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【ウマ娘SS】Just a Way

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 05:59:57 asJDPkbc
基本的にトレセン学園に通う者は2人1部屋の寮室で生活している。
中には外で部屋を借りて通学している者もいるがごくわずかだ。
1日の大半を過ごすルームメイトとの相性が学園生活を左右すると言っても過言ではないだろう。
では私のはというと、正直言ってかなり変わっている。
ある日、いつものように目が覚めるとルームメイトの姿は無く、代わりに机の上に置き手紙が置いてあった。

「マグロ、ご期待ください」

どこぞのテレビ番組でしか見たことが無いワードだ。
しかも何をどうやったらここまで文字のフォントまで似せることができるのか意味が分からなかった。
でも、授業が始まるまでには帰ってくるだろうと思い、朝食を食べるため食堂に向かった。
基本ふざけているが意外と真面目なヤツなのだ。
「今日の朝ごはんは何かな?」などと悠長に考えながら食堂に行くとそこには人だかりができていた。
そして、なぜかその中心にはすげぇでけぇマグロと私のルームメイトがいた。


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:04:04 asJDPkbc
「いや、お前何してんのォォォォォォ!?」
「おっせぇぞジャス!せっかくゴルシちゃんが太平洋からマグロを獲ってきてやったのにおめぇの分なくなっちまうぞ!」
「頼んでねーし!?つーか本当にマグロ獲ってきたんかい!?」
「あぁ、コイツ(マグロ)との死闘をジャスにも見せてやりたかったぜ……」
「何したり顔してんだお前は!どこの世界に寮の食堂でマグロ解体ショー始めるヤツがいるんだよ!?いや、いたわここに!」
彼女の名前はゴールドシップ。
学園で彼女の名前を知らない者はいない程の有名人というか問題児だ。
「まぁまぁ、そんなにカリカリしないでください」
「うん、すごくおいしいぞ」
「……スペさんもオグリさんも何普通に食ってんですか?」
ていうかなんでみんな順応してんだよ。何普通に食ってんの?もしかして私がおかしいの?
「スペの言うとおり何カリカリしてんだよ?あれか?この前ジャンプと間違えてヤンジャン買ってきたことまだ怒ってんのか?推しの子おもしれーからいいじゃねーか」
「全然ちげぇわ!朝からツッコミまくりで疲れるんだよ!」
前言撤回。やっぱコイツ真面目じゃないわ。


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:05:34 aM63DR/k
なんか始まってる!


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:06:43 asJDPkbc
「朝から元気だねぇ、ポニーちゃん達?」
私たちがそんなやり取りをしていると1人のウマ娘が食堂に入って来た。その姿を見てさすがにみんなマズイと思ったのか静かになる。
我らが栗東寮寮長、フジキセキさんだ。
「ゴールドシップ、ずいぶん楽しそうなことをしているねぇ。でも、ここは寮の中だよ?」
「えー?マグロの解体ショーくらい別にいいじゃねーか。ケチ」
お前の中の「くらい」ってずいぶん範囲広いな。何はともあれ、これで少しは場も収まるだろうと私は思った。
「ところでゴールドシップ?このマグロ1本借りてもいいかな?」
「おう、大丈夫だぜ!」
そんな会話をしてマグロの前まで移動するフジキセキさん。
すると、おもむろに大きな布を取り出しマグロを包み込んでしまった。
「さぁ、さっきまでなんの変哲もないマグロでしたがあら不思議!」
そう言ってさっと布を取り外すとマグロ一本があっという間に切り身へと変貌していた。
「わーすごい!!……じゃねーよ!?マグロ解体ショーがマジックショーに変わっただけじゃねーか!!!」
そんな、私の空しいツッコミが食堂の窓から朝の澄んだ空へと響いた。


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:07:48 asJDPkbc
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私達ウマ娘は選抜レースやスカウトなどを経てチームに所属し、デビューに向けたトレーニングを行っていく。
トレーナーによって育成方法、方針なども変わるため当然チームごとに特色が出てくる。
じゃあ私が所属するチームはというと、これまた変わっている。
まず、トレーナーの見た目がかなり厳つい。恰幅ある体格とメガネはどこぞの将軍様を連想させる。
まぁ、慣れてくると別に普通の人だと分かるのでそこまで問題ではないのだが。
「ジャス、ウォーミングアップを済ませたらゴルシと併せで坂路行ってこい。本番前だから無理はするなよ」
「分かりました」
「うーっす」
何の因果か、私は彼女と同じチームになってしまった。三女神様はちょっとお茶目が過ぎるのではないだろうか?
とはいえ、トレーニングの相手としては申し分ないほどの実力者である。


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:09:01 asJDPkbc
彼女はこれまで共同通信杯、皐月賞、神戸新聞杯、菊花賞、有馬記念、阪神大賞典、宝塚記念で1着になった世代を代表するウマ娘だ。
比べて私はアーリントンカップで1着になって以降は悔しい結果が続いている。
それでも、ここまで頑張れたのはなんやかんやで腐れ縁とも言える彼女のおかげかもしれない。
彼女のおふざけには苦労もさせられるが不思議と元気にさせてくれる力があるからだ。
……めっちゃうるせーけど。
ウォーミングアップを済ませ、坂路まで歩いていると彼女に話しかけられた。
「にしてもジャス、次の秋天あの貴婦人様が出てくんだろ?」
「ドンナさんですか」
ジェンティルドンナ。
私達と同世代であり、クラシック期ではトリプルティアラを達成。
さらにはジャパンカップであの三冠ウマ娘オルフェーヴルに勝った猛者だ。
そのあまりの強さから『鬼婦人』とも言われているが、傍から見ていてもまさに鬼だと思う。
「いいか、ジャス。アイツのフィジカル半端じゃねーぞ?ゴルシちゃん思わず観客席まで吹っ飛ばされるかと思ったぜ……」
「それはじき返して1着になったヤツが何言ってんですか?」
レースで接触することは結構ある。
もちろんお互い気を付けているがカーブによる遠心力や疲労によるふらつき、無理やりバ群をこじ開けようとするとどうしてもぶつかってしまうことがある。
ちなみにこの間の宝塚記念では最終コーナーで彼女とドンナさんが接触するもはじき返して1着になった。
まぁ、はじき返されて3着に食い込むドンナさんもなかなかおかしいことをやってると思うが。


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:09:52 7z94mBnc
スレが整理された途端NaNじぇい民の創作意欲が爆発していいゾ〜これ


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:10:21 asJDPkbc
「相変わらず騒がしい方ですわね」
それは気品を感じさせる声であった。
私たちが振り返ると鍛え抜かれた美しい体躯と手入れをされた髪をなびかせた一人のウマ娘が立っていた。
「おっ、噂をすれば『鹿毛』がさすってやつだな。おいっすドンナ」
「それを言うなら『影』でしょう……こんにちわ、ドンナさん」
「こんにちわ、シャスタウェイさん。それとゴールドシップ。これから坂路ですか?」
「はい、シップと併せで」
「なるほど……」
ちらりとゴールドシップを一瞥する。あの宝塚の一件以来、ゴールドシップに対する意識は特別なものとなったようだ。
「おいおい、そんなに熱い視線送られても冷めたお湯しか出せねーぞ?」
「いやそれただの水じゃね?」
「意識するな、というほうが無理だと思いますが」
ボケにツッコむこともなく淡々と答える。
意図せずただならぬ雰囲気になってしまった。ドンナさんの併走相手であるアルバタックスさんも心配そうに見つめている。
「まぁ、ドンナの言うことも分かるけどよ。あれに関しては謝ったし、ちゃんと埋め合わせもしたじゃねーか?」
「いいえ、あれほどの屈辱は忘れもしませんわ……」
うーん、ちょっとマズイかもしれない。
なんとかして止めなければと思い、二人の間に割って入ろうとしたところドンナさんが口を開いた。


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:11:59 asJDPkbc
「私が冷蔵庫に取っておいたヤクルトを勝手に飲んだことは!!!」
「ヤクルトォォォォ!?ヤクルトでそんなにキレんの!?どんだけヤクルト好きなの!?」
「ヤクルトだけではありませんわ!私がいい塩梅で溶かして作ったポカリも勝手に飲んだんですのよこの方は!」
「あの粉末のやつ!?たしかにちょっと難しいけども!」
「いいかジャス。これだけは覚えとけ、ドンナはポカリスエッターとしての才能も世代トップクラスだぜ」
「どーでもいいわ!ていうかポカリスエッターって何?それただの大塚製薬の社員じゃねーか!」
「まぁ、あなたのポカリスエッターとしての実力もなかなかでした……。美味しかったですわ」
「作ったんですかコイツ?つーかポカリスエッターって共通語なの?」
「ああ、あとついでにちゃんとV字ヤクルトも作った」
「それヤクルトと中田賢一の移籍交渉のやつ!!!なつかしいなオイ!?」
先ほどまでの雰囲気はどこへやら。この二人は意外と波長が合うのかもしれない。


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:13:16 asJDPkbc
「あのー、みなさん。そろそろ併走しません?」
おずおずとアルバタックスさんが申し出る。
「あら、ごめんなさいアルバタックスさん。ではお先に失礼しますわ」
「おう!じゃ〜な〜!」
「あっ、はい。なんか色々すみませんでした」
「いえいえ、それではお二人ともごきげんよう」
ドンナさんは優雅に手を振り、坂路へ向かって行った。二人の姿が小さくなるのを見計らって隣にいる破天荒を軽く小突く。
「まったく、程々にしてくださいよ?」
「わりぃわりぃ」
いたずらっぽく笑う彼女を見て、それ以上言うのはやめた。なんやかんやでこの顔を見ると許してしまうのだ。
ふと、彼女は真面目な顔で私に問いかける。
「ところでジャス、勝算はあんのか?」
「正直分かりません。チャレンジャーの立場ですからね」
今度の相手はドンナさんだけではなく、エイシンフラッシュさんやトーセンジョーダンさんをはじめとして有力なメンバーが揃っている。
『勝てる』なんてとてもではないが言えなかった。


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:14:15 asJDPkbc
「自信なさげだな」
「まあね」
「誰と一緒に走ってると思ってんだ?」
少しピリっとした空気が流れる。どうやら、少し怒っているようだった。
「シップ?」
「おめーは強いよ。ドンナ達にも負けてねー。だから、そんなこと言うなよ」
雨の日も、風の日も、雪の日も、楽しい時も、辛い時も一緒に走ってきた。
お互いのことはよく知っているので真剣なのが分かる。
こういうときはストレートに感情を伝えるのが彼女だ。
「そうだね……ありがとう。次のレース、勝つよ」
「……あったりめーよ!」
「じゃあ改めて。お願いします」
私がそう言うと彼女は満面の笑みで応えた。
「まかせろ!」
すっかり機嫌を直した彼女とともに坂路へ向かう。
秋特有の少し冷えた風がトレーニング場を流れていた。


12 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:16:49 asJDPkbc
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

10月27日 東京レース場


大観衆が見守る中、注目の的はやっぱりドンナさんだった。
1番人気の彼女がターフに現れると聞いたことがないような大声援が送られる。
それに比べて私は5番人気とそこそこの評価。
ちらりとドンナさんの方を見ると集中していることが分かり、この状況でもプレッシャーを感じていないようだった。
彼女の勝負服は黒を基調としたドレスに赤いバッテン印のようなシンボルがつけられ、優雅さとともに強者の風格を感じられた。
ふと、彼女と目が合う。ニッコリと笑みを浮かべてこちらに手を振っているけれど、ギラつきが抑えられていない。
『鬼婦人様』は熱いレースをご所望のようだ。だったらこちらもそれに応えなければ。
こっちもダチと約束してしまった以上負けるつもりはないのだけれども。


13 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:17:57 asJDPkbc
東京レース場の2000メートルは1コーナー奥からのポケットスタートでスタート直後にカーブがあるため、外枠が圧倒的に不利なコースだ。
有利なポジションを取るため無理に先行すると斜行をとられて降着処分となるリスクがある。
私は4枠7番とやや内側。トウケイヘイローさんが逃げるだろうから、スタートが良くても先行集団の後ろに控えたほうが良いだろう。
問題はドンナさんだ。勝負根性がある彼女であればどれだけハイペースでも残される可能性がある。
ファンファーレが鳴り、みんな金属製のゲートに導かれるように入っていく。
最後に17番ヴェルデグリーンが入り、態勢完了。
その数秒後、『ガシャコン』という音と共に眼前の視界が開く。
まずまず揃ったスタート。やはり外からトウケイヘイローさんが先頭に立つ。
そして意外にも2番手にはドンナさんがつけた。全体的にスタート直後のポジションから変わらず向こう正面へと入る。


14 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:19:25 asJDPkbc
前を走るエイシンフラッシュさんとトーセンジョーダンさんが先団を見る形の8、9番手。
私はそこから少し離れて、内側にナカヤマナイトさんを挟んでの追走。
それにしてもペースが速い。1000メートル58秒代あたりだろうか。
大欅を越えてもペースが落ちないのを見て、私は徐々に外目にポジションを取る。
先行勢の足が止まり、前が詰まってしまっては元も子もない。
東京レース場の最終直線は525.9メートル。
直線に入ってもトウケイヘイローさんが粘っているが2番手のドンナさんに追いつかれるのも時間の問題だろう。
残り400メートル。高低差2メートルの坂道がジワジワと脚にくる。
先頭までざっと5、6バ身。このままでは粘られて負ける。
勝ちたい。
もう負けっぱなしは嫌だ。
アイツとの約束を守れないのも嫌だ。
シルバーコレクターなんて言われ続けて悔しかったんだ。
だから……あなたに、勝ちたいんだ。


15 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:22:39 asJDPkbc
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私は前を走るトウケイヘイローを中々かわせないでいた。
しかし、スタート直後から先頭を維持し続けてきた彼女にとって、東京の直線は長すぎる。
捉えた。
そう確信した瞬間、後方からぞわりとした気配を感じる。
本当は見るべきではない。しかし、得体のしれない何か迫ってきている不快感。
右後方をちらりと見ると、そこにはジャスタウェイがおり、あっという間にかわされた。
かわされる瞬間、スローモーションのように時が流れる。
彼女は、真っすぐゴールだけ見据えていた。
アナウンサーの興奮する声が東京レース場にこだまする。
「外からジャスタウェイ!外からジャスタウェイ!!一気にかわした!!!」
「ジャスタウェイ先頭!ジェンティルドンナ2番手!」
「シャスタウェイだ!ジャスタウェイだ!突き抜けた突き抜けた!」
「ジェンティルドンナ2番手!ジャスタウェイ、この破壊力!!!!GⅠまで手が届きました!ジャスタウェイ!」


16 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:26:55 asJDPkbc
なんだあの脚は?
まるで、何かが爆発したかのような破壊力で全てをかわされた。
ウイナーズサークルではしゃいでいる彼女を見ながらそんなことを思ってしまう。
決して侮ったという訳ではない。彼女が強かったと言えばそれまでだが、そんな簡単な話でもない。
本能が告げるのだ。とんでもない何かが生まれたのだと。
「彼女は一体何者ですの……」
思わず声に出てしまう。
「知らねーんならゴルシちゃんが教えてやるぜ」
「ゴールドシップ?」
いつの間にかゴールドシップが近くまで来ていた。
最初はジャスタウェイを祝福しに来たのだろうと思ったが、なぜかその手には円筒状の体に棒の腕と死んだ魚のような目が付けられた謎の人形が握られていた。
「なんですのそれ?」
「ジャスタウェイはジャスタウェイ以外の何者でもない。それ以上でもそれ以下でもない」
「いや、だから本当になんですのそれ!?」
「まーまー、そんなことより、盾の勝者を祝福しねーとな」
「えっ、よりにもよってそれ持っていきますの?さすがに怒られますわよ?」
「大丈夫だって。ジャスはこの程度じゃ怒らねーよ、むしろ泣いて喜ぶと思うぜ……」
そういうものだろうか。まぁ、ゴールドシップと彼女の関係性だったら大丈夫だろう、多分。
それに直接祝福したかったのも事実なので、ウィナーズサークルまで一緒に行くことにした。


17 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:32:27 asJDPkbc
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

必死だった。
夢中だった。
そうやって彼女の背中を追いかけて、そしてかわした。
勝ったんだ。そう実感した途端、涙が出てきた。
そうしてウイナーズサークルでトレーナーとはしゃいでいるとゴールドシップとドンナさんが来てくれた。
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「やったなジャス!」
「うん、ありがとうシップ!……ところでそれ何?」
彼女は円筒状の体に棒の腕と死んだ魚のような目が付けられた謎の人形を手にしていた。え、イヤだ何それ怖い?
「あれ、知らねーのジャス?しょうがねーなぁ……教えてやるぜ」
やれやれとした表情で二人して謎の人形を私の前に掲げる
「ジャスタウェイはジャスタウェイ以外の何者でもない」
「それ以上でもそれ以下でもない、ですわ」
「いやだから何それェェェェェ!?なんで私と同じ名前なんだよ!?ていうかドンナさんもやってるの!?結構ノリいいなオイ!」
「よし、じゃあせっかくだし記念撮影するか」
「トレーナーァァァァ!?正気ですか!?こんな意味わかんない人形と記念撮影とか!なんか呪われますよ絶対!」
「ジャス、須貝のおやっさんは今嬉しすぎて頭がショートしちまってんだ。あきらめろ」
「掛け軸から出てきてショートさせたの主にオメーだろうが!?不思議なほど似やがって!」
「まぁ、ここ数年でお二人のようなウマ娘を担当していたら頭がショートしてしまうのも分かりますわ」
「お願いだから!記念撮影くらいは普通にさせてくれー!!!」
私の叫びは、多くの人の笑い声とともに飲まれて消えた。


18 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 06:56:58 Z2mgQNtg
感動した!


19 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 07:22:54 asJDPkbc
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「いやー、にしても最後の末脚すごかったな!」
「どーも。最後それどころじゃなかったけどね」
私達は寮に帰って2人だけのプチ祝勝会を行っていた。
チームでの祝勝会も楽しかったけれど、彼女とこうしてお菓子やジュースを囲むのも好きだ。
いつから始めたかよく覚えてないけれど、どちらかがレースに勝った日はこうしてお祝いするのが習慣となった。
「それでジャス、次の目標は?」
「うーん、実は海外レースに興味あるんだよね」
「おっ!?どこ行くんだよ?」
「ドバイ。トレーナーさんからも薦められた」
「ドバイ?まじか、ついに世界のジャスタウェイをお披露目すんのか」
「なにそれ……海外は初めてなんだけど」
「いーや!お前は間違いなく伝説を作るね!この黄金のジャスタウェイ人形を賭けてもいい」
すると彼女は全体が金色にコーティングされた例の人形を取り出してきた。
「ひとし君人形みたいな扱いすんな!だからなんで私と同じ名前なんだよ!?」
「そうだ、勝ったら現地の人にこの人形を渡そう。ジャスの名前が歴史に残るようにな」
「お願いだからやめて。300円あげるから」
お互いに笑い合う。
くだらない話を続けられるこの時間が私は好きだ。
願わくは、この関係性は大人になっても続いてくれたら嬉しいな。

〜おわり〜


20 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 07:24:33 aM63DR/k
福永祐一調教師も称賛


21 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 09:23:36 DMKzx18s
スレタイがおしゃれ


22 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 11:02:08 qqjv7zqs
ジャスタウェイもウマ娘化しそうですか?


23 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 11:23:54 kHPymlbk
こないだゴルシ部屋公開時に緑黒感あったし来るでしょ
(有名になりすぎた幻覚とどれほど違うデザインに成るかは)知らなーい


24 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 11:57:09 4vBm1aNM
たぬきのデザインにはならないにしても前髪ぱっつんのウマ娘が流用される可能性はありそう。


25 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 21:59:19 goBqWuA6
こういうのでいいんだよこういうので


26 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 22:04:57 zrtdiUew
通りすがりのゴリラ漫画家も称賛


27 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2023/10/24(火) 23:02:09 eaJT3d/g
コロコロでゴルシ主役の漫画出るらしいのでそこでぶち込んできそう
ジャスに関しては人気が高いので運営側がタイミング測ってる感も


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