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ツバサ「筋トレ始めます!」(ひろプリSS)
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・ツバあげ要素があります
・えっちな要素はないと思います
ツバサ「聴いてください! 僕筋トレ始めます!」
ソラ「……(°▽°)?」
ましろ「……えっ」
あげは「あっ……」
エル「えぅ?」
ツバサ「筋トレ始めます!」
ましろ「に、二回言わなくても分かるよ〜」
ツバサ「やっぱりですね! 筋肉ついた男らしい男じゃないと魅力ないですからね!」
ソラ「なんだかよく分かりませんが、鍛えるということであればツバサくんに協力します!(゚∀゚)」
エル「きんちょれ! きんちょれ!」
ツバサ「ありがとうございます!」
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ましろ(これは……) あげは(アレだね……)
ましろ(理由は色々あるけど、男の子が)
あげは(『男らしい』筋肉信仰に目覚めて)
ましろ・あげは((急に筋トレとか始めるアレ!))
ましろ(クラスの男の子でたまに見た光景だけど、ツバサくんにも来ちゃったか〜)
あげは(少年よ、君もか〜)
ツバサ「やりますよ僕は!」
ソラ「やりましょうツバサくん!(*'▽'*)」
エル「やりまひょ! やりまひょ!」
〜翌日〜
ソラ「一日腕立て伏せ千回! 腹筋千回! スクワット千回!!」
ソラ「……という方向でいきたいですが、ツバサくんは筋トレ初心者ですからね。最初は少ない数で、徐々に増やす、というのを頑張りましょう!(*^▽^*)」
ツバサ「はい! ソラ教官!」
ソラ「ソラ教官……うう……」
ソラ「素晴らしい響きです!(*≧∀≦*)」
ツバサ「よろしくお願いします、教官!」
ソラ「はい!(^_^*)」
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ソラ・ツバサ「「ワーワー」」
エル「ガンバエー」
ましろ「……ソラちゃんはちゃんと、ツバサくんの限界を考えたトレーニングにしてくれると思う。私の時も変なコーチングはしなかったし」
あげは「問題は少年だよね。ぜっっったい、張り切って勝手なことして怪我しちゃう流れになるよ。あのくらいの歳の男の子ってみんなそう」
あげは「……言ってたことも変だったし」
ましろ「止めてよ、あげはちゃん」
あげは「あっ……やっぱ私?」
ましろ「とぼけないの。この状況でツバサくんを止められる人、あげはちゃん以外にいないでしょ」
あげは「……はぁ〜」
あげは「んじゃまあ、大人の実力、いっちょ見せちゃいますか」
ましろ「それでこそあげはちゃんだよっ」
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その夜。本来はもう皆が寝静まる時間。
「しょーねん」
「あれ? あげはさん? まだ寝ないんですか?」
「ちょっと少年に用があるんだ。少しだけ、外に出れる?」
「いいですよ。今行きま……」
人間態になって歩き出そうとしたツバサが、ほんの僅かに表情をしかめたのを、あげはは見逃さなかった。が、もとより今この時は何も言わないつもりだった。
「……い、今行きますねー」
「ゆっくりでいいよー。あと、何か羽織る物忘れないでね」
「はーい」
外の空気を吸いながらの方が、話しやすいし聞きやすいこともある。何かと、経験で知ってることだ。
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あげはが羽織る物を勧めてた通り、外の空気は若干肌寒いものだった。我慢が無理なほどではないが、きっと寝衣だけでは辛いだろう。
「うーん……」
「はいこれ」
もじもじしていたツバサへ、あげはが魔法瓶の中に入れていた飲み物をカップに入れて差し出す。
ツバサは受け取ってまじまじとカップを見てみた。湯気が立っていることから温かい飲み物なのは分かるが、暗いせいで色までは分からない。
「なんです? これ?」
「ただの白湯だよ。お互いもう歯磨いてるからね。ほら、飲んで飲んで」
「いただきまーす」
ツバサはカップに口をつけた。じんわりと広がる温もりが、冷気に抵抗して硬直しそうだった身体を癒していくのを感じる。
「いいですね、たまにはこういうのも」
「でしょー?」
「それで、用って……?」
上目遣いに自分を見つめるツバサに、あげははきっぱり、けれども優しく伝えた。
「やめなよ、筋トレ」
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聞いたツバサは、ピクリと、一瞬体を強張らせた。気温のせいではないだろう。
やっぱり反抗するよねと、あげはは思う。
「……なぜですか?」
「無理して怪我しちゃいそう、ってのもあるんだけど。
変じゃん。筋肉がない男はモテないとか、少年が言う言葉とは思えないよ」
「も、モテないとか言ってません! 筋肉がある男らしい男じゃなきゃ魅力がないって言ったんです!」
「そうだったね、ごめんごめん」
でもさ、とあげはは続ける。柔らかい口調のままで。叱りたくて呼んだわけではない。
「それでもやっぱり変。筋肉があった方が男らしいとか、古くさーい考え方だよ。少年は本当に賢い子だって、私は知ってる。そんな少年が惑わされるような考え方かな?」
「…………」
ツバサは俯いて、何も言わなくなってしまう。続きを待てるだけの余裕があげはにはあったので、急かさずに待つ。
幸いにも、白湯だってまだある。ちびちび飲んでいれば、寒さは体から離れていく。
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プリキュアSSだ
ありがたい
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何分ほど待っただろうか。もう一杯ください、とだけツバサが言った。
「ん」
暗がりで手元が狂わないように、あげはは注意しておかわりを注いであげた。しかし、ツバサは白湯に口をつけようとはしない。
それでも、それが発言再開の合図になれたのだろう。彼は口を開き、矢継ぎ早に続けた。
「僕が好きな人は、そういう『男らしい男』が好きなんじゃないかって、ふいに思ったんです。そしたら、不安は増す一方で。
今のままじゃ、きっと男として好きになってもらえない。そんな考えばかり頭に湧いてくる。
賢いってなんですか。賢い代わりに貧弱なもやしっ子なんて、きっと見向きもしてもらえなくなる」
彼の声が、涙声になっていくのが分かった。俯いてるし、身長差もあるから、あげはからはツバサの顔は見えなかったが、どんな表情をしてるかは分かった。
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「ツバサくん、ちょっと失礼」
あげはは、ツバサに渡していたカップを取ろうとした。分かってはいたが、手と手が僅かに触れた時、彼の震えが伝わった。
こぼさないように、ことさら注意して彼からカップを離し、魔法瓶と一緒にガーデンテーブルに置いた。
そして、正面からツバサを抱きしめた。
「私、そんなこと言ったっけ? 筋肉のある男の子じゃなきゃヤダーとか」
「……言ってませんよ」
「ツバサくんのこと、賢い代わりに貧弱とかもやしっ子とか言ったっけ?」
「言ってませんよ」
「ツバサくんのことを好きにならないなんて、私」
「言ってませんよ! 僕が一方的に感じてたことなんか、何もあげはさんは言ってない! 僕が大好きなあげはさんは……!」
やっぱり君は賢い、とあげはは思った。語気が荒くなりつつも、寝ている皆を起こさないように、ツバサは声量を抑えていた。
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「でも、怖くなるんですよ。強くならなきゃ、あげはさんの隣に選んでもらえなくなる。そんなことばっかり頭には浮かんで。
戦いの時は特にそうです。男の僕がもっと強くなきゃ、強くならなきゃって」
「うん、うん」
あげははツバサを抱きしめたままだった。彼の泣き顔が、自分には絶対に見えないようにしてあげていた。
相手を気にせず、好きなだけ泣いた方がいい。誰にでもそういう時はある。
「そんな風に思うのって変ですか? 強くなりたいって願うのはおかしいですか?」
「変じゃないし、おかしくないよ」
いつのまにか、ツバサはあげはの背中に手を回していた。『ギューってするのはいいけど、ちょっと痛いから、手加減してほしいな』とは思ったが、口には出さない。
代わりに、というわけではないが、伝えるべきことがあった。
「ツバサくんは、もう強いんだよ。これからもっと強くなっていくと思うけど、焦らなくていいの。
少しずつ、君の速度で、君に沿う形で、もっと強くなっていけばいい。
君の強さを、私は知ってる。これから強くなっていく君を、私は信じるし、隣に選ぶ。これって、今の君の答えにならないかな?」
ツバサは、フルフルと首を振った。そんな彼を、あげはは愛おしいと思った。
大人の実力を出してよかったと、ついでに思った。
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やがて、ツバサの肩が小刻みに上下するのは治った。
「落ち着いた?」
「はい……ありがとう、ございました」
『何が』落ち着いたのかは聞かない。けれども、顔をもう見ていいのは分かった。
ほんの少し距離を空けてあげると、ツバサは自分から顔を上げて、あげはと視線を合わせた。
目がしょぼしょぼしてるのが分かったが、それは彼が自分の想いを、余すことなく伝える為だったからだと思う。
最後の仕上げをしなきゃね、とあげはは感じた。
「君を信じるって言ったけど、言葉だけじゃ不安だよね」
「えっ? そ、そんなこと、ないですけど……」
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実際のところ、不安なのは私の方なんだけどね。私が弱いせいで、君を裏切るかもしれない。
好きだとか、愛してるだとか言ってて、後から物別れになってしまうこともあると、私は知ってしまってるし。
だからこれって、君への誓いなんだよ。
想いは吐露せず、あげはは彼の顔へ、自分の顔を近づける。初めて出会った時から、彼の背は少し伸びていたことがよく分かる。
「じっとしてて、ね」
「えっ……!?」
「……今やったこと、私たちだけの秘密ね」
「ひゃ…………ひゃい……じゃなくて……はい…………」
(君は本当に魅力的だよ、そのままで。でも、絶対もっと魅力的になっていくよね)
真っ赤な顔のツバサを引き連れて、同じように真っ赤な顔になったあげはは、家の中へ戻って行った。
ガーデンテーブルの上を片付けてないことを思い出したのは、布団に潜り込んでからだった。
慣れないことをするからこうなったのかな、とあげはは少しだけ反省する羽目になった。
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——翌日。
朝一番に、ツバサは筋トレをやめることをソラに告げていた。
『教官』と呼ばれる日が僅か一日で終わったことにソラはいくらかショックを受けたようだったが、『無理強いはしません、それがヒーローです……』と自分に言い聞かせていた(いきなりやめたことに対する申し訳なさもあったので、ツバサはたまにソラのジョギングに付き合うことを提言していた)。
寝不足のましろはそれとなく、ツバサとあげはを観察してみた。
二人はいつもと変わらないように見えた。だが、確実に何かがあった、それはなんとなく分かる。フィーリングゆえに根拠らしい根拠はないし、わざわざ突っつき回して聞き出すつもりもないが。
それに、その『何か』は、きっといいことだったに違いないから。
(ちょっと心配だったから中々寝付けなかったのに。二人とも、私の事情なんか知らないよねっ)
これからの二人の道に、幸せが一つでも多くあればいい。
それが今、寝不足の自分への償いになるだろうと、ましろは自分を納得させたのだった。
《END》
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終わりです。ありがとうございました
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ツバサくんは抜ける👍
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こういうのでいいんだよこういうので
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エルちゃん激怒
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いいゾ〜これ
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ひろプリ流行らせコラ!
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