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魅録祭りスレッド
1 名前:(MOUSOU1Q) 投稿日: 2005/01/04(火) 22:13
「30万ヒット記念・キャラ祭り」の、魅録祭り用のスレッドです。
魅録祭りは15日(土)一日の予定ですが、前夜祭・当日本スレに
UPしにくい時・後夜祭などは、このスレをご利用くださいませ。

なお、祭り全体の告知は、ここにコピペしてあります。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1028085248/160-161
このスレでも、日にち以外は、同じお約束でお願いいたします。

2 名前: 有閑名無しさん 投稿日: 2005/01/13(木) 22:00
30万hit、おめでとうございます。
したらばスレ一番乗りw+フライングもいいところですが、
前々夜祭という事でご容赦下さい(汗)。

恋愛ものSS(一応!)をUPさせていただきます。カプは魅×悠。
苦手な方、合わないと思われた方はスルーでお願いします。
一応9レスを予定していますが、オーバーしてしまったらすみません(大汗)。

3 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(1)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:02

雪の前触れだろうか。
曇天の空を映すガラス窓を、強い風が揺らし、音を立てる。
それを聴き取ると俺は再び、横で話し続ける彼女の言葉に耳を傾けた。

どことなく猫を思わせる瞳は雑誌に釘付けで、気に入ったらしいバイクの写真を指差しながら、
矢継ぎ早に質問を浴びせてくる。
屈託の無い表情を、微笑ましく思いながら見ていた時――視線を感じた。
何とはなしにぎくりとし、頬杖をついたまま、目線だけを動かしてみる。
少し離れた場所に座り、何やら小声で話してた美童と可憐が、探るようにこっちを見ていた。
――別に、いつもと変わんないみたいだけど。
――わかってないなぁ。絶対そうだって。
疑わしげな可憐と、自信ありげに微笑む美童の様子は、いかにも本領発揮といった感じで、
明らかに愉しそうだった。無言の追求に遭う前に、慌てて目を逸らす。

ノートパソコンのキーを叩く軽い音が止まり、室内に落ち着いた声が響いた。
「――もう少しで終わりますから。待たせてすみませんね、野梨子」
「構いませんわよ。ちょうどお茶を入れたところですの。帰る前にいかが?」
「ありがとう、いただきますよ」
次に目に入ったのは、熱い湯呑みを置く野梨子と、にっこり笑って礼を言う清四郎の姿だった。
耳慣れた会話と、見慣れた光景――生徒会室での、放課後の一時だ。

そのままふっと、意識が内側に向かっていた時。

4 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(2)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:03

「魅録っ!」
いきなり耳元で爆弾が炸裂した。
驚いて椅子から落ちそうになったが、どうにか踏みとどまり、彼女の方に体を向ける。
「何だよ! そんなでかい声出さなくたって、聞こえるだろ?」
「どこがだよ。さっきから呼んでんのに。なら返事ぐらいしろよな」
拗ねたような表情で言い返された。
「ああ……わ、悪い。で、何だ?」
「日曜の待ち合わせ。あたしは何時でもいいけど、魅録はどうなんだろって思ってさ」
邪気の無い光で瞳を輝かせながら、悠理が訊ねてくる。
「あんたたちもよく飽きないわねー。またツーリング? それとも、新しいバイクが
欲しいから見に行くとか」
頬杖をついた可憐が、つくづく感心したように言う。
「いや。あさってはあたしが服買いに行くから、そっちがメインかなぁ」
あっさりと、だが、どこか照れくさそうに悠理が答えた。
その姿に危険なものを感じ、思わず美童と可憐に視線を走らせる。
果たして二人の目が、獲物を見つけた猫のように光った。
「へー。そうなんだ」
「めーずらしー」
彼らが何を考えたのか、悠理も薄々気付いたらしい。
「な、何がだよ! あたしとこいつが出かけるなんて珍しくないじゃんか!」
勢いよく立ち上がると、俺を指差しながら、きっぱり言い放った。
言葉は強気だが、顔は耳まで赤くなっている。
「あらぁ、服を見に行くなんてあんまりないわよ。ねえ?」
「そうだよ。女の子独自のものを買うのに男が一緒なんて。いくら悠理と魅録が
“男友達”っていってもさ、珍しいよねー」
間髪入れず切り返された。やっぱりというか、よりによってこんな時にばれるとは。

5 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(3)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:05

清四郎と野梨子が、黙々と湯呑みを片付けだす。
我関せずといった様子だが、俺たちの会話に耳をそばだてているのが、充分伝わってくる。
こいつらに助けは期待できない。
いつの間にか傍に来ていた美童が、余裕たっぷりに俺の肩を叩いた。
可憐は、力なく座り込んだ悠理の隣に座り、艶然と微笑む。
次の瞬間、いきなり最後通牒を突きつけられた。
「さ、ちゃんと聞かせてもらうわよ。何がどうしてそうなったわけ?」
「うっ……うるさぁい!! そこまでおまえたちに関係ないだろっ!」
「そんなことないよ。僕たちには訊く権利があると思うし。ねえ、魅録?」
権利って何だ? そりゃあ、俺たちに(半ば強引に)アドバイスとか、けしかけたりはしてたけど、
だからってここで言うことは――
「清四郎。私、買いたい本がありますの。本屋さんに寄っても構わないかしら?」
「そうですね。エヴァン・ウィリアムズの新刊なら、僕も読みたいと思ってましたし」
背後のやり取りが、心なしか空々しく聞こえる。
「あれ? 二人とも帰っちゃうの?」
美童の残念そうな声に、既に生徒会室のドアを開けていた清四郎が振り向く。
「ええ。魅録と悠理の困った顔を見られないのが残念ですが」
「任せてよ。時間はたっぷりあるからさ。いろいろ訊いておくね」
「嘘発見器もいるし、大丈夫よぉ」
「そうですわね」
頼もしげに請合う美童と可憐の言葉に、野梨子がくすくす笑う。
誰の事を指しているかは明白だ。
頬を真っ赤にしながら睨みつける悠理に目を遣ると、清四郎は俺の顔を見つめ、愉しげな
笑みを浮かべながら続けた。
「月曜日、有意義な話が聞けるのを楽しみにしてますよ」

――呆然と見送る俺の前で、ドアが無情な音を立てて閉められた。

6 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(4)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:07

高層ビルに切り取られた空は、薄灰色の雲に塗り込められていた。
冷たい空気の中、街はクリスマス間近らしい装飾と活気に満ちている。

――生徒会室での騒動から、一日おいた日曜日。
俺達はいつもと同じように、慣れ親しんだ街中に居た。
「で、どうする?」
隣を歩く悠理が、俺を見上げるような格好で訊いてきた。俺の目を覗き込む淡い瞳には、
曖昧な色が浮かんでいる。
ピンクのコートに、黒皮のショートパンツとロングブーツ。
鮮やかな赤のタイツが脚を包んではいるが、寒くないのか?
そういう俺は、ビリジアンのダウンジャケット、黒のジーンズというシンプルな格好だ。
「どうするって……予定通りでいいだろ」
――相変わらずだな、と思いながら問い返した。
気が変わったのか、飯は朝昼兼用で済ませてきたと言ってたが、まだ足りないのか。
「うーん……行くのが嫌んなったわけじゃないけどさ。そうするとあいつらがまた、
 あーだこーだ聞きたがるだろーし、それも何だかなーって思うと……」

悠理が、珍しくも伏し目がちにぶつぶつ呟きながら、薄茶色の髪を指で掻き乱す。
その拍子に、前髪を留めていた、猫のブローチ(タマとフク――悠理のペット――を
模ったもの。髪止めにもなるらしい)も首を傾げた格好になってしまった。
そんな姿に、何ともいえない可笑しさと愛おしさを覚え、手を伸ばす。
怪訝そうな顔で立ち止まった悠理の髪を左手で整え、利き手で髪止めを直しながら、
「行かなきゃ行かないで、じゃあ何してたんだよってことになるんだから、結局
 同じだって。さ、行くぞ」
そう言うと俺は、ふわふわとした髪に置いたままの手で、軽く促がす仕草をした。

7 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(5)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:08

辿り着いたのは、足を踏み入れるのを躊躇うような――見るからに高級感と上品さを
醸し出すブティックだが、悠理はごく自然な様子で、中に入っていく。
「お嬢さま、いつもありがとうございます」
店にとっても、極上のお得意様なのだろう。丁重だが、慣れ親しんだ様子で対応してきた。

普段はなまじっかな男よりも男らしい、と言われる悠理だが、ファッションにはなかなか
うるさいところがあるようで、買い物も好きだ。
問題はそのセンスが、傍から見るとかなり奇抜……いや、派手で独特なことなのだが。
整然と並ぶ洋服を次々と、いかにも楽しそうに物色している。

――こいつもやっぱ、女なんだな。
改めて思い、微笑ましい気持ちになる。だがすぐに気付いた。
――やっぱりこいつは、大金持ちのお嬢さんなんだ、と。

「これとこれと、あと……これも」
普通に考えれば目の玉の飛び出るような値段の洋服を、値札も見ずに次々と選んでいく。
剣菱家の財力を思えば些細なものなのだろうし、自分も家柄的にも金銭的にも恵まれた
環境で育った方だが、やはりこいつは並の感覚ではない、と思ってしまう。
「じゃ、これでいい?」
「はい。では、すぐに届けさせていただきますね」
抱え込んだ大量の洋服を前に、当たり前のように交わされるやり取り。
――こんな桁外れの奴が、何で俺なんだろう。
柄にもなく、そんなことが頭を過ぎる。

8 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(6)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:09

俺の様子に気付いたのか、まだ商品を手にとっていた悠理が、眉を顰めながら近付いてきた。
「どうしたんだよ、魅録」
その声音が、妙に胸を刺す。今思っていたことは、こいつには悟られたくない。
「――いや、別に」
とっさに悠理の手元を見て、素直に口にしていた。
大きな水玉模様をあしらった、サイケデリックな色合いのセーター。
「相変わらず独特っていうか、すげー派手なのが好きだな、って――いてっ!」
途端に、凄まじい痛みが向こう脛を襲った。黒い、厚手のジーンズを通して。
「うっさいなぁ! あたしが着るんだから別にいーだろっ!」
慌てて追いかけた俺をさらに怒鳴りつけると、憤然とした様子でセーターを元の場所へ戻した。
「おい、悠理――」
返事は無い。再び静まり返った店内に、ガチャガチャとハンガーの音が響く。

――へそを曲げちまったか。
黙りこくっている悠理を横目にこっそりため息をつきながら、目の前に並ぶセーターを、
見るとはなしに眺める。
見慣れ、馴染んだ男物とは違う華奢なデザインと、どこか華やかで、柔らかい色合い。
自分が着るわけではないが(当たり前だ)、いつしか真剣になっていた。
――もし、俺なら。こいつなら――

9 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(7)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:10

「――魅録?」
やっと気が済んだらしい。
全ての会計を済ませた悠理が、さっきのことなど忘れたように、声をかけてきた。
そして、俺の持っているセーターに視線を移す。
――確か、雪色・雪白というのだと思った。純白の、ゆったりしたデザインだ。
前見頃には、淡いピンクと黒の線で、一筆書きのようにあしらわれた2匹の猫。
そのまま見入っていたかと思うと、悠理はそれを俺の手からひったくり、足早に
カウンターへと向かった。
一瞬虚を突かれたが、悠理の意図に気付き、後を追う。
「これもちょうだい」
「はい、かしこまりました」
悠理がバックを探り、会計を済ませようとする前に、俺は財布を取り出し、自分の
カードを差し出した。
「魅録!」
「少しは俺にも見栄を張らせてくれよな。――カードでいいですか?」
気恥ずかしさと照れ隠しで、ぶっきらぼうな口調だったかもしれないが、あえて視線を
逸らしながら言い切った。ま、事実だからな。
悠理が少し頬を赤くしながらも、まじまじと俺を見つめている。
「では、こちらも後でお届けしますか?」
その声で我に返ったのか、悠理が弾かれたように、店員の方に向き直って言った。
「あ、それは――」

10 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(8)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:11

ビルの間の空は、いつの間にか澄んだ淡い水色に変わっていた。
さっきと同じように、冬支度の人波を縫いながら、俺達は歩き続ける。
「どうして届けてもらわなかったんだよ」
「え?」
悠理の手には、先程まで居たブティック名が入った、上質の黒い手提げ袋が下げられている。
視線を先に彷徨わせるようにして、悠理が呟く。
「持ってたかったんだ」
「え?」
ぴたりと足を止めると、悠理は俺の目を真正面から覗き込むようにして、微笑んだ。
冬の、冷たい空気を忘れさせるような、太陽のような笑顔。
「これは、持って歩きたかったんだ」

思わず言葉を失った。熱いとも、苦しいとも、何とも言えない感情が、胸中に込み上げてくる。
でも、強いて言葉にすれば、それは――
「?」
立ち止まり、自分を凝視する俺に、色気やムードとは程遠いこいつも、何かを感じ取ったらしい。
額に座る猫たちに惹かれるかのように手を伸ばし、髪に、そして頬に触れたその瞬間。

11 名前: 30万hit記念・<COLORS(魅×悠)(9)> 投稿日: 2005/01/13(木) 22:13
「……痛っ!」
不意に悠理の体が、向かい合っていた俺の方にぐらりと傾いた。とっさに腕を掴んで支える。
猫の目がきっと鋭くなり、焦点が定まる。
「このやろっ! 人にぶつかっといて謝んないのかよ!」
……どうやら、誰かが通りざまに思い切りぶつかっていったらしい。
俺の中に浮かんだ強烈な想いと、恋人同士らしいムードは、流れる人込みに向かって叫ぶ
悠理を前にして、一瞬で崩れ去った。

「おい、落ち着けって。こんだけ忙しいんだから、多少は仕方ないだろ」
「何だよぉ、魅録だって立ち止まったじゃんか!」
子供のように膨れる悠理をなだめながら、苦笑まじりに思った。
さっきよりは穏やかな気持ちだったが、深く、はっきりと。

――何でかなんて、どうでもいい。こいつが傍にいるだけで。
こいつが、こんな風に笑ってくれるなら。
俺が、こいつを好きなんだから、それでいいよな。

胸の中で呟きながら、
「ほら、行くぞ」
「え? ……うわっ!」
ヘッドロックをかけるような格好で、いささか乱暴だったかもしれないが――
思い切って、悠理を自分の方に引き寄せると、俺達は、再び雑踏の中に紛れ込んだ。


<終>

12 名前: 有閑名無しさん 投稿日: 2005/01/13(木) 22:15
以上です。何とか10レス以内に収まりました。
おかしな部分も多々あるかと思いますが、読んで下さった方、
スルーして下さった方、どうもありがとうございました。
有閑スレの、今後の益々の発展(新作UP等)を楽しみにしています。

13 名前: 有閑名無しさん 投稿日: 2005/01/13(木) 22:23
間違い発見。
(3)、14行目の人名は「エヴァン・ウィリアムズ」→×
          「エバン・ウィリアムズ」→○ です。

大変申し訳ありませんでした。(他にも誤字脱字等あるかもしれません…)

14 名前: 有閑名無しさん 投稿日: 2005/01/13(木) 23:22
お、もう魅録が。一番のりだわ。
買い物の仕方は豪快だけど、魅×悠だと有閑内では
一番高校生っぽいカプな感じがして微笑ましいな。
歳とってもずっと仲のいい友達カップルでいそう。
魅録は3人どのタイプとでもしっくりカプが嵌るけどね。

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