うのでスルーしてください。

580 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/03(水) 22:42:16 [ Lpqim9j6 ]
>>579
この世界の国が条約等の国家間の約束事をどの程度重視するか、
どの程度拘束力があるか、それに関する各国の傾向などは十分に研究されてしかるべきだね。
ただ、こういうことは帝国は苦手そうだな・・・政策に科学的手法を取り入れるのは
アメリカが得意なんですけどね。(数学のゲーム理論を応用した外交的手法、ケインズ理論に
基づく市場調整など) 
帝国はリアルの日本とは違ってこういう考え方は誰にも教えてもらえないわけだ。
F世界に放り出されて、自分達が世界を引っ張っていく立場になったとき、日本人はどのよう
に変化していくのだろうか。今の優位性に胡坐をかいて進歩をやめてしまうのか、はたまた
独自のオリジナリティーを発揮して新たな領域を切り開くか。
ダークエルフにおんぶに抱っこでは先が危うい。未来は常に不確定である。

581 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/03(水) 23:35:26 [ F04QFlfs ]
皆様、沢山のご感想本当に有難う御座います。

「冷水」には何が良いか?帝國では現在複数の案が検討中です(汗)。これに関しての返事は御容赦を。


>帝國としては、暗君の後始末など御免蒙りたいところですからね。
帝國としては賠償金(金銀。宝石でも可)を貰ってさっさと終わりにしたいところです。日清戦争の夢よ再び!

>英雄として悪の帝国を倒しにくるだろうな
成る程、ダークエルフを従える帝國はいかにも「悪の帝国」ですね。もしかして御伽噺の魔王の復活(レス536参照)とか勘違いされたりして。

>そうだ!共産主義があれば!
そこで治安維持法ですよ。

>アカい勇者が生まれるわけですか
そんな勇者は嫌すぎですね・・・。

>問題はへたな事すりゃ余計混乱、講和するにも相手がいない・・・
帝國としても頭が痛いです。帝國軍は現在北部・東部の国境に待機していますが、圧倒的に優位であるにも係わらず侵攻しようとはしません。これは後に「奇妙な戦争」と呼ばれます。

>相手国の国民に心底から敗戦を自覚させなければ、かえって泥沼になりそうな気もする
この世界では「貴族」に自覚させなければ無理でしょうね。国民の力は強くない(自治都市を除く)のですよ。自覚もありませんし。

>この世界の国が条約等の国家間の約束事をどの程度重視するか、どの程度拘束力があるか、それに関する各国の傾向などは十分に研究されてしかるべきだね
恐ろしい事に、ダークエルフに殆ど丸投げです。未だ外交網が整っていない等の理由がありますが・・・。

>F世界に放り出されて、自分達が世界を引っ張っていく立場になったとき、日本人はどのように変化していくのだろうか
それがテーマの一つです。「あの戦争」を知らない帝國は何処へ行くのか?

582 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 02:28:28 [ Fpc0Cnfg ]
しかしこれで賠償金が取れなかったら帝國大損だな。
帝國の歳出に占める軍事費の割合ってどのくらいなんでしょね?

583 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 11:09:45 [ F04QFlfs ]
>帝國の歳出に占める軍事費の割合ってどのくらいなんでしょね?

そうですねえ、あくまで丼勘定ですが、

史実では昭和17年度軍事費総額約188億円、昭和17年初頭の陸海軍約270万人。(だっけ?)

くろべえ世界では130万人なので、188億円×130万人/270万人≒91億円。

まあ①大規模な戦争を行っていない、②建艦を抑制している(18年現在)、③兵力は増加していない、事を考えると91億円の約半分〜2/3の50〜60億円が軍事費かな?

50億円でおさまるといいけど、ちょっと厳しいかもしれませんね。

という事は、国家予算を100億円として50〜60%くらいですか?

(くろべえは大雑把に国家予算100億円、軍事予算50億円と考えていました。できれば50%以下にしたかったのです。)

584 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 16:59:15 [ zeLnApqc ]
予算100億はちと少な過ぎかと…
一応、国債や軍債も発行してるんですからかなりの額になるはずです。

585 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 18:33:43 [ M7LRvXB6 ]
金食い虫の朝鮮半島が無い分経費は浮く。

586 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 18:39:22 [ ThjEVAQ6 ]
待て待て、台湾経営もないぞ

587 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 18:42:13 [ BW3UOQw6 ]
586氏、ついでにいうならサイパンなどの南洋諸島もないぞ

588 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 18:58:34 [ IXvhkegI ]
そういや、この時点で日本国内にかの国の在日はどのくらいいるんやろ?

各地の炭鉱や鉱山とかでかなりの数がはたらいとるんやろか?

589 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 19:27:13 [ WGR9fXYA ]
>>588

>>132

590 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 20:17:34 [ Lpqim9j6 ]
元の世界で植民地に行ってた金はそのまま帝国が獲得した領土に向けられるのでは?

591 名前:rx ◆dopZsMf8GU 投稿日:2005/08/04(木) 20:55:25 [ .55bWIBE ]
>>590
>>418…いま帝國では「あの金で国内を開発すべきだった」と後悔の真っ最中です。

>>588
元の世界で史実より北は数年、南は半世紀+αほど早く「解放」済みです。
史実より二倍ほど広いこの世の楽園が出現してます。彼らも日本人もみんな幸せです

592 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 22:59:43 [ F04QFlfs ]
>584
う〜ん、100億では少なすぎましたかねえ。

「軍事費の減少により債券の発行を大幅に減らしている」と考えたのですが、無理があるかな。

593 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 23:28:27 [ F04QFlfs ]
SS投下。

594 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 23:29:07 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−3

3-1

敵来襲の報により、飛竜部隊が迎撃に上がる。

こんな国土深くにまで入り込まれるなんて!

空中騎士隊隊長は唇を咬む。敵は各地の迎撃を容易く振り切り、飛行を続けていた。始めは目的も定かではなかったが、やがて嫌でも分かるようになった。敵は王都目指して真っ直ぐに飛行していたのだ。

敵の目標は王都!

この知らせはレムリア軍を震撼させた。軍はありったけの迎撃部隊を差し向けたが、全くの無駄に終わった。この迎撃部隊が事実上の最後の防衛線である。

畜生。連中、一体何キロ飛べるんだ!

騎士隊長に恐怖にも似た感情が湧き上がってくる。国境から王都まで1000キロ以上ある。それを考えると敵の航続距離は優に3000キロはある事になる。

3000キロ!

常識ではとても考えられないし、第一それでは戦争にならない。戦争開始とともに敵の首都を叩けるのだから。

しかし何故1体も落せないのだ、ワイバーンだけならばともかくワイバーン・ロードも多数迎撃部隊に参加しているのだぞ?

595 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 23:29:42 [ F04QFlfs ]
騎士隊隊長の疑問は直ぐに解消される事になる。敵を発見したのだ。


3-2

高度をいくら上げても一向に敵まで到達しない。すでにワイバーンは全て脱落している。残るは10体のワイバーン・ロードのみだ。

「マナ」は高度3000Mを過ぎたあたりから減少を始め、4000Mから急激に減少する。さらに5000M、6000M、8000Mを境界として減少はより一層加速する。これはマナを利用して飛行するワイバーンには致命的である。

通常のワイバーンでは最大4000Mが限度である。それ以上ではいつ飛行不能になる(墜落する)かわからない。

ワイバーン・ロードでも4000Mを超えると動きが鈍くなり、5000Mとなると飛ぶのがやっとになる。6000Mではいつ飛行不能になるかわからない。

そもそもワイバーンやワイバーン・ロードは低空での戦闘を目的としたものであり、高高度での戦闘など考えた事も無かったし、必要も無かったのだ。・・・今までは。


ついに高度7000にまで達した。もはや騎士隊長以外は全騎脱落している。彼の騎竜も息絶え絶えでいつ墜落してもおかしくない、これでは会敵できてもブレスは使えないだろう。もうこれ以上は無理だ。

諦めた彼の頭上を次々と敵が通過していく。

大きい!

頭上を通過していく敵は、まるで絵物語にでてくる古代竜のような大きさだ。この高度をものとせずに悠々と編隊を組んで飛行している。


彼は呆然とはるか上空を飛行する敵を見つめていた。

596 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 23:30:18 [ F04QFlfs ]
3-3

王都ではあちこちで鐘が鳴り響いている。昔から定められている非常警報だったが、住民達にはそれが何を意味するのか理解出来なかった。彼等にとって、戦争は遠い世界での出来事にすぎなかったのだ。

やがて上空に見慣れない「竜」が多数現れた。上空では空中騎士団のワイバーンも多数飛び回ってるが、それでも住民達の大多数は無関心だった。


突如爆音が響き渡る。

驚いた住民達が見ると、どこかが燃えているのが分かった。王都郊外の森林地帯が爆撃を受けているのだ。

王都郊外の森林地帯は王族・貴族達の狩猟場として長年使用されてきた。広大で沢山の動物も生息しているが、住民達は立ち入り禁止となっている。だから今回の目標としては最適だった。

今回の作戦に参加したのは一式陸攻120機。敵の戦意を粉砕する事が目的である。いろいろな方法が検討されたが、「王都空爆」がもっとも効果的と判断されたのだ。

高度8000Mから投下された爆弾は次々と森林に吸い込まれていき、たちまち大火災が発生する。

597 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 23:30:38 [ F04QFlfs ]

「ああ、もったいない。こんな豊かな森を燃やしちまうなんて。」

「爆弾ももったいないよ。全部無駄弾だぜ?」

「王都を爆撃するよりはマシだろ?」

一式陸攻内部では搭乗員達のぼやきが交わされていた。わざわざ往復3000キロ以上もかけて森林を一つ燃やすだけである、愚痴の一つも出るというものだ。それでも爆撃は続行する。


120機の一式陸攻から投下された爆弾は90トン以上に達した。

598 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/04(木) 23:31:40 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。

正解はバレバレでしたが、「王都爆撃」です。

599 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/04(木) 23:49:06 [ Lpqim9j6 ]
一式陸攻120機!帝国としてはずいぶん奮発しましたね。燃えるなあ。
しかもこの爆撃は新たな戦術−戦略爆撃−の重大なヒントになりますね。
これで帝国の政治的目的が達せられた場合、上層部の頭の中にも残るでしょうし。
そしてZ計画が・・・ふふふ。

600 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/05(金) 00:08:44 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
うーむ…B29による空襲を連想させる話ですね。
まともな想像力があれば、爆弾を森ではなく王都に落とされていればどうなっていたかくらい容易に想像がつくでしょうね。
《衝撃と恐怖》ですね。

>>599
主戦場を考えると極端に足の長い航空機は不要のような気もしますが…
…いやまてよ、富嶽があれば帝國本土から直接爆撃も出来るし、輸送機として使うにしてもかなり便利かも知れませんね。
大型旅客機への叩き台にもなりそうですし。

601 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/05(金) 00:33:48 [ TStRl4FY ]
乙です!
空襲の恐怖をF世界で初めてレムリアは体験しましたね
帝國もこれで戦略爆撃の重要性に気づいて戦略爆撃機を作ってくれないかな〜
そして富嶽を・・・

602 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/05(金) 00:52:31 [ 3ylZ17FI ]
現実世界では完成しなかった富嶽ですね!
この機体の存在を知った男なら一度は夢見るものです。
5000馬力のエンジン出力でなくてもいいから(ちなみにB-36は3000馬力)完成してほしいです。
そしてこの機体開発による陸軍海軍のパワーバランスの均等を保つ為に空軍の発足を〜。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cocoro/fugaku.jpg
http://www.warbirds.jp/kakuki/kaksasie/fugaku_ib.htm

603 名前:DFC 投稿日:2005/08/05(金) 07:08:21 [ tne8xvDU ]
示威行動としては王道ですね。
相手側にとって悲惨だったのは、『航続距離3000・飛行高度8000』が悪夢以外の何物でもなかったことでしょうね。
P・S
今まで現場主体で描写されてきましたが、本国の偉い人(海軍大臣や陸軍大臣)は通常どんなことをしているのでしょうか?

604 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/05(金) 09:08:42 [ F04QFlfs ]
>>599
有難う御座います。

>一式陸攻120機!帝国としてはずいぶん奮発しましたね
出血大サービスです。

>しかもこの爆撃は新たな戦術−戦略爆撃−の重大なヒントになりますね
帝國というよりも、この世界の諸国が受ける衝撃は相当なものでしょう。


>>600
しおん様、いつも有難う御座います。

>B29による空襲を連想させる話ですね。
彼等にとって一式陸攻はB29のようなもの(それ以上?)でしょう。

>《衝撃と恐怖》ですね。
次回は「空爆の結果」編です。


>>601
有難う御座います。

>空襲の恐怖をF世界で初めてレムリアは体験しましたね
レムリアは悲劇を体験しっ放しです。不幸です。

605 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/05(金) 09:09:36 [ F04QFlfs ]
>>602
>5000馬力のエンジン出力でなくてもいいから(ちなみにB-36は3000馬力)完成してほしいです
昭和30年代半ば位には、なんとか・・・。


>>603
DFC様、いつも有難う御座います。

>示威行動としては王道ですね。
今回は帝國軍の威信を賭け、大兵力を投入しました。

>本国の偉い人(海軍大臣や陸軍大臣)は通常どんなことをしているのでしょうか?
下からの書類の決裁。他省との折衝(彼等が動く時はよっぽどです)が主です。あとは戦略レベルでの意思決定ですね。大概は下からの提案を採用するかどうかですが、稀にトップダウンで決める事があります。(もっとも大臣は軍政が仕事ですが)



さて、おまけSSを投下します。

606 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/05(金) 09:10:34 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−3おまけ

陸軍大臣は頭を抱えていた。

今回の「王都空襲作戦」の明細書が海軍から回ってきたのであるが、明細書には彼が思わず目を疑う一文が記載されていたのだ。

ガソリン総使用量、1000キロリットル。(うち陸軍負担分、500キロリットル)

本来ならばこのような物が彼にまで回ってくることは無い。ただ今回は陸海軍共同の大作戦である事から、彼の決済が求められたのだ。

たかが120機動かして1000キロリットル?一体何の冗談だ?・・・いや、これが事実である事位は分かっている。少し現実逃避していただけだ。

以前一式陸攻を初めて海軍に見せて貰った時、その航続距離よりもそのガソリン搭載量に驚愕したものだ。6000キロリットル以上?そりゃあそれだけ積めば、嫌でも遠くまで飛べるだろうさ。

今回の作戦は機体(兵装込み)・搭乗員を海軍が、施設を陸軍が提供する事で合意されていた。ガソリンは折半だ。

果たしてこれだけのガソリンと爆弾の使用量に見合った成果を上げられたかどうか。参謀本部の一部では効果がでるまで連続爆撃を主張する声もあるが、もちろん却下だ。爆弾も惜しいが、それ以上にこんなガソリンをドラム缶でぶちまけるような無駄を、そうそう行えるものではない。

607 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/05(金) 09:10:52 [ F04QFlfs ]
なにせ現在油田ではようやく生産が軌道に乗り出した所で、未だに使用量が生産量を上回っている状態なのだ。まあ先が見通せるのでそれ程深刻ではないが。だが例え石油が豊富に生産できるようになったとしても話は同じだ。石油を運ぶにはタンカーがいるが、とても大陸の基地への輸送に、連続爆撃を可能とするだけの大量のタンカーは手当てできない。現に今回の作戦では大陸に備蓄してあるガソリンを大量に消費する羽目になったが、現地からこれ以上は止めてくれと泣き付かれたばかりである。


さて、レムリアはどうでるか。


これで駄目なら全面戦争である。レムリア全土を制圧するまで戦いは続くだろう。いや、制圧してからも大軍を駐留させ続けなければいけない。レムリアを支配している間は永遠に。

何という無駄な事だ。おもわず溜息がでる。

だが例え望まない戦争であっても、こちらにも面子というものがあるのだ。

帝國にできる事はもうこれで終わりである。



ボールは以前からレムリアの手にあるのだ。

608 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/05(金) 09:11:15 [ F04QFlfs ]
投下終了。

609 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/05(金) 11:02:11 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です
一式陸攻の燃料消費量に仰天している陸軍大臣が、何だか可愛いような気がしてきた今日この頃。
いかがお過ごしでしょうか?
北国育ちの私はあまりの暑さに溶けそうです。

>石油を運ぶにはタンカーがいるが、とても大陸の基地への輸送に、連続爆撃を可能とするだけの大量のタンカーは手当てできない。
超大型タンカーが必要ですね。
造船ドッグは海軍軍縮で暇そうなのですが、超大型タンカーの建造をさせたりはしないのですか?
戦後、大和の建造技術を応用して超大型タンカーを建造した実績があるので、技術的に不可能ではないと思われます。
実は今回の石油消費量に仰天した陸軍と、逓信省あたりが何か企んでいたりして…

610 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/05(金) 11:51:11 [ TStRl4FY ]
>>609
ちょうど今週のプロジェクトXに出てたやつですな
大和の技術って船から高速道路まで幅広く応用されて使われているから驚き

611 名前:rx ◆dopZsMf8GU 投稿日:2005/08/05(金) 12:46:12 [ 9dNoIe0k ]
現地に精油所作ると技術の流失の危険がありますね。あっちを立てればこっちが…。

一式陸攻の次は試作が実際に作られていた連山が後継機になるんでしょうか。いきなりZ機は難しいと想像。

612 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/05(金) 15:32:54 [ o/n1ji1U ]
更新乙です。戦略爆撃GJ!でも1万Mを飛べる機体の開発もがんばってほしいね〜
それと陸上攻撃機の銀河は開発されてるのかな?それとももう4発開発に移行してるのかな?
帝國陸海軍に存在する4発機って飛行艇くらいしかなかったと思うし・・・

613 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/05(金) 17:07:01 [ BbUEfgGI ]
ちょっと旅行に行ってる間に結構スレが進んでる……
まあ、なにはともあれ投下乙です。

今回の戦略爆撃でレムリア内部も紛糾しそうですね

海軍は中国大陸で行った爆撃の実績がありますからそれほど困難ではなかったでしょう。帝國がガソリンに困るのは何処行っても一緒なんですかね? これだけ盛大に使ったら、補給担当者が頭を抱えたくなるのも分かりますね

>>602
富嶽ってたしか計画はしていたけど、技術も金も予算も無いってことでポシャッたんですよね。たしかに自分もこれを知ったときは驚愕と憧憬を感じましたしw 
”漢”の浪漫ですから惹かれますよ

614 名前:DFC 投稿日:2005/08/05(金) 18:51:30 [ Zn0hJeaM ]
投下乙です。
時間的に当然と言えば当然ですが、近代社会に必要な資源は、まだ確保しきれていなかったのですね。
お偉いさんの胃と頭には、まだまだ負担が掛かりそうですね。
P・S
この世界での資源獲得の際の問題点を考えてみました。
1:割とどこにでもいるオーク等の害獣
2:森林地帯で暮らすエルフ(肉食の獰猛な妖樹なんかはいるのかな?)
3:元の世界よりもはるかに攻撃性の高い謎の大海獣(そういえば、海底資源の獲得が可能になったのって何時からでしたっけ?)
4:所詮人の敵は人。野党・山賊団。
……何処行っても護衛が必要ですね<汗>。

615 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/05(金) 20:46:19 [ uPz76cPo ]
投下乙でつ。
当時の陸相は、東條英機が首相と兼任してましたよね。
…悩む姿が簡単に想像できまつなw

616 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/05(金) 21:41:29 [ uPz76cPo ]
質問ですが、『「帝國召喚」3−2』の帝國派遣軍総司令官はいったい誰なんでしょうか?
グラナダ派遣軍の司令官が山下奉文でしたから、当然それより上の人間なんでしょうが…。
フランスで手に入れたワイン云々とありましたから、欧州派遣の経験がある人物なんでしょうけど。

617 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 09:55:29 [ F04QFlfs ]
>>609
しおん様、いつも有難う御座います。

>北国育ちの私はあまりの暑さに溶けそうです。
くろべえもクーラーをフル稼働です。クーラーがある時代に生まれて良かった・・・。

>造船ドッグは海軍軍縮で暇そうなのですが、超大型タンカーの建造をさせたりはしないのですか?
来年度(昭和19年)から、例の海軍大建艦計画(>>169)が始まるのですよ・・・。一般の船はそのしわ寄せが来るでしょうね。何せ測量船の建造すら削減(>>204)されたのですから。


>>610
>ちょうど今週のプロジェクトXに出てたやつですな
プロジェクトXは最初の頃は結構見ていたのですけど、そんな面白そうなもの放映していたのですか。再放送に期待ですね。

618 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 09:55:54 [ F04QFlfs ]
>>611
rx様、有難う御座います。

>現地に精油所作ると技術の流失の危険がありますね
それもあるのですが、一番の問題はそれを作るだけの金も物も時間もなかった事ですね。とくに時間との勝負ですから、掘り出すだけで精一杯だったのですよ。精錬施設は国内にもありますから。

>一式陸攻の次は試作が実際に作られていた連山が後継機になるんでしょうか
そうですね。「深山」が失敗し、「泰山」も計画のみで終了。現在は雷撃要求が撤回され、爆撃・急降下爆撃のみとした中型爆撃機「銀河」と、陸上への爆撃のみとした大型爆撃機「連山」の2機種が開発中です。


>>612
有難う御座います。

>1万Mを飛べる機体の開発もがんばってほしいね〜
研究はしていますが、成果は・・・。

>それと陸上攻撃機の銀河は開発されてるのかな?それとももう4発開発に移行してるのかな?
両方現在開発中です。


>>613
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>今回の戦略爆撃でレムリア内部も紛糾しそうですね
次回は「レムリアの反応」です。ご期待下さい。

>帝國がガソリンに困るのは何処行っても一緒なんですかね?
現地ではこれ以上は王都爆撃にガソリンを回せないと考えています。

>”漢”の浪漫ですから惹かれますよ
連山でなんとかなりません?これならなんとか実戦配備できそう。

619 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 09:56:36 [ F04QFlfs ]
>>614
DFC様、いつも有難う御座います。

>時間的に当然と言えば当然ですが、近代社会に必要な資源は、まだ確保しきれていなかったのですね。
そうですね、やっと資源が供給されるようになったばかりです。生産が本格的に軌道にのるにはまだ数年かかるでしょう。

>この世界での資源獲得の際の問題点
帝國としては1と4が主な障害と想定しています。その為、中規模資源採掘地点には増強中隊規模、大規模の資源採掘地点には増強大隊規模の警備隊を常時駐屯させています。油田や重要なレアメタル鉱山にいたっては高射砲部隊や航空部豚まで配備されています。これが陸軍の人手不足の大きな原因の一つです。


>>615
有難う御座います。

この世界では東条閣下はいつまで首相やってるのでしょうね?


>>616
>質問ですが、『「帝國召喚」3−2』の帝國派遣軍総司令官はいったい誰なんでしょうか?
くろべえ的には転移前支那派遣軍司令官だった畑俊六閣下です。

620 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/06(土) 15:42:31 [ dvblaFz6 ]
>再放送に期待ですね。
というか再放送でしたな。この前のは…

潜水艦についてですが、呂号潜水艦が活躍できそうですね。
伊号ほど航続距離はありませんが、物語中での帝国の活動範囲なら問題ないでしょうし。

621 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:51:23 [ F04QFlfs ]
>>620
>というか再放送でしたな。この前のは…
くっ、無念。ビデオレンタルあるかなあ?

>潜水艦についてですが、呂号潜水艦が活躍できそうですね
潜水艦は隻数の枠で更新しているので、どうしても大型になってしまうのですよ。

でもどうにか理由つけて呂号を量産させたいですねえ。通商破壊には最適だし。ああ、枠を隻数ではなく人員で決めるのはどうでしょう?

622 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:51:52 [ F04QFlfs ]
ではSS投下。

623 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:52:22 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−4

かつて豊かな森林だった場所は地獄の業火で焼き尽くされようとしていた。爆撃による火災は夜になっても鎮火せず、むしろその勢いを増して被害を拡大させ続けていた。


王城では閣僚による会議が開かれていたが、外のまるで昼間のような明るさとは対照的に、重苦しい空気が支配している。

「では軍務卿。軍は敵の存在を早くから探知していたと仰るのですか?」

「はい。軍は彼等が国境を超える前から捕捉しておりました。王都が狙いと判明したのはそれから大分後の事ですがね。」

軍務卿の発言に、周囲の閣僚から反発の声が上がった。

「では何故迎撃できなかったのです!時間は十分に合った筈です!」

「よりによって王都への敵襲を許すとは!軍の怠慢に他なりませんぞ!」

「・・・今回の敵襲は高度8000Mという超高空から行われました。まずその事を御理解願いたい。」

だが軍務卿はあくまで淡々と報告し、そして周囲を見渡して発言を続ける。

624 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:53:03 [ F04QFlfs ]
「そもそも我軍の、というよりも『この世界』の迎撃システムが有効に機能するのは高度3000Mまでです。3000〜5000Mとなると迎撃手段はワイバーン・ロードのみとなります。5000〜6000Mともなるとワイバーン・ロードでも迎撃できるのは少数でしょう。つまり6000M以上の敵に対する攻撃手段など『この世界』には存在しないのですよ。・・・ああ失礼、帝國には存在するでしょうね。『帝國以外』と訂正します。」

軍務卿の発言は重大なものだった。つまり帝國は好きな時に、好きなだけレムリア王都を爆撃できるという事だ。そしてそれを止める手段は無い。


「爆弾の威力も相当な物です。我々の物とは比べ物になりませんね。あれがもし王都に投下されたらどうなるか。」

それを受けて閣僚の1人が発言する。王都長官だ。

「目には見えにくいですがもう被害はでています。この火災による煙害、異常熱気は馬鹿になりません、このままでは住民の健康に大きな被害がでるでしょう。しかしそれよりも差し迫った問題があります。王都住民の精神的な衝撃です。」

王都長官は溜息を吐きつつ話を続ける。

「彼等は戦争の恐怖を実感しました。今はまだ呆然としているだけですが、近い内に大規模な王都からの脱出が行われる事でしょう。すでに一部ではその兆候がみられます。」

625 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:53:28 [ F04QFlfs ]
「王都からの脱出だって?どこに逃げるというのだ?」

「そんな事になったら治安や経済が崩壊する!諸国も我々を見放すだろう!」


「もう遅いかもしれません。」

財務卿が話を引き継ぐ。

「通貨の交換レートで銅貨が暴落を始めました。」


レムリアの通貨は金貨、銀貨、銅貨の3種類からなっている。このうち正式な通貨は金貨と銀貨であり、銅貨はあくまで補助通貨である。

何故か?それはこの世界における通貨とは貴金属の事だからである。その金属の価値でその通貨の購買力が決定されるのだ。だから銅貨とはあくまで「その国内」でのみ通用する地域通貨にすぎない。額も小額だから通用しているのだ。

だから金貨、銀貨、銅貨はあくまでそれぞれ独立しており、その交換レートは日々変化する。レムリア通貨は以下の通りである。

626 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:53:58 [ F04QFlfs ]
正金貨(10レムリア金貨)1枚=副金貨(5レムリア金貨)2枚=小金貨(1レムリア金貨)10枚

正銀貨(10レムリア銀貨)1枚=副銀貨(5レムリア銀貨)2枚=小金貨(1レムリア銀貨)10枚

正銅貨(10レムリア銅貨)1枚=副銅貨(5レムリア銅貨)2枚=小銅貨(1レムリア銅貨)10枚

交換レートは大体、1レムリア金貨≒10レムリア銀貨≒1000レムリア銅貨である。あくまで目安ではあるが。

爆撃前日では105レムリア銅貨で1レムリア銀貨を交換できた、しかし爆撃後数時間で1レムリア銀貨が136レムリア銅貨まで跳ね上がり、上昇は現在も続いている。金貨にいたってはそれ以上の高騰だ。これは屈辱的だが、レムリア王国そのものが不安視された事が原因である。


銅貨の暴落、その直撃を受けるのは下層階級の平民達だ。彼等は日銭として銅貨を得て、その日暮しをしている。銅貨の価値が下がれば、その分だけ彼等の実質的な収入が減るのだ。物価が(銅貨に対して)高騰すればたちまち生活に行き詰るだろう。いや今はまだいい。このままでいけば、やがてあらゆる品物が金貨か銀貨でのみの支払いとなる。

そうなったら暴動だ、治安と経済の両方が破裂する。住民の大脱出と合わせ、王都はゴーストタウンとなるだろう。

627 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:54:39 [ F04QFlfs ]
「何とか手を打たねば。王都の混乱は諸国の『誤解』を招く。」

「もうある程度は伝わっているでしょうね。王都には各国の大使館がありますから。」


「それよりも。」

今まで沈黙していた外務卿が始めて発言した。

「それよりも何故帝國が王都にまで来て、わざわざ王都を避けて爆撃したのかお考え下さい。まさか帝國のミスだとお思いではないでしょうね?」

「というと?」

「これは帝國からのメッセージ、いわば最後通告です。」

「これだけの被害を与えておいて最後通告だと!」

「本気なら王都に攻撃していたでしょうね。」

軍務卿が頷く。

「外務卿、卿の仰る事は良く理解出来ます。ただもしこれが帝國からのメッセージだとすれば、合わせて何らかの情報も知らせてくる筈です。」

628 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:55:03 [ F04QFlfs ]
「中立国経由で外務省にメッセージがありました。あくまで非公式なものですが。」

外務卿は閣僚に報告書を提出する。何故もっと早くに出さなかったかといえば、タイミングを計っていたからだ。閣僚達が現状を認識するまではとても出せない内容だったのだ。

「何だこれは!」

閣僚の1人が怒りの声を上げる。

「国交の樹立、通商条約の提出はいい。グラナダの独立もやむを得ないだろう。だがこの賠償金の額は何だ!我が国の年間歳入の10年分ではないか!」

「おまけに北部・東部国境地帯の非武装化だと?舐めおって!」

「これを飲めばもはや我が国は列強ではいられない!」

次々と罵声が飛び交う。だが外務卿は反論する。

「諸卿はまだレムリアが『列強』だと思っていらっしゃるのですか?もはや諸外国はレムリアを列強とは見做しておりませぬよ?」

嘘ではない。先の大敗と現在の危機によりレムリアは落ち目の列強、あるいは准列強と見做され始めていたのだ。今回の爆撃の混乱により、完全に列強の地位から転がり落ちた事だろう。

629 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:55:27 [ F04QFlfs ]
「外務卿。その話は真ですか?」

「はい、諸国の大使館からも報告があります。諸国の扱いが目に見えて変ったと。」


今までいろいろと悪い報告が出てきたが、今回は最悪だった。列強の地位の喪失、それは彼等がもっとも恐れていた事である。列強の地位はパワーゲームへの参加資格だ。これから先、あらゆる場面でレムリアは他の列強諸国より「差別」を受ける事だろう。名誉の問題もある、これから先の「歴史」で彼等閣僚はレムリアを没落させた張本人として罵られる事だろう。「家」の名誉も丸潰れだ。


「ではこの帝國からの提案、受け入れろと?条約の締結は『王』の専権事項ですよ?」

閣僚の1人が力無く呟く。何処か投げやりな感じである。もうどうとでもなれという心境の様だ。


「はい、諸卿からの了解が得られれば私が王子達を説得します。」

「外務卿、それは・・・。」

軍務卿が絶句する。あまりに損な役回りだ。だが外務卿は微笑んで言った。

「良いのですよ、軍務卿。思えば私がはっきりと前王に意見しなかったから起こった戦争です。自分で起こした戦争の幕引き位はやらなければ。それに帝國もこの条件全てが受け入れられるとは考えていないでしょう。十分交渉の余地があります。」



閣議は全会一致で外務卿への一任を決定した。

630 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/06(土) 15:56:23 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。

爆撃後のレムリアの状況です。

631 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/06(土) 16:43:05 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です
レムリアの列強としての体裁が音を立てて崩れ落ちていく様が、物悲しいお話でした。
外務卿、嫌な仕事ばかりを率先して引き受けるなんて・゚・(ノД`)・゚・。。
…このいきさつが帝国内に伝われば、こういう話に弱い帝國人はころっといくだろうなぁ。

>>620
プロジェクトXはレンタル版が存在するので、ひょっとするとあるかも知れません。
私はYS-11の話が好きで借りた事が有ります。

632 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/06(土) 18:06:56 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。

今回、傍から見るとレムリアが滑稽に見えてしょうがないw
けど当人達はいたって真面目、でもまあ中世レベルじゃこのぐらいか
しかし、外務卿はこの当時の日本人なら賞賛するでしょうね。
自ら泥を被って国を守ろうとする、その忠孝という感じは実にいいと思います。

>>620
その回、自分は見逃しちゃったんですよね。レンタルでたら借りるか……

633 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/06(土) 20:54:47 [ QT0NZ9o6 ]
乙ですー
第一次大戦で敗北したドイツを見てるようですな・・・
もしかして、数年後にはちょび髭の男が現れるのでしょうか?

634 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/06(土) 22:35:35 [ BbUEfgGI ]
>>633
騒がしい伍長閣下ですなw
アジテーションにプロパガンダで巧みに国民を誘導し、異民族排斥用の強制収容所を作ったりw
最終的にはどこか他の国に追放してしまおう、とかを考えていたが失敗。
その最期は何処かの地下室で恋人と自殺で決まり。

635 名前:DFC 投稿日:2005/08/07(日) 07:02:16 [ osTyQJUY ]
投下乙です。
まさに「斜陽」。
軍務卿がなんとかしようとしている様ですが、馬鹿王子の一人が暴走して全て灰燼に帰そうな予感がします。

636 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/07(日) 08:18:32 [ l8JrTNEA ]
説得できずに射殺して署名をでっち上げて「王子は責任を取って自決された。」というのはアリですか(汗)

637 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/07(日) 10:30:36 [ kgiclErE ]
にしても歳入十年分の賠償金とは、
ベルサイユの二の舞にならねば良いですがね。

638 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/07(日) 18:40:13 [ Lpqim9j6 ]
>>637
しかし当時のドイツほどの地力を持ってないと実行不可能だけどね。
当時のドイツは負けて経済が混乱していると言っても科学先進国。
しかも国内のインフラはそれなりのもので、国民の教育水準も一等国のそれ。
「国民」と言う概念すら発達していない中世では、一致団結して国を再興する
なんてことも出来るはずがなく、ばらばらに分裂するのがオチかもしれない。

639 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/08(月) 08:37:37 [ F04QFlfs ]
>>631
しおん様、いつも有難う御座います。

>外務卿、嫌な仕事ばかりを率先して引き受けるなんて
まあ「外務」卿ですからね・・・。各国にある大使館からの情報により、彼はレムリアの凋落を痛感しています。


>>632、634
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>傍から見るとレムリアが滑稽に見えてしょうがない
後世、「小田原評定」のように物笑いの種になるかもしれません。


>>633
有難う御座います。

>もしかして、数年後にはちょび髭の男が現れるのでしょうか
まあ選挙はないですけどね。ただもし賠償金を満額で払う事になれば、その負担は相当な物でしょう。それは諸侯や騎士達にも降りかかり、反帝國感情が強まるかもしれません。・・・特に東部の連中は上も下も沢山の肉親を失っているだろうし。

640 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/08(月) 08:38:02 [ F04QFlfs ]
>>635
DFC様、いつも有難う御座います。

>軍務卿がなんとかしようとしている様ですが、馬鹿王子の一人が暴走して全て灰燼に帰そうな予感がします
無能の遊び人の集まりですからね。特権に慣れ過ぎた彼らに「譲歩」などという言葉は受け入れられるのか?


>>636
最悪の場合、それも手段の1つでしょうね。王でもない一王子のワガママで国を滅ぼす訳にはいきませんから。


>>637〜638
>にしても歳入十年分の賠償金とは
当然分割になるでしょうが、100年払いとかいう訳にはいきませんからねえ。上でも書いた通り、負担は相当なものでしょう。その負担を最終的に負うのは庶民ですが、彼らがどういう反応を示すかですよね。ただ重税を強いる政府を恨むか、それとも「帝國」を恨み国民も反帝國で一致するか。レムリアは豊かな国で国民のレベルも比較的高いですが、どちらに転ぶかは不明です。帝國は前者と判断しています。

641 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/08(月) 20:44:15 [ C2f10ca. ]
投下乙です。

ところで、以前話題に上ったダークエルフ大尉殿の妹さんですが、
新婚生活はどんなもんでしょうか?
ぜひとも見たいでつ。

とりあえず見たい香具師は手を上げろ
ノシ

642 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/08(月) 21:32:38 [ QT0NZ9o6 ]
俺も見てみたい(・∀・)ノシ

643 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/08(月) 21:48:52 [ BbUEfgGI ]
あっしも
ノシ

644 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/08(月) 21:55:11 [ Lpqim9j6 ]
ぜひとも
ノシ

645 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/08(月) 23:25:18 [ mSiubQ.I ]
とりあえずw
ノシ
で、朝食とかなに食べてるんだろw

646 名前:Call50 ◆9L0MrlozK2 投稿日:2005/08/08(月) 23:40:58 [ Z16Uk0zI ]
実はけっこう注目していたりします。
とゆーわけで
ノシ

647 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/09(火) 00:10:08 [ r9DJpMoo ]
た…確かにそれは気になるかも
('A`)ノシ

648 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日:2005/08/09(火) 00:18:57 [ XitU55gg ]
見たいです 異文化交流?
ノシ

649 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 06:44:55 [ 6KnBHENQ ]
俺としては義弟の方が気になったり…
もし彼が海軍のパイロットとかだったら、
「陸軍の義兄さんが持ってたほうが「虎鉄」も役に立つから是非受け取ってくれ」、ってな想像が…

650 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/09(火) 08:49:00 [ F04QFlfs ]
>>641〜649
641様、皆様、有難う御座います。

>ところで、以前話題に上ったダークエルフ大尉殿の妹さんですが、新婚生活はどんなもんでしょうか?ぜひとも見たいでつ。
こんなに沢山の方からリクエストを頂くとは・・・。妹さんはいずれ出て来ると思います。いきなり書いてもネタバレになってしまうかもしれませんので、直ぐには御容赦を。

>俺としては義弟の方が気になったり…
それもその時出てきます、御免なさい。海軍将校ですがパイロットではありません。

651 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/09(火) 11:35:40 [ F04QFlfs ]
SS投下!

652 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/09(火) 11:36:14 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−5

5-1 グラナダ国境

外務卿を乗せた馬車がグラナダにある講和会議場へ向かう。

国境を越えると同時に、馬車の護衛はレムリア騎兵から帝國軍憲兵隊に委ねられる。

会議場は帝國の勢力下、護衛も帝國軍。こんな所からも今回の「講和」の実情が分かるというものである。

王子達からの委任は呆気ない程上手くいった。正直、彼らの首筋に剣を当ててでもと思いつめていた外務卿にとって、肩透かしもいい所であった。王子達は「他の王子全員が了解したら」の但し書き付きの委任状を書くと、そそくさとそれぞれの後ろ盾の貴族達の領地へ「保養」に出掛けていった。

情けない。

それが外務卿の思いであった。1人くらいは「あの爆撃」で目が覚めてもいいではないか。それが家臣に交渉を丸投げして王都から逃げ出すとは。しかも「他の王子全員が了解したら」等という小賢しさだ。仮に講和が成立しても、それからが本番である。果たして新王に内憂外患を抱える事になるレムリアを保てるかどうか。

いや、案外さっさと帝國の邦になる道を選ぶかも知れないな。自分達の地位を保つだけの為に。

自分の突き放したような考えに外務卿は驚愕した。私は何を考えている?仮にも列強の一角を占めたレムリアが他国に跪く?悪い冗談だ。

どうやらどんどん悲観的になっているようだ、これでは交渉を行う前から負けてしまう。気を引き締めなければ。

653 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/09(火) 11:37:11 [ F04QFlfs ]
5-2 大陸同盟軍、マケドニア王国

マケドニア王国は帝国の一邦である。「獣人の国」と言った方が分かり易いかもしれない。

彼等マケドニア王国も今回、1200の兵を派遣していた。未だ人口6万のマケドニアにとって、1200は厳しい。いや、国内に残る軍を考えれば総兵力1500に達する。人口比2.5%、他の諸国を圧倒している。

何故これ程の軍を派遣したのか?それは彼等の危機感の表れであった。


帝国の2大邦国。獣人の国マケドニア王国はダークエルフの国スコットランド王国とともにそう称されている。

だが現実には両者の間には大きな格差がある。国王以下主な貴族達全てに帝国爵位が下賜されているダークエルフと比べ、獣人は国王と王太子に帝国爵位が与えられているに過ぎない。国王の爵位もダークエルフの公爵と比べ、侯爵と格下だ。さらにダークエルフは帝国軍に多数参加し、将軍までいるのに対し獣人は軍属扱いに過ぎない。

だが彼らは「次席」筆頭で満足していた。ついこの間までは

スコットランド王国の建国1周年記念の行事に招待された時のことだ。マケドニアの重臣達は初めてスコットランドを訪れ、愕然とした。帝國から近いとは聞いていたがこれ程近いとは!そして「島」とは名ばかりの広大な領土!どれをとってもマケドニアとは比較にならなかったのだ。

654 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/09(火) 11:37:38 [ F04QFlfs ]
そして彼等を最も打ちのめしたのは軍事パレードだった。上空を飛ぶ機械竜、あれは「レイセン」という帝國でも最強の飛竜ではないか!そして地上では鉄竜が数十両も行進している。どれもこれも我々が供与を諦めたものばかりである。我々はこの間漸く僅かな供与を許可されたばかりだというのに。

帰国の際、改めて格差を見せ付けられた重臣達の表情は一様に暗かった。

下からの追い上げも心配である。ロッシェル王が帝國侯爵を下賜されたのだ。いままでは帝國伯爵が彼等以外の王に下賜される最高位だったのに!さすがに爵位を与えられたのは王だけであったが、王同士が同格なのは否めない。ロッシェルは他の邦国の指導者として急激に浮上しつつあった。


「マケドニアはスコットランドから大きく引き離され、下からはロッシェルの猛追を受けている。」

それがマケドニアの重臣達の率直な感想だった。

だが仕方ない。ダークエルフにはそれだけの「働き」があるのだから。

誰かがそう呟いた。そうだ我々も帝國に「働き」を示さなければ。


重臣といってもマケドニアの重臣達はその殆どがついこの間まで一般市民であり、満足な教育を受けていなかった。

だから彼等には理解出来なかったのだ。

何故人口6万の吹けば飛ぶような小国の王が、大国ロッシェルの王と同格なのか。何故ロッシェルの王太子でさえ無爵なのに、自国の王太子が一国の王並の爵位を下賜されているのか。何故少量とはいえ、ダークエルフに次いで、真っ先に武器供与を受ける事ができたのかを。


彼等にあるのは、邦國筆頭の地位を奪われる恐怖と危機感だけだった。

655 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/09(火) 11:38:06 [ F04QFlfs ]
SS投下終了!

656 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 14:58:32 [ 6KnBHENQ ]
投下乙です

う、こりゃあ獣人暴発か・・・?土壇場で踏みとどまってくれりゃあ良いんですが・・・

657 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 15:12:05 [ cyeI1KZk ]
乙であります
このままだと無理に自分たちの働きを帝國に示そうとして暴発の予感・・・

658 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 15:17:45 [ 3ylZ17FI ]
焦りは何も生みません。
ダークエルフの国家の人口や教育レベルがどれくらいかは想像はつきませんが自分達の状況が他国と比べてどれだけ恵まれているか教えてくれる人がいないといけませんね。
まず教育水準の向上とインフラの整備に努めましょう。
すべてはそれからです。

659 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 17:15:03 [ mSiubQ.I ]
食事の面でもけっこう帝国とダークエルフはあいそう。
エルフと言うからには菜食だろうし、戦前の帝国は基本的に肉といえば
魚貝ぐらいで、それも都会、海辺だけで他は米や穀物と野菜中心な食事だし。

660 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/09(火) 18:23:10 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
うーむ、重い話ですね。
レムリアの外務卿はちょっぴり弱気になってしまっていますし、獣人の国マケドニアも自分たちの国が帝國から忘れられてしまうのではないかと焦っていますし。

>重臣といってもマケドニアの重臣達はその殆どがついこの間まで一般市民であり、満足な教育を受けていなかった。
何の知識も無しにいきなり国家運営しろというのも酷な話ではありますよね。
帝國から政治顧問などが派遣されていないのでしょうか?
そういう人がいれば、この不安を解消してあげる事が出来るかも。

661 名前:DFC 投稿日:2005/08/09(火) 19:05:00 [ t6TXav3A ]
投下乙です。
こういうのを「隣の芝生は青い」って言うんでしたっけ?
実際問題、自分達が優遇されていることにはなかなか気付けませんからね。
それに彼らには迫害されてきた歴史もありますし、裏家業やってたダークエルフと違って、政治のパワーゲームについての知識もありませんからね。
……健全な国家運営のための人材育成って、どれ程の時間が掛かるんでしょうか?
P・S
F世界くらいの文明レベルだと、国家のTOPの子女を人質として上位の国家に差出して忠誠の証にするっていう慣習があった筈(?)。
帝國はそれにどう対処しているのでしょうか?

662 名前:Call50 ◆9L0MrlozK2 投稿日:2005/08/09(火) 22:06:02 [ z...K8ls ]
投下お疲れ様です。
マケドニアですけど、ここはひとつ「政治経済顧問団」を送ってみるのも良い
かも。顧問団と言っても人口6万程度ですから少人数で済みますし。
当然嫌がるでしょうが、顧問団を派遣するという事は、それだけ重要視(不要
なら放置)している証拠になりますし、顧問団の助けで運営がうまくいくなら
非常に結構な事ですし。後は明治維新-日露戦争あたりの歴史を説明して「帝国
も「お雇い外国人」に教わってここまできた。なら君たちにもできる!」とすれ
ばいーんじゃないかと。それに顧問団を通じてパイプができますし〜
ただし欠点が、辻〜んとか妙な連中が送り込まれると逆効果。
さらに「自分たちはお飾り」と考えてこれまた逆効果になるかも?
う〜ん、一長一短。

>>661のDFCさん
健全な国家運営のための人材育成…まともに考えたら10年単位じゃないです
かね?ですが、マケドニアは小所帯である事や上に書いた顧問団をつけたり
帝国からの資金援助があるならば短縮は可能ではないかと。

国家のTOPの子女を人質として上位の国家に差出す話ですけど、さすがに帝国
もそれは戸惑うと思います。よって協議の結果「長期留学」や「常駐大使(お
飾り)で誤魔化すとゆーのがありそうです。

663 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 23:10:37 [ YnrPq2J6 ]
>>659
そこらはどうなんだろうか?>食事の面
ダークエルフは長期の放浪生活で食性が変化してそうだし…
日本食どころか肉も魚も発酵食品も平気で食べそうだ。

664 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/09(火) 23:49:36 [ nqhPtWkc ]
保存食がダークエルフの食文化になってるかもしれないね。

665 名前:rx ◆dopZsMf8GU 投稿日:2005/08/10(水) 00:07:37 [ YV7lqDh6 ]
食生活は個人個人が住んでいた地域で異なるのでは?
隠れ里なら農業+狩猟、都市での密偵ならそこの食事というように。

くろべえさんへ(読み飛ばして返信は特になしで結構です)
これからの帝国がとる戦略が楽しみです。

666 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/10(水) 00:39:30 [ BbUEfgGI ]
なんだか取り返しのつかないことしそうですね
きっと帝國はこれに気づかずにひどい目に会い、事態が収拾した後に対応、とかになるんじゃないかと

667 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/10(水) 03:12:22 [ mSiubQ.I ]
だいたいダークエルフと言ってもエルフなんだから多産ではないと
思うので長寿であるゆえに人口が思ったより少ないのでは?
イメージ的に少数民族と言えるわけで、差別や生存権がないみたい
なので多くても10万は居るとは思えないですね。

668 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/10(水) 06:38:47 [ nqhPtWkc ]
>>667
>>536であるようにこの世界のエルフは特に長寿ではないみたいです

国家のTOPの子女を留学生として日本で教育ってのはいいかも。
楼蘭の歴史のように教育受けた国贔屓になりやすいだろうし

669 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/10(水) 10:00:11 [ F04QFlfs ]
656様、657様、658様、659様、Call50様、663様、664様、rx様、667様、668様、有難う御座います。

しおん様、DFC様、 サッキ119様、いつも本当に有難う御座います。


>う、こりゃあ獣人暴発か・・・?
マケドニアは今回、手柄を立てるチャンス到来!と勇んで軍を送ったんですよね。派遣軍は国王以下国民の大声援を背にここに来たんですよ・・・。


>ダークエルフの国家の人口や教育レベルがどれくらいかは想像はつきませんが
ダークエルフの国は総面積1万平方キロメートル超、人口10万です。ただ人口10万という数は
世界中の全ダークエルフの人口に匹敵し、帝國軍に参加したり大陸で諜報活動にあたっているダークエルフも含まれています。

それに反し獣人の国の6万という数は、帝國直轄領に住んで働いている獣人や軍属として世界各地で働く沢山の獣人を含んでいません。彼等を含めれば数倍に膨れ上がるでしょう。

帝國が雇用している異世界人の殆どが獣人です。彼等は貴重な労働力(重機代わり)として帝國に貢献しています。ちなみに彼等からの税収の1割を帝國はマケドニアに渡しています。ここからも帝國のマケドニアに対する優遇が分かるというものです。

教育レベル・・・、これは比べ物になりませんねえ。獣人は殆どが外伝のロイ少年みたいな境遇ですから。まあ「読み書き出来れば大したもの」というレベルですねえ。一方のダークエルフは学問・武術ともにスパルタ式です。生き残るためには必須ですから。

670 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/10(水) 10:00:44 [ F04QFlfs ]
>食事の面でもけっこう帝国とダークエルフはあいそう
現在、帝國と近いせいか食生活は帝國そのものとなってしまいました(笑)。


>何の知識も無しにいきなり国家運営しろというのも酷な話ではありますよね。
帝國から政治顧問などが派遣されていないのでしょうか?

彼等獣人は「自分達でやってみせる!」と大見得きったんですよ・・・。そこまで言われたら帝国も何も言えません、モデルケースでもありますし。まあ人口から考えたら精々帝國の一地方都市程度だし、国家の収入も確保してあげたのだから「大丈夫かな?」と判断しました。・・・それが甘かったかどうかはこれから判明するでしょう。

でも一応、マケドニアには連絡事務所の外交官や少数の帝國軍がいます。ただ彼等は求められない限り助言はしません。内政干渉に当たると考えているからです(他の邦国に対しても同様です、彼等をどう「利用」するかは各国の判断に任せています)。


>F世界くらいの文明レベルだと、国家のTOPの子女を人質として上位の国家に差出して忠誠の証にするっていう慣習があった筈(?)。帝國はそれにどう対処しているのでしょうか?

以前(>>355)少し書きましたが、この種の問題は今後盟主としてこの世界で生きるつもりならば避けて通れない問題です。現在は「留学」という形でお茶を濁していますが(笑)。

普通の留学も今後ますます増えるでしょう。というのも同盟諸国から大量の留学生の派遣が打診されたのです。大使館の開設と合わせて帝國政府は大忙しです。

671 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/10(水) 10:01:02 [ F04QFlfs ]
>ここはひとつ「政治経済顧問団」を送ってみるのも良いかも
問題は派遣する理由ですよねえ。いきなり送ってもCall50様が最後に仰る通り、自分達の実権を奪いに来た!とか思われるのも困りますし。


>食生活は個人個人が住んでいた地域で異なるのでは?隠れ里なら農業+狩猟、都市での密偵ならそこの食事というように。
正解です。ダークエルフは食事に文句を言わない(言えない)ので、素朴な食事でした。ただ、やはり都市に出る楽しみの一つは「豊かな食事」だったようです。

>これからの帝国がとる戦略が楽しみです
有難う御座います。頑張ります。


>多くても10万は居るとは思えないですね。
一応、MAXで10万と考えています。


>国家のTOPの子女を留学生として日本で教育ってのはいいかも
これから「学○院」は大変な事になりそうです。

672 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:25:30 [ F04QFlfs ]
さて、SS投下!

673 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:26:02 [ F04QFlfs ]
「帝國召喚」3−6

6-1

一体、総攻撃の命令は何時だ?

マケドニア軍司令官は焦っていた。

マケドニア軍は連日緊張感に包まれている。いつでも出撃出来るよう待機し続けているのだ。

だが兵達からの不満は無い。何せ今回はマケドニア初の戦争であり、国王以下多数の国民からの大声援を受けてここまでやって来たのだ。彼等も今回の「戦争」で何としても手柄を立てなければ、国に帰れないと考えていたのだ。

だがいい加減、兵も限界だ。

これではいざという時、十分な「働き」が出来ない。

いっそ独断で動くか?

そこまで考えが及んだ時、それがとても素晴らしい考えに思えた。そうだ、このままではもしかしたら他の国に抜け駆けされるかもしれない。だがこの方法ならば確実だ。たとえそれが命令違反であっても。


「副官!副官はいるか!」

674 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:26:28 [ F04QFlfs ]
6-2

マケドニア軍は隠密裏に陣を移動した。800という寡兵である事と400の兵(輜重兵)を陣に残し偽装工作をさせた事が幸いし、どうやら無事に事を運べたようである。

後は夜明けとともに総攻撃をかけるだけだ。一旦事が起これば他の諸国も我先にと動き出すだろう。そうなれば帝國も重い腰を上げざる得なくなる。

帝國は予定が早まった事を不快に思うかも知れないが、手柄を立ててしまえばこっちのものだ。今回の戦いで帝國に我等の「力」を見せられればそれで良い。

マケドニア軍司令官は帝國がレムリアを滅ぼす事を確信していた。これだけの兵を集めたのだ、とても只の演習とは思えない。頃合を見て一気に攻め込む事を考えている筈だ。ならば我々がその先陣となり、マケドニアの名を世界中に轟かせるのだ。


だが夜明けが近づくにつれ、マケドニア軍司令官の心に不安と緊張が擡げてきた。無理も無い、何せこれが彼の初陣なのだ。

675 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:26:53 [ F04QFlfs ]
彼は某小国の下級騎士の家に生まれた。その後彼が獣人である事が発覚したが、両親はそれを隠して彼を育て続けてくれた。稀に見る幸運と言って良いだろう。彼は両親が死に、家督を相続してからその正体が露見し追放されたが、騎士として最低限の教育を受ける事ができたのだ。その後彼はマケドニアの創設に係わり王国貴族に列せられ、さらに小隊長をしていた「軍歴」と騎士として身に着けた「教養」を見込まれて王国大将軍となったのだ。


大丈夫だ、何も不安な事は無い。獣人の力は圧倒的だ。

彼は必死に込み上げてくる不安を鎮めようとするが、不安は一向に収まらない。

そうだ!我々には「あれ」があるではないか!

帝國から供与された兵器の事を思い出し、心が軽くなった。

そうだ、帝國の武器は無敵だ。帝國の武器の前では古代竜でさえ敵ではないだろう。


それは信仰の様なものだったが、もう彼の心に迷いは無かった。

676 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:27:32 [ F04QFlfs ]
6-3

夜明けとともにマケドニア軍が動き出す。

「銃兵隊前え!」

銃兵隊指揮官の命で100人ほどの銃兵が整列し射撃体勢をとる。敵との距離800M、敵弓兵の射程外である。報告によれば眼前の敵の砲は軽砲のみ。狙うは敵砲兵。

「撃て!」

一斉に「銃」が火を噴き、それとともに敵陣に炸裂音が響き渡る。

九七式20mm自動砲。

これが帝國軍から供与された秘密兵器だった。その数100門!マケドニアの銃兵達は60キロはある「銃」をまるでライフルのように軽々と扱い、弾装の弾が切れると腰の弾薬箱から弾を取り出して射撃を継続した。

677 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:27:53 [ F04QFlfs ]
「擲弾兵前え!」

敵砲兵の沈黙により、今度は擲弾兵が進み出る。

「投擲!」

擲弾兵は一斉に手榴弾を投擲する。投擲後、たちまち敵陣の防御陣地が破壊される。

九一式手榴弾。爆発までの時間が長く、遠くまで投擲できる獣人には打って付けである。

これらの兵器はマケドニア軍の遠距離火力の不足を補う為に帝國から供与されたもので、今回根こそぎ持ってきたのだ。それだけでマケドニアの今回の戦いに賭ける意気込みが分かるだろう。

頃合だ。

敵陣が混乱した事を確認すると、軍司令官は剣を掲げ号令を掛けた。



「総員抜刀!全軍突撃!」

678 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/11(木) 10:28:26 [ F04QFlfs ]
SS投下終了。

679 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/11(木) 10:43:56 [ 6KnBHENQ ]
投下乙です。
あ〜やっぱり彼らはやっちゃいましたね…帝國の中の人の胃は大丈夫でしょうか?w

680 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/11(木) 12:52:10 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
マケドニア軍、見事に暴走…辻参謀などが好きな展開ですが、彼のようなタイプは他人が同じ事をすると烈火のごとく怒るのですよね。
しかし獣人…対戦車ライフルを普通の小銃のように扱う人たちなのですか。
更に大き目の銃剣なんて着いていたら、白兵戦で彼らに敵う者はありませんね。

681 名前:サッキ119 ◆5cUNuTHr8. 投稿日:2005/08/11(木) 12:59:21 [ BbUEfgGI ]
やっちまった……
しかし、97式20mm自動砲ですか、たしかにあんなもの戦場で普通に扱えるのは獣人ぐらいですもんね

682 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/11(木) 14:44:40 [ YnrPq2J6 ]
投下乙です。
大将軍は小国の下級騎士なのね…
こうなると国王の「おじさん」の出自が気になる。
獣人社会の元締めかなにかだったんだろうか?

683 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/11(木) 14:52:40 [ 3ylZ17FI ]
これで厳罰は免れませんね・・・。
政治顧問が派遣されるきっかけにはなるでしょうが。

684 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/11(木) 15:40:05 [ Lpqim9j6 ]
なるほどそうきたか・・・獣人はすごいアドバンテージを持ってますね
現在の防弾チョッキは重さの限界で破片防御程度しか出来ませんが、
彼らなら機銃弾の直撃に耐えるアーマーを着ることが出来るのでは?
それかさらに多くの弾薬を持ち運べるか。現在研究が進んでいる
パワードスーツを全員着ているようなもので、機甲戦は無理でしょうが、
市街地戦では無敵の力を発揮できそうですね。

685 名前:DFC 投稿日:2005/08/11(木) 23:03:27 [ 0UYEnoo2 ]
投下乙です。
やっちゃいましたね、マケドニアの皆さん<汗>。
こりゃ後で指揮官の首が「物理的に」飛ぶんじゃないですかね? 
最低でもそれぐらいしないと収拾がつかない気がします。
獣人王の『おじさん』はどう対処するのかな?

686 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/12(金) 12:59:25 [ a1KJrS8g ]
投下乙です。

最初の設定で、日本国内の外国人は転移しなかったとありますが、帰化した人はどうなんでしょうか?
スタルヒンとか、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とか。

687 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/12(金) 15:36:36 [ F04QFlfs ]
679様、682様、683様、684様、686様、有難う御座います。

しおん様、サッキ119様、DFC様、いつも有難う御座います。


>あ〜やっぱり彼らはやっちゃいましたね
皆様の予想通り、獣人は暴発しました。実は「獣人の暴発」は構想の初期から予定していたものです。獣人は政治の素人なので、それを表現したかったのですよ。

>帝國の中の人の胃は大丈夫でしょうか?w
帝國はこの事態をどう収めるか苦悩する事でしょう。軍規、帝國の抱える現実的な問題、諸国の目、様々な要素があります。

>更に大き目の銃剣なんて着いていたら、白兵戦で彼らに敵う者はありませんね。
獣人が棍棒代わりに使ったら壊れてしまうかも・・・。

>白兵戦で彼らに敵う者はありませんね
獣人自身、そう自負しています。マケドニアは事あるごとに、帝國軍への正式参加を打診しています。

>しかし、97式20mm自動砲ですか、たしかにあんなもの戦場で普通に扱えるのは獣人ぐらいですもんね
実は帝國軍では現在、97式20mm自動砲を実戦配備しておりません。全て保管中(たしか昭和16年までで200門?)で、そのうち半分を供与しました。最終的には全て供与される予定です。

688 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/12(金) 15:36:56 [ F04QFlfs ]
>大将軍は小国の下級騎士なのね…
といいますか、この程度の経歴で大将軍になれる所にマケドニアの人材不足が表れています。

>こうなると国王の「おじさん」の出自が気になる
近い内に外伝で出すつもりです。御免なさい。

>これで厳罰は免れませんね・・・。
帝國はどういう処置をとるか頭を痛めるでしょうね。

>獣人はすごいアドバンテージを持ってますね
はい、帝國にとって獣人のこの力は必要不可欠なのです。なにも伊達や酔狂で「2大邦國が一つ」と優遇している訳ではないのですよ。そこに気がつかない所が獣人の不幸の始まりです。

>こりゃ後で指揮官の首が「物理的に」飛ぶんじゃないですかね?
う〜ん、マケドニア軍指揮官を処罰する権限は帝國軍司令官ではなくマケドニア王にあるんですよ。あくまで名目上ですけど。そこから先は「政治」の世界ですね。

>最初の設定で、日本国内の外国人は転移しなかったとありますが、帰化した人はどうなんでしょうか?
やはり帰化した人達も一緒に転移でしょうかねえ。小笠原諸島なんかには旧スペイン人(?)だった人がたくさん帰化したとか昔テレビでやってたような・・・。

689 名前:686 投稿日:2005/08/13(土) 08:33:53 [ JlgIauw. ]
帰化した人も転移するんですね。
小泉八雲はこの世界について色々本を書きそうだし、スタルヒンは巨人で健在ですね。アメリカに対する敵対心も薄れてるだろうから、彼にとっては史実より過ごしやすくなってるかも…
ところで、職業野球(プロ野球)にダークエルフ枠とか獣人枠とか…あったら面白いかもw

690 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:06:39 [ Swbssuyk ]
>>689
>スタルヒンは巨人で健在ですね
職業野球は現在大盛況です。みな軍から復帰しましたし、なにより心と物に余裕が出来ましたからね。

>アメリカに対する敵対心も薄れてる
というよりも忘れてたりして(笑)


現在ではTV放送計画すらあるのです!史実よりも大分早く、昭和20年には帝都限定で先行放映される予定です。放映内容は・・・やはりニュースに野球、落語でしょうかねえ?

691 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:07:12 [ Swbssuyk ]
さて、SS投下!

692 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:07:51 [ Swbssuyk ]
「帝國召喚」3−6 その2

6-4

「総員抜刀!全軍突撃!」
 
軍司令官の号令により、マケドニア軍は一斉に突撃を開始する。

先陣を務めるはマケドニア重装歩兵。数百キロの鎧を身に着けた彼等の突撃を止めるのは並大抵の事では不可能である。彼等は半壊した応急陣地の防御を容易に突破して陣地内になだれ込み、各所で白兵戦が発生する。

マケドニア兵は獣の様な雄叫びを上げてレムリア兵に襲い掛かる。マケドニア兵の武器は切れ味よりも頑丈さを重視した、通常の数倍の重さを誇る剣や槍。マケドニア兵はこれでレムリア兵を次々と「撲殺」していく。レムリア兵も体勢を立て直し、マケドニア兵1人に数人掛りで対抗する。だがこの戦法を用いるには、僅か2千のレムリア兵では少な過ぎた。レムリア兵は次第にその数を減らしていき、後退を重ねていった。


「獣人共が・・・。」

レムリア軍の司令官は呻いた。

最早マケドニア軍がここまでやって来るのは時間の問題だろう。完敗である。

693 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:08:16 [ Swbssuyk ]
「栄光あるレムリア軍が獣人如きに。」レムリア軍司令官は唇を噛み締めた。

だが、彼の立場から言わせればいくらでも異論がある。こちらからの積極的な行動は厳禁。しかも重砲どころか軽砲の持ち出しも制限され、挙句の果ては防御陣地の構築すら厳しく制限されたのだ。

これではもし大陸同盟軍が国境を越えてきたら対処のしようがない。

それがこの命令を受けた時の率直な感想だった。彼は同僚とともに総軍司令部に意見具申をおこなったが、総司令部からの命令は撤回される事は無かった。あくまで和平交渉に望みを繋いでいるらしい。その挙句がこの様である。

「帝國の武器さえ無ければ・・・。」

帝國の武器がマケドニアに供与されていたとは知らなかった。あの最初の一撃さえなければいくらでもやり様があったのに。今更詮の無い事ではあるが。


「逃げずに留まっているとは流石レムリアの将。」

「何処に逃げるというのだ?」

掛けられた言葉に冷笑で返す。振り返ると1人の獣人が立っていた。見るからに立派な拵えの鎧兜、剣を身に着けている。おそらく彼がマケドニアの将であろう。

694 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:08:50 [ Swbssuyk ]
「レムリア王国軍第三十三槍歩兵連隊長、陸軍大佐、准男爵、グラフィズ・アプ・グェンミンマン。」

「マケドニア王国大将軍、伯爵、ウィリアム・デ・ブラオス。」

両者は互いが名のある者と判断して名を交わした。

「グラフィズ卿、ここは我等の勝ちの様ですな。」

マケドニア軍司令官はニヤリと笑った。

「これが我等獣人の『力』です。以後は甘く見ない事ですな。」次があれば。

「ほう?お前達は本当に自分達の力で勝ったと思っているのか?」

レムリア軍司令官は嘲るような表情で言った。

「我々はお前達の持つ『帝國の武器』に敗れたのだ。断じてお前達にではない!それにお前達の鎧や剣、それはロッシェルで作られた物ではないか。全て他人からの借り物、自分達の手で作り出したもの等何一つ無い。よくそれで『自分達の力で勝った』と言えるものだ。・・・ああ、そういえば『国』も『王位』も帝國から施されたものだったな、所詮は獣か。」

「施しだと!我等を侮辱するか!」

695 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:09:11 [ Swbssuyk ]
レムリア軍司令官はそれを聞くと笑い出した。

「侮辱!真実を言う事が侮辱か!では聞くがお前達は帝國に何を与えた?施しを受けたのではないというのなら!代償に帝國に『何』を与えた?」

「うっ・・・。」

途端にマケドニア軍司令官は黙り込む、図星だったからだ。だからこそマケドニアは焦っているのだ。

「まあ精々飼い主に尻尾を振るがいい。お前達等、帝國の庇護が無ければ所詮何も出来ないのだからな。」

「黙れ!」

とうとう我慢できなくなり、マケドニア軍司令官は剣を振った。レムリア軍司令官は絶命する。だがそれでは治まらず、何度も剣を振るう。

「将軍!何をやっているのですか!もう死んでいますよ!」

やってきた副官が慌てて彼を止めた。その言葉を聞きようやく我に返る。

「どうやら敵将を討ち取ったようですね!首級を掲げましょう、兵も喜びます!」

そうだ、我々は勝ったのだ。何を気にする?所詮は負け犬の戯言だ。

696 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:09:52 [ Swbssuyk ]
彼は首を獲ると副官が渡した槍に吊るし、高々と掲げた。

「敵将の首、マケドニア王国大将軍、ウィリアム・デ・ブラオスが討ち取った!」

それを見たマケドニア兵は大歓声を上げる。肩を取り合い涙する者までいる。記念すべきマケドニア王国軍の初陣、その勝利の瞬間だった。しかも相手は『あの』レムリアなのだ!


「勇敢なるマケドニア兵諸君!記念すべき歴史的勝利だ!今日この日、この瞬間を諸君らと共にすごせた事を光栄に思う!」

マケドニア軍司令官の演説にマケドニア兵は歓声で答える。

「諸君らは今日この日の事をその子々孫々の代に至るまで語り継ぐが良い!それを聞いた者達は口惜しむ事だろう!『何故自分達の先祖はその日、そこにいなかっかったのか?』と!さあ諸君!前進だ!共に歴史に名を刻もうではないか!」

「マケドニア万歳!」

「勝利万歳!」

「マケドニアに栄光あれ!」

「共に歴史を!」

マケドニア兵は口々にそう叫び、レムリア兵の遺骸を越えて前進を始める。


マケドニア軍司令官も兵も、勝利に酔っていた。

それは彼等にとって、あまりにも美味なものだった。

697 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/13(土) 11:10:49 [ Swbssuyk ]
SS投下終了。マケドニア軍初勝利!

698 名前:DFC 投稿日:2005/08/13(土) 19:06:00 [ YdHB3Tw. ]
投下乙です。
初勝利といっても、有識者から見れば問題有りすぎて頭抱えたくなるような状況ですね。
非公式の段階とはいえ、停戦交渉中にいきなり攻撃したんですから。

699 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/13(土) 19:25:28 [ 3ylZ17FI ]
目先の勝利に囚われてもっと大きな利益を逃してるよ・・。
絶対帝國から「勝手になんて事をしてくれたんじゃこのクソッタレ!!!」とクレームが来ること間違いないな〜。

700 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/14(日) 00:55:33 [ QXQhxkZw ]
と言っても、マケドニア軍司令官は切れないんじゃないかな〜

701 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/14(日) 02:07:26 [ nqhPtWkc ]
帝國の国益に反していようが表向きは勝利ですからね。
うまく文句つけないとへたしたら朝鮮役の石田三成のように憎まれてしまうかも・・・
陸軍大臣さんは当分胃薬と縁が切れなさそう

702 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/14(日) 16:17:23 [ 6edxPdNI ]
問題の根本は帝國と獣人との間の相互理解の不足だよな、これ。
獣人の将軍に帝國人の友人と相談する機会があるだけで防げた事件だろう。
ダークエルフとの扱いの差も、結局は個人同士の親密度の差に起因している。
帝國が忍者の力を借りる半分でも、獣人が帝國人の力を借りていれば……。

703 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/14(日) 21:02:54 [ Swbssuyk ]
>>698
DFC様、いつも有難う御座います。

>非公式の段階とはいえ、停戦交渉中にいきなり攻撃したんですから
帝國の面目丸潰れです。


>>699
>目先の勝利に囚われてもっと大きな利益を逃してるよ
彼等は政治的な思考が出来ませんから・・・。その点については彼等も痛感していて、現在子供達を教育中です。次世代に期待ですね。


>>700
>と言っても、マケドニア軍司令官は切れないんじゃないかな〜
まあ、ねえ?


>>701
>陸軍大臣さんは当分胃薬と縁が切れなさそう
大陸同盟軍総司令部、交渉団、帝國政府、全てが大慌てです。後2者(とくに交渉団)は大陸同盟軍総司令部の統率力の無さを呪っております(笑)。


>>702
>問題の根本は帝國と獣人との間の相互理解の不足だよな、これ。
そうですね。獣人には個人的に親しくしている帝國の要人がいませんから。機会もなかなかありませんし。

作品中でも出てきますがダークエルフは国家的にも個人的にも密接に結びついています。今では帝國の重要な政治的決定は両者で話し合い、決定されています。そこまで入り込まれる帝國もどうかとは思いますけどね・・・。口の悪い者は「帝國とスコットランド(ダークエルフ)は『結婚』している」等と影口を叩いています。

704 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/14(日) 21:04:31 [ Swbssuyk ]
SS投下!

705 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/14(日) 21:04:58 [ Swbssuyk ]
「帝國召喚」3−7

7-1 大陸同盟軍総司令部

大陸同盟軍総司令部は早朝から蜂の巣を突付いた様な騒ぎを呈していた。

「一体何処の馬鹿だ!」

「あれ程釘を刺しておいたのに、まさか我が軍(帝國軍)から行動を起こすとは!」


第一報は『何者か−おそらく帝國軍−がレムリア軍に向け発砲した』というものだった。

夜明けと共に、大量の発砲音がレムリア側から聞こえたのだ。『どこかのトチ狂った帝國軍指揮官が密かに国境を越えてレムリア軍に攻撃を仕掛けた』そう帝國軍は判断した。この時点では。


「同盟諸国の軍が次々に陣を出て行きます!」

それはそうだろう、彼等にとって絶好の機会なのだ。

「止めろ!何としてでも止めろ!このままでは収拾がつかなくなるぞ!」

そこに知らせを受けた総司令官が慌ててやって来た。

706 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/14(日) 21:05:24 [ Swbssuyk ]
「状況は!」

「何者かが夜明けと共にレムリア軍に向け発砲!現在交戦中です!それを受け同盟諸国の軍も次々と出陣!」

「各集団司令官に命令、『配下の軍の統制を厳にせよ、従わざるは発砲を許可す』。第1戦車団に命令、『国境を越えようとする軍はこれを全力で撃退せよ』。」

その過激な命令に、司令部はたちまち沈黙する。

「閣下、それは・・・。」

「命令!」

参謀長が慌てて取り成そうとするが、総司令官はとりあおうとはしない。

「閣下、現在交戦中の部隊については如何いたしましょうか?」

参謀の1人が恐る恐る尋ねる。

「大至急部隊を割り出せ。全てはそれからだ。」

畜生、何処の馬鹿だ。調子に乗りやがって!支那の時のような独断専行が此処でも通用すると思うなよ?絶対やった者勝ちにはさせんぞ!


帝國軍は事態の収拾に乗り出した。

707 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/14(日) 21:05:56 [ Swbssuyk ]
<補足> 帝國軍の機甲部隊
第1戦車団(3個戦車連隊)
第2戦車団(3個戦車連隊)
第3戦車団(3個戦車連隊)
第4戦車団(3個戦車連隊)*騎兵集団を改編
独立戦車連隊5個 
教導戦車連隊               計18個戦車連隊

この他、一部優良師団が戦車隊を師団内に保有、捜索連隊にも装甲車が装備されています。また実戦部隊ではありませんが、戦車学校や騎兵学校にも多数の戦車があります。

転移前より3個連隊増えましたが増加分は騎兵部隊からの改編であり、実際には連隊数は増加していません。これは1個戦車連隊あたりの戦力増強に努めた為です。

増強策としては、以下の策が実行中です。
①連隊から八九式中戦車を除籍、八九式中戦車は師団戦車隊へ。
②全ての師団を4個戦車中隊54両編成へ(ただし中戦車中隊と軽戦車中隊の保有比率は各連隊で異なる)。
③連隊内に機動歩兵中隊、機動砲兵中隊の新設。

保有戦車としては、以下の物があります。
中戦車  八九式、九七式、九七式改
軽戦車  九五式
装甲車  九二式、九四式、九七式

他に次世代戦車として一式中戦車、一式砲戦車を少数保有しています。

708 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/14(日) 21:07:39 [ Swbssuyk ]
SS投下終了。

今のところ帝國は犯人がマケドニアとは気付いていません。身内の暴走と誤認しています。

709 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/14(日) 22:59:41 [ YnrPq2J6 ]
乙です。
さあどうでる帝國軍…まさかマケドニアvs第1戦車団!?

710 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/15(月) 21:23:19 [ pueB/dG6 ]
投下乙です。

>支那の時のような独断専行が此処でも通用すると思うなよ?

転移前の事については振り返って反省する事が出来てるようですね。
二度と関わる事もないでしょうから、面子云々という事もないんでしょうけど。

711 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 10:11:06 [ Swbssuyk ]
>>709
有難う御座います。

>さあどうでる帝國軍
マケドニアが犯人とわかったら絶句するでしょうねえ。


>>710
有難う御座います。

>転移前の事については振り返って反省する事が出来てるようですね
皆内心はマズイと思っていたんでしょうね。ただ官僚組織の悲しさ、皆内心はマズイと思っていても引き返すのは無理だったのです。転移で面子も責任問題も何処かにいってしまったので皆ほっとしています。少なくともある程度以上の立場の人間は。

712 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:41:20 [ Swbssuyk ]
さて、SS投下!

713 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:41:42 [ Swbssuyk ]
「帝國召喚」

7-2

犯人探しは呆気なく終了した。マケドニア軍の伝令が総司令部にやって来たのだ。

「前衛のレムリア軍は我がマケドニアが打ち破りました。帝國軍の出陣を願います。我等が先陣を務めましょう!」

伝令の騎士は誇らしげに報告する。余程浮かれているのだろう、そうでなければ総司令部の殺気立った雰囲気を感じる事が出来る筈だ。

「・・・!」

何か言おうとした参謀長の足を(伝令に見えないように)蹴飛ばすと、総司令官は満面の笑みを浮べて言った。

「さすがは豪傑揃いのマケドニア、見事なものです。」

「光栄に存じます。」

「成る程、先陣を願われますか。ですが貴軍には総司令部の馬廻りを務めて貰おうと思ったのですが・・・。」

714 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:42:04 [ Swbssuyk ]
馬廻りとは、まあ親衛隊や近衛みたいなものである。旗本と言った方が分かり易いかもしれない。先陣とは別の意味で名誉な事だ。

「馬廻りを!・・・しかし。」

「それになにせこれだけの大軍、動き始めるだけで一苦労です。全軍にまで命令が行き渡るまで暫く時間がかかるでしょう。できれば一度陣に御戻り願えないでしょうか?補給の問題もあるでしょう?」

「分かりました。その旨、司令官にお伝えします。」

「ああ、お待ち下さい。」

そう言うと、司令官は一旦退出し、手に酒瓶を持って戻ってきた。

「これは私からの戦勝祝いです。司令官閣下にお渡し下さい。」

「ハッ!」

715 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:42:30 [ Swbssuyk ]
7-3

「全く!獣人は脳味噌まで筋肉か!?」

自室に戻った総司令官は初めて怒りを顔と言葉に表した。

「・・・良く我慢しましたなあ。」

グラスを手にしたグラディア少将が他人事(事実その通り)のように声をかける。

「ああ、この『すこっち』も良いですね。『連中』への手土産はワインよりもこっちの方が良いでしょう。『うぉっか』も捨て難いですが・・・。」

「グラディア卿!」

「ああ、失礼。ですがこの度の一件、如何に処置します?」

グラディア少将は真面目な顔つきで尋ねる。

「グラディア卿にとっても、以後は他人事ではなくなるでしょう。」

「承知。」

つまりはマケドニアの動向もダークエルフの監視対象に加わるという事だ。もっとも独自にある程度の監視はしていたろうが、以後は『公式に』監視する事になる。

716 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:42:52 [ Swbssuyk ]
「それ位でしょうね。本国政府もそう判断する筈です。」

「ではお咎め無しと?」

「・・・グラディア卿もお分かりでしょう?できる筈が無い。」

溜息を吐きつつ総司令官は答える。


現在、獣人は外地における帝國の貴重な労働力として活躍している。その怪力は機械化されていない帝國にとって、今では必要不可欠なものとなっているのだ。資源が1年足らずで採掘可濃となったのも彼等が重機代わりに働いた御蔭である。帝國軍の快進撃を支える飛行場の設営にも欠かせない、彼等がいるといないのとでは効率が倍以上違うのだ。現在帝國が外地で雇用している異世界人の大半は彼等獣人なのである。だからこそここまで厚く遇しているのだ。


「まあ彼等も焦っていたのでしょうね。」

「焦る?何に?」

「広がる我々との差、縮まる後ろとの差。」

グラディア少将は総司令官の疑問に簡潔に答える。

717 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:43:29 [ Swbssuyk ]
「まさか帝國公爵位を望んでいるのですか!?そんな無茶な!帝國人とて公爵位を有しているのは徳川宗家に島津・毛利両家、後は五摂関家位のものですよ!何の功績も家柄も無いマケドニア王に下賜できる訳ないじゃあないですか!加賀前田家だって侯爵位なのですよ。その侯爵位を下賜するのにどれだけ苦労した事か・・・。」

総司令官は愚痴るように話を続ける。

「だいたいロッシェル王と同格で何が不満なんです?人口も国力も差は100倍じゃあきかないでしょう。そのロッシェル王と同格、さらに王太子に伯爵位まで与えて差をつけているのですよ?」


・・・閣下、所詮強者には弱者の気持ちは分からないのですよ。

グラディア少将は心の中で呟く。おそらくマケドニア、いや獣人は想像を絶する恐怖の中にいたのだろう。欲しいのは帝國公爵位なんかじゃあない、ただ『帝國に忘れられる』事が怖かっただけのだ。今回の戦いも彼等なりの精一杯のアピールだったのだろう、不器用な事だが。

だが今回の一件、高くついたな。

これから帝國はマケドニアに対して、『全面的な好意』で見るような事はしなくなるだろう。目に見える罰は無いだろうが、失った物は決して少なくない。

まあ仕方ない、彼等にも責任はあるのだから。

帝國には自覚はないだろうが、今回の『暴走』の責任の半分は帝國にある。だが逆を言えばマケドニアにも同じ分だけの責任があるのだ。帝國だけが被害を被るのも不公平というものだろう。

718 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/16(火) 11:45:34 [ Swbssuyk ]
SS投下終了!

そういえば、私事ですが、HPがもうすぐ1000いきそうです。始めは1年はかかると考えていましたが。

1000になったら何か特別企画をやろうと考えています。

719 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/17(水) 02:36:33 [ 6edxPdNI ]
乙ですー。
不躾ですが、特別企画は何度か言ってた「外伝の外伝」なんかどうです?
マケドニアのごく普通の一日とか、ダークエルフと海軍さんの結婚騒動とか、
人質兼留学生として放り込まれた封建貴族のお嬢様の学園生活とか。

>帝國には自覚はないだろうが、今回の『暴走』の責任の半分は帝國にある。
しかしまあ、根の深い問題だよなぁ。
帝國から見て、獣人には価値があるがマケドニアに価値はない。
ダークエルフはダークエルフ社会そのものが必要だから社会ごと厚遇するが、
獣人はとにかく獣人がいれば良く、国家体制はくれてやった褒章に過ぎない、
たかが褒章だから獣人がそれをどう扱おうと関係ない。価値を認める必要もない。

ある意味、マケドニアの焦りも無理からぬ事ではある。

720 名前:ブルガ 投稿日:2005/08/17(水) 10:06:46 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。

しばらくこっちにこれなかったらなにやらトンデモナイコトになってますな
これからマケドニアには試練のときになるでしょうね

でも今はレムリアをどうするかのほうが気になってきますね
停戦交渉中にこちら側から攻撃してしまいましたから、どう収めるのかが問題。

721 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/17(水) 10:08:33 [ BbUEfgGI ]
すいません
ハンドル間違えました。

722 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/17(水) 20:42:08 [ nqhPtWkc ]
馬廻り扱いにして引き戻すとはうまい手でしたね。

一般獣人だけでなくマケドニア上層部でも、帝國の文明を知ってしまうと別の意味で自分たちの価値を
信じられなくて焦ってしまうのかもなぁ。帝國が機械化進めば価値下落と・・・

723 名前:分家228 ◆st/L1FdKUk 投稿日:2005/08/17(水) 23:06:09 [ NrZTFwO2 ]
いつもながら投下乙です
こちとらパソコンが壊れて最悪の状態ですw

724 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:10:35 [ Swbssuyk ]
>>719
719様、有難う御座います。

>帝國から見て、獣人には価値があるがマケドニアに価値はない。
それが帝國の本音でしょうね。意地悪く言えばマケドニア王国は、獣人達を一層よく働かせるための「餌」ですからね。他にもいろいろ、国を与えた方が都合が良い(帝國にとって)理由があります。非常に生臭い理由ですが。


>>720、721
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>でも今はレムリアをどうするかのほうが気になってきますね
交渉団に期待ですね。彼等は軍とマケドニアを罵りながら策を考えている事でしょう。


>>722
722様、有難う御座います。

>馬廻り扱いにして引き戻すとはうまい手でしたね
これで大人しく戻ってくれれば良いのですが。

>帝國が機械化進めば価値下落と・・・
まだ当分先でしょうけどね。それまでの「猶予期間」で足元を固めなければなりません。


>>723
分家228様、有難う御座います。

>こちとらパソコンが壊れて最悪の状態ですw
パソコンですか・・・、それは大変でしたね。何日もパソコンに触れないのは辛いものです。

そういえば新しい奴欲しいなあ(遠い目)。でもロングホーンが来年末にでるそうだから、それまで我慢です。お金も無いし。

725 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:11:01 [ Swbssuyk ]
さて719様、レスの前半をスルーした形になってしまい、申し訳ありませんでした。ちょっと長くなるので一番下にしました。

>不躾ですが、特別企画は何度か言ってた「外伝の外伝」なんかどうです?
そうですね、それがいいかも知れません。まだ何も考えていなかったですし。

>マケドニアのごく普通の一日とか
現在の様子はロイ少年の外伝シリーズで書くと思うので、ちょっと先の話がいいですね。ある程度国作りが出来、この国で生まれて悲惨な経験をしてない子供達が主役のお話。案①としましょう

>ダークエルフと海軍さんの結婚騒動
これは将来本編で出すつもりなので・・・。御免なさい。

>人質兼留学生として放り込まれた封建貴族のお嬢様の学園生活とか
これは現在の設定でできますね。案②としましょう。


・・・2択じゃあ一寸寂しいですね、案③も作りましょうか。ちょっとSSを投下します。

726 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:12:07 [ Swbssuyk ]
「帝國召喚」二次創作SS

1-1 −皇紀2665年、東京国際空港−

東京国際空港、言わずと知れた帝都の「空の玄関」である。世界唯一の超大国『帝國』の表玄関に相応しく、人間や獣人・翼人・ドワ−フ・ホビット等々、空港内には様々な人種が溢れ返り活気を呈している。


「ここが華の帝都かあ。」

1人の少女が溜息を吐く。

金髪に浅黒い肌、そして長い耳。どうやら彼女はこの世界における特権種族、ダークエルフのようである。

「お嬢様、待って下さい!」

後ろから声が聞こえる。振り返ると老人と少年の、やはりダークエルフが慌ててこっちにやって来るのが見えた。

「じい、シン、遅いよ!」

「お嬢様、帝都は逃げやしませんよ・・・。」

727 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:12:29 [ Swbssuyk ]
少年のダークエルフ(どうやらシンという様だ)が肩で息をしながら答える。

「情けないぞ、シン。この程度で根を上げるとは!『放浪時代』なら野垂れ死んでるぞ!」

「・・・どうせ僕達は『放浪時代』を知らない子供達ですよ。」

『じい』の叱責にシンが不貞腐れる。この様子だと日頃から言われている様だ。だがふと外に目をやり、何を見つけたのか慌てて窓に駆け寄る。

「富嶽改だ!しかも最新の五型乙だ!くそう、カメラがあれば!」

さっきまで不貞腐れていたのも忘れて興奮して叫んでいる。それを見た少女は呆れたように言った。

「ま〜たシンの『病気』が始まった。」

「何を言うんですか、お嬢様!富嶽ですよ!富嶽!世界初の戦略爆撃機として皇紀2620年に登場して以来、帝國戦略空軍の主力として現在に至るまでその地位を保っている傑作機ですよ!」

「どうでもいいわよ・・・。」

「どうでも良くありません!大事な事です!そんな事では、戦争になったらどうするんですか!?」

728 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:12:51 [ Swbssuyk ]
「・・・帝國にケンカ売る命知らずなんてこの世界にはいないわよ。」

「しかっ!・・・うぐ」

急に少年がぐったりする。『じい』に絞め落されたのだ。

「お嬢様、黙らせました。」

「ありがと。」

少女が驚かない所を見ると、どうやら日常的な光景らしい。

「あれ?」

どうやら周囲の他人達には『日常的な光景』では無かったらしく、何時の間にか注目の的となっている。空港憲兵隊がやって来るのも見えた。

「一体何事です?」

高圧的な態度で有名な空港憲兵が驚くほど丁寧な口調で対応する。さすが『特権種族』といったところか。

「ええっと・・・。」

729 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:13:07 [ Swbssuyk ]
「!おいっ少年!誰にやられた!」

倒れている少年に気付き、口篭る少女を脇目に憲兵は少年に声をかける。そこに聞き込みをしていた部下−獣人だ−が慌てて駆け寄る。

「小隊長殿!大変です!その少年は『エルフ』に襲われたようです!」

「『エルフ』だと!おのれテロリスト共が、帝都に現れるとはいい度胸だ!空港憲兵隊の面目にかけて見つけ出せ!」

「「ハッ」」

憲兵隊はたちまち駆け出していく、少女は状況が掴めずポカンとしていた。

「どうなってるの?」

「一寸細工しました。・・・しかしこの程度も見抜けぬとは、憲兵隊も少々平和ボケしましたなあ。」

済ました顔で『じい』が答えるのを少女は半眼で睨む。

「じい、また変な術使ったのね!憲兵さん達に何やってるのよ!」

730 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:13:29 [ Swbssuyk ]
「嘘は言っておりませぬよ?シンはダーク『エルフ』にやられたのです。」

「あのね・・・。」

「まあまあお嬢様、もうこれは病気みたいなものですから。」

いつのまにか少年が会話に加わっている。

「もう復活したの?」

「慣れてますから。」

「お嬢様、そろそろ入国手続きを。」

『じい』の催促に少女は我に返った。

「そうだ、こんな事していられないわ!帝都が待っているんだから!」

「ですから、帝都は逃げやしませんって・・・。」


彼等は厳しい帝國の入国審査を殆どフリーパスで通過すると、帝都に消えていった。

731 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:13:53 [ Swbssuyk ]
1-2 −同時刻、東京港某埠頭−

「うわぁ〜」

それしか言葉が出てこない。ここが帝都、世界最大最高の都市。・・・まだ港だけれど。

それでも活気は伝わってくる。自分の生まれ故郷とは大違いだ。ふと不安に思う、自分のような田舎者が帝都でやっていけるのだろうか?故郷でさえ「どんくさい」と言われていたのに・・・。

「いけない、いけない!」

頭と尻尾を振って自分を励ます。故郷の弟妹達の為にも頑張らなければ!

「ハの134番!いないのか!」

「!います!ここにいます!」

いつのまにか呼ばれていたらしい、慌てて入国管理官の所に駆け寄る。

「フィ−ナ・アルバトス!マケドニア王国生まれ!15歳です!趣味はっ・・」

「・・・趣味はいい。」

732 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:14:12 [ Swbssuyk ]
入国管理官は呆れたように言い、少女を頭から尻尾の先までジロジロ眺める。

・・・尻尾?入国管理官は自問する。彼女は断尾していないのか?たしか自分の知る獣人は皆そうしていたが。

まあいい余程の田舎者なのだろう。第一、今時風呂敷背負って来るか?

「ふむ。・・・む!」

急に書類を見る入国管理官の目が厳しくなる。

「おい、こら!書類では14歳となっているぞ!どういう事だ!」

「ああ!御免なさい!ウチの故郷では『数え年』で年を数えるんです〜。だからついうっかり・・・。」

急に眩暈がしてきた。

「もういい・・・。行け・・・。」

入国管理官は力なく手を振り、言った

「はい!ありがとうございます!」

少女は最敬礼して退出する。元気いっぱいだ。・・・普通もう少し緊張するものだが。


とにかく彼女の帝都生活が許可されたようだ。

733 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/18(木) 10:15:09 [ Swbssuyk ]
SS投下終了。

このSS、自作「帝國召喚」の二次創作として以前書いた物です。いろいろなSSを書く練習の一つとして書いたんですよ。このSSは「帝國召喚」の二次創作として書きました。ですから「帝國召喚」の設定、世界観を借りてはいますが直接の関係はありません。多分。

これを案③としましょう。


さて、案①〜③どれが良いでしょう?皆様の御意見で一番多い案を特別企画として採用します。

締め切りは21日24時までです。

734 名前:ぱふ ◆QNqArvHyIU 投稿日:2005/08/18(木) 11:34:30 [ .Ucu9Eo6 ]
案②に一票!

735 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/18(木) 15:24:38 [ Lpqim9j6 ]
うーん、どれも非常に読みたいw
くそう、しかし選ばなければならないのなら・・・
案③に一票

736 名前:735 投稿日:2005/08/18(木) 15:26:40 [ Lpqim9j6 ]
言い忘れてた
GJ
こうゆうのもいいなあ
いやはや、読むのがとても楽しい

737 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/18(木) 17:22:28 [ qDk8Wq4s ]
乙です
私は案③に一票!

738 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/18(木) 17:29:28 [ WGR9fXYA ]
いつも乙かれさまです
自分は②に一票、ロイ少年が好きなんでマケドニアのお話も捨て難いんですが
新しいものも見てみたいので

739 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/18(木) 19:16:22 [ emPr5rdw ]
乙です。
自分は②に一票を

740 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/18(木) 19:29:18 [ .s6jiuws ]
投下乙です。
私は②に一票

741 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/18(木) 21:56:44 [ Ho0hBY0M ]
投下乙でやんす。そんでもってオイラは①に一票投票します。
やはりロイ少年のマケドニア話を。
これまで虐げられてた獣人達が希望を持って労働してる描写が見たいっす。

だってコレまで良くて人の嫌がる穢れ仕事や裏家業しか出来なかった獣人が、
陽の当たる場所で普通に働けるだけでも幸せなんでしょうから。

742 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/18(木) 23:38:00 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。
かなり悩みましたが③を読みたいです。

743 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 00:13:16 [ pPaHd3PA ]
投下乙かれです。
私は②が読みたいです。

744 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 05:00:20 [ 3ylZ17FI ]
③、なにより富嶽が実用化されているから。

745 名前:DFC 投稿日:2005/08/19(金) 06:41:01 [ 3e22krA2 ]
投下乙です。
どれも面白そうですが、選ぶなら②かな。
帝國の文化に触れて、貴族の子女達がどの様に変わっていくのか見てみたいです。
P・S
ダークエルフと獣人の仲はどうなっているのでしょうか?
帝國としてはどちらも貴重な『労働力』ですから、いがみ合わせるワケにはいかないでしょうし。

746 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 12:06:40 [ hrNi68eo ]
③希望!

747 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 12:49:26 [ hrNi68eo ]
乙です。

昭和35年で富嶽初登場・・・・・。アメリカじゃあ既にF4やB52が実戦配備されているのにort


企画は悩むが案③をお願いします。

748 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 13:14:20 [ VyAbiJFg ]
投下乙津です。
漏れは1希望。

749 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 14:13:49 [ hrNi68eo ]
>747
当時の日本の技術力ならそれでも上等と思われ。

③を所望。

750 名前:ユック 投稿日:2005/08/19(金) 15:22:26 [ YT2pX2Ug ]
初めまして、いつも楽しく拝見させて頂いております。
自分は①を希望します。獣好きーの自分としてはやはりロイ少年のことが気になります。
少し思ったのですが、たぶん一般の日本人は獣人と仲が良く、エリートや上流階級の人はダークエルフと仲が良いのではないかと。
獣人は素朴で働き者だし、見た目もあまり人間と代わらない。さらに元々日本ではコミカルな人間に化けた狐や狸の話が大変多いので、一般人はほぼ何の抵抗も無く受け入れるのでは。
(実際明治から大正の新聞には狐狸の話が毎日のように出ていました。)そしてダークエルフはおそらく政府の要人たちと付き合うことで、日本人の間でダークエルフ=ステータスという構図ができるのでは。
そうすると日本の中でも庶民は獣人よりで、役人やエリートはダークエルフよりの二極化が起こるような気がするのですが。どうでしょうか。

751 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 15:44:26 [ hrNi68eo ]
>彼女は断尾していないのか?
何て勿体無いこと言うんだ!というわけで③の続き希望。

752 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/19(金) 17:41:28 [ Swbssuyk ]
皆様、有難う御座います。

>ロイ少年が好きなんでマケドニアのお話も捨て難い
有難う御座います。そういえばロイ少年、まだマケドニアにもついていませんからね。第3章がひと段落着いたら又書きたいですよ。

>これまで虐げられてた獣人達が希望を持って労働してる描写が見たいっす
マケドニアは現在(第3章時点)建国中です。彼らにとってやりがいのある仕事でしょうね。
なんといっても自分達の国なのだから。

>ダークエルフと獣人の仲はどうなっているのでしょうか?
「良くも悪くも無い」といったところでしょうか。接点がないので儀礼的な付き合いしかありません。本当はこれでは良くないのですけどね。

>昭和35年で富嶽初登場・・・・・。アメリカじゃあ既にF4やB52が実戦配備されているのにort
まあ外部からの刺激もありませんし。

>そうすると日本の中でも庶民は獣人よりで、役人やエリートはダークエルフよりの二極化が起こるような気がするのですが。どうでしょうか。
鋭いですねえ。本編の世界ではまだ二極化されてはいませんが(といってもすでにダークエルフはかなり帝國指導層に食い込んでいます)、将来獣人が帝國に入り込むとしたら庶民層でしょうし、ダークエルフは当然エリート層でしょう。

掲載した③のSS、二次創作ではありますが役人(憲兵、入国管理官)の対応差を見て下されば両種族の社会的な位置がお分かり頂けると思います。とはいえ、帝國に比較的容易に入国できる獣人とてある意味「特権種族」です。帝國に正式に出稼ぎに来れるのは彼(彼女)等くらいのものです。

753 名前:レリエル ◆EVA/Tp2532 投稿日:2005/08/19(金) 20:25:54 [ s8Bxq3zk ]
む〜、迷うケド、ここは②でおながいします。

754 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 20:54:46 [ X/hU7PtI ]
アメリカからの技術導入無しというのはかなり影響が大きいでしょうね。
史実と同じペースでの発展は不可能ですから。
工作機械をまともに作れなかった日本が、制約の多いこの世界で
どのように富嶽に至るのか。
プロジェクトX三回分の話になりそうですね。

755 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 21:09:29 [ YnrPq2J6 ]
とりあえず魔法の導入は必須でしょうね…
ひょっとしたらすさまじいモノを燃料として使用しているかも。

756 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 22:01:24 [ mSiubQ.I ]
と言う以前に富嶽を開発する必要が(要求)あるのかな?
一式でも技術格差がありすぎるうえ、外国からマザー機械や部品、
資料が入ってこないのだからね。
人員、燃料、爆弾を爆食いするような物を国内が安定して数年?
で正式して量産するメリットがあまり感じられません。
でも必要なくても軍ヲタとしてロマンには負けるけどw

とりあえず①で。

757 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 22:05:04 [ 6edxPdNI ]
んー、できれば①か②で。
③はなんというか、今までからテーマ的に逸脱してるような気が。

全く無関係だった人々が交わる過程での好奇心とか違和感とか誤解とか、
そういう基本的ムードが薄れてしまうのは正直どんなもんかと。
日本で暮らす獣人やダークエルフを描くのなら②の前提条件でもできるし、
「その後の帝國」というマクロな舞台装置はこの場合むしろ邪魔だと思う。

758 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/19(金) 22:32:31 [ nqhPtWkc ]
うーん、未来のお話は後の楽しみにしておこうかということで2を希望でーす

SSですが、獣人のしっぽって変身しなくても出てるんですか?確認のために獣化させて入国審査させてるのかな?
もししっぽや耳くらいはいつも出てるとすればスパイの警戒すごく楽ですね

759 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 01:08:55 [ qA8gMQY. ]
>>獣人のしっぽって変身しなくても出てるんですか

オオ・・・けものッ娘クラブ!。
秋葉原でリアル猫耳や犬耳娘ッこ達が、萌え系喫茶店とかでメイド服着てそう♪。

760 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 01:32:02 [ YnrPq2J6 ]
>>759
そうなるにはもう40年ほど待たなくてはw

761 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/20(土) 01:35:25 [ r9DJpMoo ]
はぅ、お盆休みから帰ってきたらえらいことになってる。
SS投下&提案乙です。
③はこのSSがひと段落着いてからのほうが面白いかも。
私は①をリクエストします。

762 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 01:37:27 [ 8YP91SuI ]
将来オタク文化が花開き、漫画やアニメが輸出されるようになると、
猫耳メイドさん(;´Д`)ハァハァとか、ツンデレダークエルフのお嬢様(;´Д`)ハァハァ
とか言い出すのが増えて、人種偏見が解消されたりするのでしょうか?w

2をキボンヌ

763 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 02:25:55 [ mSiubQ.I ]
いつも乙です。
上でもかかれてますが③はこのスレのしゅしから離れてる気がします。
(面白そうだけどw)
なので①でお願いします。

764 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/20(土) 02:31:53 [ Swbssuyk ]
皆様、沢山の御意見ご感想有難う御座います。

う〜む、②か③が当初優勢かと思えば①が追い上げてきました。

③は本編の未来という訳ではありません。なにせまだエンディングの候補がいくつもありますし。③設定では帝國の辿った結末は、ギャルゲーでいえばハーレムエンド・御都合主義エンドですね。ですから連載されれば矛盾点はいくつもでてくるでしょう。本編とは異なる「お気楽感覚SS」の予定です。二次創作ですから。

>獣人のしっぽって変身しなくても出てるんですか?
本編ではもちろん出ません(笑)。獣人が警戒しなくても良くなったせいか、彼等の子供達から出るようになったという御都合主義的設定です。もちろんたいてい断尾しますが。

>秋葉原でリアル猫耳や犬耳娘ッこ達が、萌え系喫茶店とかでメイド服着てそう♪。
この世界でも萌えってあるのでしょうかね?

>上でもかかれてますが③はこのスレのしゅしから離れてる気がします
このSSがお蔵入りになった理由でもあります。当初は超番外編として出そうと考えていたのですが、書いてて「スレ違い」に気付きました。結構量が多かったので勿体無くて今回1話を掲載したのですよ。

765 名前:鶏頭 ◆JNW2FsDB0Y 投稿日:2005/08/20(土) 06:56:38 [ XXJF0mjY ]
おいらは②が良いです。

765までの途中結果
① 6.5票
② 8.5票
③ 7票

766 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/20(土) 07:20:03 [ Swbssuyk ]
いまさっき見たら1千いきました。有難たい事です。

前祝としてSS投下!

767 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/20(土) 07:20:40 [ Swbssuyk ]
「帝國召喚」3−8

「そうか!総司令官閣下はそのように仰っていたか!」

「はい!労いのお言葉ばかりか、勝利祝いの酒まで賜りました!」

マケドニア軍司令部は総司令部から帰還した伝令からの報告を聞き、歓喜に包まれていた。

これで我等の面目もたった!

いや、ようやく及第点に達したところか。一瞬歓喜した後、軍司令官は改めて考え直す。我等にとって偉大な勝利ではあるが、所詮敵の小部隊を蹴散らしたに過ぎない。我々の真価が試されるのはむしろこれからだ。

「それで閣下は我等に馬廻りをと?」

「はい、ぜひ総司令部の馬廻りにと仰せでした。」

「ふむ。」

馬廻り、か。名誉な事ではある。だが・・・。

「それだけだ。」

768 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/20(土) 07:21:14 [ Swbssuyk ]
「は?」

どうやら口に出していたらしい。

「いや独り言だ。」

馬廻りでは手柄の立てようが無いではないか。我々の真価は先陣でこそ発揮されるというのに!

どうする?

軍司令官は心の中で自問した。当初の予定通りこのまま進撃を続けるか?だが我々だけでは流石に無理だ、たちまち袋叩きにあってしまう。期待していた後続部隊はどうしたのだろう?このような状況になれば諸国の軍勢が殺到する筈なのだが、一向に現れない。

それに輜重部隊は何をやっているのだ!

本来ならばもう合流する頃合である。身軽にする必要があったため、我々は1日分の糧食しか持ってきていない。銃兵の弾薬や擲弾兵の手榴弾についても同様だ、重さは大したことが無いがかさばる為、やはり銃兵は50発、擲弾兵は20発しか持ってこなかったのだ。先の戦いでその大半を射耗してしまった。

あれでも十分余ると思ったのだが・・・。

やはり発射速度が速すぎるせいだろう。初陣で興奮し、必要以上に射耗した事も無視できない。

769 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/20(土) 07:21:37 [ Swbssuyk ]
帝國からの第一次供与として受け取った武器は九七式20mm自動砲100門と弾薬1万発(全て榴弾)、九一式手榴弾1千発である。今回その全てを持ち込んだのだが、1回の戦いで4割以上の弾薬を消費した事になる。おそらくあと2回、大きな戦いならば1回戦えば無くなってしまう計算だ。

まあ無くなったらまた貰えばいい、ケチケチした戦は御免だ。

「閣下。」

副官がやって来た。

「銃兵の銃ですが、16挺破損しました。興奮して手荒く扱ったり、棍棒代わりにした事が原因のようです。」

「あれ程優しく扱えと言っただろう!あの武器は強力だが華奢なんだぞ!」

「何分、初陣ですから。」

くそ!我々ではどうしようもない、直ぐに帝國軍に修理して貰う必要がある。・・・まあいい、どうせ輜重部隊がこないから陣に戻る必要があったのだ。それにチャンスは1度だけじゃあない、また次の機会もあるだろう。

「欲を張っても仕方なし、か。」

「は?」

「何でもない!帰還だ、一時陣に戻るぞ!」


マケドニア軍は撤退を開始した。

770 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/20(土) 07:22:31 [ Swbssuyk ]
SS投下終了。

771 名前:DFC 投稿日:2005/08/20(土) 07:44:15 [ P4BLmz3M ]
投下乙です。
獣人の皆さんはまだ、体良く厄介払いされたことに気が付いていないようですね。
この猪武者っぷりは何時になったら直るのかな?

772 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 11:43:55 [ nqhPtWkc ]
後続部隊や補給の必要なければまだ暴走してたんか・・・
よかったよかった。
おだてて持ち上げる形で陸士にでもほうりこんで鍛えなおさなきゃ、あぶなくて
これから前線じゃ使えませんね。マケドニアが失ったものは大きかった!

773 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 13:26:46 [ 3ylZ17FI ]
猪武者っぷりを直す・・・痛みを伴う教訓しかやっぱないでしょう。
ちなみに③に一票、この時代の陸軍は完全機械化されているのかも知りたい。

774 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 14:41:50 [ 6edxPdNI ]
この将軍、何気に将としての才覚は凡庸じゃないぞ。
戦術面での采配は現時点でもひとかどの人物と言って良いと思う。
帝國の意向を理解しないのは、そもそもの原因を考えれば不可避だろう。

どっちにしろ、猪武者じゃないよ。きちんと考えて戦争してる。
単に間違った戦略目標と不可解な判断材料から決断を誤っただけで。
判断ミスは致命的だが、だからといって獣人が単細胞なわけじゃないだろう。

ああ、それと②で。③だと話の本筋を見失って迷走する悪寒が。

775 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 15:20:54 [ BseCnOUE ]
>>この将軍、何気に将としての才覚は凡庸じゃないぞ
考えてみれば、この人も初陣みたいなもんですからねぇ・・・
経験を積むか、頭の切れる参謀がつけば、
それこそマケドニアの屋台骨背負えるぐらいの名将に化けそう。

ちゅうことで私は①を押します。

776 名前:Call50 ◆9L0MrlozK2 投稿日:2005/08/20(土) 19:59:25 [ lD7oj60k ]
>>経験を積むか、頭の切れる参謀がつけば
そこでお目付け役と戦術指導を兼ねて参謀を派遣ですよ!
ただし辻〜んは勘弁な。

個人的趣味で②に1票。
時代が近いので後方(銃後)の様子が描写できる。あとは萌え(藁

777 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 20:50:19 [ YnrPq2J6 ]
>>776
むしろ獣人の馬鹿力のおかげででインパール作戦を成功させてしまう辻〜んとか…
彼なら獣人の体力についていけそうな気がする。

778 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 20:54:39 [ JfY8laTA ]
>>777
結局は補給ですよ。

779 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 21:09:06 [ 3ylZ17FI ]
③、それで押井守の「犬狼伝説」や「人狼」に登場するプロテクトギアを身に纏った女獣人を見てみたい。
この時代ならそういう装備も開発されてるだろうし。

780 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 21:18:56 [ 3ylZ17FI ]
例えるなら下の絵のこんな娘に猫耳か犬耳が生えてるやつか?
ttp://zappers.k-server.org/kerberos.jpg
そうだったら③、ダメなら②

781 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/20(土) 22:39:17 [ zVsuIQmA ]
SS投下乙です。
うーむ、駄目な人かと思ったら、マケドニアの将軍意外に有能。
実は帝國の文字が読める人で、帝國から軍事教本などを取り寄せて独自に勉強したとか?
だとすれば、帝國軍の変な所まで学習してしまったのでしょうかorz

782 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/20(土) 23:53:02 [ 3ylZ17FI ]
私は③を、『エルフ』のテロリストというのが気になりましたので。
これとは別にファンタジー世界の影響を受けて人手不足解消も含めて女性軍人が登場しませんかね?

783 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/21(日) 01:23:58 [ BbUEfgGI ]
うーん、意外とまともなのかな?
これから、どうなっていくんんだろアノ国……

784 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 01:28:12 [ 6KnBHENQ ]
ダー○サイドに堕ちて、日本が「弟だと思ってた!」とか言うハメに…

785 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 01:57:18 [ YnrPq2J6 ]
一部の獣人がマケドニアから脱出とかはありそう…

786 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 03:38:49 [ nqhPtWkc ]
帝國の実情をかなり詳しく知ってるダークエルフと違って、マケドニアは王様からして
まじに帝國は人間じゃ(含亜人間)とうていかなわない能力持った神様が直に治めてる国
って信じていそう。
だから、将軍さんも過去の帝國の戦史を知ったとして、帝國のやることに間違いないと
それを全肯定しちゃって見本にしちゃったのだろか。

787 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:40:08 [ y6G.phLc ]
皆様、沢山の御感想有難う御座います。

>獣人の皆さんはまだ、体良く厄介払いされたことに気が付いていないようですね
未だ気付いておりません。まあ仕方の無い面もありますけどね。

>この猪武者っぷりは何時になったら直るのかな?
獣人自身、「突撃こそ我等の本懐!」と考えていますからねえ。

>後続部隊や補給の必要なければまだ暴走してたんか・・・
それが目的でしたから。補給後、越境した友軍と合流する予定でした。

>この時代の陸軍は完全機械化されているのかも知りたい
機械化、というより自動車化された部隊は数える程で大半は徒歩です。歩兵部隊は馬の保有数も少なく、人力が主ですね。

>この将軍、何気に将としての才覚は凡庸じゃないぞ
下級騎士で若いうちに小隊長になった位です。まるっきり無能ではありません。

この世界の「騎士」は意味合いとしては帝國の「武士」に近く、馬に乗る事が許されない階層でも「騎士」(准騎士)と呼びます。彼はその階層の出身です。それで小隊長なるという事は、現代風に言えば高卒警察官が若くして警部補になったくらい凄い事なんです。

788 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:40:29 [ y6G.phLc ]
>獣人が単細胞なわけじゃないだろう
知能レベルはこの世界の人間と同等なので、教育の問題でしょうね。

>考えてみれば、この人も初陣みたいなもんですからねぇ・・・
そうです。しかも小隊長からいきなり大隊〜連隊級の部隊を指揮する羽目になりましたからねえ。しかも寄せ集めだし、彼の苦労は相当なものでしょう。

>そこでお目付け役と戦術指導を兼ねて参謀を派遣ですよ!
帝國から無理強いはできませんので、何かきっかけがあれば・・・。

>むしろ獣人の馬鹿力のおかげででインパール作戦を成功させてしまう辻〜んとか
そういえば今何やっているのだろう?

>押井守の「犬狼伝説」や「人狼」に登場するプロテクトギアを身に纏った女獣人を見てみたい。
その頃には獣人専用小銃も開発されてるかも。いやまてよ、M60クラスのMGを個人装備にしてるかもしれない。

>実は帝國の文字が読める人で、帝國から軍事教本などを取り寄せて独自に勉強したとか
帝國文字は勉強したので読めます。意外と努力家なんです。

>人手不足解消も含めて女性軍人が登場しませんかね?
この世界ではいなくもないといった所でしょう。国によります。

789 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:40:44 [ y6G.phLc ]
>これから、どうなっていくんんだろアノ国……
獣人次第でしょうね。

>一部の獣人がマケドニアから脱出とかはありそう…
漸く見つけた安住の地ですから、余程の事態にならない限りそこまではいかないかと。帝國も困ります。あの周辺の安定の為に彼等を配置したのですから。

>まじに帝國は人間じゃ(含亜人間)とうていかなわない能力持った神様が直に治めてる国
って信じていそう
「正直よく分からないけど、とても凄い国。飯も旨い。」これが最大公約数ですね。「飯が旨い」というのは、彼等を働かせる上で非常に重要な事だからです。

790 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:43:16 [ y6G.phLc ]
さて、SS投下!前回の裏です。

791 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:44:06 [ y6G.phLc ]
「帝國召喚」3−8裏


「急げ!遅れをとるな!」

司令官の叱咤が響く。

フォルクローレ軍3千の兵が駆け足で「戦場」に向かっていた。

油断した、まさか帝國単独で動くとは!

おそらく帝國は大陸同盟諸国を未だ完全に信用してはいなかったのだろう。情報が漏れるのを恐れていたのだ。これだけの国が集まっているのだ、それも無理からぬことではあるが。

あるいは大陸同盟諸国の軍事力を見て、頼りにならぬと判断したか。

そこまで考え、司令官は唇を噛み締めた。

帝國軍の演習は我等にとって衝撃的なもので、グラナダに派遣された観戦武官達が血相を変えて「時代に乗り遅れるな!」と叫び、軍の派遣を進言したのにも納得できる程だった。「戦争が変る」と確信したものだ。

だがそれは、裏を返せば我等の軍など帝國軍から見れば「取るに足りぬ」と判断されても仕方の無い事でもあるのだ。武人として屈辱的な事だが認めざるを得ない。兵器だけではなく、指揮統制・運用もレベルが違いすぎるのだ。

792 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:44:28 [ y6G.phLc ]
だからといってこのまま引き下がる訳にはいかない。何としてでも手柄を立て、帝國に我等の武を示さなければならない。今後のためにも。

生臭い理由もある。

今までの行動を見る限り、帝國は領土欲に乏しい。そしてレムリアは豊かな大国だ、その滅亡時には恩賞の大盤振る舞いが行われる事だろう。レムリアはパイのように解体され、諸国に分け与えられるのだ!

少しでも多くの分け前にありつけ!

それがこの「演習」に参加した諸国の腹積もりだった。上手くやれば、小国でも一躍中堅国家にのし上がる事も不可能ではないのだ!こんなチャンスは滅多に無いだろう。その為には、何としても他国を圧倒する手柄をたてなければならない。


「前方に鉄竜多数!帝國軍です!」

「分かった」

前衛から報告がくる。どうやら追いついたようだ。

「将軍閣下、違います!帝國軍は我々の行く手に立ち塞がるように展開しています!」

793 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:44:47 [ y6G.phLc ]
司令官の勘違いに気付き、伝令が発言する。

「何だと?何かの間違いではないのか?」

「いえ。来て頂ければお分かりになると。」



「・・・これは。」

伝令の報告を受け、半信半疑で前衛まで赴いた司令官は絶句した。

報告通り、自軍の行く手を遮るように帝國軍は展開していた。しかも数十頭の鉄竜を伴って。

「これはこれは!このような早朝から一体どちらへ?」

帝國軍の指揮官が鉄竜の頭−砲塔−から声をかけてきた。竜の口(砲口)はこちらに向けられている。

「指揮官殿!これは一体何の真似です!?」

「ああ、これは失礼!実は我等、『国境を越えようとする者は問答無用で打ち払え』との命令を受け、このように待機していたのです。」

794 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:45:13 [ y6G.phLc ]
「なっ!」

「貴軍は早駆けですか?早朝から精が出る事です。さすがフォルクローレ軍!」

「何やら国境の向こうから、銃声が多数聞こえてくるのですが。」

司令官は精一杯の抵抗を試みる。だが帝國軍指揮官は平然と返してきた。

「ああ、我等の演習に触発されて向こうさんも演習でも始めたのでしょう。」

演習?あれが演習だって?直ぐに分かる嘘を!

「そのような戯言を。これ程の侮辱はありませぬ!帝國は我等が信用できませぬか!?」

「これは異な事を!どうして信頼できぬ者と演習など出来ましょうか?貴殿こそ我等を信用できぬ御様子!」

「いや・・・、それは・・・。」

思わぬ反撃を受け、思わずたじろぐ。それを見て帝國軍指揮官は更に追い討ちをかける。

「我等、禁を犯し国境を越える者共を討ち取るが役目。ただ命を実行するのみ!これ以上の議論は総司令官閣下に願いたい!」

フォルクローレ軍司令官は黙って従うしかなかった。

795 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:45:44 [ y6G.phLc ]
「やっと行ったか。」

帝國軍指揮官−第1戦車連隊長−は額の汗を拭った。この大時代的な言葉遣いも、いい加減嫌でも慣れてきた。嬉しくはないが。

しかし一体何処の阿呆だ、余計な手間かけさせやがって!

思わず舌打ちをする。

今回の件で帝國は大きな被害を受けた。レムリアとの交渉に悪影響を及ぼすどころの話ではない、今後の他国との外交活動でも「油断ならぬ國」と尾を引く事になるだろう。ああ、今こうやって追い返している連中にも要らぬ誤解を与えた事だろう。

「こりゃあ軍法会議間違いないな。」

自業自得だが。

「連隊長殿、捜索部隊より急報!『新タナ部隊見ユ』!」

やれやれ、千客万来だ。


「分かった!連隊前進!」

796 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 07:47:01 [ y6G.phLc ]
SS投下終了。

帝國軍第1戦車団による後始末編でした。

797 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/21(日) 08:01:37 [ y6G.phLc ]
>>787
>この時代の陸軍は完全機械化されているのかも知りたい
機械化、というより自動車化された部隊は数える程で大半は徒歩です。歩兵部隊は馬の保有数も少なく、人力が主ですね。

すみません!本編と間違えました。

皇紀2665年の話でしたね。この話は本編と直接つながっていませんが、流石に機械化(自動車化?)はされています。

これ以上はいえません、御免なさい。

798 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 20:11:17 [ 6edxPdNI ]
機械化部隊→サイボーグ兵士、という愚かな連想からふと思ったのだが、
獣人が怪我とか胎児とかサイバネとか抱えた状態で変身するとどうなるんだろう。
生理学的に説明付かない現象だから不都合なく変身できても不思議はないし、
不都合ないなら逆に「変身するだけで骨折が完治」とかいう事もあり得る。
獣人には再生能力が付き物でもあるし。

それはそれとして乙です。

799 名前:DFC 投稿日:2005/08/21(日) 20:43:56 [ dgbC8XOA ]
投下乙です。
表と裏の話の組み合わせ方が素晴らしいです。
やはり物語は複数の視点から見た方が面白いです。

>帝國は領土欲に乏しい
 そうですかね? 自分は満州の事例や、資源問題(重要資源の産地は直轄地にすべき)があるのでそうは思え無いのですが……。

さて、今回の事で無用(とも言い切れないか?)の警戒心を持たれることになった帝國ですが、未だ直接に対峙していない国はどの様な印象を持っているのでしょうか?

800 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 21:41:02 [ fPJfjXwU ]
②に一票。
理由:民間人のカルチャーギャップを如何表現するのかが、期待大。

800までの途中結果
① 7.5票
② 12票
③ 10.5票

757、780はそれぞれ0.5票と計算

801 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 21:50:28 [ YnrPq2J6 ]
>>799
この世界での行動ではそう思われるでしょう>帝國は領土欲に乏しい
基本的に内地以外で領土にしたところはほぼないわけだし。
ロッシェルも「属邦」にしただけだったし。

802 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 22:39:43 [ 1AUVUQak ]
②に1票。本編と同時期の内地の話も読みたいので。

803 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 23:52:59 [ 3ylZ17FI ]
③に一票。

804 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/21(日) 23:57:26 [ 3ylZ17FI ]
どれにしようか悩んだ上で③を
でも時間は大丈夫か?

805 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 00:01:22 [ mSiubQ.I ]
1で。
でもできるなら現状SSの優先をお願いします。

806 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 00:05:56 [ Q3FOstZ. ]
②に1票です。

807 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 00:07:22 [ 3ylZ17FI ]
>締め切りは21日24時までです。

この通りもう投票時間は終わりですよ。

808 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 00:12:25 [ dvblaFz6 ]
結果は
① 7.5票
② 13票
③ 12.5票
で、僅差で②ですか

809 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 08:33:16 [ tyEfJeAY ]
>>798
798様、有難う御座います。

>獣人が怪我とか胎児とかサイバネとか抱えた状態で変身するとどうなるんだろう
妊娠期間中は全く獣化できない設定です。というよりも女性は余程の危険に曝されないと完全獣化はできません。これは体に負荷が係るのを本能的に防いでいるため、と考えられています。普段でも手などの一部を獣化させるくらいですね。

大きな怪我をしていると男性でも獣化はできません、体に負荷がかかりますから。逆に獣化時に大きな怪我をすると治癒するまで元に戻れません。これも本能的なものでしょう。

以上は現時点での設定であり、まだ本編では未出なので変更される場合もあります。


>>799
DFC様、いつも有難う御座います。

>やはり物語は複数の視点から見た方が面白いです。
有難う御座います。第1戦車団は見事諸国軍の越境を阻止しました。

>そうですかね? 自分は満州の事例や、資源問題(重要資源の産地は直轄地にすべき)があるのでそうは思え無いのですが……。
一応この世界では、帝國は「要港」「資源地帯」「交通上の拠点」以外の領土には興味がありません。「資金不足」「兵力不足」の他に「植民地不採算説派」が勝利したためです。

>未だ直接に対峙していない国はどの様な印象を持っているのでしょうか?
例えば「列強」「中小の独立国」「列強の属邦」「自由都市」という国力の違い、国の国教(宗教)による違い、種族による違い、それぞれの違いにより異なりますので一概には言えません。ただ今回の件は大小の差はあれど一様にマイナスでしょうね。

810 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 08:33:42 [ tyEfJeAY ]
さて、特別企画の投票は21日24時で締め切られました。皆様沢山の御投票有難う御座いました。805様、806様は時間外という事で申し訳ありませんが無効とさせて頂きます。757様、780様の票はそれぞれ0.5票で割り振らせて頂きました。

総投票数 35票

①741様、748様、750様、756様、(757様)、761様、763様、775様。   計7.5票

②734様、738様、739様、740様、743様、745様、753様、(757様)、762様、765様、774様、776様、(780様)、800様、802様。   計14票

③735様、737様、742様、744様、(746様)、747様、749様、751様、773様、779様、780様、782様、803様、804様。   計13.5票

・・・合ってますよね?(汗)  間違えていたら教えて下さい。


僅差で案②「人質兼留学生として放り込まれた封建貴族のお嬢様の学園生活」が採用です。

え〜、多少は脚色されると思います。その辺はご容赦を。

811 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 08:40:25 [ tyEfJeAY ]
訂正
③(746様)→746様、780様→(780様)

812 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:44:52 [ tyEfJeAY ]
さて、SS投下。

813 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:45:32 [ tyEfJeAY ]
「帝國召喚」3−9

9-1

「何だ!これは!」

陣に帰還したマケドニア軍司令官の発した言葉である。

無理も無い。既に陣を発っている筈の輜重部隊の将兵が、多数の酒樽を囲んで大宴会をしていたのだ。

「どういう事か!」

「?帝國軍総司令部からの差し入れで、『初勝利祝い』だそうです。『軍司令官閣下も直ぐにお戻りになるので、これでも飲んで待機していて欲しい』と。」

輜重部隊隊長に問い質すと思わぬ返答が返ってきた。

「・・・それで素直に酒を飲んで待っていたのか。」

軍司令官はこめかみを微妙にひきつかせながら言った。

ど阿呆。例え帝國の言葉であっても、軍司令官からの命令の方が優先されるに決まっているだろう!普通の軍なら処刑ものだぞ!

814 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:45:52 [ tyEfJeAY ]
・・・いや、待て今何と言った?

「帝國軍から?」

「はい。大きな酒樽をいくつも。」

何だ、この違和感は?

もしかしたら自分は何か大変な事を見逃していないか?

何故帝國軍がそんな真似をする?差し入れるだけならまだしも、『飲んで』待っていろとは。

・・・もしや、足止め?

「!」

「閣下?」

「副官!斥候を出せ!」

815 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:46:12 [ tyEfJeAY ]
9-2

「はい。確かに国境付近に多数の人馬の足跡がありました。・・・それと帝國の鉄竜の足跡も。」

「やはりそうか。ご苦労。」

斥候の報告を受けた軍司令官は頷いた。

「閣下、それが何か?」

周囲の幹部達は状況が全く飲み込めていないようだ。

馬鹿者、この報告の意味も分からないのか。最初の目論見通り、諸国の軍も我等の後に続いたのだ。

だが実際には現れなかった。何故か?

簡単な事だ。もう一つの足跡、帝國軍−それも鉄竜−に追い返されたのだ。

何故か?おそらく『帝國は現時点での戦いを望んでいなかった』のだ。

ならば何故我々は連れ戻されなかったか?

816 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:46:32 [ tyEfJeAY ]
こうして連れ戻されたではないか。何も力づくでやるだけが方法ではないぞ?第一、国境を越えた相手を「力づく」で連れ戻す気か?それこそ本末転倒だ。

では我々のした事は。

「どうやら根本から間違っていたようだ。」

「?」

その言葉と溜息の意味を理解できる者はその場にはいなかった。


「何でもない。総司令部に行かせた伝令を呼べ。」

総司令部の雰囲気を問い質さねば。

817 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:47:05 [ tyEfJeAY ]
9-3

「総司令官閣下は終始御機嫌のご様子で、祝い酒まで頂戴しました。」

「では周りの者の様子は?」

「いえ・・・、特には。」

「何も?」

「はい、一言も喋りませんでしたし。」

「!何故それを早く言わん!」

総司令官自ら不機嫌な態度を見せる事など通常ありえない。特にこのような多国籍軍においては。そしてもし本当に喜ばしい事ならば、周囲の者も祝福する筈だ。

それが無口。

これは相当不味い。

こいつは浮かれて気付かなかった様だが、総司令部はさぞかし険悪な雰囲気だったのだろう。伝令とはいえ総司令部に行ったのだぞ、「使者」として周囲の様子に気を配らなくてどうする!

818 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:47:26 [ tyEfJeAY ]
いや、これは自分のミスだ。何か粗相があっては困ると、礼儀をある程度弁えただけのこいつを送った自分が悪い。

だが他に誰がいる?皆似たり寄ったりだ。参謀は飾り、副官は言われた事しかできない。各級指揮官も自分では何も判断できず、いちいち細かく指示しなければ動けない。止めは読み書きすら満足に出来ぬ『将校』!

これで軍だと?『獣人で全て賄う』などという馬鹿げた政策のツケがこのザマだ。


彼は建軍当初、『帝國軍から多数の教官を招き、彼等を各級指揮官の補佐にあてよう。最初は彼等に指揮を任せても良いのではないか』と提案したのものだ。

だがその案は他の重臣達から凄まじい反発を買った。どうやら彼等にとって、建国という「儀式」は獣人のみで行わなければならない物らしい。

結果として、マケドニアは孤立する事になる。当然情報など回ってこない。

自分も彼等に感化されていた様だ。どうやら視野狭窄に陥っていたらしい。

そうだ、自分は『連隊長』ではなく『大将軍』なのだ。

「馬を出せ、総司令部に行く!」

もう猶予はない。いやもう遅いかもしれないが、何もやらないよりは余程マシだ。そもそも国すら帝國から只同然で貰った分際で、『獣人で全て賄う』などという台詞は百年早い。


今度は連中には何も言わせん!

819 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:47:39 [ tyEfJeAY ]
いや、これは自分のミスだ。何か粗相があっては困ると、礼儀をある程度弁えただけのこいつを送った自分が悪い。

だが他に誰がいる?皆似たり寄ったりだ。参謀は飾り、副官は言われた事しかできない。各級指揮官も自分では何も判断できず、いちいち細かく指示しなければ動けない。止めは読み書きすら満足に出来ぬ『将校』!

これで軍だと?『獣人で全て賄う』などという馬鹿げた政策のツケがこのザマだ。


彼は建軍当初、『帝國軍から多数の教官を招き、彼等を各級指揮官の補佐にあてよう。最初は彼等に指揮を任せても良いのではないか』と提案したのものだ。

だがその案は他の重臣達から凄まじい反発を買った。どうやら彼等にとって、建国という「儀式」は獣人のみで行わなければならない物らしい。

結果として、マケドニアは孤立する事になる。当然情報など回ってこない。

自分も彼等に感化されていた様だ。どうやら視野狭窄に陥っていたらしい。

そうだ、自分は『連隊長』ではなく『大将軍』なのだ。

「馬を出せ、総司令部に行く!」

もう猶予はない。いやもう遅いかもしれないが、何もやらないよりは余程マシだ。そもそも国すら帝國から只同然で貰った分際で、『獣人で全て賄う』などという台詞は百年早い。


今度は連中には何も言わせん!

820 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/22(月) 12:49:10 [ tyEfJeAY ]
SS投下終了。

ようやくマケドニアの大将軍閣下は正解に辿り着きました。

818と819二重に書き込んでしまいました。御免なさい。

821 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 14:23:40 [ YnrPq2J6 ]
乙!!
ブラオス伯はまともなんですよね、
マケドニアで本当に「指揮官」足りえるのはほんの一握りなんでしょうね…

822 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 18:41:13 [ 0j0h2NQ. ]
失敗なくして進化はしませんからね。
マケドニア軍がこの転換点を迎えたことで、マケドニア国が戦後の日本の様に外国(帝國やスコットランド)からの技術や情報を
貪欲に取り入れてほしいですね。

823 名前:822 投稿日:2005/08/22(月) 18:41:47 [ 0j0h2NQ. ]
sage忘れた。スマソ

824 名前:DFC 投稿日:2005/08/22(月) 18:48:31 [ AaM8A0H6 ]
投下乙です。
ブラオス伯、ようやっと現実を認識しましたね。
でも彼だけが理解しても意味は有りませんからねぇ、彼は本国の馬鹿共を説得できるのかな?
P・S
今回のことが原因で帝國に警戒心を抱いた諸国が、『反帝國連合』の様なモノを創る予感がするのですが…。

825 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/22(月) 19:00:58 [ BbUEfgGI ]
乙です
司令官はようやく気づいたみたいですね
これからマケドニア軍司令官も胃薬が必要な事態になりそうですな

826 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 19:26:09 [ 6edxPdNI ]
乙です。
つまりこの将軍はインテリの親日派だったわけですやな。
とすると、彼の娘や姪や妹あたりが「人質兼留学生」に名を連ねそうですね。
獣人の国には留学に出せそうな教養ある子女などそうそういないだろうし。

827 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 19:30:22 [ nqhPtWkc ]
乙です。これでマケドニアも無理な意地を張らない方向へ行くといいですね。

帝國が警戒されるのはしょうがないだろうな。もし帝國が謝罪しても、この状況だと
特殊自営業の方が「すまんねぇ、俺は大事にしたくないがうちの若いもんは血の気が多くて」
と言ってるようにとられてしまいそうw

828 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 21:28:47 [ 1AUVUQak ]
以前出てきた獣人の子供は留学しないのかな?
特別扱いされてたよね?

829 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/22(月) 22:33:45 [ YnrPq2J6 ]
特別扱いというか王様に小遣いもらったりしてたね。
顔見知りだったから。

成長後マケドニアの国費留学生として陸士や海兵に入学したりして。

830 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 09:57:26 [ Hi95G4m. ]
>>821
821様、有難う御座います。

>ブラオス伯はまともなんですよね
というよりもマケドニア軍で唯一の将校経験者です。

>マケドニアで本当に「指揮官」足りえるのはほんの一握りなんでしょうね…
彼しかいないでしょう。だからこそ大将軍に任ぜられたのです。彼がいなければマケドニア軍は機能しなくなります。


>>822、823
822様、有難う御座います。

>マケドニア国が戦後の日本の様に外国(帝國やスコットランド)からの技術や情報を
貪欲に取り入れてほしいですね。
マケドニアの今後を巡り、これからマケドニアでは政治の季節が始まります。


>>824
DFC様、いつも有難う御座います。

>ブラオス伯、ようやっと現実を認識しましたね
彼はいままで軍の統制で手一杯で、その他の事には手が回らなかったのです。今回初めて「現実」を知る事になります。

>今回のことが原因で帝國に警戒心を抱いた諸国が、『反帝國連合』の様なモノを創る予感
その一因にはなるでしょう。ただ諸国の利害関係がいろいろあるので、『反帝國連合』と公式に謳うからには何か強烈な一撃がないと。

そういえば『ダークエルフの公認』は強烈な一撃でした(今回の件もこれに比べれば可愛いものです)。この世界が一神教ならば即、世界中相手に宗教戦争をする羽目になっていたでしょう。幸い多神教である為、『異界の神が認めた』という事で「異界の神なら非常に遺憾だが仕方ない」で表向きは納まりましたが・・・。ただこの件はマグマのように地下に滞留しています。

831 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 09:58:09 [ Hi95G4m. ]
>>825
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>これからマケドニア軍司令官も胃薬が必要な事態になりそうですな
確かに。彼から見ればマケドニア政府の要人は無能ばかりですから。


>>826
826様、有難う御座います。

>つまりこの将軍はインテリの親日派だったわけですやな
というよりも、「使えるものを使わなくてどうする!」という考えです。

>獣人の国には留学に出せそうな教養ある子女などそうそういないだろうし
下手な人選したら国辱ものですからねえ。

832 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 09:58:28 [ Hi95G4m. ]
>>827
827様、有難う御座います。

>これでマケドニアも無理な意地を張らない方向へ行くといいですね
大将軍閣下の健闘に期待ですね。

>もし帝國が謝罪しても、この状況だと
特殊自営業の方が「すまんねぇ、俺は大事にしたくないがうちの若いもんは血の気が多くて」と言ってるようにとられてしまいそうw
・・・やはりそうとしかとれませんよね。


>>828
>以前出てきた獣人の子供は留学しないのかな?
そういえば最近続き書いていませんよね。そろそろ書かないと。


>>829
>成長後マケドニアの国費留学生として陸士や海兵に入学したりして。
マケドニアは内陸部の国なので、入るとしたら陸士でしょうね。

833 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 09:58:56 [ Hi95G4m. ]
ではSS投下。

例の特別企画SSです!

834 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 09:59:32 [ Hi95G4m. ]
「帝國召喚」外伝2-1

1-1

城下が燃えている。もうそこまで「敵」が来ているのだ。

「大叔父様、余程私達を憎んでいたのね・・・。」


私の名前はカナ・メクレンブルク・シュヴェリン、このシュヴェリン王国の第1王位継承者だ。

シュヴェリン王国は王国とは名ばかりの人口3万人の小国で、特に資源がある訳でもなく、交通上の要所でもない。だけどそんな辺境の小国でも争いの種はある。

私の祖父、先代の国王はこの国の生まれではない。どこか遠い所から来た旅人だったらしい。以前私が祖父に「御爺様の故郷は何処にあるの?」と聞いた時、私の頭を撫でながら「もう二度と帰れないくらい、遠い遠い所だよ。」と寂しそうに笑って仰ったのを覚えている。

祖父は先々代の国王−祖母の父−に気に入られ、祖母と結婚して王位を継いだ。ここに争いの種が蒔かれた。祖母には弟−大叔父様−がいたのだ。けれども祖父は武将としても優れていたので、祖父の存命中は何事も起きなかった。

でも祖父が死んで僅か数年で事は起きた。大叔父様が現国王である父に反乱を起こしたのだ。その兵力2000。どうやって集めたのかは分からないけれど、僅か300の王国軍ではどうにもならない事は確かだった。

835 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 09:59:50 [ Hi95G4m. ]
「姫様!どうか姫様だけでもお逃げ下さい!」

乳母が叫ぶ。

でもね、何処に逃げるの?

この城で生まれ育った大叔父様だ、この城の事等熟知している筈。当然抜け道など承知の上だろう。それに何より、

「皆を見捨てて?」

この城には城下町の皆も避難している。大叔父様は無関係の彼等にまで危害を加えようとしたのだ!城下町といっても皆顔見知りのようなもの、彼等を置いては行けない。

違うか、私が最後まで一緒に居たいだけだ。

「でも・・・このままでは・・・。」

私だって死にたくはない、でももう終わりだ。超常的な何か、それこそ奇跡でも起きない限りどうにもならない。

そんな時だった。


「・・・助けが入用で?」

こんな声が聞こえたのは。

836 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:00:08 [ Hi95G4m. ]
1-2

「・・・助けが入用で?」

振り返ると男の人がいた。それも1人ではない。皆、長く尖った耳を持っている。

「エルフ?」

その言葉を聞くと男の人−多分この人が隊長だ−は心底嫌そうな顔をして言った。

「あんな連中と一緒にしないで頂きたい。我々はダークエルフです。」

ダークエルフ?あの有名な?でも・・・。

「詐欺だわ。ちっとも黒くないじゃない!どこが『ダーク』エルフよ!」

そう『ダークエルフ』の肌はちっとも黒くなかったのだ。

「それは人間の勝手な空想でしょう?まあ連中(エルフ)の病的な白さから見れば黒いですけどね。」

う、正論を。・・・それにしても。

837 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:00:26 [ Hi95G4m. ]
「どうやってここまで?」

それを聞くと、ダークエルフは少し困ったような表情で言った。

「ええっと、もう少し警戒は厳重にした方が良いですよ?あとこの城の防御、穴だらけですから。いくら田舎同士の戦いだからといってあれは・・・、まあ両軍同レベルですけどね。」

大きなお世話よ。

「それでもここまで入ってこれるのは、あなた達位なものでしょう?」

「まあ、そうでしょうね。」

「ならそれでも良いわよ。どうせ『田舎』の戦いじゃああなた達必要ないし、第一高いし。」

ダークエルフを雇うなんて、私達みたいな小国じゃあ逆立ちしたって無理。

「我々が怖くないのですか?貴方を殺しに来たのかもしれませんよ?」

「殺すのならこんな無駄話なんかしていないで、サッサと殺しているでしょう?」

838 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:00:44 [ Hi95G4m. ]
その答えを聞くとダークエルフは笑い出した。

「宜しい!大いに宜しい!それでこそわざわざ来た甲斐があったというものだ!」

一頻り笑うと、急に真面目な顔付きになり言った。

「実は我等、主君からの命を受け参上しました。姫様、取引をしませんか?」

「取引?それより主君って誰?貴方達の雇い主?」

「いえ、我等ダークエルフ一族全てを支配する御方です。それに我等はもう雇われ仕事はしていません。」

「ダークエルフ一族全てを支配?誰よ?」

まさか御伽噺の魔王じゃあないでしょうね。

「この世界の全てを支配できるだけの力を持った御方ですよ。」

ますます魔王っぽいわよ。

「まあこの話はもういいでしょう。とにかく我々の主君との取引、受けますか?」

839 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:01:05 [ Hi95G4m. ]
「・・・まだ内容も聞いていないでしょう?」

「これは失礼!我等の主君は貴国シュヴェリン王国に対し、バレンバレン地方の割譲を望んでおります。もちろん無償とは言いませんよ。この城皆の命でどうです?」

なんならこの反乱の首魁の首もつけますよ?薄笑いを浮かべながら話すダークエルフを横目で見ながら考える。

バレンバレン地方?「死の湖」を囲むあの不毛の地が欲しい?・・・怪しすぎる。

ハッ、まさか本当に魔王が復活したとか?


魔王『余は数千年の眠りから覚めたばかりだ、沐浴がしたい。』

ダークエルフ『ハッ、シュヴェリン王国バレンバレン地方に丁度良い湖があります。』

魔王『うむ、早速余に献上せよ!』


・・・嫌過ぎる。

でも力づくじゃなくて、ちゃんとした契約で手に入れようなんて・・・意外と魔王って紳士?

840 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:01:24 [ Hi95G4m. ]
それはさておき、

「聞きたいことがあるのだけれど。」

「答えられる事なら。」

「何故反乱軍の所に行かなかったの?」

「信用できませんから。」

二度手間は御免ですと、ダークエルフはキッパリと答える。

「じゃあ何故、御父様(シュヴェリン王)の所に行かないで私の所に来たの?」

「・・・御父上は私を見たとたんに気絶なさいました。」

「御父様・・・。」

あまりの情けなさに、思わず天を仰ぐ。

「心中、お察しします。」

・・・ダークエルフに同情されるなんて。

841 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:01:45 [ Hi95G4m. ]
「では質問はこれで宜しいですか?」

「最後に一つ!2000人からの反乱軍、どうやって倒すの?まさかあなた達だけでやる気?」

「・・・我々を何だと思っているのです?魔神じゃあるまいし、そんな真似できませんよ。」

呆れたように首を振って答える。

「じゃあどうやって!敵は直ぐそこまで来てるのよ!」

「直ぐに分かりますよ。まあ『神の鉄槌』とでも言っておきましょうか。それより返事を。」

「う。」

どうしよう、選択の余地が無いのは分かりきっている。でも私にそんな権限ある訳ないでしょう?それになんだか悪魔と取引している気分だ。

「もう時間がありませんよ?」

「分かったわよ!取引するわよ!すれば良いのでしょう!」

842 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:02:03 [ Hi95G4m. ]
「では書類にサインを。」

「・・・でも私に権限ないから、どうせ書いても無駄よ?」

「形式だけですよ。貴方を信用していますから。」

「お世辞はいいわよ。はい、これ。」

自棄になって書いた書類を差し出す。

「確かに、では私共はこれで。」

恭しく書類を受け取ると、ダークエルフは一礼して去っていった。何の痕跡も残さずに。

「ダークエルフって初めて見たけど凄いわね。」

返事が無い。そういえば会話中もずっと無口だった、これはおかしい。

「ばあや?」

乳母は気絶していた。

843 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:02:30 [ Hi95G4m. ]
1-3

「あれから暫くたったけど・・・。」

何も起こらない。

騙されたのだろうか?

「だとしたらダークエルフって暇なのね・・・。」

わざわざこんな所まで騙しに来るのだから。

「まあいいか。最後に珍しいものも見れたし。」

ドッカーン

突如閃光と大爆音が響き渡った。城が大きく揺れる。

「何?地震と雷が一緒に来たの!?」

思わず叫ぶ。閃光と大爆音は止まる事なく次々に響き渡っていく。

844 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:02:47 [ Hi95G4m. ]
這うようにして窓の傍まで行き外を見ると、反乱軍の陣地で大爆発が起こっていた。後には大穴がいくつもあいている。

「・・・『神の鉄槌』。」

あのダークエルフの言葉、本当だったんだ。

これでは反乱軍は全滅だろう。敵ながら気の毒な事だ。

でも、

「・・・これって私のせいなのかなあ?」

非現実的な光景を目の当たりにして、思わず現実逃避する。


『神の鉄槌』はその後も暫く程続いた。

845 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/23(火) 10:03:15 [ Hi95G4m. ]
SS投下終了。・・・どこが学園生活。orz

スミマセン。とても1話じゃあ、そこまでいきませんでした。次回は1200HITです。

846 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/23(火) 13:41:39 [ nqhPtWkc ]
乙です♪
祖父王は日本の方かな?姫の名前も和風だし。ひょっとして幕末あたりに活躍した方でしょうか
姫が帝國に留学して、思いもがけず祖父のルーツを知るなんて事もありそうですね♪

847 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/23(火) 15:06:46 [ BbUEfgGI ]
おお、過去にこの世界に来たきた日本人の末裔話ですか
まさか死の湖って大規模な油田?
この姫の祖父の名が歴史上の偉人だったらまた面白い事になりそうだ。

848 名前:DFC 投稿日:2005/08/23(火) 20:33:44 [ 8BVvn4tk ]
投下乙です。
ふむ、祖父王様は武人として優れていたってことは軍人、あるいはその家系かな?
…「実は高貴な血筋でした」なんていう話だったら、それはそれで面白そうですね。
それにしても、ダークエルフを見ただけで卒倒って根性無しにも程が有りますね、この国の王様<汗>。
>魔王云々
 そういえば、この世界には本物の魔族はいるのですか?

849 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/23(火) 21:31:40 [ 6edxPdNI ]
乙です。魔王云々は笑わせていただきました。
しかし魔王という概念が常識の一部として活きているなら、
未開地域では『天皇=魔王』と連想されるのは確実だよなぁ。
大陸全土に対する人類生存可能域の割合はあまり高くなさそうだし、
魔物とか魔獣とか獣人とかの脅威はリアルにあるんだろうし。

ところで、異世界召喚に際して時空を越えてるんだから、
この姫様の曽祖父辺りが現役でバリバリ働いててもおかしくないんだよな。
それが縁で帝國の実家(?)にホームステイするとかそういう話だろうか。

850 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/23(火) 22:43:33 [ y1CkIS.. ]
姫の持つ祖父王の形見の刀を見て
「おお!これこそは兄が戦に携えていった伝家の宝刀〜」
みたいな場面が浮かぶなぁ。

851 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/24(水) 09:37:46 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
名前から察するに、過去に召喚された日本人を祖父に持つ姫様ですか?
わりと若くして歴史の表舞台から消えた戦上手な人…源義経だったりしてw

852 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/24(水) 11:57:43 [ nqhPtWkc ]
帝國人「〜の海はもはや天皇の浴槽だ」
異世界人「そんなに天皇はでかいのか!」
なーんて会話もあったりするかも。

一般エルフの肌ってどのくらいの白さなんでしょう。異世界の人間はそれよりも
肌黒いのかな?ダークエルフが溶け込めるのなら黄色人種に近そうですが。

853 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/24(水) 14:04:21 [ H2OvI3lc ]
>>846
846様、有難う御座います。

>祖父王は日本の方かな?
その通りです。バレバレでしたね。

>姫が帝國に留学して、思いもがけず祖父のルーツを知るなんて事もありそうですね
それは十分有り得ることでしょうね。


>>847
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>死の湖って大規模な油田?
はい、油田です。帝國が血眼になって探していたものです。


>>848
DFC様、いつも有難う御座います。

>祖父王様は武人として優れていたってことは軍人、あるいはその家系かな?
「武人として優れていた」という事は確かですが、精々数百人同士の小競り合いですし、戦のレベルもダークエルフが言うように「田舎の戦」レベルです。それでも周囲を統一できなかった(しなかった?)のですから、名将とはいえないでしょう。

>そういえば、この世界には本物の魔族はいるのですか?
学者の間では「御伽噺の世界にしかいない」とされています(異論もないではないですが)。しかし一般市民の間では根強くその存在が信じられています。魔獣等の存在もその考えを後押ししています。

854 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/24(水) 14:04:44 [ H2OvI3lc ]
>>849
849様、有難う御座います。

>魔王という概念が常識の一部として活きているなら
上記のように根強く活きています(とくに辺境の地では)。ですから、仮に帝國が「我等は数千年の眠りから目覚めた魔族だ。」なんて言ったら洒落にならない事になります。

>未開地域では『天皇=魔王』と連想されるのは確実だよなぁ
獣人とダークエルフを従えていますからねえ。

>それが縁で帝國の実家(?)にホームステイするとかそういう話だろうか
それは今後に御期待下さい(御免なさい)。


>>850
850様、有難う御座います。

>姫の持つ祖父王の形見の刀を見て「おお!これこそは兄が戦に携えていった伝家の宝刀〜」
みたいな場面が浮かぶなぁ。
それもアリですよね(笑)。

855 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/24(水) 14:05:14 [ H2OvI3lc ]
>>851
しおん様、いつも有難う御座います。

>名前から察するに、過去に召喚された日本人を祖父に持つ姫様ですか?
その通りです。

>わりと若くして歴史の表舞台から消えた戦上手な人…源義経だったりしてw
いえ、それ程古い人ではありません。


>>852
852様、有難う御座います。

>一般エルフの肌ってどのくらいの白さなんでしょう
ダークエルフは男性でも現代の日本人と同レベルです。少し浅黒いのは日焼けのせいですね。女性にいたっては「白人」といっても通じるでしょう。

それでも『ダーク』エルフと言われるのは、①悪い奴という意味、②エルフの方が遥かに白いから、の両方の説があります。

エルフはアルビノ?と思われるくらい白いです。

856 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/24(水) 14:06:01 [ H2OvI3lc ]
う〜む、皆様へのコメント返しが短い。これ以上だとネタバレになってしまうのですよね、申し訳のない事です。

お詫びに少し・・・

このSS(外伝2-1)は帝國が転移して最初の頃のお話です。昭和17年のはじめ頃ですか、
ですから帝國の存在は殆ど知られていません。この時期は帝國が血眼になって資源を獲得(収奪)していた時期です。それこそ手段を選ばずにいろいろやっていました。

この姫様、最初は「日系」という設定ではありませんでした。しかし、脳内設定の中で次のようなお話ができてしまいました。

『帝國が転移する前に、既にこの世界に飛ばされていた男がいた。男は元帝國軍将校でその経験を活かし、某国で立身出世し領主にまでなった。やがて帝國が転移し、某国と帝國は戦争となってしまう。しかし男には苦楽を共にし妻子や家臣・領民達がいた。帝國と某国の間で悩む男。男の選んだ道は・・・。』

・・・暗い、暗すぎる。救いも何もないよこれ。

という訳で没になりました。でも帝國が転移する前に、既に転移した人が1人くらいいてもいいのではないか?と思い、少し手を加えて今回のお話になりました。

857 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/24(水) 20:34:24 [ A1R/UY66 ]
お爺様は西南戦争で西郷側で戦ったもと薩摩藩士……
とかだといいなぁ。
海軍さんだったら畝傍のクルーとか。

858 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/24(水) 23:07:25 [ r9DJpMoo ]
>>857
畝傍のクルー…ファンタジーな感じでいいですね。
帝國海軍の将官が、整備は行き届かないまでもしっかりと手入れされ大事にされてきたとわかる畝傍を見てびっくりするシーンとか、見てみたいかも。

859 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/24(水) 23:15:30 [ YnrPq2J6 ]
>>857
それだと姫様が「祖父から伝えられる剣術が…」といって
見事な「蜻蛉」の構えからド迫力の猿叫と共に「抜即斬」の剣技を披露

そうです祖父王は薬丸自顕流の使い手だったのです。
ってことになったりして…>薩摩藩士

860 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:29:03 [ ly1LYD0s ]
お爺様の正体は何れ明らかになるでしょう。ご期待下さい。


さて、SSを投下します。

861 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:29:33 [ ly1LYD0s ]
「帝國召喚」3−10

10-1 大陸同盟軍総司令部

「閣下、マケドニア軍司令官閣下がお見えです。閣下に面会をお求めですが如何いたしましょう?」

「ふむ?」

副官からの報告を聞き、首を傾げる。

こんな時間に何の用だ?文句でも言いに来たか?

・・・いや、流石にそれは無いだろう。とすれば総攻撃の意見具申か?やれやれ、御苦労な事だ。

「分かった、お会いしよう。」

何れにせよ会わない訳にはいかないのだ。今後の為にも釘を刺しておく必要がある。

862 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:29:59 [ ly1LYD0s ]
10-2

「これはこれは大将軍閣下、一体何用です?」

「総司令官閣下に祝い酒の礼とお願いがあって参りました。」

「私に願い事を?」

やはり意見具申か。

「はい、単刀直入に言います。我がマケドニア軍に顧問団を派遣して頂きたい。」

「ほう?随分と急ですな。」

「はい。この度の戦で我が軍、いや我が国の『不備』が露呈しました。」

「『不備』?」

「色々ありますが、やはり『情報の不備』が大きい。至急改善を要します。・・・このままでは貴国に『迷惑をかける可能性』もあるでしょう。」

「成る程。」

どうやら気付いたらしい。という事は全くの無能という訳では無いのか。

863 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:30:22 [ ly1LYD0s ]
「分かりました。優秀な者を何人か送りましょう。」

「いえ、出来れば100人程。」

「!」

それはまた。

「・・・随分思い切ったものですなあ。しかし失礼ながらマケドニア王の許可は取られましたか?」

「いえ。ですがマケドニア軍の事は私に一任されております。」

彼の決意は固そうだ。要は軍が大量の顧問団を受け入れる事により、マケドニアの変革を促そうという考えか。

悪くはない、仮に軍だけの改革で終わっても我が軍との繋がりはできる。

しかし・・・

「ですが御国の政策に背きませんか?閣下の御立場も悪くなるのでは?」

「それも覚悟の上です。」

「・・・。」

暫くの間総司令官は沈黙し、やがて口を開いた。

「どうやら大将軍閣下とは一度、腹を割って話をする必要がありますな。」

「喜んで。」

864 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:30:45 [ ly1LYD0s ]
10-3

「成る程、貴国はそこまで思い詰めておりましたか・・・。これは我々の不手際でもありますな、申し訳ない。」

「いえ、元はと言えば我が国が勝手にそう判断していただけです。何の裏付けもなく、ね。」

しかし愚かな事を考えたものだ、それだけでマケドニアの重臣共のレベルが分かる。

帝國にとって必要なのは獣人の『労働力』であって『軍事力』ではない。確かに獣人を兵士とすれば戦力にはなるだろう、だがそんなものの代用など幾等でもアテはある(しかし労働力はそうはいかない)のだ。しかも帝國勢力圏における獣人の人口は帝國直轄領を含めても30万に満たない、これから他の地域からの移民が増えたとしても50万がせいぜいである。後はそれこそ自然増加に任せるしかない。これでは帝國が現在必要とする労働力を支えるのがやっとであろう。

だが必要とする労働力は今後も増え続ける一方なのだ。

本来は獣人をマケドニアで遊ばせる余裕など無い。ただ獣人に対する『飴』として国を与えた手前、全獣人の2割程度は仕方が無いと考えていたのだ。それに帝國としても、獣人を管理する組織として『獣人の国』は必要であろう。

・・・そんな帝國の裏事情を教えるつもりなど毛頭ないが。

865 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:31:03 [ ly1LYD0s ]
総司令官はそんな考えを少しも表情に出さずに話を続ける。

「考えてみればマケドニアの方とこうして酒を酌み交わすのは初めてですよ。」

「このような事の積み重ねが重要とは理解していましたが・・・。今まで私は『与えられたもの』の中で最善を尽くそうとしてきました、しかしそれではいけないと気付いたのです。私は『一指揮官』ではなく『大将軍』なのですから。」

「しかし貴国はなぜ鎖国じみた政策をとっているのです?」

おおよその見当はつくが、やはり内部の者の意見を聞きたい。

「マケドニア政府には大きく分けて3つの考えを持つグループがあります。1つは自分の考えを持たない日和見のグループ、情けない事ですがこれが最大派閥です。もう1つは『獣人の国なのだから獣人だけの力でやっていこう』という極単純な考えのグループです。初めて国というものを与えられ、舞い上がっているのですな。彼等2グループについては何とかなるでしょう。ただ・・・」

マケドニア軍司令官は暫く口篭っていたが、やがて意を決したように話を続ける。

「ただ問題は最後のグループです。彼等の考えは『自分達の地位と権力の維持』です。そもそも我々マケドニアの貴族や重臣はその地位を自力で勝ち取ったのではありません。もちろんその地位に相応しい能力などある筈もありません、いや末端の役人に至るまでそうでしょう。彼等、いや私達はただ『帝國のマケドニア建国時に』ただ居合わせたというだけで今の地位を得たのです。」

866 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:31:21 [ ly1LYD0s ]
言ってはいけない言葉であった。何故ならそれはマケドニア最大の禁忌であるからだ。

「しかし大将軍閣下、貴方方とて建国活動をしていたのでしょう?そのための組織だってあったじゃあないですか。」

「組織?ああ『獣人の国』建国は確かに組織の最終目標でした。ですが実際はただの互助会、連絡会に過ぎません。最終目標も目標というよりも信仰みたいなもので、帝國の力がなければ千年掛かっても無理だったでしょうね。」

自嘲気味に総司令官の質問に答える。

「ですから私達は自分達が『無能』だと知っています。もし帝國から顧問を受け入れれば自分達の実権などたちまち奪われ、お飾りになってしまう・・・。いえ飾りならばまだ良い、『将来帝國で学んだ獣人達に今の地位を奪われるのではないか?』と考え、それを最も恐れています。彼等にとって、マケドニアは『獣人の国』ではなく『自分達の国』なのですよ。」

「マケドニア王のお考えは?」

「陛下は人格者であらせられます。・・・ですが臣にあれこれ細かく指図なさる方ではありません。」

つまりは典型的な協調主義者という訳か。まあ無理も無い、元からの主従という訳ではないし、ついこの間まで『同志』だったのだから。

867 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:31:43 [ ly1LYD0s ]
「それぞれの派閥の勢力は?」

「日和見連中が半分弱、後は2つのグループが拮抗しています。」

「では大将軍閣下はどうなさる御積りで?失礼ながら閣下お1人では・・・。」

「・・・もし駄目ならば兵を挙げ、連中を一掃します。」

「!」

クーデターを起こす積もりか!

しかし、まさか宗主国とはいえ、他国の人間に打ち明けるとは・・・。

「もちろん責任は取ります。所詮、我々古い世代など必要ないのです。」

総司令官の絶句の表情を見て、マケドニア軍司令官は穏やかに笑って言った。

「暫くは御迷惑でしょうが帝國からの顧問団に国を運営して頂けないでしょうか?徐々にマケドニア国民を登用して頂ければ数十年後には獣人だけで立派にやっていけるようになるでしょう。」

「そこまでお考えですか。決心は固いようですね。」

止めても無駄だろう。

「総司令官閣下、どうかマケドニアをお願いいたします。」

「・・・流石に私の一存では。」

「分かっております。ですがどうか御一考願いたい。」

マケドニア軍司令官は総司令官の両手を握り締め、深々と何度も頭を下げた。

868 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:32:17 [ ly1LYD0s ]
10-4

会談は終わり、総司令官は先ほどの話について考えていた。

マケドニアの内部事情は想像以上に悪い。矢張り今まで放任していたツケが回ってきたのだろう。監視もせず、自由に『国家ごっこ』をやらせたのが間違いだったのだ。

マケドニアは地域の安定を図るために今の場所に建国された。この地域は帝國直轄領の一つであり、重要な港や拠点、資源地帯を抱えているのだ。

そのマケドニアが不安定要因となっては本末転倒である。

なるべく獣人達が動揺しない方法で事態を収めなければならない。

まずは今の話の裏を大至急取る事、全てはそれからだ。そして彼の要請通り軍事顧問団を派遣し、彼を監視すると共にマケドニア軍を掌握する。ああ、マケドニアの他の勢力とも秘密裏に接触を図った方が良いだろう。そしてどの勢力が帝國にとって一番都合が良い存在かを判断する必要がある。

・・・マケドニアの大将軍は帝國を随分信頼しているようだ。

869 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:32:35 [ ly1LYD0s ]
だが、なにも帝國は善意の塊という訳ではない(当たり前だ)。彼には気の毒だが、帝國にとってはマケドニアの安定こそが望みであり、安定さえしていれば後はどうでも良いのだ。

そう、例え『自分達の地位や権力の維持』を目的とした連中が権力を握ったとしても。

逆に彼は帝國にとってマケドニアの安定を乱す恐れのある者、排除すべき要因と成りつつある。このままでは彼は謀反人の汚名を被せられて処刑されるだろう。

個人的には彼に肩入れしたい。

だが帝國の軍人である以上、帝國の利益こそが第一なのだ。そして国益に個人の感情など入る余地はない。帝國は自分の利益を犯す者を冷酷に排除するだろう。


思わず溜息が出る。

「何とか穏便に事が済めばよいが。」


それは心からの願いだった。

870 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/25(木) 12:33:01 [ ly1LYD0s ]
SS投下終了。

871 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/25(木) 12:59:02 [ 6KnBHENQ ]
>>849
投下乙です。

872 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/25(木) 12:59:30 [ 6KnBHENQ ]
ゲ、アンカーミス…

873 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/25(木) 14:18:50 [ BbUEfgGI ]
乙です。

874 名前:DFC 投稿日:2005/08/25(木) 19:38:41 [ F.56Ju.w ]
投下乙です。
うーん、『大将軍』は結構イイ線行ってるんですけど、あと一手の詰めが甘いですね。
自分達が、「植民地の生産品」程度にしか思われていないことに気付けるのかな?

875 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/25(木) 22:45:22 [ K0RrkGSg ]
投下乙です。
うーん、穏便に済ませるためには大将軍を帝国軍に入れるくらいでしょうか。
そうすれば「帝国の」軍人になってマケドニアとは縁が切れますし。

876 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/25(木) 22:55:42 [ dT.GhyLM ]
投下乙
ちゃっちゃと傀儡政権にしちゃうのが帝国にとっては一番楽な方法だろうな。
わざわざクーデターなんかを見過ごして自治独立の気風が育って
あまつさえ近代化なんてされようものならたまったもんじゃない。

877 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/26(金) 01:27:33 [ nqhPtWkc ]
悪く言えばホームランドになってほしいだろな。
軍事なんて期待しちゃいないし、帝国の事を素直に聞いていてくれた方がいいだろう。

878 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/26(金) 17:17:54 [ 6edxPdNI ]
そこでマケドニア軍には建築技術や災害救助を教え込むのですよ。
強力な武力も自衛目的のみに限定させ、後方支援に徹させるのです。
……あれ?

879 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/26(金) 18:24:05 [ Lpqim9j6 ]
獣人の軍事的な使い道ならやっぱり精鋭コマンドとして使うのが一番ではないだろうか。
野戦では重機関銃を持って歩兵の突撃についていける存在として重宝されそう。
しかしいくら装備できる重量が大きいと言えど戦車の代わりになるほどではない。
重い鎧を着込み、さらに銃火器で武装した獣人は接近戦では無敵だが、
逆に言えば広い空間では戦車などの高火力をもった存在がいるため優位性は低くなる。
どう獣人を兵器体系の中に組み込むかという議論が軍部で起こりそうだな。
しかし帝国ってこういうことに先見の明がなさそうだよな。戦闘機の格闘戦重視然り、
機械化に対する理解のなさ然り。はあ・・・。
合理的な意見が、派閥抗争に巻き込まれて潰されるなんて茶飯事だもんなあ。
なんとかしてほしいよ。

880 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/26(金) 18:36:33 [ 3ylZ17FI ]
押井守の特機隊みたいなのを創設して運用すればいい

881 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/26(金) 19:05:32 [ QT0NZ9o6 ]
>879

というか、帝国の場合は単純に技術と金がないだけかと。

882 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/26(金) 19:18:35 [ 6edxPdNI ]
それ以前にそもそも獣人を軍事に活用するという発想自体に問題がないか?
近代化させて獣人を強兵に鍛え上げるってのは短期軍事的にはアリだろうが、
それは同時にクーデターやゲリラ抵抗運動のノウハウを与える事でもある。
死ぬほど恐ろしい代物になると思うぞ、近代戦術を理解する獣人ゲリラは。
そうでなくとも変身して身元を隠す獣人の窃盗団とか普通にありそうだし。

883 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 03:24:10 [ sg94nGSk ]
>>882
人化して犯行に及び、獣化してわんわんのふりをして官憲をやり過ごす獣人盗賊団萌え

884 名前:822 投稿日:2005/08/27(土) 08:23:35 [ 0j0h2NQ. ]
帝國側がマケドニアをある程度正常にしなかったら、確実に内乱起こるな。
自分達の地位や権力の維持する人達vs帝國で学んできた留学生の間で。

885 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 09:24:31 [ ly1LYD0s ]
>>871、872
871様、有難う御座います。


>>873
サッキ119様、いつも有難う御座います。


>>874
DFC様、いつも有難う御座います。

>うーん、『大将軍』は結構イイ線行ってるんですけど、あと一手の詰めが甘いですね
そうですね。『帝國がマケドニアに何を望んでいるのか』を理解していません。そして帝國が最も望まぬ方法を選択しようとしています。

>自分達が、「植民地の生産品」程度にしか思われていないことに気付けるのかな?
帝國も流石にそこまでは思っていないでしょう。獣人個人個人に対しては帝國は何の文句もありません。高待遇で接しています。

ただ『獣人の国』に対しては随分と要求レベルが下がってきています。最初は帝國の諸邦のまとめ役(流石にダークエルフには無理)を期待していました。しかし今では『安定さえしていて呉れればそれで良い』にまで後退しています。

帝國は純粋な善意で獣人やダークエルフを優遇しているのではありません。もちろんある程度の善意は存在しますが、それ以上に思惑があります。彼等は明らかに優れた種族であり、帝國の片腕を担う能力があります。また排斥されている種族であり、帝國への取り込みも容易です。さらに少数種族であるため、帝國にとって脅威でもありません(逆にまとまった数の種族でしたら十分警戒の対象になります)。帝國は彼等を、他の異世界人とは明らかに一線を画す待遇としました。彼等の協力を得るためです。マケドニアの建国もその一環ですが・・・。

886 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 09:24:54 [ ly1LYD0s ]
>>875
875様、有難う御座います。

>うーん、穏便に済ませるためには大将軍を帝国軍に入れるくらいでしょうか
そうするとポストと階級が問題になりますね。仮にも一国の大将軍ですから。


>>876
876様、有難う御座います。

>ちゃっちゃと傀儡政権にしちゃうのが帝国にとっては一番楽な方法だろうな
それはそうです。しかし帝國は随分と獣人に気を使っているのです。それに諸外国の目も気になります。

>自治独立の気風が育って
流石にそうなれば何の遠慮もいりません。帝國は断固たる処置を取るでしょう。


>>877
>軍事なんて期待しちゃいないし、帝国の事を素直に聞いていてくれた方がいいだろう
本音はその通りです。


>>878
>そこでマケドニア軍には建築技術や災害救助を教え込むのですよ。強力な武力も自衛目的のみに限定させ、後方支援に徹させるのです。
帝國としては土木や荷役を獣人に期待しています。マケドニア軍の任務は自国の治安維持と周辺地域の警戒だけで十分です。

887 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 09:25:08 [ ly1LYD0s ]
>>879
>獣人の軍事的な使い道ならやっぱり精鋭コマンドとして使うのが一番
現在、帝國軍精鋭コマンドはダークエルフの専売特許です。割って入れるでしょうか?どちらかといえば『野戦では重機関銃を持って歩兵の突撃についていける存在として重宝』の方が・・・。


>>882
>それ以前にそもそも獣人を軍事に活用するという発想自体に問題がないか?
>それは同時にクーデターやゲリラ抵抗運動のノウハウを与える事でもある。
帝國でもそういう意見が根強く存在します。それに対し積極的に庇う者もいません(帝國要人とのコネを作ってこなかったツケです)。獣人の人口が圧倒的に少ない事から、この問題は先送りされていますが・・・。


>>884
>帝國側がマケドニアをある程度正常にしなかったら、確実に内乱起こるな
帝國にとっても頭の痛い問題です。

888 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 09:26:11 [ ly1LYD0s ]
今回のSSは少々キツイ内容でした。正直、削除しようかな?とも考えたくらいです。でもあえて投稿しました。何故なら獣人が帝國の真の『パートナー』になる上で避けては通れない道だからです。

帝國を帝國人以上に把握しているダークエルフは帝國の懐に入り込み、帝國の『パートナー』として様々な政策に関わっています。これに対し、マケドニアに対しては失望の連続でした。ただ国を貰った事に舞い上がり、何もしようともしませんし帝國の立場も理解しません。

帝國への断りもなく鎖国じみた政策を行い、外部との接触を極力避けようとしているのです。そして今回の一件・・・。

これが最後のチャンスです。

もし自力で事態を収める事ができないのなら、『獣人には国家を運営する能力なし』そう帝國は判断するでしょう。もちろん獣人個人個人に対する優遇は続けられます。ですが『獣人の国』に対しての扱いは大きく変化するでしょう。

889 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 10:51:55 [ ly1LYD0s ]
さて、SS投下!

マケドニア問題は一時中断し、本題へ。

890 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 10:52:52 [ ly1LYD0s ]
「帝國召喚」3−11

11-1 グラナダ王国

「く、く、く・・・。」

駄目だ、どうしても笑いが漏れてしまう。

「・・・笑い事ではないと思うんだがね。」

「分かっていますよ、議長・・・いえ大使閣下。」

これが笑われずにいられようか!あの『軍』の連中が振り回されているのだぞ!

ざまあみやがれ、少しは我々外交官の気持ちが分かったか。

始めはマケドニアの暴走を聞き泡を食ったが、まあ起こってしまった事は仕方が無い。こんな事、転移前はそれこそ日常茶飯事だったのだ。・・・それこそ何度こっちの努力をぶち壊してくれた事か!


この2人、レムリアとの講和交渉に赴いた帝國使節団の全権大使と大使代理である。もっとも実際の交渉は大使代理が行い、全権大使はただ座って署名するだけである。全権大使は帝國議会貴族院議長であり、まあ使節団の箔付けの為の『御神輿』(この世界で交渉をする上では必要不可欠な存在なのだ)である。

891 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 10:53:10 [ ly1LYD0s ]
「しかし軍は何をやっているのか・・・。手駒の統制すらできないのか?」

「・・・何を今更。出来ないに決まっているじゃあないですか。」

大使の愚痴をさらりと返す。

「問題は今後の対応です、レムリアは必ずこの件を持ち出すでしょう。もう大雑把な情報は把握している可能性が高いですね。」

この世界は妙に時代懸っているくせに、こういう情報伝達はなかなか素早いから油断ならない。

「どうするかね?」

「もしかしたら、『災い転じてなんとやら』かもしれませんよ?どうせ交渉は膠着状態だったのです、これを突破口にするしかないでしょう。」


そう、交渉は膠着状態に陥っていった。原因は帝國の過大な要求と帝國使節団の手札(妥協の余地)の少なさにある。

892 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 10:53:33 [ ly1LYD0s ]
帝國のレムリアに対する要求は主に以下の4項目である。
①対等な友好条約と通商条約の締結。・・・国交を結んで商売しようという事。不平等条約を結ばせろという意見もあったが、さすがに却下。

②グラナダ大公国(王国)の独立承認。・・・というよりも帝國の傘下に入る事を認める。

③東部国境地帯の非武装化。・・・つまり大陸同盟諸国と接する国境を丸裸にしろという事。

④賠償金の要求。・・・ちなみに要求額はレムリア王国政府の年間収入の10年分、もちろん一括払い。


①はまあ問題ないし、②も現状追認という意味合いが強い。事実、レムリアが全面的に認めることにより早々に合意した。

問題は③と④だ。

レムリアにとって③を飲む事は、自分から列強の地位を放棄した事になる。たとえ諸外国から『列強から転落した国』と見られていることを自覚していても、到底容認できる事ではない。軍事的にも問題があるし、非武装地帯となった地域の住民達の動揺も心配だ。他にも問題を上げたらきりが無い。

④については言うまでも無い。・・・一体どうやって捻出しろというのだろう?

893 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 10:54:02 [ ly1LYD0s ]
帝國にとっても妥協の余地が殆ど無い。

実は③は、大陸同盟諸国からの『強い要請』により付け加えられたのだ。彼等の盟主として初っ端から躓く訳にはいかない。何としても『満額回答』かそれに近いものを引き出す必要がある。

④についても同様だ。出来るだけ多くの賠償金を獲得しなければならない。

つまり帝國に妥協の余地は殆ど無いのだ。これ程事前に縛られていたら柔軟な交渉などできる筈が無い。

「よくもまあこれだけ欲を張ったものですなあ。まるで『瓶に手を突っ込んだ猿』だ。」

この要求を知った時、呆れて言った大使代理の言葉が全てを表していた。



「大使閣下、レムリアの使節団が至急お会いしたいそうです。」

「お出でなさいましたな。どうします?」

部下の報告を聞き、大使代理は葉巻を吹かしながら聞いた。

「会わない訳にはいかんだろう?」

「確かに。」

「大丈夫か?どうせ交渉するのは君だぞ?」


「分かっておりますよ、大使閣下。」

・・・そう、所詮英国で外交活動をしていた頃と比べればどうという事は無い。

894 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/27(土) 10:54:35 [ ly1LYD0s ]
SS投下終了。

895 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 13:20:11 [ wUOKFNoA ]
>>894 くろべえ 乙
マケドニアが建国した時に法律とか色々日本が関わってきたと思うが
現状ほどの独立を日本が本当に認めただろうか?
兵器を輸出した時など指導のために軍人も派遣しただろし。
経済、軍事、政治において日本の管理状態になっているはずでは?

896 名前:DFC 投稿日:2005/08/27(土) 14:41:00 [ RdaNuZiA ]
投下乙です。
>軍の暴走
そう言えば『帝國』側の猪武者はどうしたんでしょう?
F世界に来たら「この世界を残らず天皇に捧げるのだ!!」なんて怪気炎を上げそうなのが居たとおもいますが?
>交渉
④は流石に無茶な気がします<汗>。無い袖をどうやって振れと?
レムリア国内の重要資源生産地の権利書を残らず差し出しても無理だと思います。

897 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/27(土) 17:40:42 [ BbUEfgGI ]
SS投下乙です。
最終的にこれだけの要求になりましたか
3はもう一押しですむし
4も傘下の貴族からひねり出す事も出来るかもとは思いますが、一括払いが現実的に不可能な場合、
何を変わりに差し出すかというところですね。
帝國にはこの世界の外貨があまり無いからこの要求なんでしょうし、足りない分を物で収めるか、はたまた人質でも差し出して時間稼ぎをするか
レムリアの対応に注目

あと、全権大志の方よほど苦労してきたんでしょうね
やっぱりいい気味だとか思ってるのかな?

898 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 20:19:50 [ MMf5faoQ ]
投下乙です。
レムリア使節団は今回の暴走をどのように突いてくるか楽しみですね。
ところで日本側の大使代理ですが
>大使代理は葉巻を吹かしながら
>所詮英国で外交活動をしていた頃と比べればどうという事は無い
上記から考えると吉田茂か?。

899 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 21:12:50 [ MBM8ozzs ]
投下乙。
あとは、これ以上条件を呑まないようなら滅亡させるぞ、と脅しながら外交官殿が攻めるだけですな。
それと要求の④は全額金銭でなくとも一部物で支払わせればいいかもしれませんね。
たとえば、大量の木造船舶とか。金銭で無い分、割り増しして接収。他国に売りさばければ結構な額になるでしょう。
レムリアの海運業は壊滅でしょうが。(ぉ

900 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 21:53:31 [ MMf5faoQ ]
投下乙です。
レムリア使節団は今回の暴走をどのように突いてくるか楽しみですね。
ところで日本側の大使代理ですが
>大使代理は葉巻を吹かしながら
>所詮英国で外交活動をしていた頃と比べればどうという事は無い
上記から考えると吉田茂か?。

901 名前:sage 投稿日:2005/08/27(土) 21:57:23 [ MMf5faoQ ]
>900
ミスって同じ書き込みしてしまった。申し訳ないです。

902 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 22:00:45 [ MMf5faoQ ]
>900,901
あせって名前欄に「sage」入れてた、orz・・・。

903 名前:Call50 ◆9L0MrlozK2 投稿日:2005/08/27(土) 22:30:35 [ xlc035qM ]
投下乙です。
やっぱり英国で外交活動をしていた大使代理は吉田茂でしょう。
「あの」英国人と「英国的婉曲表現」を駆使した交渉をやっていそうなかの
人ならF世界でも十分やっていけるでしょう。
能力は折り紙つきで、外務省主流派で省庁のウケも良い。
それに奥さんが牧野伯爵の娘さんで、そちらの威光も使える。

904 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 22:46:26 [ Lpqim9j6 ]
④の一括払いは無理だし、そもそも戦時賠償は基本的に分割払いなのでは?
手元に資料がないので分かりませんが、常識として分割払いでしょう。
国家予算の数年分にも及ぶ賠償金と言うのは例がないわけではないですが…
十年分なんて払い続けたら国家が崩壊するでしょうから、支払いの一部を
現物あるいは権利等の物で払うことになりそうですね。
レムリアが資源の価値を分からないのをいいことに安値で買い叩くぐらいは
当たり前か。あとは戦略的に重要な島嶼などを割譲したり。大陸国家は島嶼
の重要性をなかなか理解しませんからね。

905 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 22:50:08 [ WGR9fXYA ]
いつも乙かれさまです
今回のお話で、城中の物という物に差し押さえの札が貼られている哀れな王宮を
夢想してしまいましたw

906 名前:Call50 ◆9L0MrlozK2 投稿日:2005/08/27(土) 22:56:32 [ xlc035qM ]
鉱山・商業都市の徴税権とか最恵国待遇とか、租界とかが代替物の対象に
なりそうですね。WW2前の中国が参考になりそうだ。

>差し押さえの札が貼られている哀れな王宮
爆笑しました。当事者にとってはシャレになりませんが。

907 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 23:05:12 [ nqhPtWkc ]
「国の至宝です」と美少女姫様が送り込まれる!

908 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 23:16:59 [ YnrPq2J6 ]
賠償として奴隷が送られたりはしそうだな。

909 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/27(土) 23:51:30 [ pPaHd3PA ]
投下乙です。
年間収入10年分の賠償金の一括払い・・・
かなり難しい交渉になりそうな。
それを行うために軍事費削減を行って自動的に第三項は果たされるかもしれませんな。

910 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/28(日) 01:19:02 [ .VS6VioA ]
というか賠償金がきちんと払われた例はあまりないよ。
あっても金持ってる国だったし・・・
確かドイツの賠償金が当時のレートで現代の価格に換算すると
40兆から80兆円ぐらいだったから・・・
とても払いきれないな・・・
ちなみにフランスがドイツに負けた際の賠償金は3年間で払ったそうです。
まあ、減額案や分割案が出ることもありえるでしょうがね。

911 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/28(日) 02:40:30 [ OygzSSwQ ]
>>910
そういえば日本はちゃんと賠償金払ったんだっけ
関係ない国にまで……

912 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/28(日) 07:22:34 [ nqhPtWkc ]
中立を謳ってたはずのスイスにまでね。

913 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/28(日) 12:33:18 [ ly1LYD0s ]
>>895
895様、有難う御座います。

>現状ほどの独立を日本が本当に認めただろうか?兵器を輸出した時など指導のために軍人も派遣しただろし。経済、軍事、政治において日本の管理状態になっているはずでは?

え〜、ネタバレにならない程度にお答えします。

<マケドニア王国>
①建国 昭和17年末

②面積 約1000平方キロメートル

③人口 約6万人(昭和18年末現在)

④歴史 マケドニアは元々は森林地帯であり、猟師や少数の山民が暮らしているだけでした。しかし付近一帯が帝國直轄領となり、この地域が獣人に与えられる事により大きな変化が起こります。多数の獣人が移住し、大規模な開拓が開始されたのです。『マケドニア王国』の誕生です。

⑤産業 未だ軌道に乗っていませんが、農業と林業です。口の悪い者達は『役所』が最大の産業だと陰口を叩いています。・・・つまりマトモに収入を得ている者は役人だけで、他の者達は彼等の消費を当てにして生活している現実を皮肉っているのです。

⑥税収 国内からの収入は極僅かで、主な収入は帝國からの支給金です。これは帝國直轄領で働く獣人達から得られた税収から支払われています。(建国時にも多額の準備金が帝國より下賜されました)

914 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/28(日) 12:33:37 [ ly1LYD0s ]
⑦政治 王政です。建国時の中心人物達が政治を独占しています。

⑧王国の中の帝國 公的機関として、外務省が連絡事務所を設置、帝國軍が補助飛行場を保有し少数の管理部隊を置く。帝國大陸鉄道が鉄道を敷設中。私的機関として某商社が事務所を設置(材木・その他の品の買い付け、食料・生活必需品等の売却)。

こうして見ると国の収入から輸出入まで帝國に依存している事が分かります。帝國無しでは明日にでも立ち行かなくなるでしょう。『国家ごっこ』と言われる所以です。

帝國直轄領には20万以上の獣人が暮らしていますが、彼等はマケドニア王国には所属していません。ダークエルフは全てスコットランドが管理しているのに・・・。元からダークエルフは一つの組織に所属しており、獣人はバラバラだったからというのが表向きの理由ですが、本当の理由は別の所にあります。

マケドニアの建国時、帝國は全獣人をマケドニアの管理下に置こうとしました。しかし思いがけない事態が起こります。獣人が『国内の事を全て獣人のみでやる』と通告してきたのです。帝國は驚愕しました。経験皆無の獣人達はきっと帝國の助けを求める(ダークエルフでさえかなりの顧問団を要求しました。政治的な目論見もありますが・・・。)だろうと、帝國は内々に多数の顧問団の派遣を準備していたのです。帝國は翻意を促しましたが彼等の決意は固く、最終的に帝國が折れる事になります。この際、帝國は帝國直轄領の獣人達をマケドニアではなく帝國の管理下に置く事を決定します。

915 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/28(日) 12:34:20 [ ly1LYD0s ]
>>896
DFC様、いつも有難う御座います。

>そう言えば『帝國』側の猪武者はどうしたんでしょう?
そういう方々は動員解除時に真っ先に除隊して頂きました。・・・さすがに辻〜んなどの中央の有力軍人は無理でしたが。

>④は流石に無茶な気がします<汗>。無い袖をどうやって振れと?
布団引っ剥がしてでも(笑)。


>>897
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>一括払いが現実的に不可能な場合、何を変わりに差し出すかというところですね。
直ぐに現金に変えられるものでしょうねえ。

>あと、全権大志の方よほど苦労してきたんでしょうね
大使殿はともかく、英米駐在の外交官の苦労は相当なものでした。


>>898
898様、有難う御座います。

>レムリア使節団は今回の暴走をどのように突いてくるか楽しみですね。
中央から「何やってんだ!」とのお叱り必至ですね。

>上記から考えると吉田茂か?。
その通りです。

916 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/28(日) 12:35:14 [ ly1LYD0s ]
>>899
899様、有難う御座います。

>あとは、これ以上条件を呑まないようなら滅亡させるぞ、と脅しながら外交官殿が攻めるだけですな
しかしまるで特殊自由業ですよね、このやり口。

>大量の木造船舶とか。金銭で無い分、割り増しして接収。他国に売りさばければ結構な額になるでしょう
大半が民間の所有物ですけど、大丈夫ですかね?


>>900、901、902
これは898様ですよね?


>>903、906
Call50様、有難う御座います。

>「あの」英国人と「英国的婉曲表現」を駆使した交渉をやっていそうなかの人ならF世界でも十分やっていけるでしょう。
氏は今回、請われて大使代理に就任しました。さすがに帝國上層部もこの要求は無茶だと分かっているのでしょう。『彼しかいない』だそうです。

>鉱山・商業都市の徴税権とか最恵国待遇とか、租界とかが代替物の対象になりそうですね。WW2前の中国が参考になりそうだ。
帝國としては『土地』は遠慮したいところです。厄介事に巻き込まれそうで・・・。

917 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/28(日) 12:36:21 [ ly1LYD0s ]
>>904
904様、有難う御座います。

>④の一括払いは無理だし、そもそも戦時賠償は基本的に分割払いなのでは?
後になるほど取れる確率低いですからねえ。取れるだけ先に取っておこうという考えです。

>払いの一部を現物あるいは権利等の物で払うことになりそうですね。
今後の交渉に期待ですね。帝國はふんだくる気満々ですよ。


>>905
905様、有難う御座います。

>今回のお話で、城中の物という物に差し押さえの札が貼られている哀れな王宮
くろべえもギャグで考えました(笑)。気分は高利貸しです。


>>907
>「国の至宝です」と美少女姫様が送り込まれる!
誰の子供を送るかで揉めそうですね。

918 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/28(日) 12:36:38 [ ly1LYD0s ]
>>908
>賠償として奴隷が送られたりはしそうだな。
帝國にとっては嫌がらせでしかないですよね、それ。


>>909
909様、有難う御座います。

>それを行うために軍事費削減を行って自動的に第三項は果たされるかもしれませんな
払う為にはあらゆる分野の削減は必至です。軍事費だけでなく、必然的に貴族・士族への禄(給付金)も削減されるでしょうね、江戸時代の藩のように。そしてそれは・・・。


>>910
>というか賠償金がきちんと払われた例はあまりないよ
それもあるので帝國は一括に拘っています。分割しても精々数年でしょうね。

919 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/28(日) 14:01:51 [ .VS6VioA ]
>>918
くろべえ様

と言うか、国家予算10年分を一括でなど支払能力がないのをわかりきっていて
辱める目的で要求したものとしか思えないのですが・・・
民間資産に手をつけるわけにも行かないし国債発行しても紙屑同然に扱われそうだし・・・
債務不履行は確実ですね・・・

920 名前:899 投稿日:2005/08/29(月) 00:51:06 [ rasiE3mg ]
>>あとは、これ以上条件を呑まないようなら滅亡させるぞ、と脅しながら外交官殿が攻めるだけですな
>しかしまるで特殊自由業ですよね、このやり口。
そこは気にしたら負けです。負けなんです。
そんな敗北主義はダメですからくろべえ氏には是非頑張ってもらいたい。(ぉw

>>大量の木造船舶とか。金銭で無い分、割り増しして接収。他国に売りさばければ結構な額になるでしょう
>大半が民間の所有物ですけど、大丈夫ですかね?
んー、仮にそうなる場合は、レムリアの貴族に収奪させ、それを貰い受ける。
少しでも恨みの矛先を帝國に向けないために。
そして、民衆の暴動でレムリアは(ry
というような感じな妄想です。終了。

921 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/29(月) 02:16:53 [ 6edxPdNI ]
>民間資産に手をつけるわけにも行かないし国債発行しても紙屑同然に扱われそうだし
それ以前に金融という概念自体、あるかどうか非常に怪しい。
ログ見ると、帝國の紙幣が現物支給用の配給券だと思われてたりもしたし。

貴族主義と封建制の存続する社会で金貸しは成り立たないだろう。
ぶっちゃけた話、貴族は金持ちから金など借りない。税と称して奪うのだ。
金貸しが国家を越える後ろ盾(例えば宗教)を持っていない限りは。

それに、近代レベルの技術力といっても純然たる魔法技術の問題で、
科学のように人文哲学や政治思想と常にリンクしているとは考えにくく、
「軍事技術が近代レベルだから国家運営も近代レベルだろう」
などという常識的連想はあまり当てにならないはずだ。
少なくとも、魔法の発展が民衆の生活に恩恵を与えているとは考えにくい。

922 名前:てさりすと 投稿日:2005/08/29(月) 09:22:14 [ vzFuBGY2 ]
ちわー
お疲れさまです
一気に読ませてもらいました
賠償金についてはカルタゴの例があるのでレムリアが
通商大国ならば数年で支払い可能でしょうね

が、さすがに今回は暴利すぎますね
これではその内チョビ髭の伍長閣下が現れる悪寒W

923 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:32:14 [ ly1LYD0s ]
>>919
>と言うか、国家予算10年分を一括でなど支払能力がないのをわかりきっていて辱める目的で要求したものとしか思えないのですが・・・
帝國としては『取れるだけ取れ』という考えの元、ハードルを思いっきり高くしています。結果的には相当な屈辱感をレムリアに与える事になりますが、帝國は気にして・・・いなくもないですが賠償金の魅力の方が勝りました。


>>920
>そこは気にしたら負けです。負けなんです。そんな敗北主義はダメですからくろべえ氏には是非頑張ってもらいたい。
分かりました。心を鬼にして頑張ります(笑)。

>少しでも恨みの矛先を帝國に向けないために。
これは重要ですよね。間接的にやるだけでも大分違いますからね。

924 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:32:35 [ ly1LYD0s ]
>>921
>金融という概念自体、あるかどうか非常に怪しい
江戸時代のようには発展しませんでした。芽が出る先から潰されるためです。もちろん国債などという概念もありません。国家が金を借りるなどとんでもない事なのです。国が決まった税以外で資金を調達する際には、『御用金』名目で調達します。もちろん返しませんし、何らかの形でも代価を支払うかどうかもその時々により異なります。

>少なくとも、魔法の発展が民衆の生活に恩恵を与えているとは考えにくい
魔法は国家が利用する他は、貴族や金持ちの生活を便利にするための手段です。例えば『暑いから涼しくしろ』『氷が食べたい』『遠くの友と話をしたい』等の我侭をかなえるのです。


>>922
てさりすと様、有難う御座います。

>さすがに今回は暴利すぎますね
はい。自分でもそう思いますし、皆様からもそう突っ込まれています(汗)。

>これではその内チョビ髭の伍長閣下が現れる悪寒W
う〜ん、惜しい(かな?)ですね。実はこれによりレムリアは・・・(謎)。

925 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:36:29 [ ly1LYD0s ]
さて、SS投下!・・・外務卿の怒鳴り込みです。

926 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:37:10 [ ly1LYD0s ]
「帝國召喚」3−11②

11-2

「どういう事です!大使殿!」

「おや?今日の会議には少し早いようですが何か?」

大使代理は何食わぬ顔で応対する。

「惚けないで頂きたい!『東部国境地帯に多数の兵が進入、我が軍に対して組織的な攻撃を加えた』との緊急連絡が本国より届きました。一体どのような御積りですか!?」

「落ち着いて下さい、外務卿閣下。」

「これが落ち着いていられますか!交渉中に攻撃を加えるなど!」

「・・・ところでお尋ねしますが、攻撃を加えられた事は事実なのですか?」

「当たり前です!」

「では『帝國軍』が攻撃したという『証拠』は?」

「誰が攻撃したかなど一目瞭然です!」

927 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:37:29 [ ly1LYD0s ]
「・・・つまり『具体的な証拠』ではなく、『状況証拠』で我が国の仕業に違いないと?」

外務卿の詰問に、大使代理はいかにも『やれやれ』といった大げさな身振りで対応する。

「もしかしたら山賊の類かもしれませぬよ?」

「・・・山賊が連隊規模の軍を襲うとでも?」

外務卿は半眼で睨みつける。もっとも大使代理には『蛙の面に・・・』というやつだが。

「さあ?そこまでは分かりませんが、思いがけぬ事が世の中起こるものです。」

「あくまでお惚けになる御積りですか?」

「さて、そう仰られても『知らぬものは知らぬ』と言うしかありませんよ。」

「・・・百歩譲って帝国軍ではなかったと『仮定』しましょう。それでも大陸同盟の何れかの国の仕業に間違いありませぬぞ!」

「外務卿。何か勘違いしておられるようですが、帝國と大陸同盟諸国とは主従関係にはありませんよ?仮に彼等が越境して攻撃したとしても、帝國の責任ではありません。・・・ああそれと、帝國と貴国は未だ法的には『戦争状態』なのですよ?」

928 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:38:04 [ ly1LYD0s ]
「!」

そう、両国は未だ停戦にさえ合意していない。帝國軍が一方的に進撃を停止しているだけなのである。

もちろんレムリア側は交渉中の一時停戦を主張した。しかし帝國側はどうとでも取れる玉虫色の返事しかせず、文章への記載すら『全ての合意が済むまで、いかなる文章にも署名しない』と拒み、結局水掛け論のまま今日まできたのだ。それでも交渉が続けられたのはレムリア側の立場の弱さからであろう。

「戦争中には『思いがけぬ事』が起こるものです。」

「・・・それは脅しですか?」

「まさか!忠告ですよ。」

大使代理は凄みのある笑顔で答える。

「そんな事よりも本題に入りませんか?この件は『事態が明らかになってから』でもよろしいでしょう?」

「ならば事態が明らかになるまで交渉を一時中断しましょう。」

外務卿は彼の言葉を逆手にとり、思わぬ提案をする。

929 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:38:23 [ ly1LYD0s ]
「ほう?よろしいので?」

「帝國は一時停戦にすら応じようともせず、とうてい信用できません。」

「貴国からこの交渉を持ちかけたのですがねえ・・・。我々はそれに応じただけですよ?」

「再び同様の事態が起きぬよう、停戦文章への署名も改めて求めます。」

「・・・。」

そう来たか。

どうする?署名してやるか?

いや駄目だ。ここで譲ればその後も譲る羽目になる。それに軍がまた何かやらかすかも知れない。

脅すか?・・・それも足元を見られるだけだ。

なら、

「残念ですが仕方ありません。交渉を一時中断しましょう。」

930 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:38:51 [ ly1LYD0s ]
11-3

「何故交渉中断に同意したのかね?」

待機部屋に戻ったとたん、大使が詰問する。

「あそこで譲れば、連中にイニシアチブを取られる事になるからすよ。」

「しかし何時までも伸ばす訳にはいかないぞ。」

「連中は我々以上に焦っています。連中から交渉再開を言い出すまで待ちましょう。・・・とはいえ、只待つのも芸が無い。軍の力を借りますか。」

「・・・まさか攻撃させるつもりじゃあないだろうね。」

「まさか!それこそ此方の立場が悪くなるだけですよ。」

「じゃあどうするのかね?」

「何も。ただレムリアの主要都市上空を一式陸攻で飛び回ってくれるだけで良いです。そうですね、一都市一中隊では寂しいので二中隊以上でやって貰いましょう。もちろん軍に嫌とは言わせませんがね(怒)。」

「領空侵犯だぞ!」

「・・・ところで閣下、果たして自分達が辿り付く事のできない高空も『自分達の領空』と言えるのでしょうかね?この世界の海にも領海と公海という物があるそうですよ?」

つまりはそういう事だ。

「・・・君は鬼だな。」

呆れたように大使は呟く。

「有難う御座います。」

そうでなければ外交官なんてやってられませんよ、閣下。

931 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/29(月) 10:40:55 [ ly1LYD0s ]
SS投下終了。またミスしたよ・・・。orz

一式陸攻再び?

932 名前:DFC 投稿日:2005/08/29(月) 14:22:29 [ psTgbhko ]
狸ですねぇ、吉田さん。

>交渉停止
辻あたりが(勝手に)出張って、挙句暴発しそうな状況になったのは気のせいですか?
……満州事変よ、再び!<核爆>

>一式陸攻
うーん、トドメになりますかねぇ? 
もう1アクセント欲しい気がします。

933 名前:899,920 投稿日:2005/08/29(月) 17:38:14 [ GDdTl3aQ ]
更新乙。
今回ので吉田さんいい味出してましたね。――もっと出してもらいたいです。(ぉ
しかし、交渉中断で主要都市上空を一式陸攻で飛び回るとなるとまた石油が……。

934 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/29(月) 17:59:33 [ 6KnBHENQ ]
戦闘機を高速・低空で突っ込ませて日の丸をアピールしてみるとか…

935 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/29(月) 18:58:46 [ pPaHd3PA ]
投下乙です。
しかし一式陸攻による示威行動は相手にも大きな衝撃を与えますが、味方陣営にも石油消費という形で衝撃を与えそうですな。
担当者の悲鳴が聞こえてきそうです。

936 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/29(月) 23:58:35 [ YnrPq2J6 ]
また陸軍大臣の悲鳴が…

937 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/30(火) 00:43:42 [ nqhPtWkc ]
なんか、そのうち松根油でも開発命令出されたりして

938 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/30(火) 01:10:03 [ BbUEfgGI ]
投下乙です。
狸が化かしてる流石は吉田茂だw
一式陸攻の示威行動でレムリアにトラウマを植えつけることになりそう

939 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:22:22 [ ly1LYD0s ]
>>932
DFC様、いつも有難う御座います。

>もう1アクセント欲しい気がします
実はもう一つ手を打ってあるのです。もうそろそろ効果が出る頃でしょう。


>>933
899様、有難う御座います。

>今回ので吉田さんいい味出してましたね
有難う御座います。

>交渉中断で主要都市上空を一式陸攻で飛び回るとなるとまた石油が……。
次回はそのお話です、ご期待下さい。


>>934
>戦闘機を高速・低空で突っ込ませて日の丸をアピールしてみるとか…
流石に低空だと不味いです。敵の飛竜と交戦する羽目になるかもしれません。


>>935
>担当者の悲鳴が聞こえてきそうです。
担当者はどの部門がババ引くか戦々恐々でしょうね。


>>936
>また陸軍大臣の悲鳴が…
報告を聞いたとき、また現実逃避した事は秘密です(笑)。


>>937
>なんか、そのうち松根油でも開発命令出されたりして
あくまで『保険』ですが、今でも研究はしています。


>>938
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>一式陸攻の示威行動でレムリアにトラウマを植えつけることになりそう
今回は指導者層だけでなく、国民にも大きな動揺を与えられる事でしょう。

940 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:24:56 [ ly1LYD0s ]
さてSS投下。

941 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:25:17 [ ly1LYD0s ]
「帝國召喚」3−12

<帝國、帝都>

帝國閣僚会議。

帝國の行く末を決定する事実上の最高会議である。今日もまた一つの議題が上げられてきた。

「グラナダの交渉団から緊急要請がありました。詳細は皆様のお手元にある通りです。皆様の意見をお聞かせ願いたい。」

「これはまた随分と大規模な・・・。吉田君も無茶を言う。」

「ですが効果的である事は否定できませんな。」

「しかし本当に『自分達が到達できない程の高空は領空とは認められない』などと主張できるのでしょうか?吉田君の希望的観測では?」

閣僚の1人が疑問の声を上げる。

「殿下、ご説明を願います。」

「はい、首相閣下。」

942 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:25:36 [ ly1LYD0s ]
首相は傍らの人物に説明を求めた。彼は帝國情報担当相の地位を務め、帝國に派遣されたダークエルフの頂点に立つ人物−スコットランド王国王太子−である。

「まず始めに、この世界には『領空』という法的な概念はありません。もちろん『ここは我等の領空』という考えはありますが、あくまで感情的なものです。」

「?しかし航空部隊があるのでしょう?何故法で規定されていないのです?」

「疑問は御尤もです。海には領海と公海があります、当然『空にもある』と考えるのが普通でしょう。しかし空に関してはありません。『当たり前すぎて』という事もありますが、空には『資源が無い』事が大きい。ワイバーンの航続距離が短すぎるということもあるでしょう。」

「・・・じゃあ領空侵犯した敵の飛竜にはどうやって対処するのです?対処する名目は?」

「勿論ワイバーンで迎撃します。名目は『領空侵犯』です、法的な裏付けはありませんがね。」

「しかし慣例法としてあるのでは?」

「この世界では慣例はあくまで慣例です。明文化されていない以上、法ではありません。第一、自分の力が届かない場所を『領空』とはおこがましい。それでは満天の星々にすら所有権を主張出来るようになってしまいます!」

彼は笑いながら言葉を続ける。その様はまるで悪徳弁護士のようだ。

「ですから、今回の作戦は十分に『合法』と主張できるでしょう。・・・力のある者しか、そう主張できないでしょうがね。」

943 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:26:07 [ ly1LYD0s ]
説明が終わると閣僚達が次々に発言する。

「しかしマケドニアの暴発に続き、今回の作戦が実行されれば帝國の評判に傷がつきますな。」

「『毒を食らわば皿まで』ですよ。資源獲得時にだって形振り構わなかったじゃあないですか。」

「辺境地域での行為とは訳が違いますよ・・・。」

「一つ宜しいでしょうか?」

発言というよりも『雑談』状態に陥った状態で、1人の閣僚が挙手し発言する。わざわざ挙手する事を見ると重要な質問のようだ

「作戦が『法的にも可』という事は分かりました。しかしこれ程の大規模な航空作戦を行うだけのガソリンを手当てできるのですか?前回の作戦でもかなりのガソリンを消費したはずですが・・・。」

当然の疑問である。

944 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:26:35 [ ly1LYD0s ]
現在、帝國は夢にまで見た大規模な油田地帯を複数所有している。全ての施設が完成すれば、それこそ自国だけでは到底使い切れない程の石油を得る事が出来るだろう。

・・・完成すれば。

全てが完成するのは10年以上先の話である。何せ全く手をつけていない油田さえあるのだ。それに必要な資源はなにも石油だけではない。油田施設の建設は最優先項目ではあるが、全ての資源を一から採掘しなければならない帝國の苦労は相当なものだ。


「結論から言えば『無理』ですね。余分なガソリンはありません、全て使い道が決まっています。」

軍需相の言葉は非情だった。

「・・・ガソリンの生産をもう少し増やせないだろうか?」

「そして他の燃料の生産を減らすのですか?巡り巡って資源地帯の採掘施設建設にまで支障が出て、資源の完全自給時期が更にずれ込みますよ?」

閣僚達は黙り込む。

「やはり、大陸への進出はまだ早すぎたのでは?」

誰かが呟いた。

945 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:27:02 [ ly1LYD0s ]
「そうですね。・・・あと1年、あと1年待てばこんな苦労はしなくても済んだ。」

賛同の声がポツポツと上がる。

「あと1年?転移してから3年も孤立したまま?・・・不可能ですよ!」

「それだと経済進出は1年半、いやそれ以上伸びる事になる!大インフレが起きるぞ!」

反対意見も噴出する。・・・一見強大に見える帝國も綱渡り的な運営を迫られているのだ。

つまりこういう事である。

昭和18年前半に帝國は事を起こした。昭和19年中には大同盟が成立し、海外との正式な貿易が始まるだろう。そして昭和20年中には何とか貿易を軌道に乗せる事が出来る。・・・完全に軌道に乗るには更に数年かかるだろうが。

その頃には帝國の工業はほぼ完全に復活している。『その生産能力は国内だけではとうてい消費できない、それまでに海外への販路を作る必要がある。』−そう帝國軍需省は報告した。もっとも逆の報告もある。『帝國の貧弱な生産能力では到底、大規模な開拓や資源採掘への供給は追いつかない。供給能力増強のために大規模な投資が必要だ。』−帝國総力戦研究所からの報告である。相反する二つの報告。帝國政府は前者を、というより最悪の事態に対して備える事を決定した。この世界の諸国を甘く見ていた事も理由の一つである。

何れにせよ国民の窮乏も限界だったのだ。国民に『夢』を見せる必要がある。そう判断したのだ。

946 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:27:26 [ ly1LYD0s ]
「やってしまった事は仕方ないだろう!それよりも、今はその様な事を論じている時ではない!」

首相が一喝し、漸く騒ぎが収まる。

「大陸の軍のガソリンをもう一度回せないでしょうか?」

軍需相は今まで沈黙を保っていた参謀総長に尋ねた。

「検討はしました。この作戦を実行した場合、『大特演』に参加した帝國軍航空隊は迎撃任務しか行えなくなるでしょう。積極的な航空作戦は不可能になります。・・・それでもよろしければ。」

「万一の場合、軍は陸上部隊だけでレムリアを制圧できますか?」

「・・・不可能ではありません。」

参謀総長は渋い顔で答える。

「いえ、その必要はありません。」

海相が発言した。

947 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:27:59 [ ly1LYD0s ]
「陸軍だけで戦わせる訳にはいきません。グラナダの時の不手際もあります、空母艦載機を陸に上げてでも支援します。もちろんガソリンも海軍だけで何とかしましょう!」

・・・随分勇ましい発言だ、海軍とてガソリンが余っている訳ではないのに。

勿論裏がある。要は『陸軍だけに活躍されては堪らない』だ。だからガソリンそのものを回さずに航空機ごと回すのである(連合艦隊司令部が聞いたら激怒ものであろう)。


「成る程、海軍からそう言って頂けるとは有り難い。」

「では決定ですね。」

口々に賛同の声が上がり、それを受け首相が決をとる。

「では挙手を行います。この作戦に賛成の方は挙手を願います。」

次々と手が上がる。

「全会一致により、今回の作戦を許可します。」



こうして二度目のレムリア空襲が決定された。

948 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/30(火) 15:28:33 [ ly1LYD0s ]
SS投下終了。

949 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/30(火) 17:17:09 [ pPaHd3PA ]
投下乙です。
うう、貧乏帝国(泣)
強大な軍事力とそれを支えるあまりにも細い補給線はいつまでたっても帝国を悩ませますな。
このままでは本当に松脂で飛ぶ日が来るかもしれませんな。

950 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/08/30(火) 18:10:37 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です
ぐは、びんぼーだ、びんぼー過ぎるよ帝國w
史実と同じならば、転移時にはうちのじーちゃん達が満州でアルコールの燃料化実験を行っていた筈ですが…
この世界の帝國ではドワーフのとっつぁんとかと一緒に実験やっているのかしらとか、夢想してみます。
終戦直前には航空機燃料としても十分実用に耐えうるものが出来ていたそうなので、『とっとと実用化せんか』とせっ突かれているだろうなぁ…

951 名前:DFC 投稿日:2005/08/30(火) 18:46:29 [ RToXanHA ]
投下乙です。
国内に資源が無い悲しさが良く表われてますね<泣>。
松根油なんぞを燃料にして戦う様になったら、流石に終わりですからね。それまでになんとかなればイイのですが…。
そういえば、「魔術で機械を動かす」という研究はなされていないのでしょうか?

952 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/30(火) 18:58:23 [ YnrPq2J6 ]
>>951
研究はされていても実用化はまだまだかと。
そもそも「魔力で物を飛ばす」こと自体この世界にないことなわけだし。

953 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/30(火) 19:04:45 [ nqhPtWkc ]
確かまだ合成風力の補助に使ってたくらいですかね、魔法は。
しかし貧乏帝國はつらいですね。ぎりぎりの綱渡り。
そうだ、ドワーフと帝國は関係の進み具合はどうなんでしょう。
資源採掘には獣人のほかにドワーフも加わればかなり楽になりそう。餅は餅屋で。

954 名前:ヘッド ◆XksB4AwhxU 投稿日:2005/08/30(火) 20:44:52 [ nmqihAG. ]
>>899,920,933です。コテハンつけました。
今回のは貧乏は敵だと再認識させてくれましたね。
現状打破のためになんとかして貿易立国を目指したいところ。

955 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/30(火) 22:16:17 [ 6edxPdNI ]
領空の問題でふと思ったのだが、
帝國が来る以前、空は飛竜の独壇場だったのだろうか?
例えば高度8000m以上の高空にラピュタっぽい空飛ぶ神木の森があるとか、
衛星軌道上でリトルグレイのレンズシップが帝國を睥睨しているとか、
月にはエルフが住んでいて地上のエルフは流刑に処された罪人の末裔とか、
大陸のどこかの未踏の山脈に知性あるグレートドラゴンの王国があるとか、
そういう事はないのだろうか?

956 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/08/30(火) 22:18:28 [ BbUEfgGI ]
この世界の日本が目指すもの
それは大航海時代の大英帝国である
そんな感じがしましたよ

一に金、二に金、三四が無くて五にも金

金が無いのは首が無いのと一緒だと誰かが言いいました。

まさにその状態w

957 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/31(水) 12:17:14 [ ly1LYD0s ]
>>949
949様、有難う御座います。

>強大な軍事力とそれを支えるあまりにも細い補給線はいつまでたっても帝国を悩ませますな
転移初期における大規模な動員解除の理由も『生き残るため』ですからねえ。

>このままでは本当に松脂で飛ぶ日が来るかもしれませんな
帝國としても、それだけは避けたいでしょうね。


>>950
しおん様、いつも有難う御座います。

>この世界の帝國ではドワーフのとっつぁんとかと一緒に実験やっているのかしらとか、夢想してみます
未だドワーフとは本格的な接触は行っておりません。連中、ダークエルフとはあまり仲が良くないですから。ただドワーフは一枚岩ではなく、『変わり者』も数多く存在します。無事条約が成立し体制が整えば、そういうドワーフに対する接触も行われるでしょう。・・・元の世界の酒(スコッチやウォッカ?)持参で。

>終戦直前には航空機燃料としても十分実用に耐えうるものが出来ていたそうなので、『とっとと実用化せんか』とせっ突かれているだろうなぁ…
せっ突かれている事は確実です。でも石油生産が軌道に乗れば使われなくなるでしょうね。報われないなあ。

958 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/31(水) 12:17:41 [ ly1LYD0s ]
>>951
DFC様、いつも有難う御座います。

>国内に資源が無い悲しさが良く表われてますね<泣>。
>それまでになんとかなればイイのですが…。
帝國だけではとっくに野垂れ死んでいたでしょうね(笑)。短期間で多数の資源地帯を探し当てたダークエルフ。その怪力で短期間のうちに資源を採掘可能とした獣人。彼等の協力無くして現在の帝國は語れません。

>そういえば、「魔術で機械を動かす」という研究はなされていないのでしょうか?
相性悪すぎで難航しています。簡単な構造の機械(風車など)ならなんとかなるのですが、精密機械となると・・・。


>>952
>そもそも「魔力で物を飛ばす」こと自体この世界にないことなわけだし。
一応、魔力で弾を飛ばす『魔道砲』があります(弾自体も専用の特殊なものですが)。

959 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/31(水) 12:18:04 [ ly1LYD0s ]
>>953
953様、有難う御座います。

>確かまだ合成風力の補助に使ってたくらいですかね、魔法は
そうです。これは帝國が魔法に対して未だに懐疑的である事が原因です。帝國は魔法を『不確かなもの(確実性に欠ける)』と考えています。やはり魔法に対して、少なからぬ抵抗感があるのでしょうね。

>そうだ、ドワーフと帝國は関係の進み具合はどうなんでしょう。
上記のように未だ公式な接触はありません。

>資源採掘には獣人のほかにドワーフも加わればかなり楽になりそう
今は獣人が主力ですが、ドワーフが加われば効率がUPするでしょうね。獣人を必要とする部署は他にも幾等でもありますしね。


>>954
ヘッド様、有難う御座います。

>今回のは貧乏は敵だと再認識させてくれましたね。
>現状打破のためになんとかして貿易立国を目指したいところ。
そのためには何としてでも条約を成立させ、取り巻きを作らなければなりません。この世界、新参者がホイホイと参入できる程甘い世界ではないのです。帝國もその事は良く理解しています。元いた世界とて同様でしたから。

・・・ああ、忘れちゃあいけません。貿易にはキャッシュが必須なのです!ですから何としてもレムリアから巨額の賠償金を獲得しなければ、条約が折角成立しても『絵に描いた餅』になってしまいます。

960 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/31(水) 12:18:22 [ ly1LYD0s ]
>>955
955様、有難う御座います。

>帝國が来る以前、空は飛竜の独壇場だったのだろうか?
軍事的にはその通りですね。『船を飛ばそう!』なんて考えた人もいますが、とてもそれだけの魔力を集めるのは不可能でした、伝説の『賢者の石』でもあれば可能でしょう。古代の伝説では空飛ぶ船なども登場しますが・・・。

>例えば高度8000m以上の高空にラピュタっぽい空飛ぶ神木の森があるとか、
8000mとなるとマナが相当薄いですからねえ。もっともそれは帝國とダークエルフが共同で研究・観測した事で初めて判明した事実です。この世界では8000m以上の高空は『未知の世界』でした。ですから『ラピュタっぽい空飛ぶ神木の森』の伝説もあります。もっとも帝國とて精々高度12000m程度までしか観測していませんが・・・。

>衛星軌道上でリトルグレイのレンズシップが帝國を睥睨しているとか
おお、SFっぽい!という事は、もしかして帝國は『地球から来た傭兵たち』状態ですか?

>月にはエルフが住んでいて地上のエルフは流刑に処された罪人の末裔とか、
それ良いですねえ。だとしたら将来、帝國が月にロケット飛ばせるくらいに発展したら国交が結ばれるかもしれませんね。

>大陸のどこかの未踏の山脈に知性あるグレートドラゴンの王国があるとか、
グレートドラゴンは大昔栄えたという伝説の種族です。ですから本当に存在するか(したか)どうかはわかりません。

961 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/08/31(水) 12:18:41 [ ly1LYD0s ]
>>956
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>この世界の日本が目指すものそれは大航海時代の大英帝国である
そうですね。帝國は現在太平洋のど真ん中に転移したようなものですし。

>金が無いのは首が無いのと一緒だと誰かが言いいました。
帝國も物々交換で交易して、つくづくそう思いました。レムリアに対する過剰なまでの賠償金要求、それはその時の苦い思い出がトラウマになったためです(笑)。

962 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/08/31(水) 19:37:31 [ nqhPtWkc ]
なるほど、ドワーフはダークエルフと(とも?)仲がよくないのですね。
もしドワーフを帝國に取り込めれば帝國はますますエルフと縁遠くなりそう
まぁエルフと仲良くしてもあまりいいことなさそうだ(苦笑

帝國は貨幣としての金銀が欲しいので、賠償を品物で物納されたらちょっと
しょんぼりなのですね。そこにも落としどころがありそうですね。
条約締結して金銀くれたら相応の帝國の品物の下賜がありますよとか。

963 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:21:24 [ ly1LYD0s ]
>>962
>ドワーフはダークエルフと(とも?)仲がよくないのですね。
もちろんエルフとも悪いです(笑)。どちらかと言うと孤立した種族ですね。

>エルフと仲良くしてもあまりいいことなさそうだ
少なくとも軍は『御免蒙る』でしょう。

>帝國は貨幣としての金銀が欲しいので、賠償を品物で物納されたらちょっとしょんぼりなのですね
『ちょっと』どころではありません。 orz ←でしょうね。

>条約締結して金銀くれたら相応の帝國の品物の下賜がありますよとか
弱みを見せる訳にはいかないので「やらずふんだくり」になるでしょう。

964 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:22:37 [ ly1LYD0s ]
さて、SS投下。

例の1200HITのSSです。

965 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:23:11 [ ly1LYD0s ]
「帝國召喚」外伝2-2

2-0 シュヴェリン王国沿岸

「撃ち方止め!」

戦隊司令の号令により艦砲射撃は終了した。

砲撃を行ったのは戦艦「山城」「扶桑」の2隻である。両艦は駆逐艦4隻に守られつつ砲撃し、王城付近に展開する反乱軍を文字通り『吹き飛ばした』のだ。

・・・城下町ごと吹き飛ばしたのはご愛嬌である。

何しろ30キロ近い遠距離砲撃を行ったのだ、王城を巻きこまなかったっだけでも『大したもの』と思って欲しい。

「司令、陸上の観測班より連絡です。『敵ハ壊滅ス』です!」

「当然だ。陣地にも篭っていない、剥き出しの相手に砲撃したのだぞ?」

戦隊司令は大して嬉しそうではなかった。彼に言わせれば『当然の結果』らしい。

「どうします?連中に姿を見せつけてやりますか?」

「無用だ。本隊に合流する。」

966 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:23:33 [ ly1LYD0s ]
2-1 シュヴェリン王国王城

「・・・ようやく終わったみたいね。」

壁に手をつき、体を支えながらカナ姫は呟いた。

「うわぁ・・・。」

窓から見た光景は『悲惨』としか言いようがない。あたり一面、大穴だらけの焼け野原である。森も、田畑も、・・・そして町も。

「うう(泣)。」

城下町は跡形も無くなっている。それだけならまだいい、あちらこちらに大穴−ちょっとした池程の大きさの−が開いていて、これを埋めるだけでも相当な苦労だ。・・・いっそ他の場所で町を再建した方がいいかもしれない。

「・・・お金、どの位かかるかなあ?」

考えたくもないけれど、数年は主従で窮乏生活を強いられるだろう。当然おやつは抜きだ。

もう少し優しく助けてくれてもいいじゃない!

967 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:23:59 [ ly1LYD0s ]
思わず心の中で八つ当たりしてしまう。

「・・・でも命が助かっただけでもマシよね。」

とりあえずは今生き残れた事を喜ぼう。そうでも考えなければやっていられない。

そういえば皆はどうしているだろう?

部屋から出て城内を見て回る。

城内は静まり返っていた。皆呆然としているか、怯えているかのどちらかだったのだ。

まあ、無理も無いか。

何しろ未知の現象に遭遇したのだ。自分だって何も知らなければ同じ様に呆然としているか、怯えているかのどちらかだったろう。多分。

「ほらっ!皆、しっかりする!」

カナ姫の叱咤を聞き、皆が反応する。

「衛兵司令!」

「ハッ!」

968 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:24:29 [ ly1LYD0s ]
「至急兵を率い、城外の敵残党を制圧!負傷者は捕虜にし、手当てを。降伏した者も捕虜にしなさい。殺しちゃ駄目よ!」

「かしこまりました!至急、兵を率い敵残党を制圧します!」

「お願いね?」

運がよければ生き残りがいるかもしれない。

「大臣!」

「はい!姫様!」

「城内の者の安否を至急確認して!ついでに城内被害状況もお願い。」

城外の被害状況は事態が鎮静してからの方がいいだろう。

「かしこまりました!」

大臣は慌てて駆けて行く。

さてと、後は・・・。

969 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:24:50 [ ly1LYD0s ]
「侍従長?」

「はい!姫様!」

「そんなに畏まらなくてもいいわよ。皆大げさなんだから。」

「いえ姫様、実にご立派です!それでこそ次期シュヴェリン王です。爺は感激です!」

「ありがとう。・・・それで御父様は?」

「はて?そういえば未だに部屋にいらっしゃるようですな。」

まだ気絶しているのかしら?それとも放心しているのかな?

「・・・ありえる。」

「?」

「なんでもないわ。御父様もお疲れなのでしょう、そっとしておいてあげて。」

「畏まりました。」

970 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:25:55 [ ly1LYD0s ]
2-3

出撃した軍は一戦も交えることなく帰還した。

「・・・敵は全滅です。生存者は発見できませんでした。」

報告する衛兵司令の顔は真っ青である。余程凄惨な光景だったのだろう。

「ありがとう。・・・大叔父様も?」

「死体の判別はつきませんが、おそらく。」

「・・・そう、ご苦労様。」

これで外は安全だと判った。でも外の被害を調べるのはまだ早い。家が吹き飛んだと知ればショックだろうし、もっと皆が落ち着いてからの方がいいだろう。幸い城内の被害は殆どないそうなので、しばらく町の皆はここで暮らしてもらうことになりそうだ。

これからの事を考えると本当に頭が痛い。


「姫様、先ほどのアレはなんだったのでしょうね?」

971 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:26:23 [ ly1LYD0s ]

不味い!

何が起こったのかなんて、私だって知らないわよ。

でもそんなこと言ったらまた皆不安がるだろうし、かといって本当の事言ったらもっと凄い騒ぎになるのは目に見えてるし・・・。

こうなったら!

「何言ってるの!私達助かったのよ!だからそんなに細かい事気にしちゃあ駄目!」

「こ、細かい事でしょうか?」

「そうよ!せっかく助かったのだから、宴会よ!宴会!料理長、食料庫を開いて!」


今は徹底的に誤魔化すしかないわ!

972 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/01(木) 10:26:57 [ ly1LYD0s ]
SS投下終了。

973 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/01(木) 11:03:46 [ 6KnBHENQ ]
投下乙です
カナ姫かぁ…お爺様が残してくれた名前とかかな?

974 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/01(木) 13:32:58 [ .VS6VioA ]
お疲れ様です
ダークエルフが忍び込んで爆破したものとばかり・・・
ってことはかなり前から地形などを調査してたのかな?

975 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/01(木) 13:55:52 [ nqhPtWkc ]
「山城」「扶桑」がーーーー!立派に活躍しとりますな(感涙)
きっと転移初期の資源獲得時には縦横無尽の活躍だったのでしょうね。

976 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/09/01(木) 14:51:19 [ BbUEfgGI ]
乙です。
WWⅡではすでに旧式鈍足戦艦も、ここでは大活躍ですね
鈍足といってもこの世界の人間から見たら十分快速ですしね
続きがとても楽しみです。

977 名前:DFC 投稿日:2005/09/01(木) 16:00:49 [ dQa9Ot86 ]
投下乙です。
叛乱軍は根絶やしですか。
当然と言えば当然ですが、セリフ一つ無くミンチにされた大叔父様がいと哀れ<汗>。
これから帝國と交渉に……、なるのかなぁ? 
力関係が歴然としすぎてますからねえ。ほぼ言いなりかな?

978 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/09/01(木) 20:26:43 [ r9DJpMoo ]
SS投下乙です。
は…反乱軍を町ごと消し飛ばしたのですか。
当たり前のことながら、戦艦の艦砲射撃は情けも容赦もありませんね。

…お城が巻き込まれなくて良かった、本当に良かった。

979 名前:ヘッド ◆XksB4AwhxU 投稿日:2005/09/01(木) 22:27:40 [ Q.r79kOQ ]
更新乙です。
艦砲射撃はやはり男の浪漫だと思った今日この頃でした。
大艦巨砲主義、未だ健在なり。

980 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/01(木) 23:50:08 [ pPaHd3PA ]
投下乙です。 
良いですね〜艦砲射撃、あれこそ浪漫です!
しかし反乱軍は町ごと消滅、これからこの国は復興できるのでしょうか?
帝国軍が油田地帯に駐屯することになればそれなりに外貨は稼げるかもしれませんが、敵は消えてもあらたな破産という大きな敵が。
まだまだ彼女は苦労しそうです。

981 名前:管理 ◆YXzbg2XOTI 投稿日:2005/09/02(金) 01:34:40 [ /QO4xNjc ]
毎回の良作投下乙。
あっというまに1スレ目消費っぽいご盛況で。
今後とも分家をどうぞご贔屓に。

なお次スレ立ては特に制限や本スレのような>>950が立てる決まりは無いので
任意でお願いします。

982 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 10:10:22 [ ly1LYD0s ]
>>973
973様、有難う御座います。

>カナ姫かぁ…お爺様が残してくれた名前とかかな?
詳しい事は何れ出てきますが、その通りです。ちなみにお父上はこの世界風の名前です。


>>974
974様、有難う御座います。

>ダークエルフが忍び込んで爆破したものとばかり・・・
確実な方法を選んだのですが、王国に対する威嚇の意味もあります。

>ってことはかなり前から地形などを調査してたのかな?
死の湖はそれなりに有名ですから、真っ先に調査対象としてリストアップされました。


>>975
975様、有難う御座います。

>「山城」「扶桑」がーーーー!立派に活躍しとりますな(感涙)
>きっと転移初期の資源獲得時には縦横無尽の活躍だったのでしょうね。

「扶桑」型や「伊勢」型は威圧感が強い(「大和」型は別格として、「金剛」型は勿論下手したら「長門」型よりも)ため、これら4隻は砲艦外交の主役として大忙しでした。

「大和」型、「長門」型は本国防衛として待機。
「扶桑」型、「伊勢」型は砲艦外交のため東奔西走。
「金剛」型は機動部隊の護衛のためやはり東奔西走。

が転移初期の帝國海軍戦艦部隊のお仕事です。今は砲艦外交も一段落したので「金剛」型のみ働いております。

ですから砲艦外交に携わったこれら4隻はとても有名です。(帝國を知っている)この世界の人々は帝國軍といえばこれらの戦艦を連想するでしょう。

983 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 10:11:02 [ ly1LYD0s ]
>>976
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>WWⅡではすでに旧式鈍足戦艦も、ここでは大活躍ですね
>鈍足といってもこの世界の人間から見たら十分快速ですしね

こっちの世界では超高速艦ですからねえ。

この世界、あまり航海技術に関しては進んでいません。船自体も、やっと三角帆を取り入れ始めた程度です(国によっては未だにガレー船が活躍していますし、三角帆でない船も珍しくありません)。

魔法に関しては持続性がない事から、動力としては殆ど期待されていません。精々軍用船の一部に補助動力として用いられている程度で、それさえコストの面から疑問視されています。

・・・そういえば帆船の速力ってどの位だろう?19世紀位の帆船なら15ノット以上と聞いたけど、あれって『究極の帆船』みたいなものだからなあ。和船で5〜6ノットというから旧式船でその位、新式で7〜8ノットという所だろうか?

>続きがとても楽しみです。
有難う御座います。

984 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 10:11:21 [ ly1LYD0s ]
>>977
DFC様、いつも有難う御座います。

>叛乱軍は根絶やしですか。
帝國としても「後腐れの無いように」する必要があったのです。政情不安はこまりますので。

>これから帝國と交渉に……、なるのかなぁ?
この時期の帝國は切羽詰っていますからねえ。とうてい紳士的ではないでしょう。


>>978
しおん様、いつも有難う御座います。

>は…反乱軍を町ごと消し飛ばしたのですか。
>…お城が巻き込まれなくて良かった、本当に良かった。
半分は「運」でしょうね(笑)。


>>979
ヘッド様、有難う御座います。

>艦砲射撃はやはり男の浪漫だと思った今日この頃でした。
艦砲射撃はこの後も、帝國の一番手っ取り早い「報復手段」として多用される事になります。トマホークみたいなものですね。

985 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 10:12:29 [ ly1LYD0s ]
>>980
980様、有難う御座います。

>しかし反乱軍は町ごと消滅、これからこの国は復興できるのでしょうか?
暫くは城住まい。その後は仮の住処を作って数年単位で復興でしょうね、通常ならば。

>帝国軍が油田地帯に駐屯することになればそれなりに外貨は稼げるかもしれませんが、敵は消えてもあらたな破産という大きな敵が。
・・・この国、現金収入少ないですからねえ。彼女の嘆きも当然でしょう。


>>981
管理様、有難う御座います・・・って大家さんでしたか!どうも、店子のくろべえです。

>今後とも分家をどうぞご贔屓に。
有難う御座います。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

>なお次スレ立ては特に制限や本スレのような>>950が立てる決まりは無いので任意でお願いします。
「本スレでは>>950の人が立てる決まり」とは知りませんでした。そうだったのか・・・。


次スレかあ、どうしよう?まだ10以上あまってるし・・・。

986 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 15:09:02 [ ly1LYD0s ]
SS投下。

987 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 15:09:34 [ ly1LYD0s ]
「帝國召喚」3−13

13-1 レムリア王国、ボルドー

都市ボルドー。

レムリア王国第一の商業都市であり、『王国の台所』とも呼ばれている。元々は独立都市であり、レムリア王国編入後も長い間自治を保ち続けた。そのためか、自由闊達・独立の気風が強い事でも有名である。


「ここなら安全だと思ったんだ・・・。王都はもう駄目だ、完全に帝國の手の内だ。」

ボルドー下町のとある安酒場、ここに今人だかりが出来ていた。王都から逃げてきた男の話を聞くために集まったのだ。

帝國の王都爆撃は世界中に衝撃を与え、上は王侯貴族、下は浮浪者に至るまでの話題となっていた。

その体験者が逃げてきたのだ!酒の肴には御誂え向きと言ってもいいだろう。

「帝國の巨竜は王国の空中騎士達が上がれる限界よりもずっと高い空を、空中騎士達よりもずっと速く飛べるんだ。しかも腹には船に乗せる程の爆弾を抱えて!なあ、信じられるか?あの化け物共はそんな状態で、1000キロ以上も離れた王都に軽々とやって来たんだぞ!?」

988 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 15:10:04 [ ly1LYD0s ]
確かに異常と言っていい、今までの戦争の常識が悉く覆されたのだから。

「大都市一つ分の森が丸々消えて、残ったのは沢山の大穴だけ・・・。もしあれが王都内だったらと思うと怖くてたまらなかったんだ。」

「でも連中、わざわざ王都まで来て狙いを外すなんてとんだ無駄骨だったな。」

聴衆の1人が茶化すが、男は阿呆を見るような目付きですかさず訂正した。

「奴らはわざと狙いを外したんだ・・・。『今回は警告だ。大人しくこっちの言う事を聞け』ってな!そんなこと子供にだって分かるさ!」

「でもさ、もうここなら安全だろ!何しろ帝國軍と王都の距離から倍近く離れているんだからさ!」

雰囲気が悪くなったのを察し、慌てて1人が話題を変えようとする。

「・・・本当はここだって怖いさ!だけど王都の他に働き口があるのはここぐらいなんだ!」

「おいおい、帝國軍からボルドーまで2000キロはあるぞ?いくらなんでも・・・。」

「奴らを甘く見るな!奴らは『特別』なんだ!常識なんて通用しない!」

989 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 15:10:33 [ ly1LYD0s ]
「そういえば東方総軍10万、1日で全滅だってな。・・・帝國軍は3分の1以下の兵だったのに戦死ゼロだってさ。」

「帝國軍は『火焔の王』を召喚したそうだ。それにやられたらしい。」

「ああ、俺も聞いた。それ本当らしいぜ。」

たちまちの内に恐怖が伝染していく。噂は尾ひれをつけ、ますます国民を不安にさせていくのだ。


「こら!お前達何をやっているか!」

罵声が飛ぶ。

役人達だ、ここ最近『流言蜚語を取り締まる』という名目で厳しく監視しているのだ。

・・・だが彼等は気付かないのだろうか?

その様な真似をいきなり行うという事自体が、『噂の肯定』に他ならないことを。

「貴様か!ちょっと来い!」

「他の者は去れ!」

990 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 15:11:02 [ ly1LYD0s ]
男を取り押さえ、連れて行こうとする。男は大人しく取り押さえられたが、外に連れ出すと途端に暴れだした。

「ああ!離してくれ!奴らだ、奴らが来たんだ!」

「うるさい!大人しく・・・」

その役人は途中までしか言えなかった。後はただ空を見上げるだけである。心配した同僚が声をかける。

「おい、どうしたんだ。・・・!」


役人達はみな呆然と空を見上げている。

何事かと空を見上げた者達も、皆空を見上げたままだ。


遥か上空、豆粒ほどだが確かに何かが飛んでいる。それも1つ2つではない、少なくとも数十の『何か』が飛んでいたのだ。

空中騎士団か?まさか!こんな市街上空を、これ程の数が飛ぶ事はありえない。第一、ワイバーンはあんな高くまで上がれない。

まさか帝國軍?でもいくら何でも、こんな遠くにまで・・・。

誰もが真実に辿り着いていた。だが感情がそれを否定していた。

「帝國軍だ!間違いない!皆逃げろ!」

それは切っ掛けだった。

その言葉に忽ち群集はパニックに陥る。市民も、役人までもが皆『安全な何処か』を目指して逃げ出し始めた。


もはや王国に安全な場所など存在しなかったが。

991 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/02(金) 15:13:27 [ ly1LYD0s ]
SS投下終了。

さてネタバレですが、ボルドーはこの後も出てきます。ちょい役ではありません。


とりあえず1000を踏んだ方がいらっしゃったら、お手数ですが新スレを立てて頂けないでしょうか?・・・立てたこと無いもので。

もし駄目でしたらくろべえが立てます。

992 名前:サッキ119 ◆35gMNwmd5w 投稿日:2005/09/02(金) 16:10:41 [ BbUEfgGI ]
投下乙です
噂は広がり、国内はボロボロ、踏んだり蹴ったりのレムリアですが
そろそろ貴族達は逃げ出す準備をしているんですかね?

993 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/02(金) 16:11:56 [ 2WNq5sEY ]
新スレ立てときました。

994 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/02(金) 17:18:02 [ pPaHd3PA ]
投下乙です。
やはりうわさは広がりますね〜この時代には安定した情報源などはなさそうですから仕方がないですが。
しかしこのようにうわさが広がる中で尾びれが付いてパニックを起こした住民や下級兵の反乱などが起きなければ良いのですが。
レムリアの過剰な混乱は帝國も望んでいないでしょうし。

995 名前:DFC 投稿日:2005/09/02(金) 19:34:04 [ uQMaRuy. ]
投下乙です。
王国崩壊の足音が聞こえてきますね。
民衆が国外へと離脱したりはしないのでしょうか?

996 名前:ヘッド ◆XksB4AwhxU 投稿日:2005/09/02(金) 20:55:28 [ CTTfE8vo ]
投下乙。あと、>>993氏も乙です。
さて、石油の大量消費活動が始まったわけですな。
王国大混乱、帝國の後方担当の人間も大混乱。(ぇw
これ以後どうなるかは全てネ申(=くろべえ氏w)次第。
期待してます。

997 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/03(土) 08:09:16 [ ly1LYD0s ]
>>992
サッキ119様、いつも有難う御座います。

>そろそろ貴族達は逃げ出す準備をしているんですかね?
生き残りるための準備を始めているでしょう。そして野心のある者は・・・。


>>993
>新スレ立てときました。
有難う御座います。助かりました。


>>994
994様、有難う御座います。

>やはりうわさは広がりますね〜この時代には安定した情報源などはなさそうですから仕方がないですが。
貴族はともかく、平民は上からの噂が下りてきて初めて知りますからねえ。軍の兵や下級役人(やはり上官の間の噂を聞く)から聞いたり、旅人の噂で知るといった感じでしょうか。

>レムリアの過剰な混乱は帝國も望んでいないでしょうし。
その辺は帝國としても痛し痒しでしょうね。

998 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w 投稿日:2005/09/03(土) 08:09:35 [ ly1LYD0s ]
>>995
DFC様、いつも有難う御座います。

>民衆が国外へと離脱したりはしないのでしょうか?
すでに王都からは逃亡者が続出です。ただし食べていくためにはSSの通り、他の『大都市』に移るしかありませんでした。しかし今回の騒ぎで『国内』難民が発生するかもしれません。

他国では追払われるでしょうし、援助も勿論ありません。それに国が滅んで難民と化し、安住の地を求めて彷徨う者達もこの世界には大勢います。彼等は何世代も放浪を重ね、『放浪の民』として迫害を受けています。それをレムリア人は知っています。ですから国内に留まる事を選ぶ人が殆どでしょう。


>>996
ヘッド様、有難う御座います。

>石油の大量消費活動が始まったわけですな。
帝國としても最後の示威行動でしょう。次は実戦しか有り得ません。

>王国大混乱、帝國の後方担当の人間も大混乱。
帝國の軍需相にとっても頭の痛い事です。・・・まあ史実における大戦末期よりは遥かにマシではありますが。

999 名前:しおん ◆K9Y9iIlHZE 投稿日:2005/09/03(土) 11:30:47 [ r9DJpMoo ]
遅ればせながら…SS投下乙です
見える…私には見える、高空を飛ぶ一式陸攻に脅え逃げ惑うレムリア臣民と、胃潰瘍で倒れる海軍省の役人の姿がw
戦略爆撃をしなくても事足りるくらい脅えきっていますね、レムリア臣民は。
この最後のパンチがどう効くか、楽しみです。

1000 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日:2005/09/03(土) 11:49:48 [ ewIsKeyI ]
1000ゲット

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