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みんなで世界を創るスレin避難所
1名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 21:45:42 ID:S3Fbt2dQ0
みんなで世界を創るスレの避難所です。
流れ的に書き込みづらいレス、規制によって書き込めない時などにご利用ください。



現スレ:【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1265899908/

2名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 21:50:37 ID:S2q3/Pk2O
>>1

3名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 21:54:57 ID:S3Fbt2dQ0
ということで避難所立てました。
本スレにも書きましたが、操作発表板まとめwikiさいとで
前スレ作品をまとめようと思ってます。

というかまとめちゃいます。

明日からしばらくこれなくなるので、少々強行気味ですが、
もし必要ないようなら、その時はまたそれということで。

4名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 21:59:31 ID:S2q3/Pk2O
>>1乙にすら失敗したよ…
まとめ等、よろしくお願いします!

5名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 22:03:58 ID:S3Fbt2dQ0
取り急ぎまとめのトップページのみ作成
お風呂入ったら順次作品を掲載していきます。

http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/286.html

もし手伝ってくれると言う奇特な方が居られましたらぜひ。
各世界の簡易紹介文など適当に作ってありますが
思うところがあれば、突っ込んでいただければと。

6名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 23:20:37 ID:S2q3/Pk2O
編集作業ご苦労様です!!くれぐれもご無理をなさらぬよう…

つ旦

7名無しさん@避難中:2010/02/12(金) 23:30:03 ID:S3Fbt2dQ0
ふう、とりあえず閉鎖都市の掲載完了。
ちょっと休憩。

ていうかね、新スレ立って前作品と設定にリンクできないのは
ちょっとあれかなと思って。急いで作ってる次第。

8名無しさん@避難中:2010/02/13(土) 06:06:18 ID:phPl6iv6O
避難所に保管庫デキタ!!
GJでした!!

9名無しさん@避難中:2010/02/13(土) 07:53:02 ID:GFHYlLOE0
>>1乙!
どんな駄レスでも代行してやるぜ。
同スレ住民だし、代行して欲しいレスは気兼ねなく言っておくれ。

10名無しさん@避難中:2010/02/13(土) 20:35:13 ID:phPl6iv6O
それじゃ、本スレにレスお願いします↓

正直、高杜市の再興を画策してました…

11名無しさん@避難中:2010/02/13(土) 20:36:53 ID:/C0yvx1A0
いってくるなりー

12名無しさん@避難中:2010/02/13(土) 21:29:38 ID:mETrdiuoO
高杜市って今は亡き学園シェアスレ
だっけ

13名無しさん@避難中:2010/02/13(土) 21:50:24 ID:phPl6iv6O
>>11感謝

>>12
都市シェア、かな。惜しくも2スレ目で沈没。
恋愛系と伝奇系の方向差が原因かな…

14アンジュ書いた人 ◆Omi/gSp4qg:2010/02/14(日) 00:17:08 ID:S.U8ENIMO
大変申し訳ありません
続きを書いたがあんまりおもしろくない、リアルの問題、規制
といった事情でアンジュの続きを書くのを残念ですが断念いたします
まさかWIKIに載せていただけるとは思わず 本当に済みません
もともと世界支援のつもりでしたのでご容赦ください
キャラや設定などはいくらでもご自由にお使いください
今後もロム中心で書き込めたら感想も付けたいと思います
書かせていただけてとても有り難く思っています
本当にありがとうございました

15名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 08:20:42 ID:KoyIC3qM0
>>14

うう、続きも楽しみにしていましたが、とても残念です……
といっても無理に続けるものでもないと思いますし、
またいつか、このスレで何か書いてみたいと思える日がくることを
心待ちにしております。

特に明記はされてませんが、本スレに代行してきます。

お疲れ様でした!

16名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 08:34:55 ID:KoyIC3qM0
もしも本スレ内に希望者がいるようなら、余っているモリタポがあるので放出いたします。
アカウントさえとってしまえば、対応した専ブラ、携帯からも書込み自由になりますので
どうぞお気軽にレスください。

ちなみにここで使うモリタポも貰い物ですし、受け渡しの際に使うトリも普段使っている
ものでなくてOKです。

17名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 08:41:24 ID:KoyIC3qM0
なんて書いてみたものの、避難所あるから必要なかったかしら。
まあ、希望者がいればということで。

そんなことより避難所雑談で盛り上がろうぜ!

18名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 09:19:40 ID:POiD6ZmYO
同じく残念…
でも、いつでも気軽にカムバックして下さい!!

19名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 09:45:04 ID:D8iLDxXQ0
うわあああああマジかあああ……?
マジなのかぁああああああああぁ!!!!

残念ですがまた気軽に来て書いていただきたいです!
お疲れさまでした!

20名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 10:06:03 ID:KoyIC3qM0
雑談を振ってみたがショックは隠しきれず。
アンジュ使わせてもらっていいかな……

俺が書くとキャラがブチ壊れる可能性があるけど。

21名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 11:20:52 ID:POiD6ZmYO
ズシは予約入れときますねw

22名無しさん@避難中:2010/02/14(日) 21:26:38 ID:83.YfWV20
そういやズシって結界の一部になっただけで、死んだってわけじゃないんだよね、たしか。

23◇GudqKUm.ok:2010/02/15(月) 14:04:47 ID:NxM19x6UO
書き手ですが仕事中、突然自分の画才に気づきました。
感動してくれないと深く傷つくかも知れません。
http://imepita.jp/20100215/496820/0623

24名無しさん@避難中:2010/02/15(月) 17:23:47 ID:CE9DBTDY0
>>23
めっちゃかわええwwww

25名無しさん@避難中:2010/02/16(火) 16:03:34 ID:HoM2QJ360
>>23
感動した!
この調子で全キャラ制覇所望!

26名無しさん@避難中:2010/02/16(火) 18:37:55 ID:IQI9/k8Y0
>>23
画才きたああああ!!
二人ともかわええww

27名無しさん@避難中:2010/02/16(火) 19:34:44 ID:XZz8JZ7YO
…画才が枯渇したので、SSを書く作業に戻ります。
あと、Wiki編集出来る方、保管庫地獄百景『窓のない塔』が冒頭の1レス抜けてまして、どなたか修正お願い出来ませんか?
http://imepita.jp/20100216/700090

28名無しさん@避難中:2010/02/16(火) 19:37:23 ID:HoM2QJ360
胡蝶角ちっさwww

wikiの件、仕事終わってからでよければやるよ。
それまでに誰かやってくれるならそれでも。

29名無しさん@避難中:2010/02/16(火) 19:44:47 ID:XZz8JZ7YO
有難うございます

3028:2010/02/16(火) 20:59:34 ID:e6CbzS9A0
かんりょー

31名無しさん@避難中:2010/02/16(火) 21:46:02 ID:XZz8JZ7YO
有難うございました!!
早く規制終わって、本スレに投下できますように…

32ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/02/20(土) 14:20:14 ID:PyMkhEnk0
皆さん始めまして。
閉鎖都市の犯罪者側視点。
お気に召していただけたなら幸いです。
無理があるようでしたらば、別ワールドの事件として無視してくださって結構です。

33名無しさん@避難中:2010/02/20(土) 18:36:24 ID:ekEqzrWIO
>>32
惹かれる導入でした。長期連載期待です。

34名無しさん@避難中:2010/02/20(土) 18:45:53 ID:ss0osm820
感想系のレスは、本スレ賑やかしのために代理してきちゃってもいいのかしら?

35名無しさん@避難中:2010/02/22(月) 20:51:47 ID:uS8SRpcMO
まとめさんに乙しようとしたら、また規制だった件…

http://imepita.jp/20100222/746310

36名無しさん@避難中:2010/02/22(月) 20:54:40 ID:9wCOoqfk0
その言葉、しっかり届いてるぜ!
ていうかリリベルちゃん、きわどすぎるwww

37名無しさん@避難中:2010/02/22(月) 23:03:42 ID:HSKvGqKk0
>>34
避難所でこういう事言ってたよーってしたらいいんじゃネーノ?

38名無しさん@避難中:2010/02/23(火) 19:14:13 ID:VDH7sbqs0
各ページにタグを入れさせていただきました。
検索しやすくなっていると思うのでお試しください。

39名無しさん@避難中:2010/02/23(火) 20:36:02 ID:Mfsn0.gk0
戻りやすくなってる! GJ!

40名無しさん@避難中:2010/02/23(火) 21:08:50 ID:Mfsn0.gk0
wikiの各作品トップに、簡単なあらすじとか入れるのはどう?

41名無しさん@避難中:2010/02/24(水) 22:44:17 ID:ytGp4Qw.O
避難所からも頑張ってます。

42名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:08:43 ID:zseQKv.6O
本スレ>>32さま、貴方と全く同じくことを考えた書き手です。
つい勢いで天野くん書いてしまったのでここに投下していいですかね?
因みにズシを予約したのも私です…

43名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:11:39 ID:P64nwDMA0
天野くんて誰なのw

44名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:13:33 ID:P64nwDMA0
あ、いやいや投下を咎めるものじゃなくて、素朴な意味でよ!

45名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:17:39 ID:zseQKv.6O
あ、他スレで悲惨な死を遂げた青年です。さっき読んで、つい書いてしまった地獄シェア番外編です。

46名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:19:07 ID:P64nwDMA0
wktkしとく!

47名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:27:13 ID:zseQKv.6O
じゃ投下。地獄百景番外編です。本スレへは…どうしましょうw

48名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:28:56 ID:Qee8Y1XY0
投下すべきだと思います!

49名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:30:22 ID:zseQKv.6O

「いやああああっ!?」

鬼として失格である情けない悲鳴を上げた怜角は、膝を抱えてペタリと床に座り込んだ。昨今頻発する大事件に神経を尖らせている鬼たちが、我先にと彼女の元に殺到する。

「何事だ怜角!!」「動くな!! そこの亡者!!」

ここは賽の河原を少し離れた亡者の待機所。三途の川を越え、冥府への第一歩を記した死者たちが集められ、諸々の登録や簡単な質疑を行う場所だ。
各々恐ろしげな戦闘体に変化し、じりじりと包囲を詰める鬼たちの輪の中、座り込んだ怜角の前には、平凡な…きわめて平凡な一人の青年が、怯えきった表情で佇んでいた。

「…な、なんなんすか!? お、俺、何にも…」

亡者として、彼の態度にとくに不審な点は無かった。つい先ほどまでごった返す待機所のなか、怜角も他の鬼と同じように忙しく亡者を案内し、名簿と照らし合わせて働いていた筈だ…

「…怜角?」

顔を見合わせる同僚たちの足元で、わなわなと唇を震わせ、制服の胸元をぎゅっと押さえた怜角は、彼女らしからぬ甲高い叫び声を上げた。

「…こ、この亡者、『誤爆霊』かも…」

「な、なんだとお!?」

50名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:33:08 ID:zseQKv.6O
『誤爆霊』。それは魔物たる鬼たちにも窺う術のない、幾多の平行世界から迷い込んだ死者の霊だ。確認されている希有な事例を思い起こしながら、分隊長である馬頭の鬼は半信半疑の声で怜角に確認した。

「…落ち着け怜角。なにか証拠が?」

「…私の…身体を透視したんです…まったく魔素の波動も無しに…」

怜角たち鬼の知る世界の超常能力は、全て『魔素』を基にして発動するものだ。比較的強力な魔物である地獄の鬼たちは、個人差はあるもののあらゆる魔素を感知し、その不本意な影響を遮断することができる。

「…い、いや…やっぱりトラのパンツ穿いてるな…って…つい、言っちゃって…ブラも…」

…先ほどまで忙しさにかまけ、大胆で無造作な立ち振る舞いで仕事に没頭していた怜角がきゅう、と呻く。その透視能力を当然のごとく釈明する青年に、鬼の一人が慎重な問いを発した。

「…君、名前は?」

「あ、天野翔太です…」

「…それじゃ、地球を初めて宇宙から見たガガーリン少佐の言葉は?」

「…はぁ?」

迫力ある鬼たちの真剣で珍妙な質問に首を傾げながらも、天野青年は当然の答えを返した。全く、地獄に堕ちてまで、また、意味不明な質問とは…

51名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:36:24 ID:zseQKv.6O
「…『地球は丸かった』でしょ?」

ゴクリ、と馬頭の分隊長が生唾を呑んだ。彼の震える声が、天野青年に次の質問を投げかける。

「…じ、人生で一番驚いたことは?」

「そりゃ、『チェンジリング』…」

「わああああ!! だ、『第二類』だあっ!!」

ぴょんと後ずさり、激しく取り乱す鬼たち。まだ数例しか記録のない、別宇宙からの招かれざる客だ。魔素を基本とする比較的近い平行世界から来る『第一類』。そして検知不可能な未知の力をふたつ備え、閻魔庁すら脅かしかねない危険な『第二類』…

「…ちょ、ちょっと!! 鬼がビビる程の力じゃないでしょ!? これから気をつけますから…」

「お、俺は紫角隊長に報告してくる!! お前らは『第二類』を逃がすな!!」

「ぶ、分隊長!!」

顔を赤らめた逞しい馬頭の鬼は、しっかりと股間を隠しながら閻魔庁の方角に走り去った。周囲の亡者たちが怪訝そうに見つめるなか、鬼たちは照れた表情で、来るべき地獄を間違えた『第二類』を包囲し続けていた。



地獄豆知識

怜角は古式ゆかしい官給品の下着を愛用しているぞ!!

52名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:39:54 ID:P64nwDMA0
ああ、天野くんてあっちのスレのひとだったのかwww
流れが早くて追いきれてなかったけど、これであっちに興味がわいちゃったら
あなたのせいなんだからね!

てことでとらパンツの怜角たんにハァハァちつつ乙でちた!

53名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:40:01 ID:zseQKv.6O
投下終了…では大人しく、『報復の断章』を書く作業に戻ります…

54名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:41:18 ID:E87OMoz.0
うおおおおおれのややえちゃんが透視されてしまうではないかああああああ

55名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:47:09 ID:zseQKv.6O
大丈夫です…リリベルちゃんの代わりに『蛾我妃の塔』にぶち込みましょうw

56名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 21:49:42 ID:Qee8Y1XY0
虎柄きたああああああああああああああああ!!!

57名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:02:43 ID:Qee8Y1XY0
本スレへの投下はどうしよう?

58名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:03:19 ID:zseQKv.6O
つか、また規制中なのです…宜しければどなたか、いつでも結構ですので代理投下お願いします。

59名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:05:25 ID:Qee8Y1XY0
よしきた

60名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:06:17 ID:P64nwDMA0
ほいさっさ

61名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:06:42 ID:P64nwDMA0
>>59
おまかした

62名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:09:45 ID:Qee8Y1XY0
いってきた。

63名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:11:38 ID:P64nwDMA0
代理投下乙!!

64名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:13:26 ID:P64nwDMA0
いや、感想レスも代理しちゃうべきかとw

65名無しさん@避難中:2010/02/26(金) 22:14:50 ID:zseQKv.6O
ありがとうごさいました!!

66名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 08:34:34 ID:cGMla3J.O
異形世界も乙でした
信太主にはなんか狙いがあったんかな
クズハもいい子で一件落着……とはいかんのだろうか?

67名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 09:42:38 ID:VkxjCjXwO
クズハのお仕置きハァハァ…

と、本スレにレス頼んますw

68名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 09:45:07 ID:gMtmrdFU0
完了!
66さんの本スレに貼ってきちゃったけどいいよね?

69名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 09:56:24 ID:gMtmrdFU0
地獄百景の天野くんのやつ、wikiに載せますのでタイトルあれば教えてくだちいな。
一応他スレが関係してるので、注意書き等もあれば一緒に載せますよん。

70名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 10:04:12 ID:bKLc.2P2O
投下きたー!
>>54
全年齢なのが惜しまれますなぁwww

こっちも盛り上がるとうれしいなー

本スレへお願いします

71名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 14:54:03 ID:gMtmrdFU0
ちょっとタイミングを逃したが、代行してくる

72名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 18:39:37 ID:bKLc.2P2O
>>71
感謝です。すみませんが以下の文も代理していただきたく思います。

閉鎖都市投下おつ!
ほのぼのしくていいなあww
日常生活どんと来い!

73名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 19:04:28 ID:AxMNBGLI0
行ってきた

74名無しさん@避難中:2010/02/27(土) 23:01:18 ID:AIF2zqDcO
…遅レスすいません。天野くんですが、もう少しタイトル&注意書き待って下さい。リアル取り込み中で…

それから、お二方投下乙でした!

75名無しさん@避難中:2010/02/28(日) 11:03:24 ID:UVXgYEqEO
本スレに宜しく↓

これはまた趣の違う異形エリカ様…超期待です!!
いや今週は賑やかだった…

76名無しさん@避難中:2010/02/28(日) 11:12:13 ID:mRjj4gzA0
言ってきた

77名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 17:59:03 ID:HMR5wHoIO
『地獄百景』の者です。Wiki管理人様、先般のタイトルと、SS冒頭の注意書き作成しましたので、お手数ですが宜しくお願い致します。↓


地獄百景『隕石(ほし)降る国より』

【おことわり】
作中、創作発表板【シェアードワールドやりたいなあなんて】より、作者様の許可なく天野翔太くんをお借りしてしまいました。
もし作者様ご立腹の節は、ただちに保管庫より削除のうえお詫び致しますので、恐れ入りますが当スレッド、もしくは避難所にレスを戴ければ幸いです。

…以上でお願いします。調子に乗ってスレにご迷惑を掛ける可能性に思い至らず申し訳ありませんでした。

78名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 18:09:12 ID:rZ.eg8H20
りょーかい
というかうちのまとめは「創作発表板まとめwiki」に間借りしてるわけで
管理人さんはもっと偉大なひとであるのだった。

>調子に乗ってスレに〜
むしろ盛り上がったように見えましたw

さて2ch全鯖ダウンということで、今日は避難所でのんびりしましょうぜ。

79名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 18:30:33 ID:HIkTtSNE0
∧_∧
( ´・ω・) みなさん、お茶が入りましたよー。
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦

80名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 18:34:47 ID:rZ.eg8H20
    ∧_∧
    (´・ω・`) ありがとう
    ( つ旦O
 〜( ̄   )
   U  ̄U U

81名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 19:29:17 ID:mlR0Dea2O
>>78
あえてどっちのスレにもレスしなかったが俺はウケたよ。もっと色々クロスするほうが板も活性化すると思う。

82名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 20:47:18 ID:HMR5wHoIO
>>78
ありがとうございました!!

83名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 23:30:49 ID:KsHCS7lsO
地獄をゲート建設から書き始めたのも他シェアワとクロスするためだったし、
全然オッケーでしょう
きっかけ書いたけど世界を広げたのは自分じゃないんで偉そうなこた言えませんが

84名無しさん@避難中:2010/03/01(月) 23:37:18 ID:rZ.eg8H20
あなたが創世主か

85名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 07:53:52 ID:1d3pArhM0
>世界を広げたのは自分じゃない

これから一緒に広げていくんじゃないか!

86名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 12:17:58 ID:5W4UgKZIO
>>85
ですよね。『地獄百景』キャラや設定は、殆どシェア前提で創ってますんで、どんどん使って欲しいなあ…

87名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 20:26:23 ID:CtZtEsIU0
じゃあ地獄でなんかイベント起こしてみようか
何っていうと思い浮かばないけどw

88名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 21:45:47 ID:1d3pArhM0
せっかくだから考えてみる。

・運動会とか料理大会みたいなワイワイイベント
・なんか敵とか出てきてみんなで共闘
・色んな人達がどこかに閉じ込められて脱出
・お色気温泉旅行記

このぐらいしか思い浮かばないなあ。
舞台はゲートのある地獄シェアで、各作品の時系列はあまり考えず、
他世界、他スレからのキャラ(生死問わず)も参加可能。

何か意見求む!
もちろん反対意見も。

89名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 21:56:49 ID:1d3pArhM0
本スレに持っててみよう。

90名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 22:01:32 ID:5W4UgKZIO
とりあえず余所にちょっかいを出す方法は色々考えてるんですがw
まあ事前に此処で相談するようにしますね。

近日中に『報復〜』最終話投下予定。規制の折はどうか宜しくお願いします。

91名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 22:03:59 ID:1d3pArhM0
規制の時はおまかせよ!

92名無しさん@避難中:2010/03/02(火) 22:11:32 ID:1d3pArhM0
実は百景さんとはクロスというより自キャラと組ませて
視点変えつつリレーなんかしてみたいなんて思ったw

93名無しさん@避難中:2010/03/03(水) 01:11:59 ID:lQQjRx7IO
>>92
いつでも、どんな面子でもお待ちしています!!

あ、本スレに投下有りですね…

94名無しさん@避難中:2010/03/04(木) 10:15:52 ID:s6rUqzdIO
閉鎖都市って近未来の設定でしたっけ
登場人物に現代の漫画やアニメについての知識があったりしてもよかですか?

95名無しさん@避難中:2010/03/04(木) 11:39:27 ID:CbTr4bk.0
よかではないでしょうか!

96名無しさん@避難中:2010/03/04(木) 11:44:25 ID:KN7uuKh60
一応未来と言う設定らしいですが未来ならば過去のデータも残っていておかしくないのでぜんぜん構わないかと思います!

97名無しさん@避難中:2010/03/04(木) 11:51:44 ID:ZbKQrgQYO
基本的にはなんでもありでスタートしたみたいだけど、やはり他作品とのクロス時だけは慎重になった方がいいかも。

98名無しさん@避難中:2010/03/04(木) 12:50:12 ID:s6rUqzdIO
解答ありがトゥースみなさん!

99名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 16:58:01 ID:FtZhA8HkO
怜角編の後半、もうしばらくして投下したいと思います。もし平行して温泉書いてる方と矛盾が出れば、パラレルとして保管庫に入れませんので勘弁してください。
…やっぱりイベントルールは話しあった方がいいですねw

100名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 19:19:26 ID:xl7cJmug0
俺も矛盾出そうになったからやめた

101名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:00:08 ID:71dDenJ.0
一応自分が想定してたのは
「期間限定開放ワールド・矛盾上等パラレルシェア」
みたいな感じ。

提案しようと思ってたルールは

・基本的にこのワールドに投入できるのはキャラの作者のみ。
 投入されたキャラについては自由。
 カオス化が予想されるので、キャラ崩壊が怖い人はあまりおすすめできない。
 曖昧なのは別に良いと思う(ハルトとか桃花とか)

・他スレからのキャラは、投下作品内で把握できるようにして欲しい
 ある程度でいいとは思うけど、一応ここが本スレなので。

・期間を決めて、収束させる。
 こういう祭りは終わりがあってこそかと思う。

ということで提案遅くてすみません。
温泉界と今まで投下された温泉作品については大好きなので、
できればその流れを踏まえつつ、ご意見あれば伺いたい。
無ければ上記は決定で、期間はこっちで決めちゃいます(三月一杯)

102名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:40:33 ID:XI1CLLNM0
書き方としては悪い方法かもしれないけども夢落ちにでもすればどんなカオスでも収集できるわけで、
温泉界をスパロボ的多世界交流カオスワールドみないな想定をしていた身としては、
あまり制限をかけても面白くないのでは、と思ってみたり。

103名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:42:54 ID:71dDenJ.0
>>102
もちろん俺だってそうさ!

上に書いた制限だと何か問題あるかな?

104名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:53:44 ID:71dDenJ.0
まあとりあえず、大事にしたいのは
「キャラ崩壊が想定されるので、そのキャラの作者さんの許可ぐらいはとうろぜ」
ってことのみかな。

現状参加者一覧
・湯乃香(温泉界オリジナルキャラにて可)
・天野翔太(要確認)
・アリス=ティリアス(要確認)
・怜角(作者さん本人なので可)

105名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:54:51 ID:xl7cJmug0
天野翔太どうぞ

106名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:55:11 ID:FtZhA8HkO
概ね>>101氏に賛同です。
ただ、温泉界とみたいな臨時世界も、いつでも使える独立世界として残してはおきたいかなあ…

107名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 20:55:23 ID:FtZhA8HkO
概ね>>101氏に賛同です。
ただ、温泉界みたいな臨時世界も、いつでも使える独立世界として残してはおきたいかなあ…

108名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:05:00 ID:DP6UWP020
自分としては、

・他スレからのキャラは、初登場話でそのスレのリンクを張る。

が欲しいかな。あれば簡単に遊びに行けるし。

109名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:08:13 ID:71dDenJ.0
>>105
おお、天野くんの方でしょうか? やったぜ!

>>106
あ、もしかしたら書き方がまずかったかもしれません。
お祭り的な定期開催にしてはどうか、ということですん。

>>108
把握しました、確かに交流目的でもあるので大事ですね。



現状参加者一覧
・湯乃香(温泉界オリジナルキャラにて可)
・天野翔太(作者様許可済みにて可)
・アリス=ティリアス(要確認)
・怜角(作者さん本人なので可)

ぶっちゃけ温泉界の中での矛盾は、書き手でなんとかしてとしか言えないw

110名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:09:00 ID:XI1CLLNM0
>>103
もともと今書いている物語で手一杯で温泉界には能動的に参加できないから、
書き手制限のところで、このままじゃ俺のキャラでてこねぇな、と思ったしだいです。

あと、せっかくの"世界を創るスレ"なんだから4つめ5つめの世界としてずっとあってもいいんじゃないかな。

111名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:14:55 ID:71dDenJ.0
>>110
ああ、これも書き方がまずかった。
要はキャラ作者さんから許可が取れれば良いわけで、
本人に制限って意味ではなかったです、もうしわけない。

温泉界恒久化かー、いや俺は好きなんだよw
ここはみなさんの意見聞きたいところ。

112名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:17:43 ID:DP6UWP020
あ、アリス=ティリアスおkです。って書くの忘れてたw

113名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:26:30 ID:71dDenJ.0
>>112
おお、こいつは嬉しい報告!
これで今居る参加キャラについては、オール作者OKということで続けられるよ!

ここまで書いてて、なんでコイツこんな作者にこだわってんだよ
と思われるかもしれませんが、自キャラに対する思い入れというのは
作者万別であって、自分はどう扱われてもいいんですが、そうでない人もいる
だったらなるべく気を悪くされる方が出ないように、という配慮オンリーです。

一応現在何名かいらっしゃるようですので、ここで決まったら以下の内容を
本スレに貼って継続したいと思います。
期間云々に関してはあとでどうにでもなりそうandもう少し多くの方の意見を
(というか流れを読んで)決めたいということで、放置。


●温泉界参加の心得
 全てが自由! が故にカオス! 参加させるキャラは作者さんの許可を取りましょう!

114名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:28:29 ID:71dDenJ.0
あ、書き忘れた。

了解orもっとこうしたほうが良いなど
返事待ち。

115名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:29:22 ID:FtZhA8HkO
アリス嬢の方、天野翔太くんの方ありがとうございます。
温泉界が残れば、彼らや湯乃香の今後も描けるかなあ…なんて。

116名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:34:00 ID:71dDenJ.0
>>115
そうそう、他のスレで死んじゃったりしたキャラの今後が書ける
という意味で、温泉界(元は地獄でやろうと思ってましたが)は
底知れぬ希望が充ち満ちてるw

117名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 21:48:23 ID:71dDenJ.0
ああもう!
全てが自由なわけじゃないよね!

↓注意書き直し

《温泉界使用上のご注意》
他シェア・他スレからの参加自由! 故にカオス!
参加させるキャラは作者様の許可を取りましょう。
また、他スレからの参加は出展元をリンクしてね!

118名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 22:09:13 ID:V5dUJBgkO
本スレで即死した天野君がこんな新天地で大活躍とはw
他にも創発キャラ、学園、ロボ、ケモスレなんかも来てくれるの期待

119名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 22:23:17 ID:ZOBSAlmsO
バラバラだったシェアワが倒木下の粘菌の如く集合してゆくw

120名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 22:34:39 ID:/O6vnrlY0
今北把握
俺は>>117で問題ないです。

もうたぶん書かないと思ってたが、温泉界で復活させるか……

121名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 22:51:57 ID:FtZhA8HkO
とりあえず保管人様、収録の際は元SSの『はだかでGO!!』つう情けないタイトルを、『温泉界へご招待』と改題して下さい…

122名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 23:13:38 ID:71dDenJ.0
了解
はだかでGO!も嫌いじゃないんだけどねw

123名無しさん@避難中:2010/03/05(金) 23:52:14 ID:71dDenJ.0
んじゃとりあえず注意書きだけ貼ってくるね。

↓ここからまた通常の流れ↓

124 ◆GudqKUm.ok:2010/03/06(土) 18:38:35 ID:mMowgYdkO
次回温泉、アリス嬢の登場おKでしょうか?

125名無しさん@避難中:2010/03/06(土) 19:01:05 ID:f43fSyio0
おkですよ。自由に使って下さい

126 ◆zavx8O1glQ:2010/03/06(土) 19:03:49 ID:YEEPXly.0
あ、丁度よかった。

◆GudqKUm.okさん
怜角さん救出に夜々重入れてもよかですか。

127名無しさん@避難中:2010/03/06(土) 19:16:12 ID:mMowgYdkO
よかです!!
こっちは今夜投下かな

128名無しさん@避難中:2010/03/06(土) 19:20:22 ID:YEEPXly.0
ありがとうです。
しかしみんな書くの早いなあ。

129名無しさん@避難中:2010/03/07(日) 23:53:13 ID:iIBU0eCMO
休みで筆進んだ…
でも、夜々重ちゃんと高瀬中尉はどんな感じで知り合ったのか抜けてたw

130名無しさん@避難中:2010/03/08(月) 19:30:53 ID:0BZ8EKyUO
おつです
カオス極まる温泉界……しかし板自体が見られなくなってしまった
複数の世界すべてを破壊する大災害……なんて妄想してしまう

131名無しさん@避難中:2010/03/08(月) 19:42:42 ID:VpQzwoEU0
wikiに未掲載のを載せていこうと思うんだけど
『温泉界からの帰還』は地獄と温泉どっちがいいかな?

132 ◆GudqKUm.ok:2010/03/08(月) 20:18:45 ID:ibomCBIgO
いつも有難うございます。『地獄百景』のほうですかね…あと、はだかでGO!(温泉界へご案内)も私ですw
鯖落ちみたいで、またしばらく此処暮らしですね…

133名無しさん@避難中:2010/03/08(月) 20:21:20 ID:VpQzwoEU0
>>132
あいよー
本日中には鯖移転は完了するみたいだけど、
こっちのがなんか気楽に書き込みできる感はあるよねw

134名無しさん@避難中:2010/03/08(月) 20:29:33 ID:vSMkJlXM0
      ∧_,,∧
      (´・ω・`) _。_ サバ落ちでびっくらこいた。
      /  J つc(__アi! < トポトポ・・・
      しー-J     旦~

135名無しさん@避難中:2010/03/08(月) 21:37:20 ID:ibomCBIgO
そして、本スレ行けないと絵が描きたくなる…
http://imepita.jp/20100308/774710

136名無しさん@避難中:2010/03/08(月) 21:51:28 ID:VpQzwoEU0
なんといいうむちぷり感www

137名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 01:13:55 ID:p6pERfTg0
おいwwwww



おいwwwww

138名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 21:58:23 ID:iz7B4dbI0
すまん、しょうもないレスだが誰か代行を……

↓ここから

天野翔太まとめ

・透視能力がある
・既に死んでいる
・23歳
・シャンプーハットフェチ ← NEW!!

139名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:00:00 ID:.2otxsZk0
おk

140名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:00:29 ID:.2otxsZk0
行ってきた

141名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:02:16 ID:iz7B4dbI0
ありがたやー

142名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:28:30 ID:LHraDacwO
おいらも代行お願いします↓

それだけは本スレ>>208氏に依頼してはw

以上です

143名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:30:53 ID:nbqs.IaY0
ほいさ

144218:2010/03/09(火) 22:33:32 ID:nvzFTaa20
なんかごめん……

145名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:35:31 ID:LHraDacwO
有難うございます!
しかし、30秒差で新展開!!

146名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:37:09 ID:nbqs.IaY0
30秒の壁を超えられなかった!

147名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:39:58 ID:LHraDacwO
あああもう何がなんだかwww

148名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:41:35 ID:nvzFTaa20
カオスwww

分かったよ続き書くよ

ていうか書いてもいいですか?

149名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:43:09 ID:nbqs.IaY0
やってしまえ!

150名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:43:27 ID:s.2kSREc0
全力で支持する!
これは天野君がすごいことになってきたのか?w

151名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:43:37 ID:.2otxsZk0
では支持を

152名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:44:46 ID:nbqs.IaY0
正直に言わせてくれ
初見、はあ?天野くんて誰よ? な俺だったが。

今ではすっかり虜です。

153名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:45:08 ID:LHraDacwO
是 非 !!

154名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 22:57:09 ID:psj5HpG.0
>148
グッドラック!

155名無しさん@避難中:2010/03/09(火) 23:01:04 ID:nbqs.IaY0
何という支持率の高さwww

156名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 01:55:13 ID:iI2IvWYQO
代行お願いです↓

>>226
投下乙です。クビワか…なにやら、良いものが出てきたw

>>227
そこは作者さま自由かと。特に温泉界での時系列も矛盾出てないし。

以上です

157名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 01:57:46 ID:R.A5QCIU0
ちょwww賢者モードwwwww

158名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 02:01:07 ID:R.A5QCIU0
誤爆です

159名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 02:01:23 ID:R.A5QCIU0
お詫びに代行してくるね

160名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 02:02:43 ID:R.A5QCIU0
言ってきたよ!行ってきたよ!

眠いよ!

161名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 02:33:18 ID:R.A5QCIU0
7kまで書いて限界に陥ったよ!寝るよ!

おやすみ

162名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 09:11:29 ID:QsJpDcdUO
ここから本スレへ代行お願いします↓


投下乙!
異形世界も広がっていきますね!
あと迷ったのなら両方という手もあったと思います!

>>227
>>228さんもおっしゃってますがそこら辺は作者さんの自由でいいかと。
スターシステムとかパラレルワールドという概念もありますし

163名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:16:03 ID:Hw992cmE0
遅れてごめんよ。
いまから行ってくる!

164名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:18:14 ID:Hw992cmE0
書き込むまで、自分が規制されてるの忘れてた!
すまん、誰か162さんのを頼む!

165名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:19:44 ID:R.A5QCIU0
まかせろーバリバリ

166名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:20:37 ID:R.A5QCIU0
バリバリ行ってきたお

167名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:22:48 ID:Hw992cmE0
代理乙!!

168名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:54:47 ID:QsJpDcdUO
代理ありがとうございます!

169名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 20:56:51 ID:R.A5QCIU0
いえいえ

いつも思うんだが、代理と代行とどう違うんだろう?

170名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:04:25 ID:QsJpDcdUO
代行が当事者に支障があるときなどに代わって職務を行うこと。

代理が本人に代わって事を処理すること。
どっちも正解だけど語感的に代行の方が正しいかも?

171名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:22:17 ID:R.A5QCIU0
なるほろなるほろ
そういう細かい語意も知ってると得だよなあ


なんのかんので、やっと書き終わったぜ!
11.5k分、今から投下してくるぜ!

172名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:24:07 ID:iI2IvWYQO
>>160さん遅くなったが代行感謝!!

173名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:32:43 ID:R.A5QCIU0
初バイさるゲットオオオオオオオオ!!!!

174名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:40:40 ID:QsJpDcdUO
おめでとおお(?)

175名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:41:21 ID:R.A5QCIU0
念願の初バイさるを22時まで堪能するわw

176名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:41:59 ID:JzTa1BNc0
支援一人じゃ足りねえ事に気付いたww

177名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 21:49:23 ID:R.A5QCIU0
>>176
ありがとう

あと10分か……長いな

178名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 22:11:17 ID:iI2IvWYQO
投下乙!!
さるってる間に柚子さんについては学習したw
数奇な運命の天野くんも遂に温泉界定住かな…

179名無しさん@避難中:2010/03/10(水) 22:14:43 ID:iI2IvWYQO
…本スレの誰かと発言が か ぶ っ て い る

180名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 07:42:41 ID:CBMO3AkQO
代行お願いします↓

投下乙!! やはり湯乃香の羞恥ポイントはそこかw それからネメシスの二人はおかえりなさいです。
以上です

181名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 17:34:27 ID:qsWcoP0A0
代行お願い

投下乙!!やっと両方読み終わった・・

以上です

182名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 18:50:33 ID:ysa0nEbc0
ほいさ!

183名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 18:52:13 ID:ysa0nEbc0
行ってきたさ! ああ、間違えちまったよ!!

184名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 20:13:47 ID:CBMO3AkQO
代行さま有難う。
お察しの通り、エロパロ板にしか書き込みできません…

185名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 20:16:38 ID:dbG.QUqE0
つまりエロパロ版で温泉界をすればいいんだな

186名無しさん@避難中:2010/03/11(木) 21:01:22 ID:yVodf0Ks0
ちょうどいいスレもあるよな。そういえb

187名無しさん@避難中:2010/03/12(金) 22:43:42 ID:H5.FMvV.O
エロパロ出身の自分だが、やはりあっちで濡れ場書くリスクが怖い。
変なの呼び込んだらスレに迷惑かかるしなあ…

188名無しさん@避難中:2010/03/12(金) 22:44:22 ID:HTOonQQ60
温泉界はいつもヌレヌレですが何か?

189名無しさん@避難中:2010/03/13(土) 00:22:06 ID:I0t9sU.kO
代行お願い↓

投下乙!! なんというか…もう、感動した!!

以上です

190名無しさん@避難中:2010/03/13(土) 06:55:21 ID:MKFLW6AA0
行ってきた!

191名無しさん@避難中:2010/03/13(土) 18:13:17 ID:I0t9sU.kO
代行さま有難う御座いました!再びお願い致します↓

投下乙です。精緻な描写で浮き彫りにされてゆくゲオルグという男の姿、そして閉鎖都市の悲哀にみちた秩序。血なまぐさくなるであろう展開に込められる重厚な街と人の姿に激しく期待しています!!

以上です。

192名無しさん@避難中:2010/03/13(土) 20:12:13 ID:MKFLW6AA0
行ってくるよーい。
ちなみに俺は今から読ませていただく。

193名無しさん@避難中:2010/03/13(土) 20:14:04 ID:MKFLW6AA0
行ってきたー
適当に改行いれますた

194名無しさん@避難中:2010/03/13(土) 20:18:49 ID:I0t9sU.kO
有難うございました!

195名無しさん@避難中:2010/03/14(日) 22:04:11 ID:Hq7LlkXc0
規制だもんで誰か以下代理おながいしまs


※現在このスレでは4つのシェアードワールドが展開されています。
 この世界、俺が盛り上げてやろうじゃん!てな方はお気軽にご参加を!

○各世界観や過去作品はこちら → 創作発表板@wiki内まとめ
 http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/286.html

○規制時にしたいレスがあれば → みんなで世界を創るスレin避難所
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1265978742/

○今週の更新
・閉鎖都市
 >>247-249 「NEMESIS」第4話:疑惑
 >>267-275 「ゴミ箱の中の子供達」第3話

・異形世界
 >>224-225 「白狐と青年」第9話
 >>259-261 「異形純情浪漫譚ハイカラみっくす!」第2話:月と私とエリカ様

・地獄世界
 >>197-202 「地獄百景」温泉界からの帰還

・温泉界 注意事項>>155
 >>233-244 「温泉界へご招待 〜三島柚子の場合〜」

196名無しさん@避難中:2010/03/14(日) 22:21:23 ID:W7bNKSbo0
>>195
まとめ乙です
いってきます

197名無しさん@避難中:2010/03/14(日) 22:23:11 ID:W7bNKSbo0
いってきました

198名無しさん@避難中:2010/03/14(日) 22:23:33 ID:Hq7LlkXc0
あいがおおおお!
今週はまんべんなく投下があったねえ

199名無しさん@避難中:2010/03/14(日) 22:35:42 ID:gwahXzFUO
まとめ乙です。まとめ氏も規制ですか…

200名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 21:20:10 ID:Luw1BUiU0
温泉界、みんな入るだけだなwww
異能力卓球大会とかしたら面白そうだと思うんだがどうか。

201名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 21:28:51 ID:NasOarSM0
異能卓球大会か、面白そうだ。どんな魔球が飛び出すのやらw

いやぁ、ちょっと元の自スレに戻ってたもんでw
宴会とかしたら面白そうなんだがなあ

202名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 21:30:49 ID:Luw1BUiU0
魔球対決いいね、そういうシンプルなのが温泉界には似合うw
宴会も豹変する人とかいたりしそうで楽しそうw

203名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 21:58:03 ID:NasOarSM0

――後一球。これで、勝負が決まる。

――そう、俺はこの一球に全力を出す。

そう、この勝負にかかっている賞品、魚沼産コシヒカリのため……俺は……全力で……いくぜ!!

「秘儀、バックドリフトォォォォオオオオオ!!!!」

おれは渾身の力を卓球の球に叩きつける。
大きく放物線を描く卓球ボール。
それが相手のコートに入った瞬間、卓球の球は垂直に落下する。そうイメージを働かせる。
もちろんこれは俺の能力によるもの。
そして、コートに着いた瞬間球は停止する。

完璧だ。そう、これは完璧な魔球だ――

だが――

「甘い!!」

対戦相手である少女――柚子はアグゼスを召喚

止まった瞬間の球をアグゼスはラケットで叩きつける。

球は猛烈にコートを分ける網にぶつかった。
大回転した球と網が摩擦で擦れ、焦げ臭い臭いが漂い始める。
そして、網はついに着火した。
激しく燃える網――最後にはボロボロになった。

――そう。そしてついに卓球ボールはその網を突き破ったのだ。

そのまま若干の勢いがついた球は、スローモーションのようにゆっくりと俺のコートに着地した後――燃え尽きた。

それが、その瞬間が、勝負のついた瞬間だった――


「ピピ!! 柚子ちゃんの勝ちー!!」

ああ……アリスの声が遠くに聞こえる。
柚子の勝利のポーズが遠くに見える――

「ああ……俺のコシヒカリ……」

俺はゆっくり膝から崩れ、膝を地面に着いた――



30分で書いたらこんなん出ましたけどー。うん、ちゃんと書いたら面白そうだねw

204 ◆EROIxc6GrA:2010/03/15(月) 22:01:13 ID:b3uP9iNg0
どっちも反則だろwww

205名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 22:02:04 ID:Luw1BUiU0
いいぞ、もっとやれ!
てか既に勝てる気がしねえwww

206名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 22:10:37 ID:IZW1kwhg0
熱血高校ドッジボール部を思い出すw

207名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 22:28:50 ID:Bj9iqxxYO
『温泉界へご招待〜ゲオルグの場合〜』

「……『卓球』だと?」

賑やかな少女たちの歓声。しばし血の匂いを忘れさせる熱い湯に浸り、じっとタイルで描かれた見事な富士山を睨んでいたゲオルグは呟き、ぶ厚い擦ガラスに隔てられた『遊戯室』を振り向いた。
深い溜め息と共に彼は浴槽から立ち上がる。その厚い胸板に、そして引き締まった腹に残る幾多の傷跡は全て『偉大な父』への忠誠の証だ。そしてその下(以下略)

208名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 22:30:16 ID:Luw1BUiU0
ゲオルグがwww
しかも略されtwww

209名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 22:38:27 ID:IZW1kwhg0
閉鎖都市の連中は力が未知数なんだよねw

210名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 22:41:55 ID:NasOarSM0
ちょっwww略されてるwww
ゲオルグが浴衣来て卓球……すごそうだ

211名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 23:12:33 ID:b3uP9iNg0
それ温泉ちゃう、銭湯や

212名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 23:31:20 ID:Bj9iqxxYO
『温泉界へご招待〜今空郁の場合〜』

「…う、うわ!?」

おずおずと浴場に現れた新たな客の姿に、同性の裸身など見慣れている筈の湯乃香さえたまらずうろたえた声を上げた。

「…あ、あの、石鹸、貸してもらえるかなぁ?」

朴訥な話口調に似合わぬ、恐るべき女性美をほこる肢体だった。すらりと姿勢の良い彼女はおそらく天野翔太より拳ひとつ背が高い。
しかし、小さく優しげな顔の下、まさに女神の彫像を思わせる優美な起伏は、非現実的なまでの迫力と質感を備えていた。瑞々しく成熟したその肉体はなんと(以下略)


…どちらも【閉鎖都市】ネタ。ごめんなさいごめんなさい。

213名無しさん@避難中:2010/03/15(月) 23:35:35 ID:QmUDqcro0
なんとの続きは!? 続きはっ!?

214名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 22:49:40 ID:Bf62rMBoO
すいません投下代行お願いします。

『報復の断章4』


『…外宮に言魂堂、朱天楼…ファウスト、この行程は無意味デス。本当に地獄巡りツアーを行う必要はありマセン。』

『…最後の旅ですから、ゆっくり地獄見物も宜しいかと?』

『…もう地獄に母さんは居マセン…二人で充分調べたでショウ?…』



…リリベルの脳裏を駆け巡る、これまでの長く虚しい喪失の旅路。父が遺してくれた老僕ファウスト…あの怪我では、恐らく助からなかったのだろう…

「…ワタシの負けデス…殺して…クダサイ。」

『顎』の亡骸の傍ら、凍てついたように佇むリリベルの手からスルリと太刀が滑り落ちた。無理をして保っていた戦闘体も、抜け殻のような今の彼女には維持出来ない。
陰鬱な塔の落とす影の中、力なく座り込んだ彼女の禍々しい角が消える。細い尾も…蝙蝠の翼も…瞳に宿っていたどす黒い復讐への執念さえ、亡き『顎』と共にリリベルの身体から去ってしまった。

「…ごめんなさい母さん。無念は、晴らせませんデシタ…」

もう、全てを終わらせたい。目を閉じ、大帝の太刀の前に華奢な首を差し出した赤毛の少女は、まるで遺言のように力なく呟いた。顔さえ朧げな母の魂は、一体いま何処にいるのだろう…

「…この…たわけ者めがっ!!」

しかし速やかな死を覚悟したリリベルに襲いかかったのは処刑の白刃ではなく、耳を聾する閻魔大帝の怒声だった。地鳴りのごとき凄まじい咆哮が周囲の陣幕をビリビリと震わせる。

「…母の無念だと!! 儂の知る限り、貴様の母は『無念』などとは程遠い、誇り高い女であったわ!!」

ビクリと身を竦ませたリリベルは、仇敵の意外な言葉…真実の持つ強さで溢れた怒号に、思わず憔悴した顔を上げた。

「…貴様に似た口の悪い女だった。此処に来たときも、やかましく未練の鈴を鳴らして大暴れしたものだ…」

215名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 22:51:35 ID:Bf62rMBoO
ずっと恐ろしい地獄に繋がれ、悲嘆に暮れるか弱く儚げな母を胸に描いていたリリベルの瞳が、初めて聞く母の姿に少しだけ生気を取り戻す。
不思議と大帝の言葉への猜疑心は芽生えなかった。この魔神は母を知っている。決して玉座に反り返り、規則だけを盾に書面上で両親の愛を踏みにじったのではなかったのだ…
画家の卵だったリリベルの母は絵の勉強のため渡欧し、そこで魔王ベリアルと年の離れた恋に落ちた。彼の最後の妻としてリリベルを産んだ後、身辺整理の為単身帰国した彼女は、故郷の川で溺れた幼児を助けようとして命を落とした…
ここまでがリリベルの知る母の生涯だ。そしてその悲報に触れた父、老いた魔王は…

「…魔王ベリアルの要求は地獄の規範に背くものだった。しかし彼はあらゆる魔界法典を紐解き、幾つかの抜け道を見つけ出したのだ。『死後の魂であっても、本人の意志で悪魔の下僕となった前例はある』とな…」

かっては比類なき実力者だった大悪魔ベリアル。だが彼は妻を取り戻す為、ついには腹黒いライバルたちにまで助力を請った。アモンに、ベール…彼らが窮状の老魔王につけ込み、ついには彼を追い落としたのは、魔界では別段珍しくない下刻上に過ぎない。

「…もちろん悪魔どもの都合のいい解釈に過ぎん。しかし儂は貴様の母に、きちんと契約の意志だけは確認したぞ…」

「…母は…なんと?」

初めてリリベルが小さく尋ねた。声を出した途端、不意に芽生えた羞恥心に彼女はそっとその胸を隠す。

「…『否』だ。残してきた娘への想いで、我が臣下たちが眠れぬ程痛ましく『未練の鈴』を鳴らしながらも、あの女はついに夫の求めに応じなかった。」

「な、何故デスカ!!」

母は父を、そして自分を捨てたのか? これまでとは違う、まるで別種の憤りがリリベルの心に湧き上がる。

「…自分たち夫婦は契約によって仕え、仕えられるものではなく、対等の愛によって結ばれていたもの、これがひとつ目の理由だ。そして…」

216名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 22:55:09 ID:Bf62rMBoO
「そ、そんな…」

リリベルにはまだ解らぬ、男女の愛というもの。未だ彼女の肌に触れたものは、性別すら定かではなかった『顎』の不器用な鉤爪だけだ。
母が守った女の誇りを恨む気にはならなかった。しかし、消えてゆく怒りに代わってリリベルを襲ったのは、深い…深い悲しみだった。

「うっ…うう…」

こみ上げる嗚咽に身を委せ、初めて人目も憚らずリリベルは泣いた。恐れられる『悪魔の子』、蔑まれる『人間の子』…そんな自分を庇い抱きしめてくれたファウストも、『顎』も今はいない。
幻でもいい、ただ愛娘の為に黄泉で嘆き続けた母の姿を、そのまま胸に描いて死んでいきたかった…

「…最後まで話を聞かぬか!! これが、二つ目の理由だ!!」

白い背を震わせ泣くリリベルの背後で、大帝の大音声と共に空間がバリバリと裂けた。その亀裂から大帝の太い腕に籠もる魔力が、重い軋みを上げる巨大な物体を掴み出した。

「へ、陛下!! 危険ですっ!!」

にわかに湧き上がる悲鳴のなか、獄卒たちが血相を変えて居並ぶ王族や貴賓の前に立ち塞がる。涙を拭いながら振り向いたリリベルの眼前に出現したもの、それは彼女の特攻兵器、あの古ぼけたバスの残骸だった。

「…見よ!! これが天の与えた試練から逃げ、僅かな代償で己の魂を他者に委ねた者たちの末路だ!! 貴様の母は知っておった。『悪魔に魂を売る』意味をな!!」

…鬼たちによる迎撃の跡が生々しく残る車体。それは、悶えながら沸騰する苦痛の集合体。ベリアル・コンツェルンが買い集めた666人の魂から造り上げ、リリベルに与えた恐るべき破壊兵器だ。
途方もない魔力を秘めて車両に染み込んだ呪われの魂たちは、永遠の激痛のなかで絡み合い、血も凍る悲鳴を上げ続けていた。

「…契約に縛られている限り、不憫だがこの儂にもなす術はない…」

217名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 22:57:15 ID:Bf62rMBoO
リリベルは自らと共にこの冥府を焼き尽くす筈だった自爆兵器を、青ざめた顔でじっと見つめる。かつては泣き、笑い、真摯に生と向き合っていた筈の夥しい魂たち。
彼らは、果たしてどんな理由で悪魔の所有物になり下がったのだろうか? 太刀を収め、リリベルの傍らへ並んだ冥府の元首は厳かに続けた。

「…生命の理を裏切って地上に舞い戻った母親が、娘に何を誇れるのか? たとえ千年の命を与えられても、別離の苦しみから逃げた『クソッタレ』に、愛する娘を抱く資格はない…泣き疲れた貴様の母の言葉だ。聡明な女だった、と儂は思うぞ…」

リリベルの悪魔である部分が無情に使い捨てようとした不幸な魂たち。か弱き人間の心は、ともすればたやすく暗闇に堕ちる。富のため、名声のため、そして…狂おしい愛のために。
その闇を振り払って凛々しく地獄の空を睨み、涙声で悪態をつく母の姿をリリベルは想像した。彼女が命を捨てて贈ろうとした虚栄の宝冠など必要としない、強く、誇り高い母の姿を…

「…此処で為すべきことを終え、貴様の母は次なる生へと旅立った。この地獄の西方、遥か命の還る地へとな…」

淡い黄金色の光射すその地平を見つめ、唇を震わせるリリベルの前で、バスに囚われた魂たちは哭き続ける。
その幾重にも重なる嘆きのなかに、ふとリリベルの耳は、馴染み深い嗄れ声を聞きとった。

(…嬢さま…リ…リベルお嬢さま…)

「ファウスト!?」

両親の死後、たちまち人間界に放り出された幼いリリベルを育て上げ、最後まで彼女と行動を共にした恩人。リリベルの悲しい憶測通り、やはり彼は自爆失敗の折に、その命を落としていたのだ。

「ファウスト!! ファウスト!!」

(…リリベルお嬢様…爺めはもう、お嬢様にお仕え出来なくなってしまいました…どうか…どうかお幸せに…)

218名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 22:59:31 ID:Bf62rMBoO
黒ずんだ硝子に浮かぶ老人の寂しげな微笑は、すぐに渦巻く混沌にかき消された。窓を叩き叫び続けるリリベルの悲痛な声に、縛られた667番目の魂が再び応えることはなかった。

「ファウ…スト…」

父の忠実な執事だったファウスト。彼もまたベリアル一族の財産、哀れな囚われの魂だったのだ。大魔王ベリアル亡きあと、その遺産を相続した義兄たちの非情さを思い、リリベルは冷たい拳をギュッと握りしめる。

「…ベリアル・コンツェルンはバスと魂の返還を要求しておる。どちらも貴様に盗まれた自分たちの私有財産である、とな…」

悪魔の宇宙には、曖昧で苦悩に満ちた『天命』など存在しない。ただ幾千の悪意と混沌に覆われた彼らの歩む道では、無情で打算的な『契約』だけがその秩序の全てだ。

その昏い道を痛々しく歩き続けた少女は、最後かも知れぬ選択の岐路に立っていた。そして今、彼女が選んだ道。それは『顎』が、そして亡き母が、抉るような永訣の痛みで教えた道だった。

「…閻魔大帝陛下に、申し上げマス…」

…まだ悪魔の力に目覚める前、村はずれの荒れ果てた屋敷に住み、自分は大魔王の娘だと言い張る『ウソつきリリベル』は、よく村の悪童たちに虐められた。
いつも泥にまみれて帰宅し、泣きじゃくる幼い彼女を慰め、床に就くまで優しく見守ったファウスト。
やがて月日は流れ、狡猾なベリアルの正嫡たちに操られたリリベルが、狂気じみた復讐の虜に成り果ててしまっても、ファウストは悲しげな笑顔のままで彼女に尽くし続けた。
亡き両親に授かり、『顎』に救われたリリベルの生命は、他ならぬ育ての親ファウストのひたむきな慈しみに包まれ、今日までこうして育ってきたのだ。

「…ワタシは…義兄たちに唆され、閻魔庁の爆破を目論みまシタ…このバスはそのとき、間違いなく義兄たちが与えた、ワタシの所有物デス…」

219名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 23:03:40 ID:Bf62rMBoO
たとえ一族の裏切り者として抹殺されようと、恩人ファウストを救いたい。母が魂の誇りを貫いたように。そして『顎』が、ただリリベルとの絆に殉じたように。
淀みないリリベルの告白に、決闘立会人たちがざわめく。何処かへ連絡を取る為か、こそこそと姿を消す者もあった。…でも、これでいい。父の遺産としては妥当な取り分だ。
埃だらけの裸身を恥じることなく跪いたベリアルの娘は、大きな瞳をまっすぐ閻魔大帝に向けた。濃い眉の下で彼女の眼差しを受け止めた冥界の王は、ややあって一人の側近の名を呼んだ。

「…茨木は居るか…」

「…お側に控えております。」

リリベルには聞き覚えのある冷静な声。恭しく進み出た鬼は人質解放交渉に現れた茨木という文官だった。彼の妹に加えた酷い暴行も、リリベルが償わなければならない罪のひとつだ。

「…茨木よ、今の証言でこの物騒なバスの所有権を、ベリアルの小倅どもから取り上げる事が出来るか?」

閻魔大帝のぶっきらぼうな問いは、リリベルの胸に溢れる願い、ファウストたち囚われた魂の救済を告げていた。湧き上がる深い安堵がまたリリベルの黒い瞳を濡らす。

「…ありがとう、ございマス…」

大帝の慈悲に感謝しながらもリリベルは首をすくめ、深く自分を憎んでいるに違いない茨木童子の返答を待った。だが水を打ったような沈黙のなか、発せられた彼の答えは短く、微塵の迷いもないものだった。

「…お任せを。」

大帝に一礼するとすぐに踵を返し、きびきびと歩み去る若い茨木童子の背中はリリベルに何も語らない。まるで与えられた任務以外は、全て取るに足りぬ些末な雑音であるかように。
しかしリリベルは、自らの悔悟がいつか彼ら兄妹に届くことを願って、その後ろ姿に深々と頭を下げた。

220名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 23:08:13 ID:Bf62rMBoO
「…哀悼を。」

閻魔大帝の声に獄卒たちは静かに剣を捧げ、この長い決闘を見届けた者全てが低く頭を垂れて付喪神『顎』を悼む。
リリベルが歩き出した贖罪の道、それは辛く険しいものに違いない。しかし、誇り高い二つの魂に支えられた彼女の歩みもまた、毅然たる新しい名誉に溢れていた。


…疾風のように閻魔庁の長い廊下を駆ける、ひとりの幽霊。小間使いのお仕着せに身を包み、胸に書類の束を抱えた彼女は長い髪をなびかせ、幾重にも守護された大帝玉座を目指していた。

(…ええっと…どっちだっけ…)

若々しく豊かな胸にギュッと押しつけられた分厚い『減刑嘆願書』は、少女が一応の主である『殿下』から地獄の支配者、閻魔大帝へと託されたものだ。
今やベリアルの支配から解放された667人の魂が、恩人リリベルの為に綴った667の署名。熱い言霊に溢れた文字たちは、今日、地獄の法廷が下す彼女への判決を大きく左右するだろう。
行き交う獄卒たちに道を尋ねつつ、やがて巨大な謁見室の扉に行き当たった彼女は、こほんと咳払いをして襟を正し、おもむろに扉をノックしようと小さな拳を上げた。

(…でも、ここまで来れたの、あのヘンなバスツアーのおかげだもんね…)

振り上げた手をゆっくりと下ろし、頬に人差し指を当ててしばし考え込んだ彼女は、ぺたりと扉の前に腰を降ろす。そして署名の束をバサバサと床に広げると、にっこりと微笑んで末尾の空欄に力強く『大賀美夜々重』と署名した。


おわり

221名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 23:12:03 ID:VZlocbUw0
行ってまいります!

222 ◆GudqKUm.ok:2010/03/16(火) 23:12:28 ID:Bf62rMBoO
以上です。どうか宜しくお願いします。あとリリベルを長いことお借りした801様、有難うございました。

223名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 23:21:12 ID:VZlocbUw0
行ってきましたわよ

224名無しさん@避難中:2010/03/16(火) 23:27:38 ID:Bf62rMBoO
有難うございました!!

225名無しさん@避難中:2010/03/17(水) 07:40:59 ID:aYi8MeKw0
つまり俺とok氏で作ったリリベルは801もOKということですね。
お借りして〜 とありますが、ここはシェアスレ。貸すも返すもないのだ。
最近殿下の人がこなくてさびしい冬の終わり。

226名無しさん@避難中:2010/03/17(水) 18:04:13 ID:JTCfITuoO
代理お願いします。


乙!!
顎は亡くなってしまいましたか・・・
リリベルの今後に何気に期待してます!

227名無しさん@避難中:2010/03/17(水) 18:24:48 ID:EYc1cxUs0
あいよ!

228名無しさん@避難中:2010/03/17(水) 18:25:25 ID:EYc1cxUs0
かんりょー

229名無しさん@避難中:2010/03/17(水) 18:33:33 ID:JTCfITuoO
感謝です!

230 ◆GudqKUm.ok:2010/03/19(金) 21:47:31 ID:a42DI0WMO
さて…温泉界のほうも、ひとまずオチつけちゃっていいですかね?

231名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 21:50:34 ID:C2JTe8p.0
危ねえw「どんなオチ?」って思わず聞いちまうところだったwww

232 ◆GudqKUm.ok:2010/03/19(金) 22:03:17 ID:a42DI0WMO
どうせ規制で代行投下お願いしたいので、ひとまずここに落とします。問題あればボツってことでw

233『温泉界へご招待〜満員御礼!!〜』 ◆GudqKUm.ok:2010/03/19(金) 22:10:40 ID:a42DI0WMO

「…ああ、もう…許して…」

静まり返った温泉界の小宴会場『亀の間』。力なく畳に横たわった湯乃香は潤んだ瞳で仁王立ちの天野翔太を見上げた。

「…何を言ってるんだ湯乃香ちゃん、お楽しみはこれからだ…」

三島柚子、そして『アグゼス』の導きで開眼した天野翔太の新たな力。温泉界の金庫とも言える『衣装室』から瞬時に奪った真珠色のランジェリーは、すでに湯乃香の滑らかな肌を包んでいる。
翔太によって無理やり装着された蒼い光沢を帯びるその下着は、すでに湯乃香から抵抗の力をあっさりと奪っていた。

「…いや…恥ずかしい…」

しかしシャンプーハットを目深に被り、懸命に火照った顔を隠す彼女は、翔太が用意した更なる責めに気付いていない。やがて淫靡な衣擦れの音に恐る恐る顔を上げた湯乃香は、翔太が手にした一式の衣服に絶望的な呻きを洩らした。

「ひい…そ、それ…」

「ふふふ…名門私立高の制服だよ…ブラウスも靴下も、ちゃあんとある…」

異次元から来た異能を持つ男は、赤褐色のブレザーを愛おしげに眺め回す。校章が刻まれた釦、チェックのスカートに赤いネクタイ。完璧だ…

234名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:12:04 ID:a42DI0WMO
「…私立仁科学園高等科の制服…正真正銘の本物だ…」

「い、嫌ぁ…」

あらゆる衣服を苦手とする湯乃香が、想像するだけで気絶しそうになる『制服』。彼女は震える手足を必死で操り、四つん這いで逃げようしたが、無情な翔太の手は、がっちりとその足首を捕らえていた。

「…まずは靴下だ。タイツも捨てがたいが、いきなり気絶なんかしちまうと興醒めだからな…」

低い囁きと共に、純白のソックスが湯乃香の足を呑み込んでゆく。右足…左足…恐怖に丸まった彼女の爪先は、やがてすっぽりと学校指定の校章入り靴下の中に収まった。

「う…うぅ…」

「…清楚だ…たまらなく清楚だ…」

入念に踵と校章の位置まで調整しながら、翔太はちらちらとメインディッシュたるブレザーを横目で窺う。焦ってはいけない、さて、次なる魅惑のアイテムは…

「さあ湯乃香ちゃん、次はブラウスだぞ…少し大きめを選んである。」

ぐい、と引き起こされた湯乃香の肩に、糊の効いたブラウスがふわりと乗った。脱力した腕がなすすべもなくスルリと袖をくぐり、意地悪な翔太の手が、強張った湯乃香の指を胸のボタンへと導いた。

235名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:13:14 ID:a42DI0WMO
「…さあ、自分で留めるんだ。きちんと上から、順番にな…」

「ああ…天野っちのヘンタイ…」

普段なら卒倒しそうな、破廉恥極まりない指示だった。しかし朦朧とする湯乃香に救いの手を差し伸べる者はいない。二人に気を利かせたアリスたちは今、客人全員を集めた卓球大会に興じているのだ。

「…ふう…ん…」

観念した湯乃香は、荒い吐息をつきながら不器用に白いブラウスのボタンを留め始める。誰にも見せられない恥ずかしい行為。そう、たった一人の男を除いては…

「…よおし…上手いぞ…全部留めるんだ…」

激しい動悸と闘いながらボタンを掛け終えたブラウスの胸ポケットには、翔太がさり気なく仕込んだであろう、小さな手鏡とリップスティック、それに清潔なハンカチが見え隠れしていた。『清楚の鬼』…頭に浮かぶそんな単語に、湯乃香はまたガクガクと四肢を震わせた。

「…天野…っち…」

湯乃香がたった一人で守ってきた温泉界の良識。その一糸纏わぬ美徳は、軽い気持ちで召還したこの天野翔太という男の手で簡単に破られた。しかし…湯乃香の心に不思議と後悔はない。

236名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:14:55 ID:a42DI0WMO
果たして全ての着衣を整えたとき、一体自分はどうなってしまうのか?そんな不安とも期待ともつかぬ戦慄に喘ぐ彼女の脚を、ゆっくりと上着に良く合う格子縞のスカートが覆ってゆく。

「ああっ!! ああ…」

スカートと共に這い上る甘い疼きは、頑なに浴衣すら拒んできた湯乃香の身体にはあまりに強烈な刺激だった。抑えきれぬ叫びのなか、翔太の手でウエストのホックが静かに留められた。

「ふわ…あ…も、もう…」

「…すごい…すごいぞ湯乃香ちゃん…あと一枚だ…」

237名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:17:36 ID:a42DI0WMO
涙を滲ませ、振り返った湯乃香の背後にはすでに赤褐色のブレザーがあった。もう、戻れない。彼を…超常の視力を持つ彼を温泉界に迎え入れたときから、こうなることは既に決まっていたのだ。
次元を越えた深く、強い運命の糸を信じながら、湯乃香は自ら腕を伸ばし、翔太の差し出したブレザーに袖を通した。

「ああああっ!! 翔…太…」

感極まった二人に、もう言葉は要らなかった。湯乃香の最後の慎み、うっすらと汗ばんだ額に乗ったシャンプーハットに翔太が躊躇いがちな目を向けると、湯乃香は照れた笑みを浮かべて、小さくコクリと頷く。

「湯乃香…」

「翔太…」

おずおずと伸びた翔太の手が、優しく青いシャンプーハットに触れた。

「湯乃香…愛し…」

身悶える湯乃香の最後の砦が落ちようとした瞬間、襖を破って飛び込んだ一本の鋭い矢が、危うく翔太の頭をかすめ、びいいいん、と空気を震わせて宴会場の柱に突き刺さった。

「…このバケモノヤロー!! インチキしやがって!!」

唖然と寄り添う湯乃香たちの傍らに、『アグゼス』の影が俊敏に駆け抜ける。彼を追って来たらしい蛮族の少年ショウヤは荒っぽく罵りながら、次々と狩人の正確さで部屋中に矢を放った。

238名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:20:42 ID:a42DI0WMO
「さあ、賞品のコシヒカリを寄越せ!! ユズキとお腹の子には滋養が要るんだ!!」

「…狡猾さはひとつの技術と呼べなくもない。そしてその技術の前で、敗者の動揺はしばし滑稽にすら他者の目には映る。」

瞬時に宴会場を戦場へと変えたアグゼスとショウヤの会話からして、どうやら卓球大会の勝敗を巡るトラブルらしい。着衣の姿を恥じらう湯乃香をよそに、ドタバタと浴衣姿の客たちも『亀の間』に乗り込んで来た。

「…大変よ!! 温泉界に忍者軍団が入り込んだみたいなの!!」

アリスの大声に一同が沈黙する。

「…そんなシェア、あったっけ?」

「…とにかく助っ人になりそうな連中を沢山召還するのよ!! みんなすぐ服を脱いで大浴場に集合!!」

…ここは温泉界。宇宙のどこかにある不思議な異界。地水火風全てのエレメントが融和し生まれた、摩訶不思議で眺望絶佳、そしてシャワー完備の世界。
果たして鏡を覗く湯乃香たちの手が次はどの世界に伸びるのかは、誰にも判らない。

おしまい

【招待客の皆さん】

天野翔太
千丈髪怜角
アリス=ティリアス
ショウヤ
ユズキ
クラウス・ブライト
セフィリア・ブライト
三島柚子
アグゼス
大賀美夜々重
ズシ

敬称略・順不同です。
お疲れ様でした!!

239名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:24:33 ID:zzq61SjU0
しかし俺も規制されているのだ……
代理してくれる方がいたら下も一緒にたのんまs




カオスwww
だが温泉界らしくていいw

それにしてもここまでエロい着衣はみたことがないぜ……

240名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:30:41 ID:C8qDSnTI0
忍者世界ってなんだw
てか湯乃香マジエロいなw 天野翔太……まさかここまで幸せ者になるとは。

あ、これからも時々思い出したように温泉会書いてもいいのかな?

では代理行ってきます

241名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:37:46 ID:C8qDSnTI0
代行行ってきましたー

242名無しさん@避難中:2010/03/19(金) 22:42:16 ID:zzq61SjU0
代理乙!
力になれないんでwikiに載せてきたぜ!

243 ◆GudqKUm.ok:2010/03/19(金) 22:46:40 ID:a42DI0WMO
どちらも有難うございました!!

244名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 21:43:31 ID:.uVgadIg0
そういやここのスレ住人は携帯の人多い?
創発シェアワラジオとかやってみようかと思ってたりするんだが

245名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 21:48:07 ID:zBWW36D.0
おー聞きたいねー。自分はPCだけど他の人はどうなんだろう?

246名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 21:49:06 ID:6fVICYE60
俺もPCですだよ
ところでラジオってどうやるんだろ? なにかソフト買わなきゃ聞けない?

247名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 21:52:12 ID:.uVgadIg0
WMPとかVLCとかituneあれば聞くのはできるお
いろんなシェアスレの交流というか、応援というか解説というかできればいいなと。
ただ、問題は俺がこのスレメインで他のシェアをよく知らないということなんだが……

248名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 21:56:50 ID:6fVICYE60
おお、なら聞けるww

俺も他のシェア知らないから楽しみにしてる!

249名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 21:57:17 ID:zBWW36D.0
一応、このスレと、changeling dayと私立仁科学園に生息してるから大体はわかる……と思う。
昔はネラースにもいたしね。楽しみだなぁ

250名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 22:01:33 ID:.uVgadIg0
そんなに大げさなものは想定してないんだけど(だからここで相談してるわけだが)
今までラジオをやってた人みたいに創発全把握してるわけじゃないんだよね。

とりあえず俺が把握してるシェアスレ(総合系は覗く)↓

うちのスレ
チェンジリング
仁科
箱庭
島京
ネラース

他になんかあったっけ

251名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 22:09:30 ID:zBWW36D.0
今はもう落ちてるから読めないスレだけど高杜学園もそうかな?
シェアード・ワールドで青春物語ってスレタイだった気がする。

252名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 22:13:43 ID:.uVgadIg0
ショウヤとユズキのとこだっけ。あそこも学園っぽいやつだったよね。

>249
これは心強い!

253名無しさん@避難中:2010/03/21(日) 22:47:43 ID:.uVgadIg0
よし、全部読むぞ! と意気込んでみたが、とてつもなく膨大だったので
とりあえずラジオしてみることにしよう。

てことで準備開始

254名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 02:26:39 ID:sbPQtJE6O
…なんか、他所で投下の邪魔したり清楚で笑われたりしてるうちに面白そうな話を…
ラジオなんてちんぷんかんぷんだけど、また仲間に入れてね。

255名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 09:00:21 ID:lP2AnpNQ0
>>254
悪乗りも相まって、朔日一時間半ほどやらせていただきました。
このスレは各世界と代表作品(?)の紹介などをぶつぶつと呟いた感じです。
機会があれば是非是非参加を!……

256名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 20:41:58 ID:sbPQtJE6O
代理レスお願い↓

投下乙でした!!
そしてもっと因幡さんの素性を知りたくなるのが人情。愛すべきオタライフも堪能させて貰いましたよ!!
…しかし恐るべきラジオ効果。そしてわんこ氏の速筆…


以上お願いします!!

257名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 20:55:14 ID:lP2AnpNQ0
おっけーい

258名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 20:56:10 ID:lP2AnpNQ0
任務コンプリート!

259名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 21:01:34 ID:sbPQtJE6O
ありがとー!!

260名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 23:45:37 ID:xHWtYkMoO
代理お願いします↓

これは意外、リオ来たw
相変わらずまったりした雰囲気が良いねえ
何よりもケモスレはどういうわけか「脱ぐ」系の話がほとんどないから新鮮だったわ
しかし速筆半端ないなw

261名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 23:54:32 ID:ABdJ3MaQ0
行ってくる!

262名無しさん@避難中:2010/03/22(月) 23:54:54 ID:ABdJ3MaQ0
任務かんりょ!

263名無しさん@避難中:2010/03/23(火) 02:01:08 ID:atoX7mgwO
ありがとう!

264 ◆p3cfrD3I7w:2010/03/23(火) 23:31:28 ID:ho5nun5Y0
ばいさるくらってしまいましたのでこちらに投下いたします。

「おや、久しぶりのお客様かと思えばクラウスさんじゃないですか。それにアリーヤさん、ベルクトさん。さらには初対面の方が4人ほど。
 さて、クラウスさんのその格好は…なにやら訳ありのようですね。立ち話もなんですから上がってください。今チェーンを外しますから」

一度ドアが閉まり、カチャカチャという金属音がした後に再びドアが開かれる。180度の角度までドアを開き、シュヴァルツは7人を招き入れた。

「さあ、どうぞ。少々散らかっていますがお寛ぎください。コーヒーと紅茶、どちらがよろしいですか?」

彼のその言葉に神谷、ステファン、クラウス、ベルクトがコーヒーを、ヒカリ、セフィリア、アリーヤが紅茶を頼む。
コクリと頷いてシュヴァルツは7人をリビングへと案内する。一人暮らしをやっているとは思えないほど大きなテーブルは10人はかけられるだろう。
部屋の様子もシュヴァルツの先ほどの言葉とは裏腹にとてもきれいに片付いていた。彼の仕事道具であるパソコンもその周りの書類もデスクにきれいに収まっていた。
テーブルに備え付けの椅子は10台用意されていてそれぞれ思い思いの場所に腰掛ける。3分ほどでシュヴァルツが戻ってきた。
彼が両手に握るトレーの上には8つのティーカップが湯気を立てていた。頼まれたとおりにコーヒーを4つ、紅茶を4つ持って各自に渡す。
そしてシュヴァルツは7人を全て見渡せる端の席に腰掛けた。

「さて、ご用件を窺いましょう。クラウスさんのその懐かしい格好を見る限り告死天使が再び必要とされるような事件が起こったと推測しますが」
「いやシュヴァルツ。そういうことじゃないんだ。実は…」

クラウスが彼に今回の事件を説明する。手元の紅茶にミルクと砂糖を入れてマドラーでかき回しつつ彼はクラウスの話を聞いた。

「そして、この神谷さんが今回の事件の犯人が告死天使なんじゃないかって疑惑を持って、みんなのところを回って一人ずつ確かめてるっていう訳なんだ」
「なるほど…それではその時のアリバイを証明すればいいわけですね。その時は確か近くのコンビニで夕食を買いに行っていましたが。証拠はこのレシートです」

と言ってシュヴァルツはポケットの財布からそのレシートを取り出し、クラウスに手渡す。通常レシートの上部には会計時の時間が記されており、
今回のレシートもその例に漏れずしっかりと時刻が記されていた。その時刻は犯行時刻の5分前だった。買ったものも弁当と飲料と
彼の言うように夕食であり、彼のアリバイもまた完璧であった。これで3人目である。

「実はシュヴァルツ。君にもう一つ頼みたいことがあるんだ。今回の事件、フィオによるとCWジェネシスが関わっていて証拠がつかめそうにないんだ。
 そこで君にハッキングしてもらえれば…と思うんだけど、どうかな?」
「…そうですね。では一つ約束して下さい。今回の件で私のことを捕まえたりしないと。フィオラートさんは約束を反故にする方ではないので」
「ああ、それならこれからみんなでアスナのところに集まることになってるんだ。フィオも来るからその時に話すといいよ」
「わかりました。では今回の件、承諾しましょう。何か進展があれば逐一連絡いたしますので。ではまた後でアスナさんのもとで」

そして一行はシュヴァルツの元を後にする。路肩に止めてあった車にも奇跡的に何の異常もなく再び車は発進した。後二人。

「なあ、今のあいつ。仲間に対してなんであんなに他人行儀なんだ?」
「アハハ…彼は昔からああなんですよ」

神谷が車の時計を確かめるとデジタル時計は午後3時を示していた。最初に出発したのが午前10時であり、実に5時間が経過していた。
だが残すところあと二人。二人ともこのスラムで暮らしている。これなら日没までにはこの聞き込みも終わらせられるだろう。
しかし、ここで神谷は信じられないものを目の当たりにする。車を急停車させ、慣性の法則に則って後部座席に座っていた5人が前のめりになる。

「ちょっとどうしたんですか?神谷さん」

先ほどのブレーキでぶつけた額をさすりながら問うたクラウスの言葉を完全に無視して神谷は運転席を降りて路肩へと走り出す。
そして何かを拾い上げてそれを抱えて再び運転席へと戻ってくる。隣のステファンがそれを見て思わず声をあげてしまう。
見ると神谷のその腕には生まれて間もないまだ臍帯がついたままの赤ちゃんが抱えられているではないか。

265NEMESIS ◆p3cfrD3I7w:2010/03/23(火) 23:32:28 ID:ho5nun5Y0
しかも衰弱が激しい。このままでは死は免れなかった。赤ちゃんを後部座席のセフィリアに手渡し、神谷は半ば叫ぶように問うた。

「ここから一番近い病院はどこだ!」
「シオンのところなら10分で着きます。それ以外だと最低でも30分以上は…」

クラウスがいい終わるよりも早く神谷は車を急発進させる。やはり慣性の法則に基づき、今度は後頭部を座席にぶつける。
車に搭載されたGPSを目印に神谷は病院へと向かう。クラウスは10分だと言っていたが
彼は5分でたどり着くつもりであった。
いかにメインストリートといってもここはスラムである。車などほとんど通ってはおらず、神谷はガラガラの通りを爆走する。
次の交差点を右に曲がった先が病院だ。しかし、ここで非常事態が発生する。神谷たちのバンが交差点に進入しようとしたまさにその時、
左側から大型トラックが進入してきたのだ。絶望的な表情を浮かべる助手席のステファン。だが神谷はその表情を眉ひとつ動かすことはなかった。
全力でブレーキを踏み、ハンドルを全力で右に切る。バンはテールスライドを起こし、ドリフト状態で交差点に進入する。
その遠心力で後部座席の5人が左のめりになるがそんな状態でもセフィリアは腕の中の赤ちゃんを必死で抱え続けた。

「お願い…死なないで…」

セフィリアが涙を両目にたたえて祈る。その隣でヒカリもまた祈る。

「天国のお父様、力を貸して…!」

そして、ドリフトで交差点に進入した車は間一髪トラックの前に踊りでることができた。ドリフトから直線運動に戻すためにまたハンドルを調整し、
ステアリングを整える神谷。それから20秒で、ついに目的地の病院が見えた。駐車場に車を滑り込ませ、病院の入口にぴたりとつける。
車が止まると同時にセフィリアはバンの扉を開け放ち、病院に向けて全力で走りだす。自動ドアをくぐり、彼女は韋駄天のごとく病院内に
走りこんだ。残りの6人もさながら雪崩のように病院に突入した。神谷が病院に突入すると受付のところでサラサラの銀髪を肩まで伸ばした
クールビューティー風の女医がセフィリアの説明を聞き終えて、看護師たちに緊急手術の用意を促していた。
セフィリアから赤ちゃんをその女医に預け、彼女は赤ちゃんを抱えて手術室へと入って行った。そのドアが閉じ、ドアの上の『手術中』のランプが赤く点灯する。
手術室前に用意された背もたれのないソファに腰掛けて手術の成功を祈る7人。廊下を少ない蛍光灯と自動販売機から漏れる光が照らしているが
ひどく薄暗かった。7人の間に重い沈黙が流れる。両手を組み肘を腿の上に乗せて額をその組み合わせた両手に預けて両目を閉じるクラウス。
半ば放心状態で頭を隣のクラウスの肩に預けるセフィリア。無表情で天井を見上げるベルクト。両腕を組んで廊下に目を落とすアリーヤ。
そしてそんな重い沈黙に耐えかね、ついに神谷が口を開いた。

「クラウス、あの医者の腕は確かなんだろうな?お前が一番近いっていったからここに来たんだ」
「大丈夫です。シオンなら必ずあの赤ちゃんを助けてくれます」

シオン・エスタルク。彼女もまた告死天使のメンバーであり、歳は24。20歳のときに医師免許を取り2年前からこのスラムで
CIケールズの支援の元、病院を運営してこのスラムで毎日のように起きる事件によってでるけが人の手当てに追われているのだった。
時には瀕死の重傷を負った患者が搬送されてくることもあるがその蘇生率は実に93%を誇り、『スラムの神の手』という名で
告死天使8人の中で最も尊敬されている人物であった。そんな彼女だから大丈夫だというのがクラウスの根拠であった。
だが、神谷の表情は硬い。93%ということは残りの7%は救えなかったということだ。今回の赤ちゃんがその7%のほうに当てはまってしまうのではないかという
不安を神谷は捨てきれなかったのだ。
そしておもむろに左手首の腕時計を確認する。午後7時、手術開始から実に4時間がたっていた。
長い手術に耐えきれる体力があの赤ちゃんにあるとは思えなかったが、今は『スラムの神の手』が奇跡を起こすことを祈るしかなかった。
と、ここで看護師の一人が受付のほうから電話の子機をもって7人の元へとやってきた。

「あの、フィオラートさんと申される方からお電話がかかっているのですが…クラウスさんはどなたでしょうか?」
「ああ、僕ですが」

266NEMESIS ◆p3cfrD3I7w:2010/03/23(火) 23:33:50 ID:ho5nun5Y0
看護師から電話機を受け取り、クラウスは電話をつなぐ。その相手はやはり看護師の言うようにフィオだった。

「もしもしクラウス君?ボクたちみんなアスナちゃんのところに集まったんだけどいつまでたってもクラウス君たちが来ないから…シオンちゃんの
ところに電話したら手術中だっていうから、ここにいるっていうクラウス君に電話を繋いでもらったんだけど…一体どうしたのかな?」
「ああ、フィオ。実はね…」
「ええ!?それは酷いね…わかった。アスナちゃんがもうすぐ店を閉めるからそうしたらみんなでそっちに行くよ。シオンちゃんのところだね」
「うん、待ってるよ」

それからさらに2時間。時刻は午後9時を指していた。と、ここで『手術中』の赤いランプが消えて、扉からシオンがマスクと帽子を外して現れた。
そのシオンのもとに駆け寄り、手術の成否を確かめる7人。そんな7人をシオンはまずはなだめすかして落ち着かせる。

「まずは落ち着いてください。結論から申し上げましょう。手術は無事に成功しました。おそらくあと5分搬送が遅かったら間に合わなかったでしょう」

シオンのその言葉に一同の顔がパッと明るくなる。そしてまるでタイミングを示し合わせたかのようにフィオたちが病院へとやってくる。
この一日で会ってきたセオドール、フィオ、シュヴァルツ、そして会いに行く予定だったアスナ。さらには見覚えのない男が二人、一緒だった。

「おや、これはみなさんお揃いで。こうして8人全員が一堂に会するのは2年ぶりか。積もる話もあるだろうから休憩室に案内しよう。こっちだ」

途端に口調が変わるシオンに戸惑う神谷たち。しかし、告死天使のメンバーたちは何ら気にとめることもなく彼女のあとをついてゆく。
『関係者以外立入禁止』と表示されたドアを通りぬけ、その先が休憩室だった。病院らしい真っ白な壁紙にはカレンダーがかけられ、
蛍光灯も白い壁紙に会わせるように明るく光っていた。8畳ほどの休憩室の右奥にはシンクと冷蔵庫が備え付けられており、
シオンはそこで一同を休憩室備え付けのテーブルとパイプいすを案内し、グラスを人数分用意して冷蔵庫から取り出したお茶を注いでゆく。
長時間の手術で疲れているはずなのにそれを感じさせないきびきびとした動きでお茶を各自に配り、自分の席へと着く。

「さて、みなが一堂に会したということはなにか特別なことが起こったのだろう。クラウス君のその格好も久しいし。それに私にとって初対面の人間が
 3人ほどいるようだ。まずは自己紹介してくれないか?話はそれからでも遅くはないだろう」

初対面の人間というのはどうやらセフィリア、神谷、ステファン、ヒカリのようでありこの見慣れない二人の男とシオンはどうやら面識があるようだった。
釈然としないものを感じながら4人はシオンに自己紹介する。グラスに注がれたお茶を少しずつ飲みながらその自己紹介を聞き終えるシオン。

「君が噂のクラウス君の妹か。君の兄には随分と世話になったよ。そしてこちらが探偵の神谷さんとその助手のステファン君。
 探偵というと、旧暦にはいろんな小説家がいろんな推理小説を書いていたものだ。アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』
 シリーズくらい読んだことがあるだろう?私は女性としてP・D・ジェイムズの『コーデリア・グレイ』のほうが好きなんだが」
「シオン。話がまた逸れてるよ」

話が途中で脱線するというのはシオンの特徴であり、そのたびにそのレールをクラウスが修正する役目を担っているのだ。

「ああ、すまないな。さて、次は私の番か…名前はシオン・エスタルク。見ての通り医者だ。『スラムの神の手』だなんて呼ばれているが私は人間だ。神ではない。
さて…アスナさん。君もこの4人とは初対面だったな。自己紹介を頼もうか」
「え、あたし?うん、あたしの名前はアスナ・オブライエン。歳は22。このスラムでケーキ屋をやってるんだ。3人ともよろしくね」

さて、これで全員の自己紹介が終わったかに思われた。しかし、ここでベルクトが口をはさむ。

「おいまだだ。あっちの2人だ。アスナとシオンは知っているようだが俺たち5人は初対面だ。身元を詮索する訳じゃないが最低限名前くらい教えて…」

267NEMESIS ◆p3cfrD3I7w:2010/03/23(火) 23:36:58 ID:ho5nun5Y0
ベルクトがいい終わるよりも早くにその男が口を開く。

「ゲオルグだ。このスラムの孤児院で職員をやってる。子供たちのおやつのケーキを買いに店にいったらこの3人が店長と話していて
 何かと思って事情を聞いたら…あとはこの有り様だ。子供たちにケーキを届けてまた店に戻りあんたたちについてきたってわけだ。
 そしてこっちがアレックス。俺の弟分だ。よろしく頼む。」

納得した様子で頷くベルクト。その後、ベルクト、アリーヤ、フィオ、セオドール、クラウス、シュヴァルツの順に自己紹介を2人にし、
ようやく全員の自己紹介が終わった。そして話はついに本題へと移り、まずは今回の小旅行の目的であった告死天使のアリバイから聞くことにした。

「なるほどな…神谷さんの言い分にも一理ある。だが生憎私も犯人ではない。その時間は診察中でな。証明するものは…カルテを取ってこよう」

いったん休憩室を後にし、3分ほどでシオンは一枚の紙を手に再び休憩室へと戻ってきた。

「医者という職業は患者との信頼関係で成り立っている。故に軽々しく他人に見せられるものではないが仕方ない。特別に見せよう」

と前置きしたうえでシオンはそのカルテを神谷へと手渡した。シオンはそう言っていたがカルテというのは一般人から見ても何が書いてあるのか
さっぱりわからないものであり、このカルテもその例に漏れていなかったが、診察時間だけはしっかりと数字にて記されていて、その時間はまさに事件が起きた当時だった。
ただ、このカルテが医療関係者以外に読めないことをいいことに誰かが書いたものを持ってきたのではという可能性を指摘したが、
この病院にシオン以外の医師はおらず、あとは彼女を補佐する看護師が6人いるだけだ。しかもその看護師はカルテを読むことはできても書くことはできない。
『憂鬱』をゆううつと読むことはできても書くことはできないのと同じ理屈である。医師学校にてきちんとした指導を受け、
医師免許を取得するための勉強の中でようやく書き方を覚えることができるのだ。これで4人目。シオンのアリバイも固まった。残るは…アスナだ。

「あたしは…次の日の分のケーキを作るために生地を仕込んでたかな。混ぜたり、焼いたりするのはスタッフのみんなでもできるんだけど
材料の調合は生憎あたししかできないんだ。その時間あたしがいなかったりすると次の日にお店にケーキがならべられなくなっちゃうんだ。
確かゲオルグさんたちがケーキを買っていったのはその翌日だったよね?」

ゲオルグはなにも言わずに財布の中から領収書を取り出した。みるとその時間は確かに犯行時刻と重なっていた。
つまり、アスナが犯人だとしたら翌日店頭にケーキは並ばず、故にこの領収書も存在しえないということだ。これで5人全員に完璧なアリバイがあることが分かった。
しかし、神谷の表情はいまだ硬いままだ。この小旅行の目的は達せられたはずなのに。それを不思議に思ったステファンが神谷に尋ねた。

「ああ、告死天使は本当に8人だけなのかと思ってな。もしかかしたら9人目のメンバーがいてお前たち全員が共犯で匿っている可能性もなくはない。
 馬鹿げていると笑ってくれて構わない。だが最初にも言ったろう。俺はお前たちが犯人だという確固たる証拠が欲しいと。
 そのためにはあらゆる可能性をつぶして懐疑的に物事を見なければならないんだ。お前たちを愚弄しているつもりは毛頭ない。どうかわかってくれ」

神谷のその言葉にクラウスは徐に懐から一枚のきれいに折りたたまれた紙を取り出してそれをテーブル上に広げた。
それは2年前、告死天使が貴族たちの陰謀をせん滅するために結束力を高める意味合いでケビンが書かせたものだった。その内容はこうだ。

『どんな困難や危機にぶつかろうとも決して切れることのない絆を誓うものはこれに自らの名前を記し、血判を押すべし』
と記されており、その下には告死天使のメンバーの名前と血判が存在していた。

268NEMESIS ◆p3cfrD3I7w:2010/03/24(水) 00:00:12 ID:9Ch8J4Q20
アリーヤ・シュトラッサー
シオン・エスタルク
アスナ・オブライエン
シュヴァルツ・ゾンダーク
セオドール・バロウズ
クラウス・ブライト
ベルクト・ニコラヴィッチ
フィオラート・S・レストレンジ

これは、ケビンの死後リーダーであるアリーヤが元本を保管し、残りのメンバーがコピーされたものを持っているという訳だ。
つまり、この書留こそが告死天使がここにいる8人だけだということを証明しているのだ。
これを見てようやく神谷は安堵の表情を浮かべる。そして8人に「疑って悪かった」と頭を下げる。
しかし、8人は疑われたことに対する怒りよりも素直に疑惑が晴れたことをただ喜んでいた。ここで、セフィリアが不安そうな表情でシオンに尋ねる。

「あの、シオンさん。あの赤ちゃんはこれから先どうなるのでしょうか…?」

それを聞いてシオンはゲオルグに目くばせをし、彼は無言で頷いた。そしてシオンは彼女に切り返した。

「ああ、それなんだが…ゲオルグさんの孤児院に預かってもらおうと思うんだ。彼は信頼できる人物だ。安心していい」

それを聞いてセフィリアが一気に安心した表情を浮かべ、ゲオルグの元へ駆け寄る。クラウスも彼女に並んで頭を下げ、口をそろえて言った。

「どうかあの赤ちゃんをよろしくお願いいたします」

そしてセフィリアは願う。あの赤ちゃんがこれから先幸せに暮らせることを…

第5話 完

269名無しさん@避難中:2010/03/24(水) 08:43:27 ID:HlQPwbOsO
代行お願い↓

投下乙です!!
膨大な新キャラクターとゲオルグキターw
仕事終わったらメモ片手に精読するぜ!!

↑以上です

270名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 03:22:04 ID:RE6P39XUO
代行お願いします

うわあネタかと思ったらホントに来たwwwww
赤忍者とか番外テイスト満点でGJ!!

以上お願いします。

271名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 03:24:52 ID:.uwAdpqI0
任せんしゃい

272名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 03:25:21 ID:.uwAdpqI0
行ってきたアルよ

273名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 09:13:52 ID:RE6P39XUO
あの時間に即代行とは…
有難うございました!!

274名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 19:41:23 ID:xn90v1e6O
代理願います!
温泉投下乙!
そしてラジオ楽しみ…

275名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 19:43:52 ID:PE3th2QY0
あと2時間ちょい

だが過疎が酷いな

276名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 19:55:42 ID:7uawZPlQ0
くそう……ラジオ楽しみにしてたのに急用が入って聞けるか微妙になっちまった。
録音うpを楽しみにしよう。

277名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 20:25:39 ID:1UsV9N/s0
まあぶっちゃけシェア把握ノルマを達成できなかったんで、内容は微妙です。
このスレからは地獄世界の解説を予定。

ところで鬼の名前の読み方って怜角(れいかく)、聡角(そうかく)でいいんだろうか……

278名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 21:35:11 ID:RE6P39XUO
そうです…そしてラジオが聴けなくて泣きそうです。
千丈髪怜角(せんじょうはつれいかく)
蒼燈鬼聡角(そうとうきそうかく)
牛頭大将紫角(ごずたいしょうしかく)
茨木胡蝶角(いばらぎこちょうかく)
酒呑半角(しゅてんはんかく)

279名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 21:41:49 ID:1UsV9N/s0
おお、ありがとう!
いろいろと持ち上げさせてもらうぜ!

OK氏には聞いてもらいたいところなんだけどねえ……しくしく

280名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:12:37 ID:.uwAdpqI0
>>274
行く

281名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:13:06 ID:.uwAdpqI0
行ってきたー

282 ◆GudqKUm.ok:2010/03/27(土) 22:29:15 ID:RE6P39XUO
こんなときに投下w
どなたか手が開いたら転載お願いします。

283名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:32:14 ID:RE6P39XUO
地獄百景
『汝、平和を欲さば』


完成した『リヒター』を散らかった作業台へ立たせた半角は、うっとりと精魂込めた自らの作品を眺めた。

(…よおし…完璧だ…)

人気ロボットアニメ『パラベラム!』の主役機『リヒターver'prologue』。1/10スケールのガレージキットをベースに半角が徹底改修を施した自信作だ。
結局、満足出来る可動域を得る為と、電飾を仕込む為にキットを使用したのは頭部と上半身の装甲部だけ。
敢えて過度のディテールアップは行わず、入念な表面処理と塗装でオートマタ独特の不思議な質感を表現している。
製作日数約二十日。この為に人間界から調達した新しいエアブラシは期待以上の働きを見せてくれた。

(…へへん、こりゃ殿下、驚くぞ…)

納品日の今日はちょうど非番だった。技術とセンスの結晶を閻魔殿下のもと、閻魔庁外宮へと運ぶ為に半角はいそいそ段ボール箱に緩衝材を詰める。ジオラマベースと片手間にキットを素組みした『野良』も梱包すると、結構な大荷物だ。

「…汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ…」

嬉しげに呟く彼の名は酒呑半角。ふざけた名前だが地獄界の経済を支える財閥、酒呑一族の鬼だ。今年獄卒隊に入隊したばかりの新人獄卒なのだが、人間界のあらゆるアニメ、ゲームその他インドア趣味に深く傾倒し、その知識と技術は地獄界では他者の追随を許さない。
長らくその経済力にものを言わせ、道楽三昧の日々を送っていた彼だったが、ある日ついに朱天グループの重鎮である父の逆鱗に触れ、文字通り鬼も泣くという獄卒訓練所に放り込まれた。
しかしなんとか過酷な試験をくぐり抜け、第八百壱期隊員として閻魔庁獄卒隊に奉職した今も、その行いは全く変わっていない。

284名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:34:20 ID:RE6P39XUO
しかし、そんな半角の意外な理解者が次なる閻魔大帝、まだ地獄の小学校に通う皇太子殿下だった。
ゲームやプラモデルに関する深い知識と情熱を殿下に認められた半角は、こうしてしょっちゅう獄卒の仕事をおろそかにしながら、日々殿下に依頼された模型製作に勤しんでいるのだった。

(…さて…今日は殿下、何分くらい黙り込むかな…)

殿下の審美眼は素晴らしい。的確な視点から半角の作品を黙って睨み続け、終いに『凄ぇ…』と短く呟く。その後に続く賛辞は全て、半角の意図を的確に見抜いたものだ。
…まるで『パラべラム!』のアニメ第一話から抉り抜いたような緻密さで躍動するリヒターと、黒い装甲の下に溢れるマナ。殿下は必ずこの傑作からその息吹きを汲み取る筈だ…

(…え!?)

突然、半角の懐で『パラベラム!』のOP曲が鳴り始めた。しまった。仕事用の通信機の電源を切り忘れていたのだ。舌打ちをしつつも出ない訳にはいかない。もちろん発信者は、厳しい上司の蒼燈鬼聡角だった…



(くそっ!! なんで非番の日に俺が子守りなんか…)

険悪な表情で肩を怒らせて地獄の大通りを歩く半角を、道行く亡者や魔物たちが慌てて避ける。
魁偉な長身に逆立つ赤い髪、剃り落とした眉に無数のピアスという彼の容貌では当然だ…もっとも、このコーディネートは月末のコスプレイベント用のものなのだが。

『…慈仙洞の子供たちが遠足に行くんだが、一人だけどうしても行きたくない、という子がいるらしい。非番の日に済まないが、嵐角と子供たちが戻るまでその子を見てやってくれ…』

殿下との約束を台無しにした、いまいましい上司の命令だ。幼い子供の亡者など、とっとと転生して人間界に戻れば良いのに、と半角はいつも思うが、『天命』というものはとかく面倒くさく出来ている。

285名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:36:40 ID:RE6P39XUO
『…この地獄で成すべき事のある魂は、たとえ赤子でも慈仙洞に留まるのだ。鬼は彼らの使命を、渾身の力で支えてやらねばならん…』

これも口うるさい青鬼上司の言葉。半角とて大江山酒呑の家系に生まれた鬼だ。恥ずかしくない程度の正義感と天命を尊ぶ心は持っている。しかし地獄に迎え、教え諭して導かねばならぬ人間たちはどうだろうか?
たやすく道を踏み外して悪に染まり、また背負いきれぬ業を土産に地獄に堕ちてくる。賽の河原に果てしなく石を積んでいるのは自分たち鬼ではないか、とさえ半角には思えてならない。

(…まったく、協調性のないガキ一匹のせいで…)

不機嫌に慈仙洞の門をくぐり、半角は広大な育児施設に足を踏み入れた。いつもは子供の泣き声と歓声に満ちた鍾乳洞なのだが、どこへ遠足に行ったのやら、全ての部屋は寂しく静まり返っている。

「…おい子供。どこだ?」

反響する半角の声に混じり、かすかな音楽が『てれびのへや』と、扉に下手くそな文字の書かれた一室から聞こえてきた。仏頂面で歩み寄った彼は部屋に入る前、すでに室内で放送されている番組のタイトルを諳んじていた。

(…『ソルフォースⅤ』か…)

『ソルフォースⅤ』は、半角が一応毎週チェックはしているものの、彼が全く評価していないヒーローアニメ番組だ。テンプレ通りの捻りのない展開に野暮ったいメカデザイン。行き当たりばったりの脚本…

(…ま、子供には面白いのかな…)

そっと部屋のドアを開けるとたった一人、まだ四、五歳くらいの男の子がテレビに張り付いていた。おそらくこの番組見たさに遠足に行かなかったのだろう。

「…あ、お前…」

どこか見覚えのある、痩せた背中と伸び放題の髪。びくりと振り返った不安げな眼差しは、間違いなくあのときの子供だった。

286名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:38:22 ID:RE6P39XUO
数日前、半角が三途の河原で亡者の受け入れ任務に当たっていたとき、たまたま担当した痣だらけの無口な男の子だ。たしか『希くん』と名乗っていた。
禄な食事も摂らせないひどい両親に暴行を受け、あっけなく命を落とした可哀想な幼児。冥土から迎えにゆく親族も居らず、彼は居合わせた亡者に痩せ細った手を引かれ、無表情にこの地獄へとやってきたのだ。

(…やっぱり、一番酷いのは人間だ…)

あのとき肩を竦めてそう考えた半角は、ただ事務的に彼を嵐角たちの待つ慈仙洞送りにしたのだった。まあ、仲間の鬼には人間の亡者と懇意にしている者も多い。中にはあろうことか恋仲にまで発展している者までいる。
しかし半角は人間の深い業に巻き込まれたり、いつかは別の道を歩む魂と縁を持つのは嫌だった。鬼だってその無限ではない命を自分の為、有意義に使って何が悪いのか…

「…面白いか? 希くん?」

「…うん。」

なんとなく発した半角の問いに、希はむっつりと頷いて答えた。しかし相変わらずその視線は、『ソルフォースⅤ』に釘付けになったままだ。

『…作戦は失敗しました…でも、次こそは必ずや…』

戦闘シーンが終わり、満身創痍の女幹部が悪のアジトに帰ってきた。彼女に背を向けた組織の首領格は、先週得た新たな闇の力で赤くその瞳を光らせている。

(…死亡フラグ、だな。かなり強引だけどな…)

組織への忠誠を失ってはいない女幹部の粛清など不合理だ。彼女と正義のヒロインの因縁も初期には描かれていた筈だった。しかし、敵組織の内紛はこの時期の決め事なのだ。

『はうっ!?』

案の定、マントを翻し振り向いた首領の剣は、女幹部の胸を深く刺し貫いた。狂気めいた笑みを黒い唇に浮かべた彼は囁く。

『…フェオレよ、貴様はもう必要ない。役立たずは消えるのが我らの掟だ…』

(…おいおい、人員整理にしても唐突だろ…例の伏線はどうすんだ?)

287名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:42:06 ID:RE6P39XUO
敵組織の非情さを強調し、強敵のパワーアップを披露する陳腐な演出だ。どこか華のないキャラクターデザインも、幹部フェオレ中途退場の理由かもしれない…

(…この辺が、老舗作品との力量差なんだよな…)

ふと自分が残忍な悪の首領とそっくりないでたちである事に気付き、乾いた笑みを漏らして希を覗き込んだ半角は、青ざめた彼の頬にとめどなく流れる涙を見た。

「お、おい!? どうした!!」

「…仲間なのに…殺した…」

舌足らずの涙声に、半角は一瞬言葉を失う。作り事が判らぬ年齢の子供の相手など、半角には全く経験がなかった。

「…フェオレ、怪我…してたのに…」

膝を抱え嗚咽する希の背中を曖昧に撫でながら、半角は記録にあった彼の人生を思い出す。アパートの一室から殆ど外出もせず、スナック菓子で命を繋ぎながら酔った父親に蹴り殺されるまで、僅か四年半の素っ気ない記録だった。

(…脇キャラに同情出来る人生かよ…手前のほうがよっぽど悲惨じゃねえか…)

希の恐ろしい日々の生活のなかで、僅かな外界への窓であった筈のテレビ。そしてその世界に生きる不遇なキャラクターは、この自らの死も理解してはいない幼児の大切な友人だったのだろう。
無秩序な宇宙で気まぐれな創造者に翻弄され、たやすく奪われる命。現世で同じ理不尽な仕打ちに耐えてきた彼は、また理解出来ぬ不条理な悲劇に直面したのだ。

(…確かにこいつにゃ、少し惨い展開かもな…)

いつの間にか、休日出勤の苛立ちは消えていた。希に掛ける言葉も思いつかぬまま、半角はとりあえず震える小さな背中を撫で続ける。だが心に浮かぶ慰めの台詞は、どれもどこか空虚で寒々としたものばかりだった。

(…畜生、結局どこでも一番悪いのは、無責任な『作り手』ってことだ…)

288名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:44:54 ID:RE6P39XUO
天の意志を疑うことは鬼の道に外れたことだ。だが半角は柄にもない憤りを覚えていた。運命は希の短い生涯に二次元の友人たち以外、一体何を与えたのか。家族の愛から瑞々しい喜怒哀楽を育むこともなかった小さな魂に…

(…いや…違う…)

半角は希の傍らに座り、その悲しげな横顔をもう一度見つめる。今、彼の頬を濡らし、その薄い胸を締め付けているもの。それは紛れもなく虚構に生み出され、そして裏切られた『妖将フェオレ』への深い憐れみだった。
…獄卒の長たちは言う。『全ての魂は善を持って生まれ、苦悩の生のみがそれを磨き上げる』と。希は天に授かった善き魂を、虹のように儚い人生の間、過酷過ぎた『惨事』から、しっかりと守り抜いたのだ…

「…フェオレはもうすぐ此処に来るんだ。今度こそ、幸せになる為にな…」

ぼそりと呟いた半角は、その自分らしくない言葉に少しはにかんだ。そして涙を拭って自分を見上げる希の軽い体をふわり、と抱き上げる。

「…俺の部屋へ来い。本物の『名作』ってやつをたっぷり観せてやる。」

「あ…」

慣れない抱擁に身体を堅くする希が自分の脚で駆け出すには、熱く全身を巡る強く優しい『マナ』が必要だ。そしてその為に鑑賞すべき作品を最もよく知っている鬼が、この地獄界で半角以外にいるだろうか?

「…汝、平和を欲さば、戦いへの備えをせよ、だ」

こつん、と額を合わせ囁いた半角の言葉に小首を傾げた希は、初めて小さな微笑みをその頬に浮かべた。


終わり

(【ロボット物総合スレ】よりPBMの人氏作『パラべラム!』の設定を一部お借りしました。)

289名無しさん@避難中:2010/03/27(土) 22:46:49 ID:RE6P39XUO
以上です。PBMの人様、有難うございました!!

290名無しさん@避難中:2010/03/28(日) 14:02:53 ID:SuLqmCfYO
ついに酒呑家が!
つか、なんという愚息っぷりw

291名無しさん@避難中:2010/03/28(日) 14:21:17 ID:ncsP7rmw0
>>283-289
代行いってきます

292名無しさん@避難中:2010/03/28(日) 14:26:07 ID:ncsP7rmw0
いってきました

293名無しさん@避難中:2010/03/28(日) 20:52:29 ID:wCRjFEDkO
代行投下有難うございました!!
ここから『ゴミ箱〜』の感想なので代行お願いします…↓

相変わらず魅力的なキャラクターの陰影。長い感想に代えてどこか子供たちの隙間で一編書きたいな、などと思ってしまいます。次回も楽しみです。

↑すみませんが以上お願いします。

294名無しさん@避難中:2010/03/29(月) 00:51:27 ID:g20F8I3U0
いってきた

295名無しさん@避難中:2010/03/29(月) 20:28:21 ID:l8SbY6lM0
うっかり未読が貯まってるんで今から読んでくるぜ!

296名無しさん@避難中:2010/03/30(火) 19:37:53 ID:tIs042ZwO
まとめ&保管庫更新乙です!!

297名無しさん@避難中:2010/03/31(水) 09:30:38 ID:aQaVIoHA0
保管庫読破!!

298名無しさん@避難中:2010/03/31(水) 20:51:12 ID:6aJzEEsQO
更新乙!そして読破氏乙!
その勢いで地獄界SS書いてw

299名無しさん@避難中:2010/04/01(木) 21:31:24 ID:eCpv3rLU0
シェアワロワ?

300名無しさん@避難中:2010/04/01(木) 21:34:21 ID:T2RrxMjM0
おお、そう言われるとそうだ!

301名無しさん@避難中:2010/04/01(木) 21:57:02 ID:Nh4GUS..O
正直、ロワのシステムが判らない…

302名無しさん@避難中:2010/04/01(木) 21:59:29 ID:uQUOK2osO
俺もわからないな

303名無しさん@避難中:2010/04/01(木) 22:06:42 ID:Nh4GUS..O
でも能力バトル上手い人に告死天使VS獄卒隊とか書いて貰ったら面白いだろうな…

304名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 18:24:52 ID:iMtht3GY0
また規制されたwww
誰か代行おにゃがい……↓


まとめて感想だ!

>NEMESIS
告死天使はこれで全員かー、この集団が今後どう活躍するのか楽しみだぜ!
それにしても毎回他作品と絡んでるところがシェアらしくてい良いw

>>地獄百景 汝〜
これはまた新しい。殿下と趣味が同じだとオトク感があるね。
結構だらしない鬼もいて安心。リヒターはどんだけカッコ良いんだw

>>ゴミ箱
ポープ、なかなか濃ゆいw ここだけ見てると本当みんな悪役(?)とは思えない。
むしろ愛着が湧くw

>>温泉 天使と忍者
ちょwww他キャラが引き立て役にしかなってねえww
しかし告死天使はそれぞれどんな風に戦うのか見てみたいな。
まさか忍者展開はこれを狙っていたのか!?

>>白狐と青年
久々にキタ! そして新キャラもキタ! 彰彦期待www 銃より肉弾戦が見たい俺は異端か!?
信太主も相変わらずミステリアスな魅力。思ってたより若い外見で安心した!
なのに名前はキッコ……たまんねえぜ……

305名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 18:25:27 ID:iMtht3GY0
あ、以上感想1レス分なり。

306名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 18:33:52 ID:oKO1HyN20
ほいきた

307名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 18:47:47 ID:oKO1HyN20
いってきたー

ついでに俺も書いてきた

308名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 18:51:07 ID:iMtht3GY0
即対応感謝!

309 ◆mGG62PYCNk:2010/04/02(金) 22:19:18 ID:a7Qk1rIU0
規制でびっくり、以下、代理お願いします。

>>373
やりづらくさせるなんてとんでも無いです。
ハイカラみっくすの続きまっとりますよ!
>>372でもありましたが
誰がどう見ても喋り方とかにじみ出る雰囲気的に考えて外見は若作りなので
キッコという名前で問題な――――

310名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 22:22:45 ID:oKO1HyN20
あいよー
って、自分に対するレスを代理するのもなんだか切ないw
今日は俺のIDばっかりになりそうだ。

311名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 22:27:48 ID:oKO1HyN20
いてきたー
規制の影響か、P2もかなり重ひw

312名無しさん@避難中:2010/04/02(金) 22:28:30 ID:a7Qk1rIU0
ありがとうございました!

313ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/03(土) 13:18:53 ID:b38d5g1k0
「アクセス規制だと」
「これじゃあ書き込みができないね兄サン」
「そうだな。
 すまないが、誰か代行を頼む」

314名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 13:19:12 ID:b38d5g1k0
5-1/6

 廃民街サウスストリートの一角にあるクラブ"ロッベナイランド"の特等席で"アンク"幹部スティーブ・ビコは
ご機嫌だった。それもそのはず、開いたばかりのこの店の客足が上々だったからだ。まだ夕方といった按配
のこの時間こそ客はちらほらとしか入っていないが、これから夜が更けるにしたがって次々と人がやってくる
のだ。"ホームランド"の本部の人間から不安されていた廃民街進出の出だしがこうも順調だと酒も進むものだ。
 それにだ、と付け加えてビコはハイボールを呷ると、数日前におきたことを思い出した。数日前、"王朝"の
関係者を名乗る人間が店に現れるとオーナーであるビコと話をしたいと言い出した。特等席に通されビコと
目を合わせた男は顔を凄ませて言った。ここは俺達の縄張りだ、お前達はとっとと出て行け、と。あからさまな
脅迫をする男に、ビコは脅迫で返した。男を2階の事務所へ連れ込み、そこで待機している兵隊達に自動小銃を
突きつけさせた。ビコは言った。やなこった、お前が出て行け。
 ライフル銃を向けられ真っ青になった男の顔を思い出し、ビコの酒は進む。こちらの威圧の結果が出たらしく
新たな脅迫や嫌がらせは皆無だ。むしろ近くに残っていた"王朝"系列の事務所が逃げ出すように姿を消し、
周辺での仕事が独占できるようになった。
 所詮マフィアなんてこの程度だ。俺達革命戦士とは大違いなのだ。ガハハと太鼓腹を突き出したビコは
さらにハイボールを呷る。俺達は"ホームランド"でバラック強制撤去や、アパートの強制立ち退きを迫る
閉鎖都市政庁に火炎瓶で闘争を続けた人民の雄だ。威張り散らすしか脳のないチンピラヤクザとは格
からして異なるのだ。
 幾度となく杯を傾けていると、ここでようやく杯が空になった。ビコは脇にはべらせていたホステスに
グラスを渡し、新たなハイボールを要求する。ホステスがグラスにウィスキーを注いでいる横で上機嫌で
待っていると、突如外から爆発音が轟いた。
 騒然とする店内でビコは堂々と立ち上がった。いざというときにいい格好を見せてこそ男なのだ。慌てる
ボーイや怯えるホステスに自制を促すと、ビコは外の様子を伺うべく入り口の戸を押し開いた。
 夕闇が降りようとしていた外では悲鳴が錯綜していた。道路を挟んで斜め向かいのビルで火の手が
上がっている。あのビルには"アンク"系列の事務所があるはずでは。大丈夫だろうか。
 配下の事務所の心配をしていると、火の粉をあげるビルの下に異様な一団が佇んでいることにビコは
気づいた。黒いつなぎに黒いベスト、そして同じく黒いヘルメットと全身黒一色だ。ワンボックスバンの
傍らに佇み、大きな筒状の物体を担いでいる。一団の一人がこちらに向き直ると、筒状の物体を肩で
構えた。なんだ、と言葉を漏らそうとしたところで合点がいった。あれはロケット砲だ。

「伏せろーっ」

 張り上げた声と同時にロケット砲が火を噴いた。
 巨大なバックブラストと共に発射機から射出されたロケットはすぐさまX字の制御フィンを展開する。発射
からやや間を空けてから尾部に付けられたロケットモータが唸りをあげた。固形燃料の化学エネルギーを
推力に変換したロケット弾は、空を切る甲高い雄たけびを上げながらビコの直上、クラブ"ロッベナイランド"の
看板に命中した。
 倒れこむように地に伏したビコの頭に、破片が降りかかる。幸いにも怪我にはならなかったようだ。安堵
しながら自らの頭をかいて立ち上がるビコに黒装束の一団が指を差す。自らを指差され戸惑うビコに一団は
短機関銃の銃口を向けた。
 狙われている。
 ビコは慌てて踵を返した。背後で銃声が鳴り響き、翻ったスーツの裾を銃弾が掠めていく。転がり込んだ
店内からボーイが驚いた様子で駆け寄ってきた。
 
「どうしたんですか」
「戦争だ。兵隊をもってこい」

 詳しいことは分からないが、攻撃を受けた。ならば反撃しなければ。

315名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 13:19:41 ID:b38d5g1k0
5-2/6

 ホステス達をバックヤードに避難させると、ビコはボーイと共にテーブルを横倒して即席のバリケードを
作った。その合間に上階の事務所から"アンク"の若い兵達が自動小銃抱えて降りてくる。彼らは幾重もの
銃口を入り口にむけて並べていく。ビコもまた部下に持ってこさせた自動小銃を受け取ると入り口に向けて
構えた。
 さあ、いつでもこい。引き金にかけた指に力をこめる。緊張の汗を目に入れないように目を瞬かせながら
ビコは入り口をにらんだ。
 張り詰めた沈黙が店内に停滞する。その最中、出し抜けに拳大の物体が入り口から放り込まれた。

「手榴弾だ」

 ビコは叫んで、兵と共に床に伏せた。だが、しゅーという噴出音がするばかりで、いつまでたっても予期
した爆発は来ない。一体どうしたのか。気になり顔を上げたビコは、白いもやが辺りを覆っていることに
気づいた。りんの様なつんとする臭いの白煙が店内に立ち込めていく。白い霧の中で兵達の動揺の声が
上がった。
 恐らく先ほど投げ込まれたものは発煙弾だったのだろう。俺達の視界をこれで奪ったつもりなのだろうが、
これでは相手も見えないのではないか。
 ビコが訝しんでいると、突如銃声が走り、どさりと兵が倒れる音がした。驚いて身を伏せると、続けざまに
銃声が響き、各所から悲鳴や呻き声が上がった。
 見えている。冷や汗がどっと吹き出た。どういうわけか分からないが、黒装束の一団はこの白煙の中でも
問題なく見通すことができるのだ。放射線のような不可視不可避の殺意を塊を浴びせされたようで、途端に
ビコは恐ろしくなった。
 やけっぱちとでもいうような自動小銃の音が断続的に響いたが、すぐさま轟く短機関銃の連射音に次々と
沈黙させられていく。店内を包み込む白煙はビコ達の健気な抵抗を極めて冷酷に踏み潰していった。
 鮮烈な死の恐怖にビコの肩は震えた。死の恐怖は今までに幾度も経験していた。警官隊に滅多打ちに
されて、文字通り死にかけたこともあった。だが、そのときの相手の武器は警棒で、ここまで一方的な状況
ではなかった。
 ビコは自分がねずみにでもなったかのように思った。煙の向こうから襲い掛かる暴力は、自分が獅子に
襲われる矮小なねずみなったかのような錯覚をさせる。反抗をねじ伏せる圧倒的な力量差に、ビコの戦意
は急速に萎んでいった。入れ替わりに恐怖がとめどなく溢れていく。
 とうとうビコは自動小銃を放り出して逃げ出した。銃声とうめき声が錯綜する白煙の中をビコは手探りで
奥へと逃げる。運よく指先がバックヤードに通じる扉に触れた。扉を開けると避難していたホステスが甲高い
悲鳴を上げた。大口を挙げて声を張り上げるホステスの顔が明確に見えて、ビコの口からは安堵の息が
漏れた。

「あそこだ」

 背後で声が起こった。兵隊達の聞きなれた声ではない。黒装束の襲撃者達だ。慌てて閉めたドアが弾丸で
激しく殴打される。恐ろしさに身をすくませたビコはホステス達を顔を見合わせようやく我に返った。気恥ずかしさ
からビコは乱暴にホステスを押しのける。そのままビコは奥にある、事務所へ通じる階段へ向かった。
 階段で上からやってきた若い兵とすれ違った。わけも分からないといった風の彼にビコは、死守しろ、と
凄んでバックヤードに送り出す。階段を上っているとホステス達の悲鳴が響き、次いで自動小銃の射撃音が
轟いた。だが、明らかに音色の異なる短機関銃の発射音を最後に沈黙する。圧し掛かる静寂に、役立たず、
と心の中で毒づきながらビコは事務所の戸を開いた。

316名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 13:20:20 ID:b38d5g1k0
5-3/6

「ボス、下で何があったんですか」
「黙ってここを死守しろ」

 急いで事務所の鍵を閉めていると、待機していたらしい兵達が心配そうな顔でたずねてきた。ビコは顔を
赤くして死守を命じる。
 とにかく時間を稼ぐんだ。時間を稼いで、他のビルから増援を呼んで、挟み撃ちだ。
 焦りに駆られながら手近な電話を引っつかむとビコは別のビルの事務所の番号を押した。

「ボスですか。とつぜん爆発が起きて、火の手が上がって、こっちはひどい有様です。さっきから銃声が
 してますけど、ボス、大丈夫ですか」
「こっちも攻撃を受けている、とにかくこっちに――」

 電話に向かって怒鳴り散らしていると、背後から爆発音が轟いた。振り向いたビコの顔に熱風と細かい
ドアの破片が降り注ぐ。
 ドアを爆破しやがった。
 濛々と立ち込める煙の向こうで連続して閃光が走る。腹部に衝撃が走り、ビコは電話を放り出して床に
転げ落ちた。
 撃たれた。喉の奥に血の味が混じり、あまりの激痛に意識が明滅する。
 霞むビコの視界が室内に侵入する黒装束の人間を捕らえた。2人1組で互いの死角を補いながら室内を
制圧していく様はダンスでもしているかのように滑らかだ。
 そのうちの一人がビコの顔を覗いた。ビコの顔を見つめるその瞳は、小型の双眼鏡のような、冷たい
カメラのレンズだった。恐らく熱源感知スコープだろう。道理で煙幕の中でも攻撃ができるわけだ。
 黒装束の人間が銃をこちらに向ける。ビコは重い両腕を上げて降伏を示した。

「助けてくれ、頼む」
「貴様がスティーブ・ビコか」

 ビコの嘆願を黒装束の男の声が遮った。その問いにビコは2度、3度繰り返して頷く。死にたくない一心で、
相手の情に働きかけるように、何度も何度も。
 
「そうか」

 返ってきた言葉はあまりにも平滑だった。その冷たさにビコは処刑台の床が開いたような浮遊感を感じた。
 続けて響く3点射撃。その何処までも乾いた音が"アンク"幹部スティーブ・ビコの認識した最後の音だった。

317名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 13:20:41 ID:b38d5g1k0
5-4/6

 サーマルスコープを押し上げ、ゲオルグは瞳を外界に晒した。視界が熱の有無という白黒の世界から
色彩を取り戻した。
 胸を撃たれ白目を向いて倒れる哀れな男スティーブ・ビコを無感情に見下ろしながらゲオルグは無線に
報告を入れた。ノイズ交じりのイヤホンから"子供達"最高指揮官ニークの声が返ってくる。

「黄色より白へ、目標排除完了」
「こちら白、了解した。赤からの報告があった。敵勢力がそちらのビルに移動中だ、注意しろ」
「こちら黄色、了解」

 黄色は自分達の班の符号、白は本部の符号、そして赤が監視班の符号だ。監視班は今もこの通りの
何処かから、静かにこちらの様子を伺っているのだろうか。
 返答を終えると、ゲオルグは窓にそっと近づき、外の様子を伺った。ロケット砲を打ち込まれ立ち上った
炎に照らされながら、別のビルから銃を持った集団がこちらに向かってくる様が確認できた。

「ポープは窓から狙撃し、敵勢力集中を阻害しろ」
「アイアイサー」
「ミシェルはチューダー、ウラジミールと出入り口の確保だ」
「りょーかいっ」
「アレックスは俺と来い」
「うん、分かった」

 矢継ぎ早にゲオルグは部下に指示を飛ばす。ポープが窓辺につき、ミシェルが部下と共に出入り口に
張り付いたことを確認すると、ゲオルグはアレックスと共にビコの死体の傍らでしゃがみこんだ。

「アレックス、クーラーボックスを下ろせ」
「うん、でもどうするのさ兄サン」
「どうって――」

 背負っていたクーラーボックスを下ろしながらアレックスが訊ねた。意外そうにアレックスを見つめ返した
ゲオルグは、肩に装備したナイフに手を伸ばしながら、さも当たり前のように答えた。

「挙げるんだよ、首を」

318名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 13:21:03 ID:b38d5g1k0
5-5/6

 横倒しにたビコの首筋にゲオルグはナイフを突き立てた。骨と動脈の間を意識して、ゲオルグはその刃を
刺し込んでいく。適当なところでゲオルグはてこの原理を利用するように刃を持ち上げ、頚動脈を裂いた。
切断された頚動脈から溢れた血がゲオルグの手袋と床を汚していく。

「うえぇ」

 血に触られないように2歩3歩と後ろに下がったアレックスが呻いた。そんな彼を無視してゲオルグは
ナイフの刃を逆側の首筋に突き立てる。同じ要領で頚動脈、そして気管を切断していく。

「でも兄サン、生首なんかどうするのさ」
「さあな、大方封筒代わりにでもするんじゃないか」

 口の中にメモを押し込んで、クール便で送りつける。よくある話だ。ゲオルグには興味の無い話だった。
だから要らぬことは考えず、ただただ事務的にゲオルグは首を捌く。
 骨だけになったところで、ゲオルグはビコの首を一気にひねった。ゴキリ、と小気味いい音と共に頚椎の
間接が外される。後はこびり付いた肉を断ち切って、終了だった。
 あっけなく分離された生首を持ち上げると同時にゲオルグの耳が銃声の中から聞きなれない音を捉えた。
だんだん大きくなる、抑揚のついた甲高い電子音。パトカーのサイレンだ。
 あとはまかせた、とゲオルグは生首をアレックスに投げ渡す。慌てるアレックスを無視し、ゲオルグは
イヤホンを押さえながら立ち上がった。本部から丁度連絡が入る。

「白より黄色へ、赤から報告だ。東から自警団車両接近。警ら車両2、装甲輸送車両2だ」
「こちら黄色、了解」

 ここまでは予定通りだ。落ち着き払ったゲオルグは時計を確認しながら窓辺に向かう。8分。治安部隊
付きにしてはやや早いか。先日の襲撃で即応体制に入っていたか。取り留めの無いことを考えながら
ゲオルグは窓から外を伺った。
 通りを封鎖するようにパトカーが停車し、その背後に輸送車両が停車する。警ら車両の一般自警団員の
援護の下、輸送車両が治安部隊を吐き出した。ライオットシールドと機関拳銃を構えた隊員の背後に短
機関銃を構えた隊員が続く。全員がセラミックプレートで増強されたボディーアーマーに身を包み、頭には
フェイスカバーつきのヘルメットを装備していた。横隊となって道を占拠する様はさながら現代の重装歩兵だ。
ゲオルグ達の銃ではその装甲を貫くことはできないだろう。自警団とマフィアとの間の絶望的なまでの鉄量
の差がそこには存在していた。
 道路を閉鎖した彼らはたった今からこの騒乱の鎮圧にかかるだろう。小銃を持った"アンク"の兵隊達は
一人残らず逮捕されるか射殺され、破壊された事務所からは"アンク"に不利な資料がついでに押収される
はずだ。巻き添えを受ける前にさっさと脱出しなくては。
 アレックス、とゲオルグは大声で叫ぶ。呼ばれたアレックスはクーラーボックスを背負うと親指を突きたてて
返事をした。オーケイ、と。

「黄色より白へ、目標確保完了、これより脱出を開始する」

 インカムに向かって報告すると、ゲオルグはポープ、アレックスと共に入り口に向かった。

319名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 13:21:24 ID:b38d5g1k0
5-6/6

 入り口は激しい銃撃を受けており、ミシェルが壁に張り付いて様子を伺っていた。ゲオルグは躊躇せずに
胸から閃光弾をもぎ取ると、通路に向かって放り込んだ。閃光と轟音に銃撃がピタリと止む。

「行くぞ」

 大声で前進の命令を下しながら、ゲオルグは先頭に立って通路に飛び出した。ひるんでいる敵に的確な
射撃を浴びせると、通路の奥にある非常階段に向かう。

「クリア」

 非常階段に敵影無し。早々にクリアリングを終えると、スチール製の階段を急いで駆け下りた。降りた先の
裏路地は暗い。上面にわずかに覗く夕空の薄明かりを頼りに人1人がやっとの幅の裏路地をゲオルグ達は
走った。
 ほどなく灰色の壁に突き当たった。狭い丁字路で、左からはサイレンの音が聞こえる。ブリーフィングで
聞いていた地図を思い出す。右だ。駆ける抜けると街路灯の明かりが差し込み、急に視界が開けた。
 通りに出るとゲオルグはすぐさま左右を確認した。ゲオルグ達が飛び出た通りは黄色と黒のストライプの
衝立で三面を目隠された工事現場といったようなところだった。正面のマンホールの蓋が開いており、脇に
作業つなぎに安全ヘルメットを被った男が立っている。男の細い狐目とアジア風の彫りの浅い顔には見覚えが
あった。別班の國哲だ。

「急いで、向こうでダニエル兄さんが自警団と押し問答してる」
「分かった」

 話しかけてきた國哲はゲオルグ達にマンホールに入るように急かした。この地下へと続く竪穴こそ、
ブリーフィングで指示された脱出地点だった。工事を装い別班のダニエル達が確保していたのだ。
 念のためにゲオルグはマンホールの脇で銃を構え、部下が脱出するまで周囲を警戒した。マンホールに
飛び込むアレックス達は、その合図にゲオルグの肩をたたいていく。テンポ良く1回、2回、3回、4回、5回。
全員だ。
 國哲に目礼するとゲオルグも続いてマンホールに飛び込んだ。

320ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/03(土) 13:25:02 ID:b38d5g1k0
規制だわ、コテを忘れるわで、
今日はどうもついてないです。

ともあれ、お待たせいたしました。"子供達"大暴れです。
閉鎖都市でちょっと大きな騒ぎをおこしちゃったけど、
フルアーマー自警団ならたやすく片付けてくれるでしょう。

どうも皆さん感想ありがとうございます。
当キャラクターを端役でも使っていただけたなら、
私は泣いて喜ぶでしょう。

保管庫の人、まとめの人、そして何よりスレの皆様に五体倒置を敢行、です。

321名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 18:52:07 ID:gHfUiWUQ0
いてくる!

322名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 19:12:10 ID:gHfUiWUQ0
いってきた!
しかし今度の規制もひどそうねー

323ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/03(土) 20:30:10 ID:xwXyNBI60
>>322
ありがとー

いまさらだけど、猟奇注意とかいっておいたほうがよかったかしらん

324名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 20:33:11 ID:gHfUiWUQ0
俺は嫌々ながらもキライじゃないのだけどw
ゴミ箱さんは描写が丁寧な分、生々しさが(良い意味で

325『或る朝の風景』 ◆GudqKUm.ok:2010/04/03(土) 23:56:49 ID:oveeU1C.O
代行願います。少し陰惨注意。

326名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 23:57:30 ID:oveeU1C.O

「…パパ、どこへ行くの? もうお店開ける時間?」

「いいから、早く着替えるんだ!!」

眠たげな瞳で自分を見上げるまだ幼い娘を急かしながら、マグレブは泣き疲れた妻の肩を抱いた。まだ薄暗い寝室に差す弱々しい朝日が、憔悴しきったマグレブの髭顔にさらに幽霊じみた彩りを与える。

「…ねえマグレブ、やっぱり逃げらっこなんかないわ。今からでもなんとかクモハに頼めば…」

「もう遅いんだ。『ロッベナイランド』の有り様を見ただろう? 俺たちが…馬鹿だったんだ…」

いつもと何も変わらぬ朝。この十数年、マグレブと妻はこうして暗いうちに起床し、階下の小さなコーヒースタンドで夫婦揃って仕事に汗を流してきた。
表向きは堅実で、なにも変わり映えのない毎日。先日、店の持ち主であったメルクリン老人が『不運な事故』で亡くなり、彼の老いた未亡人から、長年の夢であった店の所有権を破格値で買い取るまで…
それまでマグレブの暮らしは、ずっと『王朝』に守られてきた。クモハや光、國哲。まだ所帯を持つ前、皿洗いの青二才だった頃の悪友たちはコーヒースタンドの常連で、先代店主のメルクリン老人も『王朝』への友情の証を欠かした事はなかった。

327名無しさん@避難中:2010/04/03(土) 23:58:42 ID:oveeU1C.O
カーニバルの日、聖ニコライ孤児院に届ける山盛りのサンドイッチにレモネード…そう、マグレブは確かにかつて『子供たち』の兄弟だったのだ…

「…ビコは…死んだのかしら…」

スカーフを目深に被り、娘の身仕度を手伝う妻がポツリと呟く。あの凄惨な制圧戦で彼が生き延びている筈がない。『アンク』は壊滅し…そしてスティーブ・ビコは死んだ。

「…ねえパパ、今日はピアノの先生がみえる日よ? お出掛けするんなら先生に知らせなきゃ…」

娘の才能を惜しみつつ、高嶺の花と諦めていたピアノ。ふらりと来店し、むっつりとコーヒーを啜っていたビコに少し愚痴を漏らしただけで、次の日中古のピアノと若い音楽教師がマグレブのもとに現れた。
しばらくの間、階上から響くたどたどしい旋律にクモハは不審な瞳を上げたが、そのうちすぐ古い仲間たちの質問は止んだ。マグレブが『友情の証』を婉曲に拒み始め、クモハたちは朝のコーヒーを飲みに来なくなったからだ。
長年の付き合いを邪険に絶った店子の行動を、店の所有者であるメルクリン老人は厳しく咎めたのは当然だろう。マグレブ夫婦の解雇すらほのめかした老人は『アンク』への嫌悪まで、露骨に口にしたものだ。

328名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 00:00:04 ID:NQDgdIz2O
そして、『賎しい浮浪児』どもが来なくなった祝いを是非したい、とビコがマグレブ夫妻に持ちかけたとき、大恩あるメルクリン老人の顔は、マグレブにはもう厄介な『王朝』の回し者としか映らなくなっていた。

『…君が薄汚れた孤児を追い出したのは店の為だろう? 耄碌すると…人間は扱いにくくなる。店の権利の件も含めて、メルクリンさんには俺が…話してやるよ…』

下町に不動産を沢山持っているメルクリンが、そろそろ長年仕えてきた自分たち夫婦に店を譲るのは当然のことだ。そんなマグレブの憤慨にどす黒く笑って答え、配下を伴って店を出たビコ。
その笑みの意味を鼻歌でごまかしながら、マグレブは古ぼけたカウンターを懸命に磨き続けた。そして、メルクリン老人が階段で足を滑らせ、不可解な転落死を遂げたのは、それからすぐの事だった…

「…一体、どこへ逃げるの? この街には逃げ場所なんてないのに…」

妻の言う通り、『王朝』の情報力の前には安全な場所などどこにも無い。『子供たち』の友であったメルクリンの死の真相。マグレブの忘恩。全ては彼らに筒抜けであり、この閉ざされた街には脱出の道は存在しない。ここは『閉鎖都市』なのだから。

329名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 00:01:36 ID:NQDgdIz2O
「…あ、クモハの足音…久しぶりだね!!」

突然、娘の鋭い聴覚が、階下に恐ろしい来訪者の接近を聴きとった。ひしと抱き合う妻と娘を残し、マグレブは震える脚で部屋を後にした。
もし、噂に過ぎぬ告死天使が舞い降り、自分たち家族をこの陰鬱な都市から飛び立たせてくれたら…そんな夢想を嘲笑うように、店舗へと続く階段がギシギシと鳴る。
清潔に片付いた店の扉を開けると、コートのポケットに手を入れたクモハが薄明の通りを背に立っていた。

「…やあ、マグレブ。」

『アンク』と共に清算されるマグレブの運命は、クモハの悲しげな瞳にしっかり刻まれている。寡黙にクモハを招き入れたマグレブの手は、気付かぬ間に習慣通りコーヒーを淹れ始めていた。

「…クモハ、女房と娘だけは、助けて貰えないか…」

目を伏せていつもの席に座ったクモハは、肩を震わせて長い間黙り込んでいたが、やがてコーヒーの薫りが狭い店に立ち込めてくると、絞り出すような声で、短く友であったマグレブに告げた。

「…それが出来れば…光も國哲も一緒に来たんだよ。マグレブ…」


おわり

330名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 00:04:37 ID:NQDgdIz2O
以上です。@閉鎖都市でした。それから、流行ってるみたいなのでゴミ箱様に五体投地!!

331名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 07:22:09 ID:IduK/zz60
おまたせ!

332名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 07:38:02 ID:IduK/zz60
おわり!
しかし相変わらずの速筆ですなー

333名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 10:06:27 ID:9.Gpdee60
投下乙です。

裏社会の陰惨さが伝わってきて実に感動です。

キャラクターの名前に細やかな気配りが見えて
私、超歓喜。

これはもう五点接地するしかない。

334名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 10:19:27 ID:IduK/zz60
じゃあ俺三点倒立してくるは

333も代行したほうがいいかな?

335名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 10:58:23 ID:9.Gpdee60
>>334
代行お願いできると助かります。

そして対抗の三々九度だ

336名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 11:03:14 ID:IduK/zz60
くそっ、俺にはもう続ける語彙がない!
ということで代行終了!

337名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 11:26:48 ID:9.Gpdee60
>>336
さんきゅー

338名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 11:30:30 ID:IduK/zz60
ま、また上手いこと言いやがって!
チクショウ!

339名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 12:30:06 ID:GWkJavzE0
ゴミ箱の中の子供達
『或る朝の風景』

乙です!
首ィッ!! 首があああ!
いいなあ、このようなゾクリとする文章を書いてみたいです。

『或る朝の風景』はもうなんか悲しいな……一家はもう……

340名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 12:37:35 ID:IduK/zz60
明記されてなかったけど代行してきた!

341名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 12:38:34 ID:GWkJavzE0
わざわざすまないねぇ

ゴホ、ゴホッ……

342名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 21:33:24 ID:NQDgdIz2O
代行お願いします↓

来ましたなエリカ様w
是非とも温泉界に迎えたいキャラwww

以上です

343名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 23:18:00 ID:IduK/zz60
いってきまる!

344名無しさん@避難中:2010/04/04(日) 23:21:56 ID:IduK/zz60
おわった!
そしておやすみまさい!

345名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 11:12:45 ID:2DlpfMRc0
エリカ様は一般的な羞恥心をお持ちでいらっしゃるのですね!?
これは剥ぎたくなるというものですな!

346名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 15:49:42 ID:goR25O0s0
次なるイベントは『剥ぎ』・・・

347名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 19:24:43 ID:NpQCa/vc0
なんだろう、とりあえずしばらくは避難所メインでいいのかしら。

>>346
また天野くん大活躍か!

348名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 19:36:07 ID:f/KgMwhM0
すまん、このレスとまとめレスを代行してくれると助かる…



くそう、戦闘に油断してたら脱げやがったwww
なんという絶対衝撃エリカ様www

しかし従者たん、君は一体何者なんだ。

349名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 19:36:38 ID:f/KgMwhM0
※現在このスレでは4つのシェアードワールドが展開されています。
 この世界、俺が盛り上げてやろうじゃん!てな方はお気軽にご参加を!

○各世界観や過去作品はこちら → 創作発表板@wiki内まとめ
 http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/286.html

○規制時にしたいレスがあれば → みんなで世界を創るスレin避難所
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1265978742/

○今週の更新
・閉鎖都市
 >>376-381 ゴミ箱の中の子供達 第5話
 >>386-389 或る朝の風景
・異形世界
 >>364-370 白狐と青年 第10話
 >>394-396 異形純情浪漫譚ハイカラみっくす! 第3話「人と魔≒棒と傘」

350名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 19:36:56 ID:f/KgMwhM0
以上、お暇なときでよくてよ!

351名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 19:40:38 ID:f/KgMwhM0
>>346
忍者となんか結びつけられたら面白いかもしれんねw
温泉界第二イベント的な?

352名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 20:26:04 ID:NpQCa/vc0
ほいほい、感想っぽいの代行してくる
雑談はこっちで続ければいいよね

353名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 20:30:13 ID:NpQCa/vc0
いってきたー
本スレ俺ばっかりだw

354名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 20:53:54 ID:u4BiC/5IO
『ハイカラみっくす!』、そして今週のまとめ乙です! そして代行さんも…
次のイベントは是非クズハやエリカ様も巻き込みたいところw

355名無しさん@避難中:2010/04/05(月) 21:39:26 ID:f/KgMwhM0
代理投下感謝!
次イベントも期待www

356名無しさん@避難中:2010/04/13(火) 17:08:02 ID:EkMt3CMA0
湯乃香ちゃんのイラスト化キボン

357名無しさん@避難中:2010/04/13(火) 20:48:07 ID:h2IX8wTkO
久しぶりの本スレ雑談に参加しようとしたら規制だったよ!!
そんで書き込もうとした内容が↑とほぼ同じだったよ!!

358名無しさん@避難中:2010/04/13(火) 20:54:54 ID:mrNN4hmM0
よろしい。ならば代理レスだ

359 ◆GudqKUm.ok:2010/04/13(火) 22:33:42 ID:h2IX8wTkO
代理レス感謝です!

温泉界は衣服が通貨→冥土の葬頭河婆は地獄で亡者の衣服を剥ぎ取る

→湯乃香は地獄界の縁者?→大昔、地獄界を追放された葬頭河婆さんが子孫である湯乃香にとり憑き(ロリババア化!)大事件に…

なんて前に構想したなあ…御参考までに。

360名無しさん@避難中:2010/04/14(水) 00:24:35 ID:28YNbcYg0
温泉界がどのあたりの位置づけになるかは書こうと思ってた。
・死んだ人間と生きた人間の共存
・昼夜両方の能力が使える(チェンジリング)

やっぱあれかな、死後の世界と同時標?

361名無しさん@避難中:2010/04/14(水) 02:28:57 ID:9kOujEA2O
それだと千と千尋の湯屋みたいだな

362名無しさん@避難中:2010/04/14(水) 15:15:17 ID:88mpWuJQ0
だな

363名無しさん@避難中:2010/04/14(水) 21:21:33 ID:qJXRZX/UO
節子、それスレスト違うw

…なんというか規制中、代理を頼みにくいネタとか突っ込みレスってあるよねw

364名無しさん@避難中:2010/04/15(木) 23:18:48 ID:P0vvq23.O
本スレ>>444
投下乙!! なんか凄惨な『恋』の行方はwww

あ、↑代理お願いします!!

365名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 00:20:16 ID:tK7f0c720
行ってまいりました!

366名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 12:00:58 ID:.y7zVnZs0
投下しようと思ってるけど規制とかで今ひとつ踏ん切りがつかなくて躊躇してるって人はどれくらいいるんだろう
因みに自分はその口なんだが

367名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 21:06:43 ID:igSYPvaYO
>>366
俺はSS初投下のとき、あらゆるポカとタブーを全部犯した。でもそのときの励ましと忠告は、かれこれ百編あちこちへ投下してきた原動力だなw

368名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 21:54:48 ID:G1GhaumoO
タブーとか後学の為に詳しく聞きたいな
何も知らないので

369名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 21:59:33 ID:.y7zVnZs0
そうか…まずはやってみなくちゃわからんよね
飯食べたらぼちぼち投下してみようかな。本スレは規制されてるから無理だけど。

370名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 22:34:35 ID:igSYPvaYO
1.書きながら投下
当然誤字、脱字、ストーリーは破綻
2.猛烈な書き手語り、誘い受け、卑下
『本来このキャラは云々…』『このあとどんな展開が御希望でしょうか?』『カス文章すいません…』
3.ぶつ切り
これは1みたいな書き方じゃ当然。腹も減るし


こりゃ酷いw

371名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 22:40:07 ID:sZ6A4sCg0
>本来このキャラは云々…

俺もやったことがあることを思い出して猛烈におしっこしたくなった

372名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 22:41:41 ID:sZ6A4sCg0
書き忘れた

>>369
代理はおまかせよ!

373名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:04:13 ID:.y7zVnZs0
飯くってきた!
異形世界だけど投下いいかな?ちょっとおかしい点があるかもわからないけど

374名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:06:26 ID:tK7f0c720
>>370
勉強になるな。なまじ読者と書き手が近いだけに気をつけんとなあ

375名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:07:55 ID:tK7f0c720
>>373
代理は任せろー(バリバリ

376タイトル「正義の定義〜英雄/十二使徒〜」:2010/04/16(金) 23:16:19 ID:.y7zVnZs0
遅れましたが投下いくよー

魑魅魍魎が跋扈するこの日本…未知の驚異に晒されながらも、人々は何とか今日も生きている…。
英雄などは存在しない。そこにあるのは壮絶な現実である。英雄などは幻想の中の存在である。

 しかし、その幻想を現実にしようとしている者達がいた…

 これは…正義を知らない英雄達の物語である…


――――…


 「あーもー、この車もっとスピードでないの〜?もっとこーさー!」
 宵の刻。夜の闇が大地を支配する。そんな暗闇の中を一台の車が走る。
 「夜ですからね…燃費相性の悪い魔素だけで走っているのですから、当然ですわ」
 後部座席の右側。金髪でポニーテール。大きなリボンが良く目立つ少女はそう語る。そこはかとなく気品が感じられる…お嬢様と言ったところか。
 「だから、あまり無駄遣いはしないように!」
 「わーってる」
 前部座席に座る二人。運転している方はチリチリ頭の天然パーマの男。右の座席はサイドテールで右にその艶やかな黒髪をまとめたおっとりとした少女が座っていた。
 「ホントにわかっていますの?」
 「……二人とも、静かにして欲しいのですが」
 後部左座席の少年が呟く。とまぁ、若い男女が4人…他愛もない会話が車内で交わされ、年相応の若者達といった仲睦まじい光景ではないか。
 しかしながらここは日本。絶対的な平和など保証されていない…無法地帯。今宵も良い月が出ているのだ、こんな日には特別豪華な夕飯を頂きたいものである。夕飯には少し遅すぎる気がしないでもないが…

 異形達が肉を求め、疼きだす。

 「…青島先輩、あれ…」
 一人の少年が車両前方に見える何かに気がつく。こんな夜中に人影…なんて事はある訳が無かった。

 「ほぇー、敵さんですかい?」
 「えぇ!?なんだよ早く帰りたいってのに…」
 車は徐々に速度を落とし、人影の正体が肉眼でわかるかわからないか…といった距離のところで停止した。

 「獣型って所だべ?」
 「上位種かもしれませんし、気を抜かないに越したことはありませんわ」

 オ…オオー…

 「ん…一匹じゃなかったのか?」
 まるで車が止まるのを確認したかのように暗闇からぞろぞろと現れる異形達。数分も経たずに男女4人を取り囲んだ。闇に紛れるは魔の物の得意分野。やっぱり怪物っていうのは、夜の闇が好きなものなのだろうか?陳腐な一般論であるが。

 「あちゃー、囲まれちゃったねぇ〜」
 「青島ちゃんのせいだわよーこれは」
 「何で俺の…」
 「何無駄口叩いていますの?いきますわよ!」
 「……さて、と」

 男女4人ははそれぞれ黒くて四角い物体を取り出す。

 「システム『大裳』…展開!」

 一人の少年がそう叫び、四角い物体を手のひらに合わせる。と思ったら、頭上それを高く放り投げた。

 そうして最高点に到達した瞬間、発光。黒かった四角い物体が青白く輝き出し…

 辺り一面はその青白い光りに包まれた…

377正義の定義ry:2010/04/16(金) 23:18:22 ID:.y7zVnZs0
 「第十英雄、…裳杖 洋介(もうじょう ようすけ)」

 光が収束する。するとそこには夥しい数の武装に身を包み、機械的で大きな鎌を担ぐ先程の少年の姿があった。少年の名は裳杖 洋介。第十英雄と名乗っていたが、どういう意味かは分からない。

 「あなた達もさっさと作動させてくださいよ」
 「相変わらず厨二クール(笑)だねぇ洋介くんは〜」
 「うるさいですよ…」
 「じゃ、ぼちぼちいくとしますかァ」

 「システム…『白虎』…解凍開始…」ベーンベンベンベンヘ-゙ンヘ-゙ン
 「刮目なさい、私の『貴人』を!」
 「システムダウンロード…『青龍』…!!」

 他の三人も高虎と同様に四角い物体を放り投げる。

 「第十一英雄、白石 幸(しらいし ゆき)けん………………ざぁぁぁーん!」
 「第六英雄、北条院佐貴子(ほうじょういんさきこ)正義の名の下、悪を成敗します!」
 「第五英雄、青島竜太(あおしまりゅうた)…オレって、かっこいいぃ〜!」

 三人ともそれぞれ違った装備に身を包む。それは今の日本には不自然すぎる程の先進科学的な装備。かつて人々が夢見た近未来の科学を思わせるそのフォルムは人工物でありながら偶然的に芸術性を醸し出している。


 「さあ、英雄様の活躍…とくとその目に焼き付けるんだなァ!!」 


 異形に突っ込んで行く青島。それに他三人も続いていった…


――――


近代、日本政府は異型の出現を発端に縮小、無力化していった。今や見る影もないのは周知の事。そんな事態を科学省の人間の内何人かは読んでいたのか、早い段階で省内の有志を集い、早々と政府から独立した…そんな機関があった。国の再興を目的とする「再生機関」である。
 世の中は魔素研究に多くの学者達が流れ、魔素を取り入れない機械工学などは瞬く間に姿を消すこととなった…表向きでは。
 しかしそこはかつて技術大国であった意地である。再生機関は極力魔素を使わない機械工学を存命させるべく細々と研究と開発を進めていた。全ては目的のため。日本が再び技術大国になれる未来を信じて。


〜再生機関地下本拠地〜


 「おいィ…裳杖達はまだ帰ってこないのか…」
 目つきの悪い男が一人、ソファーを独り占め。そこには物という物がなく、ある物といえばソファーだけという、質素な部屋だった。
 「もしかしたら…何か良くないことにでも巻き込まれているんじゃないかしら…」
 「どーせ異形どもの相手だろーが…あー、誰かポックリ逝ってるかもな?」
 「炎堂君!いって良い事と悪い事があるでしょう!!」
 一人の女性が声を荒らげる。炎堂と呼ばれた男は苦笑いをし「悪かったって、冗談だよ、冗談」と本意ではない旨を伝えるが、彼女…冴島六槻(さえじまむつき)の機嫌は治らない。
 重い空気が流れる中、ガチャリと部屋の扉を開く音がする。

378正義の定義ry:2010/04/16(金) 23:19:44 ID:.y7zVnZs0

 「…ただいま帰還しました」
 「疲れたー。飯にすんべ〜」

 部屋に入ってきたのは、丁度話題に上がっていた裳杖達。仏頂面だった冴島の顔が緩む。
 「おかえりなさい。大丈夫?怪我はなかった?」
 「私達は子供じゃありませんわ」
 「本来ならお前ら学生だろーがガキ共…」
 「…やーれやれ、相変わらず炎堂さんってば、感じワリーや」
 炎堂虻芳(えんどうあぶよし)。感じの悪いおっさんらしい。偉そうに足を組んで高圧的な態度を見せる。少なくとも人が良さそうには見えない。
 「なんか言ったか青島ァ…」
 「ヒィ!?何でも無いです」
 …ヤクザも真っ青の睨みを利かせる炎堂。睨まれた青島の心境は専ら蛇に睨まれた蛙。
 「ん?虻芳だけに…蛇睨み?」
 「全然うまくねぇんだよぉぉぉぉッ!」
 「さ、サーセン!!」

 
――――

 再生機関…地下に本拠地を構えるこの組織。裳杖達が属す世直し的機関である。目的は国を復興する事。活動内容は主に異形の討伐と他自治体との連携構築。有志の勧誘である。一見、途方もない計画に思える…しかし再生機関には苦労して培った科学力がある。それが唯一の強みであり、頼みの綱だ。当時の日本の科学力を受け継ぎ、今も尚発展させているのはこの機関ぐらいのものだろうと思われる。現にこの国は既に旧時代の文明から離れ始めている。これも時代の流れか…。

 「さー飯だ飯だぁべよ〜」
 夕食…時間的には朝食か。食堂に一番乗りしたのは白石。機関と言っても人はそう沢山居る訳ではない。元々人手不足であり、今も常に人手が足りていない。時刻は午前4時。食堂に全く人がいないのも仕方ないことかな…
 「あら、白石さん。あなたもお食事?」
 同じくして北条院が食堂に訪れる。チャームポイントの大きなリボンは外し、髪を下ろしてるようだ。
 「裳杖ちゃんは?」
 「寝たようですわよ…まあ、お疲れになっていたようですから…」
 「貧弱だなぁ…」
 「白石さんは元気ですわねぇ…」
 「そんなことないよぉ〜?今にも死にそうだよ〜」
 その割には随分と元気である。その手にはいつの間にか大量のおかずを乗せたお皿が…


 「ところで、十二番目の話…白石さんは聞きました?」
 「ああー、何かそんな話してたねぇ…うまうま」
 おかずを口に運ぶ白石。食べながら喋るのは行儀がよろしくない。そんな彼女の横を「隣、よろしいかしら?」と、北条院が座る。小食なのか、白石のご飯と比べるとささやかな量が余計に目立つ。
 「十二番目の英雄…どんな方なのでしょう…?」

 英雄…現在、再生機関には11人の英雄が在籍している。もっとも、英雄とはそのままの意味ではなく『対異形戦闘英雄武装システム』の装着者の事を指す訳で。機関の技術のすべてを注ぎ込んだ兵器…科学者達は魔法にも負けないと自負しているようだ。
 炎堂を始めとした11人の英雄。その中には裳杖や白石達も含まれている。彼らは皆、当時の科学省の関係者やその子供という人間で構成されている。

 「でも、仲間が増えるんだから…楽しみな事には変りないべさ〜」
 「乱暴な方じゃない事を祈るばかりですわ…」

379正義のry:2010/04/16(金) 23:20:58 ID:.y7zVnZs0
 「ふぅ〜…いい湯だった…こんな時代でも暖かいお湯につかれるってのは、ありがたい事だよなぁ〜…」
 風呂上りの青島。どうやら彼は帰還して真っ先に風呂に入ったようだ。施設はオール電化。最近は魔素を電気に変換する事も可能になったようで、そうそう電気切れになることはない。
 「あ…青島くん…帰ってたんだ…」
 反対方向から歩いてくるおとなしめの雰囲気を放っている少年。
 「おおー辰興君、そっちも仕事終わったの?」
 名は陣 辰興(じん たつおき)。彼もまた英雄であり、第四英雄冠する。
 「仕事じゃなくて…、再生活動だよ。僕らは英雄なんだから…」
 「おーそうだった!俺達英雄だもんなぁ〜!」
 わざと照れくさそうに言い、自慢げに語る。そんな青島を陣は無表情で見つめていた。まるでマネキンのように、ピクリともせず。それは若干の不可解な悍ましさにも似た何かを感じさせた。青島が視線を陣に移した時にそれはすっかり消えていたが。
 「…ん?なんか俺の顔についてる?」
 「別に、何も…」
 
 「今回の件はどうだった?」
 「異形の討伐と…そのサンプルの採集だって…陰伊さんと…あと、武藤玄太も一緒だった…」
 「武藤って…あいつかよ…災難だったな…」
 「別に…」
 「はーん…」
 会話が弾まない。ほどなくして二人は何も話さなくなった。陣はあまり積極的に会話するタイプではない。それを青島は知っていた…だから無理に話を振ろうとはしないのだ。なんとも微妙な関係であった。

――――

 「…」
 自室に戻った裳杖は何をする訳でもなく、ベッドで横になっていた。まっさらな天井。ただただ閉鎖的で、冷たい空間。暖かい日の光は、ここには届かない。
 「寝るか…」
 瞳を閉じようとしたその時、ドンドンと部屋の扉を叩く音がやかましく裳杖の耳へと侵入する。次に聞こえてきたのは、うるさい中年の声。
 「おーい、裳杖ォ!おきてるかァ!!」
 「…全く」
 のそのそと立ち上がり、部屋の扉へと移動する裳杖。扉を開けると、そこにはむさいおっさんの顔…炎堂の顔が…
 「よお、悪いな寝るとこだったんだろ?」
 「…わかっているならもっと静かにしてくださいよ」
 「馬鹿か。起こそうとしてんのに静かにしてどうすんだ?あ?」
 「はぁ…」
 瞼を擦り、もう寝たいという雰囲気を醸し出すも炎堂は無視である。必死のアッピルも無駄か。
 「それで、何の用ですか…」
 「あー明日よ、いや今日か。十二番目のお披露目があるからよ。10時には起きろよ」
 「十二番目…ですか。炎堂さんは知っているんですか?十二番目の事」
 「さーな。大和局長聞いても教えてくんねーから…ま、楽しみにしておくんだな…」
 「…で、用はそれだけですか?」
 「そうだけどよ?」
 「もう寝ていいですか…?」

380名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:22:54 ID:.y7zVnZs0

 「えー、皆集まったかな…?」

 日が登り、時刻は丁度10時。予定通り十二番目の英雄を歓迎するべく、講堂へ集まった一同。そこで待っていたのは機関の最高責任者、大和局長であった。
 「集まったのはこれだけか…王鎖君と天草君は外用で居ないのはわかるが…武藤の奴はどうした?」
 「あー、大和局長。あいつなら…来やせんよ」
 そういって事を詳しく話す炎堂の報告を聞いて「またアイツは…」と呆れる大和局長。何でも「どうでもいい事で…俺を呼び出すな…」とのことらしい。どうやらこの武藤という男は極めて協調性の低い人物のようだ。コホン、と気を取り直し話を続ける大和局長。武藤と言う男が無断欠勤するのは珍しいことではないようで。
 「皆聞いていると思うが、とうとうずっと欠番だった十二番目の英雄が皆の仲間に加わることとなった!」
 英雄武装システムは全部合わせて十二セットしか作られていない。量産向きでない事はわかっていたが、そもそも量産できそうな施設・設備などあるはずもなく…現状ではこれだけ作るので精一杯だったようだ。と言うわけで今のところ定員は12…と言うことなのである。
 「十二番目かぁ…どんな人なんだろ…な、仲良くしてくれるかなっ…」
 この、おさげが似合う小柄な少女の名は陰伊 三(かげい みつ)。少し引っ込み思案なシャイガール。第八英雄を冠す。
 「友達になれるといいねぇ〜…」
 「う、うんっ」
 陰伊も白石も北条院も新たな仲間に胸膨らませる。そんな二人を微笑ましく見守る冴島。一方男性陣はと言うと…
 「なぁ裳杖。どんな奴が来ると思う?」
 「まともな人間であれば誰でも構いませんよ、俺は」
 「…どんな人間…なのかなぁ…?」
 三者三様のリアクション。炎堂はというと、至極どうでもいいといった様子だ。
 一通り個々の反応を楽しんだところでいよいよ十二番目の登場だと大和局長は張り切る。
 「ふふふ…では、官兵研究員、"あの子"を呼んで来てくれたまえ」
 「はは!」
 官兵研究員は講堂裏へと消えていく。つまり、十二番目は講堂のすぐ向こう側にいるということだ。張り詰める空気、緊張。そわそわしだす女性陣達。
 「用意できましたひひひ」
 「よし、では登場していただこうか!」
 満を持して、十二番目がその姿を現す。その全貌は…



 「ふぇ!はじめまして、HR-500、0さいです。だいじゅうにばんえいゆうです。きかいです。ようじょです。そのたいろいろとくてんもついてきます。ふぇ!ふぇぇ!」



 場の空気が凍った。

 「え…?ちょ…どっから突っ込めばいいかわからないんだけど!?」
 軽い沈黙を青島が破る。続いて食いついたのは北条院だった。
 「機械って何!?幼女って…色々特典って何ですの!?」
 「北条院ちゃん落ち着いて!」
 「えっと、しょかいとくてんはもうしゅうりょうしました!ふえぇぇぇ!」
 「…お前、ふえぇって言えば何でも幼女になると思ってないか…?」
 混乱渦巻く中、冷静な裳杖のツッコミ。尤も、突っ込みどころがずれていた。
 「この子はHR-500。機械…つまり、ロボットだ」
 「ロボット…?見た目殆ど人間じゃねぇか…」
 「我々の科学はついにここまで来たということだよ。この子は体こそ機械だが、人間と何ら変りない…我々はもはや神域に足を踏み入れたのだ!」
 その立派に伸びた長いヒゲを揺らし、得意げに語る大和局長。人間は神の子。神が無から人間を創り出したのであれば、人と何ら変わりないモノを0から創り出した人間は神に等しい存在となるのだろうか?その考えは少し傲慢すぎるか?ってそれどころじゃないよねっていう。
 「お、おどろいたなっ…機械だって、白石さんっ!」
 「オーバテクノロジーだべさ…」
 「まぁとにかくだ、これからこの子が諸君らの一員となる!仲良くしてやってくれ!」
 「なにいってんだこのヒゲ〜」
 「HR-500!局長になんてことを!」
 「ふぇ!ファッキンメガネ!ふぇ!ふぇ!」
 官兵研究員も手を焼いてるこのHR-500。果たしてこの先どうなるか…波乱の予感しかしない。

381名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:24:13 ID:.y7zVnZs0

 「…で、帰ってきたのも束の間早々に機関活動ですか」
 「ごめんね裳杖君…でもね、十二番目の子の演習も兼ねているのよ」
 どんよりとした曇り空。ロール状の層積雲が空を覆い尽くす下で、鋪装のされていない凸凹路をワゴン車が進む。車内には前二席、運転席に冴島。その隣に裳杖が座り、その後ろの三つの座席に例の十二番目『HR-500』を真ん中に挟むように陰伊と白石が座る。最後部席には陣が座っていた。他のメンバーはどうやらお留守番。
 「大丈夫よ、あの子にいきなり戦わせる訳じゃないみたいだし、他地域の自治体とコンタクトを取るだけだし…」
 「はぁ、だったらこんな大勢で来る必要無かったんじゃ…」
 「ホントは裳杖君と陣君だけで良かったんだけど…あの子たちが…」
 視線を後部座席の三人へと向ける。そこには…
 「ねぇー、君の名前は何にしましょうかぁー?」
 「ふぇ?わたしのなまえはHR-500ですよぅ」
 「そ、それじゃあなんか呼びにくいし…もっとちゃんとした名前じゃないとあなたかわいそうだよっ…!」
 「ふえぇ」
 ツインテールの機械幼女と自分の妹ができたかのように夢中で話しかける白石と陰伊の姿があった。なるほど、そういう訳かと納得した裳杖。心なしか冴島も参加したそうにしている。こういうコミュニティー形成は女性の方が積極的である。
 「好きですねぇ・・皆」
 「私あれくらいの娘が欲しかったのよねぇ〜…裳杖君は仲良くしないの?」
 「まぁ、これから仲良くしようとは思いますけど…機械なんですよね、あの子」
 「信じられないわよねぇ…ウチの研究員達もたいしたもんだわ。流石東鳩のマ○チに憧れていた世代…」
 「?…なんですかそれ」
 「oh…ジェネレーションギャップ…」

 数時間後、冴島が運転するワゴン車は、無事目的地へと到着した。


〜廃退都市/とある自治体拠点〜

 「それじゃ、私はお偉いさんとお話してくるから、皆はここで待っててね」
 今回の目的は周囲の自治体の連携強化の為の話し合い。あまり他と関わりを持たない自治体同士のパイプ役となることで機関との連携も取りやすくなる。消極的な地方組織をまとめるのに一役買っているという訳だ。
 「ふえぇ!しっかりにんをこなしたまえ」
 「うふふ…かわいいからお姉さん頑張っちゃうぞ☆」
 仮にも古参のメンバーが新入りに偉そうに遣われるのは少々複雑な気がしないでもない。でも、幼女だと許される、不思議!
 「じゃ、私達はこの子に機関活動教えないとだねぇー」
 「じゃあ、えっと…組織の勧誘でもしよっかっ…」
 「え○ばのしょうにんーふぇふぇ」
 そうして、白石と陰伊の二人は十二番目を連れて何処かへと行ってしまう。残ったのは裳杖と陣だけであった。
 「…やれやれ、困ったな…何をしよう」
 「……………」
 「……………」
 (何も話さないなら人の事を凝視しないで欲しい)
 裳杖は何も話さないのにじっと見つめてくる陣を気色悪いなと思いながら、どこか休める場所を探すことにした。

382名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:25:35 ID:.y7zVnZs0
 前世紀の幻。夢の跡。朽ち果てた建物が立ち並び、気配はすれど、人の影はなし。灰くさい焦げた匂いが辺りに蔓延している。かつては人々で溢れかえっていたであろう事を思わせる娯楽施設の数々が、余計に町の寂れを物語っていた。廃墟は不安を増長する。廃退した、今にも壊れそうな雰囲気が町全体に漂う。活気がないのは寂しいものだ。例の討伐から数年、復興を遂げた都市もあるようだが、やはりこういった手付かずの無法地帯は未だ数多く存在する。
白石達は町を徘徊していたが人に全く会うことが無い。その事からも町の崩壊の酷さが伺えた。
 「全然人が居ねーべさぁ」
 白石は溜息混じりにボソリと呟く。人が居なければ勧誘も何もない。
 「ふぇ!あやしいしゅうきょうかんゆうできないー」
 「再生機関は怪しい宗教団体じゃないよ?」
 「でもここまで人と会わないとぉー…逆に笑っちゃうよねぇ」
 とはいえ、する事など特に無いので町を徘徊する他無い。仕方なく歩いていると…突然十二番目の様子がおかしくなった。
 「ふえぇ…ふえぇぇ!!」
 「!?…どうしたの?」
 「こどものひめいがふえぇ!!ちかくのもりでふえぇぇぇ!!」
 「悲鳴!?」
 説明するより先に足が動く。どこかへと走り出してしまう十二番目を白石と陰伊が追う。十二番目はどんどん町の外れへと駆けて行く。青々とした木々が視界にちらつき始めたところで子供の悲鳴が聞こえ始める。事を理解した二人は目を合わせ、うんと頷くとより一層足を速めるのだった。急がなくては、危険にさらされている人がいる。


 「ふぇ!みつけた!」
 「!!」
 森の奥。悲鳴のした場所に駆けつけてみると少女が一人、4mはあるのではないかという二足歩行の狼型異形に今にも襲われそうになっている。考えるより間などなく、事は一刻を争った。白石と陰伊は懐から黒い箱…オープンデバイス(いわゆる武装展開に必要なアレ)を取り出す。
 「システム『白虎』…解凍開始!!」ヘ-゙ンベンベンベ-ンヘ-゙ン
 「英雄『大陰』…で、で出ますっ!!」

 放り投げたデバイスは発光し、二人の体を包む。光に気がついた狼の異形が振り向くとそこには…強固な武装に身を包んだ二人の英雄がいた。

 「そこまでだべさ!狼たん!」
 白石の主要武器である左手の鉤爪を異形に向ける。
 「第八英雄、陰伊 三…あなたに恨みはありませんが…倒させていただきます!!」
 陰伊は得物の双剣をちらつかせる。柄の上下から伸びる鋭い刃に異形が映る。
 「ぎゃおぉぉぉぉぉぉおお!!」
 二人に気づいた狼の異形は矛先を英雄二人に変える。武器を構える二人。互いに間合いを徐々に詰め…、睨み合いの末、先に飛び掛ったのは異形の方だった。巨体が宙を舞う。互いの得物を強く握り締め二人はそれを迎えうつ。
 「グアァ!!」
 ギィン!!
 「おっと、血気盛んだねぇ狼たん!!」
 狸の異形は黒光りする爪を振り下ろし、白石は鉤爪でそれを受けた。火花散り、傷ひとつ付かないその爪の頑丈さが少々厄介か。
 頃合を見て後方へと飛び退く白石。替るように異形に斬りかかる陰伊。瞬速の刃が敵を捉えた。
 「ギャオァァァァ!?」
 刃が異形の腕を斬り。少しの間を開けておびただしい量の黒く獣臭い血が異形の腕噴から出する。
 「グ…オガァァァッ!!!」
 だが異形は全く怯まない。尚も向かってくる。やむを得ないと白石は右腕のデバイスに手をかけた。
 「痛いだろうけど、恨みっこなしだべさ!!」
 『"バースト""クロウ"』
 何やらコードを入力する白石。機械音が鳴り、鉤爪に変化が現れる。刃先が震える。どうやら鉤爪は微振動を起こしているようだ。

383名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:26:36 ID:.y7zVnZs0

 "説明しよう!!英雄達は腕に装着されている入力デバイスを駆使して様々な攻撃法を用いる事ができるらしい。機械音前半部が効果、後半部が作用する対象を表している!ロマンあふれるギミックである!解説終わり。"

 痺れを切らした異形は負傷した腕とは逆の手で襲いかかった。早く重い一撃、白井に到達する寸前で陰伊の刃がそれを遮る。
 『"ガード""セイバー"』
 キイィン!
 「大丈夫!?幸ちゃん!?」
 「あんがと陰伊ちゃん!それじゃあ…いくよ!!!」
 振動する鉤爪を振り切り異形の懐へと飛び込む白石。異形が反応する間もなく爪撃を叩き込み、息つく暇もなく、白石は異形をこれでもかと蹴り飛ばした。
 「そりゃ!どうだ!おもいしったかぁー!」
 「…まだ倒れないの…?」
 白石の攻撃は確実に命中していた。その証に異形の胸には痛々しい爪の跡が残っている。皮膚は裂け、肉は抉れ、濁流のように血液が滴る。だが異形は膝を曲げようとはしない。白濁した唾液を口から吹きながらも懸命に二人を睨みつける。鬼気迫る異形の気迫に、少し後ずさってしまう二人。
 「どうして…?何があの異形をそこまで…」
 「なんかわからないけど…辛いよ…なんでだろ…倒さないといけないのにっ…!」
 陰伊は双剣を落としてしまいそうになるが「陰伊ちゃん!」と、白石の呼び声にはっと我を取り戻し剣を握り直す。そう、ここで逃がしてしまったらまた誰かに危害が及ぶかもしれない…尤も、ここまで負傷しているのであれば、そのうち勝手にくたばるかもしれないが…そんな極限状態の異形が何をするかわかったものではない。
 殺す以外の選択肢は…"二人の中には"なかった。

 「これで決めよう!」『"ゲール""クロウ"』
 「うん…」『"ブレイカー""ダブルセイバー"』
 「ガ…ガァァァァ…ッ!!」
 「また、来世で……、さようなら!!」
 風のように異形の前を過ぎ去る白石。若干の時差で無数の切り傷が異形の体中に刻みつけられる。
 「ごめんね…!!」
 金色に輝く刃が仁王立ちしている異形を斬りつける。踊るように一閃、くるりと回り二撃、最後は腰を入れた振り下ろしが異形を切り倒した。
 「があぁ…あ…ぁ…」


 ドシャ…

384名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:27:28 ID:.y7zVnZs0
 「あのね、いちごを摘みに来てたらね、いきなりがおぉって現れてね、怖かったよおおおっ!!」
 「よーしよし…怖かったねぇ…」
 「なんであの異形は…あんなに必死になって…?」
 何とか狼の異形を撃退した二人。襲われていた子供に事情を聞き、町へと帰るように注意した。
 「ありがとーお姉ちゃん達ー」
 町へと駆けて行く少女を見送りながらも、陰伊は何かに引っかかっていた。勿論、先程の異形の事である。何度斬りつけても退こうとしない異常なまでの意思。あの異形の様は普通では無かった。
 「ふぇ!いけいいっぴきとうばつふぇ!ほうこくふぇ!」
 「ほぇー、そういう情報をすぐ送れるのは便利だねぇ…ん?陰伊ちゃんどうしたの?」
 「あのね…なにか聞こえない…?」
 耳をすます。吹いてた風が徐々に収まり、木々のざわめく音が小さくなり…ふと聞こえてきたのは…動物の声?

 「こっちだよ!」
 「ああ、待ってよぉ〜」

 「これは…?」
 「ギャオー、ギャオー」
 「犬…?いやこれは…」
 「もしかして…」
 微かな声を頼りに辿り着いた場所にいたのは…子犬と見間違える程小さな…狼の異形だった。その小さな体からわかるようにまだ生まれたての子供といったところか。
 「ふぇ!さきほどのいけーのこどもですねこれはふぇ!」
 「やっぱり…そうなんだ…」
 陰伊はうすうす感づいていたのかもしれない。先の異形は何かを守っているような素振りを見せていた。その行動の理由がこれ…あの異形は、彼らの母親だったのだ。
 「あの子は子供たちを守るために…きっと、巣に近づいたから襲ってきたんだろうね…」
 「だろうねぇ…」
 「だったら…殺す必要なんて…無かったんじゃないかな…」
 「どうだろ…?」
 「…?」
 十二番目は話の内容がよく理解出来なかった。敵を倒して万々歳ではないかと思った。にもかかわらず二人は落ちた表情をしている。
 「お墓…作ってあげようか…」
 「まぁ…これくらいの気遣いは…」
 その時、微かに二人の後ろの茂みが揺れる。
 「ギャオオォォォォォォ!!」
 「!?」
 「危な…」


 バシュン!

385名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:28:41 ID:.y7zVnZs0
 「!?」
 一瞬であった。後ろの茂みから先程倒したはずの異形が襲いかかってきた…がしかし、それはコンマ一秒を待たずして討ち取られる。
 「……」
 「な…何…今の?」
 赤褐色の光線が異形の眉間を打ち抜く。今度こそ狼の異形は絶命した。何が起きたか、どういう事なのかあまりに急すぎて頭がついていかなかったが、光線の飛んできた方向に十二番目がいることは確かだった。
 「あなたが…やったの?」
 「ふえぇ…なんかてからかってに…」
 「…ふう…何はともあれ、無事でよかったべさ〜…」


 
 「こんなもんかなぁ〜…」
 狼の異形を土に埋め、申し訳程度に木の枝を挿す。簡易的なお墓だ。罪の意識はあるのだろう…二人は作ったお墓の前で手を合わせる。
 「…この子達、どうしようか…」
 「ふぇぇ…いけいはやっつけないと…おこられるう…」
 「でも…」

 「何をやっているんだ…全く」

 心底呆れたと言わんばかりの男の声。いつの間にか白石達の後ろに立っている白髪の少年…声の正体は裳杖だった。
 「ひゃあ!裳杖ちゃん驚かさないでよ〜…」
 「気づかない方が悪い…それより、その異形…早く殺さないんですか?」
 裳杖の言葉にぴくりと反応する陰伊。
 「この子達には…生まれたばかりのこの子達には、罪はないよっ…」
 「成長したら、いずれ人を襲い喰らうでしょう。そうなる前に殺しておいた方がいいんだ」
 「そうならないかもしれない…っ!」
 陰伊はぐっと拳を握り締める。先程の異形を倒してしまった罪の意識からか、それともよっぽどお人好しなのか…彼女から強い思いが感じられる。
 「…甘いよ」
 「えっ…?」
 「いいか、陰伊さん。俺達は何だ?英雄だろう?英雄とは多くを助けるものだ。一人でも多くの人々を救わなくちゃいけないんだ…あなたのやっていることは…危険を増長させる行為以外の何物でも無い!」
 「うっ…」
 「ふぇ…なんかけんかがはじまったんですけど」
 「ちょっと、言い過ぎ…じゃないかぁ〜?」
 「うるさい!外野は黙っていてくれ!…なぁ、正義って何かわかるか?誰かを守ることだ…だがそれは裏を返せば、誰かを守る為に相手を倒すって事だ…この意味がわかるか?」

 「何かを守るって事は、他の誰かを犠牲にするって事なんだよ!」

386名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:30:18 ID:.y7zVnZs0

 半ば強引に捲くし立てる裳杖。訪れる沈黙。静寂が場を支配する。
 重い空気の中、陰伊が口を開いた。

 「それでも私は…人間も…この子達も…どちらも守りたい!」
 「…はぁ、陰伊さん…そんなご都合主義が成り立つと思うか?今は良いかもしれない…でもいずれ絶対に破錠する。綺麗事ならいくらでも言える。あなたのその安っぽい正義のせいで誰かが死んだらどうする?守りきれなくちゃ意味が無いんだ…後悔する時が必ず来る」
 「もし…この子達が人を襲うようになったら私がこの子達を始末する…だから今は…裳杖君…!」
 本来、異形の見逃しなんてものは機関的に許されてはいない。言わば違法行為を見逃して欲しいと頼みこんでいるのだ。裳杖は基本、機関のルールは守る人間だ…しかし、陰伊のあまりの必死さに…頷かずにはいられなかった。
 「わかった…好きにしてくれ…俺はもう知らん…」
 「ありがと…ありがとう…裳杖君…」

 かくして、異形の子供たちはそのままにして陰伊達はその場から立ち去ることになった…

 「じゃあね…」
 「ピギャー!」






 …ようであった…が。






 「だめじゃないか…異形はみぃんな…殺さなくっちゃ…」





 「ピギャ?…ギャオー!!」
 「…あ、でも…この異形…殺したらあの子…悲しむかなぁ…?」
 「じゃあ…優しく…痛みも感じる間もなく…綺麗に殺してあげれば…大丈夫だ…はは…は…」
 「ピギャ…ッ!!」

387名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:32:21 ID:.y7zVnZs0

 「どうだったかな…?はじめての機関活動は?」
 「そとにでるのもきょうがはじめて!なにもかもがはじめてでたのしかった!ふぇ!」
 色々あったが、何とか無事事を終えれたようである。むしろこれくらい粗つなくこなせぬようでは困るのだが。
 「そいえば、名前…どしよっか〜?」
 「あ…そうだったね…」
 「ふぇ?ふえぇぇぇぇぇぇ!!」
 突然奇声を上げる十二番目何事かと彼女が指さす先を見てみると…
 「…太陽…」
 先程まで雲に覆われていた空が今は快晴、透き通るような青空が空一面に広がる。
 「晴れたんだ…」
 「ふえ。くうきがおいしいくなったきがする」
 「ん?空気…くうき…くう…空たん!!」
 「え?」
 なにか閃いた!…と言わなくとも白石の顔がそれを物語る。何を?それはもちろん…
 「名前!君の名前は空(くう)!空たん!」
 「わたしのなまえ…ふえぇ…」
 「えぇ、それはないとおもうなっ…」
 「…じゃあ陰伊ちゃんはなんだったらいいのさぁー」
 「えっと…ジャスティスクリムゾンスコイトビッチry」
 「長いよぉ」
 「…ひとついいですか?」
 「何?」

 「 ぶ っ ち ゃ け セ ン ス ひ ど す ぎ ワ ロ タ 」

 名前は『トエル』になったそうです。


 こうして新たな仲間が加わった我らが再生機関!!果たして国家復興を成し遂げることは出来るのか!未知なる敵とまだ見ぬ驚異!次の話は書かれるのか!?幼女とロボとか安直な組み合わせじゃないかというツッコミはエロ画像にまみれたHDDの中にでもぶち込んどけ!
なにはともあれ次回へ続くッ!!駄文御免ッ!!

388名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:35:23 ID:.y7zVnZs0
おまけ

陰伊「で、名前どっちがいいの?」
12「ええ…えっと…ふえぇ…」
白石「そのふえぇふえぇいうのやめなさいって言ってるでしょうッ!」
12「ふえぇぇぇぇっ!もうどうにでもしてエェェ…」
裳杖「何やってんだお前ら…」
陰伊「あ、裳杖くん」
白石「いやね、この子の名前を決めていたところだべさ」
裳杖「十二番目…12…Twelve…トゥエルブ…トエルブ…」
裳杖「トエルだな」
12(ホワイトストーンとおなじはっそうワロタ)
陰伊「絶対ロイヤルボヘミヤンジェットソンの方がいいと思うなっ」
12「なんかさっきとちがいますし」
白石「くーちゃんで良いべさ、呼びやすいし」
12「ふえ!よびやすさだけできめるとはあさはかなり!」
12「もうトエルでいいよ!いちばんましだし!ふぇ!」


と言うわけで投下終了です…自己反省する点多すぎですね…誤字脱字無かったかな?
駄文長文失礼いたしましたぁぁ

389名無しさん@避難中:2010/04/16(金) 23:53:01 ID:G1GhaumoO

>>370
あ、おれ、やばいかも……

以下、代理お願いします
異形っていけいなのか?
いぎょうだと思ってた

機械幼女とはまたあざといwwww
だがなぜか「ふぇ」が老人の「ふぇ、ふぇ、ふぇ……」
に聞こえうわなにをするやめ・・・

390名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 00:01:52 ID:v7nM5QdQ0
え、いきょうなの?ふ…ふえぇぇぇぇぇぇっっ!!

391名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 00:07:17 ID:v7nM5QdQ0
まあいけいといぎょうの間違いは幼女の勘違いということにしといてください…

392名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 00:10:38 ID:7Nr2D0r.0
あら、最後の最後にサルっちまったよ
誰かに任せつつ感想を書き書き

乙でした!
>>389
「ふぇ、ふぇ、ふぇ」でねるねるねるねのおばあさんが出て来てくそ吹いたww
俺はイギョウ派ですが、そこら辺は自由だと思うのですよ
12人の内まだ出て来ていない方達も居ますし続きをまっとります!

393名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 01:07:08 ID:7Nr2D0r.0
行ってまいりました
行が長いと出たのでいくつかは句点で行を改変させていただきました

394名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 08:09:19 ID:BFFG4txs0
投下、そして代行乙!
これまた賑やかなのが異形に入ってきたなw

ただ、あえて言わせてくれ
序盤からもう誰がどの台詞をしゃべっているのか分からず、
内容があまり把握できなかった。

理由は色々あると思うけど、長文書くのもあれなので(作者さんが希望するなら書くけど)
どうすれば読み手に舞台や人物、展開を伝えられるのか考えてみて欲しいな。



代行は不要、あえて避難所に書かせていただきました。
このまま手放しでは作者さんにとって残酷な気がしたので、すまん。

細けぇことはいいんだよ! ってなら俺が空気嫁てないということで。
腐そうって意図はないんだ、色んな意味で今後も期待してる!

395名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 10:52:57 ID:v7nM5QdQ0
>>394
いいんです…文才がないのは私の責任です…私が未熟だから、弱いから…
このスレはお返しします…

導入部だからパッとしない部分とかキャラの特徴も把握できないような形で
淡々と進んでしまったのは申し訳ないと思います。
それに人物が多いだけに伝えきれないこともたくさんありますしね。
わかりやすいよう今後心がけるつもりだけどそれでも酷いようだったら俺を追い出してもらっても構わないですよ。
迷惑をかけない範囲でやりたいので。

396名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 11:06:48 ID:BFFG4txs0
ひい、凹ませようと思って書いたんじゃないのは分かってね。
続き楽しみにしてるよ!

397名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 11:54:34 ID:usCWMtLMO
うーん…俺は微妙だな。引き込まれるもんもないしただだらだらと読みづらい文垂れ流されてもちょっと…流石に出て行けとは言わないけどさ…

398名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 12:20:54 ID:7CkXr5wo0
文才がないとか、そういうのは気にしなくていいと思うけどね。
始めのうちは文章が稚拙なのは当たり前のことだからね。
誰かのキャラクターを勝手に弄り回してポイ捨てしているわけでもなし、
ならば堂々と自分の道を突き進んで、ある程度上手くなったときに見返してやればいいと私は思うけどね。

異形世界であえて科学技術で勝負するとか良い発想だと思うよ。
続きを期待してるからね。

399名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:05:20 ID:usCWMtLMO
ま、その文章力で書き込もうって気になったその勇気は褒めるけどさ
次書き込むときは最低小説100冊は読み込んでから書き込めよその頃までシェアスレがあるかわからないけど

400名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:13:18 ID:7CkXr5wo0
6-0/7

今回は少々汚い話になります。
食事中の方は注意してください。

401名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:13:42 ID:7CkXr5wo0
6-1/7

 白磁のポットが傾けられ、注ぎ口から褐色の液体が流れ出す。ほんのりと湯気を立ち上らせながら
カップを満たしていくそれは、リンゴの爽やかな香りを辺りに広げていた。

「どうぞ召し上がれ」

 柔らかな笑みをたたえたイレアナがゲオルグの前にカップを滑らす。軽い謝辞を述べたゲオルグは
早速カップを持ち上げると姉が煎れたお茶に口をつけた。
 口腔を満たしていく紅茶にゲオルグが最初に気づいたのは溢れんばかりのリンゴの芳香だった。鼻
で嗅ぐよりも口の中に入れた方がその香りはより鮮烈に伝わってくるものなのだ。ゲオルグが息と共に
その余韻を楽しんでいると、ようやく舌が紅茶の味を感知する。ストレートで飲んでいるため大抵気に
なってしまう筈の紅茶独特の渋みは、添加されたリンゴフレーバーの柔らかな酸味に包まれてまったく
気にならない。リンゴと紅茶の2つの風味が見事に調和し、実に爽やかで優しい味を楽しませてくれる。
嚥下すると、喉を流れ落ちる熱と共に言葉にできない多幸感が湧き上がってきた。その恍惚にゲオルグ
はため息を漏らすと、ポツリと呟いた。

「美味い」

 ある休日、ゲオルグは姉イレアナとひょんなことで手に入れたアップルティーを楽しんでいた。廃民街
の奥、聖ニコライ孤児院の食堂で開かれたささやかなお茶会に他の参加者はいない。子供にとっては
渋みのあるお茶よりも甘くて美味しいジュースの方がいいのだ。ゲオルグがいつも通り持ってきたケーキ
を平らげた彼らは、紅茶など無視して思い思いの遊びに興じている。悲しくはあったが、仕方ない。だが
に耳を澄ませば前庭から子供達の笑い声が聞こえてくる。そのどこまでも楽しげな笑い声を聞いていると、
こちらまで楽しくなってしまう。やっぱり無理に大人の都合につき合わせるより、あのように楽しく騒いで
もらったほうがいいのだ。子供達の喚声に耳を傾けながらゲオルグはしみじみと思うのだった。

「本当に美味しいわね。でもアレックスより先に頂いてよかったのかしら」

 アップルティーに口をつけたイレアナはそう呟いて、少しだけ眉を曇らせた。姉の弟を慮る気持ちは
ゲオルグにもひしひしと伝わってくる。だがゲオルグはアップルティーを手に入れた経緯を思い出して
少し憂鬱になるのだった。

402名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:14:34 ID:7CkXr5wo0
間違えた。

403名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:15:40 ID:7CkXr5wo0
と思ったら規制中かよ

404名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:16:09 ID:7CkXr5wo0
6-2/7

 このアップルティーはいつもなじみのケーキ屋で貰った物だった。いつものように大量のケーキを前に
ゲオルグが会計を済ませていると、店員の女の子のうちの1人が見慣れぬ缶を持ち出したのだ。美味しい
アップルティーなんです、よろしければどうぞ、という店員はゲオルグの隣のアレックスに向けて紅茶缶を
突き出したのだ。謝辞の言葉を述べて軽く頭をかきながら紅茶缶を受け取るアレックス。一方でクレジット
カードを事務的に返されたゲオルグは己の威信に掛けて無表情を装った。全身全霊をかけて隠し通した
ゲオルグの心中は敗北感で一杯であった。
 なんでアレックスばかりがモテるんだ。歳は5つも違うのに、身長だって頭1つ分違うのに。
 ともあれアップルティーを手に入れたアレックスは孤児院の皆で飲むことを提案した。だが当のアレックス
が諸事情によって参加が遅れることとなり、当面の間、こうしてゲオルグとイレアナ2人だけの茶会となった
のである。

「構わんだろう。あいつが先に飲んでくれと言ったんだ。それに――」

 アップルティーの芳香を楽しみながらゲオルグはそっけなく返答する。その冷淡さの内にアレックス
に対する嫉妬の念があることはゲオルグ自身も理解していた。かつて起きたお洒落論争で完膚無き
にまで叩きのめされた恨みもあるかもしれない。
 恐らく今頃額に汗を浮かべて働いているであろうアレックスに対する優越感に、僅かに頬を緩めながら
ゲオルグは言葉を続けた。

「こういうのは、美味しい、の一言が一番なんだ。お預けをして我慢させてるとこっちも悲しくなる」

 自らもまた可愛い弟妹達のためにケーキを持ってきているがために思う言葉だった。たとえそこに
自分がいなくとも、笑顔を見せてくれたなら、それでいいのだ。
 そうね、と笑うイレアナに満足気に頷いたゲオルグはカップを傾けて、ほう、とため息をついた。リンゴ
の芳香はゲオルグの嫉妬すらも柔らかく弛緩させる。アレックスに張っていたつまらぬ意地もそろそろ
収めていいのかもしれない。

405名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:16:23 ID:7CkXr5wo0
6-3/7

 ゲオルグがアップルティーのリンゴの香りを楽しんでいるころ、アレックスは鼻につんと来るアンモニア
の悪臭と戦っていた。
 アレックスの手には四角いプラスチック製の桶が抱えられていた。底の浅い桶の中は異臭発生源
である黒いヘドロ状の物体で満たされている。トイレ砂がウサギの屎尿によって固められた物体だ。

「くせぇ」
「ソーネ」

 アレックスの言葉に打たれるそっけない相槌は、低く掠れた独特の声だ。ゲオルグ班の狙撃手ポープ
だった。アレックスに背を向けた彼はウサギの糞がこびり付いた金網をブラシでこすっている。
 事の発端はおよそ1時間程前。いつものようにゲオルグと共に両手にケーキをぶら下げて孤児院に
向かっていたアレックスは、角を曲がったところで見知った後姿を見かけたのだった。青いポロシャツ
とジーンズに包んだ2m近い巨体。筋骨逞しい肩に、黒い地肌をそのまま見せるスキンヘッド。ポープだ。

「オゥ、ビッグブラザァ ニ リトルブラザァ」

 後ろからのアレックスの呼びかけに大げさな身振りで、されど平滑な声色でポープは振り返る。どうした
のかと問いかけるアレックスにポープは大事そうに抱えていたキャリーケースを見せた。透明な樹脂製
の蓋の向こうに純白の毛並みをしたウサギがアレックス達を伺っている。

「コマネチヲ 他ノ姉妹ト 遊バセヨウト 思ッテネ」

 不安げに鼻を引くつかせていた白いウサギは、コマネチという己の名前に気づいたように耳をぴんと
張り立てた。
 孤児院では子供の情操教育をかねて、庭の片隅でウサギを飼っていた。合板の壁にトタン屋根と
粗末なつくりの小屋の中では、数羽のウサギが野菜くずなどを糧に暮らしている。
 ウサギ達の世話係は動物好きな者達により自然発生的に決められており、関心の薄いアレックスは
自分には無縁のことだと思っていた。だからこそ続けて放たれたポープの提案は虚を突かれる思いだった。

「一緒ニ ウサギ小屋ノ 掃除ヲ シヨウ、リトルブラザァ」

406名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:16:36 ID:7CkXr5wo0
6-3/7

 ゲオルグがアップルティーのリンゴの香りを楽しんでいるころ、アレックスは鼻につんと来るアンモニア
の悪臭と戦っていた。
 アレックスの手には四角いプラスチック製の桶が抱えられていた。底の浅い桶の中は異臭発生源
である黒いヘドロ状の物体で満たされている。トイレ砂がウサギの屎尿によって固められた物体だ。

「くせぇ」
「ソーネ」

 アレックスの言葉に打たれるそっけない相槌は、低く掠れた独特の声だ。ゲオルグ班の狙撃手ポープ
だった。アレックスに背を向けた彼はウサギの糞がこびり付いた金網をブラシでこすっている。
 事の発端はおよそ1時間程前。いつものようにゲオルグと共に両手にケーキをぶら下げて孤児院に
向かっていたアレックスは、角を曲がったところで見知った後姿を見かけたのだった。青いポロシャツ
とジーンズに包んだ2m近い巨体。筋骨逞しい肩に、黒い地肌をそのまま見せるスキンヘッド。ポープだ。

「オゥ、ビッグブラザァ ニ リトルブラザァ」

 後ろからのアレックスの呼びかけに大げさな身振りで、されど平滑な声色でポープは振り返る。どうした
のかと問いかけるアレックスにポープは大事そうに抱えていたキャリーケースを見せた。透明な樹脂製
の蓋の向こうに純白の毛並みをしたウサギがアレックス達を伺っている。

「コマネチヲ 他ノ姉妹ト 遊バセヨウト 思ッテネ」

 不安げに鼻を引くつかせていた白いウサギは、コマネチという己の名前に気づいたように耳をぴんと
張り立てた。
 孤児院では子供の情操教育をかねて、庭の片隅でウサギを飼っていた。合板の壁にトタン屋根と
粗末なつくりの小屋の中では、数羽のウサギが野菜くずなどを糧に暮らしている。
 ウサギ達の世話係は動物好きな者達により自然発生的に決められており、関心の薄いアレックスは
自分には無縁のことだと思っていた。だからこそ続けて放たれたポープの提案は虚を突かれる思いだった。

「一緒ニ ウサギ小屋ノ 掃除ヲ シヨウ、リトルブラザァ」

407名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:16:51 ID:7CkXr5wo0
6-4/7

「は?」
「コマネチ達ヲ 庭ニ 放シテイル間、ウサギ小屋ヲ 掃除スル。戻ッテキタ ウサギサンハ 小屋ガ 綺麗ニ
 ナッテイテ 大喜ビ」

 手を横に広げて、たいそう自慢げにポープは掃除の意義を説明した。だが、アレックスの戸惑いの元
の説明にはなっていなかった。

「いや、それは分かるけど何で俺なのさ。当番の奴がいるじゃん」

 当惑が自らに迫る不条理への憤りにようやく変化したアレックスは、その感情に任せるがままにポープ
に問うた。だが背伸びして詰問するアレックスにポープはまるで分かってないとでも言いたげに指を振った。

「ノン ノン。彼ラニハ 庭ニ 放シテイル間 コマネチ達ヲ 見テイル トイウ 重要ナ 任務ガ アリマス」
「ゲオルグ兄サンもいるじゃん」

 そういってアレックスは脇で話を眺めているゲオルグに話を振った。己の存在にようやく気づいた風な
彼は、俺は構わないぞ、とアレックスに同調する。しかしアレックスよりも奉仕活動に肯定的なゲオルグ
にポープはびしっと指を突き立てた。

「ノォッ。ビッグブラザァハ 働キスギデス。休日グライ ユックリ シテクダサイ」

 俺も休みなんだけど。ポツリと吐き出したアレックスの呟きは、そうか?、ソウデス、という兄達のやり取り
の中にかき消された。

「サア 一緒ニ ウサギサンノ タメニ ゴ奉仕シヨウ」

 そう言ってポープは逞しい腕をアレックスの肩に回す。がっちりと捕まえられたアレックスは、救いを
求めるようにゲオルグを横目で伺った。視線に気づいたゲオルグは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。

「まあ、がんばれ」

408名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 13:17:12 ID:7CkXr5wo0
6-5/7

 かくしてアレックスはポープと共にウサギ小屋の掃除に励むこととなったのだ。
 アレックス受け持ちの作業はウサギのトイレの中身をゴミ袋に流し込む作業だった。四角い桶上の
トイレはゴミ袋の口にすっぽりと収まる。傾ければ内容物を流し込むことができるかもしれない。案外
楽そうだと思ったアレックスは、推論通りにトイレを傾けてみる。果たして結果は表面に堆積している
ペレット状の糞こそ想像通りに流れたが、その下で固化した屎尿はまったく動かなかった。2度3度
底を叩いてみるがびくともしない。

「ポープ兄サン、ウサギのおしっこが固まってるんだけど」
「オーケイ コレヲ 使ッテ」

 パパラパー、と妙な言葉を口ずさみながらポープは園芸スコップをアレックスに差し出した。どうやら
これでほじくり返せと言いたい様だ。

「マジ?」
「マジ」

 アレックスの言葉にポープは真剣な面持ちで返す。一縷の望みを掛けてアレックスは他の方法を考えるが、
当然ながら見つからない。観念したアレックスは大人しくスコップを受け取った。
 固まった屎尿にスコップを突き立てて打ち砕く。トイレの底の浅さ、トイレ砂の層の薄さを鑑みると、
その行為は掘り進むというより剥がしていくと表現したほうが正しいのかもしれない。ともあれ、掘り返
され、表面積を増した屎尿は容赦なくアレックスの鼻を刺激する。あまりの悪臭にアレックスは呻いた。

「くっせえっ」

 開始数分でアレックスは辟易していた。ウサギの屎尿の臭いを一生分嗅いだかもしれない。しかし
愚痴ったところで何も変わらない。覚悟を決めるしかないようだ。一度トイレから身を離したアレックスは
新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むと、息を止めて作業を再開した。
 ようやく半分程進み、いったんトイレから離れ息をついていたところで、トイレに乗せていた金網を洗って
いたポープが振り返った。

「サンクス リトルブラザァ。 後ハ 僕ガ スルカラ リトルブラザァハ 小屋ノ 掃キ掃除ヲ オ願イ」

 どうやらこれ以上は悪臭の元をいじらなくていいらしい。アレックスは喜びのため息をつきながらポープ
にスコップを渡した。干しておいて、入れ替わりにと渡された金網を日当たりの良さそうなところに立て
かけると、アレックスはほうきとちりとりを手にウサギ小屋の中に入った。
 ウサギ小屋の中は悪臭の大元であるトイレが無いため、さほど臭いは気にならなかった。鼻腔を満たす
のは干草とウサギのどことなく優しい臭いだ。打って変わって楽になった仕事に、解放感に似た爽快さ
を感じながらアレックスはウサギ小屋の床を掃いていった。

409ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/17(土) 13:17:48 ID:7CkXr5wo0
6-6/7

 床に散らばる糞や野菜切れを箒で集めながらアレックスはふと外のポープを見た。彼はホースからの
流水とブラシで懸命にトイレをこすって洗っている。臭くないのだろうか、汚くないのだろうか、とアレックス
は思った。いいや、臭いはずだ。じゃあなぜあんなことができるのだろうか。ありていに言えば、好きだから、
で済まされるのだろう。だが、あの小動物のどこにここまで奉仕させる魅力があるのだろうか。
 アレックスは始めてポープのウサギ好きの理由が気になった。たずねてみるいい機会かもしれない。
 ゴミをちりとりにかきこむと、アレックスはウサギ小屋を後にし、ポープの方に向かった。彼の隣に放置
してあるゴミ袋にちりとりの中身を流し込みながら、アレックスはポープに自然な流れでたずねてみた。

「ウサギのトイレ掃除とか良くできるね。ねえ、ポープ兄サン、何でそんなにウサギが好きなの? やっぱ
 可愛いから?」

 アレックスの問いかけに、しゃかしゃかと小気味良い音を立てていたブラシの音がぴたりと止まった。
いきなりの静寂に、変な質問だった、とアレックスが戸惑っていると、いくらかの間を空けてポープが
ぼそりと呟いた。

「僕ハ ウサギニ ナリタカッタ」

 それはあまりにも突飛な言葉だった。予期してなかった台詞に固まるアレックスをそのままにポープは
続ける。

「ウサギハ 鳴カナイ。ウサギハ 何モ 言ワナイ。デモ、皆 仲良ク 暮ラシテル。僕ノ声 コノ通リ ダカラネ、
 ダカラ ウサギニ ナリタカッタ」

 ポープは振り返ると、自分の喉を指差して仕方なさそうに笑った。その笑みの中に底の見えぬ孤独の
深淵を垣間見たアレックスははたと昔の兄を思い出した。
 記憶の中の兄はいつも独りだった。孤児院の仲間達の輪から外れて、静かに他の子供達の喧騒を
見つめる寂しげな彼の眼差しが記憶の中の風景であってもアレックスの胸を打った。当時アレックスは
ポープに輪を掛けて子供であったため、その目が気にはならなかったのだろう。だが、今にして思えば
そのポープの眼差しは見ているこちらが悲しくなるほどにさびしく、冷たい。今のポープもそんな目をしている。
 物悲しい眼差しに記憶と現実両面から射竦められ、当惑するアレックスは記憶の中の違和感に気づいた。
 声がない。ポープの声が思い出せない。
 記憶の中のどこを見ても兄は常に冷たい視線を向けるばかりで、決してその心のうちを吐き出そうとは
していなかった。その唇はまるで縫い付けたかのように硬く閉ざされており、記憶の中は不気味なまでに
無音だった。
 しわがれた独特の声のコンプレックスの深さを垣間見たアレックスは、そのあまりの重さに気が抜けそう
だった。

410ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/17(土) 13:18:08 ID:7CkXr5wo0
6-7/7

「リトルブラザァ」

 かすれて平滑な、されどどこか優しい声に揺さぶられ、アレックスは現実に戻った。見ればポープは、
ふっ、と優しげに笑っている。それは孤独など感じさせないいつもの笑顔だった。

「心配 シナイデ、今ノ 僕ハ 大丈夫ダカラ、ネ」
「うん」

 ポープの暖かい笑みにアレックスの身体は解凍されていく。されど芯のほうに残る凍傷に、アレックスは
あいまいな返事しか返すことができなかった。
 未だ不安定なままのアレックスをそのままにポープは話を再開した。

「デモ アル日 気ヅイタンダ。ウサギハ チャント 言イタイコトヲ 言ッテイル、伝エタイコトヲ 伝エテイルッテ」

 そういうとポープはブラシを放り出して、両手をそろえて頭の上に並べた。まるでウサギの耳のようだ。

「嬉シイトキハ 耳ヲ 寝カセテ 目ヲ 細メテ、怒ッタトキハ 後ロ足デ 床ヲ 叩イテ、怖イトキハ 耳ヲ ピント
立テテ、身体全体デ 思ッテイルコトヲ 表シテ イルンダ」

 掌を後ろに倒して耳を寝かせるジェスチャー。空を叩いて床を踏み鳴らすジェスチャー。手を頭の上で
立てて耳を立てるジェスチャー。手が、腕が、身体全体がポープのかすれた聞き取りにくい言葉を補足
する。普段の芝居がかったような大げさなジェスチャーの意味が分かり、アレックスははっとなった。

「言葉ナンテ 気持チヲ 伝エル 道具ノ 一ツニ 過ギナインダヨ。重要ナノハ 伝エヨウトスル 思イ、ハート
 ナンダ」

 ばしばしと自分の胸を叩いてポープは心を強調する。
 アレックスは沸き起こる熱い思いを抑えつつ、心の中で同意した。そうだ、すべては伝えようとする気持ち
なんだ、と。

「ウサギサンハ ソレヲ 教エテクレタ 大切ナ 存在ナンダ。ダカラ 大好キナンダヨ」

 最後に、にこりとポープは笑った。顔全体を使った優しい笑顔だった。
 ポープはもう救われたのだ。ポープの底のない孤独をウサギ達が癒し、声と思いを伝える喜びを与え
たのだ。
 改めて聞くポープの声はアレックスにとって嬉しくもあり、悔しくもあった。兄が救われ、声を取り戻した
ことが嬉しかったが、救いの大役を自分が勤められなかったことが悔しかった。
 二つの感情はせめぎあい混じりあい最後には労働意欲となってアレックスを急かしたてた。ウサギの
ために、兄のために、どんな小さなことでも良いからしたかった。どんな些細なことでも自分の功績を
残したかったのだ。
 焦れる思いに突き動かされて、アレックスは仕事を考えるが、分からない。ウサギ小屋の掃除などした
ことがないのだから当然ではあった。思えば、あれほど嫌だったトイレ掃除も、今は恋しかった。
 仕方なくアレックスはポープに聞いた。

「兄サン、掃き掃除終わったけど、次は何をすればいい?」
「ジャア、干草ノ 入レ替エヲ シヨウ」
「分かった」

 ウサギ小屋の掃除は続く。二人がお茶会に参加するにはまだまだ時間がかかりそうだった。

411ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/17(土) 13:18:26 ID:7CkXr5wo0
>>425
"或る老人の往生"は高瀬中尉を慕う老兵士達の思いを一般化したかったため、
強く個人を意識する名前はあえて設定しておりません。
期待にこたえられず申し訳ないです。

まあ、設定してないって事は何でもありって事でもありますので、
名前を勝手に決めてもらっても構わないんですけどね。

412ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/04/17(土) 13:18:53 ID:7CkXr5wo0
以上、代行お願いいたします。

失敗だらけ。ちょっと泣きたい。

413名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 14:49:40 ID:usCWMtLMO
おお続ききてた!週末だからか勢いあるな…土曜の暇な時間を退屈に過ごさないで済むよ

414名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 14:50:50 ID:7Nr2D0r.0
行ってくるよ!

415名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 14:59:40 ID:7Nr2D0r.0
行ってきたよ!
名前欄最初からやっとけばよかったとか思ってもすでに後の祭りだったのさ

416名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 15:08:32 ID:7Nr2D0r.0
うわああしまった3/7を二回落としてしまってる!
申し訳ない!

417名無しさん@避難中:2010/04/17(土) 17:25:31 ID:7CkXr5wo0
>>416
代行ありがとー
3/7が二回はこちらのミスですから気にしなくて良いですよ。

418名無しさん@避難中:2010/04/19(月) 20:18:08 ID:K/N2VJ96O
おお、SS読むのとはまた違う匠のイメージとクロスの着想が広がる。
おいらも早速やってみよう。

419名無しさん@避難中:2010/04/19(月) 21:42:48 ID:o6vQ8//MO
設定マニアの俺歓喜www
棒の設定とかしっかりしてて感心した

420名無しさん@避難中:2010/04/19(月) 22:25:33 ID:6mKZQTMc0
幼女の定義二話今度は文章少しはましになったはず!
と言うわけで投下します。代行よろしくお願いします。

421正義の定義:2010/04/19(月) 22:28:02 ID:6mKZQTMc0

―拝啓、父上様。
あなたの娘の佐貴子です。お元気でいらっしゃいますでしょうか?
私の体調は非常に良好、毎日快便過ぎて全国の便秘を患う方たちに申し訳ないくらいですわ。
早いもので、機関に配属されてからもう三年が経ちますが、こちらは慣れぬことばかりでございます。寝る時間も起きる時間も疎らバラバラまちまち不規則。
そのうち昼夜逆転の生活習慣になってしまうと父上様は危惧なされるでしょうが大丈夫です。一周回って元の生活リズムに戻りましたわ。
最近は大体二ヶ月の周期で昼と夜が逆転しますの。面白いでしょう?四季で日照時間が異なるに等く、私の睡眠時間は常に推移しますの。
それをグラフにしたものを一度見てみたいと気まぐれに思い、毎日日記帳をつけようと思いましたが二日目、異形討伐の際、意識重体に陥ってしまったのでそれきりですわ。
異形と戦うべく機関に入った私ですが、やはり異形といえど相手を傷つけるのは気持ちが良くありませんし慣れません。この先も慣れることはないのでしょう。
慣れたら最後、あの武藤玄太のようになってしまいます。ああ、すみません父上様。武藤とは私の同僚であり、けっして父上様がご想像するような
間柄ではないと言うことを断っておきます。寧ろ、私はあの男苦手な口でして…というのもあの男、気が触れているのでございます。ええ、そりゃぁもう。
ですが不運にも今日はあの男と共に異形どもの討伐をしなくてはなりませんの。陣という同僚も一緒ですが、こちらも少し情緒不安定なことがあり、
実質今回の討伐メンバーでまともなのは私だけです。今もこうやって異形達相手に…


 「ふむ…30、40…いや50か」
 「数なんて…問題じゃ…ないよ。英雄が…負けるわけ…ないんだからさぁ…!」

 「って、囲まれているではありませんことッッ!?」


絶体絶命の危機に追い詰められているところです。

422正義の定義:2010/04/19(月) 22:29:01 ID:6mKZQTMc0
 「ふん…コイツらの中で一番強いのは…アレか…?」
 夜。何処かは定かではないが、草木覆い繁る森林の丁度中心部に当たるであろうその場所。そこだけは木が立ってはおらず、
円を描くようにポッカリと穴が開いている。いや、よく見るとそこには物見遊山するには程よい平野が広がっているではないか。
 …そういえば、世間様ではもう開花前線の足音を聞いているとか?
ならば彼らは花見に来ているのでしょうかと。彼ら…平野に並び立つ三の人影と五十もの邪な影は仲良く酒盛りでも始めるつもりだろうか?
もうすぐ桜が咲く季節ですねと?いやまあそりゃ花見もいいですけど、彼らを見るからにそんな風には見えません。
勿論です。彼らは殺し合いを始めるのですから。異形達のぎらついた目が人間達を舐め回すように見、その口からだらし無く垂れた舌を這いずり回している。

ああ、人間の一人は北条院ですね。目印のリボンが暗闇でも映える。おやおや、陣までいます。もう一人の男は…
 「貴様…名はなんという?」
 五十もの異形…それも猪なんだか、熊なんだかわからなような異形の中でもとびきり顎に携える牙が鋭い者が陣でも北条院でも無いもう一人の、蓬髪の男に言います。
 男は言った「名など聞いてどうする」と。するとその異形はふっ…、と不敵な笑みを浮かべ、こう答えた。
 「俺は今まで倒した奴の名前をこの手帳に記録するようにしている…そして今回刻まれるのが…貴様だあ!!」
 案の定下衆た、つまらない理由。対して、男はニィ、と口元を吊り上げます。
 「そうか…それは残念だったな…」
 「なにぃ…?」
 「この武藤…武藤玄太…貴様のような下種に負けてやる義理はないんでな」
 男の名は武藤 玄太(たけふじ げんた)。第九英雄の問題児。三十代の問題児と言うのもなかなか滑稽な気がしないでもない。
 「何を巫山戯た事を…おいお前ら、いちもうだじんだぁぁぁーー!!」
 どうやらこの異形はリーダー格と見ても良いようだ。周りの雑魚共がリーダー格の異形に呼応して雄叫びを上げる。五十もの雄叫びが空気を震わせ、
その轟声は月まで届いてしまいそう。
 「おい貴様ら。周りのクズ共を殺っておけ。この武藤は一番骨がありそうなアレの相手をする」
 そう言ったかと思うと、武藤は二人の返事も聞かずに異形の軍団へ突っ走る。走る。いくら異形が詰め寄ってこようとも構わない。周りの雑魚は既に武藤の眼中になかった。
 「装着…『玄武』…さぁ、戦え!!」
 武藤はオープンデバイスを投げ、一瞬にして武装に身を包む。腰周りに装備された複数の武器。腕の入力デバイス。耳から眉間中頃まで伸びた
銀と赤の色彩が特徴的なゴーグル。ここまでが基本的な武装であるが、ここで更に個々の武器が付き、武装一式となるのだ。
 「全く…これだから嫌ですわ殿方は…女性もいるというのに…だいたいですよ…」
 「システムオープン『勾陣』!」
 愚痴る北条院を尻目に陣も武装を展開する。彼の主要武器は…その長く鋭く尖った槍。それも二本。
引き裂いたトマトから零れた出た果汁のような赤と稲妻ように躍動感のある青…二色の鬼を彷彿させる傾いたデザインである。
 「早く…君も…武装展開したら?こいつら…一撃でくたばるような…雑魚…だよ?」
 陣は急かすように言った。全然急かしていないように思えるが。
彼はあまり激情を表に出す事はない為非常に伝わりにくい…が、つまるところ自分の身くらい守れるよう早く戦闘出来る状態にしろ…ということである。
 「言われなくてもッ…言われなくてもわかっていますわ…」



 「ハァッ!やぁッ!」
 「ギャヒー!?」
 ズバ!肉の裂ける音。陣の二槍が異形達を引き裂いていく。薙ぎ倒しながら異形達の真っ只中直進して行く。
もっと多く、もっとたくさん、敵を倒した分だけ英雄になれる。陣はそう信じて止まなかった。
 「なんだこいつ!?なんと妖面な得物を…」
 「妖面なのは…君達の…顔だよ」
 『"フレイム""ランス"』
 『"ライトニング""スピア"』
 コードを入力。後に機械音が鳴る。陣の右手の槍が赤く発光してきたのに対し、左手の槍は電流を帯びている。
 「まずい!逃げ…!」
 「はは…遅いよ、君達」
 振り下ろされる二本の槍。そこに一瞬の躊躇いさえもなく、為す術も無く異形達は炎と稲妻に飲まれていく。炎は肉を燃やし、稲妻は骨を砕いた。
後に残ったものは…塵のみ。

423正義の定義:2010/04/19(月) 22:29:42 ID:6mKZQTMc0

 「数が多いですわ…やぶさかではありませんが…」
 そうして北条院はのデバイスにコードを入力する。彼女の得物はその身の丈ほどある大きな剣。北条院はそれを振り回す…というより振り回されるようにして戦う。
 『"エナジー""ソード"』
 「正義の名の下に、倒させていただきます!!」
 少しキメ台詞じみたチープな台詞を北条院は吐く。時と場面を違えれば赤っ恥間違い無しの台詞も、今はさして気にはならない。
 振り切った剣先から放たれるは光の斬撃。異形達の体を横に割るように通った後、後ろの木を薙ぎ倒す。ワンテンポ置いて異形達の上半身と下半身が
ずれ、ぼとりと地に落ちた。
 「いたた…」
 一方、北条院は剣の重心に耐えきれず前のべりにコケていた。彼女曰く、この技を使うと二回に一回はコケるのだと言う。何と不憫な。
隙ができると言うレベルではないだろうに。予てより炎堂にその事を指摘されていたが、全くと言って治る様子がない。だって女の子だもん。
 「ど、どうです、私の力は!」
 全く決まっていないと言わざるを得なかった。



 「どうした?立て、立てよほら、まだ準備運動も終わってないぞ?ん?この俺、この武藤をよもやこの程度で満足できるような器だと思ってか?
全くもって遺憾。」
 武藤の体には傷ひとつ付いていなかった。傷が付いていないと言うことは攻撃を受けていない…つまり圧倒的優位で戦闘を進めていたと言うこと。
ならば武藤と対峙する異形がボロボロになっていることもごく自然な状況と言えよう。
 「うぐ…く…」
 異形のほうは立っているのがやっとであった。股がガクガクと悲鳴をあげる。もう限界だと体が警告している。だがそんな異形を見ても武藤は
「まだできるだろう?」
 だなんて、もはや鬼畜の所業である。ああ、周りの仲間たちのように一瞬で逝けたらどんなに楽だったことだろう、異形は武藤と対立する中で思った。
しかしである。彼も異形。プライドが有る。人間に舐められては名が廃る。汚名を被ったままでは終われなかった。
 「そうだ、その目だ。まだやれる。そうだな?ははッ!誠に結構、そうこなくてはな殺し合いは。さあ行くぞ、今武藤が行くぞ。せいぜい俺を愉しませろ!
さあさあ!ほらどうした、来ないのか?棒立ちているだけでは話にならんぞ?さあさあさあ!」
 武藤のその言葉に、異形は確かに恐怖と言うものを感じた。目にうつるのは絶望そのもの、絶望が向こうから向かってくる…恐怖するのも無理はない。
 他の異形達を一掃した二人は、最も早く決着が着いたのにも関わらず未だに戦い続ける武藤を見て口々に呟く。
 「また…始まったよ。武藤玄太の…悪い癖」
 「これじゃあどっちが悪者かわからないですわね…」
 武藤には困った癖があった。もう決着がついた相手でも武藤が満足しない限り戦闘をやめようとはしないという容赦ない癖である。
 「う…うわああぁぁぁぁぁぁっ!!」
 いよいよやけになって突撃する、異形はもう止めをさしてくれと懇願しているよう。口で語らずとも雰囲気がそれを示していた。
 「それでいい…」
 『"グラビティ""フット"』
 「!?」
 武藤は異形を一瞥した後、トンッ、と軽く飛び上がる。その身のこなしは軽く、スライドするように異形へと飛んでいく。
 「はあぁッ!!」
 武藤の蹴りが入る。異形の松風のツボ、胸板の辺り。
 「ッッッ!?!?!??!?」
 みしっと、
 異形の胸がへこんだ。武藤が蹴りを当てた部分を中心に。まるで惑星のクレーターのようだ。まもなく異形の体は原型を保てなくなった。
瓦解したそれを見て武藤はふと呟く。
 「まぁ、準備運動にはなったぞ…?」

424正義の定義:2010/04/19(月) 22:31:13 ID:6mKZQTMc0

 「先程の…あそこまでやる必要がありましたの?」
 「英雄は異形を倒すのが仕事なんだろう?この武藤はその通りやっただけだ」
 異形達をひとり残らず討伐した一行…帰還の路につく。いつもは会話など皆無な組み合わせであるが、この日は珍しく北条院が武藤に話しかけていた。
 「それにしてもやり過ぎではない事?見ていて気分が悪かったですわよ」
 「やりすぎ…か。ならば今度は質ではなく量でいくか?」
 「そういう意味じゃありません!」
 全くもって常識が通じない男である。この男の深層に何があるのか…非常に気になるところある。
一体この男は何を考え、何を以てこのような発言をしているのか?常人には理解不能である、と北条院は思った。
 「じゃあどういう意味か簡潔に述べるといい」
 武藤は北条院に訪ねる。返ってきた答えはこうだ。
 「異形相手といえど、ただ私欲のために殺戮を尽くしていては快楽殺人者となんら変わりがなくってよ」
 道徳的だ。モラルも糞もないこの時代では蔑ろにされがちな、ごく当たり前の事。
 「一般論だな。面白味のない答えだ。一人殺せばただの殺人犯でも、千人殺せば英雄になるんだろう?奴等を殺すのに、過程は問題じゃない」
 武藤はそんな言葉で北条院の答えを一蹴する。むっと北条院が眉間にシワを寄せるも武藤の知る所ではない。
 「人の根本には常に闘争本能が渦巻いている…人は他者を蹴落とし奪い辱めることで自己の存在価値を噛み締め、それが進化につながる訳だ
あぁ、英雄が他者より優れているのはそういう訳だからか。他人を守ると言いながら、その手で守る対象の何倍も犠牲を作っている。
滑稽だな、だが筋は通っているだろ?千人殺せば英雄と言う言葉も、案外間違えではない。」
 「…そんなの、違います!」
 北条院は否定した。武藤は…肯定も否定もしなかった。ただ黙って前へと歩き続けるだけ。最早話の論点に興味が失せたといった具合に。
 「…あの男に…何を言っても…無駄だよ。考えが君とは…根本的に…違うんだから」
 黙っていた陣が急にしゃべりだす。
 「でもある意味…正義を貫いているとも…とらえられないかな…?彼の中の…正義があれなんだろうから…ふふ…」
 「理解できません…」
 北条院は心底このメンバーとはもう一緒になりたくないと思った。


第二話
    ―【コンビニ妖怪24時/前編】―


―前回までのあらすじ
異形の、読みを(作者が)、間違えた。
レジェンドロリータ幼女、トエル。

やあやあ、いぎょうといけいを間違えたようだね、よくそんな恥ずかしいミスを…どう責任をとってくれるのかね?とシマさんに言われたら
「私の責任です…私が未熟だから…弱いから…」とマジ凹みの753に徹するしか無いじゃないかって。神に命返すしか無いじゃないかって。滑稽だわ。
Gフ○ン読む奴がR○X読む奴を馬鹿にするぐらい滑稽である。滑稽でおじゃる。だってさキル○ン見のがしたから腹立っちゃってさ…クソ、カノンちゃん
…リコ…ポチ姉…リムは要らぬ…んああ!ほああ!ちくしょー!何とかしてくれケーン!キル○ンフォーゼしてくれポチ姉ー!ちっくしょ俺はド○ラなんて
みたかねえんだよよよよおよおおおお!!うわあああああああ!!

…それでは今回のお話。


 「ふえぇ!」
 十二英雄トエルの伝家の宝刀「ふえぇ」。その完成されたふえぇはこの地球上のどのふえぇよりも深く、親しみのあるふえぇと言える。
 「ふえー!」
 対してこちらはどうだろう?白石のふえぇはふえぇそのものを愚弄するふえぇであった。何だこの中途半端なふえぇは。語尾を伸ばしきっているではないか。
何と愚かな。後ろは小さい「え」で終わるのがふえぇの美学であり、基礎である。それを伸ばし棒などと言うふざけた真似をされた日にはもう…
 「何やってるの…二人とも…?」
 ふと、陰伊が二人、トエルと白石のそばを通りかかると何やらおかしな光景が繰り広げられたいたので問いかけてみる…
 「ふえぇだけで会話出来るか確かめてたんだべさぁ〜」
 なんとも馬鹿な遊びをしていることがわかった。
 「ふぇ!ふぅふえふえええふえっぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 トエルは真剣に陰伊に話しかけた。ふえぇだけで。陰伊はトエルの頭のネジはどこに落ちているのかと辺りを見回した。

425正義の定義:2010/04/19(月) 22:32:47 ID:6mKZQTMc0
 「あー…何でオフの日に働かなきゃいけねえんだよ!」
 炎堂はイラついていた。今日の彼は非番である。機関に非番なんてあるのかと甚だ疑問ではあるが、この炎堂に限っては有無を言わずに休みをとっている。
働けと言っても彼は強引に休むだろう。今頃は自室で爆睡している筈。公私は混同しない主義なのである。そんな彼が何故施設内を歩いているかと
言うと、話は数分前に遡る。
 その日、炎堂はベッドで熟睡していた。娯楽が少ないご時世だ、この歳にもなって今更没頭できることも無い。
従って、日またぎ寝るというのが炎堂のスタイルになる。
子供の頃、父親が休みの日。自分が朝起きると決まってソファーでパンツ一丁になって爆睡している父親がいた。
その光景を子幼き日々幾度となく見てきた…と言う方も多いだろう。前日の仕事で疲れて休日は誰にも邪魔されずずっと寝ていたいという
不況を戦うリーマンならば誰しも持っている願望だろう。炎堂もそんなおっさんのように、誰にも邪魔されずに眠っていたかった。
 しかしそうは問屋が許しません。炎堂の部屋に鳴り響く内線のアラーム。ビービーウルサイ音に睡眠を邪魔されただけでも許せないのに
内線の内容が局長からの臨時の機関活動ときたものだからたまったものではない。炎堂はどうにかならないかとあの手この手を考えそして現在に至る。
 「誰か適当な奴いねぇかな…」
 言葉の内容から察するに炎堂は他人に面倒事を押し付ける気満々である。ふと、炎堂の目に丁度いいカモが映った。
 「おい、北条院。お前丁度いいところに…」
 「炎堂…あなた…」
 言いかけたところで北条院の様子がおかしいことに気がつく。彼女の体中から溢れる負のオーラ。炎堂は慄然した。この威圧感は何だ?
果たしてこれは北条院なのか?まさか異形なのではないか…?と、炎堂は思わずにはいられなかった。それと同時に背筋も凍るような嫌な感じがした。
 「いや…はは、どうしたお前。顔色ワリィぞおい〜…」
 とりあえず一緒に居たくなかった炎堂は話しかけたことを後悔しつつ何とか適当に話を切り上げられないか、みたいな事をそのずる賢い頭で考えていた。
 すると、北条院は抑揚のない声で話し始めた。
 「あなたが勝手に休まなかったら…一週間もあの方達と一緒になることも無かったのに…!」
 「あ…?もしかして怒ってる…?」
 「あったりまえですわ!このサボリ魔!!」
 感情を爆発させる北条院。彼女はかれこれ一週間"問題児"と一緒に活動してきたのである。しかももう一人のメンバーは何を考えているか分からない
陣だ。それはそれは酷いものだった。いくら小心者でヘタレな本性を表に出さぬよう務める北条院でも、今回ばかりは泣きたくもなる。
 「いやー、あまり組まない仲間同士の交流も大切だと…」
 「嘘おっしゃい!」
 「あーわるかったわるかった。ごめんなさいねー」
 「心が全く籠っていない!!」
 「うっせ!ばーかばーか!」
 責任を逃れる良い年こいたおっさんがそこにいた。

426正義の定義:2010/04/19(月) 22:33:27 ID:6mKZQTMc0

 結局、あの後北条院にボロクソ言われておっさんの僻心が持ちそうに無かったので逃げるように炎堂はその場を後にした。この年にもなると、若い連中に
酷く言われるのは余計に堪えるのだ。完全に自業自得ではあるが。そんな目にあってもおっさんは懲りずに押し付ける相手を探す。
皆はこんな大人になってはいけないよ。しかしこんなのが英雄であるという事実。現実って怖い。
 「ここがトイレットだべさ。シャワートイレは男女1つづつしか無いから気を付けるよーに」
 「ふえー」
 ふと、トイレの前を通りかかると某の女子供達が何かを話していた。女ってのはどうして連れションが好きなのかと炎堂はつくづく思った。
トイレくらいどう考えても一人で落ち着きたいものだろうに。おっさんの身である炎堂にはどうも理解し難かった。
そもそもトイレ前に集まる女子達を凝視するのは色々と誤解が生じそうな気もしないでも無い。女の子に道を教えただけで逮捕される時代もありましたから。
よく見ると、トイレ前にいるのは陰伊、白石、トエルの三人であった。これはチャンスと炎堂は彼女達に近づいていく。
 「よぉーお前ら、何してんだオイ」
 「炎堂さん…私たちはそのっ…」
 「トイレの場所をトエルちゃんに教えてたんでしょや〜、緊急時にトイレだけは知っておかないと困るしねぇー」
 「ふぇ!」
 ロボなんだからトイレは必要ないだろうが、と炎堂は白石の説明にツっコんだ。
 「シャワートイレの強さを強にすると簡易浣腸ができるよ」
 「強にしてるの幸ちゃんだったの?いっつも水出るとき威力強いなあって思ってたんだけど…」
 「大丈夫、お尻が徐々に開発されていくだけだべさ」
 これまたどうでもいい事を話し始めた白石。話が変な方向に行きそうなので炎堂は二人の会話を無視して喋る。
 「んで、お前ら暇かー?」
 さり気なく三人の予定を聞き出す炎堂。三人とも少し悩んだ(ホントは予定など全く無いが何も予定がないのも恥ずかしいので悩む振り)後、
「まぁ…別に急ぎの用事は…」といった曖昧な返事を呈す。あぁ、暇なんだなと炎堂は確信し、ニヤリと目を光らせた。
 「よーし、じゃあお前ら、ちょっとここまで調査に行ってこい」
 「調査…?外ロケ?」
 「ふえ…」
 「お前はふぇ以外何か言え…」

427正義の定義:2010/04/19(月) 22:34:16 ID:6mKZQTMc0
「はっはっは、ひひひ…それはまたぁー炎堂君にうまく押し付けられたねー」
 官兵研究員は気色の悪い笑い声を漏らしつつ語る。
 「あのMはげー」
 「まぁまぁ、君達は英雄なんだからそう細かいことでカッカしないで」
 炎堂に嵌められ煮え湯を飲まされた思いをする三人。ともあれ、こうして官兵の運転する車で目的地へ向かっているのだからどうしようもない。
 「トエルちゃん、Mハゲなんて言っちゃだめだよっ…炎堂さん気にしてるんだから…」
 「ところで、HR-500にトエルという名前をつけてくれたのは君達かい?」
 目の前に気を配りつつ、官兵は陰伊に尋ねた。はい、とその隣に座る白石は答えたが正確には裳杖が考えたので、あ、やっぱり違いましたと訂正する。
 「へえ…裳杖君がねぇ…いや、感謝してるよ…シリアルナンバーで呼ぶのは少しかわいそうだと思っていたからね」
 「勝手につけていいものかと思ってたんですが…良かったです、喜んでもらえて」
 「ところでさぁ、トエルちゃんってなんにも知らないよねぇ?機械なんだからインプットで何とかなんなかったん?不便そうだべさ〜」
 白石は朝の出来事を思い出し、官兵に聞く。もう数日は経つというのに全く施設内部の道を覚えていないトエル。機械なのにこれはどういう事かと
白石は思っていた。その疑問に官兵はこう答えた。
 「このトエルは…体こそ機械で出来ているが…CPUのコア…つまりAIの核の部分だね。それが生きてた人間の精神をデータ化して直接搭載しているんだ」
 「人間の…精神?」
 ああ、もちろん既に亡くなった方の物だよ…と、官兵は付け加える。
 「我々は神域に達したと言うが、その実精神なんてものはとても人間の手に作れるものではなかったんだ。だから即存の精神を使うほかなかったのさ…
だから情報入力は無闇にできない」
 「じゃあ…トエルちゃんは…別の誰かだったんですか?」
 陰伊は恐る恐る聞く。
 「はひひ…大丈夫、記憶はない。トエルが自身が誰かだったなんてわからないさ」
 「はあ…そなんですか」
 陰伊はひと安心した。だが心境は複雑であった。いきなりロボにされて戦わされるなんて…普通の人間であれば絶対に勘弁したいところだろう。
しかし記憶がない状態であればそれが普通なんだと事を受け入れる。それは記憶をなくして、利用しているに過ぎないのではないか?と。
もしそうだとしたら酷い話だ。既に死んでいるものを再び使うなんてあんまりである。いや、再び生を受けたことは喜ぶべきことではあるのだが…
トエルの人間の頃の記憶がなければ、これがよかったのかどうかもわからない。


 さて、目的地に着いた一行は「人が行方不明になった」との報告があった集落へと立ち寄った。その集落の長が言うに、入った人間が消える森
があるという。それだけでも気持ちが悪いものであったが今回は長の娘がその森で行方不明になったものだから一大事である。
 今回、長の娘を探すついでに、森で人が消える原因も調べて欲しいとのことだ。
 人が消える森…異形絡みである可能性は高い。そんな危ないものは機関としても放っておく訳にはいかない。
 「それでは頼みましたぞ」
 老人…集落の長は真剣な面持ちで三人(と一機)に頼んだ。正義の為人の為とあらばやるしかない。
 「はひひ、あなたの娘さんは…必ずや私どもが見つけて見せましょう!」
 気持ちの悪い、だがそれでいて爽やかな笑みで答える官兵のなんとたのもしいことか。長の顔に安堵の色が戻る。

 …なんて大見栄はったのは良いが、一体どうやって娘一人を探すというのか?

428名無しさん@避難中:2010/04/19(月) 22:35:40 ID:6mKZQTMc0

 「ふぇ!ここがもんだいのもりです」
 「如何にもって感じでしょや」
 「何か魔女とか住んでそうだよっ…」
 人が消えるという森へやってきた一行は、口々に感想を述べた。なんだか葉の色が禍々しい木だとか、気色の悪い植物だとか、十中八九毒であろう
山菜がごった返す…そんな絵に書いたような森だった。これも日本が変わってしまった影響だろうか?日本の美しい針葉樹を官兵は恋しく思った。
 「さて、では早速捜索を開始するとしよう…トエル」
 伊達に大見栄張った訳ではないようで、官兵には何か手があるようだった。
 「なんだよクソメガネ」
 「…ネコミミmodeになりなさい!!」
 官兵に冷ややかな視線が集まる。 
 「え、いや違うって!!レーダー!ネコミミmodeはレーダー探知をする機能があるの!そっち趣味があるとかそういうんやないし!」
 そんな官兵の言い訳を一通り聞いた後、その"ネコミミmode"とやらになってもらう事になった。
 「コード入力ネコミミmodeだ。やってみなさいトエル」
 「ネコミミmodeでーす」
 昔、こんな歌がOPのアニメがあったような記憶がある。このアニメを作っていた頃はよもやあんな有名な制作会社になるとは夢にも思わなかった…
と、メタな話はこのくらいにして、トエルはネコミミmodeへとチェンジが完了したようだ。その頭には勿論ネコミミがあった。か、かわいい…と思わず
陰伊が無意識に口に出してしまう程愛らしい姿である。 
 「ふえ!やっぱりこれおまえのしゅみだろクソメガネ!」
 「ちゃ、ちゃうわ!趣味ちゃうわ!犬耳のほうが好きだわ!」
 それにしてもロボネコミミ幼女とかなんか属性がヤバイ。


 「ふえー、ふえー、」
 猫耳をピコピコ動かし、辺りを捜索するトエル。それに続く一行は彼女のかわいらしい姿に癒されていた。
 「…ドゥフフ…やべぇなこれ…」
 ボソリと呟く官兵。よく見ると官兵は非常にステレオタイプのオタクの雰囲気を纏っていた。今や絶滅したと思われたオタクはこうしてしぶとく生き残っていたのだ!
 「官兵研究員、なぜトエルちゃんのおしりばかり見ているんだべさ!?」
 「ふ…ムラムラするからさ…!」
 きもやかに言う官兵。その顔はいつになくいきいきと輝いていた。ぶっちゃけキモイ…だが二人には何故か彼がかっこよく見えた。顔はキモイけど。
 「ふえ!?なんかはんのうが!」
 と、ここで進展があったようだ。
 「なにぃ!?それはどこだねトエル」
 「こっちこっち!」
 「いこ、陰伊ちゃん!」
 「う、うんっ」
 何者かの反応をキャッチしたというトエル。走る彼女を追いかける官兵と陰伊達。広い広い森の中、ようじょとメガネと少女達は駆け抜ける。途中木の根に足をとられながらも、大きなムカデを踏みつぶしてしまっても、今はトエルを追うのが第一だった。
 

 「ギャース!!」
 「た…助け…」
 少女は絶体絶命の淵に立たされていた。周りは異形に囲まれ、森の中ただ一人…誰が助けにくるわけでもない。
 ああ、もうすぐこの異形共の胃袋に入ってしまうのかと思うとどうしようもない絶望にかられた。恐怖のあまり、顔には倒錯した笑みが張り付いていた。
 異形の一つがぐあっと口を開け、もう駄目かと思われたその時!!その大口を蹴飛ばす影が一つ。
 「やめなぁ…私に触ると…ケガするぜ…?」
 メガネがきらりと光る。少女を救う影の正体は官兵だった。七三分けをふわっとかき分けるその姿は、何時にも増してキモやかだった。
そして無駄に髪がさらさらだった。
 「ってアンタかい!!」
 「官兵さんは戦えないんだから下がっていてくださいっ」
 後から現れた陰伊達。何故かやりきったような表情を浮かべる官兵を尻目に陰伊達はオープンデバイスを取り出した。
 少女はあまりに事が急すぎて混乱していたが、自分が助かったのかと思うと気を失ってしまった。異形達はと言うと、食事を邪魔されたにも関わらず
黙っているはずがなく、すぐに陰伊達に牙を向く。

 「英雄『大陰』…で、出ます!」
 「さあ…いくべさ!!システム『白虎』…解凍開始!」ベーンベンベンベンベーンベーン

429正義の定義:2010/04/19(月) 22:37:45 ID:6mKZQTMc0
 「!?」
 異形達は突然の光に視界を奪われる。光が収まった時に異形達の目に映ったものは、全身武装に固めた人間二人であった。
 「第八英雄陰伊三!あなた方に恨みはありませんが…倒させていただきまひゅッ!?」
 「あ、かんだ」
 「倒させていただきますぅッ!」
 いまいちカッコの付かなかった陰伊は、その失態をとり戻すかのように積極的に敵に向かっていく。
 その頃、官兵は襲われていた少女を抱き抱えトエルの元まで戻ってきていた。
 「はぁ、はぁ…ふいー…最近ペンチよりも重いもの持ってなかったからしんどいわー」
 「ふえ!たいりょくないなクソメガネ!」
 「うっさいわほっとけ…あ、ほらトエル。お前も戦闘に参加しなさい」
 「ふぇ?」
 なんだかんだで、トエルは今まで戦闘をしたことは無かった。機械といえど何も知らない素人だ、強要するだけ酷というもの。だがトエルは第十二英雄。
戦う為に生まれてきたのだ、戦闘ができなければ意味がない。
 「どうやってするかわからないよお!」
 「戦闘の補助はサブコンピューターがしてくれる!チェンジコードを入力するんだ!」
 「ふ、ふえぇぇ…」
 言われるがままにコードを腰のデバイスに入力する。すると変化はすぐに起きた…トエルの体が発光し、その姿を変える。
 それは他の英雄達のような武装を装備するという事ではなく、変身と形容するのが適切に思われるものだった。
 「いいぞ…これがトエル…お前の真の姿だ…!」



 「いきます!てやあッ!」
 陰伊は踊るように、這うように異形達の間を抜ける。次々と襲いかかる異形達をその双剣で受け流し切り刻む。「ぐえあ!」致命傷を負った異形の一匹が地に伏す。
 「ギシャアー!」
 死角から襲いかかる一匹の異形。鋭い牙が口から何本も伸びているその異形は陰伊の腕を噛みちぎろうとしているようだ。気配を感じた陰伊は
振り向いて回避を試みるも完全に避けきることは不可能で僅かに腕の肉が削られた。
 「…ッ!」
 「大丈夫!?陰伊ちゃん!」
 白石の心配する声。もっとも、彼女も異形達の相手に追われているため支援に行くことが出来ない。ジワリと血が滲む陰伊の腕。
痛みはあったが動かせぬ程ではなかった。陰伊はデバイスにコードを打ち込み、異形達を一掃しようと考える。
 『"ブレイブ""ダブルセイバー"』
 陰伊は双剣をブンブンと振り回し出す。すると双剣の刀身は空圧の刃を纏いだした。みるみるそれは大きくなっていき、刀身の倍程度になったところで
陰伊はそれを振り下ろした。
 「はぁぁぁぁぁ!!」
 ズンっと、二つの刃が大地を削り取る。そこにいた異形達は跡形もなく消え去った。
 「ふう…」
 異形達を倒し、一息つく陰伊。しかしそれがいけなかった。そろそろ白石に加勢しようかと思ったその時、茂みから黒い影が飛び出す。討ち漏らした異形である。
 しまったと体制を整えようとするも遅い。やられるかと覚悟を決める陰伊。しかし異形の攻撃が彼女に当たることは無かった。
 「…?」
 「ふえぇぇぇ…!」
 「と、トエルちゃん!?」
 現在ネコミミツインテ幼女のトエル。
 「だいじょうぶ!?ふえ!」
 「…その姿は…何?」
 「あのクソメガネのしゅみだよ!ふえ!」
 そこにメイド服と言う属性も追加されて登場した。もう何なのこの子、収集付かないんですけど!
 そんな中、トエルに弾き飛ばされた異形は尚も飛び掛ってくる。
 「ふぇ!ムッコロ!ムッコロ!」
 『"ジャンクション""ガトリング"』

430正義の定義:2010/04/19(月) 22:39:39 ID:6mKZQTMc0

 「ふえぇぇぇええ!!」
 機械音の後、突然現れた大身のガトリング砲。それを軽々と持ち上げ、飛び掛った異形を射抜くトエル。サブPCがサポートしているせいか狙いは正確
一寸の無駄もない射撃動作。その事から、やっぱり機械なんだな…と陰伊は思った。
 「ギャオオッ…」
 「ふえ!や、やっつけたよお…」
 「ありがとう…トエルちゃん…助かったよ」
 危機一髪の所を助けられたことを感謝する陰伊。それにしてもトエルのこの武装…本来は第三英雄冴島 六槻の物である。
 「それって、冴島さんの…」
 「ふっふっふ、その質問には私が答えよう!!」
 湧いて出てきたキモやかな笑顔。官兵はこう説明する。
 「聞いて驚け!このHR-500、トエルは第七を除く全ての英雄武装を使うことができるのだ!わーっはっは!すごいぞー!かっこいいぞー!」
 と、満足げに笑う官兵のキモやかな顔がただのキモイ顔になる。そんな官兵を見て、若干引き気味に陰伊は官兵にこう尋ねた。
 「…ところで、何でメイドなんですか?」
 すると官兵は即座に
 「メイドは男のロマン!」
 と答えるのだった。陰伊は、ああ…この人はこういう人なんだと官兵の見解を改めることとなった。
 「つか、こっちまだ戦ってるでしょや!助けてよ!」
 はっとする陰伊達。そういえばまだ戦闘中だったと言わんばかりのリアクションである。ぺろっと舌を見せる官兵に怒りを覚える白石だったが今は
それどころではない。その光景を見た陰伊は支援に向かおうとするが、トエルがそれを止める。
 「みつはけがしてるからここでやすんでて!ふぇ!」
 「でも…」
 「ふぇ!いいから!いいからふぇ!ふえぇぇぇ!」
 『"ジャンクション""クロウ"』
 トエルの持っていたガトリング砲が鉤爪に変化する。トエルはそれを腕に装着すると、白石が戦っている場所へトテトテと走っていった。


 「トエルちゃん…それ、私の…」
 「ふえ!」
 「まねしたのかなぁ〜?」
 「ふえぇ…」
 白石が奮戦していたので、異形の数は五匹程度にまで減っていた。五匹の異形は白石達の周りをぐるぐると回り奇襲の機会を狙っているようだったが。
 ここで白石がアイコンタクトで何かを伝える。それに気がついたトエルはコクンと頷き、二人はコードを入力した。
 『"ゲール""クロウ"』
 『"ゲール""クロウ"』
 以前白石が見せた疾速の爪撃。それをトエルは記憶していた。
 そして今。二人の呼吸が合わさった時、互いに逆方向へと疾走するのだった。速く、疾く。最早肉眼では
「異形の間を何かやけに早いものが動いている」
程度のレベルでしか認識出来ないほどに速かった。風のように軽やかに、嵐のように力強く、異形達を切り刻んでいく。
そうして二人が一直線上で互いに背を向け静止した時、二人の間にいた異形はどす黒い血しぶきを上げ飛散した。
辺りに黒い雨が降る。獣臭い匂いがそこら中から沸き上がってくる。白石はこれは帰ったら洗濯しないとなぁなんて思いながらこう呟くのだった。

 「また来世…」

431正義の定義:2010/04/19(月) 22:41:31 ID:6mKZQTMc0

 「ううん…あら…ここは…?」
 少女は自分が気を失っていたことに気がついた…だがどうも気絶する前の記憶が曖昧だ。たしか自分は異形に襲われていて…
そういえばなんだかやけに獣臭い。まさか!自分は食べられてしまったのでは!?気が動転した少女は突然何かにとり憑かれたかのように暴れだした。
 「ふぇ!お、おちつけ!ふぇ!ふえ!」
 「はて?ここは胃袋の中なのでは?」
 「ふぇ!なにねぼけたこといってんだこいつ!」
 「あ、目がさめたんですか?」
 おさげの少女が彼女を介抱する。人の温かみを感じたことで、ようやく自分は助かったんだという実感を得た少女は同性とはいえこんなに
長い時間抱きしめられていることを少し恥ずかしく思った。その顔はりんごのようにほのかに赤く染まっていた。

 「あの…、ありがとうございます。危ないところを助けていただいて…」
 おさげの少女、陰伊が介抱を解くと少女は丁寧に御礼をした。まあ、英雄にとって人助けは当然の義務なのでどうということはないが、
やはり感謝されるのは嬉しいものがあった。
 「いいよぉー。私たちは英雄だし〜」
 「あの…もしかして君…集落の長の娘さんの『サキ』さんだったりしない?」
 そう官兵は少女に尋ねた。
 「あ…はい!そうです!私サキです!」
 いきなりビンゴであった。
 「いきなり依頼の一つは片付いたねっ」
 「…あの…、ちょっとよろしいですか?」
 小さいが芯の通ったよく聞き取れる声でサキは言った。何か面倒事じゃなきゃいいなと思いつつも「なんだい?」と官兵が答えると…
 「実は…探して欲しい人がいるんです」
 サキは非常に切羽詰った顔で官兵に迫った。ずんずんと、思わず官兵が二歩三歩後退するもぴったりとくっついてきた。
 「い、いったい誰なんだい…その…探して欲しい人っていうのは…?」
 顔が引き攣りつつも冷静にサキの話を聞く官兵。先は一瞬ためらったような表情をし、そして意を決して話した。


 「…兄です」
 「兄…?」


 森の中で襲われていた少女を助けた英雄達!しかしこの後…予想だにしない展開が待っている事を…彼らは知らない…

                                              ―続く―


《次回予告》
森の中で少女の救出に成功したのも束の間、今度はお兄ちゃん探しときたもんだ!
「ふえー!お兄ちゃんふえぇ!」
森をさ迷う中、一軒の建物を発見する英雄達…その建物は何と!あの有名なファミファミいうコンビニエンスストアだった!!
「ファミ○キください!」
しかしそのコンビニ…何かがおかしい。そもそもこんな森の中にコンビニ…?一体どんな秘密が隠されているというのか…ッ!
次回「妖怪コンビニ24時/後編」乞うご期待!!
「ふえぇ!はやくほかのひとのきゃらとからませたいふぇ!」

432名無しさん@避難中:2010/04/19(月) 22:44:44 ID:6mKZQTMc0
以上で終了です。
二話書いてみたけど…文章とか見苦しいところもあると思いますが、
最期まで読んでいただいたら…と思っております。駄文失礼。

433名無しさん@避難中:2010/04/19(月) 22:50:01 ID:PVpFICMAO
よ、妖怪コンビニだと!
侍女コンビニ以来のコンビニチェーン新規参入じゃないかw
期待して待とうw

434名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 01:54:42 ID:bMwcVgfYO
本スレ>>495
地獄世界にベリアル等、魔王と悪魔に言及している部分があったから
新たに世界を作らなくても地獄世界でやれるんじゃないかと思うんだがどうだろう?

435 ◆GudqKUm.ok:2010/04/20(火) 12:25:12 ID:hrFDwKigO
参考までに、地獄シェアに於ける『悪魔界』への言及を…

・リリベル

大魔王ベリアルを父に、人間女性を母に生まれた半悪魔。父王の消滅後は正嫡である兄弟から冷遇され、ベリアル家の老僕ファウストに人間界で養育されていた。
その後狡猾な兄たちに利用され、仇敵である閻魔庁爆破を企むが失敗。現在は『我蛾妃の塔』に収監され判決を待っている。
『ややえちゃんはお化けだぞ!』では、主人公大賀美夜々重は彼女の特攻兵器『リリベルバス』にツアー客として乗り込み地獄界にたどり着いた。
外見は十六〜七歳のハーフ美少女で、赤みがかった髪を持つ。悪魔体では側頭部に巻いた角、蝙蝠の羽根と細く長い尻尾を備える。
習った相手が悪かったのか、『〜デス』というカタコト日本語で話し、口癖は『クソッタレ』。しかし最後まで忠節を尽くしたファウストや、獄中で出逢った付喪神『顎』への愛情は深い。
二人の献身により不遇な幼少期の屈折を克服したものの、なぜか『地獄百景』一応の主人公千丈髪怜角との相性は最悪。再登場時には激しい衝突が予想される。

436 ◆GudqKUm.ok:2010/04/20(火) 12:27:36 ID:hrFDwKigO
ベリアル・コンツェルン

老魔王ベリアル晩年の失政により魔界での権勢を失い、遺された魔王子たちが人間界に興した企業。魔力を悪用した悪辣な商法により、欧州の経済界で勢力を伸ばしている。『地獄百景』次々回に少し登場の予定。

ファウスト

『リリベルバス』の運転手を務めていた、リリベリの忠実な老僕。もとは老ベリアル王の執事であったが、彼の魂もまたベリアル一族の『私有財産』であった。

『グリモワール』
リリベル主従が携えていた、魔界の人物録。地獄の鬼に関する記載もある。

その他、ベリアル一族のライバルとして、『アモン』『ベール・シンジケート』等の名が出ていますが、今のところヨーロッパを群雄割拠する一族単位の魔物、程度の描写のみです。
…宇宙や運命というものを閻魔庁のように尊ばず、優雅に、冷酷にその版図拡大を目論む貴族たち…といったところでしょうか。


>>『正義の定義』

NHKの人形劇に出てきた『バケビニ』なる奇怪なお化けコンビニを思い出して吹いたw

437名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 19:33:53 ID:Ipwkk1nA0
しかし本当リリベルはGudqさんに渡ってから深みが増したなあw

438 ◆GudqKUm.ok:2010/04/20(火) 21:42:52 ID:hrFDwKigO
そして投下

地獄百景『胡蝶の夢』


…ベッドに臥せた茨木胡蝶角は眠りの淵を彷徨いながら旧友との会話を続けていた。全身の痛みはかなり和らいだもののまだ片目は開けられず、上半身を起こすことも出来ない。

(…無理しないで胡蝶。すぐ帰るから…)

見舞いに来た同期の獄卒、無限桃角は胡蝶角と同じく『念』での会話が出来る鬼だ。まだ喋るとリリベルに折られた肋骨が疼く胡蝶角にはありがたい。

(…ううん、大丈夫。ひどい顔でしょ? 私…)

腫れて塞がった胡蝶角の瞼の裏には、まだお互い訓練生だった頃の桃角の姿が映っていた。鬼として『桃角』を名乗る前、無限桃花、と呼ばれていた頃の小柄な彼女の姿だ。
共に厳しい行を積んだ、内気な胡蝶角の古い友人。彼女の支えが無ければ、あの幾多の過酷な試練は、とても乗り越えられなかっただろう。

(…そういえば桃角、あなた配属どこだったっけ?)

くふふっ、と笑った桃角は答えなかった。現在の『鬼手不足』の地獄で、無任所に近い状態で飛び回るのは新人獄卒の宿命だ。きっと有能な彼女のこと、こんな機会でもないと会えないくらい忙しいに違いない。

(…ま、あなたが早く復帰してくれなきゃ大変。私もたまには寝込みたい位よ…)

桃角らしくない愚痴だ。しかし長い安静で鋭敏になっている胡蝶角の知覚力は、友人の意識から確かに激しい戦闘による疲労と苦痛を感じ取っていた。相手はベリアル・コンツェルンか…それとも…綺星…機精?

(…『寄生』よ。知ってるでしょ?)

(え…)

脈略のない想念、夢とも現実ともつかぬ朧げな虚空で、確かに胡蝶角は桃角と共に恐るべき敵と闘い続けていた。あれは一体、いつの事だったか…

(…黒い太陽…血塗られた空…)

冥界の鬼姫として生を享けるずっと前から、胡蝶角が振るい続けてきた黒い太刀は桃花の持つ太刀と同じものだ。もどかしく錯綜する記憶のなかで、あらゆる時間、あらゆる場所に桃花と胡蝶角はいた。

439 ◆GudqKUm.ok:2010/04/20(火) 21:45:50 ID:hrFDwKigO
(…私…『地獄界』から出たことあったっけ…)

『異形』として人間に追われ、燃え上がる楼閣から星空を睨む胡蝶角。閉ざされた街の一角に佇み、物欲しげな瞳を道行く人々に向ける薄汚れた胡蝶角…

(…あれ…わたし…)

(…あなたは変わり種だからね…気配が弱まってたから様子を見にきたの。大した怪我じゃなくて良かったわ…)

すぐ傍らに寛ぐ友の気配は、まるで無数のゲヘナ・ゲートの如く全ての世界に重なって存った。彼女は一緒に厳しい訓練を耐え抜いた親友、誇り高い獄卒隊第八百壱期の仲間。その名は…

(…じゃ…また来るわ。お見舞いのお饅頭、ひとつ戴いたからね…)

(ま、待って!! あなたは…)

悪戯っぽい笑い声がベッドから遠ざかってゆき、思わず伸ばした胡蝶角の腕に鈍い痛みが走る。

「痛っ…」

「…角…胡蝶角!!」

…包帯の上から腕を撫でる手と優しい声は、未だ確かに友人のものだった。しかし奇妙な違和感を覚えた胡蝶角は熱っぽい眼を無理やりに開いた。

「…怜…角?」

「大丈夫? 先生呼びましょうか?」

癖の無い黒髪に鋭い眼光。心配げに胡蝶角を覗き込む女鬼は千丈髪怜角。彼女もまた訓練生同期の獄卒だった。だとすれば桃角は先に帰隊したのだろうか?

「…桃角は…帰ったの?」

「…桃角、って?」

怪訝そうに首を傾げ、怜角は胡蝶角の腕をそっと布団へと戻す。普段から冗談とは縁のない怜角の顔に、当然悪ふざけの色は微塵もなかった。

「…や、やだなあ怜角、ほら、後ろでこう髪を結って、黒い刀を持った…」

440 ◆GudqKUm.ok:2010/04/20(火) 21:47:42 ID:hrFDwKigO
無理に微笑んで話す胡蝶角の頬が次第に強張ってゆく。先ほどまで、ほんの一瞬前まで心に溢れていた桃角との日々の記憶全てが、まるで儚い霞のように…消えてゆく。

「…よく眠ってたから、変な夢を見たのね…私ずっとここにいたよ? それに…」

空しく唇を閉じた胡蝶角は、旧友の名残を求めて懸命に病室を見回した。甘党だった旧友に勧めた見舞い品の『銘菓・鬼寒梅』の化粧箱は、給湯棚の上に置かれたままだった。


「…それに、ポニーテールで黒い刀…って、まるで訓練生だった頃のあなたじゃない…」

無限桃角…いや…無限桃花。胡蝶角が懸命に掬い上げた、自らの影法師にも似た夢の残滓は、もう黄昏の病室から跡形もなく消え失せていた。


おわり

441名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 21:49:45 ID:VXJazefk0
よし、ちょっと正義定義と一緒に代理してくる

442名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 22:04:22 ID:hrFDwKigO
御手数をかけます…

443名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 22:20:51 ID:VXJazefk0
そして人生初のさるさんw

まあ、避難所みてれば本スレに代理しなくていいんじゃない?って人もいるかもだけど、
流れが別れてしまうと把握しずらくなるかなあと思い、出来る限り代理したいなーと。

444名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 23:13:00 ID:VXJazefk0
とはいえさすがに全部代行すること無かったか、と思いきや後の祭り

445名無しさん@避難中:2010/04/20(火) 23:21:07 ID:VXJazefk0
500k行けば時間で落ちるんだっけ?

446名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 00:12:32 ID:qZPiObW.0
悪魔編書けたのでこちらに投下します。

序章 7つの大罪

7つの大罪。現世の中世以降の魔術書の多くはこの7つの大罪のそれぞれに悪魔を割り当てている。
傲慢を司るルシフェル、嫉妬を司るベルゼブブ、憤怒を司るサタン、怠惰を司るアスタロト、強欲を司るマモン、大食を司るモロク、色欲を司るアスモデウス。
これも人間の勝手なイメージかと思いきやあながちそうではない。なんとこの通りなのである。というのも500年ほど前の中世ヨーロッパの時代、
ファウスト博士と契約した大悪魔・メフィストフェレスが現世に召喚されたときにこの魔術書を読む機会があり、『人間風情にしてはなかなか面白いものを書く』と
気に入り、契約満了時にそれを魔界に持って帰ったのだ。悪魔は現世から何かを持ち帰ってきたときに必ずそれを全ての悪魔の頂点、
サタンの目に入れなくてはならないという決まりがあり、メフィストフェレスもその例に漏れず魔術書をサタンの目にかけた。
すると、大魔王サタンもメフィストフェレスと同様にそれを気に入り、この7つの大罪にそれぞれあてがわれている悪魔により一種の議会のようなものを作り
悪魔たちにとっての地獄の在り方や今後の政治(?)方針などを決定しようといいだしたのであった。それまではサタンによる実質的な独裁政権であったが
何万年もの時を経てそれが少々面倒になってきていたのだ。自分を含めた7人の悪魔でいろいろ話し合えばこれまでよりもさらに地獄は悪魔たちにとって暮らしやすく
なるだろうと考えたのである。ただ、この地獄は悪魔たちのものだけではない。閻魔陛下を頂点とした鬼たちと共存しているのだ。
互いに我々こそが地獄の覇者だといがみ合い壮絶な死闘を繰り広げた時代も過去にはあったが、今では和平し共存の道を歩んでいるのだ。
その過程で悪魔たちはサタンを、鬼たちは閻魔陛下をそれぞれ頂点とし、それぞれが決めた法をもとにこの地獄を営んでいくことになったのである。
つまり、悪魔が決めたルールは悪魔にしか適用されず、その逆もまた然りということだ。
こうして、地獄は戦史以来悪魔と鬼は大した衝突もなくそれなりに仲良くやってきて、今に至る。
さて、今日は金曜日、『大罪議会』が開かれる日であった。なぜ金曜日であるかと言うと、イエス・キリストがゴルゴタの丘に磔にされたのが金曜日だからである。
大魔王サタンが悪魔神殿・パンデモニウム内部の会議室へと入ると、そこには他の6悪魔のほかに書記を務めるリリス、メフィストフェレス、バエル、ベルフェゴール、
さらには全ての亡者たちを支配する冥府の女王・ヘルがすでに円卓のテーブルへとついていた。その円卓を時計にあてはめ、12時の位置に議長のサタン、
1時にルシフェル、2時にリリス、3時にベルゼブブ、4時にアスタロト、5時にメフィストフェレス、6時にヘル、7時にモロク、8時にアスモデウス、
9時にバエル、10時にマモン、11時にベルフェゴール、である。
サタンが議長席へと就き、ついに第23465回大罪議会は開かれた。

「さて諸君、早速だが今日の議題である『鬼たちとのさらなる交流の強化』について
 話し合いたい。意見のあるものはどんどん発言せよ」

サタンがいい終わると同時に彼の隣のルシフェルが挙手をする。彼の名はラテン語で『光をもたらすもの』を意味しておりその姿は12枚の翼をもった天使の姿を取る。

「鬼たちの間では閻魔陛下の影響からか最近現世のアニメや漫画の文化が浸透しつつあるみたいだよ。ボクたちもこれにならってみたらいいんじゃない?」

そのルシフェルの言葉にすかさず反論したのはベルゼブブであった。彼はサタン、ルシフェルに次ぐ地位をもつ最高位の悪魔であり、その姿は
羽根に髑髏を浮かばせた巨大な蠅と人とを融合させたような姿である。

447名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 00:13:38 ID:qZPiObW.0
「いくら鬼たちの間で流行っているとはいえ、私たちがそれを迎合する必要はあるまい。それよりも私たちの文化を鬼たちにアピールしてゆくことが肝要かと」
「なるほどね、キミの意見にも一理ありだよベルゼブブ。じゃあ鬼たちにアピールするボクたちの文化ってたとえば?」
「私たちは鬼とは違い現世の人間の召喚によって呼び出される。呼び出した人間たちは私たちの力を駆使して様々な魔法を使う。これだ」
「ケッケッケ。黒魔術って訳かい?いまどきそんなしみったれた文化流行るわけねえだろ」

口をはさんだのは地獄の大侯爵アスタロトだった。地獄の竜にまたがり右手にマムシを握る極めて醜悪な天使の姿をした悪魔である。

「俺様たちの文化っつったらやっぱこれだろうがよ」

と言ってアスタロトは竜の皮でできたカバンからある物を取りだした。それは、瓶に入った透明の液体であった。
酒である。彼は現世の古今東西あらゆる酒を収集しているのだ。そんな彼の一番のお気に入りはフランス・ブルゴーニュ産の『ロマネ・コンティ』である。
だが、陽の光の届かない地獄では原料であるぶどうの生産などできるはずもなく、故に彼は現世から盗み出してきているのだ。

「酒もいいが…やはり食文化こそが最も崇高な文化だろう。悪魔である俺たちには食事は嗜好でしかないが、だからこそ、だ」

次に発言したのはアスモデウス。彼の姿は魔人牛とヤギの頭を持ち、その中央の魔人の頭には金色の王冠が輝いている。脚はガチョウのようであり、
尻尾は蛇となっている。そして手には三角旗と穂先から毒が滴る槍を持っているのだ。
現世のこれまた古今東西のあらゆる国の食文化を取り入れ、毎日3度の食事を何よりの楽しみとしている。そんな彼の大好物は、かっぱ巻きという、
キュウリを酢飯と海苔で巻いた寿司の一種である。口の中に入れた瞬間酢飯の柔らかさとキュウリの食感が奏でるハーモニーの虜になったそうだ。
と、ここで議長サタンが鉄槌で円卓を叩き、場を静めさせる。

「文明に優劣はあれど文化に優劣はない。あらゆる文化も尊重されてしかるべきである。よって、我らの立場としては諸君らが提案した
 文化の全てを悪魔の文化として鬼たちにアピールしていきたい。賛成する者は挙手せよ」

彼の言葉に手を挙げたのは、全員であった。満場一致で可決となり、これらの文化は鬼たちにアピールされてゆくこととなる。しかしもともとは
人間たちの文化だったものだ。それを悪魔が改変すると果たしてどんなものになることやら…

448名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 03:44:49 ID:VjbMHyX60
幼女定義の者です代行ありがとうございました。
勢いで書いたから誤字がやばいですな…wikiに載ったら直しときます…

なんか俺もキャラ設定とか書いた方が良いんですかね?本スレの方で話題になっていたものですから…
あ、いや迷惑じゃなければですけど…

449名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 17:41:34 ID:qIwzYgeM0
いろいろやっちまって結果的に新スレ立ったよ!
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1271838361/

悪魔の方の代行もして参りました。
いろいろ申し訳ない!

>>448
設定はあった方がクロスはさせやすいと思いますよ
あと卑屈なのはあまりいい事じゃないと思いますよ
自信もっていきましょうやw

450名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 17:51:50 ID:t.6FlCb20
パート数がないぞw

451名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 18:11:31 ID:qIwzYgeM0
ああ、しまった
先のスレにもなかったからつい、今3スレ目だったっけか

452名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 20:37:26 ID:0roWSVwkO
ともあれ代行&スレ立て乙!!

453名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 22:06:33 ID:SbMdwiikO
新スレ乙

>>448
設定とかはどんどん積極的に晒すと良い。詳しくわかってる方がクロスしやすいからな。

454名無しさん@避難中:2010/04/21(水) 23:11:55 ID:CAEbUQsIO
だが設定がみっちりだと……
さじ加減って重要

455名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 19:36:48 ID:fR8SLM1U0
wiki未掲載分を入れてこうかと思ったんだけど
「正義の定義」一話と二話の区切りってのは>424なのだろうか?
最近視覚認証がだるくなってきたので、編集用アカウント貰おうか迷い中。

キャラ設定のまとめ方に関して分かる人がいたら、誰か雛形作ってくれないかな……

456名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 19:46:57 ID:fR8SLM1U0
あ、あと「悪魔編」のタイトルとかあれば教えて欲しいです。
一応地獄世界に入れる予定。

ということでお二方さまお返事お待ちしております。



本スレに誤爆したwww

457名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 21:51:14 ID:ynAJghic0
定義書いてる者です。
二話は>>421から>>431です。それ以前が一話です。
それと後で第三話いきますので代行お願いします。

458名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 23:07:39 ID:ynAJghic0
定義三話投下します。時間があったらでよろしいので
どなたか代行よろしくお願いします。

459名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 23:09:05 ID:ynAJghic0
 でんせつーのーこんびにー

 さがしにーゆこうー

 でんせつーのーこんびにー

 さがしにー…

 「こ…これは…!」

 一行の前にそびえ立つ、白を基調としたガラス張りの建物。その異常なまでの存在感に力負けし、景観乱れる迷いの森。
 今や見かけることはない、その建物の名は… 

 「わかるんですか!?官兵さんッッ」
 「ああ…これは…『コンビニ』ッッ!!」
 「コンビニッッッ!?」
 「ああ…しかもファミファミいうやつ…だ…ッッッ!」

 「これがこんびに?ふえ?うーん…」

 第三話
     ―『妖怪コンビニ24時/後編』―

―前回のあらすじ
「ふえぇ」って幼女の特権だと思っていたけど違ったんですか!?
幼女あざとい幼女
官兵はいつの間にか変態キャラになってたでござる、かしこ

集落の長に頼まれ、長の娘と森で人がいなくなる原因を探すことになった英雄一行。よくよく考えてみると一話と流れが殆ど変わらねーじゃねーかって。
異形に襲われている幼女を助ける流れなの。最近の幼女は用心無さすぎなの。あ、でも今回は幼女じゃなかったか。まぁあれですよ。
ヒーロー物には必ず都合よく襲われてる人とか怪人とかそこに都合よく現れる正義の味方とかお約束よね。でもこれは、ただ単に被っただけだったなの。
あと今回の森はどこどこだとかは決めてないんだ!ゴメンなさい。世知辛い世の中なの。次の話辺りでなんかかしらのクロスはしたい
…せやけど、それは夢や。

それでは本編。



 「お兄さん…?」
 「あっ、友達の…ですが」
 少女、サキ曰く、この森で行方不明になってしまった「助弐夷(じょにい)」なる人物が友人の兄なのだとか。彼と交流のあったサキは彼の身を安じ危険を
承知でこの森に足を踏み入れ、そして先程のように異形に襲われていたところを陰伊達に助けられた…と言うのが事の顛末だとサキは語る。
じょにいって読むのかこれ、なんだか外人みたいな名前だなぁと白石は感じたようで。何でも昔一時期そういう外人の様な名前をムリヤリ漢字で宛てがい
子供に名付けるというのが流行ったとか。子供の事を考えるなら親の自己満足で名前をつけてはいけないというのに。個性があればいいと言うものではない
…子供が子供を産む時代の悲しき弊害である…。
 「お願いします、私と一緒に彼を探してくださいませんか?」
 サキはこのとうり…、と深々と頭を下げ、潤瞳を見せて懇願する。そんな顔を見せられては白石達断るわけにもいかなくなる。ノーと言えない日本人。
民族柄というのは怖いねえ、義理人情は江戸っ子の証。尤も、陰伊達の中に江戸っ子は居ないのだが。
 「そんなっ、こっちは元からそのつもりでしたよ!」
 という言葉が秒待たずして陰伊の口から出てくる。まったくこのお人好しめと一行は呆れるも皆、彼女の意見には賛同であった。ありがとうございます、と
サキは丁寧にお辞儀をした。
 「いえいえ当然です」
 陰伊は調子のいいことを言う。一行は助弐夷を探すために森の更に奥へと歩を進めていった。

 ふとここで、白石はサキに若干の違和を感じた。彼女の衣服はやけにボロボロだった。裾は擦り切れ、帯はよれよれ。所々布が破れていて慈姑柄の色の
抜けきった着物であった。先程の異形共にやられたのだとしても損傷が激しすぎるだろう。衣服だけボロボロにされるなんていうのもおかしい。此処は一つ
彼女に直接聞けばよいではないかと白石は思案したが、さすがにそこまでデリカシーの無い事は尋ねられない。考えた末導き出された答えは…
「あれはダメージジーンズとか言う昔はやったファッションと似たようなものだろう」
…ああ、これしかないとIQ30もの頭脳を誇る白石はこの違和感に対する理由を自己完結した。

460正義の定義:2010/04/23(金) 23:10:08 ID:ynAJghic0
 だいぶ森の奥までやって来た一行であったが、人影はおろかめぼしい手がかり一つでさえも見つける事ができないでいた。今現在もどこかに異形共が
いるであろうこの森でゆっくりとしている暇はないのだが。不意にがさがさと茂みが動く。異形かと構える白石と陰伊であったが、そこから現れたのはリス、
あるいはそれの亜種である動物だった。ふう、と胸をなで下ろす陰伊。ここにあの小心者の北条院がいたならば問答無用で斬りかかっていた事だろう。
そんな小動物に呆気をとられている二人を余所に、官兵達はこの場所に非常に不釣合な建物を発見していた…
 「なんだあれは…?」

―――…

 「これがコンビニかぁ…やってるのかな?」
 陰伊は興味があると言わんばかりに目を輝かせて言った。、遠目に見てもわかるその存在感。滅多にお目にかかれない建物コンビニ。
 「今の時代やってるコンビニなんて…」
 「明かりついてるし、営業中でしょや。ちょっとはいってみよーよ」
 明らかに個人的な好奇心で動く白石。そんな様子を見て困ったような顔をするトエルとサキであったが、何か手がかりが見つかるかもしれないとコンビニ
へ歩いていく陰伊達についていった。
 官兵は一足先にコンビニへと足を踏み入れていた。というのもコンビニをリアルタイムで知っているのはこの官兵だけであるからだ、昔を思い出す懐かしさ
と何故こんなところにコンビニがあるんだという警戒心のせめぎ合いの中、そういえばこのコンビニファ○マなのにファミファミならねえなとかそんな事を考え
ていると店員が挨拶を官兵に向けた。
 「ぃらっしゃいあせぇえええええ…」
 後半が尻上がりのごく一般的な挨拶。コンビニの店員はやけに毛深い、だが脳天の毛が心細い印象の中年の男であった。
 「おおー!なんかすごいべさー!」
 「すごーい!」
 白石達も店内へ入ってくる。コンビニと言うものが初めてな二人は大はしゃぎ。勝手に商品に触っちゃいけないぞと官兵に注意を促される。
年相応の笑顔の少女達がそこにいた。
 「ここ…コンビニですよね?」
 官兵は店員に尋ねる。はい、そうでございますと店員はさしておかしい事など無いかのように答える。いや、おかしいだろうと場の空気に流されそうに
なった官兵は思い直した。店員の男は人の良さそうなふっくらとした顔つきと体つきの中年だった。張り付いたような笑顔が不気味であったが。
遅れてきたサキとトエル。だがトエルの方はあまり興味が無さそうな、つまらなそうな顔をしていた。
 「ふえ、なんだかごっちゃりしているところです」
 「そう?けっこうキチンと商品陳列されていると思うけどなぁ〜」
 トエルはつまらなそうにつぶやいた。白石と感想は違えど、物が沢山あるという事には変りない。店内は週刊誌やカップラーメン。お菓子に惣菜パン。
それらが棚に小奇麗に陳列されているのであった。別に何も面白い光景じゃない。ただ、陰伊達には十分新鮮だった。保温ケースに並べられた
肉まんに食指を揺すられる。「揚げたて」とポップが付けられたフライドチキンの匂いがいたずらに白石の鼻腔内をくすぐった。
 「これかってよー」
 「お金持ってないから!」
 なんて官兵にねだる白石であったが、これは見事に断られたみたい。

 「あ…これは…!」
 サキは店内で何かを発見した。コンビニには似つかわしくない『骨董コーナー』とかいうエリアで見つけた錆びたナイフであった。相当な年代物で、
生産後最低百年は経過しているであろうそのナイフは、サキのよく知る人物のものであった。
 「どうしたんですかっ…サキさん?」
 「このナイフは…助弐夷の…!」
 「え…!?」
 
 「ほほお、それの持ち主のことをご存知なのですか」

 サキ達の背後に現れた中年の男。
 「わっ」
 二人は豆鉄砲を食らった雀のように驚いて振り返る。男の手にはサキが持っていたはずのナイフが握られていた。サキは自分の手からいつの間にか
消えたナイフを奪い返そうとするが男はのらりくらりとかわすのであった。
 「それ、かえしてください」
 「お断りします。店の商品ですので…んふ」
 「私の知り合いのものです」
 「今は私の所有物ですからして。それにこれはほかと違って”特別”ですから」

 店内に不穏な空気が流れる。ゴオォ、と冷凍庫の稼動音だけがその場に響いていた。

461正義の定義:2010/04/23(金) 23:10:58 ID:ynAJghic0
 「あなた…一体なんなんですか?」
 陰伊の問い掛けに、男は一考した後こう答える。
 「私は…蒐集癖がありましてねぇ、今も昔ほどではありませんがこういった珍しい品物を集めているのでございます」
 「ここに来た人間の品物を奪って、ですか」
 サキの明らかに憎しみのこもった声。彼女は男をまるで十年来の宿敵、いやもっとかもしれない。それ程の気迫で男を見据えていた。
その様から感じ取れるのは単一の感情などという簡単なものではなく、もっと複雑な、悲しみや怒りやそれに準ずるいくつもの感情…
それがサキの心には渦巻いていた。
 「おや、あなたは何故それを知っているのですか?適度に噂を流した後は皆喰い殺していたのに」
 「喰い殺したって…まさかあなたが行方不明者を…!」
 そう言い、陰伊はキッと男を威嚇するように睨んだ。男はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべていた。官兵とはまた違う、もっと異質な何か。
陰伊はここで男が人間ではないことを確信した。
 「私はねえ…喰い殺した人間の一番大切なものをコレクションするのが、ねえ、とてつもなく好きなんだ。他者が生きていた、存在の証というものを独占
するのが、個人が凝縮されたそれを見ていると、ねえ、それが狂おしいほど輝いて見えるんですよ。たまらなく奪いたくなる、衝動に駆られるんですよ」
 「…助弐夷のナイフをかえせッ!!」
 「今迄やって来た人達を…喰い殺した罪、重いですよ」
 にじり寄る二人。男は両手を前に突き出して、おおこわい、と言わんばかりの態度で後退した。
 「暴力はいけませんねえ、あ…じゃあこういうのはどうでしょうか?」
 男はポケットからなにやら小箱を取り出す。オモテ面を見て、それがトランプの入った箱であるという事がすぐに分かった。不敵に微笑む男を見て
不快感を露にするサキ。一体トランプで何をするのかと思えば男はこんな提案をしてきた。
 「どうでしょう、ここはポーカーで勝負しては?」
 「ポーカー…?」
 「あなた方が勝てばこのナイフ…そしてここ数カ月に捕まえた人間たちはまだ食べていませんのでそれも開放しましょう…ただし」
 そこで一旦言葉を止め、ゴクリと唾を飲み、ジュルリと舌を舐めずる男。ぞっとするような笑みを浮かべこう言葉を続ける。
 「あなた方が負ければ、あなた方の大切なものを頂戴いたします…どうでしょう?」
 こんな提案、乗らなくとも英雄武装で倒してしまえばすぐだろう。だが陰伊は正々堂々と勝負するのがモットーの人間だ。その上感情的になると頭が
回らなくなってしまうタイプの人間だ。今の彼女に「提案に乗る」以外の返事は存在しなかった。
 「やってやりますよ…!」


 「…もう、どうしてのるの。ばか、ほんとばか!ふぇ!」
 事の経緯を聞いたトエル達は無策に相手の提案に乗った陰伊を責めていた。一番大切なものとして陰伊が差し出したのはオープンデバイス。本人曰く、
カエルのお守りとどっちを出すか迷ったらしい。
 「何故カエルの方を出さなかったんだべさ?」
 白石はこんなカエルの方が大事なのかと思いつつ聞いた。カエルのお守りというか、殆ど蛙の置物であるそれを陰伊はぎゅっと握る。
 「こ、これは駄目!これは…絶対駄目。ほら…勝てばいいんだよ。居場所も分からない捕まった人達も開放されるみたいだし…」
 「そう、うまくいくといいんだけどね…相手はおそらく異形だよ?」
 「わかってますよ、官兵さん」

 「準備はよろしいですかな?」

 男の問い掛けにコクンと頷く陰伊。すると今までコンビニのだったはずの室内はテーブルがひとつあるだけの黒の空間へと変化するのだった。

 「さあ始めましょう、愉しいゲームを」

462名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 23:14:53 ID:ynAJghic0
 「うーん…」
 ポーカー。トランプで行う賭け勝負で最もポピュラーなゲームである。これに挑むは陰伊三。彼女に配られた五枚のカード。
スペード5ダイヤ9ハート3クラブ5スペード9。ツーペアだ。
 「さて、クローズド・ポーカーで5本勝負。ということでよろしいですか?」
 五枚のカードから顔の上半分をのぞかせる男は確認をとる。口元が良く見えないのが余計に不気味さを引き立てていた。
 「…よろしいです」
 同意する陰伊。彼女の横にはベットとしてオープンデバイスが置かれている。負ければ没収…そもそも、これは機関の物なのだが…
 「カードは交換しますか?」
 「一枚交換します」
 陰伊はハートの3を捨て、男は山から一枚のカードを飛ばす。陰伊は飛んできたそれを顔の前でキャッチした。手にとったカードは…クラブの9!
 (フルハウスだ…!)
 フルハウスといえばなかなか強い手だ。これで勝負する事にして陰伊。対して男は手札を変えなかった。
 「オープン!」
 「…!」
 陰伊が手札を晒す。それと同時に男の役も明らかになる。
 「3の…フォーカード…負けた…」
 男の役はフォー・オブ・ア・カインド。フルハウスよりもひとつ上の役だ。でもまだ一回目だと、めげずに二戦目へと挑む陰伊。
 「まずは私の一勝でしたね…では、次へいきましょう…」
 二戦目。陰伊の手札はなんとKのフォー・オブ・ア・カインド。これはよほど運がなければ一発で出ることはない。今度こそ!と、意気込む陰伊だったが…

 「そんな…」
 「フォーエースです。ふふ…」
 エースのフォー・オブ・ア・カインド。KとAではAの方が強い。この勝負も陰伊の負け…。
 ここで白石は「ちょっとおかしいんじゃない?」と抗議をする。なにせ二回連続手札変え無しでこんなにぽんぽんいい訳が出る訳がない。
イカサマしていると白石は踏んだのだろう。
 「ならば、あなた方がカードを配れば、問題はないでしょう?」
 余裕の面持ちで男は答える。彼の妙な素直さを不審に思いながら白石はカードを切る。念のためカードに細工されていないかと確認するが、これといって
細工された痕跡は見受けられない。言い表せぬ違和感に襲われながらも白石はカードを配った。
 三回戦。これで負ければ取り返しの付かないことになる…

463正義の定義:2010/04/23(金) 23:15:32 ID:ynAJghic0


 「オープン」

 「ハートの87654!ストレートフラッシュです!」
 「スペード、ロイヤルストレートフラッシュだ」
 「なっ…!?」
 現実とはかくも残酷である。
 「さあ約束です。それをこちらに渡してもらいましょうか…」
 「うう…」
 納得いかないとはいえ約束は約束。だが他は納得するわけがなかった。
 「こんなの無効!なんかおかしいでしょや!イカサマに決まってる!」
 白石は異議を唱える。そうだそうだと同調する周りの人間。しかし肝心のタネが分からない。魔法のからくりがわからなければそれはイカサマには
ならないのだ。ならばイカサマを証明してくださいと一層不気味な笑顔に顔を歪める男。一同が押し黙るそんな中、沈黙思考していたトエルが口を開く。
 「…ふえ!ふえぇ!ほんとにそんなこどもだましでこのわたしをあざむけるとおもうてか!」
 今まで我慢していたトエルは満を持して言い放った。その長いツインテールを得意気に掻き上げた後、勢い良く男を指差し、こう言葉を続ける。

 「おまえがやっていることは、ぜんぶまるっとおみとおしだ!!ふえ!!」

 キリっと、あたかもこの機を狙っていたかのよう。いや、トエルは確かにこの時を狙っていた。何故なら彼女は最初からわかっていたのだ…
"店に入った時点で"全て。心なしか店内でのトエルの反応が薄かった気がするのは気のせいでは無かった。一瞬、男の表情が陰る、がすぐに元の
気持ちの悪い笑顔に戻った。
 「私がイカサマ?どうやったというんです!?」
 男は馬鹿にしたような態度でトエルに問いた。彼女の自信は揺るがない。その目は『真実』のみを映していた。
 「ふぇ!めにみえているものがいつもげんじつとはかぎらない…」
 「!?」
 「これはぜんぶおまえのみせている"まぼろし"にすぎない!ほかのにんげんのめはだませてもこのわたしのめはだませない!!ふえふえ!!」
 ズズーン!そんな効果音がぴったりと当てはまりそうな様相を男は醸し出してた。トエルはこの空間もトランプも全部、男の異形の見せた幻であることを
暴いてみせたのだ。今のトエルは泰山梁木と言えなくも無い。
 「なぜ…わかった…私が幻影を見せる類のモノだと!」
 「なぜもなにも、わたしきかいだからまぼろしなんてみえませんし!きかいはげんじつしかみれませんし。ふぇ」

464正義の定義:2010/04/23(金) 23:17:39 ID:ynAJghic0
 「やっぱりイカサマだったべさ!このインチキ野郎!」
 「正々堂々とやったのに…酷いです!」
 「異形相手に正々堂々というのも…私はどーかと思うけどね」

 「ふえぇ!さあかんねんしやがれこのぺてんしやろう!そのどてっぱらにかざあなあけられたくなければなぁ!」
 演技がかった台詞を活き活きと喋るトエル。一度上げてしまったテンションというのはどうにも下げづらい。言わば暴走状態のカタルシスと言うヤツである。
 男はよもや幻を見破られるとは思っていなかったようで、大量に吹き出る汗が彼の動揺を物語っていた。手品のタネはわかってしまえばただのネタ。
詐欺師がトリックを解かれたら、もうただの嘘つきでしかなくなる。
 「くそ…私の秘密がバレてしまうとは…こうなったら…お前達全員…生かしては帰さないぞ!!」
 ずぞぞぞ…、男の周りを黒い霧が覆う。男の姿が見えなくなったと思えば霧の中から黒龍の首が現れた!赤い瞳の黒龍は羽を広げ、霧を払う。
体長20mはあるかと言うその黒龍の強靭な全身が顕になった。男はこの龍に変身したとでも言うのか?
…それにしても20mもの龍が室内に収まるのとかそういうツッコミはなしである。あれだよ!なんか幻でいろいろしているんだよ!そういうことにしといて!
 英雄一行は、これには萎縮せざるを得なかった。スケールが違いすぎる。それでもトエルは腕を組み厳に構えていた。全く怯む様子もない。
 「ふぇ!かんちがいしているみたいだけどあれはただのまぼろし!わたしにこけおどしはつうようしないというのに…おろかなり!ふぇ!」
 「つみもないひとびとおそうあっきめ!このだいじゅうにばんえいゆうがちゅうさつしてくれるわ!ふぇ!」
 先程まで素人だったとは思えない手際でチェンジコードをデバイスに入力するトエル。光を纏い駆ける。走り出した先には黒龍の頭が大きく口を開けて
構えている…が、トエルは全くスピードを落とそうとはしない。寧ろ加速する一方であった。黒龍との距離が近くなるとトエルはぴょんと飛び上がる。
変身が完了しチアコス姿のトエルが黒龍の眉間に急降下。かかと落としを叩き込んだ。
 「ってまた格好変わってるし!」
 そんな白石の指摘に官兵は、んっふと鼻息を鳴らし答える。
 「だってコスチュームはたくさんあった方がいいでしょう!」
 官兵の意味のないこだわり。無駄な努力に一同が冷めながらも、トエルが黒龍を圧倒する様を見ていた。黒龍はただの幻。その実はただの一異形に
過ぎない。当然ながらトエルが遅れを取るはずも無かった。先程の戦闘で既に力の使い方を学習したのか、トエルはこなれた手つきでコードを入力する。
 「ぬぐぅ…」
 『"ゲール""アーム"』

465正義の定義:2010/04/23(金) 23:18:23 ID:ynAJghic0
 「ふぇ!ふえふえふえふえふえふえ!ふえぇぇぇぇぇぇ!ふえぇッ!!」
 「うがッ…!」
 拳の応酬。何十発も顔面にパンチを受ける黒龍。意識が朦朧としてきたところを、トエルのアッパーが止めを刺した。
 ズシン。その巨体が地に沈む。するとどうだろう、黒龍が沈んだその場所にいたのはみずぼらしい餓鬼のような異形であった。トエルはその異形に引導
を渡すべく彼の前へと歩み寄った。
 「さぁて…さいごにいいのこすことは?」
 「待ってください!」
 止めに入るトエルの耳に入る少女の声。声の主はサキだった。
 「なんだねアンダーソンくん」
 「こいつの止めは…私に刺させてください」
 そうして、サキは床に転がっていた助弐夷のナイフを手にとる。錆びた刀身に僅かに映る彼女の顔。その顔は酷く悲しみに満ちていた。
彼女の綺麗な藍色の瞳は黒ずんでいた。そして彼女の手は…心細そうに震えていた。
 「ふぇ!いいですとも」
 「ありがとう…」
 異形を見下すようにして立つサキ。その手に握られたナイフがきらりと光る。
 「お前が助弐夷を…」
 「お前…あの男の知り合いか」
 「…ッ!?」
 気を失っていたはずの異形は突然その赤い眼を開き、サキに問いかけた。サキは答えない。
 「答えんか…まあいい。知っているか?すべての原因は奴にある」
 異形は語りだす。まだこの森が危険ではなかった頃の話を。
 「私は当時、骨董品を盗む異形だった。珍しいモノが好きだったからだ。人を襲ったことはあったが、殺しはしなかった…」
 「だがある日、奴は現れた。奇術使いであった奴は私をこの汚い小屋に封じ込め、二度とこの小屋から私を出れないようにした。外に出られなければ私は
餓死するのみだ。そこで私は考えた…珍しい建物になら、人間は興味を持ち小屋に入ってくるのではないか?」
 「私はそれをすぐ実行した。私は幻を操る異形であった。獣に幻を見せても匂いで気づかれてしまうが人間は違った…そうして、私はやって来た人間を
喰らった」
 「仕方ないだろう?これしか方法がなかったのだ。食わねば餓死する…何を隠そう、これの原因を作ったのはあの男だ。あの男が余計なことをしたから
私は人間を喰わねばなれらなくなったのだ。全ては奴が悪いのだ。私はただ生きたかっただけなのだから」
 「それで…助弐夷はどうしたの?」
 サキは異形の顔を見ないようにして言った。だってそこには、醜い笑顔のがあったから。狂っていたのだろう、この異形も。そしてサキも。
 「…事を聞きつけた奴は再び私の前に現れたよ。だけどアイツ…妹の幻を見せたらさ、その…ころっと騙されやがってさ、あ、そう言えばお前昔何処かd」

 ザシュッ

 「だまれ…!」

466正義の定義:2010/04/23(金) 23:19:15 ID:ynAJghic0
 異形の額に深々と刺さるナイフ。サキの手により異形は絶命した。傷口からドプドプと溢れる緑色の血が、サキの左手にかかった。
 異形の死により、異形の幻が解除されたのか今まで真っ暗だった空間は打ち解けるように晴れていき、黒い靄が完全に消えるとそこはただの古びた
家屋であった。
 「全部…あの異形の作り出した幻だったんだね…」
 陰伊は先程とはまるで違う周りの光景を見て、そう呟いた。
 「ていうかトエル!あーた最初からわかってたんなら教えてよ!騙されるとこだったべさ!」
 「いや、みせばとかそうゆーのありますし、ふぇ!」
 結果よければ全て良しで済まそうとするトエル。そうは許さんぞとガミガミ言う白石。そんな様子を官兵は微笑ましそうに盗撮するのであった。
 「こらクソメガネ!かってにとるな!」 
 陰伊は辺りを見渡し、チラホラと倒れている人間を発見する。おそらく異形に捕まっていた人々だろう。呪縛が解けたように目を覚ます彼らを見て、
人々の無事を陰伊は確認した。しかし何か足りない気がする。サキだ。先程までそこにいたサキの姿はなく、異形の額からはナイフが抜き取られていた。
 「ふえ!?」
 「ごめんね、ちょっときて」
 妙な胸騒ぎを覚えた陰伊はトエルを連れ、森の中を再び進んでいく。


 「あれー?陰伊ちゃん?トエル?サキさーん?」
 三人が消えてることに気がついた白石は三人の名前を呼んでみるも返事はない。トエルは陰伊が連れていった事は官兵の話によりわかったのだが。
となるとサキは一体どこへ行ってしまったのだろう?白石はやれやれと後頭部をポリポリと掻いた。
 「あのー、私がどうかしましたか?」
 ふと、保護した村人の一人が白石に話しかけてきた。育ちの良さそうな面構えの少女であった。きっと手塩にかけて育てられたんだろうなという事が
ひしひしと伝わってくる彼女が何故自分に話しかけてきたのだろうか?サインでも欲しいのだろうかと白石は思った。
 「私の名前呼んでましたよね?」
 「あ、サキさん?いや、あなたじゃなくってねぇ、集落の長の娘さんの…」
 「え…その集落の長の娘のサキですけど…」
 「…はい?」


―――…

 「ふえー、きょうはもうつかれたです」
 「もうちょっとだから…」
 ネコミミmodeでサキの探索。日は傾きつつある。辺りは徐々に暗くなり始めた。小動物などは既に巣に帰っていることだろう。夜行性の動物は
丁度目を覚まし「たるいけど得物でも狩りに行くか」と重い体を起こしている頃だろう。日が落ちるにつれて気温も下がっていく。冷たい空気が森を徐々に
支配し始めたその時、トエルは立ち止まった。陰伊も足を止める。二人の目の前には人為的に作られたかのような野原が広がっていた。
 「…やっぱり、追いかけてきたんですね」
 そこに…サキはいた。いや、彼女はサキではないのだが…
 「サキさん…一体…何で…?」
 「私は…サキじゃないのです。私はただの名もなき異形です」
 そう言って…サキ…ではなかった、異形の彼女はピョコンと今まで隠していたであろう獣の翼を出した。木の葉などに遮られながらも空から差し込む
光が彼女の姿を照らす。それはなぜだかとても儚く、幻想的だった。
 「あなたは…どうしてそんな嘘を…?」
 そっと尋ねる陰伊。思えばおかしいところはたくさんあった。ボロボロの服や幻を操る異形に対するおかしな言動。
それらが今、陰伊の中で繋がったのだ。
 「私は…生まれた頃から独りでした」
 すっと、木々から僅かに見える空を見上げ、歩き出す少女。彼女がその場から離れるとそこに見えたのは誰かのお墓であった。
 「異形だから人々からは疎まれ、ただ一人、ずっとこの森で暮らしていたんです」
 「そんな私の元に…ある日訪れた方々がいました」
 「それが…助弐夷…さん?」
 はい、と頷く少女。彼女はその時のことを、昨日の出来事のように思い出した…

467正義の定義:2010/04/23(金) 23:19:52 ID:ynAJghic0

………………

 『あなた方は…?』
 『俺達は住処をさがして流離う放浪の身。名前は助弐夷。んでこっちが我が妹!』
 『よろしゅうございますー』
 『あなた方は私の翼を見てなんとも思わないのですか?』
 『?何でそんなもん気にする必要がある?なぁ妹』
 『そーそー。かわいいやないですか!うらやましいわぁ』
 『かわいい…?』
 『おう、偉いべっぴんさんだぜ、アンタ』
 『そんなことは…』
 『よーし俺、ここに住んじゃおっかな〜!アンタみたいに可愛い子もいるし!あ、俺強いから、なんか危ない目に遭ったらすぐに呼んでくれよ?』
 『は…はぁ、』

………………

 「その方達は、しばらくして近くの集落に居を構えました。それからというもの…彼らは毎日のように私に会いに来てくださったのです」
 「ずっと独りだった私は…彼らのぬくもりに触れて…初めて生を実感しました」

 「私はあの時確かに、幸せだったと思うんです」

 「幸せ…」
 彼女は異形であった。英雄は異形を倒すもの。陰伊は機関でそう教えられてきた。しかし目の前の彼女はどうだろう?こんな純粋な思いを持つ
彼女が、果たして本当に国を脅かす存在なのだろうか?陰伊は常々機関の問答無用の体制には不満を持っていたが、異形の彼女を見ていると
そのやり方に疑問が出てきてしまう。
 「でも…幸せは長く続きませんでした…」


………………

 『ふふふ…アナタのその髪飾り、珍しい型をしていますねぇ…いただきます!』
 『きゃあッ!』


 『うっ…うっ…』
 『唯一の私物である髪飾りを盗まれた!?そいつは許せねえ!オレがそいつを二度と悪いことできないようにしてやる!』

………………

 「あの時…べつに髪飾りに固執しなければ…こんな事には…ならなかったはず…」
 「助弐夷さんが消えた後…悪い異形と繋がっていると勘違いされた妹さんは、何も悪いことなんてしていないのに…殺されたのです。
これは妹さんのお墓」
 少女は墓の方を見つめる。楽しかったあの日々を思い出すように、穏やかな表情で。

 「私とこっそり会っていたから…そういう勘違いをされたのでしょう。そう…全部…全部私のせいなんです」

 「私が彼らと会ってしまったから、触れ合ってしまったから」

 「そんな…そんなのって、悲しすぎるよ」
 陰伊は言葉を挟まずにはいられなかった。こんなに悲しい現実があってもいいのか?皆が皆、少しずつずれてできた歪がこんなにも酷いなんて。
 助弐夷はただ彼女の悲しむ顔が見たくなかっただけだった。
 幻を操る異形は人から物を奪ったり悪さはしたが人を食らう異形ではなかった。
 村人は自分たちの村を守るためにやっただけだった。

 どうしてこんなに狂ってしまったのだろう?

 どこでここまで狂ってしまったのだろう?

468名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 23:21:31 ID:ynAJghic0

 「私は…存在してはいけなかったのです」

 少女は自らを否定する。それがどんなに辛いことか。
 陰伊は今すぐにでもそれは違うと言いたかった。だが言葉が出てこない。

 「だからせめて…全てを終わらすべく…あの異形を退治出来る人を探していたのです。それが達成された今…私がこの世に存在する意味はありません」
 「そんな事言わないで…!」
 「私はあなた方には感謝しているのです。私のわがままに付き合ってくださって。どちらにせよ、私は永く生きすぎました。この体は何もせずとも…
もうじきに消失します…だから言わせてくださいです…」

 「ありがとうございました…」

 そう言った少女の体は、もう既に半分透けていました。

 「まって…そんなのだめだよ!死んじゃ駄目!」

 「いいのです。この体だって魔素でだましだまし持たせていたのですから…ああ、もう時間のようです…」

 「…願わくば二人のところへ行きたかったけど…無理でしょうね…私は二人と同じところに…行けるような者じゃないから…」

 「そんなことないよっ…」
 陰伊の瞳からは大粒の涙がこぼれていた。不思議そうにそれを見つめるトエル。よく分からないが自分も泣いておこうかとトエルは思ったが、
機械なので涙を流せなかった。

 「ありがとう…まだ私のために泣いてくれる人がいたなんて…本当にありがと…そして…」


…さようなら。


 陰伊は泣きじゃくってひどい顔を上げ、少女の方を見るもそこには何もなく、ただ日の光が差し込むだけだった。

 ふと、墓の方を見てみるとそこには、錆びれたナイフとよく手入れのなされた髪飾りが置いてあった。

469正義の定義:2010/04/23(金) 23:23:41 ID:ynAJghic0

 「ねえ…幸ちゃん」
 一連の事件を片付け、集落の長の感謝もそこそこに集落を後にする一行。本部への帰路を走る車内で陰伊は白石に話しかける。何というわけでもなく
ただ無性に陰伊は自分達の事について話したくなったのだ。
 「何?」
 「私達のやってることって…本当に正しいのかな?」
 「どしたのいきなり」
 白石はちょっといつもと様子が違う陰伊を心配する。
 「だって…私達のしている事が原因でもし…もっと沢山の人が悲しむような事になったら…」
 「しんぱいしょうだねぇ、陰伊ちゃんは。陰伊ちゃんは何も考えられないアニマルじゃないでしょ?」
 「…うん」
 「自分が正しいと判断したなら、それを突き通す!それが正義ってモンでしょや!」
 陰伊を元気づけようと明るく振舞う白石。だが、陰伊の心が晴れることは無かった。

 「自分の正しいと思う…正義…そんなの…わかんないよ…わかんない…!」


 オレンジ色の夕日が彼らを乗せた車を照らす。今はそれが一行を優しく包み込んでくれた。嫌なことも苦しいことも全部…


                                                 ―続く―

―次回予告
ある街の要人が異形に狙われることになった!こいつはたいへんだ!
「大変だべさぁ〜…」
依頼を受けた英雄達は要人の元へと急ぐが、その途中、異形に出くわす…
「全く、ちょっとくらい休ませて欲しいでしょや…」
その正体は!?彼らの運命は!次回は白石ちゃんお休みです!
「まじで!?」
次回「電子幼女は吸血鬼の夢をみるか?」に、乞うご期待!!

470名無しさん@避難中:2010/04/23(金) 23:24:59 ID:ynAJghic0
投下終了
毎回駄文垂れ流しで申し訳ない。でわでわ

471名無しさん@避難中:2010/04/24(土) 07:40:06 ID:RorZRLNU0
いってくるぞなもし

472正義の定義(避難所より代行):2010/04/24(土) 07:42:26 ID:RorZRLNU0
 だいぶ森の奥までやって来た一行であったが、人影はおろかめぼしい手がかり一つでさえも見つける事ができないでいた。今現在もどこかに異形共が
いるであろうこの森でゆっくりとしている暇はないのだが。不意にがさがさと茂みが動く。異形かと構える白石と陰伊であったが、そこから現れたのはリス、
あるいはそれの亜種である動物だった。ふう、と胸をなで下ろす陰伊。ここにあの小心者の北条院がいたならば問答無用で斬りかかっていた事だろう。
そんな小動物に呆気をとられている二人を余所に、官兵達はこの場所に非常に不釣合な建物を発見していた…
 「なんだあれは…?」

―――…

 「これがコンビニかぁ…やってるのかな?」
 陰伊は興味があると言わんばかりに目を輝かせて言った。、遠目に見てもわかるその存在感。滅多にお目にかかれない建物コンビニ。
 「今の時代やってるコンビニなんて…」
 「明かりついてるし、営業中でしょや。ちょっとはいってみよーよ」
 明らかに個人的な好奇心で動く白石。そんな様子を見て困ったような顔をするトエルとサキであったが、何か手がかりが見つかるかもしれないとコンビニ
へ歩いていく陰伊達についていった。
 官兵は一足先にコンビニへと足を踏み入れていた。というのもコンビニをリアルタイムで知っているのはこの官兵だけであるからだ、昔を思い出す懐かしさ
と何故こんなところにコンビニがあるんだという警戒心のせめぎ合いの中、そういえばこのコンビニファ○マなのにファミファミならねえなとかそんな事を考え
ていると店員が挨拶を官兵に向けた。
 「ぃらっしゃいあせぇえええええ…」
 後半が尻上がりのごく一般的な挨拶。コンビニの店員はやけに毛深い、だが脳天の毛が心細い印象の中年の男であった。
 「おおー!なんかすごいべさー!」
 「すごーい!」
 白石達も店内へ入ってくる。コンビニと言うものが初めてな二人は大はしゃぎ。勝手に商品に触っちゃいけないぞと官兵に注意を促される。
年相応の笑顔の少女達がそこにいた。
 「ここ…コンビニですよね?」
 官兵は店員に尋ねる。はい、そうでございますと店員はさしておかしい事など無いかのように答える。いや、おかしいだろうと場の空気に流されそうに
なった官兵は思い直した。店員の男は人の良さそうなふっくらとした顔つきと体つきの中年だった。張り付いたような笑顔が不気味であったが。
遅れてきたサキとトエル。だがトエルの方はあまり興味が無さそうな、つまらなそうな顔をしていた。
 「ふえ、なんだかごっちゃりしているところです」
 「そう?けっこうキチンと商品陳列されていると思うけどなぁ〜」
 トエルはつまらなそうにつぶやいた。白石と感想は違えど、物が沢山あるという事には変りない。店内は週刊誌やカップラーメン。お菓子に惣菜パン。
それらが棚に小奇麗に陳列されているのであった。別に何も面白い光景じゃない。ただ、陰伊達には十分新鮮だった。保温ケースに並べられた
肉まんに食指を揺すられる。「揚げたて」とポップが付けられたフライドチキンの匂いがいたずらに白石の鼻腔内をくすぐった。
 「これかってよー」
 「お金持ってないから!」
 なんて官兵にねだる白石であったが、これは見事に断られたみたい。

 「あ…これは…!」
 サキは店内で何かを発見した。コンビニには似つかわしくない『骨董コーナー』とかいうエリアで見つけた錆びたナイフであった。相当な年代物で、
生産後最低百年は経過しているであろうそのナイフは、サキのよく知る人物のものであった。
 「どうしたんですかっ…サキさん?」
 「このナイフは…助弐夷の…!」
 「え…!?」
 
 「ほほお、それの持ち主のことをご存知なのですか」

 サキ達の背後に現れた中年の男。
 「わっ」
 二人は豆鉄砲を食らった雀のように驚いて振り返る。男の手にはサキが持っていたはずのナイフが握られていた。サキは自分の手からいつの間にか
消えたナイフを奪い返そうとするが男はのらりくらりとかわすのであった。
 「それ、かえしてください」
 「お断りします。店の商品ですので…んふ」
 「私の知り合いのものです」
 「今は私の所有物ですからして。それにこれはほかと違って”特別”ですから」

 店内に不穏な空気が流れる。ゴオォ、と冷凍庫の稼動音だけがその場に響いていた。

473正義の定義(避難所より代行):2010/04/24(土) 07:43:25 ID:RorZRLNU0
 「あなた…一体なんなんですか?」
 陰伊の問い掛けに、男は一考した後こう答える。
 「私は…蒐集癖がありましてねぇ、今も昔ほどではありませんがこういった珍しい品物を集めているのでございます」
 「ここに来た人間の品物を奪って、ですか」
 サキの明らかに憎しみのこもった声。彼女は男をまるで十年来の宿敵、いやもっとかもしれない。それ程の気迫で男を見据えていた。
その様から感じ取れるのは単一の感情などという簡単なものではなく、もっと複雑な、悲しみや怒りやそれに準ずるいくつもの感情…
それがサキの心には渦巻いていた。
 「おや、あなたは何故それを知っているのですか?適度に噂を流した後は皆喰い殺していたのに」
 「喰い殺したって…まさかあなたが行方不明者を…!」
 そう言い、陰伊はキッと男を威嚇するように睨んだ。男はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべていた。官兵とはまた違う、もっと異質な何か。
陰伊はここで男が人間ではないことを確信した。
 「私はねえ…喰い殺した人間の一番大切なものをコレクションするのが、ねえ、とてつもなく好きなんだ。他者が生きていた、存在の証というものを独占
するのが、個人が凝縮されたそれを見ていると、ねえ、それが狂おしいほど輝いて見えるんですよ。たまらなく奪いたくなる、衝動に駆られるんですよ」
 「…助弐夷のナイフをかえせッ!!」
 「今迄やって来た人達を…喰い殺した罪、重いですよ」
 にじり寄る二人。男は両手を前に突き出して、おおこわい、と言わんばかりの態度で後退した。
 「暴力はいけませんねえ、あ…じゃあこういうのはどうでしょうか?」
 男はポケットからなにやら小箱を取り出す。オモテ面を見て、それがトランプの入った箱であるという事がすぐに分かった。不敵に微笑む男を見て
不快感を露にするサキ。一体トランプで何をするのかと思えば男はこんな提案をしてきた。
 「どうでしょう、ここはポーカーで勝負しては?」
 「ポーカー…?」
 「あなた方が勝てばこのナイフ…そしてここ数カ月に捕まえた人間たちはまだ食べていませんのでそれも開放しましょう…ただし」
 そこで一旦言葉を止め、ゴクリと唾を飲み、ジュルリと舌を舐めずる男。ぞっとするような笑みを浮かべこう言葉を続ける。
 「あなた方が負ければ、あなた方の大切なものを頂戴いたします…どうでしょう?」
 こんな提案、乗らなくとも英雄武装で倒してしまえばすぐだろう。だが陰伊は正々堂々と勝負するのがモットーの人間だ。その上感情的になると頭が
回らなくなってしまうタイプの人間だ。今の彼女に「提案に乗る」以外の返事は存在しなかった。
 「やってやりますよ…!」


 「…もう、どうしてのるの。ばか、ほんとばか!ふぇ!」
 事の経緯を聞いたトエル達は無策に相手の提案に乗った陰伊を責めていた。一番大切なものとして陰伊が差し出したのはオープンデバイス。本人曰く、
カエルのお守りとどっちを出すか迷ったらしい。
 「何故カエルの方を出さなかったんだべさ?」
 白石はこんなカエルの方が大事なのかと思いつつ聞いた。カエルのお守りというか、殆ど蛙の置物であるそれを陰伊はぎゅっと握る。
 「こ、これは駄目!これは…絶対駄目。ほら…勝てばいいんだよ。居場所も分からない捕まった人達も開放されるみたいだし…」
 「そう、うまくいくといいんだけどね…相手はおそらく異形だよ?」
 「わかってますよ、官兵さん」

 「準備はよろしいですかな?」

 男の問い掛けにコクンと頷く陰伊。すると今までコンビニのだったはずの室内はテーブルがひとつあるだけの黒の空間へと変化するのだった。

 「さあ始めましょう、愉しいゲームを」

474名無しさん@避難中:2010/04/24(土) 07:44:19 ID:RorZRLNU0
ぶはw、避難所に代行してどうする俺w

ごめんよ

475名無しさん@避難中:2010/04/24(土) 21:27:06 ID:WpazsFtY0
代行乙でした〜
今回の話は見てるものとかに影響されすぎたなあ…トリックの映画楽しみだ…

476名無しさん@避難中:2010/04/25(日) 20:01:53 ID:ScLqQH5wO
いらん事かもしれんが
そういうのはやめた方がいいぞ

477名無しさん@避難中:2010/04/25(日) 20:44:56 ID:LQazn7iEO
どんとこい超常現象は深夜に再放送やってるよ

つかシェアワスレがシェアスレで今一番勢いあるんじゃない?

478名無しさん@避難中:2010/04/25(日) 20:47:08 ID:Mbyhn5GY0
ちょうどまとめ作ってたんだけど確かに今週はすごいw

479名無しさん@避難中:2010/04/25(日) 21:41:48 ID:8KjKyahg0
ふえぇ…ごめんなしゃいおにいちゃん…なんでもすりゅからゆるしてぇ…

480名無しさん@避難中:2010/04/25(日) 22:04:22 ID:LQazn7iEO
なんでも…だと?
とりあえず俺のモノをしゃぶってもらおうか

481名無しさん@避難中:2010/04/25(日) 22:23:34 ID:Jopdfz3YO
まず順序としては『ロリキャラIN温泉界』だろうがw

482中途半端ロリババアはダメですか?:2010/04/25(日) 23:31:12 ID:Vz9a4xwQ0
幼「そうそう、私明日からちょっと出かけるから」

男「ん、どこ行くんだ?」

幼「温泉旅行」

男「いいなー俺も行きたいなー」

幼「え?うーん、そおねえ……
分かった。行ってもいいかどうか聞いておいてあげる」

男「やた」



幼「というわけなのだけど、その人も明日連れて行っていいかしら」

湯「私は誰でも大歓迎だよー」

天「ただしいつぞやみたく浴場で暴れられるのは勘弁してくれ」

幼「まあ、ただの一般人だし、そのあたりは大丈夫よ」

湯「じゃあ来るのはその人とまっちゃんの二人だね」

天「明日のお越しを心よりお待ちしております、っと」

483名無しさん@避難中:2010/04/26(月) 02:32:37 ID:JQeukJag0
更新多くていいね

484名無しさん@避難中:2010/04/26(月) 11:53:52 ID:qYGTXaJUO
まっちゃんて誰なんだろう…

485名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:09:28 ID:6wYL48P.O
>>801
地獄界キャラクターざっとまとめたのですが、ややえちゃん達も一緒に入れといていいですかね?

486 ◆GudqKUm.ok:2010/04/27(火) 22:11:40 ID:6wYL48P.O
あ、百景ですw

487 ◆GudqKUm.ok:2010/04/27(火) 22:19:07 ID:6wYL48P.O
それから>>801氏は、◆zavx8O1glQ氏のことです。
…ここまで3レス。私は馬鹿なのでしょうかw

488 ◆zavx8O1glQ:2010/04/27(火) 22:42:06 ID:WSKJcYaE0
ぜひぜひ一緒にお願いいたします。

普通に未来安価に見えたw
ちなみに◆GudqKUm.ok さんは、しぇあらじで「OK氏」と呼ばれてるw

489名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:43:04 ID:2ue6MilE0
濃いあだ名だなあww

490名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:47:37 ID:WSKJcYaE0
名前負けしないようにしないといけない

491名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:50:15 ID:6wYL48P.O
ラジオ聴けない環境の私に寂しいお知らせw

492名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:51:30 ID:6wYL48P.O
地獄界キャラクター一覧

【人間及び幽霊】


・大賀美夜々重
(おおがみ・ややえ)
元々は富裕な武家の一人娘で、数百年前に大きな未練を背負い、成仏できぬまま冥府と現世を彷徨っていた少女の幽霊。ある目的の為に地獄界を目指す。

桐嶋祐樹
(きりしま・ゆうき)
大賀美夜々重と共に地獄界へ飛び込む羽目になった、平凡でいささかシニカルな十六歳の高校生。

・華菱葵
(はなびし・あおい)
大賀美夜々重の友人。漆黒のドレスを纏い、汚れたウサギのぬいぐるみを抱いた謎の美少女。死体保存その他怪しげな技に長けた『厳格たる閻魔裁判が見逃した汚点』。

・郷見由希
(さとみ・ゆき)
真と拓という双子の弟と共に交通事故で死んだ地獄の小学四年生。

・高瀬剛
怜角に想いを寄せる元日本陸軍中尉。戦死してなお、先の大戦での部下『高瀬中隊』に慕われるエンジニア気質の好青年。地獄の交通業務を管理している。未だ軍服を着用。

・ズシ
平行宇宙『異形世界』から地獄界に迷い込んだ謎の魔道士。子供以外とあまり話さない折り紙付きの変人だが、恐るべき非凡な頭脳を持つ。いつもボサボサの髪に汚れた白衣。

・『高瀬小隊』
(たかせしょうたい)
高瀬剛に付きまとう旧陸軍の亡霊小隊。仲間が天寿を全うし、小隊全員が揃うまで地獄を離れないと誓う迷惑な老人たち。
斎藤軍曹、高橋軍曹、岡野伍長、田宮上等兵、中村上等兵などが登場している。

493名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:52:20 ID:WSKJcYaE0
地獄百景は地獄世界の代表として挙げられてましたね
リリベルの取り上げられ率が高いw

494名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:53:09 ID:6wYL48P.O
【魔物・その他】

・閻魔大帝
(えんまたいてい)
伝承通りの風貌と強大な魔力を備える地獄界の絶対支配者。

・閻魔殿下
(えんまでんか)
地獄の小学校に通う、閻魔大帝の後継者。父王と同じく強い魔力と年齢不相応な洞察力を持つが、ホビー関連の趣味はやはり小学生。『統括長官』として獄卒の指揮も執る。

・侍女長
(じじょちょう)
本名不明。『夜魔族』(猫又)なる種族の一員で、変身能力を持つ。何故か閻魔殿下の側近として、息の合ったボケツッコミを見せる。貧乳。夜魔族の語尾は共通して『〜ニャ』

・ミケ&ブチ
夜魔族の宮廷侍女。常にジャージ着用で狂言廻し漫才を行う二匹組。閻魔庁敷地内で土産物を扱う露店を出したりもしている。

・チャナ
夜魔族の一人。元宮廷侍女だが失業し、『慈仙洞』で保母をしている。蜂蜜色の三つ編みで巨乳。

・我蛾妃
(ががひ)
長らく『我蛾妃の塔』に幽閉されていた、凶悪で強力、かつ妖艶な女妖。策に破れ肉体は無間地獄へと消滅した。

・鬼寒梅
(おそめ)
白梅の精。関西弁で勝ち気な蒼灯鬼聡角の愛妻。

・リカルド
三途の川の難破船レストラン『いすぱにあ』のウエイター。鷲鼻で長身の船幽霊。

・『顎』
(あぎと)
我蛾妃の拘束に使用されていた閻魔庁の備品。形状は巨大な五本爪の掌で、我蛾妃消滅後、付喪神(つくもがみ)として魂を備える。その後は悪魔リリベルに対し使用された。愛称『おさがり』。
・権左
(ごんざ)
『鬼寒梅の村』を襲った野盗。

495名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:56:04 ID:6wYL48P.O
【閻魔庁獄卒隊】

・牛頭大将紫角
(ごずたいしょう・しかく)
情に厚い獄卒隊の隊長。名の通り牛頭の巨漢で巨大化能力を持つ。

・蒼灯鬼聡角
(そうとうき・そうかく)
獄卒隊副隊長。白髪で二本角の青鬼。霊体を瞬時に移動させる『移魂』の達人。妻は白梅の精『鬼寒梅』。

・慈仙洞嵐角
(じせんどう・らんかく)
地獄の託児所『慈仙洞』を預かる逞しく長身の女鬼。怪力とテレポート能力を持つ豪放磊落な鬼。角は二本。

・千丈髪怜角
(せんじょうはつ・れいかく)
生前の人間名は『真樹村怜』長い黒髪を自在に操る、元過激派学生にして元妖怪のクールな女鬼。一本角の獄卒隊第801期隊員。

・茨木胡蝶角
(いばらぎ・こちょうかく)
鬼の名家茨木一族の末娘。大人しく引っ込み思案だが芯は強く、読心能力を持つ。小柄で外跳ねのショートカット。一本角で獄卒隊第801期隊員。

・酒呑半角
(しゅてん・はんかく)茨木家と並ぶ名門、酒呑一族の鬼。重度のオタクでコスプレイヤー。当然その容姿はころころ変わる。獄卒隊第801期隊員。二本角。

・黒弦鐵角
(こくげん・てっかく)
獄卒隊第801期隊員。漆黒の体に無数の棘をもつ。

六腕山茶角
(ろくわん・さざんかく)
獄卒隊員の一人。

風輪彩角
(ふうりん・さいかく)獄卒隊員の一人。

496名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 22:59:38 ID:6wYL48P.O
以上です。補足、訂正あれば宜しく。
つか、今のとこ一番寂しい界なのです…
皆様是非とも参入を!!

497名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 23:03:38 ID:2ue6MilE0
おお、かなりの数が
キャラクター数的にけっこう賑やかな世界だと思っとりますが、機会があったら是非お邪魔させてもらいます

498名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 23:04:59 ID:WSKJcYaE0
これは大変に乙&GJ!

>鬼寒梅
おにかんばい て読んでたw

499名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 23:13:23 ID:pb/tDCWA0
すげえ乙www
由希ちゃん、地獄の小学四年生てなんか強そうだなw

500名無しさん@避難中:2010/04/27(火) 23:20:58 ID:6wYL48P.O
>>498
私も本日21:00頃まで『おにかんばい』と読んでましたw
では、ちょっとチェンジリングの方にも小ネタ落としてきます。

501ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:06:25 ID:pU9pm9cc0
8-1/7

 夜の閉鎖都市。子供の就寝の時間を過ぎてもなお爛然と光を放つビルの一室で、ゲオルグは電子ペーパー
と向き合っていた。淡い光を放つ有機EL製のモニタにタッチペンを走らせてなにやら細かい報告書を書いている。
それはひたすらに非常召集を待ち続けるだけの"子供達"の待機任務の一幕であった。

「あーめんどい」

 ゲオルグの対面の机でアレックスが吼えた。彼もゲオルグと同様に電子ペーパーを広げて書類業務だ。有機EL
とにらめっこするのは飽き飽きしたらしい彼はボールペンをくるくる回しながら天井を睨んでいる。

「そういやさ、兄サン」
「なんだ、だしぬけに」

 無視を決め込みひたすら自分の業務をこなしていたゲオルグに突然アレックスが話しかけてきた。

「俺達の肩書きって"ブラックシーヒューマンコンサルティング"の社員だよね」
「そうだが」

 ブラックシーヒューマンコンサルティング。名前だけでも十分に胡散臭いが、実態はもっと胡散臭い。というのも
この会社は"子供達"の隠れ蓑として作られたペーパーカンパニーであり、"子供達"の人員が社員として登録
されているだけで、営業実態はまったくないのだ。

「でも兄サンってたまに孤児院の職員って言うときあるけど、どうして?」

 アレックスの疑問に、ゲオルグはどきりとした。
 規律にうるさいゲオルグは基本的には自分をブラックシーの社員だと名乗っている。だが、時として孤児院の
職員と名乗ることがあった。ブラックシーの社員と名乗れと聞かされ続けていたアレックスが、当の本人が別の
名乗り口をあげているのを疑問に思うことは当然であったかもしれない。
 動揺を収めるように一息ついてからゲオルグは話し始めた。

「孤児院関係の場合だな。わざわざ孤児であることを言いふらすよりも、職員と名乗ったほうが体面も良いし、
 なにより面倒が少ない」

 話しながら、ゲオルグはかつて孤児だと名乗っていたころのことを思い出していた。
 目が変わるのだ。たとえそれまでどんなに親しげに話をしていようと、自分が孤児であることを持ち出すと、会話
していた相手の眼差しが一変するのだ。それは憐れみだった。両親がおらず施設で育ったことへの憐憫の情だった。
 ゲオルグはそれが嫌でたまらなかった。憐憫の眼差しはまるで自分が不幸であるかのように言っているように
思えたからだ。ゲオルグ自身は決して孤児であることを不幸であると思っていないし、孤児院育ちであることを
恥ずかしいとも思っていない。だからこそ、不幸であれ、恥ずかしくあれという世間の押し付けが不愉快でならな
かった。
 だが、一人が抗ったところで世界の常識など変わるはずもない。結局ゲオルグは自らを孤児だと称さないという
形で世間との折り合いをつけるに至ったのだった。

502ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:06:47 ID:pU9pm9cc0
8-2/7

「なるほどねー」

 そんなゲオルグの葛藤を知らない風なアレックスはただただ感嘆の声をもらした。その能天気な態度にゲオルグ
の心はいくらか苛立つ。だがそこは大人らしく苛立ちを心の奥に収めたゲオルグは書類仕事を継続した。

「このまえの病院の人たちって本当に告死天使かな?」
「このまえっていつの話だ?」

 唐突に話が変わった。話の内容が見えないゲオルグはアレックスに聞き返した。

「ほらほら、この間の、赤ちゃんが捨てられてたって聞いて、ついていった病院の人たちだよ。なんか集まって告死
 天使がどうの言ってたじゃん」

 ゲオルグの問いにアレックスは空をつつきながら返答する。赤ん坊が捨てられていたというところで、ようやく
ゲオルグは合点がいった。
 ある休日、いつものようになじみのケーキ屋で孤児院のためにケーキを買いにいくと、見慣れぬ一団が深刻
そうな表情で店長と話をしていた。店長とは顔なじみとなっていたが、そこに触れてはならぬデリケートなものを
感じたゲオルグは店長とは距離を置き、不安げな表情を浮かべる店員と適当な言葉を交わしながらいつも通り
会計を済ませようとした。だが、いつもどおりケーキを手にしようとしたところで店長から不意に呼び止められた
のだ。

「赤ちゃんが捨てられてたんです。一緒に来てくれませんか」

 いつになく真剣な表情を浮かべる店長の願いを断れるはずもなく、ゲオルグは赤ちゃんが収容された病院に
向かったのだった。
 かくして到着した病院で店長を含めさらに数を増やした謎の一団は確かに告死天使がどうのこうの話し合って
いた。

「違うだろう。本当だったら"ヤコブの梯子"の人間が放っておくはずがない」

 ゲオルグは頭を振って否定した。
 "ヤコブの梯子"とは閉鎖都市の中心にそびえる、閉鎖都市政庁を内部に納めたハイパービルディングの俗称だ。
表面のミラーガラスによって日の光をきらきらと反射させながら雲を貫いて地にそそり立つ様は、天から伸びる
薄明光線、まさに"ヤコブの梯子"だ。
 文字通り雲の上に位置する政庁ビルの上層部には、閉鎖都市議会議員や政庁役員など俗に貴族と呼ばれる
人々が暮らしている。かつて告死天使によって彼らの多くが殺されており、それ故に彼らは告死天使を恨んでいる
はずだ。だが、閉鎖都市の官僚機構を牛耳る彼らですら捕まえられないのだから、告死天使とは極めて厳重に
隠されている存在のはずだ。自分達がおいそれと知ってしまえるような存在ではないのだ。

503ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:07:06 ID:pU9pm9cc0
8-3/7

「そうかなぁ」

 アレックスは唇を尖らせて反論する。しかしゲオルグは興味ないと言いたげにかぶりを振って話を打ち切った。
 ゲオルグは告死天使の存在をそもそも信じていなかった。告死天使がすっぱぬいた貴族達へのスキャンダルも、
ゴシップ誌の与太話と考えていた。理由は一つ。自分達への出動要請がなかったからだ。
 貴族達は毒ガスを持って廃民街の浄化をもくろんだ。その計画は廃民街に根拠地をおく"王朝"にとっても看過
できるものではなかったはずだ。閉鎖都市の地区を丸ごと滅ぼす大規模な計画を"王朝"の情報担当が気づかない
はずがないのだ。そして本来ならば我々"子供達"の手によって計画を頓挫せしめるはずではなかったのか。
 だが、告死天使による殺戮の夜が過ぎても"子供達"に出動命令はおりなかった。情報担当は最後まで貴族達
の企みを見抜けなかった。否、そもそもそんな計画などなかったのだ。ゲオルグは"王朝"の情報網に全幅の
信頼を寄せていた。その情報網ですら捕らえられなかったのならば、それは最初から存在しなかったからに他
ならないのだ。
 しかし、ゲオルグは考える。貴族達への虐殺は事実ではないのか。報道された貴族達の死は告死天使の存在
の証明ではあるまいか。
 えもいわれぬ感覚が、ゲオルグの背中を走った。
 ふと思い至ったゲオルグはタッチペンを滑らせると電子ペーパー上でメーラーを起動した。プルダウンするメール
アドレスをスクロールさせゲオルグはあるメールアドレスを探し当てた。それは孤児院の古い兄弟のアドレスだった。
 アドレスの主はどこまでも素直で、どこまでも不器用で、それでいて勉学の点数はスバ抜けてよい奴だった。
愚直という言葉がぴったりと当てはまる人間だった。自らの長所である勉学に励んだ彼は奨学金を利用して大学
に入り、果ては官僚試験に合格したのだった。現在は"王朝"とは関係のない"ヤコブの梯子"の最下層で、末端
役人として日々まじめに働いているはずだ。
 仮想キーボードを起動し、机上に投影されたキーを叩いてゲオルグはメールの作成を行う。内容は告死天使の
存在の垂れ込みだった。告死天使の会合の情報を虚実とりまぜてでっちあげ、噂話として相手に話す。メールを
書き終え、内容の確認をしているところでゲオルグは自分を突き動かすものの正体を悟った。
 恐怖だ。"ヤコブの梯子"での貴族達を殺戮した圧倒的な実力に対する畏怖と、それだけの声望をもちがなら
存在を感知できないという見えないものに対する恐怖。心の奥地で胡乱な闇をまとい唸り声を上げる恐怖の塊
をまじまじと見つめたゲオルグは息を呑んだ。
 程なくして我に返ったゲオルグは改めてメールを見直すと送信せずに消去した。
 まだだ、まだ怖がるところじゃない。告死天使に手を打つにはまだ早すぎる。彼らと"ヤコブの梯子"の住人とを
互いに喰わせあうのは、彼らが"王朝"、"偉大な父"に牙を向けたときだ。それまでは告死天使は敵ではない。
怖れる必要などないのだ。

504ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:07:23 ID:pU9pm9cc0
8-4/7

 メーラーを終了したところでゲオルグはアレックスが押し黙っていることに気づいた。やけに神妙な面持ちで
俯いたまま、机の一点をじっとにらんでいる。

「どうしたアレックス」

 ゲオルグの問いにアレックスの返答はない。無反応であることに心配になったゲオルグがもう一度声をかけようと
思ったところでようやくアレックスは口を開いた。

「ねえ兄サン、病院の人たちが見つけてきた子、捨てられてたっていってたよね」

 机の一点を見つめたまま、アレックスは呟く。

「どうして簡単に捨てられるのかな。子供なんだよ。おもちゃとは全然違うのに」

 吐き出すように語るその内容は、世に対する憤りだった。相手を見失いあてどもなく振り回される怒りの刃に、
ゲオルグは言葉をなくす。
 理由があるのだ、などという当たり障りのない言葉をゲオルグは掛けられなかった。理由がないことなど分かって
いたからだ。孤児院に捨てられるの子供の多くがそうであるように、アレックスがそうであるように。
 アレックスの生は孤児院ではほぼ典型例とも言うべきパターンであった。売春婦が仕事上の理由で孕み、生み、
そして捨てた。それだけだった。そこにドラマチックな葛藤というものは存在しなければ、当然わが子に対する愛情
などという生易しい感情も存在しなかった。売春婦がアレックスを捨てた理由は純粋な経済的な不必要性でしか
なかった。
 つまりは、自分達はデパートで並べられた玩具と大差ない――否。一時的ではあれ人々の欲求をくすぐった玩具
たちと比べれば、自分達は仕事の過程で生まれた産業廃棄物にすぎないのだ。それ故に捨てられるということは
物が下に落ちる重力の理と同じように当然のことなのだ。当然のことであるがために理由など存在しないのだ。
 ゲオルグ達の存在価値の根本を揺るがす現実がそこにはあった。慰めの言葉は全てその冷酷無比な現実の
打ち砕かれて、消えた。掛ける言葉を失い、ゲオルグは己の無力さに打ちひしがれながら押し黙るほかなかった。

505ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:07:41 ID:pU9pm9cc0
8-5/7

 沈鬱な空気が室内を淀んだちょうどそのとき、詰め所の扉が大きな音を立てて開いた。

「オーッス。どうしたんだ兄貴、アレックス、なんだか辛気臭いぜ」

 男の何も知らぬ能天気な声が、室内の沈鬱な空気を押し出していく。筋骨隆々で髭面のまるで熊を思わせる
ような大男がそのままどかどかと大きな足音をたてて詰め所に入ってきた。男のまくった袖から覗く汗で輝いた
太い腕に、室内の気温と湿度それと輝度がそれぞれ3目盛りほど上昇したような錯覚をさせる。
 助け舟であり、そうでないような、なんとも複雑な感情がゲオルグの中をよぎる。ともあれアレックスに対しては
しばらくそっとしておくと決めたゲオルグは、何も知らぬ大男に顔を向けた。

「ウラジミールか、なんでもない、気にするな。そっちこそどうした」
「ポープ兄貴の手伝いが終わったんだ。報告書はメールで送ってあるってさ。でさ、兄貴、俺は一息ついていいかい」
「ああ、構わん。適当に休んだら、今度はミシェルの手伝いをしてくれ、地下の倉庫で被服の点検をしているはずだ」
「了解」

 ゲオルグの言葉にウラジミールは軽い喚声を上げ、上腕を振り上げた。丸太のような太い腕をじっとりとぬらして
いた汗が飛び散り、蛍光灯の明かりを反射してきらきらと輝く。
 ウラジミールは筋骨隆々な外見通りの筋トレマニアだ。鉄アレイと鳥ささ身があれば生きていける部類の人間だ。
熊を思わせる濃い髭も相まって、どこからどう見ても30代のおっさんなのだが、これでアレックスとの年の差が1つ、
班で2番目に若いのだから世界は驚きで満ち溢れている。班では突入手を担当しており、重い破城槌や指向性
爆弾を担いで任務をこなしている。
 ウラジミールの底抜けない明るさに頭痛にも似たまぶしさを感じてながら、ふとゲオルグは背後でウラジミール
とは別の息遣いを感じ取った。振り返れば眼鏡の奥で申し訳なさそうに下げた眉が目に入った。

506ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:08:01 ID:pU9pm9cc0
8-6/7

「チューダーじゃないか、どうした、何時からそこにいた」
「ウラジミールと一緒に入ってきたんだけどな」

 消え入りそうな顔でチューダーが呟く。その言葉の中に皮肉めいた棘を感じ取ったゲオルグは、気づかなかった
とすぐさま謝った。兄の謝罪にチューダーは気にしなくていいと笑う。だがその笑顔はどこか悲しそうであった。
 眼鏡に長髪の彼は見た目どおりのギークで班の通信手を務めている。大抵のことはそつなくこなし、管理者の
ゲオルグからみれば非常にありがたい人材だが、そつなくこなしすぎる点と、押しの弱い彼の性格が相まって、
しばしば存在を忘れてしまうきらいがあった。自らの存在感の薄さにとうの昔に折り合いをつけた彼は、存在を
忘れ去られても怒ることも嘆くこともせず、こうやってさびしげに笑うのだった。

「で、どうした」
「頼まれてた無線機のことなんだけど、僕じゃあどうしようもならないね。修理班に送らないと」

 通信機材管理も担当しているチューダーにゲオルグは調子の悪かった無線機の点検を依頼していたことを
思い出した。
 そうか、修理班に送らないとだめか。煩雑な書類仕事を思いゲオルグは小さなため息をつく。

「分かった。帳簿の変更と修理の申請、予備機材使用の申請書を書いてくれ」
「分かりました」

 チューダーは頷くと、自分の席につき、引き出しから端末を取り出した。これから電子書類の作成に入るのだろう。
 全ての業務をチューダーに放り投げたわけではなかった。作成した書類の査閲、承認をするのは管理者たる
ゲオルグの仕事だ。それにウラジミールに手伝わせたポープの武器点検の報告書も見なくてならない。ゲオルグ
は増えた仕事を憂い、目頭を軽く揉んだ。
 メールチェックを終え、メールに添付されていたポープからの報告書を読んでいると突如外から乾いた破裂音が
響いた。ぱぱぱぱぱ、と破裂音は連続する。
 これは銃声だ。
 ゲオルグが顔を上げるとちょうど詰め所の電話が鳴った。2コール目に入る前に電話番のアレックスが飛びついた。

「兄サン、西通りのバーが銃撃を受けてるって」

 ゲオルグは躊躇わずに机の脇に設置してある非常召集ベルのスイッチを押した。

507ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:08:26 ID:pU9pm9cc0
8-7/7

 ゲオルグたちがバーに到着したときには全ては終わっていた。銃声は夜の闇の中に吸い込まれ、野次馬の
ざわめきばかりが響いている。アレックス以外の部下を散会させ、周囲の警戒に当たらせると、ゲオルグは野次馬
の人ごみに分け入り、件のバーに向かった。バーの壁面はところどころ抉られ、白い建材を生々しく晒している。
窓ガラスは粉砕され道路に飛散した破片はまるで血黙りのようだ。ガラス製だったためか窓と同じく粉砕され、枠
だけが残ったた扉の前では髭を生やした中年の店主が怯えた様子で佇んでいた。ゲオルグが店主に声を掛ける
と店主は安心したように顔を緩ませた。

「何があった」
「突然銃で撃たれたんです。店の前に赤いセダン車がとまったと思ったら、車の窓から銃を向けて、そのままダダダッ。
 驚いて床に伏せていたらいつのまにかどこかにいってしまいました」
「負傷者は」
「いません。客も店員も全員無事です。ただ、店の外装がご覧の通りひどいありさまです」

 話を聞いたゲオルグは死傷者がいないことに安心半分、あきれ半分であった。車内からの銃撃という及び腰の
襲撃には気抜けするほかない。自分達ならば店内に突入し、動くものがいなくなるまで徹底的に銃撃をする、
そうしてきたという自負がゲオルグにはあったからだ。

「兄サン、これ」

 店主から一通り話を聞き終えたところでアレックスが小さい筒状の物を差し出した。真鍮製らしい金色の鈍い
金属光沢を帯びるそれは、薄い筒状になっており片側の端には細い溝が円周上に彫られている。そこを底として
伸びる円筒は上に伸びるにつれてゆっくりと窄まっていた。その収束は先端に近いところで一時強くなり、ビンの
首のような段差を作っている。
 とどのつまりそれは薬莢だった。それもゲオルグ達が普段使用する短機関銃の短く首のない円筒状の薬莢とは
形状を大幅に異なるものだった。

「これって自動小銃のだよね」
「ああ」

 自動小銃を使う組織にゲオルグには一つ心当たりがあった。だが、確定したわけではない。ゲオルグは薬莢を
存在を確かめるように握り締めると、胸ポケットへと滑り込ませた。
 彼方からパトカーのサイレンの音が響く。遅かったなと感慨深げに息をつきながら、ゲオルグはその場を後にした。

508ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/01(土) 13:10:51 ID:pU9pm9cc0
以上、どなたか代行をお願いいたします。

509名無しさん@避難中:2010/05/01(土) 23:05:25 ID:NbvucPXI0
あいさー

510名無しさん@避難中:2010/05/01(土) 23:13:11 ID:wJtef0fc0
ウラジミール兄さんじゃないか!

511名無しさん@避難中:2010/05/01(土) 23:13:57 ID:NbvucPXI0
終了!

512ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/05/02(日) 14:30:21 ID:FaPACl460
代行ありがとうございます
以下も代行していただけると助かります

本スレ
>>83
孤児院では下は新生児から、上は高校、大学までまんべんなく暮らしています。
彼らは全員が"子供達"に編入されるわけではなく、少なくない数が堅気の世界で誠実に暮らしていきます。
また、イレアナのように大人になっても孤児院に残り、職員となって働く子供もいます。
規模は各年代が10人前後でだいたい200人超のわりかし大きな施設になっております。
以上が孤児院の設定になります。

ともあれ対立姿勢を明確にするために敵意をこめて書きましたから、投下したときはどきどきでした。
よろこんでいただけてなによりです。

513名無しさん@避難中:2010/05/02(日) 23:31:56 ID:dGpluuNEO
閉鎖都市系、どちらも投下乙です!!
関連して質問ですが、ニコライ孤児院は乳児期から以外の受け入れは可能なんでしょうかね?

514名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 18:36:25 ID:xVGlscWs0
上2レス代行してきますた

515名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 19:55:03 ID:xVGlscWs0
wikiを更新してきたんですが、温泉界がスパゲティ状態でどうしたもんか……
なにか良いまとめアイディアあれば

516名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 19:58:54 ID:eUmyH3h20
温泉海へご招待(初回)〜満員御礼までとそれ以降で分けるとか
続き物と単発で分けるとか
ってのはどうかなDJサン

あとあの謎の#leftタグは何ぞ?

517名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 20:02:58 ID:eUmyH3h20
あの後から入ってるってことはあれかwwwもしかして俺のせいか

518名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 20:03:52 ID:xVGlscWs0
あ、おいらはDJさんじゃないですよ。
温泉界へご招待!シリーズは満員御礼までにしておいて
そこから先はまた別のシリーズ名にするとかがいいかな?

タグは詳しくないので、前にどなたかが入れてくれたものを
そのまま使ってたり、使い忘れたりしてるはずです。

519名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 22:26:22 ID:jcY9qTa60
色々仕込みすぎて間があいてしまいました
今回は本当に色々ごめんなさいしなくちゃいけない内容です
それでは投下します。宜しければ代行お願いいたします。

520正義の定義:2010/05/03(月) 22:27:46 ID:jcY9qTa60
因みに投下は正義の定義です


まえおき

今回の話には「白狐と青年」及び「異形純情浪漫譚」のキャラクターが
出たりでなかったりします。作者様並びに、関係者一同、
深くお詫び申し上げる次第でございます。ほんと私なんぞ書かせて
もらっているだけで多大な迷惑がかかっているにも関わらず今回
このような暴挙に出たのは一体どういう風の吹き回しか嵐山か
私も存じ上げないわけで、酷い茶番になるやもしれませんが、
批判は最後までとっておいてくだせぇ!と言うことで、しがない名無しの
言葉をおわらせてぇいただきやす…

521正義の定義:2010/05/03(月) 22:28:50 ID:jcY9qTa60
 「なー裳杖」
 「何ですか、青島先輩」
 「…トエルって、やっぱりあの部分も造形されてんのかな〜?」
 「…しょうもない事考えないでくださいよ…」
 「いわば…シュレティンガーの股間…!」


第四話
   ―「電子幼女は吸血鬼の夢をみるか?」―


―前回のあらすじ
オチが
無駄に
重い

日本の偉人…特に世界大戦時代の偉人なんていうのは案外知られていない人が多い。東郷平八郎とか、乃木希典とか。
フィンランドには東郷ビールという東郷提督を讃え作られたビールがある。なぜ彼らが東郷提督を称えるかと言うと
ロシアのバルチック艦隊を圧倒的戦力差の中見事打ち破った事が結果的にフィンランド独立に繋がったからである。
教科書にも載っている人物ですが、2、3行で語られるのはいかがなものでしょうか?乃木将軍のよくぞしんでくれた〜
のエピソードも時代の残酷さを教える良いエピソードなんだけど、行が足りないから気になる人はググッてくりゃれ。つまり今回の話はバルチック艦隊みたいな強大な敵にも度胸と知恵と根性さえあればなんとかなるんじゃね?ってそんな話だよ!

コンビニで異形とポーカーして負けた腹いせにボコったのが前回のお話。村娘の名前が「サキ」だったのは直前にネリコ3やってい
たからだとか。世間では裸族の祭典とか言われてるけど俺は好きだ!そういえばシェアスレのキャラは脱ぐ事が多いって言われ
てるけど、逆に脱がない方がおかしいと考えればどうって事は無かった。裸で何が悪い!その常識という殻を脱ぎ捨てろ!
さぁ、ハリィ!ハリィ!ハリィ!温泉界は君を待っているぞ!葉っぱ一枚あればいい!生きているからラッキーだ!


それでは、今回のお話…

522正義の定義:2010/05/03(月) 22:30:38 ID:jcY9qTa60


 「今回は要人護衛の大仕事だ、現地で待ってっからよ、さっさと来いよ」
 なんて炎堂からの連絡が入ったのが先刻九時。冴島を中心とした青島、裳杖、陰伊、トエルは夜道を往く。目的地はとある自治体
の主要拠点たる建物。空に浮かぶ下弦の月が紡ぎ出す今宵の夜は、驚くほど静かで不気味だった。ひんやりとした空気が体全体
を包み込む。陰伊は、もっと厚着してくればよかったなと後悔した。
 びゅんびゅんとスケートを滑るように進む冴島一行。今回、車移動ではない理由は彼らの足にある。先日、デバイスのアップ
デートにより「ホバリング」という機能が追加された。何でも地から足を数センチ浮かせる事により、どんな地形でもバランスを崩す
ことなく歩行することができるという機能なのだとか。これを試すために一行は車なしで目的地へと向かっているようで。滑るように
移動する彼らのその様子は、一見してみれば可笑しな、物騒な集団にしか見えない。
 「いやー、結構便利っすね〜このホバリングてやつは」
 青島はホバリングの使い心地に大方満足しているようだ。一度蹴るようにすれば30歩分の距離位は移動できる。これは大変
移動を楽にしてくれるものであった。一方、陰伊はまだホバリングに慣れないのかおぼつかない足取り。膝がギクシャクしていたり
腰が引けたりしている。そんな彼女を心配してか先頭を行く冴島は移動速度を落とした。
 「すいませんっ…どうも動きづらくて…」
 隣にまで下がってきた冴島に陰伊は自分が足を引っ張っていることを謝った。すると冴島は
 「良いのよ。私だってぶっちゃけ転びそうで冷や冷やしているんだから」
…と、フォローを入れてやるのだった。流石にこのメンバーで最年長なだけはある。冴島はニコリと微笑み前衛へと戻っていく。
陰伊は幾分気持ちが軽くなったようで、動きも少し緩やかになった。

 「ふぇー、こんなよるにそとロケとかついてない!」
 「外ロケって…なんだ?」
 「ふぇ!そとロケはそとロケ!ふぇふぇ!」
 移動中、退屈になったトエルは裳杖に話しかけていた。裳杖はそれに片手間程度に付き合っていた。
 コンクリートのひび割れた道を一行は進む。車一つ通ってはいない公道。両脇には山々が広がる。月明かりに照らされて
夜の姿を見せる森林。微量の風が木々を揺らし、なんとも風流な景色を作り出していた。嗚呼、土の匂いがする。葉の青臭い匂いが風に運ばれ、裳杖の鼻を通る。こういうちょっとしたなんてことない場所でも、こんなにも美しく感じる"今夜の月は芸術家だな"
なんて裳杖は呟いていた。それに聞き耳を立てていたトエルは「ナニイテンダコイツ」と内心思った。
 ふとここで、前方を行く冴島が人影を発見する。こんな夜遅くに、こんなところを歩いていては、いつ異形共に襲われるかわかった
もんじゃない、と思った冴島はその人影に近づき声を掛けた。
 「こんな夜中に出歩いていたら、異形の夕飯になってしまうわよ?」
 人影は、男だった。Tシャツジーンズという、シンプルな格好をしている。よく見ると手に鉄の棒っきれのようなものを持っていた。
何処かの部族だろうかと冴島は思った。だって、なんか希少部族とかって棒とか槍とか手にしてるものじゃないですか。こんな
寒い夜にTシャツなんだから、よほどTシャツが好きな民族なんだろう。Tシャツ族といったところ。

523正義の定義:2010/05/03(月) 22:31:15 ID:jcY9qTa60

 「そんなこと言われてもなー、こっちにも色々あって…、でもまぁ、自分の身は自分で守れるから大丈夫だ…ご忠告どうも」
 男はそんな様子で、冴島に応えた。彼の服は所々破れたりしていた。なるほど、異形と交戦でもした後だったか、中々手練
のようだ。それは結構…だがやはり、夜こんな所を歩くのは感心しない。いくら手練であろうと己の力を過信してはならない。
冴島はそう教えられてきた。誰に?誰だろうね?
 「いくら戦い慣れていても、用心準備が足りないのは軍人として失格よ」
 「俺は軍人じゃない…似たようなものには所属していた事はあるけどなぁ、ってそれどころじゃない。さっさと帰らないと…」
 忠告もろくに聞かないまま、青年は先へと走っていく。冴島は消えていく青年の背中を見て、溜息混じりに一言、こう漏らした。
 「やれやれ…全く、どうなっても知らないわよ…」

 立ち止まった冴島は他のメンバーにここで休憩を取る旨を伝える。ずっと移動していたのでここいらが休憩時であろうと彼女は
考えたのだ。幸いこの辺りは見晴らしがいい。異形が襲ってきても瞬時に対応できるだろう。
 「ふぇ!さえじまさっきのやつはなに!?」
 休憩で各自自由に寛ぐ中、トエルは冴島尋ねた。冴島はTシャツ族と答えたが、トエルのデータベースにそれと一致する情報は
無かった。
 休憩ということで、陰伊は他のメンバーに水筒のお茶を振舞っていた。彼女はこういう事に気が利く。将来はきっと、素敵な
お嫁さんになれるはず。陰伊の煎れたお茶は絶品であった。程よい舌触り、まろやかな味わい。それでいてしっかりと風味が
自己主張している。それもくどくない程度に。
 「うまいぞー!陰伊ちゃん喫茶店開いたら?」
 「そ、そんなっ…それほど大したモノでもないし…!」
 「素直に美味しいと思いますよ、俺は」
 口々に賛辞を述べる他メンバー達。持ってきた甲斐があったというもの。
 「ぶー、きかいはいんしょくができないのさ。ふぇふぇ」
 一名、不満のある者もいたようだが…こればかりはどうしようもない。トエルには乾く喉が無い。減る胃が無い。生前は普通に
モノを口にできたのだろうかと、自分の過去に想いを馳せる。からっぽの思い出を必死に手繰り寄せたが、無いものは無い。
 「ふえー、いいなぁ…にんげんていいなぁ…」

―――…

 「なートエル!お前、股間もちゃんと造形されてんの?」
 「…ッ!ちょっと青島先輩!?」
 休憩も程々、和やかな雰囲気になってきたというのに青島の好奇心に任せた疑問が場を凍らせた。トエルの隣にいた陰伊は
「なに言っているんですか」と顔を真っ赤にしてトエルを青島から遠ざける。無論、保護である。
 「ちょっとした好奇心だよ!良いじゃんロボなんだしさぁ〜」
 全く悪びれる様子のない青島。TPO、時と場所と…というかそれ以前に幼女の股間に興味を持つという事をわきまえて欲しい。
 「良くないですっ!女の子の前で!青島先輩はデリカシィ無いですっ!」
 陰伊は、ただでさえ真っ赤な顔を更に真っ赤。炉にくべ、発火する石炭の如く赤くする。そもそもこれはセクハラじゃないか!?
この事に気がついた陰伊は断固として裁判に持っていく姿勢であったが、この時代、機能している裁判所など無いわけで。
 「こらこら、何児童ポルノに引っかかるような発言してるの?」
 と、ここで、呆れた様子の冴島が青島に忠告する。 
 「今は法に拘束される事はないですから、問題ないっすよ」
 青島はそう答える。彼のサムズアップが眩しい。冴島と陰伊は呆れることしか出来なかった。それが英雄の言う台詞か…と。
 「…俺はもう知らない…」
 裳杖は我関せずといった感じにあさっての方向を向き視線を空に浮かぶ月へと移した。

 「ん…?」

 すると月に重なるように一つ、人の影が見えた気がした。裳杖は見間違いかと一度地に目線を落とし再度月の方を眺めてみた。
…影は見えない。夢か現か、はたまた…なんて裳杖が考えている内に休憩時間は終わり、出発する一行。
一体先程の影は…?一層の不安を抱えながらも、裳杖はその場を後にした。

524名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 22:32:03 ID:jcY9qTa60

―――…

 「探したわよ…あなた、どっか行っちゃうんだもの」
 「そりゃ前コテンパンにした奴が追いかけてきたら仕返しに来たと思うだろ普通…」
 月の光が二つの影を照らす。一つは人間の男…先程冴島が会った鉄の棒を持った男だ。もう一つは…紅い紅い、酸化した血の
倍は赤い眼を持ち、その背には黒く禍々しく、それでいて美しい凛とした翼を携えた異形。上級種・吸血鬼だ。
 「この前の逢い引き…とても情熱的だった…さぁ、続きをしましょう?」
 そう言って、吸血鬼は人差し指を桜唇に当てる動作をして見せる。雲中白鶴たる仕草だ。吸血鬼は少女のような容姿をしていた。華奢な体は儚くも艶麗な美貌を放つ着物姿、その様はまさに生き弁天と言ったところ。
 「あれは逢い引きだったのか…?てか、続きってまさか…」
 男の脳裏に先日の出来事が過ぎる。あの時はもう人を襲うなと忠告した筈ではあったが、吸血鬼の様子を見ると、どうも懲りて
はいないようである。やれやれと男は鉄の棒を強く握った。
 「こっちは早く帰らないといけないんだ、クズハも待ってるしな…」
 「クズハ?それは一体…」
 「ん?お前には関係ないぜ、色ボケ妖怪」
 「この…言わせておけば…いいわ、力ずくで吐かせてあげる!!」
 「こい!返り討ちにしてやる!」
 「ふふ、あなたに射抜かれた胸の傷が疼いてきたわ!」 
 バサッ!っと、吸血鬼は背の羽を大きく広げる。対峙する二人。刹那の瞬間、地を蹴りお互いが相見えようとしたその時である。

 『"ワイヤー"』
 『"ワイヤー"』
 『"ワイヤー"』

 「!?」
 吸血鬼後方木々の間の暗闇から伸びてきた三本の糸。それは吸血鬼の腕や体に巻き付き、彼女の動きを止める。
 「な、なんなのこれッ?」
 「ふぇ!くうきをよまずにとつげきするそのどきょうにほれぼれする!」
 「人を襲う悪しき異形め、覚悟しなさい!!」
 『"バズーカ""キャプチャ"』
 暗闇から大身のバズーカ砲を持った女性が飛び出し、網を発射する。思いがけない奇襲に狼狽する吸血鬼、避けようにも手足が
糸に縛られて回避に行動を移すことが出来ない。
 「あら?あらららららら!?」
そうして、吸血鬼は呆気無く網に捕まってしまった…

―――…

 「だから言ったでしょう。こんな夜道を歩いてたら異形に襲われるって、全く…私達が気が付いたから良かったものの…反省
しなさい。そして彼らに感謝しなさい。あなたを助けたのは他でもない彼らです」
 「…あんなのにこんな所で出くわすとは思ってなかったんだけどなー…」
 吸血鬼を縛り上げた英雄一行。冴島は襲われていた先ほども会った青年にガミガミと説教を垂れる。青年は、今日は厄日である
事を確信した。ふと、目線を少し逸らし、冴島の後ろの木に括りつけられた吸血鬼の少女を見てみると…
 「ナンセンスだわ、こんなのは」
彼女は酷く苛立っているようだった。
 「うひゃー、これってヴァンパイア?吸血鬼じゃーん!オレの武勇伝にまた一つ歴史が刻まれた…」
 「ふぇ!おまえひとりのてがらじゃないですし。ふぇふぇ」
 トエルはそう言って作動させていた"ネコミミmode"を解く。要は猫耳を収納したのだ。青島の言う『吸血鬼』が目の前の少女
なのかとトエルは感心する。自分のデータに記録されているモノに比べて随分と可愛らしい容姿だ。一見、美しいだけの少女に
見えるが、異様な存在感を放つ背中の羽が彼女が異形である事を強調する。
 「気を付けた方がいいですよ、それは吸血鬼。夜の帝王だ」
 裳杖は吸血鬼に近づきすぎている青島に注意する。なんかそれじゃあ繁華街を仕切るヤクザの親分みたいな呼び方だなぁと
トエルは思った。裳杖の直喩は一々厨臭い。
 「ところで、どうします冴島さんこの異形」
 裳杖は最年長である冴島に判断を仰ぐ。人を襲っていた異形だ、ただでは済まないだろうが…
 「そうね…、またいつ人を襲うかもわからないから…彼女には悪いけど死んでもらいましょうか…」
 冴島の判断に情は無く、ただ淡々と処分を述べただけであった。冴島はいかなる状況であれ冷静さを欠くことはない。彼女は
既にいくつもの命を奪ってきた身だ。年長の分、他のメンバーよりも多くそれを体感している身。今更躊躇などなかった。
 「待ってくださいっ!」
 判断に納得のいかない少女が一人、声をあげる。

525正義の定義:2010/05/03(月) 22:33:09 ID:jcY9qTa60

 「そんないきなり…殺すだなんて!彼女には知能があるじゃないですか…話のわからないケモノとは違いますし、きっと何か
訳があったんだと思います!話ぐらい聞いてあげても…!」
 陰伊の性格上、黙ってこれを見過ごす訳にはいかなかった。冴島の判断がおかしいものだとは思っていない。だからこそ陰伊は
意義を唱える。彼女はどこまでも甘くて、無知だった。
 「へぇ、あなた…その言い方だと知能がない獣ならいくら殺しても構わないってふうに聞こえるけど…?」
 冴島は一切顔色を変えずに陰伊の言い分を指摘する。時としてその冷静さはとても冷たく感じられる。彼女は決して冷たい人間
などではない。寧ろ他人のことを常に考えているような温和な人物だ。
 「違ッ…!」
 「陰伊さん、あなたの言いたいことはわかります…でもね、そこの彼女は吸血鬼よ?上級種なの、これがどういう事かわかる?
本来なら見かけただけでも討伐対象モノ。勿論私はそんな無差別なことしないけど…でもね、彼女は人を襲っていた。それは
他の人間にも被害が及ぶかもしれないって事よ。ましてや上級種。拘束している内に殺さないと…」
 これも優しさ故…冴島なりの優しさなのだ。陰伊は世界を知らなすぎる。他者の心に幻想を抱きすぎている。
現実を知らなければこの世の中、生きるのは辛すぎる。そんな思いを胸に秘めつつ、冴島はこう言葉を続けた。
 「なんにしても人を襲う異形であることに変りないわ、事実を直視するべきよ」
 「そんなの、人が死んだ訳じゃないでしょう…もしかしたら彼女に殺す意思はなかったかもしれないじゃないですか!」
 「なぜあなたは可能性の低い『もしかしたら』を優先するの?少しでも人々に危険が及ぶ可能性があるなら、
彼らを守るために私はその異形を殺します」

―それが、英雄というモノなのですから!―

 「…ッ!」

 "現実”を突きつけられる陰伊。これが英雄の現実。それを受け入れるには、陰伊はまだ若すぎた。

 「…納得出来ません…そんなの…」
 以前、裳杖は陰伊の事を甘すぎると言った。陰伊も、自分は甘いのだろうと理解していた。他人に危険が及ぶこと
…それを未然に防ぐのが英雄だ。しかし、異形であるというそれだけで、事を決めつけてしまうというのは我慢がならない。
少数でも、その少しの可能性を陰伊は信じたいのだ。マイノリティであればあるほど、彼らの心の叫びは人に届かないのだから。
それはあまりにも残酷だ。だから陰伊は冴島の現実を肯定する事ができなかった。
 「やっぱり甘いな…この人は、先日の事といい…」
 裳杖はそんな事をつい口に漏らす。この前の事から陰伊は全く学習していない事が嫌でもわかってしまった。

526正義の定義:2010/05/03(月) 22:33:50 ID:jcY9qTa60

 「あー、ちょっとお取り込み中悪いけどさ…」
 見かねた青年が話に割って入る。
 「何?もうあなた行っていいわよ、今度は異形なんかに遭わないように…」
 「そういう訳にもいかん。一応当事者だし、そもそも助けてもらわなくても、俺は大丈夫だったんだけどな」
 青年が冗談を言っているようには見えなかったが、そんな棒切れで吸血鬼と対峙するなんてアホ臭くてお話にならないだろうと
冴島は思った。確かに自分たちの武装からしたら原始的に見えるかもしれない…実はこれも相当な技術が使われているのだが
冴島の知るところでは無かった。
 「…こんなとはなによ。失礼ね…私が本気を出せば人間など脆い物だわ」
 「しばられてていってもまぬけにしかみえませんし!ふぇ!」
 「でもよ…この子結構可愛くねぇ?異形なのが勿体無いくらいだなぁ〜…」
 「青島先輩は本当節操ないですね…」
 状況はどんどん混沌とし始め、収集が付かなくなってきた。陰伊はこのままではいけないと思ったのか、腹に息を溜め、大声を
出す万全の体制を整える。そしていざ、注目を惹こうと口を開いたのだが…。
 「みなs…」

 ズシィィィィィィィィン……ズシィィィィン………

 「はぇ!?」
 「え?何!?」
 轟音木霊する。何かが近づいてくる音。とても大きなものの足音だ。地面の振動が次第に大きくなり、言い知れぬ圧迫感が
辺り一面に降り注ぐ。

 ズシィィィィン……ズシィィィィン…ズシン…ズ……

 「ふぇ!?ふえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 空を見上げて危険を知らせるかのようなふえぇをトエルは発する。一同も見上げてみるとそこには…
 「な、なんだありゃぁ!?」
 青島はそれのデカさに腰を抜かす。
 「まさかあれ…異形ですか!?」
 これから迫り来る危険に不安の色を隠せない陰伊。
 「そのようね…ここはやり過ごした方が」
 「でもあれ、確実にこっち見てますよ」
 冷静に状況を判断する冴島と裳杖。

 …一行が見たものは、自分たちより三回りも四回りも、いやそれよりももっとある大きさの巨人の異形であった。岩の様な体に
戦国武将の鎧。顔は彫りの深いゴツゴツとした仏頂面であった。

 (あれって、さっき私が邪魔だからってけちらした巨人だわ…まさか仕返しに来たの?あれ、これ早く逃げないと…
って拘束されてるんだった!)
 そんな事とはつゆ知らず、一行は迫り来る巨人に選択を迫られていた。
 「やっぱりこっちに来てますよ、どうします?」
 「逃げることはできるけど…ここは一般人もいることだし…」
 ちらりと青年を見て冴島は言った。青年はなんだか馬鹿にされているみたいで腹がたった。「俺も戦える」と主張しても冴島は
取り合わない。普通の異形ならまだしも、あれは手練でも簡単に殺れる相手ではないと判断した為である。
そうこうしている内に、巨人は一行を見下ろせる距離まで近づいていた。
 「やるしかないっぽい!ふえぇ!」
 「行くわよ、皆!」
 「了解」


― 「システム展開!!」―

527一旦CM入りまーす:2010/05/03(月) 22:42:40 ID:jcY9qTa60

################


え!?あの幼女型英雄ロボがSSPに!?

本編とは関係ない話を八割方話す伺かデスクトップキャラクター
「幼女の定義」!!
オマケ機能に要らない設定や他の作者様の作品(連載作品に限る)あらすじ
がついていたりするぞ!!

β版だから手抜きだぞ!
それだも良ければどうぞ…自己責任です…

http://loda.jp/mitemite/?id=1057

################

CM終わり

528正義の定義:2010/05/03(月) 22:43:35 ID:jcY9qTa60


 「えいゆうすいさん!ふぇ!」
 「さあ、カッコ良く決めるぜぇ!!」
 武装展開早々、青島は巨人に向かって突っ走って行く。基本武装のハンドガンで牽制しつつ接近。弾は全く効いていない。
 「ちょっと青島くん!先走らないで!」
 注意を促すも青島の耳には全く届かない。青島はコードを入力すると、その手に握られた薙刀を振り切る。
 『"エナジー""ハルバート"』
 「燃えよ『青龍』!」
 「ゴオォォ!」
 巨人は青島の体を掴もうと手を伸ばすが、青島はそれを"ホバリング"を使いスライディングするように腰を低くし、上手く回避する。
頭上間一髪の所を巨人の手が過ぎる。そうして青島は名乗りを上げ、薙刀を振り下ろした。
エネルギーの塊が巨人の異形に向かって伸びていく。程なくしてそれは巨人の体にぶち当たり、爆ぜた。
案外あっさりと命中してしまった訳だが。しかしどうだろう、巨人はピンピンしているではないか。
ダメージも受けていないように思える。攻撃が効いていない事に狼狽える青島。
しかしながらあの攻撃で無傷とは何かがおかしい。
 「あれは魔素で体を覆っているんだ、だからそれを何とかしないと傷は付けられない」
 ふと、冴島の横からTシャツの青年が忠告する。
 「…そんな事、わかっています。君は下がってて」
 そう言うと、冴島は陰伊達に指示を出し迎撃体制に入る。陰伊は右から、裳杖は左から、トエルは正面から"ブレイカー"で魔素の
膜をぶち壊す作戦のようだ。指示通りに陰伊達は定位置につく。
 「魔素を引き剥がした後に私が"グレネード"で討ち取ります。行くわよ!!」
 「ふえぇ!ラジャー!」
 『"ジャンクション""クロウ"』 『"ブレイカ-""クロウ"』
 「了解」
 『"ブレイカー""デスサイズ"』
 「わかりましたっ!」
 『"ブレイカー""ダブルセイバー"』
 各自がコード入力を行い、攻撃の予備動作へ移る。"ブレイカー”は魔素効果を打ち消す効果のある攻撃である。その際金色に
刀身が一時的だが変化するのが特徴だ。何でも魔素を打ち破る物質に化学変化を起こしてうんたらかんたらすげーとの事らしい。
 「今よ!」
 「ふぇ!」
 「行きますっ!」
 「"魔術滅却陣"!」
 一人厨臭い技名を叫んでいる人間がいた気がしないでもないが、作戦に沿い、三人が巨人に向かって飛びかかる。正面のトエルは巨人に叩き落とされそうになる、その瞬間、トエルは巨人の手に足を掛け、"ハイジャンプ"で更に上へと飛び上がる事で事無き
を得た。
 「くらえ!」
 「そこですっ!」
 「終わりだッ!」
 「ゴォ!?」
 それぞれの攻撃が巨人に叩き込まれる。 魔素が散り、無防備になったところを冴島のランチャーが畳み掛ける。
 『"グレネード""ランチャー"』
 「覚悟しなさい、己が咎、その身に刻め!!」
 冴島のランチャーから爆炎弾が発射される。紅蓮の炎が宙を這い、一直線に巨人へと飛んでいった。玉の回りは昼間のように
明るく、高温の物質が弾に内包されている事を物語っている。いくら図体が大きい異形とはいえ、これを食らえば一溜まりもない。
近づきゃたちまち身を焼かれ、当たれば爆炎が骨も残さぬ。
 「…だめね、あれじゃ」
 戦いを見ていた吸血鬼は戦いの戦局を分析する。彼女は悟る、この攻撃は…通らないと。

529正義の定義:2010/05/03(月) 22:44:08 ID:jcY9qTa60

―――…

 「そんな…ッ?」
 弾は確かに巨人に当たった。爆炎弾は巨人のその大きな体を爆炎で包み込んだはず…立っているはずが無い。
…だがそれでは、今自分達の目の前で巨人が立っている事の説明がつかない。
 「マジかよっ!?」
 冴島武装は英雄武装の中でも屈指の威力を誇る。これが通用しないとなれば…戦況は思わしくなくなるだろう。
 「ゴオオオオオオオ!!」
 巨人は反撃に出る。腕を振り上げ、地に叩きつけた。地面が割れ、ちょっとしたマグニチュードを起こす。粉塵舞い、視界が
悪くなる。英雄一同はゴーグルで巨人の位置を瞬時にサーチ。敵の攻撃に備える。
 「見てるだけじゃなくて青島先輩も手伝ってくださいよっ!!」
 緊迫状態の中、呆けていた青島にも支援を求める陰伊。青島はビビりつつも応戦に向かう。一触即発、異形の明確な殺意がひしひしと空気を伝う。それに感づいた青島の手は汗でびっしょりになった。呼吸することさえとんでもないプレッシャーになる状況…
正直、長時間こんな状況が続いたら気持ち悪くなってしまいそう。
 「グゥアアアアアア!!」
 「く、ここはバリアを…」
 『"ガード""デスサイズ"』
 最初に巨人が狙いを定めたのは裳杖だった。それを感じ取った裳杖は瞬時に武器の前にガードを展開する。
 巨人の拳が裳杖を捉える。武器で受けるも、あまりの衝撃に裳杖は後方へ吹っ飛ばされてしまう。
 「ぐっ…!!」
 飛ばされた裳杖は木に激突する。気を失いはしなかったが、攻撃はそこそこ堪えているようである。
 「裳杖君!!」
 「陰伊さん、今は戦闘に集中して!」
 「でも…」
 「死にたいの!?前を向きなさい!!」
 裳杖を心配する陰伊を一喝する冴島。彼女の目には焦りの色が見えた。自分の作戦がうまくいかなかったから陰伊達を
危険に晒してしまっている。自責の念にかられる。最悪、自分が足止めして他の者達を逃がす事も考えた。
 「………ふふん、なってないわね、あなた」
 そんな状況の中、後ろで縛られている吸血鬼が冴島に話しかける。
 「…何が…なってないと言うの?」
 冴島は静かに問いた。今この時間も他のメンバーは戦っている。少しでも時間を無駄には出来ないのだが…
 「何度やっても、あの方法じゃあれは倒せない」
 「…どういう事?」
 「あの巨人の額を見てみなさいよ…」
 吸血鬼は顎でくいっと巨人の額の方を示す。粉塵が捌けていき、視界も随分回復した一帯。巨人の顔もよく見える。冴島は
巨人の顔を凝視してみると、額に光るものが見えた。
 「あれは…宝石?」
 「そ、あれがある限り魔素の衣は打ち破れない。破れても何回でも再生する」
 「じゃあ…あれを壊せば…」
 「でも、はたしてそう簡単にいくかしら?ここは私をかいh…」
 「…それをやるのが英雄です…待ってなさい!!化け物!!」
 巨人に銃弾を浴びせつつ前身していく冴島。上手く口車に乗せて縄をといてもらおうという思惑があった吸血鬼はなぜ人間は
こうも話を聞かないのかと腹を立てた。…とても人の事を言える立場ではないが。
 「皆!!」
 「冴島さん!!」
 裳杖が抜け、陰伊・青島・トエルでなんとか戦闘を持たせていた。冴島の復帰は心強い。一気に皆の士気が高揚する。
 「奴の弱点は額の宝石よ。トエルちゃんは敵を引きつけて!他の者であれに三段攻撃を仕掛けます!!」
 「りょうかーい!ふぇ!おらこっちだだいまじん!!ふぇ!ふぇ!」
 巨人を引きつけるため巨人の目の前に躍り出るトエル。ひょいひょいとうまいこと巨人のパンチを避ける。
即座に物理計算のできるトエルに単純な攻撃はそう簡単には当たらない。
 「じゃあいくわよ!今度こそ仕留めます!」
 「おう!」
 「は…はい!」

530正義の定義:2010/05/03(月) 22:44:38 ID:jcY9qTa60

―――…

 「ふえぇぇぇえぇえぇぇぇ!!」
 『"ワイヤー"』
 「グゥエ!?」
 しばらく交戦した後、そろそろ頃合いだと思ったトエルはワイヤーで巨人の足を縛る。当然もがく巨人であったが、トエルが
がっちりと締め上げ逃がさない。
 「ふぇ!オラ!オラオラ!ふえふぇ!ふえぇぇぇ!」
 「いい感じね…第一撃!青島くん!」
 「御意!!」
 『"ブレイカー""ハルバート"』
 黄金の刃が闇夜に舞う。月明かりに照らされより輝き増し、一閃の太刀筋となって巨人の魔素を打ち消さん青島は襲いかかる。
 「いっけええええええええ!!」
 「グギャアァァッッ!!」
 切る斬る、斬りつける。これでもかという位、二十数回は斬りつけただろうか?もう魔素は打ち消せているはずだろう…
息切れし始めたところで青島は陰伊へと繋げる。
 「第二撃…あなたに恨みはありませんが…倒させていただきます!!」
 「グアァァ!」
 攻撃の手を休める事なく、続いて陰伊が攻勢に出る。巨人はパンチで応戦するがかわされ、それどころか自分の腕に登られて
しまう。巨人の腕の上を素早く駆けていく陰伊だったが、ここで思わぬ誤算が生じる。
 「しゃあああああぁぁぁぁ!!」
 「!?」
 なんと巨人は口を大きく開き、炎を吐いたのだ。これには堪らず退散する陰伊。髪が僅かに焦げた、間一髪だったようだ。
しかしこれで連続攻撃の連携は崩れてしまった。
 「ああ!また失敗…」

 「あーもう!見てられねぇ!!」

 「え?何!?」

 冴島の横を走り抜ける影。光り輝く棒は持ち主の身の丈以上の長さ。影は飛び上がり、巨人の目線程の高さにまで上昇する。

 影の正体は…Tシャツジーンズカジュアルファッションの青年であった。

 「な…何であなたが…!」
 「おりゃ!」
 光が一層強くなり、槍のような変化を遂げた棒を巨人の眉間に突き刺し、「今だ!」と青年は冴島に叫ぶ。苦しみ暴れる巨人は
額の棒を抜こうとそれを握る。それと同時に、青年が巨人から離れたところを確認した冴島はコードをデバイスに入力した。

 『"グレネード""ランチャー"』
 
 「ああもうとにかく!今度こそ!己が咎、その身に刻め!」

 発射。今度はおまけと言わんばかりにもう一発追加された爆炎弾はドカンと大爆発を起こし、異形の身を吹っ飛ばした。

 ヒュンヒュンヒュン。爆風によって吹き飛ばされた棒は青年の頭上に落下する。青年は予測していたかのように片腕を挙げ、
棒をキャッチする。その背には上半身が吹き飛ばされ、崩れ落ちる異形の姿があった。

 「…なんかおいしいところもっていかれたきがする!ふぇ!ふぇ!」
 「これは英雄の枯渇に関わる問題だクソ!俺よりかっこよく決めやがって!クソックソッ…FUCK!!」

 かくして、無事異形は討伐されたと言う訳だ。

531名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 22:45:35 ID:jcY9qTa60

―――…

 「…さっきは色々言ってごめんなさいね、助かったわ」
 「…別にいいって。俺が勝手にやったことなんだし…まぁ、お互い様だろ?」
 戦いが終わればお互いの功績を讃え合うのが正しい英雄の嗜みなんだとか。例によって冴島はTシャツの青年に感謝していた。
 「あの規模の奴は一人でやるのも結構きついからなー、ともあれ、一件落着…か?」
 「そいえば何か忘れているような…」

 「ふえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 トエルが今日何回目だという奇声を上げる。半ばお約束化してきたこの流れ、良い出来事であった試しが無い。
 「どうしたんだよとえる〜」
 「きゅーけつきいなくなってんすけど!ふえぇ!」
 「え?」

・・・・・・・・・・・・・

 「…もう、助けにくるのが遅いんじゃない?」
 エリカ様は酷くご立腹のようだ。せっかく助けたというのに…感謝される事はあれど怒られる義理はない。
先程まで強く羽の付け根あたりを縛られていたようで、少し飛び方がぎこちないように思える。私の目が届かない所で勝手に無茶
するからこういう事になる。少しいい気味だ。
 「はは、どうにもこうにもお取り込み中のようでしたので」
 私は先程、縄に縛られていた(最初はそういうプレイかと思った)エリカ様を助けた。吸血鬼が人間に捕まるなんて滑稽…
いや、なんて事をしてくれたのだろうか。機を見て(その光景をじっくりと楽しんだ後)救出できたから良かったものの。
この事は日記に書き留めておこうと私は思った。
 「またあの方に会っておられたので?」
 そう問いかけてみると、エリカ様は不機嫌そうに頷いた。よほど人間共に捕まったのが癪だったのだろうか?その自慢の美貌も
額に筋がぴくぴくと浮かんでいては台無しである。折角のお召し物も泥で汚れてしまっているし、まぁ私の仕事が増えるだけだ。
ええそうですとも、私の仕事が増えるだけ。
 「ちょっとした邪魔が入ったのよ…この私があんな恥を晒すなんて、ああもう腹が立つ!」
 今日いっぱいはこの調子だろうか?何にせよ、エリカ様に大事が無くて良かった。明日にはケロっとしているであろう事を祈る。
 ところで私は常々思っていたことがある。エリカ様の意中の雄の名前である。私はあの青年の名前を知らない。エリカ様は
知っているのだろうか?気になった私は「そういえばあの青年の名は…なんでしたか?」と聞きますと、エリカ様は
 「………あ、聞くの忘れてた」
 と、今の今まで忘れていたかのような反応を見せた。…うちの主はどうも抜けているところがあるらしい。
 「…今、失礼なこと考えなかった?」

――とんでもございません。

 闇夜に二つの影。月の光が悪魔のような、コウモリのような…人ならざるシルエットを映し出す。そしてそれは夜の闇へと消えていくのだった…。

532名無しさん@避難中:2010/05/03(月) 22:46:31 ID:jcY9qTa60

・・・・・・・・・・・・・

 「それじゃあ、俺はこっちの道だから」
 「ふぇ!もういぎょーにからまれるんじゃねーぞこら!ふぇ!ふぇ!」
 二手に分かれる分かれ道。英雄一行と青年はここでお別れのようだ。
 「ねえあなた、名前を教えてくれないかしら?というか良かったらうちの機関に入らない?強い人は大歓迎今なら色々特典付きよ」
 「うわ、冴島さんこんなところでも勧誘活動とか抜かりねぇな!」
 「ははは…冴島さんったら……」
 冴島は青年の腕を見込んで勧誘をするのだが。これをこの人がやると見事に怪しい宗教の勧誘みたくなる。
 「いや…やめとく。今は一人守るのに精一杯だからな…」
 「そう…じゃあせめて名前を教えてくれないかしら?」
 

 「…坂上匠…だ」

 「そう、私は冴島六槻」
 「ふぇ!わたしはトエルふぇ!」
 「おれは…」
 「おまえはよんでないさがってろ」
 「ちくしょー除け者にしやがって!俺グレるし!」
 「…も、もう!また冴島さんに怒られるよ二人ともっ!」

 「ふふ…またどこかでお会いできたらいいわね、それじゃ…」

 「ああ…」

 そうして彼らは別々の道を行く。それぞれの物語へと、回帰していくのだろう。このお話はそんな物語同士の、ちょっとした交差
がもたらした、何てこと無い出来事である…

 「また会えたら…か、さあ、早く帰るか。クズハも心配してるしな…」


 一行は道なき道をひたすら進む。思わぬハプニングで大幅にタイムロスしてしまった。
 「ちょーっとやすみましょうやー!冴島さん!」
 「もうちょっと我慢してちょーだい」
 目的地まであと少し。一行は炎堂が待つ自治区へと急ぐのだった…

                                     ―続く―

533正義の定義次回予告:2010/05/03(月) 22:47:30 ID:jcY9qTa60
―次回予告。
今回は大仕事!敵は町の要人を狙う謎の集団!
「謎だろうが何だろうが関係ないぜえ〜!俺の活躍の踏み台となってもらうだけさ!」
数はこちらの数倍だ!だがしかし、英雄は数には屈しないィ!!
「むしろその方が燃えるってヤツ?沢山の敵を薙ぎ倒すってカッコいいよねぇー」
だがしかし…この案件はそう単純なものではなかった…裏に隠れる巨悪の陰謀…果たして英雄達はそれを暴くことが出来るのか?
「俺が華麗に暴いてみせるぜ!!」
次回、正義の定義第五話「魔法と少女と召喚獣!略して"ととしょ"っておま」乞うご期待!
「次回もいろいろアレな感じが匂ってきやがるぜ!!」

534正義の定義:2010/05/03(月) 22:50:29 ID:jcY9qTa60
以上です。今回もう何も言うまい…
もうホントすいませんでした…
スレの皆全員に土下座したい。


伺かはダウンロードしたら解凍/ネットワーク更新推奨

535名無しさん@避難中:2010/05/04(火) 00:36:23 ID:JOafyMu60
温泉界の項、少しいじってみたけどどうだろ?

536名無しさん@避難中:2010/05/04(火) 00:41:40 ID:JOafyMu60
といっても>>516の一行めをそのまま実行しただけですがww
自分の書いたものは自分でまとめた方がまとめしてくださる人の負担にならないだろうか?

代理行っていまーす!

537 ◆mGG62PYCNk:2010/05/04(火) 01:16:53 ID:JOafyMu60
代理終了
>>455
のキャラ設定の雛形を自キャラでやってみたのですがどうだろう?
叩き台にしてくだされば幸い

538名無しさん@避難中:2010/05/04(火) 10:55:06 ID:j2g4L1hM0
wikiの温泉界、キャラ設定ばっちりかと。
自分も時間をみてキャラ設定入れていこうかと思います。
地獄界の設定は入れちゃっていいかな?

温泉界の忍者編は、なにか別の呼び名があってもいいかもしれないですねえ。

539名無しさん@避難中:2010/05/04(火) 11:33:18 ID:6ep.bFEE0
キャラ設定がわかって一層クロスが増えるといいですね〜
伺かトエルバグが有ったので直しておきました。落とした方は暇なときにでも
ネットワーク更新しといてください。

540 ◆EROIxc6GrA:2010/05/04(火) 12:25:07 ID:gNKGaGNk0
( ̄ー ̄)ニヤリ

541名無しさん@避難中:2010/05/04(火) 16:29:51 ID:6q2RHbgoO
代行お願い↓

>>ふぇ
冒頭の乃木大将の逸話と、ドムのごときホバリングがインパクト強すぎw


>>ハイカラみっくす!
蝙蝠猫はタバサちゃんていうのねw
それにしても異形の活況に嫉妬w

そしてWikiまとめも乙です!!

↑以上です

542名無しさん@避難中:2010/05/06(木) 20:36:58 ID:SihjUwgg0
地獄世界で投下されていた登場人物をwikiにまとめてみました。
ご意見や追加したい設定等あればお願いします。
もちろん自分でやってくれちゃってもOKです。

543名無しさん@避難中:2010/05/06(木) 21:57:34 ID:LIaQqQw2O
>>542
うわあ有難うございました!! 私ゃWiki触れないので…
それから先日の温泉客さん、『ロリおねえさん』だったんですね…
今更かもですが、なんか和むのでお勧め。

544名無しさん@避難中:2010/05/06(木) 22:12:44 ID:SihjUwgg0
ロリお姉さん=まっちゃん?

545名無しさん@避難中:2010/05/06(木) 22:16:49 ID:KJuiWeUk0
続き書いた方がいいですか?

546名無しさん@避難中:2010/05/06(木) 23:09:45 ID:LIaQqQw2O
ロリ+温泉なのに、男&幼ならマターリとエロくなさそうだw

547名無しさん@避難中:2010/05/06(木) 23:11:15 ID:KJuiWeUk0
このまま書くと裏設定の厨二が発病しそうだから、ちょっと頭冷やしてくる

548名無しさん@避難中:2010/05/09(日) 22:44:03 ID:HhXNxwqwO
本スレ投下乙です!!
新たなキャラクター、曲者イズマッシュ逃避行の今後は…

549 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/11(火) 22:26:03 ID:B7iNo/ro0
ばいさるくらったので本スレの続きをこちらに投下します。

受付から出てきたシオンがクラウスに語りかける。そして二人はまた休憩室へと戻っていく。
その後、自警団の懸命の捜査の甲斐なく証拠となる物証も一切発見されず、この事件は闇に葬られることとなった。
それから一月がたち、フィオの傷も癒えた。しかし彼女にはもう戻る教室はない。クラスの人間はフィオを除いて全員が皆殺しにされていて
現在は閉鎖学級、つまり来年また新しく一年生が入ってくるまで一学年ごと凍結しようということだ。
フィオは学校に通えなくなった。そんなある日、フィオの元をある人物が訪れる。当時自警団第一課課長だったアンドリュー・ヒースクリフである。
彼は今回の事件を通してフィオと出会い、シオンの立会いの元病床に伏すフィオに事件の取り調べを行う中でフィオの人となりを知った。
非常に正義感が強いフィオにアンドリューは自警団第一課への入団を勧めたのである。自警団第一課は軍とも呼ばれ、この閉鎖都市から犯罪をなくそうと
志す者たちの集まりである。加えてこれまで長年フィオを苦しめてきた緑髪症もここ2年で患者数が急増。今ではこの閉鎖都市の5人に1人が緑髪症を
患っている。これに対しヤコブの梯子は原因究明に乗り出したが、いまだに原因は分からずじまいである。
ただ、閉鎖都市全体に占める緑髪症患者の割合が20%にも達したこと、加えて研究の結果かろうじて分かった誰にでも発症の可能性があるということを
踏まえ、以前のように偏見されたり、差別されることはなくなっていた。これらを鑑みてアンドリューは今回の話を持ってきたのである。
自分の正義感を生かせる職業に就きたいと考えていたフィオはこの話を承諾。エミリアとアルセリオも娘の大出世に喜び大いに賛同してくれた。
それから一週間後、フィオは自警団第一課に入団するのであった。だが、2度あることは3度ある。今度は『スラムの出身』だということで周囲から疎まれるのである。
要するに、『あんな治安の悪いところで育った人間が治安など守れるものか』という偏見である。しかし、フィオはわずか3カ月でこれを払拭する。まずは彼女が入団して5日後に起きた銀行強盗事件である。
フィオを含む待機中の団員10人に出動命令が下され、現場に急行するとそこには民間人を人質にその首筋にナイフを突き付けた強盗が
銀行係員に金を要求していた。現場の指揮官であり、第一課副課長であったフローライト・リバーが状況を確認する。犯人は一人。しかし、銀行出入り口は
見通しのよいガラス張りで侵入しようとすればすぐに犯人に気付かれてしまう。そうなった場合逆上した犯人が人質にどんな危害を加えるかわからない。

550 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/11(火) 22:26:31 ID:B7iNo/ro0
と、ここでフィオがリバーに進言する。

「リバー副課長。ボクに考えがあります。聞いていただけますか?」
「…君の話、聞こうじゃないか。で、考えとは?」

フィオが作戦を語る。まずフィオがこの窓ガラスの向こうの犯人のナイフを狙撃。それに合わせて残りの9人が銀行内に突入。犯人確保、という流れである。

「だがもし失敗したら…」
「大丈夫です。必ず成功させて見せます。ボクに任せてください」

そのフィオの自信を前にリバーも首を縦に振る。そして、団員たちを配置へと就かせるのであった。犯人からこちらが見えないぎりぎりの角度でフィオは
グレイスを構える。そして、射角に入ったところでついにその引き金を引いた。銃口から放たれた9mmパラべラム弾はそのまままっすぐにナイフを直撃し、
その衝撃で犯人のナイフはその手から大きく弾かれる。それと同時に団員が銀行内に突入。犯人を制圧するのであった。
この事件の最大の功労者であったフィオには当時の署長から功労賞が贈られた。その後もフィオは様々な事件の第一線で活躍を続け、3ヶ月後には
自警団にとってなくてはならない存在となっていたのだ。アンドリュー・ヒースクリフも当時の署長から「とんでもない大物を見つけてきたな」と褒められるほどであった。
それから1年と半年がたち、署長が定年のために引退することになり、新しくアンドリュー・ヒースクリフが署長に
フローライト・リバーが副署長に就任することとなった。この結果空席となる第一課課長の席にはアンドリューの推薦の元、フィオが就任した。
しかも驚くべきことに自警団第一課のべ3000人のうち一人として異論は出なかったのである。捜査に当たり様々な支局に赴き、その支局の人間は
フィオの姿、人となりを目の当たりにして彼女を信頼するようになっていたからだ。そして、現在に至る。

「…フィオ。どうしたの?何か考え事をしていたようだけど」
「…え、ああごめんね。それじゃクラウス君、それにみんな!お互いガンバろうね!」
「うん、次は最上階で会おうね」

そして、7人は2年ぶりの任務に就くのであった。果たして、7人の運命は…

551名無しさん@避難中:2010/05/12(水) 01:46:55 ID:eHBix.dU0
代行行ってきたー

552名無しさん@避難中:2010/05/13(木) 20:56:44 ID:eFTjd2OYO
信太主が宴会好きとか超意外w

553 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/13(木) 22:23:18 ID:eAkIRHGc0
代行感謝いたします。

554名無しさん@避難中:2010/05/14(金) 19:56:59 ID:D.FhC0eoO
本スレに代行お願い!!↓

>>白狐と青年
>>ハイカラみっくす!

どちらも投下乙!!
クズハ、エリカ様、ふぇ(別称トエル)と華やかな異形世界。勢揃いでレッツ温泉界なんて機会はないかねぇw

↑以上お願いします

555名無しさん@避難中:2010/05/14(金) 21:11:42 ID:eu6pdr9k0
ほいさー

556名無しさん@避難中:2010/05/14(金) 21:36:19 ID:D.FhC0eoO
有難うございました!!

557名無しさん@避難中:2010/05/15(土) 12:25:38 ID:YholoaY.0
さいごのさいごで猿とは…まぁ終わったからいいですよ
ともあれとうかしゅーりょう。本スレに直接書き込めたのって
今回が初めてかも。
いいぞいぎょーせかいもっともりあがれ!
触発されて他の世界ももりあがるといいです。

558 ◆GudqKUm.ok:2010/05/15(土) 22:32:50 ID:sVowuTXkO
我慢出来ず便乗で異形世界投下。代理お願いします。

(´・ω・`)ラヂオキキタイ・・

559 ◆GudqKUm.ok:2010/05/15(土) 22:35:18 ID:sVowuTXkO
『ANARCHY FOREVER
 FOREVER ANARCHY』
(異形世界)

埃っぽい寝床で目を覚ました我堂は、枕元の瓶に少し残っていた焼酎を呷ると、回廊を歩いて薄暗い城の大広間に出た。どこからか異形のものらしい大鼾が聞こえてくる。

(…腹が…減ったな…)

つるりと剃り上げた頭には禍々しい入れ墨。細身の長身を黒革の装甲服でぴったりと包んだ彼は、人というよりまるで異形の化身に見えた。蘆屋我堂。冷たく無表情なその顔は、古めかしい名にそぐわずまだ若々しい。

「…お目覚めかの、我堂どの?」

我堂が無人の広間を徘徊し、昨夜の酒宴の散らかった残り物を腹に詰め込んでいると、よく通る女の声がした。熊野山中にそびえるこの城の主、『キヨヒメ』のおっとりとした声だ。

「…食ったらまた寝るさ…」

忽然と背後に現れたキヨヒメを振り返り、気だるそうに我堂は答える。紀州熊野一帯を牛耳るこの女妖は年経た蛇の異形。彼女を抱くとき、我堂は出来るだけそののたうつ本性のことを考えないようにしている。

「…それはそれは。ではお休みになる前に、ほんの少し妾の話を聞いて給れ…」

ちろちろと赤い舌を覗かせながら、妖艶な異形は我堂に『命令』を伝える。図々しさには自信のある我堂だったが、長らくキヨヒメの城には居候の身、この油断ならぬ女に無駄飯喰らいを背負いこんだ、と思われるのも癪な話だ…


蘆屋我堂を良く言う者はいないだろう。悪名高い魔法科学の大家、蘆屋一族の放蕩息子にして追放者。彼は魔素という未知の力を体系化し、この閉ざされた島国に新たな秩序と支配を打ち立てようと画策する蘆屋一族が大嫌いだ。
蘆屋だけではない。せっかく訪れたこの素晴らしい世の中でみみっちく計略を巡らし、鬱陶しい『文明』などというものを再構築しようとする全ての組織を彼は激しく憎んでいるのだ。

560『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/15(土) 22:37:51 ID:sVowuTXkO
異形たちと血を流し合い、貪りあう恍惚。そこには小綺麗な理想も壮大な野心もない。ただ喰らい、犯す一匹の獣としての生をひたすら欲する蘆屋我堂は、当然ながら文明圏にその居場所を得られなかった。
幾多の騒ぎを起こして復興が進む関西中心部を追われた彼は、腐れ縁の異形たちと親交を深めながら南下し、今は異形の勢力が強い紀州熊野で、実力者キヨヒメの食客として自堕落な酒池肉林の日々を送っているのだった。


「…異形を狩る者たちが居る…」

蛇らしく強い酒を好むキヨヒメは召使いに運ばせた杯を舐めながら、黙々と冷えた獣肉を頬張る我堂に告げた。

「…我堂どのは異国の船が黒潮に乗って密かに我が国を訪れ、生け捕りにした異形を母国へと連れ去る、という話を御存知か?」

「…異人さんと行っちゃうのは、『赤い靴履いてた女の子』じゃなかったか?」

「ふざけるでない。妾の姪っ子が攫われたと言うても、まだ戯れ言を申すか?」

黄金色に輝くキヨヒメの瞳が、スッと縦に細く伸びる。短気な彼女の牙に掛からぬ為には聞き上手でなければならないことを、この城の住人たちはみんな良く知っている。
「…妾は山家の育ち故、人間のこと、特に異国人のことなど甚だ疎い。我堂どのならばその類の相手は得意であろう? ほれ、蛇の道は蛇』という奴じゃ…」

下手な冗談だ。しかし確かに我堂がまだ街にいた頃ならありふれた話だった。鎖国以来、半ば都市伝説のような『黒船』の噂。国内で起こる行方不明事件は、いつもこの怪しげな風説と重ねて語られる…

「…そうだな。たまには潮風も悪くないな。もしかしたら、海にも可愛い異形がいるかも知れん…」

561『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/15(土) 22:39:54 ID:sVowuTXkO
我堂の素直な返答にキヨヒメは目を細める。姪っ子とやらの詳しい風貌、キヨヒメが握っている誘拐者の情報を聞きながらさっそく歩き出した我堂は、大広間の出口に転がっている異形の死体に気付いた。逞しい…狐の異形だった。夥しく血を吐いて息絶えている。

「…なんだ? こいつは…」

「我が姉妹なる信太の主よりの使者じゃ。我堂どのを捜し訪ねてきたが…紀州の酒が口に合わなかったらしいの…」

キヨヒメは再び目を細めてククッ、と笑う。我堂はこの死体が信太主が差し向けた自分への刺客だったと気付いた。以前信太森の異形と大阪圏武装隊が争ったとき、どさくさ紛れに闘いへ割り込んだ我堂は、信太主の傷ついた小間使いたちを犯したことがあるのだ。
慈悲深く重傷者は見逃してやり、軽傷の者も傷に障らぬよう優しく犯してやったのに、どうも信太主は未だそのことを根に持っているらしい。とんでもなく執念深い狐だ…

「…ま、なんだ。俺は誤解されやすい人間だからな。じゃ、善は急げだ…」

「宜しく頼む。そなたが居らぬのは誠に心淋しいが、良い知らせを待っておる…」

562『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/15(土) 22:42:18 ID:sVowuTXkO
愛用の黒い金属棒を担ぎ、慌ただしく城をあとにした我堂は熊野の森に充満する濃密な魔素を深々と呼吸し、霧に霞む鬱蒼たる緑をしばし目に焼き付けた。
ちょうどキヨヒメとも潮時かな、と思っていた矢先だ。信太主に小角一派、それに『再生機関』…数え切れぬ仇敵たちもそろそろここを嗅ぎ付ける頃でもある。長居は無用だった。

(…海か…この時期の白浜は綺麗だろうな…)

この国が突然姿を変えてから、薄暗かった大阪圏の空でさえ毎日、鮮やかに澄んだ青さを湛えている。そう、我堂が暴れ回るのに相応しい、美しく広大な舞台は今日も燦然と輝いているのだ。
このまま姿をくらまそうかと思っていたが、生まれついての気紛れは彼を執拗に潮風の匂いへと誘った。異国の黒船。異形を攫う者たち…これも我堂の心を踊らせてくれそうな相手だ。

(…ま、見物だけでもして来るか…)

我堂が景気付けに馴染んだ武器で空を斬ると、漆黒の棒はブン、と嬉しげな唸りを草深い熊野山中に響かせた。


続く

563名無しさん@避難中:2010/05/15(土) 23:53:56 ID:idqbTWrg0
いってくる!

564名無しさん@避難中:2010/05/16(日) 00:08:17 ID:bARJZo9c0
いってきた!

565 ◆GudqKUm.ok:2010/05/16(日) 00:42:25 ID:qZuPUg.gO
代行感謝です!!
以下は『AFFA』キャラクター設定、御使用に関しては一切の制約、御連絡は無用です。とりあえず苦手な連載に挑戦w


蘆屋我堂
(あしや・がどう)
男/二十代中頃
魔素研究の権威、謎めいた蘆屋一族の一員。その策謀渦巻く家風を嫌い出奔、知性ある異形たちと通じつつ各地を放浪している。
長身で、剃髪した側頭部に奇怪な入れ墨を施しており、ライダースジャケットを改良した黒い装甲服を愛用する。漆黒の長い金属棒を主な武器とするが、得体の知れぬ様々な技にも長けている模様。


清姫
(キヨヒメ)
女/年齢不詳
紀州熊野山中を縄張りとする蛇の異形。自らの城に取り巻き達を従え暮らしている。
男と酒を好み冷酷な気性の持ち主だが、形式的に信太主など関西圏の著名な異形上位種たちとは義兄弟の契りを交わしているようである。

566名無しさん@避難中:2010/05/16(日) 13:24:45 ID:nUJys/yM0
せっかくだから俺はこの設定を代行するぜ!

567名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 21:41:23 ID:ihdFbfNIO
せっかくだから何か雑談しようぜ!
…なにについて話すかは思い浮かばねえけど

568名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 21:43:13 ID:hBUgd6mA0
かかってきな!
ネタは浮かばねえが

569名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 21:54:59 ID:ihdFbfNIO
うお、人いたw
雑談スレもあるんだけどもね
いくつかスレか進んでそれぞれの世界の流れができてきたけど

…という導入で誰か話題ぷりーず!

もちろんそれ以外の話題も歓迎

570名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 21:57:06 ID:8OgEBnkwO
このスレの住人じゃないけどおk?

571名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 21:58:27 ID:hBUgd6mA0
>>570
いらっしぇえ!

572名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:00:14 ID:hBUgd6mA0
世界の流れができてきたけど、地獄が止まった気がする
と書いてみたが、さすが4シェア含みのスレ。なんともないぜ!

573名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:02:20 ID:u8dcpMJQ0
>>570
いっちゃえ!

始めはメガテン風世界と言われていた異形世界
メガテンやってみたら自分が書く物よりもっと、こう、アダルティでアングラな香りがしてたぜ!

574名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:04:00 ID:hBUgd6mA0
じつはメガテンしらないw
なんかこう西洋っぽいものかと思ってたけど、異形みたいな和風のなのかしら

575名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:07:44 ID:x7IOM3YU0
最近追えてないんだけど、地獄の投下止まってるの?
一番賑やかだったのに

576名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:08:15 ID:u8dcpMJQ0
世界中の神話からクトゥルフまで出てきたい放題だったww

577名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:09:09 ID:hBUgd6mA0
止まったというか、地獄の書き手さんが二名とも異形で連載中みたいな?

570さんはROMの方なんだろうか

578名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:09:55 ID:ihdFbfNIO
そういえば地獄は今止まってる、のか?
悪魔の人もいるし期待してるんだが

メガテンすげぇww

579名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:11:17 ID:hBUgd6mA0
リリベルファンな俺としては悪魔in地獄は俺も期待してるなあ

580名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:11:45 ID:BIifPsy60
避難所だからもっと雑談しててもいいと思ってたんだ俺…
まあ日本だからね。異形世界は。は西洋のヤツとかが日本の異形に殴り込んで来るって
いうのも面白いかもね…あれ、吸血鬼は西洋か?でもエリカ様って和服のイメージ
しかないんだけどw

581名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:12:41 ID:8OgEBnkwO
>>577
ROMどころかたまたま開いたら雑談やってたという具合でw

地味に膨大で読むのも根気が居るぜ。

582名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:13:32 ID:hBUgd6mA0
あ、ごめんごめん。
西洋ぽいイメージてのはメガテンのほうね
避難所はどんどん雑談すべきだよね、規制の人もいるし


しかしさすが俺、雑談慣れしてない

583名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:14:52 ID:hBUgd6mA0
>>581
ゆっくりしていってね!!!

常駐してたからわかりづらいけど、なにげに膨大だよねえw

584名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:16:27 ID:BIifPsy60
実は…名無し投下は全てこの私一人の手で投下されていたのだ!!
とかだったらどうするよ

585名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:17:35 ID:u8dcpMJQ0
異形世界は外国との連絡が途絶えているから鎖国している間に海の外でも同じような事が……
というのもありかもしれない

ログの量、確かに膨大だww

586名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:18:27 ID:8OgEBnkwO
俺の事では無いようだ。

587名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:21:16 ID:ihdFbfNIO
>>584
なん・・・だと?

>>585
外といえば閉鎖都市も外が書けるよな

588名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:22:43 ID:hBUgd6mA0
そうそう、最初に閉鎖に投下されたやつは都市外だったよね
姉御どうしたwww

589名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:24:26 ID:u8dcpMJQ0
閉鎖都市は廃民街の外とか裕福層の辺りとかもあるかも

590名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:26:46 ID:BIifPsy60
俺の名は只野環士…今日も閉鎖都市を外から観測する仕事が始まる…
的な始まり方で外からでもいけそうだね

591名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:28:38 ID:hBUgd6mA0
まあでもせっかくだから586さんも何か一つ書いてみなよ!

592名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:29:46 ID:8OgEBnkwO
ただの監視w

593名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:32:23 ID:8OgEBnkwO
>>591
じゃそのうちちゃんとトリつけて単発でも持ってくる。
その前に片付けないとならんのが二つあるんで時間はかかるがw

594名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:33:07 ID:ihdFbfNIO
只野環士www

595名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:35:13 ID:hBUgd6mA0
>>593
おお、こいつは楽しみだ!


特定した

596名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:36:24 ID:8OgEBnkwO
>>595
なん……だと……?

597名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:37:06 ID:BIifPsy60
>>593
楽しみに待っているぜ!
俺も時間があれば投下してみたいんだけどね…

598名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:38:19 ID:u8dcpMJQ0
投下される日をじっと待ってる!

599名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:39:39 ID:x7IOM3YU0
高まるプレッシャー

600名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:41:43 ID:hBUgd6mA0
現状読み専からみて、面白い作品ってあるのかな?

シェアって参加してる人としてない人で結構そのへん違う気がするんだけども。

601名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:42:36 ID:8OgEBnkwO
ちくしょうッ!

602名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:48:29 ID:x7IOM3YU0
ややえちゃんシリーズが好きだったよー

603名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:48:48 ID:BIifPsy60
どれもそれぞれ面白いけどこのシェアで言うなら温泉界第一部が好きだなー
いや、なんていうかスレの縮図みたいなものに感じた

604名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:50:23 ID:hBUgd6mA0
なるほどー、他から人を呼べるようなもんを俺も書きたいもんだw

605名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:53:40 ID:BIifPsy60
ややえちゃんは大人気だな
しぇあらじの人とかも好きだって言ってたし
ふぇの人が伺かでハイテンション絶賛してたしね

606名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:55:30 ID:hBUgd6mA0
俺は何気に「ふぇ」が好きだw

607名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 22:55:48 ID:u8dcpMJQ0
ややえちゃんはいいな

608 ◆zavx8O1glQ:2010/05/17(月) 23:03:53 ID:JP6Ecjq60
雑談してる! と思いきや参加しづらい空気になってしまった。

609名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:08:27 ID:ihdFbfNIO
いらっしゃいませwww

610名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:08:34 ID:BIifPsy60
野郎ども!参加しやすい空気にしようじゃねぇか!
どうすんだって?とりあえず幼女の話でもすれば盛り上がるんじゃね?

611名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:09:13 ID:8OgEBnkwO
そこを切り開くのが雑談だ!

612名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:11:12 ID:Ap2Q/6Ug0
少女って説明があるのに、幼女にしてしまう住人に隙はなかった

613名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:11:14 ID:hBUgd6mA0
きwwwたwww

614名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:14:04 ID:hBUgd6mA0
そんなクズハちゃんも今では全裸幼女カプセルです

615名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:14:07 ID:u8dcpMJQ0
ロボットケモッコ富豪の娘、幽霊に木の精に蝙蝠猫に異界のロリババア!
さあなんでも来い!!

616名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:15:29 ID:ihdFbfNIO
ロリだと……?
ははは私に語らせたら長いよ?

617名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:17:04 ID:x7IOM3YU0
ここは幼女好きの多いインターネッツですね

618名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:18:12 ID:BIifPsy60
これは…ロリの流れか…
ちょこんとしたサイドテールの茶髪幼女がマイ・レジェンド

619名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:21:33 ID:Ap2Q/6Ug0
くっなんて世界……スレなんだ
誰か熱女のSSを投下するんだ

620名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:25:45 ID:8OgEBnkwO
ロボスレと間違えた。

621名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:29:01 ID:u8dcpMJQ0
我蛾妃さんとか後期白梅さんとか……熟女……か?

622名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:32:10 ID:ihdFbfNIO
キッコさんも熟女だったか

623名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:32:24 ID:BIifPsy60
基本人間じゃないのは熟女判定しにくいからなー
もしかしたら外見は若いとか、人外は年齢あんま関係ないし…

624名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:35:30 ID:hBUgd6mA0
ロボスレ民か!

625名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:36:24 ID:Ap2Q/6Ug0
つまり年取ってもロリか、ロリババァなのか

626名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:39:12 ID:BIifPsy60
人間で年増な100%純粋ババァなんて誰得なんですけどね

627名無しさん@避難中:2010/05/17(月) 23:40:49 ID:hBUgd6mA0
ここは濃厚なババアスレですね

628名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 00:04:48 ID:FL29zXgwO
いいぞw
このカオスっぷりこそ雑談w

629 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 00:09:06 ID:Bk7wLrecO
ウワ-!!
なんか雑談してる!!

630名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 00:10:18 ID:CRdV8PVgO
皆投下、感想ばかりなので固い人ばかりだと思ってた
そんなことなくて安心だ
このスレで俺だけ変人だったらどうしようかと・・・

631名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 00:16:20 ID:cRlGP5Gk0
雑談しにくい雰囲気ではあったよな確かに
雑談振ったID:ihdFbfNIOには足を向けて寝られないな

632名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 00:27:06 ID:Gq267be.O
どの方向かわからないな

逆立ち……か。寝れるかなぁ

633そろそろ寝る>>567:2010/05/18(火) 00:32:16 ID:CRdV8PVgO
俺はいつもアナタの心に!?

634名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 00:36:29 ID:cRlGP5Gk0
おやすみー
皆寝る時間か

635名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 00:38:26 ID:v/oVi6j60
>>633なんで疑問形なんだよww心にいられても困るがwww

636 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:23:30 ID:FL29zXgwO
>>591
約束通り単発したためたぞ!
ちなみに閉鎖都市。雑談で出たネタを元にしてみた。
では投下開始。

637 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:23:51 ID:FL29zXgwO
 車が揺れている。道路の舗装は既に途切れ、ただの車が通れる獣道だ。見える木々は細く、えらい貧相なイメージを受ける。僅かに残るくすんだ色の葉っぱが、かろうじてその木々が生きている事を教えてくれる。
 クリーヴは車の助手席に座り、窓の角で器用に頬杖をつきながら外を眺めている。
 近づいて居るらしい。長年のカンがそう言っている。
 クリーヴは愛用のデジカメを握りしめる。動画は取れないが五万枚もの写真を納められるメモリを内蔵したスグレモノだ。



※ ※ ※



「お前しか適任は居ない」

 レヴィンに呼び出されて言われた言葉はそれだけだった。
 迷彩服を着込み、まくり上げた袖から見える腕は太く逞しい。鋭い眼光は見た目通りの強さと、繊細さを物語っている。

「わざわざ基地にまで呼び出していきなり何の話だ? 客迎えるにしちゃ随分と『ラフな』格好じゃねぇかレヴィン?」
「外なら制服を着るさ。でもここは俺達の家だ。リラックス出来る服装なのは当然だろう」
「軍服の野郎がほざきやがる。ああそうだ。昇進おめでとう。少佐殿」

 レヴィンはニッコリ笑い、分厚い資料を取り出す。
 それをデスクの上へ置き、無言で目を通すようにクリーヴに促した。
 資料の表紙には「TOP SECRET」の文字が赤いインクで斜めに印刷されているだけだった。

「これは……レベル5!?」
「そうだ。正真正銘の、超機密事項。本来ならば政府首脳クラスしか触れられない、危険極まりない代物だよ。
 UFOとかも載っているかもな」

 レヴィンは冗談混じりに資料の説明をする。とても軍人とは思えない軽い口調だ。
 かつてはクリーブと共に戦場を駆け巡ったが、戦場ではまさにプロの兵士といった印象だった。最初に出会った時はジャマだと言ってクリーヴを殴ったりもした程だ。
 長い付き合いの果てに、今では冗談を言い合う仲にはなったのだが。

「俺は民間人だ。レベル5なんて見ていい訳じゃない」

638 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:24:10 ID:FL29zXgwO
「いや、構わない。見てもらう為に集めた資料だ。許可も取り付けてある」

 レヴィンは微笑んだままそう言った。
 クリーヴは何か深い罠に嵌められた気分になった。ただでさえ機密事項に触れるのは危険が伴う。それが最高機密レベルの代物となれば勘繰ってしまうのも当然だろう。
 クリーヴは軍人ではない。民間人なのだ。

「気持ちは解らんでもない」

 レヴィンが心を見透かしたように言った。

「これは本当に危険な資料だ。もし漏れたらその人物を射殺しなければならない。だがこれをお前が見る許可は取り付けてある。俺がそう頼んだんだ。お前しかこの作戦に適した人材は居ないからな」
「友に命のリスクを背負えと? お前は信用出来るがお役所連中はムリだ」
「大統領が盟約を結んだとしてもか?」
「……大統領? だと?」

 レヴィンは頷き、窓のシャッターを閉める。
 一気に部屋が薄暗くなり、僅かに入ってくる木漏れ日が室内のホコリを照らして怪しく光っていた。

「大統領だけじゃない。他国の首脳陣もこの作戦を支持している。そいつらから一生モノの援助が受けられるぞ。どこへ行くにも面倒な許可をとる必要が無くなる。
 お前にとっては魅力的な報酬のはずだ。」
「それほど危険なんだろう? 死ぬだけじゃ済まないほどの」
「そうだ。もし成功すれば多額の報酬も用意されている。 さっきの援助で仕事に励むか、引退して遊んで暮らすかは自由だ」
「具体的にいくらだ?」
「毎月十万ドル。死ぬまで支給すると約束してくれた。国家予算からな」
「……ウソだろ」

 途方もない報酬だ。一回十万ドルではない。『毎月十万ドル』。それも死ぬまで。多額どころの騒ぎでは無い。

「……お前は戦場カメラマンとして十分過ぎる実績がある。俺と幾つも死線を超えてきたし、平時でも見事にその土地に馴染める。
 それは俺達軍人や、スパイ連中には無い能力だ。民間人ならではの……な」
「今度はホメ殺しか」
「事実だ。俺達は良くも悪くも戦うのが仕事だ。適任者は俺達の中に居ない」

639 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:24:53 ID:FL29zXgwO
「……一体どんな仕事なんだ? どこの戦場に行けと?」
「戦場ではない」
「何?」

 戦場ではない。なら何故戦場カメラマンのクリーヴを呼び付けたのか。その理由がクリーヴには解らなかった。
 多額の報酬、他国首脳陣の援助、大統領の盟約。
 これが一体何を意味するのか。それは一体何なのか……。

「……俺に何をさせたい?」
「資料に書いてある。もしやるなら、読んでみるといい。すべてそれに書いてある」

 少し考え、クリーヴは資料に手を伸ばした。危険な仕事だとは十分に理解出来た。
 彼はプロだ。その腕を認められたという事は、プロとして彼を燃え上がらせるには十分の事。
 クリーヴが資料の一冊を手にとり、表紙をめくろうとした時――

「クリーヴ」
「何だレヴィン?」
「それをめくったら、もう戻れない。いいか?」

 クリーヴとレヴィンの間に一瞬の沈黙が走る。
 そして彼は、ゆっくりとレベル5の資料の表紙を開いた。



※ ※ ※



 ガタン!

 車が大きく揺れた。頬杖をついたままクリーヴはいつの間にか眠っていたらしい。
 大排気量を誇る軍用車両は荒れ果てた地面を低速ギアで走行し、激しく吠えていた。

 クリーブは持ち物を確認する。

 音声レコーダー。
 声でのレポートをまとめあげる物。構造は割と簡単で、電池と記録媒体さえあればいくらでもメモリを拡張出来る。これならバッテリーやメモリーカードを気にする必要は無い。

 金。
 通貨は持ち込めない。代わりに出所が解らないように粒状に加工された金を持ち込み、当面の生活費とする。

 そして、愛用のカメラ。
 これこそクリーヴの命であり、この仕事を引き寄せた物。
 これが天使か悪魔かは、この時はまだ分からなかった。 成否がどうであれ、全てが終わった時にどちらだったか分かるだろう。

640 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:25:31 ID:FL29zXgwO
「ここまでです」

 運転手を勤める若い兵士が車を止めそう言った。
 窓から外を見ると、それは見えてくくる。世界を分け隔てる、長い長い、途方もなく巨大な壁――

「お気をつけて。ミスター・クリーヴ」

 若い兵士は敬礼でクリーブを送り出した。「俺は軍人じゃない」と一言いい、彼は壁へと向かって行く。
 資料によれば、排気の為に壁には幾つか穴が空いているはずだ。
 それは巧妙に隠され、素人目には発見は不可能だ。クリーヴは頭に叩き込んだ資料の情報を便りに、それを発見する。
 直径約一メートル程の小さな穴。空以外で、唯一外と中を繋ぐ穴。
 壁の底辺付近の厚さは約百二十メートル。さらに穴の中は相当に入り組んでおり、実際の距離はさらに長い。おまけに中は真っ暗だ。
 ここを抜けるのは気が滅入るが、中止という選択肢は無い。彼は、穴蔵の中へ侵入していく。

 長い長い通路だ。衛星からのX線写真のおかげで内部構造は把握している。しかし、実際に潜るとより長く感じる。
 壁の真ん中辺りでは、一切の音がしなくなった。
 自分の鼓動と呼吸、あとは衣服が擦れる音だけがしている。真っ暗な通路では貧弱なライトだけが便りだが、それが照らすのはさらなる闇だけ。
 まるで、自分しか存在しない宇宙の隙間に放り込まれたような気分だとクリーヴは思う。
 実際、彼は今世界と世界の間に居るのだ。

 穴蔵を大分進むと、今度はファンが回る音がする。
 出口が近い。クリーヴは穴蔵の壁をライトで照らしまくり、ファンを避ける更なる抜け道を捜す。
 そして一枚の金属の板を止めてあるビスを手持ちのナイフで回し、そこへ入って行く。
 あとは一本道だ。先程よりさらに狭い通路をクリーヴは這って進む。草の臭いがする。土の臭いがする。
 もうすぐだ。もうすぐ、彼は「別世界」へと到達する。それは偉業とも言える事だ。

641 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:25:51 ID:FL29zXgwO
 そして行き止まりにたどり着く。
 彼は仰向けになり、通路の天井になってある格子のビスをまたナイフで外す。
 そこに見えたのは土。草の根が張り巡らされた土だった。
 クリーヴはそれを掘った。顔面に土がかかるが、そんな事は気にならなかった。
 もうすぐ、もうすぐだ。彼を支配していた感情はそれだけだった。そして――

「……!」

 彼の手は土を貫く。手を引くとそこから新鮮な空気が入り込み、彼は思い切り深呼吸する。
 そして一気に頭を外に出し、そのまま身体を空いた穴へと捩込んで行く。

 彼が見た最初に見たのは月だ。既に外は夜になっていた。地面には草が生い茂り、遠くでは水が流れている音がする。
 クリーブはレコーダーを取り出し、録音を開始した。

『……空だ。……はぁはぁ……。空が見える…! 月が見える! 俺達の世界と同じ空だ……。はぁはぁ……。
 草も生えてる……。外とは印象が違う。青々した草だ……。俺達の世界の草と同じだ……』

 クリーヴのレポートは次々とメモリに蓄えられていく。
『……俺達の世界と同じ空気だ……! でも解るぞ。ここは俺達の世界とは別物だって……。どこの戦場でも同じ世界だった。でもここは違う……。違う世界だ……!』

『はぁはぁ……。俺の名前はクリーヴ。クリーヴ・サラハン。今から閉鎖都市の調査を開始する。この違う世界の……』

『俺は……。俺はここまで来たぞ。来たんだ……』

642 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 12:26:59 ID:FL29zXgwO
投下終了。ハロワの待合室でこんなマネしている俺に未来は無かった。

643名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 14:47:00 ID:CRdV8PVgO

閉鎖都市の外の視点から内部をみたらどうなっているのだろうか、続きに期待

ハロワがんばってくれw

644名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 18:36:03 ID:q/oyEkpQ0
仕事はええw
とりあえず代行してくるぜい!

645名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 18:50:52 ID:q/oyEkpQ0
感想と一緒に代理投下完了

タイトルなんかつけてくれるとwikiに載せやすいんだぜ

646 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 19:00:56 ID:FL29zXgwO
えっ? 代行してくれたんですかぁ!(あざとい

とまぁ冗談は抜きにして、タイトルは追い追い考える。が、正直おれが閉鎖都市を良く知らんのでどうにもならないw
単発を連発するクセがあるし微妙に結末のネタはあるから、先に結末投下してその間に何があったのかを単発でちょこちょこやろうと思う。
妄想しやすい世界と設定でたすかるw


……つーか昨日、四つも投下したのか俺(他スレ誘致活ど(ry

647名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 19:04:27 ID:q/oyEkpQ0
OK把握した、なんにせよ無理せずのんびりやってほしいな。
とりあえずタイトル未定で載せとくよ。
このスレは作品と感想は特に書かなくても代行される(と俺は思ってるw)

648名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 19:29:03 ID:FL29zXgwO
流し読みしてきたけど閉鎖都市ってまだまだ謎だらけだなグヘヘ……
世界観としては銃夢のクズ鉄街とかそこら辺みたいだねぇ。

あと既にまとめられているだと?w

649名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 20:21:23 ID:q/oyEkpQ0
>銃夢のクズ鉄街

知らなかったんでぐぐってみたんだけど、たぶんこういうふいんきなのが
閉鎖都市の中では廃民街に相当するのかな

といっても他のエリアが未だ書かれていないという事実

650名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 20:28:17 ID:q/oyEkpQ0
ところでチェンジリングの方でもやってたから、俺たちも好きなキャラ叫ぼうぜ!

僕はタバサちゃん!

651名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 20:48:11 ID:Eo86DQPgO
投下早いな〜
まさかあれってパッと出の只野環士が元か?w

そんな俺はリリベルちゃん!リリベルちゃんマジ天使

652名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 20:53:14 ID:FL29zXgwO
>>651
そこら辺が元ネタ。

653名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 20:58:56 ID:q/oyEkpQ0
wikiに載せる速度より、この速さでこれだけかけるあんたのがすげえw

654名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:10:49 ID:vng15/Nw0
俺の中では廃民街をブラックラグーンのロアナプラのイメージだった。
銃夢は本が手元に無いからうろ覚えだけども、クズ鉄街も混沌っぷりっという点では同じかも。
もっとも、まだまだ発展途上だからいろいろと設定追加してもいいと思うけどね。

まあ、そんなことより俺は怜角さんのサラサラヘアーを梳かしたい。

655名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:13:37 ID:q/oyEkpQ0
天野くんが出てきたあたりの怜角さんがはじけてて好きだ

656名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:21:32 ID:CRdV8PVgO
では神谷さんと匠青年と殿下はいただきますね

657名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:25:13 ID:q/oyEkpQ0
神谷さんとは渋すぎるwww

さて、毅然としたタバサちゃんをナデナデナデナデナデして失神させてくるか……

658Report'From teh AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 21:35:53 ID:FL29zXgwO
投下おk?

659名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:37:00 ID:Bk7wLrecO
殿下&侍女長が好きで、活躍させたいけどこの二人ルックスと本名がはっきりしないんだよな…
命名企画とか面白いんでは?
あと好きなのはゲオルグ、クズハ、エリカ様、温泉のアリスと挙げればきりがないw

…それから今、異形投下おkですか?

660名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:37:56 ID:q/oyEkpQ0
かぶり注意報発令!

661Report'From teh AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 21:38:17 ID:FL29zXgwO
「いい眺めだ……」

 空は一面の星空だった。
 生い茂る草は毛布のように身体を柔らかく支えてくれる。露がおりている為に身体が心地よく冷えていく。

「これが罰か」

 クリーヴは言った。壁の手前で彼は寝そべって居る。身体の自由は既に効かなくなっていた。
 唯一、かろうじて動くのは口だけだ。それもそのうち動かなくなり、呼吸は止まるだろう。彼はそう予測している。
 随分と残酷な殺害方法だが、下手に手を下すよりはいい。綺麗な死体ならばただの変死体だ。

「空だ……。同じ空……」

 譫言のように繰り返す。
 彼らの攻撃はクリーヴの肉体を確実に機能停止に追いやって行く。もう時間は無かった。
 空には渡り鳥が飛んでいるのが見える。それを追う光線はまるで流れ星のように空に軌跡を描き、そしてチカチカと空を輝かせて行く。
 どうせなら俺もあれがいい。クリーヴはそう思った。

 唇の動きが緩慢になっていく。舌が重力に従い下りて来る。
 そしてクリーヴは呼吸を止め、ひっそりと苦しんでいる。
 これが罰。クリーヴが死の間際に思った事の一つ。
 奇跡を。これがもう一つ、クリーヴが最後に考えた事。 彼は奇跡を信じて、ゆっくりと自身にとって三つ目の世界へと旅立っていった。


※ ※ ※


 室内が慌ただしい。赤いカーペットの廊下は人が慌ただしく駆け回り、ここまで人が居たのかと思わせる程の混雑振りだ。戦争でもここまで騒がしくはならない。
 体格のいいスーツ姿の男性が扉を開く。
 扉の奥に居た人々は一斉に彼を見て、そして皆、同じ事を言った。

「大統領」

「レポートが届いたってのはウソじゃ無いだろうな?」
「もちろんです。メモリーの大半は何者かの攻撃でダメージを受けてましたが、復旧出来たデータも有ります。それだけでも途方も無い容量で……
 回収出来ただけでも奇跡的な事です」
「インサイダーはどうした?」
「……いえ、メモリだけです」
「レヴィン少将は来ているか?」
「執務室に。届いた音声データの再生準備をしています」
「よろしい。早速聞いてみよう」

 大統領とその側近達は一斉に小さな会議室のような場所に移動し、それぞれの席に着く。そして、イヤホンを耳に突き刺し、音声の再生をする。

 最初に聞こえて来たのは、冒頭のメッセージ。それは個人へ向けた物だった。
 では、聞いてみよう。彼のレポートを。

662名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:38:33 ID:v/oVi6j60
投下されたし! されど被りに注意せよ!
繰り返す! 被りに注意せよ!

663Report'From teh AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 21:38:36 ID:FL29zXgwO
『友へ。
 あれから十年が立った。こっちでは時間はそちらと同じように流れるが、季節の行事やなんかはメチャクチャだ。最初は一年計るだけでも一苦労だ。
 俺は今、閉鎖都市の中の雑居ビルに部屋を借りている。こっちで生活する為の仕事も見つけたよ。
 中はいわゆる都市となっている。人々のほとんどは外の事など知らないし、興味も無い連中がほとんどと言っていい。

 ……どちらがいい世界か。
 それは解らない。こっちもそっちも変わらないと思う。所詮、世界を造るのは人という事だ。
 笑い、泣き、争い、そして血を流して死ぬ。これだけは人の本能なんだろうと思う。


 ……前置きが長くなった。
 結論から言おう。調査はまったく進展していないと言っていい。いや、正確には膨大過ぎて調べても調べてもキリが無い。
 今までに集まった資料だけでも既に途方も無い量だ。
 お前達が懸念していた安全保障に関する問題は無いと思う。
 お前達の世界と中の世界は違うんだ。中の世界は『中の世界が全て』なんだ。
 こっちでも戦争は起きている。平和な場所もある。
 かと思えば街ではギャング連中の抗争が起きたり、やたらと裕福な連中が居たり。何も変わらない。変わらないんだ。ただ一つ言える事は、もう俺はこの世界の住人だと言う事だ。

 最初に閉鎖都市に入った夜、俺は見たんだ。この世界の始まりに関与している連中を。
 奴らは来る者は拒まないだろう。だが、出ていく事は許さない。侵入に使った穴は一晩で最初から無かったかのように消えていた。人の業ではない。
 俺は連中の正体が知りたい。
 世界の始まりを、世界を別けた理由をだ。

 おそらく一生かかっても難しいだろう。ここの人達は何の疑問もなく壁に囲まれ生活している。俺も少しずつそうなっている。
 『世界そのものに疑問を持つ事』
 これは異端者の思考だ。そっちでもこんな奴は精神病院に入れられるかカルト教団の親玉に仕立て上げられる。
 こちらでも同じだ。

664名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:38:52 ID:Bk7wLrecO
二分差で貴方だw

665Report'From teh AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 21:39:24 ID:FL29zXgwO
 くどいようだが、こちらはもう別世界だ。
 俺の事は死んで天国にでも行ったと思ってもらって構わない。
 あの資料をめくる時にお前は言ったな。『もう戻れない』と。皮肉にも言葉通りになったよ。

 俺が今まで集めた資料の中で、外に持ち出したいという物をピックアップしてホログラムメモリーに記録した。
 圧倒的な容量だ。いくらでも入る上にとても小さい。
 内容としては人々の生活や内部での政治形態。戦争や犯罪に至るまで。サンプルになりそうな物を選んだ。
 そうそう。俺はこっちでもカメラマンとして生きている。もはや天職というより呪いだ。逃げられない。

 結婚もした。彼女は俺が外から来た事を知らない。いつか話せる時がくればいいが。
 ……あと、十年で僅かに手に入れた『世界の創設者』達に関係すると思われる情報も入っている。
 オカルト話に近い物から割かし具体的な物まで、意味が有りそうな物を纏めた。

 最後に、これだけは言いたい。俺は後悔はしていない。
 こっちでそれなりに幸せに、そしてスリルに満ちた生活をしている。
 唯一、気にかけている事といえばレヴィン。お前に会えない事くらいだな。元気にやっているか。俺は元気だ。

 このホロメモリは渡り鳥の脚に括り付ける。山を越える連中なら壁も関係ないはずだ。
 もし奇跡が起きるなら、きっとお前の手に渡っているだろう。

 さよならだ。レヴィン。
 
 以上、クリーヴ・サラハンより。個人的な報告だ。


 さて、それでは何から話そうか――』

666Report'From teh AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/18(火) 21:39:37 ID:FL29zXgwO
終わり

667名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:41:13 ID:FL29zXgwO
適度に被ったw
普段の在中スレでは有り得ない現象w

668名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:44:15 ID:q/oyEkpQ0
よし、まず代理投下してくる

669名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:51:43 ID:Bk7wLrecO
投下乙でした!
…wHs氏とは結構あちこちでニアミスしてますw

地獄でお借りしたのも氏の桃花だしなぁ…

670名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:52:11 ID:Eo86DQPgO
投下乙ーw
シェアワスレの勢いはもう誰にも止められない!そして俺の発言には誰もつっこまない!

671名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:54:51 ID:q/oyEkpQ0
いやいや、リリベルちゃんは天使だろうが!

672名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:56:34 ID:FL29zXgwO
>>669
初めて知った件www

キャラスレにも来てくれ。雑談しないスレなんで寂しいw
あと投下して気付いた。
俺 ま た 主 人 公 殺 し た

673名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 21:58:48 ID:Eo86DQPgO
>>671
あぁそうだよ!リリベルちゃんは天使だよ!
でもさ、よーく考えて欲しい。リリベルちゃん天使というよりアレじゃね?ほらアレだよ!

674名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:00:00 ID:q/oyEkpQ0
>>673
これだな!?

リリベル「くそ食らえデス!」
ややえ 「ちょ、ちょっとリリベルちゃん。もっと上品に……」
リリベル「うんこ召し上がれです!」

675名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:00:48 ID:v/oVi6j60
リリべルちゃんマジバスガイド!

676名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:02:25 ID:q/oyEkpQ0
>>672
他にも殺してんのかwww

677名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:09:06 ID:Eo86DQPgO
おまえらわかってるくせに…そんなに俺をいじめて楽しいのか…くやしい…ビクンビクン
ほら最終ヒント
『リリベルちゃんマジ○クマ』
○に文字を入れるんだ!

678名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:10:52 ID:q/oyEkpQ0
マジ釣られクマ?

679名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:10:56 ID:FL29zXgwO
>>676
この板だと彼で三人目だ。

680名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:14:52 ID:vng15/Nw0
マジせっさたクマ?
うーん、意味が通らない。

681名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:15:17 ID:Bk7wLrecO
…じゃ、誰かリリベル釈放ネタで地獄シェア広げてよ…

682名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:18:18 ID:Eo86DQPgO
もう良いよ…ちくしょう…
リリベルちゃんマジ天使!じゃなくて悪魔!誰か異形投下あるみたいだしそろそろこの辺にしとくぜ!

683名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:19:35 ID:SoAHZIzU0
>>681
今の終わたらかく!



と思う!

684名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:25:20 ID:q/oyEkpQ0
オウイエス! カモンガドー!

685 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 22:26:39 ID:Bk7wLrecO
でわちょっとお邪魔。

異形世界『AFFA』第二話

686 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/18(火) 22:28:04 ID:K.eZPWic0
>649
そのあたりは温泉界から戻ってきたら書こうかなあと考えております。

>650
私は、白狐と青年のクズハちゃんを推薦したいと。

687『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 22:29:42 ID:Bk7wLrecO

「…どりゃああああ!!」

もはや滅茶苦茶に振り回される巨大な鋏が危うく頭を掠める。しかし蘆屋我堂は異形の腹を深々と貫いた黒い金属棒に、ありったけの沸き立つ魔素を流し込み続けた。

ギチギチギチッ…ギチ…

恐るべき巨蟹は苦悶の泡をブクブクと噴きながら灼熱する武器から逃れようと暴れるが、我堂とて空腹を抱え機敏かつ堅牢な巨体をやっとの思いで串刺しにしたのだ。そろそろとどめと…調理にかからなければ流石に身がもたない。

「…くた…ばれ…」

渾身の腕力でずぶずぶと捻込まれた鋼の棒は、ついに硬い背の甲羅まで貫通した。あとは火加減だけが勝負だ。
空を切って降りかかる鈍器のような鋏をかわしながら、鉄棒に流れる魔素を更に熱く燃え立たせ続けると、化け物の傷口から漏れる生臭い臭気は、飢えた我堂が目眩いを覚える程の甘い芳香に変わってゆく。

ギチ……ギ…

振り上げられた鋏が緩慢に動きを止め、ついに大蟹異形の激しい断末魔の痙攣は終わった。ようやく待ちに待った『いただきます!!』の時間だ。
ジュウジュウと白煙を立てる鉄棒に獲物の加熱調理を任せ、我堂はいそいそと食前の手洗いのため、熱い砂を蹴って波打ち際へと走った。


「…う、旨い…」

思わず声が出る美味。キヨヒメの依頼で始まったこの探索行だったが、我堂は常に旅の楽しみを満喫する主義だ。最近常備している紀州名産の醤油は、よく肥えた巨蟹の風味を一層引き立ててくれる。

「…おいテメェら!! 一人じゃ食い切れん。分けてやるから隠れてないで出てこい!!」

我堂と大蟹の死闘に、岩陰から怯えた視線を送っていた非力な海の異形たちが、浜に漂う魅惑的な薫りにたまらず顔を覗かせる。肉の詰まった脚を気前よく鉄棒で砕いて投げてやると、歓声と共に種々雑多な異形がわらわら集まってきた。

「…よおし!! ちょっと教えてくれりゃ喰い放題だぞ!! この辺りの海岸にだな…」

688『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 22:32:23 ID:Bk7wLrecO
熊野山中から半島沿岸部へと出た我堂は、南紀の味覚と絶景を堪能しながらも事件の調査を怠ってはいなかった。キヨヒメの姪をはじめとする異形上位種の失踪はまだ各地で続いている。
しかし誘拐の後手に回って犯人たちの足取りなど追跡しても、追いつく手前で被害者たちを載せた『黒船』がこの国を離れてしまえば全ては徒労に終わってしまう。
そう考えた彼は早い段階から『黒船』の出現場所特定に調査を絞り込んでいた。これならこの紀州で何匹異形どもが捕まろうが、まとめて異人の船に積み込まれる現場を押さえればよい。
そして聞き込みで頻繁に耳にした『水兵』『軍艦』といった単語は、異形を連れ去る異国人がならず者や海賊の類ではなく、統制のとれた武装集団であることを物語っていた。
かつての同盟国からあっけなく撤退した米軍は、異形への病的な恐怖に震え上がっていたという。もし『黒船』が何処か軍組織のものであれば、物騒極まりない日本近海への渡航や、現地組織との接触には整然とした規則性がある筈だ。
現在、場当たりな作戦行動で公務員たる軍人に死者を出して世論が黙っているほど安定した政権は近隣国にはない。安全に領海侵犯できる手順と時刻の確立した『積み込み場所』が必ずある…

「…知テるよ。シオノ岬ダよ。」

モグモグと口いっぱいに蟹を頬張りながら、河童じみた小さな異形が言った。ビンゴ。ひたすら南紀の海岸線を調べ上げた我堂の推測は正解だった。
本州最南端、潮ノ岬まではもう目と鼻の距離だ。似合わない麦藁帽子(スキンヘッドに直射日光は流石に辛いのだ)の下で鋭い目を輝かせた我堂は異形たちの話に耳を傾け続ける。

「…詳しく教えろ。ほら、角砂糖もやるぞ!?」

辛うじて人語を解する異形たちの説明は回りくどかったが、我堂が今まで収集してきた情報との整合は完璧だった。

689『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 22:35:08 ID:Bk7wLrecO
…数ヶ月に一度、潮ノ岬沖合に向けて眩いヘッドライトを点滅させる黒いトラックが現れると、すぐ水平線上に異国の軍艦が姿を見せる。
そこから揚陸挺のようなもので何人かの異国人が陸に上がり、トラックの男たちと大小様々な積み荷を交換して去っていくというのが『黒船の怪』の大筋だ。
次回異国船が受け取る積み荷こそ、捕えられた異形上位種たちであることはほぼ間違いない。

(…しばらくは張り込みだな。とっとと現れてくれりゃあいいが…)

遅めの昼飯と得られた情報に満足した我堂は、潮ノ岬を目指すべく急いで異形たちに別れを告げた。早く現場入りして居心地のいい監視場所を造らねばならない。岩陰で乾燥食をかじるような日々はまっぴら御免だ…

(…時間があれば釣りをして一夜干しを作ろう。それから…)

すでに張り込み中の献立に想いを馳せながら名も知らぬ浜辺を後にした我堂は、愛車を停めていた松の木の下で悲鳴を上げた。ない。なんと、大切な赤い自転車が忽然と消え去っていたのだ。

(ぬ、盗まれ…た!?)

信太森からの命懸けの逃避行で、蘆屋我堂の命を救ってくれた大切な自転車だった。信太主は比較的温厚な『古き異形』だったが、本来全く無関係な闘いに割り込み、好き放題に暴れた我堂への怒りは激しく、その追撃は苛烈を極めたのだ。
まあ、面白半分に森を荒らされ、可愛がっていた侍女たちを辱められたのだからその怒りは当然だった。
運悪く脚を負傷し、深い森の中いよいよ牙剥く敵に追い詰められたとき、あの自転車はまるで天の助けのごとく我堂の目の前に停まっていた…

『じやのめえりか』

まるで猫が書いたような味わい深い文字で、自転車の泥除けには持ち主の名前が記されていた。赤く、いささかレトロな形の車体はこの実用一辺倒な時代にそぐわぬ優美さを備え、死を覚悟し始めていた我堂の瞳にさえ、たまらなく素敵に映った。

690『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 22:37:54 ID:Bk7wLrecO
『…なんて…ハイカラな自転車なんだ…』

この瞬間、我堂の殺戮と陵辱に満ちた人生の記録に『自転車泥棒』という新しい罪が加わったのだった。躊躇なくその自転車に跨った満身創痍の我堂は迫り来る追っ手から逃れる為、死に物狂いでペダルを漕ぎ続けた…


(畜生…ちゃんと鍵を付けとくんだった…)

『じやのめえりか』の文字を塗りつぶした上に『蘆屋我堂』と書き込んだのは、奇跡のような信太森からの脱出行を成し遂げてすぐの事だ。
それから熊野山中に逃げ込むまで、柔らかい革のサドルはどれほど長く乗っても尻に優しかった。暗闇の旧街道でも、涼やかにちりんちりんと鳴った黄金色のベル…
盗品とはいえ、恩人とも言えるあの赤い自転車はすでに我堂の手離し難い足となっていたのだ。当然の因果応報だったが我堂の落胆は深い。ああ…

(…迂闊だった…)

あの自転車に乗れば快適な潮ノ岬までの道中もここからは徒歩だ。果たして打ちひしがれた我堂は、怪しげな密航船の謎に迫れるのか…
しょんぼりと暗く沈んだ我堂の心を映すように、南紀の海は陰鬱に曇り始めていた。

つづく

691 ◆GudqKUm.ok:2010/05/18(火) 22:41:46 ID:Bk7wLrecO
投下終了
マジ殿下と侍女長の名前考えて下さいw

692名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:42:24 ID:q/oyEkpQ0
よし、とりあえずいってくるぜ!

693名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:52:57 ID:q/oyEkpQ0
おわり!

エリカ様自転車のサドルをくんかくんかしたい

>>686
推薦するんじゃない! 叫ぶんだ!

694名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 22:58:54 ID:Bk7wLrecO
代行有難うございます!!

695携帯 ◆pVX7gZGmbE:2010/05/18(火) 23:18:02 ID:Gq267be.O
盗んだチャリ盗まれたw


>殿下と侍女長

ネーミングセンスが残念なもので、名前はあんま付けないんすよ
他のスレでもなるべく名付けは回避してて…シロ先生とか

殿下と侍女長に是非誰か命名してあげてください><

696名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:23:35 ID:q/oyEkpQ0
よし、みんなで考えようぜ!

夜魔族で名前がついてるのは「チャナ」のみ
ミケとブチに関しては本人たちも名前かどうか疑問に思っている。

材料はこれだけだ!

697名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:25:08 ID:q/oyEkpQ0
>>695
侍女長が猫化してる時に、柄なんかあったりするのかしら!

698名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:25:32 ID:v/oVi6j60
な……なんて少ない材料なんだ……!
せめて調味料を!

あ、感想書きに行ってきます

699名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:29:48 ID:vng15/Nw0
>侍女長
バステトなんてどうだ。
猫の頭をしたエジプトの女神様だ。

だめだな。世界観にまったくあってない。
所詮俺のネーミングセンスなんてこんなものさ。

700名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:31:43 ID:q/oyEkpQ0
なるほど……
乳はないけどバスティな訳だな……

701名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:33:01 ID:v/oVi6j60
モモ
メイ
ココ
ヒメ
ハナ
リン
サクラ
ルナ
ナナ
ミミ

以上、2009年2月1日〜2010年1月31日にアニコム損保の「どうぶつ健保」に新規加入した0歳の猫5,486頭が対象。
の女の子(猫)の名前です!

702名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:33:33 ID:v/oVi6j60
上位十名

703名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:35:59 ID:DzDcqMTQ0
そして華麗にスルーされる殿下

704名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:37:26 ID:q/oyEkpQ0
モ モ
メ イ
コ コ






何故かここに目がいってしまう
殿下はヒントが何も無いからむずいなw

705名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:43:11 ID:Bk7wLrecO
>>701
これは宮廷侍女大集合のとき使えそうw
…結局『夜魔族』は化け猫なのか…

706名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:43:56 ID:vng15/Nw0
殿下は閻魔様の子供だからそれっぽい名前にすべきなんだけど、宗教なんてぜんぜん知らないからなあ。

707名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:45:48 ID:q/oyEkpQ0
化け猫というかネコマタ? ってこれ意味同じかもw
たしか閻魔って語源はインドのなんとかいうやつだったんだよね

708名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:54:08 ID:v/oVi6j60
ヤマですね、書記にチトラグプタがいる。

709名無しさん@避難中:2010/05/18(火) 23:55:43 ID:q/oyEkpQ0
初期が茶トラとな!?

710名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 00:00:38 ID:F2YowBHk0
仏教には十王とか十三王とか言われる地獄の裁判官たちがいるからそっから持ってきてもいいかも

711名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 00:24:59 ID:q4w3ILN20
wikipediaの十王のページを見ているがよく分からない。
こうなったら、大人になったら閻魔の名前を継ぐことにして、
幼名は山田太郎とかかなり適当な名前にするってのはどうだろうか。

712名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 00:27:01 ID:nKqlN4CMO
猫だからもう、珠(タマ)とか
殿下は、閻魔の語源がヤマだから微妙にひねってマヤとか

713温泉界へご招待 〜あるなんでもない一日〜:2010/05/19(水) 00:46:26 ID:O3RskqSw0
久しぶりに一つ投下します。時系列は不明ということで一つよろしくお願いします。

714温泉界へご招待 〜あるなんでもない一日〜:2010/05/19(水) 00:48:31 ID:O3RskqSw0

「ふぁ……」

ボーっとする頭が少しずつ覚醒する感覚。

「あー朝かー」

俺は天野翔太はゆっくりと回転を始める頭をたたき起しつつ、起き上がろうとする。
しかし、起き上がれない。
なにか俺の体を押さえつけるようにがっちりと固定してる感覚。
うんこれが金縛りか。と納得しつつ、体を起こすために気合を入れる。

「うおりゃああああ!!」
「きゃっ! うるさいよっ!!」

ん? 何やら近くで声がしたような……と、視線を下に下げていくと、
そこにはがっちりと俺の体を締め付けている、浴衣姿でシャンプーハットを乗っけた湯乃香がそこにいた。
彼女、服を着ると目を回す設定だと思ったけど最近服を着る努力をしているようだ。理由はわからないけど。
まぁ、金縛りの原因もはっきり認識。
とりあえずどうするか二三秒思案した。

「湯乃香……そろそろ動きたいからどいてくれ」
「う、うん」

頷いた後ゆったりとした動作で離れていく湯乃香。
そうそう、はやくどいて欲しい。色々とヤバい。主に俺の理性が。
あ、ほんわりと薫るこの香りはラベンダーかな? 今度ハーブ湯でもやるのだろうか。
とりあえずお互い立ち上がり、恒例の朝の挨拶。

「おはよう」
「おはよう」

あ、なんかぎくしゃくする。一体なんだこの雰囲気。

湯乃香が俺の顔を改めて向く。何この上目目線。男のハートに直撃……って
俺はロリコンじゃない! 俺はロリコンじゃない! 俺はロリコンじゃない!

はっ!? 待てよ! いや、湯乃香は俺よりきっと年上だから、ときめいても何も問題ないじゃないかも?
朝の妙な状態から静かに錯乱する俺の頭をよそに、湯乃香の唇が動こうとしていた。

「あの……」

715温泉界へご招待 〜あるなんでもない一日〜:2010/05/19(水) 00:50:19 ID:O3RskqSw0
「グッモーニン! エブリワン!!」

しかし湯乃香の言葉は突然の闖入者に遮られた。
何故か落胆しつつ振り向くと、今ではすっかり見知った一人の少女、アリス・ティリアスの姿。
だが、何かがおかしい。

「どーしたの?」

疑問系を浮かべる彼女に、俺はどういうべきか非常に悩む。結局思った事を口にすることにした。

「その姿。可愛いけど似合ってない」
「どーいう意味よ! この服可愛いじゃない。たしかゴスロリって言うんだっけ?」

そこには黒のゴスロリを着込んだアリスの姿があった。
そう、ロングスカートの裾から見える白いレースっぽい物体以外、何もかもが黒い。
きっとダウナーな雰囲気を湛えた美少女なら似合うのだろう。
だがアリスが着ると、可愛くはあるが、その元気印な雰囲気が全てをぶち壊していた。

「私から見ても可愛いとは思う。でも似合ってない」
「むー。湯乃香までそういう!?」

ぷくって頬を膨らませて怒るアリスの姿はいっそ微笑ましい。
……しかし、そんな姿を見てふと疑問がよぎった。

「あれ? でもそんな服どこにあった?」

それは疑問系。湯乃香が管理する服にそれはなかったはずだった。

「いやー。ちょっとショータ君の世界に行ったら、この服が燃やされそうになってたから、
ちょっとごにょごにょしてもらってきたの。洗ったから綺麗だし、これ気に入ったのよねー」

そう言ってヒラヒラとスカートを揺らす。

「あ、そうか。アリスちゃん最近ちょくちょくいなくなると思ったら、他の世界に遊びに行ってたの?」
「うん。私基本的に旅人だからね。色々な世界に遊びに行ってたよ。もちろん目立たないように、こそこそとよ。
他の世界には一文たりとも表に出てないから安心して!」

胸を張って答えるアリス。いや、でてるわけないよね。今明かされた衝撃の事実なんだから。
ま、その事はとりあえず脇におく。

「そうなんだ。他にはどこに行ってたの?」

どこに行ったのか興味があるのか、湯乃香が聞いている。うん、俺も興味ある。
その言葉にアリスは考え込むしぐさをする。

716温泉界へご招待 〜あるなんでもない一日〜:2010/05/19(水) 00:53:15 ID:O3RskqSw0

「んー。例えば……狐の女の子の尻尾、もふもふしてきたよ」
「いきなりの爆弾発言!?」
「いやーあれは気持ちよかった。その後怒られたから逃げたけど」
「それ絶対わかっててやってるよね!?」

俺達の突っ込みもどこ吹く風。アリスは「それとね……」
と言いながら空を一瞬見て視線を戻す。

「後、ゲオルグさんの所の孤児院にケーキ10ホール位プレゼントしてきた」
「……それ、大丈夫か。その幼いなりじゃ怪しまれないか?」
「んー。一応一時的に18歳くらいに見えるようになる魔法薬飲んで行ったから。
 後、ゲオルグさんに直接渡したから大丈夫だと思う。
 私も雰囲気までは変えなかったから、多分私だと気づいてたんじゃないかなぁ」
「それならいいけど」

うーん。そんなことして大丈夫なのだろうか。
他世界に干渉するのはまずい気もするけどなあ。

「大丈夫だって。表に出るようなことはしてないから。なかったことになるだけだって。
一応念のため私だってわかるように『私の大切なゲオルグ様へ アリス・ティリアスより』って書いたから必死で隠してくれるわよ」
「うわぁ……完全に確信犯よね。それ」

湯乃香の言葉には全力で同意だ。その手紙が他の人に見つかってないことを祈る。

「とりあえずはそんなとこねー。さて、今日はどうするの?」

アリスの言葉に湯乃香はハッとした表情になる。
次の瞬間には、きりっとこの世界の主の顔になった。

「うん、じゃ今日は全員でハーブ湯を作るよ! 次来るお客さんのために!」
「おー!?」
「オーケーだ!」


今日も温泉界は平和みたいだ。うん、よかったよかった。




終わり。

717温泉界へご招待 〜あるなんでもない一日〜:2010/05/19(水) 00:53:36 ID:O3RskqSw0
投下終了です。色々な人にごめんなさいです。

718名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 01:16:28 ID:q4w3ILN20
投下おつー。
代行してくるよ。

719名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 05:40:34 ID:O3RskqSw0
代行ありがとう!

本スレ>>218 クズハたんで合ってますよー

720名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 19:10:19 ID:ie8/xqVI0
>◆wHsYL8cZCcさん
作品名のtehてtheでいいんですよね?

>殿下の名前
閻魔のフルネーム(?)が閻魔羅闍(えんまらじゃ)らしいので
閻魔羅○←ここを変えるみたいのはどうかしらん

721 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/19(水) 19:28:45 ID:uVWyp.SsO
>>720
オーウ気付かなかった。修正お願いします。

722 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/19(水) 19:32:22 ID:/E/5ebYA0
>720
濁点を取っ払って「閻魔羅紗(えんまらしゃ)」という感じですかね。

723名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 19:32:27 ID:ie8/xqVI0
ほい、修正してwiki入れました。
一応1話、2話ってしてるけど、希望があれば変えるなり、言ってくれるなり
していただければと思いますです。

724名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 19:34:07 ID:ie8/xqVI0
>>722
そうそう、そんな感じです。
羅紗だとちとおなごぽいかも?

725名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 19:40:28 ID:uVWyp.SsO
>>723
ご配慮感謝します。
現状でおkでございまする。

726名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 20:26:45 ID:cO7E5nmQ0
「閻魔羅闍弗(えんまらじゃほつ)」ってのはどうだろうか

サンスクリット語で子供を「プトラ」というらしい。
王子は王(ラージャ)に子供(プトラ)で「ラージャプトラ」になるわけだ。
で、このプトラの漢語での音写が「弗」となるらしい。
というわけでこの「弗」をたして「閻魔羅闍弗」ってのはどうだろうか。

727名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 20:43:58 ID:yUE.ikkIO
住人の叡知が結集したな…
次の地獄SSで、殿下と侍女長はなんと呼ばれるのが…

728名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 20:52:20 ID:tX.q5RB.0
何事もなかったかのように殿下、侍女長と呼ばれるに30ペリカ

729名無しさん@避難中:2010/05/19(水) 20:55:20 ID:ie8/xqVI0
じゃあ俺は9000ペリカ

730名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 00:26:51 ID:WodfNyDcO
じゃあ俺1000ガバス

731Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:22:19 ID:lSHq4pNsO
投下すっぺよ。

732Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:22:42 ID:lSHq4pNsO
『……あー……あー……。録れてるか?……よし。

 俺の名前はクリーヴ。今閉鎖都市内部だ。
 今は避民街と呼ばれる所に来ている。
 ……随分と雑多な街だ。嫌な予感がする。敵の兵士より恐ろしいのは犯罪者だ。行動の予測が出来ないからな。
 よし、まずはこの街で色々と聞いて回る事にする。いつも情報ってのは吹き溜まりに集まる。ゴミと同じだな。
 そのゴミに有用性を見出だすのは得意だ。
 ついでに、この街での人々の生活なんかも調べようと思う。写真やなんかも撮るつもりだ。では、聞いてくれ』


※ ※ ※



チャプター1『廃民達』

 俺は今、街のストリートを歩いている。
 驚くべき事にそっちのスラムとさほど変わらない印象だ。ところどころとっぽい連中がたむろってる。面倒な空気の連中だが抱き込めば使えそうだ。どこも同じだな。

 しばらく歩くといきなりイタリア系の男が酷いアメリカ訛りのフランス語で話しかけてきた。人種のサラダボウルどころじゃない。
 英語でいいと言うと今度はネイティブな発音で話し始める。どうやらこの街は人種どころか言葉や文化すらいくつも同時に共存しているらしい。複数の言語を操る事は自然なんだろう。

「兄さんどっから流れてきたんだい? この街ゃ初めてだろう」
「さぁな。空から落ちてきたかも」
「はぁ? はっはは! おかしな野郎だな。ともかくここじゃ自衛が肝心だぜ。兄さんみたいな新参はたいがい最初に泣きみるんだ」
「なぜ俺を新参だと思う?」
「そんな旅行者みてぇな格好した奴はこの街にゃ居ねぇ。かといってホントに旅行者が廃民街に来るはずもない。
 つまりは、居場所が無くなって仕方なく来た奴って事だよ。
「ほう。廃民街っていうのかここは」
「……兄さんどこのお坊ちゃんだい? まぁ過去をまさぐるのはマナー違反だけどよ……」

 イタリア野郎はいぶかしげに俺を見ている。
 男の言う事を整理すると、ここは流れ者の街って事になる。最初の印象通りだ。
 イタリア野郎は自らをジャコモと名乗り、俺の名前を尋ねてくる。

733Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:24:44 ID:lSHq4pNsO
「俺はクリーヴ。クリーヴ・サラハンだ。よろしくなジェイコブ」
「英語読みすんじゃねぇよ。俺はジャコモ。覚えとけよ」
「わかったよ。所で……」
「なんだい兄さん?」
「なぜ最初にフランス語で話しかけた?」
「そりゃアンタがフランス人に見えたからだよ。この街だと日本語と英語とポカポンタス語が主流だ。新参にでかい声で警告するなら他の連中が解らない言葉がいい」
「……ポカポンタス?」
「まぁ俺もよくは知らねぇ言葉なんだけどよ。……にしても不思議な兄さんだな。サラハンてのはアラビア系だろ? でも話すのはイギリス訛りの英語で、見た目はフランス系。ごちゃ混ぜだな」

 この街の人間には言われたく無い物だ。見た感じ混血だってうようよ居やがる。
 このジャコモだって名前からしてイタリア人だが話すのはアメリカ訛りの英語。だが、英語で名前を言うと怒るって事はそれなりに血筋やそれぞれの文化、習慣を大事にしてるって事だ。
 多少なりとも人間臭い所で少し安心したよ。
 ……少なくとも、外の世界よりは「文化」という概念は生き残っている。雑多な故により大切にされてるのかもしれない。
 確かに何代か前の父方のご先祖様はイスラエル出身だと聞いた事がある。サラハンはその名残だ。フランス系に見えたのは母親がそうだからだろう。

「兄さんこの街初めてなんだろう? 行くアテはあんのかい」
「あるワケないさ。わかってるだろ?」
「ならこのジャコモさんにまかせな。案内してやるよ」
「それは有り難いな。断らせてもらうよ」
「っと。何だって?」
「自衛が肝心なんだろ? 知り合って五分の偽イタリア人について行く勇気は無い」
「偽じゃねぇ! れっきとしたイタリア人だよ!」
「喋ってみろよ」
「え?」
「イタリア語」
「それは……」
「ほらほら」
「……俺の負けだよ」

 偽フランス人と偽イタリア人の俺達は英語でやり合った後に結局行動を共にする事にした。
 まだ信用したワケじゃねぇし、ちょっとキナ臭い野郎だけど、こんな奴とは今まで何度も出会ってる。利用出来る所まで利用しよう。
 いざとなったら身を守る手段もある。お前に教わったやり方でな。レヴァン。

734Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:25:09 ID:lSHq4pNsO
※ ※ ※


 俺とジャコモはストリートを少し歩き、脇道へと入って行った。
 一気に怪しい空気になる。先程までは雑多な人間だらけだったが、そこには東洋系の連中しかいねぇ。どうみても俺達はよそ者だぜ。
 それにこのビルの隙間は昔の映画で見たブルックリンみたいだ。おっかないね。

「どこに連れてくんだイタリア野郎」
「腹減ってるだろアンタ?」
「あ? ああ。まぁな」
「だったら黙ってついて来な。美味いモンと綺麗な姉ちゃんとここの文化ってモンを教えてやる」

 胡散臭い野郎だ。さっそくレヴィンに教わった技でも繰り出してやろうかと思ったぜ。
 だがここもれっきとした調査対象だ。いいだけ調べたら覚悟しやがれジャコモが。そう思ったよ。

 俺がイライラしながらついていくと今度は明るい通りに出た。歩いているのはやっぱり東洋人が多い。
 どうやらメインストリートの横にはまたストリートがあって、それぞれ特色があるんだろう。
 歩いている人種と町並みの雰囲気はそれを予想させる。いうなれば、メインストリートが「都会」でここは「地方」って感じかな。

「どこに連れてってくれんだよ」
「なんかイライラしてねぇか? 路地裏そんなに嫌だったかい。安心しな。もう着いたよ」

 ジャコモは路地裏から出てすぐの場所にある建物に入っていった。見た感じは雑居ビルって所だ。その一階が、奴が案内したかった場所らしい。
 入口はドアでは無く引き戸になってる。日本式だ。

「オーウ。千尋サーン。マタキマシタデス」
「……わざとらしく変な日本語言わないで」

 中は飲食店のようだった。カウンターと固定された丸イス。真ん中の通路を挟んで一段高くなった所に、低いテーブルが置いてある。畳だ。たしかこういうスタイルのは「ザシキ」と言ったかな。初めてみた場所がまさか日本じゃなくここだとはね。
 カウンターの奥に立っているのは長い黒髪の女性。分かってるとは思うけど多分日本人だ。もし中国人だったら文化もクソもあったもんじゃないしな。

735Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:25:44 ID:lSHq4pNsO
「あ、あー。……千尋サン。友達連れてきたよ」
「あら珍しいわね。でも開店前よ? 邪魔しにきたの?」
「違うよー。紹介したかったダケだよ」
「あっそう。で、どちら様?」

 彼女は俺を見る。残念ながら日本語はサッパリなんで何言ってるのかは解らない。
 困惑してたらジャコモの野郎が喋りだす。

「千尋サン。この人日本語言えないね。この街来たばかり」
「そうなの? よく怪しまれずにここまで連れてこれたわね。ここじゃ無くても胡散臭いのにアンタ」

 ジャコモと彼女は日本語で言い合っている。当然何言ってるかさっぱりだ。
 とりあえず、ジャコモが落ち着いたところでカウンターのイスに座らせてもらった。


※ ※ ※



「……つまりだ。この街にゃいくらでもギャングやマフィアが居る。メインストリートだとお互いのシマが接する所だからピリピリしてやがる。たむろってる連中が多いだろ?」
「なるほどな」

 俺とジャコモは彼女の料理で腹拵えしている。
 初めて日本酒ってモンを飲んだ。悪くない。

「お互い睨みあっているお陰で逆に平和って感じだな。武力平和って奴だ」
「それだけギャングが多いんなら小競り合いくらいは起きるだろう?」
「ところがそうじゃねぇんだ。一応、物凄い親分連中ってのがいるんだよ。詳しくは知らねぇけど。
 そいつらがなんとかうまくやってる。ある意味この街で一番ストレス抱えてる奴らさ」
「そいつは同情するね」

 やはりキナ臭い街だ。テロリストに囲まれるよりはマシだが、下っ端が暴れだすと一気に燃え上がるのがテロリストと違う所。親分連中には職務に励んで貰いたい物だ。
 彼女がカウンターの奥から白い腕を伸ばして器を目の前に置いた。なんか野菜とかを練り込んだボールを煮込んだ物。日本料理だ。初めて見たし食ったものばかり。
 正直、日本というとソバとスシくらいしか知らなかったから驚きだよ。魚を生でワイルドに食うイメージしかなかったから彼女の繊細な料理はある意味でショックだった。

736Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:26:05 ID:lSHq4pNsO
「日本に行って見たくなったな」

 率直な感想だ。料理もそうだがそれを作り上げる彼女もオリエンタルな雰囲気の美しい女性だ。
 こんな女性ばかりならぜひ行ってみたいものだね。だが、その発言は隣で飲んでるジャコモを笑わせる。

「……くっ。くはははあ!」
「どうしたんだ一体?」
「日本にどうやって『行く』んだよ! 雲に乗るのと一緒だぜ!」
「はぁ?」

 とりあえず俺は黙って、ジャコモの反応から色々と推測してみる。
 まず、この街の多様性。次に、その中で埋もれない文化様式とそれを誇りに思ってる連中。
 彼女の店がいい例だ。明らかに日本式に固執した造りだ。彼女の料理も彼女自信も。彼女は日本語しか喋らないらしい。直接話したきゃ俺が日本語を習得する必要がある。
 横のイタリア野郎も言語は捨てたが似たような固執っぷりだな。彼女ほどじゃないが。
 そしてそのイタリア野郎の発言。
 あくまでここまで得た情報からの邪推だが、おそらくここでいう国の名前ってのはそれぞれの「文化様式の名前」らしい。国の違いでは無くて、生活スタイルを表すんだろう。
 きっとこいつらは俺の国の名前は知らないな。

「相変わらず下品な食べ方」
「酷いね。千尋サン。楽しく食べるのいいコトだよ」
「品があればね」

 相変わらず何言ってるのか解らねぇ。この街での最初の目標は日本語を覚える事だな。語学は得意だ。

「ところでジャコモ」
「あー……なんだい兄さん」
「なんでそんな事を色々教えてくれる?」
「あー。まぁはっきり言っちまえばカネの臭いだ」
「カネの臭い?」
「……アンタただで流れてきたわけじゃねぇだろ。この街の事はホントに何にもし知らねぇらしいが……。目的がある」
「なぜそう思う?」
「俺は『何でも屋』だ。兄さんの目的はよく分かんねぇけど、長年やってると解るのさ。カネになりそうだってな」
「プロの勘って奴か」

 なるほど。俺もコイツには同じモノを感じている。面白い物が撮れそうだってな。だからノコノコここまで来た訳だ。
 何でも屋のジャコモ。ジャコモ−ジェイコブ。なるほど、『出し抜く者』か。
 コイツは使えそうだ。

737Report'From the AnotherWorld ◆wHsYL8cZCc:2010/05/20(木) 20:26:57 ID:lSHq4pNsO
投下終了。ところでキャラ紹介とかるの?一応シェアスレだし。

738名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 20:30:20 ID:oE/whEPMO
してる人もしてないひともいる、つまり…自由だ

739名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 20:32:04 ID:N.QUclj.O
乙!
帰ってからゆっくり読ませてもらうぜ!
キャラ紹介はあった方が何かと便利かと

740名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 20:50:45 ID:fEdVRsJ20
代行してやんよ!

741名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 21:07:56 ID:fEdVRsJ20
終わったよ!

742名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 21:20:15 ID:lSHq4pNsO
>>740
乙です。

んで一応キャラ書いてみる。


クリーヴ・サラハン
三十歳くらい。戦場カメラマン
髪は栗色。目はグリーン。出身は不明。



ジャコモ
閉鎖都市、廃民街の出身。
黒髪もじゃもじゃのイタリア系。四十歳くらい。
日本語と英語とフランス語を操る。まだあるかも。
イタリア人を主張するクセにイタリア語は喋れない。
ジェイコブとかヤコブとか呼ぶと怒る。


千尋
日系美女。二十代半ばくらい。日本語しか喋れない。
廃民街の日系が多いストリートの雑居ビル一階で飲食店を経営している。
ちなみにクリーヴ達に振る舞ったのはがんもどき。


レヴァン
某国の軍人でクリーヴの友人。階級は少佐。所属軍は不明。(最後は少将にまで昇進)
現場でも相当修羅場をくぐっている模様。
クリーヴに米ドルで毎月十万ドルもの大金で仕事を依頼した張本人。

743名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 21:22:37 ID:fEdVRsJ20
あれ、レヴァンとレヴィンはどっちが正しいんだ?

744名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 21:27:02 ID:lSHq4pNsO
あれ?どっちだっけ?
まぁどっちでも同じなんだけどw

多分最初にでたのはレヴァンのほうが響きいいんでそっちにする。

745名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 21:28:55 ID:fEdVRsJ20
おっけい、じゃあこのまま代理してくるよん

746 ◆GudqKUm.ok:2010/05/20(木) 22:08:54 ID:XDVdP1pMO
投下乙!!
因みに謎めいた閉鎖都市政庁は通称『ヤコブの梯子』。ジェイコブとの関連は…ないよなw

こちらも久々の地獄投下。9030ペリカと1000ガバスは俺のもの!?

747ラブレター・フロム・エジプト:2010/05/20(木) 22:11:11 ID:XDVdP1pMO

「…ミケミケ!! 休憩室の物置から面白い物が出てきてニャ!!」
「…何ニャブチ? その薄汚いの…」

「パピルスっていう古い紙の一種ニャ。エジプトから来た古い手紙ニャよ。」
「…宛名は『バステト・珠夜さま』…って、誰ニャ?」

「…驚くなかれ、侍女長さまの本名ニャ。実はあの人ああ見えてもハーフの帰国子女で、若い頃はずっとエジプトで暮らしてたらしいニャ。」
「…とってつけたような話だニャ…」

「まあまあ、確かお母さんがあっちの神族のひとりで、けっこうお嬢様育ちだったそうニャ。」
「…ますます胡散臭いニャ…なんでそんな人が閻魔宮の侍女長に…」

「…と、とにかくきっとこれは若い頃のラブレターだニャ。とりあえず読んでみるニャ。」
「そうするニャそうするニャ。」




…前略珠夜さま、お元気ですか。貴女が遥か極東、王立閻魔大学に留学して半年、ようやく借りていたお金を返す目処が立ちました。
なんと僕の親友がサハラ砂漠で有望なミスリル銀の鉱山を発見し、現在開発の為出資者を募っているのです。
埋蔵量を考えると極めて有利な投資で、すぐに貴女から借りているお金を返しても僕たちの結婚費用くらいすぐ回収出来る案件なのですが、ここへきて些細な金銭上の問題が出てしまいました。
もちろん、僕のせいで無理やり留学させられた貴女に相談出来ることではありません。
僕はあとたった二十五万LEばかりのお金で、愛する珠夜さんを熱く抱擁できる日が延びてしまう苦しみで、遠いエジプトの空の下、途方に暮れています。
でも、きっと近いうち、ご両親の誤解が解ける日も来るでしょう。珠夜さんは閻魔庁でアルバイトを始められたということですが、お体に気をつけて頑張って下さい

貴女のヒモホテップより

追伸:親友は出資期限を今月末まで待ってくれるそうです

748『ラブレター・フロム・エジプト』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/20(木) 22:13:16 ID:XDVdP1pMO


…前略珠夜さま、これが貴女に送る、僕の人生最後の手紙になるかも知れません。下らないトラブルで鉱山の操業が立ち遅れているうちに、とんでもない事件が起こってしまったのです。
珠夜さんには僕の叔父が、南米に渡ってマンドラゴラ農場を経営していることを話したでしょうか? 先日その叔父の農場が竜巻の被害で莫大な負債を抱えてしまいました。
そして設備投資の為に叔父が借金をしていた『ファラオ金融』はなんとあの恐ろしいベリアル一族の関連企業。連日の過酷な取り立てに可哀想な叔父はとうとう倒れてしまいました。
当然連帯保証人になっていた僕のところにも、乱暴な借金取りがやって来ました。『早く返さないとナイル川に沈める』と脅されていますが、今、僕の手元に現金は全くないのです。
でも僕はたとえナイル川の鰐に食べられてしまってもずっと珠夜さんを愛し続けます。閻魔庁でのアルバイトは時給が非常によいと聞いていますから、安心して死んで行けます。
どうかその収入で、素敵な男性と幸せに暮らして下さい。

あなたのヒモホテップより

追伸:ファラオ金融は返済を月末まで待ってくれるそうです

749『ラブレター・フロム・エジプト』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/20(木) 22:15:44 ID:XDVdP1pMO


…前略珠夜さま、今日まで僕のためにひどい苦労を掛けたことをお詫びします。そちらの大学を辞め、ご両親に勘当されてまで送ってくれたお金は結局狡賢い友人や叔父に騙し取られ、僕はまた無一文になってしまいました。
このままではいつまでたっても貴女と結婚出来ない。死よりも辛いその現実と向き合った僕は、ひとつの決心をしてかつて世話になった恩師を訪ねました。
僕が最も信頼するその恩師、その方はなんと、有名なエジプト冥界きっての実力者アヌビス総督の同級生であられるのです。
僕は今まで懸命にビジネスの道を志してきました。しかし世間知らずな僕には実業界よりも、堅実で安定した官吏の仕事が向いているのではないか…
そんな僕の想いを、久しぶりに会う恩師はすぐに汲んでくれました。すぐアヌビス閣下に働きかけ、少なくとも冥府局次官クラスのポストを僕のために用意してくれる、という有り難い言葉を頂けたのです。
これで貴女をエジプトに呼び戻し、静かで愛情溢れる日々を迎えられる…ただ、関係各位に儀礼的な挨拶をする為、ほんのささやかな金額ですが…


「…も、もういいニャ!!痛々しくて読んでられないニャ!!」
「…まだ三十通近くあるニャ。いったい総額で幾ら位絞り取られたのかニャ…」

「…そりゃ胸も貧相になるわニャ。」
「不憫な話ニャ…」


おわり

750 ◆GudqKUm.ok:2010/05/20(木) 22:18:15 ID:XDVdP1pMO
投下終了
代理のかた、いつもお手数をかけてます!!

751名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 22:19:04 ID:fEdVRsJ20
おっけいまかしときな!

752名無しさん@避難中:2010/05/20(木) 22:28:43 ID:fEdVRsJ20
にんむかんにょう!

753名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 04:15:10 ID:iX.p/wDoO
明らか騙されとるのに貢いどるwww
よっぽど好きだったんだろうなあ

754正義の定義:2010/05/21(金) 22:19:47 ID:npKJLnWQ0
さるさん食らったので続きはこちらに投下します。暇な方がいたら本スレ代理お願いします。

755正義の定義:2010/05/21(金) 22:20:31 ID:npKJLnWQ0

―作戦実行前日―

 「よーし!チキンランだー!」
 「コケー!コッコッコ!」
 翌日。今日も約束通りトエルはやって来た。今日は今子供たちの間で大人気の遊び『チキンラン』をするん
だ。自分達で丹精込めて育てた鶏を競争をさせ、誰が一番早い鶏を選んだかを決める…熱きレースの事で。
単純明快な、初心者でも遊べる親切な遊びである。
 「俺の相棒"バーン・コケコッカ"に敵う奴なんていねぇぜー!!」
 「バーンコケコッカ!バーンコケコッカ!」
 タケゾーのコケコッカは今一番波に乗っている鶏だ。その股の引き締まりといい、美味そう…いや、力強そ
うな脚を持っている。これならばラストで押し負けると言うことも無いだろう。
 「じゃあ私はこの"光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる鶏"を選ぼう」
 「コクーンww」
 火燐の選んだ光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる鶏は、その名の通り光速に近いスピードを発
揮する最高速ならば誰にも負けない…が、速いのは序盤だけでどんどん失速する。スタートダッシュが勝負
の鶏だ。
 「ふぇ!じゃあわたしはこれにしますしふえふぇ」
 「俺、ブラウン管の前で評価とかされたくねぇから」
 トエルの鶏「バンプ・オブ・チキン」はアクの強い鶏で扱うのが難しい鶏だ。やるときはものすごい力を出す
が、普段は全くやる気の無い。まるで不定期で好き勝手にシングルを出すインディーズバンドのような鶏だ。

 他の子供達も続々と鶏を選び、準備も整ったところでスタート地点へと鳥を誘導する。
 コースは山の入口から山中の決まったコースを進み、再び入り口まで戻ってきてゴールとなる。コースは分
かりやすいように旗が立っているので迷うことはまず無い。
 「よーし皆集まったなー!!じゃあ早速はじめっぞぉー!」
 「皆、頑張ってね!」
 あたしとほむっちは見る側の人間だ。鶏と一緒に走るほど体力ないし。
 「位置につけー!!」
 タケゾーの一声で一斉に鶏を地面に置く皆。スタートの合図を今か今かと待ち構える。合図を言うのはこの
あたし。息を荒くし、今にも飛び出してしまいそうな鶏を静止する面々。あたしは機を見計らい、合図を出す。
 「よーい…」
 張り詰める空気。誰もが皆一点先を見つめて沈黙する。そして…

 「スタート!!」

 鶏達は、一斉に飛翔した。


―――…

 …結果から言えば、一番になったのはトエルの"バンプ・オブ・チキン"だった。
 「まぁ、とーぜんのけっかといえる!ふぇ!」
 「くそーっ!初心者に負けるだなんて!!」
 あの鳥はクセこそ強いものの、潜在能力は他の追随を許さない。それを見抜いたトエルの目利きの勝利
だったんじゃないかな。
 「惜しかったねー火燐」
 「やっぱ一本糞じゃダメか…」
 なんて言う火燐だったけど、悔しさはあまり感じられなかった。
 こうしてチキンラン大会は終了。今大会も名勝負をありがとう!Congratulations…お前ら…

 「それじゃ、今日は俺ら早めに帰るわ」
 「え、今日は随分早いね…」
 タケゾー達の珍しい早帰りに、ほむっちは驚いていた。ここ最近遅くまで遊んでばっかりだったからなぁ…。
 タケゾー達が早く帰る理由…そんなのは一つ。明日の事だ…それで間違いないと思う。下山する皆の面持
ちは重く。あたしはほむっちにその事がバレて何か感づかれないか冷や冷やしていた。
 別れ際、タケゾーは火燐アイコンタクトを送る。火燐もそれを理解したのか、コクンと頷いた。

756正義の定義:2010/05/21(金) 22:21:30 ID:npKJLnWQ0

 「随分、人が減ったね…」
 「あたしはまだここにいるから、何かして遊ぶ?」
 ほむっちに何か嗅ぎつけられるとまずいので、あたしはひとまず秘密基地に残ることにした。ほむっちはい
つもの様にお茶をいれる。…ほむっちのお茶は味が薄い。でもこれが、彼女の味なんだ。
 「ふえ。わたしはおじゃまですか?」
 「そんなことないよ、トエルちゃんはここにいて良いんだよ?」
 「ふぇふぇ。わかりまんた」
 ガラにもなく気を使うトエル。そんな気遣いは無用とほむっちはトエルの事を撫でた。
 「ふえぇ!?」
 トエルは突然の事に奇声を上げてしまう。あ、なんだか今の可愛いな…。
 「あなた…今まで友達ができた事無いでしょ…?」
 「ふえぇ…」
 「隠さなくてもいいよ。友達慣れしてない感じだったし…でもよかった…」
 「…なにがですか」
 「今こうして…仲良く出来る相手がいるでしょ…?」
 「うん…」
 暖かい、全てを包み込んでくれるようなほむっちの笑顔がトエルの心の氷を溶かしていくように見えた。
 「ほら、私たちは同じ大地に住むもの。きっと仲良く……!?」
 そう言ってトエルの両手を握るほむっち。だけど一瞬…少し表情が崩れたように感じた。多分気のせいだろ
うけど…
 「…仲良く…できるはず…」
 ほむっちのその言葉で、今まであたし達はどれだけ救われてきたのだろうか?ほんと、こういう所だけは龍
神様みたいなんだから。
 「・・・・」

 トエルは何も言わなかった。彼女はきっと…


―作戦実行・当日の夜…―

 「おいお前ら、準備は良っか?」
 街を一望できる崖の上。マフラーとニット帽で顔を隠すタケゾーは同じような背格好の同士に確認をとる。
集まった人間は全員子供。戦力不足は顕著だ。無謀かつ孤独な戦いが、今…始まろうとしている。
 足が震え、力が入らない。それは皆同じ。怖いに決まっている。どうなるか分からない未来に幻視するの
は最悪の結末ばかりだ。いけない…こんなんじゃダメだ。
 「悪いな…お前らにも付き合わせちゃってさあ…」
 タケゾーは申し訳なさそうに言う。その言葉に反発するように声を上げるのは一人の男の子。
 「お、俺達だって皆の場所を、守りたいんだ!」
 そうだそうだと、子供達は次々に己の言葉を紡ぐ。
 「焔ちゃんを守りたい…!」
 「自分の住む街を守りたい…!」
 「俺達は…自分の意志で此処に集まったんだぜ、タケゾー!」
 気持ちはみんな一緒。覚悟が決まったのか、少年少女の体から、震えは消えていた。
 「皆…少し、いいか?」
 声のした方、火燐の方へと視線が集まる。彼女は静かに、しかしはっきりとした口調で語り始めた。
 「…私は…今でも人間が嫌いだ。だけど…お前達は…嫌いじゃない」
 「会えて良かったと思える人間は、後にも先にもお前達だけだ」
 「絶対に、勝とう。勝って、皆の未来を守るんだ…!」
 「お前達には…龍神様の加護が付いている…大義は我らにあり…私達にしか出来ない救世主物語、紡い
でやろうじゃないか!!」
 「狙うは開発計画の主導者!森喜久雄…いくぞおおおお!!」
 火燐の拳が空を突き上げる。それに続く子供達の慟哭。木々はざわめき、空気から湿気が吹っ飛んだ。
今宵、月は出ているか…?あたしは空を見上げる。するとそこには、丸いお月様。

 「いこう、タケゾー」
 「あぁ、カナミ」

 あたし達はそう、なんでもできる。あの頃のまま。ふたり一緒なら、何でもできるんだから…!

757正義の定義:2010/05/21(金) 22:22:14 ID:npKJLnWQ0
 「いくぞ…!!」
 街中を小さな影が走り去る。深夜、人々は寝静まり、街は異様な静寂に包まれていた。
 あたし達が目指すは、街の中心に高くそびえる役所ビル。あそこに全ての元凶が居る。前調べもバッチリ
だ。奴はあの建物から出ていない…物見の報告で分かっている。そして…警備の人間がいることも。
 「なぁ、タケゾー。お前が皆に配ったこの薬だけど…どうなんだ?」
 先頭を行くあたし達に話しかける一人の男の子。彼がその手に持っているのは…緑色の液体が入った注射器だった。
 「効き目は…使ってみないとわからん!」
 「おいおい…そんなんで大丈夫かよタケゾー…」
 
 「こんな夜中に!何者だ貴様等ーー!!」

 「…っと、現れなすったぜぇー…」
 「…丁度いい、この薬の効力…確かめさせてもらうか…!」
 警備隊の人間が二、三、前方から向かってくる。あたしとタケゾーの横を走っていた男の子は、いつの間に
か警備隊の人間の行く手を阻むようにして道の真中に仁王立ちしていた。やる気だ…
 「何だキサマァ…?」
 「子供の話を聞かない嫌な大人がどんな目に合うか…見せてやる!!」
 男の子は腕に注射器の針を当てる。そしてそのまま…それを注入した。
 「な…なんだコレ…体が…う…うあぁぁっぁああっっぁぁっぁっっぁぁぁあああああああああ!!!!」
 カランと、空っぽになった注射器が落ちる。男の子はみるみるその姿を変えて…
 「な、なな…化物だ…!!!!」
 「逃げ…」
 『逃がすか…』
 「ぎゃ…」
 鮮血が飛び散る。あっという間に大人三人が肉塊へと帰した。そこにいたものは…全身を黒い毛に纏わせる…異形。
 『す…すげぇよ…これ…力が…ドンドン湧いてくる…』
 「おい、何も殺さなくても……!」
 「どっちにしろ殺るか殺られるかナンだ…賽は投げられた!今更止めれない!後戻りはもうできない!」
 「そうだ!やってやる!俺だって…!」
 そうして、一人、また一人と黒い獣の姿へと変貌する子供達。
 かつての無邪気な少年少女の姿は…もう無い。

―――…

 『ここからは二手に分かれるぞ!僕達は敵を撹乱する!タケちゃん達は火燐連れてビルへ!!』
 「おう…お前ら…死ぬなよ!!」
 『ああ…!!』
 ビルとの距離が中頃に差し掛かった。あたし達は作戦通り隊を二つに裂き、大人数は敵の撹乱に。そして
タケゾー率いるあたし達少数は動乱に乗じてこっそりとビルに侵入する…という手筈になっている。
 「出おったな逆賊め!!」
 警備の人間もどんどん増えていく。タケゾーは腰の刀を抜いて警備隊の人間を切り捨てていく。
 「どけよ!えやッ!!」
 「ぐえぁ!!」
 一振り一振りがまるで振り子のように規則正しく、無駄がない。タケゾーは凄い剣術の持ち主、当然だ…
実戦経験が無くても平気で殺せちゃうんだもんな…あたしには絶対…ん?…なんだかタケゾーの声に元気がないな。
 「…どうしたの?タケゾー…」
 「俺…人殺してる…沢山…」
 その声は震えていた。ああ…そうか。平気な訳ないんだ…あたしは馬鹿だ…人を殺して平気な訳ないよ。
当たり前なのに…
 「俺…俺…」
 「逆賊め!覚悟!!」
 「…!?」
 大丈夫…あんた一人に…苦しい思いはさせないから…
 「あが…」
 ドサリと、男の巨体が倒れこむ。その胸には、氷の刃がいくつも刺さっていた。
 「カナミ…?」

 「あんたは一人じゃないよ。あたしがついてんじゃん」

758正義の定義:2010/05/21(金) 22:23:10 ID:npKJLnWQ0
―――…

 「しねぇ!?化物!!」
 『くっ…させるか!!』
 「大丈夫か!?」
 『何悠長に人の心配してんの!!早くいって!!こいつらは私達がやっつける!!』
 「すまん!!」
 連戦連戦。どんどん散り散りになっていく一行…。後ろは振り向かない。だって、また笑顔で再会できると、信じてるから…!!

 だいぶビルの近くへとやってこれたあたし達。辺りから聞こえてくるのは有象無象の声。悲鳴や怒声。それ
らが混じり合って、負の叫びとなり街に木霊する。早く終わらせなきゃ…こんな事…
 「結構ビルの近くへとやって来たな…もう少しだ。タケゾー、カナミ、気を引き締めていけ」
 火燐は激励するようにあたし達に言う。「そっちもね」と返し、お互いを叱咤しあった。

 「…そこまでよ!」

 「此処から先は、この第三英雄冴島六槻と…」
 「第十一英雄、白石幸が通さない!!」
 ここで現れた英雄と名乗る連中…今までの奴とは感じが違う…
 月下に映るその姿は、英雄というよりは軍人。片方の奴は鉤爪。もう一方は…
 「悪いけど…異形が現れたっていう報告も上がってきてるし…ゆっくりやってあげる時間はないの」
 『"ゲール""ガトリング"』
 「命まで取りはしない…足を狙って、身動きを取れなくします!!」
 黒い髪の女が馬鹿みたいに長い銃身のガトリング砲を、あたし達に向けてぶっ放す。即座に反応したタケ
ゾーがあたしと火燐を物陰へと引っ張ってくれたおかげで被弾は間逃れた。あたしの立っていた地点にいく
つも弾の跡ができる。あぶなかった…
 「隠れても無駄よ…!」
 「大人しく捕まるべさ〜!!」
 敵は手練のようだ。想定外…これは一体どうしたもんかな…
 「私に任せろ…異空召喚術で…この場を切り抜ける…」
 火燐はそう言って懐から儀式用の札を取り出す。異空召喚術…次元龍でも騎龍家の者しか使えぬ術…な
んでも異次元の人の形を写し取った"レプリカ"を呼び出すことができるらしく…まぁ、とにかくすっごーい技な
んだとか。この際どうにかなるなら何でもいいよ。
 すぐそこまで敵が近づいてくる。火燐は印を切り、冷静に言葉を発する。
 「異界に存在する強者よ…今一度我にその力を貸し与え賜え!」
 「なに…この光!?」
 火燐の持つ札の一枚が青白く光る…先程までまっさらだったその札に…何かが描かれ、刻まれる。
 札に書かれたのは『悪世巣寄生』という文字と…狐の化物の絵…
 「召喚!!現れろ!汝が名は"悪世巣 寄生"!!」
 光が一層強くなる。辺り一面を光が包み込む。耐えられなくなったあたしは堪らず目を閉じた。
 光が収まったかなと瞼を上げてみると、そこにいたのは狐の化物。まさにあの札に描かれているような…
 「我の名は悪世巣。寄生四天王の一人…」
 「な、何だべ!?」
 「悪世巣寄生・野狐とは我のことよ…愚かな人の子よ」
 狐の尾は、それはもう業火の如く燃え盛っていた。その巨体は、あたしの体の数十倍はあって…もしあの
大口で襲いかかられたらあたしの肢体なんて一口だろう。
 「また変なのが出てきたわね…白石さん、場の状況を見極めつつ応戦して!」
 「あいあいさー!!」『"ブレイブ""クロウ"』
 「ククク…お前達が何者かは知らぬが…その体、なかなか使えそうだ…寄生させてもらおうッ!」

 「さぁ、あれに気をとられている隙に…!」

759正義の定義:2010/05/21(金) 22:24:11 ID:npKJLnWQ0
―――…

 「召喚!現れろ!汝が名は"悪魔リリベル"!!」
 「F U C K …絶望がお前らのゴールデス!」
 「な、なんだぁぁぁぁあぁぁあ!?」
 「ば、バスだァァァぁぁァ!!」
 洋風の、不気味なバスが蒼い炎を纏い、警備隊に突撃する。地獄行脚はまだ始まったばかり。
 どこもかしこも血に塗れ、阿鼻叫喚の元狂気渦巻く、この街は一体どうなってしまったの?行けど行けど、
血の匂い。気がくるってしまいそう。ふと、自分の手を見てみると、真っ赤な手のひらが目に映った。自分
の手じゃないみたい。非現実過ぎて、実感が湧かなかった。いや、受け入れたくなかったんだ。逃げ出したく
なるような現実に目を背けたかった。でもそれは許されない。だってもう逃れられぬところまで来ているから。
 召喚術を連続で使い、流石に辛そうな顔をする火燐。次の敵には対応出来そうにない。…ここからはあた
し達の力で何とかするしか無いんだ。ようやくビルの真下までやってこれたんだから。

 ビルの入り口へと向かう我ら義勇軍…そこには人影が一つ…あたし達を待ち構えていたかのごとく立っていた。
 「よぉー…こんなとこまでわざわざ来るなんて、ご苦労なこった…」
 「お前も私達の邪魔をする気か?死にたくなかったらどけ!」
 「ハッ…威勢の良いクズ共だな、気に入った。第一英雄、炎堂虻芳…直々にお前らの相手をしてやるよ。光栄に思えよォ!!」

―遠くに聞いた声の主はただの…僕の祈りをこえて―

 今正に対峙せんというその時、突然聞こえてくる謎の歌。

 「な、なんだぁ…?」
 「これって、前にも…」

 ―今すぐ行く、西の暦から君を呼ぶペンギンかかか…― 

 「待たせたな!少年少女諸君!!」

 しゅたっ。両者の間に降り立つ見慣れたフード。肩に乗るあのペンギン。間違いない、あたし達に薬をくれた人だ。
 「何だてめぇ!」
 「我、義に流離い義に生きるもの…、今宵、彼らに義がありと判断し…助太刀に参った!!現世に巣食う悪の組織め!
私がムッコロしてあげるから覚悟なさーい!!ふんす!!」
 そういって、フードの人はローブを脱ぎ捨てる。その正体は…
 「"麻"法少女!オールバケーション!見参!!」
 そのフリフリした短いスカート。ピンク色の髪にシルクハット。そしてその手に握られているわ注射器とトイレ
のギュッポン。魔法少女というか変人にしか見えないそれは急速に場の空気を冷ましていった。
 「…魔女っ子&変身ヒロイン創作スレでやれ」
 「勘違すんなよ、私は麻法少女だっつってんだろうがハゲ!!…と、失礼、つい汚い言葉が出ちゃって」
 麻の字を強調して言うオールバケーション。そこは譲れないところのようだ。
 「さぁ少年少女諸君、ここは私に任せなさーい!」
 「え…いいのか?」
 ポカンとした顔でタケゾーは尋ねる。するとオールバケーションは「まっかせなさい!」と頼もしい返事を返してくれた。
 今は少しでも戦力が欲しい…願ったりも無いことだし。ここはオールバケーションに任せることにする。
 「いくよ、タケゾー、火燐!!」
 あたし達は駆け出した。奴の首はもうすぐそこ。ビル前の長い階段を二段飛ばしで登る。
 「通すかよ!!」
 銃剣銃を構える炎堂という男…だがそんな男の頬を何かがかすった。
 「…ッ!?注射器だと…?」
 「あなたの相手は私…覚悟はできてるでしょうね!」
 そう言って、オールバケーションがトイレのギュッポンを男に向けるところが見えた。今が機だと男の横を走
り去るあたし達。
 「ちっ…討ち洩らしたか…全く、俺らが『正義』に歯向かうたァ…いい度胸してんじゃねぇか…お前…」
 「私は己の信ずる『信義』を貫き通すだけだわ…行くぞ下郎!玉梓の一番弟子が我が力!地獄世界まで
轟け功名!」
 「ふん…往生しろ、カスが」

760正義の定義:2010/05/21(金) 22:25:43 ID:npKJLnWQ0
―――…

 …絶望と逆境の中、あたし達はついにここまでやってきた。役所ビル内部。沢山の人が争って、苦しんで、
死んでいった。あたし達の望んだことはこんな事だったのかな?今はもう…わからないや…

 「きょうはわたしのでばんはないとおもっていたのに…ほかのひとはなにをやっているんですか。ふぇふぇ」

 「え…?」
 戦慄が走った。てっきりこのフロアには誰もいないものだと思っていたから。誰かいる。そう言えば、この声
…どこかで聞いたことがあるような…いや、そんなはずない。だってあの子は…私達とあんなに…
 嫌な予感ばかりが脳裏を過ぎる。どうして、悪い予想というものは当たりやすいのか…
 「お前…何でここに…?」
 「ふぇ!おやおや、タケゾーにカナミにかりんじゃないですか。いったいどーした?」
 声の主…それは昨日、あんなにあたし達と笑い合っていた…トエルだった。この長い金髪ツインテール。見
間違えるはずも無い。
 「お前こそ…何でこんなとこにいんだよ…」
冷や汗が吹き出す。この先は知りたくない。きっと…残酷な現実が待っているから。
 「…そりゃおまえ、このビルのえらーいひとをごえーするためにこうやってここにいるんですし!ふぇふぇ」
 「そうか…お前…あいつらの仲間だったのかよ…」
 タケゾーはそう言って腰の刀を抜く。明らかな敵対。刀が暗い室内にキラリと光る。トエルはそれを黙って見ていた。
 「ふぇ?なかま?よくわからんけどがそーゆーのじゃないですし。というか、はものをむけるのはやめてください」
 「うるせぇよ…友達だと思ってたのに…嘘だったのかよ…!」
 「?…ともだちじゃないの?ふぇふぇ」
 「友達なら…黙ってここを通せぇ!!」
 「それはできないですし」
 運命は…いつも残酷。なんて、捉え方の一つに過ぎない。でもこんなのって…こんなのってない。誰のせい
にすれば、この憎悪を鎮めることが出来るのか。
 …やっぱり、運命のせいにする他無いのだろう。
 「なんでだよぉ!友達じゃんねぇのかよ!」
 「ふぇ!ともだちだからといって、はんざいこーいをみのがすりゆうにはなりませんし」
 「お前…一体なんなんだ…?」

 「"えいゆう"です。12えいゆう…HR-500・トエル」

 そう言ったトエルはまるで、機械のように冷たい瞳をしていた。

 「…そうかよ…おい、カナミ…」
 「何…タケゾー…」
 「お前、火燐連れて先に行け」
 「は?」
 それはつまり、タケゾーが一人で、トエルに挑むっていうこと。今まで"英雄"と名乗る連中は皆、強力な力
を持っていた。トエルだって…例外じゃないはず…
 「何いってんの!?それじゃあタケゾーが…」
 「こいつは…俺がやらねぇと気がすまねぇー!!だから行け!」
 「そんな…タケゾーを一人になんて出来ないって…」
 「いいから!!」
 鬼気迫る表情で、タケゾーはあたしを突き飛ばした。そんなあたしの手を、火燐は黙って引く。
 「ちょっと…!」
 「カナミ…私たちは何のためにここまでやって来た?」
 火燐は埋もれかけていた何かを引きずりだすように、あたしに問いかける。何のため…そうだ、皆の場所を
、街を、ほむっちを守るためにここまでやって来たんだ。その為に…
 「それを守るために…沢山の人が…死んだんだ…」
 「だからこそ…絶対に勝たなくちゃいけないだろう?」
 「でも…こんなのおかしくない?守るどころか…」
 「考えるな!!時間は戻らない。死んでしまった人間は生き返らない。前に進むしかないんだ…!!」
 そう言って、火燐はあたしの手を引いて走り出した。同時にタケゾーが刀を構え、トエルに斬りかかる。
 あんなに仲良くなれたのに。あんなに笑い合えてたのに。その二人は今…刃を交えている。
 タケゾーは優しいね…今この瞬間にも斬りあっている相手に対して、涙を流せるのだから。口では強がって
ても、本当は戦いたくないんだ。あたしはタケゾーのそういうとこ、大好きだよ…

761正義の定義:2010/05/21(金) 22:27:41 ID:npKJLnWQ0
―――…

 長い長い廊下。一体どれだけ続くのか?とうとう義勇軍はあたしと火燐の二人だけ。皆は…無事なんだろうか?
 「…カナミ?」
 あたしは走る足を止める。いきなり止まったもんだから、火燐は怪訝そうな顔をした。
 「…ゴメン…やっぱあたし、だめみたい…」
 皆のことを考えても…やっぱり…一番に浮かんでくるのはタケゾーの顔だった。アイツのこと以外、考えら
れないんだ。あいつを一人にしないって決めたんだ。だから…
 「あたし…やっぱり戻る…!」
 「こういう場合って、引き止められた試しが無いよな…いいよ、行ってきなよ。ここから先は…私一人で十分だ」
 「ごめんね…火燐…」
 そうして、あたしは来た道を全速力で戻った。前だけを見ること…あたしには出来なかったよ。
 それは一匹の獣のように、吹き荒ぶ竜巻のように。とにかく走った。体裁なんて気にしない。がくがくと痙攣
し、悲鳴をあげる足腰にムチを打ち、韋駄天。ようやくあたしはタケゾーの居るフロアまで戻ってきた!!

 「くぅ!はぁ!!」
 「ふぇ!もうあきらめろ。こどもはおうちでぬくぬくとおんしつやさいのよーにそだっていればいいですし」
 タケゾーは、もう衣服がボロボロで、そこら中擦り傷だらけだった。一方、トエルは全くの無傷。余裕綽々の
表情をみせている。あたしが助けなくちゃ…
 「はあぁぁぁぁぁぁ…」
 魔素を掌に集中させる。それは次第に赤い光となり、燃え盛る。くらえ…あたしの一撃ッ!!
 「やあああぁぁぁぁッッ!!!」
 「!?…カナミ…?」
 火の玉はあたしの手を離れ、トエルに襲いかかる。あたしはこれでも魔法に関しては自信があった。
 「ふぇ!しょせんはこどもだましですし!」
 『"ガード""ウォール"』
 だがしかし、現実は甘くなかった。光の膜がトエルの周りを覆う。火の玉はその膜に弾かれる。あたしの魔
法は当然…届かない。
 でも…タケゾーが無事であることは確認できたから…それでいい。
 「カナミィ!!」
 「タケゾー!生きてたんだ!」
 「勝手に殺すな!!つーか、何で戻ってきやがった!!」
 「言ったでしょ!タケゾーを一人にしないって!それに二人なら…この逆境も乗り越えられると思ったから!」
 「へへ…馬鹿だなぁ…お前…」
 タケゾーには言われたくないと思った。
 「ふぇ!こりないなおまえら!ふぇ!ふぇ!」
 トエルは双剣を振り回し、その刃先をあたし達二人に向ける。覚悟を決める時だ…
 「なぁ、トエル…もう…お前と昨日みたいに笑いあうことって、できねぇのかな…?」
 タケゾーはこれが最後のチャンスだとトエルに訪ねる。
 「そんなことないですし。いまかれひきかえせばいいだけ、ふぇふぇ」
 まぁ…こういう答えが返ってくるだろうなとは思ってたけど…これで決心がついたよ。
 「そうかもしれないなぁ…でもよぉー…もう俺達は戻れないとこまできてんだ」
 「ふぇ?」
 「だから…倒させてもらうぜ…お前をッ!!」
 タケゾーは注射器を取り出した。あの薬の入った注射器…それを注入するため、腕を捲り、そして…針を刺した。
 「うおおぉぉおぉおぉぉぉぉぉおおおおおおッッ!!!』
 先程まで迷いのあった少年は消え、現れた修羅の獣。
 『トエル…おれはぁ…お前を殺してでも…先へ進む!!』
 「…いぎょー…」
 『"異形感知。セーフティーモード解除。対象を殺傷相当と見なし、実行レベルを上げます"』
 どうやらトエルもやる気みたいだ…これで、どっちかが勝って、どっちかが死ぬんだ。
 『カナミ!!魔導剣だ!!』
 「うん!わかった!」
 魔導剣…アタシとタケゾーの合体技。魔素の炎をまとった刃で敵に切り込む…実際にやった試しはないけ
ど…大丈夫。二人ならやれる。
 「はぁぁぁぁ……いっけぇぇぇッ!!」
 徐々にオレンジの炎を纏い始めるタケゾーの刀。そうしてどんどん火力は上がっていき、火柱と形容しても
遜色ないほどの大きさまで膨れ上がった。
 『いくぞ…トエルッ…!』
 「ばけものたいじはえいゆーのつとめ、いざまいらん!あすのため!ふぇ!」

762正義の定義:2010/05/21(金) 22:30:49 ID:npKJLnWQ0

 『うおぉぉんッ!!』
 炎を纏う刀と、薬により異形化したタケゾーの体。一気に有利になるのかと思えば、そうはいかなかった。
一振、二振。トエルの死角を狙ったり、変則的な太刀捌きをしてみても、トエルにそれが当たることはない。
どんなに切れ味の良い刀も、当たらなければただの棒。
 そこでタケゾーは更なる攻勢に出る。奇をあてらってバックステップからの紫電回し蹴り。これもトエルに防
がれる。これは想定済みだったのか、すぐさま遠心力を掛けた振り向きざまの一太刀をトエルにお見舞いする。
 『"ガード""ダブルセイバー"』
 『何ィ!?』
 これだけ手筈を踏んでも、攻撃は防がれる。尚もトエルの優勢は覆らない。その体捌き、もはや人間の域
にあらず…といったところか。そういえば、体力もタケゾーよりあったし…ホント、この子には驚かされるばかりだな。
 『くっそ!!』
 徐々にタケゾーの動きが鈍り始める。元々疲労していた体を更に酷使しているんだもん。そりゃ動きもにぶるよ。
 「ふぇふぇ。もうそろそろらくにしてあげますし!」
 『"ブレイブ""ダブルセイバー"』
 空圧の刃がトエルの双剣の刀身を覆う。おそらく仕留める気でいるのだろうね。それに感づいたタケゾーも
迎え撃つ構えをとる。多分…次の一撃で勝負が決まる。根拠のない予想が、あたしの中では確信に近いものとなっていた。
 『きやがれえええええええッ!!』
 タケゾーは刀を胴と垂直になるように構え、先を見据える。視線の先には、同じく今一閃を繰り出そうとして
いるトエルの姿があった。
 どっちが勝っても、どっちが負けても、やっぱりあたしは涙をながすんだろうな…

 「ふぇ!しししてしかばね!」
 『…ッ!!』

――――――

―――



 「ひろうものなし…!!」
 一瞬、刹那の時の中で勝負はついた。あたしの目の前に広がっていた光景は、正中線に沿い、深々と刻まれた傷から鮮血を吹き出すタケゾーと、返り血に身を赤く染めるトエルの姿だった。
 『ぐあっ…』
 「タケ…ゾー…」
 今まで共に過ごしてきた幼馴染。いつも一緒だった幼馴染。そんなアイツが今、目の前で血を吹いて倒れている。
 「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
 それからのことは、あまり記憶にない。でも多分、薬を注射して、トエルに襲いかかって…そして…



 「ねぇ、タケゾー」
 「なんだよ、カナミ」
 気がついたら、アタシとタケゾーは二人、隣り合うようにして倒れていた。今までの出来事が全部夢なんじゃないか
…なんて思ったりもしたけど、おびただしい量の流血が、あたしを一気に現実へと引き戻すのだ。
それに、あたし達はこの出来事を夢にしてはいけない。沢山の罪を犯した。沢山の命が果てたこの出来事を。
 「あたしさ…前々から言いたいことがあったんだ…聞いてくれる?」
 「なんだよ…改まっちゃってよぉー…」
 「あたし…アンタのことが好き。異性として」
 「…そうか」
 タケゾーは天井を見上げ、そう、ボソリとつぶやく。しん、とした空間。アタシとタケゾーの二人だけがそこにいた。
 さっきまであれほど五月蝿かった街の方も、今は嘘みたいに静まり返っている。まるでこの世界にあたしと
タケゾーの二人だけしか存在していないんじゃないか?そんな錯覚に襲われる。
 「答えは…?」
 「…ゴメン」
 「だろうね。わかってた」
 「…わかってたのかよ。じゃあ何でわざわざ…」
 「死ぬ前に、言っておきたかったから…告白しないままあの世になんて、行ける訳ないもん…」
 でもこれで、後悔しないで…あの世へと旅立てるよ、タケゾー。

763正義の定義:2010/05/21(金) 22:31:58 ID:npKJLnWQ0

 「あんた…ほむっちの事、好きでしょ…?」
 「な…」
 不意にほむっちの名前が出て、狼狽えるタケゾー。もう、わかり易すぎる。
 「バレバレだっつの」
 「なぜ…わかったんだよ…」
 「幼馴染ですから」
 「はは…かなわねぇなぁ…カナミには…」
 「初めてほむっちにあった時のこと覚えてる?」
 「ああ…あの山で舞を踊ってた…」
 「あんときにさ…すでにあんたはほむっちに惚れてたんだよ…」
 「…かもなー…」
 あの日からすべてが始まり、そして今の自分達がある。後悔はしない。寧ろ誇ってもいい。皆がいたから楽
しかった。あなたがいたから毎日がドキドキの連続だった。
 「俺達…死ぬのかな…」
 「死ぬんじゃない…?」
 「やっぱ、地獄行きだよなぁー」
 「だろうねー…」
 「怖いな…」
 「…二人一緒にいけば怖くないよ」

 タケゾーと二人なら、恐れるものなんて何も無いんだから…!


 今までの日々の記憶が蘇る。へぇ、これが走馬灯か。
 ふと、辺りを見回すとそこはいつもの山の中。タケゾーの体は随分縮んでいて、まるで数年前のタケゾーだった。
 丘の上に皆が集まっているのが見える。あ、ほむっちもいるじゃん。
 これは…あたしの夢だ。死にゆくあたしに向けられた、最後の贈り物。
 「行こうぜ」
 あの頃の小さいタケゾーはあたしの手を引き、皆の元へと駆けていく。いつの間にかあたしも小さくなって
タケゾーの後を着いていくのだ。
 「いこう、二人で…!」



 死は永遠に、二人を結びつける。想いは色褪せること無く。

764正義の定義:2010/05/21(金) 22:34:40 ID:npKJLnWQ0

…カナミ達のお話はこれでおしまい。
カナミもタケゾーも、冴島も白石も炎堂もトエルも、言ってしまえば人々を守る為、何か大切なものを守るために戦っただけ。

これは…そんな優しい人間達のお話。

さて、この話だけではまだ終りではありません。全容を把握するにはまだまだ不十分。
それでは…次のお話…


―次回予告

第六話「テロリストのウォーゲーム」#2

「龍神の夢、約束の明日」

乞うご期待ください…。

765名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 22:39:23 ID:npKJLnWQ0
投下終了。英雄の話のクセに毎回人が死にますねと自分で書いてて思ひました。
次回も6話です。6話長すぎるので3部構成です。
あとナチュラルに寄生さんとリリベルちゃん出てきてるけど、重ねて末代までお詫び申し上げます。

766桃花の人の一人。:2010/05/21(金) 22:42:18 ID:tMp//Xu.O
投下乙

寄生はフリー素材みたいなモンなんだぜ?
それがキャラスレクオリ(ry

767名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 23:14:19 ID:fRgLmLvoO
つまりぼっさんみたいなもんか

768名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 23:17:00 ID:9.bXCsyg0
おい、ぼっさんはもう許してやれよ

769 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/21(金) 23:25:07 ID:BozBeFxk0
代行者がバイさるくらう始末でございます。どなたか引き継ぎお願いできませんでしょうか。

770名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 23:30:16 ID:4yV/pNX.0
おっけーい

771名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 23:37:27 ID:4yV/pNX.0
ゴメン。本当にゴメン。
>>759を二回投下しちゃった。
猛省してます。ごめんなさい。

772名無しさん@避難中:2010/05/21(金) 23:52:28 ID:npKJLnWQ0
いやはやお二人とも乙でした〜
ここで今回死んだ二人のキャラ設定を晒してみる(旧キャラは伺か参照)


カナミ ♀
享年 13
苗字不詳。屋久島タケゾーの幼馴染。密かにタケゾーの事を想うが彼が焔に惚れているのを知っていたため
なかなか告白出来ずにいた。性格は比較的明るく、ショートヘアーの活発な少女。
自分でも魔法は得意だと思っているが、子供だましの域を出ないことが多い。開発計画阻止のため、森所長
の殺害騒動に参加するも、異形態時、トエルに腹を裂かれ、死亡。

屋久島タケゾー ♂
享年 14
丸坊主のガキ大将的な少年。焔に淡い恋心なんかを抱いていたりする。父親は凄い剣術家らしく、タケゾー
自体もその血を受け継ぎ、剣の腕なら大人にも負けない。その場のノリで行動する事がしばしあるが、
正義感は人一倍高い。開発計画阻止のため、森所長の殺害騒動に参加するも、異形態時、トエルに正中線に
沿って首の付け根から腹部までを斬られ、死亡。

死んでるんでもう出てきませんけどne!

773名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 11:03:15 ID:JTiBEV7sO
温泉界ってフリーダムだなw

774名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 12:41:08 ID:EZy./duwO
シェアワスレ自体が無法地帯ですし

なんかシェアワスレは投下の波が一気に来るよね、何の力が働いてるんだってくらい

775名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 16:08:46 ID:M4OOe682O
互いのSSで執筆意欲をシェアしてる部分もあるからね。
だいたい投下サイクルの近い書き手さんが出てくるというw

俺も帰宅したら二作品読んで感想書くw

776温泉世界へご招待〜死者の慰安旅行〜 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/22(土) 17:48:13 ID:JTiBEV7sO
さて、まったく意味もない内容で投下。

777温泉世界へご招待〜死者の慰安旅行〜 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/22(土) 17:48:35 ID:JTiBEV7sO
「気持ちいいわね……」
「ゆっくりすんのも悪くないね……」

 湯気が立ち込める風呂。屋外故に風が吹く度怪しく湯気が揺らめく。そう。ここは温泉界。

「他にも来てんのかね?」
「まさか……。来たらダメでしょ」
「まぁそうだ」

 仲良さそうに温泉に浸かる二人の女性。当然素っ裸。一人は控えめ。一人はぺったんこ。
 今のところ風呂には二人と一匹しか居ない。一匹?

「うむ……。やはり温泉は良い。自然にもあるしな……」
「あなたは設定的に来たらダメなんじゃ……」
「これでも神格がある。多少のムリは効く」
「……というかアンタ普通に浸かってっけど」
「我は狐よ。人間の小娘見たとて何とも思わぬ。なにより我は雌。正真正銘の雌狐よ。問題は無い」
「まぁいいわ。考えるのも面倒……」

 二人と一匹はそのまま温泉で鋭気を養う。ただの温泉旅行ではないのだから。

「……死んでまた出番あるってホント?」
「出れないだけよくね? それに姉さんのほう何かやってんじゃん」
「我は出るかどうかも決まっていないのだ。羨ましいぞ二人とも」
「……気まぐれに付き合うのも大変よ」

 何の話だろうか。
 とにかく、二人と一匹はのんびりゆったりリラックス。
と、たまたま巡回していた管理人の湯乃香が二人と一匹を見るなり一言。

「ペットのご同行はご遠慮願います」

 神格を持つ狐は二人の小娘のペット扱い。カチンと来るかと思いきや。

「……。コ……コォーン」
「今更野性ぶってもダメ」

 結構厳しい。

「だとよ」
「……」
「残念ね」
「……うぅ」
「ホレ、油揚げやっから諦めなさいな」
「……うわぁぁぁあああああああん!!」

「……帰っちゃった」
「大体死んでないし、人様のモノにお邪魔してるから、いいペナルティよ」

 二人も厳しかった。
 と、今度は姉のほうが何かを見つける。

778温泉世界へご招待〜死者の慰安旅行〜 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/22(土) 17:48:57 ID:JTiBEV7sO
 よ〜く見ると、栗色の髪の白人男性。混浴だったのか。 姉は思わず首まで浸かり身体を防御。ある意味デヴューしている妹は臆せず声をかける。
 なぜなら彼もこの温泉世界慰安旅行のメンバーだったりする。

「……おーい。そこのあんちゃん!」
「……」
「……おーい!」
「……ブツブツブツブツ……」
「どうしたんだ?」

 見るからに様子がおかしい。すぐ近くに生まれたままの姿のうら若き乙女が居るというのに、体育座りで膝を抱えて、顎まで湯に浸けブクブク言わせながらブツブツ独り言。

「……こえぇ」
「やめなさいよ」
「気にならない?」
「え? あ……。うん」
「聞き耳立てて来るわ」

 妹は水牛を狙うワニのように静かに接近し、耳をすませば。その白人男性は気配からして腐っている。

「……どれどれぇ?」
「ブツブツ……」
「聞こえないな……?」
「死んだ……。たった……で……」
「死んだ? だから来てんじゃないのか……?」
「二話で死んだ。たった二話で。二話で死んだ……! 主人公なのに……」
「……」


 死者は今日も元気です。

779温泉世界へご招待〜死者の慰安旅行〜 ◆wHsYL8cZCc:2010/05/22(土) 17:50:33 ID:JTiBEV7sO
投下終了。
事後で非常に申し訳ないのですが、湯乃香を拝借させていだだきました。
心よりお詫び申し上げます。

780名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 18:18:52 ID:tyON7OKU0
目標をコピーして投下……

目標をコピーして投下……

781名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 18:24:49 ID:tyON7OKU0
おわーた

782名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 18:28:30 ID:JTiBEV7sO
もう行ってきたというのかッ!?
乙でございます。

783名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 18:51:27 ID:JTiBEV7sO
本スレ282
そうか出典いるのか。
最初の三人は無限姉妹と悪世巣。
死んでるんだよねぇw

【無限桃花】創発発のキャラクター総合2【H・クリーシェ】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1268932932/

784名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 19:03:18 ID:tyON7OKU0
>悪世巣

あ、ふぇに出てきたやつか!
口調がすっかりキッコ様だったんで勘違いしちまったw
おーけーはあくした

785名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 19:05:06 ID:tyON7OKU0
あ、それともし勘違いしてたらだけど、温泉界は死んでなくても入れるよ!

786名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 19:08:59 ID:JTiBEV7sO
>>785
殺してしまった主人公達の慰安企画ですw
一人慰められてませんでしたが。

787名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 19:19:25 ID:EZy./duwO
たしか悪世巣は死んだんじゃなくて寄生から解き放たれただけだから別に何の問題もないな。ふぇに出てきたのは多分寄生の時のやつだと思うけど、あれ、違うか?

788名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 20:07:56 ID:JTiBEV7sO
寄生って名乗ってなかったっけ?

789名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 21:46:34 ID:M4OOe682O
>>『正義の〜』
今回は些か悲しい結末。初々しい少年期の恋が切ない。でも異世界のコピー魔物は発展しそうなアイデアだなあ

>>『ゴミ箱〜』
見事なカーチェイスとタマの恐怖で一気に引き込み、いいところで続き…
巧みで非道いw

>>『温泉界〜』
出自をよく知らないキャラがふらりと入湯してゆく…そんなのも面白いと思っていた矢先だったw
次は誰が来るのやら…

790名無しさん@避難中:2010/05/22(土) 22:41:48 ID:u0t6y4No0
>>787
それでだいたいあってる!
ふぇのあれはいちよパラレルなんでオリジナルではないですけどね

791名無しさん@避難中:2010/05/23(日) 22:26:41 ID:DolI10DEO
まとめさん乙!!
今週も盛況だったw

792名無しさん@避難中:2010/05/23(日) 22:33:14 ID:HZaC2j7c0
今週先週は盛況だったねえ
気づけば現行スレも430kとはw

793名無しさん@避難中:2010/05/23(日) 22:59:26 ID:F1.bg59w0
投下が投下を呼ぶ正のスパイラルだな
俺も投下しようと書いているがどのへんまで書いたら投下しようかしら

794名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 18:44:09 ID:COM.67/kO
これで行ける!
と魂が感じた瞬間こそがそのタイミングだ!

795名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 20:44:21 ID:y9Vth5J2O
つか、この避難所にも連投規制とかあるんだろうか?
次のがちょっと長くなりそうなんで…

796名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 20:49:17 ID:fM5fy7WMO
ないYOー!!

797名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 21:02:38 ID:tQkZKIlc0
いっつも長々と投下してるけどこっちじゃそういうのないですね

798名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 21:08:10 ID:2WUUEbNk0
けっこう人いるのね。
暇だし何か雑談しようぜ。
女関係の話題は前回やったから、
今回はカッコイイ、渋い男の話題とかw

799名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 21:21:57 ID:y9Vth5J2O
天野翔太は文句なくクール!!

800名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 21:35:00 ID:2WUUEbNk0
>>799
天野くんは典型的なラブコメ主人公だよね。
いろいろと羨ましい。

他にクールというと神谷さんあたりかな。
いあ、あの人はクールというよりハードボイルドか。

801名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 22:05:58 ID:H1VJXI6kO
渋い男と言われあんまり食いつかないお前らの素直さといったら、でもあたし、あんたたちのそういう所好きよ…

802 ◆p3cfrD3I7w:2010/05/24(月) 22:36:01 ID:F44mjcpk0
渋い男と言えばやはりゲオルグさんあたりでしょうか。子供たちは基本的には
明るい感じの方が多いなという印象を受けるので。
クールというと…自薦ですいませんがベルクト君とか。

803名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 23:35:54 ID:j1UlEBKE0
天野翔太はラブコメ主人公ではあるけど、よくある鈍感主人公ではなく常に倫理と闘っている。そんなイメージ。

渋いならやっぱりゲオルグかなぁ。

男キャラで単純に好きなキャラなら坂上匠かな。

804名無しさん@避難中:2010/05/24(月) 23:40:51 ID:FUfsvjpE0
じゃあ俺は聡角さんを推しておくぜ!

805名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 01:15:32 ID:b51WbUPIO
そうか! 死ねばラブコメ主人公になれるんだ!!
いや、しかし狐幼女に好かれるには生きてなければ……

くっ、なんだ? このジレンマ!

渋い男なら高瀬さんかな

806名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 05:52:11 ID:IwZhLc8g0
天野翔太に肉体はあるのか?例えば温泉界から元の世界に戻れるのか。そもそも死人であるのに何の問題もなく存在することが許される温泉界とは一体何なのか。

とか考えたけど湯乃香ちゃんのおっぱい見てたらどうでもよくなった

807名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 21:00:03 ID:v.YoKSbUO
>>本スレ『実は…』

ふぇ、とはまた違う落ち着いた家事描写とか良かったです。
しかしこれ、Wikiのどの世界に収録されるんだろ

808名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 21:04:39 ID:v.YoKSbUO
さらにふぇの方、当方『伺か』を覗けないので、『正義の定義』のキャラ設定をこちらにでも公開して貰えたら嬉しいです。

809名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 22:08:09 ID:qP7mgRW.O
>本スレ『ふぇ』
灯ちゃんがまとめをやってくれていたのか…携帯でインタビューした内容を元に登場人物設定をwikiにまとめるんですねわかります
インタビュー編も書いてくれればいいのにw

810名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 22:18:36 ID:qP7mgRW.O
ところで最近毎日のように投下があるけど投下どのくらいの日数途絶えてないんだ?

811名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 23:08:13 ID:lzVpycYoO
その疑問の解が出る前にさっそく本スレに投下があった訳だがw

812名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 23:15:23 ID:v.YoKSbUO
しかも新しい切り口。異形世界、時間差進行の予感…

813名無しさん@避難中:2010/05/25(火) 23:43:25 ID:qP7mgRW.O
今日はやたらと一風変わった作品が投下されるなw2作品とも

814名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 03:02:18 ID:YyOFKVZc0
>>808
ふぇふぇ
:第一英雄
炎堂 虻芳・えんどう あぶよし\w9
齢 38 ♂
第一英雄【尖兵】。荒っぽい性格だが裏では
仲間のことを心配していたりする【ツンデレ】
ただ口がめっぽう悪く、余計な事を口走り気味。
面倒事や厄介ごとはすぐに他人に押しつける
めんどくさがりや。かつて家族がいたが異形掃伐の際
に全員亡くなっている。おっさん。
黒短髪の生え際がやばい頭に目付きの悪いアラフォー。
服装は軍服。機関の人間は基本軍服らしいよ。
キメ台詞は「往生しろ」
デバイス【騰蛇】φ(トウシャ)
主要武器に銃剣銃を携えたデバイス。
撃ったり斬ったり臨機応変な戦闘が可能。背中にブーストユニットを背負っている。
▼武器付属効果
『ガード』…防御壁を展開。弱い魔素の攻撃なら吸収も可能。
『ジェット』…背中のブーストで飛行が可能。しかしガス欠あり。
▽銃
『エナジー』…高エネルギー光弾を放つ。わかりやすい。
『フロスト』…氷殺弾を放つ。内包された液体窒素が敵を凍らせます。かがくのちからって、すげー。
『ベノム』…毒弾。一歩歩く度にHPがヤバイ。
▽剣
『ライトニング』…剣先を電撃で覆う。スラッシュ、サンダry
『ブレイカー』…魔素を打ち消す。強い結界等でない限りはたいてい打ち破れる。刀身が金色に変化する。
『リミット』…切り刻んだ後特大のレーザー砲をお見舞いする必殺技。厨二臭い。

:第二英雄
王鎖 珠貴・おうさ たまき
第二英雄【群雄】
デバイス【朱雀】φ(すざく)
Nodate

:第三英雄
冴島 六槻・さえじま むつき
齢 27 ♀
第三英雄【智将】。よくできた人。後方から皆のことをフォローしてくれる
【母親】のような存在。常に冷静でストッパー的な役割。それなりの信念に基づいて
行動し人々が怯えて暮らさなくても良い世の中を願っている。
異形には容赦しないけど、悪い異形でなければ無理に殺そうとはしないらしい。
ロングヘアーは女の命と言わんばかりの黒の艶やかな髪。包容力ある女性だが抱擁するほどの胸は無かった。
左足は義足。幼い頃に失ったとか。
デバイス【六合】φ(りくごう)
主要武器は自身の体の二倍はある重火器。バズーカ・ガトリング・ランチャーと変更が可能。
▼武器付属効果
『チェンジ』…重火器形態の変更。音声後に続くのは変更後の形態。
『ガード』…防御壁を展開。衝撃を和らげる。他者の領域にガード展開可能な支援型。
▽バズーカ
『ナパーム』…破壊力の高い炎弾で地獄の業火と化す。マジヤバイ。
『キャプチャ』…捕獲用の網を発射する。結構頑丈。
▽ガトリング
『ゲール』…簡単に言うと、半端ない連射。
▽ランチャー
『グレネード』…爆炎弾で広範囲を攻撃。上からくるぞ!
『ホーミング』…追尾性の高い玉を放つ。それほど追尾性能は高くない。

815名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 03:07:17 ID:YyOFKVZc0
>>808
:第四英雄
陣 辰興・じん たつおき
齢 19 ♂
第四英雄【変者】。\w7英雄を妄信する少年。他人とずれていて、時折不気味な発言をする。
何を考えているか分からない。\w8異形を倒すことが【英雄】の使命だと考えており
どんな異形であれ容赦はしない。\w8「…」と言葉の間に間がたくさん開く喋り方をする。
目が隠れるほど伸びた前髪と痩けた頬が特徴。
デバイス【勾陣】φ(こうちん)
主要武器は赤と青の双槍。因みに合体する。合体は男のロマンだァァァぁぁッッ!!
▼武器付属効果
『ジョグレス』…ランスとスピアを合体させ、【ジャベリン】にする。ジョグレス進化ァ…
『ブレイカー』…性能は他と一緒。
▽ランス
『フレイム』…炎を纏い一撃を与える。
▽スピア
『ライトニング』…電流を纏い、一撃を与える。
▽ジャベリン
『キラー』…弾丸のように一点に衝撃を集めた貫通槍。
この矛に貫けぬもの無し!!というのは矛盾の有名な話。
『クエイク』…土中鉱物を固めた岩石弾を生成する。
『リミット』…エネルギーを限界まで貯めた槍で急降下竜騎士攻撃。奥の手。

:第五英雄
青島 龍太・あおしま りゅうた
齢 21 ♂
第五英雄【奇襲兵】。英雄気取りの青年。軽い性格で、人助けもカッコいいからという理由でしている。
悪いことは許せないけど難しいことはわからないので
とりあえず自分たちと機関は正義であると信じている。【むっつりスケベ】。
見た目だけなら金髪チリチリ頭の好青年に見えないことも無い
デバイス【青龍】φ(せいりゅう)
薙刀を主力に広範囲の攻撃を得意とする。
▼武器付属効果
『フロスト』…斬ったそばから凍る特殊な攻撃。切った後に凍っても正直あんまり役に立たない。
『エナジー』…エネルギーの塊を放出。
『ブレイカー』…性能は他と一緒。
『ガード』…防護壁を展開。攻撃を半減する。
『トルネード』…薙刀の刃先が回転し、竜巻を纏った一撃をお見舞いする。
主にパンチラ等を発生させる時に使用する

:第六英雄
北条院 佐貴子・ほうじょういん さきこ
齢 18 ♀
第六英雄【華族】。誇り高き家系の娘で、父親は対異形掃伐の功労者であった。
父の名に恥じないため国家復興と口先では言っているが、
本当は怖くて戦いたくない【ヘタレ】。お嬢様のような口調は偉大な父親の前で、
せめて口調だけはしっかりしようとした考えたため。
黒いリボンと金髪ポニーは破壊力高いですのよな容姿
デバイス【貴人】φ(きじん)
大剣を主体とした戦闘スタイル。でも本人にはあまり使いこなせていない。
▼武器付属効果
『エナジー』…エネルギーの斬撃を飛ばし敵を真っ二つ!
『ガード』…自分の身しか守れませんがなかなか防御力は高いです。
『ブレイカー』…他と性能は一緒。
『オーラ』…虹色に輝く高エネルギーを纏った刀身で敵を一掃する。エンドオブハry
『スピン』…剣をぐるぐると振り回して敵を薙ぎ倒す。目が回ってかえって隙ができる。

816名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 03:14:57 ID:YyOFKVZc0
>>808
:第七英雄
????

:第八英雄
陰伊 三・かげい みつ
齢 17 ♀
第八英雄【過善人】。ハズかしがり屋で内気。他人思いの優しい女の子。
人を襲う異形は許せないけど基本人間だ異形だで差別はしない機関でも珍しい人間。
ただ理想論や感情論を前に出しすぎたり少々現実に対して甘い考えがある。
その上【騙されやすい】。少し茶色がかった三つ編みの地味な子。
田舎の中学校とかによくいそう。たぶん真面目で友達から「しゅくだいみせてー」
とか度々言われるであろうことが容易に想像できる。こっちのが主人公臭い
「あなたに恨みはありませんが〜」が名乗り口上
デバイス【大陰】φ(だいいん)
双剣を駆使した舞を踊るような戦い方をします。
▼武器付属効果
『ブレイカー』…性能は他と一緒。
『ライトニング』…刀身が電流を纏う。光速の異名を持ちry
『ブレイブ』…剣を振り回し真空の刀身を作り出す広範囲攻撃。しんくーぶっだぎりィ
『リミット』…踊るように切り刻み、高出力の電気を纏った三回転斬りで一掃する。
『サンライト』…強い光を一瞬で展開して目くらまし。英雄武装に含まれてい
るゴーグルを付けている人間には効果がない。
セルにも効くってたいしたもんだ。
『ガード』…性能は他とっしょ。

:第九英雄
武藤 玄太・たけふじ げんた
齢 35 ♂
第九英雄【遊撃手】。\w7闘争本能に忠実に生きる人。【気が触れている】。
昔のほうが少しマシだった…けどやっぱり気が触れていた。
英雄だとか正義には興味がなく戦えれば人間だろうと異形だろうと関係ない。
これでも元学者で頭は良い。\w7蓬髪で伸びまくったボサボサの黒髪。
基本手入れはしていない。異形よりも異常な男。
デバイス【玄武】φ(げんぶ)
使用武器は鎖鎌。しかし普段は喧嘩プロレススタイルで武器は使わない。戦闘センスだけは凄い。
▼武器付属効果
『グラビティ』…重力を一箇所に集中しとてつもない衝撃を与える。凶悪殺人技。
『コンボ』…通称「なぶり殺しスキル」。攻撃を与えた対象の衝撃を操作しどんな角度からの
攻撃でも必ず上に打ち上げる。これで敵を痛めつけて楽しむぞ☆
『ハイジャンプ』…すっごく高く飛ぶ。そんだけ。グラビティ+フットに繋げることが多い。つまりそういうこと。
皮肉にも一番ヒーローらしい攻撃。
▽鎖鎌
『ブレイカー』…他のデバイスより威力が高く、強力な結界を破ることも可能。しかし使用した後数十分は使用できなくなる制限付き。
『ベノム』…毒の斬撃。そんだけ。
『キャプチャ』…鎖で敵を捉える。その後は勿論リンチである。
『リミット』…鎌で一閃した後鎖を敵の首に巻きつけ地面に叩きつける…鬼畜奥義。

817名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 03:18:30 ID:YyOFKVZc0
>>808
:第十英雄
裳杖 洋介・もうじょう ようすけ
齢 17 ♂
第十英雄【月下の処刑人(笑)】。【厨二病】が天然でここまできたかというような人間。
クールだが言動は厨臭い。技名とか叫んじゃう。「今日は月が紅いな…」とか言っちゃう。
他は常識人なのに…。特に信念は無いようで、研究員である親に勧められてなすがままに英雄になった。
短い銀髪。顔はフツー。主人公かと思ったらそうでもなかった。
デバイス【大裳】φ(だいじょう)
死神が使うような大きな鎌を使う。
この鎌を見て彼は「二つ名は月下の処刑人φ(笑)にしよう」と思ったらしい。
背中に電気を通すと大きく開く羽のオプションがある。
▼武器付属効果
『ブレイカー』…他と性能は同じ。使うとき「魔術滅却陣」とか言う。
『ガード』…北条院と変わらないくらいの性能。特に何も言わない。
『エナジー』…クルクル回る三日月型の斬撃を飛ばす。「風雅三日月斬」って技名を叫ぶ。
『イービル』…厨二本骨頂を見せる。黒い羽を生やし一定時間滑空しつつ斬りまくる。
「暗黒制裁時間―ダークネスジャッジメントタイム―」…もうやめて!
『ディバイド』…黒く大きな刃と化した鎌で一刀両断する。

:\第十一英雄
白石 幸・しらいし ゆき\w9
齢 18 ♀\w8
第十一英雄【刺客】。\w8今を楽しもうと明るく振舞う少女。マイペースで「だべさ」等の北海道弁が印象的。
IQ30なのはオマージュ元のせいφ(雅楽戦隊ホ○イトストーンズ)
皆と過ごすのが好き。意外と現実的で落ち着いている。
アホ毛と首の赤いスカーフが特徴の黒髪ショート。
キメ台詞は「また来世」
デバイス【白虎】φ(びゃっこ)
鉤爪使い。速さを主体としたスピード型。
▼武器付属効果
『ブレイブ』…刃の振動により威力を増加させた一撃を与える。
『ブレイカー』…性能は他と一緒。
『ゲール』…疾風の爪撃で相手を圧倒。
対象をレッグにして長時間高速移動も可能。\w6スタートアップ。
『ハイジャンプ』…すごく高く飛び上がる。\w6そんだけ。
『スピン』…くるくると振り下ろすように回転して引っ掻く。ハイジャンプ後使われることが多い。
『ノイズ』…ガラスをひっかいたような超音波を出して相手に嫌がらせをする。
『リフレクト』…攻撃を跳ね返す防護壁を展開。倍プッシュする。

:第十二英雄
トエル
齢 0 幼女
第十二英雄。【ロボでパツキンツインテ幼女】。
シリアルは「HR-500」。「ふえぇ」を多用する。男には結構失礼な態度をとる。
人間の精神が組み込まれているが生前の記憶はないらしい。
何も知らない生まれたてのょぅι゛ょ。一応主人公?
デバイス【天空】φ(てんくう)
第七以外のすべての武装を使えるというチート。因みにデバイスは体内に内蔵されている。
以下のようなモードがいくつかある。
ネコミミmode…レーダー探知機能。ネコミミが装着される。
▼武器付属効果
『ジャンクション』…好きな武装を出現させる。出現以降は武器が変化する。
その他
他記述参照

こんなところ。その他登場人物はまたおいおい

818名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 20:22:52 ID:msF7Wk2MO
よくわからない

819名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 20:31:23 ID:PjuDyCyI0
ちなみに\w6とかφとかの謎記号は、伺かのP言語「里々」のコードだから気にしなくていいよー

820名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 20:34:00 ID:PjuDyCyI0
逆に言えばたったこれだけのコードで動くから、伺かって簡単だね!

821名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 20:50:29 ID:z.teA5zwO
808です。キャラ設定㌧クス!!

822名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 22:50:33 ID:wEmOOaC6O
灯ちゃんがよかったので単発投下〜
トエルちゃんも借ります〜

823名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 22:54:42 ID:wEmOOaC6O
「なんだったっけなー?」
まとめwikiをまとめるのが仕事の灯ちゃん!今日も投下しない自作SSの執筆片手にwikiをまとめるぞ!

「ここでなんか面白いネタ思いついたんだけどなぁ、あぁ、もう少しで思い出せそうでありますよ。あ、あ、あ、あ、喉元まで出掛かって…」
『ぴるるるるる!』
「ああもう!いま思い出せそうだったのに!」

せっかく面白いネタを思い出せそうだったのに、携帯電話に邪魔されます。腹の立った灯ちゃんは電話の相手に怒鳴りつけてやろうと携帯電話を手に取ります。

携帯を開き着信画面の液晶に映るのは、自分のもう一つの電話からの着信を知らせる文字。

「なっ…これは…!まさか数日前世界の窓に投げた小生の予備の携帯電話…」

その事を完全に忘れていた灯ちゃん!でもこの携帯から電話がかかってきたって事はそれ即ち異世界の住人からの電話という事!
突然のサプライズに、それまであった灯ちゃんの怒りは何処かへ飛んでいっちゃったよ!嫌なことはすぐ忘れる便利な脳みそなのでした。
はやる気持ちを抑え、灯ちゃんは電話に出ます。

「はいもしもし、こちら境灯であります!」
『ふえぇ…』
「へ?」
『ふえふえふえふぇえええっ!』
「これは参った」

非常事態です。相手の言葉がわかりません!ネトゲ用語はわかる灯ちゃんでしたが、外国語はわかりません!ピンチです!

『ふえぇふえぇ!』
「あ…」
『ふえ!ふえぇぇぇぇぇっ!』
「あ…あ…」
『ふぅえぇぇぇ!』

「アイキャントスピークイングリッシュ!」

『・・・・』
「・・・・」
『いや、これえいごじゃありませんし』
「ちょ、ちょっとしたジョークだもん!というか、あんた普通に喋れるじゃありませんか!」

灯ちゃんは嘘をつくのが下手でした。

824名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 22:56:05 ID:wEmOOaC6O
インタビュー!

「…はぁ、トエルさんは英雄なんでありますか」
『ふぇ!よくうやまいたまえよ!』
「履歴書とかに"職業・英雄"とかって、かくの?」
『しらないですし』
「あぁそう。英雄ってどんな事をするんでありますか?」
『いぎょーをぶったおしたり、ぐみんどもをきゅーさいしたりする。ふぇ』
「大変そうですね」
『たにんごとだとおもってますねかんぜんに』
「他人事だもん」
『こんないたいけなようじょに、せんじょーにおもむけとかおにかっておもいますし』
「でもロボットなんでしょ?」
『まぁね』
「『へへー』」


「ところで、金髪ツインテロリ幼女その他てんこ盛り属性のトエルさんにお聞きしますが、属性多過ぎじゃないですか?」
『おおいにこしたことはない!』
「ようじょあざといようじょ」

825名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 22:57:34 ID:wEmOOaC6O

「じゃあもうwikiまとめの時間なんで、そろそろ終わっても良い?」
『ふぇ!身勝手にも程がありますし!もういいよ!ふぇふぇ』
「とりあえず、空に向かってその携帯電話を投げて欲しいでありますよ」
『なんでー?』
「いいから」
『ふえぇ…』

灯ちゃんは面倒な説明が嫌いです。だから説明を求めても決して一から説明する事はないのです。

『なげればいいんでしょなげれば、じゃあな!ふぇ!』


ひゅう〜〜……すとん。

「戻ってきたか我が携帯よ…!」

先程まで異世界の住人が持っていた携帯電話。世界の窓を通って無事、灯ちゃんの元へと戻ってきました。

「いやぁ…世界にはいろんな人がいるでありますなぁ」

異世界の住人とのコミュニケーション。それは灯ちゃんにとってとっても刺激的なものでした。

「よっし!じゃあもう一回!」

味を占めた灯ちゃんは再び世界の窓へと携帯電話を投げ入れます。

「次はどんな人に繋がるのかな?あぁ、その前に…」

灯ちゃんはノートパソコンを取り出します。今日話した、トエルという少女の事をデータに記すために…




826名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 23:01:09 ID:yQ09I1WYO
インタビュー来たw

827名無しさん@避難中:2010/05/26(水) 23:02:39 ID:wEmOOaC6O
おしまい。タイトルは「灯ちゃんのテレフォンショッキング!」
トエルちゃんも重ねて同作者様から借りました。キャラ崩壊すまん。文章久々に書いたからひでーのなんのって。でも続き書かないみたいだから単発投下しちゃったのぜ。こういう風にキャラ紹介的には良いかも。俺のはあんまり紹介になってないけどな!

828名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 00:36:25 ID:X3UbIK.Q0
本スレに代理してきたぜ

829名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 14:43:04 ID:/N4RnG.2O
乙です

灯ちゃん「最近毎日のように投下されてまとめるのが辛い…」

830名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 15:18:08 ID:Sn7Ok31E0
>>829
うるせーお前は黙ってまとめてりゃいいんだよう

831名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 15:54:59 ID:/N4RnG.2O

     / ̄ ̄ ヽ,         
    /        ',  
    .l  {0} /¨`ヽ}0},  ほう…>>830、貴様死にたいらしいな…
   .l     ヽ._.ノ  ',
   リ 鳥丸`ー'′  ',

832名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 16:22:54 ID:UMX8ZwUY0
黙ってまとめてりゃいいんだよ、ってのは正論だな。どこかの板のどこかのスレみたく、まとめ人が騒ぎすぎるとエロい事になる。つうかなった。

833名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 17:06:34 ID:/N4RnG.2O
まぁ俺はまとめの人じゃないんだけどね。実際のまとめの人は淡々とwikiにまとめてるよ。

834名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 19:39:23 ID:NNmyhVpQ0
頭が下がるね
ありがとうと言いたい

835名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 20:36:10 ID:TYDzlQd60
ありがとう

836名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 20:42:14 ID:R.5iGuG6O
ありがとう!

837名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 20:45:35 ID:ieT6FMzs0
みんなもまとめればいいよ!

838名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 20:45:52 ID:RhaXNXWIO
謝謝

839名無しさん@避難中:2010/05/27(木) 22:52:58 ID:tpFi6oQ6O
まとめ様に感謝。そして代行お願い↓

>>ハイカラみっくす!
『イズミ編』乙でした!!
次はエリカ様VSふぇなんかもみたいところ。
しかし弁天号、どうやってエリカ様のもとへw

840名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 00:55:18 ID:DJ/anIXMO
鯖落ちしてない?エリカ様見れないじゃないか…

841名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 01:24:57 ID:nJ4uHutAO
鯖移転のアレじゃね。

842名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 20:59:33 ID:DJ/anIXMO
鯖復旧したの?PCネット停まってて携帯オンリーな俺は今も本板繋がらないんだけど…1日そこらで本スレそんなに進まんと思うけど…

843名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 21:02:17 ID:/9IZQQpY0
現在の本スレの状況
・ハイカラみっくす「ごめんなさい」投下
・白狐と青年「予兆と日常」投下

844名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 21:03:13 ID:Fw5kpUac0
投下はあったよー
PCの俺は問題なく見れてる

845名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 21:08:11 ID:/9IZQQpY0
wikiに入れてきたので、見れない方はそちらもどうぞなり

846名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 21:27:28 ID:Fw5kpUac0
さすがまとめ人は格が違った

847名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 21:31:44 ID:qTjlRm220
まとめ人に惚れた

848名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 22:09:22 ID:DJ/anIXMO
まとめの人マジ仕事人

849名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 22:11:18 ID:QlXwEVv60
まとめの人結婚して!

850名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 22:17:38 ID:nJ4uHutAO
さすがじゃ

851名無しさん@避難中:2010/05/28(金) 22:20:26 ID:/9IZQQpY0
おれなんかよりタバサちゃんとクズハちゃんを讃えてきてやってください

852名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 02:35:59 ID:/zIFPS8A0
設定部分をいじってまいりました。
アラがあるようなら直していただきたく

それとANARCHY FOREVER FOREVER ANARCHYの設定をAFFAで作ってしまったので
ページ名編集が出来る方、よろしければ変更とかしていただけると助かります
ええ、ズボラな俺が悪いんですすみませんっ!

853名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 12:10:53 ID:BflPK8hM0
遅れちゃったけど代行してくるよ!

854名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 12:19:20 ID:IwMRv/a60
じゃあ俺は852を直してくるぜ

855名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 15:01:44 ID:wFSyNk.EO
なんと高性能なまとめさんだろう、私は感動を覚え(ry

以下感想
ハイカラみっくす!
エリカ様に吸われたい
タバサの間違った知識が訂正されて
二人の真実の愛を探す旅は続くのですね!ふぇ、との絡みも見たいところですがそうなると百合の花が見れるのだろうか?
……タバサの寿命ってどのくらいなのだろう



白狐と青年
拗ねたクズハたんをもふもふしたい
クズハたんが不機嫌なのは道場を壊されたからじゃないと私の紳士脳が告げている!エリカ達、匠には淫魔に見えたのか……うへへへへ

大阪の中央と和泉で随分生活様式が違うようで
県が違えばまたいろいろありそうな予感がしますな
四国が死国になってたりとか

856 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:32:31 ID:vDiSkoRQO
投下です。恐れ入りますがどなたか暇を見て代行お願いします。
更にお手数ですがWiki様(いつも迅速収納ありがとうございます!!)前回地獄SS『ラブレター・フロム〜』を、『地獄百景』の方に収録願えれば幸いです。

地獄百景
『徒らに咲く花でなく』

857『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:34:51 ID:vDiSkoRQO

…ズルズルと温もりを求めて這う千丈髪怜角の髪は、抑え難い欲望のまま獲物に絡み付き、淫らな愉悦を貪り始めた。
どこかで聴こえる抵抗の悲鳴が、打ち寄せる恍惚の波に呑まれ曖昧に溶けていく。

(…ああ…あ…)

漆黒の髪から流れ込む蕩けそうな歓び。長らく忘れていた目眩めく陶酔はやがて怜角の心を裏切り、さらに深く…残忍な欲望のまま、しなやかな凶器と化して生贄を締め上げる。

(…だ、駄目…)

髪を操るどす黒い衝動は、生贄の苦悶すら心地良い振動に替え、怜角を包み込む。抗えぬ力。そして抗えぬ…快感…

(…駄目…その人は私の、私の…)

漆黒の『千丈髪』に隙間なく覆われ、ガクガクと痙攣する獲物はやがて、骨の砕ける音と共にぐらりとその頭を垂れた。その青ざめた顔は…元日本陸軍中尉、高瀬剛のものだった。


「…いやああああっ!!」

…修練を積んだ鬼が悪夢を見るなど珍しい。ましてや、『淫夢』とも呼べるような夢など。跳ね起きた怜角はしばらくは震えと動悸が収まらぬまま、薄暗い寝室の壁を睨み続けた。
最近よく遊びに来る大賀美夜々重が貼っていったカレンダー。そして高瀬中尉から贈られた淡いピンクの薔薇。
殺風景だった部屋を飾る鮮やかな色彩をじっと見つめ、怜角は寂しい微笑を浮かべた。自分には持つ資格のないこの倖せこそ、地獄が与えた最も厳しい罰かも知れない…

(…やっぱり、私は高瀬さまに相応しくない…)


償いの日々は遠く過ぎ、その強い魔力を天命に捧げる鬼、千丈髪怜角は誇り高い魂の導き手としてこの冥界にあった。かつて人であり、人の脆さを最も良く知る鬼として。
しかし悪霊として人々を苦しめ、深い闇に蠢いていた自分がいかに悔い改めようと、再び人を愛し、愛されることが許されるのだろうか。

858『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:36:53 ID:vDiSkoRQO
響き渡るシュプレヒコールのなかでおぞましく歪んでゆき、いつしか同志だった者たちを、怜角…いや、『真樹村怜』自身を押し潰した恥ずべき欲望。
死してなお黒髪に宿り、嗜虐の快楽に浸り続けた自分の罪深い業はいつか再び覚醒し、高瀬剛の高潔な魂まであの昏い道へ引きずり込むのではないか。
ひとりの夜、ずっと押し隠してきた怜角のそんな恐怖は黒い熾火のように彼女の胸を焦がし続ける。
この火がやがて、全てを灼き尽くす破滅の黒炎へと変わる不安に彼女は慄然と唇を噛んだ。

(…今なら、まだ…)

夜の静寂はときとして、人にいささか性急な決断を迫る。もし同室の賑やかな女鬼、風輪彩角がいれば怜角の悲観的過ぎる思考をたちどころに一蹴してくれただろう。
しかし彼女は今夜も夜遊びに出掛け不在だった。どうやらまたどこかに『彼女』でもできたらしい。
立ち上がった怜角はようやく最近部屋に置いた『パソコン』に向かった。彼女がまだ人だった頃にはなかった文明の産物だ。
次元を超え怜角たち鬼の住むこの地獄界へもやってくる、電気信号に姿を変えた夥しい情報。
怜角は獄卒となった日からこの機器を通じて人界の声無き悲鳴に耳を傾け、地獄から書き込む少しの魔力がこもった言葉で、僅かでも人の魂を支える修練をずっと自らに課しているのだった。

S革共 内ゲバ殺人 真樹村怜

人界の便利な道具は、怜角の与えた単語から瞬時に忌まわしい彼女の過去を晒し出す。モニタに映った悲劇の記録は、軽い唸りを立てて次々とプリントアウトされていった…

859『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:38:39 ID:vDiSkoRQO

「…高瀬小隊長殿!! 園遊会の時間であります!! 小隊長殿…」

広いバス車庫に響く熊井兵長の銅鑼声。しかし二階にある事務所から返事はなかった。
苦労して有能な幽霊バスたちを集め、長年地獄市内の交通を支えてきた高瀬剛は、この度晴れて名誉ある閻魔大帝主催の園遊会に招待されたのだ。

「…軍人が遅刻とは言語道断であります!! 小隊長殿!!」

この栄誉を勝手に部隊の栄誉と解釈した高瀬小隊の老人たちは、例によって大騒ぎした挙げ句、自分たちも会場である仰蓮園まで行軍すると言い出した。
園遊会の主賓が地獄界を訪れる妖狐一族の姫君たちだと知っている剛は、元部下の馬鹿騒ぎを厳しく諌めてきたのだが、勿論そんな言葉に耳を貸す老人たちではない。

「…ああっ!! まだ礼服も着ておられない!! いったい…」

騒がしく二階に駆け上がった熊井兵長は、ぐったり事務机に顔を伏せた剛を見つけてまた大声を張り上げた。しかし勤勉な元上官が珍しく覇気のない応えを返すまで、かなりの時間が掛かった。

「…あ、熊井兵長か…何の用か?」

「…小隊長殿っ!! まさか園遊会をお忘れですかっ!!」

老いても身の丈六尺を越える熊井兵長が発する凄まじい怒気にも反応せず、高瀬剛は再びどさり、と机に突っ伏した。

「…園遊会は欠席する。閻魔庁には貴様らで適当に詫びておいてくれ…」

「…はあ? どこかお加減でも悪いのでありますか?」

亡霊にだって体調不良はある。しかし頑丈が自慢の剛は滅多なことで他人に軟弱な姿を見せるような男ではない。ましてや栄誉ある閻魔庁の招待を辞去するなどとは…

「…それとも何か、お困り事でありますか?」

憔悴した剛を覗き込む熊井兵長の視線は、すぐにただひとつ事務机に載った大版の茶封筒に移った。別に熊井兵長は超常の力などなにも持っている訳ではない。

860『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:41:31 ID:vDiSkoRQO
しかし純朴な剛の五倍近い人生を商工界での油断ならぬ駆け引きに費やしてきた彼には、敬愛する元上官の苦悩の源がこの封筒であることなど容易に察知できたのだ。

「…へそ曲がりの原因はこれでありますかな?」

「こ、こら!! 貴様!!」

ひらりと伸びた熊井兵長の手は、素早く剛の手元から封筒を奪い取る。しかし睡眠不足らしくふらつく剛は、さしたる抵抗も見せず部下の無礼を看過した。
中尉は今、封筒の中身…抱え込んだ問題を相談する相手を欲している。これも熊井兵長の素早い推測通りのようだった。


「…ありましたなあ…こんな…事件が…」

憮然と壁を睨む剛の傍らで、熊井兵長が封筒に収まっていた書類を捲る音だけが響く。やがてその音が止んだとき、掠れた声で剛が呟いた。

「…貴様は、どう…思うか?」

「どうもこうも、既に怜角殿は償いを済ませ、獄卒にまでなっておられます。獄卒の修練は、まあ並大抵のものではないと聞いております…」

熊井兵長にとっては、少し懐かしくさえある資料だった。もはや戦後とは言えぬあの賑やかな時代。ひたすら商売に邁進していた彼とは遠い世界だった事件だ。
若さと血の通わぬ理論だけを武器に角材を振り回し、革命を夢見た青二才たち。『大人』であれば制御できた筈の憤りは最悪のかたちで彼らを自滅へと追いやった。
『狂気と愛欲の粛正劇』『過激派女子大生、変死体で発見』
扇情的な見出しとは対照的に生真面目な表情で当時の新聞に載っている顔写真の主は、その気高い理想とは程遠い嫉妬心から幼なじみの同志すら処刑し、そして自らも生きながら埋葬された学生運動セクト『S革共』副リーダー真樹村怜。
その端正な顔と鋭い眼差しは紛れもなく剛の愛する獄卒、千丈髪怜角のものだった。

861『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:43:09 ID:vDiSkoRQO

「…いったい何者が、こんな卑劣な密告まがいの中傷を…」

今朝早く新聞受けに投函されていたという封筒を鷲のごとき狷介な表情で眺めていた熊井兵長は、苦しげな剛の呟きを聞いて片眉を少しだけ上げた。

「…ふん、小隊長殿はそうお考えでありますか…」

「決まっているだろう!!怜角さんか…その、自分に好意を持つ者が二人の間を裂こうとだな…」

スッと目を細めた熊井兵長は感情を窺わせぬ笑みを浮かべ、まるで純情な甥っ子を茶化すように元上官の言葉を遮る。

「…では、その者を『甲』と致しましょう。甲は小隊長殿と怜角殿がお別れになることを望んでいる。とすればそのあと小隊長殿もしくは怜角殿に言い寄った者が『甲』である可能性が極めて高い訳ですな…」

「そうだ!! その通りだ!!」

立ち上がり猛々しく同意した剛は、すぐ熊井兵長の意味有りげな沈黙に気づいて、彼が述べた含みのある仮説をもう一度頭の中で反芻した。果たして憎っくき恋の妨害者『甲』の目論みが成功する可能性など有るだろうか?
この場合密告の事実を知らぬ怜角は蚊帳の外だ。『甲』の企みは剛が怜角に幻滅し、別れを切り出す筈だ、という極めて不安定な前提の上に成立しているのだ…

「…で、甲はさておき、小隊長殿はそれを読まれて怜角殿に愛想を尽かし、お別れになろうと思われましたか?」

「ば、馬鹿を言うなッ!! 自分も戦場では生き残るために人を殺めた。彼女にもきっと…殺し、殺されねばならぬ事情があったのだ!!」

確かに怜角は自らの過去を語りたがらなかった。剛の死後、世界を激変させた『主義』や『思想』の避けがたい潮流のなか、ただ狂おしい愛憎に燃え尽きた彼女は罪人だったかもしれない。しかしこの地獄で償いきれぬ罪などあろうか。
たとえ人の世でどれほどの過ちを犯そうと、今の怜角が獄卒として日々死者を導いている姿こそが、彼女の悔悟が天に認められた証の筈だ…

862『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:45:28 ID:vDiSkoRQO
「…それでしたらなんの問題も無い訳であります。早く園遊会の支度をなさって下さい。」

「待て、待たんか!!」

未だ釈然とせぬ顔付きの剛は、素っ気ない口調で壁に掛かった礼服を指し示す熊井兵長に再び食って掛かった。

「…いずれにせよ、自分は怜角さんを貶める奴を許せん!! どこのどいつが下手人かだな…」

「それを知ってどうなさいます? 横恋慕の果てにこんな愚かな真似をする者など、到底お二人に相応しい相手ではありません。小隊長殿さえ肝を据え、どっしり構えておられれば宜しいのであります。」

熊井兵長の整然とした理屈は、正論であるぶん何とも剛の癪に障った。確かにどんな小細工をしても『甲』の策謀が実を結ぶことなど有り得ない。しかし…
憤懣やるかたない、といった剛の態度を見て、熊井兵長はため息をつきながら言葉を続けた。その落ち着いた嗄れ声に、かつての粗暴な万年一兵卒の名残は微塵もない。

「…失礼ですが小隊長殿と怜角殿のお付き合いは、どのくらいまで進んでおられますかな?」

「な、なんの話だ!? 自分はその、なんら恥ずべき…」

だしぬけの質問に顔を赤らめた剛は、戸惑った様子でもごもごと言葉を濁す。

その指揮官らしからぬ狼狽ぶりは、不躾けな問いの答えを自ずとさらけ出していた。

「…そうでしょうな…まあ戦地でも、現地娘の手ひとつ握れなかった方ですからなあ…」

「し、失敬な!! 自分だって…」

「『出征前に見知らぬ女学生から、金平糖を貰った事がある』でありましょう? やはり、まだ…」

「き、貴様ッ!! 上官を愚弄する気か!?」

軍刀を抜きかねない剣幕の剛に動じる事なく、老兵は辿りついた結論を口にする。その推測は、激昂する剛をして化石のごとく硬直させるものだった。

863『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:47:42 ID:vDiSkoRQO
「自分の憶測はですな…多分これが当たりと踏んでおりますが…『甲』が他ならぬ怜角殿本人では、ということであります。」

「し、笑止なッ!!」

立ち竦んだ剛は強張った失笑を浮かべながら、呆然と部下の皺面を眺める。
だが熊井兵長は昔から無愛想な男だが、思い付きで口を開く男ではなかった。あの頑固な斉藤軍曹でさえ、熊井兵長の進言には耳を傾けたものだ。
そしてその結果、高瀬小隊は幾多の窮地を切り抜けてきた。あの悲惨な欠乏戦で驚異的な戦果を誇った小隊の名声は、決して軍神となった剛ひとりで得たものではないのだ。

「…根拠を、述べてみろ…」

かつての部下たちは重ねた齢の数だけ、剛が学べなかった人生の知恵を身に付けている。それをよく知る剛はドサリと椅子に腰を降ろし、むっつりと先を促した。

「…怜角殿はお付き合いを進めるにつれ、過去のことをどんどん言い出し辛くなる筈です。ましてやその…のっぴきならぬ関係になってから事実が露見すれば、小隊長殿を『騙していた』ということにもなりかねない…」

「じ、自分は…」

「黙ってお聞き下さい。多分怜角殿は妙な理屈で自分を騙し、背負った重荷を小隊長殿に押し付けたのでしょう。『私は貴方に相応しくありません。それでも私を選ぶのなら、それは貴方の自由です。』とね…」

俯いた剛は答えなかった。彼には不可解な女心。つい昨日逢ったときには、あんなに朗らかに微笑んでいたではないか…

「…狡くて浅はかで…そして可愛いのが女というものであります。その全てを受け入れ、抱いてやるのが男…これは、あくまで私見でありますがな。」

「…自分には…その…彼女を抱く資格があるのだろうか…今も自分の罪と向き合い、歩むべき天命を問い続けている彼女を…」

864『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:49:52 ID:vDiSkoRQO
剛の小さな囁きを一蹴するように、熊井兵長が深い溜め息を洩らす。この愚直な上官に色恋の道を説くのは至難の技だ。
そもそも熊井兵長とて、長年連れ添った妻の名をきちんと呼んだこともない、武骨な夫であったのだから。

「…それは自分にも判りかねますな。しかしながら、『自らを信じる』ということは、我が小隊の合い言葉ではなかったでしょうか? それ以上は…それこそ閻魔さまでもなければ判らない事であります。」

静かに敬礼すると熊井兵長は部屋から退去していった。残された剛は熊井兵長たちが今日の為、精魂込めて仕立てた礼服をまんじりともせず見つめていた。



…無表情な仮面の下のごく微かな息遣い。白い長衣には仲間を識別する為の単純な紋様だけが幾つか刺繍されている。
園遊会警護の鬼たちは賓客や観衆に要らぬ威圧感を与えぬよう、全身を包む純白の装備でその恐ろしげな風貌を隠すのが常だ。
しかし彫像のごとく整然と立ち並ぶその姿は冥府の戦士たる存在感に満ち、この『仰蓮園』に招かれた来客たちもやはり、ある種の畏敬をもって時おり彼らを眺めていた。

「…閻魔大帝陛下、並びに閻魔羅紗弗殿下、葛葉姫、玉藻姫両殿下のおなりでございます…」

普段は閻魔宮の奥深くで執務をとる閻魔大帝がこうして四季の花咲き乱れる庭園に姿を見せることは珍しい。
今日のように特別な賓客を迎えたときだけ、地獄の住人たちは冥界の絶対支配者閻魔大帝の威風堂々たる容貌を目の当たりにするのだ。

「…桜と寒牡丹が並んで咲いています。不思議な景色ですね…」

二人の王族に伴われた地上界からの貴賓、妖狐の姫である葛葉姫が仰蓮園の感想を洩らす。彼女の輝く銀髪は共に地獄界を訪れた従姉、玉藻姫の黒髪と見事に鮮やかな対照をなしている。

「…ああ、そーだね。」

865『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:52:01 ID:vDiSkoRQO
そっけない羅紗弗殿下の答え。公務とはいえまだ幼い彼に女の子の相手ほど苦手なものはない。招かれざる客とはいえ、先日の全裸魔王のほうがよっぽど面白かった…

「…人の世では決して並ばぬ花同士が、こうして共に寄り添って咲く。地獄というのは奇妙な場所です…」

息子の無礼を窘めるように閻魔大帝が囁いた。その大きな掌が示す季節違いの花たちを眺め、幼い二人の姫はその可憐な瞳に不思議そうな光を浮かべる。

「…それよりさぁ、あっちの芝生に馬鹿でっかいクモが…」

退屈しきった殿下の意地わるな声に、勝ち気そうな玉藻姫が露骨に眉をひそめたときだった。離れた柵の向こうで一行を見守っていた一般招待客の中でなにやら不穏なざわめきが沸き起こった。

「…です!! 退って下さいっ!!」

獄卒たちの反応は速かった。疾風のような白い影は咲き乱れる一枚の花片も散らすことなく、ピョンと耳を立てた妖狐の姫君たちを瞬時に取り囲む。

「おっ!! なんだなんだ!?」

騒動の気配に嬉しげな顔を上げる殿下。その視線の先には大声を上げながら柵を乗り越え、獄卒たちに取り押さえられる人物の姿があった。

「…閻魔大帝陛下!! 質問が…教えて頂きたいことがありますッ!!」

地獄住人には『バスの人』として馴染み深いその人物、見慣れた軍服姿ではなく地獄宮廷服の意匠を小粋に取り入れた礼服の男は、制止する獄卒たちをものともせず、懸命に叫び続けている。

「…駄目だって中尉!! マジヤバいって!!」

その男…高瀬剛を組み伏せながら彼と親しい鬼、酒呑半角が素っ頓狂な声を上げていた。しかし無表情な仮面の下から聞こえる見知った鬼の声に、若い元軍人はさらに鼻息を荒げたようだった。

「…陛下ッ!! 何卒教えて下さい…」

866『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:54:00 ID:vDiSkoRQO
騒ぎの主が暴漢の類ではなく、地獄への貢献を認められた園遊会の客と知った閻魔大帝はしばし髭を捻っていたが、やかてその巨躯で賓客を庇いつつゆっくりと剛に歩み寄った。
そして羅紗弗殿下と葛葉姫、玉藻姫が意外そうな顔で見上げるなか、威厳にみちた唸りを高瀬剛に向ける。

「…問いとやらを述べてみよ。」

「…は、はいっ!! お、お尋ね致します!! 自分は…」

やきもきと身を捩る警護の獄卒たち。園遊会での質疑応答など未だかつて聞いたことのない前代未聞の珍事だった。一介の亡者が地獄の統治者に、いったい何を尋ねるというのだろうか… 

「…じ、自分はある鬼を…たとえ何があっても、深く愛しております!! 天命に身を捧げるその鬼を自分は…だ、抱いて宜しいのでしょうかッ!!」

固唾を呑みながら剛を見守っていた一同は、あまりに想定外な質問にあんぐりと口を開けた。気まずく沈黙した周囲の視線はやがて、この問いに対峙する大帝の渋面に向けられる。
幼い来賓や若い皇子に聞かせるにはいささか好ましくないやりとりだった。しかし厳正なる地獄法廷にあって全てを裁定する閻魔大帝は重々しくその所見を告げた。

「…然りである。」

「は…」

「…時と場所さえわきまえれば、獄卒の私事は閻魔庁の関知するところではない。」

「は…」

赤銅色の髭面に浮かぶいかめしい表情。だが…剛が続く言葉を待ってさらに身を乗り出すと、ついに大帝は苦虫を噛み潰したような顔で苛立たしげに吠えた。

「…なんというか…その…大人なら常識で判断せい、常識で!!」

「…は、はいッ!! 有難うございましたッ!!」

閻魔大帝はきょとんとする二人の妖姫を促し、恭しく平伏した剛にクルリと背を向ける。
だが、天命の具現である大帝の答えは剛にとって至高の福音だった。不屈の情熱がある限り、怜角への愛を妨げるものは何ひとつないのだ…

867『徒らに咲く花でなく』 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:55:19 ID:vDiSkoRQO
「…さ、高瀬中尉、こっちへ…」

気がつくと剛は獄卒たちに抱えられ、大帝の一行を追って移動してゆく招待客と離れた場所へと運ばれていた。普段は品行方正な彼に何らかの処罰はないようだ。

「…駄目だよ高瀬さん、あんな無茶したら…」

「はい…申し訳ありません…」

確かに彼を知る獄卒達にしてみれば、度肝を抜かれる『犯行』だっただろう。半ば放心状態の剛は素直に謝罪し、いそいそと木々を抜けて園遊会警護に戻る鬼たちの背中を見送った。

(…ふう…皇軍なら銃殺ものだ…)

ドサリと腰を降ろした剛の周りでは春夏秋冬の花たちがたおやかに揺れていた。ふと見上げると静かな木陰にまだ一人、小柄な獄卒の姿が残っていた。

「…怜角…さん?」

チェスの駒のように無表情な典礼装備の下、ほっそりとした鬼はコクリと頷いた。俯いたその素顔は見えなかったが、朗らかに笑った剛は大声で彼女に呼びかけた。

「…明後日はお休みですよね!! 自分と…温泉でも出掛けませんか!? その…も、もちろん小隊の連中や夜々重ちゃんも誘って…」


おわり

868 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 16:56:20 ID:vDiSkoRQO
投下終了です

869名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 17:14:07 ID:BflPK8hM0
行ってくるよ!

870名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 17:31:30 ID:BflPK8hM0
あ、ごめん途中で容量落ちしたwww

次スレ立ててくる

871名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 17:36:14 ID:BflPK8hM0
次スレ

【シェア】みんなで世界を創るスレ4【クロス】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1275122105/

872名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 18:08:19 ID:BflPK8hM0
各方面に謝罪しつつ代行終了でございます

873 ◆GudqKUm.ok:2010/05/29(土) 19:20:34 ID:vDiSkoRQO
代行さまご迷惑をお掛けしました!!
新スレ立て誠に乙です!!

874名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 22:24:25 ID:wFSyNk.EO
地獄百景乙です
高瀬さん純情じゃないかwww
金平糖wwwこれはまさかの恋敵フラグか!?

875名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 23:12:07 ID:/zIFPS8A0
代行はまかせろー(バリバリ

876名無しさん@避難中:2010/05/29(土) 23:14:27 ID:/zIFPS8A0
終了だ!

877名無しさん@避難中:2010/05/30(日) 22:15:20 ID:QjrEAjKA0
まとめ人作業早すぎだろwwww
今日投下された作品がもうwikiにまとめられてやがるwww
gjすぎるぜまったく!

878名無しさん@避難中:2010/05/31(月) 00:47:22 ID:h8s0K0Hs0
いつもまとめありがとう御座います!

879名無しさん@避難中:2010/05/31(月) 20:47:49 ID:mezJ9/5QO
本スレ>>49
…最後の一行ががががw

とりあえず後編読むまで感想は保留w

そして『のりものブーム』にウケたw

880名無しさん@避難中:2010/05/31(月) 20:57:52 ID:Aez5L38U0
我堂とエリカ様は弁天号の奪い合いだなw

881名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 02:37:55 ID:vmtjZzjA0
ふえぇ…さるさんくらったよぉ…いつかいじょされりゅの…?

こんな夜中に何書き込んでんだろうと、ふと思いました。きょうから6月です。

882名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 03:06:04 ID:vmtjZzjA0
もう眠いのでつづきはこっちにとうかsりゅ

883正義の定義:2010/06/01(火) 03:07:16 ID:vmtjZzjA0

 「憎しみが渦巻いています。憎しみは憎しみを呼び、連鎖します」
 「悲しみが溢れています。悲しみは満ちることはありません。ずっと、溜まっていきます。寂寥に人々の心は飢えていきます」
 焔は言葉を続けていく。男たちは銃を向ける事なんてとっくに忘れて、各々の知る人、大切な人のことを思い、慚愧していた。
 「誰が、この戦いを望んだのでしょう?誰が、こんな結果を望んだのでしょう?」
 「…誰も、こんな事は望んではいない。ぞうでしょう?あなたも…」
 そう言って、焔は手を差し伸べる。その手の先にいたのは…この事件の原因の一端を担う、森喜久雄だ。
 「…当たり前だ!!こんな事…そうだ!貴様らが余計な真似をしなければ…!」
 「!!言わせておけば…!私達はだまって殺されろってことか!?」
 「だから逃がす猶予を与えてやっただろうが!それを反故にしてまで戦いを挑んできたのは、貴様達の方だ!」
 「何もわからないくせに!あの山を荒らせばどうなるか分かっているのか!?」

 「やめて!!」

 言い争う私と喜久雄の間に割って入る焔。その目は潤んで、声は震えていた。

 「やめて…もう…こんな事…」
 「焔…」
 「もう…これ以上人が死ぬのは嫌…何でお互い、話合えないの?全て…全て話し合いで回避できたことなんだよ…?」

 「もうこれ以上…誰一人として死んで欲しくないの…皆には笑っていて欲しいの!!」

 「あ…」
 焔は、泣いていた。普段は決して見せない姉の、母が死んだあの日以来頑なに見せようとはしなかった、涙。

 「だから…やめましょう…こんな事…私達も、あなた達も…この戦いに争いを望む者なんて…最初からいないんだから…」
 そうだ。誰も争いなんて望んじゃいない。誰かを傷つけたくなんて、ないんだ。誰だってそうだ。皆動かされていたん
だ。見えない、大きな圧力に。気がつけば、周りの男達は皆、武器を置いていた。
 でも、一度始まってしまったこの争いを、果たして止めることなど出来るのだろうか?…焔なら、あるいは…
 「何を馬鹿な…!おいお前達!何をしている!?」
 「森さんや…もーやめましょうや…」
 喜久雄を護衛していた男のひとりが言う。
 「そうじゃ、あのこの言う通りだわい。こんな戦い…誰も望んじゃおらん」
 心改めたかのように、次々と戦闘破棄の意思を見せる者達。事は…徐々に収束するかのように思えた。
 「ふざけるなよ…今更、止められるものかァァァ!!」
 「…ッ!!」
 喜久雄は護衛が放棄した銃器を手にとり、私に照準を向ける。そして有無を言わせずに、それを放った。引き金を引
く音。銃声。火薬の匂い。

 打ち抜かれるはずの私の胴に銃痕は無く、代わりに私を庇うようにして覆いかぶさっている焔の姿があった。

 「え…?な…?」
 自身の顔が青ざめていくのがわかる。血が冷たくなって、震えが止まらなくなる。受け入れたくない、嫌だ。何でまた
…こんな事に…もう嫌だ。誰かを失うのは、もう嫌なのに、この心の叫びが届くことはない。
 「火燐…」
 鼻がくっついてしまいそうな距離に、焔の顔がある。私の名を呟き、焔は優しく私を抱きしめた。
 「ごめんね…」
 「なんであやまるんだ…やめてよ…」
 じわじわと、焔の背中に血が滲んでいくのがわかる。私達は体が強い異形じゃない。銃でだって、十分致命傷を与えられる。
 こうやって密着していると、焔の心臓の鼓動がよくわかる。今は、とても弱々しく、それでいて懸命に動いているのがわかった。でもその鼓動は、どんどん弱くなっていき…
 「火燐…私…」
 「死ぬな!死なないでよ!死んじゃ駄目だ!もうあんな思いは嫌だ!」
 「ごめんね…焔に悲しい思いさせて…」
 「そう思うなら逝くなよ!私を残して死ぬなよ!」
 「…私、ちゃんとお姉ちゃんできてた…?」
 「うん…!」
 「…私、ちゃんとお母さんとの約束、守れたかな…?」
 「うん…!」
 「そっか…じゃあ、私…胸を張ってあの世に行けるね…」

884正義の定義:2010/06/01(火) 03:08:05 ID:vmtjZzjA0
 「やめてよ…」
 沢山言いたい事があった。沢山、聞きたい事があった。
 でも、私は…何も言えなかった。言葉が出てこなかった。何を言えばいいのか、何を言うべきなのか、何が正解なのか。
 分からない。何もかもが分からない。
 「…私…タケゾーやカナミちゃん達と会って、そんな皆と火燐と過ごして、幸せだった」
 「そうだよ…!まだ約束の明日を、迎えてないじゃないか!だから…」
 「気がついていないの…?タケゾーやトエルちゃんと一緒にあなた、あんなに笑い合っていたじゃない…」
 「あ…」
 「皆に受け入れられて、人と妖が笑い合える明日…まぁ、お母さんの理想には届かなかったかもしれないけど…私は満足しているわ…」
 「焔…!」
 「どんなに辛いことがあっても、火燐がいたから辛くなかった。火燐や、タケゾー達がいたから、私の人生は素晴らし
いものだって思えた」
 焔の心音はどんどん弱まっていく。私は焦燥し、叫んだ。
 「待って、まだいかないで!まだ…離れたくない!」
 追い詰められたかのように、私は言葉を吐き出す。
 「まだ話したい事が沢山あるの!まだ一緒に共有したい時間が沢山あるの!沢山笑って、沢山泣いて、喧嘩して、
それでも姉妹でよかったねって、そんな事言えるような…たくさんのたくさんの…」
 「ふふ…なんだか昔に戻ったみたいだね、火燐…」

 「まだ一緒に居たいの!……お姉ちゃん!!」

 「ありがと、火燐。そしてさよなら…私の大好きな…妹…」
 (ああ…お姉ちゃんって…よばれたの…何年ぶり…か…な…)
 「あ…あぁ…!」
 焔の腕の力が徐々に弱まる。瞼がゆっくりと閉じていって、すっかり大人しくなってしまったところで、焔の呼吸は止まった。
 

――素敵な、一生でした…


 姉は今、その生を終えた。何をしようとも、覆らぬ事実。私は知っている。死んだ者は生き返らない。なくしたものは
戻ってこない。それが現実。
 「い、やだ…」
 現実は悲しすぎる。未来は涙でもう見えない。過去は何もかもなくしてしまった。
 「やだ…やだ…そんなの…」
 私にはもう…何も残っていない。私が…何をしたと言うのだろうか。私は、ただ、生きたかっただけなのに。
 「…タケゾー…カナミ…誰か…誰か助けて…」 
 いない人間に、何を求めているんだ。そうやって他人に頼っていたから、焔を助けられなかったんじゃないのか?

 …どうでもいい。もう終わったんだ。何もかも。どうにでもなれ。

 私は、焔の体をどけて自分の体を起こすと、タケゾーからこっそり頂戴していた、異形になる薬を懐から取り出した。
異形が異形になる薬を使ったら、どうなるかなんて分からない。でも、そんなこと関係ない。壊れてしまえばいいんだ、
この私なんて。

 「この世界なんて、どうにでもなってしまえ」

 私は注射器を腕に注射する。瞬間、狂気に似た感覚が体中を這いずり回る。意識が、異形に侵食されていく。

………………………

 「…あが…ん…」
 気がつけば、"私"の大きな手は喜久雄を踏みつぶしていた。肉の潰れた感触が手に残る。気持ち悪い。
 こいつのせいでこの争いが起きた。こいつのせいで焔は死んだ。全部全部こいつのせい。そうに決まってる。
 …でもこいつを殺しても、何一つ元には戻らない。焔も帰ってこない。もとに戻らないのはこの世界のせいだ。
 みんな、みんな、死んでしまえばいい。

885正義の定義:2010/06/01(火) 03:08:37 ID:vmtjZzjA0

 "私"は、その大きく黒い尻尾を振り回し、動く肉を潰した。何匹も、何匹も。私の目線は、随分高くなったので、ゴキブリを潰しているような気分だった。そうして、動く肉が、すべてただの肉塊になったところで…あいつは現れた。

 「ふぇ…これはひどい…」
 『お前は…!』
 見間違えるはずも無い、金髪ツインテールの…小さな体…
 「ふぇ…あなたはまさか、かりん?…ずいぶんおっきくなったね!」
 『お前…タケゾーとカナミはどうした…?』
 「ふえぇ…わたしもそうするつもりはなかったけど、いぎょーセンサーがはんのうしちゃってその…しにました、ふぇふぇ」
 『き…き…貴様アァッァァァアッァァアァアアアアアアッッ!!!」
 「ふぇ!しかしながらこれほどのにんげんをあやめたいぎょーをのばなしにするわけにはいきませんし!」

 「だい12えいゆートエル!こうせいなるちつじょのもとに、おまえをとーばつします!」
 『"ジャンクション""デスサイズ"』

 大身の鎌がトエルの頭上に現れる。そしてそれをトエルは難なく手にとり、三回転振り回した後、刃を私に向けた。

 『みんな死んでしまえばいい!!トエル!お前もな!!』

886正義の定義:2010/06/01(火) 03:09:55 ID:vmtjZzjA0

 憎しみは憎しみを呼ぶ。

 悲しみは、止め処なく溜まっていく。

 『があああああああああああああッッ!!』

―龍は哭いた。全てを失い、取り残された自分の運命を呪うように。
―龍は鳴いた。もう届かぬ友に向かって。もう帰らぬ姉に向かって。
―龍は泣いた。救いなど一切存在しない、自分の世界に絶望して。

誰も望まぬ戦いは、誰も望まぬ結果となって、誰も望まぬ黒龍を作った。
死の連鎖は、一体どこまで続くのか?屍積もる、この場所で…

願わくば、死んだ者達には安寧の時を、彼女には約束の明日を。

887正義の定義:2010/06/01(火) 03:10:19 ID:vmtjZzjA0

―次回予告。

第六話
 「テロリストのウォーゲーム」#last

 「機械に主観は無い。故に」
乞うご期待ください…。

888名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 03:19:06 ID:vmtjZzjA0
投下終了…重い話って、辛気臭くて困りますよね!でももう1話このテンションが続くんだ!ごめんね!
次回も血溜まり崇で待ってます!

以下感想
>地獄百景
閻魔大帝さんの的確なツッコミにイイヨーイイヨーってなりました。
>よくある話
女装っ子キタ!と思ったら死んでた。淡々とした感じが好きです。
>頭文字D
男は速さに憧れるものなのよ…なんかこう、デュラハンのアツい思いがひしひしと伝わってくるようです。

なんだかシェアワ人口増えましたね。うれしいことです。

889名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 03:20:52 ID:vmtjZzjA0

―頼まれてもいないのにキャラ紹介part2―

騎龍 焔(きりゅう ほむら)♀
次元龍・龍神族の女の子。お母さんが死んで以来、一人で火燐のお姉さんをして、
母親の教えを最後まで守った異形。喜久雄の銃で背中を撃ちぬかれ絶命。
二本角の長い黒髪で髪先は先は一つに纏めている。絶世美人。
人と異形が仲良くなればいいなと考える、心優しく、決して他人を憎まない少女だった。

騎龍 火燐(きりゅう かりん)♀
焔の妹。母親が殺された一件で人間を憎んでいたが、タケゾー達のおかげで
少しずつ人間に歩み寄っていく。次元龍の力を少し扱え、その力を使った
「異空召喚術」は他スレからもキャラを引っ張り出したりして多方面の方々に迷惑をかける。
でもパラレルの人物だから!本人じゃあありませんから!
性格は口数少なく、少しひねくれている。人見知りの激しい少女。
黒髪ショートで、角は一本。黒いしっぽが生えている。
羽は必要に応じて大きさを変えられるらしい。


以上。
ほむっちは前回投下した時からもう死ぬって殆どの人が気付いていたと思う。
殺しておいてなんですが、ほむっちがあの世で幸せになりますように。

890名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 03:26:16 ID:vmtjZzjA0
投下終わったしもう眠気が限界…後は…まか…s…

891名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 09:05:19 ID:/Ue/Boe60
代理ってきやす

892名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 09:15:21 ID:/Ue/Boe60
終わりです

893名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 10:10:06 ID:pdy/rLHkO
代理の人、乙です
規制はいつまで続くんだろうか
本スレにカキコできねー

僕らのおちんちんランドが始まり過ぎて終わっちゃった…

894名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 19:51:39 ID:/Ue/Boe60
はい、よくある話の作者ですがね、最後の最後でさるさんですよHAHAHA
話自体は、あれで終わりですので、「終わりです」という宣言だけ、代行お願いします

895名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 19:57:15 ID:Z3Mdgz6QO
出来れば代行を↓

>>『よくある話』
リアルタイムGJでした!!
今後の異形世界に様々な影響を残しそうな作品でした。独特の文体も心よく、次回作に期待しています。

↑以上です

896名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 20:00:01 ID:yfBjyGkI0
いってくるぜ

897名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 20:04:44 ID:yfBjyGkI0
いってきたZE!

898名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 20:11:23 ID:/Ue/Boe60
代行ありがとうございます

899名無しさん@避難中:2010/06/01(火) 22:52:11 ID:DVrUgZz.O
今日投下されたのは問題作とよくある〜か
シェアワスレ勢いバーストだな

900名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 09:33:20 ID:SCDzefZM0
あのですね、お聞きしたいのですが、人様のキャラ使うに当たり「使ってもよろしいですか」と確認をした方がいいのでしょうか?
具体的には異形世界の白狐と青年の良平くんや門谷さんなのですけれども

901名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 10:03:31 ID:a7vGFyXA0
私はいつも投下の際に一言詫びを入れてますが、シェアードワールドなのでバンバン使って、
確認は投下前でも投下後でもいいよう気がします。それにしても白狐は人気だなぁ。

902名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 12:23:11 ID:SCDzefZM0
>>901
ありがとうございます
和泉というステージ、使わずにはおれませんのでね、やはり集中せざるをえないですよ!
さぁ、書くぜ

903 ◆mGG62PYCNk:2010/06/02(水) 12:34:27 ID:R8EDxXGQO
キャラクターの使用等シェアワですし自由にしていただいて問題ないですよー!
門谷はともかく良平などは設定→門下生
くらいしかないですし!

皆さんに使っていただいてうちの子たちは幸せ者です

904名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 12:42:02 ID:SCDzefZM0
>>903
ありがとうございます
これで、思い残す事無く……!

905名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 14:27:03 ID:9v5.jCqs0
成仏したな・・・

906名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 15:08:57 ID:NHrEFYb.O
ワレラハ マダオワッテハオラヌ!

907名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:20:12 ID:1bCDmokUO
避難所も残すところ100レス切った事だし、せっかくだから何か話さないか?

908名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:31:27 ID:/TYtIJcw0
埋めついでにか、例えば何を?
自分のSSの薀蓄でも語るとかw

909名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:36:32 ID:1oHqA4cE0
>>908
薀蓄かぁ……
俺のは人名とかをウィキペディアからひろってるくらいしかないなぁ

910名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:40:07 ID:1bCDmokUO
小ネタしか投下しないからなぁ
パソコン復活したらちゃんとしたの投下したいけど

911名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:41:14 ID:k/khMPqQO
プロットは完成しているのに、寄り道が楽しすぎてエンディングまで文字通り百話ほどかかりそうとか

912名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:48:49 ID:1oHqA4cE0
>>911
俺もだぜ兄弟
感動的なエンディング像を何度も妄想しているけど
たどり着くまでに後どれだけ時間を書ければいいのか見当もつかない

913名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 21:56:52 ID:1bCDmokUO
あるよねwけど長いと正直俺はモチベーション続かない

最近のシェアワスレの勢いどうよ?特に異形世界がオーバーリミッツしてるけど

914名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:04:57 ID:1oHqA4cE0
>>913
別世界を書いてる俺には正直うらやましい
あれくらいもっと人が欲しいぜ。

915名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:06:06 ID:/TYtIJcw0
色々妄想はあるけど形に出来ない
プロットはあるんだけどね

916名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:09:43 ID:1bCDmokUO
異形世界は安定して投下があるからね何だかんだで
いつからあんな勢い出てきたのやら

917名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:12:26 ID:k/khMPqQO
地 獄 へ い ら っ し ゃ い

918名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:19:09 ID:9v5.jCqs0
異形の作品は既にある程度かけている。
かけているが投下するかは別だ

919名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:19:31 ID:1oHqA4cE0
地獄世界もいいよね。死んだキャラクターを再登場させることができるからね

俺のキャラクターも、もし死んだら地獄で使ってくれるのだろうか

920名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:20:28 ID:/TYtIJcw0
逆に、死なせて地獄世界での生活を描いてみる
というのはどうだろうか

921名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:21:31 ID:LGw8hx3.0
温泉界も死後のキャラ登場出来るよ。

原理は不明だが

922名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:22:09 ID:1bCDmokUO
そういう時のための設定晒しですよ
実は最初設定晒した方が良いんじゃね?って言ったのは俺だったり

923名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:27:12 ID:SCDzefZM0
設定さらして、何かしら縛りになってしまうかな……と思う派の私

924名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:27:14 ID:k/khMPqQO
>>919
翔太くんやズシみたいな流れなら登場願いやすい…御希望の死者は御一報をw
それからお蔵入りのSS、この機会に投下していいすかね?

925名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:27:39 ID:1oHqA4cE0
実は連載を考えていなかったから設定なんてほとんど書いてないんだよなぁ

世界に継ぎ足した小ネタが多くなったから書いてみるかなぁ

926名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:28:17 ID:9v5.jCqs0
閉鎖  異形   
↓↑  ↓↑    →温
↓↑  ↓↑    ←泉
↓↑  ↓↑    
地獄←← ↑
  ↓    ↑
  →→→→↑



                  ???

こんな感じだな!

927名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:28:45 ID:9v5.jCqs0
これわかりにくくね

928名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:30:57 ID:/TYtIJcw0
>>925
うん、一話読みきりで書いてたから設定なんて無い
ていうか連載するほど投下してない
連載されてる作家さんたちには頭が下がるぜ

929名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:33:50 ID:1bCDmokUO
>>924
投下しちゃえ

930名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:39:37 ID:k/khMPqQO
流れ㌧切りごめん。無許可温泉モノです。



「…うわ…思ったより集まってるね…」

湯乃香に導かれ、いつもの浴衣姿で次元の鏡を超えた天野翔太は、そこに広がる壮観としか言いようのない摩訶不思議な光景に目を丸くした。

「な、なんなんだ!? この世界は…」

遠く地平まで響く太鼓と笛の軽快な音色に合わせ、色とりどりの法被(はっぴ)姿で踊っているのはずらりと並んだ少女の大群だった。

「…わ、楽しそ…」

翔太の後ろからこの賑やかな世界を覗き込んだアリスが歓声を上げる。三人が近づく間にも、新たな少女たちが続々と踊りの列に加わっていった。

「…『擬人おどり』よ。これだけ大規模にやるのは初めてだけど…」

「ぎ、擬人おどり!?」

湯乃香の言葉にさらに目を丸くした翔太は怪訝そうに続く説明を待った。しかし彼女はもう、最前列で踊っている白い法被姿の幼女とお喋りを始めている。

「…元気そうね、にっしょくたん」

「ゆのかさん。おひさしぶりです。」

ふと気づくと、彼女の後ろで踊る少女たちはみんなお揃いの白い法被だ。太陽や雪にカミナリ、背中に天気予報のマークを染め抜いた上衣から覗く、健康的な太腿が艶めかしい。
そして隣の列は紺色の被衣に日本列島の意匠。襟には『JPN47』なる文字もある。そういえば湯乃香と話している『にっしょくたん』たちの法被にも『天変地異!!』の文字が揃って書かれていた。

「…ああ、いくつかチームがある訳だ…」

曖昧に納得した翔太だったが、この夥しい少女たちがそれぞれいかなる思想信条のもとにグループを作っているのかは、皆目見当もつかなかった。
しかし、間違いなく言えること。法被の短い裾からきわどく美脚を露出している彼女たちは、そこいらのアイドルグループ顔負けの美少女揃い、ということだ。

(…も、もしかして下は『ふんどし』なのか!?)

931名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:41:45 ID:k/khMPqQO
「…あ!! 透視しようとしてるでしょ!!」

翔太の挙動不審を敏感に悟ったアリス・ティリアスが大声を上げた。なにしろ何百人…いや、何千人の美少女大乱舞だ。翔太の目には至福を通り越し、もはや戦慄に近い光景が映るだろう…

「あ、あれれ…」

ところが、『視姦獣』の不名誉な異名を持つ翔太の能力はなぜか発動しなかった。見事に合った動きで独特の振り付けをこなす『擬人おどり』の面々は、なにかまた特殊な法被でも着ているのだろうか…

「…へへん、視えないんでしょ!? やっぱりねー」

いつの間にか戻ってきた湯乃香は意地悪な笑みを浮かべて翔太の傍らに立っていた。なにか知っているらしい。

「…この世界は私たちの世界とはかなり遠い次元にあるからね…ま、いろんな法則とかだいぶ違うのよ。」

「…そ、それより『擬人おどり』って何なんだよ!?」

照れ隠しのような翔太の質問にアリスも頷く。いかなる民族音楽とも異なった心浮き立つリズムは、すでに先ほどから二人に無意識で小さなステップを踏ませていた。

「…うーん、説明が難しいんだけどね、限りなく抽象的な存在である彼女たちが、たまには一堂に会して実存の喜びを全身で表そうという…」

…また、なんだかよく判らない説明だったが、湯乃香と出逢ってから数え切れぬ珍妙な経験を重ねてきた翔太は、踊り続ける彼女たちから好ましいエネルギーを十二分に感じていた。要するに、一緒に踊りたいのだ。

「…とりあえずみんなで楽しく踊ろう、って集まり?」

アリスの解釈は正解だろう。湯乃香の話では彼女たちは色エンピツだったり、離れ小島だったりするらしいが、五体を沸騰させる情熱のダンスにそんなことは関係ない。

「…まあ、そんなとこかな…いちおう私も実行委員のひとりなのよ。」

932名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:43:31 ID:k/khMPqQO
振り付けは難しくなかった。なかにはアドリブで抜群にキレる腰を見せ、周囲の喝采を浴びる者もいる。たまらず踊りの輪に飛び込んだ翔太は、すぐにコツを修得して大声で湯乃香たちを呼んだ。

「来い来い!! 面白いぞ!!」

「…踊りましょうか、湯乃香ちゃん?」

「…いやあの、私たちは打ち上げ大宴会の予約取りに来ただけなんだけどね…」

…そんなわけで、とりあえずみんなでdance!! dance!! dance!!


終わり

933名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:45:32 ID:k/khMPqQO
以上で〜す
失礼しましたぁ

934名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:52:46 ID:1bCDmokUO
例のスレか、俺は見てないんだよな…見てみようかな…

ってなるのがシェアワの良いところ。乙です〜

935名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:52:53 ID:/TYtIJcw0
次は擬人娘達の温泉騎馬戦ですね
わかります
ていうか何千人てwドンだけの規模ですかw

936名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 22:54:11 ID:1oHqA4cE0
投下乙
擬人化スレの面々と一緒に踊りなんて、本当に天野君はうらやましいぜ

937名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 23:09:08 ID:1bCDmokUO
ところでみんなは何か要望みたいなもんある?俺は???界の名称を決めたいんだけど

938名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 23:17:36 ID:/TYtIJcw0
要望ねえ……
異形世界の第一次掃討から第二次掃討までを書いてみたいと思っているが
五人の学者の描写を描きすぎると、他の作者さん達と齟齬が出るかもしれない
まだ描いてないだけで、こういう構想を持ってるって人もいるだろうし

異形の学者達についてこういう背景を考えてるって人がいるなら
それを聞いて反映させたいです
難しそうなら、書かずに他の短編を投下するつもり

939名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 23:23:08 ID:1oHqA4cE0
>>937
あそこって『境の世界』って名前じゃなかったっけ。

940名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 23:28:51 ID:k/khMPqQO
『AFFA』
ガドちゃんは葦屋の末っ子ですが親に勘当されてるから、あまり五体系とは関連ありません。
鷲鼻なところが父親似くらいかと。

941名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 23:31:08 ID:1bCDmokUO
>>939
いやなんか???になってるからさ。境の世界でいいのかな?

方向性も決まってない世界だったから名称付けて方向性をわかりやすくできればな〜ってな。二個目の投下したのは俺なんだけど個人的に色んな世界の人間と電話でインタビューと称してミケとぶちみたいな漫才する世界とかだったら面白いなと個人的に思ってる。作者さんみたく灯ちゃんの日常書くのも良いけど。

>>938
ここは寛大なシェアワスレだから細かい事は気にすんな!って思ったけどそればっかりはさすがに聞いておいた方がいいな

942名無しさん@避難中:2010/06/02(水) 23:41:23 ID:1oHqA4cE0
>>941
なるほどね

うーん、灯ちゃんが主体だし『境の世界』でもいい気はするなぁ
あとは携帯電話でいろんな世界と話し合うから電話世界かな
いっそ○○世界から抜け出して『インタビューワールド』ってなのするって手もある

943名無しさん@避難中:2010/06/03(木) 00:07:06 ID:5WCaT9rw0
>>941
だよね、聞いた方がいいよね

>>942
いっその事あれだ、本すれにも聞いてみて
名称を募集するのはどうだろうか

深夜でレス反応が鈍くなってきたようなので、俺も撤退

944名無しさん@避難中:2010/06/03(木) 00:15:43 ID:a49Yzlh.O
それもそうだなー
とりあえず今日はこの辺にしとくかー

945 ◆mGG62PYCNk:2010/06/03(木) 11:15:50 ID:vssD73EkO
第一次掃討作戦辺りを書こうとしてらっしゃる方へ

平賀ですが設定を近いうちに投下します
あと安倍は姓持ちを出していますが5人の内の一人の安倍とはまったくの無関係です! と宣言

今外に出回ってて家に帰れないので両日中には無理ですが遅くても週末には!

感想とかもその時に

946ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:16:47 ID:BgcCBq6w0
対"アンク"編も佳境ということで、おさらいがてら、ゴミ箱の中の子供達の登場人物などをまとめてみました。
やっつけ仕事でいろいろと足りない部分もありますが、その点はどしどしご質問ください。

947ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:17:07 ID:BgcCBq6w0
【"子供達"ゲオルグ班】

ゲオルグ
 ゲオルグ班の班長を務める青年。
 やたらと尊大な物言いをしているが、実は生真面目で繊細な性格をしている。
 苦手なものは射撃。

ミシェル
 班ナンバー2で数少ない女性隊員。
 浅黒の肌にショートカットのナイスバディ。
 好きなことは人をからかうこと。
 女の武器を十分に生かして男達のうぶな反応を楽しんでいる。

ポープ
 大柄でいかめしい顔をした黒人。
 その実態はウサギ好きの内気で優しい青年である。
 喉はつぶれ、肺も弱いが"子供達"随一の射撃技能で実働部隊に在籍している。
 芝居がかったような大げさな身振り手振りを交えながら平滑でかすれた言葉を話す。

チューダー
 眼鏡にロン毛の典型的ギークな青年。
 趣味はオーバークロックと素数探索。
 押しが弱く影が薄い。その点についてはもう諦めてる。
 班の通信担当。

ウラジミール
 髭と筋肉をこよなく愛するガチムチ親父。
 でもアレックスに次いで2番目に若い年齢をしている。
 班のブリーチャー担当で破城槌とか指向性爆薬とかを背負いながら任務をこなしている。

アレックス
 ゲオルグの付き人。
 ノリの軽いひょうきんな性格をしており、
 端正な外見も相まって班のマスコット的存在になっている。

ゲオルグ班兄弟序列
ゲオルグ>ミシェル>ポープ>チューダー>ウラジミール>アレックス

948ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:17:34 ID:BgcCBq6w0
【"子供達"別班、その他】

ニーク
 子供達最高指揮官。
 かつて"子供達"が鉄砲弾要員だったころの生き残り。
 後頭部まで毛髪が後退した禿頭を斜めに横切るアイパッチがトレードマーク。
 持論は"血こそ金なり"。

テオナール・ジョルジュ
 子供達訓練教官。元自警団第2課強制執行部隊出身。
 ゲオルグ曰く傲慢で独善的な人間

ダニエル
 ゲオルグとは別の班の班長。ゲオルグの兄に当たる人物。

ヒカリ
 ダニエル班の鉄オタ三人集の一人

國哲
 ダニエル班の鉄オタ三人集の一人

クモハ
 ダニエル班の鉄オタ三人集の一

949ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:17:48 ID:BgcCBq6w0
【聖ニコライ孤児院】

エリナ・ペトロワ
 孤児院の院長をつとめる老婆

イレアナ
 ゲオルグ達の姉。
 穏やかでのんびりとした性格をしており、
 保母として孤児院の弟妹達の母親代わりを勤めている。

ローゼ
 孤児院の少女。
 幼いながらもしっかりとした性格をしており、
 おっちょこちょいな妹クララの世話係的存在。

クララ
 孤児院の少女。
 天真爛漫だがおっちょこちょいな性格をしており、
 姉ローゼに世話を焼かれている。

モニカ
 ゆるいウェーブを帯びたボブカットが特徴のハイスクールに通う孤児院の少女。
 陽気な性格をしており、ゲオルグからは年相応の落ち着きを持って欲しいと思われている。

ドラギーチ
 ハイスクールに通う孤児院の少年。
 ゲオルグ達の仕事について感づいており、そのためにゲオルグ達を毛嫌いしている。

950ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:18:10 ID:BgcCBq6w0
【アンク関係者】

スティーブ・ビコ
 "アンク"若手幹部。
 "アンク"の廃民街進出を取り仕切っていたが、"子供達"に襲撃され射殺される。

ロリハラハラ・ネルソン
 "アンク"元議長にして民兵組織"人民の銃"創設者。
 隠居生活を送っていたが、"子供達"のスティーブ・ビコ襲撃事件に対し弱気な"アンク"首脳部に対し激昂。
 "人民の銃"を動かし廃民街で銃撃事件を起こした。

サイガ・イズマッシュ
 "アンク"寄りの武器商。
 "アンク"と"王朝"との間の抗争を察知し、逃亡を企てたが失敗、"王朝"の手によって捕まる。
 その際"アンク"の情報を盾にニコノフの解放を要求し、現場指揮官のゲオルグによって受理される。
 その後"子供達"に恭順し、"アンク"についての情報を提供するが、"子供達"指揮官ニークの命令により殺される。

ニコノフ・アブトマット
 イズマッシュの助手を勤める少年。
 イズマッシと共に"王朝"に捕まったが、イスマッシュから情報を早急に引き出すことを建前に解放される。

951ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:18:25 ID:BgcCBq6w0
【施設、組織、用語】

"子供達"
 "偉大な父"直属の私兵部隊。
 一部の顧問、教官を除き、隊員は孤児によって構成されている。
 表向きは"ブラックシーヒューマンコンサルティング"という人材派遣会社名義で活動している。

"偉大な父"
 "王朝"の首領。

"王朝"
 "偉大な父"が首領を務めるマフィアの組織。
 廃民街を中心に閉鎖都市でも有数の勢力を誇っている。

"聖ニコライ孤児院"
 廃民街に存在する孤児院。
 ゲオルグを始め、"子供達"の人員の供給源でもある。

"アンク"
 "ホームランド"に拠点を置く左派政治結社。
 組織の腐敗が進み、マフィア化している。

"人民の銃"
 "アンク"配下の民兵組織。

"ヤコブの梯子"
 閉鎖都市政庁の俗称。
 閉鎖都市中心にそびえる政庁ビルが、天から伸びる薄明光線のように見えたことからそう呼ばれている。

"ホームランド"
 南西部に広がる住宅地の俗称。
 工場労働者用として整備されたが、不況により生まれた低所得者に占拠され、スラム化している。

"ユークレイン"
 北東部に位置する町。
 壁際なため土地に余裕のあるこの町では、環境保護団体と提携した有機農業が盛んに行われている。

952ゴミ箱の中の子供達@閉鎖都市:2010/06/03(木) 15:18:38 ID:BgcCBq6w0
以上です。

953 ◆69qW4CN98k:2010/06/03(木) 21:06:13 ID:5WCaT9rw0
・ゴミ箱の中の子供達
本スレの投下、乙です
全体的にダークな雰囲気ですね
色んな作風が読めるのは楽しい

>>いえ、こちらも端書きの構想段階でむしろ
設定を落としてくれた方が参考になります
ちなみに自分が考えている腹案としましては

・一次掃討から二次掃討の間で数々の異形を捕獲
 サンプルから魔素の抽出に成功
        ↓
 試作品数回を経て、小数ながらも製品化
        ↓
・第二次掃討作戦開始
 都市部近郊の異形掃討成功
 各地に居た大型の異形も撃破
        ↓
魔素、異形へのスタンスから五人の学者決裂
それぞれの道へ

こんな事を考えています
五つの理論に分かれたのか、これで納得出来るはずと思っています
何故異形が出現したのかは、憶測が色々噂されていますが
五人もよく把握していません

954 ◆69qW4CN98k:2010/06/03(木) 21:09:19 ID:5WCaT9rw0
ミスった……
>>945
いえ、こちらも端書きの構想段階でむしろ
設定を落としてくれた方が参考になります

とりあえず五人のスタンス

・安部
系体・・・異形の魔素含有率を変化させる事による封印と解放
     また、大気中の魔素を変化させる事によって生じる各現象

異形へのスタンスは中立
敵対する異形は掃討する、友好・中立な異形とは交渉
異形と共存する事によって、日本国の再生を目指す

・平賀
系体・・・魔素を新エネルギーとして着目、それを利用した機械工学

異形へのスタンスは中立
敵対する異形は掃討する、友好・中立な異形とは交渉
資源が枯渇、隔絶された日本に、第三のエネルギー魔素を使った
機械を量産する事により、日本国の再生を目指す

・小角
系体・・・魔素を人体に取り込む事による肉体強化
     外見が異形の様になったりする、ビームも出る

異形へのスタンスは根絶
日本の震災は異形が原因にあると信じ、異形根絶の道へ
変化した気象に耐えうる為、異形の組織を取り込む事などに忌避は感じない
人間がよりすぐれた「種」になってこそ日本国の再生があると主張

・玉梓
系体・・・文言として魔素を操る技術系体
     一定のワードと動作によって現象を引き起こす

異形へのスタンスは研究対象
ちょっと手こずる害獣と認識、益があればワードによって縛り、家畜として飼育
日本は荒廃してしまったが、事実を把握し、知識を共有する事で
皆で力を合わして復興していきましょう

・蘆屋・・・上記全てを含んだ、魔素の軍事利用

異形のスタンスは利用
震災によって全てが失われた日本だが、異形が跋扈するこの世界をチャンスと感じ
鎖国状態のこの国を一大実験場と考え、あらゆる研究を行う
人体実験、異種交配にタブーは無く、それを止める政府治安機関もないのでやりたい放題
異形を兵器として改造、魔素を使った新軍事、人体改造による肉体強化
日本の復興再生を飛び越えて、世界に覇を唱えられる様に画策


この様に夢想しています
こんなの考えてるんだけど、とかこうしたらいいんじゃ?
などという方いましたらお願いします

955名無しさん@避難中:2010/06/03(木) 21:19:44 ID:jg2CduKM0
ここまで明言されてないけど、自分の持ってたイメージとぴったりだ。
納得わくわくw

956名無しさん@避難中:2010/06/03(木) 21:56:37 ID:jg2CduKM0
そういえば正義の定義で、玉梓の魔女オールバケーションが「異形化する薬」を持ってた気がする。
と書いてみたものの、どうにでもなるような気もする。

957名無しさん@避難中:2010/06/03(木) 22:39:20 ID:rsJrcdbA0
>>956
ふえぇ…あれは系体関係なしに元々彼女の家系が薬物研究を中心としていて
科学技術と魔素的な技術をあわせて彼女が独自に編み出した産物
みたいなものです。異形になるということを重点に置いている訳ではなく、
毒物でも治療薬でも薬なら何でも扱います。
彼女の親は元々科学省(再生機関の大半の人間もいた)の人間で純化学派の人間
だったけど、魔素に興味を持って自ら魔素研究に流れていったという経緯があって。
したがって娘の彼女も薬師で戦闘は主にドーピングしまくって戦います。
一応玉梓の弟子って事になっていますが、彼女自身系体には
あまり依存していないみたいな感じで意外とどんな系体の技術でも使います。
みたいな感じです。まだ活躍してないキャラだけど今後も出す予定なので
後の詳しい事は本編で。一応これで問題はないはず…

958名無しさん@避難中:2010/06/03(木) 23:20:12 ID:0w6TQllMO
保管庫収録早ぇ・・・

959 ◆69qW4CN98k:2010/06/04(金) 22:12:11 ID:n66d85QQ0
まとめ人は恐るべき御方

こちらはまだまだ構想を練る段階なので
書き手さんが投下した設定に合わせて後付け設定しますです、はい

960名無しさん@避難中:2010/06/05(土) 00:16:37 ID:cmmD5MZo0
走り屋デュラハンで、オボログルマが魔素のおかげで華麗に魔物化したのなら……
奈良の機動大仏とか、平等院機動鳳凰堂とか、……ありなのか

961名無しさん@避難中:2010/06/05(土) 01:57:48 ID:AwxfR6x.O
これはどの設定をwikiにまとめるべきだろうか?
特に異形の各派閥のスタンスの辺り

962 ◆69qW4CN98k:2010/06/05(土) 12:58:49 ID:.2tzCVTM0
自分の書き込みを言ってるならまだ総意を取れてないので保留
本スレに投下された平賀さんの設定も、
作者さんが色々質問してくださいって言ってるし
設定云々はまだまとめない方が無難かな?

963名無しさん@避難中:2010/06/05(土) 13:01:07 ID:.2tzCVTM0
>>960
民から異形を護る為に、信仰の化身が立ち上がるか……
いいですね、夢がひろがりんぐ

964名無しさん@避難中:2010/06/06(日) 22:16:56 ID:ZEfK2Nko0
トエルの伺か
昨日ラジオで話がでてたんでうっかりネットワーク更新したら
作品紹介が甘味処繁盛記まで増えてたw

965名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 20:57:30 ID:sjgZjZfgO
ここまで静かなシェアワスレは久々ね

966名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 21:00:36 ID:35B7BqlY0
しかしたった今投下あったんだぜ!

967名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 21:13:53 ID:sjgZjZfgO
流石シェアワスレやで!今から読む

968名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 21:37:56 ID:5azu.1GoO
代理お願い↓

本スレ>>141
…この変化球っぷりが異形の懐の深さか…
二人が意外な形で再登場しても面白いねw


以上お願いします

969名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 21:38:48 ID:35B7BqlY0
まかせろ

970名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 21:39:09 ID:35B7BqlY0
言ってきた

971名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 21:45:52 ID:5azu.1GoO
アリガトス!!

972名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 22:26:44 ID:sjgZjZfgO
投下見た…俺もクズハちゃんペロペロしたいわ…

973名無しさん@避難中:2010/06/08(火) 22:38:27 ID:35B7BqlY0
味で人かそうじゃないか分かる彼等はきっとこう、なんか、っと、ともかくスゴイ方々なんだと思うんだ

974名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 21:50:25 ID:DUL.PVAM0
wikiを読んだ上で質問なんだけど、ここの地獄世界って
日本的な地獄観の中に『鬼』と『西洋的悪魔』が存在している
っていう受け止め方でいいんだろうか?
ぼんやりとネタのイメージがあるんだけど、それがここに合うのか
確認しておきたいもので

975名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 22:04:56 ID:GgbdG0R.O
>>974
シェアワスレはなんでもウェルカム
世界の設定なんてさほど固まってないんだからむしろ俺が設定加えてやるぜくらいの勢いで良いよ

976名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 22:13:16 ID:9mom9RjkO
世界各地域にそれぞれ『あの世』がある感じで、漠然とした日本の地獄を中心に『地獄百景』は進めています。あまり宗教的、伝承に忠実な設定は採り入れてませんが、どんな奇想天外な作品でも是非是非御参入のほどを!!

そして異形投下、出来れば代理お願いします。

977『AFFA』 ◆GudqKUm.ok:2010/06/09(水) 22:15:17 ID:9mom9RjkO

「…振り向かないで下さい…」

背中を突く鋭利な感触と対照的な、落ち着いた穏やかな声。葦屋我堂の背後を取れる者などそうはいない。暗い林に現れた蘆屋の追っ手はやはり恐るべき手練れだった。

「…遅刻した『外野』だな? こんだけ素早いのに、なぜ取引に遅れた?」

顔の見えぬ蘆屋の女は答えない。だが彼らと異国船の取引を台無しにして僅か数時間、疾風のごとく逃走した我堂を容易く捕捉した相手だ。振り返ればその瞬間、彼女の鋭い武器は我堂の心臓を深く貫いているだろう。

「…それにお前の声、聞き覚えがある。京都にいたか? それとも…」

「…喋らないで下さい。我堂…さま…」

離反者とはいえ、主たる葦屋一族の殺害を躊躇っているのか、彼女の鋭い武器は動かない。呼吸を整え、記憶の底から聞き覚えのある女の声を呼び覚ました我堂は、両手を挙げたまま静かに尋ねた。

「…もしかしてお前、『つう』か?」

「……」

彼女の変わらぬ沈黙で我堂の問いを認めている。『つう』…この名を口にするのは何年振りだろう。背後の刺客が彼女であるなら、任務とはいえその逡巡は当然だった。



『…ねえ、つうはどこからきたの?』

…暗殺、密約と裏切り、そして人体実験。掃討作戦前から延々とその血なまぐさい生業に明け暮れる蘆屋一族に生まれた我堂は、物心ついたときからずっと母を知らず育った。
だが、彼は決して不幸な少年ではなかった。万全に警備された小綺麗な子供部屋で、外界の子供たちが見たこともないようなピカピカの三輪車に乗った我堂の傍らには、常に優しい『つう』がいたのだ。
我堂より幾つか年上の彼女が、果たしてどこから来たのかは判らない。いつも白いエプロン姿で柔和な微笑みを浮かべ、我堂の我が儘に決して逆らわなかったつう。

978名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 22:17:06 ID:9mom9RjkO
…食事の世話、ボール遊びに鬼ごっこ。彼女が添い寝して読んでくれる絵本に、我堂は心躍らせながら眠りに就いたものだ。
あくまでも比較的な話だが、我堂が蘆屋一族のなかでは朗らかな性分に育ったのは、つうの温もりに包まれて育った幼い日々のせいかも知れない。
献身的な『姉や』であった彼女が乳母の仕事だけでなく、幼い我堂には決して見せなかった妖しい力で彼の護衛も兼任していたことに気付いたのはいつだっただろう…

『…つうは我堂坊ちゃまのお世話をするため、御伽の国から参ったのですよ…』

そして、ある日突然いなくなったつう。おそらく別の任務に就いたのだろう。
すでに一族の歩む昏い道に足を踏み入れていた我堂は、周囲の誰にも彼女の過去と今を問い質すことはしなかった。
顔見知りの失踪など詮索すれば周囲の者を苦しめるだけ。いつしか蘆屋の常識を疑問にすら感じなくなっていた我堂。彼はつうを『いなかった』ことにして生きてきたのだ。
だが、今でも我堂は時々つうの味を真似たクッキーを焼いてみる。懐かしく、でも何かがほんの少し違う味。それだけが姉のように慕った彼女と我堂を繋ぐものだった。



…朝靄に煙る林のなか、彫像のように佇んだ二人の周りに幾つかの殺気が集結してくる。つうと共に任務に遅刻した蘆屋の殺人部隊だ。彼らは息を潜め、つうが裏切り者を刺し貫く瞬間を待っていた。

「…動かないで…下さい…」

まるで懇願するようにつうが囁く。しかしその細い声音とは裏腹に、我堂の背中を抉る切っ先はじりじりとその力を強めている。追憶など過去の遺物。我堂とつうの心には全く同じ葛藤が暴れ回っている筈だった。

(…くそっ…こりゃ『鎌鼬』の出番か…)

979名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 22:19:22 ID:9mom9RjkO
一見無防備に見える我堂の背中は、真後ろの敵を瞬時に切り裂く『鎌鼬』の呪式をペイントしたレザージャケットに守られている。
蘆屋を出奔してから、苦労して安倍系の術者から学んだこの技は、ずっと後ろを守る者を持たぬ我堂の誰も知らない切り札だ。
思い出を断ち切り、先に蘆屋らしい非情な刃を振るった者が生き残る…しかし我堂の薄い唇は、もう何度となく喉までせり上がる『鎌鼬』の起動呪文を呑み込んでいた。

「…何故…貴方が取引の妨害を?…」

「…ま、いろいろあったんだ。まさか蘆屋が絡んでるとは知らなかった…」

曙光射す林に濃密な殺意を振り撒く処刑部隊は、つうの小さな指示でその動きをピタリと停めていた。しかし隠し切れぬ彼らの苛立ちは、指揮官たる彼女への明らかな不信に違いない。

「…つう様、速やかに始末を!!」

不遜な雑魚の台詞に舌打ちした我堂は、彼ら『外野』が取引に遅刻したのは、何らかの方法で自分の乱入を知ったつうの計らいであることを確信した。
そして、刺客たちがお互い、常に油断なく猜疑の眼を注ぎあうのが蘆屋の流儀だ。たとえこの隊の指揮官がつうであっても、もはや時間稼ぎなど通用しない。

「…動かないで…我堂坊ちゃま…お願いです…」

もはや悲痛な囁き。つうと我堂、どちらにとっても空しく苦悩に満ちた時間だけが流れる。長い空白の歳月を経た二人は互いを信じ、力を合わせこの窮地を共に逃れるだけの絆をもう持ってはいなかった。

(…所詮…俺もつうも、蘆屋の人殺しなんだよな…)

…信じるのは己の力のみ。強靭な生への欲求が我堂の心を修羅に変えようとした刹那、彼女の震える鋭い刃もまた、我堂の背をグサリと穿っていた。

980名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 22:22:24 ID:9mom9RjkO
「窮奇…招来!!」

我堂の口から迸る招魔の絶叫。冷たい痛みを背中に感じながらも、ある種の恍惚と共に彼は背後のつうに向け『鎌鼬』を放つ。かつて姉弟だった二人の再会と訣別は、高く哀しいつうの悲鳴で終わった。

(…許せ…つう…)

そして倒れたつうを振り返ることなく、我堂は押し寄せる刺客たちにその牙を剥く。つうに刺された背中の傷は浅手だったが、その鈍い疼きはただ我堂の心をどす黒い憤怒だけに染めた。

「…全・員…殺・す!!」
解放された鎌鼬は耳障りに軋みながら、木々の枝ごと刃向かう敵をすっぱりと切断する。我堂の鉄棒の重い唸りも、いつになく残忍にその音と重なる。
瞬く間につうの配下であった異形の力を持つ戦士たちは叩き潰され、ずたずたに切り裂かれて曙光射す松林に散らばった。


「…つう…」

虚ろな静寂が戻った松林に眩い朝の日差しが落ちる。殺戮を終えた我堂はその悲しげな瞳をそっとつうの亡骸に向けた。木漏れ日に舞い上がる、純白の羽毛。
生涯を蘆屋の忌まわしい規律に縛られ続けたつう…美しい鶴の異形は、その本来の姿で息絶えていた。

「…そ、んな…」

跪いた我堂を絶句させたものは、つうの朱に染まった異形の姿ではない。血に濡れた細い嘴の先に、彼女がしっかりと咥えている小さな電子機器。それは…

(…畜生…なんてこった…)

天衣無縫の無頼漢を気取る我堂の居場所など、蘆屋一族はいつでも把握していたのだ。もう、つうに詫びる言葉すら我堂には思い浮かばない。
おそらく産まれたときから我堂の体内に埋め込まれていたであろう発信機は、まるで不吉な黒い虫のようにポトリ、とつうの嘴から零れ落ちた。


つづく

981 ◆GudqKUm.ok:2010/06/09(水) 22:23:37 ID:9mom9RjkO
投下終了。微妙ですが一部『よくある話』を参考にさせて頂きました。


つう
(つう)
女/年齢不詳
かつて蘆屋我堂の乳母であった少女。鶴の異形に変化する能力を持つ。
出自は不明だが『御伽草子郎』なる怪人物の手による改造人間の一人と推察される。

982名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 22:55:47 ID:DUL.PVAM0
お二方回答ありがとう
とりあえずまずはネタを形にしてみることにするよ
奇想天外なんていうほど奇抜なネタは書けないがw
それと代行行ってきますね

983名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 23:08:12 ID:DUL.PVAM0
代行いってきました

984名無しさん@避難中:2010/06/09(水) 23:12:28 ID:9mom9RjkO
有難うございました!!

985名無しさん@避難中:2010/06/10(木) 18:53:38 ID:JyFFOZFc0
タバサをもふもふしたい
おなかなでくりまわしたい

そんな私を淫乱だとののしるかね?

986名無しさん@避難中:2010/06/10(木) 20:30:20 ID:FO556odI0
いいや、兄弟……私も同じ気持ちだよ

987名無しさん@避難中:2010/06/11(金) 10:06:40 ID:v.2eYYsA0
クズハたんで同じ事をしたら……

988名無しさん@避難中:2010/06/11(金) 10:51:19 ID:dq3P3Zq20
クズハにすると犯罪になるから信太主モードのキッコに同じ事をするぜ!

気位高そうだからモコモコ、いや、ボコボコにされそうだが

989正義の定義:2010/06/11(金) 20:46:29 ID:XLIaso/w0
あんなに時間おいて投下したのにさるさんあばばばばあばあばあばあばばば
以下投下内容↓


 「来やがれ!生身で英雄に挑むなんざ無謀だっつーこと、教えてやる」
 炎堂は銃剣を向ける。剣の部分で照準を定め…引き金を引く。ドカン。弾がオールバケーションに向かって飛んでいく。
 「引き寄せ☆ぎゅっぽん!"詠唱開始・[spellstart/mist=30 Tw...0.19~]Vmeste tyazhesti iskazhaet 1[end]"」
 対してオールバケーションはトイレのギュッポンをかざし、不思議な言語を口にする。
 するとギュッポンの周りに光の輪ができ、弾丸はそれに吸い込まれるようにして引き寄せられ、ギュッぽんの前まで
来たところで静止。ポトリと落ちる。
 「どうよ!古き科学の遺物では、魔術も科学も兼ね備えた天才の私に敵う訳ないわ〜?」
 「あ?その程度で調子にのんじゃねーぞ?」
 「じゃあこんなのは…どうかしらぁ!!」
 オールバケーションが取り出したるは、また別の薬品の入った注射器。それを注射すると…なんと彼女の姿は
みるみる薄くなり…最終的には消えてしまった。
 「"インビジブルドラッグ"姿を消す薬よ…私の姿、見えるかしらん…?」
 「ほーお、確かに"姿"はみえねぇなぁ…」
 「さぁ、リンチタイムだ!!」
 「だがなぁ…」
 「!?」
 炎堂は自分の背に銃口を向け、発砲する。
 「…サーモグラフィーってやつかしらん…?」
 「そうだ。てめぇの体温をゴーグルが捉えてたんでなぁ…」
 オールバケーションは炎堂の後方に姿を現す。その顔の頬には綺麗な一本線の傷が出来て、血を滴らせていた。
 「ふん、私の力はこんなものじゃない…悪の組織に負けてたまるもんですか」
 「バカ言え、悪はどっちだ?この事態を引き起こしたのは…どっちかなぁ?あん?」
 「ならば黙っていろと言うのか?弱きを見捨てるのが正義か?ふざけんな!正しい人間はいつも少数派で、
誰かが手を差し伸べてやらんといけんのじゃ!それが信義!正しきことに助力は惜しまんのが仁義!
大切なものを守る大義!お前らの悪事はもうとっくにお見通しだぜよ!ってやばい地ががが」
 「…ガキの発想だな…」
 『"エナジー""ブレードライフル"』
 銃剣の銃口に光が集まる。
 「そう軽々と義だとかなんだとかを語んじゃねえ…いくらご立派な考えを持っていようがなぁ…死んだら、意味ねえだろうが…!」
 「…っ!」
 程なくして放たれる光の弾。オールバケーションの体など簡単に飲み込んでしまいそうな大きさの光の玉を、
彼女は何やら怪しげな薬を使い回避するようだ。
 薬品を注射したオールバケーション。その姿は一瞬にして消失する。かと思えば、10m程離れた場所で膝をついて
いた。
 「"瞬間韋駄天丸(1秒ウェイト付き)"…5秒高速で動ける代わりに1秒動けなくなるのが玉に瑕…」
 「さっきから猪口才な、いい加減にしやがれ!」
 「お次はこれよ…はあぁッ!」
 オールバケーションの拳が青白い光に包まれる。高密度の魔素だ。
 「なんだぁ…?」
 「魔素の膜で覆った拳よ…あたったら…痛いわよねぇ〜?」
 「おうおうおう…全然魔法少女じゃねえなおい…」
 「"麻"法少女よ!!」
 地を蹴り、弾丸のごとく突っ込み、炎堂に急接近するオールバケーション。筋力バーストポーションによって
強化された筋力に加え、魔素に覆われた重い拳が炎堂に襲いかかる。拳の青く光る魔素の残光が、彼女の進む軌道を描いた。
 炎堂は内心感心していた。生身でここまでやれる人間がいるとは…思いもしなかったためである。
薬剤で自身を強化し、魔術で攻撃。様々な系体の魔術を使ってくる上、戦法も千差万別。一つを習得するのにも
相当苦労するであろうにも関わらずこの若さ。炎堂は危惧する…もしかしたらこいつは本当にとんでもない奴なんじゃないか…と。
 「せいせいせいせいせーい!!」
 「チッ…なかなかやるじゃねぇかクソにしては…!」
 猛ラッシュ、オールバケーションの拳の応酬。炎堂は一撃一撃を見極め、かわし、受け流す。右ストレート、アッパー、
お次は首を跳ね飛ばす勢いで放たれる裏拳だ!それを炎堂は首を低くして避けた。チャンス!裏拳後の隙を見て炎堂は攻勢に出る。
 「そこだァ!」
 だがしかし、ここぞというところで足が動かない。何かがおかしい。右足に力が入らないのだ。
 「ふ…動かない?そうでしょうね…あなたの右足に微量の痺れ薬を注射しましたわ」
 「いつの間に…?」
 「アッパーの時…予備動作の際にこっそり…感覚はないでしょう?麻酔もはいってるからねぇ?」

990正義の定義:2010/06/11(金) 20:47:13 ID:XLIaso/w0

 「とはいえ、微量だからすぐ解けちゃうけどねぇ〜?」
 その言葉の通り、炎堂の右足の不自由はすぐさま解消された。炎堂も流石に今の無駄の無い攻撃に、
冷や汗を吹き出さずにはいられない。一体この少女はどれだけの技能を有しているのか、底が見えない。
 「クソが…!」
 「どうかしらん?あなたではこの天才秀才人類の宝である私にかなうはずないんじゃなくて?」
 「ほざけ。英雄が負けるわけにはいけねぇんだよ…」
 「はあはあ、そーですか。じゃあ、あなた方の護衛している森喜久雄がどういう人物か教えてあげましょうか〜?」
 「…」
 「森喜久雄…第一次掃伐前はヤクザの若頭…異形出現の混乱に乗じて自治区を牛耳る長にまでのし上がった男…
だがその実態は裏で外国に通じ、何やら良からぬ取引をしたり、黒い噂も絶えることが無い裏社会の雄…
そんな男を野放しにする訳にはいかないのよ。今回の騒動にたまたま乗った形になったけど、私の目的は
"森一派"の根絶!そいつらに味方するなら、あなたも悪よ?それが事実!」
 ビシィ!っと確固たる事実を突き付けると共に炎堂を指差すオールバケーション。その顔は自信に充ち溢れ、
己の言葉に間違いはないと言わんばかりのどや顔であった。
 「はぁ…これだからガキは…何が悪だ」
 炎堂は呆れきっていた。これが若さか…と。誰しも若かりし頃は幼稚な持論を持っているものである。
炎堂は、この手のタイプの人間が一番嫌いであった。額に血管が浮かび上がっていく。ただでさえキレやすい
炎堂の頭に下半身の血液を全部持っていく程の勢いで血がのぼる。
 「この世はなぁ…善悪で片付けられる事なんざ…そうねぇんだよ…」
 「…どういうことかしらん?」
 「ヤクザだろうがなんだろうが…この街がここまで復興発展したのは…他でもねぇ森喜久雄のおかげだろうが」
 「!」
 「裏でキタねぇこともやってるだ?それがどうしたってんだよ。綺麗事だけじゃな、世の中やってけねぇんだよ。
昔からそうだろうが…裕福な国の人間が、好きなモン食って寝て生きてられんのは、その分どこかの国が
ひもじい思いをしなきゃなんねー。何かの犠牲の上で平和っつーのは成り立ってんだよ!」
 「犠牲の上での平和…確かにそうかも知れないわね、でも初めから手すら差し伸べないのは間違っているわ!」
 「なら何か?仲良しごっこでハラは膨れんのか?あぁ?俺はな、奴がどんなに汚いことを裏でしていようが、
それが住んでる人間の為になるっつーなら、悪いとは思わねぇ、平和の代償だと思えばいい。俺はそんな森よりも…
力任せにゲリラ戦まがいの犯罪行為を働き、人々を苦しめる連中のほうが圧倒的な悪だと思うがなぁ…違うか?」
 「ふん!悪の組織の考えに耳を傾ける私じゃないもの。いいわ、貴方を本気でやっつけてあげる、キング!」
 炎堂の言葉に、オールバケーションは全く聞く耳を持たない。いまここに存在するのは、正義と悪ではなく、
正義と正義であった。
 「ピギャー」
 皇帝ペンギン、キングがオールバケーションの元へと駆け寄る。
 「いくわよ!変身!」
 「変身だぁ!?」
 白煙弾を地に投げつけ、煙におおわれるオールバケーション。辺り一面に煙が充満する。
煙が気管に入り咽る炎堂であったが、オールバケーションの影からは目を離さなかった。オールバケーションの影に
変化は…みられないように見える。炎堂は「ほんとに変身したのか?」と疑ってしまうほど変化がなかった。
 数秒間の後、煙が退くとそこには、先程と変わらぬ姿のオールバケーションがいた。ただ…
 「…なんも変わってねーじゃねぇか…」
 「よく見なさいよ、横を!」
 「ん…?あ…?」
 蒼い肢体。岩石の如く強靱で盛り上がる筋肉。その様まさに山、筋肉造山帯がオールバケーションの横に存在していた。
 12等身はあるのではないかというその体、よく見てみると心なしか、ペンギンのようにも見えなくも無い。
 「って変身したのそっちかよ!」
 「thisway…」
 「私が変身したら変身ヒロインになっちゃうでしょ?じゃあいくわよ!」
 「……これは酷い」

991正義の定義:2010/06/11(金) 20:49:10 ID:XLIaso/w0
―――…

 ビル1F、大広間。
 無機質な大理石でできた灰に近い青色の壁に囲まれたこの空間で、トエルは侵入者と対峙していた。
レーダーで何者かが近づいてきていることはわかっていたが、その正体がまさか…タケゾー達だったとは
思いもしなかっただろう。
 「ふぇ!おやおや、タケゾーにカナミにかりんじゃないですか。いったいどーした?」
 「お前こそ…何でこんなとこにいんだよ…」
 「…そりゃおまえ、このビルのえらーいひとをごえーするためにこうやってここにいるんですし!ふぇふぇ」
 だからと言って、トエルのすることに変わりはない。侵入者を阻み、要人を護衛するだけ。それがいかなる相手であっても。
  「そうか…お前…あいつらの仲間だったのかよ…」
 タケゾーはそう言って腰の刀を抜く。彼からしてみれば、酷く許しがたいことだ。
事情を知っていて、トエルは森側に付いているのだから。
 「ふぇ?なかま?よくわからんけどがそーゆーのじゃないですし。というか、はものをむけるのはやめてください」
 「うるせぇよ…友達だと思ってたのに…嘘だったのかよ…!」
 「?…ともだちじゃないの?ふぇふぇ」
 「友達なら…黙ってここを通せぇ!!」
 「それはできないですし」
 冷たく言い放つトエル。彼女は機械、目的に忠実な心無き使徒。
 「ふぇ!ともだちだからといって、はんざいこーいをみのがすりゆうにはなりませんし」
 「お前…一体なんなんだ…?」

 「"えいゆう"です。12えいゆう…HR-500・トエル」

 それが、トエルというモノの正体だった。タケゾーの脳裏に昨日過ごした事がフラッシュバックする。
記憶の中の自分達は皆笑っていた。気兼ねなく、友達だって、言えたはずなのに…今は…
 タケゾーは考えるのをやめた。ここから情は邪魔なだけ。大切なものを守る為に、かつての友を斬るなど、
まだ14歳程度のタケゾーには荷が重すぎるはずなのに。
 (それでも…やらなくちゃいけないんだ…!)
 「…そうかよ…おい、カナミ…」
 「何…タケゾー…」
 「お前、火燐連れて先に行け」
 「は?」
 「こいつは…俺がやらねぇと気がすまねぇー!!だから行け!」
 「そんな…タケゾーを一人になんて出来ないって…」
 「いいから!!」
 タケゾーはカナミの背中を突き飛ばし、火燐は突き飛ばされたカナミの手を引っ張っていく。
それを見計り、足止めするべくトエルに刀で斬りかかるタケゾー。
情は捨てた。目の前に居るのは討つべき敵だ。迷いはなかった。迷っている暇などなかったから。
 …そんな少年のの瞳からは涙がこぼれていた。友に対する憐憫の情までは殺し切れなかったのだろう。
 「トエルゥゥゥ!!何でお前はァァ!!」
 「…ふぇ、ふりかかるひのこはふりはらわねばなりませんし」
 『"ジャンクション""ダブルセイバー"』
 双剣を出現させるトエル。彼女にためらいはない。

 〓AI思考開始...
Mission:要人護衛(クライアント・森喜久雄)
Object:侵入者(personalname・屋久島タケゾー)=異形ではない《生命の優先》
                                          ⇒戦闘不能処理
qes...侵入を許した¬
           人数:[2]が奥へ侵入.........対象の早急な戦闘不能が必須▼
優先度;
 生命>Mission
        ...人体の損傷率の引き上げによる効率の優先⌒Mission遂行との両立▼

 A,身動きを取れなくするor拘束?

 〆

 「ふぇ!しこーかんりょー!」

992正義の定義:2010/06/11(金) 20:50:32 ID:XLIaso/w0
………………

 「うりゃあ!せいやぁッ!」
 「ふぇ!あくびがでるぜ」
 剣術の心得があるというタケゾー。だがトエルにとってそれはお粗末なものでしかなかった。太刀筋は簡単に読める
上に刀を振る速度も遅い。尤もこれはトエルにとって…という意味で、決してタケゾーの剣術が拙いという訳ではなかった。
 「くそっ!」
 「ふぇ!」
 タケゾーの中段、横からの胴抜き。トエルは軽々と飛び上がって身を翻し、背後に回りタケゾーの背中に一撃を与える。
 激痛。タケゾーの背中に血が滲む。じわじわと痛みが広がる。泣き言を吐いてしまいそうな口をきつく閉ざし、
タケゾーは尚もトエルに挑む。彼は自分とトエルとの実力差を痛感していた。剣術の模擬戦などではない、
真剣勝負。気を抜けば、腕一本持っていかれてしまうプレッシャー。
 「くぅ!はぁ!!」
 「ふぇ!もうあきらめろ。こどもはおうちでぬくぬくとおんしつやさいのよーにそだっていればいいですし」
 背水の陣で臨むもトエルに刃は届かない。追い込まれるタケゾー。そんな彼に援軍が現れる…!
 「やあああぁぁぁぁッッ!!!」
 「!?…カナミ…?」
 先に行った筈のカナミが戻ってきたのだ。彼女は炎の魔法をトエルに放つ…のだが…
 「ふぇ!しょせんはこどもだましですし!」
 『"ガード""ウォール"』
 薄い円形の膜がトエルを中心に広がる。防護壁によって炎の魔法はかき消された。
 「カナミィ!!」
 「タケゾー!生きてたんだ!」
 「勝手に殺すな!!つーか、何で戻ってきやがった!!」
 「言ったでしょ!タケゾーを一人にしないって!それに二人なら…この逆境も乗り越えられると思ったから!」
 「へへ…馬鹿だなぁ…お前…」
 再会の喜びに浸る二人。それも束の間、カナミとタケゾーはトエルを見据える。
 「ふぇ!こりないなおまえら!ふぇ!ふぇ!」
 トエルは双剣の剣先を二人に向ける。キラリと刃が光る。一層引き立つ威圧感が、タケゾー達に降りかかる。
 「なぁ、トエル…もう…お前と昨日みたいに笑いあうことって、できねぇのかな…?」
 タケゾーはこれが最後のチャンスだとトエルに訪ねる。
 「そんなことないですし。いまかれひきかえせばいいだけ、ふぇふぇ」
 (まぁ…こういう答えが返ってくるだろうなとは思ってたけど…これで決心がついたよ)
 「そうかもしれないなぁ…でもよぉー…もう俺達は戻れないとこまできてんだ」
 「ふぇ?」
 「だから…倒させてもらうぜ…お前をッ!!」
 タケゾーは注射器を取り出した。オールバケーションから渡された異形の力を得る薬だ。タケゾーは腕を捲り、そして…針を刺す。
 「うおおぉぉおぉおぉぉぉぉぉおおおおおおッッ!!!』
 先程まで迷いのあった少年は消え、現れた修羅の獣。
 『トエル…おれはぁ…お前を殺してでも…先へ進む!!』
 「…いぎょー…」
 『"異形感知。セーフティーモード解除。対象を殺傷相当と見なし、実行レベルを上げます"』

 後戻りはできない。狂った旋律…それを正す術など…ありはしない。

 『カナミ!!魔導剣だ!!』
 「うん!わかった!」

 タケゾーの刀に宿る、業火の炎。彼の意志の強さに比例するように強く、強く燃え盛る。

 「ふぇふぇ。もうそろそろらくにしてあげますし!」
 『"ブレイブ""ダブルセイバー"』
 『きやがれえええええええッ!!』
 
 対峙する二人。一太刀が勝負を決める。

993正義の定義:2010/06/11(金) 20:51:13 ID:XLIaso/w0

―やめて!!―

 そんな声が、トエルの頭に突然響いた。この場に居る誰のものでもない。正体不明の声。
 (またこのこえ…)

―あなたは、今…取り返しの付かないことをしようとしているよ?あの子は友達なんじゃなかったの…?―

 (そんなのかんけいありませんし。わたしはほうとちつじょにしたがうのみです!ふぇふぇ)

―それでいいの…?あなたh…―
 『"エラー”経絡部に異常アリ。問題部の接続を一時的に切断し、動作をマニュアルに切り替えます』

 声は聞こえなくなった。トエルはただ、目の前の異形を排除することだけを考える。

 「ふぇ!しししてしかばね!」
 『…ッ!!』

 同時に斬りかかるトエルとタケゾー。刹那一秒間の世界。トエルの双剣は異形となったタケゾーの体を斬り裂く。
 正中線に沿い、綺麗に入った切れ目から、ドバっと大量の血が吹き出す。返り血がトエルの服にかかった。
血の匂い。膝を折り地に伏す異形。トエルにはそれだけの事実でしかない。
 
 「ひろうものなし…!!」

 「タケ…ゾー…う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
 今度はカナミも異形となった。黒く禍々しい獣の体。トエルはそれを討伐するため再び双剣を構える。
果たしてそこに、情はあったのだろうか?機械であるトエルにはそもそも情など存在しないのだろうか?
 ただ一つ、言えることは…トエルは異形となったカナミを、何の躊躇もなく切り捨てるだろうということであった。
トエルは定められた法と規則に忠実。人の命を狙う”異形”はたとえ誰であれ、倒すように"作られている"。

 「ふぇ!」
 『がッ…ぁ…』

 カナミはトエルに襲いかかるも、返り討ちにされた。力なく倒れこむカナミ。横たわるかつての友を横目にトエルは、
逃した火燐が居るであろう屋上への道を進む。死を尊ぶ間など無い。トエルは死後のことなど考えないのだ。


…機械に死後は存在しないから。


 (わたしは、ともだちができで、うれしかったのでしょうか?)
 (わたしは、タケゾーたちとであい、ふれあうことが、たのしかったのでしょうか?)

 (いまとなっては、それをたしかめることもできません)

 機械は悲しまない。彼らが死んだという事象は、ただの一データとして保管されるだけなのかもしれない。
 (それでも…あのときだけは…)

…ふつーのしょうじょして、わたしは『有った』のかもしれない。

 (…なんてね。きかいはきかいでしかないですし)

 機械に意思は存在しない。ただひたすら、プログラムに忠実で、自己がない。確固たる行動理念が無ければ、
機械は働く事ができないから。動く事ができなくなるから、機械はプログラムに忠実なのである。

994正義の定義:2010/06/11(金) 20:52:21 ID:XLIaso/w0
―――…

 「ふぇ…これはひどい…」
 『お前は…!』
 屋上へと足を踏み入れたトエル。そこに有ったモノは、酷く損傷し、もはや原型をとどめていない人だった肉塊と、
一体の黒龍。以前トエルが見た幻の黒龍よりも二回り近く大きな、黒い霧を体中から吹き出す龍の異形。
綺麗なガラス細工のような龍のその瞳。トエルはその瞳に見覚えがあった。
 「ふぇ…あなたはまさか、かりん?…ずいぶんおっきくなったね!」
 火燐。あの、龍神族の彼女がまさかこんな大きな龍になるのにはトエルも驚いたが、だからと言ってトエルが恐れることはない。
 人を殺した異形は等く駆除すべし。トエルの核たる行動理念である。人を殺さなくても危険と判断すれば殺す。
人に害となるならば殺す。人間の為、国の為に動き、人々が平和に暮らせる未来の実現を原動力にする。トエルはそんな機械であった。
 『お前…タケゾーとカナミはどうした…?』
 「ふえぇ…わたしもそうするつもりはなかったけど、いぎょーセンサーがはんのうしちゃってその…しにました、ふぇふぇ」
 タケゾー達を殺したのは、異形センサーが反応してしまったから。しかし、タケゾー達は人を殺している。
さらにトエルの護衛する人物を殺そうとしていたのだ、これは当然の結果と言ってもおかしくはないのかもしれない。
そもそも殺さない理由が見つからないくらいだ。異形で、人を殺している。トエルにとっては疑う余地もないくらいの、
悪。たとえ元々人であり、彼女の友であったとしても…あの状況では"殺傷相当"であったのだ。トエルはそれに従っただけ。
 異形でなくとも、悪行を罰するのは当たり前のことなのだ。罰せられるべき罪なのだ。
 しかし今、この国にそれを罰するものはいない。…ならば我らがやるしか無い。法と秩序の元に…
それが、再生機関という組織の根本の総意なのである。平和と秩序を乱す異形達のことは絶対に許さない。
 『き…き…貴様アァッァァァアッァァアァアアアアアアッッ!!!」
 「ふぇ!しかしながらこれほどのにんげんをあやめたいぎょーをのばなしにするわけにはいきませんし!」
 刑罰の執行者に、個人的な感情は邪魔である…そういった点で、機械であるトエルは都合がいいのかもしれない。

 「だい12えいゆートエル!こうせいなるちつじょのもとに、おまえをとーばつします!」
 『"ジャンクション""デスサイズ"』

 大身の鎌がトエルの頭上に現れる。そしてそれをトエルは難なく手にとり、三回転振り回した後、刃を黒龍に向けた。

 『みんな死んでしまえばいい!!トエル!お前もな!!』

 火燐の悲痛な叫び。世界に絶望した彼女の怒りが目の前のトエルの小さな体にぶつけられる。
黒く、鞭のようにしなる火燐の尻尾が上空から振り下ろされ、トエルを襲った。
 「ふぇふぇ」
 『"ガード""デスサイズ"』
 電子音が鳴り響く。大鎌の前に展開される防護壁が火燐の巨大な尻尾を受け止めた。ものすごい重圧。
トエルの周りの床がひび割れ、一秒ごとにどんどん亀裂が広がっていく。このままでは押しつぶされてしまうと
トエルはしっぽを受け流し、攻勢に出た。
 「ふぇい!」
 『ぐぅッ!』
 火燐の巨体の側面にまわりこんだトエルは、その横っ腹を鎌で斬りつける。…苦痛に顔を歪める火燐だったが、
体には全く傷が付いていない。ダメージは微々たるものだろう。火燐はトエルを遠ざけたいのか黒光りさせる鋭い爪
の生えた腕をがむしゃらに振り回す。トエルはホバリングでスイスイと後退し、それを回避する。
 「ふえぇ…ぼうぎょりょくたかすぎ!」
 まるで鋼のような皮膚。あれほど硬いとなると、致命傷を与えるのはかなり困難だ。
 トエルはじっと巨竜、火燐の体全体見澄ます。弱点は…そう簡単には見つからない。
 冷たい風が吹く。両者は互いに睨みを利かせ、相手の出方を見る。風にそよぐトエルの金髪が止まった時、
それを合図に一機と一体は宙へと舞う。
 「ふえーい!」
 『ぎゃぁぁあす!!』
 すれ違い様に斬りかかり、刃を交える。虚空の空にガキンと、とんでもなく大きな知恵の輪が抜けずに
引っかかった様な音が一帯に甲走る。体積の差でトエルは力負けし、ビルの屋上へとたたきつけられた。

995正義の定義:2010/06/11(金) 20:53:16 ID:XLIaso/w0
 「ふえぇ…いまのはいたかった…いたかったぞーーー!!」
 『損傷率0.8%.動作に支障なし。目標の駆逐を続行します』
 しかし、叩きつけられた程度で壊れるほどやわな装甲じゃない。トエルはまだまだ余裕綽々。
 『"ジャンクション""ソード"』
 武器を変更するトエル。大鎌は光りに包まれ、第六英雄・北条院の武器、大剣へと姿を変える。
 調子を確かめるように大剣を一振り。トエルの華奢な体には少しアンバランスな気がしないでもないが、幼女に
大型武器というのはギャップ萌えの黄金比というヤツで。
 「ふぇ!かくご!」
 『"エナジー""ソード"』
 光が大剣に集まる。対峙する火燐に向け、眩く輝く大きな刃を振り落とす。剣先から漏れ出した光が斬撃となって
火燐に襲いかかった。その巨体故、火燐は俊敏な動きができない上、この特大サイズ。攻撃を当てるのは簡単な事。
 『ギャアアアアアアアアッ!!』
 斬撃は難なく命中。被爆箇所が煙を上げる。正直なところ、この程度では致命傷ではなさそうだ。
 火燐はすぐに反撃にうって出る。重い足をどしどしと動かし、圧倒的なビジュアルの下、今度はその大きな口を開き
トエルを噛み砕こうと接近する。危機を察知し、トエルは"ハイジャンプ"で空高く飛び上がる。
トエルの立っていた場所は火燐の大口によってえぐり取られ、床がだいぶ削れた。

 一進一退の攻防が続く中、トエルの頭の中を、再びあの声が支配する。

―もうやめてよこんな事!何の解決にもならないよ!―

 (ふぇ!このいぎょーをほうっておくというのはきけんです。いますぐやっつけなきゃ)

―…彼女は貴方の友達でしょう…?―

 (ともだちであろうとなかろうと、ひとをころしたいぎょーにちがいはありませんし)

―あなたは…それでいいの?友達を傷つけて…なんとも思わないの…?―

 (そういうふうに、つくられていますから)

―嘘。ホントはこんな事したくないって、思ってるはずだよ?そうじゃなきゃ、おかしいよ―

 (きかいにいしなどありません…わたしは…!?)

 トエルの視界がぐるりと逆さになる。火燐の尻尾で転ばされたようだ。思わず尻餅をつくトエル。それが命取りとなった。
 『シネエェェェェェェッッ!!!』
 「…ッッ!!」
 トエルの全身を、火燐の腕が圧し潰す。想像を絶する圧力をトエルはモロに受けた。
 『破損率63%.戦闘続行困難。メインCPUをシャットダウンしサブCPUのオート稼働に移行します』

************


 「…ふぇ?」
 そこは白い空間だった。物というものが一切排除された無の空間。空気さえもあるかどうか分からない、
限りなく広がるまっさらな白。どういう訳か、トエルはそんなところに立っていた。
 「…やっと、面と向かって話ができたね」
 「!?…だれですか?ふぇふぇ?」
 目の前に経つ、黒い癖毛の少女。背はトエルと同じくらい。
 「私はあなた。あなたの中に居る"私"だよ」
 「…にほんごでおk」
 「もう…私はあなたの中に入ってる精神だよ?」
 「ふぇ!?あー…いつもおせわになってます。ふぇ」
 トエルは丁寧にお辞儀をした。トエルが人間のように振る舞えるのは、彼女…精神のおかげ。感情をデータ化し、
引用することでトエルはさまざまな表情を見せることができる。…言ってしまえば、トエルは彼女の感情を
使っているに過ぎない。いつも見せている笑顔はトエル自身のものではないのだ。
 「そんで、なんのようです?いまなんかすごーくやばいじょうきょうなんですけど」
 「…あなたの、あなた自身の気持ちを知りたいの」
 「…?」

996正義の定義:2010/06/11(金) 20:54:08 ID:XLIaso/w0
 「そう、貴方の本当の気持ち。火燐ちゃん…あの子、本当に殺しちゃっていいの?」
 「しつこいですね。わたしのこたえはかわらないですし」
 「それはあなたの答えじゃない…プログラムが導き出した答えでしょ?そうじゃなくって…あなた自身が考え
あなた自身の言葉で伝える答えが知りたいの」
 「ふぇ…?」
 (わたしじしんの…こたえ…)
 「わたしは…わたしは、いぎょーでも、かりんは…なかよくできるとおもいました」
 「そうだね…初めて彼女と会った時…私がやめてって言ったの…ちゃんと聞いてくれたね」
 「やっぱりあのときのこえもおまえか!ふぇふぇ!」
 「だって、あなたならなかよく出来ると思ったの…だから」
 「…ありがとう」
 「へ?」
 「あなたのおかげでわたしはすこしのあいだですがともだちというものをもつことができました」
 「そんな…私はちょっとだけ貴方の背中をおしただけだよ…」
 「ともだちは、すてきなものだとわたしはしりました。ですが、やっぱりかりんはころします」
 「!?」
 「かりんはひとをたくさんころしたいぎょーです。ゆるすことはできませんし」
 「殺さなくても…生きて罪を償う事だってできるでしょ!?何が貴方をそんなに…」
 「わたしは…ひとびとをまもるためにつくられたえいゆーですし。かりんをほうっておけば、またたくさんのひとが…
しにます。ひとりでもおおくのひとをまもるのがえいゆーだから、ひとびとにきけんがおよばないようにするのが
えいゆーだから。…わたしはかりんをころします」
 「…答えは変わらないんだね?」
 「ふぇ」

 「じゃあ…最後に聞かせて。彼女は…火燐ちゃんは、今でも貴方の友達ですか?」
 「…もちろん!かりんもタケゾーもカナミもほむらも、みーんなともだち!」
 「…そう…よかった…」

 …悲しい…残酷だ…

 あなたはちゃんと"異形"じゃなくて"友達"と認識して、火燐ちゃんを殺すんだ…

 あなたは、それ以外の選択肢を選ぶことができないんだね…そう、"作られている"から…

 機械だから、友達のために泣くこともできない…そんなのって、酷すぎるよ…辛すぎるよ…

 「じゃあ、わたしはいきます。かりんをとめないといけませんし」
 「うん…私…ずっとあなたのこと見てるから…!どんな時だって絶対…あなたの苦しみは…私も共有する…!」

 あなた一人に、苦しい思いはさせないから…!


*************


 『トエル…流石にもう生きてはいないだろう…』
 「ふえ…ふえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 『!?』
 トエルを押しつぶした筈の右腕が何かに押し上げられる。トエルは確実に潰したはずだ、
にもかかわらず再び立ち上がるのは一体どうして?
 「またせたな…showtimeのはじまりだ!!」
 火燐の足を押し退け、再び姿を表したトエル。その体はボロボロで…
 『お前…顔が…』
 顔には亀裂が入って、僅かに中身が見えていた。
 『そうか…お前…人間じゃないのか…』

997正義の定義:2010/06/11(金) 20:54:55 ID:XLIaso/w0

――……・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 「火燐…」
 「どうした?焔…?」
 「さっき私…トエルちゃんの手…握ったでしょ…?」
 「?…うん」
 「あの子の手ね…とっても、冷たかったの…」
 「…ただの低体温じゃないのか?」
 「違う…そういうのじゃない…心の芯まで冷たいような…おかしいよね、トエルちゃんはあんなにいい子なのに…」
 「…?」

・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・……――

 『あの時の焔の反応は…そういうことだったのか…お前は…』
 「ちょっとダメージうけたけど…これくらいのハンデがちょうどいいですし」
 トエルはボロボロであるにも関わらず、強がってみせる。足はふらついているし、体中ヒビだらけ。
満身創痍であるのは火を見るより明らかだった。
 『もう…やめろ…何がお前をそこまで動かすんだよ!』
 「ほうが…ちつじょが…こじんの、みがってなちからにくっしちゃいけない…」

 「ちつじょがくっしては、『平和』なんてえいえんにやってきませんし!!」

 「えいゆーとは、それらをまもるためにあるのです。だからわたしはまけられません、とくにわるいいぎょーには!!」
 『トエル…!』
 「さあ、おわりにしましょう!」


 救いの無い贖いの戦いを!!


 (なんていったけど…しょうじきもう、げんかいですし)
 トエルの体は、次の一撃を繰り出すのがやっとの状態だった。一度の攻撃で勝負を決めなくてはならない。
 「それでも、やるしかない!ふぇ!」
 『"オーラ""ソード"』
 大剣が光り輝き、虹色の膜が剣先を覆う。トエルの精一杯、ありったけのエネルギーを剣に込める。
 「いきます!」
 思いっきり地を蹴り、特攻するトエル。一歩進む度に体の破片がこぼれ落ちた。
 『そんな体で…何が出来る!!』
 「ふぇい!まもるものがあるときのえいゆうのつよさにはなぁ、じょうげんがないものなんだよぉ!ふぇ!ふぇ!」
 『なにを!』
 火燐はトエルの体をその爪で貫こうと左腕を突き出す。だが当たらず、ならばと今度は右腕!
 「ふぇーい!」
 『!?』
 体をくるりと一回転させて、掠りつつもぎりぎり回避するトエル。火燐との距離はそう無い。トエルは大剣を振り上げ
渾身の力を一撃にかける。
 「これで…おわりだぁ!!!!」
 振り下ろされた大剣。そこから放出される虹色の光柱。
 『ぐあぁぁっぁぁぁっぁああああああ!!!!』
 火燐の体が虹色の光りに包まれた。みるみる姿が消失していく。
 「く…!」
 大剣を振った時、トエルの片腕が大破した。握っていた大剣があさっての方向へ飛んでいく。

 「おわり…ましたね…」

998正義の定義:2010/06/11(金) 20:55:49 ID:XLIaso/w0
―――…

 「ふぅ…大体片付いたな…全く、…」
 「青島先輩、あれ」
 「ん…?」
 裳杖と青島は見る。ビルの屋上に輝く虹色の光を。

―――…

 「…あれは…くく、そうか…」
 武藤は何かを悟ったように呟いた。その光は、戦いの終わりを告げるものであった。

―――…

 「わたしは…わたしは…!」
 ―人間を殺した人殺し!
 逃れられない罪の意識に、永遠に苦しみ続けろ…!
 殺人鬼め…!―
 「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
 陰伊の目にそれは映らない。終わることの無い罪が、彼女の心を蝕む。

―――…

 「冴島さん…」
 「一体…何が…?」
 光の柱は、天まで昇る勢いだった。屍が散らかる酷い街の中、こんなにも綺麗な光景を見れるとは、白石も思っていなかった。

―――…

 「くっ二人がかりなんて卑怯だぞおらぁ!」
 「卑怯もらっきょも大好きだぜ…ん?」
 オールバケーションの後方、ビルの屋上で 強い光が空へと伸びる。
 「あれは…!?」
 ふと、オールバケーションの視界に入る黒い小さな塊。よく見るとそれは人の形をした何かであった。
 「まずい!キング!鳥人モード!」
 「イエス。マスター」
 筋肉隆々のペンギンは、ふんっと力んだ。何をしたのかと思えば、その背中には大きな羽が生えていた。
 「キモ!!」
 炎堂の率直な感想であった。
 「いくわよキング!!」
 オールバケーションはペンギンの足をつかみ、空へと舞い上がる。それを黙ってみている炎堂ではない。
逃すまいとブーストユニットで飛び上がろうとするが…
 「逃がすか!」
 「いえ、逃げさせてもらいますわ。"解"!」
 「!?」
 炎堂の足元が赤く発光する。光の線が6つの点を結び、炎堂囲う。点の場所にはいつ置いたのか、複雑な術式が
書かれた札があった。
 「結界術よ…瞬間韋駄天丸を使った時にこっそり配置させてもらったわ。しばらくは動けないからねぇ〜」
 「あっ!くそまちやがれ…!ああ!足が地面から離れねぇ!!」

―――…

 「わたしは…どうなったのだろうか…」
 (…負けたんだ。そうか…はは…)
 火燐は、ビルの屋上から吹き飛ばされ、宙を漂っていた。じきに体は降下し、地に落ちるだろう。
 火燐にはどうすることもできなかった。体に力が入らないのだ。
 「でも…もうどうでもいいや…」
 意識が遠のく。自分はもう死ぬ。そんな事、もはや火燐にとっては些細なことでしかなかった。
 諸有事が火燐にとってはどうでもいい事だった。少女はそっと、瞼を閉じる。憎しみも悲しみも苦しみも全部忘れ、
この肉体という器から開放されよう。力なくそう呟いた火燐が目を閉じる間際に見たものは、ペンギンのようなマッチョだった…

999正義の定義:2010/06/11(金) 20:56:38 ID:XLIaso/w0


―かくして幕を引いた喜劇は、誰も救われることがなかった。

―――…

 「気が付いたかしらん?」
 少女は二度と開くことはないと思っていた目を開ける。そこは街中ではなく、何処かの見慣れぬ山道だった。
 「お前は…」
 「春夏秋冬 志希(ひととせ しき)またの名を、オールバケーション!!あなたの命の恩人よ〜!」
 少女、火燐は朦朧とする意識が徐々にハッキリとするにつれ、自分がこの人物に運ばれた事を理解した。
 「…余計なことをしてくれた。私は…もう、生きていても仕方がない。全てを失った」
 「辛気臭いわねぇ〜…命が助かったんだから、いいじゃないのよ」
 「いいもんか…私は、もう、何のために生きればいいのか、分からない…憎むべき森は死んだ…後はタケゾー達の
仇をとるしか…」
 「復讐なんてやめなさい。そんなもの、己の憎しみを晴らすためだけのくだらない行為。
残された人間の自己満足でしか無いわ。それより…あなた、夢はないの?」
 「夢…?」

―親しき友として笑い合える、そんな人と妖の明日―

 「…所詮は、一時の夢物語だった」
 「いいじゃない。今は夢物語でも…」
 「うるさい。お前に何がわかるんだ」
 「何もわからないわ。だからこれから少しづつ教えてくれないかしら?」
 「…?」

 「…あなた、私の妹になりなさい」

 凛とした顔で言うオールバケーション、もとい春夏秋冬志希。火燐は言葉の真意の理解に困った。
 「…はぁ?」
 「そして私のことはお姉さまと呼びなさい」
 「…お前、馬鹿か?」
 「むきー!馬鹿じゃないけん!天才だぜよ!…と、ともかく、しばらく宛がないならその命、救った私に預けなさい」
 「なんで?」

 「…このまま野垂れ死んだら、あなたを産んでくれたお母さんはどう思う?」

 「…!」
 (おかあさん…私は…)
 「生きる意味が無ければ、これから見つけなさい。生きていれば、できることもあるでしょう?」
 「…う…」
 「んん〜?」
 「〜〜ッ!わかったよ…このまま死んだら…焔に合わせる顔がない…」
 「よーし!じゃあ私のことをお姉さまと…」
 「そ れ は こ と わ る !」

 そんなこんなで一命を取り留めた火燐は、おかしな人物に拾われてしまったようで…

 (うひひ…美少女異形っ子ゲットだぜ!)

 …本当に、おかしな人物に拾われてしまったようで…

1000正義の定義:2010/06/11(金) 20:58:18 ID:XLIaso/w0

―――…

 「酷い…」
 戦いが終わり、街中を見回る白石と冴島。陰伊の行方が分からないということで、彼女を探すこととなったのだが…
街の惨状に、白石は思わず目を覆いたくなってしまった。
 「目を背けない。これが現実です」
 「冴島さん…」
 冴島は、しっかりとその光景を目に焼き付ける。二度とこんな悲劇を起こさないためにも…
 「冴島さん…森喜久雄は死んだんだべさ?」
 「ええ…」
 「じゃあ…これは何のための戦いだったのかなぁ…っておもいます」
 「そうね…」
 「何で、争いが起きてしまうんだろうって…」
 「それはね…」

 「争いは、皆が皆優しいから、起きるのよ」

 「え…?」
 「何か譲れないものがある時、誰かを守りたいとき、争いは起きるの。そんな人が沢山居たから、
これほどまで大きな戦いに発展したのよ。戦争なんてものはね、何かを守りたいと思う人間がいなかったら起こらないのよ?知ってた?」
 「…愛する家族のため…自分の育った国を守るため…人は戦うんですね」
 「そう。そしてそれらが集まって集まって集まった末に起こるのが戦争よ…この街で起きたことも多分…
そんな優しい人達が起こした、自分達の大切なものを守るための戦いだったのでしょうね」
 「…悲しいですね」
 「人が死んで悲しいのは当たり前です。現実は物語のようにドラマチックには出来ていません。
血生臭い現実に涙するより、一刻も早い秩序の開拓が必要なのよ、私達英雄には」
 「そうですね…殺し合いで争わなくて済む…そんな世界に…早くしなくちゃいけないですよね」

 優しさが生んだこの惨劇、誰も望まぬ惨劇は、誰が為の者なのか?

 誰のためでも無い。誰も、その優しさを憎む事などできはしない。
  
 これは優しい人達の、悲しいお話。


―次回予告
青島「事件は会議室で起きてんじゃないんだ!現場で起きてんだ!!」
裳杖「懐かしいですね」
青島「そうかぁ?最近は時が経つのが早く感じて困るぜ…」
裳杖「PCの性能なんて一年も経てばゴミみたいな扱い受けますからね」
青島「二年前20万で買ったPCが今じゃ5万もあれば組めるスペックになっちゃうもんなー、時の流れって怖いぜ」
裳杖「人は年をとればとるほど、体感時間が短くなるって話ですよ」
青島「そーなのか」
裳杖「60代なんてあれですよ。レーシングカーですよ」
青島「何が?」
裳杖「速さが」
青島「100歳とかならどうなるんだよ」
裳杖「もうなんて言うか、あれです。光る風を追い越す勢いです」
青島「ハピマテかて」
裳杖「ハイパークロックアップ!」
青島「時戻ってんじゃね?それ」
裳杖「良いツッコミっすね」
青島「あ?うん、ありがとう…」

次回、正義の定義〜番外編〜
「異形の花屋さん/AnotherWorld」
乞うご期待!

青島「…あれ、俺らあんま次回予告してなくね?」

投下終了。ぎりぎり収まった…次スレたててきます。

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