ξﾟ⊿ﾟ)ξ「知ってる？ したらば東公園の桜、今めっちゃ綺麗なんだって」
*(‘‘)*「ほんと？ 私噂だけで見たことないんだよねー。見に行っちゃおうかなー」
('、`*川「あー、いいねぇ。でもどうせなら彼氏と見に行きたーい」
一同爆笑。ペニちゃん(恋人いない歴=年齢)の彼氏欲しいネタは、私たちのグループの中では鉄板なのだ。
(*ﾟーﾟ)「そうだ、ヘリちゃんまたんきくんと行ってきなよー」
恋バナ大好きしぃちゃんが、私にふる。私とまたんきが付き合い始めてから毎日のようにそんな話をふってくるので、もはやこれもネタとなっている。恋バナネタって感じ？
*(‘‘)*「えー、でもあいつ、桜食べちゃいそうだしなぁ」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「ちょっwwww」
('、`*川「待ってwww」
(*ﾟーﾟ)「食べちゃうのwww」
ちなみに私の持ちネタは彼氏のおバカネタである。ひどい女？ なんとでも言え！
*(‘‘)*「中2のときにあいつ落ちてる松ぼっくり口に入れようとして怒られてましたから」
(*ﾟーﾟ)「それ許されるの小3までっしょwww」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「どんぐりだったらまだ分かるけど松ぼっくりてwwwどこ食うのwwww」
*(‘‘)*「ほーんとあいつには昔から振り回されてばっかっすよ」
大げさに肩をすくめてやれやれのポーズ。また笑いがおきる。よっしゃ！ うけた！
('、`*川「それ私に対する嫌味？ はぁー、私も幼なじみの彼氏ほしーい」
*(‘‘)*「苦労するぞーいいのかなー？」
('、`*川「構わん！」
またひとしきり笑っていたら、鐘がなったのでこの話はおしまい。席に戻って、一時間目の準備を始める。
それにしても、またんきと桜を見にかぁ……。
(・∀ ・)「ふつーだぞー」
*(‘‘)*「ほーん……」
好き嫌いじゃなくて普通かぁ。それいわゆる無関心じゃないかな。なんか早くも挫けそうになってきた。頑張れ私。とりあえずダメ元で聞いてみよう。
*(‘‘)*「えっと、今日の放課後にさ、ちょっと遠回りなんだけどしたらば東公園に桜見に行かない？」
(・∀ ・)「いいよ！」
*(;‘‘)*「即答！」
悩むこたなかった。じゃあいいんだ、うん。
*(‘‘)*「そっか。じゃあ今日の放課後にいつも通り昇降口でね。あ、お花見だしお団子買ってこっか」
(・∀ ・)「おだんご！ おれみたらしがいいなー」
*(‘‘)*「うん、じゃあみたらし買いましょー！」
なんだか二人っきりで出かけるのとか久々だなぁ。登下校はそりゃ一緒だけど、公園とか行ったりすることってないし。中学のときにに一緒に動物園に行ったのが最後かもしれない。そう考えたらなんだか放課後が楽しみすぎて、だいっきらいな英語の時間も、子守唄の異名を持つ(命名：私)日本史の授業も、いつもよりも真面目に聞ける気がする。頭には入ってこないけどね。しょうがないね。
補足：日本史には……勝てなかっzzZ…………。
*(‘‘)*「ごめん！ 掃除長くって！」
(・∀ ・)「おつかれ様！」
*(‘‘)*「じゃ、行こっか！」
(・∀ ・)「おだんご買いに行こー」
*(‘‘)*「メインは桜だからね」
まさに花より団子ってか。またんき甘いもの好きだもんね。団子も食べようなんて言い出さなきゃ良かったかなぁ。
(・∀ ・)「みたらしー」
まぁ楽しそうならいっか。なーんておもっちゃう私はダメかなぁ。
あ、そういえば。
*(‘‘)*「あ、そうそう。そういえばまたんきは桜そんなに好きじゃないのにどうして一緒に来てくれたの？」
(・∀ ・)「別にさくらは好きじゃないけど、ヘリカルのことは好きだからだぞー」
……なんでそういうことあっさり言えちゃうんだお前は。こっちが恥ずかしいだろうが。女の子を恥ずかしがらせるようじゃ乙女心的にはダメダメだぞ。
*(‘‘)*「……バーカ」
(;・∀ ・)「なんで！？ なんでおれ怒られたの！？」
そんなことも分かんないようじゃ乙女心テスト赤点だよ！
*(‘‘)*「うっわー、桜が綺麗！」
公園に入ると、溢れんばかりに咲いた桜が、視界にぐわーっと入ってきた。思わず声をあげる。
*(‘‘)*「ねぇねぇ、またんき、綺麗だね！」
またんきのほうを向いて同意を求める。
(・∀ ・)「ヘリカルのほうが綺麗だぞー」
風情を理解していないだけなのか、はたまたドラマか漫画で見た台詞を思い出したのか、なんにしろ空気が読めてないとはいえ、なかなか嬉しいことを言ってくれた。
*(‘‘)*「ほほう、今のは良かったぞ。褒めてつかわす」
照れ隠しに偉そうにそう言ったら、またんきがやったーって喜んだ。そんなに素直に喜ばれちゃ、照れ隠しした私のほうが恥ずかしいだろうがバカ。
(・∀ ・)「あっ、おだんご、おだんご食べよ！」
私がもだもだと色々考えてる間にまたんきが団子のパックを開けてしまう。ってちょっと待てお前。
*(‘‘)*「ちょっと！ 縦に開けんな！」
(・∀ ・)「えーっ」
*(;‘‘)*「こらこら、こぼれるこぼれる。水平にしてこっちに貸しなさい！」
(・∀ ・)「水平ってどっちだっけ……縦？ 横？」
*(;‘‘)*「地面と平行の……あー、地面とおんなじ角度で持ってて！ ってあー！ こら！ 待て待て待て！ やっぱこっちにそれ寄越しなさい！」
なんとか団子を受け取って(世間一般では奪い取ってって表現するかもしれない)ベンチまで運ぶ。
(・∀ ・)「わーい！ もう食べていい？ いい？」
*(‘‘)*「待ち、手ぇ拭いてからだよ」
袋の中から店員さんが付けてくれたお手拭きを二つ取り出してそのうちの一つを、開けて、広げて渡す。
*(‘‘)*「ほーれ、しっかり拭けー」
(・∀ ・)「拭いたー」
*(‘‘)*「よし、食っていいよ。縦だと危ないから横から食べるんだよ」
(・∀ ・)「はーい、いただきまーす」
*(‘‘)*「それでは私も、いただきます」
お手拭きで手を拭くのはもちろん忘れず、いただきますもちゃんと言ってから食べるよ。またんきと一緒にいるおかげか、食べるときは絶対にいただきますって言うんだけど、色んな人から行儀がいいって褒められるんだよね。でもよく考えたら言うのが当たり前じゃない……？ そんなことない……？
では早速一つ目を。あ、あっまい。美味しい！ もちーっとしたお団子ととろりーんって口の中に強烈に流れるみたらしがめっちゃヤバい！ 旨いなこれ！ セール品だったのに！
*(*‘‘)*「ん〜〜〜！ うっま！」
パタパタ足を動かして喜びを全身で表現する。このチープな美味しさに病みつきだよー！
ふと視線を感じて横を見たら、またんきがこっち見てた。え、なに？
(・∀ ・)「……ヘリカルってさ、なんか甘いもん食うときすっげー旨そうに食うよね」
*(‘‘)*「お前に言われたかないわ」
(・∀ ・)「えっ」
それにしても、今日は楽しかったなぁ。桜を見に行ったはずだったのに、なんだか桜よりもまたんきのほうが印象が強いけど。私こそ何しに行ったんだろう。
(・∀ ・)「うおっ見て！ 満月！」
*(‘‘)*「あっ、ほんとだ」
空には満月。いつもは気づかないけど、またんきと歩いていると、たくさんのことに気づかされる。塾の帰り道、疲れて帰る道で見る無機質で真っ白な月よりも、ずっと、ずっと綺麗に見えるのは、もしかしてまたんきが隣にいるおかげなのかな？ そう考えたら、一介の女子高生である私にも、とある小説家が考えたらしいアイラブユーが、理解出来るような気がした。
*(‘‘)*「月が綺麗だね」
どうせまたんきには分からないからいいよね。なんか現文定期テスト50番台の私にはもったいなすぎるけど。なーんて思いながら呟いた言葉はどうやらまたんきの耳に入ったらしい。
(・∀ ・)「うーん……？ ヘリカルのほうがきれいだぞー」
*(‘‘)*「……ぷっ。あはは、もう！」
またんきの空気を読めてるのか分からない発言に思わず笑ってしまう。なんだかじんわりと心が暖かい。国語のテストとしては赤点でも、ヘリカル心的には満点だぞ。なんちゃって。そのままばしばしと背中を叩いたら、痛い！ と悲鳴があがった。
デパートでセール中だった昔懐かしみたらし団子よりも、
ちょっぴりおバカな君が好き。
乙
ほんわかした
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