ﾎﾟﾂﾝｯ………ﾎﾟﾂﾝｯ………
トントン、ガチャン
「…………先生、今週もお疲れ様………です」
バタッ
「………ごめんねこんな時間に、今日のことさ、謝っておこうと思って………」
「どうしても外せない用事があったから、すぐにでもモモトークに返信できたら良かったんだけど……」
「………………」
「………ううん気にするよ。だって先生って忙しいのに私がメール送るとすぐに見てくれるじゃん」
「本当は週末だけじゃなくて、他の日でも会いに来れたらいいんだけど………先生、いつも色んな生徒たちの相手してるから」
「…………………ふふっ、先生ってやっぱり優しいね」
「あ、別に、構ってくれないのが寂しいとか、そういうのじゃないよ、本当に、私ってそんな重い女じゃないから」
「どっちかっていうと………この金曜日だけは私のものだから………ううん、何でもない、何も言ってないよ。本当に何でもないから」
「………あ、そうだ、この前の差し入れどうだった？いつもと違う店のを買ってきたんだけど……
……………そっか…よかった。口に合わなかったらどうしようっと思ってたんだけど………」
「…………………」
「──────確かあの日の差し入れってケーキじゃなくて大福じゃなかった？」
「…………………」
「…………ところでさ、さっき先生がお手洗いに行ってた時に見つけたんだけど、…………このブランケット、先生のじゃないよね？」
「誰の？」
「…………あっ、わかった、ゲヘナの子のブランケットでしょ。反応でわかるよ」
「それで、先生がなんで持ってるの？」
「…………たまたま担当の日だったから？それで寒くて？………ふーん」
「そっか、それだけか、何もないみたいでよかった」
「（このブランケット。先生も使ったんだ。ちょっともったいないことしたな………こんなことなら戻ってくる前に私も使っておけばよかったかも）」
「あっ、ううん何でもないよ。ただのひとりごとだから」
「…………そういえば最近先生帰りが遅いよね」
「─────百鬼夜行の子と？」
「…………あー、あの湿度高そうな猫耳の人でしょ？知ってる」
「………………」
「…………でもあの人って絶対性格悪いからやめときなよ。あんな猫と関わってたらきっと先生襲われちゃうよ？」
「…………………」
「先生………前からずっと忠告していたのに……最近は全く聞いてくれないよね。…………私以外の子と出掛ける時も、2人きりの事が多いみたいだし………」
「…………………っ！」
バッ！！
「あんな女！！！どうせ先生のこと何もわかってないんだから！！！！」
ガシャーンッ！！！
「先生のことをキヴォトスで一番わかってるのは私だから！！！他の誰でもない私！！！！」
……シーン…………
「………………あ、ご、ごめん。どなったりして、先生がそういうところで鈍いのは前からだもんね、わかってるよ………」
「…………それはそうとさ、今日の晩ごはんどうしたの？」
「…………そっか外食したんだ。いつものラーメン屋？」
「一人でご飯食べたの？…………ふぅん、一人で食べに行ったんだ」
ガシッ！ギュッ！
「スゥ………………」
「…………やっぱりあの女の匂いがする………！」
ぎゅぅううううううっ！！！
「先生の嘘つき…………！」
「…………ねぇ……どうしてそんな嘘をついたの？先生は今まで私に嘘をついたこと一度も無かったのに………！」
「………………っ」
「…………そっかぁ……やっぱりあの泥棒猫のところに行ってたんだ。へぇぇぇそんなにキキョウのことが気に入ったんだ…………っ！それはよかったね！！！！」
ガバァッ！！！
「…………先生は優しくてかっこよくて………でもちょっと雰囲気に流れやすいところはわかってた…………！でも先生も、きっといつかは私の気持ちを絶対わかってくれるって思ってたからずっと我慢してたんだよ………！」
「──────それなのに私に隠れて浮気ってどういうことっ！？信じられない！！！！よりによってキキョウなんかと！！！」
ギリギリ………
「あんな奴に先生は渡さない、絶対に………！」
「………ハァ……ハァ…………たとえ幽霊になって出てきてもまたビナーのように始末すればいいんだもんね………！」
「…………は？どういう意味って………そのままの意味に決まってるじゃん、先生にすり寄ってくる意地汚い女どもを排除するために、ビナーをしばいてトレーニングしてるんだよ」
スッ
「…………ほら。私の手嗅いでみて。ちゃんと綺麗にしてきたから油っぽい匂い全然しないでしょ？」
ｽﾙｽﾙｯ………ぱさっ
「………いい？先生を守れるのは私だけ、先生は私だけ見てればいいから、それが最高の幸せなんだから」
「…………じゃないと、本当に………襲われちゃうよ？」
ザァァァァァァァ…………
https://m.youtube.com/watch?v=dpzwus9mNnQ