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漫画化志望者板的リレー小説「風の吹く街」
1無名作家さん:2003/02/02(日) 18:15
ルール
・話の進行方向は自由
・煽り、荒らしは無視
・このスレの内容を漫画、小説、映像、舞台などで利用するのは自由

>>2から開始します

2無名作家さん:2003/02/02(日) 18:17
木枯らし吹きすさぶ初頭の無人駅。一人の男が静かに立っている。
男の名は鴫野慎治。
鴫野は全てを捨て、ここに来ていた。特に行く当てはない。ただ東京を捨てたかったのだ。
今日もまた、当てもなくこの駅で列車を待っていたのだった。
と、その時、鴫野の背後から声が聞こえた。
「こんな所で会うとは、奇遇だな、鴫野。」

3無名作家さん:2003/02/02(日) 20:37
振り向いた鴫野は射るような視線に硬直した。
石原慎太郎東京都知事が雷おこしを両手に抱え屹立していた。
「おまえの気持ちをあててやろうか。」
鴫野は東京を捨てることがどんな敵を生むのかを知った。
都知事が間合いを詰めてくる。

4無名作家さん:2003/02/02(日) 23:21

>1
×漫画化志望者板
○漫画家志望者板

カキコしてる暇あるなら漫画描こう


―――――――――――――終了―――――――――――――――――

5無名作家さん:2003/02/03(月) 00:55
>4
いや、小説の漫画化を志望していると好意的に解釈できなくもないぞ。
漫画も描くし、カキコもする。
ていうかストーリーをポンポンでっち上げられるようでなきゃ将来的に厳しいぞ。

煽りにマジレスしちまったが沈滞するこの板では煽りも貴重だよな。

6無名作家さん:2003/02/03(月) 10:10
ここで自己満足作品に浸ってるようじゃ将来的に厳しいぞ。

7無名作家さん:2003/02/03(月) 11:38
「何の用だ、石原。」
「それはお前がよくわかっているだろう。まあよい。行くがよい。お前が後悔するだけだからな。」
「大きなお世話だ。」
遠くから電車の音が聞こえてきた。いや、電車ではない。気動車だ。
何のアナウンスもなく気動車がホームに着いた。無人駅だから当然である。
鴫野は気動車のドアを手で開け、乗った。
「手土産だ。持って行け。」
石原は雷おこしを鴫野に投げ渡した。
「これでも見ながら、せいぜい東京を恋しがるがよい。」
鴫野は無言でドアを閉めた。気動車が動き出した。
鴫野は確かに恋しかった。電気で動く電車が、駅構内のアナウンスが、そして自動で開くドアが。
だがもう戻ることはできない。骰子は投げられた。ルビコンは渡らねばならぬ。
鴫野は雷おこしをじっと眺めていた。

8無名作家さん:2003/02/03(月) 21:01
雷おこしからは東京の香りがただよっている。
気動車の振動で粒が二重に見えた。
芳香がいっそう強くなる。
雷おこしが身震いを始めた。
糖衣が溶出し内容物が周囲を探り始める。
「しまった!石原め!!」
東京銘菓は都会の刺激臭とともに鴫野に侵入を開始した。

9無名作家さん:2003/02/03(月) 22:38
ところで、小説家になるのは漫画家になるのよりも
簡単な事なの??

10無名作家さん:2003/02/04(火) 00:17
「まずいそうだ。風の歌を聞け」と石原はひとりごちた。
「なんとなくクリスタル」と突如長野県知事の田中康夫が出没した。

>>9
小説家はもうからない。

11無名作家さん:2003/02/04(火) 00:26
>>9
絵が得意なら漫画を目指せばいい。

12無名作家さん:2003/02/04(火) 09:57
1の一人舞台
虚し

13無名作家さん:2003/02/04(火) 13:47
田中は風のクリスタルを振りかざした。
石原に1299のダメージ。
石原を倒した。
「テテテテッテッテッテーン」
鴫野はレベルが上がった。
「これが風のクリスタルだ。あと3つのクリスタルはこの世界のどこかにある。」
田中は鴫野に風のクリスタルを手渡すと、風とともに去っていった。

14無名作家さん:2003/02/04(火) 19:50
その風は鴫野の右耳から左耳へと抜けていった。
鴫野は己の世界の因果律が変調をきたしていることに気づいた。
雷おこしに侵食された鴫野の脳は断片化した思考で満たされていた。

小説家になるのは石原の後塵を拝することになる。
そして都知事になるのは小説家になるより難しい。
しかし、石原は漫画家になることはできないのだ!

石原の声が幻聴として繰り返される。
「風の歌を聞け!」
田中康夫がまだ歌いつづけている。
「もうからない!もうからない!」

鴫野は意識の混濁により何を目指すべきかを完全に見失ってしまった。

かすかに残る理性を働かせる。
これは雷おこしが介入しているとはいえ自分の脳が作り出した幻だ。
いわば一人舞台なのだ。

意識を集中させ現実につながろうと鴫野は拳を握り締めた。
硬く確かな手触りが。
周囲がクリアになった。
手には風のクリスタルが輝いていた。
石原が倒れている。

幻覚ではなかったのだ。
鴫野は飛び飛びの記憶をつなぎ合わせ息を大きく吐いた。
気動車は石原の骸をゆすりながら駅に到着した。

15無名作家さん:2003/02/04(火) 21:46
sage進行で。

16無名作家さん:2003/02/05(水) 08:19
駅を降りると、そこは炭鉱だった。
かつては賑わっていたのだろうが、炭鉱は今や閉山され、町もすっかり寂れていた。

17無名作家さん:2003/02/06(木) 10:19
炭鉱町を歩いていくと、閉鎖された映画館があった。
かつてはここにもよく人が来たのであろうが、今は客はおろか、館員でさえ誰もいない。
閉館してどのくらいの歳月が経つのか、入口には未だにかなり昔の映画の看板が掲げられている。
鴫野はふと、その映画館に入ってみた。

18無名作家さん:2003/02/07(金) 13:24
客席に来た。やはり誰も居ない。暗く静まり返っている。
すると突然、スクリーンに女の姿が映し出された。
「お願いです・・・鉱山に来て下さい・・・町の東の坑口から入って、坑道を奥まで進んでいって下さい・・・」
女はそう言うと、スクリーンから消えていった。

19無名作家さん:2003/02/08(土) 13:03
鴫野は映画館から出ると、東を目指して歩いていった。
鴫野は道を聞こうと、一人の老人に尋ねた。
「東の坑口へはどう行けばいいのか、伺いたい。」
「東の坑口へはこの道をまっすぐ行けばよいが・・・お主、何をする気だ。」
「鉱山に入るのだ。」
「やめなされ。東の坑口から入るのは。あそこから鉱山へ入った者は・・・誰一人として帰って来ない。」

20無名作家さん:2003/02/10(月) 23:16
「・・・忠告ありがとよ。だが俺は行かねばならない。」
鴫野はそう言い放つと、坑口へと向かっていった。

坑口の前に来た。鴫野は意を決して入っていった。
坑道の中は真っ暗闇で、何も見えなかった。
(坑道を奥まで進んでいって下さい・・・)
鴫野は女の言葉を思い出しながら、ひたすら奥へと進んでいった。

21無名作家さん:2003/02/11(火) 00:37
汗の臭いがした。
坑道の隅に小太りの男が這いつくばって独り言をつぶやいている。
「掘らなくちゃ…掘らなくちゃ…」
男のそばにはツルハシが放り出されている。
「何を掘るんだ?この廃鉱は掘りつくされているぞ。」
鴫野が問いかけても男は地に伏したままだった。
「俺の掘った炭でみんなを喜ばせるんだ…。
今までに無い、心を打つ炭で…。そして大儲けをするんだ…。」
「まあ、運がよければ掘り残しが見つかるかもしれん。
しかし寝転がっていてどうなるというのだ?」
「今、どうやって掘るか構想を練っているんだ。
構想が完成すればそこそこのものが掘れる自信があるんだ。」
「どんな構想を練っているのか聞かせてみろ。」
「パクられるから言うものか。」
「ホントは何も考えていないのだな。」
「…。緻密で遠大な構想だから言葉にならないんだ。」
鴫野は質問を変えた。
「おまえはいつからここに居る?」
「厨房のころからさ。」
「今、歳はいくつになる?」
「30…。」
入る抗口を間違えると出て来れなくなるとはこういうことだと鴫野は合点した。。
「おまえは既に十分考えただろう。ツルハシを持て。そして掘れ。」
「ツルハシは使うのに慣れるまで時間がかかるんだ。難しいんだぜ。
まあ、最近じゃパソコン使ってフルデジタルで掘るヤツもいるからな。
最新ソフトを買ってから掘ることにするさ。」
鴫野は男が何を言いたいのかなんとなくわかるだけだった。
「もう一度聞くがお前は何を掘り出したいのだ?」
「…あえて言うなら萌え系かな。」
萌え系の炭…。鴫野はめまいに襲われた。

22無名作家さん:2003/02/11(火) 15:22
鴫野はもはや何を言っても仕方がないと言わんばかりに、ツルハシを手に取った。
「な、何をする気だ。俺の大事な商売道具だぞ。」
「俺は進まなければならないんだ。悪いがあんたに構っている暇はない。」
商売道具って、おまえは商売なんかしてないだろ、鴫野はそう思ったが、言わなかった。
「だけどお前、ツルハシ使ったことあるのか?これは素人には使いこなせない・・・」
「こういうのはな、つべこべ言う前に使えばいいんだ。」
鴫野は一心不乱に掘り進めた。
と、突然、前の壁が崩れだした。と同時に、そこから火か勢いよく噴き出した。
前面の壁が一気に崩れると、そこには竜が現れた。
竜は口から炎を吐き出した。瞬く間に辺り一面火に包まれた。
これでは「萌え」ではなく「燃え」である。
「はわわ・・・ガクガクブルブル」
男は腰を抜かしていた。
「でやああああああ」
鴫野はツルハシを手に、竜に立ち向かった。
竜が炎を吐く。鴫野がさつとよける。渾身の力でツルハシを竜に振り下ろす。
「すげぇ、あれこそまさに「燃え」だ・・・」
男は呟いた。男の言う通り、鴫野は闘志に燃えていた。
「でえええい」
鴫野の会心の一撃が竜にクリティカルヒットした。すると竜の姿は消えていき、
萌え系の女の姿に変わっていった。そう、映画館で見た、あの女である。
「萌え〜」男は思わず叫んだ。
男の声を無視して、女は鴫野に語りかけた。
「あなたこそ、この火のクリスタルを持つのにふさわしい人です。これはあなたに渡します。」
女はそう言って、鴫野に火のクリスタルを渡すと、消えていった。

23無名作家さん:2003/02/17(月) 23:26
「すげえよ。あんたのおかげで長年探し求めてた本当の「もえ」を見ることができたよ。
ありがとよ。ようし、俺も燃えてきたぞ。さあ、掘って掘って掘りぬいて、と。」
男は人が変わったかのようにツルハシを掘っていた。
「頑張れよ。」鴫野は男を応援しながら、鉱山を後にした。

鴫野はまた気動車に乗って、この町を去っていった。

24無名作家さん:2003/02/24(月) 16:08
http://jbbs.shitaraba.com/movie/bbs/read.cgi?BBS=1380&KEY=1028694398&LAST=100

25無名作家さん:2003/02/25(火) 23:29
気動車は町を遠ざかって、のどかな緑の中へと入っていった。
電車が走ーる電車が走ーる電車が走ーる…いや、電車ではない、気動車だった。
車窓から見える景色がきれいだ。こうしてみるとまるで「世界の車窓から」のようだった。あのオープニングソングが聞こえてくるようだった。
しばらくすると、湖が見えてきた。静かな湖畔の…と、思わず歌ってしまいそうだった。
そして気動車は湖の中へとどんどん走っていく。湖の中へと…
断じて、筆者の書き損じではない。気動車は湖の底を深く深く走っていったのだ。
確かに、湖の中なら火災の心配はないだろうが…しかし不思議なことに、車内には水は一滴たりとも漏れてこなかった。
そして気動車は、湖の底をさらに奥深く走っていったのだ。

26無名作家さん:2003/03/04(火) 23:22
このスレって、2chの創作文芸板からウォッチされているの???

27無名作家さん:2003/03/06(木) 08:38
「おうい、運転手さん、どこに行くんだよう。」
鴫野はそう問いかけたが、運転手は無言のままだ。
「おいおい、まさか居眠りしてるんじゃないだろうな。」
鴫野はそう思わずにはいられなかった。
そうこうしている間にも、気動車は湖の底をさらに深く深く走行する。
それにしても、随分底の深い湖である。
「ご乗車ありがとうございました。間もなく終点半弗湖底駅でございます。お忘れ物のないようお願いします。お降りの際、ドアは手でお開け下さい。」
ワンマンカー独特のテープ音が聞こえてくると同時に、前方から大きな建物が見えてきた。気動車は建物の中に入っていった。何故か、建物の中は水が一滴も入っていなかった。
ローカル線に似つかわしくないプラットホームに気動車が滑り込んだ。
鴫野は気動車を降りようとドアを開けようとすると、何者かが外からドアを開けた。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」


>>26 このスレって創作文芸板の人も知ってるの???

28無名作家さん:2003/03/08(土) 01:30
鴫野は多数の視線を感じた。
しかし視線の出所がわからない。
近くて遠い人間たちのまなざしが刺さってくる。

誰かに何かを知られている。
自分の今までの行動を監視されていたと直感する。
これは妄想なのだろうか?

ドアを開けたのは誰なのか?
軌道者の外を見渡そうと首を出した。

「さあ、早くおいでください。」
何者かに後ろから押され鴫野はよろめいた。
背後の空気に何者かが溶け込んでいる!

29無名作家さん:2003/03/08(土) 15:19
カキコしてる人 一人で文作ってて
虚しくないのかな・・・。

30無名作家さん:2003/03/08(土) 22:10
>29
そんな事言ったら一人で漫画を描いてるここの住人たちはどうなる。

31無名作家さん:2003/03/09(日) 00:49
>30
そういう意味じゃなくてさなんでわざわざこんな板違い&
誰も反応も関心もないスレで小説やってんのと言いたいだけ。
他でやってればまだここよりは反応あってましなんじゃないのかと。
まぁ 一人でガンガレや。

32無名作家さん:2003/03/09(日) 12:34
>31
一人じゃないよ。少なくとも二人はいるはず。

33無名作家さん:2003/03/15(土) 15:38
「さあ、どうぞこちらへ。」
言われるままに鴫野は、一人の人物についていった。
ここにいるのはこの人物一人だけだ。だが、やはりここには多数の人間が存在しているような気がしてならない。
周囲から感じる多くの視線。それに加えて、多くの声がどこからともなく聞こえてきた。
「鴫野ってウザイよな…」「鴫野はDQN…」「逝ってよし…」
どうやら自分が叩かれているようだ。しかし、声の出所はやはりわからない。
「感じますか? この雰囲気。」
その人物は鴫野に言った。
「でもそれは、あなたが何らかの力を持っている証拠なのです。実世界で相手にされない人は、ここでも相手にされませんから。
大事なのは、ここでの視線や声に翻弄されないことです。あなたはあなたの確固たる信念を持っていればいいのです。」
その人物はさらに続けた。
「それにしても、ここまで周囲の反響がすごいとは、やはりあなたをお呼びして正解でしたよ。」
「それで、何のために俺をここまで連れてきたというのだ。」
「実は、お願いがあるのです。」

34無名作家さん:2003/03/20(木) 19:41
「『輝く黄金の糞』を探して欲しいのです。」

「ハァ?」

「この湖には各地からの下水が流れ込んできます。
そのなかにはたくさんの糞が含まれ湖底に集まってきます。
大きい糞、小さい糞、万人受けする糞、通好みの糞、煽りの糞、叩きの糞…。
人間は糞をしないで生きていくことは出来ません、
そして多くの人間はただそれを垂れ流すままにしているのです。」

「だが、まれにとてつもない糞があると…。」

「そうです。見る者すべてが魅了されるゴールデンウンコが存在するのです。」

「さっきからたくさんの人間に見られている気がしているのは関係があるのか?」

「それは糞の声です。人間の気合のこもった糞には魂が宿るのですが
中途半端に踏ん張った結果産まれた糞には悪意がこもることが多いのです。」

「しかし、輝く糞を探してどうするのだ?糞は糞だぞ。」

「糞の産み主にその能力をもって投稿…じゃなくて投糞してもらいたいのです。
全国に神々しいまでの糞の息吹を行き渡らせたいではないですか。
皆はきっと喜び、ワッショイしたり祭ったりすることでしょう。」

鴫野はつくづく糞スレだなぁと思った。
でも、気を取り直した。

35無名作家さん:2003/04/05(土) 01:21
「糞は堆肥にもなる。糞がでないと人間は死んでしまう。
糞の前は人間が口にした新鮮な食べ物、野菜、ウオーター、肉だった。
糞は栄養分のないかすに過ぎない。糞は糞だ。」
ついてきた一人の人物はそういいきった。

彼は鴫野の旧友で菊池という。

「あなたのとらえ方は間違っている。糞といわれているものをそのまま
糞ととらえてどうするのだ。それに新しい息吹をあげて、まったく
違うものを生みださなければならないのが新世代における
我々の宿命ではないのか。」

菊池の息は荒い。

36無名作家さん:2003/04/24(木) 23:30
「菊地!お前いつの間に!」
鴫野は驚いて思わず叫んだ。
いったいいつの間について来たのか。確かに鴫野は一人でここに来た筈である。
そう、あの気動車にも鴫野の他に誰一人として乗っていなかった。
・・・いや、一緒に乗っていた人間が一人だけいる。
運転手だ。
「そうか、お前あの時の運転手だったんだな。俺をこんな所に連れてきて、いったいどうしようというのだ。」
「鴫野よ、言っておくが俺は阿佐ヶ谷の借りを忘れたわけではないからな。
 ・・・だが今はそれどころではないようだ。決着はまた今度つけよう。」

鴫野はこれから自分がどうすべきか考えていた。糞をどうしろというのか。
鴫野には湖底人の主張も、菊地の主張も理解できなかった。
彼らが何を言っているのかわからなかった。彼らの意見がどこで対立しているのかも理解できなかった。

「わかった、その『輝く黄金の糞』とやらを探そう。」
何が何だかわからないまま、鴫野は湖底人の頼みを聞いた。

37無名作家さん:2003/05/17(土) 01:36
鴨野と菊池と影法師のような湖底人の地底の旅は続く。
ひたひたと鍾乳洞の暗い道をノートパソコンのあかりで
照らしながらひたひたと歩く。

38無名作家さん:2003/05/30(金) 20:54
鴨野は偶然湖底人の目がみえないことに気がついた。
暗闇で暮らしているから目が退化したそうだ。

39無名作家さん:2003/05/31(土) 09:24
「気をつけないと、何もかも見えなくなってしまいますよ。」
湖底人はそう鴨野に警告した。
「かく言うこの私も、自分のことですら何も見えなくなってしまったのですから。
 自分がどこで生まれてどういう人生を歩んできたのか、自分の名前は何か、自分が一体何者であるか、全て見失ってしまったのです。」
鴨野は半信半疑だった。そんなことがあるものか…自分の名前まで見失ってしまうなんて…自分の名前…
そう考えたとき、鴨野ははっと我に帰った。
そうだ、俺の名前は鴨野ではなく鴫野だった。
何もかも見失ってしまう…自分もまたそうなりかけていたことに、鴫野は驚きと怖れを感じていた。

40無名作家さん:2003/06/20(金) 11:54
「失礼。。。自分の名を忘れかけていたなんて。教えてくれてありがとうございます。
そう俺の名前は鴫野。」
確かにこんな生活をしていると、なにもかも見失ってしまいそうだ。
しかし、明日への生きる糧を、希望を、探さなければ成らない。
『輝く黄金の糞』を。学校で教えてもらわない正規の授業以外のことで
なにか宙を掴むような頼りない気分である。こんなことをやっていていいのであろうか。
しかし名前を忘れてしまっただけでうろたえるようでは男ではない。

そのとき突風が現れた。

41無名作家さん:2003/07/19(土) 12:31
「等しく活(よみがえ)れ」
涼風とともにこのような声が聞こえてきた。
「ああ、とうとう来てしまいましたか。」

42無名作家さん:2003/07/21(月) 18:50
蒼い薄い絹衣を着た乙女が涼風に吹かれながら鴫野の頭上で空に浮かびながら囁きかけた。
7つの白い楽譜を差し出し、
「あなたに、7つの秘曲を書いてもらいたい」

43無名作家さん:2003/08/06(水) 12:22
あきらかに自作自演

44無名作家さん:2003/08/07(木) 02:04
>>43
きみもかきたまえ

45無名作家さん:2003/08/07(木) 23:11
>>43
>>32

46無名作家さん:2003/08/10(日) 22:24
こんなへぼいことやってて恥ずかしくない奴は逝ってよし

47<削除>:<削除>
<削除>

48無名作家さん:2003/08/11(月) 00:05
>>47
ブラクラ
踏むな

49無名作家さん:2003/08/11(月) 11:18
鴫野はとりつかれたように曲を書いた。
乙女は「書いてもらいたい」といいつつ鴫野の意志を操っていた。

1曲目「あきらかに自作自演」
曲は自分で書いて自分で演奏するのがいい。
シンガーソングライター鴫野の誕生の曲だ。

2曲目「きみもかきたまえ」
音楽は演奏家のためのものではない。観客も一体となるべきだ。
そんな鴫野の哲学の一端が現れた。

3曲目「>>43>>32
クラシックの大家の曲には大抵番号が振ってあったりするものだ。
そんな文化の大潮流に対するオマージュの曲だ。

4曲目「こんなへぼいことやってて恥ずかしくない奴は逝ってよし」
自分への反省と普段隠している内心を曲としてさらけ出すときの心情を曲にした。
作曲者に常につきまとう業とも言える感情が盛り込まれている。

5曲目「リレー小説ですか?じゃあ、このサイト見て参考にして下さい。」
対話調のフレンドリーな表面を見せつつ、深刻なテーマをとりあげた。
自分だけで満足してはいけない。しかし他人を気にしすぎてもいけない。
そして、他人は罠を張って待っていることもある。人生の真実の曲だ。

6曲目「ブラクラ踏むな」
他人は敵でもあるが時には親切でもある。5曲目と対を成す人生の表裏の曲だ。


ここで鴫野は詰まった。考えに考えたが7曲目が出てこない。
乙女の表情が険しくなってゆく。「早くしないと〆切が…」
焦っても出ないものは出ない。黄金の糞が詰まっているのなら黄金の便秘といえよう。
乙女は急かす。「あなたが最後なんですよ。他の先生はもうとっくにあがってるんですよ」
鴫野は話が混乱してきているのに気づいたが良心に従いアイデアを絞っていた。
乙女は青ざめていた「輪転機が止まってるんですよ〜!」
話がもう破綻しているのがわかった鴫野は乙女の呪縛から解き放たれた。
乙女を小一時間問い詰めなければならないと思った。

「7曲目はてめえが書けよゴルァ!」

50無名作家さん:2003/08/11(月) 15:36
>>49すみません。
なにが言いたいのですか?

51無名作家さん:2003/08/12(火) 02:51
鴫野は唖然とした。乙女が提示した駄曲に。
7曲目は「すみません。なにが言いたいのですか?」

 な に が 言 い た い の で す か ?

ひねりもなく、発展性も無い。そしてわずかばかりの攻撃性。
哲学徒ならば問うものが最強であることはよく知られていることだ。
そこまでの積み重ねを無視し、足払いをかけるかのようなふるまい。

しかし絶望的なのはそのアタマの割るさだ。
詳しく言えば大脳前頭葉並びに頭頂葉付近の質量が悲劇的に足りない。

蒼い薄い絹衣は軽薄さの象徴でもあったのだ。
時代遅れの、しかも消防のような曲しか繰り出せない乙女。

「少し期待した俺がバカだったか…」鴫野は吐き捨てた。

乙女は悪びれる風も無かった。
「ひまつぶしにマジレスするヴァカ逝って良し!」

人生は壮大な暇潰しに過ぎないのだ。
鴫野はバニラコークを一気飲みさせられた気分がした。

52無名作家さん:2003/08/12(火) 10:18
このすれ、なんか荒らしがいっぱい出てきましたね、、、
ぶらくら貼る奴とか人の書き込みをけなす人とか、、(まあ、両者悪いと思うのですが
もうケンカはやめません?

53無名作家さん:2003/08/16(土) 01:20
8曲目「やっぱり睡眠は大切だ。健康にいいんだもん」

54無名作家さん:2003/10/05(日) 23:09
「鴫野…鴫野、大丈夫か?」
菊池の声に鴫野ははっと我に返った。
「大丈夫かお前、さっきからぼうっとして。」
一体何をしていたんだろう。確か乙女に言われるままに曲を作っていた記憶があるのだが、
しかし目の前に乙女の姿はなかった。さっきまで書いていた楽譜も何もなかった。
今までのはすべて幻だったのか。鴫野はまるで白昼夢でも見たような感じだった。
「気をつけてくださいね。いよいよ近づいてきましたから。
 ここから先は幻覚を見やすくなります。今まで以上に意識をしっかりしてないと。
 さもないと…」
「さもないと?」
鴫野の問に、地底人は真剣な顔つきで答えた。
「自分が自分に戻れなくなります。」

55無名作家さん:2004/03/25(木) 11:24
>1曲目「あきらかに自作自演」
曲は自分で書いて自分で演奏するのがいい。
シンガーソングライター鴫野の誕生の曲だ。

白いギター
センスがない。

56無名作家さん:2004/06/05(土) 23:43
「自分が自分に戻れなく?」
それは一体どういうことだ…いや、もうそれは十分に分かった…
「さあ、着きましたよ。」
鴫野の眼前には、糞尿の海が広がっていた。それはかなりの高温のようで、そしてそこには巨大蛆虫がうごめいていた。
「さあ、この中です。『輝く黄金の糞』は。」

57無名作家さん:2004/08/09(月) 21:18
鴫野は勇んで糞の海に飛び込んだ。
途端、凄まじい臭気と暑さが鴫野を襲う。
鴫野は意識が遠のきそうになった。だが力を振り絞って糞の海の中に潜って行く。
どこかに黄金の糞があるはずだ。そう信じ、鴫野は探し続けた。
間もなく、巨大蛆虫の群れが鴫野を襲ってきた。
激痛が走った。鴫野の身体が食い尽くされていく。
もう駄目だ…鴫野の意識は次第に遠のいてきた。
嗚呼、俺は死ぬんだ…ここで死んでしまうのだ…
何が黄金の糞だ、馬鹿馬鹿しい。こんな馬鹿馬鹿しいことのために、こんな無様な死に方をするなんて…
嗚呼、もう何もかもが馬鹿馬鹿しい。もう何もかも終わりなのだ。
「鴫野ー、鴫野ー、しっかりしろー」
不意に声が聞こえた。菊池の声だ。
「鴫野ー、気は確かかー?俺は阿佐ヶ谷の借りを返してもらうまで、お前を死なせねーぞー!!」
その声を聞き、はっと地底人の言葉を思い出した。
意識をしっかりしていないと、自分が自分に戻れなくなる…
そうか、これも幻覚だ、幻覚に違いない!!自らの幻覚で自らを滅ぼすことのほうが、余程馬鹿馬鹿しい!!
鴫野は我に帰った。もう迷いからは覚めた。さあ、輝く黄金の糞を探すのだ。
しっかりと見ろ、しっかりと現実を見るのだ!!
目前に、輝くものが目に入った。
あれだ!!!!
鴫野は渾身の力を振り絞って泳いでいく。
輝くものを思い切り掴む。
ついに手に入れたぞ!!これぞ輝く黄金の糞だ!!

58無名作家さん:2004/08/09(月) 21:22
と、その瞬間、黄金の糞が光り、糞の海が清らかな水に変わっていく。
そこには巨大蛆虫などいない。何の変哲もない魚がいるだけだ。
鴫野の身体には傷一つなかった。
全ては幻だったのか。そう悟ったとき、地底人の声が聞こえてきた。
「見事です。あなたは『輝く黄金の糞』…もとい『水のクリスタル』を手に入れました。
あなたは幻想に惑わされず、常に自分の意志を強く持つ人です。まさにこのクリスタルを持つにふさわしい人です。
さあ、旅立ちなさい、最後のクリスタル、『土のクリスタル』を求めて…」
地底人の言葉が終わると、激しい光が起こった。
光が消えると、鴫野と菊池はいつの間にか陸の上にいた。眼前には大きな湖が広がっている。
湖の前に小さな駅がある。例のローカル線の終着駅のようだ。線路は決して湖の中には入っていなかった。
「さあ、行くか。最後のクリスタルとやらを探しに。」
鴫野は菊池にそう言うと、歩き始めた。

59無名作家さん:2005/05/15(日) 12:16:26
さて歩き始めたはいいが行くあてがない。
二人はとにかくあてもなく歩き続けた。

60無名作家さん:2005/05/23(月) 13:24:27
それは、乗り物もなくひたすら歩くだけの過酷な旅となった。
鴨野はもう『土のクリスタル』などどうでもよくなっていた。
生活に刺激や変化がないと、人間は生きる気をなくしてしまうのだ…
二人はもう肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。
と・そのとき、前方に何かが見えてきた。
なんとバス停であった。
今まで人の気配などなかったため、二人はとても驚いた。

61無名作家さん:2005/05/23(月) 17:18:01
その人の気配は鴫野だった。
向かい合わせに鴨野が立っている。
菊池は目をこすった。
すると菊池の向かい合わせに菊地が現れた。
二人はこれまたびっくり仰天した。

62無名作家さん:2005/05/24(火) 16:34:08
『お前は誰だ!?』
4人の声が重なる・・・
幻ではない。1人1人が実在しているのだ。
全員が本物である・・・

63625番:2006/04/09(日) 08:32:57
☆是非見てね!!ストレス解消になるよ☆
http://kodomo.mixa.cc/

64無名作家さん:2007/06/13(水) 23:19:30
あげ

65無名作家さん:2010/04/16(金) 16:08:53
続きマダー?

66無名作家さん:2010/04/16(金) 17:09:50
5年間に渡り長期のご声援励ましありがとう!

「風の吹く街」 ・・・完

67無名作家さん:2010/04/16(金) 19:40:21
またリレー漫画やりたいもんだな
今度は絵付きで

68無名作家さん:2010/05/01(土) 23:44:22
また、っていうか世界観共通スレでやればいいんじゃないの

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